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2004-06-11 第159回国会 参議院 国土交通委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月十一日(金曜日)    午前十時四十分開会     ─────────────    委員異動  六月十日     辞任         補欠選任      木村  仁君     段本 幸男君      北澤 俊美君     小林  元君  六月十一日     辞任         補欠選任      愛知 治郎君     加治屋義人君      舛添 要一君     伊達 忠一君      脇  雅史君     小林  温君      谷  博之君     田名部匡省君      平田 健二君     朝日 俊弘君      山下八洲夫君     岩本  司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         輿石  東君     理 事                 岩城 光英君                 鈴木 政二君                 池口 修次君                 大江 康弘君                 森本 晃司君     委 員                 加治屋義人君                 沓掛 哲男君                 小林  温君                 佐藤 泰三君                 斉藤 滋宣君                 伊達 忠一君                 段本 幸男君                 鶴保 庸介君                 藤野 公孝君                 朝日 俊弘君                 岩本  司君                 小林  元君                 松 あきら君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君                 田  英夫君    衆議院議員        国土交通委員長  赤羽 一嘉君        国土交通委員長        代理       水野 賢一君        国土交通委員長        代理       中川 正春君        国土交通委員長        代理       高木 陽介君    国務大臣        国土交通大臣   石原 伸晃君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        警察庁警備局外        事情報部長    三谷 秀史君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○特定船舶入港禁止に関する特別措置法案(  衆議院提出)     ─────────────
  2. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、北澤俊美君及び木村仁君が委員辞任され、その補欠として小林元君及び段本幸男君が選任されました。  また、本日、平田健二君、谷博之君及び愛知治郎君が委員辞任され、その補欠として朝日俊弘君、田名部匡省君及び加治屋義人君が選任されました。     ─────────────
  3. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特定船舶入港禁止に関する特別措置法案の審査のため、本日の委員会警察庁警備局外事情報部長三谷秀史君、法務省入国管理局長増田暢也君及び外務省アジア大洋局長薮中三十二君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 輿石東

    委員長輿石東君) 特定船舶入港禁止に関する特別措置法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 大江康弘

    大江康弘君 おはようございます。  民主党・新緑風会の大江康弘でございますが、今日は、会期末も控えまして大変限られた時間でありますけれども、この大事な法案に当たりまして質疑の機会を与えていただきましたこと、同時に、今回のこの法案衆議院の方におきまして議員立法という形で提案をしていただいてございます。昨日は、赤羽委員長がわざわざお越しをいただいて、私ども参議院の当委員会提案理由説明も賜りました。この法案は、いわゆる自民党公明党、そして私ども民主党、三党の合意の中で提案をされたものであります。今日は、与党自民党公明党先生方が御遠慮をされたのか、御配慮をされたのか、私がこうして見てみますと代表して質問するという形になりますので、自民、公明の先生方思いをどれだけ述べられることができるかどうか分かりませんが、どうかひとつその点は御理解をいただきたいと思います。  また、今日は提案会派水野先生高木先生、そして我が党の中川先生、御苦労さまでございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  実は、サミット、シーアイランド・サミットが終わりました。今日報道を見てみますと、この参加各国共同声明の中に拉致問題が取り上げられたということが華々しく載っておりました。同時に、今日、昨日からの映像を見ておりますと、小泉総理が、一番大事なと言われる、まあ大事なのかどうか分かりませんが、あの写真撮影の中で真ん中に写ったということで、何か、そういうことと併せてこの会議が成功したこと自体は大変評価をするものでありますけれども、何かそういうことがリンクされて拉致問題が解決をしていくというような、こういうまた誤った空気国民に伝わることを大変懸念をしておる一人であります。  それはどういうことかといいますと、やはり我々、戦後、やっとこの国の形を考えるというそういう、国民も我々政治家もそういう雰囲気になってきたと思います。なかなか我々日本のあるべき姿を考えるという、そういう空気にはならなかった。それだけに、何か起こらなければ我々日本国民というのは前に進んでいかないという、こういういつから国民性になったのか分かりませんけれども、いわゆるこの拉致問題はやはりここに来てどうもその方向が変わっていっているんじゃないかな。それは、我々やっぱり拉致問題を解決することが一番の最大の目的であって、私は個人的な思いでありますけれども日朝間で友好を結んだり、今の金正日の体制の中で日朝平和条約ができたりと、私はそういうことを望んでおる一人ではありません。  それだけに、小泉総理が一昨年平壌へ行かれて平壌宣言を調停をされてきた、しかし、その中には拉致問題が盛り込まれておられない。ですから、そういう中で、何かその空気がだんだんだんだん日朝との国交回復ができればいいんだという、どうもそういう方向に流れつつある。しかし私は、やっぱりここで見誤ってはいけないのは、まず拉致問題をどう解決するかということであるというふうに思っておるわけであります。それだけに、今日の状況の中で、それぞれ国民負託を受けた我々国会議員がそれぞれの思いの中でこうした法案を、与党、野党問わず、こうして合意になったということをまずは喜んでおる一人でありますけれども。  そこで最初に、私はちょっと外務省確認をしておきたいわけでありますけれども、五月二十二日に総理が再度訪朝されました。そのときに、これはよくあめとむちと言われますけれども外為法そして今回の特定船舶入港禁止法案、しかし北朝鮮が持っておる核とミサイルというあのカードに比べれば、我々日本が今持とうとしておるいわゆる外為法特定船舶法案というのは、北朝鮮のそのものにはなかなかカードがかなうものではないですけれども、それでもやっぱり一歩、二歩前進であります。  それだけに、本来は、私はこれは国家意思としてやはり国が閣法においてしっかりとこういうものを出さなければいけないということを思ってきた一人でありましたけれども、残念かな、そうはならなかった。しかし、今回こういう形で出てきた。しかし、それさえも否定をするような、正に集団的自衛権ではありませんけれども、あるけれども、ないという、このおかしないわゆるとらえ方ということをどうも小泉総理がされておられるのではないか。  それは外交というもののネゴシエーションというものは大変な部分があると思いますけれども、まず私は、薮中局長に、この二十二日に総理金正日会談をしたときに、いわゆる経済制裁は発動しない、こういうことを話されたということですけれども、そのことはそうだったのか、そして真意は一体何だったのか、ちょっとこれをまず聞かせてください。
  7. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  さきの日朝首脳会談、今、委員指摘のとおり、五月二十二日にございました日朝首脳会談の際、正に日朝平壌宣言、これの再確認ということ、そして今後の日朝関係をどういうふうに進めていくべきであるかということの議論が行われました。  その中で、当然のことながら、拉致問題そして核・ミサイル問題、こういうのを包括的に解決して、そうした上で日朝国交正常化を図っていくのだ、これが正にこの地域の平和と安定に資するものであると、そういうお考えの中で言われた話でございますが、そこで総理から、日朝平壌宣言を遵守している限りにおいては日本制裁措置を発動する考えはないということを言われたわけでございまして、正にこれは換言すれば、日朝平壌宣言に沿った行動を北朝鮮に強く促しているという趣旨でもございます。
  8. 大江康弘

    大江康弘君 今回は、やはりこうして出していただいた法案、出てきた法案というのは、安全保障の中でやっぱりどうするかというのがこれ一番大事なポイントであったと思います。  それだけに、北朝鮮というのは何をするか分からない。何をするか分からないということは、裏を返せば何でもしてくるということでありますから、やっぱりそういうことに我々はどういうふうに日ごろから防護策を持っておくのか、あるいは対抗策を持っておくのかということが非常に大事だと思います。  それだけに、それだけに、今回、やはり外為法に続いて国がしっかりと交渉しやすいようにという、正に先ほど申し上げましたけれども北朝鮮の核やミサイルには対抗し得ることではないですけれども、我々はこうしてこのカードというものを国会意思として出そうとしてきた。このことに対して首相がそのカードは使わないというようなことを早々と宣言されたということは、正にもう戦う前からおれは負けたという、もう土俵に上がる前からおれは負けたということであるというふうに、非常に残念なんですけれども、そこのところは、局長、どうなんですか。これ、カードになり得るのか、なり得ないのか。
  9. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に日本政府はこれまで、北朝鮮との諸問題を解決する、そのために対話圧力ということでやってまいったわけでございまして、そういう意味では、様々の施策があることが正に一つの有効な圧力手段になるということ、これを持っておくということは当然いろいろな意味での外交を進める上では有益であろうというふうなことで私ども考えてございます。
  10. 大江康弘

    大江康弘君 もう一点、局長、こういう法律を持っておるところというのはどこがありますか。
  11. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  アメリカにおきましては正にマグナソン法、そしてまたトリチェリ法ということ、トリチェリ法はキューバについてでございますが、マグナソン法は全般の国家安全保障の観点から、必要な場合において外国船の取締り等々を行う権限を与えるということでございまして、これが一番関係する法律であろうというふうに考えます。
  12. 大江康弘

    大江康弘君 今回、こうして与党案そして私ども民主党案というものが同時に出てきたわけですけれども、それぞれ、衆議院におきまして本当に誠心誠意そうして御苦労いただいて、今回やっと一足す一が更に大きな一つになって出てきたわけですけれども、この二つ一つになって出てきたという、そういう議論過程、そして、やはり一つにしなければいけなかったという、そういういろんな思いがあったと思うんですが、少し提案者の方からこのことを経過も併せてちょっとお聞かせをいただけたらと思います。
  13. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) 今、委員指摘のとおり、このいわゆる入港禁止法案については、衆議院与党案そして民主党案がそれぞれ提出をされておったわけであります。骨子においては非常に共通する部分も多くございましたので、五月の下旬に両側の提案者並びに国土交通委員会理事クラスが集まりましていわゆる修正協議を行わさせていただきました。  その中で、私は自民党ですので、与党案の立場から見れば民主党さんの主張を入れて修正をした部分ということを申し上げますと、一つは、法案の名称に特別措置法というものが入った。もう一点は、入港禁止対象船舶がやや広がった。これは法案でいうと第二条の第二項第三号の部分でございますけれども、そういうようなこと。さらには、国会承認などを始めとして国会の関与が強まったというようなことを挙げることができるかというふうに思います。
  14. 大江康弘

    大江康弘君 少しちょっと順番を変えますが、今、水野先生の方から、ちょっと後でお尋ねをする予定であったんですが、いわゆる法案の第二条の第二項三号ということを言われましたけれども、これは、この法案を見ますと、いわゆる特定外国と前二号、国籍、寄港地要件関係に類する特定関係というふうにあるんですけれども、少しちょっと分からないんですが、この特定関係と、これはどういうことを言うのか。そして、それはどんなことで判断をしていくのかということを、ちょっと法案の中身ですが、お聞かせをいただきたいと思います。
  15. 中川正春

    衆議院議員中川正春君) 特定関係ということでありますが、これは所有、オーナーということだけじゃなくて、借り上げている場合であるとか、あるいはその他様々に考えられる可能性がある、そのところを漏れなくカバーをしていくというフリーハンド政府に与えていく、そんな意味合いがあります。  その結果、先ほど指摘がありましたように、これまで特定の国とかあるいは寄港地とかという項目だけであったわけですが、それを特定の船、個別の船に対しても運用ができるという幅を広げたということであります。
  16. 大江康弘

    大江康弘君 これは、日本が税金が高いということで、今、年間、北朝鮮から一千隻余りが入ってきておる。しかし、日朝間を往来しておる船というのは一千五百隻余りいてるという、そういうことを考えますと、単純に計算すれば約五百隻近くがいわゆるほかの船籍であるというふうなことで、やっぱりそういうことも想定もされたのかな、こういうようなことも私なりに解釈をするんですが。  今ちょっと中川先生がそういう、政府に権利を与えるというようなことを少し申されましたけれども、ちょっと私は、今回非常に心配なのは、いわゆる入港禁止に関することのいろんな制限というかその決まり事というのはこの第三条のところにあるわけですけれども、こういう、一番から七番までこれずっと見ますと、すべて、入港禁止理由や、特定外国特定船舶、こういうことを閣議決定、やはりこの非常に閣議決定にゆだねるという部分が多くて、何か私から見れば丸投げをしておるような形じゃないかというような雰囲気もしないでもないわけなんですけれども、我々国会としてのそれじゃ意思というものはどういうところにこの法案が盛り込まれておるのかということを少しお聞かせいただけたらと思います。
  17. 中川正春

    衆議院議員中川正春君) 元々国会から発議をするという形でこの法案提出をされるわけでありますが、それは今の政府交渉をとらえて、この拉致問題にしてもあるいは六か国協議進展具合にしても、国会としては、あるいはもっと言えば国民としてはと言ってもいいのかもしれませんが、不満である、このままでは駄目だという政治的な意思表示というのが国会の方でなされるということだと思うんです。それが一つ外交カードになって、今度は政府がそれをどう使うかと、外交カードとしてどう使うかということが次に問われていくという、そんな、普通の法案とはちょっと違った形の、いわゆる政治的意思がここに込められたそういう法案だということ、これはまず大前提だと思うんです。  その上で、普通であれば、野党は政府に対して様々に枠組みを作るという、そのことになるんですが、今回は、実はその交渉過程では、我々が使い勝手のいいというか、非常に微妙なところがありますので、使い勝手のいい形でこの法案を作っていきたいということで、確かにフリーハンドを与えたということは言えると思います。  その上で、しかしそれだけでは駄目なので、禁止をする場合に、その理由の明示、これをはっきりさせなさいよということ、これは国民に対して理解説明責任をしっかりと負っていきなさいよということでありますし、それから期限を変える、事後承認なんですが、その事後承認ということだけじゃなくて、その期限を変えるときもやっぱり承認を求めていく。あるいはまた、もっと言えば国会の方が、政府は続けたいという話であっても、国会の方がもうこれで十分だと、ここで打ち切りなさいという意思を決めたときにはそれに政府は従わなければならないということですね。いわゆる収束に対して国会の決議があったときにはそれに従わなければならないというような、そういう項目を付け加えております。
  18. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  私はやはり、今回この参議院でもこういう議論をさせていただくことを大変感謝をしております。それは、我々立法府意思というものをしっかりとこのやっぱり議事録の中にも入れていただいて、お互い提案者、そしてまた賛同する者、あるいはまた賛同できない人もありますけれども、やっぱりしっかりとこの立法府議論をする、それを議事録に、後世に残していくという、やはりそのとき我々がどういう質疑をしたのか、どういう議論をしてきたのかということは大変大事であると思います。  それだけに、中川先生にもう一点お聞きしますけれども、やはり今、我々国会の、五条のところにも国会承認ということがありますけれども、やはり我々の立法府意思あるいは我々国民負託を受けた国会議員意思というのはこの法案においては十分政府に対して反映をしていけるし、しっかりやっていけるというふうにお感じになられていますか。
  19. 中川正春

    衆議院議員中川正春君) そのように思っています。  ただし、先ほどお話があったように、これを政府の方がどう使うかということが大切でありまして、先ほどのように、先ほど指摘があったように、経済制裁ももうやらないんだというふうに受け取れるようなそんな外交交渉であってはならないと私自身も思っておりまして、そういう意味でこの法案も併せてしっかり政府がこれを使っていくということを期待をしていきたいというふうに思っています。
  20. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  そこで、いわゆる今回のこの法案には個別の船舶特定して入港禁止対象とできるというふうになっておるんですけれども、少し細かいことでありますけれども説明いただきたいんですが、具体的に法案の何条に基づいてどんなことが対象として決定をしていくのかということを、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  21. 中川正春

    衆議院議員中川正春君) それは第二条の二項、それから後の三というところですね。この三の方から読むと、「特定外国と前二号の関係に類する特定関係を有する船舶」と、こういうふうに指定をされてありますが、これを閣議決定で定めるということでありまして、そんな中で、個別の船舶についても指定ができるというふうに工夫をいたしました。
  22. 大江康弘

    大江康弘君 さすれば、このいわゆる入港禁止対象とする個別の船舶、現時点でいえば、それぞれお互い頭の中に思い浮かべるものもあるわけでありますけれども、どんなものを考えておられるのか、もしお答えがあればいただきたいと思います。
  23. 中川正春

    衆議院議員中川正春君) これは、先ほど申し上げたように、政府がこの法案をいかに使っていくかということ、これに期待をしていきたいと思うんですが、一般的には恐らく万景峰号想定されるのかどうかというような意図の質問なんだろうというふうに思いますが、私は、これはそれも含まれているというふうに思っております。
  24. 大江康弘

    大江康弘君 そこで、少し警察庁の方に事実確認お願いをしたいんですが、いわゆる今この万景峰号日本を大変危険におとしめているといいますか、不審船というよりも正に工作船であるというふうに私は思っておるわけでありますけれども、具体的に警察庁として、この万景峰号日本の主権を侵したり、あるいは日本の国のいろんな法律に対して不正を行った事案というのを、もし把握しておるところがありましたら教えていただきたいと思います。
  25. 三谷秀史

    政府参考人三谷秀史君) お答えいたします。  万景峰92号に関連いたしまして警察が把握しております不正事案といたしましては、大きく二つに分けられると思います。  一つは、北朝鮮向けのいわゆる安全保障関連物資不正輸出事件において、その運搬手段として同船が利用された事例があると存じます。具体的には、平成十年に摘発いたしました潜水用具部分品同船で不正輸出された事案、あるいは昨年公表させていただきましたが、過去にミサイル関連機材がやはり同船で不正に輸出されていた事案がございます。  いま一つのカテゴリーにつきましては、北朝鮮工作員に対する北朝鮮本国からの指示命令の経路として同船が利用されていたことが関連事件捜査において明らかになった事例がございました。  やや具体的に申し上げますと、昨年警視庁公安部が検挙いたしました北朝鮮工作員による公正証書原本不実記載等事件におきまして、捜査の結果、工作活動についての北朝鮮本国からの指示命令の伝達が主に同船により行われておりまして、当該工作員同船を訪船いたしまして、船長から工作指令書を直接受領していたことや、同船に乗船してきた指導員から直接指示を受けてきたことなどが判明しているところでございます。
  26. 大江康弘

    大江康弘君 いろんなことをしているわけですけれども、いわゆるこの法案の第三条に「我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときは、閣議において、期間を定め」云々と、こういう文言があるんですけれども、この要件、いわゆる文言というのは、まあ法案というのはこんなものですから、そんなに個々具体的なことを書くべきではないわけでありますけれども、もう一つ政府もそうですが、なかなか法律というのは国民に分かりにくいものでありまして、よっぽど専門家が見ても分からないという部分が多々あるわけですけれども、こういう言葉からすれば、大体具体的にはどんなケースを想定をされておられるのか、そういうことも含めてちょっとお答えをいただきたいと思います。
  27. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) この入港禁止発動要件ということは、正に今おっしゃられたように第三条に定められているんですけれども、ここの我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときというのは、我が国の平和及び安全が脅かされており、粘り強い対話努力等手段のみではその状態が解決されないと判断されるなど、我が国の平和及び安全を確保すべき手段として入港禁止を実施する必要性が高いと認められる場合のことを考えているわけですが、じゃ具体的にということで、特に北朝鮮などを念頭に置いた場合には、一つには、例えば核実験を強行してきたような場合、若しくはテポドンを始めとするような弾道ミサイルを再発射、我が国に向けて再発射をしてきたような場合、さらには薬物などを国家組織的に日本に流入をさせようというようなことをして、入港禁止などの措置を取らなければこれを根絶することが難しいと判断したような場合、また拉致に関して言えば、この拉致問題などに対しても、こうした国家犯罪に対して圧力を掛けなければこの問題が解決できない、相手側に誠意が見られない、こういうような場合も当然発動要件には入ると思いますし、また武装不審船などにより不法な行動を取ってきた場合、こういうことも考えられるというふうに考えております。
  28. 大江康弘

    大江康弘君 次に、この第三条の第二項の七号、いわゆる「その他入港禁止の実施に関し必要な事項」ということが挙げられておるわけでありますけれども、これは具体的に何を言っているのかどうか。  いろんな報道を見ますと、日本海、特に北朝鮮とのいろんな経済的な交流のあるようなそういう港、あるいはそういう業者の方々が、いろいろ地元を通じて、今回のこの法案がどういう、日ごろの生活、直接の生活に対してどんな影響が掛かってくるのかというような危惧をされておるという、そんな報道も見たわけでありますけれども、今申し上げましたように、この第三条の第二項の七号というのは具体的にどんなことなのか。いわゆる北朝鮮入港する、そういう港、地元の水産加工業ということが想定をされるんですけれども、こうした場合に地元対策というのがやっぱり必要となってくると思うんですけれども、そういうことはどういうふうにお考えになられておるのか、少しお考えを聞かせてください。
  29. 高木陽介

    衆議院議員高木陽介君) 今御指摘のありました第三条の二項というのが、前項の閣議決定において、次に掲げる事項を定めなければならないということで、例えば入港禁止理由ですとか、また特定外国特定船舶等々ずっと挙げまして、そして第七号に、その他入港禁止の実施に関する必要な事項というように定めました。  これに関しましては、基本的には、政府入港禁止決定する際に際しまして、入港禁止の実施に関して必要と判断する、こういった事項を適切に盛り込むことなんですけれども、例えば一つ関係第三国への周知、説明に関する事項、又は我が国船舶関連業者又は漁業組合等の関係先への周知、注意喚起に関する事項、又は関係行政機関の連絡調整、連携に関する事項というのが盛り込まれると考えられます。  その上で、今、委員指摘がありました、例えば鳥取境港だと思うんですけれども、そういったときの漁業関係者の様々な影響が出てくるであろうと、そういうふうに考えられた場合の財政上の措置についても、実際、政府入港禁止を実施する際に、必要と判断すれば、当該入港禁止のために影響を受ける漁業関連の業者に対しまして財政上の措置、いわゆる補償ですね、こういったものを講ずべき趣旨のことを盛り込むことも含まれ得るというふうに考えております。
  30. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  少し、もう時間がありませんので、水野先生、ちょっとこれ、質問予定になかったんですが、私はこの北東アジア、いわゆる極東アジア、この今のこの状況というのを大変危惧をしておる一人であります。そして、危惧をしておるそのまた新たな懸念というのは、韓国で四月に選挙があったときに、いわゆるウリ党ですね、ウリ党が非常に躍進をした、過半数を取った、そしてまたその中に民主労働党といういわゆる共産主義に近い考え方の議員も十人も当選をしたということで、非常に北朝鮮北朝鮮へと韓国がスイングをしておる。そして、中国は、私は、御存じのように北朝鮮というカードをやっぱりいつまで使うのか。そして、ロシアというのもやはりその中で最近は北朝鮮とは距離を置いておりますけれども、こういう北東アジア、極東アジアの今のこの情勢を考えたときに、私はやはり台湾というものの位置付け、台湾というものを日本がやっぱりどうしていくのかということ。  これはやはり、単に中国は一つだというこういう、我々はいつまでもこういう呪縛にとらわれておるのではなくて、本当に日本の安全、安保、そして我々の経済をどうしていくということを考えたときに、やっぱりこういうことも私は非常に大事だと思うんですけれども、ちょっと水野先生、その台湾とのいろんなことをされておられるので、全体としての日本の安全の中で最後にちょっと考えを聞かせてください。
  31. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) この法案とは直接関係はないんですけれども委員とはこの前、陳水扁総統の就任式も台北で御一緒いたしましたし、認識としては非常に共通点が多いと思いますし、日本と台湾の間で今、正式な国交というのがないですけれども、同じ民主主義、また自由主義、こういう価値観を有する国同士として連帯していくことというのはより一層必要なんじゃないかというふうに考えております。
  32. 大江康弘

    大江康弘君 先生方の御努力に感謝を申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  33. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  私ども日本共産党、三つの角度から北朝鮮問題の解決の方向提案、提起をしてまいりました。第一は、やっぱり朝鮮半島の軍事的な衝突の危機、これは絶対に避けるという点であります。あくまでも平和的、外交手段によって問題を解決していくということであります。二つ目には拉致問題。これは日本国民の人権と安全を脅かした国際的な犯罪行為として断じて許せないものだという立場から、この問題の全面的な究明、そして被害者家族の皆さんの帰国を実現をすること。そして三つ目には、戦前の植民地支配の歴史を清算すること。これは戦後の日本が負った大変重大な歴史的な責任に属する問題だと、こういうふうに考えております。  こういう立場から、日朝国交正常化を図ることが大変大事だというふうに考えておりますけれども、この角度から交渉を包括的に進めるということ、そういう点でも、二〇〇二年九月に締結されました日朝平壌宣言、これを大変重要な前進として私どもは評価してまいりました。  そこで、まず外務省に伺いますけれども、今回の総理の再訪朝、この成果やその歴史的な意義について外務省としてはどのようにとらえているのか、これをまず御説明いただきたいと思います。
  34. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  今回の総理の再訪朝でございますけれども、正に停滞する日朝関係、この状況を変えようと、そして、正に二〇〇二年九月の日朝平壌宣言、これに基づいて日朝関係を進めていこうという基本的な考えがございます。それはもちろんのこと、日朝間の非常に大きな懸案でございます拉致問題の解決、そしてまた委員指摘の核その他の核ミサイル安全保障の問題、これについて平和的な解決を図るということ、それが基本にございますけれども、そうした上での日朝国交正常化を図ろうと。そういう中で、総理のお考えとしては、もう一度自分が、御自身で訪朝されて、そういう日朝間日朝の基本を成す平壌宣言の再確認をし、そして双方がこれをきちんと履行していく意思確認したいということ、これが基本でございました。その中で、申し上げましたとおり、拉致問題についての解決をまず早急に図らなければいけないと。  全体に、なかなか全体の解決をするということにつきましては難しい問題がございますけれども、一定の成果もございました。家族の方が、五人の方がお帰りになるということがございましたけれども、なお問題が多く残されてございます。この問題をやはり解決の道筋を付けていくということでも議論がなされたわけでございますし、また核問題につきましても、金正日委員長自身が六者協議について非常に積極的な発言をしたということで一定の成果がございましたが、これはむしろこれから本当にこの発言その他がきちんと履行されるかどうかということでございまして、政府としては一層努力をしていかなければいけないというふうに考えております。
  35. 富樫練三

    ○富樫練三君 提案者に伺いますけれども、二〇〇二年九月の日朝平壌宣言ではこういうふうに言われています。「両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した。」としています。ここは平壌宣言の大変大事な部分であるというふうに理解しております。  提案者はこの両国の確認した問題についてどういうふうに受け止めていらっしゃるのか、この辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  36. 高木陽介

    衆議院議員高木陽介君) 今御指摘ありました平壌宣言の両首脳が確認したというその言葉ですけれども、それはそれで今後、日朝国交正常化に向けての努力をしていく、これはこれで重要な部分であると思います。  しかし、その一方で、まだ両国には解決していない問題、例えば拉致問題、また今現在六か国協議協議されております核の問題等々がございまして、これが誠実に解決していかなければならないと思います。その上において、先ほど政府参考人外務省の方からも答弁がございましたように、我が国としては対話圧力でしっかりと交渉をしていくと。その一つの、圧力の方のカードとして今回の法案提案をさせていただきましたし、最終的にはこの拉致問題、又は核の問題といったものは確実に解決されるべきであると思いますし、それを目指して今後政府も取り組むべきであろうと、このように認識をしております。
  37. 富樫練三

    ○富樫練三君 もう一度ちょっと外務省に伺いたいと思います。  先月、総理が再び訪朝したわけでありますけれども、先ほどもちょっと説明がありました。もうちょっと突っ込んで、今回の再訪朝をしたという場合に、総理自身が行くということについての最大の理由というか原因というか、これは外務省としてはどういうふうに認識しているか、そこをちょっと説明していただきたいと思いますが。
  38. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 北朝鮮との関係を進めていくということで政府協議の中で様々問題取り組んでまいりましたけれども、最終的に総理の御判断として、やはり大きく方向を変えなければいけないということで、もう一度基本的に、基本に戻って日朝平壌宣言の再確認を行う。これはやはり金正日国防委員長との間で署名されたものでございますし、やはり金正日国防委員長自身に対して直接働き掛けることが必要であるという御判断を総理がされたわけでございまして、我々としても、正にそうした決断の中で外務省として全面的にこれをサポートするということでやってまいったわけでございます。
  39. 富樫練三

    ○富樫練三君 そこで、この再訪問、再訪朝の中で、今後、日朝平壌宣言を遵守していく限り日本制裁措置の発動はしない、こういうふうに言明をしたわけですね。それにもかかわらず、今回制裁措置を発動するための法的根拠を作ると、こういうことであります。  再訪問で確認をした日朝平壌宣言の誠実な履行、この問題について、我が国の方の側から、こちらの側から先にこの平壌宣言方向を妨げるようなものにならないのかといった危惧があります。この点についてどうかということと、もう一つはそういう日本側の動きについて北朝鮮の側はどういうふうに考えているんだろうかという問題も当然考えられなければならないだろうというふうに思います。この二つの点について、外務省ではどういう認識を持っていらっしゃるでしょうか。
  40. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  正に今回総理が訪朝されて、再訪朝されて、そこで、今、委員指摘のとおり、日朝平壌宣言がきちんと遵守されている限りにおいて制裁措置を発動する考えはないということを言われたわけでございまして、これは先ほども申し上げましたように、正に日朝平壌宣言をきちんと守るように、遵守するように、これは双方でございますけれども、我々としては特に北朝鮮側にそれを強く迫っていくと。逆に言えば、そういう限りにおいてこの制裁措置を発動する考えはないということを言われたわけでございます。  そしてまた、今御審議がございますこの法案につきましては、法案そのものは、これは北朝鮮側もよく承知していると思いますけれども、正に立法府における御判断でございまして、それについての議論というのは特にございませんでした。  我々としては、当然のことながら、今後とも平壌宣言の遵守ということでいえば、対話圧力という基本路線を変える必要はないというふうに考えてございますし、そういう意味で、我々としてここではっきりと申し上げたのは平壌宣言を守っていこうと、そういう限りにおいては政府として、行政府として正に制裁の措置を発動する考えはないといったことを言ったまででございますので、基本的にこの御審議と直接にそれで矛盾することはないというふうに考えてございます。
  41. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういう上に立って提案者の方に伺いたいと思います。  先ほど、本法案を発動する場合はどういうことが想定されるかという質問がございました。核実験の問題であるとかミサイルの問題であるとか拉致問題であるとか不審船などとかという説明がございました。もうちょっと突っ込んで、どういう場合に今度の法案、これが可決したとすれば発動され、実際に行動が起こされるのか、その結果どういう影響が考えられるのかという辺り、もうちょっと突っ込んで具体的に御説明いただけると有り難いんですが。
  42. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) これは政府が、法案上は第三条において、我が国の平和と安全の維持というような表現であって、また最終的な判断はケース・バイ・ケースであって、政府がその中で判断をしていくというふうにしか言いようがないんですけれども。  ただ、よく言われるのが、これは北朝鮮を念頭に置いているのか。北朝鮮は念頭には当然置いているわけでございまして、その中で、正に先ほど大江先生の質問に答えたような核実験ミサイル発射、また拉致問題などは何の罪もない一般国民をいきなり拉致をしてという国家犯罪の、これに対して解決に誠意を見せないということ自体が我が国の平和及び安全の維持ということに対する大きい脅威であるわけですから、これに対して圧力を掛けなければ解決をしないと政府が判断したときは、当然発動し得るというふうに考えております。
  43. 富樫練三

    ○富樫練三君 ということは、拉致問題解決の外交カードとして活用し得ると、こういう認識なんだろうと思いますけれども、私は、冒頭で申し上げましたように、私どもは拉致問題について国民の人権と安全を脅かした国際的な犯罪ということで断じて許せないということは先ほど申し上げましたけれども、この問題の全面的な究明、被害家族の皆さんの帰国を求めているわけですけれども、国交の正常化を目指す両国間の真摯な話合い、この中に緊急に解決されるべき課題として拉致問題を明確に位置付ける、このことはとっても大事だというふうに考えています。対抗措置として人や物の往来を全面的にストップをすると、こういうやり方で対応をするということが拉致問題の解決に新たな障害を作り出すことにならないだろうかという危惧がございます。  この点について提案者に伺いますけれども、新たな障害は作り出さないというふうに言い切ることができるのかどうか、ここについてはどのようにお考えでしょうか。
  44. 中川正春

    衆議院議員中川正春君) 障害を作るということじゃなくて、この法案で話合いを促進をさせる、あるいは拉致問題の解決を促すという趣旨があるわけであります。  先ほど、いわゆる共産党の三原則の中で正に申されておられましたが、日本というのは武力でもって圧力を掛けるということはしない国であります。だとすれば、あらゆる外交手段、平和的な外交手段を使って交渉カードを作り出していく、その中で相手の誠意といいますか相手の出方というのをしっかりと見極めていくということ、これが必要なことだというふうに思っております。
  45. 富樫練三

    ○富樫練三君 若干、経済問題について触れたいと思いますけれども、今度の法案の内容というのは北朝鮮などを、特定の国を対象にしてその国に船籍を有する船舶及びその国に立ち寄った船舶を、日本政府の側の独自の判断で日本の港に対する入港禁止すると、こういうことであります。これが行われれば、日朝の貿易とかあるいは人の往来、全面的にストップすることに、これを可能にするわけです。そうなれば、当然ですけれども日朝間の経済にも何らかの影響が出るというふうに思われます。  現在、既に改定されました外為法がまだ実際には発動されていない現時点でも、日朝間の貿易は減少し続けているというのが実態であります。特定外国船舶を規制すれば、その国とその国の関係する国々から我が国の方が同様の措置が取られる可能性も生まれてくる。経済の動脈でありますいわゆる外航船舶の交易、貿易ですね、これをストップすることは日本の経済にも少なからぬ影響が出てくるのではないかということが心配されると思います。  既に核兵器やミサイルの開発に転用可能な製品、これは輸出先や最終用途を確認してその上で経産省の輸出許可を得なければならないという、いわゆるキャッチオール規制、これに基づいてかなりの生活用品が既に規制されているわけでありますけれども、これが我が国の地場産業、地域の産業に一定の影響を与えています。特定船舶入港禁止ということになれば、そういう地場産業の影響は更に拡大するのではないかと、こういう懸念も危惧も出されているところであります。  こういうことを考えますと、この法案はやはり多くの問題点があるのではないかというふうに感じているところです。  そこで、外務省に伺いますけれども、この法案は、双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動は取らないというふうに確認をした、そして双方は、北東アジアの地域の平和と安定の維持強化をするために、互いに協力していくことを確認したというこの日朝平壌宣言。あるいは、「六者会合の参加者は、平和的解決のプロセスの中で、状況を悪化させる行動をとらないことに同意した。」といういわゆる六者会合、六者協議。こういうふうに、今、日朝問題をめぐってそういう流れがずっと作られてきていると。あわせて、先月の総理の再訪朝のそういう流れであります。こういう全体のこの大きな流れに水を差すことになりはしないかと、こういう意見も懸念も出されています。  これらについて、外務省及び提案者の皆さん方はどのようにお考えなのか、経済問題、もし触れられればその点も含めて答弁をお願いしたいと思います。どちらからでも結構ですけれども
  46. 高木陽介

    衆議院議員高木陽介君) 今御指摘がありましたように、今回の法案入港禁止の実施という、これは今まで質疑でも出ておりましたけれども政府の判断というのは極めて高度な政治的な外交上の判断に基づくものだと考えております。  どのような船舶指定していくか、またそのケース・バイ・ケースという話もありましたけれども、そういった中で、あくまでも我が国の平和及び安全を維持するために特に必要があると認めるときと、特定船舶入港禁止することも一つ手段として持つことを可能としておりますけれども外交上の選択肢を広げるという意味で、これは経済的な影響は、我が国も与えますけれども、それ以上に国益にかなうと。ある意味でいうと、高い次元の国家的法益を優先させるために必要やむを得ない、このように考えております。  また、影響が出るというふうに委員はずっと指摘をされておりますけれども外為法の審議でもあったと思いますが、いわゆるこれは制裁のカードとなりますので、影響が出ないとなりますとカードとしては使いようがないわけでございますので、経済的に影響を与えていくと、制裁をしていくと、こういった観点からこの法律が発動されるというふうに認識をしておりますので、その点については、今後の対話圧力の、圧力部分一つカードとして有効に機能していくと、このように考えております。
  47. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  我々といたしましては、正に今回の総理の再訪朝、そしてそこにおいて日朝平壌宣言が再確認されたわけでございます。正にこれから大事なことは、北朝鮮側もきちんとそうした意味での対応を取っていくと。そして、拉致問題の全般的な解決、そして核・ミサイル問題についても平和的解決に向けてしっかりとした対応を取ってくれるということを期待しておりますし、そういう方向で努力をしていくということでございます。  これは正に、そういう意味での流れをこれから我々は作っていかなければいけないと。そうする限りにおいては、総理も言われたように、日朝平壌宣言が守られている限りにおいては制裁措置を発動する考えはないということを言われたわけでございますので、それの下で我々は仕事をしていくと。当然そうした中で、いろいろと背景としてこういう法案が御審議されるということと、先ほど申し上げましたように矛盾するものではないというふうに考えております。
  48. 富樫練三

    ○富樫練三君 最後になりますけれども、今答弁がありまして、実際に例えば外為法の場合でも発動されなくても影響が出る、そこに圧力としての効果があるんだと、こういう答弁があったと思います。そういう影響が出てこなければ効果がないと、こういうことだろうと思います。すなわち、法案を作ること、その法律が発動されなくても作ること自身で既にもう影響が出ると、こういうことなんだろうと思います。  そうなってまいりますと、この法案というのは、例えば拉致問題の解決とか、あるいは北東アジアの平和的な国際関係を確立をしていく、そのための平壌宣言とかあるいは六者協議、こういう中で大変な大事な方向が今作られているときに、そこに逆流というか逆行する、水を差す、そういうことになるのではないかということを指摘をして、私の質問を終わります。
  49. 田英夫

    ○田英夫君 今日はこの問題についての提案者の皆さんがそろっておられますので、最初に伺いたいのは、今この時期にこういう言わば北朝鮮に対する圧力というものの象徴的なこの法案を出されたということに対して、私などの認識とかなり基本的に違うところがあるものですから、提案者の皆さんは北朝鮮という国に対して基本的にどういうふうにお考えになっているんだろうか。  先ほどからの御答弁で大体分かりますけれども、推測はできますけれども、どなたかからお答えいただきたいと思います。
  50. 水野賢一

    衆議院議員水野賢一君) 北朝鮮という国に対する基本的な認識ということでいえば、正に彼らが名のっている朝鮮民主主義人民共和国という名に全く値しない、民主主義もなければ、人民も共和も何の関係もないような国だというふうに考えております。  そして、そういうような国が、ただ日本の近隣にあるわけですから、それと付き合っていかなければいけない。そのときに、対話圧力という政府の基本方針を私も支持するものでありますが、今まで圧力という部分に対しては、掛け声は掛けていても圧力を掛けるすべがなかった。今回、外為法が改正をされた、そして入港禁止法案が成立をすれば、正に圧力を掛けようと思えば掛け得るようになったということで、非常に意義があると思いますし、そのことによって、相手側が何をやっても、どんな理不尽なことをしても唯々諾々とそれに従っていなければいけないという状況を脱することができるのではないか。圧力を掛けようと思えば掛けれるようになるということが非常に意義深いことだというふうに考えております。
  51. 田英夫

    ○田英夫君 私は、前後十回近く北朝鮮を訪ね、金日成時代にも金日成自身にも何回か会ったことがありますが、厄介な国であることは私も認識しております。また、我々と考え方が全く違うということを強く感じますが、同時に、北朝鮮という国の過去、我々と、日本との朝鮮民族との長い付き合い、そして全く隣人であるというようなこと。したがって、願わくば、今の北朝鮮考え方を変えて、親しい隣人になるようにしなければいけない、なってほしいと、そう思っています。  事実、例えば一九七五年に私は一人で訪朝したんですが、相手は朝鮮労働党の国際部長をやっていた金永南、今ナンバーツーで国会議長ということになりますが、彼と二日間二人だけで話をしたことがあります。ちょうど直前に私は党の代表団としてアメリカへ行きましたので、アメリカでも朝鮮問題を議論しました。そういうことを話して、金永南氏と本当に腹を割って話すという感じで、国際情勢などを話しました。  そのときに私から言ったのは、あなた方はもっと国際社会に門戸を開くべきじゃないか、今見ていると日本やアメリカとの関係も非常に悪いと、日本のジャーナリストを入れるようなことから始めて、もっと国際社会に大きく門戸を開くべきだということを率直に言いました。そうしたら、それに対して彼は、我々は今回非同盟諸国会議に入ることを決意しましたと、こう言いましたので、私は、瞬間、通訳の人に決定じゃないんですかと言いましたら、彼は本人に確かめて決意ですと。非常に強い表現で言いましたね。  私も帰る飛行機の中で考えたんですが、なるほどこれは、北朝鮮はあの体制で、七五年というまだ東西対立の厳しい冷戦構造の中で、当然、社会主義陣営、ソ連を中心とする社会主義陣営に入るというのが世界の常識だったろうと思います。それをあえて社会主義陣営に入らずに第三の勢力である非同盟諸国会議に参加をすると。これはまあ確かに決意かもしれません。彼らは彼らなりにそういうことを当時から考えていたということを言いたいんです。  しかし、実際問題としては、姿勢が非常に我々の感覚と比べるとある意味でいえば固いですから、実効は上がってないんですが、結果的に、非同盟諸国会議というのは、インドのネールさんとかユーゴのチトーさんとか、そういう人たちが中心になって作った第三勢力ですね。そこへ入った。事実、その後見ていますと、そういう国々との間の交流を積極的に非常に活発にやって、金日成氏は非同盟諸国会議の中のリーダーの一人にたちまちのし上がっていったという経過があります。そういうことを、本当に親しい隣人になっていくという立場から、もっと、正に対話圧力というよりも、対話対話でもっとやっていくべきではないかと思っているんですが。  何年か前に、唐家セン氏、中国の唐家セン氏と二人で話す機会がありました。彼は日本語うまいですから。朝鮮の話になったときに、彼らは大変誇り高い民族ですから、それは田さんもよく御存じでしょうと。しかし、説教しちゃいけませんよ、あの人たちにと。説教という言葉は日本語で言ったので、さすがに日本語がうまいなと思いましたが。  というのは、一九八〇年に、私、これまた一人で訪朝したときに、率直に言って私は社会党を飛び出して小さな政党におりました。その仲間を率いて団長で行ったんですが、全く扱いが違う。ということで、一番親しく話せるはずの金永南氏も十分間の表敬訪問ということで終わりました。それで、本来彼に言いたかったことを半徹夜で手紙に書いて置いてきたんです。これは私は親しい友人に対するアドバイスと思って書いたんですが、受け取り方は全く違いました。以後十年間、ほぼ十年間、私は北との交流を断たれた。そういう性格の民族だということを、提案者の皆さん、御理解をいただきたいと思う。悪気はなくても、自分たちに対してそれが提言であっても、内容が厳しいと猛烈に反発して受け止めてくるという、こういう傾向が非常に強いということを、例は一つしか言いませんでしたが、いろいろ体験をしてきました。したがって、今この時期にこういう法案が出てきているということを私は危惧します。  そして同時に、今、先ほどから薮中局長が答弁されているように、一つ大きな進展が小泉総理の再訪朝ということの中で起こってきていることを私は私なりの情報を通じても感じています。小泉総理は明らかに拉致問題を何とか解決をしながら国交正常化交渉に入っていくということを決断されているように私は思っています。一方で、金正日総書記も、前回の小泉訪朝以来、拉致問題でこじれてしまっていますけれども、最近改めて日本との関係を良好な方向に持っていきたい、国交正常化方向に持っていきたいという決断を彼なりにしているという情報を得ておりますが、北朝鮮は、例えば最近、今日のどこかの新聞にもちょっと出ておりますが、国交正常化交渉が始まったときの代表団の中に日本にいる朝鮮総連の人を代表団の一人に入れるということを決めているようですね。その名前も出ておりますが、私も親しい人ですが、あり得ることだと感じます。  そういう方向になったときに、そのことを大切にして、同時に、北朝鮮という国をもっと国際社会の中で溶け込んでいけるような国にしていく、そういう誇り高いその誇りを傷付けないような配慮ということがありますけれども、やらなければいけないと。  本当にこの日本を中心にした北東アジアに平和な状況を確立するためには乗り越えなくちゃいけない一つの大きな問題がこの北朝鮮問題であることは事実です。相手が核の問題やミサイルの問題などを外交カードとしても使いながら、場合によっては実際にこれを進めていこうとしていたことも事実ですから、そういうことをしっかりつかみながらやる必要があると。  もう局長はさっき答弁されましたので、お答えいただこうと思ったことは省略して、時間がありませんので一方的に私の方から意見を申し上げて済みませんけれども、もう一つ具体的なあれで言いたいのは、皆さん、済州島事件というのを御存じでしょうか。  一九四八年四月三日に、あの日本に一番近い済州島で住民の暴動が起きました。ちょうどそのときに、南では李承晩政権ができようとしている、北では金日成が社会主義政権を作ろうとした。つまり朝鮮分断がそこで起ころうとしたときに、その分断に反対をして済州島の住民が蜂起したんですね。ところが、このときに李承晩政権はまだ成立してはおりませんでしたから、韓国軍というものはない。結局、これを鎮圧したのはアメリカ軍であったようであります。ようでありますというのは、この辺はごく最近まで韓国側でも公に話すことはタブーでありました。したがって、日本でもこのことは余り知られておりませんが、二万、三万という数の民衆が死んだと言われております。  これは、その主張はただ一つ、分断反対ということでありました。この分断という悲劇は今、北朝鮮の問題の直接の原因でもあるわけですが、日本が降伏したときに、南からアメリカが入ってくる、北からソ連が怒濤のごとく、遅れて参戦したばかりのソ連が入ってきて、朝鮮半島を、ちょうど半分のところでぶつかっていたので、結局、米ソが中を取って三十八度線を引いて朝鮮半島が分断されてしまった。もし、あのときに日本が朝鮮を植民地支配していなかったならばどうだったかと私は考えます。あそこに独立した一つ国家があったならば、アメリカ、ソ連もそれを分断するということはできなかったでしょう。  そういう意味から考えると、日本の植民地支配が今日の朝鮮半島分断の原因を作っていたとも言えると思う。日本の責任は決して無関係ではないと。ということも含めて、歴史の事実として、私ども日本人の立場からこのことを、済州島事件という悲劇を具体的な問題として、よく朝鮮民族の気持ちを理解してあげるというか、そういうことも忘れないでいなければいけないと。  更にさかのぼれば、あの、私も軍隊に行っておりましたから覚えておりますが、我々のような若い日本人がどんどん戦場に行って、後の日本の経済活動、例えば炭鉱で石炭を掘るとか、そうした重労働の労働力がなくなってきたために、中国や朝鮮半島から大勢の若い男性を強制連行で日本に連れてきたという事実があります。これは正に拉致ですよ、大量の。  野良で働いていたら、突然日本軍に連れてこられて、日本まで連れてこられ、そして炭鉱で働いたり、中国人の場合、秋田県大館の花岡で強制労働をさせられて、それに怒って蜂起して、千人の中で六百人が殺されたという、これは終戦直前の話ですね。その生き残った人から私、直接聞きました。本当に、野良で働いていたらいきなり、家族にも連絡取る暇もなく連れてこられたと。私どもにもそうした過去があるという事実もしっかりと踏まえながら、近隣諸国と本当に親しくしていける状況はどうやってできるだろうかと。  私は、この日本、朝鮮半島、二つの国になっていますが、中国、モンゴル、ロシア、この北東アジアの地域に北東アジア地域フォーラムというような一つの話合いの場を作るべきだと。これは薮中局長もよく御理解いただけると思います。今の六者協議というのは北朝鮮の核やミサイルのためにやっていることは事実ですが、これを一つの基盤にして発展させて、そうした北東アジア地域フォーラムという中に北朝鮮も引き入れて、隣人として加えると。  具体的な方法としては、その前に信頼醸成措置といいますか、そういう意味からも、日本と南北朝鮮とモンゴルと、この四つの国で北東アジア非核地帯条約というのを作ると。そのことを既に、ここ数年、モンゴルにも行きました、中国にも行きました、そうして提案をし、モンゴルも中国も賛成しています。中国は核を持っている、ロシアも核持っている、それは保証人になってもらうわけです。  今、南半球にはほとんど全部、非核地帯条約があります。それは、みんなその地域に対して非核三原則を守ると同時に、核保有五か国がこの地域に対して核攻撃しないという、そういう保障をしている。それは条約の中に入れ込んで、そして核保有五か国は全部これ保障していますね。同じようなやり方をこの地域で取っていけばいい。  日本は非核三原則があります。モンゴルは一九九二年に非核国家宣言というのをして、それに国連が総会でそれを認めました。そして、南北朝鮮は一九九二年に、あれだけ対立していながら、朝鮮半島非核合意という合意を取り交わしています。いずれも、日本も南北朝鮮もモンゴルも非核という点では既に一致しているんですね。  そのことを使って信頼醸成措置としてこの条約を結び、それを発展させて北東アジア地域フォーラムを作る。東南アジア地域フォーラムと同じように、東南アジアの場合は日本と中国と韓国をプラス3という形で顧問格にしていますね。我々の北東アジアの地域フォーラムはプラス1という形でアメリカを顧問格に迎えるということを、これはもちろん将来の理想の姿ですよ、そういうことを目指すべきだということを一方的に申し上げて恐縮ですが、質問を終わります。  ありがとうございました。     ─────────────
  52. 輿石東

    委員長輿石東君) 委員異動について御報告いたします。  本日、舛添要一君、脇雅史君及び山下八洲夫君委員辞任され、その補欠として伊達忠一君、小林温君及び岩本司君が選任されました。     ─────────────
  53. 輿石東

    委員長輿石東君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  54. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党を代表しまして、特定船舶入港禁止に関する特別措置法案に対する反対討論を行います。  本法案は、北朝鮮側に対する圧力、制裁を目的として準備され、その内容は、特定の国を対象に、その国の船籍を有する船舶及びその国に立ち寄った船舶日本政府の独自の判断で日本の港への入港禁止できるとするものであります。  北朝鮮問題をめぐっては、日本政府も当事者として参加した昨年八月の六者会合で、平和的解決のプロセスの中で、状況を悪化させる行動を取らないとの合意が行われ、対話による外交努力が続けられています。これは重要な国際約束であり、その遵守は、北朝鮮問題の平和的解決のために日本政府が果たすべき責任であると考えます。  また、今年の五月二十二日には小泉首相が再訪朝し、日朝首脳会談を行い、日朝平壌宣言を両国関係の基礎として再確認しました。国交正常化交渉への前進の方向確認しています。  こうした状況下にありながら、北朝鮮側への圧力、制裁を目的にした法案を準備することは、日朝関係の改善と国交正常化に向けた流れに水を差すものであると考えます。  その理由をもって反対をいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  55. 輿石東

    委員長輿石東君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  特定船舶入港禁止に関する特別措置法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  56. 輿石東

    委員長輿石東君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会