運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-05-27 第159回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十六日     辞任         補欠選任      森下 博之君     愛知 治郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         和田ひろ子君     理 事                 西銘順志郎君                 森田 次夫君                 神本美恵子君                 吉川 春子君     委 員                 愛知 治郎君                 岡田  広君                 関口 昌一君                 竹山  裕君                 中島 眞人君                 森元 恒雄君                 山崎 正昭君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 小林美恵子君                 黒岩 宇洋君    衆議院議員        内閣委員長    山本 公一君        内閣委員長代理  岸田 文雄君        内閣委員長代理  八代 英太君        内閣委員長代理  中山 義活君        内閣委員長代理  原口 一博君        内閣委員長代理  斉藤 鉄夫君        内閣委員長代理  福島  豊君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策))    茂木 敏充君    副大臣        内閣府副大臣   中島 眞人君        厚生労働大臣  谷畑  孝君    大臣政務官        総務大臣政務官  世耕 弘成君        厚生労働大臣政        務官       竹本 直一君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房知的財        産戦略推進事務        局次長      森口 泰孝君        内閣府政策統括        官        山本信一郎君        文部科学大臣官        房審議官     金森 越哉君        文化庁文化部長  寺脇  研君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        太田 俊明君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        経済産業省商務        情報政策局長   豊田 正和君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○障害者基本法の一部を改正する法律案衆議院  提出) ○コンテンツ創造保護及び活用促進に関す  る法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十六日、森下博之さんが委員を辞任され、その補欠として愛知治郎さんが選任されました。     ─────────────
  3. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  障害者基本法の一部を改正する法律案審査のため、内閣府政策統括官山本信一郎さん外三名を、また、コンテンツ創造保護及び活用促進に関する法律案審査のため、内閣官房知的財産戦略推進事務局次長森口泰孝さん外二名を、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 障害者基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 おはようございます。  先日、議員立法提案者皆さんがそろってテレビ特別番組にお出になっておられました。一時間半拝見させていただきました。皆さんの御苦労ですとか、これから目指すべき方向ですとか、それぞれ議員皆さん思いも聞かせていただきました。本当に御苦労さまでございました。  それでは、質問をさせていただきたいと思いますが、まず第三条で基本理念が定められて、第三項で「何人も、障害者に対して、障害理由として、差別することその他の権利利益侵害する行為をしてはならない。」というふうに書いてありまして、差別禁止するということが書かれております。これは大変大きな第一歩だと思っております。これを具体的に施策につなげるときにこの趣旨が損なわれないようにしなくてはなりません。  現に、障害理由とした権利利益侵害施設作業所やあるいは雇用の場というところで様々な形で問題となってきました。肉体的な虐待、不当な雇用条件など目に見える被害、また権利侵害禁止というのは当然だと思いますが、もっと広く差別の概念というのをとらえていきませんと、この条項の意義は限られたものになってしまいます。  そこで、お伺いいたしますが、ここで想定しております障害理由とした権利利益侵害とは何か。あわせて、第一項、第二項が示す理念を踏まえて、この第三項に込められました提案者思いを伺いたいと思います。原口議員にお願いしたいと思います。
  7. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 冒頭、たくさんの議員の皆様のお力でこの議員立法改正というところに至りましたことをお礼を申し上げたいと思います。  その上で、この第三条第三項の規定でございますが、障害者権利というのは、これはだれかから与えられたものではございません。元々、自然権的に持っているその権利、この権利を保障するんだと。特に、この三項の規定障害者権利利益侵害する行為を明確に禁止するものであって、権利利益侵害行為の典型として障害者差別することを例示しているものでございます。したがって、例えば就労についての障害者健常者差別し扱うことは当然に禁止されますし、また社会通念上明確に権利性を認められているとまで言えない事実上の利益についても差別禁止するものでございます。これを明示した点で大変大きな成果あるいは意義があるというふうに思います。  例えば、スウェーデンにサムハルという施設がありますが、一人一人の、この法律の中で小規模作業所の充実についても明記をしていますが、就労権利移動権利教育を選択する権利、そういったものをきっちりと保障していく、そのためのものであるというふうに御理解をいただければと思います。
  8. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ところで、障害者というふうになりますと、何か差し障りがあって、害がある、これは非常にマイナス表現だということで、私は、松井議員が大変熱心にチャレンジドという言葉を広める、言葉だけでは実はないわけなんですけれども、そういう点について是非提案をしていこうということで意見が一致しました。それは、テレビ番組でも原口議員チャレンジドということについて表現をされておりましたけれども、これは英語で言いますディスアビリティーとか、あるいはディスエーブルパーソンとか、ハンディキャップというふうに表現されているのが、余りにもマイナスの面が注目され過ぎてしまうので、アメリカで使われておりますのが十年ぐらい前からチャレンジドということなんですね。  私は、このチャレンジドというのは使命とか課題とかあるいはチャンスを与えられた人ということで、挑戦者というよりは挑戦を与えられた人というような表現であると。本当に、私も聞いたことがある言葉ではあったんですけれども、これをもっと本当に前向きに広げていこうということは大事なことだと私は感じました。一言、原口議員、お願いします。
  9. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 正に、岡崎議員おっしゃるとおりだと思います。障り害者と書いて障害者と、大変後ろ向きで、取り方によっては悲しい言葉でございます。  ジョン・F・ケネディがチャレンジドをタックスペイヤーに、つまり神様から挑戦する課題を生まれながらにしていただいた人たち、あるいは生まれた後に様々な困難に立ち向かう人たち、そういう人たちということでチャレンジドという言葉を使っているというふうに思います。できないことが問題ではなくて、できることが大事なんだ、障害が問題ではなくて、それを、障害者権利を保障することが問題なんだというふうに思います。  岡崎議員が御指摘のように、正に私たちチャレンジドという前向きの言葉で多くの施策を進めていくことが肝要であるというふうに思っております。
  10. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そこで、内閣府にお伺いしたいと思いますけれども障害の日一日が障害者週間というふうに七日に広がったわけなんで、継続的な取組が可能となっていくわけなんですけれども、この意識改革も含めてこのチャレンジドを応援する、この一週間の間にもっともっとポジティブに積極的にという意味是非このことを広めていきたいというふうに思うんで、取り組んでみてはいかがかというふうに御提案を申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  11. 山本信一郎

    政府参考人山本信一郎君) 今委員指摘のように、挑戦使命課題を与えられているといったような意味アメリカなどではチャレンジドという言葉が使われる場合があるという具合に私ども認識をしております。  私どもも新しい障害者基本計画の中では、障害者保護する側面だけではないということから、障害者が自らの能力最大限発揮をして自己実現をしていく、こういうことを非常に大切にして施策を進めていきたいという具合に考えております。  今回の改正法障害者週間といったような広がりのあるものができるということでございます。是非こういう啓発活動あるいは広報活動実施に当たりましては、障害者能力最大限に発揮していくという、自己実現をしていくという観点から、広く環境作りも含めて国民各層、各界に対しまして意識啓発を働き掛けていきたい、是非努力していきたいという具合に考えております。
  12. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ちょっと最後がもやっとしたんですが、考慮していきたいというのが耳に飛び込んできましたが、それでよろしゅうございますね。──はい。ありがとうございます。  続きましては、ノーマライゼーション認知度が余り高まっていないということで、その原因をどう分析をしているのかをお伺いしたいと思うんですが、この障害者基本法ができまして、九三年、それから四年後にノーマライゼーションについて総理府で調査をされましたときには、聞いたことがないというのが八四・四%ですね。そして、そのまたその後で二〇〇一年に今度は内閣府が調査をいたしましたときにも、この聞いたことがないというのは七八・三%、六・一ポイントしか上がってないんで本当に認知度が本当に足りないなというふうに思うんですけれども、これはどういうふうにまず分析をしているか、内閣府からお聞きをしておきたいと思います。
  13. 中島眞人

    ○副大臣中島眞人君) 先生指摘のとおり、確かに昨年のアンケートでは二一・七%という非常に低い認知度になっていることは事実でございます。  国民の側から受け止めてみますと、ノーマライゼーションという言葉の中身はともかくとして、差別をなくそう、共生していこうと、そしてともに歩んでいこうと、そういう意識というのは、ノーマライゼーションという言葉の二〇%近くよりもっと高い、アンケートの中では八一・七%のそういう意識調査の中でお出しになっている。こういうことで、このノーマライゼーションという言葉が何かちぐはぐな形で国民に伝わっているんではなかろうかと、こんなふうに思えてならないわけであります。  実は、私も昨年まで厚生委員会におりました、参議院の。堀先生とも御相談をなさって超党派で会を作ったことがございます。それは一例中の一例になりますけれども、例えば視覚障害者のあはき法という法律が出ているんですけれども、あんま、はり、きゅうの国家試験。ところが、町ではこのあはき法を取っていなくて、中国式療術院とか韓国式マッサージとかタイ・マッサージとかという、一番それを利用なさっているのは国会議員だそうですけれども。そういうふうなこと等を考えて、私ども、何かチャレンジしようとしていく芽をやっぱり育てる意識というものを、もっと意識的にやっぱり国民政府も、あるいは国民みんなが真剣に考えていかなければいけないんではなかろうか。  そんな意味で、先生指摘数字は確かにそのとおりでございますけれども国民の心の中には障害者に対するその気持ちというものはだんだんだんだん芽生えていき、そして大変御厄介を掛けました形の中で、今次、基本法をまた作っていくと、そういうふうな風潮が出てきているということを、内閣府といたしましては勇気百倍、これに取り組んで、国民皆さん方がこれに対応していけるような、そういう道をこれから模索をし、努力をしてまいりたいと、こんなふうに考えております。
  14. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 厚生労働省に同じ質問でお答えいただきたいと思います。
  15. 谷畑孝

    ○副大臣谷畑孝君) 先生おっしゃるとおりだと思うんですけれども、私、振り返ってみますと、小学校のころに私たちの村に初めて小児麻痺の方がずっと、訪ねてこられたり歩いたりして、私ども、初めて接触するということで、もう驚きと興味ということで、もう何人かの子供たちがその小児麻痺の方のところへずっと付いていくという、これが私の初めての強烈な印象であったわけでありますけれども。  しかし、その後、私自身、十六年ほど前に初めて参議院になったときに、この障害者健常者のふれあいサマーキャンプというのを、約三百名ぐらいの規模で毎年キャンプをするということで初めての出会いの場を作ったわけですけれども、その中で感じたことは、結局はノーマライゼーションというのは、障害ある方もない方もともに一緒に普通のように暮らしていこう、また認識していこうということだと思うんですね。それはやっぱり、結局は経験といいましょうか、常に障害ある方もない方も同じところで暮らしながら自然とそういう違いを認識したり、そういうことによってノーマライゼーションというものが浸透していくという、そういうことを私自身のふれあいサマーキャンプということで経験をしたところでございます。  そのときに感じたときは、当時、琵琶湖へ行くのに、列車を借り切って行くんですけれども、車いすが、琵琶湖の駅へ着きましたら、十六年前ですから、通ることができないんですね。それとエレベーターが全くない。今日、八代先生とお話をしておったんですけれども、もう今、本当にどこの駅もエレベーターが付きました。また、エレベーターだけじゃなくて、その移動も、幅広歩道だとか、移動も可能にしていくという様々な取組が行われている。  私も、是非そういうことを更に進めるということと同時に、これからはまた就労支援ということも通じていわゆる社会参加という、そういうことがノーマライゼーションの大きな認識となり、またその政策がそれを発展させていくことになるんじゃないか、このように思っております。
  16. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 障害者個人社会復帰をしていくときに、それぞれに対して訓練をする、あるいはサービスをしていくということから、社会が受容する体制を本当に今までよりも変えていかなきゃいけない、全体でもう意識を変えていかなきゃいけないというふうに私は是非内閣府にも他の省庁にもお願いをしたいというふうに思っているわけなんですけれども、この改正趣旨として、差別、すなわち分け隔てのないこと、このことが大事だというふうに、重要なポイントと考えておりますが、教育面についても同じでしょうか。原口議員にお伺いします。
  17. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) この法律改正によって、医療教育労働公共施設バリアフリー情報バリアフリー等について、障害者の自立のための新たな規定が設けられることによって障害者の一層の社会参加が進んで、障害者権利利益が更に拡充、拡大していく。  正に、今委員指摘のように、教育の現場、元々障害者自身教育を選択する権利がある。この地域において、自分のお住みになっている地域において、その教育を、様々な教育を積極的に選択していく、この権利をこの法律の中で読み込みたいということで協議を進めてきて条文に落ち着いたところでございまして、私たちは、正に権利を保障するためのこの法律でございます。  また、付言させていただきますが、先ほどの差別のところでも、この見直し、五年以内の見直しと必要な措置というふうに書いておりますが、ここで、正に日本版ADAと申しますか、障害者差別禁止法、こういったこともこの法律の中で是非制定をしてもらいたいという立法者の意思として込めているところでございます。
  18. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 学校教育法施行令が一昨年改定されましたが、これについて私どもの方では、二〇〇一年十一月九日、十一月十四日、十二月十二日、そして二〇〇二年一月十日と、四回、文部科学省と話合いを行ってきましたけれども、十二月十二日には、当時の池坊政務官ですね、お出になってくださいまして、実はそのときにこういうふうにお約束をしてくださいました。  二十二年間特殊学級があり、手厚い教育をやってきたと思っていたが、十一月十四日に、一人への教員の加配が多いから手厚いのではない、一緒に学ぶということが社会への参加なんだということを伺って、本当にそういう視点からの研究がなされていなかったという懸念があります。今後もそういうことを多方面から、子供たちが大人になったときに自立し、社会参加していくときにどういう形がいいのか研究すべき課題であると考えていると。一人の痛みを分かりましょうと口で言うよりも、実生活で自分とは違った人がいるんだということを認識することが大切であると考えている、うまくいっている例についてはもちろん評価するとおっしゃって、きめ細やかに一人一人のニーズ、性格に合わせた仕組みが大切であるということをおっしゃって、そのときに、通常学級に学ぶ子供たち、この実態調査をお約束していただきました。  文部科学省、今回、このように障害者基本法が改定されるに当たって、当然教育の問題について、重要なポイントにもなってくるわけですから、その実態調査をされたのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  19. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、普通学級に学ぶ障害のある子供実態調査すべきとの御指摘をいただきまして、当時の大臣政務官から前向きな回答をさせていただいたところでございます。その後、文部科学省におきましては、平成十四年九月に、小中学校において適切な教育を受けることができると市町村教育委員会が認める場合には小中学校就学させることができる認定就学制度を導入いたしましたことから、まずは認定就学者状況把握することといたしまして、平成十五年度から都道府県教育委員会を通じて認定就学者実態把握を行っているところでございます。  それによりますと、比較的状況をよく把握している都道府県におきましては、例えばその県内の平成十五年四月入学者のうち、視覚障害一名、聴覚障害一名、肢体不自由七名、知的障害二十九名、合計四十名が認定就学であったなど、具体的な状況把握されている県もございますが、その一方では、県によりましては、市町村調査をいたしましたところ市町村ごと回答の基準がまちまちでございまして、調査結果の精査が必要であるなど、必ずしも十分な把握ができていない県もあったところでございます。  この平成十五年の調査では、まだこの制度が始まって間もなくの時期でございましたので、それぞれの都道府県教育委員会によって具体的な把握方法や時期、状況などがまちまちでございましたことから、全国的なデータの把握まではし切れなかったところでございますので、現在、私どもでは制度実施から一年が経過した時点での状況という観点から、改めて各都道府県に対する調査実施しているところでございます。  普通学級に学ぶ障害のある子供実態につきましては、この認定就学調査の一環として把握してまいりたいと考えているところでございます。
  20. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 是非、具体的に実態調査を私どもにもお示しいただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。  続いて、就学指導委員会で盲・聾・養護、特殊学級就学すべきと判定されながら通常学級に通っている子供は何人いたか、簡単に数字だけ教えてください。
  21. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答え申し上げます。  御質問認定就学を受けた子供数字でございますけれども、今御答弁申し上げましたように、十五年度の状況につきまして都道府県実態把握しようといたしたところでございますけれども十分把握をしている都道府県がございましたり、あるいはまだ十分把握していない都道府県がございましたものですから、改めて制度実施後一年が経過した時点での状況という観点から調査実施することといたしておりますので、その調査によりまして就学認定就学者状況につきまして一定の把握ができるものと考えているという状況でございます。
  22. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 まず、この認定就学者の、ちょっとこの留意事項を見ただけでも大変ですね。各教育委員会、これを見たときに、本当に積極的にできるのかなとちょっと思ってしまうんですが。障害に対応した学校施設や設備が整備されていること、指導面専門性の高い教員が配置されていること等就学のための環境が適切に整備されていることによって、小学校又は中学校就学できる場合が考えられること。このため、認定就学者認定に当たっては、障害に応じた適切な就学のための環境が整備されていることについて十分に考慮してその判断を行う必要があること。特に、二つ以上の障害を併せ持つ場合には、日常的に医療的ケアを必要とする場合のように、障害種類程度等によっては安全上の配慮や障害に応じた適切な指導の必要があることに十分留意し、慎重に判断する必要がある。こういうことを踏まえながら、障害種類程度に応じた適切な教育の内容及び方法について専門官意見保護者意見児童生徒にとって最もふさわしい教育を行うと、こういうふうにたくさん書かれたら、いや、なかなか増えないだろうなというふうに私は思うんですが。  私のところで分かっているのは、埼玉県の方がよくお越しになっていて、千百十一人いる。宮城は二百四十二人いるということなんですけれども、本当に、皆さん認定就学者制度というのをお配りしてあります。これを、こういうふうになっているということをごらんいただきたいというふうに思うんですけれども、この認定就学者の数は本当に、昨年度、今年度、それぞれ何人かというのを見ましたところ、今、さっきの数をちょっと間違えました。埼玉が一人で、名古屋がゼロ人で、宮城が六人です。数字、ちょっと先ほどの、間違えました。少ないんですね、とても少ないんです。御自分たちで作られた制度なんですけれども、こんなに少ないということですよね、通常学級に行っている人たち。ですから、何としてもその実態調査というのが必要だというふうに思うわけなんですけれども。  実はこれが、私が是非皆さんに見ていただきたいなというふうに思っておりますのは、この学校教育法施行令二十二条のところの三ですね。(資料提示)これは、盲者の方は、心身の故障の程度によって、盲学校に行き、聾者の方は聾学校に行き、知的障害者、肢体不自由児者、病弱者というのは養護学級に行くんだというふうに決められているわけなんですけれども、しかし通常学級に通う子供たちもどんどん増えているという状況なわけなんです。この子供たちの存在をどう考えるのか、八代議員にお伺いしたいと思います。  サラマンカ宣言の中で統合教育を既に体現している子供たちだというふうに思っておりまして、この存在、制度上は宙に浮いているんだけれども大変重要だというふうに思っておりますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
  23. 八代英太

    衆議院議員八代英太君) どうも、おはようございます。  私も、基本的には、健康な子供は近い学校に行けて、障害を持つと遠くの学校へ行かなきゃならないということがそもそも私は心に引っ掛かるものがございます。そういう意味では、将来は恐らく、この子にとってどこの教育の場がいいのかという方向はもう世界のうねりだと思いますので、今は交流とかあるいは共同学習とかいって積極的に地域の健康な子供たち一緒にということでございますが、それを認定するとかしないとかというのは、また調査をするとかしないとかというのは大したことではないような気がするんですね。  したがって、普通学校で学ぶ子は普通学級子供と同じように当然教育権利があると思いますし、そしてまた盲・聾、そうしたものは専門的な分野の先生もおられますから、やはりその子にとって、やはり視覚障害を持てば盲学校がいい、あるいは聴覚障害の子は聾学校ということは、それはそれぞれ選択している。それでも、かたくなに普通学級に行きたいということで、今までは文部省の方針に沿って、地方の教育委員会が文部省に聞いてくれ、文部省に言うとそれは地方の教育委員会の判断ですというふうなことで、平成十四年から新しい施行令でそれぞれ弾力的な運用になってきて、これは交流、共同学習という方向はだんだん私は多くなっていくだろうというふうに思うんですね。  したがって、やがては地域学校に共々学ぶということもあるし、あるいはその学校の健康な子供が足を骨折した、車いすに乗らなきゃ、一時的に乗らなきゃならぬといったら養護学校というところで学ぶというような相互の交流、双方向性を発揮するような形で、今の養護学校を否定するつもりは全くありませんが、それは大切なことだと思いますが、基本的にはその子にとってどの学校がいいかは当事者があるいは親御さんが判断するというのが今後の私は流れになっていくだろうし、そういう方向性を見いだすために交流あるいは共同学習というものは、私は、この基本法では、プロローグのような思いを持って立法に当たった次第でございます。
  24. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。
  25. 中島眞人

    ○副大臣中島眞人君) ちょっと委員長、よろしいですか。
  26. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 あっ、済みません。あの、済みません、時間が。申し訳なくて、申し訳ない。ごめんなさいね。  文部科学省にもこの子供たちの存在を認めてほしいということを私も思っているわけなんですが、いかがでしょうか。
  27. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答え申し上げます。  児童生徒就学すべき学校につきましては、市町村教育委員会がその障害状況、状態を把握し、本人や保護者意見を聞きながら当該児童生徒の自立と社会参加のために適切な教育が行われるように判断をすべきものと考えております。  なお、交流及び共同学習を積極的に推進するという今回の法律案趣旨にかんがみまして、就学につきましては、保護者意見を十分に考慮しつつ適切に対応いたしますとともに、現に小中学校に在籍する児童生徒につきましても、その子供学校状況などに応じた教育上の配慮は必要であると考えているところでございます。
  28. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 確認しておきたいと思いますが、障害がある子供普通学級で学んでいるということ、これは共同学習ととらえてよろしいでしょうか。
  29. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答えを申し上げます。  盲学校、聾学校、養護学校小中学校特殊学級では、障害のある児童生徒教育的ニーズに応じて、その可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加するために必要な力を培うため、専門的な教育を行っているところでございます。  一方、障害のある児童生徒学校や設置者の様々な指導上の工夫や配慮によりまして、通常の学級において障害のない児童生徒とともに学習している例もございます。  法律案第十四条第三項におきましては、これらのいずれの場合につきましても、障害のある児童生徒障害のない児童生徒との相互理解を促進させますために、障害のある児童生徒障害のない児童生徒が同じ教育の場でともに学習や活動を行うような交流及び共同学習、これを積極的に進めることを定めたものと受け止めているところでございます。
  30. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 あっさり共同学習ととらえているというふうにお答えいただければ分かったのではないかなというふうに思うわけなんですけれども、先ほどちょっとパネルを出させていただきましたが、実はこれを分けていくとき、学校教育施行令第二十二条の三では、「心身の故障の程度」という表現で分けているわけなんです。この言葉厚生労働省は使っておりますでしょうか。
  31. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 「心身の故障」という言葉につきましては、実は厚生労働省が所管している法律、九つの法律でも使われている例が、言葉としては使われている例がございます。  例えば、日本赤十字社法というのがございますが、これは「役員の解任」という条項で、代議員会は役員が心身の故障のために職務の執行の任に堪えないときは役員の解任の議決をすることができる、こういった使い方でありまして、九つの法律すべて、法人の役員などが病気などのためにその職務を行うことができない場合の対応について定めるというような使い方がされているということでございます。
  32. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、文部科学省はいかがでしょうか。この表現は改めるべきではないかというふうに思っております。  というのは、障害というのはその状態だと思いますし、個性というふうにとらえられる方も非常に多いわけでございまして、「故障の程度」というふうに文部科学省自身が使うことについては是非改めていただきたいというふうに思っておりますが、いかがですか。
  33. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答えを申し上げます。  学校教育法施行令第二十二条の三の「心身の故障の程度」という用語につきましては、学校教育法第七十一条の二の規定、「前条の盲者、聾者又は知的障害者、肢体不自由者若しくは病弱者の心身の故障の程度は、政令で、これを定める。」という学校教育法第七十一条の二の規定を受けて使われているものでございますが、この用語につきましては、今後、特別支援教育の推進に関して検討を行う際の課題としてまいりたいと考えているところでございます。
  34. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 是非検討を進めていただきたいというふうに思っておりまして、この教育ノーマライゼーションを言うのであれば、原則はすべての就学予定者に、小中学校通常学級に通知するということ、まずこの原則はすべての子供たちに与えるということで、例外として本人が、保護者があるいは希望するということであれば盲・聾・養護学校に通うことができるというふうにして、ここは原則例外というふうに、原口議員、見えますでしょうか、というふうな考え方を持っておりますけれども、これを念頭に入れて今後とも検討していただきたいというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  35. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 正に、岡崎委員指摘のとおりだと思います。  障害のある本人が属する地域社会において、インクルーシブかつ利用可能な教育を選択することができる、こういう条件整備を一刻も早く政府に求めたいというふうに思います。  つまり、権利の主体はだれなのか。それは役所でも何でもありません。権利の主体は障害を持って教育を受ける御本人でございます。ですから、この権利の主体がその権利を保障されるように条件整備を進めること。コミュニケーションの保障のための環境整備やいろんな環境整備があります。原則はノーマライゼーション、インクルーシブ、そしてその上で様々な選択がまた別にもあるというふうに考えております。  また、この法律で中央障害者施策推進協議会、この中もいわゆる当事者の意見障害を持ったお一人お一人の当事者の御意見が反映するように、半数以上はそういう皆さん委員が占められるようにということを期待して立法したものでございます。  以上でございます。
  36. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 最後に、交流教育の中で差別を受けたというふうに感じておられた鈴木徳子さんのおっしゃっていたことをまとめられておりますので、読み上げたいと思います。  鈴木徳子さんは四歳の時に交通事故で脊髄損傷になって、栃木県那須郡の湯津上村に住んでいらっしゃいました。養護学校も特殊学校もないところでした。小学校時代は、在籍は村外の特殊学級の訪問教育部だったんですが、多分お父さん、お母さんの闘いの結果、訪問学級の先生が来るとき以外は毎日地元の小学校に聴講生として学んだ。籍がないので教科書もなかった。知能テストも自分の分は送られてこなかった。たとえ残っていても、徳ちゃんの分はないんだよねとみんな横にして流していってしまった。自分の立場が学校の中にないということはいつも傷付いていた。卒業証書ももらえなかった。きちんと形として学校の中に入ることが大事だと思った。中学校は籍をきちんとした。留置カテーテルを使っているとはいえ、社会経済活動に参加しようという部分を外してしまうと一緒じゃないという感じがしてしまう。私は、国民としていつも余計なお世話をされている立場だから、障害のある人たちもそういう立場を外さないでほしいというふうに思った。ということで、大変にこれまで生きてきて苦しい立場についてもおっしゃっておりますので、是非将来、統合教育の方向を目指すということ、強い私も決意を申し上げて、ともに活動していきたいと思っておりますので、皆様よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  37. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  皆様、御苦労さまでございます。また、大変な作業をされてきたことに対して心から敬意を表するものでございます。  この改正案を見させていただいて、随分「基本的理念」というものが変わったというか、前進したというか、そんなふうに感じられます。  例えば、障害者の自立及び社会参加の支援、今までは社会参加促進するというような言い方でございましたし、また、例えば第三条一項であれば、今まで「処遇」という言葉を使っておりましたけれども、生活を保障するというそういう表現。あるいは「権利を有する。」というふうに変えました。今までは「有するものとする。」というような言い方。さらには、障害者や家庭に対して「自立への努力」というのが現行法第六条ございますけれども、これが削除されている。  何か、障害を持っておられる方々に温かい目といいますか、そういうものを感ずるものでございますが、その辺りの基本的理念の前進程度といいますか、その辺りについてちょっと御説明をいただければ有り難いと思いますが。
  38. 福島豊

    衆議院議員(福島豊君) 本日は障害者基本法改正案につきまして内閣委員会で審議いただいておりますことに、まず冒頭感謝を申し上げたいと思っております。  九三年に障害者基本法が、本日も御出席であります八代先生を中心に改正された後、十二年目に当たるわけであります。この間、障害者施策というものが大きく変わってきたということが言えるのではないかと思っております。  政府施策としましても、障害者基本計画見直しが十四年の末に行われましたけれども、その中で示されている方向は施設から地域へと、そういう方向であろうと思いますし、そしてまた支援費制度がスタートいたしましたけれども、その背景にある考え方というのは、措置ということから権利への転換ということではないかというふうに思っております。  今回のこの改正は、そうした障害者施策の在り方そのものの転換に基本法を合わせていこうということが底流にあるわけであります。  そして、その改正の一つ一つの条文を見直すに当たって踏まえた考え方というのは、これまで障害者の自立及び社会参加に対する支援が十分ではなかったという認識を踏まえて、障害者権利の尊重とノーマライゼーションの推進、地域での自立した生活の実現などの理念に基づいて、障害者の自立と社会参加の支援等を一層推進するということを主眼にして改めたものであります。  また、同時に、障害者の尊厳にふさわしい生活を保障し、自立と社会参加を支援するためには、障害者に対する差別禁止し、自立や社会参加の妨げとなっている要因を除去する必要があると、そのように考えて、今回の改正では、「何人も、障害者に対して、障害理由として、差別することその他の権利利益侵害する行為をしてはならない。」ことを基本理念として規定をさせていただきました。
  39. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今、改正案第三条三項の部分を御紹介いただいたわけでありますが、先ほど先行委員からの質問の中でもとらえられておるわけでございますが、ただ、この第三項、差別、「障害理由として、差別することその他の権利利益侵害する行為をしてはならない。」、罰則がないなという感じがするんですね。基本法だから、そういう理念を定めている部分でそのまま即罰則というのも変な話かもしれませんが、ただ、単なる理念的な法律に終わってしまうというのはどうなのか、やはり実効性は担保されなければいけないんではないか。せっかく第十条ですか、この法律上の、法制上の措置を講じなければならない、こういう規定もございますけれども、この辺についての御見解は、実効性担保についての御見解をお述べください。
  40. 福島豊

    衆議院議員(福島豊君) 委員指摘のように、この差別禁止規定というのは基本理念の一つとして位置付けられているわけであります。したがって、この条項に違反したからといって直接的に損害賠償責任が生じるとか罰則が掛かるとかといったような法的な効果を生じるものではありません。したがって、その意味では裁判規範性はないということになります。しかしながら、この条項は、障害者に対して、障害理由として差別すること、その他の権利利益侵害する行為社会通念上許されない違法な行為であることを明確にしていると、ここに私は大きな意義があるというふうに思っております。  障害理由とする差別が不法行為を構成するとして民法に基づいて損害賠償請求訴訟を起こした場合などは、現実の裁判においてそうした訴えが認められやすくなるものと期待しておりますし、そしてまた、より直接的なといいますか実態的な法制定を進めるべきではないかと、そういう御指摘ではないかというふうに思っております。JDA、日本版の差別禁止法でありますけれども、様々な団体が検討し、またこうした法律を作ってはどうかという提案がなされているというふうに私は承知をいたしております。  今回のこの障害者基本法改正に当たって、この差別禁止についてどのような規定にするのかということについては様々な議論があったわけであります。そして、この改正においては、まず理念としてそれを明確に定めて、そしてまた社会においてそうした意識を涵養し、そうした流れの中で、この改正案には見直し規定ということも置かれているわけでありますけれども、より具体的な権利を守るための法律の検討が、国民レベルで議論が大いに盛り上がっていくことを推し進めていくということが大切だと、そのように考えております。
  41. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そのところに関連いたしまして、要するに差別しちゃいけないよという言い方であるわけでございますが、逆に百八十度ひっくり返して分け隔てなく社会参加できる権利というものを発想して、そういうことによってこの社会への完全参加が保障されていく、もちろんそういう権利があっても侵害される場合は、状態もあるでしょう。しかし、やはりこの見方というものを大きく変えていけるんではないのか。  先ほども教育の関係について質問ございましたけれども、やはり教育を分けることをしないことによって、ともに育ち、また学ぶ教育になっていくんではないか、そういうような私、思うところでございますが、この辺りについての御見解はいかがでございましょうか。
  42. 福島豊

    衆議院議員(福島豊君) 今回の改正におきましては、教育に関する条文に新しい一項を設けて、ともに学ぶということをそこに規定をしたわけであります。先ほど来、教育の在り方について岡崎委員からも御指摘がございましたけれども、私はこう思っております。  一つは、まず前提として先ほど原口先生の方から御指摘ありましたけれども、学ぶ場を選択する権利、ともに学ぶ権利という権利性がまず一つあるんだろうというふうに私は思うわけであります。そしてまた、同時に個々の状況に対応してその発達を最大限に支援するような、ニーズに応じた支援という観点がもう一つあるんだろうというふうに私は思っております。  そうしたことを前提として教育が組み立てられていく必要があるんだと。もちろん、この教育というものは歴史的な制度というものがあるわけでありまして、そうしたことを前提として現実の上での教育の改革というものを進めていく必要があると、これも事実だというふうに私は思っております。  今回のこの改正というのは、障害者差別されてはならないと、そういう差別禁止についての理念を設けると同時に、ともに学ぶということを同時にお示しをさせていただいて、前回の改正のときにいろいろと議論になったことについて、一定の私は前進をここに記すことができているんだろうというふうに思うわけであります。  その上で、ここが到達点であるというふうには申し上げるつもりは余りありませんで、ここは一つの通過点であろうというふうに私は思っておりますし、そうした現実の教育現場における体制と、それをどうしていくかということも同時に考えなければならないわけでありますので、委員の御指摘というようなことを踏まえ、引き続き努力をしてまいりたいと、そのように考えております。
  43. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 諸施策、基本的施策もかなり前進しているなというのが実感でございます。  例えば、十五条に「職業相談等」というのがございます。今までは職業指導というんですかね、そういう表現も変わったところでございますが、この十五条の三項に国と地方公共団体の責務のような形で書いてありますが、「地域における作業活動の場及び障害者の職業訓練のための施設の拡充」という文言がございますが、これはよくマスコミ等で報ぜられておりますけれども社会福祉法に基づく授産施設以外の無認可の小規模作業所、こういうものがこの条文、条項によって法的に位置付けられているというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  44. 福島豊

    衆議院議員(福島豊君) 正に、委員の御指摘のとおりでありまして、小規模作業所に対しての支援、現在大変厳しい状況に置かれているわけであります。最大限の支援をしていかなければいけないと、大切な社会福祉サービスの資源でありますので、そうした活動がより広がっていくように私どもは努力していかなきゃいかぬというふうに思っておりますし、そうしたことをここの三項に規定をしたわけであります。  先ほど原口先生の方から、チャレンジドをタックスペイヤーにという話がありました。障害者の自立と社会参加ということにおいて極めて大切なことは、いかにして働くのか、働く場を確保するのか、これが大事だと私は思っております。そして、そうした働く場を確保するということにおいて小規模作業所というものが果たしている役割というものは極めて大きいものがあるわけであります。そうした小規模作業所の活動というものをこれからも最大限に支援をしていきたいと、そういう思いでこの三項を書かせていただいた次第でございます。
  45. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今、福島先生から大変厳しい状況だというふうなお話ございました。  今年の三月二十九日付けの毎日新聞の記事を持ってきたんですけれども、何か予算がどんどん、補助金削減が追い打ちというふうに、存続に危機なんというふうに書いてあるわけでございますが、現場では大変な努力を職員の皆さんはされながら、本当の、立ち向かっているという状況でございますが、その記事の中で、「超党派議員改正法案」という、そんなことも出ていまして、八代先生のすごく勇ましい言葉まで出ておりまして、これは「小規模作業所を育てていこうという狙いだと」八代英太衆議院議員は話すという、そこまで紹介がございます。  ただ、予算のことでございますので、大変な、ここでは補助金も一か所当たり五十万ずつ削減するというような紹介もあったんですが、これは今回、この十五条三項、「助成その他必要な施策を講じなければならない。」ということでございますが、この助成の在り方といいますか、額といいますか、その辺はどういうふうになりましょうか、厚生労働省
  46. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 小規模作業所などが障害者の方々が地域で生活する上で非常に大切な役割を果たしていると考えております。  予算につきましては、委員から御指摘がありましたように、民間団体を通じての補助金の一割カットという政府の方針の下で、小規模作業所に対する全体の一割カットの予算に、やむを得ず本年度予算は組んだところでございます。小規模通所授産施設につきましても、委員からお話がありましたように、人件費等の状況を見まして、箇所数を優先的に確保するという観点から一か所当たりの助成額が五十万円程度減額されたということでございますが、いずれにいたしましても、障害者の方が地域で生活する上で働く場の確保というのは非常に大事であります。今回の改正趣旨を踏まえまして、障害者の方々の働く場の確保の施設体系はいかにあるべきかということも考えまして、小規模作業所の機能に応じて必要な支援がなされるように、政府としても最大限の努力をしていきたいと思っております。
  47. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 この三月時点の塩田さんの御答弁は、非常に大事だと、それは精力的に検討したいと。二か月たっているわけでございますが、その今の御答弁は二か月検討された上での御答弁ですか。
  48. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 障害者の方の地域生活の上で働く場というのは本当に大事なテーマだと思っております。特に、厚生省と労働省が一緒になって厚生労働省となった上で最も期待される分野の一つだろうと思っております。厚生労働審議官をヘッドの省内横断的な検討会で、雇用、福祉的就労だけじゃなくて一般雇用への道筋を付けるということで省を挙げて検討しているところでありまして、近くその結論も得ることになっております。  思いは変わりませんし、何とか障害者の方が地域で働ける場が確保できるよう最大限これからも努力したいと思っております。
  49. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 本当に多くの方が大変な中でやっているものですから、是非よろしくお願いをしたいと思います。  それで、ノーマライゼーションという言葉がございましたけれども、この障害者雇用促進というのは非常に大事だというふうに思います。ただ、これ、本来雇用を促すべき、例えば教育委員会についてはこの法定雇用率の二%も大幅に下回っているというふうに聞いておりますが、早急に改善すべきではないかと思いますが、この点はいかがでございますか。
  50. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 都道府県等の教育委員会における実質雇用率でございますけれども、今委員指摘のように、平成十五年六月一日現在で一・二四%でございまして、法定雇用率の二・〇%に比べますとかなり低い水準にございます。  これは要因二つございまして、一つは、教育委員会における職員の大部分が教員でございまして、八割ぐらいの方が教員でございますけれども、当然、教育免許資格者である必要があるわけでございますけれども、現状では教員免許を有する障害者の人数が少ないということがございます。それからもう一つは、職員の方の採用試験におきまして障害者の受験者が少ないということがございます。  このため、私どもとしましては、教育委員会に対しまして、障害者の採用計画を作成させまして積極的かつ計画的な採用を行うように指導を行っておりますし、また文部科学省に対しましても、教育委員会における障害者雇用促進が図られるよう要請を行っているところでございます。  今後とも、文部科学省ともよく連携しまして、改善、指導を強力に行ってまいりたいと考えております。
  51. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 民間企業は法定雇用率一・八%でございますが、平成十四年六月段階で一・四七という状況のようでございます。  これ、納付金制度で、とにかく金さえ払えば雇わないでもいいんではないかということで、かなりゆがめられているんではないかななんというふうに思わざるを得ないところでございますが、昨年の九月、情報公開法に基づいて、マスコミによって一部発表されている部分もあるようでございますが、これはやはり障害者雇用促進等に関する法律に基づいて、公開を日常的なものとして企業の意識改革を進めて、この雇用率のアップを図っていくべきだというふうに考えますが、この点はいかがでございましょうか。
  52. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 今委員指摘ございましたように、近年、情報公開制度に基づきまして情報公開の動きが出てきているところでございます。  私ども厚生労働省といたしましては、障害者雇用はやはり障害者の方を採用していただくということでございますので、企業の理解と職場改善等の受入れ体制の整備が不可欠であると考えておりますので、やはり一定の行政指導を行う機関を設けることが必要ではないかと考えております。  したがいまして、雇用率未達成企業に対する雇用率達成指導としましては、実質雇用率の低い企業に対しまして、まず雇入れ計画作成命令ということで計画を作っていただきまして、それがうまくいかないということでしたら勧告をし、さらに、それもうまくいかないという場合には特別指導を行いまして、具体的な職業紹介とか職場改善の指導を行って、大部分のものはここでかなり改善されるわけでございますけれども、それでも改善が見られないという場合には、社会的制裁としまして法的な、企業名公表をもって臨むこととしているところでございます。  この雇用率達成指導につきましては、指導対象企業の範囲を拡大するとともに、毎年六月に定期的に公表を行うこととしたところでございまして、今後とも未達成企業に対しましては厳正に指導実施してまいりたいと考えております。
  53. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  54. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  私は、まず、二条にあります障害の定義についてお伺いをしたいと思うんです。  国連の障害者権利宣言からいたしますと、この二条の定義の中にあります身体障害知的障害、精神障害と、こういうふうに限定されたものにはなっていないのではないかというふうに私は理解をしているんですね、国連の権利宣言からいいますと。つまり、難病を含めて生活上困難な点をやっぱり権利宣言は着目しているのではないかというふうに思うんですけれども、本来、改正案にも難病も含めるべきではなかったのかというふうに思うんですけれども、その点どのような御検討をされたのか、八代議員にお伺いしたいと思います。
  55. 八代英太

    衆議院議員八代英太君) 確かに障害者の定義につきましては、十一年前にも実はこの難病も定義の中に入れるべきだという、こういう意見もございました。当時は、まだ精神障害者がこの定義の中に入っておりませんでした。  そこで、精神障害者も手帳制度になり、これから福祉法によって身体障害者とはという、日本には手帳制度があるものですから、継続的にその障害を有するということが基本的な中でこの基本法というものが全体を構成しておるものですから、日本の手帳制度がいいか悪いかは別としてですね。  したがって、生活に著しくいろんな意味で不自由な生活を強いられるという人はすべてこの基本法の対象ですよという我々は基本的な思いを持って、是非それはこれからの課題として検討しなければならないという思いと、それと、これは第三章の中で障害の予防に関する基本的施策の中で、したがって一項設けまして、やはり難病という人たちの問題、まだ言葉どおりその原因も治療方法も分からないという状況もございますので、やはりこれも含めて、将来には、次の見直しではやはり難病の人も入れるという前提に立ちながら、お互いの了解を得て、一項設けることによって、さらにまた、附帯決議等々でこの辺を押さえつつやるということが、最後のお互いの了解点であったというふうに思っております。  基本的には、もうすべての、自分は不自由であると、障害を持っていると、病気であろうと何であろうとという、思う人がすべてこの基本法のやはり対象であるという我々の意図というものは伝えなければならないというふうに思っておりますが、いろいろその補助制度とか、あるいはまた補装具制度とか、いろんなその福祉法にまつわる背景があるものですから、どうしてもそこは越えることができなかったというのが率直な私の今の思いでございます。  しかし、次には何としても、難病の方々を始めいろんな人たちが、私は障害を持っているという人たちはすべてこの基本法の対象となるべく改正を目指さなければならないと、こんなふうに思っております。
  56. 小林美恵子

    小林美恵子君 今の御答弁をお伺いしますと、要するに、障害の定義には入っていないけれども日常生活活動が著しく制約を受けるという方々についても、そういう精神は入っているということで理解してよろしいでしょうか。
  57. 八代英太

    衆議院議員八代英太君) それぞれ障害を全部列挙しますと、これはもうとてもとても一行や二行じゃ済まないものですから、てんかんの人もいる、あるいは自閉症の人もいる、あるいは発達障害の人もいる、ベーチェットの人も、いろんな方々が、障害を持っているという認識の下で病と闘っている方々がいるわけですね。そういう人たちは当然私はこの基本法の対象の範囲でもって、そしてそれに照らし合わせながら、きめ細かい施策をするように行政を含めた政府は努めなければならないという趣旨でこの第三章の中にその言葉を盛り込んだつもりでおります。
  58. 小林美恵子

    小林美恵子君 次に、障害者の方の権利についてお伺いをしたいと思うんです。  改正案の三条なんですけれども、すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障する権利を有すると明記をされました。同時に、その二項には、すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化そのほかあらゆる分野の活動に参加する機会が与えられると示されています。その「与えられる」という文言なんですけれども、これやっぱり参加する権利として、参加する機会が与えられるというよりも参加する権利というふうに、の方が、やっぱり障害者の方の権利基本理念としてもうたっているのではないかなというふうに考えるんですけれども、その点、提案者の方にお伺いしたいと思います。
  59. 八代英太

    衆議院議員八代英太君) 例えば、障害者週間というものを、十二月九日が、障害者の日が今までございましたね、今度週間にしました。私は、この週間も障害者の日もなくなるということを目指したいと思っているんです。  そういう意味では、権利は当然、憲法第十四条にも法の下にすべての人が平等であるということをうたっている。にもかかわらず、やはりその権利侵害されたりということは、対健康な人という社会を、全体を通しますと、あなた方がそうした障害者差別をしているんですよ、権利侵害しているんですよという一方では訴える。そしてまた、当事者の、障害を持った我々にとっては権利はあるんだよと。あるんだけれども、その対象とするすべての国民がその意識を持ってもらわなければ駄目なんだということになりますと、やはりそういうことで与えられるものであるんだから皆さん障害者差別してはいけませんよ、完全参加と平等の社会を作らなければいけませんよということを国民に向けてと、障害者のやはり権利というものを包含させながら、この項目の中で、読み方とすればそういう形にはなっておりますけれども、基本的には権利があるんですと、与えられるものなんですと、それは分かってくださいよという一つの訴えにも似た条文であるということも御理解いただきたいと思います。
  60. 小林美恵子

    小林美恵子君 国民に向けての呼び掛け等ということでおっしゃっておられましたけれども、私はやっぱり障害者の方の御本人の権利として強調していただければなというふうに改めて申し上げておきたいというふうに思います。  それと、基本理念の中の、これは質問にはなりませんけれども、さっきの方もおっしゃいましたけれども差別禁止ということが盛り込まれています。それはやっぱり大きな前進だと思いますけれども、ただ先ほどの方もおっしゃっておられましたけれども理念だけでは実効力がやっぱり伴わないというふうに思いますので、その点はやっぱり実効力を伴うように差別禁止法の制定などが今後は検討が必要なのではないかというふうに思いますけれども、その点、質問にはしませんと言いましたけれども、いかがでしょうか。
  61. 八代英太

    衆議院議員八代英太君) 今ちょうど国連では障害者権利条約についての議論が始まっておりまして、今も最中、ちょうど五月のこの時期やっておりまして、八月にもやりますけれども、だんだん、この条約の発効は早いペースだと思います。そうしますと、この権利条約に照らし合わせて、日本も積極的な批准の方向ですので、そうしますと、この基本法も当然その権利条約に照らし合わせながら、まあいろんな問題点が新たに惹起されるだろうと、このように思います。  そのときに、やっぱり実定法的なものが必要なのかどうなのか。今あるこの基本的な理念国民も理解をして障害者が完全参加と平等になる社会を作るという方向が本来は望ましいわけですけれども、それでもこの進捗状況の中において差別禁止法のようなものが必要であるか否かというようなことも、やはりこれから、やっぱりその動向を見ながら考えていくことは必要だというふうに思っておりまして、障害者の当事者の皆さん差別禁止法、障害者差別禁止法を何とか作ってくれという大きなうねりのあることも私たちはよく承知しておりますし、私たちは自民党でございますが、自民党の方でもこの問題はやはり議員間で勉強会を始めようということになってきておりますので、だんだんそういう情勢というものは世論も含めまして盛り上がっていくんじゃないかという期待感は持っておりますので、やがてそういうときは来るのではないかなという予感はいたしております。
  62. 小林美恵子

    小林美恵子君 障害者の方々の差別禁止法を制定してほしいという、そういうお気持ちに是非こたえていきたいなというふうに思っております。  次に、改正案の十四条に関してなんですけれども、これはるる先ほどからもお話がございましたけれども障害のある児童生徒障害のない児童及び生徒の交流及び共同学習を積極的に進めるというふうにあります。  そこで私もお伺いしたいんですけれども、今の障害の種別に応じた教育というのは、私は歴史的な役割を果たしてきて、障害児の成長を支えてきたというふうに思うんですね。現に障害学校の在籍者は、この五年間でいきますと、八万八千八百十四人から九万六千四百七十三人と、在籍者数は増えています。そこには個々の障害に応じたやっぱり丁寧な教育が施されるという点での選択があるというふうに私は思うんですね。今回のこの十四条に関してですけれども、その障害学校、学級のその役割を踏まえての交流ということで理解をしていいでしょうかということをお聞きしたいと思います。
  63. 八代英太

    衆議院議員八代英太君) 養護学校には養護学校の役割、また充実されている部分というのも評価できると思いますね。ですから、親御さんがどうしても普通学級に入れたいんだと、うちのお姉ちゃんもこの学校に行っているから妹も入れたいんだというその親御さんの気持ちもよく分かります。したがって、その辺は柔軟な対応が望まれるだろうと思います。中島大臣は盲学校のかつて先生でございましたので、例えばそういう視覚障害者には視覚障害者の特性を生かした教育が必要でしょうし、それはなかなか普通学校では難しいと思いますね。聾学校は聾学校で手話を含めたそうした口話術等々の教育も熱心に行われておりますので、そこもまた重要だと思います。  したがって、私は養護学校は養護学校としての機能と申しますか中身というものは評価をする。しかし、普通学校という中で健康な子供障害を持った子供が、大人の社会は統合されているのに子供の世界では分離されているということもまた一方ではいろんな事件が起きたりする、また悲しみを訴える方も多いというならば、そこは親御さんと地域教育委員会がよく相談し合って、お互いに双方向で交流し合いながら、地域でともに生きるというのが本来の姿だというふうに思っている。  ですから、盲・聾・養護学校、なかなか、かつてよりも今は中身が充実しておりまして、マンツーマン教育等々やっている、すばらしい教育実践もございますので、そこは評価しつつ、やはり最終的には親御さんが、この子にとってどの教育の場がいいのかということは、やはりむしろそこにイニシアチブを取らせるような方向は今後必要になってくるだろうというふうに思います。  今先生がおっしゃるように、それぞれ専門分野の教育は大変必要だと私も思っております。
  64. 小林美恵子

    小林美恵子君 それぞれの障害学校、学級の個別の障害に応じた教育というのはやっぱり大切だというふうにおっしゃっていただきましたので、その点は本当に大臣に確認していきたいというふうに思っております。  次に、私は厚生労働省の方にお伺いをしたいんですけれども障害者雇用確保と、それから生活支援にかかわってお聞きをしていきたいというふうに思います。  障害児、障害を持つ子供たちが、障害学校や、特に養護学校高等部を卒業してからの雇用の場とそういう生活支援の施設というのは、本当に重要だというふうに思うんですね。しかし、人間社会学部紀要に掲載されていました中野純子さん、伊藤セツさんの論文があるんですけれども、養護学校における就労支援の現状というのがございました。それを拝見いたしますと、養護学校卒業者は進学でも就職でもないという卒業生が七四・八%に上っているというふうに指摘をされているんですね。つまり、養護学校の高等部までは学校に行ってということで、親御さんもやっぱりそれは安心をしているという面があると思うんですけれども、いざ卒業してしまうとその後の行く末がどうなるか分からないというのは、御本人もやっぱり御家族の方も本当に不安だというふうに思うんですね。  そういう点では、雇用の確保と入所、通所の施設の拡充というのはやっぱり必要だというふうに思うんですけれども、この点、厚生労働省の方のまず御認識をお伺いしたいと思います。
  65. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 養護学校の高等部の卒業生の進路の問題ですけれども平成十五年度の結果を見ますと、通所施設を始めとするいわゆる社会福祉施設等に行かれる方が五割以上、強おられまして、一般企業等に就職する方は二割弱ということでございます。近年は一般の就労に行かれる方の率が下がっているということで、大変大きなテーマになっていると思っております。  福祉サイドの取組として、通所授産施設とか、先ほどから議論に出ている小規模作業所、結果的に小規模作業所に行かれる方が増えているということになっていると思いますけれども、新障害者プランでも通所施設を重点的に整備するということにしているところでございます。小規模作業所等の問題についても、今回の法律改正趣旨も踏まえていろんな充実策を検討していきたいと思ってございます。  また、一般就労ということも福祉の施設活用されること以上に大事な問題であると思いますが、この問題につきましても、先ほどの御質問にも御答弁申し上げましたが、省内に横断的に障害者就労支援に関する検討会議を今年の二月に設けまして現在検討しておりまして、福祉の現場での働く場の確保だけじゃなくて、福祉的就労から一般就労への移行を促進する具体策なども検討して、何らかの方策を作っていきたいと思っているところでございます。
  66. 小林美恵子

    小林美恵子君 雇用の確保といいますか、そういう点で、私は今、小規模作業所の方々の役割というのは本当に大きな役割を果たされているというふうに思うんです。  それで、小規模作業所についてお伺いをしていきたいと思うんですけれども、今全国で小規模作業所、また小規模授産施設ですね、授産施設とか、これが何か所あるか。そしてまた、厚生労働省として小規模作業所に対する役割というのはどういう御認識をされているのかということをお聞きしたいと思います。
  67. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 小規模作業所障害者の方々の地域生活の上で非常に重要な役割を果たしていると思っております。  先ほどの御質問にありましたように、障害者の方々が一般就労とか法律上認められた福祉施設への通所とか入所ができないという現状の中で、社会施設が不足しているという現状の中で、小規模作業所が結果的に数を増やして、大きな役割を担っているという現状にあると思っております。現在、六千か所を超える、親の会が中心になって運営されていると思いますが、六千を超える小規模作業所があり、かつ現在もその数が増えているということでございます。  国からは民間団体を通じて補助を行っておりまして、平成八年度以降、すべての小規模作業所が対象にはなっておりませんが、一か所当たり百十万円の運営費の補助を行ってきたということでございます。昨年度、本年度につきましては、民間団体の補助金を一割カットするという政府全体の方針の下でやむを得ず一割カットをしているということでございますが、これから小規模作業所、重要な役割を果たすと思いますので、障害者就労の場全体の在り方、施設体系の在り方、あるいは福祉的就労から一般雇用への移行をどう進めるかという全体を考える中で、小規模作業所の位置付けをもう一度明確化し、機能に応じた支援ができるようにしてまいりたいと考えております。
  68. 小林美恵子

    小林美恵子君 今、小規模作業所が全国で六千か所と大体おっしゃられましたけれども、その予算の方も一か所百十万円というふうにおっしゃったと思うんですけれども、実際六千か所あるのに、予算が計上されているのは二千二百五十か所分だというふうに私の調べではなっています。ですから、全体に行っていないんですよね。その上、おっしゃったように、二年間はその補助金の予算が減っているというのは、もう本当に、小規模作業所の役割が大事だとおっしゃっておりながら、だけれども予算は減らしているというのは甚だ本当に矛盾しているというふうに思うんですよね。  今回の法の改正でいきますと、先ほどからもありますように、こういう全国の小規模作業所の関係者の方々の運動の反映もあって、財政支援を義務付けているというところがありますよね。これは大きいと思うんですよね。ですから、この立場で、厚生労働省はやっぱり、削減した補助金をもう一回復活して、更に拡充がどうしても必要だというふうに私は思うんですけれども、この点どうですか。
  69. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 今回の障害者基本法の中で、障害者の方々の働く場についての国の責務、財政的措置について明確に規定されたということは、厚生労働省として障害者の働く場の確保の施策を講じる上で大変意義深い改正であると考えております。  今、省内でも勉強をしておりますし、来年度以降の予算編成あるいは制度改正に今回の改正を受けてつなげていきたいと考えております。
  70. 小林美恵子

    小林美恵子君 つなげていきたいということは、いわゆる補助金の拡充をするということなんでしょうかね。どうなんですか。
  71. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 来年度予算についてはこれから政府部内で議論をし編成作業をしていくということでありまして、私どもとしては、今回の改正趣旨を踏まえ、また関係の団体の方々の生の声が実現するよう最大限努力する観点で努力をするつもりでございます。
  72. 小林美恵子

    小林美恵子君 今おっしゃいました、関係者の方々の生の声とおっしゃいましたけれども、私、今日、共同作業所障害者皆さんがお作りになっている品物を持ってまいりました。これがマグカップでありましたり、それからこれは石けん、環境石けんなんですね。それとこちらが名刺になっています。ちょっと、こうなっているんですけれどもね。これ、入れ物は違うんですよ。こういう名刺を作っているんですよね。この石けんは本当に重度の障害者の方が介助の方の力をかりてお作りになっているというふうに言っているんですけれども、私はこの品物の中には障害者皆さんの、何といいますか、働く喜びというのが本当にここに表れているというふうに思うんですよね。  この小規模作業所が今、補助金が減らされていってどういうふうになっているかというのを私は厚生労働省の方は本当に認識しなくてはならないというふうに思うんです。先日、全国的な集会もございましたけれども、私のところにも大阪の共同作業所の方々がお見えになりました。  その方々のお話を紹介しますと、作業所を始めて二十五周年になるというところがあるんですね。でも、施設が本当に老朽化して整備が求められているのに予算が足りないと。また、障害者雇用の拡大をすると政府なんかは、行政は言うけれども、だけれども実態は、養護学校卒業生を受け入れているのはやっぱり自分たち作業所なんだというふうにおっしゃっているわけですね。その作業所が一万円、二万円の仕事を探すのも、草引き作業などを見付けて、やっと探してきたのが一万円、二万円の仕事だということで、仕事を探すのも困難なんだというふうにおっしゃっているわけです。だから、どうしても補助金をやっぱり拡充してほしいというのがこういう方々の思いなんですよね。  さらに、私もう一つ紹介したいと思います。  作業所に行かれている方も仕事がない場合があるんですよね。働きたい、仕事をしたい、仕事がやれるのに仕事がないつらさというのが本当に分かるんですかということを私たちも言うんですよね。それは、やっぱり厚生労働省さんはしっかりと御認識をしていただきたいというふうに思うんです。  ですから、今なかなか補助金拡充しますというふうに御答弁なさらないんだけれども、これは本当に拡充するというふうに何とかやっていただきたいということを再度私は強調をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがですか。
  73. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 私自身もいろんな小規模作業所を訪ねて、先生から御紹介されたようなすばらしい生産物だけじゃなくて、IT技術を活用して一般企業と伍している方もいらっしゃいます。  いろんな小規模作業所がありますけれども、機能に応じて支援策、きちんとした支援策が講じられますよう、今回の障害者基本法改正趣旨が実現されるように私どもも全力を尽くす所存でございます。
  74. 小林美恵子

    小林美恵子君 私、もう一つお聞きしたいと思いますけれども、今回の法改正で、たしか九条だと思いますけれども都道府県市町村障害者計画を義務付けていると思うんですね。  既に、その計画というのは今までの場合でも、昨年三月の段階でいきましたら九〇%、市町村が計画作りに取り組んでいるというのがあります。しかし、数値目標というのを示しているのは三〇%しかないですね。なぜ九割も計画をしていて数値目標が三〇%なのかというところに、やっぱりここに国の財政支援が不十分だというところの表れがあるんですよね。  今回のやっぱり法改正を土台にしまして、こういう面でもしっかりと、厚生労働省として、国として財政支援を行うべきだというふうに私は思いますけれども厚生労働省、いかがですか。
  75. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 塩田部長、時間が経過しておりますので簡潔にお答えを願います。恐れ入ります。
  76. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 委員が言われましたように、計画を作っている市町村のうち数値目標があるのは三七%ということでございます。この数が低いのは残念なことですが、やはり高齢者福祉に比べて障害者福祉については市町村のばらつきが大変大きい、格差が大きいということで、全国どこの市町村でも同じような水準のサービスが図られることが必要だと思います。  そういう観点では、財政的援助が必要なことはもちろんですが、制度の仕掛け自体にもいろいろ問題があると思っておりまして、今回の障害者基本法市町村に計画作成が義務付けられたということも一歩前進につながると考えております。
  77. 小林美恵子

    小林美恵子君 質問を終わります。
  78. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  本日の、これ、障害者基本法改正、大変、九三年に制定し、今回の改正についても、基本理念障害者差別禁止も盛り込まれて、私は本当に一歩、二歩も前進したということで評価いたしております。  ただ、今日の議論の中でもございました、この差別禁止規定がやはり裁判規範性がないんだと。要は、法規範性はあるけれども、抽象的権利にとどまっているがために政治部門での救済しか望めないという、これが基本法の性格だということで、今日の話にも出てきましたけれども、やはり裁判規範性を持った日本版障害者差別禁止法、通常JDAと呼んでいますけれども、こういったものを作ってはいかがかということで、多くの障害者団体からも要望がございます。今日の提案者八代先生ともこの意見交換等をさせていただきましたし、私自身議員になる前から、このJDAを作る全国ネットワークの事務局を担当していたといういきさつもありまして、あえて御質問させていただきます。  多くの経営者の皆さんには、やはりすべての差別禁止されると、すなわち、どんなちっちゃな商店でも例えばスロープ等を付けなきゃいけない、そうでなければ一々訴えられて損害賠償を受けなければいけないといったような懸念があるようですけれどもアメリカの例を見ても、実はそういったことは全くなくて、過度な負担はさせないという、ただ、裁判所でやはり差別されたということを訴える、そういった規範が欲しいという、この思いで今多くの日本の障害者団体も動いているという。  この点で、私はあえて八代先生にお聞きしたいんですけれども、この日本版障害者差別禁止法を作っていくという、こういう流れに対して、決してこの障害者基本法改正によって一つの終止符を打ったというようなことではなくて、ある意味、一里塚になるんだと、私はそうとらえているんですけれども、いかがでしょうか。
  79. 八代英太

    衆議院議員八代英太君) アメリカのADAという法律、一九九二年に発効されまして、あれは非常に日本も衝撃的でございました。そこから日本の心身障害者対策基本法障害者基本法という改正に着目して、それから十一年たって、今回また、私どもは大改正と、こう思っているんですが、そういう中で当事者団体からは、障害者差別禁止法も併せてこの基本法の中に包含するか、あるいは実定法として別建てでやってほしいという、JDAですね、こういう声もあったんですけれどもアメリカの方は、言ってみればタカヒロ・クロイワという感覚の社会ですね。日本はクロイワ・タカヒロという社会であるということを考えましても、日本は理念法というものを、全体をみんなが、行政も含めてすべての国民一緒に考えていきながら、そしてまた、それでも駄目ならば差別禁止法という道もやがて、その一里塚というとらえ方も含めて、あるだろうというふうに僕は思っているんです。  そういう意味では、非常にこの十一年の障害者基本法の成果というものも、大変私は行政の取組も高く評価したいと思っておりますし、障害者意識も大きく自立へ変わってきたというのは、やはりこの理念法というものの効果というのも大変大きいというふうに思うんですね。  それでもなお日本国民が信頼できないとなると、正にタカヒロ・クロイワの世界の、個人主義の世界に入ることが日本の歴史観の中でいいかどうかも含めて、これからその実定法は超党派でいろいろ勉強しながら、これをベースにしながらやっていきたいと、このように思っております。全く賛成でございます。
  80. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 八代先生の全く賛成という力強い言葉を聞きまして、多くの障害者の皆様もやっぱり明るい日差しが見えてきているんだと、そう思っております。  そうしましたら、議論を進めまして、十三条にこの「年金等」というこの条文が、若干の条文立てが変わりまして今回含まれているんですけれども、この条文の中で、あえて「障害者の自立」という言葉がございます。あえて、これ生活の安定というだけでなくて、自立に対して、年金、手当等の制度に関し、国というのは必要な施策を講じなければいけないとございます。  私、これでやはり今大変懸案事項となっております無年金障害者の問題、私、これ提案者皆さんも念頭に置きながら、この条文、私は改正したんじゃないかと、そう思っておるんですけれども、この無年金障害者問題というのは、実は長年の懸案事項でございまして、ただ、今年の三月二十四日、東京地方裁判所での学生無年金裁判で原告側が全面的に勝利したということで脚光を浴びております。  ただ、八代先生、私どもは、実は二年前にこの無年金障害者問題を考える議員連盟というものを作りましたときには、世間からの、なかなか、何といいましょうか、受入れも弱くて、その中で地道に八代会長を担いで我々活動してきたという経緯がございます。  そこで、これは厚労省の塩田部長の方にお聞きしたいんですけれども、実は二年前に、十四年七月に坂口試案というものが出されました。実際に、その前に、今からさかのぼること十年前に、平成六年に当参議院厚生委員会でも附帯決議をもちまして、この無年金障害者に対しては速やかに福祉的措置も含めて対応しなければいけないという、これもう十年前の附帯決議でございます。これ、衆参の本会議でも決議されたんですけれども、この附帯決議、そして二年前の坂口試案を受けまして、厚労省としていかなるその速やかな対応をしてきたか、それをお答えください。
  81. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 障害保健福祉部としての取組を申し上げたいと思いますが、障害年金の受給状況も含めまして障害者の生活実態を明らかにするという目的で、昨年、障害者の生活状況に関する調査を行いまして、八月にその調査結果を公表したところでございます。  それによりますと、例えば障害年金を受給していない障害者は受給している方と比較しまして相対的に所得の低い者が多いということ、それから生活保護を受けている割合が高いということなどが明らかになっております。また、障害者の置かれている経済状況は区々でありまして、かなりいろんなケースがあって幅があるということが分かったところでございます。  障害保健福祉部サイドとしては、障害者の生活安定のためにこれからも努力してまいりたいと考えております。
  82. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ、坂口大臣の本当に大英断をもっての試案を出していただいて、結果的に厚労省としてしたことは、今部長がおっしゃった生活実態調査、これ具体的に言いますと、平成、多分十四年度の予算から一千万を捻出して、そして、実際には五百数十名の方のアンケートに、丸一年掛けてアンケートを作ったという、ここまでなんですね。更に突っ込んで言いますと、その五百数十名の中に今回の裁判でも問題になった学生による無年金だったという方が一人もいないんです。ですから、このアンケートの内容というのは吟味しようがないという、これが坂口大臣の試案を受けた速やかな対応、かれこれもう二年近くたっているんです。  今回の、三月二十四日の裁判を受けまして、四月六日に、これ与党の皆さんが御苦労されて、与党協議会で合意文書というものを出されていますね。これでも、速やかに無年金問題を解決しようという、こういう与党の姿勢も表れてきました。これを受けて、更なる厚労省の対応というものは何か図られるんでしょうか、これについてお答えください。
  83. 竹本直一

    大臣政務官(竹本直一君) 今先生おっしゃったように、年金を受給していない障害者への対応でございますが、平成十四年に坂口大臣の試案が出ましたし、それからその年に障害者基本計画というのも出ております。また、今年には二月に与党合意がありまして、こういったもろもろのものを受けまして、福祉的措置による解決ということについて検討を続けてきたところであります。  こういった中、四月六日の、与党における合意を受けまして、翌日七日に発表いたしました坂口大臣の談話の中でも述べておりますが、学生等の年金制度の発展過程で生じた特別な事情、これは学生が、任意加入時代に未加入であった者への対応をどうするかという問題でございますし、また、現在の老齢福祉年金、障害基礎年金等との均衡、あるいは年金における国庫負担の果たしている役割、二十歳前の障害基礎年金の方は国庫負担が六割になっております。そういったこととの関連等を十分考慮いたしまして、適切な措置がどの辺にあるかということを検討しているところでございます。
  84. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 竹本政務官、ありがとうございます。政務官には私どもの議連にも参加していただいて、先頭に立っていただいておるんですが。  それで、今、福祉的な措置だという答弁ございました。それでしたら、私、あえてお聞きしたいんですが、今回、無年金障害者にはいろんな類型がございまして、学生の任意加入時代に年金に入っていなかったから無年金になったとか、あとは在日外国人の方、この方々は年金に入れない、排除されていた時代に障害を負ったがために今、年金がもらえない方とか、そのほか主婦無年金とか、幾つかの類型あるんですけれども、福祉的措置といった場合には、これは類型としては、未加入、未納の皆様へも、これはただ単に加入していなかったという方々ですね、こういった方々に対しても当然措置を講ずるものと思われますが、いかがでしょうか。
  85. 竹本直一

    大臣政務官(竹本直一君) 年金で対応できるところは年金で対応したい、しかしながら年金で対応できないところは福祉的措置に頼らざるを得ないと、基本的にはそういうことでございますが、いろいろな類型がございます。  学生の場合は、四月六日付けの与党の合意文書でも書いてございますが、過去、任意加入の対象であった時代から現在のように強制加入への対象へと発展してきた過程で生じました特別な事情を踏まえた対応が必要だと思いますし、サラリーマンの配偶者についても学生とよく似た事情があると思います。他方、在日外国人のケースの場合は、これは五十六年まではそもそも対象外でありましたし、五十七年に対象内に入って強制加入ということになりました。  したがいまして、そういった中で、五十七年以降から考えておりますから、老齢年金をもらう対象の方は加入期間が短いですからなかなか対象にならない。それから、障害者の場合は、これまた五十七年以降に障害を受けた方は対象になりますけれども、五十七年前に障害を受けた方は対象にならない、こういった非常に難しい問題があるわけであります。  そういった意味におきまして、冒頭申し上げましたように、年金で見る範囲と福祉的措置で見る範囲と、そういった総合的な対応をやっぱり考えていかなきゃいけないというふうに思っております。
  86. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと確認したいんですけれども、年金制度の枠内といった場合には、先ほど申し上げた、入りたくても入れない在日外国人の方、これは制度の不備だから、では年金で手当てをしよう、これは理屈分かります。学生、多分、今日お越しの皆さんもほとんど、学生時代、任意加入で入っていなかったと思うんですよね。十九歳十一か月で障害を負うと年金はもらえるけれども、二十歳になってからだと年金に入っていないからもらえないという、これ、私は不備だと思うんです。  年金で措置をするということは、その年金の不備を埋めるということでは、私は、論理矛盾はないんですが、福祉的措置になると、私は、じゃ、その立法趣旨は一体何かと聞きたいわけです。  これは、今言った制度の不備で年金がもらえない方も、ともすれば意識をして年金に入んなくて無年金となって、障害を負って年金もらえない人も、どちらも生活困窮度合いは一緒なんですよね。そうなんですよ。  福祉的措置といった場合、これは立法趣旨は明らかに生活の安定ですから、その場合、今言った制度の不備で漏れた方であろうが、自分が自発的に年金制度に入らなかった人であろうが、同じく生活困窮は一緒なんですよ。その場合、福祉的措置とおっしゃる限りには、私は、未加入、未納まで対応しないことには論理矛盾が生じると思うんですが、いかがでしょうか。
  87. 竹本直一

    大臣政務官(竹本直一君) 困っておられるといいますか、救済措置を必要とする事情はいろいろあろうと思うんですけれども、基本的には年金に入っておって、年金の納付義務を果たしておられる方が事項に該当した場合には、これは年金で当然面倒見れます。しかしながら、年金に入るべきであるにもかかわらず、その時点で義務を果たしていないという方に対してはどうしても年金では面倒見れないと、そういうようなケースがいろいろあるわけでありまして、しかしほうっておけないところに対しては福祉的措置で対応すると、こういうことであります。
  88. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと私、分かりづらかったんですが、もう時間もないんで、これお聞きします。  坂口大臣が、参院の本会議で無年金問題について山本議員からの質問に対してこう答えております。今国会で、この対応についてですね、成立しますよう私も最大限の努力をする決意でございますという、これ、厚労大臣がお答えになっています。  これ、厚労大臣を支える政務官として、今国会中に何らかの成立をさせるという、大臣を支える立場としていかが対応されるか、お聞かせください。
  89. 竹本直一

    大臣政務官(竹本直一君) 年金を受給しておられない障害者の方々への対応でございますが、現在、与党におきましても検討が進められております。十分与党と調整を図りながら、対象者の範囲を始め、財源の確保問題や給付水準などの問題についての検討を進めていくことが必要であると考えております。  いずれにいたしましても、できる限り最大限の努力をいたしてまいりたいと思っております。
  90. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 最後に、八代先生にちょっとお聞きしますが、今検討だということですけれども、現実にはまだ無年金障害者に対する対策が図られていないと。この状況は、私はこの障害者基本法十三条違反だと思うんですけれども八代先生、これいかがですか、提案者として。
  91. 八代英太

    衆議院議員八代英太君) 正に、十三条では「年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならない。」ということを、これはもう努力とかなんとかではなくて義務として課しているわけでありますから、早速与党の中でも、これは、この十三条に照らして検討をし、坂口試案をしかし実効あらしめるように我々も積極的に取り組んでいきたいと思います。  何よりも、あのときの、移行期の無年金の学生であれ主婦であれ、あるいは在日の人であれ、大変谷間に置かれているということはほうってはおけないと、こういう意識で頑張りたいと思います。
  92. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 黒岩さん、時間が来ておりますので。
  93. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 はい。  いや、本当に自民党の障害者施策の大権威である八代先生から力強いお言葉いただきまして、本当にありがとうございました。  提案者皆さんも、本当にすばらしい法改正、ありがとうございます。
  94. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  障害者基本法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  95. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、森田さんから発言を求められておりますので、これを許します。森田次夫さん。
  96. 森田次夫

    ○森田次夫君 私は、ただいま可決されました障害者基本法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党並びに各派に属しない議員黒岩宇洋君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読をいたします。     障害者基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に向け万全を期すべきである。  一、障害者施策の推進に当たっては、障害者の個人の尊厳にふさわしい生活を保障される権利を確認した法第三条第一項の基本的理念を踏まえ、障害者が、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に、分け隔てられることなく参加できるようにすることを基本とすること。  二、障害者雇用・就業、自立を支援するため、障害者地域における作業活動の場の育成等を推進するとともに、併せて精神障害者雇用率の適用・復職支援、在宅就労支援を積極的に推進するため、これらについて法的整備を含め充実強化を図ること。  三、障害者に対する障害理由とする差別権利利益侵害が行われた場合の、迅速かつ効果的な救済のために必要な措置を検討すること。  四、情報バリアフリー化の推進は、障害者等のコミュニケーションの保障に資するべきものであることにかんがみ、情報通信機器やアプリケーションの設計面のみならず、コンテンツや通信サービスについても、手話、文字、点字、音声等の活用による改善及び充実を促進すること。  五、障害のある児童・生徒とその保護者の意思及びニーズを尊重しつつ、障害のある児童・生徒と障害のない児童・生徒が共に育ち学ぶ教育を受けることのできる環境整備を行うこと。  六、「障害者」の定義については、「障害」に関する医学的知見の向上等について常に留意し、適宜必要な見直しを行うよう努めること。    また、てんかん及び自閉症その他の発達障害を有する者並びに難病に起因する身体又は精神上の障害を有する者であって、継続的に生活上の支障があるものは、この法律障害者の範囲に含まれるものであり、これらの者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めること。  七、国連における障害者権利条約の策定等の動向を踏まえ、制度整備の必要性について検討を行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  97. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) ただいま森田さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  98. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 全会一致と認めます。よって、森田さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、細田内閣官房長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。細田内閣官房長官
  99. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましては十分にその趣旨を尊重し、努力してまいります。
  100. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  102. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) コンテンツ創造保護及び活用促進に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  103. 松井孝治

    松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。  コンテンツ法案、私も拝読をさせていただいて、関係者の御努力でこういう形で議員立法、法案が策定されましたこと、大変関係者に敬意を表させていただきたいと思います。  この法律、拝見をいたしまして、いわゆる法律事項というのは余りないように思います。日本版バイ・ドール条項のみが法律事項だと思いますが、問題は、この法律案の細部もそうですが、この法律の精神を受けて、日本政府としてコンテンツの振興に対してどういう姿勢で当たられるかということが極めて重要であろうと思います。  今日は、政府側からも、たまたま電子政府とこのコンテンツ振興という観点から、私は世耕務官から御答弁いただきたいと思って世耕務官においでいただいたわけですが、世耕務官の顔をぱっと拝見をいたしまして、電子政府ということに限らず、このコンテンツ法、あるいは世耕務官は今はどちらかというと地方行政の方を御担当でございますが、通信行政にも明るい方でございます。  世耕務官、このコンテンツ法案をどのように受け止めて、これからの日本の課題というものについてどうお考えか、ちょっとこれ質問通告と違って誠に恐縮なんでございますが、御感想あるいは御決意を賜れば有り難いと思います。
  104. 世耕弘成

    大臣政務官世耕弘成君) 電子政府に関連する答弁をする予定で参ったわけでございますが、御質問でございますので。  今、岸田先生がお見えですけれども、自民党の中で岸田先生が幹事長、私が事務局次長を務めておりますが、コンテンツ産業振興議員連盟というのがございまして、この法律に関連する議論も割と早くからやってまいったわけでございます。  その中で常に議論してまいりましたのは、やはり伝統芸能とかそういったものは文化芸術振興基本法、あるいはビジネス用のソフトとか特許といったようなものは、これは知財基本法でしっかり守られているわけですけれども、日本が非常に競争力を持っていると言われているアニメとかゲームを中心としたデジタルコンテンツについてはちょうどその谷間になって、応援するような、守るような法律がないということで、こういう法律があったらいいんではないかということを党内で議論してきたわけでございます。  しかも、党内での議論では、コンテンツ振興というとどうしてもその業に携わる人ばかりに目が行きそうなわけでございますが、それだけではなくて、例えばコンテンツの流通の環境整備をするような研究開発ですとかあるいは著作権保護ですとか、そういったこともしっかりやっていかなければならないという議論を岸田先生中心に党内でもやっていたわけでございまして、そういったことが今回の法律の中にも議論として入ってきているのではないかなというふうに考えているわけでございます。
  105. 松井孝治

    松井孝治君 ありがとうございました。突然の質問にもかかわらず、申し訳ございませんでした。  本当に提案者の皆様方には私も敬意を表するわけでございまして、岸田先生中心にまとめられたと伺っておりますが、我が党では中山議員もこの提案者の一人、事実上の提案者の一人だというふうに伺っております。  中山議員、何かこのコンテンツ法をまとめるに当たっての思いなどございましたら、一言で結構でございますので、御答弁いただけますでしょうか。
  106. 中山義活

    衆議院議員(中山義活君) ただいま、今御質問がありましたが、知的財産戦略本部というのが内閣府にあるわけでして、やはり知的なものをどう守っていくか、またどう活用していくかというのはこれからの日本の課題なわけでございまして、もう一つは、何か物を創造しよう、やっぱり我々はイノベーションによってこの国が変わっていくという、そのためにはクリエーターが一生懸命やったことが報われる社会じゃなきゃいけないと思うんですね。クリエーター、アニメーター又は発明者、発見者、一生懸命汗をかいた者が報われる社会、そのためにも我々はこの法案を是非通していただいて、新しい未来に向かってやる気のある創造者、クリエーターが頑張れるような、そんな世界を作ってもらいたいと、このように思っております。
  107. 松井孝治

    松井孝治君 全く同感でございます。  この法律の、法案の提案理由に、コンテンツ国民の生活に豊かさと潤いを与えると書いてありますが、私、最近の韓国の状況なんかを見ますと、豊かさと潤いもさることながら、非常に国民全体にコンテンツというものが活力を与えているような気がするわけであります。それに対して日本の現状というのは、確かにジャパニーズクールと言われて映画も頑張っていますし、あるいはアニメも頑張っているかもしれない、非常にすばらしい作品が作られていますけれども、本当にその環境が韓国やあるいは諸外国がここ数年、一生懸命国を挙げて作っているような環境整備がなされているのかということになりますと、ややお寒いところがあるような気がいたします。  私の友人でもある岸本周平さんという方が、このままでは日本のアニメは衰退するという論文を書かれておりまして、私もこのとおりではないかなと思っております。  今日は経済産業省から局長、豊田局長お見えでございますが、これ諸外国は映画を中心としていろんなコンテンツに対してやはり政府が一丸となっていろんな支援をしていると思うんですね。それに対して日本は、豊田局長も直前には製造業を御担当しておられました、製造業の支援ということは非常にやってきたし、日本もものづくり立国という意味では名をはせたわけで、その面も非常に重要ではありますが、このコンテンツというものの国民経済に与える影響、特に韓国などでは今本当に国民経済全体に活力を与え、国民の誇りというものまで増進しているような状況だと思うんですね。  こういう状況にかんがみて、経済産業省としてあるいは政府として、コンテンツ産業振興に今後どういうふうに取り組んでいかれるのか、御答弁いただきたいと思います。
  108. 豊田正和

    政府参考人(豊田正和君) お答え申し上げます。  映画、音楽、アニメを始めといたしまして、我が国のコンテンツ産業、世界的にも非常に高い評価を受けているところでございます。また、コンテンツは大きな経済波及効果、先生指摘されるような大きな経済波及効果もございます。さらに、コンテンツ産業がうまく国際展開をしていきますと、我が国の国際的なイメージの向上にも大きく貢献をするというふうに認識しております。そういう意味において、我が国にとってもコンテンツ産業は戦略的な産業であるというふうに考えております。  先般、中川経済産業大臣が発表されました新産業創造戦略の中でも七つの有望重大産業の中の一つとして位置付けているわけでございます。そうした認識の下に、今年度におきましても、当省といたしまして政策を充実をさせてきているところでございます。  第一に、国際展開の支援でございますが、今年度初めて五億円を確保いたしまして、十月に開催予定の東京国際映画祭の際にコンテンツ市場、フィルムマーケットを創設するほか、カンヌ映画見本市など海外の見本市に対しまして我が国の企業が出展しやすいように支援をしているところでございます。  第二に、海賊版対策でございますが、御案内のように、コピー商品たくさん出てくるという問題がございますので、今年は北京、上海において専門家の常駐化などを図ってまいりたいというふうに思っております。  第三に、人材育成そして資金調達の問題でございますけれども、人材育成につきましては、特に日本に欠けていると言われておりますプロデューサーの育成を重点的に行っていきたいと考えております。資金調達におきましても、政策投資銀行における新たな投融資、融資制度などの創設を図っていきたいと考えております。  いずれにいたしましても、多面的な支援が必要だと、先生がおっしゃるとおりでございまして、知財本部を始め関係省庁と連携を取りながら一層施策の充実等図ってまいりたいと思っております。
  109. 松井孝治

    松井孝治君 是非その方向でもっと力を注いでいただきたいと思うんですね。こういう芸術文化の振興あるいはコンテンツ振興は、私は与野党超えてもっともっと政治家が声を上げていかなければいけないと思っています。  今日は文化庁からも寺脇部長お見えでございます。寺脇部長というと教育改革ということで非常に有名な方でございますが、寺脇部長は教育改革の目的というのは何だと思われますか。
  110. 寺脇研

    政府参考人(寺脇研君) 教育改革、教育改革自体は、教育を更に良いものに、時代に合ったものにしていくためにやるわけでございますが、元々、文化庁の立場から申し上げさせていただきますと、教育の目的について、教育基本法の前文では文化国家をつくっていくということをまず最初に掲げておりまして、その後に、それを前提にした上で「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。」というふうに書いてございます。  そういう意味で、教育をより良いものにしていくということは、その結果として生まれる私たちの国の文化がより豊かなものになっていくというようなもののことのためにより良い教育を目指していくのが改革の基本方向ではないかと考えております。
  111. 松井孝治

    松井孝治君 おっしゃるとおりだと思うんですね。しかしながら、やはり政治家も、ひょっとしたら霞が関もそうかもしれませんが、文化というものの持つ意味をやはり軽視しているとしか言いようがないと思います。  寺脇部長はたしか文部省にお入りになる前に既に映画評論家でいらっしゃったというふうに私は記憶しておりますし、キネマ旬報という雑誌の二月の後半の号ではいつも採点をしておられるというのを拝見しておるわけですが、寺脇部長から見られて日本の映画、コンテンツといっても幅広いですから、映画について、非常にすばらしい邦画もたくさん出てきていますが、日本がもっとすばらしい映画を作っていくために何が足りないと思っておられますか。
  112. 寺脇研

    政府参考人(寺脇研君) 私もそんなに映画、どれだけ映画について語れるかどうかあれでございますが、長年、映画を自分で見てきておりますことでございますとか、今映画行政を担当いたしまして、様々な方々の御意見を聞いたり諸外国の例などを見せていただきまして、今日の時点で私ども感じなければいけないのは、今ほど経済産業省の方からもお話がございました、今まで日本の映画というのは、多分三十年ぐらい前まではほとんど政府は関与せずに民間の力のみで映画の黄金時代というのを築いてきたわけでございますけれどもテレビを始めとする様々なほかの分野が出てくる中で、映画の相対的な役割というのが小さくなってきたときに政府の援助というものがいろんな形で行われなければならない。  ただ、その援助というものが、長らく民間のみの力でやってきたものですから、どのような形でやるのか、あるいは民間だけでやってきたために起こっております業界内の慣行でございますとか流通の在り方というものがもう既にかなり長い年月掛けてでき上がっておりますので、そのシステムを前提に国が援助していくということになりますと、外国のやり方をそのまま持ってくるというわけにもいかないところがございます。だから、そういう意味でどのように援助をしていくのかということを幅広く議論をしてまいらなければなりませんし、国が援助するということは、映画が好きでない国民皆さんの税金も含めて使っていくわけでございますから、映画が好きでない方に映画が好きになってもらうというような、つまり見に来る人からだけ入場料を取ればいいというようなことではなしに、幅広い映画に対する理解とか観客を大切にする映画作りというようなものを作り手側も考えていかなければならない面がある。  そういう意味では、何か一つ決め手があるというようなことではなしに、様々な面で、この映画、長い歴史を持つ日本でも百年以上の歴史を持つ映画の文化を更に良いものにしていくためには、文化庁ももちろんでございますが、様々な方々と連携を取りながら、また外国の例をそっくりまねるということは無理だということは申し上げましたが、いい点をうまく取り入れていって改革をしていかなきゃいけないというふうに考えております。
  113. 松井孝治

    松井孝治君 今、寺脇部長がおっしゃった、日本独特の流通とか映画関連産業の構造というふうにおっしゃいました。よりはっきり言えば、それはコンテンツに共通でございまして、この岸本さんが正にこの論文で書かれていますが、映画についても、例えばテレビ番組についてもあるいはアニメについてもみんな中抜きがなされている。せっかくある予算を組んだとしても、結局そこを実際制作している方々にきちんとした報酬が支払われていない、あるいはその方々の権利が保障されていないということは、私は、先ほど豊田局長から御答弁がありました、抽象的には触れてはおられたと思いますが、これ非常に大事な問題なんじゃないかと思います。  正に経済産業省は、これは公取の所管にもかかわる話でありますが、公正競争室というものを作ってコンテンツGメンというものを配置するというふうに聞いておりますけれども、その辺りも含めて、この日本独特の産業の構造あるいは下請との関係、ここをきちっと是正していかないと、本当にいいすばらしい映画というのは、幾ら国がもしお金を付けたとしても生まれないと思うんですが、豊田局長に御答弁をいただきたいと思います。
  114. 豊田正和

    政府参考人(豊田正和君) 我が国コンテンツ産業、先生指摘のように、流通させる事業者が企業の規模も大きいし数も少ないと。一方で、制作をする事業者は中小企業が非常に多くを占めているわけでございます。そういう意味で、いわゆる下請構造になっているということは言えるのではないかと思います。  そういうことを踏まえまして、コンテンツを制作する事業者がなかなかリターンが得られない。優秀な人材を確保することが難しいといったような問題があり、なかなか潜在的な力を十分に発揮できない状況にございます。  そういうことを踏まえまして、政府といたしましては公正な競争環境の確保というものが非常に重要だというふうに考えております。本年四月に、下請代金支払遅延等防止法を改正をいたしまして、コンテンツの委託制作も新たに対象にすることにいたしまして、公正な取引環境の整備を図るということをしてきております。さらに、公正取引委員会、今年の三月末に役務委託に関するガイドライン、独占禁止法上のガイドラインの改定を行いまして、このコンテンツに関係をいたします権利の一方的な取扱い、二次利用の扱いなどについての違法な行為の明確化なども図っているところでございます。  私どもの省といたしましても、公正取引委員会と協力をいたしまして、この改正下請法による検査業務を、運用を強化をしてまいろうということにしております。そうした観点から、先ほど先生指摘の公正競争室というようなものも設けまして、市場における公正な競争を促進するという観点から、競争をめぐる紛争をうまく処理をしていく体制を作ろうというふうに考えております。  いずれにいたしましても、コンテンツの制作事業者の潜在力を最大限発揮できるように努力をしてまいりたいと思います。
  115. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 松井さん、時間が参っておりますので。
  116. 松井孝治

    松井孝治君 政府の一層の御努力をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  117. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  諸先生方、本当に御苦労さまでございます。法案を拝見させていただきました。目的規定とか基本理念、また基本的施策というこういう規定ぶり、これまでの基本法と同じだなと思いながらも、今度、「コンテンツ事業の振興」ということで章を立てて書かれております。だから、基本法と産業振興法というか、両方の性格を有しているのかなというふうには思っております。  そこで、ただ、先ほど産業の関係がございましたけれども、このいわゆるコンテンツ産業も今までの自由競争の下において発展を遂げてきておりまして、今や百三十七万人雇用する十一兆産業というふうにもなっておりまして、アニメとかゲームは世界的、最高の競争力を有しているというふうに言われておりまして、この振興という名の下に国が関与するということが、むしろこの産業の自律的発展を損なうことになるのではないのかと。  先ほどの松井先行質問の中でありましたけれども、そんな変な慣行は良くないわけでございますけれども、ただ、いろんな施策を講ずるにしても、財政や金融上の支援によらず、民の活動を阻害する規制の見直しとか、あるいは自由な活動を支援するそういう制度の整備と、そんな方法もあり得るんではないのか、これらの疑問と、それからコンテンツ事業の振興における官の役割について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  118. 斉藤鉄夫

    衆議院議員(斉藤鉄夫君) 魚住委員の御質問に答えさしていただきます。  おっしゃるとおりでございまして、民の自律こそ大切であると、我々もそのとおりだと考えておりまして、基本理念に「事業者の自律的発展」ということをまず最初に述べさせていただいたところでございます。したがいまして、私たち国がやるべきことは、財政的な支援、金融上の支援というよりも環境整備というところに重点があると。環境整備といいますと、法律改正、ビジネスモデルの開発、それから海賊版対策などの体制整備、それから取引ガイドライン等でございます。  ということが基本理念でございますが、そうはいいましても、やはり財政上、税制上の措置、これも大切だと基本的には思っております。例えば、韓国の例が先ほど松井委員からも出ましたけれども、国家予算の〇・六%をいわゆるコンテンツコンテンツ、文化芸術振興に充てております。ヨーロッパの諸国は大体国家予算の一%前後だそうでございます。日本は、これまで、つい最近まで〇・一%にも達しませんでした。今年度予算でやっと〇・一二と、そういうこと。それから税制上の措置も、こういう活動に対しての寄附に対しての税制上の優遇は日本はほとんどございません。諸外国は非常に手厚い税制上の措置もございます。  そういう税制上、財政上の措置も加えていくということが私は国としての役割でもあるし、今の日本の現状は甚だお寒い状況であるということも背景にございますけれども基本理念として民の自律、その環境整備というのがこの法律の基本的な立場でございます。
  119. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 私もテレビの冬ソナというんですか、ああいうのを見ていますと、何か韓国製品の何か立派な製品のイメージアップといいますか、国そのもの自体、国そのものもかなりイメージアップされてきているなと、そういう分野というのは非常に大事だということもよく承知するものでございますが。  そこで、この法律案によって行おうとする振興策でございますが、これはコンテンツ事業者等の求めに応じて、こたえて行うものなのか、あるいは国として戦略的に必要と考えて実施しようとするものなのか、この辺の御見解をお願いいたします。
  120. 中山義活

    衆議院議員(中山義活君) 先ほども私、御意見を言わしてもらいましたけれども、日本の国が一つの一致した理念で本当にこういう政策をやっているかというと、先ほど言いましたように、民間の今までの古い慣行であるとかいろんなことがあって本当に整理をされていないんですね。本来、職務発明みたいなものがありましたね。あれと同じように、クリエーターが、やった仕事が必ず日の目を見る、かいた汗は恵まれる、こういうことでなければいけないわけですね。  クリエーター、事業者、そして国家がそれを支援していくという協力体制が、団結してできるようなそういう体制を作っていきたいわけですから、当然国が関与する、国の戦略であると、このように考えていただいて結構だというふうに思います。
  121. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 この法律が制定されることによって、コンテンツ産業の育成、振興、優良なコンテンツの供給、あるいは既存コンテンツの利用拡大、あるいは経済的、文化的発展、そういうことが期待されるわけでございますが、どのような効果が期待されるというふうに考えていましょうか。内閣府の方から。
  122. 森口泰孝

    政府参考人森口泰孝君) お答え申し上げます。  この法案は、いわゆる先ほど来御議論ございましたように、基本法的な性格の法案というふうに理解しておるところでございますが、政府といたしましても、知的財産の基本法というのが一昨年に成立しておりますが、それを受けまして知的財産戦略本部というのができておりまして、そこで議論しております。  その中では、政府としてやる必要があることとして、ビジネス基盤の整備強化、あるいは業界の近代化、合理化といった問題、それからこのコンテンツをリーディング産業としてやっていく必要があると、そういう点、それから海外進出でございますとかブロードバンドの活用と、こういったものが非常に重要だと思っております。そして、この法案はこの問題の解決に向けた具体的な方向性というのを示していただいているのではないかなというふうに思っております。  したがいまして、この法案が成立した暁には、このコンテンツ振興に対する意識というものが国、地方公共団体、事業者の間で格段に高まるということも当然のことでございますし、今、社会的機運というもの、ビジネス振興に対する社会的機運というものも醸成されるということで、コンテンツ立国実現に向けた強力な推進力になると、そのように考えておるところでございます。
  123. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 この二十二条に、「コンテンツ事業者の講ずる措置」ということでございますが、いずれもこれ最後の締めが「努めるものとする。」と、努力規定と。何かこう、自律的にとか自由にと言いながらも「努めるものとする。」と。基本理念に、しかもその「基本理念にのっとり、」というふうになっているわけでございますが。そうすると、財政、金融上の支援措置を受けない者、そういう者にも経営に関与することを受けることにつながりはしないだろうかというちょっと懸念があるわけでございますが、その点いかがですか。
  124. 森口泰孝

    政府参考人森口泰孝君) 二十二条の規定でございますけれども、これはコンテンツ事業者が講ずる措置ということでございますけれども、これは今先生もおっしゃられたとおり、民間企業が自主的に講ずべき措置を努力規定というふうにして定めたものというふうに理解しております。したがいまして、この規定によって国が何らかの経営への関与をすると、そういったものにつながるということではないものかなというふうに我々としては思っております。
  125. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  126. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  このコンテンツ法案の二条を見ますと、コンテンツというものは人間の創造的活動によって生み出されるものであるというふうに明記されていると思うんですね。つまり、文化とか芸術等は着目していないというふうにここからはとらえられるという面があると思うんですけれども、しかし同じ二条に、コンテンツというのは映画でありますとかアニメでありますとか、そういうまた文言があるんですよね。私は、法案の三条にも、文化芸術振興基本法基本理念の配慮というのが明記されていると思うんですけれども、やっぱり考えますと、文化芸術とは不可分のものではないかというふうに思うんですね。  そこでお聞きしたいと思うんですけれども、先日もおっしゃいましたけれども、中川経済産業大臣は、新産業の新興分野の事業としてコンテンツ業界を対象としました。今もコンテンツ業界というのは自動車産業規模に匹敵する十三兆円市場だというふうに言われています。こうしたコンテンツ業界を、ビジネスだけを優先することが文化芸術の自由な精神を阻害させないかという危惧もあると思うんですけれども、この点、提案者はどうお考えか、お聞きしたいと思います。
  127. 岸田文雄

    衆議院議員(岸田文雄君) 御指摘の点でありますが、このコンテンツの分野、先ほど来、話が出ておりますように、文化芸術という面、あるいは産業という面、さらには国民生活の向上という面等々、様々な面で重要な役割を担っていると認識しております。  それで、文化芸術とのかかわりの部分で申し上げるならば、先ほどちょっと世耕大臣政務官の答弁の中に一部出ておりましたが、このコンテンツの分野がかかわる基本法としましては我が国においては、御指摘の文化産業振興基本法もあります。それから、IT基本法という基本法があります。そして、知的財産基本法という法律があります。言ってみれば、このコンテンツの分野はこの三つの基本法のちょうど中間に位置する分野だというふうに思っています。中間に位置しているがためにどうもちょっと手薄な部分もあるんではないか、やはりこの分野に焦点を当てるという意味でこの新しい促進法という法律を作ろう、これが当初の問題意識でありました。  ですから、当然のことながらこの文化芸術の分野と深くかかわる、かかわりのある分野だというふうに認識しております。その辺がこの三条一項に、基本理念の第一に文化とのかかわりを掲げている、こういったことに表れているというふうに考えております。
  128. 小林美恵子

    小林美恵子君 そういうふうにおっしゃられますと、要するに文化芸術振興法の基本理念の配慮という文言の中には、文化芸術の活動の表現の自由を守り、また自主性、創造性の尊重、その保護、支援ということもあるということで理解してもよろしいでしょうか。
  129. 岸田文雄

    衆議院議員(岸田文雄君) おっしゃるとおりだと思います。  文化芸術の振興、さらには国民がそうした文化芸術の果実を享受する等々、そういった環境整備を行う、これがこの法律趣旨だというふうに認識しております。
  130. 小林美恵子

    小林美恵子君 次に、コンテンツの制作従事者の問題でお聞きしたいと思うんです。  法案の二十二条には、先ほどもございましたけれども、「制作事業従事者の適切な処遇の確保に努める」とありますけれども、「適切な処遇」というのはどういうものでしょうか。
  131. 中山義活

    衆議院議員(中山義活君) 「適切な処遇」というのは、知的財産のときに職務発明なんかありましたね。こういうようにクリエーターが作ったもの、それがどのような評価をされるか。日本の国では下請なんかで、例えば漫画のいわゆるアニメ、アニメーション、こうぺらぺらぺらってやりますね。一枚一枚かくと一枚三百円ぐらいだと。だったらこれは日本では今の十枚かいても三千円じゃこれ食っていけないから韓国の下請に任せようと。そうすると、そちらの方でどんどんどんどん日本の技術が流出していくと。又は、この三千円じゃできないから、アメリカで高く雇っているからアメリカへ行こう、そういう技術者が行っちゃう場合があるわけですね。  そういう面では、しっかりした処遇をしていかないと、クリエーターがこの日本からいなくなってしまうということが一番大きな問題なわけです。ですから、我々はこれを法的にもちゃんとした処遇をしようということで二十二条の二項にいろいろ書いてあるわけでございます。
  132. 小林美恵子

    小林美恵子君 今御答弁いただきましたけれども、私もちょっと調べてみました。  「忍たま乱太郎」というテレビのアニメを制作している職場がございます。そこは、夜十時過ぎまでもうやっぱり作業をなさっておられるというんですね。従業員の給料というのはやっぱり出来高制で、おっしゃられたように、動画一枚かくのに百五十円から百六十円の単価だそうですね。それで、一か月大体六百枚ぐらいかいていますと月収十万円の生活だと。新人の場合四百枚がやっとということで、これではなかなか家賃も払えないというのが制作従事者の皆さんの現状だということをお聞きしました。子供たちに夢を贈る方々の処遇がやっぱり大変、こういうふうに大変というのは、やっぱりその処遇を改善していくというのは御答弁なされたように大事なことだというふうに私も思います。  そこで、私は、文化庁にお聞きしたいと思うんですけれども、この法案には、この制作従事者の方々の処遇の改善の確保というのは事業者の責務とされていると思うんですね。これだけではやっぱり解決にはならないと思うんです。政府として実態をやっぱり把握して、支援することはやっぱり重要だというふうに思うんですね。  そこで、ちょっと突っ込んでお聞きしたいんですけれども政府の知的財産戦略本部のコンテンツビジネス振興政策、また今回の中には、今回の検討に当たっては、統計資料の整備が不十分であることが指摘されたと。広くコンテンツに関する統計資料の整備に努めるということがあります。  昨年の参議院文部科学委員会で我が党の畑野議員が、アニメ映画の労働者の実態についての質問をしたんですね。そのときに、文化庁は調査されるということを御答弁されました。私は、やっぱりこの調査が大事だというふうに思うんですけれども、今この調査がどういう状況になっているのか、教えていただけますでしょうか。
  133. 寺脇研

    政府参考人(寺脇研君) 調査でございますけれども、これは実態をよく御存じの団体にお願いするのがよいということで、社団法人日本芸能実演家団体協議会という芸術家全体の地位向上に取り組んでおられる団体にお願いをいたしまして、調査を始めようとしているところでございます。もう既に準備は完了しておりまして、この七月から八月にかけて調査をいたしまして、それをできるだけ早急に取りまとめまして、今年度中にはその成果が得られるように作業を開始しているところでございます。
  134. 小林美恵子

    小林美恵子君 調査が進められているという御答弁でございました。是非、集約されて公表していただきたいというふうに思いますけれども。  私は、このことはこのコンテンツの人材育成とも大きくかかわるというふうに思います。今のような処遇でございますと、八割の方が三年続ければいいかなというところになっているというふうに言っておられますので、これではやっぱり人材育成にはなりませんので、やっぱり調査をしていただいて、処遇の改善、最低賃金を下回らないような賃金の確保をするということも含めて検討していただきたいということを申し上げておきたいなというふうに思います。  次に、資金の問題でお聞きしたいと思うんですけれども、もう時間もないんですけれども、法案の十七条に多様な制度の資金調達が明記されています。映画の場合というのは、制作費一億円ぐらい掛かるとも言われているんでしょうかね、物によるんでしょうけれども、完成保証制度がやっぱり必要だというふうに思うんですけれども、この点、私ども日本共産党も随分求めてきましたけれども、今回の法案の運用と併せまして、早期にやっぱりこの制度の実現を行っていただきたいと思いますけれども、その点、経済産業省いかがでしょうか。
  135. 豊田正和

    政府参考人(豊田正和君) 先生指摘の完成保証制度でございますが、映画の制作過程において完成保証会社が映画の完成を保証するという形で、金融機関による映画制作者への投融資を促進をすることを目的とする制度でございまして、米国などで行われている民間の制度だというふうに理解をしております。  シネマコンプレックスの普及など、日本でも大分流通ルートが多様化をしてきておりまして、映画への投資へのリターンも大分得られる環境は整ってきております。このため、我が国におきましても、こうした外部資金を導入する機会が増えてきていると、そして民間におきまして完成保証制度を導入する動きが出てきているというふうに認識をしております。  政府、私どもといたしましても、幅広い投資家がコンテンツ投資に参加ができる環境を整備することによってこうした動きを促進をしようということから、知的財産投資協議会というのを昨年設立をいたしまして、資金調達の円滑化を図るためのディスクロージャーの基準の明確化ですとか様々な課題の検討を行っているところでございます。
  136. 小林美恵子

    小林美恵子君 もう時間が参りましたので質問はもうしませんけれども、最後に、私は、このコンテンツ業界というのはやっぱり中小業者の皆さんが大きなウエートを占めておられるというふうに思います。  それで、この法案には中小業者の皆さんの特別の配慮というのがあるかと思いますけれども、やっぱり、今の資金調達の問題といい、処遇の改善の問題といいましても、やっぱり中小業者の皆さんに対しての支援措置を、一歩踏み込んで支援措置をやってこそコンテンツ業界のこれからの発展につながるというふうに思いますので、この点を申し上げて、質問を終わりたいというふうに思います。
  137. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  私は、今回のこのコンテンツ法案、大変評価いたし、そしてその取りまとめに当たられました岸田先生、中山先生、斉藤先生に本当に敬意を表したいと思います。  私に与えられた時間はわずか五分ですので、もう参加することに意義があるという気持ちで早速質問に入らせていただきます。  このコンテンツというもの、大変、本当に生活にも密着した大変重要なものであると私も認識しております。それがゆえに、決してすべてバラ色でプラスの面ばかりではないという、こういう認識もございます。例えば、青少年に与えるコンテンツの中身の影響であるとか、コンテンツの中身に限らず、例えば今日も議論に出ていました「冬のソナタ」、これ、各ビデオ屋さんに行ってももう貸出しでないそうですね。家庭でお母さんがもう夜遅くまでこれを見て、若干家庭をおろそかにするとか、こういうことも起こっているようです。そのほか、テレビゲーム等ではやはりお子様が熱中して勉強とか外でのスポーツをなかなかしないとか、こういった中身以外のマイナス面もあって、家庭まで突っ込むと余計なお世話だと言われそうなんですが、提案者といたしましては、このコンテンツの持つ、推進の持つマイナス面というものをいかにおとらえになっているか、そしてそれに対する対策はどう講じられるのか、お答えください。
  138. 岸田文雄

    衆議院議員(岸田文雄君) このコンテンツの持つマイナス面についての御指摘でありますが、まずもって、我々、この法律を作ろうとした思いとしましては、このプラス面をより大きくしようというのが本意であります。日本のコンテンツの高い評価に見合うだけの効率的な、高度な、そして連携の取れた体制を作っていく、これが思いでありまして、こうした思いで、共通理念を示し、関係者が共通理念の下に行動することによって、文化芸術においても、あとは産業振興においても、国民生活においてもいい成果を上げてもらいたい、これが本来の趣旨であります。  ですから、そうした共通理念の下に様々な個別の、個別法ですとか、施策ですとか、あるいは制度が作られていき、具体的な成果につながっていると考えています。  ですから、今御指摘になられましたマイナス面につきましても、個別法ですとか制度を作る中にあって具体的に一つ一つ検討していかなければいけない問題だというふうに思っています。このマイナス面につきましても、我々決して忘れてはならない大切な問題だと考えております。
  139. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 最後にお聞きします。  この法案は、ある意味基本法の性格ですので、具体的にどうかというのは私、早急にはお聞きしませんが、ただ、趣旨の中にも豊かさと潤いを与えるんだということがございますので、やはり国民生活、どのようにすばらしいものになっていくか、この点もお答えください。
  140. 岸田文雄

    衆議院議員(岸田文雄君) まず、先ほど来話が出ておりますように、この日本の文化、今、現在国際的にも大変高い評価を得ています。第三次ジャポニズム時代と言われて、十九世紀末と一九五〇年代と、それに続く第三回目のジャポニズムの時代だということが言われてみたり、クール・ジャパンという言葉で、格好いい日本という言葉が盛んに使われてみたり、あるいは「千と千尋の神隠し」がアカデミー賞を取ってみたり、あるいは、ポケモンというゲーム、アニメーションのキャラクターがありますが、あのゲームソフトは世界じゅうで一億二千万本売れて、そして、そのカードは百三十億枚売れて、波及効果二兆三千億というふうに言われています。  これだけ高い評価を得ているわけですが、こうした成功例の一方で、先ほど来先生方の御質問の中にありましたように、前近代的な業界の慣行ですとか、そうした、財政ですとか税制ですとか、そういった部分の不十分さとか、どうもまだまだ十二分に力を発揮できていない、そういった残念な思いをしている方々も随分おられるわけであります。  こういった関係者が連携し、そして効率化、高度化に努める、基本理念を作るというのがこの法律趣旨であります。そして、この趣旨の下に個別の法律施策が進められることによって、文化芸術、産業振興、そして御指摘国民生活においてもこの成果が出てくるというふうに思っています。  国民生活の部分においては、この文化芸術を享受するとか、そうした文化芸術を通して国民が生活に潤いを得るとか、さらには産業ということで、日本の国、コンテンツ産業が発展することによって、自動車産業をしのぐような産業に発展する可能性もあります。経済を発展させることによって国民生活も潤う、こういった効果があるんではないかと考えております。
  141. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 最後に、私、実は、このコンテンツ法案を見て最初に実はあることを思い出したんです。  今から二十五年、三十年ほど前なんですけれども、「キャンディ・キャンディ」というテレビアニメがございまして、私とか多分、愛知先生とかは小学校のころ見ていたんですが、これは数年後にフランスで放映されまして、大ヒットしたそうなんですね。当時、フランスに赴任していたあるビジネスマンの娘さんが学校で、あのキャンディは日本のものよと言ったらいじめられたというんですね。キャンディはフランスのものだと。  だから、アニメの吹き替えになるとどこの国か分かんなくなるので、せっかく、日本文化の推進という意味ではそこら辺のことも若干考慮していただきたいと、そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  142. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  コンテンツ創造保護及び活用促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  143. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会