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2004-06-11 第159回国会 参議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月十一日(金曜日)    午前十時四十一分開会     ─────────────    委員異動  六月十日     辞任         補欠選任      福島啓史郎君     阿南 一成君  六月十一日     辞任         補欠選任      山崎 正昭君     吉田 博美君      伊藤 基隆君     松井 孝治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         和田ひろ子君     理 事                 西銘順志郎君                 森田 次夫君                 神本美恵子君                 吉川 春子君     委 員                 阿南 一成君                 岡田  広君                 関口 昌一君                 竹山  裕君                 中島 眞人君                 森元 恒雄君                 山崎 正昭君                 吉田 博美君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 小林美恵子君                 黒岩 宇洋君        発議者      吉川 春子君        発議者      岡崎トミ子君        発議者      川橋 幸子君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西川 公也君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣国民生活        局長       永谷 安賢君        法務大臣官房審        議官       深山 卓也君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       遠藤  明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○公益通報者保護法案内閣提出衆議院送付) ○国の行政運営適正化のための公益通報に関す  る法律案櫻井充君外八名発議)     ─────────────
  2. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十日、福島啓史郎さんが委員辞任され、その補欠として阿南一成さんが選任されました。  また、本日、伊藤基隆さんが委員辞任され、その補欠として松井孝治さんが選任されました。     ─────────────
  3. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公益通報者保護法案及び国の行政運営適正化のための公益通報に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣国民生活局長永谷安賢さん外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 公益通報者保護法案及び国の行政運営適正化のための公益通報に関する法律案、両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 松井孝治

    松井孝治君 おはようございます。民主党松井孝治でございます。  本日は、これまで本会議及び委員会において公益通報者保護法案について議論が中心的に行われておりましたが、国の行政運営適正化のための公益通報に関する法律案についての質疑が余り行われておりませんので、そのいわゆる野党案についての質問をさせていただきたいと思います。  提案者川橋議員にお尋ねさせていただきたいと思いますが、まず、この野党案、国の行政運営適正化のための公益通報に関する法律案のそもそものねらい、いわゆる趣旨説明は伺っておりますけれども、それをもう少しかみ砕いて、なぜこの法案が必要なのか、その辺りについて、時間も限られておりますので、場合によっては政府案との対比も含めまして御説明をいただければ大変有り難いと思います。
  7. 川橋幸子

    川橋幸子君 この法案を熱心に作られたのは櫻井充議員でございまして、私は今日はそのピンチヒッターということでお答えさせていただきますけれども、本当に櫻井充議員の場合はきっと皆さんの心に訴えられるようなことが多いかと思いますが、私は本当に官僚と、いただいたものを正確にお答えさせていただくということでお許しいただきたいと思います。  本法案趣旨、目的といいますと、やはり近年、官僚の税金の無駄遣いあるいは裏金作りとか、あるいは防衛庁水増し請求など様々な不祥事が続いております。残念ながら続いております。二〇〇一年に情報公開法が施行されまして、官僚不祥事を防止する手段として期待されたのでございますけれども、結局、この情報公開は不十分なままで、なかなか官僚の責任を追及するための手段にはなっていないということがこの法案提案の一番の趣旨になるわけでございます。  そこで、昨今、公益通報、すなわち多くの人の利益という観点で、内部情報を明らかにいたしまして組織適正化を図ることが非常に有用であることが諸外国でも指摘されるようになりました。しかし、我が国ではこうした法律がなかったために、行政不祥事に対しまして公益通報を行って組織改善を図ろうといたしましても、告発者は、通報者保護されるどころか逆に内部情報を明らかにしたことで不利益処分を受けるおそれが大変強うございます。このような状況では情報を提供することは困難でございまして、組織の改革、改善を図っていくことは難しいと考えられます。そこで、行政適正化を図るために公益通報者保護する法律の制定が必要であるということで本案を提案させていただいております。野党共同で提案させていただきます。  政府案とどこが違うかもまとめて答えるようにという松井議員からの質問でございますけれども、簡単に申しますと、公益通報範囲が非常に広くなるということが一つ。それから、保護される人たちが、これは行政適正化行政適正化といいますか、行政が本来持つ国民に対する使命をどのように発揮していけるかという、そういう行政使命を発揮するための適正化ができるということに主眼を置いておりますので、政府案の対案というよりも、むしろ政府案を補う、補完するということで保護される対象の人が異なっているというところが大きなことかと思います。  取りあえず、こうした答弁でよろしゅうございますでしょうか。
  8. 松井孝治

    松井孝治君 具体的に、例えば通報者については政府案と対比してどういう違いがございますでしょうか。
  9. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、これも公式見解野党公式見解でございますが、政府案の方は公益通報範囲国家公務員のことに関してだけではなくて民間についても、関しても通報できるという規定ぶりになっております。このことだけ見ますと、政府案法律案の方が範囲がより広いように感じられますけれども、しかし、国家公務員のことに関して見ますと、本法律案の場合は法令違反又は違反するおそれがある事実、人命又は健康に重大な影響を与えるおそれがある事実、それに加えまして会計経理に関し明らかに不当であると認められる事項がある事実というような三つの事実を公益通報対象事項としておりますので、政府提案法律案よりもはるかに広い範囲となっておりまして、しかも、先ほど申し上げましたように、昨今、会計経理の不正、今回決算委員会でも多くの警告決議がなされまして、その中にも盛られておりますけれども、そうした会計経理に関して不当な事項についても公益通報対象としているということですので、はるかに広いということが言えると思います。  また、対象者につきましては、政府案の方では労働者しか保護されないということになっておりますけれども、本法律案はすべての国民保護対象となっていると。これも、保護法益対象範囲、人の範囲も少しずつ違いますけれども、単純な言い方をさせていただきますと、保護される人の対象も広がっていると言えると思います。  さらに、こうした場合にどのように広い範囲でしかも風評被害のようなものを防ぎながら通報者保護するかということになりますと、第三者機関が必要ではないかという趣旨から、この野党提案法律案では、行政適正化委員会を設置することによりましてこうした制度仕組みが適正に活用される、通報者保護も図られやすくなる、通報もしやすくなるということをねらいとしております。  これでよろしいでしょうか。
  10. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございます。よく分かりました。  正に通報者も、政府案公務員を含む労働者であるのに対して、野党案国民全体でありまして、その国民全体がその通報に関して保護をされるという違いがあるということもよく分かりました。  また、政府案通報対象法令違反であり、しかもその法令が七法令に限定されているということですね。それに対して、野党案はより広範な対象としているし、またそのおそれまで含めて対象にするということですから、ある程度その法令違反可能性がある、あるいは正に法令違反になる事実が生じようとしている範囲まで対象となるということで、対象も広範であると、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  11. 川橋幸子

    川橋幸子君 質問者松井議員の方がよく御存じでいらっしゃると思います。  さらに、ちょっと一番の私ども民主党案といいますか野党案セールスポイントを申し上げさせていただきますと、政府案の場合は、例えば雪印食品のケースなんかが典型になるわけでございますけれども、下請事業者通報してもそれは保護対象とならないということでございますが、民主党案ですと、弱い立場にある下請事業者なども保護されるということになりまして、それから対象事項では、先ほど切迫している状況でないと政府案の方は認められないという仕組み、今正にそのおそれが生ずることというような要件が書かれているわけでございますけれども、民主党案の方は、未然に被害を防ぐ観点から、切迫している状況にはなくとも、公益通報として認めることが是非とも必要であるということから、その対象事項も広くなっている、外部への通報がしやすい仕組みとなっているということでございます。
  12. 松井孝治

    松井孝治君 先ほど、川橋議員答弁で、行政適正化委員会という言葉が出てまいりました。この通報先を、この行政適正化委員会という機関を設けたと、これは政府案との大きな違いですね。ここの趣旨、これは当然、通報者保護あるいは通報者がより公益通報をしやすくするための措置だと思うんですけれども、行政適正化委員会通報先にしたということの趣旨について、もう少し詳しく御趣旨を教えていただけますでしょうか。
  13. 川橋幸子

    川橋幸子君 まず、お答えの前に一言おわびをさせていただきます。ちょっと先を急ぎ過ぎてしまいまして、これから考えていることまでも先ほど民主党案セールスポイントとして申し上げてしまいました。下請事業者にも適用拡大というのは今考えておりまして、やがて間もなくこの委員会の方に提案されるその内容の方まで申し上げてしまいました。どうぞお許しください。  さて、行政適正化委員会でございます。行政適正化委員会は、簡単に言いますと、通報しやすくすることと、それだけではなくて、通報者保護が図られやすいようにしているということがこの行政適正化委員会役割でございますけれども、つまり国家公務員の場合は、業務上の、職務上の守秘義務の問題がございまして、民間と異なるところがございます。国家公務員不祥事といいますのはもう国民不利益にそのものつながるわけでございますけれども、公益通報というこの制度を運用していきますと、守秘義務とそれから公益通報と異なる、異なるといいますか、一見両立し難いようなそうした問題が生じる場合がございます。ということでございまして、今回、行政適正化委員会という新たな仕組みを考えますと、その辺の調和が図られるのではないかということがこの民主党案野党案意味でございます。  守秘義務は、公務員にとりましては、国民に対しても大事な役割でございますけれども、板挟みになる場合にそうした職員守秘義務違反に問われることがないように、そういう作用を及ぼすようにこの行政適正化委員会というものが作られる、作るという、そういう趣旨になってございます。
  14. 松井孝治

    松井孝治君 分かりました。  今私もちょっと正に伺おうと思っていたんですが、こういう法律ができますと、ある意味では、これは与党側でも懸念の声がありましたけれども、密告を非常に助長すると。それは日本の文化にそぐわないんじゃないかという批判がありますね。野党案を立案されるに当たって、そういう非常に密告を助長する、これ公益通報密告というのは同じ事柄であったとしても、その取る方の取り方によって別の解釈があるのかもしれませんが、確かに密告が非常に横行するとか、あるいはそれが誹謗中傷のようなたぐいのものが横行するということになるというのはこれは望ましいことではないと思うんですが、その辺りは今の御説明の中にも多少あったと思いますけれども、野党案においてどういう御配慮をされているんでしょうか。
  15. 川橋幸子

    川橋幸子君 まあ、密告奨励野党案にといいますか、割合個人的な意見になるかも分かりません。私個人社会仕組みが変わってきているんだと思うんですね。非常に複雑になってきている。それから一方では、近代社会は発展すればするほど複雑になってきている。しかも、組織組織の間の壁といいましょうか、バリアが大きくなってくる。こういうときに何が本当に国民のためになり、何が本当に組織のためになり行政のためになるかということを考えますと、民間では、昨日は参考人の方々からもコンプライアンス経営ということを様々伺いましたけれども、それは行政も同じではないでしょうか。  そうしたときに、行政の場合は、内部と、上司と部下という関係のほかに、国民ということを考えながら公共性を追求していこうとすると、いわゆる内部情報を外に出すのがもしかしたら自分の出世に不利になることがあっても、迫られた場合にどっちの価値観を取るかという、そういう問題が非常に大きいような気が私の個人的経験からもいたします。私の個人的経験では、中にいて批判すると、天に向かってつばをするという言葉がございまして、いずれ自分に返ってきてしまうことがあるわけですけれども、でも正義勇気というのはそういうことではないと思います。  ですから、いわゆる密告奨励といった場合に、密告という言葉自体には、個人的に思いますには、そのような考えを持って密告という、そういう言葉の概念と、刺す、チクると昨日は神本委員がおっしゃいましたけれども、そういう言葉とは違うんだと、不利になっても正しいことを追求するというのが私は公益通報だと思います。そういうものをむしろ助けてあげるというそのシステムが必要ではないかと、これが行政適正化委員会役割だと思います。
  16. 松井孝治

    松井孝治君 よく分かりました。  私も、これ、公益通報ということになってくると、何が公益通報で何が誹謗中傷なのかというのは非常に判断しにくいところがありますね。したがって、その受けた方が、それが本来公益通報であり、きちんとした公益を守るために正義感に基づいて勇気を奮って通報されたものを、いやこれは個人個人主義主張で、むしろ誹謗中傷のたぐいだということで抑え込まれることがあってはいけないし、また逆に、公益通報という名の下に非常に誹謗中傷のような根拠のない情報が流されるということもこれは良くないことであると。ましてや、それは公務員が行うということであれば、そこについての行政上の守秘義務というものをどう守るかということも必要だと。  そういう意味で、何らかの形で直接当該職務を担当している行政機関以外の第三者機関的行政適正化委員会のようなものを設けて、そこが中立公正な立場から判断するという意味において、野党案は工夫がされているなというふうに感じました。  時間が全体押しておりまして、もう私に与えられた時間、限られておるんですが、最後一つだけ川橋議員に御質問をして私の質問を終わりたいと思うんですが、この通報者に対して、公務員の場合は身分保障がありますからそう簡単に首を切るということはできないわけですが、それでもいろんな不利益処分がなされる可能性というのがあると思いますが、そういう通報者に対する不利益処分をどのように防ぐのか、それについての野党案の対応をお尋ねさせていただきたいと思います。
  17. 川橋幸子

    川橋幸子君 これも御答弁は繰り返しになるかもしれませんし、もう既に質問の前提の中で言ってくださったことに尽きるのかなというふうに思いますけれども、やはり公務員に対する不利益取扱いというのは、本法の、民主党案の第四条で規定はしておりますけれども、そもそもは国家公務員法上の身分保障が大きい。国家公務員法七十五条に規定されているそうですが、正当な理由のない不利益処分はなされないという、そういう建前でございます。建前と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、そういう制度上の保障があるわけでございます。しかも、不利益処分を受けたと思う職員がおりましたら、その場合は国家公務員法に基づきまして人事院に対する不服申立てという救済手段もあるわけでございます。  これが根底であることは変わりないところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、守秘義務の問題と公益通報との関係、非常に微妙な問題も出てくることが多いといたしますと、やはり行政適正化委員会というようなところに通報いたしまして、そしてそこで解雇等不利益取扱いが正当かどうかを第三者機関の目でチェックしていただくと。やはり最後のところは訴訟で持ち込むことにつきましては政府案と同じでございますが、その前に一つ第三者機関を置くことにおきまして、非常にこうした不服申立てとか不利益取扱いについての裁判となりますと当事者間で非常に大きな傷を持つことが多うございます。しかも長引くことが多うございますけれども、その前にこうした行政適正化委員会というステップを入れることによりましてチェックが働く、不利益が被らないようにする安全装置が、防護装置が働くと、このように考えているところでございます。
  18. 松井孝治

    松井孝治君 終わります。ありがとうございました。
  19. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 おはようございます。民主党・新緑風会、岡崎トミ子でございます。  昨日の質疑を少し詰めておきたいと思います。  まず、通報対象事実の拡大についてでございます。昨日は、薬害エイズ、シックハウス、回転遊具六本木ヒルズ回転ドア、承認されている殺虫剤の中に爆発しやすい成分が入っている問題、一つ一つ取り上げました。やはり罰則で担保された法令違反対象にしただけでは国民生命、財産、身体、そのほか利益保護は図れないということがますます明らかになったというふうに思います。法令違反一般対象にすることはもちろんですが、例えば生命、健康に重大な影響を与える事実も対象にすべきだと思います。  これと少し似た議論を思い出しましたが、一九九九年の四月に改正男女雇用機会均等法ができましたが、その中の第二十一条がセクシュアルハラスメントに関する条項でございます。女性職場での性的言動によって労働条件不利益を受けたり、あるいは就業環境というものが非常に悪化という事態に見舞われましたときに、事業主に対して配慮義務を課しております。職場においてそのような性的な言動に対する雇用労働者に対しての労働条件不利益、あるいはまた就業環境に害されることのないようにというので、「雇用管理上必要な配慮をしなければならない。」というふうに規定されているわけなんですが、この「性的な言動」という非常に幅広い言葉を担保することによって、この言葉を使うということによって多くの女性を救ってきたと思います。  当時、セクハラといいますと、一番だれでも悪いというふうに言われておりますのがレイプ、強姦でありますけれども、そういうことだけではなくて、非常にそれではセクハラの形態が狭められてしまうということから、多くのセクハラ対象にするためにこの言葉を使いまして、例えば職場でありましたら、ヌードのポスターを張っていて女の人たちが仕事をするのにとても嫌だというふうに思えばそれもセクハラであり、男性が胸を、女性の胸をこう見詰めるというようなその目線が嫌らしいと思えばこれは女性にとって性的な嫌がらせでそれもセクハラになり、誘って、行かないというふうに断ったり、あるいはまた、職場の中で言うことを聞かなかった、性的な言葉によって言うことを聞かなかったということになりますと、そのことだけでもって職場を配転するようなことが起きたり、あるいは会社を三日間休んだら何か身持ちの悪い女になっていたというようなそういうことを言う、これもやはり広い形でのセクハラ対象になったわけなんですね。元々、今夜付き合え、嫌、それじゃおまえは解雇だみたいな対価型セクハラ、これも裁判になりますと一般法理で勝利できるわけなんですね。レイプのようにだれにでも分かるような犯罪的な行為、こういうものだけ明記すればいいということではないわけなんです。  当時はやっぱりこのレイプだけを明記しておけばいいじゃないかということがあったわけなんですが、それでは多くの女性を救うことができないということから、この性的言動という言葉を使いましてやっていこうということ、それは、本当にこうした国会での中で、あるいはまた周りのNGOあるいは市民運動、それから被害を受けてきた人、そういう多くの言葉を聞きながら、改正にかかわった人たちの熱意で「性的な言動」という言葉が決まったわけなんです。その結果、法律が幅広い規範性を持って、そして女性たちはこれを強力な武器とすることができた。つまり、社会の中に人権感覚をも根付かせるというようなことが今までできてきたというふうに思っております。  私は、昨日の議論の中で、この法案規定しなくても一般法理で守られると言って切り捨てるのではなくて、最初からこの法案対象を広くしていく、生命や健康に重大な影響を与える事実、これを加えるなどして間口を広げるべきではないかというふうに思いますが、再度御答弁をお願いしたいと思います。
  20. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 今、職場におけるセクハラのお話をされておりました。これはもう先生案内のとおりでありますが、男女雇用機会均等法事業者管理雇用上必要な配慮をしなければならないということで規定されていることでありますが、この男女雇用機会均等法におきましては刑罰規定が設けられておりませんので、この男女雇用機会均等法違反公益通報対象にはならないというふうに考えております。  もうこれも先生よく御案内のとおりでありますけれども、職場におけるセクハラの問題でありますけれども、法律上の配慮義務があるということで、既に多くの事業者セクハラに関する労働者からの相談苦情受付窓口を設けていると。また、労働者相談をし苦情を申し出たことを理由として不利益取扱いを受けないよう留意しているという状況があります。  それで、今このセクハラの例をお引きになってこの法令対象範囲拡大しろという御指摘だったかと思いますけれども、これはもう申し上げていますように、この制度自体の予見可能性を高めるということで、法令違反、犯罪行為と罰則で担保された法令違反というものを対象にしているということで御理解をいただければと思います。
  21. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 昨日の議論から、議論しても進めることができないというふうに感じるんですけれども、大臣がおっしゃるように、明確化を図れば図るほどそこから漏れてしまう事項が出てきます。  昨日の参考人質疑で浅岡参考人が強調されておりましたように、そうした漏れを補うために一般条項が必要だということをおっしゃっておりましたが、イギリスの英国公益開示法ではその問題の性質が特に重大である場合にすべての事情を考慮して開示を行うことが合理的であること、これを通報の要件として広く拾っているというのがとてもいい例なんですね。  昨日の議論でも争いがないように狭く保護をするという、対象を限定していくという、そういうことか、それともやっぱりできるだけ広くして保護しようとするのか、それによってはやはり制度の意義というものが全く違ってくるというふうに思うんですが、私は、浅岡参考人がおっしゃったように、一般条項を置くべきだという意見、これをもう一度大臣にもお伺いしておきたいというふうに思います。一般条項を置くべきという意見でございます。
  22. 西川公也

    大臣政務官(西川公也君) 今の一般条項を置いて広げた方がいいだろうと、こういう議論も私どももやってきたわけでありますけれども、通報対象事実、分け方として深さと広さがあります。それで、広さの方からいったら、国民生命、身体、財産等の利益保護だと、これに絞っていこうかと、こういう話になりました。それから、対象の深さでありますけれども、やっぱり法令違反の犯罪行為がある、こういうところに絞りませんと、なかなか余り広がり過ぎちゃって対応が難しいなと、こういう議論をしてきたところであります。  最近の例を見ますと、企業不祥事の発生等もありますけれども、それと国民生活審議会の提言等も踏まえまして、私どもは国民生活の安全そして安心に資する観点でこの法令を作り上げていこうと、こういうことにしたわけであります。そのためにその対象の深さという面で刑罰につながらないような軽微な法令違反、これを取り上げていきますとなかなか構成要件が不明確だと、こういうこともありまして、また人によって評価もそれぞれ違いますし、現実的な問題として刑罰の対象になるような法令に絞っていこうと、こういうことにした次第であります。
  23. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 昨日の答弁でイギリスと日本では制度が違う、条件が違うということで、イギリスには雇用審判所があるが日本にはないということだったんですが、日本では一体、裁判が始まりますと長く掛かるんだということも昨日ございました。長く掛かる裁判労働者を巻き込んでしまったのでは本当に大変なので、通報対象事実を狭く絞って明確化すべきなんだということの御説明だったと思いますが、この日本の審理が長い長いと言われるんですが、一体どのぐらい掛かるというイメージで話をされましたでしょうか。
  24. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 正にケース・バイ・ケースで、非常に長いこと係争中の案件もあれば、比較的短くて終わっているケースもあろうかと思います。
  25. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 一九九一年の民事既済事件の平均審理期間は、相手が出席して争った対席判決ですね、これで終局した事件で十九・七か月だったんですが、それから十年後の二〇〇一年には十三・二か月に短縮しております。審理促進の流れはその後も変わっていないということでございます。  今国会ではまたこの労働審判法というのが成立しているわけですね。これによって二年以内に労働審判制度がスタートするわけで、ちょうどこの法案がスタートするときと二年二年で全く同じような時期になるわけなんですけれども、例えば解雇や賃金不払などの労働紛争、これを迅速に処理しようというようなもので、この労働審判法ですが、労使双方から五百人ずつ採用する方針だということですから、労働調停審判員千人の規模で行うというものが今回できておりまして、これなどを活用いたしますと今までよりずっと迅速に処理されるようになるだろうというふうに思うんですね。公益通報者保護法案も成立するということと相まって、今日は私は、その促進の方は担保できているということですから、その心配はなくなったということも含めてお話を伺っておきたいというふうに思いますけれども、どうでしょうか。二年以内の施行規定ということでちょうどいいじゃないですか。
  26. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 労働審判法が成立して労働者の雇用をめぐる裁判状況が、その裁判期間等を含めて短くなっていくというような状況はこれから予想されるということだろうと思います。そこはそうなんですが、昨日も申し上げましたとおり、いずれにしましても、法令違反以外の事実を通報対象に含めるべきかどうかというところについて、国民生活審議会の場でも様々な意見がありました。だから、そこに象徴されますように、日本においてはまだ公益通報対象範囲や外部通報要件について社会的にコンセンサスが成立している、それが確立しているということは言えない状況にあるというのが私どもの基本的な認識であります。  したがいまして、そういうふうな認識をベースに、正に国民生活審議会の場においてコンセンサスが得られた内容についてその制度化を図ることとしたと。それでもって事業者労働者との見解の相違等による制度運営の混乱をできるだけ避けると。保護される通報範囲を明確にすることによって通報者保護を図ろうとしたということであります。
  27. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 いや、またコンセンサスと言われると、私、またこれを手に取ってアンケートの調査結果というふうに言わなきゃならなくなっちゃうんですが、昨日同じことを言いましたから繰り返しませんが、一部上場企業ですとか、労働者ですとか、この法制度というのをしっかりと求めていて、内部告発をしようと思ったらするかということに対して、します、もう七九%ですよ。組織内部で不正な行為、違法行為が行われることを知ったときあなたなら上司に通報しますか、はいと答えて、その通報を無視した場合には告発しますか、告発する、七五%。非常に高い確率でやっておりますから、希望を持っている人たちが一杯いるということを、コンセンサスが得られていないと言うと、またこういうふうに言わなきゃならなくなってしまうわけなんですけれども。本当に間口を広げていくという意味で今、これも利用してほしいと、制度も利用していくべきではないかというふうに申し上げました。  昨日、業務上過失致死傷罪の可能性を連発されておりましたけれども、その際に少し申し上げましたが、業務上過失致死傷罪の可能性があるということは、先ほど局長もおっしゃっておりました予見可能性ということですね、この予見可能性を高めたことにはならないというふうに思うんです。  なぜかといいますと、業務上過失致死傷罪が成立するためには、まず注意義務がなければいけません。注意義務があったことが必要です。で、予見可能性、回避可能性が必ず言われます。でも、どうなんでしょうね、起きるかもしれないと予見したり、これはもしかするときちんと適切にすれば回避することができたんじゃないだろうかということを立証できるだろうか。  私は、いろんな事件が起きてから後追い後追い、そして人の命が失われるというところまで来て初めて分かるということですから、その予見可能性とか回避可能性ということが必ず問われるということで、そこで必ず立証しなければならないということですと、大変に難しい、業務上過失致死傷罪を成り立たせる条件については立場によって必ず見方が分かれる、そういうふうになるわけですね。どうなんでしょうか。私は必ずそういうことが出てきて、とてもじゃないけれども、予見可能性裁判で勝てるかどうかという問題が出てきたときに、事業者通報者等の間で見解の相違というのが出てくるわけですから、これ明確化して予見可能性を高めたことにはならないというふうに思いますが、この点に関してはいかがでしょうか。
  28. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 業務上過失致死傷のお話で、なかなかその予見可能性が立証するというのは困難じゃないかというふうに御指摘いただきました。  業務上の過失致死傷罪、例えばでありますけれども、例の道路運送車両法違反のあのリコール隠しみたいな事案に即して申し上げれば、構造上の欠陥というのが分かっていて、それが放置されていて、人の生命にまで影響が及んでいるというケースであります。こういうケースにつきましては、そのリコール隠しを行った時点で既にその通報対象事実に該当するんじゃないかというふうに考えております。  ただ、業務上の過失致死傷罪の行為につきましては、刑法上、人を死傷させたということが要件になっておりますので、実際にけが人が発生してない場合には、その通報対象事実には該当しないんじゃないかというふうに考えております。
  29. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 何か危ないなと思ったとき、これは何法の違反か、例えば労働者だって業務上過失致死傷罪というのを思い付くと思いますか。
  30. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 同種の事故が起こっているにもかかわらず、それに全く対応してないというような場合には明らかに注意義務違反になるんだろうと思います。  それから、この法案通報要件の立証でありますけれども、労働者として通常知り得る範囲内で通報対象事実があると信じるに足りる相当の理由でありますとか、あるいは通報理由とした不利益取扱いであることなどを立証すれば足りるということでありますので、そこは必ずしも困難ではないんじゃないかというふうに思っております。
  31. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 いや、本当、そこは難しいなというふうに思うんです。局長のおっしゃるようなことには、なかなか労働者はそういうふうにはなりにくいと私は思うんですけれども。  もう一つ通報先のことも問題なんですね。もう一度確認なんですが、この業務上過失致死傷罪の場合に、所管官庁はどこでしょうか。
  32. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) その場合には警察と検察庁ということになります。
  33. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 結果的に業務上過失致死傷罪が問えないようなケースについて、警察が、また死人やけが人が出ていないときにですよ、こういう段階で今まで動いてきましたか。
  34. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 昔は警察の民事不介入みたいなことが言われておりまして、なかなか民事の部分に警察が出てくるということは結構難しい状況もあったやに聞いておりますけれども、最近では民事の案件について警察が調査等に乗り出すというのは、往々にして最近頻繁に行われるようになってきているというのが一つあります。  それから、本件につきましては犯罪行為等の事実を通報対象にしておりますので、そういうものが通報されれば、当然のことながら警察なり検察なりというのが必要な調査をやるということになるだろうと思います。
  35. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 建前的にはそう言わざるを得ないと思いますが、実際は検察、警察というのは死人やけが人が出る前に動くというのはない、それで不祥事にもつながっているというのがただいまの現実だというふうに私は思っております。  具体的にどういう法令が政令で定められるのかということで、昨日明確なことは何も聞かせていただけなかったと思うんですが、一晩明けて、検討は進みましたか。何本ぐらいの法案が指定されるか、方針は出ましたか。
  36. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) この法案の中で、人の生命、身体の安全の確保でありますとか消費者利益の確保でありますとか、そういう分野について規定しておりますし、それを代表する例として七本の法律を書かせていただいております。それ以外の法律については政令で別途定めるということを言っております。  じゃ、政令の中に入ってくる法律が何本になるのかというお話でありますけれども、これも、当該法律に対する違反行為があったときに、それが人の生命、身体、財産にどの程度深刻な影響を及ぼすかということを一つずつ精査していった上で、この法律を政令の中に入れるかどうかという原案を作らさせていただければというふうに思っております。
  37. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 昨日は四百八十九本のリストを出した、私の方では、それは正式なものじゃないのでなぜ引っ込めたのかと言ったら、引っ込めたんじゃないというふうにおっしゃって説明をされておりましたけれども、じゃ、あのリストは一体何だったのかなと。つまり、あの四百八十九本はどうやって集めたんでしょうか。内閣府が全部自分で集めたんでしょうか。所管庁にそれぞれ発注されたんでしょう。こういうものを出してくださいというふうに出して、各省庁が出した結果が四百八十九本になったんじゃないんですか。
  38. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 四百八十九本のリストというのは、作業のある段階で私どもの内部作業として作ったものであります。  これを作るに当たっての基準でありますけれども、あくまでも人の生命、身体、財産に直接的にどれくらいの影響を及ぼすかというようなことが最大のメルクマールになっております。それをメルクマールにしまして、じゃ、例えば国家的な法益を守るための法律みたいなものはそこから外れてくるんじゃないかとか、専ら法人の内部運営にかかわるような法律というのは外れてくるんじゃないかとか、あるいは……
  39. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 済みません、そういうことを聞いてないんで、ごめんなさい。
  40. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) ですから、私どもの作業上の一段階でそういうリストを作ったということは事実であります。それを作るに当たっては、各省とも内々相談した上で、取りあえず作業上の仮説として、法令の中に対象法令を全部書き込む場合のケースというのを正にブレーンストーミングをしたということで、その過程で出てきた一つの私どもの内部資料であるというふうに御理解いただければと思います。
  41. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 局長ちょっと飛ばしてしまったんですけれども、つまり私は、各省庁に依頼をして、それで今おっしゃられた生命、身体、財産にかかわるものに関してリストを出していただいたわけですよね。全く内閣府だけで、四百八十九本をこういうものじゃないかって各省庁に全くお願いしないで、内閣府だけでなさったんですか。
  42. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 今申し上げましたように、人の生命、身体、財産に影響を及ぼすということで、私どもで取りあえずその案を作って、それを各省に見ていただいて、見ていただいたということはあります。  ただ、各省にお願いして出してくれということで、各省から求めたというものではもちろんございません。
  43. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それじゃ、こちらで集めたものを省庁に出して見てもらったということは、粗チェックというのはできたって感じでよろしいですか。
  44. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 粗チェックができたかどうかということでありますけれども、私どものメルクマールとしてはこういうものが考えられるんだけれどもということでありますけれども、ただ、その中にいろんな法律、もう先生多分ごらんになっているかと思いますけれども、いろんな法律がその中に含まれております。本当に、果たしてこういうものを入れるのが、入れて通報させるのが妥当であるのかどうかということを考えたときに、それで最終的にこれで確定するというところまではまだ意思決定はされてないということであります。
  45. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、これから一本一本精査していくというようなことでございましたけれども、政令で指定するということのポイントですね。どういうポイントでそれを精査するんでしょうか。
  46. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) そこは、私どもの方で作業をして、その人の当該法令に対する違反行為というのが人の生命、身体、財産にどの程度深刻な影響を及ぼすかということを精査するということであります。その精査した結果の全体像については、またパブリックコメント等で国民一般の御意見等も踏まえながら政令を確定していくということをやらせていただければと思っております。
  47. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 局長、また飛ぶんですよ。  結局は自分たちで精査していって、そしてパブリックコメントというふうにいくんですが、今ここで、国会で審議をしているということが大変重要なことだと私は思っていて、昨日は独占禁止法と道路運送車両法について入るか入らないかということについてお聞きしたんですが、薬事法のことについても言いましたし、建築基準法についても触れました。  それについての回答はいただいていないわけなんですけれども、こういうことについての判断に向けてどんな精査をしていくのか、現在どのような状況か。昨日のに加えて、薬事法や建築基準法、これ今大変注目もされておりますので、それぞれ分析状況がありましたらお知らせいただきたいと思います。
  48. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 先ほど説明を省略してしまいましたけれども、当然のことながら、国会での御議論の帰趨というのがどうであったかというのはこの政令策定の際に反映させなきゃいけない大きなファクターだろうと思います。  それから、現実に法令違反行為で日々新聞等をにぎわしているような事件が多々起きている、そういうものを無視した形でこういう政令みたいなものを私どもで勝手に、そこを無視して勝手に作るというのも私としてはそれは許されることではないというふうに認識しております。
  49. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そうすると、例えば正に道路運送車両法というのは今非常に問題になっていて、こういうケース、だれでもがこういう問題に関して重大な不祥事だというふうに思っている、こういうケースについて、それから、これまで問題になっていたというものも一杯あるわけなんですが、そういうものを指定するのだというふうな過程で考えていきますと、昨日の段階でも、全部後追いですよね。全部後追いです。物が起きてからの全部後追いになっちゃうんじゃないんでしょうか。
  50. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 全部後追いというふうにおっしゃいますけれども、そこは法令が、罰則の付いた法令があるというのがあって、それをその対象にするということでありますので、今この時点でその規制法等が存在しないものについてこの法令対象に入れるというのはなかなか困難なことだろうと思います。
  51. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 多分、意見が少しずつ違っているからこういうふうに擦れ違っているというふうに私も分かるんですけれども、やっぱり過去に学びながら作業をすることが重要だ、これは確認できると思うんですが、しかし、通報して不祥事が判明したケースに学んでいくということも大事で、そして、これまでに起こった事故をもう事前に分析をして、起こったら起こったらというその事実だけじゃなく、過去に起こったたくさんの事実を分析して、その原因がどの法令にあるものだったんだろうかと、関係するものかということを挙げて、そしてきちんと決めていくということが重要だというふうに思うんですね。それについてはいかがですか。
  52. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) そこは全く岡崎先生がおっしゃるとおりだろうと思います。  何かある事件が起こってそれでその被害が生じてきたときに、そこをどういうふうに対応していくのかというのを、それは各省庁がそれぞれの自分の所管の分野でまずそこの対応策というのを考えていただくというのが基本なんだろうと思います。その上でその規制法等が講じられるということになりますと、初めてこの通報対象範囲として挙がってくるということになるんだろうと思います。
  53. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この七つの法のほかに、八つ目のところで、個人生命、身体そして消費者の利益保護とか環境保全、公正な競争の確保その他国民生命、身体、財産その他の利益保護とありますが、そのほかの利益はここには何が入りますか。
  54. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 正に今回のこの法律の中の例として個人情報保護法という例をお示ししてございますけれども、正にここに掲げてある分野の周辺分野みたいな形で、個人情報保護法等の法益侵犯というのがあったようなケースというのを念頭に置いております。
  55. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私、政治資金規正法ですとか公職選挙法ですとか載せないということになったということを、昨日簡単にそれを言ってしまいましたけれども、今日それについてはお聞きしませんけれども、いろんなものが入る。私はいろんなものを入れるべきだというふうな考えを持っているわけなんですね。そして、国民生命、身体、財産に当たらないようなものであったとしても、そのほかの利益の中に入れていくべきだろうというふうに考えているんですけれども、昨日の御答弁の中で、法律改正、廃止されたりするので、一々それを、法律を入れてしまうと、これは改正されました、廃止されました、書き換えなきゃいけないので、それでそれを何か政令に落としてしまったというか、落とすという言葉は合わないかもしれませんけれども、それを政令にしたというような御説明もあったわけなんですが、私は、法律に書かずに政令にしましたよというその説明と、何を政令で定めるかというのは、これは全く分ける理由にならないというふうに思うんですね。  法律の改廃とかなんかが問題にして、だからもう政令にしちゃったのよという説明局長はされていたというふうに思います。だけれども、それは何を政令として定めるのかという、その言わない理由にはならないだろうなというふうに思っております。これは、私が申し上げて、答弁は求めませんが。  昨日の続きに戻りますが、一般労働者通報対象事実であるか否かを判断できるだけの法律の知識を要求するのは非現実的だということを昨日申し上げたわけなんですが、そもそも専門家にとっても大変に難しいということを申し上げたいというふうに思うんですね。罰則の対象となるかどうかの判断が困難な場合が非常に多いわけなんです。  例えば、山城養鶏生産組合が半年前の卵を売った偽装表示問題なんですが、この問題に関する京都府の見解を見ますと、興味深いことが書かれてありました。  食品衛生法に係る多くの事務が国から法定受託している事務であることから、国に見解を問い、対応してきた。結果、平成十五年十二月の時点では違法とまでは言えないというふうに国が答えた。京都府としては、国の見解の範囲内で取り得るできる限りの措置として、文書による行政指導をするにとどまらざるを得なかった。今年の一月になって、厚生労働大臣が当初の見解を変更して違法との見解を示したので、改めて法の解釈の権限を有する国の見解に従って、一月二十日になって食品衛生法違反として一週間の営業停止処分としたと。  ですから、問題が発生してから国が違法と判断するまでどのぐらいの時間が掛かったかといえば、この一、十二月の時点で、一月二十日ですから一か月とちょっとかな。もっと早かったんでしょうか。そこもちょっと知りたいなと思ったんですが、二週間ぐらいでそうだったのか、それは御存じですか。
  56. 遠藤明

    政府参考人(遠藤明君) この件につきましては、まず昨年の十二月十日に京都府から厚生労働省の方に食品衛生法の解釈について照会がございました。その際に、厚生労働省の解釈が京都府に十分に伝わらなかったために、京都府側は本件が食品衛生法違反に問えないというふうに理解し、処分を行わなかったというふうな状況であったものであります。  その後、問題食品の回収がほぼ終了いたしまして、一月に本件に関する報道がございました。その際、改めて厚生労働省において詳細な情報を入手したところ、法令違反のおそれが高いと判断をしたため、一月十五日までに京都府に対しまして山城養鶏生産組合から報告等を徴収するよう、あるいは十六日に施設への立入調査を行うよう指導をしたというふうなところでございまして、最終的には一月二十日に食品衛生法第十一条第二項違反ということで七日間の営業停止が命じられたという経緯でございます。
  57. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そもそも、最初に違法と判断しなかったというのはなぜでしょうか。
  58. 遠藤明

    政府参考人(遠藤明君) 十二月の時点で京都府からの問い合わせが、この事実をどの条文での違反と解すればよいかという点で、具体的に条文を挙げて、これに違反しますかというふうな問い合わせになっておりまして、その照会された条文には該当しないというふうな答えを当方がいたしました結果、京都府側は全体に食品衛生法違反を問えないと判断をしたというふうな経緯がございました。
  59. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 とにかく、直ちに法令違反と分からない、多分法律の専門家でも行政の専門家でも分からなかったんですね、この結果として。それから、一般の労働者にこの法案が求める法律の知識、それを要求するというか、大臣もこれについては持っているだろうというようなことで昨日御答弁されているんですが、どう考えてもやっぱり無理ですね、そういうことでいいますと。ですから、ごく一部の詳しい人以外は公益通報するに値しないと言っているように私には聞こえてしまうわけなんですけれども、どうなんでしょうか、この辺。
  60. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 行政庁が、ある事実があって、それが法令違反になっているかどうかというのを判断するケースと本件のケース、つまり通報者通報するに当たって判断するというのは、判断するケースというのは、物すごく中身において違うんだろうと思うんですね。  つまり、この法律では、通報者通報の時点で通報対象事実について真実相当性があるというふうに、あるいは通報対象事実があると思えば内部には通報できますし、その通報対象事実があるということについて真実相当性があれば、行政機関あるいはその事業者外部へ、事業者外部の場合にはもう一つその要件が上がってきますけれども、通報できるわけですよね。だから、そこは、行政機関に求められるほどの厳密な法律該当性の要件みたいなものを私どもがこの法律で求めているかといったら、そこはそうじゃないということであります。
  61. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 例えば業種ごとにどのような事例が公益通報対象となるか具体的に示すなど、労働者にとって分かりやすい広報に努めたいということも御答弁としていただきましたが、一体どのような広報をすれば十分だと考えているのか。まともにやろうと思えばこれはもう本当に際限がなくなっていくというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  62. 西川公也

    大臣政務官(西川公也君) この法案、今国会で成立をさせていただけますと、これからの日程もだんだん明確になってまいりますが、私どもは、本年度中に、十七年の三月三十一日までに政令を定めていきたいと、こういうスケジュールを持っています。そして、施行を十八年の四月ころにスタートできればと、こういうことであります。  そうしますと、その間に労働者の皆さん、あるいは企業の皆さん、あるいは一般国民の皆さんにこの事実をよく分かってもらわなきゃならないと私どもも考えております。そこで、私どもは、解釈指針、逐条解説的なものをまず作ろうということで今作業をしています。さらには、ハンドブックを作って、通報者、すなわち労働者向けに分かってもらえるようなもの、これを政令の制定と併せて作っていきたいと、こう思っています。  それらができると同時にですが、業種ごとに、経団連なら経団連を通して各業界の皆さんともよく意見の交換をしながら周知徹底を図っていきたいし、労働者の皆さんに対しましては連合等を通じながら労働組合等と接触をしましてよく理解を得られるように努力をしてまいりたいと、こう考えております。
  63. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 文句ばっかり言っているような感じに取られては困るんですけれども、解釈指針を出したりハンドブックとかというのを、いいように思いますけれども、何となくその具体的な例というのが、公益通報対象となると考えられているような事足りるケースしか載せない、ちょっと待て、それは保護されないとか、何か出てくるのが想像できるという感じなんですけれども、こういう場合は通報してよいみたいな、分かりやすいもので、でも限定してしまわないということを、私は是非、保護対象を本当に広くしてほしい。  もう中学校の段階からこういうようなことについて勉強もしながら、本当にみんながきちんと分かるようなことでもしない限り、特訓コースでも作らない限り、私は一般の人たちがこれについて理解して、どれが法令違反でということについて、通報できるかどうか、ふだんからそんなこと考えないので、私はもうそういうことでもしない限り徹底されないんじゃないかなという、そういう心配をしているんです。  是非、保護対象が限定されないということを心から祈ります。よろしいでしょうか。
  64. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 御趣旨を踏まえて、説明の資料等々についても、いやしくもその対象範囲を狭めるとか、そういうような趣旨で作るようなことは決してしないというふうに思っております。
  65. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大臣は、労働者は一般国民とは異なって、自らが従事する事業に関連する情報については一定の知識を有していると考えているというお話は昨日しましたよね。失礼いたしました。  それで、次の質問は、もうちょっとできるわけですよね。昨日の、そうですね、昨日のその議論の中でNPOの問題が出てきておりました。環境問題があって、こういう環境問題を消費者団体に通報する、あるいはまたこの環境問題は環境NPOに通報する。これ、同じNPOでも違う団体ということになるわけなんですけれども、この同じ環境団体が物を言うのにも、環境団体もまた細かく限定するということがあるかないかについてお聞きしておきたいと思います。何かケース・バイ・ケースというのが昨日非常に多かったので、お聞きしておきたいと思います。
  66. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 一般論として申し上げれば、環境法令違反について環境団体に通報することというのは、社会通念上、被害拡大防止のために必要と考えられることでありますので、これらの場合には外部通報先に含まれるというふうに考えております。  それから、環境団体というのは、一般的には環境の保全を目的としている団体でありますけれども、法令違反行為に対して、例えば有害な公害物質が排出されている場合に、その周辺住民へ通知をするとか、あるいは違法行為を行っている事業者へ働き掛けるとか、報道機関等を通じた事業者名の公表をするとかいうような形で被害の防止拡大を図るということが考えられます。こうした環境団体が通報を受けた場合にその内容を報道機関に例えば通報するというようなことをしますと、その当該環境団体の責任において行われるということであります。正に二次的にやるということでもってその外部通報先に該当しなくなるということはないというふうに考えております。
  67. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 何か、頭がクリアでないものですからよく分からなかったんですが、同じ環境NPOでも個々にこれは違うということはないかどうかだけ簡単にすぱっとお答えいただけると有り難いです。
  68. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 環境団体、きちんとした活動をしている環境団体であれば、外部通報先に入ります。
  69. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 匿名通報保護はされますでしょうか。匿名で通報した人。
  70. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 匿名の通報をして、最後まで匿名を通せば、通すことができるんであれば、その人が事業者から不利益を被るという可能性はないですよね。だから、その場合は対象外であります。  ただ、最初匿名の通報で始まったということがあったとしても、それが途中で匿名が顕名になっちゃったというようなケースが出てくるんだろうと思います。そういう場合には、当然のことながらこの法律対象になるというふうに考えております。
  71. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 昨日、判例水準の切下げがないということで、私もまたよろしくお願いしますと申し上げましたけれども、もう一回これを詰めておきたいと思うんですが、判例水準の切下げがないというのはどうやって担保するんでしょうか。  こちらが司法に対して口を出せば三権分立を侵すことになってしまいますね。立法府が司法に伝えるメッセージというのは法文と附帯決議です。でも、附帯決議は六法に載らないということを昨日申し上げました。私たちの責任だと思います、この場だというふうに思うわけなんですけれども。これを提案する行政府は、だから本当に大事にこの議論の場で漸進的なお答えをしていっていただきたいというふうに思うわけなんですけれども、その点についてどうやって判例水準を切り下げないのか、教えていただきたいと思います。
  72. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 具体的にどうやってやっていくのかというのは非常に難しい点はあるんですけれども、基本的には、今回のこの法律についてその立法趣旨をきちんとPRしていくということに尽きるんだろうと思います。  いずれにしても、これ、今回こういう形で、正当な、誠実で正当な通報であれば、それに対してきちんとした保護が受けられますよということを言うわけですので、それは、こういう法律の形でメッセージを見た裁判所の方でも、裁判官の方でも、ここで我々が託そうとしているメッセージというのはきちんと読み取っていただけるんじゃないかなというふうに思います。  これまで一般法理について、正に通報を介した一般法理の事件というのが何件か起こっていまして、そういうところで、まあ若干ながらも判例が積み上がってきているということであります。そこで積み上がってきている判例をずっと延長していくということをやっていただければ、我々が目指している、この法律で目指している方向と違った結果にはならないというふうに思っております。
  73. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 もう時間が過ぎてしまいましたから、私はまだまだ実は質問を用意しておりまして、お聞きしておかなければならないことを全部できていないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  74. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  75. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、公益通報者保護法案及び国の行政運営適正化のための公益通報に関する法律案、両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。昨日に引き続きまして、御質問させていただきます。  昨日は外部通報要件ということで、主に三条の三項のイ、ロ、ハ、ニ、ホについて御質問したんですけれども、そのことで御答弁、私が十分に理解できていないというようなところも多分にあると思いますが、もう少し明確にさせていただきたい部分がありますので、最初にその件について御質問したいと思います。  特に、三条三項のニのところです。このニのところで、「書面により第一号に定める公益通報をした日から二十日を経過しても、当該通報対象事実について、当該労務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該労務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わない場合」というふうになっております。これはもう、ですから、どう読んでもどう理解していいのかが分からない部分がありますので、細かくなりますけれども一つずつ確認をさせていただきたいと思います。  これは、二十日を経過しても調査を行う旨の通知がない場合は外部通報ができるということですね。
  77. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) そのとおりでございます。
  78. 神本美恵子

    神本美恵子君 次に、それでは、その後に掛かってくるんですが、「正当な理由がなくて調査を行わない場合」というのも、「二十日を経過しても、」という言葉がここに掛かっているのかどうかで判断がちょっと違ってくると思うんですが、二十日を経過しても調査を行わない場合というふうに読むのか、それともそこは、そこには掛かっていないのかいるのか、ちょっとそこを。
  79. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 「二十日を経過しても、」という部分はここには掛かってこないということであります。
  80. 神本美恵子

    神本美恵子君 それでは、ここは、正確にはここに点か何かがないと、このとおりすっと読むと掛かってくるように受け取れるので、そこは一つ指摘をさせていただきたいと思います。  掛からないということで、それでは通報した方はその労務提供先、会社、事業者が調査を行わない、正当な理由がなく調査を行わないということをどの時点で判断していいのか。このままでは調査を行うか行わないかは、「二十日を経過しても、」という期限がはっきりしておりますけれども、調査を行わないのではないかというようなことはどの時点で判断をしたらいいのでしょうか。
  81. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 今の御質問というのは、これ正に法令違反行為の中身に依存するんだろうと思います。つまり通報をして、通報を受けた事業者が簡単にその事実があるかないかというのをチェックした上でその相手に通報できるケースもあれば、その事実の中身によっては、非常に大掛かりな調査が必要になってくるようなケースもあり得るということであります。  したがいまして、いつの時点になったらじゃこれ外部に通報できるのかという御質問なんですけれども、個々の案件によって調査に要する期間というのを合理的に、合理的な範囲内の調査に要する期間というのがあるはずなんだろうと思うんですね。そういう意味で、いつまでかというふうに一般的に聞かれたらいつまでというふうに一律に答えられないんですけれども、そこは正に案件の中身に応じて判断していくということになります。  ちなみに、原子炉等規制法に基づく当該法令、当該法令に対する違反の申告のケースでありますけれども、これは原子力保安院で定めておりますガイドラインによりますと標準処理期間というのを設けておりまして、標準的には六か月というのを、標準処理期間として六か月という期間が置かれているということであります。
  82. 神本美恵子

    神本美恵子君 今最後に原子力保安の関係では六か月というような期間があると。そういう明確な場合はいいんですけれども、すべての通報事実がそうでは、そういうふうに期間が定められていない場合、調査に要する期間、合理的に判断できる期間と。ということは、これは通報者にはそれが合理的な期間なのかどうかという判断ができないということですので、事業者側なりがまだ時間が掛かる、まだ時間が掛かると言えば、特にそういう定めが何かの規則でない場合は、事業者側にゆだねられた期間待たなければ外部通報できないという意味ですか。
  83. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) この規定趣旨でありますけれども、これは誠実で正当な通報がなされれば、労働者がそういう誠実で正当な通報を行えば、それに対して事業者もきちんとした調査を行い、その上で通報対象事実があるというふうに判断すればそこの是正を講じることを期待するという旨のこれ規定になっております。したがいまして、不誠実な事業者の対応というのを許すものではないというのがまず前提であります。  その上で、いつまでたっても通報者は判断できないじゃないかというふうにおっしゃいましたけれども、ある案件によって合理的な範囲で、まあこの案件であればこの程度の調査期間があれば判断できるはずだよねというのは、ある種の基準みたいなものはあるんだろうと思うんですね。それを超えてずっと引き延ばしがなされているという状況であれば、それはそれでほかの外部通報要件になりますけれども、証拠隠滅されるおそれがあるとか、あるいは人の生命、身体に差し迫った危害が及ぶおそれがあるとか、そういうような部分にかかわってきますので、そういう要件が該当されれば、それは外部に出せるということになります。
  84. 神本美恵子

    神本美恵子君 誠実な対応ということは、これは通報者側に誠実性、真実相当性というのが求められておりますよね。それを通報された側の事業者に誠実な対応を期待されるとおっしゃいましたけれども、事業者側の誠実な対応を担保する条文どこかにございますか。ここにそれが書かれていればそういうふうに判断を、理解をしていいと思うんですけれども、この条文ではそこまでは読み取れませんし、どこかほかに、通報者の側は誠実性、真実相当性ということが求められておりますけれども、受けた側の事業者の方はどこかにそれ読み取れるところがあったら教えてください。
  85. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 少し議論を整理させていただければと思います。  まず、この第三条三号のニでありますけれども、二十日を経過しても調査を行う旨の通知がない場合又は正当な理由がなくして調査を行わない場合に、外部通報保護対象にしております。  それから、この法文の三条の第二号でありますけれども、行政機関への通報というのは、通報対象事実が生じているか、又は正に生じようとしているということで、それを信ずるに足りる相当の理由があれば幅広く保護対象になるということであります。  それから、その第三条の三号のロでありますけれども、証拠隠滅のおそれがある場合には、事業者外部への通報保護対象にするということにしております。  したがいまして、そういうような構成になっておりますので、事業者に何度も問い合わせたけれども、毎回調査中というような回答で誠実な対応を事業者がしない場合には、行政機関とか、あるいはほかの外部通報要件に基づく事業者外部への通報というのが可能になるということであります。  それを事業者立場に立って見ますと、行政機関への通報でありますとか、あるいは報道機関等の事業者外部への通報が行われるリスクがあるということでありますので、そのリスクを避けるという観点からは、正当な理由があって調査を行わなかった場合においては、通常速やかにその通報者からの問い合わせに対して誠実に回答を行うというふうに考えております。
  86. 神本美恵子

    神本美恵子君 ということは、誠実に対応をしていないという判断を通報者側がする、そのときは、その判断は通報者がしていいというふうに、事業者側は正当な理由なく調査を行っていない、誠実に対応していないなということは、通報者がいつの時点とは言えないけれども判断をしていいという意味ですか。
  87. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) そこを正に通報者が判断して、それが係争になれば、自分がそういうふうに思ったことについて過失がなかったということを証明できればそれは救われるということになります。
  88. 神本美恵子

    神本美恵子君 それは後日にまつということでは、安心してその通報者は、ただ安心してという意味は、保護対象になるんだという安心を持って外部通報ができるかできないかということが安心全然できないわけですよね。  ですから、私はここは、前の比較表を持っているんですけれども、国生審の報告では相当期間内に措置がなされない場合というふうになっていた部分だと思うんです、これは。それが相当期間というのが、相当期間内というのが、次の骨子案では二週間というふうになっていたものが、この法案では二十日間になって、まあ日数のことはちょっとまたおいておいて、その期間内に措置がされない場合、措置がされない場合というのと調査が行われない場合というのとは全然違うと思うんですね。ですから、明確に措置が行われない、これは明確だと思うんです。  何でこういうふうに不明確になってしまったのかということを、ちょっと質問がずれますけれども、判断は通報者がしていいということはもう一つ確認させていただきましたので、ただ判断する根拠が後で争われて、それは駄目だったって保護対象にならないということはまた大きな問題ですけれども、いかがですか。
  89. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) そこは基本的には通報者通報の時点で判断する話であります。それを係争になったら裁判の過程で立証するということであります。
  90. 神本美恵子

    神本美恵子君 それについては、非常にこれでは通報者保護にはならないなということを御指摘しておきたいと思います。  もう一つのそれにかかわっての質問ですけれども、国生審の報告の段階では、措置を行うところまでここでは提案され、提案といいますか報告がなされていたのに、骨子案では、期間が延びて、さらに措置ではなくて調査だけになっていますよね。こういうふうに変わった理由は何なんでしょうか。
  91. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 措置を行うということと、二十日、二週間の話というのが、二つの話が混在しております。  まず、措置を行うということがその国生審の報告の中では入っていたんですけれども、これどういう是正措置を行うかというのは、正に調査以上に、通報があったときの調査に掛かる日数以上に具体的な是正の措置を行う期間というのはもっと分からないですよね。正に個々の案件ごとによるわけですよね。そういうことで、具体的な措置を行うということをこの中には入れておりません。  そこは、先ほど来申していますように、具体的な措置をどの時点までに行うかというのは、それは正にケース・バイ・ケースで、合理的に判断できる範囲内の期間で正に通報者に判断していただくということだろうと思います。  それから、二週間、二十日の話でありますけれども、それは、通報を受けて、それに対して調査をする旨の通知をする期間という形で、当初二週間というふうに定めていたんですけれども、パブリックコメント等の御意見で、通報が到達してから二週間だと曜日の関係等もこれあり、あるいは内部での意思決定のプロセス等の問題もこれあり、二週間では短いから二十日にするということにした次第であります。  したがいまして、二十日という期間は、通報を受けて、それに対して事業者の方から調査をしますよという回答期限として二十日というのが置かれていると、そういうことであります。
  92. 神本美恵子

    神本美恵子君 それはもう何度もお聞きしましたので理解をしているんですけれども、今御答弁の中で、中でじゃないですね、国生審の報告のときの措置を行わない場合って、これは明確だと思うんですね。そういうふうになぜしなかったのか。今御答弁でおっしゃったように、合理的期間内に措置を行わない場合というふうに書かれていれば、通報者はより判断が、通報者に、後で裁判になったときに、通報者に判断ができるのはいいんですけれども、判断が間違っていたというような責任がかぶってこないと思うんです。法律でそこをきちっと少しでも明確に判断できるようにしておけばいいと思うんです。  ですから、ここはそういうふうに書かれれば、通報者が判断して外部に言っていいんですよと、措置が行われないということで、というふうに言えると思うんですけれども、これは意見ですので、あえて答弁求めてもまた同じことしか返ってこないでしょうから。何かございますか。
  93. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 国生審の報告で、「その他の事業者外部への通報」ということで、それの要件の一つで、「当該労働者事業者内部又は行政機関に当該問題を通報した後、相当の期間内に通報」「となった事業者の行為について適当な措置がなされない場合」というふうに書いてございました。この「適当な措置がなされない」という部分がこの法案の中では抜けているじゃないかという御指摘であります。  この「適当な措置」がそもそも何であるのかというのは非常に分からないわけですよね。そこが非常に不明確でありまして、これを、「適当な措置」というのを法案の中に要件として書き込めるのかどうかという議論があって、それはどうもこういう要件とするには適切ではないんじゃないかというようなことで、ここの部分を入れておりません。  先ほど来申していますが、事業者の中に通報して、通報して、その事業者がそれに対してきちんとした対応を行わない場合というのは、それこそ行政機関への通報もできますし、それから事業者外部への通報もできるわけですから、自律的に事業者の中で適切な措置が取られるような、そういうような枠組みにしているということであります。
  94. 神本美恵子

    神本美恵子君 それは、外部にしていいけれども、したことが後で、あなたがここで何でしたのかと、まだ調査中じゃないかというような事業者と争いになったときに、そうなっては保護されないことになる、そのことが心配なわけですよ。だから、このイロハニのニというのは、外部に通報していい要件の一つとして非常に不明確で、通報者に負担が掛かるというふうに私には読めてしまいますので、その点についていかがかということで、政務官、うなずいていただいておりますけれども、何かコメントございますか。
  95. 西川公也

    大臣政務官(西川公也君) 先生の御指摘のとおりなんですね。  通報、もういつまで待っても来そうもないから通報したと、こういうことなんですね。片方、企業の方は適当な措置をやれということは義務付けられておりますけれども、通報者から見て適当な措置ではないと。しかし、その通報された側は、自分たちは適当な調査をやって措置を考えているんだというと、判断がここで分かれますね。分かれますから、先生が御心配のように、通報した人は自分の判断で通報したと、そして当然守られるべきものだと思ったと、思ったけれども、これは第三者から見てどちらが正しいかという疑義は残るということは事実だと思います。  そこで、問題は、原子力のように六か月たったらという、こう日にちを区切れればいいんですけれども、今回はケース・バイ・ケースによって大分物の取扱いが違うということもありまして、日にちは挙げませんでしたが、やっぱり迫るところは、通報を一度、内部通報されたと、受けた方の企業のやっぱり倫理観をしっかり醸成していって、来たものはしっかりやれと、こういうことを私どもは理解してもらうことに最大限努める必要があると、こう考えております。
  96. 神本美恵子

    神本美恵子君 よく分かりました。  ただし、じゃ企業側が、会社側が誠実に対応しなければいけないということなんですけれども、そのことに関しては九条で、今度はまた、これとはちょっとまた離れますけれども、関連をして、九条では是正措置等の通知ということがあって、こういう是正措置を取りましたよということを、あるいはその対象事実を、あるいはじゃありませんね、この是正措置の中身として、対象事実を中止した、あるいは是正のために必要な措置を取った、あるいはその対象事実はない、認められないと、通報者の方が間違っているというような判断をしたと、いずれにしろ、そういった何らかの是正措置の通知をしなければいけないようになっていますが、これが努力義務なんですね。  これで本当に政務官おっしゃったような誠実な事業者側の対応を担保できるだろうかという疑問があるんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  97. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 今おっしゃいました第九条の事業者の是正措置等の通知というのは努力義務としております。これ、通報者事業者による是正等の措置を期待して通報しているわけでありますので、事業者が実際に是正等の措置を取ったかどうかについて通報者に通知すべきことというのは、ある意味では当然のことであります。  一方で、事業者によるそのような通知を法的義務ということにすることについては若干の問題があるというふうに考えております。  その問題の一つとして、例えば、従業員の犯罪行為について通報があった場合に、事業者は捜査機関等の行政機関と異なって強制的な調査権限を有していないということでありますので、可能な限りの調査を行っても通報事実が把握できないようなケースというのもあり得る。  それからもう一つは、小規模な任意団体等の場合には、内部への通報があっても内部調査を行う体制が整備されていないということで、内部での通報事実が把握できないような場合があるということ等がございまして、その結果として通報者に是正措置等の通知を行うことができない場合も想定されるということで、義務とすることは適当ではないと判断した次第であります。  なお、通報者には通報先として、その事業者内部だけではなくて行政機関とかあるいは事業者外部という選択肢も用意されているわけですから、仮にその事業者からの通知がない場合に、行政機関とか事業者外部への通報を検討していただくということになっていくということであります。
  98. 神本美恵子

    神本美恵子君 誠実な対応をどのようにこの九条で担保できるのかという質問をさせていただいたんですが、こういうふうに努力義務にしたのは事業者側にいろんな都合があるからと、簡単に言えばそういう、事業者側への配慮の御説明だけしか今御答弁いただいておりませんので、どのように誠実な対応を担保できるんですか。
  99. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 事業者内部通報して、事業者がそこで誠実な対応を行わない場合というのはあり得るんだろうと思いますね。  そういう場合には、この法律行政機関への通報でありますとか、その他事業者外部への通報の道が開かれているということであります。事業者にとっては、正に自らの不祥事行政機関通報されるとかあるいは報道機関等の外部に通報されるというのはリスクでありますので、そこを回避しようとすれば自律的に誠実な通報をするというインセンティブが働く、正にそういうような構成にしてあるということであります。
  100. 神本美恵子

    神本美恵子君 外部なり行政機関通報できると、そういう道もあるということを今おっしゃいました。そのことについてまた後で聞きたいんですが、先ほど政務官の方で、私、もう一個お聞きしようと思ったことを御答弁いただいたんですけれども、例えば、昨日も言いましたけれども、会社側が調査をしたと、その調査結果が通報した人がした事実と違う、ある意味では通報者からすればそうではない、間違っている調査結果が出た場合、そのときには外部通報に移っていいんですかね。  要するに、事例としては、昨日も言いました、三菱自動車のハブに欠陥があると技術者は思った、そのことを通報した、このままでは事故が起きるということで通報したら、会社側はそれは整備不良だという調査結果を出してきた。そのときは、これでは未然に被害を防止できないと、そういう事故を防止できないと思って、通報者は外部に通報していいんですね、これは。
  101. 西川公也

    大臣政務官(西川公也君) 日本の企業経営の中で、不正な事実がここへ来て内部通報でたくさんの問題が出てきたと、これは事実ですね。しかし、今まではそういう通報をもらったけれども、企業経営者が果たして適当な対応を取ったかどうかというと、取られないケースがたくさんあったと。だから、ここへ来てこういうものが露見をしてきて大きな社会問題になったと、こういうことも事実だろうと思うんです。  そこで、今、外部通報の道が開けてありますから守らないと困りますよという話が局長から申し上げておりますけれども、確かに通報を受けた、しかし、私どもは、対応しないけれども対応しているんだしているんだというような姿勢で企業経営をやっておりますと、大きな問題に発展した例がたくさんあったわけでありますので、日本の企業経営の問題は竹中大臣が専門でありますけれども、私ども一般的な国民の感覚から見ても、通報されて対応しない、こういうことがあれば、外部通報の道が開けておりますので、これは企業経営そのものにとって決してプラスにならないと、こういうことを企業経営者の皆さんにも分かってもらえる法律だと、こういうふうに受け止めておりまして、確かにいろいろ議論をするところありますけれども、中間部分がありまして、しかし少なくとも企業経営のトップの皆さんが一生懸命やってくれて、国民生命、身体、財産を守ると同時に自らの企業も守れると、こういうことで非常に前向きの対応をしてくれるものだと。こういうことで私どもはこの規定そのものを努力義務規定にしたと、こういうことであります。
  102. 神本美恵子

    神本美恵子君 先ほどのように評価が通報者事業者側と違っていた場合も、このイ、ロ、ハ、ニ、ホのどこに当たるのかがちょっとよく分からないんですが、外部通報できるということですよね。それは分かりました。  それでは、それともう一つ、今度はホにまた、昨日も御質問したことなんですが、昨日、局長は、このホの要件のところで、私は六本木ヒルズ回転ドアのことを申し上げたんですが、結論的には、構造上の欠陥があって事故が続発しているというような場合にはここのホに当たって、外部通報の要件をクリアして外部通報できるんだというふうにおっしゃいましたけれども、その中で、その事故というのは業務上過失致傷・致死に当たるような事故が続発しているというようなことをおっしゃったように私は聞いたんですけれども、そこはそのようでいいんでしょうか。
  103. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 業務上過失致死傷罪については先生が今おっしゃったとおりだろうと思います。  道路運送車両法違反でありますリコール隠しのような場合でありますけれども、これは道路運送車両法違反ということであれば、実際に事故でけが人が発生していなくても、リコール隠しを行った時点で通報対象事実に該当することになるというふうに考えております。
  104. 神本美恵子

    神本美恵子君 いや、もう三菱自動車ではなくて回転ドアのことをお聞きしたんですけれども。  ここでは、ホのところは「個人生命又は身体に危害が発生し、」、これがまさしく挟まれてけがをしたり亡くなったりという、そういうことだと思うんです。「又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由」、この急迫した危険というのは業務上過失致傷にまで行かなくても冷やっとした経験が幾つもあると、それから、けがまではいかないけれども挟まれて危ない状態が続発しているという場合もこのホに当たるんですかということをお聞きしているんです。
  105. 西川公也

    大臣政務官(西川公也君) 六本木ヒルズの問題は今捜査中と、こういうことで、私どもも直接言葉を挟めない、こういう状況にあろうかと思うんです。  それで、局長が何度か申し上げております、何度も事故があったと、それからリコール等の問題等も表に出てきておったと、しかしながら、それでも大丈夫だという判断を下したものについては外部通報ができると、こういう考え方を申し上げてきました。  ところで、一般論として、回転扉が今まで事故を起こしていないと、あったとしてもそれが世間に伝わっていないと、こういうところで、設計者の皆さんも施工者の皆さんも安全だと思って造り上げてきたはずでありますので、ここは途中で事故が起きたとか、起きているとか、急迫した状況にあるとか、こういうことが判断できない部分については一般的には外部通報対象にはならないけれども、何度か起きておって、それを当然改善すべきだと、こういう事態に至っているものについて外部通報が適当だと、こういう考え方でございます。
  106. 神本美恵子

    神本美恵子君 ということは、必ずしも業務上過失致傷に当たるところまで行っていない時点でも、そう判断すれば急迫した危険ということで外部通報できるということでいいですね。
  107. 西川公也

    大臣政務官(西川公也君) ですから、その危険度の問題でありますが、外部通報しました、それで事故が、つながったということになれば、これは当然、通報した人の通報そのものが社会に大きな警鐘を投げ掛けてくれたということで非常に法律趣旨にぴったり合いますけれども、通報はしたけれども事故は起きなかったと、こういうケースもあるかもしれませんし、これは個別のケースによって判断されると、こういう解釈であります。
  108. 神本美恵子

    神本美恵子君 だから、これもまた結果的なことになってしまって、明確化するために、外部に出す要件としてはこういう限定的な列挙にされているということについては、これが本当に適当な要件なのかなということはますます疑問を持ちます。  ここは、急迫した危険というよりも、公共の利益が著しく阻害され若しくは阻害されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由というような表現にした方が、後でそれはやっぱり事故が起きなかったじゃないかということではなくて、これだけの事故が続発しているのでおそれがあったんだということで通報者が守られると思うんですね。  ですから、そういう意味で、ここの表現についても、私は、明確化するということで、結局は通報者が外部通報しにくい、やっぱり踏みとどまらざるを得ない要件になっているのではないかなということを指摘したいと思います。  そこで、これも御提案なんですけれども、昨日と今日にわたって何人もの方が質問の中で、ここに一般的保護要件を入れられないかと。こんな限定的な列挙では萎縮させる、外部への、未然防止、被害拡大防止のために外部通報した方がいいと通報者が判断しても、やっぱりそこを萎縮させてしまう内容になっているのではないか、だから一般保護要件付けられないかということで意見が何回も出ているんですが、御答弁も大体分かっていますからもう少し質問を続けさせていただいてお聞きしたいんですけれども。  例えば、民法の離婚の規定のところですね、ちょっと手元に資料がすぐに──民法の七百七十条、この例が適当かどうか分かりませんが、離婚の訴えを提起する、「夫婦の一方は、左の場合に限り、離婚の訴を提起することができる。」として、「一 配偶者に不貞な行為があつたとき。」、明確ですよね、「二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。」、「三 配偶者の生死が三年以上明かでないとき。」、「四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込がないとき。」というふうに限定的にはっきりとした理由が書かれていて、しかし、これ以外の理由では、じゃ絶対に離婚の訴えをすることができないのか。事実上破綻してもう別居生活になっているとかいうことであっても、これだけでは離婚できない、使えないということになりますが、五として「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」というように、その他の要件が付けられているんですね。  ですから、こういったふうに、この限定的な列挙では萎縮させてしまう、外部通報を萎縮させてしまうということを防ぐために、本当に事故や事件の未然防止、被害拡大を防止するためには一般保護要件が必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  109. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 今、神本先生おっしゃっていました、公共の利益のために外部通報が相当であるというような一般条項を置くということであります。  そういう一般的な規定を置くことについては、個別の外部通報保護されるかどうかについての予見可能性が害されるわけでありますので、通報のたびに裁判所の判断を仰がなければならなくなるというようなことも考えられますので、通報者保護にはつながらないというふうに考えております。
  110. 神本美恵子

    神本美恵子君 一般保護要件は入れられないということですか。
  111. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) おっしゃるとおりです。どうか御理解いただければと思います。
  112. 神本美恵子

    神本美恵子君 ここはもう昨日から何人もの方が指摘をされているんですけれども、どうしても入れられないと。入れられない理由が、ここのイ、ロ、ハ、ニ、ホで明確化しているんだ、予見可能性ということで限定列挙にしているんだということを繰り返されますけれども、ずっと指摘させていただいていますように、これは明確化ではなくて、本当に限定化して萎縮させることになっているということを繰り返しになりますが指摘をさせていただきたいと思います。  そこで、次に、この公益通報の定義のところに、「まさに」という、これは二条の定義のところで、「対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている」というふうな表現になっておりますけれども、これは、昨年十二月の公益通報者保護法案骨子案では、また二月に発表された法案要綱では、いずれも、通報対象事実が生じ、又は生ずるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由というふうになっていたと思うんですが、この法案では「まさに」というふうに変わっております。  こういうふうに変更された理由は何なんでしょうか。
  113. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) この制度の構築に当たりましては、労働者事業者との間の事実認識の差を極力生じさせないような明確な要件を設定するということが不可欠であろうというふうに考えております。  この場合、「生ずるおそれがある」という表現、「ある」との規定では、労働者が生ずるおそれがあると信じて通報した場合でも、事業者側からはその蓋然性が低いということで通報者解雇する可能性があるというふうに思っております。また、犯罪行為や法令違反行為が発生する蓋然性が低い状態で通報がなされ、その結果としてそれが真実でないというような場合には事業者の正当な利益が害されるということも考えられます。したがいまして、保護される通報の要件をより明確にする表現ということで「まさに生じようとしている」ということで、より「生ずるおそれ」というよりも切迫性を前面に出したということであります。
  114. 神本美恵子

    神本美恵子君 事業者労働者の事実認識の差を防ぐためということで入れたというふうなお話ですけれども、以前の案の、おそれがあると信ずるに足りる相当な理由というふうになっていますよね。この相当な理由ということがありますので、これは主観的な労働者の側の思い込みではなくて、客観性がここでは求められていますから、そういう客観的なものであるとすれば、「おそれ」を「まさに」というふうに変える理由にはならないのではないかというふうに思います。  御答弁では、切迫性を入れたと。切迫性はまたちょっと違う要件ではないかなと思うんですが、いかがですか。
  115. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 正に「まさに生じようとしている」ということで、通報対象事実の発生の切迫性、それから発生する蓋然性が高い場合をいうというふうに、そういう場合をこの要件にしたということであります。
  116. 神本美恵子

    神本美恵子君 そこで、これもまた、もう時間は余り残されていないんですけれども、このじゃ「まさに」というのはどのような時点を指すのかということを、また六本木ヒルズで申し訳ないんですが、その例でお聞きしてみたいと思います。  この六本木ヒルズ回転ドアは個別の罰則付き規制法はありませんよね。ただ、通報対象事実として、刑法の業務上過失致死罪というものが今回適用されるのではないかと思いますけれども、それではこの場合、どの段階で通報対象に該当するというふうに判断したらいいのか。例えば、設計段階あるいは設置段階、使用前段階、事故の可能性が疑われれば、これは「まさに」というふうにどの段階で判断できるんですか。
  117. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 六本木ヒルズの件についてですね……
  118. 神本美恵子

    神本美恵子君 一般論としてでいいです。
  119. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 詳細に存じ上げていませんので、ピンポイントでどうだこうだという議論はちょっとできないんですけれども、先ほど来申していますが、正に一般論ということでありますけれども、事業者が業務上必要な注意を怠り、人を死傷させた場合には業務上過失致死傷罪に当たるということであります。したがいまして、この業務上過失致死傷罪に当たればこれ通報対象事実になるということであります。業務上過失致死傷罪でありますので、構造上の欠陥によって事故が続発しているにもかかわらず安全上の措置を怠っている場合には通報対象事実が生じているという場合に該当するということであります。  「まさに生じようとしている」というのをどの段階で判断するのかというお尋ねでありますけれども、それ正に事故発生の可能性というか、その蓋然性がどの程度強いかということを判断しなきゃいけませんので、それは個々の具体的なケースをきちっと見ないと、なかなかどうこうということは言えないというふうに思います。
  120. 神本美恵子

    神本美恵子君 それでは、本当にこれを通報して守られるんだろうかと。まず一番最初に、通報対象事実の判断が、通報者保護対象になるのかどうかの判断が個々のケースを見ないと分からないというのでは、これは、生命、身体、健康、財産の安全のために通報した人を守ろうという法律であるべき、あるはずなのに、そういう本来の目的を達することができないのではないかというふうに思います。  そこで、もう何かどういうふうに聞いていいかだんだん分からなくなってきたんですけれども、先ほどと繰り返しのように皆さんお考えかもしれませんが、先ほどのは外部通報するときの要件として急迫した危険があるのかないのかとか、事業者労働者の間に調査結果にそごが出たときどうするかという問題で、今お聞きしているのは、二条の通報対象事実をどのようにとらえるかということでお聞きしているわけですね。  こちらも「まさに」ということで、急迫というか、切迫性、急迫性が求められておりますので、どの時点で急迫している、切迫している、「まさに」というふうに判断していいのかということを今確認させていただいていますので、是非御答弁をお願いしたいんですが。  先ほどの六本木とはちょっと切り離して、人が挟まれるが傷害に至らない事故が何件か発生した場合は通報対象事実として「まさに」というふうにとらえていいのですか。
  121. 西川公也

    大臣政務官(西川公也君) 先ほどの質疑答弁がちょっとかみ合っていないところあると思うんですね。それは何かといいますと、回転ドアのやつも設計者も安全だと思って設計していますね。危害を加えようと思って設計しているわけじゃありません。それから、設置者も設計図どおりにやれば安全で快適な生活が送れると、こういう前提できたドアの件だと思うんですよ。これは何も六本木ヒルズに限りませんが、みんな安全だと思ってやったけれども事故が起きたと。これは予測困難ですから、これはちょっと局長に答えさせても、だれも安全だと思っていたやつが危険だったということでありまして、局長をもってしても危険は予測できなかったと、こう思うんです。それはなかなか法案でどうするかこうするかというのは難しい。  しかし、食品に添加物を入れると、それが違うものを入れていって、当然これはもう人体に危険だと、こういうものを入れているような話については非常に分かりやすいけれども、この法案で目指すところは、何度も申し上げていますように、国民の身体、生命、財産を安全にするためにいかにするかと、こういうことが前提にやってきまして、分かりやすいところから入っていると、こういうところも事実あります、あります。そして、予測し難いものについてはなかなかこれ答弁もできないような状況にありますけれども、さて、先ほどのけがしたやつどうだと、けが。これはやっぱり身体、生命、財産への影響を及ぼしてあるわけですから、当然通報対象になると、こう考えていいと思います。
  122. 神本美恵子

    神本美恵子君 繰り返しのようにどうも自分では感じてしまって非常に質問がしにくくなっているんですけれども、また三条のところに戻りたいんですが、三条の三項、これ最後になりますが、外部通報をする、先ほどは要件をずっとお聞きしましたけれども、三項のところに、通報対象事実が生じ、また「まさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、次のいずれかに該当する場合 その者に対し」というのは、その外部通報しようとするそこですよね、その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生、対象事実の発生又はこれによる被害拡大を防止するために必要であると認められる者に対して外部通報ができますよということですよね。  これはその者という対象を選ぶ、そして対象事実を通報することが未然に防げるという判断をしなきゃいけない。それを防ぐのに必要と認められるところも自分通報者が選ぶわけですよね。というふうに、非常にこれは、そのどれかの判断が間違えば、通報者が後で事業者から風評被害だとかなんとかというふうに保護される対象から外されてしまうというふうになるおそれが、ここは非常に高い垣根ではないかなということを思うんですけれども、そのことに対しての御答弁と、もう時間がございませんので、じゃ、まずそれだけ、簡単で結構です。
  123. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) これ、最初の国生審の報告では、「被害の未然防止・拡大防止のために相当な通報先である」というふうに提言をいただいた部分であります。  これ法規範として、社会通念上必要と認められる通報先という趣旨をより明確にする表現として、「必要であると認められる者」と規定したものであります。これ、こういうふうに相当であるというのを認められる、「必要であると認められる者」というふうに規定し直したからといって、その範囲を限定するとか、そういうことを思ってこういうふうにしたわけではありません。したがいまして、この法案での外部通報先としては、報道機関であれ消費者団体であれ事業者団体であれ国会議員であれ、正に法令違反行為の内容に応じて様々な組織であるとかあるいは個人が該当し得るということであります。  いずれにしましても、その審議会報告の提言よりも外部通報先範囲をこれでもって狭めているということではありません。
  124. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 時間が来ていますので、簡潔にお願いいたします。
  125. 神本美恵子

    神本美恵子君 昨日から今日にかけて質問させていただきましたが、まだまだ一つ一つ聞けば聞くほどだんだん不明確になっていくというような部分もありますし、聞けば聞くほど通報者はますます萎縮させられていくんで、判断が非常に求められて、そのことによって萎縮させられているのでは、いくのではないかというようなことがだんだん明確になってきましたので、もっともっとこれは審議を尽くさなければいけないと思っておりますことを申し上げまして、我が党としても修正案を御提案したいと思いますので、是非とも取り入れをしていただきたいということをお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  126. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  公益通報者保護法案について、まず内部告発を行って保護される通報対象事実とは何かについて伺います。  これは仮の例として聞きますが、公官庁へ運転手の派遣を業とするA社は政治家Bに運転手を派遣してやっていました。政治家Bは、運転手給与を支払ってもらっているにもかかわらず、政治資金規正法上の届けを出しておりません。A社の会計課の労働者Xがその事実をマスコミにリークいたしました。それを知ってA社の社長は激怒して、この労働者Xを解雇した。この場合、Xは今回の内部通報公益通報者保護法案に、保護法によって保護されますか。
  127. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 今おっしゃったケースというのは具体的なケースを想定されておっしゃっているようにお聞きしたんですけれども、私の方としては、通告も受けておりませんし、その具体的なケースというのも存じ上げませんので、そこについてのお答えというのは差し控えさせていただければと思います。
  128. 吉川春子

    吉川春子君 仮の例としてって言ったじゃないですか。具体的な例はこの後聞きます、具体的な例として。  仮の例として、こういう場合どうですか。保護されますか。
  129. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) この今回の法令法案対象でありますけれども、国民生命、身体、財産にかかわる法令の違反行為を対象にしているということであります。その今おっしゃったケースというのがその政治資金規正法違反なのか何なのかというのは、ちょっと私はそこは分からないんですけれども、人の生命、身体、財産に直接的にかかわる法令違反であれば対象になるんですけれども、その政治資金規正法違反等の場合にはそこからはちょっと遠いですよね。したがって、今回のこの法案の中では対象外になろうかというふうに思っております。
  130. 吉川春子

    吉川春子君 それでは、具体的例をお望みなので、私は申し上げたいと思います。  日本道路興運による細田官房長官の運転手肩代わり問題がありまして、この委員会で私、取り上げました。議事録が残っております。細田長官は、マスコミ等の指摘を受けて政治資金報告の修正申告をいたしましたが、やみ献金を受け取っていたということです。総理大臣の側近である官房長官の問題であり、その資格が問われますよということを私は直接御本人にこの委員会で申し上げました。  KSDの、KSD事件の裁判では、秘書給与肩代わりが賄賂と認定されております。こういう政治的に重大な問題についても内部告発の対象外となるのでは、本法案の有効性、何のための法案なんだということが問われるのではありませんか。大臣、どうお考えでしょうか。
  131. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 先ほど来申し上げていますが、この法案通報範囲でございますけれども、近年の企業不祥事の発生状況でありますとか国民生活審議会の提言を踏まえて、国民生活の安全や安心に資する観点から、国民生命、身体、財産の利益保護にかかわる法令違反をその対象としたものでございます。  御指摘のように、その政治資金規正法違反などのほかの分野の法令違反につきましては、私も決してその重要性が劣るとかいうようなことを申し上げるつもりは全くないんですけれども、国民生命、身体、財産に直接被害が及ぶものではないということでございまして、本制度対象にはならないのかなというふうに思っております。  ただ、いずれにしましても、その国民生活以外の分野の取扱いにつきましては、この制度の施行後における企業不祥事の発生状況でありますとか、この制度の運用状況等を見極めながら検討を行っていくこととしたいというふうに考えております。
  132. 吉川春子

    吉川春子君 この法案の二条の通報対象事象は、今答弁がありましたように、「個人生命又は身体の保護、消費者の利益」云々と、そしてその「別表に掲げるものに規定する罪の犯罪行為の事実」としています。そして、別表には、七法律のほか、八号で、その他、個人生命、身体の保護、消費者の利益、環境の保全、公正な競争の確保その他国民生命、身体、財産その他の利益保護にかかわる法律として政令で定めるものと、こういうふうにしていますね。そして、衆議院の段階で、昨日も議論がありました、今日もありましたけれども、四百九十八本ですか、の法律のリストが提出されてきました。そして、同僚議員がこの法律の中の全部が対象になるのかならないのかと何遍聞いても言を左右にして答弁をされない。  それで、私は、別の角度から伺いますけれども、この四百九十八本の中には、今答弁がありましたように税法は入っていない、公選法も政治資金規正法も入っていません。今後、その法令で指定する法律の中に、今企業についても重要性があるんだとおっしゃいましたけれども、この税法とか公選法とか政治資金規正法とか、こういうことを今後政令の対象法律として検討される余地はあるんですか、ないんですか。
  133. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 先ほども申し上げましたが、今先生が御指摘になったような問題、そういうような法律も含めて、正に国民生活以外の分野になろうかと思いますけれども、そういう分野の取扱いにつきましては、この制度の施行後におけるその不祥事の発生状況でありますとか、あるいは制度の運用状況を見ながら検討を行っていくというふうに考えております。
  134. 吉川春子

    吉川春子君 そうしますと、四百九十八本……(発言する者あり)四百八十九本ですか。数字はそちらがおっしゃることが正しいと思います。  四百八十九本の法律が今出されているけれども、それに更に、対象とするリストを衆議院の審議の中で、これです、私が言っているのは。これの中に公選法とか税法とか政治資金規正法とかが今回のリストを決めるときに対象となる可能性があるのかないのか、そこはお答えいただきたいと思います。
  135. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) その四百八十九本のリストというものは私どもとして正式に意思決定したものでもございませんし、それは出しておりません。  これからこの法律が成立後に策定します政令の中に、その今先生がおっしゃったような税法でありますとか公職選挙法でありますとか、そういうような法律を入れる可能性があるのかどうかというお尋ねだったと思いますけれども、そこについては、私どもの原案ではそこを入れるつもりはございません。先ほど来何回も申していますように、国民生命、身体、財産に直接的な被害が出てくるものを対象として考えているということであります。
  136. 吉川春子

    吉川春子君 よく分かりました。  つまり、この四百八十九本、たくさん、もう私も名も知らないような法律も一杯入っているし、ちょっと犯罪発生件数の資料を犯罪白書で見ましたけれども、全然問題にもなってないような法律も幾つかあると。しかし、政治資金規正法とか公選法とか税法とかいうのは非常にその違反の件数も多い。でも、そっちは全くこの対象に含める可能性としてはないんだと。それはもう、法律の最初に生命、身体云々のところでもう排除されているからないんだと。まあこの中の法律についてどれを対象にするかというのはまだ決めてないけれども、完全にはね、今私が問題にしているようなことについては対象になる可能性はないと。これは明確に議事録に残る御答弁でございました。  それで、今朝の各紙に一斉に報道されておりますが、稲垣元長官ら逮捕、出資法違反容疑、借金十億円というこのニュースが載っております。これは、稲垣実男とお読みするんでしょうか、元北海道・沖縄開発庁長官が社長を務めていた投資会社でキャピタルインベストジャパンによる出資法違反事件で、警視庁は十日、稲垣容疑者や同社幹部ら計六人を同法違反の疑いで逮捕した、こういう皆さんもよく御存じの事件ですが、仮に、もしこの会社の社員がこのことを知っていて内部告発をしたと、仮にですよ、今回の事件と関係なく聞いてください、そういうことがあったとして、その社員は、やっぱりこの今回の公益通報者保護法においては不利益扱いとかそういうことで、保護は全くされないんですよね。この法律においては保護されませんね。イエス、ノーで結構です。
  137. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 今先生がおっしゃったケースというのは出資法違反のケースだろうと思います。したがいまして、政令の中に出資法というのが入れば、当然これ通報対象になるということであります。
  138. 吉川春子

    吉川春子君 出資法が入る可能性もあるんですね。
  139. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) そこはこれから当該法律への違反行為が国民生活にどれぐらいの被害を及ぼすかというのを精査した上で原案を作らさせていただこうというふうに思っております。
  140. 吉川春子

    吉川春子君 先ほど来おっしゃっております生命、身体、健康、国民の財産等、こういう定義からいけば、出資法は入る可能性があるということですか。
  141. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 国民の財産の保護にかかわる重要な法律であることは私も認識しております。
  142. 吉川春子

    吉川春子君 そういたしますと、さっきの具体的な例で恐縮ですけれども、細田官房長官のような例は今回は保護されないけれども、出資法の問題については保護される可能性があるということでした。  それで、大臣にお伺いいたしますけれども、やはり税法とか公選法とか政治資金規正法とか、こういうものをすっぽり今度の対象から除いてしまうような公益範囲の確定というのは非常に問題ではないかと思うんです。やっぱり国民利益ということを考えたならば、今除くよというふうに局長がおっしゃったものについて、やっぱりこれを除くということは本当に国民利益ということを考えたときにこれはおかしいのではないかというふうに思います。  それで、賄賂罪は入るんですよね。生命、身体何とかかんとかの対象にはちょっとほど遠いと思うんだけれども、賄賂罪は入るんですよね。だから、大臣ね、まず最初、全般の、こういう重要なものを今度の保護対象から外すということについてやっぱりこれは国民の理解が得られないのではないかと思いますが、その点いかがですか。
  143. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 吉川委員お尋ねは、正にこの法案の第一条の目的のところであります。この目的について違うのではないかという御指摘、結局はそこになるわけでございますけれども、これは私たちは犯罪防止法を作ろうとしているのではありません。私たちは、あくまで国民生活審議会の提言を踏まえて、国民生活の安全、安心に資するための、このための公益通報保護法を作ろうとしていると。  委員おっしゃることは、国民感情として、私も国民の一人として非常によく理解できるところがございます。つまり、犯罪を防止するのは必要でありますし、そうした枠組みをどのように作れるかということは、これは私は閣僚の一人としては引き続き是非問題意識は持ちたいと思っております。ただ、それは内閣府でできる問題でもございませんし、ましてや国民生活局でできる話でもございません。警察、国税の当局そのもの、様々なことを幅広く考えていかなければいけません。これは、まして、むしろこういった犯罪防止法そのものの必要性を強く御認識だということでございましたら、立法府でも是非様々な御検討をいただければというふうに思いますが、この法律の目的はあくまでも国民生活の安全、安心に資する観点から、国民生命、身体、財産等の利益保護にかかわる法令違反対象として公益通報保護しようというものでありますので、そこは法案の、我々の議論のよって立つ基盤そのものであるということを是非御理解いただきたいと思います。  犯罪防止の必要性そのものは全く同感でございますけれども、この法律の目的そのものではないということであります。
  144. 吉川春子

    吉川春子君 私たちは犯罪防止について話し合っているわけじゃないですよ。内部告発をした人をどういうふうに保護していくかという、その法律について話しているんです。  そして、実は昨日参考人質問を行いました。そのときに、企業の代表者の方がお見えになりました。そして、企業が法令を遵守して社会的責任を果たすということは経営の基本になるんだと、こういうことをおっしゃっておりまして、そして、企業の法令違反を是正する上でも、犯罪行為に限らずすべての法令に関する通報対象にすべきだと、こういう御発言を聞きまして、私はちょっと意外に感じたんですけれども、実はそうじゃないかなと思っていたので。  しかし、実際には、今大臣がおっしゃった審議会の中でも、企業もそれから消費者も、要するに、もうちょっと幅広く対象をすべきだという意見をお述べになったのにもかかわらず、出てきた法律はこんな狭いものになっていたということで、やっぱり私はこれは、そうすると、消費者と財界引くとあと残るのは政府ですよね。政府がやっぱりこういうふうにして範囲を狭めたのではないかというふうに思います。  この点、政府のリーダーシップでこの対象となる公益範囲を狭められたんじゃありませんか。どうですか、大臣
  145. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今の委員の御指摘、経済界にもいろんな御意見があると思います。政府の中にもいろんな御意見があると思います。また、消費者の中にもいろんな御意見があると思います。消費者はこうで経済界はこうで政府はこうだと、そういう単純な構図ではないと理解をしております。様々な専門家の御意見を伺って、非常に深い御議論をこの審議会でもいただいて、それを政府として受け止めてこの法案を提出させていただいております。
  146. 吉川春子

    吉川春子君 昨日も岡崎議員が引用されました、毎日新聞の内部告発特集連載の記事を私は読みました。そして、その①にこのように書いてありました。内閣府によると、法案作成中の二、三月、幹部が党内閣部会や総務会の席に頻繁に出向き、二法案対象にしないことを繰り返し説明し、自民党も了解した云々ということが書かれております。そしてもう一つ、さらに担保も取っていた、公選法や政治資金規正法は非常に微妙なもの、官僚が勝手に政令に盛り込むことがないよう、何を政令で定めるか事前に我々に説明させることにしたと云々と、こういう記事が載っておりまして、そういう性格のものだったのかと私は思ったんですが、これはあくまでもマスコミの記事です。マスコミの記事です。もし反論があるならばおっしゃっていただいても構いませんが。  私は、必要性があるとおっしゃりながら非常にこの範囲を狭くして、本当は国民は一番、政治家のいろいろなやみ献金とかあるいは選挙法違反とか政治資金規正法違反とか、そういうものについて、実際には警察も検察も摘発されて、犯罪も多いんですけれども、そういうものの内部告発は全く保護しないと、これはどう考えても、刑法の賄賂罪になる場合は別ですよ、そういうことは非常に異常だということを私は指摘して、これはもう昨日来何遍も申し上げていることなので、もう一つの問題について質問をいたします。  法務省、お見えですか。そうですか。  公務員内部告発について、今度の法案対象にしております。私たち野党は、公務員だけの内部告発の法案を作りまして、実は関連法としてこの審議を一緒にしていただいているんですけれども、刑事訴訟法におきましては、公務員は、犯罪があると思料したときには告発しなければならないと規定されております。一方では、公務員には守秘義務が掛かっているんですけれども、この関係はどのように説明したらよろしいんでしょうか。法務省に伺います。
  147. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 刑事訴訟法二百三十九条二項は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と規定しておりまして、この要件を満たす場合には、原則として、当該公務員は告発の義務を負うものと解されております。  一方、国家公務員法百条等に規定する公務員守秘義務は、公務員又は公務員であった者がその職務上知ることのできた秘密又は職務上の秘密に属する事項を故なく漏せつすることを禁止する趣旨規定でありますから、正当な手続に従って、刑事訴訟法所定の告発義務の履行として告発する場合には、法令により当然に行うべき正当行為として許容され、守秘義務違反は成立しないものと解されております。
  148. 吉川春子

    吉川春子君 この正当行為の中身なんですけれども、ちょっと時間の関係で、私の方で指摘をしたいと思いますけれども、法令行為、正当業務行為、法令による行為としては職権権利の行使とか、政策的理由により法令が違法性を解除したものとかあって、それから、正当業務行為というのがありますね。それから、社会的相当行為というのもあって、労働争議行為とか被害者の承諾とか許された危険とか、こういうことが教科書には列挙されているんですけれども、正当行為の中身をもうちょっと砕いて言うとこういうことになると理解してよろしいでしょうか。法務省に。
  149. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 先ほど説明したとおりでございますが、御指摘のようなお考え方が一般的であろうというふうに思います。
  150. 吉川春子

    吉川春子君 今の中身は団藤教授の本ですので、そういう考えだと思います。  それで、内閣府に伺いますけれども、公務員の、今度公務員対象にした場合に、刑訴の三百三十九条でしたか六条でしたか、要するに告発義務の範囲よりは広いものもあるんだというふうに繰り返し説明されておりますけれども、今のあれでいくと、完全に全部正当行為ということでくくることができるのではありませんか。  正当行為の、刑法三十五条の正当行為の枠を超えて更に公務員守秘義務が解除される、解除というか適用されない事例というのは今度の法律でいうとあるとおっしゃるので伺いますけれども、どういう分野を指しておっしゃっているのか、具体的に示していただきたいと思います。
  151. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 今回の公益通報者保護制度と刑事訴訟法の告発の対象がどこがどういうふうに食い違っているのかというお話、御質問であります。  刑事訴訟法におきましては、公務員はその職務を行うことにより犯罪があると思料するときは告発をしなければならないというふうにされておりまして、その告発の対象は犯罪全般であります。他方、私どものこの法案におきましては、国民生命、身体、財産等の利益保護にかかわる犯罪行為及び法令違反が生じ又は正に生じようとしている旨を公益通報対象にしているということであります。  国民利益保護にかかわる犯罪だけではない点では、刑事訴訟法の告発の範囲、告発の対象が広いけれども、法令違反でありますとか、あるいは正に生じようとしている旨を含めている点では、私どもの公益通報対象の方が広いんではないかというふうに思います。
  152. 吉川春子

    吉川春子君 いや、刑事訴訟法ではなくて、刑法の三十五条の正当行為の枠であれば、これは守秘義務が一応その対象にならないということを今議論していたわけですね。だから、刑訴法は確かに犯罪行為なんだけれども、今かなり具体的に申し上げたのはそういう意味なんです。  それで、私が伺ったのは、刑法の三十五条よりももっと今度の法律は広い範囲守秘義務を解除というか、対象外としているのかどうか、その点をお伺いしています。
  153. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 私どものこの法案におきます公益通報対象でありますけれども、犯罪行為でありますとか法令違反行為という反社会性が明白な行為であります。したがいまして、それ自体は秘密として保護するに値しないというふうに考えられますので、通常、これらの事実について法案に定める要件に該当する公益通報をしても、公務員法上の守秘義務違反を問われることはないというふうに考えております。  なお、公益通報に当たりまして、第三者の個人情報や営業秘密、それから国の安全にかかわるような情報など、他人の正当な利益や公共の利益に当たる保護に値する秘密を併せて漏らした場合には守秘義務違反に問われる場合があるというふうに考えております。
  154. 吉川春子

    吉川春子君 あのね、昨日までは刑事訴訟法で議論してきたわけですよ。確かに刑事訴訟法でいえば犯罪に限られているわけだから、それは狭いかもしれない、そうは思わないんですけれども、かもしれない。しかし、今は刑法の正当行為、三十五条での対象となる行為は守秘義務が一応対象にならないと法務省に説明をしていただいたわけです。  だから、正当行為よりはもっと広く公務員守秘義務を解除というか対象外としているのか、あるいは正当行為の範囲と同じなのかどうか、このことを伺っております。
  155. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 刑事訴訟法上の正当行為ということで……
  156. 吉川春子

    吉川春子君 刑法ですよ、正当行為は。刑事訴訟法は正当行為ないです。
  157. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 刑事訴訟法上の正当行為であれば、その守秘義務が問われないというお答え……
  158. 吉川春子

    吉川春子君 正当行為という言葉は刑事訴訟法にないんです。刑法のことを言っている。
  159. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 先ほどの法務省の答弁というのは、刑事訴訟法所定の告発義務の履行として告発する場合には法令により当然に行うべき正当行為として許容されるということで、守秘義務違反は成立しないということでありました。  私どもの今回のこの法令でそこがどうなるのかということでありますけれども……
  160. 吉川春子

    吉川春子君 そこはもういいです。委員長
  161. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 私どものその公益通報保護の話でありますけれども、一般的な犯罪行為とか法令違反行為の、その反社会性が明白な行為を通報するわけですから、それは通常の場合には秘密として保護するに値しないというふうに考えられます。したがいまして、そういうものをこの法令に基づく要件に合致した公益通報をしても、その守秘義務違反を問われることはないということになります。  ただ、その場合に、公益通報の際に、第三者の個人情報とか営業秘密、国の安全にかかわる情報などを漏らした、併せて秘密を漏らしたような場合には、その守秘義務違反に問われることがあるということであります。
  162. 吉川春子

    吉川春子君 あのね、私たちも野党の法案を作るときに苦労したんですよ、守秘義務をどうやって外したらいいか。それで、公務員はとにかく守秘義務が掛かっているわけだから内部告発なんか本来できないわけでしょう、でも、この公務員内部告発をどうやって保護するかということを野党は考えました。これ何か月も掛かって議論したんですよ。そして、そういう中で、公務員であってもその守秘義務を外してというか、対象にせずに内部告発ができるという法律を作って今出しているわけですね。で、それは法制局もちゃんと決裁が得られていますので、きちっとした法律なわけなんですよ。  そういう前提に立って私は伺っているんですけれども、刑事訴訟法はもう当然なんですよ、刑事訴訟法上の義務があるんだから。これはそこで守秘義務が解除されているというのは当然なんだけれども、いつも刑事訴訟よりは、訴訟法の義務よりはもうちょっと広いんだというふうにおっしゃるので、今日は思い切って刑法でいったわけです、正当業務行為で、正当行為でいったわけなんですよ。こっちはぐっと広いわけなんです。犯罪行為だけじゃないということを、さっき学校でよく昔は使われていた教科書を引用して申し上げたんです。  それで、私まだまだ一杯質問が通告して残っていますので、この刑訴と刑法の議論ばっかりはしてられませんので、私は委員長、これを是非整理してきちっとして出していただかないと困ると思いますので、それは後ほどちょっと整理して出していただきたいと要求します。どうでしょう。
  163. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 理事会で協議をさせていただきます。
  164. 吉川春子

    吉川春子君 それでは質問を変えます。  もう一つは、今度は挙証責任の問題について伺いたいと思います。それで、実はこれは日本共産党の修正案なんですけれども、挙証責任の転換という提案をしております。それはどういうことかと申しますと、会社員、労働者公務員でもそうですけれども、内部告発をしたときに不利益扱いを受けないという保護が受けられるんですが、何が不利益扱いなのかということについて、今までの判例を見ましても大変難しいんですね。労働者の側において不利益扱いを受けたということを証明するということがなかなか難しくて、成功する場合もあるけれどもしない場合もたくさんあるわけです。  それで、私たちは挙証責任の転換ということができれば、より内部告発をした労働者保護できるというふうに考えたわけです。しかし、これが全くその民法の原則だけでそういう例がないということであると説得力がありませんが、実はそういう例があるというふうに聞いております。  それで、法務省に来ていただいたのは、その挙証責任の転換を行っている事例があれば御報告いただきたいと思います。
  165. 深山卓也

    政府参考人(深山卓也君) 現行法の下におきまして挙証責任あるいは立証責任と言っても同じことですけれども、これを転換するための規定としては、第一番目に一般規定に基づいて定められた立証責任の分配を特別法で変えるタイプの規定。それから二つ目に、ある前提事実が証明されれば本来証明すべき別の事実があるものと推定するという、で、推定が働く場合には反対事実を反対当事者の方が主張、立証しなくちゃいけなくなると。こういう法律上の推定規定と呼ばれるものと大きく二つあります。  前者の例としては、一般の不法行為に基づく損害賠償請求において、被害者は加害者の過失について証明責任、立証責任を負っておりますけれども、注意を怠らなかったことなどを加害者の側が証明しなければならないとしている自動車損害賠償保障法三条などが典型です。  もう一つ法律上の推定規定の例ですけれども、同じ市町村内で同一営業のために他人の登記をした商号を使用した、こういうことを証明すると、使用者の商号使用行為に不正競争の目的があったということを推定する商法二十条二項というようなものが適例でございます。
  166. 吉川春子

    吉川春子君 もう一つ法務省にお伺いしたいんですが、なぜ民法の一般原則をこう変えて、そういう制度が設けられることになったのか。そこはどういうことでしょうか。
  167. 深山卓也

    政府参考人(深山卓也君) この種の証明責任、挙証責任の転換規定は様々なものがありまして、皆同じ理由というわけではありませんが、例えば自動車損害賠償保障法については被害者の保護を厚くする、被害者の立証負担を軽減してその保護を図るというのが大きな目的だろうと思います。
  168. 吉川春子

    吉川春子君 私、大臣にこの問題についてお伺いしたいんですけれども、せっかくこういう法律ができて内部告発をした人を保護しようという場合に、どういう不利益扱いを受けたかということを労働者に立証責任を負わせますと、会社の方として、本当は配転したり給料をダウンしたり、いろいろしているんだけれども、いやそれは人事政策でその人が一番ふさわしいところに転勤させたにすぎないとか、いろいろ企業の方としても反論すると思うんですね。そのときに、何が不利益な扱いなのか、解雇は分かりやすいと思うんですけれども、首切られちゃうから。解雇は分かりやすいと思うんですけれども、様々な不利益扱いの対応を立証するということは非常に難しいので、本当にこの内部告発の制度を意義あるものとして、組織や企業の内部の悪をやっぱり正義感に駆られた労働者が外に持ち出すということを保護しようとするならば、やっぱりこの立証責任の問題も、不利益扱いについての挙証責任を転換するとは言わなくても軽くするとか、いろいろな方法がやっぱり工夫されるべきではないかと思うんですけれども、その点については、大臣、是非何とか検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  169. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 通報者の立証責任を緩和すべきであるという御指摘でございます。  もうこれ先生案内のとおりでありますけれども、民事訴訟においては一定の法律効果を主張する者が立証責任を負うのが原則であります。したがいまして、この本制度におきましても、この原則に従って保護要件等については基本的には保護を受けようとする労働者が立証責任を負うということになるものであります。  なお、実際の労働関係裁判におきましては、労働者事業者との立証能力の格差を踏まえて適切な立証責任の分配が行われているというところでありまして、正に公益通報者をめぐる裁判においても同様な取扱いがなされるものと考えております。
  170. 吉川春子

    吉川春子君 大臣、今の局長のその発言を踏まえてで結構なんですけれども、やっぱりこれは非常に実際上の訴訟になったら重要な問題だと思いますので、そういう点で、挙証責任についてやっぱり御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  171. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 立証責任をだれが負うかと。法律上の極めて原則的な問題だと思います。委員がおっしゃるようなその立場を考えてという御主張、御主張として賜りますけれども、やはりしかし、ここは法律の原則論にのっとって考えていく、これが我々が立法するときにやはり基本原則であろうかと思います。基本的には労働者立場というのは一般法理において守られている。今回はその要件をより明確化することによって内部通報をする人たちがディスカレッジされないようにしようというのが趣旨でございます。あくまでもその要件を明確化、予見可能性を高めるという点に我々の立法の趣旨があります。
  172. 吉川春子

    吉川春子君 原則どおりということで大変味気ない御答弁だったと思いますが、しかし今法務省からも御報告いただきましたように、やっぱり挙証責任の問題についてはたくさん例があるとは申しませんけれども、そういう、立証責任を緩和していくとかあるいは転換するとかいうことが、個々の問題については必要な場合はそういう制度として根付いているわけですから、私はこの点は非常に大きな課題であるということを指摘しておきたいと思います。  次の質問に入る前に一つ、さっきの公務員の問題なんですけれども、私が申し上げたかった結論は、この法律公務員を何もわざわざ入れる必要はなかったんじゃないかと、範囲も狭いしということを申し上げたくてさっき議論をし掛けたところですが、そちらの側の資料を、整理をもう少し待ちたいと思います。  それで、次に、外部通報の問題なんですけれども、また野党案の問題なんですけれども、野党の法案を作るときに、守秘義務と同時にもう一つ大きかったのは外部通報をいかにやりやすくするか、このことに非常にやっぱり時間を掛けて議論もいたしました。と申しますのは、自分の所属している機関あるいは会社の中の上司というようなところに通報するということはなかなか困難だということが実情でございますので、外部にどうやってそれを通報して、そして社会的な世論に訴えるかということがしばしば試みられるわけですけれども、それを行いやすくしないと本当の意味での内部告発という目標は達せられないというふうに思うわけです。  今度の法案では、もう繰り返し議論になっておりますけれども、企業内部行政機関通報する要件に加えて、五項目のいずれかの要件に該当しなければ保護されない。その要件のうちのニ、イロハニのニについて、書面により労務提供先に通報した日から二十日を経過しても犯罪事実の調査を行う旨、又は正当な理由がなくて調査を行わない場合となっていますけれども、事業者が一応調査する旨を二十日以内に通報者に回答して、そしてその後放置しちゃった場合、通報者は外部通報できなくなるんじゃないか、こういう危惧がお答えにもかかわらず依然としてあるんですけれども、こういう危惧は全くない法律なのか、その点はいかがですか。
  173. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 通報しているしているというふうに事業者から通報者に回答して、実際上は何も通報していないというケースであります。  正に、正当な理由がなくて調査を行わない場合に該当しますので、そういうケースについては外部通報ができるということであります。誠実で正当な通報に対して事業者が基本的には誠実に調査して、それを通報者に返すというのがここの基本的な考え方になっております。
  174. 吉川春子

    吉川春子君 そうすると、二十日以内に通報者に回答してその後放置した場合は正当な理由がなくて調査を行わない場合というところに該当すると、そういうふうに読んでいいということですね。もう一度お願いします。
  175. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 結構でございます。
  176. 吉川春子

    吉川春子君 そして、その法案には、通報を受けた事業者には調査状況や調査の結果を報告する法的義務はないんですよね。第九条が努力義務規定にとどまっている、この条文に違反しても外部通報できる要件にはならないんじゃないか、その点についてはまた明確に御説明いただきたいと思います。
  177. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 調査の結果、通報対象事実が判明したにもかかわらず放置、それを放置しているようなケースについてのお尋ねでありますが、その場合には、イの不利益取扱いとか、あるいはロの証拠隠滅でありますとか、あるいはニのその人の生命、身体に差し迫った危害が及ぶというような要件に合致する可能性があるということでありますので、そういう場合についても外部通報できるということであります。
  178. 吉川春子

    吉川春子君 合致しない可能性もあるわけですね。そういう場合、どうしたらいいんですか。
  179. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) その外部通報の要件に合致しない通報通報者がしたら、この法令の中ではそれは保護されないということになります。  別途、労働基本法の十八条の二で一般法理が掲げられております。したがいまして、この法令に乗っかって、この法令で定めた要件に合致しないような通報がなされる、あるいはここで想定していない範囲通報が行われて、それが解雇等不利益処分につながっていって、それが係争になっているケースでは一般法理にのっとって裁判所の判断が下されるということになろうかと思います。
  180. 吉川春子

    吉川春子君 その十八条の二というのはどういう規定ですか。
  181. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」という規定であります。
  182. 吉川春子

    吉川春子君 それは比較的最近、労基法の改正という形で盛り込まれた規定だと思いまして、私たちはその規定は労基法レベルでは一定程度評価しております。  ただし、やっぱり解雇、今まで解雇については全く制限規定がなかったものを盛り込まれたという点ではその規定は前進なんですけれども、しかし解雇を争う場合に非常に、なかなか難しくて、裁判所の解雇四要件というものが積み上げられてきて、そしてその法律改正というふうになったんですけれども、実際問題はなかなかそこまでいって解雇が不当であったということで勝訴する例というのは多くはないんですね。  そういうことを考えますと、私は正にこの法律で、この内部通報法律内部告発をした人を保護するということがやっぱり必要だと思うんですね。それがここで保護できないからまた一般法理に戻りますということでいってしまうとぐるぐる回ることになるし、やっぱり一番労働者を、内部通報した労働者を手厚く保護するこの法律なわけですから、一般に戻したらやっぱり余り意味はないというふうに私は思いまして、この外部通報の要件がそういう点でも非常に厳しいのではないかというふうに私は指摘をしておきたいと思います。  それで、法案事業者に回答義務を課し、少なくとも誠実に回答しない場合には外部通報できるということが明確にならなくてはならないと思いますが、その点についてはどうでしょうか。
  183. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 正に三条、三条のイロハニのニの部分で、調査をする旨の通知を二十日以内に行わない場合若しくは正当な理由がなく調査を行わない場合には外部通報ができるというのは明確に書いてあると思います。
  184. 吉川春子

    吉川春子君 一応調査したけれども、犯罪事実等を確認できなかったと事業者が回答した場合も外部通報の道は開かれてないんじゃありませんか。こういう場合、どうしたらいいんでしょうか。
  185. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 事業者が意図的に違反事実を隠ぺいした上で違反事実がないというふうに通報者に通知したような場合には、第三条第三号のロの要件でございます証拠が隠滅される等のおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合に該当するというふうに考えられますので、行政機関に加えて外部への通報保護対象になるというふうに思います。  他方、その事業者に隠ぺいの意図がない場合、つまり事業者通報者の間に事実関係についての見解の差が生じる場合については、当該事実について調査を行い事実関係を確かめることが可能な処分等の権限を有する行政機関への通報は、信じるに足りる相当の理由があれば保護対象となるというふうになっております。
  186. 吉川春子

    吉川春子君 企業ぐるみとかトップの犯罪の場合に、例えば食肉偽装事件とか武富士の盗聴事件とか三菱自動車のリコール隠し、タイヤ脱輪、欠陥隠しなど、組織ぐるみの場合とか企業のトップの犯罪になっているわけですね。こういう場合には内部通報しても意味がないんで、イからホに直ちに該当しないと考えられるので、今までの議論を聞いていますと、政府はロの要件に該当するというそちらの御答弁ですけれども、企業ぐるみが直ちに証拠隠滅のおそれに該当するというふうに明確にすべきではないかと思いますが、その点についてはいかがお考えですか。
  187. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 正に第三条第三号のロに書いてございます要件、第一号というのは、これは内部公益通報すれば証拠が隠滅され、偽造され、変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合というふうに書いてございます。  この場合、今先生、企業ぐるみ、社長ぐるみである犯罪行為あるいは法令違反行為が行われているというふうにおっしゃいましたけれども、そういう企業ぐるみ、社長ぐるみで犯罪行為等を行っているケースについては、正にそういう場合にそこに通報しても証拠が隠滅されるおそれがあるということがかなり明白なんだろうと思いますので、私は今の先生がおっしゃったケースというのは正に典型的にこのロのケースに該当するというふうに考えます。
  188. 吉川春子

    吉川春子君 そうすると、組織ぐるみという場合には直ちにその証拠隠滅に該当するというふうに考えてもいいんだと、そういう御答弁でしたね。
  189. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) これは、相当の理由がある場合を証明すればいいわけですから、組織ぐるみでそういう犯罪行為、不正行為が行われているよということを証明すれば、正にそれでもって証拠が隠滅される等のおそれがあるというふうな類推が働くと、通常であれば類推が働くということであります。ただ、個々の具体的なケースがどういうようなケースがあるかというのは、それは個々の事例を見ないと判断は付きかねない部分が若干は残っているということであります。
  190. 吉川春子

    吉川春子君 もう時間がなくなりましたので、ちょっと質問幾つか残したんですけれども、やっぱりその外部通報の要件が非常に厳しい。私は、この外部通報の五項目の要件を削除して、行政機関への通報と同等の要件で足りるんだと、そういうふうにすべきではないかと思いますが、最後にこの点、大臣の積極的、前向きな答弁を伺って、質問を終わりたいと思います。
  191. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 外部通報、前回の私の答弁で、これは犯罪であれば物事は簡単なんだと、しかし、そうかどうかよく分からない段階で内部通報公益を考えてせざるを得ないような状況に置かれたときには、それに伴って、もし万が一にもそうではない場合に生じる風評リスク等々の、そのリスクとのやはりバランスを取らなければいけないんだということを申し上げました。そうした点からいいますと、外部通報に対しては、他の内部通報に比べるとまあバリアを高くするといいますか、そういうことはやはり必要になってくると思います。  しかし、これはあくまでも実態判断でありますし、真実相当性があれば、今回そういう外部通報がそれらの場合に認められるということでありますので、私どもとしましては外部通報についてもそうした公益通報が可能になるような仕組みをしっかりと作ったつもりでおります。このような法律の作り方といいますか、理念につきまして是非御理解を賜りたいと思っております。
  192. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっと納得できませんが、終わります。
  193. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  昨日も今法案について議論させていただきました。それで、私はやはりこの法律を実際の現場で現実感を出して議論したいと。要は、通報する側の人間の立場であるとかないしはその職場状況であるとか、こういうものをやはりリアルにこの場で語り合っていきたいと、そういう趣旨質問を昨日いたしました。今日もその観点で何点かの切り口からお聞きしたいと思っております。  まずは、いわゆる通報相談のこの区別というものについてお聞きしたいんです。  昨日も参考人質疑の中で、やはりこのような公益通報者保護法案の貫徹には民間行政機関相談窓口の充実が欠かせないという、このことも参考人の中からもお話が出ました。そして、衆院の附帯決議におきましても、こういった相談所を設けることによってこの法律をより一層徹底していこうという、こういうお話がございました。  そこで、お聞きしたいんですけれども、一体どこまでが相談で、そしてどこからが今回で言うところの公益通報通報に当たるのか、この基準をお聞かせください。
  194. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 一般的に、通報とは一定の事実を他人に知らせる行為でありまして、この法案での公益通報は、犯罪行為や法令違反行為が生じ、又は正に生じようとしている具体的な事実を通報先に知らせる行為というふうに考えられております。それに対しまして、一般的に、相談とは他人の助言を受ける行為でありまして、この制度の中では、例えばある行為が本法案対象となる法令違反行為に当たるかどうか、あるいはこの法案での保護を受けるためにはどのような通報先通報したらいいかというようなことについて、その通報の前段階で助言を受けるということが想定されます。  正に今申し上げましたような相談が、法令違反行為の行為者などの具体的な事実を知らせない一般的な内容で行われる限りにおいてはそれは通報には当たらない。したがって、当然その事業者からその相談をしたことをもって解雇等不利益取扱いを受けることも考えられないというふうに考えております。また、法令違反行為の行為者などの具体的な事実を示して行われる場合には、それは相談の形を取っていても実質的には通報に当たるというふうに考えられます。  それでもって、実質的な通報相談という形の実質的な通報をしたことをもって解雇等不利益取扱いを受けたようなことがあった場合には、この法案による保護を受けるためには、この法案が定める公益通報の要件を満たしているということが必要になろうかというふうに思います。
  195. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ですから簡単に言いますと、通報対象事実に対して具体的な実名等を挙げない段階では相談であって、そして挙げた瞬間に通報になるわけですよね。今、局長最後におっしゃられましたけれども、相談の形を取っていても具体的な名称等が出れば通報であると。これね、局長、とてもやっぱり私リアリティーに欠けていると思うんですよ。やはり相談を始めたら、どうしても通報内容の具体的なものというのは明らかにするのはこれ当然なんですよ。  そう考えますと、これやはり、じゃ相談といってもおちおち怖くて相談できませんよね。だって本人相談しているつもりがいきなり通報とみなされて、そしてその立場保護されない、解雇されちゃうんですよ。私、これ本当に、陸上レースでいったら、正にウオームアップしているんですね。これから通報しようと思って、出走準備の段階で、ウオームアップしている段階で、いきなり出走が取り消されて、しかも何か所属する陸上部から首になるという、このような話なんですよ。私、そういう意味で、今政府の御答弁、大変合理性に欠けると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  196. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 極めてリアリティーに欠けるんじゃないかという御指摘でございますが、ただ、例えばカルテ、病院のカルテを例に、分かりやすい例でありますので、それで考えてみますと、Aという個人名を違法、医療過誤のケースで、あるカルテの中身について通報するときに、それは特定のAという人の名前を出さなくても、こういう病気に対してこういう処置がなされて、それが過誤に当たるんだよということは言えるんだろうと思うんですね。  ですから、正に具体的な事実を示さなくても相談というのは当然のことながらできるというふうに考えております。
  197. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 局長、それ相当な識見とか経験を持った人が微妙な基準を自分で把握して、正に綱渡りのような相談しなければいけないということですよ。これでは、私、今回とにかく法律が分かりづらいという御指摘があるわけですよ。ということは、私、相談の需要も多いと思うんですよね。にもかかわらず、今言った、あるところから通報になる、でもなかなかその基準が分かりづらいという状況では、私はこれ大変怖いという指摘なんです。  それで、じゃそれをどう対応、対処すればいいかというのは、これは割と簡単な話で、英国の公益開示法にございます、いわゆる法的助言者に対する通報というものはこれすべて保護対象にしますという、こういう対策があるわけですね。私、これさえあれば自信を持って自分保護されるという、その自信の下に相談できると、そう思うんですが、局長、いかがでしょうか。
  198. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 法的助言者というふうにおっしゃいました。正に弁護士への相談ということでございます。当然のことながら、弁護士というのは職責上、職務上知り得た秘密を保持する義務を有していると。弁護士への法律相談に当たって、法令違反の行為者などの具体的な事実を知らせても、それを理由として事業者解雇等不利益取扱いを行うことは許されないというふうに考えられます。  したがいまして、この法案、この法案で弁護士への相談とかを保護するまでもなくて、弁護士への相談というのは当然のことながら可能であるというふうに考えております。
  199. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 局長、法的助言者というのは弁護士だけのことじゃありませんよ。これは様々な法人でも公益通報者保護に対しての相談というものをこれ助言者としてみなすことができますし、なおかつ、今後、行政であるとか民間相談所を設ける際には、私はそういった助言者であるといったような、そういった規定を設ける。このことによって、相談であろうが、通報であろうが、その窓口に一本化すればその人間の行為は保護されるという、私、こういうような仕組みをどうしても作っていただきたい。これは、いや、これもう指摘でとどめさせていただきます。  時間がないので先を急ぎます。  それでは、私、昨日も、もう今日もそうなんですが、各委員からも外部通報がとにかくしづらいんだという、そしてこのイからロ、ハ、ニ、ホ、この項目について一つ一つ吟味しているわけですけれども、そこで私はこの三条三項のハについて御質問いたします。  ここにはこうあります。内部通報又は行政機関への通報をしないでくれと、しないでくれと要求受けた場合、これありますね、事業者からこの不正な行為を外部とか、いやいや、行政機関等に通報しないでくれと。だけれども、そのしないでくれといった要求に対して正当な理由がある場合はいいんだという。しかし、私も考えたんですけれども、この正当な理由ってどういう場合が想定されるのか。これ、端的にお答えください。
  200. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) ここで言っております正当な理由でありますけれども、例えば、通報対象事実が正に生じようとしていた事案について既に改善措置が取られていることを通報者が知らなかった場合に、通報者の上司が既に改善措置が取られているために通報は必要ないというふうに告げたような場合が考えられます。こういうふうな場合には事業者外部への通報保護する必要はないというふうに考えております。
  201. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 それ、事前に裏方から聞いたんですけれども、局長、それ、通報しないことのそれ要求じゃありませんよ。それ、通報者の誤解に対する単なる間違いの指摘ですよ。今の御説明、皆さん御理解できましたか。要は、何か不正な通報対象事実があって通報しようかと思ったら、もう実はそれが解消されていてなくなっていたんだという、こういう場合と言うんですけれども、これは通報しないでくれの要求じゃなくて、単なる事実誤認の指摘ですよ。  じゃ、私、ちょっと局長、今局長がおっしゃったこの特殊な例以外に、ほかにどんな場合が想定できますか、正当な理由で。
  202. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 国会の場の御議論でありましたけれども、刑事告発がなされていると。刑事告発、刑事訴訟法に基づく手続が開始されているということで、もうそっちの方の捜査にこれをゆだねようじゃないかというようなことで、行政機関とかあるいは事業者外部への通報を思いとどまってくれと。思いとどまってくれというか、それはもうそっちの刑事訴訟法上の手続にゆだねればいいじゃないかというようなことを上司に言われるようなケースというのもあるというふうに思います。
  203. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 局長、まあちょっと考えてみましょう。この通報対象事実って物すごく厳しく要件を設定しましたよね。いいですか。正に国民生命や財産に何か障害が発生しようという、そういう状況なんですよ。これに対して、これを通報しないでくれと言えるような正当な理由なんてほとんど考えられないんですよ。であるとして、今おっしゃられた特殊なケースなら、例示列挙すればいいじゃないですか。  私がここにこだわるのは、私も自分の意思ちょっと考えたんですよ。正当な理由って何だろうなと。正当な理由とあるからには何かあるんだろうという。やっぱりこれみんな考えると思うんですよ、通報者は。  余談めいて言ったんですけれども、例えばこれは今回の通報対象事実には含まれないようですけれども、例えば何か公職選挙法違反を私が犯していたと。それを秘書がどこかに、行政機関通報しようとしているときに、私が、じゃ、それをしないでくれと要求する。そのときの理由一つ、おれ落ちちゃうからさと言ったとしますよね。このときに秘書は悩むわけですよ、落ちちゃうかと。正当な理由かどうかは分からぬけれども、まあ切実な理由では間違いないと。  私、こういうことが現場現場であると思うんですよね。だから、この正当な理由というこの文言があるおかげでやはり私は外部通報とかの抑止になると、そう思っているんですよ。いかがですか。
  204. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) これは抑止になるんじゃないかという御指摘でありますけれども、例外的な場合であっても、通報をやめてくれというふうに職場の上司に言われることについて何らかの合理性があるようなケースというのは考えられるんじゃないかということであります。そういう例外的な場合を除いて、通常の場合にはここで言っている正当な理由というのは非常に限定的、例外的なケースではないかというのはおっしゃるとおりだろうと思います。
  205. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これはもう質問しませんけれども、とにかく通報対象事実をあれだけ要件狭めて、正に切迫しているというような状況で、これを通報しないでねと言える正当な理由なんというものはほぼ考えられないですよ。にもかかわらず、ここの、さっきから言っているのは、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、いろんなところに、要所要所、外部通報をどうしてもためらうようなそういう文言の一つであるという、私、このことは強く指摘させていただきます。  では、また先を急がせていただきます。  これも幾度か議論に上っているんですけれども、三項のニ、これやっぱり大変様々な問題点を含んでいる条文だと思うんですが、まず一つお聞きします。  これは、書面によって、これ、この場合、括弧一とありますけれども、要は内部通報先ですね、自分のところの事業者公益通報した日から、その後、じゃ調査をしたという通知が来なかった場合は外部通報できるという。ここで、いわゆる行政機関への通報、これが含まれておりません。なぜ行政機関通報して、そして何日間以内に通知の旨が来なかったら私は外部通報してもいいと思うんですけれども、今回、行政機関が除かれている理由についてお答えください。これ、大臣、まあいいや。
  206. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) この法案で制限しようとしております解雇等不利益取扱いにつきましては、労働者事業者の労働契約関係という正に民事関係の問題であります。したがいまして、外部へ通報者通報するときに、当事者ではない第三者である行政機関が措置を講じたかどうかというのを外部通報の要件にするというのは適当ではないんじゃないかということで、行政機関を省かせていただいております。  この法案では、公益通報に対して行政機関が何もしないというようなことがないように、第十条で公益通報に対して行政機関が必要な措置及び適切な措置を講じなければならない旨の義務規定を置いているということであります。
  207. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 十条は取りあえず外しておいてください。  今の御説明、はっきり言って全然理解できないんですけれども、例えば今回、内部通報をする要件と行政機関通報できる要件、これ行政機関の方が要件厳しいですよね、厳しいじゃありませんか。だって、「まさに生じようと」、厳しいでしょう、信じるに足る相当な理由があるわけですよ。ということは、行政機関に通知して、通報してほっておかれた場合の方がいわゆる通報対象事実が、この事実が発生する蓋然性は明らかに高いわけですよ。だから、明らかに高い行政への通報に対してほったらかしてもいいというようでは私は今法律の元々の目的が貫徹されないと思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。
  208. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 正に、だからこそ第十条に行政機関通報を受けた行政機関の義務として、必要な調査を行って適切な措置を講じなければならないという義務を課しているわけですよね。
  209. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そんな、九条にもありますし、むしろこのニの項で内部にはいろいろと課しているわけでしょう。行政にだって同じようなことをやってもらえばいいわけじゃありませんか、局長
  210. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 先ほど来、答弁が若干食い違ってはおりますけれども、第十条で通報を受けた行政機関の義務ということで置いていますよね。そういうこと、義務を課しておりますので、それは誠実に行政機関がやる、通報を受けた行政機関が誠実にそれに対して対応すると。  それをじゃ何で担保するんだということでありますけれども、国家公務員法上の職務専念義務等の違反ということで懲罰の対象になるというところで担保しております。正に、行政機関への通報が行われたときに行政機関がそれに対して何も対応がなされないようなことにならないようにということでこれ全体ができ上がっているというふうに理解しております。
  211. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 もう十条は切り離してください。  なぜならば、若干論理立ては違いますけれども、九条でも、是正措置等の通知とか様々なものも、いわゆる内部通報先ですね、そこにも課せられているわけですよ。にもかかわらず、このニ項において、三項のニですね、三項のニにおいて、何で行政機関への通報が外されるのかというのは、私は合理的な説明になっていないと思います。  また、新たに、やっぱりその状況ですよ。じゃなぜ、まず、行政機関通報した人、この人なぜ行政機関通報しているか、まず考えてみましょう。というのは、行政機関への通報要件というのは内部先よりも厳しいわけですから、この人間は行政機関にも通報できますが、加えて当然、自分内部通報もできるわけですよね。でもあえて行政を選んでいるということは、これはともすると自分の所属する組織コンプライアンス経営に対して若干の疑問が出ているという、こういう可能性が高いわけですよ。そうでなければ内部通報すればいいわけでしょう。あえて行政を選んでいる。でも、この方は外部に通報していませんよね、まず。それはなぜならば、外部に通報できるような条件が整っていないわけですよ、この時点では。例えば、三項のロとかイとか、こういった、三項のロとか、証拠隠滅とか、ここまでないから、この人は外部通報もできず、そして内部通報もせず、そして行政機関への通報を選んだんですよね、この人は。でも、いったんこの行政機関への通報を選びますと、選んだ瞬間に、後はナシのつぶてで、もうこの人間はその選んだ瞬間にその一歩先の外部通報することが妨げられるんですよ。このこと自体、私は大変不合理だと思うんですが、局長、いかがですか。
  212. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 行政機関への通報をして、そこが行政機関で何らの対応がなされないということがないようにということで第十条の規定を置かさせていただいているというのが一つ。それから、行政機関通報した場合であっても、それが外部への通報要件、このイからホに掲げる要件に合致すること、合致するということであれば事業者外部へも通報できるわけですよね。そこでもって担保しているということであります。
  213. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 到底納得はできないんですけれども、これもちょっとやり取り、長い時間掛けられないので、やはり行政への通報、そして適切な処置がそう講じられなければ外部通報はできて私は当然だと思うんです。このことはもうきっちりと述べさせていただきます。  では、次の項目に移ります。  同じ三項のニなんですけれども、二十日間の文言がございます。要は、「公益通報をした日から二十日を経過しても、」云々とございますけれども、まずお聞きします。この二十日間というこの設定の根拠は一体何でしょうか。
  214. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) まず、その二十日の起算日が到達主義ということであります。つまり、事業者に到達してから二十日ということであります。  当初、これは二週間ということで考えていたんですけれども、例えば曜日の関係によっては、週末にそれが届くというようなケースでありますとか、あるいは責任者が不在であるとか、通報者通報するまでの間にいろんな手続をやらなきゃいけない、それをやるのに要する期間として、当初考えていた二週間ではちょっと足らないんじゃないかというような意見がパブリックコメントの過程で出てきて、それで若干そこを延ばしたということであります。  要は、手続に要する、社内手続、その通報を受けてそれに対する回答をやるまでの社内手続等がどれくらいの期間があれば十分であるかということで二十日ということにさせていただいたということであります。
  215. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 私、今の局長のお話こそがリアリティーが欠けていると思うんですよ。そんな掛かる会社ありませんよ。参考人で三菱商事の大村参考人がおっしゃいました。自分のところで目安箱でこういった内部通報を受け付けている、九割は事実誤認だけれども、だが大変貴重なものだと。一つ一つ当然対応するということなんですね。  私、これ当然だと思うんですよ。これ、大企業、中小企業かかわらず、やはり自分の会社で何か不正が行われているということが通報で上がったら、調査することを決めるのは当たり前じゃありませんか。これ、国民生活審議会で言うところの適当な是正措置を行う、この旨を通知するには私相当な期間が掛かると思いますよ。だって、適正な措置をするにはやはり何日間掛かるというのは私もリアルに分かりますよ。  ですが、不正について通報を受けて、調査するかしないかなんというのは即断即決でしょう。これ、三菱商事の方も言っていましたよ。そんなこと当たり前でしょう。私にしてみれば、そんなもの、じゃ調査するということなんというのは、ともすれば三十分、一時間の話ですよ。二十日間掛ける会社なんて、私に言わせれば調査する気のない会社であって、調査するまともなコンプライアンス経営のできている会社だったら、二十日も掛かるわけないじゃありませんか。局長、いかがですか。
  216. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 通常であれば、黒岩先生御指摘のような事情というのも分かるわけですけれども、ただ片っ方では、ある通報が地方の支社みたいなところに届いたというようなケースだって考えられますよね。それを社内に、本社の方に通報して、本社で意思決定をするまでの間には、責任者がいないとかいうようなことだって考えられますし、土日を挟むとかいうようなことも考えられますので、二十日が必要ではないかということでこういうふうに決めさせていただいたということであります。
  217. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いいですか、今回のこの内部通報対象事実というのは、会社がつぶれるかもどうかもしれない大変要件の厳しいものでしょう。土日なんて、お役所的なこと、まあお役所の方だからしようがないけれども、そういったことを本当、言っていただきたくないんですよ。もう本当に、政務官うなずいていますけれども、そうですよね。  それで、今日もやっぱりここ、本当になかなかリアリティーがないわけですよ。  そこで、今日は神本理事からも質問あったんですけれども、例えばこれ二十日間、調査を、例えば調査を行う旨の通知が来ましたと、来ました。でも、その後、調査とか是正措置をしている様子が見られませんと。そうなった場合には、局長の御答弁では、それは正当な理由がなくて調査を行わない場合だと、こうなっていると言うんですけれども、これやっぱりどの時点をもって正当な理由がなくて調査を行わない場合になるのかという、これ本当分かりづらいと思うんですよ。これ昨日も私は質問をしました。確かに、一年もほったらかしておいたら、これはもうどう考えても調査を行ってないでしょうという、これは私にも分かりますよ。ですけれども、これは三日なのか五日なのか。  何といっても、いいですか、これもリアリティーを持って考えてほしいんですけれども、この方、一回内部通報しているわけですよ。その段階でも実は様々な条件を、物すごい厳しい条件をクリアして内部通報したわけですよね。ようやくですよ、ようやく保護される人間になったんですよ。それが、通知が来ました、ここまではセーフですよ。それが例えば一週間後に、いや全然何もやってないよと。いざ外部通報した瞬間に、後日あなたのはこれ、このニ項で守られませんといった瞬間に、今までせっかくセーフだったのがここでアウトの宣告ですよ。しかも、今日の局長のお話では、それは個々の例だから後々裁判等であなたは保護されるかどうかが分かるという、そういうことでしょう。こんなのなら、皆さん、この時点でせっかく今まで保護されてセーフだった人間が一か八かで外部通報できませんよ、怖くて。  だから、我々言っているのは、やはり国民生活審議会の言う適当な措置がされて、そういった通知を受けてからという、こういったような条件にしなければ、この通知云々の議論では、今私が申し上げたような、とても現実的に外部通報が行えないというこういう現状が現れるという、私、このことについて局長、いかがですか。
  218. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) そこは、やはり個々の案件ごとにその合理的な期間、案件の内容に応じてどれくらいが合理的な期間であるかというのを個々に判断していくしかないだろうと思います。
  219. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、今回のこの法案最後最後議論で個々の案件という言葉が出ちゃうと、これは振出しに戻ったというより後退したような感じなんですよ。これは竹中大臣も、まあ実態判断だと言うんですけれども、ただ、何度も言いますが、この外部通報というのは、ともすれば解雇をされたりとか、そしてそのほか大変事実上の不利益を被るという、これ物すごい危険を冒す行為でもあるんですよね。  私は何度も申し上げています。決して密告社会を奨励する気は私もこれっぽっちもないけれども、ただ、これだけの危険を冒す場合、やはり自分はどこまでが保護されるか、自分はどの位置にいるのかということがはっきり分からせることこそ、私はこの法案の本来の趣旨であると、そう思っているんですよ。これが貫徹されず、個々のケース、実態判断、この言葉がまかり通る限り、私はこの法律の目的の一つである公益通報者保護は到底なされないとそう思っておりますし、とても公益通報ができないと、特に外部通報はできないと、そう思っております。いかがですか。大臣、お答えください。
  220. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 黒岩委員からは本当に重要な御指摘を賜っていると思っております。リアリティーが必要だというのはもう本当にそのとおりだと思います。私もサラリーマン経験があります。確かに会社のことに対してそういう立場自分が置かれたらというふうに思うと、これは本当に勇気の要る行為だと思います。  今回、今までそういった意味では何もなかった中で、我々としても何かそういった形での公益通報者保護の枠組みを踏み出したい、この思いは実は恐らく共通して持っているんだと思います。  そうした中で、いろんな御意見がございました。我々としてはその範囲を明確にすることによって、そこの点では予見可能性は高めている。しかし、同時にこのどういった時点で判断するかとか、その確度、確実性をどのように判断するかということに関しては、これは同時に一方で実態判断をするような余地も残しておかなければいけないのだろうというふうに思っています。  そういう意味では、この最後最後のところで外部要件のところで、急迫した危機があると信ずるに足る相当の理由があるということで、最後のところで本当にせっぱ詰まった状況になるとこれはもう外部通報も含めてできるのだという、その一種の最終的な受皿は作ってあるつもりでございます。  個々の問題について、この審議を通して賜ったことはたくさんあるというふうに思います。政令の定め方についても、先生方の御意見は本当に十二分に踏まえた上で、しっかりと対応しなければいけないと思っています。  しかしながら、そうしたことも踏まえて、とにかくこうした今まで日本になかった法律を今回提案させていただいて、それをしっかりとスムーズに発進させたい。その発進をさせる中で、それをうまくやるためにはガイドライン等々も先生方の意見を踏まえてしっかりと作るつもりでおります。そういうことを通してこの法律を定着させて、しかるべき見直しの時期にまた先生方の御意見も賜りながら、より良い法律にしていきたいと、そのように考えております。
  221. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 分かりました。  とにかくこの法律の目的は、実は公益者、公益通報者保護だけでもございません。法令遵守だけでもございません。この二つを通して国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資するという、これが大きな目的ですから、私はこの目的を達成するために大臣を先頭に立って、事務方では局長のお力かりながら推進していっていきたいと思います。  質問を終わります。
  222. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 速記を止めてください。    〔午後三時三十六分速記中止〕    〔午後三時四十八分速記開始〕
  223. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  224. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 委員異動について御報告いたします。  山崎正昭さんが委員辞任され、その補欠として吉田博美さんが選任されました。     ─────────────
  225. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 先ほど、吉川さんの質疑中要求のあった点について答弁を求めます。永谷国民生活局長
  226. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 吉川委員の先ほどの質問に関し、まず、刑法第三十五条の正当行為と公益通報者保護制度との関係についてでございますが、刑法第三十五条は、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」としております。一方、本法案は、公益のために通報を行った労働者解雇等の雇用上の不利益取扱いを受けないという民事ルールを定めるものであります。したがいまして、両者は直接の関係はございません。  また、公益通報はすべて刑法上の正当行為に当たるのかという点につきましては、公益通報が刑法上の正当行為に当たるかどうかは個別具体的に判断すべきものであり、一概には言えないものであります。  なお、本法案における公益通報対象は、犯罪行為や法令違反行為という反社会性が明白な行為であり、秘密として保護するに値しないと考えられることから、通常これらの事実について本案に定める要件に該当する公益通報をしても守秘義務違反を問われることはないと考えられます。  以上です。
  227. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 他に御発言もないようですので、この際、お諮りいたします。  公益通報者保護法案に対する質疑を終局することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 御異議ないと認め、本案に対する質疑は終局することに決定いたしました。  公益通報者保護法案の修正について松井さん及び吉川さんから発言を求められておりますので、この際、これを許します。松井孝治さん。
  229. 松井孝治

    松井孝治君 私は、公益通報者保護法案に対し、民主党・新緑風会を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容は、今お手元に配付していただいております案文のとおりでございます。  その趣旨について御説明をいたします。  国民の信頼を裏切る公務員不祥事や消費者の信頼を裏切る企業不祥事が続発しています。その多くは内部関係者の告発により発覚しています。  不祥事はあってはならないことです。ただ、それが起こったときには、一番詳しい内部関係者から声を上げてもらうことが被害を最小限に食い止める最善の方法の一つではないでしょうか。しかし、解雇や減給など不利益取扱いを受けるのが怖くて関係者がなかなか声を上げられないというのが現実です。そこで、公益に資する通報に関しては通報者を守る法律が必要であると民主党は考えてまいりました。  政府は、このような民主党や消費者団体などの声に押され、公益通報者保護する旨の法案の作成に入りました。当初聞き及んでいた政府案ですら、対象や外部通報の要件が非常に限定されているなど、多くの問題を抱えていました。しかし、新聞報道によれば、与党の会議にて一部議員から根強い反対があって更にそれを修正を余儀なくされたとのことであり、今国会に提出されてきた法案は、通報対象や外部通報の要件が更に限定されるなど、大幅に後退した内容となっておりました。これは逆に公益通報を抑制してしまう可能性が高く、公益通報者保護法の名に値しません。  このような観点から、政府提出法案について、今般、民主党として修正案を提出したところであります。  修正案はお手元に配付したとおりであります。  第一に、労働者のみならず、弱い立場にある下請等事業者についても保護対象に含め、契約の解除その他不利益取扱いを禁止することとしております。  第二に、通報対象事実を特定の法律規定する犯罪行為の事実に限定せず、法令違反一般、さらには実質的公益侵害に拡大することとしております。これは、国民生命、身体及び財産の保護並びに公益の増進にかかわる通報は、何も犯罪行為や法令違反の事実に限るものではないとの考えからであります。また、政府案では、通報対象事実が「まさに生じようとしている旨」の通報保護対象としていますが、これでは要件が厳し過ぎて、かえって公益通報を萎縮させる可能性があります。民主党案では、これを「生ずるおそれがある旨」の通報拡大することとしております。  第三に、外部通報先範囲拡大するとともに、外部通報要件を緩和することとしております。  第四に、公益通報を萎縮させる可能性があるため、通報者に他人の正当な利益等の尊重を課す規定を削除するものとしております。  第五に、取締役等について、コンプライアンス経営に努めるべきこと、通報対象事実を発見したときは誠実に対応すべきこと等を規定しております。  第六に、施行期日を公布日から一年以内に前倒しするとともに、見直しの期日についても施行後三年を目途とすることとしております。  以上が修正案の概要であります。  委員各位におかれましては、本修正案の趣旨につき十分に御理解を賜り、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  230. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 吉川春子さん。
  231. 吉川春子

    吉川春子君 私は、公益通報者保護法案に対し、日本共産党を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について御説明いたします。  政府提出の法案は、通報対象事実の範囲を罰則のある犯罪行為とするなど、極めて狭く限定しています。さらに、外部通報の場合には厳しい五項目の要件を設定し、ハードルを高くしています。取引業者や下請業者などを保護対象から除外しています。また、通報者に対する不利益取扱い禁止の実効性が確保されていません。これでは、現行法で保護されている内部告発も保護されなくなるなど、判例水準を引き下げることになりかねないものです。法案通報者を萎縮させ、内部告発を企業内部行政機関に閉じ込めることになります。  本修正案は、政府案を抜本的に修正し、公益通報者を広く保護しようとするものです。  以下、修正案の概要を御説明いたします。  第一は、保護される公益通報者範囲を、下請等事業者への拡大です。労働者のみならず下請等事業者保護対象として、親事業者による契約の解除その他不利益取扱いを禁止することとしています。  第二は、通報対象事実の範囲拡大です。政府案の別表を削除し、税法、公選法、政治資金規正法などを含めた法令違反一般拡大するとともに、個人生命又は身体に重大な影響を与えるおそれがある事実も対象とすることとします。また、政府案対象事実が「まさに生じようとしている旨」を、「生ずるおそれがある旨」に修正します。  第三は、外部通報要件の緩和です。政府案の外部通報の要件である五項目を削除し、行政機関への通報と同等にし、外部通報をしやすくすることにします。  第四は、他人の正当な利益等の尊重の規定の削除です。政府案の八条の規定公益通報を萎縮させるので削除することとします。  第五は、立証責任の転換です。公益通報を行った労働者自分不利益扱いを立証することは大変困難です。救済を実効性あるものにするため、解雇又は不利益扱いを争う訴訟において事業者側に主要な事実の立証を課すこととしています。  第六は、行政機関の通知義務の追加です。公益通報を受け取った行政機関が、調査の結果行った措置などを遅滞なく通報者に通知することにしています。  以上が日本共産党の修正案の提案理由及びその概要です。  委員各位の御賛同をお願いし、修正案の趣旨説明を終わります。
  232. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  233. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提出の公益通報者保護法案に反対し、共産党提出の公益通報者保護法案に反対する修正案に反対し、民主党提出の公益通報者保護法案に対する修正案に賛成する立場から討論を行います。  国民の信頼を裏切る公務員不祥事や消費者の信頼を裏切る企業不祥事が続発しています。この多くは内部関係者の告発により発覚しています。こうした内部通報がなければ多くの不祥事がそのままやみに葬られ、あるいは大きな被害につながったかもしれません。事実、自分が声を上げなかったために被害を防ぐことができなかったと悔やみ続けている方たちも少なくありません。  しかしながら、正当な内部通報を行った通報者の多くが解雇や減給を始めとした不利益取扱いを受けて苦しんでいます。また、不利益取扱いを恐れて関係者が声を上げにくいのも現実です。  そこで、民主党は、公益に資する通報を行った通報者保護する法律が必要であると考えてきました。そうした法律があることによって、事業者の自主的な取組が促されることも期待されます。  しかし、政府が今国会に提出してきた法案は、通報対象事実や外部通報の要件が極めて限定されているなど、数々の問題点を抱えております。  以下、具体的に申し述べます。  第一に、政府案では、保護される公益通報者範囲労働者に限定するとともに、その公益通報者に対する保護を、解雇、降格、減給等の禁止といった雇用上の不利益取扱いの禁止に限定しております。これでは、例えば雪印乳業の牛肉偽装事件を告発した西宮冷蔵のような取引事業者からの通報を抑制しかねません。  これに対し、民主党案では、下請事業者からの通報保護対象となります。  第二に、政府案では、通報対象事実の範囲を別表に掲げるわずか七本の法律及び政令で指定する法律に限定をしており、余りにも不十分であります。  これに対し、民主党案では、法令違反一般、さらには実質的公益侵害まで通報対象事実の範囲拡大しております。  また、政府案では、通報対象事実が「まさに生じようとしている旨」の通報保護対象としておりますが、これでは被害などが発生するぎりぎりの段階まで通報を抑制し、対処が間に合わない可能性が高いと言えます。  これに対し、民主党案では、「生ずるおそれがある旨」の通報保護対象としております。  第三に、政府案は、外部通報先範囲についても外部通報要件についても限定され過ぎており、これも公益通報を抑制する要因になりかねません。  また、共産党案では、外部通報先範囲政府案同様限定されていること、外部通報要件を広げ過ぎているため、ささいなことに対する通報が大量になされ、無用な混乱を起こすおそれがあることなど、数々の問題点があります。  これに対して、民主党案では、外部通報先範囲拡大するとともに、外部通報要件を適切な範囲拡大しております。  第四に、政府案は公布から二年以内に施行、見直しは施行後五年後に行うこととなっており、見直しまでの時間が余りにも長過ぎます。  これに対して、民主党案は、公布から一年以内に施行、見直しは施行後三年以内に行うこととしております。  以上のように、政府案は、公益通報者保護法案ではなく、公益通報抑制法案というべき内容となっており、一歩前進どころか後退するものであり、反対いたします。  なお、民主党が共産党、社民党とともに提出した国の行政運営適正化のための公益通報に関する法律案について、これまでこの委員会で政府提出の公益通報者保護法案と一括審議を行ってまいりました。  野党提出のこの法案は、公務員不祥事について、法令違反のほかに、法令に違反するおそれがある事実、人命又は健康に重大な影響が与えるおそれという三つの事実を通報対象としており、政府提出案よりはるかに広い範囲通報対象事実としています。また、政府案提出では労働者しか保護対象となっていませんが、野党提出法案ではすべての国民保護対象になっているなど、通報者保護が図られやすい法案となっています。  このたび、政府案の採決に当たって野党提出法案の採決が行われず、廃案になる見通しになってしまったことに対して、遺憾の意を強く表明します。  最後に、民主党国民生命、身体及び財産の保護並びに公益の増進を目指し、真に公益の開示に資する制度を構築していく所存であることを申し述べ、私の討論を終わらせていただきます。  以上です。
  234. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公益通報者保護法案について、賛成の立場から討論を行います。  本法律案は、近年、リコール隠しや食品の偽装表示事件を始めとする、国民生命、身体の保護、消費者の利益の擁護等にかかわる事業者の犯罪行為や法令違反行為が相次いで発生していること、また、これらの犯罪行為等の多くが事業者内部関係者からの通報を契機として発覚している状況を踏まえ、事業者による法令遵守を確保し、国民生活の安定を図っていく上で、公益のために通報を行ったことを理由として労働者解雇等不利益取扱いを受けることのないよう、公益通報に関する制度を整備するものであります。  公益通報者である労働者は、現在も労働基準法等の一般法理利益保護されるのでありますが、本法律案により、そのうちの一定の通報については保護等の要件があらかじめ明確化されることになります。通報者範囲や外部への通報要件が限定的である等の意見もありますが、新たな制度を導入する場合には様々な不安や懸念が生じるものであります。  事業者によるコンプライアンス経営の促進、公益通報者保護といった本法律案の目的を実現するためには、まず保護されるべき通報者が真に安心して通報できる制度の枠組みを早急に整備し、実施することが必要であります。  本法律案の附則では、法律の施行状況について検討し、見直し等必要な措置を講ずる旨の規定も置かれており、実際に制度を運用していく中で、より良い公益通報者保護制度となっていくものと確信しております。  以上、公益通報者保護法案に対する賛成の理由を申し述べました。  最後に、民主党・新緑風会提出の修正案及び日本共産党提出の修正案には反対であることを表明いたしまして、与党を代表しての賛成討論といたします。
  235. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、日本共産党を代表して、公益通報者保護法案に対する反対の討論を行います。  三菱自動車のリコール隠しや警察の裏金作りなど、企業や行政の違法・不正行為が明らかになったのは内部告発によるものであります。内部告発は国民、消費者の利益と安全を守る社会役割を持っています。労働者や下請業者が告発しやすくし、十分に法的保護が受けられる公益通報制度を作る必要があります。  しかし、政府案法案は、内部告発の対象範囲を狭め、かつ犯罪行為に限定するなど、内部告発をしにくくし、告発者を萎縮させ抑制するものになっています。  以下、反対の理由を述べます。  反対する理由の第一は、法案通報対象事実の範囲を狭め、保護すべき通報を限定し、通報者保護の実効性に乏しいことであります。  法案は、通報対象事実を別表で例示した七法律以外は政令で定めるものとし、審議の中でも対象法律さえ明らかにせず、更に絞り込もうとしています。保護される通報は、その上で罰則のある犯罪行為に極めて狭く限定されています。  公益にとって重要で実際に通報事例の多い税金の無駄遣い、脱税、違法政治献金、談合などは初めから保護対象から除外されるなど、実効性のないものと言わなければなりません。  理由の第二は、外部通報のハードルが高く、通報者を萎縮させ、通報を企業内部行政機関に閉じ込めることになるからであります。  法案は、報道機関、国会議員など、外部通報の要件として、不利益取扱いや証拠隠滅のおそれなど五項目を設けています。これらは、審議で明らかになったように、ハードルが高く、通報者にとって立証が困難なものです。これでは、内部告発が企業内部行政機関に閉じ込められ、うやむやにされ、もみ消され、やみに葬られてしまいます。  また、法案の外部通報の要件は現行の判例水準を切り下げるもので、これまで守られてきた通報者保護の権利が奪われるおそれさえもあります。  第三は、通報者保護対象から下請事業者を除外していることであります。  法案は、通報者保護対象を労働基準法の規定する労働者とし、下請事業者を除外しています。下請事業者は、事実上、元請企業等の指揮監督下に置かれているのが実態で、労働者と同じような立場です。また、この間の内部告発の多くがそうした関連下請事業者などが行っていることからしても、下請事業者を除外しているのは不当であります。  第四は、不利益取扱い禁止の実効性を担保する措置がないことです。  法案通報者不利益取扱いを禁止をしています。しかし、原状回復の規定がなく、労働者裁判で争うことになります。労働者不利益取扱いを立証する困難性はこれまでの裁判事例が示しています。事業者側に立証責任を課すなどの措置を取らなければ、その実効性が担保されません。  このように、法案は、通報対象事実の範囲を狭くし、通報者保護を限定するものであります。さらに、外部通報の要件が厳しくし、通報者を萎縮させ、通報を抑制するものであることを指摘して、反対の討論を終わります。
  236. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより公益通報者保護法案について採決に入ります。  まず、吉川さん提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  237. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 少数と認めます。よって、吉川さん提出の修正案は否決されました。  次に、松井さん提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  238. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 少数と認めます。よって、松井さん提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  239. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、神本さんから発言を求められておりますので、これを許します。神本美恵子さん。
  240. 神本美恵子

    神本美恵子君 私は、ただいま可決されました公益通報者保護法案に対し、自由民主党民主党・新緑風会及び公明党並びに各派に属しない議員黒岩宇洋さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     公益通報者保護法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、本法の立法趣旨通報者利益保護を拡充・強化しようとするものであること、及び本法による保護対象に含まれない通報については従来どおり一般法理が適用されるものであることを、労働者事業者等に周知徹底すること。  二、他人の正当な利益等の尊重の規定公益通報をする労働者を萎縮させることのないよう、十分留意すること。  三、公益通報者の氏名等個人情報の漏えいが、公益通報者に対する不利益取扱いにつながるおそれがあることの重大性にかんがみ、公益通報を受けた者が、公益通報者個人情報保護に万全を期するよう措置すること。  四、事業者及び行政機関において、通報をしようとする者が事前に相談できる窓口が整備されるよう促進すること。また、公益通報を受けた事業者及び行政機関が、通報対象事実についての調査結果及び是正措置等を公益通報者に通知するよう、公益通報受付体制の整備を図ること。  五、対象法律を定める政令の制定に際しては、当該法令違反国民生命、身体、財産等に及ぼす被害の大きさ等を精査するとともに、本委員会における審議及びパブリックコメントの実施により寄せられた国民の意見を踏まえ、これを適切に反映させること。  六、附則第二条の規定に基づく本法の見直しは、通報者範囲通報対象事実の範囲、外部通報の要件及び外部通報先範囲の再検討を含めて行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  241. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) ただいま神本さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  242. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 全会一致と認めます。よって、神本さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹中内閣特命担大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹中大臣
  243. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法案の実施に努めてまいりたいと考えております。
  244. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会