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2004-01-28 第159回国会 参議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年一月二十八日(水曜日)    午後一時三分開会     ─────────────    委員氏名     委員長         岩永 浩美君     理 事         加治屋義人君     理 事         段本 幸男君     理 事         常田 享詳君     理 事         和田ひろ子君     理 事         紙  智子君                 市川 一朗君                 太田 豊秋君                 小斉平敏文君                 服部三男雄君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 千葉 国男君                 福本 潤一君                 市田 忠義君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君     ─────────────    委員異動  一月二十七日     辞任         補欠選任      市田 忠義君     小林美恵子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩永 浩美君     理 事                 加治屋義人君                 段本 幸男君                 常田 享詳君                 和田ひろ子君                 紙  智子君     委 員                 市川 一朗君                 小斉平敏文君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 小川 勝也君                 郡司  彰君                 信田 邦雄君                 羽田雄一郎君                 千葉 国男君                 福本 潤一君                 小林美恵子君                 岩本 荘太君                 中村 敦夫君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君    副大臣        農林水産大臣  金田 英行君        農林水産大臣  市川 一朗君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       木村 太郎君        農林水産大臣政        務官       福本 潤一君    事務局側        常任委員会専門        員        高野 浩臣君    政府参考人        内閣食品安全        委員会事務局長  梅津 準士君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        農林水産省総合        食料局長     須賀田菊仁君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (牛海綿状脳症問題に関する件)  (高病原性鳥インフルエンザ問題に関する件)     ─────────────
  2. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  昨二十七日、市田忠義君が委員を辞任され、その補欠として小林美恵子君が選任をされました。     ─────────────
  3. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りをいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、農林水産に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会内閣食品安全委員会事務局長梅津準士君、厚生労働省健康局長田中慶司君、農林水産省総合食料局長須賀田菊仁君農林水産省消費安全局長中川坦君、農林水産省生産局長白須敏朗君及び農林水産省経営局長川村秀三郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 農林水産に関する調査のうち、牛海綿状脳症問題に関する件及び高病原性鳥インフルエンザ問題に関する件を議題といたします。  まず、政府から報告を聴取いたします。亀井農林水産大臣
  8. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 農林水産委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。  委員長始め委員各位におかれましては、日ごろから農林水産行政推進に格段の御理解と御支援をいただき、厚く御礼を申し上げます。  金田市川両副大臣木村福本大臣政務官共々、農林水産行政推進全力を挙げてまいる考えでありますので、今後とも、委員長始め委員各位の一層の御支援を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。  まず、米国BSEにつきまして御報告申し上げます。  昨年十二月二十四日に、米国ワシントン州においてBSE発生したとの発表がありました。  農林水産省といたしましては、我が国へのBSE侵入防止に万全を期すため、直ちにアメリカからの牛及び牛肉等輸入を停止いたしました。また、厚生労働省は、公衆衛生観点から、米国産牛肉等の日本への輸入禁止するとともに、米国から既に輸入された特定部位が含まれる、又はそのおそれのあるものについての回収等指導したと聞いております。  その日の夕刻には金田大臣本部長とする農林水産省BSE対策本部を開催し、本部長から、米国におけるBSE発生状況確認に努めること、消費者の安全、安心確保観点から、今後の対応については食品安全委員会及び厚生労働省と十分に連携を図りつつ検討すること、牛肉安定供給確保を図る観点から、事態の正確な把握関係者への適正な情報の伝達を行うとともに、牛肉価格動向把握、公表し、監視することについて指示したところであります。  その後、十二月二十九日には、食品安全委員会事務局厚生労働省及び外務省とともに米国政府との会合を持ち、米国側説明を聴取いたしました。  さらに、米国におけるBSE発生状況等について調査を行うため、一月八日から十八日まで農林水産省厚生労働省及び食品安全委員会事務局の合同の調査団米国に派遣したところであります。  調査団報告によれば、BSE感染牛カナダでの同居牛米国に輸出されており、当該牛カナダで給与された肉骨粉米国へも輸出されていた可能性がある、飼料、生体牛の流通などの面で米国カナダ牛肉関連産業は強く統合されている、米国肉骨粉等の牛への給与禁止措置に関して、交差汚染等可能性を否定できない、したがって今後米国BSE発生しないという保証はないとのことであり、今後とも米国及びカナダ感染経路究明情報提供等を求めてまいりたいと考えております。  一月十五日には私とベネマン米国農務長官との間で電話会談を行いました。会談では、両国とも早期牛肉貿易再開を望んでいること、その際、両国最大の懸案は食の安全、安心確保であり、そのことを踏まえて貿易再開条件について引き続き話合いを行っていくことで意見一致を見たところであります。また、私からは、貿易再開のためには消費者理解が前提であることを強調し、現在我が国が講じている措置等について丁寧に説明いたしました。  さらに、一月二十三日には、食品安全委員会事務局厚生労働省及び外務省とともに米国政府との会合を持ち、米国追加的BSE対策現地調査団報告について意見交換を行いました。  一方、我が国では、米国からの輸入牛肉国内消費の約三割を占め、国民生活への影響は少なくないことから、牛肉安定供給確保を図るため、価格動向調査、監視による便乗値上げ防止を図るとともに、豪州及びニュージーランド担当官を派遣して輸出拡大可能性調査等を行ったところであります。その結果、豪州産の牛肉の一部には米国産の代替として我が国でも需要が見込まれる高品質な部分肉があること、ニュージーランドからの大幅な輸入増加は期待できない状況にあること等が確認されたところであります。  いずれにいたしましても、この問題は食の安全、安心に関する重要な問題でありますので、まず消費者の安全、安心確保を第一に考えなければならないと考えております。  輸入再開については、今後日米間で協議することとなりますが、その際、国産牛肉については全頭検査実施及び特定危険部位除去により国民消費者の安全、安心確保されていることを踏まえれば、日本向けに輸出される牛肉等についても我が国としてはこれらを基本に協議していくことになると考えております。  今後とも、食品安全委員会厚生労働省と密接に連携を図りつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。  続きまして、国内発生した高病原性鳥インフルエンザに関して御報告申し上げます。  高病原性鳥インフルエンザにつきましては、従前から発生と同時に発生国からの家禽肉等輸入を直ちに停止してきております。また、昨年九月には防疫マニュアルを作成するとともに、昨年十二月の韓国での発生拡大を踏まえ、各都道府県等対応徹底を指示していたところであります。しかし、残念ながら、一月十二日に山口県において我が国では七十九年ぶりとなる発生確認されました。  農林水産省といたしましては、一月十三日に金田大臣本部長とする対策本部を開催し、本部長から、発生状況把握及び感染原因究明に努めること、家畜伝染病予防法に基づき速やかに必要な蔓延防止措置を取ること、厚生労働省食品安全委員会十分連携を図りつつ、国民の安全、安心確保に万全を期すこと、また、風評被害防止のため正確な情報提供に努めることについて指示したところであります。  既に蔓延防止措置としては初動措置として、発生農場において部外者の立入り制限、卵の出荷制限消毒等実施するとともに、家畜伝染病予防法及び防疫マニュアルに基づき発生農場飼養鶏全羽の殺処分、消毒周辺農場における鶏及び病原体を広げるおそれのある物品(鶏卵車両等)の移動制限関連農場調査等の必要な防疫措置を講じているところであります。  一方、厚生労働省では、鳥インフルエンザの発見された養鶏場について念のため鶏卵自主回収を要請するとともに、養鶏関係者健康状態確認及び感染防除徹底指導していると聞いております。  一月十五日には食料農業農村政策審議会に置かれている家きん疾病小委員会を開催し、専門家の方々から、蔓延防止措置については防疫マニュアルに沿った措置徹底すること、全都道府県臨床症状の有無を基本として清浄性確認調査を進めること、感染経路究明については引き続き関連農場等疫学調査等を進めることといった助言をいただいたところであり、こうした助言を踏まえ、引き続き蔓延防止感染経路究明を進めていくこととしております。  本病は、生きた鳥との接触等により人に感染した例はありますが、鶏卵や鶏肉により人に感染したという報告はないことから、国民に対する正確な情報提供等により、冷静な対応がなされるよう努めてまいりたいと考えております。  今後とも、厚生労働省食品安全委員会連携を取り、万全の対策を講じてまいる考えであります。  最後に、委員各位におかれましては、引き続き一層の御理解と御支援をお願い申し上げます。
  9. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 以上で報告の聴取は終わりました。     ─────────────
  10. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) この際、金田農林水産大臣市川農林水産大臣木村農林水産大臣政務官及び福本農林水産大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許可します。金田農林水産大臣
  11. 金田英行

    ○副大臣金田英行君) 昨年十一月二十日、農林水産大臣を拝命しました金田英行でございます。  亀井農林水産大臣の下、市川大臣、そして両政務官共々、一生懸命に農林水産行政推進に取り組んでまいりたいと考えております。  どうか、委員長始め委員皆様方の御協力、御指導、よろしくお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
  12. 岩永浩美

  13. 市川一朗

    ○副大臣市川一朗君) 農林水産大臣市川一朗でございます。  亀井大臣の下で、副大臣、両政務官一緒になりまして、農林水産行政推進に懸命に取り組んでまいる所存でございますので、委員長始め委員皆様方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。
  14. 岩永浩美

  15. 木村太郎

    大臣政務官木村太郎君) 農林水産大臣政務官木村太郎でございます。  大臣、両副大臣福本政務官一緒に支えながら諸課題の解決に頑張ってまいりたいと思いますので、委員長始め委員先生方の御指導を心からお願い申し上げます。
  16. 岩永浩美

  17. 福本潤一

    大臣政務官福本潤一君) 農林水産大臣政務官福本潤一でございます。  亀井大臣の下、金田市川両副大臣の御指導をいただき、木村政務官共々農林水産行政の諸課題全力で取り組んでまいる考えでございます。  委員長始め委員各位の御支援のほど、よろしくお願い申し上げます。     ─────────────
  18. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  19. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 自民党の小斉平でございます。  まず、大臣基本的な問題でお尋ねをいたしたいと、このように思います。  小泉総理は、昨年十一月、バンコクにおきましてFTA問題に触れられて、農業鎖国はできない、外国農産物日本市場に入ってくることは止められないと、このような発言をされました。世界最大食料輸入国である我が国がどうして私は農業鎖国なのか。しかも、我が国では食料農業農村基本計画、その中で、四〇%の現在の食料自給率を、当面の目標として二〇一〇年までに四五%まで上げるんだという努力をしておる最中であります。輸入増加というものは、必然的に私は自給率は下がる、下げる、このように思います。  そこで、我が国のこの食料自給率目標数値、これと矛盾をしたと私は思うんですけれども、矛盾しておると思うんですが、総理発言大臣はどのように説明されるのか、まずお聞かせを賜りたいと思います。
  20. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 総理の御発言、これは我が国が既に農産物輸入、もう輸入大国であると今委員からも御指摘のとおり、食料自給率が四〇%にすぎないと、こういうことは十分認識をされ、WTOやあるいはFTAとグローバル化が進む中で、我が国農業体質強化、そして競争力を強化する、このような考え方、農業政策につきましても、国境措置に過度に依存することなく改革していくことが重要との認識の下に発言をされたと、このように認識をいたしております。  私も、この我が国農業の発展、また、安全で安心食料安定供給に向けて、国内生産の増大、食料自給率向上、そして農業多面的機能の発揮を引き続き図っていかなければならないわけでありまして、農政全般にわたる改革が必要であると、このような考えを持っておるわけであります。  こうした観点から、米政策改革の遂行、これを着実に取り組むこと、また、スピード感を持って農政改革推進する決意でおるわけでありまして、食料農業農村基本計画見直しを指示をしておるところでもございます。  こうした中で、意欲とそして能力のある担い手の経営支援する、そして環境や農地、水等の保全のための政策と、このことも十分加味した中で検討し、また諸外国政策も視野に入れた中でいろいろ進めていくことが必要ではなかろうかと、このように考えております。
  21. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 今、大臣の方からこの基本計画見直しお話もありました。どうか、やっぱりこの食料自給率向上のための施策というものを的確に行っていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  続きまして、BSEの問題についてお尋ねをいたします。  BSEについては、これまで我が国BSE発生国からの牛肉あるいは牛製品輸入を止めております。  アメリカからの輸入は、未発生国清浄国であるという理由で、全頭検査特定危険部位除去等は義務付けしないまま輸入をしてきました。カナダBSE発生したことによって、カナダ牛肉輸入を止めるとともに、カナダ産牛がアメリカに輸出されているということから、米国産牛肉特定危険部位、これの輸入も昨年秋に停止をされております。さらに、アメリカでもBSE発生したために、急遽、牛肉輸入を止めて一か月余りが経過をしたところでございます。  ところが、先日の参議院の本会議、この問題に対する小泉総理答弁、これはアメリカからのいわゆる牛肉輸入再開を行うに当たっては、いわゆる全頭検査特定危険部位除去、これを求める方針であるというふうに発言をされましたし、また、大臣が先ほど御報告をなさいましたアメリカBSE発生について、この中で大臣が言われましたように、アメリカ農務長官との電話会談を行ったと。その中で、いわゆる早期牛肉貿易再開、これを望んでおることで一致をしたと、このように言われました。また、さらに先般、農務次官を始めとするアメリカ代表団我が国政府は、この代表団との間で、米国産牛肉輸入再開条件について本格的な協議を始めたと、このように報道をされておりますし、また、一昨日の衆議院予算委員会でもこの問題が取り上げられました。  質問される方も、質疑をされる方も輸入再開ありきなんですね。特定危険部位とか全頭検査答弁される方もそうです。しかも、昨日の衆議院の農水の委員会でもそういう形になっておるんです。答弁も、とにかく輸入牛肉輸入再開での条件は全頭検査ですよというような答弁がなされておるように報道されておるんです。私は、なぜそういう展開というか、そういう議論になるのか、私は理解ができない。  というふうに申し上げますのは、私は今までこのBSE発生してからこの委員会質問をしてきたんです。そのときの答弁というのは、発生国からの輸入はしない、未発生国からの輸入についてはSPS協定に抵触するのでトレーサビリティー等条件は付けないというのが、私は、今まで政府のスタンスだったと、このように思うんです。  素朴な疑問でありますけれども、政府はいわゆるBSE発生国からの輸入を認める方針方針を転換されたのかと思わざるを得ない。いつからBSE発生国からの輸入を認めることになったのか、結論だけで結構でありますから、お聞かせを賜りたいと思います。
  22. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国BSE発生国であるわけでありまして、御承知のとおり、屠畜場におけるBSEの全頭検査、そして特定危険部位除去、このことを実施をし、消費者の安全、安心の確立と、そして今日までいろいろ消費者の皆さんも、当時、消費が減退をしたわけでありますが、今、消費を回復し、信頼を得て肉の消費をいただいておるわけでございます。  そういう視点で、アメリカ輸入牛肉日本の食肉の需給、こういうことを考えますときに、やはりそのウエートもあるわけでありまして、やはり輸入をするにつきましては、日本同等の、同じ全頭いわゆるBSE検査特定危険部位除去、こういうことが行われる、こういうシステムであれば、当該国からの、いわゆるBSE発生している国でも日本同等検査が行われているということであれば、輸入禁止をする必要がないんではなかろうかと、このように考えております。
  23. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 いや、どうも、私は、私の質問に今の答弁なっていないと思うんですよね。というのは、結局、私は、BSE発生国から牛肉輸入するのか、そういう方向に転換したのかと私は聞いておるわけなんですよ、現実問題として。  ですから、アメリカの言い分というのは、先ほども大臣の方からお話がありましたけれども、問題の牛はカナダで感染したものであるから清浄国としての対応我が国に求めておるという報道もあるんですよ。それでは、我が国アメリカ清浄国と認めるんであれば、全頭検査特定部位除去、これを求めることはSPSに抵触するんですよ。ですから、清浄国と認めるんであれば、従来どおりに輸入を続ければいいんです。で、非清浄国BSE発生国と認めるんであれば、一切の条件を付けずにやっぱり輸入はしないと、それがやっぱり従来の政府判断だったと私は思うんです。  だから、清浄国、非清浄国判断というのは、大臣が言われたように、我が国BSE対策におけるいわゆる牛肉輸入の最も基本的な方針、あいまいなままにこういうことはできるものじゃないと私は思います。  また、国際動物衛生規約では、清浄国である要件を満たすためには、発生例生体牛輸入が直接の原因であることが明確に証明されておることが必要であると、このようになっております。  早期輸入再開に合意したというんであれば、アメリカ清浄国であるという明確に証明ができたのか、あるいは我が国アメリカ清浄国と認めたのか、どちらなんですか、お聞かせを賜りたいと思います。
  24. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  先ほど大臣の方から調査団の概要について御報告申し上げた際に触れられておりますけれども、当該感染牛カナダで出生をしたものでありまして、そこで肉骨粉は給与されたということが分かっておりますが、それ以外にも同居牛が何頭かアメリカの方に入ってきております。また、そのとき給与されたと同じ肉骨粉アメリカにも入ってきております。また、アメリカカナダの間は市場が統合化されているというふうなこともございます。  いろいろ考えますと、アメリカカナダにおいてBSEに関する汚染状況が大きく違っているということは考えられないと、むしろそれらは同じような条件だというふうに私ども思っておりまして、そういうことからいたしますと、アメリカBSE清浄国であるとは言い難いというふうに思っております。
  25. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 ただいまの答弁清浄国ではないというお話でありますが、言われたとおりに、いわゆる政府調査団報告でも、やっぱりBSE発生しないという保証はないと、このように結論付けられておるわけですね。また、今言われたように、カナダアメリカ、やっぱり一体化、そういうことで清浄国でないと。  であれば、アメリカ清浄国でないとはっきり言われたわけですから、だから、まず輸入はしないと。輸入はしない、条件付き輸入もしないということでいいんですかね。
  26. 中川坦

    政府参考人中川坦君) これまでBSE発生しておりますのは、EU、それから去年の五月にカナダでございます。カナダとの間は、若干でありますけれども、貿易がございました。カナダを除けば、これまで具体的にBSE発生国から日本に対して輸入再開要請というようなものがあったわけではございません。カナダに対しましては、要請らしきものはありましたけれども、具体的条件については議論に至っておりません。今回が、言わば牛肉の貿易についてかなりの量が行われている国において発生したという意味では、初めてのケースでございます。  その際に、その輸入をどういうことでやるかということにつきましては、先ほど大臣が申し上げましたけれども、日本においてもやはりBSE発生をしました。これまで九件の例が出ておりますけれども、全頭検査と、それから特定危険部位除去によりまして、最近は消費者の方々も安心して牛肉を食べていただいていると、そういう状況にございます。このことを踏まえますと、アメリカからの輸入に当たりましても、今申し上げた二つの条件が達成をされているということが大前提であるというふうに思っているわけでございます。
  27. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 いや、違うんですよ。輸入再開をする前の話なんですよ。アメリカ清浄国であるかないかということを、局長清浄国でないとはっきり言われたんです。そのことはアメリカにもちゃんと認識してもらわにゃいかぬのですよ。アメリカ認識してないんでしょう。清浄国であると、これはカナダから入ってきたんだ、清浄国だと、その取扱いやれと言っているんでしょう。ですから、アメリカがやっぱりBSE発生国、あるいは清浄国であるということが証明ができないということをまずアメリカが認めたその上で、その上で我が国への輸出を再開したいというのであれば、トレーサビリティーを含む我が国の、今局長が言われるように、安全と安心の基準、これを完全にクリアをしてもらってから我が国との輸入再開に向けた交渉を提案していく、私はそれが筋だと思うんですよ。BSESPSの問題もありますから、我が国は、それから従来の方針を見直すかどうか、それを検討し始めればいいんだと私は思います。  国民に安全と安心を与えるために大変な努力を農水省もされてきたわけでありまして、その姿勢あるいは方針、こういうものを変える必要はない、我が国のやっぱり安全と安心の基準、これを後退させることはできないと私は思います。ですから、我が国のこの基本姿勢というものを堅持をして今後の問題に対処をしていただきたいと、このように思います。  ですから、私が言ったことは、局長清浄国でないとはっきり言われたんですから、そのことをまずアメリカにも認めさせて、その上でどうするかという話になっていかぬと、私はこの問題本当に納得がいかぬ。国民のあれ得られませんよ、理解得られない。ですから、やっぱりそこをぴしゃっと押さえていただきたいということを強く、大臣、どうですか。
  28. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 私は、ベネマン農務長官にも、貴国もBSE発生したと、こういうことで再三我が国の取っております対応を詳しく何回も説明しておるわけでありまして、やはりBSE発生、こういうことになりますれば、これは国際動物衛生規約、これに基づきましても、発生国清浄国でないということになっておるわけでありますので、十分私はそのような認識の下で、またアメリカにおきましても、私は、発生しておるわけでありますから、そのことを現実にとらえて農務長官発言をされていると、このようにも考えております。
  29. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 大臣、やっぱりそこのところ、やっぱり一番私は基本だと思うんですね。ですから、日本が言うこととアメリカ自身が考えておること、これが違う、違ったままで貿易再開輸入再開という話に私はなっていくこと自体に大変な危惧を持っておりますから。  あと今まで我が国が行ってきた全頭検査とか特定部位除去とかこういう努力、そのことによって国民の信頼をかち得たんですから、このことが後退するということは、このアメリカ産の牛肉輸入の問題だけじゃない、食全体に関する私は信頼だ、信頼にかかわる問題だと、このように思いますから、是非ともそのところは明確に配慮して交渉していただきたいと、このように思う次第であります。  また、先ほど言われましたけれども、両国間で早急にやっぱり牛肉輸入再開に向け合意したという話ですけれども、私は、やっぱり牛肉アメリカ輸入、こういうものがされないと国民が困るという発想は私はやめていただきたいということだけは申し上げておきたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  昨年十二月五日に消費安全局長局長通知で、「と畜場から排出される汚泥の肥料利用について」として、汚泥を原料としたいわゆる肥料の製造及び工場からの出荷停止の要請がなされております。これは十三年十月一日付けのいわゆる肉骨粉の当面の取扱いについてという通知の中に汚泥の言葉が含まれておらず、肥料として出荷していた事実が指摘をされて出されたものだと私は思いますが、最初の通知ではこの汚泥を含むという考え方がなかったのではないかと思うんですが、局長、いかがでしょうか。
  30. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 平成十三年の九月の十日に我が国の最初のBSEの感染牛が発見をされました。その直後でございますが、九月の十八日に飼料安全法に基づきます成分規格の省令を改正をいたしまして、反すう動物由来のたんぱく質を含む牛用の飼料の製造・販売禁止というもの、使用の禁止をいたしました。ただ、その省令改正をいたしましたけれども、実態を見ますと、現場においては不適切な使用事例もあったということで、今先生がおっしゃいましたような通知が十三年の十月一日に出ました。確かにその文書を見ますと、汚泥という言葉が明示的に出ているわけではございません。そういう意味では、最初にBSE発生をした後のどたばたの、表現はちょっと不適切かもしれませんが、急遽そういうことを通知しなけりゃいけないという状況の下で、文言として言わば汚泥が明定されなかったという意味では、そこのところは不十分な点があったかというふうに思います。  ただ、その後、肥飼料検査所などが飼料工場等に立入検査をいたします際には、そういう現場におきましてそういった扱いがなされていない事例が発見されました場合は、具体的にこの通知はこういうことなんだということを、趣旨を丁寧に御説明をいたしまして指導もしてきたところでございます。そうはいいながら、現場においてまだ十分徹底がされていなかったということで、先般私の名前で再度この徹底の通知をいたしまして、現場での対応をお願いしたところでございます。
  31. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 少なくとも一部の現場では汚泥、つまり腸内に残った汚物が含まれているという認識がなかったから利用しておったということなんですね、現場では。このように後になってから変更するということは現場が非常に混乱する。ですから、くれぐれも御注意を願いたいと思います。  また、BSE発生確認された屠場であればともかく、全頭検査で安全が守られておって、しかもBSE検査後の処理であれば問題はないと私は単純に思うんです。しかも肥料にするわけですから、改めて禁止する必要はなかったのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  32. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 反すう動物の肉骨粉を牛に給与することを禁止をする、いわゆるフィードバンと言っておるものですけれども、これは徹底をしなくてはいけないというふうに私どもは思っておりまして、今回のこの汚泥の問題、それから先般、もう一つの問題として脊柱の話もございましたけれども、こういった特定危険部位が含まれるおそれがある場合にはできるだけそういったものが牛の口から摂取される可能性を小さくしていく、排除していくということがやはりBSE我が国において蔓延することを防止する第一歩だというふうに思っております。  そういうことから、このような扱いはEUでも行われていることでもありますし、現場においては大変御苦労をお掛けすることではございますけれども、是非この趣旨を御理解いただいて、現場での対応をよろしくお願いをしたいというふうに思っております。
  33. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 この汚泥を処理するには、脱水、乾燥、焼却という行程が必要で、非常に莫大な費用がその肥育農家に掛かってきます。汚泥の排出量や処理費用、これがどれぐらい掛かっておるのか、把握をされておるのか、また今後、食肉センターや肥育農家、どのような対策考えておられるのか、お聞かせを賜りたいと思います。
  34. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 屠畜場から排せつをされます牛、豚などの汚泥の排出量そのものについては、私どもも調べましたけれども、現実にそういった数字をつかむことができない状況でございます。ただ、屠場から排出をされます汚泥を原料とした肥料はどれぐらい作られているかというのは一応分かっておりまして、年間十七万トン程度というふうに推計をされるわけでございます。  で、牛とそれから豚とが併せて屠畜場で処理をされているような場合ですと、牛と豚と処理を分けていただくというようなことで、豚から出てまいりますいろんな処理に伴います汚泥は、これは肥料に使うこと、現状のルールでも可能でございますから、そういった現場での工夫を是非していただきたいというふうに思っております。
  35. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 次に、山口県で発生をいたしました鳥インフルエンザについてお尋ねをいたしたいと思います。  この鳥インフルエンザの感染源は、渡り鳥であるとか、あるいはえさであるとか、あるいは旅行者であるとか、様々な報道がなされておるところでありますけれども、実際の感染源、どれぐらい解明されたのか、明らかになったのか、お聞かせを賜りたいと思います。
  36. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 高病原性鳥インフルエンザ感染原因あるいは感染経路につきましては、今月の十五日に食料農業農村政策審議会の下に設置をされております家きん疾病小委員会でいろいろ御意見を伺いました。  今回のその現場での状況を見ますと、鶏の導入元からウイルスが入ったというふうなことは考えにくいということが委員の方々から出ておりまして、今後その感染経路あるいは原因究明するためには、ウイルスのきちっとした遺伝子解析を行うということ、それから疫学的な視点から関連の農場を含めて調査を進めていく必要があるというふうなアドバイスをいただいたところでございます。  既に遺伝子解析によりまして、今回のこのウイルスは香港で人にうつったああいうものとは違うというふうなことも分かってきておりますけれども、まだまだこれから人や車両の動きなどに着目をしまして、山口県が現場におきまして調査を今していただいておるわけでありますけれども、そういった調査結果、もう少しまとまってから専門家の方々に再度集まっていただいて御検討いただきたいというふうに思っております。
  37. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 仮に、渡り鳥だったり、人だったりした場合、感染を防ぐ方法というのは極めて困難だと、このように思います。  養鶏の現場では鳥用のワクチンの開発と使用を求めておるというようなことも聞いておるんですが、農水省の局長の通知では、ワクチンは使用せずに殺処分で蔓延を防ぐというふうにあります。アジア全域で急速に広がりつつある中で、我が国でも第二、第三の発生が起こることも予測をされるわけですね。  今後の対応養鶏場の従事者への感染防止、この対策はどうなっているか、お聞かせを賜りたいと思います。
  38. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 生産現場におきましては、まずもってきちっと、今回の発生農場におきます処理をきちっとするということがまず大事でありますし、それから周辺農場の方々におきましても移動禁止等を遵守していただきまして、今回の鳥インフルエンザがほかのところに飛び火しないようにということできちっとやっていただくということが何よりも大事だというふうに思っております。  それから、農場での従業員の方々でありますけれども、これも私の方から通知を出しまして、鳥と接する場合にはきちっとした、マスクを掛けたり、ゴーグルを掛けたり、あるいは予防的なワクチンを打つとか、これは人間の方のワクチンでありますけれども、そういった十分な措置をして対処するようにということを周知徹底をさせているところでございます。
  39. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 発生農場で処分をした鶏や卵というものに対しては救済処置があるわけでありますが、移動制限を受けたこの半径が三十キロ以内の養鶏場、ここに対してはどのような対策を講じるお考えなのか。それと、鶏や卵を売ることもできずに飼育しておる経営者の苦悩、これは察するに余りあるものがあるんです。つなぎ融資だけで私は済む問題ではないと、このように思います。  また、風評被害、これも近隣の養鶏の業者にとって大きな損害を与えておると私は思いますが、その対策も併せてお聞かせを賜りたいと思います。
  40. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 患鶏につきましては、家畜伝染病予防法におきまして、発生農家におきます患畜、疑似患畜の殺処分や汚染物品の焼却、埋却につきましては国が手当金を支払う、こういう仕組みが定められております。  移動制限に伴う経済損失、これにつきましては一時的な制限と、廃棄や処分を求めているわけでないわけでありまして、その損失を補償する仕組みは設けられておりません。山口県におきます鳥インフルエンザ発生に対しまして、農林水産省として、防疫対応と併せて、移動制限区域内の農家の経営継続につきましては家畜疾病経営維持資金等によりまして支援をすることといたしております。  また、御指摘の風評被害防止につきましては、引き続き量販店に対しまして、また関係の小売店等々、不適切な説明や告知をしないよう要請をしておるところでもございまして、地方農政事務所を通じまして中国・四国地方の鶏肉、鶏卵取扱い店舗を調査をし、風評被害をもたらすような不適切な表示に対しましては個別指導を行っておるところでもございます。  このように各般の対策に今鋭意取り組んでおるところでもございますが、現在保管中の移動制限区域内の卵の今後の取扱い、移動制限区域内の農家の経営支援につきましては、山口県と十分相談をいたしまして、国として対応可能かどうかも含め判断をしていきたいと、このように考えております。
  41. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 この風評被害というのは、実は私は宮崎なんですけれども、私の地元はコイ漁で九州でも一、二と言われるぐらい料理店の多いところで、しかも非常に有名なところなんです。ところが、このコイヘルペスが出た途端、土曜、日曜、祭日、今まで観光バスで来よったのがただの一人も来ない。ですから、私は、今度のこの鳥インフルエンザ、私、非常に大きな風評被害が出ると恐れておるんです。ですから、今大臣が言われたように、万全のやっぱり対策を講じていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  次は、アジア全域に急速に広がりつつあるこの鳥インフルエンザのみならず、ただいま申し上げましたコイヘルペスの問題も依然として残されておりますし、牛や豚、あるいは犬、猫、鳥、ウナギなど、生体のまま輸入されて我が国でペットあるいは食用として飼育されておる動物というのはもうたくさん、数限りなくあります。  輸入動物の検疫、また人の防疫体制、これはどのようになっておるのか、農水省、厚労省、それぞれにお尋ねをいたします。
  42. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、輸入動物の検疫のことでございますけれども、家畜の伝染性の疾病が我が国に入ってくることを防止するために家畜伝染病予防法に基づきまして、全国にこれ二十四か所ございますが、動物検疫所におきましてこういった家畜の輸入検疫というものを実施しております。  これは、まず輸出国の方から、今回日本に入ってくる家畜等について伝染性の疾病にかかっていないという証明をまず取ることにいたしておりますし、また輸入の際には、家畜防疫官が実際にそういった病気にかかっていないかどうかということを係留をして、そして検査をするということになっております。  根拠法は、家畜伝染病予防法に基づくものが一つでありますけれども、これによりまして、例えば口蹄疫ですとかBSEとか、あるいはアフリカ豚コレラといった非常に伝染力の強いものにつきましてはそもそも輸入禁止という措置も取ってございます。それから、先生もおっしゃいましたが、狂犬病予防法あるいは感染症に基づきまして野生のいわゆる動物につきましてもきちっとした検疫措置を取っているところでございます。
  43. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 先般、臨時国会で感染症予防法が改正されまして、動物由来の感染症につきましては第四類として区分されました。これらにつきまして蔓延防止措置を整備いたしまして、また、その動物の輸入についても輸出国側の衛生証明を義務付ける等、万全の措置を取っているところでございます。
  44. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 また、ベトナムで鳥インフルエンザ、これで六人の方が死亡されたとか、タイでもまた感染あるいは感染の疑いのある方々、そして何人か死亡されたということが明らかになってきております。  今のところ、動物から人への感染しか確認をされていないようでありますけれども、WHOでは人から人へ感染する変異ウイルスの出現を想定をしてワクチンの開発に乗り出したという報道がなされておりますけれども、局長我が国対応はどのようになっておるのか、お聞かせを賜りたいと思います。
  45. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 鳥インフルエンザと人インフルエンザに同時に感染しますと、その感染者の体内におきまして遺伝子が再集合しまして人から人への強い感染力を有する新型インフルエンザに変異するおそれがあるというふうに言われているところでございます。  こういうような新型インフルエンザの発生防止するために、世界の発生状況に関する情報収集とか、あるいは高病原性鳥インフルエンザ発生確認された場合には人への感染防止対策早期実施とか、あるいは各種の研究事業、豚などを用いたサーベイランス実施等の対策実施しているところでございます。もちろん、この中ではインフルエンザワクチンの開発ということも研究しているところでございます。
  46. 小斉平敏文

    ○小斉平敏文君 もう最後になりますが、最後に申し上げたいと思うんですけれども、BSE鳥インフルエンザ、あるいはコイヘルペス、あるいは農薬や、いわゆる水銀汚染野菜、遺伝子組換え食品などの問題というものは、やっぱり我が国食料自給率、四〇%と極端に低いんですね。やっぱり国民の食の多くを海外に頼っておるということが大きな原因の一つであると、このように思います。自給率向上すれば結果的にこういう問題がもたらす危険性というものは低くなると思います。我が国が管理できる安全対策を取った国内産でやっぱり国民に安全と安心を与えていくというのが私は食の基本であると、このように思います。  食料自給率向上というものにもうちょっとしっかりと英知を注いで、先ほど来お話のあります四五%という目標を何としても達成すべきであると、このように思います。  最後に重ねて申し上げますけれども、BSEの問題、これはちゃんとアメリカに非清浄国であると、清浄国でないと証明できるならば、証明できないのであれば非清浄国であるということを明確に示した上で交渉をしていただきたいということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。
  47. 信田邦雄

    信田邦雄君 民主党・新緑風会の信田邦雄でございます。  新しい岩永委員長三浦さんから引き継ぎまして、亀井農林水産大臣、そしてまた農林水産省、我々委員一丸となって、この参議院の良識の府のそういった性格からも、国民の期待される農水委員会、そしてその内容、結果、きちっとして対応していくことが求められるのではないかということをまず新しい委員長にお願いをいたしまして、信頼される委員会審議を、私もその一員となっていきたいと、こんなふうに考えているところでございます。  昨年、実はイラク特措法の乱闘委員会がありまして、私がこの委員会発言をする一分前に流れてしまいまして、私はその機会を失いまして、実はそのとき、今日非常に国際的に重要な問題になってきました鳥インフルエンザの関係について、私は警告を発する予定で通告してあったんですよね。まさか、もはや不幸にしてこういうような状況が世界に出るなどと私自身は思うだにしなかったところでございます。  この点については、別にこの委員会とかその他がどうのこうのではございませんけれども、国際情勢がそういった中で非常に目まぐるしく動いていると、こういうことを考えるときに、本日のこの委員会は閉会中審査ということにはなっておりますけれども、副大臣あいさつもございましたし、性格的にはすばらしい重要なこの委員会として、これから様々な問題について御質問をいたしたいと思いますけれども。  まず、閉会中に相当の問題が次々に発生したものに対して、私は、一百姓国会議員といたしましては、亀井農林大臣の様々な対応は非常にまじめに対応していたのではないかと思います。実は、私、昨年、食糧法の、主要食糧法の改正のときに、亀井農林大臣のまじめで本当に実直な対応に対して四回言葉に出したところ、褒め殺しでないかと言われまして、実は私はそういうつもりじゃなかったんですけれども、まじめに本当にその実直さが今回のBSEアメリカに対しても一貫して言っている、このことが政府アメリカ国民アメリカの家族、畜産農家などはもう全頭検査を特に望んでいるわけですけれども、そういったアメリカ世論を作り、日本国民の世論も惑わさない方向に行っていることに大臣の行動や発言にあったのではないか。もしかしたら、私は、衆議院予算委員会で小泉さんが何か変なことに行きはしないかなと思って心配したところ、昨日の段階では、今日の段階ではなかったと、こんなふうに思い、大臣も是非、業界や大国アメリカだからといって日本国民が、消費者がせっかく作った、小斉平さんが言っている、力を入れている、せっかくのBSE法案をないがしろにするような、ダブルスタンダードにするような、そんなばかなことは断じてやらないでいただきたい。今日は、ですから、私の質問は責めるとかそういうものではなしに、国民挙げて本当の食品の安全、安心を貫き通すことが国際貢献であり、それぞれの国の国益だと、こういうふうに思いながら質問に入りたいと思いますけれども。  まあ、小斉平先生も最後に申し上げていたようですけれども、私は、このBSE鳥インフルエンザや様々なことがもう日ごとに連続して起きてくる。一方、そういうものをないがしろにするようなFTAやWTOの交渉が、多国間でも二国間でも農民が悪者のように、総理まで鎖国と言わせるような状況の中で来ていることは、これは本当にすべての国民に対して、農民でなくて消費者にとって重大な問題である、農業問題でなくてこれは消費者問題だと、こんなふうに思っておりまして、今政府農業基本法に基づきまして基本計画見直しで議論されていることの大方については私は非常に関心を持っていますし、賛成です。  したがって、農政を大転換して、海外圧力や海外依存の農業政策を速やかに転換しなければ、今議論している問題は次から次へと起きてくる、これは当然だと。こういう輸入自由化に対して国民が一番関心を持っているのはやはり国内自給、それが基本でありますから、そういう意味でWTOがどのような交渉をして、どのような結果になろうと、あるいはFTAが様々な国の、途上国の事情によって日本も譲歩しなければならないことがあると思います。それでも日本農業国民のために、きちっと消費者のために持続できる供給が、国内生産されるような農業政策をすぐ、速やかに作っていかなければならない。  私は一貫してこの委員会で八回ほど、昨年、一昨年と質問した中で、必ず直接支払制度を要求してきました。これは正に農家に直接支払するから、何かあたかも農家に金をやっているようなことを言っていますけれども、全然違いますよ、ヨーロッパの発想も考え方も。すべてこれは消費者に自国の生産、安心を届けていくための、持続して届けるための消費者政策なんですから、そういった意味で、是非、海外依存から国内自給に向けた、問題が次々と発生しても安心していける、そういったFTA、WTOにも左右されない農業政策について速やかにこれを確立していただきたいと思いますが、大臣、どのように思われますか。
  48. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) いろいろお話をちょうだいいたしまして、まず基本的には食の安全、安心と。二〇〇一年に我が国におきましてBSE発生をし、あるいは当時、食品の偽装の問題等々ありまして、そういう中で我が省も長い歴史のありました食糧庁を廃止をし、消費・安全局を設置をし、組織改正をし、また省の職員にも意識改革を持って、消費者に軸足を置く農政の展開と、このことを強く求めて、今努力をしておるところでもございます。  そういう中で、何といっても国民に安全、安心食料安定供給、これを図ってまいりますことが国の基本的な責務であるわけでありまして、国内の生産の増大、また食料自給率向上と、先ほど来御指摘いただいていることでもありますし、さらに農業多面的機能の発揮に向けて農業体質強化競争力の強化を図る農政全般改革を進めていかなければならないと、このように考えておりまして、そしてそのような視点に立ちまして、私、昨年八月にこの基本計画見直しを指示をいたしまして、先般、十二月の九日に農政審議会に諮問をいたしたわけであります。そういう点、また特に米政策改革等を着実に実行していかなければならないわけであります。そういう面と同時に、やはりスピード感を持っていろいろの対応をしていかなければならないと、このようにも考えておりまして、この見直しを是非実現をしてまいりたいと。  そして、さらにもう一つは、意欲と能力のあります担い手の経営支援をすると。そして、環境や水の問題、こういう問題等の保全のための施策もやはり確立していかなければならないわけでありまして、また一方、諸外国の例も十分参考にいたしましてその対応を図ってまいりたいと、このように考えております。
  49. 信田邦雄

    信田邦雄君 この点につきましては、昨年と一変いたしまして、大臣も大変あちこちで答弁しているようで、スムーズな答弁で非常に分かりやすくなってきましたけれども、昨年まではほとんどこういった答弁を私にはしてくれなかったわけでありまして、今のお答えにつきましては私といたしましてはかなり近い考え方でございますので、スピード感ではなくてスピードを更に速めてやっていただきたい。  なぜならば、実は、私ども民主党も、地方と農業が国際化に非常に影響を受けて将来性を失っていると。農業の再生プランなどを立てて地方をもう一度よみがえらせて、それと同時に自民党の票をこちらにいただいて政権を奪取しようと、こういうふうに思っているところでございますので、競い合って国民のために是非いい農業改革を進めていただきたいと、こんなふうに思うところです。  今日はそういうのが目的ではございませんけれども、このことが今のBSEやその他にかかわるために申し上げたんですが、どうしても大事なことをもう一つ聞かせていただきたいんですが、実は、若干この趣旨から離れますけれども、FTAの交渉についてはどうも、農林省もこの私が今質問することについてはどうも積極的でない。農業団体などが若干ブレーキになっていると思いますが、今、様々な国でFTA交渉が予測されていますし、経済財政諮問会議辺り、財界などの強い要望によりましてこれはやらざるを得ないでしょう。  そういうことから見ますと、農業分野が様々な面でこのFTAの交渉にブレーキを掛けているという国民の一部の方の御批判や、経済界が、これからの日本の景気を立て直す上においても貿易の促進の関係も相当農業にもっと積極的にやれと、こういうふうに言われていることは大臣も御案内かと思いますが、この農業部門が自由化しますとどうなるかというのは、今、農業農政改革を、さきに申し上げたものとイコールになるわけでありますけれども、工業部門で、仮に交渉が決着しまして工業部門でメリットを得る、あるいはまた、今うわさをされているように、一次産業など、中小零細の加工品なども含めたものがデメリットになるなど、こういうときにやはり国は調整しなければならない。経済的に調整をしなきゃならない調整費用というものに対しての議論が農林省に私は不足をしているんではないかと。  分かりやすく言えば、利益を得たものをデメリットを受けている業界に対してきちっと補てんをする、私ども農業に言えば、先ほど言う直接支払などの予算を農林省ばかりでなしにそれぞれの省できちっと国民負担をした上で支払っていくと、こういうことをしなければ、今のように経済界主導や官邸主導でやりますと、農業や地方や一次産業のこのFTAで受けるところの貿易のデメリットによって、中途半端な調整費用では私は重大な影響を受けて、そのままFTAが走ってしまうと次に来るWTOの交渉すら日本対応し切れなくなってしまうと、こんなふうに思っているところでございまして、農業者などからの反対など様々なことはありますけれども、農業バッシングをされないうちに、きちっと調整費用の要求をしながら農業を、そして一次産業を守っていくという方向を選んでいただきたいと、こんなふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  50. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) WTOあるいはFTAの交渉等につきましても、私は今いろいろ御意見をちょうだいいたしましたが、同じような考え方と。日本農業、これはやはり日本農業の多面的な機能の問題、あるいは食料の安全保障と、こういう問題、農林水産業すべてにわたっていろいろの問題、これは構造改革の進み具合と、こういうものも十分考えながらいろいろ進めていかなければならないわけでありまして、それらは、我が国にとりましては、例外品目、あるいは経過期間やセーフガードだとか、そういうものを確保すると、こういうことを十分念頭に置いて、いろいろの対応を今現在私は努力をしておるところでもございます。  これからもいろいろ農業競争力の強化あるいは政策支援と、効果的にいろいろ実施していく必要があるわけでありまして、先ほど来申し上げましたような、基本計画見直し、またそういう中でいろいろ農政改革を進めると、こういう面をも十分考えてその対応を図ってまいりたいと、このように考えております。
  51. 信田邦雄

    信田邦雄君 大臣、そうではなくて、それは内向きの話でしょう。この委員会で議論したら、みんな同じことで、大臣も同じことを、ただ合意に達しても駄目なんです。この問題は、経済界、日本国民全体と、さらにFTAの場合はそれぞれの相手国との関係を進めなければ国民から農業自体がたたかれる、農林省もたたかれて、結果的に、たたいてみたところ、地方も駄目になり、食料自給率が落ちて国民が損することなんですから、堂々と今話し合っている中で、そのときは日本農業に対してあなた方はどうするんだということをやっぱり訴えていかなきゃ駄目ですよ。  やはり、大臣が訴えてくれると同時に、農業団体は、それは自分のところに組合や何かがいますからやっぱりかたくなに反対してくるんですよ、駄目だ、駄目だと。それが結果的に農民も駄目にし、農業政策を後退させて今日にあることを私は四十年の農民運動でつくづく知っているわけですから。  そういうことで、大臣はまじめにやってくれるんですから、本当に堂々とやっぱり言ってほしいんですよね。そうしませんと、農林省自体が閉鎖的に思われて、マスコミにたたかれて、私は何の得にもならないと、そういう意味合いのことを私は強く早め早めに申し上げている。政策のスピードはアップですけれども、対外的にも国内的にも本当に大事な命の産業の農業を守っていくというのはそういうことだと思うんですよね。そういうことをやらないと、面と向かってしまったら負ける可能性が高いですからね。  そういう意味で、輸出国でありますから、貿易国でありますから、私はやはり今の経済財政諮問会議などが、様々な農協の指摘や自由貿易に、鎖国だという意識があったから小泉さんもあんなことを言ったんですけれども、そういうことを思っていること自体が本来間違いだということもきちっと言う。それならば日本食料をあなた方がどうして守るんだということをもうちょっとやっぱり大臣の方からそれぞれの交渉の中で訴えていただきたいし、交渉というのは、国内的な中で訴えてほしいし、もう一つは外務省や経済産業省にきちっとやっぱり言ってもらわぬと、うちのところから出ている中川大臣だってもしかしたら危ないですよ、農林大臣もやりましたけれども。  本当に警告を発しておきますので、答えは要らないですから、ひとつ、この問題は非常に将来大変なので、よろしくお願いします。  次に、──もう一度そうしたら決意を。
  52. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) いろいろ御意見をちょうだいいたしました。  私も、この農林水産行政の責任者として、我が国農業をしっかり守り、また我が国食料確保すると、先ほど来申し上げましたようなその考え方の下に十二分に、交渉事でございますからこれをどうこう申し上げるのはこれはいささか限界があることでありますが、十分責任を全うすべく努力をしておるわけでありますし、引き続きその努力を重ねてまいりたいと、このように考えております。
  53. 信田邦雄

    信田邦雄君 そんな交渉事だなんて今から弱言を私どもに言わないで、是非貫くと。例えばメキシコで、あれだけは今でも進展していませんけれども、経済界の一部では、豚一頭に三万なり五万払って早く決めたらいいんではないかという人はたくさんいるわけでしょう。そういうことも含めて、そういう短兵的なことでなくて、将来どうする、養豚の方はどうするかということも含めた、消費者国民に向けた対応をしていただきたい。  本来のBSEの方に入らせていただきたいと思います。  このBSEとか鳥インフルエンザも含めて、様々な問題が起きたら必ず政治問題になっちゃうんですね。私は、これはやはり農林水産省のこれまでの農業政策のやっぱり過ちであったと思います。本来、こんな政治問題にならなくてもいいんですよね。  要するに、小斉平先生も言いましたように、自給率の問題や様々の食料の過度な海外依存のために政治問題になってしまうんです。国民問題で、政治家が黙っておっても解決する、民間で、小泉さん言うように民間は民間でやって、ああどうぞ輸入なりなんなりはっきり言ってちゃんとやりなさいということできなくなっている。これは食料政策の失敗だと思うんですよね。要するに、消費者に重点を置いたって、今、農林省一生懸命やっていますけれども、消費者重視でなかったからこんな国になっているわけですよね。  本来農業政策は、先ほど私が言いましたように、国民消費者政策であればこんなふうに政治問題にならないわけですよね。ですから、この農民政策でなくて、予算関係なんかをちょっとぺっとめくっただけでこれは業界政策になっているという、農林省の予算はなっているでしょう、皆さんだって思いながらやっているんじゃないの。そういうことだから、そのツケが国民にこのような、牛肉がちょっと入ってこなくなったら大騒ぎになる。入れないのが悪いような風潮まで作ってしまう。もし、アメリカのような食料自給率であって、しかも牛肉が八〇%国内生産だと思ったら、マスコミだって書きやしませんよ、こんなもの。相手にもしないじゃないですか。そういう農業政策の方に向かわぬ限り、これからもう様々な工業化したような途上国の食料生産に対して立ち向かって、FTAなんかやるときに全部起きますよ。本当にたまったものじゃないくらい起きてくる、国民から見ると。是非、この今の日本輸入依存を変えるような方向で、先ほど言いましたようにやっていただきたいんですが。  そんなことを言いましても、もう既にこれは、もう日本農業政策は四〇%の自給率になってしまってどうにもならなくなってきまして、これは先ほどからずっと言ってきましたからBSEの経過については申し上げませんけれども、もうカナダアメリカが一国となった中でのBSE対策というものに対して、今、この輸入再開などが様々議論されておりますけれども、私はこの日本BSE法に基づいた全頭検査、これはもう確たる国際的な一番安心、安全の牛肉に対する生産の法律だというふうに思っておりまして、もうこんなものは、同等のものを求めるとか同等であれば輸入再開などという言葉すら要らないんで、逆に日本と同じ、BSE法と同じ全頭検査の法律を、BSE法のような法律をアメリカがまず制定をしなさいと。そして、併せてトレーサビリティーのような、アメリカ国内にもきっちり明確なそういった法を制定した、それでなければ交渉のテーブルになんか乗りませんよと。それぐらいでないと、相手の国に、清浄国だとか何とかという言い方もあるかもしらぬけれども、まあいろいろ言ってくるでしょう。  しかし、もう多くの国でBSEが出ちゃって、輸入してくれる国としてはもう二か国ぐらいしかなくなってしまった中でいろんな圧力受けますけれども、基本的なことはきっちり守っていくために、どうしてもそういった強い信念で再開の、輸入再開については日本同等というよりも、もうちょっと強めに言ってもいいのではないかと、こんなふうに思っているので、全頭検査の件はもう一度振り返ってみますと、実は本当に国会、衆参併せて大議論をしていたようです、私は議員になっていませんでしたけれども。しかし、これは私は農林省や国会議員が決めたんじゃないと思いますよ。強い消費者のバックによって最終的には消費者が私は決めたものなので、もう一回言い換えれば、消費者理解さえあれば私は輸入してもいいんじゃないかというぐらいに置き換えられるけれども、消費者にもいろいろありますからね。  そういった意味で、アメリカができないわけありません、日本は半年でやったんですから。あんなに大国が、イラクでも一気につぶしてしまえるような国が何がこのぐらいのことができないんですか。強い姿勢で、要するに向こうも法律なりきちっとしたものができないうちにテーブルに乗らないような気持ちはあるかどうか、大臣にお伺いをいたします。
  54. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほどもお話し申し上げましたが、私は再三ベネマン長官にも、実は昨年五月カナダBSE発生をいたしまして、あの当時のバンクリフ農業大臣と五回、あるいは二回電話で話をし、先方から盛んにこのBSEの問題での輸入再開のことを強く求められました。しかし、私は一貫して、日本で行っております全頭検査並びに特定部位除去、こういうことで我が国消費者の信頼、食の安全、安心、こういうことで消費者の信頼が得られていると、このことを再三申し上げて、また先般もベネマン農務長官にもこのことを申し上げ、今委員の御指摘のように、やはり消費者の信頼、それがなければならないわけでありますから、このことが一番大切なことだと、このことを強く説明をし、また強く申しておるところでもございます。これからもそのような姿勢で努力をしてまいりたいと、こう思っております。  なお、トレーサビリティーの審議のときにもいろいろこの委員会、衆参でありました。そのときにもベーカー、私は大使を呼びまして、日本BSEに対する対応、このこともあの当時からもいろいろと説明をしてきておるわけであります。  また、トレーサビリティーを求めると、このことにつきましては、あの当時も申し上げましたが、必要以上に貿易制限的な措置というようなことでこの点慎重に検討しなければならないと、今もそのように思っております。
  55. 信田邦雄

    信田邦雄君 今、私が申したことについては、実はアメリカ国民に対する信頼だと思っていればアメリカはできるはずですし、そのことがアメリカの国益に将来なるので、目先で困ったからというそういう発想で、それを受けて交渉するということは厳に慎んだ方が将来非常にいいことだと、肉の消費にも僕は影響を与えることかなと思っているところです。  大臣にはどうぞお休みを言って、ゆっくり休んでいただきたい。  次に、中川局長の方にお伺いしますけれども、アメリカの、先ほども若干言いましたけれども、家族農業の人たちは、もう安全でなきゃ自分たちは生きれないからもうこの全頭検査をやってくれと言っています。一方、肉関連業者や政府が、様々な圧力を受けながら、科学的根拠に基づいて云々ということを言っているようでありますが、科学的根拠さえあれば食べたら全部生き延びてだれも病院に行かなくてもよかったのかと、そんなことはないんで、科学的根拠に基づいて病気をしているわけですから。  我々は、消費者が選択できる安心、安全が基本であることは言うまでもございませんけれども、どうやら何か全頭検査同等のということを総理も含めて強調しているところがあるんですが、局長、省内で何かこれ、いい案があるんですか。私は、これはダブルスタンダードになりまして、ああそれなら日本の肉の側もそうやってやるわと、これは大混乱になりまして、もうほとんど不可能で、まあ昨日、今日は農水省の皆さんもそれ以外のことないみたいなこと言っておりますから、局長、はっきりこれ、それしかないと言ってくださいよ。
  56. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 輸入再開条件でございますけれども、これは日本においてBSEの全頭検査特定危険部位除去を行っているということによって初めて消費者の信頼をかち得ている、また食の安全も確保しているということでございます。したがいまして、現時点におきましてこれと同等措置として何か具体的なことを考えているわけではございません。むしろ日本からアメリカに要求するのは、この今申し上げた二点が、二点、二つの条件ということでございます。むしろアメリカ側から何かそれに代わるものがあるというのであれば、それはアメリカ側からそういう提案があったときに、食品安全委員会なりあるいは厚生労働省と十分協議をして、そして日本として判断をしていく、同等かどうかということを判断していくというものだと思っております。
  57. 信田邦雄

    信田邦雄君 出てきたときの判断材料ということはもう一つ別にあるというふうに私ども聞かざるを得ないので、余りそういう判断材料にするのではなくて、判断材料はやはり日本と同じの全頭検査というふうに受け止めていただきたいと思います。  次に、二つほど、時間がなくなりますので、局長にお聞きしますけれども、今、全頭検査と危険部位の除去については日本はかたくなに申し上げておりまして、アメリカにも強く求めていますけれども、これはそのとおりで正しいんですが、やはりアメリカから見ると何だと。ちょっとカナダのあれ買ってきてここで出たらもう日本徹底的にアメリカに言ってくるのかということなので、是非これは世界に向けても発信をして、日本は強い国民性やら日本の事情により全頭検査実施しているので、世界から輸入される牛肉についてはすべて全頭検査でなければ買うことができないようなコメントを世界にも求めていく。これはOIEなどにも圧力掛けて、世界の牛肉消費安心して更に拡大されることを求めるというゆえんで求めていただきたいことが一つと、小斉平さんも申し上げていたように、清浄国になることが私は条件日本BSE法案はできたわけですけれども、台湾は早いですね。頭がいいのか何か知りませんけれども、はい、七年間輸入禁止と決めたんですよ。これは正に当たっていると思うんですよね。だって、一回出たら次の、出なくなるまで七年間たたないと清浄国にならないわけでしょう、OIEで認めていないわけですから。  そういうようなことぐらいのことを宣言しないと、BSE法案が何のためにできたかって分かんなくなってしまいますので、この二つの点について、局長、どうですか。
  58. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 牛肉などの貿易に係ります国際衛生上のルールというのは、先生がおっしゃいましたように、OIEで決まっているわけでございます。したがいまして、このOIEのルールというのは、輸出国、輸入国双方が納得できるようなそういうルールであるべきだというふうに思っております。  そのために、BSEのリスク評価、科学的な知見に基づくリスク評価とともに、リスク管理の面におきましてもきちっとしたものがなされなけりゃいけないというふうに思っておりまして、日本の科学者を始めとする専門家だけではなくて、行政官も参加をして十分オープンな議論が行われて、その上で新しいルールができるということが望ましいというふうに思っております。  これは、言うまでもなくBSEというのは発生をしてからまだ二十年もたっておりませんし、年々新しい知見も発見をされるというふうなことでございます。BSEの定義、それからどういう手法を使ってBSEかどうかというのを判断するか、いろんな面でまだまだ、世界的な意識を統一をするという、そういう課題が多くあるというふうに思っております。  日本は、若齢牛でのBSEの感染牛の、そういったものも発見したという知見もございます。こういった我が国の経験が十分OIEのルールの議論の中で反映されますようにしていくと、そのために一生懸命努力をしたいというふうに思っております。現に、昨年の十二月ですが、農林水産大臣、パリにいらっしゃいまして、OIEのバラ事務局長にもそういった我が国の経験あるいは知見といったものが十分反映されるようにということで強く働き掛けをしていただいたところでございます。こういう努力はこれからも続けてまいりたいと思っております。
  59. 信田邦雄

    信田邦雄君 台湾の七年のことに余り触れていないようですが、誠意がないね。  それじゃ、時間がなくなりますので、鳥インフルエンザの関係。  実は、先ほど前段の方で申し上げましたように、私は非常に危機感を持って、去年から警告を発するために質問を通告してあったわけでありますけれども、私はこの鳥インフルエンザのことを世界同時多発鳥インフルエンザと、こういうふうに名付けておりますので、是非マスコミにもこういうふうに書いていただいて、国民挙げて取り組んでいかなければならないと。  これ、本当にオーバーに言いますと、地球から、私、鶏が消えない限り、これ止まらないんでないかなというくらい危機感を持っている一人でございまして、実は、これなぜ昨年も取り上げたかというと、鶏に向いて関心を持ったんでなくて、人間に対して私は強い関心を持ったわけですね。SARSよりも、あるいはBSEよりもよっぽどひどいのではないかと。もしかしたら、この言葉も皆さん、農林省の皆さんもよく頭に入れておいていただいて、これを日本で絶滅させようと思ってもほとんどできにくいと。  こういうことから考えて非常に難しい問題だと思うんですが、取りあえず先に厚生省や農水省、関係するところにお聞かせをいただきたいんですが、厚生労働省には発生国の数や状況、それから死亡者数ですね。これは国別、それに年別にもあれば教えていただきたいというふうに思いますが、感染者数ですね、国別の。それで、農水省には感染している鶏の処理数ですね、これらを、世界的にどんななっているかをまずちょっと報告いただきたいと思います。
  60. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 鳥インフルエンザの人への感染が初めて確認されましたのは一九九七年の香港であります。H5N1型のウイルスに十八名が感染し、うち六名が亡くなりました。その後、H5N1型のウイルス感染により昨年香港で二名が感染し一名が死亡。さらに、本年になりまして、これまでにベトナムで七名が感染し六名が死亡、タイで三名が感染し一名が死亡したということが確認されております。報道では多少この数字が違っているところもございますけれども、私どもが確認した範囲ではそういう数字になっております。  また、現在アジアで発生しているものとは異なりますH7N7型の鳥インフルエンザウイルスへの感染によって、二〇〇三年にオランダで八十三名が感染しました。そのほとんどは結膜炎状の症状で軽かったんですが、一部の者にインフルエンザ様症状が見られまして、一名が死亡したということが確認されております。  さらに、いずれも軽い症状ではありましたけれども、H9N2型の鳥インフルエンザにも香港で一九九九年に二名、二〇〇三年に一名が感染したということが報告されております。
  61. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 昨年の十二月に韓国でこの鳥インフルエンザ発生確認をされまして、以降、今年に入りましてもベトナム、台湾、タイ、インドネシア、カンボジアと引き続いて発生がいたしております。これまでの発生件数及びその処分の羽数というお尋ねでございますので、分かっている限りで申し上げます。データはOIEに基づく情報でございます。  まず韓国でありますけれども、十七件の発生件数で百八十万羽以上の処分が行われております。また、ベトナムでは三件で七万羽以上。それから、台湾では二件で五万羽。タイでは一件で六万羽と。あとインドネシア、それから昨夜には中国といった情報も入っておりますけれども、中国やラオスやパキスタン、これらにつきましてはまだ具体的な数字についての情報は私ども得られておりません。
  62. 信田邦雄

    信田邦雄君 わざわざ聞いたのは、どうも途上国の皆さんの発表なり対応なりの情報なりが非常に私どもにとって不安だと。なぜ聞いたかというと、そこに既に今これだけの貿易が国際的に行われているわけですから、人やら物やら交流してしまうということで聞いたわけですが、正に聞いたとおり、準先進国の韓国は百八十万ももう処理している。そういうことから、是非、答えは要りませんけれども、厚生労働省と農林省が挙げて様々な対応をしていただきたいと思います。  鳥は毎日のように各国から出てきまして、肉の供給は大丈夫だと言いながら、あとはもうブラジルぐらいしか買えないのかと。北京ダックも食えなくなったと。鶏は激増、人は急増するという、非常に感染が激増していて、途上国は、私は、何らかの援助をしなければ国が経済的にも人的にも存亡の危機にかかわるような事態になりはしないかということも考えておりますので、オランダのようにこれに携わった獣医さんが死ぬなどということすらあったわけでありますから、是非、先進国としてこの対応に、早め早めの対応をお願いしたいと思いますし、ケージ養鶏ですね、私も昔、鶏飼っていまして、鶏、私の飼っていたころは二百羽ぐらいで自分の家一軒養えたんですよ。卵一個十三円、五十年前ですよ。それはどんなことやっていたかというと、草を食べさせたり運動させたりして自然にやや近くしていたためにほとんど病気は出ません。ちょっと弱ってきたらクリスマスに食べれると、こういうぐらいな調子でしたから。  そういう意味で、この高病原性の鳥インフルエンザのH5N1型は極めて毒性が強いということ。しかも、ウイルスが世界じゅう飛び回るというふうに聞いていますので、早急な感染源の解明と特定をしないと医療関係者や学者の研究が後れてしまうんではないかと思いますが、併せて拡大防止も含めてどのように厚生省、農林省は考えているか。
  63. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) まず、今私ども是非やらなくちゃいけないということに関しましては、鳥インフルエンザの人への感染がもう既に起きておりますので、これを注意するという意味で、ホームページ等を通じまして国民への正しい情報提供に努めるとともに、検疫所を通じまして、発生地域への渡航者に対して鳥市場に立ち入らないように注意も喚起しているところでございます。  また、一月の十六日に厚生科学審議会感染症分科会を開催するとともに、今週には新型インフルエンザ対策検討会、こういうようなものも開催を予定しておりまして、研究の推進、それからサーベイランスの強化等につきまして、専門家意見を踏まえまして必要な施策の検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  64. 中川坦

    政府参考人中川坦君) この鳥インフルエンザにつきましては、昨年の九月に、近年日本の周辺で高病原性鳥インフルエンザ発生をしているということを受けまして、日本においてどういう対応をすべきかということで実は専門家の方々に検討いただきまして、防疫マニュアルというものを作り、それをまた関係のところに配布をいたしておりまして、今月の十二日に山口で鳥インフルエンザ発生確認をされたわけでありますけれども、その事態の対応に当たりましても、このマニュアルに沿って現場できちっとやっていただいているというふうに私ども思っております。これからも、この一つの事業所の、農家での発生にとどめてそれが蔓延をしないようにということで半径三十キロの移動制限区域などを設けて、そういった関係者の方々に御努力をお願いしているわけでございます。  これからも引き続きこの防疫マニュアルに沿って措置徹底を図ってまいりたいというふうに思っておりますし、また、そういった対応に当たりましては、専門家の方々の適宜アドバイスをいただきながらきちっと対応したいというふうに思っております。  それから、今後、万一ほかのところに発生をするというふうなことに備えまして、各都道府県を通じまして、国内の生産者の方々に異常な鶏の発生があった場合にはすぐに見付けてそれを通報していただくようにということで、そういった面での監視の徹底も御協力をお願いをしているところでございます。蔓延防止に万全を期すという姿勢で対応したいと思っております。
  65. 信田邦雄

    信田邦雄君 役所ですから、法律などにないマニュアルなどなかなかやりにくいとは思いますけれども、様々な御意見を聞きながら早めの対応をお願いをしたいと思いますが。  今、両者からお聞きいたしましたように、これは大変重大な問題で、更にこの鳥インフルが人インフルに対して感染をしたときに変異を起こして重大な方向に行きはしないか。いわゆるウイルスが人から人に入っていった場合、爆発的に感染が懸念され、しかもこれは強い毒素を持っているために、新型ウイルスとして、新型のウイルスとなって流行すれば、極めて深刻なインフルエンザになるんでないか。学者に言わせるといいますか、過度、過剰な予測かもしれませんけれども、最低でも六千万人、多ければ五億人が死亡するんではないか、未曾有の健康被害と、あるいは社会的機能を混乱するようなことも起きはしないかというふうに警告を発している状況でございます。  是非、これは起こさないためにも、このようなことのないようにお願いしたいんですけれども、今の世界の情勢から見ると、国際交流を止めることはほとんどできません、あのSARSのようなはっきり原因が分かっているのと違うので、それから、変異するからですよ。それから、海外に出なければこれはいいわけですけれども、海外に出ないで日本経済なんかもつわけない。自分の国に発生したのを、今、農林省や皆さん頑張ってやってくれて、山口県で止めようと思っていますが、よその国に行って、人がうつるわけですから、鶏は止めたかもしれませんけれども、人に蔓延しはしないか。  こういうことに考えるときに、私は、ブラジルとアメリカが出ないのを何か不思議に思っているんですけれども。どうもアメリカという国は本気になってやっているのかなというような気もしないわけではございませんので、そっちの方にも注意を払っていただきながら、国際的に鎖国になってしまうような大発生にならないように、国家存亡にかかわる問題でございますので、是非対応をきちっとしていただきたい。大体先ほどので答弁いただいていますので、お答えは、時間がなくなりますので申し上げますが。  最後に、農水省に対してお願いしたいんですが、やはり被害は実は私は農民の方に来はしないかと思っています、養鶏農家ですね。おまえたちがそんなずさんなことをやっているからだと、本当は自然に飼えばいいのに、あんな何万羽もケージで飼っているからだとか、何とでも書かれたり言われたりするわけですね。  そういったこともございますので、畜産農家に対しては、先ほどからのお答えのように、万全を期していただきたいということと、これは、それでも起きた場合のことを考えて今日もやっていただいていますけれども、蔓延防止策、安全対策、移動禁止風評被害などの対応をすべてきちっと行った上、この対象農家に対しては、あるいは畜産関係業者に対しまして、補償と救済に対して万全を期していただきたい。この点について、経営局ですか、生産局ですか、お答えをいただければと思います。
  66. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  先生おっしゃいました防疫対応と併せましてきちっとした対応ということでございますけれども、家畜伝染病予防法に基づきまして、こういった患畜などの処分を行った、あるいはいろんな汚染をされた物品について埋却処理をしたといった経費につきましては、それぞれ所定の手当金等が支払われることになっております。また、移動制限区域内の農家の方々の経営の継続のために、家畜疾病経営維持資金といったもので支援をするというふうなことも行っております。また、風評被害につきましても、これは地方農政事務所、全力を挙げて今、量販店等にそういった不適切な説明なり告知をしないようにということで要請を行っているわけでございまして、こういった各般の施策を十分力を入れてやってまいりたいというふうに思っております。
  67. 信田邦雄

    信田邦雄君 終わります。
  68. 千葉国男

    千葉国男君 公明党の千葉国男でございます。  高病原性鳥インフルエンザ対策についてお伺いをいたします。  本日の新聞報道でも明らかなように、中国産鳥肉の輸入停止が発表されるなど、ここへ来て、この鳥インフルエンザ報道発生が続いているわけでございます。今般の山口県の発生もありましたけれども、その意味で蔓延防止対策に万全をまず尽くしていただきたいとお願いしたいと思います。  農水省は、香港や韓国などの発生を契機にして、昨年九月十二日付けでモニタリングのマニュアルを各都道府県の畜産担当部長あてに出されております。これに対して、たまたま山口県は全くモニタリングをやっていなかった、こういう報道をされていますけれども、この経緯と、ほかの県でのモニタリングの状況についてまずお伺いをしたいと思います。
  69. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  まず、高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルに基づきましてモニタリングを各県にお願いをしておったわけでありますけれども、山口県におきましては、これはマニュアルを配布したのが九月の時点でございまして、その後、それぞれの各県におきまして、このモニタリングの対象農家の選定に当たりまして農家の方々の合意を得なきゃいけません。そういった調整に若干手間取ったということで、山口県ではまだ、この高病原性鳥インフルエンザ発生した時点ではまだ行われていなかったというのは事実でございます。  現時点で各全国の都道府県調査をいたしましたところ、これまでに四十七都道府県のうちの四十一県でモニタリング調査実施をされておりました。その結果はすべて陰性であったという報告を受けておるところでございます。
  70. 千葉国男

    千葉国男君 そうしますと、このモニタリングは、いわゆる国として強制的にやったことではない、あくまでも各県のそういう合意調整とか、そういうのを待っていたということなんですけれども、これだけの鳥インフルエンザ発生している以上、各養鶏場に対して全農場の一斉検査を行うべきではないかと、こう思いますが、そのためには家畜伝染病予防法の改正が必要であるとかも検討されなければならないと思いますし、そういうための費用についても国が全額予算措置をしてこのインフルエンザ発生を抑えるために努力すべきではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  71. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 各都道府県にお願いをしておりますこのモニタリングに要します旅費ですとか、あるいは医薬品等の経費でございますけれども、これは家畜伝染病予防法の第六十条に基づきまして、家畜伝染病予防費負担金としてその全部又は一部につきまして国が負担をすることになっております。
  72. 千葉国男

    千葉国男君 この高病原性鳥インフルエンザについては、全国の採卵業のみならず、各方面に多大な影響を及ぼしております。ここで肝要なことは、問題の本質をしっかりと把握し、適切な対策を実行し、かつ間違った風評被害発生を未然に防ぐことであると思います。そういう意味で、この風評被害についてマスコミ等あるいは広報宣伝等で実効性のある対応をすべきであると、こう思いますが、いかがでしょうか。
  73. 福本潤一

    大臣政務官福本潤一君) ただいま言われた風評被害防止につきましては、発生確認した一月十二日以来、プレスリリース等において、この病気、鶏卵や鶏肉といった食品を介して人に感染した例は世界的に報告されていないということなど、正確な情報提供に努めております。  ともに、一月十五日付けで量販店、商業関係団体等に対し、当該産地のものは取り扱っていない等々の不適切な説明や告知をしないように要請したところです。また、地方農政局でも不適切な表示に対して個別指導を行っております。こうした農水省の要請に対しまして、指導の結果、流通段階での理解も深まってきておりまして、本病発生後、いったん山口県産を取り扱わない店舗、これが取扱いを再開したという報告が参っております。  今後とも、安全性についてPRに努めまして、スーパー等への円滑な取引の指導、また本病の発生に伴う風評被害防止全力を尽くして対応してまいりたいと思いますし、そのため、安全対策を万全にして消費者国民安心してもらうべく取り組んでまいりたいと思います。
  74. 千葉国男

    千葉国男君 風評被害については、是非とも更に力を入れてやっていただきたいと思います。  山口県下で発生した養鶏場の周囲三十キロメートルの範囲の養鶏場から出される卵や鶏の移動等について制限を行っているというふうになっていますが、この三十キロメートルという制限移動制限をされた根拠というのはどういうことから来ているのか。また、この制限をしたために各養鶏業者が大変な現在被害を受けているわけでありまして、その実態について農水省として把握されているのかどうか、よろしくお願いします。
  75. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 私の方からは、移動制限区域を三十キロにしている根拠ということにつきまして御説明申し上げます。  この防疫マニュアル、この三十キロというのは、防疫マニュアルの中に今専門家意見を聞いて記載されているものでございますけれども、やはりこの高病原性鳥インフルエンザにつきましては蔓延防止ということがやはり第一でございます。  そういうことからいたしますと、あるところで発生をいたします、そうしますと、それは鳥が排せつする鶏ふんですとか、あるいはいろんな汚染をされたものがその周辺に飛散をしないようにということが一番大事でございます。そういう点からいたしまして、このウイルスが例えば昆虫などに付着をして飛んでいく、そこに伝播をしていくと、そういうことがないその範囲というものを言わば定めているわけでありまして、こういった昆虫等がどれだけ移動するかというふうなことを一つの根拠にいたしまして三十キロというふうに定められているものでございます。
  76. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 私の方からは、被害実態につきまして御説明をさせていただきます。  移動制限区域内には発生農家を除きまして三十戸、ですから、発生農家を入れますと三十一戸の農家があるわけでございます。  その発生農家におきましては、飼養羽数は三万五千羽飼養しておりましたが、うち一万五千羽が死亡いたしまして、二万羽につきましては殺処分ということで殺したわけでございます。  それで、残りの三十戸の農家のうち、いわゆるブロイラー、肉の農家の方は十三戸あるわけでございますが、これにつきましては、実は鳥インフルエンザ発生がちょうど出荷をした、ブロイラーとして出荷した後に発生したものですから、これにつきましては現在、一部飼養をしておりますが、それはまだ今育っている状態でございますので被害はないわけでございます。  したがいまして、残りの実は十七戸の採卵鶏の農家、これが被害がございまして、これが十七戸が約百万羽の飼養をやっておるということでございます。一日約八十万個、約五十万トン程度の卵が生産されておるわけでございますが、移動制限ということでございまして、移動制限区域内の採卵農家におきましては、通常であれば生鮮卵として販売できるはずの卵が出荷できないと、そういった状況になっているわけでございます。
  77. 千葉国男

    千葉国男君 関係のお話ですけれども、大体一日約一千五百万ぐらいの被害が出ていると、そういう話がありまして、養鶏業者の中からとしては移動制限を、そういう三十キロというマニュアルあるけれども、もう少し狭くして五キロメートルぐらいにしてもらわないと、もちろんそれは感染の状況とかそういう明確にして速やかな対策が必要なんですけれども、その辺のところは研究の余地はあるんでしょうか。
  78. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 防疫マニュアル上は三十キロ以内ということになっておりますが、高病原性鳥インフルエンザの伝播力が強くないというふうに判断される場合には農林水産省と協議の上、最小で半径五キロの範囲まで縮小することができるというふうに書いてございます。  ただ、今回の場合、日本において七十九年ぶりに発生をしたということ、また諸外国においても多発をしているというふうなことからいたしますと、この一月の二十一日に一応現場の農場では防疫措置のいろんな処分が完了いたしておりますけれども、その後の、その周辺の農場に本当に伝播していないかどうかといった、そういった清浄性確認等を慎重に、かつまたきちっと判断をしていく、確認をしていくということが大事だというふうに思っております。  こういった清浄性確認検査結果など、これはまだこれからやることになっておりますが、そういった結果を踏まえまして、特に専門家の方々の御意見をよく伺った上で関係の県とも協議をして慎重に判断をしたいというふうに思っております。いったん狭めた後に万一不幸にしてやっぱり広がったということになると大変なことでございますから、ここはやはり慎重な判断が必要かというふうに思っております。
  79. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 失礼します。  先ほど、私、移動制限区域内の被害実態で卵が一日約八十万個生産されると、これは正しいんでございますが、その次に約五十万トン程度というふうに申し上げました。それは五十トンの誤りでございます。  大変失礼をいたしました。
  80. 千葉国男

    千葉国男君 地元からそういう要請が出ておりますので慎重に対応していただいて、是非実現できるのであれば実現していただきたい、こういうふうに思います。  また、養鶏業者の方からあったお話として、米国農務省の家畜調査研究所における高病原性鳥インフルエンザワクチンの効果について、研究成果が高く評価された報告が入っております。そういう鳥インフルエンザワクチンのことについて農水省としてどういうふうに今それを評価されているのか。そしてまた、今後、このワクチンの緊急輸入及び使用許可の要請がありますけれども、この点どういうふうに考えているか。これだけ大変なことが起きている以上はむしろ、一羽十円ぐらいのワクチンでできるという話も聞いておりますのでそっちの方が効果があればいいんじゃないかと、むしろ対策として、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  81. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 御指摘の米国農務省の研究所におきまして、鳥インフルエンザの研究報告がなされているということは承知をいたしております。  このワクチンでございますけれども、これを接種をいたしますと、インフルエンザにかかるんですけれども発症はしないと、そういう症状が出てこないということでございます。ですから、感染自体、鳥インフルエンザウイルスに感染をすること自体は防ぐことができないという、そういうものでございます。  したがいまして、このワクチンを接種をするかどうかというのは、なかなかこれは難しい判断がございます。つまり、いったんそのワクチンを接種をしてしまいますと、その鶏は死にはしませんけれどもインフルエンザにかかるということはかかってしまうわけです。ですから、いったんかかりますと、当然打たない場合に比べますとウイルスをほかにまき散らすということはそれは減りますけれども、やはりその鳥自身が感染源になるおそれもございます。  それから、どこまでこのインフルエンザが浸潤しているかということをチェックするためには、鶏を捕まえてきて、その血清を取って抗体があるかどうかということを調べるわけでありますが、ワクチンを打ってしまいますと、そのことによって血液中に抗体ができてしまいます。したがって、ワクチンを打ったことによってその鶏が抗体を持ったのか、それとも自然に感染をして抗体を持ったのかの区別が付きません。こういう問題もありますので、やはりできることならば殺処分などの形でもってできるだけその発生を局所的に抑えていくというのがやはり防疫対策上のまず取るべき措置かというふうに思っております。  こういった対応につきましては、家きん疾病小委員会でも専門家の方々の御意見を伺いまして、今のように山口県のある農場においてその発生が限定をされているというこういう状態の下では、ワクチンを打つというのは適切ではないんではないかという御意見もいただいております。  ただ、万一この発生が拡大をした場合に備えましてワクチンの備蓄を検討しておくべきだという御意見もいただいております。その場合、海外で承認をされているワクチンを輸入をしまして日本で鶏に打つとしますと、当然それが鶏に対して本当に効くのかどうか、あるいは安全かどうかといった点を確認をする必要がございます。そういうことを一つは併せてやらなくちゃいけないと。  それからもう一つは、ワクチンは実際そういう必要が生じた場合にスムーズに使えるようにするためには、ワクチンを打った鶏が産む卵なり、あるいはブロイラーであればその肉が本当に食品として問題ないかどうかという点につきましても、食品安全委員会なりあるいは厚生労働省との調整が必要でございます。御意見を聞くということも必要でございます。こういった二つの面での作業というのは是非急いでやりたいというふうに思っておりまして、現在それについての着手もいたしておるところでございます。
  82. 千葉国男

    千葉国男君 養鶏者の方々にとりまして、昨年来、鶏卵価格の低迷により養鶏生産者は経済的に大変逼迫していると。このまま何らの助成も支援もないとこの地域が廃業するしかないと、こういう窮地に追い込まれているわけであります。  そういう意味で、この高病原性鳥インフルエンザの感染源、その経路もまだ解明されていないわけなんですが、国の防疫戦略として地域封鎖をしているわけですから、この地域の対象養鶏場に対して、その後の経営が存続できるように補償とか支援、あるいはまた現実に、特に生活が大変苦しいという意味で生活支援にも万全を期していただきたいと、こう思いますが、大臣の御答弁をお願いします。
  83. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほど来申し上げておりますとおり、家畜伝染病予防法に基づきまして殺処分等をされた鶏等につきましての手当金の交付、これは行うことにいたしております。また、今回の鳥インフルエンザ発生に対しましての資金の融通と経営支援、また風評被害等の防止等も実施をいたしておるところでもございます。  なお、その他いろいろのことをいたしておりますが、現在保管中の移動制限区域内の卵の今後の取扱い等、これ毎日卵を産むわけでございますので、これらの制限区域内の農家の経営支援等につきましても、山口県と十分相談しまして国としての対応が可能かどうか、これを判断してまいりたいと、このように考えております。
  84. 千葉国男

    千葉国男君 次に、米国BSE問題についてお伺いをしたいと思います。  我が国BSE対策は、世界各国と比較しても最も厳しい全頭検査、危険部位の除去ということで、安心、安全のシステムができ上がっているわけであります。その結果、国民の皆さんが安心して牛肉消費することができている、これが現状であります。今後の米国との交渉のことを考えますと、食の安全の認識の違いから出発しませんと抜本的解決の糸口が見えてこないのではないかと、こう心配しております。  先週、一月二十三日の金曜日に米国の農務省ペン農務次官との日米会合がなされましたけれども、そこの中での、会合の中での食の安全に対する認識の違いについて、まず会合の内容からお聞かせいただきたいと思います。
  85. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 一月二十三日の日米会合におきましては、まず、日本から派遣をいたしました各省の合同調査団調査結果について意見交換をいたしましたし、またアメリカが一月十二日から実施をしております追加的なBSE対策について日本側からいろいろ意見を言ったという、そういうやり取りが行われたわけでございます。  アメリカ側は、今回追加をいたしましたBSE対策によって従来取っていたBSE対策が更に一層強化をされて牛肉の安全性は高まったと、更に高まったというふうな見解が示されております。これに対しまして、私どもの方からは、サーベイランスの対象数にしましても二万頭から四万頭に増やしたというようなことでありまして、全体の屠畜頭数からすると極めて小さなパーセンテージしかカバーはされておりませんし、それから特定危険部位除去ということにいたしましても月齢で三十か月齢以上の牛しか対象にならないというふうなことでありまして、日本の取っております対策と比較をいたしますと、この今回のアメリカ措置というのは非常に不十分なものではないかといったような私どもの見解を申し述べたところでございます。
  86. 千葉国男

    千葉国男君 ベネマン農務長官の話の中に、日本の全頭検査は科学的根拠がないと、こういう話が出ているそうですけれども、この科学的根拠がないのかどうか、食品安全委員会としてお伺いしたいと思います。
  87. 梅津準士

    政府参考人梅津準士君) BSEの人の健康への影響を防止する上では、特定危険部位除去し、食のサイクルに入らないようにすることが基本的に重要であることは既に御承知のとおりでございます。  全頭検査についてですが、我が国で第一頭目のBSE発生しました二〇〇一年九月の経緯によりますと、当初は月齢を限って検査を行う予定でありましたが、国民の不安を解消するという観点からいわゆる全頭検査になったものと承知しております。  このいわゆる全頭検査の科学的な意義につきましては、昨年、若齢のBSE陽性牛を発見し、食品としての流通から排除することにつながったことを含めて、そのリスク低減効果の程度等を慎重に議論する必要があるというふうに承知しております。
  88. 千葉国男

    千葉国男君 小泉総理また亀井大臣は、我が国の米国産牛肉に対する対応方針は全頭検査あるいはそれと同等措置という基本精神には変わりがないと、こういうふうに明言をされているわけですけれども、これからのことを考えますと、米国産の牛肉に対していわゆる安全であるか安全でないかの判断をすることに最終的になると思いますが、どういう手だてを経て米国からの輸入牛肉の安全性を確保することになるのか、御返答をお願いします。
  89. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほど来申し上げておりますとおり、私は一月十五日にべネマン農務長官電話会談をいたしまして、両国とも早期牛肉貿易再開、このことにつきましては一致をしておるわけであります。  その際、両国最大の懸念は、食の安全、安心、この確保ができるかどうか、こういうことでありまして、このことを踏まえて貿易の再開条件について引き続き話合いをしよう、こういうことになっておるわけでありまして、そういう中で、やはりこの貿易の再開、こういう面でも消費者理解が何よりも私は前提であり、一番大切なことであるわけでありますので、現在我が国国産牛肉について講じております屠畜場での全頭検査特定危険部位除去、このことについて説明も丁寧にいたしたところであります。  したがいまして、このこと、いわゆる屠畜場におきますBSEの全頭検査実施、そして特定危険部位除去、このことを基本として考えていかなければならないと、こう思っております。
  90. 千葉国男

    千葉国男君 牛肉価格の動向についてでありますが、自由経済市場ですから価格の動向に変化があることはやむを得ないわけですけれども、ここで注意しなきゃいけないのは、やはり便乗値上げが行われないようしっかり監視をお願いをしたい。農水省としては、どのような現在この便乗値上げに対して手だてを考えていられるのか。
  91. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 今、委員の御指摘のとおり、不当な便乗値上げ、あってはならないというふうに考えております。  そこで、私ども、昨年、米国産牛肉輸入停止が行われました十二月二十四日でございますが、その翌日でございます、直ちにこの便乗値上げ防止ということにつきましてのお願いをそれぞれ関係団体あてにまず文書で通知をいたしたわけでございます。  またさらに、毎週一回でございますが、毎週一回、卸売価格それから小売価格につきましてそれぞれ調査を行い、また、これは毎月一回でございますが、外食店のメニュー価格、そういったことにつきましても緊急調査をやっているわけでございます。  またさらに、牛肉価格に関しましていろいろおかしいというふうな御指摘があれば、それは直ちに、私ども相談窓口も設置しておりまして、そういうところに直ちに通報いただきたいというふうなことでございまして、こういったような取組を通じまして、価格動向の監視あるいは不当な便乗値上げ防止ということに一生懸命努めているところでございます。
  92. 千葉国男

    千葉国男君 関連ですが、私のところに、東北で畜産あるいは米などをいわゆる複合経営をしている農家の方から要請がありました。  現在、北海道や東北地方の農家は、昨年の冷害や地震等の災害の影響を受けて非常に厳しい経営状態を強いられております。また、国内初のBSE発生したときに国からの融資を受け、いよいよその返済期間が三年間という短いことから資金繰りが大変厳しくなっている。さらに、今回、家畜排せつ物法に基づく家畜排せつ物処理施設の整備計画に基づく管理基準の適用が本年十一月からになっておりまして、農家における施設整備の負担も新たな負担になっております。  こうした冷害あるいはBSEの被害、新しいこの排せつ物処理施設の計画等、非常に災害等で被害に遭っている農家に対して何らかの支援措置を講じるよう御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  93. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 委員御指摘のとおり、昨年、冷害の発生というふうなことで、北海道あるいは東北地方の農家の方々、大変大きな影響を受けられたということでございます。  そこで、私ども、その円滑な経営の立て直しというふうなことで、共済金の早期支払を始めといたしますいろいろな冷害対策、講じているわけでございます。また、御指摘のとおり、今年の十一月からはいよいよ家畜排せつ物法の対応ということで、施設整備をそれまでの間にやっていただく。あるいはまた、このBSE対応資金の返済の問題、大変重要な問題だというふうに考えております。  具体的には、家畜排せつ物法の管理基準が今年の十月末で猶予期限が切れまして、それまでにこの施設整備をやっていただくという点につきましては、一つにはこの堆肥化でございますとかエネルギー利用といったことのための施設整備、これに要します予算につきましては、今回のこの十六年度予算の中で相当増額をお願いをしておるわけでございます。さらに、リース事業でございますとかあるいは低利融資の措置、あるいは税制の優遇措置といったもろもろのきめ細かな支援措置も講じているところでございます。  また、BSE対応資金の関係につきましては、この十五年度分の償還が困難な方、これは十七年度に先延ばしするということで償還が可能となる方につきましては新たな借換え資金の措置ということもやっておりまして、一方では長期での返済が可能となる畜特資金というのもございまして、そういったものへの借換えの指導ということも進めているわけでございます。  そういったような措置をもろもろ講じまして、ただいまお話しのような複合の畜産農家の方々の経営支援に努めてまいりたいというふうに考えております。
  94. 千葉国男

    千葉国男君 終わります。
  95. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  まず最初に、BSEの問題から質問いたします。  昨年の十二月に、十二月二十三日、アメリカBSE発生いたしました。調べてみましたら、この一年間だけでもう危険部位である牛の脳が四十キロ日本に入っていて、うち半分以上が消費されていたという大変ゆゆしき事態が明らかになりました。九九年以降、EUでは、危険部位を取り除いていない、削除していない牛肉については輸入はしないと、こういう措置を取ってきた。その対策と比べますと、日本は余りにも差があり過ぎるというふうに思うわけです。これは、やっぱり責任の所在ははっきりしないといけないというふうに思います。  日本米国への調査団が行って、戻ってきて報告書を出しました。そのまとめの中にありますけれども、今後米国においてBSE発生しないという保証はないと書いています。私は、率直に言いまして、今初めて分かったことだろうかというふうに思いました。昨年の五月、カナダBSE発生したときに、本委員会でも私もそのときにカナダアメリカとは流通があるんだということを指摘していましたし、そのほかにもいろいろ情報はあったというふうに思うんです。  昨日、衆議院の農水委員会があって、我が党の高橋千鶴子議員が、農水省が二〇〇一年から取り組んできたこの米国でのBSE汚染の危険性を評価するステータス評価、この問題をめぐって米国質問状を送って回答を得ていると。米国からいつ回答があって、それについての扱い、これ技術検討委員会に出したのかどうかというふうに質問をしているわけですけれども、きちんと答えていないですね。私、これ大事な問題だと思いますので、再度回答を求めたいと思います。
  96. 中川坦

    政府参考人中川坦君) BSEのステータス評価でございますけれども、確かに平成十三年の三月から評価方法の開発、それからアメリカを含みます主要な輸入先国に対しましての評価作業を行ってまいりました。具体的には、アメリカを含めましてBSEの未発生国を対象にいたしまして、そのそれぞれの国において発生国からBSEが侵入した可能性だとか、あるいは肉骨粉の給与の状況、それからサーベイランス体制の整備状況といったことを、国ごとにその情報に基づきましてステータスの評価をするということで作業を行ってきたものでございます。  それで、今御質問がありましたように、各国に質問状を送付をいたしまして、平成十三年の五月に各国から回答を得ているところでございます。さらに、この回答、一回限りでは十分なものではありませんので、再度追加の質問票を送付をしたりというふうな作業も行ってきたところでございます。  そういう作業を行ったその後でありますけれども、昨年の五月にカナダで新たなBSE発生ということが確認をされました。今回の作業は、言わばBSEがそれまで発生してないところの国を対象にして、例えばEUなどからBSE発生原因になるいろんな物質がどういうふうにその国に入っているか、入っているとすればどの程度であるか、そういうデータに基づいてやっていたということでありますが、今回、今回といいますか昨年の五月に、それまで清浄国であったカナダで新たなBSE発生があったということで、言わば根拠になります、ベースになります前提が崩れてしまったということで、もう一度その作業を見直すという必要があるということで作業を一時中断をいたしたわけでございます。  こういったステータス評価というのは日本だけではなくてEUでもかねてから行われておりましたけれども、EUにおきましても、この作業はそういった最近の動きを踏まえまして凍結をされているというふうに理解をいたしております。
  97. 紙智子

    ○紙智子君 じゃ、専門家の技術検討委員会に提出しなかったというのは、要するにその作業の途中でそういうことになったということで出していないということなんでしょうか。
  98. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 検討委員会に出していないということではございません。調査に対します回答、質問票に対する回答はすべて作業検討委員会の方にお出しをしてございます。ただ、昨年の五月のカナダにおきますBSE発生という新たな事態を踏まえまして、再度この手法等も含めて見直す必要があるということでございます。
  99. 紙智子

    ○紙智子君 そういう経過で中断しているということなわけですけれども、私は、このステータス評価の過程であるという、そういう見直しを掛けなきゃいけないということが言われているんですけれども、しかしその間にも様々な情報は農水省、入っていたと思うんですね。  例えば、米国の二〇〇〇年の会計検査院、ここで出されている報告の中でも、肉骨粉の使用禁止措置が不徹底であると。つまり、複数回にわたって違反が指摘されているにもかかわらず何ら強制的な措置が取られていないとか、あるいはFDAの立入検査に欠陥があるとか、そういうことを指摘していたわけです。で、BSE対策は不十分だというふうに評価している。これは農水省のホームページでも掲載しているわけですよね。  農水省としては、この今言ったアメリカの会計検査院の報告については、いつ知って、どういうふうに受け止めて、どういうふうに扱ってこられたんですか。
  100. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 米国会計検査院の二〇〇〇年の報告におきましては、今、先生の御指摘がありましたように、FDAの行っております飼料規制について十分遵守がされていないということ、それから対策を強化する必要があるというふうな勧告が出されたというのは承知をいたしております。当時、アメリカではまだBSE発生をしておりませんでしたけれども、アメリカにおきましては、一九九一年におきましてBSE発生国からの生体牛ですとかあるいは牛肉肉骨粉輸入禁止をいたしておりました。また、九七年からはいわゆるフィードバンが実施をされていたということでございます。  日本は九六年に通達でこういったものの使用の自粛といいますか、そういったこともやっておりますけれども、二〇〇一年、日本におきましてBSEが発見をされるまでは、むしろアメリカの方が具体的なBSE対策は残念ながら先々やっていたというのが実態でございます。その後、二〇〇一年の九月に我が国BSE発生をした、それを受けて急遽、全頭検査ですとかあるいは特定危険部位除去、あるいはフィードバンといったような、さらには死亡牛の検査といったような、アメリカに比べましても徹底をしたBSE対策を整えたということでございました。  そういう状況にありますので、昨年の十二月にBSEアメリカ発生をするまでは、やはりアメリカに対しましてそういった発生国でないところに一定のBSE対策が行われているという理解をしておったということでございます。
  101. 紙智子

    ○紙智子君 会計検査院の報告をいつ農水省では分かったんですか。
  102. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 具体的な日にちまではございませんけれども、会計検査院の報告がなされた後、そう時間を置かずに承知をしていたものというふうに思います。
  103. 紙智子

    ○紙智子君 実際には二〇〇〇年にこれは出されていたと。いずれにしても、分かった段階で非常に問題があるんじゃないかということを、普通ならやっぱり問題にするということをしなくちゃいけないというふうに思うんですよ。やっぱり、どう受け止めてどう扱うのかというのはその都度求められているわけで、結局、今の話ですとそういう、アメリカはかつては日本よりも進んでいたということで特には検討しなかったということなんでしょうか。
  104. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 二〇〇〇年の会計検査報告は二〇〇〇年の九月にたしか出されたというふうに思います。それから日を置かずに承知をしたというふうに理解しております。したがいまして、まだこの時点では我が国においてもBSE発生がない状態であります。その時点におきまして、アメリカにおいてはある程度のBSE対策を行っていた、そういう理解でおったと思います。
  105. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと、全然問題だというふうに思うんですよね。  やっぱり、非常に緊張してとらえるということでいいますと、もう一つちょっと聞きますけれども、米国の農務省が二〇〇三年の三月に発表した報告では、機械で解体する先進的食肉回収、AMRですね。これで処理された牛肉を調べたところが、約三五%で脊髄などの神経の中枢組織が混入していたことが判明していると。これは畜産振興事業団のホームページにも紹介されているわけです。  農水省は、この問題はいつ把握して、それに対する対応をどういうふうに検討してきたんでしょうか。
  106. 中川坦

    政府参考人中川坦君) AMRというものは、高圧で骨を破壊することなく骨などに付着した肉を回収する方法でございますけれども、これにつきまして、先生がおっしゃいましたように、背根神経節等の特定危険部位が回収時に肉に混入するおそれがあるというふうなことが報告をされているというのは、いつ時点というのは私ども現在そういった情報は持ち合わせておりませんけれども、そういった問題があるということは承知をいたしておりました。  ただ、繰り返し申し上げますけれども、アメリカBSEが発見をされましたのは昨年の十二月の二十三日、現地時間でございますが、二十三日でございます。それまではアメリカではBSE発生はないという前提で対応していたということでございます。  したがいまして、このAMRによります手法につきまして、一部背根神経節等の混入があるという報告は承知をしておりましたけれども、そのことが直ちに問題になるというふうには認識をしておりませんでした。
  107. 紙智子

    ○紙智子君 EUもアメリカのステータス評価というのをやって出しているわけですよ。二〇〇〇年でしたかね、いやもうちょっと早かったかな。やっぱり国内では二〇〇一年ですね、国内ではもう発生をして大問題になって、その危険部位の問題が大問題になっているわけで、当然そういう様々な情報が入ってきたときにはそれに対しての、どうなっているのかと調べて当たり前じゃないかというふうに思うんですよ。  これだけじゃないんですね。二〇〇二年の一月に、農畜産振興の情報に、海外情報という形で米国の飼料規制の遵守が不完全だということが出ています。これについては「畜産の情報」というものに出ているわけですけれども、これ自体が日本が行ってきたBSEのステータス評価の手法についての参考文献になっていますから、ですから知らないはずがなかったわけで、日本政府がこういう危険な事実を早い段階で把握しながら技術検討委員会にも報告もしない、そして昨年十二月二十三日にアメリカ発生するまでアメリカからの輸入を続けてきたということは、これは農水省がいろんな情報を本当はいろいろ知っていたのに握りつぶしたと言われても仕方がないんじゃないかというふうに思うんですよ。  国内でこのBSEをめぐってあれだけ議論してきたわけですよね。そういう中で教訓生かさなきゃいけないというのに、やっぱり反省が生かされていないんじゃないかと言わざるを得ないんですね。国民の食の安全性を最優先にするという立場、ここに立つならば、やっぱりこういういい加減で危機感のない甘い対応でいいのかということを私改めて思うんですけれども、昨日の衆議院のやり取りでもって、農水大臣亀井大臣はそのことについても自分は承知しないということを言って責任認めていらっしゃらなかったんですけれども、これだけの事実、情報がありながら、まともな対策を取らなかった責任というのはやっぱり否定できないんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
  108. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国におきましてもBSE発生、こういうことでいろいろの、消費者の信頼、こういうことを得るために、食品の安全、安心、こういう面に十二分に対応する、BSE発生後、いろいろの努力を積み重ねてきております。  今、いろいろ御指摘の点につきましては、それぞれその対応が、完全にそれができておらなかったか、こういうところあろうかと思いますが、BSEの問題につきましてはそれぞれその対応をしてきたんではなかろうかと、このように思っております。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 その責任はお感じになっているということで受け止めてよろしいですか。
  110. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) いろいろ役所としても、今日までBSEの問題につきましてはそれなりの対応をしてきたわけでありまして、いわゆるその責任と、しかしそういう以上にこのBSE問題につきましては省を挙げていろいろの専門的な分野でもいろいろな努力をして積み重ねてきていると、このように私は思っております。
  111. 紙智子

    ○紙智子君 なかなか責任は感じているというふうにおっしゃらないわけですけれども、私はやっぱりそこのところが本当に不十分であったならば、これからの対策としても甘いものになってしまいかねないというふうに思うんですね。  昨年、カナダBSE発生したときにも、カナダアメリカが牛についてはこう流通しているんだと、一体化については私も質問の中で指摘をしましたし、アメリカからの輸入について安全性をクリアするまではやっぱりストップすべきじゃないかということを言いました。しかし、大臣そのとき、アメリカは未発生国なんだという答弁もされて、その後も輸入を続けてきたわけです。  最初にも言いましたけれども、やっぱりEUとの対応の違いですね。EUはアメリカのリスク評価をもう行っていて、九九年以来、この後、アメリカもそのときはまだ発生していなかったけれども、発生する可能性は高いんだということで危険部位を取り除いてもらうと、それをやっていない牛肉輸入は認めないということで、独自の基準を設けて安全の対策を取ってきたわけですよ。それと比べてもやっぱり余りにも甘いと。本当にこの甘さを払拭するということなしには、この先の問題もやっぱりかかわってくるというふうに思いますので、もう一度大臣、ちょっとその辺のところははっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  112. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) アメリカ合衆国はいわゆるBSEの未発生国と、そういう前提で来たわけでありまして、いろいろ可能なことはそれぞれやってきたつもりでおります。今後、私自身、国民の安全、安心と、この確保全力を尽くして責任を全うしてまいりたいと、このように考えております。
  113. 紙智子

    ○紙智子君 その上に立ってなんですけれども、これからの対策ということで、一月二十三日に日本日米会合がやられました。その概要が出されているんですけれども、そのやり取りを見ていましても、日本側の主張、全頭検査だという話だとかいろいろされているわけですけれども、その主張に対しては、例えば特定危険部位除去の対象月齢についてもどうするかという話は相手からはないわけですよね。それから、全頭検査を行うのかどうかということも明確なアメリカ側の回答はないと。先送りになった形になっているわけです。  しかし、様々な点でアメリカ対策というのは後れているというふうに言えると思うんですね。死亡牛の検査についてもそうですし、これどうするのかと日本の場合も相当議論して、やっぱり本当に感染原因というかそこを調べる上でも、お金も掛かるけれども、しかしやっぱり必要だということでやった経過もありましたけれども、死亡牛の検査、それから機械的処理の問題。それから、肉骨粉についても、アメリカの場合は鳥と豚にはこれは与えてもいいということになっているから、交差汚染という可能性もこれもやっぱり除去できない状況になっているわけです。  アメリカは、言ってみれば発生国になったのに、余りにもこの対応が楽天的だというふうに思うんですね。そういう中で、日本がこの全頭検査、危険部位の除去を始めとして、日本国民がやっぱり納得し得る、そういう条件クリアしなければ輸入できないと、そういう日本の態度を明確に相手に伝えるべきですし、その立場を断固として貫くべきだというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
  114. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 再三申し上げておりますとおり、ベネマン農務長官にも私は、何といっても両国最大の懸案、それは安全、安心、これの確保が大前提であるわけでありまして、そして全頭検査、また特定危険部位の問題、このことも十分強く私は長官にも申し上げておることでございまして、やはり国民の、消費者の信頼、こういうものが得られなければならないことでありますので、引き続きその努力をいたしてまいりたいと、このように考えております。
  115. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ、次に鳥インフルエンザの問題について質問いたします。  高病原性鳥インフルエンザの感染拡大ということではこれは止まらない状態になっていて、過去に例を見ない広域同時多発という言葉が使われる様相を呈してきているわけです。WHOも歴史上前例がないと、そういう事態だというふうに指摘しているわけです。人が感染して死亡した例も出ている人畜共通感染症ということであるだけに、やっぱり警戒心を持った対応が求められているというふうに思うんですね。  一月の十六日に実は我が党で国会議員団として山口県の阿東町に調査に入りました。それで、現場で聞き取りを行ったんですけれども、現場では初めての事態で非常にこの対応に戸惑いながらも、しかし不眠不休で蔓延防止のために必死に取り組んでおられました。  それで、農水省はBSEの教訓から昨年の九月に高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルを作成していたと。このことで迅速な対策が打てたというのは確かだというふうに思うんです。しかし、今回、実際入ってみまして、その不徹底さも露呈されたというのも事実だというふうに思うんですね。  昨年六月時点で各県への説明会をやったということなんですけれども、この説明会をやりながらも、マニュアルで各県に義務付けられている、その最も基本になるモニタリング検査報告が二十数県しかされていなかったということですよね。山口県も含めて半数以上の県からまだ上がっていなかったという状態だったわけです。  それで確認しますけれども、山口県を含めてこの未報告の県に対して、九月出されていますから九、十、十一、十二というふうになるわけですけれども、これは点検をされたんでしょうか。
  116. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 九月に策定をし配布をいたしましたこの防疫マニュアルに基づきます全国のモニタリングの実施状況でございますけれども、一月上旬の時点では十数県でありましたけれども、改めまして各県の実施状況確認しましたところ、現時点におきまして四十一県で実施をされております。検査結果はすべて陰性でございます。  幾つかの県におきましては農場の協力を得るためのその調整に少し時間が手間取ったというふうなところもありまして、一部遅れたところがありますけれども、現時点におきましては、先ほど申しましたように、大半の県ではモニタリングの調査も行われているというふうに思っております。
  117. 紙智子

    ○紙智子君 当初はやっていなかったんですよね、その点検というのは特に。そうですよね。私は、やっぱりそこのところに危機感の、ないとは言いませんけれども、弱さが表れていたというふうに思うんです。  それで、農水省はやっぱり家畜だけ見ていればというふうな縦割り意識がないのかということを、私は率直に言って人の影響ということを軽く見ることにつながっていたんじゃないかというふうにも思うわけです。やっぱり人にも感染し得るんだと、そういう危機意識を持った対応が必要ではないかというふうに思うんです。  今、一番危惧されている問題というのは、人から人に感染する新型インフルエンザウイルス、これに変化するおそれですよね。もうそうなる前に食い止めなきゃならないということだと思うんですけれども、これが一番やっぱり本当に怖いというふうに思うんです。  それで、今回、インフルエンザの発生農場の死亡鶏について、これ死亡鶏は全部検査を行っていると思うんですけれども、三十キロ圏内の他の農場の死亡鶏については鳥インフルエンザ検査をやっていなかったわけですね、行った場所で聞きましたけれども。それで、発生農場以外の死亡鶏についてもこれは検査すべきじゃないかと。  一つの農場で、今で言いますと、本当に規模が大きくなっていて、何十万羽という規模で飼っているところもある中で、聞いてみますと、毎日毎日とにかく十羽とかそのぐらい死ぬというのは当たり前の感覚になっているわけですよね。だから、それだけに積極的に死亡鶏の検査を、サーベイランスと言うのかな、やっていく必要あるんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点、農水省として指導すべきじゃないでしょうか、いかがですか。
  118. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 移動制限区域内の農場におけるチェック体制の御質問でございますけれども、この高病原性鳥インフルエンザといいますのは、症状が突然出て非常に高い死亡率をもたらすというふうなことでございますので、飼養者の方が見ていれば、きちっと注意をしておれば、臨床症状の異常によりまして把握が可能だというふうに思っております。そういうことからしますと、この三十キロ圏内の三十戸の農家の方々のところからはまだ異常は確認をされていないということでございます。  もちろん、この移動制限区域内におきまして、これからも清浄性確認ということはやっていく必要がございます。ただ、これは、二十八日間の移動制限の期間内におきまして、実際にほかの農場におきまして鶏がこのインフルエンザに感染しているかどうかというのは、やっぱり抗体などで検査をする必要がございます。そうしますと、感染をしてからその鶏に抗体ができるまで一定の時間がございます。ですから、実際にこの発生農場において処分などが全部終了した二十一日の時点から起算をいたしまして、しかるべき時間がたったところでこういった抗体検査等を行うというふうにいたしておるところでございます。
  119. 紙智子

    ○紙智子君 これからの防疫の対策として、やはりモニタリングの検査を完全実施という問題と、それから報告、今四十一県まで来ているというんですけれども、あと五県が上がっていないわけですから、そういう意味ではやることも必要ですし、それからやっぱり一県当たり一か所十羽というふうにモニタリングというふうになっているんですけれども、これ少なくないかというふうに思うんですね。  今、アジア全域で本当に同時多発というふうな言葉でもって広がってきているだけに、毎月やっぱり一回はそういう検査もし、かつ検査の精度を上げていくといいますか、精密にやっていくということでもその見直し必要じゃないかということを思うんですけれども、ちょっと次の質問あるので、短くお願いします。
  120. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、専門家の方々の意見を伺いますと、この鳥インフルエンザにつきましては、臨床症状の有無を基本にして判断をするというのがオーソドックスなやり方だという御意見をいただいております。そういうことで、これを基本にしてやっていきたいというふうに思います。  モニタリングの数につきましては、これはかなり統計的な根拠があるわけでございますけれども、一定の確率で感染していた場合にそれを発見する、そういった統計的なモデルに基づいて、一県一農場当たり十羽というのは、専門家の方々の御検討の下にこれは定められているものでございます。
  121. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ、ちょっと補償問題で、次、大臣にお聞きしたいんです。  それで、先ほど来この問題も話になっていまして、結局、殺処分については、発生農家については補償されるわけですけれども、移動制限を受けている三十キロ圏内の農場は融資だけで、あとは何の補償もないということなわけで、それに対して、先ほど経営支援についていろいろこれから相談して判断するんだという話があったんですけれども、これはあれですか、融資以外の支援考えているということで理解してよろしいんでしょうか。
  122. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほど来申し上げておりますとおり、これらの問題、融資以外の問題と。これらは山口県とも十分いろいろ御相談をさせていただきまして、国としてできることがどうかと、こういうことを検討してまいりたいと、このように考えておるところであります。
  123. 紙智子

    ○紙智子君 韓国でもこの問題が発生して、そこに対する様々な対策打ってきているようですけれども、約五百の農家や加工業者に、日本円で言うと、昨年から発生しているわけですけれども、合わせて四十一億円、一戸農家当たり、そういうことでもって支援もしていると。  昨年、百万羽近い処分があったということなんですけれども、そういう具体的な対応も取っていますし、国内においても、これまでも例えば口蹄疫、二〇〇〇年に発生して、北海道、九州で非常に大きな問題になったわけですけれども、このときも実は議論をされていて、やっぱり移動制限掛けられたときに、結局、強い権限でもってそれを抑えるわけで、それによって損害が全部かぶってしまう形になるわけですから、そこに対して何らかの助けていく補償というのはやっぱり必要だというふうに思いますので、是非これは改めて制度化をしてほしいということを要望したいと思うんですが、いかがでしょうか。
  124. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 十分検討させていただきたいと思います。
  125. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ、最後の質問になりますけれども、WHOは、一月の十四日に高病原性インフルエンザに感染した可能性のある動物の殺処分にかかわる人員の防御に対する暫定ガイドラインというのを出して、そして二十六日には病気が流行している地域への渡航者に対して動物市場養鶏場は避けるようにということで勧告を出しています。  これらの指摘を受け止めてすぐに対応する必要があるわけですけれども、この内容を受けて、厚生労働省と農水省とそれぞれどのような対応をするのか、お聞きしたいと思います。
  126. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) WHOの西太平洋地域事務局は、一月十四日、高病原性鳥インフルエンザに感染しました鳥の殺処分に携わる者について、同疾病の感染防護のための勧告を出しております。  厚生労働省としましては、翌十五日に、この勧告の内容も踏まえまして、鳥インフルエンザ対策の留意点として、まず、鳥の処分を行う者に対します感染防護の徹底、それから、感染した鳥に接触した者が万が一高病原性鳥インフルエンザに罹患した場合に、人のインフルエンザと同時感染を防ぐために、インフルエンザワクチンの接種、感染した鳥の殺処分に従事しウイルスを吸入するなどのリスクのある者についての抗インフルエンザウイルス薬の予防投与などの事項について、都道府県等へ指示を行っているところでございます。  また、人への感染が確認された地域への出国者等に対しましては、生きた鳥が売られている市場等への立入りを控えるよう、検疫所を通じました注意喚起を一月十三日より行っているところでございます。  一昨日、WHOから旅行者に対するアドバイスというものが出されましたので、人への感染事例はないけれども鳥への感染が確認されている地域に対しましてもこの取扱いを拡大するように、昨日、検疫所に指示を行ったところでございます。
  127. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 農林水産省対応について御説明を申し上げます。  まず、山口県で今回の鳥インフルエンザ発生いたしました際にも、県におきましては、公衆衛生部局と連携をしながら、農場の従業員の方々あるいは家族の方々の健康状態の管理とか、あるいは作業従事者の感染予防等についての留意はしてきたところでございますが、今回のWHOの勧告に基づきます厚生労働省の通知や、あるいは先般専門家の方々にお集まりをいただきまして家きん疾病小委員会も開きました。  そのときの助言も踏まえまして、一月の十九日でございますけれども、局長通知を出しまして、一つは、防疫作業に従事をする人たちは防疫の服ですね、衣服あるいはマスク、ゴーグルあるいは手袋といったものを必ず着用し、感染防止に努める、そういうことに十分留意をするということと、それから予防の投薬等につきまして医療関係者助言を求めるようにといったようなことを各都道府県に通知をいたしました。  いずれにいたしましても、この問題につきましては、厚生労働省と緊密に連携を取りながら、人への感染防御も含めまして万全の対策を取っていきたいというふうに思っております。
  128. 紙智子

    ○紙智子君 それじゃ、WHO、FAO、それからOIEと、昨日、この三つの機関がやっぱり人間の健康に脅威だということで共同声明も出しているということなんで、是非危機感を持って取り組んでいただきたいということを最後に述べて、質問を終わります。
  129. 岩本荘太

    岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太であります。  先ほど来、アメリカBSE牛あるいは鳥インフルエンザについていろいろ御議論交わしておられまして、出尽くした感もあるかもしれませんが、私はちょっと角度を変えて質問をさせていただきたいと思います。  まず、このBSE国内発生したのがたしか二年半ぐらい前だと思いますけれども、あのときの脅威というのは相当なものだったと思います。二例、三例が出てきたら更にパニックが広がったと。しかし、現在、七例目ですか、これ出ておりますが、次第に落ち着いてきた。出てもそれほど騒ぎはなくなったと。これは、ひとえに農林省を初めとする対応がしっかりしたからだと、私はその点では評価をしておりますけれども、しかし、そこで余り慣れ過ぎて、今アメリカBSE牛の問題が起こって、日本の場合はこれだけこう、どうにか慣れて今の状態になったんだという安易な気持ちにならず、初心に返って、日本で起こったときの初心に返って対応をしていただきたい。  というのは、日本の場合は恐らく、恐らくといいますか、牛に出てきたわけですけれども、アメリカの場合、下手をして変なふうに入れたら、人間に出てきて初めて分かるという危険もあるんじゃないかというような感じがするんですね、どういう経路をたどるか分かりませんけれども。そういう意味で、しっかりとした対応を是非お願いしたいと思います。  それと、日本BSE発生のときに、私もこれはある意味じゃ災害と一緒だと。言うなれば人為的な災害であったかもしれませんが、災害と一緒であるから、要するに最終目標というのは元の状態に復旧させることであるということを申し上げたつもりでございますけれども、元の状態というのは、言うなれば原因をしっかり究明して、生産者は昔と同じように作ったら確実にもう屠場に持っていって、それで流通に入るというような、全頭検査をせずに、そういう状態ではないかと思うんですが、依然としてそういう全頭検査が続いているわけですが、これをとやかく言うわけでございませんが、そのためにはしっかり調査をしていただきたい、対応考えていただきたいということでお願いいたしたということもあろうかと思いますけれども。  二〇〇二年十一月ですか、BSEの疫学検討チームを設立されていろいろ検討されている。これが恐らく原因究明のチームだろうと思うんですけれども、昨年の九月末の報告書の骨子というのが私の手元にあるんですけれども、その結果、現在、原因究明というのは大体どんなところまで行って、この先何をしなきゃいかぬのか、その辺を大臣の口から一言説明していただきたい。
  130. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、冒頭、委員から御発言がありましたが、私はやはり、二〇〇一年九月、我が国BSE発生したと。そのとき以降と、我が国対応と、このことは正に初心を忘れることなく進めていかなければならない、これは私の基本的な考え方でありまして、このことをベネマン農務長官にも私はその当時のことも申し上げておるようなわけであります。  今御指摘のBSE疫学検討チームの昨年九月三十日に公表された報告書が出ました。国内七例目までの調査内容を踏まえて出たわけであります。感染源としては英国からの輸入生体牛と、又は一九九〇年以前に輸入されたイタリア産肉骨粉、そしてオランダ産動物性油脂が想定され、感染経路として、肉骨粉については配合飼料工場における製造・配送段階における牛用配合飼料に交差汚染した可能性があるとされた一方、動物性油脂については代用乳の原料として添加されているわけでありますが、これを直接感染源として結び付けることは難しい面があると、このようにされております。  また、昨年十月には八例目、二十三か月、そして十一月には九例目、二十一か月齢が確認されたことに伴いまして、当該患畜に給与された飼料等の疫学情報の収集を行い、報告書に提示された評価・分析手法を参考に感染原因の検証を鋭意今進めておるところであります。  八例目、九例目は若齢牛の牛でありまして、肉骨粉の給与禁止後に生まれたものでありまして、現在まで判明している給与された飼料にはいずれも肉骨粉は用いられておらないわけであります。  現在、飼料の製造、流通の各段階で交差汚染がなかったかを精査しているところでもございます。これらのデータがある程度まとまった段階で専門家助言を求めまして、感染原因究明に努めてまいりたいと、このように考えております。
  131. 岩本荘太

    岩本荘太君 よろしくお願いいたしたいと思っておりますが、大臣の今の御説明はこういうことだろうと思うんですけれども、要するに大体が肉骨粉原因であると。動物性油脂というのはそれほどの犯人ではないようだと。肉骨粉というのはしたがって一九八二年から八七年ですか、イギリスから入ってきたときのものを肉骨粉にして、それが飼料として回っていると。それからまた、イギリスからの肉骨粉が入ってきたのも、これもぐるぐる回っていると。実際に日本肉骨粉禁止したのは二〇〇一年ですかね、要するに発生したときですがね。だから、それまで回っていたわけで、その後に生まれた牛にしたってまだ三年ですか、四年ですか、実際にBSE牛として発生して発表されているのはみんな一番若くて六十五か月齢ですか、まだまだ発生される、残念ながら発生されるという懸念はあると見なくちゃいけない。  これをとやかく言うわけじゃないんですけれども、しかし、こういう状態だからそれは追跡しようにも追跡できないと思いますから、今食べるものについては全頭検査ということでこれはいいんだろうと思うんですけれども、そういう消費者に対するものと別に、同時といいますか、生産者は、これはかねがね言っているんですけれども、自分がかわいくて育てて消費者に供給しようと思うのが、あるとき知らない間に殺されざるを得ないというというのは、これはもうどうしようもない、自分の生活を本当に否定するようなものになっちゃう。非常に残念なものだと思うんですよね。これの解消のためにはやっぱり全頭検査をしなくて済むようなものに持っていきたい。  それと同時に、いわゆるこういうBSE牛が発生した場合に、疑似患畜ですか、これを殺しますよね。ところが、今まで全部陰性でしょう。それでもう何百頭と殺されているわけですよね。これはやっぱりそれを手掛けた方々にしてみれば非常に残念なことで、日本人みたいに命を大切にする人間として非常に大事な、非常に敏感な問題だと思いますので、その辺を、これ以上大臣お話ししても同じ答弁だと思いますけれども、最後まで、最後の復旧されるところまでをきちっと目標として、農林省、これは厚生省も関係するかもしれませんけれども、しっかりとやっていただきたいと思う次第でございます。  それと、今度はアメリカ牛ですけれども、これは国内需給問題との関連でちょっとお聞きするんですけれども、アメリカ牛は日本牛肉消費量の大体三〇%とかというような話を聞いたんですけれども、それと鳥肉というのが一七%ですか、今日の朝刊に出ていましたけれども、禁止したやつが、その数字で大体よろしいんですか。
  132. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) 需給の関係でございます。ただいま委員御指摘のとおり、まず牛肉の方でございますが、全体の消費量は九十三万トンでございます。それで輸入量は五十三万トンということでございまして、そのうちの米国からがただいまお話しのとおり二十四万トンということでございますので、二十四万トンを九十三万トンで割りますと、国内消費の約三割、二六%というものがアメリカからのものでございます。  それから鳥肉でございますが、全体の消費量、これは十四年度でございます、これは全体の消費量は百七十四万トンでございます。そのうち国内生産が、これは多うございまして百二十三万トンで七割、輸入が五十一万トンで約三割でございます。その五十一万トンの輸入のうち、ただいまお話しのとおり輸入が停止されましたタイ産の鳥が十七万トン、それから中国産が十二万トンということで、合計二十九万トンが止まっておるわけでございます。それは、ただいま申し上げました全体の消費に占める割合は約二割、一七%、正確に言いますと一七%ということでございます。
  133. 岩本荘太

    岩本荘太君 それで、よく食料というのは二割増産すると半額になる、二割足りなくなると大恐慌になると。今のお話を聞きますとそれを超えているような状況ですけれども、これは、この不足分というのはどういうような対応になると見込んでおられるんですか、農林省としては。
  134. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) まず、牛の方でございます。牛につきまして、ただいま申し上げましたとおり、アメリカからのものが三割弱を占めておるわけでございます。そういうことで、ただ、これがどの程度この輸入停止が続くかということは現時点におきましては不透明な状況ということでございます。  そこで、私どもいろいろと在庫の状況あるいはまた海外からの輸入可能性といったようなこともあれしておるわけでございますが、現時点におきまして、一月の供給量としては大体七割程度と見込んでおりましたが、二月につきましては若干豪州等からの輸入増加してくるという見込みがございまして、二月につきましては八割程度までは確保できるのではないかというふうに考えているところでございます。  それから、鳥につきましては、ただいま申し上げましたとおり、全需要量の一七%というものが現在止まっておるわけでございます。ただ、これもどの程度この禁止措置が続くのかというところが現時点不透明であるので、なかなか確たることは申し上げられないわけでございますが、いずれにしても、これも、ブロイラーも在庫が大体一月分弱はあるわけでございます。  それから、ブロイラーの場合、御案内のとおり、牛と違いまして、ふ化しましてから二か月で出荷されるというふうなこともございますので、比較的国内におきまして短期間で供給対応が可能であるというふうなこと、それからほかにも、タイ、中国以外にも、ブラジルが今十五万トンぐらい昨年度は入っておりますし、アメリカも五万トンぐらいあるといったようなことでございまして、鳥につきましても、今回の停止措置が直ちに国民生活に大きな影響を及ぼすことまで行くのではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  引き続き、しっかりと情報収集等を行ってまいりたいというふうに考えております。
  135. 岩本荘太

    岩本荘太君 危機感は全然感じられないんで、それはそれでいいんですけれども。  今のお話聞いていますと、相当余裕を持ってあるみたいですね、国内に、備蓄も含めて。本当にそんなもんでいいのかなというような感じがするんですけれども。  今、こういう、外国から入ってこない、食料が入ってこないということは、正に我々が食料国内自給率をどう考えるかというその基本になると思うんですよね。戦争だから入ってこないということばっかりじゃなくて、こういうようないろんな状況のときに国内としてはどう対応しなきゃいけないということが問題だと思って私は聞いたわけですけれども、今のお話聞きますと、これは農林省、自給率を上げなきゃいけない、いけないとか言っておられますけれども、何か食料そのものは随分ふんだんに持っているんだなというような印象を受けてならないんでありまして、これ以上、私も資料ないから、次の質問ありますんで、これ以上質問しませんけれども、ちょっとその辺の感覚が大丈夫かなと。大丈夫であれば、しっかりともう、こんな状況でも大丈夫だよということを発表してもらえばいいんじゃないかという気がいたします。  それともう一つ、これちょっと皮肉な質問かもしれないんですが、私はかねがね思っているんですけれども、例えば牛肉にしてみても、牛肉として輸入した方がいいのか、国内牛を育てて、それでそれを消費者に供した方がいいのか、それが非常に私は疑問、疑問というか、解けないでおるんですけれども、一つそのためにお尋ねしたいんですけれども、例えば牛肉百カロリーですね、百カロリーを外国牛肉で賄えば百カロリーそのものを輸入すればいい。日本牛肉であれば、外国の飼料を消費して百カロリー作るわけですけれども、日本牛肉百カロリーを得るためには、外国から、恐らく飼料穀物だと思うんですけれども、何カロリーぐらいの、何カロリーの輸入をしたらいいことになるんでしょうか。
  136. 白須敏朗

    政府参考人白須敏朗君) ただいまの委員の御指摘でございます。よく言われておりますのが、牛肉一キログラムを生産するためにはトウモロコシ換算で約十一キロのえさが必要であるというふうなことでございますので、そういったことを踏まえますと、牛肉、ただいまのお話牛肉百キロカロリーを生産するために必要とされる飼料というものは千四百キロカロリーとなるわけでございます。  ただ、そこに我が国の飼料自給率、これは低うございまして、二五%であるといったようなことを勘案をいたしますと、牛肉百キロカロリーを生産いたしますために必要とされます、ただいま申し上げました千四百キロカロリーのうちに、輸入飼料に由来いたします飼料としては約千キロカロリーというものが必要になるということでございます。
  137. 岩本荘太

    岩本荘太君 そうしますと、国内自給率を、例えば牛肉を取って、上げるために言いますと、国内自給率を上げるためには国産よりも外国産を買った方がいいということになるわけですよね。だから、単純に国内自給率を上げるために国産品を買え買えとか使えという問題じゃないんだと思うんですよね、自給率考える場合にはですね。だから、飼料にしても、考えようによってはこれが国産飼料を使えばまた話は変わりますよ。そこで、農林省としては国産飼料を奨励するのか、そうでなくて、単純に自給率をカロリー計算すれば牛肉を買えばいいじゃないか。ただ、自給率の問題というのは入ってこないときの問題がありますから、単純にはそれで割り切れませんけれども、そういう複雑な要素があると思うんですよね。  だから、農林省は四〇%を四五%に上げるという、これは数字的にそうなんでしょうけれども、私は四〇%も四五%も根拠が全然分からないんですけれども、それ以上に、個々の食品といいますか、個々をもう少し細かく検討されて、どう国内自給率を持っていかれるか。それを、先ほど来出ておりますように、消費者の人に理解してもらわなかったら、我々生産者といいますか、生産者サイドに農水委員会ですから多いと思うんですけれども、この関係者は皆さん意見同じですよ。  ただ、消費者の方々が必ずしも一緒じゃない。国産の方がいい、いいと言っていながら、例えば外食産業とか行った場合に、これは国産ですか、輸入物ですかなんて聞かないでしょう。安い方を食べるでしょう。おいしい方かもしれませんけれども。そのときに本当に国産のものを食べるという意識が植え付けなきゃいけない。それこそ僕は国内自給率の問題だと思うんですけれども、その辺の国内自給率について、私はかねがねいろんな面から検討してくれと言っているんですけれども、大臣、うなずいておられますので、もし御所見がございましたらお聞かせください。
  138. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) かねがね委員からも自給率の問題につきましてはいろいろお話もちょうだいしておるわけでありまして、最も基礎的な栄養に着目する、そういう点ではカロリーベースでの食料自給率基本、このようにも考えるわけであります。  非常にいろいろ、たんぱく質であるとかあるいはビタミン、ミネラルあるいは低カロリー、こういうような、いろいろ、これらがすぐカロリーベースで自給率向上になかなかつながりにくいところもあるわけであります。しかし、やはり適正な栄養バランス、こういう面から心と体においしい食事を味わって食べていただく、そういうこと、そしてさらに、食育を推進する、こういうこと、そういう面で、生産者だけでなしに消費者にもやはりこの自給率の問題につきましては十分関心を持っていただくということは大変必要なことでありますし、先ほど来申し上げております基本計画見直しの中でもそれらの問題も十分幅広く検討をしていきたいと、このように考えております。
  139. 岩本荘太

    岩本荘太君 以上で終わりますけれども、この自給率の問題、まだまだ続けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  140. 中村敦夫

    中村敦夫君 米国からの牛肉輸入再開について質問します。  昨年十二月二十三日、アメリカで初めてBSE感染牛確認されました。そして、政府が即座にアメリカ牛肉輸入を停止したことについては、国内でのBSE騒動の反省が生きていると率直に評価したいと思います。  アメリカに限らず、これまで政府BSE清浄国以外からの牛肉輸入をすべて停止してきたわけですね。それどころか、清浄国であってもEUのように発生国と自由貿易圏を構成している国々についても牛肉輸入を停止しています。この点についても政府措置を支持したいと思います。  そこで、最初に、これまでの質問と重複する点もありますけれども、確認として幾つか質問をしますので、端的にお答えいただきたいんですね。消費安全局長お尋ねします。  BSE発生により牛肉輸入を停止している国の中で、アメリカを除いて輸入再開条件協議を行っている国というのはあるんでしょうか。
  141. 中川坦

    政府参考人中川坦君) アメリカを除いてというお尋ねでございますが、カナダからは一般的な輸入再開の要請は受けておりますけれども、輸入再開のための具体的な条件について協議を行っているというわけではございません。
  142. 中村敦夫

    中村敦夫君 国際獣疫事務局、つまりOIEですね、ここの国際動物衛生規約によりますと、BSE清浄国条件として次の三つのいずれかに該当することと示されているわけですね。第一の条件BSE発生例がないということですね。第二は、BSEのすべての発生例について生体牛輸入が直接の原因であることが明確に証明されていることということです。三つ目が、BSEの最後の発生例から七年以上経過し、なおかつ肉骨粉などの給与禁止を八年以上正式に執行されていることと、こういうふうになっているわけです。  アメリカカナダ産の牛と説明しているんですけれども、アメリカ国内での飼育歴も長いためにカナダからの生体牛輸入を直接の原因とするかどうかは明確に証明できずに、これは条件二には当てはまらないというふうに思われます。また、本年一月八日から十八日まで行われた政府の海外調査でも、アメリカカナダBSEに関する汚染状況に大きな相違があるとみなすことは困難であり、今後、アメリカにおいてBSE発生しないという保証はないと、こう結論付けているわけです。  そこで、農林水産大臣にお聞きしますが、こういうわけですから、アメリカBSE清浄国ではないというふうに思われますが、どうか。現時点での認識をお聞かせいただきたい。
  143. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) アメリカBSE清浄国とは私は考えておりません。
  144. 中村敦夫

    中村敦夫君 これまで日本BSE清浄国以外からの牛肉輸入を停止して、輸入再開条件協議も応じてこなかったという経過があります。しかし、アメリカに対しては例外にしようという姿勢とか雰囲気がどうしても感じられるんですね。  例えば、今年一月十五日に亀井大臣とベネマン農務長官が電話で会談した際に、亀井大臣輸入再開条件として、日本国内実施している全頭検査特定危険部位除去同等措置が必要というふうに伝えたと聞いています。それからまた、一月二十三日に行われた日米会合でも、消費安全局長が全頭検査特定危険部位除去アメリカに求めているというふうに聞いておりますけれども、何かその条件さえ満たされれば条件交渉をやりかねないのではないかなというふうに感じられるんですね。  そこで、大臣にお伺いしますけれども、アメリカに対しても、国際動物衛生規約で定めるBSE清浄国に復帰するまでは、輸入再開条件協議などには応じることなく、他国に対してと同様に輸入停止を貫くべきではないか、そうしないと全く整合性が取れないということになると思うんですが、いかがでしょうか。
  145. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国でもBSE発生国であるわけであります。そういう中で、屠畜場におけるBSEの全頭検査実施、そして特定危険部位除去、これを講じておるわけでありまして、今後、BSE感染牛が発見されている中で、消費者安心して牛肉消費できるシステムを確立しておるわけであります。そういう点から、他のBSE発生国日本と同じシステムを取るのであれば、当該国からの輸入禁止する必要はないんではなかろうかと、こういう考えでおります。
  146. 中村敦夫

    中村敦夫君 私はアメリカだけ特別扱いするのは非常にまずいと考えているんですね。やっぱり七年間というものは待つべきだと思います。  なぜこういうことを言うかと思うと、先週の日曜日にNHKで「データマップ」という特集を始めまして、第一回目が寿命についてのいろんなデータを出してきて、大変興味深かったんですね。寿命というのは、ある国が突然延びたり、あるいは突然かなり短期間に平均寿命が落ちたりするという不思議な現象があって、原因はいろいろなんですね。ただ、驚いたのは、ロシアの平均寿命が五十三歳になっているというのはかなりショックでした。その背景もいろいろありますけれども、これはいわゆるアフリカの飢餓国のような食料不足ということではない原因もあります。しかし、基本的には、寿命の短い国というのは食料不足ということは基本的な原因になっているわけですね。  じゃ、豊かな国だったらばいいのかと。確かに今のところ豊かな国は平均寿命が高くなっていますね。特に日本なんかは八十一歳で世界一ということなんですね。しかし、同じように豊かな国でも、米国の場合何が起こっているかというと、肥満率、これが二二%で、男女とも世界一なんですね。これ五人に一人がもう肥満である。つまり不健康な体の状態だと。  どういうことかというと、これは糖尿とか高脂血症とかが発生していて、六十歳になるまでにもう体の機能ががたがたになってしまって長持ちしないと。ひどい場合には数年以内にやっぱり死亡してしまうというケースが今どんどん増えていると。そのために、数年内に死ぬよりはもっと食べないようにした方がいいということで、胃の手術をして胃を小さくする、カットすると。これが年間十万人いるというんですよ。何か、ばかばか食べて、それで胃を切ってそういう操作をやるというのは、これ、何というんですかね、悲劇じゃないかなと思いますよね。こんなふうにしていわゆる経済成長をやらなきゃいけないというのは、これは本末転倒の話じゃないかというふうに考えるわけです。  しかも、アメリカの子供たちに今大変な健康状態の変化が起きているというのは、子供たちももうぶくぶく太り始めてしまって、将来四人に一人がもう糖尿病になってしまうというふうに言われているんですよ。これは基本的には、やはりもうアメリカ型の食事、ファストフードですよね、これはハンバーガーだとか揚げ物とか、基本的には牛肉あるいはほかの肉を中心にした肉食文化、それを、つまり早くて安いからいいんだということでどんどんどんどん奨励していってしまってそういう状況になっていくと。当然のことながら、将来ここの平均寿命というのは下がっていくということが予測されるわけですね。  日本も私は例外ではないと。日本で一番長寿なのは沖縄だったわけですよね。男女とも沖縄が一番だったわけですよ。ところが、最近、いきなり男の寿命だけが二十六番目にどんと下がったんですね。女性もこれから下がる気配があると言われているんです。この原因何かというと、アメリカの統治以来、ずっとアメリカの肉食文化というのが入ってきて、そして特に今、若い人たちがもうそれ一本のような状況になって早死にしているんでその平均寿命が下がってきているという現象が出てきているわけですね。私はこういう状況は、多かれ少なかれ日本人全体に今広がりつつあると思うんですよ。  そういう意味から考えても、やはり私たちは、不健全な肉食文化、アメリカの食文化ですけれども、こういうものをただただいたずらに受け入れるのではなくて、やはり世界で一番健全だと言われている和食文化、これを政策として持っていかなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。食料政策というのは、何も業界が利益を上げればいいという話ではなくて、第一に国民が健康で安全でおいしいものを食べられるということが原則であって、その原則を外れたいかなる企業的行動というのもこれは邪道だというふうに私は考えるわけですね。  特に、この肉食というのは、先ほど岩本議員が言われたとおり、大変な量の穀物を消費していると。ですから、日本アメリカが肉食をやめれば世界の飢餓問題というのは解決されるとまで言われているわけですね。これは極端な表現でしょうけれども、多かれ少なかれそうだと思うんですよ。牛が食べる穀物が人々に渡っていれば相当な人々が救われるというのがあります。  もう一つは、米国牛というのは成長ホルモンを使っています。これは大変危険な操作だと思うんですね。だから、ヨーロッパでは米国牛の輸入禁止しているわけなんですよ。日本だけがもういらっしゃいいらっしゃいとやってきて、どんどん若者中心にこれを食えということになれば、日本人の健康というのは非常に悪くなっていくというふうに考えられます。  ですから、八〇年代の牛肉輸入自由化からどんどんどんどん、何か無邪気ともいうような熱心さで肉食を拡大してきたということはここで一回反省して、やっぱり国内産の穀物、野菜を中心とした地産地消の食生活という方向に転換し、農業政策もそれに沿った形でやっていった方が私はいいと思うんですね。ちょうどこれは、アメリカのどちらかといえば危ない肉を輸入禁止する口実の機会にもなっているわけですから、そんなにもう肉、私は食う必要ないと思うんですよ。全然食うなという話じゃなくて、食い過ぎだということから考えたら、この全体の中の三〇%というのは、ちょうどこのぐらい減らしてもいいんじゃないかというふうに考えますが、大臣、どうでしょう。
  147. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) かねがね委員からも御指摘のとおり、食育の問題を含めて、やはりバランスよく食事をする食習慣、これが私は必要なことではなかろうかと。御飯を食べる、穀物をしっかり取ること、またさらには野菜であるとか果物であるとか、牛乳・乳製品あるいは豆、魚類、それらを組み合わせてバランスよく取る必要があると思います。  また、昨今、日本型食生活、こういう言葉が少し、余り聞かれなくなったんではなかろうかと。こういう面で食育の推進と、こういう面では文部科学省あるいは厚生労働省十分連携をしてその推進を図ってまいりたい。またあわせて、地産地消の問題等々につきましても更にいろいろ施策を進めて、バランスよく食べる食習慣、こういう問題に十分留意をしてまいりたいと、このように思っております。
  148. 中村敦夫

    中村敦夫君 具体的にそういう政策考えていただきたいということで終わりたいと思います。
  149. 岩永浩美

    委員長岩永浩美君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会