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2004-06-01 第159回国会 参議院 財政金融委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      高橋 千秋君     峰崎 直樹君      池田 幹幸君     小池  晃君  五月二十八日     辞任         補欠選任      小池  晃君     池田 幹幸君  五月三十一日     辞任         補欠選任      峰崎 直樹君     岡崎トミ子君  六月一日     辞任         補欠選任      田村耕太郎君     福島啓史郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         円 より子君     理 事                 入澤  肇君                 尾辻 秀久君                 野上浩太郎君                 大塚 耕平君                 続  訓弘君     委 員                 清水 達雄君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 福島啓史郎君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大渕 絹子君                 岡崎トミ子君                 平野 貞夫君                 平野 達男君                 山根 隆治君                 山口那津男君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 椎名 素夫君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        財務大臣    石井 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        国家公務員倫理        審査会事務局長  平野由美子君        内閣国民生活        局長       永谷 安賢君        警察庁刑事局長  栗本 英雄君        金融庁総務企画        局長       増井喜一郎君        金融庁検査局長  佐藤 隆文君        金融庁監督局長  五味 廣文君        文部科学大臣官        房審議官     金森 越哉君        厚生労働大臣官        房総括審議官   井口 直樹君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省職業        安定局長     青木  功君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        社会保険庁次長  小林 和弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○証券取引法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○株式等取引に係る決済合理化を図るための  社債等振替に関する法律等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○金融機能強化のための特別措置に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 円より子

    委員長円より子君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、高橋千秋さんが委員辞任され、その補欠として岡崎トミ子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 円より子

    委員長円より子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  証券取引法等の一部を改正する法律案及び株式等取引に係る決済合理化を図るための社債等振替に関する法律等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として国家公務員倫理審査会事務局長平野由美子さん外十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 円より子

    委員長円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 円より子

    委員長円より子君) 前回に引き続き、証券取引法等の一部を改正する法律案及び株式等取引に係る決済合理化を図るための社債等振替に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山根隆治

    山根隆治君 おはようございます。  証券取引法についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  大臣提案理由説明によりますと、政府の、内外の経済金融情勢の変化に対応して、市場監視機能強化及び有価証券販売経路拡充を行うなど、市場機能を中核とする金融システム改善強化するためにこの法律案を提出したということでございますけれども、もう既に、様々な議論衆議院あるいは本院においても既に行われているところでございますけれども、実際のところの本当のねらいが那辺にあるのかというところがいま一つ答弁の中から出てきていないような感じも受けざるを一つは得ません。  一つのそんたくいたしますと、やはりこうした今回の改正案によって、中長期的に見た経済の回復というか、景気の浮揚というところに本当のねらいがあるようにも思いますし、また、かつてドイツで全盛を極めたユニバーサルバンキング体制というものを日本でも作ろうとしているのかなというふうに思えるほどに銀行の様々な機能強化、中長期的には、このように私には思えてならないわけでございます。  ドイツユニバーサルバンキング体制ということにつきましては様々な検証が既に行われておりますし、必ずしもそれがすばらしいものだったというふうな評価に今現在なっていないと思いますけれども、こうした問題も含めて、本当のこの法案のねらい、改正しようとするところは那辺にあるのか、改めて大臣お尋ねをいたしておきたいと思います。
  7. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 我々の願いは、根本的なといいますか、中長期的な観点からいいますと、あくまでもこれは私たちが持っている資源を最大限に活用して、それを更に発展させていくと。その意味では、委員おっしゃいますように、中長期的な経済の発展、活性化、これは私たちの当然のことながら念頭にあることでございます。  しからば、そのために一体どういうことをやっていかなければいけないのか。これはやらなければいけないことは本当に多種多様、広範であり、また量も多いというふうに思います。  この証券取引法等々の関連でやはり申し上げるならば、世界が非常に競争的な市場に向かっている中で、そうした中で市場活力を活用しながら、リスクをきちっと取ってきちっとしたリターンをやる、その際の社会的なリスクをやはり分散をさせていく、そういうことをこの市場の中で、活力ある市場の中でやっていってもらわないと経済全体がやはり活性化していかないということなのだと思っております。  そうした観点からいいますと、この証券二法に関していうと、そうすると、やはり今我々が貯蓄を持っている、その貯蓄が必ずしも十分リスクテークをしながらリスクマネーとして活用されていくような体制になっていないのではないか。家計の潜在的なニーズとしては、これをより健全な形でリスクテークリスクリターンを反映したような形のポートフォリオに持っていくという潜在的ニーズがあるのではないだろうか。それを引き出す、そのためにはやはり市場活力を利用しながら、アクセス家計のこうしたリスク資産に対するアクセス経路を拡大していく。取引思い切り自由に行っていただきたい、できるだけ自由に行っていただきたい。しかし、それに伴って生じる懸念がある場合には、それを、穴をふさぐといいますか、それに対応するような措置も同時に取っていかなければいけない。今回の銀行における証券仲介業仲介の解禁の話というのは、正にそういう、その一つの象徴であろうかというふうに思っております。  これは、やはり、繰り返しになりますが、市場活力をしっかりと活用していきたい。しかし、同時に、市場で自由な取引を行っていただくからこそ、それに対するしっかりとした監視の機構、場合によってはペナルティー等々も含めた市場監視体制強化していく、その両輪が必要だという思いで今回の法案を提出させていただいております。
  8. 山根隆治

    山根隆治君 よく、一応分かりました。  この法案について、私どもは賛成という立場でございます。今大臣が言われたこと、もっともなところも多々あるんですけれども、今ふと私も思い浮かんだことで、ふと一つ不安になったことが急にちょっと思い浮かびました、事前には何の用意もしてなかったことなんですけれども。  それは、欧米狩猟民族というのはやっぱり社会的な背景としてあるだろうと、歴史に。ところが、遊牧民族でもなく、私たちは明らかに農耕民族であるわけで、社会的なマインドというか、そういう面からして本当にこうした金融市場自由化、そして国民を巻き込んで一千四百兆ある資産をどう活用するかということについては、経済的な視点から見ると非常によく分かるんだけれども、それがどんどんどんどん競争原理というか、市場原理というものを国民の中にも、心の中にも浸透させていったときに、果たして社会的なマインドの面から見てどういうふうな影響が及ぼされていくのかということも少し考えておく必要もあるだろうというふうに思っています。それは、必ずしも欧米一つの物差しだけですべて測っていくことについての危うさというものを若干感じないわけじゃないんです。この点についてはどんなお考えを持ちますか。
  9. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 経済社会の運営に当たっての非常に哲学的な、ある意味では根本的な問い掛けだと存じます。  歴史等々、私、そんなに詳しいわけではありませんが、今、山根委員御紹介くださったように、やはりそこが狩猟社会農耕社会の違いで、日本特殊性があるという議論があるということは承知をしております。  私なりの理解で申し上げると、狩猟民族とか遊牧民族というのは、例えばどちらの方向に行ったら草があるか分からない、そのときにやはりリスク管理をしっかりやらなきゃいけない。斥候を派遣して情報を収集して、最終的な意思決定は一人が行って、それによってリスクをしっかりと管理するシステムになる。それに対して農耕社会というのは、むしろリスクは天候からやってくるという外からギブンのものであって、むしろ重要なのは水をどのようにシェアするかということである。そのような基本的な考え方農耕社会を作ってきたと。日本はかなり後者の典型の一つではなかろうかというふうに言われている。その議論議論として大変興味深い議論だと思います。  ただ、現実の今の経済を考えますと、狩猟社会農耕社会かというダイコトミーというか、こちらかこちらかというゼロイチの社会ではやっぱりないということだと思います。私たち社会も実は非常に市場活力を活用して、戦国時代楽市楽座というのは、正にこれは市場活力を活用して大名が競って経済力を付けて、それを戦にも利用しようとしたわけでありますが、決してダイコトミーではない、二分法ではないということだと思っております。  山根委員おっしゃいますように、我々がよって立つ社会の基盤というものには確かに配慮をしなければいけない、一方では決してない、そういうことも念頭に置きながら制度設計には努めているつもりでございます。
  10. 山根隆治

    山根隆治君 竹中大臣らしからぬと言ったらちょっと失礼ですけれども、非常にいいお話を聞かせていただき、ちょっと失礼ですね、これは。ちょっと今の取り消しますね。  私の持っていたイメージとちょっと違っていたという意味で、そうした日本独特のやっぱり社会風土というか、そういうものも大事にしていこうというふうな思いも一部ちょっと聞かれたのは非常に良かったと思いますが、商取引にしても何にしても、やはりどうも経済とのかかわりの中では日本社会に合ったもっと何物かがあるんじゃないか、いつもそういう私は思いでこの経済社会というものを見ているんですけれども、是非そうした視点も今後ともお忘れなく、国の政策誤りなきようにひとつ御活躍もいただきたいと思います。  さてそこで、具体的に銀行証券仲介業をやる場合のいろいろな弊害というか、懸念、疑問、不安、そういうものがたくさん各方面から出されております。  日経金融新聞がインターネットによる個人投資家アンケートを実施しております。これはかなりまとめられたものでございますので、それを少し孫引きですけれども引用させていただいてお尋ねに代えたいと思いますけれども一般投資家の方が一番やはり不安に思っておられるというのが、その一つが、融資見返りなどに株などの購入を強引に勧めたり、融資などを通じて得た顧客情報を利用して株の勧誘をするのではないか、これが非常に大きな、四五%ぐらいそうした不安を持っている方がおられます。次には、経営が悪化した融資先に株や債券を発行させて、それを銀行の店頭で販売して融資を回収しようとするのではないか、これが四〇%ぐらいですね。それから三つ目には、投資家に株を買うための資金を借金させて、必要以上に株を買わせようとするのではないか、これも三七、八%あります。それから、有価証券の公正な価格形成銀行参入により様々な形で阻害される懸念というのが大きな四つの不安のファクターになっているわけでございますけれども事前お話もさせていただいておりますので、これらについての政府対応策なり物の考え方、こうした不安に対しての見解というものをお尋ねをさせていただきます。  課徴金の問題についてはまた後ほどお尋ねもいたしますので、そのほかの視点から御答弁願います。
  11. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) まず、四点について委員から今御指摘をいただいたわけでありますが、その一点一点についてお答えをさせていただきたいと思います。  まず第一点目でございますが、融資見返りに株などの購入を強引に勧めたり、融資などを通じて得た顧客情報を利用して勧誘するのではないかということでございますが、融資見返り株式購入を強引に勧める等の、いわゆるこれはもう優越的な地位濫用の問題でありますが、この優越的地位濫用の問題につきましては、現行法令において信用供与条件として勧誘する行為を禁止をしているところでございます。融資先を通じて得た顧客情報を利用して勧誘する行為につきましても、証券仲介業部門融資部門との間の情報共有を禁止するということといたしているところでございます。  それから二点目でございますが、この点につきましては、銀行等融資先企業の発行する株式社債販売仲介を行う場合には、貸出金を回収する目的で貸出し先に有価証券を発行するといった利益相反行為懸念されることから、これを防止するため、貸出し先が発行する有価証券についての手取り金借入金返済に充当される場合に、当該事実を投資家へ開示せずに勧誘する行為を禁止することといたしているところでございます。  それから三点目でございますが、投資家に株を買うための資金を借金させて、必要以上に株を買わせようとするのではないか、いわゆるバックファイナンスの問題でありますが、このバックファイナンス条件有価証券の売買の受託等をする行為は、これは法令において禁止することといたしているところでございます。  それから最後、四点目でございますけれども有価証券の公正な価格形成銀行参入により様々な形で阻害される懸念はないかという点でございますが、現行法令において銀行等が特定の銘柄を一斉かつ過度に勧誘する行為等を禁止しているところでございますが、このほか、取引の公正を確保する観点から、融資部門証券仲介業務部門情報共有の禁止するなどの措置を講じているところでございます。
  12. 山根隆治

    山根隆治君 ということではあるんですけれども、しかし、現場に行きますと、恐らくこれが解禁されるということになってくると、様々なやはりトラブルというか、そういうものが非常に起きやすいなという気が非常に私としてはいたしております。それらについて、やはり現場を踏まえながら、対応策というものも少し修正加えて行政としては取っていただきたいというふうに思っております。  つまり、ある意味では、密室とは言いませんけれども、ある種の一つの隔離されたところでの商取引というふうなことにもなってくるわけですから、なかなか目が行き届かない、あるいは違反、違法ぎりぎりのところでの、グレーゾーンでの取引というものが行われる可能性がかなりありますので、この点については、非常に懸念もたくさんございますけれども、是非厳しい目を持っていていただければ有り難いと思います。  ところで、先般のこの委員会での質問の中にもございましたけれども、果たしてこれが、仲介銀行で行うということになった場合に、個人需要というものを、これどれぐらいに見込んでおられるのか。個人だけに限定せず、銀行での取引について、これどれぐらいの見込みを持っておられるのか、お尋ねします。
  13. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 個人需要が今後どれぐらい起きてくるのかということにつきましては、現時点でどれぐらいかということを申し上げることは非常に困難であろうかというふうに思います。  しかし、金融審議会の報告におきましても、顧客にとりましてはワンストップショッピングのニーズにこたえ、利便性が高まる、また投資経験のない銀行顧客層市場参加を促して新たなすそ野の拡大が期待できること、また証券会社の店舗の少ない地域におけるアクセス改善といったメリットがあるとの御指摘をいただいているところでございまして、こうしたことによりまして個人投資家市場への参加を促すことにつながるというふうに考えているところでございます。  我が国の家計資産に占める株式投信割合というのは一割弱でございまして、他の先進主要国に比べて低い状況にございます。当該施策によりまして、この証券販売チャネルというものが拡充し、貯蓄から投資への流れが加速されることを期待をいたしているところでございます。
  14. 山根隆治

    山根隆治君 今具体的な数字を挙げて、現状では欧米相当数個人取引が多いということでございますけれども、こうした証券取引について個人で一割というのが日本の実態ということですが、これの見通しというか、希望というか、希望的観測というか、そうした目標設定というものはございますか。
  15. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 特に具体的に定量的にこういう数字を目指してというものがあるわけでありませんが、今委員からも御指摘がございましたように、日本家計部門に占める株式投信割合というのは一割弱でございまして、アメリカの場合にはこれが大体五割近く、ドイツの場合には二割近くございますので、こうした現状から考えますと、日本の今の状況というのは大変低い状況にございますから、販売チャネル拡充することによってこの市場機能というものを強化をして、そして日本金融システム強化改善につなげていきたいというふうに考えているところでございます。
  16. 山根隆治

    山根隆治君 金融システム強化改善につなげていきたいということであれば、副大臣自身のお持ちになっていらっしゃる感覚で結構ですけれども、どの程度あれば国際的なレベルに合う、あるいはこうあるべきだというふうな個人的な見解をお聞かせください。個人的といったって、副大臣としてですからね。
  17. 伊藤達也

    ○副大臣伊藤達也君) 貯蓄から投資流れを加速をさせていくということは私どもとしても大きな目標でございますし、先ほど委員が引用されましたアンケート調査の中にもやはり今回の措置というものを積極的にとらえていくと、そういう結果も出ているところでございます。  こうした施策をすることによって、個人投資家方々に積極的にこうした市場参加をしていただけるようにということを私ども大きく期待をして今回の法律改正を御審議をお願いしているところでございますので、こうした中で、販売チャネルというものを拡充をしながら、より多くの個人方々に選択肢を広げながら、日本金融システム強化につなげていきたいというふうに考えているところでございます。
  18. 山根隆治

    山根隆治君 副大臣も随分国会で答弁されていらっしゃるから、非常にお上手になっていらっしゃるなと思いますけれども。  それでは、ひとつ視点を変えてみますと、来年四月、ペイオフというふうなことになってまいります。そうなってくると、日本の今の預金状況がどうなっているのかということを、これ日銀の統計から少しまとめたものでございますけれども。  そちらに資料としてはないかと思いますけれども個人預金の内訳というのが、国内銀行国内銀行で見てみると、一千万円未満が、日本の人口は一億二千万か三千万だったと思いますけれども、その預金口数が、八億約五千万口数がある。これは最初は私も何かの間違い、数字の間違いじゃないかと思ったんですけれども、それだけある。一人が赤ちゃんまで含めて八つの口座を持っているというふうなことになろうかと思います。  一千万円以上ということで見ても五万四千ほどの口数があるということでございますが、金額でこれ見てみますと、一千万円未満が二百三十九兆三千五百億ということに相応する、数字ではそういうふうになっています。それから、一千万以上ということになりますと八十八兆四千百億あるわけでございます。このほか、個人でこの預金金額というのは、一千万円未満が七三%で、一千万以上というのは二七%あるということが一つございます。それから、法人で見ると、圧倒的にこれはもう一千万円以上の預金が多いわけで、八九%、約九〇%を占めているということになるわけでございます。  ペイオフによる戸惑い預金者戸惑いというものをこうした有価証券仲介ということによってその流入というものを意図しているというふうな見方も一つできるわけでございますけれども、これらの、ペイオフへの対応ということについての物の考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
  19. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ペイオフについてのお尋ねペイオフとの関連で今回の法案がどう位置付けられるんだろうかというお尋ねかと存じます。  ペイオフは、いつも申し上げていますとおり、やはり預金者金融機関の間のある意味での建設的な緊張関係を保っていただくという観点から、これは私たちはやはり必要なことであると思っております。それに対する対応としては、もちろん金融機関自身財務健全性をしっかりと保って、更に強くしていっていただくことでございますけれども、個別の観点から申し上げても、我々としては、既に決済性預金について、日本の場合、銀行を通した決済が非常にウエートが高いという特殊事情に勘案して、決済性預金制度を作らせていただいております。幾つかの銀行がそれに向けて既に動き出しております。  さらには、個別に関しましては、やはり名寄せのシステムをしっかりと作っていくということが重要だというふうに思っておりますし、それにつきましても検査等々において我々も検証しておりまして、進捗をさせております。そして、何よりも国民全体に対するやはり広報、あまねくこの制度本当意味をしっかりと理解していただいて、混乱を避けるということが重要だと思います。これはこれとして、我々はペイオフを控えてしっかりと対応をしていっているところでございます。  それと、後半のこの法案との関連でございますけれども、そこで何か不安があるから一気に銀行預金がどこかに動くと、そのようなことを我々は想定しているわけではございません。これはあくまでもより中長期的な観点から、千四百兆円、家計資産を持っている、にもかかわらず、今副大臣が申し上げましたように、リスクアセットというのが、これは社債を含めてですけれども、一割とかそこらだと。アメリカは半分以上だ、ドイツは全体の三分の一だと。そういうことを考えますと、これはペイオフとは少し切り離して、中長期的な観点から正に貯蓄から投資への流れを作っていく、そういう動きの中でやはり対応策を講じていかなければいけない問題であるというふうに考えております。  ペイオフ、それと今回の二法の趣旨、その意味で、ある意味で独立をしながら、しかし、ともに日本金融強化するという方向で我々としては是非実現をさせていただきたいと思っているところでございます。
  20. 山根隆治

    山根隆治君 法案作成の段階でペイオフを迎えたときの状況分析というものはされていなかったんですか。
  21. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ペイオフペイオフとして当然のことながら我々は常に念頭置いて行政をしておりますし、そのような議論もしておりますけれども、今回の法案との関連で、ペイオフというのが直接的な要因としてその中に入って議論に影響を与えたということではないというふうに理解をしております。
  22. 山根隆治

    山根隆治君 それでは、役所の中でそうした議論があったところでどのような、法案と直接的な関係がないということに仮にしておいて、どのような議論が行われて、ペイオフになった場合にどのような国民の選択が行われるというふうな予測をされておられるんですか。議論としてどんな議論が出ていたか、事務方でも結構ですけれども御紹介ください。
  23. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  ペイオフの解禁の関係につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、いろいろな施策を取っております。決済預金を創設をしたり、あるいは今の実際の実務上の名寄せのいろんな検査ども行っております。したがいまして、そういった意味での、これから、いろんな準備につきましてはいろんな議論をいたしております。  ただし、実際、預金がどのように動くかというようなことについては、これはいろんなその時々の情勢もございますし、現在だんだん金融情勢も安定をしてきておりますので、特定なことの状況を想定して何か検討しているということはございません。
  24. 山根隆治

    山根隆治君 分かりました。  それでは次に、もう既に四月から税理士や会計士の方が個人証券仲介業をやっておられるわけでございます。四月、五月、今日は六月ですから、二か月間の実績というのは細かく数字で持っておられるかどうか分かりませんけれども、どのような実績になっているのか。そしてまた、そこから浮かび上がってきた数々の問題点、今回の法案とのかかわりの中でも学ぶところもあろうかと思いますけれども、どんな問題点が浮き彫りになっているか、御紹介ください。
  25. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  この四月一日から新しく証券仲介業制度が施行されたわけでございますが、五月三十一日現在で八件の登録がなされております。この制度につきましては、いずれにしても施行直後でございますので、──失礼いたしました、九件の登録がなされております。この制度、施行直後でございますので、そういった状況、あるいはこれ元々いろんな登録をする際にも、証券仲介業者に委託を行う証券業者、証券会社などの当事者において、法令あるいは証券業協会の自主規制を踏まえて具体的な業務運営の検討が行われてきたものというふうに聞いておりまして、現時点で投資家保護に欠けるような問題点が特に指摘されているということは承知をしておりません。  いずれにいたしましても、この制度に関しましては、参入しようとする各主体の創意工夫によって様々なビジネスモデルの構築が可能であるというふうに考えておりまして、多様で新しい担い手が証券仲介業務に参加参入することによりまして証券販売チャネル拡充されることを私ども期待をしているところでございます。
  26. 山根隆治

    山根隆治君 九件の内訳を教えていただけますか。
  27. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 今のところ、例えば保険の代理店をやっているところが五件ばかりございます。あるいは会計事務所、経営コンサルタントといったことをやっておられるところが二件。その他、そのほかのいろいろな事業をやっておられるところというような、そのほかのいろいろな事業をやっておられるところ、例えば不動産の投資顧問業などをやっておられる事業者、そんなような内訳になっております。
  28. 山根隆治

    山根隆治君 そうすると、税理士さんや公認会計士さんがやっておられるということはないんですね。
  29. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 先ほど経営コンサルタントと申し上げましたが、経営コンサルタントあるいは会計事務所をやっておられる方もいらっしゃいます。
  30. 山根隆治

    山根隆治君 税理士の資格を持っておられる方、公認会計士の免許を持っておられる方は何件になるんですか。
  31. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 税理士あるいは公認会計士の資格を持っているかどうかというところで実はデータを取っているわけではございませんが、今申し上げましたように、会計事務所をやっておられるということでございますので、そこの方は少なくともそういった資格を持っておられるというふうに、その方は今の段階では一件でございます。
  32. 山根隆治

    山根隆治君 意外に少ないのでびっくりいたしましたけれども、これから非常な、この法律が通ってくると様々な報道もなされていきますので、あるいは個人の方も増えていくのかなというふうな気もいたしますけれども、是非、まだスタートをしたばかりではございますけれども、様々なケースで、少しケーススタディーで様々な問題点、やっぱり逆に積極的に、何か最悪の事態になったときに初めて情報として入ってくるんじゃなくて、役所の方でも積極的にひとつ調査するなり、まあ九件ぐらいでどうかと思いますけれども、ある一定の時期に来たら調べて、ひとつ行政に是非反映をしていただくように、要望にこれはとどめておきたいと思います。  そして、この証券取引法の一番議論が多い、かまびすしく行われていたところはやはり六十五条でございます。六十五条、いずれこれを改正して撤廃をするんじゃないか、仲介ということじゃなくて直接的な業務として銀行が行えるようになるのではないかというふうな指摘をする識者も非常に多いわけでございますけれども、この点についてはいかがですか。
  33. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) この問題についてはいろんな御議論があるということは承知をしておりますが、これはもう委員もよく御承知のとおり、今回の証券仲介業の解禁も、これは銀行等金融機関証券会社から委託を受けて投資家からの株式等の売買注文を証券会社仲介するということを解禁しようというものなわけであります。これは、我々の明確なスタンスとして、証取法六十五条の基本的な考えを考えるものではありません。  今回の改正においても、具体的に言いますと、株式社債の引受業務というのはこれは銀行は当然禁止されているわけでありまして、その意味では、いろんな御議論があるということは承知しておりますけれども、我々は基本的な六十五条に対する考え方を変えるものではこれは一切ございません。
  34. 山根隆治

    山根隆治君 今の段階ではそういうふうな御答弁に当然なってくるだろうと思うんですけれども、様々なやっぱり憶測、揣摩憶測があるわけでございまして、やはり時間を追って時系列的に見てくると、銀行証券、保険の規制緩和をめぐる動きというのは非常にテンポが速くなってきているわけでございます。  例えば、保険の販売でも二〇〇五年から、これまた後ほど議論もさせていただきますけれども、全面解禁に向けた一歩を踏み出そうとしているというふうなこと等がございますし、あるいは六十五条が早く撤廃されるということを想定して、その先にあるものは今度は日本郵政公社への解禁ということもあるのではないかというふうな議論もあるわけでございまして、先ほど竹中大臣が言われたようなこの法案の趣旨からすると、それはよしとするというような結論にもなってくるのではないかというふうに思われてならないわけでございますけれども、こうした懸念というか、歓迎するというか、期待する、そういう声もあるわけですけれども、これらについてはどのようにお考えになりますか。
  35. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、郵政のお話も少し言及されましたが、この郵政の話はまた郵政の話として別の観点からしっかりと議論をしていかなければいけない側面を持っていると思います。  ただ、いずれにしましても、昨年、金融審議会の第一部会で報告が取りまとめられております。御承知の「市場機能を中核とする金融システムに向けて」というものでございますけれども、ここでは基本的な考え方は私は明記されていると思います。  この証取法六十五条の根拠となった利益相反でありますとか優越的地位濫用可能性はやはり今の重要な論点なんだということを明記している。銀行がその規模を問わず不良債権問題を解決して国民の信頼を回復していくことが先決となっている現在、業務範囲の根幹にかかわるような見直しを行う時期にはないのではないかというふうに考えられる。ここでの報告というのはやはり尊重されるべき当然のものでございます。  今回のいわゆる証券仲介業務の解禁、これは証取法六十五条の見直しについてはやはり区別した内容であるということをこの報告の中にも私は精神として生かされているというふうに思っておりますので、我々もあくまでもそのような観点から、消費者の利便を高めながら、しかしこの六十五条の根幹を変えるものではない、そういう観点から行政を進めているところでございます。
  36. 山根隆治

    山根隆治君 銀行もすごくこれ忙しくなってきていますよね。貸しはがしをするのにも忙しいのかなというふうに思っていましたけれども。これで今度は株の仲介をやって、そして今お話ししたように、保険も全面解禁に向けた動きがあるというふうなことになっているわけでございますけれども、果たして銀行にそうしたものを受け入れていくだけの基礎体力というか、ノウハウというか、そうした蓄積というのは今あるというふうに判断なさっていらっしゃるんですか。この辺の見方をちょっと聞かせていただけますか。
  37. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  今回の証券仲介業につきましては、いずれにしても金融機関それぞれの経営判断によってそういった業務を行うかどうかということが決まるわけでございます。したがいまして、当然のことでございますが、今回いろんな形での金融機関に対しても弊害防止措置を講ずることになっておりますので、それぞれの体制がそれなりに整っているということでないとなかなかその業務を始めるというわけにはいかないと思います。それぞれの金融機関がそういった観点から人員、体制等もしっかり整備をいたして業務を開始するというふうに考えております。
  38. 山根隆治

    山根隆治君 それは銀行自身が選ぶことですから、今の御答弁というのは当然でございますけれども、しかしバブル期にお金が余って、どんどんお金借りてくださいということで、ゴルフの会員権だとかも含めてどんどんお金借りてくださいと、お貸ししたいと、もう要らないと言っていても借りてくれって言っておいて、今度、バブルが崩壊したら、本当にもう貸しはがしで非常に塗炭の苦しみを預金者方々銀行取引してきた方、まだ記憶も非常に生々しいところもあると思うんですね。  そういう中で、今回のこうした仲介ということに、仲介業に踏み切るというふうなことに当然いろいろな大きな目、大手なんかなってくるでしょうけれども、そうなったときに、一度失われた信頼を今取り戻す時期にあるのに、また非常に預金者に大きな損害を与えるようなことになってくると、非常に大きな深刻な問題が惹起される、そういう私は可能性も捨て切れないということを懸念を持つ一人でございます。  本当にそうした、例えば社員の教育ですね、株価に対する教育は本当に施されていくのかどうか、そういうことも不安でございますが、これらの点についてはどのように見ますか。
  39. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  大変、先生の御指摘のとおりだと思います。  いずれにしても、金融機関というのは信頼というのが、信用、信頼というのが非常に大事だと思いますので、いやしくもそういった預金者の信頼にもとるようなことをやってはいけないということはそのとおりだと思います。  そういった観点からも、今回の証券仲介業務につきましては、既にその販売を行っております投資信託などと同様に、顧客に対して勧誘等を行う者の証券外務員登録を要件といたしまして、その適格性を確保するというようなことにしてございます。さらに、その外務員登録の際には、自主規制機関でございます証券業協会等が定めました資格の取得が義務付けられるというようなことになっております。  いずれにいたしましても、そういったしっかりした資格を持つ者がこういった業務に当たると同時に、今までも弊害防止のことをいろいろ申し上げましたが、不公正な勧誘等が行われないようにするということが重要かというふうに思っております。
  40. 山根隆治

    山根隆治君 今お話出た証券業協会というと、やはり金融庁、旧大蔵省の影響下に圧倒的にあるところですよね。ここの協会のことをちょっとお尋ねを、そうすると、いたしますけれども、そうした教育を施せるだけのやっぱり社会的な信頼というか、業界の中であるのか、それから人的な力というものもあるのか、その辺はどうですか。
  41. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  証券業協会というのは、法律上、自主規制機関として位置付けられているしっかりした団体でございます。いずれにいたしましても、今の証券会社などがメンバーになっておりまして、現在のいろいろな証券業務についてはこの自主規制機関がいろんな形でのルールを定めているところでございます。
  42. 山根隆治

    山根隆治君 今、スタッフは何人ぐらいなんですか。
  43. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 大変申し訳ありません。ちょっとスタッフの数、今すぐには分からないもので。  局長の答弁したとおりなんですけれども、我々の今のシステムというのはもちろん法律できっちりと縛るものがあります。政令で縛るものがあります。同時に、いわゆる自主規制、業界の自主規制機関というのがうまくそれとコーディネートして重要な役割を果たしている。東京証券取引所には東京証券取引所としての自主規制機関としての役割を果たしている。  もう一つは、やっぱりこの証券業協会が大変重要になる。さっきから、こういう証券等を扱うのは外務員としての試験を受けていただく、資格試験があるというふうに申し上げましたけれども、この資格試験を行っているのは実はここの協会でございます。  そういうことも含めて、御指摘のとおり、全部がやはりハーモナイズして整備されていかなければいけないという問題意識は我々も強く持っておりまして、そのような必要に応じた指導なり行政なりはしっかり行っているつもりでございます。  数等々、概要につきましては別途また御報告をさせていただきたいと思います。
  44. 山根隆治

    山根隆治君 株取引等をしている方々日本国民の一割ほどしかいないということのいろいろな要因というのはありますけれども証券会社へ行って取引しても、もう損ばかりさせられて、手数料目当てにどんどんどんどんこれを買いなさい、これを借り換えなさいというような、売りだ買いだということを外務員、営業される方に引きずられてやって大体失敗するということで、そうした外務員に対する信頼性というのは非常に社会的にも低いものになっているかと思うんですね。これからは、やはり会社の側に立つんではなくて、消費者、一般のやはり市民の立場に立っていろいろとアドバイスする、そういう人材が非常に今養成されることが急務だと思うんですね。そうした意味本当に、今言われた協会に、証券業協会ですか、にそうしたノウハウがあるのかということが非常に疑問なものですから、あえてお尋ねをしたわけですね、量的にどうなのか、質的にどうなのかということで。  今までと絶対全く違った発想で、利用者の立場に立った外務員の指導というものを求められていると思うんで、その点が、今までと違った発想で、ただいろんな商品の紹介、仲介業ということでありますけれども、様々なトークの中で、単なる事実関係というか、客観的な状況だけを説明するということではなくて、やはり顧客ニーズに合っていると同時に、やっぱり利益を誘導するという、そこまで思い切ったことができ得る可能性のある外務員をやっぱり養成する必要があるので、その辺がどうなっているのかということを聞きたいわけで、もう一度御答弁。
  45. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと詳細に全容を御説明する能力、今ちょっと私持っておりませんが、ここは、当然のことながら、先ほど言いましたように、東京証券取引所等々、証券取引所等々と並んで自主規制機関としては極めて重要な役割を担っております。そうした中で、そのいろんな意味でのクオリティーを高めるための努力、その規制についても専門家を集めて常にそれを見直すような努力は行っているというふうに承知をしております。  最近でも、先ほど外務員の、証券外務員の資格試験の話をしましたけれども、そういう者についてもクオリティーを高めて、これをむしろ社会の中に定着していくというための一つの努力として、たまたま私は存じ上げていることを、非常に狭い範囲になりますけれども、この登録員というのは数年前までは外務員というのは証券会社の人しか受けられなかった。しかし、それがここ数年の間にそうじゃなくても受けられるようになっている。これはやはり社会全体にそういう一定の知識といいますか、を広げていこうと、それとともに自らの質も高めていこう、そういう努力の一つの表れであると思います。  したがって、私の認識では、ここは決して業界の非常に閉ざされた組織ではなくて、その公的な役割を担うんだという自覚を持ってそれなりに努力もしておられるし、やっぱり実際に変化もしているというふうに認識をしております。改めて、我々としてはそういうところをうまく指導して、金融システム全体をうまく稼働させる立場にありますので、そこには改めて、委員の御指摘も受けて、配意しながら進めていきたいと思います。
  46. 山根隆治

    山根隆治君 少し話が飛びますけれども、保険の外交員さんが三十万人弱いるというような統計も見たことがございます。年々保険の外交員が数が減ってきているわけでございます。銀行業務、窓口業務の中で、この保険がどんどん解禁されていくということになると、他の既存の保険会社への影響も非常に大きいものがありますけれども、こうした人たちの雇用の問題についてはどのように把握なさっていらっしゃいますか。
  47. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今、委員指摘してくださいましたように、登録営業職員、保険の、かなり低下傾向にあるということは私たちも認識をしております。今回、銀行等による保険販売規制の見直しにつきましては、金融審議会の第二部会のワーキンググループにおいて、こうした観点からもいろいろな検討をしていただきました。つまり、既存の販売チャンネルに与える影響についても御議論をいただいたということでございます。  この報告では、この販売チャンネルの多様化は、各販売チャンネルの特性を反映した利用者のニーズに適合する商品開発の促進につながり、市場の発展にも資するだろうという議論がある。少子高齢化など保険業を取り巻く環境が変化している中で、保険会社においても、国民ニーズに適合した商品開発、効率的な販売体制の確立等、変化に対応したビジネスモデルの構築が求められているんだと。そうした観点からも販売チャンネルの多様化が必要であるというふうな指摘がなされている。  その一方で、新たな販売チャンネルが既存の販売チャンネルに与えることとなる影響についても考慮する必要があるということ、これはもう先ほど申し上げましたように議論をされているわけでございます。  また、この報告におきましては、既存の販売チャンネルに及ぼす影響等の懸念について、いわゆる圧力販売につながるような販売、保険販売を禁止する措置を講ずる等々により相当程度緩和されるのではないかと考えられるというふうに指摘されていますとともに、実施についてやはり準備期間を置くべきだということが示されているわけでございます。  御承知のように、例えば一年後から段階的に行う、少なくとも本報告後三年には商品が扱えるようにする。こういう形でバランスをしっかりとそれなりに取っていこうというような議論はされている。我々もそれを受けて制度を作っているつもりでございます。  こうした議論を踏まえまして、今どのようにやっていくのか、速やかに結論を得るように努めているところでございます。
  48. 山根隆治

    山根隆治君 厚生労働省の方でちょっと御答弁いただきたいと思うんですが、私がちょっとお尋ねしたのは保険の外交員の方々の雇用の問題です。この実情がどうなって、これからどのような展望を持っておられるのか、そしてその生活実態というものがどのように、末端の外交員の方あるいはその家族に経済的な影響を及ぼしているのかということを、把握されている範囲でお尋ねをいたします。
  49. 青木功

    政府参考人(青木功君) 生保業界の営業職員その他皆さん方の雇用の状況でございますけれども、私ども承知しておる範囲で、生命保険で平成五年の年度末には約四十二万人の登録営業職員の方がおられたと。これが平成十四年では二十八万人になっているということでありまして、様々な状況がございますが、趨勢的に営業職員の方、減っております。  これらの方々は、いろいろの仕事の形態によりまして、給与を受け取っているいわゆる労働者の方々、それから御自分で言わば自営業的に活動されている方、様々な方が形態でおられるわけでありますけれども、いずれにしましても、こういうふうに環境や経済社会の変化の中で転業を余儀なくされる、あるいは廃業を余儀なくされる、こういった方々、様々な手段を尽くしまして、できるだけスムーズに労働移動ができるようにお手伝いをするのが私どもの任務だなというふうに思っておりまして、ハローワークでも様々な需給調整の仕組みを取りまして、仕事をしながらインターネットその他を使って求職情報を取れるとか、あるいは拠点によっては土曜日なんかにも、あるいは夜間にも御相談を応ずるというような形の体制を取りまして、いろんな御相談を細かく聞きまして、スムーズに次のところに転換できるということを目指して活動をしているところでございます。
  50. 山根隆治

    山根隆治君 保険業界の再編がある中で、その保険の外務員、外交員の、特に女性が圧倒的に多いですけれども方々の悲惨な状況というか、かなり深刻な状況を聞くわけですね。今、四十二万人が二十八万人に平成十四年なってきたということですけれども、この中でも特に給与労働者、給与をもらっている方の就職というのは非常に難しい状況があるだろうかと思います。  一定の生活は例えば連れ合いによって守られているけれども、それプラスの生活をという場合にはいいんですけれども、それが、外交員の方の収入が即家庭の大きな柱となっているという場合には非常に深刻な問題がたくさんあるわけで、特に外資系の会社と一緒になったりいたしますと、今までの慣習というものが一気に崩されていって、ノルマが、もう本当に過酷なノルマを課されて離職を余儀なくされる、そういう悲惨な状況もかなりあるわけでございまして、この辺なかなか厚生労働省の方でも把握されていないようなことも今の御答弁の中からニュアンスとして私は感じ取るわけですけれども、できるだけ私は把握して、本当に困り抜いた方々については再就職についてケアをして、会社に対してもその辺の要請をしていく、そういうきめの細かな私は措置が行政としても必要だと思うので、その点についてはどうでしょうか。
  51. 青木功

    政府参考人(青木功君) 業界の雇用とか仕事の在り方、これはむしろ労働条件とか働き方の問題になりますけれども、地方労働局等も通じまして状況は承知していきたいというふうに思います。  それから、お一人お一人の環境につきましては、先ほども申し上げましたとおり、離職から再就職の活動まで、これはお一人お一人の実情を聞きながら、その方に一番適切な対応を取るというのが私どものサービスの仕組みでありますので、御理解をいただきたいと存じます。
  52. 山根隆治

    山根隆治君 時間も迫ってまいりましたので、先に進みます。  課徴金の問題でございます。  仲介業に乗り出していかれる中で、法的な様々な規制もありますけれども、それがなかなか遵守されにくいというか、懸念される状況もあるわけでございます。今回、課徴金ということで決められているわけでございますけれども課徴金と制裁金、意味合いが違うと思いますけれども、これらについて、制裁金についても検討はされた中で、あえてやっぱり課徴金ということにされたのかどうか、その辺の御議論を聞かせてください。
  53. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  今回の課徴金制度を御提案をする際にはいろんな形での検討を行いました。制裁金という先生御指摘のそういった形もあろうかと思いますが、いろんな観点から、この規制の実効性を確保するために欧米等のいろんな制度も勉強いたしましたが、この課徴金制度を導入することが適当であろうということで今回御提案申し上げたものでございます。
  54. 山根隆治

    山根隆治君 何で適当なのかよく分からないんですけれども、私は、違反行為によって得た利益、それにふさわしいというか、ほぼ同額を課徴金として取り立てるということだろうかと思うんですけれども、しかし、実際に、逆に言うと発生を、そうした行為によって発生した損害を含めても徴収すべきじゃないか、こういう議論も当然あるわけでございまして、これらについてはどのような議論の末に課徴金ということに踏み切ったのか、もう少し詳しくお聞かせください。
  55. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  これまでの証券取引法では、不公正ないろいろ取引などに対しては主として刑事罰によって規制の実効性の確保を図ってきたわけでございます。刑事罰でございますから、非常にある意味では重いものでございまして、これにつきましては、刑事罰自体は元々謙抑性の原則というのがございまして、相当、何といいますか、対応の悪いものについて、そういったものに対してそういう処罰をするといった形になっております。  したがいまして、今回、私どもはこの違反行為の抑止のためにこういった金銭的な負担を課す行政上の措置である課徴金制度というのを設けて、ある意味では刑事罰ではカバーできない部分につきまして更に実効性を確保したいという考え方から新しい制度を設けようということでございます。
  56. 山根隆治

    山根隆治君 まあ分かりましたが、そうしますと、独占禁止法とか証券取引法百九十二条の条項もございますけれども、これら行政処分と課徴金との関係については二重罰というか、そういう見方もできようかと思います。これらについての議論はどうでした。
  57. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  行政上の処分と刑事罰につきましては私どもいろんな検討の過程で議論をいたしました。いずれにいたしましても、私ども考え方といたしましては、行政上の処分と刑事上の処分といいますか、刑事罰というのは、それぞれ別々の目的で成されているものでございますので、それぞれが別々だということで、二重罰というか、そういった関係にはないというふうに考えております。
  58. 山根隆治

    山根隆治君 じゃ、憲法三十九条はクリアしているという見解ですか。
  59. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) そのとおりでございます。
  60. 山根隆治

    山根隆治君 ただ、様々な議論があるということだけは一つ、御承知でしょうけれども、一言申し上げておきたいと思います。  それでは次に、実は教育の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  学校教育について、社会科の中では当然経済の問題も学校教育の中に取り入れているわけでございますけれども証券取引などの実体経済、実経済の学校教育への導入ということについて、金融庁は全国の小中高校五百校に、小中高各五百校ですか、計千五百校程度を対象に二〇〇四年度中に投資教育に関するアンケート調査を実施するということでございますけれども、文部科学省とも、文科省ともこれは協議した上でのことなんでしょうか。
  61. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  文科省とも十分協議をしておるところでございます。
  62. 山根隆治

    山根隆治君 それで、私自身は、本当にやはり学問というのは、実際の生活に直接すぐ役に立つもの、あるいはまた役に立たずとも将来的に役に立つかもしれないもの、あるいはさらにそうした価値を超えて人間が求めてやまない何かある種のもの、そういうようなことが言えるかと思うんですけれども、私は、当面、今この経済の問題については実際の社会の中で役立つ教育というものを早急にやはり導入していくべきだろうというふうに思っています。  福沢諭吉の「学問のすすめ」も非常にそろばんとか実際的なものに、特にあの時代ですから、時代背景もございますけれども、「学問のすすめ」を実社会に適応したものを求めていたわけですね。  ですから、今教育も非常に大きな曲がり角に来ているところで、こうした実際の教育というものも大事だろうというふうに私自身は思っております。そして、例えばこれは中学校の、私自身は小学校では早いのかなというふうには思いますけれども、中学生くらいから、いろいろなソフトも民間で開発したものがございます。お金とは一体何なのかというものを遊びの中で理解できるような、そうしたソフトが開発されたりしているわけでございます。  いうことで、今アンケートは文科省等ともいろいろと協議しているということでございます。今日、文科省来ておられるんでしたかね。これらについて私は積極的に取り入れていくべきだろうというふうに考えますけれども、中学生から、あるいはそして高校生くらいで解決させてやっていくことがいいのかなと思いますが、この点について今の実情どうなっているか、お聞かせください。
  63. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。  社会の変化を踏まえ、学校教育において生徒が金融に関する基本的な知識を身に付けることは重要と考えております。このため、例えば中学校の社会科や高等学校の公民科では証券を含めた金融の働きや金融機関の役割などについて理解させることといたしております。また、証券など金融機関の働きについて指導する際には、生徒が実感を持って理解できるようにすることが大切でございまして、証券取引などの投資を具体例として取り上げている学校も見られるところでございます。  例えば、ある高等学校では、証券取引所が実施するインターネット上の投資シミュレーションゲームを利用いたしまして、生徒が株式投資に模擬参加をいたしまして、どの企業を有望と判断するか、有望企業を探す上で新聞等をどのように活用したか、また投資結果はどうであったかなどをレポートにまとめて発表するといった学習活動も行われているところでございます。  今後とも、このような学校の創意工夫を生かし、証券等を含めた金融に関する教育が適切に行われるよう努めてまいりたいと存じます。
  64. 山根隆治

    山根隆治君 どのように適切に努めていくのか、もうちょっとその将来展望を聞かせていただけますか。アクションプログラムというか、そういうものもありますか。
  65. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  学校教育におきましては、生徒が証券を含め金融の基本的な働きを理解するとともに、主体的に判断し、責任を持って行動できる力の基盤を育てるということが重要と考えております。このため、例えば中学校の社会科や高等学校の公民科では、ただいま申し上げましたように、証券を含めた金融の働きや金融機関の役割などについて理解させることといたしておりますほか、高等学校の家庭科では、主体的な家計管理と家庭の経済計画でございますとか、消費者の責任や生活情報の収集、選択と活用について理解させることといたしているところでございます。  例えば、高等学校の公民科の教科書などを見ますと、教科書によりましては、金融自由化が進むと預金者投資家には自分の判断で金融機関金融商品を選択する責任が求められるということ、また、一般には高い収益を得られるような預金投資には大きな損失を被る危険が伴うハイリスク・ハイリターン、逆に危険を避けたいならば低い収益しか得られないローリスク・ローリターン預金者が適切な資金運用計画を立てるに当たってはこうしたことも踏まえる必要があるというような記述でございますとか、あるいは高等学校の家庭科でございますけれども貯蓄の方法としては預貯金や株券、債券、投資信託などの金融商品の購入などがございますけれども、各種の金融商品の安全性や収益性、換金性などについてよく検討して学ぶことが大切であるというような記述も見られるところでございます。  私どもといたしましては、今後とも、各学校で経済活動や金融に関する指導及び消費者としての主体的な判断や行動に関する指導が適切に行われるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
  66. 山根隆治

    山根隆治君 教科書の中でいろいろと教えるというのも大事ですけれども、ちょっととっぴで余り整合性のない話かも分かりませんけれども、例えば高校にゼミを置くということで、学校が終わったところで、放課後でもいいし、あるいはゼミの位置付けというものもちょっと高校の中で考えてもらって、そうした証券取引証券投資についての勉強を、講師、学校の先生がやるというのもちょっと難しいかも分かりませんけれども、外部から導入してきてそういうものを設けるとか、何かちょっと特別な工夫を少しして、教科書の中でばっと流れるように、あるだけではとても刺激にならないですね。人間、やっぱり刺激を受けると花開くのが早くなるということがあると思うんです。  例えば、大学生になったらいきなり、別に金もうけばかりするということじゃないんですけれども、いろいろな多様な選択ができるように、やはりそうした授業に早く目覚める子供については早くからいろいろなことを教育していく必要もあるということで私は申し上げるわけでございますけれども、外部講師の導入とか、そういうことも含めてやはりもっと刺激的な措置というものを私取らないと、単に教科書で公民の中でやっていますよということだけでは、とても人間の心を動かすというところまでいかないと思うんですね。心を動かすほどまでに教育を施すというのがこれからの私は大事な教育だろうと思うんですけれども、この点について、文部省というよりも竹中大臣考え方をちょっと聞かせていただけますか。文部省とぶつかってもいいですよ。
  67. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 山根委員、大変重要な御指摘をしてくださったと思っております。  私自身、経済を専門に勉強してきましたけれども、勉強すればするほど何でこんな大事なことを私が小学校や中学校のときに教えてくれなかったんだと、私個人としては正直そういう思いを持っております。  これ、たまたま個人的になんですけれども、NHKの番組で私の小学校に参りまして、経済を教えるという番組を撮らせていただいたことがございました。そのときに改めて感じたのは、教材がない。何とこれが難しいのか。最近も品川の中学、高校等々でそういう機会を持たせていただきましたが、これまたやはり一般的な積み上げがないところでどこから入っていったらよいのか。  これ、文部省は文部省で、文部科学省は大変御苦労してくださっていると思うんですが、最大のポイントは、私自身は次のような点にあると思います。  それは、アメリカやイギリス、特にイギリスなんかへ行くと、マクロ経済学、金融論、財政論、そういう専門分野の中に経済学の社会教育という専門分野があるんです。で、専門家がいらっしゃるんです。私の知る限り、日本にそういう専門家はいません。やはりそこは社会全体での対応がもう根本的に後れていると。文部省のその担当課で考えるだけではなかなか解決できない問題が多いのかなと思っております。そこは少しいろいろ先生方にも知恵を出していただいて、専門家も集めてそういうことをやっていきたいと。  実は、そういう問題意識を持って、先般、金融庁としては初めて金融投資教育のシンポジウムを開きました。そこには福井総裁も飛び入りでおいでをいただきまして、実際に高校でやった成功事例なんかも集めて、ベストプラクティスを共有しようではないかという試みを持ちました。  当面、こういうことを広げていきながら、委員がおっしゃったような問題意識をちょっと社会として、全体としてレベルアップしていく工夫が必要であると。文部科学省とも協力しながら是非やっていきたいと思っております。
  68. 山根隆治

    山根隆治君 やっぱり日本は、これから世界の中で活躍していくのには経済とそれから文化だろうと思います。やっぱり経済ということで考えると、もう本当にたくさん才能を持った方がたくさんいらっしゃる。物づくりでもそうでございますけれども金融証券ということでもそうでございますので、たくさんのやっぱり知恵というものを皆さん持っている子供たちもたくさんいるわけで、それをどう花開かせる環境を作るかというのは非常に大事なことだろうと思います。  今日は非常に、竹中さん、いいお話をいただきまして良かったと思います。これで質問を終わります。ありがとうございました。
  69. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  今、山根委員の最後の方で経済についての仕組みの教育のお話が出ましたが、私の地元の事務所にも二年前に女子高生から陳情が参りまして、女子高生の陳情というのは珍しいなと思っていまして、何を御希望ですかと聞きましたら、何か某証券会社がインターネット上で取引の言わば模擬売買のシステムを提供していまして、それをやりたいと思って学校の先生に仕組みを教えてくださいと言ったら、学校の先生が分からないから家で聞いてきてくださいと言われて、お父さん、お母さんに聞いたら近所に政治家の事務所があるからそこで聞いてこいと言われたということで、三回ほど講義をさせていただいて、でも、非常に熱心な女子高生の皆さんで、三人で三回もいらっしゃって、結局非常に興味を持ってくださったわけですが。  やっぱりそういう教育をしようと思うと、今の例でも分かりますように、例えば学校の先生がそもそもよく分からないということではこれも困った話ですので、そういった面もこれからいろいろ配慮が必要かなというふうに思って拝聴しておりました。  さて、今日、証券二法についての質疑をさせていただくんですが、いろいろお伺いしたいことは山のようにあるんですが、冒頭、五月十一日の財政再建に関する集中審議の中で議論させていただいた点に絡んで確認をさせていただきたい点と、それから先般の当委員会理事会協議事項になりました平野委員からの質問に対する金融庁からの回答について確認をさせていただいた上で、本論に入らせていただきたいと思います。  まず、今日は五月十一日の審議に絡んで厚生労働省においでいただいています。また、警察庁や人事院にもおいでいただいています。  五月十一日の審議については、聞いていただいた委員の皆様方には若干アウトラインを御記憶いただいていれば幸いでございますが、今日は詳細はあえて解説申し上げませんので、淡々と進めさせていただきたいと思います。  まず、警察庁にお伺いいたしますが、五月十一日にお伺いをいたしました選択エージェンシーという会社をめぐる事件のその後の状況について、お話しいただける範囲で御説明をいただきたいと思います。
  70. 栗本英雄

    政府参考人(栗本英雄君) ただいま委員お尋ねの事件につきましては、警視庁におきまして、本年四月二十日、元厚生労働省関東信越厚生局総務課独立行政法人企画官ら二名が、平成十四年十一月ころ、同局からの業務の発注に関しまして現金約三百万円の賄賂を収受したことにつきまして収賄により逮捕し、また業務の発注を受けておりました株式会社の営業企画部長を贈賄により逮捕したものでありますが、本年五月十一日に東京地方検察庁におきましてそれぞれ起訴されたものと承知をいたしております。  なお、お尋ねのその後の捜査状況につきましてでございますが、これにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  71. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 答弁を差し控えたいということでありますが、捜査継続中と考えてよろしいですか。
  72. 栗本英雄

    政府参考人(栗本英雄君) 委員ただいま御指摘の捜査を継続しているか否かを含めて、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  73. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは次に、厚生労働省にお伺いしますが、五月十一日の当委員会において今の事案に関連して様々な資料をお願いをしたわけでございますが、既にいただいたものも確かにありますが、そういったものを含めて、もろもろお願いをした資料についての準備状況について説明をお願いしたいと思います、厚生労働省。
  74. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 過日の財政金融委員会、当委員会におきまして私の方に大塚委員の方から御質問ございましたのは、医療、介護、年金、こういうことに関連しての広報用の冊子あるいはビデオ、こういうものを作成していると思うけれどもその全体についてという御下問、御質問でございました。  そのときは、医療、介護、年金、相当広範囲にわたる内容でございますので、その把握、整理ができている状態ではないという旨お答えをさせていただきましたが、その後、地方庁分も含めまして、それぞれの関係部局におきまして調査を現在進めさせていただいております。  調査の結果につきましては、できるだけ取りまとめ作業急がせたいというふうに思っておりますが、何とか来週中ぐらいにはお示しができるんではないか、御報告ができるんではないかというところで動いております。
  75. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今のは、お願いをした私の記憶では八種類の資料のうちの一つについての御説明だったわけでありますが、これは財政再建に関する集中審議ということでお伺いしたわけで、私は別にここで事件の真相を解明したいということではありませんので、改めてお願いをしておきますが、それは私にお出しいただくということではなくて、厚生労働省、社会保険庁として、財政が逼迫している折から不要不急の資料を山のように作っている疑いが大いにあるということで、ただ単に羅列して資料をお作りになるだけではなく、自らこの資料はどうも不要だということを取捨選択をして、今年の予算編成のときには財務省にそのようにちゃんと申告をできるような、そういう資料にしていただきたいと思いますが、そのようにしていただけますか。
  76. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 御質問の中身、私どもで作成しているものもございますし、それぞれの関係の部局、保険局、年金局、老健局、幅広いところでの作成しているものもございますので、その関係部局とも御相談した上で対応させていただきたいというふうに思っております。
  77. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今答弁していただいている方は役職何でしたっけ、御本人に聞きたいんですが。
  78. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 社会保険庁の次長でございます。
  79. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今、御庁が置かれている状況、それから本省が置かれている状況をよくよく御自覚いただければ、社会保険庁の次長として、いろいろ相談して決めるとか、そういうたぐいの話ではないというふうに私は思いますが、もう一度お伺いします。  相当不要不急の資料を山のように作っているという、そういう指摘社会保険庁や厚生労働省の内外からあります。今、御準備いただいている資料について、自ら取捨選択をして、来年度以降、これは要らないとか、これは必要だから継続させてほしいとか、そういう御判断をして、それを反映した資料を作っていただけるかどうか、社会保険庁の次長として御発言をいただきたいと思います。
  80. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 社会保険庁で作っております資料につきましては、御指摘の点を含めて、来年度に向けての考え方の整理もした上で御報告したいと思います。
  81. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日、石井副大臣にもおいでいただいていますので、今、社会保険庁だけですが、厚生労働省全体についてきちっと査定を来年度の予算においてはしていただきたいと思いますが、ちょっとこの段階で一言副大臣から御感想をお伺いしたいと思います。
  82. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 私ども財政当局といたしましても、できるだけ実情を踏まえた査定をさせていただきたいと思いますし、過去に不適切、非効率なものがあれば、そういったものを査定において是正、改善していく努力はしていきたいと思っております。
  83. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 繰り返し申し上げておりますが、本席で、財政再建に関してはこれは与野党の対立事項ではなくて、立法府対行政府のそういう課題であるというふうに認識しておりますので、是非ここは党派を超えて、我々も御協力できるところは御協力しますし、与党の皆さん方におかれてもしっかりとした御対応をしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  さて、その選択エージェンシーの事案に関しては、今日は資料はお配りしませんが、幾つもあったわけですが、その中の一つ、一番ニュースになりました保健活動のための便利手帳なるものを毎年随意契約で選択エージェンシーと作っていたということなんですが、平成十五年度分、つまり一番最新のものの手帳の監修料の受取はあったのかなかったのかということについて五月十一日もお伺いをいたしました。そのときの御答弁は、「監修料については受け取っておらないという状況でございます。」と。これは中島審議官がそのように答弁をしております。今、議事録を私は読ませていただきました。  もう一度お伺いします。平成十五年度分の手帳の監修料は厚生労働省の関係職員は受け取っていますか、受け取っていませんか。
  84. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 便利手帳に関しましては、前回御答弁申しましたように、十五年度分は返上をいたしております。
  85. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 受け取っていないんじゃなくて、返上したわけですよね。どうして五月十一日、そのように答弁しなかったんですか。
  86. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 失礼いたしました。  結果として受け取っていないということで申したと思いますが、事実経過としては振り込みがあったものを返したという形で受け取らなかったということでございます。
  87. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 八百万円ですね。過去の金額よりも高い金額を受け取って、振り込まれたものを返上したと。なぜ返上したんですか。
  88. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 私ども窓口を国民健康保険課の庶務係長が行っておりますことから、庶務係長に聞きましたところ、専ら国庫補助金が財源として使われている出版物等の監修であり、また当該出版物の発行も回を重ねていることも考慮し、今までと同様の監修料を受け取るのはいかがなものかと判断し、監修料を受け取らなかったということでございます。
  89. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 先ほどの中島審議官は、「監修料については受け取っておらないという状況でございます。」とおっしゃる前にまくら言葉が付いているんですね。「十五年度につきましても契約はしております。」と。これは、選択エージェンシーと契約をしていたのはだれですか。
  90. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 基本的に、まず受け取らなかったという前に、契約は結んでおります。  その契約の形態といたしましては、十五年分につきましては、十五年度分につきましては、窓口である国民健康保険課の庶務係長が選択エージェンシーより平成十四年度までと同様に便利手帳の監修を行うよう依頼を受けたところ、これを受けまして、当該庶務係長を通じて監修作業を行う者を募り、監修作業を引き受けた複数の職員が作業を行ったところでございます。したがいまして、その言わば引き受けるという申出に対して、引き受けるという旨の意思表示を行うことによって契約が成立しておったものと考えております。
  91. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の御説明を聞いていると、何やら厚生労働省の仕事として契約をして監修をしていたやに今日の答弁だけ聞くとそう聞こえますが、五月十一日は個人としてやっていたという説明に終始しておられたと思いますが、これ個人として契約していたんですか。厚生労働省として契約していたんですか。
  92. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 庶務係長が窓口をしておりましたということを申し上げましたが、あくまでもそれについて作業を行いたいという個人を募って、その個人が契約したものでありまして、組織として、厚生労働省の組織として契約したものではございません。
  93. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 では、改めてお伺いしますが、あのときも、五月十一日のときもお示ししましたが、平成十五年度分は個人として契約して、受け取った監修料を返上した後に、その同じ手帳の製作作業に関連して業務時間中に課長やら課長補佐や専門官が会議に出席しておられるわけですね。これは途中から厚生労働省の仕事に変わったという理解でいいですか。
  94. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 私ども、当時の事情を調べましたが、まず基本的な整理といたしましては、便利手帳そのものの作成は国保中央会が自主的に行う、それに対して補助を行っているものでございます。  その場合に、何といいましょうか、その事業を行っているプロセスにおきまして国保中央会の方が言わば求めによりまして、この便利手帳をもう少し変えるということについて国民健康保険課に言わば助言を求めてまいりました。そのような意味で、自主的に中央会が行っている事業について国民健康保険課に助言を求めたことについて公務として国民健康保険課が協力をいたしましたが、個々の数字のチェックとか細かい監修、これはあくまでも別途個人として行っているという整理になっております。
  95. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の御答弁が納得のいくものであるかどうかは私があえて解説しなくても本席の委員の皆様方がもうお感じになっているとおりでありますので。  局長、辻局長、もう幹部なんですからね、もういつまでもそういう木で鼻をくくったような御答弁されないで、是非、国会の場を茶番の場にしていただきたくないですね。そういう答弁がのうのうと通って、議事録に残って、これが国会でございますなんという、そういう国だから日本はおかしくなっているんですよ。官僚の皆さんお一人お一人は立派だと思いますよ、私は。有能だし。だけれども、ここまでいろいろ明々白々になったら、警察が捜査中で答えられないといっても、自ら襟を正すことが幹部の皆さんに要求されていることではないかと私は思います。  もう一点お伺いしますが、この問題に、今の部分の問題に関連して、平成十五年度分を受け取っていなかったということは、その分返上、返したということは選択エージェンシー側にその分利益が積み増されたことになるという意味で私はこのように質問しました。その「差額はどこに行っているのかということについて、中央会及び連合会を所管する厚生労働省として調査をして報告をしていただきたいというふうに思っております。」。これは、今の返上分に加えて、詳しくは御説明しませんが、五月十一日にお示しした資料の中で中央会の出している数字と厚生労働省が出してきている数字の差額があって、四・八%という数字でしたけれども、これがどこに行っているんだということも含めてお伺いをしたつもりなんですが、それに対して政府参考人中島正治君はこのように答えております、「了解いたしました。」。調査していますか。
  96. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) まず、差額についてでございますが、資料を精査いたしまして、国保中央会にも問い合わせをいたしました。  国保中央会からの返事といたしましては、資料に税は、税金の分を抜いて計上してあると書いてありますけれども、ちょうど言わばエージェンシーの方で計上している額に対しまして、国保中央会が契約した額はちょうど五%乗せた形の額になっておりまして、これは消費税ではないかということで国保中央会から返事が戻ってきております。  それから、返上いたしました額につきまして、国保中央会サイドでそれにつきましても確認しましたところ、平成十五年度の言わば購入につきましては、厚生労働省の職員が監修料を受け取らないこととしたという事実を聞きまして、選択エージェンシーと交渉をした結果、監修料相当分を減じることで合意したということでございます。  なお、厚生労働省としては、国保中央会に対する国庫補助もその分減じて交付することといたしております。
  97. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 人事院にお伺いしますが、この事案に関連して国家公務員倫理法に基づく対応が必要ではないかということを前回お尋ねいたしました。この点について、現時点での検討状況等について御説明いただける点があればお伺いしたいと思います。
  98. 平野由美子

    政府参考人平野由美子君) 選択エージェンシーの問題につきましては、倫理法、倫理規程に照らして、違反する行為がないかどうか、具体的な事実関係に即して検証することが必要でございまして、そのため、現在、厚生労働省に対しまして具体的な事実関係について逐次必要な確認作業をお願いしておりまして、調査をしていただいておるところでございます。審査会としましては、迅速、適切な処理をすべく鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。
  99. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 人事院には是非こういうときに存在感を発揮していただきたいなと思いますので、改めて厳正な対処をお願いをしておきます。  改めて厚生労働省にお伺いしますが、今回の事案に関しての省内の処分等についての現時点での対応状況や今後の方針について、何か御説明いただけることがあればお伺いしたいと思います。
  100. 井口直樹

    政府参考人(井口直樹君) お尋ねの件でございますけれども、一般論から申し上げますと、職員が勤務時間外に自宅等で個人的な立場で監修を行いまして、またそれに伴います監修料につきまして適正に税制上の申告を行っていた、そういうことでありますと、これをもって直ちに何らかの法令に違反するというものではないんではないかというふうに受け取っておりますが、いずれにしましても、個別の事例につきましては今現在調査をしておるところでございますので、その結果を踏まえまして適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。  なお、具体的に逮捕された者がいるわけですが、この者に対しましては、先ほども刑事局長からお話がありましたけれども、起訴になってございます。したがいまして、その公判の状況あるいはその内容が明白になりましたら、これは倫理審査会とも相談をしてその最終的な処分につきましては決めてまいりたい、そんな考えでおります。
  101. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 逮捕された方は逮捕されるなりの理由がおありだったと思うんですが、トカゲのしっぽ切りみたいにしないでいただきたいなと思いますね。勤務時間外の副業については云々という御説明がありましたが、もうこれはそういう分かり切った形式的答弁は是非やめていただきたいなと思いますね。もうみんな分かっているんですから。  辻局長が多分今日おいでいただいている中では一番職階上は上位に位置する方ではないかと思いますので、局長にお伺いしますが、これは警察庁がどういう捜査をするとかしないとか、人事院がどういう処分をするとかしないとかに関係なく、厚生労働省としてしっかりした調査報告書を我々に求められなくても自主的にまとめて公表するべきだと思いますが、どう思われますか。
  102. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) この件につきましては国会で随分御審議をいただきまして、私自身この話を知ったときに、既に返上をしておったということを申しましたが、将来に向けても専ら補助金で交付しているようなものについてやるべきではないと、大臣からもそのような御指示があり、身を正すべきは正すということ。そしてまた、私ども誤解を受けることがないように、これから将来に向けても見直していくという方針で内部の作業をいたしております。  しかしながら、倫理規程との関係とか刑法との関係とか、そのようなことにつきましては、十分の御審査を受けておる、あるいは説明もさせていただいております。そのような観点から、別途の報告書を作るということにつきましては私どもは考えておりません。
  103. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 若者世代は大人の世代の鏡だ、子は親の鏡だというというような言葉がありますが、日本が今、道徳的にも倫理的にも、あるいは社会全体の士気といいますか、いろんな意味においてどうしてこんなふうになっちゃったんだなと皆さんが感じる大きな理由は、やはりリーダー、幹部、それぞれの組織の牽引役が後に続く世代の皆さんに毅然とした態度を示していないということが私は非常に大きな原因だと思っております。  辻局長は恐らく、これは私が勝手に人事のことを言うと恐縮ですけれども、順当にいけば厚生省、旧厚生省出身の次の事務次官になられるんではないかなと思いますが、局長の背中をみんな見ているんですよ、職員は。ああ、そうかと。さすがトップになる人はなるべく自分ではリスクある判断はしないで、そういう報告書はやばいから作らないと、ああいう答弁で逃げるんだなというふうに聞いている後輩が一杯いますよ、今日も国会テレビで。私は、むしろ今のような答弁をされるより、厚生労働省を立て直すために自分たちリスクでしっかりした報告書を作って出直しをさせていただきたいというふうにおっしゃった方が厚生労働省全体のためになると思いますし、またそういうお姿を後輩の連中の皆さんに見せることが本当は幹部に求められていることではないかというふうに思います。誠に残念であります。そういう御答弁をされていると、辻さんが事務次官になってもなかなか私自身は厚生労働省を信用して質疑をさせていただくわけにはいかないなと思いますね。  今の大塚、たまたま名前が一緒ですが、大塚事務次官も、この間も申し上げましたが、中医協の在り方、診療報酬体系の決め方に関して、二年前に個別にお会いさせていただいていろいろ改善要望をお出ししたところ、しっかり対応しますとおっしゃりながら今日の事態が起きているわけで、本当に残念な限りであります。官僚のトップというのは、今の学生や子供たちからすれば、いや、偉い人だなと思ってみんな見ているわけですから、是非そういう思いにこたえられるような行動を取っていただきたいということをお願いをしておきます。もうこれ以上は申し上げません。  その上で、石井副大臣にもう一回お願いをしておきますが、予算の執行状況とか、それから将来の予算編成において今回のような事態が起きないように、財政当局としてどのように今後御対応いただけるのか、そのことをお伺いして、この件については終わらせていただきたいと思います。
  104. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 先ほども申し上げましたように、査定において過去に不適切、非効率なものがあれば、それは改善すべく努力をしてまいりたいと思いますけれども、執行という面でいえば、それぞれの所管の官庁でやはり法令等の規定に従って適切に努力をしていただくということが必要でございますし、また会計検査院のチェックあるいはこの国会での決算審議等もございますので、そういった様々な御指摘を踏まえて適正に執行を確保していくことも重要であるというふうに考えております。
  105. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは、済みません、これで警察庁、厚生労働省、人事院、財務省の皆さん方は結構でございますので、もし委員長のお許しいただければ御退席いただければと思います。
  106. 円より子

    委員長円より子君) はい、御退席くださって結構です。
  107. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それでは次に、金融庁にお伺いをいたします。  多分、委員の皆様方のお手元に資料が配られていると思いますが、先般の平野委員の質問に対する回答ということで「UFJの不良債権比率について」というぺーパーが出ております。  平野委員の御質問は、UFJの不良債権比率がこの三月期に高くなったことの理由についてより明快な説明を求めるということでありました。その結果、その質問を受けてお作りいただいた資料がごらんの資料でございますが、一々中身は読みませんが、特に最後の四ページを拝見すると、私なりにそしゃくをいたしますと、要は十五年三月期の通常検査を中心とした検査結果を反映して決算を行った結果、不良債権比率が上がったというような含意があるものというふうに思っておりますが、そういう理解でよろしいかどうかについて金融庁にお伺いしたいと思います。
  108. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 個別の銀行の不良債権の残高の増減の具体的な要因についてお話をさせていただくことは差し控えなければいけないと思っておりますけれども、このお配りいただきました資料にもございますように、不良債権の増減をする要因というのは様々なものがあろうかと思います。景気動向あるいは債務者の属している産業の動向、さらには債務者企業の経営実態の変化、さらには不良債権処理あるいは縮減に向けた債権者たる銀行の側の取組、さらには各金融機関銀行等のポートフォリオの構成いかんといったような要因にもよるということかと思います。  ただ、更に付け加えますと、私ども検査をやっていきます中で、リスク管理体制資産査定の状況、開示債権等の状況を厳格にチェックいたしますので、結果として、多くの検査検査後に不良債権の金額、開示債権の額が増えるということがある程度はあるというのが一般的でございまして、そういったことも不良債権の増減の要因の一つには一般論としてはなり得るという理解をいたしております。
  109. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 一般論としてはなり得るというお答えでありましたが、まじめにきちっとこういう説明資料を作っていただいたことは結構なことだと思います。  その上で、この中身をそしゃくしながら過去のトレンドを考えますと、通常検査というのは十五年三月期だけではなくて、十四年三月期とか、その前もずっと行われているわけで、これは推測というか、想像ですけれども、UFJについては、そうすると過去の十五年三月期以前の検査結果も実は余り忠実に反映した決算を行っていなかった可能性が一般論としてあるというふうに推測をするわけでありますが、一般論としてお答えをいただきたいんですが、いかがでしょうか。
  110. 佐藤隆文

    政府参考人(佐藤隆文君) 正に個別の銀行のケースについてのお話でございますので、直接のお答えはいたしかねるわけでございますが。  是非、ひとつ御考慮をいただきたいのは、決算、銀行の場合半年ごとに行われておりますけれども、半年ごとに景気の動向、先ほど申し上げましたような、債務者が属している産業の動向、あるいは債務者自身の実態というのは動いているわけでございます。それで、動いている、時期によって動いている、変化している、それを言わば事後的にその決算を対象として私ども検証いたしますので、その対象となっている決算自体の中身が変わっている、その背景として債務者の実態が変化しているということがございますので、必ずしも今御指摘のようなことになるというふうに断定はできないのではないかと思っております。
  111. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いずれにいたしましても、景気が良くなっているせいもありますが、金融機関の経営状況というのも健全化に向けて非常に重要な局面に来ておりますので、引き続きしっかりと監督、御指導をいただきたいなということをお願いをしておきたいと思います。  その上で、実はこの話は、今回の法案証券二法が成立した場合に、その後、銀行証券仲介業務を行う上でいかにきちっとした監督指導が行われるかという点においてはかなり似ているような部分もございますので、そういう問題意識を持って今日の本論の方に入らせていただきたいと思います。  今日は事前に質問通告、余り細かく通告をしていないんですが、といいますのは、今日は是非顧客になったつもりで質問をさせていただきたいなと思っておりまして、まず私の基本的な立場を申し上げておきますと、やはりユニバーサルバンク的な方向に日本金融界が向かっていくことは、これは私はどちらかといえばそれでいいというふうに思っている方であります。したがって、仲介業務を解禁していただくこともそろそろいいのかなと思いつつ、その一方で銀行の体質というのもいろいろ存じ上げているものですから、恐らくこの仲介業務が解禁されると相当いろんな問題が起きるだろうなというふうにも予想をしております。  そこで、じゃ、解禁やめればいいじゃないかということになりますと、また日本金融界の改革というのが遅れることになりますので、ここはできるだけ予想されるデメリットを極小化して、メリットを最大化する努力を金融庁にしていただきたいと、こう思っているわけであります。  そこで、今日は銀行証券仲介をしてもらう顧客の立場で素朴な疑問を幾つか聞かせていただきたいと思いますので、現時点で特に考えていないとか結論が出ていないということであれば別に無理に答弁していただく必要ありませんので、そういう状況だということを正直にお話しいただいた方がいいと思います。  例えば、バックファイナンス付きの問題、勧誘については先ほど山根委員も御質問になっておられましたし、私も本会議で質問させていただいたんですけれども、それは、顧客がその銀行融資をしてあげるからどうですか、株式投資しませんかと言われる、こういう流れの話なんですよね。例えば、銀行証券仲介してくれるということが世の中に普及すると、もう最初から証券会社、店舗が遠いから、じゃ近所の東京三菱銀行に行ってちょっと仲介してもらおうと。もうお客さんが最初からそれを目的に行くようになると思います。そのときに、お客さんの方から、分かったと、じゃ、この株投資したいからこの株担保にして融資してよというふうにお客さんの方から頼まれたら、これはバックファイナンスでしょうか。
  112. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、今回、いわゆるバックファイナンス付きの勧誘ということにつきましては禁止をするということで考えております。ただ、これにつきましては、取引の公正を確保するとともに、証券市場における行き過ぎた投機的な売買の制限のために一定の保証金を置いた義務を定めました信用取引の潜脱の禁止を担保する観点から行っているものでございます。したがいまして、そういった貸付けを条件として証券取引を受託する行為に該当するか否かは、こういった趣旨を踏まえて個別の事例ごとに判断をするということになるかと思います。  今の先生の御指摘はなかなか難しいお話だと思いますが、いろんな態様があるかと思います。例えば、顧客から要請があった場合でも、証券仲介業務の部門が顧客融資部門から融資を受けることも勧めたりなんかしたりした場合には、当然こういった規定に違反する可能性もあるというふうに考えられます。
  113. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 冒頭申し上げましたように、今日は、私、顧客のつもりで聞いていますので、例えば局長銀行融資担当課長か何かで窓口に出てきてそういう話をされると、顧客の私としては、貸すのか貸さないのかどっちなんだ、支店長連れてこいと、こういう話になりますね。銀行から勧誘されたんじゃなくて、私がこの株を買いたいと。で、仲介してくれたのはおたくの銀行じゃないか。もし掛け目七割で担保が足りないというんだったら、おたくに預金が積んであるから、その預金で足りない分担保にするから、七割分は貸してくださいと。貸すのか貸さないのかどっちだって、こう顧客が責めるわけですよね。  こういうことについては、そうすると、まだ政省令でどうするか結論が出ていないという理解でよろしいですか。
  114. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、やはり個別の事例の積み重ねといったものがあるんだろうと思います。そういったもので、いろんな形で判断をしていく必要があるかというふうに考えております。
  115. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、最終的な、何といいますか、事の適否についてはもう委員の皆さんが聞いていただいている印象にお任せしますので、次に進みますけれども。  じゃ、私は分かりましたと。じゃ、融資するかどうかは別にして、じゃ、おたくに仲介してもらいますと。仲介手数料、幾らですか。
  116. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  仲介手数料については、特に法的な、今回、法律上何か規定があるわけでございません。これにつきましては、それぞれの当事者同士のいわゆる契約ということになるかというふうに考えております。
  117. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いやいや、私が顧客として聞いていますのはそういうことではなくて、証券会社へ行けば売買手数料だけでやってくれるわけで、それと別に仲介手数料が掛かるんですかと聞いているんですが、顧客ですよ、別に私は怒っているわけじゃなくて、多分顧客はこういうことを聞くわけですよ。売買手数料以外におたくの銀行に別途仲介手数料を払う必要があるんですか、ないんですか、こういう顧客の質問です。
  118. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) これもいろんな定め方があるんだろうと思います。今の、顧客が全体の中でお支払いになる中から仲介手数料が一部入ってくるというようなこともあるかもしれませんし、あるいは別途、それで、その分として取るというケースもあるかというふうに考えております。
  119. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いやいやいや、それは、そうすると顧客はこういうことになるんです。分かったと言って、例えば、この今の増井銀行では仲介手数料要りませんと言われて、じゃ、やりましたと。今度、五味銀行に行って、五味銀行仲介頼んだら、うちは仲介手数料取りますよと言われて、ちょっと待ってくれと。増井銀行では取らないと言ったけれども仲介手数料を取る取らないはばらばらなのかと言って、この顧客は怒りますね。それは、もうそういうことでいいということですか。
  120. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 別途、証券業協会の自主規制というのがございまして、トータルとして顧客の支払う手数料というのを明示するというような、自主ルールとしてそういった形で行うようにということを取り決められております。
  121. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、今日はきちっと御答弁できないことを恥ずかしがらないでください。実はこの問題、これは解禁するのはいいことなんですけれども、すごく実務上の決め事が重要なんだということを私自身も感じていますし、皆さんにもお感じいただきたいわけですよ。  つまり、仲介手数料というのは売買手数料の一部を言ってみれば証券会社からもらうという形なのか、そうではなくて、売買手数料は売買手数料でこれ自由化されていますから、めちゃくちゃ安いところもあるわけですよね。そこから一部を削って仲介手数料を付けるなんてことは無理なわけですから、売買手数料と仲介手数料はこれは別の概念で、仲介手数料を取る取らないは仲介業をやる銀行の独自の判断だという理解かどうかということですよね。そこについては、現時点で金融庁としてはお立場はどっちなんですか。
  122. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 済みません、ちょっと混乱をしておりますけれども顧客仲介業を、取り次いでもらった場合には、それは手数料を払うと。当然でございますが、銀行仲介業者でございますから、その仲介料を証券会社からもらうという関係になるかと思います。  したがいまして、顧客が払う手数料の内訳がどうかということは顧客に必ずしも分かるわけではございませんが、いずれにしてもその中で、銀行とそれから証券会社の関係でどれだけの仲介手数料を取るかということは契約で決められるということになるかと思います。
  123. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これ、一歩前進したわけです。  今のお話ですと、証券会社銀行に委託をするわけだから、証券会社銀行に手数料を払うということであって、顧客銀行に対して払わなくていいんですね、じゃ。
  124. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 手数料につきましては顧客が結果的に証券会社に払うということになるかと思います。
  125. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いやいや、だから、私が聞いているのは、これね、いろんな問題が起きるということを前提に聞いているわけですよ。  政省令でこれからどういうことをお決めになるか知りませんけれども銀行によっては、いやいや、お客さん、証券会社の売買手数料とは別に、私どもがこのカウンターでサービスをしているこの仲介についても、例えば百万円について一万円の仲介手数料をいただくことになっておりますと言われると、普通の顧客は、ああ、そうですかと言って払っちゃいますよね。これは認めるのか認めないのかということは、現時点で決まっていなければ決まっていないと言っていただいた方がいいんですよ、ここで変な答弁していただくより。どうですか。
  126. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) どうも先生のおっしゃることをうまく、正しく理解しているかどうか分かりませんが、銀行顧客仲介手数料を取るという、自分が何かやるから銀行が取るということですね、ということをおっしゃったんだろうと思うんですが、仲介手数料は、さっき申し上げましたように、銀行証券会社の間でやり取りがあるわけでございます。したがいまして、銀行が何か、それは、全然別なサービスをするということでそれは取るということは、それは全く考えられないわけじゃないですが、普通は、そういうことでやれば、むしろ別のところの仲介業者に行く可能性がございますので、いずれにいたしましても、銀行と、今の仲介手数料の関係は銀行証券会社の関係ではないかというふうに思います。
  127. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ちょっと先に進みますね。多分、今局長の御答弁と私の質問のギャップというのは、聞いている皆さんが御判断くださっていると思いますので。  じゃ、例えば、銀行は、今証券取引については対面取引と通信取引とオンライン取引と三つに分かれますが、そのどの部分の仲介をするんですか。どの取引仲介をしてくれるんですか。
  128. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) どの取引ということについて何かあらかじめ決めているということではございません。
  129. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 じゃ、絞りましょう。今、オンライン取引が相当普及していますけれども、最もオーソドックスなのは対面取引ですね。竹中大臣が例えば銀行仲介業の方だとすると、竹中大臣、何かいい株ないですかと顧客銀行に行って聞くわけですよ。これ、対面取引ですね。対面取引仲介するわけですよね、銀行は、を認めるわけですね、これから。認めるんですか、認めないんですか。
  130. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 先ほど申し上げましたように、どの取引というふうにあらかじめ指定しているわけでございませんので、そういったことはあると思います。
  131. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、私がお伺いしたいのは、対面取引は、これ、仲介しなければもうこれ解禁する意味がなくなりますので、これは基本ですよ。これは解禁するんですよ。  そうすると、お客さんは、私、客ですから、さあ、株、おたくに今預金もあるし、今後も別に預金やめるわけじゃないけれども、せっかく仲介業始めたというから、おたくを通じて証券投資もやってみたいと。どういう株買ったらいいですかというと、銀行は推奨銘柄を言うんですか、言わないんですか。これ、対面取引の一番重要なのは、推奨銘柄を理由を付けて言ってくれるわけですよ、新日鉄の株がいいですよとか、日本航空がいいですよと。それを銀行はやるんですか、やらないんですか。
  132. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 推奨ということかどうかは別でございますけれども、個別の銘柄について、こういったものについてどうですかということを言うことはあるかと思います。ただし、現行法令におきまして特定の銘柄を一斉かつ過度に勧誘する行為は禁止しておるということは先生御承知のとおりでございます。そういう意味で、そういった行為はいけないということでございます。
  133. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そのように法案に書かれているのは知っています。  別に、局長、ごめんなさいね、今日は余り予告もしていないんで。本当顧客になったつもりで、僕も銀行に行って証券投資するかもしれないので、そういう立場で聞いているわけですよ。別に、過度に推奨してくれ、特定の銘柄を推奨してくれと言っているわけじゃなくて、銀行のカウンターに行って、仲介業をやっているというから、じゃ株買いたいのはいいけれども、どういう銘柄買ったらいいか自分では分からないんだけれども、ちょっと少しはアドバイスしてよという、この情報提供が対面取引の一番重要なサービスなわけですよね。これをやるんでしょう、銀行は。そこだけまずお答えください。
  134. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  そういった形での、何らかの形での勧誘行為ということはやるということになると思います。
  135. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうでなければ解禁する意味がないわけですから。  じゃ、いろいろ理屈を付けて新日鉄の株がいいとか日本航空がいいとか、いろいろ言うわけですよね。そのときに、それは銀行が独自の判断で推奨するのはいいですけれども、例えば、二、三日前の日経新聞に、五月三十日の朝刊の一面トップで、「地銀二十五行 証券仲介検討」ということで、この法案が成立することを前提にした記事ですけれども、前向きにやっておられるのはいいことだと思うんですが、例えば、「日興コーディアル証券は当面十数行との提携を目指し、十億円弱を投じて仲介業用の事務システムも整備し始めた。」と、こうあるわけですね。  そうすると、これ想定されるのは、銀行が独自に設備を持つのは大変ですから、日興コーディアルさんの端末をそこに置いて、提携して、推奨銘柄はと検索すると、ぱっと出てきて、ああ、お客さん、これは今新日鉄が買いですよとかという話になって、つまり証券会社が推奨している銘柄、証券会社システム上推奨が促される銘柄、そういうものを銀行が推奨する可能性があるわけですよね。それは、そういうことはあるという理解でいいですね。
  136. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 現実にどのような形でやられるかというのはまだはっきりあらかじめ分かっているわけではございません。それぞれの証券会社あるいは銀行のやり方があるかと思いますが、いずれにしても、先ほど申し上げましたが、特定の銘柄を一斉かつ過度に勧誘する行為は禁止されておりますので、そういったことに該当するような行為はいけないということでございます。
  137. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、それは分かっています。特定の銘柄はよくないですが、今申し上げている、ここでお話ししている真意は、ごくごく日常的にこれから銀行の窓口で起こるシーンを僕はお話ししているわけですよ。今のように証券会社の提供した情報端末を基に、銀行仲介業担当の例えば行員の方が気楽なつもりで銘柄を推奨して、分かりましたとお客さんがそれを買って、たまたま損をしちゃった、損をしちゃった。損をしちゃうと、これはこの間本会議でもお伺いしましたが、求償がどちらに対してできるのかということに関して非常に微妙な問題が出てくるんですね。  これは日本証券業協会が二月十八日に今回の法案関連して出した意見書ですが、この損害賠償のところに関しては、「金融機関に対しては、財務規制が課せられているため、証券会社が連帯責任を負う必要はない。」と、こうはっきり書いてあるんですね。基本は、そのようにこの間の本会議でも答弁をしていただきました。銀行に対しては、言ってみれば財務規制が課せられているし、それから立証責任も転換されるというようなお答えをいただいたんですが。  しかし、証券業協会のこの要望を見ると、今私が申し上げたようなごくごく一般的なケースにおいては、証券会社は、いやいや、推奨したのは銀行だと。銀行は、いやいや、私たち証券さんの提供してくれたこの端末で検索して言っただけで、私たちがお勧めしたわけではないという、これはごく日常的に起こるトラブルだと思いますが、この場合は顧客はどっちに対して文句を言えばいいんですか。
  138. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 具体的なケースがあると思いますので、あらかじめこうだというふうに決め付けるわけにはいかないかと思いますが、今のようなケースで、例えば今のようなケースですと、銀行がある意味で推奨した、それは証券会社のいろんな情報があるということもあるのかもしれませんが、そういったことであっても銀行が推奨したわけでございますが、そこの部分は銀行が責任、全く責任がないということは言えないんではないかという感じがいたします。
  139. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ここで結論を出してほしいということを申し上げているんじゃないんですよ。例えば、こういうことも政省令の中でこれからどういうふうにお書きになるかによって随分トラブルの裁き方が変わってくると思うんですね。  それから、今の話で、実はそういう頭の体操を私もしていて、非常に自分で混乱してきちゃったのが証券業と証券仲介業の定義なんですよ。つまり、今、六十五条が明確にこうあって、証券業と銀行業が分かれている中においては、証券業というのは確かに市場で売買すること、これが証券業なんですね。ところが、証券仲介業というものが入って銀行仲介するようになると、例えば、さっき申し上げたような、カウンターに行って、カウンターに行って、いや、この銘柄いいですよと言って推奨する行為、これが、実はこれが証券業の本質であって、最後に市場で売った買ったという実務をやるのは、これは言わばバックオフィス的な仕事であって、証券業というのは実はカウンターで推奨すること自体が証券業ではないのかというふうに自分も混乱してきたんですよ。  だから、証券仲介業証券業の定義は何かということについて現在の証取法やそれからほかの関連法案に恐らく書いてあると思うんですが、法律的な表現ではなくて、一般的な表現で証券業と証券仲介業金融庁さんはどのように定義しておられるかについてちょっとお伺いをしたいんですけれども
  140. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) うまくお答えできるか分かりませんが、証券仲介業というのは、いずれにいたしましても、証券会社から委託を受けて証券の売買の媒介あるいは代理、代理というか、売買代行を行うということでございますので、証券会社が元々その根っこにあるわけでございます。したがいまして、いろんな形での、例えば売買の代金を取り扱わないとか、いろんな形での制限、制約が証券仲介業にはあるということでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、証券会社の委託を受けるということがまず大事ではないかというふうに思われます。
  141. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、今の説明をお伺いしても、ちょっと僕は自分自身も混乱しているんですけれども、恐らくそこも政省令で銀行がどういう行為を許されるのかということをきちっと定義したり、あるいは行為規制のところで相当リアルな規定を置かないとかなりの混乱が起きるんではないかなと、顧客になって考えると、本当にそう思うんですよ。これは、今日は野党議員として追及しているなんという、そういう代物ではなくて、本当に不思議だなという感じがするわけであります。  なぜこんなことを心配するかというと、冒頭申し上げましたように、銀行業界の体質をたまたまよく存じ上げる立場にもありますし、この間、池田委員が御紹介してくださった全銀協の意見書を見ると、ちょっと先行き心配だなという感じがありありなんですね。例えば全銀協の意見書を見ると、例えば、銀行業務と証券仲介業務の顧客情報共有のところについても、「銀行業務における顧客情報の活用に制限が課せられると、こうしたビジネスモデルや使命を実現することができず、証券仲介業解禁の意味がなくなる。」と、こうはっきり書いてあるんですね。これは銀行業界の主張です。  片や、法案の精神としては情報共有は禁止すると言っているわけなんですが、果たして銀行業界の皆さんが、金融庁が今お考えになっている方向で、実務上、現場本当にそれを守ってくれるのかなということは、大変この要望書を見ると心配であります。  それから、これは全銀協の要望書の上に、信金、信組まで含めたすべての業界団体の連名の頭紙も付いているんですが、そうすると、これは信金、信組にまで全部解禁するということになると、さっき申し上げましたような店頭でのトラブルというのは、もっとプリミティブなトラブルが一杯起こりそうな気がしますね。だから、これ、信金、信組まで含めて全国銀行と同じような対応で皆さんが臨まれようとしているのかどうかとか、この要望書を見ると本当に心配なことばかりであります。  それに、更に申し上げると、これちょっと、私、この意見書を見て驚いたんですけれども、十年前、数年前の銀行業界から出てくる意見書としては信じられないような高飛車な物言いですよね、表現も。例えば、仲介業を解禁することは、「社会人への有価証券等への投資に関する教育という側面もある。」と。だれが、まあ、それはいいですよ、そういう教育してくれるというのは有り難いことですけれども、いや、銀行業界も変わったなと思って。こういう証券仲介業務に対する前のめりかつややツーマッチな積極的な姿勢と、それから、今日、顧客、客としてお伺いしている様々な具体的事例に照らし合わせると、随分先行きが不安な感じがするわけであります。  さらに、この銀行業界の意見書を見ますと、今年の四月に施行となった改正証取法で、証券仲介業以外の業務を営む場合には、当該業務により知り得た有価証券の発行者に関する情報を利用して勧誘する行為は既に禁止されているから、利益相反を防止するための措置はもう講じられているんだというふうにも書いてあるんですね。そうすると、これ以上の措置は必要ないというのが彼らの主張なわけであります。  したがって、これから政省令で何を書くかというのが実は今回の法案にとっては一番重要なところで、今ここで議論している法案はもう精神だけにすぎないので、余り実体的な意味はないと申し上げちゃうと申し訳ないんですけれども、政省令がどうもこれは議論の本丸だなということをつくづく私は感じているわけであります。  以上、るる御説明申し上げた上で、一つ質問させていただきたいんですが、銀行業界の主張は、既に銀行本体と証券子会社間の、いいですか、証券子会社間の弊害防止措置が講じられているからこれで十分だというのが彼らの基本的な主張なんですね。  そこで、お伺いしたいんですけれども、率直な考え方をお伺いしたいんですが、銀行本体と証券子会社間に設けられている現時点での弊害防止措置と、それから、これから政省令に盛り込もうとしておられる銀行本体業務と証券仲介業務の弊害防止措置、どっちがより厳しくなるんですか。これは同じものですか。それとも、これから作ろうというものの方がより厳しくて、今あるものはより甘いと。あるいはその逆なんですか。その強弱関係について基本的な立場をお伺いしたいんですが。
  142. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 度々御説明をさせていただいていますので、もう先生よく御存じだと思いますけれども、今回新しく、例えばその手取り金借入金返済に充当される場合の開示の義務だとか、あるいは証券取引信用供与条件として証券取引させる行為の禁止等々の、言わば弊害防止措置と私ども申し上げておりますが、そういったものを、銀行本体にそういった措置を課そうというふうに考えております。  それぞれ、いわゆる系列証券会社に対するいろんな禁止措置もございますが、いずれにしても、そのそれぞれの実態に応じて取引の公正を確保するための措置を、適切な措置を講じていると私どもは思っております。
  143. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 総括は最後のところでさせていただきますが、結局これは、冒頭申し上げましたように、解禁して、そのメリットを金融産業や金融証券市場日本経済ができるだけ享受して、そこから発生するであろうデメリットを極小化するということにとにかく注力していただきたいわけですよ。そのように考えると、トラブルが起きたときに、相当厳しい措置を取るか取らないかによって銀行業界の自己抑制が働くか働かないかが左右されるわけですね。  そこでまず、もし相当重大な問題が起きたと、しかもこれは仲介をした方、勧誘をした方に問題があったということが立証された場合に、例えば、その仲介をした銀行に対してどういう措置を取られることを現在政省令に盛り込むことを考えておられるんですか。
  144. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) 先ほどの弊害防止措置などの行為に対する違反に対する対応でございますが、いずれにいたしましても、こういった行為は的確に把握して厳正に対処するということが大変大事なことだというふうに私ども思っております。  その場合には、その違反が生じた場合には、その違反行為のその程度とかあるいはその態様に応じて監督上の処分を行うということでございます。さらに、その監督上の処分に対して、これに対して更に違反があれば、これは刑事罰といったことの適用がされるということになるかというふうに考えております。
  145. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私が一番お伺いしたいポイントは、問題が起きたときに、仲介業者としての登録免許を剥奪するとかというそこでとどまるのか、銀行業本体にまで処分が及ぶのかということなんですね。それはどういうことかというと、銀行法二十七条に、これは、銀行銀行業として公益を害する行為をしたときはその業務の全部若しくは一部の停止云々と、こう書いてあるわけですけれども、多分銀行本体にしてみたら、仲介業務を一時的に停止されたり仲介業務の免許を剥奪されることぐらいは、まあ、ある意味達観してしまえば怖くないんですよ。いやいや、そうだと思いますよ、実際始めると。  ただ、余りそこで度が過ぎたことをやったり、例えば、冒頭の質問になりますけれどもバックファイナンスというのはこっちから勧誘することであって、いやいや、お客さんから貸してくれと言われたから貸したんで、これはバックファイナンスではないという認識で、やっていいぞと号令一下、例えばそういう動きに出るような銀行が出た場合に、いやいや、最悪の場合、度が過ぎると銀行法にも抵触するよというところまでヘッジされていれば相当な自己抑制が利くと思うんですが、つまり、今後作られる政省令で、処分というのは証券仲介業の範囲内にとどまる処分なのか、それを委託を受けてやっている銀行本体に及ぶのか、ここはどちらの精神で政省令を書かれますか。
  146. 増井喜一郎

    政府参考人増井喜一郎君) お答え申し上げます。  証券仲介業自体についての処分についても相当銀行にとっては不名誉なことだというふうに思いますが、いずれにいたしましても、先生今御指摘がありましたように、銀行法の二十七条では、内閣総理大臣は、銀行法令、定款若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき又は公益を害する行為をしたときは、当該銀行に対して、その業務の全部若しくは一部の停止若しくは取締役、執行役若しくは監査役の解任を命じ、又は免許を取り消すことができると書いております。  したがいまして、法令とかいうことでございますが、どの法令というような限定があるわけでございません。ただ、いずれにいたしましても、個別の行政処分を行うということにつきましては、やはり法令違反の重大性等を踏まえて個別具体的に検討する必要があるというふうに考えております。
  147. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 あと二点申し上げて終わりにさせていただきます。両方とも竹中大臣にお答えをいただきたいと思いますが。  先ほど申し上げたこの全銀協の意見書の中に、解禁しても大丈夫なんだという理由付けの一つに、貸出しとの抱き合わせ的行為等についてはいろいろ規制が掛けられていて、社内体制も整備されていて、銀行業界としては問題も全く発生していないと断言しているんですね。とんでもない話で、問題は山のように発生しているわけで、こういう認識を意見書として表明してくるというのはやっぱりちょっとやや問題があるなと思っていまして、後ほど意見書をごらんいただければと思いますが、もろもろの現在の状況の中で、貸出しとの抱き合わせ的行為等について問題は全く発生していないという点について、ちょっと是非事務方の皆さんにこういう認識でいいのかどうか調査をしていただいて、問題があるということであれば、銀行業界にそれは違うぞという指摘を、御指導をしていただけるようにお願いをしたいということで、これが答弁のお願いしたい一点目であります。  そして最後に、今日は全部は語り尽くせていないんですが、私は自分が証券投資する立場で考えると、ちょっと今のままでは怖くて銀行の窓口ではできないなというのが正直な印象であります。最終的にやはり政省令の段階でどういう内容を盛り込むかというのが実は今回のこの施策の一番重要なポイントでありまして、政省令を決めてしまう前に本当はその内容をここで議論させていただきたいなというのが正直な印象でありますが、それも難しいでしょうから、政省令については決め打ちしないで、大体こんな内容でいくということを、パブリックコメントに付すとまでは言いませんけれども、何か多少その意見交換なりが可能なプロセスを想定して決めていただきたいと、それをお願いしたいと。  以上、二点のお願いに対する御答弁をお伺いして、終わりにさせていただきます。
  148. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず最初の全銀協の紙でございますけれども、これは金融審でそれぞれ賛成、反対、こうがんがんやっているときに出した紙ということで、その意味では主張する立場からかなり強い言い方になっているという面もあるのだと思います。  しかし、御指摘のような点、これは本当に問題はないのかと、これ正に我々は検査でこういうことを逐次個別に検証しているわけでございます。これを取り上げて何か調査書をまとめるというような性格のものではないと思いますが、これは我々としてはしっかりと調査して、問題があったら指摘する、これはもう当然我々としての重要な立場でありまして、問題が何にもないということであれば、こんな結構なことはないわけでありますけれども、それぞれにやはりいろんな問題があるということも事実で、それに対しては我々としては毅然とした態度で検査・監督を進めてまいります。  今日、いろいろと本当にいい御指摘をたくさんいただきまして、正に取引者の立場に立って、個別の具体的な事例を念頭制度を整備していかなきゃいけないというのはそのとおりだと思っております。政省令が大事である、ガイドラインが大事であるという認識を我々強く持っておりまして、実は今回の答弁の中でもこういう方向で仕組みを作るというのは、これは政省令もそういう方向で整備するという意味ですから、かなり実は御答弁をさせていただいているのではないかと思っております。  大塚委員はこのままでは自分としてはちょっと怖いなというお話ございましたけれども、その点は我々としてもかなり考えているつもりでありまして、今日は勧誘のお話が出ましたけれども、勧誘はこれ証券会社と同じことをある意味でやるわけでございます。その意味では、契約の当事者ではないんだけれども、勧誘に関してはその機能は担うわけでありまして、当然今のその証券会社に掛かっている勧誘についての種々の規制は全部銀行に掛かります。そういう仕組みになっています。それに加えて、銀行ならではの更なる規制、これは、融資部門との情報交換の禁止等々、バックファイナンス云々の禁止等々でそれを課しているということでありますので、そこは制度設計としては是非御理解をいただきたいと思います。  政省令、どういうことを考えているかということについて、ちょっとどういう方法があるのかよく分かりませんが、ここは必要でありましたらいろんなお問い合わせ等々いただいたら、我々としては常にそうしているつもりでありますけれども、万全の対応をさせていただくつもりでございますし、先生方の御意見もいろいろ踏まえて、是非良い政省令の体系を作っていきたいと思っております。
  149. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 終わります。
  150. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 私は、昼休みずっとやってもいいよと、こう言ってしまったものですから、皆様も昼飯抜きでお付き合わせさせて申し訳ありません。しばらく御勘弁願います。    〔委員長退席、理事大塚耕平君着席〕  私、実は、平成十二年、西暦二〇〇〇年の四月二十日にこの委員会で質問をいたしまして、そのときに、日本でも本気に本腰を入れてあのペコラ委員会みたいなことをやろうよというお話をした。何か最後のところでそう言いましたら、賛成、賛成というようなことを言っていただいた方が数人はおられた。ほとんど今はもうおられませんので、初顔の方が多いかと思いますが。それから、最後に、これ作ろうよというのは、大体ここで作らないと、あれと同じ形ならばそういうことになりますので、参議院で作ろうじゃないのと言ったら、そういうことだったんです。しかし、聞いていていただいて、あなたに御感想はあるかという質問を当時の大蔵大臣の宮澤先生に聞きました。そうしましたら、感想は申し上げないけれども、よく考えなきゃならないお話を承りました、ありがとうございましたと、こういう御答弁だった。  四年たっているわけですが、だれかがそれをフォローアップして考えたという形跡は全然ないように思います。それをもう一度蒸し返したいと、その上に少し敷衍したいと実は思っているわけであります。  そのときに強調しましたのは、大恐慌をきっかけにしてあのペコラ委員会というのはできたわけですけれども、アメリカの上院の中でね。いろんなことが起こった。あの信用の過大な膨張が起こった。それから、一部の金融機関に権力が集中し過ぎたとか、様々なことが起こりました。これはちょっとほっとけないということで始まったんですが、よく引用される話ではあるけれども、しかし、法に照らして厳正な処分をして、そして問題を片付けたというようなことじゃないと、あれは。    〔理事大塚耕平君退席、委員長着席〕  要するに、これは全部洗っておかないと、お金の流れというものを、それこそマフィアに流れる金まで全部洗って、そしてその調査に従ってそういう、例えば金融機関の過度の集中が起こらないためにはどうするかとか、あるいは詐欺的行為というものをどうやって防がなければいけないか、様々なことに対するインフラを作って、その結果としてあのSECができたりというようなことが起こって、それが一九三四年ごろですか、銀行法の中でもグラス・スティーガル法ができたというようなことで、これがアメリカのその後の経済運営の憲法みたいなものになっているものであるというところが必ずしも理解されていないという気がするわけです。  その基本で一つ考えなければいけないのは、先ほど文化の違いというようなお話がありましたけれども、そういうことではなしに、スペキュレーションの、投機的な人間の行動、考え方というものが、むしろ経済の発展の原動力になるという、言わば、今で言えば原子力発電みたいなもので、セルフサステーニングな、何というんだっけあれは、日本語で言うと自己持続型のエネルギーの放出がある。こういうものがむしろ本当の内在的なエネルギーになって経済が発展する、これを最初から押さえ付けてはいけないという話なんですね。しかし、それはほっておくと暴走してしまうおそれがあるから、これのコントロールのシステムをきちっと作らなければいけない。この両方を併せて、あのアメリカの言わば広い意味での金融市場考え方というものはあるんだろうと私は思っております。  一方、日本の方では、明治以来、非常に銀行というものを大事にいたしまして、政府が、最初国立銀行、それからそのうちには民間銀行、これを強力にバックアップして、日本の産業形成のバックアップをやったというのが日本歴史だったということだと思うんです。ある意味では全然、基本的な概念というものは少し違うところがあった。  しかし、一九三〇年の最初に起こったことですから、これは考えてみたら私が生まれたばかりのころの話ですね。日本ではやっぱり銀行中心の運営をやっていたということ、それからもうむしろその前からですけれども、要するに銀行中心でやっていて、幾分、もちろん今の株式市場のようなものが生まれ掛けたけれども、戦争に突入いたしましたし、ますますそこのところは在来型に戻っていったというところで、戦争をやって負けたというところから話は始まる。占領軍がやってきて、そして、一体、日本金融市場証券市場というのはどうなっているんだと、これじゃしようがないと思ったらしい。そこで、アメリカ型でやれというので、アメリカで三〇年から営々と作り上げてきたインフラを横を縦にして、これでやれという話になったというのが最初だというのが私の解釈です。  ところが、いろいろ余りにも今までの概念が違ったから、役には、すぐにはそうですかと言って理解してやったというわけじゃない、形は取れたけれども。  一つには、とにかく企業の会計なんというものもどうもはっきりしていない、公認会計士というようなものも制度を確立しなきゃいかぬというところから始まった。厳正中立な監査が行われなければ、大体証券市場なんというものはめちゃくちゃじゃないかという話が始まったけれども、この監査の問題にしたって、ごくごく最近までは、あるいは場合によっては現在も、その問題はまだ完全に日本でこれでいいんだとみんなが思うようなことにはなっておりませんね。  それから、監視機関としてのSECみたいなものを作れということで、格好としては作ったけれども、これも今までの、何というんでしょうね、日本監視機関みたいなことで始めたために、これもすぐうまくいかないで駄目になってしまったということはあります。  分からないのは、グラス・スティーガル法を、これやれと言わなかったことなんですが、これは皆さんどうにも分からないという説が多いらしい。  なぜかといえば、やっぱりあれだけ、占領軍にしても、日本にやってきて、あるところからは日本の産業復興をやってやらなきゃいかぬということになったときに、まあ使えるところを使って取りあえずの仕事をやらなきゃいかぬということになったんでしょうか。日本人の貯蓄好きなところとか、あるいはそのお金の流れというのが銀行中心で流れているということで大目に見たんでしょうかね、それを強制するということはしなかった。  結局、割に、日本側では、一九三〇年代に起こって、そしてやがてはグローバルスタンダードと言われるようになるような仕組みというものについての理解がないというのが日本側の事情であり、そして向こうからいえば、とにかく我々とは違うけれども、大変な高成長もやっているし、まあしようがないというところで不徹底に終わったということはたしかだと思うんです。  ところが、これに比べて徹底した面がある。それは政治と経済と分けてみると、政治の面では物すごく徹底して、これでいけといって、もう条文全部変えた、憲法を押し付けたということがあります。これは全く徹底してやったわけですね。  本来から言えば、ナショナルセキュリティーというものと経済でのセキュリティーというものは一体化してなければいけないものなんですが、とにかくおれたちが守ってやるから、もうそっちの方は忘れて一生懸命経済で働けというようなことを言われたと思って、非常に日本人は幸福に感じて、せっせとやって、復興をやって、それから驚異の高成長をやってというような話、成功物語が繰り広げられたというのがそのときの流れだと思いますね。  そのうちに冷戦が終わった。冷戦が終わったところで、アメリカの人たち、一般国民などは平和の配当をよこせというようなことを言いました。おれたちばかりが苦労して、みんな一体、ほかのやつら少しは分担しろというような話になって、そのときに今度は言葉だけでなしに、グローバルスタンダードという形を持って日本にまた経済の変革の波というのが襲ってきたということだろうと思うんです。  当時、私は、あれ読んでいただけたでしょうか、私は、これ橋本内閣のときですが、大きな銀行のトップとそれから主要取引先という名立たる会社の指導者が集まって、四、五十人のサロンというのをやっていたんですが、そこに呼ばれて話をしてくれと、行政改革の話はどうかねというような話で行ったんですね。実は、いい加減なメモを作って行政改革の話しようと思ったんですが、これは、行ってみたら大変に立派なソファーに皆さん座って、何ていうんでしょうね、もう安楽、安逸な顔している。これは大丈夫かと思ったんで、その行政改革の話はやめまして、あなた方に言いたいことがあるということを言った。  冷戦中は敵の敵は味方ということで、日本のいろんな振る舞いについて大目に見てもらったところがたくさんある。したがって、何が起こらなかったというところを反省してもらわないとこれから先危ないよという話をした。つまり、どういうことかというと、今までのように軍事はただ乗りで、押し付けた方が悪いといえば悪いんですが、それにしてもずっとほっといたのはこっちですから、そっちの方はもう全くただ乗りして、そしていいところまで、いいところだけつまみ上げて、当時、その前、バブルに差し掛かるようなときの大変な日本の膨脹、経済の見掛けの膨脹を利用しながらエクイティーファイナンスか何かで大変安い金を使ってわっと世界に伸びていった。あんなけしからぬことはあるかということがあったんですね。一体これはどういうことかという空気が出ているところに、例の大和銀行の変な話が出て、銀行というものは、日本銀行というのはどうもみんなおかしいんじゃないかという話になった。そして、したがって、何か信用組合か何かが二つか三つはじけたところでジャパン・プレミアムがどんとかぶってきたというような妙なことが起こってきた。  そして、ですから、もう一度、今まで勉強なさらなかった資本主義というものの根本についてもう一度勉強してもらいたいと私は言ったんです。実に機嫌の悪い顔をされまして、みんな偉い人たちだと思っておられたんでしょうが、しかしちょっとたってみたら分かったことは、あのとき偉い顔をしていた方々銀行方々、みんなMOF担か何かで出世した人が多かったね。ですから、私は余り尊敬しないことにしているんです、いわゆる偉い人を。  経済というものを一体どう考えているか、そしてそれに対して最低の仕掛けを作ることにどれだけアメリカが苦心をしてきて、その結果として出てきた競争力、力、それを基底にした軍事力、全体をもって臨んできているときに、このままじゃどうにもならぬという気がした。  いろんなことを考えましたけれども、誠に申し訳ない、今日は少し、ただしゃべらせていただきますので、聞いていてください。  アメリカの最近の力というものは何か。軍事力は圧倒的であるということがありますね。それから、経済力もそれなりにとにかく強い。相対的には何のかんのと言われますが、強いですね。何よりも強いのは、世界のアジェンダを決めていくという力がある。気に食わなくても、しようがない、もうアメリカの大統領の言うことは聞くかというようなことで、ずっと通用してきたんです。  アメリカと日本の間の経済摩擦なるものも大分起こってきて、いろいろな、こっちからも文句を言ったり、あるいは言い逃れをしたりというようなことはありましたけれども、とにかく力の強いやつが、やつと言っちゃ失礼ですが、そういう気分でいえば、力の強いやつがおれは勝つまで勝負を下りないよと言ったら、そっちが勝つんですね。これは、そういう意味では、今のイラクの話なんかも似たようなところはあります。  それに対抗して、そこから逃れようと思ったら二つしか道がない。一つは、それに対抗する別のシステムを作って戦いを挑むということである。しかし、これは大変なことで、しばらくは無理でしょうね。ですから、そうなったら、今度は彼らの作ったコンセプト、そしてそれから出てきたルールというものの中に入り込んで、そしてその中でのアジェンダセッティングの力を養うということしか考えられないと私は思うんです。  ところが、残念なことに、今やっていることは非常にばらばらの話であって、総力戦にどうもなっていないと思うんです。これは、日本には元からそういうDNAがあるんじゃないかと思うんですが、追い詰められ追い詰められて、せんだっての太平洋戦争と言うのか大東亜戦争と言うのか、何か我々やむを得ずやったということになっていますでしょう。皇国の興廃この一戦にありといって始めたんですね。  ところが、その最初に戦端を開いた真珠湾攻撃のやり方、これは誠に今考えてみると不思議なことでありまして、実に見事にやった。見事にやったけれども、成功したのは、あそこにいた軍艦を練り上げた技術で沈めたということだけなんですね。燃料庫も壊していない、ホノルルのあの近い町でも停電も起こしていない。ですから、大体どんな立派なキャデラックを持ってきても何にしても、ガソリンがなきゃ走らないんですから、けれどもガソリンさえあれば、ちょっと出掛けていっても帰ってくれば走る。それを許してしまっている。こんな不思議な話はない。  これは戦国時代に侍大将の首にしか興味がない、雑兵の首は問題にしないで、名のりを上げてやった伝統が生きているのかもしれないけれども、皇国の興廃、興廃という言葉を使いながら、一体あのときの軍人はやるだけのことをやったのか。いい悪いは別にして、そのつもりでやったら、ヨーロッパ辺りではナチスの軍隊なんというのはよそのダムを破壊して、そこらじゅうおかしくしたりというようなことをやった。それに比べて、まあ何と優しい軍隊かということを今にして考える。  私は不思議でしようがなかったんで、アメリカの軍人に聞いたことがある。いや、あれは助かったと、あれ、もしも全部ばっさりつぶされていて、そして日本の潜水艦がハワイの東側にうろうろされていたら、あそこはもうしばらく、半年ぐらいは使い物にならなかっただろうと言うんだね。  つまり、そういう細かい技術は大変にうまくやるんです。だけれども、総合的に言えば、一体どういうことを考えたのか。追い詰められてやったというならあれだし、その追い詰められてやって、じゃ、戦争を起こしておいて、勝ったら一体どうするつもりだったのかということは最後まで分からなかった。というような癖が残っているから、この話も、要するに銀行証券の取扱いをさせるさせないという、そう言っちゃ悪いけれども、つまんない話なんですね。そう考えると、つまんない話が多過ぎるんです。  それと似たようなことは、それこそいわゆる安全保障の面でも起こっている。今の憲法だとできないことがたくさんある。どうしようかと。周辺で何か起こったらどうしようか。周辺のための特別措置法を作っちゃうわけだ。それから、あっちの方まで出さなきゃいけないというとまた特措法を作り、イラクにやっぱり付き合うかと。私はイラクに付き合ってというのは悪いことだとは思いませんけれども、しかし今の法律じゃできない、イラクの特措法を作ろうかと。今度、国連で何か決議ができたら多国籍軍に参加するかどうか、これも特措法でやらなきゃしようがねえなというような話ばっかりやっている。  これを経済でやっているという面が非常にあるということを私は心配する。だから、そのためにも、さっき言ったようなことで、日本がアジェンダセッティングに本当に加われるということになるためにも、日本の金の流れというものを全部一回洗ってみて、そこから始めた方が本当は早いんですね。急がば回れ。  そこを四年前に私言ったことがあるが、余り聞かなくてもいいよということなんでしょうが、ほっておいて、どなたも考えた形跡もないというのはやっぱり国としておかしいんじゃないかと私は思うわけです。  しかし一方、非常に現実的に言えば、いろいろなことをやらなければ五か月先に変なことが起こる、五年先におかしくなっちゃうとかいう緊急度がある場合には何かやらなきゃいかぬと、取りあえずのことは。ところが、取りあえずのことを百年もちますとかなんとかというような話をしなきゃいいのに、そういうことをするものだから話のつじつまが合わなくなるんですね。  全部洗い直せば、大体年金の話だってやらなきゃいけない。年金はどうやって集まってきているのか、その保険料が。そして、それはどういうふうに使われているのか。こういう使い方をしていいのか悪いのか。それから郵貯、どう使っているのかというところまで全部やらなきゃいけないでしょう。それで、日本の中での金融機関ということを名乗っている総連系の銀行が妙な送金をやっている。これも洗わなきゃ日本のことは分からない。それ一回やろうじゃないのというのが私の趣旨だったわけですが、もう一度だけここで言っておきたいと思うんです。  私は、今度、七月の選挙には出ませんので、ちょっとまとまったことを言える機会の最後だと思いますので言っておきます。  しかし、緊急の場合には、私はとにかくやれることを、今の責任を持っている政府・与党なりなんなりがどんどんとにかくやるということ、そして失敗したらすぐに転換するということを前提ですが、何もしないよりもやった方がいいと思うんです。  ですから、大体のことはみんな賛成するつもりだったんですが、今日採決しようということについても、何かお答えを聞いていても訳分かんないというようなことになると非常に心細いですね。しかし、それはどうしてかといったら、結局、日本の中の経済流れというものを皆さんが職掌にありながら把握していないことから私は出てきているんだと私は思っております。  これだけのことを申し上げて、御感想あれば伺いたい。
  151. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 椎名先生から本当に久しぶりに大変重いまたお話をいただいたと思っております。  要は、対症療法の積み重ねではできることというのは限られているんだと、正に今この時点で日本のビッグピクチャーをしっかりと持たないといけないと、それは歴史の教訓でもあるだろうという御指摘であったと思います。  その意味で、冒頭にお話しされたペコラ委員会、これは一九三二年にあの異常な事態の中で事態を総括しようということで上院がやられたことだと思います。これは、同じような組織ということでありましたら、これは国会でお決めいただくことでありますので私がどうこう申し上げることではございませんが、我々、日々の行政に追われている中で、なかなか立ち止まって大きなビッグピクチャーを描くということは難しい立場ではございますが、今の先生の御指摘を踏まえまして、そういう隘路に陥らないように努力を重ねていきたいと思います。     ─────────────
  152. 円より子

    委員長円より子君) この際、委員異動について御報告申し上げます。  本日、田村耕太郎さんが委員辞任され、その補欠として福島啓史郎さんが選任されました。     ─────────────
  153. 円より子

    委員長円より子君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより両案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  154. 大門実紀史

    大門実紀史君 両法案に反対の討論を行います。  まず、証券取引法改正案についてであります。  本改正案によって更に銀行業務と証券業務が一体化いたします。本改正によって、投資者保護の仕組みが不十分なまま、多くの預金者国民証券投資に誘導されるおそれがあります。また、銀行が貸出し先の企業に証券発行を勧め、その資金で債権回収を図るなど利益相反を引き起こすことや、個人の信用情報を利用して預金者株式を勧誘するなど、様々な弊害が予想されるものです。  次に、社債等振替法の一部改正案についてであります。  株式のペーパーレス、証券投資証券決済のIT化は、巨額のシステム開発費を要することになります。これは、中小証券会社の整理、淘汰を急速に促進し、大手証券会社中心の業界再編につながるものです。証券業界が大手に寡占化されることは、過去の苦い歴史から見ても、投資者保護、業界の健全な発展にとって弊害であると考えます。  以上、二法案の反対理由といたします。
  155. 円より子

    委員長円より子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより順次両案の採決に入ります。  まず、証券取引法等の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  156. 円より子

    委員長円より子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、株式等取引に係る決済合理化を図るための社債等振替に関する法律等の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  157. 円より子

    委員長円より子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、大塚さんから発言を求められておりますので、これを許します。大塚耕平さん。
  158. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私は、ただいま可決されました証券取引法等の一部を改正する法律案及び株式等取引に係る決済合理化を図るための社債等振替に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     証券取引法等の一部を改正する法律案及び株式等取引に係る決済合理化を図るための社債等振替に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 銀行等による証券仲介業務の解禁にあたっては、証券取引等の公正性を確保し、投資家保護等を期するため、利益相反や優越的地位濫用等の弊害を防止するための措置を十分に講ずること。  一 新たな投資サービスの登場に伴い、投資家保護の充実の必要性が一段と高まっていることを踏まえ、証券取引法投資サービス法への改組の可能性も含め、投資家保護法制の整備について引き続き検討すること。  一 金融・資本市場における公正な取引を確保する観点から、米国の証券取引委員会(SEC)を含む諸外国の事例等も参考に、引き続き市場監視機能強化等について検討すること。また、市場監視体制全体としての効率性を確保するよう、行政及び自主規制機関等の検査等の在り方についても検討を行うこと。  一 銀行等による証券仲介業務の解禁が、中小証券会社等の健全な経営等の確保にも資するよう配意すること。  一 株式等振替制度への移行にあたっては、中小証券会社等に与える負担に配慮し、振替制度に係るコストの低減が図られるよう努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  159. 円より子

    委員長円より子君) ただいま大塚さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  160. 円より子

    委員長円より子君) 全会一致と認めます。よって、大塚さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、竹中内閣特命担大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹中内閣特命担大臣
  161. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして十分検討いたしたいと存じます。
  162. 円より子

    委員長円より子君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 円より子

    委員長円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  164. 円より子

    委員長円より子君) 金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。竹中内閣特命担大臣
  165. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ただいま議題となりました金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、金融機能強化のための特別措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  現下の経済情勢の下、地域経済活性化等が課題となる中で、我が国の金融機関等においては、企業再生や不良債権問題への対応など、リスク対応のための体力を高めることが重要となっております。  こうした状況対応して、金融機能強化を図るため、金融機関等の資本の増強等に関する特別措置を講ずることにより、金融機関等の業務の健全かつ効率的な運営及び地域における経済活性化を期し、もって信用秩序の維持と国民経済の健全な発展に資することを目的として、この法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、金融機関等は、合併等の組織再編成を行う場合を含め、平成二十年三月末までの間、預金保険機構に対し自己資本の充実を図るために株式等の引受け等に係る申込みをすることができることとしております。また、金融機関等を子会社とする銀行持ち株会社等も、当該子会社である金融機関等の自己資本の充実を図るために株式の引受けに係る申込みをすることができることとしております。  第二に、金融機関等は、株式等の引受け等に係る申込みに際して、収益性等の経営の改善目標当該目標を達成するための方策、責任ある経営体制の確立に関する事項、信用供与の円滑化等地域経済活性化に資する方策等を記載した経営強化計画を主務大臣に提出しなければならないこととしております。その際、合併等特定の組織再編成を行わない金融機関等の場合には、経営の改善目標が達成されない場合における経営責任の明確化に関する事項も記載することとしております。  第三に、主務大臣は、経営強化計画の実施により収益性等の経営の改善目標が達成されると見込まれること、経営強化計画に記載された方策の実施により地域における金融の円滑化が見込まれることその他当該方策が地域経済活性化のために適切なものであること等の要件に加え、合併等特定の組織再編成を行わない金融機関等の場合には当該金融機関等の経営基盤の安定のために必要な措置が講じられていること等の要件を満たす場合に限り、株式等の引受け等を行うべき旨の決定をするものとしております。  第四に、株式等の引受け等の決定に従い金融機関等が発行する議決権制限株式の発行の特例等商法等の規定の特例、経営強化計画の公表及び変更、経営強化計画の履行を確保するための監督上の措置、経営強化計画の実施期間が終了した後の措置株式等の引受け等が行われた金融機関等が行う株式交換及び合併等について所要の規定を整備するとともに、預金保険機構の業務の特例及び金融機能強化審査会等について所要の規定を設けることとしております。  第五に、協同組織中央金融機関がその会員の協同組織金融機関から引き受けた優先出資等を信託する場合において、平成二十年三月末までに協同組織中央金融機関から信託受益権等の買取りの申込みを受けたときには、所要の要件を満たす場合に限り、主務大臣の決定を経て預金保険機構の委託を受けた協定銀行が信託受益権等の買取りを行うことができることとすること等所要の措置を講ずることとしております。  次に、預金保険法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  金融危機に対応するための公的資金制度である預金保険法第百二条第一号措置においては、金融機関への直接の資本増強のみが可能とされております。  こうした中で、金融危機への円滑な対応を確保するため、預金保険法第百二条第一号措置の必要性の認定を受けた金融機関を子会社とする銀行持ち株会社等に対する資本増強を可能とする等所要の措置を講ずることを目的として、この法律案を提出することとした次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、預金保険法第百二条第一号措置について、当該措置の必要性の認定を受けた金融機関を子会社とする銀行持ち株会社等に対する資本増強を可能とし、その際、銀行持ち株会社等は自らが受けた資本増強と同額以上の資本増強を子会社である当該金融機関に対して行わなければならないこととすること等所要の措置を講ずることとしております。  第二に、預金保険法第百二条第一号措置において金融機関等が発行する株式の総数の増加並びに当該金融機関等が発行する議決権制限株式及び優先出資について、商法等の規定の特例を設けることとしております。  第三に、経営健全化計画の適切な履行を確保する観点から、預金保険法第百二条第一号措置により株式等の引受け等が行われた金融機関等が株式交換及び合併等を行う場合について認可を受けなければならないこととすること等所要の措置を講ずるとともに、優先株式等の引受け等に係る資金援助についても同様の趣旨の規定の整備を行うこととしております。  以上が、金融機能強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  166. 円より子

    委員長円より子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は来る三日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時八分散会