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2004-05-18 第159回国会 参議院 総務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十一日     辞任         補欠選任      川橋 幸子君     谷林 正昭君      高橋 千秋君     樋口 俊一君  五月十二日     辞任         補欠選任      藤野 公孝君     野沢 太三君      樋口 俊一君     高橋 千秋君      山根 隆治君     内藤 正光君  五月十八日     辞任         補欠選任      椎名 一保君     野上浩太郎君      野沢 太三君     後藤 博子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         景山俊太郎君     理 事                 柏村 武昭君                 山崎  力君                 小川 敏夫君                 広中和歌子君     委 員                 狩野  安君                 片山虎之助君                 久世 公堯君                 後藤 博子君                 世耕 弘成君                 野上浩太郎君                 高嶋 良充君                 高橋 千秋君                 谷林 正昭君                 内藤 正光君                 松岡滿壽男君                 渡辺 秀央君                 鶴岡  洋君                 日笠 勝之君                 八田ひろ子君                 宮本 岳志君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君    副大臣        総務大臣    山口 俊一君    事務局側        常任委員会専門        員        藤澤  進君    政府参考人        内閣府政策統括        官        大田 弘子君        総務大臣官房総        括審議官     大野 慎一君        総務省自治行政        局長       畠中誠二郎君        総務省自治行政        局公務員部長   須田 和博君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省政策統括        官        鈴木 康雄君        社会保険庁次長  小林 和弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○市町村合併特例に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○市町村合併特例等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日まで、川橋幸子君、山根隆治君及び藤野公孝君が委員辞任され、その補欠として谷林正昭君、内藤正光君及び野沢太三君が選任されました。     ─────────────
  3. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方自治法の一部を改正する法律案市町村合併特例に関する法律の一部を改正する法律案市町村合併特例等に関する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会内閣府政策統括官大田弘子君、総務大臣官房総括審議官大野慎一君、総務省自治行政局長畠中誠二郎君、総務省自治行政局公務員部長須田和博君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君総務省政策統括官鈴木康雄君及び社会保険庁次長小林和弘君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) 次に、地方自治法の一部を改正する法律案市町村合併特例に関する法律の一部を改正する法律案市町村合併特例等に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は去る十一日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 久世公堯

    久世公堯君 自由民主党の久世でございます。  現行合併特例法期限もいよいよ来年の三月に迫っております。今年は市町村合併推進する上での正念場の年になるわけです。明治の合併昭和合併を経て、今、市町村平成合併の真っただ中にあります。  私は、一九五三年学校を卒業いたしまして、自治庁に入りました。この年に昭和合併基本となりました町村合併促進法が参議院の議員立法で三年間の時限立法として制定されました。私は埼玉県庁自治庁町村合併を直接担当いたしました。半世紀前のことでございます。  現行市町村合併特例法合併推進のための体制を整えたのは、平成七年の改正に始まり、平成十一年、平成十四年の改正によって本格的な推進体制を取るに至りました。平成十二年には地方分権一括法が施行され、我が国における地方分権は確かな一歩を踏み出し、市町村が果たすべき役割はますます大きくなっております。  とうとうたる地方分権の潮流の中にあって、地方制度調査会答申の言葉をかりるならば、市町村は、基礎自治体として地域において包括的役割を果たしていくことがこれまで以上に期待されているわけでございます。  ただ、市町村をめぐる社会経済的環境は極めて厳しいものがあります。二〇〇六年には我が国は有史以来初めての人口減少を迎えます。世界に例を見ないスピードでの高齢化が進みます。しかも、少子化を伴ってでございます。深刻な少子高齢化進展下において、その双肩を担う重責を遺憾なく発揮すべき合併でもあるわけでございます。加えて、地方財政借入残高は二百兆円を超え、このような環境の下において、市町村行財政基盤の整備は早急に行われることが期待されております。  そこで、大臣にお伺いいたしたいと思います。これまでの市町村合併進捗状況についてどのように総括をしておられるか。また、これまでの合併関係政策の効果をどのように評価しておられるか。今回の合併関係法改正あるいは制定は、平成合併の総仕上げのための改正であり、また新法制定であると思いますが、いかがでございますか。合併新法の下においてどのようにこれから市町村合併を進めるおつもりか、所信を伺いたいと思います。
  7. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、昨年平成十五年で合併は三十件、平成十六年四月一日現在、更に十一件の合併が実現をしておりまして、現在の市町村数三千百ちょうどになっております。加えて、大臣決裁済みのものを加えますと、二千九百三十四が今現在決裁済み、おととい決裁したのが最後でありますけれども、二千九百三十四ということになっております。  また、五月の十四日時点で、全国約六割を超えます、一千九百十市町村のうち、五百五十二の協議会ができておるということでもありますので、市町村具体的取組はこのところ急速に進んできておるというように感じております。  また、これまでも、御存じのように、支援策といたしましては、合併特例債とか合併算定替え期間延長等々の財政優遇措置もいたしておりますし、また地域におけます審議会制度の創設やら、市町村合併に関する様々な制度充実に取り組んできたところでもありますので、こういった政府を挙げて市町村合併を支援した結果、それなりの成果は上がってきているように感じております。  また、これ仕上げをしていくに当たって、この合併新法の下でということでありますけれども、これは御存じのように一年間、約、延長することにいたしておりますけれども、この新しい法律の中で、これまでもいろいろ話題というか、問題になっておりましたところでは、例えば地方税の話とか、議員の任期を、いろいろ町村によっては選挙の期間が違ったりいたしておりますので、そういったものにつきまして、現行法と同様にいろいろなことを、約二年間にと時間を切ったり、またいろんな形で、旧市町村名前がどうしても名残が惜しい、また合併をされました方にとりましては、ある程度、そこの持っております自分のところの公民館とかいうもののいわゆる資格につきましては、いわゆる法人格を有する合併特例区を作って、一定期間、五年といたしておりますけれども、そういったものがきちんと旧市町村単位での法人格で持てるような制度を創設したりもいたしておりまして、いろいろ何となく自分名前が消えるとか自分のコミュニティーがなくなる等々の話もある程度感情論としてはよく理解できるところでもありますので、そういった名前やら何やら含めまして、今、前向きというか、柔軟に対応してまいりたいと思っております。  また、市町村に対しまして、いわゆる都道府県知事等々が合併推進に関します構想それなりに策定して、是非どうですかという勧告やらあっせんやら、ある程度現場の市町村同士じゃなかなか話が付きにくいところが知事から声が掛かったとか、そういった形で一種の刺激になればと思っておりますので、こういったことをやることによって、強制をするつもりじゃ全くございませんけれども、少なくともそういった何らか、だれかが後ろから押してやるとか、ちょっと前を開いてやるとかいうようなことも含めまして、今引っ掛かっております問題等々については柔軟に対応していきたいと思っております。
  8. 久世公堯

    久世公堯君 ありがとうございました。  そこで、都市ないしは都市圏という見地から市町村合併について伺いたいと思っております。  現在、政府審議会一つでございます国土審議会において、現在の全国総合開発計画に当たります二十一世紀国土グランドデザインの総点検が今行われております。総点検が終わりますと第六次になる全総計画がここ数年内には策定される見通しになっております。その後、キーワードと申しますのは、その一つは二層の広域圏という考え方であり、市町村合併後の都市圏、これは一応三十万人程度を想定しているようでございますが、これを単位とする生活圏と、それから道州制も想定されます地域ブロック、この二つの広域圏というのがキーワード一つになっております。  国民の生活基礎となります生活圏ないしは都市圏という見地から、最終段階を迎えております市町村合併について伺いたいと思います。  現在進められております市町村合併類型は、観点によって異なりますが、都市圏という観点から見るならばどのように分類されるでしょうか。例えば、私は第一に、指定都市あるいは県庁所在都市等中核市特例市中心とする編入合併、二番目には地方中小都市同士が更に強力な主体となる新設合併、三番目には町村同士が市の特例措置を活用して地域の核になるための新設合併、この三つに分類した場合に、今後の地方自治政策地方分権考えるための単位として都市ないし都市圏をどのように位置付けるか。また、そのための都市段階制、これはもう数十年前から五万、十万、二十五万、五十万というような考え方地方自治関係団体によって示されておりますが、そういうものに対する考え方をお伺いいたしたいと思います。
  9. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) 先生も御指摘いただきましたように、もう既にいろいろな形で合併が進んできておるわけでありますけれども、もう御案内のとおり、様々な、これも先ほどお話がありましたが、状況変化の中で、しかも地方分権推進するというふうな観点から、やはりある程度の規模を有していただく、市町村に有していただくという必要があるわけでありますが、今お話がございました合併類型につきましては、昨年の十一月に第二十七次地制調、この答申におきましても都道府県が策定をする市町村合併推進に関する構想ということの中に、一つは御指摘の、生活圏域を踏まえた行政区域の形成を図るための合併、あるいは指定都市中核市特例市等を目指す合併、さらには小規模市町村に係る合併等が定められるものとすべきであるというふうなことになっておるわけでありますが、総務省といたしましても、この答申を踏まえて、今後、総務大臣が定める基本方針基本指針、これを定めていくというふうな予定にしております。これらの合併類型につきましては、それぞれの地域の実情に応じて合併を進めるに当たっての大変大きな目安になるというふうに考えております。  これまでも、指定都市中核市特例市市町村規模能力に応じて権限移譲というのがなされてきたわけなんですけれども、今後とも合併後に拡充する市町村規模能力に応じた一層の権限移譲ということを進めていく必要があるというふうに考えております。
  10. 久世公堯

    久世公堯君 そこで、もう少し具体的にお伺いをいたしたいんですが、指定都市は、御承知のごとく法令上は五十万以上で政令で定める市でございますが、実質は百万人あるいは間違いなく百万人に数年後に達するであろうというのが実質的なこの基準となっております。この指定都市市町村合併との関係で、総務省の方では実質基準人口七十万人としたとのことでございますが、この措置によって合併との関係で、指定都市はどのくらい増えるんでございましょうか。差し支えなければ具体名を教えていただきたいと思います。また、いっそこの際に、実質基準ではなくて法定の要件であるところの人口五十万にする考え方はお持ちでございましょうか。  さらに、第二十八次地方制度調査会で道州制とともに大都市制改革について諮問をいたしておりますが、この大都市というのは指定都市か、あるいは旧指定都市に当たる五大都市なのか、あるいは超大都市という意味における世界都市に該当する東京その他の問題になるのか、この辺りのところをお話を聞きたいと思います。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 最初に、大都市制度説明を私の方からさせていただいて、残りの部分につきましては大野の方から答弁させていただきます。  大都市制度在り方というのは、これはこの間出しました二十八次の地方制度調査会に、諮問事項の中に審議テーマとして大都市制度在り方というのを諮問したところでもありまして、人口やら経済集積度合いの物すごく大きなところというところに関しましては、現行政令指定都市制度というものよりも道州制との関係につきまして、これは独立性の高い、いわゆる大都市制度というものは考えるかどうかといったことは、これちょっと大事な問題だと思っておりますんで、これは検討が必要だと思いましたものですから、この制度調査会、二十八次の制度調査会において、審議事項の一番が道州制、二番目が大都市ということを書いておるところでありますんで、これは広く論議が行われることを私ども大いに期待をしているところでありまして、何となく人口集積を分散をするというのも一つ考え方ではありますが、よりうまく大都市に集中した上でうまくいくんであれば、それは全然新しい仕事がそこに生まれることにもなりますし、いろんなこれまでとはまた違ったものが出てくるということも、これは現実問題として考えておかねばならぬところだとも思いますんで、均衡ある都市発展と同時に特色ある地域発展ということも考えますと、そういった意味では、この問題は真剣に議論をされてしかるべきものだと思って諮問をいたしておりますんで、論議の広まりを期待をいたしております。  残余の質問大野の方から答弁をいたさせます。
  12. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 今の久世先生の御質問の中で、合併関連政令指定都市を目指すところはどこかあるのかという話ですが、御承知のとおり、昨年の四月一日に静岡県の旧静岡市と旧清水市が合併をいたしまして新しく静岡市という市が誕生いたしておりますけれども、この新静岡市が政令指定都市指定を要望していることは御承知のとおりだと思います。  それからさらに、最近では堺市でありますとか新潟市、浜松市などが政令指定都市指定を目指しまして周辺の市町村との合併に取り組んでおられると、こういった状況にあるわけですが、そこで政府平成十三年の八月三十日に決定をいたしました市町村合併支援プラン、ここでは先ほどの質問の中にも御指摘ございましたように、大規模市町村合併が行われまして、しかも合併市町村間あるいは関係都道府県の要望がある場合には、政令指定都市の弾力的な指定を検討すると、こうなっておりまして、政令指定都市の弾力的な指定合併関連ではあるということでございますが、ただ私どもは、七十万人超えればいいということを数字を挙げてお話をしているわけではございません。  そういったこともございまして、この政令指定都市指定実質的な基準を今は法律上は政令指定する人口五十万人以上と、こういうふうになっているわけでございますが、さらにこれを単純に人口のみを、人口のみを指定要件とすることについてはいささか慎重に検討する必要があるのではないかと思っております。といいますのも、様々な指定都市としての規模はもちろんでございますけれども行財政能力とか、それから既に指定都市があるわけでございまして、そういったところとの同じような実態が合うのかどうかということなども勘案いたしましてやはり指定をするというのがいいのではないかと、このように思っているところでございます。
  13. 久世公堯

    久世公堯君 ありがとうございました。  中核市特例市につきまして、合併との関連権限移譲についてもう少し拡大をして、指定基準改正するという考えはお持ちでございましょうか。  また、介護保険制度が発足をいたしましたときに人口十万人の都市なり都市圏なり、これが適正規模であるということが各地で言われたわけでございますが、介護、医療、福祉等単位として人口十万人の都市というものを合併との関連におきまして中核市特例市に準ずる制度を検討する余地があるか、伺いたいと思います。
  14. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 御存じのように、中核市条件というのが人口三十万人以上を有するということと、当該市の人口が五十万未満の場合であっても、広さ、面積面積百平方キロメートル以上を有することというのが法律上に、いわゆる地方自治法第二百五十二条というのに明記をされているところであります。また、特例市要件につきましては、同じく二百五十二条になりますが、人口二十万以上を有することということでこれは明らかにされていることでもありますので、これを中核都市政令都市というのは、いろいろ進めていく中で、現在、指定条件合併協議を進めている地方公共団体が今それを前提にしてやっておるところもありますので、これを踏まえて昨年の第二十七次の地制調地方制度調査会におきまして、おきましても答申が行われておりますので、少なくとも現行合併特例法期限平成十七年の三月まではそれでやっておりますので、ちょっと現行指定を維持するということに当分の間は、それまでの間は最低でもということになろうと思っております。三月に二十七次を受けまして、二十八次の地方制度調査会をスタートさせておりますけれども、先ほど申し上げましたように、大都市在り方につきましてはいろいろ議論をされることでありますので、御指摘をいただきました権限移譲の点等々を含めましてこの点は御議論をいただきたいところだと思っております。  また、今、十万都市お話もあっておりましたけれども、これは基礎自治体であっても市町村規模能力等々いろいろあろうと思いますが、そういったものの充実強化というのを図ることは、これは地方分権地域主権を進めていくときには絶対大事なところであろうと思っております。  そういった意味におきましては、十万都市につきましては、十万人ぐらいの都市につきましては、少なくとも基礎自治体というものとしては私どもとしては一層の権限移譲をして推進していくということで、いわゆる地方主権というものを進めたいと思っておりますので、この中でいろいろ出てはまいりますが、平成十七年の三月か、三月までの間で少なくともいろいろ変動していく可能性はいろいろあろうと思いますので、私どもといたしましては、この特例都市の、まあ現行中核都市特例都市要件を維持はいたしますが、十万都市の扱いにつきましても少なくとも第二十八次の地方制度調査会におきまして、この十万都市についてはという話を、議論をしていただくということになろうと思っております。
  15. 久世公堯

    久世公堯君 合併新法における総務大臣の定める基本方針、あるいは都道府県知事による合併構想、これは今後の合併を進める上において非常に大事だと私は思うわけでございますが、既に衆議院総務委員会の方でかなりこの点については質問が行われ、大臣のお考えも拝読をいたしましたもので、この点はここでは省略をさせていただきたいと思います。ただ、大変大事な要素だろうと私は思っております。    〔委員長退席理事山崎力君着席〕  次に、地方自治法改正の方についてお尋ねをしたいわけでございますが、この市町村合併二法とともに地方自治法改正というものは非常に大事でございまして、私は特に地域自治区の制度というのは大事なんでございますが、また合併特例区もこれと関連するわけですが、この点も衆議院総務委員会の方でかなり論議が行われておりますので省略をさせていただいて、都道府県自主的合併手続規定というものについてお尋ねをいたしたいと思います。  地方自治法地方自治の組織、運営に関する基本法でございまして、地方自治の憲法とも言われておるわけでございます。私も、地方自治法解釈運用、さらに制度改革に直接間接携わった一人といたしまして、今回の改正の中で都道府県自主的合併手続規定やこれに関連する都道府県合併、道州制の問題を中心として何問かお尋ねをしたいと思っております。  都道府県自主的合併手続規定は、実は昭和四十年、第五十一国会提出をされ、自来、九国会で継続あるいは再提出が行われまして、結局、廃案になってしまった都道府県合併特例法と、その内容はほぼ同一でございます。今回、あえて特例法とせずに、地方自治法自体改正とした理由について伺いたいと思います。
  16. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) ただいま先生指摘いただきましたが、私も、聞き及びますと、昭和四十一年から四十四年にかけて、九国会にわたって大変な御議論をいただいたようでございます。当時、久世先生、先頭に立って頑張っておられたやにお聞きをしておりますが、もう申すまでもないんですけれども市町村合併等がいろいろ進んでいく中で、やはり都道府県広域自治体としての役割、機能、これが十分発揮をするためには、やはりその区域拡大ということが求められるであろうというふうなことで、同時に、第二十七次地制調答申に基づいて合併への道を開くことに今回いたしたわけでありまして、今回の法案の形式としては、ただいま御指摘のいわゆる特例法案のように、いわゆる合併障害除去等特例措置と一体となった特例法制定という形にはなっておりません。御指摘のとおりであります。  これにつきましては、市町村と同様に、都道府県につきましても自主的な発意による合併制度的に認めるというふうな趣旨を明確にするために地方自治法規定をさせていただいたと。つまり、自主的にやってもいいんだというふうな権利を、ある意味では権利をお認めをするというふうな形を実は取らせていただきました。  現時点における都道府県合併をめぐる議論状況考えますと、直ちに今、じゃ、合併の障害除去等の特例措置を講ずる必要があるとは実は今回考えておらないというふうなことで、自治法の中で規定をさせていただいたというふうなことでございます。
  17. 久世公堯

    久世公堯君 昭和四十一年の提案されたときの特例法案は、大阪、奈良、和歌山、これを阪奈和と当時言っておりましたが、それと、愛知、三重、岐阜、東海三県と呼んでおりましたが、これを想定しての提案でございましたが、今回の改正に当たっては、道州制や都道府県合併についてどのような想定の下にこの条文をお考えになったか、承りたいと思います。    〔理事山崎力君退席、委員長着席〕
  18. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) 道州制につきましては、これはもう単なる都道府県合併とはこれはもう異なるというふうなことはもう先生御案内のとおりで、国と地方との役割分担を含む正に地方自治制度の大変革であるというふうなことでありまして、今後様々な角度から検討を深めていかなければいけないだろうというふうに思っております。先ほども大臣の方からお話がありましたように、そうしたことから第二十八次地制調において精力的に御議論をいただきたいというふうに考えております。  都道府県合併につきましては、各都道府県において、もう御案内のとおり様々な動きが実はもう出てきております。東北の県も御案内のとおりでありますし、中・四国にしても様々な知事会等で協議が行われておるわけでありますけれども、今回のこの法律の成立によって更にそうした合併あるいは道州制に向けての動きというものが大きく加速をされていくだろうということに大変期待を実はいたしております。
  19. 久世公堯

    久世公堯君 次に、この地方自治法規定との関連で、新たに都道府県自主的合併手続規定を今度設けられるわけでございますが、従来からの法律によって合併を定めるというのが今、地方自治法第六条の規定でございます。これを残した理由はどこにあるんでございましょうか。法六条の規定はどのような場合に必要となるのか。また、新しい手続と旧来からありますこの六条の手続とを、どちらを優先するおつもりでございますか。また、法六条に基づいて制定される都道府県合併に係る具体的立法は、従来から憲法九十五条の地方自治特別法の一つの典型的な事例と言われてきましたけれども、この点は変わりがないわけでございましょうか。また、あらゆる組織の合併とか合体は、関係者の合意が前提となっております。合併関係者の合意なしに行うというのはどのような場合でございましょうか。関係都道府県の合意なしに法律によって合併が行われた場合、それによってできた団体は果たして自治体と言い得るのでしょうか。その点について伺いたいと思います。
  20. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) それでは、幾つかまとめてお答えを申し上げたいと思いますが、まず自治法の六条の規定を残した理由、あるいはこの規定はどのような場合に必要になるのかということでございますが、これは先般の地制調議論でもあったわけでございますが、まずは、市町村合併が今大変大きく進展をいたしておりまして、そういう中で、そもそも今の都道府県区域が適当かどうかと、こういった議論も出てまいっております。  そうした中で、市町村合併と同じように、都道府県の自主的な発議による合併ということも考えなければならないということで新しく法改正をお願いしているわけでございますが、そうはいいましても、自主的な発議だけでは都道府県規模の見直しの議論が進まないということもあるわけでございますので、そういった場合にはこの法六条の規定が生きてくるということでございまして、やはり国として判断を行った上で法律で定めるという道も当然に必要なわけでございます。  また、新しい手続と今のこの六条の手続の関係でございますけれども、私どもといたしましては別個な手続を定めたというふうに考えておりますので、これは優劣の関係はないものということでございます。ただ、いずれにいたしましても、どちらの場合にも、やはり都道府県合併につきましては地元における十分なコンセンサスがなければならないということは御指摘のとおりだろうと思っております。  またそこで、この六条の合併に係ります仮に法律というものが制定される場合の話でございますが、これは従来から御指摘のように、憲法九十五条の地方自治特別法と言われてきたわけでございまして、この点についての考え方に変わることはないわけでございます。  また、新しい手続、従来の手続、いずれにいたしましても、都道府県合併、これは大きな組織の合併あるいは合体になるわけでございますが、当然これは関係者の合意が大前提になるというふうに思うわけでございまして、御指摘のとおり、その六条で法律を作って都道府県合併を進めるという場合でありますれば、形式的には確かに、形式的には確かに都道府県の関与なしに制定できるわけでございますけれども、そうはいいましても、先ほどお話ございましたように、憲法九十五条の地方自治特例法という位置付けになるわけでございまして、これは関係都道府県におきます住民投票が必要になるわけでございまして、その過半数の同意がなければならないということは、裏返しをすれば関係都道府県の住民の意思が反映されなければならないということを意味しているのではないかと、こう思っておりまして、従来の手続あるいはこれからお願いする手続、いずれにいたしましても、関係都道府県の住民の意思が反映された形で新しい団体ができる、そういう意味では現行法の六条も同じでありますので、これは当然に自治体としての資格を有すると、このように考えております。
  21. 久世公堯

    久世公堯君 それでは、次には道州制、都道府県合併に対する問題をお聞きいたしたいと思っております。  道州制という言葉は戦前からございます。しかし、確たる定義はありません。連邦制から官治的な道州制までの幅の非常に広い概念として従来言われております。  私の考え方は、連邦制ではないこと、長も議会も直接選挙による地方自治体としての道州制と理解をいたしております。そういう前提に立って議論を進めたいと思います。また、経過的な措置は別として、都道府県に代わる広域自治体、すなわち都道府県は廃止をするという認識に立って考えたいと思います。  そこで、大臣に承りたいわけでございますが、この道州制というものについて、大臣、あるいは地方制度調査会ではどのように想定、認識をされておられるのか。都道府県合併と道州制との関連について、よく世上におきましては、両者を同質のものと考えて、その差は狭いか広いかの程度にあるとしているものが多うございます。また、この都道府県合併は、道州制に到達するまでの一つの過程と見る考え方もある程度広まっているようでございます。  私は、両者は根本的に異なるものと思っております。道州制は、国家の統治機構の一環であり、同時に広域自治の主体であるものと思います。もとより、道州制への過程において都道府県合併が行われることはあり得ると思いますけれども、この辺りの本質論について大臣のお考えを承りたいと思います。
  22. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 久世先生指摘のとおり、道州制といわゆる都道府県合併というのは、区域拡大するという点につきましては、基本的なところは共通しているとは思いますけれども、道州制というのは単なる市町村合併ではなくて、国と地方との役割分担も含めて、いわゆる地方自治制度の大きな変革ということになろうと存じますので、区域が大きくなること以外はかなりの部分で違ったものと認識をいたしております。  そこで、地方分権が進んでまいりますと市町村合併が進んでまいりますので、当然のこととして都道府県在り方につきましてもいろいろ検討がなされるということになりますので、これは当然のことだと思っておりますけれども、将来的には広域自治体というような形で道州制の導入も検討すべきという段階に今、何となく今そういうところまでは来ているのかなという感じがいたしますが、道州制につきましては、この二十七次の地方制度調査会においてもこれは一部検討がされておりますのは御存じのとおりで、現行の憲法下で広域自治体基礎自治体と二層制になっておりますけれども、こういったものを道又は州の制度及び設置手続は法律規定と言っている点と、それから現在の都道府県を廃止し、原則として現在の都道府県区域を越える憲法上の広域自治体として設置するとか、道州制の導入に伴い国の役割を重点化、多くの権限を地方に移譲するとか、長と議会議員は直接に選ぶというような基本的な考え方は整理をされておるところでありますので、御疑問の点につきましては、この二十七次で幾つかいたしておりますけれども、二十八次の地方制度調査会が去る三月からスタートをいたしておりますので、ここにおいて議論をされることになろうと思いますが、冒頭に申し上げましたように、道州制というのは地方自治のみにかかわらず、国の在り方等々について大きな関連があることでもありますので、これはこれまで長く親しんできた廃藩置県以来、明治四年から親しんできた今日の制度というものの大変革にもつながるところであろうとも思いますので、これは国民の合意を得るという意味では今から様々な論議をしていただいた上でやっていただかにゃいかぬところだと思っております。
  23. 久世公堯

    久世公堯君 ありがとうございました。  道州制というものが国家の統治機構の一環とするならば、最終的には全国都道府県がいずれかの道州に入り、道州を構成しなければならないと思っております。  そこで、実は、戦前の府県制度も官選の知事の下ではございましたが、国の普通地方官庁である府県というものと、府県知事と言った方がいいかもしれません、と地方自治体としての府県を巧みに組み合わせて、双方の長所を発揮できるように組み合わせられたシステムであったと私は思っております。  また、つい最近まで存在しておりました悪評の高い機関委任事務とか地方事務官制度地方分権見地から廃止をされましたが、両方の制度とも戦後直後の地方制度改革において、国と地方、あるいは国家統治システムと広域自治システムとのはざまにおいて考えられた一つの知恵であったようにも思われます。  道州制の展望は、決してたんたんたるものではなく、かなりの時間も掛かると思いますが、是非とも国も地方もあらゆる知恵を結集して取り組んでいただきたいと思っております。  そこで、大臣お尋ねをいたしたいんですが、今後における道州制や都道府県合併論議の推移にもよることと思いますけれども、先ほど、市町村合併に関する特例法関係については副大臣から御答弁をいただきましたが、道州制は地方自治の問題であるから地方自治の基幹法である地方自治法規定すべきであるという議論と、最近では、道州制といってもこれから発足をするわけでございますので、国家の基幹的な制度にも係る制度であるから、道州制基本法あるいは道州制導入基本法というようなものを制定する必要についていろいろと論じられ始めておりますけれども、その可能性はあるでしょうか。大臣の現在の御所見を承りたいと思います。
  24. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 幾つか御質問をいただきましたが、最初のこの都道府県がいずれかの道州に編入されるというか、入るというのは、やっぱり基本的には自然な流れなんだとは思っておりますけれども、ただ、例えば首都なんというところはワシントンDCみたいな形もあり得るかとは思いますけれども、国が直轄する制度としては、理論的にはワシントンDCがディストリクト・オブ・コロンビアとして全然別な形になっておりますので、ああいったことはあり得るとは思いますけれども、いずれにしてもこれからの議論だと思っております。  次に、道州制についてという本格的な論議につきまして、これ確認していただかにゃいかぬところなんだとは思いますし、かなりな時間が掛かるところだとは思いますけれども、少なくとも、これは国と地方にとっては、これはあらゆる御意見を拝聴させていただかないと、私どもだけで考えてやるような話ではございませんので、そういった意味では、これは二十八次の制度調査会において精力的に議論が進められて、淡々としてこれやっていかにゃいかぬところでしょうけれども、なかなか山道、坂道あるいはいろいろあるだろうとは思っております。  それから、特例法お話があっておりましたけれども御存じのように、特例に、昭和四十年のときに規定されているような特例措置は設けていないのは確かでございますけれども都道府県の自主的な合併というのを政府としては支援するというのが基本的な考え方でありますので、そういう、何というのかしら、合併を支援するという状況にあるとは、今、当時とは、今と少し違っておるんだと思いますけれども、いずれにいたしましても、こういった都道府県間で自主的な合併が進められていくというような動きが顕在化してまいりますと、合併支援というものでそれの障害を除去を求めるような動きが出てくるというのであれば、その時点で特例措置というものは必要だということになるんであれば、その段階においていろいろ検討させていただくことになろうかと存じます。  最後に、基本法の話が出ておりましたけれども、この基本的な内容については、これは二十八次の制度調査会において今検討をすることとしておるところなんですが、これは基本的な、道州制の導入に当たっての基本的な理念とか、導入のプロセス等々につきましては、これは基本法的なものを制定する必要があるかどうか、いろいろこれは御意見の分かれるところだと思っておりますので、この点につきましてはこれからの議論であろうと思っております。  いずれにしても、これは道州制というものは、これは都道府県に代わる地方公共団体として設置されることになろうと思われますので、その仕組み等々につきましてはこれは地方自治法改正をして規定をされるべきものであろうというように思っております。いずれにしても、これは非常に、百数十年続いた制度の大改正にもなろうと思いますので、広く議論をされてしかるべき問題だと思っております。
  25. 久世公堯

    久世公堯君 次に、北海道特区による道州制についてお尋ねをいたしたいと思います。  北海道につきまして、特区制度によって道州制を実現するということで今進められておるということを承っております。地元の北海道庁や関係諸団体あるいは市町村は、各界挙げてこれを推進しようという趨勢にあるということも聞いております。  一般に、市町村合併の場合に論議あるいは支障になりますのは、隣接のどの市町村合併をするのかという区域問題、それから市役所をどこにするかという市役所設置の位置に関する問題、それから市町村の議会の構成について、任期特例でいくのか定数特例でいくかというようなことが一番問題になるわけでございまして、これは都道府県合併や道州制の場合においても論議になると思います。  ところが、北海道の場合につきましては、区域については北海道一つだけでございます。他の府県と合併する必要はありません。道州庁の設置につきましては、札幌以外という考え方もあるかもしれませんが、常識的には一応札幌にという声が強いと思うわけでございます。道州議会の任期特例や定数特例は、もう道州議会一つでございますので、これらの三つの点で何一つ支障がない問題でございます。  そこで、北海道に道州制を先行実施させることは既に政府部内では検討されており、百億円の事業費予算と調査費として一千万円が付けられていると聞いております。内閣府が窓口と聞いておりますので、その検討状況についてお伺いいたしたいと思います。
  26. 大田弘子

    政府参考人大田弘子君) 北海道の道州制特区につきましては、昨年の十二月、経済財政諮問会議で高橋知事からアイデアの御提案をいただきました。その際の審議を受けまして、今先生おっしゃいましたように、内閣府に北海道との連絡に当たる窓口を設置したところでございます。その後、北海道で検討が進められまして、四月二十六日に道州制特区に向けた提案、これは第一回の提案ですけれども、決定されまして、同じ日に内閣府に提出されました。  政府といたしましては、これからのこの諮問会議の審議を踏まえまして、北海道からの提案の内容を十分に見極め、その趣旨が最大限生かされますように、現行制度の活用も含めて適切な対応をしてまいりたいと思っております。
  27. 久世公堯

    久世公堯君 ただいまは大田政策統括官から最近の経緯に至るまでのお話を承ったわけでございますが、大田政策統括官は、民間を御経験、特に大学教授としての名声はよく承っておりますし、今はこのお役所の方に官民の交流で来ておられると承っております。  ひとつ、大田政策統括官の優れた見識と、それから内閣府という総合調整の場におられるというところを生かして、ひとつこの問題についてこれからも推進をしていただきたいと思っております。聞くところによりますと、高橋北海道知事とは大田政策統括官は学校の同級生とも聞いておりますので、ひとついい意味においてその成果を発揮していただきたいと思います。  ただ、この北海道を特区で道州制にする問題、非常に地方制度としても重要でございますので、麻生大臣のお考えを承りたいと思います。
  28. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今お話がありましたように、経済財政諮問会議で出されました後、今四月の二十六日の日に高橋知事の方から基本的な話が出ております。元々は、県の合併と違ってもう既に道になっておるではないかと、だから県の問題を片付けるより、ここはもう既に道になっているから話が早いだろうがという、極めて一面的な単純的なところだけ目を付けて最初にスタートしたことは確かです。  しかし、現実問題として、北海道の中には、これは国からの出先機関等々を含めて、これは非常に、北海道開拓史の歴史から振り返ってみまして、これは実に故事来歴、いわく因縁、これは他の県に負けずとも劣らぬぐらいいろいろございますので、そういった意味では、単なる県がないからというだけで、以外の問題はもっと別の難しい問題をここは抱えていることももう御存じのとおりでありますので、私ども総務省といたしましては、内閣府、いろいろ苦労されると思いますので、いろいろ応援をして、少なくともこの例が、一つの特区が成功をいたしますように私どもとしては協力をしてまいりたいと思っております。
  29. 久世公堯

    久世公堯君 今、麻生大臣お話の中にもあったわけでございますが、道州制は国と地方に係るいろんな難しい問題がございます。道州のシステムの中に国の地方支分部局も入ることになると思うわけでございますが、その辺りはどういう段取りでお考えでございましょうか。
  30. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) もう御指摘のとおり、正に、別に守備範囲が変わるということだけじゃなくて、もう道州制ということになりますと権限移譲ということが一番大きな問題になってくるわけでありまして、これもう御案内かも分かりませんが、二十七次地制調においていろいろと整理をされております。中身はもう申し上げませんが、いずれにしても、先ほど来お答えをしております二十八次地制調、これにおいてしっかり道州制の御議論をいただくわけでありますので、当然その中で地方支分局のお話も御議論いただくものと承知をいたしております。
  31. 久世公堯

    久世公堯君 最近におきましては、この国会においても道州制の議論というのが総務委員会中心として盛んに行われております。私自身が多少調査をしておるわけでございますが、都道府県改革や道州制に関する、どのくらい各都道府県議論されているかということを調べてみました。各都道府県の議会、あるいは各地域経済団体連合会、あるいはJC等におきまして、二、三年前まではぽつぽつと議論が行われた程度でございますが、あるいは県庁内の研究会がスタートを切るといった具合でございましたが、今年の初めごろに調査をいたしましたところ、大半の都道府県議会におきまして道州制や都道府県合併に関する何らかの議論が行われております。庁内の研究会あるいは隣の県との研究会、それも活発になってきております。また、度々、大臣、副大臣から御答弁がありましたように、第二十七次地方制度調査会ではその輪郭を示しておりますし、二十八次地方制度調査会でも早速第一回の総会から議論があったようでございます。  道州制にまともに取り組むことになりますならば十年ぐらいは掛かることでございますが、こういうことについてどうか前向きに検討していただきたいことをお願いをいたしたいと思います。  最後に、実は今回の地方自治法改正にはまだまだいろんな問題があるわけでございまして、特に最近の地方の実態では、地域を取り巻く環境の変化によって行政自体の内容が大きく変化をいたしております。これを受け止める行政のシステムにつきましても、新しい視点に立って改革すべきもの、今回の地方自治法改正でも、議会、執行機関、財務会計等の分野について改正が提案をされていますが、これだけでなく数多くあると思うわけでございます。これについてのお考え一つお伺いいたしたいと思います。  その例といたしまして、例えば住民投票が非常に増えてきております。直接民主制度在り方や直接民主制のシステムと地方議会を中心とする議会制民主主義の在り方につきましてどのような問題点があるか。また、その改革の方向はどのように考えておられるのか。また、教育委員会や公安委員会、あるいは地方労働委員会等、総じて地方の行政委員会制度につきましては、最近、地方自治体においてその在り方がいろいろ問われているようでございます。地方制度としての問題点及び改革の方向について総括的にお話を承りたいと思います。
  32. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) 冒頭に実は久世先生から、正に地域を取り巻く、地方を取り巻く環境というふうなことで、二百兆に上る借金だとか、ITの進展、高齢化等々御指摘をいただきました。確かに、そういった環境の変化の中で地方行政システムというのも構造改革の必要性が大変高まっておるというふうに認識をいたしております。  一つには、市町村合併推進によって市町村規模能力拡大を図っていく、さらには三位一体改革とか地方行政の弾力化によって自由度を一層拡大をしていく、あるいはまた、地方議会の活性化とか地域自治区の導入によって住民の自治を拡充をしていく等々取り組んでいかなければいけない。いずれにしても、しっかりとした行政改革をやっていかなきゃいけないというふうに認識をいたしております。  さらに、住民投票の御指摘もございましたけれども、もうこれも御存じのとおり、地方議会の思いと住民の皆さん方の思いとの乖離というふうなことがよく言われまして、先生御案内と思いますが、徳島県でも住民投票が行われた例もございまして、当時、ですから住民投票の位置付けということで自民党としてもしっかり議論をした方がいいんじゃないかというふうなことを申し上げた経緯もあるわけなんですけれども、もう御承知と思いますが、例えば対象とすべき事柄とか、あるいは長と議会との関係とか、あるいはまたその範囲ですね、どの範囲で投票するかとか、さらにはその投票結果がどこまで拘束力を持つのか等々、大変難しい問題が多々あるわけなんですけれども、しかしこれもしっかりと運営をしていきませんと、それこそ、申し上げましたように、地方議会と住民との乖離ということになりますと、地方自治の崩壊にもつながりませんので、これも地方制度調査会でも検討された問題でありますが、なかなか結論が出ておらないというふうなことでありますが、しっかりと今後も検討していきたいというふうに思っております。  そういった中で、教育委員会とか公安委員会、地労委等々の御指摘もあったわけなんですけれども、私どもとしては、様々な地方の御意見がございます。やはり、より効率的とか簡素等々もあるんですけれども基本的には私どもとしては、必置規制を緩和をしていくということが地方分権の理念に資することだというふうな思いの中で取り組んでおるところでございます。
  33. 久世公堯

    久世公堯君 最後に、大臣お尋ねをいたしたいわけでございますが、私が提起をいたしました市町村合併あるいは都道府県合併、道州制、そして今最後に申し上げました地方自治をめぐる環境に相応した地方制度改革、大変大きな問題を抱えておられるわけでございますが、それについての感想なり決意を最後に承りたいと思います。
  34. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この道州制含めまして、市町村合併に始まります一連のこの大改正というものは、これは明治四年、廃藩置県この方やってまいりました日本の制度の根幹にかかわる大問題であろうと思っております。  少なくとも、地方がこれだけいろんな意味で昔と違って豊かになり、また交通網、また通信網等々も発達した今日において、少なくとも地方というものも、敗戦後の極めて疲弊した状況とは違って、かなり地域ごとにそれぞれ、公民館にしても体育館にしても、そこそこのものが皆一応行き渡った今の段階においては、少なくとも地方のいわゆるやりたい自由度が上がるというのは大事なことであって、その自由度が上がるためにはある程度財政の裏付けも要るということだと存じますので、いろんな意味で、三位一体の中にも出てまいりますが、いろんな意味で、地方の発想に基づいて、自分たちのことは自分たちが一番よく知っている、そして自分たちの自治なんだから自分たちできちんとやっていこうという姿勢というのがやっぱり一番肝心なところだと思いますので、それを裏付けるなり支援するという立場から私どもの方は応援をしていくというのが総務省の立場であろうと存じております。  いずれにいたしましても、試行錯誤いろいろ出てくると存じますし、また、地方の首長さん方によってまた意識もまた違うでしょうし、同じ条件下でも、それを与えられた条件下で、こっちはうまくいってこっちはうまくいかない、その管理能力、経営能力、いろいろ違いますでしょうし、構成しておられる議員の方々、いろんな与えられている条件はいろいろ違うとは思いますけれども、とにかく一律にこれで枠をはめるということはできないと思いますので、そういった意味では、きめ細かくそういった意欲がきちんと反映できるような制度にして、もって住民をして、やっぱり住んで良かったと、やっぱりこの改正をして良かったというような結果を出して、改革は決して改良につながるわけではありませんので、結果としてこの改正が改良になったというような結果を出させるべく、出してもらうべく私どもとしては応援をしてまいりたいと思っております。
  35. 久世公堯

    久世公堯君 ありがとうございました。  終わります。
  36. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋良充でございます。  まず冒頭に、年金問題で二問ほど建設的な御質問を申し上げたいというふうに思っています。  国会議員も年金に未加入だ、未納だということで大変国民の信頼を傷付けているわけですけれども、私は既にもう四十年全額完納いたしておりまして年金受給資格はあるわけですけれども、そのことはまず表明をしておきたいというふうに思いますが。  国会議員は別にして、国民の皆さん方、一般の国民の皆さん方の未納というのはやっぱり制度上の大きな問題があるというふうには思うんですけれども、その年金空洞化の対策の一つとして社会保険庁にお聞きをしたいんですが、二〇〇二年に国民年金の事務を国に変更させたと、このことが国民年金の空洞化を促進をさせたんではないか、こういうふうに言われているわけであります。四月の二十一日の衆院厚生労働委員会でも、坂口厚生労働大臣自らがそのことを認められて、次のような答弁をされています。県や市町村が行う場合と国が一体的に行う場合ではきめの細かさが違ってくる、この問題は失敗だった、国に一元化をしたことは失敗だったという、こういう答弁をされているわけですね。  今言われている年金空洞化対策、とりわけ国民年金の納付率を回復をすると、そのことをやっぱりやっていこうと思えば、従来から言われているように社会保険行政というものと職員の身分を地方に移管をすべきではないかというふうに思うんですが、そのことについてはどのような見解をお持ちですか。
  37. 小林和弘

    政府参考人小林和弘君) 今御指摘のございました国民年金事務を含みます社会保険事業、これにつきましては、一定の地域でございますとか職域に限らず、全国の様々な形態の事業所でありますとか被保険者の方々を対象として実施をされておるというところから、国が保険者となりまして最終的な責任を負うという仕組みを取っているところでございます。  このような全国規模の事業体として効率的な事業運営を行っていくというためには、一体的な事務処理の確保、運営が非常に強く要請されるところでございます。またあわせて、制度改革を行います企画立案部局、そこと我々、実施の方を担当いたします社会保険庁が、同じ組織の下で表裏一体となって連携をしながら取り組んでいくということが求められるところでございます。  御指摘の国民年金保険料の納付率の向上ということにつきましては、私どもの抱えております最重要の課題ということで考えております。したがいまして、今回の制度改革におきましても、効果的な保険料徴収のための必要な所得情報の取得、こういうこともできるような制度面での手当ても講じさせていただいております。  今後とも、市町村と連携協力を図りながら、積極的にこれを進めることなどによりまして納付率の向上に全力で取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  38. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 昨日は長崎で、先週は高知とか山口県へ行っていたんですけれども、多くの市町村長さんが、この国会議員の未納問題の関心もあるんでしょうけれども、市民の未納に対して納付率を上げるというのはもう社会保険庁、国一元化ということではやっぱり無理ではないかと。やっぱりそこの住民の皆さん方の生活実態を知っている市町村の職員が、本当に滞納なのか、生活が苦しくて払えないのか、それとも未納の原因がそういう生活苦から来ていなくて手続の忘れなのか、あるいはもう年金に不信を持っているからわざと払わないのかと、こういうことの実態はやっぱり市町村が一番よく知っていると、こう言っておられますね。  そういう意味では、市町村もそのことをやることによって、非常に仕事上は大変だけれども、しかし国民のサービスという面からいえば、年金に信頼を置いていくということからいえば、やっぱり市町村がそこをカバーしていかなければならないんではないかと、こういうことを言っておられる首長さんが非常に増えてまいりました。  だから、この際、総務省にお聞きをしたいんですけれども、この事務処理体制の問題については、長い歴史のある問題ですけれども、しかし二〇〇〇年に地方分権一括法市町村から自治体へ切り替えるときに附則の二百五十二条が加えられているんですけれども、この附則は次のように書いていますよね。  政府は、医療保険制度、年金制度等の改革に伴い、社会保険の事務処理の体制、これに従事する職員の在り方等について、被保険者の利便性の確保、事務処理体制の効率化等の視点に立って、検討し、必要があると認めたときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすると、こういうことになっておりまして、今正に年金制度を抜本的に改革しようというこういう法案が出されて、これだけ大きな課題に未納問題がなっているわけですから、この附則二百五十五条の検討結果に基づいて事務処理体制というものを早急に見直すべきではないかと、そういうふうに思っているんですけれども総務大臣、どうでしょう。
  39. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、高嶋先生御説のとおり、二百五十二条だと思いますが、虎島和夫外、自民、民主、公明・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合、五会派を代表して提出され、可決された政府原案への修正案により追加されたとされておりますんでおっしゃるとおりなんだと思っておりますが、今言われました坂口大臣のその後の、先ほど言われた答弁のその後の答弁にもあるんですが、一週間後の四月の二十八日の答弁に、しかし一度こうなったからといって、それでいや、もうこの、もう国は駄目ですから地方にお願いしますというわけにはいかぬですわなという話をしておるのが本音のところかなと正直思わないでもないんですが、この地方分権一括法のとき以前につきましては確かに地方で徴収を、国民年金の事務を執行しておりましたのは御存じのとおりなんですが、今言われましたように、やっぱりあいつ払っていないじゃないかと、それはやっぱり地方の方がそれは詳しいことはもうそれは間違いございません。  そういった意味では、ここはおっしゃるとおりに、平成十四年から特にこれが実施されるようになりました以後、徴収がかなり落ちたこともグラフでも既に出ておりますんで、そういったところでもありますけれども、ただこれは少なくとも大きな議論が行われて得た、結論を得てまだ一年しかたっておらぬというところでまた改正ということになるのは、ちょっと余りにも日が浅いんでそこのところなかなか困難だと思いますんで、これは厚生省としても社会保険庁としても、これはいろいろ更に努力をしていただかにゃいかぬところでしょうし、三党合意でもいろいろ案を出されるように、検討されると思いますんで、是非その点について私どもとしては今後の状況を見守りたいと思っておるのが今の率直なところです。
  40. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 国に一元化してから日が浅い、今すぐに変えれば朝令暮改だと、こう言われるような部分でちゅうちょされているんだろうというふうに思いますけれども、しかし私は、やっぱり問題が出てきて、そしてその一元化に問題があって、やっぱり元に戻す方が国民のサービスの向上につながって年金不信の解消になる、空洞化の対策にもなるということであればやっぱり早急に手を打つべきだと、こういうふうに思っておりまして、これは要望ですけれども、是非早期に検討の結論を出していただいて、そのような、各市町村長さんや国民の皆さん方が望んでおられるような方向になりますように御努力をお願いを申し上げておきたいというふうに思っております。  次に、この間出された、ごめんなさい、社会保険庁、厚生労働委員会もあるようですから退出をいただいて結構でございます。済みません。
  41. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) それでは、小林社会保険庁次長、御退出ください。
  42. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 四月二十六日に経済財政諮問会議に総務大臣が、いわゆるマスコミ報道によると麻生プラン、これを提出をされた。正式名称は「地方分権推進のための「地方税財政改革」」ということでございまして、この問題について、考え方は評価をしながらも、若干意見と要望を含めて質問をさせていただきたいというふうに思っております。  この中で総務大臣は、三位一体改革の重点改革の取組として、二〇〇五年度、義務教育費の国庫負担金の一般財源化については学校事務職員を先行的に検討すると、こういう提起をされているわけですけれども、私はその真意が余りよく理解できないんですけれども。  そこで伺いたいんですが、義務教育費国庫負担金については、義務教育の水準の維持向上、さらには学校運営の円滑な推進観点から教員と職員を一体として取り扱うべきだと、こういうふうに言われてきたし、私もそう思っているんですけれども、学校事務職員のみを先行して検討するということは筋が違うんではないかなというふうに思うんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。
  43. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いわゆる三位一体の中で三兆円の話が、今いわゆる補助金の削減、残り三兆円、十八年度までに四兆円のうち残り三兆円という話と関連をする話なんですが、残り三兆円の補助金を削減をするに当たって、補助金は削減したが税源移譲は行われないかもしれないという疑いがあるとこれはなかなか地方の協力は得られない。私は基本的にそういうのが普通の感情だと思いますので、まず税源移譲がはっきりさせてもらいたいというのが三兆円の先行移譲です。  ただし、うちの場合は、うちの場合というのは地方の場合は、もらった以上は補助金というものはちゃんと、それに約三兆というものをちゃんと返納せにゃいかぬということに、返納というか切り替えにゃいかぬということになるんですが、その切り替えるのを、どれを切り替えるのかはこれは地方で検討してもらわにゃいかぬというところで、昨年の段階の中で、昨年というのは昨年の財政諮問会議のときに、生活保護の話とか今の学校の義務教育の話とかいうのがあの当時、検討すべき題意として挙げられておるというのがまず大前提になります。  そこで、取り急ぎ、今年丸々三兆ということにいかず、今年一・五だ、来年また一・五だというような細切れな形で、今年一兆出ましたので来年一・五、残り一・五ということになると、そういった話が出てまいりますので、私どもとしては義務教育という点を考えた場合に、そもそも義務教育はという話からしないと、金の話からいきなり義務教育を語るというのは非常に誤解を生むし、いかがなものかということも十分にありますので、そういった意味からいくと、今、職員の職務の内容に違いがあるということから、昨年の議論の経緯もありますので、三位一体の中から一歩前進させるというのであれば、学校事務職員に係る部分を一般財源化の先行的な課題として検討してみたらどうですかということを申し上げたのでして、これは額としてはそんな大きな額ではありませんので、三兆から見たらとてもじゃない額なんですけれども、そういうのを申し上げたという経緯であります。  問題は、この三兆円の中に、各省が出されるのがどういったものが、三兆円としての、補助金の返納という形になるのかというところが最大の問題でありまして、この点に関して決してこだわるつもりもありませんけれども、全体の中での話の一環として出たということであります。
  44. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 私は、今大臣が言われるように、義務教育費の国庫負担金の在り方を検討されて、それを税源移譲していくという部分について否定するものではないんです。  ただ、昨年の例もございますけれども、この問題の一般財源化については、御承知のように知事会は一致を、当初は一致をされたんですけれども、昨年の状況を見て、今年はどうも、知事会の文教部会ですかね、でもこの義務教育費の国庫負担金の問題は非常に異論が続出をしたというような記事も、これは時事通信ですけれども、かなり詳しく書いているんですが、地方の改革派と言われる知事の間でも慎重論が続出をしてきている、こういう状況になってきているんですが、私は、片山プランなり麻生プラン等で、やっぱり税財源移譲という部分からいって、やっぱり評価をしたいのは、基本的には、先ほども言われましたけれども、地方の自由度を上げるんだ、裁量権をきちっと持たすんだ、やっぱりそこに力点を置くべきだというふうに思うんですね。  ということになると、このような義務教育費国庫負担金という教職員の給与費の固まりだけを地方に一般財源化したところで、そんなに地方に財政上の裁量の自由度が大きくなるかといったら、そんなに大きくならない。全く同じことだという状況だというふうに思うんですよ。  文部科学省は、どういうんですかね、裁量方式というのを編み出しているようですけれども、そういう手も一つあるとは思うんですが、そういう意味では、固定費というか義務費、経費ばかりを一般財源化するというよりも、先ほどから大臣が言われているように、地方の自由度を拡大する改革ということからいえば、公共事業費等々含めて、やっぱりそれらをきちっと税源移譲させていくという方向がいいんではないかというふうに思っているんですが、この地方の自由度を拡大するという観点から、この義務教育費国庫負担金の一般財源化との絡みについて大臣はどのようにお考えなんでしょうか。
  45. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 一般財源化をすることによりましていわゆる自由度がより高まるというのは、それはもう奨励的補助の方がはるかに大きい。もう高嶋先生おっしゃるとおりだと思っております。  ただ、義務教育費とか義務的な経費につきましても、いわゆる一般財源化することによって地域の実情に応じた、何というんだろう、弾力的な対応が可能になるということも確かだとは思っております。  したがって、教育という、これは地方が行う基本的な事務というようなことになろうかと思いますけれども、地方の様々な創意が行われることになり得るというところもあろうかと思いますので、一般財源化によって国庫補助金のあのごちゃごちゃした手続から解放されることにもなりますし、その分、人的、それに使っている人的資源はかなりな勢いで他に振り向けることも可能になろうと思っておりますので、この補助金の、国庫補助負担金の見直しにつきましてもこの地方の自由度を拡大するという三位一体改革趣旨から外れているものだとは思いませんけれども、おっしゃるとおり、奨励的補助に比べれば義務的経費の方が本来のあれからいけば自由度が少ないとおっしゃる御説はそのとおりだと存じます。
  46. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 固定費というか義務的経費と公共事業経費、どちらを優先すべきかということになれば、地方の自由度を、裁量権を拡大するということになれば、やっぱり公共事業経費を最優先に税財源移譲、一般財源化を図っていくというのが地方がやっぱり一番望んでいる部分だというふうに思いますね。  ただ、義務的経費の部分もできるだけ裁量権を持ちたいという地方の意向はあるわけですから、そういう意味で文科省の方は総額裁量制というようなものを考えられているんだというふうに思いますけれども、しかし、あれの良しあしは別にして、総務省としてもこの問題については是非、先ほども最初に申し上げましたけれども、教職員一体の義務的経費の改革だと、こういう考え方はきちっと貫徹をいただいて、麻生プランの中に出ている、先ほども、もうわずかな額だと、こう言われました、学校事務職員と加配教職員に係るものは総額二兆五千億円の中の〇・三兆円と、こういう資料ですから、三千億円だと、こういうことでもございますので、是非、地方自治発展をさせる、国民生活の向上と、こういう観点から、私が今申し上げましたような、先行して学校事務職員だけを実施をするというようなことのない改革議論を進めていただくように、これは要望として強く要請をしておきたいというふうに思っております。  そこで、本題の方の合併関連の三法案について伺ってまいりたいというふうに思いますが、なぜ市町村合併新法が更に必要なのかと。先ほども自民党の久世さんの御質問にもお答えをされていましたけれども、しかし本来は、現行合併特例法期限までに市町村合併を進めるということではなかったのかというふうに思うんですが、その点についてもう一度お尋ねしたいと思う。
  47. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) おっしゃるとおり、平成十七年度、三月三十一日までという期限というのは最初に掲げましたあれでもありますので、私ども、これまでにされるのが最も正しいと私どももそう思っております。  ただ、現実問題として、この種の話が急に盛り上がってまいりましたのは、私は、今年に入ってからぐらいの方が物すごく多かったんじゃないかなと思うほど、地方によってはかなり温度差があったように思っております。  私のところの地元を例に引くと恐縮ですが、二市八町で約十九万八千人という人口になろうかと思いますが、九千人という人口になろうと思いますが、そこのところも、なかなかこれは無理と、大体あの町長がいる間は絶対やらねえとか、もういろいろごちゃごちゃごちゃごちゃ、昨年まではもうむちゃくちゃに言うておりましたけれども、やっぱり今年ぐらいに入ってほかのところがどんどん行き始めたのを見て、やっぱりうちもやろうやということになって、多分、二市八町で合併をいたします。  議員定数は多分日本で一番でかく、百七十何人ぐらいでとにかくスタートすることになるかなと思っておりますけれども、二年したら三十二人だか三十四人だかになりますので、それはそれでもやむを得ぬであろうと。とにかくそれで合併できないよりはよろしいのではないかと。  なぜその例を引いたかと申しますと、目先、何となくおかしな、体育館でも借りるのかというような議会になろうかとは思いますけれども、しかしそれが理由で合併が壊れるということになりますと、やっぱり私どものところは、御存じかと思いますが、筑豊というところは生活保護世帯率の極めて高いところでもありまして、かなり特殊な事情を抱えているとはいえ、今いろんな形で道路網ができ、通信網ができて、形としては随分近代化をされてきた。私が当選をいたしました二十五年前に比べればはるかに事情は変わってきたと思っております。  しかし、そういうところでも、二十万の人口に達するというようなことになって特例市中核都市だ、いろんな表現が出てくるのに合わせて、それならおれのところもやろうやという話は、やっぱりこの数か月間かなりわっと出てきたような感じがいたしております。  ほかのところも似たようなところも幾つもありますので、やっぱりそこの首長の頭張っているのが非常に、そういったのに嗅覚がいいとどんどんどんどんこういうのは進めないと、進めた方がいいというのを言うんですが、なかなかそういう人たちばっかりではございませんので、少しずつ少しずつ集まってきた、何となく、あおるたんびに少しずつ少しずつやっと盛り上がってきたかなという感じもいたしますので、最後に残ったのが町名だとか場所だとか、いろんなことが最後になっておりますところがもめているような話も多くありますので、ちょっと待ってやるだけでこれは進みますと、結果としてその住民の、住民にとっての行政体の基盤というものがしっかりしたものになる、私どもはそう思っておりますので、大きくすりゃいいというものじゃないぞという御意見もあるのは、もう銀行見たって同じとおりで、大きな銀行だから良かったとは限らぬことははっきりしておりますので、大きな町村になったからいいという気は全くございません。小さなところでも立派な銀行あるのと同じように、小さな町でもきちんとした町が出てくる可能性は十分にあると、私どももそう思いますが、常識、一般的なことを申し上げて、少なくともいろんな意味で、コンピューターが出てきたりいろんな形が進む時代によって、よっぽどそこのところのあれがしっかりしない限り、住民への行政サービスの最低限が確保されないということになるというのもいかがなものかと存じますので、このたびこの法律提出させていただいた次第であります。
  48. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 今、総務大臣が言われたような現状なんですよね、全国の各市町村というか自治体の関係では。  正に、駆け込み合併あるいは無理な合併議論が、来年の三月末までだと、後にはむちだけの厳しい新法ができてくるんだと、こういうことで財政上追い詰められて合併をしなければならないという状況に各首長さんがなっているものですから、この法定協議会がつぶれていったり、あるいは理念、目的のない合併によって、正に市町村長さんの好き嫌いの判断だけで法定協議会が、おれは抜けた、私、抜けたと、こういう状況になっているという状況で、この合併後、一体どうなるんだという、あるいは合併しなかったらどうなっていくんだというようなことが全く住民に知らされずに、そういう議論だけが先行してやられてきている。そういうところがやっぱり続出をしてきているということが、これが合併がうまく円滑に進んでいない大きな原因だというふうに思っているんですが、その考え方については、先ほどの総務大臣も同じような考え方だと思うんです。  そこで、総務大臣も言われましたけれども、大きくなることだけがいいことではないんだと、小さいものは小さいなりにやっていけることもと、こういうお話がございました。確かに、私もそのとおりだというふうに思いますし、市町村合併というのは自主的に市町村が判断をすべきだと、合併する権利合併しない権利市町村が持っているわけですから、私は、やっぱり市町村の自主的判断に任すというのは一番のいいことだと、市町村の自主的な判断というのは、首長さんの自主的な判断じゃなしに住民の判断だと、こういうことをやっぱり明確にしておく必要があるんではないかと。  しかし、今回の新法は、この自主的判断に対して、どうも国と都道府県役割が強化をされてきていて強制的な合併に道を開いてきているんではないかと、そういう危惧を持っているんですけれども、その点はどうでしょう。
  49. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) このたびの新法におきまして、引き続き自主的な市町村合併推進されていくというのが基本的に私どもも望んでいるところでも期待しているところでもありますので、総務大臣が定めますいわゆる基本方針というものにつきまして、これは都道府県構想して、そしてその構想に基づいて合併協議会の設置を勧告やらあっせんできることにしてありますけれども、しかしそれは、これは強制するものでも全くありませんので、よく町村の、ふだん同じ郡であるとそこそこ郡内の付き合いなんかあるところもありますが、なかなか難しいところもありますので、そういうときにだれかが声を掛けてくれると何となくちょっと前にという、何となくこう、いま一歩踏み出し切らないというようなところも一杯ありまして、今回、私どものところは特にそうだったと思いますが、一言声が掛かって、皆これやった方がええぞという話やら何やら声を掛けてもらうのが、やっぱり県知事というのは一つの、県会議員とか県知事とかいうのが私どもにとりましては一つの大きなきっかけにもなりましたものですから、そういった意味でこの話を申し上げておるんで、分権の趣旨に反するものでもありませんし、強権を発動するつもりも全くありませんし、そういった法律の内容にもなっておりませんので、是非その点につきましては、最終的に判断されるのは、私も全く同じ、町長、議会よりはむしろ住民というのが最終的な判断をしていただく。  ただ、その住民にかなりの情報が偏っている話しか行っていないところもあろうと思いますので、今CATVを、イントラネットやら使って付けたところで、その協議会の内容を逐一ずっとテレビで流しっ放しにしたある町がありますけれども、それを見てそれまでの意見とは住民の意識が全く変わって、これはやろうということになったところもありますので、やっぱり情報がきちんと入ってくるというのが大変大事なところかなとは思いますけれども、いずれにしても強制するつもりは全くございません。
  50. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 是非、自主的合併は当初のずっとした方針ですから、国の大前提の方針ですから、貫いていただきたいと思いますが、国と都道府県役割の強化がどうされてきているのかというのについては後の質問のところでまた具体的にお尋ねをしたいというふうに思っております。  そこで、合併特例区の関係についてまずお聞きをいたしますけれども市町村合併の後に市町村単位合併特例区というのを設置が可能だと、こういうことなんですが、私は、広域連合や町村会が提唱されています連合市町村なら理解できるんですけれども合併をした後になおこのような合併特例区というのを設置をしなければならないという、その必要性が理解ができないんですが。かえってこの新自治体の一体性というものを損なうことになりはしないかというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
  51. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この問題は、高嶋先生、元々はむしろ地方の方からの要望がかなり多かった。その理由は、合併をすると旧来の、麻生町だ高嶋町だという名前が、村がなくなるというのがいかがなものかという希望が一点。  それからもう一つは、町で持っております例えば公民館等々の財産というものを、いわゆる、それを中心にコミュニティーが一個でき上がっておりますので、そういったものを含めてきちんとしてもらわぬと、何となく、あの市に全部ざあっと合併されて、名前は変わるわ何は変わるわ、元々のおれたちの字というか、字名、地名、町名、村名がなくなるというのが、ちょっとどうしてもよろしゅうないという、特に御年配の方々の意見が多かったように思いますけれども、そういったことでもありましたので、じゃ、一定期間ということで、少なくとも一定期間の間、そういった所有物、建築物、構造物もありますので、そういったものがありますので、五年以内ということで、特別に地方公共団体としてこういったものを、法人格というものを有するものを設置、ただし五年ですよということを一応申し上げているところであります。  独立した団体に設けて事務の処理をゆだねる方が適当であるというケースもあることもまた事実です、新しく合併された市側にとっちゃ全然知らない財産がそこにあるわけですから。  そういった意味で、このような例は、いずれにいたしましても市町村合併に伴いまして、いわゆるソフトランディングというのかな、ゆっくりうまく着地できるようなものにしたいというのが本来の目的でありまして、そういった意味では妙にそこのところだけが変な形で残るということよりは、うまくソフトランディングさせるためにこういったものをという要望に基づいて作ったという背景でございます。    〔委員長退席理事山崎力君着席〕
  52. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 総務大臣の今の答弁、その本質というか理念のところがちょっと私とかみ合っていない部分もあるのかなというふうに思うんですが、この合併特例区という部分を地域コミュニティーの役割を強化をしようという本質を持ったものとして見るのか、それとも単なる経過措置策だというような視点で見るのかによって評価が違ってくると思うんですね。  それで、私は、単なる経過措置策として名前が、市や町の名前をそのまま残したいとか、あるいは当面、経過措置として今までやってきたような町のままで当面はやりたいんだという、そういう形でやられるという部分でこの五年に限定をしているという、そこだけの部分であれば、まあ一定評価できるかどうかは別にして、意味は分かるんですよ。  ただ、地域コミュニティーの役割をきちっと持たせて住民のそこのコミュニティーの自治を促進をしていこうということになると、何で五年しかそれをやらせないんだと、こういうことに市町村長さんも取られる部分がありますから、その辺の観点からいっても、私はやっぱり地域コミュニティーという役割をきちっとやっぱり持たせていくべきではないかなというふうに思うんですが、その点はどうでしょう。
  53. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 今、高嶋先生がおっしゃったようなことを具体的な現場に下ろしてみて考えた方が分かりやすいと思うんですが、実は、私どものこの合併特例区の提案は、合併協議の中で、合併協議をしている中で合併特例区が必要かどうかというものを議論していただこうというふうにしておりますので、この特例区を設けないという選択ももちろん可能でございますし、それから、法律案にありますけれども地域自治区の特例を使うという選択も可能でございますし、それから現行法にもあるわけでございますが、地域審議会というものだけを作るということもいいわけですし、あるいは一切そういうことをやらずにいきなり合併した上で、地方自治法改正の中にあります地域自治区という、法人格のない地域自治区というものを設けていこうという選択も可能でありまして、これはあくまでも、正直申し上げて本当にいろんな地域がそれぞれ事情があるわけですね。  つまり、地域コミュニティーを守っていくということも、取りあえず合併特例区というものを使ってやった上で、場合によったらその期限が切れれば、自治法改正で提案しております地域自治区の方へ移行してもいいんじゃないかというふうに思われるところもこれあり得るわけでして、あくまでも地域の実情、それからこれまでの伝統、歴史、これから新しいことをどのように考えるかという中でそれぞれの実態の議論の中でお決めいただいたらどうかということを言っておりますので、何か私どもが、ここにはこうだ、ここにはああだと言うつもりは一切ございません。
  54. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 いろんな道具を与えて地方自治体が使い勝手をしやすいようにしてやるというのは、これは私も否定はしないんですが、ちょっと一問、前の質問に戻りますけれども、この合併市町村の一部の区域だけ合併特例区を設置をしないということも法律案を見ていたら可能だというふうに思うんですが、もし可能だとすれば、同一自治体の中で一部は合併特例区を設置をして一部は設置をしないということになると、不公平さ、公平さの観点からどのような問題が起こるのかという部分があるんですが、その点はどうでしょう。
  55. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これはサービスが、ある合併特例区を作ったところだけその住民に公民館の活用できるとか、そういうサービスが提供されると。合併特例区がないところはそもそもそういうサービスがないと。こうなれば、確かにそのサービス提供について地域的な不公平が生ずるということもあり得るわけですが、これはそういうことは想定しておりませんで、住民に対するサービスの提供はあくまでも同じでありますけれども、そのサービスの中で特定のものについては合併特例区から提供すると。だけれども、そうでないところは新しくでき上がります新市の中で対応すると。こういうふうなことを想定しておりますので、サービスの提供の仕方に差がありますけれどもサービスの提供は同じだという前提でありますので、不公平になるということはないと思います。
  56. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 じゃ、いろんなことを具体的に実務的に聞いていきますので。  一つは、合併特例協議会特例区ができれば協議会を作るんですけれども、この構成員の関係ですけれども、これは規約で定める方法により合併市町村長が選任をすると、こういうふうに条文にあるんですが、合併市町村長の選任では恣意的な人事が行われるということになるんではないかというふうに思うんですが、公職選挙法は適用されないと思うんですが、選挙によって行うことは可能ですか。
  57. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 私どもは、何らかの形で住民の意見を聞く、その住民の投票の仕方、いろいろ工夫はあると思いますけれども、そういった結果を尊重してその新市の長が構成員を選任すると。これを仮に準公選制と言うとしますれば、そういったことも可能だろうと思っております。
  58. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 この構成員になられる方、まあ市町村長が選任をされても、あるいは準公選制で選挙で選ばれた人になる、どちらにしても報酬はどうなるんだと、こういう問題があるんですが、第二十七次の地制調答申では無報酬だと、こういうふうに答申はされていたわけですけれども法律案で出てきたのは、構成員には「報酬を支給しないこととすることができる。」と、こういうふうに法律の文案はなっているんですね。  ということは、無報酬ではなしに前提は報酬を支払うんだと、だけれども報酬を支払わなくてもいいですよと、こういう法律文ですね。だから、前提は無報酬ではなしに報酬を支払うと、こういうことになっているんですけれども基本的にはやっぱり報酬を支給をするということを想定をされておられるんだろうというふうに思いますが、そういうことなのかということと、報酬を支給する場合はどのような基準を想定されているんでしょう。
  59. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 私どもは、この地域協議会の構成員につきましては、やはり地域の問題を自分たちのこととして考えていくという方々になっていただくということを想定しておりまして、その意味では報酬を得ないでボランティア的にやっていただくということがいいのではないかと、こう思っておりまして、原則として報酬は支給すべきではないと。    〔理事山崎力君退席、委員長着席〕  ただ、法律の書き方として、これ既存の規定の書きぶりがあるものですから、あのような支給しないことができるというふうに書いているわけですけれども、私どもと、気持ちとすれば、事柄としてこれはやはりボランティアでやっていただくというのが筋だと思いますので、原則として報酬は支給すべきじゃないと、こう思っております。  したがいまして、ただ、そうはいいましても、自治体の判断もあるわけですが、これは条例でどうされるかということになるわけですが、私どもはそういう考え方がありますので、殊更、基準を示すというふうな考え方は持っておりません。
  60. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 じゃ、原則は無報酬と、そういうふうに理解してよろしいですね。  次に、この合併特例区の職員の関係なんですけれども、これは当該市町村長の同意を得て合併特例区の区長の、区長というんですが、任命をすると、こういうことになっているというふうに思うんですが、労使関係上の使用者というのは新しくできたその市の市長なのか、それとも合併特例区の区長なのか、どちらですか。
  61. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 今御指摘のこの使用者という労働基準法上の概念でございますけれども、こうした権限は原則として合併市町村の長が任命権者として行使することになるというふうに思います。  ただ、合併特例区につきましては、これは設置者が限定されているというふうなこともありますので、合併特例区の職員の方は合併市町村の職員でもあり、かつその身分を持ったまま同時に合併特例区の職員の地位を有すると、こうなりますので、任命権者、その長でありますけれども、職務命令、具体的な職務命令などは合併特例区の区長さんが出すというふうな形になるわけでございます。
  62. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 基本的な、言わば仕事上の労使の関係というのは特例区の区長だと、そういうふうに理解していいわけですね。  じゃ、特例区に雇用される職員は、今も出ましたけれども、地公法の規定によって任用されることになると思いますが、それはそれでいいのかということと、臨時職員の任用についてはどのようなことを想定されているのか。
  63. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 先ほどの答弁の中で一点補足しますと、合併特例区自体は職員の給与とか勤務条件、そういったことを決める条例制定権はないわけですから、条例の制定は、当然の、よく御案内のとおりですけれども、新市が行うという前提でございます。  その上で、地公法上の規定によって特例区に雇用される職員も当然任用されると。なぜかといいますと、任命権者は市の市長さんであるわけでありますので、ということですが、臨時職員の任用につきましても同じように、地公法の臨時的任用職員あるいは非常勤・嘱託職員、こういったいろいろあるわけでありますが、同じように地公法の規定によって任用されるということでございます。
  64. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 先ほど国や都道府県の機能が強化をされてきているんではないかと、そういうことを総務大臣に伺ったときに、いや、そうではないんだ、自主的合併でこれからもいくんだと、こういうことでした。  そこで、若干、総務大臣に伺いますけれども総務大臣が定める基本指針がございますね。これまでの基本指針はあくまでも法律によらない技術的助言だと、こういうことであったわけですけれども、今度は法律上に規定されるということになってくるんですが、その場合の効力というのは一体どうなるのかと。これまでの技術的な助言と、法的な拘束力というか効果というのは異なるのかどうかと。異なるとすることになれば、それは事実上国による強制ではないかというふうに私は考えているんですが、異ならなければいいんですけれども、その点どうなんでしょう。
  65. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 総務大臣が定めます基本方針につきましては、これは都道府県構想を策定するときの一種の基準になるという具合に御理解いただければと思いますが、この基本方針に基づいて構想を定めるものとされておりますので、技術的な助言か拘束力があるかといえば、拘束力はあるということになろうと存じます。  ただ、これは都道府県構想を策定するものにつきましては、御存じのようにこれは自治事務でありますから、したがいまして都道府県がその構想を策定するのを拒否ということに仮になったといたした場合、自治省として乗り込んでいってそれは代執行ができるかといえば、そんなことはできません。そういった意味では強制力は持っているわけではありませんので、そういった意味では総務省としてはこの構想を策定をしていただくように、これは都道府県の方に粘り強くお願いをするということ以外にありませんので、そういった意味では代執行ができるということになるようにちょっと取っておられるかもしれませんが、そういうことはできないというルールになっております。
  66. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 都道府県法律にきちっと書き込まれると、やっぱり国に対する忠誠というか、強制力というのは非常に強いというふうに判断をしますので、そのことがその構想の策定を通して市町村に強制力を持たせてくるような状況になることを私は心配をしておりまして、その点はそういうことのないように、是非御指導の方はお願いをしておきたいというふうに思っています。  そこで、この基本指針の中で構想対象市町村などの要件を定めるということになっているようですけれども人口一万人以外にどのような要件が検討されているのか、お尋ねをしたいと思います。中身によっては、これはやっぱり国の関与が強化される、そういうことになるのではないかというふうに思っているんですけれども
  67. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 先ほど大臣が申し上げました、総務大臣が定める基本指針に基づく構想でございますけれども、これは、具体的な現場の中で都道府県がよくお考えいただくということになりますと、例えば、現在まず合併が相当進んできまして、端的に言うと、ほとんど合併してしまったというような都道府県が出現したといたしまして、そういったところが改めて構想を作る必要があるかどうかといえば、これは構想を作らないという御判断も知事とすればあり得る。それがおかしいというふうには私どもは思えないわけでございます。  さてそこで、構想を作るとする場合でございますけれども人口一万人未満というふうなところも構想の対象の市町村にしていただきたいと、こう思っておりますけれども、これは地方制度調査会でいろんな議論があった中で、そういったところも対象にしたらどうかというふうに答申があったわけでございますが、ただ、その場合に、合併してきた経緯というものも当然尊重せにゃいかぬ。例えば、五千人と四千人のところが合併して、これは九千人ですけれども、一万人未満だからまた合併させるのかと、こういう議論は当然あり得るわけでありまして、それとか、例えば離島の場合の対応をどうするかということもあります。  ですから、そういった地理的条件とか、それからこれまでの合併の経緯、そういったことを十分踏まえて基本指針の中で要件を検討してまいりたいと思っております。
  68. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 以前から麻生総務大臣も今の答弁のようなことをマスコミでも公表されていまして、何で一万人だと。じゃ、一万一人だったらよくて、九千九百九十九人だったら駄目なのかと、こういうことになるわけですから、機械的にやっぱりやるというようなことと、もう一つは、そういう一万人以下の自治体に対して何らかの措置を講ずるというのはやっぱり強制力を働かせるということですから、私はそういうことや、そういう措置は取るべきではないというふうに思っていますし、各自治体、小さな市町村もそのことを一番危惧をしているわけですけれども、今日まで交付税の段階補正等の厳しい措置が取られてきているわけですけれども、いずれにしても市町村の一万人以下の部分についてのそのような措置については、これ以上やっていくということはやっぱり強制だと、こういうふうに私どもはとらえざるを得ないというふうに思っていまして、その辺の見解を示していただきたい。
  69. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 現在行われております段階補正の見直しというのは、本来的にはこれは行政効率を上げるためのものが本来の趣旨であって、合併促進というためにこれを考えているわけではありません。それがまず第一番に申し上げられるところだと思っておりますが。  今後の見直しに当たりまして、基本的には地方、中でも中小零細というか、小さな人口の団体のところで法令等において義務付けられておりますような仕事、業務というものを行うのに支障がないように、これは財源保障を行うということが必要であろうと思っておりますので、見直しを踏まえているというのはその点であります。  これは合併がいろいろな形で進むとは思いますけれども、進んだ結果、交付税を出さなくていいほど皆うまくいくかといえば、そんなことはないと思います。今後とも、いろんな地域によって、同じ人口であってもその地域に与えられている条件面積、海が近いとか、いろんなことによって差がいろいろ出てくるのを何らかの形で埋める、ならすという、バッファーというか、調整としての意味での交付税というのは、これは避けて通れない大事なものだと、道具というか、大事なものだと思いますので、そういった意味では、私どもは、これはいろいろな見直しは検討しこそすれ、交付税というこの制度というものは今後ともきちんと温存され、しかるべく利用されるべきものだと思っております。  また、合併推進のために合併を減額するんじゃないかというような御危惧なんだと思いますけれども、私は、本来は、これは交付税というのの趣旨と全く反することになろうと思いますので、具合の悪いところに交付税という手段を講じておるのでありますので、そのようなことはないと申し上げられると存じます。
  70. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 先ほど、都道府県合併構想の策定というのは自治事務だというお話が出されましたけれども、自治事務であるなら、この策定については都道府県にゆだねるべきだというふうに基本的には思っているんですけれども、実際、構想を策定しようがない場合、先ほども答弁に出ていますけれども、全く策定する必要がないという場合もあるべきですから、その点については基本的に都道府県にゆだねるということが重要だというふうに思いますが、その点一点と、もう一つは、この合併構想の扱いというのは非常に重要な案件ですので、これ、条例により都道府県議会の議決事項というふうにする必要があるのではないかと思っているんですけれども、その点はいかがでしょう。
  71. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) 今お話がありましたように、都道府県構想策定をする事務、これは自治事務でありますけれども、ただ、この構想というのは、総務大臣が定める基本指針に基づいて策定をされるという、法律上そういうふうな仕組みにさせていただいておりますので、法律に基づいて自治事務の処理を義務付けるということは可能であろうと。しかし、先ほど大臣の方からお話がありましたように、あくまで自治事務でありますので、いろいろなことがありましても、我が方としては粘り強くお願いをしていくというふうなことになろうかと思います。  また、もう一つお話がありました都道府県議会の議決事項というふうなことでありますが、この新法におきましては、議決を実は求めておりません。また、地方自治法第九十六条第一項に規定をされております議会の議決を要する事項にも該当しないというふうなことで、法律上不要であるというふうなことであります。ただ、これは各都道府県の判断によりまして、条例によって都道府県議会の議決をすべき事項ということを妨げるものではないというふうなことでございます。
  72. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 この構想の策定に当たって審議会の意見を聞くように定められているんですけれども、私は、審議会も大事だけれども、実際にこれの策定に当たっては、当事者である市町村の意見というものをやっぱり最重要視をすべきだというふうに思っていまして、審議会よりもむしろ市町村の意見を聞くべきではないかというふうに思うんですが、その点はどうでしょう。
  73. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) 私も、実は誠にそのとおりだろうというふうに思っております。  今回の合併新法の第六十条第三項ですか、におきましては、市町村合併推進審議会の組織及び運営に関して必要な事項について条例で定めるというふうなことにされておりまして、その組織及び運営につきましては地域の実情に応じて都道府県が判断をしていただくというふうなことになっております。ですから、具体的には都道府県の条例によって審議会の構成員に市町村の連合組織、まあ町村会長とかそういった方を選任をするということが大いに考えられるというか、恐らくそういったことになるんではないかというふうに思っておりますし、この運営に当たりましては、この審議会の会合の際に、例えば必要に応じて町村長さんに来ていただいてお話を聞くということもできるんではないかと思っております。
  74. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 ということは、市町村長も都道府県知事指定をして審議会委員になることも可能だということにも受け取れるわけですけれども、一体この審議会というのは具体的な構成と役割というのはどのようなお考えをお持ちなんでしょう。
  75. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは、都道府県構想を定めたりする場合に作る都道府県の附属機関ということでありますので、必要なことにつきましては条例で定めるということですから、具体的な組織、運営どうするかというのは、あくまでも都道府県がお決めになればいいということですが、そこで、先ほど副大臣申し上げましたように、その人選に当たっては、これも知事が判断をされるわけでありますので、今御指摘のような市町村の意見を聞くとしても、当事者そのものではないにしても、市町村の代表者を選ぶということも十分考えられるというものだろうと思っております。
  76. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 合併調整委員という制度もできているんですけれども、今までこの種のあっせんや調停は知事役割だったというふうに思うんですが、この合併協議会から申請がされて、都道府県知事合併調整委員を不要だというふうに考えればそれは問題はないのか、合併調整委員をもう置かないで今までどおり知事がやられるということであっても可能なのかどうか、その点どうでしょう。
  77. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは今お話しのように、あくまでも合併協議会の中で協議が進められておりますけれども、例えば新しい市の名称をどうするのか、事務所の位置どうするか、これ大変厄介な、ナーバスな問題でありますために協議が難航してしまうということもあるわけでございまして、そうした場合に合併協議会の過半数の同意でもって申請がある場合に限ってのみ、申請がなければそんなことはする必要はないわけですが、申請がある場合に限ってのみ合併調整委員を任命しまして調停を行わせるということであります。  ただ、今御指摘のように、申請がなされても義務付け、任命することについては義務付けがあるわけじゃありませんので、ここは知事の判断もあり得るわけでございます。
  78. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 このあっせん、調停によっても協議が調わない場合はもうそれは壊れたと、こういうことになるのか、それともまだ何らかの措置考えられておられるのか、これはもう各都道府県知事にお任せと、こういうことなのか、その点はどうでしょう。
  79. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 今のあっせん、調停という第三者機関、つまり市町村合併調整委員が行うという制度を今回お願いをいたしておりますけれども、一方で、この現行法にも規定があるわけでありまして、都道府県自らが合併しようとする市町村の求めに応じましてこの必要な調整を行うということは現行法の十六条五項で可能でございまして、これと同じ規定を新しい法律の六十五条第五項にも設けておりますので、そういった手法も現行法同様あるものではございます。
  80. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 地方議会の定例会の自由化の問題なんですけれども、私は、そういうものすべてを自治体議会に任すというのは自治の面からは評価できるんですけれども、しかしそのことによって今までの決められた年四回という定例会が回数を減らすことも可能だと、こういうことになるわけですよね。それは民主主義の若干後退につながるおそれもあるんではないかなというふうに思っていまして、極端に回数を減らすような事態が発生した場合は何らかの歯止め策を考えておられるんですか。
  81. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) 今回の改正というのは、御案内のとおり、定例会の招集回数の上限を廃止をするというふうなことでありますけれども現行法でも毎年四回以内の条例で定める回数、招集をしなければならないというふうなことにされておりますけれども、現在でも実は三回以下と定めることは可能なんですが、若干調べてみますと、都道府県議会あるいは市議会、町村議会を見てみますと、三回以下が町村議会で九団体、あとはすべて四回というふうなことで、実態を見てみましても三回以下ということはまずちょっと考えにくいなというふうに思っております。  むしろ、実は私の地元であったんですが、もう四年間全く本会議で質問がないとか、そういったことの方が問題なのかなというふうに思っております。
  82. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 地域自治区、コミュニティーの部分の中心になる部分だというふうに思いますが、これは特例区と同様に市町村の一部の地域だけに設置することも可能なのかどうかということと、また逆に設置しないという区域があってもよいのかということなんですけれども、そのことについて伺いたいのと、市町村内の一定の区域というふうに法文上出されているんですけれども、その一定の区域とはどのような範囲を指しておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  83. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 法律考え方、私どもがお願いしております考え方は、やはり先ほどのこのサービスの公平性とか、そういったことも議論としてあり得ることを考えますと、一定の区域をすべてその地域自治区が設けるならあった方がいいと、こう思いますけれども、それは直ちに、直ちに、一斉に市の中を全部区域を分けて一斉にスタートさせるということまで求める必要はないのではないかと。やはり、それぞれの同じ市の中でも事情がありますので、あえて言えば、この住民の方たちの活動が活発な地域から始めてみるということも私は御判断だろうと、自治体の御判断だろうと思っております。  で、そういうことではありますけれども、やはり趣旨からいえば、未来永劫あるところの地域は、区域地域自治区があるけれども、あるところはないというのはこれはいかがなものかと。あるべき姿は全域に及ぼすというものが住民との協働を目指すということが趣旨でありますので、そういうものだろうというふうに思っております。
  84. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 私は、最後の質問にしたいと思うんですが、若干時間に協力しますけれども、今後のこのコミュニティーの在り方というものをもっときちっと地方自治体も含めて議論をした上で、この地域自治制度というものを導入をするということの方が良かったのではないかなというふうに思っているんですけれども、まずお聞きしますけれども地域自治区を制度化する理由というのは一体何なのかと。私が想定しているようにコミュニティーを、やっぱり趣旨をして、が基本的な趣旨になっておるのかどうかということですね。それと、条例で設置可能だというふうに思っているんですけれども、条例でできないことは何かあるのかということ、さらに地域コミュニティーは具体的にどのような活用方法を考えられているのかと、そのことをお聞きをして質問を終わりたいというふうに思います。
  85. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 今のお話、先ほどの質問とも絡むわけでございますけれども、一定の市の中の区域考えて、例えば小学校区単位とか中学校区単位とか、それは公民館みたいなものがある単位とか、そういうふうなことを区域として想定していますゆえんは、あくまでも、私ども考え方は、地方自治というものの中の言わば団体自治の部分で合併というのが規模能力拡大するということがなされてきていると。そうなりますと住民自治が弱くなるんじゃないかという御懸念もありますので、住民自治を強化するという観点でのものとして地域自治区というものを考えているわけですが、これも、しかしながらそうはいいましても、実際には現場の様々なコミュニティー単位における住民活動というものがある、そういうその熟度があるということを私ども受け止めて法律規定しているわけでして、ないものを、何かこう法律で作るということではないわけでありますので、当然、条例で工夫してやることはあっていいのは当然でございます。  じゃ、しからば条例でできないことは何かと、こういうふうな御質問にもなるわけでありますけれども、今回のこの制度については、地域協議会というものはこれは単なる諮問機関じゃないと、意見を聞かれたから言うというだけのものではなくて、自らその区域在り方について建議できると、意見具申権というものを持ったものであるということ。  それからさらに、先ほどの議論にもありましたけれども、俸給を支給することについては原則的にはしないと、むしろボランティア的な活動でやっていただくということまで法律の中で位置付けたということが明確化した主な中身ではないかと、このように思っております。
  86. 高嶋良充

    ○高嶋良充君 はい、終わります。
  87. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) 午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時十七分開会
  88. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方自治法の一部を改正する法律案市町村合併特例に関する法律の一部を改正する法律案市町村合併特例等に関する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願いたいと思います。
  89. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 委員長に申し上げますけれども、やはり国会で決めたルールはきちっと守っていただかなきゃいかぬと思いますよ。だから、年金の未加入、未払もやっぱりすべてそういうルールを守っていないということですから、やはりそういう点は国民が注視しておりますから、与党の皆さん方も十分その辺は心得て対処していただきたいと申し上げておきます。
  90. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) よく分かりました。
  91. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 さて、その年金問題から入りますけれども、昨日、小沢さんが今日の党首選挙に立候補しないということを言われたわけでありますが、結局、議員になってからの未加入というものが六年ということですと、小泉さんも同じ条件なんですよね。だから、やっぱりそういうところはやはり国民もしっかり見ていますから、その辺をきちっと責任を取るということをやらないと、いつまでも国民の不満といいましょうか、うっせきしたものがあるわけです。だから、一度やはり全国会議員、公開をすると。今、西岡武夫さんの方でそういう法案を今考えておるわけですよ。  それと、私自身もやはり未加入という部分が出てきておりますので、それについてはやはりさかのぼってお納めするということをやはりやらなければ、これから国民の皆さん方にいろんな御協力をいただくということについては、そういうまず姿勢を持って臨んでいくということが必要だろうというふうに思うわけであります。  麻生大臣が最初公表されましたときには三兄弟とかいうお話でしたが、私も調べてみたら、結局、第二次中曽根内閣で労働政務次官になりましたときに、結局、大臣、政務次官は兼職禁止だという自民党の中の決めがありましたから、それで私は会社の社長をやっておったわけですけれども、家内を社長にしてせめて会長にという話をしたら、それも駄目だということで、結局、国民健康保険がそれまで厚生年金に付いておった。結局、国家公務員共済に替わると。つまり、健康保険だけが替わるのに年金もリンクして国民年金から脱退したとみなされたという説明なんですね、社会保険庁の。  そうなってくると、例えば小泉さんについてもいろんな、幽霊社員だったんじゃないかとか、マスコミの取上げ方が出ていますね。例えば、勤務の実態がないのにある会社から報酬を得ていると、これはやみ給与になるし、あるいはやみ献金かも分からないと。こういう問題が裏にずるずると付いてくるから、結局、マスコミの論調では自民党さんが公表しないんだという話になっているわけです。こういうことをやはり一度きれいにしない限り、年金についての、国民は八割がもう反対していますよ。  そういう状況の中で、社会保険庁に伺いたいんですけれども、私自身もやはり非常に残念なことだし、国民の皆さん方におわびしなければいけないと、未加入についてはですね。ただ、労働政務次官を辞めたらまた社長に戻っていますから、ずっと納めているわけですね。その政務次官の一年数か月が結局、未加入なんですよ。そうなってくると、その兼職禁止というルールがあった、与党の、自民党の皆さん方はほとんど私はそれに触れてきているだろうと思うんですね。だから、そういう疑問がずっと続く間は国民の年金に対する不信というのは延々と続いていくだろうと思うんです。  社会保険庁の方で、今私が御質問しました問題、健康保険との関係、どういう整理をその昭和六十一年ごろ、六十一年の四月から強制加入ですね、私がちょうど七月か八月ですから、政務次官になったのは。そこから在任中は切れている、社長で戻ると納入するという形になっているわけですが、その辺どのように、当時、社会保険庁としてはやっておられたのか。年金未加入者に対する働き掛けとか未納者に対する徴収努力、そういうものが一体どういう対応をしてこられたのか、冒頭にお伺いいたしたいというふうに思います。
  92. 小林和弘

    政府参考人小林和弘君) 今御指摘をちょうだいいたしましたけれども、まず一般論としての今、現状における国民年金の未加入、未納という問題に対しての取組の状況を御報告をさせていただきたいと思います。  基本的に、今御指摘いただきました国民年金の未加入、未納に関して、これはもう本当に制度の根幹にかかわる問題ということであります。そういう意味では、未加入者あるいは未納の方の解消を図るということを非常に重要な課題と位置付けて取り組んでおります。  まず、未加入という方に関しましては、現在では二十歳になった段階で、これは全国民の方でありますが、厚生年金などの公的年金に加入していらっしゃらない場合には国民年金への届出をしてくださいということでの勧奨を行うということをさせていただいております。それでも届出がない場合につきましては、これは平成七年度からでございますけれども、職権で国民年金への適用を行う、年金手帳を御送付申し上げると、こういうことで今やらせていただいております。  また、会社を退職されまして、それに伴って国民年金の被保険者になってくると、こういう方がいらっしゃるわけでありますが、こういう方であるはずなのにまだ届出がされていないと、こういう方に関しましては、これも平成十年度からでありますけれども、届出をしていただきたいということでの勧奨状というのを都合二回お出しをするという形で対応させていただいております。  また、未納の方につきましては、平成十四年度からでありますけれども、国民年金保険料の収納事務というのが市町村から国の方に移管をされましたことは御承知のとおりでございます。この十四年度を期して、個々の未納者の方に対しまして、その意味では全国統一の考え方に基づきまして、年六回、催告状を送付させていただくと。その上で、電話による納付督励をさせていただきます。またさらに、その上、社会保険庁の職員あるいは国民年金推進員の方による戸別訪問、これをさせていただきましてその解消に努めておるという状況でございます。  いずれにいたしましても、この未納、未加入という問題につきましては、非常に重要な課題ということで認識をしております。  いろんな形でのこちらからの周知なりお知らせというような辺りで至らざるところがあった点は率直に認めざるを得ないという状況でございますので、これから、こういう事態が再発しないような形で更に効果的な未加入・未納対策ということを講じていくためにどうしていくかというのをいろいろ御提言、今いただいているところでございます。そういう提言もしっかりと受け止めながら取組をさせていただきたいというふうに思っております。  最初に委員質問になりました六十一年当時ということでありますが、昭和六十一年から国会議員の方につきましては国民年金への強制加入という形になりました。ただ、閣僚でありますとか政務次官に御就任いただいた方につきましては、これは国家公務員共済組合に医療保険だけ加入される、長期の年金保険には加入できないと。ということは、それまでの年金に引き続き加入をしていただくと。  ただ、松岡委員の場合には、厚生年金にお入りになっていたのが兼業禁止で厚生年金を抜けられると。これは、抜けられますれば国民年金に入るという形になるんでありますが、そういうような法律関係の適用が区々に変わってくるということにつきましてのお知らせでありますとか御説明という辺りにつきましてはやっぱり我々十分にはできていなかったということで、大いに反省をさせていただいているところでございます。  こういうところも含めまして、これからの対策に全力で取り組みたいというふうに思っております。
  93. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 厚生年金の場合は強制加入ということで、国民年金も付いているわけですよね。ところが、公務員共済になると途端にそれが外れるというのがちょっとよく分からないんですよね。その辺御説明いただけませんか。
  94. 小林和弘

    政府参考人小林和弘君) 共済、国家公務員共済組合の適用関係につきましては、申し訳ございません、私どもではなくて財務省が所管をしておる法体系でございまして、そちらの考え方で、短期は入るけれども、長期については国家公務員共済の適用をしないという国家公務員共済組合法の規定がございます関係で、今のような厚生年金あるいは国民年金の方で引き続きとどまる、あるいは資格替えをする、こういうことをせざるを得ないというのが今の体系になっておるところでございます。
  95. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 その未納の場合、二年たつともう払わなくていいというようなことになっているようですが、先ほどちょっと言いました西岡私案が仮に法案として成立した場合には、社会保険庁としては公開すると。これは、国会議員の場合は私は個人情報じゃないと思うんですね、これは。当然やはり知らせる義務が私はあると思うんですが、その問題と、例えば十年、二十年前にさかのぼって納入するという場合ですね、この年金を、国民年金を。それは、法律が通ればそれは可能というふうに考えてよろしいんでしょうか。
  96. 小林和弘

    政府参考人小林和弘君) 社会保険庁次長の立場でどこまでお答えできるか必ずしも自信ないところでありますが、いずれにしても、法律をもって、国会の議決をもって法律が成立いたしますれば、その法律に基づいて我々、実施すべきことについては実施庁として実施をさせていただくということになろうと考えております。
  97. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 先ほどの高嶋議員も触れられましたけれども、国民年金の窓口ですね、要するに県から国に替わって七%徴収が下がっているわけですよね。それで、地元では、やはり市町村長や県の話を聞くと、やはり国に替えたのが非常にまずかったんだと。非常に徴収率がそれで下がっている、一気に七%ですか。  先ほど麻生大臣の御答弁もありましたけれども、過ちを改むるにはばかることなかれで、やはり私は、これだけ国民重視しているんですから、国会議員のすべてを公開するという問題とこの徴収のシステムというものをやはり基本的にやり直すということがこれはセットだろうと私は思うんですね。  それについては、先ほど高嶋議員からもお話がありましたが、非常に現場が混乱しておりまして、社会保険事務所の窓口では三時間、四時間待ちももう珍しくないという状況になっているわけです。三千三百余りの市町村で行っていた国民年金事務とか付随して行われる年金相談業務というものが結局、三百十二の社会保険事務所に引き揚げたということに伴う混乱がやはりその徴収率を下げるということに大きく関与しているだろうと思うんですね。  これを、この問題については改めて大臣も御関心を持っていただきたいと思うんですが、お考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  98. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 先ほど高嶋議員のところのあれも聞いておられたので、重複するところもあろうかと思いますが、御存じのように、これは平成十二年に法律ができた後、徴収につきましては平成十四年からということになりました。それに伴って、今御指摘のとおり、徴収率ががたっと下がったのはもう紛れもない、数字の上ではっきりいたしております。何となく、それは三千が三百に減っておりますし、人数からいきましてもなかなかそういった点もあろうかと思います。  ただ、これは、対策としてはいろんなことが今三党合意でいろいろ、こういった方法がやれるのではないか等々、いろんな意見がまた出されてくるんだと思いますが、例えば保険と一緒にするとか、いろんなやり方はあると思いますよ。私ども考えても、これは徴収の方か、年金はともかく保険と一緒にすればとか、いろんな話が、合理化すると同時に徴収率も上がるということにもなろうとか、いろんなことが考えられるとは思いますけれども、ちょっと今の話で、これはできてまだやっと、スタートしてやっと一年というところでもありますので、改むるに別に、間違いだったらさっさと改めた方がいいという点も私は反対ではありませんけれども、これは一回よく修正をということになるんであれば、三党合意でいろいろ修正をされる面も出てくるんだとは思いますけれども。  ただ、私どもの場合としてはそれが決まればやらせていただくことになりますけれども、いろんな意味で、また地方に戻せとか、いろいろ御意見は一杯あろうと思いますし、別のことをちょっと言えば、郵便局員にやらせりゃもっとうまくやるよなんと言った人もいらっしゃいますので、これは実にいろんな方法はあるんだろうとは思いますが、少なくとも、こういったような問題というのは、これ非常に関心の多い、高いところでもありますので、私どもとしては、これが実効あらしめるものにするためにはどうすればいいかという点につきましては、改めて考えることは必要であろうという御指摘は私どももそのとおりだと思っております。
  99. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 社会保険庁の方は。お考えをひとつ。
  100. 小林和弘

    政府参考人小林和弘君) 今、麻生大臣から基本的なところは御答弁をいただきましたけれども、私どもといたしまして、この国民年金保険料の収納事務、十四年度から国が行うということになったわけでありますけれども、当然、地方分権推進委員会、この第三次勧告に基づいての措置ということでございます。  この勧告が出されるに当たりましては、国と地方の役割分担、事務事業をどういうふうに、どちらがどんな形で対応するかという議論の積み重ねとして、国で行うべきもの、地方で行うべきもの、こういう考え方の一定の整理の下に、この国民年金保険料の収納事務については国において一体的に行うべしという御提言をいただいて、このような法律改正をされて今実施をしておるところでございます。  ただ、御指摘のように、十四年度、その初年度である十四年度の収納率、六二・八%と、これは前年に比べれば八・一ポイントの減少ということで、相当深刻な落ち込みになったところは御指摘のとおりでございます。  こういう状況の中で、我々、この収納率をいかにして上げていくかということにつきましては、地方分権推進委員会議論を踏まえて整理されたこの枠組みの中で、国としてできるだけのことをしながら収納率の向上に努めていく。例えば、年金広報、年金教育というようなものを通じまして自主的な納付に結び付けるという意識を高めるということも大事なことでございますし、また、今年に入ってから始めておりますが、コンビニエンスストアでの保険料の収納、そういうふうなものも開始をいたしております。また、いろんな形で、地道な納付督励を基本としながらも、理解が得られない方に対しては強制徴収を実施するというような、いろんな収納対策に取り組むことによりましてこのような状況を一刻でも改善していく、こういう努力を更に続けていきたいというふうに思っております。
  101. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 先ほど高嶋議員も触れられましたけれども地方分権一括法議論をした際に、附則第二百五十二条があるわけですね、この規定のやはり趣旨を踏まえて、地方自治体が国民年金の事務を実施できるようにやはり私は措置すべきではないかというふうに考えます。このことを強く要望をいたしておきたいというふうに思います。  今日の本題であります合併問題に入りたいというふうに思います。  いわゆる明治の大合併、それから昭和の大合併、片山前大臣おられますが、さんざんここでも平成の大合併は何がテーマだという議論をしてまいったんですけれども、確かに徳川時代というのはある面では地方分権の時代だったと思うんです。毛利もいわゆる三白政策ということで独自の産業政策を展開しておったし、やはり薩摩、長州というのが力を得たのは、やっぱり密貿易というものがあったわけですね、ある面で。海外との貿易です。改めます。それで、徳川が管理していったのは、それぞれの藩の跡継ぎをどうするのかということと参勤交代なんですよね。かなり自由だったと私は思うんです。  それに対して明治維新というのは、先進国に追い付け追い越せで、中央集権やろうということで中央集権を強力に推進したと。そのときに、たくさんあった町村合併して一万五千ぐらいになったんですか、明治の大合併で。それから、その後、昭和の大合併は、中学校をどうするかという問題で合併をしまして、四千から三千ぐらいになってきた。  今度の合併の目的がどうもなかなか明確に国民には分かりづらい。確かに片方では、弱小の市町村は、例えば自治省、当時の自治省が出した資料を見ますると、人口五千人以下は税収一に対して人件費が二・二という資料が出ております。だから、ある面では、効率的な仕組みを作る、そのための合併だということも分かるわけですが、山口県も合併問題、いろんなことをやりましたけれども、ほとんど全部がたがたに実はなってきているんです。麻生大臣のところとは逆に山口県の場合はうまくいかないんですよ。  それで、周南市につきましても、議員の数を増やし町村議員の報酬を市の報酬に合わしちゃったということから住民の反発を物すごく買いまして、周南のようにはやりたくないという議論がいろいろ県内でも出まして、結局、住民投票が行われまして、市議会解散が圧倒的なあれに、賛成によって解散ということになった。それで、千葉県の四街道市でも、千葉市への編入、合併の是非を問う住民投票で合併反対が圧倒的に多いということなんです。  やはり片方で、市町村長の立場に立つと、本心はやっぱり合併したくないわけですよ。だから、いろんな資料の国民に対する出し方も、都合のいい資料しか出さないという形で非常に合併に対する機運というのがどんどんどんどんなくなってきている。山口県の場合は、どちらかというと、御維新のときに中央集権を目指したというDNAがあるから、東京ばかり見ておって余り責任をしょいたくないなという部分が確かにある。私自身も、市長時代に、何か事業に失敗して責められると、いや、これは国の指導でございますとか県の指導でございますといったのが一番これ楽なわけですよ。  ところが、完全に地方主権といいましょうか分権、地域主権になってくると全部責任をしょわなきゃいかぬ。その覚悟がまだなかなかできていないという部分があるというのが一つある。それと、合併の大義名分なんですよ。これがいま一つ分かりにくい。  私は、今、政治の一番の問題というのは、一つ我が国が置かれている実態というものを余りさらけ出さないようにしている。  例えば、借金の七百兆ということを一応言いますね、国、地方の。しかし実際は、経団連の外郭団体の日本財団で調べた数字によると千二百五十兆円というのが出てきているんですよね。いわゆる土地開発公社とか第三セクターの赤字とか、そういう最終的には国民が負担しなければいけない赤字の数というのは千二百五十兆出ているわけですよ。しかし、表は七百兆ということを言っている。いろんな議論を聞いていると、千兆になったらIMF管理になるとか大変だと言っているけれども、実際はもう千二百兆超しているわけでしょう。  それともう一つ、人件費の問題。先ほど自治省の資料のことを申し上げましたが、国、地方の公務員の数というのが一応四百四十万という数字がありました、四百四十万。しかし、そのほかに特殊法人その他入れると大体、前の人事院総裁なんかともお話ししまして、七百万から七百五十万ぐらいじゃないかと。仮に人件費を八百万と年間すると、それだけで五、六十兆円人件費が出ちゃうと。ところが、国税収入は四十二兆しかなくて、地方税は三十二兆しかないと。七十四兆しか財源がないのに、人件費を六十兆使い、千二百五十兆借金あったら、これはもう完全にお手上げですわ。  そうなると、新しい国の仕組みをやっぱり作っていくと、効率的な、小さな政府。そういうことが、しかしなかなかはっきり議論しないままやるものですから、まだまだ安全だと思っている人たちが非常に多いんですよ。そうなってくると当然、道州制とか、次の国と地方の姿というものをやはり国民に責任持って見せていかなきゃいかぬ、そういうところにあるんですが、なかなかそれがはっきりしない。  例えば、この前もこの委員会麻生大臣とのやり取りをさせていただいたんですが、国家公務員というのは、私は百二十万いたと思ったらどんどん減って、この前も五十三万人が三十三万人だと。これは、いわゆる独立行政法人、二十万です。全部、しかし、臨時とか郵政とか全部入れていくと結局、百六十あのときは三万とか四万とかいう数字になったと思います。だけれども、私の記憶では国家公務員というのは百二十万だったのが、いつの間にか三十三万になって、実際積み上げていくと百六十三万になるんだよという話ですよね。  それじゃ、県と市町村の例えば臨時職員とか特殊法人とかそういうものが、県が百八十万いて市町村が百四十万いると、そのほかに幾らいるんですかという議論をここでも何回かしましたけれども、調べましょうという形で総務省お答えになって、その後、一体これ、地方の公務員は三百十何万プラス何ぼかということもはっきりすら出ていないんですよね。その後お調べいただいたとすれば、この場で御返答も併せていただきたいと思うんですが。  質問趣旨は、結局、今度の平成合併というものについては、大合併はどういうことを目的としてやろうとしているのかと。これは国民に分かりやすく、そして将来の国と地方との姿、これ一体どうなるんだということをはっきり見せないと、これは説得力のない話になりはしないかと。結局、自分たちの立場で考えたら、次は合併したらだれが市長になるだろうかと、我々の身分はどうなるんだろうかと、駅は、駅の名前はどうなるんだと、先ほどの話じゃないですけれども、新市名はどうなるんだということで、詰めていったら結局、けんか別れするということの繰り返しをやっているんですね。  これもやはり国民の税金の中でやっているわけですから、相当無駄が積み重なってきていると私は思いますので、その辺をひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  102. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) まず最初に、市町村合併というのは、これは手段であって目的ではない、そこはきちんとしておると思っております。  主たる目的は、先ほど言われましたように、明治四年の廃藩置県、毛利が山口に替わっていったあの廃藩置県この方、日本というのは中央集権的制度を採用して少なくとも近代国家に、国家総力戦みたいなことになりました日露戦争以来、基本的にはきちんとした形で中央集権というのを作り上げた。間違いないと思います。  戦後も同じように、官僚主導、業界協調みたいな一種の中央集権型できちんとした対応をやった結果、経済大国に短時間でのし上がった。いずれも当たった制度なんだと思いますが、事ここに至って、世の中は物すごく大きく変わって、明らかに冷戦構造は終わり、七十年ぶりでインフレがデフレに変わり、少子高齢化が進み、いろんな形で今までと違った、大前提がことごとく違ってきたということと同時に、そこそこ皆豊かになって、町も村も皆、公民館を持ち、そこそこいろんな社会基盤の最低限のものはほぼ一応持つことになった。電気も付いた、電話も付いた等々ということになった段階において、新たな時代に当たって、地方というものがもう一回、これはこういった時代ですから、地方の主権、いわゆる中央集権から地域主権地方主権というものに流れが大きく変わっていっている。私は、基本はこれが一番大きな流れなんだと存じます。  その流れの中にあって、じゃ、その地方はそのことによって自由度を増す、自分地域のことは自分で決められるという自由度を増す。その自覚があるかどうかは別ですよ。自由度を増す。その自由度を増すのを裏付けるためにはある程度財源も要る。そこは三位一体の税源移譲のところだと思いますが。  そういったところを含めて、全体像としては、そういった地方分権にという期待にこたえられるだけの、地域の一番の最小単位であります村とか町とかいう、その地域におけます行財政の基盤がしっかりしておかにゃそういった期待にはこたえられないということになっているというのが一番大きな流れの背景だと思う。  私どもとしては、この地域行財政基盤を確立するというところが一番の主たる眼目で、ちなみに行政経費を一般的に当てはめますと、五千人以下の町だと約百三万円ぐらいの行政経費が一人頭掛かっておる、一万人ぐらいになりますと約それが半分ぐらいに下がって四十数万円になる、さらに、二万人超すと四十万ぐらいに下がる、そういったような形になってきておりますので、何となく、行財政サービスの最低限を受けられるということはある程度保障するということも大切だと思いますので、その意味では、合併したとはいえ差が付きますので、ある程度差は付くことは避けられませんので、その部分は交付税、それに伴う財源措置はきちんとしておかにゃいかぬというような流れなんだと思いますが、主たる目的は、地方の時代、地方分権に合わせて、それに合わせた行財政基盤を確立するということなんだと思います。  おっしゃるとおり、大きけりゃええというものじゃないというのは確かで、例は銀行見れば分かるので、大きい銀行が正しいとは限らぬというのはもうはっきりしておりまして、地方の中小、地方銀行で内容のいいところ一杯あるのと同じように、私どもは、町長また市長さんの腕がいい、いや経営能力、いやちょっと違うな、運営能力のある市長さんとそうじゃないところの差は、かなり差が付くだろうと思います、私どもから見て。  だから、そういった意味では、いろんな市長さんのところにも私どもは、是非ほかの市町、市でやっておられる、町でやっておられるものはインターネットでかなり、ホームページ等々で積極的に例を示しているところではありますけれども。  御質問趣旨としては、私どもは、地方分権地域主権の時代に合った地方のいわゆる行政体を確立したいというのが主たる目的だと思っております。理由は、従来の中央集権から地域主権に流れが変わっていく中にあって、それに合わせた地域の行財政体制の確立というのが主たる目的と理解をいたしております。
  103. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 地方公務員の全体数ですね、それはお調べになったんでしょうか、臨時職員とかそういうのも含めて。
  104. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 全体の地方公務員といっても、常勤の公務員につきましてはきちんとした調査をしておりますのでこれは把握できるわけですが、個々の自治体が自分のところの非常勤の職員の数字をきちんと把握、全体として把握するすべがないものですから、私どものところで全国のものをまとめて数字をお出しするということはできない状態にございます。
  105. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 大分前にこの委員会でその辺の質疑をいたしたんですけれども、一応公的部門における職員数のトータルが、いただいている数字だと四百四十万、国、県、市ですね。それに、先ほど申し上げたように、片山大臣時代に臨時職員が二十三万ですか、四万ですか、国の場合はいると。それで、全部それを積み上げていくと百六十三万人ですか、国レベルの、要するに国民の税金で仕事をしておられるという部分がですね。最初、私は百二十万と思ったら、全部積み上げていったら百六十万。しかし、今法律的には定数は三十三万と。それが実際に県や市町村が一体どのぐらいになっているのかというのが、これをはっきりしないというのは非常におかしな話だと思うんですよ。  だから、結局、今の日本の最大の問題というのは本当の借金幾らあるのかと。本当の国民のために働いている公務員、公務員に準ずる人たちの人件費が、人数と人件費がどのぐらい掛かっているのかというのが全然出ないわけですよね。それで、国家公務員の場合も臨時職員の場合は人件費じゃなくて物件費で見ているわけですから、それがまたずれちゃうと。だから、そういうことをやっているからなかなか実態がつかめない。  実態がつかめなければ、お医者さんじゃないですけれども、どこが悪いというのがはっきりしなければ、手術もできなければ薬も貸与できない、供与できない。これをやっぱりきちっと私はすべきだと思う。現状はこうだ、だから、先ほど麻生大臣のお答えのように地域主権に切り替えていかないと、そこでスリムで効率的な仕組みにするんだということを言わなきゃいけない。  その中で、例えば道州制の問題、これ青年会議所なんかもずっと早くから提案していますし、第、あれ何次地方制度調査会ですか、今年は第二十八次地方制度調査会で道州制をテーマにしているわけですよ。だから、新しい国の姿、受皿というのはどういう方向に向いていくんだということを国民に言わないと、市町村長に言ったって駄目なんですね。やっぱり国民に、市町村民にきちっと、国はこういうかじ取りをしていこうと思っているんですよということをやはり私は明らかにすべきだというふうに思うんですね。それがないものだから混乱をしている。  それから、例えば道州制というものを表に出すときには、やはりその構想を国民に明らかにして、国民に説明して、国民の理解と協力を得ながら推進すると。そのためにはやっぱり、北海道とか九州を一時的にモデルにするとかいうことじゃなくて、全国一律に、この辺はちょっと高嶋さんと意見が違うかも分かりませんが、法制度として一律実施をしないと、私はこれはもうかえって試験的な実施というのは混乱を引き起こすだけだというふうに思うわけでありますが、この辺についての御意見を伺いたいということと、もう一つは、先ほど申し上げた県、市町村の人数というものをこの場でひとつ是非確定をしていただきたいというふうにお願いいたしたいと思います。
  106. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今御指摘の中で、この道州制の移行につきましては、もうこれは昔から御意見のあるところであります。  そこで、これを一斉に、北海道というのは、たまたまあそこには大きい割に県境というものが、昔は函館県とかいろいろございましたけれども、今は北海道で一括されておりますので、そういった意味では壁がないから、県を越えるという意味での壁がないからということで、多分、道州という意味で、既に道になっていますので、特区としては非常にいいんではないかというところから多分あの話が始まった経緯だと存じますけれども、これを、二十八次だか二十七次の地方制度調査会の中でもいろいろ御意見の出たところではあるんですが、あのときもかなりこの部分では議論がなされて途中のままになっておりますので、二十八次で是非というお願いをさせていただいたんですが、あの中でも、一斉にやれという御意見と、それは条件がまとまったところから逐次やっていけというのと二つ、両論併記みたいな形になっております。  そういった意味で、この話は、これは先ほどの久世先生の御質問の中にもあったと思いますが、この国の形というのは、単なる道州制というのは、県が合併した結果、単なる量的に大きくなるという面、面積的に大きくなるというだけの話じゃなくて、国の形の在り方にまで触れる大事なところだと思いますので、国の形、県の形、どちらがどうするという話、分担、役割、いろんな意味で従来と違ったものになるということも含めてこれは検討していただかにゃならぬところだと思っておりますので、私どもとしては、これは、第二十八次の調査会においてこの点については是非論議を進めていただきたいというお願いをさせていただいたところであります。
  107. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 今、松岡先生の御質問の最後の部分に、県なり市町村の非常勤の職員の人数きちんと出せと、こういうお話ございましたけれども、これ、先ほど私、申し上げたとおり、勤務の実態が様々なためになかなかその実態を掌握することは困難でございまして、全国的な調査を掛けて一定の基準で把握するということができないこと、従前から申し上げておりますので、是非御理解をいただきたいと思います。
  108. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 人事院の方から人勧が出ていますね、人事院勧告、それに準じている。農協とか漁協も一時それを準用しているわけですからあれなんですけれども、七百五十万から九百五十万の人たちがそれに準拠しているという御説明も実はこの場でありました。だから、そうすると、大づかみに見るとそのぐらいの人たちがおられるというふうに理解していいものかどうか。  例えば、仮に七百万とすると、先ほど申し上げたように六十兆円近い人件費があるということになるわけでしょう。そうすると、これは、会社の民間の経営から見たら、七十四兆しか収入がないのに六十兆も人件費使ったら、これはどうにもならないわけですよ。だから、非常にこれは大事なところなんですね、その人数の確保というものは、確定というものは。  いろいろ不明確な部分がそれは非常に、非常勤とか臨時とかいろんな形を変えていますから、それはおっしゃることも分かるんですけれども、そろそろ、いろんな議論をずっと積み重ねてきているわけですから、ある程度このぐらいのものだよと。事実、国家公務員ではもう出ちゃっているわけですから、実際は三十三万という定数だけれども百六十三万人いると。私は今までの推計では百二十万と思っていたけれども、それに積み増していろんな人たちが、それは国のために頑張っておられるわけですからね。  だけれども、それを頭から多過ぎてけしからぬということを私、言っているわけじゃないんですよ。実態はやはりきちっと国民に知っていただいて、それだからこういう国の形にしていくんだということがないと、どうも合併についての説得力もないということを申し上げておるわけでして、次に機会があればひとつ、個人的でもいいですから資料を見せていただきたい、お願いをいたしまして、時間が参りましたので終わりたいというふうに思います。
  109. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。  同僚議員が既に大宗についてはいろいろと御質疑されましたので、私からは個別具体的なことを少しお聞きをしておきたいと思います。  まず、平成十一年、地方分権一括法の後、合併の促進ということに今進んできておるわけでございますが、これ念のためにお聞きしますが、平成十一年以降、合併数は何件でございますか。
  110. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 今のお話平成十一年の後ということなんですが、まず、十一年のときは大変少のうございまして、篠山市の一件があっただけでございますが、その後、平成十二年度で二件、十三年度で三件、十四年度で六件と出てまいりまして、十五年度で三十件ということでございますので、十五年度までで四十二件というふうな数になっております。それで、十六年度に入りましてから十一件ございまして、その結果、先般、大臣が御答弁を申し上げましたように、現在の市町村数が三千百になっているということでございます。
  111. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これ、思ったより進んでいるのか進んでいないのかよく分かりませんが、いろいろ市町村の当事者の方に聞くと、やっぱりいろいろ地域によって阻害要因というんですかね、合併の阻害要因があるように思います。  この合併の阻害要因はどういうものがあるのかということをまず把握されていますか。どうでしょうか。
  112. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 合併協議会を、法定の合併協議会を立ち上げた団体は様々な議論を既に始めていただいているわけでございますけれども、実は、当然のことながら、この合併協議会を、法定のものを立ち上げるに至らないと、まずは任意の協議会を立ち上げる、あるいはそれにも至らずに研究会をまず作ってやると、こういうところもあるわけでございますが。  いずれにいたしましても、入口に入れない多くの団体は、具体的に聞いてみますと、その合併の形を例えば新設合併にするかそれとも編入合併にするかと、その辺のあらあらの議論をある程度協議の前に決めないと入れないと、こういうふうに思っているところも多いわけでございまして、一定の中核的な市とそれから周辺の町村合併議論をする場合にはそこを決めませんと、議論に入ってしまうとこれはもう編入合併にさせられてしまうと、それでは困ると、せめて新設合併も含めて議論させてほしいということを思っている町村長さん多いものですから、入口のところでの議論は、合併の形の姿があらあら見えてこないと怖くて協議にも入れないと、こういうところがあるわけでございます。
  113. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そこで、ちょっと観点が変わりますけれども全国市町村人口の数をずっと見ていますと、市でも一万人以下の市もありますよね。反対に、村でも五万人以上の村があると。どこの市か、どこの村かはちょっと言いませんが、北海道の方の市と岩手県の方の村だそうでございますが、この市とか町とか村の名称ですよね、名前、これは何か使うのに法律的にあるんでしょうか。それからまた、どういう権能、権限が違うんですかね。どうぞ。
  114. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 市と言うための要件というのはこれは法律にきちんとうたってございまして、地方自治法の本則では五万人以上の人口を有することとか、それから一定の連檐要件ですね、都市的な密度、そういったことも要件に入っています。そういうことで、市にはなったわけですがその後人口が減ってきてしまって三万とか、そういうふうになっているところもあるということだと思います。  それから、なお、合併の場合に、これは今回の法案の中でも衆議院の方からの修正が入りまして、三万人特例というのがあるわけでございますが、合併に関して四万人以上であったり三万人以上であったりする、いろいろ経過はございますものの、合併の際には三万人以上の人口要件さえあればいいというようなことで市になっているところがあるということでありますね。  それから、町村の違いというのは、これは市以外が町村ということになるわけですけれども、これは沿革的な名前で、町か村かというのは人口で決まっているわけじゃないわけですね。  それから次に、今申し上げたようなことでございますけれども、いろいろなこの人口変動ということが各地域にあるものですから、それで、市であって町村よりも少なくなってしまうとか、町村であるけれども市以上の人口があると、様々になっているわけでございます。
  115. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうすると、例えば町と町が合併して人口が今回特例では三万以上になったけれども、市という名前は嫌だから、やっぱり町という方が何となく郷愁、ノスタルジアが感じられるから、合併したけれども、三万以上人口になったけれども何とか町でいきますと、何とか村でいきますというのは、これは大丈夫なんですか。
  116. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 私、ちょっと突然の質問で今びっくりしたんですが、そういう、それは市になれるわけですね。なれるんだけれども、名称を、市を選びたくないというところはそれでもいいということのようであります。
  117. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうしたら、何で三万以上がわざわざ特例の市になれるなんというのが出てくるのかなという気もしますけれどもね。  さて、逐条解釈じゃありませんが、ちょっと条文を踏まえながら、更にもう少し個別的にお伺いをしたいと思います。  このたび地域自治区とか合併特例区というものが設置できると、こういうことでございますが、この特に地域自治区ですね、これも頭の体操になるかもしれませんが、AとBの町が合併をするという場合、Aの方は地域自治区があると、Bの方はないという場合は、この新しく合併した何とか町という新設の町の場合は、旧のA町は自治区が残る、旧のB町はなかったからそのままと、こういうことは可能なんですか。
  118. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) それは可能でございます。
  119. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これは可能ですね。  では、次行きますよ。  じゃ、ある村なら村で、例えば島嶼地域だけ、島のところだけこの地域自治区を作りたいと、あとは作らないと、島は島の特殊事情があるからだと、こういうふうなことは可能ですか。
  120. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) それも可能でございます。  ただ、地域自治区は、いずれは地域全域において地域自治区を作るのが予定されたことではあると、ただ、その時間的なタイムラグはあってもいいと、こういう趣旨でございます。
  121. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これ、地域自治区の協議会の構成員は、これは市町村議員でも兼任は可能でございますか。構成員ですよ。
  122. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) それは可能でございます。
  123. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 それから、先ほど同僚議員からも質問ありましたけれども、構成員は選任ですよね。選任、選ぶ、頭の首長がということでございますが、報酬は原則は無報酬と。原則があれば例外があるわけですが、実費弁償以外でですよ、実費弁償以外で例外として報酬は支給してもいいと、こういうふうになりますか。
  124. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 法律の書きぶりは支給しないことができるというふうになっているので、支給することを妨げるものではないわけでございますが、これは私どもも、いろんな国会での御議論を踏まえつつではありますけれども、原則として支給しないよう周知徹底を図りたいと、こう思っております。
  125. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 いや、だから、例外はあり得るんですかと聞いているわけです。例えば、その長の補佐をするために再任用の職員を送るとか、構成員の中にですよ。それから、また短時間の方をちょっとお願いするとか、こういうようなことだって可能かどうかということを踏まえて、構成員の方の報酬は例外的にはあり得るかどうか、イエスかノーかだけで。
  126. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) それは例外はあり得るということですけれども協議会の構成員のやるべきことはおのずと決まっているわけですから、今御指摘のような例があるとはちょっと思えませんけれども
  127. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ざっとこの地域自治区という、この構成といいましょうか、要件を見ますと、特段ここで、これ法律で明定をする必要があるのかなと。この程度の組織、構成なら、既に各町村市町村の中で実態的にもう動いているような気がしますね。  私は岡山市に住んでおりますが、岡山市でもちゃんと支所というのもありますし、そこは市の職員にございますし、連合町内会というのがありますよね。連合町内会の皆さんがその支所の出張所でいろんなことを、要望を聞いたりまた聞いてもらったり年に何回か懇談、協議をする場もあったいうことで、ですからここでわざわざ地域自治区というものをこういうふうにしてやりなさいという、法律まで作ってやる必要があるのかなと。今あるところはこういうのが出てきちゃうと、何だ何だと、これと、じゃ同じことをしなきゃならないじゃないかと。やっぱり法律ですから、これは条例も作られるでしょうし、そうするとこれはやらなきゃいけないと、これと同じことをと。というふうなことで、せっかく今ある仲良くやっている地域のそういう正に自主的な自治組織といいましょうか、こういうところにも何か余分な刺激をするような気にもなります。  何が聞きたいかというと、わざわざこの時点でこの地域自治区というものを法律で明定する必要があったのかなかったのか、経緯を踏まえながらお聞きしたいと思いますが。
  128. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは地方分権を進めていくという中で様々な議論地方制度調査会でしていただいたわけでございますけれども、住民自治の強化という視点をもっと制度的な形で考えていくべきではないかと。一方で、この規模能力拡大ということで市町村合併を進めていくというわけですが、と同時に、地方分権の実をあらしめるためにはより小さな単位で住民の方々がこの地域の運営に参加すると、あるいは参画すると。こういう仕組みを一つの具体的な制度としてはっきり認めていくべきではないかと、こういう議論がございました。  御指摘のように、現実でもいろんなところで様々な工夫があることも事実でございます。そういう例も私どもも十分把握をいたしまして、そういった実態があることもむしろ私ども制度化したことにつながっているわけでして、熟度の高いところの例を見ながら、これを全国に及ぼすものとして地域自治区という新しい工夫をしたわけでございまして、これがそのいろんな自主的な動きをつぶすものではないと。そのような非常に弾力的な自治体の判断で選べるような制度運営にしたいと思っております。
  129. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 じゃ、合併特例区についてまた何点かお伺いしたいと思います。  この合併特例区の協議会の構成員、これは議員も、現職の議員も可能なんでしょうか、不可能なんでしょうか。
  130. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 合併特例区の構成員、協議会の構成員の要件は、合併特例区の区の住民であるということと被選挙権を有する者ということでありますので、そういうことが要件になっております。
  131. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 議員でもオーケーということですね。はい。そうしますと、この合併特例区は議員でもこの構成員になれると、元議員でもなれるわけですが。  広島県の福山市が隣の新市町という町と合併しまして、もうあなた方はもうこれで辞任ですよと、辞職してくださいと。その代わり、行政諮問委員として今までと同じ二十六万円出しましょうと、こういうことが実際ありましたですね。ということは、これ、報酬しないことができるというんですけれども、裏を返せば、どういうんですか、報酬を例外的に出しましょうと。だから、合併してあなたの場合は議員の身分なくなるけれども、行政諮問委員としていろいろ市の方へ御意見や御要望、住民のを吸い上げて提言してくださいと。もっとも、この新市町は提言は一だった、一件だけだったそうでございますが。そういう充て職的に何か使われるような気もすると。  というのは、先ほどちょっとお話がありましたけれども、巨大議会が増えていますね、百四十名だとか百三十名だとか。それにもう、なかなか住民のウオッチングされて、オンブズマンもうるさいし、もうとてもじゃないがもう巨大議会は無理だねと、だったらここへ行ってちょうだいと、こういうふうな隠れみのになるようなこともちょっと心配するんですが、そういうことは全くない制度でしょうか。
  132. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは制度を作る場合に、これをどのように活用するかということに現場の知恵がいろいろあり得るとは思いますけれども、私ども考えております合併特例区の協議会の権能というのは、当面五年以内でということでありますけれども、従来の町村単位で引き続きやった方がいいことをやっていただくと。そのために一定の予算についての同意権とかあるいは意見具申権を持つということで、確かにいささか従来の議事機関に似たような面も持つことは持つわけでございますけれども、あくまでも地域の一体的なまとまりを当面の間有するための仕組みでございまして、これを悪用するということは、究極的には住民の批判に耐え得るかどうかということになるわけでございます。
  133. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 総務省の方は性善説の方が多いからそういうふうになるんでしょう。具体的個別にいくとなかなかそうはいかないから、住民が解散請求の住民投票を迫ったりするわけでしょう。  そういう意味では、これは地域自治区と合併特例区は、確かに住民自治の強化だとか住民のニーズを吸い上げて民主的な手続でそれを実現していくとか、それは分かりますよ。しかし、これ、性悪説に立てば、こんないい話はないというふうに考える人も出てくると思いますね。ワンマン首長で、よし、これは地域自治区はこれはもう条例でできるし、法律も担保されているんだからこれをどんどん作ろうと、我がこの地域へ、村なら村、町なら町へと。その長は、これは公務員でしょうから、構成員は全部自分の後援会のメンバー全部入れちゃえと、後援会。そうすると、この地域自治区がそのワンマン首長の後援会に全部なっちゃうと。自分の選挙は当然ながら、県会もあれば衆議院選挙もあるし参議院選挙もある、全部取り仕切ってあげますよと、全部うちは後援会の方が構成員になっていますからと、こういうふうなことだってできないことはないですよね。後援会の人は駄目だと書いてないんですから。独占化ですよ、これ。ますますワンマン化が進むということにもなりかねないなということを心配しているわけですよ。  だから、大野さんみたいに性善説に立てば、これで地域分権、さらに地域のニーズが云々でしょうが、私が言いますと、性悪説に立てばこれほどファッショ化、独裁化になるような地域になる可能性もあるという、裏腹ですよね、陰があれば陽があるみたいに。そういうふうなことは衆議院でも若干議論が出たそうですが、それを何か阻止する、チェックするようなことは何かあるんですか、できるんですか。
  134. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これはすべてそういう形でやるかどうか、これ、一に市町村長さんの政治責任だという法律の組立てになっているわけでございまして、法律の前提は、先ほど申し上げておりますように住民との協働の仕組みを作る、あるいは地域のまとまりをしばらくの間、例えば合併特例区の場合ですと残すということのために作る組織でありまして、繰り返しになりますけれども地方自治ということを真剣に考えれば、私はそのような活用の在り方というのは考えられないと思っております。
  135. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 まあ出てきた、そういう例が出てきたときにはきちっとまた議論しましょうと、こういうことになるかもしれませんね。    〔委員長退席理事山崎力君着席〕  それからもう一つ地域によっては、地域といいましょうかエリアによれば、地域自治区もあります、合併特例区もあります、これは五年以内ですけれどもね。それから、もっと下部組織といいましょうか、町内会もありますと、連合町内会もありますと。場合によっては特別地方公共団体型の財産区もありますと、財産区。何か地方の組織がもう多重、多層的になって、かえって、スリム化、効率化ということを言われているこの時代にあって反対方向に行くんじゃないかと、こういう心配な向きもありますね。それに対してはどういうお答えですか。
  136. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは、私どもはいろんな選択する選択肢を法案で用意をしたつもりでございまして、合併協議の中で、あるいは新しい市の方でどういった仕組みを活用していくのかを選んでいただくのが一番いいわけでして、当然その場合に、無駄なことをやるということは選択肢には入らない。当然、スリム化とか行政の簡素化ということを考えながら、自分地域には当面何がふさわしいのかという判断をなされるものと思っております。
  137. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そこで、この地域自治区も合併特例区も、議会のチェック機能というのはどこで働くんですか。条例は、設置するときにはそれは確かに議会の過半数がなければ駄目でしょうが、構成員を選ぶのは、議会はノータッチですよね、たしか。市町村長が選任するわけです。それから、合併特例区の方も、その議会がチェックするというところがあるんですか。要は、議会はこの地域自治区だとか合併特例区についてどういう関与をするんですか。
  138. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 合併特例区の場合でありましても、特別地方公共団体ということでありますけれども、例えば具体的には長もそうですし、議会もそうですけれども合併特例区の予算などにつきましては長の承認が必要だというふうなことになっているわけでございますし、それから監査につきましても、合併特例区の事務について監査委員による監査が必要だというふうになっているわけであります。
  139. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 いやいや、人の部分ですよ。長であるとか構成員のチェック、議会の許可とか承認だとか報告だとか、こういうチェックはどこかで働くんですかとお聞きしているんです。
  140. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 人の選任につきましては、基本的に長が選任をするということにしているわけです。ただ、その場合の選任の仕方につきまして様々な工夫はあり得るわけでございますけれども、ただ、これは公選ではないと。公選ではないということだけがはっきりしておりまして、住民の方の意見を聞いて工夫するとか、そういったことは可能でございます。
  141. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 人員構成も何かオーケーと言っておられましたね。議会の承認も場合によっては取り付けられるような条例なり、何ですか、議会の中の規約、協議でもいいということですか。
  142. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) その議会が、例えば三役の場合にあるわけでございますけれども、助役とか収入役の場合の同意議決でございますね、そういった工夫は可能かと思います。
  143. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 これは、私どもいただいた資料で見ると、全然そういうことは、議会のチェックはノーチェックみたいな資料ですので、しっかり、下ろすときには各市町村に、議会の同意が必要、議会の同意を得てもいいとか、準公選でもいいんだとか、そういうことをきちっと通達というんですか要項で出さないとと思いますが、それはそういうふうにされますね。
  144. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 今の合併特例区の協議会の構成員の選任の仕方について、私ども考え方は、できるだけ合併協議の中で決めるとか、そういう、規約にゆだねるというふうなことにしておりますので、そこの中で具体的な選任方法についても決めていただければいいということでございます。    〔理事山崎力君退席、委員長着席〕
  145. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 次は、地方議会の件で一件だけお聞きします。  それは、議員の在任特例ですけれども、先ほど同僚議員山口県の周南市の解散の住民投票の件を例を出されましたし、また、いろいろな新聞報道によりますと、青森県の八戸市などの周辺八市町村が二年四か月の在任特例ということで百四十六名というマンモス議会になるんだとか、福井市など周辺の五市町村で一年十か月ということで四十六名の法定定数が百名だとか、百名を超える議会が続々と誕生し、山梨県の南アルプス市なんかは九十五名だそうです。三十名の法定定数ですが、九十五名ということで、もう議場がないので中央公民館で議会を開くと。こういうふうなのを見ますと、インセンティブを議会の人たちにも与えないとなかなか合併進まないということは言いながら、しかし住民からは非常に痛烈な反発を受けて、周南市のような例もあるわけですよね。  それで、在任特例、二年に今なっていますが、元へ戻して一年ぐらいという意見も多々あると思うんですよね。そんな二年なんと言わずに一年以内に何とか決着を付けなさいよと、議会もという声があるんですが、今回また二年を継続すると、こういうことでございますが、一年に戻そう、戻すべきだと、こういう声もありますが、どういうそれに対してはお答えされています。
  146. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは日笠先生指摘のとおり、そういう様々な議論法案を作る前段階でもあったことは事実でございますけれども、私ども考え方は、新しい法律案は、現行合併障害除去のための仕組みはできるだけそのままを使おうと、その上で財政的な手段はもうやめようというふうにいたしておりますので、在任特例についても同様の二年でいこうと。ただ、様々な合併の進展の中でいろんな御批判があることは十分今や関係者も分かってきているということでございますので、枠は二年以内ということでありますけれども、やはり地域の住民の意向をよく踏まえて合併協議の中で決めていただくのがいいことではないかと思って、現行どおりといたしたわけでございます。
  147. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 まあ、自分たちで自分たちの身分だとかいろいろなものを決めろというのはなかなか難しいですよ、本当はね。後ろがぴしっと決まっておれば、一年ならば一年で何とかせなと、こうなりますが、二年もあればと、こうなったりしますので、私は本来的であれば一年に戻すべきではなかったのかなという感想を持っております。  さて、次に参ります。  合併によりまして、いろいろ阻害要因がある中に税の問題がありますね。今日は局長も来ていただいていますが、その中で、事業所税とかですね。この税のことでございますが、事業所税なんかは、当分の間とか五年間、不均一課税でよろしいということですが、これは町村によっては超過課税を引いておるところがありますよね、超過課税。こういうものが合併したときにはどういう地ならしをするのか、これが一点。  それから二つ目は、町村によってはそれぞれ法定外普通税だとか法定外目的税というのがありますね。これもどういうふうに措置をすればいいのか。  以上、超過課税と法定外税のうちの普通税、目的税、それぞれこの税の調整はどのようにしていくのかということをお聞かせ願いたいと思います。
  148. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは、日笠委員指摘の問題は、実は現行特例法の中で、御指摘のように五年間は要するに課税をしないこともできるし不均一課税もしてもいいと、こうなっているわけですから、どこにどう合わせるかというのは合併協議の中で決めていただくという仕組みでありまして、調整しないままでいくということも現に出ております。
  149. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 税の方はじゃそういうことで、当分の間、五年ですか、不均一課税でいいと、こういうことで調整はできると、こういうことですね。  それから次は、同じく合併に際してのいわゆる公務員の方々の手当ですね、手当。例えば、寒冷地手当なんというのがありますが、A町とB町が合併するということになりました、A町の方は寒冷地手当がある地域です、B町はない地域です、これはどちらにどう合わせるのかということが一つ。二つ目は、同じく特殊勤務手当ですね。横浜市のようにどんどんどんどんスリムにして特殊勤務手当がもうどんどん減っているというところへ、例えばたくさん特殊勤務手当があるところがぽっと例えば編入なら編入された場合は、公務員の方の特殊勤務手当というのは一体全体どちらに合わせるのかと。  二つ、どうぞお答えください。
  150. 須田和博

    政府参考人須田和博君) お尋ねのまず寒冷地手当の関係でございますけれども、寒冷地手当を支給するかしないか、あるいは何級で支給するかということに、いわゆる地域区分でございますけれども、これは国の寒冷地手当支給規則の定めに準じて決めることとしておりますが、この国の寒冷地手当支給規則で定めている地域区分は合併によって何ら影響を受けるものではございません。したがいまして、合併によりまして寒冷地手当が変わるというようなことは特段ないと考えております。  ただし、この寒冷地手当というのは在勤地主義でやっておりますので、合併によりまして個々の、個々の職員からしてみますと、合併によりまして勤務する場所が変わってしまった、そうしましたら、従来のところでは寒冷地手当が出るような地域での職場に変わったとすれば、それによって寒冷地手当が出るようになるとか、あるいはその逆のケース、こういったことはございますが、いわゆる種類として、あるいはその地域として変わるというようなことはございません。  それからまた、特殊勤務手当でございますけれども、特殊勤務手当というのは基本的に職員が著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務に従事する場合に対して支給されるものでございますけれども、こうした特殊勤務手当というのはそれぞれの地域におけますこのような性格を有する特殊な業務に着目して設けられているものでございますので、そうした特殊な業務にも着目して設けられた特殊勤務手当ということでございますので、それは合併によって何ら事情が変わるものではないと考えております。  しかしながら、この特殊勤務手当の関係でございますけれども地方公共団体におきましては非常に多種多様な業務を行っているために、国とかなり異なるような特殊勤務手当を設けたり、あるいは中にはこの特殊勤務手当制度の本来の趣旨に合致しないというようなものも往々にして見受けられることがありますが、私どもとしましては、今回のような合併を機会に、こうした特殊勤務手当につきましても見直しあるいは適正化に努めていただきたいと期待しているところでございます。
  151. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 まあ、協議をしっかりしてくれということですよね。  じゃ、時間もないんですけれども、寒冷地手当、そうすると、公務員の場合は何々県の何とか市が寒冷地手当だとか出ています、町名がずっと出ていますよね、地域名が。それと合併した、まあ私は岡山県津山市というところですが、生まれたの。岡山県津山市で、合併したところは津山市だけれども何とかを除くとか、そういうふうに別表でだあっと書くいうことがあるんですか。何か小選挙区みたいに、場合によっては町名をだあっと書かなきゃいけない、旧の町名ですよ、八つも九つもばっと合併した場合は、何とか市だけれどもこことここは除くとか、そういうふうな書き方になってくるんですか。
  152. 須田和博

    政府参考人須田和博君) 先ほど申し上げました国の規則におきましては寒冷地手当が出るような地域市町村名で書いてございますけれども、これは合併があって市町村名が変わりましても従前の市町村名をそのまま使って用いるというのが従来からの取扱いでございますので、したがいまして合併によって名前が変わったからといってそれによって寒冷地手当が変わるということではないと考えております。
  153. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 いやいや、だから別表のところにそういうふうなことを書かなきゃいけないこともあるんですかと聞いておるんです。
  154. 須田和博

    政府参考人須田和博君) 別表の方の地名は合併によっても全く変えない、旧の地名をそのまま使うようなやり方をしております。ですから、注釈の中でここの地名というのは旧の地名ですよと、しかしその地名で該当するようなところは寒冷地手当が出ますよ、出ませんよという形になっておりますので、合併による影響は受けないということでございます。
  155. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 何か、どんどん合併しよういう割には旧町名が残るような感じですか。はい、分かりました。じゃ次、行きましょう。  次は、何といいましても今回、市町村合併の意義の一つに、地方財政状況大変厳しい中で、規模拡大、スケールメリットでしょうか、などで簡素で効率的な財政運営を進め行政経費の削減を図っていくと、こういうことも一つの大きな要因となっていると思います。  そこで、特に地方におきましても行財政ともに効率化又はいろんな削減を推進していかなきゃいけないということで、この委員会で私、ずっと、公明党のムダゼロ対策推進委員長ということもありまして、事細かな効率化、スリム化、削減について御提案もしながら、また御要望もしながらまいりました。それらを踏まえて、今日は更に何点か申し上げておきたいと思います。  先日もここで質問をしたかと思いますが、全国の市区町村のいわゆる外部委託、アウトソーシング、これがどの程度進んでおるかということで、ある雑誌がこれを点数制にいたしましてランキングを、民間委託度ランキングということでこれを雑誌に発表しております。「日経グローカル」という雑誌でございますが、その民間委託度ランキングを見ますと、ベストテンが発表されておりますが、何と麻生大臣、一、二、三、四、上位四位までがすべて福岡県なんですね。第一位が春日市、第二位が、これ小郡市というんですか、第三位が宗像市で、第四位が筑紫野市ということで、さすがは総務大臣のいらっしゃる福岡県は相当行政改革進んでいるなと、こういうふうに思っておるわけでございますが、先日、この春日市の議員さんに来ていただいて、どのようにしてこういうふうに民間委託が進んだのかいうお話を聞きました、実地のお話を聞きました。  やはり、ここになるまでは相当苦労があったようでございますね。やっぱり、いっとき、市の財政も厳しい、その中で何とかして自主再建していこうと、こういうことで行革、市の行革を始めて今日まで来たそうでございます。その中でいろんな意味の外部委託をどんどん進めてきたということで、先ほど言いました、全国的には民間委託度全国第一位ということでございます。  その中には、保育所の民間委託、学校給食の民間委託、例えば学校給食であれば、何かもう、一般の株式会社ですよね、民間業者に任せたら、もう訳の分からないものを子供たちが食べさせられるんじゃないかと、そういう心配ばっかりで署名も起こったそうでございます。そこで、ここの春日市は、食材は全く一緒にしましょうと、調理だけ、調理だけこれを民間委託しますということで御納得をいただいて今大きく進んだそうでございまして、この小学校の給食調理の職員数が、第一次行革大綱前、昭和六十年は四十名だったのが、今現在十七名になっておると、民間委託した分。首は切れませんから、退職した後を入れない、こういうことで倍以上の職員数も削減できたと、こういうことでございますね。  それから、保育所も、同じく第一次行革前、昭和六十年度に七十六名保育所の職員がいたそうですが、今現在は四十名と、民間委託をどんどん進めたということをおっしゃっておられました。これも、保育の質が下がるとか、何かいろんな反対があったそうですけれども、そうじゃないんだということで御納得いただいて、今は保護者の方にも非常に喜んでいただいておると。こういうことで、本当に苦労しながら今日まで進めてきたと、こういうふうなお話を聞きまして、私たちも、地方行革も本当にやればできるんだなと、こういうふうに感激もしたところでございます。  そこで、この外部委託、アウトソーシングですね、これを進めたくても進めるそのまず受皿がない、そういう企業がないとか、やろうとしても、先ほど申し上げましたように、保育力が落ちるだとか、給食の質が落ちるとか安全でないとか、こういう訳の分からない、正確なデータもないのに風評で言われて進まないとか、こういうことがありますね。  そこで、この外部委託だとか民間委託をどんどん進めていくということは、これは地方行革の大きな一つの柱だと思いますが、今後どのように外部委託、民間委託等々を進めていくか、これについてお聞きをしたいと思います。福岡のことですから、どうぞ。
  156. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) この点につきましては、ちょっと特殊事情もあるんですが、ここにいる四人のところは、これは共通点は福岡市周辺、急激にベッドタウンとして膨れ上がった町であります。旧住民が圧倒的に少なくて、新住民の方が圧倒的に多いという種類の町です、ここは。総じて、宗像市、春日市も、いずれも皆、福岡県で通勤圏になっており、通勤地域になっておる地域なんで、市長の顔が分かりますので、私、選挙区じゃありませんけれども、市長の顔が大体分かりますので、総じて新しいものをやりたがる市長さんでもあることも確かなんです。確かなんですが、間違いなくこういった意識は高い住民の方がかなり多い、旧住民より圧倒的に新住民の多いところなんです、ここは。  そういったところもある程度追い風になっているんだとは思いますけれども、この種の話は、一つのところで成功するとほかのところも波及効果が出てくるということだと思いますので、今、御存じかと思いますけれども、いわゆる総務省のホームページというところをクリックしていただきますと、例えば「政令指定都市の行政改革の取組」のコーナーというのがありますので、そこを、例えば福岡市なら福岡市をばっとそこに接続しますと、そこから先、行革状態についてまた接続するとずらっと例が出てまいりますので、こういったようなのができ上がっておりますので、人口、どれぐらいのところというのである程度選んでいただくと、自分の市とほぼ同様の市の例としてこういうの、こういうのというのはずらっと一応出ることになっておりますので、そういうのを見て、ああ、こんなこともできるのか、あんなこともできるのかというようなことになると思っておりますので。ホームページは自分でやっておられますので、もう間違いなく、オンタイム、かなりリアルタイムというか、一番新しいのが出てくることになろうと思いますので、そういった意味では、地方公共団体相互の情報交換というのはこういったところでやりやすくはなっておると思いますので、是非こういったような整備が促進されますように、少なくとも、地方自治法改正して、例えば学校のプールも、夏閉まっているが、あれを市民に開放せいというのも、アウトソーシングができないということができるようになりました。なった途端に、今度は市の教育委員会がさせないということになった、もうそれも話が終わっております。  できるようになったりして、いろんなことが、少しずつではありますけれども、確実に進んでおると思いますので、これができるならうちもというようなことがなりますように、相互にある程度刺激し合えるようなことになれば一番ええんではないのかなと、率直に思っております。
  157. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 今大臣おっしゃった総務省の「言いたい知りたい!地方行革」というホームページございますね。おっしゃるように、いろんな事例がざっと出てまいります。  その中で、福岡の一つまた持ってきました、久留米市ですかね、久留米市は、職員の通勤駐車場を有料化にしたという、いいか悪いか知りませんよ、そういうふうにして、徹底的にいただくものはいただくと、こういうふうなことなんでしょうかね。それから、北海道の方を見ますと、北海道は都市部から車で通勤しているのにへき地手当が出ている。これ、へき地手当が出ていることで、これがこれから是正していくと、こういうようなことだそうでございます。  確かに、おっしゃるように、本当にいろんな知恵の宝庫でございまして、本当に小さいことかもしれませんが、どうやって、住民の皆さんにこれから負担をお願いすることが増えますね。この四月から介護保険料も上がりましたし、いわゆる地方税の均等割も少し上がりますしね。そういう意味では、いろんなことで負担をお願いする、今度の年金もそうですけれども。その中において身近な市町村が本当にどこまで行政改革、効率化、スリム化しているかということは日常的に見えるわけですからね。そういう意味では、是非、これは先日この委員会で、市町村の活性化新規施策二百事例というのを後でいただきましたけれども、これはいい話ばっかりでございまして、たまにはこうやって、けちけち作戦じゃないけれども、行革に徹していますという、行革の進んでおる二百事例ぐらいのこういう冊子も、インターネットで見れますけれども、どうでしょうかね、こういうものをひとつ作られたらいかがかと、こう思いますが、どうですか。
  158. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 経費節減には逆行するところだと存じますけれども、紙の質が少々、その本は紙の質が少々上等過ぎるといった記憶がありますけれども、私も、何となくインターネットだと手がちょっと引ける方も、それだと何となく、おおといって何となく見られる方も多いのかなと思いますので、検討に値すると思います。
  159. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 地方行革事例集というのを是非ひとつお願いをしておきたいと思います。  さて次は、電子自治体の件でございます。  総務省は、電子自治体の牽引車でございまして、積極的にいろいろと対応していただいていることについてはかねてから敬意を表しております。  そこで、電子自治体も、ばらばらにいわゆるシステムを開発しておったんでは、これは経費ばっかり掛かりますね。つい先日も当委員会で、消防庁の電子申請・申告システムを、全国九百ある消防本部単位でゼロからこれを構築していけば大体四億円ぐらい掛かると。それを、消防庁が作ったこれをパッケージソフトとして、著作権は全部こっち持っておりますから、どうぞお使いくださいというと、一億円で済むと。合計三億円の節減になって、これが九百消防本部ですから、何と二千七百億円、交付税で措置すべきものが、だったであろうものが削減できるというお話をしましたけれども、それについてはそういう方向で今頑張っていただいておりますが、そのほかに人事だとか給与だとか、その他旅費精算だとか、いろんな事務がございますね。こういうものを、いわゆるデータが交換できたり、サーバーを一緒にするとか、そうすることによって相当節減できるんじゃないかなと、公共料金、税務、いろいろございますけれども。  そういうことで、東京都の三多摩地域は、二十九市町村で電子自治体構想ということで外部委託をして、みんな参加しようじゃないかと、電子政府調達システム、これらを構築、運用を共同でやりましょうというようなことで、どうも八割ぐらい予定よりカットできる、各市町村もという報道もいつぞや出ました。  そこで、こういうふうな千葉県の方においても、事務統合ソフトを独自に開発して、それだけで間接部門が相当費用も人件費もあるいは人も浮くということで、非常にこれは効果がありますよと。五百人以上の人口のあるところはこれを活用していただければ必ず費用対効果で効果がありますよということで、このソフトを売ろうとかいうようなこともやっていますね。  それから、前も言いました横須賀市も、電子入札システムを、視察が多いものですから、視察に来たところには是非買ってくださいというようなことでやっておるとか、こういうようなことで、今後の電子自治体はある程度いろんな面で統合していかなきゃいかぬのであろうと、こういうふうに思いますが、今後、その電子自治体統合に向けてのお考えがあればお聞きしておきたいと思います。
  160. 畠中誠二郎

    政府参考人畠中誠二郎君) 電子自治体の御質問でございますが、私ども、電子自治体の推進に当たって三つの目標を掲げておるところでございます。一つは住民サービスの質の向上、それから二つ目は地方公共団体における経費削減と業務改革、三つ目がIT関連地場産業を始めとする新需要創出ということでございまして、その一つとして、共同アウトソーシング事業というのをやっております。これは、例えばA市、B町、C村がありますと、その個々の市町村ではアウトソーシングが難しいということがあろうかと思いますが、それを共同でアウトソーシングするということ。具体的には、データセンターを各県に一、二か所作りまして、そこにまずシステムを標準化、共同化しまして、その上でそのデータセンターに先ほど先生がおっしゃったような給与計算とかいろいろな事務を委託するというふうなことを推進しているところでございます。  それからもう一点、電子入札のお尋ねでございました。これは、今年の一月一日時点で、都道府県レベルでは八団体が導入済みでございます。総務省といたしましては、電子入札の導入は業務の効率化等に資するということで、地方財政措置など必要な支援策を講じているところでございます。  今後とも、簡素で効率的な地方行政の実現に向けて、電子自治体の推進に一層取り組んでまいる所存でございます。
  161. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 それと同時に、この委員会でも何回も申し上げておりますが、IP電話の導入でございますが、農林水産省は、農林水産研究、農林水産政策研究所においてIP電話を導入することを決めました。今後、検証しながら漸次拡大していこうと、こういうことで既に今年度予算で措置をいたしました。  と同時に、いろいろそういう観点で見ていきますと、例えば板橋区もIP電話を導入すると、大体一千万ぐらいそれで削減できるとか、西宮市でもIP電話を、これを活用して年間八百万円の節減効果を期待しておるとか、こういうことで皆さんそれぞれIP電話を導入しようと、こういうことでございます。  是非、総務省も、農林水産省に負けないように、ひとつどこかで実験検証していただいて、各省庁のいわゆる見本となるように頑張っていただければと、こういうことでお願いしまして、平井官房長は前向きに検討しますと、こういう御答弁をいただいておりますので、ひとつ早めに今年度予算でどこか一か所でも導入をすることを期待をしております。  さてそこで、時間もなくなりました。今度は、人件費のことについてちょっとお伺いをしておきたいと思います。  先ほどからずっと申し上げておりますが、地方分権を進めるに当たりましては地方行政の効率化が必要であると、これは御存じのとおりでございますし、これは麻生大臣も参加されております経済財政諮問会議でも地方公務員の給与の見直しが総理から指摘をされておるわけですね。  さてそこで、今いろいろ国民の、市民の関心は、言わばお手盛りという中の、これは退職金のことはもう既に人事院の方でやっていただいて、総務省の方も通達を出していただきました。その次にお手盛りと言われているわたりというのがあるんですね、わたり。  私も、わたりと言うからこれ何だろうかということでいろいろ、これ便利ですね、インターネットで調べたら、わたりというのは、地方公務員独自の制度で、制度の運用方法を示す俗語。官職名の変更を伴わず、一定の号給へ経験、在職年数等を基準として上位等級へ昇格することを言います。簡単に言うと、係長でもないのに係長の号給を平職員がもらっていることですと。給料表を渡るみたいなので、こうわたりと言っているようでございますと、こういうふうにインターネットでわたりとこうしたらちゃんと出てきます。  さあそこで、これがいわゆる横行しておるということで、給与制度、任用制度をこれ乱しておるんじゃないかということもいろいろと指摘をされていますし、が、しかしながら、一方、改善が進んでいないと、改善が進んでいないと。総務省は、このわたりの実態というものをどのように把握していますか。また、こういう慣行が地方自治体における給与を膨脹させているといいましょうか、拡大、肥大化させているというふうにも考えているのかどうか。また、具体的にどういう対策を取ろうとしているか。以上三点、簡潔にお答えください。
  162. 須田和博

    政府参考人須田和博君) いわゆる、わたりについてのお尋ねでございますが、このわたり、職員の職務に対応する級よりも上位の級に格付をして給与を支給することと考えておりますけれども、これにつきましての実態ということは、これまで個別のヒアリング等によりましてそういう実態があったということは承知しております。また、都道府県におきまして級別職員の構成比を見ますと、国と比較しまして都道府県の方が高い割合を示す級もございますので、こういったところにわたりの影響があるのではないかと推測されるところでございますが、ただ、現実に今どれだけあるかとかというような形での全体的な把握はできておりません。  このようなわたりでございますけれども基本的に公務員の給与が職務給の原則に基づいて行われるということになっているのに対し、この職務給の原則に反するものでありますし、またそれは結果的に地方公務員の給与水準を引き上げる要因ともなっているところでございますので、そういった意味で、総務省としましては……(発言する者あり)従来よりも、従来より地方公共団体に対しまして、文書により是正を要請し、また各種会議等、機会あるごとに積極的に助言を行っているところでございます。
  163. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 先ほどから申し上げているずっとこの流れの中でお聞きいただければと思いますが、いわゆる行政のスリム化、効率化という中の一つとしてお手盛りと、こう言われているわたりについてきちっと把握をし、対策を取らなきゃいけないということを申し上げておるわけでございます。決してこれは感心すべきことではないと思いますのでね。  さあそこで、時間に参りましたので、今日は瀧野局長も来ていただきましたが、三位一体は後日に回しまして、今日は質問なしということで誠に失礼いたしますけれども、よろしくお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  164. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  市町村合併特例等に関する法律案など合併関連法案について質問をいたします。  まず最初に伺いたいのは、この間に行いました市町村合併に対する国の財政支援策についてお示しをいただきたいと思います。  その一つが補助金であります。合併関係市町村には一団体五百万円ずつ支給されます、支出されます合併協議会設置後の合併準備補助金、それから合併市町村に対する補助金、都道府県に対する体制整備補助金、それぞれについてお示しをください。
  165. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) まず、市町村合併推進体制整備費補助金の交付総額全額が、トータルで先に申し上げますと、十二年度から十五年度までで約百七十五億円ということでございます。  毎年の内訳をちょっと申し上げますのは煩雑になりますので差し控えさせていただきたいと思いますが、平成十五年度だけで区分けして申し上げますと、平成十五年度の実績、トータルは百七億円強でございますけれども合併準備補助金、これに六十四億円強、それから合併市町村の補助金として四十三億円強、それから都道府県の方に対する補助金は平成十五年度はなしということでございます。
  166. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 大変な補助金、今財政の問題でも地方に対する交付税交付金やあるいは国庫補助負担金の削減の中でもこういう補助金が新しくできて、また支出もされると。補助金とは違いますけれども合併特例という形で合併特例債の発行も認められておりますが、これは現在まで幾ら発行されているのか、団体数と累計発行額で結構でございますが、この特例債は七割が交付税措置ということだと思いますけれども、その数字をお示しください。
  167. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 合併特例債の発行額でございますけれども平成十一年度から始まっておりまして、昨年度平成十五年度までの見込みも含めますと、三十団体で約九百六十億円、三十団体で約九百六十億円でございます。
  168. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 数字を伺いましたのは、今、年度ごとのは補助金では煩雑になるからということで、耳で伺うのはトータルで補助金の額を聞いて、私、今日は総務省から伺ったその数字をこういう表にして皆さんのところにもお届けをしています。(資料提示)非常に合併推進というんですか、合併がなかなか軌道に乗らないんですけれども、増えればこの金額が増えますし、合併特例債も非常に多くなっているというのがありまして、これ借金ではありますけれども、形としては元利償還の七割は交付税措置ということですから、お国から、お国が面倒を見るというんですか、そういう形になるお金だと思うんですね。  合併に対する至れり尽くせりというふうに言われております方向付けなんですけれども、こういう補助金や合併特例債だけでなく、いただきました資料では随分たくさんといろんなものが行われております。その中で、私、いろんな、こういう協議会運営の手引でも、これ協議会の運営の手引ですけれども、その中に中身も書いてありまして、合併特例を活用して過去の起債を繰上償還したり、金利の軽減に役立てていただきたいと考えておりますと、こういうくだりがありまして、これは特交を利用しろという、合併特例で使われる特交ということなんですね。  私、地方議員の皆さん方あるいは自治体の皆さん方からも、過去の例えば五%以上の利息の付く借金とかそういうものですね、こういうものを何とか今の低い金利に借換えができないだろうかと、こういうのが随分、私、国会へ来てからもたくさん伺い、一部にはいろいろ理由を付けていただいてできる部分もあるけれども、全般的にはそれは考え方としてはできないんだということで、自治省、当時の自治省も、それから、なかなか難しいという壁があったわけですね。  ところが、合併に関してはこういうこといいよというのでは、合併をするしないはそれぞれの自治体が選択されますし、それぞれの自治体の行く末を考えて、いろいろ結論としては出るわけです。しかし、それぞれの自治体の健全財政という点から考えると、何か、合併ならこれはやってあげるけれども合併じゃなければそれは理屈に合わぬから駄目よと、こういうのは地方から見ると、何かそういう線の引き方というのは釈然としないという意見があるんですけれども、それはどうなんでしょうか。
  169. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 確かに、そういったお考えもあり得るわけですけれども、これは元々どういう考え方かといいますと、合併しようとしている市町村間で様々な差があった場合になかなか合併するのが難しいということになるわけですけれども、その一つの例として、それぞれの市町村の公債費の負担ですね、これを平準化といいますか、できるだけ同じように、負担レベルを同じようにしなきゃならないと。そうしませんと、あそことくっ付いたらえらいことになると、こういう議論ばかりはびこってしまうということもあるものですから、公債費の負担の平準化を図るということは大変大事なことだということがありますので、今申し上げたような考え方から、繰上償還の場合でありますとか、あるいは金利の軽減をするというふうなことになった場合に、それについては特別交付税で合併の障害除去ということのために考えようと、こういう趣旨でございますので、あくまでもこれまでの財政状況が余りにも違ってはならないということの格差是正のために行う措置というふうに御理解いただきたいと思います。
  170. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今の大野さんの説明では地方は納得できないというふうに思うんですね。今まで余りにもかたくなだったんですよ、この借換えの問題にしても金利の問題にしても。だから、やっぱり私は、今の地方の財政とか国の形を考えるときには、これからはやっぱり考えていただく、こういう合併でこういう穴が空くんだったら、やっぱりもうちょっと考えていただく、こういうことをお願いをしたいなというふうに思います。  次に、合併協議会の在り方と現状について伺いたいというふうに思います。  愛知県内に私、住んでおりますけれども、昨年八月に平成合併の第一号というのが田原町と赤羽根町というところが合併して田原市が誕生しておりますけれども、今、県内ではこれに続く合併の姿はまだ見えていない現状があります。一方、昨年秋以降に愛知県内では西春日井郡六町法定合併協議会など四つの協議会が解散をし、今年になってからも豊川・宝飯、一市四町の法定合併協議会が住民投票と住民意識調査が行われて、その結果、二町で合併反対が過半数を占めた結果、協議会解散という形になっています。また、都市内分権を目玉にしていた江南市等二市二町任意合併協議会も解散をしました。  こういうのは愛知県内だけの動きとは見えませんで、先週も随分と幾つかのところで合併協議会から抜けるとかやめようというニュースがありますけれども全国規模では昨年来解散した合併協議会は幾つあるのかお示しください。
  171. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 平成十五年度以降ということで、昨年度以降で見ますと、法定協議会そのものが解散をしてしまったというケースが五十五協議会ございます。ですから、そこの協議会の構成市町村数でいいますと二百四十六市町村というふうになっております。
  172. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 さっき、最初に伺いました補助金とかいろんな特例合併推進というのを図られて、また、二〇〇四年度では合併の事業費というのは六千億円というふうになっておりますけれども、やっぱり相当な解散が出ている。これはやっぱり自主的な合併を当然目指すといいながらも、実際にはそこの住民の皆さんとか自治体が望んでいるのではない、そういう結果で、作ってはみたけれどもどうも議論が進まないということではないかなというふうに思うんです。  私、午前中からの議論の中でも聞いていたんですが、合併推進合併協議会を作る前に何かいろんなことを決めていかないと怖くて合併協議に入れない例もあるという御議論というか御答弁もあったんですが、私は、合併協議会というのは、合併への入口か、それとも合併しないかも含めての協議会だものですから、入ったらもう一路合併に、そんなのが怖いという意見出ること自体が現状がちょっと違うんじゃないかなと。合併の是非を含めた議論の場だよというのが徹底していないんじゃないかと思うんですが、それはどうなんでしょう。
  173. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) それはおっしゃるとおりで、合併の仕方も含めて合併協議会で御議論していただくという、ここは建前はそうなっておりますけれども、現実にはいろんな動きの中で法定協議会が立ち上がるという例もあるということを申し上げただけでございます。
  174. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 建前と本音があるんですが、私は、この際、こういう場合は建前といって置いておいちゃいかぬくて、それがきちんとされないと、押し付けじゃないよと、強制じゃないよと言いながら、でも、そうやって言うのは建前でして、なんていうのが透けて見えたら、それは大変。だって、合併というのは住民のためにやるというのが大原則じゃないですか。今のその御答弁はちょっと誤解を与えるんじゃないかなと思いますが、どうですか。
  175. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 私は、合併をしようとしております市町村間での話合いの中にいろんなお考えがあるのも事実と申し上げただけでありまして、合併をする、進めるに際して、自主的か強制かというふうなことで建前と本音を使い分けているつもりはないわけでございまして、やはり合併というのは人と人との関係でいえば結婚にも匹敵するほどいろんなことがある世界でありますので、なかなか難しい面があるのではないかという気持ちを披瀝しただけでございます。
  176. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 やっぱり、何というんですかね、何かこう、本当に、合併押し付けではないですよ、皆さん御議論ですよと胸を張って言っていただいていないんじゃないかなというのが思うんです。  私、大臣にちょっと伺いたいんですけれども、先週の、これは愛知県じゃなくて岐阜県なんですけれども、岐阜の岐阜市を中心に二市四町で進めていた合併協議会から岐南町というところが離脱するというのを、町にこれは請願が上がって、これを採択して離脱だということになったんですね。この結果で、町長さんのコメントがあるんです。ここで、合併協議の内容は合併してから決めるという抽象的な部分が多過ぎた、住民の意見を十分反映した結果だと。まあこれ、離脱しましょうという中身なんですけれどもね。ここの合併協議会は、実は二市というのは岐阜市と羽島市で、羽島市はもう住民投票で離脱をするということになっているんですけれども。  それぞれの市、町が歴史と伝統がありますよね。長年にわたっていろんな慣れ親しんだ、そういう町を、合併するにしろしないにしろ、やっぱり慎重に住民の理解と納得、午前中も町長や議会よりも住民が大事ですよと大臣はおっしゃっているんですけれども、やっぱりこういうのが出るというのは、上からの押し付けとか強制、こういうものを町長さんでさえ感じている、こういうのの表れじゃないかなと私は思うんですけれども、そういうことがあっちゃいかぬと私は思うものですから、強制じゃないと、きちんと住民が、またそこの町の皆さん方が議論するんだという、そういうふうに私は思うんですけれども、こういうのは出てこないように大臣としてももっと配慮が必要じゃないかなと思いますが、いかがでしょう。
  177. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) その岐阜のやつは、ちょっと具体的な例、よく分かりませんけれども基本的には、何回も申し上げますように、これは住民が選択する話ですから、合併した方がいいと思えば合併するんであって、しなくても頑張るというなら頑張ればいいだけのことで、別に最終的な選択は住民がするんで、住民の代表で選ばれた町会議員なりなんなりがいるんでしょうから、その人たちが代表してしゃべるというのが基本だと思いますので、合併が強制的に感じたらやめればいいんであって、それは基本的にはそういうのは私どもの方としては強制するつもりはないと何回も申し上げておるとおりです。
  178. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 現実には、私の愛知でおりますところの合併協議会でも、時限立法だからこの期間にやってもらわないと困るとか、あるいは議会とか議員なんかが知らないような計画が突然合併協議会に出されて、市民の代表の人が委員になっていて、それは分からぬと言うと、非常に事務方、役人の方ですけれども、高圧的に発言を制止したりとか、そういうのが、要するに合併を進めようという事務方というか、そっちの方は焦っている。住民の方は、分からぬとか、えっ、そんなはずじゃなかったとかいう、そういうトラブルが現実にあるんですね。  だから、それをしっかりと、強制でないんだと、今大臣が言われたように、やっぱりそこの住民が決めればいいんだというのをしっかり入れるというのが大事だと思うんですね。ところが、今回お出しいただいた法律がそういう方向に私は取れないんですね。  そこで、次の質問なんですけれども新法第五十九条に基づいて都道府県が策定する自主的な市町村合併に関する構想、これは午前中の議論でも自治事務であると、こういうふうになっていますけれども、だから上からの押し付けじゃないよと、こういう話ですね。  これは、都道府県が策定した構想大臣基本指針に基づいていない、こういうふうにもし大臣が認めるケースがあったらどうなるのか。あるいは、都道府県がそもそも構想を策定しないケース、午前中では、もう合併をするところがないから、そういうところはそういうケースもあるよというふうに言われていましたけれども、しかしそれは、国がそう思うか、都道府県がそう思うかは違いますから、これはあくまでも構想を作る都道府県がそう思ったという考え方、これと総務省が一致しないというケースが起こるのかどうか、起こったときにはどうなるのかどうか。もう一度、大臣、お願いします。
  179. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 午前中の答弁でも申し上げましたように、これは自治事務ですから、意味お分かりだと思いますが、自治事務ですから、国が代執行はできない、法律でそう決まっておりますので、そのとおりです。
  180. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 当然です。大臣のおっしゃるとおりです。自治事務ですからね。だけれども、そういうふうに、一致しない、作らないよと言ったり、基本構想と違うじゃないかというのを、大臣知事の間には事務方がおりますね、そういうふうになったときにはどうされるのか。大野さん。
  181. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 強制できないということははっきりいたしておりますので、丁寧に説明をして、それでも納得されぬというときには、代理執行は、代執行はできないと何回も申し上げているとおりで、話合いが付く場合もあれば、付かない場合もあると思います。
  182. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 話合いが付かない場合はどうなるんでしょうか。
  183. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 余り、何というか、あり得ないケースで議論していても仕方がないのではないかとも思いますけれども、今大臣申し上げましたように、要は、最終的には都道府県知事の御判断になるわけですね。だけれども、本来、構想を策定した方がいい地域だと、そういうふうに考えられるにもかかわらず、しないということであるという前提でお話があったと思いますけれども、それだったとしても、私どもは引き続きお願いをする以外にないわけでして、これが駄目なときはほかに手の打ちようがないということだと思いますね。
  184. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 前提なんですけれども構想が作るのが適当と考えられると、総務省考えるかもしれないけれども都道府県考えないということが当然あるんですよね。  今、重点地域指定しろということですけれども、東京都は指定していませんよね。これはたまたま、東京都は重点地域を作る必要がない、総務省もまあ東京都は要らないだろうというので東京都だけないんだというふうに思うんですけれども、そういうふうに一致することもそれはあるかもしれませんよ。だけれども、うちはこれでいいんだと言っているのに、いや、それはそうじゃない構想を作る。要するに、問題は、構想の前に基本指針があるから私は問題だというふうに思う。  自治事務だといいながら、その基本指針がある。そうすると、法的拘束力があるということになりますでしょう。それで、最終的にはしようがないよというふうに言われるんだけれども、その最終的に行くまでに何度も何度もおっしゃるわけでしょう、繰り返し。それが私は、自治事務だといいながら、介入になっていくんじゃないかなと、こう思うんです。
  185. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 地方自治法の二百四十五条というのの多分ことを言っておられるんだと思うんですが、そこに書いてあるように、「必要な措置を講ずべきことを求めることができる。」ということは書いてありますでしょう、その三行目の一番最後のところに。したがって、これに基づいてやっておるわけですから、総務大臣が是正の要求を行うことはできるということになっております、このとおりは。  しかし、先ほど大野が申し上げましたように、じゃ、そのとおりにはやらぬという知事がいないという保証はないじゃないかということなんだと思いますが、僕は、そのとおりそういうことをやらない知事もいらっしゃるかもしれませんですよ、それはそれで、そういったようなことに関しては粘り強くお願いをするという以外に手がないのであって、それでも駄目だということになったらどうするかと、余り仮定の話が多過ぎるんでどこまでいけるのかちょっと分かりませんけれども、少なくとも代執行はできないんですから。
  186. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 代執行できないのは当たり前ですよ。私はそういうことを聞いているわけじゃない。  何でこれ伺っているかといいますと、構想を作ること自体が強制だと。ほかの事務、単純な事務の場合は、今大臣が読まれたような中身で切り分けることができると思うんですよ。だけれども合併というのは、憲法にも書かれているように、そこの地方の自治のもう最たる問題ですよね。そこの町をどういうふうにするのか。  私、知事、別にいろんな知事さんの代弁をするつもりは全然ございませんけれども知事さんが、この知事の勧告とか構想を作る、こういう問題についていろんな御意見、批判の御意見があるわけですよね。県と市町村で対立が生じるということをおっしゃっていますし、こういう強権は強制的合併と取られかねない、県と市町村は対等という地方分権趣旨に沿っていない。あるいは、県がああしろこうしろという形はむしろ失礼な形だと。あるいは、住民の納得の上であれば地方に任せてくれないといかぬ。あるいは、自主的な合併活動に支援するのが一番いい、昔、合併に国なり県が関与したこともあったが決して良い形になっていない。こういう構想を策定し、勧告により進めるということは、地方自治体、市町村と対等協力関係にある都道府県としては適当でない。  こういう、非常に皆さん方が危惧を持っていらっしゃる。今お読みした方はみんな私どもとは政治的には立場は違いますけれども、でもおっしゃっていることは私はそのとおりだと思うんですよ。  だから、こういう皆さん方のたくさんの都道府県知事の御意見というのを大臣はどういうふうに受け取られるんでしょう。
  187. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) そういう皆さんという定義が難しいんですが、そうじゃない皆さんもいらっしゃいましてね。私どものところには、少なくとも知事さんから一声掛けてもらえば話は進むんだけれどもという声もあることもまた確かなんです。そこのところがありますので、なかなかそういったところで、これじゃお互い何となくこれまでのしこりからなかなかまとまらないから知事さんの方から一言声、勧告でどうしたこうしたというような話を聞かせてもらった方がみんなで前に進みやすいという意見もあることもまた確かなんでして、それは先生のところに来たのはそういう意見かもしれませんけれども、そうじゃない意見もあることもちょっと知っておいていただいた方がよろしいんだと存じます。
  188. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 私が申し上げておるのは、法定化することがこのような混乱と批判を生んでいると、だから適当でないということを申し上げたいんですね。  知事さんだけじゃなくて、さっき大臣も住民が大事だというふうにおっしゃったんですけれども、住民投票の問題についても、やっぱり今度の合併に向けては住民の意見、地方自治体の意見というふうにならないと私は思っています。  新法第六十一条から六十四条まで、都道府県構想を具体化する手続が事細かに策定されています。数えてみますと実に三十五項目。主な流れでいいますと、まず知事関係市町村合併協議会設置を勧告、勧告を受けた市町村長は合併協議会設置協議について議会に諮る。ところが、議会で否決されたときだけ住民投票に付する、過半数が賛成なら当該議会が可決したものと、議会の代わりになるということですね。議会が合併協議会設置に消極的な態度を取った場合にのみ住民投票で議会の決定を覆す道を開いているというわけです。  ところが、逆に議会が合併協議会設置を決めた場合には住民投票は位置付けられていないわけですね。住民投票というのは合併の方向にしか生かされていないというのは、私は一方通行を進めていこうというやり方というのでおかしいというふうに思うわけなんです。  そもそも合併については、私はいろんな住民投票の資料を総務省からいただきまして、法定協議会設置の住民投票、これは住民投票をやったところは多くは設置されません、しないよということで。普通の条例による住民投票というのは、なかなか議会の賛同も要るから大変なんですけれども、それでもそういうのに付したところは合併しないことになる、そういうところもあるわけですよ。  だから、私は、住民の意思を大事にするというのだったら、合併に賛成でも反対でもそれは住民によく聞いて、そして情報公開をやって、そういうそこの自治体に合った住民投票がうまくできるようにこれを応援することが、私はもし必要な合併だったら進んでいくというふうに思いますし、要らぬ合併だったら皆さん要らぬと言うんですけれども、それはどうなんでしょう。
  189. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 合併そのものについての住民投票の制度の導入につきましては、もう第二十七次制度審議会、よく読まれておられると思いますので、地方制度調査会でもこれは議論が前からなされているところでもありますので、住民の意思をより一層反映させることが適当であるから導入を肯定する意見と、代表民主制との関係で導入に慎重な意見と、これは両論併記ということでずっとなって至っていまだ結論を得ていないということになっておりますので、合併そのものについて、住民の信を問うために私としては住民投票を実施している市町民が増加しているという傾向にあることは承知しておりますけれども合併そのものの住民投票については地域の実情に応じていろいろ対応していただくということしかないんじゃないですかね。
  190. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 時間がないので今日はこれ以上議論ができませんが、私が言っているのは、協議会を作らないよって議会が言ったときにはこれは住民投票というところに行ける。だけれども協議会を作るといったときに住民投票へ行くという流れはこの法律ではないわけなんですよ。  住民投票そのもの、合併の可否の住民投票そのものもやろうと思えばできますが、さっき言ったようにハードルが高いんです。だから、どちらも住民投票がきちんとできるように、片一方の方の流れだけ作るんじゃなくて、きちんと民意が反映できるようにすべきだと、こういうことを私は申し上げているわけでございまして、方法だったらありますけれども、ハードルを高くして方法があるよって、こっちだけ、合併の方へ行くところはハードルを低くするよという、こういうような法律というのはおかしいですよというのを私は申し上げているので、今日はちょっとそれ以上議論ができなくて残念なんですけれども、おかしいということをもう一度思って読み直してみてください。お願いします。
  191. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 続いて宮本岳志です。  この三法案は、昨年十一月の地方制度調査会答申を受けたものであります。この調査会では、いわゆる西尾私案に対して、強権的な合併の強制だという非難が地方団体から沸き起こったという経緯もございました。  そこで、まず大臣に前提から聞くんですけれども市町村の数を全国で一千に減らすという政府や自民党が目指しているこの市町村合併というものは、そもそも地方自治地方分権の拡充のためにやるのか、それとも地方財政のスリム化、効率化のためなのか、総務大臣の見解をまずお聞かせいただけますか。
  192. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今回の改正意味というものは、これは基本的には、地域自治区の創設の道を開くことにあるのではありません。地方自治制度上、市町村区域内において、あれですか、自治区の話ですね。市町村合併そのもの。ごめんなさい。市町村合併そのもの。済みません。  市町村合併そのものにつきましては、基本的には、地方のいわゆる自主権、地域主権というのがより円滑にいくようにするために、地方行財政基盤を確立するためにやる、これが基本だと思います。
  193. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 地方自治というのは憲法に定められた大原則であります。憲法九十二条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と、こうしておりますね。  この「地方自治の本旨」というのは一体何かと。これはいろいろ難しい議論がありますけれども、一般的には、団体自治の原則というのと住民自治の原則と、こういうふうに言われております。  そこで、大臣に確認するんですが、政府の進める市町村合併が住民自治の拡充を目的、地方自治の拡充を目的として行われると今おっしゃった以上は、これは団体自治の原則、住民自治の原則はこの市町村合併によって拡大するということでよろしいですか。
  194. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 基本的には、基盤が強くなって、住民自治がより強くなるだろうと思っております。
  195. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本国憲法に関する権威ある書物だと言われる「註解日本国憲法」というもので改めて少し勉強してみたんですが、団体自治の原則というのは、地方的行政は国から独立した地方公共団体によって自主的に行われなければならないと、こういうことだと。それから、住民自治の原則というのは、地方的行政は地方住民の自由意思に基づいて行われなければならないと、こういう意味なんだとされております。つまり、住民こそ主人公ということだと思うんですね。  それで、今回の法案がそういった立場を拡大するものなのかどうかと、これが今回の法案の審議に当たって大事な点だと思っております。  そこで、まず改正地方自治法地域自治区についてお伺いしたい。この制度は、地方自治関係者からの強い要望を反映して盛り込まれたものでありますし、こういう制度を作ること自体、その必要性については我が党も否定をいたしません。本当に地方自治拡大になるものであれば、このような制度は画期的なものだと思っております。  そこで、大野さんにお伺いしますけれども地域自治区に設けられる地域協議会では、地域自治区の年間の予算、これは審議をされ、決定されるということになりますでしょうか。
  196. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 基本的には、地域協議会は単なる諮問機関ではないというふうに申し上げておるわけでして、条例で定める重要事項について意見を求められるというのが協議会でもありますし、自ら建議できるというふうにしているわけでありますので、条例で何を定めるかということにひとえに懸かっておりますけれども、これ、工夫の仕方によると思いますけれども、これ当然、地域自治区というのは市町村の中の一定の地域を限った形になるわけでございますけれども、例えばそこの地域にあります何かセンター的な施設、こういったものに係る予算などについて重要事項というふうに考えれば、その予算が多いか少ないか、運営費がですね、そういったこともこれは意見を申し上げるという立場になるのではないかと思います。
  197. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 しかし、予算案というものを直接審議し、決定するということにはならないわけですよね。つまり、自治区とはいっても予算の審議は市町村の予算の一部として市町村議会でこれはやるということになります。  そもそも、その地域自治区の事務所に関する事項であれば予算についても意見を言うことができると今説明でありましたけれども、そもそもその地域自治区の事務所に関係する予算だけを抜き出して、こういうことがおたくにかかわる予算ですよというふうに予算案が示される、あるいは編成される保証というのはないわけですよ。つまり、具体的なセンターというものでこれは聞いておこうかというときにはそれはあるかもしれませんよ。しかし、大体、地域自治区を作ったら地方自治区ごとに予算案を切り分けて編成しなければならないと、こんなふうにはなってないですよね。
  198. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) そのようになっておりません。
  199. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そういうことなんですね。  それで、では、この地域協議会で意見を述べるために議論したと、そして決議される、多数でもって決まった、意見が決まったということと自治体の首長の指示が食い違った場合、これは地域自治区の事務所の長は地域協議会の決議に従うんですか、それとも自治体の首長の指示に従うことになりますか。
  200. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは事務所長というものは首長の判断に従って実務的処理を行うということは明らかでありますけれども地域協議会の判断と長の判断が違うということもそれはあり得るわけでありますけれども、これはひとえに長の政治的な責任で問題の解決に当たるという事柄だと思っております。
  201. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 先ほど性善説という話が他党の委員からも出されましたが、私は、大野さんがおっしゃるようにそう単純に、首長の意見とこの地域協議会の意見とが予定調和的に一致するということは、それはそういうこともあるでしょうけれども、おっしゃるように食い違うことがごくまれだというふうにも思いませんね。随分それは意見が違うことも多いと思いますよ。  それで、結局、地域自治区の事務所というのはあくまで市町村の行政機構の一部門であります。首長の指示に従うんですね、指揮に従うわけです。そうすると、地域協議会が住民の意見を反映したそういう意見を表明したとしても、市町村の長がそれを認めなければ動かないということになります。  仮に、地域住民のそういう意見が地域協議会で出され、そこで決まったけれども、それを無視して首長や地域自治区の事務所の長が進めていったという場合に、住民たちはどのような対抗手段があるでしょうか。
  202. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 端的に申し上げて、地域自治区の協議会地域協議会のメンバーの方たちは公選に基づく議員とは違うわけですね。市議会議員とはこれは違うという建前で制度的には選ばれるということでありまして、その地域の住民の方々のあらゆる意見を反映した形になるかどうかというよりも、むしろ特定のその地域における住民と協働するような仕事につきまして、住民の意見も聞きつつ、場合によっては住民の方に相当程度いろんなことをやっていただくと、NPOなどに代表されるわけですけれども、そういった方たちが構成メンバーになっておやりになるわけでありますけれども、御指摘のように、意見が異なる、最終的にですよ、ある事柄について協議会のメンバーの出した考え方と長が最終的に決断したことが違うということはあるかもしれませんけれども、対抗手段、つまり議会の議員を選んだ場合あるいは長を選んだ場合、リコールとかそういった制度はありますけれども、そういうものはないわけでございます。
  203. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そういうふうに説明されますと、私、先ほどの日笠先生議論というのがよみがえるんですけれどもね。正に、首長の支持者ばかりでできているので余りこの地域協議会と首長の意見は食い違うはずがないと、むしろ首長の意を体してこの地域協議会地域住民を説得する側に回るのであって、意見が食い違ったりはしないんだと。決して地域住民のあらゆる意見を正確に反映したものじゃないんだというふうに聞こえてくるんですよね。  僕は、そこがむしろこの最大の問題だと。要するに、構成員自体が公選制ではなく首長の任命となっているということが最大の問題ではないかと思うんですね。しかも、今回これ無報酬ということの規定が入っているでしょう。そうしたら、無報酬でこういうことができる人と想定しますと、例えばお金持ち生活に困らないお金持ちであるとか、あるいは年配の方ですよね。要するに、本当に若い、仕事に追われているような方々というのはなかなかこういうのはできないんじゃないかと。そうすると、やっぱりあながち先ほどから議論になったような、首長の意を体して地域の名士がこれに任命されて、余りそこの地域の御意見を正確に反映するということにならないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  204. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは、全く今の現場で住民の方たちが様々な形で地域の事柄に関与しようという動きを無視した御発言としか思えないわけでありまして、ボランティアとして自らの地域に関することを自分たちも参画して様々にしていこうという大きなうねりがあるからこそ私どもも今回これを法律の中で規定をしているわけでありまして、どうも今の御質問趣旨は私には理解できないわけでございます。
  205. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 いや、それならば結構なことなんです。それならば公選にすればそういう方が当選されるんじゃないですか。
  206. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは公選にするとなりますと、要するに、今申し上げたこの地域自治区というのは市町村の内部組織と、内部的なものという位置付けであるわけでありまして、市長であったり市議会議員は公選でありますので、そことの兼ね合いが難しいために、今回、公選という道は取らないということにしているわけです。
  207. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 じゃ、その地域住民が、大野さんのおっしゃるようであればいいんだけれども、やっぱり我々の意見反映していないと、この地域協議会は、この地域協議会のメンバーを替えてもらいたいというときにはどうすればいいんですか。
  208. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これ、正に市の方にそういう要望、陳情、様々な形で意見を申し上げることになるかと思います。  しかも、繰り返しになりますけれども、市長が最終的には選任をするということでありますけれども、その選任過程にあって様々な工夫はあるわけでして、これは今の時代、すべて情報公開、情報提供という時代でありますから、いたずらな、市長の何かおっしゃるようなことがあったとすれば、これは住民には直ちに分かる話なんですね。そういうことが可能であるとはとても私には思えません。
  209. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そうですかね。私は、この間起こっている事態を見ていると、とてもそんなことがないとは思えないんですけれどもね。これは恐らく委員の皆さんがそれぞれの体験に照らしてお感じになっていることだと思っています。  それは、粘り強く交渉したり市に意見を上げると、そんなことは別に新しいこんな制度を作ってもらわなくたって、今住民運動で地域からそういう声が市に上げられるということはこれまでだってあるわけですよね。    〔委員長退席理事山崎力君着席〕  それで、私、大臣にお伺いしたいんです。今回の制度がこれまでよりも地方自治の拡充になるというんだけれども大臣は四月二十日、この地域自治区というのは今の地方自治法のままでも作れるんですよと答弁されておりますね。今までにもできたものを新たに作った、作れるように、今まででもできることを今回できるからといって、何かこの地方自治の拡充になるのですか。
  210. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 重ねて申し上げるようで恐縮ですが、今回の改正意味というのは、元々、ソフトランディングというようなことで、地方からの住民からの要望にこたえていろいろ考えたのが元々ですが、地域自治区の創設の道を開くということに道があるのではなくて、地方自治制度上、市町村区域内においてより狭い区域単位として、より狭い区域単位として住民の意思を反映させることができるように仕組みを明確に位置付けるということで、住民の自治の拡充方策というものを充実しようとするところにこの制度を新しく作る意味があると、私自身はそう思っております。
  211. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 私は、こういう仕組みを作っておきながら、しかるべきやはり権限も、そしてしかるべき決定権も最終的には与えないと。つまり、意見は述べれるが、首長は、別にそれは聞く必要はあっても、それに縛られるわけではないと。尊重義務すら掛かっていないわけですよ。  結局、本来であれば地方自治のこの原則、住民自治の原則の拡大のためには、もっとそういう自治権というものを付与していく。私の地元大阪市などでいうと、政令市の行政区については公選制の議会を作ることなどを今既に検討すべきだと私は思っているんですけれども、そういう住民自治の拡大の努力ではなくて、地域自治区という名前は作るんだけれども、内容はこれまででもできるような、そして公選でもなければ最終的には長を縛ることもできないというのでは、全く看板倒れになるということを私、申し上げざるを得ないんです。──いや、いいですよ。  次に、新しい合併特例法案に盛り込まれた合併特例区の制度について聞きたいと。  こちらは特別地方公共団体と位置付けられておりまして、独自の予算もあれば法人格もあると、特別職の区長も置かれると、それなりに独立した機関のような姿をしております。  合併特例区の区長はどうやってお決めになるんですか。大野さん。
  212. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは、合併特例区が含まれます市町村長が、先ほど申し上げましたように、住民、住所を有する者、そして被選挙権を有する者の中から合併特例区の長にふさわしい方を選任をすると、このような規定になっております。
  213. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 つまり、合併でできた新しい市町村とは別個の法人格を持つとはいうんだけれども、しかしそのトップは全体の市町村の長が決定するということですよね。  その区長は合併特例区の職員をどのようにして募集するんですか。
  214. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) ちょっと先ほどの合併特例区の区長ですけれども、住所要件はなくて、市町村の被選挙権を有する者のうちからというだけでございました。失礼しました。  それから、職員の募集でありますけれども、これは要するに新市の、新市というか、市町村の職員でもあり、かつまたこの合併特例区の長が任用すると、こういうふうになっていますので、合併特例区独自で職員を任用するということではないわけであります。
  215. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 職員の組織も、全体の自治体の一部として首長の同意の下でしか人事ができない仕組みになっておりますね。  さらに、合併特例区は関係市町村で行われる事前の合併協議の中で作られる規約に基づいて運営されるということになっております。そして、その規約や自治体の条例に反しない範囲で合併特例区規則なるものを作ることが認められると、こうなっていますよね。合併特例法、新合併特例法三十五条の合併特例区規則ですね、合併特例区規則、これはだれが作るということになっておりますか。
  216. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 合併特例区の長が合併特例区規則を制定することができると、こういうふうにしております。
  217. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 これも実に中途半端な制度だと。地方、特別地方公共団体というんですけれども、結局は自治体首長のコントロールの範囲内にあって、地方自治体の内部組織のようなものに終始しているというふうに思うんですね。  次に、合併特例協議会の予算への同意の権限ということについてお伺いしたいと思います。  四月……
  218. 大野慎一

  219. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 予算の権限について聞きたいと、次のテーマを言っただけでありまして。  四月の一日付けの朝日新聞に、「迫る合併、急げわが町事業、基金次々取り崩し」という記事が出ました。合併を前に駆け込み的に基金を使い切ろうとするような動きが各地で起こっているという内容です。典型的なのは岡山県加茂町の例。ふるさと創生資金一億円を合併前に三十六自治会に山分けする。町有林三千百二十四ヘクタールは住民らで作る管理組合に無償譲渡する。合併前の住民説明会で、合併すれば地元の要望が受け入れられなくなるのではないかとの声が出され、町長は、合併するなら地域の財産をできるだけ残してほしいという地元の要望にこたえたと説明をしております。一方、合併相手の首長からは、財産は新しい市に引き継ぐのが基本ではと疑問視する声も出ていると報じられているわけですね。  今回、法人格持ち、予決算の制度を持つような合併特例制度を設けたのは、市町村合併の障害の一つに、これまでの町や村で持っていた財産が新しい自治体にのみ込まれることへの抵抗感があると、こうも言われております。この記事を読むとうなずけるわけですが。    〔理事山崎力君退席、委員長着席〕  そこで聞くんですけれども、今回の法で規定する合併特例区を作れば、合併後の首長や議会の意に反して合併後も合併特例協議会が自由に予算を決定し執行することができるのですか。
  220. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 合併特例区の長は合併特例区の予算を作成することができるわけでありますね。ですから、予算をどのように執行するかという権限もあるということなんですが、ただ、予算を作るためにはこの財源どうするかと、こういう議論があるわけですね。この財源につきましては、起債をする権限とか課税をする権能というのは合併特例区にはないと。ですから、交付金で、新市の交付金でその財源を賄うということになりますね。  ただ、御指摘のような、財産をどのように管理するかということは、これはもちろん予算の中で決めていけばいい話ではあります。
  221. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 いや、その予算は、首長の意に反して、合併された議会の意に反して執行できますか。
  222. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) この予算につきましては合併特例区の長が策定をするわけですが、その際、まず第一に合併特例区の協議会の同意が要るわけですね、その上で合併市町村の長の承認が要ると、こういう組立てになっているわけでございますね。それから、交付金として合併特例区に財源を付与するわけですけれども、その交付金を含めた予算は当然市の予算案になるわけですから、市の議会の議決も要ることは間違いございません。
  223. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 四十二条六項に、協議会が同意したとしても首長の承認がなければ予算執行できないと、これもはっきり書いていますから、これでは本当の、こういう問題との関係でいうと、やっぱりのみ込まれてしまうと、自分たちの勝手には処分できないということになるんでしょうから、この点は、最終的にはやっぱり合併というものはそういうものになっていると。  さらに、もう一つ聞くんですが、じゃ、合併特例区の制度を活用すれば、旧町村の保有していた資産、財産は、未来永劫、地域住民の共有財産として保持できるのかどうか。いかがですか。
  224. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) この合併特例区、要するに法人格を有するということにしているわけですから権利義務の主体になれると。したがって、旧来の財産も所有、管理されるということですね。  ただ、これは、あくまでも合併特例区というのは設置期間というのがあるわけでして、五年以内で決めると。いずれ消滅するわけですね。そうなれば、その財産は合併市町村に帰属をするということは、これはやむを得ないことでございます。
  225. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 結局、五年限りのことなんですね。  それで、大体よく考えていただきたいんですよ。駆け込み的なやり方でこういう基金や財産の取崩しが行われること自体、今あなた方が進めている市町村合併が、本当に納得ずくで、住民にとっても心から歓迎すべき自主的な合併ではないということの何よりの証左だと私は指摘せざるを得ません。みんなが新しい市に本当に愛着や希望を持っているならこういうことは起こりようがないんです。  先ほど大野さん、結婚に例えたけれども、結婚する前に財産をすべて使い切ろうと、こんな結婚が本当にまともな結婚かと。そうでしょう。心から新しい町の発展を願うならば、こんなことは起こりようがないんですよ。それを、本当に今の合併の進め方に問題がないのかと自省するのではなくて、自ら反省するんじゃなくて、何かこそくな仕組みを作ってそれで何とかしのいでいこうというところに、私は今回の法案地方自治の拡充とは全く無縁だと言わざるを得ない証明があると指摘したいと思います。  最後に、八田議員質問されてちょっと残した問題ですが、住民自治の原則に直接かかわる住民投票制度について聞きたい。  それで、先ほども議論になりましたね、新しい合併特例法第六十一条以下の規定で、住民の過半数の投票で議会が可決したものとみなすというふうになっていると。それならば、逆に、住民の投票の過半数が設置反対の場合には議会が否決したものとみなすと、こういう規定がなければ筋が通らないのではないかと思いますが、これはどう説明されるんですか。
  226. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは、住民投票を合併関連してどのように位置付けるかと、こういう基本的な議論があるわけですが、そうした中で、合併そのもの、これを住民投票にかけるということは、先ほど大臣が申し上げたように、いろんな議論があるので法律の中で規定をするということはしていないわけでありますけれども合併協議推進すると、合併の協議、つまりその合併の是非について是非地元を含めた関係市町村の議会でも十分に議論をしていただきたいし、場合によってはその合併協議会の設置について住民の意見を問うてほしいと、こういう観点からのみ住民投票の位置付けをしているので、これはあくまでも合併を、自主的な合併推進するという観点から規定したわけですから、そういう現行のような規定ぶりになっているということでございます。
  227. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 いや、合併協議会の設置について推進するということであっても、全く逆の場合をやはり認めなければ価値中立と言えない、仕組みとして、これは明瞭に。これは本当に手前勝手な住民投票の使い方だというふうに言わざるを得ないと思います。自分たちの、例えば市町村合併については議会の否決を住民投票で覆すという制度を今回、合併協議会の設置については入れる一方、別のところでは、都道府県合併については、憲法九十五条で地方自治特別法として住民投票しなければならないとされているものを、今度は県議会の議決で済ませると。どうもつじつまが合わない話だというふうに言わざるを得ないと思うんですね。  それで、大臣大臣は冒頭、これは地方自治の本旨にかなったものだと、地方分権進めるんだと、地方自治に資するんだと、こうおっしゃったけれども、私は、今現に起こっていることはそういうことになっていないと、そして決してそれは拡大することにならないと。従来どおりか、場合によったらやっぱり市町村合併ということが無理やり上から押し付けられる形になっていると、そう思うんですけれども大臣、そうは思われませんか。
  228. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 見解の相違だと思いますが、基本的に、一言で言えば。  私のところを見ましても、いろいろ時間は掛かりましたけれども、強制されることもなく、何となく、最初はもう全然でしたが、何となくお互いに度々話し合っているうちにだんだんまとまったという例も私の身近にもありますので、一つの例で全部が全部と申し上げるつもりはありませんけれども、少なくとも強制的にするつもりはないと度々申し上げておりますんで、そのような形で、一部いろいろな例があるのかもしれませんけれども基本として総務省として強制するつもりはありません。
  229. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 本当に自主的な合併なら、こそくな、複雑な制度を作って進めなくても進むはずなんです。本当に合併したいのなら、駆け込みで基金を取り崩す動きなど起こるはずがない。あなた方は、この間、三千の自治体を一気に三分の一に減らすと、こんなことを掲げて上から強引になりふり構わず取り組んできたけれども、先ほどの答弁でも四十三件ということでありました。決して思いどおりに進んでこなかった。ここにこそ、あなた方がやろうとしている合併が自治体にとって自主的なものでも何でもないということがはっきりと示されていると思います。  地方自治を破壊するこのような市町村合併の押し付けは直ちに中止することを求めて、私の質問を終わります。
  230. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。最後でありますから、是非よろしく、しっかりと御答弁をお願いをしたいと、こう思います。  私も、立場上、多くの自治体関係者の皆さんとお会いをいたしますけれども、今度の三法案について、それを推進をする立場、あるいはそれに消極的な立場、こんなものを超えて幾つか疑念や疑問が出されておるわけでありますから、これを解明する、こういう立場で質問をしてまいりたいと思います。  まず第一に、住民自治と地域自治区あるいは合併特例区などについてお伺いをしたいと思いますが、大臣にお伺いをしますけれども合併で役場が遠くなってしまうという不安の声に対して総務省合併担当者は、これまで一般の人が本庁の役場に年何回ぐらい行くだろうか、通常は住民票や戸籍等の書類を取りに行くぐらいではないかと、こう述べられております。他方で、片山前大臣は、住民基本台帳ネットワークシステムを導入をする際の理由として、住民票の写しを取りに行ったり生存確認の書類を提出するなどの負担が軽くなると、こんなことを強調されたわけで、言っていることは両方が全然違ったことを言っているわけですけれども合併をやろうということだけではこれは奇妙に一致をした発言になっています。  そこで、役場の存在意義は単に窓口だけではないわけでありまして、議会の所在地でもありますし、住民が自主的に集って協議をしたり、あるいは主権者としてその奉仕者たる執行機関に要求を出す場でもありますし、また福祉などの日常的なサービスや相談のセンターでもあります。その役場を合併というのは住民からやっぱり距離の面でも心の面でもやはり遠くにしてしまうという面は否めませんね。行政がますますそういう意味で独善的になって、県庁や東京の中央政府の顔色ばっかりうかがう体質というものを強める可能性を持っている。そうなってはならないと、こう思うわけですが、この点について大臣基本的な見解をお伺いしたいと思います。
  231. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 今、市町村合併して、えらく大きな地域合併してなかなか遠くなるというのは地理的には間違いなく言われる可能性が否定できないと思っております。  ただ、それに、だからというんで、その点だけ見ればそうかもしれませんけれども、工夫もいろいろあるんであって、例えば、そうですね、先生のところの富山県の砺波という市がありますけれども、その市の下のところは四町四村、今度合併すると思いますが、この合併するに当たって一つのところで庁舎を新しく建てることはしない。それから、いろいろその町に関しては、議会はここ、町役場はこの町と、ただしいろいろその辺りを通行するに当たっての道路網に金をきちんと掛けたいというちゃんときちんとした対応をしているところもあります。  また、今IT化がどんどん進むことになりますと、例えば住民登録、登録、印鑑証明いろいろありますけれども、そういったものは基本的には郵便局からアクセス、郵便局から接続するときちんと対応ができるようになるというようなことも考えられますし、また御存じのように、地域審議会を設置するということもできることになっておりますし、今言われたように、声がなかなかというのが問題だと言われるので、地域自治区とか合併特例区を設けることといたしておりますので、御心配の点は私はなきにしもあらずと思いますけれども、そういった対応をきちんとしていかねばならぬところだと思って、丁寧な対応が必要だと思っております。
  232. 又市征治

    ○又市征治君 大臣がよく勉強されているものですから、私の地元のお話まで出たから、少し全然変えてやろうかなとも思ったんですが。  私は、さっき申し上げたように距離の問題もさることながら、やっぱり心の問題、自分たちの遠くなってしまうというこの感じですね、コミュニティー、こういうことが非常に問題です。  例えば、今、ちょっと質問それるんですけれども大臣がちょうどわざわざ私の地元のお話なさいましたが、非常に豪雪地帯です。一晩に一メーターも一メーター五十も雪が降るときある。こういうときに、もうそこの役場も、役場へ勤務に行かないで自分の自宅から職員はだあっと走って除雪に走るわけですよね。もう目にくま作って毎日、毎日毎晩そんなことやって、自分の自宅なんてのはもう夜の十二時、十一時になってようやく自分の自宅の雪下ろしなんてやっているんです。  こういうのが、合併をやって職員ががっと減っていったときに、本当の意味できめ細かいことができるかどうかと。これはみんなやっぱり疑問持っているんです。そういう問題などというのがある。だから、役場の職員が十人集まったら、どこのどなたのうちがどういう家庭状況かとみんな知っている。ところが、こんなのが合併やりますと、小さくなって、全然みんなお互いに広域配転になる、ならざるを得ませんから、こういうところが大変にやっぱり問題が起こってくるんですね。だから、こういうところを非常に大事にしてもらいたい、やられる場合でもですね。  こんなことを含めて、そういう意味で私はさっき心の距離が開く、こう申し上げたわけですが、そういう点というものを是非これは、私は合併そのものには余り賛成じゃないんですけれども、やられる場合にはそんなところを是非大事にしてもらいたいと、こう思っています。  そこで、本論に戻りますが、今回の改正地域自治区もあるいは合併特例区も、どうしてもこれは首長執行機関の下部機構、出張所という色合いが強くて、今申し上げたような本来の地域コミュニティーとは違うわけですね。これでせめて旧町村の名残を残して合併の抵抗感は薄めるということもあるんでしょうが、これは一面ではまた逆の、よく皆さん方がお使いになる行政効率の面では二重の行政で弊害を生ずるということになりゃせぬかというのが一つあります。  むしろ私は、住民自治の視点から言うならば、この合併後の空洞化を防いで自治を担うという場として、あるいは他方で、合併をしないでやっていく町村にあっても、行政と住民の協力して働くという意味での協働関係、こういうものを促す場として権限や住民参加の度合いというものをもっと文字どおり自治区に近づけていくことが必要ではないかというふうに私は考えるわけですけれども、この点についていかがでしょう。
  233. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) いずれも又市先生のおっしゃること、私はごもっともだと思っていまして、たまたま私も岐阜県で副知事やっていた折に、富山と近いので豪雪地帯持っているところ、これも先般合併したわけですが、飛騨市という市になったわけですね。そこでは河合村とかそういう大変な豪雪地帯も一緒になって合併したわけですが、そこに今言った心の距離が出ることを防ぐために旧町村単位に振興事務所というのを当分の間置くわけなんですね。そこで従来のようなサービスをできるだけそこでやっていこうという工夫はすることにしているわけです。この考え方合併特例区にもあるわけですね。ですから、そういう面を何とか不安を解消するためにそういう仕組みを合併特例区などでやっていくと。  だけれども、一方で、いずれはやっぱり合併した以上、ある程度統一的にまとまっていくということもこれ基本的な考えにあるわけですから、共通化できるものは共通化していくと。本庁でできることはやっていったらいいと。しかし、対人サービスの面で住民と身近なところで処理した方がいいということが残れば、それはやっぱり住民の身近なところでやったらいいと。しかも、その一部がまあ普遍的な制度でありますけれども地域自治区というものの中で、しかもそこには、単に職員だけじゃなくて、住民そのものが自分たちもボランティアとしてこの地域の問題で、例えばリサイクルの問題とかそういうことにかかわっていきたいとおっしゃるわけですから、それだったら一緒にやりましょうと、こういう仕組みで地域自治区を作っていくと。  こういうことでありまして、あえて言えば二律背反の課題を何とかやっていこうという仕組みが合併特例区であったり地域自治区の特例だったりするわけですから、これはいかに活用するかというところが大事なんであって、これ何かあげつらうだけではいかがなものかと、私は率直に言って申し上げたいと思います。
  234. 又市征治

    ○又市征治君 地方はみんなまあ、これは言っちゃ悪いけれども総務省案よりももっと創意を工夫を凝らしているんじゃないのか、地域内分権というか自治拡充を探る動きとしてね。小学校区ごとの自治区の設置をやったり、あるいは旧市町村単位地域審議会の活用であるとか地域振興局の設置であるとか、旧町村ごとの地域自治政府の設置などという構想が出されていますね。これは総務省の方がよく御存じなんだと思いますが、少し私も調べてみました。  例えば、熊本県あさぎり町のように地域審議会を活用しようというこういうケース、あるいは島根県の、委員長の地元ですけれども、島根県浜田市ほか四市町村では旧自治区に区長がいる自治区を設けたり、あるいは北海道や長野県の一部に見られる旧市町村単位に局を設置をする、あるいは長崎県対馬市の支所の役割を強化をするなど、こんなのは様々、地域自治組織を先取りした動きがありますね。  また、長野県の飯田市など十八の市、町のように、各自治体の選挙で選ばれた各地域委員会法人格のある政府を構成するという地域自治政府構想であるとか、町民のほぼ全員が会員になってNPO法人まちづくり山岡を発足させる動き、これは岐阜県の山岡町、小学校区単位協議会を設置する構想、三重県の伊賀地区であるとか、あるいは旧村地域に架空の村を復活をさせて、村長らが催しの調整などを行うところなど、あるいはまた、広島県高宮町は自然発生した地域振興会と呼ばれる自治組織が地区ごとに様々な試みも展開をしていますし、京都府の美山町は住民で構成される地域振興会とタイアップして旧五つの村すべてに地域振興課長を配置して支所業務を始めている、こんなことなど随分と多くあるんだろうと思う。いろんな工夫していると、こう思うんです。  そこで大臣、伺いますけれども、今回改正地域自治区や合併特例区というのは、以上に紹介したように、それぞれオリジナルな地域自治組織を先取りした動きに比べると、私はどうも立ち後れているんではないか、あるいは五年と期限を区切ってむしろ規制をして足引っ張ることになっているんじゃないのか、こういうふうに懸念が出されています。法律で細かく規制をせずに、組織の在り方や機能、また人選も準公選制を取り入れるなど、地域の自主性や主体性が発揮されるような、そういう制度にすべきではないか、これらの地域の今様々な動きというのは当然尊重していくべきじゃないか、こう思うんですが、その点いかがでしょう。
  235. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 地域自治区につきましては、いろいろ自由にできるようなことになろうと考えておりますけれども、今言われたようなことをじゃんじゃんやってくれるところが全国皆そうだったら別に問題、この種の要望も来なかったんです、最初は。何とかしてくれという話がそもそも一杯来たものですからこの種の話は元々考えたので、何となく、役人がしゃべるとえらく堅苦しく聞こえることになっておるんですが、また、いい加減なことを言うとまたそれは問題じゃないかということになりますので、それはなかなか難しい、このバランスが、私はもう。  だから、そこのところは又市先生おっしゃるとおりなんで、京都の話やら、今都会でそんなものできないじゃないかと言われたある方がいらっしゃいましたけれども、この間、消防でもお答えしましたけれども、大丸有という組織ができると。大丸有というのは大手町と丸の内と有楽町と、三つ足して大丸有と言うんですが、ここできちんとした自治組織ができ上がっておるというような、これは都会ですよ、都会の真っただ中で、名前が何とも面白いので一発で覚えたんですけれども、そういったものができ上がっているのも事実でもありますので、そういった意味では私どももそういったものはできれば誠に喜ばしいことだと思っておりますので、できるだけ住民の意思が反映できるような制度に作り上げたいと思っております。
  236. 又市征治

    ○又市征治君 第二番目に、財政的な保障の問題について幾つかお伺いしたいと思います。  現行法では、合併しても交付税は十年間、前と同額を保障をすると、こうなっていますね。しかし、これはもう、昔の話もさっき出ましたけれども、旧自治省は大うそをついた前歴があるわけでありまして、すなわち昭和の大合併でも合併前の交付税を五年間保障すると国は当時約束していたのに、それがほごにされて交付税は減額、大問題になったというふうにお聞きしています。財政措置が十分でなかったために関係市町村の大きな持ち出しになってしまったわけ。このため、合併した途端に財政破綻を来して増税をせざるを得ない市町村が続出をしたというふうに聞くわけですが。  当時、自治省の次長で、後に東京都知事になられた鈴木俊一さんは、交付税措置合併前の状態を基礎にして計算をすることは約束したが、額を同じにすると約束したわけではないと、こう開き直られて、トータルの額についても守られなかった、こういうことでありまして、このことについて島根大学の保母武彦さんとおっしゃる教授は、昭和の大合併では合併に必要な国の財政措置を三百億円としていたが、実際の措置額は三十六億円弱にすぎなかった。また、新市町村建設の段階においても、一九五七年度予算において地方六団体は新市町村建設に三十六億円を要求したけれども、国の措置は十七億円弱に終わっている。その後の年度も同様の事態が繰り返されたと、こう指弾されているわけです。  今回、こういうケースがあるから逆にどうなっていくのかという疑念が出されているということなんですが、今回はどうかと。まず、法改正しない場合、十年間保障プラス五年間の激変緩和措置は、これは将来ともに守られるわけですね。
  237. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 御指摘のとおりでございます。
  238. 又市征治

    ○又市征治君 是非ともそれは、約束は約束ですからしっかりと守っていくべきだろうと思います。  今回の改正案では、順次短縮して五年にしてしまうと、いかにも早く合併しろよと督励されているように、こう聞こえるようであります。この点について、中央大学の佐々木信夫教授も、これについては昭和の大合併のときのように国の財政難で交付税の約束をほごにされたことがあったと、合併特例債を国は地方交付税で保障すると言っているが、将来のことは分からない。また、国は平成十七年以降のことは何も語っていないと懐疑的に語っておられるわけですけれども、まあ今、そんなことはないとおっしゃいましたから、ここは守られるんだと思いますが、今度も、今度の合併の場合も、国の財政節減が一つのねらいであることは、これまでもこの委員会で何度も議論をされてきましたし、合併で地方の需要額が四兆から五兆円、千自治体ぐらいになった場合には削れる、こういう発言もございました。約束は、そういう意味でうのみにできないというふうに市町村の側が受け取っておられるということの表れなんだと思います。  そこで、大臣、伺いますけれども、私は、先ほども申し上げましたが、合併は自然に、幾らかの誘引はあってもいいと思いますけれども、自由にやるべきだというふうに考えるわけですが、今回の法案による短縮そのものには、私はそういう意味で反対なんですけれども、それはおくとして、交付税法を改正をして算定替えの制度そのものを変えてしまうということは、これはなさりませんね。法的には何によって担保されるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  239. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 内務省から自治省に変わり、総務省に変わって、大分昔とは内容も違ってきたんじゃないかと自画自賛して言うわけじゃありませんけれども、少なくとも今、交付税の合併算定替え制度というものを触るかという御質問なんだと思いますが、法律改正考えて、法律を変えるというようなことは考えておりません。
  240. 又市征治

    ○又市征治君 次に、合併特例債ですけれども、実績は二〇〇二年までの四か年で十二件ですか、四百四十三億円で意外と利用されていない。これは昨年も私、指摘を申し上げましたが、償還が三割自己負担、また七割は償還時に全自治体の交付税財源に組み込むことになるわけですね。また、特別交付税の合併関係が六百三十一億円ですけれども、これも同じ仕組みで、合併しない市町村は締め出されると、こういうことになっているわけで、おかしな仕組みだろうと思うんです。ほかにも、合併市町村補助金が三十一億円ということでありまして、いろいろと三つぐらいにばらまかれておるわけですが、これらは合併そのものが協議が遅れたりして駆け込みになっているので、二〇〇三年、まだ実績は出ていませんね。二〇〇四年度でもっと増えていくことになるんだろうと思います。  さてそこで、新法では合併特例債はなくなることになっているわけですが、ただし一年延長という経過措置で駆け込み合併が更に増えていくことになるんだろうと思います。今回、合併特例債を廃止する理由をもう一度明確に述べてください。
  241. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) この合併特例債現行法ではこの合併特例法期限内に合併の成果を上げると、そのために財政支援措置も、思い切って合併を支援するということにしたわけでありますけれども新法の中では、この新法をどうするかという議論地方制度調査会でもした折に、要は、この合併に関する障害を除去するための特例中心に定めるべきだと、現行法のような合併特例債のような財政支援措置については取るべきではないと、こういう答申もありまして、新法では合併特例債については行わないというふうにしたわけでございます。
  242. 又市征治

    ○又市征治君 第三番目に、先ほど来からも出されておりますが、知事などによる合併の強制になるんではないかという点について大臣に改めて確認を願いたいと思います。  知事の行う合併勧告については法定受託事務ではないと、自治事務だと、こう大臣、繰り返し答弁をされております。また、代執行はできないと、こうおっしゃっているわけで、私はあんまりここまでおっしゃるのはいかがかと。当然、当然のことでありますから、適切な例えではないのかなと、こう思いますが、しかしそういう極限の対立の次元に至るレベルではなくても、元々市町村都道府県は自治法上対等なわけですから、勧告の形を取った暗黙の強要も自主合併とは言えないんではないのかと。大臣は、知事合併勧告や合併構想によって強要すべきではないと、そういうことでは、我々はそんなことを求めているんじゃないと、こういうふうにおっしゃっているというふうに思っていますけれども、改めてこの点について御確認願いたいと思います。
  243. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 度々お答えを申し上げておりますが、いろいろな地域によって例がもうあろうと思いますが、お互い昔の旧郡内とはいえ、なかなか調子の合わない町長さんもいらっしゃるところもありますので、そういったところにおきまして、まあだれかが、ちょっとこれは地域的に見てもというような合併の話をだれが最初に口火を切るかというのはなかなか難しいところなんで、何となく向き合ったままずっと来ちゃって、まあ何となくこれはといううちに一年たち、二年たったものですから、何となくこれは、少しずつ合併の話の内容もいろいろ分かってきたところもあって、これはした方がええと言ったんだけれども、今までは何となくこうしていたところもあるものですから、だれかがちょっと、ちょっと肩たたいてくれるというような人がいて、じゃあという席になったときに、県議会議員がやるかだれがやるかといったときには、やっぱり基本的には知事さんがその地域の事情もお詳しい県議会議員を含めて話をするというようなことが最も一歩を踏み出すというところなんだと思っておりますので、何回も申し上げますが、知事の勧告と言うと、役所の言葉で勧告と言うとどうも形が、何となく響きが良くないんですが、肩たたいてやる話みたいなところで、程度に感じておいていただければよろしいんで、重ねて申し上げますが、知事が強制権もなければ代執行等々も、例もよろしくないと言われましたけれども、その種の、これは自治、あくまでも自治事務でありますので、そういった点で余り知事の勧告権というような感じの強い響きに、役所が言うと何となく響きになっちゃうんですけれども基本的にはそういった感じで御理解をいただければ有り難いと存じます。
  244. 又市征治

    ○又市征治君 はい、分かりました。  そこで、住民投票の問題についてお伺いをしてまいりますが、改正案では、合併協議会の設置を知事が勧告したときや議会が否決をしたときは住民の六分の一以上の連署により、又は首長が住民投票の請求を行うことができると。そして、住民投票の過半数の賛成があった場合には議会が可決したものとみなすという、これはこれまでの法体系にはない、全く異例の合併促進一方通行の規定が設けられたわけですね。  これは、第一に、私は、住民投票の結果を議会より上に置くというのは、総務省があれほど反対をこれまでされてきた住民投票全般の法制化反対論から見れば大転換なわけで、これは一面ではいいことですけれども合併促進に関してだけというのはもう全く私は筋が通らぬと思いますね。  それから二つ目に、自治体の主権者たる住民が合併そのものを最終段階で賛否を決める本来の住民投票ともまたこれは全く異なる、こういうことになるんだと思いますね。  三つ目に、住民から見ると、合併協議会さえ設置すればあとは合併まですべてを行政と議会に白紙委任するものでしかないわけで、それならば、これ去年からも申し上げてきましたけれども、それならばむしろ住民意思を尊重して議会で再議する手続を定めるべきであって、直接請求を議会が否決した場合にこそ住民投票にかけるような制度化をすべきではないか。  もうちょっとやっぱり、総務省としてこれまで言っていたこととの法理をしっかりやっぱり通していただきたい、こんな気がするんですが、この点、もう少しきちっと首長さん方、自治体関係者にしっかり理解できるように御答弁願いたいと、こう思います。
  245. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) この点につきまして、まず私ども合併そのものを、先ほども御答弁申し上げましたように住民投票にかけるという仕組みにはしていないわけでございまして、要するに合併協議会、この場において合併の是非を含めて十分議論をしていただきたいと、合併協議会の場で、これ関係者が入るわけでありますので、そこで合併の是非含めて十分御議論いただきたいと、そこまでは私ども法律の中で様々な手だてを講じることは許されるのではないかと、こう考えたわけでございまして、そこで、まずは、今回の法案の中にありますように、都道府県知事合併協議会の設置、設置についての勧告をすることができるわけでありまして、設置の勧告があれば市町村長は協議会の設置協議について議会に付議しなければならないと、付議しなければならないという付議義務が生ずるということでございますね。  その上で、さはさりながら、議会が設置協議について否決するという場合も当然あるわけですから、賛成ばかりじゃない、否決をすると、この場合には合併協議を、協議会の中で合併協議の是非について議論してほしいと、こういう願いから、先ほど御指摘のあるように、住民が六分の一以上の有権者の署名、あるいは市町村長が住民投票を請求すればこれは合併協議会設置の可否について住民投票ができると、こういうふうにしているわけでありまして、あくまでも合併推進、自治体が合併推進するための合併協議の場において合併の是非の議論をしていただくための様々な手だての一環のこれは住民投票の仕組みであると、このように御理解を賜れれば有り難いと思います。
  246. 又市征治

    ○又市征治君 どうも納得できないんですね。  さっき私が申し上げたように、合併促進の一方通行と申し上げたんですが、合併やることだけについてはそういうことなんだけれども合併そのものを住民の意思を問わない、これは全く、さっき私、法理に合わないんじゃないかと、こう申し上げているんで、なぜそれをやらないんですか、それを聞いた方がいいんじゃないですか。  本当にその地域における、あちこちでここ近年、随分とやっぱり大きな、産業廃棄物の投棄のそういうものを受け入れるのかどうかとか、様々なそういう住民投票などというのが起こってきている。住民の側がもっと先行っているんじゃありませんかと、私、こう申し上げました。  そういう意味で、まして今、住民にとって非常に、自分たちの地域社会をどうしていくのか、そういう意味でこの市町村合併の問題というのは重大な問題なんですが、そのことには、そのことを住民の意思問うのが、これは道を閉ざしておいて、合併促進についてはこれはやっていいんだと。なぜそこに行かないのか、そこが納得できないんですよ。その点を、それぞれ自治体の首長さん方も、あるいは議会の皆さん方も、なぜこれだけなのか、全然今の大野さんの説明では理解ができない。  合併論議についてだけというのは、そんなおかしな理屈成り立たないんじゃないですか。何年かたって何をあのとき言っていたんだろうかということになりはしませんか。もう一度改めて説明してください。
  247. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 現行法もそうですけれども、新しい法律も自主的な合併推進ということを基本的な理念にしているわけですね。この自主的な合併をどのように進めていくか、挙げて関係市町村議論をしていただく、その場合に当然住民の意向も踏まえていただくと、こういう仕組みなんですけれども、となれば、法律で決めれることは、やはり合併の協議、この合併の協議に是非入っていただきたいと。  その最終判断はこれは地域の判断になるということになるわけでして、先ほども御答弁申し上げましたように、大臣が申し上げたように、最終的に合併そのものについて住民投票をするかどうか、これは法律でもちろんないわけですが、それぞれの自治体で住民の意向をお聞きをするというふうなことをやっているところはあるわけでして、そこは私どもが賛否両論あるものを制度化するよりも、現時点ではそれぞれの自治体の判断に任せるというのが適切だと思って、そういう制度法律に書いてないわけでございます。
  248. 又市征治

    ○又市征治君 余りここばかりやっておるわけにいかぬのですけれども。  いや、私は、だから、この合併の促進の問題の住民投票を駄目だと言っているんじゃないんですよ。問題は、それをやるんならばもう一つ、全体のそうした地域社会における重大問題は少なくともこれに連動して住民投票制度、こういうことも、住民制度、そういうものをやるということを作ったらどうですか、そのことをお聞きしているんです。そのことについて総務省はやるつもりは全くないんですかと、このことについてお聞きをしているのであって、だからこれを私、反対しているんじゃないんです。もう一つやったらどうですかということを言っているんで、その点の基本的な考え方をお聞きしたいということです。
  249. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) 私どもは、今回、そういうことを法案でお願いするつもりはないわけでございます。
  250. 又市征治

    ○又市征治君 いやいや、この法案で聞いているんじゃなくて、トータルとして今そういう時代の流れじゃないですか、そういう中で是非そういう方向に向かって努力すべきじゃないですかと、こう聞いているんです。大臣、そこら辺どうでしょう。
  251. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) これは先ほど御答弁を申し上げましたように、この点につきましては、住民投票の問題につきましてはいろいろ地方制度調査会の中でも、代議員と、今いわゆる議員というものの、代表、住民代表の側の議会と直接投票による住民投票との間のバランスの問題というのはずっと話題になっているところでもありますんで、今の言われたような話というのは現実問題としてあちらこちらで今起きておりますんで、あえてこの法律に書かなくてもということが私どもの立場であります。そこは御理解をいただけると思うんですが。
  252. 又市征治

    ○又市征治君 いや、ここのところは大分論議が残るところですから、こればかりやっているわけにまいりませんから先へ進みますけれども、しかし、今大臣もおっしゃったように、地域でいろんなことが起こって、それぞれのところでそういう条例を作って住民投票をやっていこうという動きがずっと大きな流れになってきていますね。  だとすれば、それを少し総務省は、そういう流れもあるわけだから、ちゃんとそういう制度を作ったらいかがですかと、こう申し上げているし、できれば、そのことについて、是非そういうことは前向きに検討していきたいと、こう大臣からの答弁いただけるものだと思って私、質問しているんですが、是非その点については御検討いただくことだけ今ここでは要請をして、先に進みたいと思います。  そこで、小規模町村合併問題ですけれども大臣は、強制合併はしないんだと何度もさっきから申し上げているように答弁をされてまいりました。そこで、具体的にですけれども、まず一定規模、一万人未満の市町村に対して、その編入合併や事務権限、組織の縮小を強制又は強要することは当然、団体自治権や住民自治の否定にほかならないわけでありますから、これは答申では検討課題とされたわけですけれども、事務特例制度の創設については私は行うべきではないと考えるわけですが、この点についてはどういうお考えですか。
  253. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) この問題は引き続き検討課題だということでございます。
  254. 又市征治

    ○又市征治君 もう一つ、小規模市町村合併に追い込むことをねらいとした交付税制度、こう言われているわけですが、この見直しは合併しない市町村に対する一方では政治的な制裁ではないかと、こうも言われる。地域住民に対して一定の行政水準を確保をし、また自治体の独立性を強化をするという交付税制度趣旨に反するものだからという、こういうことなんでありまして、私も、こうした制裁に当たるようなこんな形での交付税制度の見直しは行うべきではない、こう思っていますが、この点についての見解はどうですか。
  255. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 当然です。
  256. 又市征治

    ○又市征治君 是非、その点は、大臣の答弁をしっかり踏まえて、事務方の方も御努力を願いたいと思います。  合併を選択しない地域合併が困難な地域であっても、広域連合制度を活用をすれば同じような効果が期待をできる。合併を唯一の選択肢として強要するのではなくて、広域連合制度であるとか一部事務組合の活用など、地域の実情に合った取組を尊重すべきだろうと。また、そういうことを大事にしている地域もあちこちにあるわけでありますから、その点を是非しっかりとすべきだというふうに思います。  特に、広域連合に対する財政支援策の抜本的な拡充を図るべきだと考えますけれども、この点についての見解はいかがなのか。また、合併を選択しない市町村を含めて、小規模市町村への支援方策について、関係自治体の参加を求めて検討を行って具体策を図るべきじゃないかと思いますが、この点についてはどういうふうに進められる考え方ですか。
  257. 大野慎一

    政府参考人大野慎一君) これは今のお話のとおりでございまして、合併新法の中でも、合併に至ることがいろんな事情で難しいというところが最終的に残ることも十分考えられるわけでありますので、そうしたところに対して、基礎自治体市町村だけで構成されるような広域連合制度、こういったものについてより充実方策はないものかどうか、引き続き検討をしてまいりたいと思います。
  258. 又市征治

    ○又市征治君 それでは、その他で一つお伺いしますが、今回の改正では、条例で収入役を置かず首長、助役をしてその事務を兼掌させることができる、こうなっていますですね。政令で十万人以下の市が想定をされますが、収入役は収支に関して命令機関と執行機関を分離して事務処理の公正を確保するために置かれているわけでありますけれども、公正な事務処理が確保されることが大切だと思います。どのように事務処理の公正さをこうして収入役を置かなくて担保をされるというふうに考えてこういう改正を出されているのか、この点について説明を願います。
  259. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) もう又市先生指摘のとおり、事務処理の公正の確保と、これはもう誠に大事な話ではありますけれども、もうこれも御案内なんですが、やはり電子化とかいろいろと財務の管理状況の把握の仕方が実は容易になってきておる、ぱっと見りゃ分かるみたいな話も実はあるわけでありますし、行政改革による業務の効率化の要請というふうなのもいろいろ出てきております。  ですから、この改正につきましては、収入役を置かなくとも会計事務の適切な運営を確保できると判断をする場合にのみ一定規模未満の市が収入役を置かないことをお認めをするということで、もう御案内のとおり、町村に関してはもう既にこれまでも置かなくてよいというふうなことがあったわけでありますが、特にそこら辺で収入役にかかわる、置かないということにかかわる問題というのは出ておらないというふうに理解をいたしております。
  260. 又市征治

    ○又市征治君 副大臣、せっかくですけれどもね、私、ちょっと考え方が反対なんですよね。収入役がいなくなった分だけ、むしろ首長の専断が強まって会計がルーズになるとすれば、もう大変本末転倒な話ということになるわけで、この事務がコンピューターを使ったとかなんとかという問題とは訳が違う、こういう問題だと思うんですね。  今、やっぱり市町村にとって緊急な課題というのは財政構造の立て直し、安定化のはずであって、むしろ赤字団体に落ち込まないようにするにはどうするかについて収入役がその役割をやはり最も中心になって果たして努力をしている、こういうことだろうと思い、もちろん首長も考えますよ、しかしやはりその衝に当たっているのは収入役なんではないか。ですから、私はむしろ最も必要なポストではないかというふうに思うんですね。収入役が執行権力を正しく分有して、経営責任を首長や助役とともに果たすようにすることの方がむしろ必要ではないか。  本当に実情に合った話なのかと。何か別の思いがあるのか、先ほどおっしゃったことだけがそういう目的なのか。ちょっと私はこれ、逆行しているんじゃないかなという感じがしてならないんですが、もう少し御説明があればお伺いします。
  261. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) もうあくまで適切な運営を確保できると判断をした場合にのみ置かなくてもいいというふうな話でありますし、今現在も実は、三百四十七の町村において実は収入役を置かずに町村長又は助役が兼務をなさっておるというふうなところがあるわけなんですが、特に会計事務の公平性で問題があるというふうには実は考えておりません。  同時に、収入役を置かないというふうなことになりますと、これは条例を制定というふうなことになるわけでありますので、議会が条例の制定改廃を通じて、町村長の専断による、市町村長の専断による会計事務の適切な運営が損なわれることがないようにチェックをすることができる。  ちなみに、実は近々中に私の地元のある町も収入役を置かないようにしたいと町長がおっしゃっておるんですが、議会がどうだと、今、又市先生指摘のような議論を今懸命にやっておるところでございます。
  262. 又市征治

    ○又市征治君 まだまだ、先ほどから聞いてまいりましたが、納得ができかねるところ、あるいは検討課題などございます。引き続き、そういう意味では重大な、大臣が何度も繰り返しおっしゃっていますけれども、地方が主役と言うべきか、地域主権というか、そういう立場を広げていこうということでやるんだと、こうおっしゃっているわけですが、この点は更に幾つかまだまだ問題も出てきていることもありますから、そういうものも検証しながら更に引き続きこの委員会議論をしてまいりたいと、このことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  263. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  264. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、椎名一保君及び野沢太三君が委員辞任され、その補欠として野上浩太郎君及び後藤博子君が選任されました。     ─────────────
  265. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) これより三案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  266. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党を代表して、市町村合併特例等に関する法律案市町村合併特例に関する法律の一部改正案及び地方自治法の一部改正案に対し、反対の討論を行います。  言うまでもなく、全国三千百団体の市町村は、それぞれに独自の歴史と伝統、自然と文化を持っており、地域住民自身がそれぞれの自治体の行く末を決めるべきことは論をまちません。  ところが、合併を強制するものではないという言葉で説明しながら、この法案が強制合併に限りなく近い制度設計になっており、地方分権の建前にも反し、自治事務への重大な介入になっていることが反対理由の第一であります。  新法では、「目的」に行政体制の整備、確立や市町村規模の適正化など、市町村規模能力拡大が明記されました。さらに、総務大臣基本指針都道府県知事構想を作成させ、知事の勧告、あっせん、調停で合併推進させる。自治事務にもかかわらず、基本指針によるべき基準として知事構想を作成させるのは地方分権に反すると言わなければなりません。実質的な強制合併を盛り込んでおり、容認できません。  反対理由の第二は、地域自治区、合併特例区の議決機関が公選ではなく市町村長の選任に後退したことであります。  反対理由の第三は、憲法九十五条で都道府県合併について住民投票が必要とされるにもかかわらず、今回の法案では都道府県議会の議決と国会の了承で合併できるとする問題であります。上からの市町村合併が強要される中、全国で今地域住民の合併に対する声を聞いてほしいと住民投票が行われています。住民こそ地域自治体の主人公という流れが大きく起こっているときに、あえて住民の権利を一方的に奪うこのような改悪は許されません。  さらに、知事合併協議会設置の勧告が否決された場合にだけ住民投票制度を導入するとしていることは公平なことではありません。  日本共産党は、住民の意思に基づいて地方自治体を適切な規模にすることに一律に反対するものではありません。しかしながら、自治体の合併の是非は、憲法の地方自治の本旨、すなわちそこに住む住民の合意と自治体の自発的な意思によって決められるべきであります。  以上、この法案は、政府がこれまで進めてきた押し付け市町村合併をより強権的に進めるものであり、地方自治発展を願う国民の期待に逆行していることを強調して、反対討論を終わります。
  267. 又市征治

    ○又市征治君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、市町村合併関連法案に対し、反対の討論を行います。  小泉内閣は改革と称して地域住民と自治体職員に様々な犠牲を押し付けてきましたが、市町村合併はその最たるものです。その耳ざわりの良い文句とは正反対に、その背景には、合併によって四兆円から五兆円の国費、具体的には地方交付税交付金を削ろうという魂胆が見え隠れしています。本当に自主的な住民からの自然な合併を奨励するなら、不自然に期限を定めてしりをたたいたり、自治体共有の財源である交付税を使って、合併するところとしないところとで区別するべきではありません。  以下、具体的な改正案の問題点を申し上げます。  第一に、これらの法案は、本来、都道府県市町村は対等、協力の関係であるにもかかわらず、都道府県知事役割を強化して、合併に関する構想の策定や構想に基づく合併協議会の設置に関する勧告、あっせんなどを法文化することで上からの合併強要を促していることです。  第二に、政府があれほど頑固に否定してきた住民投票を今回は導入するといいますが、全く一面的に合併促進の方向に向かう場合だけを制度化するのは政治的中立性を欠き、およそ法理として成り立たないものです。また、政府の代表民主制基本説が変わらぬ限りは、住民投票の結果を議会の議決とみなすという条項は自己矛盾の極みと言わねばなりません。  第三に、いわゆる地域自治組織についてです。一般的な制度として地域自治区を設けるのはともあれ、合併特例区の方は、現在の市町村区域それなり生活圏として実体を持っていること、また合併後もそうであることを否定できないための苦肉の策であり、大慌ての合併そのものが意味の薄いことを象徴しています。何よりも行政の下部機関的色彩が濃く、本来の地域コミュニティーからは大きく懸け離れています。  第四に、現行の不自然な誘導措置である合併特例債や交付税の合併算定替えを我々は支持するわけではありませんが、今回改正案は、これらを間もなく廃止や段階的に縮小するぞと定めることによって、住民の間の十分な論議なしに、目先の利益で駆け込み合併に走らせるこそくな手法と言わねばなりません。  最後に、合併政策そのものについてです。従来、これだけの誤った差別的措置をそろえて、あめとむちの政策をやってきても、現場では新しい市役所の場所や名称を始め紛糾が続出し、法定協議会の解散や凍結が相次いでいます。初めから官主導、国と府県主導でおぜん立てされ、住民こそが主権者であり、自治の主体だという正しい認識に欠けていることの当然の結果です。  今、全国の自治体で合併強要論の暴風に耐え、小さいながらも我が町、我が村の個性を大切にし、活性化していこうという草の根の動きが強まっています。それぞれ歴史的な経緯、文化、風土、自然・地理的条件等を持つ市町村の多様性、住民の意思を最大限尊重すべきことを訴え、反対討論を終わります。
  268. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、地方自治法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  269. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、市町村合併特例に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  270. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、市町村合併特例等に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  271. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川敏夫君。
  272. 小川敏夫

    ○小川敏夫君 私は、ただいま可決されました地方自治法の一部を改正する法律案市町村合併特例に関する法律の一部を改正する法律案及び市町村合併特例等に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方自治法の一部を改正する法律案市町村合併特例に関する法律の一部を改正する法律案及び市町村合併特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法律の施行に当たり、次の事項の実現に努めるべきである。  一、分権型社会を制度的に確固たるものとすることは喫緊の課題であり、市町村合併推進するとともに、行財政基盤を強化し、一層の効率化を進めるため、国から地方への権限及び税源の移譲を早急に実施すること。  二、合併を行わないとの選択をした小規模市町村に対して、合併を強制することはせず、合併を行わないことを理由として不利益な取扱いをしないこと。  三、自主的な合併推進する観点から、総務大臣合併推進基本指針を策定するに当たっては、地方公共団体に配慮するとともに、都道府県関係市町村の意向を踏まえて合併推進構想を作成するよう、その周知を図ること。  四、合併特例債の発行が当該地方公共団体のみならず国の財政に与える影響にかんがみ、発行額が膨張しないよう十分に配慮すること。  五、議員の定数及び在任に関する特例の適用を検討する地方公共団体に対して、行政コストや住民の意思に十分配慮するよう周知徹底すること。  六、地域自治区に置かれる地域協議会の構成員の選任に当たっては、公平性、透明性及び住民の実質的参画の確保に十分配慮するよう周知すること。  七、地域協議会は、住民の主体的な参加を期待するものであることにかんがみ、その構成員については、原則として無報酬とするよう周知すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  273. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  274. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) 多数と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、麻生総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。麻生総務大臣
  275. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしてまいりたいと存じます。
  276. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  277. 景山俊太郎

    委員長景山俊太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会