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2004-06-10 第159回国会 参議院 財政金融委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月九日     辞任         補欠選任      平野 貞夫君     江田 五月君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         円 より子君     理 事                 入澤  肇君                 尾辻 秀久君                 野上浩太郎君                 大塚 耕平君                 続  訓弘君     委 員                 上杉 光弘君                 清水 達雄君                 田村耕太郎君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大渕 絹子君                 平野 達男君                 山根 隆治君                 山口那津男君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 椎名 素夫君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        財務大臣    石井 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        金融庁総務企画        局長       増井喜一郎君        金融庁検査局長  佐藤 隆文君        金融庁監督局長  五味 廣文君        法務大臣官房審        議官       深山 卓也君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○金融機能強化のための特別措置に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 円より子

    委員長円より子君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨九日、平野貞夫さんが委員を辞任され、その補欠として江田五月さんが選任されました。     ─────────────
  3. 円より子

    委員長円より子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長増井喜一郎さん外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 円より子

    委員長円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 円より子

    委員長円より子君) 前回に引き続き、金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  前回、途中で審議が中断されましたので、中断した部分から質問をさしていただきたいと思います。中断したときにはちょうどUFJお話をお伺いをしようとしていたところなんですが、UFJのことは後ほどお伺いするといたしまして、事前に通告を申し上げた質問から入らしていただきたいと思います。  今回の法案では、公的資金注入申請してきた銀行に対してはいろんな義務を課すということになっておるわけでありますが、第五条の第十一号に、その際に提出される経営強化計画に関連して、「経営強化計画提出した金融機関等により適切に資産査定がされていること。」というふうに書かれておりますが、この適切に資産査定がされていることとは、これはどういう定義でございましょうか。
  7. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  今先生の御指摘のとおり、適切な資産査定がされていることというとこが、書いてございますけれども、これは言わば資本参加審査基準でございます。具体的には、申請金融機関に対して、経営強化計画提出に合わせて直近財務諸表、それからその適正性について経営陣が宣誓した書類及び会計監査人等による適正なチェックが行われている旨の書面提出を求めると。さらに、当該直近財務諸表当局による検査でその適正性が確認されたものであるか、又は当局による検査内容が適切に反映されたものであることを求めるということにしてございます。
  8. 大塚耕平

    大塚耕平君 今御答弁いただいた内容は、それ、どこかに書いてあるものですか、それとも口頭の御説明だったわけですか。
  9. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたいろんな書面のたぐいは、省令添付書類の中にこういう書面ということが書いてございます。あと、後半に申し上げました検査適正性が確認されたものであるかとかという、そういった内容につきましては、特に省令に書いてあるというわけではございません。
  10. 大塚耕平

    大塚耕平君 そうすると、今全部を正確に聞き取って記憶をしているわけではないんですが、いずれにしても、監査法人やあるいは金融庁検査を受けられて資産査定直近財務諸表において正確になされていることということは、この経営強化計画を受け入れて公的資金注入した先については、その後の例えば金融検査等で違う検査結果が出るということはないという理解でいいですか。それとも、やはり後日、金融検査に入られると、申請時の財務内容あるいは資産内容は、例えば査定が若干甘かったとか、そういうことが判明することもあり得るということですか。それはどちらになりますでしょうか。
  11. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  今の特に検査関係でございますけれども、検査適正性が確認された財務諸表か、あるいは検査内容が適切に反映された財務諸表ベース申請を行うということでございますが、具体的なケースをちょっと考えてみますと、例えば、申請前に直近決算期を対象とする検査が既に行われていまして、当該直近決算期財務諸表適正性検査で確認された上でその財務諸表ベース申請がなされたケース、あるいは直近決算がその直前検査結果を適切に反映している場合にその当該直近決算期財務諸表前提申請がなされたケース、こういったケースについては、いずれにいたしましても検査によって確認された財務諸表に基づいて申請がなされているものというふうに考えられます。  ということでございますので、いずれにしても、直近検査でそういった形で反映をされ、何らかの形で反映をされているということになるかと思います。
  12. 大塚耕平

    大塚耕平君 そうすると、例えば最近の事例で申し上げると、UFJとか足利とか、ある基準時で検査に入られたところ、各銀行自己査定よりも検査結果が厳しいというケースが出てきているわけですので、直近検査をきちっと反映していればというのはそのとおりなんですけれども、例えば直近検査公的資金注入申請する三年前とか、つまり一決算期以上前、二決算期以上前という場合だと、仮にその検査の結果をその直後の決算反映していても、公的資金申請した直近決算が引き続きそういう状況であるかどうかは一概に言えないと一般的には考えられますので、そうすると、直近検査の結果を財務内容反映しているということを担保するためには、例えば過去一年以内に検査に入っていることが事実上公的資金注入申請前提になるとか、あるいは仮に過去一年以上検査に入っていなければ、申請された時点申請を受けるかどうかを判断する前に検査を行うのか、そこはどういうことになるんでしょうか。
  13. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先ほどちょっと私が申し上げた、やや分かりにくかったかもしれませんけれども、直近決算がその直前検査結果に適切に反映している場合にその直近決算期財務諸表前提申請をなされる場合ということですから、一番近い決算でその財務諸表前提申請がなされたケースということでございます。したがいまして、それに当てはまらない場合につきましては、当局でその事実、その申請、あるいはその事実上の予備的な申請を受けて検査を行って直近決算について乖離がないことを確認した上でなければその決算に基づく資本参加の決定は行わないということでございます。
  14. 大塚耕平

    大塚耕平君 非常によく分かりました。  そうすると、とにかく直近検査が行われているか、申請時に検査をしかるべく行って申請を受理するということですね。  そうなると、ここでようやく前回説明をし掛けていて中断された部分に戻るんですけれども、申請を受けてこの経営強化計画を受理するということは、その受理した時点で、言ってみれば申請した銀行監督当局である金融庁も、資産査定も適切であり、そして経営強化計画も現実的なものだということを認定した上でスタートするわけですね、公的資金注入が。  そうすると、仮にその後、計画どおりにいかなかった場合なんですけれども、いかなかった場合は二通りのケースが考えられて、一つは銀行側が真摯にその計画を履行しようとしなかった場合、そして、これは第十条、第十一条辺りに、金融庁監督上必要な措置を命ずることができると書いてあるわけですから、金融庁監督上必要な措置を十分に講ずることができなかった場合、この二つ、ないしはその両方が重なっているケース一般的には考えられるわけなんですね。  そうすると、仮にこの計画が履行できない場合には経営陣交代とか、いろんなことが起きるわけですが、この経営陣交代とかは、去年の東京海上のときに随分議論させていただいた行政手続法上の類型でいくと、これは広い意味での不利益処分に当たるわけであります。  そこで、今申し上げたように、両方が、金融庁銀行が、両方が言わば義務を果たさなかった場合は取りあえずここでは除外して、銀行側が真摯に履行しようとしなかった場合、あるいは金融庁監督上十分な措置を講ずることができなかった場合、いずれにしても何らかの理由経営強化計画どおりに話が進まなくて、どうも経営責任を取らされそうになったときに、どちらの理由でそういう事態になったのかという原因についての挙証責任はどっちにあるんでしょうか。
  15. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) なかなか難しい御質問でございますけれども、仮に経営強化計画がそのとおりにいかなかったとした場合には、当然のことでございますけれども、私ども、まず、いろんなその理由についても報告を求めたりいたし、もちろんいろんなやり取りもするということになるんではないかと思います。したがいまして、その報告の際に、どうしてそういうことが起こるのかということも金融機関の方でいろいろな説明をするということになろうかというふうに思います。
  16. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、ここは実は金融機関皆さんが一番気になるところなんですね。  行政手続法上は、不利益処分を講ずる場合には意見陳述のための手続を取らないとか、いろんな言わば不服申立て手続が書いてありますので、これはこれでちゃんとやっていただきたいと思うんですけれども、その第十二条には、行政庁は、不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の、今回は今議論しているこの金融強化法ですけれども、その法令の定めに従って判断するために必要とされる基準処分基準を定め、これを公にしておくよう努めなければならないと。  実は、まだこれ実際に通ってもいないわけですし、通った後もすぐ申請があるかどうか分かりませんので、すぐには問題にならないと思うんですが、仮に通って実際に申請する銀行が出てきた場合に、計画どおりにうまくいかなかったときに、経営責任を取らされる銀行側からすると、いや、自分たちはまじめにやったんです、しかし金融庁から特に御指導がなかったじゃないですかというふうに言うかもしれないし、あるいは、どういうケースにおいては処分をされるのかという判断基準は、この行政手続法十二条に言う処分基準というのはどこに書いてあるんですかということを当然言いたくなるわけですよね、言いたくなるわけです。  そこをだからより具体的にしていただかないと、また、ここ一、二年何度も議論させていただいているような、皆さんは多分まじめにやっておられるおつもりだと思うんですが、我々、周辺から見ていると、どうも裁量的に過ぎるんではないかというような事態がまた起きるかもしれないなという気がしているものですからこれを伺っているわけであります。したがって、そういう問題を御理解いただくために、この間、実はUFJの話をお伺いし掛けていたわけですね。  そこで、UFJの話に戻るんですけれども、UFJについては、当委員会平野達男委員からの質問を受けて、理事会協議の結果、金融庁から説明資料を出していただきました。出していただいた結果分かったことというのは、どうやら金融庁としては検査結果を、先ほどのお話にもあるように、この法律の考え方にも盛り込まれていますように、検査結果をその直後の決算反映するように言わば御指導された結果、UFJ決算も今回は大変厳しいものになったと。はっきりとはお書きになっておられないですが、そのように言外に言っておられるわけであります。  そこで、UFJの過去の経緯を見てみますと、金融庁は、例えば、これはこの法案の話とかぶせてお伺いしていますので、そういうふうにイメージしていただきたいんですが、UFJに対しては、今回、直近検査の前に、十五年三月期の決算反映させるために、十四年三月期基準で十四年の八月十九日に予告をして、そして八月三十日に立入りを開始し、十四年の十一月十一日に終了をし、検査結果を十五年三月三十一日に相手に通知をし、そして決算反映をしなさいと言ったはずなんだけれども、どうやらUFJは十五年三月期の決算にその数字を、検査結果を十分に反映していなかったと推測されるというつまり御報告内容なわけであります。  一応日銀にも公式に確認をしましたところ、日銀も、実はほぼ同じ時期に、十四年の四月二十二日に考査を開始し、終了が六月四日、検査結果の通知が、これは金融庁より随分早いですが、十四年の七月九日に考査結果を通知していると。それを受けてUFJは十五年三月決算を行っているわけですが、どうもこの十五年三月決算内容が甘かったんではないかと推測をされると。  このケースをこの金融強化法ケースに当てはめますと、十六年三月、今年の三月期の決算は、確かに皆さん検査結果を受けて厳しく対応したわけですが、一年前の決算は、どうやらその一回前の検査結果を十分に反映していなかったと思われるんですね。  そうすると、このケースにおいて、例えばUFJ経営陣が、いやいや、自分たちはちゃんと検査結果を受けて十五年三月決算金融庁提出をして、それを受理してもらっているわけだから、皆さん監督上必要な命令を我々にしなかったじゃないですか、だから十五年三月期決算はそのまま通っているわけですと。この十五年三月期決算内容が今度はまた新しい検査結果で甘いと言われたから、十六年三月期の決算は直すのは嫌ですというふうに言われると、まあ何となくそういう主張にも一理あるかなと思いつつ、しかし、十六年三月期は言われたとおりにしましょうということになると、この十五年三月期の決算が言わば監督当局側から見て必ずしも厳格なものでなかったという事態は、今回の法案の先ほどの問題意識に照らして申し上げると、それは銀行側が真摯にその検査結果を反映しようとしなかったと。  法案内容にかぶせて申し上げると、仮に公的資金申請して、その後だったとすると、経営強化計画どおりにきちっとやろうとしなかったのか、そうではなくて、十四年に金融庁検査に入った、その検査結果をきっちり決算反映するように監督上十分な措置を取っていなかったことによってそういうことになったのか、それはどちらが立証する責任があるんですか。それは、金融庁UFJの間では別に好きにやってもらえばいいんですが、公的資金を将来的に負担する可能性のある国民の側からすると、どっちの責任でそういうことになったのか明らかにしてくれというのが多分国民の声であり、またそれを代弁してここで審議をさせていただいている我々の質問になるわけなんですね。  そこで、ちょっと長くなりましたが、もう一回お伺いをしますが、経営強化計画どおりにうまくいかなかった場合に、その理由銀行側にあるのか監督当局側にあるのか、それを挙証する責任はどちらにあるんでしょうか。
  17. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 大塚委員から非常にたくさんの今御議論、御指摘をいただいたと思いますが、委員が前半御指摘になられました行政手続法十二条において、これは不利益処分について、処分基準を策定、公表することが求められているではないかというお話に関しましては、これはもう我々としては透明性を高めるべくきっちりとやりますということを是非申し上げたいと思います。議員御指摘のような場合も含めて、この法案に基づいて主務大臣が講じることとなる不利益処分についての処分基準を策定して、この法案通過させていただければ、その施行までに公表することとしたいと、是非、そのように私どもは考えております。  それで、後半におっしゃられたUFJ検査、特に十四年三月期と十五年三月期との関係でございますけれども、これは、基本的にはこれは個別の検査内容について申し上げることはできないというのは是非御理解いただけると思いますが、その上で、厳格のものではなかったと推察されると大塚委員何回もおっしゃるわけでございますけれども、これは前回も少し御議論させていただきましたが、決算と、我々としては、十四年三月期には検査を行います、それをまず十五年三月期に反映させてもらう、これはやります。しかし、その後起こった事象については、十四年三月期から十五年三月期までの起こった事象については、これは十五年三月期で改めて検査をするということになります。その間の変化で非常に大きな場合は、これは、その検査結果が大きく違う、決算と違うということはこれはあり得るわけでありますので、それをもって、そこの検査が不十分であったないしは監督が不十分であったと推察されるというふうに一概におっしゃられると、我々もちょっと困るわけでございます。  どういう場合に差が生じ得るかという一般論についてはこれまでも私も局長も答弁をさせていただいているというふうに思いますが、我々としては、そうした問題に関しては検査はしっかりと行っておりますし、それらに必要な監督も行っている。改めて検査を行って、その乖離がある場合には、意見申出の制度等もあって、委員おっしゃるように、いや、ちゃんと監督していないじゃないか、そういう指摘は受けていないぞというような先方の申出があれば、それはそれで我々としてもきちっと対処をすることになっているわけでありますので、これはあくまでも当事者間の話だと、自分たちには分からないぞという御指摘はその中に含まれているのだと思いますが、ここは、個別の検査監督についてはやはり申し上げられないことが多々ある、この点を是非御承知おきいただいて、その間に格差が生じた可能性については、事後発生事象においていろんなことがあり得るんだということを御理解賜りたいと思います。
  18. 大塚耕平

    大塚耕平君 一般論としては分かりますが、その推察ないしは推測するに足る様々な材料がある折には、やっぱりそこは竹中大臣らしく、ああ、なるほど、さすが論理的にそういうふうに説明されるともうぐうの音も出ないなというふうにしていただきたいわけでありますが。  今のお話を仮に踏まえた上でもやはり疑問がわいてきますのは、その十四年の検査から十五年の検査までの間は、これはどちらかというと株価も景気も回復局面にあって、そういう中で、十四年の検査反映した十五年三月期の決算の後に起きた事情によって事態がここまで大きく悪化したというのは、マクロの経済環境と照らしてみると余り論理的にすっとのみ込める状況じゃないわけですね。そこで、その間に起きたのが、起きたと言われているのが検査忌避資料隠しの問題なわけであります。  これを重ね合わせてみると、仮に、十五年三月期の決算、あるいはその前の十四年の皆さん検査のときに正確な資料融資先財務状況説明していなかったというふうに仮定をすると、今申し上げた様々な事象が非常に合理的にうまくジグソーパズルのようにはまってくるわけでありまして、ここで私結論を出そうというつもりもないですし、また出せるとも思っておりませんので、是非大臣及び金融庁にお願いをしたいのは、大変、私などは公的資金は当然必要だと思っているわけですが、しかし一般国民皆さん公的資金を入れることに対して大変感情的な、何といいますか、不快感も持っておられますので、できるだけそういう感覚を国民皆さんに持っていただかないようにすることが、結果として円滑に公的資金を入れ、そして金融を再生できる近道でありますので、例えばUFJに関して今申し上げましたような様々な事象国民皆さんが、ああ、なるほど、そういうことだったのねと納得のできるような説明と、そしてそれが多少でも事実であればきちっとした対応をしていただかないと、相変わらず不透明だといって皆さんがまじめにやっておられる仕事が評価されない事態が続くということを申し上げたいわけでありますので、最後に、大臣の御感想と、UFJ問題に関してはしっかりと対応するという決意をお伺いして、終わりにさせていただきます。
  19. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 委員から御指摘いただきましたように、しっかりとした説明責任を果たさなければいけない、これはもう本当に大事なことだと思っております。個別の問題について言及できないこともございますが、そうではない範囲については、これは我々全力を挙げてしっかりとした説明をさせていただくように、今の御指摘を受けて努力をしたいと思います。  一点、十四年三月から十五年三月までは経済が良くなる中でという御指摘でございましたが、マクロ的にはその御指摘は否定いたしませんが、実は株価は十五年の四月が底でございます。そうした中で二極分化が起こっていたということも事実だと思います。これはあくまで個別の債務者の分類とか引き当ての話等々でございますので、やはりそういう背景はあったということも御理解賜りたく存じます。
  20. 大塚耕平

    大塚耕平君 終わります。
  21. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  このたびの金融二法について若干の御議論をさせていただきたいと思います。  まず初めに、この制度、この法律が今なぜ必要かという基本的な議論でありますが、金融はどこまで健全化されてきているのか、その実態認識とそれに対応すべき政策、制度の在り方というものが重要なテーマだと思います。  確かに、大手行決算を見る限りでは、不良債権比率は低下してきておりまして、良くなってきていると評価していいんだろうと思います。しかしながら、その本業の実質業務純益というものは余り変わっておりません。また、最近の株価の上昇などによる財務内容が改善されたという面がプラスに寄与しているというところもあると思います。そんなところから、まだまだリスクを積極的に取って融資を行うという状況にはなり切っていないというふうに思います。  また、景気回復は都市が中心でありまして、地域との格差というものはむしろ広がっているのではないかとも思われます。最近、地銀の不良債権処理の結果が公表されましたが、これにもやはりその格差というものは表れているように思われます。そんな中で、地方銀行の中にも苦しいところはあるようでありますし、また信金、信組も同様であると思われます。  そして、来年、ペイオフの全面解禁を控えておりますところから、その影響というものも視野に入れておく必要があると思うわけであります。  いずれにいたしましても、地域の金融機関の健全性強化等を図るこの法律の制定、これは今国会において何としても成立をさせ、予防注入も含めた公的資金の資本注入の仕組みを作ることが重要であると考えます。  そこで、伺いますが、地域金融機関を含めた金融機能の健全性という点において大臣は現在どのような状況と認識しておられますでしょうか、併せてこの法律の意義についてもお伺いしたいと思います。
  22. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 山口委員の御指摘、大変重要な御指摘をいただいたと思っております。  今、景気は全体として回復を続けておりますが、その中で、やはりこれまでの回復局面とは違った一つの特徴として、委員指摘のような地域格差がそれでも広がっているという点がございます。正に我々政策を担当する立場から言いますと、マクロから地域へと、大企業から中小企業へと、そこの流れをどのように作っていくかということがこの構造改革を進める上で最大の今ポイントになっているというふうに認識をしております。  金融機関の健全性をどう認識するかという御質問でございましたけれども、直近財務内容に関して申し上げますと、足利銀行を除いてすべての金融機関財務の健全性の基準を満たしている、その意味で今の時点で健全性に大きな問題があるということではございません。  しかしながら、この法律の意義に関連して申し上げますと、やはり地域での金融の機能の強化というのが今日の経済環境にとって大変重要になっている、そうした中で、経営改革を行って、さらに、地域の金融機能強化できる金融機関について、それをあと一歩後押しして、リスクをしっかりと先取りして一層の円滑化を図る、地域の金融が更に安心感を持って行えるようにするということが大変政策上大きな意味を持っていると考えるわけでございます。  以上、申し上げたような点が今回の法案を作成させていただいた一つの重要な背景でございます。
  23. 山口那津男

    山口那津男君 念のため伺っておきますけれども、ペイオフの全面解禁、これを不安なく乗り切るというためには、その解禁までに地域金融機関の健全化を達成しておくということが必要であると考えます。このたびの法律による予防的注入のスキームを作るということは、その意味でも大変重要な意義を持つものと考えるわけであります。  このペイオフ解禁について、様々な意見もある中で、基本的な認識を改めて伺いたいと思います。
  24. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ペイオフというのは、言うまでもございませんですけれども、預金保険に一定の限度を設けることによって預金者がしっかりと銀行を選別する、銀行の経営者はそうしたいい意味での緊張感の中でしっかりとした経営を行っていく、そういう状況を作り出すということに非常に大きな意味がございます。日本もかつてはそういったペイオフの制度をきちっと機能させておりました。九〇年代の半ば、後半以降、これが一時中断をされておりますけれども、これを元に戻すということは大変重要なことであるというふうに思います。  今回の法案は直接ペイオフと関係付けられるものでは必ずしもございませんですけれども、やはり地域の金融機関がしっかりとした基盤を持って運営されていくということ、正にその中で機能の強化がなされていくということは大変重要なことであると考えます。  総理御自身、ペイオフをしっかりと予定どおり解禁するということを国会でもお話をされました。我々もその覚悟でしっかりと対応を取っていきたいというふうに思っております。そのためには、周知徹底、また名寄せ等の準備、様々なことをしなければいけません。そういう対応もしっかりと行っていくつもりでございます。
  25. 山口那津男

    山口那津男君 風評リスクというものについてちょっとお伺いしたいと思います。  リレーションシップバンキング機能の強化について、先日策定された監督指針の徹底、運用等を通じて金融システムの安定化を図っていくべきことはもちろんであります。しかしながら、ペイオフとの関連等で風評リスクという厄介な問題が今なお存在するようにも思われます。歴史上、幾つか経験したことはあるわけでありますが、今日のように情報量においても、また伝達手段においてもはるかに高度化した社会にあっても、やはり近年、このような風評による混乱というものが生じたわけであります。  これらを防止するという意味でも、金融庁としてどのような対策を考えておられるか、お伺いしておきたいと思います。
  26. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 風評リスクについてお尋ねをいただいたわけでありますが、金融庁といたしましては各金融機関が風評リスクに備えて的確な体制を構築することが重要であるというふうに考えておりまして、昨年十二月に九州地域で風評被害が発生をいたしました。その際、直ちに所管の金融機関に対して、風評被害に対する危機管理体制の再検討を要請をする旨の事務連絡文書を発出したところでございます。  また、先ほど山口委員から御紹介がございました、先般、五月三十一日に策定、公表を行った中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針におきましても、風評に関する危機管理体制を監督上の評価項目に位置付けまして、風評リスクへの対応にかかわる体制、風評発生時の本店各部及び営業店の対応方法等が整備されているかどうか、風評が伝達される媒体、例えばインターネット等に応じて定期的に風評のチェックを行っているかどうか、風評が預金の払出しに結び付いた場合の対応方法について、顧客対応や現金輸送等に関する規定を設けているかどうかなどについての着眼点を示しているところでございます。  金融庁といたしましては、引き続き各金融機関の風評リスクに対する的確な対応を促していくとともに、日本銀行等々の関係機関とも連携を図りながら金融システムの安定に万全を期してまいりたいと考えております。
  27. 山口那津男

    山口那津男君 この問題は、今、国の対応ということで危機管理あるいは緊急事態への対処ということが議論されているわけでありますが、ある意味で似たような側面もあるわけであります。  これは金融機関の個別の対応だけでは到底なし得ないことでありまして、やっぱり関連との連係プレーといいますか、そういうことが日ごろから対処できるような経験というものが必要であろうと思うんですね。災害対応でありますとか武力事態対処については訓練というものが想定されているわけでありますけれども、やはりマニュアルを作るというだけではなくて、こういった対応についてある程度の対処訓練といいますか、経験を重ねるということも必要であろうと思っておりますので、是非その対応を更に検討していただきたいと思います。  さて次に、健全化をどう評価していくかということについて伺います。  地域金融機関は、正に地域の企業などの情報等を踏まえてリレーションシップバンキング機能を強めていくということが大事であります。不良債権比率が低くなるということは望ましいことではありますけれども、単純にこの比率が高いということだけで健全性を判断することはむしろ危険とも言っていいかと思います。不良債権比率が高いから融資は駄目だということにももちろんならないわけでありまして、主要行に対して、金融再生プログラムでは、この不良債権比率の低下という一つの旗印の下にこれへ追い込んでいったという経過がありましたけれども、地域金融機関に対してはそのようなことはむしろ避けるべきである、もっと広い視野で臨むべきであると、こう考えるわけでありますが、基本的な評価の在り方について伺いたいと思います。
  28. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 不良債権比率に関しまして御指摘の点、主要行を対象としました金融再生プログラムと、地域銀行、中小銀行を対象としましたいわゆるリレーションシップバンキングの間には我々も明確な考え方の相違を置いております。  これは、大手行というのはやはり世界のマーケットから見られているわけでありますし、日本の経済、特に金融の中核を担うものでございますから、ここはやはりしっかりと不良債権を削減していってもらわないと経済が前へ行けない、そういう思いで不良債権比率の半減というのをこの金融再生プログラムで掲げました。  しかしながら、地域金融機関に関しては、これはもうやはり取引関係そのものが違っている。地域金融機関に関して重要なのは地元の企業をしっかりと再生させることであって、その再生の中で自らの財務基盤も強くしていっていただく、正にそうした意味でのリレーションシップバンキングの手法、その中には一律のやはり不良債権比率削減の目標を求めるべきではないという考え方を我々もしっかりと持っているわけでございます。こうした一律のやはり目標を求めるべきでないというのは今後とも私は重要であるというふうに思っています。  また、これはオフバランス化するかどうか、つまり直接償却、間接償却かということについても、私はやはり実情に合った対応を取っていただくということだと思っております。このリレーションシップバンキングのこのプログラムにおきましては、直接償却だけではなくて間接償却、つまり引き当ても重視した考え方を取っているところでございまして、いずれにしても、各金融機関に対しまして適切な、実情に合った自己査定及び償却、引き当てを行うように要請しているところでございます。  こうしたことを通して、地元との、企業との共生を通して地域の利用者から十分な信認が得られていくように、引き続き我々としてもこのリレーションシップバンキングの枠組みの中で努力をしていきたいと考えております。
  29. 山口那津男

    山口那津男君 中小企業の再生に向けた機能強化について伺いたいと思います。  地域金融機関の役目は、地域の産業の再生、育成等も課せられているものと思われます。今後、地域版の産業再生を進めていくことは重要なことでありまして、その趣旨からは中小企業地域再生協議会の強化というようなことも重要であると思います。  この産業再生そのものが所管ではないにいたしましても、金融庁として、その産業再生に大きな役割を果たす地域金融機関の在り方、これについてどのような取組を行おうとされるか、これについて伺いたいと思います。
  30. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今、山口委員から、地域金融機関の役割として地域版の産業再生を進めていくことが重要だと御指摘がございました。  現在、中小・地域金融機関につきましては、リレーションシップバンキングのアクションプログラムに基づきまして、平成十六年度までの集中改善期間に中小企業の再生と地域経済の活性化を図るための各種の取組を進めていただいているところでございますが、同プログラムにおきましては、地域の中小企業を対象といたしまして早期事業再生に向けた積極的取組を促進することといたしており、各金融機関に対しましては、企業再生ファンド、RCCの信託機能、そして産業再生機構や中小企業再生支援協議会の活用等を要請をいたしているところでございます。  特に、御指摘の企業再生ファンドにつきましては、政府系金融機関あるいは地方公共団体との連携を図りつつ、企業再生ファンドの組成について検討するよう要請を行っておりまして、各地において積極的な取組が見られているところでございます。  金融庁といたしましては、今後とも引き続きリレーションシップバンキングの機能強化を図り、そして中小・地域金融機関が中小企業の再生と地域経済の活性化に一層寄与していくことを強く期待しているところでございます。
  31. 山口那津男

    山口那津男君 この中小企業に対する金融については、従来、不動産担保融資に偏重していたという反省もありまして、近年、それ以外の融資の道を徐々に広げてきているという経過があると思います。例えば、無担保無保証の制度、またその枠を広げる、こういうことも行われておりますし、あるいは売り掛け債権担保融資を保証する制度、あるいは一部を証券化してこれを担保利用する制度等々、いろんな試みがなされているわけであります。  これらの不動産担保によらない融資の道、これからの方向性、これまでの評価等について御見解を伺いたいと思います。
  32. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 大変重要な御指摘をいただいたところでございますが、不動産担保や個人保証に過度に依存せずに、与信先の事業計画あるいは財務状況、返済財源等を的確に把握をして、そしてその信用リスクに応じた金利設定を行って適切な融資を行うことは重要なことであると私ども考えているところでございます。  こうしたことから、金融庁といたしましては、各金融機関に対しまして、不動産担保あるいは個人保証に過度に依存しない新たな融資制度への取組を繰り返し要請をしているところでございますし、さらに、昨年三月に公表いたしました、先ほど御紹介をさせていただいたリレーションシップバンキングのアクションプログラムにおいてもそのような取組を推進をいたしているところでございます。  このような取組の結果といたしまして、リレーションシップバンキングの機能強化計画提出した約八割の金融機関が、ローンレビューの徹底や、あるいはスコアリングモデルの活用により、不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資を促進することといたしておりまして、また主要行におきましても、四大グループのすべてが中小企業向けのスピード審査による無担保、第三者保証不要の新たな融資商品を開発をして、そして各商品での貸出しを拡大するなど、新たな動きが出てきているところでございます。  今後とも、不動産担保、個人保証に過度に依存しない新たな融資制度に対する金融機関の取組を私どもとしては促してまいりたいと考えております。
  33. 山口那津男

    山口那津男君 今のお話の中で、もう一つの道として動産の担保利用、これをもっと拡大するということも一つの道だろうと思います。部分的には今までも動産の担保利用というのはあったわけでありますけれども、しかしこの一つの難点というものは、担保設定が公示されていない、必ずしもそういう制度が整備されていないところから、ここにスムーズに融資の手が伸びないということもあったわけであります。  これら動産担保利用を進めるということの環境整備をするために不動産と同じような、あるいは従来ある公示制度、これをモデルにした新たな公示制度、幅広いものを模索していくべきであると私は思うわけでありますけれども、これについて、法務省来ておられますか、基本的な御見解を伺いたいと思います。
  34. 深山卓也

    政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、中小企業の資金調達を円滑化するためには、従来から行われている不動産担保による融資以外の動産担保を利用した融資を活用する必要性があると認識しております。  このような観点から、法務省では、企業の所有する在庫商品などの動産を利用した資金調達を促進するために、昨年十月から法制審議会動産・債権担保法制部会において、動産を譲渡担保に供したことを登記によって公示する制度の導入について検討を開始しております。本年二月には、それまでの議論を要綱中間試案の形で取りまとめまして、これについてのパブリックコメント手続も行ったところであります。現在は、同審議会において、パブリックコメントで寄せられた各界からの意見を踏まえて、要綱案の策定に向けた詰めの検討作業を行っているところです。  今後のことですけれども、本年秋にはこの結論を取りまとめて、できる限り早期に関係法案を国会に提出することができるよう検討を進めてまいりたいと思っております。
  35. 山口那津男

    山口那津男君 今いろいろと御議論のありました不動産担保によらない融資の道を広げるということと、また一方で、この人的保証の中で包括根保証というのがよく使われているわけでありますが、これによって生まれる悲劇というものもあるわけであります。この包括根保証がいささか乱用ぎみであるというところから、これを一定限度、限界を画する、そういう制度を作るということも考えるべきではないかと思っておりますが、この点はまた改めて御議論をさせていただきたいと思います。  次に、このたびの法律が成立しますと、政令において具体的なスキームを検討していくこととなると思いますが、その中で、地域金融機関、特に協同組織金融機関にとって使い勝手が悪くなるのではないかと、こういう懸念も表明されているわけであります。この使い勝手という意味で、政令に任された範囲でどのような検討をなされているか、どのような方針で臨まれるか、これについて御答弁をいただきたいと思います。
  36. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  この新しい公的資金制度でございますけれども、金融機関の選別に必要な審査基準等につきましては、法令等、法律、政令、省令あるいはガイドラインも含めまして、可能な限り明確化することが重要であるというふうに考えております。  具体的には、例えば経営強化計画に記載を求めます経営の改善の目標につきましては、収益性につきましてはコア業務純益、ROA、効率性につきましては経費率、その他の数値目標としては不良債権の処理に関する数値目標を求めることを今考えております。  更にもうちょっと具体的に申し上げますと、収益性の向上につきましては、今のコア業務純益、ROAの向上幅が、同一業態のうちコア業務純益、ROAの向上幅が比較的上位にある金融機関のコア業務純益、ROAの向上幅を上回ること、さらに、業務の効率性につきましては、経費率が直近の事業年度の水準を下回ること、さらに、不良債権の処理につきましては、国の資本参加後、不良債権処理が進展することを求めることを考えております。  ただ、今の不良債権の処理につきましては、先ほど委員からの御指摘もございましたが、特に地域金融機関につきましては、不良債権比率の水準にばらつきが大きいために、一律の基準を設けるというのは適当でないというふうに考えておりまして、これにつきましては、数値目標の最低基準として、少なくとも資本参加時の不良債権比率よりは減少させることといったような内容を考えております。  また、数値目標が達成されない場合における経営責任の明確化に関する事項につきましては、代表権のある役員の退任が図られることを基準として定めるといったことも考えております。  いずれにいたしましても、できるだけ基準を明確化をして分かりやすく書くということが大事だと思っておりまして、そういった形で制度の的確な運用が図られるように、その一方で、法案内容の周知にも努力をしなければいけないというふうに考えております。
  37. 山口那津男

    山口那津男君 是非、使われる制度として仕組まれるように御期待したいと思います。  次に、中小企業に対する融資を健全化していくための方策としていろいろな意見があるわけでありますけれども、一つは、金融機関の持っている情報をもっともっと活用すべきであるということが挙げられると思います。その一方で、中小企業自身の持つ情報というものが必ずしも透明的に開示されていないという現状もあろうかと思います。人的要素に頼るばかりでも健全性は確保されないとも思うわけであります。  この中小企業の情報開示を強化する、促進するということが必要だろうと思いますが、中小企業の側にとってはそれが必ずしもその能力が伴わないという面もあるでしょうし、どのような基準でこれを開示させるべきか、これは大企業とは全く違う視点が必要だろうとも思われるわけであります。その点で、今どのようなお考えかをお伺いしておきたいと思います。
  38. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 中小企業のディスクロージャーについて御指摘をいただきました。これはともすればなかなか目立ちにくい問題ではありますが、実は大変重要な問題であるというふうに我々も認識をしております。  言うまでもありませんけれども、これ、上場企業については証取法でそのディスクロージャーがかなり詳しく規定されている。中小企業のじゃディスクロージャーについてはということになりますと、これは商法と法務省令の規定にのっとって行われているということになります。その意味で、ややちょっと形式的なことを申し上げれば、この中小企業のディスクロージャー制度については、まずは法務省、中小企業庁において検討がなされている問題だと考えております。  ただ、その上で、我々の立場で一般的なことを申し上げますと、中小企業の会計の質を向上させる、それによって資金調達が円滑化されるという意味では、これはもちろん金融機関にとっては大変有り難いことでありますが、何よりもこれは中小企業のためになるという面が非常に強いと思います。  昨年十二月に、これ金融庁も参加しております産業金融機能強化関係閣僚会議というのがあるんですが、そこで経済活性化のための産業金融機能強化策を取りまとめております。これによりますと、中小企業の決算書類の信用力強化、信用力を高める、それと財務情報の開示を促進しまして、そうすることによって、担保や保証に過度に依存しない、リスクに見合った融資条件の下での資金調達を円滑化していく。また、こうした観点から、中小企業関係団体の指導を通じた中小企業の財務情報の開示を促進して、中小企業の会計をチェックするサービス等の発展等の施策に取り組むということを我々も考えているところでございます。  具体的には、税理士の団体のようなところが一緒になって財務諸表を作ると。そうしたものについては、金融機関もそれなりのしっかりとした位置付けを与えて、更に融資情報として活用していくという、そういう仕組みが今できつつあると承知をしております。  こうした取組を進めることによりまして、結果的に中小企業の会計の質が向上して、この中小企業の資金調達の一層の円滑化が図られるということを我々も期待をしているところでございます。
  39. 山口那津男

    山口那津男君 比較的簡明で信頼性のある制度を作られることを望みまして、私の質問を終わります。
  40. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。  今日は、九四年末に二つの信用組合が破綻して以降ほぼ十年になるんですが、その間にやられてまいりました不良債権処理問題等々、どういう結果だったのかということについて論じてみたいと思っておるんですが、そういった全体的な問題よりも、囲碁の格言に言います、大場より急場ということがあります。急場の問題からやらせていただきたいというふうに思うんです。  先日、骨太方針第四弾、出されました。前回竹中さんに私伺って、リレーションシップバンキングってどう訳すんだということを伺ったんですが、今度、骨太方針で間柄重視の地域密着型金融というふうに簡明に翻訳されました。大体これでよく、大体分かるなという感じになっておりますが、この地域金融問題に関しては、一つ、これは政府への注文じゃなしに、院の問題として申し上げておきたいと思うんですが、私どもは、一昨年春以来、地域金融活性化法案提出してきました。地域経済の発展にとって地域金融が極めて重大であるということは言うをまちません。そういった点で提案してまいりましたけれども、今国会におきましてもまだつるされたままになっておるわけですね。少なくとも、こういった法案審議する際には、私どもの法案も同時に下ろして審議するのがフェアじゃないかなと。いまだにつるされておるということについては遺憾の意を表しておきたいというふうに思います。  さて、それでまずリレーションシップバンキングということなんですが、一般論としてまずお聞きしたいんですけれども、この間柄重視ということになってまいりますと、過去、当該金融機関の、地域金融機関の発展に大いに貢献したとか、お父さんが貢献したとか、家族が貢献したとか、あるいは非常に有力な政治家であって今後の発展に働いてもらえるであろうとか、そういったことをも加味して融資するというのもリレーションシップバンキングの内容の一つとしてなるんでしょうか。これは極めて一般論として伺います。
  41. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 間柄重視の地域密着型金融という表現を御紹介くださいましてありがとうございます。是非こういう概念を我々もしっかりと皆様に周知徹底するようにしたいと思っております。  その上で、この間柄重視というのは決してもたれ合いということを意味するわけではございません。それはフェアな金融を害するものでございます。我々がこの言葉に込めておりますのは、定量的な情報だけではなくて、定性的な情報も重視をして、それぞれの実態に合った判断をしていただきたいと、そういう趣旨でございます。決してもたれ合いということになってはいけないと思います。
  42. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 正にそのとおりだと思います。本当に情実融資なんてのは間柄重視の融資じゃないということは、これはもう言うをまたないと思うんですね。  そこで、私は、先日、我が党が先週発表した倉田議長に対する融資の問題についてひとつ今日は伺いたいというふうに思うんです。  既に内容については詳しく発表いたしましたので余り繰り返しませんけれども、一応今日の議論前提として簡単なことだけを御紹介したいと思いますが、私たちは、二〇〇一年十二月付け時点でのいわゆる東京ベイ信用金庫の預金担保照会票とか、あるいは担保総合照会票というのを入手いたしました。それを明らかにしまして、倉田議長が八三年八月六日から八四年十二月二十五日にかけて松戸信用金庫から計六回手形貸付けという形で四億六千八百万円の融資を受けたということがあります。これは自宅を担保にして借りられたので、その借りたことについてとやかく言うものではありません。  問題は、この四億五千万円を借りて、そしていまだにずっと借りたままになっておりまして、現在四億五千九十万円、二〇〇一年十二月時点で四億五千九十万円という形に貸出残高がなっておるんですね。未収利息、約定利息と延滞利息を合わせますと八億円になっております。合計十二億五千万円の負債が存在すると、この時点で。そういうものなんですね。  問題は、これが資産公開されていないと。議長の借財は一億六千万円という形になっておりまして、この四億六千八百万円は記載されていないんですね。これが記載されていないということについては、これはすぐれて倉田議長の個人の問題でもあるし、それはこの参議院の政治倫理綱領にもとる問題であります。ですから、私たちは議院運営委員会で何度もこの問題を取り上げてまいりました。  しかしながら、なぜこれ取り上げてきたかといいますと、これはもう御承知のとおり、政治倫理綱領では、一項目だけ挙げますけれども、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」となっていますから、議長はこれを明らかにするようにしましょうということで議運で取り上げてまいりましたが、いまだにその返事がない。そして、昨日の議院運営委員会でもまた我々取り上げましたけれども、いまだに返事がない、こういう状況にあります。  これは、資産公開法に基づいてなされておる資産公開にこの記載がないということは虚偽の報告だと言わざるを得ないわけですけれども、この問題そのものは倉田議長の政治家としての資質の問題ということになりますから、これがどうかということについては私ここでは問いません。要するに、借りた側が金を返さないということをどうかということではなしに、もう返す意思もないような人に金を貸し続ける金融機関の在り方の問題について今日伺いたいというふうに思うんです。  これは、記録を見ますと、六回に分けて借りて、その一つ一つについて毎月二十万円ずつ返済しているんですね。ですから、年間百二十万円返済しています。しかし、先ほど言いましたように、約定金利がどうだったかということを見ますと、約定金利が七・七五%なんですね。延滞金利は一四%というふうに記載がありますから、それから考えましても約定金利分も年間返済していないということになります。  そういったことがなぜなされているかといいますと、毎月毎月返済する、幾らかの返済をするということは、返済する意思があるよということの一応表明だと言えます。言えますが、しかし、約定金利分にも満たないようなそういう返済の仕方、これはもうどんどこどんどこ負債が重なっていきますね。そういう返済の仕方をずっと続けることが、一般論でいいですよ、金融機関の在り方として許されるのかどうか。  金融庁は、例えば監督局は、こういった金の貸し方をしているということについては、これは放置するんでしょうか、一般的に。
  43. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 一般的なお話ということでございますので、そういった視点で申し上げます。  金融機関、融資をいたしまして、その後の融資管理というのは非常に重要なものでございますけれども、この融資管理におきまして、債務者財務の実態、業況、あるいは貸出し条件が今おっしゃいましたようにどういうふうに守られているかといったような点、あるいは資金使途を確認をしていく、こういったことから債務者の実情を適切に管理を、実態を把握して管理していくということが重要でございます。  約定どおりの返済が行われていないというケース、こういうケースももちろん銀行の貸出しには間々起こり得るわけでございます。こうした場合には、債権の状況に応じた管理というものが行われているかどうか、これが金融監督としては関心のあるところでございまして、例えば、そうした債務者に対する債権、自己査定をいたします際に、その返済状況前提にした上で、どうしてそういう返済状況になったその原因ですね、こういったようなことを把握する、そして将来のその債務の解消の見込みというのはどういうことになっているか、こういった点についての実態把握をしていく、こういうことが行われているかどうかというのは、まず当局としては確認をする必要がございます。  それから、そういった実態を踏まえまして、行内の基準あるいは検査マニュアルや公認会計士協会の実務指針などに照らしまして、その実態に応じた適切な債務者区分が行われているかどうか、これを確認する必要がございますのと、その債務者区分に応じてふさわしい償却あるいは引き当てといった措置が実施されているかどうか、こういう点を確認をしてまいります。  こうしたような自己査定を適切に実施していくための総体的なリスク管理体制というものができているかどうか、これを確認をいたしまして、問題があるということでありますればこれを指摘をしていくということになります。  ただ、個々の債権をどういう形で保有を続けるのか、あるいは債権を保有をしないという決断をするのか、これはやはり経営判断の問題になります。私どもは、そういう債権を保有しているのであれば、その債権の実態にふさわしいリスク管理を行って、経営の健全性というものを確保する形になっているかどうか、ここをチェックをしていくと、こういうことになります。
  44. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 債権回収の可能性等々について十分チェックするというお話でしたが、一つだけ伺いますが、地位もあり名誉もあり、いい加減なことをしないだろうということも考えられるけれども、問題は、その借りた金を返す意思があるかどうかということについての判断については、それはどういう位置付けになりますか。
  45. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 債権回収というのは金融機関業務のもう一つ重要な側面でございますから、返済の意思、能力といったものがあるのかどうかというのは、途中の債権管理のみならず、最初の与信決定の場面でも極めて重要な要素でございます。その点はきちんと確認をしているかどうかというのもリスク管理の大事な要素でございます。
  46. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 申し上げましたように、これ毎月二十万円ずつ返している、しかしこれは約定金利の利息にも満たない額だということなんですね。そして、公開されております資産公開、政治家の場合はそれがあります。それを見ますと、我が信用金庫が貸した金、記載されていない。もうこれ公開されているから、見れば分かるわけです。ということは、月々返済して返す意思あるよという形で形は整えているけれども、実際上は本人は借りた意思がないと。借りた意思がない以上、返す意思なんかあるはずがないわけです。  こういうことがはっきりと見て取れるにもかかわらず債権として抱き続けていくことは、その金融機関の、その金融機関の判断なんだと、そういうふうな形で許すことができるんですか。
  47. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 一般論で申し上げますが、返済の能力もあるいは意思もないということが明らかであるという、財務実態もそうであるし債務者の考え方もそうであるというような場合というのは、適切な債務者区分を行いまして、その債務者区分に沿った引き当て措置を取るか、あるいは償却という形を取って、その上で回収の極大化を何らかの形で図っていくか、リスク管理上はそこをきちんとしているかどうかが金融機関経営として重要なことだということになります。
  48. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 松戸信用金庫は二〇〇一年に東京ベイ信用金庫に吸収合併されました。  で、伺いたいんですが、検査局、この東京ベイ信用金庫については定期検査等、いつ、何回やっておりますか。
  49. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 過去十年ということでお答えをさせていただきますけれども、直近は、東京ベイ信用金庫になってからでございますけれども、平成十三年三月期を対象といたしまして平成十三年の十一月に立入りを行っております。  その前でございますけれども、これは松戸信用金庫の時代でございますが、平成十一年三月期の決算を対象といたしまして平成十一年八月に立入りを行っております。  その前でございますけれども、松戸信用金庫に対しまして、検査基準日八月、平成八年の八月二十日、立入り開始が八月二十一日ということでやっております。  さらに、その前でございますけれども、平成六年八月二十二日を基準日といたしまして、同じく八月二十三日に立入りを行っております。
  50. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 最初に言われました平成十三年十一月に予告をして、二十七日から立入り開始したということですね。私どもが発表したのは正に平成十三年の十二月の諸表なんです。そうすると、ちょうど立入りした時期なんですね。その時期に倉田議長のこういった問題についてチェックして、先ほど監督局長言われたような、どう見たって、返済能力は知りませんよ、能力は知りませんが、返済意思がないということについては、どう見たって、だれが見たって明らかな融資をそのまま放置してきたということが言えるんじゃないでしょうかね。金融庁、その責任は重大じゃありませんか。  これは、確かに、十二億や十四億といえば、大口融資ではないかもしれませんが、小口融資じゃないですよね、少なくとも。かなりの額の融資じゃありませんか、個別案件としては。どうです。
  51. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 金融機関の業態とかあるいはその持っている特性に応じてということですから一概に大きい小さいというのは言えませんが、協同組織金融機関で貸付けを行う場合の貸付規模として小さなものではないと思います。私どもが例えば検査の際に、俗に足切りと言いますが、そういったようなことをやるような基準から見れば、これは明らかにその足切りにはならない金額でございます。
  52. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 もう事ははっきりしていると思います。借りた意思、借りた金ですね、返す意思がない、だから借りた金として報告していない。しかし、実際は借りている、どんどこどんどこ積み上がっていく。これは、私は、少なくともこういったことが明らかに指摘された以上、協同組織金融機関ですから、下手したらこれが命取りになるようなことだってあるんですよ。松戸信用金庫の場合はこれが一つの問題になったと私は思います。  大体、十二億の金あれば、あの松戸の狭い地域で中小企業の皆さんにその十二億を基礎とした融資というのは相当な規模でできるんですよね。その分、松戸地域の中小企業の皆さんに迷惑を掛けている、こういうことでもあるわけですから、地域経済の発展だとかリレーションシップバンキング発展だとか言うのであれば、こういった具体的な事実については直ちに検査すべきじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
  53. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 個別の検査内容、個別の監督内容についてはお話しする立場ではないということを御理解賜りたいと思います。  その上で、これはもう先ほどから両局長から答弁をさせていただいておりますとおり、それぞれの立場からしっかりとした信用リスクの管理、リスク管理は、これは金融機関として行っていただかなければいけない。  そのリスク管理がどのようになっているかということの検査はしっかりと行っておりますし、それに対応した監督、これまたしっかりと行っているところでございます。返済の意思、能力、それを踏まえて、ないしは資金の使途、返済の財源、返済の方法等、そういうものはしっかりとそれぞれの立場で見ているというふうに承知をしております。そうしたリスク管理は、我々としてはしっかりと、どこの金融機関においてもしっかりと見ているということを是非御理解いただきたいと思います。
  54. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 どこの銀行でもしっかりと見ているということで、言外にという、酌んでくれという気持ちならばそれはそれでいいんですが、しかしこの問題、大変なんですよ。  政治家ならこんなこと許されるのかという気持ちは国民の中にあるんです。そうでしょう、普通ならこんな金の借り方したら絶対許されないですよ。あの激しい貸し渋り、貸しはがしを平気でこれはくぐり抜けてきているんです。政治家にはこんなことが許されるのかと国民が考えれば、これはもうどんどこどんどこモラルハザードが起きてきますよね。そういったことを考えれば、これは小さな問題でないということ、金を貸した側の倫理、しっかりとさせるべきだというふうに思うんです。  というのも、この問題、結局は院で、借りた側がはっきりさせない。貸した側で、金融庁はどうかと。検査機関にこういうことがはっきりと見えたにもかかわらず逃してきたと。とうとう最後の行政チェックする機関である財政金融委員会、この国会においてもそれがきちんとただされないとすれば、これはもう国民、救われないです。  最後のところで私はこれを指摘しているわけですから、竹中大臣、きちんと指導をして、やっぱり国民から疑惑を持たれないような解決策ということを図っていただきたいということを強く要求しておきたいと思います。  それじゃ、法案のことについて入っていくわけですけれども、リレーションシップバンキングのアクションプログラムというのが昨年以来ずっとやられてきておりますですね。機能強化計画というのがやられてきたわけです。これが今回の法案ではこれを更に延長していくような形としてとらえていいんじゃないかなと私は思っておるんですけれども。今までの銀行の健全化というのはほぼ主要行に対してやられてまいりました。いよいよ地域金融機関という形に入ってくるわけなんですけれども、この地域金融機関に関しては、一昨年、金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法というものが制定されました。ここでも審議されました。この一昨年に続いて今度の法律が出されるわけですけれども、この違いですね。  その前に、まず、じゃ、この組織再編特別措置法というのは何のために、何をするために、何を目的として決められたのか、これ簡単にお話しいただきたいと思います。
  55. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  現行の組織再編成促進特措法でございますが、これは、金融機関の組織再編成には様々な手続を踏む必要がある、あるいは組織再編成をいたしますと、自己資本比率の低下とか、あるいは預金保険限度額を意識した預金分散への懸念といった様々な懸念、障害がある、障壁があると。そういったことから、自主的な経営判断によります組織再編の円滑化を図るために手続の簡素化あるいは資本増強等の支援措置を講じたものでございます。
  56. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 何か難しいことを言われるけれども、これはほとんど合併促進法と言われていたわけですから、一般に。そういうものなんです。合併促進を図ろうという形で、地域金融機関の合併促進を図る法律だったということで一言言っていただいた方が分かりがいいと思うんですが、それで、この法案を通したと。  そして、昨年からリレーションシップバンキング・アクションプログラム、これは竹中大臣の下で進められてまいりました。そこで、このアクションプログラムでは機能強化計画というのを提出させるわけですね。それを提出させて、金融庁がそれをチェックしていく仕組みになっています。これ、どういうものを提出させるのか。これ、余り時間掛かってはいけませんので、項目だけで、主な項目だけでちょろちょろちょろっと言っていただきたいんですが、相当数になるでしょう。事例を挙げて、あと何件ぐらいという形で言ってみてください。
  57. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) この機能強化計画に盛り込みます、盛り込む必要のあるものといいますのは、アクションプログラムにおいて要請をされております各施策ということになります。  例を申し上げますと、例えば中小企業金融について、その再生に向けた取組ということがどういうことを行おうとしているか、例えば創業あるいは新事業支援、こういった点についてどう考えるか、それから取引先、既に取引が始まっている取引先企業に対して経営相談とか経営支援とか、こういったことについてどういった工夫をするか、さらに不幸にして業況が傾いているような融資先に対して早期事業再生に向けてどんな取組をするかといったような、こういったようなポイント。さらには、担保、保証に過度に依存しない、そういった融資といったものでどういう工夫をするか、つまり新しい中小企業金融への取組の強化策といったようなものなど。あとは、顧客への説明ぶりでございますとか、あるいは収益を改善をしたり、地域貢献をどういうふうに進めるのかとか、それを収益にどう結び付けるのかと、こういったもろもろのアクションプログラムに盛られました項目についての計画をお出しいただくことになっております。
  58. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうなんです。私、関西の方へ行っていろいろと聞いてまいりました。理事者側、それから組合員の方、実際に仕事をする労働者の方々から話聞いてきたんです。ひな形もそのときもらって、帰ってきてまた金融庁からも同じものを出していただいたんですが、これすごいんです、枚数。細かい行、一つ一つ細かく書き込むようになっているんですが、大まかに言えば今おっしゃったようなことなんですけれども、それがかなり細目にずっと分かれております。  それで、ともかく不良債権処理に関する数値目標は、竹中大臣おっしゃるとおり、書くようになっていません。不良債権については、これは初期債務者数を書き込んで、うち改善支援取組の先は幾らあるのか、それがこれどうなったのかという、今度は六か月ごとに報告するようになっているんですね、ランクが上がったのか下がったのかという形で。  これだけでもなかなか大変なんですが、問題は、こういう詳細な項目を書かせることによって、それが非常にいい方に働きゃいいんだけれども、私は、話伺ってきたところでは、これは、こういうことをやっておってリレーションシップバンキングの目標を達成できるかというと、やっておられる当の御本人たちは、これは役に立たぬ、リレバンの役には立たないよということを言っておられるんですね。むしろ仕事を妨害するような形になっていると言っています。そういう面もあると。  どういうことかといいますと、詳細な報告を求められると。書くのはいいと。書くのはいい。そうすると、詳しく、求められることを詳しく書けば書くほど呼び付けられて更に根掘り葉掘りそこを聞かれるというんです。だから、最初からいい加減なやつを書いておった方が根掘り葉掘りやられないと。つまり、金融庁の求めるのに積極的に真摯に対応すればするほどなかなかしんどいことになってしまうということが一つ言っておられました。これはほとんどのところでそうです。だから、いい加減に出そうかというふうな気持ちになるのもあながち責められないんじゃないでしょうかというえんきょく的な言い方で言っておられたわけですけれども、これ非常に大事なことだと思います、実際このリレーションシップバンキングを強化発展させていくという立場に立てば。  というのは、数値目標は求めないけれども、結局は同じようになっているんですよ、そこに書き込まないだけで。求められていっている。これ実態としてあります。それから、進捗状況については、これ進捗状況報告、さっき言いました六か月ごとにこれ出すようになっていますね。  そして、自主性というふうに言われているんです、これは。自主性と。自主性と言われているんですけれども、このリレバンのアクションプログラムが出てから、これ以前よりも、以前よりも業務が極めて複雑、煩多になってしまったということを言っています。リレバンにはメリットがない、むしろ弊害の方が多いということが言われています。それから、いま一つ、自己資本比率について、これは四%でいいはずなのに六%以下だと厳しい指摘を受けるというふうに言っています。  で、時間の都合もあるから、全部あっちこっちから言われたことをまとめて言いますけれども、ともかく合併合併という形で進められてくる、言われるわけです。これは、先ほど言いました合併促進法がありますからね、おととしにできた。それに重ねてのアクションプログラムですから。そういうことが押し付けられてきて、結局合併しなくてもやっていけるのに、当局から一定の自己資本を求められると、そうなると合併の方向に進まざるを得ないんだと。私がこれ聞いてきたところでの、一つの信金はちょうど合併直後の信用金庫でしたけれども、結局そういう方向だったというふうに言っていました。これね、非常に重大なことだと思うんですね。  まだ、あと幾つかの事例も出したいと思うんですけれども、その際の指導の仕方としてのやり方もあります。例えば、これは大阪じゃありませんが、関西のある銀行に関して言えば、金融検査マニュアルでやられておる資産査定債務者区分、このやり方が、非常にいいことを書いてあるけれども、全く実態と違うと言っているんです。  とにかく、これはちょっと一つ聞きますけれども、保証協会保証が付いておるからということでランク下げるというふうなことはあっていいんでしょうか、この金融検査マニュアルに関して。
  59. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 保証協会の保証が付いていることによって、例えば債務者区分がランクが下げられるというようなことは一般的にないと存じております。
  60. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そう私も思っていました。  それから、それじゃ赤字だと、ずっと連続して赤字じゃないですよ、その期だけ赤字、帳簿上の赤字、それが出たというだけでもって債務者区分を下げるということはあっていいでしょうか。
  61. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 今回、改訂させていただきました別冊にも改めて強調してあるわけでございますけれども、特に中小企業向け融資の場合には財務諸表等に表れた表面的な係数だけで判断するということは戒めなくてはいけないということで、正に債務者の実態をきめ細かく見るということで判断していくということかと思います。たまたま直近の期で赤字に転落したというときに、その赤字に転落した要因が何であるのか、あるいは将来に向けてどういう展望が開けているのか、基本的な収益力はあるのかどうか等といったことを総合的に勘案して判断するというのが基本的な進め方でございます。
  62. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 実際そうなんですね、書いてあることは。私もこれが、いわゆる中小企業版が出たことについて評価もしましたし、事実こういう形で進められてきて二回目の改訂と、まあそれはそれでいいと思っているんです。しかし、実際に当たってみると、決してそんなにきれいな状況には行っていないという実態があります。  私が聞いた話、これは銀行からというよりも、その正に債務者区分下げられた御当人から聞いたわけですけれども、プロパー分も保証協会の保証付きも含めて丸ごとランク下げられちゃったという状況なんですね。だから、これで、こうなりますと、もう中小企業、悲劇ですよ。もうともかく金融機関につぶされる、つぶされたに等しい状況に追い込まれていかざるを得ないんですね。  だから、そんなことがいまだに起きているということを一つ申し上げておきたいと思いますし、それから非常に大事なことは、竹中大臣、これは、不良債権処理については数値目標は出さない、今朝、先ほども言われましたね、言われました。ところが、これは、本当ですか、実際、これは近畿財務局、所管ですよ。ここで出ているんです。  今年に入ってから、近畿財務局から不良債権比率の削減について目標を設定する、こういう話が出てきた。しかも、丁寧ですよ、これは個別には公表しない、個別には公表しない。業態としては公表するけれども、個別には公表しないから数値目標を設定して計画に上げろという指導がなされてきているんです。御存じですか。
  63. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) そういう事実は存じません。
  64. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 とするならば、すぐ調べられますか。
  65. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 調査いたします。
  66. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これは徹底してやっていただきたいと思うんです。ここで大臣が言っていることと、非常に丁寧なんですね、個別には公表しないよと、業態では公表するけれども、こんなことまで言って書かせると。その人言っていました、書かないといって。いや、これをやると更に突っ込んでこられるということを言っていましたからね。そういう状況にあります。  しかし、これはきっちり調べてやっていただきたい。それは決して近畿財務局だけじゃないかも分かりません。近畿財務局は特異なのでないのかも分かりません。私はほかのところは調べていませんからあれなんですけれども、そういう状況が起きています。  それで、そういう形で合併を促進するということは一昨年からずっとやられてきたわけですけれども、その弊害というのはやっぱり相当なことで出ています。これは東北地方のある第二地銀なんですけれども、ここの第二地銀の場合は、この機能強化計画が掲げた収益目標を、これ達成するために、これは正に自主的にそれを達成するために何をやるかというと、投資信託、これにだあっと特化していくわけです。特化というか、もうそれに傾いていくわけですよ、手っ取り早いです、手っ取り早い収益を上げようということで。それで、それだけじゃ足りぬということで、リストラをやる、人減らしです。それでもってやった結果、黒字が見込まれるところへ行ったんです。  ところが、ここからが大事なんだけれども、そういった一月の検査金融庁検査で、一部の業種に関して収益還元方式にせいと指導されたと。そのために結局は引き当てが足りないということになって、担保評価が厳しく行われたために引当金積めと言われた。そのために再びこれは赤字に転落と。それで今合併の話が出ていると言えばどこの銀行かは大体そちらもお分かりだろうけれども、あえて私名前言いません。要するに、今、来年三月期を目当てに黒字化を図るということで、またまた大変なリストラ、人減らし、それから賃金の引下げ、一時金なし、こういった状況が起きているんです。  これ、後でも問題にしたいと思うんですけれども、先ほどの組織再編法ですね、合併促進法、それの経営基盤強化計画の認定に際して、経営基盤計画の実施により従業員の地位が不当に害されるものでないことということは明確にこう書いてある。にもかかわらず、こういうことがやられているんです。まだ今審議しているこの法案じゃないです、この法律に基づいてやられていることが。  さらに今度は、後で問題にしますけれども、もっとこれがえげつない形でやられるおそれがありますので、まずここで伺っておきたいと思うんですけれども、こういったことがあるにもかかわらず、今やられておるようなこういう人減らし、賃金の引下げ、労働条件の改悪、これが合併を推進する、組織再編する、そういった名の下にやられている実態については、これはどうなさいますか、金融庁は。
  67. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、先ほどから池田委員の方から非常に詳細に現場の声をお聞かせいただきました。現場の声は大変大事だと思います。我々も参考にできることは是非参考にさせていただきたいと思っております。  ただ、その中で、あえてちょっと幾つか申し上げさせていただきますと、やはりこれは監督する側とされる側の立場というものも当然あろうかと思います。監督される側からしますと監督する側は常にある程度やはり煙たいものでございましょうから、いろんな書類を出せというふうに言われましたら、それなりの反発もございましょう。しかし、ある程度そういう存在でなければきっちりとした監督指導はできないという面もございます。  そうした意味では、例えば今回のリレーションシップバンキングで計画の話がございましたけれども、機能強化計画の話がございましたけれども、これはむしろ我々としてはいろいろ出していただいて、それを同時に公表しますので、それでパブリックプレッシャーを通じた、よりベストプラクティスの習得ないしは競争による質の向上というのに我々は大変期待をしているわけです。  例えば、一例としてあえて申し上げますと、これは隣の金融機関はこんなすばらしいことをやっているのか、ならばどうしてうちもやってくれないんだと、そういうパブリックプレッシャーが来ますから、そういうところから見ますと、そんなリレバン強化計画など余計なことをしてくれたものだというふうに担当者は思われるかもしれませんが、そういうことも踏まえて、しかしやはり地域サービスを良くしていただくことが、これは預金者のためであり、ひいてはその銀行自身のためにもなる、そういうメカニズムがあるということも是非御理解を賜りたいと思います。  直接のお尋ねはリストラでございますけれども、これは当然、実は、先ほどから申し上げているように、まず地域の企業をしっかりと再生していただいて、地元の経済が良くなる、同時に、金融機関としては、やはり収益性、効率性を高めていただいて、組織そのものの持続可能性をしっかりと確保していただかないと、リレーションシップバンキングの以前としてバンキングそのものが成り立たなくなるわけでございますから、そこは経営判断としてしっかりとやるべきことはやはりやっていただかなければいけないのだと思います。そういう努力をもし欠いたところがあれば、それは結局経営体として成り立っていかなくて、最終的には預金者やその取引先の企業が迷惑を被るわけでありますから、そこは地域と正に共生するためにも必要なリストラは当然やっていただかなければいけないということだと思います。  しかし、これは経営の判断です。我々は、こういうふうなリストラについて個々に金融庁が指導をするというようなこと、人員を何名削減しろとか、そういう経営の判断に具体的に立ち入ることはありません。そのためにも自主的に計画を出していただいて、その自主的に出した計画を私たちはしっかりとフォローアップしていくという行政を取っているわけでありますので、ここは、大変厳しい競争環境の中でも金融機関に頑張るべきところは頑張っていただいて、地元の再生と自らの財務基盤の強化両方をしっかりと果たしていっていただきたいと思っています。
  68. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 言葉はきれいなんですね。自主的に計画を出していただいて、それを達成していただくということなんだけれども、自主的にまず、その自主的に出す数字というのも一つ問題なんだが、それを出させて、進捗状況出してくださいよと。一件一件チェックして、これどうやって達成するんですかと。先ほども言いましたね。こういうことをやるんですよ。物すごい圧力になっていくんです、当該金融機関にとってはね。  ですから、自主性とはいうものの、もう自主性の域をはるかに超えた形で圧力を受ける。そうすると、その自己資本、これ達成しなきゃいかぬ、どうしようかということになりますと、結局は貸し渋り、貸しはがしやるとか、そして、ともかく人減らしをやりますと、進んでいくんですよ、そういう方向に、ともかく収益上げていかなければいかぬということになりますから。そういう圧力として働いているというのが実態だということを監督官庁の側は知らないといけないと思いますね。  ともかくリストラも必要でしょうと言うけれども、そんなものじゃないですよ。前回のときに、私、例の船橋信金を吸収した東京東信用金庫のことをお話ししました。大変な勢いで支店を減らす、人も減らしているんですね。そうすると、リレーションシップバンキングだ、フェース・ツー・フェースだと言うけれども、顔と顔を合わすといったって、片一方の顔がなくなっちゃう、担当した従業員がいなくなっちゃうということが生まれたら、フェース・ツー・フェースやりようがないじゃないですか。そういう形としてリストラというのは表れているんですよね、経営改善だとおっしゃるけれども。  しかし、リレーションシップバンキングという形の機能を強化しようという意味での、それでやる限り、この人減らしというのを慎重にやれよということがあるからこそ、この合併促進法でわざわざ認定の要件の一つとしてこれ必ず含んでいないといけないんですよ、「従業員の地位が不当に害されるものでないこと。」と、これを含んでいなければ認定しませんよと、経営強化計画を。そういうものとして出されたわけでしょう。ところが、実際はそんなことやられているということを私は申し上げているんでね。そこのところを、そこだけは一般論ですうっと片付けたんじゃ困るんです。そのことを強く申し上げておきたいと思うんです。  時間が非常に切迫してきましたので、そのことも含めて伺いたいんですが、ちょっと時間が足りなくなって言えなくなったら困るので、この部分だけを法案に関して一つ伺っておきたいんですが、本会議でも聞いたんです。何で今度、今申し上げた再編法、合併促進法では、従業員の地位を確保、確定させようと、不当に害するものであってはならないと書きながら、今度の法案ではその認定要件に入れなかったのか、このことについていま一度伺いたいと思います。
  69. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  金融機能強化法案に基づいて組織再編成が行われる場合でも労働組合等との必要な協議等を通じまして従業員の地位が不当に害されないことが必要であるということは、先ほど先生の御指摘にありました組織再編成促進特措法と何ら変わりはないというふうに私ども考えております。  したがいまして、今回の金融機能強化法案におきましても、政令において経営強化計画の中で経営強化計画の実施に伴う労務に関する事項の記載を求めるとともに、審査に当たってはその経営強化計画の円滑かつ確実な実施が見込まれることという包括的な要件の中で従業員の地位への影響を適切に勘案するというふうに考えているところでございます。  なお、法案の趣旨や目的によってやはりこの計画記載事項の法律上の扱いが異なるということは、ある意味ではそういったこともあってもおかしくはないとは考えております。先ほど御説明いたしました組織再編のための制度でございます組織再編成促進特措法におきましては、言わば直接的に従業員の地位への影響が懸念されるということから労務に関する事項を法律上の記載事項と位置付けたわけでございますが、一方で、この今回の金融機能強化法案におきましては、組織再編成を直接の目的としているわけではないということでございますので、これを政令上の記載事項というふうにしたところでございます。
  70. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 今の説明はとんでもないですよ。とんでもない。そんなこと許されない。  というのは、法律の目的は合併を中心とするものでありますと、前の法律は。今度はそうじゃありませんと言うけれども、しかし、実際上合併を促進することについては、一つ目的に入っていますね、今度の法律にも。同じじゃありませんか。そうなった際に従業員の地位が危うくなる、直接的に危うくなるという点では同じじゃありませんか。  要するに、前の法律では、これが欠けたらもう認定として認められないわけですよ。六項目あって、六項目のうち一つでも欠けたら認定されないんです。そういう厳しいものだった。今度は、同じようにあります。前の法律にある五項目、ほとんど同じ、挙がっていますよ。更に加えて十何項目だ、今度は十一項目になっています。十一項目に項目を増やしたけれども、この要件だけは、「従業員の地位が不当に害されるものでないこと。」という要件だけは落としたんです。あったものをわざわざ落としたということは、それだけ緩和したと、このことについては法律事項から落としたと明確に表れているじゃありませんか。こういうものとして認定申請する側は理解しますよ、当然のことながら。リストラ強化する、首切り、人減らしやる、これはもうやっていいんだという形になるじゃありませんか。大臣、どうですか。これは事務方じゃないよ。
  71. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 先ほど局長から答弁させていただいた二点を是非御理解いただきたいと思います。  一つは、前回の組織再編特措法というのは、正に組織の再編そのものがその法律の対象とするイシューであったわけであります。そうした中で、雇用者の問題というのに直接関連する問題として、それに対する明示的な記載があった。しかし、今回の法律というのはそういうことが直接の目的ではありません。正に金融機能強化ということでありますから、これはやっぱり法形式論として違うものがあるというのは第一の点。  しかし同時に、雇用者に対する配慮等々、それは重要であるということを我々は認識しておりますので、政令において経営強化計画においては経営強化計画の実施に伴う労務に関する事項の記載を求めると、この点は我々も明言させていただいているわけでございます。  これは法律の作り方の問題、それと実態の問題というのを是非分けて御理解を賜りたいと思います。
  72. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 これは理解できないでしょう。政令事項に落とすわけですね。政令でこれ書くとどこに書いてありますか、今度の法律に。書いてないですよ。それ、今説明で言われただけじゃないですか。  だから、これはこれで大事な答弁ではあります。大事な答弁ではありますけれども、しかし、その精神は、これ緩和したんですよ、この項目については。そうとしか取れないじゃありませんか。こういったことは極めて重大な問題として指摘しておきたいと思うんです。  いま一つ、時間が非常に迫ってまいりましたので、法案のことに関して入りたいと思うんですが、性格だけをここで一つ指摘しておきたいなというふうに思うんですが、金融の資本増強制度ですね、金融機関の。これについては、金融機能安定化法の九八年以来、安定化法だ、早期健全化法、それから預金保険法金融機関組織再編法、金融機能今度の強化法という形で幾つも出てきたわけです。  これを表にしてみたんですよ、提出計画審査基準や引受要件を。そうすると、非常に面白い特徴が表れまして、金融機能安定化法や早期健全化法の場合の提出計画を見ますと、経営の合理化とか責任ある経営体制ということで、かなり抽象的、一般的なんですね、提出求めるのは。  ところが、だんだんだんだん地域金融機関に移ってまいりますと、組織再編法、そして今回の機能強化法、これになるに従って非常に緻密になってくるんです。これは政府の認識の発展によって緻密になったのか、それとも中小金融機関に対してはより厳しくしていこうということ、そういうことから表れたのか、僕はまあ後者だというふうに思いますが、そういうものとして表れています。その気持ちがどうであれ、現実の問題としては非常に細かく数値目標を設定したり責任ある経営体制だとか、様々、誠に細かく書いてありますよ。目標未達成の場合の経営責任とかですね、いうところまでこの機能強化法では出てくるんです。安定化法や早期健全化法ではありませんでした。  さらに、その基準審査基準になると更に難しくなって、先ほど大塚委員の取り上げた適切な審査査定がされていることというようなことがあります。これも私伺おうと思っていたことですけれども、先ほどの答弁があったのでそれはそれで置いておきますが、しかし、ともかく収益性、効率性等の数値目標が基準を満たすものであることという形で今回の法律では出てくる。しかし、こんなものは安定化法や早期健全化法ではないですよ。  非常に厳しく収益性、効率性の数値目標というふうになりますと、結局はさっき言ったように収益追求しなければいけないからということで、リストラする、首切りする、貸し渋り、貸しはがしするという形で表れてくるんです。特に中小の金融機関、地域金融機関ですからね、やり方としてはそういう方向に向かわざるを得ないんですよ。そういうものとしてなっているということについて、大臣、どのようにお考えでしょう。
  73. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 御答弁申し上げます。  金融機能強化法、その前の旧安定化法あるいは早期健全化法等々ございましたが、それぞれやはり法律の目的が違っていると思っております。そういう意味で、特に安定化法あるいは早期健全化法は、平成九年当時の金融システムに対する内外の信認の急激な低下とかあるいは貸し渋りの問題の深刻化といったような状況の下で時限的に立法されたということでございますし、今回の金融機能強化法は、それは言わば金融機能強化を目的に経営改革を行うそういった地域金融機関の取組を公的にサポートをするということでございますので、目的が違っているということと、さらに今回の金融機能強化に関しては、やはりどういった観点から資本参加をするかということを明確化する必要があるかと思います。  そういう意味で、計画内容あるいは審査基準について極力具体的に法令で書かせていただく、そういった観点からこういった形にしたものでございます。
  74. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 事務的なことじゃなしに政治的なことを今伺ったつもりだったんですけれども、まあいいですよ。そんな答弁があるんだったら、ひとつそれじゃ大臣の答弁を伺う前に一つ聞きます。  四条関係の第二項で、「収益性及び業務の効率の向上の程度その他の経営強化計画の終期において達成されるべきものとして主務省令で定める経営の改善の目標」とあります。この主務省令で定める経営改善の目標というのは何でしょう。
  75. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 現在考えておりますのは不良債権の処理についての記載でございます。
  76. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そうでしょう。数値目標は決めませんと言うけれども、不良債権の比率をちゃんと明記させて、これどうしろというんですか。書かせる以上は減らしなさいというんでしょう、当然のことながら。結局、今さっきずっと言いましたように、大手主要行に対するよりもより厳しい基準を課していくことになるじゃありませんか。これまたばたばた信金、信組を含む地域金融機関をつぶすあるいは合併に導いていく、そういったものとしてとらえられても仕方ないでしょう。大きく流れて、そういう流れになっておるということと、今一つ取り上げてみてもそうですよ。不良債権、不良債権については数値目標書かせませんと言ったけれども、結局は主務省令でやるんじゃありませんか。大臣、どうなんですか。
  77. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今の点は大切な問題でありますので、是非ともしっかりと御理解を賜りたいところであると思います。  これはしかし、まず今までの幾つかの法律との御比較をなされましたですけれども、危機対応のものと金融機能強化のものというのは、やっぱり目的、性格は根本的に異なっていると思います。危機対応は今の百二条に引き継がれて、これはもうパーマネントな恒久的な措置です。今回は、今の地域の経済状況等々を勘案して、時代の政策要請に基づいて行う非常に期限付きの時限的なものなわけです。  同時に、金融機能強化、危機対応ではなくて金融機能強化という目的に照らすものでありますから、やはりモラルハザードが起こらないような歯止めはしっかりと作っていかなければいけない、そういうやはり法律の目的とその位置付けに基づいた各条案の組立てになっているということであります。  その際には、当然のことながら、金融機能強化されていくかどうかということはやっぱりきちっとチェックしなければいけないと。その場合に、収益性もあれば、いわゆる企業でいうところのPLに相当するものもあれば、バランスシートに相当するものもある。その一つとして不良債権の問題がありますけれども、これも不良債権を主要行みたいに何%に減らせろとか、そういうものは全く考えておりません。これは、不良債権が今より増えたら困ります。増えないようなというような、そういうことは求めなければいけませんですけれども、何%に減らせとか、そういう意味でのいわゆる不良債権の減少目標ではないということは是非はっきりと申し上げておきたいと思います。
  78. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 結局、だけれども、数値目標になるんでしょう。今何%、そうすると、現時点において不良債権の比率がどう見たって不健全だなと、重いやつについてはそれより増やさなけりゃよろしいと、そういう場合でも。そういうことですか。そういうことですか。
  79. 円より子

    委員長円より子君) 質疑終了時刻が参っておりますので、答弁、簡潔にお願いいたします。
  80. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 不良債権比率に関してはそのとおりでございます。
  81. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 そのことをしっかりと確認して、ともかく数値目標でぎりぎりぎりぎり中小金融機関を締め上げて地域経済を冷え込ませるようなことが絶対あってはならないということを申し上げて、終わります。
  82. 円より子

    委員長円より子君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  83. 円より子

    委員長円より子君) 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。谷垣財務大臣
  84. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ただいま議題となりました国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、厚生年金保険制度の改革等を踏まえ、国家公務員共済年金制度にかかわる改革を行うこととし、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  まず、共済年金の給付水準につきましては、厚生年金に準拠して定める方式を維持し、その給付水準の調整は厚生年金と同一の比率で行うこととしております。  また、基礎年金拠出金に対する国等の負担割合の見直し、組合員である間に支給される退職共済年金についての一律二割の支給停止措置の廃止、育児休業をしている組合員に対する掛金の免除措置の拡充等、厚生年金と同様の措置を講ずることとするほか、国家公務員共済組合と地方公務員共済組合との長期給付に要する費用の負担水準の均衡及びこれらの長期給付の円滑な実施を図るための財政調整を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  85. 円より子

    委員長円より子君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十八分散会