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2004-04-20 第159回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月二十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月二十日     辞任         補欠選任      岡崎トミ子君     大渕 絹子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         簗瀬  進君     理 事                 仲道 俊哉君                 西銘順志郎君                 森田 次夫君                 神本美恵子君                 吉川 春子君     委 員                 岡田  広君                 関口 昌一君                 竹山  裕君                 森元 恒雄君                 山崎 正昭君                 大渕 絹子君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 小林美恵子君                 黒岩 宇洋君    国務大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    小野 清子君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        警察庁次長    漆間  巌君        警察庁長官官房        長        吉村 博人君        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  近石 康宏君        国税庁課税部長  西江  章君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○暴力団員による不当な行為防止等に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院  送付)     ─────────────
  2. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁次長漆間巌君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 おはようございます。自由民主党の西銘順志郎でございます。  今日は、暴力団暴対法質疑をさせていただこうというふうに思っておりますが、やはりその前に何としてもこの警察一連不祥事の件に関してお尋ねをしなければなりませんので、与党ではありますけれども厳しい質問になるかもしれませんが、しっかりとお答えをいただきたいというふうに思います。  もう報道等でもよく私ども見させていただいておりますが、福岡県辺りでもいろんな問題が出ているようでございます。その前に、まず北海道警の件についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。  道警の、北海道警の四月六日における道議会総務委員会で行った弟子屈署における不正支出問題に関する中間報告では、道費捜査用報償費のほかに国費である捜査費についても不適正な支出があったということが明らかになりました。道警本部長が、事実と異なる会計書類が作成されたこと、つまり会計書類虚偽記載について謝罪をされたわけでございます。  中間報告によれば、平成十二年度の捜査用報償費約三十五万円及び捜査費約五十三万円のうち、三十三万円が現時点では使途不明、使途が判明した五十五万円についても三十一万円は目的外流用とのことでございます。  しかも、事情聴取を受けた捜査員は、捜査用報償費等を受領しておらず、支払精算書は下書きを渡されて、自ら不正を告発した斎藤邦雄弟子屈署次長指示で作成されたと。領収書にも見覚えがなく、協力者への謝礼も支払っていないというふうに述べられております。当時の署長二人には不正の認識があったというふうにされています。  一方、弟子屈署長に月額四万円から六万円のやみ手当が支払われていたとの告発に対して、中間報告では、元署長二人が受領を否定しているということを理由に、そのような事実はないというふうな報告でございます。  それでは、使途が判明した五十五万円あるいは目的外流用とされる三十一万円、目的にかなった使用をしたという二十四万円については、だれにどのような調査を行ってそのことを確認したのでしょうか。中間報告については、私は多くの国民が注視をしているというふうに思います。その信頼性にかかわることでございますので、国家公安委員長の御答弁をお願いを申し上げたいと思います。
  6. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先生からの御質問お答えをさせていただきます。  北海道弟子屈警察署におきましては、平成十二年度分の国費捜査費及び道費捜査用報償費合わせた八十八万円に関し不適正な予算執行が判明いたしましたことは誠に遺憾でございます。  調査では、支出関係書類確認いたしますとともに、支出関係書類を示しながら、捜査用報償費等執行をした捜査員や当時の署長等関係職員から事情聴取を行いまして、その際、手控え等に基づいた説明をさせるなどをいたしまして、具体的な執行状況を明らかにしていったものと承知をさせていただいております。また、元次長が作成いたしましたメモにつきましても、事情聴取時に必要に応じ関係者に提示をし、事実関係確認を行ったものと承知をいたしております。  北海道警察におきましては、道公安委員指示を受けまして、捜査員その他の関係職員から聴取するなど、鋭意調査を進めているところでございますが、現在、弟子屈警察署における平成十三年度及び十一年度の執行状況を含めて引き続き必要な調査を進めて、失礼いたしました、平成十年度及び平成十一年度の執行状況を含めて引き続き必要な調査を進めているものと承知をいたしております。
  7. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 この中間報告、そのまま受け止めるという形になれば、報償費等のこれ全額がやはりこれは裏金化されたんではないかと言わざるを得ないわけでございます。道警は、北海道警察は、現時点調査範囲では平成十三年度から十五年度までについては不適正な執行は認められない、十三年度から十五年度は不適正な執行は認められないとしておるわけでございますけれども平成十二年度に限って組織ぐるみ的な不正をする必要があったとは私は思えません。  道警の、北海道警の不適正予算執行問題の発覚は、旭川中央署事案に続いて二例目でございます。特別監査に入った道の監査委員に全面的に協力をして、説明責任を十分に果たすのは当然のこととして、内部調査に対する不信感を払拭するためにも、六月に予定される最終報告に向けて、北海道警自ら積極的に全容解明を図っていく必要があるというふうに私は認識をいたしております。  国費である捜査費の不適正執行が明らかになった以上、公安委員長は、あるいは警察庁は、北海道警察本部長や道の公安委員会に対して、事実解明に向けて、法令上のあらゆる権限と責務を行使すべきであると考えておりますが、大臣の本当に強い決意をお聞かせをいただきたいと思います。
  8. 小野清子

    国務大臣小野清子君) あらゆる権限をもって、権限責任をもってという先生の御質問でございますけれども、具体的な面を一つ一つ明かしていくということが最も重要なことであろうかと思います。捜査員支出関係書類を示しながら、一つ一つ執行状況確認し、捜査員からは事件名、それから接触状況謝礼等交付状況などについて具体的に説明を受けるなど、その執行状況確認されているものと承知をいたしております。  こうした具体的な調査の結果、過日発表されました途中経過報告では、平成十三年度以降は現時点まで不正がなかったと認められておるわけでございますけれども、今先生お話ありましたように、私どもは、国家公安委員会におきましては、警察に対しまして会計経理をめぐります不正事案早期に解決するように指示をしているところでございまして、そのためには現在も事案全容解明のため引き続き調査が行われておりまして、その調査全容が明らかになりました段階では厳正に対処してまいりたいと、その決意でさせていただいているところでございます。
  9. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 大臣平成十三年度から十五年度に不適正な執行は認められなかった、なぜ十二年度だけにやるんですかというようなことをさっきお尋ねさせていただいたわけであります。いろんな形の中でお調べになっておられるのでしょうけれども、この十二年度だけ組織ぐるみ的なそういう不正流用があったのかというのを、その辺少しお分かりになるのであればお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  10. 小野清子

    国務大臣小野清子君) なぜかという、北海道警察によります調査では、支出関係書類確認いたしますとともに、支出関係書類を示しながら、先ほどから申し上げておりますように、一つ一つ確認をさせていただきました。そういった経過の中で、十三年度以降はないということでございまして、十二年度においてなぜそのようなことが行われたのかということは、正にざんきに堪えないと申し上げる以外ございません。
  11. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 それでは、会計検査院、御出席いただいていますので、やっぱり北海道警国費である捜査費不正流用を認めた件について、それについて会計検査院、何か今年度における警視庁を含む警察本部調査を実施するというふうにお伺いをいたしておりますが、これ、会計検査院存在意義、そういうものを懸けて是非徹底的に調査をしていただきたいと思うんですが、決意のほどをお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 石野秀世

    説明員石野秀世君) お答えします。  警察捜査費等に関しましては、今お話し北海道警察を始めとして様々な報道等がなされていることは十分承知しております。重大な関心を持っておるということでございます。  今回報道等されました事案につきましては、現在、警察庁検討委員会あるいは県警の調査チーム等において事案解明しているということでございますので、その状況を十分注視するとともに、その調査結果が明らかとなりましたものについては、その内容を我々として検討し、必要に応じて実地検査をするというふうなことで検査を進めてまいりたいと考えております。  これまでも警察検査に当たりましては、物品購入役務契約だけでなく、今お話し捜査費につきましても重点を置いて検査してまいったところでございます。今後、更に検査手法を工夫するというふうなことで、より一層厳正に検査してまいりたいと考えております。
  13. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 是非しっかりと検査をしていただきたいというふうに思っております。  今回明らかとなった北海道、静岡、また最近では福岡一連不祥事は、やはり警察官倫理観あるいはモラル、正義を実現する責任感使命感、さらには警察組織そのものに対する国民信頼と期待を私は著しく低下させたというふうに思っております。  しかしながら、私たちは、反面、国民の守りとして危険に身をさらしながらも急増する捜査の、犯罪捜査取締りを一生懸命やっておられる警察官方々、あるいはテロの警戒警備に本当に暑い中、寒い中、全身全霊を傾けて全力を挙げておられる一人一人の警察官の姿を目の当たりにすることができるわけであります。こういう一連不祥事の代償が職務に精励する警察官の士気の低下になってはならないというふうに私は思っております。国家公安委員長大臣はこのことを肝に銘じて、特にその幹部警察職員に対する綱紀を正していただきたい。また、こういうような事件再発防止に関して本当に、大臣の本当に心強い、是非もう、これはもう二度とあってはならないという強い決意をお聞かせをいただきたいというふうに思っています。
  14. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 会計経理をめぐります問題につきましては本当に残念な一語に尽きるわけでございますけれども国家公安委員会では既に警察庁に対しまして、とにかく事案早期に解決すること、そして、今先生おっしゃいましたように、国民信頼を取り戻さなければならないというふうな観念の下に、関係道府県にそれぞれの公安委員会指示を受けまして全容解明に当たるということに鋭意努力をさせていただいているところでございますが、とにかくその不祥事の原因につきましては、一概に述べることは大変難しゅうございますけれども、やはり不祥事を起こした個々の職員職務倫理観というもの、これに尽きるものと思いますし、また、先生がおっしゃいましたように、幹部指揮監督あるいは業務管理の不足、これを非常に感ずるところでございます。  不祥事未然防止重点を指向いたしました監察の実施や、あるいは職務倫理教養充実業務管理の徹底というものを今後とも諸対策を検討しながら進めてまいりたいと思いますし、いわゆる不祥事処理状況及び再発防止対策推進状況については適宜適切に報告を受けておるところでございますけれども第三者的立場からのチェックの指導を今後ともきちんと続けてまいりたいと、そのような決心でおります。
  15. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 大臣、先ほど申し上げましたけれども、本当に暑い中、寒い中、一生懸命頑張っておられる警察官方々がたくさんおられるわけでありますから、私たちはそういうことを本当に目の当たりにして、一連不祥事が、こういう警察官方々が本当に意気消沈をしてしまうことを大変恐れておるわけでございまして、どうかそういう意味大臣のこれから叱咤激励を、特にその幹部職員に対する叱咤激励お願いをしたいというふうに考えております。  一連警察不祥事に関しましてはこれで終わらせていただきたいというふうに思います。  暴対法の一部の改正についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  暴力団不法行為から一般市民のいろんな生活企業等の健全な経済活動を守ることを目的として平成四年三月にこの法律施行されたわけでございますが、施行後十二年を経て、この間、指定暴力団と非指定暴力団の数及び構成員等の数を、あるいはまた資金源状況対立抗争発生銃器等使用状況暴対法違反を含む犯罪類型別検挙状況、あるいは暴力的要求行為及び準暴力的要求行為に対する中止命令等推移について、経緯について御説明お願いを申し上げたいというふうに思います。
  16. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 平成十五年末での指定暴力団の数は二十四団体でありまして、その暴力団構成員数は約四万一千人であり、全暴力団員構成員の九二・三%を占めております。また、非指定暴力団構成員は約三千四百人を把握しております。  次に、暴力団資金源犯罪状況でありますけれども暴力団は、覚せい剤の密売とか賭博、のみ行為みかじめ料用心棒料徴収等の伝統的な資金源活動に加えまして、金融不良債権関連事犯交通事故示談等に係る民事介入暴力企業対象暴力等による資金源活動を行っているところであります。また、最近におきましては、合法的な企業、まあ産廃業等でありますが、の経済活動に積極的に介入したり、右翼活動等政治活動とか社会運動を標榜するなどして資金獲得活動を行っている。このほか、近時では、山口組傘下の五菱会事件にも見られましたように、他人名義の口座や携帯電話を利用したやみ金融を営むことによりまして資金獲得を図っているということも見られまして、その多様化巧妙化がうかがえるところであります。  次に、暴対法施行後、平成五年以降の数字になりますが、の対立抗争発生状況及び銃器等使用状況でありますけれども平成四年三月に暴対法施行されましたが、平成五年から平成十五年までの間における指定暴力団相互間の対立抗争、又は指定暴力団内部内部抗争でありますが、内部抗争発生事件数は八十二件、当該抗争によります暴力行為発生回数は四百七十一回に上っており、依然として後を絶たない状況にあります。このうち銃器使用暴力行為は四百十回に上っておりまして、全体の八七・三%を占めており、一般市民生活の平穏を著しく害している状況が認められます。  次に、暴対法違反を含む犯罪類型別検挙状況でありますけれども平成十五年における暴力団員の総検挙件数は約五万三千件、総検挙人員が約三万五千人であります。暴力団検挙人員罪種別に見てみますと、覚せい剤取締法違反が最も多くて約六千人であります。総検挙人員のうちの二〇%を占めているところであります。次いで傷害が約四千六百人で約一五%、次いで窃盗三千四百人。暴対法違反につきましては十七人で〇・〇六%となっております。  近年の傾向罪種別検挙人員推移で見ますと、覚せい剤取締法違反賭博及びのみ行為等の伝統的な資金源犯罪は年々減少をする傾向にありまして、特に賭博、のみ行為は、十年前に比べましてそれぞれ約五分の一、約十三分の一に減少している状況であります。一方、強盗は十年前に比べ約二・三倍に増加窃盗は約八〇%増加しております。また、やみ金融事犯等関係が疑われる出資法、貸金業規制法違反検挙人員が、平成十四年から十五年の一年間でそれぞれ約三・八倍、約二・五倍にそれぞれ増加しているところであります。  なお、暴対法違反につきましては、平成十二年以降、検挙件数人員とも増加傾向にありますが、その多くがみかじめ料用心棒料に関する暴力的要求行為を禁ずる旨の命令違反する、命令に対する違反であります。  以上であります。
  17. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 本当に暴力団対立抗争市民巻き添えにするわけでございますから、大変市民にとっても脅威になるということでございます。  本年二月に東京、千葉など四都県で発生した暴力団飯島会指定暴力団山口組系山健組抗争では、組員が三人死亡と二人が重傷を負ったほか、二人の一般市民巻き添えで負傷したということになっておるわけでございます。この抗争事件捜査過程で、警察庁関係者から、暴力団が広域化するとともに、暴対法対象となった指定暴力団活動が潜在化したため、警察情報収集が困難を増しているというような声が出ているというふうに新聞で報道されておりました。  暴力団対策については、例えば総会屋整理屋などの反社会的勢力とのボーダレス化、あるいは先ほどおっしゃられましたけれども、外形上は合法的な企業活動を行いながら暴力団資金面で支える企業舎弟、あるいは経済やくざ存在、また最近ではやみ金融あるいは情報通信技術を悪用した組織的詐欺等もあるわけでございまして、どうも最近新聞等を騒がしておりますおれおれ詐欺暴力団が絡んでいるんではないかというような話もあるわけでございまして、活動形態あるいは資金獲得活動が非常に巧妙化をしているということで、大変取締りが難しくなっているんではないのかなというようなことでございます。  こういうような現状の中で、暴力団対策法律上の課題、対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  18. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 御指摘のように、暴力団資金獲得活動は、企業を装う資金獲得活動政治団体による政治活動や、人権、環境問題に係る社会運動等を装う資金獲得活動犯罪によって得た不法収益他人名義に振り込ませるなどの隠匿行為、また組織上位者親分でありますが、親分が自らは犯罪に手を染めずに収益のみを獲得するという形態が見受けられるなど、非常に巧妙化しております。  このように巧妙化する暴力団資金源犯罪に対しましては、警察ではあらゆる警察活動を通じましてその実態解明及び事件検挙を図るとともに、関係機関との連携や暴排条項活用による業からの排除、民事暴力民事介入暴力に対しまして暴対法に基づく行政命令積極的発出組織的犯罪処罰等に規定する不法収益隠匿収受に係る規制活用等対策を推進しているところであります。
  19. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 今回の改正法案意義についてお伺いをしたいというふうに思いますが、今部長答えられました。  改正案の主たる内容は、指定暴力団抗争巻き添えになった被害者救済を図るため、傘下組員抗争他人の生命や財産に損害を与えた場合、当該組員のほか、所属組織組長やその上部組織組長に対しても被害者民事上の損害賠償責任を問えるということであります。組長等の無過失損害賠償責任を導入しようとする点で、被害者訴訟負担を軽減したり現実的な救済に向けて大きな前進になるものだというふうに評価をしたいと思います。また、指定暴力団のトップを相手とする損害賠償請求訴訟が容易になることから、市民を巻き込んだ対立抗争発生を抑制し、資金的な面でも組織弱体化することが期待できるというふうに思います。  今回の改正案の全般的な意義について、政府の御説明お願いを申し上げたいと思います。
  20. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 暴力団対立抗争等は後を絶たないという、このような現状にかんがみまして、この十年間で巻き添えになった一般市民方々犠牲者数は、死者が二名、負傷者八名にも上るわけでございます。  このような被害回復充実を図るためには、より高い資力を有すると見られる当該指定暴力団代表者のいわゆる損害賠償責任の追及を徹底する必要があることから、指定暴力団代表者等対立抗争等により伴う不法行為につき無過失損害賠償責任を負うこととするという規定を設けるものでございます。これによりまして対立抗争等による被害回復充実が図られますほかに、副次的には対立抗争発生抑止力にもつながるものと考えられます。  今後とも、暴力団員不法行為による被害回復の更なる充実を図るほか、それから暴力団組織実態解明を徹底しまして、弱体化を図り、あるいは壊滅に向けた諸対策を強力に推進するように警察を私ども督励してまいりたいと、そのように考えております。
  21. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 私ども沖縄県でも高校生がアルバイトをしている最中に暴力団に撃たれて死んだということもございますし、また暴力団の見張りをしていた警察官が車の中で暴力団に撃たれて死んだということもございまして、本当にそういう意味ではしっかり取締りをしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。我が沖縄県だけでもう三人のそういう被害者が出ておりまして、つい最近では平成十四年度に、これは暴力団同士抗争であったんですけれども、もう路上でけん銃を発射して相手組員を撃ち殺したというようなこともございまして、よく市民巻き添えにならなかったなというような思いをしているところでございます。しっかりとしたひとつ対応をお願いをしたいというふうに思うわけでございますけれども。  万が一これ被害一般市民被害を受けたときに、非指定暴力団組員の場合であっても、相手が、加害者がそういう非指定暴力団であっても、指定暴力団組員と同じように救済の道がやっぱり開かれるべきだというふうに私は思っております。先ほど申し上げました暴力団飯島会系とそれから山健組山口組系山健組抗争を例に取ると、これ、指定暴力団である山口組系傘下山健組加害者が、加害者である場合は今回の改正で導入される救済措置が適用されるわけでありますけれども、飯島会の暴力団加害者であった場合は一般市民救済されないんではないかというような、非指定暴力団指定暴力団というような分け方をするとそういうようなことも出てくるんではないかというふうに心配するわけであります。  どちらも暴力団員ではあるんですが、被害を受けた方は、これは非指定なのか指定なのかというのが分からないというのが現状だろうというふうに思いますので、その辺についてひとつお聞かせをいただければなというふうに思います。
  22. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 御指摘のとおり、本年二月、非指定暴力団飯島会指定暴力団五代目山口組傘下山健組組織との間に対立抗争が生じまして、これに関連すると見られる合計十二件の暴力行為が連続的に発生したところであります。  このような非指定暴力団指定暴力団の対立により生じた暴力行為につきましては、当該暴力行為指定暴力団によるものであっても、また非指定暴力団によるものであっても改正法は適用されないということになっております。これは、指定暴力団同士の対立抗争事件に伴う暴力行為による不法行為ということになっておりますので、片一方が非指定暴力団、例えば今回であれば飯島会というのが片一方の当事者ということであれば、どちらが加害者になっても今回の法律には適用できないというふうな規定になっております。  こういうことでありますけれども、このような場合でありましても、当該暴力行為の実行行為者が所属する暴力団代表者等について、民法七百十五条、使用責任又は同法の、民法の七百十九条、共同不法行為、所定の要件を満たせばこれらの規定に基づきまして上位組長損害賠償責任が成立するということになりますが、これは従来の民法の適用と同じ、同様ということになります。
  23. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 どうも今ちょっとよく分からなかったんですけれども指定暴力団と非指定暴力団、どちらかが加害者になっても一般市民巻き添えになったときは救済措置が受けられるというのが私は今回の改正の大きな意義だというふうに思っていたんですが、そうじゃないんですか。ちょっともう一回お聞きしたい。
  24. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 今回の改正法によりますと、指定暴力団同士の対立抗争に伴う不法行為という……
  25. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 非指定ではできないと。
  26. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 片一方が、非指定同士、また片一方が非指定であればこの改正法の適用はできないということになっております。  いずれにいたしましても、大半が指定暴力団同士の、今回は非常に希有な例というか、暴力団対非指定暴力団対立抗争、非常に希有な例でありまして、大半、九八%ぐらいだったと思うんですが、ここにちょっと今数字を持ち合わせておりませんが、ぐらいは指定暴力団同士の対立抗争に伴うと。それで、一般民間人が被害を受けたということになりますと、ほとんどすべてが指定暴力団同士の対立抗争ということでありますので、この改正法で救済措置というのは十分行われるというふうに考えております。
  27. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 分かりました。しかし、一般市民指定暴力団なのか非指定暴力団なのか分かりませんから、巻き添えになったら巻き添えになったで被害を受けるわけでありますから、ここいらはひとつ近い将来、是非改正されることを希望したいと思います。  暴力団の壊滅に向けてはもう警察の皆さんが一生懸命頑張っておられることを高く評価をするわけでございますけれども、是非一般市民に危害が及ばないように、なお一層の皆さんの御奮闘をお願い申し上げまして、質問を終わります。
  28. 神本美恵子

    神本美恵子君 おはようございます。民主党の神本美恵子でございます。  今国会では、また本委員会では、警察法の改正、道路交通法の改正、そして本日の暴対法改正警察関連の法案の審議が続いておりますけれども、加えて、今ほど西銘委員の方からも言われましたように、警察の不正経理という警察自身の大きな問題もこの委員会としては取り上げてまいったわけですけれども、この間、次々と不正が広がりを見せているというふうに思っております。今日の審議も含めて、今後鋭意取り組んでいかなければならないというふうに思っております。  そこでまず、議題となっております暴対法について幾つか御質問をさせていただきたいと思います。  この暴対法とさきに行いました警察法の改正との関連で一点目、御質問でございますけれども、今月、四月一日より、警察法の改正施行によって、警察庁刑事局の暴力団対策部が廃止されて組織対策部を設置されております。暴力団対策と薬物・銃器対策、来日外国人犯罪対策を一体的に推進するということになっております。これに伴って警察庁組織令や施行規則が改正されたとのことでありますけれども、その中で、暴力団対策、さらに暴対法に関連する組織が四月一日に大幅に組織改編されたということであります。  まず伺いたいのは、新たに設置された組織犯罪対策部における企画分析課、犯罪組織情報官、さらに暴力団排除対策官など、これら新組織の所掌事務の内容と役割分担について、暴力団対策との関連について、国民にというか私にも分かりやすく御説明お願いしたいと思います。
  29. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 暴力団犯罪に関しましては、従来の暴力団組織の威力を背景としたものに限りませず、外国人犯罪組織と連携した集団密航事件、また異なる暴力団に属する者や来日外国人等の多種多様なグループが、グループを構成して行う薬物事犯等、自らが属する組織と直接かかわらない形態による犯罪も多数敢行されているところであります。  こういった状況を見まして、警察庁におきましては、組織犯罪対策部を設置し、同部に新設された企画分析課におきまして、暴力団を始めとする犯罪組織及びこれらの組織を背景とした犯罪に関する情報の集約、分析、組織犯罪に関する総合的かつ統一的な取締り戦略の立案、立案された取締り戦略に沿った捜査調整等を行うこととしており、同課に新設されました犯罪組織情報官においては、企画分析課の所掌事務のかなめともいうべき情報の集約及び分析を担うものというふうに考えております。  これによりまして、従来、複数の部門におきまして別々の観点から行われてきました組織犯罪に関する業務を統一的に行うことが可能となることから、これまで以上に暴力団弱体化及び壊滅に向けた諸対策を推進できるものというふうに考えております。  また、暴力団対策課に新設されました暴力排除対策官におきましては、地域、職域からの暴力団排除、暴力団相手とした民事訴訟の支援、各種業からの暴力団排除、暴力追放運動推進センターに関する業務等を専門的、統一的に担当することとしたところでありまして、これによりまして、社会経済情勢に応じて変化する暴力団資金獲得活動等に機動的に対応した総合的な暴力団排除活動を推進してまいることとしております。
  30. 神本美恵子

    神本美恵子君 組織改編によって暴力団対策が強化されるというふうに受け止めてよろしいんですね。  次の質問なんですけれども、今、西銘委員もおっしゃいました指定暴力団以外の暴力団抗争による被害について、同じ質問になるんですけれども、今回は指定暴力団というふうに限定をされておりますが、指定暴力団というのは、警察庁の資料によりますと、平成十五年末で構成員が四万一千人、全暴力団構成員の九二・三%というふうになっております。ですから、多くは指定暴力団であるのでという限定なのかもしれませんけれども、逆の見方をすれば、残りの構成員七・七%分の三千四百人というのは今回の改正から漏れてしまうわけですね。  そこで起きた抗争による一般住民の被害ということについて、従来の方法でその被害救済されると先ほど御答弁がありましたけれども、もうあえてここをこんなふうに限定しないで、全部網羅できるような法律にできなかったのかなということが単純なというか素朴な疑問でありますけれども、それについてと、それから、じゃ取りこぼしがないように、非指定暴力団抗争による被害について従来どおりというのではなくて、何か、何か取りこぼしがない取組がないものかということをお伺いしたいと思います。そういうことを考えていらっしゃるかどうか。
  31. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 先ほども申し上げたとおりでありますけれども指定暴力団同士の対立抗争が大半でありまして、非指定暴力団同士の対立抗争ないしは指定暴力団と非指定の暴力団対立抗争は非常にまれな例であります、先ほど申し上げたように飯島会の例がございましたけれども。  それで、非指定暴力団がなぜこの救済措置の中に入ってこないかと申しますと、やはり非指定暴力団というのは一人一党というのもありますし、また雨後のタケノコのように出たり消えたりというか、そういうのも非常にあって、これが暴力団であるかないかというのは、我々としては、日常それを指定して、指定業務に非常に、指定といいますか、暴力団の認定、指定暴力団じゃなくて普通のそれ以外の暴力団の認定というものに努力してまいっておるところでありますが、非常に難しいということで、その過程で暴力団と、暴力団指定暴力団はがっちり固定しておるんでありますけれども、それ以外の暴力団というのが、これは暴力団なのかそれとも普通の不良とかいうのの集まりなのか、非常に難しいところもありまして、なかなか指定暴力団同士というふうにしないと法の救済措置の網には難しいんではないかという事情もございました。  また、繰り返しになりますけれども、大体、指定暴力団同士の対立抗争ということで一般の人たち救済措置というのは網羅できているのではないかということもございまして、今回の改正法を提案させていただいたという経緯でございます。  しかし、これらの対立抗争被害者、非指定暴力団が絡む対立抗争被害者につきましても、これは、やった本人につきましては、民法上の救済措置としては七百九条、やった実行行為者に対しては七百九条が用いられますし、また上位の組長クラスの責任につきましては七百十五条ないしは七百十九条という規定の要件を満たせば、暴力団親分、首領等に対する損害賠償請求を行い得るのは従来のとおりでありますけれども、この従来の民法の救済規定、これにつきましても、今回の改正法が適用になれば、今まで以上に各種警察活動を通じて収集した暴力団情報の可能な限りの提供とか、裁判における警察職員の証人出廷の積極的な対応とか、原告に対する保護対策の徹底等、従来以上に行ってまいりまして、被害者救済措置、訴訟の円滑化等も図ってまいりたいというふうに考えております。
  32. 神本美恵子

    神本美恵子君 指定暴力団に限定したということは、そのほかのは非常に認定しにくいという理由は分かりました。これまで以上に、従来の民法による被害救済というところに、被害者の方に保護をしたり支援をしたりするというふうに受け止めましたので、是非そのようにお願いをしたいと思います。  それから次に、今回の改正では、暴力行為を凶器を使用してのと、指定暴力団同士あるいは内部の対立抗争であるということと、もう一つの要件として凶器を使用しての暴力行為というふうに限定をされておりますけれども、これも実態としてはほとんどが凶器を使用したものとなっているということでそういうふうに限定をされたということだというふうに思いますが、巻き添えを食う市民の側から見れば、凶器を使用したものであろうとそうでなかろうと、そういう暴力団同士抗争というものは非常に日常生活の中でも不安を与えるものだというふうに思うんですね。  ですから、そう考えれば、凶器を使用してというふうに限定する必要もないのではないかと、そうではない部分は非常に少ないわけですけれども、そこを外さないで、もう抗争による巻き添えであれば全部対象にしたらどうかというふうに思うんです。これも素朴な疑問なんですが、いかがでしょうか。
  33. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 御指摘のとおりでありまして、平成六年から平成十五年までの十年間における対立抗争における不法行為の態様を見ますと、約九八・二%がけん銃等凶器を使用した暴力行為であります。また、凶器を使用しない暴力行為によって巻き添え被害が生じたということは今までは皆無でありますし、今後も考えられないということ、それで本法の適用を凶器を使用しての暴力行為に限定するということにしたものでありますけれども、この凶器と申しますものは、けん銃とか日本刀とか典型的な暴力団が使う凶器のみではございませんで、バットとかそういうふうなのも用法上の凶器ということで、ほとんどの場合、素手で何か殴り合うというのを別にしまして、暴力団不法行為を行う場合には何らかの物を持ってやるというのが大半でありましょうけれども、そういう面では素手を外したというだけの気持ちの条文というふうに理解していただいて結構だと思いますので、これであれば、これで一般の人が救えない状況が出るのかということになると、まず考えられないというところであります。
  34. 神本美恵子

    神本美恵子君 素手以外は凶器と、凶器というふうにとらえていいんでしょうかね。それでよろしいですか。
  35. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) タオルとかその辺になるとどうなるか分かりませんけれども、いわゆる一般に考えられる人を傷付けるもの、物を壊すもの等は、大体用法上の凶器ないしは純粋の凶器ということで大丈夫かと存じます。
  36. 神本美恵子

    神本美恵子君 分かりました。私は、それこそけん銃とか日本刀とかナイフとかというふうに限定されているものかというふうに思っておりましたけれども、そうではないというふうに受け止めたいと思います。  次に、こういう暴力団対策が強化されればされるほど、また社会情勢が高度複雑化していくほどに暴力団自身も高度化していくといいますか、様々な形態に形を変えながら生き延びていくものではないかというふうに思います。そういうふうに考えますと、暴力団対策が、暴力団という団体に着目して取組を考えていくより、むしろその行為そのものに着目して対策を考えていかなければいけないのではないかというふうに思っております。  その行為そのものに着目するということは、例えば民事介入暴力、民暴ですね、それから地方公共団体や行政の、行政機関やその職員対象として行う暴力団員の不法不当行為というような、いわゆる行政対象暴力、こういったもの、それからまた最近では、やみ金問題と暴力団のつながりも指摘されたりもしておりますが、こういう民事暴力対策や行政対象暴力対策といったようなものが今後の暴力団対策としては必要ではないかと思います。  それについては、様々な関係機関との連携協力が不可欠だと思いますけれども、そういう暴力団対策、今日的な暴力団対策として全体的に、国家公安委員長の方からその対策に対する決意をお伺いしたいと思います。
  37. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 警察におきましては、暴力団員民事に介入いたします、いわゆる違法不当な要求を行う、そのような民事介入暴力に関しましては、その内容に応じまして、いわゆる事件検挙暴力団対策法に基づく中止命令の発出等によりまして厳正に対処している、対処するとともに、事件検挙や中止命令に至らない事案でありましても、弁護士会やあるいは都道府県の暴力追放運動推進センターとの協力体制の確立によりまして、関係者に対して必要な援助を行うなど、被害の防止又は被害回復に努めているものと承知をいたしております。  他方で、近年、暴力団等が行政機関又は職員対象といたしまして違法不当な行為を行い、資金源としている実態が顕著となってまいりましたことから、このような状況を踏まえまして、いわゆる警察では暴力団資金源を封圧するとともに、行政の健全性を確保するという観点から、平成十四年の十一月に、都道府県警察に対しまして、行政機関との連携の強化、それから行政対象暴力の取締り等の強化、保護対策の推進等を指示いたしますとともに、平成十五年の七月には国レベルにおきましても、関係省庁の担当課長等により構成いたします行政対策暴力に関する関係省庁等連絡会議を開催をいたしまして、関係省庁との連絡を密にいたしまして、行政対策暴力の未然防止と排除の徹底に努めているものと承知をいたしております。  委員御指摘のとおり、このような事案に対しましては、警察だけではなくて、関係行政機関、あるいは弁護士会、それから都道府県暴力追放運動推進センターとの一体となった取組がもう不可欠であると認識をいたしておりますので、今後とも、これらの関係機関との連携を強化いたしまして、諸対策を講じるように警察当局を督励してまいりたいと考えております。
  38. 神本美恵子

    神本美恵子君 では、法案につきましてはここまでにさせていただきまして、次に、いわゆる警察の不正経理等にかかわる問題についてこれから質問をさせていただきたいと思います。  この間、本委員会も、それから衆議院の内閣委員会の審議も含めて、この問題については、国家公安委員会の指導の下、警察庁予算執行調査委員会を設置して全容解明をしていくということを繰り返し国家公安委員長も御答弁をなさっております。そのことは了とするんですけれども、その中身が、この間の経緯を見てみましても、非常に不十分であるというふうに私は率直に申し上げたいと思います。  どこが不十分かと申しますと、例えば、事実解明、真相解明といいますか、そのことはこの予算執行調査委員会あるいは県の公安委員会監査委員会で、監査委員会で行われてきているんですけれども、なぜこういうことが起きたのかというその原因究明といいますか、そのことが常に併せて、事実が明るみに出たら、なぜこういうことが起きたのかということが行われなければいけないということが一点と、それから、その責任はどこにあるのか、こういうことが起きてしまった責任は、責任の所在はどこにあるのかというその明確化がなされていないのではないか。そういうことが明らかになって、それが真相解明でありますし、解明されて、それを再び起こさないようにと。それから、再発防止のための改革や改善が行われていくというふうに思うんですが、この間見てみますと、次々と様々な警察庁から通知、通達が出されて、それは非常にせっぱ詰まって必要なものもありますけれども、何かちょっと、抽象的に申しますと、ふたをするというか、糊塗するというか、何かそういう印象も、まあこれはまあ今の時点では印象というふうに申し上げたいと思いますが、そういう思いが、非常に私はこの間思いを持っております。  それで、具体的な御質問に入りたいと思いますけれども、まず、北海道弟子屈署の不正経理問題ですが、旭川中央署に引き続きまして、弟子屈署の裏金について北海道警察本部、去る四月六日に中間報告をまとめ、四月七日には芦刈北海道警察本部長が裏金を認め、謝罪をされております。この点につきまして、まず、国家公安委員長はこの事態をどのように受け止めておられるのか。また、警察庁としては北海道警察本部からどのような報告を受けていらっしゃるのか。そして、この報告を受けて、国家公安委員会警察庁としてそれぞれどのような対応をお取りになるつもりか。  恐らく、中間報告ですから、まあ推移を見て最終的な報告が出た後にしかるべく対処してまいりたいという御答弁だと思いますが、それに限らず、それ以上の言葉を是非、先ほど冒頭申し上げましたように、原因究明や責任の所在を明確化するという、そういうことも含めて、まず冒頭、国家公安委員長警察庁の方から御答弁をお願いします。
  39. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 北海道弟子屈警察署におきます平成十二年度の国費捜査費及び道費捜査用報償費合わせまして約八十八万円に関し、不適正な予算執行が行われましたことは誠に遺憾でございます。  北海道警察におきましては、道公安委員会指示を受けまして、捜査員その他の関係職員から聴取するなど鋭意調査を進めているところでございますけれども、現在、弟子屈警察署における平成十年度及び平成十一年度の執行状況を含めまして、引き続き必要な調査を進めているものと報告を受け、承知をいたしているところでございます。  国家公安委員会指示を受けまして、警察庁におきまして既に会計経理をめぐります不適正事案早期解明や、あるいは会計経理の一層の適正化について検討を進めているところでありますけれども弟子屈警察署事案につきましても、その全容が明らかになった段階で厳正に対処してまいりたいと考えておるところでございます。  なお、弟子屈警察署会計経理をめぐりましては住民監査請求が提起されておりますので、監査委員による監査が実施されているものと承知をいたしております。北海道警察におきましては、監査委員による当該監査の結果等勘案しつつ、可能な限り速やかに調査を終えまして、その結果を公表するものと考えております。  しかし、北海道警察の方からは、関係者からの聴取内容と元次長からの聴取内容の突き合わせがどうしても必要でございます。その件に関しましては、資料の確認等が必要であり、調査結果の取りまとめの時期を申し上げることは今ちょっと困難ではございますけれども、法と証拠に基づいてという警察の立場の中における次長からの聴取内容の突き合わせという問題が今停止しておりますので、そうしたことが非常に困難の一つになっているということを申し合わせつつ、ここまでの報告とさせていただきたいと思います。
  40. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 警察庁からの考えを申し上げたいと思いますが、二月に警察庁内に予算執行検討委員会を作ったわけでありまして、この目的は大きく二つございまして、一つは、過去の個別案件について、例えば北海道につきまして、静岡について、あるいは福岡について、それぞれ不適正事案発生をしておるわけでありますが、その事実関係について、当該道府県警と連絡を取りながら、どのような事実関係であったのかを早急に解明をしたいというのが一つであります。  二つ目は、現在から将来に向けて会計経理のより透明性といいますか、信頼性を確保するために、これまで全国の警察で取っておりましたいろいろな会計をめぐる書類でありますとか、いろいろな県の監査委員の対応の問題でありますとか種々ございますので、その点について一つ一つ点検、チェックをして、より良いものに改善をしていこうというのが二つ目であります。  委員おっしゃいました一つ目の問題でございまして、過去の不適正事案がいろいろあるではないかと、もう時間が掛かっているし、動機、原因あるいは責任はどうなのかということのお尋ねではございますが、これは、一つ一つの事案を見てまいりますと、例えば事柄の発端になりました北海道旭川中央署事案等においては、平成七年あるいは平成九年ということで非常に古い事案でございます。それから弟子屈についても、現在中間で報告をしておりますのは平成十二年度の事案でありまして、現在、今は、今現時点におきましては、先ほど大臣から御答弁ありましたとおり、十年、十一年度、それから十三年度から近時に向けての状況はどうだったのかということを一々チェックをしております。相当の書類にもなりますし、あるいは書類がない場合もあります。それから、関係捜査員なり関係者の数も多いということで、私どもの個人的な思いとしても、これは一日も早く事案解明をしたいとは思っておりますけれども、中途の段階で中途の事実関係を基にしてその原因、動機なり、あるいは責任関係ということを論じますと、これは最終的にはまた違ったものになってくる可能性もあるということで、まずは、少し時間が掛かっておりますけれども、それぞれの道県警の事案につきまして事実関係解明し確定をすると、その段階において、実際原因は何だったのか、あるいは取るべき責任はどういうものなのかということについては、その時点においてきちんと、これはもちろん、警察庁ももちろんでございますが、国家公安委員会にも御報告を申し上げて決まっていく筋合いのものではないかというふうに考えております。
  41. 神本美恵子

    神本美恵子君 今、今は調査の途中で原因や責任を軽々に言うべきではないと官房長の方からおっしゃいました。それはそのとおりだと思います。  この調査に当たっては、動機、原因、責任ということを考えながら調査に当たっていらっしゃるということを確認をさせていただきたいと思いますけれども、それだったら、先ほど西銘委員も御指摘になりましたけれども、なぜこの途中で二〇〇一年から三年にはなかったというようなことが言えるのか。また、これは新聞報道ですけれども、芦刈本部長は、中間報告にもかかわらず、すべてが次長に一任されていた、いかにもこの斎藤次長、告発された斎藤次長にだけ責任があるというようなことをもう言っているわけですよね。このことについて、官房長、どのように受け止められますか。
  42. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) お尋ね弟子屈署事案だと思いますけれども、二〇〇一年から二〇〇三年まで、これは、書類が正に新しいものですからそろっておりますし、十二年度の調査をするに当たりまして、十二年度の調査をし、それから十三、十四、十五と三か年でありますから、道警において取りあえずの、どのような執行状況になっているのかということについて調査をしたものと思います。したがいまして、二〇〇一年から二〇〇三年、十三年から十五年までのものについても確定的に全く問題はなかったと断言しているわけでは道警もないと思います。  それから、あくまで弟子屈署次長にすべての責任があるとは、それはいろいろ、物は取りようかもしれませんけれども、私どもはそうは見ておりませんで、当時の署長がどういう言動をしたのか、あるいはその次長指示を受けて組織の中の、弟子屈署の中の人間がどう動いたのかということについては、これは、これ、現在調査も進めておるところでございますけれども、これからの事実関係解明ということであろうと思いますので、最終的に次長責任があってほかに責任はないということは申し上げるつもりも私どもとしてはありませんし、そのようなものではないと思います。
  43. 神本美恵子

    神本美恵子君 私、今手元に弟子屈署中間報告そのものがちょっと間に合わなくてないんですけれども、今官房長、もう一回確認しますけれども、二〇〇一年から二〇〇三年にはなかったというふうには断言していないわけですね。報告書はどのようになっているんでしょうか。
  44. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 四月六日の北海道警察調査の途中経過報告によりますと、平成十二年度の捜査用報償費等執行については、正規の予算執行手続を経ず、あらかじめ月額交付された現金を捜査活動に要する経費あるいは捜査用報償費等として執行できない経費に用いるとともに、事実と異なる会計書類が作成されていたことが判明し、不適正な予算執行が認められた。また、平成十三年度以降の捜査用報償費等執行については、捜査員その他の関係職員の聴取結果として、現時点における調査の範囲では不適正な予算執行は認められないところである。なお、今後、平成十年度及び平成十一年度の執行状況を含めて引き続き必要な調査を進め、速やかに結果を得ることとすると、これが判断という部分に書かれてございます。
  45. 神本美恵子

    神本美恵子君 現時点でというふうに一定の限定が付いているというふうには思いますが、それにしても、新聞報道では、中間報告の段階で結論めいたことを本部長が発言をしているということは国民の目から見れば非常に違和感を覚えることでありますので、是非警察庁としては指導していただきたい。こういう態度では駄目だと。事実解明をしながら原因と責任の所在を明確にしていくんだから、この時点で、それこそ現時点でこういうことを言うべきではないというふうに私は申し上げたいと思います。  私は、前回の質問の中で捜査費経理の手引きについて御質問したんですけれども、これは毎年改訂されるというふうに御説明を受けましたが、一九九九年からこの二〇〇三年に掛けてどのように改訂がなされてきたのでしょうか。といいますのは、二〇〇〇年には不正があったけれども、二〇〇一年から二〇〇三年には不正が認められない。この捜査費捜査費経理の手引きが大きく変わった、手引きといいますか、変わったのは二〇〇一年に諸雑費制度が導入されたのと何か関係あるのかなというふうに感じましたので、お尋ねをしたいと思います。
  46. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 捜査費経理の手引きという冊子についてのお尋ねでございますが、結論的に申しますと、この捜査費経理の手引きというのは、二〇〇一年度、平成十三年度から作成をしているものであります。したがいまして、その前は、会計の手続でありますとかあるいは会計の書類等につきましての各種の教養といいますか教育については、会議ですとか講習等において第一線への周知を図っていたところでございますが、現場の捜査員に対してきちんとした形で捜査費使途あるいは決済方法、不足した場合の申請方法などを知らしめることが必要であろうということで、十三年度から各都道府県警察に配付をし、教養の徹底を図っているものでございます。  改訂についてお尋ねでございますけれども、これは前も委員に御答弁申し上げたかと思いますけれども平成十三年度にまず作りまして、十四年度になりまして、被害者の保護という観点で捜査費をもっと使っていくべきであろうということで内部で検討いたしまして、被害者の保護に要する経費などを捜査費として執行する場合はこういうところに使えるのではないかということではっきり明示をして書いたというのが、これは改訂点でございます。  それから、今年度、平成十六年度におきましての改訂は、正に従前から議論になっておりますが、本人名義領収書を徴取することができない場合には、捜査協力者への支払事実を証明するために、現金を支払った捜査員本人が捜査費を支払った日時ですとか場所などを具体的に記載することとした支払報告書の様式を定めましたので、それを改訂の際にそこに組み込みまして新しく配付をしたということであります。  ちなみに、四月の十二日でございますが、これはまあ、現場の捜査員の立場に立ってもっと分かりやすいものを作るべきではないかという御議論もございました。そこで、捜査費経理を分かりやすく説明をいたしました捜査員のための捜査費経理の手引きと、漫画入りのものでございますけれども、こういうものも作成をして、四月の十二日に各都道府県警察に配付したところでございます。
  47. 神本美恵子

    神本美恵子君 非常に早急なその取組、教育資料を出すとかいうふうにこの前御答弁いただいて、もう早速作られたということで、それはよしとするんですけれども。  それでは、この二〇〇一年の諸雑費制度が導入されて非常に捜査員、現場の捜査員、そのものを皆さんが使いやすくなった。そして今、教育資料として漫画入りの資料も配られて、こういうふうに捜査費というのは使うんですよということが分かりやすくなったということは大変迅速な取組でいいと思いますけれども、それでは、これまではどうしていたのかと。  この前の、私、質問でも、福岡の告発された元警部の方がおっしゃって大変印象的だったというふうに申し上げたんですが、捜査員はその捜査費存在そのものも知らなかった、どうやってそれを請求するのかということも知らなかったというような御発言がありましたし、この弟子屈署の方も、それから、後でちょっと触れますが、福岡県警に所属しておられる現職の警察官の方が県の監査委員に対して自分の経験を話された、それが新聞報道に出ていたんですけれども、一度もその捜査費と、架空の領収書は書くけれどもその領収書に値するお金を一度ももらったことがないし、だから、まして協力者に渡したこともないというような、こういう実態がなぜ続いてきたのか。  結局、その捜査費存在と、その捜査費をどのように実際の活動の中で使ったらいいのかということを現場の人がだれも知らない。そしてそのものが、それが全部裏金になっていたのではないかということが今問題になっているわけですよね。  ですから、この捜査費経理の手引き、あるいは捜査費のその請求の仕方というようなことが今、今になってやっと現場の人たちに渡るようになったということは非常に、それこそまだまだこれから解明されていくと思いますが、責任がどこにあるのかということは、このことからも私は警察庁、あるいは国家公安委員会として、このような事態が起きてきた原因の一つに、この捜査費に関する周知徹底がなされていない、そしてそのことがずっとこの諸雑費制度が入るまで、あるいはその後も、というふうに福岡の方はおっしゃっているんですが、今でも続いている、この二月まで続いていたというふうにおっしゃっているんですけれども、その問題が非常に大きな問題としてあるということを指摘したいと思います。  この捜査諸雑費制度の導入がなされたわけですけれども、芦刈本部長は、報道によりますと、二〇〇一年から二〇〇三年については、捜査員に対する事情聴取捜査協力者の実在や金品授受について十分な心証が得られたとして、道の監査委員の監査に当たって、協力者への事情聴取をしないことを前提として氏名を開示するというふうにおっしゃっております。  これでは、本当に謝礼協力者に払われたのか、領収書に書かれているとおりの金額だったのかという、いわゆるその領収書の裏付けというものができないんではないか、それをさせないということではないかというふうに思うんですけれども、これでは納税者は納得できないのではないかと思いますが、国家公安委員長、いかがですか。
  48. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 北海道警察調査におきましては、一般的には、捜査協力者に、自分の存在を公にするということが明らかになるということは、所在が確認されるということに対する疑念や不安を抱かせると、そういうふうなことから、今後の協力を受けることができなくなるおそれがあるために、捜査協力者に対する事情聴取というものを実施していないというのが現状でございます。しかしながら、調査の結果、証拠書類が掲載されている捜査協力者に対する支払事実がないと判明した場合には、それ以上の調査をする必要はないものでございます。  弟子屈警察署事案に関しましては、平成十二年度の道費捜査用報償費の証拠書類に記載されておりました捜査協力者に対する支払事実はないと認められましたことから、北海道警察におきましてはこれ以上の調査をする必要はないとの判断をし、監査委員による監査においてもその旨を申し上げる、申し上げているものと認識をいたしているところでございます。
  49. 神本美恵子

    神本美恵子君 する必要はないという判断は道警がしているんですよね。道の監査委員としては協力者への聴取をしたいというふうに言っているんですが、これについては国家公安委員会等、県の、同県の公安委員会との指導監督の関係や、後でちょっと触れたいと思いますので、次に行きたいと思います。  前回の質問で、今年の三月三十一日で保存期間が切れる九九年の会計書類について当分の間継続して保管するというふうに答弁を受けたんですけれども北海道警察においてもこの九九年度分についても調査を行われるんでしょうか。
  50. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) これは、先ほど申し上げましたように、弟子屈署は十二年度以降を一応見ておりますので、平成十年度と十一年度の執行状況を含めて引き続いて必要な調査を進めていくもの、現在しているものと思います。
  51. 神本美恵子

    神本美恵子君 はい、分かりました。  次に、書類の保管についてなんですけれども、これも前回の私質問のときに質問をさせていただいて、保存をするということについては、三月二十四日に警察庁会計課長名で、各都道府県警本部などに対して平成十六年三月三十一日に保存期間を満了する平成十年度、九八年度の会計文書については当分の間保存継続願いたいという、これは口頭連絡を行っているというふうに御答弁をいただきました。この件に関連して、先週の十六日、金曜日ですが、九州管区警察局が処分を発表しているというふうな報道があっているんですが、これについてまず御質問したいと思います。  三月二十四日の口頭連絡で当分の間保存継続するとされた文書を、まだ期限を迎える一日前の三月三十一日、午前中に破棄をしたという報道であります。口頭連絡で保存継続をされていることがどうしてこういう事態を招いたのか、事実関係について教えていただきたいと思います。
  52. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 九州管区警察局におきまして、平成十年度分の会計書類を保存期限の満了前に廃棄処分する事案発生をいたしました。誠に遺憾でありますし、情けない思いでございます。  事実関係を御説明をいたしますが、委員御指摘のとおり、三月二十四日に警察庁から九州管区警察局を含めてそれぞれの部局に、引き続き十年度の会計文書を保管を継続されたいということで、これは年度末を控えておりましたので、文書でやるよりも口頭でまずはやっておかないといろいろ不測の事態があってもまずいということが念頭にあったわけでもありますし、また従前から何度も申し上げておりますが、九州管区はこれは警察庁の問題でございますが、都道府県の文書ということになりますとこれはそれぞれの都道府県の文書管理規程の問題ということもありますから、そこらも勘案して口頭でやったわけでございます。それが三月の二十四日であります。  ところが、受けた九州管区の警察、九州管区警察局では、まずその会計課長が責任を持って当たるべきなんでありますが、会計課長が実は三月二十六日付けで既に異動の内示を受けていたということがありまして、その下の会計課の人間に各、九州管区内の各部、それから九州管内の各県警への連絡を任せておりました。それは全部やったんでありますけれども、九州管区警察局の正におひざ元の、自分のところの広域調整部と総務監察部については連絡を欠落をしてしまったというのが一つあります。  したがって、これは会計課の正に責任であるわけでありますが、それが一つございまして、かつ広域調整部の広域調整一課の庶務の係長が、広域調整一課と二課の分と合わせて、四月一日以降裁断をすべく準備をしておったんでありますけれども、まずその連絡が来なかったということと、それともう一つの問題は、この庶務の係長自身が四月一日付けで異動発令で、これも内示を受けておりましたので、自分が在任中に不要な文書は全部廃棄をすべき、そうしておいた方がよかろうという判断の下に、三月三十一日の午前中、これはたとえ十年度の会計文書の保管を継続されたいという文書が行こうが行くまいが、要は観念的には三月三十一日満つるまでこれは保存をしておかなきゃいかぬものでありますけれども、その当日の三十一日の午前九時ぐらいに保存すべき文書をシュレッダーに掛けて廃棄をしたということが実は判明をいたしまして、これが三月三十一日の午前中であったわけでありますが、同日、三十一日のお昼ぐらいに警察庁に対して一斉に情報公開開示請求がなされましたので、情報公開開示請求がなされればそれは別途十年度分の会計文書は保存をしておく必要があるということで、これは一斉にまた各所属に流したわけでありますけれども、それが流れてきた途端に、既に廃棄をしてしまったと、直後に流れてきたということで、申し訳ありませんということでその庶務の係長が上司に申し出たという経緯でございます。
  53. 神本美恵子

    神本美恵子君 今のお話聞いていると、こういうふうな事態になったのはどうも、勝手に私が推測しても駄目なんですけれども、意図的ではなくてもう単純ミスというようなふうに聞いたんですけれども、その会計課長、受けるべき会計課長が三月二十六日に異動内示を受けていたので、その下の人、その下の人というのがどういう人なのか分かりませんが、受けて、それで当然、異動内示を受けたらもう仕事できないんですか。
  54. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 三月二十四日に口頭連絡をしたわけでありますが、本人は、会計課長は三月二十六日付けであります。したがって、どうも二十四日にこちらからの連絡が行ったときは休暇を取って、それで引っ越しの準備を公舎でやっておったようであります。これは休暇を取っております。会計課の課長補佐が警察庁から連絡があったということでそれぞれの部署に連絡をしたわけでありますが、本家本元を失念したということのようであります。
  55. 神本美恵子

    神本美恵子君 警察の異動の関係よく分かりませんが、休暇を取っていて、そして二十六日付けでもう異動してしまうわけですよね。そうすると、その次の方がそこには赴任してこられるでしょうし、責任者はそのとき、責任の所在はどこにあるんですかね。
  56. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) これは組織でありますから、もちろん二十六日にAからBの人間に替わろうと、会計課としての、会計課長としての責任はそれぞれ、二十六日を境にAにありBにありということでありますので、組織としては、属人的なものではなくて、動くようにはなっておるんですけれども、ちょうどある意味では谷間の時期に当たってしまったというのが私どもの個人的な感想でございます。
  57. 神本美恵子

    神本美恵子君 そして、これについては直ちにといいますか、処分がされておりますよね。その処分内容は、当該者である当時の会計課長ら三人に対しては警察庁長官処分として戒告、戒告ですね。そして、ほかの七人については九州管区警察局長処分としての訓戒、注意というふうに、これそういうふうにお聞きしているんですが、今回の処分はだれがどのような観点で決められたんでしょうか。
  58. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 先ほども申し上げましたけれども、この事案につきまして大きく三つございまして、一つは会計課員の連絡の不徹底ということ。二つ目は庶務の係長の正に判断ミスで、四月一日より前の時点で廃棄をしてしまったということ。三つ目は広域調整部の幹部が、自分の部下たる庶務の係長が四月一日付けでほかの県に出るということは分かっておるわけでありますので、ひょっとしたら三月中にシュレッダーに掛けてしまうかもしれないということを認識すべきでありますし、それを漫然、頼むよということで庶務の係長に任せておいたということが四月一日以降の話ではなくて三月三十一日以前の廃棄ということにつながったわけでありますので、この三つについて責任を問うたわけであります。  詳しく申し上げますと、会計課員の連絡不徹底という面では、当時の会計課長、それから会計課の補佐につきましては、三月二十四日に警察庁の会計課から電話連絡を受けながらこの指示内容を広域調整部に連絡をしなかったという点が責任の所在でありますし、二点目の広域調整部の広域調整一課の庶務の係長につきましては、保存期間、保存期限満了前にもかかわらず文書を廃棄をしたという点が責任があると思いますし、三つ目の広域調整部の広域調整第一課の幹部を始め広域調整部の四名につきましては、文書管理に係る認識不足及び部下職員である係長に対する監督、指示が不十分、不適切であったという点について、それぞれの責任の度合いに応じて懲戒処分を実施したものでございます。  また、平成十年度の文書の継続保管につきましては、実は三月二十九日に全国会議を開催をいたしまして、この場におきましても重ねてその趣旨の徹底を図ったわけでありまして、この三月二十九日の会議に、管区警察局の総務監察部長や既に異動になって新しい会計課長等が出席をしておりました。そのメンバーが九州管区に立ち戻って、会議が終わって立ち戻って、本来であれば指示の連絡徹底状況を点検、確認すべきであるものを漫然何もしなかったということで、総務監察部長についても局長注意、それから後任の会計課長や課の指導官についても部長注意としたものでございます。  なお、全般的にこの種の、これは警察庁職員になるわけでありますので、警察庁の懲戒審査委員会というものを開いておりまして、どのような懲戒責任を問うべきなのかということについて、私も入りまして審議をしたところでございまして、ただいまございましたように、三名について戒告処分、七名について管区局長訓戒、管区局長注意、それから部長注意という三区分に分けて、警察庁の懲戒審査委員会を開き、それから翌日には管区で懲戒審査委員会を開いてこのように決めたという事実関係でございます。
  59. 神本美恵子

    神本美恵子君 お聞きすればするほどといいますか、今、九州管区は、特に福岡でも問題が起きていますし、この国会でもずっと取り上げてきております重要な保管すべき書類ということの連絡をし、また二十九日に改めてこの通知の周知徹底についてお話しされたというお話ですが、それにもかかわらずこういう事態が起きているということについて、それから市民オンブズマンの監査請求によってこのことが明らかになったわけですけれども、そういう全国的な動きについても、十分にそれこそ認識しておられるはずだと思うんですね。  こういう事態が起きたことについて、まず、冒頭おっしゃいましたけれども、遺憾であるというふうに、残念だというふうにおっしゃいましたけれども、そんなことでは済まない。そして、これ、その十人を処分して終わりというふうにはならないと思うんですね。私は、それこそ九州管区警察局の局長に、懲戒処分とまでは言いませんけれども、本当に厳重注意なり何らかの処分が出されてしかるべき問題ではないかというふうに思っているんです。  もうこれはうがった見方をすれば、逆に今のこのような状況に、これ書類がないともう調査できませんよね、この九州管区警察局のこの捜査費と関連する調査がもうできないということになるんですよね。ですから、うがった見方をすれば、隠ぺい工作ではないかというような話も聞こえてきております。  もう一つ、広域調整部のシュレッダーに掛けた方、この資料というのは、この会計書類というのは八十冊もあって、高さでいえば六十センチにもなるらしいんですね。それを朝からシュレッダーに、満期にもなっていない、本当はその日の三月三十一日十一時五十九分まで、普通にいっても、口頭連絡が行っていなくても保管しなければいけない書類を朝からシュレッダーに掛ける。しかも、十一時四十分ごろに市民オンブズマンが監査請求を出した。その連絡が入ったときはもう六十センチものものがシュレッダーで掛け終わるのかなという、これはうがった見方かもしれませんけれども、普通に考えた疑問なんですけれども、そこはどういうふうにお考えですか。
  60. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 冒頭申しましたように、正に十年度の会計書類を、国会でも御論議になって、当分の間、県の問題、九州管区の場合は先ほど申しましたように警察庁の問題であるわけでありますけれども、残そうということでアクションを起こしたそのやさきにこういう事態が起きたということで、正に遺憾であると同時に情けない思いが正にしておるわけでございます。  そこで、九州管区においてどのような事実関係であったのかということを、本人、関係者から調査をしたわけでありますが、実際には、この庶務の係長というのは先ほど申しましたように四月一日付けで大分県の方に転勤になるということで、一日はもう即日、その日に赴任をするということであったようでありまして、であれば、四月一日以降残して次の後任者に引き継ぐのが当たり前のことなんでありますけれども、それを三月三十一日に廃棄をしたということでありますが、そこに至るまでの上司とのやり取りでありますとか、それから、廃棄の日時は九時から三十分を掛けてやったと、場所が広域調整一課内で、言わばオープンな部屋でシュレッダーを掛けたというようなこと、それから、先ほど申しましたように、お昼ぐらいに情報公開開示請求があったと聞くや、実はということで本人が申し出てきたというような状況を勘案しまして、これは意図的に当該文書を廃棄したものではないというふうに認定をしたわけでありまして、私どもも、残念ながらそうであろうというふうに考えておるところであります。
  61. 神本美恵子

    神本美恵子君 私も議員になる前は公務員として働いて、異動も何度も経験したんですけれども、そのときに、引き継ぐべき書類、自分の私物というのを分けて、そして異動の前に次の人にそれはきちっと引継ぎをして、そして異動しますよね。それから、そこに残っている人たちにその書類もきちんと引き継いで行く。それが常識だと思うんですけれども、この九州管区のこの問題は、どうもその常識から外れている。それが、警察庁なり警察本部なり警察関係のところではそれが常識、このようなことが常識であれば、特別な個人の資質の問題とかではなくて、何人もの幾つかの問題、先ほどおっしゃいましたけれども、通達の不徹底とか満了前に廃棄したとか文書管理の在り方の不徹底というようなことをおっしゃいましたが、ここだけの特例ではなくて、ほかでもこういうことがもしかしてあっているのではないかというふうに心配になるんですけれども、ほかの警察本部なりへの調査はされたでしょうか。
  62. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 三月二十四日に、今、従前話に出ております指示、連絡をしたにもかかわらずこのような事案が起きたということを私どもは三月三十一日に認知をしたわけでありまして、実はそれと相前後して、愛知県警で関係文書の廃棄事案があったようでありまして、これは警察庁からの指示がなされる前の事実関係と思いますが、私は詳細には事実関係承知をしておりませんけれども、念のために、四月一日、翌日に改めて文書の適正な保管の徹底と文書の亡失が判明した場合に速やかに報告するように、報告をするように指示、連絡を四月一日に行ったところでありまして、現在、各部局において保管状況調査中でございます。
  63. 神本美恵子

    神本美恵子君 私、その愛知でもあったということは今初めてお聞きしたんですけれども、驚きです。何とも本当に言いようがないですね。私は、ここでは、ほかでもこのようなことがあったらこれはもう組織的な隠ぺい工作だと、犯罪だというふうに申し上げようと思ったんですが、正にもうそう申し上げるしかないというふうに思うんですね。  それで、今保管については調査中だというふうにおっしゃいましたが、是非、保管の有無について直ちに確認をして本委員会報告をしていただきたいというふうに思いますけれども委員長、いかがでしょうか。
  64. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 後刻、理事会で協議いたします。
  65. 神本美恵子

    神本美恵子君 これは、これから本当に全容解明をしていこうという重要なある意味では証拠書類ですので、これがそういう形で消されていくというのは言い過ぎかもしれませんけれども、そういうふうに受け止めざるを得ないような事態が起きているわけですから、これについては本当に早急に調査をまとめて御報告お願いしたいと思います。  それから次に、福岡県警本部の問題に移っていきたいと思います。  福岡県警本部は、銃器対策課の会計処理の一部について不適切な処理があったとして認める方針を固めたということが数日前に報道されております。そして、今日、正に四月二十日、福岡県議会でその報告がされて、されるようになっているそうですけれども、この件について警察庁にはもう報告は届いているんでしょうか。  これについて、公安委員長の御所見をまずお伺いしたいと思います。
  66. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 福岡県警におきましては、現在、総務部長を長とする調査チームを設置をしておりますが、本日十時からと承知をしていますけれども福岡県の臨時の公安委員会を開いておりまして、これは既に終わっていると思いますが、中間報告福岡県議会の警察常任委員会現時点で今報告をしているのではないかと思いますが、その後発表をするものと承知をしております。  私どもの受けております話では、平成十年四月から平成十一年の七月までの銃器対策課における国費捜査費及び県費、これはいわゆるXと称される人が在任をしておりましたのが平成七年の十一月から十一年の夏ぐらいまででありますので、会計文書が残っておりますのは十年の四月からしかございませんから、十年四月からまずは十一年の七月、本人が在籍をしておりました間にまず区切ってその銃器対策課における国費捜査費と県費の捜査報償費につきまして調査をしておったわけでありますが、不適正な執行が認められたことが明らかになったという報告を受けております。  具体的には、当時の銃器対策課長が捜査費及び捜査報償費を捜査員への補食代でありますとか激励費として交付をしたと述べておるところでございますけれども、これに合致をする会計書類がありません。事実と異なる会計書類が作成をされていたと認められますことが第一点。  第二点は、当時の捜査員の多くは捜査費等執行事実を認めておるわけでありますが、現時点ではまだ一部確認できないものがあるというのがございます。  三点目は、捜査費等を旅費の一時的な立替えに流用していた疑いがあるということ等が言われておりまして、捜査費捜査報償費について、概して、概括的に申し上げますと不適正な執行があったと福岡警察において判断をしているところでございますが、これも、冒頭議論になりましたように、まだ実は十年四月から十一年七月までの間の銃器対策課の問題でありますので、これを早急に、銃器対策課にまず特化をした形で事実関係調査し、また必要とあらば関係の部署についても調査をする必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  67. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 福岡警察におきましても、県の公安委員会からの指示を受けまして、事案全容解明のための調査が進められているものと承知をしておりますけれども、本件事案の重大性にかんがみまして、これまでの調査中間報告といたしまして、本日開催されます福岡県県議会警察常任委員会に対しまして報告がなされるものと承知をいたしております。そして、公表が行われるということも承知をいたしておりますので、国家公安委員会といたしましても、事案早期解明いたしまして、その結果を国民に明らかにするように引き続き警察庁を督励してまいりたいと考えております。
  68. 神本美恵子

    神本美恵子君 福岡市民オンブズマンが、去る三月十二日に、この九五年から九九年度の捜査報償費と旅費、総額約六千六百万円が不正流用されたとして、返還を求める住民監査請求を行っているというふうに聞いております。  この住民監査請求に対して福岡県警本部がどのような対応を取ったというふうに警察庁報告を受けていらっしゃいますか。
  69. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 三月十二日に住民監査請求がなされたものでございますが、福岡県警では、四月二日に監査請求人と監査対象機関、正に監査対象機関が福岡県警になるわけでありますけれども、ここに対しまして、福岡県の監査委員に陳述をするという場が与えられまして、福岡県警としては、本部長名で監査委員に対して意見陳述書を提出をしております。  その中では、請求人は住民監査請求書に新聞記事を添付しているにすぎず、事実を証明する資料としては不十分である、銃器対策課の庶務係長であった、Xか、A氏といたしますと、そのされる者について氏名が公表されておらず、元職員であるのか、また九五年からの証拠書類のコピー資料が本物かどうかの確認の方法がないため信用性に欠ける等を具体的理由として挙げまして、請求内容については根拠が明確にされていない旨意見陳述を行ったところでございます。  ただ、これは四月二日の時点の話でございますので、その後、今も申し上げましたように、内部調査も相当この時点と比べますと進んでまいりましたから、あくまで住民監査請求に対して意見陳述ということで、その時点においての判断としてはこういうことでやむを得なかったのではないかというふうに考えております。
  70. 神本美恵子

    神本美恵子君 四月二日、その時点ではやむを得なかったのではないかというふうにおっしゃいましたけれども、私は、この報道を見まして耳を疑いました。  今、これだけの問題がもう、四月二日時点でもう出ているわけですから、それに対して、その住民監査請求に対して余りにも不誠実といいますか、信憑性に欠けるだの、本当に存在しているかどうか分からないというような、監査請求そのものが間違っているとまでは言わないけれども、そういう根拠が不明確というような意見書を出されたことに、まず福岡県警は県民の声にもっと率直に耳を傾けるべきだということを感じたんですが、国家公安委員長、いかがですか。
  71. 小野清子

    国務大臣小野清子君) お尋ねの住民監査請求につきましては、新聞記事を、先ほど官房長も申しましたけれども、添付しているにすぎないと、こういう状況でございますので、福岡警察といたしましては、請求内容については根拠が明確ではないという旨意見陳述を行ったとの報告を受けているところでございます。  私といたしましては、その時点においては福岡警察は適切に対処したものと認識をいたしているところでございます。
  72. 神本美恵子

    神本美恵子君 その時点ではそうお感じになったとして、今時点ではいかがですか。今時点でその福岡県警の対応についてどのようにお感じになっていますでしょうか。率直に、もう御自分のお気持ちをどうぞ。
  73. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 正に今調査中であるということで御理解を賜りたいと思います。
  74. 神本美恵子

    神本美恵子君 いや、気持ちを、住民監査請求に対して福岡県警がその時点ではそういう対応をしたけれども、今こうやって問題が、根拠が不明確と言われていた銃器対策課の問題が徐々に明るみに出てきて、もう県警本部も認めざるを得ない、今日正に認めるような中間報告をしているわけですけれども、今この時点でそのときの対応について国家公安委員長としてどのようにお感じになっているのかをお聞きしているんです。
  75. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 会計経理をめぐります一連事案につきましては、現在、関係道、関係いわゆる県の方との警察におきましてそれぞれの公安委員のやはり指示を受けながら鋭意調査をしているところでございますので、国家公安委員会並びに警察庁におきましては、関係道県、いわゆる県の方ですね、福岡ですから、と連携を図りながら、まずは事案解明を早急に図っていき、事案全容が明らかになりました時点におきましては、いわゆる監督責任を含めまして当時の関係者責任問題まで厳正に対処すべきものと考えているわけでございます。
  76. 神本美恵子

    神本美恵子君 福岡県警の、何といいますかね、国民、住民に対する姿勢を私は国家公安委員長には是非、そういうことはあってはならないと、やっぱり住民の側に立って、もちろんまだ調査中で明らかになっていないことまで軽々に先のことを言うことはさっきの北海道警の問題で私は指摘をしましたから、その逆で、福岡県警にもはっきりしていないことまでいろいろ言えというふうには思わないんですが、住民監査請求で出されたそのことを真摯に受け止める姿勢というものがやっぱり必要ではないか。そういう国家公安委員長の、やっぱり、何といいますかね、国民の側に立った、大臣、政治家としての言葉をいただきたいんですけれども、是非お願いします。
  77. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 公安委員会並びに国家公安委員会というのは国民の代表としてその立場にあるわけでございますので、先生の御意向を十分に踏まえながら対応してまいりたいと考えております。
  78. 神本美恵子

    神本美恵子君 本件の調査の過程で、その不正経理を認めた元警部は、X氏かA氏か分かりませんが、監査前のリハーサル、これは監査や会計検査院検査だと思いますが、その前にリハーサルがあっていたとか、裏マニュアルというものがあって、これには通し番号が付けられて担当者に渡されていたというようなことを発言されているんですけれども、この点については、今後明らかになってくると思いますけれども、お聞きになったことがありますでしょうか。そして、そんなものはないと多分おっしゃるでしょうけれども、それははっきり今おっしゃれますか。
  79. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) リハーサルが何を指すかということなんでありますが、警察庁から会計検査院検査がある前に会計検査に不慣れでもあろうということで指導連絡に赴いて、その際、その機会を利用して監査も実施してきたのが実態でございますが、ただ、このようなことはいろいろな御議論もあり誤解を招くおそれもあるということで今年度からは一切やめておるところでございます。  裏マニュアルと称されるものについては、これは福岡の問題でありますから県警で調査中としか私からは申し上げられませんが、福岡に尋ねたところ、現在までのところそのようなものがあったという事実は確認をできていないと報告を受けているところでございます。
  80. 神本美恵子

    神本美恵子君 そのリハーサルといいますか、事前の準備というものが今はもうやめられたと、そんなものだったら何で今までやっていたんだというふうに思うのが一つと、それから、裏マニュアルは現在のところ確認できないということですが、はっきり今の時点では、現在のところということなんですかね。官房長としてはそういうことは一回も聞かれたことはありませんか。
  81. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 会計検査院に対して、応答要領でありますとかそういうものがあるというのがせんだっても月刊の現代かで報じられておりましたが、警察庁で少なくともあのようなマニュアルなりのものを、マニュアルと称されるようなものを作ったことはございませんし、私自身は一度も見たことはございません。  ただこれは、あそこで触れられておったのは警察庁のことかと思いますので、それ以外の都道府県警でどのようなものがあったのかということについて一〇〇%ここで分かって申し上げるわけにはなかなかまいりませんので、それはまずは県警に聞くということになりますが、今時点では全くそういうものを聞知しているわけではございません。
  82. 神本美恵子

    神本美恵子君 そのリハーサルといいますか、そのときの応問集と、もう一つは会計経理の裏マニュアル、それこそ捜査費の手引きで書かれているようなものでは、あれではなくて、別のマニュアルが、会計経理のマニュアルですね、があったというふうにおっしゃっているんですが、その存在については官房長はお聞きになったり見られたりした、あるいは作成されたりしたことはありませんか。
  83. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 繰り返しになりますが、どういうものかという印象が私もよく分かりませんので、マニュアルと称してどういうことを委員が今おっしゃっているかがよく分からないということではありますが、一般にいわゆる裏と付くようなものは、これは表の反対でありましょうから、そういうものがあるというふうには、私自身は今まで見たこともありませんし、警察庁内に存在するものではないと承知をしております。
  84. 神本美恵子

    神本美恵子君 正に分かりやすい私はやり取りで助かるんですが、裏、裏と付くものはない、でも表と付く表マニュアルも当時はなかったんですよね。先ほど一番最初に捜査費の手引き、経理の手引きをお聞きしましたら、今は作っているということで、当時はなかったんですよね。だから、もしかしたらそれがどこかで作られた表マニュアルだったかもしれないんですけれども、ただ、通し番号が付けられて限られた人間にだけそれは見れるものだったというふうな証言なさっているんですが、その存在についてはやはり御存じないでしょうか。
  85. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) あくまでこれは福岡県警ですので、私は福岡県警のことを代弁していろいろ申し上げるわけにはなかなかまいりませんから、私の経験、事実からいいますと、そのようなものというのは見聞きしたことはないと申し上げているわけでございます。
  86. 神本美恵子

    神本美恵子君 福岡事案も現在継続中で、今日報告があり、さらに五月十一日までには県の監査委員の結論も出されるというふうに聞いておりますので、その監査請求の行方も見ながら、また北海道最終報告も併せて、是非関係者の招致の可能性も含めてこの委員会では今後とも取り上げてまいりたいというふうに思っております。  さらに、各事案について監督責任があると思われる当時の北海道道警本部長福岡の本部長を務められた方への厳正な対処ということも視野に入れて国家公安委員長として今後取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
  87. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 会計経理をめぐります一連事案につきましては、現在、関係道県警察におきましてそれぞれの公安委員会の指導の下に指示を受けながら鋭意調査を進めているところでございますけれども国家公安委員会そしてまた警察庁におきましては、関係道県と連携を図りながらそれぞれの事案解明に努め、そしてその事案全容が明らかになった段階におきまして、今委員が御指摘ありましたように、監督責任を含めまして当時の関係者責任問題について厳正に対処すべきものと考えております。
  88. 神本美恵子

    神本美恵子君 残り時間も少なくなってまいりましたので急ぎたいと思いますが、警察庁は去る三月二十九日に臨時の全国総務・警務部長等会議を開催されたというふうに聞いております。この会議は通常どのような機会にどのようなことを議題にして開会をされる会議なのか、そして、この年度末の三月二十九日という差し迫ったときに臨時の会議を開催された趣旨はどこにあるのか、当日の議題とそれから議論はどのようなものだったか、まず御説明お願いしたいと思います。
  89. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 全国総務・警務部長会議は通例は年一回開いておりまして、定例のものは今月末に開きます。四月か五月にかけて開催をしているものでありまして、それは御想像のとおり、総務部門、警務部門の一年間に一回でありますから、その時々のテーマについてこちらから指示をし、警察庁から指示をし、それぞれ討論テーマを決めて議論をするという会議であります。  三月二十九日、急遽臨時のこの会議を開きました趣旨は、まず何と申しましても、先ほど御説明いたしましたように、予算執行検討委員会で、例えば領収書については今年度から本人以外のものは受け取っては駄目だということをまず大きく制度改正をしたいと、しておるわけでありますが、それから、県の監査委員から捜査員に対する聞き取り調査の要求等があった場合の対応の在り方等についても次々に指示を、県に対しまして通達等を流しておるところでございます。ただ、なかなか紙一枚では徹底をしないということがありますので、正に三月二十九日、年度末で、四月の一日から新年度になったらこう変わるんだよということをきちんとそれぞれの県の県警の総務部長、警務部長あるいは会計課長等に直接指示をして仕事をしてもらわなければ困るということで急遽開いたということでございます。  会議におきましては、予算執行の一層の適正化についてということを議題といたしまして、当庁から、警察改革と適正な予算執行についての意識の徹底を図ること、あるいは警察会計経理に関する説明責任を全うすること、会計経理に関する内部チェック機能を強化すること等を指示をしておるところでございます。
  90. 神本美恵子

    神本美恵子君 私は、前回の質問のときに、是非、今問題になっている道県警本部だけではなくて全国調査をやってほしいということを申し上げたんですけれども、正にこういう会議が開かれるのであれば、その場で予算執行の適正な在り方、チェック機能強化というような指示を出すばっかりではなくて、せっかく全国から集まっているんですから、担当者が、そこでそれぞれの県はどうなっているのかという現状把握といいますか、そういうことをやっていくべきではないかというふうに思うんですけれども、もう終わってしまったことで、是非全国調査を、紙を配ってそれに書いてもらうというだけではなくて、こういう集まる機会を作って実態を、まず事実を把握すべきではないかということを申し上げておきたいと思います。  いかがですか、そういう、今後こういう全国会議を開いた折に、今、北海道福岡、あるいは次々とまたほかの県でも出てきておりますが、そういう問題について実態把握をなさるおつもりはありませんか。
  91. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 実は、私は三月二十九日は、午後の会議であったんでありますが、私自身は国会の委員会に呼ばれましたのでほとんどこの会議には出席できませんでした。一番末尾部分だけ出席をいたしまして、私から思うところを申し上げたのでありますが。  したがって、その会議の全体を今時点で私、個人的にはある意味で把握をしていないということをちょっとお断りをしておかなきゃいかぬのですが、恐らくその会議の中では、領収書の問題ですとか県の監査委員の話に併せて、国家公安委員会規則が決められて、会計の監査に関する国家公安委員会規則でありますが、これを四月一日から適用することにしたということも申し述べていると思いますが、そこにおいては、国家公安委員会に私ども警察庁の方から、各都道府県警に対する会計の監査について、このようなことをこういう手順で、こういうメンバーで、こういうタイミングでやっていきたいということを事前に計画を説明をして、それで出向いていくということを正に今年度からもう始めようと思っておりますけれども、それを指示をしているはずであります。  あわせて、その際に各県警においても、正に内部監査として、自分の県でどのような会計経理執行状況にあるのかということについては十分チェックをして遺漏のないように、遺憾のないようにということを申し上げていると思いますので、委員がおっしゃったことはある意味でそういうことで尽くされているのではないかと思います。
  92. 神本美恵子

    神本美恵子君 私は、この会議のときの、何というんですか、記録みたいなものを見せていただいたんですが、その中で、正にその招集者は佐藤長官であろうと思います。その長官の所信をずっと読ませていただいたんですけれども、ここで是非長官に来ていただいて、こういうふうに全国指導しているし実態把握に努めているというようなことを是非言っていただかないと、今官房長は本当に一生懸命まじめに、自分はこの会議に参加できなかったけれどもということでおっしゃってくださっているんですけれども、今こういう時期ですので、是非とも警察庁長官にここに出ていただきたい、こういう問題をやる場合には特に出ていただきたいということを御要望したいと思います。  残り時間がもうなくなってきましたので、最後に国家公安委員長お願いといいますか、御質問させていただきます。  三月三十日の警察改正の審議のときに、この参議院内閣委員会として附帯決議を付けさせていただきました。その附帯決議について、その附帯決議では、ちょっと読み上げさせていただきますが、北海道警察における不正経理を始めとする一連警察不祥事警察組織の運営全般にかかわる問題であるとの認識の下、国家公安委員会管理指示権等を適切に行使して事案の徹底解明を行い、予算執行の透明性と同種事案の再発の防止を確保し、国民信頼回復するよう最大限の努力を行うというふうになっております。  これについて国家公安委員会としてどのように議論をされたのか。直近の定例日は四月一日ですけれども、私もホームページ見させていただいておりますが、まだこの分が出ておりませんので教えて、御説明お願いしたいと思います。
  93. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 内閣府におきまして、内閣委員会におきまして警察法が可決されました直後の国家公安委員会は、委員会におきましては、私から内閣委員会での審議結果につきまして簡単に御報告を申し上げたと記憶をいたしておりますけれども、附帯決議につきましては各委員に、その内容を当然承知でありますことから、これは事前に役所の方から個別に連絡をさしていただいておりますので、各委員から、その内容を当然御承知であることから、特段の議論というものは承知いたしておりませんけれども、いずれにいたしましても、国家公安委員会といたしましては決議の御趣旨を十分に踏まえまして国民信頼回復するという、そういう観点から警察庁をしっかりと指導監督してまいりたい、そのような気持ちでおりますことをお伝えを申し上げたいと思います。
  94. 神本美恵子

    神本美恵子君 何か今の御答弁聞いて、ここで議論していることが非常にむなしい感じがしますね。冒頭にも申し上げました、国家公安委員会の指導の下、警察庁調査検討委員会予算執行検討委員会ですか、をされて、もうそれで終わりのようにやっぱり感じるわけですね。  私は、国会の意思としてこの委員会で附帯決議を付けて、そして国家公安委員会の、国家公安委員会全容の徹底解明予算執行の透明性と再発防止に最大限の努力すること、たしか国家公安委員長はそのときにそのようにしてまいりますというふうにおっしゃったんですが、国家公安委員会の議題にもなっていないという、この取扱いについては私は厳しく激しく抗議をしたいと思います。そういうことでは国家公安委員会の在り方、本当に何のための国家公安委員会かということを思います。  今日、時間がありませんので、それについてはまた今後させていただきたいと思いますが、最後に、福岡で現職で、県の監査委員に、自分はこういうふうなことをやってきたというふうにおっしゃった方、これもう本当に勇気の要る、現職ですから、勇気の要る行動だと思いますけれども、その方は、新聞報道等、私は新聞になぜこういうことが書かれたのかなと思いましたら、御本人からその報道機関の方に監査委員にこう言ったということが送られたんだそうです。  その中で、繰り返しおっしゃっているのは、所属長が転勤時にプールした裏金を持っていくことは常態化していたというふうにおっしゃっているんですね。警察内部調査では、これは警察庁予算執行検討委員会も含まれると思いますが、トカゲのしっぽ切りしようとしているというふうにおっしゃっています。これは、十数年警察の中で働いてきて目の当たりにしてきた現場警察官の方の声です。予算を、そのお金を懐に入れていた幹部は罪の意識がないのではないかというようなことまでおっしゃっています。  私は、是非、今後の国家公安委員会としての調査なり監督権限を最大限に行使して、こういう国民やあるいは現場で本当に苦労している警察官方々幹部に対する、幹部の行動に対する不信感、こういうものを払拭して、再発ができないように、再発がしないようにという取組を是非ともやっていただきたいことを国家公安委員長に改めてお願いをしまして、もう時間がありませんので、一言だけ、一言だけ決意お願いします。
  95. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 警察に対するある意味でのお励ましもいただきましたし、そしてまた、日夜本当に汗して働いている現場の者を考えましたときに、そうした者の気持ちを酌みながら、警察として今後こういう事案が起こりましたことに対してどう対処していくかということは、今委員から御指摘のとおり、誠にゆゆしき問題であり、全容解明をしていかなければならない。そのためには、まず福岡公安委員会の指導の下に厳正なる対応をしながら全容解明をし、それを受けまして、私ども国家公安委員会といたしましても、その対応において警察庁と連携を取りながら、最終的には責任の問題まで追及してまいりたいと、そのような決意でおりますことを申し述べさせていただきます。
  96. 神本美恵子

    神本美恵子君 終わります。
  97. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  98. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、岡崎トミ子君が委員を辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。     ─────────────
  99. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 休憩前に引き続き、暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  100. 白浜一良

    ○白浜一良君 ありがとうございます。  昨年度末、警察改正されまして、組織犯罪対策部という組織を強化のために作られたということもございますし、今回またこの法改正があるということは大変意義が多いということは認めるわけでございますが、しかし、最近の暴力団傾向を見ますと、一つは、一時ちょっと人数が、構成員が減ったんですけれども、増えてきているんですね、少しまた増えてきていると、こういう傾向が一つあると。それからもう一つは、暴力団の寡占化ですね。やっぱり山口組とか広域暴力団稲川会とか、大変大きな暴力団に寡占化が進んでいるという傾向がございます。  それからもう一つは、暴対法ができましてから大変暴力団形態が変わっているんですね。従来のように代紋をばっと張って、暴力団でございますというような、そういうことよりも、むしろ政治団体形態を取られたりいわゆる民間会社の形態を取られたような巧妙な形態が増えているわけでございまして、そういう最近の傾向があるわけでございますが、さきの警察法の改正並びに今回の法改正を通して、まず冒頭に小野国家公安委員長にお聞きしたいと思いますが、そういう最近の暴力団傾向性に対しまして、さきの警察法の改正また今回の法改正を通してどのように対処できるかという所感をまず伺いたいと思います。
  101. 小野清子

    国務大臣小野清子君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、全暴力団勢力に占める山口組等のいわゆる主要三団体の割合というのは昨年末時点で約七〇%を占める状況にありまして、先生おっしゃいますように、寡占化あるいは広域化が大変進んでいるというのが現状でございます。  こうした状況の中で、取締りをいたします警察の側が部門別あるいは府県ごとに分かれて事に当たっていたのでは思うような効果が得られないと、そういう状況にございまして、今後、部門や府県の垣根を越えて有機的に、いわゆる連携しながら暴力団対策を、暴力団対策に当たっていくということが一層肝要でありまして、今般、警察庁におきましては組織犯罪対策部を設置をいたしまして、暴力団にかかわる情報の一元的集約、あるいは戦略的な捜査調整等を行わせることとしたのもそのような認識に基づくものでございます。  今後は、この組織犯罪対策部が中心となりまして、これまで以上に暴力団弱体化あるいは壊滅に向けました諸対策を強力に推進するものと承知をいたしておりますけれども、中でも勢力拡大を着実に進めております山口組に対しましては、その壊滅のための真に効果的と判断されるような、傘下組織に対しましては関係府県の緊密な連携を取りながら、その捜査の集中投入を図るというのがまず一点でございます。  それから、その際に中枢幹部の検挙に重点を置くということ。やはり、幹部をしっかりとこちらの方で押さえなきゃならないということですね。その組織の存立基盤である、それから資金獲得構造に打撃を与えると。そのためには、実態を解明した上で違法行為の検挙、あるいは関係機関と連携をいたしまして、業からの暴力団排除を図るということが第二点目であろうかと思います。  警察の総力を挙げましてこうした取締りに当たっていくことが必要であると認識をさせていただいているところでございまして、そういった点におきましては、このたびの組織犯罪対策部を立ち上げまして、早々に暴力団に対する壊滅に向けた取組というものを更に徹底をさせてまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  102. 白浜一良

    ○白浜一良君 成果が出ますように御期待申し上げたいと思いますが。  そこで、組織犯罪対策部を作られたと同時に、暴力団排除対策官というんですか、こういう役務も作られたというふうに伺っておりますが、そのねらいはどういうことなんでしょう。
  103. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 警察では、暴力団を壊滅するために、暴力団犯罪取締りの徹底、暴力団対策法の効果的な運用に努めており、それらと連動いたしまして、市民社会から暴力団をなくすため、各地域、職域における自主的な暴力団排除組織の結成の促進、暴力団相手方とした民事訴訟の支援、各種業界からの暴力団排除等、関係機関団体等と一体となって暴力団の存立基盤を切り崩していく活動を推進しているところであります。  このような暴力団排除活動の重要性から、このたび全国的視野に立って都道府県警察を指導する暴力団排除対策官を設置したものでありまして、今後はこの暴力団排除対策官を中心といたしまして、弁護士会、暴力追放運動推進センター等と連携を強化するなど、暴力団排除をより一層効果的、総合的に推進してまいる所存であります。
  104. 白浜一良

    ○白浜一良君 御趣旨はそういうことでしょう。しかし、お一人そういう対策官を作られても、本当にそういうことできるのかなという気がするわけです。そういう目的意識を持った役務を作られたということは私も認めますけれども、そういう全国展開する場合、お一人でそういう機能するのかなという危惧をしているわけでございますが、具体的にどういうことをやられるんですか。
  105. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) これは一人で、暴力団排除対策官は一人でありますけれども警察庁の中にはその下に数人また部下が付いておりますし、また全国のその防犯組織、またそれから暴力団の排除の関係組織、それから暴力追放センター等々、しょっちゅうというか日常的に会議等々打合せも行いまして、全国の警察それから暴力団排除組織、それらの有機的に結合し、またそれの大きなパイプ役、指導役ということで活躍することを期待しておるところであります。
  106. 白浜一良

    ○白浜一良君 抽象的ですわね。有機的に結合しというところがどうするかということが非常に大事なんで、どうか具体的に成果が上がるように全国都道府県警察と連動してしっかり取り組んでいただきたいと、このように思うわけでございます。  それで、今回の法改正に絡みまして少しお伺いいたしますが、午前中も議論されておりましたけれども暴力団抗争の中でいわゆる一般市民がいわゆる損害を被るということですね、その損害賠償をできる、そういう法的基盤を作られたわけでございますが、この十年間、過去十年間で七十三回そういう市民巻き添えになった懸案があるというふうに伺っておりますが、これは実際、この七十三件、そういう損害賠償ですね、従来の民事法にのっとって損害賠償の裁判をされているケースもあると思いますが、これ具体的にどういうケースになっているんでしょうか。
  107. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 過去の対立抗争で、上位者といいますか、組織の上位者、使用責任等を問うて損害賠償を請求した事案というのは五件ございまして、そのうちの二件が沖縄での沖縄旭琉会と三代目旭琉会の対立抗争事件におきまして、高校生、あと警察官二名が殺傷された事案。それからあとは、山口組と東組、これは大阪での抗争であります。もう一つは山口組対波谷組、山波戦争と言われた事件であります。最後には、京都で起こりました山口組対会津小鉄会の、警察官がこれは過って射殺された事案。この五件でございます。
  108. 白浜一良

    ○白浜一良君 いやいや、五件でいわゆる損害賠償の訴訟がどの程度起こっているのか、その裁判の結果はどういう実態になっているのか、それを伺いたいんです。
  109. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 失礼いたしました。  そのうち、沖縄の、沖縄旭琉会対三代目旭琉会の抗争事件、高校生と警察官二名が殺害された事案につきましては、那覇地裁で請求が認められたんでありますけれども福岡高裁におきまして共同不法行為は認められるけれども使用責任は認められないということで、同じような、一番の上位者、代表者に対しては使用責任が認められなかった。共同不法行為という形で民法七百十九条は認められたという状況でありました。  二番目に申し上げました大阪での山口組対東組、もう一つは山口組対波谷組、この事案につきましては途中で東組の組長、もう一件、山口組対波谷組の方は山口組の組長渡邉芳則、いずれも和解ということで、被害者の方の遺族の方に損害賠償というか、和解金として数千万円払わせた、払ったということで解決しております。  最後の、山口組対会津小鉄会につきましては、先般、昨年の十月に大阪高裁で判決が出まして、今最高裁で上告中でありますけれども、係争中でありますけれども、これにつきましては使用責任、山口組の渡邉芳則の使用責任が大阪地裁では認められなかったのが認められまして、八千万円ですか、八千万円の損害賠償を支払えという判決をいただいたところであります。
  110. 白浜一良

    ○白浜一良君 従来の民法にのっとる訴訟においては、今、近石さんおっしゃったようにそういう実態にあるということなんで、必ずしも損害賠償認められるというケースばかりじゃないということが明らかになっているわけでございますが、今回の法改正を通して、当然そういう一般市民暴力団抗争に巻き込まれるという事案に関しましては大変損害賠償請求はしやすい、そういうベースができると。過去のこの十年間七十三回、そういうことがあったということで、必ずしも損害賠償の訴訟になっていないだけでございますけれども、そういうケースには必ず損害賠償を請求する根拠付けになるというふうに理解していいですか。
  111. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 委員御指摘のように、民事訴訟を起こす場合に非常に立証負担といいますか、原告側の、非常に重くてなかなか訴訟に踏み切れない、また訴訟に踏み切っても、先ほど申し上げましたようになかなか勝訴までというか、損害賠償かち取るというまでに至らないというのが多かったわけでありますけれども、今後のこの改正法におきましては、対立抗争組織暴力団指定暴力団同士の対立が生じたこと、そしてまた指定暴力団員が不法行為を行ったことというような、三点ばかり立証すればこれで損害賠償が認められるということでありますので、かなり訴訟としてやりやすくなるというか、損害賠償をかち取りやすくなるのではないかというふうに考えております。
  112. 白浜一良

    ○白浜一良君 そうだと思います。そのための法改正なんで、その場合、被害に遭われた方がそういう損害賠償請求をされるかどうかということもあるんですけれども、もしそういう要求がある場合は、やはり捜査されているのは警察なんですから、警察の方がそういう被害に遭った一般市民の側に立ってやっぱり立証することをしっかりやらなければ、それは法廷がもたないわけでございますから、当然市民の側に立って警察がきちっと協力するんだということは確約できますね。
  113. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) これは、先ほど申し上げました全五件の民事訴訟におきましても、警察捜査を遂げて、その後で、集めた証拠等で差し支えないものはすべて協力申し上げ、また警察官の証人としても相当協力申し上げてきたところであります。  それ以上に、今後はこの改正法にのっとりまして、まあ対立抗争というのは大体、そもそも刑事事件でありますので捜査を遂げるわけでありますが、その過程では相当の証拠が、証拠品なり証人が集まる。また、警察官捜査に従事していろんな見分するということでありますので、証人としても相当重要になろうかと思いますが、原告側に立った協力というのは精一杯やらせていただきたいというふうに考えております。
  114. 白浜一良

    ○白浜一良君 本当に不当にも被害を受けられた市民を守るための法改正なのでしっかりお願いを申し上げたいと、このように思うわけでございます。  それから、本法改正とは直接関係ございませんが、今日は生活安全局長にも来ていただいておりまして、この暴力団問題を考える場合、青少年がそういう暴力団に組み込まれていくという過程をどう阻止するかというのがこれ大変大事でございまして、そのために、警察庁の管轄でいいますと少年サポートセンターというのを作られているというふうに伺っております。全国で百八十ほどあるんですか。ところが、そういう制度はあるんですが、実態から見るとなかなか整備されていない。警察庁の中に小さな部屋で机一つあるぐらいのところ、そのぐらいの部屋しかないというところもあるというふうに伺っておりますが、ですから、どんどん民間施設に移して利用しやすいような施設にこれをしていこうということで、十四年度からですか、年間で三千万円ほど予算を計上されて整備をされているというふうに伺っておりますが、現状はどうなっていますか。
  115. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) 少年サポートセンターは、街頭補導などの少年警察活動の拠点となるばかりでなく、問題を抱えた少年やその保護者などが相談に訪れる場でございますので、委員御指摘のように、警察本部警察署などの警察施設とは異なる施設内にありまして設置されることが相談者にとっても相談しやすい環境になるものと考えております。  こうしたことで、警察施設以外の施設にサポートセンターを置いていこうというふうに考えておるわけでございまして、具体的にも、例えば岡山県の津山少年サポートセンターの場合は、平成十四年に大型商業施設内に移転したということによりまして、少年や保護者の方も大変気軽に立ち寄れる場所となりまして、相談件数も従前と比べまして約九倍に伸びたという状況もございます。また、福岡の北九州の少年サポートセンターでは、昨年度、教育施設あるいは児童福祉施設と同一の、警察施設以外の場所に開設されまして、前年と比べまして相談件数も六割ほど伸びておりましたほか、これらの施設との連携も飛躍的に緊密化したということで大きな効果を上げたというふうに報告を受けております。  このように、少年サポートセンターを警察施設以外の場所に設置するというものは大変効果が大きいだろうというふうに考えているところでございまして、現在各県においてそうした取組を進めているわけでございますけれども、今年の四月一日現在で、現在五十三か所の施設が警察施設以外のところに設置されておるという状況でございます。また、平成十六年度以降、更に十一か所の移転が現在予定されているという状況でございまして、警察庁といたしましても今後とも少年サポートセンターの警察施設以外への設置につきまして可能な限り推進していきたいというふうに考えております。
  116. 白浜一良

    ○白浜一良君 五十三か所を移転されて整備されたと。十六年度の予算で十一か所……
  117. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) 十六年度以降ですね。
  118. 白浜一良

    ○白浜一良君 十六年以降、以降で十一。これ全国で百八十あると聞いているんですが、これで全体を整備するのはそれじゃどのぐらいの計画でされるんですか。
  119. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) 具体的な終点といいましょうか、終期を決めているわけじゃございません。これはやっぱり各県におきまして整備を進めているという状況でございまして、やはり各県の施設の状況なり予算の状況等も踏まえまして各県ともそれぞれ努力はしていくというふうに思っておりますけれども、いつまでということはちょっとここでは分かりませんけれども、各県ともそうした施設の方が大変効果が大きいということは認識しておりますので、そうした取組を強めていくものと思っております。
  120. 白浜一良

    ○白浜一良君 計画するときは、それは都道府県も予算の範囲もあるでしょう、当然地元の予算のね。警察庁で一括してそういうことができないのは私も分かりますけれども、やっぱりある一定のめどぐらい持って督励していかないと、現場の動きに応じて予算を付けていくんだというのは、国としてのですよ、そういうんじゃ余りに何か警察庁としての施策としては後手過ぎると。やっぱりある一定の計画を持って、できるできないは分かりませんよ、だけれども一定の計画性の下にこういうことはやるべきじゃないんですか、常に。どうですか、局長
  121. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) もちろん私どもとしましてもそうした意味で補助金を獲得しまして、これまで県単で行われたものが結構あるわけでございますけれども、補助金によりましてできるだけそうしたものが、なかなか対応が難しい県もありますので、そうしたものの支えになればということで進めておるところでございます。
  122. 白浜一良

    ○白浜一良君 これ以上言ってもそれ以上の答えはないでしょうからもう言いませんけれども、しっかり現実的に督促できるような形で進めていただきたいと、このように思います。  それから、暴力団員の社会復帰の問題で少しお伺いしたいと思いますが、当然、嫌になってやめようという人も暴力団の中には出てくるわけで、ところが結局、やめても一般の社会人として仕事をして円満な家庭持ってという、そういうことができなかったら、また行くところないからまたぶらぶらせざるを得ないということにもなるわけで、やっぱり社会復帰ということは大変大事なわけでございますが、この暴力団員組織を離れられて社会復帰された統計というか、計数はどういうふうになっていますか。
  123. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 暴力団が社会復帰した数は、平成七年が百六人、ずっと申し上げますと、八年以降七十六人、五十九人、五十七人、三十八人、四十九人、二十一人、四十二人、十五年、平成十五年が二十五人というふうになっております。
  124. 白浜一良

    ○白浜一良君 社会的な状況の差というのは当然あるんでしょうけれども、しかしながら、今、数を伺いますと、ずっと数は減ってきているわけですね。それだけそういう暴力団をやめた方を受け入れる状況は悪くなっているということなんでしょう。  ですからその辺が、どういう理由で社会復帰された方の数が減ってきているというふうに御理解をされているんですか。
  125. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 雇われた企業の方、それぞれの事情はおありだとは思うんでありますけれども、全体的なというか全般的に私どもで推測するには、長引く不況ということでの影響で企業の雇用情勢が非常に厳しいということで、一般の方もなかなか就職できないという状況の中で、いわゆる倶梨伽羅紋紋付けたのを雇ってくれる企業の方というのは非常に厳しい状況であるということ。あと、元暴力団員が御好意によりまして就職できるということになって就職した場合でありましても、その元暴力団員の就業者の定着率というのが残念ながら余り良くないというふうなことから、企業方々に対する評判といいますか評価というものが高くならないということから、暴力団の離脱者の、暴力団からの離脱者の就業が徐々に徐々に減少しているのではないかというふうに認識しているところでございます。
  126. 白浜一良

    ○白浜一良君 だから、一般社会も就職難で景気が悪くてという、これはまあ社会的な背景がございますから、当然それはそれといたしまして、私は組織犯罪対策部としてやっぱりできる範囲の努力はされるべきだと思うわけでございます。  その一つとして、いわゆる暴力団の方というのは見て分かるところがあるんですね、小指がないとかおふろに行ったら入れ墨があるとかですね。それはそういうことをされた経緯があるんでしょうけれども、だから、それはなかなか社会復帰しようと思ってもそれは消せない。だから、私、専門的なことは余り知りませんけれども、義指を付けられたり入れ墨も分からないぐらいに消したりすることができる、またそういうことをしたいと思っていらっしゃる方も、離脱者の中でですね、社会復帰するために、そういう方をやっぱりサポートするような制度を作られた方がいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  127. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 警察庁といたしましては、そもそも入れ墨や指詰めの強要等につきましては、事件検挙暴対法に基づく中止命令の発出などによりましてその未然防止を図っているところでありますが、これをした人、その人が暴力団を離脱するという機会には、この入れ墨や指詰めが委員御指摘のように社会復帰を阻害する要因というふうになっていると思われます。警察では、その再生手術等の施術が可能な医療機関等の把握に努めまして、社会復帰協議会への加入を働き掛けたり、また離脱者に対しまして少しでも安く治療を行える医療機関等を紹介しているところであります。  ちなみに大阪の例でありますけれども、入れ墨の消去、これはレーザー治療、これが十センチ掛ける十センチ、このぐらいでありますが、これが十万円。で、可動義指の復元、シリコンで指のないところを継ぎ足すという、これが十万円から三十万円ぐらい掛かるということでございます。
  128. 白浜一良

    ○白浜一良君 離脱を希望されている方がそういう、何というか施術というんですか、措置を必ずしも全員が望んでいらっしゃるわけじゃないんでしょうけれども、しかし社会復帰をするためにそういうことをしたいと思っていらっしゃる方はたくさんいらっしゃるわけで、そのために、今の御答弁によりますといろいろこのぐらいお金掛かりますよ、こういう病院行ったらやってくれますよというぐらいまではアドバイスはしていますよということですよね。  それはよく分かるんですが、今おっしゃったように十万なり三十万なりそれぞれお金が掛かるわけで、当然医療保険は利きません。保険が利かないという面でいうとそういう医療費もたくさん掛かるわけで、ここからちょっと冒険的な話をするんですが、お金をお持ちの方はいいんですけれども、ない方でそういうことをしたいと思っていらっしゃる方に何かそういう一時的にお金を借りてそういう措置ができるような制度ができないものかなと。当然貸付けですよ、上げるわけじゃないわけで、働いて返すということは前提ですけれどもね。今すぐそういう三十万、五十万言われてもないという方もいらっしゃるわけで、そういう一時立替払みたいな制度を、どこからお金を引っ張るかという問題は大変難しい問題がございますけれども、そういう制度があれば随分促進されるんじゃないかというふうに思うわけでございますが、いかがですか。
  129. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 入れ墨を入れ、また指を詰めるという行為は、親分とか上層幹部に無理に指を詰めさせられるという、こういうこともあろうかと思いますけれども、多くの場合は自分の意思で行っているのでありまして、このような行為につきましては公的融資制度を創設するというようなことがもし考えられるとすれば、それが妥当であるか否かについては、今現在これは暴力団は公的融資制度を利用してかなり詐欺行為等々行って資金源にしている状況もございますので、そういう面では他の融資制度とのバランスも考慮した上で極めて慎重に検討すべき問題であるというふうに考えております。
  130. 白浜一良

    ○白浜一良君 それは近石さん違うよ、話は。そういう現役の暴力団で活躍、活躍というか、活躍言うたらおかしいけれどもね、していらっしゃる方が公的な制度を利用して、いわゆる自らのそういう蓄財というかそれに利用されているというのはそれは分かりますよ、それは。私は、社会復帰したいとそういう善意の方の話を前提にしているんです、要するに。もう暴力団嫌だと、何とか一般の社会人に戻りたいと。だけれども過去の自分の過ちを、それは別に指がなくたって社会人になれるのは間違いないんですが、大変そういうものがやっぱりハンディキャップになっていると、自分の心の中にもそういうハンディになっているという場合に、何とかそういう形成施術をしたいという場合の話を私しているわけでございまして、何か現役の暴力団を利するためにそういう公的制度を作れって私は言っているわけじゃないんです。まして返すのが前提ですから。上げるわけじゃない。一時的にそういう立替払してあげるような、返済するんですよ、利子付けて、当たり前です。そういう立替え制度を何か考えられませんかということを私、言っているんだ。それはちょっと答弁おかしいですよ、それは。もう一遍言い直してくださいよ、それ。
  131. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 真に善意で暴力団から離脱し、また就職したいという方の、純粋にそういう面であれば、私が先ほど例に申し上げました現職の、現職の暴力団と申しますか、の融資制度の悪用というのは例が非常に悪いということで、申し訳ないというふうに思います。  いずれにいたしましても、繰り返しになりますけれども、指を詰めるとか入れ墨をしたというのは、やはりそもそもは自分の行為、自分の意思で行っておるのでありまして、これを公的融資制度を創設するということであれば、いわゆる他の融資制度とのバランスということもよく考えながら検討をしていかなければならないかなというふうに考えております。
  132. 白浜一良

    ○白浜一良君 この議論はこれ以上進まないと思います。進まないと思うんですが、二十七条ですか、離脱の意思を有する者に対する援護の措置等という、二十七条に明示しております。これは、「当該施術を受けることを容易にするために必要な事項を教示すること。」と、こういうふうに書かれているわけで、そういう手術の内容とか病院とか教えることもベースには違いございませんが、離脱者の、意思を有する者に対する援護の措置等という、この二十七条は規定されているわけでございまして、何かやっぱりそういうことが考えられないかという研究ぐらいはどうかしてあげてほしいと、このことだけを言っておきたいと思います。  それからもう一つ、社会復帰という面で具体的に大事なのは、雇ってくれる会社があるということですよね。これは、協賛事業会社ですか、これはたくさんあるみたいなんですが、実際はなかなか受け入れられていないということなんで、どうですか、この現況と、組織犯罪対策部長というそういう新たな、そういう役職を受けられたわけでございますから、いろいろそういう協賛会社にしっかり雇ってくださいよと自ら督促されるような動きされませんか。
  133. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 警察といたしましては、継続して幅広い業種にわたり協賛企業の募集に努めているところでありまして、現在、警察では離脱した暴力団を雇用する事業者に対し特段の予算措置は講じておりませんけれども、離脱者の就業促進及び社会復帰協議会の協賛企業増加を図る観点から、約三十府県の暴力団追放運動推進センターにおきまして雇用事業者に対する給付金等の支給制度を設けているところであります。この制度の存在府県、制度の存在しない府県につきましては制度の創設を、また制度が既に存在する府県につきましては積極的な活用を、都道府県警察を通じて指導しているところであります。  警察といたしましては、今後も離脱者を社会の一員として定着させるための諸対策を積極的に推進してまいりたいというふうに考えております。
  134. 白浜一良

    ○白浜一良君 結構でございますが。  今お述べになりましたですけれども、全国的な制度はないんだけれども、都道府県でそういう、雇っていただいたときに、そういう支給金制度を持っている都道府県があるわけですね。これはその県が独自にされているわけでございます。それは分かりますよ、知っていますよ、私は。そういうことでいうと、もう都道府県ということはそうなんですが、三十府県でやっていらっしゃるんですか、ということはこれは全国的な制度にできないんですか、そういう。こういうところでやっていますよ、こういうところでやっていますよと言ったって、国の制度じゃないじゃないですか、それは別に。都道府県がそういう、必要だと思ってやっていらっしゃるわけで。どうですか。
  135. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 現在、三十府県での暴追センターにおいてこの制度を持っておるところでありますけれども、これは全国に広めるべく推進してまいりたいというふうに考えております。
  136. 白浜一良

    ○白浜一良君 全国で広めたいということなんですけれども、これ、国から何か、補助金か何か出していらっしゃいますか。
  137. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 出しておりません。
  138. 白浜一良

    ○白浜一良君 だから、だからそこを言っているんですよ。もう都道府県で督促する言わはっても、やってよやってよいうだけの話じゃ話にならぬわけで、やっぱり何らかの、やっぱりこういうことは、促進してくださいというためには国がやっぱり応援する姿勢を示さなければなかなかできませんよ、それは。だから、都道府県なんてそんな財政が豊かじゃないんだよ。大阪府なんかもう火の車ですよ、私、大阪ですけれども。それでも、やっぱりそういう、まあ大阪は暴力団も多いんで、たとえわずかな人でも社会復帰されていく流れを作ろうということで府としてされていることなんで、これもこれ以上言っても進まないでしょうから、将来的な課題としてしっかり研究をしていただきたいと思います。  生活安全局長、いいですわ。ありがとうございました、もう。あれだけで終わりです。
  139. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) どうぞ。
  140. 白浜一良

    ○白浜一良君 それから、まあ関連するんですけれども、就職を促進する意味で、やっぱりそういう離脱の意思を持っていらっしゃる方に懇切丁寧にアドバイスをしてあげるような刑事さんとかの存在は大きいと思います。また、仕事就く場合はそれなりの職業訓練というんですかね、そういうものが受けられるようなこともやっぱり配慮してあげるべきだと思うんですが、いかがなものでしょうか。
  141. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 警察といたしましては、暴力団からの離脱者の社会復帰対策の一環としまして、離脱者本人やその家族及び事業者に対する指導、助言、就業後の離脱者のきめ細かなアフターケアを行うための社会復帰アドバイザーを選任する制度を設けているところでありまして、制度の存在しない府県においては、これも先ほどの同じような話になりますが、制度の創設を、社会復帰アドバイザーを選任している、これは二十府県でありますが、まあ半分弱でありますが、につきましては、制度を効果的に運用するよう指導するとともに、所要の訓練を行う職業安定機関の紹介をするなど、離脱者の就業を継続させるために必要な対策を実施していきたいというふうに考えております。
  142. 白浜一良

    ○白浜一良君 なかなか成果上げるのは大変だと思うんですが、大事な視点なんでしっかりやっていってもらいたいと、このことだけを申しておきます。  それから、最後にちょっと、ダフ屋の話をちょっと関連して何点かお聞きしたいと思いますが、昨年九月にプロ野球の球場がある関係十都道府県の暴力団担当者会議を開催されたと。それで、いろんな考え方を出されて、それを受けてセパ十二球団は昨年の十一月に暴力団排除対策協議会を作られたと、こういうふうに伺っております。昨年の十二月には暴力団排除宣言というのをこの対策協議会が出されたということでございます。同時に、不当要求防止責任者というのが十二球団で二百四十名が選任されたと、こういうふうに伺っておりますが、この一連の流れというのはやっぱりダフ屋対策として具体的に機能しているんでしょうか。
  143. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) これは委員御指摘のダフ屋対策も一つの大きな眼目でありますけれども、これは暴力団が指導する一部悪質応援団、これが問題でありまして、プロ野球場における暴力団排除対策につきましては、暴力団等がプロ野球の球場に進出して、一部でありますけれども、私設応援団を支配下に置くなどしまして、球場内におきまして無許可で物品を販売する、また球場関係者や球場警備員にチケットの無償交付等の不当な要求をする、座席を多数占拠して一般人を締め出す、集団の威力で傍若無人に振る舞って一般客に恐怖感、不快感を与えているなど、非常に看過できない悪質な実態が明らかになったことから、委員御指摘のように、平成十五年十一月、各都道府県警察に対しまして、プロ野球球場及び弁護士会等との連携強化、取締りの徹底等について指示していたところであります。  これに基づきまして、各都道府県警察では、取締り隊の発足による取締りの強化とか、プロ野球球団の球場等との連絡協議会の設立等、暴力団排除のための取組を行ってきたところでありまして、暴力団等の排除の仕組みが整いつつあるというふうに認識しております。  一方、委員御指摘の暴力団資金源ともなっておりますダフ屋行為につきましては、これも各都道府県警で取締り等を編成いたしまして、球場周辺における徹底した取締りを行っているところであります。こうした取組によりまして、暴力団の支配下にある悪質応援団を球場から排除するとともに、ダフ屋行為の徹底した検挙等によりまして資金源を遮断するなど、一定の成果を上げているものというふうに考えております。  今後とも、球場等の警戒の実施及び違法行為の徹底した取締りに努めまして、プロ野球球場から暴力団を排除し、一般娯楽施設としての健全性を確保するため、諸対策を今後とも強力に推進してまいる所存であります。
  144. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで、プロ野球に関しては、まあ今部長がおっしゃったように、いろいろ流れを作られたということでございますが、ダフ屋ということ、それから暴力団の介入という面からいいますとね、別にプロ野球だけではないわけで、いろんな大型のイベントをされるときもそういう行為発生しやすい。それから、その他のプロ競技としてはJリーグは定着してきております。Jリーグなんかもそういう暴力団が介入する余地はあると、こういう面においても対策をやっていくべきじゃないんですか。いかがですか。
  145. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 御指摘のとおり、ダフ屋についてはいまだ一部暴力団の大きな資金源の一つとなっておりまして、徹底して排除する必要があると考えております。  警察ではこれまでもダフ屋を含めて暴力団資金源犯罪の、資金獲得犯罪の検挙に努めてきたところでありますけれども、今後とも公共施設等の管理者等に対する警備体制の強化、警察への連絡通報体制の確立等につきまして積極的な働き掛けを行うとともに、プロ野球の球場と同様に、今後とも徹底した取締り、継続した取締りを強化するなどしまして、公共施設等からの暴力団の排除、ダフ屋の排除を推進する所存であります。
  146. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで、具体的に一つ申し上げますが、これは条例に基づいて行われているんですね、ダフ屋行為は。  当然、東京都はしっかり取り締まっていらっしゃるというふうに伺っておりますけれども、しかし、大きな都市という面でいいますと、京都にこの条例がないんですね。京都はJリーグのチームを持っております。様々な大型のイベントも開催される都市でございますが、ここは先行してそういうことはできないと、これは条例に基づいていますから。こういうところはどうされるんですか。  四十七都道府県のうち条例があるのは三十九都道府県ということで、あとの八つはないわけで、その八つの中でも、比較的全国の中でも大きな都市である京都なんかないわけですね。これは、どのようにお考えになっていますか。
  147. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 京都府におきましては、御指摘のように、いわゆるダフ屋行為そのものを取り締まる条例の規定はありませんけれども、これまでに物価統制令を適用してダフ屋行為を取り締まった事案があるものというふうに承知しております。平成五年の京都競馬場、平成九年の京都駅ビルで、それぞれ数件、数名を捕まえておるという事案報告を受けております。
  148. 白浜一良

    ○白浜一良君 物価統制令でそういうダフ屋行為を取り締まるというのもいかがなものか思いますね。だから、当然そういうことはある行為だということで、私は、法的な整備も含めて考えてくださいよ。そんなのおかしいよ、そんなのは。まあ、これ以上は議論しませんけれども。  それとね、同じくネットを使ったダフ屋というのも生まれてきているんです。もうこれ時間がないのでやめますが、このネットを通した、これ一般の主婦が捕まったということを言われております。もう、もういいですわ、もう。時間ないねん。ごめんね。ごめんね。  だから、これもう最後、大臣にちょっと聞きますわ。このネットもダフ屋行為をやるんですよ。いろんなネットを使った売買で、別にダフ屋行為だけじゃございません。不正取引もあるし、いろいろあるわけでございますが、やっぱりそういうことはもう自然な形で今一般的に行われているわけで、私は何らかの意味で法的な対応が必要だと。やっぱり規制しなければ、やっぱり担当する警察官も取り締まれないわけでございまして、そういうことも含めて前向きに取り組んでいただきたいと、そのことに関する国家公安委員長の所感を伺って質問を終えたいと思います。
  149. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 暴力団はもうあらゆる分野に、先生お話しくださいましたように進出をしておりまして、資金獲得のために何でもありというような多様性を図っているものと承知をいたしております。  警察は、ネットオークションが暴力団の新たな資金源となっておりますことも承知しておりますし、実態を把握して、徹底いたしましてあらゆる法令を適用さしていただいて取締りを強化さしていただきたいと、そのように考えております。
  150. 白浜一良

    ○白浜一良君 もういいです。
  151. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  まず、暴対法改正問題について伺います。  今回の法改正は、暴力団相互間の抗争内部抗争に巻き込まれて被害を受けた一般市民に対して、指定暴力団代表者損害賠償責任を負うということを明記するものですが、今後はこの被害についての立証が容易になるということでしょうか、お伺いします。
  152. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 改正の趣旨についてということでよろしゅうございますでしょうか。
  153. 吉川春子

    ○吉川春子君 容易になるのかということです。
  154. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 今回の改正法案というのは、指定暴力団代表者等は、凶器を使用した対立抗争又は内部抗争によりましてその指定暴力団員が他人の生命、身体、財産を侵害したとき、これによって生じた損害を賠償するという責めに任ずることとするものでありまして、対立抗争等被害者被害回復充実を図ることを目的としているものでございます。  さらに、副次的な効果といたしまして、頻発いたします対立抗争等発生の抑止につながるものと期待されているところでございます。
  155. 吉川春子

    ○吉川春子君 平成三年十月三十日、大阪高裁判決、二〇〇三年かな、これ。山口組組長と実行犯に対し八千万の損害賠償を命じた判決がありまして、これは高裁レベルでは初めてと聞いておりますが、この場合、被害者警察官であったわけです。  私は、この損害賠償を認定される場合に警察協力というのが重要なポイントだと考えております。事実関係被害者だけ、被害者ではなくて暴力団とか警察しか知り得ない情報が多いので、被害者自身の立証が大変難しいわけですから、今回の法改正においても、この警察によるサポートといいますか、これが非常に重要だと思いますが、引き続きそのことについて全力を挙げていただきたいと思いますが、いかがですか。
  156. 小野清子

    国務大臣小野清子君) この制度の訴訟提起におきましては、立証する事項というのは、事実上、警察捜査による解明に負うところが大変大きいものでございます。ですから、警察におきましては、対立抗争等に係る捜査を尽くした上で、各種警察活動を通じまして収集いたしました暴力団の情報を可能な限り提供すると同時に、裁判における警察職員の証人の出廷等にも積極的に応じていくものと承知をいたしております。
  157. 吉川春子

    ○吉川春子君 この種の事件は、訴訟まで至らない、訴訟したくてもできないという事例が大変多いというふうに推測されますけれども、そういう場合の救済をどうするかという点について伺います。  今回の法改正対象となる対立抗争事件発生状況巻き添え被害のこの十年間の状況はどうなっておりますか。
  158. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 被害者指定暴力団によります報復を恐れて訴訟提起をちゅうちょするということは十分予想されることでありますし、過去にもそういうことは経験したところでもあります。  警察におきましては、保護対象者の意向とか予想される危害の態様、範囲、またその背景となっている事情等を総合的に勘案しまして、パトロールの強化、それから機械警備の実施、それから保護対策など、保護対策について万全を図っていくものと、図っていきたいというふうに考えております。  あと、対立抗争巻き添え被害関係でありますが、平成六年から平成十五年の十年間におきまして、指定暴力団相互間の対立抗争又は内部抗争発生件数は七十二件、当該抗争による回数、三百九十八回に上りまして、そのうち巻き添え被害は七十三回、大部分は物的被害でありますけれども七十三回、このうち八名が負傷、二名の方が死亡するということで、一般市民生活の平穏を著しく害している状況も見受けられるところであります。
  159. 吉川春子

    ○吉川春子君 損害賠償を提起した事件は何件かお分かりですか。
  160. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 対立抗争に伴うもので損害賠償使用責任というか、上位組長といいますかの損害賠償というのを提起したのは五件でございます。
  161. 吉川春子

    ○吉川春子君 本当にほとんどが泣き寝入り状態ということが言えると思います。今回の法改正は、訴訟提起して初めて効果が出るということで、公訴提起できないような事例についてどういうふうに救済していくかということについて、どのようにお考えですか。
  162. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 被害者指定暴力団によります報復を恐れて訴訟提起をちゅうちょするということは十分想定されることでもございます。そのために、警察の方では、保護対象者の意向や予想される危害の態様及び範囲、その背景となる事情等を総合的に勘案をいたしまして、例えばパトロールなどの強化、機械警備の実施等、保護対策について万全を図っていくものと承知をいたしております。  このほかに、関係機関とも連携の上、弁護士会民事介入暴力対策委員会等の紹介をいたしましたり、暴力追放運動推進センターによります訴訟費用貸付制度の教示なども行いますほか、訴訟提起の円滑化を図っていくように警察を督励しているところでもございます。
  163. 吉川春子

    ○吉川春子君 被害を受けた市民が泣き寝入りしないようにどうすればいいかということは非常に重要だと思いますので、今後とも是非力を入れてやっていただきたいと思います。  それで、対立抗争事件以外の被害救済についてお伺いいたしますが、今回の法改正対立抗争事件以外には適用されないという点が問題だと思います。対立抗争事件以外でも一般の市民暴力団からいろいろな被害に遭っているわけですけれども、その発生状況について把握されていますか。その損害賠償被害回復はどの程度行われているんでしょうか、伺います。
  164. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 対立抗争以外で損害賠償請求訴訟というのはこれまで六件出ておりまして、これも実行組員ではなくて、上位組長に対する使用責任的な損害賠償で六件出ておりまして、これはいずれも原告勝訴というふうになっております。
  165. 吉川春子

    ○吉川春子君 非常に、六件ということで非常に少ないわけですけれども対立抗争事件以外の被害の方が非常に多いわけです。時間の関係で触れませんが、その資料もいただいております。  暴力団対策に取り組んでいる弁護士の話では、たとえ裁判に勝利しても、暴力団代表者で支払能力がなくて損害賠償が支払われない事例が多いというふうに聞いております。傷害、殺人や事務所を大破されたような事件損害賠償請求で原告が勝利してもお金を受領できないわけですから、損害が本当の意味では補てんされないわけですね。  こうした事件にも暴力団代表の使用責任対象を広げるべきだと日弁連などからも意見が出されておりますけれども、このような見解についてはどうお考えですか。
  166. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) この暴力団というのは、日本全国至る所で日常的に違法行為不法行為を行っておりまして、その中で対立抗争というのは、件数的には、比率としては非常に少ない、普通の不法行為、違法行為一般市民損害を受ける場合が大半であるというのは委員御指摘のとおりであります。  その中で暴力団代表者、いわゆる首領、組長と言われる人間に責任を負わせるとなりますと、やはりこれは民法七百十五条の使用責任的な責任ということで、見も知らない末端の組員北海道なり九州なりというところで不法行為を行う、そういう場合にトップの神戸なり東京に住んでおる組長責任を取るというのは、やはり違法行為不法行為自体が組織的な行為であるということ、また逆に、上から見ればそれが抽象的にでも組長の統制下にあるというふうな構成が抽象的に、観念的にも取れなければ、なかなか幾ら民事訴訟、民事責任といっても責任を負わせるというのは非常に無理があるというようなことから、今回、条文としてくくる、類型としてくくるには対立抗争内部抗争というのがこれは今言ったようなことに当てはまるだろう、あとのいろんな不法行為犯罪行為、これはなかなかそこではくくる、条文としてくくるのは難しいんではないかということで、こういうふうな対立抗争内部抗争ということに絞らせていただいたのであります。
  167. 吉川春子

    ○吉川春子君 民法七百十五条の使用責任の概念もなかなか暴力団に当てはまるかどうか議論があったことは承知していますが、やっぱり暴力団の末端の組員が、親分というんですかね、代表者ですかに上納するということが日常的に行われているわけで、上納するためにいろんな不法行為が行われるということであれば、やはり類型性がないと今おっしゃったけれども、類型性がないという一言で片付けられるのかどうか。むしろ、暴力団組員というのはそういう行為を日常的に行うという類型性があるとも言えるんじゃないかというふうにも思うわけで、今後ともこの問題については是非検討課題にしていただきたいのと、暴力団被害に一般の市民が遭わないように、遭った場合には損害賠償がきちっと行われるように、そういう点について警察のきちっとした対応を求めたいと思います。大臣、この点いかがですか。
  168. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 検討させていただきたいと思っておりますけれども、今回の改正というのは、あくまでも代表者等責任追及を徹底するための橋頭堡として位置付けるものでございまして、今後は本制度の対象となる不法行為の範囲の拡大を含めまして、その被害回復充実を図ることについて真摯に検討してまいる所存でございます。
  169. 吉川春子

    ○吉川春子君 続きまして、福岡県の福岡県警の裏金問題についてお伺いいたします。  三月五日に報道関係者の取材に応じて元警部、九五年から九九年まで県警本部銃器対策課庶務係長ですが、六八年に県警に採用され、二〇〇一年三月に退職するまで多くの管理部門に勤務されたわけですが、資料を基に県警の銃器対策課で裏金作りに関与していたと。架空の捜査協力者への謝礼を装うなどして年間一千五百万、四年間で約六千六百万円に上る捜査費などが裏金となって、大半が幹部の交際費などに流用されていたと、こういうふうに証言されました。  今日、県警本部長が県議会に対して捜査中間報告を十一時から行いましたけれども、この本部長は捜査費など、国費からの裏金作りを認めたんでしょうか。
  170. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) ただいま御発言がありましたように、本日、警察本部長が県議会の方に取りあえずの中間結果という形で報告をいたしております。  その報告内容でございますが、平成十年の四月から平成十一年七月までの銃器対策課における国費捜査費及び県費の捜査報償費について調査をした結果、まず当時の銃器対策課長は、捜査費及び捜査報償費を捜査員への夜食代、激励費として交付したと述べているものの、これに合致する会計書類がない、事実と異なる会計書類が作成されていた。また、当時の捜査員の多くは捜査費等執行事実を認めておりますが、現時点では一部確認できないものがある。さらに、捜査費等を旅費の一時立替えに流用していた。こういう内容報告をしておりまして、少なくとも不適正な捜査費執行があったという判断をしたという報告内容になっております。
  171. 吉川春子

    ○吉川春子君 県の監査委員会に実名で証言したこの現職の警部補は、今年の二月まで偽の領収書作りをしていたと言っております。警察の裏金問題が国会でもこれだけ大きく取り上げられておりますのに、福岡県警では裏金を作り続けていたと。  今日の審議で、繰り返し午前中、大臣警察庁の官房長も内部調査で徹底解明するんだとおっしゃっていましたけれども、これはもう内部解明ということはこういう事態ではできないのではありませんか。
  172. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 今日も、福岡の本部長が、福岡県警の威信に懸けて事案の真相を解明すると最後に付け加えていると承知しておりまして、まず、やはり福岡県警が公安委員会管理の下できちっと自浄作用を発揮するということが大事だと思っておりますし、警察庁としても適宜警察庁職員福岡県警に派遣するなりして一緒に早期解明に努めておりますので、十分に解明できるように努力したいというふうに考えております。
  173. 吉川春子

    ○吉川春子君 これも午前中、神本委員から書類を五年になる前に消却したことが指摘されて、問題になりました。私は、これだけ疑惑が沸騰しているのですから、五年でも消却してはならないと思っています。当面この疑惑が解明されるまで、今徹底してその解明の努力をすると次長がおっしゃいましたが、当面警察関係の書類の消却期限を延長してほしいと思います。どうですか。
  174. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 従前も御答弁申し上げておりますけれども、今年の三月三十一日に保存期限が満了いたします会計文書については、保存年限が五年となっておりますから、その会計文書についてはこれを当分の間保管を継続していただきたいという連絡をしたわけでありまして、警察が公文書としていろいろ所有をしております文書すべてについて、これはそれぞれの文書管理規程で保存年限がそれぞれ決まっておるところでありますので、それにのっとって対応するのが適当かと思います。それを一律に何年延ばすとかということになりますと、事は文書でございますし、かえって責任の所在が明らかでなくなるということもございますので、文書管理規程にのっとって整々と処理をしていくのがよろしいかと思っております。
  175. 吉川春子

    ○吉川春子君 私、具体的に提案しますが、横領罪、公金横領罪、公文書偽造罪、詐欺罪、これは公訴の時効が十年ですね。だから、こういう問題が指摘されているわけですから、少なくとも公訴の時効が完成するまでの間、すべての、すべてのというのは警察関係のすべてのじゃないですよ、この裏金作りに必要と思われる関連のあるものについては消却を全国的に警察庁がストップを掛けてもらいたい。どうですか。
  176. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 今のお答えに、まずお答えする前に、先ほど県議会で報告したのが警察本部長と私申し上げましたが、県警の総務部長でありますので、おわびして訂正いたします。  それから、本件の関係でございますけれども、公訴時効は、十年と言っておられましたけれども、七年だろうと思うんですが、それに対応するように全体を延ばすかどうかというのは、先ほども官房長答弁しておりますけれども、やはりそれぞれのところで条例等でいろいろ決めているわけでございますので、こちらが一方的にこうしろという形で決まる話ではないだろうと思っています。  ただ、今残っているのはもう十年度以降ということになっておりますので、この十年度以降の分について今後どうやって解明するかということだというふうに私は判断しております。
  177. 吉川春子

    ○吉川春子君 時効の完成まで、少なくともこの裏金作りに関係のある書類については消却を延ばすということを是非検討していただきたいと思います。そうじゃないと証拠がなくなるということにもつながりますので、これは要望しておいて、また次の機会に質問いたします。    〔委員長退席、理事神本美恵子君着席〕  警部が、元警部が告発した捜査費等現金受領簿を見ますと、捜査費と旅費の受領が一緒に記入され、累計額が記載されています。愛知県警の裏帳簿は市販のものでしたけれども、こうした書式の帳簿を福岡県警が作成しているということに私は驚きました。朱肉の上司による決裁印も押印してあります。これはまさしく銃器対策課の裏帳簿ですね。ここに記載されていた総額が裏金になっていたことになります。この帳簿によれば、受領額の累計が平成八年度、二千二百三十七万九千五百七十五円、平成十年度、一千五百六十五万四百円。  福岡県警の銃器対策課のだれが裏金を保管、管理していたのか、その裏金はだれの指示の下に何に使われていたんでしょうか。
  178. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 先ほど御指摘のありましたこの捜査費等受領簿、これは内容によっては捜査費等の受領簿の間に括弧現金というふうに書いてあるものと現金と書いていないものがございますが、いずれにしても、これは正規の会計書類ではありませんので、元庶務係長が作っていた書類であるだろうということで、これについては捜査費等の現金受領状況を記載したものと思われるという福岡県警の中間報告を受けております。実際上だれがどういうふうに指示して、それからもう一つは、これがすべて裏金であるということは、先ほども中間報告の結果を申し上げましたけれども、言っていないわけでありまして、不適正な予算執行が認められたということは言っているわけであります。  それから、一般的に言いますと、捜査費というのは、緊急性又は秘匿性ということで経理の仕方がほかと変わっていて現金経理ができるわけでありますから、いったんは、例えば所属長が取扱者、取扱者ということになっていますから、次席が取扱補助者と大体指定されているわけでありまして、取扱者のところには現金が来るわけですね。だから、その現金を保管するということは当然やっているわけであります。    〔理事神本美恵子君退席、委員長着席〕  先ほど申し上げましたけれども、この中でどういうものが不適正に使われ、予算執行されたものなのか、あるいはこれがその先どういうふうに使われたのか、あるいはどういうものが適正に本当にいわゆる現金管理すべき現金であったのか、この辺のところについてまだ今のところ中間報告の段階ではすべてが明らかになっていないという段階でありますので、今後、この辺のところを早急に詰めながら全体を明らかにしていくというふうに福岡県警はやっていくものと考えております。
  179. 吉川春子

    ○吉川春子君 元警部は、課長が転勤するたびに裏金の金庫は空になる、課長が異動する際にはせんべつとして、せんべつと称して残った裏金のほぼ全額を受け取ったと証言。さらに、現職の警部補は、裏金作りは銃器対策課でなく全部署で長年にわたって慣習化していたと、銃器対策課長のせんべつについて、転勤する課長が、裏金を入れている金庫を指して、これは私がもらっていいとやろと言ったと証言されています。ちょっと方言なので私のアクセントおかしいと思いますが。  小野国家公安委員長は、平成八年、九六年以降はせんべつを廃止したと私の前回の質問に対して答弁されていますけれども、こういうせんべつは県によってはまだ続いているということになりますね。これは警察庁次長に答弁をお願いします。
  180. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) これは福岡県がどうなっているのかというのはちょっと私も承知しておりませんけれども、私が経験する限り、少なくとも平成八年には通達も出ておりますし、それからその前からでも、私の記憶では、昔は確かに部内の者の、私が、私自身も例えば自分の部下であった捜査員から転勤するときにはせんべつをいただくということもありました。でも、正にこれは個人の費用で出しているものだと思っていましたから。  私は、諸先輩から言われたときも、せんべつというのはいったんは取っておくものだよ、必ずおまえが別の人に出すことになるんだからと、こう言われていましたから、私はそういうふうにやったという記憶はございますが、その後、部内で正にせんべつのやり取りをするということはもうほとんどなくなったと思います、八年以降、全くそういうのを見掛けない。私も八年に愛知県の警察本部長に夏から出ておりますけれども、それ以降でせんべつの受渡しを部内でやったという記憶は全くございません。
  181. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党にも、日本共産党福岡委員会にも現職警察官からの内部告発が寄せられておりまして、北海道の報償費とか捜査費の裏金が報じられているけれども福岡県警でも同じようなことが組織的に行われていますと。私も会計担当者が下書きした領収書を書いてもらいましたし、書かされました、金を渡されたこともないし、上層部の裏金となっていました、旅費も会計担当が職員の印を管理しており、空出張用の書類を作って裏金を捻出し、上層部の裏金となっていた、いつもいい思いをするのはトップクラスと管理官、補佐以上の連中だけですと。  こういう内容なんですけれども国家公安委員長警察調査、不正の解明捜査機関にふさわしい公正さをもって行われているのかどうかということが問われているんじゃないですか。世間の犯罪については厳しくやる、内部の犯罪については甘い、こういうことであってはいけないですよね。
  182. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 北海道並びに静岡県、あるいは調査中の様々な報告が入ってまいります。捜査用報償費というものが正規の執行手続を得ずに調査用報償費やその他の交際費等々執行されていたこと、また、空出張による予算の不適正な執行が行われていたことが判明したところでございます。  北海道警察及び静岡県警察におきましては、それぞれの公安委員会指示を受けまして鋭意調査を進めているものと承知をいたしておりますけれども委員が今おっしゃいましたように、調査の結果不適正ということが分かれば、何遍も申し上げておりますけれども、厳正な対処をするものと、そのように認識をいたしておりますし、また、国家公安委員会におきましても同様に、今後の責任の所在を含めて、関係道県と連携して、早期にとにかく事案解明し、そして警察庁をそのための督励をし、その結果を踏まえて厳正に対処していきたいという、そのような気持ちでおります。
  183. 吉川春子

    ○吉川春子君 警察庁次長にお伺いします。  福岡が認めて、これは北海道に続いて二回目なんですけれども、四月十六日付けの朝日新聞夕刊には、宮城県警の元警視が、裏金の原資に捜査報償費や旅費、国費捜査費も充てていた、捜査報償費と捜査費の大半は裏金にし、所轄署の課長だった七〇年代から近年の退職時まで裏金作りが行われていた、やみ手当や交際費、部下の結婚祝いなどに充てていたと証言していますけれども、この宮城県警の問題についても調査すべきではありませんか。いかがですか。
  184. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 今委員御指摘のあった件でございますけれども、これは宮城県警の元警察官が文書の形で報道機関等に郵送したということでありまして、この事実は私の方も承知しておりますけれども、これは宮城県警としてはこの文書を入手しておりません。  したがって、どんな具体的な内容になっているのか分かりませんが、いずれにしても、宮城県警の場合には、前からいろいろ、知事からもいろいろなことを言われるとか、当然、あそこもオンブズマンがなかなかしっかりしておりますからいろいろな要求があることとか、やっておりまして、宮城県警としては監査に関する規定をその後も整備いたしまして、計画的に監査を実施していくこととしております。  その中で、正にこの内部というか、その文書で告発した人間の言うとおりなのかどうかということは、そういう形で、その報償費等執行状況をしっかり監査している中で、その辺のところが明らかになってくる場合もあるだろうし、場合によると、その言っていることは実はそのとおりではないということが明らかになることもあろうかと思っております。
  185. 吉川春子

    ○吉川春子君 調査はするというふうに受け止めていいですね。
  186. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 先ほども申し上げましたように、こういうことがあったから調査するのではなくて、宮城県警は元々いろんな形でともかく計画的にその捜査費等がしっかり適正な経理をされているかどうかについて監査をしていこうとしているわけでございますから、その過程の中で、その部分が明らかになるか、その言っていることと違うことになるかということを言っておりますので、これを契機にやろうという意味ではございません。
  187. 吉川春子

    ○吉川春子君 是非、これを契機に深く真実を明らかにしていただきたいと思います。  それで、質問を変えますが、会計検査院にお伺いいたします。北海道警北見方面本部架空領収書の問題です。  昨年七月、北海道北見方面本部警備課で国費捜査費不正流用され、支出に関する会計書類の偽造疑惑がありました。協力者の慰労名目で数千円を支出した飲食店の領収書は既に閉店している飲食店のものでした。店が営業しているときに、当時に、営業している当時に入手した白紙の領収書を使い不正支出が行われたことが三月に明らかになっています。  会計検査院は、七月の検査のときどういう指摘をしたんですか、そして今日までどうしてこんなものをほっておいたんですか。
  188. 石野秀世

    説明員石野秀世君) 警察庁予算の執行状況検査するということのために、昨年七月に、今お話しのとおりに、道警北見方面本部の会計実地検査を実施しております。  その中で、やり取り様々あります。関係書類の提示を受け、あるいは説明を受けるなどやったわけでございますけれども、その実地検査終了時点ですべての事態が明らかになったものではないということでございます。したがいまして、その後も検査を行うということで報告等を求めるということで対処したものでございます。  その後、当局の方から、その実地検査時の説明や提示された書類には疑問があるというふうな説明がなされたところでもございますので、今後、更に検査を行い、その事態がどういう状況にあるのかということを解明していく要はあるというふうに考えているところでございます。
  189. 吉川春子

    ○吉川春子君 警察庁にお伺いしますけれども道警北見方面本部の会計検査のときに警察庁から三名の方が立ち会っておられます。どなたが立ち会っていますか。
  190. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 北海道の北見方面本部の会計検査は十五年の七月でありますが、その検査のときですね、その検査の際に、当時の会計課の監査室長ほか二名が立会いを行っております。
  191. 吉川春子

    ○吉川春子君 会計検査院伺いますけれども警察庁が都道府県の会計検査に立ち会うのはどうしてですか。
  192. 石野秀世

    説明員石野秀世君) 我々会計検査院としましては、都道府県警察におけまする警察庁の予算、いわゆる国費執行ということを検査しているという立場でございます。したがいまして、警察庁も都道府県警察と同じ、言わば受検庁の立場ということにあるというふうに考えておりまして、そういった観点から立会いが行われておるものというふうに考えております。
  193. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、会計検査院検査というものは、都道府県の、都道府県警に行われるということではなくて、その国費支出を担当する警察庁に対する検査ということですか。それで、北海道で行う、あるいは福岡で行う、こういうことですか。
  194. 石野秀世

    説明員石野秀世君) 予算としましては警察庁の予算の執行ということになろうかと思います。  ただ、個々のその執行主体ということになりますと、都道府県警察において行われている面もあるということでございまして、都道府県警察実地検査を行ってその国費執行検査しておるということでございます。
  195. 吉川春子

    ○吉川春子君 だれを相手に、警察庁に対して、あれですね、その検査に立ち会った人の証言を聞くと、実際にやり合うのは会計検査院警察庁らしいですね、各都道府県の。だから、実際の検査というのは警察庁相手にやって、その警察庁の予算がその都道府県でちゃんと執行されているかどうか、そういうことを検査するということですか。
  196. 石野秀世

    説明員石野秀世君) 警察庁の予算にもいろいろ種類があろうかと思います。今お話しになって、話題になっています捜査費ということでありますと、実際の執行捜査費執行というのは都道府県警察において行われておりますので、そこの関係者から状況を聞くということが主体になろうかと思います。  ただ、一方で、中央調達といいますか、警察庁の方で調達された物品等が都道府県警察において使われておるというような、場合によってはそういうものもあろうかと思います。そうなりますと、使用状況については都道府県警察についてお伺いするということになろうかと思いますが、その調達の状況ということになりますと、これやはり警察庁本庁ということになろうかと思いますので、費目によって対応が違ってくるというふうなことで御理解願いたいと思います。
  197. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、福岡県でも検査平成十一年二月に行っていますが、そのときは警察庁はどなたが立ち会っていたんですか。
  198. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 福岡県警には平成十一年の二月に会計検査院検査が行われておりますが、この際には、当時の会計課の監査室長外三名が立ち会っていたと承知をしております。
  199. 吉川春子

    ○吉川春子君 何か午前中の議論を聞きますと、福岡県警が悪いとか、何かその都道府県警の責任のようなふうに受け取れる御発言もあったんですけれども、会計検査というのはやっぱり警察庁に対して行うということが主体だということを今私は確認をしたわけなんです。  会計検査院、架空領収書を指摘しながら、十二月まで、北海道の問題ですけれども、これは非常にルーズとも言える対応で、このまま告発でもしなければそのままやみからやみへ行っちゃったんじゃないですか。こういう無責任なやり方については反省していただきたいと思います。どうですか。──いや、会計検査院
  200. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) ちょっと事情説明いたします。
  201. 吉川春子

    ○吉川春子君 いや、いいです。ちょっと時間がもう迫っているので。
  202. 石野秀世

    説明員石野秀世君) 北見の件につきまして、個々の具体的な詳細の内容というのは検査中、正に検査中の内容でございますので詳細にはお話しできないということでございますが、先ほど申し上げましたとおり、七月の検査終了時にすべての事態が明らかにならなかったということから継続して検査をするということで処理したものでございます。  その後、今何もしていなかったというお話でございますが、何度か説明を行うよう警察の方に求めていたところでございます。その中で、昨年、警察庁の方から実地検査において不適切な対応が行われた疑いがあると、更に北海道警察において調査を行っていくという旨の説明がなされたところでもございますので、現在その調査結果の報告を更に求めているところでございまして、今後とも継続して検査してまいりたいというふうに考えております。
  203. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、この警察の裏金作りというのは、もちろん警察はやってはいけないことなんですけれども、これをずっと一貫して見逃してきた会計検査院責任というのもやはり厳しく今問われているのだと思います。  元警部は、福岡です、二か月に一回裏金作りが適切に処理されているか会計課にチェックされると。課長や次長指示して生活安全部長まで決裁を取るというふうに証言をしているわけです。また、警察庁の会計課の職員が事前に内部検査を行って、会計検査への完全な対応を準備した後、会計検査院検査に入るということにどの県もなっているようですね。  会計検査院は、福岡県警の検査でも、今県警本部が認めている捜査費などの不正を含めて、これまで一つも指摘できなかった原因は何だと考えていらっしゃいますか、会計検査院
  204. 石野秀世

    説明員石野秀世君) これまでも、警察検査におきましては、できるだけの関係の書類を照査する、あるいは説明関係者からの説明を受けるということで厳正に検査してきたところでございます。  ただ、今お話しのとおり、福岡県警、警察の会計実地検査も含めまして、これまで捜査費について特に不当であるというふうに検査報告に掲記した事項がないのは事実でございます。しかしながら、今申し上げましたとおり、厳正な検査を実施してきたつもりでございますし、今後ともさらに、限られた人員と時間の中で、できる限りの関係書類の確認説明を受けるというようなことで、更に検査の手法にも工夫をしまして厳正な検査を行っていきたいと、そういうふうに考えております。
  205. 吉川春子

    ○吉川春子君 検査の手法についてちょっとお伺いしますが、高知では新聞社が告発された分について全部当たったんですけれども協力者はすべて架空だった、どの内部告発も架空の協力者をでっち上げています。にもかかわらず、捜査の秘密ということで、警察は情報提供者との信頼関係を盾に会計検査院が直接接触することを拒否しているわけで、このことが私は裏金作りを何十年にもわたって可能にしてきた一つの、一つの原因ではないかというふうに考えております。  それで、昭和五十九年の七月十七日に参議院の地方行政委員会警察の裏金作りが追及されたときに、情報提供者との信頼関係を盾に拒めるか拒めないかという質問を当時の社会党の寺田熊雄さんがやっていますが、それに対して当時の三井警察庁長官は、法的には拒めないんだと明確に答弁しています。法的にはそうですね。警察庁、どう考えますか。
  206. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 法的には正に拒否できるということはできません。  ただ、会計検査院も、こちらの協力なしにすべて強制的にやるという、そういう権限もないと思いますが。したがって、お互いにこれは正に納得ずくでやっていただくという形で今まで来ております。
  207. 吉川春子

    ○吉川春子君 強制的にやれない、権限はないというのはどういうことですか。強制捜査権限がないという意味ですか、それとも警察の意に反してはできないよと、こういうことですか。どっちですか。
  208. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) いや、つまり、我々が協力してだれが協力者であるかということが明らかにならない限り、自分たちの方からこの人間に当たるということはこれはどう考えても不可能だろうと。それを強制的にやることはできないでしょうという意味です。
  209. 吉川春子

    ○吉川春子君 それは物理的には当たり前なんでして、ただ、会計検査のときには領収書とか何か出てまいりますから、それの領収書の本人に当たるということを今まで会計検査院は一度もやっていないわけですよ。それは捜査の秘密とか何とかそういうことで、会計検査院の方も自粛というか、してきたんですけれども、事ここに至っては、これだけ全国で問題になっていて、しかも架空の領収書も一杯ばらまかれていると。ばらまかれているというか、作成されているということを見たときに、会計検査院、やっぱり今正に漆間次長のおっしゃったとおりなんですよ。法的にこういうことはできるわけですよ。  だから、そういう点で、会計検査院も今までの枠を一歩超えて、そしてきちっと効果の上がる方法で検査しませんと会計検査院存在そのものが問われてくると思うんです。その点について、抜本的な検査のやり方を考えていただきたいと思いますが、どうですか。
  210. 石野秀世

    説明員石野秀世君) 今お話し協力者からの聞き取りを行うと、直接行うということも検査の方法の一つであろうと思います。したがいまして、どういう場合ができるのかできないのかということは更に検討したいと思いますが、ただ聞き取りを行ったということだけで検査が終止するものではございませんで、やはり仮に聞き取りを行ったとしましても、その本人確認でありますとか、言われたことの内容確認、そういったものを更に関係の書類とかいろんな観点から検証していかなきゃなりませんので、そういったことも含めまして、会計経理の妥当性ということを判断するということで行ってまいりたいと、そう思います。
  211. 吉川春子

    ○吉川春子君 私は、国会、夜十時とか十一時とか帰るときに、国会の周りで警視庁の機動隊の方が警備していらっしゃって本当に大変だなといつも思っているわけですよ。現場で多くの警察官はまじめに献身的に働いていると思うんです。でも、こういうことが明らかになったり、あるいは自分たちが本来受け取るべきお金が幹部のせんべつとかいろんなことに費やされていて、自分たちには来ないということが明らかになったりしますと、やっぱり士気にもかかわるんじゃないか。法律は、もちろん法律にも違反しているんですけれども、士気にもかかわる。何よりも、そういうまじめに働いている警察官方々に対しても大変申し訳ないことだというふうに思ってしかるべきだと思うんですね。  ですから、私たちは、そういうことも含めて、大切な税金を正当に使うという観点からも、このいわゆる裏金作りという問題については手を緩めずにやっていきたいと思います。警察庁もできる限りのことをして、是非これを解明していただきたいと思います。  最後に、次長から一言、決意を述べていただきたいと思います。
  212. 漆間巌

    政府参考人漆間巌君) 今議員がおっしゃったとおりでありまして、我々としては、当然のことながら国民信頼それから協力なしに警察活動はでき得ませんし、また、それがなければ、一線で働いている人間も正に報われないことをしなきゃならないということであります。  そういう意味で、警察がいつまでたっても裏金の問題に引きずられているということは、私としては非常に一線の士気に影響すると思っておりまして、できるだけ早い機会にこういう実態であったと、今後はこういうふうにしたいと、こういう形できちっとこの関係をまとめていきたいというふうに考えております。
  213. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  214. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩でございます。  本日は、前段に暴対法改正案についてお聞きして、後段の方で先ほどからの警察行政一般に関するいわゆる裏金についてお聞きしたいと思っております。  今回の暴対法改正案なんですけれども、私は、そもそも警察暴力団対策という、この目的というのは、この目標というのは、やはり暴力団、反社会的存在である暴力団をなくしたいんだと、当然、そこの構成員を減らし、そして最終的にはなくしたいという、私、これが最も大きく掲げる第一の目標だと思っております。  当然、この目的のために平成四年に暴力団対策法というものが施行されて、その後三年間は、いわゆる構成員そして併せて準構成員のこの合計数というのは三年間は減っていきましたね。ですから、暴力団対策法の一つの大きな目的というものが少しずつ達成されてきたんだと思います。しかし、残念なことに、三年たった後からは増加に転じていますね。ここ十年近く、毎年毎年増加していると。  そこで、私は、当然、警察庁としては、当初の第一目的である暴力団をなくすんだ、構成員の数を減らすんだという、このことを何とか暴対法の中でやっていきたいと、私はそう考えているはずだと思うんですよ。  これから御質問しますけれども、時間がないんで、大臣、過不足なく、特に過足なくお答えください。  お聞きします。それでは、先ほど申し上げた第一の目的暴力団を減らす、なくす、構成員を減らすという、このことに関して、今回の暴対法改正、この改正は何ら効果を上げることがあるんでしょうか。お聞かせください。
  215. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 対立抗争等被害者被害回復充実を図ることを目的としてこの法案というものは出されたわけでございますけれども、この本法案の改正によりまして、これまでの暴力団総合対策に、弁護士会等々と密接な連携によりまして、本制度を活用いたしました代表者等に対する民事上の責任追及という民事の面からの暴力団対策上有効な武器が加わることとなり、これまで以上の暴力団弱体化及び壊滅に努めていけるものと承知をいたしております。
  216. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、大臣、最初におっしゃったこの改正案目的、本義がありますから、そこからすれば、これ、直接的に暴力団が減ったり、そして構成員が減ったりはしないんですよ。  私、この後進めていくのは、その大きな目標に対して本当に今回の改正というものがどのくらい、やはり暴対法を作った時点が第一歩とすれば今回第二歩なんですよ。大きな目的に対してのこの第二歩、どのくらいのものかという、この視点だけでお聞きしていきますよ。  じゃ次に、なかなか暴力団もこの改正ですぐには減りそうもないと。じゃ、その次、今回は指定暴力団の内部及び外部の対立抗争という大変限定的なものに当てはめて使用責任を問うんだという、このことは分かっているんですよ。  ですが、実際には、じゃ、それによって、起きた対立抗争といえばこの十年間でも七十六件ですね。じゃ、ほかの一般のトラブルですよ。みかじめ料を取ったりだとか、様々の一般市民に迷惑を掛ける暴力団犯罪等ございますね。これは迷惑を掛けただけじゃないかもしれませんけれども、昨年一年間でも構成員のいわゆる検挙件数、これが五万件を超えているという。そう考えますと、対立抗争、昨年でしたら七件ですよ。はるかに、そのもう一万倍も様々なトラブルとか犯罪が起こしているわけですね、暴力団員は。じゃ、このトラブルに対する抑止効果、防止効果はあるのか、この点についてもあるのかないのかお答えください。いやいやいや、大臣
  217. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先ほど御説明したとおり、今回の改正案というのは、対立抗争等に伴う不法行為について代表者等がいわゆる無過失損害賠償責任を負うこととなったものでございますから、他方で、これ以外の暴力団員による不法行為については、現行の民法の規定に基づき当該暴力団員責任を追及することが可能であるということでございますので、効果はあるものと承知をいたしております。
  218. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、今回はとにかく指定暴力団対立抗争という、これだけ限定しているわけですから、それ以外の多くのトラブルについてはこれほとんど抑止力ないですよ。防止効果もないんです。  更に一歩踏み込みますよ。今大臣のおっしゃった、じゃ、対立抗争については影響があるでしょう、抑止になるでしょうと言うんですけれども、私も考えてみました。これ対立抗争ってすごいことですよね。それこそ相手暴力団組長の命を取ってこい、タマ取ってこいという話ですよ。そのときに、じゃ、今回暴対法改正になったと、いざ何か巻き添えを起こしたら損害賠償請求来ちゃうんだよと、まずいよ、これやめようよと組長がまず言うのかどうか。これによって対立抗争なくなるんでしょうかと、一つ。  その次に、じゃ、巻き添えを食って、方に、あれですよね、損害賠償と言いますけれども、これ、今までの十年間でも巻き添えの食った方、亡くなった方、わずか二人ですね。負傷者も八人なんですよ。ほとんどは先ほどおっしゃった物損、物が壊れるぐらいですから。だから、じゃ、おまえら、組員相手組長、タマ取ってこいと言って出ていくときに、ちょっと待ったと。考えたら、今回の改正で、おまえら、市民巻き添え与えたらまたおれ賠償責任になると、だから市民には優しく接してねと言うでしょうか。僕、絶対言わないと思うんですよね。  だから、今の二点。対立抗争といっても、じゃ、この使用責任の追及があるというだけで、本当に、じゃ、各組長、トップが対立抗争をやめる抑止力になるのか、そして市民巻き添えを減らすことになるその効果があるのか、この二点、お答えください。
  219. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 対立抗争等に伴う暴力行為による被害者回復充実という効果が期待されると私は思っております。  まず、先ほど議員からも御指摘がありましたように、対立抗争等発生の抑止にも副次的な効果として期待されるところと私は思っております。
  220. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、大臣ね、やっぱりもうちょっと現実感を持ってここで私討論をしたいんですよ。  副次的とか充実と聞くとそれはそのとおりかもしれないけれども、やはりリアルに考えて、今言った、タマを取る取られる、この対立抗争の中でどこまで理性的に、損害賠償請求がある、使用責任が認められる、民法七百十五条よりは今度の改正暴対法十五条がなんということを考えて、それで、僕、抑止力になるとは思えないんですよ。とにかく、警察が元々考える、この暴力団というものをなくしていくんだというものに対して、やはり余りにも効果が小さいんじゃないかと。  じゃ、聞き方をちょっと変えますが、私、この法律改正案目的、趣旨というのはさっきから何度も聞いています。やっぱり、ふと気付くと、民事裁判ですよ。これ、損害賠償請求ってこれ民事裁判ですよ。民事裁判のいわゆる金銭的補償ですよね。  何が言いたいかというと、元々は、じゃ、巻き添えを食った市民の側から考えてみましょう。まずは、対立抗争に巻き込まれて自分の御主人とか殺されたくないわけですよ、最も。このことが一番頭にありますよね。でも、考えてみれば、この法律というのは、いざ対立抗争がもう起こっちゃう、抑止力にもならない、そして巻き添えで死んじゃったと、この後からスタートするんですよ。死んじゃった、使用責任だと。こんなことは遺族の皆さんからすれば最悪の一歩手前程度の話なんですよ。今までだってわずか五件の、わずか五件の使用責任を争った裁判ですよ。これも大変重要な裁判だと思いますが、この十年間で言えばたった二人亡くなっただけだと。だから、これも貴重な命ですけれども、そのことに対して、今言ったようにまずは殺してほしくない、殺されたくないわけですよ。そのことを市民が願っているにもかかわらず、いざ亡くなりました、しかもその数でいったらわずかなところで。  で、今言った、繰り返しますけれども、金銭的な請求をしやすくなる、この手助けをすることが警察行政の本義なのかどうか、そのことをお答えください。
  221. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) この改正案のこの使用責任的な民事責任でありますけれども、これにつきましても暴力団の内部の情報を少し申し上げますと、指定暴力団の中で最大の暴力団の中の情報でも、定例の組長の総会というのが毎月行われておるようでありますけれども、そういう中にあっても、いわゆる対立抗争というか、よそとのけんかをするなというのがこの法律が上程されて報道されて以来、上層部から、いわゆる彼らの通達として下部に流れておりまして、それでまた……
  222. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 組長通達で……。
  223. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 通達というか、指令が流れておるということ、それからまたもう一つ、内部的にも、内部でのけんかをするな、彼らの言い方をすると、内部で音を立てるなというふうなことをかなり強く部下、部下というか配下の組織に注意して、注意喚起しているようなところがありますので、いわゆる暴力団員のけんかと申しますか対立抗争抗争事案等々の足が止まるというか、自粛するといいますか、そういう効果というのは相当あるんではないかというふうに考えております。
  224. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 それね、やっぱり平場の話なんですよ。いざ抗争が始まったら、何度も言いますけれども、殺す殺されるのときにですよ、通達みたいに内部でもめるなとか、それは小学校の先生がクラスの生徒に教えるような話じゃないわけですよ。  だから、とにかく私言いました、まずこの改正案というものが、暴力団を、じゃ本当になくすことまでに効果あるか、余りない。次、対立抗争以外のトラブルの抑止力、これも余りない。その次に、対立抗争事態、そして巻き添えによる死亡とか負傷、このことに対しては直接は影響はないというところまで来たんですよ。  じゃ、おっしゃる、いざ対立抗争事件で巻き込まれて損害賠償事件が起きましたと、損害賠償裁判が起きましたというときに、じゃこれ最初の冒頭の質問にもありましたね、吉川委員の。これ容易になりますかというところで、これ非常に複雑でして、確かに七百十五条の要件と今回の立証の要件だけ見ると、確かに容易なように見えるんですけれども、ただ同じことがあるんですよ。結果的に、今までも、そしてこの後も暴力団組長と実行犯との指揮系統とか、こういったものは警察しか分からないと、これ何度も答弁していますよね。そうなんです。だから、以前も以後も、結局は警察協力なしにはこれ立証できないんですよ、原告には。まず一点。  今日の部長の答弁の中でもありました。これね、じゃ、非指定暴力団についてはどうかといったときに、部長、こう答えているんですよ。やはり七百十五条の使用責任を使えばいいんだと、それについては今までどおり警察協力しますと、こう言いましたね。次に、立証責任についても、これ元々対立抗争というのは刑事事件だからきっちりと捜査して証拠が積み上がっている、それを今まで出してきたと。今後も出すという。何が言いたいかといいますと、事前、事後でこれ変わらないんです、やっていることが。だから、翻って言えば、じゃ今まで協力しなかったのかという話になっちゃうんですよね。  平成十五年十月三十日の高裁判決、これ使用責任が初めて高裁レベルで認められたことに対して、警察はいみじくも言っているんです。これは、我々警察協力だって言っているんですよ。だから、今まで、じゃ協力してこなかったのか、それとも、じゃこの法案改正によって改めて協力するのか、何が変わるのか、お答えください。
  225. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) この委員御指摘の藤武訴訟、昨年の十月三十日の事件でありますけれども事案でありますが、これにつきましては非常に警察、京都府警を中心に協力させていただいたんでありますが、この中で先ほどもちょっと申し上げましたけれども、山口組から下部機関に対して、対立抗争があった場合は即報告せよとか、いついつどうしろとかいうふうな対立抗争に関する通達、指示文書、指令文書等もたまたま捜査の過程で押収できた。また、ヒットマンと申しますか、実行行為者に対する報賞制度といいますか、それは、刑務所に入っている間は家族を面倒見る、また出てきてからは取り立てるというような、そういうふうなのを裏付ける資料なんかもたまたま取れたというようなことで、組織としての対立抗争だというふうなことが立証できて、今後これができるかというと、これは非常に難しい、相手の防御によって。ということで、立証しやすい今度の法律改正案というのを上程させていただいたということであります。
  226. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これは答弁いただきませんが、私のとにかく言いたいのは、暴力団という反社会的組織を壊滅し、そして市民生活の安寧を願っている、このための警察行政ですよね。これは間違いなく同じだと思うんですよ。そのための暴対法ができて十二年たった第二歩にしては、余りにも歩幅が狭過ぎるんですよ。だから、もちろんこの意義は認め、私も賛成しますけれども、やっぱり簡単に言えば、やはり指定暴力団の対立だけでなくて、そのほかのトラブル、だって皆さん、あれですよ、構成員というものは警察特定しているんですよ。で、その特定の基準をと聞いたら答えませんでしたけれども、やはり暴力団代表との因果関係というのはもう既につかんでいるわけですから、私はそこに類型化をもっと広げても、今日も議論ありましたね、使用責任の類型化、これどんどん広げる手を打たなければ、やっぱり何の抑止効果にもならない、これは指摘してとどめておきます。  では駆け足で、次、裏金作りの疑惑についてお聞きいたします。端的に聞いていきます。  まず、私は、前回の質疑でも一点だけこだわりました。我々の知りたいのは、いわゆる国費である捜査費が本当に協力者に支払われたのかどうかなんですよ。そのための書類がどうであるとか、そのために何か証言があった、関係ないです。本当に支払われているんならいいんですよ。そのことについて、今ここにいる委員がそうだなと、正に警察のお好きな心証という言葉ですね、我々の心証が、少なくとも渡せたという、そのことを思えるようなその議論を短いですけれどもやっていきたいと思います。  じゃ、一点お聞きしましょう。捜査協力者から領収書を今までもらってきましたね、もらってきた。この領収書なる存在は、今私が申し上げた捜査費協力者へ支払われたという事実をどう、なぜと聞きましょう、なぜ証明できるんですか。
  227. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 警察における犯罪捜査、あるいはいろいろ警察の諸活動情報収集をやっておるわけでありますけれども、これはすべからく組織的になされておるわけであります。つまり、個人技でなされているわけではなくて、捜査幹部による指揮の下に捜査員捜査協力者と接点を持つ場合も、当該捜査協力者から情報提供を受ける場合、その人に対して捜査費を支払うときも、その事前、事後に必要となる報告を言わば幹部に対して行っているわけであります。  詳しくは申し上げませんが、このため、捜査全体を緻密に見た場合には、捜査協力者への捜査費の支払事実については、ある意味では、領収書の有無にかかわらず内部的には捜査管理の一環として把握をされているものであります。まして、領収書というのは、これは一般的に申しますと当該お金をいただいたと、もらったという正に証明でありますから、相当の証明力を有するものと思っております。
  228. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そういうのは何の答えにもなっていないんですよ。  これ、私前回も説明しましたよね。一般の社会で、会社で経費の領収書をもらったとしましょう。この領収書には、その支払った事実を証明できる担保能力があるんですよ。これは、私説明しました。どういうことかといいますと、じゃ、十万円飲んだと。これは経費として仮に認められたとしますね、税務申告上。そうすると、その法人は十万円分が課税対象から外れるわけですよ。その反射として、その十万円を受け取ったある法人、お店としましょう、そこはこれが課税所得になるわけですよね。この反射関係があるから、この領収書というものは支払という事実を証明するんですよ。  じゃ、捜査協力者に渡った領収書、さあ、これどうやって証明するのかと。で、私、これ国税庁に聞きましたね。じゃ、これどうなりますかと。課税対象になるんですよ。なるんです、なるんですね。で、例えばサラリーマンは、年二十万以内だったら、これは税務申告の義務はない、でも課税対象ですよね。あと、これ一つ注意しておきますけれども、我々国会議員は二千万円以上の年間給与があると、これ申告しなきゃいけないんですよ。これ、我々も例えば捜査協力費としてもらったら申告しなきゃいけない。  ですから、年八十億今まで使ってきたものが明らかに当然収入として入っているわけですから、国税として所得税として、何億かは本来国に入っているはずなんですね。じゃ、この関係を調べることができるかと聞いたら、駄目だというんですね。要は、雑所得として申告しますから、それが果たして捜査協力費かどうかは分からないというわけですよ。  そこでちょっと国税庁にお聞きしたいんですが、これ、何とかして税務上このお金が捜査協力費だということが分かる、そういった手だては講じることはできないんですか。
  229. 西江章

    政府参考人西江章君) 所得税の確定申告書には、法令により、所得決算の基礎となる事項、すなわち各種所得の起因となる資産若しくは事業の所在地、各種所得の生じる場所、その他参考となるべき事項などを記載することが定められております。  御質問の雑所得の内訳については、所得税確定申告書別表二におきまして所得の種目、所得の生じる場所を記載することになっておりまして、具体的には所得の種類の内容、原稿料とか講演料などの所得の内容、支払者の氏名、名称等を記載することになっておりまして、正しく申告されている場合には所得の内容、支払者の名称が記載されているものと考えられます。  なお、所得税の確定申告の具体的内容については、国税職員の守秘義務の関係上、対外的に明らかにすることができないことを御理解いただきたいと思います。
  230. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと複雑な言い回しで分かりづらかったんですけれども。まあ、ですから、費目として書くことはできるが公にできないから、あくまでも確かめることができないんですよね、我々が。ここがまず大きなポイントの一つなんですよ。  私、今日も議論の中で、何で、じゃこの不正が繰り返されるのか、言い方を変えればこの不正ができるのか。私、答えはたった二つだと思っているんですよ。一つは、今申し上げた捜査協力者にお金が渡ったという事実を何らかの帳票、今回領収書を指しますけれども、何らかの帳票で事実関係を証明できないということがまず一点、そうなんですよ。二点目が、これも今日議論が出ました。もらった側の人間ですよね、これ事実の支払ですから。もらった側の人間、すなわち捜査協力者に対して調査ができないんです。私、この二点が実は最もこの裏金事件の構造的な問題、だから何度も言いました。この二点がある限り、不正をしようと思えば幾らでもできるというのがこの捜査費の、言葉は悪いかもしれませんが、からくりなんですよ。あとは、できるけれどもしないという警察の皆さんの、まあ本当にその誠実な姿勢に頼るしかないという、これが大問題なんですよ。  じゃ、話を、議論を進めますよ。だから、今の第一点目の支払を、ある帳票で税務関係で真実を、これを保証することはできないと。じゃ、次、二点目ですよ。やはり捜査協力者に対して何らかの調査をしなければいけないんです。これは会計検査院しかり、そして都道府県の監察委員しかり、そして何よりも警察の内部監査しかりですよ、いいですか。これで、私はもうとにかく捜査協力者に対して調査を行ってほしいという、この一点で聞いていきますけれども、これについては捜査上の秘密だとか、ないしは捜査協力者との信頼関係だとか言っていますよね。ですけれども、監査、都道府県の監察委員にも守秘義務があるじゃありませんか、警察が同じように。今回、これだけ大問題を起こして不正を認めている警察よりも、監察委員の持っている守秘義務というのが軽んじられていると、そういうことですか。お答えください。
  231. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 以前も申し上げましたけれども捜査というのは、これはガラス張りの中でやれるわけではないというのは、これはもう委員も御了解いただいたとおりでありまして、その意味では、捜査費を配るために捜査をやっているわけではなくて、捜査をやる過程で必要な捜査協力をいただいた方に対して、警察側として気持ちを表すという意味での捜査費を受け取ってもらうということになるわけでありますから、目的は、警察目的を達すること、犯人を挙げることでありまして、領収書を確かにもらった人が本当にお金をもらったかどうかということが目的ではないと思います。  したがいまして、私どもとしてはあくまで捜査協力者捜査員信頼関係で、今お話があったわけでありますけれども、これから本人名義領収書しか取らないというふうにやりたいと、もうやっておるわけでありますが、これが直ちに捜査協力者がその氏名を警察内部で明らかにすることに協力者が同意したということではないわけでありますので、要は……
  232. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 官房長、聞いたことに答えてください。
  233. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 何でしょう。
  234. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 監察委員。  私聞いているのは、警察が都の、都道府県の監察委員に、捜査協力者に対して要は調査をしてもらっては困ると言っているわけですよ。それは、捜査協力者が部外に名前が出たときに協力関係が崩れるというんですけれども警察も監察委員も同じく守秘義務を持っているわけですから、その守秘義務は警察の方がしっかり守って、じゃ監察委員の方が守らないことなのかということを聞いているんです。
  235. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 吉村官房長、端的にお答えください。
  236. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 従前は、監査委員にはお会いしていないのが実態であったわけでありますけれども、せんだっての通達等を流しまして、要は監査委員からまず捜査員、現場の捜査員に会わせてもらいたいという要望があったときには、それは当該捜査員がその場にいないというようなときを除いて、それは会わせなさいということを言ったわけでありますから、まずは監査委員が当該捜査員といろいろ書類のやり取りなり話をまずしてもらって、正にさっきおっしゃいました心証を取っていただくのが第一でありまして、それ以上にじゃ捜査協力者にも会わせてもらいたいといって、どうなるかというのは、それはやはり都道府県のその監査委員と都道府県警察本部との関係においてこれから構成されていくべき問題かと思います。
  237. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これは官房長、もう聞きませんけれども、いいですか、今、警察の不正について疑惑を晴らそうという話ですよ。だから、先ほどまた言った捜査目的なんか聞いていないんですよ。不正を晴らすには、実際に支払われたかどうかが問題だと。そして、支払う側、警察捜査員というのは疑惑を追及されている身内の人間なんですよ。だから、もらった側、外部の人間について聞いて、調査をさせてほしいという、そういう議論なんです。  もう全然かみ合わないんで、もうこれこのぐらいとしますが、じゃ、もう最後の方に聞きますよ。二〇〇〇年十一月の警察改正で、国家公安委員長には監察指示という大きな権限与えられました。この監察指示で、いいですか、この監察指示捜査協力者に対して監察を行えという、こういう指示は出せるかどうか、この点についてお答えください。
  238. 小野清子

    国務大臣小野清子君) ただいま事案解明のためにそれぞれの公安委員会が、例えば北海道であれば北海道が監察の指示を出しておりますから、その結果をもって、我々が出す権利は持っておりますけれども施行するところには至っておりません。
  239. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうですね。警察法第十二条で、明らかに、もう事細かな個別的なことまで出せるんですよ。それだけの権限国家公安委員長に与えたんですよ。過去に一回も出していませんね。正に眠れる伝家の宝刀なんですよ。これ自体はとにかく、再発のおそれがあるとか、そういったときに出しますよというそのものなんですよ、これ。だから、大臣、ここに国家公安委員長ありと示すためには、今回出すところじゃないんですか。いかがですか。
  240. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 内部調査が鋭意行われているところでございまして、三月十二日には北海道公安委員会が、本日は福岡公安委員会が追加部分に指示を行っているところでございますので、私どもは屋上屋を重ねることはいたしません。
  241. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 もうこれは最後なので、屋上屋とかいうレベルじゃなくて、もう本当にトップの人間なんですよ、小野大臣は、国家公安委員長。ここでリーダーシップを発揮せずしてどこで発揮するのかという、この話なんですよ。  最後に言います。私は、とにかく警察というのは多くの有権者、多くの国民からの信頼がない限り成立しないわけですよね。私は日本の警察は世界一だと言っているわけですよ。だから、その信頼回復するために、小野大臣、この監察指示なる大きなこの刀をとにかく振るってくださることをお願い申し上げて、質問を終わります。
  242. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  243. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十九分散会