運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-03-24 第159回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十四日(水曜日)    午前十時二十四分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         簗瀬  進君     理 事                 仲道 俊哉君                 西銘順志郎君                 森下 博之君                 神本美恵子君                 吉川 春子君     委 員                 岡田  広君                 関口 昌一君                 竹山  裕君                 中島 眞人君                 森田 次夫君                 森元 恒雄君                 山崎 正昭君                 岡崎トミ子君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 魚住裕一郎君                 白浜 一良君                 小林美恵子君                 島袋 宗康君                 黒岩 宇洋君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策、食品安全        ))       小野 清子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣科学技        術政策))    茂木 敏充君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣産業再        生機構))    金子 一義君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        井上 喜一君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        内閣府副大臣   佐藤 剛男君    大臣政務官        財務大臣政務官  山下 英利君        厚生労働大臣政        務官       竹本 直一君         ─────        会計検査院長   森下 伸昭君         ─────    事務局側        事務総長     川村 良典君        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    衆議院事務局側        事務総長     駒崎 義弘君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事務局長     天野英太郎君    裁判官訴追委員会事務局側        事務局長     高田 健一君    国立国会図書館側        館長       黒澤 隆雄君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼内閣官房構造        改革特区推進室        長        兼内閣官房地域        再生推進室長        兼内閣構造改        革特区担当室長  滑川 雅士君        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        次長       出合  均君        人事院事務総局        勤務条件局長   山野 岳義君        内閣府政策統括        官        林  幸秀君        内閣府政策統括        官        尾見 博武君        内閣府政策統括        官        武田 宗高君        内閣府政策統括        官        山本信一郎君        内閣男女共同        参画局長     名取はにわ君        内閣沖縄振興        局長       東  良信君        宮内庁次長    羽毛田信吾君        宮内庁書陵部長  田林  均君        警察庁長官官房        長        吉村 博人君        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        総務省行政管理        局長       松田 隆利君        総務省自治行政        局公務員部長   須田 和博君        財務大臣官房審        議官       石井 道遠君        厚生労働大臣官        房審議官     北井久美子君        社会保険庁次長  小林 和弘君        農林水産大臣官        房審議官     岡島 敦子君        特許庁総務部長  迎  陽一君        国土交通大臣官        房官庁営繕部長  春田 浩司君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十六年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十六年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (皇室費国会所管会計検査院所管内閣所  管(人事院を除く)及び内閣府所管内閣本府  (沖縄関係経費を除く)、国際平和協力本部、  宮内庁警察庁))     ─────────────
  2. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  この際、御報告いたします。  去る二十二日、予算委員会から、本日一日間、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費国会所管会計検査院所管人事院を除く内閣所管及び内閣府所管のうち沖縄関係経費を除く内閣本府、国際平和協力本部宮内庁警察庁について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。     ─────────────
  3. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官内閣官房構造改革特区推進室長内閣官房地域再生推進室長内閣構造改革特区担当室長滑川雅士君外二十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) この際、国会所管及び会計検査院所管予算説明を聴取いたします。  まず、国会所管のうち衆議院関係予算説明を求めます。駒崎衆議院事務総長
  6. 駒崎義弘

    衆議院事務総長駒崎義弘君) 平成十六年度の衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成十六年度の国会所管衆議院関係歳出予算要求額は六百七十三億七千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、十億三百万円余の減額となっております。  次に、その概要を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、六百四十六億六千万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局事務を処理するために必要な経費であります。  増加した主なものは、議員外交充実強化経費、新議員会館整備民間資金等活用事業として実施するために必要な業務支援委託費民間資金等を活用した赤坂議員宿舎整備等事業費等及び衆議院名誉議員胸像設置経費でございます。  一方、減少した主なものは、議員歳費議員秘書手当及び職員人件費等でございます。  第二は、衆議院施設整備に必要な経費でありまして、二十六億八千四百万円余を計上いたしております。  この主なものは、新議員会館民間資金等活用事業として整備する方向での実施設計及び発注条件検討に必要な経費並びに本館会議場ガラス屋根国会審議テレビ中継装置及び本館等庁舎整備等に要する経費でございます。  第三は、改革推進公共投資事業償還金産業投資特別会計へ繰入れに必要な経費でありまして、二千万円余を計上いたしております。  第四は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度より四千八百万円減の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単ではありますが、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  7. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 次に、国会所管のうち参議院関係予算説明を求めます。川村参議院事務総長
  8. 川村良典

    事務総長川村良典君) 平成十六年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成十六年度国会所管参議院関係歳出予算額は四百二十四億九千九百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四億四千九百万円余の増額となっております。  次に、その概要を御説明申し上げます。  第一は、国会運営に必要な経費でありまして、四百一億四千八百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費であります。前年度に比較し、五億三百万円余の増額となっておりますが、これは主として、第二十回参議院通常選挙実施に伴い必要となる経費決算審査充実のためのODAに関する専門調査団の派遣に必要な経費の計上等によるものであります。  第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、二十三億四千四百万円余を計上いたしております。これは、新議員会館実施設計発注条件検討傍聴参観テレビ中継施設本体工事テレビ中継施設機器整備及び本館その他庁舎等整備に必要な経費であります。  第三は、改革推進公共投資事業償還金産業投資特別会計へ繰入れに必要な経費でありまして、九十一万円を計上いたしております。  第四は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、平成十六年度参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  9. 簗瀬進

  10. 黒澤隆雄

    国立国会図書館長黒澤隆雄君) 平成十六年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成十六年度国立国会図書館関係歳出予算要求額は二百四十億六千八百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、一億九千二百万円余の増額となっております。  次に、その概要を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費、すなわち、人件費及び事務費等であります。その総額は二百八億五千二百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二億八百万円余の増額となっております。  これは主として、退職者数の増に伴う退職手当増額によるものであります。  第二は、科学技術関係資料収集整備に必要な経費でありまして、九億五千六百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、四千八百万円余の増額となっております。  これは、科学技術分野の主な外国雑誌電子ジャーナルを拡充するための経費増額によるものであります。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、二十億九千五百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、二億二千八百万円余の減額となっております。  第四は、平成十三年度補正予算(第2号)により支出いたしました改革推進公共投資国立国会図書館施設費償還金でありまして、一億六千四百万円余を計上いたしております。  以上、平成十六年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  11. 簗瀬進

  12. 天野英太郎

    裁判官弾劾裁判所参事天野英太郎君) 平成十六年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成十六年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は一億一千八百三十八万円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、百三十八万円余の減少となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費であります。  以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  13. 簗瀬進

  14. 高田健一

    裁判官訴追委員会参事高田健一君) 平成十六年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成十六年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は一億三千七百三十万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二百六十四万円余の増額となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費であります。  以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  15. 簗瀬進

  16. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) 平成十六年度会計検査院所管歳出予算について御説明いたします。  会計検査院平成十六年度予定経費要求額は二百二億七千百五十九万余円でありまして、これは日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく本院の検査業務及び一般事務処理を行うために必要な経費であります。  この要求額の内容について申し上げますと、人件費として百三十八億二千百万余円、中央合同庁舎第七号館の整備に伴う仮庁舎経費として三十二億八千万余円、その他の経費として三十一億六千九百万余円を計上いたしました。  これらには、会計検査機能充実強化するため、決算検査報告早期提出行財政改革の動向に適切かつ機動的に対応した検査を遂行するための検査要員増強等有効性検査情報通信技術を活用した検査及び海外検査等充実を図るための検査活動充実強化経費検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修充実を図るための研究研修経費が含まれております。  以上、簡単でございますが、会計検査院平成十六年度予定経費要求額概要の御説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  17. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 以上で予算説明聴取は終わりました。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  18. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 自由民主党の西銘順志郎でございます。もう遅れておりますので、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。  公安委員長にお伺いをしたいんですが、昨日、北海道監査委員会が道警に対して事情聴取をなされたというような、調査委員から調査をなされたというような報道等もございました。私は、やはり今回一連事件国民疑惑、疑念を招く事態が再び起こってはならないというふうに考えております。徹底的に調査をして公安委員会で処分なり処置をしていただきたいというふうに思うんですが、公安委員長の決意のほどをお伺いさせていただきます。
  19. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 北海道旭川中央警察署におけます平成七年五月分及び平成九年の九月分の道費捜査用いわゆる報償費五十万円に関しまして不適正な予算執行が行われましたこと、また静岡警察におきましては総務課県費旅費をめぐりまして約九百四十万円のいわゆる空出張事案が解明いたしましたことは誠に遺憾でございます。  北海道事案につきましては、三月十二日に北海道公安委員会の方から、警察法第四十三条の二に基づきまして、近年の予算執行につきまして特別調査を行いますとともに、この種の事案の絶無を期すために会計経理の手続あるいは会計監査等の諸事項につきまして監察を行い、その報告をするようにと監察指示が出されたところでございます。これを受けまして、北海道警察におきましては、捜査用報償費につきまして、新たに必要な専従体制を取りまして新年度から逐次計画的に全道調査実施するものと聞いております。  北海道あるいは、今、御質問北海道だけでございますけれども、静岡及び福岡警察におきましてそれぞれの公安委員会指示を受けながら全容解明に向けて調査を進めているところであり、既に途中経過公安委員会報告をいたしまして、それが公表しているところでもございますし、事案全容が明らかになった段階で、先生今おっしゃいましたように厳正に対処してまいりたいと考えております。
  20. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 一連事件北海道静岡福岡というふうに報道なされておりますが、公安委員会としてどういうふうに今、今お聞きをしたんですが、どういうふうな取組方、再度お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  21. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 既に会計経理をめぐります不正事案早期解明、あるいは会計経理の一層の適正化につきましては検討を進めるよう警察庁指示をいたしておりますけれども、会計経理の一層の適正化につきましては、具体的に申し上げますと、一点は予算執行、それから二点目は監査に関しての検討を進めております。  一点目の予算執行に関しましては、警察では既に捜査費につきまして、これを現場で捜査員が使いやすいように会計経理における様々な制度的改革を行っているところでございますが、二月の二十六日に、県費捜査費執行委員に関する監査への対応の在り方につきまして、監査委員から捜査員に対する聞き取り、こういう要求が行われましたときには、特段の業務の差し障りがない限りこれに対して応じるように配慮するように各都道府県通達を出したところでもございます。  これに続きまして、三月十一日には、平成十六年度から捜査協力者に対しまして、その方々から領収書を徴取する場合には、本人名義によるいわゆる領収書に限りこれを徴取し、本人以外の名義によります領収書については徴取しないとする旨を各都道府県警察通達を出したところでございます。  二点目の監査につきましても、今後、警察庁都道府県警察に対しまして実施をいたします監査充実強化を図る一環といたしまして、監査に関する権限を明確化するとともに、国家公安委員会に対しまして監査結果を報告するようにするなど、会計監査に関する国家公安委員会規則を制定することといたしております。  今後とも、国民信頼回復に向けまして、必要な施策について幅広く検討、議論、検討いたしまして有効な施策を出してまいりたいと、そのように考えております。
  22. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 昨日の報道で見たんですが、北海道監査委員会捜査員に対して事情聴取をしたと、そういうようなことも報道がなされておりまして、私は、やはりもう警察庁自ら襟を正して、これは全国の各警察署調査するぐらいの意気込みでやられたらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
  23. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 個別具体的に不適正あるいは疑惑が持たれる、例えば北海道警察において、それぞれの公安委員会指示を受けながら、自ら調査をし、既に調査の途中経過報告をするなど、そこまでは行っているわけでございますけれども、警察活動というのは何よりも国民信頼協力によりまして成り立っていくものであると考えますれば、会計経理の、会計経理の不適正な事案はあってはならないことであるということは言うまでもございません。  そういう意味におきましては、全国調査実施という考え方も理解できないわけではございませんけれども、全国的に、今先生御案内のとおり、今刑法犯認知件数も大変多うございます。そういった点から考えますと、具体的な事案がない府県まで一斉に全国調査を行うということになりますと、いろいろと状況がございますので、むしろ内部監査充実強化を早急に講じた上で、各都道府県警察に対しまして逐次計画的に監査実施していくことの方が、治安回復のための業務の邁進ということも続けながら会計経理適正化を図っていき、国民信頼を回復する上ではよろしいのではないかと、そのような考えから、今一律にということは少々考え方を別にするものでございます。
  24. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 国民の理解をいただくためには、私は、公安委員長は今、問題のないところはいいんじゃないかというようなお話でございましたけれども、本当に治安の維持ということで大変御苦労をなさっていることはよく理解できるんですが、そういう意味で、警察庁自ら襟を正してしっかりとやっていただきたいということを要望させていただきたいというふうに思います。  次に、金子大臣にお伺いをしたいと思っています、構造改革特区についてお伺いをさせていただきたいと。  国、県、地方とも大変極めて厳しい財政事情でございますけれども、やはり地域再生活性化というのは、もうこれは地方の必死の思いが込められているというふうに思います。ですから、私は、構造改革特区提案をされる、あるいは地域再生提案をされてこられる構想を、これはやはりもう国が全力を挙げて採用すべきじゃないかというふうに思うんですが、大臣の所感をお聞かせいただきたいと思います。
  25. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 私も、今、西銘先生が御指摘あった、もう本当にそのお気持ちで取り組ましていただいております。  やはり、これまで国が予算項目を決めて地域に配分していた、地域指定をして予算を付けたということではなくて、そういうやり方をがらっと変えて、むしろ地域人たちがこれをやりたい、これをやりたいので権限を外してくれと、規制緩和してくれと、こういうことが今現実にどんどん地域から御提案が出てきていると。  特区というお話、今ありましたけれども、もうそろそろ一年たつのでありますが、三百二十件を超える具体的な案件が実現をもう既にされております。そういうものの中でも、今まで中央官庁では考えられなかった御提案によって大変な効果がもう既に出てきておるようなものまで出てきております。  そういう意味で、今お話しいただきましたように、それぞれの要望、出てくるもの、これがやはり効果がある、その地域経済効果がある、また雇用につながるという、そういう側面を多々持っております。そういう意味で、先生のおっしゃるような方向で最大限我々もこれからも、地域再生についても同じであります、地域皆様方の必死の要望というものを私たちはどうやったら実現できるか、その視点からこれからも取り組んでまいりたいと思っております。
  26. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 それぞれの地域、自らの地域をもう活性化したいという思いで必死でやっておりますから、できれば、もう全部、申請してきて提案されたのは採用するというぐらいの気持ちで是非取り組んでいただきたいというふうに思います。  せんだって、小泉総理所信表明で、これは地域再生経済活性化項目で、石垣では、これは沖縄県の石垣なんですけれども、石垣では、港と町の連携に加えて、海外や周辺観光地との交流を促進し、観光振興と市街地の活性化に向けた施策が動き出しておりますというような総理の所信表明がございました。私ども、大変高い評価をいたしておるところでございます。  石垣でも、石垣市でもそういう特区の構想が提案をなされておりまして、ノービザ制度とかそういうものの要求がなされておるわけでございますけれども、大臣、これについてどういう方向検討されるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  27. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 総理がよく、稚内から石垣島まで、石垣島が必ず出てくるのでありますけれども、石垣島の皆様方からもいろいろな特区が出ております。そういう中で、町づくりと港湾と観光と、これを生かしたいと。一つ出ておりますのが、チャーター便をどんどん認めてくれよというのが出ておりましたけれども、これは特に台湾、近いんですね、これもう既に認められておりますし、既にできる枠組みになっておりますので、進めていただけるといいなと思っているんです。  ただ、もう一つビザの問題がありまして、ノービザにしろと、ここを今外務省とがんがんやっているんですけれども、今これは全国共通なんですけれども、やはりいろいろな治安、不法入国等々の観点があるんだと思います。これはまた外務省に伺っていただきたいのでありますが、取りあえずは韓国からの修学旅行に限ってノービザというのを今導入できているのでありますけれども、そこから先がまだ進んでおりません。これからも我々は鋭意これが実現できるように努めてまいりたいと思っております。
  28. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 沖縄本島から台湾まで約一時間、沖縄本島から石垣まで大体四十分ぐらいで行きますよ。そうすると、時間的に言うと、石垣―台湾というのは大体二十分ぐらいで着けるところですから。また、台湾の海はそんなに、沖縄と比較したら余りきれいではないということで、非常に石垣島のこの観光リゾート地を台湾の方々が是非訪れたいというような意向もかなりあるようでございますから、是非そういうビザの制度も含めて、大臣が頑張ってひとつ構想の実現を図っていただきたいと要望をしておきたいと思います。  続きまして、キャプティブ保険ということで、私は前の国会から金融庁、ある意味質問させていただいておるわけでございます。  このキャプティブ保険につきましては、海外にキャプティブ保険会社を設立しまして、国内のリスクの再保険を引き受けている会社を日本の企業が作っておるわけでございまして、この制度が国内で可能となれば、わざわざ海外まで、海外に作ることもない。そして、海外に流出していた資本が国内に蓄積をされて、我が国の企業の競争力が非常に強くなる、あるいは金融経済の再生に大きく寄与するのではないかというふうに思うんですが、これは前から、沖縄県の名護市が金融特区の中でキャプティブ保険会社を設立させてくださいという、そういう制度を作ってくださいという要望をしているんですが、それについてお答えをいただきたいというふうに思っています。
  29. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  キャプティブの設立につきましては、名護市から特区の御提案をいただいておりまして、私も竹中大臣も直接名護の市長さんにお会いをさせていただいて、具体的にその提案の内容についてお伺いをさせていただきました。そして、私どもとしてもできるだけ前向きに対応していきたいという気持ちは持っているんですけれども、やはり御提案には保険契約者の保護という観点から難しい点があろうかというふうに考えております。  具体的には、名護市の提案というのは、特定地域において再保険キャプティブを制度化をして、そしてそこに再保険に出す一般の保険会社について責任準備金の設立免除を認める一方、再保険キャプティブに対する規制、監督を一般の保険会社に対するものよりも緩いものにするというものでございますが、この御提案につきましては、再保険の出再元である一般の保険会社は特定地域にとどまらず保険契約の引受けを行っておりまして、再保険を受けるものが破綻した場合の影響は特定地域にとどまるものではなく、広く国内金融制度一般の問題としてとらえる必要があると、また、監督当局の適切な規制、監督を受けないものに一般の保険会社が再保険を出した場合に責任準備金の積立て免除を認めることは保険契約者の保護の観点からこれは適当ではないと考えられます。  つまり、仮に緩い基準でキャプティブの設立を認め、そのキャプティブが破綻した場合には、そこに出再した元受け保険会社に再保険が支払われないことになり、結果として、この元受け保険会社の財務の健全性の確保に支障が生じることになります。こうした元受け保険会社は特区地域にとどまらず保険契約の引受けを行っておりますので、これが破綻すれば特区地域以外、全国の保険契約者にもその影響が及ぶことになるわけであります。  また、バミューダ、ケイマン等のキャプティブ設立における規制、監督を含め、再保険に関する規制、監督については国際的にも議論が行われておるところでありまして、なお、イギリス、ドイツ、フランスでもキャプティブ制度がないなどのことにも留意をしていく必要があると。  こうしたことから、名護市の御提案については慎重に対応する必要があり、認めることは困難である旨の回答を行っているところでございます。
  30. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 イギリス、ドイツ、どこかにないということじゃなくて、やはり日本で、まず沖縄でやってみましょうというぐらいの気迫で私は副大臣にも取り組んでいただきたいと要望させていただきたいというふうに思います。なければやらないんじゃなくて、作ればいいという形の中でお願いをしたいというふうに思います。  また、名護市は、これパスダック構想の中で、英文による情報開示を提案しておるようでございます。英文開示は名護市が平成十四年八月からずっと提案をし続けているわけでございますけれども、金融庁の回答は二〇〇六年度中に全国的に実施をするという方向でございますが、そのとおりでいいんでしょうか。
  31. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 今先生からお尋ねがございました、名護市から御提案をいただいておりますパスダック構想のうち、英文開示については、金融経済のグローバル化が進む中で、御提案の趣旨は極めて重要だというふうに考えておりますので、本年度中に検討を開始すべく、今月末に開催される金融審議会において審議を開催する予定でございます。
  32. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 名護市が提案をしているわけですから、本当に先駆けといいますか、そういう形の中で、そういう、名護市にそういう英文の情報開示を先駆けでさせてもいいんじゃないかというふうに思うんでありますが、二十六日に金融審議会ということで、その問題も取り上げられることになるんでしょうか。
  33. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 私どもといたしましては、その英文開示については、金融取引が地域を超えて行われるといったボーダーレスな性質を持つことにかんがみますと、英語により情報開示される有価証券が特区外の一般投資家に転売される場合における投資家保護の観点からの検討が必要でございまして、特区内に限定をして先行して実施するための検討を行うよりも、全国的に実施をするための検討を行うことが適切であるというふうに考えているところでございます。  ただし、三月二十六日のこれからの金融審議会においては、審議の参考とするため、提案の主体であります名護市、そして東京証券取引所及び大和総研から英文開示についての意見を聴取をさせていただきたいと予定をしているところでございます。
  34. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 是非いい方向検討していただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。  沖縄県の名護市ばっかり取り上げて申し訳ないんですが、去った二月の十九日に、これ名護市の万国津梁館で金融分野の専門家を集めて沖縄金融専門会議が開催されたようでございます。この中で、日銀の福井総裁が、これはテレビの中継であったようでございますけれども、名護のそういう金融専門家会議に対して、日銀も積極的に支援をするという姿勢を示されておられるわけでございます。日銀総裁が金融特区について言及されるというのを私は初めてお聞きをしたわけでございますけれども、この福井総裁の発言について、これから少し説明をさせていただいて、金融庁の御見解等を聞いていきたいというふうに思います。  まず、福井総裁の発言は大きく分けて二点に分かれているというふうに思います。  第一点は、金融サービス業に沖縄地域特性を生かしていくということでございます。  沖縄は通信ネットワークが発達し、バックオフィスに最適だと。今後一層すそ野の広い発展を促していくためには、いかなる方策が必要なのか。あるいは、東アジア諸国との関係で、沖縄が独自の金融取引基盤を築くにふさわしい領域なのか。あるいは、観光客、長期滞在客に対する適切な金融サービスを提供すべきだ。何らかの形でアジア資本市場発展に寄与する道も見いだし得るのではないかというようなこともおっしゃっておられます。また、沖縄のリーディング産業であります観光産業に、金融サービスとしてはどういうようなアプローチで接していくのかというようなことも言われているようでございまして、その点で沖縄地域特性というものをしっかりとらえてやるべきだということでございます。  二点目は、ちょっと長くなりますんではしょって言わせていただきますが、金融市場、金融イノベーションの進展の中で常に最先端のところで接点を保持していることが重要であると。そのためには、いろんな条件整備が必要でありますけれども、金融教育を着実に充実させていくことが必要だというふうに述べておられるわけでございます。  そして、最後の方で結んでおられるのは、沖縄の金融サービス業の活性化が進めば、沖縄経済にプラスの効果を及ぼすのみならず、日本経済全体にきっといい影響を及ぼすだろうというふうに結んでおられるわけでございますけれども、それについての所感をまずお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  35. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 今先生が御指摘をされましたように、福井日銀総裁が、去る二月十九日に開催された沖縄金融専門会議において、沖縄地域特性を生かしていくと、あるいは金融教育というものを充実させていくと、その重要性を指摘されたということを私どもも承知をいたしております。  政府といたしましては、先ほど金子大臣からもお話がございましたように、地域経済の活性化とその雇用の創造の実現のためには、地域が有する様々な資源や強みを知恵と工夫により有効活用することが重要だというふうに考えており、こうした観点から地域再生の推進に取り組んでいるところでございます。  また、金融教育につきましては、関係の機関がより高度かつ専門的な金融サービスを提供していく必要があることにかんがみまして、金融サービスの利用者の側はもとより、提供する側についてもその人材の育成の重要性が高まっていると認識をいたしているところでございます。  今後とも、こうした取組を着実に進めていく中で、福井総裁からも御指摘がありましたように、沖縄における金融サービス業の活性化が進んでいくことを私どもとしても大いに期待をしているところでございます。
  36. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 金融特区がアジアの、何らかの形で接点を持つべきだというような福井総裁の発言でありますけれども、こういう金融特区がアジアの資本市場に寄与する道があるのか、あるいは方法があるのかどうかについてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  37. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 沖縄の場合には沖縄金融特区というものがございまして、この中で、沖縄の振興特別措置法によりまして、銀行業それから証券業、保険業の金融業及びコールセンター、計算センター、金融関連業務を行うものについて法人税制上の特例処置が設けられているものと私どもとして承知をいたしているところでございます。  私どもとしましては、このような沖縄の金融特区における税制上の特例処置、これを有効に活用しながら、東アジア諸国と地理的に大変近い関係にあるわけでありますので、その地域特性というものを生かして沖縄における金融業の更なる発展が図られるものと期待をいたしているところでございます。
  38. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 名護市が金融特区を国から指定していただいて、いろんな条件を出しながらこの特区を何とか生かそうということで、活性化を図ろうということで頑張っておるところでございますので、是非、いろんな構想の実現に向けて金融庁、あるいは御協力をお願いを申し上げたいというふうに思うのであります。  福井総裁が金融教育をやるべきだというような御提言もございましたので、それについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  先般、東京大学に金融工学の専門学部が新設されるというような報道がございました。福井総裁の発言じゃございませんけれども、私は金融教育の充実を図れるんじゃないのかなというふうに思います。と同時に、名護市の名護商業高等学校に新設されたファイナンス科という、これも新しい科でございます。そういうこともその金融教育の中でしっかりと相提携をしてとらえていく必要があるんではないのかなというふうに思います。  と同時に、副大臣よくお分かりのとおり、今度沖縄に世界最高水準の大学院大学というものが設立されることになっておるんですが、そういう中でも、金融の従事者というか、そういう者に対する、金融に対する教育を行ってはどうかというような提言等もあるんですが、それについてお答えをいただきたいというふうに思います。
  39. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 私どもといたしましても金融教育というものが大変重要だというふうに考えておりまして、そうした観点から、金融庁では金融教育や金融知識の普及について積極的に取り組んでいるところでございます。  具体的には、ホームページにおいて金融サービス利用者コーナーを設けて各種情報提供を行うとともに、文部科学省に対して学校における金融教育の一層の促進を要請し、また中学生及び高校生を主な対象とした副教材の作成、教育関係者などを対象とした金融経済教育を考えるシンポジウムの開催などを行ってきているところでございます。  また、先般取りまとめられました地域再生推進のためのプログラムにおいては、地域資本市場育成のための投資家教育を実施をする地方公共団体との連携を支援処置として盛り込んだところでございまして、地域再生計画の認定を受けた地方公共団体に対してヒアリングを行った上で、必要と思われる具体策、例えば副教材の提供でありますとか、あるいは講師の派遣でありますとか、そうしたことを決定することといたしたところでございます。  金融庁といたしましては、引き続き金融関係団体や地方公共団体などとの連携を図りながら、金融教育の一層の充実そして推進のために積極的に活動を行っていきたいと考えているところでございます。
  40. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 これで、名護市の金融特区についていろいろお伺いをさせていただきました。  名護市には、国からの税制上の特典等をいただいた特区ということで、これは構造改革特区とはちょっと違うんですが、そういうことで、この金融特区の税制上の優遇措置を受けるために雇用が二十人以上でなければならないこと、あるいは所得控除額の上限が直接人件費の二〇%に限定されているということで、なかなか金融企業がこの金融特区に進出していただけないというようなこともあります。  これ、せんだっての専門家会議でも、この条件をもう少し緩和したらどうだと。その二十人という枠で採用することにかなり強い抵抗があるようでございまして、ここを十人なり五人なりということで緩和したらどうだというような専門家会議提案もあったようでございます。そうすることによって、名護市がせっかく特区を認定していただいて金融特区を作っているわけでございますから、そこに企業が来ないと全く絵にかいたもちに終わってしまうというような危惧もございます。  そういう点で、これは内閣府になるんでしょうか財務省になるんでしょうか、そういう今申し上げたその条件を緩和する意思がおありになるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  41. 武田宗高

    政府参考人(武田宗高君) お答え申し上げます。  委員御案内のとおり、沖縄におきましては県民一人当たりの所得水準が低いことに加えまして、やはり高い失業率というのが大変大きな問題でございます。そういう意味で、産業の振興であるとかあるいは雇用の創出といった政府の取組、非常に重要であるということで私ども努力をいたしておるところでございます。  そういう中で、金融業務特別地区制度、いわゆる金融特区でございますが、これにつきましては、地元名護市の方から、地元の雇用、特に若い方の雇用状況が良くないということもございまして、その創設につきまして非常に強い要請がございました。これを踏まえまして、金融業等の企業誘致によります北部地域の振興と雇用創出ということを目的といたしまして、沖縄振興特別措置法において初めて設けられた制度でございます。  この制度におきます税制の優遇措置でございますが、やはり所得控除制度を設けておりますけれども、これは金融業という特性がございます。ペーパーカンパニーになりやすいとか、雇用になかなか貢献してくれない、あるいは租税回避に使われるといった、そういった悪用等を防いでどうやって実体のある産業活動によって沖縄経済の最大の課題である雇用の創出を実現するのかというところを目指しまして、正直言いましてぎりぎりのところで認められたということでございます。  この二十名の件につきましては、税制上の非常に大きな特典を与えるということで、やはり沖縄経済の最大の課題である雇用への貢献を求めるという趣旨から、特別自由貿易地域あるいは情報特区等と同様の条件として二十人という枠を設けておりまして、これを目標に事業活動を計画するとか、あるいはいったん進出して近い将来そのレベルまで是非上げようということで、企業、進出企業の励みになっているという意味沖縄経済に貢献しておるのであろうというふうに思っております。  このように全国的にも非常に例のない特別の制度でございますので、こういった税制上の優遇措置を活用して、是非まじめな、沖縄あるいは北部の振興、あるいは雇用に本当の意味で貢献してくれるような金融業の集積を促進していくということが金融特区の成功に向けて重要ではないかというふうに考えておるところでございます。
  42. 石井道遠

    政府参考人(石井道遠君) 今、税制上の二〇%のキャッピングの点について御質問がありましたので、その点だけちょっとお答えさせていただきます。  先生今御指摘ございましたとおり、この金融特区におきましては、基本的に所得控除、三五%の所得控除をこの金融業を営む企業に認めるという極めて大胆な措置を取ったわけでございますが、その三五%の所得控除を行うに当たって、その当該企業の人件費の二〇%を上限とするという上限が決まっております。この点、どう考えていくのかというのが御質問の御趣旨だろうと存じます。  もうこれ御承知のとおりでございますが、この上限を設けました趣旨でございますけれども、そもそも、今内閣府の方からもお答えございましたが、この制度の目的が雇用の促進という点も念頭に置いた仕組みになっておりますことから、平均的な金融業を営む企業の姿よりも、この金融特区において行われる企業の雇用者数が少ないというようなことによって、人件費に対する所得の割合が非常に大きい、逆に言いますと、所得に対する人件費の割合が極めてちっちゃいような企業についてまでこの三五%という異例の措置を認めることは、雇用促進の観点からは適切ではないんではないかという創設時の御議論がございまして、そのような上限を設けているということでございます。  また、租税回避という観点からも、実体のない、雇用者のいない企業が金融取引を、例えば本土で行っているものを付け替えたり、見掛け上の取引を沖縄で行うようなことで租税回避につながるというようなことを防止する観点からも、ある程度、雇用者数あるいは人件費が相当程度支出されておるということを条件にすることが適切であろうという御判断の下で創設をした経緯がございますものですから、何とぞ御理解をいただければというふうに考えています。
  43. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 せんだってお亡くなりになられました山中先生が、もう本当にツルの一声で最後で決断をしていただいてこの二十人、二〇%という枠が決まったというふうにも私は理解をいたしております。  しかし、これは二十人という、特に人数だけでも規制の緩和をしていただければ、一社も出てこないというような状況よりは、少し緩めてみて、どうなんだろうと。名護に、金融特区に一社、二社、三社来るんじゃないかというような、人数だけでも撤廃をしていただければ私はかなりの企業がまた名護に進出してくるんではないかというふうに思うんですが、武田統括官、もう一回再答弁をお願いします。
  44. 武田宗高

    政府参考人(武田宗高君) もうこれは先生御案内のとおり、創設のときに様々な議論がなされる中で、ぎりぎりの選択として創設をされたものでございます。その趣旨等につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、こういった制度についていろんな引き続き議論をしながら状況を見守っていくということは大変重要なことであろうと思います。  ただ、現時点で、私ども、これが足かせとなって進出を取りやめたとか、そういった例は特に耳にしておる例はございませんけれども、そういった意味で、今後とも、雇用に貢献をしながら、しかも企業として金融特区に進出をどうやって確保していくかという、そういった制度論も含めて、更によく注視し、議論してまいりたいというふうに考えております。
  45. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 終わります。
  46. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  私は、今大問題になっています警察の捜査報償費、また国費であります捜査費の問題について質問をいたします。  本来はこういう問題を警察庁長官にお聞きをしたかったのでございますけれども、残念ながらお越しにならないということで、甚だ遺憾であるということを一言申し上げておきたいと思います。  それで、北海道道警本部長は裏金作りを一部ですが認める記者会見を行いました。こうした裏金作りは、北海道だけではなく、静岡県警、福岡県警もその疑惑問題が噴出をしてきております。第一線で頑張る警察官がいる一方で、幹部が不正にまみれる、全く異常な事態だと思うわけです。正に、もはや北海道だけでの問題ではない。  この点でのまず国家公安委員長である小野大臣の御認識をお伺いいたします。
  47. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 井上議員にお答えをさせていただきます。失礼いたしました、小林委員に、大変失礼いたしました、小林委員にお答えをさせていただきます。  北海道旭川中央警察署におきます平成七年五月分及び平成九年九月分の捜査費、捜査報償費約五十万円に関しまして不適正な予算執行が見られ、また静岡警察におきましては、総務課平成七年度の県費旅費をめぐりまして九百四十万円のいわゆる空出張事案が判明いたしましたことは誠に遺憾でございます。また、元福岡警察本部銃器対策課員が匿名で、本人が在職しておりました平成七年から十一年までの間に裏金を使っていたとする内容の記者会見を行ったところでございます。関係道県警察におきましては、それぞれの公安委員の方から指示を受けまして全容解明のための鋭意調査実施いたしているところでもございます。  国家公安委員会といたしましては、既に警察庁に対しまして、これらの事案を早期に解明をいたしまして国民信頼を確保するように指示をいたしているところでございます。  警察におきましては、これまでも捜査費を現場で捜査員が使いやすいように様々な制度的改革を行ってきているところでもありますけれども、さらに国家公安委員会といたしましては、予算執行の一層の適正化方策につきまして検討を進めるよう警察庁を指導、督励してまいる所存でございます。
  48. 小林美恵子

    小林美恵子君 今御答弁ございましたけれども、本当に北海道だけでの問題ではない、全国的な問題になっているわけですから、そのことをしっかりと御認識いただきたいというふうに思うわけでございます。  それで、この北海道警察報償費だけでなく、静岡県警の旅費についても、また国費のある捜査費でも裏金作りがやっぱり指摘をされてきています。こうした点について、先ほども御答弁は言ってございましたけれども、調査検討を行っているのか。衆議院予算委員会では今年度じゅうには結論を出すというふうな答弁をされておられますけれども、実際、もう間もなく年度末でございますけれども、いつお出しになるのか、このことをお伺いしたいと思います。
  49. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 北海道警察事案につきましては、三月十二日、北海道公安委員会から、警察法第四十三条の二に基づきまして、近年の予算執行について特別調査を行いますとともに、この種事案の絶無を期すために、会計経理の手続あるいは会計監査等の諸事項につきまして監察を行いまして、特別調査の結果とともに改善方策につきまして報告をするように監察指示が出されたところでございます。  北海道警察におきましては、捜査用報償費等について新たに専従体制を取りまして、新年度から逐次計画的に全道の調査実施することになっていると聞いております。  北海道警察及び静岡警察におきましては、それぞれの公安委員会指示を受けまして、可能な限り早急に全容を解明していく調査を進めておりまして、既に途中の経過につきましては公表をいたしているところでもございます。  国家公安委員会といたしましても、早急に事案を解明をさせていただくよう今後とも警察庁を指導、督励していきますとともに、必要な施策について幅広く議論、検討いたしまして有効な施策を打ち出し、国民信頼回復に努めてまいりたいと、そのように考えております。
  50. 小林美恵子

    小林美恵子君 今この問題では国民の皆さんの疑惑が大きく高まっています。衆議院予算委員会でも今年度じゅうには結果を出すというふうにおっしゃっていたわけですから、早急に調査結果を出すべきだということを強く申し上げたいというふうに思います。  それで、私は次の質問に移りますけれども、この文書は三月十一日付けの警察庁長官官房長によります捜査執行における領収書の徴取の在り方の通達文書でございます。これにもかかわりまして、偽名領収書について質問をいたします。  北海道警旭川中央署の内部文書では、捜査協力者とされていた三十六人の方々に対して合計四十九万九千円を支払っていたことになっていましたけれども、北海道監査委員による監査結果では、回答を寄せた十一名全員が受領していないということが判明をしました。つまり、勝手に名前を使われたと怒りの声が上がり、その中のお一人が損害賠償の訴えを起こして、これはもう新聞やテレビでも報道をされておりますから周知のことだと思います。  ここで、私は大臣にお伺いしたいと思います。  全く無関係の市民の名前を警察が勝手に使うということは、それ自体不当そのものではないでしょうか。このことをどう思われますか。
  51. 小野清子

    国務大臣小野清子君) これまでも捜査協力者の方からは本人名義による領収書を徴取することを原則といたしておりましたが、捜査協力者警察協力したことが分かることによりまして自己に危険が及ぶことを恐れるなどの事情から、本人以外の名義によります領収書を作成し提出をしたときには、やむを得ずこれを受領していたものでございます。  しかしながら、捜査協力者から本人以外の名義による領収書を徴取することについては、先生今おっしゃいましたように様々な議論がありますことから、捜査費執行の一層の適正化を推進するために、平成十六年度からは捜査協力者から領収書を徴取する場合には本人名義以外のものはこれを徴取しないと。本人以外の名義による領収書については、これ以外のものは徴取せず、別途捜査費の支払事実を証明するための書類を作成するなどの措置を取ることとするように通達を出しまして、捜査員その他の関係者に対し周知徹底を図ることとしたところでございます。
  52. 小林美恵子

    小林美恵子君 大臣今御答弁なさいましたけれども、偽名領収書を使わないということは当然のことだと思うんですよね。そういうことを今通達出すということは正に本当に遅れているというふうに思うわけです。  それで、そういう勝手に名前を使われ、偽名領収書を作られたということでどれだけ一国民の方が苦痛にあえいでいたか、このことを私は御紹介をしたいと思うんですね。  私は、先月初め、北海道旭川に行ってまいりまして、勝手に名前を使われた被害者の男性にお会いをしてお話をお聞きしてまいりました。その男性は、昨年十一月、警察の内部文書である領収書のコピーを見せられた瞬間、これは自分の筆跡じゃない、すぐに感じたというんですね。自分は受け取ってもいないのに警察の内部文書では一万円ももらったことになっているとは、警察はほかにも勝手に名前を使っているんではないか、自分の知らないところで犯罪を作られ、その協力者にされるなんて、とつとつと訴えられておられました。そして、提訴に踏み切ったお気持ちとして、北海道警が支払精算書出所不明として言い逃れを続ける以上、真相解明を裁判にゆだね、裏金作りを認めてもらうしかない、そのためには関係者が声を上げなければと、御家族の猛反対もあったんですけれども、勇気を出したんだというふうにおっしゃっていたんですよね。  私は、ここであえて大臣にお伺いしたいと思います。  国民を守るべき警察が、一国民にこんな苦痛を与えてまで、そうまでして裏金を作ってきたということではないでしょうか。どうでしょうか。
  53. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 御指摘の件に関しましては、旭川中央警察署平成九年の九月分の支出関係書類の写しとされる資料におきまして領収書に氏名を使用されたとする人物から、氏名権を侵害されたとして北海道を相手に七十万円の損害賠償を求める訴えが提起されているものと承知をいたしております。  お尋ねの訴訟の当事者は北海道警察でございまして、個別の民事訴訟については国家公安委員長といたしましては個別にコメントする立場にはないと考えておりますが、北海道警察におきましても訴訟を通じまして自らの立場を主張してまいるものと認識をさせていただいているところでございます。
  54. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、警察をやっぱり何といいますか監督するといいますか、そういうお立場にある大臣がそういう御答弁では責任を果たしているというふうにはないのではないかというふうに御指摘をしたいと思います。  やっぱり、こういう御家族の反対もありながら裏金作りは認められないと勇気を出して提訴した男性のこの勇気にこたえて、国家公安委員長としてもしっかりと調査に踏み出すべきだということを強く申し上げたいというふうに思うわけです。  次に、国費であります捜査費について質問をいたします。  お手元に資料をお配りしておりますけれども、この資料は北海道警弟子屈署に勤務をされていた斎藤邦雄さんが記者会見を行ったときの会見メモでございます。  四枚目をめくっていただきますと、「私の主張」と題したメモがございます。このメモには、少しどういうことを書いてあるかと御紹介を申し上げますと、旭川方面本部地域課次席と弟子屈署次長のときに裏金作りに関与したことがありますと書かれています。さらに、定年まで七年間ありましたが、五十三歳で退職しました、今問題になっている裏金作りに嫌気が差し、おまえはばかか、何のためにこんなことをしているんだ、自問自答し、悩み続けた末の結論でしたと。この方も家族は退職なさることに猛反対でした。しかし、家族には退職後の仕事が失敗して収入が半減しても三分の一になっても自分の生き方に正直でありたいと説得して、静かに道警を去りました。悪魔の呪縛から解放された、そう告白をされています。  大臣に改めてお伺いします。  この方のこの告白の痛切な気持ちがお分かりになるでしょうか。
  55. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 元北海道弟子屈警察署次長が、在任中の平成十二年四月から平成十三年三月までの間、道費であります捜査用報償費を不正に現金化し、同署内における運営費あるいは交際費名目によりまして支出をしており、本来の支出であるべき情報提供者謝礼には支出されていないなどと主張しているものと承知をいたしております。  北海道警察では、元次長の主張内容につきましては、事案の解明のために所要の体制で、現存する会計書類の精査のほか、関係者からの聞き取りを行うなどの調査を進めているところと承知をいたしておりますけれども、事案の解明のためには、元次長の主張内容の具体的な事実関係や根拠につきまして、直接お話を伺うことが重要であると考えております。  御案内のとおり、直接お話を聞くことが現在できておりません。元次長にあっては捜査や調査の手法につきまして十分御存じであるはずですから、北海道警察における早期の事案解明のために、北海道警察の聞き取り調査に応じていただきたいと、そのように考えております。
  56. 小林美恵子

    小林美恵子君 北海道警察の聞き取り調査に応じてもらいたいと、そういうふうに大臣はおっしゃいましたけれども、自責の念に駆られて勇気を出して告発した方に対してそういうお言葉は、私は余りにも無責任な御答弁だというふうに思います。腐敗にまみれているところにどうして行くことができるでしょうか。そこをしっかりとただすのが国家公安委員長のお役目ではないでしょうか。そのことを私は申し上げたいというふうに思います。  それで、配付しました資料を更にちょっと説明させていただきますと、その資料の一枚目から三枚目をごらんください。これは斎藤さん御自身が二〇〇〇年四月から二〇〇一年三月までの間作成した、御本人もおっしゃっていましたけれども、裏金メモの一部となっております。この黒く塗ってある部分は、報道によりますと斎藤さんがプライバシーの保護にかかわりますのでということで御自身が塗られたということでございますが、この文書を警察庁は御存じでしょうか。
  57. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 今日配付をされました文書につきましては既に警察庁でも入手をしておりまして、斎藤さん御本人と弁護士の市川さんという方が北海道監査委員に措置請求をされておりまして、そこに添付をされておりましたので、この内容については承知をしております。
  58. 小林美恵子

    小林美恵子君 それで、御存じだということでございますけれども、この資料の入金の欄を見ていただきたいと思うんですけれども、毎月の初めに、地方費である報償費とともに、国費である捜査費の科目も記載をされています。出金欄でございますけれども、二枚目、三枚目等にございますが、慰労会とか会議、懇親会、せんべつなどが記載されています。斎藤さんの会見メモには、裏金は自分を含め幹部の交際費にしていましたと掲載をされています。  つまりこれは、地方報償費も、国費である捜査費も裏金にしているということではないでしょうか。この点、お伺いします。
  59. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 配付、今日配付の「ウラ金メモ」と称するものでございますが、これにつきましては、斎藤元次長本人が私の手控えメモとして作成したというふうに述べておられるわけでありまして、先ほど大臣御答弁ありましたように、現在北海道警では弟子屈の案件につきまして事実調査を鋭意やっておるところでもございますし、また、先ほど申し上げましたように、道の監査委員監査も行われておりまして、今週の月曜日、火曜日と関係者への事情聴取もなされておるところでございます。  したがいまして、道警としましても、あるいは警察庁としましても、この案件につきまして事実関係がどのようなものであったのかということは早く知りたいと考えておるところでございますが、当時の署長なりあるいは当時の弟子屈署の署員なりからは順次北海道警において事情聴取を進められているわけでございますけれども、なかなか、ここに書いてありますメモの入り、出、それから一部黒塗りの部分もございますので、本人に、斎藤氏御本人にこの内容を確認いたしませんとなかなかこの内容について客観的な事実確認ができづらいということもございます。  そうではありますが、御本人から事情聴取を、事情聴取に応じていただければ一番いいわけでありますけれども、そう最終的にならない場合にあっても、最大限、道警として、どのようなことであったのかということを早急に事実関係を確定をすべく、今調査を進めているところと承知をしております。
  60. 小林美恵子

    小林美恵子君 斎藤さんからお聞きにならないとと再三おっしゃっておられますけれども、これ私は本当に責任転嫁だと申し上げたいと思います。国費である捜査費でございますから、やっぱり国家公安委員会、また警察庁が、自らがしっかりと、自らが調査に乗り出すべきだということを申し上げたいというふうに思います。  それで、私は、やっぱりこれは大事な国民の税金ですから、これがやっぱり裏金に使われているという疑いはまさしく濃厚になってきているというふうに思います。この点で、真相の解明は本当に急務だというふうに思うわけです。  それで、我が党は、今理事会でも参考人招致を要求していると思いますが、改めて本委員会で次の四名の参考人の招致を要求したいと思います。  芦刈勝治道警本部長、そして原田宏二元釧路方面本部長、斎藤邦雄元弟子屈署次長、水田竜二静岡県警本部長、以上の件を委員長にお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
  61. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 四名の参考人招致要求については、後刻、理事会で検討させていただきたいと思います。
  62. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  まあ世の中物騒になってきたなというようなことが実感をするところでございますが、まず最初に、国内テロ対策ということについて官房長官にお聞きをしたいと思います。  今、今日の新聞、あるいは昨日の新聞、イスラエルのヤシン師殺害ということが出ておりますが、意図的な殺人なのかテロなのかということもあろうかと思いますが、またその前はマドリッドでの列車のテロがございました。ああいう状況を見ており、またいろんな情報によれば、日本もねらわれているというふうな状況にあるわけでございますが、世界一安全な国であったということで日本は誇りになっていたわけでございますが、治安もまたテロ対策も本当にしっかり充実をさせていかなきゃいけないと思いますが、まずは我が国が現在の状況で実施しているこのテロ対策といいますか、この辺についての取組の状況、また今後の決意等含めて、官房長官にお答えをいただきたいと思います。
  63. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 確かに御指摘のとおり、何か世界じゅう物情騒然といったような、そういうような感じもないわけではありませんけれども、そういう中でもって、我が国、治安については十分な配慮をしていかなければいけないと思っております。  テロ対策ということでありますれば、これまでも官邸主導の下に関係省庁で日々密接な連携を取っております。そして、情報収集、分析の強化、これがまず一番大事なことだと思いますので、これを十分にするということ、それから出入国管理、ハイジャック対策、重要施設の警戒警備等々の各種のテロ対策を強化徹底してまいっておるところでございます。  官邸主導の下にというふうに申し上げましたのは、情報収集につきましては、官邸に情報集約センターというのがございまして、御案内のとおりでございますけれども、そこに関係省庁、それから消防、警察、自治体、マスコミ、すべてそこに情報は集約されるということで、その情報の内容により、必要なところに直ちに連絡を行うというような、そういう体制になっておるところでございます。  また、最近は、スペインにおける交通機関におけるテロということが起こりまして、このことについても、今までも十分やってきたつもりでございますけれども、更にこのこういう情勢を踏まえて強化をするという、そういう対応をいたしております。国土交通省、警察それから鉄道事業者に対しまして必要な指導、助言等を行うとともに、警察官が駅構内等のパトロール等を実施するということをして警戒を徹底いたしておるところでございます。  さらに、鉄道事業者に対しましては、自主警備の更なる徹底と、こういうことをお願いをしますとともに、警察においても、鉄道事業者と連携して、新幹線始めとする鉄道駅、列車内、トンネル、橋梁等の沿線重要施設の警戒の強化を図るということで、引き続き官邸主導の下にテロ対策の一層の徹底を行ってまいっておるところでございます。
  64. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 確かに徹底されているな、電車の中の車掌さんの言葉遣いも随分変わってきたといいますかね、ですから、乗っておられる方含めて、国民に一般的にも緊張感が増してきたんじゃないかなというふうに思っているところでございますが、いつ何どきあるか分かりません。更に緊張して私たちも取り組んでいきたいと思っております。  さて、ここ数年、治安ということに関しますと、刑法犯、もう本当に年々ですね、その認知件数だけを見てももう三百万件というような、そこに達しようとしている状況でございます。中でも街頭の犯罪でありますとか、あるいは侵入盗ですか、急激に増加してきておりまして、いつ自らが被害者になるかもしれないという、そういう不安が蔓延しているのかな、しかもこの犯罪の質がかなり凶悪といいますか、今までとはちょっと質的に変わってきたなというようなことをみんな感じているんではないかと思っております。また、それに対して検挙率が悪いと、下がってきているというような状況にございます。警察官も諸外国に比べて、人口、警察官一人当たりの負担人口というのが日本が飛び抜けてといいますか、多いようでございまして、少ないお巡りさんの中で、警察官の中で防犯体制を確立しようとしてもなかなか難しいんではないか。  政治課題として、この世界一安全な町づくり、また私ども公明党においても空き交番ゼロ作戦というようなことを言わせていただいているわけでございますが、この辺りの現状に対する認識につきまして国家公安委員長の御認識をお聞きしたいと思います。
  65. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 平成十五年の刑法犯認知件数というのは、今先生からもお話がございましたけれども二百七十九万人、その前年度は二百八十四万人と大変多いところから……(発言する者あり)検挙件数ですね、幾分その数は少なくなりましたけれども、しかし、二百七十九万という件数というのは決して少ない数ではございません。街頭犯罪、侵入犯罪等、総力を挙げて総合対策に取り組んだり、あるいは前年度比を、比較いたしますと六万四千件、二・二%減少となっておりますけれども、今先生おっしゃいましたように、強盗を始めとする凶悪犯罪が増加をいたしましたり住宅対象の侵入盗が増加をしたり、それから来日外国人の方々が暴力団などと組織犯罪ということの、何というんでしょうか、新しい形の犯罪が増加をしておりまして、依然として厳しい状況が続いておるわけでございます。  昨年の十二月に犯罪対策閣僚会議が策定されました行動計画がございます。それに基づきまして各関係省庁や地域住民と連携を図りながら各種犯罪対策を推進することといたしておりまして、国家公安委員会といたしましても、そうした取組が的確に推進されますように引き続きまして警察当局を督励してまいりたいと、そのように考えております。
  66. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 官房長官、御退席いただいて結構です。  それで、今の認識の下で、全国的に今犯罪が増えているわけでありますが、その一環として、今、先ほど私ども御紹介をさせていただきました空き交番ゼロ作戦という言い方をしているわけでございますが、何も全国どこまでもこの空き交番を全部なしにしろという、そういうようなことを言っているんではなくして、治安対策をしっかりやってもらいたい、こういうような趣旨で象徴的に交番という言い方をさせていただいているものであります。要するに、地域の実情に応じた治安対策というものをしっかりやるべきではないかと。  犯罪ということであれば、私たち、すぐ犯罪映画なんというとニューヨークみたいなことを思い出すわけでありますが、ジュリアーニ市長になったときに思い切った権限移譲といいますか、そんなこともやりました。犯罪状況に応じて警察官の配置を変えたり、あるいは行政との交渉事についても地元署長に任せたり、そういう権限移譲みたいな部分もあったと思いますけれども、そういうような、全国一律といっても限度がもちろんあると思いますが、地域の実情に合ったきめ細やかな対策を進めていくべきではないかと思いますけれども、警察庁としてはどのような工夫をされておられるのか、お知らせをいただきたい。
  67. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 交番は地域住民の安全と安心のよりどころとなっておりますが、近年、事件、事故等が急増しまして交番勤務員がその対応に追われていること、あるいは悪化する治安情勢に対応して交番勤務員によるパトロールを強化していること、また夜間における警戒力強化等のために交番を増設してきたことなどによりまして交番勤務員が不在になることが多くなっておりまして、いわゆる空き交番の問題が生じております。  警察におきましては、こうした空き交番を解消するために、平成十三年度以降措置されました地方警察官の増員分のうち相当数を交番機能の強化要員等に充てることとしておりますけれども、今お話がありましたように、各地域の実情に合った対策についてはどうかということでございますけれども、現在、各都道府県におきまして空き交番を解消するための具体的な計画を策定しているところであります。そのためには、地域治安情勢に応じた適正合理的な計画を策定するために、交番の個々の状況をよく見まして、管内の人口であるとか面積、あるいは事件、事故の発生状況等を十分に勘案して、各都道府県警察の実情に応じた交番勤務員の増配置あるいは交番の配置見直しなどを行うこととしております。  また、各都道府県警察が空き交番対策を進めるに当たりましては地域住民の身近な不安の解消という観点が必要でございまして、地域住民に対しまして、現在の交番の配置人員及び運用形態、あるいは交番勤務員が不在になっている状況、その他交番の活動状況、また交番を補完するものとしましてパトロールカーの保管状況や運用状況などについて理解を求めた上で、その意見、要望を踏まえるように指導しているところでございます。
  68. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いろいろな取組の中で効果ある防犯設備も考えていかなきゃいけないと思いますが、その中で、いわゆるスーパー防犯灯というんですか、ふだんは街灯ですがボタンを押せばつながるといいますか、テレビで、監視カメラが映像を映して警察に送るというシステムでございますけれども、これも効果を上げているというふうにも聞いておりますが、このスーパー防犯灯の設置状況と、また今後の普及に対する取組についてお伺いをいたします。
  69. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 今御指摘ございましたスーパー防犯灯につきましては、路上等におきます犯罪の抑制及び犯罪に対する不安感の解消に大きな効果があると我々も認識しているところでございます。  その整備につきましては、平成十三年度、十四年度におきましてモデル事業としまして整備を進めてきたところでございまして、また、今年度であります平成十五年度からは補助事業としてこれまでに合計二十三地区で二百九十四基を整備してきたところでございます。また、平成十六年度も引き続き整備を進めていきたいと考えているところでございます。このほか、都道府県におきます単独事業としましてもこれまでに八地区百十一基が整備されていると承知しているところでございます。  今後とも、スーパー防犯灯のそうした効果等を十分に踏まえながら整備を推進し、犯罪のない安全で安心な町づくりのために努めてまいりたいと考えているところでございます。
  70. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先ほども住民の方のお話が出て、交番の関係で出てまいりましたけれども、この間、何かテレビでも我が町の防犯対策みたいな、やっていたというふうに思っておりますが、何といっても一番大事なのは、自分たちの町は自分たちで守るというそういう住民意識が、意識向上というのが大事だなというふうに思いますし、また警察との連携しながら、警察ぐるみで、地域ぐるみで防犯体制を確立していくということが一番大事ではないかと思っております。  こうした住民の自主的な活動への支援ということについて警察としてどういうふうに取り組んでおられるのか。自治体との連携も重要かと思いますけれども、この辺につきまして今の状況をお話しください。
  71. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 犯罪の発生を抑止し、地域の安全を守るためには、警察の活動のみならず、地域住民や自治体等との連携した取組が重要であると考えております。最近、国民の自主的な防犯意識の高まりとともに、既存のボランティア団体を始め、地域での防犯のための組織が結成されたり、あるいは町内会や自治会で防犯パトロールを行うなどの取組が広がっているというふうに認識しております。  こうした地域住民の自主的な活動に対する支援といたしましては、警察としまして、県によりまして少し内容は異なっておりますけれども、犯罪の発生状況等の地域安全情報の提供でありますとか、警察官によるこうした地域住民との共同パトロール、さらには警察費によりますこうした地域住民の活動に対する支援という形で腕章であるとか活動用ジャンパー等につきまして支給をしていくというようなことの支援を行っているところであります。  また、警察のみならず、各自治体におきましても、地域住民の活動に対しまして帽子とか懐中電灯などを支給したり、あるいは警備業者へ防犯パトロールを市町村の方で委託をするというようなことが支援として行われているというふうに聞いております。  このほか、平成十六年度の地方財政計画におきまして、地域住民やボランティア団体が行う防犯パトロールや啓発活動について支援していこうということ、あるいは防犯教室とか防犯講座といったものを充実しまして地域住民の防犯意識の高揚をしていこうということに必要な経費でございますけれども、計上したところでございます。  今後とも、地域住民の自主的な防犯への取組というものが一層推進されますように、自治体等とも連携をして積極的にこうした活動を支援してまいりたいと考えておるところでございます。
  72. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先ほどありました空き交番ゼロ作戦ということも含めて、また今後の職員が退職されることも含めて、おおむね三年をめどに一万人の増員がなされるというふうに伺っております。平成十六年度の増員でいえば、全体では三千百五十名ですか、千葉県では二百四十名とか、神奈川もそうでございますが、長野県では八十名とか、そういうような、全県に散らばれば本当に増えたのかなというなかなか実感し難いような人数でございますけれども、とても一万人増員やったとしてもすべての交番に増えたなという実感にはならないだろうとは思います。  交番相談員とかまたOBの協力をしてもらうようなことも考えていく必要があると思いますが、三年たつと、具体的にはじゃ交番のイメージというのはどういうふうになるのか。要するに、地域と、防犯体制の中でもう拠点となって、いつも行けばいますよとか、そういうふうな状況になるのか。その辺のイメージといいますか、ちょっと教えていただきたいと思いますが。
  73. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 三年後の交番のイメージということでございますけれども、現在増員がなされました警察官を交番等に配置するというようなことにつきましては逐次進めているところでございますけれども、こうした警察官の増員だけですべてが賄い切れるとも限らないわけでございます。  そうした意味で、今お話がございました退職警察官などを活用しました交番相談員の増員といったものも考えておりまして、交番相談員と申しますのは、いわゆる交番にいましていろんな町の人が来られたときにいろんな町の人の相談でありますとかいろんな要望に応じたり、取次ぎをしたりする仕事でございますけれども、そうしたものの増員もやっていきたいというふうに考えております。  また、もう一つは、警察官がパトロールでいない、あるいは事件、事故で外出してしまっているというようなときに交番に地域の人が訪れた場合に、警察署と直接顔と顔を見合わせながら会話ができるといいましょうか、連絡ができるテレビ電話システムの交番への導入というものも図っていきたいというふうに考えております。  そうしますと、おおむね三年後の交番の姿といたしましては、原則として交番というのは多くの県で三交代で勤務しているわけであります。そうしますと、一つの交番に六人の勤務員が配置されますと、毎日二人ずつが勤務することになるわけでありますけれども、一人がパトロールに出ておれば一人は在所できるというような形にしていきたいというふうには思っておりますけれども、もちろん、事件、事故等も発生して不在になることもあると。そういったときに、先ほど申し上げました交番相談員が対応するとか、あるいは交番相談員がいないような時間帯もございますので、そうしたときにはテレビ電話等によりまして、交番を訪れた方が警察署の署員と直接顔を見合わせながらといいますか、テレビになりますけれども、会話ができるというような形で、警察官が不在の場合でもそうした意味で交番に来た人に対して適切に対応できるような姿ができるんではないかと期待しているところでございます。
  74. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 増員といいますと、新しい方が入るのかなと。そうすると、本当に警察官としての自覚とか、そういう教育体制というのが一番大事になってくるのかなというふうに思うところでございますが。  ただ、昨今、先ほどの捜査費の話ございましたけれども、そういう以外のいわゆる新聞だねが多いなと。何か風俗店の摘発情報を漏らすとか、あるいは現金を盗んでみたり、調書を偽造してみたり、痴漢で逮捕なんというのがありましたね。あるいは、女の子をさらったみたいな、連れ去ったというような。ちょっと、えっというような社会的、社会人としての訓練はどうなのかなというような、新人の教育というのみでなく、ベテランの教育もしなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うところでございますが、警察庁警察改革というのに取り組んでいると思いますが、警察官教育に係る改革は一体どういうふうになっているのか、教えていただきたいと思います。
  75. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 今御指摘のとおり、組織を挙げて警察改革、そして治安維持に当たっております中で、不祥事案、被疑事案が起きているということは誠に遺憾でありまして、個別の事案ごとに原因分析をして、今後の対策に是非生かしていきたいと思っております。  片や、増員を来年度もお願いをしているところではございますが、ここ数年で見ますと、毎年一万人を超す人員を採用して教育をしておるわけであります。警察官として新たに採用された者に対しましては、まずは社会人としての良識がまず何よりもスタートでございますので、その社会人として、社会人としての良識を養わせるとともに、警察官としての職責あるいは使命感を自覚をさせると。また、警察学校を出ますと、まずは交番、地域警察官に就くケースが多いわけでありますので、その地域警察官として必要な実務能力あるいは体力を養うための教育訓練を行っているところでございます。  従前は大学卒業者で十五か月、これ以外の者で二十一か月ということで、期間は従前と変わっていないわけでありますが、警察改革を行いまして、この中のカリキュラムの編成を多少変えまして、警察官の職務倫理教養を、これは実地に即して実例で教え込まないとなかなか身に付くものではございませんので、そういうものを目的的にやっていこうということで、倫理教育にも指向をしているところでございます。  ちなみに、十五か月、大卒で入りますとまず初任科で六か月、それから職場実習と称しまして、六か月の初任科を終わりますと警察署の交番等で実務見習といいますか職場実習を七か月やっております。その後、初任総合科と称する課程に二か月、警察学校に入って、それが卒業して一人前ということになります。これが大学卒業者以外、高卒の方等につきましては二十一か月の期間になっておりまして、初任科が十か月、職場実習が八か月、初任総合科が三か月ということで訓練を実施をしているところでございます。
  76. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今のお話にもありましたけれども、職務倫理ということでございますが、職務倫理の基本というのは何か五項目教えていただきましたけれども、大変立派なというか、そのとおりやれば最高の警察官であるばかりではなく、社会人としても立派なことだなというふうに言えるわけでございますが、しっかりやっていただきたいと思っておりますが。教育というのは、今改革という話が出ましたけれども、体制を組んだらすぐ効果が出るというものではないわけでございますが、しかし昨今の状況は余りにもひどいなというのが実感をするものでございます。  今後の警察官教育の取組に対しまして、委員長の御決意を一言お願いをしたいと思います。
  77. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先生お話伺いまして誠にじくじたる思いでございますが、国家公安委員長といたしましては、全国警察におきまして、誇りと使命感に裏付けられました高い倫理観と職務執行能力を備えた警察職員の育成が図られますように、警察を督励してまいりたいと思います。とりわけ不祥事案の防止に向けましては、先生おっしゃいましたように、すべての警察職員を対象といたしました心にしみるような職務倫理教育が充実強化されますように、警察を更に指導してまいりたいと、そのように考えております。
  78. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、科学技予算につきましてお尋ねをしたいと思います。  十六年度科学技術の予算は三兆六千億余でございますけれども、厳しい財政状況の中で前年度に比べて〇・八%増加になっております。科学技術が未来を切り開くかぎということで政府の最優先課題となっているというふうに認識をするものでございますが、この予算についての大臣の評価をお願いをしたいと思いますが。
  79. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 平成十六年度の予算案におきます科学技術関係の予算の総額、委員御指摘のように三兆六千二百五十五億円、対前年度比で〇・八%の増であります。  そこの中で科学技術振興費について申し上げますと、一兆二千八百四十一億円ということでありまして、これは対前年度比四・四%の増と、四・四%のプラスということでありまして、これは主要な経費がほとんどマイナスになる中で大変大きな伸びだと、こんなふうに考えておりまして、未来を切り開くかぎとして科学技術が政府として最優先課題として予算の中でもとらえられている、このように私は認識をいたしております。
  80. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 この予算においては、総合科学技会議というものがございまして、一段と高いところから方向付けを行って編成を進めているということでございます。  前回からもう採用されたプロセスが今年も取られたというふうに承知をしておりますが、今までとどのような点が改善が図られて、かつ、その結果がどのように予算案に編成されたのか、御説明をいただきたいと思います。
  81. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 基本的な考え方、これは、やはり財政状況大変厳しいわけでありますから、集中と選択、これを図っていかなきゃならない、こういう中で、研究開発資源を更に効果的、効率的、計画的に配分する、そのための機能を総合科学技会議としてしっかり果たしていきたいと考えております。  具体的にどうしているかということでありますけれども、まず、予算それから人材等の資源配分の方針、こういう予算要求のガイドライン、これを策定いたしております。そしてまた、各府省の科学技術関係施策につきまして、私、科学技術政策の担当大臣、そして総合科学技会議の有識者議員によりまして優先順位付け、いわゆるSABC付け、これを行っておりまして、またこのSABCの結果が予算にしっかり反映されますように財政当局と十分な連携を図ると、こういった措置を取っているところであります。  これによりまして、平成十六年度、二年度目ということになるわけでありますけれども、優先順位付けの結果が十分反映された、めり張りの利いた予算になっているんではないかなと、こんなふうに考えております。  具体的に申し上げますと、数字でですね、平成十六年度の予算につきまして主要な科学技施策でありますが、S評価がされたものは予算でプラス一六・七%、Aのものはプラス五・九%、Bのものがマイナスの二・八%、Cのものがマイナスの二〇・五%と、こういう結果になっております。
  82. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 小柴先生が怒ったという、そういう評価があるような、そのCの評価というものがございましたけれども、評価というのは非常に難しいなと思います。  今の財政の現状では量的な拡充というのはなかなか難しいかと思いますけれども、今大臣がおっしゃったようなものも含めて、今後とも質的な拡充というものを是非図っていただきたいなと思います。  と同時に、事実上、とはいっても、大方の予算枠というものは各省庁決まっているわけでございまして、どれだけ実際のイニシアチブを発揮できるのかということから考えますと、この総合科学技会議の更なる機能強化というのが必要になってくると思いますが、この点はいかがに、どのようにお考えでございましょうか。
  83. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 私はやはり、総合科学技会議、省の職員にもよく話をしているんですが、経済財政諮問会議と比べてまだビジビリティーが低いところがある、やっぱり科学技術に関しては大きな方向を設定する一番中心な機関ですから、もっとしっかりしていこうと、そういう督励はしているところであります。  そういった中にありまして、各府省、確かに予算枠あるわけでありますが、先ほどもお答えをさせていただきましたように、まず、総合科学技会議におきまして概算要求の前に翌年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針という予算要求のガイドライン、これをお示しをさせていただいております。そして今度は、予算編成過程におきましては、先ほど申し上げた各府省の重点的な施策につきまして優先順位を行うと、こういうプロセスを取っておりまして、これによりまして各省間の連携を促していく、そしてまた各省にまたがっていて重複があるようなことは避けさせる、こういった意味での機能、イニシアチブを果たさせていただいていると。  また、委員の御指摘も受けまして、一層このプロセスを充実してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  84. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 小渕総理の時代だったと思いますけれども、新産業創出のための技術革新に一千二百億のお金を付けた、いわゆるミレニアムプロジェクトというのがございましたが、我が国が科学技術立国を目指すということになりましたら、やはり今、ミレニアムプロジェクトのような特定、特別枠というものをやはり考えていった方がいいんではないかと、毎年というわけにはいかないかもしれませんけれども。  大臣の所信の中で述べられておられたように、本年は第二期科学技術基本計画の第四年目で、計画の成否を左右する重要な年であるとともに、次期計画につなげていくためにもこのような特別枠みたいな考え方が必要かと思うわけでありますが、大臣の御所見はいかがでございましょうか。
  85. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 十六年度の予算は、今期の計画をしっかり達成していく、こういう意味から極めて重要な意義を持つ、また次期の計画につなげていく大きなステップになると、こんなふうに今考えております。  予算の総額につきましては、先ほど申し上げましたように、重点的な施策を推進するのに十分な予算を確保できたんではないかと、こんなふうに考えているわけでありますが、ミレニアムプロジェクトと、私も大変懐かしく思っておりまして、実は、公明党の皆さんがみらい創造プロジェクトと、こういう御提案をされたときに、何か小渕総理時代のミレニアムプロジェクトと何か思い出すような思いがあったわけでありますけれども、別枠の形でどうかと、こういうお話あったんですが、なかなかその点につきましては、財政当局との折衝もあるわけであります。  ただ、今申し上げたように、経済活性化につながります研究開発プロジェクト、これをみらい創造プロジェクトとしてしっかりくくる、また、重点的な分野、例えばライフサイエンスであったりITの分野、そして環境、ナノテク・材料と、こういう重点分野を定めまして、そういった必要なところについてはしっかり予算が付くような仕組み、こういったことは作ってまいりたいと考えております。
  86. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 自分が子供のときは、二十一世紀の日本の社会といいますか世界はどうなっているんだろうと。たくさん漫画はありました、鉄腕アトムは飛んでいたなというのが私の実感でございますけれども、現実には飛んでいないわけでありますけれども。そのときの餓鬼大将はやっぱり夢と希望があったなというのが、そう思うわけですね。それは、科学技術どんどん進んでいくという、そういう大前提の中であったわけでございますが、科学技術の進歩が国民また世界を豊かにするということであり、また未来を担う青少年の夢と希望を与えるものであってほしいと常々考えているものでございます。  さて、内閣府においては、青少年の健全な育成に関する施策を総合的に進めているものでございますが、何か青少年の健全育成なんというと、何かあれやっちゃいけない、これやっちゃいけないという、こんなことばかりのように連想してしまうわけでありますが、それも大事だと思いますが、青少年にやっぱり夢と希望を与えると、そういう社会がやはり、築いていくことが大事だと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思いますが。
  87. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先生おっしゃいますとおり、日本人は余り褒めることが上手じゃない国民ではないかと、そのように考えております。昨今の事案にいたしましても、青少年犯罪等々、そういう問題ばかりが前に出てきますけれども、現実的には、ボランティア活動をしたりあるいは国際貢献をしたり、さらにはスポーツや芸術分野でその道を目指して夢を描きながら頑張っている青少年もたくさんいるわけでございます。  ですから、そのような意欲ある青少年はもとより、一人一人の青少年たちが自らの夢を持ち、それをはぐくみ、そして目標に向かって挑戦をしていくと、そのために我々大人は一体どのような環境整備をしていったらいいかということが青少年の育成に求められる大変大きな点だと思いますし、時には励まし、時にはいさめると、そういうふうなことが、例えば地域社会においても、学校においても、家庭においても、積極的に執り行われることが必要かと思います。  御案内のとおり、政府におきましては昨年の十二月に、青少年の育成にかかわります基本理念と中長期的な施策方向性を明確にいたしました青少年育成施策大綱が策定されたところでございますので、国民の皆様の御理解と御協力をいただきながらこうした諸施策を推進し、青少年の健全な育成に万全を尽くしてまいりたいと、そのように考えております。
  88. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 科学技術等の進歩とともに、青少年の夢はやはり将来海外にも行ってみたいという、そういうことも、海外雄飛というんでしょうかね、そういうことも昔はあったなというふうに思います。今でもあるでしょうけれども、やはり実地に海外に出るというのはもう大変な刺激を受けるところでございまして、言葉も違えば見る視点、気候も全部違うということで、非常に若いときに海外に出るというのは非常に大事だなと私は思っているところでございますが、青少年国際交流事業というようなこともございますが、やはり異文化に触れていく。文明の衝突なんて言わないで、まず触れて、そこで対話をしていくというのが今一番大事かと思っておりますが、今の大臣の青少年健全育成のこの大綱の中におきまして、青少年国際交流事業、この事業の位置付け、またその成果、今までやってこられておりますけれども、その成果について御説明をいただきたいと思います。
  89. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 内閣府におきましては、国際青年育成交流事業あるいは東南アジア青年の船事業など、現在七つの青年の国際交流事業を実施をいたしております。これらの事業は、多様な文化あるいは思想などを認め合いつつ、お互いを大事にしながら理解と友好を促進いたしますとともに、国際的視野を広めて、あるいは国際協調の精神と実践力を身に付けさせるという上では、次代を担う青少年たちにとって誠にふさわしい機会であり、そうした目的に合致した教育をこういうところで振興させていきたいと、そのように考えております。  昭和三十四年にこうした活動が開始されてから四十年たっておりますけれども、内閣府の青年国際交流事業の参加者は延べ人数、内外合わせまして二万八千人に上ります。参加者は各国においてそれぞれ大変有為なそれぞれの国の人材として活躍しておりまして、このことも大変うれしいことだと思います。  また、参加いたしました青年は、参加いたしました後に事後活動組織というものを作られまして、その中における参加あるいは事業の円滑な遂行を更に支えますとともに、様々な社会的活動を行っておりまして、この人たちの人的ネットワークというものが私は大変すばらしい内外の青年たちの健全育成に大きく役立っているものと、そのように確信をいたしております。  今後とも、こうした成果を踏まえまして、なお一層時代の変化に相応いたしました改善充実に取り組んでまいりたいと、そのように考えております。
  90. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  91. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ─────・─────    午後一時十一分開会
  92. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度総予算の委嘱審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。本日はパート問題を中心にお伺いさせていただきたいと思います。  今までも、昨年は男女共同参画の視点から、官房長官にもいろいろお尋ねさせていただきました。本日は、前半部分に今までほとんど触れられることのなかった公務パート問題についてお尋ねしまして、もう官房長官それから金子大臣、席に着いていていただいてますけれども、質問をさせていただくのは後半部分になりますので、それまでどうぞごゆっくり、是非お聞きいただきたいと思います。  それでは、公務パート問題について伺わせていただきます。  公務パートの問題といいますのは、既にもうかなりの膨大な数の方々がいらっしゃるわけでございますけれども、今まで公務員制度といいますのは、定員内のフルタイムの職員を任用する、それが公務員制度の人事制度であるという観点から、パートの問題というのはほとんど、実際には法律の谷間の中にありまして、論じられることがなかったと思うのでございます。  しかし、今国会におきましては任期付きの短時間の職員制度が新設される、その法案が提案されているということがございまして、やはり公務パート問題もこの内閣委員会の場で、公務員制度改革を担当の金子大臣のおられるところで、そして男女共同参画を担当していただいております官房長官のいらっしゃるところで論じさしていただきたいというのが今日の私の質問の趣旨でございます。  では、最初は現状認識等について事務方の方からの説明を受けたいと思いますが、かなり膨大な数の方が現に公務パートとして、いわゆる公務パートとして勤務しているわけでございますけれども、この実態の数字が総務庁の方からはっきりと報告されたことが一度もないのでございますけれども、まず現状認識からお伺いしたいと思います。どのぐらいの数の方がこの公務パートに就いているのでしょうか。
  94. 須田和博

    政府参考人(須田和博君) お答え申し上げます。  いわゆる公務パート、いわゆる臨時・非常勤職員のことと理解しておりますけれども、この臨時・非常勤職員につきましては、その職種が、例えば顧問とか参与とか、あるいは調査員、あるいは保母、看護婦さんまで非常に様々な分野にわたっておりまして、また地方公共団体におけます任用の状況ですとか勤務実態等も多岐にわたっておりますので、さらに団体における取扱いにつきましてもいろいろ異なっているところもございますので、私どもとしては全国的な数としての臨時・非常勤職員というものは、恐縮ですが把握してございません。
  95. 川橋幸子

    川橋幸子君 職務怠慢なのではないですか。今回、法案を提案なさる、そういう状態のときに、多岐にわたるので把握しておらないと。多様な勤務形態をこれから創造していきたいというそういう気構えのようにこの法案は拝見いたしますけれども、把握していない。政策評価の問題が様々言われておりますけれども、事前の実態把握がなければ事後の評価もできるわけはないのでございまして、把握されていないというのは問題ではないですか。
  96. 須田和博

    政府参考人(須田和博君) 過去におきましてもこうした形でのデータというのを集めようと試みたことはございますけれども、ただいま申し上げましたように、非常に多様な形に臨時・非常勤の方々が分散しておりますので、こうしたものを全国的規模に集めましても、それで果たして有意なデータが出るかということもございまして、それで現在までこういったものにつきましては把握しておりません。  ただ、もう少し、常勤の職員と非常に類似の方々というのもいらっしゃいますが、具体的に毎年度の地方公務員給与実態調査におきましては、常勤の職員に準ずる職員としまして、これは、常勤職員について定められております勤務時間以上勤務した日が十八日以上ある月が引き続いて十二月を超える職員の数という形では調査してございます。この数字としましては、平成十四年四月一日現在で四千七百八十一人となっております。
  97. 川橋幸子

    川橋幸子君 四千七百……
  98. 須田和博

    政府参考人(須田和博君) 四千七百八十一人でございます。  それから、御指摘ございました、今回このような形で法案を提出させていただいているところでございますけれども、こうした法案提出に至りました経緯としましては、特区の議論等もございまして、各自治体等からこのような形での短時間勤務職員制度というのにつきましてのニーズが非常に私どもまで届いておりまして、それではということもありますので、関係の方々をいろいろ入っていただきました研究会を設けまして、その中でいろんな形でのヒアリング等を行いながら、今回のこうした制度を導入するような案を作らせていただいたものでございます。
  99. 川橋幸子

    川橋幸子君 それじゃ、私の方から、実はこれは総務省からいただいた資料でございますが、自治労の方の調査によりますと、調査の精度等は不明でございますが、三十一万千七百六十七人という、こういう推計値が出ておりますけれども、この数字についてはどう思われますか。
  100. 須田和博

    政府参考人(須田和博君) 具体的な調査方法等、対象等につきまして十分承知しておりませんものですから、コメントは控えさせていただきたいと思います。
  101. 川橋幸子

    川橋幸子君 この研究会の中には自治労の関係者もいらっしゃいますよね。なのにコメントできない。多分この数字は研究会の中でも紹介されたのではないですか。
  102. 須田和博

    政府参考人(須田和博君) 御指摘のように、この研究会の中には自治労の方も参加していらっしゃいますし、そういう場の中におきましてもこういった形でのお話はございます。ただ、これをもちまして多い少ないということにつきましてのコメントは、ちょっとなかなか難しいところがあろうと思いますので、恐縮でございます。
  103. 川橋幸子

    川橋幸子君 多い少ないを申し上げているのではないのです、お尋ねしているんじゃないのです。  先ほどのお話ですと、把握しておらなかったということと、再度お尋ねいたしましたら、常勤職員に準ずるような職員については四千七百八十一人という非常に少ない数字をおっしゃった。だけれども、自治労でございますので、天下の自治労でございますからそういい加減な団体ではないと思うのですね。それが、多い少ないということではなくて、そこの調査結果では、定員内職員が三百万人いるとすれば、まず優にその一割以上の臨時・非常勤のこういう方々がいる。そういう方々が法律の谷間にあったと。そういう方々の雇用関係を、雇用関係と言わないのでしょうか、任用関係を近代化するために今回の法案が出てきたのかなと私は善意に解釈しておったのでございますけれども、その点について、実態をどう見るか、一番基本のところの実態をどう押さえて見るか、そこについて、今までやっていないし、それから他の団体の推計値についてはコメントできない。では、何に基づいて政策を立案なさるんでしょうか。
  104. 須田和博

    政府参考人(須田和博君) 先ほど申し上げましたが、また繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、今回のこういう制度につきましては、私ども、各自治体等から新しい制度につきましての要望につきましてはいろんな機会で承っているところでございます。  ちょうど特区のときにこの問題が非常に多数の自治体からの要望もございましたので、そうであればということで、関係者の方の意見も伺いながら、こういう形であれば自治体のお役に立つのではないだろうかということで今回案を作らせたものでございます。
  105. 川橋幸子

    川橋幸子君 何回伺っても繰り返しになりまして時間がもったいないので、それでは先に進みます。  金子大臣、今のやり取りをお聞きになっていかがでいらっしゃいますか。国家公務員、地方公務員通じて公務員制度について所管していらっしゃる大臣といたしまして、定員内職員、これはもちろん、法律、条例で定められる職員です。ですけれども、そういうところではない、任用権者の権限でもってかなりのいわゆるパートの方がいらっしゃる。この部分について、正確に把握しろとは申しませんけれども、ある程度把握しておくべきが行政の役割ではないでしょうか。
  106. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 今度の出てきました地方公務員に関する部分について、確かに私、特区も担当しているものですから、それぞれの地域から、なるべく私たちはアウトソーシングをできるようにしようと、地方自治体自身がより効率化できるようにしようと、地方自治体自身から相当手が挙がってきたというのが今回の法案の背景にある。これは地方自治体の皆さんがそういう気持ちになって、なるべく効率的に地方自治体を運営していきたいという気持ちであるものですから、直ちに国家公務員がそれがそのまま同じ概念でいいのかということになりますと、ちょっと私どももまだ消化がやや不良のところが、川橋先生、あります。  しかし、しかし当然でありますけれども、公務員制度、これやっぱり公務員が国民の期待にこたえて、国民本意の良質で効率的な行政サービスを提供することとか、組織のパフォーマンス向上を図るために組織を支える個々の職員が心身ともに充実した状況で職務に遂行できる環境作りを行うこととか、一般論でありますけれども、こういう状況を作ってくることは当然必要なことだと思っております。  確かに、把握されていないことについてどう思うかというのはちょっと私の立場で今即答しかねるのでありますけれども、努力して把握することに努めていただきたいと思いますし、特に、特に今人事院でこの問題を検討会作って研究されておられますよね。国家公務員の問題についてね、おりますよね。今、川橋先生がお伺いされましたのも国家公務員の……
  107. 川橋幸子

    川橋幸子君 地方公務員。
  108. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 地方公務員の方について、ああ、そうですか、ちょっとそこを聞き飛ばしておりまして、失礼いたしました。  そういう気持ちでそれは把握してもらうように努力していただきたいと思っております。
  109. 川橋幸子

    川橋幸子君 国家公務員につきましては人事院の方である程度のものは把握しているようでございます。地方公務員がやみの中というんですか、法案を出そうというこういう段階に至っても、本当に大まかな数字でもいいのですけれども、それすらも把握されていない。非常に問題だと思いますので、御答弁いただきましたので、総務大臣に、把握していただきたいというよりは、把握するようにということで、内閣の方から是非──はい、それじゃ官房長官もお聞きでございますので、お約束いただけたということで、それじゃ次の質問に移らせていただきます。  さて、今回、任期付職員、これは内閣府なんかが大変よく活用している職員でございますね、国家公務員の場合。金融庁でも活用しておられます。研究職の方とか、公務の中ではなかなかプロフェッショナルな専門家が育たない職については任期付きで研究員、職員を採用することができるという法律があるわけでございます。この法律に倣って地方公務員もそうした法律が、条例が、法律ができましてそれに基づいて多分条例が作られ、プロフェッショナルな方々の任期付きの雇用が行われていると思います。  それに加えまして、今回のこの国会提案されておりますのは、任期付きプラス短時間職員制度を創設するという、そういう法案なわけでございます。もうちょっと分かりやすく言うと、有期雇用でかつパート職員、有期雇用でフルタイムじゃないですよ。それから任期がなくて、任期の定めがなくてパートでもないんです。短時間正社員制度を作ろうというような案が厚生労働省の方の研究会で様々議論されて、去年、パート労働法が改正されず、指針の改定にとどまったところでございますけれども、今度いち早く地方公務員の部門では任期付き、期限付きのパートタイム正社員というんでしょうか正公務員ができると、こういう法律が提案されているわけでございます。  私は、先ほど自治労の推計値申し上げました。三十一万にも及ぶような膨大な数の公務パートの方々がこの法律の適用になると、直ちになるとは思わないのでございますけれども、ですけれども、今までなかなか近代的な雇用関係ができなかったこの部分に地方公務員としては少しモデルを作ろうかなと、こう善意に考えてみたわけなのですけれども、そういう趣旨なのでしょうか。  もしそれがないと、正規の公務員がいて、それから今までどおりのよく訳の分からない、訳の分からないと言ったら働いている人たちに非常に失礼ですけれども、法律上の根拠規定もはっきりしない臨時の方が、非常勤の方がおられる、その間にこの有期短時間の職員ができる。三層構造になっていく。こういう格好になるわけですが、この法律はどのように機能するのでしょうか。
  110. 須田和博

    政府参考人(須田和博君) ただいま御指摘のございましたように、既に現在、任期付きの一般の職員がございますが、その任期付職員の制度、フルタイムの任期付きの職員を今回拡大するとともに、任期付きで短時間勤務の職員の制度を導入するというものでございますが、この任期付短時間勤務職員制度につきましては、地方公共団体におけます行政ニーズというのは非常に高度化、多様化しておりますが、こうした行政ニーズの高度化、多様化に伴いまして、地方公共団体の任用・勤務形態の多様化についてのニーズも非常に高まっております。  これは、先ほど申し上げました特区等の議論におきましてたくさんの自治体からこうした任用・勤務形態の多様化につきましての御要望があったわけでございますけれども、こうしたニーズの高まりを背景といたしまして、柔軟な人事配置が可能であるなどの利点を持ちます、また、現在の再任用短時間勤務職員と同様な、一般の常勤職員と同様の業務に従事することを想定いたしました短時間勤務職員という制度を新たに導入しようとするものでございます。したがいまして、従来のいわゆる補助的業務に従事するものとされておりますいわゆる臨時常勤職員とは別個の制度として考えているところでございます。
  111. 川橋幸子

    川橋幸子君 短くお答えいただきたいのですが、私がお尋ねしたのは、今までの公務員制度、それから法律的にもはっきり扱われない非常勤の方々、この中に一つ新しいタイプを持ち込んで三層構造にするのですかというふうに聞いたのですよ。  お答えを伺ってもはっきりしないと思いますので、私の方から言わせていただきますと、今までの臨時・非常勤の方々の問題というのは、つまり民間ならパート労働法があって、まあ私どもは不十分といいますけれども、ある程度通常の労働者との均衡を配慮しなければいけないとか、あるいは雇用管理上におきましても、更新を繰り返しているような職員については正社員に転換する、こういう雇用管理を工夫しなさいと、こういう民間労働部門に対する秩序があるけれども、今の公務員非常勤の方々にはこれがまるでないということなんですよね。こういう問題の中に三層構造を持ち込むということは非常に問題になるのではないかというふうに伺ったのです。  割合経済的な問題があるかと思いますので、ここらで竹中大臣にお答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  112. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 川橋委員は専門的に雇用制度の話としてのお尋ねから経済政策上どうかということだと思いますので、経済の立場でお答えさせていただきますけれども、経済政策上我々が問題にしなければいけない問題があるとすれば、それはやはり現実問題として、今若者のフリーターに象徴されておりますけれども、いわゆる、いわゆる正規で働きたいんだけれども実は働けないんですと、それでいわゆるフリーターという形になっているんですと。そういう方々をどういうふうに経済政策上位置付けて対策を取っていくかということになるんだと思います。これは企業の雇用が減少したと。しかし、今までのいわゆる正規社員と言われる方々のリストラが難しいために、そういう特に新規の方々にそのしわ寄せが全部行っているというような格好になっている。結果的に能力開発がなかなか進まないと、能力開発が進まないものだから新たな雇用機会もなかなか出てこないと、そういう方々の問題だというふうに考えます。  雇用形態が多様化するということは、これは一概に否定すべきものではないわけでありますけれども、いわゆる、いわゆる正規雇用なども、若年のフリーター等に対してはやはり積極的な政府の支援が必要であると思います。政府としては、若者の自立・挑戦に対する総合的な支援を行うということを我々も取り組んでおりますけれども、今後とも広い意味での人間力の強化の課題として積極的に取り組まなければいけないと思っております。
  113. 川橋幸子

    川橋幸子君 もう一回後で竹中大臣には伺いたいと思います。  私の問題意識は、今の労働市場、竹中大臣が言ってくださいましたように、正規と非正規と、割合入口のところで画然とした格差といいますか、そういうコースが設けられて、そこの行ったり来たりも非常に難しいときに、若者の将来設計というのが非常に日本の将来にとっても問題になっている、こういう意味の問題意識でございますので、竹中大臣がお答えいただいたのと同じなのですが、これが不用意に、不用意にといいましょうか、その辺の論点整理をしないまま公務パートというこの問題ができていったときにどうなるかの問題を私は考えているのでございます。  先ほどの繰り返しになりますけれども、民間にはパート労働法という法律が曲がりなりにもあるけれども、公務員体系にはその法律がない。これを経済政策的に言えば、多分均衡を保つ、通常の労働者との均衡を保つ、これもっとはっきりさせれば、差別してはならないとか、均等にしなければならないとかという一つの、経済的に見れば人の要素の価値を同一にするということが一つ入ってくるのと同時に、もう一つは社会保障の適用が全然ない労働者が増えていくことについて、今問題になっております年金なんかの持続性がどうなっていくのだろうかと、非常に大きな影響を及ぼす問題であるわけです。  後ほどまた聞かせていただきますけれども、さてもう一回、今度は国家公務員の方に戻らせていただきたいと思います。  今回提案されておりますのは、国家公務員ではなく地方公務員の有期パート職員です。国家公務員の場合はどうなるのでしょうか。人事院お見えでしたら、人事院もこの法律が、地方公務員法の改正、任期付職員の法律の改正が行われたら国家公務員も人事院規則を改正してやるというような、そういう安易な、安易なと言って、ちょっと言っちゃいけないですね、論点を整理しないままに国家公務員でもこの制度を取り込まれると、取り込もうとするような、そういうおつもりなのでしょうか。
  114. 山野岳義

    政府参考人(山野岳義君) 任期付短時間勤務職員制度についてでございますが、人事院といたしましては、現在、公務能率の向上、公務員の健康管理あるいは育児、介護等への配慮の観点から、フレックスタイム制とかあるいは裁量労働制、御指摘の短時間勤務制など、様々な多様な勤務形態の導入につきまして総合的に検討するために研究会を設置したところでございます。  現在、研究会ではこうした様々な制度につきまして、人事当局、職員団体、民間企業からのヒアリングなどを行いまして御議論をいただいているところでございます。スケジュール的には、今年、十六年七月に中間取りまとめを行いまして、十七年七月をめどに最終報告をいただく予定になっております。  今後は研究会の検討結果等を十分踏まえまして制度化を検討してまいりたいというふうに考えております。
  115. 川橋幸子

    川橋幸子君 それじゃ、今年の夏ということではなくて来年の夏という感じでございましょうか。  私は、その間によく論点を検討していただきたいと、そう思う立場ですが、その検討していただきたい論点の一つは、せめて民間準拠をやっていただきたい。民間のパート労働者に対する法律制度がありますけれども、人事院の場合は民間を調べてそれを公務員制度に反映させるということがはっきり人事院の機能としてあるわけでございますので、民間準拠を実現する、そういう検討をやっていただきたい、これが一つです。  もう一つは、研究会の名簿をちょうだいいたしましたら、現実に非正規雇用で働いているような方々の利害関係者が入っていないんですね。組織労働者の方は入っていらっしゃる、あるいは女性の方は入っていらっしゃるかも分かりませんけれども、これは人事院に限らず、あるいは地方公務員の今回の法改正もそうですけれども、本当の意見を代表する人の意見表明の場がどこにもないのでございます。これは厚生労働省の関係審議会もそうだと思います。  今、組織労働者の組織率は二割を切りました。そして、増えているのが非正規の職員です。そういう方々の意見の聞きようがないから組織労働者から聞くといいますけれども、組織労働者とそうじゃない未組織労働者の間には厳然たる利害の対立がございます。組織労働者の声を聞くにも人がいないということをおっしゃるかと思いますが、先回りして私質問の中で申し上げさせていただきますと、様々なNPOの中にそうした、例えば派遣労働ネットワークとか、あるいは均等待遇アクションとかいうようなNPOができつつあるのでございます。是非そういう方々の意見表明機会を確保してほしい、研究会の中の正規メンバーにいらっしゃらなければヒアリング機会を設けてほしい、この二点、強く要望したいと思いますが、人事院、いかがでしょうか。
  116. 山野岳義

    政府参考人(山野岳義君) 民間準拠ということにつきましては、人事院として、基本的にそういうことで民間企業の状況等につきまして十分なヒアリング等を行ってまいりたいと思います。  また、パート等の現実に働いておられる方の御意見を聞けということでございますけれども、この研究会の座長等とも相談して、幅広い意見を聞くような方向検討してまいりたいと思います。
  117. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、官房長官に、今までのやり取りをお聞きいただきまして御答弁いただきたいと思いますが、男女共同参画担当大臣でもちろんいらっしゃいます。それから、男女共同参画局としても様々な女性たちの意見を吸い上げるネットワークを持っておいででございます。  こうした、一点、もう問題を狭めまして、意見表明の機会を人事院の方としても工夫すると、研究会の座長にお尋ねしながら工夫すると言っていらっしゃいますけれども、男女共同参画の観点から、パートの七割は女性でございます。非正規雇用が今三割に及び千五百万人に及ぶと言われておりますけれども、その正規雇用の大部分は女性でございます。そうした女性たちの意見表明の機会について、男女共同参画の担当大臣としても御努力いただけますでしょうか。
  118. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 男女共同参画社会実現のために、これは社会制度とか慣行の見直し等々を進めていく必要があると、こういうふうなことで、お話伺っておりますといいことばっかりおっしゃっているような感じがしますんで、一生懸命努力してまいりたいと思います。
  119. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございます。いいことばっかり申し上げているつもりでございます。  アドボカシーという片仮名文字がNPOでははやっておりまして、前は何でも反対NPOだった、でも今は政策提言NPOも増えている。女性の問題というのも男女共同参画にすれば日本の将来が良くなるという、そういう点から基本法が作られておりますので、官房長官のリーダーシップに期待させていただきたいと思います。  さて、もう一点、先ほどの、竹中大臣にせっかく来ていただきましたのでもう一点させていただきたいと思います。  先日も、正規、非正規の雇用の量だけではない、質の問題をお尋ねさせていただきましたときに、経済財政諮問会議の中でも雇用と人間力という言葉をお使いになりまして、大変重要なテーマなのでこれからも研究してまいりたいという、そういう御答弁ちょうだいしておりましたが、そのときの人間力という言葉は大変哲学的な言葉だろうとは思うのですけれども、いまいちぴんとこないといいますか、伝わらないのでございますけれども、どういう問題をこの経済財政諮問会議の中ではこれから取り上げていっていただけるのでございましょうか。
  120. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 人間力という言葉は実は二年前の骨太方針で掲げた言葉でございます、たしか二年前であったと思いますが。そのときは、基本的には経済の観点からすると人的資源ということになるんですけれども、決してそういう経済的なリソースとしてだけではなくて、生活そのものにもっと根差して、皆さん自身の文化の許容とかそういうことまで含めて是非しっかりと、正に人間の力を全体として高めることによって経済も発展するし生活も豊かになると、そのような概念で諮問会議のこの骨太の方針の中に掲げさせていただいた言葉であるというふうに思います。  言葉の議論だけしても余り意味がないかと思いますので、具体的に何かということでありますけれども、これはやはり非常に多様なことをしなければいけないと思っております。教育、それと職業訓練、さらには、今まで教育というのは子供のため、職業訓練というのは大人のためということで、そこが役所でいっても文部科学省と厚生労働省という形になりがちなわけですけれども、それはやっぱりシームレスにしなければいけないのではないだろうかと。特に、今の先ほどの若年フリーターの問題等々、重点的にやらなければいけない問題があるのではないだろうか。  さらには、先ほどの川橋委員のお話を伺って私も大変納得できるところたくさんありますけれども、異なる労働形態の間でのイコールフッティングのようなものをしっかりとやらなければいけないんだと、ある意味でオランダはそれで成功したのだと私は認識をしております。  そういう制度整備、それと資源に対する前向きな投資、そういうことを正に総合的にやるための議論は我々としても引き続きやっているつもりでございます。
  121. 川橋幸子

    川橋幸子君 これまたいいことばかりの答弁をちょうだいしたようでございますので、これからもフォローアップさせていただきたいと思いますが、人間力、妙な言葉だと私は実は思っております。人間、生きるパワーがなければ生きていけないわけで、その生きるパワーはみんなが持っている、それをどうやったら活用できるかというのが社会システムの在り方だろうと思うのです。  努力すれば報われる社会を作るということをよく小泉総理がおっしゃるわけでございますし、やり直しが利く社会を作るということもおっしゃるわけでございますけれども、そこの一番のベーシックなものとしては、やっぱり正当に評価される、差別されない、人間の誇りが大事にされると。何か大臣の影響を受けまして私までちょっとセンチメンタルな言葉を使ってしまいましたけれども、経済の要素として考えるときにも私はそれは大事なことなんじゃないかと思っております。  是非そうした、アメリカの場合は非常に格差の大きな社会ですけれども、差別禁止というのはしっかりしているわけですね。現実にそれで差別がなくなったとは思いません。人種差別も大きいでしょうし、男女差別もあるんだろうと思いますし、様々なマイノリティーに対する差別等々あるんだと思うんですが、でもそれがあった場合には修正しよう、直そうという法体系の方もしっかりしている。これが私は経済政策としては有効な大きな本当に基礎的な政策なのではないかと思っているところでございます。  さて、それで厚生労働省にお見えになってもらっています。官房長官にはまた後日、決算委員会のときで、男女共同参画のところでお伺いしたいと思います。せっかくおいでいただいて御答弁いただく機会が少なくて大変恐縮なんですけれども、あともう五分しかありませんので、厚生労働省の方に伺います。  CEDAWといいます女子差別撤廃委員会の方から日本政府報告書に対する勧告が出ております。その中で、非常に間接差別の話が委員会の中では問題にされていたわけですね。差別に対する定義がはっきりしない、問題であると。それから、そうした間接差別の問題についても政策的にこれを縮小させるように努力すべきであるというような、こういう勧告が出ているわけでございますけれども、厚生労働省の方ではどのようにこれに取り組まれますでしょうか。
  122. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) 昨年夏に開催されました女子差別撤廃委員会、いわゆるCEDAWの日本審査を受けまして、先生から御指摘の同委員会の最終コメントが出されておりまして、その中で雇用の分野に、幾つか御指摘がございましたけれども、中でも雇用の分野における間接差別の慣行と影響についての認識の不足についての懸念というものが示されたところでございます。  我が国におきましても、この間接差別の問題につきましては何をもって間接差別というのか社会的コンセンサスがなかなか得られないことでございますし、それから問題としている範囲も各論者によってもかなり異なっております。したがいまして、私どもとしてはどのようなケースがこの間接差別となるのかということについてやはり社会的なコンセンサス形成のための十分な議論が必要であると考えております。  こうしたことから、厚生労働省では平成十四年十一月から均等政策研究会を開催をいたしておりまして、その中の重要な検討課題の一つとして間接差別を掲げて今議論を深めていただいております。今後更に精力的に議論を深めていただきまして、この春の終わりごろまでには何とか研究報告を取りまとめたいというふうに考えております。
  123. 川橋幸子

    川橋幸子君 この春の終わりごろというと、もう近いですね。いつごろですか。
  124. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) この春の終わりごろということで、今、正に各有識者の先生方に議論を深めていただいているところでございます。
  125. 川橋幸子

    川橋幸子君 春の終わりということですから夏の初めではないと。通常国会が終わったころに出てくるようなことはまずないように、せっかく審議官おっしゃったとおりですから、お待ちさせていただきたいと思いますので御努力いただきたいと思います。  差別に対する定義がなかなかコンセンサスが得られない、これは事実かも分かりませんけれども、その辺について、その点につきまして国会が問題にしてこなかったわけではないのです。ここに平成九年六月十日の雇用機会均等法の改正のときの参議院労働委員会ですね、当時の附帯決議があります。「男女双方に対する差別を禁止する「性差別禁止法」の実現を目指すこと。また、いわゆる「間接差別」について何が差別的取扱いであるかを、引き続き検討すること。」、国会もこれはずっと絶えず問題視してきたところでございます。春の終わりにはしっかりと研究報告ちょうだいしたいということをお願いしたいと思います。  じゃ、官房長官にはまた後日伺うということで、金子大臣にそれじゃ最後、締めくくりの質問をさせていただきたいと思います。  結局、今の天下り禁止なんかが非常に大きな問題になっておりますけれども、私、個人的に思いますのは、民間の労働市場と公務の労働市場は画然と分かれていて、そして定年後といいますか定年になる前に次官一人残してみんなどこか天下りしていくわけですけれども、労働市場を流動的にというんでしょうか、自由にフレキシブルに本人の自助努力によってチャンス、別の道を選べる、チャンスを選べると、こういう市場を作るのが大事なわけですね。そうした公務員制度問題というのは決して民間の労働市場とは無縁じゃない。むしろ、民間準拠と言いながら、雇用管理については公務員制度はさっぱりそこを取り入れてこなかったということが大きな問題、天下り禁止とか等々の問題になっているわけでございます。非常に大きな問題でございます。  私がこの質問をしようとしましたら、公務員制度改革を担当する金子大臣の所管ではないと、この問題は総務大臣の所管であるというお答えが返ってきまして私は唖然としたわけでございますけれども、やはり公務員制度改革、意欲と能力に応じて均等に評価される、そういう人事制度を作るための担当大臣の御決意を最後にお伺いしまして、私、質問を終わりたいと思います。
  126. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 今のは川橋先生の御視点で、官民それぞれの人たちの役割という意味で、官民交流という観点が一つあるんだろうと思うんです。それからもう一つ、天下り禁止という意味でいえば、公務員制度改革全体の切り口になると思います。  ですから、御視点が、私の立場で申し上げれば、やはり官民の交流の場をどんどん増やしていくという、こういう視点での制度改革を今議論しております。それから、天下り問題というのは、もう一つ別の切り口として、やはり公務員の人たちもきちんと自分たちの能力、働ける、目一杯公務員として働いていただけるような評価の仕組みというものをきちんと作り上げていく、全体としての公務員制度改革の中で取り上げさせていただいて、今議論しているテーマであります。
  127. 川橋幸子

    川橋幸子君 終わります。
  128. 松井孝治

    ○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。  川橋委員に引き続き、御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、参議院事務総長にもお見えをいただいております。ちょっと今日の質問の全体の流れとは異質なんですけれども、まず最初に御質問をさせていただきたいと思います。  私、昨年の十月のテロ特、いわゆるテロ特で事務総長にも御質問をさせていただきました。最近、非常に官邸や国会周辺の警護が厳重になっています。いろんな国際情勢がきな臭くなっている中で、テロの予告等もあり、これは警備、厳重に期していただかなければいけない、言うまでもないことでありまして、昨年のテロ特でも、私、官房長官にも申し上げました。  この国会の警備というのは、国会の中には内閣が使用している部分もあるわけですから、これは政府全体としてこの警備、怠りないようにしていただきたいということで、官房長官からも、国会の方にもお願いをいたしますという御答弁をいただきました。確かに、官邸周辺とか国会議事堂周辺は委員の皆様方もお分かりのように、警備、厳重になったんですが、この国会の中、この国会の中は警察の警備権が及びませんから、今一生懸命、衛視さんを中心として警備をしていただいているわけですが、そこが、本当に、官房長官からも国会にお願いするということで、今日は政府参考人通告をしておりませんが、財務省の方もお見えでございます。  もちろん、財務官、政務官にもお見えで、いただいておりますが、その件について答弁の通告をしておりませんから、事務総長からお答えいただければ結構なんですけれども、本当に、私が事前に聞いた限りでは、別に警備、これだけ周辺は強化をされているけれども、実際、この国会にはモニターが、私が聞いている限り二十か所設置されていて、しかし、そのモニターを見ておられるのは、一人の方が国会議事堂のこのモニター二十か所は見ておられるわけですね。トイレに行くときは代わりますというふうにおっしゃっていましたけれども、それは当然でありまして。その外側を幾ら固めても、内側にだれか侵入する企てとかがあったときにどうするのか。  そこら辺の警備面で、これは十分な対応ができているかというと、人員も変わっていない、これはまあ予算の財政的な制約もあるんでしょうけれども、これは、事務総長、私もテロ特で事務総長にも御質問を申し上げましたし、官房長官にも御質問を申し上げましたが、平成十六年度のこの国会の警備予算、これは人員面も含めて拡充されたんですか。端的にお答えいただきたいと思います。
  129. 川村良典

    事務総長川村良典君) お答え申し上げます。  十六年度の警備体制でございますが、議事堂周辺あるいは議員会館周辺につきましては、引き続き、議院運営委員会等の御指示を仰ぎながら、勤務体制見直しを図りまして、より一層の警備の重点化に向けた努力を行うことで警備強化を進めていきたいというふうに思っております。  他方、十六年度予算でございますが、同じく重要施設でございます正副議長公邸、あるいは麹町、清水谷の各宿舎につきまして、防災・防犯カメラの設置強化をお願いしてまいりたいというふうに考えております。  お尋ねありました人員でございますが、十六年度につきましては、衛視班長の級別定数の増加による組織の質の向上をお願いしておりますけれども、引き続き、人員増につきましても必要性につきまして積極的に検討を重ねてまいりたいというふうに思っております。  なお、先生から、昨年十月八日、テロ特において御指摘をいただきました以降、私どもとして講じました警備対策について御説明をさせていただきたいと思います。  議院運営委員長の御指示をいただきまして、議事堂各門の警備強化策といたしましては、正面ボラードの常時使用による進入車両に対する警戒を強化いたしましたほか、議院運営委員会理事会の御決定をいただきまして、本館にございます三つの門のうち構内に入構する門を二門に減ずるとともに、勤務体制見直しによる警備の重点化を図り、万全を期しております。  また、議員会館につきましては、議院運営委員会理事会あるいは議員会館自治委員長の御了承の下に、会館構内の南北の二か所の車両入口に衛視を配置いたしまして、入構する車両の点検等も行っております。また、構内の駐車区分を明確にして、不審車両の早期発見に努めるべく警備を強化したところでございます。三月一日からは、監視ボックスも設けて、警備の万全を期しているということでございます。
  130. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  警備の強化に向けては御努力をいただいているということは、評価をさせていただきたいと思います。  ただ、最近の官邸の警備強化とか、あるいは国会議事堂周辺の警察の方々、警視庁の方々の警備強化に比して、やっぱりちょっと、こう院内の警備は人手も足りないのかもしれませんね。それから、議員会館の警備に至っては、これはちょっと、まあお粗末と言わざるを得ない部分があるかもしれません。ただ、今の現状の人員の限界の下では、それは一生懸命やっていただいているんだと思います。  ここは我々、治安の維持ということで、民主党としても警察官の増員、これは財政制約はあるけれども、やっぱりこれは思い切った増員をするべきではないかという提案をしております。同時に、やはり国民生活を守るといったときに、内閣あるいは国会というのは本当に国民の生命、財産を守るための意思決定をしなければいけない場所でございますので、これは、今日、山下政務官もお見えでございますが、十六年度予算案については、やはりそこの点について格段の配慮がなされているとはちょっと言い難いと思うんですね。  ですから今後とも、是非引き続き、これ、財政面も含めて再度この警備強化の検討はしていただきたい、めり張りを付けていただきたいことをお願いをしておきたいと思います。  事務総長、もう結構でございます。  それで、今日の質問の本題に移らせていただきたいと思います。  これは私、三月八日に、この当院の決算委員会においても御質問をさせていただいた件でございます。  政府が盛んにIT投資をしておられます。竹中大臣もかつてIT担当特命大臣でいらっしゃったわけですし、今、茂木大臣にも今日は御出席をいただいております。郵政公社分が外に出て、多少政府全体の直接のIT投資は減りましたけれども、一・五兆円、毎年一兆五千億程度がIT投資で政府から支出されているということになろうと思います。  何のためにIT投資をするかというと、当然これ、エレクトロニクス業界を喜ばせるためにIT投資をしているわけではなくて、そういう発想の官庁もあるかもしれませんけれども、そういうことではなくて、これはやっぱり国民への行政サービスをより豊かにしていく、あるいは行政の効率化のためにIT投資というのはしなければいけないというのは、これはもう当然のことであります。  そこで、茂木大臣は、これ、かつて自民党のe―Japanの特命委員会のメンバーでもあられたというふうに伺っております。また、茂木大臣に後ほど御答弁を求めますが、自民党がまずこれはフェアに申し上げるとこの問題にいち早く気付かれたことは事実であります。多くの議員がこれを問題にされて、要するに旧式の、今どんどんコンピューターが高性能化しておりまして、かつてのメーンフレーム、大型コンピューターの機能を今や小さなパーソナルコンピューターで代替し得るぐらいの技術進歩を見せています。パソコンあるいはサーバーの価格というのもどんどん下がっていますし、その上で走るソフトウエアというのも多様なものが、かつてはメーンフレームの世界ではコンピューターと一体としてソフトウエアが開発されて、それをまたサービスという運用をする人たちも一緒にやっていたものが、今やそれぞれがアンバンドリング、要するに切り離されて非常に競争的なマーケットができ上がっていて非常に高い水準の製品が廉価で購入できるようになっているというのは、これはもう国民の皆さんもよく御存じの話でございます。  その中で問題になっておりますのがレガシーという、そういう状況でありながらも非常に大きなコンピューターシステムをハードウエア、ソフトウエア、サービスを一体として長期間継続してある特定の事業者がそれを運営しているというコンピューターシステムの問題、これがレガシーという問題だというふうに指摘されて結構日にちがたっております。もう一年、二年たっております。  そういう状況で、今日は特許庁からも政府参考人お見えでございますが、私、特許庁にしても、これは決して迅速な対応だったかどうかは分からないと思いますが、しかし特許庁は、平成十六年度予算にレガシーというものを見直そう、刷新しようという、十五年度にその調査をされた上で十六年度予算要求においては、今回この審議されています予算においては例年よりは大きなコンピューター関係の予算を計上して、従来のレガシーというシステムの問題点はハード、ソフト、そしてサービスが一体化されていて長期間随意契約で特定の業者に委託をしておられた。毎年毎年当然特許制度も変わりますからソフトウエアを少しずつ変えていくということになると、何十本もソフトウエアが恐らくそのコンピューターシステムの上で乗っている。その乗っているものが、常に何かのソフトウエアは去年更新したばかりとか、来年、更新したばかりと。そうすると、どこかでそれを一度全部将来のソフトウエアの開発経費を一回清算して特許庁のものにしないと、いつまでたってもその業者とのお付き合いが途絶えないわけですね。そうすると競争入札ということはできない。  だから、そういう意味で特許庁は今回予算要求のやり方を変えられたというふうに伺っておりますが、政府参考人にお伺いいたしますが、どういうような予算要求の思想の変化があったのか、また、そういうレガシー解消に向けての新たな予算要求によってどういうメリットがあると考えられるのか、簡潔に御答弁いただけますか。
  131. 迎陽一

    政府参考人(迎陽一君) お答えいたします。  特許庁では、出願受付システムですとかそうした基幹システムにつきましては、平成二年からいわゆるデータ通信サービス契約ということでNTTデータが担当をしてきたところでございます。このデータ通信サービス契約につきましては、長期間にわたり随意契約が継続している不透明な契約であるというふうなことで見直しが必要であるというふうな指摘がございました。  こうした指摘を踏まえまして、昨年、ただいまお話がありましたように、外部の専門監査法人を用いましてシステム監査実施いたしました。その結果といたしまして、システム開発費用の残額を十六年度予算で一括して支払う、そしてデータ通信サービス契約から脱却を図ろうということで、二百七十七億円を残債の一括支払のために予算案に計上したところでございます。  こうした措置によりまして二十億円の金利負担というのが節約されるほかに、システムの見直しによるコストの削減というふうなことができることになると。システムの著作権が特許庁に残債を支払うことによって帰属することになりますので、私どもで主体的にシステムの改革というのを実施していくということが可能になるというふうに考えております。  十六年度に残債を一括して支払いまして、WTOの政府調達ルールにのっとった入札の準備作業というのを来年度行いまして、平成十七年度から競争入札方式による調達を実現いたしたいと、このように考えております。
  132. 松井孝治

    ○松井孝治君 今、特許庁の方から、政府の方から個別企業名が出ました。私はこれまで個別企業名を出すことは避けておりました。なぜならば、それは個別企業の問題というよりはそういう制度を運用している政府の問題だと思って個別企業名は出しておりませんでしたが、政府側が個別企業名を出されたので私も個別企業を申し上げると、今おっしゃったようなNTTデータさんというところが政府のレガシーシステムというところについて圧倒的なシェアをお持ちなわけであります。これは電電公社以来の政府とのいろんなシステムの契約をなされてきたというふうに私は伺っております。  今、特許庁の方からそういう不透明な、しかも随意契約でやっておって、長期間にわたって特定の企業とだけ調達をしている。特許庁も今回は、この十六年度予算では五百三十億約計上されておられますが、そのうち二百七十七億円は残債と言われる後年度負担分をこの際解消しようじゃないかということで予算計上されたというふうに聞いております。  これは社会保険庁といいましょうか厚生労働省といいましょうか、お伺いをさせていただきたいんですけれども、社会保険庁、これがまた非常に大きなシステムをお持ちでございますね。これは私も決算委員会でも議論をさせていただきましたけれども、これ社会保険庁の方で、これは特許庁よりもさらに大きい規模、これは今特許庁がおっしゃったNTTデータさんへの平成十六年度の予算での電気通信サービス契約というのは、私が伺ったところでいうと八百億円を超える規模でございます。もう一社の方も約二百億円を超える規模のデータ通信サービス契約というものを、今の特許庁の問題があって特許庁は是正されているにもかかわらず、平成十六年度予算で随意契約、これは昭和五十年代の半ばからずっと続いている随意契約で、それが平成十六年度も八百億円、二百億円、要するに合計すると委員長、一千億円ですよ。一千億円の随意契約というものをこの平成十六年度予算でも計上しておられます。同じ事業者です。  これ今特許庁の方で、もうこれ何年も自民党から見直すべきだという提言が出されて、そして特許庁の方はもう昨年そういう調査もされてシステム監査も行われているわけですが、どうしてこれ社会保険庁、これしかも、私この前指摘したように社会保険料なんですよね、財源は。社会保険料というか年金保険料なんですね。それを財源にしてこの一千億もの随意契約、同じ事業者で昭和五十年代半ばからずっと同じ契約を続けている。十六年度予算も堂々とそれを出してこられる。これは一体どういう御趣旨ですか。
  133. 竹本直一

    大臣政務官(竹本直一君) レガシーシステムとしてのある種の批判を受けているのは先生おっしゃっているとおりでございますが、言うまでもなく社会保険オンラインシステムというのは年金の裁定という行為ですね。権利の確定、それから金額の確定、そういったことを裁定という言葉で呼んでおりますが、そういった業務の遂行にどうしても不可欠なシステムでございます。  このシステムがちょっと古いんじゃないかという今先生の御指摘のとおりでございますが、特にデータ通信サービス契約によりましてシステム開発費用を毎月の利用料という形で長期間を掛けて支払う形になっております。約十年と聞いておりますけれども、その間はシステム開発企業の変更が非常に難しいというのが現実でございます。それに対する批判ももちろんあるわけでございますが、このいわゆるレガシーシステムの見直しにつきましては、先ほどちょっとお話出ておりましたけれども、昨年七月の政府において決定されました電子政府構築計画、この中に厚生労働省レガシーシステム見直しのための行動計画というものを盛り込んでおりまして、社会保険オンラインシステムもこの行動計画に基づく見直しの一環で見直していきたいと、こういうふうに考えております。  見直しの対象となっております政府の三十六システムのうち、今話に出ておりますように、特許庁を始めとしまして五システムが既に見直しされております。  それで、我々はどうするかということでございますけれども、前倒しで平成十五年度中に予備的調査に今着手したところでございます。具体的には、外部調査業者によりましてシステムの刷新可能性調査を今年の一月から平成十七年三月にかけて行うこととしておりまして、この調査の中で、データ通信サービス契約の見直し、それから随意契約から競争入札への移行の問題等についても検証を行って、そして契約の在り方について見直しを図ってまいりたいと、そのように考えておるところであります。
  134. 松井孝治

    ○松井孝治君 見直しをしていただくということを明言していただきました。そのことは評価をさせていただきたいと思いますが。  ただ、これさっき、特許庁で言うと残債が二百七十億円、二百七十七億円で、十六年度、その残債、要するにこれ、本当は国庫債務負担行為でもない。後、政務官がもし御意見があったら後で言っていただきたいですけれども、そういうものが、あとの、その債務が残っているんですよね。そのこと自体がやっぱりちょっと変なんですが、会計上明らかにおかしいというふうに言わざるを得ないと思うんですが、しかしその残債を二百七十七億円、今回一回特許庁は計上されました。  これ、社会保険庁はそういう残債、私が、もう答弁長くなりますから、約二千億円残債があると言われているんですよ、社会保険庁のシステムについては。それは発注しておられる会社が年次報告書の中でたくさんの将来の債権がありますということを誇らしげに書いておられますから、そのとおりだと思うんです。  これ、残債解消のための予算の計上も含めて僕はやるべきだと思うんですね。やるべきだと思うんですが、ちょっとこれ、社会保険庁の政府参考人で結構ですから簡潔にお答えいただきたいんですが、特許庁はそうやってNTTデータに二百七十七億円払って、それでNTTデータさんが開発されたソフトウエア、これを一回自分のものにされるんですよ。その対価として言わば二百七十七億円払われるんですよ。それは特許についてのいろんなソフトウエアがありますから当然だと思うんですね。  これ、社会保険庁の場合は、今まで社会保険のオンラインシステムを構築して、一生懸命、累計一兆円ぐらい払っておられますよ、二社に、一兆円ぐらい。これで築き上げられてきたソフトウエア、これは残債を解消すれば社会保険庁に帰属するんですか。政府参考人で結構です。イエス、ノーで結構です。
  135. 小林和弘

    政府参考人小林和弘君) 今の御指摘でありますれば、いろいろ検討もしなきゃならない点はあろうと思いますが、イエスということに、解消すればということでありますが、イエスということになっていくんではないかということで考えております。
  136. 松井孝治

    ○松井孝治君 どちらなのかよく分かりませんが。  私が調べた結果は、これ約款をちょっと次長、よくお読みをいただきたいと思うんですよ。そういう約款になっていればいいですけれども、特許庁の場合は特許庁とNTTデータさんが交わされた約款の中に特約がありまして、そこのソフトウエアについては特許庁に帰属すると、きちんと残債を払った段階でという特約があるんですよ。そういう特約は社会保険庁とNTTデータの約款の中にありますか、次長。通告してありますよ。
  137. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 答弁。
  138. 小林和弘

    政府参考人小林和弘君) 約款の中で御説明申し上げますれば、この契約の解除等があった場合の規定というのがこの約款の中にはございます、この四十条というところでございますけれども。これに基づきまして、この契約の解除を行うときの一定の支払というのが約款上、契約の当事者、一方の当事者には生じてまいるということになっております。
  139. 松井孝治

    ○松井孝治君 いや、契約を解除したときに支払義務があるのは当然なんですよ、それは。だけれども、そのときに、今まで、支払ったときに、今まで開発をしてこられたNTTデータさんに一兆円近くを払ってこられた、NTTデータともう一社に一兆円近く払ってこられた、その対価たるソフトウエアは社会保険庁のものになるんですか。今のオンラインシステムの、コンピューターの上で走っているソフトウエアは社会保険庁のものになるんですか。これ、国会で議事録に残るんですよ。正確に答弁してください。
  140. 小林和弘

    政府参考人小林和弘君) 御指摘の今の規定のまま、今の規定のままということでありますれば、単純に著作権が移るということになってまいりません。そのための……
  141. 松井孝治

    ○松井孝治君 まいりません。
  142. 小林和弘

    政府参考人小林和弘君) まいりません。そのための所要の手直しが必要になってまいります。
  143. 松井孝治

    ○松井孝治君 これは、松田行管局長、お見えになっていただいています。私の理解では、総務省というところは、各省の情報、行政情報システムを統括しておられて、必要な総合調整を行われる官庁だと思います。  今のお話を聞いていただいて明らかになったように、随意契約で毎年一社に対して十六年度予算でも八百億円以上の役務契約、サービス契約が行われています。ずっともう二十年以上もその特定の会社と行われていて、しかもそれはソフトウエアに対する経費を払っても、その成果たるソフトウエアは社会保険庁に帰属しない、そういう契約が行われ続けているわけですね。  これは、レガシーという問題を調査された方の中では常識なんですけれども、実は多くのレガシーシステム、これはレガシーの定義によって若干違うかもしれない、自民党は四十ぐらい政府でレガシーシステムがあるというふうに指摘されたものが過去にありましたが、今は二十六ですか、二十幾つですか、三十ですか。いずれにしても、多数のレガシー契約が行われている中で、その多くは特定の企業、今名前が出た企業と契約がなされていて、その企業と政府の契約の中ではそのソフトウエアが、支払った後ですよ、残債も全部支払った後のソフトウエアの帰属は、政府には帰属せずにその会社に帰属するというものが圧倒的に多いんです。その例外は特許庁と、若干国土交通省で一本システムがあったと思いますけれども、それ以外は全部その会社にソフトウエアが残るんです。  考えてみたら分かるように、過去ずっとその随意契約が続いているわけですから、もうソフトウエアの支払終わっているものがたくさんあるんです。そのソフトウエアが社会保険庁に帰属しているかどうか調べたら分かりますよ。帰属していないんですよ。こういう契約の仕方でIT投資というのが、政府投資が年間一・五兆円、これはどういうものを対象にするかによって勘定の仕方が違うかもしれませんが、巨額のIT投資が続けられているわけですよ。こういう契約の仕方。  これ、総務庁は、行政管理局がいったん各省のITの政府調達について計画を聞いて、それを調整して意見を言う。最終的には財務省が査定されるというふうに聞いていますが、総務省はどういう意見を、各省からこういうIT調達の計画を聞いてどういう意見を述べられたんでしょうか。松田局長、御答弁をお願いします。
  144. 松田隆利

    政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。  総務省におきましては、行政機関の運営の総合調整という業務を、所掌事務を担っておりまして、その一環としまして、行政の言わば効率的な運営の観点から、情報システムにつきましていろいろ推進を、あるいは調整を進めてきたところでございます。  各省の毎年度の情報システム関係予算につきましても、そういう言わば専門的な立場からお話を聞くなどいたしまして、その必要性ですとか、あるいは重複投資の排除ですとか、あるいはシステムの規模の妥当性とか、そういうことについて検討いたしまして、参考になる情報として、財政当局、主計局の方に御意見を申し上げ、主計局の方が査定をされるということで行ってきているところでございます。したがいまして、個々の契約、調達一件一件につきまして、あるいはその調達、契約の段階におきましてチェックをするというその権限、立場ではございませんので、そのような検討なり、あるいは調整はいたしておらないところでございます。  ただ、このレガシーの問題は正にこのITの発展の結果生じてきた問題でございまして、先ほど来からございますように、電子政府構築計画におきまして、内閣官房と協力しながら、今その見直しの加速を図っているというところでございます。
  145. 松井孝治

    ○松井孝治君 もうちょっとしっかりやってほしいと思いますね。定員管理、行政機構の管理も大変でしょうけれども、松田局長にはそこまでの時間はなかなかないかもしれませんけれども、これやっぱり、もし異論があったら教えていただきたいですけれども、社会保険庁のシステム、一回でも行政監査されましたか、システム監査されましたか。されたかどうかという事実を御存じですか、松田局長
  146. 松田隆利

    政府参考人(松田隆利君) 私どもの方ではそういうシステム監査をする立場にございませんので、しておりません。  それから、社会保険庁におかれましてどういう状態であるかと、ちょっとただいま情報は持ち合わせておりません。
  147. 松井孝治

    ○松井孝治君 要するに、システム監査をされたかどうかということ。それは当然、総務省がされるようなものではないと思いますよ。外部の有識者がシステム監査するものですよ。だけれども、そのシステム監査がこれだけの規模のもので、非常に有名になっていろんなところで、新聞でも書かれているわけですよ。そういうものについてシステム監査されたかどうかも御存じないというのが現状なんですよ。  茂木大臣も聞いていただいていたと思うんですが、これは、従来の役所の仕組みというのはこういう状況なんですよね。  山下政務官にもお話ずっと聞いていただいておりますが、これやっぱり会計法上、本来はこういうものを、ずっと競争入札をされていないというのは私は問題だと思うんですね。会計法上の規定は細かくは言いませんけれども、それははっきり言って、契約の性質又は目的が競争を許さない場合、随意契約によるものとする。競争を許さない場合って、これで読んでいるんですよ、今、社会保険庁は。競争を許さない場合といったって、そういう発注をしているから競争を許さないわけでしょう。  ですから、これ、細かな会計法上の観点とかそういうことでなくてもいいです。山下政務官の方から、こういう、例えば社会保険庁一つを取っても、これ社会保険庁だけの問題じゃないんですよ、社会保険庁の多少の名誉のために申し上げれば。ほかにもたくさんのレガシーシステムってあるわけですが、ちょっとこういう随意契約で物すごい巨額な金額のサービス契約が行われている。これは政務官、政治家としてこの調達の在り方というのは改めるべきだと思われませんか。
  148. 山下英利

    大臣政務官(山下英利君) 松井先生の御指摘でございますけれども、このレガシーシステムについては、先ほど先生おっしゃったように、とにかくコンピューターのシステム投資というものに対する契約の在り方というのは、やはりこれは日進月歩で進む中で先を読んでいかなきゃいけないと、そのような部分ではなかろうかなと思っております。  したがいまして、ただいま電子政府構築計画に基づきまして各省で見直しに向けた行動計画が策定をされているわけですけれども、やはり一昔前はメーンフレームからまさかそのパソコンを主体としたクライアントサーバー形式と申しますか、ネットワークに変わるというふうなところが実際に思い付かなかった時代もあったんではないかなと、そういうふうに私も、これ個人的ですけれども、思う次第でございます。  現在は、各府省において行動計画に沿って、近年の情報通信の技術進歩を踏まえてシステム開発と運用に係る全体のコストの引下げ、これの可能か否かを判断いたします刷新可能性調査という段階に入っております。社会保険庁のシステムについても十五年度から十六年度にかけて刷新可能性調査を行う予定とこれは伺っておりますけれども、財務省といたしましても、この各府省の業務見直し等を含めたコスト縮減に向けた取組を積極的にこれ促していくと、そして、各府省における検討結果を踏まえて、限られた財政資金の中で予算の効率化に最大限努めていくということを基本として対応していきたいと、そのように思っております。
  149. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非そうしていただきたいんですが、これ実は、平成十四年度決算検査報告、今政務官の方から、いや、一昔前まではこんな情報通信技術の進歩は考えられなかったという話ありますが、もう既に十四年度の決算報告の中でも実は、会計検査院長、ちょっと今日せっかくおいでいただきましたが、ちょっと答弁いただくお時間ありませんが、五十ページにもわたってこのレガシーシステムの問題が記述されているんです。会計検査院は余りアグレッシブに具体的に勧告まではされていませんけれども、きちんとその中について「本院の所見」ということで改善すべきだということはあの慎重な会計検査院でも指摘をしておられるんですよ。  にもかかわらず、さっき松田局長、まあ松田局長業務の中でいうと、これは恐らく百分の一もいかないような業務だと思いますよ。思いますが、総務省というのはそういう担当部局がありながら、本当にじゃ何のために調整しているのかなと、別の役所がそのスタッフを握ってもっと強力に勧告なりをするべきではないかというふうに思いますし、財務省も、もうこれ、十六年度はとにかくシステムの刷新の調査費を付けているということですから、十七年度要求でまさか同じようなものが出てきて予算を計上されるということは、政府案に計上されるなんということはあり得ないと思いますが、そこはちょっと厳しく御検討いただきたいと思います。  その上で茂木大臣、茂木大臣は先ほど申し上げましたように最初にこの問題について提起をされた自民党の特命委員会のメンバーでもおられたと思います。今、御担当として、今の政府側の、特に政府参考人の方々の答弁も聞かれて、これはやっぱり大臣のところで思い切ってこのシステムの見直しを横断的に勧告を行う、各省のシステム全部洗い出してきちっと指導しないと、これいつまでたっても、また来年も再来年も、これ大きなシステムなものですから、少しどういう形が、適正化のために何ができるかなんということを何年も掛けて検討されていたら、いつまでたっても税金の無駄遣いあるいは保険料の無駄遣いが直らないと思うんですが、そこについて茂木大臣の方から、今後どういう姿勢でこのレガシー問題の適正化に取り組まれるのか、御答弁いただきたいと思います。
  150. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 委員、この分野、大変お詳しいわけでありまして、機器そして技術、日進月歩という形で正にこのシステムであったりとかサービス、ソフトウエアというのがアンバンドリングしていると。ソフトウエアの著作権という問題をもっとしっかりフォローしていかなくちゃなんないと。  委員の方からレガシーシステムについて御指摘いただきましたけれども、大きなレガシーシステムだけでも三十六、それ以外に個別の省庁のシステムが十五、これで五十一見直ししなくちゃなんないものがあります。それから、各省に共通の例えば人事とか給与業務システム、これが二十一ございまして、これにつきまして平成十七年度末までに見直しを行うと、こういう電子政府構築に関する計画作っておりまして、それはIT戦略本部の方でもしっかりとフォローしていかなくちゃいけないかなと、こんなふうに思っております。  先ほど山下政務官の方からもレガシーシステムの見直しにつきまして刷新可能性調査を行うと、こういう話あったわけでありますけれども、刷新できると、そういう検討の出たものについては、当然そのメーンフレームをオープンシステム化していく、それから一般競争入札を導入していく、そしてまたデータ通信役務サービス契約を見直していく、こういう検討が必要だと私は考えておりまして、それを踏まえて業務システムの最適化計画、五十一、二十一合わせますと七十二の大きなシステムについてはやっていく必要があると考えております。
  151. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非そこは横断的に特命大臣として、担当大臣として取り組んでいただきたい、お願いをいたします。  竹中大臣にも今日この一連のやり取りを聞いていただきました。竹中大臣、IT担当大臣だったんですね。そのときにどういうことをこの問題について指摘されたのか私はよく承知しませんけれども、竹中大臣と何度か委員会において議論させていただいたときに、予算編成の仕組み全体を変えていかなければいけないという御発言をいただいています。結果として、今年はモデル事業ということで、定量的なアウトカム目標を立てて事後に厳格な審査を行うモデル事業が提案をされています。それが平成十六年度予算編成に入っていますね。  そのモデル事業をばっと見てみますと、十余りぐらいモデル事業がある中の実は半分ぐらいが電子政府関係のモデル事業なんです。ですから、これは竹中大臣にもお願いしたいんですが、しっかりと、これ正に電子政府の問題ですから、政府の垣根を越えてきちっと目標を立てて、そしてその、例えば社会保険庁であればその保険の、年金保険の加入者にとっての便益が向上するとか、どこまでそれに寄与しているのかということをきっちり事後評価をする、アウトカム目標を立てるような形で予算編成の在り方を正にこの案件から変えていくべきだと考えますけれども、今日の議論をお聞きになっての感想も含めて御答弁いただきたいと思います。
  152. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) ITの担当をしておりましたときに、正にこういうIT関連の発注の仕方、予算の組み方が議論になり始めた時期でございました。そういう流れが今の議論に、今日の議論につながっているというふうに考えております。  予算編成のプロセスモデル事業、ニュー・パブリック・マネジメント型の予算編成を部分的に導入していくという考え方に関しましては、何度か松井委員からもエールを送ってしっかりやれというふうに言っていただいておりますけれども、正にモデル事業にこれを取り入れたねらいというのは、成果目標を立てて柔軟に執行してこれを評価をすると。しかし、何からできるかというのはなかなか難しい、仕組みを作りながらやっていかなければいけない、それになじむところから、成果目標を比較的立てやすいというようなところから現実的に手を付けていこうではないかということでありました。  御指摘のように、十事業のうち、実はIT関連ということになると、十事業のうちの七事業がIT関連であると思っております。我々としては、特にこの透明、プロセスを透明化するという点からいっても、ITの話というのはなかなかブラックボックスの中に入って見えにくいという点もございます。その意味では、このモデル事業を活用していただくというのに非常になじむ性格を持っていると思っております。  茂木大臣ともしっかり相談して、来年度以降もこれを是非活用していただくと、同時にITの問題も解決していくと。是非、そういう方向を目指したいと考えております。
  153. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  終わります。
  154. 吉川春子

    ○吉川春子君 防災担当井上特命大臣へまず質問いたします。  昨年九月に小泉改造内閣の閣僚となられ、総選挙の後の第二次小泉内閣でも引き続き防災担当の内閣府特命大臣である井上大臣に、当内閣委員会に御出席していただくのは初めてです。参議院内閣委員会は、御承知のように、内閣官房及び内閣府を所管する委員会であり、内閣の重要政策及び警察等に関する調査を行っております。  私どもは、今国会審議を開始するに当たりまして、防災担当の内閣府特命大臣である井上大臣からも御所信をいただくべきであると主張してまいりましたが、合意が得られませんでした。この点は引き続き理事会で協議を継続するということですので、委員長にも御確認をいただいた上で質問に入りたいと思います。  中央省庁等改革で内閣府に防災を担当する特命大臣を置き、また中央防災会議内閣府に置かれる重要政策に関する四委員会の一つに位置付けられている意義をどのように認識されておられるでしょうか。  また、井上大臣は特命大臣として防災担当のほか有事法制の担当でもいらっしゃいます。防災と有事法制ではその政策推進の理念に当然違いがあると思います。いやしくも防災の名に隠れて国民の人権を侵害するような有事法制が進められることがあってはならないと思いますが、この点について大臣の御所信を伺いたいと思います。
  155. 井上喜一

    国務大臣(井上喜一君) 御質問は二問あったかと思いますけれども、第一問につきましては、確かに防災でありますとか有事法制というのはいろんなところに今関係をいたしていると思います。どの委員会出席をするかということは委員会の理事会の方で御決定になることでございまして、その御指示に従って対応いたしたいと、こんなふうに思います。  確かに、いろんな面といいますか多面的なところがありまして、議論する角度によりまして、一つの委員会だけではなしにあるいは他の委員会というようなこともあるかも分かりません。それはそういうことで、委員会の理事会の御判断に従って出欠を決めてまいりたいと思います。  第二の問題でありますけれども、有事法制あるいは防災も共通のところがございます。それは、いずれも人間の命でありますとかあるいは財産、これに関係するところが多くございまして、命とか財産を守るというのは国の大きなこれ責任でございます。  そういったことで、防災につきましても、あるいは有事につきましても、基本的には共通するところが多分にあると思うんでありまして、場合によりましては国民の基本的な権利を制限する場合もございますし、あるいは新しい義務を課するようなこともあるかも分かりませんけれども、その際にはその基本的人権につきましてはもう最小限、必要最小限の制限にとどめるというのは当然のことだと思います。  特に、武力攻撃事態法におきまして衆議院の方で修正が行われまして、今度のこの国民保護法制におきましても基本的人権については最小限にとどめると、基本的に基本的人権は尊重していくんだという規定が盛り込まれておりまして、今、私ども有事関連法律、国会提案をいたし、提出いたしましたけれども、そのような趣旨で法案を提出させていただいた次第でございます。
  156. 吉川春子

    ○吉川春子君 是非、その基本的人権が侵害されることのないように十分御留意いただきまして進めていただきたいということを申し上げておきます。  端的に最初にお答えになりました点についてですけれども、当然内閣委員会にお出ましいただいて御見解を述べていただくということを、別に大臣個人としては拒否するお気持ちはないというふうに承りましたけれども、それでよろしいですか。
  157. 井上喜一

    国務大臣(井上喜一君) 議会運営といいますのは議会の方でお決めになることでございまして、それに従いまして私どもは対応していきたいと、そんなふうに考えております。
  158. 吉川春子

    ○吉川春子君 じゃ、大臣、結構でございます。  続きまして、陵墓参考地の……
  159. 井上喜一

    国務大臣(井上喜一君) 退席してよろしいですね。
  160. 吉川春子

    ○吉川春子君 結構です。
  161. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) はい、どうぞ。
  162. 吉川春子

    ○吉川春子君 ありがとうございました。  陵墓参考地の公開問題について質問をいたします。  明治政府及び戦前の政府は、欽定憲法制定に伴って、万世一系の天皇を裏付ける根拠といたしまして、初代の神武天皇からすべてのお墓を見付け出して、すなわち明治から昭和十八年まで掛かって指定して、今日も管理していると認識しております。国民共有の文化財である古代史研究のために、古墳への立入り研究を認めるべきではないかというふうに思いますが、宮内庁、いかがですか。
  163. 田林均

    政府参考人(田林均君) 陵墓及び陵墓参考地でありますが、これは現に皇室において祭祀が継続して行われているところでありまして、皇室と国民の追慕尊崇の対象となっております。静安と尊厳の保持が最も重要なことであり、したがって部外者に陵墓を発掘させたり立ち入らせたりすることは厳に慎むべきことと考えております。  また一方、陵墓には文化遺産としての価値が認められるものもあります。学術研究上の要請にこたえるため、陵墓や陵墓参考地の本義に支障を及ぼさない限りにおいて、保全工事に伴う調査の際の見学でありますとか出土品の公開、あるいは調査結果の公表などに努めているところでございます。
  164. 吉川春子

    ○吉川春子君 文部省検定の高校歴史教科書、最新日本史によれば、大和朝廷の始祖は神武天皇とし、神武東征伝承はそのまま史実と認めることはできない。また、古事記、日本書紀には神代の巻があり、天地創世から神武天皇建国に至る建国神話がかなり整然と述べられているとしています。神話の世界に基礎を置く天皇がいるということは常識です。古事記とはどういう本か、日本古典文学大辞典によりますと、史実をそのまま述べているとは限らないとしていますし、また、日本書紀は、最終部分の天武紀、持統紀は朝廷の公の記録を中心に編修されたと見られ、史籍の信頼性は非常に高いとしています。これを裏返せば、それより古い部分については必ずしも信頼性が高くないと推測されるということになるわけです。神話の世界の人物の墓を含む陵墓を守るために、国民財産、文化財の陵墓を公開しないで、また考古学者の立入りを拒否するというその理由にはならないと思うんです。発掘を要求していないんですが、立入りまで拒否される理由は何ですか。
  165. 田林均

    政府参考人(田林均君) 天皇陵の中には、神話の時代、これは日本書紀なりあるいは古事記の記述内容の解釈の相違がいろいろあるわけでありますけれども、そういった世界のものもあることは事実であります。  ただ、古事記、日本書紀に盛られた伝承がすべて史実であると言うことはできないにしましても、歴史的事実を核として長く伝えられてきたものであることは疑いなく、学説上も皇室の御系譜についての伝承は信頼するに足るという意見があります。そういった意味で、古代からの陵墓につきましても、皇室の崇拝の対象、皇室、国民の崇拝の対象となっており、現に祭祀が行われておりますので、そういった陵墓管理の本義に基づきまして、学術目的での発掘あるいは立入りにつきましては、これは認められるべきではないというふうに考えております。
  166. 吉川春子

    ○吉川春子君 神話の世界にも根拠を有するということを今お認めになりましたけれども、今、宮内庁のおっしゃいます生きているお墓といいますか、陵墓、同参考地の中で古墳は幾つあるんでしょうか。
  167. 田林均

    政府参考人(田林均君) これは古墳の定義にもよりますが、現在、宮内庁で管理しております陵墓のうち古墳の数は百二十一でございます。内容的には、陵が五十九、墓が三十二、陵墓参考地二十八、その他二でございます。
  168. 吉川春子

    ○吉川春子君 その参考地というのはどなたのお墓なんでしょうか。
  169. 田林均

    政府参考人(田林均君) 陵墓参考地と申しますのは、そこに被葬者の具体的な特定はできておりませんけれども、文献や伝承あるいは墳塋の規模や出土品の内容から考えまして皇室関係者の墳墓の可能性があるということで、将来の陵墓の考証と治定に備え、土地を取得して宮内庁で管理している場所でございます。
  170. 吉川春子

    ○吉川春子君 その陵墓にも是非立入りを認めるべきだということは考古学者あるいは国民要望なんですけれども、参考地となりますと、今度はどなたのお墓であるかということも全くはっきりしていないにもかかわらず、それも含めて一切の立入りも認めない。これは、日本の古代史の中には非常に未解明の部分が多いわけですけれども、こういう研究にとって非常に大きなマイナスであると思います。  その点について、次長は、古代史研究についてのマイナスであるという面はお認めになりますか。
  171. 羽毛田信吾

    政府参考人羽毛田信吾君) 先生仰せの日本の古代史の研究という視点から見てどうだということにつきましては、確かにその視点だけから見ますと、それは陵墓あるいは陵墓参考地といえども、そういうところについてできるだけの立入りだとか、あるいは更に言えば、発掘だとかがやられた方がそれはそういうことに解明には役立つであろうというのは、それは私もそのとおりであろうと思います。  ただ、陵墓あるいは陵墓参考地も含めて申し上げますけれども、私どもとして言えば、この陵墓なり陵墓参考地というものは二つのことを考えなければならないと思います。  一つは、先ほど部長も御答弁申し上げましたように、やはりこれは言わば日本の象徴たる天皇にかかわる御祖先のお墓でございます。したがいまして、そういう意味での尊崇と静安と申しますか、そういったことを保つということがまず一つ大事だと思います。  そうした上で、今おっしゃったような言わば古代史上の、あるいは考古学上のそういった需要というものをどう満たすかということを考えていく。どこに軸足を置くかといえば、やはり私どもとしてはそういった現に生きて、現にそういうことでお祭りを申し上げておる墓であるという点をやはり重視をして、それに支障のない範囲で今の、例えば工事が行われますときとかに立ち会っていただいて見ていただきます等のことで一方の要請にもこたえていくというのが、今のやり方としては私は正しいのではないかというふうに考えております。
  172. 吉川春子

    ○吉川春子君 加えて、陵墓の中にも明らかに史実と一致しないものがあります。具体的に継体陵、ケイは継続の継、タイは体ですが、継体陵の問題で聞きますが、九九%の歴史考古学者が今城塚古墳、高槻市にある方が本物の継体陵であると言っておられます。宮内庁は科学的な調査も行わないまま、江戸時代に決めた現在の継体陵、太田茶臼山古墳に固執しています。それで順次具体的に伺いますので、端的にお答えください。  第二十六代の継体天皇はいつ生まれ、また没したのでしょうか。その生没の年齢、年代だけお教えください。
  173. 田林均

    政府参考人(田林均君) 二十六代の継体天皇ですが、没年は継体天皇二十五年、西暦五三一年でございます。生年については、日本書紀によれば、生年は四五〇年となっております。
  174. 吉川春子

    ○吉川春子君 つまり、継体天皇が亡くなられたのが六世紀前半、それでは宮内庁が今継体陵としている茨木市の太田茶臼山古墳は何世紀に築造されていますか。
  175. 田林均

    政府参考人(田林均君) 継体天皇は継体天皇二十五年、西暦五三一年に崩御し、それから現在の継体陵に埋葬されたと考えられておりますが、この陵の築造年代につきましては、はっきりした絶対年代というものを確定することが困難でございますが、その継体天皇崩御の前後というふうに考えられます。
  176. 吉川春子

    ○吉川春子君 茶臼山古墳は宮内庁が外堤護岸工事に伴う事前発掘を行っておりますが、その際に円筒埴輪の破片二千点を確認しました。一九八六年五月二十九日の報道です。この埴輪は何世紀のものとお考えですか。
  177. 田林均

    政府参考人(田林均君) 継体天皇陵から発掘されました埴輪の年代につきましては、考古学界等におきましていろいろ研究が行われていることは承知をいたしております。考古学界におきまして、相対年代につきましてはある程度の研究がなされているわけでありますけれども、絶対年代を特定するということは極めて困難な作業というふうに聞いております。
  178. 吉川春子

    ○吉川春子君 その専門家によりますと、発掘された埴輪は横はけを入れた跡がくっきりと残っており、太田茶臼山古墳の埴輪は、横はけ技法を持ち、かつ須恵器のように穴窯で焼いたものとされています。この埴輪は、西暦四五〇年から四六〇年の間に制作されたものに見られる特徴があります。継体天皇は今答弁いただいたように五三一年に没しておられますので、この古墳の建設はその埴輪、発掘された埴輪から推測しますと継体天皇が亡くなる七、八十年前、つまり、もう生まれたころにはこの古墳が造られていたということになります。  一方、継体陵からほど近いところに今城塚古墳がありますが、これまでの発掘調査で、これは六世紀に築造されたものであり、こちらの古墳が本当の継体陵であるということは、考古学者の学会で大方が認める通説です。  宮内庁は、この日本考古学会の見解をお認めにはならないんですか。
  179. 田林均

    政府参考人(田林均君) 現在の継体天皇陵の治定につきましては、これは幕末におきまして治定をされたものでございます。そのとき幕府は、その当時における一定の合理的な根拠に基づいて決定したものというふうに考えております。  その後、歴史学あるいは考古学の研究が進むにつれまして、古墳の建築年代でありますとか、あるいは埴輪の製造年代につきましていろんな研究がなされていることは承知をいたしております。ただ、古墳の製造あるいは埴輪の年代と、この崩御の時期等々については、いろいろな考え方が成り立つわけであります。  考古学の進歩によりましてそういった新しい学説が出ていることは承知をいたしておりますけれども、そういった意味におきまして、絶対年代等必ずしも明確ではございませんので、陵誌銘等、現在の治定を変更するに足るだけの明白な資料が出ない限り、現在の治定を維持すべきものと考えております。
  180. 吉川春子

    ○吉川春子君 江戸時代のあれによるのではなくて、現代の学問の発展を是非宮内庁も謙虚に学んでもらいたいと思います。  それで、もう一つ伺いますけれども、安康天皇陵は中世後期の中世城郭が指定されていて、古墳ではなくて、一五〇〇年代の城郭です。安康天皇は五世紀に亡くなっています。陵として指定された場所は十五世紀の中世城郭であり、年代も千年も後です。城郭、出城を陵として指定しているので、重要な文化財に立入りも禁止されて、中世の研究者が研究ができなくて大変困っておられます。  これは是非公開していただきたいと思いますが、いかがですか。
  181. 田林均

    政府参考人(田林均君) 安康天皇陵につきましても幕末の治定でございますが、治定の根拠は幾つかあると思われますが、その中の一つに、現在の陵の地形、これは大分変わっているわけでありますけれども、地面の膨れている部分が前方後円墳の残丘、残りの丘の部分ではないか、あるいは残っている池が周濠、周りの濠の名残ではないかというふうに考えられまして、したがって、前方後円墳が大方を削平された跡というふうに考えられております。  したがいまして、現在、それから近傍にあります垂仁天皇陵との位置関係でありますとか、陵所の所在地の考察でありますとか、そういったことを根拠に治定をされているわけでありますが、先ほど申し上げましたように、天皇陵といたしまして皇室の、皇室と国民の崇拝の対象となっております。  静安と尊厳を維持する立場からも天皇陵といたしまして管理したいというふうに思っておりますので、調査目的での立入りというのは差し控えるべきだというふうに考えております。
  182. 吉川春子

    ○吉川春子君 宮内庁のそうした態度が、古代史のみならず中世史の研究にも非常に大きな支障になっております。  次長、お伺いいたしますけれども、私は、明治天皇下の天皇と日本国憲法の下の天皇との地位は全く変わっておりまして、万世一系の天皇統治すの感覚で古墳を管理することがそもそも間違いなのではないかというふうに思います。  日本の歴史でなぞの多い古代国家形成期の歴史を復元するというためには、大古墳の調査が欠かせません。三世紀から六世紀までの古墳は大型の前方後円墳、築造技術を駆使して造られた文化的モニュメントの傑作で、また日本が世界に誇る文化財でもあるんです。これを積極的に公開していくように努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  183. 羽毛田信吾

    政府参考人羽毛田信吾君) 先生お話しのございました、私どもも現在の陵墓の管理は当然現在の憲法下における天皇ということを前提に行っております。したがいまして、象徴天皇たる現在の天皇の祖先のお墓というもの、あるいはその皇族の方のお墓というものの重みというものをどういうふうに考えていくかということだと思いますけれども、やはり今の、現憲法下における国の、あるいは国民の象徴としての天皇ということを考えました場合に、その祖先に対して、やはりお墓というものに対してそれなりのやはり尊厳と尊崇ということは非常に大事なことだというふうに私どもは思っております。  そういった観点から、やはりそれをまず第一に考えていく。そうした中で、今おっしゃったような文化あるいは学問上の要請というものに、それに損なわない範囲でこたえていくという姿勢でやっていくことにつきましては、やはりそのようになすべきではないかなと思いますし、先ほど来のございました、治定が少し今の学問水準からいけばおかしいのではないかという御議論もございましたけれども、これにつきましても、やはり私ども、今の、今ただいまの状態でA説、B説があって、A説が有力だというような形の中だけで物事を処するのにはやはり慎重でなければならないのではないか。やはり、かつて過去において、あるお墓をその時点の知見をもって同定をし、そしてその後、そこをお墓としてやはり祭祀を行ってきたことの重みというものは考えなければならないんではないかというふうに思っております。  したがいまして、現時点においてそういうことをもし変えるとすれば、それを覆す決定的な、そこはそうではないというようなことも出てまいりますればもちろん格別でございますし、その間の考古学等の発展について私どもも思いをいたさないということではもちろんございませんけれども、やはり基本的にはそういう点についてはかなり慎重な態度で臨むべきがやはり正しいのではなかろうかというふうに考えて、今日処しておるところでございます。
  184. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間ですので、納得できませんが、終わります。
  185. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  本日は、予算委員会の委嘱審査ということなんで、内閣内閣官房の予算、どのくらい効率的に使われているのか、すなわち内閣内閣官房の仕事がどれほど効果的に行われているか、その観点で質問させていただきたいと思っております。  小泉総理着任以来、政治主導という名の下に、当内閣委員会内閣官房と言ってもいいんですが、どんどん看板政策を投げ込んできます。例えば、BSEが起こればその対応策として食品安全委員会、これも内閣府の所管ですね、内閣官房。そのほか、例えば規制緩和だといえば構造特区、こういった政策が投げ込まれます。地域再生でいえば地域再生プログラム、これは昨年秋、また投げ込まれてきました。さかのぼれば、特殊法人改革という、これ本当に目玉なんですが、そのまた最も目玉の道路公団民営化推進委員会、これも内閣委員会に投げ込まれてきました。  これが、何か私から見ると、この内閣委員会が総理のおもちゃ箱のように見えるんですね。じゃ、そのおもちゃが本当に機能を発揮して、じゃ魔法の玉手箱になっているのかどうか、駆け足なんですけれども、検証していきたいと思っております。    〔委員長退席、理事神本美恵子君着席〕  それではまず、小野大臣においでいただいたんで、食品安全委員会についてお聞きいたします。  これも昨年当委員会審議いたしました。これこそ、BSE問題を受けて、やはり当時厚労省、農林水産省、縦割り行政という批判を受けまして、意思疎通を欠いた、この点を改めようという、これが問題の趣旨、スタートでした。そこで、リスク分析手法という、これは新しい手法なんですが、要はリスクを評価するリスク評価、そして管理するリスク管理、これを分けましょうと、今までごっちゃでしたから。まずリスク評価、リスク管理を分けて、そして、厚労省、農水省がそれぞれ行っていたリスク評価を一元管理しましょうと。こういったことが目玉でしたね。そのリスク評価の一元化して行うのが食品安全委員会の仕事だと、これが一つの筋立てでした。  じゃ、そのリスク評価を一元化しているという、これはどのくらい機能しているか、この観点から御質問いたします。  まず、農水省、お聞きしますけれども、それでは、食品安全委員会発足前ですね、これ農水省がリスク評価をしていたと、そう聞いております。具体的にどこがどのようなリスク評価をしていたか。これ、端的にお答えください。
  186. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 食品の安全性に関しましては、先生のおっしゃられましたとおり、BSEの発生を契機に食品安全行政の見直しが行われまして、昨年七月に施行されました食品安全基本法におきまして、リスク評価を含むリスク分析という概念が導入されたところでございます。  食品安全委員会が新設されるまでは、農林水産省におきましても、現在の食品安全行政の体系におけるリスク評価に相当することを私どもの農林水産行政のその他の行政と一体となって実施しておりました。BSE問題にかかわる行政対応の問題点を踏まえまして、リスク評価は関係省庁から独立した食品安全委員会におきまして一元的に実施し、農林水産省ではリスク管理を行うこととされたところでございます。
  187. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと答えになっていないんで、もう一度聞きます。  食品安全委員会発足前は農水省がリスク評価をしていたと聞いておるんです。一体、具体的にどこがどういうリスク評価をしていたのか、それをお答えください。
  188. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) それでは、具体的に申し上げさせていただきます。  例えば農薬につきましては、従来、農薬の登録時におきます許容一日摂取量の設定時におきますいわゆるリスク評価につきましては、食品安全委員会が発足する以前は厚生労働省で行われておりました。それにつきましては、昨年七月以降、食品安全委員会で行われることとなりました。    〔理事神本美恵子君退席、委員長着席〕  また、一方でございますけれども、平成十四年十二月に農薬取締法の改正が行われまして、その中で新たに特定農薬という制度が設けられました。その特定農薬の指定に際してのリスク評価についてのみは、食品安全委員会が発足するまでの六か月間ということで、暫定的に農林水産省の農業資材審議会におきまして実施した経緯がございます。  ただ、具体的には、平成十五年一月に開催されました農業資材審議会におきまして重曹、食酢などにつきましてのリスク評価を行いまして、その結果を踏まえまして昨年三月にこれらを特定農薬に指定したところでございます。ただ、これにつきましては、食品安全委員会の発足に伴いまして、こうした特定農薬の指定に係るリスク評価につきましては食品安全委員会で行うことと現在されているところでございます。
  189. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 審議官、最初からそれをお答えくださればよろしいじゃありませんか。  これ、私、もうちょっと分かりやすく私が説明しましょう。  食品安全委員会で、農水省マターで行うリスク評価って四つあるんですよね。それは、今おっしゃられた農薬と、そして飼料、肥料、動物用医薬品ですね。このうち、まず肥料については、人間に対して安全性という、そういった概念がありませんでしたから今までリスク評価はしていませんでした。動物用医薬品についても、これは動物に対するリスク評価はしましたが、人に対してはしていませんでした。  そして、三番目、今おっしゃった農薬についてリスク評価をしていたとおっしゃっていますが、以前はしていません。農薬取締法の改正によって、今審議官おっしゃった、わずか六か月間、リスク評価の、法的に農水省が行うということになりましたが、現実には十四年の十二月十日から、そして十五年の一月三十日、この期間行ったと言いますが、これも現実にはほとんど行っていない。  今申し上げた、実は少しだけやっていると言われているのが飼料ですね、えさ。これ、BSE問題でも大変肉骨粉の問題になりましたが、ここも、これは農水省で、確かにこの農業資材審議会で行われていましたが、これ事務方に聞いたところ、それほどウエートが高かったとは言えない。加えて、本来、食品安全委員会が発足すればリスク評価の部分が仕事として移るわけですから、じゃ仕事量が減りましたかという質問に対しては、はっきりと全く減っていませんと答えています。  結局、何が言いたいかというと、じゃ、リスク評価がお互いに分かれていて、それを一元管理することによって食の安全を担保しようと言っている。これは正ににしきの御旗のごとく議論されたんですが、今までが分かれていなかったんですよ。ほとんど厚労省の薬事・食品衛生審議会で全部一元管理されていたんですよ。だとすれば、あれほど我々が真剣に議論した、リスク評価の一元化によって食の安全ですよというこの理論は、私はもう既に当初から破綻していると思っているんです。  ですから、あえて小野大臣にお聞きします。  じゃ、その一元管理、リスク評価の一元管理によって、じゃ食の安全、何が変わるのか。今現在、鳥インフルエンザにせよ米国でのBSEにせよ、それは食品安全委員会に責任は帰せませんけれども、現実に、我々は食に対してはこれだけ不安におびえているわけです。何ら改善されていないと言ってもいい。これについて、小野大臣、お答えください。
  190. 小野清子

    国務大臣小野清子君) リスク評価の一元管理により、具体的に何がどう変わったかという御質問でございます。  これは、食品安全性の確保に関する施策につきましては、担当省にかかわらず、一貫して食品安全委員会において科学的かつ中立的な評価が行われることによりまして、施策間の整合性が向上し、結果といたしまして国民の健康の保護、あるいは保護を優先とする食品安全行政が展開できるようになったということでございます。
  191. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 私の先ほどの説明をお聞きくだされば大臣もお分かりいただけると思うんですが、食品安全委員会という大変な看板を我々投げられた。その食品安全委員会のじゃ何が機能としてすばらしいかといったときに、リスク評価とリスク管理を分けて、そしてリスク評価の一元化だと言っているわけですよ。やはり、そうしますと、この掛け声がそれだけで終わってしまっているんではないかと。これはもう問題意識として指摘しておきます。  じゃ、更に踏み込んでお聞きします。  じゃ、食品安全委員会が発足しました。確かにまだ一年たっていませんから、私、即座に、じゃそれはどれだけ機能しているかという、これは意地悪な質問はしません。ただ、先ほどから申し上げた、厚労省、農水省の縦割り行政は、それは打破しましょうという、私、その気概は食品安全委員会そして担当の小野大臣にもあると思っています。  では、現在まで三十七回食品安全委員会開かれているようですが、その中で独自、食品安全委員会独自でリスク評価をしたことはございますか。
  192. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 実は、これまで厚労省あるいは農林水産省の方から二百七十七品目の食品健康影響評価の依頼があり、六十一品目を結果を通知しているところでございますが、今先生から独自のものはというのはございました。  現在は、二百七十七のうち六十一品目についてお答えをさせていただきましたけれども、その他に関してまだやっているわけでございまして、緊急の事態あるいは特別懸念すべき事案がございましたらすぐにも取り掛かるものと思いますけれども、現在のところは今いただいているものを一生懸命させていただいているとお答えをさせていただきます。
  193. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ゼロなんですよね。ゼロなんですよね。  今、小野大臣おっしゃるとおり、いろんなものが厚労省、農水省から提案されると。追われるのは大変ですけれども、何度も言います、食品安全委員会は縦割り行政打破だという、これ小泉総理の一つの主張の下に行ったわけですから、私は、例えば第一番目のリスク評価はせめて、リスクコミュニケーションとか情報を得ているわけでしょう、食品安全委員会は。そこの独自の情報で、せめて第一号は自分のところでやるという、こういうような私はアピールない限り、なかなか旧態依然というものが変わらないんじゃないかという、これももう問題として指摘しておきます。  これでお答えいただきたいんですが、今申し上げたように、どうもリスク評価の一元化といったものとか、ないしは縦割り行政を打破する、食品安全委員会の独自性といったものに対して私は大いなる今疑問を呈じたわけです。この疑問に答える意味で、本当にこれから私たちの食の安全というのは確保されるのか、それをお答えください。
  194. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 安全行政、食品安全行政におきまして、先生も御案内のとおり、産業振興の機能におきましても、そういった点を担っております農林水産省あるいは厚生労働省、そういう各省において影響評価というものが、先生おっしゃったように管理とそれから機能の区別がされずに混然一体となっていたと。  これを要するに私どもは、昨年の七月に、各省、これが独立した行政機関として食品安全委員会が設立されて、そして一元化に伴いこれを、その一元化に伴いましたことで各省において具体的な管理措置を講ずる体制が構築されたわけでございますから、これからの時点で、これからの時点で正に力を発揮していくべきものと私自身も思っておりますし、目の前に鳥インフルエンザの問題等々もございますし、安全と安心という問題をかんがみましたときに、この安心に関する問題は非常に大きく今まだ浮いておりますので、この辺辺りをどうしていくかというのが正に掛けさせられた私どもの任務であると、そのように認識いたしております。
  195. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 小野大臣、ありがとうございます。  私、最後の指摘、大変重要だと思っているんです。というのは、安全、安心と一緒くたに言いますけれども、私、官僚の皆さんに求めるのは安全までなんですよ。科学的な安全は官僚の皆さんに任せる。ただ、その後の安心は、私、これ政治の仕事だと思うんですよね。だから、小野大臣からもきっちりといろんな言葉を国民に投げ掛けていただいて、国民、皆さんが食に対して安心を得られる、そのことを私期待しておりますので、よろしくお願いいたします。  小野大臣、もう結構でございます。  じゃ、二番目の政策、じゃ地域再生プログラム、金子大臣にお聞きします。  せんだって、私ども内閣委員会で視察に栃木県に行ってまいりました。ここで、だれ言うともなく委員の間で、ところで地域再生プログラムって何だろうねと、構造特区とどこが違うのと。これ、例えば栃木県の提案の中見ると、地域再生提案に対してこういう表現もあるんです、河川法の規制緩和ってあるんです。あれ、法の規制緩和って、これ特区かないしは規制改革会議だよねと。そのぐらい今地方の担当者もこれ分かりづらくなっているんですよ。これは私が批判したんじゃないんですが、これ十月二十四日に地域再生本部が立ち上がったと。これ、正に衆議院選挙の前夜ですね。都市再生本部があると、何とか地域に対してメッセージを送るための道具じゃないかという、これ私が言ったんじゃないですよ、マスコミが言っているんですけれどもね。こういったことに対して、私、金子大臣に御答弁いただきたい。  では、これも端的に聞いていきます。地域再生推進室、ございますね、できました。このスタッフと今までの、従来の構造特区推進室のスタッフ、これ違っているんですか、お答えください。
  196. 滑川雅士

    政府参考人滑川雅士君) 構造改革特区地域再生につきましては、いずれも地方公共団体や民間事業者などからの御提案を踏まえまして、地域の視点に立って実現するためにはどうすればいいかということで検討を進める仕組みは共通しております。また、特区とそれから地域再生、いずれも地域活性化を目的としているものですので、連携を図るということを考えております。  そうした意味で、その取組は一体的に、地域再生構造改革特区、それぞれの部屋で一体的に進めているということでございます。
  197. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 時間短いので、本当に質問したことにお答えください。  これ、結論から言うと、スタッフ一緒なんですよね。そうです、そうなんですよ。地域再生推進室と構造特区推進室、この皆さんは名刺に二つとも肩書入っています。全員一緒です。同じ空間でやっているんですね。ただ、増員されたことも知っていますよ。  じゃ、これもお聞きしましょう。地域再生プログラムに対する予算措置、これお幾らですか。
  198. 滑川雅士

    政府参考人滑川雅士君) 地域再生プログラムを策定、二月に策定いたしましたが、地域再生本部ができましたのが昨年の十月末ということでございまして、またこの地域再生推進室ができたのもそのときでございますので、地域再生プログラム策定に直接係る予算措置はございません。
  199. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうなんですね。予算措置もゼロなんですよね。スタッフも一緒で、これで目玉で、目玉の政策だと、地域再生だと言われて、私ね、私の地元なんかでも、これで自分のところは何か再生するかなってその期待を抱いている方少ないんじゃないかなという心配があるので、私、金子大臣にこの心配を払拭していただきたいんですね。  じゃ、金子大臣にはこう聞きましょう。地域再生プログラムってまず何なんですかと。ここに支援措置って出てきますよね。支援措置って一体何を指すんですかと。あわせて、三つ目、構造特区との違いを明らかにする形で、金子大臣、お答えください。
  200. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 冒頭に非常に、十二月の十九日に、これ地方に連絡を取りまして提案してくださいと言いましたところが、一月の十五日まで、わずか一か月足らずであったんでありますけれども、三百六十を超える自治体から提案がありました。  黒岩先生の御指摘の、地方自治体、余り関心ないのかと。むしろ、こんな一か月間で、わずか一か月間でこれだけの提案が出てきたので、十分とは思いませんけれども、相当反応は予想以上に出てきている。  もう一つ申し上げれば、プログラムというものは、正に地域から出てきた提案、これをどうすればできるかということへの政府の支援措置、支援ですね、支援施策といいましょうか。それから、順に従って言えば、支援措置というのは具体的にその中身、つまり何ができますよということを定めたものでありまして、これは百四十一項目、もう全地方自治体に御連絡をしております。こういうものは、例えば補助金使った施設の有効利用ですとか、そういう公共施設を転用する事業へのリニューアル債への、リニューアル債という新たな措置ですとか、金融措置等々はあります。  一番特区とどこが違うのという点なんでありますが、特区は文字どおりその地域の、具体的なイメージで申し上げますが、その地域の特定施設、例えば岐阜県の瑞浪市というのが、保育園がありました。これを幼稚園も併せて併合したいというのがありまして、これは特区で出てきましてこれを認めました。厚生大臣と掛け合って認めました。これが特区。  ところが、地域再生の場合には、保育園と限りません。公共施設、廃校になる学校、小学校、中学校、それから農業施設、あるいは地方公共団体が特定目的に造ったもの、それも他のものに転用していいですよと。例えば地方自治体で、学校でいえば、廃校になった学校を、これ申請すればできるんです、認定受ければできるんです。事業所に貸しちゃう、あるいは図書館に変えると。図書館に変える場合には、地方債、リニューアル債というのはこれは付けます。財政措置がここは伴ってまいります。あるいは地方公共団体の財産、先行取得をしたような土地、これを、今塩漬けになっていてもったいないね、じゃこれ商業施設に貸したらどうだというのも具体的に出てきておりますけれども。いずれにしましても、そういう地域の特定のものではなくて、公共施設、これを転用するといったようなものは認めていこうではないかという、基本的な概念はそういうところであります。  それから、ちょっと今お話あった、時間がないんで端的に申し上げますけれども。道がどうのこうのと、公物管理ということでありますけれども、河川もそうです。河川の例言いましたけれども、これも今まで一件一件全部認可しなければできなかった。これは特区というよりも、認可しなければ、取れなければできなかったやつを、今度は主任管理制度という仕組みを作って全国どこでもできるようになると、そういう意味での考え方であります。
  201. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 委員の皆さん、今の御説明で十分お分かりいただけましたでしょうか。私はちょっと何かまだ釈然としないところがあるんですね。  これ、もう時間ないんで、ちょっと質問で答弁いただかないんですが、私、聞いたところ、例えば補助対象施設等の有効活用、多分今大臣おっしゃられたところ、この部分だと思うんですが、これがメーンだというんですね。要は、地域再生だろうが構造特区だろうが、まず入口全部一緒ですよと、地域の上げてくださいと、何でも願望をと。規制緩和をするかしないかで分かれますと。規制緩和で全国対応は総合規制会議にかけて、地域が担当するのは、対応するのは構造特区だと。そうすると、規制緩和がない部分が地域再生プログラムと聞いたんですね。なおかつ予算措置はしないと。徐々に狭められてきているんですね。  じゃ、その補助対象施設等の有効活用って何かというと、これもあるルールを変更しなきゃいけないんですよ。ただ、これが補助要綱のルール変更だから、いわゆる政省令、法律ではないから構造特区ではないという、こういう細かいところなんですね。お金は付けれませんから、本来この補助対象はこういったことしかできないけれども、別のことも使っていいという、こういうことなんですよね、多分。私は今大臣のことをそしゃくしているんですけれども、勝手に。  やはりこれを、説明とか聞けば聞くほど、かなり矮小化した話にしか聞こえないというのは私の誤解かもしれないんですが、これで地域再生という、これ大変大きな看板を掲げているんですが、私はなかなかこれで地域が本当に再生できるのかなということに疑問を呈し──じゃ、一言、一言。
  202. 金子一義

    国務大臣金子一義君) パンフレットの一丁目一番地に廃校の転用というのがあるんでそういうイメージがあるかもしれませんが、千六百項目アイデアが出ているんです。港を、漁港でありますけれども、これを、町中に水産加工場があるのを全部岸壁の方に移して、そしてそこでバイオマス発電やろうと。様々なアイデアがあります。このプログラム、何ができるかというのがこの間出ました。五月までに町村から出てきます。風力発電も出てきます。いろんなのが出てきますので、決して廃校だけじゃありません。
  203. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ええ、存じています。ただ、やっぱり事務方もこれはメーンだという表現もありましたし。  ただ、大臣、私は看板倒れで終わってほしいって言っているんじゃないんですよ。倒れにしないためには各大臣が、例えば小泉総理がそのおもちゃに飽きてもそれは駄目ですよ。それは各大臣がこれきっちり使っていただくと、このことを指摘しているんです。  では、もう駆け足で、次、産業再生機構行きますね。これも金子大臣です。  私、今平成十六年の三月九日時点で支援決定が十一件だと。この案件、十一件だと。もうこれも端的に聞きます。この案件、当初の予想していた、産業再生機構として予想していた実績、支援額等と比べて、現実のこの実績、これについての評価をお聞かせください。
  204. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 私は、再生機構を使う使わないというよりも、一番大事なことは来年の三月までに不良債権処理を半減する、これが何よりも内閣としての最大のターゲット、そのターゲットを実現するために必要ならば再生機構が使われればいい。幸いにして民間、国内のファンドもどんどんできています。民間での再生事業というのも新聞に出ておりますように次々出てきております。結果として不良債権が半減になればいいんであって、再生機構が幾ら案件を使わなければいいという目標値はありません。その必要はないと思っております。
  205. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 その点は私も意見は一致しています。ただ、元々十兆円という非常に大きな額を、産業再生機構への債権買取りの政府保証枠、これ十兆円設けているんですよね。じゃ、先ほどの十一件に対してどれだけお金を使ったか。これ未公表ですけれども、仄聞すると千億円ぐらいだと。一%なんですよね。そう考えると、大いなる期待を私は政府は機構に持っていたはずだと思います、十兆円ですから。でも、現実の実績とはかなり乖離があるという、この点は私指摘しておきますよ、それについての是非はともかくとして。  いみじくも先ほど大臣がおっしゃった、不良債権が半減するなら民間でもいいじゃないかと、民間も出てきているという。これも私、議論だと思います。じゃ今回、カネボウの支援、これも大変批判を浴びていますよね、三千六百六十億円機構が使うと。元々は花王が四千四百円提示していたじゃないかと。要は、官が変に甘いあめを期待させたがゆえに、カネボウがですね、官ならもっとお金高く、そして我々にとってやりやすいようにやってくれるんじゃないかと期待を抱かせた。だったら、期待抱かせた分だけある意味官の側には責任があって、だったら、そんなことだったらもっと民間に任せておけばいいんじゃないかという議論なんですよ。  もっと言えば、要らないんじゃないかという議論までなっているわけですね。だから、金子大臣がいみじくもおっしゃった、不良債権を半減をすればいいという、その結果だけ求めるなら産業再生機構は要らないんじゃないですかという、こういう御指摘について、大臣、お答えください。
  206. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 黒岩委員の事実誤認だと思います。再生機構が民間よりも高く買えるという期待はだれが持ったのか。常識的にそれはおかしい。公的資金を入れる場合に民のよりも高く甘いという話があり得るわけありません。それは誤解だと思います。  それから、もう一つ言わせていただければ、やはり企業とメーン銀行が持ち込んで初めて再生機構は協議に応じる状況でありまして、民で話が付くんであればそれを何か取りにいくという話ではありません。
  207. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 私の事実誤認ではないんです。これはカネボウの人間とかに聞いたときにそういう話があったということと、加えて、結果としては大臣の御指摘のとおりかもしれないが、四千四百円で吸収してくれるというある民間企業があったということは事実ですからね。結果的にはそこに任せ切れなかった。私、民でいいんならそこでやっておくべきだったという、こういう指摘なんです。  産業再生機構はもう時間ないのでここで打ち切らせていただいて、駆け足、最後。  やっぱり特殊法人改革、これ小泉総理の目玉ですよね。その象徴が道路公団改革だと。私どもの委員会でもかなり議論をしていろんな問題取り上げたんですが、私、どうもマスコミも含めてここを余り追及していないということが一点ございます。それは道路公団の総裁の人事なんですよ。いわゆる今の近藤剛元参議院議員、前参議院ですね。  これ、福田長官にお聞きしたい。今まで、過去において特殊法人のトップで、前又は元の国会議員、ないしは前国会議員を辞職して就任した例というのは、今までに、これ過去の道路公団も含めて、特殊法人でございますか。
  208. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 私どもで調べた限りは、今回任命されたこの道路公団の近藤総裁のみであると思っております。
  209. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 そうですよね。相当異例なことなんですよ。総理に言わせればサプライズだと言うんだけれども、我々からすればかなり異例なことなんですよ、かなり。あのときも、マスコミとか石原国交大臣も、民間から起用だと、民間にいい人がいてるって言うけれども、うそですよ。これは民間出身の国会議員でありますから公務員ですからね。私、特殊法人のトップというのは政治的に中立性が求められる、これは私、今日いらっしゃる委員も福田長官も異論をまたないと思うんですよ。確実にそうだと思いますよ。  今まで、特殊法人、特に道路公団は役所のものかと、いわゆる国交省のものかと、ないしは族議員のものかと、こういう批判がやゆされていたわけですね。道路公団でいうと、近藤総裁の前は第九代まで、初代を除いて皆さん役人の天下りですね。初代の方も満鉄出身なんで、ちょっと民間というのか難しいんですが。ですから、そこから、じゃ元国会議員になったと。ということは、持ち物が役所から議員、政党、政治に変わったのかという、そういう印象なんですよ。  加えて言えば、小泉総理、自民党総裁ですよね。自民党総裁が自民党の比例名簿に載せて国会議員になっていただいた方に、自らその議席を、議席を失わせて、そして自民党の元国会議員を道路公団のトップにする。これ、私、何の改革でもないと思っているんですよ。むしろ、どうも論理も破綻しているし後退しているじゃないかという。その点、官房長官、どうお考えですか。
  210. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 国会議員がこういうふうな人事でもって特殊法人の、若しくは道路公団の総裁になったと。これ、まあそれは今までなかったという意味においては特殊というふうに言えるかもしれぬけれども、では、そういうことがあったらいけないのかといったら、必ずしもそういうわけじゃないでしょう。また、その人は道路公団の総裁としてふさわしいという、そういうふうなことであれば、そういう人事があったってそれは許されることではないかというふうに思っております。
  211. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、私は、法律上もそれは、例えばそういったことの禁止規定もないわけですし、その資質ということもあるかもしれませんが、何度も言いますけれども、特殊法人のトップは政治的に中立であるという、これはもう当然のことだったと思うんですね。どうもこの枠を余りにもたやすく出て、その後、委員会国会やマスコミを通じてもなかなか批判の上がらなかったというのはちょっと不思議でならないんですが、これも問題点として指摘しておきます。  じゃ、最後に長官、本当はここね、総理にお聞きしたいんですよ。今、四項目、たくさんある中の看板を上げて、私はどうもその看板が倒れそうだという不安を指摘したわけですね。何度も言いますが、倒れないでくださいよと僕は申し上げているんですよ。  だから、こういうことを、私が並べた今回の検証ですよ、これについて、官房長官、総理の番頭役としてどうお考えか、お答えください。
  212. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) じゃ、番頭としてお答えいたしますけれどもね。  先ほど来お話があっておりました。いろいろ鋭い御指摘もありました。また、そういう御指摘を参考にすべきこともございました。しかし、今回こういうような、例えば食品安全委員会とか地域再生プログラム、また産業再生機構、こういうことはそれなりの理由があってできたわけで、その理由、必要性がなきゃ作らないわけでございますけれども。  私は、こういうものを作るということは、やはりそういう時々の必要性、要請、世の中の要請、また政府の政策の実現のための必要性と、こういったような観点から、迅速に組織を立ち上げ、そしてまた組織横断的に運用していくということ、これは今大変求められていることではないかと思いますので、これを大いに活用して、今後大いに活用してやっていくことは、これは政治の中においても大事なことだと思っております。
  213. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 時間が経過しております。
  214. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ええ。私、冒頭申し上げたこのおもちゃ箱、総理が遊ばなくなって飽きちゃったらがらくたになっちゃうんですよ。だから、がらくた箱にしないように、今日、官房長官も金子大臣もいるのでそれを最後お願いして、質問とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  215. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 防災対策予算沖縄振興についてお伺いいたします。  沖縄は台風の常襲地帯であり、とりわけ昨年九月には台風十四号が宮古島を直撃し、その被害額は百六十億円に達しました。  そこで、防災対策の観点から幾つか質問をしてみたいと思います。  まず、内閣府でまとめられた平成十六年度防災関係予算案の概要によれば、防災関係予算は十六府省庁に計上されており、総額は二兆七千二百五億円であり、前年度に比較して三千八百七十五億円の増加となっておりますが、その内訳を見ますと、災害予防の区分が四千六百九十六億円の増加、中でも国土交通省関係が四千二百三十四億円と突出しており、他の区分である科学技術の研究、国土保全などは減額となっております。  そこで、井上防災担当大臣は十六年度の防災関係予算の姿をどのように評価しておられるか、お伺いいたします。
  216. 井上喜一

    国務大臣(井上喜一君) 御承知のとおり、平成十六年度の予算は、大変厳しい財源の中にありまして重点的に必要な予算を配分をしていくと、こういうことでございまして、防災関係につきましても、中央防災会議というのがあります、その中央防災会議平成十六年度にどういう分野に重点を置いて予算を編成すべきかということを御議論をいただきまして、その御議論を基に予算を編成したわけでございます。  中はもう既に御案内のとおりだと思いますけれども、公共施設の耐震化でありますとか、あるいは海岸堤防等を整備をしていく、あるいは観測体制を強化をしていく等々でありまして、今お話がありました、総額で二兆七千億円でありますけれども、これは要するに関連する予算全部でありまして、予算が具体的にどういう張り付けになるかによりまして、防災関係に結果としてどれだけが使用されたかと、こういうことになるわけでございまして、確かに二兆七千億円ではありますけれども、それがすべて防災に使われるということではございません。防災関係が含まれた予算が二兆七千億でございますけれども、私どもといたしましては、必要なところに必要な予算が配分されるようにこれからも努力をしていきたいと、こんなふうに考えています。
  217. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私は国会移転等の特別委員長を務めたことがございまして、地震対策、とりわけ大都市の震災対策に重点を置いた平成十六年度防災関係予算については理解をし、それなりに評価をしたいと思います。しかし、地価の下落や小泉内閣の進める都市再開発の推進により最近再び東京一極集中の傾向が強まっていることは、災害に強い国土づくりや均衡ある国土発展の観点からは懸念すべき事態ではないかと思いますけれども、その点についてお伺いいたします。  昨年、参議院の国会移転特別委員会は、すべての機能が東京に集中している状態において、東京が大地震あるいは大規模な危機、危機にさらされた場合、我が国の中枢機能は停止し、その結果、我が国のみならず国際的規模で深刻な危機を招来することになりかねないとし、防災対応機能、危機管理機能の中枢を優先して移転させるべきとの報告をまとめておりますが、井上大臣は都市防災の観点から、最近再び強まっている東京一極集中の傾向についてどのような認識を持っておられるか、お伺いいたします。
  218. 井上喜一

    国務大臣(井上喜一君) 首都機能の移転につきましては様々な角度から検討が行われておりまして、その一つとして、東京一極集中じゃなしに、そういった東京が持ちますいろんな機能を分散をしていこうと、そういう視点から検討しようというような視点もあったことは確かでございます。  しかし、一応の中間報告でもって特別委員会は今設置されていないんじゃないかと思いますけれども、これからどう取り扱われるか我々注目をしていきたいと思いますが、ただ、現実の姿を見ますと、やっぱり東京への一極集中の傾向がだんだん強まってきていると思うんですよね。だから、これをどういう具合に理解をし、どういう対策を取っていくかということは非常に大きな国政の問題だと思いますけれども、私どものこの防災の点からいいますと、現実にそういう現象があり、いろんな機能が東京に今集中しておりますから、これが地震その他の災害によりまして一挙にこれ東京が壊滅するようになりますと、これは日本の政治、経済だけではなしに世界の経済にも非常に大きなこれ影響があると思うんです。  そういうことで、我々は現実の問題として、そういう東京一極集中に対する防災上の対策は考えておかないといけないんじゃないかと思います。御指摘のように、そのことの是非につきましては議論のあること十分承知をしておりますけれども、私どもとしてはそういう現実的な対策を取らざるを得ない、取ることが一番賢明な方法じゃないかと、こんなふうに考えているわけであります。
  219. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 国会移転等の問題については様々な議論がされておりますけれども、なかなかそれを、確固たる体制というものができていないという点については非常に国会の責任もあると思いますけれども、やはり政府が主導的な立場で一極集中をどう解消していくかということは非常に私は大きな問題だと考えておりますので、是非、大臣、この辺を今後どうされるのか、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  220. 井上喜一

    国務大臣(井上喜一君) 東京のこの一極集中をどういう具合にしていくかということですね。これは様々な立場から議論があろうと思うんでありますけれども、私が所管いたしますのは防災ということでありまして、こういう日本の非常に大きな政治上の課題を私がこうだと言うような立場にはございませんので、私としましては、やはり東京が持ちます防災上の問題、それに対して適切に対応するような対策を取っていかないといけないと、それが私どもに与えられました課題だというふうに認識をしておる次第でございます。
  221. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 平成十六年度の防災関係予算を見ますと、地震対策や原子力防災は目立ちますが、台風に対する防災予算が十分ではなく、また事後的なものにとどまっている感じがいたします。  昨年九月に宮古島を襲った台風十四号は、最大風速七十四メートルに達し、農業を中心に被害を拡大いたしました。地球温暖化が台風の発生や規模にも影響してきていることを考えると、風速八十メートルも想定した台風対策を考える必要があります。基幹作物であるサトウキビの台風被害に強い品種の改良、土地改良における農地防風林帯の設置、施設園芸における風速八十メートルにも耐え得る鉄骨ハウスの研究、電線地中化の促進など、台風防災に対する課題は多く、それらの防災研究施策の推進が必要であると思います。  私は、昨年の台風十四号の教訓から、今後の沖縄振興をも防災という観点からもう一度原点から見直す必要があると感じておりますが、先ほど述べた点について井上防災担当大臣及び沖縄担当大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  222. 井上喜一

    国務大臣(井上喜一君) 確かに、御指摘のように、この防災の対策といいますのは事前の対策と事後の対策がありますけれども、これまではどちらかといいますと事後の対策に大変重点を置きましてやってきたと思うんです。災害復旧なんかもうその典型的なものだと思います。  しかし、考えてみますと、事前に、できればやっぱり事前の対策をもっと重視しまして対応していく方が、賢明な対策といいますか、対策としては非常にいい対策じゃないかと思うんでありますが、もちろん限界はあります。沖縄県のような暴風雨がもう定期的に来るようなところの台風は、それは大変難しいと思うんでありますが、それにしましてもできる限りの事前の対策を講じていくということは非常に重要なことだと、こんなふうに考えます。
  223. 東良信

    政府参考人(東良信君) お答えいたします。  私ども、平成十四年七月に沖縄振興計画作っているわけでございます。過去三度にわたって開発振興計画というのを作っています。その中に、私どもやはり沖縄が台風常襲地帯であるということで、県民生活、それから農業を中心とした産業面に大変影響を及ぼしていると。特に宮古、今先生お話しされました宮古については、台風による被害が起きやすい厳しい環境に置かれているという基本意識を、基本的な認識を持っておりまして、具体的にはこの計画の中で政策として幾つかを挙げております。  一つは、井上大臣お話がありましたとおり、県民の安全とか財産の確保とか、そういう観点から災害に強い国土づくりという点。それから、農業面で、先生おっしゃいましたので農業面で申し上げれば、気象条件等に対応した防風施設、それとか農用地保全施設、それから防潮林、防風林、そういうものを整備をきちっとやっていこう。それとともに、やはりどう考えましても、なかなか台風ですから大変なところがございます。そういう意味で、沖縄独自のいわゆる共済制度みたいなものを作って対応していこうではないかということで政策をやっておるということを規定しておりまして、こういうことを踏まえまして、関係省庁と、特に沖縄県と連携を取りまして、先ほど申し上げました防風・防虫のネット、いわゆる平張り的なものとか、サトウキビの改善だとか、それから電線等の地中化、特に今年の場合は宮古を中心としてやっていこうということで努力をさせていただいているということでございます。  今後とも、何十年に一回ぐらいの強い台風でございましたけれども、こういうことも教訓を踏まえまして、是非災害に強い沖縄県と、それから産業を育成していくために努力をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  224. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 電線の地中化ということについては非常に関心を持っておられるようですけれども、私、台風が起きたが直後に視察に行ってまいりましたが、もう電線が軒並み倒れてしまって、そしてもう歩行も困難だというふうな状況でありました。  宮古というところは非常に平たんなところでありますから、どこかの電柱が倒れたら一挙に全部倒れてしまうというふうなことになりかねないというふうな状況ですから、あの台風を私見ましたら、四、五ミリのガラス戸が全部やっぱり台風にやられてしまって、中まで水浸しになって体育館なんか使えない状態になっているわけです。そういうふうな状況を見ますと、これは七十四メートルどころではなかったんじゃないかなと思うぐらい大変激しい台風の被害じゃなかったかと思いますので、少なくてもやっぱり政府として一番考えてほしいのは電柱の地中化ですね。それは是非検討していただいて、早目にそのことを実施していただきたいということを要望しておきたいと思います。  議事堂尖塔の落雷被害について、その補修の予算についてお伺いいたします。  昨年九月三日夕刻、激しい雷雨が都心を襲い、国会議事堂の尖塔にも落雷し、その一部が破損するという、我々議員も非常に驚いた議事堂開設以来の出来事でありました。昨年じゅうに工事も終わり、無事通常国会を迎えたわけでありますけれども、補修に要した経費とその内訳は衆参どのような負担割合になっているか、お聞かせください。
  225. 川村良典

    事務総長川村良典君) お答え申し上げます。  中央塔の補修に要しました経費は、石材の修復に約三千五百万円、避雷施設の補修、増強に約一千九百万円、合計約五千四百万円でございます。  衆参の経費の負担でございますが、従来より、議事堂中央塔部分につきましては施設管理を参議院側で行うこととされておりまして、この関係から、修復経費につきましてはすべて参議院側の負担となっております。  以上でございます。
  226. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 この非常にまれに見るような落雷でありましたけれども、全く、その経費が今予備費から使用が考えられたわけなんですけれども、経費の捻出はどのように行われたか、御説明ください。
  227. 川村良典

    事務総長川村良典君) 修復経費の手当ての方法につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、予備費の使用についても検討をいたしたところでございます。しかしながら、議事堂中央塔という国会のシンボルたる施設でもあり、早急に修復を行う必要があったこと、また修復に要する経費の額は、先ほど申し上げましたとおりでございまして、既定経費のやりくりによる対応が可能な範囲のものであったことから、予備費の使用のために必要な諸手続を待つことなく、十五年度に予定しておりました施設整備を一部差し止め、これを充てることで対応を図ったところでございます。
  228. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今の説明で、参議院側がほとんど経費を負担したということでありますけれども、国会議事堂の中央部の管理は国有財産上どのようになっているのか、その経緯を含めて御説明いただきたいと思います。
  229. 川村良典

    事務総長川村良典君) 先生も御存じのとおり、この国会議事堂は昭和十一年に竣工いたしております。同年十月二十日に、建築を担当した大蔵省営繕管財局より当時の貴族院及び衆議院が引渡しを受けたという記録がございます。その際には、貴族院への国有財産目録の写しには、塔屋の八階及び展望階との記述がございますが、その他の管理区分につきましては、現在、記録が残っておりません。  こうした経緯もあってのことと存じますが、参議院の発足に伴い新たに整理いたしました参議院の国有財産台帳では、二階の中央車寄せ、中央広間、大臣室等、三階の御休所、皇族室等及び五階以上の中央塔部分は参議院側の管理というふうにされているところでございます。
  230. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 先日、国会に提出された平成十五年度一般会計予備費使用調書を見ますと、内閣府所管でイラクへの人道支援という名の自衛隊派遣に二百六十八億円もの多額の予備費が使用されています。我々は自衛隊の海外派兵に反対する、反対でありますけれども、立場の違いは別にいたしましても、このようなイラクへの自衛隊派遣に伴う多額の予備費使用が、議事堂への落雷被害という当然予備費の使用があってしかるべきケースに対して認められないという事態と関係があるのかどうか、外部からはうかがい知れませんが。  いずれにしろ、参議院施設費として平成十五年度に予定していた経費を回したということであり、この額は次年度以降の予算の中できっちり補てんし、参議院の施設整備に遺漏のないように必要な予算を財政当局に要求すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  231. 川村良典

    事務総長川村良典君) 修復経費の手当ての方法につきましては、先ほども申し上げましたように、予備費の使用についても検討いたしたところでございますが、議事堂中央塔という国会のシンボルたる施設でもあり、早急に修復すべきものと判断し、予備費の手続を待つことなく、既定経費のやりくりにより対応を図ったところでございます。  これに伴いまして、十五年度に予定いたしておりました施設整備を一部差し止めておりますけれども、その部分につきましては、財政当局とも相談をさせていただきまして、参議院として十六年度の施設整備予算としてしかるべく要求させていただいております。  今後とも、施設整備計画全般におきまして遺漏のないように努めてまいる所存でございます。
  232. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 会計検査機能充実等についてお伺いいたします。  会計検査院質問をいたしますが、その前に、このたび新しく会計検査院長に就任されました森下委員長に、まずは御就任のお祝いを申し上げます。おめでとうございます。
  233. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) どうもありがとうございます。
  234. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 参議院はこれまで決算審査を重視し、様々な改革を進めてまいりましたが、国会の決算審査充実させる前提として、まず会計検査機能充実強化が必要であり、そのための予算確保や調査官などのスタッフの充実が重要であります。平成十六年度予算ではどのようになっているのか。特に参議院改革の中で粘り強く取り組まれてきた決算の早期提出がようやく実現の運びとなり、十五年度決算は今秋の十一月にも提出されると聞いております。  そこで、これに向けた会計検査院検査体制はどのようになっているのか、早期提出のための検査サイクルの変更が検査内容を薄くすることになっては本末転倒であり、その懸念はないのか、その辺について御説明をいただきたいと思います。
  235. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) 会計検査院といたしましても、その検査の結果が予算編成に反映されるということを大変強く望んでいるわけでございます。したがいまして、決算の早期審査の重要性についても十分認識しているところでございます。  参議院から内閣に対しまして、平成十五年度決算以降は決算の提出時期を早めて会計年度翌年の十一月二十日前後に国会に提出されるよう早期提出に努力をしてほしいという要望がありますことを私どもは承知しておりまして、会計検査院としてもそのような御要望にこたえられるよう、早期提出のための努力をしたいと思います。そして、本年の検査もそのような目標に向けてスタートをさせたばかりでございます。  ただ、検査報告を早期に提出するというふうに、大幅な検査のサイクルといいますか検査事務のサイクルを前倒しにいたしますと、いろんな問題点も出てまいります。  一つは、四月以降の本格的な検査全国に行きます実地検査の期間などが短縮をされるということにまずなります。それから、本省に行きます検査、この中央省庁に対する検査も、予算要求のいろんな時期にぶつかったりいたしますので、そういう点でいろいろな調整を図らなければいけないというふうに考えております。まず、受検庁の側におきまして、そういう検査体制の我々のサイクルが変更することによってやはり影響が及ぶ部分がございますので、受検庁に対しましてはこういう早期提出の意義を理解していただいて、そして協力を求めるということをやりました。  それから、会計検査院といたしましては、早期に提出をして、しかも十分な検査実績を確保するということのために、今回の平成十六年度の予算案におきまして検査要員を四十名増員するということになっております。  このようにして検査体制を強化することによって、この早期提出を実現していこうというふうに考えております。  また、さらに、この早期提出に適切に対応するということと同時に、行財政改革の動向や国会からの検査要請等、いろんなものがございますので、それらに対しまして機動的に対応する検査を行う必要もございます。そのために組織体制を整備することといたしておりまして、例えば機動的な特別検査を担当する課に専門調査官を配置をしたり、それから金融検査室とかあるいは経済協力検査室、文部科学統括検査室などのこういった専門検査室を設置しようとしているところでございます。  さらに、これらに付け加えまして、検査結果の取りまとめ業務をこれまでよりも効率的に行う、能率的に行うなどの工夫をいたしまして、検査内容を充実を図りつつ決算の早期提出が可能となるよう最大限の努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  236. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 どうもありがとうございました。  会計検査院と文部科学省の建て替えを中心とした中央省庁、中央合同庁舎七号館の整備事業が来年度から本格化しますが、この事業はどこが中心となって進められているのか、また、新築される七号館の概要を簡潔に御説明いただきたいと思います。
  237. 春田浩司

    政府参考人(春田浩司君) 中央合同庁舎第七号館の施設整備について御質問がありました。  この事業は、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法に基づきまして選定されたPFI事業としまして、民間事業者がその施設の設計、建設等及び維持管理、運営に関する業務を行うものでございます。  施設整備につきましては国土交通省が中心となっており、また、維持管理、運営につきましては、管理官署となる予定でございます文部科学省が中心となってこの事業を進めているところでございます。  施設の概要につきましては、国の庁舎としまして約十九万平方メートルとなっております。建物は主に二棟の高層ビルからできることになっておりますけれども、このうち、会計検査院が入居する建物は三十三階建てを予定しているところでございます。この事業は平成十五年六月三十日に事業契約を締結しておりまして、現在、施設の設計を進めている段階でございます。平成十九年度に建物が完成し、平成三十三年度に事業を終了する予定としております。  以上でございます。
  238. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 会計検査院は、申すまでもなく内閣に対し独立した地位を有する憲法上の機関であり、霞が関の各行政機関とは立場や任務を異にしており、でき得ることなら独立した庁舎を持つべきであると考え、考えがあって当然と考えます。  しかし、霞が関の整備事業として用地の有効利用から庁舎の高層化が必要という点も理解した上で申し上げますが、大事なことは、会計検査院に与えられた職務や立場にふさわしい庁舎の構造になるよう設計されるべきであり、同合同庁舎の管理運営についても検査院の意向が十分反映されるべきであると考えますが、この点について現在進められている七号館整備事業はどのようになっているのか、検査院及び国土交通省からそれぞれの御説明をいただきたいと思います。
  239. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) 会計検査院といたしましても、内閣に対して独立した地位を有する憲法上の特別の機関でございますから、そのことを十分に認識して、その職務や立場にふさわしい庁舎が、内容となるように、施設整備を担当しております国土交通省と十分に設計を協議しているところでございます。  現段階の具体的な設計の考えとしてお聞きしているところによりますと、会計検査院は文部科学省と同じ建物に入居する予定ではございますが、会計検査院の入居スペースは文部科学省とは独立した構造になっておりまして、庁舎としての独立性は確保されているものというふうに考えております。
  240. 春田浩司

    政府参考人(春田浩司君) ただいま院長の方からもお話ありましたように、設計につきましては、会計検査院に与えられた職務や立場に応じたそういった内容となるように、会計検査院と協議をした上で定めた要求水準に基づきましてPFIの事業者が進めているところでございます。具体的には、今のお話にもありましたように、庁舎の入口から始まりまして実際に執務する事務室まで他の省庁、つまり文部科学省でございますが、とは独立した平面構成となっております。  今後とも、設計がふさわしい内容となりますように会計検査院とまた連携をいたしまして事業を進めてまいりたいというふうに思っております。
  241. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間ですので、終わります。
  242. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 以上をもちまして、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費国会所管会計検査院所管人事院を除く内閣所管及び内閣府所管のうち沖縄関係経費を除く内閣府本府、国際平和協力本部宮内庁警察庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会