○
中村敦夫君 私は
アメリカだけ特別扱いするのは非常にまずいと
考えているんですね。やっぱり七年間というものは待つべきだと思います。
なぜこういうことを言うかと思うと、先週の日曜日にNHKで「データマップ」という特集を始めまして、第一回目が寿命についてのいろんなデータを出してきて、大変興味深かったんですね。寿命というのは、ある国が突然延びたり、あるいは突然かなり短期間に平均寿命が落ちたりするという不思議な現象があって、
原因はいろいろなんですね。ただ、驚いたのは、ロシアの平均寿命が五十三歳になっているというのはかなりショックでした。その背景もいろいろありますけれども、これはいわゆるアフリカの飢餓国のような
食料不足ということではない
原因もあります。しかし、
基本的には、寿命の短い国というのは
食料不足ということは
基本的な
原因になっているわけですね。
じゃ、豊かな国だったらばいいのかと。確かに今のところ豊かな国は平均寿命が高くなっていますね。特に
日本なんかは八十一歳で世界一ということなんですね。しかし、同じように豊かな国でも、
米国の場合何が起こっているかというと、肥満率、これが二二%で、男女とも世界一なんですね。これ五人に一人がもう肥満である。つまり不健康な体の状態だと。
どういうことかというと、これは糖尿とか高脂血症とかが
発生していて、六十歳になるまでにもう体の機能ががたがたになってしまって長持ちしないと。ひどい場合には数年以内にやっぱり死亡してしまうというケースが今どんどん増えていると。そのために、数年内に死ぬよりはもっと食べないようにした方がいいということで、胃の手術をして胃を小さくする、カットすると。これが年間十万人いるというんですよ。何か、ばかばか食べて、それで胃を切ってそういう操作をやるというのは、これ、何というんですかね、悲劇じゃないかなと思いますよね。こんなふうにしていわゆる経済成長をやらなきゃいけないというのは、これは本末転倒の話じゃないかというふうに
考えるわけです。
しかも、
アメリカの子供たちに今大変な
健康状態の変化が起きているというのは、子供たちももうぶくぶく太り始めてしまって、将来四人に一人がもう糖尿病になってしまうというふうに言われているんですよ。これは
基本的には、やはりもう
アメリカ型の食事、ファストフードですよね、これはハンバーガーだとか揚げ物とか、
基本的には
牛肉あるいはほかの肉を中心にした肉食文化、それを、つまり早くて安いからいいんだということでどんどんどんどん奨励していってしまってそういう
状況になっていくと。当然のことながら、将来ここの平均寿命というのは下がっていくということが予測されるわけですね。
日本も私は例外ではないと。
日本で一番長寿なのは沖縄だったわけですよね。男女とも沖縄が一番だったわけですよ。ところが、最近、いきなり男の寿命だけが二十六番目にどんと下がったんですね。女性もこれから下がる気配があると言われているんです。この
原因何かというと、
アメリカの統治以来、ずっと
アメリカの肉食文化というのが入ってきて、そして特に今、若い人たちがもうそれ一本のような
状況になって早死にしているんでその平均寿命が下がってきているという現象が出てきているわけですね。私はこういう
状況は、多かれ少なかれ
日本人全体に今広がりつつあると思うんですよ。
そういう意味から
考えても、やはり私たちは、不健全な肉食文化、
アメリカの食文化ですけれども、こういうものをただただいたずらに受け入れるのではなくて、やはり世界で一番健全だと言われている和食文化、これを
政策として持っていかなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。
食料政策というのは、何も業界が利益を上げればいいという話ではなくて、第一に
国民が健康で安全でおいしいものを食べられるということが原則であって、その原則を外れたいかなる企業的行動というのもこれは邪道だというふうに私は
考えるわけですね。
特に、この肉食というのは、先ほど
岩本議員が言われたとおり、大変な量の穀物を
消費していると。ですから、
日本と
アメリカが肉食をやめれば世界の飢餓問題というのは解決されるとまで言われているわけですね。これは極端な表現でしょうけれども、多かれ少なかれそうだと思うんですよ。牛が食べる穀物が人々に渡っていれば相当な人々が救われるというのがあります。
もう一つは、
米国牛というのは成長ホルモンを使っています。これは大変危険な操作だと思うんですね。だから、ヨーロッパでは
米国牛の
輸入を
禁止しているわけなんですよ。
日本だけがもういらっしゃいいらっしゃいとやってきて、どんどん若者中心にこれを食えということになれば、
日本人の健康というのは非常に悪くなっていくというふうに
考えられます。
ですから、八〇年代の
牛肉輸入自由化からどんどんどんどん、何か無邪気ともいうような熱心さで肉食を拡大してきたということはここで一回反省して、やっぱり
国内産の穀物、野菜を中心とした地産地消の食生活という方向に転換し、
農業政策もそれに沿った形でやっていった方が私はいいと思うんですね。ちょうどこれは、
アメリカのどちらかといえば危ない肉を
輸入を
禁止する口実の機会にもなっているわけですから、そんなにもう肉、私は食う必要ないと思うんですよ。全然食うなという話じゃなくて、食い過ぎだということから
考えたら、この全体の中の三〇%というのは、ちょうどこのぐらい減らしてもいいんじゃないかというふうに
考えますが、
大臣、どうでしょう。