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2004-03-24 第159回国会 参議院 財政金融委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十四日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十三日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     月原 茂皓君  三月二十四日     辞任         補欠選任      月原 茂皓君     尾辻 秀久君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         平野 貞夫君     理 事                 入澤  肇君                 野上浩太郎君                 森山  裕君                 大塚 耕平君                 続  訓弘君     委 員                 上杉 光弘君                 尾辻 秀久君                 清水 達雄君                 田村耕太郎君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 若林 正俊君                 大渕 絹子君                 櫻井  充君                 平野 達男君                 円 より子君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 山口那津男君                 大門実紀史君                 椎名 素夫君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        総務大臣    山口 俊一君        財務大臣    石井 啓一君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣産業再生        機構担当室長   江崎 芳雄君        内閣府政策統括        官        小平 信因君        内閣府政策統括        官        谷内  満君        内閣経済社会        総合研究所総括        政策研究官    原田  泰君        金融庁監督局長  五味 廣文君        総務大臣官房審        議官       阪本 和道君        総務大臣官房審        議官       岡本  保君        総務省行政評価        局長       田村 政志君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        総務省郵政行政        局次長      高橋  亨君        財務省主計局次        長        杉本 和行君        財務省主税局長  大武健一郎君        財務省国際局長  渡辺 博史君        社会保険庁次長  小林 和弘君        経済産業大臣官        房審議官     桑田  始君        国土交通大臣官        房長       安富 正文君        国土交通省航空        局飛行場部長   阿部  健君    参考人        国民生活金融公        庫総裁      薄井 信明君        国際協力銀行総        裁        篠沢 恭助君        日本政策投資銀        行総裁      小村  武君        日本銀行理事   白川 方明君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十六年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十六年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (内閣府所管金融庁)、財務省所管国民生  活金融公庫日本政策投資銀行及び国際協力銀  行) ○平成十六年度における財政運営のための公債の  発行特例等に関する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十三日、尾辻秀久君が委員辞任され、その補欠として月原茂皓君が選任されました。     ─────────────
  3. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 去る二十二日、予算委員会から、本日一日間、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち金融庁財務省所管国民生活金融公庫日本政策投資銀行及び国際協力銀行について審査委嘱がありました。     ─────────────
  4. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣産業再生機構担当室長江崎芳雄君外十一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として国民生活金融公庫総裁薄井信明君外二名の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち金融庁財務省所管国民生活金融公庫日本政策投資銀行及び国際協力銀行を議題といたします。  それでは、委嘱されました予算について順次政府から説明を聴取いたします。谷垣財務大臣
  9. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 平成十六年度一般会計歳入予算並びに財務省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入予算額は八十二兆千百九億円余となっております。  この内訳について申し上げますと、租税及び印紙収入は四十一兆七千四百七十億円、その他収入は三兆七千七百三十九億円余、公債金は三十六兆五千九百億円となっております。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は十九兆二千九百三十一億円余となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、国債費は十七兆五千六百八十五億円余、政府出資は二千二百四十六億円、予備費は三千五百億円となっております。  次に、当省所管の各特別会計歳入歳出予算について申し上げます。  国債整理基金特別会計におきましては、歳入百八十三兆千十三億円余、歳出百六十九兆千十三億円余となっております。  このほか、財政融資資金等の各特別会計歳入歳出予算につきましては予算書等をごらんいただきたいと存じます。  最後に、当省関係の各政府関係機関収入支出予算について申し上げます。  国民生活金融公庫におきましては、収入二千百三億円余、支出千五百七十八億円余となっております。  このほか、日本政策投資銀行等の各政府関係機関収入支出予算につきましては予算書等をごらんいただきたいと存じます。  以上、財務省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  なお、時間の関係もございまして、既に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明に代えさせていただきますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  10. 平野貞夫

  11. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 平成十六年度における内閣府所管金融庁歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  金融庁平成十六年度における歳出予算要求額は百七十二億八千七百万円となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、金融庁一般行政に必要な経費としまして百三十二億五千八百万円、金融機関等監督等に必要な経費としまして六億七千百万円、証券取引等監視委員会に必要な経費としまして三億四千四百万円を計上いたしております。  以上をもちまして、平成十六年度内閣府所管金融庁歳出予算要求額概要説明を終わります。  よろしく御審議くださいますようお願いいたします。
  12. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。  なお、財務省所管予算説明については、お手元に配付しております詳細な説明書を本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 入澤肇

    入澤肇君 今日は公共事業につきまして御質問させていただきますけれども、その前に、個別案件について一つだけ質問させていただきます。  東京国際空港D滑走路建設工事が始まりますけれども、私、川崎に住んでいるんですが、ますます飛行場が遠くなっちゃいまして、タクシーで空港から家に帰ると、距離も二倍、料金も二倍、三倍になってまいりまして、神奈川県に住んでいる川崎横浜の市民は、この距離を短くしてくれということで神奈川口構想というのを出しております。  神奈川口連絡道路国直轄による整備だとか、それに伴う新しい町づくりの支援、こういうふうな構想を出しまして、それぞれ市議会で議論をしまして、国にも陳情しておりますが、これについての政府考え方をお聞きしたい。特に、工事が始まる前に私は全体としてグランドデザインをかくことが必要だと思っております。同時に、環境アセスメント既存予算を使ってきちんとやることが必要だと思っております。  今どんな調査を行おうとしているのか、それから今後どのような考え方でこの神奈川口構想に対応していこうとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  15. 阿部健

    政府参考人阿部健君) お答えいたします。  神奈川口構想に関する取組についての御質問でございますが、神奈川口構想につきましては、昨年十二月に神奈川県、横浜市、それから川崎市から御提案をいただきまして、そうしまして、本年の二月十二日には国土交通大臣神奈川県知事横浜市長川崎市長等を構成員といたします神奈川口構想に関する協議会というものを設置し、協議を開始したところでございます。  神奈川口構想におきましては、神奈川県の羽田空港に隣接する地域神奈川口というふうにとらえまして、これを核とする町づくり、あるいは空港アクセスの改善や観光の振興など、多岐にわたる御提案をいただいておるところでございます。これらの事項につきましては羽田空港利用促進を図る上で非常に重要なテーマでございますし、また京浜臨海部活性化都市再生観点からも重要であるというふうに考えております。  御提案の中には、比較的実現可能性の高い事項もありますれば、また一方で中長期的に検討をしていくべき課題もいろいろあろうかと思います。また、そういう中で、国と地方がどのように役割分担をし、またどのような財源スキームを組んでいくかと、いろいろな検討事項もございます。これらにつきまして、現在、国土交通省神奈川サイド公共団体事務レベルでいろいろな考え方を整理いたしております。また、そういうことを踏まえまして、事柄性格に応じまして必要な調査を行っていくというふうに考えております。  現在におきましても、既に既存都市再生に関連いたします調査等を実施しております。これは都市再生総合整備事業におきます計画策定調査でございますが、こういったものの成果も活用しつつ、神奈川口構想というものにつきまして取り組んでまいりたいと思っております。
  16. 入澤肇

    入澤肇君 せっかく都市再生特別措置法が制定されまして、その対象地域にもなったわけですから、国は持っている調査費を、公共事業調査費をフルに使って、きちんとグランドデザインをかいて、そしてその後の工事着工に向けて支障のないように手当てしていただきたい。特に、三千百万円ぐらいお金を今年は付けているらしいんですけれども、必要があればそれを増額するようなことも考えて進めていただきたいというふうに思います。どうですか。
  17. 阿部健

    政府参考人阿部健君) この提案の中にはいろいろな構想がございます。それを全体にどういうふうにくくっていくかというようなお話であるとか、あるいはまた個別の事業ごと事業の進め方を精査しなきゃいけないものもございます。  それぞれの事柄性格に応じまして、また必要に応じて、どのような調査が必要かということの検討も含めまして対応してまいりたいと思っております。
  18. 入澤肇

    入澤肇君 ひとつよろしくお願いします。  それでは、公共事業をめぐる、特にコスト問題についてお話を聞きたいんですけれども、その前に、各界からいろんな指摘事項があるわけですね、公共事業をめぐっては。  一つは、景気対策としての効用に限界が生じているんじゃないかと。昔、PPBSなどがはやったときには、公共事業有効需要創出効果乗数効果というのは二倍とか二・五倍と。公定歩合を一%下げるか、あるいは一千億円程度の追加公共事業を実施するかというふうなことで、比較すらされていたぐらいに景気対策としては非常に意味があった。ところが、最近は有効需要の係数が一・二ぐらいになっちゃって、箱物の方が効果があるんだというふうな議論がなされています。これはちょっと問題があると思うんですけれども、こういう景気対策等限界指摘されるようになってきていると。  二つ目は、建設国債発行対象になっているとはいっても、国の借金増大の最大の要因一つになっていて、財政再建路線と矛盾するんじゃないかと。したがって、抑制的に公共事業は行うべきだという議論がございます。  それから三つ目は、GDPに対する比率が欧米に比べて非常に大きいと。先進国としては、予算配分のバランスについてもう少し配慮すべきであって、社会資本整備の全体の考え方を改めるべきじゃないかというふうな議論もございます。  それから、いわゆる談合問題を発生させる要素が内在していると。これは、官製談合防止法とか、いろんな法律の手当てができまして、かなり精緻な談合防止策というのができてまいりましたので、運用にきちんと意を用いれば解決できる問題だと思います。  五つ目は、原単位当たりコスト民間事業と比べて割高である。これは、一つ予算執行方式、単年度主義であるとか、あるいは予算積算方式、これも昔は電話帳みたいなたくさん分厚い単価表を作って自動的にやったというふうなこともございますし、それから事業発注方式中小企業優先発注しろとかいうふうなことも含まれます。こういうふうな問題を抱えていますので、一つ一つの解決が必要なんですけれども、いずれにしてもコストが高いということで政府はいろんな研究をなされているようでございます。  六つ目は、受皿となる建設業界構造上の問題、非常に過剰だと。業界全体としては需給ギャップが大き過ぎるというふうな問題があります。  公共事業をめぐっては今申し上げましたような六つのことが大まかに言えば指摘されているんじゃないかと思います。  今日はその中のコスト問題を中心に、ひとつ政府の見解をお聞きしたいと思います。  まず第一に、財務省内にコスト削減検討チームを設けたとか、あるいは公共事業コスト削減への取組ですね、チームを設けたとか、いろんな報道がなされているんですけれども、その中身、検討状況と、それから平成十六年度予算にどのようにそれを反映させているかについて、実態をお聞かせ願いたいと思います。
  19. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 公共事業コストにつきましては、平成九年以降、政府におきまして行動指針決定をしておりまして、縮減への取組を行っております。  その結果、平成十四年度におきましては、平成八年度と比較いたしまして、各省庁の自己努力による工事コスト縮減が一二・九%、物価等下落も含めた実際の工事コスト縮減は二〇・六%となっているところでございます。  この上で、政府として、昨年九月に、平成十五年度以降、五か年間で一五%の総合コスト縮減を達成する公共事業コスト構造改革プログラムを策定したところでございます。平成十六年度からは更にそういった取組を進めるという観点から、中部国際空港等民間の事例を踏まえまして、民間と特に取扱いが異なります積算発注方式につきまして、大口取引価格の把握、交渉方式導入等の新たな取組を行い、一層のコスト縮減を図ることとしているところでございます。
  20. 入澤肇

    入澤肇君 縮減努力は分かるんですけれども、今までそんなに、平成十五年ですか、一五%削減すると。それから、今大変引下げ幅が大きいような数字説明がありましたけれども、そうすると公共事業一般コスト要因ですね、コスト構成要因、それからコストが高かった原因ですね、これについてちょっと、五年ないし、あるいは十年前と比べてどうなっているのかということを御説明願いたいと思うんです。
  21. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 今、具体的なコスト要因、あるいはコスト増となっている原因等についてお尋ねがございました。  詳細については、手元に資料がないのであれですが、例えば我々の今までの経験で申し上げましても、資材費あるいは建設労務費、それらにつきまして、いろいろその時代時代においてコスト要因があるかと思います。  実は、これ、逆にコストがどれだけ下がったかということでちょっと申しますと、例えば平成十四年度、平成八年度比で申し上げますと、建設資材マイナス九・七%、それから建設機械関係マイナス一六・一%、それから労務単価マイナス二〇・八%下がっております。ただ、これは卸売物価下落というものもございますので、その間の卸売物価指数マイナス五・八%でございますから、それを差し引いていくと、実際のいわゆるコスト縮減というのがどういう形でそれぞれのコスト要因によってなされてきたかということが分かるかと思いますが、そういう意味で、必ずしもそれぞれの要因がどう利いているかというのははっきりしませんが、今言ったようなことから、我々としては、卸売物価下落を超えたいわゆる施策分として、当省で言いますとマイナス一三・六%、それぞれの費用項目に応じてトータルとして削減されたというふうに考えております。
  22. 入澤肇

    入澤肇君 さっき政府部内でコスト削減検討会を設けているというふうなことがありましたけれども、実際に公共事業工種別コスト要因が分からなければ、何をどう下げるか、改善するか分かりませんよね。  もう一つ、これは制度的な問題で、さっきもちょっと申しましたけれども、予算執行方式、要するに単年度主義で、国庫債務負担行為をやっても単年度主義に縛られて毎年毎年契約がなされると。要するに、一本の道路を造るに当たっても、毎年毎年その年に付いた予算の範囲内で契約をするというような仕組みですね。さらに、それを中小企業皆さん方に優先的に発注しなくちゃいかぬとなりますと、さらにそれを小さく分割してやるような、そういう制度上の仕組みがございますね。  それから、予算積算方式の問題もありますね。これも一律です。例えば、鉄鋼の板が一メーターで幾らでなんというふうな積算をずっと上乗せしていくわけですね。そして、それに作業の効率なんというのを掛けて事業費全体を算定しているようですけれども、これは制度上の問題、要するに人件費だとか資材コストの問題と制度上の問題、二つに分けて、どれをどのようにということが明確にならないと、具体的に一五%下げるなんといったって、それはまたそのときになってみなきゃ分からないということになりかねないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  23. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、入澤委員から制度上の問題について御指摘がございまして、そこでおっしゃっていることの一つは、ロットを小さくしていくと、結局コストが掛かるんではないかと。私もそのとおりで、コスト削減のためにはある程度ロットを大きくしなきゃいけないと思います。  そのためには、一つは、いわゆる官公需法等中小企業等に、いわゆる中小企業対策の面から中小企業等にも発注をしていくというようなことが書かれておりまして、それがやはりロットを小さくしていく一つ要素になっているわけでございますが、現在でも中小企業対策をしなきゃならぬという側面が私は全くなくなったとは思っておりませんけれども、他方、もう少しコスト削減という見地からその辺を、分割発注といったようなものも見直すべきではないかと。これは、平成十五年度中小企業者に関する国等契約方針という閣議決定をしていただいておりますが、その中でも分離・分割、こういう要請を、コスト削減要請を踏まえた上でその官公需法等要請にもこたえろという指摘もしていただいているので、そういう工夫もしていかなきゃならないと思います。  それからもう一つの御指摘は、やはり何年にもわたって、まあ言葉は悪いですけれども、だらだらとやっていると金が掛かるということもございますから、複数年度にわたる工事については国庫債務負担行為等の適切な使用というものも私は大事なことなのではないかと思っております。  それから、今委員の御議論の中に射程距離に含まれていたのかどうか、あるいは先回りして御答弁してしまうかもしれませんが、やっぱり事業採択やり方といいますか、一種の重点を定めて、いろんなところで選択集中という言葉が使われますけれども、やはりそういう選択集中というようなことも意図的に考えてやっていくことがコスト削減につながっていくんではないかと、こういうふうに考えております。
  24. 入澤肇

    入澤肇君 中小企業皆さん方を優遇するのは私はそれは政府の姿勢の一つとしていいと思うんです。ただ、やり方がもっと工夫があっていいんじゃないか。例えば、中小企業の連合体に一括して契約して、そしてその後、各中小企業体分割してその事業を行うというふうなやり方だってできないわけじゃない。それを最初からロットを小さくしちゃうと、その分だけ高くなっちゃうと。だから、ここら辺は法の趣旨を十分に踏まえて、やり方工夫したらいいんじゃないかと思っているんです。  それから、今先回りしてと言いましたけれども、私もそれを言おうと思ったんですが、骨太の改革方針の中でも、それから政府の十五年度、十四年度の予算編成方針も、傾斜生産方式傾斜配分方式によって選択集中公共事業を行えというふうなことがうたわれたんですが、これ実際そうなっていないんじゃないかと思うんですよ。政府方針はそうなんだけれども、執行に当たる行政当局は必ずしもそう思っていない。  だから、具体的な数字があったら教えてもらいたいんですけれども、今年も公共事業工種ごとに完成もしないのに新規採択がずっと増えているんじゃないかと思うんです。それは傾向的には新規採択の箇所数は減っているかもしれないけれども、完成した箇所と新規採択の箇所というのが分かったら教えてもらいたい。それがちゃんとなされない限り、選択集中だとかなんか言っても言葉だけなんです。選択集中ということは、有効需要の創出効果が非常に大きいところ、あるいは完成間近なところ、そういうところに予算集中して付けて、そして完成させて初めて、利用があって初めて公共事業というのはその有効需要の創出効果があるわけですから、そういうふうなことを念頭に置いて予算の割当てなり新規採択しなくちゃいけないんですけれども、それがなされていないんじゃないかというふうに思っているんです。  是非、完成した箇所と新規の採択の箇所ですね、箇所数、これが分かったら教えてもらいたい。
  25. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 恐縮ですが、ちょっと完成箇所数、今手元にデータがございませんので新規箇所数をちょっと御説明を申し上げたいと思いますが、主な公共事業について申し上げますと、道路事業につきましては直轄と補助を合わせまして、十三年度では新規採択事業は五百八十八か所、十四年度は四百十四か所、十五年度は三百五十五か所というふうに減少しております。継続、新規合わせたトータルの事業実施箇所数で申し上げますと、十二年度で六千二百三十八か所であったものが、十五年度には五千六百三十四か所と、こういう形で減少をしてきているところでございます。  それからまた、事例の二つ目として、ダム事業について申し上げますと、直轄等と補助を合わせまして、新規採択事業は、十三年度には二か所、十四年度二か所、十五年度はゼロでございます。事業実施箇所数を申し上げますと、十二年度で三百十六か所あったものが十五年度には二百二十八か所に減少をしております。  さらに、三つ目の事例として申し上げますと、農業、農村の事業でございますが、これも直轄と補助を合わせまして、新規採択事業は、十三年度で千二百五十二か所、十四年度で九百八十八か所、十五年度は九百十四か所と減少をしてきておりまして、事業実施箇所数で申し上げますと、十二年度の一万一千七百六十四か所が十五年度には七千三百八十二か所に減少しているところでございます。
  26. 入澤肇

    入澤肇君 今の、そうすると、継続の箇所数が減ってきたというのは、差引きするとそれだけ完成しているというふうに理解してよろしゅうございますか。
  27. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) そういうことかと存じます。
  28. 入澤肇

    入澤肇君 公共事業コストを考える場合、事業費の増嵩の問題をまともに考えなくちゃいけないと思うんです。今御説明がありましたように、要するに工事の完成までに相当長期間掛かる、その間、受益者負担を伴うような制度につきましては事業計画の変更をやるんですね。これは全員のきちんと、三分の二というふうに法律では決まっているけれども、ほぼ全員の、事業参加者全員の判こを取って計画変更をしている。そのたびごとに事業費が倍々ゲームで増えているというのが今までの実態なんですね。だからこそ、一つ完成させたら次の事業採択するというような選択集中という仕組みの方が全体としてベターだというふうに私は前から主張しているんですけれども。  それじゃ、主な公共事業道路とか、それから空港、港湾ですね、そういうもので事業採択から完成まで平均何年ぐらい掛かっていますか。
  29. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 主な公共事業で、道路につきましては、十二年度から十四年度の間に完成をいたしました七百六十六か所の道路事業、街路事業を見ますと、道路事業が平均工期が八・〇年でございます。街路事業が平均工期が十・一年になっております。ダムにつきまして、十二年度から十四年度の間に完成しました三十八のダムについて申し上げますと、直轄等のダムが平均工期が二十八・八年、補助事業のダムが平均工期十七・〇年になっております。農業農村整備につきましては、平均工期が昭和六十年ごろには十三年程度でございましたが、平成に入りましておおむね十年程度で推移をしているところでございます。
  30. 入澤肇

    入澤肇君 亀井先生が政調会長のときに、計画はあるんだけれどもなかなか着工しないというのを思い切って公共事業の対象から外そうというので、各地も非常に苦渋の選択を迫られていたんですが、あれは非常にいい決断だったと思うんですね。  それについて、先ほどの数字が本当に、何といいますか、現実的な数字であるとすれば、一層選択集中の度合いを高めていくということをやるべきだと思うんです。  政府決定、政治の決定と行政の受け止め方のギャップを埋めるために、一つ仕組みをやっぱり導入したらいいんじゃないかと思うんです。これは、私、予算委員会で言いましたら、総理も塩じいさんも、塩川大臣もいい意見だと言ったんですよ。それはどういうことかというと、各県別に優先プロジェクトを十ないし二十決めて、優先プロジェクトというのは、もうあと一、二年、二、三年すれば完成してしまうようなプロジェクトですね。それに三年分例えば予算を付けてやるとか。十ないし二十決めて、それに集中して完成させちゃって、予算集中させて完成させてしまって、そして終わったら次のプロジェクトに移るというふうなことをやっていったらどうかと言ったら、いい案じゃないかと言うんですけれども、そのようなことを実際に考えてみる、検討してみるような気持ちはありませんか。
  31. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、入澤委員から御示唆、御提言をいただいたわけですが、石井大臣から御答弁申し上げましたように、かなり実際的に新規着工の箇所というのも重点化して絞って抑制をしてきておりますので、基本的には優先度の高いプロジェクトからやっていくという姿にだんだんなってきていると思っておりますが、さらに、これどうしたらもうちょっとそれを、実効性をできるようにするかというのは更に工夫をしていかなければいけないことだと思っておりまして、委員の御提言も参考にしながら我々も努力をさせていただきたいと思っております。
  32. 入澤肇

    入澤肇君 私が今提案したようなことをやるためには、各省で持っている公共事業について工程表がきちんと分かるようなコンピューター管理がなされなきゃ駄目なんですね。今、例えば採択されたこの道路はどこまで進んでいると、あとどのぐらいまで予算付けたら何年で完成するかというようなことが一目で分かるようなことになる、全体としてそういうようなコンピューター管理ができているかどうか、これはいかがですか。
  33. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 全体としてコンピューター管理でそれぞれの事業についての完了時期等を見るというのは、私の記憶するところではまだできていないと思います。ただ、我々自身も事業のスピードアップをしていくということは必要ですし、よく道路等で実際行われていますのは、地元の人たちあるいはその周辺の人たちにこの道路はいつ完了するということを明確に言って、それに向けてそれぞれの地元との協議も含めて進めていくという完了宣言付きの計画といいますか、そういう形で個別の事業についてはやっているところでございます。
  34. 入澤肇

    入澤肇君 私は、公共事業は非常に大事だと思っているんです。世の中には、何か公共事業は邪魔者みたいな、あるいは全然景気対策関係ないとか借金を増やすばかりだと、その元だというふうなことが言われていますけれども、私は全然そうじゃないと思っている。これだけコンピューターが発達したわけでございますから、各省庁、各局ごとに所管の公共事業を全部コンピューターに入れまして施工管理を、空港管制よろしくレーダーで見るように施工管理をコンピューターですぐ分かるようにやっておくことが私は必要じゃないかと思っているんです。そうすることによって選択集中に実が上がるというふうに私は思うんです。そうやって公共事業の有効性をもう一回世の中に改めて問うということが必要じゃないかというふうに思っています。  それでは、もう一つ、あと一問だけですが、公共事業の削減がずっと続けられていますけれども、この削減はどういう理念の下にやっている、今年も三・何%、去年も三・何%ですね、減っていきますね。全体として平成十九年度までに社会資本整備の水準を平成二年のレベルまで持っていくんだというふうなことを言われていますけれども、この意味するところは何なんですか。欧米並みの、GDPに占める比率を欧米並みにするとかいう、それは私は必要ないと思っている。日本の社会資本整備の水準をどう達成するかということで、そこから公共事業整備が幾らある、必要かということが出されるべきなんであって、今のような削減をどのような理念の下にやっていくのかについてお聞かせ願いたいと思います。
  35. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) かつて我が国のインフラ整備あるいは道路整備、そういうものは非常に遅れていると言われたことがございまして、何とか追い付かなきゃということで一生懸命努力をしてまいりましたことは、もうこれは言うまでもないことでございますが、いろんなところでかなり進んできたことは事実でございますし、それから、やはりかつて一時期景気対策ということで、当時の財政事情から見ますとやや実力を超えて経済対策を、実力を超えてという言葉を使っていいかどうか分かりませんが、対策を打ってきたというようなこともやはりあったと思いますので、先ほど委員、欧米並みということでは理念も何もないんではないかという御指摘でございましたけれども、財政との関係で考えますと、骨太の方針で言われているような目標もひとつ持ってやっていくことは、やはり外せないのではないかと思っております。  しかし、その上で、委員がおっしゃいますように、公共事業はすべて悪であるというがのごとき風潮は、私も甚だこれは誤解を与える、世道人心を過つものではないかというふうに思っておりまして、ちょっと委員のお尋ねとずれるかもしれませんが、先般、利根川と江戸川の合流点である関宿というところに参りまして、利根川と江戸川の流れをきちっとやるような設計をしたことが今の首都圏の基盤になっているというふうに私は思いますし、私は選挙区京都でございますけれども、あそこも淀川三川というものをきちっと定めたことが近畿地方、関西圏の発展、中部地方で言えば、それがやはり三川をどうしたかと、こういうようなことが、やっぱりその後何百年も歴史や我々の生活に影響を与えるわけですから、私は現在においてもそういうことを看過すべきではないと思っております。それで、今の限られた需要の中でどういうところに今後重点を置いていくかということは、やっぱり総花的にやるというのは私は良くないんだろうというふうに思います。  そこで、やはり、先ほど集中選択ということもおっしゃいましたけれども、重点化ということが必要ではないかと思うんですが、具体的には三大都市圏の環状道路であるとか、あるいは中枢国際港湾であるとか、それから大都市圏の拠点空港というような、これは我が国の国際的な競争力の向上という点から見ても、それに直結する投資でございます。  それから、地方の自主性を重視するということで今度はまちづくり交付金という制度も作っていただいたわけでありますが、こういうようなものはやっぱり推し進めていかなければいけないと思いますが、一般空港とか重要港湾以外の港湾であるとか、あるいはごみ処理施設等もそろそろできてきて、予算をそろそろ縮減することにしなければいけないのではないかと。  今後とも、競争力の向上、我が国の競争力の向上をどうやって図っていくか、それからやはり民需を喚起するような投資、それから災害対策、それから、これは公共空間のバリアフリー化、こういうようなことも私は大事だと思いますし、それからリサイクルの推進というようなことも環境政策、そのほかから考えて大事なことではないかと。そういう現時点の社会経済的な要請にやはりこたえられるものを重点化して進めていくということが、予算の重点化を図っていくということがあるべき姿ではないかと、こう考えております。
  36. 入澤肇

    入澤肇君 終わります。
  37. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  竹中大臣におかれては、午後また質問をさせていただきますので、建設的な御答弁をいただけることを期待いたしまして、委員長のお許しをいただければ御退席いただいて結構です。  今、入澤先生から大変興味深いといいますか、基本的には賛同できるお話をお伺いしたわけですが、私ども、あるいは私も別に公共事業が悪いなどとは思っておりませんで、私なんかも地元でよく話をしますときは、私が子供のころは、NHKのニュースで、それこそ景気対策だというと補正予算を組む、公共事業をやる、あるいは公定歩合を下げるという、そういう一連の景気対策のシナリオというのは言わば定番化していまして、公共事業というのはいい響きだったと。公共事業を悪い響きの言葉に変えてしまった制度と人たちは一体何なんだということを常々地元で申しておりまして、そういう意味でいうと、今もお話しでありましたが、公共事業コストを下げるということと無駄なことはやらないということに尽きるわけであります。  例えば、私の地元の愛知県では、中部国際新空港は、御承知のとおり、民間事業者の方々を中心に、社長もトヨタの方なんですけれども、やりましたら、予算より二割近いコストダウンが図れたわけであります。これは大変画期的なことであったわけでありますが、そういうことがあらゆる公共事業できちっと行われるかということと、それから無駄な公共事業を行わない、もうこれは、もうここにこそ谷垣大臣に是非本当に御自身の意思で大なたを振るっていただきたいんですが。  くどいようですけれども、この間からしつこく申し上げていますけれども、例えば国庫債務負担行為、補正予算で計上する国庫債務負担行為は何も査定なんかしていないんですよ。毎年の順番で、都道府県から、はい、補正予算組みますから上げてくださいというと、農水省、国土交通省関係予算がざっと上がってきて、ほとんど無査定で全部計上されちゃうわけです。本当に災害対策のために必要なものを計上しているんだったら全然私も反対はしませんけれども、そうじゃなくて、まだちゃんと堤防ができているのにもう一回、それ取り壊して、もう一回造るみたいなことをやっているわけですよ。今も国会議事堂の目の前のあの歩道の石をはがしてまた全部付け直していますけれども、何であれはがしてやり直す必要があるのかなと思うようなこともあるわけでございますが。  今、入澤先生のお話に触発されて余計なことを申し上げていますけれども、公共事業有効需要創出効果は一・一とか一・二どころか、本来は民間の設備投資に使える資金を吸収して公共事業に充てるというそのメカニズムまで含めて考えると、無駄な公共事業をやると有効需要創出効果は一を割るという研究もあるんです。つまり、そういうことをやるから経済は縮小均衡していくんだという、そういうデータも出ていますので、是非、谷垣大臣には、在任中、歴史に残るような業績を上げていただきたいなということをお願い申し上げたいと思います。  さて、今日は委嘱審査ということで、もちろん財務省あるいは金融庁自身の予算の中身についてもお伺いをしたいわけですが、しかし財務省として、今申し上げた話の延長線上の問題として、他省庁の予算をきちっと査定しておられるのかということに関心を、焦点を当てまして、少し議論をさせていただきたいと思います。  まず冒頭に、衆議院の方でも例の社会保険庁の事務費の問題を年金制度改革と絡めて随分議論をしておられまして、私も議事録は大体読みましたけれども、それに絡めて少しお伺いしたいと思います。  まず、財務省にお伺いしますが、厚生労働省の予算、あるいはその中でも社会保険庁の予算の査定についての体制と、それからどういう人員でそれをやっておられるのかということについて御説明いただきたいと思います。
  38. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 厚生労働省予算につきましては、その大部分を主計局の厚生労働係において担当しておりまして、体制につきましては、主計官一名、大臣官房企画官一名、主計官補佐七名、係長七名、主計事務専門官二名、調査主任一名、係員六名、合計二十五名で担当をしておるところでございます。
  39. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 その二十五名というのは厚生労働省の予算だけを担当しているんですか、もう一度確認させていただきますが。
  40. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) お答えさせていただきます。  基本的に厚生労働省関係予算でございますが、若干、例えば年金問題に関係いたします共済組合の予算とか、共済組合の予算財務省予算関係いたしますし、あと文科省の方の私学共済というのもございますので、そういった関連のものが若干ございますが、ほとんどが厚生労働省関係予算でございます。
  41. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、私の印象よりは結構人数はいるなという気がいたしますので、それだけの人数である程度の期間を掛けたら、相当みっちりと予算の査定をしていただきたいなという印象でございます。  そこで、今日は、厚生労働省の特別会計の各目明細をちょっと拝見をいたしまして、その中で、年金制度改革の中で議論になっている国民年金特別会計の中に関して幾つかちょっとお伺いをしたいと思います。  まず、各目明細の中にある国民年金特別会計における福祉施設事務処理費というものの内容についてお伺いしたいと思います。
  42. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 福祉施設事務処理費につきましては、国民年金法の第七十四条に基づきます被保険者等へのサービス向上のための事務的経費のうちで、いわゆる庁費というものに分類されるもの、これを計上しているものでございます。  主な内訳といたしましては、年金受給者への現況届あるいは振り込み通知書などの作成、あるいは郵送関係経費、これは約三十八億円でございます。受給者のしおり、リーフレット等の作成及び郵送経費、この関係で約十二億円。国民年金制度を広く周知するための広報関係経費、これは九億円。年金相談センター及び電話相談センターの運営費、これで約二億円といったものを計上させていただいております。
  43. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 確認ですが、こういう事務費というのは今は特例的にこの特別会計予算の中で処理しているという、そういう理解でよろしいんですね、平成九年以降。
  44. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 今申し上げた経費につきましては、従来から保険料をもって負担すると、保険料を財源として実施をさせていただいております経費ということでございます。
  45. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、各目明細の中で例外的措置として大臣はあと一年延長、取りあえず延長するということを衆議院でも言っておられましたが、例外的に、本来は本省の予算でやるべきところをこの保険料を充当してやっているというものは、この各目明細の中でいうとどういう項目がそれに当たるわけでしょうか。
  46. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 各目明細で申し上げますれば、基本的に業務取扱費、項で申し上げますと業務取扱費、ここに計上されております費用のうちで、これは人件費なんかも入っております。これは、人件費は引き続き国庫負担をお願いしておるわけではございますが、この中に含まれております人件費以外の項目なんかがいわゆる特例措置によりまして保険料負担をさせていただいている、こういったものでございます。
  47. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、福祉施設費というのはどうですか。項番、〇五番です。
  48. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 福祉施設費につきましては、昭和五十年代、かなり業務的に伸びてきた被保険者のサービス向上のための経費、これにつきましての費用負担をどうするかという議論の中で、昭和五十年代の一応の整理といたしまして、被保険者サービスの向上に資する経費につきましては保険料をもって負担すると、こういう整理をしてきているもので、いわゆる福祉施設費につきましてはそれに該当するものということでの整理をさせていただいております。
  49. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、これは現在例外として保険料に充当されている部分ではないということですね。そこだけ聞きたいんですけれども。例外扱いのものか、従来から保険料のものなのか。
  50. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) ここに計上しております福祉施設費は従来から保険料負担でやっております事業でございます。
  51. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そうすると、例えば、委員の皆さんや大臣、資料がお手元にないと恐縮なんですが、この福祉施設の中に、項番でいうと二〇四の一五というところに年金相談施設整備費、これは今年度のですね、平成十六年度の今審議中のものですが、六億一千三百三十八万六千円と、こう計上されておりますが、これは従来から保険料の中で処理しているというものの中に含まれているわけですが、この年金相談施設を整備するのに六億一千万と。これ、何を作っているわけですか。
  52. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 今御指摘いただきました年金相談施設整備費につきましては、昨今の年金受給者等の大幅な増加に伴いまして年金相談の件数が非常に増えてございます。こういうような、年金相談件数の増大でございますとか相談内容も非常に多様化してくるということがございますので、社会保険事務所、これは第一線の機関でございますが、社会保険事務所の中での来訪相談者に適切に対応していくというための経費ということで、社会保険事務所の中に相談窓口を新たに作るでございますとか相談コーナーを増設すると、こういった関係経費につきまして今御指摘の年金相談施設整備費という項目で対応させていただいております。
  53. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 財務省にお伺いしますが、今の説明で、これ毎年、年金相談施設整備費というのが計上されていて、相談員というのは非常勤の、謝金で対応している一般の方ですよ。これは社会保険庁のOBではなくて、一般の方で相談窓口に立っていただく方を毎年謝金を払って非常勤で採用している、そういう方々が相談を受ける窓口なのかなと、今話を聞くとそんな感じがするんですが、その窓口の何を作っているんですか、これ。  今の話だと、相談のインフラを作っているのか、相談のための経費なのか、経費だというと施設整備費には当たらないと思うんですが、何を毎年何億も掛けて作っているんですか。社会保険庁の事務所というのは全国に三百以上あって、いすとテーブルがあれば相談受けられるはずなんですけれども、何を作っているんですか、これ、具体的に。  例えば今年度の六億で、何を作るために六億必要なんですか、相談の施設として。それは、そして社会保険庁のもう建物があるわけですから、その建物の中でできないんですか、これは。
  54. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) お答えさせていただきます。  この経費は社会保険事務所の相談窓口の増設とか相談コーナーの増改築ということで、先生がおっしゃる意味では、例えば増改築などをやって窓口の施設を変えておりますので、そういう意味ではインフラということになるんだと思っております。
  55. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、全体の八十二兆の予算の中の六億と聞くと、まあそんなのと思うかもしれませんけれども、こういうのがちりも積もれば山となるなんですよ。  ブースなんて、そんなの間仕切りしていすと机置けばいいのに、一体この六億、しかも毎年ですよ。何作っているんですか、これ、社会保険庁。
  56. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 全国三百十二の社会保険事務所がございます。ここで年金相談いろいろ、特に件数なんかは非常に増えてございます。そういった意味で、事務所の中の相談コーナーなんかも徐々に増設をする。従来一階にございました相談関係以外の課を例えば二階に上げて、一階を相談コーナーを大幅に広くスペースを取るというような形での所内の手直しなんかもこれは必要になってまいります。  こういうような傾向は都会地を中心としてかなり増えておるんですが、予算の限りもございますので、徐々にそれは計画的にしか進みようがないという形で、年間六億程度の予算の計上をさせていただいておりますが、そういう相談体制をハード面で整備すると、こういうための経費でございます。
  57. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今御答弁いただいた方、どなたでしたっけ。
  58. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 小林次長。
  59. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 小林次長ね、本当に現場を御確認になって今の御答弁されたんだったらいいですけれども、社会保険庁の次長として、国会だから何とか言わなきゃいけないと思って、現場見ていないけれども取りあえず答弁したということだと後が大変ですよ。現場ちゃんと見ているんですか。
  60. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) そう多くはございませんが、見ております。
  61. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 見ていないことを答弁して、何となくそれで国会が回っていっているというところにも財政がどんどん悪くなっている大きな理由があるんですよ。  別に次長が無駄遣いしているとは思いませんよ。だけれども、この六億が本当にブースの増設のために毎年六億使われているかどうか、これは確認していただきたいですね。これは本来会計検査院がやるべき話かもしれませんが、財務省、これちょっと確認していただけますか。  聞きたいことは一杯あるんですよ。だけれども、限られた時間で皆さんもマンパワーに限りがある中であれもこれもできませんから、取りあえずこれでいいですよ。この六億というのが、六億一千三百三十八万六千円まで出ているわけだから、一体これで何をしようとしているのか、全部明細を持ってきてください、私のところに。それ、杉本さん、約束していただけますか。
  62. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 社会保険庁とも相談いたしまして、できるだけそういうことで、どういう実態になっているかということを先生のところに御説明に上がりたいと思います。
  63. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 僕は基本的に財務省の味方なんですけれども、駄目です、その答弁は。社会保険庁と相談して、できるだけそうするようにしますなんというのは駄目です、査定しているはずなんだから。  そして、この千円単位まで、この間は国庫債務負担行為でこれからやる工事が、土木工事が千円単位まで出ていることを御指摘申し上げましたけれども、これも千円単位まで出ているわけですから、この六億一千三百三十八万六千円をここに計上することになった根拠資料を速やかに全部僕のところに持ってきてください。次長、約束してください。
  64. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 財政当局としてできることは御説明させていただきます。
  65. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 期待しています。  さて、言い出せば切りがないんですが、もちろん社会保険庁の皆さんも、大変膨大な年金事務をこなすために現場の方は大変御苦労をしておられて、それは理解しています。しかし、もろもろの問題やあるいは今のこの年金制度改革の中で、どうしてもこういうことにスポットが当たるというやむを得ない状況なわけですから、襟を正してやっていただきたいなと思いますが。  もう一個違うことをお伺いしたいんですけれども、延滞している方や未収保険料について徴収を今一生懸命しておられると聞いておりますが、これはいつごろからやっておられるんでしょうか。
  66. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 保険料の未納対策というようなことでの御指摘でございますれば、典型的には平成十四年度に国民年金の徴収事務というのが市町村から国の方に移管をされると、地方分権一括法の関係で移管をされるという意味でございますので、そういう意味で大規模な国民年金の保険料の徴収業務というのは平成十四年度から社会保険組織としてやらせていただいております。
  67. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 例えば、じゃ、昨年度の実績でいいですが、何件ぐらい具体的に督促状を出して、どのぐらい延滞保険料、未収保険料を回収できたのか、お答えいただけますか。
  68. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 申し訳ございません。今ちょっと手元に資料を用意してございませんので、追って調べましての御説明をさせていただきます。
  69. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これ、昨日事務方の皆さんに御説明いただいた中に、例えば国民年金保険料の強制徴収については、平成十五年度の国民年金保険料の強制徴収については、昨年八月に開催した国民年金特別対策本部の第一回会合において決定し、始めたということが書いてあって、そんなすごい件数じゃないですね、何百件とか何千件とか。非常にラフな説明で恐縮なんですけれども、大体こんな認識でいいですか。
  70. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 昨今のといいますか、十四年度の国民年金の納付率というものは非常に低下をするということを受けまして、今御指摘のように、昨年八月に大臣を本部長とする特別対策本部を省内に設置をさせていただきました。それ以後、国民年金の納付状況の改善をどういうふうに図っていくかということでの全庁を挙げた体制なり仕掛けといいますか、取組をさせていただいているところでございます。  その一環として、この十五年度でございますが、いわゆる強制徴収ということを実施をさせていただくということで、これは昨年の終わりぐらいから各社会保険事務所を通じて全国的な動きとしての強制徴収に向けてのいろんな手順を進めさせていただいておるという、今その途上というところでございます。
  71. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 また、今日のこの場だけですべて解決できるとは思っていませんが、私がお伺いしたところでは、例えば督促状の発行というのは、古くは平成元年とか二年ぐらいをお伺いしたら、二十八件とか十七件とか非常に少なくて、平成十五年度まで余りやっていなくて、最近力を入れられたと、これからやるというような御説明だったんですね。  そこで、谷垣大臣ね、そこでこの各目明細見ていたら、平成十六年度の延滞処分等旅費八億八千八百六十七万七千円、これは今年から力を入れてやるんだなと思って期待したわけですよ。ちょっとさかのぼってみたら、そんなに古くはないですよ。  例えば、平成十四年も、二年前も七億三千三百六十九万八千円、延滞処分等旅費に。要するに、これ多分ずっとさかのぼっても似たような金額が計上されていると思うんですが。今までの話だと、社会保険庁の話だと、なぜ、今までというのは今の答弁だけじゃないですよ、過去場外でお伺いした話も含めて、延滞処分とか保険料の強制徴収をやらなかったのは、保険というのは最後は自分にはね返ってくることだから、だから積極的にやらずとも自己努力に任せているんですと言いながら、毎年この延滞処分等旅費というのが七億、八億と計上されている。これは一体何件の人がどういう延滞処分等のための出張をして、幾ら回収したんですか。例えば、実績で分かっているデータがあれば、次長、言えます、今。
  72. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 申し訳ございません。今その関係のデータは手元に用意してございません。
  73. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今日はこの各目明細についてお答えできるに人に来てくださいと言って、そんな全部、次長といえども把握しているとは思いませんが、私は、これだけ年金改革論議がこれからいよいよ国会で行われようとしている中で、社会保険庁の予算というのはもう一度きちっと集中審議でもやって査定をし直すぐらいのことをしないと、どうも国民の皆さんは、与党案であれ、これから我々が出す案であれ、とても納得はできないということをちょっと申し上げたいと思います。  さて、谷垣大臣、こういう関係審議衆議院でも随分なされて、谷垣大臣の御答弁も大分拝見したわけでありますけれども、年金の給付事務に関する問題、これは事業だから事業に係る経費として言わば例外的に財政が苦しい中だから保険料で処理してもらうという御答弁が繰り返しあったわけですが、そういう御認識でよろしいですよね。
  74. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これはもう繰り返し答弁しておりますように、本則は国民年金法等で国庫から支出するということになっているわけですが、考え方の背景として事業の、こういう事業の中からその事業に係る経費は負担するという考え方も一方あり得るだろうと、こういうことで財政の苦しいときには一時そういうことでお願いできないかという考えでやっているというふうに私は理解しております。
  75. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 取りあえず一年、あと一年、もう一年という御答弁が衆議院でもありましたが、極力一年でこの特例はやめたいと今お考えなのか、今のお気持ちをちょっとお伺いしたいんですけれども。
  76. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、特例公債法、今年度のものを御審議をお願いしている最中でございますから、これは私は現時点ではこれをお願いしないととても回らない、こういう気持ちでお願いをしているわけであります。  現時点ではこういう考えに立って整理するのが今の取り得るベストな方法であろうと思っておりますが、来年度については、それは物すごく税収がどんどん増えてくるとか、いろんな財政構造が一気に良くなるということがあれば一気に解決したいと思いますが、はてそこまで行けるかどうかというのは少しここで大塚先生を前に大見えを切るわけにもまだなかなかいかないなと思っております。
  77. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私も不祥事がない限りは最低あと三年はおりますので、確かに余り大見えを切られても困るんですけれども。  じゃ、また社会保険庁の次長にお伺いしますが、各目明細の方に国家公務員共済組合負担金もこの業務勘定の中で六十一億計上されているわけですが、これは従来からこの保険料の中で処理しているんですか、それとも特例措置ですか、これは。
  78. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 御指摘の国家公務員共済組合負担金、これは一般会計での負担ということでございます。
  79. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いやいや、私が聞いているのは、いいですか、国民年金特別会計の業務勘定の中に国家公務員共済組合負担金が六十一億入っている、そのことを聞いているんですよ。一般会計で計上されている、一般会計というか本省予算で計上されている部分じゃないんです。これが、国民年金特別勘定の中で国家公務員共済組合負担金が歳出として計上されているのは、これは昔から保険料、この特別勘定の中で、特別会計の中で処理されているのか、それとも今保険料で例外的に処理しているものの中のものなのかという質問です。
  80. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 計上する場所はこの業務取扱費の中にこの負担金の計上をさせていただいておりますが、この財源につきましては一般会計からの繰入れによって負担をするという費目として従来から扱っているものでございます。特例措置の関係の項目ということではございません。
  81. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 でも、これ分かりにくいんですよね。  実はこれ、財務省の各目明細、実は余り見てこなかったんですが、今机の上に置いてあったんで財務省特別会計の方も拝見したんですけれども、財務省も、ここから先はそういう意味ではここの席に座ってからの話なんで、何も通告していませんので恐縮ですが、例えば財投資金特別会計の中でも国家公務員共済組合負担金五億四千万、それから外為特会とか産業投資特別特会とか、みんなこういうところでも計上されているんですよ。  これはどうしてこの特別会計でこの共済組合の負担金を計上する必要があるんですか。これは財務省にお伺いしますけれども。
  82. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) お答えいたします。  国家公務員共済負担金は、これは言わば国が使用者として共済負担金の保険料の半額を負担しているものでございますから、特別会計による職員はその特別会計においてその人件費として見るということで特別会計から負担しているものでございます。
  83. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ということは、この特会の仕事しかしてない職員とか、つまり職員が特定されているんですか、特会ごとに。
  84. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) それぞれ特会に必要な業務がございまして、その特会で必要な業務に関する人の人件費につきまして特会で計上させていただくという整理をさせていただいております。
  85. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 その整理、そういう処理の法的根拠は何ですか、そういうふうに計上することの根拠。急に聞いてお答えになれるところがすごいなと思いますけれども、どうですか。
  86. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 特別会計、いろいろございますが、例えば特別会計においては特定の事業を行っている特別会計もございまして、それぞれの歳入がある特別会計もございます。そういったところで申し上げますれば、そういう事業を行っている人たちはそういった歳入において支弁されているわけでございますから、それぞれの特別会計において必要な人件費につきまして特別会計で計上させていただいております。その財源をどうするかということはまた別途の問題でございまして、特別会計によりましては一般会計から繰り入れているものもございますし、特別会計の財源で支弁させていただくものもあると。それぞれの特別会計制度の趣旨いかんだと考えております。
  87. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 谷垣大臣にお願いですが、これは実は厚生労働省の特別会計でもこういう計上のされ方がされていて、今、財務省のを拝見したらこうなっていて、杉本さんはああいうふうに説明されますけれども、しかし、例えば地震再保険特別会計だけをやっている職員なんてどうも想像できないですし、これから年金改革論議やるわけですから、我々は。いや、今の制度上保証されている負担金は堂々と計上すればいいわけですから、こういう特別会計の中にばらして計上して、何か今の説明だと地震再保険特別会計だけやっている職員のために九百五十四万円計上しているように思えちゃうんですけれども、どうもぴんとこないですから、やっぱり今後行われる年金改革論議を国民の皆さんに理解していただくためには、こういう例えば共済年金の国庫の負担金の計上の仕方も再整理して全部一本化しないと、決して後ろめたいことがなかったとしても、みんな変な目で見ちゃうんですよ。だから、何も特別会計に分散して何百万円とか何億円とか何千万円ずつ載せずとも、全部一本化して本省予算に載せればいいわけでしょう。それは、次長、そういうやり方はできないんですか。
  88. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 今、地震再保険のお話がございましたけれども、例えば地震再保険でも、その地震再保険に携わっている職員がおりまして、その職員、丸々一人おれば丸々一人分を地震再保険特別会計で計上させていただいておりますし、その仕事だけじゃなくてほかの仕事もやっているときは、どれぐらいの仕事をやっているかという案分をやっている例もございますが、そういう形でそれぞれの特別会計事業をやっている特別会計でございますと、そこに起因する人件費、費途がございますので、その人件費につきましてはそれぞれの特別会計で御負担していただくという考え方に基づいてやっているものでございますので、全部一般会計で計上いたしまして、全部財源をじゃ税金で見ればいいのかということでもないと思いますので、それぞれの特別会計で負担していただく部分もございますので、そういったことがそれぞれの特別会計事業できちんと整理できるように、そういう考え方に基づいて計上しているものでございます。
  89. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今の御説明は御説明として承りますが、やっぱりここはきちっと整理をしなければいけない点だと思います。決して財務省と社会保険庁だけじゃなくて、多分全部の省庁が同じやり方していると思いますので、何も分散して潜り込ませなくても、一本化した方がより分かりやすい議論ができますので、谷垣大臣には、ここで即断即決はできないでしょうけれども、今の議論を聞いていただいて、何か大臣としてこれは改善の余地があるなというふうにお感じになりましたでしょうか。
  90. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは年金の議論だけではございませんで、今年、予算委員会予算審議の中でも随分御議論をいただきましたけれども、特会全体膨大でありますから、なかなかどなたがごらんになってもすぐ日本の特別会計全体の姿、あるいは一般会計も含めて理解をしていただくというのはこれは容易ではないんだろうと思います。プロはプロで分かっているんだということかもしれませんが、どうやったらそういうものが分かりやすく、国会の御審議の上でもあるいは国民の理解の上でも表示できるかというのはまだまだ工夫が必要なんだろうと思います。  それで、今、大塚委員がおっしゃったような、いろんな観点からの多分分かりやすさを求めるお声があると思いますが、それ全部おこたえできるかどうかは私も自信がありませんけれども、しかしできるだけ分かりやすい表示をしていくためにはどうしたらいいのかということは今いろいろ研究していることでございますので、順次、そういう成果を具体的に予算審議でもお役に立つように努力してまいりたいと思っております。
  91. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それではまた、社会保険庁の予算や年金制度改革についてはまた席を改めて議論をさせていただきたいと思います。  今日は総務省にもおいでいただいていますので総務省にお伺いをしたいんですが、地方自治体が所管している公益法人とか関係機関あるいは第三セクターなどの数とか、全国の数ですね、また、そういう地方自治体傘下の様々な機関がどのぐらいの地方債を持っているか、あるいは国債を持っているか、そういうことについて今分かる範囲での御説明をちょっとしていただきたいんですが。
  92. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) お答えをいたします。  平成十五年三月末現在で地方公共団体が出資あるいは出捐をしております商法法人、民法法人、それから住宅供給公社等のいわゆる三公社の総数でございますが、商法法人で三千八百二十一、民法法人で四千六百三十六、地方三公社が千六百五十四、合わせて一万百十一法人というふうに承知をいたしております。また、このそれぞれの法人がどのような、それぞれの団体が保有をしております国債あるいは政保債、地方債というようなものの状況については承知いたしておりません。
  93. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 過去の審議で、地方公共団体自身が地方債を持っているケース、一番極端なケースは、大臣のお地元の京都市が京都市債をマーケットから買ったという例が去年かおととしあったんですけれども、そういう言わば地方自治体が自分たちの仲間の地方債を、言わば自社株買いみたいなようにして持っているケースをお伺いしたところ、去年の調査では三千四百二十九億円あるということだったんですが、今年はまだ調査結果は出ていないという理解でよろしいですか。
  94. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 地方団体がそれぞれ財政調整基金とかいろんな基金を持っておりまして、その基金の運用として、今おっしゃいますような地方債あるいは国債等を保有している状況があると存じますが、平成十四年末で地方団体がその基金の運用として地方債を保有している額は四千六百七十億円でございます。
  95. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 以前に調査していただいた結果、累計不能だったその他というところで十兆円近くあって、この中にもし、今首ひねっておられるんで後で数字ごらんに入れますけれども、これは億円単位だから、そうですね、九兆九千六百八十億円と書いてあるんですが、こういうものの中にさっき申し上げた、ひょっとすると第三セクターとかあるいは地方公共団体傘下の認可法人が持っているようなものもあるかもしれないなと。これは私もまだ確証は持てないんです。  なぜこんなことをお伺いしているかといいますと、谷垣大臣、これから国債発行はこれ急に減るわけじゃありませんから、以前も意見を申し上げさせていただいたかもしれませんが、いかに国債の市場性を高めるかということが実質的に、国債の実質的な残高をある意味でバーチャルに減らすことになりますので、そのためには類似の公的債務というのはなるべく減らしていくということをやりませんと、言わば余り国債のマーケタビリティーにとってはいいことにならないという意味では、一回国全体の様々な機関のバランスシートを全部網羅をしてみると、実は相殺できる公的債務というのはかなりあるんじゃないかということをちょっとお伺いをしたかったわけでありますが、時間が参りましたので、午前中は私の審議での質問はこのぐらいにさせていただきます。総務省は恐縮ですが午後もちょっとおいでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  96. 平野達男

    平野達男君 委嘱審査の時間帯を半分に分けたものですから、本当はここで引き続き大塚委員にやっていただいてもよかったんですが、一応分けた都合上、残りの四十分を私の方でちょっとやらせていただきたいと思います。  今日は冒頭から予算一般の話がずっと、一般あるいは年金の話ということで、各論の話も出ていますけれども、出ておりますが、私は、モデル事業ということについて、この意味と中身につきましてちょっといろいろ聞いていきたいなというふうに思っています。  このモデル事業は、実は私は何度見ても何を目標としてやろうとしているのかというのがよく分からないんですね。やること自体は非常に一見いいように見えますけれども、打ち上げ花火を一発上げて終わってしまうような、もう余韻が何も残らないというような、そういう事業という感じが非常にしていまして、果たして本当にそうなのかどうかということをちょっと確かめたくて、以下いろいろと質問させていただきたいと思います。  このモデル事業につきましては、今日はちょっと資料を用意できませんでしたけれども、十本予算を用意しておりまして、金融庁総務省、外務省を始め十本の、いわゆる非公共予算だと思うんですが、予算を一応モデルとして指定しております。このモデル事業を指定する前に、経済財政諮問会議でいろいろ予算のことに関しての議論がありまして、この経済財政諮問会議議論を受けてモデル事業というのを平成十六年度でやるという、こういう流れになっておりますね。  そこで、まず、経済財政諮問会議で今までの予算編成上どういう問題といいますか、問題意識を持ってこういった議論がなされたのか、そしてその問題意識を踏まえて予算編成にどういうことを求めたのかということを、大まかで結構でございますから、今日は竹中大臣金融担当大臣じゃなくて別な担当大臣で来ていただいていると思いますから、竹中大臣にちょっとお伺いしたいと思います。
  97. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) このモデル事業考え方というのは、基本的には、ちょっと横文字で恐縮ですが、いわゆるニュー・パブリック・マネジメントの考え方を日本の予算制度にも導入するという思想のものである。このことにつきましては何度か御答弁をさせていただいたかと思います。  要するに、どこの国でもそうだと思いますけれども、予算を組むと、これはいろんな御意見の、民主主義の社会の御意見の中で予算を組むわけでありますから、どうしても効率化がなかなか難しい。つまり、規模がどんどん膨れ上がっていく可能性がある。かつ、その政策ニーズの変化に対して速やかに中身を変えるという、配分を柔軟化することが難しい。その規模とめり張り、両方の面でどこの国でも問題を抱えているわけでございます。そうした中で、日本も同じような問題を抱えている。  しかし、考えてみたら、こうした問題は決して国だけではなくて、企業の中でもコストが膨張をしてしまう、コストを部門別に有効に配分するのが難しい、そういう問題を抱えている。気が付いてみると、幾つかの国ではそういった問題を、民間の資産の、民間予算の配分のやり方を、民間企業の経営手法を利用して財政の立て直しをうまくやっているではないかと、そういうところが問題意識でございます。  それを称してニュー・パブリック・マネジメントと言うわけでありますけれども、これは正に、何のために使うのかと、どういう目標を掲げてやるのかという政策目標を掲げて、政策目標を掲げたら後、予算執行はやっぱり柔軟にやっていただく。この柔軟にやっていただくということの中に、複数年度予算等々、使い残したときにそれをどのように還元するかというインセンティブの問題等々も入ってくる。そして、自由に柔軟に使っていただくからこそ事後の評価はきっちりとしなければいけない。それが結果的に見ると、宣言、実行、評価、プラン・ドゥー・シーの関係になっている。そういう予算をやはり組まなければいけないのではないか。そういう考え方を日本の予算のシステムの中にも入れていきたい。  しかし、これは日本のように非常に巨大な規模の予算についてそれをいきなり全面的に変えることは難しいから、まずモデル事業ということで、パイロット事業的にこういう予算を是非組み入れてそれを広げていきたい、それが基本的な諮問会議での議論の流れでございます。
  98. 平野達男

    平野達男君 やや今の予算の建制の仕方あるいは執行の仕方が、まず一点目は硬直的だという問題意識があったのかなと、それで、それを踏まえて弾力的な運用をしたいということがまず問題意識として一つあったんだろうと思います。今の発言の中でその視点が私非常に重要だと思いますので、その点の方をちょっと受け取っておきます。  そこで、モデル事業というのは十事業作ったんですが、これを選定しています。今のような観点から、金融庁は例えば有価証券報告等に関する電子開示システムの更なる基盤整備等、総務省は総合的なワンストップサービスの整備ということで、これはそれぞれ事業選択していますが、これはなぜモデル事業になったのか。これは財務省の方にちょっとお聞きする話だと思うんですが、それをちょっとお聞かせ願えますか。
  99. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 十六年度の予算における十のモデル事業でございますけれども、この具体的などういう事業をモデル事業にするかということにつきましては、まずは、各府省におきまして定量的な成果の目標の設定等について検討が行われまして、内閣府等の意見交換の上のモデル事業としての概算要求が行われたところでございます。  財務省といたしましては、要求された各事業の政策の目標につきまして、行政サービスの質の向上とか社会経済的な効果の実現といった、成果に着目した定量的なものであるかどうかの観点から検討を踏まえまして、要求をされた十の事業についてモデル事業として導入をすることとしたところでございます。あらかじめ財務省の方で具体的な政策分野を特定してモデル事業として採用をするということではございませんでした。
  100. 平野達男

    平野達男君 要は、今のお話聞いたら、何でもよかったということですよね、今のお話聞きますと。あえて言えば、アウトカムの目標が立てたいものを選んだというふうにしか聞こえないんですよね。  だから、モデル事業と言っていますけれども、これは大きなくくりがあって、例えばいろんな事業のグルーピングがあるんですから、そこから選んだというんじゃなくて、取りあえず十事業選んだという、こういう理解でよろしいですか。
  101. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 大変辛い評価を平野委員からいただいたと思いますが。  私もこの役所に参りまして、一体このモデル事業というのは何だというのをかなり議論してみたんですが、一つのポイントは、まずアウトカム目標のやっぱり立て方だと思うんです。  それは、例えば何を作るか、例えば道路を何キロ造るかというような発想ではなく、何を国民にとっての成果として実現するかという観点を重視していただくという、それがアウトカムだと。ここはちょっと言葉の別はよく分かりませんが、単なるアウトプットではないんだというようなことで、まず、それをきちっとあるかどうかというのが一つポイントだと思いますし、もう一つは弾力化ということでありますけれども、何年度にわたっているとか、そういうようなことで特に国庫債務負担行為との活用が必要な事業と、こういう二つやはりあったのではないかと思います。
  102. 平野達男

    平野達男君 私がお聞きしているのは、モデルというのは一つの、いろんなグルーピングがあるわけですよ、その中で典型的なものを選ぶという、そういう認識なんです、私の認識では。ところが、今のお話を聞きますと、非公共予算というのはいろんな予算事業があるわけです。毎年毎年新しい事業ができてきたり、継続のものがあったりしてもう恐らく何千という事業があると思います。そこからなぜ十を選んだのかという、この十の考え方を聞きたかったんですが、どうもこの質問に対しては多分明確な答弁というのは期待できないのかなという感じがするんですが、何かございますればコメントを伺いますが、時間がもったいないですからこの問題はここで切りましょうか。
  103. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 査定の問題は財務省でございますけれども、基本的な考え方は、実は、こうしたニュー・パブリック・マネジメントの制度を作った国々では、私たちもヒアリングをいたしました。先般スウェーデンに行った際も、どういうアウトカム目標を立てるんですか、どのぐらい細かいんですかと、彼らの答えは、いや、それは今でもどんどんどんどん変えていっているんだと。つまり、仕組みそのものはやはり走りながら歩きながら考えるしかない性格のものだと思っております。  そういう意味では、こういう問題についてはアウトカム目標を比較的立てやすい、こういう問題については評価になじみやすい、私は、そういうものを現場の知恵としてまず出していただくというのはこのモデル事業をやることのやはり一つの趣旨であるというふうに考えております。その中で、お互いにある意味で、良い意味での各省で競争をしていただいて良い制度を作っていっていただく。制度そのものを作らなければいけないわけですので、その中では、今回のようにそれぞれの役所に手を挙げていただくというのは非常に有効なやり方であったと考えております。
  104. 平野達男

    平野達男君 一応分かったということにしておきます。ただ、モデル事業というか、なぜモデル事業の、その選んだのかというのはいまだにきちっとした答弁はないんじゃないかと私は思います。そこで、この問題は今これからお話ししようとしている中では余り大きな問題ではないと思いますのでここで一応切りますが。  平成十二年に公共事業の抜本見直しというのをやりました。これは亀井さんが政調会長のときに、亀井政調会長が言い出して始まったやつなんですが、あのときにどういう議論があったかということを簡単にちょっと御紹介いただけますか。
  105. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 平成十二年の八月に公共事業の抜本的見直しに関する三党合意というのがございます。  これは、まず第一に計画段階にある事業とそれから既着工事業のうち採択後長期間を経て未着工な事業等の抜本的見直し、それから二番目に事業評価システムの厳格化と情報公開の徹底、三番目に公共事業予算の重点化と新たなニーズに対応する社会資本整備の推進、それから四番目に公共事業の入札の改善、談合の排除、こういうことを内容として、こういう上に公共事業についてはその事業の効率性、透明性を高めるという観点から事業評価の取組を積極的に進めたと。  具体的には、新規事業採択時に費用便益分析等を用いて事業実施の可否に係る方針を決めるであるとか、それから事業の進行途上に再評価を行って事業の継続中止というようなことも議論する、それから事業終わった後は事後評価を行って改善措置等を考えると、こういうような考え方でまとめられたものだと思っております。
  106. 平野達男

    平野達男君 今の大臣の答弁の中での重要な部分は私は後半の部分で、つまり、事前評価をしっかりやりましょう、それから着工したら事業管理をしっかりやります、それから完了したら事後評価をやりますという、そういうシステムは一応、公共事業の中ではあのとき議論されて一応導入された形になっているはずですね。    〔委員長退席、理事大塚耕平君着席〕  先ほど入澤議員から、非常に的を得た私議論じゃなかったかと思いますけれども、あの議論につきましても、例えば公共事業が着工して、今工期の長期化というのが非常に問題になっているわけです。長期化するからその総事業費がその期間の中で物価スライド、あるいはいろんな当初予期しなかったこともあると思いますけれども、二倍になったりとか、いろんなこと膨らんでくる。だから、当初の計画をしっかりやった上で、八年間で事業をやるなら八年間で終わらせろという、そういう事業管理を、そこをしっかりしようじゃないかという一応意思確認をしたんです。  そのためにも、例えば新規採択につきましては卒業生見合い、つまり完了地区見合いで入れないと、完了地区が少ないのに、要するに新規採択をどんどんやっていきますと、一地区当たりの予算の配分がどんどん薄くなっていきますから。ましてや今みたいに公共事業予算がどんどんどんどん下がっている中では、相当新規地区の採択を抑えないと、既に着工した地区の工期がどんどんどんどん延びてしまうという大変な問題も抱えると思います。  そういった意味で、新規採用をきっちり抑えて事業管理をしっかりするということが大事だと思うんですが、その仕組みについては一応あのときに意思確認されたんです。今その執行状況は、その執行状況というか、あのときの合意が今の予算の中でどのように反映されているか、ちょっとそこのコメントをいただけますか。
  107. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、あのときが具体的にどう反映されているか的確にお示しする数字等の資料はございませんけれども、先ほど入澤委員の御質問に対して石井大臣から御答弁いたしましたように、相当その量が新規着工等も抑えられてきて、そういう意味では重点化が進んできているという中に一つ現れているのではないかと思います。
  108. 平野達男

    平野達男君 やり方はまだまだ発展途上にあると思いますけれども、事業管理も一応形式上はやっている、形式上はということはね。ところが、事業管理はなかなか評価の仕方が難しいし、元々費用対分析効果考え方は非常に難しいんですね。どこまでを便益と取るか、そもそもコストというのはただ事業費だけで取っていいのかとか、いろんな議論がありまして非常に難しいんですが、一応側だけはあのときやったということだと思うんです。  それを踏まえて、今回のモデル事業なんですけれども、先ほどの竹中大臣の御答弁の中で、既に、一応公共事業を例として、政府予算の中には、やっぱり事前評価をしっかりやりましょう、事業管理をしっかりやりましょう、事後評価をしっかりやりましょうというコンセプトはもう入っているんですね。    〔理事大塚耕平君退席、委員長着席〕  それが、今回の中で再度経済財政諮問会議の中に似たような形で議論をされたというのは、これは一体どういう背景があるのかなというのをちょっと疑問に思いましたので、経済財政諮問会議公共事業分の抜本見直し、あの結果というのは報告ありました。
  109. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 経済財政諮問会議では予算全体のことを議論をいたします。先ほど言ったニュー・パブリック・マネジメント的な考え方というのは、今御指摘くださいました平成十二年八月二十八日の三党合意の中に当然含まれているわけでございます。諮問会議での議論というのは、こうした考えを更に一般化、制度化していって、予算全体の中に広げていこうではないかと、そのような趣旨であったというふうに思っております。  ちなみに三党合意では、例えば、これは言葉の問題かもしれませんが、成果目標という言葉は出てまいりません。評価という言葉がしっかりと出てまいります。その意味では、事前のチェック、事後の評価という概念でございますけれども、それを更に公共事業だけではなくて全体に広げようではないか、かつこの政策目標、アウトカム、成果目標、アウトカムというのをしっかり位置付けようではないか、それでトータルでプラン・ドゥー・シーのシステムをしっかりと作っていこうではないか、諮問会議では予算全体をにらみながらそのような議論がなされたわけでございます。
  110. 平野達男

    平野達男君 では、そうしますと、これから非公共予算につきましても、すべての事業についてアウトカム目標を設定した上で、そして事業管理をしっかりして事後評価を徹底するという、それを最終ゴールイメージとして設定したというふうに理解してよろしいでしょうか。
  111. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今回、これ試行的に取り上げているわけでありますので、今後どうやっていくかはまた今年の成果も踏まえて議論しなきゃなりませんが、私はむしろこういうものは推し進めていくべきものだと思っております、いろんな分野でですね。
  112. 平野達男

    平野達男君 そこからちょっと若干腰砕けになるんですね。公共事業については、地区について全部それを入れますということでもう決めたんです、一応仕切りをやって。あとは実行が今どうなっているか、これをよくチェックする必要がありますが、一応そういう形で整理をしていると。  ところが、非公予算につきましては、だから、先ほど言いましたように、なぜ十がモデルかという説明できないというのは、さっき聞いたときに説明していただけなかったんですけれども、今回このモデル事業をやることによってどの程度まで、要するにいろんな他の非公事業にこの仕組み、今やろうとしていることが波及してくるかというのがちょっと見えないんですよね。最終的にそのアウトカム目標というのを全部設定するかということについても、今の答弁からいくと、物によったらしないかもしれない、物によったらするかもしれないという、そういう答弁になってしまうんですけれども、そこはどうなんでしょうか。
  113. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、委員が御指摘の点は、これはアウトカム目標を定量的に作るということになっておりまして、定量的なアウトカム目標をやはり作れるものと作りにくいものというのがやっぱりあるんだと思います。できるだけその定量的な目標を作るように努力するという方向は私はあってしかるべきだと思いますが、そういう意味でなかなかなじまないものもあるのじゃないかなと、こう思いますので、できるだけ推し進めていくということではありますけれども、先ほど留保を付けたようなことになっておりますのはその辺りのことがあるからでございます。
  114. 平野達男

    平野達男君 じゃ、そうしますと、多分そのとおりだと思うんです。物によってはアウトカム目標で数値化できないようなの一杯あります。一杯というか、あると思います。そうすると、そういうアウトカム目標ができないものについてはそれをしないでやるという、求めないという整理でよろしいわけですね。
  115. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今の段階ではまだそこのところは求めるというわけにはいかぬだろうと思います。
  116. 平野達男

    平野達男君 分かりました。取りあえずその議論は置いておきます。  じゃ、経済財政諮問会議複数年度予算というのが先ほど議論があったというお話でしたけれども、具体的にどういうお話ありました。
  117. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ニュー・パブリック・マネジメントの考え方についてはもう先ほど申し上げたとおりでございますけれども、その中で、やはり目標を決めて、成果目標を決めた限りはその目標に向けて今度は執行する側にやっぱり柔軟にやってもらいたい。柔軟にやってもらうということの中にその複数年度考え方が当然入ってまいります。  しかし、言うまでもありませんけれども、日本だけではありませんけれども、単年度の予算主義が多くの国で取られている。これはこれで国会における予算審議を通じて行政の活動を民主的にコントロールするという意味で大変重要な意味を持っているわけでございます。例えば、イギリス等々においても、そうした単年度主義の中でどのように実態的に予算執行を柔軟にできるのかというところでいろいろ知恵を出している。日本の場合も、繰越明許費でありますとか国庫債務負担行為などの仕組みが財政法上そうした点も踏まえて設けられているというふうに理解をしております。  こうした仕組みをうまく活用しながら、どのような形で柔軟な執行ができる、その仕組みを作れるか、これも私は試行錯誤であると思います。であるからこそ、モデル事業の中でいろんな可能性を探っていこうではないかと、そのような議論を諮問会議では行い、また財政当局におかれましてもそのような御配慮をいただいているというふうに思っております。
  118. 平野達男

    平野達男君 複数年度予算というのはそんなに難しく考えなくてもいいはずなんです。例えば、一つ事業で三年間やりますよね。三年間やって、先ほど言ったように、アウトカム目標を立てます。そして、そのアウトカム目標を立てて、三年間で、どうしても掛かりますという、三年間掛かるとしますよ。そのときに、三年間でやるためにはベストな予算配分をどうするかというのを計画立てますね、年度の配分を。例えば十億という予算があって、一年度五億使います、二年目三億です、三年目が二億ですと。どうしても予算配分上これをやらないと、やることが、やって成功することが一つ事業の目標を達成するためにベストですというふうに計画を作りますよね。これが、この五億、三億、二億ということが、これが正しいといった場合には国庫債務負担行為使う手もある。しかし、国庫債務負担行為使いたくなかったら、財務省の担当者と予算要求者側が三年間の計画でこういう契約でやりますよというので了解すればいいんですよ。  そして、当該年度の予算、単年度予算だというふうに言っていますけれども、単年度予算主義だと言っていますが、一つ予算をやるときには計画を作りますから、計画を見た上で、来年度は五億ですねと、次の年は三億ですねと、次の年は二億ですねということで、毎年度毎年度の予算の中で、前からのずっと引き継いだ計画の中を見ていきながら予算査定をしていけばいいだけの話なんです。  だから、複数年度予算とかなんとかというふうに、そんな大仰に議論していますけれども、要はこれは単なる、要するに担当者の中で、例えば財務省であれば主査がいますよね。各省から予算の担当者が来ます。そうすると、一つ事業をやるときには予算のやるときに、三年間掛かりますなら三年間掛かるということで計画書を持ってくるでしょう。持ってきますね。なぜ三年間掛かるんですかということは、これは一応審議しているはずなんです。だから、その段階ではもう既に、予算は単年度予算なんですけれども、予算というのは単年度だけじゃ見れないんです、これは。だから、複数年度というのは、もうその段階の中に入っちゃっているんですよ。ということをまず、これはよくこれ理解しておいていただきたいと。  これは竹中大臣に言いたくて言っているんです。多分財務大臣はすべてこのことは承知の上でやっていると思いますので、経済財政諮問会議でもそういうことは視点をちょっと持っていただきたいということをちょっと言っておきたいということなんですけれども、何かコメントがございますれば。
  119. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そういうことはもちろん存じ上げているつもりでございます。  その上で、しかしこれは予算の査定の担当の間では、当然のことながらそういう、三か年でこういうことをやろうと思っているんですよと、そういう話合いは現実になされているということは、これはもう私たちも十分知っております。その上で、しかしそれは、別に内閣がそれに、そういう複数にコミットしているわけではございませんから、その上でどのような仕組みが考えられるかということを議論しているということを御理解いただきたいと思います。
  120. 平野達男

    平野達男君 正にいすの上での議論なんですけれどもね。  じゃ、そうしたら、今回のモデル事業の中で例えば予算執行の弾力とありますけれども、これは繰越明許を使うとか目間流用をやるということを今回特例的に認めますよね。じゃ、これは、竹中大臣の論法に従いますと、すべてこれから、要するにいろんな事業については繰越明許のやつを、繰越明許の適用を認めます、それからあとは目間流用を認めるという、そういう方向に走るんですか。
  121. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、予算査定する側から申しますと、平野委員のおっしゃったように、現実にはこの計画は三年間でやらなきゃならぬとか、いろんな査定やるときに議論しているのは、もう私はそのとおりだと思います。  ただ一方で、典型的には防衛予算のようなものですけれども、後年度負担みたいになってきて、硬直化はやっぱり避けなきゃならないということがありまして、だから定量的目標であり、そのための後から事後の評価がきちっとしやすいものというようなものを含めて、そういう中で弾力化の言わば試み、実験をしていこうということでありまして、まだそこの射程距離が一体どこまででということは、実はまだ我々も完全には言いかねるところがあるというのが実態だろうと思います。
  122. 平野達男

    平野達男君 いや、ですから、この全体のモデル事業の中で、これ今新しいものは何かといいますと、アウトカム目標を作りますというのは、これは多分新しいかもしれないんです。これはだからすべての事業に、できるものについてアウトカム事業、アウトカムを設定するというのは、これは多分できます、やろうと思ったら。  あともう一つは、いろいろ見ていきますと、厳しい事業評価、これはちょっと後でまた聞きますけれどもね。それから、事業性格に応じた予算執行の弾力化。この予算執行の弾力化の中で出てきたのが繰越明許費の積極的な活用、目の大ぐくり化や流用の弾力化、これを試行的にやるということなんですから、試行的にやるという以上は、これを全部の事業にできるだけ拡大していくんですかということになっちゃうわけですよ。  ところが、今のお話聞いていますと、どうもそれは一度やってみてということになりますから、これをやらない限りは、竹中大臣が先ほど言っている複数年度化の予算に対応することにならないんですよ。  私は、複数年度化というのは、実はもう既に、予算の既に今の枠組みの中で、三年なら三年、四年なら四年、公共事業なんかは一番の典型例ですけれども、ある位置の、ネットワークを作りますから、ネットワークを作って概算要求をして、それで修正があれば確かに、一年度目で五億で足りなければ、その足りない分を二億、翌年度にちょっと上乗せをするとか、そういった修正をやりながらやっている。  だけれども、今回の問題は、繰り越したら繰越明許で簡単に繰越しを認めましょうと、あるいは予算が足りなければ目間流用で認めましょうという、そういう特例を出した、課したわけです。これをやりますと、確かに予算の弾力性は出てきます。出てくるんですが、それを本当にどこまで認めるんだということについてのある程度の腹固めを持ってやらないと、これをやりますと、これはこれで終わってしまいますよということだったら、ちょっとこの経済財政諮問会議議論をしているところの内容と、このモデル事業をやる意味、それから今後へのその活用方法、どうも全体の筋道が見えないんじゃないかと思うんです。どうでしょうか。
  123. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かに、従来、多年度にわたった話はしても、かなり、何というんでしょうか、こういう例えは適切ではないかもしれませんが、歯科治療的にちょっとずつ付けて長い間掛かるというようなことがやっぱりあって、そのことが、先ほど入澤委員の御質問にもありましたけれども、ロットを小さくして何年にも掛けてやるというようなことがやっぱりあって、それが効率を悪くしている。それを、やっぱりもう少しロットも大きくしてまとめて、できるだけ戦力の逐次投入にならないようにしていこうという問題意識が私はこの背後にあるんだと私自身は思っております。それで、それを、戦力の逐次投入でないことをやるためには定量的な目標を立てて評価もきちっとできるようにしようと、こういうことではないかと理解しております。
  124. 平野達男

    平野達男君 今、財務大臣が言われたのは、予算の全体論、そもそもあるべき論なんです。ところが、このモデル事業予算の配分をどうやってやるかという一種の技術論をやっているんです、これは。その弾力性をどうやって持たせるかという、一種の私に言わせれば技術論だと思います。ですから、今財務大臣の言われたことは全くおっしゃるとおりなんですが、竹中大臣が言われた予算の要するに弾力化というのは、アウトカムが一体何を目標にしているのかと、これ見えないんですよ。だから、この中で言っているモデル事業の中では、モデル事業のそれを受けてやっているのは繰越明許の積極的活用と目間流用、これを言っているだけなんですよ。技術論、予算上のテクニックの問題としてですよ。  だから、これを、もう一回繰り返しますけれども、このモデル事業をやったときに、じゃ全部の事業に拡大するのかということなんですよ。ところが、私の意見で言わせますと、こんな、これを全部の事業に拡大したら大変なことになっちゃうんです、これは。予算要求の仕方が実にいい加減なものになっていくんです。つまり、使わなければ要するに繰り越せばいい、足りなけりゃ目間流用で持ってくればいい。予算査定自体が、その予算そのもの全体がもうずたずたになるんですね、これを際限なく広げていけば。  だから、そういった問題意識を持ちながら、なぜ要するに予算執行の弾力化みたいなことをこうやって入れているのか。どうも経済財政諮問会議でいろんな議論があったから取りあえずやってみましょうかというぐらいの程度にしか見えないんですよ。  財務省はこれを本気でやるつもりなんかないでしょう。これはやったら大変なことになっちゃうんです、これは、副作用が激し過ぎて。じゃ、当初予算って一体何ですかという話になるから。  そういったことを隠しながら、経済財政諮問会議で何かいろんな議論がわあわあわあわあ降ったから、取りあえずこれやってみて、花火一本ぼんと上げてそれで済ませましょうかというふうにしか、かなり辛らつな言葉でありますが、私そうしか見えないんです。  もっと言えば、そういった予算の今実際にどういうふうなことをやっているかというのは、経済財政諮問会議委員さんに、私は財務省の味方するわけじゃないですけれども、もっと説明してやればいいですよ、という感じがちょっとしますが、コメントがございますれば。
  125. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いや、ですから委員のおっしゃることは私もある程度分かるんです。ただ、弾力化をしていく必要性、それがあることは事実ですから、やはりそれはまず具体的なアウトカム目標を立てるというところからスタートしませんと、それがないところに、これは何でもかんでも適用していけば、委員の御指摘のように、おかしなことになっちゃうと思うんですね、それは。ですから、こういう手法を今試しているというところだと御理解いただきたいと思います。
  126. 平野達男

    平野達男君 理解するかどうかは別として、財務大臣の言わんとするところは分かります。分かりますが、私が言いたいのは、そういうあるべき論という話ではなくて、あくまでもこれは予算配分上、予算執行をどうするかという技術論で言っていますので、この技術論をやっぱりどこまで拡充するかということについての一つの認識を持たないまま、あるいは先ほど、繰り返しますけれども、繰越明許をすべての事業に繰越しをしやすくするとか、目間流用を認めるなんというのは、多分これは財務省考えていないはずなんです。考えていないにもかかわらず一応やってみようということでやっているという、何かどうも腰の定まらなさがちょっとあって、そういうことについて、という問題意識をちょっと持っていただきたいということであります。  竹中大臣が手を挙げているようですから、何かございますれば。
  127. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ちょっと平野議員のポイントの確認も込めてちょっと申し上げたいんですが、このニュー・パブリック・マネジメント的な考え方そのものに平野委員は反対があるということなのでしょうか。それとも、モデル事業という先駆的にできるところからやっていこうというやり方に問題があるということなのでしょうか。それとも、この中の弾力化のやり方で、今取りあえず繰越明許等々やっているけれども、これでは問題が生じるということを言っておられるのでしょうか。それぞれに問題は私はあると思うんですが、これも含めて試行錯誤でやっていくしかないのではないだろうかと。  各国やっているところはありますけれども、比較的うまくいっていると言われているところはニュージーランドやスウェーデンのようにやっぱり小さな予算規模の国で、これだけの大きな予算規模、アメリカはやっておりません、ちなみに。そういうところはないんですね。だから、そこでやはり制度を作りながらやっていくしか方法はないのではないだろうかと。今のままでよいとはもちろん思っていないわけで、今後、これは試行錯誤の中でいろんな知恵をお互い出し合ってやっていこうではないだろうかという、私はそのように理解をしております。
  128. 平野達男

    平野達男君 私はそのニュー・パブリック・マネジメントというのはどういうものか分かりませんが、いずれ竹中大臣言われていることについては、総論全く賛成です。  さっき何でわざわざ公共事業の抜本見直しの話を出したかといいますと、そういうことについては既に政府としての確認をしているということを言いたかったんです。その上で、今回モデル事業を出してきて、その核のモデル事業の中で具体的なアウトプットを見ていきますと、手法として見ていきますと、例えば予算の弾力化と言っているから、繰越明許の積極的活用ですよと、それから目間流用ですよと言っているだけです。これだけなんですよ。あとは担当者の意識の中にいろいろ訴えていくと、これはあると思いますよ。だけれども、具体のモデル事業という場合については、こういう物のやり方をやることによって次の、このモデル事業終わった後に予算についてこういう形で反映していきますよというアウトプットがないとおかしいんですよ。  ところが、これで何が出てくるのかというとしますと、アウトカム目標設定、これは私はいいことだと思います。これは今予算要求の中の中で、なぜ予算要求が必要だかという理由書の中で潜り込ませてありまして、表へ余り出てこないんですね。これはいいと思うんです。だけれども、あとはどこまでやろうとしているのかというと、それはもう見えないというより、私は見え見えのものだから、これはモデル事業としてやるというのはちょっとおかしいんじゃないかという、まあ冷や水を浴びせているわけであります。  それで、厳しい事業評価についても、これちょっと一点、これもいいと思うんですが、計画期間中の毎年度終了後に目標達成度について報告を求めると書いていますけれども、毎年度の終了後にその達成評価を、目標達成についての報告を求めるということになっていますが、事後評価というのは予算年度終わったときに事後評価してもしようがないんですよね。その機材を導入したのが本当に効果が出るかどうかというのは二、三年見る必要があるんです。だから、そういった観点がこの中に、厳しい事業評価の中にこれはないですね、これ、この書き方は。だから、これは事後評価の実は仕方についてはよくチェックしていく必要があるんじゃないかということを一点言っておきます。  それから、ちょっと時間がなくなりましたからあれなんですが、予算執行の反映状況という、政府でこれ出しています。これは主計官が現地に行かれていろいろ調査をして、これを前年度の予算執行状況を見て翌年度の予算の査定に役立てるということなんですが、これはこれとして非常に予算査定どうやっているかということを分かりやすくしたという意味については非常にいいと思います。いいんですけれども、これはもう本来の主計局の仕事なんですよね。通常の予算査定と主計官が行ってやったやつとどこが違うんだということで、なぜ、これだけこんなものを出したのか。これ悪いとは言いませんが、これ出すなら、毎年九月から予算査定始まって、九、十、十一、十二までやりますね、あの中で膨大ないろんな予算の見直しをするわけです。  だから、こんな予算執行の反映状況どころじゃない。もっと肝心のところで相当の縮減をしているはずなんですね。むしろ、どっちかといったら、そっちの方を見せてもらいたいという感じがするんですが、これはちょっと要望として申し上げておきます。  それからあとは、これ単価切った、単価を切るとかいうことで、これ主計官わざわざ行って単価を切ったと、単価の見直しをやったということを言っていますけれども、これはこれで悪いことじゃないです。だけれども、これも本来業務ですよね。塩川財務大臣が単価の見直しを必要だということを盛んに言っておられましたから、そのあれを受けたと思います。だけれども、やっぱりせっかく行ってこういうものを、アウトカム出す、結果として出すのはこれは当然いいんですけれども、これは当然のことだと思います。単価の見直しをやったといって小泉総理が予算委員会でたんかを切っていますからね、答弁で。だから、こういうことで単価を切るというのもあるかもしれませんけれども、本来であれば、本当にやってもらいたいのは、これ、現地行くなら事後評価をやってもらいたいんですね。  というのは、何でかといいますと、財務省は計画と予算の張り付けで事業の完了までは見ます。見るんですけれども、あとは一切今は見る仕組みになっていないんですね。せいぜい、今事後評価というのは導入されて、今各省いろいろ試行錯誤的にやっているんですけれども、実は一番最初の予算査定をするときに、これまでにやった事業がどういう結果を出しているか、どういう管理がされているかというような事後評価をしっかり見て反映させるのが本当に大事だということで事後評価が導入されたわけです。  是非、その地区を絞って、予算査定する側の目で事後評価をやって、作ったものがどういう使われ方をされているか、当初の計画に比較してどういう差が出ているか、その差が、効果が出ていないのはなぜなのかといったことを是非この予算執行調査の中で、むしろそっちをやっていただきたいという要望を申し上げて、時間になりましたから私の質問は終わりますけれども、財務大臣、御所見があれば承っておきたいと思います。
  129. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 執行調査事業評価というのは今後ますます力を入れていかなければならないというのは、もう私はそのとおりだと思います。従来、どちらかと申しますと、膨大なものですから、要求官庁側が出してくるいろいろな資料、あるいは今までの政策評価、こういうものに乗っかって査定してきた面が、私も査定現場全部細かく知っているわけではありませんけれども、面が強かったと思いますが、自主的な調査、評価というのはこれからも強めなければならないことではないかと思います。
  130. 平野達男

    平野達男君 是非事後評価もやっていただきたいということを再度お願い申し上げて、私の質問終わります。
  131. 大門実紀史

    大門実紀史君 今日は、今現在、栃木県中心に北関東で大変不安が広がっております足利銀行問題に絞って質問をさせていただきます。  まず、破綻に至る経過の問題ですが、これはこの委員会でも審議がありましたし、先日の予算委員会では自民党の矢野議員からかなり厳しい追及もあったところです。矢野議員からもあとは頼むと言われておりますので、この点についてまずお聞きしたいと思いますけれども、私もこの委員会の特別審議で追及をしてまいりました。要するに、真相がまだよく分からないと。なぜ足銀が破綻に追い込まれたのか、このところがよく分からないという点が地元でもまだ残っているわけです。  要するに、足銀の旧経営陣が言っているのは、監査法人に九月決算で突然の判断変更を迫られたから破綻したんだと。監査法人側は、足銀が金融庁の三月検査を受け入れたからだと。金融庁は、基準に従って三月検査をしただけだと。何かお互いにお互いのところに原因があるというようなことで終始しているわけですけれども、私は二年前の信金、信組の約六十に及ぶ連続破綻のときのことを思い出しますけれども、あのときは金融庁が検査に入って債務超過になったと。非常に分かりやすいといえば分かりやすかったんですけれども、今度は監査法人が入っている分だけ、何といいますか、モザイクが掛かってしまって、よく見えないと。ただ、そうはいっても、モザイクが掛かっていても全体像は見れば分かるもので、みんなが疑問に思っているのがまだ払拭されていないというふうに思います。  もう一つ申し上げたいのは、りそなのときも同じような監査法人が絡んで、結局なぜ破綻、ああいうふうになったのかというのがいまだはっきりしないままに過ぎているというふうに思います。  その点で、この真相をひとつはっきりさせる場としてあり得たのが裁判という場だったと私は思っているわけですけれども、これは私、参考人質疑で前日向野頭取にお伺いをいたしました。私が入手した内部資料に基づいて伺ったわけですが、要するに旧経営陣はこの監査法人のやり方に納得できないと。民法の六百四十四条ですか、受任者の注意義務に監査法人が違反するんではないかと、説明責任果たしていなかったというようなことを含めて弁護士さんと相談をされて訴訟をやろうと思ったと。ところが、それを金融庁の監査チームにどうかという話をしたら、いろいろ見解を出されて、それに基づいてやっぱり断念したということをここの参考人質疑で認められたわけですけれども、これは要するに、私は、何だかんだ言っても金融庁が訴訟を断念させたことになる、圧力を掛けて裁判の場でいろんなことが明らかになるのをストップ掛けたことに結果的になってしまうというふうに思うんですが、竹中大臣はこれを御承知なのか、あるいは見解があればお伺いしたいと思います。
  132. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 足利銀行の旧経営陣による監査法人に対する提訴について、今の大門委員お話ですと、金融庁が取り下げさせたという、そうなのではないかという御指摘がありましたが、そういう事実はないということを是非御認識を賜りたいと思います。  経緯を申し上げておきますと、この件につきましては、新経営陣が着任前に、足利の旧経営陣から監査法人に対して提訴、訴訟を提起することに関して金融庁考え方を問われました。これは経営監視チームを通じて問われたということでございます。  正確に是非御理解賜りたいと思うんですが、答えの内容は、監査法人に対して訴訟を提起するか否かは、これは基本的には経営判断の問題である、金融庁の問題ではなくて経営者、経営判断の問題でありますということで、これがもう第一のポイントでございます。その上で金融庁として意見を求められるのであるならば、特別危機管理銀行で新経営陣が着任されることになっている、そういう特殊事情がありますね。訴訟を実際に継続するのは新経営陣であるということを踏まえると、当該判断は新経営陣にゆだねることが適当と考えると、そのように答えております。なお、この次も重要でありますが、なお、この意見は当局の監督権限に基づくものではない、あくまでも経営判断で、どうぞ経営判断をしてくださいと申し上げたわけでございます。  これは、特別危機管理銀行の場合は、ガバナンスの空白が生じないようにするために、この経営監視チームを通じて、ないしはコンプライアンス上の問題が生じないようにするためにこれは設置しているわけでございますので、それに対して我々は、あくまでもこれは経営判断の問題であるということを前提に、問われたことに対しての意見を述べたということでございます。
  133. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、そのいろいろ言われたことが、そういうのを私は世間では圧力と言うんだというふうに思います。実際、受け取った方はそれでやめざるを得ないと参考人質疑でも日向野さんは言われておられましたけれども、断念したというふうなことですから。  ですから、金融庁の方は圧力を掛けたわけではない、見解を述べただけだと言われても、受け取った方が圧力と感じたらこれは圧力なんですよね。サラ金の取立てもそうでしょう。本人に取立てのときに、言い方一つ、いろいろありますけれども、本人の方がそれを圧力といいますか、脅しと受け取ったら、それは脅しだということに今なっているわけですね。受け取った方が大事なんです、どう受け取ったか。ましてや、監督権限下にあるわけですよね。ある人たちについてそういう見解を述べるというのは、これはもう圧力になるんです、金融庁がどう言われても。  ですから、監督権限に基づいて言っているんではないというようなことをわざわざ言われることそのものが、私、この間の経過からしても、非常に、何というか、姑息だなというか、アリバイ的だなと。わざわざそんなことを言うことそのものが、何か自分たちは安全圏にいて物を言っているような、この一連の経過と通じるようなところがあって、もう余りそういう姑息なことではなくて、私は、竹中大臣ももう少し、何といいますか、おもしろいことを言えないのかなと。学者らしくもなくなったし、政治家らしくもなくなったし、だんだん小役人化しているんじゃないかと思いますけれども、もう少し、政治的に見てこういうことがどういう影響を与えるかという意味でもう少し違う言い方ございませんか。
  134. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 違う言い方はございません。正確にお話しすべきであろうと。問題の性格上、正確にお話しすべきであろうというふうにあくまでも考えます。  今、大門委員いろいろおっしゃいましたけれども、日向野さんは現実に国会での答弁の中で次のように述べておられると思います。「我々としては、新経営陣に判断をゆだねて、それから調査委員会が開かれますので、調査委員会に判断をゆだねて、そして新経営陣が長引くであろう裁判を続けるか続けないか、そして裁判をした方がいいのかしない方がいいのか我々とは違う立場で判断をして、訴訟をするなら訴訟にする、しないならしないという結論を出してもらうと、こういうふうに判断したわけでございます。」と。  これは、したがって、新経営陣にゆだねたということでありますので、繰り返し言いますけれども、裁判を止めさせたとか、そういうことでは断じてございません。  おもしろくない答弁で恐縮でございますが、これが現実、事実でございます。
  135. 大門実紀史

    大門実紀史君 議事録読まれましたけれども、その前のところもできれば読んでもらいたいと思います。要するに、私がどういう経過で断念されたんですかということをお聞きしたら、そういう経過だったと覚えておりますという部分もありますので、そのやり取りしてもつまりませんので、全体としてそういう判断に従ったということからして、そういう圧力になったということは申し上げたいと思います。  いずれにせよ、今日はこの問題だけやるわけではありません。この点は引き続き自民党の皆さんと一緒になって追及をしていきたいというふうに思います。  今急いで手を打たなければならないのは、今現在、このときにも足利銀行破綻で窮地に追い込まれている中小企業のことだと思います。これはとにかく手を打たなければいけないと。足利銀行の債務者は、個人、中小企業合わせて二十一万件になるそうです。  金融庁にお聞きしますけれども、この足利銀行の新経営陣が今やろうとしていること、そのスケジュールについて簡潔にちょっと説明してくれますか。
  136. 五味廣文

    政府参考人(五味廣文君) 足利銀行では、今年の二月六日に経営に関する計画を策定、公表しております。これに基づきまして現在経営改革を進めて、できるだけ企業価値を高めて、できるだけ早期に特別危機管理を終えたいと、こういうことでやっております。  現在は十六年三月期の決算の作業をしておりまして、この三月期決算に向けた自己査定を実施しておるという状況でございます。この自己査定を行いました上で、今後のお話としましては、いわゆる詳細計画、二月六日の計画は、収益目標等は入っていない、収益計画あるいはビジネスモデル等が入っていないわけでございますので、より具体的な内容を盛り込みました詳細計画というものをこの三月期決算を確定したところで出していきたいというスケジュールであると承知しております。池田頭取が、この経営に関する計画、二月六日に発表いたしましたときの記者会見では、詳細計画の策定は十六年三月期決算が確定してからになるので、五月か六月ごろになる予定だと、このように発言をなさっております。
  137. 大門実紀史

    大門実紀史君 要するに、今新経営陣の自己査定といいますか、資産の切り分け、区分けが進んでいるということですね。具体的に言いますと、ここは正常先、ここは要管理とか破綻懸念とかいうのを更に厳しく今査定をされているところだというふうに思います。  その中で、地元では、自分はRCC送りにされるんではないかという不安が広がっているところです。今までの信金、信組の破綻のときには度々この委員会でも予算委員会でも御指摘してきましたけれども、つぶさなくていいところまでつぶしたんではないか、あるいはRCCに送らなくていいところまで送ったんではないかというようなことで指摘してきたわけですけれども、これからどうなるか、今どうなるかというところが足銀だと思います。  私は、つぶさなくていいところをつぶさない、当たり前のことですけれども、あるいはRCCに送らなくていいところを送らない、そのために、それを防ぐためには二つしかないというふうに思っております。  一つは資産査定の問題、これをわざわざ厳しく、受皿に受け取ってもらうためにわざわざ厳しくやって切り離す、こういうことがやられてはいけない。もう一つ中小企業再生ファンドの問題、この二つが非常に重要だと思って、この委員会でもそういう提案もしてきたところですけれども、一つ目の査定に対する考えでは、竹中大臣が、十二月五日の私の質問に対して、大変私はこれいい答弁されていると思いますけれども、こういうふうに言われています。  いわゆる不良債権というふうに分類されている企業が即RCC送りではないということを是非強調したい。国が管理して、必要な場合には資金援助をするわけでありますから、本業が良くて、しかし本業がいいにもかかわらず悪い債務を背負っているようなところに関しては、それを再生することもこの三号措置の中では可能になってまいります。そういう方向を我々としては是非模索したいという答弁をされております。  これはなかなかいい答弁で、政治家の答弁だというふうに思いますけれども、本当にこれが徹底されれば、つまり具体的に言えば、金融検査マニュアルの中小企業版などをやっぱり基準にしながらそういうふうな適正な査定が行われれば、随分この切り分け作業も変わってくるというふうに思うわけですね。  この点では、この竹中大臣の考えが今の新経営陣にもう伝わって、そういう考えで新経営陣が今自己査定されておりますか。
  138. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 珍しく大門委員からお褒めをいただきましたが、正にそのような方針で池田頭取は取り組んでおられるというふうに理解をしております。  二月の六日に池田頭取を中心とする新経営陣の下で経営に関する計画を発表しております。この経営に関する計画では、債務者企業の再生について、客観性を重視した厳格な自己査定を踏まえた上で、自己査定結果の一律的な適用ではなくて、経営者の改善意欲でありますとか経営動態、定性的な面も重視して企業の再生可能性を判断すると。再生可能性が高いと認められる企業については、あらゆる再生手法を想定して企業の、個々の企業に適した方法を用いて企業再生を図るというふうにされております。  足利銀行においては、このような方針の下で企業再生に積極的に取り組まれている。正にその企業の、地域の再生、企業の再生、それと経営の改善、経営の改革というのを両立し得るにふさわしい、こういう御経験の豊富な方を頭取にお願いをしているわけで、是非ともそのような方向を続けていただきたいと我々も期待をしているところでございます。
  139. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非それを徹底してほしいというふうに思います。  とにかく、本当にそういう結果になったかどうかというのは、今のお話ですと、五味さんのお話ですと、五月、六月以降ぐらいにだんだん分かってくるといいますか、本人に例えばあんたはRCC送りだよというふうな通知が行ったり、いろんなことが始まって具体的になると思いますので、そのときに結果が出ますが、いずれにせよ、今の段階が大事ですので、大臣言われた趣旨を新経営陣に徹底してほしいと思います。  特に、今焦点になっているのが温泉街の問題ですね。私は、十二月の初めに鬼怒川、川治温泉のホテルの社長さんたちと懇談を直接いたしました。皆さん言われているのは、異口同音に言われているのは、温泉街というのは、例えばですが、十軒あって、そのうち二軒が倒れてしまうと、三軒が倒れてしまうと、そうすると残った七軒も、その温泉街全体にお客が来なくなって大変困るんだと、ですから、その温泉街丸ごと一体で再生を考えてもらわないと、そういう特殊な環境にあるんだということをかなり強く主張されておりました。私もそういうふうに思います。  そういう点は、竹中大臣、温泉街の問題としてどういうふうに認識されますか。
  140. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今御指摘の面でという話は、これはNHKの番組でもたしか特集でされていたというふうに思います。これは、まずやはり面が重要だというのは、私もそのとおりだと思います。  しかし、同時に、その番組の中でも指摘をしておられたのは、面が重要であるということで結果的に悪いところにも旧足利は貸し込んでいってしまって、結果的に一軒も淘汰されなかったんだけれども、その分不良債権の貸し込みを銀行は行ってしまったんだと。そのようなコインの両面の問題があるということをテレビの番組も指摘していたというふうに思います。  したがって、面としての再生というのを大切にしながら、しかし、経済原則でやはり判断しなけりゃいけないところは判断をしていくと、その上で再生可能なところを極力再生させていくと、そういう取組がやはり必要なのではないかと思います。面を大切にしながら、集約の概念も十分に入れながら再生を目指していくということ、このような方針で私は今の頭取も取り組んでくださっているというふうに理解をしております。
  141. 大門実紀史

    大門実紀史君 私、現地へ行きましたので、いろいろ見てきましたので、誤解のないように申し上げておきますと、淘汰されるところは一定、淘汰もうされています、今まで。すべてもう、いわゆる実質破綻のところまで、それまで救おうといって、そこまでいい加減なことを足銀やってきたわけではありません。ですから、淘汰されるところは淘汰されております。  問題は、先ほどの話の延長でいきますと、この足銀が破綻したという中で自己査定が厳しめになると。わざわざちょっと厳しめにやって、そこのところで、生きていけるところ、一体再生のつもりでやってきたところまで歯が抜けたように追い込まれると、整理回収に追い込まれるということが懸念されているわけで、地元の温泉の協議会の会長さん、小野さんとも私じっくり話をしましたけれども、すべてを救ってくれと、何でもかんでも救ってくれと、そういうことでおっしゃっているんじゃなくて、この足銀破綻との関係でそういう点を心配されているということです。  実際問題、その協議会の皆さんがそういうことを足銀の新経営陣に申入れに行ったら、そういうことは考えておりませんと、私たちは一軒一軒の旅館、ホテルを査定させていただくだけですと、こういうことをはっきりと言っているんですね。大臣が言われたニュアンスがそこに加味されないで、私たちがやることは一軒一軒の査定ですと、一体再生という考えは難しいということをはっきり言われて、かなりこの協議会の方々、もう身もふたもないといいますか、がっくりこられているんですけれども、問題はそこにあると思うんですが、大臣、いかがですか。
  142. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは、経済合理性が貫けない場合は、これはどんなに無理をしてもこれは無理な場合というのは当然あるわけであります。そういうことを担当の方はお話しされたんだというふうに思います。  同時に、全体としてのブランドイメージというのは、これは経営戦略の中にも当然入ってくるわけでございますから、そこは経済合理性を前提と、あくまで前提としながら、しかしその可能な範囲で考慮できる問題はしっかりと考慮をしていって、全体としての、地域としての再生を目指していく、金融の円滑化を目指していく、これはやはり当然の方向であろうというふうに思います。
  143. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうしましたら、今の大臣のお言葉を新経営陣に再度伝えていただけますか。現地はそういう頭になっていないようですので、そういう地域再生と両方を、経済合理性、もちろんありますね、何もそれは否定しません。その上でそういう相談に乗ると、乗ってあげるべきだと、大臣のお考えどおりのことを新経営陣に伝えてほしいと思います。新経営陣のというか、具体的に言えば現地の支店ですけれども、支店は、それはできませんと、一軒一軒査定させていただくしか今はできませんとしか言っていませんので、大臣が言われたところが頭にないようですので、是非それ徹底してもらえませんか。
  144. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) いや、それは査定は一軒一軒するしかないわけであります。しかし、それはよろしいわけですね、査定は一軒一軒だと。それで、経済合理性も重要だと。ここは大門委員もおっしゃっていると。その上で、地域に対してしっかりと貢献していくんだと。これは経営に関する計画そのものの中にそういったこともしっかりと書かれておりますし、繰り返し池田頭取も地域金融の円滑化、再生できるものはしっかり再生させていくんだと、正にそのノウハウも持っておられる方でございますから、そのような方向で進んでいっているというふうに理解をしております。
  145. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、その理解が違って、地元の方ではそうなっておりませんので、大臣のお考えを再度新経営陣通じて現地の方に伝えてほしいということを今要望しているわけです。
  146. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 既に何度もそういう話合いを持っておりますけれども、機会がありましたらまたその話は是非したいと思います。
  147. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非お願いします。  もう一つ中小企業を救済するといいますか、方法としてファンドの問題です。私はこの問題、この委員会でも二回ほど提案をさせていただきまして、十二月五日には竹中大臣も何ができるか閣内で一生懸命議論したいという御答弁をいただきましたし、これは谷垣大臣にも一度お聞きしまして、政策投資銀行のファンドへの出資のスキームですけれども、これも御相談があれば検討していくというふうな御答弁いただいています。  その後、ファンドの話というのはかなり具体的に検討の段階に入っています。  私、温泉街訪ねたときに、皆さんもうどうしていいか分からないとおっしゃっていましたので、ファンドという考えがありますよという御提案も現地の方あるいは商工会議所の会頭、簗さんにもしてきたところですけれども、今、県段階でそういうことが検討に入っています。一つのスキームは、これは経済産業省、中小企業庁が中心になっての一つのスキームですけれども、中小企業総合事業団が半分出資して地元の銀行が半分出資すると、これは大分県とかでも実現しておりますけれども、そういうことが栃木県の中で今検討段階に入っているということなんですが、私、このときにポイントになるのは、足銀そのものがこれに、このファンドに出資をするということが非常に重要なポイントだと思うんですが、竹中大臣、いかが思われますか。
  148. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) まず、基本的にこうした再生ファンド等の手法を積極的に活用して幅広い角度から中小企業等の再生を支援していくと、これはもう大変重要なことであるというふうに思っております。  先ほど大門委員は、資産の査定の問題とこのファンドの問題だというふうにおっしゃいました。このファンドの問題は重要であろうかと思います。新経営陣の下で経営に関する計画を立てておりますけれども、その中小企業の再生に向けて具体的な取組が行われつつある、その中で御指摘中小企業再生ファンドについても、これは必要に応じてでありますけれども、足利銀行においても検討されるものというふうに考えております。
  149. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  ほかにもこのファンドというのはいろんな形が考えられるというふうに思います。  産業再生機構にお伺いいたしますけれども、産業再生機構というのは、主要な仕事は、ある一つ案件といいますか、今の旅館街でいえばちょっと大型になると思いますが、大型ホテルについてメーンバンクが一緒に申請してもらえれば、それを検討して再生支援するかどうかというのが一つあると思いますけれども。  もう一つ、こういうことが選択肢として可能かどうかお聞きしたいと思いますけれども、幾つかの中小のホテル、旅館が集まって、集まってといいますか、を一つのグループにして、その資産管理会社を作ると。それに対して産業再生機構がファンドの扱いといいますか、そういうふうに見立てて出資をすると、出資支援をすると。こういうことは選択肢として可能ではないかと私は思いますけれども、もしそういうふうにできるならば、RCCに送られるよりも、融資ができたり、後がつながっていって再生できるわけですね。こういうスキーム、可能ではないかと思いますが、産業再生機構、いかがですか。
  150. 江崎芳雄

    政府参考人江崎芳雄君) お尋ねの産業再生機構のスキームでございますが、法律で決められておりまして、まず持込みは、事業者は個別にその債権者、多くの場合メーンバンクでございます、等の金融機関との連名によりまして再生機構に持込みをいたします。その持込みの結果に基づきまして、最もそれぞれの事業者に適当な、一番適切な再生計画、これを選択をしていくということでございます。  このように、機構はあくまでも個々の事業者別でございますので、本当に、仮にでございますが、例えば同じような時期に幾つかの複数の事業者からお申込みがあったと、かつそれぞれがみんな支援可能であるということが仮にございましたら、そのときにはもう少しいろんなバラエティーの絵が描けるかと思いますが、基本的には個々の事業者ごとにどういう絵を描いていくのかということでございます。
  151. 大門実紀史

    大門実紀史君 要するに、私が申し上げたスキームも一つ選択肢としてあり得るということですね。
  152. 江崎芳雄

    政府参考人江崎芳雄君) あくまでも個々の事業者の持込みがあって初めて始まりますので、ある事業者から持ち込まれまして、そういう絵を描くためにほかの事業者を無理やり引っ張り込むというようなことではございません。たまたま機構に支援を求めてこられた、かつ再生可能である事業者が複数ありまして、その中で一番いい再生の絵がどうなのかという問題でございます。
  153. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう一遍聞きますけれども、私が言ったスキームは選択肢の一つとして可能ですかと、可能かどうかだけ、あり得るかどうかだけ聞いております。
  154. 江崎芳雄

    政府参考人江崎芳雄君) 再三申し上げて恐縮でございますが、多数の事業者からお申込みがあり、かつ再生可能であり、かつそういう絵を描くということが個々の事業者にとっても最もベストであるという大変な条件がそろいましたら、それは確率としてはゼロとは言えないということだと思います。
  155. 大門実紀史

    大門実紀史君 可能であるということだと思います。思いますというか、可能であるという答弁だと思うんですね。  もう一つ、政策投資銀行にお伺いします。  政策投資銀行の中小企業再生ファンドへの投資のできるというスキームは、補正予算で今二千億の枠があるんですね。今現在、幾らぐらいまで出資されて、どれぐらい枠が残っていますか。
  156. 小村武

    参考人(小村武君) ただいままで二千億の枠のうち千三百億円の出資を予定をしております。あと枠としては七百億円の枠があると、こういうことでございます。
  157. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非、この足銀破綻の困っていらっしゃる方のために、残っている七百億の中から出資のいろんな形を考えていただきたいと思います。  その中で一つ思いますのは、先ほど申し上げました経済産業省のスキームといいますか、事業団と地元の銀行が出資してファンドを作ると、これは大分県とか幾つかでもう実現していますけれども、そういうところに更に政策投資銀行として、ケース・バイ・ケースでしょうけれども、出資をするということは可能ですか。
  158. 小村武

    参考人(小村武君) 基本的には不可能ではないと思います。ただ、私どもへの要請は、ただいまのところ地元からは御要請を伺っておりません。具体的にお話があった段階で、私どももファンドあるいはDIPファイナンス、事業再生のノウハウを十分培ってまいっておりますので、そういったノウハウの提供を含め、適切に対応してまいりたいと思います。
  159. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  今申し上げた経済産業省で、中小企業庁で考えているスキーム、産業再生機構でも選択肢としてあり得るスキーム、そして政策投資銀行も協力できると。いろんな形で本当に政府を挙げて、この中小企業あるいは温泉街を救うために御努力をお願いしたいし、そういういろんなスキームを今政府としてやれるよということも伝えてさしあげることが地元の人たちにとって非常に元気が出ますし、明るさが見えてくる話になるというふうに思いますので、相談があればということですけれども、こういう議事録も必ず伝わりますので、是非、相談があればきちっと対応をお願いしたいと思います。  最後に竹中大臣に、この中小企業再生のファンドの問題、やっぱりこの足銀のときに、今までも本当に役に立ったのかというような批判もありましたけれども、本当に役に立ったと、このファンドの考え方が、そういうふうになってもらいたいと思いますので、大臣の所感をちょっと伺って、質問を終わりたいと思います。
  160. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 足利銀行が債務超過になって破綻の申入れがあった段階で、我々は正に地域の再生、地域に対して最も混乱が生じないようにということで預金保険法百二条の三号措置を決めました。そうした中で、現状、池田頭取を中心に地域の再生と経営改革の両立、経営改革を進めることによって国民負担も最小化されるわけでございますから、その両立を目指して大変努力をしておられるというふうに認識をしております。  そうした際に、ファンドの活用というのは当然重要な問題として視野に入ってまいります。何ができるか、財務大臣とも相談をしながら、政府としてしっかりと対応していくつもりでおります。
  161. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は、平成十四年四月から実施されております行政評価制度に直接かかわった関係もございまして、この問題に重大な関心を持ち続けております。そんな視点から、本日は以下何点か御質問させていただきます。  この政策評価制度は、中央省庁等改革の大きな柱の一つと位置付けられ、全政府的に導入されたものであります。それ以前の我が国の行政におきましては、中央政府、地方政府、ともに企画偏重と言われるように、法律の制定や予算の確保などに重点が置かれた傾向がございました。そして、政策の効果やその後の社会経済情勢の変化に基づき、政策を積極的に見直し改善を図るという活動は、ともすれば軽視されがちでありました。その結果、政策の実施により国民生活や社会経済にどのような効果をもたらしたかについて十分な把握、検証がなされないまま次々と新しい政策を打ち出したり、無駄な事業を見直すことなくそのまま継続するなど、政策運営の適切さを欠いた部分があったことは否めません。  一方では、社会経済情勢の変化に伴い、財政事情が厳しくなるのにつれ、効率的な行政運営、そこから生み出される政策効果について国民の厳しい目が注がれるようになりました。こうした背景の下、政府における政策評価機能の充実強化が求められるようになったわけであります。  こうした中で、平成十四年四月には行政機関が行う政策の評価に関する法律が施行され、これに基づき、平成十四年度は政府全体で約一万一千件の政策評価が各府省の政策全般にわたって精力的に実施されたのであります。ただし、これまでの各府省における政策評価への取組状況を見てまいりますと、やはり最大の課題は評価結果の予算や政策への反映、活用であると考えます。  政策評価は評価のための評価になってしまっては意味がございません。評価を実施しただけ、評価の結果を予算を始めとする政策の企画立案に適切に反映、活用されることが大前提であります。政策評価を予算編成を始めとする政策のマネジメントサイクルにしっかりと位置付け運営していくことにより、合理的な政策決定が可能となり、また、こうした意思決定プロセスを国民に明らかにすることで行政の透明性が高まるというものでございます。そして、そうすることによって初めて政策評価制度の目的であります国民本意の効率的で質の高い行政の実現、国民的視点に立った成果重視の行政への転換及び国民に対する行政の説明責任の徹底が達成されるものと考えます。  そこでまず、政策評価制度の推進を所管しておられる総務省にお尋ねいたしますが、政策評価の結果を予算を始めとする政策の企画立案に反映させるために総務省としてどのように取り組んでこられたのか、また今後どのように取り組んでいかれるのか、この点について御答弁願います。
  162. 田村政志

    政府参考人田村政志君) お答えいたします。  政策評価の結果について予算を始めとする政策に適時適切に反映させていくことは極めて重要であります。このため、総務省としては、各府省の政策評価を適時に実施し公表するという、適時というのは、特に予算の概算要求前に政策評価を行い、これを公表するということが一つのパターンでございますけれども、こういったこと。それから、政策評価の実施体制の整備充実の促進、各府省の政策評価の客観性のチェックを行うことによりまして、評価水準の向上に努めていく必要があるということで取り組んできてまいっております。それから、評価結果の予算要求等への反映状況の取りまとめ、そして公表して国民にこれを情報開示をしていくということに、こういったことに鋭意取り組んできているところでございます。  さらに、政策評価の水準を向上させるという観点から、やはり事前評価、事後評価の対象、内容を拡充していくという課題もございますし、さらに評価手法の調査研究、開発や統一的な研修を通じて評価に携わる人材の確保、育成を図ってきているところでございます。特に、統一的な研修につきましては、毎年度二千五百名ほどの職員に対して研修を実施しているところでございます。  今後とも、これらの取組を引き続き進めるとともに、予算編成プロセス改革におけるモデル事業や政策群において政策評価に積極的に取り組んでいく考えであります。
  163. 続訓弘

    ○続訓弘君 国民の皆様方は、今ほども申し上げましたように、この政策評価に対して大変期待を寄せておられます。したがいまして、今総務省が御答弁されましたように、積極的にこの問題に対応していただきたいと、このように思います。  さて、二〇〇四年度一般会計予算における公債発行額は三十六兆六千億、予算に占める割合は四四・六%に達しているなど、極めて憂慮すべき状態であると言わざるを得ません。  このような状況の中で、徹底した無駄の削減を行い、予算のスリム化を実現させることが不可欠であります。そのためには、今申し上げた政策評価の結果を各府省が予算要求に反映させることにより、無駄な事業の改廃を行うことが重要であり、一方で、その前提として評価の精度を向上させることが課題であると思います。  この点について、予算編成を担当する立場からどのような御見解をお持ちか、伺わせていただきます。
  164. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 委員指摘のとおり、政策評価を予算に活用するに当たりましては、まずは各府省において自ら行った政策の評価の結果を適切に反映させた予算要求を行うことが重要と考えております。財務省といたしましても、毎年度の概算要求に当たりまして、各府省に対して施策の評価結果が記載された政策評価調書の提出を求めているところでございまして、予算編成での活用に努めているところでございます。  ただ、この各府省より提出される政策評価調書につきましては、客観的かつ定量的な分析評価が行えるものがある一方で、定性的、抽象的な記述にとどまるものも多いと。また、継続している施策にもかかわりませず、過去の実績の評価が十分になされていないなど、評価の質が乏しいものも見受けられます。また、予算要求のための自己評価をまとめたものという性格上、その客観性、中立性が担保されてないという側面もございまして、残念ながら活用が困難なものも多いというふうに考えております。  したがいまして、まずは各府省において政策評価の客観性や精度の向上を図っていただくとともに、厳格な評価を行う必要が引き続きあるものというふうに考えております。  財務省といたしましては、総務省との連携も図りつつ、政策評価の更なる活用に向けて検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  165. 続訓弘

    ○続訓弘君 それでは、十六年度予算案に対して、今政策評価を具体的にどのように反映されたのか、お答えいただきたいと存じます。
  166. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 今の答弁の中でも申し上げましたとおり、財務省といたしましては、まず、十六年度の予算編成において、概算要求で、施策の意図、目的、必要性、効率性、有効性等を記載をいたしました政策評価調書の提出を求め、各府省から二千五百を超える調書が提出をされたところでございます。  十六年度の予算編成における各歳出項目の査定に当たりましては、この政策評価調書も参考といたしまして、要求、要望の中身の精査、優先性の判断を行いまして、歳出の質の改善、予算の重点化、効率化を図るよう努めたところでございます。
  167. 続訓弘

    ○続訓弘君 先日の当委員会谷垣大臣は、これに関連をした発言がございました。  具体的には、国民の皆様が期待される安心社会を構築するためには、何としても予算の徹底的な縮減、合理化、そして透明化が必要なんだと、それに全力を挙げるという趣旨の答弁もございました。したがって、今、この政策評価を具体的に各年度の予算に反映される、そういう決意といいますか、姿勢について、大臣の姿勢について伺わせていただきます。
  168. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 先ほどからの御議論にもございますように、政策評価をきちっとやっていくということは予算の質を向上させる、無駄を排除するということももちろんありますけれども、さらに、予算の質を向上させるということがやはりあると思います。これは、今のような財政の厳しいときにはどうしても必要なことであると思いますし、それから、先ほど委員の御指摘にもありましたように、きちっきちっと一つの政策を評価していくということによって、説明責任と申しますか、そういうものを徹底してやっていくと、このことが政治の質の向上といいますか、そういうことにも資するのではないかと、それが結局委員のおっしゃった国民の安心ということにもつながっていくのではないかと思います。  したがいまして、先ほど石井大臣の御答弁にもありますように、予算執行するというか、要求する各省庁におかれまして、まだまだその政策評価の精度であるとか、あるいはその客観性を高めていただきたい面もございますので、御努力をいただいてそれを生かした予算要求をしていただくと、私たちもそれを十分に生かして査定をしていくと。それから、私たち自身も、先ほどからのこの委員会の御議論でもございますように、必要なものについては財務省主計局としての予算執行調査というものも行いながら、政策評価にのっとった査定をしていきたいと、こう考えております。
  169. 続訓弘

    ○続訓弘君 せっかくの御努力をよろしくお願い申し上げます。  次に、政策評価に関連をして、特別会計の見直しについて伺います。  特別会計につきましては、近年、我が国の厳しい財政事情の下、国全体としての一層の歳出の合理化、効率化が求められる中にあって、固有の財源等をもって不要不急の事業が行われているのではないかとの指摘執行面の実態が分かりにくいといった批判がなされております。財務省としては特別会計の見直しにどのように取り組んでおられるのか、伺います。
  170. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 特別会計につきましては昨年の通常国会におきまして様々な議論が行われたところでございます。これを踏まえまして、財政制度審議会におきまして、昨年の十一月、五十項目を上回る具体的な方策が示されたところでございます。  財務省といたしましては、この財政審の提言を踏まえまして、十六年度の予算編成において、事務事業の見直しによる歳出の合理化、効率化を図る、また一般会計から特別会計への繰入れを減額をする、また借入金を縮減する、こういった歳入歳出を通じた構造の見直し、こういった様々な具体的な見直しを行わさせていただいたところでございます。また、分かりにくいというところもございますので、特会に関する資料の作成、充実を図ると。また、企業会計的手法を活用いたしまして新たな特別会計財務書類の取組を進める、こういったことで説明責任の強化を進めているところでございます。  特会につきましては今後とも不断の見直しが必要だというふうに考えておりまして、努力をしてまいりたいと考えております。
  171. 続訓弘

    ○続訓弘君 特別会計の見直しに際しましては、歳入歳出を通じた構造の見直し、特別会計として区分経理を行う必要性の見直しも課題でありますが、特別会計の事務事業の見直しも重要な課題であり、その際には厳格な政策評価を行い、その結果を活用することが重要であると考えます。この点についての財務大臣の御見解を伺わせていただきます。
  172. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 特会につきましては、このたびの予算委員会予算審議におきましても各方面から非常な御議論を賜りまして、特別会計の在り方については非常に関心が高まっているというふうに私は思います。それは、やはり財政構造を変えていこうというときに一般会計だけでは、一般会計だけを見ていたんでは進まないと。やっぱり特別会計まで見渡して全体の財政構造をきちっとしていく努力が必要だと。こういうことに、余り、これは広範でございますから、なかなかそこまで今まで視野が行き届かなかった面、これはあったんだと思いますが、そこまで見渡してやっていくんだという認識が随分定着してきたんだろうというふうに私は思っております。  そうなりますと、正に今委員の御指摘がありましたように、ただ削れ削れと、ぶった切ればいいわけでもございませんで、やっぱり一つ一つの特会がやっている事業というものをきちっと客観的に、厳格に評価をしていくということがなければこの特別会計の見直しも効果は上げられないだろうというふうに思いますので、この分野でもそういう努力をまず具体的に事業を行っている省庁でしていただく必要がございますし、私どももそれを基にしてやってまいりたいと、こう考えております。
  173. 続訓弘

    ○続訓弘君 今、大臣の御答弁もございましたように、国民の目線は非常に厳しくなってございます。したがって、この特別会計の見直しについても特段の御努力をお願い申し上げます。  次に、現在、財務省において公会計の見直しが行われていると伺っておりますが、その内容について御説明ください。
  174. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 公会計の充実につきましては財務省としても積極的に取り組んできているところでございます。  これまでの取組、御紹介申し上げますと、一つは、国のバランスシート、貸借対照表の試案につきまして平成十二年の十月に基本的な考え方を取りまとめまして、十年度決算より公表させていただいております。また、特別会計につきまして、新たな特別会計財務書類につきまして、これは平成十一年度決算分より作成、公表をさせていただいているところでございます。  また、昨年の六月には財政制度審議会におきまして公会計に関する基本的考え方をまとめていただきまして、今後の公会計の充実に関する基本的な方向性をお示しをいただきました。現在、この報告書を基に、各省庁ごとを作成単位といたします省庁別の財務書類の作成について財政審において検討していただいております。六月をめどに検討を進めているというところでございます。  今後とも、この公会計の充実につきまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  175. 続訓弘

    ○続訓弘君 よろしくお願い申し上げます。  公会計の見直しに当たりましては、予算書や決算書を見直して施策レベルの費用や便益に関する情報を明らかにすることで事後評価を充実させ、予算編成につなげていくことが重要と考えます。その意味からも、その見直しは、表示科目の見直しなど政策評価と十分に連携しながら進めていくことが必要だと考えますが、この点についての財務大臣の御見解を承ります。
  176. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、石井大臣から御答弁いたしましたように、各省庁を作成単位とする財務書類の作成というものに今取り組んでいるわけでございますが、これ財政審議会で検討していただいているわけでありますが、要するに、省庁、各省庁は予算執行の単位でもございますし、これは行政評価の主体でもあるわけでございますから、省庁単位の財務書類を企業会計の考え方を活用しながら作っていくということになりますと、そこでの表示の分かりやすさをどうするかとか政策評価の連携と、そういうことを考えていきます場合に政策評価との連携をしながら作っていく必要があろうかと思います。  まだいろんな考え方がございまして、整理に苦労している面もあると思いますが、御指摘の政策評価との関連を念頭に入れながら、できるだけ分かりやすい説明責任を果たせるものにしていきたいと考えております。
  177. 続訓弘

    ○続訓弘君 よろしくお願いを申し上げます。  本日は政策評価結果の予算への反映、活用を中心に何点か質問をいたしました。  私は政策評価はこれまでの行政運営の在り方やその文化自体を根底から変える仕組みだと考えております。すなわち、どれだけ資源を投入したかとか、どれだけ仕事をしたかということではなく、国民や社会に対してどれだけ利益をもたらしたかということを常に意識し、政策の不断の見直し、改善を行っていく、そして、そうすることによって無駄のないスリムな予算や、真に国民的視点に立った行政を実現することが可能になるものと考えます。  このような考え方に立ち、財務省総務省の両者が十分連携を図りながら、政策評価の予算への反映、活用について積極的に取り組んでいただくことを要望申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  178. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 以上をもちまして、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち金融庁財務省所管国民生活金融公庫日本政策投資銀行及び国際協力銀行についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  180. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十六年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府政策統括官小平信因君外九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  182. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十六年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行理事白川方明君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  184. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 平成十六年度における財政運営のための公債発行特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  185. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございますが、質問をさせていただきたいと思います。  残念なのは、竹中大臣も実はおられないということでございまして、また三位一体改革の問題では総務大臣にも御出席をいただきたかったんですが、今日は両副大臣に御出席ということなんで、極力財務大臣を中心にしながらお話をさせていただきたいと思います。  最初に、今年の予算、大変な借金をしているわけでありますが、この予算の中で、お手元に資料をお配りしましたけれども、自賠責特会それから交付税特別会計、この両方で一兆六千五百五十四億円、事実上隠れ借金と私呼んでいるんですが、本来これは払わなきゃいけないものですよね。それを一時的に払うのを停止したということになっているわけでありますが、このお手元数字、これ間違いないですよね、自賠責特会、交付税特会。さらに、これはなぜこんな隠れ借金を設定をされたのか、ちょっとお伺いしたいと思うんですが。
  186. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、峰崎委員がおっしゃいましたように、本来は自賠特会への繰戻しということを行わなければならないわけでございますが、十六年度予算では国債発行額を極力抑制したい、このために制度や施策のいろんな見直しとか、それから各経費間の優先順位のいろいろな厳しい選択、こういうことをやっていろいろな見直しを図ったところでございますけれども、その中で自賠特会の問題については、十六年度にこれを行わなくても直ちに自賠特会の円滑な運営に支障が生じるわけではないといったことを考えまして、十六年度予算においては国債発行額を増やさない、その分増発しないで期限を延長したということでございます。  それから、交付税特会の方は、借入金の大半を占めます地方負担分の借入金については地方の負担により償還することになるわけでございますが、十六年度の地方財政は依然として十兆円を超える財源不足が生じているというような厳しい状況にございますし、地方はそこで財源不足対策として約四兆円、赤字地方債を発行せざるを得ないというような状況でございます。  こういう中で、今までの特会借入金の償還を実施すれば更に赤字地方債の発行を求めなければならないわけでございますが、それはいかがかというようなことも踏まえまして、財源不足対策の一環として十八年度までの間特会借入金の償還を行わないということにいたしました。やむを得ざる処置でございます。
  187. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 何かお聞きしていると非常に苦しい予算だということは、それはもう分かっておるわけであります。どうも、私はそこにもう意図がこういうところにあるんじゃないかと考えているんですが、この隠れ借金一兆六千五百五十四億円を、借金を公債でもって振り替えると、実質的な公債負担は三十八兆二千四百五十億円。これを入れると歳出総額は八十三兆七千六百六十三億円。これで税収を割り返すと五〇・八%から四九・八%と、要するに五割を切るんですよ。  ということは、国の歳入をある意味では税収でもって半分も賄えないと。これが実はこういうふうに自賠責特会や交付税特会のところにこういうものを、ある意味で小細工というふうに呼んでいいのかどうか分かりませんけれども、これをやはりやっている最大の要因じゃないかなというふうに見ているんです。どうですか、五〇%を切っているんじゃないですか、実質。  そういうふうに理解、財務大臣、むしろ堂々と出して、もう税収は五割に達してないんだと、これを国民に訴えられた方がはるかに今の財政がどんな状況になっているか、そしてプライマリー黒字、これも大変苦しい説明でございましたけれども、いずれにせよ大変なんだという認識を持ってもらうためには、こういうふうにやっぱりもう五割を切りましたと、こういうふうに出した方が僕は正直だと思うんですが、どうですか。
  188. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) もちろん、委員のおっしゃるように、税収の占める割合が少ないより多い方がいいに決まっておりますけれども、比率を一定水準以上にするということを目標としたわけではございません。そういう意味では、今委員のおっしゃったこれをねらってやったというわけではないんでありますが、国債発行額は極力抑制したいという気持ちはあったことは事実でございます。
  189. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、これは三十兆円枠を取っ払うときに、何かNTTのAタイプですか、Bタイプのお金を出してきて、へそくりがあったと。私、総理大臣に本会議で質問したんですよね、これなかったらどうするんだと。三十兆円枠を何とか守ってとおっしゃっているものだから、これなかったらどうしたんですかと言ったら、いや、あったんだという説明しかなかったんですけれどもね。  要するに、何だか財政当局が裏の方からちょこっとテクニックを使って、いかにも表面はきれいに装うというのが、どうもこの間、私は財政当局の財政手法の中に明確にあったんじゃないかというふうに思えてならないんですよ。  その意味で、この数字も何で自賠責と交付税特会のこの分だけなのかと。こうやって小細工しようと思ったら、幾らでも、三十兆円の中にとどめようと思ったら、いろんな方法からやってやれないことなかったんじゃないですか。ちょっとこれ嫌みの質問から入っちゃったものですから大変申し訳ないんですが、いや、時間が余りありませんので、先に進みたいと思いますが。  そこで、先日も交付税の問題についてちょっと少し議論をしてみた、あるいは三位一体改革について、このいわゆる財政の問題と実は大変、今回プライマリーバランスが少し良くなったというのは、実はこれ地方自治体に対する財政の、いわゆる交付税、財源対策債が相当大幅にカットされたことが実はそれをもたらしているわけでありまして、地方自治体の財政問題というのは非常に大きいんだと思うんですね。  そことの関連についてまず見たいと思うんですが、ところで、総務省にちょっとお聞きするんですけれども、交付税で後年度負担をするというやつがやたら多いんですよ、こういういろんなものを見ると。少し、じゃ、そういう約束をしている、つまり交付税として後年度必ずそれは負担をいたしますよと、これはおよそどのぐらいの金額になるんでしょうね、ちょっと教えていただきたいんですが。
  190. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) お答えをいたします。  地方債の元利償還金につきましては、毎年度の地方財政計画の中でその償還に見合う必要な一般財源を税、交付税の形で補てんをしていくという形でマクロで確保いたしておりますが、お尋ねの地方債の元利償還金をその事業量に応じて基準財政需要額に算入する、いわゆる事業費補正方式と言っておりますが、そういうものというふうに考えさせていただきますと、今年の元利償還金につきまして、交付税の基準財政需要額、十五年度の需要額に算入いたします額は、財源対策のために発行いたしました地方債の元利償還金に係るものが約三・二兆円、あるいは災害、過疎対策などのために発行いたしました地方債の元利償還金に係りますものが約二・一兆円、公共事業等のために発行しました地方債の元利償還金に係るものが約二・四兆円でございます。
  191. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうしますと、これ三・二、二・一、二・四を足すと、全部でおおよそ八・五になりますか、八・六になりますか、七か。交付税のうちの半分ぐらいはもうこれはそういった、要するに将来約束をしている財源でこれは賄われていると、こう理解していいんですか。
  192. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 交付税の額、今申し上げましたのは基準財政需要額に算入した額でございますので、交付税、十五年度の基準財政需要額の総額は四十七兆円でございますので、このうち地方債の元利償還金分を算入いたしましたものは、ただいま申し上げましたもので約八兆円弱でございますが、一六%ほどに相なります。
  193. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いやいやいや、四十七兆円、基準財政需要額に、中の金額ですね。そうすると、この基準財政需要額の中でこれは、後年度これは負担しますよと、交付税で。そうすると、交付税の、入口ベースの交付税の中ではどのぐらいの割合を占めるんですか。入口ベースというのは、言うまでもなく国税五税の一定割合ですよ。そうすると、国税五税の割合の中の五割近く占めるんじゃないですか。そう理解していいんですか。これどうなんですか、どう理解していいのか。
  194. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 平成十五年度に、先ほど申し上げました災害のために起こしました地方債でございますとか各種の地方債の十五年度の元利償還金に要するもの、その部分を十五年度の基準財政需要額に算入いたしますので、この基準財政需要額と各団体の基準財政収入額を差し引きをしたものがそれぞれの個別団体の交付税の額として交付されることになりますので、ただいま申し上げましたように、基準財政需要額トータル四十七兆円の中にそういうものを、八兆円弱のものを計算して算入してあるということをお話しさせていただきました。
  195. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ちょっと突っ掛かるようですが、そうすると、この七・八兆円、八兆円近いお金が、財源はこれは交付税としてその中に当然盛り込まれると。つまり、今年の、本年度は入口では十兆円で出口は十数兆円だと思いますが、その十数兆円の中にこのいわゆる七・八兆ですか、このいわゆる約束をしてもうこれは今年は払い込みますよと、こういうふうに理解していいんですか。ちょっと分かりやすく答えてくださいよ。ちょっと分かりにくい。
  196. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 御案内のように、交付税は基準財政需要額から収入額を差し引いた額でございますから、今、この申し上げた数字は、この需要額の方だけの数字を申し上げておりますので、交付税は結局個別団体ごとの差し引きの額になってまいります。ですから、それがその十六兆から十八兆という数字でございますから、あえて言えば四十八兆、失礼、需要額全体の中の個別の団体が全部同じように需要額の中に仮に算入されていたとしますと、一六%がその交付税の配分される額の方の差し引きとしては出てきているというふうに考えるのかと思います。
  197. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そうすると、交付税の一六%ぐらいだというふうに理解するんですか、ということなんですか、ちょっと数字が。  要するに何が聞きたいかというと、要するに後年度負担していても硬直化しているもの、もっと言えばこれは第二補助金、要するに補助金に近いものになっているんじゃないかという批判を受けているわけですよ。そのいわゆる実態がどのぐらいになっているのかなというのが私たち、大変我々が考えるときに、こんなにいつもいつも交付税措置、交付税措置でやっていて大丈夫かいなと思っているわけです。しかも、合併に伴う特例債出して、そして合併のときにも、あれでしょう、後で、後年度で負担するという、出しているんでしょう、また同じように。そうすると、何でもそういうやり方を取っているわけですよ、ずっと。それが恐らく交付税の大きくなっていく大きな一つ要因だと思うんですが、そういう意味で、そういう硬直の度合いが十数兆円の地方交付税の、今年あったけれども、そのうちどのぐらいそういう形で固定化して、もう既にこういうところへ払わなきゃいけないというふうに決まっておるのかという、その割合が知りたかったわけです。
  198. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 今の先生のお話のような御趣旨だといたしますと、需要額全体の中に占める事業費補正で算入されている額の割合が一六%ほどでございますので、個々の団体に実際に交付税、払われる交付税の中に公債費相当分が幾ら入っているかということとは一致をいたしませんが、抽象的な考え方としてはそういうものが一六%あるというふうに考えることは一つ考え方であろうかと思います。
  199. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、ちょっとこの議論続けても仕方ないので先に進みます。要するに、相当、今のお話で言えば十数%まで比率が高まっていると、こういうことですね、トータルとすれば、個々の自治体は別にしても。  さてそこで、このいわゆる地方債を発行してその後でと、こうなるわけでありますが、その中で、地方債がこのたびは三位一体改革で除外されているわけですね。これは、三位一体改革の所管大臣は多分これ竹中大臣じゃないかなと思うんですが、三位一体改革としてなぜ補助金というのは今回外されたのかな。この点は財務大臣に聞いた方がいい、それとも、どちらでも構わないですが、一人だけで、時間ないんで。
  200. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) なぜ三位一体に地方債を加えなかったのかということでありますけれども、この三位一体の目標としているところは、国庫補助負担金を抑制するなどして使途の制限がない地方の一般財源の割合を引上げを図るということが一つまたねらいでございますから、それと同時に、一般財源の中でも税源移譲などによって地方税の充実とそれから交付税の依存度を低くしようということが併せてございます。  それで、こういう姿を達成するための制度改革としては、いわゆる三位一体、補助金と地方交付税とそれから税源移譲を含む税源配分の見直し、こういう三つを中心に据えているわけです。それで、地方債はいわゆる一般財源ではないということでここから除いてあるわけですが、もちろんその地方債に関する改革が不必要だというふうに考えているわけでは毛頭ございませんで、分権一括法で平成十八年度から許可制から協議制に移るということで、国の関与の縮小という観点から改革が行われているほかに、骨太二〇〇三でも基準財政需要額に対する地方債元利償還金の後年度算入措置を各事業性格に応じて見直していくとか、同時に、地方債に対する市場の評価がより機能するように取り組んでいくというふうにされておりますので、地方債についても当然改革はこういう考えに沿ってやらなければならないと思っております。
  201. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いや、そのとき一番大切なものというのは、やっぱり政府保証を付けているわけです。さっきから、交付税というのは国の税収の一定割合で基本的には決まっていますわね。それは予算措置としてずっと付いているわけですよ。そうすると、このいわゆる様々なもので事業をやるときに地方債を発行する、その後それは交付税で措置しますよと。これは正に、国の財政が地方交付税という格好でそれが事実上保証しているから実は成り立っているわけでしょう。  問題は、その政府保証が付いていると、許可制にしようと何にしようと、ちょうど財投機関債と財投債みたいなもので、機関債も実質上政府保証を付けてしまえばこれは余り変わらなかったわけですよ。要するに、市場の、マーケットのある意味では洗礼を受けるといいますか、それを政府保証というものを付けたら、これ事実上できないんじゃないですかと。これはずっと、実は前の塩川財務大臣、あるいは金融担当大臣にずっとやってきたのは、BIS規制の中でこの地方債のリスクウエートがかつては一〇%あったんですよ。それがいつの間にかゼロになったんですよ。それをなぜゼロにしたんだと。これをもう一回一〇%なりなんなりというところに戻して、少しでもそれは、いわゆる政府が保証を付けているからゼロなんだということなんですが、そこのところをきちっとやっておかないと、実は地方債のところでずっとずんずん、抜け道と言ったら変ですが、これはほとんど実際上、地方自治体の財政規律というところに大変問題をもたらしているんじゃないかというふうに言われているんですよね。  そういう意味で、実はこれはちょっとやや厳しく聞いているんですけれども、その意味で、私はやはりこの三位一体改革というのは四位一体改革でちゃんと取り上げていかなければ駄目なんではないかというふうに思っているんですが、この点はどのようにお考えでしょうか。
  202. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) 総務省の方からもお答えをさせていただきたいと思いますが、今三位一体改革の目指すべき部分云々ということに関しましては財務大臣の方からお話がありまして、先ほど来お話がある、地方債についてなぜこれ四位一体じゃないのかというふうなお話なんだろうと思うんですが、この地方債につきましては、建設業等を行う際に地方団体が調達をする長期借入金、これはもう先生御案内のとおりです。ですから、地方団体が自ら地方の一般財源でこれ償還を行うというふうなものでありまして、また既に地方分権の推進という観点から平成十八年度にはこの地方債の許可制、これを廃止をいたしまして協議制に移行するというふうなことに決定をさせていただきました。  したがいまして、地方債につきましては、今回のいわゆる国と地方との関係において、地方の自由度とか裁量度を高めるというふうな一連の改革の中には柱立てをしておらないというふうなことでございまして、また二〇〇三の方にも若干触れられておりますけれども、この件に関してはむしろ交付税の算定の在り方にかかわる問題であろうというふうに考えておりまして、今回もその算定の改革という観点から基準財政需要額に対する元利償還金の後年度算入措置の見直し等を行うというふうなこととしておるところでございます。
  203. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 その問題、ちょっと竹中大臣いないので、少し突っ込みたかったんですが、そこをちょっと外しまして、ちょっと三位一体改革で、今年度、今年から所得譲与税というものが打ち出されましたよね。これは、将来、所得譲与税ということだから所得税から住民税に移そうとしているわけですね。今年はどうやら所得譲与税という形で、税源移譲とは私は言えないと思うけれども、そういうふうに移っちゃったと。じゃ、これはいつになったら住民税に移しますよということになるんでしょうか。どんな条件をクリアしたら住民税に、所得税から住民税に移っていくということになるんでしょうかね。これは、じゃ財務大臣に聞いた方がいいな。
  204. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは所得税から地方住民税という形を基本として平成十八年度までに税源移譲をやるんだということになっておりますが、それは、その意味は補助金改革がどういう姿になっていくかということに合わせてその税源規模等を設計するということでございまして、平成十八年度までにやると、こういうことであります。
  205. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 じゃ、ちょっと総務省に今度お聞きするんですが、これは、言われているように、どうもこれは、あれでしょう、ちょっと後で間違っていたら教えてほしいんですが、今、住民税の税率は五、一〇、一三と、いわゆる税率区分になっていますよね。これを一〇%にしますよと。つまり、五%の税率の方は五%国税から来ると、それから一三%の人の三%分は国税返しますよと、これで大体どのぐらいの金額になって、一〇%一律になると。  そのときに一番私たちが心配し、というか、このデータを必ず出してもらいたいと思っているのは、そうすると一〇%になって、今までの、地方の方が歳入増になるんだろうと思うんですが、そのときの税収格差なんですよ、税収の格差。東京都と例えば沖縄県、それから市町村でいっても、例えば私のところにいる歌志内という人口がもう六千人にしかならないような一番小さい市と、例えば、横浜市は政令市ですから分かりませんけれども、政令市でないところ、例えば浦安というところが恐らく今高齢比率で一番低いところだと、低いというのは少ないところだと思うんですね。そういうところと比べてみてどのぐらいに、実は今の状態から比べたその市町村の格差はどうなっていくのか、そのデータは出してもらえるんでしょうね、あるいはもう計算されていますね。
  206. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) 先生御指摘のこの税源移譲に伴う税収の格差ですね、凸凹といいますか、これは今後の制度設計の際にこれしっかり検討していかなくてはいけない課題であるということは私どもも実は認識をしております。ところが、現時点において、これ実は税源移譲の具体案というのがまだまだ不明な点があるというふうなこと等から、具体的に試算をするのは大変難しいと考えております。  ただ、一般的に申し上げますと、もし一〇%比例税率というふうにした場合には、むしろ地域的な偏在性の少ない税体系の構築には資するんじゃないかなというふうには思っております。
  207. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 駄目ですよ、その程度じゃ。これはもう何年も前からやっているわけですから、それで一番、今地方が、特に私の住んでいる北海道のところは、この税源移譲に伴って今回所得譲与税になっただけでどのぐらい変わってくるのかということをみんなもう試算していますよね。  だから、私は、所得譲与税を分配するときの基準は人口になっているんですけれども、なぜ六十五歳以上人口にしなかったのか、外形で。つまり、もう六十五歳以上人口で、非常に生産年齢人口の高いところと、それから高齢化比率が非常に高くなっているところが同じような基準で配分されたら、それは人口の集中している、さっき言った浦安だとか、ああいう地域がそれは豊かになっていくのははっきりしていますよ。みんなもう地方の人たちは、おい、税源移譲というけれども、これはどうなるんだろうなと、こうなっているわけですわ。  税源移譲そのものが我々は駄目だと言っているわけじゃないんですよ。問題は、今は所得税一〇%にする方がどうやら税源の偏在は少ないのではないかとおっしゃっているんです。だから、それを出してくださいと言っているわけですよ。いいですね、これは参議院選挙前までに出してくれませんかね、データとして。それちょっと約束してください、山口さん。
  208. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) 先ほど申し上げましたように、この一〇%というやつは、実は全体像がもうちょっと出てきませんと具体的な試算というのは非常に難しいんだろうと。所得譲与税に関してはもう形が出ましたので若干の試算というのはあるわけなんですけれども、この一〇%云々というやつに関しましては、もう先生御存じのように、どの時点でどういうふうな制度とかデータを用いるかとか、あるいは道府県民税、市町村民税それぞれの税率配分をどうするか等々、様々な問題がありますので、その点に関しましてはなかなか難しいというふうに思っております。
  209. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それは国民に対して不親切というんですよ。それは、一定のそれは道と市町村との配分の比率だとか、それは今の比率使ったっていいですよ、それは。もういわゆる片山試案というのは出たわけじゃないですか、五・五兆円移譲しますということの案が。それで三兆円移るということなんでしょう。その三兆円がどういうぐらいの配分になっていくのかぐらいは出してもらって、じゃ、その格差をどうするかというのは、これは水平的なものと垂直的なものがあると思うんですが、やらなきゃいけないけれども、これは必ず出してくださいよね。  いやいや、だって、もう一〇%のフラット税率になるわけですから、現行のいわゆるある意味では、何といいましょうか、住民税の課税最低限だとか、そういうことが決まっていますから、ちょっと課税最低限のところは少しずれるところがあるのは知っていますけれども、そこはひとつどのぐらいの格差になっていくかぐらいの水準を、今総務省、旧自治省がデータを持っていませんとか、そういうことは推計できませんというのは私はちょっと信じられないんですよね。
  210. 板倉敏和

    政府参考人(板倉敏和君) 実は今の一〇%のフラット化の案でございますけれども、これは二年前に片山プランというものの中の一部として提案をさせていただいたものでございますけれども、今後の具体的な所得税から住民税への税源移譲がどういう形で行われるかというのは現状では白紙状態ということになるんではないかと思います、やるということは決まっておるわけでございますけれども。  私どもといたしましては、いずれにしても、おっしゃるような偏在の問題というのは、先ほど副大臣からも御答弁申し上げましたとおり、頭に置いてやっていかなきゃいけないという意味では、この辺りがある程度煮詰まっていく、そういう段階においては当然そういうこともいろいろと議論の材料として提出をする必要があろうかなというふうに考えておりますけれども、現時点ではちょっとなかなかそういう試算はできないかなというふうに思っているところでございます。
  211. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それは怠慢ですよ。現時点では出しません、やがて、後日出しますよって。  地方を回ってみて、この間も交付税の問題について、これから先どうなっていくんだろうねというのが地方の自治体の皆さん方の、将来像がよく分からない。それから、今お話ししたように、三位一体の中の税源移譲は、一体そのことに伴ってどれぐらいの格差が出てくるのかな、これもよく分からない。みんな不安だらけで、実は地方自治体の関係者は待っているわけですよ。  だから、それは試算でもいい。今、年金でもいろんな試算を出してくれ、出してくれと言っている。年金はもう法案になったから出てきている。税の問題というのは、正に所得税、住民税、そしてそれは地方自治体の税収、これは将来どうなるかというのは、正に地方自治体が生き残りを懸けてやっているんだから、そこはしっかり出すというふうに約束してもらわないと、これはちょっと自治体の皆さん方は納得しないんじゃないんですか。  副大臣しかおられませんけれども、副大臣、どうですか。是非、大臣と相談して、今度の総選挙前に、もう次、三位一体の、四位一体になるのか、出すわけでしょうから、その前には、もう今年は、だったけれども、所得譲与税から住民税への移譲が成ったときにはこれぐらいになります、これぐらいの格差が出ます、これをどうしましょうかと、我々はこう考えますということを出さないと論議にならないですよ、これは。どうですか。
  212. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) 実は私も先般の所得譲与税、公立保育に関する税源移譲でどのぐらいの凸凹になるんだと、例えば私の町村、町や村はどうなるんですかというお話がございました。そのときにも大変苦慮いたしまして、ですからそういったお気持ちはよく分かるんですが、ただ、今回のいわゆる三位一体の一連の事態の中で、やはりいろんな情報が飛び交って結構混乱をしたというふうなことも実はございますので、できればパッケージとしてちゃんとしたものを出さないと、かえって地方自治体の方が混乱をするんじゃないかなというふうな思いもございます。  しかし、先生の方からの強い御指摘もございました。確かにそういった心配の面もあろうかと思いますので、ちゃんとした数字が出せるかどうかは別にして、また大臣とも御相談をして、こういった傾向になるのかなというのはできるだけ早くにお示しをできればと、検討させていただきたいと思います。
  213. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 こういった傾向になるんじゃないかというんじゃなくて、傾向は大体分かるんですよ、それはもう。東京都が独り勝ちするだろうなということはみんな地方にいる人は分かっているわけですよ。問題はそれを、そういうものに、どのぐらいの格差になって、それはどういうふうに解決していったらいいのかねと。例えば共同税とかいろんな案なんかも出始めているわけですよ。地方自治体の水平間調整に任そうかと、垂直間では難しいだろうと、こう言っているわけですね。  私は、徴税というものの実態見ると、地方自治体というのはやや貧弱だなというふうにちょっと思っています。つまり、税務職員がなかなか一定しないで、次々と移ったりします。さすがに、国税職員のように長年ずっと蓄積して大変な能力を発揮し努力している人たちと比べて、ちょっとやっぱり落ちているなという感じしないでもないんですが、しかし、いずれにせよ、そういう徴税能力を高めていくためにどうするかとか、いろいろなことをやっぱり考えなきゃいかぬと思うんですよね。  是非そこは、何ぼここで押し問答しても出そうにないんですが、是非そこは、このいわゆる六月参議院選挙前にはやっぱりそこのデータをちゃんと示して、我々三位一体と言っているけれども、この後はこういう状態ですということを是非出していただくように強く要望しておきたいというふうに思います。  さて、それでは次に、小泉改革の中で、財務大臣、どうも資産及び所得の格差が拡大をしてきているんじゃないか。これはジニ係数というようなことで、ちょっと今日は数字を出しておりませんけれども、ずっとこの間拡大してきたんじゃないかと、こういうふうに言われるんですが、この点は、財務大臣、どのように評価をしておられるでしょうか。
  214. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かに、委員指摘のように、いわゆる所得のジニ係数というのは一九八〇年代以降少しずつ増えていると。ということは、つまり所得の格差が開いてきているというのが現状であるというふうに思っております。なかなかこの格差についてその実態を的確に把握することは容易ではございませんけれども、これを、ジニ係数を手掛かりにすればそういうことになるだろうと思います。  これをどうまた見るかということはいろんな議論があるようでございますけれども、例えば、高齢化によって比較的所得格差の大きい高年層が増加したことといった経済社会構造変化があるのではないかというような御指摘がある一方で、税制改革の影響があるのではないかというような、いろんな御指摘があると思っております。  ただ、我々の立場からしますと、こういう評価をする際に、我が国のジニ係数の水準は諸外国と比較しても相対的に低いところにあるというようなこと、あるいは、所得水準の高いグループと低いグループを比較しても、その差は比較的諸外国の中でも小さいものであるとか、それから、再配分の効果を考える場合には、歳入面だけじゃなくて、社会保障など歳出面での措置も含めて、政策全体としてどういう施策が講じられているかというようなことも勘案する必要があるというような、いろんな面からの考察が必要ではないかと思っております。
  215. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 実は、前から財務省の皆さんにお願いしていたのは、かなり、所得の格差の問題と、特にスーパーリッチと、こう言うと非常に高額な所得者、竹中大臣がおられたら是非ここでお聞きしたいと思ったのは、本当に我々はよく、竹中大臣なんかはいろんな経済の教科書の中で所得の高い方から要するに税で半分以上取っていくというのはこれはひどいじゃないかというようなことをよく指摘する。要するに所得再配分に対して随分と厳しい御指摘を受けているんですが、私は、どうもアメリカの経済の中で、つまり市場経済というものを、かなり自由に市場の働きを重視をしていこうという形で進められた社会の中で今一体何が起こっているのかと。  これちょっと古い数字なんですけれども、ビジネスウイークというところで、アメリカのCEO、すなわち最高経営者がどのぐらいの報酬をもらっているのかということを、これビジネスウイークという雑誌の中から調べると、九〇年、一九九〇年、今からもう十四年前ですが、平均労働者の報酬のCEOは八十五倍もらっていたそうです。これが十年後の二〇〇〇年の場合は平均労働者の報酬の何倍だと思いますか。五百三十一倍になっているんですよ。八十五倍から五百三十一倍へ。グリーンスパンFRBの議長は強欲の感染症だと、こういうふうにたしか国会で言ったはずなんです。  イギリスの場合はどうかということで調べたら、イギリスの企業のトップの報酬は、二〇〇一年、平均は八十八万二千ポンド、約一億六千万円。八年連続二けたアップということで、労働者の平均は二万三千百万ポンドの三十八倍と、こういうことなんです。  日本の場合はどうなんだろうねということで、これはちょっと古いんですけれども、フォーブスというアメリカの経済誌に載った日本で最高の収入があるという経営者は、ソニーの出井さんが二十七位だったそうです。ちなみに、出井さんの年収は約百八十万ドル、二億一千六百万と。  決して、高い人が、ねたみで言っているんじゃないんですね。私が言いたいのは、要するに、市場経済というものの競争というものがどんどん強まってくる、そうなると、報酬体系が、余りにもこれが高くなり過ぎるということになると、必ずそこに不正とかゆがみというものが出てくるんじゃないか。そこのところが実は、あれは何だったでしょうか、アメリカのエンロンだとかワールドコムだとか、要するにアメリカの市場経済の中でストックオプションや様々な手法を使いながら大変な格差が開いてきたわけですね。そのことが実は不正を非常にもたらすような要因になっているんじゃないだろうか。  ということは、ある意味では、いやいや、税は非常に軽くなって収入が多くなればなるほど、その企業は、その国は発展するんだと、経済成長がどんどん良くなるんだと、だから大いにそういうふうにして、フラット税制を含めて税を軽くした方がいいんじゃないかと、こういう実は議論がよく出てくるわけですけれども、今日は竹中大臣おられないので残念なんですけれども、財務大臣はこのようなアメリカのような流れに対してどのように思っていらっしゃるのかなということについてお聞きしたいと思うんですが。
  216. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私は、子供のころ、安定した社会で一番大事なのは中産階級であると、社会の中産階級が安定して、自信を持っている社会は健全であるというふうに学校の先生からも父親からも教わってきましたので、余り中産階級が解体していくようなことは望ましくない。  そういう意味で、その中産階級が大事だということと所得再分配が重要だということ、すぐ結び付くとは思いませんけれども、先ほど委員がお挙げになったそのCEOが五百三十一倍取っているというようなのは、私は日本社会の姿としてはやや行き過ぎた、日本社会がそれを範とするならば、やや行き過ぎた面があろうかと思います。  ただ、他方、何というんでしょうか、このごろは、失敗をしても再起した、再起できるようないろいろな社会の仕組みを作れと、チャレンジをした者が失敗をしても再起した姿を作れというような御議論も盛んでありますし、それも私は間違った議論ではないと思うんですが、それをできるためには、七転び八起きで、今まで六回、七回失敗して借金もこしらえたと、八回目に成功したときはある程度今までの失敗をぬぐえるような税制と所得体系というものもやっぱり一方チャレンジしていく人を出すためには必要ではないかと、こういう気もいたします。  ですが、五百三十一倍というのは日本社会の目指す姿ではないだろうと、こういうふうに思います。
  217. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこで、目指す姿じゃないんですが、今所得税の税率を調べてみると、僕はかつて日本は結構累進課税きついと思っていたんですけれども、今、累進課税の段階数からいってもアメリカの方がむしろ高いんじゃないでしょうかね、総合所得という建前も取っていますけれども。たしか一番高いのは国税で三九・六まで、今度ブッシュさんで少し減ったかもしれませんが、要するに、九〇年代に入って、ブッシュのお父さんからレーガンの税制を二段階からずんずん上げて、五段階まで上げて、最高税率三九・六まで上がっているわけです。上がったんです。今ちょっと別にして。  そうすると、日本の場合は、九〇年代から今の今日に至るまで税率は、最高税率が下がりましたね。住民税入れてもたしか五〇%まで下がっておりますけれども、さらに、配当課税の問題もそうですし、それから相続税もかなり下げているわけです。  そこで、ちょっとお聞きしたいんですが、我々国会議員仲間で私がつくづく思うのは、相続税を上げようといったら非常に評判良くないんです。だけれども、私は、よく機会の平等とか結果の平等とかおっしゃる方がいられるんですけれども、結果の平等ということでなくしても、自分はどういう親の下に生まれてきたかということが、我々、実は生まれてくる人間は選べないんですよね。選べないんです。選べない人間が、しかし生まれたときに銀のさじを、スプーンをくわえて生まれる人間とそうでない人間が生まれたら一体どんなことが起きるのか。  これ、二〇〇二年の十月に苅谷剛彦さんという東大の先生が、家庭環境による格差の是正をというインタビューを非常に印象深く読んだんです。何かというと、ゆとり教育、この間ちょっと予算委員会でもゆとり教育の問題、質問したんですが、その結果どういうことが起きているかというと、塾に行ける子はどんどん伸びているけれども、塾に行けない子は成績がどんどんこう、ゆとりで一〇〇%取ると言っているけれども、取れていない。  こういうふうに、苅谷さんたちが調査をした結果では、近年急増した高卒無業者は、いいですか、高卒無業者、言ってみればフリーター、この間もちょっと問題にしました。恐らく二十一世紀の僕は日本の大問題だと思っているんですが、この急増した高卒無業者は親の経済力が弱く、雇用も不安定な階層出身者が多いというデータが出ているわけです。自己責任を問うと、こういうふうによく言われるわけですよ。この社会は二言目には、もう最近は自己責任だということでよく問われるんですけれども、一体これは、そういうできの悪い子供というのは、実は自分で勝手に勉強しなくなったんじゃないかと思われているんだけれども、実際、子供はその家庭環境によって実はいわゆる自分の将来というものが決まってしまうような、そういう社会になっているんじゃないか。  そういう意味で、苅谷さんは、個人が選べない家庭的背景によって早い段階から学校での成績が左右され、さらには将来の所得や職業などの機会が影響を受ける、これが本当に自由な社会と言えるんだろうかねということをおっしゃっているわけです。  そういう意味で、これは、私は、所得税とかいろいろの、フローの問題もそうでありますが、ストックと言われているところで、これからは一男一女社会ですからますますこれが広がっていくわけですよね。そうすると、いわゆる相続税と言われているものは一体これから弱めていくべきなのか、それともこれはやや強化をしていくべきなのか、この点、どうお考えになっているか、お聞きをしてみたいと思うんですが。
  218. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、相続税というのは、今委員の御議論の中にもございましたけれども、要するに、親が死んで子供が親の遺産を引き継ぐという機会に資産の再配分を図ろうという、ほかの税目ではなかなかできないことを相続税は機能として持っているわけですけれども、最近の傾向は、確かに累次の減税とか各種特例の拡充によって相続税の負担を緩和してきたのが流れだろうと思います。  そして、それはまた同時に、今委員いろいろ、親の生まれで子供がもう決まっていくというような見解をされましたけれども、我が国の場合は、従来、さっきのジニ係数は、これはフローの問題だろうと思いますが、やはり諸外国に比べてそれほど格差がない体制で今まで来たんだろうと思います。  ただ、これから考えなきゃならないことは、委員のおっしゃったやっぱりストック経済といいますか、ストック化の進展、それから所得税や消費税といった他の税目とのバランス、こういうものを考えると、相続税の資産配分の機能というものをまたもう少し考えていかなきゃならない面があるのかなという気がいたします。  それから、社会保障給付がだんだん充実して、家族で老後扶養を行うという形から社会全体で老後扶養をしようということになってくると、家族で支えるということになると相続時に残された財産をどう使うかという問題が出てきますが、そういう面での配慮は比較的以前よりも薄くなってきているという面もあろうかなと思いますので、政府税調の中の議論でも、相続税については従来より広い範囲に適切な税負担を求めるねらいから課税ベースの拡大を検討したらどうだというような議論が出てきております。我々もいろいろ考えながら議論していきたいと思っております。
  219. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 相続税の前に遺産税というのがございましたですよね。ちょっとこれ質問しなかったので、場合によったらもう後ろの政府委員の方でもよろしいんですが、我が党の中で、遺産課税という形にして広げて、そして一定の社会保障財源に充てていくということはあり得ないかいと、こういう議論がちょっと沸き起こっているんですが、やや、私はかつて遺産税というのは一握りの人にかなり資産が集中してしまって非常にまずいんではないかという思いを持っていたんですけれども、その辺りは一体どんなふうに見ていったらいいんでしょうかね。大武さん、構いませんけれども、もしよければ。
  220. 大武健一郎

    政府参考人大武健一郎君) それでは、お答えさせていただきます。  相続税に関して日本の国は遺産取得課税という形を取っておりますが、例えばアメリカなどは遺産税という、死んだ人が掛かる税、死んだ人に残った財産に掛ける税という整理をしています。それに対して日本は、今先生がお話にあったように、残った財産をもらう側に掛ける税という遺産取得課税という形になっているわけであります。これは、やはり日本の場合には、御存じのとおり、民法の均分相続というような観念と一体となって相続税が作られてきたというようなことがあるんだと思いますが、政府税調の中でも両論あります。  ただ、ここの辺りは、やはり今、現状の民法なり、そういうものがある状態の中ですぐ相続税を遺産税にするかどうかというのについてはまだ政府税調の中では若干ネガティブな方向の方が強いのかなと。ただ、これ自体は検討課題の一つだという認識をしていられるかと思います。
  221. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いずれにしても、相続税、遺産税、いずれにしても大変資産税として重要なポイントではないかと思いますので、これからも是非検討していただきたいなというふうに思います。  そこで、余りもう時間もなくなってまいりましたが、今年度、高齢者から老年者控除を廃止し、公的年金控除を縮小されたわけでございますが、これはあれですか、いつ、この公的年金等控除とか、老年者控除は別にして、一九八六年にたしかこの公的年金等控除が入ったように思います。そのときに多分、一時所得だったですか、雑所得ですか、所得の性格も変えたんですが、そもそもこの公的年金等控除というのは、なぜ、どんな目的で入って、これはやがて、今老年者控除五十万廃止されて、そして最低が百四十から百二十まで下げていますけれども、これはやがて勤労者所得と同じ扱いにする予定なんでしょうか。そこら辺、どういうふうに理解したらいいんでしょうか。
  222. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この控除、入りましたのは昭和六十二年ですね。昭和六十二年の改正で、公的年金の受給者は経済的な稼得力が通常減退する局面にある高齢者であること等を考慮しと、こういう形で設けられた制度でございます。  それで、現在、高齢者の置かれている状況というものがやはり当時とは変化してきたのではないかということで、老年者も、基本的には現在、高齢者の稼得能力が落ちてくるというよりも、現役世代よりもむしろ貯蓄なんかを持っている方がいらっしゃるとか、必ずしも高齢者だから稼得能力が落ちてきたという状況ではないと。「高齢者は、全体としてみると健康で活動的であり、経済的にも豊かになっている。他方、高齢者の姿や状況は、性別、健康状態、経済力、家族構成、住居その他に応じて多様であり、ひとくくりに論ずることはできない。」と、これが平成十三年に閣議決定されました高齢社会対策大綱の認識でございます。  それで、こういう認識に立って、老年者控除は、やはり高齢であるからという理由で控除という制度が設けられているのは見直すべきではないかと。他方、標準的な年金以下の年金だけで暮らしておられる高齢者世帯に対しては十分な配慮を払う必要があるということで、五十万円、最低保障額に上積みをしているという形になっております。  それで、これはいつまでやるということ、いつまでこうだということは書いてございません。当面、差し当たってこれでどうなるかをやはり見極めたい、こういうふうに思っております。
  223. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 いずれにしても、高齢者の方々は大変不満に思っていらっしゃるわけです。何で不満に思っているのかなと思って、ある程度我々も、高齢者に対する入口の段階において、年金課税というのは非課税ですよ、運用時も非課税ですよ、出口ベースでもほとんど課税されないじゃないですかと、こういうことで説明したら、その点は分かったと。  しかし、一つは余りにも急激だという。五十万円の例えばこの老年者控除の問題、これもどんと来ている。そのことと、実はこれが、課税所得は上がっていくわけです。課税所得が上がると、実は国民年金の所得割が上がってくる。それから、介護保険の保険料もいわゆるワンランク上がってくる。そのことに伴って、単に所得税と住民税が課税になるだけではなくて、国民健康保険と介護保険のところまで上がって、トリプルパンチぐらいに実はなるんだということを指摘されているんです。  そういう点で、このいわゆる高齢者に対する控除というのは、今もうこれで終わりだというんじゃなくて、まだ引き続き様子を見てやりたいというんですが、八七年のときの、要するにお年寄り、年を取られた、加齢に伴って稼得能力がなくなりますねと。ここは、もう今の段階においても、まだ元気で働いている人は増えているかもしれませんけれども、それほど大きな違いはないわけですから、そこら辺は、やはりお年寄りといっても、我々からすれば非常に、まだまだ平均的に見ると高いような方も入ってくるかもしれないけれども、まだ相当やはり厳しい状態におられる方がおられるんですね。ここら辺は少し、ちょっと段階的な配慮というのが必要だったんじゃないかなというふうに思うんですが、大臣、そこら辺はどういうふうに考えていますか。
  224. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、昭和六十二年程度と高齢者の置かれている状況は、私はやはりかなり変わってきたのではないか、こう考えておりまして、そこは委員の御認識と若干違うわけでございます。ですから、しかしそこで激変緩和としてやっぱり五十万の上乗せ措置はなきゃいけないと。ただ、これも激変緩和だというけれども、すぐ撤廃してしまおうなんということを考えているわけではないということを申し上げたいと思います。  それからもう一つ、これは、結局、年金課税の問題だけにとどまらず、そのほかの国民健康保険料とか介護料金にも響いてくるのではないかという御指摘ですが、これはそういう問題も我々当然意識しておりまして、今後、国民健康保険料とか介護保険料についてどういうまた制度設計をしていくかという問題は残されていると思っております。
  225. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこのところは是非、厚生労働省と実は財務省総務省、この連携をよくやらないと、担当者に聞くと、えっ、そんなことになっていましたというふうに、実は分からなかったというような例がありまして、一体これは国として何を考えているんだといって高齢者からおしかりを受けたこともございますので、是非その点もしっかりやっておいていただきたいんですが。  時間も少なくなりました。ちょっと土地の問題に移らせて、地価の問題、地価が下落していることの評価を聞きたかったんですが、それは別にして、ちょっと固定資産税で、今年、総務省、改革しておりますね。改革というか、改悪なのか知りませんが、商業地で条例による一律減額ができる、こういうようなことが今年から入ったと聞いているんですが、これはどういう意図でこういうものを入れられたんでしょうか。
  226. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) もう先生御案内だと思いますが、十六年度税制改正におきましては経済界を中心に商業地等をもう少し下げられないかというふうな様々なお話がございました。片や、地方公共団体にとりまして、税収の厳しい中、正にもう基幹税だということで、それは困るというふうな様々な御意見がございました。  そういった様々な状況を考えまして、自己決定、自己責任という地方分権の観点も踏まえて、商業地等につきましては、各地域における税負担の実情を最もよく知り得る立場である市町村の判断で条例によって減額を行うことができるというふうな仕組みを創設をいたしたというふうなことでありまして、恐らくそれぞれ各市町村において実情を踏まえた対応がなされるんではないかと思っております。
  227. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 それだとまた元へ戻りませんか。地価税が入った以前に戻らないかということなんです。  要するに、ばらばらだったわけですよ。私がちょうど国会議員になったとき、九二年でしたけれども、その当時、地価税論議がちょうどもう真っ盛りでした。そのときに、銀座の一等地で、標準税率たしか一・四%ですね、地価税、いわゆる土地の価格に、例えば一・四の七掛けですから〇・九八と。ところが、その当時、銀座の一等地のいわゆる商業地の固定資産税、実効税率でいったら一%どころか〇・一%ぐらいだったですよ。だから、あの地価が上がったときに、もう地方自治体に任せておいたら、地価の上昇があって、当然それは固定資産税で跳ね返ってくるというふうに思っていたのが、どんどんどんどん下げていくものですから、これは言ってみれば標準税率一・四%で、掛ける公示地価の七割という基準が全然守られていない。だんだんまたこれ元へ戻っていっちゃうんじゃないかと。  そうしたら、今はたしか地価税はゼロ税率になっていますけれども、もう一回それは地価税入れないと、要するに地価が上がっていくということの一つ要因というのは、そこで経済活動をやりますけれども、当然社会的なインフラを整備したことに伴う地価の上昇というのは出てくるわけですよ。そうしたものは、それは大都市の皆さん方はどんどんこれ下げられるかもしらぬ。これは地方に行くと非常にそれがなかなか取れないんですよ。  そこで、私、提案があるんですよ。タックスエクスペンディチャーという言葉がありますね。租税支出というのがあるんです。アメリカなんかでよく租税支出ということで、この税で幾ら減免しているんだということを、国もそうなんですが、それぞれの都道府県、市町村で幾ら、現在、うちの予算組んだとき、例えば固定資産税なら固定資産税で、JRの例えば北海道、JRの九州、JRの四国は、これは固定資産税を減免している、減免額は幾らですと、これ全部予算書へ付けてもらいたいんですよ。市町村もそうですし、都道府県も付けてもらいたい。  それは固定資産税だけじゃありませんよね。国の財政でもそうですね。租税特別措置とか、様々な税がどのぐらい恩典として減収になっているのか。これを実は全部足してみると、租税収入四十一兆しかないかもしれないけれども、実は租税のタックスエクスペンディチャーでは何兆円かのお金はもう出ていますよと。これは租税特別措置ということになると租特に係るものだけだけれども、実際上はかなり、制度的に本来の税制はこうだけれども、今六分の一に減額していますとか三分の一にしていますとかという金額は相当程度はあるんじゃないかと思うんですよ。  ですから、国も地方自治体も、いわゆる表向きの税収が幾らで歳出が幾らですというその数字だけでなくて、税における支出はどのぐらい出していますかと。これも付けて、実はある意味では費用対効果を図っていかなきゃいけないし、これは決算のときに、実はいわゆる予算書に租税支出がこれだけ付いていたと、じゃ、それに合うだけの果たしてその効果が上がっているのかね、これが実は我々もその評価がしやすくなるわけですよ。  ですから、予算というところで表向きよく見える、補助金とか、そういうものはよく見えるけれども、租税支出というところで実は隠れた補助金になっているものがどのぐらいあるのかと。  これをやりますと、例えば農業なら農業を取りますと、農業の粗収入というのは約七兆か八兆ですよ。GDPの一・四%なんです。ところが、農業に掛かっているその財政支出、それから今言った租税支出、これを合わせたら、ひょっとしたら七兆円超すかもしれない。職員の人件費や農林水産省のいろんな費用、あるいは都道府県の農業費用、市町村の農業費用。そうしたら、農業で作ってもらうより農民の皆さんにそれぞれお金を渡した方が早くなりませんかというぐらい厳しく見る人がいるんです。  そういう形で、是非、大変今、費用対効果の問題、重要になってきているんですが、是非この租税支出というところを、財務大臣総務大臣、どうですか、そういうものをちゃんと付けて、是非、やがて決算のときにしっかり見ますから、それは。予算のときも見るけれども、そういうふうに予算書を作り替えていくというか、やっていくということをやっていただけないでしょうか。
  228. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員からこの御趣旨の御質問をいただくということで私も役所の中で少し議論してみたんですが、租税支出といいますか、タックスエクスペンディチャーとおっしゃいました。これも、なかなかその概念が、確かにそれは補助金みたいに出していることになるじゃないかということですけれども、なかなか概念が固まらなくて、どう実際やるとき取るのかというのはなかなか難しいという、私、まだそれがどこまでかはよく分かりませんが、そういう議論が我が役所の中でも随分ございまして。  そこで、国がやっていることで税制上の特例ということになりますと、租税特別措置による減収額というのがそれに対応するものではないかということで、これは毎年国会に参考資料としてお出しをさせていただいている。ただ、これ、相当いろんな計算が要りますので、出す時期が予算の時期に間に合わないじゃないかという御批判もあるようでございます。これは極力早く出させていただくようにいたしますが、現状では、それが一つそれに、委員の御提案に代わるものかなと、こう思っております。
  229. 山口俊一

    ○副大臣山口俊一君) 地方税の場合に関しましても、全国ベースでのデータにつきましては、改正増減収額とかあるいは非課税等特別措置による減収額試算、これは資料としてお出しをさせていただいておりますが、ただ、個々の地方議会に関して、これは具体的な影響額を出すということは、例えば法人税にしても、東京の方で、それで地方にこれだけこれだけと、こう詳細に試算をするのが大変困難なものもありますので、なかなか地方議会に関しては、個々に関しては対応にも限界があるのかなと思いますが、ただ、各地方団体におきまして、可能なものについては特例措置の適用関係を実は納税通知書等に記載をするなどして住民に広報に努めておるところもかなり出始めております。
  230. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 もう時間が来ているので最後にしますが、これはたしか諸外国でやっている、アメリカでたしかやっているというふうに私、聞いておりますので、特に国の場合はかなり規模がでかいですけれども、市町村の場合なんか、さっき言った固定資産税だとか、そういったところで減免措置を取っていますよね、いろいろ。  そういったところを住民の皆さんに、今、固定資産税これだけです、ただし、例えば住民の皆さんの固定資産税でいえば新築などで面積が狭いところは六分の一控除だとか、いろんな控除をしているわけですよ。そういったことを全部出して、実はこういうことで本来ならばこれだけの収入があるんだけれども、実は今これで減免をしていますというようなことを説明すると、ああ、そうなのかと、いや、それはそこまでする必要はないよとかというまた別の判断もわいてくるわけですよね。  ですから、是非そういった租税支出といったものを予算措置の中に組み込んでいくというようなことも是非考えていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。     ─────────────
  231. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、月原茂皓君が委員辞任され、その補欠として尾辻秀久君が選任されました。     ─────────────
  232. 平野達男

    平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。引き続き質問をさせていただきたいと思います。  今日はまず最初に為替介入の話からちょっと入らせていただきます。  先日、田村議員からゴルゴ13の話が出まして、あそこから介入の話で取り上げられているよという紹介かたがたお話がございました。そんなやり取りの中で、介入に対してこれからどういう姿勢で臨むんだという、たしかそういう問い掛けがありまして、それに対して財務大臣が、必要なときにはいつでも介入するんだというその趣旨の答弁があったと思います。これは、素直に読めば、いつでもこちらはフリーハンドあるんだから必要なときには、必要と判断すればこれは介入するよという答弁だと思うんですが、それはもう言葉どおり取ってよろしいんでしょうか。
  233. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員会で責任を持って発言したことでございますので、言葉どおりお取りいただいてよろしいんでございますが、いつも申し上げていることでございますけれども、やはり介入というのは、市場の思惑的なあるいは無秩序な動きがありますときに相場の行き過ぎを防いだりあるいは乱高下を防ぐという、我が国の介入はそういう目的で行っているわけでございます。  特に、私が財務大臣になりましたのは昨年の九月でございますが、昨年の後半からしばらくの間を考えますと、何というんでしょうか、イラク情勢とかあるいはテロ懸念といった地政学的リスクが、必要以上にという言葉を使っていいかどうか分かりませんが、為替のマーケットではややウエートを非常に置いた、何というんでしょうか、議論といいますか、扱いがなされて、米国経済はかなり強いと思うんですが、それにかかわらず一方的なドル売りが進んだというふうに思いますが、それは、そういう意味での思惑的なあるいは投機的な動きが強いという例に当たるんではないかと私どもは考えたわけでございます。  こういう考え方で、今後も必要なときには必要なことをさせていただくということでございます。
  234. 平野達男

    平野達男君 財務大臣のその反応を受けてかどうかは分かりませんが、最近の日経新聞の論調なんかを見ますと、今また円高が若干進みつつあるけれども、いずれ政府は介入するだろうということで、市場関係者はどちらかというとゆっくりした気持ちで見ているというような、そういった報道もあるようです。  しかし、実際には、以下、これから今回の為替介入に絡んでの何点かの私の疑問をちょっといろいろ聞いていきたいと思うんですけれども、一方のアメリカなんですが、いわゆる介入をすることによってドルを買って、そのドルをそのまま持っているわけにはいきませんから米国債をまた買うというようなことで今やっていますけれども、かつて日本の政治家で、日本はアメリカの国債たくさん持っているんだから何かあったら売りを、どんどんどんどん売り掛け浴びせればいいじゃないかと、要するにアメリカに対してですね。そういったことを言って、あれはひんしゅくを買ったんじゃないかと思うんですが、そういったことを言っておられた方もおられました。今はどこかの知事か何かやっておられるんじゃないかと思うんですが。  そうしますと、アメリカが、最近、新発の米国債の引受手が四四%が日本であるとか、そういった報道もなされていましたけれども、いわゆる経済、金融の安全保障上の問題で、こんなに国債を外国に、特に特定の国、今たしか日本と中国に集中していると思うんですが、集中させていいのかというような議論が出てくるのではないかと、現に私は出てきているんじゃないかと思います。  日本は、これはもう貿易収支は黒字でありますから、日本の国債というのはもう九十数%、もうほとんど国内でファイナンスしていますけれども、アメリカはもう全然違って、アメリカはもう、後でちょっとまた出ますけれども、貿易収支は赤字。お金がどんどんどんどん一方でアメリカに入ってくるということもありまして、国債が、どんどんどんどん国債の買手が海外に依存するという割合が増えていると思うんですね。  こういったことに対して、アメリカがどういう認識をされているかということについて財務大臣はどのように認識をされているかということをちょっとお尋ねしたいと思うんですが。
  235. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) アメリカの、アメリカがどう認識しているかという、アメリカが日本の為替介入をどう認識しているかというのは、ちょっとなかなか……
  236. 平野達男

    平野達男君 国債です。
  237. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ああ、日本が大量に国債を保有しているということですか。
  238. 平野達男

    平野達男君 国債を外国に。
  239. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これはアメリカ当局がどう認識しているかというのはなかなかお答えが私としてはしづらいことでございますけれども、米国の国債の発行残高というのは極めて巨額でございます。これは二〇〇四年の一月末現在ですが、約七兆ドルございます。それで、それに比しますと、我が国が持っている米国債、これは公的部門、民間部門合わせた国債保有額ですが、これは発行残高の約八%ということでございます。  それから、先ほど委員がおっしゃった四十何%とおっしゃいましたか、これは私の手元にある数字は、二〇〇三年中の米国国債純増額に対する我が国保有額の純増額の比率、これは約二八%でございますから、これは、これから見ますと、今委員がおっしゃるような懸念を直ちにアメリカが持つという状況ではないんだというふうに思います。  ただ、外為特会保有資産の運用に当たっては、これは各国の通貨当局や金融当局とも当然のことながら密接に連絡を取りながらやっておりますし、それからマーケットや、それからその運用先へ変な影響が起こらないように細心の注意を払ってやらなければならないことと思っております。
  240. 平野達男

    平野達男君 じゃ、目をちょっと今度は国内に転じますと、今外為特会の規模が約八十兆ぐらいということで、これはもう国家予算のほぼ規模に等しいわけですね。その中で、ドル、米国債あるいはドルの管理をやっているわけですけれども、これだけ、八十兆も抱えますと為替リスク、膨大なものになってくるなと。それから、あとアメリカの経済、今非常に強いということなんですけれども、仮に長期金利が上がれば、もう含み損を抱える額がもう半端じゃありませんなということなので、こういった管理というのはどうするんだといっても、もうどうしようもなくて、ただ持ち続けるしかないということなのかもしれませんが、これに対しては、財務大臣、どのような御所見を持っておられるでしょうか。
  241. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今後の為替相場であるとか、あるいはアメリカの金利水準がどうなるかというのは余り予断を持った議論をしてはいけないと思いますが、外為特会で持っている外貨準備は、その性質上、やはりいろんなときに売ったり買ったりするということを考えて持っているわけではありませんで、要するに準備として持っておるということにまず第一義的な目的があるわけですから、何というんでしょうか、差損みたいなものが現実化する局面というのはそう現実的なものでは私はないと思っております。  ただ、外為特会が保有している含み損というのは、平成十五年末で七兆七千九百二十八億円という計算になっているというのはこれは事実でございますけれども、他方、運用益というものがはるかにこれを上回ったものがございますので、現状では今委員がおっしゃったような心配を私はしているわけではございません。
  242. 平野達男

    平野達男君 現状においてはという話ですけれども、いずれこれはある程度の中期的な観点で考えなくちゃならないということだと思いますので、これは今のここ二、三年の状況、今の現状ということではなくて、視点をやっぱり十年、あるいはそれ以上の視点でやっぱり考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。  そこで、話をちょっとまたアメリカに戻しますけれども、アメリカは今双子の赤字を抱えているということで、財政赤字と経常収支の赤字を抱えています。先ほど、米国債の買手が八%ぐらいだから少ないんじゃないか、いいんじゃないかというお話もありましたけれども、やっぱりアメリカのいろんな国内では、これ以上資金の依存を、海外に依存度を高めるというのはこれはまずいんじゃないかという声がやっぱり上がってくるんじゃないかと思うんです。要するに一種の保守主義の方々の意見の台頭、こういったことが私はだんだん出てきているんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、財務大臣はどのように認識されておりますか。
  243. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、アメリカの中にもいろんなお考えは私はあるんだろうと思います。日本の中でもこれだけアメリカの外貨を持っているという、ドルを持っていることに対する御議論はいろいろあるわけでございますから、アメリカの方でもあるいはあるのかもしれません。  ただ、私どもの認識は、先ほど申し上げたように、そのことを、何というのでしょうか、極めて深刻なものとして考えなくてもよいのではないかという判断に立っております。
  244. 平野達男

    平野達男君 深刻なものとして考えてしまうとこれは大変なことになるから深刻なものとして考えないのか、本当に深刻なものとして考えなくてもいいのかというのがちょっと私はよく分からないんです。  ここにあるフォーリン・アフェアーズという最新号の雑誌がありまして、ここにバーグステンという方が非常に面白い論文書いています。趣旨はこういうことなんです。これ以上アメリカが外国に資金を、借金をするようなことはもうやめようじゃないかと。その借金を減らすためにどうするかといったら、今アメリカがもうファイナンス、例えば外国からの資金に依存していますので、それを依存して、それを回しながら今アメリカの経済を動かしていますね。その流れを遮断するためにはこれは貯蓄率を高めるしかないだろうというふうに言っているわけです。だけれども、貯蓄率高めるといったって、アメリカの要するに今までの生活行動が簡単に変わるわけじゃないから、これはなかなか難しい。  もう一つ考えられる手は、財政赤字を縮減しようじゃないかということですね。これは、だけれども、財政赤字を縮減するというのは、これはもう財務大臣が一番お分かりのとおり、日本だってなかなかこれ大変でして、これどうやって縮減していくかというのは、もう一年、二年の話じゃなくてロングタームで見なくちゃならない。  それからもう一つ、じゃ、最後は何を言うかといったら、もう円安方向しかないんじゃないかと言っているわけです、これは。ああ、失礼、円高方向です。間違えました。局長の方から御指摘いただきまして。ということを言っているわけです。  そういう意見が、これフォーリン・アフェアーズというのは決して、どういう雑誌かは分かりませんが、かなり著名人が書いて、かなり影響力のある雑誌で、例えばラムズフェルドが書いたり、パウエルさんが入れたり、いろんなことを書いている雑誌なんですけれども、結構これ後で書く、日本の記事が、マスコミが取り上げるんですよね。大体日本の経済新聞というのは、フォーリン・アフェアーズ、経済新聞とか外交新聞というのは、フォーリン・アフェアーズとかタイムとかああいうのに出ると、一週間か二週間後れで似たような記事書くのが大体普通なんですけれども、普通というか、よくあるんですが。いずれ、そういう意味では、アメリカの中でそういう意見が出てくるんじゃないかと。しかも、これは次の大統領選挙の争点というよりも、次の大統領の政権に、ネクストキャビネット、要するに次の政権の経済政策の根幹に据えるべきだと言っているわけです。  そういったものが、踏まえますと、これは決して、少なくとも、財務大臣が言われましたように、そんなに心配しなくてもいいんじゃないかというのとはちょっと違うんじゃないかという感じが非常にありまして、もう一回、そこのところの財務大臣の認識をちょっと。
  245. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) アメリカは巨大な力を持った国でございますから、アメリカの中でどういう議論が行われているかということは我々も十分注意をしなければならないということは、委員がおっしゃることに私はその意味では賛成でございます。  ただ、今おっしゃったバーグステンさんのフォーリン・アフェアーズの論文は、そういう双子の赤字を解消していくために要するに為替調整によらざるを得ぬと、こういう趣旨のようですけれども、これはこの間のG7でも言わば私は共通の認識になっていると思いますが、為替調整だけにそれを頼るというのはやはり正道ではないし、やはり貯蓄・投資バランスなどを、これは確かになかなかそう簡単な話ではないんですが、貯蓄・投資バランスなどを改善していくという地道な努力をしていただくというのが正道で、アメリカもそれは認識していることだろうと思っております。  もちろん、これはアメリカにそういう努力要請するだけではなくて、日本も同時に構造改革等の努力をする必要がございますし、ヨーロッパはヨーロッパで労働市場の硬直性とか、いろんな問題にやはり取り組んでいく必要があると思いますが、そういったのを抜きにして、短兵急に為替だけでというのは私は政策論としても正道ではないのではないかと、こう思います。
  246. 平野達男

    平野達男君 日本の正論がアメリカに通じるかどうかという問題もありまして、その辺の問題は慎重によく見ていく必要があるということだと思います。  かつて「マネー敗戦」という本がありましたけれども、あの再来にならないようにだけはよく注意しておかなくちゃならないんじゃないかなという気がしますし、じゃ、どうすればいいんだという案は私には到底ありませんが、この間のあの円介入の、いつでもということからちょっとスタートしまして、そういう状況ではちょっとないんじゃないかなということで、ちょっと今何点か質問させていただきました。  それから、ちょっとこれに関連しまして、よくマクロ経済収支で貿易収支が赤字であれば資本収支は黒字だよということが言われています。そうしないと収支バランス取れないわけですね。ところが、この間の日経新聞にも出ていますし、あと内閣府の、金融月報でもない、何か、とにかく資料に出ているんですが、どうも日本は貿易の黒字のみならず、資本収支も黒字になっているという、何かちょっとおかしな、私が単純に今まで理解してきた資本収支の赤字と貿易収支の黒字というのは、これはセットですよということがちょっと崩れていると思うんですが、これは、統括官、どのような状況なんでしょうか、これは。
  247. 谷内満

    政府参考人(谷内満君) お答えをさせていただきます。  まず、数字の確認でございますけれども、二〇〇三年の国際収支統計では、経常収支は約十六兆円の黒字、資本収支は約八兆円の黒字、これは先生が今御指摘になったとおりでございます。そして、外貨準備の増減ですが、外貨準備は約二十二兆円の増加となっています。ちなみに、外貨準備の増加は対外資産の取得になるために資本の流出ということになります。  国際収支は複式簿記の原則で作られておりますので、つまり一つの取引について貸方と借方に同額計上するという形で作成されますので、統計上の脱漏、誤差脱漏を捨象しますと、経常収支と資本収支と外貨準備の増減を合計した全体の収支はゼロになるということであります。  日本の場合には経常収支が黒字でございますから、残りの二つの収支、つまり資本収支と外貨準備増減を合わせた収支が赤字になると。それも経常収支の黒字と同額の赤字になるということです。実際上は誤差脱漏がありますので、完全な同額にはなりませんが。  したがって、二〇〇三年はどういうことになっていたかといいますと、外貨準備が二十二兆円と大幅に増加したために、資本収支はそれまでのような赤字ではなくて八兆円の黒字になった。したがって、資本収支と外貨準備増減を合計しますと十三兆円の赤字、これは資本収支の黒字十六兆とほぼ見合う流出になる。その差分は誤差脱漏ということであります。  以上でございます。
  248. 平野達男

    平野達男君 三兆円が誤差脱漏ということですね、そうしますとね。
  249. 谷内満

    政府参考人(谷内満君) 正確に言うと二・四兆円です。
  250. 平野達男

    平野達男君 二・四兆円ということですね。  そうすると、要するに数字上の考え方は分かりましたけれども、これはマクロ経済的にはどういうことになっているんでしょうか。例えば、先ほど言いましたように、貿易黒字で資本収支が赤字だということになれば、日本で稼いだお金がまたもう一回アメリカに戻って、それで、中で使われていますよということになるわけですが、資本収支まで黒字ということは、どうもそのお金、黒字になったお金というのはどこに行く形になるんでしょうか。そこをちょっと分かりやすく説明していただけませんか。
  251. 谷内満

    政府参考人(谷内満君) 今の日本で公表している国際収支統計では、資本収支というのは民間の取引でありまして、それと外貨準備の増減というのがあるわけです。しばしば学者の本だとかあるいは海外の言い方では、我々が今言っている資本収支と外貨準備の増減を合わせたものを資本収支と言う場合もございます。したがって、先生が最初に御質問があったように、経常収支が黒字であったら同額赤字になるはずじゃないかと、資本収支は。それは両方合わせたものを資本収支と呼ぶ場合にそういうことになるということであります。  したがって、今何が起こっているかといいますと、経常収支の黒字に見合って、広い意味での資本収支あるいは公表統計の言い方では資本収支と外貨準備を合わせたものが赤字になっているということ。  経済的にこれは何を意味するかということですが、基本的には経常収支の黒字分、これは海外で運用しているということが必ず起こるということでありまして、それが今は資本収支の部分では資本が純流入している。しかし、外貨準備という形での資産運用は大幅に資本流出。両方合わせると経常収支と同じぐらいの額が運用されているということで、これ資本収支自体が黒字になったのは経済的に何か大きなインパクトがあるとか、そういう認識ではございません。
  252. 平野達男

    平野達男君 委員会での質問をちょっとギブアップします。後でまたいろいろ、途中までは分かったんですが、どうも経済的にどういう意味があるかというのがちょっとまだぴんときていませんので、これはちょっとまた後でお願いいたします。  じゃ、特例公債発行法律でありますから、以下、ちょっと国債の管理の、国債政策ということについてちょっと以下何点か質問をさせていただきたいと思います。  今、景気が上向きになっているらしいということなんですが、これから、もちろんそれは景気良くなってもらわなくちゃならないわけであります。これはさきの予算委員会でも総括質疑で質問いたしましたけれども、景気が要するに上昇面にある、あるいは成長期待が出てきたというときの国債の管理の基本方針、基本的な考え方というのはどうあるべきか、まずこれを財務大臣にちょっとお聞きしたいと思います。
  253. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 国債市場がどうなっていくかというのは、需給関係だけではなくて、いろいろな財政政策や金融政策、いろんなもので要因があると思うんですが、今委員がおっしゃいましたように、景気が良くなってくる中で金利が少しずつ上がっていくということだったらいろんな対応のしようがあるんだろうと思いますが、他方、景気は良くならないのに金利だけ上がっていくというような状況になると極めて苦しくなると。まあ当たり前のことですが、やはりそれに対応するためにはどうしたらいいかということを考えますと、まず国債管理政策の大前提は、財政構造改革等をきちっとやって、国債に対する信認を揺るがさないようにするというのが私はイロハのイではないかなというふうに思います。  その上で、市場のニーズとか動向等を十分に踏まえて国債を発行する、買手に魅力のある商品を出すというようなことを通じて安定的に消化して、そしてまた商品の多様性等を通じて、保有者の、何というんでしょうか、多様化を図るといったような形で、発行、消化、流通、償還、こういうものをスムーズに行いながら、中長期的な資金調達コストを抑制していくということが一番基本的な考え方ではないかと思っております。
  254. 平野達男

    平野達男君 今の議論は全くそのとおりだと思うんですが、要するにそれは思ったとおりのシナリオで経済が回復した場合ということなんですね。つまり、急激な経済回復というよりは、ゆっくり回復して金利上昇もじわじわじわっと起こってくるという、そういう状態ですね。しかし、本当にそれがそういう状況になるんだろうかということだと思います。以下は、だから危機管理の話なんですね。財務大臣の言われているのはこうあってほしい、これがベストだというお話をされているわけで、これからの日本の経済を考えるときには危機管理という視点からやっぱり考えなくちゃならないだろうというふうに思うわけです。  今、国債の保有状況なんですけれども、日本の国債というのは圧倒的に政府関係機関、圧倒的というか、かなり大きいんですね。政府等が大体、私がいただいているデータによりますと四一%、そのうち郵貯、簡保が二〇%、それから資金運用部が一五%、それから日銀が最近これはどんどん増えていまして、一五%保有しています。ちなみに、市中金融機関が三二%で、これ合わせて約九割ということなんですが、いずれにせよ政府、日銀を合わせますと五六%という、公的機関が圧倒的な、過半数の割合を占めているということです。  そこで、まず総務省にお伺いしますけれども、今郵便、郵貯改革、郵政の民営化に伴っていろんな議論が進んでいまして、その中で郵貯、簡保をどうするかということが今議論になっています。今、先ほど言いましたように、国債の保有状況で郵貯、簡保が全体で二〇%を占めているというお話なんですが、これは別なデータで見ますと、総資産に、いわゆる郵貯、簡保それぞれ資産に占める国債の割合がどうかということで見ますと、郵貯は大体資産に対する割合が二五%、総資産に対する割合が二五%という、これは平成十五年四月一日の数字です。それから、簡保は総資産に対して約三九%国債を持っていると、こういうことです。それに対して市中銀行は、私がいただいた資料だと、市中銀行も国債の保有の割合を高めていますけれども、大体一割なんですね、国債の保有割合が。有償率もだんだん高まっているんですが、まだ国債ベースで見ますと一割だと。  そうすると、これから郵政の民営化に伴っていろんな改革を進めるわけですけれども、この郵便貯金、簡保の運用が、民営化でありますと、当然のことながら利益拡大の方向でやっぱり動くというふうに考えますと、この国債、総資産に占める割合というのは市中銀行よりかなり高いんで、これはやっぱり下げる方向で動くんじゃないかなというふうに思うんですが、下がる方向に動くんじゃないかというふうに思うんですが、この辺の議論は今どのようになっているでしょうか。
  255. 高橋亨

    政府参考人(高橋亨君) お答え申し上げます。  初めに足下の動きで申し上げますと、郵便貯金、簡易保険がそれぞれ保有する国債というのは増える傾向にございます。先ほど先生おっしゃった二〇%という国債の保有者別に見た割合でございますけれども、二〇%、十三年度末のところで既に二〇%ございまして、昨年の九月末のところでは二五%のところまで参っていると承知いたしております。  お尋ねの日本郵政公社が民営化された場合どうなるんだと、国債の保有比率というのは低下するんじゃないかというお尋ねでございますが、確かに、日本郵政公社が民営化されまして、運用規制というものが廃止されることになりますれば、どういう資産に、いつ、どれだけ運用するかという運用方法とか運用額といったものは基本的には民営化された会社の経営者が経営判断をするということが基本だろうと思います。  ただ、一般論として申し上げれば、郵便貯金というのがどういう性格の資金か、性質の資金かということを考えますと、全国津々浦々に設けられた郵便局で、生活に密着した資金、小口の個人貯蓄を預けられたそういったものの集積であるということを考慮しますと、その運用に当たりましては、仮に民営化されたとしましても、国債等の安全資産への運用が中心となるのではないかというふうに存じております。
  256. 平野達男

    平野達男君 今の答弁の中で国債の保有の割合が高まっているということなんですが、これは私流に解釈すれば、要は民間の資金需要は弱って、もう随分低くなっていますから、お金が一挙に国債に流れているということだろうと思います。  あと今私が言いたかったのは、前段に言いましたように、景気が上昇局面にあると、向かったときという前提で話しているつもりでありまして、今の答弁でいいとは思うんですが、基本的にはやっぱり民営化という観点からすれば、利益最大化ということで動けば、基本ポートフォリオという観点からいけば、国債の保有というのは今の割合よりやっぱり下がっていくだろうと。当然、社債でありますとか利回りのいいところにお金が向くという傾向が出てくるだろうということは、そのとおりだろうと思います。ということになるんだろうと思うんです。まず、ということで郵便貯金の話はここでいったんコンマを打っておきますが。  あとは年金なんですけれども、年金も今一部財政投融資資金なんかで運用されていまして、これが今返ってきて、これから自主運用に今変わってきています。これもやはりちょっと今、今日細かい数字持ってこなかったんですが、もう基本ポートフォリオというのを決めていますから、大体債券でどれだけ運用するかというのはシーリングはもうできている、こういう状況ですね。  それで、あともう一つは、もう一つの大口の日銀であります。日銀は、これはこの間の新聞の中で、国債の所有がもう百兆円になったと、百兆円だと、間もなく百兆円だということがあって、今毎月長期国債を一・二兆円買って、上限が多分十四・四兆円ということになると思うんですが、それで買い続けると、間もなく百兆円を超えて、買い増しの枠組みを、シーリングを取っ払ってもっと上げなくちゃならないんではないかというようなことが日経に出ておりまして、昨日は財政金融委員会で日銀総裁はそんなことはありませんという答弁ではありましたが、今この日銀の国債の買入れについての方針変更というのはないというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  257. 白川方明

    参考人(白川方明君) お答えいたします。  日本銀行は、現在、円滑な資金供給のために必要と判断される場合に、議員御指摘のとおり、銀行券の発行残高を上限といたしまして長期国債の買入れを現在実施しております。  お尋ねの点でございますけれども、これは今後銀行券がどういう伸びで増えていくかということによっても異なってまいりますけれども、足下の銀行券の伸びは前年対比で二から三%の伸びで今推移しております。したがって、今後もこの程度の伸びを維持するのであれば、当面日本銀行の長期国債保有額が銀行券の発行残高を上回ることは、その可能性は小さいのかなというふうに認識しております。  それから、この方針をどういうふうに今後考えていくのかということでございます。元々この銀行券の範囲内に収めるという考え方は、これは円滑な資金供給のために必要と判断される場合に日本銀行の保有額が銀行券の上限、残高を超えないということが、これがその歯止めとして機能するというふうに考えております。  こうした歯止めは、中央銀行として先行き十分な金融政策上の対応能力を確保しまして、経済の健全な発展への貢献を果たす上で重要であるというふうに認識しておりまして、したがってこれを安易に変えるということは適当でないというふうに考えております。
  258. 平野達男

    平野達男君 これちょっと通告していませんけれども、長期国債の、今、日銀が買っている長期国債の平均残存年数というのは大体五年ぐらいですか。
  259. 白川方明

    参考人(白川方明君) お答えいたします。そのとおりでございます。
  260. 平野達男

    平野達男君 としますと、今、日銀の銀行券は、さっき二、三%で増えているという話ですけれども、発行残高というのは大体七十兆前後なんですね。残存年数が五年としますと、それを順繰り順繰り順繰り償却しますと、十四兆円しか国債買えないんですよ。どこかの状況になりますと平衡状態が来ますから、この銀行券の発行がぐっと増えれば別ですけれども、日銀の今、いずれにせよ毎月一・二兆円買うということについては、そのシーリングを変えない限りにおいては毎月一・二兆円というのは、これはもう動かせませんね。もしこれを動かすためには、国債の残存年数が物すごい短いもの、三年とか二年とか、そういったものを買わざるを得ないんですが、そういう操作もなかなかできないでしょうから、恐らく今の、どういう形で国債を買うときに選んでいるか分かりませんが、残存年数が五年ということでやれば、かつ銀行の発行残高が七十兆ということで変わらなければ、その意味からもう日銀の買い増しというのはできないということになるわけですが、そういう理解でよろしいですね。
  261. 白川方明

    参考人(白川方明君) お答えいたします。  現在、日本銀行は長期国債をこの二月末で全部で六十六・六兆円持っております。この国債は日本銀行がかつて買い入れた国債が残高として残っておるわけでございますけれども、この償還期限というのは必ずしも実は均一にあるわけではございません。ある年は償還金額が大きく、ある年は少なくということでございます。先ほど議員から御質問のございましたとおり、今ストックベース、残高ベースで見ますと平均期間というのは五年というぐらいになりますけれども、毎年毎年買っています国債につきまして、これはどちらかといえば、最近は短い国債が、相対的には短い国債が入ってきております。  したがいまして、向こう数年間の長期国債の償還の金額というものと、それから銀行券の伸びというものを比較した場合に、これはもちろん銀行券の伸びいかんではございますけれども、今程度の銀行券の伸びであれば上限に到達することはないだろうという趣旨でございます。
  262. 平野達男

    平野達男君 分かりました。  ただ、今の問題の中で、短期国債でありますと、シーリングというか、その上限に引っ掛からない、外だという話がありまして、これは本当にそれでいいのかなという感じがするんですが、これはまだちょっと今日の議論にはしませんで、また別の機会にちょっと聞きたいと思います。  要は、財務大臣、戻りますけれども、今政府系、それから日銀の国債の保有の割合が結構高いですよと。その中で、景気上昇局面にありますと、郵貯がそれは、郵政が民営化になってくるとやっぱり利益を求めて資産運用するだろうと。そうすると、国債の保有の割合が下がる可能性がある。それから、年金につきましても、先ほど言いましたように、基本ポートフォリオ等も決めますから、これについてももう受け入れる額がシーリングが掛かっちゃうんですね。  それから、日銀につきましても、先ほど言いましたように、銀行券の発行残高見合いで買いますよということなんですが、ということでシーリングを設定してこれは買えないと言っている。それから、あと、毎月の、先ほど言いましたように、今一・二兆円という枠を設定していますけれども、残存年数、大体平均五年で、これ短くする操作はできるかもしれませんが、五年ということになるとこれも動かせない。そういう中で、国債の今度管理をどうするかというときに、景気上昇局面になったときに、政府全体のパイそのものはどうも小さくなるんじゃないかという感じがするんです。  そうしますと、景気上昇といって、民間銀行は当然のことながら、今の国債の割合が一割ですから、景気が良くなったときに国債放して、とにかく社債やりましょう、株買いましょうという動機が当然出てくる。残って出された国債はどこへ行くんだろうかという単純な疑問が出てくるんですね。それに対して、財務大臣は、先ほどの答弁聞いていますと、ゆっくり利率が上がっていけばいいですと、上がるようにすればいいなということで答えていますけれども、これじゃもう危機管理の答えにならないと思うんですよ。  それで、市場性に任せるというのは、市場が要するにこれからゆっくりとした形で、市場性に任せる、つまり国債の引受手を市場に任せてそれで引き受けるということは、これは理想だし、あるべき姿としてはそのとおりだろうと思います。だけれども、その一方で、繰り返しますけれども、景気上昇局面、期待成長率が出てきたときに国債を放そうとする動機が、民間のみならず、場合によっては政府関係のあれにも働いてくる。受皿がないんじゃないかと思うんですね。  そういった意味で、本当に市場だけに国債を任せていいのかどうかというその危機管理の問題としてこれは議論していく必要があるんじゃないかと思うんですが、財務大臣、どのように思われますか、これは。
  263. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 日銀の場合は、独立性の中で金融政策としての日銀としての御判断というものがまずありますね。それから、郵貯、簡保あるいは公的年金、これもかつては全部財投に入れてというような仕組みになっておりましたけれども、今、資金運用はいずれも原則として自主運用という姿で、それぞれの主体の判断でなさるということになっております。しかし、現実には、先ほど委員がおっしゃいましたように、大きな部分を引き受けていただいているという姿であるわけですね。  そこで、通常の姿ならいいけれども、どうするんだということになるわけですが、私としてはそこまでまず御議論いただく前に関心がございますのは、郵政事業の民営化の議論の中でまだどういう姿が出てくるかははっきりしておりませんので具体的なことはなかなかこれは議論ができませんし、その民営化の姿に合わせて私たちも国債管理のあるべき姿を更に考えていかなきゃならないだろうと思っておりますが、いずれにせよ、委員がおっしゃるように、だんだんだんだん可能性としてはポートフォリオの中で国債の占める割合というのは低くなってくるということを想定しておかなければならないのかなとも思うわけでございます。  そのときどうするかということになりますと、これは、危機管理ということになりますと制度の立て方ということもあるわけですが、公債の管理政策、公的債務管理政策に関する研究会というのをやっていただきまして、その中で、公的年金等の積立金については、その運用姿勢が金融資本市場に大きな影響を及ぼさないように非市場性国債というようなものも考えろということを提言していただいておりまして、そういうものも考え、視野に入れなければならないなと、このように思っておりますが、いずれにせよ、今後の制度の立て方等を視野に置きながら、我々としてもよく議論をしていきたいと思っております。
  264. 平野達男

    平野達男君 ですから、私は、郵政の民営化あるいは年金の運用の問題、それはそれぞれで議論するというのはそのとおりだと思います。しかし、そういう議論をばらばらで個々にやって、その議論を待つということもそれはアプローチとしてあるかもしれませんけれども、実は国債管理という大きな視点から、国債の受け手を安定的に確保するためにはどうするんだということの観点からの議論がもう一方であってしかるべきだと思うんです。  いずれにせよ、国債が引受手がなくなるというのはこれは絶対あってはならない話でありまして、先ほどありましたように、市場性にだけ任せるということはなかなか難しくて、これはやっぱり国としてこういう、ここの機関は国債を満期保有という目的で取得してもらいますよというようなマクロの計画というものをそろそろ描いておいて、それを踏まえた上で郵貯の改革をどうするか、年金の運用をどうするかという、こういう議論がやっぱりあってもしかるべきじゃないかと思います。これは意見として言っておきたいと思います。言っておきたいと思いますが、もう一度、財務大臣、今のやつでコメント求めてよろしいでしょうか。
  265. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かに郵政事業の民営化等は我々も関心を持っておりますけれども、それぞれ議論なさるべき主体というのはありますが、国債管理ということになりますと、その議論すべき主体は私どもでございますから、いろんなことを視野に入れながらしっかり議論していきたいと思っております。
  266. 平野達男

    平野達男君 またこの国債の問題については、またいろんな、いろんなというか、機会を改めて、またちょっと別に聞きたいこともありますので、いろいろ議論をさせていただきたいと思います。  そこで、税制改正の話に移らせていただきます。  税制改正も毎年毎年本当にたくさんの税制改正が出てきて、とても中身を理解するまでには至らないんですが、今日は特に一点に絞ってちょっといろいろ聞いてみたいと思います。  住宅・土地税制の問題であります。資産デフレについては地価の下落ということで、資産デフレについて都心ではある程度歯止めが掛かりつつあると、しかし地方は下げ幅がまだ拡大しているというような報道がございました。  ちょっと済みません。今日、日銀の白川理事、ちょっと忙しいところ来ていただきましたので、委員長、よければもう退席して、私の方、退席いただいて結構でございます。
  267. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) はい、どうも御苦労さまでした。
  268. 平野達男

    平野達男君 失礼いたしました。どこまでしゃべりましたっけ。  そういうことで、資産デフレの報道がなされておりました。特に地方はまだまだ地価の下落に歯止めが掛かってないということなんですが、今回、土地、建物等の長期、短期の譲渡所得の計算上生じた損失の金額については通算及び繰越しを認めないということで、これは個人所得に限定してということなんでありますが、こういう措置が取られております。  片っ方で、特に地方を中心として、土地、いわゆる資産デフレにまだ歯止めが掛かっていないという状況の中で、この通算及び繰越しを認めないという措置はちょっと平仄が取れないんじゃないかという感じがするんですが、この理由をちょっと、これを、こういう税制改正をする理由をちょっとお聞かせ願えるでしょうか。
  269. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、資産デフレの中で、今度の税制改正の方向は違っているんではないかという御指摘だったと思いますが、私どもとしては、むしろ資産デフレも視野に入れながら、適正な価格での土地の流動化を促す、そういう観点で今度の税制を作ったつもりでございます。土地市場の活性化、そういうまず基本的な視点を置きまして、それから株式に対する課税とのバランスも考えようということで、土地、建物等の長期譲渡所得の税率を、今まで二六%でありましたのを、一つは二〇%に引き下げるということとパッケージで百万円特別控除、それから今のおっしゃった損益通算の廃止等を一つのパッケージとして措置をしたものでございます。  そこで、損益通算の廃止はなぜやったかということですけれども、これも随分いろいろ委員会で御議論をいただいたことでありますが、土地、建物の譲渡損益というのは土地、建物を得たときから長い時間を掛けて実現してくるわけですが、その実現する時間というのは当事者が自由に選ぶことができると。ところが、そのほかの、例えば勤労所得とか事業所得とかいうような一年間の勤労の結果というものは一年間たって出てくるという、そういう性格の違いというものが、私は不動産の譲渡損益と違う、勤労の成果であるものとは性格が違うんではないかと。ですから、これらの課税は分離して行うことが適当ではないかという考え方が背後にございます。  それで、現在、今までの日本の税制は、土地、建物の譲渡益は二六%、先ほど申しましたように比例税率でございますけれども、分離課税でやると。ところが、譲渡損失は最高税率五〇%で、総合課税されるほかの譲渡から差し引くことができると。ややアンバランスな制度になってきているというふうに思います。  それで、今回の損益通算の廃止は、節税目的等で土地を投売りするというようなことをむしろ防止して、使用収益に応じた土地市場の価格形成を図ると。そういう形で税率も下げて、むしろ土地取引の全体の健全化、活性化につながるのではないかと、こういう考え方でございます。
  270. 平野達男

    平野達男君 要するに、通算及び繰越しを認めることで節税対策に使われてきたという弊害があるということなんですか。それを除去するということですか。
  271. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) そういう弊害もございますが、つまりそのために、何というんでしょうか、税対策のための言わば投売りというような形で合理的な価格の形成というものも阻害していた面があるのではないかということでございます。それに加えて、それぞれの、通算するというけれども、通算するものの性格が違うんではないかということでございます。
  272. 平野達男

    平野達男君 だけれども、法人につきましては引き続きこれは通算及び繰越しは認めますよね。これは、法人はこれは大丈夫で、個人はこれは駄目だということになっているんですが、この差はどこから出てくるんでしょうか。
  273. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 法人の場合には、御指摘のように、すべての収益から費用、損失というものを控除することが認められているわけでありますけれども、これは、法人の所得に対する税率は、国税、地方税合計で約四〇%でございまして、個人の土地、建物の長期譲渡所得、今度は改正後二〇%になるわけですが、その約二倍となっているということでございまして、要するに個人と法人、税制全体が異なって、損益通算だけを取って比較するのは妥当ではないというふうに考えております。
  274. 平野達男

    平野達男君 いや、今の御説明の中で個人と法人の違いというのはどういうふうな説明になるんでしょうか。ちょっと今そこのところを聞き漏らしたかもしれませんが。  要するに、私の質問は、個人では今まで通算及び繰越しをずっと認めてきたんだけれども、今回やめましたと。法人はそのままずっと認めますよと。その差はどこから出てくるかという質問だったんですが。
  275. 大武健一郎

    政府参考人大武健一郎君) それではお答えさせていただきます。  大臣が言われたことでございますが、法人は、やはりすべての収益から費用、損失を控除した所得に対して、もうかったときも総合課税でございますし、損したときも総合課税という形になっています。それに対して個人の場合は、もうかったときは分離課税で、損したときだけ例えば最高税率でいうと五〇%というところで総合課税がされるという意味で、実はバランスが所得税の場合取れていない。そういう意味では主要な諸外国でも例のない不均衡な制度になっている。それを一応直させていただくという整理が一つあったと思います。  それから、今先生の御質問のあった法人所得に関しても、政府税調の中ではやはり、最初に大臣が御答弁なられたとおり、やはりそういう勤労性の所得あるいは事業所得のように利益を出したりするのを調整できないものと、ある意味では長年掛かって集積された利益の配分を時点を調整できるものと総合合算するのがいいんだろうかという御議論もあって、実は法人についてすらそこは議論した方がいいという御議論さえあるんではないかと思っています。
  276. 平野達男

    平野達男君 それじゃ、質問をちょっと変えますけれども、この間、説明の中で、私の部屋の中での説明の中で、株式とのバランスを考慮して損益通算及び純損失の繰越しを認めないことにしたということなんですが、この株式とのバランスというのがまた一つよく分からないんですね。  株式は、要するにもう景気の状況によってかなり株価が変動するということなんですが、片っ方の地価につきましてはもう長期的にずっと低落傾向にあるわけですね。明らかにそういう違いがあるにもかかわらず、株式とのバランスに配慮、考慮してというのは、これはどういうことなんでしょうか。これは局長答弁で結構です。
  277. 大武健一郎

    政府参考人大武健一郎君) 株式とのバランスと言ったのには二つ多分言った意味があると思います。  それは、先ほど来大臣お話しになっているように、継続的に発生する勤労所得とか事業所得と、こういう株式の譲渡あるいは土地の譲渡というようなものとは性格が異にするものですから、そういう資産性所得とそれ以外の事業や勤労所得との言わば違いを踏まえて、同じ資産性所得としての株式とのバランスという意味、そして同時に、株式の方は税率が今二割になっているものですから、そういう意味では、その二割にそろえるという意味ではこれは二つ目のバランスということだと思います。  ただ、今先生から御質問がいただいたように、土地と株は我々も違うと認識しています。やはり土地というものには、御存じのとおり、土地基本法もあるような公共性のある資産でありまして、既にそれを配慮して例えばいろんな特例措置も土地にはあるわけでして、全部が同じというふうに認識しているつもりはございません。
  278. 平野達男

    平野達男君 いずれ通算及び繰越しというのは、資産価格そのものがやっぱり下がっているという中で、資産の流動性を促進するという目的がやっぱりあるんだろうと、あったんだろうと思います。  今のお話の中では、この措置を認めたことによってマイナス面があるんだというふうなこともありましたけれども、一方でやっぱり資産デフレは全然歯止めが掛かっていませんから、そういった意味で、これを、こういった税制改正をするというのはちょっと筋が通らないんじゃないかということを申し上げまして、私の持ち時間あと一時間まだありますので、大塚議員にちょっと譲りたいと思います。終わります。
  279. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  谷垣大臣におかれてはもう朝からずっとお疲れでございますが、もう一時間お付き合いいただきたいと思います。  今日ずっと各委員の皆様方の審議を拝聴していますと、自分なりにも改めて頭の整理がまたできてきているんですけれども、これは私の勝手な頭の整理でございますが、例えば入澤先生や続先生や、あるいは私が社保庁の関係で申し上げたことは、予算をミクロの世界から、いかに無駄なく、しかも事後チェックもして適正な中身にしていくかと、こういう議論だったわけであります。  一方、峰崎先生が言っておられた地方債の問題は、この間私も少し申し上げましたし、今日またこの後少し聞かせていただきますが、三位一体改革はいいけれども、もう一つ地方債の問題があるという、その制度、財政の制度の話でございます。  今日は、制度の話をもうちょっとさせていただいた後に、もう一つ財政運営の前提になっているマクロの見通しなりマクロの政策はどうなのか。ここは、政策面では平野先生がやってくださいましたが、今日は後で竹中大臣とその見通しについての話をさせていただきますが、ミクロの予算の編成と執行があって、その編成をする大前提としてマクロの見通しなりマクロ経済政策があって、その間をつなぐものが財政制度であったり様々な財政調整制度であるわけなんだなと改めて自分でそういう頭の整理をしながら拝聴していたわけであります。  そこで、午前中の続きで、総務省に改めてもう一度お伺いをしたいんですが、地方自治体傘下の公益法人や関係機関、第三セクターなどの取りあえず数だけ御回答ください。
  280. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 地方公共団体が出資あるいは出捐しております商法法人、民法法人、それからいわゆる地方三公社の平成十五年度末の数でございますが、商法法人で三千八百二十一、民法法人で四千六百三十六、三公社で千六百五十四、合わせて一万百十一法人となっております。
  281. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 その一万百十一法人が持っている、保有している地方債あるいは国債、政府保証債などの残高は総務省は把握しておられますでしょうか。
  282. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) そのような数字は把握いたしておりません。
  283. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 一方、財務省に、分かればで結構でございますが、地方公共団体が管理している、今総務省がお答えになったもの以外の、公益法人であるとか政府関係機関、第三セクターなどの数とか、あるいはそれらの機関が持っている国債、地方債の残高は、何がしか、今ここに情報がなくても本省に帰ればそういう情報があるとか、ちょっとこれは通告していないので恐縮ですが、どなたかお答えいただければお答えいただきたいんですが。
  284. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 公益法人、それから財団法人、社団法人等の数でございますが、ちょっと私どもでは分かりませんで、内閣全体で分かるかどうかだという話だと思っておりますし、おっしゃるような国債調査数字は持っておらないと思います。
  285. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そこで、改めてまた総務省にお伺いしますが、午前中と同じ質問になるかもしれませんが、地方自治体が、地方公共団体が持っている地方債の残高は把握しておられるわけですね。数字が分かれば教えてください。
  286. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 地方自治体は、例えば財源調整の年度間調整のための財政調整基金でございますとか、あるいは特定の施策目的の基金というものを持っておりますが、その基金の運用としていろんな地方債を持っているということはございますが、地方自治体が平成十四年度末で有しております地方債、基金として持っている地方債の保有額は四千六百七十億円でございます。
  287. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 この四千六百七十億というのは、昨年、一昨年の審議等でお伺いしたとき、その一年前、平成十三年度末は三千四百二十九億だったわけです。これが一年間で四千六百七十億に増えたということであります。  それで、今参考人の御回答は、その基金の運用とか、そういうことで一時的に持っているものがあるという、こういう御説明だったんですが、確かに形式的にその御回答をお伺いすれば、それはそうだなと思いますが、地方公共団体あるいはパブリックセクターというものを丸めて見ますと、言ってみれば自分たちで発行した債券を自分たちで持っている、あるいは自治体が違えば、京都市が発行した地債を神戸市が持っている、神戸市が発行した地債を京都市が持っている、これは、民間企業でいえば、関連あるA社とB社がお互いに手形を切り合って持っているのと構造的には変わらないと。このことを一昨年来私は問題にしているわけで、そういうことは把握した方がいいですよということをお願いをしたわけであります。  同様のことは、先ほど杉本次長にお答えいただいた国ベースでも同じことが言えまして、平野先生が郵貯やそういった話を聞いてくださいましたが、政府関係機関が持っている国債というのは、非常に遠目で見ると、それはもう資産、負債を相殺してしまったらどうだというような議論も成り立つ、そういう保有構造なわけであります。  午前中、最後に申し上げたことをもう一度谷垣大臣に私の意見として申し上げますと、本当にこれから何百兆という公債あるいは公的債務の管理をきちっとやっていかれようとするのであるならば、なるべく公的債務をグロスで減らす方向に持っていかないと、これはいずれ国債に影響が出てきます。  というのは、そこで地方債の話になってくるんですが、例えばこれ、大臣御存じなければ御存じないで結構なんですが、地方債の二〇〇六年問題というのを聞かれたことありますか。
  288. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 二〇〇六年問題というのは聞いたことはございません。
  289. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは、BIS規制の新ルールが二〇〇六年から始まるということで、地方債にもリスクウエートが掛かるということで、ところが、今や日銀の副総裁になられた武藤さんがまだ財務省におられたころに、地方債というのは原則はリスクウエートが掛かるんだけれども、各国の政府がリスクウエートをある意味で裁量的に決めていいということを受けて、武藤さんが記者会見かどこかの場で、これは高木長官も発言しておられたような気がしますが、それは金融機関サイドから、保有者サイドからゼロ%だと。日本の地方債はゼロ%だというふうに発言しておられたんですが、これは国としてそういうふうに決めても、何度もこの場では申し上げているんですけれども、マーケット参加者というのは勝手に計算しますから、例えば破綻だ破綻だと懸念されている地方自治体の発行した地方債を持っている金融機関のバランスシートを見るときに、いや、それは政府がゼロ%でいいと言っているからゼロだというふうにはマーケットの人たちは見ないんですよ。これはその地方債が何らかの形で少し債権放棄をさせられる可能性があるなというふうに考えれば、当然アナリストはその地方債を持っている金融機関に対して何がしかのリスクを掛けて見るわけですね。  そこで、実は前回の質問にもなったわけですが、改めてお伺いしますけれども、地方債は、今後償還が厳しいような事態を迎えた場合に、ある銘柄がですね、それは財務省は償還を保証するんですか。
  290. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは前回も申し上げたことでありますけれども、法律的な意味で保証をしているということはありませんし、まず第一に、地方がそのまず返済の責めに任じていただくということでありますけれども、この前申し上げたことは、要するに地方財政計画の中で裏打ちをしている姿があるわけでございますから、それは、この前は国が背後におるというような表現で申し上げたわけですけれども、そういう形で裏打ちをした、実態はそういう姿になっているということだろうと思います。
  291. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 そこで、四位一体改革ということで、今日は峰崎議員もそういう言葉を使ってくださいましたけれども、地方自治体の財政規律を高めることが、もちろん国もですけれども、更に一歩進んで地方自治体の財政規律を高めることが今大きなこれからの課題になっているわけで、それを、例えば平野先生が予算委員会で怒っておられたのは、地方自治体の財政規律を高めること自体はいいんだけれども、何か三位一体改革をやるときにデフォルメしたグラフの絵をミスリードするような形で、そういうだまし討ちみたいなことはやるなということを言っておられたわけで、そこは私も全く同感なんです。  同様に、三位一体改革はいいですけれども、地方債は、地方財政計画が国ベースで総務省が決めた段階で、だれが買ってくれるか考えなくても、自分でセールスに行かなくても買ってくれるという状態を放置して、最終的には国がその財源を保障してくれるということになると、結局地方債が膨らむだけであります。そして、この地方債がリスクウエートが掛かるという形でマーケットの人たちが見始めると、今は保有者のポートフォリオとして沈んでいる地方債がマーケットにどっと出てきますから、これは国債と競合し始めるわけです。  そういうことを申し上げているわけでありまして、地方債の改革を今後どのような方針で行おうとしているのか、あるいは現時点でどういう印象を持っておられるのか。これは総務省と竹中大臣財務大臣、それぞれにお伺いをしたいと思います。まず、総務省からどうぞ。
  292. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 地方債のまず償還につきましては、地方債のまずその元利償還について、言わば歳出に見合った形で毎年の償還費を地方財政計画の中で財源を保障しておるわけでございます。また、全体、個々の地方団体が一定の公債費の負担の比率を超えるあるいは一定の赤字になるということになりますと、起債の制限でございますとか財政再建制度が設けられておりまして、このことで地方団体の財政制度全体の中で債務不履行が生じないという仕組みになっていると考えております。  個々の地方債の改革につきましては、先ほど委員からも御指摘峰崎先生からも御指摘ございましたが、地方債の元利償還について、例えば特定の事業費に連動して交付税に算入するというような場合には政策移動的に中立でないんではないかというような御議論もございました中で、そのいわゆる事業費補正と言っているようなものにつきましてはこれをできるだけ縮減していく。  昨年の秋の麻生大臣が経済財政諮問会議では、都道府県については災害とかあるいは特定の地域に偏在するというようなものを除いて基本的には全廃をしていきたいというようなことも表明させていただいております。また、骨太二〇〇三の中にございますが、できるだけ市場の、地方債をいろんな、にさらすということもうたわれておりますので、今年度の地方債計画におきましても市場公募債を増やすなどの措置を講じているところでございます。
  293. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、総務省から御答弁がございましたけれども、私も地方債の改革というものはこれは必ず行わなければならないものだと思っております。それで、平成十八年度から許可制から認可制に移ると、国の関与を減らすという意味で改革ですし、今総務省の方から御答弁がありました市場にさらす、市場の評価を受けるようにしていくとか、それから地方債元利償還金の後年度算入措置を事業性格に応じて見直していくというのは、やはり私は地方債にとって意味のある改革だろうと思っておりますので、財務省としてもその後押しをさせていただきたいと思っております。
  294. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 私のキャパシティーで申し上げられることは実はほとんどございませんのですけれども、諮問会議としても、地方債の問題は三位一体改革の中でしっかりと議論をしていかなければいけないという一般論としての認識、そういう民間議員からの御発言はございます。  地方債の、お尋ねはいわゆる地方債の管理の問題だと思いますので、我々として申し上げられるのは、財政、国と地方を併せた財政のサステナビリティーを回復をしていく、一方で市場の評価についてはしっかりと受けられるような対応を総務省、財務省で御検討いただく、そのような立場でお願いしているところであります。
  295. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 竹中大臣のキャパシティーの範囲内で答えられることはこれだけだという大変控え目な御発言であられたんですが、しかし経済財政諮問会議御担当であられ、それから谷垣大臣財務大臣で、総務省、今日は麻生さんいらっしゃっていませんが、総務省、それから行革担当大臣、この皆さんで是非、先ほど来お伺いしているように、地方公共団体傘下にある政府機関、それから国の傘下にある政府関係機関、これらのやっぱり統合的なバランスシート把握というのが今、財務省が数年前からやっておられる政府のバランスシート把握の次のステップだと思いますので、全部の情報を集めるのはこれは大変なことだと思いますけれども、しかしそれをきちっとやらないと、思わぬところから地方自治体の破綻等が起きて、それに伴って国際マーケットなどにもいろいろ影響が及ぶという不測の事態が起きる可能性をなしとしないと思います。  そういう展開が日本発の世界恐慌ということですから、そうならないために、是非、今申し上げた関連四大臣で統合したパブリックセクターのバランスシート把握ということに御努力をいただきたいということを申し上げて、これについてのコメントを竹中大臣谷垣大臣からお伺いしたいと思います。
  296. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 御指摘のような問題意識は大変重要な問題意識だと思います。改めて今の御意見を賜って、正にそのコンソリデーテッドな、広く言えば、もっと公的部門の連結のバランスシート、PLというようなもので改革を進めていかなければいけないという問題意識を是非しっかりと持って、当面何ができるかをしっかりと検討させていただきます。
  297. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 竹中大臣と同じでございます。  ただ、現実には、なかなかどういう形でこれを整理するかというのはいろんな難しいことがあるかと思いますが、今委員がおっしゃったように、やはり全体を把握なかなかできないということでは、いざというときにも対応できないということだろうと思いますし、説明責任も果たせないということだろうと思いますので、工夫をする努力をしたいと思います。
  298. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もうこの件に関する御答弁は結構ですが、午前中に入澤委員が、公共事業を例えばコンピューター上でデータベースに入れて一覧で見れるようにしたらどうだとおっしゃっておられましたけれども、私は統合したバランスシートを作るのはそう大変じゃないと思いますよ。もう今やネットワークの時代ですから、それぞれの機関がバランスシートをインプットして、それをシステム上で合算するだけの話ですから、多分合わないところが一杯出ますので、そういう誤差をトレースしていくことでだんだんいろいろまずいことも分かってくるでしょうし、インフラ的にはそれほど大変なことではありませんので、あとは、やはり時のそういう権限を持った方がそういう号令を掛けるかどうか、そういう問題だと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  ここまでで、私の頭の整理としてミクロの話のある意味ちょっとサンプルのような話と、それから制度改革の財政調整制度や財政全体の制度についての議論をさせていただいたんですが、次に、それらを運営する上でのベースとなっているマクロ経済政策あるいはマクロの経済の見通しについて話をさせていただきたいと思います。  せんだっての予算委員会内閣府の経済財政モデルについて議論をさせていただきました。今日はその続きをさせていただきたいんですが、予算委員会の場で私はこのように申し上げました。内閣府のモデルほど精緻なモデルではないですが、私及び私をサポートしてくれている研究者の皆さんによって中型のマクロモデルを回してみたところ、結局、相当楽観的なシナリオを入れて、財政規律を高めるために、プライマリーバランスを黒字化させるというシナリオを作ったわけですが、それでも消費税を我々が試算した、推計したときには、二〇〇七年度と二〇一一年度に二回、二%と三%で五%上げないとプライマリーバランスが均衡しなかったわけであります。  内閣府のモデルは二〇一三年に黒字化すると言っているけれども、よく消費税を上げずにそういうことが成り立ちますねとお伺いしたところ、小平統括官から、いや、我々は消費税は推計の過程では上げていないという御発言があったわけですが、これについてもう一度お伺いします。もし訂正をされるんでしたら、聞いていらっしゃる皆様方によく分かるように御訂正をいただきたいと思います。
  299. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。  先日の予算委員会で先生の御質問に対しまして、消費税の点につきましては若干私舌足らずでございまして、現在お示しをしております「改革と展望」の参考試算では、基礎年金の国庫負担二分の一への引上げの点におきまして、税の引上げを機械的な試算の前提ということで入れているわけでございます。  詳しく申し上げますと、もう先生よく御存じのとおり、こういう試算をいたしますときには一定の仮定を置きませんと試算ができませんので、私どもといたしましては様々な前提を置いているわけでございますけれども、基礎年金の国庫負担割合の引上げにつきましては次のような前提を置いているということでございます。  まず、二〇〇四年度につきましては、税制改正で年金税制の見直しがなされますが、それから年金に充当される金額、これが平年度ベースで千六百億円ということになるわけでございます。それから、二〇〇九年度に国庫負担割合二分の一になるようにということで、だんだん毎年上げていくと、こういうことにしておりまして、二〇〇五年度から二〇〇九年度まで毎年度六千億円ずつ段階的に国庫負担を増やしていくというまず前提を置いております。  それで、その中身でございますけれども、二〇〇五年度、二〇〇六年度の全額、それから二〇〇七年度の半額につきましては所得税、それから二〇〇七年度の残りの半額、それから二〇〇八年度、二〇〇九年度の全額につきましては消費税でという前提を置いて試算をいたしております。  これはあくまでも試算の前提でございまして、政策的にこういうことを行うとか、そういう判断をして入れているということではございませんで、あくまでもモデルの試算をする上で前提として置いているということで御理解をいただきたいと思います。
  300. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 簡潔にお伺いします。  内閣府の経済財政モデルの推計において、理由はどうであれ、消費税を増税するというシナリオを入れていたということですね。イエスかノーかだけで結構です。
  301. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 基本的には試算の前提としてそういうふうに入れております。  ただ、これはそういう政策を決めたということではありませんので、念のために申し添えます。
  302. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 別に小平さんが責任取る必要ないですから、そうヘッジしなくていいですよ。  これは、今日はテレビ中継もないし、報道されるかどうかも分かりませんけれども、小泉総理は、私の在任中は消費税は上げない、これはいいですよ、確かにそういう総理の御発言ですから。プライマリーバランスはどうするんですかと聞くと、いや、二〇一三年には黒字化すると言っているわけですね。黒字化するシナリオの中には消費税を上げるというシナリオが入っているわけですよ、理由はどうであれ。  だから、私が申し上げたいのは、先ほど来整理していますように、財政や経済政策を運営する上でのマクロの前提やマクロ経済政策の大きな枠組み、これも重要な、何といいますか、ファクトなんですよね。ここの議論をしているわけですが、ここについて、ごまかすとは言いませんけれども、何かこの、何といいますか、何かに物が挟まったようなそういう国会審議はしていただきたくないなというお願いであります。  だから、その前提は前提として、そういうふうに推計しないとそうならないんだからそういう前提を置いているだけで、政策としてそう決めたわけではないというのは、それは話としては分かります。しかし、延々と消費税議論をやって、今回の内閣府の推計というのは、いいですか、今年の一月に出てきた。一月に出てきて、ようやくここに来て、このモデルの推計上、消費税を三年間連続で増税しているということが分かった。もちろん、予算委員会の中で断片的に答弁をされたのは、議事録を読んだら、私は分かりました。しかし、聞いている人は分からないんですね。  それで、そこで、それについて禅問答を余りする気はありませんので、事実は事実としてそういうことでした。  さて、竹中さんでもいいですし統括官でも結構ですが、そうすると、この消費税の増額分を除いても税収というのはどのぐらい好転するという数字を各年度置いておられるんですか。
  303. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 税の額について、今統括官の方からお答えさせていただきたいと思いますけれども、誤解のないように是非申し上げたいのは、二〇〇六年までは緩やかな歳出キャップをはめていって、二〇〇七年以降はそれと同程度の歳出削減を行うと、これが基本的な考え方です。失礼、それと同程度の赤字幅縮減を行うということです。それはいろんなやり方があります。歳出を削減して実現するやり方もあれば、所得税を上げるというやり方もあれば、消費税をやるというやり方もあれば、法人税を上げるというやり方もあります。  いずれにしても、二〇〇七年以降のシミュレーションは、民間部門から相当額のお金を国庫にある程度は出していただく、吸い上げるやり方なわけです。それはいろんなやり方があって、そこは、ぽこっとある金額を移すというやり方もあります。しかし、ぽこっと移すというやり方は、これはほとんど所得税なのか消費税なのか、恐らく所得税というような解釈になるんだと思います。これは一種のシミュレーションのコントロールのやり方の問題で、いずれにしても我々が申し上げているのは、二〇〇七年以降も二〇〇六年までのと同程度の赤字幅の縮減をやるということなわけでありますので、そのコントロールのやり方をもって消費税を上昇を織り込んでいるとか、これは少しニュアンスが違ってくるんだと思います。  モデルの性格というのは、要するに民間部門から政府部門にある意味でお金を移すんだと、そこにあるわけで、そこの移し方としては歳出の削減もあればいろいろある。そこについては何の判断も加えておりませんので、そこはモデルのこと大変お詳しいですから御理解いただいているとは思いますけれども、そこは是非とも誤解のないようにいただきたいというふうに思います。  数字については小平統括官の方から答えさせます。
  304. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、ちょっと待ってくださいね。いや、僕、竹中大臣の答弁をいつも楽しみにしているんですけれども、今回はどういうフレーズでうまくこのギャップを埋めてくるかなと思ったら、ニュアンスの違いという、そうですか、私ともちょっとニュアンスが違うので。  小平さんに御回答いただく前に、ちょっとお伺いしたい点をもう一回整理しますと、午前中も申し上げたように、私は財務省の出している後年度影響試算の方がよっぽど正しいと思っているんですよ。財務省が出しておられる数字、例えば税収のところを見ますと、これは予算委員会でもどなたかが取り上げていましたが、改めて申し上げますと、二〇〇四年度は財務省内閣府も同じ四十一・七兆なわけです。ところが、二〇〇五年度になると、財務省は四十二・五兆に対して内閣府は四十三・五兆。二〇〇六年度になると、財務省は四十三・九兆に対して内閣府は四十六・四兆。二〇〇七年度は、財務省四十五・二兆に対して内閣府四十八・四兆、三・二兆円の税収差が出てきているんですよ。  私がお伺いしたいのは、いいですか、先ほどおっしゃった消費税の増収分を除いて、しからば二〇〇七年度に財務省の後年度影響試算と比べてどのぐらいの税収増がありますか。
  305. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。  まず、これはあくまでも基礎年金の国庫負担を二分の一に引き上げるということで、どういう財源を前提に試算をするかと、こういうことでございまして、これは先生よく御存じのとおり、プライマリーバランスには影響しない、そのまま年金として充当される財源の確保でございますので、その点ちょっと念のために申し上げた上で、税収についてどれだけ違うかと、ちょっと財務省とどの程度違うかというのは今直ちに出せませんけれども、先ほど申し上げましたとおり、二〇〇九年度の仕上がりの姿としての試算ということで申し上げますと、二〇〇七年度の半額を消費税、その後二年分を全額ということでございます。一兆五千億円、二〇〇九年度では消費税という前提で試算をしていると、こういうことでございます。
  306. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 御丁寧に答弁していただくのは有り難いんですが、もう一回言いますよ。  二〇〇七年度は半額分を消費税に充てておられるというふうにおっしゃいました。財務省内閣府の数字の差は、税収の数字の差は三・二兆円あるわけです。したがって、お伺いしたいのは、じゃ、まず消費税は半額というと具体的に幾らですか。
  307. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) 毎年六千億円ずつ国庫負担を増やすという前提でございますので三千億。それから、その後、六千、六千と、こういうことでございますので、だんだん累増いたしますので。
  308. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 丁寧に説明してくれてありがとうございます。  二〇〇七年度だけだと、そうすると消費税以外で二兆九千億円の内閣府と財務省の税収見積もりの差があるわけですよ、差が。これはだから推計ですから別に勝手ですと言われればそれまでですけれども。一方、一般歳出、見ますよ。一般歳出も同じように二〇〇四年度は四十七・六兆円なんですが、二〇〇五年度は財務省は四十九兆円になると言っている。しかし、内閣府は今度は少ないんですね。四十八兆八千で回ると言っている。二〇〇六年度は財務省は四十九・九兆になると言っているのに、微妙に少なくて内閣府は四十九・八兆だと言っている。二〇〇七年度は財務省は五十一兆だと言っているのに対して五十・九兆。税収に比べれば非常に少ない差ですけれども、これは竹中大臣や小平さんはお分かりのとおり、歳入歳出のこの微妙な差を足すと、これは十年先あるいは二〇一三年の見通しにおいては物すごい差が出てくるわけですよ。  だから、小平さんにお伺いしたいのは、例えば税収の二〇〇七年の二兆九千、消費税のことは分かりましたのでいいですよ、二兆九千億の差はどこから出てくるんですか、モデル上。
  309. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。  所得税につきまして、先ほど申し上げましたように、これも国庫負担割合を引き上げるということで、二〇〇五年度、二〇〇六年度それぞれ六千億円ずつ引き上げておりまして、二〇〇七年度についても三千億円、所得税で増収を図るということでございますので、試算の前提としてはそこで一兆五千億円。したがいまして、先ほどの消費税と足しますと大体一・八兆円程度の税収の差になると。前提としてはそういうことかと思います。
  310. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 今の小平統括官のお答えですけれども、ちょっと勘違いがあるといけないので申し上げますけれども、二〇〇七年で三兆円ぐらいの差があると。これ、しかし、毎年毎年〇・六兆円の増収ですから、これ累計していただかなきゃいけないわけで、それを累計すると、今のお話ですけれども、二兆ぐらいになりますよということなわけです。  もう一つ、大塚委員がおっしゃられたこと、私は大変重要だと思います。歳出歳入で微妙な差の差が大変な差になるぞと。そうなんです。だから、改革しなきゃいけないんです。これは要するに、財務省の試算というのは、現在の政策を前提にして試算したらこうなりますよということになるわけですね。横置きするわけです。しかし、これは改革のいろんなことを織り込んで内閣府でやるとこうなりますよということですから、毎年毎年は少しずつかもしれませんけれども、それを積み重ねることがプライマリーバランスの回復につながるという意味のことをおっしゃってくださったんだと思います。
  311. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 僕は今すごくうれしかったんですね。今回は竹中さんの反応、答弁は私の予想どおりでした。二年半もお付き合いしていると大分読めてきたなと思ったんですけれども、まあいいですよ、それは。私が申し上げたいことはもう両大臣はお分かりだと思いますので。  谷垣大臣、このマクロモデル推計はいつから、どなたの号令で導入されたか御存じですか。
  312. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 存じません。
  313. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 これは宮澤蔵相なんですよ。議事録調べてみましたら、私がちょうど選挙運動をやっているころです、平成十三年の通常国会ですから。宮澤さんはいろんなことを言っておられます、このマクロモデル推計をすることに関して。要するに、こういうことが必要だということで、例えば、この答弁は、平成十三年の二月二十七日に我が党の中川議員に対して、シミュレーションはやらなきゃいけないと。シミュレーションをやっていくということは、簡単に鉛筆をなめるわけにはいかないということでございますと。一種の追い込まれた立場になるということも言えるかもしれませんが、しかし、そのぐらいにいたしませんと財政改革ができないということを言っておられるんですね。  三月二日には、これは原口議員への答弁で、歳入にも歳出にも一切聖域がないということにいたしませんと、このシミュレーションはなかなか難しいのではないかと思うと。さらに、これは今この委員会に所属しておられる林議員に対して、この参議院の財金で、三月二十二日に、マクロモデルでシミュレーションをやって、言葉のつじつまだけではごまかせないようなところへ我々自身を追い込んでいくと申しますか、どうもそれしか方法はないのではないかということを思っておりましたと。こういう精神でこの仕事がスタートしたんですよ。  だから、私が申し上げたいのは、例えばそれは財務省財務省考え方内閣府は内閣府の考え方があるかもしれませんが、同じ政府なんですから、財務省の後年度影響試算の方が厳しめの数字を出したんだったら、それに合わせるのが先人である宮澤大蔵大臣の導入のときの精神に合致するんではないですか、谷垣大臣。これは推計は内閣府の仕事ですからとやかく申しませんが、谷垣大臣、ここまでの議論を聞いてどう思われますか。
  314. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 宮澤大臣がそういえばそういう御主張をなさってなったんだというのを思い出しまして、不肖の弟子としては誠に恥じ入っておりますが。  ただ、私どもこれはもう何度も申し上げているわけですが、財務省の出しておりますのは基本的に、何というんでしょうか、こういう表現は適切かどうか分かりませんが、いかに財政状態が大変だという警鐘を鳴らすというのを主たる目的としておりますので、言わば希望的観測などは含めずにやっているという面があろうかと思います。内閣府の方は、やはりどうやったら改善できるかと、どういう政策努力が必要かという視点からお作りになっているんだと思います。
  315. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ここで何か白黒付くような話ではありませんので、その議論の含意というものはそれぞれでお持ち帰りいただければと思いますけれども。  先ほど来自分の頭の整理をさせていただきましたが、幾らミクロで財務省がしっかり査定をして、歳出官庁の無駄遣いをなくしてくれとお願いをして皆さんが頑張っても、そして、総務省が三位一体改革だといって、多少ごまかしを、説明のごまかしを入れながら地方自治体をいじめてみても、元々の根っこにある、じゃ今年度どういう予算を組むんだ、これから五年間、十年間どういう財政運営するんだという議論の大前提でごまかしがあったら、せっかくの皆さんの御努力も台なしだと、こういうことを私は申し上げたいわけであります。  加えて、竹中大臣とは未決着の問題が一つございますので、長期金利と成長率の議論ももう一度させていただきます。  これも、実は今申し上げました先々の日本の経済の見通しを立てる上での大前提の話であります。私は、たまたまここで議論させていただいたときに、前回のこの委員会議論させていただいたときに、予算委員会公聴会をやっていましたので公聴会の資料を持ってくればよかったなと思って、同じ時刻に経済財政諮問会議の井堀先生が公聴会の席上で配られたページの一ページ目に、いいですか、利子率イコール成長率の条件が必要、しかし、現実には利子率の方が成長率より大きいと書いてあるんですよ。竹中さんが、いや、そうは思いませんとここで答弁しておられるときに、井堀先生はすぐその隣の部屋でこれを使って説明しておられたんですよ。  私は、確かに過去三十年のデータの平均を見ると、竹中大臣がおっしゃるように、成長率の方が高い。それは、なぜならば高度成長期のデータが入っているから、そのとおりであります。しかし、一般的に成長率の方が高いというこれまでの御主張を少し軌道修正されるお考えがあるならば、是非この委員会において軌道修正をしていただきたいなと思いますので、もう一度この点について竹中大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  316. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) そもそもの発端は、民主党の岡田幹事長が、名目成長率よりも名目金利の方が高い、二%ぐらい高いだろうというような発言を予算委員会でされました。それに対して私は、それが、岡田幹事長は、名目成長率より名目金利の方が高いというのは、それはおかしな前提ではないと思うというふうに岡田幹事長がおっしゃったので、私は、それは違うと思いますというふうに申し上げました。  これはいろんな考え方があり得るんだと思います。井堀先生がおっしゃったのは、現実には名目金利の方が高い、これは今の時点ではそのとおりでございます。私たちが議論するのは、日本経済を正常化する中でどういう状況がノーマルな状況というふうに想定するかという問題なのだと思っております。私は名目金利が名目成長率を大きく上回るような今の状況というのはノーマルな状況ではないと思います。  これは幾つかの解釈、幾つかの要因を挙げることができますが、財政赤字に対して非常に市場が大きなリスクプレミアムを測っているとか、いろんな要因があり得るのだと思います。私は、基本的には、これは御承知のように、新古典派の成長理論では、定常状態においては名目金利と名目成長率はコンバージしていくわけでありますけれども、それを前提にしながら長期的に見ると、日本の場合名目成長率の方が高い、そういう状況が想定されるノーマルな姿であると今でも思っております。そうした観点、そういった考えは変えておりません。  その上で、前回、大塚委員は、そのモデルの中で、名目金利の方が高いというのをノーマルに想定されるんでしょうかというふうにお伺いをいたしました。これは、結果はまたきちっと見せていただきたいと思いますけれども、岡田幹事長がおっしゃっているように、名目金利の方が高いということを前提に民主党は、大塚試算はなされるのかどうなのか、私は、その点は是非勉強させていただきたいと思います。
  317. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  非常に明快な御答弁だったと思いますので、もう一回議事録をよく読ませていただいて、この件は、僕は、非常に日本の経済政策や日本の経済政策論争のクレジビリティーにかかわる話ですから、今の御答弁も議事録に残りますし、改めて質問主意書として内閣府にはお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。  ここまでの議論でいろいろ谷垣大臣もお感じのことがあるはずだと私は信じたいんですが、実は今年の一月三十日の財政制度審議会の財政制度分科会の議事録を見て私は愕然といたしました。私のような凡庸な者でもこれぐらいの問題意識を持つわけですから、なるほどなと思いました。この財政制度審議会に参加してくださっている石先生とか、先ほどの井堀先生とか富田先生とか、みんな、ずっと予算委員会以来ここまで議論をしてきたことをずばずば指摘しておられるんですよ、議事録の中で。  いいですか。例えば石先生は、これは内閣府と財務省のデータが違うということに関して、我々国民から見ますと、政府から出てきたという意味においては本当は統一された方がいいのだろうと思いますが、あえて違えたものを、意味があるものかもしれないけれども、これは一切内閣府の方から財政当局には、データを出せとかなんとか、計算の仕方がどうだとかということはないのですか、これは質問ですと。これは原文どおり読んでいますのでちょっと脈絡が変かもしれません。とか、いろいろ言っていますね。  これは富田先生ですね。モデル自体をやっぱり公表して、いろいろな人が検証できるようにしませんと、一体、これ、どういう前提でできているか。先ほどは、税については、年金の国庫負担の引上げと税のことで、税についての御説明があったので初めて分かったのですけれども、一体これ、増税なしなのか、社会保障はどのように削減するのかとか、そういうものもなしにプライマリーバランス黒字だというふうに言っても、何かこれはマジックのモデルというか、モデルに説明責任を求めたところでどうしようもないわけですと。  それから、これは本間先生です。モデルの開示も含めてやる必要があるだろうということをもう実はずっと言い続けてきておりますとか、それから、井堀先生は、名目金利と名目成長率の関係を、完全に竹中さんのお考えとは逆のことをこの中で言っておられますね。  私が申し上げたいのは二つです。  一つは、この財政制度審議会にこれだけの日本の頭脳を集めて、貴重な時間を割かせてこういうコメントをしていただいていたにもかかわらず、こうやって凡庸な私がここでまた指摘するまで、消費税についてどうしていたとか、あるいはモデルを公開するということで今一生懸命準備していただいているみたいですけれども、モデルを公開するとかという作業をしたりとかしないというのは、これは井堀先生とか本間先生とか富田先生に失礼じゃないですか。どう思いますか。  これは竹中さんじゃなくて、谷垣大臣にお伺いしたいです、将来の総理大臣として。
  318. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) こんなときに将来の総理大臣と言われてもお答えに詰まるわけでございますけれども、私は、このような政府の中のやっている作業であっても、審議会で十分談論風発して、議論していただくのは誠に結構なことだと思っております。
  319. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 谷垣大臣、是非、谷垣大臣に期待しておられる官僚の皆さんや、あるいは支持者の方も多いと思いますので、期待を裏切らないような御答弁と業績を残していただきたいと思います。  もうくどくど申し上げませんが、小平さん、これは、モデルはもろもろ公開していただけるということでよろしいですね。
  320. 小平信因

    政府参考人(小平信因君) ただいま準備をいたしておりますので、できるだけ早く公開をしたいと思っております、モデルにつきまして。
  321. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 実は、この消費税の話も、これはモデルなんて、方程式七百本だって、印刷したらたかが紙二十枚ぐらいですよ、普通は。データも、打ち出したって、ざあっと打ち出せばそう大して今のプリンターの技術であれば時間掛からないので、何でそんな時間掛かるんですかということを、金曜日の夜、事務方の方とやり取りさせていただいて、じゃ、消費税のところだけでも、データを入れるときに上げるという想定はしていないということを、私が今から内閣府に行くから見せてくださいというふうに申し上げたら、その後電話が掛かってきて、いや、消費税は上げていましたというお電話をいただいて今日の議論になっているんです。  どうして出せないんですか、すぐ。そのことについて、何か、すごく私が、へえ、なるほどと思うような答弁をいただけるとは思いませんのでもういいですけれども、今、更に精緻にモデルを動かしているということならそれはそれで結構です。公開していただけるならば、改めてここできちっと作ったデータで、今後研究者も含めて日本の経済の見通しについて議論をさせていただけるということであればそれはそれで大前進でありますので、あえて過去は問いません。  竹中大臣、何かおっしゃりたいことがあれば。
  322. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) これは、私、前に答弁をさせていただいておりますけれども、主要な体系については、もうこれは三年前に公開をしております。それでは不十分だというふうに大塚委員はおっしゃるのは承知をしておりますけれども、少なくともどういう体系でマクロ経済が動いているのかということは、この既に公表しているもので私は十分に分かると思います。これを復元して何かをしてみたいというような、大塚議員にとっては不十分かもしれませんけれども、少なくとも財政審でコメントをいただけるようなレベルでは十分に公開しているというふうに私は承知をしております。  しかし、更に公開しろということでありますから、これは公開をいたします。事務的にややもたついておりまして御迷惑を掛けているということはおわび申し上げますが、これはもう公表するというのは前回に御答弁をさせていただいたとおりでありますし、既に、少なくとも経済政策論議をしていただけるようなベースはもう三年前に公表していると私は考えております。
  323. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、僕は、竹中大臣は、僣越でございますが、御評価を申し上げているんですよ。あの東京海上のときの答弁書、あの高木さんの問題の答弁書とか、ああいうものも竹中大臣じゃなければ出てこなかった。そして、今回のこの話も、多分、竹中大臣でなければ、分かった、公開しましょうというふうにはならなかったと思います。  そういう意味では、竹中大臣が今そのポストにおられることは、与党、野党それぞれにいろいろおっしゃる向きはありますが、私はそれなりに意味はあるなというふうに感じているわけでありますので、竹中さんにもう一個お願いしたいのは、せんだっても申し上げましたけれども、やっぱり竹中大臣が非議員で、しかも学者としてその重要なポストに三年近く座っておられることの意味をもう一回お考えいただきたいなと思うんです。  というのは、私も昔は、さっき大門先生でしたか、小役人という発言がありましたが、私も小役人もどきでしたからよく分かるんですけれども、上司から言われて、いや、おまえ、もうちょっとこの数字をプラス〇・五%ずつ増えるように何とかならないかとか、いや、これ二〇一三年に均衡するように、歳入歳出をもう少し薄くはがしてうまく付けられないかとかと言われたら、分かりましたってやっちゃうんですよ、やっちゃうんです。  だから、今日は院内テレビで内閣府の人も一杯見ていると思いますが、本来役所に入ってきたときに持っていた志をずたずたにするような、そういう仕事のさせ方をさせないでいただきたいと、現場の皆さんに。竹中大臣が今大臣としてそこに座っておられる意味というのは、小泉さんが、いや、これ、おれはこういう方針でやりたいんだと、もう少し何とかならないかと言ったときに、小役人的な、それこそ小役人的な、薄くはがすような、そういう作業を現場の人たちに汗かいてやらせないで、いや、総理と、これはどうやっても二〇一三年度には今のような手ぬるいやり方では均衡しませんと、学者の私が言うんだから間違いありませんという、言わば盾になってこそ、研究者である竹中さんが大臣として今そこに座っておられる意味があるわけですが。  今日、別に大門さんと打合せしたわけじゃないですけれども、何か官僚のポストを上り詰めたスーパー事務次官のような、そういう答弁をされるんだったらそこに座っていただく必要はないわけでありまして、是非、政治家としての御決断を経済運営においてもしていただきたいということをお願い申し上げて、ちょっと竹中さんの感想をお伺いしたいんですけれども。
  324. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 政治家と言われたり学者と言われたり、非常にうまくすり替えるところはすり替えてお話をしておられるようにお伺いをいたしましたが、基本的には今御指摘いただいたような心積もりで三年間やっているつもりでございます。  これは、できないことはできません。そういうことをきっちりと検証するために、こういうモデルでの作業もやろうと。マクロと財政の整合的なチェックをすることが経済財政政策担当大臣として、経済財政また諮問会議の役割であるということで、内閣府の皆さんのことをお気遣いいただきましたが、無理やりなめなめしてこんな数字を作れというような指示は私は一切していないつもりでございます。  そうした観点から、財政は苦しくても、やはり今年度は来年度の予算との整合性で補正が必要なときは必要だということを総理にも申し上げましたし、補正はやるべきではないというときはそのことを総理にも申し上げておりますし、そういうつもりで私はやっているつもりでございます。
  325. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私は別に、竹中大臣がなめなめやれというふうに指示をしているなんて思いませんよ。  ただ、霞が関の皆さんは、能力的には皆さん本当優秀ですから、上の空気をおもんぱかって作っちゃうんですよ、もう夜なべしてでも。だから、そういうところをむしろ竹中大臣は、いや、そんなことする必要ないと、私が小泉さんにできないものはできないと言ってくると言って、二〇一三年度プライマリーバランス均衡するんだったら二〇〇七年から三年連続で消費税上げるという、そういうシナリオですよというふうに進言をして、いや、そのことぐらいは、総理、はっきり言わないと駄目ですよと言って、諫言される役割として私は竹中大臣に大いに期待もしていたし、今後も期待をしたいと思います。  そこで、最後のお願いでございますが、これで質問をやめると言っているわけじゃありませんよ、最後のお願いですが、ここまで、この問題、衆議院で二月十日に長期金利と成長率の議論が始まって以来、今日に至るまで延々といろんな議論をさしていただいたんですが、谷垣大臣、せっかくですから、来年からは内閣府と財務省が別々に見通しを出すのはやめて、一本化していただけませんでしょうか。
  326. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは少し私どもの中でも検討させていただきたいと思います。  ずっと伺っておりまして、二つあると余計な混乱も招くのかなという気もいたしますが、他方、やはり私どもが出しておりますのは、長い間予算委員会の参考資料として出してきたものでありますから、やはりそれはそれで意味もあるのかなという気もするわけであります。ちょっとこの二つがどういう関係にあるのか、この国会の議論も踏まえて私どももよく考えてみたいと思います。
  327. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 是非、よろしくお願いいたします。  さらに、私の更なる希望を申し上げれば、前回申し上げましたけれども、経済状況が余り心配しなくていいときであれば与野党で別々の経済見通しを持って議論していてもいいと思うんですけれども、私は、こういう状況ですから、本当は経済見通しについてはある一定のモデルを回して、じゃ、二〇一五年度まではこういうシナリオが考えられるという共通のシナリオを持って、その上で、じゃ、しからばどういう予算を組むか、どういう歳出だったら効果があるかというところで与野党の意見の違いがあるのはこれは当然でございますので、政権を持っていらっしゃる与党の方が与党なりの運営をされればいいと思うんですが、そもそもの前提、どういうシナリオになるかというところで共通の認識がない。  更に言うと、そのデータを出してきているその前提なり計算の仕方が、今ここで随分いろいろ話をさしていただきましたが、今まで明らかでなかった。だから、一歩進んで、やはり日本の経済が、例えば財政赤字の対名目GDP比が五〇%ぐらいに戻るまでは、例えば予算編成前、通常国会前に与野党が共通の経済見通しを持つような、そういう場を設けていただいて、そうすると、見通しが違うだろうみたいな、こういう雲をつかむような話で延々と審議時間を費やすことはなくなるわけでありますので。我々も間違っているとは言えないわけですよ、コミットしているわけですから。そこにはもちろん希望も込めていいですよ、こういうふうに改革していけば日本の経済は多少は明るくなるという、そういうシナリオを我々も合意の上で議論のたたき台にするということを希望はしたいと思います。これについて意見聞いても、はいと言うわけないですからやめておきますけれども。  最後になりますが、今日は実は経済産業省に来ていただいておりましたが、時間調整のために来ていただいたということでございますので、私はエンゼル税制についてはなかなかいいものだと思っておりますので、あさってに予想される反対討論の中でもエンゼル税制がいいものだというふうに述べさしていただくということで、今日は質問をしませんが、お許しをいただきたいと思います。  以上で終わらしていただきます。
  328. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回は明二十五日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会