運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-03-30 第159回国会 参議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月三十日(火曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      藤野 公孝君     関口 昌一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         簗瀬  進君     理 事                 仲道 俊哉君                 西銘順志郎君                 神本美恵子君                 吉川 春子君     委 員                 岡田  広君                 関口 昌一君                 竹山  裕君                 中島 眞人君                 森田 次夫君                 森元 恒雄君                 山崎 正昭君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 小林美恵子君                 島袋 宗康君                 黒岩 宇洋君    国務大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    小野 清子君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       堀内 文隆君        内閣官房内閣審        議官       貞岡 義幸君        警察庁次長    漆間  巌君        警察庁長官官房        長        吉村 博人君        警察庁長官官房        国際部長     三谷 秀史君        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        警察庁刑事局長  栗本 英雄君        警察庁刑事局暴        力団対策部長   近石 康宏君        警察庁交通局長  人見 信男君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        警察庁情報通信        局長       大村  優君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        外務大臣官房参        事官       長嶺 安政君        財務省主計局次        長        佐々木豊成君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○警察法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○内閣重要政策及び警察等に関する調査  (警察行政に関する件)     ─────────────
  2. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十六日、藤野公孝君が委員を辞任され、その補欠として関口昌一君が選任されました。     ─────────────
  3. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  警察法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官堀内文隆君外九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 森田次夫

    森田次夫君 自由民主党森田次夫でございます。  警察法の一部改正入る前に、一問だけ尖閣諸島の問題ですね、このことにつきまして大臣お尋ねをさせていただきたいと思います。  尖閣諸島でございますけれども、これは正に我が国の固有の領土でございます。それは疑いのないことであろうというふうに思います。ところが近年、海底に石油だとか天然ガスだとか、そういうものが豊富に埋蔵されておる、こういうような可能性が大だということでもって中国あるいは台湾領有権を主張し出してございまして、小競り合いが起きておるとか、また死亡者まで出ておるわけでございます。  先般も中国活動家と言われる者が七人魚釣島に不法上陸いたしまして、沖縄県警より出入国管理あるいは難民認定法違反、こういうことで退去されましたが、逮捕されましたけれども、その後強制退去をされておるわけでございます。  このことにつきまして大臣はどうお考えになっておられるのか、また今後の対応について御所見をお伺いできればというふうに思います。
  7. 小野清子

    国務大臣小野清子君) ただいま森田議員の方から今回の事件について御質問がございました。  沖縄県警察が二十四日、魚釣島に上陸をいたしました中国人男性七名を、先生今おっしゃいましたように出入国管理及び難民認定法違反容疑で逮捕をいたしまして、二十六日に同法の規定に従い、七人全員を入国管理局に引渡し手続を取ったものと承知をいたしております。  こうした問題をめぐるこれまでの、警察を含む関係省庁が常に連絡調整をいたしまして、法令に基づき適正に対処してきたところでございますけれども、沖縄県警察は今回の事件におきまして、こうした方針を的確に実行したものと私は承知をいたしております。  我が国領土におきまして何らかの犯罪が行われました場合には、警察はそれを看過せずに、法令に従って厳正に対処するよう国家公安委員長としては警察を督励しておりますし、尖閣諸島をめぐる問題に関しましてもそのようにさせていただいたところでございます。
  8. 森田次夫

    森田次夫君 尖閣諸島でございますけれども、ただいま申し上げましたとおり、天然資源海底にあるだろうというようなことでもって、一九七〇年ごろからだと思いますけれども、中国だとか台湾領有権を主張し出しておるわけでございます。それまでは全く問題にならなかったわけでございます。  魚釣島を守るという中国活動家組織のメンバーを見ましても、ほとんどが何か二十代から三十代ぐらいの若い方が多いようでございますけれども、正にこういう人たちは物心付いたころから中国領土だと、それを徹底的に教え込まれているんじゃないのかなと、私はそんなにも思いますし、正に信じ切っている、こういうふうに思うわけでございます。百十年も前から日本領土であるという歴史的経緯を教えられていないんじゃないか、こんなにも思うわけでございます。  我が国として冷静に対応するのは結構だと思いますけれども、これからもこうした問題は起き得るだろうというふうに思いますので、主張すべきところはしっかりと主張していただきたい、このように思うわけでございます。このことを大臣に強く要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。  次に、本題でございます警察法改正についてお伺いをいたします。  この改正は、昨年八月、警察庁がまとめた緊急治安対策プログラムにのっとっての改正であるというふうに思うわけでございますが、早速お尋ねをいたします。  まず最初に、今回の警察法改正でございますけれども、テロ対策が大きな柱の一つになっておるんじゃないかというふうに思います。そうした中でもって主な改正事項につきましては、外事情報部、こういう部が新たに新設をされるわけでございますけれども、これはどのような趣旨設置される組織なのか、その辺についてお尋ねをいたします。
  9. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 近年、民族・宗教問題に起因する国際テロの脅威が大変深刻化しております。国際テロ対策国際社会が共通して取り組むべき重要かつ喫緊の課題となっております。  とりわけ、イスラム過激派によるテロへの対策世界各地でこれは焦眉の急となっておりまして、我が国としても治安維持上重大な関心を払うべき問題であるというふうに認識をしているところであります。一方、北朝鮮による日本人拉致容疑事案不審船事案、また諜報事案などの対日有害活動大量破壊兵器関連物資の拡散といったことも大きな問題となっているわけでございます。  こうした問題に的確に対処するために、今回、警備局外事情報部設置をしたいと考えているところでございまして、これにより、局長級の幹部が先頭に立って外国治安情報機関などとの間で緊密な関係の構築に努め、質の高い情報の入手を図るとともに、関連情報を有機的に統合、分析するほか、海外国際テロ事件が発生した場合にはこれに迅速的確に対応すべく対処体制強化をすることとしております。  さらに、新設される外事情報部におきましては、北朝鮮工作員による各種違法行為大量破壊兵器関連物資等不正輸出、あるいは不法入国不法滞在事案等につきましても関連情報収集や取締りを強化することといたしているところでございます。
  10. 森田次夫

    森田次夫君 それと、外事情報部の下に国際テロ特別機動展開部隊、こういうものが設けられるというふうになっておるわけでございますけれども、この組織設置するその趣旨、それからどのような活動を行う部隊なのか、その辺ちょっと教えていただきたいと思います。
  11. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 国際テロ特別緊急展開部隊についてのお尋ねでございますが、実は警察庁では、在ペルー日本国大使公邸占拠事件というのがございまして、この教訓を踏まえまして、外事課国際テロ緊急展開チームというものを設置をしておりまして、海外において邦人我が国権益関係する重大テロ事件が発生した際に、現地治安機関と緊密に連携しつつ情報収集人質交渉等捜査活動支援を行ってきたところであります。  ところが、インドネシアのバリ島の連続爆弾テロ事件等におきましては、現地治安機関から我が国に対しましてDNA鑑定などの鑑識活動についても支援要請がございました。専門家現地派遣をいたしましてこれを実施したところであります。  このように、現地治安機関からの支援要請には様々なものがあることを踏まえまして、従来の国際テロ緊急展開チーム現地治安機関に対してより広範囲の支援活動を行う能力を持つ国際テロ特別緊急展開部隊、これはまだ仮称でございます、名称については確定したものでございませんが、要は国際テロ緊急展開チームを更に拡充をし、その能力をアップした組織を作るというふうにしたいと考えているところでございます。  具体的には、現地治安当局外国関係機関からの迅速かつ的確な情報収集分析でありますとか、事件捜査に関する現地治安機関との協議でありますとか、あるいは、現地治安機関からの要請を踏まえての鑑識活動あるいは人質交渉等現地治安当局捜査活動を支援するといったことを考えております。  ただ、この部隊常設部隊ではございません。警察庁及び都道府県警察で勤務する外事担当捜査員でありますとか、爆発物処理鑑識DNA鑑定等専門知識、技能を持つ警察職員をあらかじめ指定をしておきまして、事件が発生した場合に、この予定しております警察庁外事情報部の指揮の下に派遣の隊といいますかチームといいますか組織編成をいたしまして派遣をするというふうに考えております。  もちろん、派遣に当たりましては、現地において安全かつ効果的に活動できることが前提であります。そのためには、現地治安情勢あるいは衛生状態といったことにつきまして事前に情報収集を行うほか、当然でありますが、派遣先国の同意を得るなど必要な準備手続を迅速に行い、派遣を決定することになります。  いずれにいたしましても、警察庁といたしましては、この国際テロ特別機動展開部隊仮称でございますが、この活動を通じまして、海外治安機関との連携協力を一層密にいたしまして、海外において発生する邦人被害テロ事件についても必要な対処能力の向上に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  12. 森田次夫

    森田次夫君 常設でないということでございまして、事件ごと編成して、専門家編成されるというようなお話でございますけれども、この国際テロリズム対策課の中にできるわけですね。そうすると、大体何人ぐらいで、構成で隊を組もうというふうに考えておられるんですか。
  13. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 当該派遣する際に、その事案の内容でございますとか具体的なケースに応じまして派遣する人数は決定されると。どういう任務を期待されるか、果たすべきかということで人数はその都度決定するということになろうかと思いますが、まだ確定したものではございませんけれども、数十名単位の者をあらかじめ指名をしておいて、その中から適任者をその都度選んで編成をして派遣をすると、こういう形になろうかというふうに考えております。
  14. 森田次夫

    森田次夫君 ありがとうございました。  それでは次に、組織犯罪対策につきましてお伺いをさしていただきます。  最近、犯罪大変多発をしておりまして、十年前と比較いたしますと刑法犯認知件数が百万件増加しているわけですね。十年前でしたら百七十九万だったのが今二百七十九万ということで、百万増加しているわけでございます。こうしたことは大変国民に不安を与えますし、中でも暴力団だとか、それから外国人犯罪組織犯罪ですね、こういったものが大変深刻な社会の問題になっているだろうというふうに思います。  今回の改正におきまして組織犯罪対策も大きな柱の一つであろうかというふうに思いますけれども、まず現在の組織犯罪情勢につきましてお聞かせをください。
  15. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) まず、暴力団犯罪でありますけれども、従来の暴力団組織の威力を背景としたものに限らず、外国人犯罪組織連携した集団密航事件不法入国を目的とする偽装結婚事件、あるいは異なる暴力団に属する者や来日外国人等、様々な人間がグループを構成して薬物密売事件を敢行するなど、自ら属する暴力団組織と直接かかわらない形態による犯罪も多数敢行しているところであります。  薬物事犯につきましては、特に覚せい剤につきまして、第三次乱用期が継続しており、高度に組織化された薬物犯罪組織が大量の薬物を密輸し密売を敢行していることがうかがわれます。また、かような薬物犯罪組織は、暴力団のみならず来日外国人、ブローカー的な存在の者等、多種多様な者で構成されておりまして、暴力団についても異なる組織に属する者が連携している状況がうかがわれます。  次に、銃器犯罪でありますけれども、銃器発砲事件数けん銃事件けん銃使用事件数は引き続き高水準で推移しておりまして、特に昨年は暴力団対立抗争絡み発砲事件数が増加するとともに、相当数けん銃武器庫事犯が摘発、検挙されております。このように、依然として暴力団対立抗争等に備えてけん銃を隠匿している状況がうかがわれるなど、犯罪組織銃器犯罪関連性が強く認められるところであります。  また、来日外国人犯罪につきましては、平成十五年中の検挙件数及び検挙人員が過去最高を記録するとともに、刑法犯における共犯事件の比率が約六〇%と、日本人の約三・五倍に上るなど、組織化の進展がうかがえる状況にあります。また、暴力団連携した犯罪暴力団外国人との対立に起因する犯罪等も発生しているところであります。  これらの状況から、暴力団を始めとする犯罪組織相互に複雑かつ緊密に連携しつつ犯罪を敢行している状況が認められるところであります。
  16. 森田次夫

    森田次夫君 ただいま部長の方から御答弁の中にもございましたけれども、外国人犯罪組織日本暴力団が結託していろいろと犯罪を犯しておるというようなことも聞くわけでございます。そうした中で、日本人道案内役だとか盗難通帳引き落とし役だとか、こんなことも行っておるということも聞いておるわけでございます。組織犯罪を壊滅するためには、犯罪組織同士の遮断といいますか、こういったことが大変重要になってくるんじゃないのかな、こういうふうに思うわけでございます。  外国人犯罪組織とそれから暴力団などのつながりに対しまして、警察はどのような対策を講じているのか、お伺いをいたします。
  17. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 御指摘のとおり、近年、暴力団員の手引きにより来日外国人犯罪組織が強盗を敢行するなど、暴力団来日外国人犯罪組織連携して敢行する犯罪がかなり発生しているところであります。  したがいまして、組織犯罪情報の総合的な集約分析を行いまして、その結果を踏まえ、全国警察が一体となって犯罪の温床となっている犯罪組織そのもの弱体化及び解決に向けた諸対策を強力に推進していく必要があるというふうに考えております。
  18. 森田次夫

    森田次夫君 ありがとうございました。  改正案では組織犯罪対策部、こういったことを設置するとのことでございますけれども、それによってどのような効果が見込まれるのか、そしてまた改正趣旨だとか新たな組織の運用の基本方針等も含めまして、お伺いをいたします。
  19. 近石康宏

    政府参考人(近石康宏君) 従来は、組織犯罪対策に関する業務につきまして、暴力団対策刑事局暴力団対策部が、薬物銃器対策生活安全局が、来日外国人犯罪対策罪種ごと複数の部局がそれぞれ推進したところであります。  しかし、暴力団を始めとする犯罪組織相互に複雑かつ緊密に連携しつつ犯罪を敢行している状況が認められる現状から、警察庁刑事局組織犯罪対策部設置し、組織犯罪に関する業務を統合することにより、組織犯罪情報集約分析、総合的、戦略的な捜査調整の実施、国内の関係省庁及び外国捜査機関との連携確保等を行うこととしております。  これによりまして、従来複数の部門において別々の観点から遂行されてきた組織犯罪対策に関する業務が統一的に行われるようになるとともに、全国警察の行う組織犯罪対策中核的組織ができることとなりますので、組織犯罪対策をより効果的かつ強力に推進することができるものというふうに考えております。
  20. 森田次夫

    森田次夫君 一体的に推進するということで、大変結構だろうというふうに思います。  次に、犯罪抑止対策につきましてお伺いをいたします。  今回の改正でございますけれども、組織犯罪の壊滅に向けた取組が一層推進されるとのことでございますが、他方で、国民に身近なひったくりであるとか空き巣などの対策もおろそかにしてはならないだろうというふうに思います。警察官増員すると、前々から増員もしているようでございますけれども、増員すると聞いておりますけれども、諸外国に比べましても、また現在の治安状況にかんがみましても、警察官が不足しているんじゃないか、私はそんなにも思うわけでございます。  これまでの警察官増員の経過、それと負担状況、そして今後の増員計画、今年度の予算等でも予算化何名かされているようでございますけれども、そういった計画等につきましてお伺いをいたします。
  21. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 警察におきましては、平成十三年に地方警察官一万人増員緊急三か年計画を策定をいたしまして、平成十四年度四千五百人、十五年度四千人の増員をそれぞれ行ってきたところであります。しかしながら、深刻化する治安情勢に的確に対処するにはなお一万人以上の人員が不足していることにかんがみまして増員要求に努めた結果でございますが、平成十六年度には三千百五十人の増員が行われることとなったものでございます。  今回の増員警察官一人当たりの負担人口は五百三十三人から五百二十七人となります。もちろん警察制度あるいは犯罪情勢の違いなどから一概に比較はできないところでありますが、諸外国先進諸国負担人口が三百人から四百人ということを考えますと、まだまだ五百二十七人ということで、相対的に高い数値となっておるところでございます。  委員指摘のとおり、国民の不安を解消して世界一安全な国日本の復活を図るためには、治安基盤の整備は不可欠であろうと思います。平成十七年度以降も更なる警察力強化が図られるように引き続き努力をしてまいる所存でございます。
  22. 森田次夫

    森田次夫君 三百人から四百人、諸外国先進国はですね、そして、それに対して五百二十七人ということで、かなり日本は少ないと、こういうことだろうと思います。そうしたことでの強化を要望しておきます。  それと次に、これは自由民主党でございますけれども、さきの選挙警察官を抜本的に増員するんだ、そして三年間で空き交番ゼロを目指すんだ、このような自由民主党は公約を掲げて選挙を戦ったわけでございますけれども、これは党としての心意気を示したものだろうな、そんなに思うわけでございます。  そこで、住民に身近な交番警察官がいないという場合が、私の近くでもそうですけれども、多いわけでございます。そうしたことでもって、住民に対する不安感、そういったものも増幅させているんじゃないかな、こんなに思うわけでございますけれども、空き交番現状対策につきましてお伺いをいたします。
  23. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 交番地域住民等の安全と安心のよりどころとなっているというふうに考えておりますけれども、近年、事件事故等が大変急増しまして、交番勤務員がその対応に追われているといった状態、あるいは悪化する治安情勢対応して交番勤務員をより街頭のパトロールに出すように強化しているといったような状態、さらには夜間における警戒力強化のために交番を増設してきたといったような要因によりまして、交番勤務員交番不在になるといったことが多くなってきているという現状にございまして、いわゆる空き交番の問題が生じております。  警察におきましては、こうした空き交番を解消するために、平成十三年度以降措置されてまいりました地方警察官増員分のうち、相当数交番機能強化要員に充てていこうということで今計画を充実してきているところでありますけれども、これに加えまして、退職警察官などを活用しました交番相談員増員や、あるいは警察官不在時に交番に訪れた人が警察署と直接連絡できるテレビ電話システム交番の方に導入しまして、こうした計画につきましても平成十六年度の地方財政計画に盛り込んだところであります。  現在、各都道府県警察におきまして空き交番を解消するための具体的な計画を策定しているところでありまして、おおむね今後三年を目途に交番勤務員不在が常態化しております空き交番の解消を目指すこととしておるところであります。
  24. 森田次夫

    森田次夫君 今まであった交番を廃止するというようなことも行っておるわけでございますか。
  25. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) これにつきましては、各都道府県においてそれぞれの空き交番を解消するための計画を現在作っているところでありますけれども、やはり警察官の適正な配置という観点から、都道府県警察によりましては交番を統廃合したりとかあるいは駐在所を統合して交番にしたりとか、いろんな形の計画を今現在作っているという状況でございます。
  26. 森田次夫

    森田次夫君 暴力団などの組織犯罪とともに、国民治安に対する不安を増大させておりますのが少年による犯罪だろうというふうに思います。最近、少年とは思えないような残忍な犯罪が増大しておるわけでございますけれども、刑法犯検挙人員に占める少年の割合というのが約四割だということで大変驚いたんでございますけれども、そして更に驚くことは、街頭犯罪に至っては約七割が少年犯罪だと、こういうような状況にあるわけでございます。  我が国の将来のためにも、次世代の育成に全力で取り組んでいくことがまず肝要かというふうに思うわけでございますけれども、少年犯罪現状対策につきましてお伺いをいたします。
  27. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 御指摘のとおり、最近の少年非行情勢は大変深刻な状況にあると言うことができるかと思います。  平成十五年に検挙されました刑法犯少年は約十四万四千人余という状況でございまして、全検挙人員の約四割を占めております。また、ひったくりや路上強盗などの街頭犯罪につきましては三万六千人余という状況でございまして、これは全検挙人員の約七割を占めているという状況にあります。また、このほか、殺人などの凶悪犯で検挙されました少年は前年と比べましても一一%余り増加しているという状況で、大変深刻化している状況にあります。  こうした情勢の中で、警察としましては、少年非行対策我が国治安回復のかぎというふうに認識しておりまして、昨年八月に策定しました緊急治安対策プログラムにおきましても、深刻化する少年犯罪への対応を重点の一つとしているところであります。政府全体といたしましても、昨年十二月に青少年育成施策大綱及び犯罪に強い社会の実現のための行動計画を策定されまして、少年非行防止や少年犯罪の抑止に政府を挙げて取り組むこととされているところであります。  警察では、こうした取組を受けまして、不良行為少年の補導活動強化等による少年非行の未然防止、あるいは少年犯罪の厳正かつ迅速な捜査、さらに非行集団対策の推進、また関係機関やボランティアと連携した非行少年等の立ち直り支援など、少年非行防止のための総合対策を推進していく所存でございます。
  28. 森田次夫

    森田次夫君 是非、全力で取り組んでいただきたいと思います。  そこで、最後の質問でございますが、大臣にお伺いをいたしたいと思います。  身近な犯罪の多発に加えまして、組織犯罪あるいは国際テロ、サイバー犯罪といった新たな脅威がもう出てきておるわけでございます。日本治安は正に危機的状況だろうというふうに思うわけでございます。  かつては日本は世界一安全な国だと言われましてたんですが、今回の、先ほど申し上げましたけれども、刑法犯認知件数が二百七十九万人だと、そして十年間で百万件も増しているし、そして検挙率を見ますと、かつては六〇%ぐらいだったと思うんですけれども、現在は二三・二%だということ、十年前と比べましても検挙率が二分の一ぐらいになっている。こういうことで、正に私は危機的状態にあるんじゃないのかなというふうに思うわけでございます。  国民犯罪から守るためには、一刻も早い治安の回復は大きな政治課題だろうというふうに思うわけでございます。こうした観点から、大臣、どのようにお考えになっているのか、御所見をお伺いをいたします。
  29. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 森田先生からお話ありましたように、特に少年犯罪の多発には、本当にこれは私ども警察はもとより、国民挙げて取り組んでいかなければ、日本の将来を担う青少年犯罪を起こしにくい町づくりをどうしていくかということが何よりも今大事に考えられなければならない問題ではないかと、そのようにも考えております。  先生の御指摘のとおり、厳しさを増します治安情勢の下に、犯罪の増加の基調にとにかく歯止めを掛けなければならない。この点に関しましては私どもも努力をさせていただきますと同時に、今おっしゃられましたような、その新たな脅威への対応ということでございまして、組織犯罪あるいは国際テロあるいはサイバー犯罪等の、強化などの取組を進めていくことはもう必要不可欠なことになっております。特に、組織犯罪等は来日外国人日本暴力団が一緒になって行っているなどなど、今までとは違った形のものが出てきているということも御案内のとおりでございます。  したがいまして、国民が安心をして暮らせる安全な町づくりを目指しまして、今回御審議をいただいております警察法改正などによる法制面での対応を是非とも推進していくほか、警察力の更なる強化を目指しまして、地方警察官増員の問題ですとか、こうしたことにも是非総合的な対策を推進していくことが必要であると考えております。  今回の警察法改正の問題は、そうした意味での大変大きな一歩につながることを、私どもも努力をさせていただきますけれども、国民挙げて安心、安全な町づくりへ邁進してまいりたいと考えております。
  30. 森田次夫

    森田次夫君 是非ともそうしたことで取り組んでいただきたいと思います。  最後はこれ要望でございますけれども、先般マドリードで卑劣極まりないテロが発生をいたしまして、多くの方が犠牲者となり、多くの犠牲者を出したわけでもって、誠に遺憾であるわけでございますけれども、そこで、次はイラクに自衛隊を送っている日本だ、こういうような情報もあるやに聞いておるわけでございます。そうしたことで、新幹線を始め鉄道だとか、それから国会もそうでしょうけれども、強力な警備体制を取っているとのことでございますけれども、正に未然防止に勝るテロ対策というのはないだろうと思います。そうしたことで、しっかりと警備の方はお願いを申し上げたいと思います。  また、都も入るんですかね、道府県の不正経理の問題でございますけれども、これにつきましても警察としてしっかりと対処していただきたい、このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  31. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。  警察をめぐる不祥事は二十世紀の世紀末に続発して、そして国民の信頼は大きく失墜しているというところでございます。何としても信頼回復をしていかなければいけないということで、国民の声をこうした警察改革にも反映させるべきだということで、警察刷新会議、これ平成十二年、二〇〇〇年ですね、その中で、問題点は三つあると指摘されておりまして、一は閉鎖性の危惧、二、国民の批判や意見を受けにくい体質、三、時代の変化への対応能力の不足ということが挙げられまして、この緊急提言などをまとめる。そしてさらに、平成十二年の八月は、警察が当面取り組むべき課題としまして四つまとめております。警察行政の透明性の確保と自浄能力強化国民のための警察の確立、新しい時代の要請にこたえる警察の機構と警察活動を支える地盤、その人的な基盤の強化ということが挙げられております。    〔委員長退席、理事神本美恵子君着席〕  しかし、こうした改革のさなかにあっても、警察の不祥事が続発しているというのが現実でございます。昨日、質問を準備しておりますときにも、八時のニュースで、京都府警、個人情報十一人分が含まれた捜査書類をインターネット上で漏えいしているということが報道されておりましたけれども、この事実関係と、まず対応についてお聞きしておきたいと思います。
  32. 大村優

    政府参考人(大村優君) ただいまお尋ね事案でございますが、平成十六年三月二十六日、一般の方からの通報に基づきまして、京都府警警察におきまして調査いたしましたところ、同警察下鴨警察署交番勤務員、これの私物パソコンから捜査関係資料等に係る情報がインターネット上に流出していたということが判明をいたしました。流出した経緯につきましては現在調査中でございます。個人情報を含む警察の保有情報、これがインターネット上に流出したということは極めて遺憾であるというふうに考えております。  公務で使用する私物パソコンにつきましては、セキュリティー対策を徹底するということを都道府県警察に再度指示をしたところでございます。警察では、公費でのパソコン整備を推進するとともに、個人情報の適正な管理等につきまして職員に対する指導を一層徹底いたしまして、同種事案の再発防止に万全を期してまいる所存でございます。
  33. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 二十四万人以上の警察官がいるということでありますので、一人一人が改革ということについて自覚をして進まなければいけないと思うんですが、例えば毎日新聞の報道だけを見ましても、不祥事、三月、大変ですよ。三十五歳巡査部長、女子更衣室に侵入、そして痴漢、盗撮の警官を懲戒免職、続いて、県警厚生課長減給、京都府警課長、女性記者にセクハラ、わいせつ行為の巡査部長停職、こういうのが続けて書いてございます。三月は多かったんだなと思いまして、でも、これちょっと前後を見てみようと思って二月を見ました。二月はもっと多かったんですね、二十三件ありました。  こういうふうに連続、こうした不祥事が起きているということで、何としてもその信頼を回復してもらわなければならない。それはやはり本当に国民一人一人に、不正をただす警察であるということ、そしてその信頼にこたえる誠実な対応、そして本当に国民の目に見える情報を公開していくという姿勢、様々にこれまで警察改革の中でも提言がなされておりますけれども、そうしたことをしっかりと踏まえてこの警察法というものの改正も行っていかなければいけないのではないかというふうに思っております。    〔理事神本美恵子君退席、委員長着席〕  それで、今回の警察法改正なんですけれども、私が注目している点に関してお伺いしていきたいと思います。  まず、国と地方の警察機関の役割分担、これを検討するに当たりまして、地方自治の観点を踏まえるべきという指摘がございますが、どのような観点を踏まえるべきであるとお考えでしょうか。
  34. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 警察における国と地方の役割分担について御質問でございました。  地方分権改革推進会議が平成十四年の十月に公表いたしました「事務・事業の在り方に関する意見」におきまして幾つかの言及がなされております。  その一に、「新たな治安事象に対する国と地方の警察機関の役割分担の検討」という項目におきましては、国際化やIT化の進展に伴いまして、国際テロ情勢等新たな治安事象に対する国の治安責任、こういったものを明確化しつつ、治安を確保するために最もふさわしい国と地方の警察機関の役割分担について、地方自治体の観点も踏まえて検討を行うということにされているわけでございます。  今回の改正には、正にこのような意見を踏まえながら、組織犯罪国際テロ、それからサイバー犯罪などの新たな治安情勢に対処するために国の治安責任を明確化するために行うものでございます。一方で、都道府県の自治体警察を基本といたします制度は堅持しているところでありまして、その意味で地方自治の観点を十分に踏まえたものであると認識をしているところでございます。
  35. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 都道府県警察が基本という考え方は変わらないということを確認させていただいたというふうに思いますが、この考え方の基本には地方自治の精神あるいは権力の分散という、こういう考え方があろうかというふうに思いますが、この地方分権と警察機構の在り方の関係は常に議論されてきておりまして、地方の時代における警察制度の在り方というものが大変注目されているだろうというふうに思います。  ある学会の分科会のテーマにおきましても、地方分権改革において未着手の領域というのは警察制度だというふうにも挙げられておりまして、都道府県警察を基本としながらも、警視庁あるいは都道府県警察の幹部は国家公務員であるということですね。そして、知事の人事権が及んでいない。情報公開条例におきましても、警察行政の取扱いが課題として残されている。一方で、犯罪の防止を掲げて警察力の増強を訴える知事もおります。また、自治分権時代の警察制度はいかにあるべきかということについては、今後ともこの基本を踏まえながら是非行政を遂行していただきたいというふうに思うわけです。  この警察都道府県の内部組織の基準が施行令の付録で細かく規定されていること、それから警察官の政令定数制度があるということについてのメリット、デメリットについて、どのようにお考えでしょうか。
  36. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 都道府県警察の内部組織の基準につきましては、著しく各都道府県組織が不均一にならないように政令で基準を定めていることとされておりますけれども、地方分権改革推進会議からいただきました御意見も踏まえさせていただき、各都道府県が当該都道府県治安情勢に応じました組織をより自主的に整備できるように、昨年、警察法の施行令を改正したところでございます。したがいまして、従前の制度と比べますと内部組織の基準は弾力化しておりまして、地方分権の観点を十分に踏まえたものであると考えております。  また、地方警察官の定員は、治安水準が全国的に均衡の取れたものとして維持される必要があるとの観点から、政令で定める基準に従いまして条例で定めることとされているわけでございます。政令基準というのは各都道府県治安体制を維持するための必要最小限を示すものでございますから、これを廃止すると治安体制が脆弱な都道府県におきましては十分な取締りができないことから、当該都道府県治安水準が低下するとともに、犯罪者は対照的に取締りの弱い府県を抜け穴として活動するようになるために、全国の治安水準を低下させるおそれがあるわけでございます。また、広域連携を必要とする犯罪捜査に関しましては必要な協力体制を確保することができず、この種犯罪の捜査に支障を来すことも考えられるわけでございます。  そのように、一部にデメリットとして都道府県の自主性を損ねることの指摘もありますけれども、以上のような観点から、我が国全体の良好な治安を維持するためには、各都道府県に必要な最低限の人員について政令で基準を定めておかなければならないと考えているところでございます。
  37. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 警視庁と道府県警察の幹部というのは国家公務員ですね。先ほども申し上げましたように、知事の人事権というのは及ばない。また、警察庁から県警本部への出向者も非常に多いというふうに聞いておりますが、警察庁から県警本部への職員の出向について、今どのような状況になっているか、県警本部の部長職に占める警察庁からの出向者の割合はどのぐらいになっているか、刑事部とか生活安全部とか、それぞれ部ごとに示していただきたいと思います。
  38. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 警察事務は国家的な性格と地方的性格を併せ持つという特殊性があるのは委員承知のとおりかと思いますが、その全国的な一体性を確保するために、警察庁採用者が都道府県警察に配置をされるなどしているところでございます。  まず、警察本部の数をまず申し上げますが、御質問警察本部の部長職というのは大体二百六十ほどございますが、このうち、都道府県警察の採用者がそのうち約百八十人、二百六十人のうち百八十人でありますので約七割を占めております。それから、本部の部長職並びのいわゆる大きい警察署の署長は警視正の署長が、警視正が署長に就いておるわけでありますけれども、これは百六十人の警視正署長のうちすべてはこれ地元でございます。七割が都道府県警察採用者でございまして、残りの三割のポストに出身都道府県の推薦に基づきまして警察庁に中途採用された都道府県警察の出身者、いわゆる推薦者と呼んでおりますが、これを含めまして警察庁採用者が充てられているところでございます。  部長ごとに数字を申し上げますか。
  39. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 はい。
  40. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 総務部長は全国で十一人おりますが、このうち地元の方が十人でございます。それから、警務部長は四十七人おりますが、これは地元の方は一人もいらっしゃいません。生活安全部長は、四十七人のうちこれが地元の方が四十六名であります。地域部長は十二名ポストがありますが、十二名いらっしゃいますけれども、地元の方が十二名です。刑事部長は四十八名のうち地元の人が三十八人、交通部長が四十七人中四十三人、警備部長が四十八人中二十九人の数、内訳となっております。
  41. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今、警務部長ですね、これはもう一〇〇%、これ重要な組織の根っこに当たる仕事でありますけれども、ここを警察庁が一〇〇%握っているということでありますし、刑事部長、これも二一%、だんだん増えてきておりますけれども、また、地元事情がよく分からない人が仕事をするという人たちが増えてきたというような批判もされているというふうに聞いておりますし、警備部長、機動隊とか、ここも四〇%と、大体こういうところ、割合を占めているということなんですけれども。  この警察庁から県警本部への職員の出向のメリット、それからデメリット、これについてはどのように考えておりますでしょうか。短くお願いします。
  42. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) どうぞ、公安委員長。端的に。
  43. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 恐れ入ります。  警察事務は国家的性格とそれから地方的性格を併せ持っているという特殊性があることから、全国警察としての一体性を確保するためには、警察庁職員の都道府県警察への出向配置が行われているものと承知をしているわけでございます。  特に広域捜査等、広域的あるいは全国的事案に適切に対応していくためには、全国的視野に立った警察行政を推進していく上で全国的な人的ネットワークを今後とも強化していくことが重要であると認識をしているところでございます。こうした出向の結果といたしまして、それぞれに厳しい状況にあります都道府県における勤務の中で得られた知見が、国として施策、事務にも反映されることになるものと考えられます。  ですから、加えて、都道府県警察から警察庁へ出向も行われているところでありますから、こうした人的交流というものについては特段問題はないものと考えておりますけれども、今後も適材適所の考え方に立ちまして人事の配置が行われるように督励してまいりたいと、そのように考えております。
  44. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そうですね。地方の採用の警察官警察庁で仕事をする割合は高くはないというふうに聞いております。それから、一般的な意味での人事交流のメリットというのは、私は少なくないだろうというふうに思っております。東京から来た現場を知らない幹部が指揮を取ることで大変仕事がしにくいという、そういう現場の声も聞きました。それから、警察庁から県警本部などに出向する場合には、本人の経験、資質、出向先の仕事の性質については慎重な検討が必要だろうというふうに思っております。  この人事交流のメリットということを今委員長がおっしゃるのであれば、是非、地元を知る地元採用の警察官に一定期間は警察庁で仕事をしてもらうような機会を増やしていただきたいと要望をしておきます。  今回の改正案には、国家公安委員会の所掌事務の、国の公安に係る警察運営に関する事務に追加を加えるという改正も含まれております。一般論としては、国の公安に係る警察運営に関する事務に追加されればされるほど、警察庁都道府県に対する関与は深まるというふうに思います。むやみやたらにやはり国の公安に係る警察運営に関する事務の追加を行っていけば、原則の変更につながっていく。つまり、先ほど地方自治ということで、自治の警察をきっちりと基本にするんだというふうにおっしゃっていましたけれども、この原則の変更につながらないか心配しております。  で、一応確認なんですけれども、警察のことに関しての、自治体警察の原則を変えるものではないということについて、ここに一言だけおっしゃっていただいて、お願いします。
  45. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 今回の改正におきまして、国がイニシアチブを発揮することとした事案につきましては、都道府県警察のみにその責めを負わせることは適当ではないことから、国として治安責任を負うべきものとするものでございます。  また、都道府県を単位とする自治体警察制度そのものについて何ら変更を生じさせるものではなくて、この改正によりまして国と地方の責任分担が明確化されることから、むしろ国と地方の公共団体が分担すべき役割を明確にするものという地方分権の推進に関する基本理念にかなうものであると考えております。
  46. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そこで、確認しておきますが、今度の改正案で国の公安に係る警察運営、国際刑事警察機構、外国警察行政機関、そのほかの国際的な警察に関する関係機関との連携に関するという、これが追加されたわけなんですけれども、これまでも国際機関との連携というのはなされてきたというふうに思うんですね。国家公安委員会の所掌事務のうち、国の公安に係る警察運営のこの事務ですけれども、こうした今申し上げたことに関する追加、これについてのメリットはいかがですか。
  47. 三谷秀史

    政府参考人(三谷秀史君) 先生御指摘の事務につきましては、都道府県警察の行う捜査の一環としまして、外国等において証拠などを収集することを外国等に対して要請するものでありますから、従来、警察庁におきましては都道府県警察の捜査を始めとする警察行政に関する調整として行ってきたところであります。今般の改正に当たりましては、その点を明確化さしていただきたい、そのようなものでございます。
  48. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 これを追加するには十分な理由が必要だというふうに思うんですけれども、その必要性の認識については伺いましたけれども、今後は法律によらない不適切な関与をしないということですね。このように後追いで関与を法律に明文化するといったことがないように、広げるときには必ず法律に基づいて、なし崩し的にやっていくのは駄目だということについて申し上げておきたいというふうに思います。  今度の改正案は、警察庁刑事局組織犯罪対策部、これを設置することにしておりますけれども、この組織対策本部ができることで暴力団対策薬物対策銃器対策来日外国人対策の現場はどのように変わりますでしょうか。これもまあ端的に、簡単にお願いしたいと思います。
  49. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 組織犯罪対策部におきましては、全国警察の行います組織犯罪の、犯罪対策中核的組織といたしまして組織犯罪対策組織犯罪情報集約分析あるいは取締り戦略の立案を行いますとともに、都道府県警察に対しましては情報分析結果の還元及び取締り戦略に沿いました捜査調整を行うこととなります。その結果、都道府県警察の現場におきましては情報の共有化が進むことによりまして、明確な戦略の下に関係部門が緊密な連携を図りまして、組織犯罪弱体化及び壊滅に向けた諸対策をより強力に推進することが可能になるという、そのような考えを持っております。
  50. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 組織改正について伺いたいと思いますが、組織改正のときにはやはり適材適所、人の配置というのが必要だというふうに思っておりますが、この適材適所という観点からは人の配置はしっかりなされますでしょうか。
  51. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 組織犯罪の国際化、ハイテク化等、急激に進展をする、それに対しましても高度な専門性がますます要求されるところでございまして、先生今おっしゃいましたように、人材の配置につきましても能力あるいは意欲、経験、それから知識等を十分に踏まえまして、適材適所の配置を一層徹底してまいりたいと考えております。
  52. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ベテランの中には評価が必ずしもそのとおりされないということを言われる方もありますし、ノウハウが蓄積されていかないという、そういうことも聞こえてきますし、やはり仕事の専門性が高まっているわけですから、スペシャリストの育成、育て方というのは大変重要だというふうに思いますし、そのときの採用もしっかり検討していただきたいと思います。また、適性を反映させた人事の在り方ということについてもしっかりと適材適所ということで運んでいただきたいということを要望しておきます。  次に、警察法の十二条の二の新設の趣旨にのっとりまして、国家公安委員会によって個別具体的な監察の管理、そして指示が適切になされているか、これまでの実績を挙げてお話を伺っておきたいと思います。
  53. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 平成十一年以降の警察職員の不祥事案の際に、警察によります監察機能が十分に機能していなかったという反省がございました。で、警察法第十二条の二及び第四十二条の二を新設をいたしまして、警察活動を第三者的立場から監督する機関であります公安委員会が、より客観的な立場から、自らの発意によりまして個別的又は具体的な事項にわたる監察についての指示をすることができるようにするとしたことでございます。  現在までは、国家公安委員会といたしましては監察の指示を行った例はありませんけれども、警察庁から不祥事案の処理状況及び再発防止対策の推進状況につきましては適時適切に報告を受けまして、第三者的立場からチェックと指導を行っているところでございます。  失礼いたしました。十二条の二及び四十二条の──失礼いたしました、メモが間違っておりまして、四十二条ではなく四十三条でございました。四十三条の二を新設しということでございます。失礼いたしました。
  54. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そうですね、十二条の二に基づいて国家公安委員会による管理、指示の実績ないわけなんですけれども、もう一つ、四十三条の二に、都道府県の公安委員会による管理、指示の事件は三件あるということで、私どもも調べたわけなんですけれども、後を絶たない不祥事に対して、報償金問題、午後から審議されますけれども、これは都道府県の公安委員会が機能していないということを示しているのではないかというふうに思うんです。  監察というのは、いろいろ書いてあるのを私も調べているんですけれども、都道府県警察の事務執行の実情等の調査を行って、事務執行の適否を検討することを意味しているというふうに、監察とはというところにこのように明記されているところでございますので、やはり都道府県公安委員会が何かしようとしても、自分の手足というものが持っていないと問題の指摘もされないというふうに思いますので、やはりこの際、独自の事務局を置いて体制強化というものを考えるべきではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  55. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 公安委員会に独立をいたしました事務局を置くことにつきましては、事務局と警察庁あるいは都道府県警察本部の二重構造が生じてしまう、屋上屋ということを架すことの結果になるのではないかということから、現在私どもは適当ではないというふうな考え方を持っております。事務局と警察本部が併存いたしますれば、事務の重複によりまして余分な人員も必要となるわけでございますけれども、治安情勢が厳しい中でそのような非効率は許されないものと考えておるところでもございます。  また、公安委員会が、公安委員というのは国民の良識を代表することが期待される方々でございますから、警察業務専門家ではありませんので、警察の管理の実効を期するためには、これを助けるために警察業務に精通をいたしました事務局職員が必要となることと思われます。こうした人材を独立の事務局において採用し、育成していくことは極めて困難であろうかと思います。  したがいまして、独立の事務局を置くのではなく、警察本部における公安委員会の補佐的機能を強化するという方が適切であると考えておるところでございます。
  56. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 考え方は分かりました。  警察法犯罪の検挙率が低下したその要因をどのように分析をしているか。要因としてどういうものが挙げられるか。それから、今回の改正の中で、検挙率を低下させた要因のうちに、何に関係していてどの程度検挙率の向上につながると考えているのか、お知らせいただきたいと思います。
  57. 栗本英雄

    政府参考人(栗本英雄君) 御指摘のように、残念ながら検挙率が低下している傾向にございます。十三年には最低の二〇%を割るという状態にございました。ただその後、十四年、十五年で若干の回復を見ているところでおりますが、現在も大変厳しいものと見ております。  また、その要因につきましては、大変検挙の状況も上がっておるわけでございますが、犯罪の発生がそれを上回るという形で、犯罪の増加に検挙が追い付いていかないこと。それからまた、多発する犯罪の初動捜査等に追われまして、検挙した被疑者の余罪の解明が大変困難になっております。検挙人員平成で最大になっておりますが、その余罪が解明できていない。それから三つ目としては、来日外国人による組織犯罪が増加して、捜査そのものが困難化、長期化していると、こういうことが挙げられると見ております。  それからまた、今回の改正でその辺をどうなるのかというお尋ねだと思いますが、必ずしも数字的にだけではございませんが、今申し上げたような増加の一つの背景としてはやはり組織的な犯罪があろうかと。また、この組織犯罪につきましては国民に多大な不安感を与える凶悪犯罪が多いわけでございます。  そういう観点から、今回の警察法改正によりまして、先ほどもお話ございましたが、警察庁に、刑事局に組織犯罪対策部を新設をいたしまして、組織犯罪の取締りを担当する部門を統合することによりまして、犯罪組織の壊滅に向け、戦略的、総合的な取組を推進しているところでございます。
  58. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 先ほどの森田議員質問の中でも、犯罪をめぐる現状分析で、少年犯罪、重要窃盗、来日の外国人による犯罪、あるいは組織を背景としたものの犯罪の深刻化について伝えられましたけれども、その中での来日外国人による犯罪というのは、これは突出しているのかどうか、伺いたいと思います。
  59. 三谷秀史

    政府参考人(三谷秀史君) 時間の関係もあると存じますので、増加しておるとだけ申し上げたいと存じますが。
  60. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。  それでは、その外国人犯罪なんですけれども、取締りに必要な人権上の配慮ということについて、警察官に対する教育はされているのか、移住労働者を、いろいろお話を伺っている方々からの批判なども聞いておりますので、この点について伺っておきたいと思います。
  61. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 警察職員に対する人権教育についての御質問であろうかと思います。  警察業務が個人の生命あるいは身体の保護、そして犯罪等捜査と人権に深くかかわりを持つものでありますことから、警察職員に対する教育の大きな柱として実施しているものと承知をいたしております。  特に、外国人の人権に関する教育につきましては、警察学校では、犯罪の捜査それから交通取締りの授業等におきましても外国人の人権問題の現状あるいは基本的人権の尊重、さらには外国人の法的地位や文化、習慣の理解等、外国人のいわゆる人権に配慮をした活動が行われるように教育を行っていると、そのように承知をいたしておりますが、また、警察署等の職場におきましても、グループ討議を行いましたり、現場における指導等を通じまして実践的な教育を行っているものと承知をいたしております。  今後とも、外国人の人権に配慮をいたしました適正な職務執行が行われますように警察を督励してまいりたいと思っております。
  62. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 現場の警察官一人一人が、私は何も悪いことをしていないという外国の方々に対しての職務質問が大変に失礼だというようなことも聞いておりますので、国家公安委員長がおっしゃいましたように、一人一人きっちりとした教育というのは大事だというふうに思っております。  文化的な理解を深めることも大事なんですが、その際に、取締りに当たっての通訳体制、この強化が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  63. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 来日外国人犯罪も大変多くなっておりますし、難しいところではございますけれども、言葉の壁が大きな問題となっているというのは御案内のとおりでございます。  そのために、通訳能力を有する警察官あるいは一般職員を確保いたしますと同時に、警察部内で必要な言語すべてを対応するということも大変困難でございますので、外部からの、高度な語学力を有する民間の方々の協力を得まして通訳体制の強化を図っているところでございます。
  64. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 教育という観点では、総合的な本質としての犯罪対策のためには社会学的な視点あるいは心理学的な視点が必要だと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
  65. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 国民が安心そして安全に暮らせる社会というものを実現していくためには、警察活動のみならず地域住民や民間団体あるいは事業者も含めました社会全体の取組を強化していくということが大事でございまして、特に、犯罪者が犯行を起こしにくい社会あるいは犯罪が発生しにくい社会の構築が何よりも必要不可欠であると、そのように考えております。  例えば、破れた窓を放置しておけば、ついには建物全体、そして地域全体が荒廃するというふうな破れ窓理論というものがございます。住民が声を掛け合う地域では犯罪が起こりにくいということも指摘されているところでございますので、そのためには、警察といたしましては、犯罪者が犯行を起こしにくい、そのような社会の構築に向けまして、自主防犯活動に取り組む地域住民あるいは民間団体への支援等を通じました社会的機運の醸成、あるいは犯罪が発生しにくい道路、公園、駐車場やあるいは住宅等の環境設計、こうしたものの推進など、対策を総合的に推進しているところでもございます。  今後とも、このような対策を総合的に講じていくことによりまして、国民が安全、安心して暮らせるような社会の実現に向けまして全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  66. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 もう時間になってしまいましたので、たくさんその後も準備しておいでいただいておりますけれども、また別な機会に質問をさせていただきたいというふうに思っております。  終わります。ありがとうございました。
  67. 白浜一良

    ○白浜一良君 冒頭に小野国家公安委員長にお伺いしたいと思いますが、通告していないんです、通告してないんですが、所感だけですね。  私は、家が大阪なんで飛行機にも乗りますけれども、主として新幹線でこちらに通っております。警察の皆さんに、東京の駅も新大阪の駅もそうでございますが、国民の安全を守るということで定点警備、巡回警備含めて大変な体制を作っていただいているわけで、警察官の皆さんに敬意を表したいと思うわけでございます。  私、ニュースで見たんですが、昨日、東京ドームに行かれたらしくて、大リーグからチーム来てエキシビションマッチが行われたわけですね。  それで、聞くところによると、生物化学兵器対策の車両まで動員して、随分そういう、みんな楽しみにお客さんが行くわけですから、安全を守るということで大変な体制を作っていただいて、それを視察に行かれたということを伺っておりますが、ずっとこの警官を激励されて、どういう所感をお持ちですか。
  68. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 通われている新幹線のお話から入りましたけれども、新幹線の方は私二月四日に、自主管理といいますか、新幹線、いわゆるJR自身が考えております自主警備についても拝見させていただき、やはり警備犬等も巡回させているなどなどいろいろと見せていただきましたし、また職務質問を積極的にやって、万一ということがないようにということで相当力を入れているということで、安心してきたわけでございます。  今回はスペインの列車事故の問題もございますし、大勢の者が集まる場所における危機管理というものをしっかりしておかなければならないと、そんな気持ちで昨日、実はお邪魔をしてまいりました。  NBCの方の核あるいは化学等に関する部分は人の目に付かない裏の方に配置をしておりますので、あのような物々しさはお客様たちの目には触れないところにございますけれども、万一のときがあったときにはここでこのように処理をされるという、その辺を見させていただきました。  私も後楽園は何度か行っておりまして、行くたびに、以前から全部ハンドバッグを開けさせられておりましたので、そういう警備に対しましてはお客さんの方も大変慣れている感じがいたしました。それから、ごみ箱等は常に、これまで行っておりましたときにも開けて警備の方々がのぞいておりましたし、あと三十センチ、縦横三十センチ以上のものは中に持ち入れないというのもやはりもう大方の方々が知っていらっしゃいますので、そういった意味におきましては、昨日はそういうことの確認をしながら、自主警備と私ども警察の方が両方連携を取りながら、万一のことがないようにという、ちょっとやり過ぎて緊張感を覚えてもらったんでは困りますんで、その辺辺りはお客さんたちには楽しんでいただきながら遺漏なきように、ともに連携を結んで確認をさせていただいたのが昨日私がお邪魔させていただいた結果で、結果といいますのか、お邪魔させていただいたわけでございます。
  69. 白浜一良

    ○白浜一良君 担当の警察官の皆さんには大変御苦労をお掛けするわけでございますが、しっかり激励して頑張っていただきたいと思います。  それでは、何点か今回の法改正について御質問をしたいと思います。  まず、麻薬対策。これはまあ従来、生活安全局の所管でございましたけれども、今回刑事部に変わったと。これ大変ええことだと思うんですね。麻薬問題というのは、そういう、常用しているそういう人たちの問題もあるんですが、これはやはり暴力団始め組織的な犯罪なんですよね、どっかで製造、密輸入して、それを流通させているわけですから。そういう意味では、今度刑事局組織犯罪対策部という所管になったということは大変これはいいことだと思うんです。根っこから絶たなければ、こういうものはなくならないわけでございます。  ただし、ちょっと私危惧しますのは、そういう売る方のルーツをしっかり押さえていくという、こういう面では効果はあると思うんですが、従来そういう常用している方の、売られている側に対する対策、その接点のところの対策ですね、そこは生活安全局の方が強いわけですね、どちらかというと。そちらがちょっと手薄になるんじゃないかという危惧が若干あるんですが、刑事局長、いかがですか。
  70. 栗本英雄

    政府参考人(栗本英雄君) 今の薬物乱用対策につきましては、警察として、昨年の七月に政府におきまして薬物乱用防止新五か年戦略というのが作成されました。この中で四つの目標を明記して、その対策を今行っているところでございますが、それに基づきまして、今お話ございました薬物密売組織の取締りはもとよりでありますが、さらには青少年による薬物乱用防止、それに今御指摘の末端乱用者の徹底した取締りと、こういうような対策を既に関係省庁連携を取りながら推進しているところでございます。  それにつきましては、今回の組織再編についても、この方針にのっとって警察として全力を尽くすということについて全くのいささかも変化がなく、むしろこの機会により一層充実強化をしてまいりたいと考えておりますし、刑事局、また一線においては刑事部に移るところが多いわけでございますが、そんな意味からも引き続き少年の部門とも密接な連携を取るように更に指導、督励してまいりたいと考えておるところでございます。
  71. 白浜一良

    ○白浜一良君 それで、しっかりやっていくということなんですけれども、各県警本部の実態からいいますと、体制がしっかり組めるようなところはいいんですが、いろいろそれ、そうそう人数がいらっしゃらないところもありますわね。  そういうこともございますので、警察庁の考え方としては考え方としてしっかりあるんでしょうが、それをしっかりこなせるかどうかというのは県警本部の力にもよるわけでございまして、その辺しっかりそういう麻薬の密売ルートを押さえると同時に、実際の、特に少年、青少年ですね、知らずにそういう染まっていくという、そういう要素もきちっと押さえられるようにしっかり各県警本部に督促をお願い申し上げたいと、このように思うわけでございますが、いかがですか。
  72. 栗本英雄

    政府参考人(栗本英雄君) それぞれの御指摘のように、都道府県警察によりまして、この薬物取締りの体制かなり異なっているところございます。そういうものも十分踏まえまして、委員指摘のような懸念がない、懸念のようなことが起きないように、少年部門等他部門やまた関係機関との連携が極めて大事でありますので、関係機関と緊密に連携をいたしました正に総合的な薬物対策の推進について、それぞれ各都道府県警察を督励してまいりたいと考えているところでございます。
  73. 白浜一良

    ○白浜一良君 しっかりお願いしたいと思います。  それから、先ほども議論になっておりましたが、警備局国際テロ特別機動展開部隊を作られると、先ほど数十名ぐらい考えていると。これは指名するわけですね、警視庁とか大阪府警とか大きいところを中心にして。それで、鑑識とかそういう爆発、爆弾処理とか専門家を指名して、いざというときにそこから抽出してやると。これはこれで結構なことなんですが、私申し上げたいのは、国内でそういう県警の枠を越えて行くのは同じ日本の国内なんで大体状況分かって行きますよね。ところが、海外の場合は全部、コロンビアはコロンビア、ペルーはペルー、国情が違いますよね。だから、選抜して編成してぱっと行って、その国で対応できるかどうかという問題ある。  だから、私は、これはお願いしたいんですけれども、せっかく数十名きちっと選ばれるんでしたら、定期的にやはり研修というか、これは大変難しいかも分かりませんが、どういう事犯が起こるかにもよりますけれども、そのテロの内容にもよるんですけれども、国柄の違いもございましょうし、やっぱり何らかの統一した研修をされるべきじゃないかと。でないと、常設部隊だったらばっと機動性があると思いますが、選抜して行くわけですから、全くそういう、何か一定の研修をしなければ機動力が発揮できないんじゃないかと、せっかくこういう部隊作られたのにと思うわけで、しっかりした研修体制を組むべきだというふうに御提案申し上げたいわけでございますが、いかがですか。
  74. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) お答えいたします。  全く委員指摘のとおりだというふうに私どもも思っております。やはり、いつ、どこで、どんな国で発生するか分からないというのがこのテロ国際テロ特別機動展開部隊一つの一番大きな問題だろうと、こういうふうに思います。  そこで、私どもも、研修あるいは人材育成、しっかりやってもらいたいと思っておりますけれども、今考えております指定された要員に対しましては、やはり国際テロ情勢、それから国際テロリストの具体的な犯行の手口ですね、どんな爆弾を使うのかとか、どういう手口でやる、あるいは人質、誘拐等のときにどういう形態で行われているのかとか、それから一番重要なのは、我々、従来六回ほど国際テロ緊急展開チームというよりコンパクトな形での派遣をしてきております。そういったものから得られた反省、教訓というものもいろいろございます。それからもう一つ海外の諸国、これは国によって違いますけれども、やっぱり法制度あるいは警察組織、これもいろいろ違うと。こういった状況がございますので、今申し上げたようなことにつきまして、しっかりとしたやっぱりこれ研修をやってまいりたい。  それから、具体的な派遣を想定した、いろいろシミュレーションといいますか、仮定を示した訓練、こういったものもやっていく必要があるだろうというふうに思います。  それから、どんどんやっぱりこういった人材育成しなきゃいけないというふうに思いますので、国内における警察活動で専門的知識、技能を有する職員の中から常に適任者を探すという努力も必要ですし、それから在外公館の勤務も随分今警察官やっております。それから、語学研修制度も相当充実をしております。こういったものを経験した職員の中からこの緊急展開部隊に適性を有する職員というものの選抜をして、それを前段階としてのいろんな海外での活動にも経験を積ませながら、将来のこの部隊の要員として育成をするということにも十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  75. 白浜一良

    ○白浜一良君 せっかく、これ大事な部隊を作られるわけで、実効性のあるようにしっかり対策をしていただきたいと思います。  それから、もう時間がないんで、最後、本改正案関係ないんですが、最近話題になりました三菱ふそうのトラックの、そういうリコールの問題で、これだけ少し確認しておきたいと思うんです。いろいろ、ちょっと議論したいんですが、もう時間がないんで。  これ、十二年間、十二年前に殺傷事故が起こっているんですね、今分かるだけで。今分かっているだけで五十二件のそういうケースが発見されております。  それで、これ、自動車の事故の場合難しいのは、整備上のトラブルなのか、要するに構造が不具だと、不具合だということで起こる問題なのかということが大変なんですが、私申し上げたいのは、当然メーカーの問題ございます。これは国交省の管轄の問題は当然あります。  だけれども、今日はそれを議論する場じゃないんで、ちょっと警察に絡む部分で私御提案申し上げたいんですけれども、要するに警察は必ず、自動車事故があった場合は、当然それは全部現場調査されるわけでございます。その事故がどういう原因で起こったかというのは大変分かりにくいことはあるかと思いますが、ある程度の基準で、事故の原因が分かれば、それがそのまま何というか、国交省の方に今回起こった自動車事故はちょっと構造的な問題ありますよというふうな、そういうことが警察から国交省にぐっと連絡が内々連携取れたら、こんな十二年間も全く何のそういう処置もされないようなことはなかったんじゃないかと思うわけで、今日は交通局長来ていただいておりますが、そういう国交省とある程度連携取って、これ以上のことは全部国交省と連携取りますよというような基準作り、ルール作りはできないものですかね。
  76. 人見信男

    政府参考人(人見信男君) お答えいたします。  従来、警察においては、事故捜査の過程等において当該事故が自動車の構造、整備にかかわりがあると思料されたときには、運輸支局等にリコールがあったかどうか、あるいは道路運送車両の保安基準の適合性について照会を行うなど、必要に応じて情報交換を行ってきたところであります。また、警察庁におきましても、省庁間の人事交流といたしまして、自動車の保安基準に関する知見を有する職員を国土交通省から交通局に、交通事故捜査の専門官として受け入れておるところでございまして、緊密な連携に努めておるところでございます。  ただいま委員指摘のとおり、自動車の構造や整備状況に起因する可能性があると思われる交通事故を認知した場合には、事故防止に資するため、捜査の進捗状況等も勘案しながら、更に緊密に国土交通省との情報交換を行ってまいりたいと、こう考えるところでございます。
  77. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう時間がないので、これでやめます。
  78. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  警察庁は、警察の不祥事が全国各地に発生したことから、二〇〇〇年に警察刷新会議を発足させ、警察刷新に関する緊急提言を行いました。しかし、その後も不祥事は絶えず、最近は北海道警の捜査報償費を使った裏金作りや静岡県警の空出張が明らかになり、昨日はNHKのクローズアップ現代でも特集が組まれました。  今回の警察権限の拡大の法改正ですが、まず警察の改革を進めることが必要だと思います。我が党は、テロ対策等の立場から本法案に賛成いたしました。しかし、改正案に問題がないのではありません。日弁からも意見、日弁連からも意見書が出ておりますので、以下問題点を質問します。  警察法二条は、警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通取締りその他公共の安全と秩序の維持に当たることを責務としています。改正案では、第五条の国家公安委員会の任務及び所掌事務について、国外において日本国民の生命、身体及び財産並びに日本国の重要な利益を害し、又は害するおそれのある事案を所掌に追加しています。日本国内の公共の安全と秩序とは別の、日本国の重大な利益とは一体何ですか。
  79. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先生、今お話しくださいましたように、警察というのは個人の生命、身体及び財産の保護とともに、犯罪の予防あるいは鎮圧等の公共の安全と秩序の維持に当たることをもってその責務を果たすわけでございます。したがいまして、国外における事案であっても、例えば日本人被害のテロ事案であればこれに対処することは警察の責務でございます。  今回の改正は、このような責務を効果的かつ適切に遂行するためには、全国警察を挙げて対処しなければならない重大な事案を掲げているものでございます。したがいまして、単に国外において日本国民が偶然に犯罪に、犯罪被害に遭ったのみでは足らないものであり、日本国民の生命、身体及び財産並びに日本国の重大な利益を害する事案と規定することにより、一定の限定を掛けたものであり、主として国外における日本人被害のテロ事案を想定するものでございます。  なお、お尋ね日本国の重大な利益とは、現行の警察法第五条第二項第四号ハにも国の重大な利益とあるのと同じ意味でございまして、国の安全、外交上の利益を指すものでございます。  現在、このような国外における日本人被害のテロ事案の捜査などについては、その被害者の住所地を管轄をしております、直接関連を有する都道府県のみがこれを行うことができるとされておりますけれども、このような事案につきましては、被害者の住居地を管理することのみを理由に特定の都道府県にその処理をゆだねることは必ずしも合理的とは言えない、そんな観点から国の警察機関が治安責任を負うことを明確にし、警察庁の指示の下にテロ事案など対処能力を有する都道府県警察に対処を行わせることが適当であるというふうな今回の改正についての措置を可能にし、例えば国際テロに対する迅速かつ的確な処理を確保しようとするものでございます。
  80. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間が十五分しかないので、済みませんが端的にお答えいただきたいと思います。  それでは、今、小野大臣がおっしゃった第五条二項四号ハの国の重大な利益を著しく害するおそれのある事案に今度は限られるということですね。
  81. 小野清子

    国務大臣小野清子君) その件もプラスされるということでございます。
  82. 吉川春子

    ○吉川春子君 プラスされるというのはどういう意味ですか。今、第五条二項四号ハに書いてあるからとおっしゃいましたけれども、その事案が国家の重大な利益という意味なんでしょう。そうすると、そのことに限定されるんですよね。
  83. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先ほど申し上げましたのは、日本国民の生命、身体及び財産並びに日本国の重大な利益を害するというふうに申し上げたわけでございますが。
  84. 吉川春子

    ○吉川春子君 私の質問の意図が通じないようですが、日本国内の治安を守るということは警察の任務ですけれども、外国において日本の国益を守るということはどういうことかということを聞きました。  日本警察外国でそういう行為に出るということは外国の主権、警察権ともぶつかるんじゃありませんか。国際法上そんな勝手なことはできないはずですが、どうですか。
  85. 小野清子

    国務大臣小野清子君) ですから、単に国外において日本国民が偶然に犯罪被害に遭ったのみでは足らないものであり、日本国民の生命、身体及び財産並びに日本国の重大な利益を害する事案と規定することによりまして一定の限定を掛けたものであり、主として国外における日本人被害のテロ事案を想定するものであると。  なお、お尋ね日本国の重大な利益というのは、現行の警察法第五条第二項第四号のハにも国の重大な利益とあるものと同じ意味で、国の安全、外交上の利益等を指すものでございます。
  86. 吉川春子

    ○吉川春子君 外国警察権とか外国の主権との兼ね合いはどうなるんですか。
  87. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 国際上、外国において捜査などを行うのはその外国の同意がある場合に限られておるわけでございます。したがいまして、今後とも外国における事案につきましては、原則として当該国に捜査共助を要請することによりまして捜査を進めることになるわけでございます。
  88. 吉川春子

    ○吉川春子君 そんなことは今だってやっているわけであって、特別ここでそんな警察権限の拡大のような条文を設ける必要がないのではありませんか。端的にお願いします。
  89. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 小野委員長、端的にお願いします。
  90. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、個人の生命、財産、身体及び財産の保護とともに、犯罪の予防、鎮圧、公共の安全と秩序の維持に当たることをもってその責務を果たすわけでございますから、したがいまして、国外における事案であっても、例えば日本人被害のテロ事案であればこれに対処することは警察の責務でもあるわけでございます。
  91. 吉川春子

    ○吉川春子君 ということは、例えばイラクのような外国の占領下にある国に占領国からの要請警察が行くということなども想定しているんですか。
  92. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 外事情報部設置というのは、国際テロに効果的に対応するために情報の交換や分析を一層強化するとともに、我が国から大量破壊兵器関係物資の不正輸出事案などにも的確に対処する体制を確立しようとするものでございます。そんな観点から、外事情報部の行います情報収集分析、あるいは国民の生命、財産、こういうものに対する警察の責務を果たすためには、従来より実施してきております警察活動であり、外事情報部におきまして収集分析されました情報というのは、警察におきまして容疑者の追及及び発見や警察警備等に活用するほかに、関係機関と連携して行います様々な諸対策にも有効に活用するものと考えております。
  93. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、今の私の質問についてはイエスというふうに理解できますね。端的にお願いします。
  94. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 国外における事案であっても、我が国の裁判管轄が及ぶようなものであれば、それに対処することは警察の責務でありまして、そのような視点から個別具体的に判断すべきものと考えているわけでございます。
  95. 吉川春子

    ○吉川春子君 今までどうやってきたか、それから警察法の理念というのは私も一応勉強して質問に臨んでいますので、そこは繰り返し御答弁いただかなくても結構です。  外事情報部設置し、外国治安機関とのハイレベルの折衝、緊密、迅速な情報交換を行うということですけれども、どんな仕事を行うんでしょうか。外国治安機関とはアメリカ合衆国のFBIとかCIA等も含まれるんですか。
  96. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 具体的にどのような国のどのような機関と情報交換を行うのかなどにつきましては、情報交換の必要性も踏まえて、個別具体的に判断すべきものと思われます。  さらに、情報収集に当たっての当方の手のうちを明かすということにもなりかねないということなどから、これ以上はお答えを控えさせていただきたいと思います。
  97. 吉川春子

    ○吉川春子君 たしかレクにお見えになったときはスコットランドヤード、FBI、CIAなども否定されてなかったわけです。こんなこと国会で答弁したって別に手のうちを明かすということにはならないと思いますよ。  それで、もう一つ重要な質問をいたします。  新設される外事情報部外事課の仕事は諜報活動の取締りと法律案の概要で示されていますね。こうした取締りの前提として、我が国に居住する外国人の団体等に対して日常的に監視を強めることになりませんか。日本のNGO、NPOも国際的な団体と関係を持つところは監視の対象になるということでしょうか。外国の団体と連携して活動するNGO、NPOなどの監視が強化されるということになると、日本人活動自体に支障が及ぶことになるのでありませんか。
  98. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 警察庁外事情報部を新設することにいたしました趣旨というのは、国際テロ対策国際社会が共通して取り組むべき重要かつ喫緊の課題となっております。とりわけイスラム過激派によりますテロへの対応対策、あるいは世界各地で焦眉の急となっていること、それから北朝鮮による日本人拉致容疑事案不審船事案あるいは諜報事案等の対日有害活動日本に対する有害活動大量破壊兵器関連物資の拡散等も大きな問題となっていることなどの状況を踏まえまして、これらの問題に的確に対処できる体制を整備することにあるわけでございます。
  99. 吉川春子

    ○吉川春子君 私の質問は、NGO、NPO、日本のこういう民間団体の活動を監視、強化することにつながらないのかと、そうではないという保証がありますかという質問です。
  100. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 失礼いたしました。  NGOあるいはNPOにつきましては、その活動に関連して違法行為が行われ、又は行われるおそれがない場合においては、警察といたしましては厳正公平な立場を堅持し、これに介入しないという基本的な姿勢で臨んでおりますところでありますから、このような方針では外事情報部設置いかんにかかわらず変わるものではないと考えております。
  101. 吉川春子

    ○吉川春子君 違法な活動をするのかどうかということも監視しないとその結論は出ないということになりますね、今の御答弁だと。
  102. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 警察情報収集の対象といたしますのは、繰り返しになりますけれども、国際テロあるいは各種の諜報事案、あるいは大量破壊兵器等の関連物資の不正輸出とか、あるいは不法入国あるいは不法滞在事犯の違法行為についてでありまして、団体の活動に関連した違法行為が行われ、又は行われるおそれがない場合において、警察としては厳正公平な立場を堅持し、これに介入しないことを基本といたします。ですから、したがいまして、正当なNGOあるいはNPOの活動警察が監視をしたり、これに関与するということはあり得ないことだと思っております。
  103. 吉川春子

    ○吉川春子君 どうやって正当なNGOかNPOかということ分かるんですか。それは十分なる情報収集活動警察がしないと断定できないのではありませんか。その点を大変危惧しております。  ないならないと一言言っていただければ、もう時間がないので。
  104. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先ほどの前半で申し上げましたけれども、別の形の中でいわゆるNPO、NGOの活動を、今議員が御心配されているように関与するということは基本的にないわけですけれども、いわゆる団体の活動に関連した違法行為が行われ、又は行われるおそれがない場合においてはというのは、別の団体がこれを管轄をする中で出てくる答えではないかと、そのように思っております。
  105. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間がなくなりました。  十分にそういうおそれはないですよと私は答弁してほしかったわけです。  警察は、警察法の目的、先ほど来大臣がおっしゃっております、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するため、民主的理念を理念とする警察であり、警察の責務は、個人の生命、身体、財産及びに任じ、その犯罪の予防、鎮圧その他公共の安全と秩序の維持に当たることでありまして、いやしくも、これは警察法の条文なんですけれども、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等、権限を濫用してはならないという、そういう本来の立場で活動をしていただきたいということを申し上げまして、時間が来ましたので質問を終わります。
  106. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 無所属の会の島袋宗康です。よろしくお願いします。  まず、警察法の一部改正について質問いたします。  質問通告はしてございませんけれども、議員歴の長い小野大臣お尋ねしますけれども、法案の提案理由説明を国会内では一般にお経とかお経読みというふうに言っておりますね。御承知かと思います。大臣は、このお経読みというふうなものについて、どういうふうに、の意味で解釈されておりますか。
  107. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 私も最初、国会議員になりましたときに、お経読みというのは何なのか、本当にびっくりいたしました。  先生今おっしゃいましたように、この法案を出す提案理由というものをコンパクトにまとめて、それを皆さんにお話しするというのがお経読みと国会の中で言われている言葉の意味合いだと感じております。
  108. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 まあ、これはさておきまして、小野大臣に最初になぜこういう質問を申し上げたかと申しますと、先日、当委員会で読み上げられた提案理由説明が余りにも簡略過ぎるのではないかというふうに感じたわけです。大臣は、その際、その提案及び内容の概略を御説明いたしますと述べられましたが、提案理由に相当する部分は既に国会議員に配付されている法案の最後に付せられている理由と全く同じであり、それ以外は改正項目の柱が述べられているにすぎません。  そこで、どういうことでこういった、その法案の説明についてはお手元の最後に書かれていると思いますが、このような簡略過ぎる内容では法案を審議する内閣委員に対して政府の説明責任が果たされておらず、提案理由説明としては極めて不十分であると思いますけれども、大臣の御認識をお願いします。
  109. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先生御案内のとおり、現下の治安情勢というのをかんがみましたときに、国の警察機関としての、組織犯罪国際テロ、サイバー犯罪等、新たな治安事象に対処するためには体制を整えることはもう不可欠であると、そのような状況になっているわけでございます。  そのためには、国内におけるテロ目的の爆発物所持にかかわる警察運営、あるいは国外における日本人被害のテロ事案への対処体制、あるいは外国警察機関との連携と、こういったものが警察が仕事をしていきます上で責任を持って対処すべき事案についてもう欠くべからざるものであるという時代的な流れの中で、国の警察機関のつかさどる事務としては明確に位置付け、都道府県警察に対しましてもより強力に指導していかなければならないという、そんな立場になったわけでございます。  サイバー犯罪への技術支援にいたしましても、国の警察機関の統括をいたします事務として位置付けることによりまして、都道府県が行いますサイバー犯罪に際しまして、警察都道府県通信部の職員が警察官の行いますコンピューター操作の差押えなどへの技術支援を行うことができるようにいたしましたり、それからまた、このたび警察庁組織改正して、刑事局に組織犯罪対策部を、あるいは警備局外事情報部を設けるとともに、管区警察局などの所掌事務を改めることにもなっているわけでございますが、これによりまして、国の治安責任の明確化と相まって、新たな治安事象に対処する体制が整備されているものと私自身も考えておるところでございます。  このような考え方が地方分権改革推進会議によります事務と事業の在り方に関する意見の中でも示されたところでございまして、今回の改正はこれを具体化するためのものであるというふうな認識を持っているところでございます。
  110. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私が今大臣にお聞きしているのは、いわゆる説明責任、法案の説明責任が果たされていないのではないかというような意味で質問しているわけですよ。どうですか、その認識について。
  111. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) どうぞ、御所感。
  112. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 今申し上げさしていただいたのが説明、さらにお経読みと申し上げさしていただきましたけれども、警察法の一部を改正する法律案の提案理由とともに、細部にわたったものを今お話しさしていただいたと私自身は考えております。
  113. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 それでは、先日の提案理由説明に沿って具体的にお聞きいたします。  この法律案は、国の治安責任の明確を図るためとありますが、この改正案では、なぜ国の治安責任の明確化を図る必要に至ったのか、その理由や事情が全く説明されていませんので、この点について大臣から御説明いただきたい。また、これまで国の治安責任が明確でなかったのかどうか、併せてお聞きしたいと思います。
  114. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先ほどから御説明を申し上げておりますけれども、いわゆる治安の内容が、NBCと言われますように、そしてまた国際化と言われますように、国際テロ情勢がますます緊迫化しているところ、そして御案内のようにスペインにおける爆発テロ事案等多くの爆発テロ、あるいは毒性の高い化学物質によりますテロなどの脅威も高まっているわけでございます。  そこで、今回の改正は、このようなテロを遂行しようとするテロリストを防圧するなどの個別的事案を、いわゆる警察運営につきまして、個別具体的な警察運営について国の警察機関のつかさどる事務として規定をし、国の治安責任を明確化するとともに、都道府県警察が行います防圧などの措置についても個別具体的な指揮監督を行おうとするものでございます。  これによりまして、多数の死傷者が出るような大規模な爆発テロを履行しようとしているテロリストの所在地を把握したり、特殊部隊が突入してこれを鎮圧するような場合には、警察庁によります個別具体的な指揮監督の下に行われ、国が治安責任を負うことが明らかとなるということが先生に対するお答えでございます。
  115. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国の治安責任という場合には、国とはどういう意味なんでしょうか。地方に対して国という意味なのか、あるいは国家の治安責任という意味なのか、その点を明確にしてください。
  116. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 国という言葉を使っているときには、日本国全体を指しているものと承知をいたしております。
  117. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次に、警察運営の効率化を図るためとありますが、この点は至極当然のことではありますが、一方で、警察運営において大事なことは効率化だけではないと思います。その辺の御認識はどうなっておりますか、お尋ねいたします。
  118. 小野清子

    国務大臣小野清子君) このたびの改正におきましては、先生御質問くださいましたように、当然効率化についても私どもは配慮をした改正ができているものと承知をいたしております。
  119. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 効率化という場合に、今の例えばいろんな事件が発生をして非常に逮捕率が少なくなっているというふうな状況の中で、そういった効率化等も含めて、そういった今の状況というものをどういうふうにして警察としての治安維持を守っていくのかというふうな点についてもう少し具体的説明してください。
  120. 小野清子

    国務大臣小野清子君) いろいろとこれまでもお話しさせていただきましたけれども、検挙率の下がっている点等々も先生御心配のことだと思います。  具体的に、これまでもお話しさせていただいておりますけれども、二百七十九万件、刑法犯認知件数とか、その前は二百八十五万四千件でございました。そうしますと、そういう事案に対して、先ほど先生、他の先生たちへのお話もございましたけれども、一人の警察官のかかわります人口比というものも大変大きなものが各国と比べてございます。そして、またそれが空き交番の問題にもつながってくるわけでございます。  そういった意味におきましては、警察官増員の問題等も一つかと思いますし、それから、国際化の中で外国人犯罪が多くなってきますと、語学の面でもございますし、黙秘権を使われるということがございましたり、いろいろと逮捕をいたしましてもその事案に対しての回答を得られるということにも時間が掛かりますし、逮捕の、また検挙件数が少ないと言われておりますけれども、検挙をしても事案を解明していくのに大変時間が掛かりまして、そして余罪の追及というものが非常に難しくなってくるわけでございます。ですから、一人の人間を逮捕いたしまして、そのほか余罪が幾つもあっても、それを一つ一つ聞き出しをする間もなくどんどん事案が参ります。大体一日にいたしまして七千八百件くらい連日事案が発生しているわけでございます。そういう事案の多さに対して、警察官も一生懸命努力をしておりますけれども、対応に対して非常に厳しい状況であるということが一点でございます。  それに来日外国人の問題も入ってまいりますし、言葉の面も入ってまいりますし、そして警察官の一人当たりの負担人口が非常に高いということをかんがみましたときに、効率よくという言葉がちょっと先生にとっては浮いてしまうということかもしれませんけれども、現実はそのようなことでございますので、私どもも国民の安心を得るためにはできるだけ検挙率を上げて安心していただこうということと、犯罪を少しでも起こさないような環境整備をしていかなければならないという、多方面からの努力をさせていただきながら進めてまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  121. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 終わります。
  122. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  今回、警察法の一部改正ということで組織改正が盛り込まれております。警備局の下に外事情報部を設けて、その下に外事課、元々として外事課の中にあった国際テロ対策室を国際対策テロ課に再編するという。  ここで私、警察にかかわらず我が国の特に国際テロに対する危機管理体制、時間短いんで、これについて雑駁にお聞きしたいと思っております。  本当に、スペインの列車爆破事故、あれ以来、元々国民の中でも大変なる国際テロに対する不安は高まっていましたが、より今現実的なものになっていると感じております。新幹線に乗っても本当に物々しい警備、致し方なしかなと、そう思っておりますが。  そこで、これはある報道なんですけれども、二月初旬に米国から首相官邸及び外務省に最大の警戒レベルの警告が来たと、加えて、大変危険な施設、日本国内において、その重点施設が百か所程度、そういったリストが米国の方から警告として伝わってきたと、そのような報道がされております。これについて事実関係お答えください。
  123. 貞岡義幸

    政府参考人貞岡義幸君) 御説明申し上げます。  政府としましては、日ごろより諸外国の政府、政府機関を含めあらゆる情報源からの情報収集分析に努めているところでございます。しかしながら、個別具体的にどのような情報収集把握しているかにつき対外的に明らかにすることは、事柄の性質上、誠に申し訳ございませんが、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  124. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうでしょうね。それは私もそう思います。  そうしましたら別の聞き方をしましょう。これちょっと質問通告順番変わりますけれども、危機管理対応の中でいわゆる重点施設というのの優先順位の付け方というのはどんな形で今付けているんですか。これは端的にお答えください。
  125. 堀内文隆

    政府参考人堀内文隆君) お答えをいたします。  政府におけるテロ対策につきましては、関係機関が相互に緊密に連携しつつ、必要に応じて会議を開催するなどして情勢認識の共有を図りながら政府が一体となって行っているところであります。  警戒を強化すべき重点施設の具体的な選定やその手法につきましては、基本的には警戒警備等を担当する警察等におきまして、このようにして共有された情勢認識を踏まえつつ自らの体制等を勘案して実施しているものと承知をしております。
  126. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 それで、最初の質問に関連するんですけれども、例えば、どこどこの商業施設が、国際テロ組織として、例えばそこをねらっているというような情報が入りますよね。これは大変痛しかゆしだと思うんですけれども、じゃ、ここだという特定した、そういう情報国民に流すという、これは大変ちゅうちょすると思うんですよ。というのは、じゃ、その商業施設の営業権の問題にもなったり。だけれども、その情報の蓋然性が高い場合にはやはり一般国民に知らしめて、例えば、何日にはそこに行っちゃいけないよという、こういうようなある程度の目安というのがあると思うんですよ。この情報に対してはこういうガイドラインで国民に知らせなければいけない。これ、大変微妙なところで、難しい問題。一歩間違えたら風評被害にもなってしまいますのでね。  ただ、何度も言いますが、国民がやはり生命、身体に危険を及ぼすという、このことに関してはやはり情報として知らしめる、そういった、この場合内閣官房なんですかね、警察も含めて義務があると思うんですが、そのガイドライン、分かりやすくちょっとお聞かせください。
  127. 堀内文隆

    政府参考人堀内文隆君) テロ関連情報国民への提供につきましては、個別具体の事案ごとに情報の内容、確度等を総合的に勘案しつつケース・バイ・ケースで判断して行う必要があるため、そのための具体的なガイドラインといったものはございませんけれども、政府といたしましては、各種のテロ関連情報を入手した場合には迅速に内閣情報官の下に集約した上で必要な分析を行い、総合的に判断して状況に応じて国民への適時的確な情報提供に努めてまいりたいというふうに考えております。
  128. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 今おっしゃられた個別具体的とか総合的、確かにそういう答え方しかできないのかもなとは思うんですが、ただ、やっぱりそのお答えを聞いて、じゃ国民が安心するかというと、とてもするとは思えないんですよね。その引き続きは結局、小泉総理の、いや、どこだって安全なところはないんだよと、国民個人個人注意してよという。私、その国民個人個人が危機管理ができるかというと、できるわけないわけですよ。私のこの後の質問は、とにかく、今聞いた国民がやはりまだ安全について、やっぱり政府に対して信頼が置けるような、そのような御答弁をいただきたいんですね。  具体的に聞きましょう。まず警察。これは国際テロ対策室でもいいんですが、ある国際テロ情報が入りましたと。私、これは食品安全委員会になぞらえれば、その危険性をまずリスク評価すると思うんですよ、どのくらいの危険なのか。簡単に言えばガセネタかもしれない。ただ、ある一定以上の危険性を感じれば、これ上に上げますよね。これ内閣情報調査室かもしれませんし、最終的には、私、内閣危機管理監に行くと思うんですね。だから、この評価したものがいざ上に上がると、次にはリスク管理ですよ。じゃ、危機管理体制というものがしかれるというこの流れ。  まず小野大臣に聞きましょう。警察情報が入ったと、入口ですからね。これがどういう形でまず出ていくか、その後、内閣官房ですか。どこまで上がって、その後の危機管理が一体どうなるんだと。何度も言いますが、これは聞きたいのは、ああ、ここまできっちり対応が政府できているんだと。だったら、先ほどの情報の開示も含めて、我々国民はここに旅行にも行っていいし、ここの商業施設に行ってもいいと。そのぐらいの安心を与える、そういう御答弁ちょうだいしたいんで、お願いいたします。
  129. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先生の歯切れのいい質問にちょっとたじろいでおりますけれども、国際テロ組織により我が国に対する具体的な脅威情報というものを警察が入手した場合に、これまでに蓄積されておりました様々な情報と照合をいたしまして分析をし、そしてさらにその評価を行いまして確度といいますか的確かどうかという、その度の高さにより判断される、これを情報機関、情報関係機関との調査役であります内閣官房、ここに迅速に報告するものと、まず初段階、そうなっているものと承知をいたしております。その上で、関係機関と連携をいたしまして、さらに情報収集を行いますとともに、内閣官房の調整の下に入国管理局あるいは海上保安庁と連携をいたしまして、テロの未然防止に必要な諸対策を講ずるものと承知をしているわけでございます。  いずれにいたしましても、国際テロの未然防止というのは警察のみにおいて行われ、完全なるものは大変難しゅうございます。内閣官房の調整の下に政府全体が一体となりまして対処する必要があると考えておりまして、警察当局に対しましても関係機関との緊密な連携の下に対処するように督励してまいりたいと、そのように思っております。
  130. 堀内文隆

    政府参考人堀内文隆君) 政府といたしましては、例えば関係省庁等から各種のテロ関連情報を入手した場合には、内閣情報官の下に集約をいたします。そして、必要な分析を行います。そして、当然、内閣危機管理監にも上がるということでございます。そして、情報の内容、確度等を総合的に判断しまして、状況に応じて関係機関が連携を密にして警戒措置の強化国民への適時適切な情報提供、あるいは必要な退避勧告等を行うこととしております。  いずれにいたしましても、今後ともテロ関連情報収集分析に努め、情勢に応じて必要な措置を講じて国民の安全確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  131. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 分かりました。一つの法案で十分間の質問でどこまで聞けるかという話なんですが、最後に小野大臣、今日は東京ドームで、さっきもちょっと話題に出ていましたけれども、ヤンキース戦とデビルレイズ戦ですね、これMLBの開幕戦ですから、これある意味、危機大変、最大限に高まる可能性あるんで、是非徹底した警備をお願いして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  132. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  警察法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手をお願いします。    〔賛成者挙手〕
  133. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、神本君から発言を求められておりますので、これを許します。神本美恵子君。
  134. 神本美恵子

    神本美恵子君 私は、ただいま可決されました警察法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び無所属の会並びに各派に属しない議員黒岩宇洋さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     警察法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たって、次の事項の実施に万全を期すべきである。  一、警察の体制を整備するに当たっては、都道府県警察警察運営の基本としている現行警察法の基本理念が損なわれることがないようにすること。  二、国際テロ情勢の緊迫化や犯罪情勢の深刻化に的確に対処し、治安回復のための基盤整備を一層進めるなど、犯罪に強い社会の実現に向けた取組を推進していくこと。  三、警察運営の効率化を目的とした人員の運用を図るとともに、能力・実績に基づき適材を適所に配置すること。また、厳しい犯罪情勢に対峙し社会国民の安全を守る強い使命感を持つ人材の確保を図り、職務に係る倫理と法令厳守の精神の向上に努めること。  四、北海道警察における不正経理を始めとする一連の警察不祥事は、警察組織の運営全般に関わる問題であるとの認識の下、国家公安委員会は、管理・指示権等を適切に行使して事案の徹底解明を行い、予算執行の透明性と同種事案の再発の防止を確保し、国民の信頼を回復するよう最大限の努力を払うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  135. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) ただいま神本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  136. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 全会一致と認めます。よって、神本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、小野国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小野国家公安委員会委員長
  137. 小野清子

    国務大臣小野清子君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して努力してまいる所存でございます。
  138. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  140. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  内閣重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁次長漆間巌君外五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  142. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 内閣重要政策及び警察等に関する調査のうち、警察行政に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  143. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党の神本美恵子でございます。  今日は午前中、警察法の一部改正に関する法律案が本委員会において可決されましたけれども、午後からは、一連の今不正経理問題が出ておりますけれども、それに関連して、集中審議ということで質問をさせていただきたいと思います。  北海道や福岡で実際にその現場におられた方が退職をした後、今、自分の体験を基にしたという形で告発がなされております。彼らがその告発をしている理由としては、愛する組織だからこそ信頼を取り戻すために勇気を持って告発をしたというふうにおっしゃっております。何もこれは自分が愛する組織を批判するためではない。  私も実際に福岡で告発をされた方のお話をお聞きしましたけれども、その方のお話では、現場捜査員警察官は、例えば三日間一睡もせずに捜査に当たり、それから五日間の勤務をこなすというような活動をしている、そういう日夜頑張っている現場の警察官が、その頑張っていることが報いられない、こういう組織であってはならない。ですから、組織に対する批判ではなく、この組織を本当に国民に信頼される、そして命を賭して頑張っている警察官、あるいは市民のために頑張っている警察官が本当に誇りを持って働けるような組織にしたい、そういう思いで告発をしているというお話がございました。告発をした後、多くの同僚から、自分たちは何も知らずにさせられていた、そのことに対してよく勇気を持って告発してくれたというような声もたくさん届けられているということをお聞きしております。  こういう問題に対して、今、国家公安委員会としても、また警察庁としても様々な取組が始められたようでありますけれども、衆議院の議事録も読ませていただきましたが、どうもこの問題に関する今の国家公安委員長の事実認識といいますか問題認識、それから、今日は警察庁、本来ならそのトップであります長官においでいただきたかったんですけれども、次長においでいただいておりますので、まず冒頭、そのお二人に今のこの問題に関しての問題認識をお伺いしたいと思います。
  144. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 北海道旭川中央警察署におけます平成七年五月分及び平成九年九月分の道費の捜査用報償費五十万円に関し不適正な予算執行が見られ、また北海道弟子屈警察署におけます平成十二年度分の道費の捜査用報償費三十五万円について不適正な執行が行われていたことが推認されたところでございます。  さらに、静岡県警察におきましては、総務課の平成七年度の県費旅費をめぐりまして、九百四十万円のいわゆる空出張事案が判明をいたしました。  このように、警察予算の不適正執行が判明したことは誠に遺憾でございます。  また、福岡県警察本部銃器対策課員が匿名で、本人が在職をしておりました平成七年から十一年までの間に裏金を作っていたとする記者会見を行ったところでございます。  北海道警察事案につきましては、三月十二日、北海道公安委員会から、警察法第四十三条二に基づきまして、近年の予算執行について特別調査を行うとともに、この種事案の絶無を期すために会計経理の手続、会計監査の諸事項につきまして監察を行いまして、特別調査の結果とともに改善方向について報告するように指示を行ったところであります。  これを受けまして北海道警察におきましては、捜査用報償費等について新たに必要な専従体制を取り、新年度から逐次計画的に全道調査を実施するものと聞いております。  なお、北海道警察、静岡県警察及び福岡県警察におきましては、それぞれの公安委員会の指示を受けまして全容解明に向けて調査を進めているところでございまして、北海道警察及び静岡警察では既に途中経過を公安委員会に報告をし、また公表をしているところでございます。  国家公安委員会では、会計経理をめぐります不適正事案の早期解明、そして予算執行の透明性の確保方策等、会計経理の一層の適正化について検討を進めるように警察庁に指示しているところでございますけれども、それぞれの事案の全容が明らかになった段階でそれぞれ厳正に対処してまいりたいと、そのように考えております。
  145. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) ただいま国家公安委員会の委員長から経緯等についても御説明がありましたけれども、私どもとしましては、警察というのは国民の信託を受けてその業務を行っているわけでありまして、国民の信頼なくして警察は的確にその任務を遂行することはできないという観点に立ちますと、やはり不祥事案とか、あるいは経理の不適正事案とか、こういうのがあるという実態は、やはりこれは大変遺憾なことだというふうに考えております。  したがいまして、警察庁といたしましては、国家公安委員会からの適切な指示を受けながら、いかにこの今問題になっている不適正事案についてその真相を解明して、その責任の所在あるいは今後の改善方策を提示できるかということが一番大切なことだというふうに認識しております。  今後とも、国家公安委員会の指導を受けながら、それから、それぞれ問題が起きているところについてはそれぞれの公安委員会からの指導を受けながら、是非とも真相解明を早期に遂げて、国民の信託を受けた上で、現在当面しております治安対策、特にテロ対策、あるいは治安の悪化に対する、治安を回復軌道に乗せるというこの方策の下に、いかに全国警察をそちらに導けるか、そのためにはこの真相の究明が早期になされることが大事だというふうに私自身は感じているところであります。
  146. 神本美恵子

    神本美恵子君 今、国家公安委員長と次長から、絶無を目指して、このようなことが今後一切ないように全容解明をしていくというふうな認識をいただきましたけれども、衆議院の中では国家公安委員長は、不正流用はあったが私的流用はないというような御答弁もあったようですけれども、全容解明がまだされていない中でそういう認識を示すということは私は軽々であるのではないかということをまず御指摘しておきたいと思います。  そこで、先ほど申しました福岡の元OBの方、OB警部の方からお話を聞いたときに大変私びっくりしたというか衝撃を受けましたのは、実際に捜査に当たっている刑事は捜査費の請求の仕方を知らないというふうにおっしゃったんですね。それには本当に何たることだということで私は驚いたわけですけれども、そういったことで、今日はまず、国のいわゆる国費から支弁される捜査費、それから県費で支弁される、県費で出される捜査用報償費、この二本立てになっていると思うんですけれども、国費による捜査費の額と、それから都道府県負担する捜査費の総額をまずお伺いしたいと思います。十四年度分で結構です。
  147. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) お尋ね平成十四年度の国費捜査費の執行総額は五十一億三百八十四万六千円であります。同年度、平成十四年度の都道府県捜査用報償費の執行総額は二十五億四千六百四十万五千円と承知をしております。
  148. 神本美恵子

    神本美恵子君 この国費による捜査費というのは、警察法で「国の公安に係る犯罪その他特殊の犯罪の捜査に要する経費」として挙げられ、これを受けて警察法施行令に詳細な規定が置かれています。規定を見ると、明確な記述のものもありますが、一方で、犯罪の種類を挙げて、「破壊的なもの」、「重要な」といった修飾語が付いているものもございます。どこまでが国費なのか、その基準が明確とは言えませんけれども、この国費による捜査費の、先ほど五十一億とおっしゃいましたが、その積算根拠をお伺いしたいのと、それから、財務省においてはそうやって積算された要求予算額をどのように査定されているのか、その基準についてお伺いしたいと思います。  なお、この国費と県費を合わせた捜査費の執行率が近年、ここ二、三年、急激に低下しているというふうな報道もございます。これが国費による捜査費の積算と査定にどのような影響を与えているのかも併せてお伺いしたいと思います。
  149. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 今お話がございましたように、警察法、それから警察法の施行令の具体的には第二条の八号というところに、「次に掲げる犯罪の捜査に必要な旅費、物件費、捜査費その他の経費」について国庫が支弁するということで、イロハニ、ずっとナまで列挙をしてございます。この中で例えば、麻薬、あへん又は覚せい剤に関する犯罪はこれはすべて国費支弁で捜査を行うと。それから爆発物、銃砲等危険物に関する重要な犯罪、これはおのずと、相当年数たっておりますから、何が重要な犯罪なのかということについてはそれぞれ積み上げでその慣例ができておりますので、一応の内部的な基準はあるものと承知をしておりますので、重要な犯罪に当たれば国費、そう認められないものはこれは都道府県費で支給をされるということに現在はなっておるわけであります。  国費の捜査費の積算に当たりましては、お尋ねでございますが、その時々の犯罪情勢を踏まえまして、執行実績とともに、例えば暴力団事件捜査あるいは覚せい剤事件捜査等の犯罪類型ごとに、過去に発生をしましたそれぞれの事件に要した人員あるいは期間、経費等から標準的に見込んで積算し、各類型ごとのそれらの見込額を合算して算出をしているところでございます。
  150. 神本美恵子

    神本美恵子君 それでは次に……
  151. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) ちょっと待って、いいですか。
  152. 神本美恵子

    神本美恵子君 ごめんなさい、そうだ、財務省。
  153. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) 国費の捜査費の査定でございますけれども、国費の捜査費につきましては、警察庁の概算要求を踏まえまして、過去の執行実績及び近年の犯罪犯罪動向等を勘案して犯罪捜査に必要な額が計上されるよう査定を行っているところでございます。  具体的に十六年度予算で申し上げますと、前年度比約十一億円減の、先ほどお話ございました、十一億円減の五十五億円を計上しておりますけれども、これは、先ほどお話ししました、直近の決算額である十四年度決算額は約五十一億円であったということ、それから、近年の犯罪情勢の悪化傾向を踏まえまして、過去に発生したそれぞれの事件に要した人員や期間、それに要した経費等、犯罪類型等に応じて標準的に見込んで積算をするということなどによりまして五十五億円を計上したものでございます。
  154. 神本美恵子

    神本美恵子君 犯罪の発生状況とそれから前年度の執行額で積算を、査定をするというふうに今財務省からお伺いしましたけれども、近年その執行率が低下している。このまま低下していくと捜査費も減る、減っていくというふうに予測されるわけですけれども、どうも、これだけ犯罪が今増えていると言われている中で捜査費が減っていくということの、そこにやはり私は不明なものを感じるということを一言申し上げたいと思います。  それで、実際に国費による捜査費はどのように各都道府県警に配分されていくのか、その各都道府県への配分の基準、それから具体的な支出の流れについてお伺いをしたいんですが、私はその辺が本当によく分からなくて、資料を何か下さいということでいただいたのがこういう捜査経理の手引きというもの、これは警察庁長官官房会計課というところから出ているんですけれども、十六年度版というふうになっております。これは毎年改訂されているのか。これはちょっと通告しておりませんでしたけれども、毎年改訂されているのか。  であれば、何を基準に改訂されるのかということもちょっと疑問なんですけれども、この流れを見てみますと、捜査費の支出というのは、取扱者、これは捜査を執行する本部の担当課長や隊長などというふうに書かれておりまして、が交付の申請をするというところから始まるように書かれておりますが、どうも一読しただけでは理解できませんので、私がお聞きした、告発された方にお聞きしたところでは、捜査員はこれを全く知らない、しかも別に、別に裏マニュアルがあるというようなこともお聞きしたんですけれども、具体的な流れについて表、表というか、本当はこうしなきゃいけないというところの御説明国民に分かりやすくいただきたいと思います。
  155. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) まず、お尋ねのありました捜査費経理の手引きにつきましては、これは毎年出しております。どういうところが変わるかといいますと、例えば、今のものには入っておりますが、従前のものには、被害者対策に要する経費、例えば刑事事件等が起きて自分の家の中で例えばどなたかが殺されたというようなときに、その家に警察が行きまして実況見分をやったりいろいろ諸活動をその場所でやらなければなりません。そういうときに、その人が、残された家族の方が泊まるところがないというようなこともあり得ますので、それはどうしても場所がなければ警察でお金を出してホテルに泊まっていただくとか、そういう被害者対策に要する経費等はこれは支弁すべきであろうということで、従前は入っておりませんでしたけれども、改訂の都度そういう項目を付け加わったりしているということで、毎年変えているものであります。  それから、都道府県警察に国費の捜査費が配分をされるわけでありますが、これの流れについてのお尋ねでございますが、警察庁が国費捜査費を配分をするわけでありまして、各都道府県警察への予算の配分についてはまず、警察庁内に例えば刑事局の捜査一課でありますとか捜査二課でありますとか各主管課があります。この主管課が各県の、四十七都道府県警察活動の、その自分の課の仕事の内容においての警察活動の内容、この県がこういう事件で捜査に携わっているとかいろいろ分かりますので、その庁内の各主管課において各県の警察活動の内容、あるいは各県のその規模も関係してまいりますので、その内容、警察活動の内容ですとか規模等に応じまして必要となる所要額を算出をして、警察庁の会計課に要求をしてまいります。警察庁の会計課は、全体の予算額とのバランスを考慮いたしまして、原則各四半期ごと、三か月ごとでありますが、当該期間に必要とされる各県警への配分額として取りまとめて、これを各都道府県警察に配分をするという仕組みになっております。  国費の捜査費についてはそのようにして配分を、各県の立場で見ますと配分を受けるわけでありますけれども、捜査費は経費の性質上、緊急を要し、又は秘匿を要するわけでありまして、以下申し上げるような取扱いをしております。  まず第一に、会計機関たる官署支出官、これは県警本部長でありますが、捜査費の取扱責任者、これも実は県警本部長であります。県警本部長が県警本部長に対し、所要見込額を支払をまずいたします。  二番目に、取扱責任者たる本部長は、これを取扱者である関係所属長、県警本部の捜査一課長でありますとか捜査二課長でありますとか本部の課長、あるいは当該県の署長等に交付をいたします。本部の課長、署長等は関係の、本部の課長や署長等は取扱者という位置付けでありまして、そこに取扱責任者たる本部長から交付をされるということになります。  三番目に、取扱者は、本部の課長、署長でありますが、取扱者はこれを必要の都度、捜査員に交付をするという仕組みに、まず三つ目になります。  四番目に、捜査員は、捜査活動上の諸経費の支払をして、精算書に証拠書類を添えて取扱者に報告をする、これが支払の手続の流れでございます。
  156. 神本美恵子

    神本美恵子君 この表の捜査経理の手引きというのは各地方にも配付されているというふうにお聞きしましたけれども、今回の一連の不正経理等をめぐって、捜査費が裏金として活用されているということが今正に問題になっているわけですけれども、捜査費の手引きには支払先への支払に至る流れ、今御説明いただいたように記述があるんですけれども、実際に、捜査官の方たちは果たしてこの仕組みを、あるいはこういうマニュアルの存在というものを御存じなのか。私は全警察官に配付して、こういうふうにして請求をし、それがこういう流れの中で支給されるというようなことをやれば、現場の方が自腹を切るというように言われていますが、そういうことないと思うんですけれども、その辺はどうなっているんでしょうか。
  157. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 実は、警察におきましては、平成十三年度に捜査諸雑費制度というものを導入をいたしました。これは、以前も御説明申し上げたかと思いますが、従前は捜査を行う上で、捜査員が言わば自腹を切る形で一時その捜査員が支払うと、立て替えて支払うと。事後、例えばタクシーに飛び乗ったという場合に、そのタクシー代を事後、こういうことで捜査に必要なことで活動していてタクシーに乗ったということで、事後にそのタクシー代を上司から交付を受けるというところの仕組みであったわけでありますが、これだと今おっしゃいましたように、場合によっては捜査員が事後に申し出ないということもありますと、結局、捜査員の自己負担ということになりますので、平成十三年度から捜査諸雑費制度というのを導入をいたしまして、いろいろと日常の、捜査員は聞き込み、張り込み、追尾等々情報収集等々の捜査活動に従事をしているわけでありますけれども、例えばタクシーに飛び乗ったと、あるいはいろいろ情報を得るためにいろんな方に会うと。そのときに、手ぶらでは何だからということで千円、二千円の手土産を買って持っていくというときのそのタクシー代でありますとか、あるいは千円、二千円の手土産の、お菓子屋さんで買うとしますとそのお金が必要になりますが、そういう少額、少ない額、少額で多頻度にわたる経費が必要不可欠なわけでありまして、そのようなお金として捜査員に対してあらかじめ月の当初に、月初めに一定の金額を上司が当該捜査員に、例えば五千円を渡す場合もありましょうし、一万円を渡す場合もありますが、一定の金額を交付をしておきまして、その中で必要なものを使って、最終的に精算をし、月末に精算をさせると。もちろん、途中、月の途中でお金が足りなくなったということもあるかもしれませんので、それは追加支給をするということでやっておるわけでありまして、これを平成十三年度から全国警察において導入をしておりまして、これはすべての例えば警察署の捜査に携わっている人間はこういう仕組みがあるということは知っているはずでありますし、現実に日々このような執行をしておると思うところでございます。  ただ、捜査費というのは現場の様々な捜査活動に充てられる経費でありまして、今も申し上げましたように、捜査費経理の手引きを作成はしておりますものの、これが第一線、現場の捜査員に十全に十分に周知徹底しているのかどうかということについては、これは反省点がないわけではございませんので、今捜査員の立場で見て捜査費経理の手引きの言わば捜査員版といいますか、より捜査員の立場から見て分かりやすいものを資料として作ろうと。その上で、一からきちんと頭の中の整理をしてもらおうということで、教養資料、教育資料を作ることを考えておるところでございます。
  158. 神本美恵子

    神本美恵子君 是非、私がお聞きした、捜査員が請求の仕方を知らないというお話は、一九九五年から九九年に担当していらした福岡の方ですので、その後平成十三年度から諸雑費制度というのが導入されたというお話を今聞きましたが、それできちっと捜査員の方に必要な経費が行き渡るようにということは再度お願いをしたいと思います。  ただ、ここで問題になっているのは、それですべてが解決するわけではもちろんないと思いますので、それは必要経費が行き渡るようにということであって、それとは別に架空の領収書の問題等も出ておりますので、それはまた後で問題にさせていただきたいと思います。  次に、この国費の捜査費に対する会計検査院のチェックがどのように行われてきたのかということでございます。  この国費の会計検査院のチェックについては、本当になぜ見抜けなかったのかというのが正直な感想といいますか、今の気持ちでございます。会計検査院事務総局第一局司法検査課が行っていると思いますけれども、これについては計算証明規則十一条の中で、特別な事情がある場合には、会計検査院の指定により、又はその承認を経て、この規則と異なる取扱いをすることができるというふうな規定がありまして、その異なる取扱いがされているとのことでございます。  そこで、会計検査院として、この捜査費について、検査方法、またどのような異なる取扱いをしているのか、簡単で結構ですので、御説明をいただきたいと思います。
  159. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) まず、国費の捜査費の検査の状況でございますけれども、これは大きく分かれまして二つございまして、一つは書面検査ということでございますが、計算証明書類として提出されてまいりますまず決議書、あるいは先ほどお話のありました取扱責任者の請求書、領収書、それから取扱責任者が作成した支払明細書といった、本院に提出されます書面を見るというその書面の検査が一つございます。  一方で、実地検査というのがございまして、この際には、その取扱責任者の手元に保管されている関係書類、こういったものの提示を受け、あるいは関係職員からの説明を徴するというふうなことで、適正な手続にのっとっているか、必要な書類は整っているか、目的に沿って適正に使用されているか、また予算の執行体制やチェック体制がどうなっているかといった点について検査を実施してきているというところでございます。  今お話の異なる取扱い、お話に出ましたのは計算証明上の書類の取扱いということになろうかと思います。捜査費につきましては、捜査情報収集活動等に使用される経費でありまして、その経費の性質上、支払相手先を明示して計算証明することが適当でないということで、言わば証拠書類の手元保管の取扱いを認めてほしいという承認の要請がございました。これに対しまして、計算証明書を、これを承認してきているというものでございます。この承認に当たりましては、一年を限度として認めてきておりまして、この承認の要請があった都度、それが適当なものか、妥当なものかということを見直しをした上で承認をしてきておるところでございます。
  160. 神本美恵子

    神本美恵子君 会計検査院は、省庁や団体の本部、支部、あるいは工事などの事業が実際に行われている場所に職員を派遣するという実地検査を行っておられる、今お話にございましたけれども、また、国から財政援助を受けて種々の事業を実施している地方公共団体についても、国が交付した補助金などが適正に行われているかどうかを実地検査をされているということでございますが、過去において、警察に対し会計検査院が警察の不正経理について実地検査を行ったことがあるのでしょうか。最初に申しましたように、あるとすればなぜこのような不正が見抜けなかったのか、会計検査院としての御見解をお伺いしたいと思います。
  161. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 警察庁に対しましては何度か検査報告で指摘をしておるというのがあると思いますが、今お話は捜査費等で不正経理ということでの指摘の有無だと思いますが、捜査費に関しまして検査報告にこれまで掲記したということはございません。  今言われておりますように、そういった県警察等で不正経理が行われているというのだとしますと、それはもう会計経理は本来会計法令にのっとって適正に行うという大原則に反しているものでありますので、誠に遺憾な事態だというふうに思っております。我々も、検査に当たりましては、そういった会計経理の適正性を検証するという観点から、限られた人員と予算をもってこれまで最大限の努力をしてきたところでございます。  ただ、悉皆的にすべて検査を行えるということの状況にないということも一方で御理解願いたいと思います。ただ、これまでの検査でも、具体的にどういった方法で行っていくかということにつきましては種々工夫をし、検査してきたところでございまして、今後とも一層そういった検査方法に工夫を凝らしながら検査に当たってまいりたいというふうに考えております。
  162. 神本美恵子

    神本美恵子君 なぜ見抜けなかったかということについては、人員の問題とか、悉皆をやる、そういう余裕、余裕がないといいますか、そういうお話でございましたけれども、国民からすれば国費、国民の税金がしっかり不正、不当な使い方がされていないかということは会計検査院がチェックをしている、その信頼の下にあるわけですけれども、そのことを会計検査院として責務を果たせていないのではないかというふうに今の御答弁をお聞きしましても思うわけでございます。  それで、今後のこともありますので、次にお伺いしたいのは、お聞きしますと、地方警察に対して検査を行う場合、一か月前から事前通告して検査に入られるというふうにお聞きしております。そして、当該警察では、警察庁がそこに立ち会って、その指導の下に検査に備えてリハーサルまでされているというお話も聞いております。これでは検査の本当の意義が消滅する、形骸化されてしまっているのではないかというふうに思うんですが、抜き打ちに近い形でやれないものか、会計検査院としてどうお考えでしょうか。
  163. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 会計実地検査におきましては、多数の検査対象機関の膨大な会計経理を限りある職員で検査するということになってございますので、そういった検査を効率的に行うという観点から、あらかじめ実地検査の相手方に対しまして通知をし、検査するということで事前に通知をしてきていることが多いことでございます。ただ、そういった場合でも、具体的に検査対象となる会計経理をどういったものを対象にしていくかということにつきましては、なるべく直前にその対象を決めるというふうなことで工夫をするなどして検査を実施してきております。  ただ、お話しのこともございますので、事態によりましては必要によりまして事前の通知なしに行うということも念頭に置いて検査を進めてまいりたいというふうに考えます。
  164. 神本美恵子

    神本美恵子君 是非とも、もう聖域を設けずに、特に今回の問題は今回に始まったことではない、もう今明るみに出ている県だけではなく、道県だけではなくて全国的な問題であるというようなことは、小泉総理も予算委員会の中で全般にわたる問題であるというふうな答弁をされておりますし、その認識の下、会計検査院としても、本当に機能が果たせるように検査方法、抜き打ちも含めて工夫をしていただきたい。  この地方の捜査費については、二月二十六日に警察庁長官官房長名で通達が出されておりまして、直接捜査員から聞き取る、そういったことも出されて、対応として出されております。監査への対応として出されておりますので、会計検査院としても直接捜査員からその会計経理、領収書等の不明に関しては話を聞き取るようにというようなことを望みますけれども、それについてはいかがでしょうか。
  165. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 従来から、捜査員につきましてはあらゆるできるだけの方法をもちまして検査に当たってきたところでございます。今お話しの捜査員への事情聴取ということも、場合によりまして必要に応じて行うということで対処してきておりますので、今後ともそういう方面で厳正に検査を実施してまいりたいというふうに考えます。
  166. 神本美恵子

    神本美恵子君 次に、小野国家公安委員長にお伺いしますけれども、神奈川県警等の不祥事が相次いだのを受けまして、二〇〇〇年の三月に警察刷新会議が発足をいたしました。そして、その年の七月に警察刷新に関する緊急提言が発表されて、その中で公安委員会の監察点検機能強化が盛り込まれたと思います。同年八月、警察改革要綱では、「公安委員会の管理機能の充実と活性化」として、警察の行う監察をチェックする機能の強化、具体的・個別的指示権、監察担当委員、監察調査員というのが盛り込まれております。そして、同年末には警察法改正法が成立をいたしまして、それに基づいて平成十三年四月より監察機能強化として、長官官房に監察官の二名設置国家公安委員会の管理機能の強化のため、同じく長官官房に国家公安委員会会務官の設置が行われました。  しかしながら、このように一連の警察改革が進められたというふうに言われていますが、昨今のこの不祥事続発というのは目を覆うばかりでございます。公安委員会の監察機能、管理機能の強化が十分に果たせているのかということに疑問を持たざるを得ません。単に警察庁のポストが増えただけの焼け太りではないかというような国民の声もございます。  果たして、前回の法改正で措置された国家公安委員会及び都道府県公安委員会の監察機能強化というのは実効あるものになっているのかということを大臣お尋ねしたいと思います。
  167. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 神本議員から今御指摘がありましたように、警察におきましては、一連の不祥事が発生いたしましたことから、平成十二年七月に警察刷新会議が、そして警察刷新に関する緊急提言というものを出させていただき、国家公安委員会及び警察庁では、同年の八月には警察改革要綱を取りまとめ、さらに十二月には公安委員会の管理機能の強化を、強化等を柱とする警察法改正がなされたところでございます。  国家公安委員会といたしましては、このたびの一連の会計経理をめぐる事案につきまして、警察庁から適宜報告を徴するとともに、必要な指示を行っているところでございますが、警察庁では、それを受けまして、事案の解明を図るとともに、予算執行の一層の適正化を図るための方策を打ち出しているものと承知をいたしております。  また、関係道県におきましては、それぞれの公安委員会の指示を受けまして事案の全容解明に向けて鋭意調査を進めているところであり、北海道では、同公安委員会から警察法改正により新設をされました監察の指示が発出されたところでございます。  警察におきましては、平成十三年度にいわゆる調査諸雑費制度を導入するなど、捜査費を現場で捜査員が使いやすいよう制度的改革を進めているところであり、国家公安委員会におきましては、国民の信頼回復に向け、今後も警察における予算執行に対しましていささかなりとも疑問を持たれる、疑念を持たれることのないように更に警察庁を督励してまいりたいと考えているところでございます。
  168. 神本美恵子

    神本美恵子君 私も今回、その警察刷新に関する緊急提言というのを改めて読ませていただきました。今お話にも、監察機能強化ということで督励してまいりたいというふうな御答弁をいただいたんですけれども、国民から見たら、先ほど会計検査院のチェック機能の問題、それから各県における公安委員会というのが本当にその機能を発揮できているのかということについては、この警察刷新に関する緊急提言の中で言われていることが実際には機能を果たしていないということを私は強く指摘をしたいと思います。  これについて、では、冒頭に大臣おっしゃいましたように、今回のようなことが絶無になるようにというそのためには、本当にこれまでのやり方をあちこち少しずつ手を入れて、そしてまた、人員を増加させて焼け太りと言われるようなやり方では本当の解決にはならない、国民の信頼は得られないというふうに思っております。  そういう意味で、次に私は御提案も申し上げたいんですけれども、この不正経理問題を告発した方に民主党として面接を行いました。そうしましたら、県警本部から説明に出頭してくれというふうに言われたけれども、出ていって話すことはない、第三者機関になら話すというふうにおっしゃっておりました。つまり、自分が言っていることは警察内部のことなので、私から聞くまでもなくみんな知っていることだというふうにおっしゃったんですね。  そして、今朝も、昨日衆議院の内閣委員会で北海道に視察に行かれた報告を党内でお聞きしたんですけれども、その中でも、北海道で告発されております原田氏は、上層部は全部知っていることだ、内部調査を今しきりにやっているけれども、それは無意味だ、自分が北海道議会で証言したことの裏をきちっと取ってほしいというふうな昨日もお話があったというふうにお聞きしております。  それで、現在、北海道警の不正経理を受けて二月十三日に、警察の予算執行の在り方に関して多角的に検討し、その適正化の一層の推進を図ることにより国民の信頼を確保するため、警察庁に官房長を委員長とする予算執行検討委員会設置されたというふうに聞いております。そのメンバーは、委員長以下、副委員長が総括審議官委員として、総務課長、人事課長、会計課長、会計課企画官、会計課監察室長というふうに構成されているということであります。また、会計監査を強化するための国家公安委員会規則の制定が定められて、四月からスタートするということもお聞きしております。  しかし、これらの流れを見てみますと、一連の警察改革後、今申しましたように、国家公安委員会や都道府県の公安委員会が第三者的な監察をきちっと果たせているというふうにはどうしても思えません。それで、警察が自浄能力を果たしている、発揮しているとも言い難い状況ではないかと思います。  第三者機関による外部監察が是非必要だというふうに思いますが、それについてはいかがでしょうか。
  169. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 会計経理をめぐります一連の事案につきましては、現在、関係道府県警察におきましてそれぞれ、先生からもおっしゃられましたけれども、公安委員会の指示を受け鋭意調査を進めていると承知をしておりますけれども、まず都道府県警察が自浄能力を発揮するということが重要であると、そのように考えられます。  警察では、現在、会計検査院の検査を受けておるところでございますけれども、警察の会計の監査につきましては、調査に密接な関連を有する情報に接することを考えると、これに加えまして新たに外部監査制度を導入することはいかがなものかと、そのように思われます。  なお、国家公安委員会では、警察庁都道府県警察に対しまして実施をいたします監査の充実強化を図る一環といたしまして、監査に関する権限を明確化するとともに、国家公安委員会に対しまして監査結果を報告することなどを含めた会計の監査に関する国家公安委員会規則を制定したところでございまして、今後、従来以上に監査の実施頻度を高めたり、あるいは捜査費を執行した捜査員に対する対面調査の機会を増やすなど、監査の充実強化を図りながら、警察庁において、都道府県警察に対し計画的に定期監査を実施するものと承知をしているところでございます。
  170. 神本美恵子

    神本美恵子君 同じことを私は警察庁次長にもお聞きをしたいんですけれども、この期に及んでもといいますか、大臣が自浄能力にまだ期待をされるのか、これは言い過ぎかもしれませんけれども、私は正直そう思います。もう、もはや警察の自浄能力ということには、今の組織のままでは期待できないというところまで来ているのではないか。その認識を私は大臣に是非持っていただきたい。  ですから、前の刷新会議のときもそれに対しては、あのときも第三者機関による外部監察が必要だというような提言がされたようでありますけれども、それは退けられております。しかし、今、その後繰り返し起こっているわけですから、これに対してはやはり第三者機関を設けるしかないというふうに私は思います。もう、中身がよく分かった人間でないと監察ができないとか、当時退けられた理由は今成り立たない、そんなことを言っている場合ではないというふうに思いますので、それについて警察庁次長の方から御答弁をお願いします。
  171. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) ただいま国家公安委員会の委員長の方から警察の自浄能力というのにやはり期待するということが言われたわけでありまして、私は正にその期待に沿うように自浄能力を発揮していくということが大事だと考えております。  それは正に、今の現行警察制度が間もなく五十周年を迎えるわけでありますけれども、平成十一年から十二年にかけて行われた警察不祥事に関してのいろいろな提言を受けて、やはり今一番輝いているのが私は公安委員会制度ではないかというふうに思っております。この公安委員会の適切な指示を受けて、いかに警察が、例えば不祥事案にしてもあるいは監査の不適正事案にしても、いずれにしても基本的には内部の捜査と密接に絡む部分があるわけでございますから、これはやはり内部で捜査権限を持っておる者がいかにそこの中で真相を究明するかと。これを国民の皆さんに見ていただいて、やはり自浄能力を発揮しているんだというところを出すことが私は大事だというふうに考えておりまして、そういう意味で、大臣警察の自浄能力に期待すると言っていただいたのは、大変私としては感謝しておりますし、またその大臣の期待にこたえるように、私としても自浄能力を発揮できるような今後真相の究明に努めたいと思っています。  そういう意味で、前の刷新会議の提言の中でも、第三者機関による監察というのは、やはりいろいろな内部のことをよく分からないとか、あるいは捜査の問題とか、いろいろな点でそれはやはり内部の方で自浄能力を発揮すべきだということで公安委員会の機能が強化されたという経緯もありますので、それを踏まえまして適切に対応をしていきたいと思っています。
  172. 神本美恵子

    神本美恵子君 冒頭に私は認識を、問題認識をお聞きしたのは、やはりそういう答弁しか出てこないのかなという、衆議院のずっと議事録を読みまして思ったものですから改めてお聞きをしたんですけれども、警察の自浄能力、今次長としてはそういう御答弁、それを何とか発揮したいとおっしゃるかもしれませんけれども、国家公安委員長としては、各都道府県の公安委員会現状、実情も含めまして、自浄能力に期待するだけでは解決できないという一定の教訓があったと思うんですね、今、この間の問題を見て。ですから、これについては自浄能力ということだけではいけないというふうに思います。  現実に地方の公安委員会はサポート体制が三人というふうに、北海道に行った、昨日視察に行った方からお聞きしたんですけれども、その議題そのものが警察部長会議で決めて出されているというような今現状なんですね。そうすると、公安委員会が本当に監察機能を高めるためには、何を議題にするのかということから公安委員会としてやらなければいけないと思うんですけれども、そういう現状になっていない中で自浄能力、それから監察機能強化といったって、今の状態では期待できないというふうに私は断言できると思います。  それで、是非とも、告発されている方々も第三者機関になら話すというふうにおっしゃっていますので、例えばこの問題に関する調査として第三者機関を作るというようなことはお考えはないでしょうか。
  173. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 国家公安委員長でいいんですか。
  174. 神本美恵子

    神本美恵子君 公安委員長に。
  175. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先ほども御返事を申し上げさせていただきましたけれども、公安委員会に対する御信頼、あるいは国家公安委員会に対する御信頼、あるいは警察に対する御信頼が今は神本先生のお話では本当にゼロだと、そのようにおっしゃっているわけでございますけれども、それでは国民の負託にこたえることはできないわけでございますので、残念ながらこうした事案が出たことは誠にざんきに堪えないわけでございますけれども、とにかく警察の自浄能力というんですか、これを信じていただきまして、是非とも皆さんの御理解をいただく中で今後の私どもの活動に期待を掛けていただきたい。  そういう意味におきましては、御案内のとおり、会計監査院の監査を受けている、それから警察の会計の監査においては捜査に密接な関連を有する情報に接することを考えると、これに加えて外部の監査を入れるということはいかがなものかという、この辺が従来とは違った状況にあるわけでございまして、国家公安委員会では私たちの方からの提案する内容というものも結構ございます。そんなことで、国の方から出される議案のみで活動をしているわけでもございませんし、そういった意味におきましては、警察庁都道府県警察に対し実施する監査の充実強化を図る一環としても監査に関する権限というものを明確化にするということと、国家公安委員会に対して監査結果を報告することなどを定めた会計の監査に関する国家公安委員会規則を制定したところでもございまして、これが四月一日から公布、施行されるわけでございますので、是非御理解を賜りたいと思います。
  176. 神本美恵子

    神本美恵子君 その自浄能力に信頼が置けない状況に今なっているという認識を是非持っていただきたい。その上でどうするのか。この事実解明をしながら、真相解明をしながらその対策をしっかりと練っていくということでないと、これは構造そのものに問題があるのではないかという感じも私しておりますので、是非その認識を持っていただきたいというふうに思います。  それで、平成十一年に警察庁における架空領収書をめぐる疑惑が報じられました。この問題について、偽造領収書に記載された二名の方が東京、ごめんなさい、警察庁じゃない、警視庁ですね、警視庁の問題です、二名の方が東京都に対して損害賠償請求訴訟を提起されまして、今年の一月二十日に最高裁判所は東京都の上告を棄却し、東京都の敗訴が確定をいたしました。  この事案について、私もたまたま、たまたまというか、この問題が、いろいろ警察の問題が出まして、本屋さんで警察の本を見たんですが、「裏ガネ担当」という本がありまして、それを手に取って読んでみました、買って読みました。  正にこの事件だったと思いますが、この事案について警察としてどのように真相究明を行われて、またその中からどのような教訓を得て、そして再発防止の措置を取られたのか。この最高裁の判決結果を受けて、国家公安委員会としてどのような対応をして取ろうとしておられるのかということをお伺いしたいと思います。警視庁の問題です。
  177. 小野清子

    国務大臣小野清子君) お尋ねの訴訟の当事者は警視庁でございまして、国家公安委員長としては本来はコメントする立場にはないと考えておりますけれども、本件訴訟におきましては、捜査費支出の状況を記録している帳簿等の内容を明らかにすることは、その帳簿に記載されております捜査員や捜査に協力をいただいた方々の氏名を明らかにするということにつながりまして捜査活動に支障を来すというおそれがあるために、どのような捜査費関係書類が、書類等があるのか、またそこに何が書いてあるのかについては明らかにしなかったとの報告を受けており、結果といたしましてこのような判決に至ったものと承知をいたしております。  しかしながら、本人以外の名義による領収書を徴取することにつきましては様々な議論がありますことから、捜査費執行の一層の適正化を推進するために、平成十六年度から、捜査協力者から領収書を徴取する場合には本人名義による領収書以外は受け取らない、本人限りにこれを徴取し、本人以外の名義による領収書については徴取しないことをする旨、各都道府県警察に通達が発出されたものと承知をいたしております。
  178. 神本美恵子

    神本美恵子君 この問題を今私取り上げておりますのは、本を読みましても、やり方が今回の問題とそっくりだなというふうに私は思ったわけです。これは警視庁の問題ではあります。国家公安委員長、そういうふうに口を挟むことではないけれどもというふうにおっしゃいましたけれども、ここから学ぶ、ここから学ぶというのは変な言い方ですけれども、この事件から学ぶことって大きいと思うんですね。ですから、だからこそ今のように領収書の対応を変えようとされているんだと思います。  しかし、その領収書の扱いについても、これも昨日の視察に行った方に聞いたんですが、証言、内部告発された原田さんは、これでは再発防止にはならないというふうにおっしゃったというふうにお聞きしておりますけれども、本当に、今警察庁の方から出されている県費捜査費執行に関する監査の対応やそれから領収書の扱いについて、そういった方法で今回のような問題が絶無になるのかということについては、本当にそのように思っていらっしゃいますか。
  179. 小野清子

    国務大臣小野清子君) それは原田氏の見解でございまして、ダブルチェック等により適正化が図られるものと考えております。
  180. 神本美恵子

    神本美恵子君 裏金作りは警部以上の人間のため、特にキャリア警察官がその恩恵を最大に受けているとの話もお聞きします。警部補以下の前線で頑張っている警察官のことを是非忘れないでいただきたい。地道に国民の安全のために汗を流している方たちの意見を警察の運営に生かしていくということが大事だと思います。そのような取組こそが、本当に国民の信頼を取り戻す警察改革になると思います。  そういう意味では、現場を経験してきて退職をして、その中で経験してきたこの不正経理の問題について勇気を持って告発されている方が、そのような方法では再発が防止できないとおっしゃっているわけですから、ただそれは原田氏の見解でありましょうというような受け止め方では、私は余りにも、本当にこの問題を解決しようと思っていらっしゃるのかというふうに疑いを持たざるを得ません。  私が最も懸念しておりますのは、この一連の不祥事の解明が、解明といいますか進んでいって、その結果、トカゲのしっぽ切りのような処分が行われることを懸念いたします。国費による捜査費の取扱責任者は、最初にも流れを御説明いただきましたように、警視総監及び都道府県、都はありません、道府県警察・方面本部長であります。さきにお示ししました捜査費経理の手引きにおいては、取扱責任者は、捜査を執行する本部の担当課長や隊長というふうになっております、の取り扱った経理についても責任を負うのは警視総監や道府県警察部長だというふうに承知します。  当然、今回の一連の不祥事で本部長クラスの方の責任も厳しく問われることになると思います。さらには、警察庁長官あるいは国家公安委員長も無関係とは言えないと思います、その責任においてですね。管理監督責任者として、何千億という国費、県費の不正流用、私的流用問題は、当然、その責任が問われるというふうに思います。その覚悟を持って取り組んでいただきたい、この真相究明に当たっていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  181. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 本年三月五日に警察庁におきましては、静岡県警察において県費旅費の空出張事案が判明しましたことを受けまして、各都道府県警察部長が予算執行についてその責任を自覚をし、一層の適正化を推進するように通達を発出したものと承知をいたしております。  会計経理をめぐります一連の事案につきましては、現在、関係道府県警察におきましてそれぞれの公安委員会の指示を受けまして鋭意調査を進めているところであり、国家公安委員会そして警察庁におきましては、関係道府県において連携を取りつつそれぞれの事案の解明を進めまして、全容が明らかになった段階で、監督責任を含め当時の関係者の責任問題についても厳正に対処すべきものと考えているところでございます。
  182. 神本美恵子

    神本美恵子君 この一連の今回の問題は、明るみに出ているところだけではなくて、警察組織全体の運営全体にかかわる問題であるということは冒頭申し上げましたし、午前中の警察法の一部改正に関する附帯決議の中でも全員一致でそのことを確認したところであります。  国家公安委員会としては、是非、管理指示権を行使して事案の徹底解明を行っていただきたい、そして、お言葉のように絶無になるように再発防止を確保していただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。  それから、国家公安委員長においては、是非ともそのためには具体的に全国の警察における警察の実態調査というものをしていただきたいと思います。これは、過日のこの委員会で自民党の西銘委員の方からも同じような要望が出されたと思います。  この警察の実態調査ということについてはどのようにお考えでしょうか、これは国家公安委員長にまずお願いします。
  183. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 不適正事案や疑惑に対しましては、既に関係道府県警察におきまして公安委員会の指示を受けて鋭意調査を進めているものと承知をいたしております。調査の結果、不適正なものが判明いたしますれば、厳正な対処をするものと認識をいたしております。  また、国家公安委員会におきましては、警察庁都道府県警察に対しまして実施をいたします監査の充実強化を図ります一環といたしまして、監査に対する権限を明確化するとともに、国家公安委員会に対しまして監査結果を報告させることなどを定める会計の監査に関する国家公安委員会規則を制定したところであり、先ほど申し上げましたように、公布、施行は四月一日の予定になっているわけでございます。  今後、従来以上に監査の実施頻度を高めたり、捜査費を執行いたしました捜査員に対する対面調査の機会を増やすなど監査の充実強化を図りながら、警察庁におきまして、都道府県警察に対し計画的な定期監査を実施するものと承知をいたしているところでございます。
  184. 神本美恵子

    神本美恵子君 報告を受ける、待つのではなくて、国家公安委員会としてすべての都道府県警に対して調査をしていただきたいということを申し上げているんです。  今日、冒頭から、私、捜査費がどのような支払の流れになっているのかということもお聞きしましたけれども、そういったことを現場の人が知らないというふうな話も申し上げました。本当に適正にこの捜査費というものが使われているのか、あるいはどのように各都道府県で使われているのか。国費にかかわることですから、各都道府県の公安委員会に任せてそこの監察の報告を受けるというのではなくて、是非、全国調査をやっていただきたいということを申し上げているんですが、再度お願いします。
  185. 小野清子

    国務大臣小野清子君) それぞれの公安委員会が公安委員会としての独立をした感覚の中できちんと都道府県警察に対しまして指示をしているわけでございますから、そうした中におきまして計画的に定期監査を実施するものでございますので、一斉ではございませんけれども、必ずそのような形でその結果が警察庁の方には参ることになっておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  186. 神本美恵子

    神本美恵子君 これは福岡の問題で、福岡の県議会の関係者の方からちょっとお聞きしたんですが、福岡の事案については九九年までですから、九五年から九九年に関するもので、もう領収書とか会計書類がこの三月三十一日、明日をもってその保存期間が切れるので何とかしてほしいということを私もお聞きしていたんですが、これについて、三月二十四日付けの口頭連絡で、警察庁の方から、三月三十一日に保存期間満了する書類は当分の間保存するというふうな連絡を各都道府県警に出されたようでありますけれども、この当分の間というのはいつまでのことを指しているんでしょうか。
  187. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 本件につきましては、衆議院の内閣委員会でも御議論があったところでありまして、大臣から、あるいは国家公安委員会から、五年の保存期限が満了する文書について、保存することについて検討するようにという御指示がありましたので早速当庁で検討したわけでございますが、委員承知のとおり、会計文書の保存期間というのは、これは本来は各県の文書管理に関する規定に基づいて判断すべきものでありまして、警察庁において一律その保存期間について指示すべきものとは考えていないところでございます。  ただ、この年度末をもって平成十年度の会計文書を廃棄をいたしますと、仮に近い将来において点検の必要性が生じた際に調査することが不可能となるということでもございますので、今お話のありましたとおり、三月の二十四日の日に口頭で、今年三月三十一日に保存期間の満了する平成十年度の会計文書については当分の間保管を継続していただきたいという旨の事務連絡をしたというのが事実関係でございます。
  188. 神本美恵子

    神本美恵子君 その当分の間というのはいつまでということなんですか。
  189. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 重ねてのあれですが、これは本来、各県の文書管理に関する規定でございますので、当分の間ということで、これが一月になるのか一年になるのかあるいは永久なのかということについては、これは今ここでちょっと御答弁は申しづらいところでございますが、おのずと合理的な期間ということになろうと思います。
  190. 神本美恵子

    神本美恵子君 ということは、この一連の不正経理問題に決着が付いたときまでというふうに受け止めていいんですか。解明が終わったとき、終わるまで。
  191. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) いずれにしても、三月の二十四日時点で、正に年度末を迎えるわけでありますから、そこから文書を起案して出したりしておりますと日にちもないということで、当分の間保管継続ということの旨で継続していただきたいという旨の口頭の事務連絡をしたということで御承知おきをいただきたいと思います。
  192. 神本美恵子

    神本美恵子君 何とも理解できないんですけれども、とにかく、もう書類がないというようなことになりますと徹底解明ができないわけですから、これについては是非とも先ほど言いましたように全国調査をしていただきたいし、その調査をする折の証拠、証明書類にもなるわけですから、やっぱり一定の期間、期間といいますか、この件に関しては調査をすると、その調査をしている間、調査が終了するまでは様々な関連する書類については保存をするということを、是非とも警察庁としてそういうふうに取り扱っていただきたい。  それに関連しまして、最後になりますけれども、前回の一連の警察不祥事が明るみに出たときは、何度も出ていますが、警察刷新会議が作られました。今回のこの問題について、先ほどから自浄能力でやりますというふうにおっしゃいますが、私だけではなく、国民全体が自浄能力にはもうほぼ期待をしていないと思います。  是非とも今回の事件に関して、第二次と言っていいのかどうか分かりませんが、警察刷新会議を立ち上げるべきではないかというふうに思います。そしてそこにおいて、きちっと第三者も入ったところで真相解明をしていただきたい。そして、二度と、絶無にする、起こさない、再発防止のための方途をそこで考えていただきたいというふうに思いますけれども、そのことについてはいかがでしょうか。
  193. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 平成十二年三月に発足をいたしました警察刷新会議からは、同年七月に国家公安委員会に対しまして警察刷新に関する緊急提言を提出をしていただき、これを受けまして同年八月に国家公安委員会、警察庁におきまして警察改革要綱を取りまとめ、国民の信頼回復のために積極的に取り組んでいるところでございます。また、警察刷新に関する緊急提言の趣旨を踏まえまして、平成十二年の十二月には警察法改正をされまして、既に公安委員会の機能強化が図られているところでございます。  会計経理をめぐります一連の事案に関しましては、関係道県警察におきまして、公安委員会の指示を受け鋭意調査を進めているところでもございますし、国家公安委員会あるいは公安委員というのは国民の代表でございますから、その委員会におきましても、警察から適時報告を徴するとともに、必要な指示を行っているというのも現実でございます。  警察庁では、それを受けまして事案の解明を図るとともに、予算執行の一層の適正化を図るための方策を打ち出しているものと承知をいたしているところでございます。
  194. 神本美恵子

    神本美恵子君 だから、第二次刷新会議のようなものを設けるつもりはないという今のはお答えなんでしょうか。
  195. 小野清子

    国務大臣小野清子君) したがいまして、私といたしましては、既に公安委員会の機能強化が図られている現在におきましては、委員がおっしゃいますように第二次警察刷新会議を設置するものはいかがかと、そのように考えております。  ちなみに、警察刷新会議の元メンバーは緊急提言を出していただきまして会議を解散いたしました後も提言実施のフォローアップを行うために随時集まりを持ってくださいまして、警察庁に対しまして意見を述べていただいているとともに、督励をいただいているものと承知をいたしているところでございます。
  196. 神本美恵子

    神本美恵子君 じゃ、これは本当にお伺いしたいんですが、警察刷新会議のメンバーの方は今も随時そういう御意見を述べられているんでしょうか。そうであれば、そのメンバーの方たちにまた今回の問題を諮問されればいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  197. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 平成十二年の七月に緊急提言を出していただいて、そこで解散にはなったわけでありますが、それ以降十三年、十四年、それから昨年も年一回国家公安委員会の部屋にメンバーがお集まりいただいて、その後どうなっているのかということで厳しいお尋ねがありますので、私どもの方から大臣以下、警察庁のメンバーも出席をしまして、警察改革の行く末を御説明を申し上げているところでございます。  また、本件のこの一連の不正経理の問題につきましても、日にちは今手元にございませんが、旧メンバーの方すべての方に対して、このような状況であって警察庁国家公安委員会の御指示をいただきながら、あるいは国家公安委員会としては警察庁に指示をしながらこういうふうに事態を進めて対策を講じておりますということを、お手紙をそれぞれの方々に出しております。  恐らくまた何らかのチャンスでお集まりになる機会があろうかと思いますので、私どもとしてはいろいろと御意見を拝聴していくことになろうかと思います。
  198. 神本美恵子

    神本美恵子君 警察刷新に関する緊急提言の「終わりに」というところですね、私は読ませていただいたんですが、その中に、一連の不祥事を見るにつけ、国民に顔を向けず、組織の上ばかりを見ている警察幹部が増えつつあるのではないかとの危惧を抱かずにはいられない。雨の日も風の日も管内を徒歩でパトロールするお巡りさんの優しさと、悪に対峙していささかもひるむことのない刑事の強さこそ、国民警察職員に求めるものであろう。まだあるんですけれども、私たちはこの提言において警察が再び国民から信頼を回復するための基本的な処方せんを盛り込んだ、しかし、一たん失われた信頼を回復するには気の遠くなるような努力が必要とされる、幹部が率先垂範して困難を克服してやっていただきたいというふうなことがるる書かれているんですけれども、私はこの言葉は今改めてずしりとくるものではないかと思います。  先ほど刷新会議は解散をされ、ただ随時意見を年に一回ほどもらっているというふうに言われましたけれども、前の解散されたメンバーの方たちもこういう思いを持って、気の遠くなるような時間を要するであろうというふうにおっしゃっております。  是非私は、メンバーは同じ方がまたやっていただくといいとは思いますが、それには余りこだわりませんので、フォローアップ委員会でも何でもいいですから、このような刷新会議というものを立ち上げていただいて、そこで徹底的に真相解明をしていただきたい。そして、そのことによって国民の信頼を取り戻す方途を見いだしてほしいということを切にお願いをいたします。そうでないと、もう本当にもう繰り返しますよ。  私は、二、三日前の新聞の「声」の欄を見まして、今日ちょっとここへ持ってくるのを忘れたんですが、男性の五、六十の方でしたか、うそつきは泥棒の始まりと言うけれども、うそつきは警察の始まりというふうに言えるんではないかというようなやゆした言い方が載っておりました。私も、それを否定できないのではないかと。  うそをつくと警官のようになるよ、警察のようになるよ、子供たちにそういう言葉が飛び交ってしまうような状況にならないためにも、是非とも私は、前回やられたような刷新会議のようなものを立ち上げて、そこで徹底究明をする。その間は、先ほど言いました、当分の間保存するようにという書類も一切規定にかかわらず保存をして徹底究明をすることが必要だと思いますけれども、最後に、大臣とそれから次長のそれに対する御見解をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  199. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 真相解明に対しましては、国家公安委員会で全力を尽くして進めてまいりたいと思っております。
  200. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) 冒頭で私も御答弁申し上げましたけれども、国民の信頼なくして警察活動ができないわけでございますので、この警察の信頼を回復するためにも平成十二年の緊急提言を受けて警察法改正が行われまして公安委員会の機能強化がなされたわけでございますから、都道府県の公安委員会、それを警察庁としては国家公安委員会の適切な御指示を受けながら、国民の信頼の回復になるように真相解明に向けて今後も努力を続けたいと思っております。
  201. 神本美恵子

    神本美恵子君 終わります。
  202. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  数年前に大きなこの警察の問題が出たなと、記憶がまだ新しいところでございますが、四年前だと思いますけれども、今もお話ございましたけれども、神奈川県警でありますとか新潟県警とか種々ございました。それを受けて今警察の刷新会議ということがありますが、そのときもやはりポイントは、この組織の外に向けては信頼の回復をいかに図るか、また中に向けては士気の向上というのが一番の課題であったなと。今回のこの不正経理疑惑といいますか、問題というのはその双方とも地におとしめるという、そういうような結果を招来しているんではないか。  一方、この四年間、本当に治安の悪化というものが大きな課題になってきて、関係閣僚会議ということがその治安対策ということで提言があったりしたわけでございますけれども、ようやくこの治安のためには人も金もつぎ込まなきゃいけないという、そういうような認識が出てきたというふうに私は認識をしております。  今回いろいろ、北海道から始まって種々この不正経理問題というのが出てきているところでございますが、やはり今回もその信頼とそれからこの組織内部の士気の向上というか、それがポイントではないかなというふうに私自身考えているところであります。  さて、今も先行委員質問の中にこの警察刷新会議という話があったわけでありますが、そしてそれを受けての警察改革綱領、これが国家公安委員会と警察庁の連名で出されたところでございますが、まずこの警察改革ということにつきまして現時点の評価というものをお聞かせいただきたいと思います。
  203. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 国家公安委員会及び警察庁は、平成十二年の八月に取りまとめました警察改革要綱に基づきまして、まず第一点は情報公開の推進でございます。それから、二点目が苦情の適正な処理、それから三点目が厳正な監察の実施でございます。四点目が公安委員会の管理機能の充実と活性化、これらの施策を推進をいたしまして、国民の信頼回復に積極的に取り組んでおるところが現状でございます。  例えば、平成十三年六月からは警察職員の職務執行に対する苦情申出制度というものも作らせていただいております。それから、警察署協議会制度というものも新しく立ち上げておりますし、この運動を、運用を開始いたしましたほかに、全都道府県警察情報公開条例の実施機関になるなど各種の施策を積極的に推進いたしまして、その成果を上げつつあると認識をしているところでもございます。  しかしながら、今回、会計経理の不誠実事案が判明いたしましたことは誠に遺憾でありますし、国家公安委員といたしましても、警察庁設置いたしました予算執行検討委員会からの報告を受けながら、事案の解明や会計経理の適正化のための各種の施策を推進いたしまして、国民の信頼回復を目指してまいりたいと思っております。
  204. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今のこの警察改革綱領に基づいて総合評価経過報告書というのが二回ほど出ているようでございます。これは三年をめどにということでございますが、これ、先ほど警察刷新会議引き続きやるべきだという意見もありましたけれども、この評価自体三年に限ったその理由は何でしょうか、官房長で結構ですから。
  205. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 警察改革の推進につきましては、今お尋ねのとおり十二年八月に警察改革要綱を取りまとめて以来、警察の最重要課題の一つとして現在取り組んでいるところでございます。  また、警察改革につきましては、その推進で国民の信頼を回復することが強く求められるものでもありますので、またそういうことで国民からもその推進状況について大きな関心が寄せられているところから、まずは平成十四年から本年までの三年間において総合評価方式による政策評価の対象としているところでございます。これまで平成十四年の十月、それから平成十五年の六月に警察改革の推進に関する総合評価経過報告書を取りまとめて公表したところであります。  今後とも、警察改革のための施策に積極的に取り組むとともに、その効果と問題点等についても不断に検証しつつ警察改革を進めてまいる所存でございます。
  206. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 この警察刷新会議の緊急提言の中に何点かにわたって提言ございますけれども、本文四ページ目、すなわちこれは「第二 情報公開で国民に開かれた警察を」というその節の最後の方でございますけれども、こういう部分があるんですね、あくまでも情報公開の関係ですが。「特に警察の予算執行については、新潟での公聴会等を通じ、国民の根深い不信感が明らかになった。予算執行についての情報開示は最大限に徹底されねばならない。」、こういう一節がございます。  このときもやっぱり予算執行というのが大きな問題になったんだなというふうに認識をするものでございますが、今話の中に出ているこの予算執行検討委員会、これは今年の二月に発足させたと思いますけれども、この刷新会議の提言を受けているわけではないなというふうに思うわけでありますが、今回の事態があって初めてこれ作ったのかなという気がします。  まずは、何で今回になって初めて作ったのか、そしてまた任務、また運営方法、今後いつまでにどのようなことをする予定であるのか、御答弁願います。
  207. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) お答え申し上げます。  予算執行検討委員会は本年の二月の十三日に設置をしたものでございますが、同委員会におきましては、このときはまず北海道警で問題の指摘がなされたわけでございますので、その後、静岡のケース、それから福岡のケースと報じられておるわけでありますが、一つは、委員会の任務としては、北海道警察を始め関係警察連携を図りながら会計経理をめぐる事案の解明を図るというのが一つでありますし、二番目に、会計経理における透明性の確保方策等を検討するなど警察の予算執行の在り方を検討しその適正化を一層推進するということで、随時開催をしているところであります。  第一の事案関係につきましては、これは北海道、静岡、それから福岡と、それぞれの道、県の公安委員会の指示を受けながら現在事案の全貌解明をやっておる最中でございますので、おっつけまた事実関係は明らかになってこようかと思いますので、厳正に対処する必要があると思いますが。  二番目の予算執行の在り方につきましては、まず二月二十六日に県の監査委員からの捜査員に対する聞き取り調査の要求が行われたときの対応のしぶりの問題、あるいは三月十一日に本人名義以外の領収書については徴取せずしてその他の担保手段できちんとそこを証明していくようにすべしという通達を発しましたし、二十五日には予算執行検討委員会国家公安委員会規則案を取りまとめて、これを公安委員会にお諮りし規則が制定され、四月一日には公布、施行になるというようなことで、随時開催をし、各種の施策を今お示しをしているところでございます。  今後は、この国家公安委員会規則が公布、施行になりますと、各それぞれの県に対しまして計画的に監査を実施をすることになろうかと思いますので、その取りまとめもこの委員会でやっていくことになろうかと考えております。
  208. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 もう一度、今の前半部分のこの緊急提言、四年前の、そこでもかなり、何といいますか、大きく、特にという表現ぶりで予算執行については云々と、根深い不信感が明らかになったということございますものですから、これは、このときには、四年前は手当てはしなかったという理解でいいんですか。綱領で載っていれば、その綱領の部分だけでお考えになったというおまとめなんでしょうか。
  209. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) この緊急提言にもございますとおり、新潟で実は公聴会が、刷新会議のメンバーが赴かれて公聴会が開かれました。ここで、いろいろ会場から、警察の裏金の問題に触れなくては刷新といっても意味がないというような御意見も出されて、刷新会議でその後、その新潟の公聴会の状況等を踏まえていろいろ議論がなされたわけでありまして、金銭、金の問題は他の問題の開示にも増して厳格にやるべきだというようなことで議論がなされたのは事実であります。  ただ、これは、委員が御紹介にありましたとおり、「情報公開で国民に開かれた警察を」という項目の中で触れられているところからもお分かりのとおりでありまして、まだこの時点ではそれぞれの都道府県警察情報公開条例の実施機関になっているケースがほんの数県しかなかったわけでありまして、まず刷新会議の問題意識としては、四十七都道府県すべて情報公開条例の実施機関に警察もなるべしというところから始めるべきだという御提言がなされたわけでありまして、したがって、私どもとしてはそれを受けて各県にいろいろと連絡をし、結果的には今時点では既にもう四十七都道府県すべて、警察都道府県警察はそれぞれの条例の実施機関になっているわけであります。  で、その中で、なかなか職員の旅費の問題ですとかあるいは食糧費の問題等が、これはむしろどんどんオープンにすべき部分があるのではないかと。ただ、捜査費については、なかなかこれは捜査の問題との兼ね合いが確かにあるであろうというような議論もありまして、これはこの刷新会議の緊急提言の中にも明示的にはその部分は触れられてなかったというのが実態でありました。  したがって、捜査費の問題に特化した形でどのように方策を講ずるべきかということについては、今年の二月に至るまでは警察庁としては表立っての対策といいますか施策については考えていなかったというのが実態でございます。
  210. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今のいきさつは多分そうなんだろうなと思うわけでございますが、ただ、四年前にせっかくこういうようなコメントがあったものですから、もっと警察全体としてその辺のレーダーの感度を鋭くして、もう先んじて本来こういうものも作っておくべきではなかったのかな、何か情報公開の請求があって、それに対応に大わらわみたいな、そういう形だけじゃやはりこれからの在り方としては好ましくはないんではないかなというふうに思います。  そして、予算執行検討委員会でございますが、現在、警察部内だけで、の者だけで構成されているようでございますが、やはりこの審議の透明性でありますとかあるいは調査の公正性といいますか、そういう確保が必要ではないかと考えますが、この点はいかがでございましょうか。
  211. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) これは先ほど大臣からも御答弁があったところかと思いますが、予算執行検討委員会では事案解明のために、ただいま申し上げましたように、関係の道県警察連携を取って現在調査を進めているところであります。ただ、その調査を行う上では、捜査上の秘密の問題あるいは個人情報の保護の問題等が出てまいりますので、これらに配慮する必要があろうかと思います。また、予算執行の一層の適正化方策につきましても、これはスピーディーに是非改善策を打ち出したいということでもございまして、その円滑な実施を図ることについてやることが必要になるわけでありますが、こういうことから、警察部内の者で委員会を現在構成をしているところであります。  ただ、予算執行検討委員会の調査事項、検討事項につきましては随時国家公安委員会に報告をしておりますし、言わば国家公安委員会は国民の視点で、国民の視点をもってその検証をしていただけていると思いますので、現実にも節目節目で公安委員会から検討の方向性について指示もいただいているところでございまして、国家公安委員会の管理の下で審議の透明性あるいは調査の公正性が確保されているものと私どもは考えておりまして、今の時点で予算執行検討委員会のメンバーに部外の方をあえて加えるということは、それは考えていないところでございます。
  212. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公安委員長ね、四年前にこの緊急提言があった、そしてまた、公安委員会警察でこの改革綱領というものを作られた。だけれども、人によっては、この四年前のこの改革提言というものは、キャリアたちは結局やり過ごしただけじゃないのかという、そういう厳しい批判もあります。やはり、そう言われないためにも相当の覚悟を決めてしっかり取り組んでいく必要があるんだと思いますが、今回の会計経理をめぐる一連のこの事案に関し、道警また静岡県警では不正経理を認めているというところでございますが、このような事態についての大臣の所見、決意というものをお聞きしたいと思います。
  213. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 旭川、北海道旭川中央警察署における問題、あるいは旭川が終わりましたその後で北海道の弟子屈警察署の問題、それから静岡県の問題等々、もう細かい数字はもう申し上げるまでもございませんけれども、誠に遺憾でございまして、元、さらに、福岡県警察本部の銃器対策課員が匿名で、在職中の平成七年から十一年までの間の裏金を作っていたとする記事も、記者会見もしたところでございます。  こうした事案に対しましては、今後、絶無を期すためにどうしていったらいいかということが今先生からの御質問かと思いますけれども、会計経理の手続それから会計監査等の諸事項について監察を行い、その報告をするようにという、監察の指示がまず出されたというのがまずは一歩踏み出したところでございます。  これを受けまして、北海道警察におきましても、捜査用報償費等について新たに必要な専従体制を取りながら、新年度から随時計画的に全道調査を実施するものと聞いているわけでございます。  御案内のとおり、既に事案に対する途中経過の公安委員会に報告もございまして、公表もしていることでございまして、国家公安委員会といたしましては、会計経理をめぐります不適正事案の早期解明と、それからやはり会計経理の一層の適正化について検討を進めるように警察庁に指示をしているところでございまして、とにかく起こりましたこの様々な事案が一日でも早く全容が明らかになった段階で厳正に対処してまいりたいと、この決意は持っているところでございます。
  214. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 会計検査院にお聞きしたいと思いますけれども、国民だれしも何やっているんだという気持ちになるんだろうというふうに思うんですね。一生懸命少ない人員の中で職務に精励をされてきたというふうに思うわけでありますが、手のうち全部明かしたら、隣で聞いているわけですから検査にならないかもしれませんけれども、今後どういうふうに、偽造の書類まで出されたらなかなか難しいとなるかもしれませんけれども、どのような検査の在り方を考えておられるか、ちょっとその辺の説明をしていただきたいと思います。
  215. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 従来から、実地検査におきましては、会計経理の妥当性についていろんな面からその検証を行うということでやってきたところでございます。今回、様々な報道がなされ、等がなされておりまして、いろんな種類の情報も出てきておるということも承知しておりますので、そういった点も十分念頭に置きまして、更に今後ともより一層その検査方法を工夫するというようなことで厳正に検査に当たってまいりたいというふうに思っております。
  216. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  217. 吉川春子

    ○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  警察庁長官に御出席いただきたいということをお願いしたんですが、議が調わず次長の御出席ということで、次長に質問をさせていただきます。大臣と次長ですね。  松橋忠光元警視監が、その著書「わが罪はつねにわが前にあり」、有名な本なんですけれども、裏金作りが全都道府県で行われているという衝撃の内部告発を行いましたのが一九八四年だと思います。ここで指摘されていたことが事実であるということが、北海道警、静岡県警など一連の問題で証明された形です。  まず、大臣、次長、この本はお読みになったことがあるんでしょうか。
  218. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 私は読んだことがございません。
  219. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) 私は読んでおります。
  220. 吉川春子

    ○吉川春子君 一九六〇年の夏の終わりに、日本共産党国会議員団に何個かのトランクに詰められた資料が届けられました。それが島根県警の裏金の帳簿でした。松橋元警視監はこの本の中で、島根事件が契機になって二重帳簿と裏金による警察の経理がきっぱりと姿を消すように念願していたと書いておられます。  道警などの実態から、その後も半世紀以上にわたって警察の裏金作りが続いています。これは、警察庁長官の責任が問われると同時に、国家公安委員長警察を監督する責任が問われる問題ではありませんか。お二人に伺います。
  221. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 島根県警察にかかわります疑惑については、数十年も前のものであり、当時どのような調査が行われたかにつきましては記録が残っておりませんので、お答えのしようがないというのが現実でございます。  いずれにいたしましても、会計経理をめぐります不適正事案やあるいは疑惑につきましては、既に北海道警察あるいは静岡県警察及び福岡県警察におきましてそれぞれの公安委員会の指示を受けて鋭意調査を進めているものと承知をしておりまして、調査の結果、不適正なものが判明いたしますれば厳正な対処をするものと認識をいたしております。
  222. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) 当時、まあ大分昔でございますけれども、その著書を読みました。本当にこんなことがあったのかなと思いました。ただ、その後どういう形でこれが調査されたということについては、私もその仕事に携わっておりませんから何とも言えませんが、少なくとも彼の言い分は何たる証拠もないということを私は聞いておりまして、ああ、やっぱり彼の言っていることがうそだったんだなというのが私の当時の印象でした。
  223. 吉川春子

    ○吉川春子君 ここに書いてあることがうそだったんだなと思ったという答弁でした。  おいおい聞いていくことにいたしまして、しかし、裏金作りということがずっと続いていたということが今回明らかになっているわけでございまして、私は警察庁国家公安委員長の責任が問われる問題だと思います。  北海道警で行われた裏金作りについて伺いますけれども、架空の領収書による捜査報償費の不正、空出張による裏金作りについて、元警察幹部、元警察官、内部からの告発は枚挙にいとまがありません。しかし、警察はこれまですべて無視してきました。今回政府は、静岡県警、北海道警についての裏金作りを初めて認めました。北海道警が認めた予算の不適切な執行というのは具体的にどういうことでしょうか。
  224. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 北海道旭川中央警察署におきます平成七年五月分及び平成九年度九月分の捜査用報償費約五十万円に不適正な予算執行が見られたところでございます。  現在、北海道警察におきましては事案の全容解明に向けて鋭意調査を実施しているところでございますけれども、当時の関係者の供述によりますれば、まず執行手続の面については、正規の捜査用報償費の執行手続を得ずに、毎月の月初めに業務の内容を考慮いたしまして数万円が副署長から課長にあらかじめ交付され、これが課内各係を通じまして捜査員に手渡されていたことが判明したとの報告を受けております。また、具体的な使途につきましては、捜査協力者に対する謝礼や手土産、あるいは捜査協力者との接触費、それから通信費等、捜査活動に使用されましたほか、交番勤務員と地域の方々との意見交換の際の費用や署員の激励慰労、慶弔費等にも使用されていたとの報告を受けております。  このほか、北海道弟子屈警察署におきましては、平成十二年度の捜査用報償費三十五万円についても不適正な執行が行われていたことが推認されたところでございます。  弟子屈警察署事案につきましては、関係職員からのこれまでの聴取状況から、支払精算書等の支出関係書類について元次長の指示の下、事実と異なるものが作成されていたと認められるところであります。また、使途につきましては、現段階までの調査によりますと、協力者へのお礼や激励慰労のために元次長から現金の交付を受けたと述べている者がいるところでありますけれども、元次長から事情を聞かなければ事実関係の確定が困難であり、現時点では解明できない箇所が相当程度残っているとの報告を受けているところでございます。  いずれにいたしましても、現在全容解明に向けて調査を進めているところでもありますが、これまでの調査によりますと、不適正予算執行が見られ、また推認されていることは誠に遺憾でございます。
  225. 吉川春子

    ○吉川春子君 私はちょっと裏金作りの実態についてパネルを分かりやすく作ってまいりました。(資料提示)これは、実は愛知県警の裏金の作り方、使い方ということで、昭和四十四年から五十一年の裏帳簿があるんですね。課と部の裏帳簿がありまして、赤い朱肉で判も、決裁の判も押してありまして、一円といえどもおろそかにせずにぴっしりと帳簿に書き込まれております。私はその帳簿を見せていただきまして、大変、あっ、こういうふうに厳密に裏金も管理されているのかという認識を新たにしたわけですが、それによりますと、その帳簿をちょっと表にいたしました。  総務課がまず裏金を作りまして、この総務課の裏金というのは、愛知県警の会計課から毎月旅費として受領して、そして総務課の方は空出張としてお金を請求すると、まあこういう感じ。この総務課から総務部長に毎月その裏金が上納されておりました。そして、総務課長の下での裏金の使い方というのは、せんべつ、飲食、交際費、やみ手当、給料ですね、それから慶弔費。そして、総務部長のところに上納されたお金はどう使われているかというと、部長やみ手当、幹部接待、飲食、交際費、せんべつ、慶弔費、私的流用という形になっております。そして、会計課に来るお金というのは県費と国費、旅費、旅費ですね。それから、総務部長のところに上がってくるお金というのは、総務課だけではなくて広報課とか装備課とか、こういうほかの課から上納されてきていると、こういうことが帳簿として残っているわけです。  道警でも元幹部が証言しておりますけれども、こういうことが今回明らかになったということではないですか。似てますでしょう。どうですか。
  226. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) 実は、今お示しになったパネルでございますが、私は平成八年の八月に愛知県警察本部に本部長として赴任いたしました。そのときに既に会計検査院が、検査通告がありまして、それで、内部からおかしいんではないかというので、大分キャンペーンを張られておりました。そのときに、朝日新聞が一番、会計検査院の検査の当日に記事にしたのがその内容であります。そのときに私らの方も、ただ、それは非常に古い資料でございまして裏付けのしようがないということで、その関係については我々としてはもう何のコメントもできないというふうにお答えしました。  ただ、私が、そのころ愛知県警も、不正に空出張したりいろんな形で裏金作っているんじゃないかと言われる中で、我々として最大限、ともかく内部でいろいろ調査いたしましたし、会計検査院の検査に対しても協力してまいりました。結果としては何の指摘もございませんでした。我々としては、全くそんな空出張をしてお金を浮かすようなことを指示する文書も何も出ていないということを県議会でも強く主張いたしました。結果として、先ほど申し上げたように何の指摘もございませんでした。
  227. 吉川春子

    ○吉川春子君 会計検査院にはこの後伺おうと思っているんですけれども、この会計検査院の検査が入ったのは九六年ごろの話で、そのときから見ると大変古い話なんですね。同時に、漆間次長はその前、昭和五十二年八月から五十三年八月にかけて愛知県警に勤務をされておりました。今はそのもう一つ後のことをおっしゃいましたけれども、この帳簿の舞台になっている当時というか直近ですね、その愛知県警にいらしたわけですけれども、そういうことは全く分からなかったわけですか。
  228. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) 今委員指摘の時期は、私は捜査二課長をしておりました。捜査二課においてはそういうような経理の仕方をするというようなことは全く私は承知しておりませんでしたし、他の総務課がどうであったかということについては、私としてそのほかの課のことについては申し上げる立場にございませんが、少なくとも、捜査二課の経理の仕方でそういう経理の仕方をしていたというようなことは私の承知、記憶の中にはございません。
  229. 吉川春子

    ○吉川春子君 これは総務部ですね、捜査費とは関係がないというところかもしれません。全く御存じなかったということでした。  小野大臣、お伺いいたしますけれども、元警察官などの証言によれば、警察の各都道府県の報償費、国の捜査費、活動旅費の大部分が裏金になっているとされております。警察幹部が警部以下の部下に、警部補かな、警部補以下の部下に裏金作りを組織的にさせて、それを幹部が遊興、交際費として使うという構図になっているという告発がされています。これは愛知県警の裏金の使途、松橋忠光元警視監の、警視監や原田宏二元道警釧路方面本部長が明らかにしていることからも、捜査機関である警察国民の税金を裏金にして警察幹部が飲食、交際、せんべつなど湯水のように使っているということではありませんか。  小野大臣警察庁の幹部は各都道府県警の幹部を体験してきています。せんべつや飲食、交際費について率直にお聞きになってみてはいかがですか。
  230. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 会計経理をめぐります不適正事案やあるいは疑惑については関係道府県においてそれぞれ公安委員会の指示を受けて所要の調査をして進めているものと承知をしておりますし、警察におきましては捜査費を現場で捜査員が使いやすいように会計経理における様々な制度改革を行っているところでございまして、委員指摘のような事実はないと認識をいたしております。
  231. 吉川春子

    ○吉川春子君 それは今の大臣の御認識としてはそうかもしれませんが、今私が提案いたしましたのは、そういう各県、県本部のいろいろなポストを歴任されて、体験してきている幹部が警察庁には多数おられますので、認識は認識として、しかし事実を確かめるという意味で、せんべつや飲食、交際費について、大臣自らがそばに近くにいる方にお聞きになってみてはいかがですかと、こういう質問だったんですが。
  232. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 正式な場所ではありませんけれども、今現在はせんべつなども全部廃止しているというふうに伺っております。
  233. 吉川春子

    ○吉川春子君 済みません、せんべつが全部廃止されているのはどこでしょうか。
  234. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 場所の話は別にいたしませんけれども、そのような疑惑の中の一端であります例えばせんべつをどうこういうことがありますけれども、そういったことも現在は廃止されているというふうに聞いたということでございます。
  235. 吉川春子

    ○吉川春子君 現在はというのは、北海道や静岡、静岡は空出張ですけれども、でも両方含めてそういうことを警察が認めて以来ということですか、それともその前からせんべつなどというものは廃止されているということですか。
  236. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 現在はということで御理解をいただきたいと思います。
  237. 吉川春子

    ○吉川春子君 現在はということで理解いたしました。  その現在とは、静岡や北海道の問題を警察が一部認めた前なのですか、それ以降はもうこういうことが北海道であったからやめようということなのですか。
  238. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 八年度以降辺りからということだろうと承知をいたしております。
  239. 吉川春子

    ○吉川春子君 平成八年度以降はせんべつとか慶弔費とか交際費をそういうお金から払うのはやめようということになったというふうに理解していいんですね。
  240. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 慶弔費等は別で、せんべつということに限らせていただきたいと思います。
  241. 吉川春子

    ○吉川春子君 済みません、ちょっと断片的で。せんべつをやめようということですね、裏金から。
  242. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 裏金からという言葉は申し上げておりません。
  243. 吉川春子

    ○吉川春子君 北海道、県警本部の問題で私ちょっと警察の方にも何遍かお伺いいたしましたら、北海道警とか静岡県警では課や署に裏金を扱う方がいると。金庫番という意味かどうか分かりませんが、そういう裏金を担当している方がいるということですけれども、私がまた別のところから聞いたところでは、全国の警察で、北海道や静岡に限らず全国の警察で同じようなことが行われているということです。  それで、ここから先が質問ですが、各部、各課、各警察署に一人はかなり裏金作りに専念する担当者がいるというわけですが、全国の都道府県警の部とか課とか署の数は幾つあるんでしょうか。
  244. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 都道府県警察本部の課の数は千二百四十、警察署の数は千二百六十九と承知をいたしております。ちなみに、都道府県警察本部の部の数は二百六十でございます。
  245. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういたしますと、ちょっと計算、暗算がすぐにできないんですけれども、二千五百、二千七、八百、まあ三千人近い人が、全国の部と課、署で例えば一人ずつ担当する人がいるとして、それぐらいの人たちがこういうことに当たっているということにもなり、これはもう大変な数であるというふうに思います。  そこで伺いますけれども、道警の裏金を担当した方の証言でも、仕事の大部分が裏金作りで、本来業務はできないということも聞いておりますが、これはもう大変なことだというふうに思うわけですね。こうした人たちが本当にそういう裏金作りのようなことをやらされているとすれば、これはもう許し難いことだと思うんですけれども、この点について次長はいかがお考えですか。
  246. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) 弟子屈署の次長から、元次長からそういう発言があります。確かにいろいろ弟子屈署の事案を調べていきますと、捜査員の中にはまた別の話をする人もいますし、今のところまだどうなっているのか分かりませんが、少なくとも裏金作りばっかりずっとやっていたのかどうかについて、本当にそうであったとするならば、我々はその話をやっぱり聞きたいと思っているわけです。しかし、全然その聞く機会を与えていただいていないという状況であります。  実は、先ほども申し上げましたように、私は平成八年の八月に愛知県警の本部長に参りまして、正にそのときに空出張等でいろいろ問題になっていたわけですが、現実に全所属調べました。現実の問題としては、本当にそういうやり方はしておらないんです。  だから、すべての警察がこんなことをやっている、すべての所属がこういうことをやっていると、すべてそこに裏金の担当者がいて、何でもかんでもそこが裏金を作ってそれでいろんなことをやっているんだというふうに、ある一定の人間が言ったことをもってそれをすべてのものに広げてしまうというのは、私はいかがかと思っております。  やはりそれぞれによって変わりますし、それぞれのもの、例えば県警本部の中でも課によっても違うかもしれません。だから、したがって、それをすべて、おしなべてどこの所属もみんな同じことをやっているような形で言われるのは、私としては不適切じゃないかと感じております。
  247. 吉川春子

    ○吉川春子君 警察の裏金作りにつきましては、今、静岡とか北海道とか福岡とか高知とかいろいろなところで問題になっていますけれども、この本以降ももうたくさんたくさん例があるわけですよ。そういうことについて、本当に真剣に、警察庁が本当に調査してきたのか、そういうことを私は聞いているわけなんですよね。  そういうことについては、まあ、ようやくというか、静岡と北海道は一部認めましたよ、しかし今も調査中だという御答弁でしたけれども。しかし、その後枚挙に、その前も枚挙にいとまがないじゃないですか。私がちょっと今度の質問で調査したところ、二十府県は確実にあるんですね。私の調査能力、大してないですけれども、マスコミの記事でもそれだけこの何十年かの間に出ているわけですよ。そういう問題について、じゃ、どういう調査したのか、そのことが今問われているわけですよ。そして、同じような手口なんですよ、みんな。同じような手口で同じようなことが常に常に問題になってきているのに放置されてきたということが問題ではありませんか。  そして、どうしてそういうことがなされるのか是非聞いてみたいと今次長おっしゃいましたけれども、やっぱりそれは是非全国調査をして聞いてみていただきたいと思いますが、どうですか。
  248. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) 先ほども申し上げましたように、例えば裏金を作ったとか、裏金を作って幹部がみんな遊興費に使っているというのは、それは、私も三つほど本部長やっておりますから、例えば私の公舎にもそういう投書が来ます。しかし、これは必ず、よく来るのは人事異動のあった後とか、そういうようなときに出てきます。  私らは、当然そういう話があれば、必ずそれをもって、果たしてこんなことが行われたかというのは調べます。ただ問題は、やはり具体的な根拠を挙げて、こういうことなんだからおかしいじゃないかと言ってくるのであれば、しかもそれが我々が調査できる範囲内で、書類が残っている範囲内で出てくるものであれば、それはきちっとした裏付けはできます。しかし、そういうものではなしで出てきている、あるいは、今はこんなことが行われているのは実際だよと口だけで言う。そんなことだけで、実際本当に不正経理が全国の警察で蔓延していると、そういう形に転化されるのはいかがなものかということでございます。
  249. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういう投書が来たときに、本当に真摯にそれを端緒として徹底的に調査すれば、そこからいろんなものが浮かび上がってくるということがあるわけで、そういうことを今まで余りおやりになってこなかったのではないかということを私は申し上げております。  会計検査院お見えですね。  県警本部の会計検査を担当されていますけれども、警察が、幾ら内部告発があっても不正経理は行っていないという根拠として、会計検査がお墨付きを与えているんだと、不適正な事項の指摘はない、こういうことで警察は言っているわけですね。  今、毎年、何件、どのように会計検査を行っているんですか。警告や問題点の指摘警察にこの裏金の問題について行ったことがあるんですか。
  250. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 警察の検査につきましては、各都道府県警察につきましては年十か所、十の県警本部等を選定いたしまして会計実地検査を実施しております。検査に当たりましては、御案内のとおり、捜査費につきましても他の物品購入や役務購入の経費と同様に重点を置きまして検査を実施してきております。その中では、様々な資料、様々な説明を徴しながら、できるだけの努力を払って検査してきているところでございます。  ただ、お話しのとおり、捜査費に関しまして検査報告に掲記したという事項は現在までのところございません。
  251. 吉川春子

    ○吉川春子君 会計検査院といえば憲法上の機関ですよね。そして、戦後になって一回も警察に関してこの種の問題について摘発というか警告をしたことがない。愛知県警の裏帳簿を入手していたと言われているのにもかかわらず、そして検査に入ったにもかかわらず摘発をしなかったわけですね。  昨年七月、道警の北見方面本部に会計検査院が検査に入ります直前のことですよね。情報提供者の領収書に関する指摘を行い、その後の事後報告で警察の捏造した地図を提出を受けて、それをまた見逃していたわけですね。これでは検査の意味がないのではありませんか。
  252. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 先ほども申し上げましたが、まあ捜査費に関しましては、実地検査の際に手元保管されている会計書類を始めといたしまして関係書類の提示を受ける、あるいは関係者からその説明を十分徴するということでその会計経理が適正なのか否かということを確認するということで進めてきております。  ただ、捜査費も含めまして、一般的に申し上げまして、実地検査において限られた時間内ですべての検査が完了するということはございませんで、実地検査終了後もなお引き続き在庁しながら調査を進めるということが通例でございます。  今お話しの昨年七月に会計実地検査を行いました北見方面本部の捜査費につきましても、まだ現在なお継続して検査中だということで御理解賜りたいと思います。
  253. 吉川春子

    ○吉川春子君 うその地図を見せられたんですか。どういうことだったんですか。
  254. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 個別具体的な検査の内容のやり取りは、それは検査の、実地検査の過程ではいろんなやり取りがございます。ですが、その具体的な内容に関するという事項につきましては、正に検査の中身ということでございますので、答弁差し控えさしていただきたいというふうに思います。
  255. 吉川春子

    ○吉川春子君 マスコミにも報道されておりますけれども、検査院が警察の捏造した地図の提供を受けて、提出を受けて、それを見逃していたというふうに私は承知しているんですけれども、会計検査院はこの問題についてこのまま済ませるわけにはいかないと思うんですよね。やっぱり引き続き徹底的に検査すべきだと思うんですけれども、その点は、この件についてどうですか。
  256. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今申し上げましたとおり、現在なお継続して検査中ということでございますので、その中できっちりとした検査をしてまいりたいというふうに考えております。
  257. 吉川春子

    ○吉川春子君 次長にこの同じ点について伺いますけれども、道警が会計検査院に指摘されて、事後報告で捏造した住宅地図を提出するなどの隠ぺい工作を行っていたとされています。こうした道警の会計検査院に対する態度というのは警察庁の本部長の責任が問われる問題でもあると思いますが、もし事実だとしたら、そういうことではありませんか。
  258. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) 確かに委員指摘のような記事も出ましたし、また、我々、北海道警としてもこの件については既に認知しておりますので、平成十五年の末からずっと調査チームを組んで、現在も調査を続けております。必ずその結果を明らかにして、そして厳正な対処をするというふうに私どもとしては信じております。
  259. 吉川春子

    ○吉川春子君 会計検査院に伺いますけれども、さっき次長が一部お答えになった愛知県本部の、県警本部の会計検査のときに、一か月前に通告をしたと。そうしましたら、その二週間後に会計検査院実地検査等の受領要件という警察の内部文書が明らかになりました。この受検要領を見ますと、自分の知っていることでもよく拝聴し、むしろ感銘深く聞くなどとか、多弁は禁物であると、理解不十分のまま得意になってしゃべると、その話の中で思わぬ矛盾が出たり誤解を受けたり深く追及されたりするおそれがあるので注意することとか、概算払に対する旅費精算請求書については交付簿から削除をしておくとか、国費認定事件簿については提出しないとか、いろいろな内部での対策が講じられたということが当時報道されて問題になりました。  先ほど神本委員の方からも質問がありましたけれども、会計検査院の検査を一か月も前からやりますよやりますよと言って、そうしたらその間に全部対策が講じられてしまうじゃないですか。警察のような巨大組織で、もうこういうことについては非常に的確な処理ができるお役所でもあるわけですから、やっぱりこれは会計検査の性質上、前々からやるという、前々から通告してやるというのはいかがなものかと思いますし、この件は正に不正経理があるということで指摘されて入ったときにもかかわらず一月近く前に通告をするということですから、この会計検査のやり方をもう少し検討し直さないと実が上がらないんじゃないでしょうか。  つまり、戦後一貫して一度も警察の不正経理の裏金の問題については会計検査院がつかまなかったなどということは本当に不名誉なことだし、国民のやっぱり信頼も保てないと思います。その点、検査のやり方についてどうですか。
  260. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 愛知県警の問題につきましては、かなり年次の古いということで詳細ははっきりしないところもございますが、いずれにしましても、当時の検査におきましては、そういった会計関係の書類のみならず捜査に関する書類等の提示を受け、職員、関係職員からの使用状況説明を受けるなどして厳正な検査をしたというふうに承知しております。  それで、今お話しの事前の通知のお話でございますが、従来は、会計経理そのものは、それを、経理を取り扱った会計機関が自らその内容につきまして説明責任を負っているという性格のものであるということもございまして、そういった会計実地検査には、会計実地検査を効率的に行うという観点から、事前にその検査の、実地検査の相手方に対しまして通知をし、書類の整理とか、関係担当者の確保というか在庁をしてもらうというふうなことで通知をしてきていることが多いのは事実でございます。  ただ、その場合でも、先ほども申し上げましたが、具体的な場面においては直前にその対処を決めるというふうなことで対処もし、工夫もしてきているところでございます。今後、事態によりまして、その必要によりましてどういった検査手法を取っていくかということは、適時適切な方法というものを勘案しまして検査を当たってまいりたいというふうに考えております。
  261. 吉川春子

    ○吉川春子君 検察の裏金問題について伺いたいんですが、私はこういう本をいただいたんですけれども、国会審議でも検察の裏金も問題にされてきました。調査活動費が裏金にされて幹部の交際費になっているという告発があり、マスコミも報じ、出版もされました。  そこで伺いますけれども、平成十年度から十六年度、今年の予算、案じゃなくてもう予算ですね、までの七年間の調査活動費はどのように推移しているか、御報告いただきたいと思います。
  262. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 検察庁の調査活動費の平成十年度から平成十六年度までの予算額を申し上げますと、平成十年度五億九千七百万円、平成十一年度三億四千八百万円、平成十二年度二億四千四百万円、平成十三年度一億七千百万円、平成十四年度八千五百万円、平成十五年度八千四百万円、平成十六年度八千四百万円でございます。
  263. 吉川春子

    ○吉川春子君 平成十年度が五億九千万、まあ六億近くあったですけれども、今年の予算では八千四百万円ということでかなり減ってきているわけです。これは喜ぶべきことなのか悲しむべきことなのか分かりませんが、この予算がこれほど劇的に減った理由について御説明いただきたいと思います。
  264. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 検察庁の調査活動費が平成十一年度以降大幅に減少しましたのは、犯罪情勢の変化等に伴い調査対象、方法の見直しを行ったことによります。すなわち、従来は外部協力者に謝金を支払い、主として公安情報を入手するという執行形態が一般でございました。しかし、公安情勢が大きく変化する一方、検察庁には、いわゆる特捜経済事犯への対処とそのための情報収集分析の手段及び検察庁の事務の効率化のためのコンピューターネットワークの導入や、独自捜査のための内偵捜査の経費の拡充が求められてきました。これらの事情から、平成十一年度以降、調査活動費の額や執行の在り方を大きく見直すことにいたしまして、その検討を進め、情報関係予算としては、調査活動費の一部を順次検察庁の全国的なコンピューターネットワークの整備経費などにシフトすることとしたものでございます。
  265. 吉川春子

    ○吉川春子君 捜査報償費が要らなくなったということで、この結果、非常にその捜査に支障を来したとか検挙率がかなり落ちたとか、そういうことはなかったわけですね。この予算で十分やっていけると、こういうことですか。簡単に確認します。
  266. 樋渡利秋

    政府参考人(樋渡利秋君) 予算でございますから、与えられた予算という枠もございますし、これで十分かどうかとはまた別問題でございますが、支障がないように努力しているところでございます。
  267. 吉川春子

    ○吉川春子君 警察庁にお伺いします。  平成十一年にその検察の裏金作りという告発があって、検察がこれまでの調査活動費の使い方を変えるということにしたんだと今お話がありました。予算を返上するわけにもいかないし、一遍に削減できないので徐々に削減してきたというのが実態であろうかなと推測をいたしますが、警察の裏金作り、いわゆる裏金作りは、やはりその警察の体質を変えて慶弔費とかせんべつとか飲食費、交通費など本来自分の財布から出すべきものを出せば、こういうものはかなりなくなるんじゃないかと思いますけれども、その点についていかがお考えですか。
  268. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) どういう形でこの捜査費を使っていくか、捜査費はどういうふうに使えるのかと、この辺についてはやはり実際に捜査をする人間が必ずしも十分に認識してないというのは確かに前にも御指摘がありましたけれども、あり得ると。どういうところに使えるんだということを、よくやはり現実に使う人間がやっぱり掌握した上で、ここまで使えるんだということを認識して使っていくべきだと思いますし、その中でやはり使っていけないというものについては、それはどうしても必要であれば別の形で予算を取るか、あるいは正に私費でやるか、その辺のところをきちっとわきまえてやるべきだと考えております。
  269. 吉川春子

    ○吉川春子君 慶弔費とかせんべつとか飲食とか交際費とか、こういうものは世間一般では自分の懐から出しているというわけですけれども、こういうことをやっぱり自分の懐から出すようにした方がいいんじゃないかということは次長の御認識でもありますか。
  270. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) これについては、例えば警察署長としてもやっぱりその部内の、住民とのお付き合いとか、いろんな形で金が掛かるという話もいろいろ聞いております。それについて、やはり本当に必要なものはやっぱり予算化しなきゃいかぬというものもあるだろうというふうに思っています。  ただ、そういうことと全く関係ない形でのせんべつだとか、あるいはそれ以外の金のやり取りをするのであれば、これは捜査費で使えない範疇の話でございますので、そういうのは私費でやるというのが原則でありますし、現在、私らも私費で、必要なものは私費で払っておりますから。
  271. 吉川春子

    ○吉川春子君 私どもという意味がちょっと分からなかったんですけれども、警察庁においてはという意味ですか。全国の都道府県警においてはという意味ですか。
  272. 漆間巌

    政府参考人(漆間巌君) 私は、先ほども申し上げましたように、本部長を三つやりましたから、いずれの本部長のときも、基本的に、これは交際費では出せないというものについては私費でやるということに徹しておりましたし、あるいは自分の知っているところに連れていくと。そこは安くやってくれますので、そこで一緒にやるとかいうことで工夫しながらやってきましたし、最近は、いろいろやる場合にはもう割り勘でやろうということで、徹して割り勘でやっているとか、そういうやり方を進めています。  もちろん、これは警察庁警備局長、次長になっても、払えない金は自費でやると、これはもう当然のことだと思っています。
  273. 吉川春子

    ○吉川春子君 国家公安委員長にお伺いいたしますけれども、警察庁の今の対応を見ていますと、道警の二つの署の問題あるいは静岡県警の総務課の問題というふうに狭めて、特殊の地域の問題として処理しようという姿勢が見えるんですけれども、やはりこれは歴史的に見ても、それから現在の時点であちこちに広がっているということから見ても、やっぱり私は全国調査を行う必要があると思うんですけれども、先ほど来の質問でも全国調査は行わないとおっしゃっているんですが、このことで全国調査を行わないでこの問題の実態が解明でき、そしてその裏金作りなどという不祥事がなくなるとでもお考えなんでしょうか。その点、どうですか。
  274. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 不適正事案あるいは疑惑に対しましては、御案内のように、関係道府県警察におきまして公安委員会の指示を受けて鋭意調査を進めているわけでございます。調査の結果、不適正なものが判明すれば厳正な対処をするという、この認識も先ほどから申し上げているところでございます。  国家公安委員会におきましては、警察庁都道府県警察に対しまして実施をいたしております監査の充実強化を図る一環といたしまして、監査に関するいわゆる権限を明確化させるということと、国家公安委員会に対し監査結果を報告させるということ、これを定めた会計の監査に関する国家公安委員会規則を制定したところでございますから、必ずその監査の、会計監査に関する報告というものが参るわけでございますので、今後、従来以上に監査の実施頻度を高めたり、あるいは捜査費を執行したり、捜査官に対する対面調査の機会を増やすなど監査の充実強化を図りながら、警察庁におきまして都道府県警察に対しての計画的定期監査を実施するものと承知をしておりますから、そのことはいわゆる全国に対して調査をするということと合致するものと私は了解をしております。
  275. 吉川春子

    ○吉川春子君 警察国家公安委員会がやっぱり二つの地域にとどめて、そこの中で、しかも内部監査でやっていくということは、絶対にこれは解明もできないし、裏金作りというあしき慣例を打ち破ることもできないというふうに思うわけです。  そこで、会計検査院よりもどこよりも責任が問われるのは国会自身だろうと思います。昨日の元釧路方面本部長の原田さんの参考人質問といいますか、現地で衆議院が行っていろいろ聞いてきておりますけれども、その中で原田さんは、法律に基づく正規のものであれば、国会に参考人にでも証人にでも出席すると。その際、四百人以上の接待を行ったリストも提出すると、このように言っておられます。やっぱり国会、この当内閣委員会で真相解明のために、参考人あるいは証人として招致することが、私たち国会議員の、警察を追及していてもそれではらちが明かない、会計検査院もそうだ、検察もそうだというときに、やっぱり国会として役割を果たさなくてはいけないと思います。  委員長、是非、参考人質問あるいは証人喚問、こういうことが実現できるようにお取り計りいただきたいと、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
  276. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) お申入れの件は、後刻理事会で検討いたします。
  277. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 無所属の会の島袋宗康です。  沖縄の米軍犯罪と日米地位協定の見直し問題についてお伺いいたします。  平成十五年に沖縄県内で発生し、検挙された米軍関係者の犯罪は総数で百十二件、百三十三人であります。前年の八十一件、百人に比較し大幅に増加しております。特に殺人、強盗、強姦などの凶悪犯は前年の二件から五件も増加しており、このことは沖縄県民に大きな不安と怒りを買っております。    〔委員長退席、理事神本美恵子君着席〕  沖縄における米軍関係検挙件数は、平成六年に百三十件であったが、七年には七十件に大幅減少し、その後、三十件から五十件の間で推移しております。そして、平成十二年以降再び増加の傾向を強め、昨年は少女暴行事件の起こる以前の水準に戻ってしまっておりますが、米軍犯罪が再び増加してきた要因を警察庁はどのように分析しているのか、そのことについての御見解をお示しいただきたい。    〔理事神本美恵子君退席、委員長着席〕  また、最近における米軍犯罪の増加傾向は沖縄における特有なことなのか、それとも米軍基地が抱える他の県でも見られるようなことなのか、全国との比較もお示しいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
  278. 栗本英雄

    政府参考人(栗本英雄君) 沖縄県におきます米軍構成員等の刑法犯の発生状況につきましては、ただいま委員の御指摘のとおりでございますが、これは、今沖縄の傾向について御指摘がございましたが、確かに平成十一年以降、沖縄におきましては増加傾向にあります。一方、沖縄県を除きます他の、全国という言い方はあれですが、沖縄を除いてという意味でございます、除く全国におきます米軍構成員等の刑法犯の検挙状況をただいま申し上げました十一年以降で見ますと、それはやはり年によって増加したり減少したりしているところでございまして、傾向につきましては一概に申し上げることはちょっと難しい状況になっておるわけでございます。  ただ、昨年と一昨年との比較におきましては、ただいま委員の方からも御指摘がございましたように、沖縄県におきましてかなり増加していると。同じような状況で他の沖縄県を除く全国における米軍構成員等による検挙状況について見ましても、昨年は検挙件数で八十二件、検挙人員で七十三人、これは、一昨年比で比べましてそれぞれ検挙件数で二十九件、検挙人員で十一人の増加となっているところでございまして、また、そのうちの凶悪犯で見ましても、沖縄とともに全国でも増えているという状況でございます。  次に、その増加の原因ということの御質問でございますが、これにつきましては、犯罪一般についてもどういうものが要因になっているかというのはなかなかいろいろな事情が複雑に絡み合っているところでございまして、ただいま申し上げました米軍構成員等の沖縄並びに全国においての増加状況について一概に申し上げることは大変難しいということで御了解いただきたいと存じます。
  279. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 御指摘のように、いわゆる沖縄でも最近再び米軍犯罪が増加傾向を強めていることは、米軍のいわゆる行動、アフガニスタンの攻撃あるいはイラクへの攻撃と、有形無形に関係があるのではないかと私は思っております。  したがいまして、小野大臣のこのような御認識についてお伺いいたします。
  280. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 御指摘のように、米軍構成員によります犯罪が増加しておりますことは誠に遺憾でございますが、その原因についてという御質問には一概にお答えしかねるものと考えております。  いずれにいたしましても、警察におきましては、法と証拠に基づきまして、刑罰法令に触れる事実があれば厳正に対処していくものと承知をしているところでございます。
  281. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 次に、日米地位協定の問題についてお伺いいたしたいと思います。  日米地位協定の運用改善をめぐる協議で、アメリカ側が求めていた取調べ時における米政府関係者の立会いを殺人や強姦などの凶悪犯罪に限って認めることで大筋合意されたと先週新聞報道がありましたが、二十四日からの日米協議で正式合意はあったのでしょうか。正式合意に至っておればその内容を、至っていなければ今後の協議の見通しなどを御説明いただきたいと思います。
  282. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) お答えいたします。  ただいまお尋ねのございました日米地位協定の下における刑事裁判手続に関する日米の交渉でございます。  端的に申し上げて、妥結したということはございません。今回の交渉は、三月二十四日及び二十五日、米国ワシントンで第五回目の交渉ということで行われたものでございます。  若干経緯を申し上げますと、本件交渉につきましては、昨年夏に四回にわたり交渉が行われた後、昨年十一月にラムズフェルド・アメリカ国防長官と川口外務大臣との会談におきまして早期解決の重要性について認識が一致したことを踏まえて、事務方に対し早期解決に向けた努力を行うよう指示がなされたものでございます。これを受けまして、様々な機会に日米の担当者間で意見交換等を行ってきました結果、今回の交渉再開に至ったということでございます。  今回の交渉で重要な進展を見ることができたと評価しております一方で、両国政府間で更に調整が必要な点も残されております。早期に合意を達成すべく、引き続き日米両政府間で緊密に調整を続けていくということになった、これが今回の交渉の結果でございます。
  283. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 非常に何か、説明がよく理解できないんですけれども、合意に達していなかったということですよね、しかし非常に進展があったと。これはどういうことですか。合意がなかったけれども進展があったということはどういうことなんですか。
  284. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) 私の説明をもう一度申し上げますけれども、これは日米間の交渉の第五回目ということで行ってきておりますが、今回の五回目の交渉で日米間で合意に達したということではございませんが、従来の日米間の議論の幅が狭まってくるという意味で大きな進展を見ることができたということでございます。  他方、まだ合意のために必要な調整、日米間の調整が残っておりますので、そういう意味ではまだ合意が達成したというところまで行っておらないということでございます。
  285. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 一九九五年の少女暴行事件以来、沖縄県民の間で被疑者の起訴前の引渡しを可能とするように地位協定の改定を求める意見が強まっております。衆参の委員会決議でも地位協定の見直しを求めております。  今回の米兵取調べ時における凶悪犯罪に限った米政府関係者の立会いを認めることによる被疑者の起訴前の引渡しが可能となったことは一定の前進ではありますが、これで幕引きということでは米兵犯罪の被害に苦しむ沖縄県民としては納得できません。  この問題については引き続き日米間で協議、検討をいただきたいと思いますが、先ほどと同じような返事になると思いますが、どうですか、この問題について。
  286. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) ただいま委員の御指摘の中で、今回、交渉によって合意ができたということでは、まだそこまでは至っておらないということを申し上げたわけでございまして、そういう意味では、まだ交渉は継続中という前提でお話をさせていただきます。  さきに御説明いたしましたように、この日米交渉につきましては、現在も、そういうことでまだ米側と協議中でございます。そういうことで、内容の詳細については、まだ交渉中という案件でございますので、ここで申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。  ただいま委員からございました日米地位協定改定問題でございますけれども、これは、委員御案内のとおり、我が政府の立場といたしまして、本件につきましては、日米地位協定に関しましては運用の改善に努力するということでその成果もこれまで上げてきておるところでございます。この目に見える運用の改善を進めるということが周辺の住民の方々の御負担を軽減するということにつながるという考え方でおりますので、こういう観点から、引き続き日米間で緊密に協議していきたいと思っておるわけでございます。  申し上げましたように、現在行われていますこの日米交渉も、平成七年の日米合同委員会合意という既存の運用改善措置を更に円滑に実施するという観点から鋭意交渉を行っているものでございますので、そのように御理解を賜りたいと思います。
  287. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この問題は、いわゆる返還された基地が、基地を使おうとしたらもう既にそこには大変な環境汚染があるというふうな繰り返しをしているわけですよね、北谷町の返還問題におきましても。そういうふうなことで、やっぱり返還前に、あるいは現在でもそうですけれども、環境問題について、やはり住民から要求がある場合には基地を調査に入れるというぐらいのやっぱり措置がなければ県民は納得しないと思いますよ。  したがって、この件に関しては、日米地位協定の改善の問題については、これは稲嶺現知事が全国行脚して、そして各都道府県で訴えながら、是非全国的な盛り上がりで要求していこうというような雰囲気になっているわけですから、やっぱり外務省も真剣にそれを受け止めていただいて、そして、沖縄だけにとどまらず全国的な問題としてやはりこの地位協定の改定というものを抜本的にやっていただきたいというふうなことが我々県民の立場でもありますし、また、各都道府県の最近の、日米地位協定の改定というものをそういった意味で認識して、そして要求していると思いますので、再度その辺についてお伺いしたいと思います。
  288. 長嶺安政

    政府参考人(長嶺安政君) この点に関します政府の立場は先ほど申し上げましたが、政府といたしましては、日米地位協定につきましては、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくということが合理的な問題の解決であろうという考えの下、運用の改善に努力してきておるところでございます。  ただいま委員の御指摘がございましたが、我々としては、そういうことで、日米地位協定の下で、先ほど環境の問題も御指摘がございました。こういった刑事裁判手続あるいは環境その他、できるところを運用改善していくということで最大限やらせていただいていきたいと思っております。
  289. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 是非努力していただきたいというふうに思います。  次に、今回の警察法改正に関連した質問を行っていきたいと思います。  今回の警察法改正に関連してお伺いしますけれども、衆議院の附帯決議に、「警察官が第一線で活動するための必要経費については、公的に十分確保できるようにすること。」との項目がありますけれども、小野大臣はこの附帯決議の意味をどのように受け止めておられますか、お伺いします。
  290. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 会計経理をめぐります不適正事案やあるいは疑惑に対しましては、それぞれの公安委員会の指示を受けまして調査をしているところでございますが、現時点での調査結果ではございますけれども、北海道警察と静岡県警察におきましては不適正な予算執行が認められ、その使途の中には、調査費として執行できたにもかかわらず会計手続を遵守せずこれを履行していない、あるいは捜査費では執行できないが他の予算科目で予算措置ができるものが認められたところでございます。  そのような調査を遂げましたところから、全容が明らかになった段階で更に予算化すべきものがあるかどうかを十分に検証し、財政状況が厳しい中ではありますけれども、今後、予算化すべきものがあれば予算化するようにという、そういうことに対して警察庁を私は督励してまいりたいと思っております。
  291. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 先ほど来、不祥事の問題でいろいろ取りざたされておりますけれども、私も若干その問題に触れてみたいと思います。  先週の週刊朝日での元北海道釧路方面本部長原田宏二氏に対するインタビュー記事を小野大臣はお読みになったでしょうか。  覚せい剤取締法違反事件で服役中の稲葉元警部が公判などで、自腹だった捜査協力者への謝礼を捻出することが当初の犯罪動機であったと供述しているとのことであり、原田氏はインタビュー記事の中で、捜査には情報を提供してもらう協力者が必要で、けん銃覚せい剤の場合は前歴者の、暴力団関係者がほとんどであり、付き合うのが難しい上に、飲み食いさせたり謝礼を払ったりで金が掛かる。一方で、本来は現場で使われるべき捜査報償費が、捜査用報償費が別の目的に使われて現場まで下りてこないシステムができ上がっていた。もちろん、稲葉君の犯した罪は重大で許されることではない。しかし、当時のマスコミや道警が彼一人を悪徳警官のように糾弾したことに違和感を覚えたと述べております。  捜査費や報償費が警察幹部の交際費のポケットマネーに消えたりせんべつに充てるという実態について、小野国家公安委員長はどのような感想をお持ちでしょうか。
  292. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 原田元釧路方面本部長がそのような発言をしていることにつきましては承知をいたしております。  北海道警察におけます会計経理をめぐる事案の解明につきましては、原田氏から具体的な事実関係や根拠について話を聞くことが重要でございまして、現在、北海道警察においてそのための努力を続けているものとの報告は受けております。  なお、現在、警察内部におきましては、原田氏の言っておりますような、例えばポケットマネーの件ですとかいろいろございましたが、せんべつのやり取り等は行われていないとの報告を受けており、現場で捜査費が使いやすいような制度改革を現に行っているわけでございますので、時代的な違いも少しはあろうかなと思っております。
  293. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 北海道、県警始め各県警で、いわゆる捜査費等を活用した裏金作りの疑惑が次々に出ております。これに対し、内部監査を強める方向が出されておりますが、これにとどまらず情報公開を更に進める必要があるのではないかと思いますけれども、警察法第一条には、民主的理念を基調とする警察の、理念、管理と運営を保障しとありますが、これを実現するには警察分野に対する情報公開の拡大が是非とも必要であると思いますが、国家公安委員長の御認識はいかがでしょうか、お伺いいたします。
  294. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 情報公開につきましては、警察改革以降、全国の四十七都道府県におきましてすべての警察情報公開条例上の実施機関となるなど、積極的に推進しているところでございます。警察行政の円滑な運営のためには国民の理解と協力が何にも増して必要でございまして、行政の透明性の確保と説明責任の執行という時代の要請にこたえる観点からも情報の公開は重要なことととらえまして、その推進を図っているものと承知をいたしております。  警察の場合には、情報公開により捜査活動に支障を及ぼすおそれがあるために、開示の判断に当たりましてはその点とのバランスというものが必要となってくるものと考えられます。既に、平成十二年七月には警察刷新会議からいただいておりました警察刷新に関する緊急提言の趣旨を踏まえまして、会計文書についても、公にしても捜査活動等に支障を及ぼすことがないと認められるものは最大限開示することと承知をしておりますし、国家公安委員会といたしましては、警察行政の透明性の確保と捜査の支障とのバランスを取りながら、国民の信頼回復に向けて可能な限りの情報公開を進めるように警察庁を督励してまいりたいと考えております。
  295. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 三月の初め、当委員会の視察で同僚議員と一緒にさいたま市の関東管区警察局を訪れまして所管事務等の説明を受けましたけれども、県警本部との関係等について必ずしも十分な理解が私は得られませんでした。  そこで、国の治安責任を明確にするという今回の警察法改正によって管区警察局との仕事がどのように変わっていくのか、あるいは具体的にこれがどのように我々に説明できるのか、その点についてお尋ねします。
  296. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 管区警察局は、御承知のとおり警察庁の地方機関でありまして、東京都と北海道以外の全国を七管区に分けて、府県警察官の広域的な活動の調整でありますとか、管区機動隊あるいは広域緊急援助隊の出動拠点になりましたり、あるいはサイバーテロへの技術的な対応警察通信基盤の高度化、あるいはまた監察や幹部警察官の教育訓練など、多様な任務を果たしているところであります。  この警察法改正案が成立になりまして国の治安責任が明確化されるということになりましたならば、管区警察局におきましても、警察法五条二項四号に規定する国の公安に係る事案に関する対処計画の策定とその実施、あるいは管区警察局、府県情報通信部によるサイバー犯罪捜査に関する現場活動の支援等について、その役割が更に重要なものになってくるのではないかと考えておるところでございます。
  297. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 毎年の警察白書では管区警察局の記述が極めて簡略でありますが、国民に近いところにある国の警察組織の紹介はもっと丁寧にあってよいと思いますけれども、その辺について御説明願います。
  298. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 確かに、今日出てまいりますときに白書を見てまいりました、管区警察局の部分は非常にページ数としては少のうございます。ただ、管区警察局の業務の総合性、一体性にかんがみまして、その活動状況は実は、生活安全警察でありますとか刑事警察でありますとか、それ以外の各章に言わば溶け込んだ形で記述をされておるところでもございます。  ただ、せっかくの御提言でもございますので、いろいろ管区の役割も高まってくるところかと思いますので、今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
  299. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これは例えばの話ですけれども、今回の北海道のこういった不祥事件について、そういった警察のいわゆる、何といいますか、警察白書にそういったふうなものが、皆さんが捜査をしてこういった状況になったというふうな説明も加わりますか、お伺いいたします。
  300. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 平成十一年、十二年のいろいろ連続した不祥事を受けて、先ほど来から御議論になっております刷新会議でありますとか警察改革要綱とか、それは当該、その次の年度の警察白書でも記載をしたところでございます。  恐らく、今いろいろと国民の御批判を受けておりますこの一連の事案につきまして次の警察白書で何らかの形で触れることになろうかと思いますし、そのことを通じて国民の信頼回復に是非私どもは努めていかなければならないと承知をしております。
  301. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この不祥事の問題については、警察庁長官をお呼びして、この中で本当に国民や我々が理解できるような説明をしていただきたいというふうなことで盛んに私たちは議論をしてきたところでありますけれども、どうかこういった不祥事が今後もないように是非努力していただきまして、警察行政が本当に信頼のできる、国民から信頼のできる行政をやっていただきたいということを要望して、終わります。
  302. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  それでは、警察の裏金作りといった一連の昨今の不祥事について小野大臣にお聞きしたいと思っております。  まずは、国費である捜査費の流れ、この点について一くくり、一連の質問をさせていただきます。  私、最近十年間の国費である捜査費の予算額と決算額、レクで受けまして、その執行率を見たときに大変驚きました。これ衆院等でも多分議論されていると思うんですけれども、過去十年間のうち、特に平成五年から平成十一年にかけては、予算に占める執行率、これが九九%を軒並み超えているんですね。平成五年度に至っては、約八十億近い予算のうち、結局使い切れなかったのはわずか二十八万九千円という、何かもう神業のような数字なんですね。これ、何でここまで私こだわるかというと、やはりこの捜査費というのは予想しづらい支出のはずです。いつ、いかなるとき垂れ込みがあるのか、それについて幾ら出すのか。これほど予測しづらい予算についてこれほどの高い執行率というのは、私はやっぱり捜査費の在り方自体の大きな問題がここに内在しているんではないかと思っております。  それではお聞きいたします。なぜこれほど執行率というのが高いのか、こういったことが現実にあり得たのか、お答えください。
  303. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 確かに御指摘のとおり平成十一年度ぐらいまでは予算額と決算額が非常に近いものになっておりますが、十二年度以降は決算額の数が予算額と比べてかなり落ちているところでございます。
  304. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そこはまた後半答えてください、十二年以降は。
  305. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 警察活動経費につきましては、基本的に直近の執行実績あるいは治安情勢等を勘案した上で予算計上をしておるところでございますので、その結果、一般的には予算額と決算額、執行額との乖離はそう大きくはならないものと承知をしております。
  306. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、それね、やっぱり答えになっていないと思いますよ。  その後に、十二年からの減額についても聞きますが、その前の前段階として、これは神本理事の質問の中にもありました。この捜査費というのはやり取り結構複雑なんですよね。まず、警察庁に、簡単に言うと各都道府県警の長が四半期、三か月に一遍これだけ欲しいと言って、簡単に言うと申請するわけですね。そのほか、いわゆる取扱者と言われる、これ各署長ですよ、県警本部の課長もそうですけれども、ここは一月ごとに、じゃこの月はこれだけ欲しいと手を挙げ、それについて、申請についてこれだけ払うと。これ結構複雑な、しかも一つ都道府県になれば何十、北海道でいえば六十八警察署がある。  このやり取りを煩雑にやっていく中で一年間にこの国費である捜査費を使い切るということは、私は先ほど申し上げたが、神業というよりも明らかにおかしいというこの指摘について、官房長、しっかりお答えください。
  307. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 五年度から十年度、十一年度までは予算額と決算額との差が非常に小さいということでございますが、これは、今となってこの数字は確かにそのとおりと見えるわけでありますが、予算を消化すべく適正に捜査に、消化すべく努力をしてまいったものと思います。
  308. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 官房長、その消化すべくというのはあれですか、じゃ、そこらの協力してくれそうな人をつかまえてはとにかくお金払ってきたと、そういうことですか。
  309. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 要は、各都道府県ごとに割り当てられた予算額がありますので、一線でその予算を消化をして捜査の実績を上げるべく努力をしたというふうに思います。
  310. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 捜査の実績と言いましたけれども、これ特に通告していないんですけれども、これ北海道警で二〇〇二年の七月、八月、これ二か月間だけで、ワールドカップ、サッカーのワールドカップの関連で激励会のためにこの国費の捜査費、この激励会、二か月で八十六回あったんですね、それで千二百四十万円使っているんですよ、飲み食いに。どうも、いわゆる検挙率を高めるとか、そのための捜査のためだとか、鋭意努力して予算を使っていたと、私、そういう説明はこの事例を見ても明らかに説明としてなり得ないと思っているんですよ。  何よりも、翻りますけれども、この国費であるこの捜査費をこれだけ高い執行率で使い切ってしまう、このこと自体がもう明らかに国民の目から見て、やはり何か不正があるなと、この質問なんです、これ疑問なんですよ。官房長、これ、私にじゃなくて、多くの国民に答えてください。いかがですか。
  311. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 今、激励慰労費の話も出ましたが、警察の捜査費につきましては、捜査協力者あるいは情報収集の際にその方に謝礼を差し上げる場合もありますし、あるいは、大きい事件が発生をしたときに、捜査本部をホテルあるいはウイークリーマンション等を借り上げて使うという場合もありますし、あるいはまた、深夜の呼出しで刑事が、公共機関が、公共輸送機関がないときにどうしても集まらなければならないというときにタクシーに乗ったというそのタクシー代等々、いろいろ緊急な用務に捜査費というのは執行されておるわけであります。  その中の一環として、これまで私どもがやってまいりましたのは、国費の捜査費について、言わば非常に困難な、例えば殺人事件等を苦労して被疑者検挙に至ったというようなケース、あるいは大規模な警備が終了したときなどに、事件が解決をしたり、あるいは大規模な警備が終了したというときに、言わばその捜査なりあるいは警備実施の中で教訓、反省点も多いわけでありますので、その反省、教訓点をお互いに共有しながら、一人、おおむね一人頭三千円程度の酒食を供して、供する形で激励慰労会を開くということは、この捜査費、国費捜査費を使うことについてもこれをよしとしてきたわけでありますけれども。  しかしながら、一部の府県において、普通まあ念頭にありますのは、激励慰労費は一回の執行で、例えば県警本部長がそこの場に出て一回で終わるという形が理想型であると思いますけれども、何度も各署ごとにやってみたりというようなことが確かにある県でありました。したがって、そのようなケースについては、これはそのようなことを今後やめるようにそれは指示をしてまいりたいと思っております。
  312. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 もうしつこいので聞きませんけれども、とにかく今の説明でこの予算執行率の高さって、私、何の説明にもなっていないと思うんですよ。  例えば、もう年八十億ですけれども、実際にはもうその二倍も三倍も使いたいと、もうとにかく使いたくて各県警、各署が待っていると、だから、もう申請して、来たらもうとにかくもう足りない分使っているという説明ならまだ分かるんです。ただ、それでも、それでも、先ほどワールドカップの例出しましたね、道警というのは二〇〇一年、激励会たった二回しかしていないんですよ、道警全体で。それが二〇〇二年の七月、八月で、今までほとんど使っていなかった千三百万円を使われるということは、私に言わせれば、じゃ捜査費別に足りていなかったわけじゃないでしょうと、足りなくてしようがなかったという状況じゃないでしょうという、こういうことなんですよ。  とにかく、かんがみて、今の官房長の答弁ではこの執行率の高さに対する多くの国民の疑問は全く晴らせていないと、これを晴らしていないと、このことは私、強調させていただきます。  更にお聞きしますよ。  じゃ、十一年度まで九九%を軒並み超えていた執行率が、十二年度いきなり下がります、九三%。平成十三年度、七八%、そして平成十四年度に至っては七〇%まで下がるんですね。これ、うがった見方で言いますと、やはり平成十一年度辺りから、この裏金作りについて、やはり各種マスコミも取り上げ出した時期と一致するんですよね。これ非常に状況証拠はそろってきているんですよ。これ、警察の方ですから分かりますよね。これ状況証拠、大変そろってきている。  これについてきっちりと、私たちが納得するように、なぜじゃ十二年からこんなに下がったのか、逆を言えば、それまでがその高い執行率をなぜ保ててきたのか、お答えください。
  313. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 委員お尋ねのように、平成十二年度ぐらいから決算額がかなり落ちているわけでありますが、平成十四年度については五十一億という数字になっております。これは最近、特に平成十二年以降、刑法犯認知件数が急激に増加をしているところでありまして、次々に発生する犯罪の初動捜査に追われてなかなか余罪捜査にまで手が回らないということであれば、署の外に出て、例えば窃盗犯の余罪捜査ということになりますと、いわゆる引き当たり捜査と称しておりますが、ここでも盗みました、あそこでも盗みましたという場所に連れて行きまして検挙件数を増やしていくわけでありますけれども、その引き当たり捜査等の件数が減少いたしましたり、あるいはじっくり内偵捜査をやるということに必ずしも手が回らなくなったりしているという状況がまずあろうかと思います。  加えて、なかなか国民の皆様の警察に対する協力意識の変化もあるのかもしれませんが、情報収集活動は必ずしも十分に行えていない。また、相談事が非常に平成十二年度から大幅に警察に寄せられる相談業務が増えておりまして、この相談業務対応でこれまた署内で対応することが多いわけでありますので、署外活動ができていない。あるいは、構造的問題として、熟練した捜査員の大量退職が既に始まっておりますが、そういう面でなかなかなりたての刑事の人たち情報収集能力が高いのかというと、そうでもないということ等々で、総じて署外活動のウエートが非常に低くなっている、時間が、それに要する時間が、充てられる時間が減ってきているということで、全体としての捜査費の執行額が減ってきているのではないかと推測をいたします。
  314. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 私、やっぱりその推測多分間違っていると思います。まず、じゃ、認知件数が増えてきた、認知件数の増加に伴って今言った初動捜査とか、要は情報収集に時間が掛けられなくなったと言っておりますけれども、例えば決算額でいうと、十二年度から十三年度にかけて三割決算額落ちているんですよね。私、ちょっと今数字持っていませんが、十二年度から十三年度にかけていきなり三割も認知件数が増えたのか、私そんなことは絶対にないと思っています。ですから、今の御答弁は私はこれ明らかに多分間違った推測だと思います。  例えば、情報収集がしづらくなった、何か国民性が変わったみたいなことを言っていますよね。要は警察への協力がここ二、三年でいきなり我が国国民性がそんなに一気に変わる、私そんなことないと思いますよ。徐々には、時間を掛けては確かに情報というものを警察に届けなくなってきているかもしれませんが、わずかこの三年の間で、決算額においてトータルでいえば四割ぐらい落ちている。これに反映するほど私は我々国民性が変わったなんということは絶対に言えないということも指摘しておきます。  それと、大量のベテラン職員が辞めていったと。私に言わせれば、ベテラン職員ほどお金使わずに情報収集できるんじゃないんですか。その技術の未熟さをせめてお金で補てんして捜査費が上がったというのならともかく、とにかく官房長の答弁は何かもう机上の空論を当てはめているとしか私たちには聞こえないんですよ。このことはもう指摘だけにしておきます。  もう一つこれちょっと踏み込みたいんですけれども、これも午後の議論でありました。警察法で規定されている国費の捜査費、この捜査費が北海道警を見ても各署で満遍なくこれ使われているんですね。ですから、北海道警全体で平成十四年度二億円の捜査費のうち、各警察署で一億円、約半分使われています。ちなみに、弟子屈署でも十四年度は四十一万円の捜査費が使われている。  しかし、皆さん考えてみてください。この捜査費というのは、これも議論にありましたけれども、警察法の第三十七条を受けて警察法施行令第二条、今日ありましたね、八項に規定されている。これ、いみじくも官房長がおっしゃったところです。ここで、例えば内乱罪とか騒乱罪の罪、天皇又は皇族に対する犯罪外国の元首や外交使節若しくは外国軍云々、すなわち国家的に取り組む、そういった犯罪についての捜査に使うお金なんですよ。そこらの空き巣やそこらの傷害罪についての捜査費とは別なんです。これ県の報償費とは別なんですよ。にもかかわらず、この国費である捜査費が各警察署どんな地方まで満遍なく使われている。このことについての御説明をいただきたい。
  315. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 確かにお尋ねのとおり警察法施行令第二条第八号で、国費、国庫支弁の捜査費の費目が、犯罪類型が書いてあるわけでありますが、例えば麻薬、あへん又は覚せい剤事犯というのは、これは覚せい剤事案は全部捜査費は国費であります。  また、数都道府県の地域に関係のある重要な犯罪、これは泥棒でありましてもA県B県C県またがってあちらこちらと敢行している事案については、すべて重要な犯罪というくくりはございますが、国費支弁になっておるところでございまして、確かに内乱、外患、国交又は騒乱の犯罪等々の事案については、これはそうあるものではありませんし、ローカルなものとは言えないと思いますけれども、覚せい剤の問題あるいは密入国に係る出入国管理事案の問題、今申しました数都道府県にまたがる窃盗罪等々につきましては、これは言わば日常的にどの府県でも発生しているものでございます。
  316. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これは質問に答えなくていただいて結構です。これも午後の議論で官房長、答えているんですね。じゃ、国費であるかどうかのメルクマールは何かと。これね、重要なものが国庫支弁、それ以外は都道府県という、これ、このようなことを言っている限りは結局捜査費も報償費もどんぶり勘定だろうという、これがもう多くの国民の疑問だし、我々も、きっと同じ金庫に入っているんじゃないかという疑問なんですよ。原田さんとかもみんなそれを指摘しています。それについての明快にするという答弁では私は物足りなかったと、このことを指摘して、時間ないんで捜査費から離れて、それでは偽名領収書、この偽名領収書の取扱いについて私、質問を深めていきたいと思っております。  これ端的に答えてください。これ今までいわゆる捜査協力者からの偽名領収書という、このものを警察として認めていたとおっしゃっています。これ、なぜ認めていたんですか。
  317. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) これは委員は御理解いただけると思いますが、捜査協力者の方もいろんな方がいらっしゃるわけでありまして、中には暴力団員の人もおりますし、薬物に手を染めている人もあるいはいるのかもしれませんし、国際テロ関係者がいるのかもしれません。  そういう方からは警察の方からお金を謝礼で渡してもなかなか本名で領収書を取れないというケースが実際にあったわけでありまして、まあそういう方については本人名義の領収書と異なる名義の領収書を作成、提出したときは、まあこれをやむを得ず受領をしてきたという実態があったのは事実でございます。
  318. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これ何であえて今まで何度も聞かれているこの質問をしたかというと、あるときはその協力者との信頼関係を崩したくないから協力者については例えば事情聴取をしないとか、そういったいろんな答弁するんですけれども、じゃそんなに信頼関係がある、そしてその捜査員には守秘義務という本当に重い義務が課されているわけですよ。ですが、その協力者というのはその信頼関係のある捜査員の守秘義務というものに対して信頼していない、そのことの表れですよね、偽名を使っていいというのは。そうなんですよ。いろんなところで論理的に欠陥が生じている、官房長、このことをちょっと私、指摘しておきますよ。  これ更に進めます。では、偽名と知っていてそのまま支払精算書に添付していたのは、これは警察庁に聞くと自ら捜査員が偽名を領収書に書いたことはないと、だからこれは私がこれから指摘する刑法第百五十六条の虚偽公文書作成罪に当たらないと言っているんですけれども、これしかし、今言ったようにそのまま支払精算書に添付するというこの行為、これは百五十六条の虚偽公文書作成罪にこれは当たるんじゃないですか。
  319. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) まず、捜査協力者が偽名を使用して領収書を作成すること自体が私文書偽造に当たるのではないか、あるいは委員指摘の知った上で支払精算書に添付して提出をすれば虚偽公文書作成罪に当たるのではないかという議論があるのは承知をしておりますけれども、あくまでこの種の行為が私文書偽造あるいは虚偽公文書作成に当たるかどうかということにつきましては、個々具体的な事案に応じて判断すべきものと考えるわけでございます。  あくまで一般論で申し上げれば、捜査協力者が例えば自分に危害が及ぶことを恐れるというようなことの事情で本人の氏名と異なる名義で領収書を作成して提出したような場合には、事情を知った捜査員に直接交付されて、その捜査員から報告を受けた警察組織として捜査協力者に謝礼が確実に支払われたことを確認された、そういうものとして作成されたものである限りは、領収書の名義人と作成者との同一性にそごを生じさせているとは言えないところから、一般的には私文書偽造罪に当たるとは言えないと思いますし、それを添付することについて、もちろん個々具体的な事実関係に基づいて判断する必要がございますが、にわかに虚偽公文書作成罪に該当するとは言えないのではないかと思います。
  320. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 私、その見解は大分違います。  で、まず、協力者の本名というのはさすがに知っていますよね、繰り返しますけれども、信頼関係あるんですから。だから、その協力者が偽名を書いたかどうか分かりますよね。捜査員がてっきり本名を書いたと、これだまされていたらこの捜査員に故意ないでしょう、過失については後で問うとして。ですけれども、実際協力者ですから当然本名は知っていると、だから偽名が書かれた領収書の認識は絶対しているんですよ。  で、これ構成要件ですけれども、公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書を作りとあります、作りと。これは別に書きとは書いていないんですよ。ですから、偽名を了承して、その領収書を添付書類として公文書として上に上げるというこの行為自体は、私は明らかに構成要件として虚偽文書作成罪に当たると思います。いかがですか。
  321. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) あくまで個々具体的な事案に応じて判断すべきものと思いますが、例えば、今委員がいろいろお尋ねでございますけれども、行使の目的ということを考えた場合に、百五十六条には「行使の目的で、」と書いてございますし、私文書偽造についても「行使の目的で、」とあるわけでありますが、この行使の目的とは、一般的には利害関係を有する他人に偽造文書を真正な文書と誤信させようする目的と解されているところでございますので、普通はにわかに当たるということにはならないのではないかと思います。
  322. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうですかね、私にはとてもそうは思えないですね。明らかに偽名の添付書類を付けてですよ、それが公の中で回るなんて行為は、本来想定していないわけですよ。この件についてもうこれ以上込み入ってもいきませんので。  で、重要なことは、この偽名の領収書の存在かどうかでないんですよ。我々が最も知りたいのは、いわゆるその協力者に本当に捜査費というお金が渡っているかどうかですよね。このことが知りたいんですよ。そのための手段として領収書云々とあるんですね。  で、今回、これ官房長通達で、三月十一日ですか、捜査費執行における領収書の徴取の在り方についてと、これございますね。これはもう本人名義によるもの以外の領収書は絶対に受け取らないと。ただし、本人名義による領収書を徴取することができない場合には、別途、捜査費の支払事実を証明するための書類を作成する。この、捜査費の支払事実を証明する、私これ大変なことだと思いますよ。これ、証明する書類とは一体どういうものなんですか、お答えください。
  323. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 今考えておりますのは、具体的には捜査員が捜査費を支払った、捜査費を支払った相手方、日時それから場所、理由、状況等につきまして、可能な限り具体的にその支払報告書に記載をさせたいと考えておりまして、その支払事実を疎明するために、捜査員の備忘録も持っている場合もありましょうから、その備忘録の写しでありますとか、活動日誌の写し等の資料を添付をさせまして、警察署にあっては課長と署長、警察本部にあっては課長補佐と課長が自署の形で、自分がサインをしてその支払事実の確認を受けさせまして二重チェックを行いたい。加えて、自後、会計検査院による検査等に際しましては、この種の証拠書類だけではなくて、必要に応じてこれを裏付ける、先ほど申し上げました活動日誌等の資料も提示もして、捜査幹部あるいは捜査員本人による十分な説明を行わせるということでその種の手だてを講じて、捜査費執行の適正化に推進を、一層推進をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  324. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 聞き方を変えましょう。いいですか、官房長。  いわゆる、我々領収書というものを使うときありますね。これ、例えば会社が税務申告するとき、私なんかもそれ税務申告したことありますけれども、例えばどこどこの飲み屋さんで三万円飲みましたと、これが経費ですと、ですからこれは税金から、課税対象から外してください。このために領収書って添付しますよね。じゃ、この領収書の、いわゆる領収書といいましょうか、三万円払ったというこの真相の担保は一体何でされているか。それは、相手方のお店に税務調査が入る可能性があるわけです。言っている意味分かりますね。だって、お店が振出人で領収書を出しているわけですよ。で、お店が、これ単にあれですよ、お金が、要するに収入があるというその証拠にもなるわけです。だから、反転して関係があるわけですね。その領収書について、もらった側と与えた側においては同じく税務調査の対象になるわけですから、この領収書というものが、その今言った真偽の担保になるんですよ。言っている意味分かりますか。ちょっと私、今言い方が余りうまくなかったんですけれども。  それで、じゃ、捜査協力者に領収書をもらったという、このことによって一体何が、真相が担保されるか。私、これは考えてみたんですよ。で、これ国税庁に問い合わせました。じゃ、捜査協力者に渡された協力費、これは課税対象になりますかと。これはなるんですね、なるんですよ。ただ問題なのは、じゃ、これが捜査協力費として税務申告されていれば、税務調査をすれば、ああAさんに三万渡ったなということがこの領収書の存在から分かるんですけれども、税務申告の費目が雑所得なんですね、雑所得なんですよ。ですから、一体領収書を得ようが得まいが、その領収書自体がそのお金を渡したということの真偽の担保にならないんですよ。  何が言いたいかということは、領収書について偽名だ、実名だ、そして今言った相手方や日時やその備忘録ですか、こんなものを付けようが付けまいが、この捜査協力費というものに対しては幾らでもフィクションで出せるんですよ。出すか出さないかは別としてですよ。出せるという、そういう構造的欠陥があるんですよ。言っている意味分かりますね。このことに対して官房長、どうやって実際にお金を渡したということを、それが真実であるということを多くの国民に示すことができるんですか。
  325. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) 三月十一日の官房長通達は、これはあくまで捜査協力者、当該捜査協力者から本人名義で領収書を徴取することがこれは原則であります。  ただ、警察の捜査は一〇〇%ガラス張りで全部やっているわけではありません。捜査協力者がいろいろなことをこちらに教えていただいて、正に本人は命の危険を冒してやっている場合もあるわけであります。そういう人に、そういう人は普通はお金が欲しいとは言いません。そのときに、しかしながらこちらの気持ちとして幾ばくかの謝礼を何らかの物品に換えてでも支払いたい、渡したいということがあるわけですけれども、それの処理のときに、その人に、じゃ、あんたの名前を書いて領収書を下さいといってやすやす出るようなものでは捜査の実態はないわけであります。  ですから、それはその捜査員個人とその協力者の一対一の関係ではなくて、実質的にはその捜査員というのは言わば警察組織組織捜査でやっておりますから、その直属上司なり組織として相手に渡った、だれが渡ったかというのはこれは分かるわけでありますから、それを今のままで他人名義の領収書でそのままぽんと一枚あるだけでは、なかなか日にちがたって人が替わってきますと、そういう本名なのか他人名義なのかも分からなくなるというようなことがもしあってはまずいわけでありますから、今申し上げましたような二重チェックをして、でき得ればいろんな書類をそこに添付をしておいて、自後の公正性に部内的にもちゃんと堪えられるようにしていこうということを考えておるわけであります。
  326. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 官房長、よくお聞きください。私が先ほどから指摘しているのはですね、いいですか、この捜査費なるもの、捜査協力費なるものは幾らでも、これ重要なことです、やろうと思えば、やろうと思えばうそ偽りの添付書類にせよ何にせよ可能としてできるんですよ。じゃ、なぜ私たちが、それが、じゃそういうことをしていないだろうなと思えるのか否かというのは、唯一警察への信頼なんですよ。今官房長がおっしゃったようなことに対しても、ないしは現場の職員が言ったことに対して、我々は今言ったように信じるしかないんですよね。  要するに、偽ろうと思えば偽れるシステムなんですよ、これは。だけれども、何でそれが、偽れるようなシステムだけれども稼働できるかといえば、我々の信頼でしかない。その信頼を今回北海道や静岡で警察自らがそれを崩壊させているわけでしょう。その信頼ないままでこの偽りができるようなシステム、これをそのまま存続させていいのか、もっと外部的なメスを入れなければいけないのか、このことについてお答えいただきたい。
  327. 吉村博人

    政府参考人吉村博人君) これまでは他人名義の領収書を捜査の現場で受け取りもし、それを編綴をしてきたという実態がありまして、いろいろな議論があって、そうすることはひょっとしたら裏金の温床になっているのではないかという御指摘もあったわけでありまして、現在から将来にかけて別の支払担保手段をきちんとできるだけ透明性を高める、内部的なチェックもできるようにして、今申し上げておりますように、説明しておりますような仕組みを作って今後はやっていこうということで、それは今いろいろるる御説明をしておるわけでありますけれども、もちろん委員のおっしゃるように、国民の信頼が前提であることは、それは間違いないことだと思います。ではありますけれども、一〇〇%警察活動をお金の面で全くガラス張りにして実行できるわけではないということも御理解をいただきたいと思います。
  328. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そのガラス張り云々は私も理解しています。ただ、繰り返します。とにかく国民の払った税金なんですから、その使い道について国民が納得できるようなことをする、これは警察の任務であり義務であることは間違いありませんよね、官房長。そのことはもう指摘にとどめておきます。  何度も言いますが、とにかくこの官房長通達を見ても、じゃこれで、これで本当にお金が協力費として渡されているということが我々実感として感じ得られないんですよ。もっと鋭意努力していただきたいと思います。  では、質問も数が限られているんで、じゃ、疑惑解明の警察の今までの姿勢について何問か問いたいんですが、一点に限るかもしれません。  では、お聞きします。これ、小野大臣、お答えいただけますか。この捜査協力者、いわゆる協力者への事情聴取を、例えば北海道の道警の内部調査又は監査委員による監査ではこの事情聴取というのは行われていますか。
  329. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 旭川中央警察署平成七年度五月分及び九年度九月分の捜査用報償費の支出関係書類の原本の写しである可能性が高いと認められました文書には、捜査協力者とされる方々の氏名が記載されているものと承知をいたしております。同件の内部調査におきましては、この捜査協力者とされる方々について調査を実施しますと、実際の捜査協力者に自分の存在が公になるのではないかという疑念や不安を抱かせまして、今後の協力を受けることができなくなるおそれがあるなどのために、調査を実施していないものと承知をいたしております。  他方、二月九日に監査結果が出された監査委員によります監査におきましては、捜査協力者とされる方で住所を確認できた方に対しては文書による調査を実施したものと承知をいたしております。
  330. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 だから、していないんですよね。  で、私、これこだわるのは、先ほどの偽名領収書にせよ何にせよ、やはりその協力者に事情聴取なくして、何度も申し上げます、実際にお金が渡ったかどうかを確かめることは不可能だと思うんですよ。なおかつ、その協力者が、例えば自分の身の危険云々と、これまるで天下の御旗のように警察の方おっしゃいますけれども、これ渡ったか渡らないかとかのその事実関係の調査ですしね、何度も言いますが、警察に対しての少なくとも信頼関係があるなら、守秘義務を持っているわけですから、それをもって協力者からきちんとした事情を聴取する。  これ、例えばですよ、先ほど申し上げた、虚偽文書の作成の罪に当たるかもしれないとか、あと、今日触れられませんけれども、これ吉川委員が予算委員会でも質問されていましたけれども、横領罪とか、空出張とか裏金作りが横領罪とか詐欺罪には一般に当たるという、これ法務大臣の見解なんですよ。すなわち、犯罪である蓋然性が高いことに対して、今まで警察というのはそれほど事情聴取をためらってきたのかと、ほかの罪の場合に身の危険どうとかで、ある人間から事情聴取をすることを拒んできたのかと、私はそんなことはないと思っているんですよ。小野大臣、いかがですか。
  331. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 議員と現場との考え方の違いということもあろうかと思いますけれども、事実、個人的な信頼感の中で情報がいただけるという関係になっているわけですから、その担当者がもし転勤をしていなくなればその情報は切れるほど、非常に信頼感のある中で情報提供というものはしていただいているものと承知をいたしております。そういった観点からいたしますと、監査委員による監査においても、北海道警察から捜査協力者に対する事情聴取が捜査活動に及ぼす支障について監査委員に対し説明をして理解をしていただくよう努めているというような形を、まあ大事にしているということでございます。  ですから、そういった意味におきましては、北海道警察において、弟子屈警察署における支払精算書が監査の結果偽造されたものだと判明した場合に、その時点で個別に検討し対応させていただく旨、監査委員に対して答弁したものと思っております。  ですから、道警の内部調査につきましては、捜査協力者に自分の存在が公になるのではないかという疑念や不安を抱かせる、これに対するいわゆる今後の協力を得られなくなるおそれがあることから、調査を実施していないと、そのように、同じことを申し上げますけれども、理解をいたしております。
  332. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 もう時間ないんでこれは御答弁いただかないんですけれども、私は本当に日本警察は世界一だと、そう思っておりますし、今後もそう思いたい。  そこで、実は、せんだってある週刊誌の四こま漫画を見たんですね。これ、笑えそうで笑えない内容だったんです。小野大臣、昔、今もやっているのかな、NHKの「連想ゲーム」というのを御存じですか。ある正解の言葉に対してヒントを出していくんですね。この四こま漫画は、一こま目でヒントが出るんです。連れ去りと出るんですね。解答者が誘拐と答えて、ブーですね。次にストーカーと出てくるんですね。解答者は考えながら変質者と答える。ブー、違いますと。三こま目で三つ目のヒントが出るんですね、裏金と出るんですよ。そうすると解答者は、あっ、警察官と言って、ピンポンで正解するんですね。最後の四こま目は、それを見ているテレビの視聴者がこう言うんです、これ十年前だったら当てられないよなと。  意味分かりますよね。少なくとも十年前だったらこんなヒントで警察官が出るようなことはまずなかったし、そして、何よりも十年前だったら我々日本の皆さんも警察に対してもっともっと信頼を持っていたと。このことなんですよ。だから、私は、今崩れつつあるこの信頼感というものを、私は、警察が本当に身を正して、外部の力もかりて、今後より一層高めていただくことを大臣、官房長にお願いして、質問を終わります。
  333. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会