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2004-05-25 第159回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      小林  温君     仲道 俊哉君      野上浩太郎君     森下 博之君      岩本  司君     川橋 幸子君      畑野 君枝君     吉川 春子君  五月二十四日     辞任         補欠選任      中島 眞人君     小泉 顕雄君      小林美恵子君     岩佐 恵美君  五月二十五日     辞任         補欠選任      小泉 顕雄君     中島 眞人君      岩佐 恵美君     小林美恵子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         和田ひろ子君     理 事                 仲道 俊哉君                 西銘順志郎君                 森田 次夫君                 神本美恵子君                 吉川 春子君     委 員                 岡田  広君                 小泉 顕雄君                 関口 昌一君                 竹山  裕君                 中島 眞人君                 森元 恒雄君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 岩佐 恵美君                 小林美恵子君                 黒岩 宇洋君    衆議院議員        内閣委員長    山本 公一君        内閣委員長代理  岸田 文雄君        内閣委員長代理  原口 一博君        内閣委員長代理  大口 善徳君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        外務大臣    阿部 正俊君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       堀内 文隆君        内閣官房内閣参        事官       福本 浩樹君        内閣官房内閣情        報調査室内閣衛        星情報センター        次長       岸野 博之君        内閣国民生活        局長       永谷 安賢君        総務省自治行政        局選挙部長    高部 正男君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        文部科学省研究        開発局長     坂田 東一君        厚生労働省医薬        食品局長     阿曽沼慎司君        国土交通大臣官        房長       安富 正文君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○消費者保護基本法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○障害者基本法の一部を改正する法律案衆議院  提出) ○コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関す  る法律案衆議院提出) ○内閣重要政策及び警察等に関する調査  (日朝首脳会談に関する件)  (細田内閣官房長官政治姿勢に関する件)  (テロ対策危機管理体制に関する件)     ─────────────
  2. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十一日、岩本司さん、畑野君枝さん、小林温さん及び野上浩太郎さんが委員辞任され、その補欠として川橋幸子さん、吉川春子さん、仲道俊哉さん及び森下博之さんが選任されました。  また、昨二十四日、中島眞人さん及び小林美恵子さんが委員辞任され、その補欠として小泉顕雄さん及び岩佐恵美さんが選任されました。     ─────────────
  3. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事仲道俊哉さん及び吉川春子さんを指名いたします。     ─────────────
  5. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  消費者保護基本法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣国民生活局長永谷安賢さん外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 消費者保護基本法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 神本美恵子

    神本美恵子君 おはようございます。民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。本日はありがとうございます。  議題となっております消費者保護基本法でありますけれども、これは一九六八年に議員立法で制定され、今回は実に三十六年ぶり改正だというふうにお聞きしております。  この三十五年間の経済社会環境変化、また、近年におきましては企業不祥事が続発し、消費者のトラブルなども増加しているというふうに聞いております。民主党が先日ヒアリングを受けた消費者団体調査によりますと、消費者からの相談件数は十年前の実に約五倍増、また平成十五年度は五〇%増の百三十万件とも推計されております。国民生活審議会は、二十一世紀型消費者政策の在り方というのをまとめまして、この中でもこの基本法見直しを提言しております。  民主党としては、消費者生活者立場に立って、その観点から是非ともこの基本法を見直すべきだという立場で、今日お見えいただいております我が党の原口一博議員中心に、消費者団体や弁護士の方々から御意見伺いながら党内論議を進めてまいりました。そして、四月九日に民主党独自案もまとめたところでございますけれども、今回の改正は、与党側でまとめられました独自案を皆様の御努力で全会派一致ということで山本委員長の提案としてまとめられた、そのことにまず敬意を表するものでございます。  そこで、今回の改正の私は一番大きな特色といいますか、画期的なことだと思いますのは、消費者権利をこの中にきっちりと位置付けられたということだと思います。そこで、この権利についてまずお伺いをしたいと思います。  この法律名称そのもの消費者保護基本法から、今回、消費者基本法というふうに変えられていることからも明らかなように、消費者というのは保護の対象ではなくて権利主体であるというとらえ方ではないかと思います。私は、権利というのは、行政からやだれかに与えられるものではなくて、本来的に消費者が持っているものだというふうに考えております。  そういう意味で、今回、二条一項に消費者権利が明記されたことは大変有意義だと私は思いますけれども、一点目は、この権利を位置付けた意義、この法案に位置付けた意義についてまずお伺いをしたい。それから二点目は、この理念のところ、二条の中に、二条一項の後段に、消費者権利尊重とともにとして、消費者が自ら自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者自立を支援するというふうにありますけれども、この権利自立との関係についてもお伺いをしたいと思います。  よろしくお願いします。
  9. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) おはようございます。御答弁をさせていただきます。  冒頭、各委員におかれましては、大変な御努力の中で消費者政策の憲法と言われるこの基本法見直しについて真摯な御議論をいただきまして、そして全党派一致という中でここに至りましたことをお礼を申し上げたいと思います。また、神本議員におかれましては、民主党の総括副大臣として消費生活を引っ張っていただきましたことを併せてお礼を申し上げます。  さて、答弁でございますが、今回の消費者保護基本法見直し意義は、消費者を、今、神本議員お話しになりましたように、権利主体として位置付けたというところでございます。消費政策を、国際的に認められた消費者権利を実効的に確保する見地から消費者政策を策定、実施する旨を規定することにあって、正に、今、神本議員お話しになりましたように、消費者権利というのは本来国民が持っている自然権的な権利というふうに認識されるべきものであって、また、消費者権利は、権利なくして自立なしという考えの下で規定されるべきものであるというふうに考えております。  消費者自立規定されたことの反射的効果として消費者の云々というものが規定されるようなものではないということで、今回、法案の中で、消費者が安全で安心できる消費生活を送ることができるようにするためには、消費生活における基本的な需要が満たされ、健全な生活環境確保される中で、安全の確保選択機会確保、必要な情報提供、教育の機会確保意見の反映、被害の救済がまずもって重要であり、今回の改正においてはこれらを消費者権利として位置付けているものでございます。  また、このように消費者権利規定することによって、行政事業者消費者のそれぞれが消費者利益擁護及び増進のために取るべき行動方向性がより明確になって、個別法令整備施策充実促進する上での指針となると、こういう意義もあるものと考えております。  また、後段の御質問の自立との関係でございますが、第二条一項では、今お話しのように、消費者権利尊重消費者自立の支援の前提として、かつ、これと一体のものとして消費政策基本理念として規定をしております。消費者権利尊重すること、そのような権利主体である消費者が自らの利益擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動する、このことのために自立を支援することは相互に密接な関連を有し、一体のものであるということでこのような規定ぶりとなったものでございます。  また、第二条第一項の冒頭規定ぶりについては、民主党主張に各会派の御理解をいただいて、単に消費者政策推進はとされていたものを、消費者利益擁護及び増進に関する基本的な施策推進はとし、消費者利益擁護等のために施策を講ずるものであることを明らかにするという表現になったものでございますが、このような経緯からしても、この法案消費者権利ないし利益というものを一番中心に据えて作成されたものであるということを御理解いただけるものだと思っております。  以上でございます。
  10. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございます。  権利自立関係につきまして明確に、権利なくして自立なし、自立のためのその前提として権利があるんだというような今御答弁をいただきまして、私も大変、これはこれからの消費者政策を進める上で非常に重要なことではないかというふうに思っております。  ヒアリングをいたしました消費者団体の方や日弁連の方々からも、この自立ということを前面に出すことによって自己責任というようなことが強調され過ぎると、本改正案の一条にも今回付け加えられました、消費者事業者との間には情報の質及び量並びに交渉力等格差があるということがきっちり置かれておりますので、そういう意味から、自立前提として権利があるということを明確にお答えいただきまして、大変安心しております。  次に、この消費者権利内容についてお伺いしたいと思いますけれども、この法律がこれからの将来を見据えて、消費者権利に関する国際的な動向も踏まえたものとして考えられたと思いますが、民主党案では、CI国際消費者機構で示しております八つ権利規定することが必要と考えたところでありますけれども、本改正案のこの権利に関する検討経緯とその権利内容についてお伺いをしたいと思います。
  11. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 今先生が御指摘のとおり、民主党案と申しますか、民主党主張に各会派の御理解をいただいて、今回のその権利の中には、CI、いわゆる国際消費者機構八つ権利内容を余すところなく位置付けることになりました。その八つ権利、特に国民消費生活における基本的な需要が満たされる、これは発展途上国だけではなくて先進国についても、我が国のように大変消費生活の豊かな国においても大変重要な規定である、それは単に衣食住が足りるということではなくて、国民生活における基本的な需要、これは安全で安心なものをしっかりと消費者が手にすることができる、そういう権利であるというふうに思っております。  また、その健全な生活環境確保される中でという、このCI権利も明記をしております。健全な環境というのは一体何なのか。情報がシャワーのように浴びせられ、結果として消費者が、先ほど神先生お話しになりましたように、様々な契約の中で不利益を得る、選択を迷う、あるいはその中で被害を受けるといったことがあってはならない、消費政策全体をめぐる環境についてもきっちりとその権利を明記したいという、そういう立法者意思をここに書き込んだものでございます。御理解をいただければ幸いでございます。
  12. 神本美恵子

    神本美恵子君 次にまた権利のことですけれども、権利のうちに、今お話しいただきました安全確保選択機会、健全な環境の中で消費生活を営むというような、こういった権利確保するといいますか保障するためにも的確な情報消費者提供されなければいけないと思います。  消費者から見れば、情報を知る権利といいますか、その知る権利消費者に保障されるために、例えば具体的に事業者情報をきちっと公開する、行政説明責任を果たすというようなことが求められると思いますけれども、この知る権利を保障するために具体的にどのような施策が行われるべきだというふうに立法者としてはお考えでしょうか。原口議員にお伺いします。
  13. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 法案の第二条第一項には、消費者権利として、消費者に対し必要な情報提供されることを明確に規定をしております。このような権利確保のために講ぜられる施策として、後段法案第十七条の方で、国が消費生活に関する知識の普及及び情報提供等消費者に対する啓発活動推進する旨を規定しているところでございます。また、商品についても、今お話しのとおり、表示などを通じて適切な情報提供が行われる、情報提供される権利との関係で重要な事柄でございます。特に、食品等の身近な商品安全性については消費者理解できなきゃいけない。理解できて初めてそれを選択することができますので、理解できる形での情報提供が必要であり、このような意味事業者責務という形で規定をしています。事業者責務として必要な情報を明確かつ平易に提供することを規定している、これは法案第五条の第一項第二号、この意義は大変大きいものと考えております。  これは基本法でございますから、これから個別法整備運用に当たっては、このような趣旨を十分に踏まえて検討が行われ、速やかに整備が行われるべきものであるということを添えておきたいと思います。
  14. 神本美恵子

    神本美恵子君 是非ともこの基本法に明記された権利中身個別法の中でもきっちり生かされるということを御期待したいと思います。  次に、第七条にかかわるところですけれども、今、事業者責務ということをお話しになりましたが、この「事業者責務等」の中に消費者努力規定ということで、現行法では第五条「消費者役割」というふうになっているものが、今回は「事業者責務等」というくくりの中で、消費者努力規定が七条に位置付けられております。  冒頭申し上げました情報非対称性といいますか、事業者消費者の間の情報量の、量や質の格差があるということから考えれば、これは厳しい規定ではないかな、責務等の中にくくられているということで、というふうに思いますが、その基本的な考え方について、続けて原口議員にお願いいたします。
  15. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 第七条には、消費者知識を修得し、情報を収集するなど自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならないことということにしています。環境保全及び知的財産等の適正な保護配慮するようにまた努めなければならないことを規定していて、これは、だれかが権利をこの法律消費者に与えたから、その結果としてその反射的なものが生まれるということで書いておるものではございません。見出しは様々な議論がございまして、この中身をごらんいただければ、ここで今読みました、努めなければならないという条文で尽くされておるものでございまして、消費者にとって特段厳しい規定をここに入れたというふうに立法者考えておりません。  また、法案検討過程では、この規定にどのような見出しを付けるのか、今日、二人の同士、隣にいらっしゃいますが、随分議論しました。消費者役割と名付けるのか、あるいは責務と名付けるのかについては正直様々な議論がありました。確かに、条文見出しというものは、当該条項内容を簡潔に表現して、当該条項内容理解と検索の便に供しようというものでございますが、具体的な法規範内容自体当該条項規定そのものにあるということは言うまでもないことでございます。私たちは、与野党を含めた協議過程でこのような基本的な考え方を共有するところに至ったわけでございまして、重要なのは、責務役割かということではなくて、規定内容それ自体であるというふうに御理解をいただきたいと思います。本条項は、その条文どおり、自ら進んで云々するように努めなければならないという努力規定を定めたものと理解をしております。  また、このような経緯を踏まえ、この法案全体が、事業者消費者の間には今先生お話しになりました情報非対称性その他の格差が存在すると、こういう基本的な認識の下に作られていることを考えれば、第七条の規定が国、地方公共団体及び事業者責務と同じような意味で置かれている規定ではないことは御理解いただけるというふうに思います。
  16. 神本美恵子

    神本美恵子君 私もこの民主党の案を考えるときに議論に参加しておりましたので、ここについては大変懸念をいたしておりましたが、与野党努力の結果、こういう形でより厳しい規定にしたわけではないということで確認をさせていただきたいと思います。  同じこの七条の二項のところなんですが、「消費者は、消費生活に関し、環境保全及び」、その次、「知的財産権等の適正な保護配慮するよう努めなければならない。」とあります。この知的財産権等への適正な保護への配慮というのはどのようなものであるかということ、これは岸田議員にお伺いをしたいと思います。それから、この条項消費者、逆に消費者権利を何か縛ることになるのではないかというようなこともちょっと懸念されるわけですけれども、その点については原口議員にお伺いしたいと思います。
  17. 岸田文雄

    衆議院議員岸田文雄君) まず冒頭に、この消費者保護基本法改正案、本日御審議いただきますこと、私の方からも心から御礼を申し上げます。  その上で、ただいま御質問いただきましたこの第七条二項の問題でありますが、この第七条二項、消費者知的財産権等の適正な保護配慮するよう努めなければならない、こうした規定を置いているわけでありますが、これは、この条文が想定しておりますのは偽ブランド品ですとかあるいは違法コピー商品、こういったものを想定しているわけであります。  この偽ブランド商品あるいは違法コピー商品、こういったものを製造し販売するということ、これは間違いなく法律に触れるわけでありますし、この権利を害するわけでありますが、一方で、消費者がそういったものを購入することもこうした権利を害することを助長することになるんではないか、そういったことを考えたわけであります。そういったことがないように、配慮する旨を消費者努力規定として置いた、これがその第二項の趣旨であります。  本法案、三十六年ぶり改正ということでありますが、この三十六年間の日本の社会変化考えますときに、例えば環境問題ですとか高度情報社会ですとか様々な変化があるわけですが、その中の一つとしまして、特にここ数年、我が国におきまして知的財産権に対する配慮、大きな注目を集めているところであります。知的財産基本法ができたり知的財産推進本部ができたり知的財産推進計画ができたり、こうした知的財産に対する考え方配慮によって、我が国の産業ですとか文化ですとか、あるいは芸術、さらには情報通信技術にまで大きな影響が及ぶ、こうした問題意識が芽生えているわけであります。  そういった中にあって、消費者立場からも、努力規定としてそういったものを考え自らの行動考える、こういったことが必要ではないか、これがこの第二項の趣旨でございます。
  18. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 後段の御懸念に対してでございますが、我が国知財立国を目指している。私たち民主党知的財産保護といったことに強い政策的なドライブを掛けているわけでございますが、この法律は、今、岸田議員お話しになりましたように、消費者が偽ブランド違法コピー商品を購入することを念頭に置いているものであって、一方、御懸念の、例えば遺伝子組換え食品安全性についてどうか、そういう情報について法律保護されるべきものかどうかということはまだ明らかではありません。むしろ、こういう安全性については、消費者の方に、立場に立てば、積極的に開示をされ、そして必要な情報提供される、こういうことが必要でありまして、このことを妨げるものでは全くないということを確認した上でこの条項を作っております。  政府その他の関係者には、このような立法者意思を踏まえて、この規定を適切に運用していただきたいというふうに思います。  繰り返し申し上げますが、この規定によって様々な消費者が得るべき知る権利を阻害するものであっては決してならないということを重ねて申し上げておきます。
  19. 神本美恵子

    神本美恵子君 是非とも、実際の行政上の運用に当たりましては、今の立法者趣旨をきちっと踏まえてやっていただきたいということを私からもお願いしたいと思います。  次に、第十九条の苦情処理及び紛争解決促進についてお伺いいたしますが、今日傍聴にもお見えいただいております団体方々などからも、特に相談現場から、苦情処理相談件数の急増は私先ほど申し上げましたが、それから、その相談内容多様化複雑化広域化の中で、相談員配置数が増えずに極限に近い状況で対応しているというふうなお話もお聞きしました。相談員の身分は非常勤嘱託や日々雇用、パート、不安定雇用、低賃金というようなことで、大変その体制充実待遇改善ということについても聞かせていただいたんですが、これは内閣府にお伺いしたいんです。簡単な御答弁でいいですが、現状、この苦情処理相談等どういうふうな体制で行われているのか、短くお願いします。
  20. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 地方公共団体が行います苦情処理のあっせんの実情がどうなっているかというお尋ねであります。  御案内のとおり、地方公共団体が設置しております消費生活センターは、平成十五年四月現在で全国に四百七十九か所置かれております。そこで消費者からの苦情相談に対する助言あるいは事業者との間のあっせん等を行うということをやっております。  先ほど先生御指摘になりましたけれども、全国のその消費生活センターに寄せられる苦情相談件数でありますけれども、平成十三年度の六十五万件から、十四年度が八十七万件、それから十五年度はこれまだ暫定値でありますけれども百三十四万件ということで、非常に増加しているという実態にあります。  そうしたその苦情相談の多くは消費者に対する助言等によって対応しておりますけれども、消費生活センターが事業者消費者との間に立ってあっせんを行い解決した件数というのは平成十四年度で約五万九千件ぐらいあるというような実情になっております。
  21. 神本美恵子

    神本美恵子君 そこで、改正案の十九条では、現行法の十五条の規定にプラスして、都道府県は、市町村との連携を図りつつ、主として高度の専門性又は広域の見地への配慮を必要とする苦情の処理のあっせん等を行うものとするということが一つと、とともに、多様な苦情に柔軟かつ弾力的に対応するように努めなければならないというふうに今回改正されております。  これは、今の相談の現状、現場の現状から考えて、市町村消費者センター、都道府県消費者センターがともに相談の第一次窓口であるというふうにとらえていいのかどうか、お伺いしたいと思います。原口議員
  22. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 正にこの第十九条は、苦情の処理及び紛争の解決の規定充実させたものでございまして、その改正趣旨の一つは、都道府県とともに市町村が消費者からの相談窓口としての機能を果たすことを明らかにしたものです。つまり、地方自治法をそのままトレースしてしまうとオーバーラップする部分がなくなってしまう。消費者を守るということは、これはある意味では危機管理的な要素があります。地方自治法をそのままトレースしただけでは済まない、こういう趣旨からこの規定充実させました。  さらに、民主党主張に各会派の御理解をいただいて、十九条第一項、多様な苦情に柔軟かつ弾力的に対応する旨の規定が置かれることになりましたが、これは都道府県の第一次的な相談窓口としての役割を重視するという発想から出てきたものでございまして、あくまで、一回侵害をされてしまうともう回復不能なぐらいこの契約をめぐる様々な消費者のトラブル、多うございまして、それに柔軟に対応できる、現場の声を踏まえたものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  23. 神本美恵子

    神本美恵子君 先ほどの内閣府の御答弁と、それから今の立法の立場からの御答弁で、是非ともこの相談窓口といいますか、その現場の体制充実を図って、消費者の様々な複雑化した、多様化した相談にきちっと対応でき、苦情処理ができ、そして紛争解決促進できますように、これは行政の方に是非ともお願いをしたいと思います。  次に、第二十条、「高度情報通信社会の進展への的確な対応」ということで、その中に、国は、消費者の年齢その他の特性に配慮しつつ、必要な施策を講ずるというふうに文言が書かれております。これは非常に私は、高齢化社会にもなりますし、そういう意味で、年齢その他の特性に配慮するというのは重要なことだというふうに思います。  これを実効あるものにするには、特に高齢者の方々、今インターネット社会ですから、そういうインターネットの情報を本当に理解ができるか、あるいはその操作ができるかということも含めて、消費者の側のメディアリテラシーというものが非常に重要ではないかというふうに思います。その確保のためにどのようなことを考えていらっしゃるのか、原口議員にお伺いしたいと思います。
  24. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 正に御指摘のとおり、高度情報通信社会においては、情報を収集して、そして情報を読み解く力が必要となります。  ただ、じゃ高度情報通信社会といって、物すごい量の情報があるわけです。人間が一遍に物事をぱっと出されて認識できる数は七プラスマイナス二と言われています。そういう中で、もう処理不能なぐらいの情報がたくさん浴びせられたり、あるいはそこに錯誤が起こるようなことも小さく書かれている、こんなことがあっては消費者権利を守ることはできません。特に高齢者、若年者等についてはそのための配慮が必要ということで、この問題意識を法文に規定をしております。  具体的には、教育及び啓発について規定した第十七条に基づいて消費者教育等を適切に行っていくことが考えられます。また、事業者には消費者に対して必要な情報を明確かつ平易に、分かってもらって初めてそこに、そのさっきお話しになった情報のギャップの差が少しでも埋まるわけでございますので、事業者には消費者に対して必要な情報を明確かつ平易に提供する責務が課されているところも重要でございます。事業者には高齢者、若年者等にも理解しやすいような形で情報提供が求められていると考えております。
  25. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございます。  是非、年齢やそれからその他様々な障害がある方、障害の種類にもよりますけれども、そういう方々に対しても配慮しつつ、その情報がきっちり理解されるようなメディアリテラシーに配慮してやっていく、その確保のための施策をお願いしたいと思います。  次に、消費者政策会議についてでございますが、これは二十七条以降に規定されております。  これにつきましては、現行法では消費者保護会議ですが、名称が変わっておりまして、その中身も随分充実する方向にされているというふうに思います。しかし、民主党の提案ではこれを八条委員会ということにしまして、これよりも、この改正案よりももっと一歩進んだものとして勧告権をそこに付与しよう、さらに消費者政策にかかわる政省令の制定改廃についてもこの委員会に諮問をし、この委員会から関係行政機関の長は意見を聴かなければいけないというような、そういう委員会にするべきではないかということを考えていたものでありますけれども、これはもうとにかくこの基本法が単なるお飾りではなくて実効のある、実効性のあるものにしようというための提案でございました。しかし、今回の提案では消費者政策会議というような御提案になっておりますけれども、この消費者政策の実施状況を、済みません、二十七条の二項の二の中に消費者政策の実施状況を検証、評価、監視することというふうになっております。  この点について、これは内閣府と原口議員にお伺いしたいのですけれども、内閣府としては、こういった観点を考えた上で会議の実際の運営はどのように現在と変わるのかという点です。現在は、お聞きしますと年に一回、これ内閣総理大臣を長とする会議だそうですけれども、年に一回行われるだけという、まあ言わせていただければ形骸化していると言ってもいいんじゃないかというような会議ですけれども、そうではなくて、先ほどからの議論でありますように、本当にこの基本法をベースにした政策が取られるような会議となることが求められると思いますので、その点について内閣府から、それから、とりわけ冒頭から言っております消費者権利確保するための会議はどのような在り方が必要かということについて、これも原口議員の方から、特に検証、評価、監視、これは民主党の案で入れられたというふうにお聞きしておりますので、その点について双方にお伺いをしたいと思います。
  26. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) まず私に対する御質問でございますが、先生お話しのように、民主党案では八条委員会として勧告権を付与する、つまり、今まで生産の現場での政策というのはありました、それが労働者であったり経営者の側であったりするものの。しかし、消費者、生活の現場での政策を一体的に戦略的に、この勧告権、八条委員会という強いものを与えて政府に対して強くこの消費政策を進めていこうというのが私たちの案でございましたが、今回この法案に置かれる消費者政策会議において新たに規定された内容としては、消費者基本計画の案の作成を行うことのほか、今御指摘にありました消費者政策の実施状況を検証、評価、そして監視するということが挙げられたわけでございまして、この検証、評価は、民主党主張に各会派の御理解をいただいて、そして明示することになった部分でございまして、提案者としては、消費者政策会議がこの検証、評価などの役割を着実に果たして多岐にわたる諸政策を一体的に、しかも戦略的に推進する、そして説明責任をきっちり国民に対して果たす、こういうことを期待してこの法文を置いたものでございまして、繰り返しますが、消費者の側、これは国民と言い換えてもいいと思います、国民の生活の現場に沿った政策をより強く推進していきたいという立法者意思の表れだというふうに御理解をいただきたいと思います。
  27. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 今回の改正案でありますけれども、三条で国の責務規定されております。消費者権利尊重及びその自立の支援等の基本理念にのっとり消費者政策推進する責務を有するというふうにされております。こうした考え方に基づきながらその政策を推進していくということが非常に重要であるというのがまず大前提であります。  それから、そういう中で、今、原口先生の御説明にもございましたけれども、九条で、消費者基本計画を策定する、その計画の案自体消費者政策会議において作成されるというふうにされている、しかも、それに加えて、消費者政策の実効性を確保するために消費者政策会議は消費者政策の実施状況の検証、評価、監視ということまでやるようになっているということであります。  したがいまして、私ども内閣府としましては、こうした消費者政策会議における基本計画の策定、実施、検証を通じて、とりわけ情報提供でありますとかあるいは教育の機会提供でありますとか、そういうものをてこに、その権利確保するための消費者政策を強力に推進していきたいというふうに思っております。  神本先生の御指摘で年に一回云々というお話がございましたけれども、よく形骸化しているんじゃないかというふうに言われてきておりますので、いやしくも、今回のこの大改正を機に、そういうことが言われないような形での運営というものを考えていきたいというふうに思っております。
  28. 神本美恵子

    神本美恵子君 最後になりますが、附則の第二項に「検討」として、施行後五年を目途として検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるというふうになっておりますけれども、基本法ですのでそう度々改正するものではない、それにしても三十六年ぶりというのは余りにも置き過ぎというような感がするんですけれども、この施行後五年という期間をもって今回見直し規定として検討を加えられることが書かれておりますけれども、この趣旨について、何らか意図があると思いますので、お尋ねをしたいと思います。
  29. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 正にありがとうございますという質問で、日進月歩の社会の中で、国民消費生活を、これを取り巻く環境は急速に変化しています。例えば、数年前だと分からなかった化学物質、もうはんらんしています。あるいはダイオキシンに対する食品の安全というのも新しい問題提起がされています。こういう中で、消費者政策についてもこうした変化に的確に対応する必要がある、適切な政策が講ぜられる必要があるわけで、近年におけるIT化や国際化、あるいは科学技術の進歩、あるいは消費者をめぐる環境変化、こういった状況にかんがみ、五年を目途とする検討規定を置いたところで、確かに基本法としては大変珍しいものでございますが、それだけ消費者を守る施策の枠組みといったものをよりビビッドに、より的確に変えていくべきだという立法者意思をここに表したものでございます。  以上でございます。
  30. 神本美恵子

    神本美恵子君 御質問させていただきましたけれども、今回の法案改正案は、本当に大きな、ある意味では大転換をした法律ではないかというふうに思います。  といいますのは、冒頭からこだわっております保護の対象から権利主体へ、消費者保護される、いろんなことを援助されて保護される立場ではなくて、本来持っている消費者権利というものをここできっちり明記して、それを国、地方公共団体、それから事業者はサポートし、その権利を保障する責務があるということが明記されたという点で私は非常にこれは大きな改正だと思いますので、そのことを具体的にどうするかは、先ほど内閣府も御答弁ありました消費者政策会議というところできっちりと基本計画大綱を作りながらその施策を実施していくということが何よりもこの法を、基本法を絵にかいたもちにしない重要なことではないかというふうに思いますので、そのことを御期待しまして、立法者方々に感謝を申し上げながら、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  31. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  提案者の皆様、御苦労さまでございます。また、新聞記事等で大変な作業をされてきたなということも含めまして、皆様に心から敬意を表するものでございます。  先行者の質問にもございましたが、三十六年ぶりにこの消費者保護法制の改正ということでございますが、三十六年間、消費者保護の憲法というようなことで大きな役割を果たしてきたというふうに私も承知をするものであります。  ただ、規制緩和の進展等によって市場原理が大きく機能していく、またIT化、国際化というような状況の変化を受けてトラブルがいろんな複雑な様相を呈してきているということもまた事実だというふうに思うわけでありますが、そのような大きな変化に対応する、また先ほど来から指摘ございます保護の対象から権利主体へという大きな政策転換がなされているというふうに承知をするものでありまして、抜本的な改革として高く評価するところでございますが、まず、提案者の方からその辺りの考え方について若干御説明をいただきたいと思いますが、それでは大口議員からお願いできますか。
  32. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) 公明党の大口でございます。  まず初めに、今日こうやって消費者基本法が皆さんに御審議いただける、衆議院を通過してここに至ったことに対して、非常に感慨深いものがありますし、また心から感謝申し上げたいと思います。  私どもも、三十六年ぶり改正だと、これは消費者政策の憲法だということで、歴史的な使命というものを実感しながら、自民党の先生、そしてまた民主党先生あるいは各会派方々と本当に議論をして、その議論過程の中でこの案というものをどんどん深化させて、そして委員長提案という形になったわけでございます。そういう点で、議会の一つの在り方として私は非常にいい体験をさせていただいたと。これも感謝しておるわけでございます。  そして、そういう使命感に立って、今回、まずこの現状の認識、これを明確にしていかなきゃいけない。  確かに、規制緩和の流れがあります。そういう点で、ただ単に消費者を規制によって保護する、外部から保護すると、こういう流れから規制緩和の流れになってまいりました。そして、消費者というのは、市場社会において重要なプレーヤーという立場になっていかなきゃいけない。その中で、この市場のゆがみというものも、これも消費者がその重要なプレーヤーとして是正していく、こういう役回りもある、そしてまた消費者団体もそういう役割があると、こういう認識がございます。そして、ただ、厳然とこの消費者とそれから事業者との間には、情報力あるいは交渉力等の構造的な格差、これも存在していることは事実でございまして、消費者トラブルは今、長期的になお増加を続けていることは今いろいろな答弁あるいは委員の御指摘があったとおりでございます。  そういう点で、この規制緩和の流れ、IT化、国際化の進展の影響を受けて、そのトラブルの内容商品又はその品質ということからむしろ役務の、サービスの方のトラブルが六割を占めるとか、あるいは契約におけるトラブルも占めている、あるいはIT化によるトラブルも増えていると。こういうことからいきますと、やはりこの構造的な格差というものにしっかりと着目して、第一条の中でその「格差にかんがみ」という形で条文規定をさせていただいて、こういう認識の下に、保護から自立への転換というそういう言葉もあるわけですが、私はむしろこの自立の名の下に保護の視点が後退する危険性、これがもうあるということで、私としましては、これは我が党も長年主張し続けてきました消費者権利、これを明確にすべきであると。消費者権利のまた主体がこれが消費者である、そういう点ではこの基本法における位置付けも、消費者の位置付けをこれを保護の対象から権利主体へと転換すると、こういう意義付けをやったわけでございます。そして、二十一世紀にふさわしい消費者主権の拡大に向けて本改正案を提案したわけです。  やはり、先生御指摘のように、私ども特に強く我が党で主張したのは、第一条の目的にこの「消費者権利」というものを、この文言を入れたいということでいろいろ議論をさせていただきました。やはり、この目的に「消費者権利尊重」というものを入れることによって、この条文全体がこの消費者権利尊重ということを目指しているんだということも明確にさせていただいたわけであります。ですから、この条文というのが消費者権利というものの尊重という目的のために作られたということを明確にさせていただいたということもどうか御理解いただきたいと思います。
  33. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 提案者の情熱が伝わってくる御答弁で、ありがとうございます。  その消費者権利でございますけれども、私も勉強させていただきましたけれども、何かえらい古いケネディ大統領の特別教書の中に出てくるというのが出発点のようでございますが、一九六二年ですわ。また、先ほど神委員からも、理事からもございましたけれども、この国際消費者機構の名が出てくるのも一九八二年という、二十世紀の後半の方に出てきた考え方なんだと思いますが、我が先進国日本もようやく二十一世紀の頭になって、先生方の御努力によってようやく出てきたなというふうな感慨を持つわけでございますが、それは具体的には基本理念と言われております第二条にその具体化になっているのかなというふうに思いますが、この第二条の意義についてもうちょっと御説明をいただけますでしょうか。
  34. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) この第二条の基本理念という中で、やはり私どもはこの順序の問題もあったんです。消費者権利ということと自立支援という、どういう書き込みをするかと、こういう中で私どもはやはりその第二条の一項にまず消費者権利というものをこれを規定すると、そして、いろいろ各会派の御意見がここに盛り込まれて、消費者権利というものがまずあるという構造になっているということをまず御理解いただきたいと思います。  そして、二項については、何といいますか、消費者の年齢その他の特性に配慮されなきゃいけないとして、そして私ども特に強く主張したのは、何といいますか、高度情報通信社会の進展、これに的確に対応するように配慮して行われなければいけないというこの三項、ここが私ども強く主張させていただいたところでございます。  もうやはりIT化が非常に進んでおります。そしてこのIT化が、あるいは匿名性でありますとか、いろいろな特徴があります。あるいはCツーBとかCツーCとか、新しい取引形態というのが出てきております。そういう点で、やはり相談窓口におきましてもこのITに関するトラブルというのが非常に今急増をしておるわけでございます。そういう点で、今本当にこのITというものなくしてこの社会を、二十一世紀の経済社会考えることはできない、こういう状況でございますので、やはり高度情報通信社会の進展に的確に対応する、こういう項目を是非ともこれは入れるべきだ、こういう我が党も主張させていただきまして、そして皆さんの御理解を得て、これが規定されたわけでございます。  いずれにしましても、これから新しい状況がいろいろと出てくるわけであります。そのいろいろな変化に対してしっかりと的確にこたえていこうと、こういう姿勢をこの基本理念の中で入れさせていただいたわけです。また、環境保全配慮、第五項も、また四項の国際化の進展の対応、こういうことも、まさしく非常に社会、激変しているわけですので、それに対応すべきであるということで、この第二条に盛り込まさせていただきました。  そして、その基本理念に対応するように、具体的に施策におきましてもこういう理念に対応した具体的な施策を講ずるべきだということで、二十条におきまして、具体的に、国は、消費者の年齢その他に配慮して、消費者事業者との間の適正な取引の確保消費者に対する啓発活動、教育の推進苦情処理紛争解決促進に当たって高度情報通信社会の進展に的確に対応するために必要な施策を講ずるものとするという形で、国の責務としてこういう形できちっと対応すべきであると。また、二十一条、二十二条という形で、基本理念に対応した形で、国が講ずるものとするという形で規定をさせていただいたわけでございます。
  35. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今御説明の中にもありましたように、いろんな状況を踏まえながら、状況に的確に対応するという、的確にというような表現が何か所かございます。  そこで、第九条では消費者基本計画ということが規定されておりますが、政府はこの消費者基本計画というものを定めなければならない。その中で、長期的に講ずべき消費者政策の大綱、これをやはり社会の実態を的確にとらえて消費者政策推進するということになりますと、幅広に御意見を各所から聞かなきゃいけないのかと思うわけでございますが、その策定作業という手順はどのようになるというふうにお考えでしょうか。これは内閣府の方からお願いします。
  36. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 第九条の消費者基本計画の策定の手順について、社会の実態を反映されるようにきちっと消費者等の意見を聞いてやれという御指摘であります。  もうこれは今、大口先生の御説明にもございましたように、今回の基本理念の中で、消費者意見消費者政策に反映されることは消費者権利というふうに位置付けられております。それを受けまして、この法案の十八条では、消費者意見の反映及び施策の策定過程の透明性の確保というのが国の基本的な施策の方向というふうにされております。したがいまして、消費者政策の立案でありますとか推進に当たりましては、その消費者意見を最大限反映させていくということはとりわけ重要であろうというふうに認識しております。  今先生御指摘の消費者基本計画でありますけれども、消費者政策会議がこの案を策定するわけですけれども、その消費者政策会議がこの案を策定するに当たっては、消費者の代表を含む国民生活審議会意見を聴くというふうにされております。それが一つ。それからもう一つは、パブリックコメント等で消費者団体を含めた国民各層からの意見を聞いてこれを作っていくというふうに、今の時点では考えております。
  37. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先生方の御苦労にもかかわらず、そんなにでかい大部な法律ではないので私もざっと目を通させていただきましたけれども、いわゆる団体訴訟の規定がないんですね。私も弁護士の端くれやっておりましたから、えっという、そんなふうに感ぜざるを得ませんでした。やはり悪徳商法とか、そういった場合、テレビニュースとかでも、何とか被害者弁護団みたいな、そういうような形でやりますわね。やはり被害額、一人一人は少額なんだけれども、でも、幅広な社会問題になるような、そういうような案件もございます。  団体訴訟というと、イギリスでもフランスでもドイツでも、またアジアでもタイとかインドネシアとか導入をしているようでございますが、二十一世紀最初になって、それはもう自民、公明、また民主の皆さん方の中でいろんな議論をされたんだろうなというふうに思いますし、また、政府においても検討が進んでいるんだろうなと承知をするところでございますが、この導入するかどうかという議論始まっているようでございますが、その議論の進捗具合、また見通し、論点等について簡潔にちょっと御説明をいただきたいと思います。
  38. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 団体訴訟制度の導入に関する御質問でございます。  私どもで昨年、消費者政策部会、国民生活審議会消費者政策部会の中で二十一世紀型の消費者政策の在り方ということを御議論させていただいております。その結果が昨年の五月に報告書として出されておりますけれども、その報告書の中で、制度の導入が必要である、特に、消費者被害の発生、拡散を防止するための差止め制度を導入することが必要である旨の提言をいただいております。これを踏まえまして、先般、この消費者政策部会の下に検討委員会を設置していただきまして、実は昨日その第一回目の検討委員会が開催されたという状況になっております。  これ、今先生もおっしゃっていましたように、消費者団体訴訟制度でありますけれども、一定の適格性を有する消費者団体に対して訴訟を提起する権利を認めている、認める制度であります。論点としては、例えば、どのような内容の訴権をどういうような団体に認めるのが適当かというようなこと等が考えられております。  私ども、本年末を目途に何らかの形の成果を取りまとめられればということで今作業をしているという状況であります。
  39. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 同じ弁護士として先輩に当たります大口先生、多分この議論の中でかなり大きな声でおっしゃったんではないのかなと推測するわけでございますが、その点はどうだったんでしょうか。
  40. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) 今先生御指摘のとおり、この団体訴権の問題がこれ非常に重要な問題であるわけです。それで、当然、この問題につきましては自民党、民主党そして公明党、本当にいろいろと議論をさせていただきました。  そういう中で、僕は、着実に進めていくべきだということで、早急にこれはこの団体訴権を認めていくべきだ。我が党のマニフェストの項目の中にも入れたわけでございますが、それで、じゃ、この消費者基本法に芽出しを、何とかこの思いをこの規定の中に盛り込みたいと、こういうことでいろいろと議論をさせていただきまして、第八条に、ここに、消費者団体は、消費者生活に関する情報の収集及び提供並びに意見の表明、消費者に対する啓蒙及び教育、そして消費者被害の防止及び救済のための活動その他の消費者消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動に努めるものとすると、こういうことで、消費者団体の活動の中にこの被害の、消費者被害の防止及び救済のための活動、こういうものを盛り込みまして、そしてさらに、二十六条に「国は、国民消費生活の安定及び向上を図るため、消費者団体の健全かつ自主的な活動が促進されるよう必要な施策を講ずるものとする。」と。消費者団体の活動の中に、この八条に消費者被害の防止及び救済のための活動というのがあるわけです。それと対応しておりまして、この活動が促進されるよう必要な施策を講ずるものとするという形で、団体訴権についての思いをこの八条、二十六条に込めていると、こういうことでございます。
  41. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 何か御苦労が手に取るように御説明をしていただいたわけでございますが、ただ、今話題となっておりますが、ADRというようなこと言われておりますけれども、ただ、あれはやはり仲裁とか和解とかそういうようなものでございまして、ADRに逆に逃げ込まれないように、やはり私たちしっかりまた進展を見ていかなきゃいけないなというふうに思うところでございます。  それで、御説明いただいてきたわけでございますが、やはり保護の対象から権利主体にということで、またそれに向けての施策をしていくということでございますので、やはり本当に大きな社会変化にも資する法律案であるというふうに承知をするものでございますが、それに応じてやはり、消費者ももちろんでございますが、企業もこの意識改革というものをしっかり図っていかなきゃいけないなというふうに思いますが、今後、こういうことに、この点につきましてどのような取組になっていくのか、その点について御説明をいただきたいと思います。じゃ、大口先生
  42. 大口善徳

    衆議院議員(大口善徳君) 今先生御指摘いただいた、企業、事業者の意識改革、これをしっかりやっていかなきゃいけない、もう本当に当然のことでございまして、この第五条の二項に、事業者はその云々書いておりまして、この事業活動に関し自ら遵守すべき基準を作成すること等により消費者の信頼を確保するよう努めなければならないと、こういうことでコンプライアンス経営というものを非常に今やっておる。コンプライアンス経営ができない企業はもう駄目だと、こういうような状況が醸成されなきゃいけないと、こう思うわけです。  そういう点で消費者の側も、そういう点では消費者が市場社会における重要なプレーヤーとして、そういう企業のコンプライアンス経営がちゃんとなっているかどうかということもチェックするということも私は非常に大事ではないかなと、こう思っておるわけでございます。  そういうことで、私ども、もう一つ我々の方でいろいろこの条文作りの中で検討させていただいたことは、やはり今回、この十七条の中で啓発活動及び教育の推進と、こういうものを規定をさせていただきました。国は、消費者自立を支援するため、消費生活に関する知識の普及及び情報提供等、消費者に対する啓蒙、啓発活動推進するとともに、消費者が生涯にわたって消費生活についての学習する機会があまねく求められている状況から、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて消費生活に関する教育を充実する等必要な施策を講ずるものとすると、こういうふうに、また地方公共団体も同様の施策を講ずるように努めなければならないと、こういうことで、企業の意識の改革とともに、また消費者の意識の改革もしなきゃいけません。そのためには、学校の教育それから地域における教育、それとやっぱり生涯学習ということでいきましたら、さらに、家庭、そして職域においてもこういう生涯学習という観点から意識改革をしていくことが大事だと。  特に、私ども、各界の御理解をいただきまして、この十七条に家庭、職域ということを具体的に規定させていただいた意義は大きいと、こう思います。とにかく、高齢者の方あるいは若年者の方、そういう点では知識不足だということで消費者トラブルに巻き込まれやすい、こういうことにかんがみますと、生涯学習の重要性を踏まえ、消費者が生涯にわたって消費生活について学習する機会をあまねく求められる状況にかんがみてこういう規定を置かさせていただいたということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  43. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 これで質問を終わりますけれども、再度皆様方の御苦労に敬意を表して、質問を終わります。
  44. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 日本共産党の岩佐恵美でございます。  今回の消費者保護基本法改正は、世論、消費者の運動が大きな推進力となりまして全会派一致改正案となりました。私は本当に良かったなというふうに思っております。  今度の改正案では、「基本理念」に消費者の安全の確保など八つ消費者権利を明記をしたこと、消費者権利尊重して消費者政策推進することが行政責務であるとしたこと、事業者責務を具体的に明記をしたこと、消費者契約の適正化の規定を新設したこと、苦情処理紛争解決規定を拡充して、国、都道府県、市町村の対応や人材確保等の責任を明らかにしたこと、また国民生活センターの役割を明記するなど、消費者の要求を反映した積極的な内容となっていると考えます。  同時に、幾つか残された問題があると思っています。まず、一番大きな問題は、消費者の位置付けの問題です。旧法では役割としていたものを、改正案ではいわゆる責務、ねばならないという、そういうことになっているわけですが、改正案消費者自立の支援、これを基本としているわけですが、消費者自立は、第一条で言っているように、事業者消費者情報や交渉力の格差、これを是正することが不可欠であると思います。  そこで、提案者、岸田議員に、その点についてお伺いをしたいと思います。
  45. 岸田文雄

    衆議院議員岸田文雄君) おっしゃるように、事業者消費者との間に情報力ですとか交渉力において格差が存在しているということ、おっしゃるとおりだと思います。  今回の法改正におきましても、その点はもう基本認識として共有しながらこの法案作成をしてきたというふうに考えております。だからこそ、御指摘にありましたように、この第一条、これは目的規定でありますが、目的規定の中に消費者事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等格差にかんがみという文言を入れたわけでありますし、第二条二項、これは基本理念の部分でありますが、この基本理念の中にも、消費者の年齢その他特性に配慮しなければいけない、こうした文言を入れたわけであります。  こうした配慮ですとか施策なくしてこの自立の支援というものはあり得ないというふうに考えております。逆を言いますと、そういったものなしに自立の支援というものを強要するというようなことはこの立法の趣旨には沿わないというふうに考えているところであります。  一つちょっと付け加えさせていただきますと、自立の支援も大切な基本理念でありますが、先ほど来説明が、答弁の中にもありましたように、この基本理念の中には消費者権利というものもしっかり位置付けておりまして、消費者権利自立の支援、これが両方、二つ大きな柱であります。両方とも、これが相まってこの大きな目的に進むと考えておりますので、この二つの柱、ともに重要なポイントだと考えておりますので、付け加えさせていただきたいと思います。
  46. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 先ほど原口議員説明にありました、食品の表示等については、消費者理解できなければならない、これは私本当に重要だと思っています。  そこで、その具体的な問題について質問したいと思います。  食品の期限表示なんですけれども、食品衛生法に基づく品質保持期限とJAS法に基づく賞味期限、これがばらばらで混乱を招いていたという問題については賞味期限に統一することになりました。しかし、消費期限と賞味期限、よく似た表示が二つあります。非常に分かりにくい。この点は解決をしていません。特に、事業者の判断に任される消費、賞味という期限表示、これは大きな問題を持っています。一昨年発生した雪印乳業の冷凍バター期限表示書換え事件、書換えというか、これは表示をごまかしたと思いますが、品質保持期限の切れた冷凍バターを包装し直して、期限を一年延ばしたラベルを張って出荷したというものです。この事件について北海道保健福祉部は、製品が安全だという科学的、合理的に説明するデータが示されていないとして、文書ではなく口頭で販売中止を促すという対応だったということです。  さらに、昨年暮れ、京都府の養鶏生産組合が、昨年六月十九日に採卵した五万六千個の卵を冷蔵庫に保管して、半年もたった十二月二日に賞味期限を十二月十一日と表示して売った、そういう事件が発生しました。この事件については、京都府が、事件後かなり経過した後、世論の批判があってようやく、半年間も保存した卵を科学的、合理的根拠もなく十日以上の賞味期限を設定して販売したという理由で、食品衛生法違反で一週間の営業停止処分にしました。  このような半年や一年以上もたったものをさも新鮮であるかのようにして売るような行為、これがなくならないのは、私は表示制度そのものに欠陥があるからだと考えています。客観的な事実を示す製造年月日表示ではなくて、業者が自主的に決める消費・賞味期限表示となっていることが根本問題です。とにかく、このような表示期限を事業者の一方的な判断にゆだね、消費者の知る権利が侵害される、こういう事態を放置することは許されない、そう思っています。  そういう点について一刻も早くきちんと対応すべきだと思いますが、厚労省、いかがでしょうか。
  47. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 食品の期限表示についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、食品衛生法並びにその施行規則によりまして、基本的には製造業者あるいは輸入業者にその表示が義務付けられているということになっております。具体的な表示につきましては、一義的に食品安全性確保に責任を有します製造業者がそれぞれの食品の特性などを勘案しまして科学的、合理的に行うというふうに考えております。  厚生労働省としては、今お話がございました卵のケースもございましたので、期限表示の一層の適正化をするということで、本年三月から農林水産省と共同で食品全般に共通する期限表示の基本的なガイドラインを作成するための研究班を組織いたしまして、研究を開始いたしております。研究班は本年末を目途に結果を取りまとめることとしておりまして、その結果をまた農林水産省と共同で開催しております食品の表示に関する共同会議に提出をいたしまして、その結論を得てガイドラインを取りまとめたいというふうに考えております。
  48. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 消費者がごまかされることがないようなしっかりしたものにしていただきたいと思います。  次に、命にかかわる食品表示の課題としてアレルギー表示があります。  容器包装された加工食品については、二〇〇二年四月から、卵、小麦、そば、乳、落花生、この五品目が含まれる食品は表示が義務付けられました。その後、厚生労働省がアレルギー表示違反について調査をしました。それによると、昨年末までに四十件の違反事例が報告されたということです。そのうち、購入者がアレルギー症状を起こしたケースが四件、消費者の指摘で判明した事例が三件、自治体の指摘で判明した事例が四件ありました。  昨年七月、アレルギーの会全国連絡会と今村知明東大病院助教授がアレルギー患者を対象に行った調査では、表示義務のある五品目以外の、表示義務のないゴマ、クルミ、イクラによるアナフィラキシー経験がいずれも十件以上あったということです。表示義務のないファストフード店での食事による事件七十三件を加えると、表示義務付け五品目以外による発症が三八%もあったということです。命にかかわる重大問題です。  アレルギー原因となり得るそういう原材料が、五品目以外、今十九品目あります。これは行政指導という形になっています。私は、政府としてきちんと実態を調査をして、それらを含めてアレルギー原因物質として心配される物質すべてについて表示するよう改善すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  49. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) アレルギー表示についてのお尋ねでございますけれども、委員御指摘のように、今五品目が義務的な表示になっておりまして、残り十九品目が推奨表示ということになっております。これは、平成十三年の四月から卵等の五品目について食品衛生法に基づき表示を義務付けるということにしております。  これにつきましては、対象品目等の見直しをすべきではないかという議論もございますので、本年二月から、先ほど申し上げました食品の表示に関する共同会議で議論を進めております。調査研究、実態調査についても平成十三年、十四年度に行われた実態調査がございますので、それを共同会議の席で御検討いただくということにしております。  共同会議でございますけれども、恐らく今年度末を目途に必要な見直しができるというスケジュールで進むのではないかというふうに思っております。
  50. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 次に、これ五月十八日の環境委員会で大分議論をした問題なんですけれども、健康被害を及ぼすおそれがある化学物質を使用する製品に関する表示、これが今大きな問題となっています。国民生活センターや東京都消費者センターが被害実態調査を行って、被害防止の必要性、これについて具体的に提起をしています。  殺虫剤、防虫剤、芳香・消臭・脱臭剤、洗浄剤、漂白剤、防ばい剤、園芸用殺虫・殺菌剤、消火剤、防水スプレー、ヘアスプレー等の化粧品、塗料、接着剤など、化学物質を使用している製品が、家の中に入ったらもうざっとこうたくさんあるわけですね。そして、使用の方法や適正使用量など使用上の注意が製品によってそれぞればらばらな箇所に表示をされています。しかも、どの商品も、目に付くのは製品の効用、効能あるいは利点などの売出し文句ばかりで、消費者にとって必要不可欠な成分表示、あるいは使用方法、使用上の注意、よほど注意して見ないと分からないんですね。  私、この質問をするに当たって、その商品が一杯並んでいるところへ行きました。本当に、私自身も何か目がくらくらしてしまったものです。字が細かくて、とにかく高齢者、高齢化社会の中で、本当に見えないんですよね。どこにその注意表示があるのか本当に分からないしということで見てみると、あるんですよ、注意表示は。あるいは原材料表示もあるんですね。だから、それを見て私は、どこかに注意表示があればいい、どこかにその原材料表示があればいいじゃないか、こういう、その姿勢がありありの表示の仕方だなというふうに思いました。  こういう制度上の注意が必要なものについていえば、間違えば命や健康にかかわる問題なんです。ですから、消費者にとって欠かせない情報を一番目に付きやすい書き方で統一的に表示する、こういう検討が必要だということを指摘をして、経産省としてはそれは検討するということでした。  ところが、製品の品質表示について見ると、経産省関係の繊維製品だとか合成樹脂加工品だとか、電気機械器具だとか雑貨工業品、これらについては家庭用品品質表示法、それから食品食品衛生法それから栄養改善法、それから農林物資についてはJAS法だとかJASの品質表示基準だとか、それから医薬品は薬事法、農薬は農薬取締法、公取の関係で言うと景表法、つまり製品の種類や制度の目的によって経産、厚労、農水、公取、ばらばらなんです、みんな縦割りで。だから、統一した表示というのはなかなかいかないんですね。  そこで、今日は副大臣にお越しをいただいたわけですけれども、政府全体として表示の実態や消費者被害の状況、消費者の要望について総合的にきちんとつかんでいただいて、そして消費者の安全を守る立場に立って、できる限り統一的で分かりやすい表示の在り方、これを早急に検討していただきたい。私は、これは消費者基本法改正趣旨である、そう思っているわけです。これを消費者権利実現の立場から是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  51. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今委員から具体的な例を御指摘をいただきながら御質問をいただいたわけでありますが、私どもといたしましても、表示の適切さあるいは分かりやすさというものをしっかり確保していくことは重要なことだというふうに考えております。  現行法におきましても、商品の表示につきましては、国は消費者商品選択等を誤ることがないよう表示に関する制度や規制等必要な施策を講ずる旨が規定をされておりまして、JAS法やあるいは食品衛生法、個別法においても具体的な規制がなされているところでございます。消費者が適切に商品選択できるようにするためには、個別の商品の特性に応じた規制が必要であると同時に、委員御指摘のように、制度間の整合性を図って、そして表示を消費者にとって分かりやすいものにしていく、このことは極めて重要なことであると認識をいたしているところでございます。  私どもといたしましては、今般の改正を踏まえて、先ほど厚生労働省からも農林水産省の連携について御答弁がございましたが、関係省庁と緊密に連携を図って制度間の整合性を図れるように、表示が適切で分かりやすいものとなるように努めていきたいと考えているところでございます。
  52. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 消費者権利を実現するための実効性確保のためには、消費者事業者格差是正、情報格差を解消することが第一である、これはもう先ほどから皆さんから強調されているところです。そのために、専門的な第三者による分析に基づいた客観的な情報消費者提供することがとても重要だと思っています。  国民生活センターなどの苦情処理テスト、商品テスト、これは消費者にとって非常に重要な役割を果たしています。改正案は、国民生活センターの規定を新設をして、消費生活に関する情報の収集及び提供などの役割を果たすと定めております。これはもう大事なので、是非これをやっていかなきゃいけないと思っています。ところが、国民生活センターのテストについては、この委員会で独立行政法人化に当たっての議論が行われたわけですが、そのときに商品比較テストはやめて安全や命にかかわるものだけに絞るという方針だという説明がありました。  私はつい最近、冷蔵庫を買い換えなければいけなくなって行きました、販売店に行きました。そうすると、温暖化対策のためにこれはすごく優れているとか、省エネ対策で優れているとか、ちょっと食器洗い機のところへ行ったら、すごくこれは水の節約になりますとか、いろんな情報がはんらんしているわけですね。どれを選択していいのかよく分からないという状態でした。  こういう命にかかわるわけじゃないんだけれども消費者選択する上で大変重要な情報って、やはり比較テストによって今まで与えられていて、私たち非常に参考にしてきたわけで、これがなくなっちゃうというのは非常に困るなというふうに改めて思ったわけです。  今全国の商品テスト件数とかあるいはテスト実施機関数も減り続けています。二年度のテスト件数は九六年度に比べて半減しているんですね。全国消団連の調査では、都道府県の商品テスト関係予算は九九年度から二〇〇三年度の四年間で半減して、三年度は予算ゼロという県が島根、岡山、広島、こういう三県あるんですね。消費者情報格差を解消して消費者保護から自立支援に方向転換するためには、こういう施策こそ充実強化すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  53. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) お答えをさしていただきたいと思います。  国民生活センターの商品テストとしては、従来、消費者の合理的な選択に資する商品比較テスト、そして製品関連事故の原因究明テスト等を実施してきたところでございますが、先生御指摘のとおり、平成十三年の十二月に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画においては、民間でも様々な商品比較テストというものがなされておりますので、商品比較テストというものは廃止をし、人の生命、身体等に重大な影響を及ぼす商品テストに特化するとされたところでございます。これを踏まえまして、平成十四年度から、商品比較テストに代えて、人の生命、身体等に重大な影響を及ぼす案件については、安全性の視点からも問題提起型の商品テストを実施してきているところでございます。  内閣府といたしましては、このような国民生活センターにおける商品テストの実施を通じて、消費者被害の未然の防止あるいは再発防止の観点から、消費者への適切な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
  54. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 今の御答弁は前回の域を超えないわけですね。これじゃ消費者基本法が新たに改正される意味がない、私はそう思うんですね。副大臣、渋い顔をしておられますけれども、多分同じ気持ちでいらっしゃるんだと思います。是非その点についてはもう一度、こういう新しい法律ができるという起点に立って考え直していっていただきたいと思います。  もう一つ、先ほど出されているんですけれども、消費者行政予算の確保消費者の交渉力格差の是正という点で非常に重要だと思います。  改正案は、苦情処理紛争解決のための規定充実をして、市町村だけでなく都道府県も消費者苦情処理を行うこと、そのために国や都道府県は人材の確保など必要な施策を講ずるよう努めなければならないと規定しています。しかし、この点でも実態は大変お粗末です。  全国消団連の調査では、都道府県の消費者行政の担当職員数は、九九年度の千三百十八人から二〇〇三年度は千二百四十四人と、四年間で七十四人、五・七%減っています。一方、消費生活相談員配置数は八・五%増えているんですけれども、相談件数は九八年度の三十一万件から二〇〇二年度四十六万件へと、四六・五%も急増しています。つまり、わずかな人員増ではとても追い付かないという状態なんですね。その結果、相談員一人当たりの相談件数が急増して、解決率は三割も低下をしているという状況です。そのため、消費者行政に課せられた被害救済や被害の未然防止という本来の機能が低下をしている、そういう指摘が寄せられております。  消費者行政の担当職員を増やす、消費生活相談員を拡充するなどの抜本的な強化を図るべきだと思いますが、その点、いかがですか。
  55. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 消費者から寄せられる苦情相談につきましては、身近な行政主体であります都道府県や市町村が設置した消費者生活センターにおいて受付と処理が行われているわけでありますが、近年、苦情相談件数は大幅に増加をいたしておりまして、またその内容についても多様で複雑なものになっている、このように認識をしております。  こうした状況に対してどのように対応していくか。これは基本的には各地方自治体において自主的に判断をいただく事項であるというふうに考えておりますが、今回の改正において、特に第十九条第一項において苦情処理のあっせんを市町村のみならず都道府県も含めた責務とされたことを踏まえまして、各自治体において適切な対応が図られるよう内閣府としても要請を行っていきたいと考えているところでございます。  また、国民生活センターにおいては、全国の消費生活センターで行っている苦情相談に役立つ情報提供、地方消費者行政担当職員や消費生活相談員への研修の実施、そして地方の消費生活センターでは処理が困難な苦情相談の実施などにより地方の消費者行政への支援を行ってきているところでございます。  今回の改正において、先ほど先生からも御紹介がございましたように、国民生活センターのこのような中核的機関としての位置付けというものが明確化されました。こうしたことを踏まえて、センターの機能の一層の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
  56. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 最後に、消費者政策会議について伺います。  この会議は、大臣行政職員だけで構成されて、消費者の参加はありません。消費者政策会議と同じように内閣府に設置されて総理が主宰をしている中央防災会議や総合科学技術会議は、大臣だけじゃなくて学識経験者が委員として参加をしています。この消費者政策会議こそ消費者問題のプロである消費者代表や学識経験者を入れるべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  57. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今御指摘ありました新設される消費者政策会議は、内閣総理大臣を会長として、消費者政策関係閣僚から構成されることになっております。他方、学識経験者やあるいは消費者代表の御意見消費者政策に反映する場といたしましては、内閣総理大臣等の諮問機関であります国民生活審議会が設置されているところでございます。  今回の改正法案におきましては、消費者基本計画の案の作成に際しまして、消費者政策会議は国民生活審議会意見を聴くと、このようになっておりますので、こうした場を通じて学識経験者や消費者代表の意見が反映される仕組みになっていると理解をいたしているところでございます。  政府といたしましては、同審議会における専門的知見を活用しつつ、消費者政策を強力に推進をしてまいりたいと考えております。
  58. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 済みません。提案者、原口提案者から一言伺いたいと思います。
  59. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 岩佐先生、本当にありがとうございます。  第七条の消費者努力規定について、補足の答弁をさせていただきたいと思います。  この規定は、先ほど答弁させていただきましたが、消費者役割と名付けるのか、あるいは責務と名付けるのかについては様々な議論がございました。その中で、具体的な法規案の内容自体当該条項規定そのものにあるということで、本条項はその条文どおり、自ら進んで云々するよう努めなければならないという努力規定を定めたものでございます。第七条の規定が、国、地方公共団体及び事業者責務と同じような意味で置かれているという規定ではないことは是非理解をいただきたいと思います。  本当にありがとうございます。
  60. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 終わります。
  61. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  私も、議員になりました二年前から、多くの消費者の皆様や、そして消費者団体の皆様とこの消費者保護基本法について様々な意見交換をしてまいりました。その際も、やはり消費者権利の明確化であるとか、コンシューマーズインターナショナルの八つ権利を盛り込んでいただきたいとか、様々な政策課題がありましたが、今改正案ではこれらすべてが盛り込まれているということに対して私自身も大変評価いたしておりますし、消費者団体の皆様からも大変感謝しているという、そういう言葉を聞いております。その意味におきましては本当に提案者の皆様に敬意を表したいと思っております。  ただ、その中で幾つかの疑問点等を今日お聞きしたいと思っておりました。私も、質問通告、大分しておるんですが、大体がもう前の先生方の質問で私自身もその疑問も晴れておるんですが、はしょりながらになりますけれども、残された幾つかの質問していきたいと思っております。  まず、この第七条についてお聞きいたします。  今日の提案者の説明の中でも、これは決して特段消費者に対して責務を強く負わせているわけではないというその御説明聞いて私も安心しておるんですが、以前の消費者役割というこの第五条の文言に比べると、努めなければならないという、こういった文言になりまして、私は多くの消費者の皆さんが、この条文改正によって、例えば様々な消費者紛争があった場合、その際、この条文によって消費者の過失を特に問うんではないかという、こういった懸念が私のところにも届いております。  この懸念について提案者の方から御説明いただけますでしょうか。
  62. 岸田文雄

    衆議院議員岸田文雄君) この第七条の規定につきましては、先ほど来各提案者から度々話がありましたように、様々な議論が行われたところであります。  この七条の規定につきましては、結論としまして、消費者がどのように行動するよう努めなければならないか、こうしたことを訓示的に努力規定という形で示したわけであります。これは、消費者は、自ら進んで云々とあって、するよう努めなければならない、この規定ぶりにそれを表しているところであります。ですから、これは具体的な権利義務関係にこの七条というものが直接影響を及ぼすような性格ではないというふうに考えております。それが我々の趣旨であります。
  63. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 安心いたしました。過度に消費者の過失を問うというようなことがないということで、多くの消費者の皆さんも今のお話でより一層に安心を深めていると思います。  それでは先を急がしていただきます。  今日も議論にございましたけれども、この消費者基本計画というもの、これが九条で定義されておりますけれども、第二十七条、これも議論になりましたけれども、その後、この消費者政策会議が政策の実施状況というものを検証し、評価し、監視するとございます。  私は、やはりこの検証、評価、監視については数値的な目標というものがこの計画に盛り込まれる必要があると感じております。例えば類似の障害者基本計画というものがございます。これは、障害者基本法を根拠にしまして十年ごとに、そしてさらに障害者プランで五年ごとに、これについては様々な障害者施設の設置目標というのを事細かに規定しておりまして、それに対しては当委員会でも吟味したり評価したりすることができるわけでございます。  ただ、私も、この消費者の基本計画についてどういう数値が盛り込まれるかというのはちょっと、私もなかなか想定しづらいんですが、このような数値目標というものをこの計画に入れるとお考えなのか。入れるとお考えだとすれば、一体どういったものが具体的に提示されるのか、それについてお聞かせください。
  64. 岸田文雄

    衆議院議員岸田文雄君) まず消費者政策会議についての御質問でございますが、まず、この消費者政策会議、この第二十七条の条文そのものについて一言申し上げさしていただくならば、従来の消費者保護会議というもの、実効性という意味でどれだけ成果が上がったんだろうか、いろんな議論があったところであります。  そうした声にこたえて、どうあるべきかという議論を我々提案者、考えたわけでありますが、先ほど言いましたように、一部には八条委員会というものに作り替えたらどうかというような議論もあったわけですけれども、一方でやはり国民生活審議会という専門家を含めた八条組織があるわけですから、それとやはり閣僚会議と二本立てにして役割分担をするべきではないか、そういったことでこうした閣僚会議、消費者政策会議という形で残したというのがこの議論のありようでありました。  そして、一方で実効性という様々な指摘に対しまして、具体的に基本計画の案の作成、そして検証、評価、監視、こういったものを従来よりも一歩前進する形でこの基本法の中に盛り込んだというのがありようであります。  ですから、これはあくまでも基本法でありますから、その具体的な、会議の中で何をやるかは、やはり具体的な施策なりあるいは様々な他の個別法にゆだねるということになると思いますが、そういった流れでこの消費者政策会議をとらえていただいた上で、具体的に、その担当省庁等が具体的な数値等を盛り込むべく努力をしていただく、これがありようだと思っておりますので、そういったものに提案者としては是非期待したいと考えております。
  65. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 数値目標をどうするのかという御質問であります。  これ、消費者基本計画の中には長期的に講ずべき政策の大綱等を定めるということで、従来の保護会議に比べて画期的に機能が強化されているということであります。したがいまして、基本計画としてどういうものを作っていくのかというその中身になりますけれども、例えば消費者、昨今の状況、事情等を勘案しますと、消費者の安全の確保の問題でありますとか、あるいは消費者トラブルの大宗、八割強を占めております契約にかかわる問題、消費者契約の適正化の問題、それから消費者教育の強化等に関して長期的に講ずべき施策の大枠を決めるということになると考えております。  その具体的な中身でありますけれども、今御質問がありました数値目標をどうするかということを含めて、国民生活審議会意見等も聴きながら検討を行っていきたいというふうに考えております。
  66. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 黒岩委員の御指摘、大変大事だと思います。  この条項は、私どもの案に他の政党の皆さんの御理解をいただいて付け加えたものでございますが、正に政策目標というのは数値化すべきであると。ここに明記しているCI八つ権利、これがどのように保障されたかといったことを数字にして、そして様々なトラブルをどうやって未然に防げたか、あるいはどのように解決できたかといったことも数値で見えるようにすべきである。そして、国会がそれを御評価いただけるように、国民が御評価いただけるということが大事であるということを申し述べたいと思います。
  67. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ありがとうございます。  本当に内閣府の方で今の提案者の本当に要望というものをしっかりと受け止めて、政策会議のみならず、当委員会も今後常にこの消費者基本計画の進み具合、進捗具合を議論していくことになりますから、何とぞ数値目標というものをきっちりと入れ込むようによろしくお願いいたします。  それでは、また更に進みまして、二十五条、これは国民生活センターの役割について触れていらっしゃいます。若干、私、これ疑問に思ったのは、基本法で一つの独立行政法人について見出しを付けて規定しているという、この点ですね。私、他の二十六の基本法というものを検証しましたところ、一つも独立行政法人に対して規定している法律というものがなかったという。決してこれは否定的ではないんですが、なぜこれ改めて別条立てで一つの独立行政法人国民生活センターについての役割規定したのか、簡潔にお答えください。
  68. 岸田文雄

    衆議院議員岸田文雄君) 国民生活センターの役割規定についての御質問ですが、先生おっしゃるように、一般的、理念的な基本法で個別の独立行政法人を定めるという立法例は確かに珍しいわけであります。ただ、ほかの基本法を見ました場合に、特に重要な事項につきましては具体的な施策を盛り込むという基本法は存在するというふうに考えております。今回の場合、この国民生活センター、特に現実を見る場合に、消費者生活において果たす役割、特に重要になっているという認識を踏まえた上での条立てになっております。  この国民生活センター、今まで、従来の消費者保護基本法の中には何も規定がなかったわけですが、この国民生活センターの役割、重要性を考えましたときに、あえてこの基本法の中に条立てをして明記した、これがその議論のありようでありました。
  69. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ありがとうございます。  特にやはり重要であるということで国民生活センターを位置付けたと承りました。  ならば、それを受けまして内閣府にお聞きしたいんですけれども、実はこの国民生活センターというのは個人情報保護法の第九条に基づきます苦情処理措置も行っておるという、そういう意味ではあらゆる面で大変重要視、今されているわけでございます。  ただ、残念なことに、平成十三年度から見ても、予算措置、徐々に今わずかながら減っておるわけです。私は、今提案者がおっしゃられたこの国民生活センターの特段の重要性という意味からいえば、私は運営交付金等の算定等で財政的な配慮をしていただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。
  70. 永谷安賢

    政府参考人永谷安賢君) 先生御指摘のように、個人情報保護法に関する附帯決議におきまして国民生活センターというのが位置付けられておりまして、国民が苦情窓口を利用しやすく、また円滑かつ的確な苦情処理確保するため、国民生活センター機能の充実強化とその活用を図るというふうに附帯決議でうたわれているところであります。  それを踏まえまして、平成十六年度予算のセンターの運営費の交付金でありますけれども、新たに個人情報保護関連の経費として、苦情相談マニュアルの作成、それから相談員に対する研修の実施、それから苦情相談のデータベースの構築というふうなことで、所要の経費の計上を別途行っているというところでございます。  独立行政法人に対する国の財源措置でありますけれども、独立行政法人通則法に基づきまして法人業務のために交付金を立てることとされているところであります。今後とも、必要に応じて適切な措置を取るように努めていきたいというふうに思います。
  71. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 今おっしゃられたように、本当に重要なものですので、国民生活センターに対して、応じた措置というものを是非取られるようお願いいたします。  それでは、これ最後の質問になりますけれども、若干通告と表現違う質問をさせていただきます。  原口議員にお答えいただきたいと思いますけれども、やはりこの二十七条の消費者政策会議、この実効性、大変今日も議論されましたけれども、先ほどの伊藤副大臣の御答弁では、やはり会長が総理で、そのほか各大臣委員として置くという、その点では今までの保護会議と陣立ては変わらないという、このことを承ったんですが、これは提案者としての要望という形で結構なんで、やはり実効性を担保するためにどういった政策会議の在り方を望まれるか、その点についてお聞かせください。
  72. 原口一博

    衆議院議員原口一博君) 大変いい御指摘だと思います。  三点を要望しておきたいと思います。  一つは、消費者の、いわゆる消費者団体も含めて、当事者の意見がその中に率直に反映されるということでございます。  それから二番目は、岸田先生お話しになりましたけれども、その実効性が本当に担保されなければいけない。私たちが元々八条委員会という強い委員会を求めたのも、消費者政策が各省全般にわたる大変大きな政策である、そしてその実効力が一番問題であるということでございまして、その実効性の担保というものが二番目でございます。  それから三番目は、先ほど委員が御指摘になられましたとおり、じゃ、そのような政策がどのようであったかということがきっちり評価されなきゃいけない。そして、その政策評価に基づいて、今大変高度化するこの少子社会の中でそれをフィードバックして次の政策に反映させなければいけない。このプラン・ドゥー・シー、そしてエスティメート、こういう政策の流れがきっちり担保されなければいけない。  この三つのことを立法者の一人として政府に強く求めていきたいし、法案趣旨として強く主張していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  73. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 最後になりました。  本当に今の原口議員のその提案というものを、要望というものを、私、内閣府が受け止めていただきたいと思います。  加えて、これは実は私からの要望なんですが、竹中大臣いらっしゃったんで。  実は、ちょっと内容違うんですが、内閣に青少年育成推進本部というものが昨年設置されました。これは担当大臣を副議長として置きまして、あくまでも本部長は総理なんですけれども、筆頭副本部長というものに、今は小野国務大臣なんですが、置かれまして、小野副本部長が事実上これを責任を負って取り仕切っているわけですね。  ですから、私は、できましたら政策会議で、会長は総理かもしれませんが、副会長として是非担当大臣である竹中大臣に就いていただいて、この政策会議というものをリードしていっていただきたいと、そのことを要望申し上げて、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  74. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  消費者保護基本法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  75. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  大臣、ありがとうございます。御退席いただいて結構でございます。  提案者の皆さん、ありがとうございます。     ─────────────
  77. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 次に、障害者基本法の一部を改正する法律案議題といたします。  提出衆議院内閣委員長山本公一さんから趣旨説明を聴取いたします。山本内閣委員長
  78. 山本公一

    衆議院議員山本公一君) ただいま議題となりました障害者基本法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。  まず、本案の趣旨について御説明申し上げます。  昭和四十五年に制定された心身障害者対策基本法は、平成五年、障害者の自立社会、経済、文化その他あらゆる分野への参加を促進するため大幅に改正され、題名が障害者基本法に改められました。  しかしなお、障害者の社会への参加、参画を実質的なものとするためには、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している諸要因を除去するとともに、障害者が自らの能力を最大限発揮し、自己実現できるよう支援することが求められています。  最近の障害者を取り巻く社会経済情勢の変化等に対応し、障害者の自立社会参加の一層の促進を図るため、障害者基本法の所要の規定を見直すことを内容とする本案を提案した次第であります。  次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、基本的理念として、何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない旨を追加することとしております。  第二に、都道府県及び市町村に障害者のための施策に関する基本的な計画の策定を義務付けることとしております。  第三に、障害者の福祉に関する基本的施策として、障害のある児童と障害のない児童との交流及び共同学習の積極的な推進、障害者の地域における作業活動の場の拡充のための必要な費用の助成、公共的施設のバリアフリー化、情報の利用におけるバリアフリー化等の規定を設けることとしております。  第四に、内閣府に、障害者基本計画の案の作成に際して意見を聴く等のため、中央障害者施策推進協議会を置くこととし、障害者の実情を踏まえた協議ができるよう委員構成に配慮しなければならないこととしております。  なお、この法律は、一部を除き、公布の日から施行することとしております。  以上が、本案の趣旨及び内容であります。  本案は、去る五月十二日、衆議院内閣委員会提出法律案とすることに決し、同月十四日、衆議院本会議で可決したものであります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  79. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  80. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 次に、コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律案議題といたします。  提出衆議院内閣委員長山本公一さんから趣旨説明を聴取いたします。山本内閣委員長
  81. 山本公一

    衆議院議員山本公一君) ただいま議題となりましたコンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。  まず、本案の趣旨について御説明申し上げます。  我が国の映画、アニメ等のコンテンツは、総じて高い評価を得ているところでありますが、優れたその魅力をビジネスの世界等において十分生かし切れていないのが現状であります。  コンテンツは、国民の生活に豊かさと潤いを与えるものであり、かつ、海外における我が国の文化等に対する理解増進に資するものであるとともに、コンテンツビジネスは、将来において成長発展が期待される分野の事業であります。  そこで、コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、本案を提案した次第であります。  次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、基本理念として、コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する施策推進は、国民生活の向上に寄与し、あわせて多様な文化の創造に資することを基本として行わなければならないこと等を定めることとしております。  第二に、国、地方公共団体及びコンテンツ制作等を行う者の責務を定めるとともに、連携の強化及び法制上の措置を定めることとしております。  第三に、基本的施策として、人材の育成、先端的な技術に関する研究開発の推進等について定めることとしております。  第四に、コンテンツ事業の振興に必要な施策等として、多様な方法により資金調達を図るための制度の構築、権利侵害への措置等について定めることとしております。  なお、この法律は、一部を除き、公布の日から施行することとしております。  以上が、本案の趣旨及び内容であります。  本案は、去る五月十四日、衆議院内閣委員会提出法律案とすることに決し、同日、衆議院本会議で可決したものであります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  82. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  83. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  岩佐恵美さんが委員辞任され、その補欠として小林美恵子さんが選任されました。     ─────────────
  84. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  内閣重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官堀内文隆さん外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  86. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 内閣重要政策及び警察等に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  87. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 自由民主党西銘順志郎でございます。  細田房長官、本当に御苦労さまでございます。三十分という時間でございますので、数点に絞って長官にお聞きをさせていただきたいというふうに思います。  長官に質問をいたします前に、新世紀に入りましてますます激動をするこの世の中でございますが、そういう混迷する国の内外の情勢が大変厳しい中で、平成十二年十月に就任以来三年六か月にわたって森内閣小泉内閣のかなめとして粉骨砕身、日夜御活躍いただきました福田前官房長官に、この場をかりて御礼を申し上げたいというふうに思います。  とりわけ我が沖縄県にとりましては、本土復帰三十年という節目に沖縄振興新法の成立と新たな計画が策定され、ITや観光など沖縄の特性を生かした施策や新規事業が次々に立ち上がってきておりまして、地元の稲嶺県知事も、福田前官房長官の辞任に際しまして、これまで沖縄の振興に格別の御高配をいただき心から感謝しているというコメントを出しておられます。  また、細田長官は、平成十四年九月には小泉内閣の沖縄担当大臣として小泉内閣をしっかり支えていただきました。そしてまた、昨年九月からは内閣官房副長官として福田官房長官を支えてこられたわけでございます。細田長官につきましては、もうIT、バイオテクノロジーなど科学技術政策に非常に明るい大臣でございまして、沖縄に大学院大学が設置されました、その実現に奔走されたことも本当に高く評価をしたいというふうに考えておるところでございます。  今回、官房長官に御就任ということでございますが、本当に政治には一刻の猶予も許されないという中で、これまで歴代内閣がなし得なかった構造改革に果敢に取り組む小泉内閣の本当にかなめとして更に御活躍いただきますように激励を申し上げたいというふうに思っております。また、経済や産業振興だけでなくして、我が沖縄県は外交問題あるいは安全保障とももう密接に絡んでくる問題が一杯あるわけでございまして、特に高い見地からの長官の特段の御配慮を心からお願いを申し上げていきたいというふうに思います。  それでは、今十三時から衆議院の本会議でも小泉総理大臣の訪朝に関して質問がなされていると思いますが、私もその件に関して細田長官に質問をさせていただきたいというふうに思います。  去った二十二日に、小泉総理大臣が再度北朝鮮を訪問され、首脳会談の結果、蓮池さんのお子さん二人、地村さんのお子さん三人を一年七か月ぶりに連れて一緒に帰国されました。総理が英断をもって北朝鮮での会談を行い、拉致被害者の御家族と一緒に帰国されましたことはまずもって喜ばしいことでございます。蓮池さん、地村さん御夫妻にもひとまず御安心をされたことだろうというふうに思います。  しかしながら、残念なことに、曽我ひとみさんの夫ジェンキンスさんは、小泉総理の一時間以上にも及ぶ説得にも応じずといいますか、二人の娘さん共々帰国することがかないませんでした。後日、第三国で家族がゆっくり話し合うとのことでございますので、これは政府にお願いをさせていただきたいんでございますが、これはもう早急にその場面をセットしていただいて、曽我ひとみさんの御家族が一日も早く日本で一緒に暮らせるようにしていただきたいということを要望させていただきたいと思います。  また、安否不明と言われる十名の方々については、白紙に戻して再度の調査を行うと金正日総書記が言ったのですから、これも早急に調査の時期や方法などについて、具体的な詰めに入っていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。  さて、実際にお戻りになった家族の方々に対して政府はどのようなことができるのだろうか。その方々への支援も大変重要な問題であるというふうに私は思います。  細田房長官は、内閣官房長官として政府の拉致問題専門幹事会の議長でいらっしゃったというふうに思います。五人の被害者の方々のお住まいになっておられる現地にも訪問されましたし、また直接お話しされたとも聞いておるわけでございまして、家族会の方々とも日ごろからお話をされていらっしゃるということでございます。  その細田房長官ですから、帰国された家族の方々への支援の重要性については十分御認識をされていることだと思いますが、拉致被害者の御家族の方々の支援について、政府としてどのような方針で臨まれるのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  88. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 西銘議員が今御質問ありますように、このたびの小泉総理の訪朝、いろいろな御意見ありますが、最大の成果の一つは、あの一年七か月間親子が引き離されていました蓮池さん、地村さんのお子さん方が無事に帰られたこと、そして、経緯からいいますと、親が迎えに来なければ駄目だとか、あるいは迎えに来たときに本人の意思がイエスと言わなければ駄目だというような条件付けをするというような、私ども人道上から見てもとてものみ難い条件を付けてきたわけでございますが、交渉の結果、このたび無条件で帰そうと。しかも、子供たちに後ほど聞きますと、もう皆さんは帰れということで、むしろ命令であるという形で言われたそうでございますが、これも地道な交渉の結果帰られたということで、大変喜んでおるわけでございます。  そして、これからのことはなかなか大変でございます。私もお迎えしてお話をしましたけれども、もちろん日本語の理解は十分なさらないし、あるいは小泉総理、乾杯ということでジュースで乾杯しようということになったんですが、非常に、お母さん、お父さんに聞かれましてね、ある方が、総理と一緒にこのジュースを飲んでいいんだろうかというようなことも聞かれたとか、文化的には当然、生まれてずっとあの年まで向こうで育てられ、両親と離れて教育を受けておられますから、様々な日本の文化や歴史や言葉に対する適応の問題はあると思います。しかし、御両親が付いておられるわけでございますので、既に国会において成立、施行となっております北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律、これに基づきまして様々な総合的支援策がございます。経済的支援あるいは身体の安全、心身の健康等に配慮した支援、こういったものを実施をいたしまして、帰国した方々が日常生活、また今後の社会生活を円滑に営むことができますように、これは福井県や新潟県の関係自治体とも十分連携しながらやらなければなりません。そして、何よりも御家族の方々の御意思というものがあります。非常に十分な配慮をしながらお話をされているようでございますので、御家族の御意見を、御意向を第一に考えながら、円滑に日本の暮らしに慣れていけるように私どもも具体的な支援計画を今後作ってまいりたいと、早急に作って実施に移してまいりたいと考えております。
  89. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 以前もこの内閣委員会で、福田官房長官にこの拉致問題に関しまして質問をさせていただいた経緯もあります。福田長官からは、拉致問題に関しては、政府として、被害者の方々の、またあるいは御家族の方々の意向も踏まえながら、引き続き北朝鮮に対しまして事実解明を強く求め、五人の被害者の家族の帰国についても早期に実現するように取り組んでいるところでございますという答弁もいただきました。そして今、細田房長官から大変力強い言葉をいただいたわけでございますから、もう本当にこの帰国された家族の方々にはできるだけの政府として支援をお願いを申し上げたいというふうに思います。  そういうことで、続きまして、北朝鮮以外の問題にも質問を移らさせていただきたいというふうに思っております。  これ、細田長官の基本的な政治姿勢についてお伺いをさせていただきたいというふうに思うのであります。  我が国は今、イラク復興支援のため自衛隊の派遣や、あるいは今、北朝鮮との六か国協議の問題、三位一体の改革を始めとする国と地方の改革の問題、年金改革あるいはその他の重要施策がかなり山積をしておりまして、国会もわずか残り二週間というような状況の中で国民保護法制もやらないといけないというような状況でございます。そして、この七月の十一日には参議院議員選挙が行われるようになっておりまして、昨年十一月の衆議院議員選挙に続いて、小泉構造改革の成果について改めて国民の審判を仰ぐことになるわけでございます。長官は、国政に一刻の停滞も許されない状況の中で五月七日に御就任になられたわけでございますけれども、その間、ひたむきに、精力的に職務に取り組んでこられたということでございます。  そういうことで、総理の側近として、あるいは内閣のかなめの大臣として、あるいはまたスポークスマンとしての抱負をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  90. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私も、五月の七日に突然、福田前長官が辞任を発表されたことには驚きを禁じ得なかったわけでございます。そして、そのまた後任にという話があったときには本当にびっくりいたしますとともに、着任をいたしまして職務をいろいろ遂行する過程で、正に内閣官房長官の責任の重さというものを痛感しておるところでございます。  小泉内閣は、従来、構造改革なくして日本の再生と発展はないということで、この十年間のバブルの崩壊、日本経済の危機、金融の問題、その他大きな行政改革、規制緩和といった日本国の大改革を実施しなければならない使命を負って、その道半ばにあるわけでございます。経済的な面ではようやく底を打って景気の上昇局面にある、デフレももうちょっとで収束し掛かっておるんで、その点も努力していかなきゃならない、こういう時期でございまして、そういった中で、国の行政改革は、特に郵政の民営化問題とか社会保障制度の見直しの問題あるいは国と地方の三位一体改革等、非常に、各省の行政を調整をして、そして新しい方向に日本の政府、制度をまたリードしていかなきゃならない大事な時期でございます。そういった中で、またイラクの人道復興支援の問題とか北朝鮮の拉致の問題、国内テロ対策等々、そういう緊急事態に対する備えも必要であるということで、難問が、課題が山積しております。  そういった意味で、一刻の停滞も許されない現状でございますので、私、責任者といたしまして各府省の連携を十分図っていきながら、そしてこの内閣官邸機能、内閣官房の機能強化という行政改革での方針に沿ってできる限り改革を推進するだけの努力をしてまいりたいと思っております。
  91. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 三位一体の改革の中で、大変今地方が苦しんでおるということを長官よくお分かりだと思いますので、ここら辺りも精力的に取り組んでいただいて、我が沖縄県の方も大変厳しい状況の中で頑張っておりますので、特段の御配慮をお願いを申し上げたいというふうに思っています。  次に、今長官からテロに対するお話がございました。この件についてお伺いをさせていただきたいと思っております。  国際的なテロ情勢が急速に悪化している中で、我が国を名指ししたテロ予告が相次いでいることから、国の安全と秩序、国民の生命と財産を守るため、テロに対する対策を強化することはもう喫緊の課題でございます。  政府は、警察官三千人を含む治安関係職員の増員や、国会、総理大臣官邸等の中枢政治施設、原子力発電所等の重要インフラ施設、鉄道、空港、港湾等の公共交通機関などの警備強化を実施しているところでございます。また、随時テロ対策関係省庁会議を開いて、テロ関連情報の収集、分析に努めているということでございまして、今年一月十五日には内閣官房に水際危機管理チームを設置いたしまして、主要国際空港や中枢的な重要港湾の保安の向上と入出管理の強化に努められているということでございます。  そういう中で、大変厳しい厳戒態勢をしいている中で、去る四月二十八日、最重要施設の一つであります東京国際空港、羽田空港ですね、そこにおいて、東貨物ターミナル地区付近で乗用車を強奪した男が、警視庁東京空港署警察官の職務質問を振り切って逃走し、国際線ターミナル付近の工事用ゲートを破壊して制限区域内に侵入。その後、リムジンバスを乗っ取るなどして、約四十分間滑走路等を暴走し、東京湾に飛び込んで死亡するというような事件が発生をしたわけでございます。  侵入時から、空港当局が航空機の運航の安全を完全に、止めるまでの間、要するに空港閉鎖をするまでの間に旅客機十二機が離着陸をしておったということでございまして、もうこれは大惨事を逃れたということは正に本当にラッキーであったと言うようなほかはないわけでございます。  報道によると、警察官は、男が乗った車が制限区域内に突入するのを目撃しながらも、ゲート内の警備が国土交通省の管轄であったために追跡をちゅうちょしたと。あるいは、無線で不審者の侵入を、事実上、上司に報告しただけであったということでございまして、報告を受けた警察は、今度、国土交通省がこの情報を既に把握済みであると思い込んで、東京空港事務所に伝達をしなかった。また、東京空港事務所側も、リムジンバスが接触事故を起こしたという情報を単なる交通事故として処理をして、警察にその事実を報告しなかったということであります。  これ、関係行政機関の縦割りの弊害を排してテロ情報の管理を統合、集中することが課題になっている中で、現場の連絡体制に重大な欠陥があったということが明らかになったわけでございまして、深刻な事態というふうに認識をすべきであるというふうに思います。  今回のこの事件の実行者は、これは覚せい剤を使用していたということでございますが、これが訓練されたテロリストであり、自動車に爆発物が装着されていたならば果たしてどのような結果になったんだろうか、想像するだけでも本当に背筋が寒くなる思いがするわけでございます。  また、これ、先日の報道によると、国際テロ組織アルカイダのメンバーが同時多発テロ以降強化された我が国の出入国管理体制をくぐり抜けて、昨年までの間に四回入国していたということが分かりました。この組織はもう既に日本において拠点作り等のテロ活動の準備をしていたというふうに想定をすべきであると思います。  この男のほかにも我が国に潜入しているテロリストがいるとするならば、彼らは今回の空港の侵入事件をどのように見ていたのか。テロ事件の発生を未然に防止することによって、この男の行動や接触した人物等の動きを洗い出して取り締まるべきことはもちろんでございますけれども、あらゆる面で我が国の防護体制が万全であるということを見せ付けることによってテロリストの意図をくじくことが重要だと考えます。  こういう意味におきましても、今回の空港侵入事件は軽々に扱うことなく、今後における危機管理の実施体制を強化する上で大きな教訓にすべきであるというふうに思っておりますが、官房長官の御所見をお伺いをしたいと思います。
  92. 細田博之

    国務大臣細田博之君) テロ対策におきまして何よりも重要なことは、テロを未然に防止することであります。このため、政府としては、関係省庁、緊密な連携を取って、テロ関連情報の収集、分析、出入国管理等の水際対策、ハイジャック対策、重要施設の警戒警備等の各種テロ対策を強化徹底してきたところであります。  以前にも、地下鉄サリン事件が起こった、そして全日空機の乗っ取り事件が起こるとか、様々な警備の間隙を縫って事件が起き、更に体制を強化してきているわけでございますけれども、残念ながら、四月二十八日には御指摘のような羽田空港侵入事案というものも生じたと。まだまだこれは更に強化をしていかなければ、幸いこのたびはテロ、組織的な犯行ではないということでございましたから、そういった意味での大事には至らなかったわけでございますけれども、これが組織的なテロであれば大変なことになったではないかという御指摘、誠にごもっともでございます。  いろいろ反省をいたしまして、現場における会議の開催、連絡体制の確認、合同訓練の実施等によりまして関係機関間の更なる連携強化を図っております。もちろん、空港に限らず、様々なところでそういったことは必要であると引き締めております。  また、アルカイダ関係者我が国への出入国を繰り返していたという事案につきましては、現在、警察におきまして出入国の経緯等を含め捜査中であると承知しております。日本に何回かどうも入って、どうも偽造旅券等も使ったようでございますが、それでいろいろなところを訪れて何かをしておったと。何をしておったかというようなことがまだ分かりませんので、経緯、経過をよく解明いたしたいと思っておりますが、そのようなことが発生しては大変でございます。  今後とも、テロ対策については十分に対応してまいりたいと思っております。そのことが正に国民安全確保に大きな関係があるわけでございますので、更に努力してまいりたいと思っております。
  93. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 長官、僕はちょうど四月の二十八日のその日にちょうど飛行機に乗っておりまして、もうタラップが取り付けられて、乗客全員が乗って、七時半の出発予定だったんですが、なかなか出発しないものですから、空港が封鎖されましたという情報をキャプテンが流していただきまして、そこから約二時間ぐらい飛行機の中で待機をさせられました。  幸いなことに、この飛行機の機長さんが、いろんな情報を刻々刻々入れてもらったんで、テロではないということが分かって安心をしたわけでございますけれども、そういうこともございますので、是非、そういう縦割り行政の弊害を排することはもう本当に私は大事なことだと。もうここらは国土交通省の管轄だから警察がちゅうちょするなんということがあってはいけないと私は思いますので、その点もしっかりとまた関係省庁と協議をしていただきたいというふうに思います。  続きまして、これはもうせんだってからいろんな方々がいろんな話をなさったわけでございます。イラクにおいて人質事件が発生をして、五人の人質の皆さんが無事解放されたということでございました。この問題につきましては、本当に政府が渡航の自粛勧告を、警告を発している地域に入っていった、あるいは自己責任の論も一杯出ていたわけでございますけれども、この問題はもう本当に多くの難しい問題を浮き彫りにしたんだというふうに思っております。  しかし、国民の生命と財産の保護は国の最大の責務でありまして、政府意見を異にするから、あるいは国外の危険地域で活動していた人であっても、私は、我が国の憲法の中で保障される国民の生命、財産をしっかりと守るべきだというふうに思いますので、この議論は、もうそんなに時間がございませんので、また機会がありましたらやりたいと思いますが、この邦人保護の件についてどのような姿勢で、政府、これから臨まれるのか、お答えをいただきたいというふうに思います。
  94. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 何と申しましても、在外邦人の保護政府の重要な任務でありますので、いかなる原因、理由によりましても、邦人が海外で危険に遭遇すれば全力を挙げて可能な限り支援をして救出する、この方針は変わっておりません。  特に、自己責任があるからどうだとかということは、警告を発しておったじゃないかという、もうちょっと聞いていなかったのかというようなことは言う向きもありましたけれども、それはともかく、政府の責任はただ一つでございますので、今後ともしっかりと対応してまいりたいと思います。
  95. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 最後の質問にしたいと思っております。  これは報道の自由に関する件でございまして、総理訪朝前の五月十六日に日本テレビが番組の中で、政府は拉致被害者家族八人の帰国が実現した場合、二十五万トンの米支援を実施する方向で最終調整に入った、政府・与党内には拉致問題の完全解決まで米支援に反対という意見が強いなどと報じたことについて、小泉総理の政務秘書官が同社の政治部に対して、日朝交渉の妨害のための報道ではないか、報道の取消しとニュースソースの開示がなければ同行取材を認めない旨通告したとのことでございます。それから、一部の報道で、同秘書官の行動を、国益に反する報道はけしからぬという露骨なメディアコントロールと評価する識者の見解を紹介いたしております。  しかし、取材と言論、報道の自由は、国民主権原理及び民主主義を構成する不可欠な要素でございます。政府がこれらを保障し、報道機関がこれらを行使できることは国民主権の原理によって立つ民主主義国家日本の極めて重要な国益の一部であります。政府や政権与党のみが国益を代表しているわけではありません。したがいまして、国益に反する報道という言葉は特殊例外的な場合を除いて私はあり得ないというふうに思います。  十九日になりまして、細田長官が、同行取材の許可の条件として情報源開示を求めたことについて、基本的にやるべきではないと明言され、拒否方針を正式に打ち消されたわけでございます。その上で、同社の報道内容について、北朝鮮との協議に重大な支障や悪影響を与えかねないことから、極めて遺憾であるということで抗議の意を伝えたわけでございます。取材、報道の自由の尊重をしつつ、政府考え方をきちんと表明されたということで適切な対応であったと私は評価をいたしております。統制国家でない限り、政府と報道機関の間に緊張があるのは当たり前のことでございまして、政府の活動についてどれだけ自由な取材、報道が許されているか、言い換えれば、政府の嫌がる報道機関に対してどれだけ窓が開かれているかということがその政府の民主度を測るメルクマールであるというふうに思います。  その事例を踏まえて、スポークスマンとしての官房長官、報道の自由、特に政治報道の在り方についてどのような見解をお持ちになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  96. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 先週の土曜日が首脳会談でございました。おっしゃる御指摘の報道は、その六日前の日曜日にそういう報道があったと。まだこれから交渉をするということで、まだどうなるかも全く分からない段階でそういう報道が出て、しかも、政府はそのようなことを決めたというような、細かく言えばいろいろまた全く事実無根のことがたくさんあるんでございますけれども、そういうことによって、相手国と交渉をしておる最中でございますから、向こうの政府は、これはどうも日本国政府はこうするんじゃないか、それじゃ、もうそれを起点として交渉しようとか、もっと勘ぐると、あるいは交渉相手国側から何か自分たちの希望するような内容で報道の方に働き掛けるということもあり得るわけでございまして、そういったときに、外交交渉にとってどうかということを考えてみると支障がある場合が非常にあるということで、一部激怒したものとかやり取りをしたものがありまして、しかし、それは今後とも控えてもらうということは要望いたしましたけれども、この報道機関の同行記者の問題とかその他の問題は円満に解決をさせていただいたわけでございます。  国際交渉、しかも厳しい首脳会談の交渉、トップ交渉が行われる場合には常にそういう問題がございますので、私は報道機関の方にも自制の心を、事実は事実として報道をするということはもちろん結構なことなんでございますが、自制の心も持って、見込みで出されるというようなことは控えていただきたい。これは一般論でございますけれども、そういうことも要望した次第でございます。
  97. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 終わります。
  98. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。  福田官房長官の突然の辞任で御就任をされたということでございます。拉致被害者の御家族の皆さんへの対応など、大変問題が山積する中で目まぐるしいときをお過ごしだと思います。御苦労さまでございます。  今日、私は官房長官の運転手さんの給与肩代わり問題一点に絞ってお伺いしていきたいと思います。  初めに、長官はこの日本道路興運という会社とはどういうお付き合いがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。簡潔にお願いします。
  99. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 日本道路興運そのものとのお付き合いを申し上げるのが、から先ではなくて、私はこの問題についてちょっと御説明をさせていただきたいと思います。
  100. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 申し上げましたこと、順次聞いていきたいと思っておりますので、まず質問にお答えいただきたいと思います。
  101. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) じゃ、質問にお答えいただきたいと思います。
  102. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 日本道路興運という会社は、その経営者は我が党の古い政治家などとはいろいろ交友がある経営者でございまして、私の父、細田吉蔵も友人関係にありますし、そういった友好関係といいますか、それはある会社でございます。
  103. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 長官は、この件についての報道がされましてから、この件について承知していなかったという発言がありましたが、具体的に何について承知していなかったんでしょうか。
  104. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 八年ほど前に、父の時代から運転手として働いてもらった方が、これはもう何十年も働いていただいて、私が当選した後も七、八年働いていただいたわけでございますが、突然、議員会館の運転手控室で心筋梗塞になられて、そのまま病院に運ばれて一、二時間のうちに亡くなられるという大事件が起きまして、大変だったわけでございます。  そのときに、私は非常に困りまして、私の秘書に、新しい運転手さんを募集をしなければならないなということで、だれか適当な人を後にできるだけ早く雇用しなければならないということを言っておったところ、ある運転手さんが私の秘書のところに来られまして、そして働きたいという、運転手仲間での情報があったようでございます。それだけの大事件でございましたので、突然死という、それで見えたということでございました。  そこで、これは前からそういう条件でその前の方にもお願いしておったわけでございますが、それで条件の話合いに入りまして、月々二十万円強、最近は二十一万円であったかと思いますが、それから国家公務員並みのボーナスですね。十七か月分、最近はちょっと変動ありますけれども、合計、年間三百五十数万円の給与を払うということで、それではそれで結構ですということでございましたので、それじゃ、元々この辺りの地理にも明るいということでもございますのですぐにお願いできる能力もあるということで、約束をして、それ以来八年ほど勤めていただいたということでございます。したがって、その間の給料は全部そういう額を払っておるわけでございます。
  105. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私の質問には一つも答えられませんでした。  承知していなかったというのは何かということだけをお聞きしたかったんです。
  106. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私が承知しているのは以上ですべてでございまして、その他のことですね、今いろいろ言われていることについては承知していなかったと。私は、そのときは雇用が始まるわけでございますから、この運転手さんにお願いしたい、そしてその方にはこういう給与条件でお払いすると、そのことのみを知っておったということで申し上げたわけでございます。
  107. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 日本道路興運からこの運転手さんが給与を得ていたということを知らなかったのではありませんか。
  108. 細田博之

    国務大臣細田博之君) そのことも存じませんでした。
  109. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 月々幾らで、ボーナスは幾らでということについて細かく御存じですのに、肩代わりのことだけは知らなかったんでしょうか。
  110. 細田博之

    国務大臣細田博之君) それは、私の事務所で勤めるわけですから、その言わば労働の対価といいますか、運転手さんとしての勤めの対価として幾ら払うかということは正に私の責任でございますから、そのことをお話ししたし、その対価というのは、私から見て、前の人とのバランスとかいろんなことを考えると十分な額ではないかと思っておったわけでございますので、それですべてだと思っておったわけでございます。
  111. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それでは、長官はこの日本道路興運の山口哲也という社長とは面識がおありでしょうか。
  112. 細田博之

    国務大臣細田博之君) それはもちろんございます。最近において特に山口さんというのは社長さんになられた方ですから、その後、承知しております。
  113. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 お父様の会長の山口義二氏とは御面識はありますか。
  114. 細田博之

    国務大臣細田博之君) これは私の父の非常に親しい友人でございます。
  115. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 社長や会長、副会長は個人でも長官にかなりの額の献金をされております。会社と会社の関係者から、いつ、幾らもらっておりましたでしょうか。
  116. 細田博之

    国務大臣細田博之君) これはちょっと調べなきゃいけないと思いますが、飛び飛びに何年度かにわたりまして政治資金の提供を受けたことはございます。
  117. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 社長たちは二〇〇〇年に合計三百万円、二〇〇二年には合計百万円の献金をしておりますけれども、相当のお付き合いだということでなければこれだけの献金をいただくということにはならないだろうと思っておりますが、それでよろしいでしょうか。
  118. 細田博之

    国務大臣細田博之君) まあ相当のお付き合いという意味が何であるかということでございますが、それは、私の父の代以来のお付き合いはございます。
  119. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 長官は、この八年間、この方、運転手さんをされていて、この前の代から運転をされて、いろんな方の運転をされていて、そして時々この給与の肩代わりということに関してでも話題になったことはありませんか。前の会社にお世話になっている、これだけ社長さんから献金もいただいている、そういう関係の中でお話しになったことはありませんか。
  120. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私としてはございません、十分な給料を払っていると固く信じておりましたし。しかし、最近になりましてこれの給与を本人も受けておったことを聞いて、それで、これは政治資金規正法上、これはどうなることであろうかと。こちらで私が、政党等も給与を払っていると、それに対して別途どうも、その前の代から、期間からどうももらっていたようでございますが、そういったことが継続されておったということで、これが政治資金規正法上の寄附に当たるかどうかよく精査をしましたところ、これは届出、修正をした方がいいという解釈になりましたので修正をしたわけでございます。
  121. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 これは、長官の事務所はこのことについて、肩代わりについて知っていましたよね、日本道路興運からも長官の事務所からも二重取りをしていたと。そのことについて長官に黙っていたということになりますけれども、例えば社長にお会いになったときとかお礼を言ってくださいとか、普通そういう配慮があってしかるべきだと思いますけれども、そういうお話も事務所は全くされなかった、つまり内緒にしていたということでしょうか。
  122. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 特にそのことは聞いておりません。
  123. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 随分配慮のない事務所だということを言わざるを得ないわけなんですけれども、この長官の運転手さんに前の会社が給与を払っていた、ずっと引き続きということについて今おっしゃっておりました。  この前の会社の社員のままに給料をそっくり受け取っていたという話ですけれども、本当にこの運転手さんに給与を払っていたのか、その証拠というのをお出しいただきたいと思います。  前の官房長官が、年金払っていた、払っていたと言って実は払っていなかった。私たちは証拠を見せていただかなければなりませんけれども。お願いいたします。
  124. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私の事務所できっちり払っておりましたので、直接渡しておりますので、特に証拠というものはございません。払っておりました。
  125. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 いや、証拠を出してくださいというふうにお願いをしているんです。
  126. 細田博之

    国務大臣細田博之君) しかし、どうやってそうするかということもございまして、私が払っていたと申すのでありますから信用していただきたいと思います。
  127. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 一応資料としてお出しいただくようにお願いをいたします。  この運転手さんは、八方手を尽くして探されて、そして八年間こうしてお勤めになられたということなんですけれども、その前の運転手さんから、どうやらお金の、給料の払い方というのが私としてはどのようになっていたのかなという疑問があるわけなんですけれども、亡くなられた運転手さんの給与というのはだれが払っていたんでしょうか。
  128. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 同じ額を事務所から払っておりました。
  129. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この七、八年の間肩代わりの事実を知らなかったのならば、なぜ七、八年たって急に分かったのかですね。  報道されておりますのは、日本道路興運は東京国税局に所得隠しを指摘された、それがちょうど今年の一月で、何か関係がありますか。
  130. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私のところに頻繁にいろいろな方から、どうもこの人はその会社の社員であったんじゃないかと、給料をもらっていたんではないかということが通報されまして、それからいろいろ調べが始まったわけでございます。
  131. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 七、八年たって急に分かって驚いたというお話だと思いますけれども、今回、ほかにも何人かの政治家が、この日本道路興運から運転手給与の肩代わりをしたという、そういう名前も挙がっておりますけれども、長官はこういう方たちが、こういう事件が起こって、幸いにして政治資金収支報告書の修正をする機会があったということだと思いますけれども、ほかにたくさんこういうケースがあったとして、事件が起きなければこのままだった、分からなかったわけですから、この機会に他の閣僚についても調べていただきたいと思います。いかがですか。
  132. 細田博之

    国務大臣細田博之君) ちょっと意味がはっきりいたしませんが、どういうふうに何を調べろという御質問でしょうか。
  133. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 このような、運転手さんを始め、給料の肩代わりという問題について、まず内閣の閣僚、そして国会議員として挙げられている方々の修正というのは当然だというふうに思いますので、その閣僚と挙げられている国会議員全員に、いるかいないか、是非お調べをいただきたいということでございます。
  134. 細田博之

    国務大臣細田博之君) この問題について突然の御指摘でございますが、私は基本的に、自分の問題についてはそういうことが判明いたしまして大変反省をし、また修正をしております。それをほかの人たちにまた依頼をしてこうしなさいという今心境にはございません。
  135. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今いろんな政治家の名前が挙げられているということを全く御存じないということでしょうか。
  136. 細田博之

    国務大臣細田博之君) それは何か閣僚とこのことを結び付けるようなことをおっしゃっていますが、そういった情報は得ておりません。
  137. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 潔白であれば調べて、なかったということが私たちが疑問を感じているのですから、それにこたえるべきだというふうに私は思いますけれども、いかがですか。
  138. 細田博之

    国務大臣細田博之君) それは、私は会社側の問題ではあろうと思いますが、私がその会社について、あなたはどうですか、あなたはどうですかということを聞く立場にはないと思っております。
  139. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 会社側の問題もありますけれども、政治家自身の問題について私は今触れているんです。  実は、その日本道路興運が指摘された所得隠しというのは約二億八千万円、派遣した運転手さんの中に実在しない運転手数人を紛れ込ませて、運転手名義の口座に架空の給与を振り込む形で裏金を捻出していたということであります。そして、日本道路興運は所得隠しを指摘されてもその使途を明らかにしなかった。使途秘匿金と認定されて制裁課税を受けております。その結果、全部で二億四千万円国税局に納めたということでありますけれども、四〇%の重課税が課されても使途を明らかにできないような会社から長官は三千百万円を超えるお金をもらっていたということでございます。  使途秘匿金について四〇%もの重課税が課されているのには訳がございます。法人がその相手方を明らかにしないような支出は違法ないし不当な支出につながりやすく、ひいては公正な取引を阻害するおそれがあります。これを極力抑えなくてはならない、こういう政策的な見地からこれが取られている措置でございます。こういうお金は、ただどんぶり勘定でどこにどう使ったのか分からない、こういうお金ではありません。産業スパイへの謝礼金、総会屋、政治家への裏金、やみ献金、こういうことに使われるだろうという、そういう見方が一般的でございます。だからこそ四〇%もの重課税が課されたと。そういう会社がこの日本道路興運、官房長官が八年間運転手さんのお金をもらっていた、こういうことになるわけなんですね。  この日本道路興運からの運転手さんに支払われた給与というものは、二億八千万円、今所得隠しで言われたその中から支払われていたんでしょうか。
  140. 細田博之

    国務大臣細田博之君) その会社がどういうふうにそのようなことになったのか、あるいは今議員がおっしゃったことがどこまで真実であるのかということは私は存じませんので、ただ、私に関する限りは、先ほど申しましたような、自分で賃金を払っておったほかにまた賃金、社会保険料等を含んでもらっていた事実が判明いたしましたので、これは反省をし、かつ修正をしたわけでございますが、そのまた先のことについてはその会社の問題ではないかと思いますし、私から、何か資料を出せとか、こうではないかというような権限といいますか、そういうことはできないと思っております。
  141. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 長官、それでは、この長官の事務所の仕事以外にこの運転手さんはほかで仕事をされたことがありますか。
  142. 細田博之

    国務大臣細田博之君) それはよく分かりません。私が必要とする限りにおきましては、この人は運転手さんをしていただいております。
  143. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 大変忙しい政治家の仕事だと思っております。細田さんも衆議院議員のいろんな役職に就かれない間も大変忙しい仕事で、常に運転手さんは待機しているというのが私は通常の仕事だというふうに思っておりますけれども、この方は、やはり給料を差し上げているということでしたらそれ以外の仕事はしていないということではないでしょうか。
  144. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 存じませんけれども、私のためにまず働いておられ、また詰所にも詰めておられたというふうに理解して、したがって給料をきちっとお払いしておったわけでございます。そして、しかしながら別途給料をもらっていたということでございますから、これは一種の寄附に当たるというふうに判断したわけでございます。
  145. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この日本道路興運の仕事として行ったことはないというふうに長官はお考えですね。
  146. 細田博之

    国務大臣細田博之君) この八年間においてどうであったかということは私は存じません。実際には存じません。ほとんど土曜日、日曜日の仕事はお願いしたことはありませんし、私も党務、公務その他で運転手さんが常時付いている状態もかなりございます。そういったときにどういうふうにしておられたかまでは、ちょっとよく分かりません。
  147. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 日本道路興運というのは、一体どういうつもりで勤務実態のない、今道路興運の仕事をしていたかどうかは分からないとおっしゃいますけれども、大体政治家としての仕事に就いて全面的に仕事をされてきた方だというふうに考えますと、どういうつもりで勤務実態のないこの社員に給与を払い続けていたのか。たまたま退職の手続を取るのを忘れられていたのか、どういう趣旨の肩代わりであったのか。当時、会社側から事務所に対してでも何らかの説明というのはありましたでしょうか。
  148. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私はそういうことは聞いておりませんが、事後的にそういうことが判明しまして、そういうことであったのかと。足してみると大変な額でございまして、私どもが払っておるにもかかわらず別途もらっていたということも聞きました。したがって、これはやはり政治資金規正法上の修正が必要であると私自身も判断したわけでございます。
  149. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 余りにも知らぬ存ぜぬという形ですので、次に伺っておきたいと思いますけれども。  日本道路興運というのは国土交通省と日本道路公団がメーンの仕事をしております。確かに官公庁と安定した取引ができるのは特権なわけです。そして、だれにでも開かれたオプションではありませんで、表向きは競争入札が行われることになっておりますけれども、新規に参入できるという門戸はオープンではありません。競争入札に参加したくても、資格要件や応募要領などを示した発注予告は行われておりませんので、新規参入はどうやってやったらいいのかは分かりません。  日本道路公団は民営化推進委員会に対して回答した文書にこう書いております。車両管理業務については、あらかじめ参入意欲のある会社の申請に基づき、登録された有資格者名簿から公正に指名を行い、指名競争入札を行っているので、発注予告は実施していない、こういうことであります。  有資格者の輪の中に入ったら、この特権は非常に大きいわけです。競争入札をした後で落札をしますと、向こう三年間は食いっぱぐれがなく、続いて二年間は随意契約で発注できるというシステムになっているからでございます。入札といいましても、どんどん新規入札を募って競争を活性化させるということが目的なのではなくて、閉鎖市場で既得権益が守られているという批判をかわすために、三年に一度行われる形ばかりの、建前のこういうものを行っているというふうにとらえた方が正しいというふうに言われております。事実、日本道路興運は創業以来これまで日本道路公団からの受注が途絶えたことはありません。  こういう癒着の構造の中にあって明確にこのことが分かるわけですけれども、こうした状況の中で、官房長官の仕事でありますけれども、報道によりますと給与の肩代わりは九六年一月から始まったということでありますが、そのときの長官は国会内でどのような役職にいらしたでしょうか。
  150. 細田博之

    国務大臣細田博之君) ちょっと今、個々の役職の経緯の紙を持っておりませんので、後刻調べたいと思います。
  151. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 私は御存じかと思いましたので、私は調べておりますけれども、このときには運輸委員会理事でいらっしゃいました。翌年の九七年九月には、今度は自民党の交通部会長に就任されております。  自民党の交通部会長というのはどういうお仕事なのかといいますと、やはり道路公団改革の問題は交通部会長の役割ではないかなというふうに思うんですが。我が党の議員でありました、亡くなられました石井紘基衆議院議員は、一九九七年、つまり官房長官が交通部会長になられる前、道路施設協会は即刻解散せよというふうに大きくこれを叫んでおります。この時期に亀井建設大臣は道路公団などの廃止あるいは見直しについて積極とも受け取れる発言をしておりまして、当然、交通部会長としてはそのことはよくお分かりになっていた、そういう時期だというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  152. 細田博之

    国務大臣細田博之君) どうも私もそのころのあれがはっきりしておりませんけれども、当時はまだ運輸省と建設省等の合併問題が発生する前ではなかろうかと思いますが、私自身は、運輸省関係の航空とか港湾とか海上保安庁とか自動車とか行政、いわゆる自動車検査とか、そういうことでございますけれども、そういう担当ではございましたけれども、どうも聞いてみますと、この会社はどちらかというと建設関係の仕事のようでございます。
  153. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 交通部会長というのは、その道路公団も含めてすべていろんな面に目を光らせてなさるべき仕事だというふうに思いますし、このときはちょうど道路公団を含む特殊法人の統廃合あるいは民営化、こういう問題が起きてきたときでございますから、全く官房長官がこの時期に交通部会長としてその役割を認識していなかったというのは、私は信じることができないわけでございます。  この会社は大変日本道路公団と結び付きが強い会社なわけですけれども、国土交通省はこの会社と取引がございます。日本道路興運そのものの売上高は百六十七億円ということなんですけれども、国土交通省にお伺いしますが、この会社から運転手さんの派遣を受けておりますね。年間に幾らぐらいの規模の取引をしているんでしょうか。
  154. 安富正文

    政府参考人(安富正文君) 国土交通省におきましては、国土交通省の本省、それから各地方整備局、それから各事務所単位でそれぞれ、先ほど委員からもお話がありましたように、入札により契約を、民間業者を選定いたしまして委託をしております。  先ほどの幾らぐらいかということでございますが、そういった地域の、地方のものも含めまして国土交通省全体で、車両管理業務全体、実はそれぞれの事務所で契約するものですから詳細は把握しておりませんが、十四年度でおおむね全体としては二百億円程度のいわゆる車両管理業務にかかわるいわゆる予算がございます。ただ、このうち、先ほど委員からも御指摘ございました道路興運との契約につきましては、国土交通省全体で約八十九億円という数字に、これは十四年度の数字でございます。
  155. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それぞれの年度が違うかもしれませんけれども、今おっしゃった、売上高が百六十七億円の会社が国土交通省から八十九億円受注しているということが今分かったわけですけれども、国土交通省はこの会社以外にも、つまり二百億円ということですから、ほかの会社からも運転手さんの派遣や車両管理を委託していると思いますけれども、その全体、地方整備局も含めまして、人数そしてどのようなお金という形になっているのかをお調べいただきたいというふうに思います。全容を知るために是非調査をお願いします。
  156. 安富正文

    政府参考人(安富正文君) 我々、全体につきましては、この道路興運以外にも、例えばいろんなほかの民間会社ございますので、それについて調べたいと思いますが、先ほどの、委員の方からいわゆる職員数、派遣の職員数というお話がございましたけれども、我々、この契約の中身では、車両を特定しまして、この車両についての運行を委託するという形で、具体的に職員数何名派遣しなさいという形ではないものですから、いわゆる車両台数が何台分契約しているという契約実績ですと調べられると思いますので、その点については調査したいと思います。
  157. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 よろしくお願いいたします。  九八年の一月にも官房長官は交通部会長でいらっしゃったと思います。このときに、石原国土交通大臣は道路公団の藤井治芳前総裁に前総裁が知っている様々な不正を明らかにするよう求めましたところ、そんなことをしたら死人が出るというふうに言われた話、皆さん覚えておいでだと思いますけれども、この道路公団をめぐる疑惑の捜査の過程で実際に死人が出た事件がございます。長官が交通部会長をお務めのときですので、長官も印象深く覚えておいでだと思いますけれども、九八年一月、道路公団理事で元大蔵省造幣局長の井坂武彦氏が逮捕された過剰接待の事件です。このときに、道路公団本社にとどまらず、道路施設協会、道路施設サービス、家宅捜索が入りましたが、この過程で、道路施設協会の理事であり道路施設サービスの社長であった人物が自殺をいたしました。そして、真相はやみに葬られました。  このときに、道路施設協会と道路施設サービス、日本道路サービスともに捜索を受けましたけれども、この中に日本道路興運もあります。この日本道路興運は、道路公団のOBの役員を六人、天下りを六人持っていて、公団が抱える七百人の運転手のうち、これ多いというふうに言われて指摘をされているんですけれども、そのうち二百二十四人を派遣している会社でございます。いわゆるファミリー企業の定義からは外れるそうでありますけれども、極めて道路公団との関係の深い会社だというふうに思います。  交通部会長であったときも、さらに副官房長官であったときもこの三千百万円を超える大金をもらっていたということでありますので、収支報告書を修正したということだけでは済まされない問題だというふうに思いますし、知らなかったでも済まされない問題だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  158. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 念のためちょっと申し上げておきたいと思いますが、自由民主党の交通部会とかあるいは国会における運輸委員会というようなことも御指摘いただきましたが、この会社の問題があたかも私が交通部会長であって直接の仕事の対象であったようにおっしゃいますが、当時、運輸省と建設省に分かれておりまして、建設省は建設部会というのが自民党では担当しており、道路公団の問題はすべて建設部会の担当でもあったわけでございます。そこは誤解がありますので、やや、いかにも私が交通部会長をやっておると道路公団の問題に大きな発言力や権限があって、そういったものを利用したんじゃないかというふうにも聞こえますので、今おっしゃったことは。あえて訂正させていただきますが、そういったことは、合併してから一つの省になりましたから、部会も国土交通部会というふうに運輸部会と交通部会と建設部会も合併して今部会長が選任されておりますけれども、そのことはちゃんと御認識をいただきたいと思います。  ただ、私は当時からそういう認識を持っておったわけではございませんので、そのことは当然でございますが、念のために、そういう形でおっしゃいましたので申し上げておきたいと思います。
  159. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 もっとたくさんお伺いしなければならないことはありますけれども、この会社、実は政治資金規正法の規制を上回る額の献金をしていたということが昨日明らかになりました。これは、資本金が十億円未満の会社は政党、政治資金団体に対する献金上限を年間総額七百五十万円としておりますけれども、もう既に細田房長官のところで三百五十万円ですね。そのほかに自民党に対して、政治献金団体国民政治協会に対しても年間四百万円ずつ献金していて、これでもう上限超えちゃうんですけれども、そのほかに、さっきもう既に名前が出ております塩谷衆議院議員ですとか粟屋元衆議院議員ですとか、何人かも私は名前をちょっと内々に伺っておりますけれども、これは調査をしなければ確かにここで明確に名前を出すことはできませんが、そういう方々のを全部含めますと何と一億円を超えるというふうに言われております。その認識がないと本当に困るわけです。  もう時間がないので一言申し上げたいと思いますけれども、官房長官は総理を支える仕事です。政権のスポークスマンでもいらっしゃいます。道路公団の民営化ということについてきちんとスポークスマンとしてやらなければなりませんのに、改革には反対、つまり、これを民営化していきましたらこの日本道路興運という会社は困る会社ではありませんか。そのことについて一言お願いします。
  160. 細田博之

    国務大臣細田博之君) いえ、御指摘のようなことは私の官房長官としての責務とは関係がございません。  ただ、長い間にわたりましてそのようなことがあったことが判明いたしましたので、年間三百万円強の、三百数十万円のそのような給与に当たる部分を政治資金の報告書の上で訂正をしたということでございます。したがいまして、そのことがその会社の政治資金規正法違反と関係付けて言われましたけれども、これは会社の問題でございまして、私どもはこの今三百五十万円ずつの給与につきまして修正をし、訂正を、報告書として訂正したわけでございます。
  161. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 改革が進むと困る会社から官房長官は間違いなく献金を受けていた、そして給与肩代わりを受けていた、こういうことの御認識をしっかりといただきたいと思います。私は、即刻辞任すべきだというふうに思います。  以上です。
  162. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  最後は何か辞任すべきだなんという言葉で終わっていますので、突然の官房長官就任、おめでとうございますというか御苦労さまでございますと言うほかないなと思いますが、確か以前、私のうろ覚えなんですが、個人情報保護法か何かのときに担当されていて、私も特別委員会で質問させていただきましたが、その誠実な御答弁ぶりに野党からもエールが送られたということの記憶がありまして、同じ政治姿勢だと思いますけれども、引き続きそのような姿勢で、内閣の屋台骨でございますので、職務に当たっていただきたいなというふうに思う次第でございます。  私の方からは、先ほど西銘理事からも御質問ございましたが、テロの問題を中心に若干聞かせていただきたいと思います。  先行委員の質問にもありましたけれども、アルカイダ傘下のイスラム過激派組織の幹部が日本に出入国していたということが大きく報じられました。昨年のイラク、その前のアフガニスタン等を含めまして、その影響でテロに対する対策というのは非常に大事だということが声高で叫ばれていたところであり、またかつ厳戒下に入ったというふうに私も認識をしたものでございます。そのため、今年に入ってからでしょうか、国際空港とか港湾に危機管理官というものを配置したばかりでございますが、その前だと思いますけれども、このアルカイダの幹部が偽造旅券で入国していた、入出国していたというようなことでございます。また、治安対策という一環で、水際対策というのが非常に大きくクローズアップされました。  ただ、昨年来からのこの水際作戦というのはどちらかというとスネークヘッド対策みたいな部分が私は大きい部分かなというふうに実は考えていたわけでございますけれども、このようなテロ組織幹部が出入りするような水際対策というのはどういうものかというふうに思うところでございますが、今回明らかになった事例を教訓としてやはり見直すべき課題はあるんではないか、このように思う次第でございますが、官房長官の御所見をいただきたいと思います。
  163. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 今般、アルカイダの関係者としてヨーロッパで逮捕されたフランス人が我が国への出入国を繰り返していたと、これは私どもとしても大変驚きでございます。別途、テロ組織が日本も標的にするぞというようなことをしばしば発表をしていたこともあるわけでございますし、まさかそこまで、日本の中まで手が及んでいたのかということまでは存じなかったわけでございますが、ほぼ確実な情報が入ってまいりましたし、それがどうも名前等を変えて入ってきたんじゃないかということでございますので、その辺につきましては、現在、警察において十分に捜査中でございます。それが一体何のためにどういう活動をしておったのかということも十分明らかにしませんと、日本でのテロを模索しておったのか、どのような日本の実態があるということを調べておったのかという点は非常に国民の皆様方も御心配なところだと思います。  したがいまして、もちろん水際危機管理チームその他危機管理官、各省庁連携を取りまして徹底的な対策強化をしなければなりませんが、そういった体制も不断に見直していって、万々一にも日本国内で国際テロ組織が活動を起こすようなことのないように注意してまいりたいと思っております。
  164. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 内閣の方にも内閣危機管理監、監はちょっと字が違いますけれども、設置されまして対応に、きちっと対応するということでございますけれども、危機といった場合に、九・一一以降、やはりちょっと問題の局面が変わってきたといいますか、対応策も変わらざるを得ないんだろうなというふうに思います。  発生してから対応と、地震みたいな場合はもちろん予知も大事で、予知が本当に大事なんですが、どこまでできるかという問題もありますが、人為的なテロでありますとか、人為的な、人為的というか人的な要因に係る事故みたいな部分は発生する以前にしっかり防止していくということが大事かと思います。  テロは、特に国際テロということでありますと、国内だけではいかんともし難いわけでありまして、三月に審議しました警察法に関連して外事情報部というのを新設したわけでございますけれども、やはり海外における情報収集というのは非常に大きな課題になるんだろうというふうに思います。  現在、海外における情報収集体制というのはどういうふうになっているのか。また、その課題、その対応策、こんなものについて御所見を賜りたいと思います。
  165. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) どなたがお答えになりますか。
  166. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 通告してあると思うんだけれども。
  167. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 失礼いたしました、事務的に詳細に答えてもらうと勘違いしまして。  国際テロに関する政府情報収集体制につきましては、国内外におきまして関係省庁が独自に情報を収集しますほか、外国の友好機関との適宜の情報交換を通じて情報を収集しているところでございます。これらのテロ情報は、関係省庁の緊密な連携の下で適宜内閣官房に集約され、官邸に報告されているところでありますが、今後とも関係省庁の連携、情報の共有を進め、我が国全体の情報収集能力を向上させてテロの未然防止に努めてまいりたいと思っております。
  168. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 情報収集といいますと、関係機関というだけじゃなくしてじかにやろうということで情報収集衛星というのがございます。空の遠く上から見るわけで、それはやっぱり現場とは違うのかもしれませんけれども、直接のきっかけは例のテポドン、六年前になりますが、そこから導入論が始まって、その九八年の十二月に、二〇〇二年には四基体制による監視体制を作ろうということが閣議決定されたわけでございます。  ところが、昨年十一月の末ですか、HⅡA六号機も打ち上げ失敗になりました。まあ我が国情報収集の大きな手段というのが不十分なまま推移しているというふうに言わざるを得ないわけでございますけれども、この打ち上げ失敗理由というのはどういうことなんでしょうか。また、これに対して今調査していると思いますが、最終報告書がまだ出ていないようでございますが、随分長いなと。その遅れている理由についてお聞きしたいと思います。
  169. 坂田東一

    政府参考人(坂田東一君) 昨年十一月のHⅡAロケット六号機の失敗でございますけれども、ロケットは打ち上げ約百五秒後に、ロケットに二本装着されております固体ロケットブースターのうちの一本が分離ができませんで、そのために失敗をしたということでございます。  この原因究明と対策に関します調査審議でございますけれども、宇宙開発委員会の専門家がやっているわけでございますけれども、これまでの調査審議によりますと、固体ロケットブースターのノズル、噴射口でございますけれども、この部分の断熱材に開発の当時には想定をしていなかった板厚の減少が発生をいたしまして、小さな穴が空き、そこから燃焼ガスが漏えいをしたと。そのことによりまして分離ができなかった固体ロケットブースターのいわゆる導爆線というものが機能を喪失したと。機能を喪失したことによりまして分離ができなかったということでございます。  また、この断熱材の板厚が減少して穴が空いたという原因でございますけれども、固体ロケットブースターから噴射をされます燃焼ガスの流れの乱れ、あるいは断熱材の、ちょっと専門的でございますけれども、層間剥離という現象、こういったものが幾つか重なりまして板厚の減少が予想をしたよりも加速をされたという具合に考えられております。  また、先生お尋ねの、なぜこの原因究明の調査審議が終了していないかということでございますけれども、議論としてはおおむね終了をして、今、私、申し上げたような見解が一応整理をされてございます。他方、宇宙開発委員会におきましては、この原因、技術的な直接原因でございますけれども、それにかかわらず、その背景的な要因となっている可能性のございます宇宙航空研究開発機構とメーカーにおけるこのロケットの設計、製造の責任体制見直しということについても別途特別会合を設けて調査審議をしております。  したがいまして、その体制にかかわります調査審議の状況を踏まえまして、この技術的な直接原因を担当しております宇宙開発委員会調査部会の報告書、これが最終的に取りまとめられる予定であるということでございます。
  170. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 新聞報道によれば、宇宙開発委員長の井口先生が実物を使った地上実験やるべきだというような、その辺ですったもんだしているようでございますが、しかし、こういう、高いものですわね、これね。何百億とするんでしょうか。それを実験やんないで打ち上げる方がどうかなという、若干そんな気もするところでございます。  それはともあれ、この情報衛星、本当にこれ有用なのかと。これは、今まだ失敗によってきちっと完備していないということでございますが、これは体制整備されても、例えば画像の解像度みたいな部分ですね、私どもがこの衛星では一メーターの解析能力しかないと。アメリカの偵察衛星は十五センチだと、商業衛星でも六十センチあるよというような言われ方をされているところでありまして、いや、そんな性能の悪いのを打ち上げるのかなというふうに思ってしまいますし、また四基体制の費用を考えると二千五百億円も掛かるし、衛星の寿命は大体五年ぐらいと言われている。精度を上げていこうというようなことになると、開発には毎年七百億ぐらい掛かるという見方もあって、本当に情報戦といいますか、そういう中でしっかりやってもらわなきゃ困るなと思う反面、本当に見合う効果があるのかというような声もやっぱり聞こえるわけでありまして、私も正にそうだなというふうに思うわけでありますが、この点は、これらの批判についてどうお答えになるのか、この点についての御所見をお聞かせください。
  171. 岸野博之

    政府参考人(岸野博之君) お答え申し上げます。  我が国を取り巻く国際情勢は、朝鮮半島情勢を始め、依然として厳しい状況があるかと思います。それから、地震を始め大規模災害についても警戒を怠れないと、そういう状況にございます。  そういう中で、国や国民の安全を確保するためには、やはり危険を早い段階で察知すると、それに対して手を打つということが大変重要なことだと考えております。そのためには独自の情報収集のための手段を確立する、それから情報ソースを多元化する、高度化する、こういったことが非常に有効だろうというふうに考えております。情報収集衛星でございますが、この導入を図ったのもこのような考え方に基づいて導入を図ったということでございます。  自前の衛星を保有して運用することの意義でございますが、まず、何といっても、自分たちが撮りたいときに撮りたい目標を撮りたいような仕様で撮像することができる。これは商業衛星でございますと、撮りたいと思っても、実はもう注文が出ていて撮れないとか、あるいは欲しいというタイミングで入手できないということがございます。それから、日本政府がどういうことに関心を持っているのかということが画像の販売会社あるいは外国政府に分かってしまうという不都合もございますし、それから二〇〇一年のアフガン戦争のときの例でございますと、やはり撮像や画像の利用についていろいろな制約が付けられるということもございます。  そういうことから、やはり自前の衛星を保有し運用し、欲しいときに欲しい対象について画像が撮れて、それを分析して情報提供できるということは、やはり安全保障、危機管理ということを考えたときに非常に大きな意義があるというふうに考えております。  それから、分解能のお話がございましたので少し敷衍したいと思います。  現行の一号機二基は昨年の三月に打ち上げをいたしまして、その後三か月にわたって所期の機能が出ているかどうか確認してまいりました。その結果、所期の性能が出ているということを確認した上で情報衛星推進委員会に諮って、そのことを確認した上で衛星の引渡しを受けております。したがって、所期の性能はきちんと出ていると。  そこで、商業衛星で六十センチが出ているじゃないかというお話でございますが、確かに分解能だけ取ってみれば高性能の商業衛星が出現しているというのは事実でございます。しかし、米国の衛星を別とすれば、世界的な水準で見た場合、我が情報収集衛星が性能的に劣っているということは決してないというふうに自負しておりますし、やはり何といっても、安全保障分野で必要なときに必要な画像を撮って、それを分析して情報提供するという意義は極めて大きなものがあるというふうに考えております。
  172. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  173. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  昨日、福岡高裁は、中国人の強制連行について判決を下しました。侵略戦争のときに中国人二万三千人を強制連行したという名簿も残っておりまして、今回の判決は、しかし、除斥期間で一審原告敗訴ということになりました。被害者の怒り、落胆は非常に大きいものがあります。  強制連行、強制労働の事実は裁判所は認定しておりますので、日本の政府がこの問題について放置しておいてはならないのではないかという立場から質問をさせていただきたいと思います。  判決は、田川鉱業、三池鉱業所で強制的労働に従事させられるに当たって、これを幇助したものと評価することができる、国はですね。民法七百十九条二項から、会社と共同不法行為があるというのが相当だと。国が強制労働の内容について異を唱えていれば、一審被告会社が強制労働を強い得たはずがない。本来、悪をなし得ない、なしてはいけない高い道徳性が要求されるのが国のあるべき姿だ。原告らを使用したのは国ではないなどと主張して、強制労働に関する弁解は、現在はもちろん当時も許されるべきではないと判示しておりますが、これについてどのようにお考えですか。
  174. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 中国人のこの強制連行問題、特にこのたび福岡高裁において国側勝訴の判決が言い渡されたわけでございます。本判決におきまして、原告の請求が棄却された点については、これまでの国の主張が認められたものと考えております。  ただ、もちろん、従来から政府が申し上げておりますように、いわゆる中国人の強制連行問題につきましては、たとえ戦時下という異常な状況の中とはいえ、当時、多くの中国人の方々が半強制的な形で来日し、厳しい労務に就き、その中で多くの苦難を与えられたことは極めて遺憾であったと考えております。  こうした考えにおいては、平成六年の当時の外務大臣答弁を始め、種々の機会に表明しているところでありまして、今後とも歴史の事実を謙虚に受け止めまして、近隣諸国との信頼関係を一層強化するために、引き続き努力をしていきたいと考えております。
  175. 吉川春子

    吉川春子君 判決文は次のようにも指摘しています。  平穏な暮らしをしている日本国の主権に服しない中国人を、言わば故意に暴力や欺罔を用いて家族の下から切り離し、敵国に連行して強制的に労働に従事させることは、個人の尊厳、人間的価値を否定する、甚だしく人倫にもとる行為である、旧憲法の基礎を成す自然法に違背し、著しく公正、正義に反していると、このようにも指摘しているわけです。  こういうことについて政府が本当にその責任を感ずるというのであれば、除斥期間というところに逃げるのではなくて、やはりこれについて、別途、国会もそうですけれども、国もきちんとこの強制連行の問題についてしかるべき対応を取るべきではないかと思うわけです。  北朝鮮の拉致問題もありまして、安否不明とされている十人の皆さんの御家族の悲嘆をテレビでコメントを見るにつけても、もう本当に私は苦しい思いがいたします。この問題はこの問題できちっと政府に解決していただきたいということを要望します。  同時に、この家族のやりきれなさというのは、中国であっても韓国であっても同じことであったと思うわけですよね。そういうものについて、政府は勝訴の判決を得たんだということではなくて、今、原告、弁護側は、日本政府と企業が協力してドイツで実現したような基金を設けるべきだとかいろいろな提案をしているわけでございまして、裁判を離れてもやっぱり国の責任というものをきちっと果たしていかなくてはならない。それが近隣諸国との友好関係を築く、日本にとっても二十一世紀の大きな利益になると思いますが、この点については、官房長官、いかがお考えですか。
  176. 細田博之

    国務大臣細田博之君) お気持ちにつきましてはよく承りました。かつ、判決の中の判決理由についても承知をしております。  ただ、本判決について申せば、この判決理由のその部分につきましては、言わば本論の判決における主文とは言えないわけでございますので、いわゆる判決としての拘束力、先例としての価値というものは重くはないというふうに法律的に考えておるわけではございます。  そして、最高裁の判例は、いわゆる国家無答責の法理を採用をし、国の責任を否定していると承知しております。
  177. 吉川春子

    吉川春子君 新潟地裁の判決もそうですし、今回もそうなんですけれども、そういうとんでもないことを日本の政府はやって、国家無答責というものはこれに当てはまらないということを明確に言っているわけです。しかし、敗訴した理由は、これは敗訴した理由は私は認めません、正当だと思いませんが、やっぱり除斥期間とか消滅事項とか、こういうものに逃げているわけです。  しかし、国家の責任ですね、私人間のいろいろな関係ではなくて、国家のそういう、しかも戦争に対する重大な犯罪について除斥期間に逃げ込んで、あとは知りませんということではとても駄目だということを私は強く指摘して、次の質問に移りたいと思います。  先ほど、岡崎議員からも質問がありましたけれども、日本道路興運株式会社による運転手給与肩代わり問題について伺います。  官房長官は九六年から八年間、日本道路公団と密接な関係にある日本道路興運の社員を長官の事務所の運転手として雇い、会社に給料の半分、年額にして三百五十万から四百十万円、合計で三千百四十三万円を肩代わりさせていたということです。これは政治資金規正法違反であり、修正申告をしても記載義務違反の責任は免れないと思いますが、長官はどうですか。
  178. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 最近になって私はその事実を知りまして、また内容も精査いたしまして、これはやはり政治資金規正法上の処理をすべき事項であると判断をして修正をしたわけでございますが、その点については深く反省をいたしております。
  179. 吉川春子

    吉川春子君 総務省に伺いますが、政治資金規正法の記載義務違反の責めは免れないということは、そのとおりですね。
  180. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) お答えを申し上げます。  政治資金規正法におきましては、収支報告の義務違反について罰則を定めているところでございますが、個別の事案がこの罰則に該当するかどうかということについては、事実関係、具体の事実関係に基づいて判断されるべきものと考えますので、私どもとしてお答えは差し控えさせていただきたいと、かように考える次第でございます。
  181. 吉川春子

    吉川春子君 一般論として、要するに修正申告をしても記載義務違反の責任は免れないということでございます。  さっきも質問がありましたけれども、二十一条の三の寄附の総額の制限についてですけれども、資本金八千万円の会社ですから上限は七百五十万、政治献金の上限は七百五十万というふうになっておりますが、これが二〇〇〇年から二〇〇二年まで四百万円の、毎年四百万円の政治献金が行われており、長官の運転手の給与の修正分を加えると、二〇〇〇年が八百万、二〇〇一年が七百七十九万、二〇〇二年が七百六十三万となって、この点でも政治資金規正法の違反になるのではありませんか。これは、総務省、どうですか。
  182. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) お答えを申し上げます。  政治資金規正法におきましては、会社が政党及び政治資金団体に対して行う政治活動に関する寄附につきましては、御指摘ございましたように、当該会社の資本又は出資の金額に応じて年間七百五十万円から一億円以内で寄附の総枠制限が設けられているところでございますし、また総枠制限に違反してされる寄附を受けてはならないとも規定されているところでございます。  これらの違反については罰則の定めがあるところでございますが、先ほども申し上げましたように、個別具体の事案についてそれが違反しているかどうかということにつきましては、私どもとして具体的事実関係を知る立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
  183. 吉川春子

    吉川春子君 そこまで聞いていないのに、いつも罪はありませんよと言わんばかりの答弁はしないでください、時間も足りないんですから。  それで、官房長官、制限を超える寄附を、違法な献金を受領していたということについてはどうお考えですか。
  184. 細田博之

    国務大臣細田博之君) そういう認識はございませんでした。しかも、私どもが給料を払っておりました運転手さん、三百五十万円以上の年間の給与を払っていたわけでございますが、それについてほぼ同額の給与を当該会社から保険料等も込みにして給与として受け取っていたということを最近になって知りまして、そして担当省庁等に照会したときに、やはり政治資金規正法上の寄附に当たると認定すべきではないかということでございましたので修正をさせていただいたわけでございますが、その結果として、全体としての寄附する主体側の政治資金規正法の問題があるかどうかにつきましては、全体像等について私ども承知しておりませんので、その点はよく分かりません。
  185. 吉川春子

    吉川春子君 会社のことは知りませんという答弁でしたけれども、この運転手さんを採用するに当たっては、長官自身が面接して採用を決めたんでしょうか。そのときはそういう社員であるかどうかということは一切確かめずに、どこの方かも分からずに大切な自分の車の運転手さんを決めたと、こういうことですか。どちらでしょう。
  186. 細田博之

    国務大臣細田博之君) うかつな面もございましたけれども、前の方が急死されたということで大変不便もしておりましたときでございましたから、いい人が見付かりました、給与条件は前の人と同じようにしたいと思いますという報告を受けて、良かったと。それから、やはり地理にも明るくなきゃいけませんので、その点も聞いたわけでございますが、非常によくこの辺の地理、かいわいの地理もよく分かっておるということでございましたから、一も二もなくそれでは急遽採用しようじゃないかということを申し上げたわけでございます。
  187. 吉川春子

    吉川春子君 地理に明るいだけで、どういう身元の方でどういう経歴の方か、今までどういう職業を経験されてきたのか、そういうことも一切不問に付して採用するということは、私は到底、自分が運転手を雇うということに置き換えて考えたときには非常に考えられないんですけれども、この運転手の給料は、そうしますと、月額、トータルで幾らになったんですか。両方からもらっていたわけですね。そして、社会保険については両方からやっぱり払っていたんですか。
  188. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 会社側のことはよく私自身は分からないわけでございますが、月額で私の方では二十一万円の給与と大体ボーナスは五か月分ということで十七か月分、平均しますと三百五十七万円を払っておったと。これも公務員給与等に連動させておりますので、若干の変動はございますが、ずっとそのような給料を払っております。
  189. 吉川春子

    吉川春子君 年金とか健康保険とか、社会保険料は長官がお払いになっていたんですか。
  190. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 払っておりません。
  191. 吉川春子

    吉川春子君 そうすると、この運転手さんは社会保険の適用なしに採用すると。年金も健康保険も入らない方を運転手として長官は雇われていたということですか。
  192. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 御存じのように、国会議員にはそういう組織はございませんので、普通そういう方を皆様方で雇われる場合は、国民年金、国民健康保険で当然自ら手続をなされるものだと思っております。
  193. 吉川春子

    吉川春子君 そうしますと、今度、その会社の方で同時にお金を払っていたということは、その会社の方で社会保険には入っていたと。その会社の方の社会保険に入っていたので会社の方は辞められなかったと、こういうことになりますか、結果として。
  194. 細田博之

    国務大臣細田博之君) そこは実は私どもが存じなかったところでございます。ただ、事実上は恐らくその前から社員としての身分は継続しておったようでございますから、社会保険料等は継続しておったんではないかと今になって推測をしておるわけでございます。
  195. 吉川春子

    吉川春子君 長官の方が二十万の給料を払い、会社の方が三十何万の給料を払うということになると、払っていたということになると、五十数万の給料をこの運転手さんは受け取っていたということになりますね。
  196. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私もその点は、いかにも多いのではないかと。私は、普通の、私の運転手さんとしての仕事内容等から見て、十分お払いしていると思っておりましたが、そのような額を受け取っていたということを聞いて、びっくりしております。
  197. 吉川春子

    吉川春子君 一般的に給料が多いか少ないかというのは私は言う立場にはないんですが、実はこの会社は、三千人の社員のうちの二千七百人が車両管理員といいまして、運転手として派遣されている方ですね。  そして、昨日国土交通省から資料をいただきましたら、例えば、これはつくばの例なんですけれども、一台一年間雇うということで、五百五十万円なんですね。この中には、燃料費もそれから任意保険も給料も含めて一台五百五十万というお金で契約をされております。といたしますと、燃料費、私、車のこと詳しくないんですけれども、五、六十万か七、八十万として、年間ですね、そしてその保険料が四、五万といたしまして、七、八十万をマイナスしますと、四百二、三十万というお金が残りますね。しかし、派遣会社の常として、大体半分とかもっと搾取するところもあるんですけれども、その余ったお金を全部労働者に与えるということはありませんので、恐らく二十数万ということが相場でこの社では運転をされる方の給料を払っていたと思うんですね。  そういうふうに考えますと、両方から同じぐらいの額を受け取っていたということは、この会社から派遣されている、いたということを考えると、あり得ないと思うんですよね。なぜこの運転手さんだけ倍の待遇で雇わなければならなかったのか、そういう理由があったとお考えですか。
  198. 細田博之

    国務大臣細田博之君) その点は私もよく分かりません。私どもとしては、そういったお金がどこかで出ているという前提ではなく、全く私どもとして、急遽前の方がお亡くなりになったことに伴いまして、前の運転手さんはその額でよかったわけでございますから、同額の給与条件を示して、それで結構ですというから雇ったと、こういうことでございます。
  199. 吉川春子

    吉川春子君 今回、この会社の方が実は同額払われていたということはどういうきっかけで分かったんですか。それが分かったときに、なぜ自分たちは十分と思う賃金を払っているのに会社の方も同じ額の賃金を払っていたのかという質問はされなかったんですか。
  200. 細田博之

    国務大臣細田博之君) それが事実であるかどうかということはよく私の秘書を通じて調べたと思います。その結果、そういう事実があったという返事でございましたので、修正をしたわけでございます。
  201. 吉川春子

    吉川春子君 なぜ払っていたのかということをお聞きになるはずでしょう、普通は。えっ、こんな高い金額をと今長官自身がおっしゃったわけじゃないですか。  じゃ、何でそんな金額を会社が同時に払っていたのかという質問を全然されないんですか。
  202. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 質問はさせたわけでございますけれどもね、現にどうも払っていたということを言っております。先ほど来の話がありますように、非常に多数の運転手さんをたくさん抱えて、いろいろな経営をしている会社でありますから、何かそういう基準があるのかどうかは分かりませんが、いずれにしても、事実だということでございますから、私どもとしては、はっきり率直にそういう会社から得た額をそのまま報告に出したわけでございます。
  203. 吉川春子

    吉川春子君 何か国会議員というのは、いろんな疑問があったらどんどんどんどん追及するということが習性ですよね、私もそうですけれども。それをもう非常にあいまいのまま、会社が言ってきたままを受け入れるということはどうも解せないわけです。  それで、今年の一月に日本道路興運が二億八千万円の所得隠しを行ったとして追徴課税をされたということを先ほど長官もおっしゃっておりましたけれども、こういう、追徴課税が二億四千万ということで、しかも所得隠しの重加算税も取られているわけです。こういう、言ってみれば法律を犯すような余りいい会社じゃないところから運転手に給料、運転手の給料を肩代わりさせていたということと、総理大臣の第一の側近である内閣官房長官という立場が両立しないように思いますけれども、この件についてどう思いますか。
  204. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 追徴云々とかその金額については実は私が申し上げたわけじゃなくて、岡崎議員が御質問の中でおっしゃったわけでございます。そういう中身、数字の具体的な中身については私どもは承知していないわけでございます。  ただ、私といたしましては、自分の給料、適正と思う給料を払っていたにもかかわらず、別途このような支払が行われていたと、それが政治資金規正法上の寄附に当たるような修正が必要な中身であったということについては、深く反省をしております。
  205. 吉川春子

    吉川春子君 反省と同時に、事実の解明が必要ですので、なぜ、しかるべき給料を払っているのに会社の方から払わなくてはならなかったのか、その点について会社に確かめた上で御報告いただきたいと思います。どうでしょう。
  206. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 払っていたことを確認いたしましたので、私どもとしてはもう既に修正を届出出しておりますので、これで私はその点については処理をしたと、こう思っております。
  207. 吉川春子

    吉川春子君 何かはっきりすれば都合の悪いことでも明らかになるというのでなければ、やっぱり国民の知りたがっている問題については、公的な立場にあるわけですから、それははっきりされるべきではないでしょうか。その点についても、自分も不思議だと思いながら、もうこれ以上は会社に聞かないと、これで終わりという姿勢は、私は納得できないわけです。  そして、日本道路興運は、道路公団の仕事を、さっきも報告がありましたけれども、十四年度だけでも十九億円、国土交通省からは八十九億円も受注していますね。この官公の中心の企業から政治献金を受け取るという、官公需中心の政治献金を受け取るということは、公費の還流、税金の還流、こういう性質も持っていると思います。公共事業の受注企業の政治献金は少なくともやめるべきだと、私たちは企業・団体献金やめようという立場ですが、少なくともそういうことはやめるべきだというふうに申し上げます。しかも、違法性が高いことは明らかでありますので、こういう献金は返金すべきではないかと思いますが、そのおつもりはありますか。
  208. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 現段階は、受け取ったものとして届出をした、してしまったわけでございますが、いろいろな可能性については検討をさせていただきたいと思います。
  209. 吉川春子

    吉川春子君 ともかく、政治家と秘書給与の肩代わりというのは、何遍、もっと、何十遍と申し上げていいか、そういうことが国会で問題になりまして、中には辞任された方もおられるわけですけれども、私は、この問題を官房長官の責任においてはっきりと明らかにしていただきたい、そのことを最後に要望いたしまして、質問を終わります。
  210. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。私は、今日は総理の訪朝についてのみ質問させていただきます。  二十二日の総理の二度目の訪朝を受けまして、その後の処理等で官房長官においては本当にお疲れさまでございます。  それで、私、新潟県の選出議員として、本当に五人の方の御帰国については大変喜ばしいことと思っております。ただ、柏崎の蓮池さんのお宅はお子様たちが帰ってきましたが、佐渡の曽我ひとみさんのお宅は御主人のジェンキンスさんを始めとしてまだ帰らないという、このことに大変憂慮いたしております。  それで、長官にお聞きしたいんですけれども、まず、総理の北朝鮮での交渉時、ジェンキンスさんへの帰国の説得のときに、総理は、アイ・ギャランティーという英文のメモを渡して、日本の総理が米国人であるジェンキンスさんの身柄の安全を保障するという、こういったことを試みたんですが、なぜ日本の総理がジェンキンスさんの身柄の安全を保障できるのか、それについてお聞かせください。
  211. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答え申し上げます。  ピョンヤンで小泉総理がジェンキンスさんに対して、直接、一時間以上にわたりまして、是非日本にお越しになるようにということで説得をされましたが、その際、日本政府としての考え方をきちっとお伝えできるようにするために、メモをお示ししながら説得に努められたわけでございます。これは、決して身の安全を保障するという、そういう内容じゃございませんで、むしろ、あくまでもジェンキンスさんの御家族がそろって日本で幸せに暮らせるように日本政府としても最善の努力を払うという、そういう内容であったというふうに私どもは承知しております。
  212. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 まあ報道と若干異なりますけれども、これ、非常に微妙なニュアンスですからね。ジェンキンスさんにしてみれば、正に自分の身の、ともすれば命等にかかわるようなことを、軽々にも保障というような言葉を使って私は説得では、その後、むしろ胸襟を開いてジェンキンスさんが自分の、何といいますか、思いのたけをぶつけることに対する妨げにならないように、その点は御留意ください。  引き続いて、長官にお聞きします。  これは、今日の記者会見で細田長官は、まず、ジェンキンスさんが日本に来た場合、じゃその身柄を送還、強制送還しなければいけないかということに関しては、法解釈上、引き渡さざるを得ないだろうという、こういう見解を述べられています。さらに加えて、日本としても送還しないで済むように米国に説明ないしは説得する必要があると、こう述べておるんですが、この説得、特に説得については具体的にはどういう形でされるのか、お聞かせください。
  213. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) ジェンキンスさんの問題につきましては、これは人道的な観点からも検討しなきゃいけない非常に重要な問題であるというふうに認識しております。アメリカとの間でも、いろいろなレベルで様々なやり取りをこれまでもしてきております。  御案内のように、アメリカの法律、それから今アメリカの置かれているような状況、日米間のいろんな条約、あるいは日米関係全体、こういったことも頭に入れながら、いろいろなやり取りをやっているわけでございますけれども、いずれも非常にある意味では機微な問題でもございますから、今ここで、どういう説得ということも含めて、ここで申し上げるのはちょっと控えさせていただきたいなと思っております。
  214. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私、ちょっと会見のときも長くお答えしまして、そのうちの一部が報道されたんで、いかにも必ず引き渡せと言ってくるだろうというふうに答えたように報道されていますが、事実は、やはりアメリカ側が引渡しを言ってくる可能性もあると。それは、いろんな過去の経緯からすると、まあ言わば米軍から脱走をしたという経歴ですから、そうなると、厳密に言えば引き渡すことを要求してくる可能性もあると。しかし、この点については、今後、様々な話合いをしていく必要があるということは申しました。それが正確な言い方でございます。
  215. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 この日米地位協定及び日米犯罪人引渡し条約の解釈、私もにわか勉強で、微妙なところがあると思うんですけれども、仮に法的に長官のおっしゃられたような法解釈せざるを得なくなった場合には、逆に政治的な判断になりますので、私は、そのことも含め、何としてもジェンキンスさんに安心して帰っていただきたいという、このことを長官の手でも推進していっていただきたいと思っています。  さらに加えて、第三国でのジェンキンスさんと御家族と曽我ひとみさんとの面談という、このことが提案されて、しかも今月中にもということなんですが、それでお聞きしたいんですが、具体的にどのくらいの時間を掛けて曽我ひとみさんとジェンキンスさんが接触するのか。  というのは、九月十七日を受けて、二年前の、日本に戻られた蓮池さんたちにしても、実際には北朝鮮のマインドコントロールといったようなものも掛かっているとお聞きしております。その気持ちが解かれるまでにも数か月要したという、これは報道でも現実にも伝わってきているわけですから、ある程度の時間が必要だと思いますし、その中で、例えば北京なのかどこなのか分かりませんけれども、あくまでも北朝鮮からの関与が強い場合にはなかなかジェンキンスさんの気持ちも開かれない。逆に、じゃ日本からの関与はどのくらい、では許されるのか。それによっては北朝鮮もその第三国での面談自体をともすれば許すか許さないかといった判断にもなると思うんで、具体的にどういう期間、どういうような形で御家族の面談を想定しているのか、お聞かせください。
  216. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 実はピョンヤンからの通報が第一回目で入りまして、そして金正日委員長からも、第三国、例えば北京での面会をして、よくジェンキンスさんの意思も確認したらどうかという話があり、かつ、今日はちょうどジェンキンスさんとお嬢さんも呼んでいるので、待機しているので、直接お話もしてはどうかということで、御存じのような小泉総理との話合いができましたね。  そこで一番問題でありましたのは、日本側で曽我ひとみさんのお気持ちがどうであろうかということ、大変心配いたしました。第三国とはいえ、まあ北京という話が出ている、そして、どこかで会いに行くと。曽我さんは、従来、日本国で、お嬢さんもお帰りになって、本人さんもお帰りになって対面したいという強い御希望でございますが、そこはどうも、今の時点ではできないんだけれども、どこかそういう第三国にお出掛けになって十分お話し合いになられますかということを、実は御意思を確認したのはかく言う私なんです。そこで曽我ひとみさんは了解されましたので、だからお会いするという意思がございます。  あとは環境の問題でございますので、あとは、どのぐらいの期間お会いになれば十分と考えられるか、それから一回だけ会えば済むという問題じゃないと思いますので、そういった点は外務省に今指示をしまして、個別に曽我さんの御意思、向こうの三人の御意思も確認しておるところでございます。
  217. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと余り具体的なお話、聞けなかったんですけれども、ともすると、曽我ひとみさんがジェンキンスさん、要するに御主人に帰ってきてくださいという説得の場ではなく、逆に、ジェンキンスさんと娘さんお二人が曽我ひとみさんに朝鮮に戻ってきてくれという説得の場になるようなことは決してあってはならないという、私はそう考えておりますので、長官の方からも外務省への御指示をお願いしたいと思います。  これに加えて、一点、これ、外務省にお聞きします。  今日の記者会見で、川口外務大臣がこういう表現をされました。要は、ジェンキンスさんら三人の御家族の来日の何らかの手掛かり、確証とまではいってないと思いますが、手掛かりが今後の日朝国交化、正常国交化交渉の再開の条件であると述べられたんですね、川口大臣が。これ、具体的にどういう事実があれば、三人の方の、じゃ日本に来るんだなという、こういった我々が心証を得られると、そういう、どうすればそういった心証を得られると川口大臣は思われたのか、お聞かせください。
  218. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 外務大臣の記者会見における発言、私、今、子細にはここに記録を持っているわけではございませんけれども、まずは大事なことは、曽我さんとジェンキンスさん及び二人のお嬢さんの一家四人が第三国でなるべく早く再会して、一年何か月ぶりかの再会の中で、今後どうやっていくか、どういうふうに過ごしていくかということについてお互いの意思を確かめ合うという、その再会の機会を早く設ける、これを早く実現させるということが最も大事だと思っております。  先ほど官房長官からもお話がありましたように、その実現を早く図るために私ども指示を受けておりますので、今そのアレンジのために全力を挙げているところでございます。したがって、まずその再会を果たすというそこの部分に我々は今全力投球しているわけでございます。  また、再会を果たした後、御本人たちがどういうふうに今後のことを考えるかというのは、まずは一義的に御家族四人の間でお話合いをしていただくと、こういうことであろうと思っております。
  219. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 やはりその三人に帰国していただきたいという思いが日本国民強いので、それを条件にするかどうかというのはなかなか外交交渉上難しいと思いますけれども、なるべくそれが図られるようにしていただきたい。  時間ないので、十人の安否の不明な方への再調査についてお聞きしたいんですけれども、官房長官は、御自身で、この再調査に誠実にこたえた情報が実際にあるまでは納得しない、すなわち正常化交渉の再開についての条件のような表現されていますが、これはそうとらえてよろしいんですか。
  220. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 私が申しましたよりも若干強めに報道されておりますが、実際に首脳同士で会談をして、誠実に白紙に戻して直ちに調査すると言っているわけですから、そのこと自体を全く無視してそれが進まないという状況の下では、それは駄目だろうと思います。  それで、誠実に次々にその調査が進むようなことを確認をしながら、他方で交渉についての話合いを進めるということはあり得るんじゃないかなということを思っております。
  221. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 この点については指摘だけしておきますけれども、官房長官は、どちらかというと疑惑を積み残して交渉を再開してもいいとは言わないという、こういう表現でしたし、総理は、今から前提条件を考えるのは早計だという、やや否定的な表現です。安倍幹事長に関しては、この問題が解決しない限り国交正常化交渉は進まないというのが我々の基本的な姿勢だとおっしゃっています。竹内外務次官は、交渉再開の決まった条件があるというようなことではないという。これ聞くと、閣内不一致、党内不一致、政府内不一致なんですよ。これを何とか、もう聞きません、整合性合わせて、この問題、とにかくやっぱり再調査というものは、我々あの前回の調査結果というのはだれもが信じていないわけです。ですから、我々が納得いくような調査結果をもたらすという、その目的のために閣内等をいろいろと調整していただきたいと思っています。  それともう一つ、これは、私も新潟県の方から言われたんですけれども、横田めぐみさんの件で、ヘギョンちゃんという娘さんはメディアとかにも登場していますけれども、元夫であるキム・チョルジュ氏、この方を、私は何としても事情聴取なり、そういったことをしていただきたいと。これは要望にしておきます。やはり、元の御主人からその状況を聞かないことには横田さん御夫妻にしても納得しないと、そう思っております。  では、更に急ぎます。  今回の訪朝の成果についてお聞きしたいんですけれども、この経済制裁について小泉総理は、平壌宣言を遵守する限り経済制裁の発動をしないという、ここまで言い切りました。  しかし、前回の平壌宣言の際に、核問題については国際合意を遵守すると、こううたった平壌宣言に北朝鮮は署名した後に、国際原子力機関の査察官を国外追放し、核不拡散条約から脱退を宣言し、しかも、なおかつ現在濃縮ウランを開発中であると、そう聞いております。  そう考えますと、この時点で経済制裁をしないというのは早計だと思いますし、まず、質問は、じゃ何をもって遵守違反とするのか。今時点で私は遵守違反していると思うんですが、何をもって遵守違反として経済制裁の可能性があるのか、この点についてお聞かせください。
  222. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。  首脳会談で、確かに総理の方から今御指摘のような形で、日朝平壌宣言を遵守している限りにおいては、その精神にかんがみて日本側としてはいわゆる制裁法を発動する考えはないということを向こうへ伝えたわけですけれども、これはあくまでも北朝鮮側が互いの安全を脅かす行為を取らない、あるいは国際法を遵守する等々、平壌宣言に従うことを前提として、日本側として現時点でいわゆるその制裁を発動する考えはないということを表明したものであります。  仮に、今後、北朝鮮が平壌宣言に違反する、又は事態を悪化させる、そういったような措置を取るような状況が出てくれば、これは当然、制裁措置を含めて日本政府として適切な対応を取らなきゃいかぬということで、そこはもう当然検討していくことになると思います。
  223. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 最後に、長官に一言お聞きします。  今回は総理という外交における最後のカードを早くも切りました。そして、制裁措置はなしであるとか、二十五万トンの食糧支援、一千万ドルの医療品支援という大変重要なカードをばんばん日本側として切った結果、得られたものは、先ほど申し上げたが、大変喜ばしいですが、五人の帰国。これは横田さんのお父様いわく、予想された範囲の最悪だという、こういう双方の成果物があったわけです。  これについて、私は、この外交交渉、この二十二日の軍配は北朝鮮と日本でどちらに上がったのか、この点が一点。それと、長官から見て、今回の訪朝について採点すると何点を与えられるのか、この点、端的にお答えください。
  224. 細田博之

    国務大臣細田博之君) 難しい御質問でございまして、なかなか正確にお答えできないと思いますけれども、日朝の問題は、本当に長い歴史の積み重なりの中で、しかも、核、ミサイルを保有したり、不審船があったり、拉致があったり、いろいろな不幸な出来事もたくさんあり、そして、やはり対話と圧力を用いなければなかなか動かない、一年八か月も動かなかったというような状況もございますので、今回大きく山が動いてきたといいますか、そういった扉が開かれてきたということは大きな意義があるわけでございまして、そういうことを評価していただく方も多いわけでございます。  他方、もっと強硬にかつ詳細に交渉すべきであるとか、様々な御批判もいただいているわけでございますが、総理の基本的姿勢は、東アジアにおいて決定的に対立するような国家が存在すること自体が、極東、我々日本人の安全に大きな悪い影響があるんだから、何とか前向きに、胸襟を開いて障害を取り除きながら、話し合っていこうじゃないかと、そういう思い一点なんですね。  もちろん、各論においては、その安否不明の方々の大きな問題ですとか様々あります。核、ミサイル、まだ未解決でございますので、そういったことを一歩一歩解決するということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  225. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 終わります。
  226. 和田ひろ子

    委員長和田ひろ子君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会