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2004-02-05 第159回国会 参議院 財政金融委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年二月五日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     委員長         平野 貞夫君     理 事         野上浩太郎君     理 事         森山  裕君     理 事         大塚 耕平君     理 事         続  訓弘君                 入澤  肇君                 上杉 光弘君                 尾辻 秀久君                 田村耕太郎君                 西田 吉宏君                 野間  赳君                 林  芳正君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 若林 正俊君                 大渕 絹子君                 櫻井  充君                 平野 達男君                 円 より子君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 山口那津男君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君                 椎名 素夫君     ─────────────    委員異動  一月十九日     辞任         補欠選任      野間  赳君     清水 達雄君  二月五日     辞任         補欠選任      若林 正俊君     愛知 治郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         平野 貞夫君     理 事                 入澤  肇君                 野上浩太郎君                 森山  裕君                 大塚 耕平君                 続  訓弘君     委 員                 愛知 治郎君                 上杉 光弘君                 尾辻 秀久君                 田村耕太郎君                 西田 吉宏君                 林  芳正君                 溝手 顕正君                 山下 英利君                 大渕 絹子君                 櫻井  充君                 平野 達男君                 円 より子君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 山口那津男君                 池田 幹幸君                 大門実紀史君    衆議院議員        財務金融委員長 田野瀬良太郎君        発議者      水野 賢一君        発議者      上田  勇君        発議者      松原  仁君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        外務副大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        財務大臣    山本 有二君    大臣政務官        財務大臣政務官  七条  明君        財務大臣政務官  山下 英利君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君    政府参考人        内閣府政策統括        官        尾見 博武君        警察庁長官官房        審議官      米村 敏朗君        金融庁検査局長  佐藤 隆文君        金融庁監督局長  五味 廣文君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        外務省欧州局長  小松 一郎君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        財務省主計局次        長        杉本 和行君        財務省国際局長  渡辺 博史君        厚生労働省職業        安定局次長    三沢  孝君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        中小企業庁事業        環境部長     大道 正夫君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        気象庁予報部長  長坂 昂一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○平成十五年度の水田農業経営確立助成補助金等  についての所得税及び法人税臨時特例に関す  る法律案衆議院提出) ○政府参考人出席要求に関する件 ○外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律  案(衆議院提出) ○平成十四年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理  の特例に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○農業共済保険特別会計農業勘定における平  成十五年度の再保険金支払財源の不足に充て  るために行う積立金歳入への繰入れに関する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、矢野哲朗君、若林正俊君及び谷博之君が委員辞任され、その補欠として尾辻秀久君、田村耕太郎君及び峰崎直樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事入澤肇君を指名いたします。     ─────────────
  5. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、財政及び金融等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) この際、谷垣財務大臣石井財務大臣山本財務大臣山下財務大臣政務官及び七条財務大臣政務官より発言を求められていますので、これを許します。谷垣財務大臣
  8. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 財務大臣谷垣禎一でございます。  平野委員長を始め財政金融委員会先生方には、常日ごろ、財務省、何かと御指導を賜っておりまして、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。  今、日本経済はあちこちで新たな動きを求める胎動が見られてくると思っておりますが、なかなか殻が厚くて破れない、その殻を何とか外から力をかして破っていくのが大きな課題ではないか、こんなふうに考えているわけでございます。  今後とも、この委員会先生方の御指導あるいは御支援を得まして、財政金融運営経済財政運営、全力を挙げて当たりたいと思っておりますので、どうぞよろしく御指導お願いいたします。
  9. 平野貞夫

  10. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 財務大臣石井啓一でございます。  財務行政におきましては、財政構造改革あるいはあるべき税制の構築等、様々な課題を掲げているところでございます。谷垣大臣をお支えしつつ、山本大臣ともどもこれらの課題に取り組んでまいりたいと存じますので、委員長、また委員皆様の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
  11. 平野貞夫

  12. 山本有二

    ○副大臣山本有二君) 御指名をいただきました山本でございます。  全く不慣れでございまして、委員長を始め先生方の御指導をいただければ幸いに存ずる次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつに代えさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  13. 平野貞夫

  14. 山下英利

    大臣政務官山下英利君) 財務大臣政務官山下英利でございます。  平野委員長を始め財政金融委員会先生方皆様には本当に御指導をいただきまして誠にありがとうございます。  財務省行政運営、ますます関心の高まっている中で、七条大臣政務官とともに、大臣をお支えし、そして頑張ってまいる所存でございます。先生方委員皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますようによろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございます。(拍手
  15. 平野貞夫

  16. 七条明

    大臣政務官(七条明君) 大臣政務官の七条明でございます。  山下大臣政務官ともども大臣を支えてまいります。どうかよろしく、御指導、御支援のほどをよろしくお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  17. 平野貞夫

  18. 田野瀬良太郎

    衆議院議員田野瀬良太郎君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案趣旨及びその概要を御説明申し上げたいと思います。  本案は、去る一月二十八日、衆議院財務金融委員会において全会一致をもって起草、提出したものでありまして、平成十五年度の水田農業経営確立助成補助金等に係る所得税及び法人税について、軽減措置を講ずるものであります。具体的には、これらの租税の負担の軽減を図るため、同補助金等のうち個人が交付を受けるものについては、これを一時所得収入金額とみなすこと等とし、また、農業生産法人交付を受けるものについては、所定の圧縮記帳特例を認めることといたしております。  なお、本案による国税の減収額は、平成十五年度において約五億円と見込まれますので、本案提出を決定するに際しましては、内閣意見聴取いたしました。  以上が本案提案趣旨とその概要であります。  何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  19. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 以上で本案趣旨説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  平成十五年度の水田農業経営確立助成補助金等についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  20. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  22. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁長官官房審議官米村敏朗君外三名の出席を求め、その説明聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  24. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案議題といたします。  発議者衆議院議員水野賢一君から趣旨説明聴取いたします。水野賢一君。
  25. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表して、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  本法律案は、近年における我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があるときは、閣議決定に基づき対外取引に関する規制発動を可能とすることができるようにするもので、以下その概要を申し上げます。  第一に、この法律の目的において、我が国又は国際社会の平和及び安全の維持観点を明示することとしております。  第二に、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議において、支払等資本取引特定資本取引及び役務取引等について許可を受ける義務を課する措置対外直接投資の内容の変更又は中止を勧告する措置、輸出及び輸入について承認を受ける義務を課する措置を講ずべきことを決定することができることとしております。  第三に、政府は、閣議決定に基づき以上の措置を講じた場合には、当該措置を講じた日から二十日以内に国会に付議して、当該措置を講じたことについて国会承認を求めなければならないこととしております。この場合において、不承認の議決があったときには、政府は速やかに当該措置を終了しなければならないこととしております。  以上が、本法律案趣旨及び内容概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  26. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  27. 平野達男

    平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。  この法案につきましては、先ほどの提案理由説明にもございましたけれども、我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があるときは閣議決定に基づき対外取引に関する規制発動を可能とする、いわゆる経済制裁を可能とする。しかも、その前提として、我が国の平和及び安全の維持という安全保障といった観点が表へ出たという意味において、ある意味で画期的な法律であると思います。  先月の二十九日に衆議院を通過しました後、非常にマスコミでも盛んに取り上げられまして、国民あるいは日本全体、恐らく隣の北朝鮮でも関心が高いとは思うんですが、その関心と、北朝鮮にとっては期待というのはないと思うんですが、国民にとってはある意味での期待というものが高まっているのではないかというふうに思います。  背景には、これは特に法律としては北朝鮮というのを名指ししているものではありませんが、どうもやっぱり北朝鮮を相当意識しているということがありまして、拉致問題でありますとか核開発疑惑でありますとか、いろんなことが言われているわけです。  このまず法案の中身に入ります前に、この法案提出意義ということにつきまして、発議者水野議員、これは与党を代表してという形にしていただきたいんですが、松原議員と、それから財務大臣に今度は評価ということでちょっとお伺いをしたいと思います。
  28. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) 法案提出意義ということでございますけれども、この法案内容というのは、一言で申せば、今委員おっしゃられたことでもございますけれども、経済制裁発動要件というのを緩和をして、我が国単独判断でも必要があれば経済制裁発動できるようにしたということが骨子であるわけでございますが、これはまず意義として言いますと、主権国家として極めて至極当然の規定なわけであります。そうした規定が今までなかったことの方がむしろ不備だったというべきであって、その不備を補い得たということに大きい意義があるというふうに思っております。  また、念頭に置いておりますのは、これは名指しはしておりませんけれども、北朝鮮ということは当然念頭には置いてあるわけでございまして、この北朝鮮に対してよく対話圧力ということが言われるわけですけれども、今まで圧力を掛けようにも掛ける手段というのがなかなかなかった。その部分において、圧力を掛けようと思ったら掛け得るようになったということにおいて、大きい外交カードを手にしたという点においても意義深いものだというふうに考えております。
  29. 松原仁

    衆議院議員松原仁君) 御答弁を申し上げたいと思うわけでありますが、この外為法改正というのは、やっぱり主権を持つ主権国家日本として、従来こういった自主的に判断をして行動するということはなかなか外交上、特に対話圧力という言葉がありますが、その圧力的な部分でできなかったわけでありまして、当然これは主権国家として持つべき権利であると私は認識をしております。そういった意味で、従来の日本外交の流れに対して一つの新しい日本が自主的な外交を行う、自立的な外交を行うターニングポイントになるのではないかというふうに評価はできると思っております。  先ほど委員御指摘のように、これは北朝鮮というものを一つ想定をしての議論になっているわけでありますが、その上では正に外交カードとしてどうしても必要なものではないかというふうに思っております。  北朝鮮問題という点で絡んで言うならば、本来であればこの北朝鮮の特に拉致の問題、四半世紀も置き去りにされてきた問題であります。この拉致問題の解決のためにはそのための特別委員会を作ることが恐らくベストであろうと私は思っておりますけれども、どちらにしてもこういった法案が、法改正ができることによって拉致問題の解決に対して大きな期待を持ち得るだろうと、このように思っております。
  30. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この法律案は、最近の我が国を取り巻きます政治情勢といいますか、外交情勢といいますか、そういうものを見まして、日本の安全と平和、これにとって特に必要があるときは閣議決定をもって経済制裁発動できるとするものでございまして、我が国の取り得る政策の選択肢を広げる手段多様性を持つという意味意味のあるものであると、こう考えております。
  31. 平野達男

    平野達男君 手段選択肢を広げるというお話もございましたけれども、私は先ほど松原発議人が言われたターニングポイントという言葉を非常に重視したいと思います。  今回の法案の場合は、経済制裁、しかもそれを我が国の平和及び安全の維持という、そういった安全保障という観点経済制裁というのをセットで出したという意味において非常に大きな法案だと思います。このターニングポイント、ただのターニングポイントではなくて、これは発動の仕方によっては非常に大きな深刻な事態に陥る。また、逆にそういう発動しなければならない状況に追い込まれた状況がまた深刻な状況だという意味において、非常に緊張感を持ったターニングポイントだなというふうな感じがします。  そこで、この法案につきましては、これは議員立法ということにやられております。これは衆議院の中でも議論でもあったようですけれども、この実は外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案につきましては累次にわたって政府提案の形で改正もなされてきている。その一方で、今回はこれは政府提案ではなくて議員立法でなされたというその背景につきまして、これは与党発議者水野発議者と、それから財務大臣の方にちょっと御見解を伺っておきたいと思います。
  32. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) 政府がなぜ提出をしなかったか、今までの外為法改正というのは毎回政府提出だったのに対して今回政府がなぜ発議者にならなかったのかというのは政府側に聞いていただければと思うんですけれども、ただ、私もこの問題、この議員立法を手掛けるに当たっていろいろ議論をしている中で、政府の中にも、すべてとは言いませんけれども、非常に慎重論のようなものがあったのはこれは事実なわけですね。  例えば、一番典型的な慎重論というのは、こういうような法律というものは北朝鮮刺激をするものだ、刺激をすることは悪いことだというような、そういうような慎重論があったのは事実であります。しかしながら、私はこういうものは必要だというふうに考えておりましたし、党内にも、またほかの公明党さん、民主党さんの中にもそういう志を同じうする者が多くいた。そういう中で、政府がやらないのであれば議員立法という手段があるではないかということで提出をさせていただいたということでございます。
  33. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この法案は、各党の中で北朝鮮に対してどういう対応を取っていくかという御議論の中から選択肢を広げようということでこういう議論になってきたと、そういう経緯から議員提案として発議されたというふうに理解しております。
  34. 平野達男

    平野達男君 慎重論というお話もございました。確かにそのとおりだろうと思います。  ただ、あともう一つは、やっぱり政府全体として日本の安全というものを自分の問題だとして考える土壌というのがまだなかなか出てこなかったんじゃないかというふうなこともあるということをちょっと指摘しておきたいと思います。  さらに、もう一つ言わせていただければ、安全保障の問題になりますと、いつも、例えば防衛庁を呼んだり外務省を呼んだり財務省を呼んだり、いろいろ話ししますと、これはあの省です、これはあの省です、これはあの省ですというふうに事細かく分かれちゃっているんですね。こういった安全保障の問題、だれが主体的に考えているかということについての政府の中でのコンセンサスが今までできてこなかったということもやっぱりこれはあると思うんです。  だから、そういうところも踏まえまして、今回、これ、政府提案になったというのはこれは非常にいいことだと思うんですけれども、失礼しました、議員提案になったということは非常にいいことだと思うんですが、政府部内においても、なぜこれ、こういった法案政府提案の中では出てこなかったのか、その中に縦割り行政の弊害というのはなかったのかということについてはよくチェックする必要があるんじゃないかというふうに思います。  それから、次の質問に移らせていただきますけれども、外為法における対外的な支払い、あるいは資本取引、輸出入などについての規制、これはいわゆる経済制裁ですね。こういった規定がいろいろ設けられております。これについての概要をちょっと御紹介いただきたいんですが。ただ、これについてはどうも経済産業省にわたるとか、何かいろいろあるようですが、もう財務省局長さん、今日、渡辺局長で結構ですので、ちょっと御紹介いただければ有り難いと思います。
  35. 渡辺博史

    政府参考人渡辺博史君) お答え申し上げます。  現行の外為法対外取引を自由に行うというのを基本としておりますけれども、一定の要件に該当する場合においては主務大臣許可を受ける義務を課する、あるいは承認を受ける義務を課するということになっております。  幾つかの類型に分かれますが、例えば支払等につきましては、法律の第十六条におきまして、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき、又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるときなどにおいて主務大臣許可義務を課すことができるというふうに規定をしております。  それから、預金契約等資本取引についても、同法第二十一条におきまして、ほぼ似たような規定許可義務を課すというふうに規定しているところでございます。  それから、輸出あるいは輸入につきましては若干書きぶりが変わっておりますが、例えば輸出につきましては、四十八条におきまして、国際収支の均衡の維持並びに外国貿易及び国民経済の健全な発展に必要な範囲内で経済産業大臣承認義務を課すことができるというふうに規定をしております。  なお、これらの措置を補完する意味もありまして、現金などの紙幣等の支払手段の輸出入につきましては、十九条におきまして、この法律又はこの法律に基づく命令の規定の確実な実施を図るために必要があると認めるときには財務大臣許可義務を課すことができるというふうに規定をしているというところでございます。
  36. 平野達男

    平野達男君 ありがとうございます。  私の理解するところでは、大別して、いわゆる我が国経済の言わば、何というんですか、有事といったものに対しての主体的な対応という意味での規定と、それから、先ほど十六条というふうなことを言いましたけれども、国際的な活動に関しての経済制裁発動、これは協力と言ったらいいのか分かりませんが、こういった二つに分かれると思うんです。  そこで、後半の二つの部分、後半の二つ目の部分なんですが、外為法の例えば十六条ではこれは支払、二十一条ではたしか資本取引でしたか、これに対しての規定がございましたけれども、これは国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めたとき、あるいは我が国が締結した条約の履行だというふうな、こんな形での規定があったと思います。この規定に基づいて実際に経済制裁が今発動されている事例を、これは簡単でいいですから、ちょっと御紹介いただけますか。
  37. 渡辺博史

    政府参考人渡辺博史君) 実例の全体を申し上げますと長くなりますので、類型的に幾つか選んで申し上げますが、まず、「我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき」と、この要件において行いましたのは、例えばクウェートに侵攻した直後のイラクに対するもの、あるいは民間航空機を爆破した直後のリビアに対するものなどが挙げられます。  今申し上げましたものは国を対象にしておりますが、少し違った切り口で、タリバンの関係者あるいはテロリストといった人の特性に着目した措置というのも現在行っているところでございます。  それから、二つ目の要件であります「国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき」と、こういう要件に該当して行っているものといたしましては、コソボ問題におけますユーゴスラビアに対するものというものがございます。
  38. 平野達男

    平野達男君 タリバンとか例のアルカイダ関係とか、それから、あと今回のイラクに関した資産凍結、これは何に基づいていましたっけ。
  39. 渡辺博史

    政府参考人渡辺博史君) 今委員が提示されましたものにつきましては、基本的には安保理においての決議がございまして、それぞれの決議番号に基づきまして対応しているというところでございます。
  40. 平野達男

    平野達男君 外為法規定上は、これはちょっと事務的な話ですけれども、どこで読むんでしたっけ、これは。例外規定でしたっけ。
  41. 渡辺博史

    政府参考人渡辺博史君) 先ほど議員が御指摘になりました十六条のところの「我が国が締結した条約その他の国際約束」、この国際約束の中に国連安保理事会の決議が入ると、したがって、それに基づいてやるということでございます。
  42. 平野達男

    平野達男君 そうしますと、今までの例を見ますと、例えばクウェートにせよ、あるいはリビアにせよ、あるいはいろんなテロ組織にせよ、その指定の対象というのは外から来ているんですね。我が国が主体的にこれをこうだというふうにやっているのじゃなくて、例えば国連の、国連には制裁決定何だか委員会というのがたしかあると思いますが、そこでリストを作って日本の方に送ってくる。タリバン関係についてはこういう人がいます、こういう組織がありますということで、それを受けて日本は、それを官報で公示して資産凍結をすると、こういうことをやっているわけです。どうも、日本では主体的に、例えばこういったテロ組織あるいはいろんな非合法の活動をする、そういった非合法の活動をしそうな人、そういったものを主体的にチェックする仕組みというのが、あるいは視点というのがないんではないかと思うんです。  この点、警察庁にお伺いしますけれども、こういったテロ、このテロの定義というのは非常に難しいんですけれども、現に今その計画をしている、実行犯に及べばこれはもう当然今の公衆等の何とかというあの法律、ちょっと名前が長ったらしいんで、二年前にできた法律がありますけれども、そういったもので処罰ができる形にはなっていますが、その前に至るような、例えばこれはどうも危ない個人じゃないか、危ない団体じゃないかと、そういったものをチェックする仕組み、機能というのは今警察の方では持っておるんでしょうか。
  43. 米村敏朗

    政府参考人(米村敏朗君) お答えいたします。  テロ組織の言わばこれが危ないということで指定をして、その結果何らかの規制を加える、こういう仕組みがあるかと、こういう御趣旨かと、こう思いますが、確かに、アメリカの場合、九六年の反テロ法で外国のテロ組織を指定をいたしまして、例えて言いますと、その代表であるとか構成員について入国拒否をすると、こういう法的な仕組みとしてのテロ組織の指定というのはございます。そういう意味では、我が国にはそういったものはないというふうに承知しております。
  44. 平野達男

    平野達男君 今日は公安の方は来ておりませんから、公安ではどのような動きをされているか分かりませんが、少なくとも警察ではないと、こういうことですね。  今のお話にもありましたように、アメリカでは確かにテロ組織というのを毎年公表するんですね。この中に、例えばジャマー・イスラミアというか、例のジャワ島の自爆テロ、これはアルカイダの関係だとも言われていますけれども、ジャマー・イスラミアだとかヒズボラだとか、いろんな国際的なテロ組織の名前を三十、これは三十個、二十、三十個ぐらいですね、こんなものを並べて、これをちゃんと名指しでしているわけです。もちろん日本とアメリカというのは違いますけれども。いずれ、アメリカはそういった視点を、国家の安全という観点から、独自の要するに動きを追跡するシステムを持っている。  日本は、これは今のところ、これを国連にそれを依存しているということで、それはそれでいいと思います、日本は国連中心主義ですから。だけれども、余りにも国連に依存し過ぎているのじゃないかなという気がいたしています。  今回のこの法案には、我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があるときということで、こういうふうに規定していまして、先ほどから出ておりますように、直接の対象としてはどうも北朝鮮ということになっているわけですが、それ以外に例えばテロ組織とか非合法的な活動をしそうな人というものもここに含み得るというふうに読めるんですが、そういった議論はこの法案の制定の過程の中であったんでしょうか、なかったんでしょうか。
  45. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) 先ほど御答弁いたしましたように、この法案審議するとき、非常に念頭に置かれていたのは北朝鮮という国家の問題なわけであります。しかしながら、委員御承知のとおり、法案そのもので北朝鮮ということに限っているわけではございませんし、特定をしているわけではございませんので、例えばこの法案において新設をされた第十条において対応措置を取るという場合に、これは北朝鮮に限る必要はないわけであって、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときにテロ組織を対象としてそういう十条に基づく措置を講ずるということはあり得ることだというふうに考えて結構だと思います。
  46. 平野達男

    平野達男君 実際に日本でどういう状況でテロ組織というのは活動してくるかなというのは、ちょっと想像し難いところはあります。ただ、法律の中でそういうことが読める、それからまた実際にそういうことも起こり得ると、テロが、テロ組織が日本をねらった活動をしているという状況も想定し得るということであって、そういう場合にはこの法律発動も可能だと、こういう御説明ですね。  しかし、問題点は、先ほどの警察庁の方からの説明もございましたけれども、それを動く仕組みが今、日本にないんですね。このことについてはこの法案の、法律の制定を契機にやっぱりちょっと議論してみる必要があるんじゃないかということを問題提起しておきたいと思います。  そこで、ここからは北朝鮮の話に移っていきたいと思います。  六か国協議、二十五日から再開されるということになりました。この六か国協議、非常に重要な会議になるだろうというふうに言われております。拉致問題、核疑惑の問題、これどういうふうに解決していくかという、それを議論する場であります。この六か国協議に臨む我が国の対処方針ということについて、阿部副大臣の方からちょっと御披瀝お願いしたいと思います。
  47. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) ただいまの御質問でございますが、六か国協議、二十五日から北京で開催されると。大変といいましょうか、努力が実ってそのようなことになったということは大変前進ではないかと思いますが、私どもとしては、今回のこれからの六者協議におきまして、核問題を始めとする諸懸案の解決に向けまして北朝鮮があくまでも責任ある前向きな対応を取ることが大事であるということを強く求めていく考えでございます。  今次会合におきまして議論がどこまで前進するかということは、あらかじめ見通すことはなかなか難しいことでございますけれども、少なくとも北朝鮮の核開発の計画につきましては、いわゆる完全でかつ検証可能で、また不可逆的、要するに後戻りできないという意味でございますが、意味での廃棄を求めるというふうな強い決意と基本原則をもって臨みたいと思っております。  北朝鮮におきましても、今回のリビアも一つの例だと思いますが、あくまでも国際社会における責任ある立場といいましょうか、あるいは誠実な国際社会の一員としての国の在り方ということを求めて、どうか平和的な解決に向けてこの会合が展開されていくことを期待したいと思っております。  私どもとしても、他の参加国と協力をしながら、前回同様建設的な役割を果たしていきたいと、そんな思いで今対応について様々事前の協議を重ねているところでございます。  以上でございます。
  48. 平野達男

    平野達男君 核開発の疑惑につきましてはもう従来からいろんなことを言われていまして、もうプルトニウム十キログラムぐらいは持っているんじゃないかと。十キログラムということになりますと、核爆弾一個作るのに五キログラムで十分というふうに言われていますから、二個ぐらいの原爆の製造できるプルトニウムを持っているということになります。あるいは、濃縮ウランについてはパキスタンからもう技術供与を受けたんじゃないかと。その器具もパキスタンからもらったんじゃないかと。その代わりにミサイルをパキスタンに供与したんじゃないかとか、いろんなことを言われているわけです。  今、阿部副大臣からありましたように、核についてはもう即時放棄、全面放棄、そしてそれを査察可能にするということがこちら側の要求だと思いますけれども、他方、向こうはもう凍結ということでの先延ばしというふうに言われていますね。  あと、一方でもう一つ我が国にとっては非常に重要な問題は、拉致問題というのがあります。拉致問題というのは我が国と多分恐らく韓国にも共通すると思うんですが、これらをやっぱりセットで解決してもらわなくちゃならないというのが我が国のスタンスだと思うんですが、これについてはこういう理解でよろしいですね。
  49. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) 今回のこれからの六か国協議の場では、私どもとしては、日本政府にとりましては拉致問題というのはもう非常に極めて重要な柱だというふうな考え方で臨んでいくつもりでございます。北朝鮮に対しましては日朝政府間の協議にもっと積極的に応ずるようということで働き掛けていくつもりでございます。  この問題につきましては、他の私どもと認識を同じくする国々におきましても拉致問題についてそうした理解を持っていただいていると思っておりますが、ただ、どうしても六か国共通の議題というのをまず解決しましょうということになりますと、まず核問題ということが頭に、最初に出てくるんだと思いますけれども、私どもの立場としては、それと同等以上の重みを持った問題として提起をして、解決に前進も図れるように努力したいと、こんなふうな考えでございます。  そんなことで、この問題というのはあらかじめ予測的に何をどうするということになかなかいかないのが率直なところでございまして、その場でなってみないと分からないといいましょうか、ということもあることも十分念頭に置きまして、揺るがない立場で対応を考えていきたいと思っております。
  50. 平野達男

    平野達男君 ここは財政金融委員会ですから、この問題について余り議論をするのは必ずしも適切ではないかと思いますが、一点だけちょっと述べさせていただきたいというふうに思います。  今、阿部副大臣の後半の部分の答弁がやっぱり私も気になるんです。特に、アメリカは国家、自分の、自国のことを考えたら、何といってもプルトニウムの拡散、あるいは核施設の、核兵器の拡散、あるいは核開発施設の拡散、これが一番気になるわけです。北朝鮮はそれを知っているわけですから、それを譲歩する代わりに例えば拉致問題については大目に見てくれよとか、そういった駆け引きに使われる可能性があるわけですね。こういったものに対しては日本はやっぱり毅然とした態度を取らなくちゃならない。  それからあと、北朝鮮は、今イラクでどんどん、アメリカも非常につまずいています。本当はアメリカはイラクの問題はもう早く解決して、次イラン、北朝鮮というようなシナリオを描いていたかどうかは知りませんが、そういったことを言う方もいます。今イラクで、今そういう中で、つまずいている中で、北朝鮮も足下を見る可能性もあるということを指摘されている。  いろんな困難な中での状況なんですけれども、これは何としても解決の道筋をちょっと付けていただきたいということのこれは要望でありまして、これは私だけじゃなくて国民全部のお願い、希望であるというふうに思います。  そこで、二十五日に六か国協議が始まりまして、対話圧力、その対話がずっと始まるわけです。これはもう成功してくれれば問題ないわけですが、もしこれが駄目だった場合にはどうなるか。そこでこの法律がいよいよもって脚光を浴びてくると思うんです。その法律につきましては、実は制定した段階でそれなりの効果があるという評価もございますけれども、この中身に入ります前に、松原発議人と阿部外務大臣に、実はこれ制定しただけでそれなりの効果があったんじゃないかという評価がございますけれども、それに対する御認識をちょっと、簡単で結構でございますから伺っておきたいと思います。
  51. 松原仁

    衆議院議員松原仁君) 北朝鮮にとって日本というのは貿易の上でも極めて大きなパートを占める、国際的な中で日本は三番目ぐらいの貿易規模を持っているわけであります。その日本がそういったものに対しての規制をできる、新しく独自にそれを閣議で決めて発議して可能にするという法案を作ったということは、北朝鮮に対しては大変強いメッセージであるというふうに私は認識をしております。  昨年十二月に実は非公式に北京で北朝鮮政府高官と接触をしてきたわけでありますが、彼らのそのときの議論、雰囲気、そういったものを総合的に勘案しても、正にこの外為法改正というのは北朝鮮に対して拉致問題を含む様々な諸問題を解決する上での外交カードとして極めて有効であるということを認識しておりまして、まず作ったということが彼らにとっては大変なメッセージで、これに対して彼らがどのような誠意あるというか、対応を示すのかというところが一つの大きな今回法改正そのものの価値であろうというふうに思っております。
  52. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) なかなか言葉であれこれ言われてもあれなんでございますが、私どもとしては、これは可能な限り平和的な対応で解決することを目指すのが第一だというふうに思っておりますし、そういう意味での六か国会合と大変重視しております。  ただし、今回のように、特に法律が制定、改正され、議員立法改正されるということは、言わば民意を代表する立法府での一つ判断というふうなことで、相当重みを持った法改正であろうというふうに思っておりますので、そんなことも踏まえまして、今すぐ経済制裁発動するような時期ではないとは思いながらも、対話圧力という意味で重要な選択肢がそこに提供されるということになるのではないかというふうな意味で、大変重く受け止めて、これからの折衝に臨みたいと、こんなふうに思っております。
  53. 平野達男

    平野達男君 後でもちょっとお話ししますけれども、制定をして、制定したこと自体に非常に意味があるということは私も賛成です。ただ、制定して、例えば六か国協議が破綻、失敗しましたと、そして新たな事態は悪い方向です、残念なことに発展しましたという状況になったときに、なおかつこの法案発動しなければ逆に足下見られますからね。そういうことも考えなくちゃならないわけです。  つまり、これ作って、財務大臣が、これ一つの政策の選択肢と言いますけれども、これを発動するという覚悟を決めなくちゃならないと思うんです。するというつもりを常に持っておかないかぬと思います。しかも、この発動の問題は普通の一般の政策のものとは違うんです。後でリアクションという問題もちょっと議論しなくちゃなりませんけれども、やれば何か返ってくるかもしれないという意味においては非常に慎重にならなくちゃならないし、それなりに覚悟もならなくちゃならないということだろうと思うんです。  そこで、その議論はちょっとここで、今ここでいったんおかせていただきますけれども、発動するときの要件、これは日本主権発動で勝手に発動する、じゃない、主権発動で、主権発動としてこの経済制裁発動するんだというのはいいんですけれども、これはやっぱり国際的にきっちり分かるようなものになっていかなくちゃならないと、これはこのとおりだろうと思うんです。  この発動要件の考え方につきまして、これは発議人として、与党の方から上田発議人、それから松原発議人、それから外務省ではどのようなことを考えているか、ちょっとこれは、これもう簡単で結構でございます、時間の関係ございますので、ちょっと御披瀝願いたいと思います。
  54. 上田勇

    衆議院議員(上田勇君) お答えいたします。  その要件につきましては法案に書いてあるとおりの言葉なんですけれども、具体的には、やはり今六か国協議通じましてこの北朝鮮問題、関係国が何とか平和的に解決しようということで取り組んでいるところでありまして、今、政府の方からも今直ちに経済制裁発動するというような環境ではないというようなお話もございました。  ただ、今後、こうした協議が悪化する、あるいは今この協議の中で懸案となっている拉致問題を始めとする様々な課題に先方が、北朝鮮が誠意ある対応を見せないというような場合であるとか、そういったことがこれから発動要件になってくるんだろうというふうに考えております。  ただ、今委員からもお話があったんですが、ただこれはむやみやたらにいつでも発動できるというものではありません。今六か国の、関係国の協議をしているところでありますので、そういった国々とも意見の調整をすること、それから様々な国際法や慣例なども尊重した上で政府が適切に判断するものだというふうに我々としては期待しているところであります。
  55. 松原仁

    衆議院議員松原仁君) この発動を具体的にどのタイミングでするかということ、問い合わせでありますが、基本的には内閣判断をすることであります。  この日本の国の安全と平和が脅かされたときをどのように判断するかということでありますが、例えば従来の不審船が日本近海に出没したり、また様々な拉致事件が行われている状況、またノドン、テポドンが飛んできた状況、そうしてまた核の疑惑が極めてその蓋然性が高く見られる状況というものがあれば、私は当然これは発動をする、それが条件だろうと、日本の平和と安全を守るために発動する条件だろうと思っております。  そういった意味では、既に今言ったことを含め、また四半世紀にわたって拉致問題が未解決のまま残っていて、そして更にそのことについて日本側からの問い合わせに対してなかなか誠意ある回答が見られていない状況の中において、私個人としては、この法案ができて、彼らがそのことによって、法案ができたことによって、この拉致問題等に対して積極的に前向きに誠意ある行動をしなければ、私はすぐに発動するべきではないかと個人的に思っておりますが、あくまでもこれは内閣判断することであります。
  56. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) 正に対話圧力ということの表現で旧来言ってきたんでございますが、今回、二十五日に正にまず対話の方の会合が開かれようとしておりますので、今の時点でこういったふうなことをあらかじめ予想してあれこれ事例を挙げて申し上げることは、むしろ適当ではないんじゃないかなというふうに思っております。  私どもとしては、強い言わば力を持った選択肢をちょうだいできることになるのかなと、そんなふうなことで考えたいと思っておりますし、一般論として言えば、事態の進展がままならない、あるいは更に事態が悪化するというようなときは、少なくともそんなふうなことも考えられるのではないかなと、こんなふうに思っております。  いずれにいたしましても、六か国会合をまず行って、その上で状況をよく見極めながら対応を考えていくというのが今の段階では申し上げられる私どもの考え方だということになろうかと思います。
  57. 平野達男

    平野達男君 いずれこの法律通った場合に、発動しなければ一番いいというのは、もうそのとおりであります。しかし、不幸にして発動しなければならないような状況になった場合、これ発動するということがあった場合に、実はその効果がどうかということについてはいろんな議論があります。例えば、支払等の停止については、第三国経由で経由したら何にもならないんじゃないかとか、いろんなことが言われています。  しかし、そうはいっても、一度発動したら日本としてやることはしっかりやらなくちゃならない。例えば、現金の持ち出しについては、これは義務制になりますから、これをしっかりチェックする体制を作らなくちゃならない。資産凍結するなら預金封鎖をしっかりやらなくちゃならない。輸出入を停止するならちゃんとそれも監視しなくちゃならない。これは相当な、国家を挙げての、国を挙げての体制作りしなくちゃならないんです。  ところが、残念ながら、今回の法律ではそれは、そういったことがどこで用意されているかというのがまだちょっとよく見えない。見えないと同時に、こういうものができた場合に、政府が、ではどういう覚悟を持って、あるいはどういう体制でもってこの発動された場合の体制を組むか、どういうことを考えておるのか。  これは財務大臣に聞くのは妥当かどうかは分かりませんが、例えば支払、輸出入といったらこれは経済産業大臣なんですか、よく分かりませんが。そういったものに対しての政府全体の考え方としての覚悟の度合い、体制整備、これに向けた覚悟というのを今どのように持っているか、ちょっとお聞かせいただけますか。
  58. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) この法律ができましたときに、発動するに当たってはやはりそれなりの覚悟と、そして覚悟の前には多分準備が必要だという御趣旨だろうと思いますが、私もそのとおりだというふうに思っております。  現在どうしているかということになりますと、税関では、北朝鮮に係る輸出入貨物のすべてについて慎重な審査を行いながら、必要な場合には開披、開けるですね、開披検査、あるいはエックス線検査などを行うといったような厳重な審査、検査を実施しているところでございますし、また北朝鮮向けに出国する旅客の携帯品についても同様に厳重な取締りを実施している。これは現在の体制でございます。  いずれにせよ、この法案ができましたら、立法の趣旨、それから外交的な観点を踏まえながら適正に運用していくということに努めたいと思っております。
  59. 平野達男

    平野達男君 発動した場合の、これは今北朝鮮の話をしていますから、北朝鮮のリアクションということについてちょっと質問したいと思いますが、衆議院財務委員会で、これは民主党の中塚議員が、発動した場合には北朝鮮がこれを宣戦布告とみなすというようなことを言っているんだけれども、これに対してどう思いますかという質問をしたところ、逢沢副大臣は、これはちょっと途中はしょりますけれども、このように答えています。経済制裁は必ずしも軍事行動の一歩手前であるというふうな指摘は当たらないというふうに言っています。これは一般論で、このとおりなのかもしれません。で、水野議員は、これはかなり実は彼らの身勝手な言い分でございまして、非常に不当な金正日政権の言い分だというふうに思いますというふうに言っておられるんです。  これはこれでも分かるんです。しかし、我々が相手にするというのは、実は身勝手な国を相手にするわけですね。そういう身勝手な国を相手にしてこういうものを発動するということについては、私、繰り返して申し上げておきますけれども、相当の覚悟が要ると。もちろん、向こうは何もしてこないというのはいいんですよ。いいんですが、何をするか分からない国に対してそういう経済制裁発動するんだから、何をしてくるか分からないと。そういう意識の中でこれを考えないと、これは大変なことになると思うんです。  だから、私は冒頭から言っているように、選択肢の、一つの選択のツールが増えたとか、そんな単純なものじゃないと思うんです。これは非常に重い選択肢です。  どうも財務大臣のいろんな答弁を聞いていても、政策の一つ選択肢が増えたとか、小泉総理もそういうふうに言っているんです。これはそんな軽い法律じゃないですよ、これは。  私は、今までのずっと議論を聞いていますと、特例を作ればいいんだというふうにしか聞こえないんですよ、これ。だけれども、作ったこと自体はこれ非常に重いし、いったん作ったらこれ発動するという、我々としてはそれをしようという覚悟を持たなくちゃ駄目なんです。そういった意味においては非常に軽い雰囲気がありまして、一体これは何だという感じを私、個人的には非常に強く持っていました。  相手はだれに、だれが相手にしているんだということに対しての危機意識も足りない、そういうことをちょっと強く申し上げておきたいと思うんですが、これに対して水野発議人、大変ちょっと私の、ちょっと強いことを申し上げましたけれども、御見解と、それから松原発議人、それからやっぱりこれは阿部副大臣、それからやっぱり財務大臣にもお聞きしたいですね。簡単で結構でございます。
  60. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) まず、この法律発動されるというのは、我が国の平和と安全の維持のためにプラスだというときに発動をするということがまず大前提としてあるということは申し上げておかなければいけないというふうに思います。  ただ、さはさりながら、相手はこれまでも無法行為を盛んに行ってきた国であり、今も行っているような国だから、それに対しては何をするか分からないというような委員の御指摘というのは、これは十分理解できるところでございまして、脅しに屈してはならないにしても、それに対して政府として、これは例えば外務省とかのみならず、警察とか、いろいろな部門も含めて、政府としてそれに対して発動するときに、総合的な危機管理的な対応というものを慎重に考えなきゃいけない、これは当然のことだというふうに考えております。
  61. 松原仁

    衆議院議員松原仁君) 北朝鮮との交渉において、やはり非常に脅しを使ってくる国であります。ですから、その脅しに乗ってはいけないというふうな思いを持っている中において、しかし、委員おっしゃるように、相手は何をするか分からないという部分もありますので、それに関してはやはりいわゆる外為法改正自体が、先ほど委員の御指摘のように、他のテロリスト集団とか、そういったものを将来的に想定されることも含めるならば、これに対して決断するときには決断をする内閣がしかるべき措置をするようにするべきだと、このように思っております。
  62. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) 先ほどちょっと申し上げましたけれども、やはり、今回のこの法律改正はただ一般的な選択肢手段を加えたというふうなことかもしれませんけれども、一方で、やはり民意を代表する立法府の共通の、大多数の方々の共通の認識の下に法律改正が行われ、対応措置が準備されるということについては重く受け止めて対応すべきものではないかと。もちろん、発動する場合には様々な状況を考えなきゃいけませんけれども、相当な覚悟と準備というのは、先ほど財務大臣が言われたとおり、なけりゃいけませんけれども、軽々にといいましょうか、軽く考える気持ちはありません。  なお、衆議院における逢沢副大臣発言でございますが、極めて一般的な場面で申し上げたと理解しておりますので、そういったふうな直接の場面での想定したものではなかったというふうに御理解願えれば有り難いな、こんなふうに思っております。
  63. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 平野委員がおっしゃいましたように、この法律ができて、そしてさて発動するかしないかということになると、これは大変軽々しい問題ではないんだという御指摘は私も全くそのとおりだというふうに思います。  成立をいたしますと、この法律を扱う責任者は私でございますから、十分いろんなことを慎重に考え、また準備も必要だろうというふうに思いますので、私としてはそういうふうに幅広く考えて、慎重に決断をしてこの運用をするということだけを申し上げまして、バイシュピールみたいなことをいろいろ申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  64. 平野達男

    平野達男君 ブラフだけなら何てことないんです。ブラフだけじゃなくて、本当にテロ活動を誘発するかもしれないという、そういう心構えを持ちながら、その体制整備も必要だということをちょっと、発動した場合にはですね、ちょっと指摘をしておきたいと思います。  そこで、今回は、要するに外為法改正の中で、いわゆる内閣が国の安全、平和の維持に支障がある場合には経済制裁発動するという規定を入れております。まあ個別法での対応ということになっているわけですが、実はそういったものの対応、一つは、内閣がこういう個別法の中で、それで十分に対応するんだろうかという、ちょっとやや抽象的な言い方で申し訳ないんですが、ちょっと危惧があります。  それから、発動する場合に、いろんな発動した場合に、いろんな、経済制裁にせよ何にせよ、いろんな影響が出てきて、先ほど言った、例えば向こうが何するか分からない、その準備をしなくちゃならないというようなこともあって、あらゆる政策連携というんですか、あらゆることを想定としたいろんな措置発動しなくちゃならない。  そういった意味では、これは、私、旧自由党に属しているんですけれども、自由党がずっと言っていたんですが、こういった、これは非常事態とまではいきませんけれども、準非常事態、こういったものにつきましては基本法というものを一本どかっと据えておきまして、内閣はこういったものに対して常にウオッチしておきますと。あった場合についてはこういう措置で、こういった基本的な方向で動きますというような基本法をやっぱりどうしても一つ必要なんじゃないかと思うんです。  実は、この外為法以外に特定船舶入港禁止法とかという、まあこれも個別法を今これ検討されているようですが、これどうなるか分かりません。そういった個別法を仮に出すにしても、頭に一本基本法というものがあって、内閣がこういったものについては常にウオッチしているんだと。あった場合にはこう動きます、それから発動したことによる影響についてはこう回避していきます、そういったものの基本法をやっぱりどうしても欲しいんじゃないかなということを今回の外為法改正に基づきまして改めて感じました。  これについての必要性ということについて、発議者お三方の御見解をお伺いしまして、時間になりましたので私の質問に代えさせていただきたいと思います。
  65. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) そういう非常事態に対処するための基本法ということを各党いろいろとこれまで提言をしてきて、例えば、今おっしゃられた旧自由党さんもそういうようなものを提言をされた。また、名称はちょっと違いますけれども、民主党さんも、緊急事態に関する基本法ですか、そういうようなものを提示されたということは承知をしておりますし、こういうようなものに対する基本的な法制が必要であるという認識においては政府も含めて各党共有していると思いますので、今後各党間において真摯な検討を進めていく必要があると思っております。
  66. 松原仁

    衆議院議員松原仁君) 委員御指摘のそういった基本法、極めて重要だろうというふうに思っております。名称は緊急事態に係る基本的な法制ということで、昨年の五月十三日には四党間で真摯な協議をするということも確認をされておりまして、こういった議論の積み上げをして、正に危機管理体制を、先ほどおっしゃったように、本当にブラフがブラフではないこともあり得るわけでありますので、そういったことも含め、それを全体包括するような法体系を作り、そして意識を作るということは大事だと思っております。
  67. 上田勇

    衆議院議員(上田勇君) 既に、かつて民主党さんの方からも緊急事態の対処及びその防止に対する基本法の要綱、あるいは自由党さんからも同じような趣旨を盛ったものが既に提出をされております。そうしたものについて、有事法制、武力攻撃事態に対処するための法律を論議したときに、もう与野党間で今後真摯に検討していくということで合意をされているところでございまして、そうした基本法の制定、その必要性について我々も十分認識をしているものでございます。  ただ、今のお話をさせていただきまして、それぞれまだ内容については必ずしも一致しているものではございませんので、これから政党間でそうしたことをしっかりと協議をしていければというふうに期待をしているところでございます。
  68. 池田幹幸

    池田幹幸君 日本共産党の池田でございます。  最初に財務大臣に伺いたいと思うんですが、この外為法改正案は日本単独で経済制裁ができるようにしようと、そういうものなんですね。現行の外為法は九七年に改正されました。そのときの改正は、経済制裁を科すには条約その他の国際約束が必要だというふうにされていたのを、国際平和のための国際的な努力に寄与するために必要な場合と、この適用条件が拡大されたわけです。しかし、いずれにしても、拡大したものの、我が国単独では行わないということについては変わらなかったわけですね。考え方は変わっていません。こういう考え方が取られてきたその理由はどうだったのかということについて伺いたいと思います。
  69. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今おっしゃった、千九百何年とおっしゃいましたか、平成九年に外為法改正を行っておりますが、その前に昭和五十四年にも外為法改正を行っておりまして、そのときは、昭和五十四年以前は対外取引はそれまで原則禁止という形だったのを、原則自由というふうにこれは大転換をしたわけでありますが、そのときに、十六条で、主務大臣は、支払等について、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるときは許可を受ける義務を課することができるという規定を新たに作りまして、支払等に対する制限を課す場合の要件を明確にした、これが昭和五十四年でございます。  その後、平成九年の改正で、平成二年のイラク・サダム・フセインのクウェート侵攻の際に、当時の外為法規定では法的拘束力のある国連安保理決議の成立まで制裁が発動できなかった。それで、その点支障があったということを踏まえまして、我が国が国際的責務を的確に果たすためには、国際情勢に対応して経済制裁などを機動的かつ効果的に実施し得るメカニズムの確保が必要であると、こういう観点から、支払等について制限を課す場合の要件について、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するために特に必要があると認めるときとの要件を新たに加えることにしたという形で流れが少しずつできてきていると、こういうことではないかと思います。
  70. 池田幹幸

    池田幹幸君 いずれにしても、単独でやるといった状況については、これは取らないという態度を取ってこられたわけですね。  昨夜以来、私、外務省にいろいろお願いして調べていただいたんですが、アメリカの場合は別として、今EU諸国等について見てみますと、ちょっと答弁していただいてもいいんですが、長くなりますと時間がないものですから。昨夜教えていただいたやつを私の方から話したいと思うんですけれども、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、いずれにしましても、それぞれEUが設立するまでには単独で経済制裁をやるというようなことを持っている、法律を持っている国もあったけれども、今EU設立と同時に、そういった単独でやるということは、もうそういった措置を取ることはない、EUの取決めに従った形でやるんだというふうに変わってきている。流れというのはそういう方向に来ているんだろうなというふうに私は理解しておるんですが、先ほど来話がありました今度の法改正は、明確に北朝鮮の核問題や拉致問題といった問題に対応するということを念頭に置いたものとして出されてきておるわけですね。それはそのとおりだと思います。  そこで、北朝鮮の、北朝鮮による拉致問題、これは日本国民にとって人権と安全を脅かす本当に非常に重大な国際的な犯罪であります。私たち日本共産党は、二〇〇二年の九月に日米首脳会談でこの問題の一部が明らかになったときに厳しく抗議して、真相の全面的な解明、それから責任者への厳正な処罰と補償を要求してまいりました。また、その後帰国した五人の拉致被害者の家族の帰国について北朝鮮側に誠意を持って対処するよう求めてまいりました。  この北朝鮮という国は、御承知のように、先ほど来も話がありましたラングーンにおける爆破テロ事件、それから大韓航空機爆破事件、ともかくいろいろの国際的無法な行為を重ねてきた国です。拉致問題もその一つなんですね。したがって、この拉致問題は日本北朝鮮の間の問題ではありますけれども、そういった意味で国際犯罪、国際的な性格を持つ問題なわけですね。だからこそ日本政府もこの拉致問題を、核問題を中心として論議しております六か国協議、ここに提起して各国の理解と協力を求めてきたんだと思うんです。そういうふうに私理解しておるわけですけれども、外務省にその点について確認願いたいと思います。
  71. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  今委員御指摘のとおり、この拉致問題、この解決というのは大変日本政府にとって重要な課題であると、最重要課題一つというふうに考えてございます。これは、当然のことながら、日朝の間で話し合って、それで解決をするというのが当然でございますけれども、同時に各国の理解も得なければいけない、各国の支持も得なければいけないということでございます。  それは、六か国協議というのがございます。そこの場でも我々としてはこの問題の解決の重要性ということを指摘しておりますし、それに当たってはそこに参加するすべての国々も、アメリカは当然でございます、アメリカは非常に強い理解と支持をしてくれておりますけれども、韓国、そして中国、ロシアとの間でもこの問題について、なぜ我々はこれを重要な問題と考えているのか、そしてこれが解決するということが全体にとっても非常に重要なことであるということについての理解と支持を求めると。また、その他国際的にいろんな国々にも働き掛けまして、この問題が解決することの重要性というのを訴え掛けてきておりまして、この努力は引き続き一生懸命続けていきたいというふうに思っております。
  72. 池田幹幸

    池田幹幸君 昨年八月、北京で行われました六か国協議では、参加国の一致した点として六項目にまとめられております。この六項目については衆議院でも論議されておりますけれども、改めて確認したいんですが、日本政府もこれを支持して同意されたわけですね。
  73. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) この六項目といいますのは、王毅中国の外交部の副部長が会議の総括という形で行った六項目のことでございますけれども、これにつきましては当然会議の全体の総括ということでございまして、日本としてもそれについては同意してございます。
  74. 池田幹幸

    池田幹幸君 六項目、いろいろあるんですけれども、私、注目しているのは第四項目なんですが、「六者会合の参加者は、平和的解決のプロセスの中で、状況を悪化させる行動を取らないこと」というのが入っているわけです。こういったものも念頭に置きつつ提案者にお伺いしたいんですけれども、提案者の方々も当然のことながらこの六項目については支持されると思うんですが、いかがでしょうか。
  75. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) 六項目、六者協議の政府の六項目のことについては、基本的なところで支持はしますけれども、この法案というものは今おっしゃられたような部分も含めて何らその精神に反するものではないと思っております。
  76. 池田幹幸

    池田幹幸君 今の四項についてのことなんですけれども、これは非常に私は重要なことを言っておると思うんです。  今提案者が御答弁されたように、提案者の方々はこの六項目のうちの第四項に触れるものじゃない、抵触するものじゃないというお考えのようです。つまり、単独で経済制裁できるようにするということが拉致問題の解決にむしろ寄与するんだと、有利に働くんだというふうに考えておられるということだと思います。だからこそ本法案提出されたわけなんですけれども、しかし、一般論として考えてみて、単独で経済制裁を実施することはもとより、単独の経済制裁の枠組みを作ること、この法案のように枠組みを作ること自体が、状況によっては問題解決を促すのではなく、逆に阻害することになる、そういうこともあるということをお考えいただきたいと思うんですね。  そして、これについて、私、自民党の機関誌「自由民主」一月号「論壇」を読ませていただきました。ここで次のようなことが論じられているんですね。「まず、我が国が単独で経済制裁発動するための枠組みを整える現下の動きは、「六か国協議」を通じて北朝鮮との対話の枠組みが築かれ始めている現状では、時宜を得ないものになる可能性がある。」ですね。また、「制裁の枠組みを整えること自体は、今では、北朝鮮政府に対しては敵対的な印象を与えることになろうし、「六か国協議」の機運に水を差さないとも限らない。」と。正に「自由民主」の中でこういうことを論じておられるわけですが、そういたしますと、このような法案提出したこと自体私は矛盾しているんだろうと思うんです。  自民党の提案者にそこで伺いますが、単独経済制裁の枠組みを作ること自体が、今度の六者会合の参加者は平和的解決のプロセスの中で状況を悪化させる行動を取らないことという、この第四項目にやはり反することになるんじゃないのか。先ほど簡単にお答えになりましたけれども、今度の問題は枠組みを作ること自体がそういう重要な重みを持つんだというふうに考えるべきだと思うんですが、いかがでしょう。
  77. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) 自由民主党は正に自由で民主的な政党でございますから、その機関誌の中でいろんな議論はあると思うんですけれども、しかしながら、これは、まず申し上げたいのは、制裁が明日から発動されるわけではない。枠組みを作るということでございますけれども、例えば、それはむしろこういう枠組みがなくて、ない場合に、じゃ、日本の資金とか日本の技術とか日本の部品とか、そういうようなものによって北朝鮮が核を開発するとかミサイルを開発するということが自由気ままにできるようになっているということが許されてしまうわけですね。そういうことの方がよっぽど状況を悪化させるということになるんではないかというふうに私は考えているんです。  また、あえて言うならば、例えば、北朝鮮に対してただ単に善意だけで臨めば善意でこたえる相手ではないということは、これは歴史が証明していることでございますし、我々の法案というものは決して国際的な努力というものと相矛盾するものでも全くないというふうに考えております。
  78. 池田幹幸

    池田幹幸君 自由民主党の中にいろいろな意見がある、それはそれでいいんですけれども、機関誌、政党の機関誌の中の「論壇」で論じておられますから、わざわざ私紹介したんですけれども、やはりそういった慎重な意見も自由民主党の中にあることは私いいことだと思うんですよ。そういったことについて大いに検討すべきだろうというふうに思います。  いま一つは、やはりまた一方では自由民主党の中にもっと危険な動きもあるということについては、最近の新聞を読ませていただきますと、これは安倍幹事長が、北朝鮮の脅しに屈してはならない、法案を通して六か国協議が延びるならそれもやむを得ないとまで言っている。これは、私、非常に危険な考え方で、先ほど来提案者の話を伺っていると、提案者はそこまで考えておられるとは私は思いませんけれども、しかし、正に自由民主党が自由な論議をしていていいんだとおっしゃる、その論議がこんなところにまで来ているんだということも私は重視しなければならないというふうに思っております。  そして、時間がなくなりましたが、拉致問題は日本北朝鮮の間の問題です。これは間違いありません。と同時に、これは、先ほど申し上げましたように、国際的犯罪として厳しく処断していかなければならない非常に重要な国際問題でもあるわけですね。北朝鮮日本との間で拉致問題について責任を持って解決すること、このことはそうして見ますと国際的な無法行為を清算するという点で大きな一歩を踏み出すことになるわけです。したがって、それが北東アジアの安定と平和の確立にも重要な貢献になるだろうというふうに思います。だからこそ日本政府北朝鮮の核問題の解決を図るこの六か国協議に拉致問題を提起した、そして各国の理解と協力を求めてきたんだと思うんです。  この立場を確固として貫いて、六か国協議の成功に努力することは、これは日本の国際的な責任でもあると思うんです。このことは、国際的責任を果たしつつ、かつまた日本国民の重大な問題になっております拉致問題の解決にも寄与することになるんです。解決を図っていくことにもなるわけで、そういう方向を取るべきだろうと思うんですね。  その意味で、この法案は、私は、どう見てもこの第四項、六者会合の参加者は平和的解決のプロセスの中で状況を悪化させる行動を取らないこと、状況を悪化させる行動を取らないことという、この第四項にやはり反することになると思うんです。これはやっぱり、そういった意味で、その枠組みを作ること自身が良くないことだと考えるわけです。  したがって、私たち日本共産党はこの法案に反対するということを表明して、質問を終わります。
  79. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  80. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成十四年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案及び農業共済保険特別会計農業勘定における平成十五年度の再保険金支払財源の不足に充てるために行う積立金歳入への繰入れに関する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府政策統括官尾見博武君外十名の出席を求め、その説明聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  82. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 平成十四年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案及び農業共済保険特別会計農業勘定における平成十五年度の再保険金支払財源の不足に充てるために行う積立金歳入への繰入れに関する法律案の両案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明聴取いたします。谷垣財務大臣
  83. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ただいま議題となりました平成十四年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案及び農業共済保険特別会計農業勘定における平成十五年度の再保険金支払財源の不足に充てるために行う積立金歳入への繰入れに関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成十四年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  今般、平成十五年度補正予算(第1号、特第1号及び機第1号)を提出し、御審議お願いしておりますが、国債の発行を極力抑制するとの観点から、平成十四年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理についての特例を定める必要があり、本法律案提出した次第であります。  財政法第六条第一項においては、各年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債又は借入金の償還財源に充てなければならないこととされておりますが、平成十四年度の剰余金については、この規定は適用しないこととしております。  次に、農業共済保険特別会計農業勘定における平成十五年度の再保険金支払財源の不足に充てるために行う積立金歳入への繰入れに関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成十五年度におきまして、低温等による水稲、大豆等の被害が異常に発生したことに伴い、農業共済保険特別会計農業勘定の再保険金の支払が著しく増大するため、同勘定の再保険金支払財源に不足が生ずる見込みであります。  本法律案は、農業勘定の再保険金支払財源の不足に充てるため、平成十五年度において、同勘定における積立金を同勘定の歳入に繰り入れることができることとするものであります。  以上が、ただいま議題となりました二法案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  84. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) 以上で両案の趣旨説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  85. 山根隆治

    山根隆治君 まず、剰余金の処理の特例に関する法律案からお尋ねをいたしておきたいと思います。  今大臣から御説明がございましたように、本法案は、歳入歳出の決算上の剰余金のうち二分の一を下らない金額について公債又は借入金の償還財源に充てなければならない、これの例外的な措置ということにその法律の目的があるわけでございますけれども、この中の、まず法文の解釈として、二分の一を下らないという表現、二分の一以上としていないということで昨今の法文との違和感を感じざるを得ませんが、これの背景についてはどのように考えるのか。  そして、第二点といたしましては、昭和二十二年の四月から施行されて今日まで、この特例措置という、除外措置というものは何度行われてきたのか、お尋ねをいたします。
  86. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 先生御指摘のように、財政法六条は、各会計年度におきまして歳入歳出の決算の剰余金、純剰余金を生じた場合には、その二分の一を下らない金額を剰余金の生じた翌々年度までに公債又は借入金の償還に充てると、こういう規定を定めているところでございます。  現行の規定は、戦前、国債整理基金特別会計法という法律がございまして、この法律におきまして剰余金の四分の一を下らざる金額を償還財源に充てることとされておりましたが、昭和二十二年の財政法の立法に当たりまして、公債の償還を確保するという趣旨から、財政法で剰余金の二分の一を下らない金額を償還財源に充てることとしたものでございます。すなわち、公債借入金の償還をより確実ならしめるという立法趣旨から、戦前の国債整理基金法の四分の一を下らざる金額というのを、その二分の一を下らない金額を充てるというふうに、より充実したというふうに考えております。  それから、財政法六条、剰余金の処理状況でございますが、私ども手元にございます資料、平成になってからでございますが、平成で申しますと、二年、三年、六年、七年、八年、十年、十一年、十二年と剰余金が発生しておりますが、六年におきましては剰余金の処理の特例等に関する法律、十一年におきましても剰余金の処理の特例に関する法律、それから十二年、これにつきましても剰余金特例の処理に関する法律、こういう法律を出させていただきまして、特例的な扱いをお願いしておるところでございます。
  87. 山根隆治

    山根隆治君 ちょっと、端的にお尋ねをしておりますので、短めにひとつ答弁をお願いしたいと思います。つまり、下らないという表現、二分の一以上ということとの違いがあるので、それが何か特別な意味があったのかということを伺ったわけですが、お答えいただいていません。  それからもう一つ、例外措置ということでの御答弁ございましたけれども、しかし、これだけのやはり例外的な措置特例という形で取ってきたということについては、むしろこの六条の一項の規定については非常にもう常態化しているということ、例外措置になっているのではないかというふうに私も考えざるを得ないわけでございまして、特例という、特例法という法律によって一方の財政法を否定するというか、特別な措置を取るということで、私は、財政法そのものの国民の畏敬の念というか、遵法精神というか、法律を尊重していこう、そういうような意識というものがこれで阻害されはしないかという思いを持つわけでございますけれども、大臣の見解を聞かせてください。
  88. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 財政法六条は、今主計局次長が御説明いたしましたように、公債の償還を確実ならしめるということで設けられた規定でございますから、現在でもこれだけ国債を発行しておりますときに、どうして公債の償還を確実にしていくかという意味で、現在においても我々これを基本として、これを念頭からなくしてしまうなんということはやっぱり私はいけないのではないかと思います。  しかし、さはさりながら、今これだけ多数の国債を、多額の国債を発行せざるを残念ながら得ない状況でございます。それで、本則どおりやりますと、細かなところでは差はございますけれども、結局、そこに組み入れて、また公債を発行してという形にならざるを得ない。これは、大きな意味でいえば、たくさん発行してバランスを取っていくか、そこは発行しないでバランスを取っていくかということになるわけでございまして、これだけたくさん国債を発行しておりますときは国債の発行額を極力抑制していくということが必要ではないかと、こういう判断に立ちまして、本則は六条であるけれども、当面厳しい財政事情の下ではやむを得ずこういう特例をせざるを得ないということで、このような処置を講じているわけでございます。
  89. 山根隆治

    山根隆治君 話変わりますけれども、総理の今国会における施政方針演説については、大臣はどのように評価されていますか。
  90. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 施政方針、非常に幅広いことを触れておられますので、今のお問い掛けにどう答えたらいいかちょっと戸惑っているんですが、やはり総理の、財政に関して申し上げますと、やはり財政規律を維持するというのが、維持していくというのが総理のお考えの底流にやはり私はあるものだと考えて仕事に当たっております。
  91. 山根隆治

    山根隆治君 そうしますと、総理が財政のところで、「平成十五年度の補正予算は、十四年ぶりに国債を増発することなく編成しました。国主導の財政出動に頼らなくても、構造改革の成果が現れています。」という文言については、これを支持なさっていらっしゃいますか。
  92. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) はい。十六年ぶりに発行しないで済んだということは……
  93. 山根隆治

    山根隆治君 十四年ぶり。
  94. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 十四年ぶりに発行しないで済んだということは、私もやや胸をなで下ろしているところでございます。
  95. 山根隆治

    山根隆治君 しかし、せっかくの大臣評価でございますけれども、しかし、この法律案そのものが、提出された法律案そのものが、私はこれは裏技、ある意味では裏技を使っているということを言わざるを得ません。実質的にはやはり国債を増発したということと同じで、形式だけを整えてきているものだというふうに思えてなりませんが、この点についての御見解、聞かせてください。
  96. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 裏技という表現をお使いになりまして、確かに六条の本則から見ますと例外的な手法を取っているというのは御指摘のとおりだろうと思います。  しかし、先ほど申しましたように、全体の、小さなところでは違いますが、大きな意味では国の財政の言わばバランスシートというものが変わるわけではございませんので、国債の発行を極力抑制していくという立場からこのような手段を取ったということの御理解をいただきたいと思っております。
  97. 山根隆治

    山根隆治君 十五年度の補正予算のフレームを見てみますと、私はここに、はっきりと言えば、国民の目をごまかしているというふうに思わざるを得ないところの指摘をまずしておきたいと思います。  それは、歳出のところで既定経費の節減ということで一兆千七百十六億円が記されているわけでございますけれども、この既定経費の節減のこの一兆一千七百十六億円のうち七千百八十九億円が、実はこれは本来は国債費の減少、償還の費用に充てる、そういうものであったはずでございます。この点についてはどのように御説明なさいますか。
  98. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 国債費につきましては、当初予算編成時におきまして、国債の金利を、予算積算金利、十年債で二%と見込んでおったわけでございますが、マーケット、市場の動向がこれを下回って推移したことに伴いまして、利子割引料が不要になった分が七千百八十七億円ございますということでございます。
  99. 山根隆治

    山根隆治君 私は大臣の今見解をお聞きしたかったんですけれども、今はもう事務的な話で、それをああそうですかということで聞かざるを得ないんですけれども、国民の感情として、そうしただまされているというふうな思いが、このことを細かく説明すれば、私は沸き上がってくる。そういう国民の感情はこの数字から出てくると思うんですね。  ですから、こうしただましのテクニックというのは非常に小泉さんはお上手でございますけれども、私はこの辺の、もうちょっと率直に、国民にこの辺の補正予算の内容というものを明らかにやはり数字的にも私はしておくべきだったというふうに思います。  つまり、剰余金と合わせて一兆一千億円のこの予算というものは、本来、全部国債の償還にやっぱり充てることを当初から予定されていたものでございまして、これをそうした償還に充てないということになっているわけですから、国債の増発は抑制するということと全然実態は違っているわけですね。つまり、目先の形式だけを整えているというふうに私は実は言わざるを得ない。少しこうかつにすぎないかというふうな思いがいたしますけれども、この点についてはいかがですか。
  100. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) こうかつとおっしゃられますと、どのようにお答えしたらいいのか言葉を失ってしまうんですが、これは、先ほど申しましたように、やっぱり国債の金利等を抑制していくとか、いろんなことはやらなきゃならないわけでございまして、そしてまた発行していくとなると、先ほど申し上げましたように、全体の量が、国債の量が増えていくというようなことを少しでも避けて、国債の信認も確保したいという大変苦しい立場で私もございますけれども、そういうことでやらせていただいたものでございます。
  101. 山根隆治

    山根隆治君 国債を増発するということと、そしてその分の財力というものを償還に今度回さないということと、どういう意味があるんですか。意味の違い、政治的な意味でもいいですし、財政的な意味合いでもいいですけれども、どういうことなんでしょう。
  102. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、要するに国債の発行額、残高が大きくなるわけでございますね。これ、償還いたしますと、その分、同じ形の予算を組みますと、また新たに国債を発行するということになりますので国債の発行額が大きくなってまいります。そうしますと、やはり国債全体の信認というような問題もあり得るだろうと思います。  やはり私は、それは委員はこうかつだというような表現でおっしゃいますけれども、いかにして国債の信認を確保しながら財政を立て直していくかという上では私はやむを得ざる判断であったというふうに考えているわけでございます。
  103. 山根隆治

    山根隆治君 我が国で減債基金制度というのはもう明治時代からずっとあったものでございます。そして、今日の財政法の六条一項の規定というものについても昭和二十二年から施行されている。そして、その施行の中で、お話が、先ほど御答弁ございましたように、もう十回ほど特例措置ということをもって対応をしてきているわけでございます。  当初、明治時代のことはともかくといたしまして、戦後、昭和二十二年に施行されたときの償還をすることの意味合いと、バブル前のとき、あるいはバブルの時代、そして今日のバブルが崩壊して非常に財政が厳しい状況の中でのこの減債基金というか、そうした制度の意味合いというのは、私、かなりもう違ってきていると思うんですね。こうして毎年のように特例措置法律として提案してやっていくということについては、もう無理が私はあるんじゃないかというふうに思えてならないわけですね。  昭和二十二年にスタートしたときでさえ、国会の論議の中では、これはしかるべきときが来たら見直す、改定をしていくというふうなことの論議も実はあったわけでございまして、それがずっとこうして置かれてきているということについて、非常に、私はもう一回今改めて考えてみる時期がもう来ているんじゃないかというふうに思えてならないわけでございます。  財政法の四条の二項では、公債を発行し、又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会提出しなきゃならない、こういう文言もあります。これに沿っていろいろな措置は取られているわけですけれども、目をみはるような成果はなかなか出ていないということで、財政全体を少し私はもう見直していく、そういう時期にもうそろそろ来ているのではないか。つまり、財政法もいろんな改正すべきと思われるところも、私も感じるところもたくさんございますけれども、この六条一項の規定についても、もっと時代に合ったものに改める表現にするところもあるのではないかというふうに思うわけです。  二十二年というと私が生まれたときとほとんど同じですから、私も人には若いというふうに言われますけれども、かなり疲れてきているというように自分自身で自覚が肉体的にはございますけれども、この法律そのものももうかなり私は疲れてきているところがかなりあるんだろうというふうに思いますけれども、改正の意欲、あるいは検討するお考えがあるのか、ずっとこのままいこうということであるのか、お考えを聞かせてください。
  104. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 確かに、公債の発行をめぐる状況は昭和二十二年当時と現在とは大きく違っておりますので、この財政法が直面している、六条が直面している課題も大きく変わってきていることはもう委員の御指摘のとおりだろうと私は思います。  ただ、現在は非常に厳しい財政状況にありますけれども、私ども、やはりこれだけの公債を仮に今、今の時代に適した表現に変えていく気はないのかという御趣旨で、どういうような方向を想定されているのかお考えは伺えませんでしたけれども、仮にそれが将来に対しての、何というんでしょうか、公債の償還というようなものに国が意欲を失ったと思わせるような表現であるとしたら、私はそれは適切ではないのだと思います。現状では非常に高い目標であるということは、もうおっしゃるとおりでございますけれども、私はやはりこの基本精神は大事にしなければならないのではないかと、こけの一念でそう考えているわけでございます。
  105. 山根隆治

    山根隆治君 何をどうかというのは、これは全体の財政法の中の仕組み全体、有機的な条文ですから、それぞれが。ここをこうということを言うのには少し支障があるかと思いますけれども、基本的には、成長がほぼ約束されている中、昭和二十二年から戦後ずっと経済が発展して三十年代の高度成長になってきた、それはほっといても税収が来るというふうな時代の物の発想と、そして今の財政状況とは、ある意味で苦しさということでは似ているけれども、その財政背景というものは大いに違う。  つまり、今は財政をどう健全化するかということについては、出るのを少なくして入るのを良くする、景気を浮揚させて税収を増やすという施策と、そして出というものを極力抑制していく、これは当然のことでございます。そうした根本的な理念のもう時代の違いというものがあるわけですから、そうした違いの中で財政そのものを、財政法そのものも見直していく時期が私は来ている、こういうことで申し上げたわけであります。  さて、時間の関係がありますので次に進めさせていただきたいというふうに思っております。  十五年度の補正予算の中で、剰余金の三千八百七十四億円が繰り入れられることになるわけでございますが、その予算フレームの中では三つの項目が突出、数字的にはしております。一つ義務的経費の増加、社会保障費、福祉等の内容だろうと思います。それから災害対策費、そしてもう一つがイラク復興支援経済協力費ということでございます。今私が言った順番は支出、歳出の多い順番でございます。  この中で、イラク復興支援経済協力費の中身はどのようなものになっているのか、外務省来ておられるかと思いますので、御答弁願います。
  106. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  昨年の十月二日に世銀が、世銀・国連がニーズアセスメントを発表いたしまして、それを踏まえまして、我が国としては昨年十月のイラク復興支援国会議におきまして総額五十億ドルまでの支援を表明しておりまして、このうち当面の支援として十五億ドルの無償資金を供与することを表明しております。  現在国会において御審議いただいております補正予算でございますが、このうち千百八十八億円が含まれておるわけでございます。この積算の内訳でございますが、イラク復興信託基金に対する拠出を四百九十五億円、国際機関経由の支援を百三十四億円、イラクへの直接支援等を五百五十九億円ということでございまして、内容的には電力、水・衛生、保健等々の、医療等々の分野に供与するということでございます。
  107. 山根隆治

    山根隆治君 復興支援経済協力費ということが書いてあるわけですけれども、復興支援というふうにされていますが、復旧の概念とは同義語ということで理解してよろしいですか。
  108. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  ここで使っております復興という概念は、どちらかというと広い意味で一般的に使わせていただいておるというふうに思っておりますが、この昨年の戦争が、戦闘が終結をした後、イラクの各地で人道的見地から、あるいは国づくりの見地から急いで復旧、復興をしなきゃいけないというものを全体をとらえてこの言葉では復興という言葉を使わせていただいておるということでございます。
  109. 山根隆治

    山根隆治君 広い概念で復興という言葉を使っているということでございましたけれども、国民の税金を使っての支援ということでございますから、その辺をもう少し明らかに私はしていただきたいというふうに思います。  私、なぜそうした文言にとらわれるかというと、復旧ということであれば、恐らくもう少し広い概念かどうか分かりませんけれども、旧に復するということですから、アメリカの攻撃によって社会的なインフラが損なわれた、壊されてきた、それを元に戻すということを想定をしているのか、あるいはそれを超えたところで支援協力をしようとしているのか、その辺はどのように理解したらよろしいですか。
  110. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  現在、国際的に議論しております支援の根拠となっておりますニーズアセスメントでございますが、これにつきましては、委員御指摘の狭い意味での昨年の戦闘から生じた様々な災禍を旧に復するということにとどまりませんで、もう少し広い意味でイラクのいろんな面での問題点について手を差し伸べようということでニーズアセスメントというものが発表されておりまして、それに従って各国が様々な支援策を表明しておるというふうに理解しております。
  111. 山根隆治

    山根隆治君 そうしますと、もう少し復旧よりも広く想定をしているということですけれども、どの程度広く考えておられるんですか。まさか東京のような大都市をつくろうというようなことでは当然ないでしょうし、その地域の歴史、環境等にかなったものを復興支援していこうというふうなことでございますけれども、具体的にはアメリカの攻撃の前はこのような状態であった、そしてアメリカの攻撃によって壊されたものを復旧させて、そしてさらに人道的な支援からこの程度までのものを想定していくと。その辺の目標、目的というものはどのように規定していますか。
  112. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  この国際的に指摘されております、ニーズアセスメントで言っておりますところのニーズといいますのは、例えば地方行政、法制度、社会基盤整備、民間セクター開発、それから治安、警察、石油等々とございまして、例えば電力の問題でありますと、必要な能力から現在どれだけの不足があるかと、これに対してどのように対応していくかというような検討がなされておりますし、それから水・衛生でありますと、それらにつきまして衛生状況の悪化を正常化するためにどうするかということから試算が行われておりまして、総じてフセイン時代を通じてイラクという国が疲弊をしてきたと。その疲弊してきたところについて一つ一つ今申し上げましたテーマについて分析をし、ニーズを提出しているというふうに理解しております。
  113. 山根隆治

    山根隆治君 そうしますと、自衛隊本隊がイラクのサマワにこれから派遣をされていくということになりますが、今のお話からすると、そうした社会的なインフラがある程度完結するという、復興を一つの事業として完結するということになったらば、これは自衛隊が撤退するということになるのか、あるいは、これは大きな政治的な判断でありましょうが、ほかの地域へやはり移って同じような事業を成していく、そういうふうな理解でよろしいんでしょうか。外務省として考えているところを教えてください。
  114. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 今般の補正予算で私どもとして想定しておりますのは、そういう国際的なニーズの上に立って我が国としてどんな役割を果たすべきかと。そして、その支援の相手方としてどういった主体がふさわしいのかといったことを煮詰めながらこの積算をさせていただいておりまして、例えば電力でありますと、我が国がかつて手掛けた発電所三か所のリハビリを中心に対応していくとか、あるいは水・衛生でございますと、浄水機とかごみ収集車等々の供与をするとか、あるいは医療、保健でございますと、我が国がかつて立ち上げました十三病院を中心にリハビリをやるとか、あるいは治安対策ということで先方の内務省と御相談をして警察車両の供与に取り組むとか、そういったことをこの補正予算で要求させていただいておりまして、これを私どもとしては日本として果たすべき役割として、この補正予算を御承認いただきました暁には速やかに執行してまいりたいというふうに考えております。  なお、自衛隊の撤退云々の御質問がございましたが、政府参考人であり、かつODAを担当する私の分際を越える御質問でございますので、私の方からは差し控えさせていただきます。
  115. 山根隆治

    山根隆治君 財務大臣、閣僚の一人として同じことをお尋ねします。  改めて申し上げると、補正予算の審議でございますけれども、そしてイラクの復興支援日本も協力をしていくということでございます。そして、どの程度のことをやるかということについては、社会的なインフラを整備する、復旧を超えるものとしてやっていくんだと。ある一定の社会的なインフラというのを整備するということをやっていくんだということでございました。  しかし、サマワに今度は派遣されますけれども、それが完結した、サマワにおいて一定の完結を見た後は、そうしたらまたほかの地域に行ってそういうふうなことをやるというふうな理解でいいのかどうか。その辺の閣僚の一人として物の考え方、見解、お示しください。
  116. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、現在、いろんなニーズアセスメントをしまして、現地も見て、サマワあるいはその周辺でこういうことができるだろうというので始めているわけでございますが、やはり何よりもきちっとそれができるのかどうかというのを私は見ていかなければいけないんではないかと思っております。  あの地域の治安の回復の実情等も今後よく見て、その後またどうしていくかということを考えなければいけないのではないか。できるだけのことはしていくということは当然頭の中にあるわけでありますけれども、そういう現地の実情もよく見ながら先を考えていくということが大事ではないかなと思います。
  117. 山根隆治

    山根隆治君 いや、大臣は政治家だからもうちょっと先々の話をしてもらいたかったんですね。それは、今は当然のやっぱりお役所からの話としてはそんな程度だろうと思いますけれども、一人の政治家として、やはりそれが完結したらほかの地域もやっていくというものなのか、あるいは撤退するというのか、その辺のところをもう少し明らかにしていただきたいというふうに思ったんですけれども、唐突だった感を恐らく受けているからまだ整理されていないんだと思いますけれども、ちょっと整理されたら同じことでまた答弁いただきたいと思います。  ほかにちょっと質問を移しますけれども、IMFそれから世銀で復興支援というものについては五兆円くらい掛かるだろうというふうに言われています。これ、外国からのいろんな声としては、日本も国連の分担金の比率と同じようにこの五兆円、日本円で五兆円の中の負担をしてもらえぬだろうかというふうな声が国際的にもあちこち聞こえてくる。  つまり、一兆円規模の、最終的には、この補正予算の話じゃないですよ、もうちょっと広げて最終的には一兆円ほどの支援というものを国際的に期待されているという面もあるわけでございますけれども、今、日本のこんなふうな財政状況の中で、湾岸戦争のときにはお金だけ出して人的な貢献がない、今回は人も出すんだということを小泉さんは言っておられますけれども、財政的な負担ということについては先ほど御答弁では五十億ドルというふうなお話もございましたけれども、最終的にはこういう数字ということで理解していいんですか。国際的な日本への期待に対しての対応というのはどういうふうに考えるのか、お尋ねします。
  118. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これは、マドリッドでしたかの会議で、私ども日本として一定の約束をしております数字は先ほど委員がおっしゃったような数字でございます。  先ほど、これ、これから正に始めるところでございますので、やや慎重な答弁をしたことも事実でございますが、そういう、やはり一方で石橋をたたいて渡りながらも、先ほど外務省提出したペーパーにもありますように、サマワ周辺だけではなくて、バグダッドあるいはバスラ、いろんな事業を考えておりますので、できるところはきちっとやっていくということではないかと思いますし、先ほど、マドリッドの会議でお約束したことは、今後のニーズと復興の実情等を見ながら考えていくべきことだと思います。
  119. 山根隆治

    山根隆治君 今回の復興支援ということについて、あるいはイラクへのアメリカの攻撃に対しては、私どもこれに対して日本が支持を与えたということについての抗議をずっとしてきて党としてもいるわけでございます。  国連中心主義、そしてアメリカとの同盟関係、このはざまの中で、現実は非常に難しいかじ取りというのは、我が国の政治を進めていく上で一番難しいところだろうと思います。しかし、小泉総理が取られているのは、国連の諸決議の話というものはよく引き合いには出すものの、実際にはやはりアメリカの主張を、唯々諾々とは言いませんけれども、かなり大幅に取り入れて支持して、そしてそこから我が国の政治選択をしている、こういうふうに思えるわけでございまして、国際的な声では日本に一兆円をというふうな声もあるのも確かでございますけれども、具体的にアメリカからはどの程度の支援をというふうな要請、数字的に出ておりますか。
  120. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  先ほど来出ておりますようなニーズアセスメントに基づいて、我が国としてどの分野でどのような役割を果たしていくのかという観点から、無償資金十五億ドル、そして基本的に有償三十五億ドル、合わせて五十億ドルということを我が国として主体的に決めたものでございまして、特に他の国からどう言われて、どうということではございません。
  121. 山根隆治

    山根隆治君 それは外務省の方の耳に入っていないだけで、内々に、それはアメリカとの同盟関係を持っているわけですから、それなりのサジェスチョン、私はあったんだろうと思います。大臣は聞いていませんか。
  122. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 聞いておりません。日本が独自に判断をいたしたものでございます。
  123. 山根隆治

    山根隆治君 御答弁は御答弁として承りましたけれども、しかし実際には日米同盟の中での話ですから、ある程度の私はサジェスチョンがあったものだというふうに思ってはおります。  それでは逆に、我が国財政状況からして、今度のイラクの復興開発支援協力ということについてはどの程度が、それはアセスメントで調査してということは当然分かりますけれども、財政的な限度ということでは、今の日本財政状況からしての支援限度というのはどのぐらいだとお考えですか、大臣
  124. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) これはニーズアセスメント等を踏まえ、日本が何をできるかを考え、そこで当面の支援は無償で十五億ドル、それから中長期的に更に三十五億ドル、これはこれからのニーズや復興の状況を見ながら決めるわけですけれども、上限は五十ということでプレッジをして、現在そのような考えの下でやっているわけでありますが、これが日本の今の財政状況経済力からしてどうなんだという御議論だと思いますが、私は、中東地域に関して我が国が持っている、原油等を頼っていると、こういうような状況。あの地域がやはり今後平和で安定した地域になってもらわないと私どもとしても非常に、これは日本だけではありません、国際的にもそうですが、日本としてもそういう事情を踏まえると困ると。こういうことを考えますと、このような約束をしたということは適当な、適切なところではないかというふうに考えております。
  125. 山根隆治

    山根隆治君 分かりました。  それでは、有償、無償の線引きというもの、それはどこで行っていますか。三十五億ドルを有償ですね、そして十五億ドルを無償ということでございますが、その線引き、物の考え方、教えてください。
  126. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 一般論でございますが、有償と無償の違いは、正に言葉どおり、無償は渡し切りのお金でございますし、有償の場合には当然返却が伴うわけでございますから、そのプロジェクトが動き、そしてその国がその借りたお金を返せるかどうかということについて吟味するにふさわしいプロジェクトは有償で行いますし、かつ、その国の能力から見て、ここで無償で供与することが適当だということであれば無償になるというのが一般論でございますが、世銀・国連のニーズアセスメントでございますが、二〇〇四年と、それから二〇〇五年から二〇〇七年と二つに分けておりまして、二〇〇四年はむしろ緊急に必要なところにスポットライトを当てておりまして、私どももこの二〇〇四年のニーズの中で緊急に要せられるところについて十五億ドルを、これを無償に充てると。それから、二〇〇五年から二〇〇七年ということにつきましては基本的には有償で考えると。こういうふうに整理をして国際的に表明させていただいておるわけでございます。
  127. 山根隆治

    山根隆治君 少し答弁満足していませんけれども、時間の関係もございますので進めます。  補正予算の中で私が非常に気になったところでは、そのフレームの中で雇用問題が項目として挙げられてない。厚生労働省はこの本予算の中で雇用について求めなかったんですか、雇用対策費。
  128. 三沢孝

    政府参考人(三沢孝君) お答え申し上げます。  十五年度補正予算と雇用対策関係費の関係でございますけれども、雇用対策関係の予算につきましては私どもとしては平成十五年度当初予算について必要な予算を計上していると、こういう考えでございまして、今回の十五年度補正予算には計上をしていないところでございます。
  129. 山根隆治

    山根隆治君 今国民が一番求めているのは景気の回復と雇用の安定ですよね。そうした中で、厚生労働省、当該年度の予算要望を財務省にしたときに一〇〇%受け入れてもらったということはないわけでしょう。そして、国民の、勤労者の雇用の安定を求める声が物すごくある中で、声も上げなかったというんでは、来年度の当初予算も大体もう固まっていますけれども、次の年度の当初予算でも非常に財務省から厳しい査定が来るというのを覚悟しなくちゃいかぬでしょう。これはやはり少し国民が、勤労者が聞いて私はもう怒ると思いますけれどもね。  平成十三年度の補正予算のときも今後三年間でおおむね百万人の雇用を創出するということを明らかにされているわけですけれども、今二年たっていますけれども、これの進捗状況はどうなんですか。
  130. 三沢孝

    政府参考人(三沢孝君) お答え申し上げます。  平成十五年度補正予算で百万人の雇用効果と、こういうふうなことで積算をしたわけでございますけれども、現在までの雇用創出・維持効果、三十五万人と、こうなっております。
  131. 山根隆治

    山根隆治君 もうあと一年ほどしかないので、これはもう是非とも百万人達成をされないと、国民へのやっぱりもう約束ですから、是非ここのところはしっかりとやっぱり腰据えてやってもらいたい。補正予算にも、財務省に物も言えないようなやっぱりちょっと姿勢では、厚生労働省としてもうちょっと頑張ってもらいたいと。応援団の一人として強く申し上げておきたいと思います。  さて次に、農業共済再保険の特別会計についてお尋ねをさせていただきます。  本特別会計の中にある家畜共済の中で、今非常に世界的な心配事であります鳥インフルエンザでございますけれども、これがビールスが豚に感染したときに、これは給付の対象となるんでしょうか。
  132. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答え申し上げます。  これまで家畜共済に加入している豚がこの鳥インフルエンザに感染した例はもちろんないわけでございますが、仮に感染をいたしまして、死亡、廃用又は疾病、傷害となった場合は共済事故の対象となり、共済金の支払が行われます。
  133. 山根隆治

    山根隆治君 既にオランダでは、これは豚にも感染しているということがはっきりしております。やはり、このインフルエンザもA型、B型、C型とありますけれども、A型はどこでどういうふうに変異していくか分からない、増殖していくか分からないということで、必ずしも鳥だけではない、人間にも感染した、そして豚にも感染する。実際はもうしたという事例があります。そしてさらに、馬にもこれは感染するということがかなり確率で高いというふうな学者もいるわけでございます。  そうなりますと、豚だとか馬にも感染が広がるということになると、私は、この特別会計の根幹を揺るがしかねないような事態というものも想定できるわけでございますけれども、その辺についての財政上の措置等はどういうふうに考えておられるか、お尋ねします。
  134. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業共済の基本的な仕組みは保険の手法を用いて実施をしておりまして、長期的に収支の均衡が図れるようにということでやっております。被害の状況等を反映して、その長期的な収支均衡が図れるような方法に変えていくということで対応していきたいと思っております。
  135. 山根隆治

    山根隆治君 対応できるように変えていくというのは、具体的にはどういうふうに、どこの部分をどういうふうに変えていこうとされるんでしょうか。
  136. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 被害の発生によりまして、まずその被害率が変わってまいります。この被害率は基本的には二十年の平均を取って、ある程度の安全率を見込んでやっております。  そういうことで、被害率が上昇するということを反映した仕組みにしていくということでございます。
  137. 山根隆治

    山根隆治君 運用について弾力的にやっていくと、こういうお話でございます。財政破綻そのものを恐れるわけでございますので、これから少し研究していただいて、是非あらゆる事態に適応できるように御努力をお願いをいたしたいというふうに思っております。  時間も残念ながら来ましたので、あと一点ほどのお尋ねにしたいと思います。  先ほど同僚議員の方から外為の関係のお話がございました。外国為替資金特別会計についても、歳入歳出政府から出されている数値が非常に乖離がある。これ何なんだろうということでございまして、介入資金がその差額になっているなということで理解を外国為替資金特別会計についてはいたしたわけでございますが、この農業共済再保険の特別会計に実はつきましても、再保険金支払基金勘定についてはそれぞれ八十二億円、歳入歳出、ここで整合性が取れているんですけれども、農業勘定、家畜勘定、果樹勘定等について歳入と歳出がかなりこれは数字の開きがあるわけでございます。特に家畜勘定については、歳入が十六年度政府予算で申し上げれば四百四十八億、そして歳出が三百七十九億ということになっているわけですけれども、この細かい数字的な内容はともかくとして、分かりやすいこの辺の乖離、説明していただける用意がございますか。  事前にこれ申し上げておかなかったので、もし分かればで結構です。分からなければ私の方からも幾つかお話ししたいと思いますが、どうでしょうか。
  138. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) ちょっと失礼しました。あれをいたします。  農作物等につきましては、先ほど言いましたように、二十年で平均をしておりましてやっておりますが、家畜については三年ごとの見直しということでやっておりますので、ちょっと訂正をさせていただきます。失礼いたしました。
  139. 山根隆治

    山根隆治君 少しちょっと話がずれてきました。  歳入歳出のこの数字の開きということについては、歳出が少なくなっていると。家畜勘定では四百四十八億に対して歳出が三百七十九億ということですから六十九億の開きがあるわけで、これをどういうふうに御説明いただくかということを聞いたわけですけれども、私の方から先に申し上げれば、これは積立てに回っているというふうに私は考えるわけでございますけれども、私はやはりこうした歳入歳出の数値のここにある分からない部分についても、これからは私は分かりやすく明示していく必要があるだろうと、大いに工夫が必要だというふうにも思うわけでございますけれども、この点について最後にお尋ねして、私の質問を終わります。
  140. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業災害の場合は年によって非常に変動がございます。それで、もちろん被害が少ないときにはプラスが出ますし、少ないときにはマイナスということで、それをならすという意味で今言ったような差が出るということで御理解いただきたいと思います。
  141. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚でございます。ちょっと鼻声でお聞き苦しいかと思いますが、よろしくお願いいたします。  三年前の選挙で当選させていただいて以来、この委員会にずっと所属をさせていただいているんですが、財務大臣は塩川大臣に続いて谷垣大臣、そして金融担当大臣は柳澤大臣と竹中大臣という大変立派な大臣皆様方質疑をさせていただけることを本当に、これはお世辞ではなくて、光栄に思っております。  谷垣大臣とは初めて質疑をさせていただきますので、冒頭に私の心構えといいますか、所信を申し述べさせていただきますと、財務省皆様方はどう思っておられるか分かりませんが、この委員会の最初のころに申し上げましたように、私は、財務省、是非頑張っていただきたいということで、歳出官庁の無駄を見直し、財政規律を確立するべく頑張っていただきたいと、こういう姿勢で本委員会質疑に臨ませていただいているつもりであります。  また、金融担当大臣とはいろいろ議論もさせていただいておりますが、一刻も早く金融システムを安定させていただいて、本当に国民経済に役に立つ金融機関を再生させていただきたいと、そういう視点で議論をさせていただいているつもりでございますので、是非御理解をいただいて、なるほどなと思う点があればお酌み取っていただいてこその国会だと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいということを最初にお伝えをさせていただきます。  それで、今日は補正予算に絡む剰余金特例農業共済保険特別会計審議でございますが、後者については私どもも基本的に賛成の立場でございますので、主に前者に絡んで、衆議院審議をなされた論点との重複を避けてお伺いをしたいと思っております。  剰余金の処理については余り特例を設けるべきではないということは、これももう衆議院で十分議論になっておりますし、我々の考え方も十分御理解いただいていると思いますのであえて繰り返しません。その上で、やはり財政規律ということをキーワードに、いただいた時間の範囲で議論をさせていただきたいと思うんですが、いつも私は、質問を取りに来ていただいている役所の皆様方には、いや、もう本当に立派な大臣の皆さんなんで、もう自由に質疑させていただければいいので政府委員は結構ですよというふうに申し上げているんですけれども、どうしてもいらっしゃりたいというので、いらっしゃっていただくとつい技術的なことを聞きたくなっちゃうんですね。  誠に恐縮なんですが、そういう意味で二、三、技術的なことをお伺いをしたいと思うんですけれども、この補正予算というのは、これは財政法の二十九条に基づいて編成をされているわけでございますけれども、今回の補正予算、まず大臣にはこの編成理由をお伺いさせていただきたいのと同時に、政府委員のどなたかでも、どなたでも結構なんですけれども、今回はこの財政法二十九条の予算の追加に当たるものばかりだと思うんですけれども、その中で実額には計上されていない丁号国庫債務負担行為、これも追加に当たるのかどうかという技術的な点と併せてお伺いをしたいと思います。
  142. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 大塚委員には財務省に叱咤激励してやろうと、こういうお気持ちで議論をしていただいておりまして、誠にありがとうございます。  そこで、まず今度の補正予算の編成はどういう理由かということでございますが、平成十五年度では義務的経費の追加ということもございましたけれども、災害、冷害等がございまして、災害対策費、それからイラク復興支援経済協力費といった追加財政需要が見込まれたわけでございますけれども、こういう中で特に緊急に必要だという事項について、国債の追加発行を行わないで義務的経費を中心としたやむを得ない追加財政需要に限って補正予算を組もうということで編成をさせていただきました。
  143. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 先生から国庫債務負担行為の追加の件でございますが、国庫債務負担行為も予算の一部を成すものでございますので、先生御説のとおり財政法二十九条の予算の一部に当たりますので、追加に当たるというふうに考えております。
  144. 大塚耕平

    大塚耕平君 今大臣からは今回の補正は義務的経費にかかわるものであるという御答弁でありました。そして、これは総理も予算委員会で何度も御発言になっておられますが、竹中大臣も最近よく御答弁されておられるように、景気も少し上向いておられて、あえてここで景気を加速するような意味での補正予算は必要ないので義務的な経費を計上すると。ここまでは非常に整合的なわけでありますけれども、しからば、この今お答えいただいた丁号国庫債務負担行為、これは財政法の十五条の何項に当たるものを計上されたということでありましょうか。  これは財務省の事務方の御答弁で結構でございますが。
  145. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 失礼いたしました。  財政法十五条一項に、法律に基づくもの又は歳出の予算の金額、若しくは継続費の総額の範囲内におけるもののほか、国が債務を負担する行為をなすには、あらかじめ予算をもって国会議決を経なければならないと書いてございますので、これに当たるものと考えております。
  146. 大塚耕平

    大塚耕平君 一項ということですか。
  147. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) はい。そのように考えております。
  148. 大塚耕平

    大塚耕平君 そうすると、これは私も決して専門家ではありませんのでいろいろ文献等を参考にさせていただいているんですが、皆様方のOBである元事務次官の小村さんがお書きになった「予算と財政法」という大変いい本がございまして、これを役所の皆さんも相当バイブルのように使っておられるんではないかと思うんですけれども、十五条一項というのは特定議決による国庫債務負担行為と、こういうことであります。これが当該年度中に支出を伴わない、つまり業界用語で前金付国債というんですか、これを除く今回のものはすべてゼロ国債ということでありますが、このゼロ国債に該当する国庫債務負担行為を補正予算で計上するというのは、経済的にどういう効果をねらって補正予算として予算書の中に組み込んでおられるんですか。  これは是非大臣の御認識と事務方の御認識と両方をお伺いしたいと思います。
  149. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いわゆるゼロ国債は、公共工事をしますときにどうしても契約後一定の準備期間というものが必要であります。したがいまして、年度当初から切れ目のない公共事業の執行を可能とするためにこういう手法を使って、平成十五年度でもそのようなねらいから計上させていただいたということであります。
  150. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 大臣の御答弁と全く同じ認識でございます。
  151. 大塚耕平

    大塚耕平君 切れ目のない公共事業の効果ということは、これは小村さんの本の中にもはっきり書いておられますが、元事務次官として書いておられますが、需要拡大効果をねらって国庫債務負担行為を計上するものだという、こういう御認識を披瀝しておられるんですね。  そうすると、今回の補正予算は決して景気に対する配慮ではないんだという一貫したお立場と、この国庫債務負担行為を計上している姿勢というのは若干矛盾があるんではないかなと思うわけですが、その点は大臣でも副大臣でも結構ですが、あるいは次長でも結構ですが。
  152. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) お答えさせていただきます。  予算を執行いたしていきますと、年度途中で執行状況がある程度明らかになりまして、翌年度の執行とどういうふうにつないでいくかという観点一つの大きな課題になってまいります。そういう観点から、公共工事の執行に当たりまして予算の執行を円滑かつ効率的に行うという観点がございまして、そういう観点から今回のいわゆるゼロ国債というものは計上させていただいているものでございます。  具体的に申しますと、例えば道路工事をいろいろやっていますと、年度途中までにどれくらいできるのかとかどこまで行っているのかということのある程度見極めが付いた段階で、それを踏まえまして、それでは引き続き公共工事を円滑それから効率的に執行するためには国庫債務負担行為、ゼロ国という形でつなぎをやっていくことによりまして予算が執行かつ円滑に遂行できていくと、そういう観点がございますので、今回はそういう観点から補正予算に計上させていただいているものでございます。
  153. 大塚耕平

    大塚耕平君 円滑とかつなぎとか、そういう言葉を使われると何となくすっと聞き流してしまうんですけれども。  補正予算の方を規定しておる二十九条に立ち返ると、補正予算は、義務的経費以外のものについては財政法は予算の作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に限っていると、義務的経費以外で予算作成時に当然予期された経費は補正計上できないことになると、これが財政法の精神であります。  そこで、今回、この国庫債務負担行為の明細をいただきました。農水省さんと国土交通省さんばかりですね。必要性について予算編成の際に明示をしろというふうになっておりますけれども、農水省、国土交通省から出てきた資料は、特に必要性が十分分かるような資料は何もなくて、その費目がどういう費目であるかという解説をしているだけのリストが山のように出てくるわけですね。中には、確かに、これは時間の関係で農水省さんも国土交通省さんも、国土交通省も呼ばなかったんですけれども、一個一個聞き始めたら切りがないですが、確かに災害で当初予算編成後に出てきたものもあると思います、必要性が出てきたもの。ところが、大臣、後でこの資料はどっかから手に入れていただければと思いますけれども、私がコピーをお持ちしても結構ですが。明らかにそういうものではなくて、補正を組むために国庫債務負担行為としてどうですか、今年はと言って、農水省と国土交通省に聞いてざっと上げさせたものがあると。この財政法の精神と補正予算の編成の姿勢がもうずれちゃっているんですね。これがずうっと続いているわけですよ。ずうっと続いている。  ちなみに、両方の役所の官房の予算課の方に直接話を聞きましたら、現場の方はそう悪気はないんでしょうけれども、完全に財政が大変厳しい状況だということに対する認識が弛緩していますね。農水省に至っては、まあ毎年のことですから、各都道府県にどうですかと言って、聞いて集計したものですから、特に必要性といっても、こんなこと聞かれても困りますねという、こういう答弁なわけであります。電話で聞いた話ですから、聞いた方に申し訳ないので、個別にとやかく申し上げるつもりはありませんけれども。  そこで、財務省にお伺いしたいんですけれども、この国庫債務負担行為を計上するに当たって本当に査定しているんですか、ちゃんと、必要性について。そして、この財政法の二十九条の考え方に矛盾してないかということを次長や局長はチェックしておられるんでしょうか。どこまでがコミットして予算編成をしておられるんでしょうか。
  154. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 先ほどお答えいたしましたとおり、当初予算段階では予算を計上いたしまして、それを執行していくと、その結果を見極めまして、その上で引き続きゼロ国という形で、積寒地等の事情もございますが、そういう形で執行した方が効率的、円滑な場合ということで、各省からそれぞれの要求を聞きまして、担当係、担当主計官、主計局の方でそこはきちんと査定させていただいております。
  155. 大塚耕平

    大塚耕平君 いや、そうなっていないんですよね、多分。だから、大臣、これ、補正予算を気安くどんどん編成すればいいという財政状況でないことは十分お分かりのはずですので、そこについてはとやかく申し上げませんが、たまたま今年ということじゃないんですよね、もうずっとこういう形でやっているわけで。  通告してある質問を一つお伺いしますけれども、バブルの発生直前の一九九〇年からで結構でございますが、それ以降、補正予算における国庫債務負担行為の計上というのは一体どのくらい行われたか、概要で結構ですが、詳細は私ももう既に数字いただいていますので、ちょっとほかの委員の皆さんへの参考のためにも概要をおっしゃってください。
  156. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 平成二年度以降、一般会計の補正予算は二十四回編成しておりますが、平成十五年度補正予算まで国庫債務負担行為を追加した総額は、一般会計で三兆一千七百九十億円でございます。
  157. 大塚耕平

    大塚耕平君 私もいただいた数字で計算しましたら、そのうちの農水と国土が六九・四%、ほぼ七割ですね。それから、当該年度に支出が発生する、さっき申し上げた前金付国債、これはある意味でその当該年度中に支出をするわけですから、必要性が当該年度中にあるというふうに推察ができますのであえてとやかく申し上げませんが、翌年度以降の支出になる国庫債務負担行為は八一・三%。つまり急いでやらなくてもいいわけですよ、翌年度の当初予算に間に合わせればいいわけですから。だから、これを補正予算だから必要だといって毎年毎年、年によっては二度三度、そのたびに丁号補正、国庫債務負担行為としてどんと計上をすると、もうその翌年の一般財源を拘束するような形になるわけで、しかも、これが本当に財政法の精神に照らして合致するような、当初予算編成後に新たに出てきた事由に基づいて計上されたものならいいですけれども、そうじゃなくて、毎年毎年の言わばルーチンワークとしてどんどん出てきているわけですね。一個一個聞いていったらびっくりしますけれどもね。細かいこと申し上げませんが。  今のこの議論に絡んでもう一個事務方にお伺いしますけれども、この国土交通省と農水省の国庫債務負担行為の中身の箇所付けは終わっているんですか、終わっていないんですか。
  158. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 計上に当たりまして、積算上考えていることはございますが、具体的な実施行為の決定は予算を御承認いただいてからでございます。
  159. 大塚耕平

    大塚耕平君 いやいや、そうかなと思っていろいろ議論させていただいたら、例えば何百万円までの枠取りでしたらその中でやるというのは分かりますよ。まあせいぜい百歩譲って、何万円までなら分かりますよ。ところが、例えば治水特別会計直轄堰堤維持、一億八十七万二千円、治水特別勘定河川総合開発事業費補助、四億四千七百四十九万三千円。千円単位まで全部決まっているということは、もう全部箇所付けもしていて、言ってみれば待っているんですよ、農水省も国土交通省も。少なくとも、官房の会計の担当の皆さんと話をすると、一部担当の局にも直接お話をお伺いしましたけれども、もう毎年の恒例作業だから、補正予算だといって聞いてきたら、よしよしって、出せ出せってやっているわけですよね。  こういうことをやっていては、プライマリーバランスが竹中大臣のおっしゃるように十年後なのか十五年後なのか分かりませんけれども均衡するとか、あるいは谷垣大臣財政規律向上のためにいろいろ御努力をされようにも、まずこの事務の実態をきっちり大臣が見ていただいて、例えば農水省辺りはゼロ査定からやってほしいですね。まず、ないと、あなた方に当初予算も補正予算もないと。本当に必要なら死ぬ気で必要性を説明してきてくれというような事務プロセスを、予算編成のプロセスを変えないと、これは現場の財務省の主計局の皆さんはお忙しいのは分かりますので、そんな細かいところまで見ていられないと思いますけれども、なかなか予算の中身が小泉総理の言っておられるような内容にはなっていかないなと、こんなふうに思っております。  そういうこともあって、谷垣大臣、ちょっとお伺いをしたいんですけれども、財政規律をやっぱり向上させていくということが非常に重要だと思っています。今日も予算委員会で小泉総理が、自らを律して必要以上に欲しがらない、そういう精神が大事だみたいなことをおっしゃっていましたけれども、大臣として、この財政規律を高めていくための具体的方策として今どんなことをお考えになっておられますか。
  160. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、大塚委員がるる具体的なことについてお話しになりましたように、財政法の根本を貫く精神は、やや乱暴に要約すれば、財政規律をきちっとしていくという精神で貫かれているんだろうと思います。他方、予算は単年度主義でございますし、国会の御審議を得て決定されるものでありますが、他方、限られた予算を有効に使うためにはどうやって、何ていうんでしょうか、円滑に有効に、場合によると、ある意味での弾力性も入れなければならないことがあるんだろうと思います。  したがいまして、今年もモデル事業とか政策群というもので多少試みはさせていただいているわけですが、そこらをどうあんばいを取っていくかというのは、私も実はまだ予算の査定の現場は一々よく存じませんので申し上げていることがあるいは現実と少し離れているところがあるのかもしれませんが、その苦労も、今のお話を伺いまして、もう決まっていると、農水でも国土交通省でも決まっていると、こうおっしゃいましたけれども、ある意味で継続性があって、大体何年度でやろうという話ができているところもありますから、そういうことも全くは無視できないんだろうというふうに思います。  その上でどうやってやっていくかということは、もうこれは竹中大臣の一生懸命作業していただいた骨太二〇〇三に書いてあるわけでございますけれども、二〇〇二年度から四年、二〇〇三年度からですかね、三、四、五、六。六年度は政府の大きさをこれ以上大きくしないということで、実質的に前年度より、孫悟空の頭の輪じゃありませんけれども、縛りを掛けて、実質的に一般会計歳出、一般歳出を前年度並みに抑え込んでおくということをこの二〇〇六年度までやらせていただく、それだけにめり張りも付けなきゃいかぬというのが当面実際の作業に当たる、やる上での基本的な方針でございます。
  161. 大塚耕平

    大塚耕平君 実は……
  162. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) ちょっといいですか。
  163. 大塚耕平

    大塚耕平君 ああ、どうぞ。
  164. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 言い間違えました。  工程表の表現は一般会計歳出並びに一般歳出ではございませんで、政府の大きさと、こういう表現になっております。済みません。
  165. 大塚耕平

    大塚耕平君 先ほど同僚議員の山根先生の方から、もうこの際、財政法六条を改正したらどうだみたいなお話がありましたが、実は、今たまたまもめておりますイラクの派遣問題もみんなそうなんですけれども、日本というのは、法治国家でありながら、法律に書いてある内容とか法の精神がどんどんどんどん無視されていっているところにいろんな問題が起きているんじゃないかと私は思っています。現にこの三年間の審議の中でもそういうことを感じています。  今回のイラクの派遣でも、我が党の中でも決して反対でない人もいますし、自衛隊のことを心配している人も一杯います。私の地元も小牧基地がございますし、陸自の第十師団があって、師団長とも仲良くさせていただいておりますが、法の実態が、法の精神が実態と合っていないならば、そこをきちっと正してから行動を取ればいいと、私はこう思っています。  これは財政運営においても同じでありまして、この補正予算編成や国庫債務負担行為について書かれている財政法二十九条や十五条の精神はもうほとんど形骸化しているわけであります。  それは別に野党だから私がへ理屈で言っているわけではなくて、例えばIMFなんかもこういうふうに報告書の中で書いているんですね、日本について。「予算の観点からも、マクロ経済観点からも、補正予算に過度に依存している。補正予算の頻繁な利用は、当初予算における支出見積りの信頼性、財政政策のスタンスを示す指標としての当初予算の価値に対する信認を損なって」いると、IMFにこうやって指摘されているんです。  それから、竹中大臣も研究者でいらっしゃいますけれども、財政とか経済学の学者さんの世界では補正回しという言葉もありまして、補正予算の編成について、本予算作成後に生じた事由によって特に緊要な場合と定められている財政法第二十九条は形骸していて、補正予算に回せばいいやという補正回しが常態化している。これがさっきの農水省や国土交通省なわけです。  私は谷垣大臣提案したいんですけれども、補正予算やめませんか、この際。今回のじゃないですよ。大臣の在任中に財政規律を高めると言うならば、当初予算のときにきっちりと審議をして、本当に必要なもの、もちろん災害対策費、まさしく緊要なものは補正でもいいですけれども、それ以外のものは補正はやりませんということで、例えばオランダなんかそういうふうにやったらしいですね、原則的に年一回だけ予算編成閣議を行うということで、そういう方向に変えたそうですが。  もう要するにすべて形骸化しているんですから、形骸化しているんだったら、財政法そのものを実態に合わせて変えるか、さもなければ財政法の精神を重んじて予算編成の過程をもう一回正常な姿に戻すか、どちらかしかないと思うんですね。これをどちらもやらずにうまいこと回そうとすると、竹中大臣にもいつも厳しいことを申し上げていますが、詭弁を弄するようなこういう財政運営になったりするわけです。あるいは、場合によっては決算書が二つあるみたいな、そんなことにもなろうかと思うんですが。  これは、当然、今回の剰余金を回してまで補正予算を組む必要があるのかという、そういう議論の一環としてさせていただいているわけですので、補正予算、今後も組む必要があるのかどうかということも含めて、ちょっとまとめて幾つかお伺いしますが、それについての大臣のお考えと、それから、補正予算編成の翌年度に経済成長率が改善した年が、一九九〇年度以降で結構ですけれども、そういう年が一体何回あったのかということと、それから、補正予算を組むんであるならば、組んだことによる経済効果をちゃんと検証するべきではないかということに関して、まとめて幾つか御答弁をいただきたいと思います。
  166. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 補正はもうやめないかという大変ドラスチックな御提案ですけれども、これはどうしても義務的な経費の当初予算では想定できなかったような増加とか、先ほどおっしゃった災害であるとか、やはりありますので、もうそういう手段を全部やらないよというわけにはなかなか、その御提案にはなかなか乗り切れません。  ただ、先ほどありましたように、それぞれ期待は、補正回しという言葉があるようですが、期待がいろいろあって、その期待に全部こたえるのは、これはこたえていたら財布のひもはもうこれはとてももたないということは認識いたしておりますので、そこはきちっと考えて対応したいと思っております。  それから、補正を組んで、その後の経済成長がどうなったのかというのは、経済成長率、これは検証すべきだというお立場もよく分かりますが、経済対策が行われた翌年度、経済成長率が改善する場合、しない場合、これはあると思いますが、それが直ちに、いろんな要因がありますので、検証するといっても実際にはなかなか難しいんではないかと思います。私、ちょっと今それにお答えするだけの準備はございません。  一応、紙に書いてございますので、それだけ申し上げます。あえてその上で、あえて結果のみ申し上げれば、平成二年度から平成十三年度までの期間において、経済対策に伴う補正予算が編成されたのは七回の年度があるわけですが、翌年度に実質経済成長率が改善したのは五回であると、七分の五であると、こういうことでございます。
  167. 大塚耕平

    大塚耕平君 名目はどうだったかというところは聞かないことにしますので。  いずれにしても、経済財政担当大臣としての竹中大臣も横におられますので、財源が潤沢にあるときならいざ知らず、そういう状況じゃありませんので、来年度も含めて、当初予算の経済効果のみならず、補正予算を編成するに当たっては、少し定量的、科学的な検証もきっちりしていただきたいなということをお願いをしておきます。  せっかく両大臣来ていただいていますので、若干違う質問もさせていただきますが、さっきも申し上げましたように、今回の補正予算、景気対策じゃないといいながら、国庫債務負担行為自体にそういう意味合いがあるんだということで、やはりまだまだ景気は安心できる状況じゃないということだと思っています。また、御承知のように、為替がこういう状況ですから、輸出国日本としては為替相場の影響でブレーキが掛かることもあるわけですけれども。  そこで、介入についても、これも予算委員会でも大分議論されておりますけれども、予算委員会議論されたロジックは大体もう相当の皆さんが、賛成か反対かは別にして、論点やロジックは共有しておりますので、そういうところの重複は避けて、ちょっと幾つか技術的なことをお伺いしたいんですが。  例えば、去年二十兆円も介入をすると、これは例えば銀行に行って為替の売買予約すると一ドル一円ぐらい手数料を取られますから、普通に考えても二十兆円だと二千億円ぐらいの手数料が発生するんですけれども、一体その介入の結果、介入を代行してもらっている市中銀行の皆さんにはどのぐらいの収入が入っているというふうに考えたらよろしいんでしょうか。その仕組みとかあるいは実績についてお伺いできればと思うんですが。
  168. 渡辺博史

    政府参考人渡辺博史君) それでは、仕組みの方から先にお答えいたしまして、その後金額についてお答えいたします。  既に先生もよく御承知だと思いますけれども、外国為替平衡操作を行いました場合には、まず財務大臣の代理人でございます日本銀行の方から委託先の金融機関に、これは毎月まとめて月単位で支払を行っておりまして、それに対しまして、その同額を今度は外国為替資金特別会計の方から半年に一回、ですから六か月分まとめて支払うという形で支払っているということでございます。  それで、昨年中ということですと、まだ年度の進行中でございますので数字を締めてございませんが、例えば平成十四年度の場合におきましてそういう形で支払いました委託手数料の総額が一億六千三百七万円でございます。そのときの年度中の介入額が六兆四千二十九億円ということでございますので、仮に二十兆ということでございますとこれの二・五倍ぐらいという計算になりますので、大体概算そんなところでございます。
  169. 大塚耕平

    大塚耕平君 逆説的な質問ですけれども、普通、対顧のオーバー・ザ・カウンターですと百分の一ぐらい手数料を取るのに、それは逆に、業務をさせているのに余りにも安い手数料でやらせ過ぎていませんか。
  170. 渡辺博史

    政府参考人渡辺博史君) 我々が通常銀行に行って替えますと、おっしゃるような約百円に付き一円というか、一ドルに付き一円ということでございますけれども、大口割引というものがございますので、一般の事業法人等が為替をやっているときにはもう少し安い手数料でやっております。  ちなみに、委託先金融機関がブローカーを通じて為替を入手する場合、手数料というのを一応料率を決めておりまして、大体一ドルに付きまして〇・三七銭ということでございますから、そういう意味でいいますと個人でやるよりはかなり安くやっておりますが、先ほども申し上げましたような経緯もありますので、不当に安いとは思っておりませんが。
  171. 大塚耕平

    大塚耕平君 財務省皆様方、優秀な方が多いんで、お辞めになるといい本を一杯書くんですよね。加藤財務官が以前書かれた「円・ドル・元為替を動かすのは誰か」という、改訂版も出ておりますけれども、加藤財務官は大変リーズナブルな方だということで僕も尊敬しているんですけれども、いろんなことを書いておられます。是非これ参考になりますので読んでいただきたいなと思いますが。  例えば、市場の相場観と懸け離れた介入をした場合には介入のコストがかさむリスクがあると。要は、余りたくさん介入はやり過ぎても駄目なんだということを一杯書いておられるんです、加藤元財務官は。ドル売りのコストを上げ、ドル売りにブレーキを掛けるためにはドル借入れの金利を上げることが考えられると。そうすると、これは例えば予算委員会でも随分介入のコストについて、あるいは含み損、将来のコストですね、議論になったわけですが、こういう加藤財務官のお考えに従うと、例えばドル借入れの金利を上げていくという行動を取るためには、日本が米国債のファイナンスなんかしている場合なのかなという、結果としてですよ、そういう意思があるかどうかは別にして、そういう介入をしながら介入コストを下げるという行為には矛盾したことをやってしまっている部分もあるんですね。  本当にすばらしくためになることが一杯書いてあるんですけれども、「公的当局が動員しうる介入資金の規模が限られていることを勘案すると、介入は賢明なやり方で行うことが肝要であり、他の政策を補完する手段として適切な環境の下で行われれば、短期的には有効となる可能性がある」と。とにかく今財務省が直面している事態に対する警鐘が一杯書いてありますので、一度お読みいただきたいと思うんですが。  ただ、この中にはマクロ経済政策全体として、つまり金融政策と為替政策、財政政策が整合性が取れていることが重要だということが一杯書いてあるんですね。私もそのとおりだと思います。そういう意味で、よくいろいろ思い起こしてみると、おととしの秋に竹中大臣金融担当大臣に就任されて、金融財政経済とすべてを、もちろん財務大臣もおられますけれども、所管されるようになって以降、日銀が株の買取りを始めたり、就任されて三か月後の去年の一月から介入がずっと行われて、しかもそれを非不胎化といってずっと市場に放置するということを続け、そして日銀の国債の買取りの金額が増えて、これはそのときは余り思わなかったんですけれども、こうやって一年半たってみてよく振り返ってみると、典型的なマネタリゼーションをやっておられるなというふうに思うわけなんですが。  で、私が一つお伺いしたいのは、そういうきちっとした方針でやっておられるなら、それはそれで一つの考え方だと思うんですね。ただ、結果として、日銀と金融庁の金融行政の部分の動きと、そして財務省と日銀の為替介入の部分の動きと、そして財政ファイナンスの動きが、それぞれが現状を打開するためにどうしたらいいんだということを考えながらやった結果、ぱっと振り返ってみたら物すごいマネタリゼーション政策が行われているということならば、これは何か一九九〇年前後に起きてしまった出来事をほうふつとさせるような感じがするんですけれども。つまり、この一年半の動きは、この介入も含めてですけれども、意図した展開なのか、いや、合成の誤謬とは言いませんけれども、合成の結果なのか、それについて両大臣の所感をちょっとお伺いしたいんですけれども。竹中大臣、どうぞ。
  172. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 大塚委員、今マネタイズという言葉を使われましたけれども、厳密に定義するとマネタイズと言えるかどうかというのはいろんな議論があるところであると思います。ただ、考えてみますと、今デフレの状況下にありますから、様々な形で貨幣を供給するような仕組みを作っていかなければいけないというのは、これは方向としてはそうだと思いますし、そのことをもってマネタイズというふうにおっしゃっているのであれば、これは方向としては、政策としては間違っていないということのむしろ御議論であろうかと思います。  直接のお尋ねは、それが政府一つの意思の下に非常に整合的、統一的になされているのかどうかという御指摘でありますが、これはもう日本銀行のことは大塚委員、私よりもはるかに御存じであろうかと思いますが、ここはやはり日銀の独立性、それとマクロの議論というのは今経済財政諮問会議を中心に、これは非常に幅広く、財務大臣にも日銀総裁にも御参加をいただいて行っておりますが、これはしかし、金融政策は基本的には日銀において行われている、為替政策はこれは財務省が所管して行っている。我々としてはやはり問題意識を共有しなければいけない、それと現状認識を共有しなければいけない、そういう努力は経済財政諮問会議等々でしっかりやっているつもりでございます。  しかし、それを一つの意図のように完全に統一的に行うということのリスクはこれは社会全体としてあるわけで、そこはやはり日銀の独立性、財務省としての判断、そういうものが相重なって今のような状況が生じているのではないかというふうに思っております。
  173. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私は昨年の九月に今の仕事いただきましたので、それ以前がどうだったのかは明確に申し上げられる立場ではありませんけれども、今、竹中大臣がおっしゃいましたように、日銀総裁とも、あるいは私と竹中大臣経済財政諮問会議でよく意見の交換をさせていただいておりますし、大きな認識は共有しているのじゃないかと思っております。  ただ、日銀総裁と私が大きな認識では、方向は共有、共通の方向は向かっておりますが、今、竹中大臣がおっしゃいましたように、日銀は日銀で政策決定会合を通じて意思を決定されるわけでありますから、必ずしも一枚岩でないこともあるかもしれません。ただ、全体の方向は大きな意味では平仄が合って、方向を進んでいるのじゃないかと考えております。
  174. 大塚耕平

    大塚耕平君 この問題についてはまたいずれじっくり議論をしなければいけない局面に来ていると思いますので、議論をさせていただきたいと思います。  最後になりますけれども、これ、今日からたまたまメガバンクの皆さんに対する特別検査がまた入るという、そういうタイミングでありますので、いろいろ巷間物議を醸している話題もありますので、今後の審議の参考のためにちょっと技術的なことと事実関係をお伺いしたいんですが、金融庁の検査において中間協議とか検査モニターあるいは出口協議という言葉が庁内でどういう定義で使われておられるのかということと、それからUFJ銀行への検査に関して、去年の十月二十四日に今申し上げた出口協議の一環として金融庁幹部の皆さんとUFJの幹部の皆さんが協議をした事実関係が、事実があるのかどうか、もし二十四日がないとしたら二十七日はどうかという、以上の点について今後の審議の参考にするためにお伺いして、最後にしたいと思います。
  175. 佐藤隆文

    政府参考人佐藤隆文君) 前段の部分について私から先にお答えさせていただきます。個別の検査にかかわることについてはお答えできませんので、あくまでも一般論として御説明をさせていただきます。  順不同になりますけれども、まず検査モニターでございますが、これは個々の立入検査について運用面の適切さを確保するといった目的で、立入検査実施中に検査班とは別のバックオフィスの幹部が現地に出向きまして、検査班を同席させずに、検査を受けている金融機関の経営陣から直接進行中の立入検査の実施状況について意見聴取を行うという仕組みでございます。  それから、出口協議というお言葉についてでございますけれども、私どもの日常の検査実務の中でごく普通に使われている言葉として出口協議という用語が定着しているというふうには承知いたしておりません。ただ、通常、立入検査の最終段階において、検査班が実態把握した事項とか問題点等につきまして検査班と検査を受けた金融機関の主要役員との間でそれらを確認する、こういうセッションを持つことといたしております。このセッションを指して、私どもはよくエグジットミーティングとか出口ミーティングといった言葉で指して言うことがございます。  それから、三つ目の中間協議という用語でございますけれども、これにつきましてはふだん余り耳にしない言葉だなという印象を持つわけでございますけれども、したがって日常の検査実務においてこの言葉が言わば共通の言葉遣いとして広く用いられているというふうには承知いたしておりません。
  176. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 最初のところで御指摘のありました特別検査に関しましては、これは今三月期も我々としては実施をするということを発表させていただいております。委員からもよく御指摘をいただきますように、日本金融システムの健全化再生に向けて我々もしっかりと努力をしていくつもりでおります。ただ、これいつからやっているとか、そういうことについては特に申し上げないということになっております。  それで、お尋ねの十月何日に何があったか云々のことでございますが、今お尋ねいただきましたことは個別の銀行の検査に関することでございます。これは、個別の銀行、金融機関に関する検査については、これは結果は言うまでもありませんけれども、具体的な運び、それと陣容等々について、これはやはり申し上げることはできない、このことは是非御理解をいただきたいと思います。
  177. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) よろしいですか。
  178. 大塚耕平

    大塚耕平君 お許しいただければ一つだけ。  よくそういう御答弁をこの委員会でもお伺いするんですが、やはりどこまでは行政として言ってはいけないことで、どこから先は国民に対して言わなければならないことかということはよく御議論いただきたいと思うんですが、私も真実かどうかは確認しておりませんが、報道によりますと、例えばUFJの寺西さんが検査官を替えてくれというようなことをおっしゃったとか、あるいは例の資料がどこかに隠れていたというような話とか、これは、例えばこの問題は事実だとすれば、これは財務状況の中身を言っているんじゃないんですから、そういう金融庁さんに対する大変冒涜的な行為があったとすれば、もう即これは経営陣は退陣しなければならないわけですから、そういう事実があったかどうかというようなことは、これは別に個別の銀行の財務状況や検査の中身言うわけじゃないですから、やっぱり国民に対して言わなければいけないことだと思いますので、例えばそういう問題も含めて、何でもかんでも全部しゃべらないということになると、もう国会審議意味がなくなりますし、その結果としてつまらない風評を呼ぶことになりますので、毅然とした態度で対応していただきたいなと。  同時に、UFJ銀行の行員、中堅幹部以下の皆さんの中にも、もうそういうことを取りざたされることに辟易としていて、もうはっきりきちっとした対応を早くしてほしいと、自分たちは経営陣に対してもっときちっとしたことも言いたいし、金融庁も対応してほしいというようなことも結構大勢の方が言っておられるということをお伝えして、もう答弁結構ですから、質問を終わらせていただきます。
  179. 大門実紀史

    大門実紀史君 法案関係に入る前に、若干足利銀行問題で要望も含めて谷垣大臣に質問をしたいと思います。  最初に、足利銀行破綻についてはこの委員会審議も参考人質疑もやってきたところですが、参考人質疑を通じても、金融庁が、竹中大臣去られますけれども、わざわざつぶしたというのが、ますますそういう認識が強まったところです。これは、自民党の中でも栃木周辺県出身の国会議員の皆さんも同じようなことをおっしゃっておりました。そして、谷垣大臣は地元からの御要望もお受けになったこともあると思いますが、この足利銀行の破綻についてどういうふうに御感想としてお持ちか、まずちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  180. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私は、今委員がおっしゃったように、金融庁がつぶしたというような認識は全く持っておりません。  ただ、北関東そして栃木県においては大変大事な役割を果たした、果たしてきた金融機関でありますから、これが倒れたことによって栃木県の方々の御苦労というのは大変なものだろうと思いますので、もちろんこういう民間の金融機関でありますから、それの服すべき規律、ルールというものはもちろんあるわけでありますけれども、我々としても栃木県の経済状況というのはよく見ていかなければならないなと、こう思っております。
  181. 大門実紀史

    大門実紀史君 認識、破綻についての認識が違うわけですけれども、いずれにせよ、おっしゃったとおり、地元の経済とか地元の中小企業、借り手がこれからどうなるかという、もし何かあれば困難に陥らないように手を差し伸べなきゃいけないというのは、これはもう与野党一致してのところだと思います。  その上で、少し具体的な点でお聞きしたいんですけれども、これは中小企業庁の方に先にお伺いしますけれども、もちろん政府として地元の中小企業をいろんな形で支援していくセーフティーネットもございますが、私、この委員会で竹中大臣に要望しましたファンドの問題なんですけれども、中小企業再生の問題なんですが、中小企業庁としてこの再生の対策といいますか、枠組みといいますか、今どういうものをお持ちで、どういうことを今この栃木県といろいろ御相談されていますか。
  182. 大道正夫

    政府参考人(大道正夫君) お尋ねの件でございますけれども、御指摘のとおり、地域の経済活力、雇用、こういったものにつきまして、中小企業、大変重要な役割を果たしておりますので、その再生を図るに当たりましていろいろなもちろんツールが必要でございますけれども、その一つとして、財務面からの支援ということで、地域におきまして中小企業の再生を支援する再生ファンドに対しまして中小企業総合事業団を通じた支援を行っております。  具体的には、例えば地域金融機関などが、そういう民間主体が再生ファンドを組成するに当たりまして、民間資金の呼び水ということで、その事業団が有限責任組合員として出資総額の二分の一以内で出資を行うという仕組みでございます。中小企業事業団、御案内のとおり、中小企業再生支援協議会という仕組みがございますんで、そういうところと連携をする、あるいは継続的な支援をすると、そういうこと、あるいは中期的に中小企業の方々と株式等々を保有と、こういうような再生ファンドを是非応援したいということで、そういった出資をする仕組みを運営するという仕組みを持ってございます。  具体的に栃木県との関係でございますけれども、これはあくまでも民間サイドの、何といいますか、発意といいますか、これこれこういうファンドを作りたいというお話があれば、中小企業事業団として適切にこれに対応するという仕組みでございまして、我々としてももしそういうお話があれば一生懸命考えていきたいと、こういうふうに考えているところであります。
  183. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非、地元のそういう発意といいますか、要望があれば相談に乗って対応をお願いしたいと思います。  谷垣大臣に要望を含めてお願いしたいんですけれども、私、この委員会で、政策投資銀行が今ファンドに出資するスキームを持っておりまして、中小企業にもということになっているわけですが、幾つかどうなのかなと思うようなファンドがありまして、それを質問でここで取り上げたことがあるんですけれども、そのときに小村総裁もその中小企業の方に努力していくというふうなことをおっしゃっていたことがあるんですが、今回、こういう事態になりまして、先ほど、中小企業庁のスキームというのはどちらかというと本当に中小企業と。もう少し中堅レベルといいますか、例えば、私、現地調査へ行ったら、鬼怒川等々で大型ホテルとかがあるんですけれども、ですから中堅、中堅ぐらいのレベルでいきますと、この政策投資銀行が持っているスキームといいますか、そういうところは、例えばですけれども、温泉街で温泉ファンドといいますか、温泉街ファンド作ると、そういうところに出すようなことは十分可能だというふうに思っているんです。  これはまだ現実に何か要望が来ているわけではないというふうに思いますが、そういうふうに何が起こるか分からない状況もありますんで、そういうふうな地元の要望が出てきた場合、是非、この政策投資銀行のスキームで中小企業に対して出資、ファンドに対して、再生のためのファンドに対して出資するということになって予算も増やしたわけですから、是非そういう要望が出てきた場合積極的に相談に乗って対応していただきたいというふうに思うんですが、今の段階でその方向だけお聞かせもらえればと思います。
  184. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今委員おっしゃいましたように、政策投資銀行はファンド等に出資するというスキームを持っております。ただ、まだ栃木県、地元からファンドへ出資してくれという要望が政策投資銀行に来ているというふうには承知しておりませんが、地域が主体となってお作りになるファンドについては、具体的な御相談があれば政策投資銀行としても、地域をどう活性化していくかという観点から、自分の持っている手法の中で対応していくんだろうと、こう思っております。
  185. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  具体的になればそういう相談、対応をお願いしたいと思います。  農業共済に関連して、この間起きました、具体的に起きている問題について質問をさせていただきます。  一月の十三日から十六日の間、北海道の道東周辺で豪雪の被害がございました。私も一月二十六日から二十七日まで現地に調査に行きました。これに関連して、農業共済との関連もありますので質問したいわけですが、まず気象庁にお伺いしたいと思います。  この豪雪、大雪というのはどういうものだったのか、発生原因も含めて簡潔にちょっと説明お願いしたいと思います。
  186. 長坂昂一

    政府参考人(長坂昂一君) 一月の十三日朝、紀伊半島付近に発生しました低気圧が発達しながら三陸沖に進み、十四日朝には根室の東海上に到達し、急速に発達しました。その後、同低気圧の動きが遅くなり、強い勢力を保ったままゆっくりと東に進みました。  北海道地方では、十四日にはこの低気圧により各地で暴風雪あるいは大雪となり、海上は大しけとなりました。特にオホーツク海側は十四日から猛吹雪となり、北見地方では十六日早朝にかけて記録的な大雪となりました。  気象庁では、この間、地元の気象台等から大雪や暴風雪に関する警報あるいは気象情報を適宜発表し、警戒を呼び掛けました。  今回の低気圧に伴う大雪では、北見市で十六日午前七時に百七十一センチメートルの最深積雪を記録し、これは平成十二年一月二十一日に記録をした百十七センチを上回り、観測史以来最大となりました。なお、北見市におきます近年の一月の最深積雪は平均で五十六センチメートルとなっております。  以上でございます。
  187. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  地元では雪台風とか爆弾低気圧とか冬台風とか呼ばれるようなすさまじいものだったわけですね。通常五十六センチぐらいのところに百七十一センチも雪が降ったということですけれども、こういう暴風雪というのは、この間、毎年発生しているんでしょうか。
  188. 長坂昂一

    政府参考人(長坂昂一君) お答えします。  先ほど申しましたように、数年に一回というペースでございまして、今回の場合ですと平成十二年の記録を上回るというぐらいのペースでございます。  いずれにしても、今年は非常に多かったということでございます。
  189. 大門実紀史

    大門実紀史君 この雪害については、政府も、一月二十九日からですか、関係省庁の合同調査団を出されております。団長が内閣府の副大臣佐藤さんでしたので、内閣府にこの調査された結果といいますか、つかんでこられたことについて少し説明お願いしたいと思います。
  190. 尾見博武

    政府参考人(尾見博武君) 委員御指摘のように、北海道では今回の雪害によりまして大きな被害が出ております。死者が、亡くなった方はお一人、負傷者が十二名、それから住家の一部破損が二十五戸の被害を始めといたしまして、多くの農業用施設や農作物に被害が発生したほか、道路の通行止め、航空機の欠航、鉄道の運休等、交通機関や市民生活に大きな影響が出たというふうに認識しております。  委員今おっしゃいましたが、国会の関係等がございまして、一月三十一日に、土曜日に、佐藤内閣大臣を団長とした関係省庁の担当者九名によりまして、北海道雪害関係省庁合同調査団により北海道と網走支庁管内の北見市を始め七町の雪害現場を調査させていただきました。  調査に当たりましては、北海道及び網走支庁から積雪の状況及びそれに対する対応状況、国土交通省北海道開発局から除雪状況聴取した後、市や町における除排雪の状況及び農業施設の被害状況調査いたしました。その結果、先ほど述べたような被害の状況であるというふうに認識したところでございます。
  191. 大門実紀史

    大門実紀史君 被害の状況は道からももらったり、数字的にはもらっているんですが、皆さん行かれて、一番地元の強い要望だったのはどういうことだったですか。
  192. 尾見博武

    政府参考人(尾見博武君) 調査団に対しまして、北海道及び網走支庁管内総合開発期成会、これは網走支庁内の二十六の市町村で構成されている団体でございますが、この双方からおおむね三点についての要望をいただきました。一つは関係自治体に対する財政支援の問題でございます。二つ目は豪雪による幹線市町村道除雪事業補助の臨時特例措置、三番目が農業施設等の被害対策、この三つでございました。  これらの要望につきましては、関係省庁と早急に調整して対応してまいりたいと思っております。
  193. 大門実紀史

    大門実紀史君 これは局地的な被害というふうになると思いますので、私も災害の委員やっておりますが、激甚災害には難しいのかなと思いますが、局地激甚災害という枠がございますね。これはどういう場合に適用されて、その場合の費用負担はどういうふうになるか、これも簡潔で結構です、説明してください。
  194. 尾見博武

    政府参考人(尾見博武君) 局地激甚災害制度についてのお尋ねでございますが、これは局地的に大きな被害をもたらした災害に対しまして今災害復旧事業がございますが、更にそれに加えて国庫補助のかさ上げなどを行うものでございます。  局地激甚災害に指定されるための要件でございますが、一つの範疇としては公共土木関係というのがございます。これは市町村が負担する災害復旧事業等の査定額が当該市町村の標準税収入額の五〇%を超えるということが要件になってございます。もう一つ、農地等の関係がございますが、こちらは市町村の復旧事業に要する経費が当該市町村の農業所得推定額の一〇%を超えるという等の基準を満たすということが必要になってございます。  今回のことにつきましては、現在のところ、被災した地方公共団体からの報告を受けつつ、関係各省において被害実態の把握に努めているところでございます。今後、災害復旧事業費が確定した段階で判断してまいりたいと、かように考えております。
  195. 大門実紀史

    大門実紀史君 今のところ、その被災地、数値、確定していませんからまだ何とも言いようがないわけですが、是非よく調べて、適用できるものなら適用する方向で御努力をお願いしたいというふうに思います。  こういう場合、特別交付措置が取られるわけですけれども、これも地元から基礎的な数値が出ないと何とも言えないというところあると思いますが、是非関係、これはどなたに答えてもらうわけにいかないかも分かりませんが、関係方面で交付措置の中できちっと支援できるように対応をお願いしたいというふうに思います。  中身で少し具体的な点をお伺いしますが、先ほどありました、私も現地へ行っていろいろ聞きますと、まず農業の関係で一番、何といいますか、切実なのがD型ハウスという倉庫ですね。これはアーチ状の半円筒みたいな形の倉庫で、北海道にはたくさんあります。それが今回四百三十一棟崩壊したと。これは実は建物共済とか農業共済の対象になっておりませんので、非常に深刻な被害に共済で補てんされないということですね。  これは地元で、調査行かれて、これは農水の方ですかね、D型ハウスの被害について直接現場の声聞かれましたか。
  196. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答えを申し上げます。  先ほど内閣府の方から答弁ございましたとおり、三十一日の当調査団には私どもの担当官も入りまして現地の調査、つぶさに拝見させていただきましたし、意見も聞いておるところでございます。
  197. 大門実紀史

    大門実紀史君 これは、共済の対象になっていない理由は把握されておりますか。
  198. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業共済では園芸施設共済というものがあるわけでございますが、これは例えばビニールハウスであります等、農作物の栽培の用に供されているものに限っております。  お尋ねのD型ハウスは農業者やあるいは運送業者等の倉庫として使用されておりまして、そういうことで園芸施設共済の引受対象とはなっておりません。
  199. 大門実紀史

    大門実紀史君 つまり、今まで栽培のするものだったら共済の対象になったり、あるいは建物共済だともう少し建築基準法上しっかりしたものでなきゃ駄目と。このちょうどはざまに入っておったものですから共済の対象になっていなかったということだと思うんですが、今後、こういう被害が出た以上、共済の対象といいますか、そういう対象にしていかなきゃいけないというふうに思いますが、その点で農水省、お考えあれば、お聞かせください。
  200. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) お答えいたします。  今委員が御指摘のとおり、農協が実施しておりますいわゆるJA共済の中の建物更生共済、これについては、D型ハウスのうちでも一定の要件を備えたものについては対象となっております。すなわち、基礎工事がしてあったり、あるいは外壁、柱、屋根等の主要構造部のすべてが独立しているといったようなことでございます。  ただ、対象になっていないのは、他の住宅等と比べまして著しく強度が不足するといったようなことで、この建物共済の引受けの対象にはし難いということでございます。  よく、こういう今回の被害の状況等を踏まえまして、農協系統の中で実態等の調査研究、そういうものを今後の可能性ということについて十分検討していただくことが基本になるのではないかというふうに考えております。
  201. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非、今後のことは今後のことで、共済の対象にするように御検討、御指導お願いしたいというふうに思います。  具体的に今起きている問題ですが、四百三十一倒壊したと。これは、現地調査されて、一つ当たり建て直すとすると幾ら掛かるか、処理費用幾らぐらい掛かるか、それは調査されましたか。
  202. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) D型ハウスの坪単価というのは二万から三万ぐらいということを聞いております。
  203. 大門実紀史

    大門実紀史君 ですから、大体一つのD型ハウス全体で、全体というか、一つ建て直すのにどれぐらい掛かるか聞いてこられませんでしたか。
  204. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 具体的なその総額としては聞いておりませんが、今申し上げました単価と、ここは調査をしてございます。
  205. 大門実紀史

    大門実紀史君 私、聞いたところによりますと、大体坪二、三万というのは、これはかつて、昔建てた数字で、今、実際建てるとしたら、やっぱり四万超えるだろうというところと、実際建て替えると、一棟当たり大体、大体そんな大きさは違いませんから、大体百五十万円から二百万円ぐらい掛かるというのを何とか調査して聞いてきました。プラス、今これ真ん中が雪でへっこんで、鉄骨ですから、それを除去する費用がかなり掛かると。これが恐らく二十万では済まないんではないかなという声が多かったところです。つまり、合わせて二百万前後以上が掛かる、それぐらいの被害を一つの農家に与えた被害ですね。これは農水省として、今の農家の現状で、本人がそれを負担できるものかというふうに御判断されますか。
  206. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 個別の経営の状況はいろいろあろうかと思いますが、私どもとしては、農林漁業施設資金等の低利な施設災害資金、こういうものを用意してございますので、そういうものの活用を通じまして被害農業者等の支援に努めてまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  207. 大門実紀史

    大門実紀史君 私は、もうそれも含めて聞きましたら、もうこれ以上借金もできないと、これ以上借金を増やすということもできないというふうに大体もう異口同音にそういうお話でございました。ただでさえも相当借金増やしているんですよね、農家それぞれ。これは何らかの援助が必要だというふうに思いますが、農水省はいかがお考えですか。
  208. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 私も、今申し上げましたとおり、基本的には個々の、個々人の施設でございますので、この低利の融資制度を活用していただくということが基本ではないかというふうに考えておるところでございます。
  209. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、ですから、その融資以外に何らかの援助が必要な実態じゃないですかと、実態はそういうことじゃないですかと聞いているんですけれども。
  210. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 一般的に北海道はいろんな経営実態があるということは伺っております。ただ、個々具体的なケースとしては、それぞれに応じて、今申し上げましたような中を基本にして対応すべきだというふうに考えております。
  211. 大門実紀史

    大門実紀史君 だから援助が必要だというふうに思いますが、どういうことなんですか、今、よく分からないんですけれども。  要するに融資も、融資も目一杯で、これ以上借りられないと。しかも二百万円ぐらいぼんと建て直さなきゃいけないと。もう大変な事態なんですよね。これに対して特別の援助が必要ではないかというふうに認識されませんかとお聞きしているんですけれども。
  212. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) あと──失礼しました、お答えします。  また、あと、そういう既往の貸付金等がございます場合には、償還の猶予でありますとか、そういうことを対応していただくようにお願いをしているところでございまして、既に関係の金融機関等にも通知を出しているところでございます。
  213. 大門実紀史

    大門実紀史君 ちょっと、人が言っていることを聞いてもらわないと進まないんだけれども。融資以外のことを言っているわけですよ。  じゃ、聞きますけれども、こういう事例で、国だけではなくて県レベルでも結構ですけれども、特別に支援事業をやった例はありますか。
  214. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 調べましたところ、例はあるようでございます。たしか福井県で、そういう県独自で援助された例があるように聞いております。
  215. 大門実紀史

    大門実紀史君 そういうことぐらい、ちゃんと質問通告しているんだから、きちっと答えてください。  福井県の県単独事業ですけれども、同じような事例があったんです。平成十三年に福井県を襲った豪雪のときに、倒壊したハウス費用の、これは取壊し撤去費用だけですけれども、少なくともそれだけは補助しようというふうに福井県がやった例があるんです。これはH鋼ハウス、パイプハウスなどの園芸施設ですけれどもね。こういう例があるんです。  だから今回も同じように、これは福井県がそのとき判断して、必要だ、これは本人任せではどうしようもない、できないと。だから県が判断したわけですよね。今回、そういう同じ事態じゃないですかと。  皆さんにすぐ何かお金出しなさいと言っているわけじゃないんです。認識を聞いているわけです。調査行かれたんでしょう、現場に。何を見てきたんですか。私はそう感じたから、皆さんもそう感じませんでしたかと、そういうことを聞いているわけですよ。そういう実態じゃなかったんですか。
  216. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 北海道庁辺りともよく、その状況なり対応策なりということは今後十分協議をしてまいりたいと思っております。
  217. 大門実紀史

    大門実紀史君 ですから、わざわざ現場行かれたからお聞きしているわけで、行かなかったら私が御説明してどう思いますかと質問するわけですけれども、行かれて何を見に行ったんだと、農水省はということなんですよ。  だから、福井県がやった、このとき単独で福井県、自分たちで援助したような同じような事態になっているわけです。だから、今回は道がやるかも分かりません。国がそれに補助するかも分かりません。まずその認識を聞いているわけだからね。ちゃんときちっと答えなさいよ、それぐらい。  今言われたように、今後、道の要望が出てきたときに、きちっと農水省としても話を聞いて、何ができるか相談に乗っていくと、それだけはちょっとちゃんと答えてください。
  218. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 道の要望等をよく踏まえた上で対応していきたいというふうに思っております。
  219. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう一つ、先ほどの地元の強い要望の中で除雪の問題がありました。これは私も北見市の助役さんと話をして、かなり強い要望になっています。  これは国土交通省にお伺いしますけれども、今国土交通省に幹線市町村道除雪費補助の臨時特例措置というのがあります。これは私使えると思うんですが、説明してくれますか。
  220. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) お答え申し上げます。  まず、除雪全般についてちょっとお答え申し上げたいのでございますが、県道以上につきましては、その主要な道路につきまして、積雪寒冷地域の道路交通確保の五か年計画と、こういうものに基づきまして除雪の補助、あるいは直轄の道路であれば直轄で助成する、こういうことをやっております。市町村道の場合には、全体といたしましては、先ほど来先生お話のありました交付税や特別交付税、こうした形で地方財政全体の中で市町村道の除雪は手当てしていただいていると、こういう状態であります。  そこで、先ほどお話しの豪雪に対しての臨時特例措置でございますが、これは昭和五十二年の豪雪でございますから年度で申し上げますと五十一年度でございますが、大変な豪雪だと、こういうことで、そうした地方財政全体の中の措置だけでは間に合わない、何とかならないかと、こういうような御議論がありまして、予算的な臨時の特例措置として開始した。当時、大体六百市町村ぐらいという記録になっておりますが、市町村道の除雪に対して二分の一の補助を差し上げた、申し上げたと、こういうことになっています。  以来、二十八年間になるわけでございますが、六回、この特例措置を適用しまして臨時の除雪費の補助と、こういうものをやっております。全国的に広い範囲で豪雪だと、広い範囲の市町村がこれは大変だという状態になったときに、状況をよくよく勘案しながら、政府の中でそこまでやれるかどうか、こういう検討をしておるというのが実態ではございます。  そういう意味では、今年の道東の大雪は大変なものではございましたが、全国的にはどちらかと申しますと平均的には過去十年の平均よりも降雪量が現状では少ない、こういう状態でございます。したがいまして、これからの雪の降りよう、二月、三月の降りようということも含めまして様子を見ながら、現時点ではこの現臨時特例措置、こういう形の適用というのは対象にはならないだろうと、こうは思っておりますが、二月、三月の降雪の状況というようなことも見ながら考えてまいりたいと、こう思っております。
  221. 大門実紀史

    大門実紀史君 どういうことですか。全国的に、全国的の全国的というのは沖縄から北海道まで全体をカウントするんですか。
  222. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 積雪寒冷地域というのが大体国土のおおむね六割、もちろん、そして先ほど申し上げました積雪寒冷特別地域の道路交通確保、これは市町村も指定しているわけでございますが、市町村の数でいきますと千三百余り。それ以外の市町村でももちろん雪が降るときは降るわけでございますが、主として毎年積雪あるいは寒冷な地域と、こういう形で考えますと大体そのぐらいありますと。  そういう中で、先ほど申し上げましたように、私どもの実行いたします、させていただきます補助事業と、それから地方財政全体の中でどういうふうに考えていくか、この役割分担を考えますと、通常の年は地方財政の中でいろいろ対応していっていただいていると、こういうのが実態でございます。  これまで六回と申し上げましたのは、結局、ある広範囲に、ある範囲の地域で雪が多いと、こういう形になりますと、それぞれの市町村の、多くの市町村が負担が大変だと、こういう形になりますので特例措置というものを設けようと、こういう形にしておるわけであります。
  223. 大門実紀史

    大門実紀史君 ちょっと意味が分からないんですけれどもね。  これ、文書を私もらったけれども、全国的な豪雪年には、今聞いたら全国じゃないじゃないですか。何なんですか。こういうあいまいなことを言われるけれども、どこが豪雪だったら発動されるのかが今の話じゃさっぱり分からないんだけれども、具体的になっているんですか、その何とか地域とか何とか地域が。  じゃ、この豪雪もついでに説明してくださいよ。何以上を豪雪といって、どこかにペーパーに書いてあるんですか。そんな基準が公になっているんですか。
  224. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) まず、先ほど私が申し上げました積雪寒冷特別地域の指定、これにつきましては、先ほど申し上げました道路交通確保の五か年計画と、こういうものに基づきまして市町村を指定してはおります。市町村を指定してはおります、千三百ぐらい指定させていただいています。  全国的に豪雪かどうかということになりますと判断が入るわけでございますが、最初のころ、昭和五十一年のころは、五十一年度のころは、内閣に豪雪対策特別本部が設置されて、これは豪雪だと、こういう認識がしっかりした場合にさあどうするかというふうにやってまいりました。一番最近では、そうした豪雪対策特別本部という設置を要件とはせずに、例えばで申し上げれば、過去の例えば十年の平均積雪積算値、これは積雪の量と日の累積、累計算でございますが、それが例えば一・五以上と、これは大変なそれぞれの地域にとって豪雪だと、こういう市町村の数が多くなれば地方財政の中だけで手当てなかなか厳しいものがあるであろうということで、関係省庁が集まりましてどうするかという議論をさせていただいた上で、臨時特例措置としての幹線市町村道に対する除雪費の補助も行うと、こういうことになっております。  過去の例で申し上げれば、大体三百八十から六百ぐらいの市町村が今申し上げました計算の豪雪、一・五以上、平年よりも一・五以上、こういうような場合に適用がされてきている、こういうのが実態であるということでございます。
  225. 大門実紀史

    大門実紀史君 最初、今回難しいという理由に、全国的な降雪量がそこまで行っていない、二月、三月の降り方見て考えると。で、今よく聞いてみたら、全国的と言いながら、それは何とか地域になったりもうちょっと広がったり。あるいは豪雪も、例えばという話はないでしょう、例えば十年平均で上回っているとか、昔は本部が設置されたから出したとか、要するに物差しないじゃないですか、これ。そんな確定して、物差しなんかないじゃないですか。そのときによって変わっているじゃないですか。簡単に言えばそういうことでしょう。  この全国的なというのは、これは昭和五十一年の段階で作った文書でしょう。その後いろいろ変わっているじゃないですか。何もこれは、その昭和五十一年のをとらまえて、これに合わないから今回出せませんなんてけんもほろろに言うほどの、それほどの物差し、何にもこの中にないじゃないですか。余りそんなこと言われるんだったら、昭和五十一年、五十五年、五十八年、五十九年、六十年、平成十二年、四百から六百市町村、全部資料を出してください、どういう基準で出したか全部見せてください、その上で今回が該当するかしないかというのを全部照合しますから。全部それに合っているんですか。そんな基準なんかないでしょう、これ、出してきた。その時々で変わっているじゃないですか。  今、温暖化ですよ。全国的にそんな昔のような降り方しないわけですよ。昭和五十一年とえらい違いですよ。何で、北海道がこれでやってくれないかと言ったら、こんな昔のただの文言にこだわってできませんなんてことを言っているんですか。ちゃんと相談に乗ってあげればいいじゃないですか。物差しなんか変わるじゃないですか。
  226. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) そういう意味でお答え申し上げれば、そういう意味臨時特例措置ということで弾力的な運用はしていますと。ただ、先ほど申し上げましたように、地方財政全体の中でどこまで対応可能かというようなことも含めて、通常そういう役割分担をしてきているので、要はその市町村単位での財政事情を見ているわけですが、ひどく除雪で大変だという市町村の数が多ければ、そういう地方財政全体の中だけでは厳しいかなというときに、したがってある範囲の市町村の数といいますか、大変な豪雪ですという数が多い場合に全体としては対応し切れないかなというのでやっておるというのが実態でございます。
  227. 大門実紀史

    大門実紀史君 ちょっと言っていることがおかしいんです。地方交付税で通常は見てくださいと、それに加えているわけでしょう、これ。加えているわけでしょう。だから、あなた言っているのは、自分で混同しておっしゃっているんだけれども、そもそも地方交付税でやってもらうことだと、わざわざこの特例作ったわけですよね。これはそれ以上に、まあ簡単に言えば、豪雪なんというのは、一つの地域だって山沿いのところにはがばっと来るし、同じ町でも違うわけですよ。非常に局地的な話なんです、そもそも。それを、昭和五十一年のときはたまたま全国的な豪雪と言えるような、何かあったか知りませんけれども、二十数年前ですよ、二十八年前ですか。そんな文言のままにただなっているだけで、その後はいろんな運用をしてきたはずです、これ、どう考えても。それで、聞いたら、その豪雪の基準だって、例えば十年間の平均だとか、例えば昔はそういう本部ができたときですとか、ないんですよ、何にも基準なんか。  よく相談に乗ってあげればいいじゃないですか、こんなの。大した金額出すわけじゃないんだから、過去の除雪費なんか。過去だって、これ二分の一補助でしょう。平成十二年だって四百、六百の市町村で三十二億じゃないですか。例えばもっと局地的だったら、もっと少ない話でしょう。むちゃくちゃお困りになっているわけでしょう。使ってあげればいいじゃないですか。そんないい加減な物差しで、もういい加減な物差しというか、物差しないんだから、困っているところに、地方交付税で補てんされても、それでも困っているところのために作られたいい制度なんだから使ってあげればいいじゃないですか。  そういう相談を道とやってくださいよ。最初から使えないだとか、こんな二十八年前の文書使って、そんなこと最初から言わないでですね。もし、そんなこと言われるんだったら、私、この二十八年間出した全市町村、どうやって出したかと、どんな基準で出したか、全部資料を出してもらいますよ。出せないわけがないです、今回。
  228. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 例えば、平成十二年で申し上げますと、豪雪地帯に指定又は当該年度の最大積雪深が百センチメートル以上、あるいは、これはあるいは又はでございますが、累雪量の累計が平年値の一・五倍以上、又は積雪量の累計が平年値より四千五百センチ日以上多い、あるいは平年の除雪費を上回る額が百九十万円以上と、こういう市町村を対象にして臨時特例措置としての除雪をしたわけでありますね。  そうすると、要は交付税及び特別交付税で手当てしていただくというのが一応の役割分担で、そこで十分な手当てができるかできないかと、こういう問題でありますので、対象となる市町村の数が多くなってくるとなかなか大変であろうから臨時の特例措置発動と、こういう形で今までやってきましたということを私申し上げておるわけでございますが。  したがいまして、ある程度の範囲の市町村が、多くの市町村が豪雪だと、こういうような状況をよくよく見ながらということでやってきたと、こういうことでございます。
  229. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう一歩のような気がするんですけれどもね。  要するに、そこまで抵抗されるんだったら、私、資料要求します。昭和五十一年からすべて、市町村。  私、これ調べてみると、そんなふうになっていないですよ。非常に局地的に出しているはずです。北見とか一部のところで、先ほど言ったように、五十センチのところが百七十センチ来たわけですよ。出せる、そういう同じ基準で出した例が絶対あるはずですから、そこまで言われるんだったら資料を出していただくことを、その資料だけ出してください。その返事だけしてください。
  230. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 古い部分はともかくといたしまして、ある範囲の資料は出さしていただきますが。  それで、要はその一つ一つの市町村が、特別に財政需要がでかかった、こういう問題だけではなくて、特別交付税全体あるいは地方財政全体という中で応じ切れるものかどうかと、この判断一つ入っているので、かなりの数の市町村が豪雪で大変だった場合と、こういうことであるということであります。
  231. 大門実紀史

    大門実紀史君 それでは、要するにそんなことは何も書いておりません、ここには。何も書いておりません、この特例措置の文言には。勝手にいろんなことをくっ付けてしゃべっておられるだけだから、私、そんなこと納得できませんので、この資料を、全資料、五十一年から全資料を提出してもらうことを委員会で検討してもらうことと、そんなことやらなくて済むように、さっさと道と相談に入ってもらうことを要望して、取りあえず質問を終わります。
  232. 平野貞夫

    委員長平野貞夫君) ただいまの御意見につきましては、理事会で協議させていただきます。  他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局いたしたものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会