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2004-05-27 第159回国会 参議院 国土交通委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十七日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  五月二十六日     辞任         補欠選任      谷  博之君     佐藤 雄平君      池田 幹幸君     大沢 辰美君  五月二十七日     辞任         補欠選任      田村 公平君     愛知 治郎君      大沢 辰美君     吉川 春子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         輿石  東君     理 事                 岩城 光英君                 鈴木 政二君                 池口 修次君                 大江 康弘君                 森本 晃司君     委 員                 愛知 治郎君                 木村  仁君                 沓掛 哲男君                 佐藤 泰三君                 斉藤 滋宣君                 田村 公平君                 鶴保 庸介君                 藤野 公孝君                 佐藤 雄平君                 藤井 俊男君                 山下八洲夫君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君                 吉川 春子君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   石原 伸晃君    副大臣        国土交通大臣  林  幹雄君        国土交通大臣  佐藤 泰三君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       斉藤 滋宣君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        消防庁次長    東尾  正君        財務大臣官房審        議官       石井 道遠君        国土交通大臣官        房長       安富 正文君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君    参考人        日本道路公団総        裁        近藤  剛君        日本道路公団理        事        奥山 裕司君        日本道路公団理        事        山本 正堯君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告高速道路株式会社法案内閣提出衆議院送付  ) ○独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構  法案内閣提出衆議院送付) ○日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律の  整備等に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○日本道路公団等民営化関係法施行法案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、池田幹幸君及び谷博之君が委員辞任され、その補欠として大沢辰美君及び佐藤雄平君が選任されました。     ─────────────
  3. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  高速道路株式会社法案外三案の審査のため、本日の委員会総務省自治財政局長瀧野欣彌君総務省自治税務局長板倉敏和君、消防庁次長東尾正君、財務大臣官房審議官石井道遠君、国土交通大臣官房長安富正文君及び国土交通省道路局長佐藤信秋君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  高速道路株式会社法案外三案の審査のため、本日の委員会日本道路公団総裁近藤剛君、日本道路公団理事奥山裕司君及び日本道路公団理事山本正堯君参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 輿石東

    委員長輿石東君) 高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案、以上四案を一括して議題といたします。  去る二十四日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。岩城光英君。
  8. 岩城光英

    岩城光英君 それでは、委員派遣につきまして御報告申し上げます。  派遣委員は、輿石東委員長を団長として、池口修次理事森本晃司理事沓掛哲男委員藤野公孝委員櫻井充委員富樫練委員及び私、岩城光英の八名であります。  去る二十四日、宮城県において地方公聴会を開催し、高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案につきまして、三名の公述人から意見を聴取した後、各委員から質疑が行われました。  まず、相馬市長立谷秀清君、社団法人東北経済連合会副会長・専務理事芳賀滋彌君、道路公害反対運動全国連絡会事務局長橋本良仁君の三名の公述人から意見を聴取いたしました。  以下、公述の要旨を簡単に御報告申し上げますと、民営化による企業努力を通じての国民生活向上経済成長の確保、国民負担軽減等実現、大都市と地方役割分担及び共存に不可欠な高速道路整備促進高速道路ネットワーク形成による地域間連携の強化、高速道路整備による観光立国の樹立及び地域競争力向上雪害等災害時における信頼性及び代替性を有する高速道路整備推進地域経済自立発展のための高速道路ネットワーク必要性、新直轄方式導入生活道路整備に及ぼす影響、債務返済確実性に対する疑義、高速道路事業推進に不可欠な情報公開及び国民との合意形成必要性、などについてそれぞれの立場から意見が述べられました。  公述人意見に対し、各委員より、救急医療展開高速道路ネットワーク形成の意義、新直轄方式導入に対する評価及び認識、高速道路ネットワーク有効活用観点から見た通行料金無料化政策推進地域経済活性化のための高速道路無料化コストダウンを生かした高速道路ネットワーク早期形成高速道路ネットワークによる広域観光圏形成必要性三位一体改革の下で新直轄方式がもたらす地方財政への新たな負担高速道路整備が誘発するストロー現象による弊害、などについて質疑が行われました。  なお、会議の内容は速記により記録をいたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。  以上で、委員派遣報告を終わります。
  9. 輿石東

    委員長輿石東君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  なお、地方公聴会速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。     ─────────────
  10. 輿石東

    委員長輿石東君) 高速道路株式会社法案外三案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 木村仁

    木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。  今次法案について若干の質問を申し上げたいと存じます。  小泉内閣改革路線、基本は、民間でできることは民間にゆだねるという大原則があろうと思います。このこと自体は、私は心から賛意を表し、支持したいと思いますけれども、何が民間でできることかということについては、やはり非常に明確な考え方がなければいけないと思います。  今回の道路関係公団民営化関係法案について申しますと、どうも公の道路建設維持管理という、常識的に見れば余り民間になじまない、国が、あるいは都道府県、市町村が責任を持って処理すべき事務地方公共団体政府本来の事務ではないかと思われるものを民営化していかれるわけでありますが、これは郵政民営化も関連してきますけれども国民の目から見れば、なぜそこまでやらなければいけないのかと。いろいろ弊害があるならば、それを是正することによってきちっとした行政政府責任においてやれるのではないかという気がして仕方がないわけでございます。  そこで、大臣に確認しておきたいと思いますが、今回の公団改革の最終的な目的は一体何なのか、そして、この法案実現されるスキームでその目的がちゃんと実現されていくものかどうか、そこのところをお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま木村委員から御指摘をいただきました点は、この公団改革に当たりましての本当に根本的な問題点の披瀝ではないかと思っております。  委員指摘のとおり、公団の下でなぜ改革ができないのか、こういう話がこれまでも多々あったわけでございます。  そもそも、今回の公団改革は、昭和三十一年の有料道路制度公団方式の下で今日国民の多くの方々が持つに至った、本当に今のままで債務返済できるんだろうか、またいつ無料化されるのだろうか、無駄な道路が造り続けられて、地方地域に必要な道路建設ができるのかといった疑念や不満を解消することと、根本の目的意識動機があると考えているところでございます。  委員指摘のとおり、高度成長時代中心に有効に機能してきた従来の公団方式がなかなか環境の変化に対応できなくなった、さらに自己改革がなかなかなされない。そんな中で、小泉内閣の誕生とともに、官から民へ、国から地方へとの考えの下、公団民営化という荒療治を行うことによりまして山積した諸問題に解決を見いだしていこう、ここに動機があるものと考えているところでございます。  そして、この四公団民営化目的でございますが、冒頭申し述べましたように、国民の多くの方々が本当に大丈夫かと思っている四十兆円に上る債務の確実な返済を図ることが一番だと考えております。二番目には、民間会社でございますので、当然会社自主性は尊重しつつ、早期に、できるだけ少ない国民負担の下で必要な道路整備していく。三番目は、民間会社民間ノウハウを発揮していただくことによりまして、これまで一度も下げられたことのない料金等々に、早朝割引あるいは深夜割引あるいはマイレージ等々の弾力的な料金を設定していただく。さらに、サービスエリアパーキングエリア道路資産活用していただいて、その運営サービス向上を図っていただく。はたまた、情報通信関連事業等々、できる限り自由な事業展開を新しい会社が可能とするような仕組みを作り、国民疑念と、そして必要な道路早期整備していくというのが当改革目的だと考えているところでございます。
  13. 木村仁

    木村仁君 ただいまの大臣の御答弁の中で、道路維持管理中心として、また建設も含めて、民間ノウハウあるいはその経営的な手法、そういうものを大いに取り入れて四十兆円の借金を効果的に返済していこうと、こういう面は私どもも大いに期待するところでございます。  そういう意味で、ただ、地方に参りますと、そういうことのために地方道路整備が本当に後れてしまうのではないかと、そういうことを非常に心配して、危惧しておりますので、そういうことも大臣、お考えになりながらこのスキーム運営実現を目指していただきたいと要望をいたしておきたいと思います。  ちょっと昨年の、過去のことに戻って申し訳ございませんが、私ども九州あるいは熊本というところでは非常に切実な問題になっているのが新直轄方式による道路建設と、こういうことでございますので、このことについて申し訳ありませんが、二、三御質問をさせていただきたいと思います。道路局長対応で結構でございます。  新直轄方式という形ができまして、高速自動車国道のうち未着工二千キロの中で六百九十九キロメートル、それを大体二兆四千億円の事業費で十五年ないし二十年の間に完成していこうと、こういうことでございます。そういう場合に、結局、新直轄方式というのは、有料高速道路道路公団計画をしていたけれどもどうも採算性が明確でない、あるいは採算が明らかに取れないと、そういうことのために、もう有料道路をあきらめて直轄事業にする、そのために地方負担は四分の一、あと財政措置もしますという新幹線方式を採用していただいた。これはよろしいのでありますが、実際にその六百九十九キロメートルを決めるときに恐らく地方公共団体にいろいろと御相談をなさったろうと思います。どういう御相談をなさったのか。  そして、例えば熊本県は、まあそれは新直轄方式でも結構ですと、しかし何とか早く、早く道路整備されるようなスキームにしてほしいということを希望しているんだろうと思うんです。そうしますと、一体、道路公団方式有料でやった方が早いのか、直轄事業でやった方が早いのか、そこら辺りが我々にとっては非常に切実な問題になるわけでございます。  そこで、まず第一弾としてお聞きしたいのは、どういう相談をされて、どこまで地方自治体が納得した結果こういう結果になったのか、そのことを教えていただきたいと思います。
  14. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生質問の、新しい直轄方式高速道路の既に整備計画が出されている区間についてでございますが、で未供用部分、これについてどういう方式が望ましいと考えられるかという点について地方公共団体十分議論をしたのか、意見聴いたのかと、こういう御質問かと思います。  日付で申し上げますと昨年の十一月の二十八日でございましたが、いわゆるその整備区間の選定に当たっての評価の基準、これは費用対便益と採算性とその他の外部効果から構成されるものではございますが、これで厳格かつ客観的に評価したその結果そのものをまず数値として諸数値公開、開示させていただいて、そしてそれに基づきまして、全国関係知事から、そのデータそのものについても、いわゆるこれからのいろんなプロジェクトが各県道路整備と併せて計画もされたりしておられる、その点も含めてこういう評価で大体間違いないかと、こういう議論一つと、それからその結果について、どういうふうにこれからの整備をお考えいただくか、具体的には有料道路事業直轄方式とどちらの方をお選びになられるか、あるいはまたどちらでもという御議論ももちろんあるわけでありますので、その点を要望を、その十一月二十八日に出しました数値を基にいたしまして各公共団体の御要望を伺った。  そして、その結果を大きく分けますと、新直轄方式でもうとにかくすぐにやっていきたいと、地方負担をしてでもと、こういう区間と、それから有料道路方式で引き続きどうしてもやってほしいという区間と、いずれでもと。まあ不要であるという意見は全くゼロだったんですが、その三通りに分類されまして、その御要望をベースにいたしまして十二月の二十五日に国幹会議にお諮り申し上げて、二十七区間六百九十九キロ、事業費で約二・四兆円相当ということをお諮り申し上げて、御意見いただいて決めさせていただいたと、こういう経緯でございます。  各県知事の御要望につきましては、知事御本人の最終的な御判断を必ず伴って上げてください、こんな形で、特に具体的な御要望がどうしてもというところ、一番大事なところは各県またがっている部分も結構あるものですから、各県の調整も、県ごと調整もそれぞれおやりいただいてということで、私どもその状況をつぶさに教えていただきながら、一月近くそういう意味での御要望を伺った上で、ちょうど一月近く後でございましたが、国幹会議にお諮り申し上げたと、こういう経緯でございます。
  15. 木村仁

    木村仁君 各県は、特に新直轄方式による直ちに整備を行うと決められた県は、それはもうそのことを事実として受け止めて、そのスキームの中でできるだけ早く道路建設を進めてほしいということを今熱望して、自分たちなりに用地買収等について努力を始めておりますので、どうか本当に時間が大切だと思いますからよろしくお願いを申し上げますが、関連してちょっと聞いておきたいんですけれども南九州自動車道西回り線というのが新八代、新八代じゃなくて、八代から鹿児島まで整備が進められております。  これはもう御承知のとおりでありますけれども、まず直轄方式で税金を使って建設を始めたようでありますが、途中で公団方式に切り替わっているわけでございます。そして、全体の進捗度から見ると、大体、平成の初めのころから準備に掛かって、今百三十キロぐらいじゃないかと思いますけれども、そのうちの三〇%ぐらいが供用されているんだと思うんです。  その間、ほとんど同じ距離の新幹線は、ほぼ同じころに事業を始めて、もう高架を造り、鉄道を引き、架線を架け、車両を準備して、この三月十三日に開業しているんですよ。あと六年たつと、博多から熊本・新八代が開業になって、全部開業してしまうんです。  そうすると、余りにも、鉄道道路と比較するわけにはいきませんし、新幹線はもうちょこちょこちょこっとしかやらない事業だと、道路全国至る所にあるから資源の配分等で時間が掛かることは分かりますけれども、余りにも格差があって、地元の人は、新幹線はよかばってん、道路は何かという気持ちになってくるわけですよ。  その南九州西回り自動車道が今後どのような姿で整備されていくのか。そして、直轄から公団方式に切り替わったその経緯。あるいは、公団方式の方が早くできるからそうなったのかなという、これは素人考えで分かりませんけれども、そこのところをひとつ教えていただいて、展望を示していただきたいと思います。
  16. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生指摘南九州西回り自動車道は、全体としましては、熊本の八代から水俣市、川内市を経まして、鹿児島市に至ります、延長が百四十キロ、全体の事業費では七千九百億円を要するという高規格幹線道路であります。  この南九州西回り自動車道が全線供用いたしますと、八代から鹿児島市、現在は国道三号を利用していただくと四時間十分、まあ四時間強掛かると、こういう状態でございますが、一時間半程度で行き来できるようになる、この地域間の交流、連携を強化する、こういうことが期待されている道路であります。  この中で、八代から県境まで、熊本県内延長五十キロございます。ここは昭和六十三年度から順次事業化を図っておりまして、これまでに八代と日奈久の間約十二キロを暫定供用しているところであります。そういう意味で三割弱と、こういうことでありますが。  で、日奈久—芦北道路は現在、延長が十七キロほどございますが、約九百八十億円を要する。これは現在、用地買収改良工事橋梁工事等推進している最中でございまして、平成十六年度にはこのうちの一部、日奈久から田浦まで、約九キロございますが、を暫定供用しようと、こういう目標でやっておるところでございます。  これに続きます芦北—出水道路、これが二十九キロ、全体の事業費千四百億ほどを要すると見込まれておりますが、これは芦北から水俣インターの間まで用地買収推進しているところでございますし、水俣から県境間を含みます、約八キロございますが、これにつきましては環境アセスメント都市計画の手続を促進しているところでございまして、熊本県内平成十六年度は予算を九十二億円ほどをもって整備を進めていると、こういう状況でございます。  全体で申し上げますと、そういう大変多くの事業費を要する、こういうこともございまして、少しでも早くという観点からまいりますと、道路公団による有料道路事業活用と、これも公共団体とも御相談申し上げながらできるだけ活用していこうということで、先生指摘の、有料道路を採用した、この点につきましては、これだけの事業費を要するということで緊急に整備するための手段として活用させていただいている、こういう状況であります。  いずれにいたしましても、この百四十キロ、全体の中ではまだまだこれから整備を進める必要がある、こういうことでございまして、これまでの供用部分で申し上げれば、鹿児島側供用中の部分も含めまして全体ではまだ四十キロ強と、こういうことでございますので、一日も早い完成を地元公共団体と力を出し合って、協力し合って進めてまいりたいと思っております。
  17. 木村仁

    木村仁君 よろしくお願いをしたいと思います。  地元のことばかり言ってはいけないのかもしれませんが、この高速自動車道とは直接関係ないかもしれませんが、熊本—天草間の地域高規格道路というのも、これも遅々として進まないでみんないらいらしているわけでございますので、その辺りもひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  そこで、新直轄方式になりました御船—矢部町間二十三キロ、三百六十億という事業がございます。この地元の受け止め方としてまだはっきり納得できないのは、一体、公団方式でやっていただいた方が早くできたのか、新直轄方式でやっていただいた方が早くできるのか。まあ一般には直轄方式の方が早いよということも言われておりますね。それは、事業そのもの進捗でなくて、いろんな政治的な、行政的な環境の中で進められてきますから新直轄の方が早いということが言えるのであろうと思いますけれども、本当に早いんですか、それを教えていただきたいと思います。
  18. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 当該区間といいますか、御船矢部の間の建設そのものの御議論が、直轄にやったら本当に早いのかどうかと、こういうことではございましたが、全体の構造を最初に申し上げた上で考え方を申し上げたいと思いますが、整備計画が既に出ておりまして、未供用、これが約二千キロあるわけでございます。これで要する事業費二十兆円というところをコストカットで十六兆円にする。そして、なおかつ新しい直轄方式御船—矢部のように新直轄方式、これ、おおむね目安は三兆円程度考えておりますが、そのほかに、コストの更なる縮減という形で事業区分の見直しであるとかいろいろ工夫して、二・五兆円ほどを何とかカットすることができるんではないかと。そうしますと、全体で十・五兆円以内をこれから公団会社で投資していこうと、これは可能であろうと、こういうふうに整理ができてきたわけでございます。  そういう意味で、大きく、新しい直轄方式と、それから有料道路による方式と、それぞれに整備を、できるだけ期間を合わせる、こういうことも大事なことかと。  それからもう一つは、新直轄方式の場合には予算の制約、これはもちろんあるわけでございますし、それから一方で、有料道路事業と、こういう面で申し上げますと、これから特に会社になりますと経営の採算というような議論もしっかり踏まえながら整備を進めていく、そのそれぞれが時期的に同じようなペースで何とか進めてまいりたいと、これが私どもの基本的な考え方であるわけでございます。  そういう意味で、御船—矢部の間、ここの部分は、どちらかと申しますと、料金の収入という面から申し上げるとなかなか厳しいところもある。公団会社で十・五兆円以内と、こういう目安の中で申し上げますと、なかなか、会社がどんどん整備を進めるということにはなかなか難しい部分があるではあろうと。必要性としては、BバイCで申し上げれば一をはるかに超えると、こういう問題でもありますので、そういった状況を加味しますと、やはり直轄で着実に整備を進める、これが当該区間にとっては一番確実な整備の仕方ではなかろうかと。公共団体とも御議論をした末にそうした方式でやっていこうと、こんなふうな調整を図った、こういうことでございます。
  19. 木村仁

    木村仁君 採算性が怪しいから、民間会社になった道路会社建設を決断できるかどうかということが非常に危ぶまれると、それはよく分かりますね。ですから、そういう意味では、直轄、新直轄で着実にやっていただいた方がいいと、そういうことを我々は評価しなければいけないと思います。  したがって、是非、全体が二・四兆、十五年ないし二十年で完成六百九十九キロというと、みんな何かがっかりする部面があるわけですよ。ですから、用地買収等でいろんなネックがあるでしょうけれども、それを地元が一生懸命頑張る場合にはどんどんどんどん進めていってほしいと、こういうふうに思います。  それに関して、財政措置の問題でありますが、新幹線方式と同じ型だと聞いておりますから、まずは道路譲与財源の、譲与税ですか、それの四分の一を三分の一に引き上げていただいた。ところが、二十七か所の関係団体というのは恐らくその倍ぐらいの数だろうと思いますから、全国的にそれをやっていただいても地元の県が直接裨益するわけではないと。そうすると、それに対して九〇%の起債を認めて、その五〇%の元利償還は見てあげましょうと、こういうことだと思いますが、そのことがまだ私どもにははっきり見えてきませんので、道路局長さんでも財政局長さんでも結構ですが、その仕組みをもう一度説明していただいて、どこまで進んでいるか、確実にやるのかどうかということをちょっと御説明をいただきたいと思います。
  20. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) 今回の新直轄方式によります高速道路整備についての地方団体に対する財政措置についての御質問でございます。  今御指摘ございましたとおり、既に自動車重量譲与税の市町村に対する譲与割合を引き上げるという形で市町村の、あるいは、併せまして地方道路譲与税の見直しもしているものでございますから、都道府県の道路財源を充実するという措置を既に講じているわけでございますが、個々の団体、実際に仕事をする団体に対して更にきちんとした財政措置をする必要があるだろうということで、それにつきましても、今御指摘ございましたとおり、新幹線に対する地方財政措置というのが既にございますので、それを参照しながら、地方負担、全体の四分の一でございますけれども、そこのところに九〇%地方債を充当する、それで、その償還に応じまして五〇%を事業費補正で対応していくということについてきちんと交付税の中で位置付けていくということにしておりますので、こういった措置によりまして、地方団体、円滑に事業進捗できるというふうに考えておるところでございます。
  21. 木村仁

    木村仁君 余り地元のことばっかり聞いていると、また選挙運動しているのではないかと危ぶまれるんであります。しかし、地元の、地方区の議員でございますから、どうしてもそうなっちゃうんですよね。  例えば熊本県は新幹線でも非常に大きな財政負担がこれから出てくるわけです。その中で、また新直轄事業方式、全体としては新幹線ほどの大きさではありませんけれども、大変やっぱり財政的には苦しい状態の中で対応していかなければいけないと、こういうことでありますから、そういう一般的スキームのほかに何分の御配慮をお願いしたと思うんですが、財政局長、いかがですか。
  22. 瀧野欣彌

    政府参考人瀧野欣彌君) ただいま申し上げましたとおり、既にいろいろな、新幹線等の財政措置を踏まえながら、きちんとした地方負担に対する財政措置をしていきたいというふうに考えておりますし、それぞれ交付税の中で既存の、道路延長等を踏まえた既存の仕組みがございますので、その中におきましても既存の道路と同じような扱いをこの新直轄方式によります道路につきましてもいたしますというようなことで、それぞれの団体、きちんと仕事ができるように我々対応していきたいというふうに考えております。
  23. 木村仁

    木村仁君 財政的に地元が新直轄方式になったために損をしたという事態にならないようにお願いをしたいと思います。  そこで、これはちょっと脇道にそれて、通告しておりませんのでいけないかもしれませんが、私、個人的に言えば、採算性がないからやらない、採算性がないけれども必要だから直轄方式でやりましょうと、こういうことに、どうして有料から無料へじかに下りていくのか、そこが私にはもう一つ分からない。  というのは、採算取れなくても必要であれば、せめて借金で、道路公団方式整備しておいて、そしてその利子分だけでも当分有料で賄っておいて、そして、昔の施越し事業というのがありましたね、それを公共事業が年次計画で買い上げていくということをすれば、中間形態になって、PFIですか、PFIの、ビルド・オペレート・トランスファー、そのオペレートの部分が、全体を採算取るのでなくて、総額が増えないように利子だけは料金で払っていきますよという方式がないのかどうかと。そこら辺りはどういうふうにお考えですか。
  24. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 道路整備を進める上で、直轄事業そして無料、それから有料道路事業料金いただく、その中間的なものがあっていいではないかと、こういう御指摘かと思います。  現実問題といたしまして、先ほど申し上げました南九州西回り自動車道のように、とにかく整備を急ごうということで両方式を合併して施行していく、これもうやっておるわけでございます。全国で、高速自動車国道の場合、未整備整備計画が出ていますが未供用と、これが二千キロあるわけでございますが、その中で、いろんな方式を採用しようということでありますと、恐らく、公共団体の御意見も十分伺いながらやっておるわけでございますが、公共団体によりましては、これは特にむしろ多数なんですが、県費で負担してまで、これまで負担が、高速自動車国道、こう認定して、国の国幹的な部分であると、こういうふうに整備計画も出させていただいている部分については県の負担はないものという長い間の伝統、慣習の中で、県が負担してまでその整備を進めようということになりますと、議会等で、それぞれの県の議会等で御説明申し上げる、あるいはまた県費の中で、先ほどの総務省の行政局長のお話のように、いろいろ手当てはしていただけるという前提ではありますが、しかしながら、それぞれの県議会あるいは県民感情、こういう面から申し上げると、また県費負担してまでなおかつ有料料金を支払いながら利用するのか、こういう御議論もございまして、ちょっと複雑になり過ぎる。  そうした経緯と、それから、これからの整備の見通し等も踏まえて、あるいは財源の手当て踏まえて考えますと、余りにもいろいろあつれきが出てくる方式をにわかには採用し難いであろう、むしろ料金に相当する部分として、それぞれの県費で、県民負担というような、ある意味でそういう形ででも整備を進めるかどうかという点について御判断をいただいたという、この割り切りといいますか、の方式でないと、なかなか全体としては整備の大きな方策を組み立てるのが難しいところがあったかな、こういうふうに考えてまいったところでございます。
  25. 木村仁

    木村仁君 今、我が国は特区ばやりなんですよね。だから、特区を設けていろんな新しいことを試みてやってみようという時代ですから、いろんなことをお考えになったらどうかと思うんです。  というのは、二千キロを仕分をして、すぐに新直轄でやるところ、有料道路でやるところ、そして抜本的見直しをするところというふうに決めておられると。恐らく抜本的見直しをする路線に入った関係地方公共団体はそれで満足はしていないと思いますね。  二千キロというのは、去年の暮れか何かに効果測定をして、効果が一以上になって、いずれも効果はあるんだという結論を出しておられるわけですから、その二千キロはやはり政府責任において何らかの形で粛々と整備を進めていくべきではないか、そう思いますが、その点についてと、その場合にいろんなことを考えてみられてはどうかということですが、ともかく政府責任において進めますということについてはどうお考えですか、現時点で。
  26. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生指摘のように、先ほども申し上げましたが、昨年の十一月の二十八日でございましたが、未整備区間七十区間の、未供用区間七十区間評価の結果を、事業評価を出させていただいて、そしていろいろ公共団体とも御相談をしながら十二月二十五日に国幹会議にお諮り申し上げた、こういう経緯でございました。その中で、抜本的に見直しする区間、これが五区間百四十三キロあるわけでございますが、これにつきましては、これまでの計画どおり、今まで出ている整備計画のとおりでは事業はこれはできませんということで、抜本的に見直して、新たな別の形のルートといいますか、あるいは構造というようなことを再検討しよう、こういうことにしたところであります。  いずれにいたしましても、九千三百四十二キロ、総計でございましたが、これは整備計画出ている部分ということで申し上げれば、国としてきちっと整備が必要ですよねということを国幹審あるいは国幹会議でお諮りして御意見もいただいたということでございますので、いずれにしましても、その着実な整備、見直した上で、五区間百四十三キロについてはしっかりと見直す。そうしたことも踏まえながら国として整備を着実に推進する、そのためのいろんな工夫、努力をしていこうと、こういうことが必要だと思っております。
  27. 木村仁

    木村仁君 有料道路では今後も進めていこうと、その十兆円ぐらいの範囲で、これまた後でお聞きしたいんですけれども、やっていこうと、こういうときに、相手は民間会社、そして協定とかなんとかいろんなもの結んで、事実上は拒否権を持っておると。そうすると、こういう公共的な事業に株式会社民間企業を導入することの一番の問題は、容易に事業から撤退することができるということです。採算が取れなければ、自分が気に食わなければ、もうかりそうになければ撤退する、これが一番ネックだろうと思うんです。  そういう場合に、事実上拒否権を与えたような形の高速道路株式会社で、本当に二千キロをみんなでやるというのに、実施の担保はどこにあるんだということがまた不安になるんではないか、一般論としては。その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  28. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) まず一点、最初に申し上げるべきことは、高速道路必要性といいますか意義といいますか、この点について、公団あるいは会社におきましてもそこの御理解いただきながら考えていくということが大事なことだと思います。高速道路全国道路ネットワーク、百十万キロに及ぶネットワークの一番中枢となる社会資本でありますから、その地域の活力向上とか安全な暮らしの確保、こうした最も基本的な施設、こういうことであります。したがいまして、そこの御理解をいただき、みんなで共有しながらいろんな整備考えていく、これが大事なことだと思います。  しかしながら、今回の法律の中では、もちろん会社に、公団民営化する、そういう意味では会社としての経営というものも大事な問題であるわけでもちろんありますし、その両立を図るという意味で、高速自動車国道で申し上げれば、従来二十兆円掛かるとされてきたこの建設費を十・五兆円以内を目安にしてというような形で総枠、全体の中では実行可能な形で考えていこう、こんな枠組みを用意させていただいた、これが一点であります。  それからまた、正当な事由がある場合には、会社の方は自主的な拒否権といいますか、会社自主性を最大限に尊重して、建設することが、継続することが難しいという区間については拒否することができるということではあるわけであります。  しかしながら、その場合にも正当な理由があるかどうか、こういう点については社会資本審議会にお諮り申し上げて、そして御意見をいただく。そういう経緯の中でも、それぞれ情報をきちっと開示して、なぜ建設できないか、あるいはまたどこまで建設できるか、これは国民にも情報開示をしっかりしながら御判断いただく、そして社会資本審議会の意見をいただく、こういうことでありますから、そういう意味では、常識的な線といいますか、余り懸け離れた答えが、いずれにしましても、どちらの側から考えてもそうおかしな答えにはならずに、常識的になるほどなという妥当な線に落ち着いていくんじゃないかと、そういうことを、制度としては用意し、また結論もそういう形になっていくと期待しているところでございます。
  29. 木村仁

    木村仁君 必要な道路は是非会社が何と言おうと造っていただきたいなという思いがありますが、同時に、会社がそういう拒否権を容易に発動できないように、またどんどん天下り人事を入れて国土交通省が会社も支配なさろうという、そういう魂胆があるかないか知りませんが──いや、感想でございますから、別に嫌みを言っているわけではありませんので。そういう事態が起こらないようにしたいなと思います。  次に、もう一つ私がちょっと常々気になっていることでございますが、言っていることが前後矛盾するのかもしれませんけれども会社を作るに際して、外資規制の条項が今度は入っておりませんね。それで政府は三分の一でしょう。もし外資がどんどん入ってきて過半数の株式を外資が獲得してこれを支配した場合、本当に武力攻撃事態等の事態に対処するときに日本の道路が大丈夫だろうかと、危惧かもしれませんけれども、そういう気持ちがいたします。  これはこの席には関係ありませんが、成田の空港の会社、これが全くそういう規制がないですね。一国の空港の会社が外資に五〇%以上支配された場合に一体日本の飛行場はどうなるんだということをちょっと、危惧かもしれませんが思い付いておりますので、道路の場合はそれほど深刻でないのかもしれませんけれども、その点についてはどうなんですか。外資規制の条文が入っている会社もあるわけでしょう。いかがでしょうか。
  30. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生指摘のように、政府の株式保有の限度あるいはまた外資規制といったことを設けている例というのはあるわけでございます。今回、そうではなくて三分の一以上という形で決めていただこうとしている、その理由は何か、こういうことかと思います。  そういう意味では、今回の法案では、民営化後の道路資産、これは機構が一元的に保有する、そして料金の徴収期間満了後は道路資産を国等に帰属させて無料開放する。そしてさらに、今度会社の方で申し上げれば、毎年度の事業計画、重要財産の処分あるいは代表取締役の選任については国の監督が及ぶということを法律上明記させていただいているということでございます。  そういう意味では、道路の資産として、これは会社じゃなくて機構の方で持っていただくということになっていますので、そういう意味では、この道路資産そのものが第三者に譲渡されたりほかの用途に転用する、このおそれは全くない、こういうことでございますので、システム全体の中では外資規制を設けるという必要性がないであろう、こういうことでございまして、会社の経営につきましては、会社自主性を尊重しつつも、こうした規定によって適切に対応することができる、こういうふうに考えております。
  31. 木村仁

    木村仁君 これはいろんな形で、国家安全保障上の、大きな問題ではないかもしれませんけれども、あるように思いますので、また別の分野で議論してみたいと思います。  それから、高速自動車国道有料道路事業事業費を、まず二十兆と言っておったものが十六兆五千億かなんかになり、だんだんだんだん減ってきて十・五兆円、三兆円は事前に前倒しでやるから七・五兆円とか言っておりますが、一体どうしてこれ二十兆のものが十兆に減ったのか。それは車線変更とかいろいろあると思いますが、それだけでなくて、私どもが危惧するのは、質が落ちてくるのではないか、地震のとき、また連続立体高架じゃないけれども連続倒壊でばあっと壊れていったりしたら一体どうなるんだろうかという、素人考えかもしれませんが、あります。ですから、どういう経緯で二十兆が十・五兆になったのか、絶対に安全ですということをひとつ国民に対して明確にしておいてほしいと思います。
  32. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 多少の経緯を申し上げて御理解をいただく必要があるかと思います。  昨年の、平成十五年の三月の二十五日でございましたが、コスト削減計画を各公団いろいろ考えた末に出させていただきました。この場合、おおむね約四兆円、当時、高速自動車国道整備計画で未供用部分、こういう意味で申し上げますと、約二千キロで二十兆円ということでございましたが、これに対して、いろいろ検討した末に、おおむね二割のコスト縮減、これは可能であろうということで三月二十五日に出させていただいて、そしてそれを、具体的には十二月の二十五日の国幹会議まで、それぞれ路線別に、区間別に張り付けて、そして実際に可能であるということで詳細を出させていただいた、おおむねの目安として大丈夫だということを見通した上で九か月ほど掛けて出させていただいた、具体的に、ということであります。  この部分につきましては、例えばどういう形でコスト縮減が図り得たかということで申し上げますと、インターチェンジやジャンクションをコンパクトなタイプにする、あるいはまたトンネル掘削などに関しまして施工方法を見直してより効率的なコストダウンを図る、それから六車線のトンネル部分、これは第二東名等で六車線で造ろう、こういう形で考えていたものを当面四車線で施工する、これ、かなり大きいものがあるわけでございますが、そうしたことを積み重ねて具体的に約四兆円のコスト縮減ができる。こういうことで、路線別、区間別に十二月の二十五日に出させていただいた、こういうことであります。  さらに、この二十兆円が十六兆円にそれでなるわけでございますが、直轄事業整備しようという方向で、これは目安でございますが、既に二・四兆円分、さらに、目安としては、トータル三兆円前後は新しい直轄方式、こういう形で整備を進めさせていただくということが可能であろうと。そうだとすると、四兆円、十六兆円から更に三兆円の削減。  もう一つ、今度はそれに加えまして、民営化すると、こういう観点から申し上げると、これから整備しようとするサービスエリアパーキングエリア等につきましては民営化会社が可能かどうかというようなことを考えていただくということで、事業区分を見直す。それから、連絡施設といいますか、連結施設として適当であるということがあれば、公団民営化する会社以外の、それこそPFI的にサービスエリアパーキングエリア、お申出があればそれはやっていただくということも可能であろうと。したがって、そういった事業区分の見直し。あるいはまた、更なる事業内容の見直しということで、大規模な改築事業等について、民営化するという前提で申し上げれば、これは改築事業そのものをちょっと手控えるということもあろうと。  そうした様々な事業区分の見直しなりなんなりということで、約二・五兆円程度はこれも目安としては縮減可能であろうと、こういうふうに考えておるわけでございまして、ここの部分につきましては更に詳細に今詰めている、こういう状態でございますが、いずれにいたしましても、そういう意味では、二十兆円掛かるとされておりましたコストが、二割、四兆円のまず削減を詳細に詰めさせていただいて、それから新直轄事業で三兆円前後は事業を変更すると。そして、十三兆残りますが、そのまた二・五兆円については、そうした事業区分の見直し等によって、あるいは更なる構造の変更等によって縮減することが可能であろう。したがって、十・五兆円を目安として有料道路事業の対象は考えるということが可能になったと、こういうことであります。  その場合に、先生指摘の安全性について大丈夫かと。この点につきましては、日本の場合には特に地震が大きな問題であるということでもございますので、阪神・淡路大震災で経験しましたような外力、想定する地震の力、これを基礎にして、それに耐え得るという構造物の強度、これはしっかりと担保しながら、確保しながらコストの縮減も併せて行う、これが大前提としてまさしく今詳細については詰めているということでございますので、国民にいたずらに御不安を招くということはないといいますか、ないようにまた御説明もちゃんと申し上げながらやってまいりたいと思っております。
  33. 木村仁

    木村仁君 そこら辺りはひとつよくお願いしたいと思います。  特に、最近は公共事業の入札がもうたたき合いというと、談合はいけないんですけれども、すごい競争になって、予定価格の半分ぐらいで上がってしまうと。そうすると、十兆円と言ったって、五兆円で道路ができるかもしれない。そうすると、これは危なくてしようがないんじゃないかという気がしますので、そこら辺りはやっぱり御遺漏ないと思いますけれども、申し上げておきたいと思います。  次に、この会社は市中から直接金融で資金を調達することになると思いますが、これは金融界の思惑でありますから、いろんなそういうシステムの理解度が低いとか、そこに不安があるとかいうことで利子が高止まりするおそれがあると。そこについてどういう対応をお考えになっておられるか。政府保証もありますが、政府保証を機敏に付けていく用意があるのかどうか、そこら辺りを簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。
  34. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 会社が市場から資金を調達するということで、金利が高止まりしたりするおそれはないのかと、こういう御指摘でございました。  そういう意味では、この会社の方は、金利等の調達条件につきましては金融機関との交渉を通じて、正に市場原理が働きながら決定されると、こういうことになるわけであります。今回の改革につきましては、しかしながら、こういうことを申し上げるべきかと思います。  公団という特殊法人から民間会社になる、こういうことで信用力が変わるであろうと。それから、今回の枠組みが今までに全く例のない新しい枠組みである、こうしたことから、本当に調達コストが上昇しないか、こういうことが問題になるということは事実であります。  そのために、排他的に独占使用する、高速道路を排他的に独占使用する、そういう意味では、そのための必要な信用力は十分確保する必要はあるし、また経営の安定化を図るために、先ほど来の御議論ございましたが、政府によって会社の株式保有の義務、三分の一以上はということで、この信用力の問題としてここは一点そういう措置を取らせていただく。  それからもう一つは、正に市場で決まっていく、こういうことでございますので、可能性としてでございますが、可能であると、こういう規定として、政府保証を必要な最低限のものに限っては政府保証をすることが可能、安定的な経営に対する評価が定まるまでの間、そういう意味で必要最小限の保証はすることが可能である、こんな規定を入れさせていただいているところでございます。
  35. 木村仁

    木村仁君 次に、道路公団を三分割して民営化されるわけでありますが、恐らく競争原理の導入だろうということで私どもは理解をいたしておりますが、具体的な民営化のメリットとして料金問題があると思いますが、前提として、常に料金は下げる下げる下げると書かれております、いろんなものに。だけれども、本当にどんな根拠で料金が下がるのか、それをちょっと教えていただきたいというふうに思いますのと。  もう一つは、今、高速道路の中のサービスエリアの施設、これは本当に日本の今の経済情勢からいえば非常にシャビーですよね。質が悪いと思います。多分、これは民営化されれば、JRで経験したように非常に質が上がっていくのではないかと思いますが、道路についてそういうことが一体本当に実現できるだろうかという気もいたします。  それから、ETC、こんなものはもう私どもは、ETC付けていない車は高速道路使うなと言ってもいいくらいではないか。そうであれば、ETCの普及そのものも、千円か二千円で付けられるようになるに違いないし、全部の車が付けますから。それから、会社の人件費もぐっと減るんじゃないか。雇用が減るから問題ではありますけれども、そこら辺りが民間になることのメリットがあるのかなという気もしますが、そこら辺りについての、特に料金問題について簡単に御説明をいただきたいと思います。
  36. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 料金について引き下げると、こういうことであるが本当に可能なのかと、こういうお尋ねが主であったかと思います。  そういう意味では、平成十五年度からいろんな社会実験ということで割引の実験をさせてきていただいておりまして、平均的な料金水準を例えば一割下げたとき、回復する、増加する交通量、これが大体三%ぐらい、一〇%料金水準下げますと三%ぐらい交通量が増える。料金弾性値と申しておりますが、通常はそのぐらいかなと、こう評価がこれまでのいろんな経験で固まってきているところであります。  一方で、社会実験、こういう形で、例えば朝夕の通勤時間帯の、一般道路がラッシュで混雑しているときに大きく割り引く、五割引きにする、そんな実験も全国で十何か所経験してきたところでございますが、それで申し上げると、大体コンマ七からコンマ八ですから、そういう意味では一〇%下げたら七、八%が増えると、逆に。ですから、料金の方の減収そのものは二、三%で済むと、そんな経験も積んできておるところでございますので、そういう意味では弾力的な割引料金、こういうようなことをベースにしながら、マイレージ制度であるとかいうようなことを加味して、利用の増強につながる、促進につながる、そんな形の割引考えたいと思っております。
  37. 木村仁

    木村仁君 大臣にお尋ねいたしますが、今度の新しいスキーム会社経営をやって、そしてこの四十兆円に及ぶ債務を着実に返済しながら国民要望にこたえる道路建設も進めていくことができるかどうかというのがポイントですけれども、自信のほどを御披瀝いただきたいと思います。
  38. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 木村委員の御指摘のこの点は、公団改革目的の一番上に掲げさせている問題でございますので、私も重要だと考えております。  政府参考人からも御議論をさせていただいてまいりましたけれども、その必要性はあるけれども管理費も出ないようなものを新直轄という形で新しく整備していこうということも入れさせていただきましたし、四十五年で返せるのかということも、これまでは償還主義の年限がどんどんどんどん先送りされてきましたもので、四十五年以内にと法律にしっかりと書かせていただいて先送りを認めないようにいたしましたし、民間会社でございますから、施行命令で造れ造れと言われたら造るだけみたいなシステムを廃止して、会社自主性を尊重する仕組みを導入したこと等々を明確化させていただいております。  さらに、これに合わせまして、委員の御議論の中でございましたように、二十兆円掛かると言われていたものを半分の十兆円強に抑える、またこの前段で御議論いただいた、市場から資金を調達することによって歯止めを設ける、債務の、高速国道債務総額についても上限を設定する、またまた、会社が新たに建設する高速道路債務はその会社料金収入から返済することを基本とするなど、何段にも措置を講じさせていただきました。  これによりまして、必要な建設投資を行いながら債務を四十五年間で確実に返済できるものと認識をしているところでございます。
  39. 木村仁

    木村仁君 最後、最後だから重要でないということではなくて、極めて重要な問題でありますが、従来、道路公団運営します高速自動車国道及び本州四国連絡道路の救急業務の問題でございますが、これは歴史的にいろんな議論があって、結局のところ、かなりクローズドシステムの施設であるから自分でおやりくださいというのが消防サイドの基本的なスタンスであったと思います。  しかし、それはまあ国民的に言えば非常に無駄もありますし、また救急業務というものが、消防の救急業務というのが非常に国民に、一般に信頼度が高いと、こういうこともあって、やはりインターチェンジの所在の市町村にサービスしていただこうと、こういうことで従来進んできておりまして、まあ自分でやってほしいという基本スタンスは変わらないようでありますが、サービスをして、その代わりに道路公団から支弁金という名前で、年間四十億程度のお金のようでありますが、支出されていたようであります。  今回、この機構、会社というシステムでおやりになる場合に、救急業務は自分でおやりになるのか、それともまた、従来のような協力関係を維持していくのか、維持していく場合にはやはり支弁金をきちっと払わなければいけないと思いますけれども、この点については、消防庁、道路局長さん、いずれでも結構ですから、お答えをいただきたいと思います。
  40. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 高速国道等におけます救急業務につきましては、昭和四十九年三月に関係省庁と自治体、学識経験者から成る高速道路の救急業務に関する調査研究委員会、ここで答申をいただいて、関係市町村等に対して財政支援という形で公団の方からはお払い申し上げて、実態業務としてはそれぞれの市町村で御努力いただく、こういうことにしてきたところであります。  そういう意味では、先生、先ほどの御質問の中にもありましたが、例えば平成十五年度におきましては、関係します四百六十七市町村に対しまして合計約三十八億円を支弁して救急業務をお願い申し上げている、こういう形でございます。  これが、仮に公団民営化する、こういう形になりましても、この業務の分担関係につきましては基本的にこれを維持するということで、民営化後におきましても現行制度と同じような措置の継続、これが必要と考えておりますので、その詳細につきましてはこれから検討してまいりたいと思いますが、基本は維持する、こういうことを考えておるところであります。
  41. 木村仁

    木村仁君 あと一、二分ありますので、消防庁、言いたいことありますか。
  42. 東尾正

    政府参考人東尾正君) 恐れ入ります。  救急業務にかかわる高速道路支弁金につきましては、ただいま道路局長から御答弁ございましたとおり、特別な財政需要が発生しているにもかかわらず、一方で固定資産税が非課税とされていることなどを勘案して、制度として運用されているものと承知しております。  したがいまして、消防庁及び全国の消防機関といたしましては、日本道路公団民営化後におきましてもこれらの事情に何ら変更がないということで、今後とも高速自動車国道における救急業務を実施していくためには、インターチェンジ所在市町村消防機関に対して今後ともこのような制度が維持、継続されていくことを要望しておりまして、その線で現在詰めているところでございます。
  43. 木村仁

    木村仁君 新しいスキームの下で御健闘をお祈りして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  44. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 民主党・新緑風会の山下八洲夫でございます。  大変皆さんに申し訳ないんですが、風邪を引きまして、のどは痛いわ顔はほてっているわで、大変聞き苦しいと思いますが、お許しいただきたいと思います。  大臣には大変申し訳ないんですけれども、直接道路関係法案には関係ございませんが、名古屋高速道路公社のことにつきまして、冒頭、若干お尋ねをさせていただきたいと思います。  皆さん方のお手元に名古屋高速道路公社、過去十年間における名簿を配らせていただきました。本来なら、名古屋高速道路公社から参考人をおいでいただきたいんですが、名古屋は与党の筆頭理事さんもいらっしゃいますし、私も少々遠慮をしまして、お呼びするのは最終的にはあきらめてしまったんですが、これを見ていまして、私は、本当にこんなことでいいのかなというちょっと疑問を感じ始めたんです。  理事長は愛知県副知事、それから名古屋市助役、四年交替でずっとなさっているんですね。はい、四年間の任期、無事とにかく過ごそうと、理事長で、黒塗りの車に乗ってと。それから、副理事長は、昔の建設省、今の国土交通省からずっと副理事長さん枠を持っていらっしゃる。若干その方によって在職期間は違うわけでございます。理事は昔の自治省、今では総務省ですか、こちら関係からずっといらっしゃっている。それから、もう一つの理事は国税関係と、このようになっています。そのあと、それから、もう一つ、ようやく理事で愛知県の技監さんが、建設関係の技監さんがずらっといると。その次の理事で、今度は名古屋市の局長クラスと、大体こんなような形でずっと今日まで来ていまして、理事長以下役員が六名のうち三名は国の関係であると。  そういう中で、これは、名古屋高速道路公社というのは、直接的には国とは何らかかわりがないわけですけれども、これだけ中央省庁からかかわりがあれば全くないと言えるんでしょうか。その辺について、ちょっと大臣の気持ちをお聞きしたいなというふうに思うんです。
  45. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま山下委員が御提示いただきましたこの資料を私も見ますと、役員名簿だと思うんですけれども、各ポストに同一の出身母体から任命が行われていると委員はおっしゃっていますが、私も同じような印象を持たせていただきました。  地方道路公社の役員は、理事長については設立団体の長が任命する、すなわち、設立団体ですから県と市だと思います。副理事長以下の理事については、道路公団と一緒で理事長が任命する、任命権限を持っているんだと思います。  この名古屋高速道路公社についても、なぜこうなったかという、ちょっと経緯は私存じませんけれども、任命権者の判断においてこういう形が確立してきたんではないかと推測をする次第でございます。
  46. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 名古屋高速公社、過去十年間ぐらいの貸付けを見てみますと、国から、五年間据置き、そして二十年で無利子で貸付けをできるわけですね。二十年間で返済するんですけれども、最初の五年間は据置きと。実質は残りの十五年間でお払いくださいと。それから、NTTのA型資金、これと両方をずっと融資をなさるんですね。平成十五年でいきますと二百五十五億三千万円ぐらい、平成十四年でいきますと二百四十一億、大体、いずれにいたしましてもほぼ二百億円以上、毎年融資をしているんです。無利子です、しかも。そういうことがあるものですから、私は、そしてこういう役員の皆さん方も気楽に名古屋高速の運営をしているんじゃないかなという心配を始めたんです。  なぜかといいますと、私は、岐阜県ですから名古屋高速もよく利用させてもらいます。三月一日からようやくETCがほんの数か所付いたんですね。そして、三月二十九日からまた普通車で百円値上げなんですね。これは値上げとは書いてない、料金改定と書いてありますけれどもね、値上げなんです、百円。それじゃ、ETCは専用レーンになっているかといいますと、一般のと共用になっていますから、これに書いてありますように、すうっ、スムーズには全然いかないんですね、前つっかえていますから。これが大変スムーズに、名古屋高速がますます便利になりますと。全然そんなことないんですね。そういうことを一方ではやっていらっしゃるんです。  そういうことで私は、道路局長でいいわけですが、一つは、大変、こういう役員構成になっているから甘えがあるのではないかなという気がいたしております。それからもう一つは、名古屋高速道路三号線という、今建設しております、部分的にまだ開通しておりません、もう少しなんですが。これも中部国際空港に間に合わそうというのが当初の予定だったんです。それももう全然間に合わなくなりました。そうすると、ますますまたコストが掛かっていくんじゃないかなというふうに私は心配をいたします。こういう役員の皆さん方は、自分の任期期間中、ただのんびりと、とにかくコストが掛かろうが何しようがのんびりとやっていりゃいいというように見えるものですから、あえて申し上げたんです。  そういう中で、一つだけ事例を挙げて申し上げたいんですが、名古屋市内に高速道三号線に掛かる事業者がいらっしゃるんですね。買収交渉をずっと名古屋高速がやっていらっしゃるんです。やっていらっしゃるんですけれども、一番最初にお話があったのは平成十年の七月、工事説明会があって、その年の暮れ、十二月に、平成十年の、じゃ、その事業者が、もう土地を交換してもらえないかといってやっていましたら、三年間ぶっとかれて、三年目の秋になったら、いや、土地交換はできませんと。  それからずっと交渉に入ったらしいんですけれども、だらだらだらだら、今日いまだに何の結論も出ないで、のんびりだらだらだらだらやっていらっしゃるものですから、民間事業者というのはやっぱりコスト主義ですから、もう大変、逆に困っていらっしゃるんですね。早く売りたいんだけれども、毎年、平成十年からするとどんどんどんどん地価は下がってくると。だけれども、単年度でその年度でやっちゃうということでございますから、本当にコスト主義もなけりゃ、それから中部国際空港に当初間に合わす計画、そんなものどうでもいいというような感じがするものですから、ちょっと、これだけ国が毎年二百五十億以上も、無利子でですよ、しかも、融資しているんですから、それについてある一定の強力な収用はできないのかどうか。ちょっと道路局長のお話、御回答いただきたいと思います。
  47. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生指摘の名古屋高速の三号線につきましては、平成十年の二月に整備計画を出し、名古屋高速道路公社が事業に着手したところで、現在、用地が面積ベースで八三%、工事が事業費ベースでは九%、こうなっておりまして、平成二十年度の供用を目指して現状では事業推進している、こういう状態でございます。  先生指摘は、名古屋高速がしっかりとコスト意識を持って、なおかつ事業の目標をとにかく緊急に整備するということをきちっと認識し、なおかつ行動もそういうふうにすべきであるのに、そういうふうに見受けられないところに問題があるのではないかと、こういう御指摘でございました。  そういう意味では、私どもといたしましても、コスト意識はもちろんでございますが、事業の緊急性、こういう面ももちろん認識しながら事業をやっていただいているところとは思いますけれども、なお私どもも、一層緊急な整備を心掛けていただくように、改めてまた名古屋高速の方にもお願い申し上げ、御相談に乗ってまいりたい、こう思っております。
  48. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 多分、名古屋高速も有利子で相当借入金があるわけでございますし、あるいはまた公共性が高いから買収して、国の場合は最後は土地収用法という伝家の宝刀もあるんですよね。もうそういうのがありますから、のんびりやっていたっていいんじゃないかというのがあると思うんですが、右肩上がりのときだったらいいんですけれども、右肩下がりでどんどんどんどん地価が、名古屋市なんかもうほとんど、名古屋駅前ぐらい以外は毎年五%、八%、どんどん下がっているんですよね。そうやってみると、買収される側にとってはたまらぬことなんですよね。ですから、そういう意味でのコストも是非考えていただきたいということを申し上げまして、この点については終わっておきたいと思います。  それから、本論に戻らせていただきたいと思います。  まず、民営の在り方につきまして冒頭お尋ねさせていただきたいと思うんですが、大臣の提案理由説明では、道路公団につきまして大変すばらしい提案理由が述べられております。  道路関係公団につきましては、民間にできることは民間にゆだねるとの原則に基づき、約四十兆円に上る有利子債務を確実に返済し、真に必要な道路を、会社自主性を尊重しつつ、早期にできるだけ少ない国民負担の下で建設することを目的として、平成十七年度中に民営化を実施します云々、それから経費節減等々書かれて、また説明をいただいたわけでございますが、その考え方は私は否定するものでもございませんし、大変いいことだと思います。  そういう中で、高速道路の在り方について今日まで本当にいろいろと多くの意見が出されまして、そして、最終的に上下一体方式ではなくて上下分離方式を選択をし、そしてそれで今、法案も進んでいるわけでございます。なぜ上下分離方式を選択をなされたのか、それについてお伺いしたいと思います。
  49. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) この点は非常に今回の改革の本質論で、この点につきまして、民営化推進委員委員の方の中には一体でやるべしという意見があるということも承知をしております。  しかし、高速道路民間会社の所有、すなわち資産も持つことになりますと、その会社は永久に料金を取り続けていく永久有料というものにどうしても帰着するという大きな根本問題が私はあると考えております。  今回の民営化に当たりましては、道路は無料、自由通行が原則の公共公物であると、私有になじまない、こういう考え方国民の八割、九割の方々が共有しているのではないかと思っております。したがいまして、債務返済期間中の高速道路の保有と債務返済というものは、独法であるところの日本高速道路保有・債務返済機構が行うこととしたわけでございます。  それでは、じゃ、この四十五年後に債務返済した後はといいますと、高速道路の資産を国に帰属させまして無料開放すると。この基本的な哲学というものがやはり揺るぎないものである以上は、上下を一体して民間会社が資産を持つということにはならないのではないかと考えております。  その一方で、なぜじゃ民営化するのと、今のままでいいじゃないかという議論にこの問題はよく返ってくるわけですけれども道路整備とか管理などに民間の経営センス、すなわち、限りなくお金を掛ければそれは限りなくいいわけですけれども、やはり節約できるところは節約するということは重要だと思っております。したがいまして、高速道路整備、管理等は民間会社であるところの高速道路株式会社が行う、こういう整理を実はさせていただいたわけでございます。  それともう一つ、これは民営化委員会議論の中で数字が明らかになったんでございますが、その会社が仮に最初から道路資産債務をそのまま持って民営化するというとどうなるかといいますと、通常の民間会社がそれを負える債務というのは大体営業キャッシュフローの十倍程度、優良企業に至ってはもうほとんど債務がないところもございます。  そうしますと、十年後、民営化委員会の御指摘のとおり十年後に道路資産会社が買い取りますと、その時点の債務を営業キャッシュフローの十倍程度にするには、すなわち四公団では二兆六千億ぐらいのキャッシュフローがあるんですけれども、十倍というと二十六兆。単純に、十年後ですから少し債務は減っていると思いますけれども、四十兆弱から二十数兆を引きますと、専門家に民営化委員会で計算していただきましたら、八兆円債務を削減しなきゃいけない。すなわち、資産を持って、債務を持った会社として民営化会社としてやっていくには、国鉄のときと同じで、最低でも八兆円、多ければ十兆円ぐらいを切り離さなきゃいけない。その財源は何かというと国費を投入せざるを得ない。  それと、固定資産税の課税の問題も、民間会社が資産を持っているわけですから、これは民間会社が資産を持っていれば課税対象になるということは税の理屈だと思いますんで、債務返済という最優先課題に反するということになるんではないかと。  こういうような点から、委員がただいま御指摘した、民営化委員会で言っている株式会社債務も資産も保有するというような方式、すなわち上下一体方式を採用しなかったわけでございます。
  50. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 確かに、高速道路も大変優秀な公共の公物だというふうに私も思いますし、今お話しございましたとおり、これを本当に民間にゆだねてそして完全にやりますと、それこそ今お話しのとおり十倍ぐらいまで圧縮すると、債務をですね、その大変な作業でもあります。その辺は大臣のお話、よく理解できます。ただ、最終的にこの上下分離方式にされたのは、一番のネックは、何といっても固定資産税からどう回避するかというところが一番大きかったんじゃないかなというふうに私は推測するんです。  固定資産税の問題につきましては、返すその方法というのは、わざわざこのように上下分離方式にしなくても、あるいは民間にゆだねなくても、ゆだねなければなお固定資産税はかかわりがなくなってくるわけでございますから、その意味では例えば日切れ法案、今、日切れ法案でも五年物が四十年も続いているような日切れ、日切れというのがあったり、いろんな、するんですから、技術的には、日切れ法案扱いで固定資産税もあるいは一時的には免除しますとか、いろんな方法あったと思うんです。わざわざここに、私はこのように上下分離方式にされたというのは、どうしてももう一つ理解ができないんです。  今申し上げましたように、どちらかというと固定資産税絡みが一番大きな理由じゃないかと思います。その辺、間違いございませんか。
  51. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) ただいま大臣の方から御答弁いただきましたように、一つは、国民共有の財産としてのこの高速道路の性格、それからもう一つは、御指摘のように、その債務の確実な返済のためには固定資産税の課税もこれを避ける必要もある、こういう認識があったことも事実でありまして、総合的に、高速道路の保有につきまして会社の業務から除外、そして民間の経営センスをできるだけ導入して、確実な債務返済、それからまた新たな高速道路建設、こうした方式が妥当であろうというふうにしたところでございます。
  52. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そういたしますと、固定資産税のことでも若干お尋ねしたいと思うんですが、高速道路会社及び機構に係る構想、効果について、特に固定資産税について伺いたいと思うんですが、この関係法の施行法案によりますと、固定資産税又は都市計画税について、市町村は、平成十八年度から平成二十七年度までの十年間の各年度分の固定資産税又は都市計画税に限り、六会社高速道路の新設又は改築、維持、修繕、災害復旧等の事業の用に供する固定資産で政令で定めるものに対しては課することができない、また機構が保有する道路資産会社に貸し付ける業務の用に供する固定資産で政令に定めるものに対しては課すことができないとされていると。  そういう中で、まず、簡潔に二つお尋ねします。  会社事業用資産及び機構の保有資産について、原則として、今申し上げましたように固定資産税の非課税措置を講じているんですね。それで、事業用資産というのは道路以外にどのようなものがあるのでしょうか。
  53. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 詳細についてはこれからいろいろ分類していくわけでございますが、例えば駐車場、サービスエリアの駐車場等についてはどういうふうにするか。いろいろ分類上、その機能上、今後詳細に詰めるべき課題のある部分が結構あるんじゃないかということで考えております。
  54. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 政令で定めることになってくるんですけれども、それ、今お話ありましたように、私もじっと考えたんですが、何あるんだろうと。多分、駐車場、ひょっとして無料の建物へ建った休憩所、そういうものがありゃそれもそうかなと思って、それからサービスエリアには立派なトイレがありますよね。あのトイレもなるのかな、どうなのかなと思いながら、じっと考えてみたんです。  この辺は、大体、国交省としては非課税の対象にしてもらいたいなと思っていらっしゃるんですか。
  55. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生指摘のように、駐車場は検討対象。それから例えば無料のまさしくトイレ等について、これを課税対象ということになるとなかなか運営上どうかなというようなこともあろうかと思います。  そういう意味では、そうしたことを今後関係省庁と詰めてまいりたい、政令までに詳細に詰めてまいりたいと思っております。
  56. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 総務省、お見えですね。  例えば、あのサービスエリア、広大な駐車場ありますよね。あの駐車場とか、ひょっとして先ほど申し上げましたような、もし建物が建って無料の休憩所があったとします、その休憩所とか、あるいは今申し上げましたサービスエリアには立派なトイレがございますよ。ああいうトイレは課税対象にしたいと思っているのか、まだ全然検討していないのか、ちょっと御回答ください。
  57. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 今回の非課税措置は、現行制度上、公共用の道路というふうにされております。その解釈でもって、道路公団等の道路を公共用の道路ということで非課税にしている、これと言わばパラレルに考えられるべきものだというふうに考えております。したがいまして、一応課税実績等もございますので、その辺の実態に合わせまして、実態も見ながら今後検討をしていかなきゃいけないというふうに考えておりますけれども、要は、道路というのをどこまでその道路というふうに言えるのかというようなことになろうかと思います。  そういう意味で、今おっしゃいました例えば駐車場とかトイレとか、いろいろ見方によって、道路の一部だという見方もあろうと思いますし、そうでないというのもあろうかと思います。この辺、実際どういうふうな、現行制度で課税になっているか非課税になっているか等も含めましてよく検討したいと思います。
  58. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ただいまの件は後ほどちょっとお尋ねまたさせていただきたいと思います。  それから、今回の法律でいきますと、十年間に限り非課税措置としている理由はどういうところから来ているのかなと。民営化後十年以内に民営化関係法の施行の状況を検討し必要な措置を実施することとされている、ここから非課税措置の見直しがあり得るのかというふうに思っていますので、この十年間というのが一つあるから、ある意味では、十年後はそこで検討して、全体的に見ましてこれは非課税にしなくてもいいよというような雰囲気になれば、そういう方向性もあるのかどうなのか、その辺について国交省と総務省からお答えいただきたいと思います。
  59. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 民営化後に有料道路になるこの高速道路につきましては、四十五年以内に無料開放される、それから料金設定に利潤を含めない、こういうことでこの法案お願いを申し上げている。この性格からいって、道路事業として道路の本体の運営管理という面から申し上げますと、ほとんど所得は上がらない、こういうふうな性格的な面もかんがみていただいて非課税というふうにしていただいた。ただし、民営化後、おおむね十年後に民営化状況等を勘案して必要な見直し、こういうことでございますので、特段の事情の変化がなければ、なければ引き続き当該措置が講じていただき得るというふうに考えているところでございます。
  60. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 非課税措置を講じました理由は、今、道路局長からお話があったとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今もお話ございましたけれども、非課税とした理由に全く変化がないということであれば今の措置が再び取られるんではないだろうかというふうに思いますし、十年たって見直しをした時点で大きく事情が変わったり制度を変えるということであれば、それはそのときの議論になるんではないかと、こういうふうに考えております。
  61. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そういたしますと、現行の地方税法第三百四十八条の二項において、「固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。」と。そして、「公共の用に供する道路」が挙げられているんですね。その中で道路公団高速道路については非課税となっていると思うんです、現在。そして、「公共の用に供する道路」の定義は、何ら制約を設けず広く不特定多数の人の利用に供する道路、こうなっているんですね。もう一回読みます。何ら制約を設けず広く不特定多数人の利用に供する道路と解釈される。道路公団有料道路が公共の用に供する道路に該当するかというと、私は今でも本当に該当するのかなという大きな疑問を持っているんですね。  そして、今回もこの固定資産税を減免するのに、先ほどからお話出ていますとおり、料金徴収期間が定められており、多分その期間が経過をすれば無料開放されるというところが理由付けになっていると思うんです。そして、もう一つは、ひょっとしたら建設費とかそういういろんな面から見て適正水準になっているというようなこともおっしゃるんじゃないかなと。だから収益事業じゃないよ、だから固定資産税無料だよというふうにおっしゃると思うんですが。  過去四十年間ずっと固定資産税無料で、今まで、また世界でも飛び抜けて高い利用料を徴収して、そしてこれからまた向こう四十五年間、八十五年間ですよね、一世紀ですよ、約。こういうのをずっと本当に固定資産税を徴収しないで、ほかにそういう事業というのはあるんだろうかなというふうに考えると、私は大きな疑問も感ずるわけですね。  ちょっと話はそれますが、例えばJRを分割民営して、そしてこの委員会でも随分出たんですけれども、要するに法人税、地方税まで納めるようになったじゃないか、固定資産税も出すようになったじゃないかと。あれ民間にして良かったんだと、税が入るようになったと。最近では郵政公社ですか、国と地方を合わせればざっと六千億円ぐらいですか、税が入るんじゃないかというような新聞記事もちらっと出ておりました。これもある意味では五千億円近い固定資産税の数字が出るんじゃないかということも議論されたようでございます。もっと低いかも分かりませんよ、きちんと精査すれば。そういうのがありますから。  そういう意味でいいますと、私は、何ら制約を設けず広く不特定多数の利用に供する道路なのかなと。そこはそのような道路だというふうに国交省も総務省もお思いでしょうか。
  62. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 国民共有の財産、そして四十五年以内に無料開放、それから、そういう意味では、先生の御指摘は、料金上において使い得る人がある意味限定されているのではないかと、こういうことかと思いますが、そういう意味では、逆にまた一定の対価をお支払いいただいて、どなたでも御利用いただける、そこの部分から申し上げても、公共財産として道路の一番中枢の部分高速道路、こういうふうな考えでおります。
  63. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 道路公団高速道路をいわゆる公共の道路ということで非課税という解釈をするというのは、その当時いろんな議論がありまして、政府部内でそういう解決で図られたということで理解をしておりまして、その後それが踏襲をされてきたということでございます。  ただ、今回、公団から、言わば民営化といいましょうか、経営形態が変わるということでございまして、そこは従来とは若干違う事情もあるというようなこともありましたので、今回、法律の中で非課税措置という形で講じたのでございまして、基本的な考えというのは同じような考えでございますけれども、若干その辺の事情の変化に応じた対応をさせていただいたと、こういうふうに考えております。
  64. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 板倉局長にお尋ねしたいと思うんですが、地方税法第三百四十八条の二項にこれは抵触するとは思いませんでしょうか。なぜかといいますと、佐藤道路局長国民共有の財産だとおっしゃった。確かにそうなんです。それは間違いございません。私も認めます。  ただ、正直言いまして、かなりのサラリーマンの皆さん、東京の皆さん余り感じないと思うんですが、地方にいる、我々みたいに岐阜の山の中に住んでおりますと、高速道路というのは利用したいんですよ、正直言いまして。余りにも高くて通勤には絶対使えないんですよ。そういうものが本当に何ら制約を設けず広く不特定多数の利用に供する道路なのかどうか、だから固定資産税を免除するほど価値のある道路なのかどうか。  その辺、もう一度重ねて、この法律上から見て御回答いただきたいと思います。
  65. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 今回の地方税法の改正規定は、公共用の道路であるという認定をして非課税にしますという規定ではないわけでございまして、その辺は先ほど申しましたとおり、今回大きく性格が変わらないという前提で非課税措置ということになったわけでございまして、その辺の事情というのは、若干今回の経営形態の変更等で変わったところを反映した形にしたということで御理解をいただければと思います。
  66. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 なかなかここから前へ進まないと思うんですが、余り申し上げても。  過去四十年間、固定資産税免除ですよね。これから四十五年間、また免除。うまく、うまくいって、もうちょっと早いかも分かんないですよ。早くても、十年も二十年も今のこの計画では前倒しは無理でしょう、正直言いまして。あるいは四十五年をもっと飛び越えちゃうんじゃないかなと、本当に一世紀ぐらいは有料でずっといくんじゃないかな。昭和三十年代にこれを建設しましたときに、これ八十五年間で償還しますと言ったらみんな怒ったと思いますよ。そういうような代物なんですよね。だから、あえて申し上げているんです。  ですから、私はJRなんかは、あれも公共性、物すごく高いですよ、JRにしたって。本当に、場合によったら高速道路以上にJRの方が全体的に日本の社会で貢献しているか分かりませんよ。一方は完全な民間企業ですから、今、部分的には激変緩和で減免したところもありますけれども、固定資産税は徴収するとなっているんですね。  だから、この高速道路につきましても、それは減免措置というのはゼロの減免もあるんですよ。法律上は一応、やっぱり固定資産税徴収するよと。その上に立って、例えば向こう十年間は一〇〇%減免しますよ、あるいはそれから状況を見て、その後、それから先のまた十年間は例えば八〇%減免します。その知恵はあるんだと思うんですが、初めからもう固定資産税を徴収する、そういうものから外れるということについては、先ほど言いましたように、法に抵触するんじゃないかなというふうに思いますので、これ以上申し上げても切りがありませんので、是非、今後の大きな課題として検討をしていただきたいというふうに思います。  それから、公共に供する道路、それから何ら制約を設けず広く不特定多数人の利用に供する道路、これは理解はよくできるんです、私は。だから、一般国道とか一般都道府県道とか市町村道とか、いわゆるそういうものは確かに広く不特定多数の利用に供する道路だと私も思います。高速道路というのは、本当にしんからそのように総務省は思っていらっしゃるのか。再度、そこだけお答えいただきたいと思います。
  67. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 再度のお尋ねでございます。  確かに、この道路公団高速道路につきましては、過去にいろいろと議論がございました。私どももその点を十分踏まえて考えていかなければいけないというふうに考えておるところでございますけれども、いずれにいたしましても、従来、先ほど何度も申し上げておりますけれども、その料金徴収期間の定めがあって、いずれ無料開放されるという制度的な一応担保があったわけでございます。それと、料金水準というのが収益事業ではないということで、それを理由にして、この公共の道路に該当するという解釈を政府としていたしてきたという事実がございます。  それを前提として、今回の制度の改正というのを考えますと、これは法律上、四十五年以内には無料開放されるということが明記をされているわけでございますし、かつ道路事業からはほとんど所得が上がらないという仕組みが作られているということでございますので、私どもとしては、この仕組みを前提にすればこの非課税措置はやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  68. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 それでは、先ほど駐車場とか休憩所とかトイレの話をさせていただいたわけですが、中央自動車道、私は中央自動車道の沿線なものですからあの辺りはよく分かるんですが、日本道路公団サービスエリア内に掛かる固定資産税、これ都市計画税もちろん含みますけれども、の課税について、道路公団より有償で貸付けされている資産、例えば土地でも道路公団に課税していると。それから財団法人道路サービス機構がサービスエリア内に所有する資産、これは建物大部分ですが、これは道路サービス機構に課税をしていると。それから、駐車場用地は道路附帯施設として現在課税していないと。一応そういうことなんですね、総務省は。  そういう中で、サービスエリアを見ていただければ一番よく分かると思うんですけれどもサービスエリアには、先ほど言いましたあの広大な駐車場がありまして、百台以上優に止まるでしょう、あれ、相当広大なの。そして、食堂やらお土産店やらいろいろなお店がある。そして、その隣に立派なまた公共のトイレがあると。簡単に言うとこういう、そして無料の休憩所のあるところもあります、こういう状態なんですね。  もし、民間のデパートが、あるいはスーパーが、自分の、高速のエリア内じゃなくて一般の土地を購入して、今たくさんあちこちスーパーあるんですけれども、スーパーマーケットでいいますと、広大な土地の駐車場確保を自分でして、そして中のトイレも、あの立派なトイレもすべて固定資産税掛かっているんですね。  そうしますと、あそこのサービスエリアの駐車場というのは、確かにユーザーの、ドライバーの方が疲れてあそこで休憩をして仮眠をしたい、そういう方もいらっしゃると思うんです。あるいは、そうじゃなくて、おなかがすいたから食事をしよう、あるいはどこか、ここの辺を、いいところを通ったからお土産を買おう、それから生理的現象でお手洗いにも行こう、いろいろとあると思うんですが。それはそういう点から考えますと、私はあそこの駐車場というのは大部分は、私は逆に言えば営業のために駐車場があると言っても言い過ぎじゃないと思いますので、固定資産税掛けても不自然じゃないんじゃないかなと。  それから、固定資産税の掛かっていないトイレがありましたら教えてください。総務省。
  69. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) と申しますのは、今のサービスエリア以外でという意味でございましょうか。それは、例えば非課税になっております学校とか社会福祉施設とか、そういうところにあるお手洗いは一緒に非課税になっているということで、トイレが単体で非課税というのはちょっと私も思い浮かばないんでございますけれども
  70. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そうしましたら、今申し上げたものはほとんど政令事項だと思いますので、是非、政令事項のときにはこんなことを山下も言っていたぞということを含めて検討していただいて、税収がないないと言っているんですから、ああいうところは私は固定資産税掛けてもおかしくないと思いますので、佐藤局長は頭をひねっていますけれども、是非検討をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それでは、次に、四十五年以内の債務償還ということになっていますから、その辺につきまして何点かお尋ねさせていただきたいと思います。  今日、財務省はお見えになっていますね。  小泉総理は自分の任期中は消費税は上げませんと言い切っていらっしゃいますからそうでしょう。その後、いろいろ年金の財政なんかのあの二分の一国庫負担等を考えますと、どうも透けて消費税が上がるんじゃないかなというような雰囲気も見えるんですね、私。そうでないかも。私は、消費税を上げることを賛成しているわけじゃないんですが、どちらかといったら反対ですけれども、そういう機運は見えるんです。  それで、今回この法律でいきますと、四十五年以内に償還をするということになっているんですが、その中では消費税は現行消費税でカウントされているんですね。四十五年間以内、財務省、消費税アップしないと思うんですけれども、一般論で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  71. 石井道遠

    政府参考人石井道遠君) 消費税についてのお尋ねでございますが、消費税に関する基本認識を一般論として申し上げますと、私どもは、少子高齢化が進展いたします中で、あらゆる世代が広く公平負担を分かち合う、公共サービスを安定的に支える歳入構造というものを構築していくことが不可欠であるという基本認識を持っております。このような点から、消費税が極めて重要な税であるということは申すまでもないと思っております。  このような中、昨年、与党の中では、年末の税制改正大綱で、平成十九年度を目途に消費税を含む抜本的税制改正を実現するということが与党内の大綱には書いてございます。これを踏まえまして、政府といたしましては、この与党税制改正大綱を踏まえて、社会保障制度の見直し等と併せまして中長期的視点に立って税制の抜本改革にこれから取り組んでいきたいと考えております。  したがいまして、今後の消費税の在り方につきましては、このような抜本的な税制改革の一環といたしまして、他方で徹底した行財政改革推進しながら、今後、国民的な御議論によって検討していくべき課題ではないかというふうに考えております。
  72. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そうすると、佐藤局長にお尋ねしたいんですが、四十五年償還につきましてはいろいろな返還シミュレーションをお出しになっていらっしゃるんですね。  それで、国交省から出されました道路関係公団債務返済イメージの試算例、追加分です、十六年の四月九日に出された。この資料で見て、私の見方は間違っていないと思うんですが、道路関係公団債務返済イメージの試算例で、六会社合計というところですね。消費税相当額、〇・一でずうっと平成六十年まで、〇・一というのはこの単位が兆円ですから一千億円だと思うんですが、こういう数字が出ているんですね。そして、年度の隣に料金収入、料金収入が二・五とか二・六、三・〇とかだんだん料金収入が増えてきているんですね。だけれども、消費税額はみんな一緒なんですよね。  今五%ですから、五%で見ると、例えば一千億というと、二兆円に対して、二、五の一、そうですね、二兆円に対して一千億円の消費税ということなんですけれども、このシミュレーションというのは、例えば三兆円売り上げても、例えば年数で十六年目ぐらいのところですか、十五年目ぐらいですか、こういうところは三兆円売り上げているんですね。三兆円売り上げて消費税は一千億円ということですから、単純に言えば一千五百億円になると思うんですが、それが一千億円で終わっていくと。  消費税、今後下がるんでしょうか。
  73. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 消費税は事業者が納税義務者となっておりますが、消費税相当額は一般的には価格に適正に転嫁されて最終的に消費者に負担を求める税金、こういう性格のものと承知しております。  したがいまして、仮に消費税の税率が下がると思って〇・一と、こうしているわけじゃなくて、詳細な計算でやりますと、現状を前提にすれば、兆円単位で言えば〇・一兆円と。これはどうなるかということによって、そういう意味では消費税の額そのものは再試算の計算上はそこに変動して乗っかってき得る、こういう性格のものと理解しております。
  74. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 それは私もそのように思うんですが、今もこの道路公団関係、あるいは電車とかそういうもの、みんな前から内税方式になっていますからね。消費税はその中に当然入っている。例えば今五%で、例えば高速道路利用区間が千円だと、千円の中に五%の消費税が含まれていると、こういうふうに皆さんも理解して、私も理解しております。  だけれども、この計算でいきますと、その全体的な売上げが、料金収入が増えても消費税はずっと固定されているんですね。これが不思議なんですよ。五%であれば五%台で、料金収入の売上げが伸びれば消費税の払いも、国庫に納めるのも増えるはずなんですよね。それが出ていないものですから不思議だなと。だから、すぐ破綻するんじゃないかなという心配をしているんです。  ですから、例えば金利が三%だと七年ほどで債務が大体完済、早く完済する、あるいは金利が五%台になると十年ぐらい延びる結果になってしまうと、このような試算もされているんですが、消費税がこれ、そういう試算はされていますけれども、消費税を加味した試算がされておりませんのでそういう意味ではすぐ破綻するんじゃないかというふうな気がするんですよ。このイメージの試算がすぐ破綻するんじゃないかなというふうに私は感ずるものですから、これは絵にかいたもちで、とても四十五年間で債務返還はできないなというような気がするものですから、あえてしつこく佐藤局長にもお尋ねしているんですが、本当に大丈夫ですか。
  75. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 元々、この債務返済のイメージは分かりやすくするためにコンマ兆円単位で出させていただいていますけれども、そういう意味では、消費税の額自体で申し上げますと、更に細かい数字で申し上げれば、例えば平成十七、八年ごろは大体〇・〇七八、つまり八百億円程度という試算になっていまして、これは、要は、五%の消費税の中で建設、管理に発注する分、これにつきましては消費税の還付があるものですから、現行の消費税の支払ベースでいきますと大体三%強と、こういう形になっていますので、そこを前提にして置かせていただいている。これが将来、そういう意味では、コンマ兆円単位でいきますと〇・一が続くような形になっていますが、そういう意味では、細かい計算しますと七百八十億から将来的には九百億を超えるぐらいな感じにはなると。  しかし、いずれにしても〇・一兆円単位、こういうことでありますが、将来的には、そこの部分がどう変わるかということによってはそれに対する対応、先ほど申し上げましたように、最終的に消費者に適切に御負担いただく、こういう形ではありますが、実際問題として、ケース・バイ・ケースに応じまして、いかなる形になるかというのはその時点その時点で検討しながら適切な反映をしてまいると、こういうことで考えております。
  76. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 じゃ、もう次に移らせていただきます。  財務省、よろしいですよ。ありがとうございました。  交通需要推計について、中位推計に基づいて出されておるんですね。そのほか、条件を変えずに低位で計算した場合に償還にどれぐらい掛かるのか。かなり延びるんじゃないかなと思うんです。  年金問題でもそうなんですけれども、どうしても中位とか甘いところでやるものですから、いつもツケが国民に回って結局は行政や政治への不信が募ってきますので、そういうものを回避するためには一遍低位で、実際計算しているんなら是非教えていただきたいと思うし、もし低位で計算していなかったら計算していただいて、またなるべく早い時期に国会にも提出して、委員会にも提出していただきたいなと思いますが、その辺、計算されておるでしょうか。
  77. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 交通量推計の、中位推計を用いているが低位の場合にはどうなるかと、こういうお尋ねかと思います。  そういう意味では、感応度分析という形でいろんな分析はしてみたりしているわけでございます。例えばこの交通量そのもので申し上げますと、例えば断面を二〇二〇年ごろと、こう取りますと、今回の中位推計につきましては大体、対二〇〇〇年で申し上げると一二%増ぐらいになっている。一方で、低位推計で申し上げると、対二〇〇〇年では一一%程度。これは人口、経済の見通しの外生変数が変わることによりましてこうした違いが出てくるわけでございます。  債務返済との関係で申し上げますと、中位推計と低位推計、こうした観点から申し上げれば、おおむね、返済期間で感応度分析的に申し上げると二%から三%ぐらいの違いが出てくるかと。そういう意味では、四十四年というふうに例えばお出ししています基本ケースの債務返済イメージ、これは年数で申し上げると四十四年か四十五年かと、こんな数字にどうもなるということなものですから、あえて具体の数字としてお示ししていないということでありまして、むしろそうした感応度分析的に私どもとしては把握してきているところであると、こういうことでございます。
  78. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 今日はたくさん質問したいものですから、ちょっと先を急がしていただこう。  民営化スキームで四十五年後は無料開放ということになっているんですが、また先ほどからもそういう御答弁度々いただいているんですが、前提条件をクリアするのは大変難しいんじゃないかなというような気がするんですね。本当に金利も四%で行くんだろうか。利用料、利用料もですね、もう大臣もいろいろとおっしゃっていますけれども、いろんなところで、もう一割は、とにかく民間になったら一割はもう利用料も引き下げるんだということもおっしゃっていますし、そうすると、利用増がかなりないとなかなかクリアできないんじゃないかと。だけれども、これからは少子高齢化社会で、車はこれから日本の社会で右肩がぐんぐんかなりのペースで増えていくだろうかと。いや、大体もう成熟してほぼ横ばいで、場合によりゃ、人口減にでもなりゃ逆に車は減っていくという可能性の方が高いと思うんです。  そういうような環境の中で、本当に私は、四十五年たってみたらやっぱり返せなくて、本四公団と同じように国が面倒見ぬといかぬということになってしまうんじゃないか、そのような気がしてならないんですが、国民負担を最小限にするといっても、結局はこの四十五年というのは、四十五年のときクリアしていなかったら、今言いましたように税金で面倒見る以外ないということになれば、大変危険なことを提案しているというふうに私は思っておりますので、その辺についてはそうならないように是非考えていただきたいと。もうここは答弁要りません。  その上に立ちまして、先ほども直轄方式のお話があったわけでございますが、私は違った角度から新直轄方式について、私はもっともっと拡大した方がいいじゃないかと、新直轄方式を、というふうに思っているんです。  要するに、新直轄方式というのは、簡単に言いますと税金で造るんですよね、無料なんですから。ですから、今まで、さっきも申し上げましたように、四十年間も利用者から世界一飛び抜けて高い利用料を徴収し、またこれからも四十五年間も場合によれば利用料を徴収するというようなのであれば、思い切ってもう新直轄方式をどんどん増やしていって、例えば四十五年償還を三十五年で償還するとか、あるいは三十年で償還するとか、もっともっと前倒しをしていく、そういうふうに思い切って、佐藤局長、ハンドル切り替えたらいかがと思うんですね。  民営化後、七・五兆円の建設についてはすべて有料道路方式によって建設する僕は必要はないんじゃないかと。また、政府・与党で合意しております三兆円の枠組みも、あえて言えば、とらわれることなくて、三兆円だって五兆円だっていいんですよ。そして、新直轄で造っていけば、さっき言いましたように、前倒しで早く返済して無料開放が早くなるんではないかと思いますけれども、その辺の感想はいかがでしょうか。
  79. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 新直轄方式をもっと活用すべきではないかと、こういうお尋ねでございました。  そういう意味では、新直轄方式になじむといいますか、ものとして、高速、有料道路では管理費が賄えないとか、あるいはまた、有料道路という性質上、料金抵抗等によって交通量がなかなか伸びないとか、そういったような観点と、あわせまして、ネットワークとしての均一性といいますか、途中途中で有料無料がまだら模様になるというようなこともできるだけ避けていこうと、そんなふうなことも併せて考えながら、地方公共団体意見をよくよく伺って、新しい直轄方式というところを取りあえず二千キロの未供用区間の中で約七百キロ御選定をいただいたと、こういう経緯でございました。  これをもっと増やすべし、こういうことでございますが、そういう意味では、更に公共団体と御議論をさせていただきながら、会社が発足してどこを有料道路として事業を継続し、どこを新直轄に更に取り込むかという点について詰めてまいりたいと思っております。  ただ、もう一つ申し上げますと、目安といたしましてはおおむね三兆円ということを目安にさせていただきましたが、それは先ほど申し上げましたような直轄になじむ部分という観点と、もう一つ事業のスピードといいますか、建設する上での速度、想定いたしますと、毎年度の事業費として取りあえずは平均的には二千億円程度。これによります県の方の負担も、マクロな手当てとしては大体二千億で四分の一ですと五百億ですが、直轄負担についての地方財政力指数による特例、これを考えますと、大体現状ではおおむね一五%ぐらいになっていますので、全体の平均がですね、七百キロ選んだ、そういう意味では、二千億円の場合に一五%、選ぶ場所によって違ってくるわけですが、大体三百億円。それを既に四百五十億円を地方に譲与をさせていただいて、マクロな手当てはさせていただいている。  そして、二千億円という数字は、そういう意味では、逆に地方負担を三百億円いただくとしますと、千七百億円の国費をいろんな形でひねり出しながらやらせていただく。そして、十五年程度から二十年程度目安にと、こんな形で御説明を申し上げてきたところでありますし、そういう意味では、道路整備全体の中で、一方で、国と地方負担が手当てとしてどのぐらいできるかと。これもまたほかの道路整備事業の大変たくさん既にあって実行している中で目安をいろいろ立てさせていただいている、こういう状況でございます。  これからも民営化会社の継続する、有料道路として継続する部分直轄部分、そんな考え方で分けてまいりたいと、調整してまいりたいと思っておりますが、そういう意味ではこれからの課題の部分ありますので、三兆円びったりで前後させないと、こういうことではなくて、そういう調整の中で十分納得がそれぞれいただけるように考えてまいりたいと思ってはおります。
  80. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 要するに、新直轄方式というのは、私の理解が間違ってなければ、民間にやっていただいても赤字で採算が合わないから新直轄方式、そして最終的には無料開放ということだというふうに理解しているんですよ。私はそれ間違っていないと思うんです。だからといって、今、高速道路は平均一キロにつき二十四円六十銭ですか、ずつで計算されて料金体系が組まれているということですね。だから、現在もプール制になっていますから、もう民間会社になっても、本当ならここの有料道路は本当は引き受けたくないよというところ、たくさんあると思うんですね。  JRのときは、かなりもう赤字でどうしようもないときは第三セクターに移転しまして大分切ったんですがね、ところが高速道路はそれが今度はありませんので。JRのときには切ったんです、相当。それが今あっぷあっぷしてもうどこも困っている状態ではあるんですが、そういう意味では、例えば民間に引き継いだ場合、その民間会社も、ここは本当は欲しくないんだけれども、やっぱり引き受けるからにはそこまで引き受けないとやらせてもらえない、退出の自由がないということだと思うんです。  そうしますと、一方では新直轄方式で無料のところがある、一方では、もうできているんだけれども、こんな赤字を抱えて高い料金を、利用料金を払わなくてはいけない。そうしますと、大変地域的な不公平が出てくると思うんですが、これはやむを得ない措置なんですか。
  81. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) そういう意味では、さっき申し上げましたように、ネットワークとしての均一性みたいな点も考慮する必要はあるだろうと思っております。  現状でも、有料と無料とそれぞれがある路線、区間も、混在する区間もあるわけでございますが、これからの整理に当たりましてはできるだけ均一な、均質なネットワークと、まだら模様にならないようにと、そんな点も加味しながら、なおかつ地方の御負担をいただく点もあるわけでございますから、公共団体意見も十分伺いながら検討してまいりたいと思っております。
  82. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 済みません、総務省、ありがとうございました。結構でございます。  本来なら、何で私がこのような、先ほど固定資産税の話を申し上げたり、あるいは新直轄でもっとどんどん造るべきだと申し上げたりしているかといいますと、今の日本の高速道路というのは、先ほどもちょっとお話し申し上げましたけれども、世界で突出してむちゃくちゃ高い利用料なんですね。だから、先ほど申し上げましたように、通勤にも利用できない。例えば、物流事業者がそれこそ大手でも片道百キロ以内は高速道路を使わないで下の道路を行きなさいとか、高速道路が余りにも利用料が高いから夜国道を走るとか、そういうふうにして経費節減なさっているんですよ。  民主党は全線無料の法案を大変立派なもの出させていただいたんですけれども政府・与党の方で廃案にしたものですから、国民負担のこんな高い悪法を審議せざるを得ないなと思っているんですが。  そういうことを考えますと、本当は一日も早く無料にしていくと。もう四十五年を四十四年、四十三年ってけちなことを考えないで、そのためには先ほど申し上げましたように、既存の赤字路線についてはもう思い切ってそこは無料にしますよと、それぐらい大胆な決断をされれば、国民の皆さんも喜びますし、そして物流業界がまたますます利用するようになれば、それなりにまたいろんな面で社会的に貢献も増えてくると思いますので、是非その辺のことをもう一度、もうこの法案が通ったから、がんじがらめで絶対四十五年以内の償還でやるんだというんじゃなくて、もう今から見直しも検討した方がいいと思いますが、それについて検討のもう余地はございませんか。
  83. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生の御指摘は、言ってみれば、現在有料活用していただいている部分部分的とはいえできるだけ無料にして、なおかつ全体の有料道路という仕組みを早く、四十五年以内、もっとできるだけ早くに無料にすべしと、こういう御指摘だと思いますが、そういう理解の下に申し上げますと、そのためには部分的に無料にしていく、さらに、今有料のところを無料にする、あるいはまた全体を無料にする。そのためには、いただいていますその借入金を、借りている借入金をどう返すか、債務をどう返すか、こういう問題が出るわけでございます。  現状で申し上げますと、道路整備は緊急にいろんな分野で急がれている部分がある。そういう意味では、例えば渋滞対策、都市の中の渋滞対策はもちろんでありますが、立体交差であるとかあるいはまた踏切の除却であるとかバリアフリーであるとか、あるいはまた国道の管理であるとか、そういう意味で、どこからその費用を出し得るか、こういうことが一つの問題になろうかと思います。したがいまして、緊急に整備する、そのための有力なツール、道具として有料道路制度活用させてきていただいている。  ただ、余り有料道路制度に頼ってのみでは、高速自動車国道整備なかなか厳しいところがあるということも事実でございますので、直轄方式有料道路の更なる活用も、適切な活用、これも組み合わせて整備を進めていこう、こういうことにしたわけでございますので、そういう意味では先生指摘の、二十年、三十年も早めるというのはなかなか難しいとは思いますが、四十五年以内でできるだけまた努力しながら、この制度、お認めいただいたらこの制度を活用してできるだけ早くの償還というのもまた努力してまいると、こういうことが必要かと思います。
  84. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 二十年、二十五年っておっしゃいましたが、今までもう四十年も利用料を徴収しているんですからね、これからまた四十年。八十、八十五年以内ということなんですよね、冷静に考えますと。八十五年以内の五年、十年というのは実に短いスパンなんですから、せめて二十年ぐらいは早く前倒しする、そういう最大の努力と知恵を出していただきたい。その努力と、より知恵を出せばもっと早くなると思う。その知恵がどんどん、赤字のところなんかは無料開放していく、そして新直轄を増やしていくと、そういうことをやれば十年、二十年はあっという間に前倒しで無料化ができるというふうに私は理解しますので、そのようなことも是非検討の中に入れておいていただいて、ここでは言質を取れという命令もありますけれども、次へ行かせていただきたいと思います。  それでは、新直轄事業評価基準に関する質問を二点だけ簡単に質問させていただきたいと思います。  道路事業評価手法検討委員会において総合評価を行い、客観的な指標を作成したというふうにずっと答弁されているんですね。その総合評価の判断の分かれ目として大きく私は影響を及ぼすのであえてお尋ねするんですが、これは評価手法検討委員会地方公共団体民営化委員会の重み付けについて国幹会議の資料に、例えば評価手法検討委員会の重み付けとして費用対効果に三九・五点、採算性に二四・五点、波及的影響に三五・八点と付けられているんですね。この採点の仕方はどのような方法で採点されたんでしょうか。
  85. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 基本的にこの評価基準、事業評価基準そのものの基本的な考え方民営化推進委員会の中で中村委員が御提案なさって、委員会としてもそういう考え方によるべしと、これが大きく分けて三項目について評価すべしと、こうなったわけであります。それを具体的には、国土交通省の中で道路事業評価手法検討委員会、これが今度は委員長として森地委員長に御検討いただきながら固めてきたと、こういう経緯がございます。  その中で、今、先生が御指摘の、問題はその三つの費用対便益と採算性外部効果と、この大きな項目が三つで考えるべしという中で、総合評価でございますので、統一して、統一して指標として見る必要がある。そのためには、それぞれの点数の、要因ごとの点数の重みをどう考えるか。採算性が一番だと、一〇〇だといったらほかの要因はなくなるわけでございますんで、そういう意味でどのぐらいのバランスかということを実は三つの、皆様から、森地委員会の中ではアンケート等で確認をしていただいた、調整していただいた。  まず、道路事業評価手法検討委員会委員御自身の考え方、これ六名の先生がおられます。それから、地域の実情、課題を把握している知事、政令指定市長四十九自治体、さらに民営化推進委員会が実施した一般国民へのアンケート結果、これが二千名ということでありましたが、この三種の重み付けを、それぞれがいろんな考え方あるものですから、そういう意味でこれをお出しさせていただいているということでありまして、この委員会の皆様の、森地委員会委員の皆様の重み付けは、費用対便益と採算性外部効果で申し上げれば、三九・五対二四・七対三五・八。一方で、知事、政令指定市長は、これが費用対便益二七・六で、採算性二二・七、外部効果四九・七。それから、民営化推進委員会の方で一般国民に二千名のアンケート、これで申し上げると、三六・一対三五・七対二八・二と、こういう形でございますので、全体の平均としては、三一・九対二九・二対三九・〇と、こういうような結果でございます。  まあ、大きく変わらないと見るべきか、あるいはまた、それぞれにかなり違いがあるなと見るべきか、評価分かれるところではあるとは思いますが、私どもとしましては、このどれでもってこれでやるべしと、こういうことではなくて、それぞれの評価の重み付けそのもの評価を情報としてはきちっと開示させていただいて、またあのような御批判をいただいたと、こういう経緯でございます。
  86. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 私は、割とこの客観性という意味で、大変、何といいますかね、余り評価できないんじゃないかという、こういう採点の仕方は、というふうに思うんですね。  例えば、先ほどお話ございましたとおり、六名の方、費用対便益、採算性、波及的影響、それぞれ百点ずつ持ち点あるんですね、持ち点。費用対便益に例えば四十点、点を付けますと、あと六十点をどう振り分けて百点にするかと、至ってそんな感じなんですね。採算性で申し上げますと、森地委員長は三十点、それから三人の委員の方は三十点、三人の委員の方は二十点と、そんなふうに付いているんですね。余り、私は、採算性というのは一番、これも大変重要な問題だと思うんですが、至って低いと。  私は、こういうやり方ではなくて、例えばオリンピックの体操の点の付け方じゃありませんけれども、それぞれにですね、それぞれに、採算性なら採算性に十点がいいのか百点がいいのか、まあ百点にしましょう。それに対して、例えば、百点であれば、採算性では九十点ぐらいでいいよと。あるいはまた、費用対便益も、百点のうち、費用対便益でも九十点なら九十点ぐらいがいいよと。波及的影響も例えば九十点がいいよと。そして例えば八十点以上なら合格だとか、何かそういうのだったら理解できるんですけれども、百点の中を、みんな百点、みんな満点持っているんですから、余り私は効果ないと思うんです。是非もう一度、この辺は検討の余地があるんじゃないかというふうに思いますので、もう答弁要りません、時間がなくなってきましたからほかのことをやらせてもらいますので、移らせていただきます。  料金政策について。ちょっと大臣、申し訳ないんですが、これは通告しなくても簡単にできるような答弁でございますのでちょっと申し上げるんですが、大体、今度民間会社になったら一割は料金を圧縮すると盛んに総理を初めもうおっしゃっています。もういいことに、これは民間になったら、もう一割は料金は、利用料は下がるだろうとみんな思い込んでいらっしゃると思いますが、それは本当に大丈夫でしょうか。決意のほどをお聞かせください。
  87. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) これは、ETCを先ほど名古屋高速では不便だということを山下委員は御指摘されていましたが、一応十五年度末までにETCがすべてのインターチェンジあるいは降りるところ等々に付きましたもので、これを利用いたしまして、民営化までに平均一割引き下げさせていただきたいと思っています。  それと、別納制度という、これが大体今二千二百億ぐらいの減収になっているんですけれども、もちろんこれ、物流業者の方々が利用していて、物流業者の方々コストを下げる意味で重要でございますので、この別納制度に代わる制度は作らせていただきますけれども、こういうものを踏まえた更なる引下げを行わせていただきたいと思っております。  政府参考人の方から、もう既に十五年から行っております通勤時間帯の割引や夜間割引あるいはマイレージ割引などの弾力的な運賃体系ということのお話をさせていただいておりますけれども、こういうことによりまして十分平均一割の料金の引下げというものは可能であると思いますし、弾性値、先ほど政府参考人の方は、七から八ぐらいのものもあると言いましたけれども、新潟とか富山の実験では、料金半分にして通行量が二倍とか二・六倍、すなわち料金収入が上がったというケースもありますので、組合せを考えますと、様々なバリエーションのある割引運賃というものが仕込めると確信をしております。
  88. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 道路公団総裁にちょっとお尋ねしたいんですが、まあ根っこは民間の出身でございますので、大変たけていらっしゃるというふうに思いますので私は申し上げたいんですが、今も、別納制度で見ますと、料金収入の三〇%ぐらいが別納収入なんですね、別納収入。そして、その割引率は大体二八%近いんです、三割近い。そうすると、結局は、全体的な料金収入のうち約三割が別納で利用されている。三割のうち、その三割の皆さんが、のうち、割引率は約二八%と。だから約三〇%に近いんです。もう現行の状態で、売上げからいきますと、もうほぼ一割は値下げになっている状態で今運営をなさっているというふうに思うんです。  そのほか、細かい話でいいますと、ETCのサービスとか、そういうのがあるんですけれども、そういう中で、今後、民営会社へなりましたときに、更に、私は、そういう制度の上へ乗って一割、私は料金が、利用料が下がるというふうに理解しているんですが、そういう意味で、どうですか総裁、民間の感覚からいきまして、一割料金引下げは可能でしょうか。
  89. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 料金引下げにつきましては、先ほど大臣からお話がございましたように、我々といたしましては、最大限努力しなければいけない項目の大変重要な項目の一つと認識をしております。  二つの方向で考えてまいりたいと存じておりまして、まず第一点が、料金を値下げをすることによってお客様を、利用していただけるお客様の数を増やしていく、そのような工夫を凝らした料金の引下げということが一つあろうかと存じております。  それからもう一つが、我々といたしましてはこれから努力していかなければならないことでございますが、道路建設についても、あるいは管理業務におきましても、最大限のあらゆる側面から経費節減あるいは生産性向上努力をしてその財源を見いだしていくと。この二つの方向でこれから最大限努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  90. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 まあ、いいでしょう。  今、現在、料金につきましては道路公団できっと、幾ら幾らにしますよ、そういうことを決定したら国交省に提出をして、国交省が認可をすると。これ高けりゃ、ここを削りなさいと、もっと圧縮しなさいということになるんでしょうけれども、そういうシステムになっていると思うんですが、そういう中で、現行の道路公団も、あるいは国交省も、是非、今度の料金体系を変更するときには吸収していただきたいなというふうに思うんですが、例えば恵那山トンネル、あるいは関門橋、関門橋っていうんですか、関門橋。ここら辺りは割増し料金になっているんですね。もう恵那山トンネルなんかもうとっくに元引いちゃっているんじゃないかと思うんですよ。割増し料金なんですね。二十四円六十銭が、関門橋でいいますと普通車で六十四円、それから恵那山トンネルは三十九円三十六銭、約四十円と。割増し料金になっているんですよ。こういう優良、優良というのはいい、いいところですね、環境のいい。本当、じゃ、あそこを遮断しちゃったら、本当は中央道も死んじゃうんですよ。あれがあるからまた早く、利便性があって、だからこそネットワーク化と言えると思うんですね。  そういうところも、例えばほかのところと同じように、逆に特に引き下げるべきだと思いますが、それについて、今度は認可をする方の国交省とそれと公団と両方から答弁いただきたいと思います。
  91. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生指摘の恵那山トンネル、あるいはまた関門橋、大規模な構造物の場合と、それから大都市の近郊で用地が非常に高いと、こういう部分もございまして、昭和四十七年の道路審議会の答申におきまして、長大トンネルや海峡の連絡橋、大都市近郊などのように建設費などが著しく高くて、その利用による受益が極めて大きい区間については利用者の負担公平という観点からほか区間よりも割高の料金を設定することが適当と、こんなふうな御答申もいただいておりまして、そうした考えで運用させてきていただいている、こういうことであります。  ただし、今後、高速道路の利用の促進、これを一層促進して、有効利用、そして一般道路の渋滞対策であるとか、あるいは沿道環境対策といったような政策課題に対応するためには弾力的な料金施策を導入することが必要である、こう考えておりまして、先ほど来いろいろ御答弁いただいておりますように、民営化までにはETCの活用を含めて平均では一割程度の引下げ、さらに、夜間割引とか通勤割引とか、あるいはまた、今御指摘の特別区間等についての取扱いもどういうふうに考えていくかという中で、多様で弾力的な料金、こういう考え方の下で種々検討してまいりたいと思っております。
  92. 山本正堯

    参考人山本堯君) お答えをさせていただきます。  今、道路局長から御答弁がございましたように、特別区間につきましては、大都市近郊あるいは関門、恵那山、関越といったようなところにつきまして、二十四円六十銭より高い料金をちょうだいしているわけでございますが、基本的には道路料金というのは全国共通の料率であるべきだと、こういう設定されておるわけでございますが、そういう今申し上げましたようなところにつきましては、建設費が著しく高いとか、あるいは利用による受益が極めて大きいといったようなところについては、先ほどの道路審議会の答申等に基づきまして特別料金を設定しておると、こういうことでございます。  私どもとしては、今後の検討につきましては特別料金の撤廃の要望があることは十分私どもとしても承知をいたしておりますが、道路公団といたしましても、去年から料金に係る各種の社会実験等に参画をしたりしております。そういったような点も含めまして、高速道路の利用促進に向けて、国、地方公共団体連携して努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  93. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 それは建設費が高い、確かにそうだったかも分かりません。だが、もうそういう意味ではもう償却しちゃっているというような状況にも恵那山トンネル辺りはなっていると思うんです。ですから、そういうところは当然私は引下げしたっておかしくないと思います。なぜかというなら、本四架橋なんかはそれこそ大幅に引き下げているんですからね、本四架橋。今のからいえば理屈に合わないです。そういうことなんですから、だから、例えば、関門橋とか恵那山トンネルはもうぐっと引き下げてもおかしくないんですから、是非そんなみみっちいことをおっしゃらないでやっていただきたいと思います。  それと同時に、一般有料道路との関係、高規格道路等々のちょっと質問したいなと思ったんですが、時間がないものですからこれは飛ばします。  ただ、立派な、そういうものを含めて立派なネットワークになっていますので、償還計画を含めて、一般有料道路を見ますと、千葉プールなんかは五十九年十月二十八日までですか、償還期間が、八十六年間とか、それからちょっと秋田自動車道なんかは平成六十四年とか、相当長期になっているものですから、そういうのもありますので、是非これ、うまい具合に是非やっていただきたいということで、今日はもう質問をやめます。  それから、ターミナルチャージ料について、当初、昭和五十年に導入されまして、当時は百円だったんですが、それが平成元年の六月に百五十円に値上げをされたんです。何を根拠にターミナルチャージ料を今日もこうやって百五十円も徴収しているのか、その辺について、まず公団がいいかな、これ。じゃ、はい、局長でいいです。
  94. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生指摘のように、ターミナルチャージは昭和五十年の料金改定のときから導入させていただいております。  このときの考え方は、インターチェンジの建設などに要する費用あるいは料金収受業務関係、これが車種や利用距離に関係なく掛かる、こういう観点から、利用者負担公平性という問題から、延長キロ当たりの料金で取るよりはターミナルチャージという形の方が望ましいのではないかと、こういうふうな考えであったと理解しております。  この場合、この昭和五十年の導入時は、ターミナルコストとして計算しますと、インターチェンジに掛かる年平均の建設費と管理費を利用していただく台数で割りますと大体百五十円であったと、しかしながら、ターミナルコストとしては百円単位という考え方で百円をいただくことにしたと、こう設定したというふうに、でございます。  ただし、平成元年の料金改定のときに実はターミナルコストを計算し直してみますと、利用台数も当時、昭和五十年当時よりは百倍以上増えているわけでございますが、計算し直してみますと、ターミナルコストが大体二百円ぐらい、一台当たりですね、ターミナルコストが掛かっている。従来百円でお願い申し上げてきた、そういう意味ではいきなり二百円というのも激変かな、こういうことで百五十円に設定させていただいたと、こういう経緯でございます。
  95. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 話はそれますが、成田でいえば利用税二千円、二千円ですか、あれ、税を我々利用すると徴収されますけれども、あれは税だと思うんですね、利用税。  ターミナル、たしかあそこへ料金所があったり、そこいらの料金所の皆さん方のための事務室があったり、あるいはそういう皆さん方の駐車場があったり、いろいろとターミナルは確かにある一定の敷地面積は持っています。だけれども、利用するユーザーの方は、あれは道路なんですね、ぴゅうっと行って。道路の一環なんですよ。あの料金所がなくて無料だったらもっと楽なんですね、あのゲートがなければ。あるばっかりにあそこでいったん止まらぬといかぬのですけれども、そういうことを考えますと、ターミナルチャージ料というのはどうも私は理解できません。  あえてそれでも百歩譲って申し上げれば、例えば二輪車のオートバイであろうと軽自動車であろうとトレーラーのような大きなものであろうと、全部百五十円なんですね。これも受益者負担からいえばちょっと腑に落ちないんじゃないかなというふうに思いますので、それこそこの辺についても今後の課題としてもう検討の中に含めておいてください、公団をも含めて。そうしないと本当に、もし料金を引き下げるんでもやっぱり国民が、だから短距離だと物すごい、今でも大変利用料は高いのに、短距離だとなお、百五十円げたを履いていますからね、なお高いんですから、是非その辺は、検討の余地は十分あると思いますので、検討しておいていただきたいと思います。  それから、もう先を、時間が余りないですから急ぎます。  さっき別納割引のお話が出ていたんですけれども、それこそ扇大臣のときに別納割引制度についてこれは廃止をするというようなことが申され、その方向で進んでいると思うんですが、現在、別納の割引制度の廃止はどのように推移をしているのか、同時にまた、ETCの利用度といいますか、設置車と申しますか、そういうものはどのようになっているのか、その辺ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  96. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) まず、別納割引制度が現状どうなっているかと、こういう御質問でございました。  平成十五年の九月でございますが、現行の制度、これまでの制度、これそのものは廃止する。廃止という意味は、これ以上新規の利用といいますかは受け付けませんと、そして、暫定的に移行期間として新しい制度ができ上がるまでは従前の制度を形としては継続しておく、こういう措置をさせていただいたところでございます。  それから、そこの検討はどうかと、こういう点になりますと、今いろいろ鋭意検討しているところでございますが、いろんな考え方があるだろうと、別納割引の在り方として。結局のところ、不正な利用とか、あるいはもっと公平にとか、いろんな観点から利用が、不正な利用ができないように、あるいは公平な、より公平な在り方と、こんなことをいろいろ考えているところでございまして、例えばマイレージ割引ども一つ考え方かな。ただ、いろいろな観点から鋭意検討しておるところでございます。  それから、これを、ETCを使ってということで考えておるわけでございますが、このETCの利用率自体は、現状で一番直近で申し上げますと、全国で一八%、一八・二%の利用ということでございます。
  97. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ETCも今一八%とかなり伸びてきているから、大変有り難いことだと思います。  そういう中で、近藤総裁、近藤総裁さっき言いました民間ですから、ETCが出まして、最初、一番最初に出たチラシなんですよ、この三公団から、日本道路公団、首都高速、阪神高速。これはETC期間限定割引分ですが、通行料金二〇%割引と、ハイカ一四%より更にお得というのが出たんです。それから、その次に出ましたのは、今度は一万、この上の方に、一万円に達した場合はもう終わりですよと。通行料金二〇%割引ですけれどもハイカの一四%割引よりお得というの、そのハイカが消えちゃったんですね。最近はいろいろと割引制度ができていますから、ハイカで五万円で五万八千円乗れますよと、こういうチラシになっていますね。  この最初の、一番最初に出たころは、車載器、あれだって三万円ぐらいしたんですよ。だけれども、実際は上限一万円なんですよね。五万円のハイカ買えば五万八千円ぐらい乗れるのに、一万円で限定だから、十万円乗ったってもう一万円限定ですよね。それから、最大三割と書いてあるんですけれどもね、日本道路公団部分と首都高速の部分と阪神高速の部分乗ったら、三本全部、五万円以上乗ったら三万円割引と。本当にいい加減だなと思う。これが今までのお役所の仕事かなと。これはもうけちを付けるんではありません。  そういう中で、そういう中で、今後のことで、そういう中で、もう時間ありませんので二つ一緒に質問します。  別納割引、別納割引事業協同組合でやりますと平均で約二九%の割引になっているんですね、二九%。だけれども、ここへ加入しておりますユーザーの皆さん方は二九%割引されていないんですよね。一五%だったり一七%だとか、せめて、一七%ぐらいじゃないかなと。そのことを考えますと、既存のこの事業協同組合をなくするためには簡単なんですよ。今、五万円でETC、しかもこれは別納後払いですからね。ETCの皆さん方は先にお金を公団に納めて、先払いで、そして一四%の割引と。これを極端な言い方をすれば、五万円じゃなくて十万円先取りしたっていいですよ。これを二〇%割引にしてごらんなさいよ、ここからみんな逃げていきますよ、そう思いますけれども。その辺、局長と総裁、私の申し上げたことへどんな感想を持つでしょうか。
  98. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 十万円の前納でETCの場合二〇%ぐらい割り引けばどんどんとそちらの方に移行する、別納から移行していくんじゃないかと、こういう御指摘かと思います。そういう意味では、現在、五万円で一三・八%でありますから、これを十万円という形でやるということもあり得る議論かとは思っております。  新しい制度としては、先ほども申し上げましたように、ETCを使ってマイレージの割引的なものということでまいりますと、今、先生の御指摘のようなことも一つ考えかな。  いずれにいたしましても、現在、社会実験をいろいろやりながら、割引とそれから利用促進と、こういう観点も含めていろいろ検討しておるところでございますので、先生の御指摘も含めて、総合的にいろいろ鋭意詰めてまいりたいと思っております。
  99. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 総裁、答弁いいです。委員長、時間ないから。もういいです、答弁、時間が。もう一つのことを答弁してください。  ETCでやりますと、領収書も何ももらえないんですね。それで、あえてもらおうと思いますと、利用代金明細書というのをパソコンで操作して後から送っていただくと。そうしますと、一年間千二百円余分に、一か月百円手数料、領収書の手数料を取られるんです。これはNTTなんかでしたら、例えば電力会社もそうだと思うんですけれども、領収書要りませんよと言ったら百円割引するんですよね。割引するんですよ。公団は領収書が欲しいと言うと百円割増しするんです。それを、しかも一年分先取りなんですね。これも理屈に合わないと思うんです。  ハイカのときは便利だったんですよ。ちゃんと領収書をもらえるし、ああ、いつ幾らぐらい減るなと、便利だったんです。今度のETCは一々自分でパソコンで、手数ばかり増やして、ユーザーに負担ばかり掛けている。今度は領収書までお金を取るんですから。これも是非考えてもらいたいと思います。この辺について簡潔に答弁ください。
  100. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 簡潔にお話しさせていただきますが、ETCの割引、前払割引におきましては、郵送代及び利用明細の作成、発送にかかわる実費相当額として、委員指摘のとおり毎月百円、これは年間にいたしますと千二百円でございますが、いただいているということでございます。  先ほど委員お話しになりましたが、携帯電話各社におきまして利用明細の郵送サービスについては、これは有償となっているわけでございます。御指摘のドコモにつきましては、毎月の請求書の送付を基本サービスとして基本使用料により賄っているということでございます。請求書不要の場合には送付費用相当の百円を割り引くということでございます。  一方、我々のETCの前払割引につきましては、毎月の請求書を希望されるお客様から別途費用をいただく仕組みでございます。したがいまして、今後不要とお客様が御判断をされるのであれば費用をお支払いいただく必要がございません。そういうことで、我々も、お客様からいったん支払ったと、しかしもう要らないということであれば、そのまた利用料からその分、不要になりました分を差し引くなど、そのようなサービスはさせていただきたいと、そのように考えております。
  101. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 じゃ、今少し前向きだったですから、もうこれ以上申し上げません。  もう時間なくなりましたので、申し訳ない、委員長、一点だけ、雇用問題で質問させていただきたいと思います。  それこそ、それぞれ民営化なりますと、そこで働いていらっしゃる従業員の皆さんが一番不安だろうと思います。そういう中で、きっと今までずっと道路公団関係で働いていらっしゃるんですから、道路に対するノウハウというのは大変なものがあると思いますし、やっぱり公団職員、その関連でそのまま働くのが一番いいことだと思いますし、そういう中で職員の雇用の安定を含む良好な労使関係も今日まで養ってきているんじゃないかなというふうに思いますので、是非その辺について、一つは良き慣行を継承していただきたい。  二つ目は、そういう中で、特に道路公団におきましては三分割されるんですね。三分割されますと、例えば、従業員の中で、私は三分割の中のA社に行きたい、私はB社に行きたい、私はC社に行きたいと、そういうのもある程度出てくると思うんです。そういう要望というのは、やっぱり働く立場の、一〇〇%かなうとは思いません、かなうとは思いませんが、要望を最大限お聞き入れして、そしてそういう要望にこたえていくという努力は必要だろうなというふうに思います。  それから三つ目は、国鉄の分割民営化、あの国鉄改革のときに私も質問させていただいたわけですが、当時は総理大臣は中曽根総理大臣、橋本運輸大臣でございましたが、一人も路頭に迷わさないというようなことをおっしゃっていたんです。だけれども、今日まだ千四十七人ですか、路頭に迷っている方もいらっしゃるんですね。そして、自ら辞めて民間企業に行かれて、その民間企業が肌に合わなくてすぐ辞めてと、本当苦労されている人、一杯いるんですよ。あるいはまた、公務員になられた方はまだいい方で、そういう苦労知っているだけに、そのようにこの道路公団関係の皆さんの、職員が民間になったときに、ならないように是非していただくのは当然だと思いますし、その辺のことについて最後に道路局長からお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  102. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 道路関係の四公団から会社と機構へ業務を引き継ぎ、並びに権利や義務の承継、こうしたことも必要なわけでありまして、国土交通大臣が基本方針を定めまして、各公団が実施計画を定めることとされています。この中にただいま御指摘の職員の雇用関係、これも含まれるところであります。  これに対しまして、衆議院におきましては、道路関係公団民営化関係法に対する附帯決議に、「これまで維持されてきた職員等の雇用の確保に努めること。」、こうした附帯決議も付いているところでございますので、こうしたことを踏まえて適切に対応されるものと考えております。  なお、民営化後におけます会社の職員の配置の問題、これにつきましては、今後、各会社事業展開や厳格なコスト管理、こうした経営の効率化の観点等も含めて各会社の経営者の判断によって決定されていくものと考えております。
  103. 輿石東

    委員長輿石東君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十五分まで休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時四十六分開会
  104. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、大沢辰美君が委員辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。     ─────────────
  105. 輿石東

    委員長輿石東君) 休憩前に引き続き、高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 池口修次

    池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。  本法案については二回目の質問にさせていただきますが、まず一点目にお聞きをしたいということでは、四十五年後までに償還を終えるということについて再度お聞きをしたいわけですが、前回、道路局長とは大分この件で時間を費やさせていただきましたので、道路局長以外の方にできるだけ見解をお聞きしたいというふうに思いますので、よろしくお願いをします。  法案でいいますと、この四十五年というところは二か所明確に書かれておりまして、一つは、機構は、民営化から四十五年後までに承継債務等の返済を完了させ、解散をするということなり、料金の徴収期間の満了日は、民営化後四十五年を超えないものとするということで、かなり明確にこの四十五年というのがうたった法案になっております。  まず、なぜこの四十五年という期限が出てきたのかなと。前の森本先生の話ですと、公明党さんは五十年とかいう案も出ていたようなんで、四十五年にしたということについてちょっと理由をお聞きしたいというふうに思います。
  107. 林幹雄

    ○副大臣(林幹雄君) 局長以外でということなものですから、答弁させていただきたいと存じます。  四十五年以内に返済すると決定した理由ということでございますけれども平成十三年十二月に閣議決定いたしました特殊法人等整理合理化計画におきまして、償還期限は五十年を上限としてコスト下げ効果を反映させ、その短縮を目指すとされたところでございまして、民営化に当たっては債務返済期限を少しでも短縮するという観点から、まず路線ごとに厳格な事業評価を実施したところでありまして、そして九三四二の残事業、約二十兆円をほぼ半減するというような有料道路事業費の大幅な削減をすると。そして、三点目として、高速道路に係る有利子債務民営化時点からもう増やさないということにしているところでございますし、そしてまた会社への自主的拒否権を与えるという、いわゆる建設に関する会社と国の対等な立場での協議手続をするということであります。五点目といたしまして、施行命令など新規着手に係る一方的命令の廃止をする、そして会社の自己資金調達によります市場規律の導入をするという、このような様々な歯止め策を措置をしておるところでございまして、こういったことによりまして約四十兆円の債務返済民営化後四十五年以内にするというところにしたところでありますし、これを確実に担保するということから法律上明記するということにしたところでございます。
  108. 池口修次

    池口修次君 閣議決定ですけれども、五十年以内を上限としたのを四十五年に努力をしていただいたというふうに理解をしております。  ただ、本当にできるかどうかというのはちょっとこの後お聞きをしたいと思いますが、その前に、四十五年ということで、これは道路公団の管轄する道路がすべてこの四十五年というところになるのか、道路公団の管轄している一般有料道路というのが入るのかなというところが、一般有料道路は、私の理解ですと全国プール制には入っておりませんので、償還期間なり料金の設定も違う基準でやっているんじゃないかというふうに思います。  これが単純に四十五年ということになりますと、私は相当問題が出てくるんじゃないかというふうに思っておりますので、この点を、これは局長にお聞きをしたいというふうに思います。
  109. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 一般有料道路返済期間がどうなるかと、こういうお話だと思います。  そういう意味では、二つに分けるということを民営化委員会意見書でも提案されておりまして、私どももそうした方向で考えてまいりたいと。  二つというのは、一つは、高速国道などと一緒にネットワークを形成するネットワーク型の一般有料道路、これにつきましては、返済期間としてといいますか料金の徴収期間を、高速自動車国道と性質が極めて似ているといいますか、同じようなものと、こういうふうに観念されるものということでありますので、料金徴収期間を高速自動車国道と合わせるということでございます。  それから、バイパス型の一般の有料道路についてはこれを無料に、これは道路管理者との調整の問題があるわけでございますが、それぞれの道路管理者との、国以外に都道府県管理のものもございます。そういうことにつきましては調整した上で、無料にするものと移行するもの、それから都道府県の公社等がございますので、公社が有料として引き続き料金徴収を行うものと。それぞれの料金の徴収期間につきましては個別ケースごとに異なってまいろうかと思います。  その移管の際には、無料にする、有料にする、いずれにいたしましても、どういう条件で移管するか。無料の場合でも有償で移管するということもあり得るわけでございますので、それから有料の場合も、じゃ、どのぐらいの価格でといいますか、資産価値でということになりますので、ここの場合は個別に議論して整理していくと、こういう二つの方向を提案しているところでございます。
  110. 池口修次

    池口修次君 その場合の、ネットワークを形成しているんで四十五年以内までになるというところは当然料金も見直しをして、今は平均キロ二十五円ですか、場合によると、和歌山、大江さんが強く言われて、キロ九十円とかいうところもあるようなんで、そういうところは大幅に、三分の一とかいう料金に、もし四十五年ということになるんであればなると、料金が引き下げられるという理解でよろしいですか。
  111. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 一般の有料道路の場合は、それぞれ個別に現在、料金の水準を決めさせていただいていると。ただし、例えばターミナルチャージ、これは高速自動車国道の場合には百五十円いただいているわけですが、一般有料道路の場合には個別区間、二インターとか三インターとかいう道路も多いものですから、そういう意味では、ターミナルチャージという形ではなくて、料金水準、全体としてキロ幾らというような形で個別に決めさせていただいているわけであります。そういう経緯を引いてもおりますので、個別にどういう料金水準にするかという点について検討をするのが大前提だと思っております。  ただし、これから、いわゆる高速自動車国道のネットワークの中に、言ってみれば入っているものもございます。そういう部分については、料金の水準を、そうした形での調整というのが必要になろうかと。ただ、それぞれ個別区間ごとに料金を今までいただいている議論でありますので、個別にはそれぞれよくよく地元の方も御理解いただきながら定めてまいると。基本的には今の料金をそう大きく変えるものではないというふうに考えてはおります。
  112. 池口修次

    池口修次君 四十五年にしないところは個別で考えれば私はいいと思うんですよ。ただ、四十五年にそろえるところは、少なくとも、期間を四十五年にするんだから、料金の設定もやっぱりそれと同じ基準にすべきではないかと。このぐらいのことは道路局長、明確に言えないですかね。
  113. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 一般有料道路につきましてはそれぞれの料金の水準が、これまでの経緯あるいは要した費用等々でいろいろばらつきがありますと。非常に安いところもあるわけでございまして、一律にこういう形にしようという水準を決めることは難しかろうと。ただし、高速自動車国道の場合にも、特定区間料金、こういったようなこともございますので、そうしたこととのバランスなんかを考えながら個別に考えてまいるということにしたいと思っております。
  114. 池口修次

    池口修次君 確かに、最終的には多分株式会社が決めることでしょうから、道路局長がうかつなことは言えないというのは分かります。ただ、考え方としては、やっぱり四十五年、今までの約束から変わって四十五年というふうにそろえたところは料金も、それは一律ではないんですからね、同じような基準に合わせるのが適当ではないかと、このぐらいのことはちょっと言っていただけませんか。
  115. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) これからの検討課題でありまして、そういう意味では安いところを上げるというわけにもなかなかまたこれもいかぬ議論でありますから、個別に無理のない範囲で考えていくということが大事なことかと思っております。
  116. 池口修次

    池口修次君 分かりました。是非、やっぱりそうじゃないと、何でうちだけまた四十五年になるんだという、また約束を破るのかということになりますので、そういうことのないようにお願い申します。  それで、先ほど四十五年ということを明確に書いたんだと。一応これはいろいろ金利だとか新規建設路線をどうするのかとかいうことを精査して結果が四十五年ということで言われたわけですが、ただ、いろいろ国土交通省から出された試算については、本当にその料金収入が徐々に上がっていくのかというようないろいろの個別の問題はありますが、私は、一番大きいのはやっぱり金利、将来金利が本当に四十五年間四%でいいのかどうかと。これは、ぎりぎり四%であれば、国土交通省の試算、いろいろな条件を設定するとこうなっていますが、これ四・一%になると四十五年を超えちゃうのは、これは明らかなんですね。  その件について道路局長と前回議論させていただいたときに、そのときはいろいろ考えられるというような答弁だったんですが、いろいろ考えられるということじゃちょっと余りにも、これ、今やっぱり四十五年というのは一章を入れてやったんだと、まさかその四十五年がまた法律変えて五十年とか六十年とか、こんなことは全くあり得ないというふうには思うんですが。  いろいろ考えられるということなんですが、私は、それでは納得できないので大臣の方にお聞きしたいんですが、金利が四%を超える、これはかなり確率としては高いんですよね。これ、道路公団の調達コストでいいますと、ここ十五年ぐらいは、安いのはここ本当に十年ぐらいで、それ以前の二十年以前はずっと七%を実は超えているんですね。  三十七年間の平均でもJHの調達コストは五・九%。通常は四十五年ですから、四十五年さかのぼるのが普通の常識だと思うんですが、四十五年さかのぼれば更にこれは七%に限りなく近づくんじゃないかということがありまして、それを考えますと、四%というのはかなり、ゼロ金利政策がずっとこれからも続くということであれば可能はあるんでしょうが、かなりこれは難しいというふうに私は思っておりまして、四%を超えたときの対応をやっぱり議論しておくということは、私は大事なことだというふうに思いますので、この四%を超えたとき、どういう方法になるのかというのを大臣の方からお聞きしたいというふうに思っています。
  117. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま池口委員が御指摘されましたように、大幅な金利上昇局面で事業計画の見直しを行う、適時適切な見直しというものを行っていくということは重要だと思います。  しかし、その一方で、過去四十年間のその平均金利のお話をされましたけれども、ちょうど四十年前というのは東京オリンピックのときでございます。その後、二けた成長あるいは八%、九%の成長が続いた高度経済成長時代でございます。今は経済の巡航速度はどんな分析によりましても、日本の潜在成長率としては三%程度を予定しておりますので、そういうことを考え合わせますと、七%、八%の金利上昇局面というのは想定しにくく、また、そのような高金利のときはインフレでございますので、活況状態でございますので、交通量等々の増大というものも見込まれる。  これはただ、だれも分からない話でございますので、委員指摘のとおり万全な対策というものは必要だと思いますし、せんだって、政府参考人の方からいろいろ考えているというお話をさせていただきました。  どんなことがあるのか二、三拾わせていただきたいと思うんですけれども、やはり事業区分の見直し、さらに税金を入れるいわゆる合併施工の導入、また更なる企画や構造の見直しなどによるいわゆる造る費用の抑制というものは、やろうと思えばまだ出てくる可能性はあるような気がいたします。  さらに、SA、PAの魅力を高めたり、道路の利用者に対してのサービス向上で交通量の増加を図り、料金収入の増加というものを図る。当たり前といえば当たり前ですが、こういう努力もあるでしょうし、さらには、更なる合理化の努力による経費の節減、いろんなものがあると思います。それで、そういういろんなことを会社がやろうと思う動機付けが働くような仕組みを作っていくところが私は一つポイントのような気がいたします。
  118. 池口修次

    池口修次君 確かに、七%というふうに決め付けて私も言っているわけじゃなくて、七%になったときに慌てると困るので、やり方も今決め付けるわけにいかないということですが、ただ、やっぱり今までのいろんな法案についての政府の説明なり国民に向かって発した中で、私は、約束的なものがあって国民もかなりその部分を理解をして道路公団民営化に賛成をしている部分があるというふうに思います。  その点で、三点だけ確認させてもらいたいんですが、料金徴収は四十五年以内、これは法律で書いちゃっているんで、まさかそんなことはないと思いますが、途中でまたこの法律を変えて、またその時点から四十五年とか。今までプール制にしても全部途中で変わっていますから、余計な心配だ、そんなことは私はないというふうに言ってもらえれば一番いいんですが、これは絶対四十五年ということで、途中で法律を変えてなんていうことは考えないということでよろしいんですか。
  119. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 池口委員の仰せのとおりだと思います。
  120. 池口修次

    池口修次君 もう一点。  通行料を一割下げると。これは方法論はそのETCでやるかどうかは別にしまして、大体国民の理解は今の通行料がやっぱり一割下がるという理解をしているわけで、いろいろ非公式にお話をしていると、そうじゃないんですね。  前回、道路局長もそんなようなことをちょっと口走ったかもしれませんけれども、そのときは料金上がるかもしれぬとかいうようなことを言っていましたが、これは通行料を一割下げるということは、やり方は別にして、平均値としては一割下げるということは国民に対する約束というふうに受け止めてよろしいのかどうか、これもお聞きしたいと思います。
  121. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) これは政府参考人から何度も御答弁させていただいておりますけれども、高速国道料金については民営化時点で平均一割を下げた水準ということで、新会社がこれを引き継いでいただくというふうに考えております。
  122. 池口修次

    池口修次君 もう一点。  国民負担を最小限にするというところ、この国民負担というのは私は二つの意味が実はあると思っていまして、高速道路を使うユーザーの負担と、あと税金を含めた国民負担ということで、元々これ、当初のこの道路公団民営化の時点のスタートからすると、小泉総理は少なくとも道路公団には三千億入れていたのをやめたと、やめるということで、今国民の非常に賛成を受けてということからすると、国民負担を最小限にするということは最終的に税金を投入するということは考えていないというふうに理解をしていいのかどうか、この点も確認しておきたいと思います。
  123. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) これは四十五年の債務返済ということと密接に関係してくると思うんですけれども、法律で書かせていただきましたように、四十五年以内での返済ということを法定化し、またこれは可能であるという計算の下に今回の法案が組み立てられているということは是非御理解をいただきたいと思います。  しかし、池口委員が御指摘されますように、万々が一のことというものはだれも予見できない。ただ、そういう事態に対して対策を打っていくということは法案の審議の中で重要なことだと思っております。  衆議院の附帯決議でも、万々が一その債務返済が困難と考えられる場合にはということで、「財政上の措置も含め必要な措置を検討すること。」と、こういうふうに附帯決議をお付けいただいておりまして、これを政府としては尊重させていただきたいと思います。  しかし、これはもう極めて限定的なことであるという認識の下に対処をしていかなければならない。その意味でも、国民負担というものは最小に抑えるという考え方の下で様々な工夫というものがなされていくものと承知をしているところでございます。
  124. 池口修次

    池口修次君 そうしますと、そのまま、私もここまで縛っちゃうと本当に四十五年というのが確約できないと思っているんで、余り私は縛りたくなかったんですが、ただ、今までの経過の中でこういう発言をしていて、国民の皆さんはそういうイメージを持っていらっしゃると思うんで、新聞社なんかアンケートすると、道路公団民営化は非常に喜ばしいと言っているのは、そういう前提で多分賛成をしていると思うんですよね。本当は民主党の無料化の方が良かったんですが。  そういうことで、イメージを持っていらっしゃるんで、やっぱりここのところは、この三点というのは、私は全部が守れるというふうに私自身は実は思っていないんですよ、四%であれば守れるけれども。ただ、やっぱりそれは相当重い責任を負っているというのを是非自覚を更に深めていただきたいというふうに思いますし。  大臣が言った造る費用の抑制ということですが、ただ、試算表でいうと、新規路線というのは十五年の前半で造るんですよね。多分、金利が上がるとしたら、もっと後ろの方で上がる方が私は高いと思うんで、造る費用を抑制することによって、じゃ四十五年が守れるという要素は私はかなり少ないというふうに実は理解をしております。  一応そういうことで、私は四十五年なんて、四十五年なり通行料を一割下げるとか、国民負担というのは大変重いものではあるけれども、場合によっては非常に難しいというと、やっぱりいろいろ知恵を働かしてもらう必要があるんじゃないかということを確認させていただきました。  二十二分までということですので、次に行かしてもらいますが、高速道路整備について、九千三百四十二キロについて、途中段階では九三四二を造るとか造らないとかいろいろ議論が実はありました。  ただ、やっぱりいろいろ議論も進めた中でいいますと、造り方はいろいろ工夫をするんでしょうが、やっぱり現時点で言えるのは九三四二については新直轄若しくは株式会社が造るということかなというふうに理解をしているんですが、九千三百四十二キロの建設スキームについてはそれで間違いはないのか、大臣にお聞きしたいというふうに思います。
  125. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) この点は衆議院の国土交通委員会でも議論になったところなんですが、委員が御指摘のとおり、新会社自主性を尊重して、造る造らないは新会社にゆだねて、会社が造る部分、それと新直轄で造る部分、さらに五区間百四十三キロについては抜本的に見直さない限りは造らない、こういう整理をさせていただきました。  その五区間百四十三キロのうち、三区間については新直轄という整理をさせていただいておりますけれども、そのルートあるいは工法、こういうものは今のままでは絶対造らないということを明確にさせていただいておりますので、すなわち、その三区間のところには平行国道等々もありまして交通量も大変少ない。そうしますと、この計画されている線ではなくて、その国道の拡幅あるいは国道の交差点との、交わるところのブリッジ化等々のもので対応していくということもこれからの議論の中ではなされてくる。そうしますと、この百四十三キロの部分につきましては、百四十三キロという距離自体が、そのルートが変更されますので距離的な意味を持たない。すなわち、九三四二という数字は今のままの規格のものでは造るということにはならない。  しかし、百四十三キロのうちに、いわゆる有料道路で造る第二名神の部分で中断している部分が入っております。ここは、バイパスが一つできたことによって、当初の予定ですと、それができますと三つのトリプルトラックになるというわけでございますので、ここも経済状況をしっかり見て、その二本で足り得るというところにもう一本先にできたわけでございますので、その交通需要というものを見極める必要がある。  ですから、九千三百四十二キロをそのまま造るのかと言われれば、そのままは造れませんし、この九千三百四十二キロという距離もルートを見直す以上は数字が変わってくる、こういうふうに御答弁をさせていただいてきております。
  126. 池口修次

    池口修次君 九千三百四十二キロについてはいろいろなところで議論をしておりますので、これ以上は聞きません。  実は、明確になっていないのがこの予定路線の一万一千五百二十キロ、これは造るのか造らないか、若しくは造るとしたらどこが造るのかというところが私は明確になっていないというふうに思います。  先ほど確認させた四十五年、四%の金利のときには、試算によりますと、新規建設費用十・五兆円入れて四十五年で返せるということなんですが、それは十五年で新規建設は終わります。そうすると、それ以降は、これは試算ですから、基本的には新規路線費用を株式会社が計上を、若しくは機構に移すのかもしれませんけれども、計上をしますと、これ四十五年で返せなくなっちゃうんですよね。そうすると、先ほど確認しましたように、四十五年というのはもうかなりの重みでやっぱり理解をしているということからすると、そうするとその一一五二〇、これはどうなるんですかというところが余り議論がされていないんですが、これはどうなるんですか。
  127. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 委員が御指摘のとおり、その法定予定路線の一一五二〇というものの議論の前に、九三四二の議論中心にこれまでなってきたと思います。  ですから、その残存二千キロの七十路線につきまして、そのBバイC、採算性、さらに外部効果の客観的指標で順位付けをして、有料道路で造るもの、新直轄で整理するもの、抜本的見直し区間というふうな整理をさせていただきました。ですから、一一五二〇から九三四二を引いた二一八〇につきましても客観的な評価というものをまず行うということが私は重要なんだと思います。  その結果、九三四二の残存事業の七十路線については、無料で造るBバイCというものはすべて一を超えましたけれども、この一一五二〇の中のBバイC、無料で一を切るものがありますと、これは造らないということになります。有料でBバイCの一を切るものも有料では造らない、こういう客観的な事実があると思うんです。  ですから、その二千百八十キロをやはり今回と同じように客観的評価を行ってどういう成績なのかということをまず国民の皆さんたちにお示しするということが一番大切で、その結果、だれがいつどのようなルートでどんな手法で整備するのかということが私は決まってくるんだと思います。  ですから、そこではやはり様々な工法というものがきっと考えられ、すなわち一一五二〇の中にも、まあ絶対必要だと、百人の方に聞いて百人が必要だと言われるような、外環道等々もありますし、そのほか全国で見ましても、ああ、ここはネットワークの関係から全体必要だ、ここだけつながらなければ意味がないというようなものもたくさんございますので、やはり厳格な評価を実施して、その結果次第、これもこれからもうすぐにでも評価に掛からせていただきたい、そしてまた国交委員会等々でもお示しをさせていただきたい、こんなふうに考えております。
  128. 池口修次

    池口修次君 何点かは実は確認しなきゃいけないんですが、そうすると、一一五二〇のその二千百八十キロ、これについて、道路局長の言い方をおかりしますと、高速道路必要性を御理解いただいて新会社お願いをするということもあり得るのかどうか。あり得るとすると、先ほど言いましたように、金利情勢を基本パターンでやると四十五年にならないんですが、これはどういうふうに説明されるのか。
  129. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 基本的に一一五二〇と九三四二の間の部分、これにつきましては、この法律でお願いしております内容といたしましては、会社は自主的に事業をやりたい、やれると、こういうふうに見込まれるところについて申請する、こういうことになっているわけでございますので、その申請を、政府としてはその申請が出るか出ないか、機構に対して、政府に対してと、こういう形になってこようかと思うんですが、それぞれまた相談しながらということだと思いますが、その場合に、申請主義ですから、この部分については政府は要請することはありません。  それは可能かどうか、こういう議論で申し上げますと、部分的にそこだけつなげば、これだけだったら事業としてそこの部分だけでも採算が取り得るというところがあらかじめ全くないと、こういうことでもないかもしれません。  それから、多くの場合、大都市の大事な環状道路の一部と、こういう形になりますと、国道と一緒に造っているという部分もございます。例えば、今でき上がっております常磐道から関越道までの東京外環につきましては、両側にといいますか、下に国道も来ている。そうした場合の事業の費用負担とかいろいろ考えながら、有料道路としてそこの区間としても採算が取り得るということがあり得る議論ではあるだろうというふうに考えておりますので、そういう意味では、会社の方で、会社が発足してからいろいろ子細に検討していただいて申請が出てくるということがあり得る議論ではあるだろうと、いずれにいたしましても。  ただ、その前段として、大臣が申し上げましたように、事業評価をきっちりやりながら、政府としては事業評価をきっちりやりながら残りの部分をどういうふうにしていくかというような検討はしてまいりたいと思っております。
  130. 池口修次

    池口修次君 若干そのところが気になって、事業評価政府がして、また同じように高速道路必要性を御理解いただいてやると、これも自主的な申請だということになると、ちょっと私は違うんじゃないかなという感じは持っていますが、ちょっとほかの、もう一点やりたいので、ここは結構です。  もう一つは、株式会社は主には道路事業あとはSA、PAの事業というふうに二分されるんだろうというふうに理解をしております。  道路事業からは利益は上げちゃいかぬ、専らSA、PAの事業から利益を上げるんだというような説明が今までされてきたというふうに思います。ただ、いかに民間会社なら効率が上がるというふうにいっても、民間会社は利益が上がらないようなものに効率を上げるような無駄な努力は実はしないんですよね。そうすると、道路事業が、じゃ民間会社にしたから道路事業を含めて、これは建設も入るわけですが、効率が上がるというのは、ちょっと余りにも民間会社の性善説に立ち過ぎているんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  131. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 済みません、先ほどの民間会社に御理解いただいてという部分は自主的な申請がベースでございますから、あくまでも、九三四二の外側については。ですから、それが第一、自主的な申請が第一、こういうことでございます。  それから、理解いただくという部分は、全体として九三四二の中といいますか、供用区間について事業を継続している最中の部分については、これは実質的に拒否権はあるわけでございますし、自主性は一〇〇%担保される。しかしながら、そういう中で御努力いろいろいただく、こういうことであります。  それから、今の御質問の、高速道路事業で基本的に収益が発生しないのではないか、そこで会社は本当に努力するのかと、こういう御議論だと思います。そういう意味では、高速道路料金そのものの中に利潤を入れる、こうなりますと、例えば首都高速道路でいえば今七百円、東京もいただいているわけですが、会社の利益に乗っける、こういう形は、これは国民的に納得がなかなかいただけない、こういう議論だろうと思いますし、そういう意味会社の利潤を料金におのずから入れるというものではない、これは明確にそういうことは否定しているわけでございます。  ただし、会社は経営努力、これが業績に反映する必要もあるだろう。そういう意味では、会社と機構と協定結んで建設もするわけですが、例えば、建設につきましては一生懸命削減する。そうすると、建設コストを削減すればそこの一部を会社に還元する、あるいはまたそこの過度に建設費が増額になればその分は会社の方で負担をしていただく、こうした形でまず努力をしていただくということと、それから、管理費に対しましても協定で、これも随分今まで管理もやってきているわけですから、おおむねどのぐらい掛かるというのは分かる。それを管理費、十四年度に比べて三割削減、こういう努力はしていただく。  さらにその上に、企業の努力として管理費も更に削減することができるということがあれば、これも会社企業努力そのものを業績に反映させる、こういう仕組みは必要だということだと考えておりまして、その具体的内容は現在検討中でありますが、いずれにいたしましても、こうした形で今までの公団方式と違って効率性を向上させるということが可能と考えております。
  132. 池口修次

    池口修次君 最後の質問にさせていただきますが、SA、PAの事業、これは私はかなり発展性のあるというふうに思っているんですが、どうも今までの説明ですと、SA、PAの事業でもうければいいんじゃないかというような形ですが、ただ、SA、PAにしても、あるいはユーザーの利用料金から造っている場所で営業しているわけですよね。だから、そこだけ切り離して、SA、PAの事業はこれはすべて株式会社が取っていいということは、私はこれはあってはならないし、当然四十兆円の償還の方にも回すべきだというふうに思っていますが、そうしていただけるのかどうかという答弁を聞いて、それで私は今日は終わりにしたいと思います。
  133. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) そういう意味では、先ほどの御議論と多少裏腹なところがあろうかと思いますが、SA、PAで努力した分をそっくりまた会社の業績じゃなくて返済に回す、こうなりますとまた会社努力するかと、こういう問題もあるわけでございます。  そういう意味で、サービスエリアパーキングエリアにつきましては会社の本来業務として位置付けて、そして道路区域から除外ということで会社が自由に事業展開できるようにしておこうと。基本的にこの資産は、SA、PAに係る資産は会社に承継させて、そして自由な事業展開、こうした形で、そのSA、PAが大変お客様が集まってくるようになりますと、今度はまた逆に高速道路の方の利用促進にもつながっていく、こういう面もございますので、できるだけ利用者サービスにつながる、こういう観点からその収益については使途を限定していない、こういうことでございます。
  134. 池口修次

    池口修次君 終わります。     ─────────────
  135. 輿石東

    委員長輿石東君) 委員異動について御報告いたします。  本日、田村公平君が委員辞任され、その補欠として愛知治郎君が選任されました。     ─────────────
  136. 森本晃司

    森本晃司君 毎回、この民営化問題について質問をさせていただいておりますが、今日はファミリー企業の余剰金の問題についていろいろとお伺いをしたいと思っております。  今まで大体ファミリー企業はいろんな公団の仕事を受注してきた。それで、大体計算すると八十二社で千二百億ほどの余剰金があるというふうに伺っています。随分余剰金があるものだなと思うんですが、これは昨年の三月、政府・与党協議会でこの余剰金については利用者に還元すると、こういうふうに話合いができておるわけでございますが、どのような高速道路利用者に還元していく方法があるんだろうかと。これは私も国会で取り上げまして、一つはETC、身体障害者の皆さんにはそのETCを付けるときにそれを割引をしてはどうかということを申し上げさせていただいて、そしてこれが実現して、一台当たり一万円の還元をしていくということでございます。  それにしても、十億ですね、ETC取付けに使ったところで、だから一千二百億の中のわずか一%ちょっと、一%ぐらいであると。これは余りにも、還元というのに、一つは今、身体障害者のそれはそれでこれからも推し進めていくで結構ですが、十億出している、そのほかにどのような還元の仕方をしようと考えているのか。  近藤総裁お見えいただいておりますので、幅広くこれは考えていく必要があると思います。公団考え方をお伺いします。
  137. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 森本委員指摘のとおり、国土交通省より平成十五年三月二十五日に政府・与党協議会に報告をされました道路関係公団民営化に関し直ちに取り組む事項について、その内容を踏まえまして、公団としては直ちに子会社、関連会社に対し検討を要請をいたしました。要請後、先生の御提案もあったと承知をしておりますが、障害者の方のETC御利用の促進を目的とする助成金として、今お話ございましたように十億円が拠出されているということでございます。  また、引き続き、料金所における情報提供などのサービス向上策の検討とか沿線の観光案内、迂回路案内等の充実、あるいはETCに関する各種相談窓口の支援などにつきまして、お客様サービス向上に向けた取組、あるいは路上作業の安全、効率化に役立つ資機材の研究開発、あるいは工事渋滞の抑制や工事中の高速事故防止等に効果のある工事中の車線規制時間短縮等の技術研究開発、あるいは道路保全技術者の育成に関する講習会等の実施などなど、道路保全管理の高度化、効率化に向けた取組等につきまして現在検討していただいていると聞いております。  公団といたしましては、今後とも効率的な利用者への還元方策が実施されるように強く引き続きお願いしてまいりたいと存じておりますし、また応分の支援をしていただけるものと期待をしております。  剰余金の還元方策等、検討をこれから進めていただきまして、取組が具体化された段階では、それはしっかりと皆様方に周知していただけるように公表もされるべきだろうと、そのように考えております。
  138. 森本晃司

    森本晃司君 総裁がおっしゃったように、検討の時期もきちんと決めて、そして使い道も明確になったら公表すると、こういったことは私は極めて大事なことではないかと思っております。  それで、今も答弁にありました、総裁の答弁にあったんですけれども、私はこの質問するについて公団から、そのETCのほかにどういうことを考えているかというので、今、総裁の答弁どおりのペーパーが私のところに来たんです、このように考えていますと。  だけれども、総裁、考えてくださいよ。料金取って、走っている道路料金所における情報提供、サービス向上施策の検討ということを今おっしゃいましたね。あるいは、沿線の観光案内あるいは迂回路案内の充実、ETCに関する各種窓口相談の支援、こんなのが余剰金の使い方の項目でこれ普通挙げますかね、こんなこと。こんな、当たり前の話じゃないですか、こんなの。情報の提供と、入口で情報の提供と、こんなもの別に今までからでも高速道路のところへ行ったら、何月何日まで道路工事中ですと、しますのでちょっと迂回してくださいとかありますね。一千二百億の余剰金で十億をETCで使う、ほか何だといったら迂回路の案内とか沿線の観光案内、こんなの項目として挙げること自体が僕は恥ずかしいと思う、これ。  これで余剰金を立派に使っていますといって、総裁、そういう考え方ではなしに、今あった最初のお客様への迎えたサービス、私が言ったことは、こんなのはその余剰金の循環のためのサービスや思わぬと、当たり前のサービスでやっていかぬとあかぬと私は思っておるんですけれども、総裁、どうですか。
  139. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 今、申し上げましたことも含めまして、鋭意、先生と私の考え方、同じ方向を向いていると思っております。いろいろと知恵を出させていただきたいと思います。
  140. 森本晃司

    森本晃司君 そこで、ちょっと私が総裁とここでお互いに知恵を出していきたいと思うんですが。  この間、私はここで質問を、参考人がお見えになったときに質問したんですが、JAFの林参考人に聞いたんです。それから、ちょうど静岡の知事さんもお見えだったものですから、静岡県もドクターヘリ使っているんですね。それで、JAFの林さんに聞いて、高速道路でどれほどドクターヘリを使ったら、あるかということも含めて聞きましたら、千人ぐらいのオーダー、やっぱりその有効性が認められると言うんですよ。一方、林参考人の話では、実際に高速道路に下りるには電線などの障害物があるなどして適切にケアされていないのが現状であると。それから、高速道路上の事故の対策費用については、当然利用者還元の、ケアされていないのが現状であったということなんです。  私は、このドクターヘリを使って、高速道路での事故があった場合、その高速道路上にヘリコプターが下りられるようにしなきゃならないんじゃないかと。今、サービスエリアにヘリポートがありますね。あるいはそこを、ヘリポート、ヘリパッドを使えば相当行けるんですけれども、それでも今ヘリポートというのは、全国で三十一か所で七千三百キロの供用延長から考えれば、二千四百キロに一か所しかないんですね。  仮にそのサービスエリアにヘリコプターが下りたとしても、そこから今度は現場まで行くのに相当時間が掛かるし、私はそれよりも、周りの安全も含めてですよ、そうすれば対向車線の方の車が見上げて二重事故が起きるとかという問題もあるかも分からない。だけれども、それはきちんとやれば僕はできない話ではないかと思うし、それからいろんな障害物も、そういったところへその余剰金を使って障害物をなくす、おおむねこの辺にヘリコプターが下りられるという流れを作っていくところに使うことと。  もう一つ、この余剰金で、ヘリコプターが一回出るとあれはやっぱり費用要りますから、ヘリの会社も大変です。一回出動をヘリコプターがしたら、その余剰金を私はそのために、ヘリコプター出動の一〇〇%出せとは言いませんけれども、人の命を守るという面から考えても、あるいは後の処理を考えても、これは道路公団あるいはこれからできる運営会社にとっても、それらの処理がヘリコプターで早くできることになったら命を守ることと、それから事故の処理もスピードアップできるんですから、決して損になる話ではないんではないかと。  ドクターヘリの出動に対する助成金というふうな考え方で出すことについて私は今知恵を出させていただきましたが、総裁の考え方をお伺いします。
  141. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 高速道路におけます交通事故等の発生に際しまして、救命効果の高い救急活動を支援することが極めて重要であると私も考えております。  ドクターヘリの活用につきましても、平成十三年度より関係機関と調整をいたしまして、有効性の高い三十一か所で、先ほど先生おっしゃいましたようにヘリポートの整備を行っております。今後、さらに、休憩施設等におきましては、着陸可能なスペースが確保できる箇所で引き続き整備を行っていくべきだと、そのように考えております。  したがいまして、私どもといたしましては、今、先生から御提案もありました課題も含めまして、ドクターヘリを活用した高速道路での救急活動の在り方について、関係機関と連携を取りながら、積極的に前向きに検討を進めてまいりたいと考えております。  また、御指摘のように、ファミリー企業に対しましてもどのような形で支援していただけるか、幅広い検討をお願いをしてまいりたいと考えております。
  142. 森本晃司

    森本晃司君 是非、ドクターヘリの活用については、朝は木村委員から救急車、消防車の使い方について話がありましたけれども、私はドクターヘリについて前向きに考えると、御検討、総裁からいただきましたので心強く思っておりますので、大きな項目に上げていただければと思っております。  道路局長、十億、身体障害者の方のETC車載器に、これで十億ですね。十億と言わぬともっとほかにいろいろとあるかと思うんですが、例えば標準タイプのETCであれば、もう全員にその車載器についてはただで渡すとかという具合にすれば、一挙に今の中途半端な、半分ETC、半分一般の共用のところ、考えてみたら一般のところ開いたって、もうこっちが、一般のところすいているのに、ETCのところもまだ両方共用しているというところもよく走っていたらあります。これ全部みんな車載器、ETCにしたら、これまた非常に、勤めておられる職員の皆さんのお立場もあるんで何ですが、これ検討状況、どういうふうに今、道路局として考えているか、局長考え方を。
  143. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 二つ申し上げたいと思います。  ETCの活用の目標でございますが、今年度中に三〇%を目指そう、そして平成十九年度にはおおむね全国で七〇%ぐらいはと、こういうことで、特に首都高速道路や阪神高速道路につきましては、できるだけ早くほとんどお使いいただけるような形を目指してまいりたいとは思っておるわけでございます。  そこで、目標としてはそうだということでいけば、ETCの助成について、装着することに対する助成についてできるだけ、どんな検討をしておるかと、こういうお話になるわけでありますが、これにつきましては、そもそも端的にETCの車載器購入に対する助成、これは、例えば十五年度に約四十七万台を一部五千円でございますが、やったところでございますが、十六年度につきましても引き続きできるだけの助成を、直接的な助成を考えてまいりたいということと、もう一つは、そういう意味での割引を、ETCを活用しての割引というものを今年もできるだけやりたいということで、首都高速、阪神高速の夜間の割引であるとか、あるいは高速自動車国道の長距離夜間の割引につきまして、ETCの場合にはそうしたことが可能でありますので、この四月から始めたところであります。  引き続きその両策、直接的な支援とそれから割引等による動機付けといいますかを、両方をできるだけ今年度も大いに検討してまいりたいと思っております。
  144. 森本晃司

    森本晃司君 大臣にお伺いしたいんですが、現在、道路公団で役員の皆さんの役職ごとの報酬や退職金、これは国土交通大臣が認可する規定に基づいて支払われて、この規定は情報公開になっている。ホームページで見ることができますので、私もホームページで出してみまして、役員の報酬や理事の皆さんの報酬、それから特別調整手当あるいは退職手当ということを見ることができるんですが。また、決算期については、財務諸表のほか、路線別の収支状況や子会社関連の財務状況等についても公表されています。ほかに、公団が行っている入札契約に関しても、入札契約適正化が適用されて、情報開示が適切に行われています。  民営化した会社において、これらが情報公開の対象から外れてしまって国民が知ることのできないようになってしまうんじゃないか、こういう懸念があります。この点について、国土交通省の見解、大臣にお伺いしたいと思います。
  145. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) この点は非常に重要な点であると認識をしております。  民間会社になるわけですけれども高速道路という高い公共性を有した社会資本の建設と管理を行う観点から考えましても、既存の法令を遵守することはもちろんのこと、国民の皆さん方が理解が得られるような積極的な説明責任、こういうことを果たしていくことが私は求められているんだと思います。  そもそも、民営化会社には商法等による財務諸表などの情報開示義務はあります。しかし、そのほかにも路線別の収支実績など国や機構の業務に必要なデータについては、協定等に従い、国等が会社から資料の提出を求めることとなり、これらの資料は国において情報公開法の対象となりますので、これまでと同じように見られると思います。  一方、役職員の報酬あるいは退職金については、会社の管理費の一部であり、貸付料の額の妥当性ともかかわる事項で、役員に関する具体の報酬額や職員の給与等の情報をこれからどうして開示していくかということなんですけれども、積極的に公開するよう国土交通大臣として会社に要請していこうと考えております。  さらに、国の株式保有が二分の一を下回りますと、委員が御指摘されました入札契約適正化法の適用がなくなる、こういう問題は遺憾であるというような御質問が当委員会でも出ております。入札契約適正化法の対象外となった後も、高速道路事業の公共的性格を踏まえますと、同法に準じた措置を講ずるよう会社国土交通大臣として要請して、同じようなことが担保できるようにさせていただきたいと考えております。  また、会社としても、しばらくは政府の一〇〇%出資会社でございますので情報公開法の対象でありますし、上場を目指して市場から信頼を得て的確に評価されるためには、積極的に財務情報あるいは路線別収支状況、子会社を含めた財務状況などの公開を行うという動機が、当然上場を目指す以上働いてくるんだと思います。  今年一月に設置いたしました道路資産評価・会計基準検討委員会、商法の専門家の慶大の黒川先生委員長をお務めいただいておりますけれども、会計情報のディスクロージャーについて御議論を今いただいておりまして、どういう基準でどういうものを出していただくかというものもお示しさせていただきたいと思っております。  また、さきに行われました衆議院の附帯決議の中でも、今の点につきまして次のような附帯決議が付いております。情報公開法に準じ、その経営状況、財務状況等について積極的に情報の開示を行うこと、入札契約適正化法等の適切な運用を通じ、新会社の経営内容の透明性の確保を努めること、これを尊重させていただくと私も衆議院の国土交通委員会で御答弁させていただいたこともあり、十分に踏まえてまいりたいと考えております。
  146. 森本晃司

    森本晃司君 今、大臣から引き続きそういうふうにということでございます。総裁も大臣の答弁を聞いていらっしゃいました。私もこれをホームページで見て、そうかと、総裁が同じ国会議員として七階におったんで、毎日顔を見ていて、それで今度のこの大変な火の中のクリを拾うような思いで行かれたのを、そして、ああ本給これだけかと、御苦労でございますと申し上げたいと思っているところでございますが、これからの情報公開について、総裁の考え方、ここで明確に述べていただきたいと思います。
  147. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 将来は完全民営化、上場を最終的に想定をすべきでありますので、設立の段階から上場する際に必要な情報は徹底して公開をしていく、開示していくことによりまして、最大限の透明性の確保に努めるべきだと私自身思っております。  また、先生から例示ございましたが、役員の報酬等につきましても、個別具体的にどの範囲まで開示するか、これは基本的には新会社の判断によるところでございますが、私自身、その金額は当然のことでございます。それだけではなくて、その役員報酬を決めるに至ったプロセスあるいは理由等も含めまして、できる限りの透明性の確保を目指していくことはこれから必要になってくるのではないかと、そのように考えております。  そういう意味で、今度のマネジメントあるいは取締役会の在り方につきましても、委員会等設置会社方式も含めましていろいろな選択肢を検討をしてまいるべきだと、そのように思っております。
  148. 森本晃司

    森本晃司君 今、四公団債務総額四十兆ということでございますが、昨年の三月、先ほど申し上げました政府・与党協議会でも、公団の持っている資産で売却できるものは売却するようにということを決めました。宿舎とか、あるいは事業用残地とか、保養地等がある。金額にして三百億ですけれども、だけれども、やっぱり民営化し、あるいはそういう債務の償還に対していろんなことを少しでも上げていこうということ、あるいはいろんな無駄をなくしていこうということになってくると、民間企業では鉛筆一本からでもやっぱりいろいろと工夫していくと思うんです。総裁が、総裁になる前の議員、更にその前のおられた会社も、いろいろと改革のときに総裁が頑張っておられたようでございますが、やっぱりそういったところの節約からもいろいろと取り組まれたに違いないと、こう思っております。  今、その三百億、小さなことだけれども、ちりも積もれば山となっていきますから、公団がこれまで行った資産売却の実施状況及び今後の方針について伺います。
  149. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 道路関係公団民営化に関し直ちに取り組む事項に、これは平成十五年三月二十五日の政府・与党協議会の決定事項でございますが、「事業用残地、宿舎、保養所等売却可能な資産について、早急に売却の手続を進め、債務償還に充てる。」とされております。当公団におきまして、これらの売却可能な資産、当公団に限定をいたしますと簿価総額で約二百五十億でございますが、その売却の手続を進めているところでございます。  従来から、売却可能な資産につきまして、地方公共団体や隣接者への売却処分を行ってまいりました。この処分に加えまして、平成十二年度からは不特定多数の人を対象に広く売却を促進するために宅地建物取引業法の免許を取得いたしまして、一般競争入札により売却することといたしました。さらに、平成十五年十一月には、一般競争入札において落札されなかった物件につきまして、一般の方の参加が容易となるように、あらかじめ売却金額を提示をいたしまして、インターネット等で常時購入希望者を募る定価売却制度を導入するなど、売却促進に鋭意進めているところでございます。  その結果、これら資産、先ほど申しましたように簿価で二百五十億円ほどございますが、本年四月末現在における売却額は、簿価総額にいたしますと約二十九兆円となっているところであります。その内訳は、未利用地、更地でございますが、約二万平米ございます。金額にいたしまして、簿価約二十七億円でございます。宿舎二十二か所、約二億円。保養施設三か所、四千万円程度でございますが、こういう結果でございます。  今後も定価売却制度などを活用いたしまして、販売物件数の拡大を図ってまいりたいと考えておりますし、本年三月に協定を締結いたしました不動産産業団体のネットワークを活用した媒介販売を行うことによりまして売却機会の拡大を図るなど、より一層の売却促進に努めてまいりたいと思っております。  先ほど二十九兆と申し上げましたが、二十九億でございます。訂正をさせていただきます。
  150. 森本晃司

    森本晃司君 今度の民営化を行うということで、それで原則として道路事業からは利潤は生まない、認めないと、こういうことになっていますが、しかし、関連事業からは民間の創意工夫を生かしていろんなことを、利益を得ることにむしろ期待をされているところがあるかと思っております。  そういう意味での関連事業で、道路公団でこれまでも、都市近郊におけるトラックターミナル事業、あるいは高架下等を活用した駐車場事業、それからSA、PAにおける有料広告事業等の事業によって収益を上げておられますが、民営化後に関連事業展開していくに当たってこの事業は参考になるものと考えておりますが、現状はどのような状況なのか。また、これからこれらの事業において増収を図るために、これからどのような取組を行って、今までも行ってこられたのか、その点について伺います。
  151. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 委員指摘のトラックターミナルにつきましては、設立後数年後は業績が実は伸び悩んだ時期がございました。しかし、次第に業務収益も増加をしてまいりまして、近年は三社とも、三社、これは東北高速道路ターミナル、北陸高速道路ターミナル、九州高速道路ターミナル、この三社でございますが、それぞれ単年度決算で黒字を計上できるようになってきております。  更なる増収に向けましては、トラックターミナル会社において更なる顧客の獲得、あるいは関係方面に積極的な営業活動を行っているところでございます。将来に向けましては、トラックターミナル事業の経営見通しを踏まえまして、関係方面の御協力を得ながら、営業活動の更なる積極化も含めまして、今後の方針について検討してまいりたいと考えております。  また、駐車場事業どもやっておりまして、昭和三十五年から日比谷駐車場、あるいは昭和四十一年から福岡におきまして中央駐車場を営業いたしております。両施設とも経営状況は良好でございまして、毎年度安定した収益を上げているところでございます。  今後、一層、お客様の利便性の向上のためのいろいろな施策やコスト削減の施策も進めてまいりたいと思っております。また、PR活動も強化をする必要があると思っておりまして、いろいろな方策を含めまして、更なる業務の業容の発展に努めてまいりたいと、そのように思っております。  また、広告事業、大変限定された規模ではございますが、高速道路等区域内においてやらさせていただいておりまして、平成十一年度から実施しておりますのは、常磐自動車道守谷サービスエリアを始めとして十一か所ほどで実施させていただいております。今後とも、広告ニーズ、費用対効果、屋外広告物条例の改正状況等を勘案しながら、実施箇所の拡大等も図ってまいりたいなと、そのように思っております。  これまでこのような関連事業を行ってまいりましたが、現在御審議いただいております法案が成立をいたしまして民営化された場合には、更に幅の広い事業の可能性があると思っております。民間ノウハウも十分活用いたしまして、既存事業についても様々な角度から収益拡大等の可能性を、地域社会の皆様方の参加もいただきながら、追求することを検討すべきであると、そのように考えております。
  152. 森本晃司

    森本晃司君 次に、インターチェンジの周辺というのは、一般道路があり、そして高速道路が、その両方の利用者が使うことができる場所で、私は、関連産業を行っていく上において非常に有効利用のできる土地ではないだろうかと、このように思っております。コンビニやあるいはガソリンスタンド等々も事業として行われているようでございますけれども、こういったことも参考になっていくわけでございますが、インターチェンジの周辺についてどのように考えていらっしゃいますか。
  153. 近藤剛

    参考人近藤剛君) インターチェンジの利用可能性につきましては、平成十年の法改正がございまして、民間事業者が道路占用許可を受けまして、食事施設や物販施設などの利便増進施設を設置することが可能となっております。これを受けまして、委員指摘のとおり、現在三か所でございます、関越道、東名あるいは名神、三か所におきまして、公募方式によりましてコンビニエンスストアやカーディーラーが開業を実際にいたしております。  これらの取組につきまして、新会社発足いたしますと、更なる業容の拡大あるいは機能の強化等も考えていくべきだろうと考えております。  また、お客様サービス向上の視点からも地域活性化の視点からも、このインターチェンジ周辺の事業の可能性については、その地域の皆様と一緒になりながら、いろいろな事業の可能性を追求をしていくべきだと現在思っているところでございます。  ただ、基本的には、これらの事業展開につきましては、申すまでもなく、新会社ができまして、そこのマネジメントが第一義的には検討すべきものであろうかと思っております。
  154. 森本晃司

    森本晃司君 総裁が今いみじくもおっしゃっていただいてあれですが、これからインターチェンジ周辺の利用するにしても、あるいはサービスエリアのパーキング等々の利用にしても、今まで以上な発展がありますから、大事なことはその地域の人とよく話し合いながら、地域のそれぞれ町周辺に商店街もありましょうし、あるいはその逆に地域が持っている特産物をそこへ行くという考え方。私は、道の駅、この前も申し上げましたけれども全国の道の駅の六〇%はもう利用していると。現地へ行っていますし、関西ではもう八〇%道の駅へ全部行って、随分道の駅も良くなって知恵が出ているなというふうに考えた次第でありますが、取り組んでもらいたいと思います。  それから、総裁が就任以降、この民営化した企業は上場するんだという勢いで取り組んでいただいております。ともすれば、今までは公団という流れの中にありましたので、職員の皆さんもそんなに収益という問題について考える必要もなかったんではないだろうかと思うほどであります。この辺の意識改革を総裁はどのようにして進めていこうとされているのか、それから収益拡大にはこれまでの事業から、さらにどういった事業展開しようとされていくのか、収益拡大についての考え方をお伺いいたします。
  155. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 委員指摘のとおり、新会社高速道路本体事業を行うと同時に、収益事業の大きな柱でございますサービスエリアあるいはパーキングエリアにおきます商業活動を始めとする関連事業を行うこととされております。この関連事業の収益拡大を図るには、おっしゃるとおり、職員の一人一人の意識の高揚と積極的な関連事業展開、またそのための構想力が必要であると考えております。  そのため、現在、公団におきましては、民営化に備えまして職員の意識改革を図るとともに、民間企業人として必要な知識や関連事業推進のための必要な知識の習得等を図っていただくということで、全職員を対象として民営化準備研修を実施させていただいております。  また、公団内に設置されました民営化準備委員会、あるいは業務改革本部におきまして、サービスエリアパーキングエリアにおける商業活動を始めとする関連事業におきましても検討を進めていくなど、職員の意識は着実に高まってきていると、そのように認識をいたしております。  サービスエリアパーキングエリア事業について申し上げますと、現在でも大変小さな規模ではございますが、ホテル事業あるいは温泉施設、キャッシュコーナー等の導入等も工夫はしておりますが、御審議いただいている法案が成立いたしまして民営化された場合には、様々な規制が取り除かれることによりまして、サービスエリアパーキングエリアを、今は閉鎖空間でございますが、それをその地域の皆様方にも利用していただけるように開放をするというようなことも含めまして、新会社の経営戦略に基づく各種商業施設の設置あるいはお客様のニーズに合わせたテナント選定等も含めまして、いろいろと新しいアイデアを出していくことができるのではないかと、そのように思っております。  また、新会社展開する関連事業につきましては、先生がいろいろと申されたように、いろいろな新サービス導入、拡充の可能性が考えられるわけでございます。キーワードとしてより楽しい空間に、あるいはより便利な空間にということを私申しているわけでございますが、新会社におきましては具体的にそれらの可能性を積極的に追求していくべきであろうと考えております。  今後、このような既存のサービスの高度化あるいは多機能化を図ると同時に、高速道路それ自体の魅力を一層高めるためのサービスにつきましても、職員が習得した知識だけではなくて民間ノウハウ活用や、それから先ほど先生もおっしゃいましたように地域社会の皆様方との連携も念頭に置きながら、様々な収益の拡大方策につきまして検討をしてまいるべきだと、そのように思っております。
  156. 森本晃司

    森本晃司君 終わります。
  157. 富樫練三

    富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  全体の時間は四十分でありますけれども、前半の二十分、私の方から質問をさせていただきたいと思います。  道路公団改革問題について、私どもは三つの点を今まで提案をし、主張してまいりました。一つは、無駄な高速道路は造らないこと、二つ目に、四十兆円を超える累積債務国民負担に転嫁しないこと、そして三つ目には、政官業の癒着を断ち切って国民の納得いく道路行政を行うこと、この三つを提案してまいりました。今日は、そのうち三つ目の政官業の癒着を断ち切る問題、この点に絞って伺いたいと思います。  第一は、日本道路興運という会社国土交通省、道路公団との契約の問題についてであります。  御承知のように、五月十九日、細田博之房長官の運転手さんの給料、一九九六年の一月から二〇〇三年の十二月まで八年間、三千百四十三万円をこの日本道路興運という会社が肩代わりしていたことが明らかになりました。この日本道路興運という会社、ここは国土交通省から平成十四年だけでも八十九億円の受注を受けています。道路公団からは二十四億円の仕事を受注しています。    〔資料配付〕
  158. 富樫練三

    富樫練三君 資料をごらんいただきたいわけでありますけれども、今日は資料を配らせていただきました。  この資料は二枚物でありますけれども、真ん中の欄に契約方法というところが書いてあります。例えば、二枚目のところをごらんいただきますと、これはずっと随意契約というのが書いてありますが、これは車両管理業務等ということであります。すなわち運転手さんを公団に派遣をする、こういう業務であります。圧倒的に随意契約というふうになっています。これは一件の契約金額が百万円以上のものを過去三年間集計をしていただいた、これは公団からいただいた資料であります。  これを見ますと、車両管理業務では二十六件中十八件が随意契約、七割であります。料金収受業務では十三件中九件が随契、これも七割。庁舎管理業務では十六件中十五件、これは何と九四%が随意契約になっています。私は、この表を見ただけでもこれは正に異常だというふうに言わなくちゃいけないと思うんです。  なぜこんなに随意契約が多いのか、まずこの点についてお答えいただきたいと思います。
  159. 奥山裕司

    参考人奥山裕司君) お答えいたします。  日本道路公団におきます契約手続につきましては、原則は、競争入札に付して、予定価格の制限の範囲内で最低の価格による落札者と契約をすることを原則としております。これは内部の日本道路公団会計規程により定められているものでございます。  その一方で、一定の例外的な場合につきましては随意契約ができる旨、内規がございます。日本道路公団業務委託契約事務処理要領等において随意契約ができる基準がございます。この基準に従いまして随意契約をしておるわけでございます。随意契約の相手方につきましては、発注機関であります現地の支社等又は事務所の競争参加資格等審査委員会において同要領に照らしまして調査、審議し、決定しているところでございます。  それから、お話ございました日本道路興運株式会社が発注した車両管理等業務あるいは料金収受業務につきましては、競争入札方式による契約を当初行いまして、当該年度の業務の履行状況について業績評価を行いまして、適正であれば翌年度、次の年度において一回に限り随意契約を行うことができるものとしております。なお、十四年度までの間におきましては、この随意契約を行うことが二回までできるということとしておりまして、十五年度に一回に減らしておるというところでございます。  こういう手続としておりますのは、同一の者がある一定の期間継続してその業務を行うことによりまして、現場状況に精通し、あるいは業務に対する習熟度、知識の向上が期待されまして、このように業務遂行能力を高めながら業務を円滑に履行することが最も効果的であるというふうに考えて、このように措置している次第でございます。
  160. 富樫練三

    富樫練三君 随意契約というのは、最初は入札して落札して、それが業績が良ければ翌年ももう一回、今度は入札なしで契約をしましょうと、こういうことなんだと思います。  総裁と大臣にこの点について伺いたいんですけれども、この表で計算をしてみましたら、車一台当たり一か月大体六十四万円ぐらいになるんですよね、数字の入っているところだけで計算してみますと、平均しますと。そうすると、一か月、一人の運転手さんを、車は相手持ちですからね、車は別に持っていくわけじゃないわけですから、運転手さん一人派遣をすると、それで六十四万円になると、平均して。  これは高過ぎるんじゃないかというのがあちこちから実は指摘をされているわけなんです。私もこれはとても高いと思います。こういう高い契約が入札なしで行われると、しかもそれが七割だ九割だというふうに及んでいるというわけなんですね。これはどう考えても、普通のいわゆる民間会社でいえば、公正な競争をして、それでやっているという事態ではないと、これでは公正な競争は働かないと思うんですね。  そこで、公団民営化されればこういうことはなくなる、こういう保証がありますか。この点について、端的に総裁と大臣お願いします。
  161. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 民営化いたしますと、まず求められるのは効率性の追求でございます。年次決算が発表されるわけでございまして、それに向けての経営努力がまず第一義的に求められるということになります。そういう意味で、最も効率的な契約を追求をしていくということになろうかと思います。  現在のところ、そのような効率性の追求がなされていないといたしますと、民営化いたしますと、それは決算上強制的にそのような効果が出てくるものでございまして、その点も民営化目的の、大きな目的一つであると、そのように承知をしております。
  162. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) この高コストの問題につきましては、衆議院の国土交通委員会におきまして、ファミリー企業による高コスト体質を改善するため、排他的入札要件の撤廃等一層の競争促進を努めるとともに、各般の企業努力により、管理コストの低減を図ること、こういう附帯決議が付いたところでございます。  こういう附帯決議を踏まえて、各社も適切に対応をされると思っておりますが、私も政府を代表して、この附帯決議を尊重していくというふうに話をさせていただきました。  新しくできる新会社が高い公共性を要します高速道路建設、管理を行うということにかんがみますと、新会社における経営内容の透明性が確保されますように、新会社に対しまして私からも指導をしてまいりたいと、こんなふうに考えております。
  163. 富樫練三

    富樫練三君 附帯決議をしなければならないような法案であるということだろうと思うんですね。  そこで、次の天下りの問題について伺いますけれども、この日本道路興運という会社に対して、過去三年間国土交通省からの天下りの人数、人数だけで結構です。それから、道路公団からの天下り、これの人数と、公団の場合は、興運に行った先での役職、これについてまずお答えください。
  164. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 国土交通省から日本道路興運へ再就職した者、これは営利企業の再就職の承認を取った者でございますが、平成十三年三名、平成十四年五名、平成十五年の十名ということで、合計十八名となっております。
  165. 奥山裕司

    参考人奥山裕司君) 日本道路公団から日本道路興運へ、十三年度から三年間、再就職した者はございません。ただし、それ以前に就職した者が、現時点においても当社に四名、OBとしてございます。一名は専務取締ということで、役員として一名おります。そのほか職員として三名おりまして、役職名は、常任参与業務部長、常任参与仙台支店管理部長及び藤枝料金所長の三名でございます。
  166. 富樫練三

    富樫練三君 国土交通省から一つ会社にですよ、一つ会社に十八人天下りしている。公団からは四人行っていて、その四人のうち一人は会社の役員になっていると、こういうことですよね。  私は、一つ会社だけでこれほどたくさん天下りが行っているというのはこれも異常だというふうに思うんですね。ですから、この天下りの問題も度々指摘をされてきた問題ではありますけれども、この道路興運、日本道路興運という会社一社だけでそうなっていると、これは異常だと思いませんか。総裁と大臣、いかがですか。
  167. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 公団の業務に長く携わった者、あるいは役職員が、民間企業への再就職に当たりましては、これは国民の不信や誤解を招くことがないように注意をしなければいけない、そのように私着任をしてからいろいろと考えておりまして、民間企業に再就職すること自体については、職業選択の自由に関することでございまして、それに干渉するつもりは私自身毛頭ないわけでございますが、しかし、国民の不信や誤解を招くことがないような、やはり行動規範というものも必要なんだろうと、そのように思っております。  そういうことで、受注者との関係につきましては、発注者として、国民の不信や誤解を招くことがないように倫理行動基準を新たに作成をいたしまして、倫理規程の遵守等の徹底を図りながら、今まで以上に厳正に対処していく必要があると、私は考えているところでございます。
  168. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 国土交通省から日本道路興運へ再就職された方のうち、半数以上の十名の方が運転手さんなんですね。国土交通省がこの会社に対してあっせんをしたり、情報提供をしたことはございません。これらの皆様方は、長年の業務を通じて培った自らの運転技術を生かすべく、自らの判断でこの会社を選ばれたものだと思っております。  また、人事院規則の承認基準にのっとり、個々の職員ごとに適正に行われているということは、既に公表されている事実からも明らかだと思っております。
  169. 富樫練三

    富樫練三君 特にあっせんはしていないというわけですけれども、天下りというのは大体そういう形で行われるわけなんですよ。  次に、政治献金について伺います。  この日本道路興運からの政治献金ですけれども、細田官房長官の運転手さんの肩代わり分が三千百四十三万円であったわけですけれども、これは政治資金規正法に基づいての届出が行われていなかった、すなわちやみ献金だったわけですね。これが指摘をされて、収支報告に出すということで、過去四年間分の一千五百万円を五月七日に修正報告をしたと、こういうふうに言われています。  しかしながら、この会社は資本金が八千万円で、十億円以下でありますから、一年間に献金できる金額は七百五十万円が上限であります。ところが、この会社は、例えば自民党の政治献金の受皿であります国民政治協会に毎年四百万円であるとか、あるいは塩谷衆議院議員には九六年から二〇〇二年にかけて合計一千五百万円の献金であるとか、粟屋元議員に二千四百万円分の給料の肩代わりであるとか、次から次とこの会社は献金をしていた会社なんです。これを一年分でまとめますと、実は、申告をしたものを含めますと、七百五十万を超え、一千万を超えてしまうんです。そうしますと、これは、これ自身が今度は政治資金規正法違反になると。届出をしなければやみ献金でこれも違反です。届出をすれば上限をオーバーしてこれも規正法違反と。こういうことをやっている会社なわけなんですね。  それで、国土交通省と総裁に伺いたいわけですけれども、こういう会社に対して年間八十九億円もの事業を契約していた、あるいは公団は二十四億円の契約をしていた。相手方がこういう会社だということが実は分かったわけでありますから、これに対してどういう調査を行ったのか、これをまずお答えください。
  170. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 今、先生がおっしゃいました日本道路興運という会社が政治資金規正法の総額制限を超過した献金を行っているという報道があったことは我々も承知しておりますけれども、いわゆるこの政治資金規正法の適用、いわゆる判断につきまして、国土交通省としてはコメントする立場にございません。  そういう意味で、いわゆる政治資金規正法に違反するか否かについて調査したり判断したりする権限ということでは我々持っておりませんので、同法を所管する総務省において必要に応じ調査し、違反の有無を判断すべきものと考えております。
  171. 奥山裕司

    参考人奥山裕司君) お答えします。  日本道路公団におきましては、ちょっとさかのぼりますけれども、今年の一月十四日に御指摘のような献金問題の関係で新聞報道がございました。これを受けまして、直ちに翌日の十五日に会社の代表者を呼びまして、特にJHとの契約関係について事実確認を行いました。会社側からは、私ども道路公団との契約と、今回の追徴措置があったということでございますが、全く無関係であるという回答を得ております。  また、道路公団におきます車両管理等業務の履行状況の確認ですけれども、契約書におきまして、業務の実施状況を詳細に記載した車両管理確認日誌というものを翌日に出させるということにしておりまして、毎日これをチェックしております。私どもが指示しました業務内容と当該日誌に書いてあることを確認しまして、架空の人件費の計上等ないか等含めまして、日々業務が適正に行われているということを確認しました結果、日々業務は適正に履行されているということを確認しているところでございます。
  172. 富樫練三

    富樫練三君 実は、この日本道路興運という会社は、今、理事さんから報告がありましたけれども、今年の一月、二億八千万円の所得隠し、これが国税庁から摘発をされて、それで、結果として、通常の法人税の三〇%に加えて使途秘匿金、使い道を隠しちゃったという、そういうことで更に四〇%課税されていると。これを支払っているわけですけれども、支払ったということはそういう事実があったということを会社側も認めたということだと思います。  そこで、伺いますけれども道路公団の指名停止等事務処理要綱、この中には不正又は不誠実な行為という欄があって、業務に関し不正又は不誠実な行為をし、工事等の請負契約の相手方として不適当であると認められるときはこれは指名停止をするということになっています。  そこで、総裁に伺います。これは、この問題が発覚したのは今年の一月です。四月から新しい年度になりました。そこで、新たにまた指名をしたり随契をやったりと、こういうことになりますけれども、四月の段階で指名停止をしないで入札を参加させたり随意契約をやったんではありませんか。  もう一つ国土交通省に伺います。国土交通省もこの業者に対して、四月の段階、新年度で新たに指名をしたり、あるいはそういう入札に参加させる、こういうことをやったんではありませんか。この点についてお答えください。
  173. 奥山裕司

    参考人奥山裕司君) 先ほど御説明申し上げましたが、日本道路興運の業務実施状況につきましては、日々業務が適正に履行されているということを確認しておりまして、今回の御指摘の四月からの、新年度の契約に際しましても、この条件としまして、先ほどありました指名停止等の措置を講じる事由には該当していない、そういうものが発生していないということで、四月から新年度の契約に際しましても、発注機関であります支社等又は事務所の競争参加資格等審査委員会の議を経まして、日本道路興運株式会社を指名業者あるいは随意契約の相手方として決定し、契約手続をしたところでございます。
  174. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 先ほど道路興運の関係で、本年一月に追徴課税を受けたとの報道について我々も承知しておりますが、一般的に国土交通省として、先ほど委員の方からもありましたように、請負業者に業務に関し不正又は不誠実な行為があった場合は指名停止措置を取ることとなっております。  ただ、この脱税関係につきましては、指名停止措置の、この業務に関し不正又は不誠実な行為ということについての運用基準がございまして、脱税関連では法人税法等の違反の容疑で役員等が逮捕又は起訴された場合に指名停止の措置を取ることとしております。  そういう意味で、日本道路興運につきましては、国税当局からの追徴課税を受けたという報道を知っておりますけれども関係者の逮捕等の措置は取られていないために、時点では特段の措置は講じておりません。
  175. 富樫練三

    富樫練三君 私は今日、三点聞きました。最初に、随意契約の問題聞きました。二つ目に、天下りの問題を伺いました。三つ目に、献金の問題を伺いました。  そして、この日本道路興運という会社というのは、国土交通省と道路公団との関係では非常に密接であり、政治家に対する献金を行いながらこういう随契を確保してきたと、こういう関係が明らかになったと思います。  正に政官業の癒着の構造、構造的な癒着、これがはっきりしたというふうに私は思います。例えば、細田長官に代表される政治家は企業からのやみ献金や不法献金で潤う、そして国土交通省や公団などのいわゆる官の側は天下りの受皿として企業を利用する、業である日本興運は圧倒的な随意契約によって契約を半ば独占をする、こういう三角関係が構造的に作られているということだと思うんです。  最後に、大臣と総裁に伺います。こういう癒着の構造を断ち切ること、これを国民は求めているんです。これに対してきちんと国民が納得できるような説明ができますか。お答えください。
  176. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ちょっと、個社の話は個社の話として、民営化議論をしておりますので、その民営化される民営会社が、先ほども申しましたように、高い公共性を有する社会資本の建設と管理を行っていくという観点からお話をさせていただきますと、当然のごとく、法人税法等々の関係法令を遵守することはもちろんである。そして、こういう随意契約等々があった場合には積極的に説明責任を果たしていくことが求められるというのが基本認識でございます。  これも先ほどお話しいたしましたけれども会社情報公開法に準じて役員報酬あるいは入札契約情報等について積極的に情報開示をすることが望ましく、国土交通省としても会社にそういうものをしっかりやっていくようにと要請をしていく考えであります。  また、会社の側も、上場を目指す以上は、市場からの信頼を得るためには積極的な情報の公開を行うというインセンティブが働くことは言うまでもありません。そういうことを通じまして、委員指摘のような問題に対して説明責任を果たしていくというのが会社としてのあるべき姿ではないかと考えております。
  177. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 従来の公団業務に対しましては様々な御批判や御指摘があったことは私自身十分承知をいたしております。これらの御批判等を踏まえまして、公団業務の在り方を根底から見直すために公団民営化という抜本的な改革に取り組まれたものと認識をいたしております。  今回の民営化法案によりまして、新会社におきましては、民営化目的一つでございます、先ほど申し上げましたように、効率性の追求、高コスト体質からの脱却、あるいは生産性の向上が可能となるように、また最大限の情報公開を行うべく最大限の努力をしていくべきものであると私は考えております。
  178. 富樫練三

    富樫練三君 終わります。
  179. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  質問をいたします。京都、奈良、和歌山を南北に結ぶ高規格幹線道路、京奈和自動車道路について伺います。  京奈和道路のうち、奈良市を通過する大和北道路は世界遺産である平城宮・平城京跡を通過するもので、私は現地を視察し、関係者から実情を聴きましたけれども、この計画は無謀ではないかと思いました。  平城宮跡は、一九八八年、東大寺や春日山原始林などとともに、古都奈良の文化財の一つとして世界遺産に登録されました。埋蔵文化財では初めてです。発掘調査は、面積で平城宮跡が三四・六%、平城京跡が二・五%。土の中から木簡が平城宮で五万点、そのほかに平城京で約十二万、合わせて十七万点、そして長屋王の屋敷から三万五千点の木簡が出ましたように、平城宮・平城京跡にはまだ多数の木簡が眠っています。高速道路建設で千三百年前の文化財が一気に破壊されてしまうおそれがあるわけです。  大臣質問いたしますけれども、文化財の破壊は何としても避けなければならないのではないかと思いますが、どのような御認識ですか。
  180. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 詳細は政府参考人から答弁させていただきたいと思うんですけれども国土交通省としてもそういう問題があることを認識しておりまして、第三者委員会の検討を踏まえて、地下水の保全あるいは貴重な文化財の保全と調和の取れた大和北道路のルートの構造の検討というものを進めております。  どういうふうにやっているかということについては政府参考人から答弁をさせていただきたいと思います。
  181. 吉川春子

    吉川春子君 文化財の破壊ということについては避けなくてはならないのではないかという点についてだけで結構です。大臣、どのようにお考えですか。──いや、ちょっと時間がないので。
  182. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ちょっと簡単に御答弁させていただいたからちょっと聞き漏らされたのかと思いますが、貴重な文化財の保全と調和の取れた大和北道路のルート、構造、それがどういうものかというものは、政府参考人からどういうことをやっているかということについては御答弁させていただきたいと思いますけれども、そういう検討を第三者委員会の話を聴かせていただいて進めていると、こういうふうに御答弁させていただいたところでございます。
  183. 吉川春子

    吉川春子君 考古学者を始めとする専門家や広範な市民が、大和北道路は世界遺産である平城宮跡の埋蔵文化財を消失させる危険性があると反対していますが、それなのにこの道路建設をどうしてもしなくてはならない、進める目的は何ですか。なぜそうなんですか。
  184. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) そもそも、奈良市とそれから大和郡山地域、この重要な交通機能を担う国道二十四号が、現在一日七万台弱の交通が集中しまして交通渋滞が慢性化している、こういう状態であると。そして、当該地域を通過するだけの交通が約三割に達していて、この渋滞に伴って周辺の生活道路が抜け道として利用されて交通事故が多発している、また沿道環境も著しく悪化している。  こういうことでございますので、大和北道路有識者委員会におきまして実施したアンケートにおきましても、自由記入欄に記入された意見では、道路整備に対して肯定的な意見が約八割に達している、そしてそのうち大和北道路整備に対しても肯定的な意見が全体の三割を占めている、そうした非常に地元の期待の大きな道路であると。  こうした点から、地域の交通課題の解消と、こういう地域の声にこたえる、こういう面から重要な役割を担うということで、国土交通省としましては、渋滞解消と遺跡の保存、こうした両方の観点から、地下水検討委員会や文化財検討委員会、あるいはまた大和北道路有識者委員会、こうしていろんな委員会で御議論いただいて、幅広い市民や関係者の皆様の意見を聴いていると。  さらに、この三月、十六年の三月には奈良県の都市計画審議会の中に環境影響評価検討専門部会が設置されたと、こう聞いておりまして、そういう中で更に検討を進めると、こういう形で検討を進めているところであるということでございます。
  185. 吉川春子

    吉川春子君 渋滞が大変だということでございますが、大和北道路ができた場合、高速道路国道二十四号線の交通量について将来予測はどうなっていますか。端的に数字をお答えください。
  186. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) この国道二十四号の交通量予測につきましては、大和北道路のこのルートや構造を今いろいろ検討している段階でありますから、今後詳細について検討、ルート構造なんかの検討と併せまして具体的な予測を行っていく、こういうことにしているところであります。  大和北道路の有識者委員会、ここにおきましては、委員の御指導を踏まえまして、国道二十四号の柏木町交差点を通る東西断面の柏木断面を通過する南北方向の予測交通量の結果を同委員会に御報告申し上げた。  その結果によりますと、大和北道路の比較ルートのうち、有識者委員会がお薦めになっておられる中央エリア一の四ルートを前提としました平成三十二年の予測では、大和北道路が未整備の場合の国道二十四号の予測交通量は約七万四千台と、こういうふうに予測されておりますが、大和北道路が完成した場合の国道二十四号の予測交通量は五万二千から六万六千、これルートや構造によって大分違いが出てくるだろう、こういうこともありますので、幅で申し上げれば、そういうことで恐らく国道二十四号の方の交通量は八千台から二万二千台ぐらい減少する、こんなふうな断面で検討している状況と、こういうことでございます。
  187. 吉川春子

    吉川春子君 大和北道路建設によって、今報告がありましたけれども高速道路国道二十四号線の交通量全体が三四%も増加して、国道二十四号線の交通量は現在よりも一一%しか減らないわけです。  そこで、もう一つ伺いますけれども国土交通省は三割の通過交通が高速道路に移るというふうに説明していますね。それでは、国道二十四号線から奈良生駒線、大阪の方に向かって入っていく交通量はどのように予測していますか。
  188. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 現時点の交通量予測、これは先ほど述べましたように、大和北道路の有識者委員会報告いたしました柏木断面、これの南北交通全体のものであります。大和北道路が完成した場合の国道二十四号から生駒と大阪方面、これに流入する交通量など、将来の利用交通量の方面別の内訳に係る予測についてはまだ行っている段階ではない。こういうことでございますが、平成十一年に実施しました道路交通センサスの現況配分、現在の状況で交通量を解釈する、こういう配分をしてみますと、国道二十四号の奈良市の杏町付近の利用交通量、これが六万六千八百台ございますが、このうち奈良と大和郡山を通過する交通、これは約二八%の一万八千七百台、こういうふうに推計されておりまして、さらにこの中で生駒、大阪方面へ流入する交通は約一万五百台、こう推計されているところでありまして、いずれにいたしましても、専門家の方々や市民、自治体等から幅広く意見を伺いながら、計画を策定をしながら環境アセスメント都市計画の手続、こうしたものを進めていく中で詳細な交通量予測を実施してまいりたい、こういうふうに考えております。
  189. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっと、いろいろ答弁されましたけれども、とにかく、まだ奈良生駒線に入っていく交通量については予測がされていない。高速道路が造られても、造られて、トンネル又は高架になって奈良生駒線大阪方面にアクセスできないわけですね、もうこっちへ行っちゃうわけですから。  現在も国道二十四号線から大阪方面に行く車が渋滞しています。国道二十四号線を始め南北の幹線道路の渋滞は、おおむね朝の七時から九時、夕方の十七時から十九時、そして観光シーズンの土日、こういうことになっております。地元の皆さんに伺うと、奈良市内の渋滞は朝晩のラッシュ時間帯で信号を二回から三回待てば通過できます、観光客と買物客の増える土日に渋滞しているのであって、このとき以外は渋滞していないと聞きました。  高速道路大和北道路建設によって、こうした朝晩のラッシュ時の渋滞や観光や買物などの土日の渋滞が解消される、こういうことですか。
  190. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先ほども申し上げましたように、いろんなルートによって、ルートや構造によって具体の交通量は変わってくるではあろうと。現在、この有望なルートの案、こういったことも提示していただいているわけでございますので、その有識者委員会の方から。  したがいまして、そうしたこれから作業を進めていく、こういうことになるわけでございますが、取りあえず現時点で御報告を申し上げていることを申し上げますと、この大和北道路有識者委員会に対しまして報告を申し上げている内容を申し上げますと、国道二十四号における朝夕のラッシュ時の走行速度は、大和北道路が未整備の場合、大体一時間当たり十二キロぐらいであろう。これに対しまして、大和北道路が中央ルートの一の四ルートを前提として、どこのルートと、こういうことを確定していないわけでございますが、前提として四つのルートをいろいろ比較していますが、そのそれぞれにおいて十九キロから二十一キロ、こういうことでございますから、かなり速度としては上がる、渋滞はかなり緩和される、こういうことでCO2やNOxの排出量の低減、これも期待できるというふうな御報告を申し上げるようになることということになっておるわけでございますが。  いずれにしましても、詳細につきましては、今後、専門家の方々や市民、自治体等から幅広く意見を伺いながら、環境アセスメントあるいは都市計画の手続、こうした中で詳細な交通量の予測もやってまいる、こういうことにしているところであります。
  191. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっと、私の聞いたことにだけ端的に答えていただきたいんです、時間がもう迫っておりますけれども。  ともかく、高速道路を造って、京都の方には行くけれども奈良の方には行かない。こっちの方が渋滞しているんだけれどもこっちは解消できない。そして、渋滞の時間帯というのは、朝夕のラッシュと土日、観光シーズン、こういうときの土日の渋滞の解消ということは高速道路建設によって解消できるというものではないわけですね。今、いろいろ言われましたけれども、そういうことは明確にはおっしゃらなかった。  大臣、私、もう時間がなくなりましたので最後に伺いたいのですが、もう一つ、事故発生率の問題は、これもこのビラで大々的に宣伝されていますが、(資料提示)今交通事故が多いからということは、この道路建設目的としては挙げられなかった、これは挙げることはできなかったんだと思います。  それで、私は、この高速道路建設によってではなくて、朝夕のラッシュ、地元の住民の皆さんの不便を解消するという点でいえば、やはりいろいろな交通の解消策というものが高速道路建設することだけにあるのではない。しかも、この高速道路建設することによって千三百年の奈良の貴重な古代遺跡が失われる可能性もある、こういう問題がはらんでいるわけですから、是非この問題については徹底的に情報を公開して、慎重に進めていっていただきたい、そのことを大臣に最後に伺いたいと思います。
  192. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 個別の路線について、所管大臣が造るべきであるとか造らないべきであるとかと言うことは慎まなきゃならないと思うんですが、先ほども御答弁させていただきましたように、奈良というのは大変な文化財、世界遺産にも登録されたところでございます。環境や文化財との保全と調和、こういうことで道路整備されていくのであるならば、そこに住む方々も、御要望があるからこそそこに道路が造られていくのではないかと考えております。
  193. 吉川春子

    吉川春子君 終わります。
  194. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上です。  公団としての問題認識について総裁にお伺いをいたしますが、公団当事者からお伺いするのはひょっとしたら筋違いかもしれませんが、これまでいろんな方、場所、さらには委員会等において公団問題が指摘されましたが、公団としてどのような問題認識を持っておられるのか、お尋ねいたします。
  195. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 従来の公団事業に対しまして、プール制の下で償還期限を先送りしてきたとか、あるいは経営努力が業績に反映されず、建設・管理コストの削減努力が不十分であったとか、あるいはいわゆるファミリー企業の存在が不明朗で不透明であるとか、いろいろな御批判や御指摘があったことは、私自身十分に認識をしております。今回の民営化は、これらの課題を踏まえまして、公団業務の在り方を抜本的に見直すために民営化という抜本的な改革に取り組まれたものである、そのように理解をしているところでございます。  したがいまして、我々といたしましては、今後、これらの目的を達成するために最大限の努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  196. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 公団民営化について再び総裁にお伺いいたしますが、さきの委員会において、私はなぜ公団民営化するのかという問いをいたしましたところ、国土交通省は、公団では改革できないという答えをいただきました。  当事者である道路公団といたしましては、公団では改革できないという答えに対してどのように考えられるか、お尋ねをいたします。また、民営化すれば指摘された問題が解決できると思うか、併せてお尋ねをいたします。
  197. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 民営化目的は、大きく分けまして三つほどあるのではないか、そのように私は理解をしているところでございます。  一つが有利子負債、日本道路公団につきましては約二十八兆円でございますが、これをこれ以上増やさない、そしてしっかりと返していくための道筋を立てる、これが第一でございます。  第二が、ネットワークの充実に向けました新規高速道路建設につきましては、会社自主性を最大限尊重しつつ、できるだけ少ない国民負担で造っていく、これが二番目でございます。  三番目に、効率性を最大限追求して、高コスト体質からの脱却あるいは生産性の向上が可能となるようにすること、これが第三であります。  今回の民営化という抜本的な改革によりましてこれらの目的が達せられまして、高速道路の新設あるいは改築、維持、修繕、その他の管理を効率的に行うことができるようになるように私どもも最大限の努力を図ってまいりたい。そして、もって国民経済の健全な発展と国民生活向上に寄与してまいるべきだと、そのように考えております。
  198. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 高速道路の無料化について総裁にお伺いいたしますが、法案では、四十五年後には高速道路無料化、無料開放するようになっております。その後の保守管理費用については道路管理者が負うということが国交省の答えでございました。  受益者からの料金収入を生み、大きな社会的資産となっている高速道路を無料開放する意義が本当にあるのかと思いますが、公団のお考えはいかがでございましょうか。
  199. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 今回の道路整備特別措置法の改正案におきまして、機構に帰属した資産は、料金の徴収期間満了の期におきまして道路管理者たる国に移管をされると、そのようになっております。  なお、債務完済後も、高速道路の管理は引き続き必要となるわけでございます。新会社といたしましては、これに貢献できることがあればもちろん貢献させていただくことも考えられるんではないかと、そのように思っております。
  200. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 総裁、どうぞ、私はもうこれ質問終わりましたから、お引取りください。  次に、ファミリー企業の改革についてお伺いをいたします。  道路公団の問題は、四十兆の債務返済問題だけではなく、ファミリー企業の存在も指摘されていますが、ファミリー企業の改革はどのように考えられておりますか。
  201. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 昨年三月の、道路関係の四公団民営化に関しまして直ちに取り組む事項、この中で、公団と発注先との関係の透明化、コスト削減、利用者還元の充実を図る、こういう観点から、ファミリー企業の問題についての改革を取り組んできたところでございます。  具体的には、公団のまずOBの社長、ファミリー企業におけますOBの社長、これを、それまで九十七人おられたものを四十二人に、約五七%に削減。それから、四百七十四人おられた公団OB役員、これを二百二十七人ということで、五二%の削減。いずれも半分以上の削減、五割以上の削減、こういう形でやってきているところでございます。  さらに、発注費の削減、こういう形で、平成十五年度末には、前年度の予算額比で約三百四十八億円、約一五・六%、ファミリー企業に対する発注が減っていると、こういう状況であります。また、剰余金の還元、こういうことで、身障者ドライバーのETC装着促進のための助成費へファミリー企業が合計で十億円拠出、こういう形でございました。  さらに、これからという議論も含めて考えますと、民営化後におきましては、従来のように、資本関係もないままに人的あるいは取引的な関係のみに基づく子会社、こういう形の関係を清算して、三つに分けて検討しようと。一つは、真に必要なもの、これにつきましては新会社が自ら行う、こういう内容が一つあるだろうと。二つ目には、出資を行った上で、連結経営の考え方に基づきまして経営の効率化を図る、こういうグループ。三つ目に、人的、取引的関係は一掃しまして、完全な競争市場。こういうことで、三通りのグループ分けをして考えていくということが重要な問題だろうというふうに考えております。  それからまた、衆議院の国土交通委員会におきましても、この本法案採決に当たりまして、附帯決議におきまして、情報公開法に準じてその経営状況や財務状況等について積極的に情報の開示を行う、こういうことを付けていただいていますので、これを十分に尊重する必要がある、こういうことだと思っております。  このような観点から、新会社とファミリー企業との関係の透明化、透明性の確保、これに努めるよう今後とも指導してまいりたいと思っております。
  202. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、管理コスト削減についてお伺いをいたします。  債務返済のための取組といたしまして、新規建設コストや管理コストを削減することが前提となっていますが、高速道路における自動車の走行安全を確保することは大変重要なことであると考えています。  特に、管理費の削減についてお伺いいたしますが、債務返済の前提条件に管理費削減、管理費の三割削減をうたわれていますが、どの部分をどのように削減しようとしているのか、お伺いいたします。
  203. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 管理費の削減のお尋ねでございました。  平成十五年三月二十五日に、道路関係の四公団が策定、公表いたしましたコストの削減計画におきましては、管理費につきまして、具体的な内容としては、例えば料金収受業務等の管理業務の人件費あるいは間接費のカット、あるいはまた路面や各種施設の清掃頻度の見直しであるとか、あるいは事務経費、宿舎費、本社借り上げ費のカットと、こうした形で平成十七年度までに四公団の合計で総額二千百億円、縮減率が二四・五%この縮減を目標とするというふうにしたところであります。  その後、平成十五年の十二月二十二日に、さらに管理費につきまして新しい契約方式の採用であるとか、あるいは新しい技術開発によりまして、一層の業務の合理化、効率化、これを進めるということで、さらに平成十七年度までにおおむね三割のコスト縮減を図ると、こうされたところでございます。
  204. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 民営化による国民のメリットについてお伺いをいたします。  道路公団民営化によって国民はどのようなメリットを享受することができるのか、お伺いいたします。
  205. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 今般の民営化に当たりましては、民間ノウハウの発揮によりまして、多様で弾力的な料金設定、それからサービスエリアを始めとする道路資産や関連情報を活用した多様なサービス提供、こうしたことで利用者が様々なメリットを享受できるように工夫する必要があると思います。  そういう意味で、民営化の基本的枠組みにおきまして、民営化までにETCの活用によって各種割引により弾力的な料金導入する。特に高速国道料金民営化までに平均で一割程度の引下げに加えまして、別納割引の廃止を踏まえた更なる引下げを図る。  そして、会社の方は、道路料金収入から利潤を上げないものの、サービスエリア等を保有して、それを活用した関連事業、これから利潤を確保し、そういう形で今度、会社としてはこのサービスエリアの利用拡大、こういうために道路利用者の確保は不可欠でありますので、料金を引き下げるというような努力もするでありましょうし、それから利用者の拡大のためにはサービスエリアなどや沿道開発などの魅力向上が効果を持つと、こういうことでございますから、関連事業の活性化にも努力すると。  こうした形で道路事業と関連事業が相互にフィードバックしましていい循環を作っていく、こういうことが大事なことだというふうに思っておりますし、またそういう努力をしていただくことができるだろうというふうに考えております。
  206. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、責任の所在の問題についてお伺いをいたしますが、民間である新会社建設不要と判断をした場合であっても、社会資本整備審議会の判断で道路建設が可能となりますが、社会資本整備審議会の判断において建設が進められたことにより新会社建設不要と判断をした内容どおりの結果となった場合はどこが責任を取られるのか、その負担はだれが負うことになるのか、お伺いいたします。
  207. 林幹雄

    ○副大臣(林幹雄君) 会社の実質的拒否権の指摘だと思いますけれども、まず手続の整理をいたしますと、仕掛かり中路線の取扱につきましては、まず会社建設費、管理費、会社料金収受などを基に事業性について十分これを検討すると。この検討結果に基づきまして、国と会社が協議をする。その結果、協議が調わない場合、国は他の会社と協議することができるとされておりまして、その会社との協議が調わない場合、国は社会資本整備審議会の意見を聴くと。  その結果、正当な理由があると認められた場合には国土交通大臣はその区間整備会社に行わせることはできないとされているわけでございまして、会社の拒否理由及び審議会の意見はすべてこれを公表するということになっておりまして、会社の申出の正当性につきましてはこのように十分な検討が行われるものと考えます。  また、国と会社が協議する際には、債務の確実な返済が可能かどうかにつきまして国としても十分なチェックを行います。したがって、例えば債務返済ができなくなるような路線の整備を国が会社に強要することはないというふうに考えています。  なお、大幅な金利上昇あるいは大災害など、予想を超える不測の事態が生じた場合には適時適切に必要な事業の見直しを行うなどして柔軟に対処することにしておるところでございます。
  208. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 そこはそこでこれから先の問題になりますから、またお伺いすることにいたしましょう。  最後になりますけれども、税の優遇措置についてお尋ねをいたしますが、公団民営化後の新会社に対する税の優遇措置はどのようなものがなされるのか、措置の内容を含めてお尋ねをいたします。
  209. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 新会社につきましては、民営化された法人として他の特殊会社と同様に基本的には課税される、こういうことだと認識しております。  しかしながら、新会社は、国民共有の財産である高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を一体的かつ効率的に行う法人として設立される、しかも機構がそれを保有すると、こういう形でございますので、固定資産税あるいは不動産取得税については従来と同様に非課税措置が設けられていると、高速道路本体につきましてはですね。そして、各公団から承継する資産についての特例としては、新会社設立時における登録免許税あるいは不動産取得税などにつきましても他の特殊会社化された法人と同様に非課税とされると、こういうことになろうかと思います。
  210. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今言われたことで、それ以上のものはありませんね。
  211. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) もう少しそれでは詳しく申し上げますと、事業所税、今申し上げたのは登録免許税と不動産取得税でございましたが、この税制の特例といたしまして、地価税、用途非課税の継続と、こういうことでありますが、それと事業所税、これ本来、事業事業所の非課税、それから不動産取得税については今申し上げました。  固定資産税につきましては、この本体の部分は非課税になると、道路の本体及び駐車場等も御議論あるところでございますが、道路の、事業用の資産と、こういう形で非課税というふうに、これは政令でまた具体的には定めていただくわけでございますが。そんなことで、あと都市計画税も申し上げましたでしょうか、都市計画税、これが有料道路事業に係る保有固定資産についての非課税、こういうことでございます。
  212. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  213. 輿石東

    委員長輿石東君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四分散会      ─────・─────    〔参照〕    仙台地方公聴会速記録  期日 平成十六年五月二十四日(月曜日)  場所 仙台市 ホテル仙台プラザ    派遣委員     団長 委員長      輿石  東君        理 事      岩城 光英君        理 事      池口 修次君        理 事      森本 晃司君                 沓掛 哲男君                 藤野 公孝君                 櫻井  充君                 富樫 練三君    公述人        相馬市長     立谷 秀清君        社団法人東北経        済連合会副会長        ・専務理事    芳賀 滋彌君        道路公害反対運        動全国連絡会事        務局長      橋本 良仁君     ─────────────    〔午後一時開会〕
  214. 輿石東

    ○団長(輿石東君) ただいまから参議院国土交通委員会仙台地方公聴会を開会いたします。  私は、本日の会議を主宰いたします国土交通委員長輿石東でございます。よろしくお願い申し上げます。  まず、本日の地方公聴会に参加しております委員を紹介させていただきます。  自由民主党所属の岩城光英理事でございます。  民主党・新緑風会所属の池口修次理事でございます。  公明党所属の森本晃司理事でございます。  自由民主党所属の沓掛哲男委員でございます。  同じく、自由民主党所属の藤野公孝委員でございます。  民主党・新緑風会所属の櫻井充委員でございます。  日本共産党所属の富樫練委員でございます。  以上の七名でございます。  参議院国土交通委員会におきましては、現在、高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案、以上四案について審査を行っておりますが、本日は、この四案について関心をお持ちの皆様方から貴重な御意見を賜るため、当地仙台市において地方公聴会を開会することにいたしました。何とぞ格段の御協力をお願い申し上げます。  次に、公述人方々を御紹介申し上げます。  相馬市長の立谷秀清公述人でございます。  社団法人東北経済連合会副会長・専務理事の芳賀滋彌公述人でございます。  道路公害反対運動全国連絡会事務局長の橋本良仁公述人でございます。  以上の三名の方々でございます。  この際、公述人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  皆様方には、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は、四案について皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の委員会審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、立谷公述人、芳賀公述人、橋本公述人の順序でお一人十五分程度で御意見をお述べいただいた後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず立谷公述人から御意見をお述べいただきたいと存じます。立谷公述人
  215. 立谷秀清

    公述人(立谷秀清君) 御指名いただきました福島県相馬市長の立谷と申します。  私は、地方の小都市の市長としてこの高速道路の問題についていろいろとかかわってまいりましたけれども、本席にこのように意見を陳述する機会を与えていただきましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。そしてまた、私どものような地方の小都市が、高速交通ネットワークという社会的なインフラを完成していただくことによって、私ども地方がより元気になる、より暮らしやすい地域になると、そのような思いでいろいろと活動してきたわけでございますけれども、そのことを踏まえまして、今回、皆様方の議題になっておりますこの法案について若干の意見を述べさせていただきたいと思います。  この二年間でありますけれども民営化推進委員会議論の中で、国民生活向上と日本の健全な発展のために道路の果たす役割、あるいは費用負担、さらには債務の問題がいろいろ議論されてきたと考えております。今回の法案につきましては、これらの諸問題を解決する一つの手段として方向性を示したものと私は考えております。  理念のとおりにこの法案が成立しまして施行されることになれば、私はそれなりの大きな国民生活に対する効果が出てくるのではないかと、そのように考えているわけでございますが、まず新会社設立の理念でございますけれども、一番注目すべきは、国民経済の健全な発展、あるいは国民生活向上のために民営化するんだということでございます。これは、ここ二年間のいろいろな立場の方々の共通する認識ではなかったのかなと思うわけでありますけれども、そのことと、それからもう一つは、機構の設置目的国民負担の軽減を図るということになってございます。  この三つの課題を実践するに当たりまして、実際には民営化された新会社建設、管理、運営に当たるということでございますけれども民営化することによって企業論理が導入されまして、そのことによってしっかりと働いていただけるシステムが整うのではないかということを期待しております。  この高速道路でございますけれども、私ども地方にとりましては、地域振興にとって極めて有効な手段でございます。しかしながら、建設費用に見合った効果が果たして得られるのかということは、これは大分議論されてきたようであります。また、そのことが大きなポイントではないかと思います。  私自身、無駄な道路は造らないという考え方には極めて賛成でございますけれども、その無駄という定義が、これも新会社の営業努力あるいは企業努力によってまた変わってくるのではないかと。費用対効果と申しますけれども、効果に対してどのぐらい費用が掛かるかというところで無駄という考え方が出てくるわけでありますから、費用をできるだけ下げることができれば、どこまでが無駄なんだという考え方も若干変わってくるのではなかろうかと。そういった意味では、新会社コスト削減等の企業努力に対する期待が極めて大きくなってくるのではないか。私は、しっかりと働いてくれればいい結果が出てくるのではないかというふうに考えておりますし、今回の法案はそのしっかりと働いてもらうための仕組みではないのかなというふうに考えております。  しかしながら、私ども地方に住んでおりまして、この高速道路の効果を考えた場合、これを料金収入のみで判断することが果たして適切かということを考えた場合、新会社の設立の目的にございますように、国民生活向上ということが大きな課題でございますから、したがいまして、地方を含めた国民生活向上、つまり私ども地方は、この料金収入等々の問題で考えた場合、やはり首都圏のような人口集積の非常に進んでいるところに比べまして料金収入という意味では極めて弱いところでございます。  しかし、そのような地域であればこそ、あるいはそのような地域であるからこそ、森があり、自然があり、川があり、この日本という国を静かでありますけれども土台から支えている、いわゆる地方のすばらしい自然環境と共存して私ども地方の住人は暮らしているわけでございますから、その地方の住人が、地方国民が、今非常に国際間競争の厳しい時代というふうになっておりますけれども、この厳しい時代の中でも、やはり森の自然を守る、日本の地方の自然を守るという役割を我々は果たしていかなきゃいけないわけでありますから、そのような意味も含めて、これは道路の問題だけでなくて、私、昨今の三位一体改革を始めとする税制の問題にも抵触してくるんではないかと思うんですけれども、この際、やはり地方の役割、地方の置かれている立場、そして地方の将来性というものをこの際、高速道路議論と一緒になって、新会社になった後も考えていただきたいと。それらのことを進めていく上で、私は、この新会社設立の目的というものがきちんと機能すれば非常に理にかなったものになるのではないかと期待している一人でございます。  皆さんのところにお示ししましたこのレジュメに従ってしゃべっていきたいと思いますけれども道路の、特に高速道路の問題を議論するに当たって、地方と首都圏の、対立軸とまでは申しませんけれども、その機能分担というのは避けて通れない問題なのではないかと常日ごろ考えているわけでございますけれども、私どもは、東北でございますけれども、東北のそれぞれの小都市、それぞれの地域がお互いに連携することによって、それぞれの特徴を生かしてそれぞれが地域の発展を遂げるようにこの有機的な連携ということを図っていくことがこれからの大きな課題ではないかと思っております。  そういった意味で、このネットワークの形成、高速道路による地域間のネットワークの形成ということが非常に大きな課題ではないかと思うわけでありますけれども、それでも若干弱いところがあるかもしれません。  しかしながら、地方には地方の大きな役割がございまして、私の相馬市は福島県でありますけれども、例えば東京という首都圏を考えた場合、日本の顔として大変立派な都会でございますけれども、しからば東京だけでやっていけるのかということを考えた場合、やはりこの集落の周辺に田んぼ、裏山があるように、東京の周辺には私どものような、福島県のような、どちらかというとローカルな地方として都会を支える地域がないと東京も日本もやっていけないんではないか。  私どもの福島県は、例えば首都圏に対して農産物を供給しております。それから電力も供給しております。さらに、都会の方々にとって非常に貴重なものだと思いますけれども、豊かな自然というものを提供している。さらには、これはとても大事なことだと思うんですけれども、東京のお母さんたちは子供を産まないですね。合計特殊出生率と申しまして、これは一人の女性が平均したら何人の子供を産むかという推測値でございますけれども、これは一・〇〇でございます。福島県はそれが一・六〇。福島県のお母さんたちが子供を産むというから偉いというわけではありませんけれども、少なくても子供を産んで育てようという、そういうある意味では日本古来の健全な風土を残した地域でございますから、東京の経済性と我々地域の、地方の果たす役割をうまくミックスさせることによってこの国が、この日本という国が健全に成長できるんではないかと、そんなふうに考えているわけでございます。  続きまして、ネットワークについて若干お話をさせていただきたいと思いますけれども、私の福島県相馬市は福島県の北端にございます。福島県は非常に広大な県土を持つ県なんでありますけれども、昨今問題になってございます小児科医療の問題、このことについてお話をさせていただきたいと思うんですけれども、福島県の私は相馬地方というところなんですが、相馬双葉地方という大体細長い六、七十キロの生活圏がございまして、その生活圏の一番端っこの相馬市に小児集中治療室がございます。したがいまして、未熟児とか条件の悪い子供さんが生まれた場合には、私どもの相馬市が経営する病院に連れてくるわけでございますけれども、これが高速道路がないために時間が掛かってその治療効果がなかなかうまくいかない。遠いところですと、救急車で走っても一時間以上掛かるわけです。  未熟児というのは、やはり早期治療、特に保育器に早く収容してそれなりの対応をするということが極めて重要でございますから、先ほど福島県の合計特殊出生率が高いという話を申し上げましたけれども、周産期死亡率という指標がございまして、この周産期死亡率というのは産前産後の死亡率をいうんですけれども、民度を図る一つの大きな指標と言われております。出生千人に対して全国平均が五・八人、日本は世界有数の立派な数字を持っているんですけれども、福島県は県土が広い分若干不利でございまして、六・九人でございます。さらに、私どもの相馬双葉地方は八・一人でございます。もしも高速道路があって早く救急車が到達することができれば、せっかく子供をたくさん産むわけでありますから、私はこれらの状況について大きな改善が見られるんではないかと。  それは私ども地方自治体に携わる者としての住民福祉の向上ということにつながりますし、あるいは今後の少子高齢化対策の一つの大きな課題ではなかろうかというふうに考えてございますので、先ほど来申し上げておりますように、この新会社の設立が、国民経済の発展ということももちろんでございますけれども国民生活向上ということを目途とするものであれば、私は、今の私ども地方状況考えた場合、できるだけ頑張っていただいて、早急にできるだけ早く造れるような、そのようなスキームであっていただきたいなということをお願いするわけでございます。  それともう一点でございますけれども、実は私は医者でございまして、二年前までは現役の内科医でございました。救急医療にも従事しておりましたし、あるいは介護保険という制度の中で往診もしておりました。五十軒ほど往診先を持っていたわけでありますけれども、そのような中で、今地方で何が困るかと申しますと、この介護力という言葉があるんですが、お年寄りを介護するときに介護の担い手になる若い人がいないんですね。これは、高齢化率が高い、さっき私は合計特殊出生率が高いと言いましたけれども、育った子供たちは地域に職がないから、職業がないから東京に行ってしまうんですね。その結果、老老介護という言葉を皆さん御存じだと思いますけれども、おばあちゃんがおじいちゃんを介護すると、そのような事態が起こっております。それで実際、介護計画というものを作った経験が何度かあるんですが、自分の地域に身内がいるかどうか、子供や孫がいるかどうか、そのことによって福祉は大きく変わってきます。  私は、福祉を向上させることだけが地域の役割ではないと思いますけれども、福祉を支えるものは何かということを考えたときに、それは福祉のビジネスでは決してなくて、やはり日本古来のおじいちゃんの面倒をお母さんが見る、孫も手伝う、そのような日本の儒教的な美徳とでも申しますか、そういう家族制度を、家族の中の愛情というものをこれからの時代も我々は大事にしていかなきゃいけないんじゃないかと思っているわけです。そのことを、往診をしながら非常に強く感じてきたわけでございますけれども、ところがその若い方々地域での職場をどうやって確保するか。  私は、地域振興という言葉があるとしたら、それは、地域振興の裏返しは一つは雇用創出ではないかと。特に若い方々にとっての雇用を創出することによって地域に子供や孫たちが定着してくれないか。ちょっとここに書きましたけれども、子供や孫たちと一緒に住める以上の福祉はないんじゃないかと。これは私が今まで医療に携わってきて、介護保険に携わってきた率直な感想でございます。  その地域振興を図るために、これいろんな問題がございますし、いろんな課題がございますけれども、我々地方の小都市といたしましては、まず一つコスト倒れになるような無駄な投資はしたくない、これございます。しかしながら、できれば、先ほど申しましたけれども、お互いの地方の小都市が高速交通ネットワークで結ばれることによってお互いの社会資本を共有することができないかと。さらに、高速道路、あるいは自動車専用道路でもいいんですが、そのような交通の利便性ということを用いた上で企業誘致等々の雇用創出が図れないか。  数年前ですけれども、これからの時代の雇用は福祉と情報通信だというふうに言われていました。情報通信は確かに当たりましたけれども、私は、福祉が、特に老人福祉が地域の基幹産業であってはいけないと思います。スウェーデンの国民負担率は七六%といいますけれども、日本は三五、六%でしょうか。高福祉高負担という社会が果たしていいかというふうに考えますと、私は、老人が多いから、老人が大変だから、介護も大変だから老人ホームを数多く造ればいいんだと、老人保健施設をたくさん造ればいいんだと。そのことによってみんなが安心だし、そこでの雇用が生まれるんだという考えが果たして適切かと申しますと、私はそれは違うんではないかと。やはり、福祉社会というのは、正常な産業基盤の上に乗っかっているんでないかと。  そのことを考えたときに、我々地方の小都市もしっかりとした産業基盤の構築を図って、よって地域振興、すなわち雇用創出を図って、我々の先輩であるおじいちゃん、おばあちゃんを支えられるような、そういう地域にしていかなくてはならないんでないかと。そういうことを、往診をし出しながら、往診をして市長になりながら、毎日そんなことを考えております。  そのための有効な手段が、私は、道路のインフラではないかと、高速交通体系ではないかというふうに考えるわけでありますけれども、その実現のために今回お示しいただいております法案の精神が十分に生かせるんであれば、必要な道路をできるだけ早く造るという、そして低コスト運営して国民負担を軽減していくんだという、そのことが実現できるんであれば、もっと言えば新会社にしっかりと働いていただけるシステムであれば、私は心から賛成したいと、そのように考えております。  以上です。  ありがとうございました。
  216. 輿石東

    ○団長(輿石東君) ありがとうございました。  次に、芳賀公述人お願いいたします。芳賀公述人
  217. 芳賀滋彌

    公述人(芳賀滋彌君) 東北経済連合会の芳賀でございます。  発言の機会を賜りまして、誠にありがとうございます。  私から、地方経済の立場から意見を述べさしていただきたいと存じます。  東北地方は、明治維新以降、近代工業化の波に乗り遅れ、生産性や所得水準が全国平均よりも低いという形で推移しまして、東北は自らの個性を伸ばしていくということよりも、ひたすら中央へのキャッチアップを急ぐ軌跡をたどってまいりました。  二十世紀の後半から急速な経済成長を遂げた我が国は、その代償として、東京への過度の一極集中と、一方では地方の過疎問題や自然環境の破壊、ゆとりの喪失など様々な弊害をもたらしました。しかし、大量生産、大量消費、大量廃棄といった物質文明の限界が見え始めた中で、地球環境問題の重要性や心の豊かさを求める価値観が重視されるなど、東北を取り巻く状況は大きく変わりつつございます。  東北地方は国土の約二一%を占める広大な面積を有しており、都市間距離も長く、地形的、気象的な要因などによりまして地域相互の連携や交流が疎外されている状況にございます。  また、東北地方は少子化が進む一方、老年人口は急激に増加しておりまして、今後、全国を上回る少子高齢化の進展と人口減少が予想される中で、経済社会の活力低下が懸念されているところでございます。  しかしながら、東北地方は我が国の食糧基地、エネルギー基地として国を支えているとともに、豊かな緑や水資源など優れた自然を有し、さらに地域固有の歴史や風土に根差した個性的、伝統的な文化を色濃く残しております。東北は、これらの地域資源を活用し、地域連携、交流を深めることによりまして、環境と共生した自立的な発展が可能な地域であると考えております。  また、東北大学に代表される先端科学技術の集積を有しておりまして、近年、電気機械などの先端産業の立地が進展しておりますけれども、そのほか、最近成長著しい北東アジアとの地理的な近接性や経済的補完性を生かした交流拡大が期待されております。  これらの様々なポテンシャルを生かし、魅力と活力にあふれた東北を創造していくために、東北経済連合会では二〇〇〇年五月に東北新世紀ビジョン「ほくと七星構想」というものを策定いたしております。  この中で、二十一世紀の東北が目指すべき将来像といたしまして、第一に、自らの歴史、文化を再認識し、子供や高齢者が安心して暮らせるゆとりと美しさに満ちた暮らしやすい東北、第二に、中央依存から脱却し、既存産業の再生やベンチャー企業など新たな技術や産業を生み出す力強い東北、第三に、人、物、情報、文化が地球規模で活発に交流し、世界に発信する東北を掲げまして、自立する東北広域連携圏の形成を目指しておるところでございます。  この将来像を実現するためには、地域主権による分権社会の構築、行政の枠組みを超えた広域連携とともに、地域の自立と連携を支える基礎的社会資本の整備が必要であり、中でも高速道路新幹線を始めとする高速交通ネットワークが不可欠であると言っても過言ではありません。  さて、東北地方は、先ほど申し上げましたように、広大な地域である上に都市が点在しているため、平均都市間距離は全国平均の一・四倍でございまして、このため、時間コストや輸送コストのロスが大きな課題であります。また、東北地方は旅客・貨物輸送の自動車への依存割合が九五%と極めて高く、物流の効率化などによる輸送費の削減が必要な状況にございます。  こうした中で、産業経済の発展を支え、東北地方が今後生き残っていくためには、まず高速道路ネットワーク整備を急ぐ必要があり、高速化により距離を克服することが必要であります。また、産業面におきましても、近年、高速道路の沿線やインターチェンジ周辺には新たな企業の立地が進み、商業施設等の集積も見られるようになってきております。  高速道路ネットワーク整備は、こうした物流や産業立地のみならず、人的交流面におきましても大きな変化をもたらしてきております。日常の通勤通学圏の拡大とともに、業務の活動範囲の広域化に伴いまして新しいビジネスチャンスも生まれてきております。  東北地方における高速バス利用客は、平成二年には百四十二万人でございましたが、平成十三年には三百七十四万人と二・六倍になっておりまして、高速バス利用客の著しい増加が見られます。また、高速道路を利用することによりまして、仙台からの日帰り圏域も大幅に拡大してきております。こうしたことは観光の面でも見られまして、高速道路整備された沿線の地域では、観光地への入り込み客数が増加してきております。  現在、国は観光立国の樹立に向けまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンを展開するなど積極的に取り組んでおられますが、東北は観光ポテンシャルが極めて高く、高速道路ネットワーク整備により、東北観光の広域化と地域間競争力を高めることが期待されます。  このように、高速道路整備により、地域間交流が活発化し、交流人口も増加し、広域連携が強化されるなど、その整備効果は絶大なものがございます。  さて、東北における高速道路整備の現状を見ますと、整備率は六〇%とまだ十分とは言えない状況にあります。  私どもが実施しました高速道路に関する会員アンケート調査によりますと、東北の整備の現状について、十分とは言えないが七一%、非常に後れているが二二%、合わせまして九三%に上りまして、大多数の会員が整備の促進を強く望んでおります。  具体的に申しますと、東北縦貫道はおかげさまで全通しておりますが、残りの常磐道や三陸道、日本海沿岸東北自動車道、東北中央道といった幹となるべき縦軸のネットワークができていないのが現状であります。一方、横軸についてはかなり整備が進められてはきておりますが、特に内陸と太平洋側を結ぶ路線の整備が大変後れているのが現状であります。  今後、グローバル化が進む中で、特に成長著しい北東アジア経済圏の形成を展望した場合、日本海沿岸東北自動車道の建設促進はもとより、日本海側と内陸部を経て太平洋側に結ぶ横軸のネットワークの整備が重要であります。また、国際港湾、国際空港への高速道路のアクセス強化も不可欠であります。  御高承のとおり、高速道路はネットワーク化が完成して初めてその効果が十分に発揮されるものであります。その意味で、東北の縦と横のネットワークができて初めて東北地域の自立発展の基盤が形成され、国内における地域間競争に打ちかち、ひいては我が国の国際競争力の強化にも貢献するものと確信いたしております。  東北経済連合会では、日本海沿岸東北自動車道の沿線四県の官民と一体となりまして、平成十一年から毎年、日沿道の建設促進フォーラムを開催いたしまして、地元の声を中央に反映する努力をいたしております。  さて、東北地方は、急峻な地形や峠道が多く、道路災害の危険性を抱えているほか、地震源を多く有しております。宮城県沖地震などの大規模地震や津波、水害などの災害も受けやすく、また、地域の八割以上が豪雪地帯となっていることから、冬期間通行不能区間も多く、地域間交通や日常生活に大きな影響を与えております。  昨年、宮城県北部地震が発生した折、国道が大きな被害を受けまして交通障害が起こりましたが、緊急輸送路として三陸道が利用され、対応が迅速に行われたということがございました。こうした災害時の代替となる道路、そして雪に強く信頼性の高い高速道路ネットワークの一刻も早い整備が求められるところであります。  さらに、地域住民の生命、命を守り、安全、安心の観点から、救急医療体制の強化に高速道路の果たす役割がますます大きくなってきております。  東北地方における高度な救急医療サービスを一時間以内に受けられる地域の人口は現在約七割でございますが、もし高速道路整備されますと、それが約九割に達する見込みとなっております。  以上、申し上げましたように、住民生活や産業経済のこれらの諸課題を克服し、東北の自立的な発展の基盤となる高速道路計画どおり着実に一日も早く整備されるよう、地域全体が期待しております。  最後になりますが、今般、道路関係公団民営化法案が審議されているところでございますが、東北地方といたしましては、地域の発展に不可欠な高速道路については、民営化される会社による整備とともに、新直轄方式による整備活用しまして、効率的に早く整備が図られますよう要望いたしまして、私の発言を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  218. 輿石東

    ○団長(輿石東君) ありがとうございました。  次に、橋本公述人お願いいたします。橋本公述人
  219. 橋本良仁

    公述人(橋本良仁君) 道路公害反対運動全国連絡会の橋本でございます。今日お呼びいただきまして、ありがとうございます。  私は、この略歴から、道路問題の専門家というわけではございません。それから、私の特徴としましては、今いろいろ経済の問題だとかいろいろ出ましたけれども、むしろ私自身は、全国のいろんなところで造られている、特に大型の高規格幹線道路が多いんですけれども、それも都市部の中でのいろんな問題が現実に起こっております。環境破壊の問題だとか、それから自然破壊の問題などが大変重要です。  そういった問題を、日々私のところへいろんな情報が寄せられておるものですから、そういうようなことから分析して、今度の公団民営化法案に関しては、当初の民営化推進委員会が発足したときから既に関心も持っておりましたけれども、私自身がこういった運動に二十年間取り組んでいるという、そういう経験からも今度の法案に関しては大変な関心を持っておりました。  それで、私はここでまず申し上げたいことは、今度の公団民営化法案が出てきたその背景というのは何なんだろうかということでございます。つまり、小泉総理が首相になったときに、私たちは、どういうことを小泉さんが言い、私たちは何を期待したかということでございます。行財政改革の中で目玉となるべき無駄なもう道路は造らないと、そしてこれからはその見直しをするんだということだったんじゃないかと思います。  私も出身が北海道ですから、こういうところに来ると大変ほっとするんですけれども、大変、例えば北海道なんかも、同期の学生仲間が今、道の幹部もやっていますけれども、話を伺うと、経済が大変だというような話もよく伺うし、実際に今の公述されたお二人の御意見も、私も大変感じるところがございます。  そして、東京に、特に首都圏に一極集中してきたこれまでの道路行政の在り方、経済の在り方に対しては大変な疑問を持って、むしろこういったものが全部いろんな形でこの道路の問題に問題点として出てきているんじゃないかというふうに思います。とりわけ、すべての経済から政治から大学まで東京、首都圏に一極集中していると。こういった今までの日本の国土形成の在り方というのは、私は大変間違いだったというふうに思います。これを私たちは是正していかないといけないんじゃないかというふうにまず思います。  そして、この公団民営化の問題で国民が一番望んでいるのは何なんだろうかというふうに考えます。最大の関心事は、私は次の三点ではないかと思います。  まず一つは、先ほども申し上げましたけれども、無駄な道路建設がストップされるのかどうかということです。もちろん、無駄かどうかということを測る尺度というのは大変重要です。  次に、二点目は、四十兆円にも及ぶような公団債務が本当に返済されるんだろうかと。その返済の仕方も、国民の税金を投入することなく、国民負担のしない方法、そして高速道路の利用料金ども上げないで果たして実現できるんだろうかどうかと、この点であります。その保証が今度の法案の中にあるんだろうかということです。  そして、三点目、これは大変国民も憤りを感じているんですけれども、政官財の癒着の構造と言われますけれども、そういったもの。それから、公団のファミリー企業というようなところのぼろもうけが四公団民営化推進委員会の中でも明らかにされましたけれども、こういったものが正されていくんだろうかどうかと、この点であります。  こういうことから申し上げますと、率直に申し上げて、今度の民営化法案を見る限りでは、少なくとも衆議院を通過した案を見る限りではこういったものが私は担保されていないというふうに思っております。  時間が十五分しかありませんので、大事な点だけを述べたいと思います。  まず一番、私は、今の日本の国民の様々な調査による国民世論というのはどういうところにあるのか。  一番、私が今一つ手元に持っておりますのは政府の調査でございます。内閣府の調査ですけれども道路に関する世論調査というのが今手元にあります。一九九一年から二〇〇一年、およそこの十年間の間にどうなっているかということを申し上げますと、高速道路の拡充はもう必要ないというのが急増しているということが分かります。これは九一年でいうと、必要があるという四六%から二〇〇一年では三六%に落ちております。逆に、必要がないというのは三〇%から四六%に増えているわけです、これは内閣府の調査ですけれども。朝日新聞の昨年度の調査によりますと、もうこれ以上高速道路は必要ないじゃないかという意見はおよそ七割にも達しております。しかし現実は、総論では国民はもう高速道路はいいじゃないかと言っておりますけれども地域のいろんな問題を考えますとなかなか難しい問題がある、これは先ほどの陳述の私はとおりだと思います。  では、これをどうしていくかということが問題なんです。そういう点では、基本的な考え方からいいますと、まず、国土交通省の社会資本整備審議会というのがございますけれども、これは大体道路建設の基本的な考え方を提言するところです。その二年前の八月に提言した「今、転換のとき」というのが、私の今手元に持ってきました。これはこのように言っております。  財政制約や更新投資の増大というのが新規投資を制約する要因ともなる、今後は既存道路ストックの有効活用を十分に検討した上で適切に更新、改良していくことが必要である。  そして、基本的な考え方としましては、戦後一貫した着実な整備の結果、国土を縦貫する高速道路はほぼでき上がって、国道のほぼ一〇〇%は舗装された、九〇%が大型車の擦れ違いができる程度まで改良されている、こういうことから、一定の量的ストックは形成されたというふうに基本的な考え方を述べております。  「今、転換のとき」というのは、正に私はこの公団民営化法案に反映されるべき問題であるというふうに認識しております。  ただ、私は、先ほどから申し上げていますけれども地域経済の自立であるとか、とりわけ生活弱者と言われる子供さんやお年寄り、こういった方々への配慮に、そこに道路の問題も考えていくべきではないかというふうに考えております。  新直轄方式なる、税金を、国の税金と地方の税金を投入するようなこういうやり方、国幹会議で昨年決まった、二兆四千億もの投入を決めた、こういったようなことから何が起こってくるだろうかと。私は、高規格幹線道路、とりわけ国幹道、高速道路には大変重視するけれども、いわゆる一般の国道、そして生活道路、又はバリアフリーとか、そういったところにはお金は回っていかないんじゃないかというふうに危惧しております。  そして、今無駄な道路というふうに申し上げましたけれども、いろいろ国会の審議の議事録なんかも読ませてもらいましたけれども政府の方でも大分見直しはしているんだというふうに答弁があるのも私は存じ上げておりますけれども、果たして残りの二千キロというものの本当に見直しがされるんだろうかと。私は、このままでいくと、造れるところは民営化会社が造り、つまり、財政的な保証があるのは民営化会社が造り、その保証のないところは税金を投入する、こういったことですから、とどのつまりは、九千三百四十二キロは全部造り上げるというのが今の方針ではないかというふうに認識しております。これは、僕は見直しではないと思います。  先ほどの「今、転換のとき」ということをちょっと引用しますと、結論からいいますと、高速道路だけが本当に国民が望んでいる道路なのかどうか、そして、地域の自立だとか本当の国民要望から考えたときには、もう少し既存のストックのある道路国道であるとかそういうものの改修。  私は、北海道へ行ったときに、やはり峠が凍って困るという話を聞きました。道東自動車道を走りました。地元の人は宗男ロードと言っていました。しかし、一番望んでいるのは私たちは高速道路ではないんだと、あの峠、日勝道路のところに実はトンネルを通してほしいんだ。私は自然保護もやっていますから山に穴を空けるというのは即賛成ではないんですけれども、でも、地元の人の気持ちはよく分かりました。そういうところにこそお金を投入すべきではないかとつくづく思いました。  高速道路ができればすべてが解決するかのようなこういった言い方は、私は正確ではないというふうに思います。時間がないので飛ばします。  債務返済実現可能性、これは私は全くないというふうに残念ながら思います。いろいろな議論の中でも、今、政府の案としてはいろんなケースが出ている。今は利率が低いですけれども、四%、果たして固定ということは、そういうような利率だけで考えていっていいんでしょうか。料金収入も増えるというふうな方向で考えておられるようですけれども、私の調査では、高速道路の利用率は今横ばいです。むしろ首都圏なんかは下がる方向にあります。  そして、事業の、私、最後になりますけれども、私自身は、首都圏中央連絡自動車道という国定公園高尾山にトンネルを掘るというようなそういう計画に私は疑問を持って、私のこの道路問題にかかわる、それが原点です。  そこで、皆さんも御存じだと思いますけれども、四月二十二日に大変な判決が東京地裁で下りました。これは圏央道の公共性を否定したわけです。基本的な考え方は、瑕疵のある道路、つまり公害が発生する、予見できるような道路を造ってはならない、こういうことです。その道路には公共性はないということをはっきり裁判所は判決で出しました。そして、大変示唆のあることを言いました。環境アセスメントとかそういうものというものが、本当に費用便益だとかなんかというものに押されて、高速道路道路を造る方を優先しておざなりにされてきたんじゃないか、マイナスの効果というのは本当に考えているのか。  私たちは、道路局の幹部ともいろいろお話を時々しますけれども、マイナスの要因、つまり自然の破壊であるとか公害患者の発生であるとか交通事故とか、そういうものを費用計算したことがありますかということを問うと、それは計算方法がまだありません、これはもう三年間ずっと同じです。  私自身は、国定公園に穴を空けるようなことをまず考えること自体やめてもらわないといけないとは思っていますけれども全国ではいろいろな例があります。古都京都では、京都の中に何と都市高速道路を造るって言うんです。奈良県では、あの都に、古い都に京奈和道路という道路を造ると言う。何を考えているんだと。  私は、道路建設に頭から反対だとは申し上げません。必要な道路はどうしても造らなきゃいけない、税金を投入しても造るべきだと私は率直に言って思います。人の命に代えるものはないと思います。しかしながら、いろんなものをすべて情報を全部公開して、その上で国民議論を生んで、その下で決めていくべきじゃないかと、そういうふうに思います。  最後に、道路だけに頼るようなそういう輸送政策というのは僕は間違っているというふうに思っています。  諸外国をいろいろ私も見てまいりましたけれども、特に環境先進国と言われているところは公共交通網を大変重視して、そして人に優しい自転車とかバスとかLRTとか、どんどんモーダルシフトしているわけです。そういうところに本当にやっぱり日本ももう行かないといけないんじゃないかと。これ以上の環境破壊はいけない、車依存社会から是非とも転換していかないといけない、そういうような基本的なポリシーを持った道路公団民営化法案の審議であってほしい。そして、一つ大事なことを忘れました、ごめんなさい。若干時間いただけますか。  情報公開法であるとか入札契約適正化法とか官製談合防止法って、今道路公団には適用されています。政府が二分の一以上の出資をしているからです。今度のできる民営化会社にはこれは適用されていないということを私は聞きまして、大変危惧感を持っています。今でさえも談合が行われているという疑惑があり、ファミリー企業にいろんな問題がある。本当に大丈夫なんだろうかと。ますます国民の目からそういう点が隠れていくんじゃないかというのが私は心配しております。  順番を逆にしましたけれども、私の公述を終わらしていただきます。  以上です。
  220. 輿石東

    ○団長(輿石東君) ありがとうございました。  以上で公述人方々の御意見の陳述は終わりました。  これより公述人に対する質疑を行います。  なお、時間が限られておりますので、御答弁はできるだけ簡潔にお述べ願います。  また、御発言は、挙手の上、私の指名を待ってからお願いいたします。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  221. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 じゃ、質問をさしていただきたいと思います。  大変貴重な御意見、ありがとうございました。私も建設省に三十一年勤務しているうち、三回地方に出たんですが、その二回がこの仙台でございまして、仙台の工事事務所長を四十七年から五十年、それから五十六年、五十七年は東北地建の局長としてこの地でいろいろなことも勉強さしていただきました。そういう経験も踏まえながら質問させていただきたいというふうに思います。  私もこの地域開発、そういうことを長年やってきた人間ですから、まず、その新しい地域についてどうであるかということを知るとき、いつもさっと資料を集めるんですが、その資料というのは、まず面積、それから人口、生産力、生産性、そしてそこの財政、そういうものをさっと知ります。  まず、日本全体を見てみますと、いわゆる日本の面積というのは世界の陸地面積のわずか〇・三%なんですね。そこへ世界の人口の二%、面積の平均から見れば〇・三が二ですから六倍の人口がいるんです。そして、生産は世界の一六%ですから、面積的に見れば、世界の平均の面積から見れば五十倍、人口から見ても二%が一六%ですから八倍、そしてそれがまた大都市に多く集まってきている。そういう特殊性があるわけで、そのことが、最後に橋本さん言われたいろんな問題が大都市で起こりつつあるという、そういう情勢が一つあります。  ですから、やはりこの日本の国は広く使っていくこと、そのことがやっぱり国土政策として私は非常に大切だなというふうに思っています。  それから、財政力的なものについては、小さい市町村は財政力指数そのものでは見落とすというか十分でない点がありますが、県単位で見ると、大体その県の力、財政的な力というのはよく分かります。東北六県を見てみますと、日本の平均の県の財政力よりもこの宮城県はぐっと上に出ております。そして福島県はちょっと平均より下がっています。あとは青森と岩手が続き、最後に秋田が続いていくという、そういうような感じです。  そういうことが、日本として、そして東北を今度は逆に日本として調べてみますと、東北地方六県は、先ほど今、公述人さん二一%と言われましたけれども、あれは新潟も含めて言われたんじゃないかと思うんですが、東北六県は一八%です。日本全体の面積的には一八%、そして人口的には日本全体の東北六県は八%、生産は七%です。人口とほぼバランスの取れた生産を行っていますが、面積は非常に広いわけですから、そういうものを生かしていくことが何より大切だなというのが、この国土開発、地域計画、そういうものに対する、私がずっと勉強してきた基本的な考え方です。  そこで質問に入りたいんですが、立谷参考人お願いします。  まず一番先には、立谷さんのお医者さんとしてのいろいろな救急医療等に対して大変熱心なお話もございましたし、書かれたものも読んでまいりました。そこでまず、救急医療のやっぱりネットワークというのは、これから、やっぱり人間、命って一番大切ですから、大切です、と思います。そういう目で見て、今の高速道路のこれから造ろうとしている、整備計画の出ている九千三百四十二キロでも結構ですし、あるいは全体としての一万四千キロでも結構ですけれども、その医療、いわゆる救急医療で必要とするネット、そういうものから見て現在の高速道路ネットワーク、造ろうとしているネットワークをどのように考えられるかという点を一点お尋ねしたいと思います。  そして、次にでございますけれども、これから実際に建設し、そして維持管理していくというのは会社でございます。そうすると、どうしても一般の会社というのは、会社の経営とかそれとか採算性、そういうものに重点を置いていくのではないか、特に新しい道路を造るというときにはなかなかインセンティブが働きにくいんではないか、そういう面を指摘されておられます。  それについては橋本さんも最後おっしゃられましたけれども、まあそれは見方の問題ですが、新直轄方式というのを導入しております。恐らく、新しい会社ですから、この整備計画、あるいは整備計画を超えての一万四千キロの計画の中で会社のやる分が一部出てくるわけですが、そういう新しいものについて、もし、当然私は会社として、経営者として、うん、ここはちょっと私は会社としては乗り気ではありませんというのは必ず出てくるわけで、それに対してちゃんとそれが実施できるように新直轄方式というものを作ってある程度決めて、まだもう少し余裕があるかどうか知りませんけれども、そういうものを決めているので、この新直轄方式を加味して、そして全体として整備をバランス良く取っていこうという考えかなと思うんですが、この新直轄方式についての立谷さんの認識を、どういう評価かということをお尋ねしたいというふうに思います。  それからもう一つ、ちょっとこれは専門的になってしまうんですけれども、立谷さんのお考えでは、常磐自動車道の整備が非常に私急がれていると思うんですが、ここでちょっと気に掛かるのは、九千三百四十二キロといっても、実は整備計画が決まっても施行命令が出ないと工事に入れないので、施行命令の出ていない区間が東北では二か所あるんです。その一つがこの常磐自動車道で、いわゆる新地とそれから山元ですか、十六キロメートルが施行命令が出ておりません。全国では七か所、百六十八キロですが、これはできるだけ早くという意味においては、道路公団のうちに整備計画を出してやらないと、もちろんその会社に行く際にするとか、その後ということがあっても、なかなかいろんなことが複雑だなと思いますので、そういう点について立谷さん、どういうお考えかということをお聞きしたいというふうに思います。  それから、芳賀さんにちょっとお尋ねしたいんですが、芳賀さん今おっしゃられる中で、この建設関係高速道路を造ることについてのスピードの問題をおっしゃっておられました。本当にスピードがなかなか思うように速くないというのが非常に残念に思います。それは、我が国のいろいろな制度の仕組みその他がいろいろございますから、私自身も道路建設いろいろやってまいりました。この東北で、東北の西道路からこの仲の瀬の道路を造ったのは私が事務所長のとき最初からやった道路でございますが、なかなかもう大変なことはよく分かります。  そこで、このスピードというのは、昔、鉄道をやっていたころは、明治の時代は、明治の終わりごろは十年間で鉄道六千五百キロやっていたんですよ、造ったとか。中国でもわずか二十年で今二万五千キロ供用しております。  そういう点で、スピードを上げるにはどういうふうな方法が必要なのか、どうしたらもう少し地元でやれるか、そういうようなことについて何か御意見があれば伺いたいというふうに思います。  それから同じく、除雪というのは東北にとっては大変なことでございます。特に真冬、雪あらしというのが出てくると先は少しも見えなくなってしまうので、そういう交通止め、そしてそれらを何とかして円滑に動かすためのいわゆる除雪なり、豪雪区間における交通の確保というのは大変難しい問題なんですが、こういうことについても先生の何か御意見があればいただきたいなというふうに思います。  それから、私は、また今申し上げましたけれども、せっかく高速道路ができても、そのインターチェンジと都市との間が遠いと非常に使いにくいです。私は今、石川県から出ているんですが、石川県のど真ん中から北陸自動車道のインターに行くのに三十分も掛かっちゃうんですよ。ですから、そういうことを考慮しないで造って、昔、大分前造っちゃったんですけれども、そういう点はこの仙台は日本で一番高速道路の使いやすい都市なんですよ。仙台西道路から仲の瀬通りまで、都心、一番ど真ん中まで五分で来れるんですから。  そういう点で、この東北全体のやはりその都心部とインターチェンジのアクセス、そういうものをごらんになってどういうお考えがあるのか、そういう点をお聞きしたいなと思います。  ちょっとそれだけ聞いて、時間があれば橋本さんにも質問したいと思いますが、最初に、その今まで申し上げたことに対して御意見等あればお聞かせいただきたいと思います。
  222. 立谷秀清

    公述人(立谷秀清君) 三点ほどお尋ねいただきましたのでお答え申し上げます。  まず、救急医療ネットワークについての質問でございましたけれども、このことにつきまして少子高齢化社会ということを例に取って考えてみたいと思いますけれども、まず子供が生まれる、生まれた子供を、できるだけリスクの高い子供については是非救いたい。さらに、高齢化社会ということを考えた場合、その介護の必要なような状況をできるだけ避けたいという、そういう問題がございます。  そのことにつきましては、まず一つには、小児科の専門医のいる病院を造っていけばよろしい。人の命は地球より重いというような発想でいけば、これは各地方の小都市に全部造らなきゃいけないわけでありますけれども、もしもそのようなことをやりますと、例えば相馬市から仙台に来るまでの間に亘理もあるし岩沼もあるし名取もある。ここに全部小児科の専門病院を造るとしたら、小児ICUを持つ病院を造るとしたら、恐らくすべての病院がコスト倒れでつぶれてしまうであろうということを考えましたときに、社会的な必要性をどのようにコスト倒れにならない形で補完していくのかということを考えたときに、私はネットワーク形成の最大の意義がそこにあるのではないかと考えております。  同様に、脳外科につきましても、脳卒中につきましても、これはゴールデンタイムと言うんですけれども、治療開始までの時間が非常に短い時間が要求されますから、これも人の命は地球より大事なんだからどこの小都市にも造りましょうといったら、それはそんなに患者さんが来ないところで医者が年がら年じゅう待機しておったんではすべてコスト倒れになってしまいます。それが恐らく地方の小都市の財政負担になっていくであろうと。これは日本全体の、今、国と地方の税制の議論をやっておりますけれども、恐らくとんでもない話であろうと。  そういった意味では、私は、このネットワークをうまく形成して、そのことによって、これは医療だけでございませんから、例えば三十キロ離れた町にとても立派な野球場がある、隣の二十キロ離れた町に音響設備のいい市民会館がある、これはみんなで相互乗り入れをやって有効利用しようじゃない、共有しようじゃないかと。そのことを実現できるのが私はネットワークの最大の意義ではないかと。一番大事なのは私は人の命だと思いますけれども、それ以外の点でも、このことについては極めて重要なことだと思っております。  次に、この新直轄方式の問題でございますが、これは現段階で私もどのように想像していいか分からないところがございます。といいますのは、地方負担の分の財源が今後どうなっていくんだろうかと。必要な道路は造らなきゃいけない、その必要な道路について、やむを得ずして新直轄方式を決断したというのが知事さんたちの偽らざる感想だったのではないかと私、考えておりますけれども、その知事さんたちが今後の三位一体改革等々の税制論議の中で果たしてそれだけの財源を確保できるのか、国はどうなのか等々の問題があるかと思います。  したがいまして、この問題につきましては、私は医療の話を申し上げましたけれども、緊急性があるような道路につきましては、これは国と地方のこの財政の議論をまたなきゃいけないのかなというふうに考えたときに、非常に困ったことではないのかなというふうにも思っております。できればその分については、財源いろいろあるかもしれませんけれども、まあ緊急性、緊急に整備をする必要のある道路につきましてはいろんな形での御理解が必要なのではないかと、御配慮が必要なのではないかと、そんなふうに考えております。  それから、この常磐自動車道の新地—山元間の施行命令の件でございますが、私は、今後の道路整備に関しては施行命令というものに余りこだわらなくてもいいのではないかという認識でおりました。これは間違っているかもしれませんけれども、しかし、ネットワーク形成ということを考えた場合、そこの部分だけ残って、これは十数キロですから、十数キロをつなぐことによって東京から仙台まですんなり通るということになれば、この部分整備のBバイCは極めて高いのではないかと、そのように考える必要があるんではないかと思うんですね。  したがいまして、この点につきましては、もし施行命令がどうしても必要だということであれば、その状況考えて早急にそのような措置を取っていただいて、やはりネットワークということになりますと、例えば仙台から東京に行くのに東北中央道だけじゃなくて常磐道という補完道路がありますよと、これは雪道から何からいろんなところで役に立つわけです。私どもの事情でいきますと、相馬市が脳外科の非常に難しい手術ということになりますと、私もありますけれども、救急車に医者が乗って仙台の大学病院まで走ったという経験は何度もございます。そのような緊急性を持った道路整備でもございますので、その際はひとつ施行命令ということが必要であれば特段の御配慮を賜りたいと、そのように考えております。よろしくお願いします。
  223. 芳賀滋彌

    公述人(芳賀滋彌君) それでは、三点御質問ちょうだいしましたが、第一点の建設のスピードの問題でございます。  その話の前提として、なぜ早期整備急ぐかということについて、一言だけまず申し上げたいと思います。  私どもは、地方の活力なくして我が国の再生と発展はないということを申しておりまして、やはり地方が元気になることが今一番求められております。正に高速道路のネットワークというのは、地域の自立、発展のみならず、国家の基礎的な社会基盤であります。そういった観点から、現在、正にグローバル化が進む中で、国際競争力の強化が日本に問われている最大の課題でございます。それから、繰り返しになりますが、国内的には地域の自立、発展が求められているところでございます。こういった観点から、やはりその基盤となるネットワークを早期に完成させる必要があるということで、一日も早いということを申し上げているわけでございます。  スピードにつきましては、今回、新たに有料道路方式に加えまして新直轄方式導入されましたことは、このスピードを非常に速めることになると思いまして、大変感謝申し上げているところでございます。と同時に、効果のスピードというか、造った整備効果が早く現れるというスピードも大事だと思いますので、建設に当たっては、総花的ではなくプライオリティーを、例えば東北の場合ですと、東北全体という地域の中でプライオリティー、優先順位あるいは重点投資といったことで、効果の方もスピードアップできるんではないだろうかというふうに考えております。  第二点は、除雪等、雪と高速道路の問題でございますが、私どもは、最近いろいろ、冬期間出掛けますときに、一般国道はちょっと危ないな、到着時間も見通しが立たないなと。しかし、高速道路を使えば大体時間も読めるし、一般道路が駄目でも、高速道路は非常に雪に対する整備がいろいろなされておりますので安心して使えるということで、やはり雪国こそ基本的な地域間のネットワークを高速道路で担うということが大事だというふうに思います。  最近は、同じ高速道路の中でも、例えば災害に対する対応というようなことで、インターチェンジ以外にも災害救助のための車が出られる出口を造るとか、特にそういった雪、災害に対する高速道路の役割を十分発揮できるような施策もきめ細かく行われようとしておりますので、大変感謝いたしております。  第三番目のインターチェンジの問題でございますが、今後、新会社による運営がなされますと、正に利用者本位の発想、利用者サービスを第一に、お客様を第一にいろいろやられるわけでありますので、現在、どちらかというと画一的に建設されておりますインターチェンジ等の問題も、地域の実情に合った形で整備されてくるものと期待しております。  以上でございます。
  224. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 橋本参考人にも質問したかったんですが、時間がございませんでしたので、大変失礼いたしました。  以上、時間ですので終わります。
  225. 櫻井充

    ○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。  私は宮城県の選出でございまして、今日はこちらの地元でこういう会を開いていただきまして本当にありがとうございました。それから、公述人の皆さんには、お忙しい中をお越しいただきまして本当にありがとうございます。  何点か質問をさせていただきたいんですが、私は、民主党の中で、この高速道路の問題についてここ数年来ずっと政策責任者としてやってまいりました。実は民主党は、おととしぐらいは民営化案を提案いたしまして、その案もまとめた一人でございます。ただ、その後、無料化案を頂きまして、我々は無料化の方がはるかにいいんではないのかなということで、今は無料化のことを提案しております。  今、立谷公述人そして芳賀公述人からお話がありましたネットワーク構想に関して、道路ができ上がるということに関しておっしゃるとおりだと私は思っておりますが、ただお二人の話の中で私が気になることは、その今の方式で果たして有効利用できるのかどうかということ、そのポイントが欠けているんではないのかなと。実は、私も以前、民営化からそして無料化にかじを切っていったのは、実は有効利用できるのかどうか、この点が最大のポイントでございました。  ちょっと厳しい質問になるのかもしれませんが、立谷公述人にお伺いしたいんですが、私も医者でございます。医者として、実は、医学とそれからこういう社会科学といったらいいんでしょうか、決定的な違いは何かといいますと、我々は動物実験できるわけです。動物実験した上で効果があるかどうかの判定をすることができます。今度は、社会科学の場合には基本的に実験ができませんから、過去の例をひもといて、有効であったかどうかという効果判定をしていかないといけないということになります。  先ほどのネットワークの構想というのは、私はすばらしいと思いますが、地域間を結んでいったときにですね。これまで地域間を、小都市をネットワークで、高速道路のネットワークで結んでいって、立谷公述人が思われているような果たして町の活性化をされた例があったのかどうか、その点についてお調べになったことがあるのかどうか。まず、その点について教えていただけますでしょうか。
  226. 立谷秀清

    公述人(立谷秀清君) ただいまの質問について、町の活性化について調べた例があったのかということでございますけれども、特にそのようなテーマで研究したことはございませんけれども、ただ一つ、私、若干意見を述べさせていただきたいと思うんですが、有効利用できるのかという問題の前に、私は、高速道路、まあ一般の道路でもそうですけれども、これは手段として整備すべきものだと思うんですね。ですから、その道路を造ることによってどのぐらい有効利用できるのかという前に、こことここは結ぶ必要がある、この始点とこの始点は結ぶ必要がある、それの積算がネットワークになるのではないかなと。ネットワークに頼った地域の相互の地域振興ということを考えるよりも、私は、各都市間で相互乗り入れをすることによって、こういうメリット、こういうメリット、そのメリットがこれだけつながるんだと、それが数珠つなぎになっていくんだということが必要ではないのかなと。  私、常磐道については先ほど申し上げましたけれども、相馬市の隣の原町市があります。あるいは岩沼市があります。こちらは両方にそれぞれの特徴を持った病院を持っているんですね。あるいは、岩沼の向こうに仙台市がありますけれども、このネットワークというのは、当然相馬と福島のネットワークも考えなくちゃいけないんですけれども、それぞれの社会資本を、道路整備することによってこれだけ使えるという、そういう確証は持てるわけです。  私は自分のところしか分かりませんので、ほかの地域についての検証まではとても余裕がなくてできないんですが、少なくとも常磐道については、そのような信念の下に、そのような考えの下にいろいろとお願いをしているつもりでございます。
  227. 櫻井充

    ○櫻井充君 おっしゃることはもう本当によく分かります。ただ、私はもう仙台市内しょっちゅう走っていますけれども、じゃ今の高速道路が一般の方々が十分に使えるのかというと、必ずしもそうではないということです。つまり、料金が高過ぎることと、この国の高速道路の問題は、料金が高過ぎることと、もう一つ、インターチェンジの数が極端に少ない。アメリカは三・三キロに一か所ですが、日本は十四・七キロに一か所であって、極めて使い勝手が悪いわけです。  そしてもう一点、日本の高速道路の特徴を申し上げれば、産業道路にはなっています。物の運搬に関して言うと船が一番多いわけですが、その次に高速道路で物は運搬されています。ところが、人の移動のところで高速道路を使っているかというと、物すごく少なくなるわけです。つまり、高速道路生活道路になってきていないと。ですから、立谷公述人のおっしゃるところは、高速道路生活道路として使ってこようという、まずこの点が私は大事な視点なんだろうと思うんですね。そうしてくると、せっかく高速道路が造られたとしても、今のままでは生活道路になっていないという私は問題点があるんだと思っています。  もう一点、今の道路建設費用でいいますと、高速道路を造ってくることの方が一般道路を造るよりもはるかに高く付いてきてしまっているという問題がございますし、それからもう一点、必ず高速道路と並行して国道が走っております。そうすると、高速道路と並行した、今は国道整備国道整備も行っているという、私はそこは極めて無駄な事業だと思っているんですが、もしこれが、高速道路が無料になって生活道路になると、そこで並行している国道建設をする必要性がなくなる部分が随分出てまいります。  ですから、そのことを考えてくると、もう一点申し上げると、実は、無料化すれば間違いなく交通量が増えます。これはもう石巻まで開通している三陸自動車道、その先のところは今無料ですが、無料にしてあるがゆえに極めて交通量が増えています。  交通量と日本の経済成長というのは極めて本当にパラレルになっておりまして、その点を考えてくると、無料にしてくると、むしろ税収が上がってくる、それから、利用者が増えてきますから、そのことを考えてくると、無料にしたからといって、無料にしたからといってその建設の速度が止まるわけではないと、我々はそう確信しております。  そこで、改めてお伺いさせていただきたいのは、仮にもしネットワークが完成したと、じゃそれでは仮定したとして、その場合に、このインフラの有効利用ということを考えたときに、単純にです、これは、そのネットワークが完成したとした場合には、無料と有料民営化有料の場合と、どちらが有効だとお思いですか。
  228. 立谷秀清

    公述人(立谷秀清君) 大変難しい御質問をいただいたと思っております。  全部で四点いただいたんですけれども、まず、生活道路高速道路といいますか、私は、高速道路というよりは、自動車専用道路のデラックスなやつが高速道路だと私は思っているんですけれども、やはりそれぞれ機能は違うのではないかと。高速道路を、必要な場合は生活道路として使う。特に、一般の国道については、これもう産業道路であったり生活道路であったりするわけでありますけれども、それぞれにその使用目的によって、そのユーザーによって皆さん違うんでないかと思うんですね。これを私は、一概に生活道路として規定するべきだとか、なかなか私は難しいのではないかなと思いますし、ケース・バイ・ケースではなかろうかというふうに思います。若干、高度過ぎて、私には答えづらい問題でございます。  それから、高く付いてくるんじゃないかという問題と、それから、先ほど最後の御質問でございましたけれども高速道路の無料化の問題でございますけれども、これは国民の立場からいきまして、高速道路が無料であればそれはそれにこしたことはございませんし、恐らく先生のおっしゃることは方法論だろうと思うんですね。数十年先にはドイツのようにある程度無料化されるべきだと私も思いますけれども、ただ、今、無料化するという先行投資によって、国の、日本の経済成長が見込まれて、そのことによって道路を造る財源も出てくるんでないかという考え方の上に果たして立てるかどうか。  これは、私専門家でないから分かりませんけれども、やはり今、今回出てきているスキームの中で私がお願いしたいことは、生活に密着した、特に命に密着したような必要な道路については早急に建設してほしいということでありまして、この部分について、大変先生には反論するようでございますけれども、日本の経済成長の上昇を待っている余裕はないのではないかと。  ただ、お話しのことについては理解できないこともないわけであります。高速道路というのは国民のための資産でありますから、国民生活に利するものでなくてはいけませんから、そういった意味では、高速料金が安くなる、あるいは無料になる、これは当然方向性として必要なことではなかろうかと思います。  しかし、方法論として、現在の道路建設状況からいって、現段階でそのような方法論が取れることが、採用することが果たして可能なのだろうかと。地方から見ておりまして、それもなかなか困難ではなかろうかと思います。  やはり問題は、これ、生活道路、産業道路の、あるいは国道整備ということについてもかかってくるわけでありますけれども、やはり道路目的に沿った、あるいはその道路を走る、道路を使う我々国民目的に沿った、国道で済めば国道高速道路でなくちゃいけない場合は高速道路、そのようなケース・バイ・ケースに応じた選択が可能になるというのも豊かな国民生活ではなかろうかなと、そんなふうに考えます。  済みません、どうも。
  229. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません。ちょっと私の言い方が言葉足らずだったのだろうと思います。済みません。  まず、一点、先ほど、全部が生活道路になれと言っているわけではなくて、現在の高速道路が産業道路として使われている側面が多いということを申し上げたかったことです。  それから、先ほど申し上げましたのは、私のあくまで意見の前提があって、その上で最後のところで、なぜこんなことを申し上げているかというと、要するに、無料になると、この後、新規の高速道路建設されませんということを随分言われているものですから、必ずしもそうではないんだということを知っていただきたいことであの話をさせていただきました。済みません。  同じ観点で、芳賀公述人にお伺いしたいんですけれども、経済の活性化のためには、我々は、今申し上げましたとおり、高速道路が無料であった方がはるかに効果が高いであろうと、そう思っております。  例えば、アメリカの場合に、アメリカはガソリン税でずっと造りましたから無料であって、日本の場合には、元々が税金で造ったわけではなくて世界銀行から借金をして造った、その後は財投から借り入れて造ってきたからずっと有料であったという、そういった歴史があるだけの話であって、もしこれが本来税金で造られれば、今度の新直轄方式で税金で造られればその区間だけは無料になるんだろうと思うんですね。  そういう意味において、そういう意味において、その経済効果という点から考えたときに、あえてもう一度ですけれども、インフラの有効利用ということを考えたときには、今のまま果たして、その高速道路が今のような料金体系の中でいった方が果たして経済効果が大きいのかどうか。  もう一点申し上げれば、一極集中を是正しない限り、日本の経済の発展というのは恐らくこの先はないんだろうと思っております。そうすると、地域がどれだけ、地方がどれだけ便利になってくるかということが一つのかぎになってくるわけであって、そうしてくると、むしろ地方高速道路は、都市部は我々は有料でも構わないと思っているんです、ロードプライシングを掛けないとかえって渋滞する可能性がある。むしろ、地域高速道路を無料にすることによって地域の経済の活性化につながっていくんではないのかなと、私はそう考えているんですが、芳賀公述人のお考えをちょっとお聞かせいただければと思いますが。
  230. 芳賀滋彌

    公述人(芳賀滋彌君) 先ほども申し上げましたように、ネットワークの一日も早い完成ということが私たちの最大の主張でございまして、そのためには現在の有料道路方式に加えまして新直轄方式導入というのが正に早期整備のためには必要な方法だろうというふうに思っております。  無料化の問題につきましては、基本的にはネットワークが完成した後どうするかという問題だろうと思っておりまして、まず、ネットワークが完成するまでは有料道路と新直轄方式を適切に組み合わせてやっていくことにより早期整備が図られるというふうに思っておりまして、またそれがネットワーク完成によって有効利用につながるものだというふうに思っております。  以上でございます。
  231. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、そのネットワークの早期建設、構築さえできれば、逆に言えば、もしそのことが可能であったとすれば、これは有料であっても無料であっても構わないということになりますね。
  232. 芳賀滋彌

    公述人(芳賀滋彌君) 早期整備と同時に、もう一つ債務の確実な返済という課題も背負っておるわけですので、今回の民営化の意義は正に、債務の確実な返済ということをしつつ、かつ、少ない国民負担早期にネットワークを完成するというところに今回の意義があろうと思いますので、その債務の問題を考えますと、やはり有料道路方式、新直轄方式の組合せというのが最適な選択だというふうに考えております。
  233. 櫻井充

    ○櫻井充君 アメリカの場合に、今、本社は例えばニューヨークみたいな都市部になくて、実はいろんなもう地域に分散してきているんです。これは情報のインフラが整備されたことと、それから交通のインフラが整備されたからそういうことが実現されてきているわけです。そのことを実現していくためには、そういう前例があるから我々は無料化にしていった方がいいんではないだろうか。  なかなかイメージがわかないかもしれませんが、例えばアクアラインがございます。アクアラインは東京と千葉を結んでおりまして、土地の値段でも三十倍ぐらい違うと思います。十五分で結ばれております。これがもし無料になったとしたら、その瞬間にそちらの千葉側の町はどうなってくるかというと、当然のことながら住宅地がわっとでき上がっていくようなシステムになるわけです。  仙台の近郊でも同じように、もし仮にこれが全部結ばれて、ネットワークが構築されることはもちろん前提ですが、その上でもしこれが無料であった場合と有料であった場合と、そこの町のでき方というのは全然違ってくるんじゃないだろうか。今、日本の国というのは鉄軌道の駅を中心として町ができ上がっておりますが、ところが外国の場合には高速道路の出入口のところに町ができ上がってくるんですね。  そういう新しい町づくりという観点から考えてきたときに、私は、やはり無料化ということを選択肢に入れて、選択肢に入れてというよりも、今早期にやることの方が地域経済の発展に資するんだろうと。私は、地元建設業界にしても何にしても、こういう町ができ上がってくるということの方がはるかにメリットが大きいんじゃないかなと、私はそう思っているんですが、芳賀公述人、どうお考えでございましょう。
  234. 芳賀滋彌

    公述人(芳賀滋彌君) 確かに、将来の姿として我々も無料化といいますか、それは期待しているわけでありますけれども、やはり早期のネットワーク整備という、その進捗が早いということを実現するためには、やはり無料化ではなくて、先ほど来何度も申し上げているような両方式を併用していくことが最適な選択だと。そのためには、私たち経済界も有料という形での負担考えていかなきゃならない。  しかし、今度の民営化が進みますと、できるだけ債務返済をしつつ、かつサービス向上と併せて料金も下げるよう努力をするということが目標になっておりまして、仄聞するところによりますと、民営化までには一割くらい現行料金を下げるという努力目標があるようでございます。  そういったことが更に推進されれば、櫻井先生のおっしゃるようなことで活性化につながっていくんではないだろうかというふうに思いますし、利用の促進も進むのではないかと。私たちはいつも建設促進だけを申し上げているんじゃなくて、建設促進と、それを地域がどううまく利活用して、その整備効果を生かして地域の活性化、活力豊かな地域作りをしていくかというセットで物事を考えております。  以上でございます。
  235. 櫻井充

    ○櫻井充君 最後に、橋本公述人にお伺いしますが、先ほど橋本公述人のお話でインフラの有効活用というお話がございました。私たちは、そのインフラの有効活用のために高速道路の無料化を訴えております、今のお話を聞いていただいて分かるとおり。  使われない道路があるわけです、実際には。ですが、そこのところをもうちょっと有効活用していった方が、経済に関しても、生活に関しても圧倒的に変わってくるんじゃないのかなと、私はそう思っているんですが、橋本公述人としていかがお考えでしょうか。
  236. 橋本良仁

    公述人(橋本良仁君) 本来、道路というのは私は無料であるべきだというのがまず原則です。今やっぱり最大の問題というのは、国の経済のいろんな問題を考えたときに、櫻井議員の言われることは、一つはその議論の対象になることはあると思います。私はそれを除外すべきではないだろう。  ただし、問題がやっぱり債務ということもありますから、それをいかに適切に国民負担なしに返済するかということと併せて考える。ただし、言われたように、アクアラインは私たちの近くですから、あれがもし無料であったらという一つの仮定を考えますと、大変おもしろいシミュレーションができるであろうと。これはやってみる価値がないとは言えないと思います。  ただし、頭から、櫻井議員の言われることに始めからそれに賛成だというふうにはちょっと申し上げづらいことは事実であります。検討はしたいと思います。
  237. 櫻井充

    ○櫻井充君 どうもありがとうございました。
  238. 森本晃司

    森本晃司君 公明党の森本でございます。  今日は、公述人先生方、御多忙の中お見えいただいて、大変ありがとうございます。また、先ほど来いろいろと貴重な御意見を聞かせていただいて、これからのまた審議の参考にもさせていただきたいと思っているところでございます。  私は、公明党の道路民営化プロジェクトチームの座長をしておりまして、この道路問題についていろいろといろんな方々意見を聞きながら取り組んでまいりました。  先ほど来いろいろ意見が出ておりますが、基本的な私ども考え方を申し上げますと、地域の、日本のまた均衡ある国土の発展あるいは経済の発展、あるいは先ほど来大変問題になっております命に関する問題、こういったことを考えますときに、私は九千三百四十二キロ、これは断じてやらなければならない。高速道路は、特に道路というのはネットワークでつながってこそ生きるものでありまして、今日までプール制で日本の高速道路を進めてきたがゆえにここまででき上がったものだと思っております。また、これからも高速道路料金をうまく活用して、そして一日も早くつなげることが必要だと、考え方に立っております。  ただ、よく言われる無駄な道路という点については、工夫をする必要はあるでしょう、あるいはコストダウンをしていく必要がある。これは今度の民営化法案の中でも衆議院でも十分審議されておりますし、私も国土交通委員会の中でそのことを申し上げております。だからこそ民営化だというふうにも私は思っておりまして、少なくとも一割のカットはできるであろう。それから、道路の車線についても十分検討すれば、これは何も四車線じゃなくたっていける道路もたくさんこれから造れることはできますから、私はまずつなぐ必要があるんではないかという考え方に立っておることを最初に申し上げさせていただいて、今日はこの東北という日本の大事な大事な地域、財産のところへ参りましたので、お伺いをさせていただきたいと思います。  幸い、今日は相馬市長さんがお医者さんであるということ、いろんな救急に携わってくださったということ、それを考えますと、今日は非常に貴重な意見を聞かせていただいたなと思います。  私の手元に平成十五年四月一日現在に高速道路整備研究会というところが作った、これが高速道路必要性というパンフレットを今日は持ってまいりました。そして、東北のところを見ますと、どこも、岩手県では高速道路整備により命をつなげる血液輸送円滑化ということで、釜石の病院で血液が不足した場合、高速道路を利用するとこれだけ短縮できるんだとか、あるいは宮城県では宮城県沖地震に備えて安全、安心を支え、命をつなぐ高速道路を造るんだ、秋田県も同様で、救急医療活動への支援、安全で安心な生活に高速道路、山形県も一刻を争う救急医療高速道路を利用して搬送時間の短縮と、福島県も、先ほど来お話をいただきましたけれども道路整備すると六十分以内で到着できる範囲は六十八市町村から将来八十市町村になるというふうなことが書いてあります。あと、新潟にしてもそうでございますけれども、東北の皆さんにとって道路ができるということ、それは、救急、命を守るということ、一番大事だということをどこの県も一番冒頭に書いてあるんです。  私は、無駄ということを言われますが、無駄は省かなきゃなりませんけれども、大事な人の命を守るという立場から考えたら、採算性やあるいは費用対便益だけで物事を考えては、この道路の問題は考えてはいけないと、そういうふうに思っております。  三人の参考人の皆さんに、私の意見についてお答えいただきたいんです。  橋本参考人は、道路はどちらかというと造らない。じゃ、この緊急医療に、こういった命にかかわる問題に対してどのように考えておられるのか。そのことも含めて、三人の参考人の皆さんからお伺いしたいと思います。  相馬市長さんから、どうぞ順番に。
  239. 立谷秀清

    公述人(立谷秀清君) 大体、私が申し上げたことを先生に言っていただいたので、そのとおりなんですけれども、ただ一点だけ、先生の今の御発言の中で、東北のどの県でも病院に対するアクセスの時間が掛かって大変だということが書いてあると。これは私も櫻井先生にも責任があるんですが、東北はドクターが少ないですね。全国的に見て少ない。仙台は多いですけれどもね。櫻井先生は仙台の御出身ですが。ドクターが少ない分だけ医療機関までの時間が掛かるという地域的な問題がございます。東北全体に言えることです。いわゆる医療資源の脆弱さなんですね。  これは、先ほど私、冒頭にお話し申し上げたことなんですけれども、私どもの東北はいろんなことをやっておるわけです。それは、産業基盤は弱いかもしれないけれども、その分、日本の国の中で、やはり日本の例えば首都圏の人たちの精神的なアメニティーの支えになっているという部分もあるんですね。ですから、ローカルな地域が経済性が悪いから必ずしもいけないということではないと思いますし、そのような地域でも高齢者の方々はやっぱりしっかりと健康のサポートをしていただく、いただける権利があるんだろうと思うんです。  そういった意味で、しかし、先ほど来申しておりますけれども、各地方都市がコスト倒れになってしまったのでは何にもならない。我々が、地方自治体が担うセーフティーネット、住民生活のセーフティーネットというのは医療、福祉だけじゃありませんから、教育もそうですし、防災もそうですし、いろんな点について国がやらないことを我々はやっているわけですね。国民の健康で文化的な最低限の生活を守るため、我々はいろんなことをやっておるわけです。  その一部が医療でありまして、その医療のことによってコスト倒れを避けることはどうしても避けなくちゃいけない。そうしますと、私は、ほかにも方法はあるかもしれません。ヘリコプターを飛ばすという方法もあるかもしれませんし、高規格救急車にドクターを乗せるという方法もあるかもしれませんけれども、残念ながら我々の地方はそれだけの余裕がない。せめて高速交通体系というネットワークの中で、高速道路必要性はそのことだけではないんですが、私どもの医療界の立場としては、三十分後に診たから、後から悪い、予後が悪いというんですけれども、それよりは十五分で診たいですわなというところを、一つには満足してもらうのがこの高速道路。  それから、これは櫻井先生の話とちょっと重複するんですけれども、私は、産業道路としての高速道路も福島、東北地方にとっては重要だと思うんですね。これは福祉に関してくることなんですが、結局、産業基盤の確立を図っていかないと、東北の高齢化率は極めて高いですから、その御高齢の方々を、老人ホームさえ造ればいいんだという発想には立ちたくない。やはり私どもは、在宅介護と申しまして、住みなれた家で、たとえ半身が不自由になっても、できるだけ老後を自分の住みなれた家で送りたいと。そのことのためにはやっぱり御家族なんですね。この御家族の方々の雇用創出ということを考えた場合、私は、産業をサポートする意味での高速道路というのも十分必要なんではないかなと。  例えば、相馬市には工業団地を持っておりまして、石川島播磨重工業という大きな会社が来るんですが、高速道路ができることによってもっと引っ越してくるよと言っているんです。全員来るわけじゃありませんから、当然雇用が出てくるんですね。そういう側面も確かにあります。  ですから、私は医者から首長になったわけですけれども、先ほども申しましたけれども、往診なんかやっておりまして、寝たきりの御家族、特に老老介護の御家庭なんかを見ておりまして、もしも東京と同じように職場があったらなということを何度か経験してまいりました。その一つの方法論として、私は高速道路必要性ということを訴えてまいったわけでありますけれども、そのように御理解いただければ有り難いと思います。
  240. 芳賀滋彌

    公述人(芳賀滋彌君) 先ほども申し上げましたが、正に高速道路のネットワークは人の命を守るライフラインというふうになっていると思います。  私どもが十一年から毎年、高速道路に関するフォーラムを開催しておりますが、そのとき必ず意見発表の一つに、高速道路のおかげで身内の命が救われた報告が毎回出てきておりまして、それを聞くたびに、先ほど来申し上げているように、一日も早くこれは整備しなきゃいかぬなと、地球より重い命を救うためにはというふうな思いに駆られるところがしばしばでございます。  それから、最近、東北大学などでも移植医療などが行われておりますが、新聞等によりますと、空路と高速道路を使って初めて移植ができているというようなことを思いますと、そういった意味でも非常な重要な役割、正にライフラインだろうと思っております。  以上でございます。
  241. 橋本良仁

    公述人(橋本良仁君) 私は、人の命はという点が、私は若干のそこにまやかしがあるのではないかというふうに思います、率直に言って。つまり、高速道路に頼らないライフラインの作り方というのは十分検討しているんだろうかどうか、道路の、例えば圏央道の場合もそうですけれども、必ず医療の問題というのが入ってきます。  造るということを前提にしたときに、すべての要素を、プラスの要素をその要因に挙げることはもう今までの常套手段です。道路を造るというのは莫大なお金が掛かるわけです。たとえ地方であっても、一メートル造るのに五百万や六百万、物によっては一千万ぐらい掛かるでしょう。そういった莫大な予算を投入しなきゃならないのに比べて、救急医療の体制というのに果たしてどれぐらいの本当にお金が掛かるんだろうか。  と同時に、今、ドクターもいらっしゃるからあれですけれども、私は、東北の中でもかなり進んだ、いろんな、救急だけじゃなくて、医療体制を自治体として取っているところもあるのは知っています。もちろん、交通事故とかそういったたぐいの緊急の場合にはそれなりの体制が必ず必要です。私は、それは当然だと思います。それが高速道路に頼らなきゃならないというところに収れんすることは、私はもうちょっとそこは議論の余地がある、もっといろんな方法を考えてみて、やっぱりいろいろ考えたけれどもこれなんだということを今議論すべきときではないのかというふうに私は思います。  以上です。
  242. 森本晃司

    森本晃司君 最近の私の体験を通じて芳賀公述人にお伺いしたいと思います。相馬市長さんにも観光という面でお答えいただきたいんですが。  今年の二月十五日、まだ雪が降っているときに、私は、秋田県の小坂町、それから秋田県の角館で観光セミナーを行いました、私は公明党の観光プロジェクトチームの座長もしておりますので。秋田の人と行く手段について打合せをしました。雪だから、飛行機で行った場合に、青森空港に着いてから小坂町まで行く飛行機の時間帯、あるいは雪でどうなるか、なかなかこれは分からない。一般道を走るとこれまた道路が雪でどうなるか分からない。こういう状況の中で地元の人が提案してくれたのは、盛岡駅で降りろということであります。東京を出て、えっ、盛岡駅でと思ったんですが、盛岡駅で降りて、高速道路を使って小坂町に入る。翌日は今度は小坂町から盛岡に戻ってきて、それからそのまま角館に入ると。高速道路を使ってこれだけの行動ができたんです。一般道を走っていると、恐らくとてもそれはできなかったであろうし、雪で。こういったときに、本当に私は高速道路というのはこういった地域に極めて必要だなということを痛感しました。  それと併せまして、これからの日本のリーディング産業、あるいはこの東北地方で雇用の創出の話もございましたけれども、これは私は観光産業にしなければならないと思っています。観光立国、総理が唱えていますけれども、私もそのとおり思って今全国を回ってきたわけですけれども。そうしますと、これから広域的観光に入ると思います。一点だけではなしに大きく回る。それから、東北については、極めて、かつての神社やそういったものだけではなしに、自然というものがある。ここが人の心をいやす、そういう意味で東北には無限の観光資源があります。世界遺産の白神山地もある、私も現場へ行ってきましたけれども。そういったものを生かして、今こそ東北が道路ネットワークが整備された上で観光圏として大いに生きていくべきであると、そのために道路は必要だと思うんです。  もう少し時間あれば観光についてもう少し議論をさせていただきたいんですが、その点について芳賀公述人の、東北の経済団体としての観光に取り組む考え方高速道路との関係についてどういう御意見をお持ちか、お伺いいたします。
  243. 芳賀滋彌

    公述人(芳賀滋彌君) 高速道路のネットワークが逐次整備されているのに対応しまして、広域観光が可能となったということで、最近、国内はもとよりですけれども、海外からの誘客という、主としてアジア近隣諸国ですけれども、外国人観光客も相当見えるようになりました。やはり、海外のお客さんは一点というような観光では来ないわけでありまして、東北の数県にまたがる観光をして帰るということで、例えば、仙台空港に入って秋田空港から出るとか、新潟空港から帰るとか、あるいは青森空港を使うとか、そういった面的な広がりの中で観光ができるようになりましたので、海外客が非常に増えてまいりました。  それからもう一点は、高速道路のおかげで、東北の観光というのは冬場はお休みというイメージが非常に強かったんですけれども、最近は夏と併せて冬の東北のすばらしさを観光として売り出しているということで、最近非常に有名なのは、東北新幹線が八戸まで延伸されましたので、「十和田湖冬物語」ということで、かつては十和田は冬の間、閉ざされた地域であったわけですけれども、今は冬こそ新しい観光のメッカという形で生き返っております。というようなことで、これもやはり高速交通ネットワークができたおかげだろうと思っております。  私どもは、そういったことで、今まで東北の場合も各県単位に観光振興のための取組をしておったんですけれども、各県が広域連携で一体となって観光を推進しようということで、県境を越えて、県の枠組みを越えて現在観光振興に取り組んで、東北の基幹産業として活性化してまいりたいというふうに思っているところでございます。  以上です。
  244. 立谷秀清

    公述人(立谷秀清君) ちょっと相馬市の取組を一つ紹介させていただきたいと思います。  高速道路ができればすべていいというものではありませんで、マイナスの効果も当然出てくるんですね。相馬市と仙台市の間は五十数キロですから、これはストロー効果というのが出てまいりまして、これはもう十分警戒しながら考えていかなきゃいけないんですけれども、そのストロー効果を私は跳ね返すものは観光じゃないかと思っています。  実は、昨年なんですけれども、相馬市の名勝地で県立公園松川浦という干潟があるんですが、最近、環境が悪いんですね。この干潟の環境を良くするのに市民全員の協力も必要なんですが、一つのシンボル事業として、その干潟の川の上流に木を植えてやろうと、植林してやろうと。結構荒れているわけです。その植林をするためのNPOを作りまして、私も何本か植えてきたんですけれども、できれば子供たちに植林させたいと。そのことによって森のすばらしさであるとか、あるいは環境の大切さであるとか、そういう環境教育をしようと。途中からハイキングになるんですけれども。  この事業に、私はできれば東京の子供さんたちを連れてきて参加させたいと。木を植える時期というのはあるんですけれども、ちょっとずれても、若干の無理はしても。その際に、相馬市には海水浴場もありますし、そこそこの観光資源があるわけです。  実は、相馬市、予算付けておりまして、五十万ほど予算付けまして、苗木代です。まだそこまで行っていないんですけれども、子供たちに一本ずつ苗木を上げようと思っているんですね。上げれば自分で植えて、それは君の木だから大きくなったら抜いて帰ろうが何しようが君の勝手だ、その代わり年に一回メンテナンスに来なさい、こういうグリーンツーリズムの植林版をするためのNPOを作ったんです。去年立ち上げまして、テレビの取材なんかも受けたんですが、これから成長させていこうと思っているんですけれども。  この際の連携で、やっぱり高速道路、欲しいですね。これは首都圏と私どもを結ぶのにそういう効果があるだろうと思いますし、そういうところで知恵を絞っていかないと、私はこのストロー効果に負けちゃうんじゃないかと。ですから、観光ということを、観光という言葉で表現していいかどうか分かりませんけれども、首都圏との地域間連携等々のことも含めて、これは十分考えなきゃいけない、経済的なプラスマイナスの問題にもなってこようかと思います。  民宿も大分ありますから、そういうところに子供たちを泊めて、四泊五日、五泊六日と泊めて、自然を体験させて植林させると。三十年ぐらいたったら、君の木ですから、結婚するときどうぞ持っていってくださいみたいなことをできたらいいなと思って、そんなことを取り組んでおります。
  245. 森本晃司

    森本晃司君 終わります。
  246. 富樫練三

    富樫練三君 日本共産党の富樫練三と申します。  今日は大変お忙しい中、三人の公述人方々、本当にありがとうございます。  私は、三人の方々にそれぞれ三点ほど伺いたいというふうに思います。  私ども、今度の道路公団改革といった場合に、やっぱり道路は必要なんだけれども、無駄な道路はやめようではないかということを提案しています。二つ目には、四十兆円を超える大変な累積債務、これを国民負担に転嫁はしないこと、このことを提案しています。三つ目には、政官業の癒着にメスを入れ、これをなくすこと。こういうことが公団改革にとってはどうしても必要だというふうに提案をしているところでありますけれども、今日はそれぞれのお立場から、具体的に三つの点について是非御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。  第一の点は、先ほどもちょっと出ましたけれども、今度新たに、新直轄ということで、税金で高速道路を造る方式を採用するということであります。これは現在の計画でいいますと、東北全体で見ますと新直轄区間は七区間であります。大体概算の事業費が五千二百億程度になるのではないかというふうに思います。四分の一が地方負担でありますから、約千三百億円ぐらいが地元自治体の負担と。実際にはもっと減るだろうというふうには思いますけれども、今のところ概算ではそんな感じになります。  先ほども市長さんからもお話ございましたけれども、なかなか、道路は必要だけれども財源はどうかということになると、今の地方自治体の現状からいうと苦しい側面もあるということ、私も地方政治に長いこと携わっておりましたのでよく分かります。特に、三位一体改革と言いますけれども、補助金や地方交付税は削減されるけれども税財源はなかなか移譲されないという、こういう中にあって、改めて千三百億の負担ということになれば、これ自身なかなか悩ましい問題にもなるだろうというふうに感じています。  したがって、この新直轄の在り方についてどういうふうにお考えなのか、地方負担の財源はどうお考えなのか、この点について、第一問目ですけれども、端的に三人の方にそれぞれ、市長さんから順番にお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  247. 立谷秀清

    公述人(立谷秀清君) 私は、福島県でも新直轄方式、一部採用しておりますけれども、このことについてどの程度議論をしたのか、BバイC等々について、詳細について存じ上げませんので、これが果たしてどのような議論の下にどのような決定されたのかについては存じ上げませんから、詳細については私はお答えできないと思います。  しかしながら、私、一般論として申し上げたのは、新直轄方式でも、地元負担を負っても造りましょうと、それなりの該当する道路に関する必要性をお感じになって判断されているわけでありますけれども、その判断は私は恐らく正しいんだろうと思うんですが、ただ、その判断を実現するだけの今後の地方財政状況になってくるのかどうかはこれから見ていかないと分からないなと。できれば、これは地方自治体、これは県ですけれども、決めたわけでありますから、その必要性を認識した上で、このぐらいの血を流してもやらなくちゃいけないということを決めたわけでありますから、是非早急にやっていただきたいと思うわけでありますけれども、その分の財源がどうなるかということについて、これはしっかりと政府に対する要望等々をしなきゃいかぬと思いますし、さらに、その要望の前に、今どうも税財政の議論そのものが定まらないようなへんてこりんな状況でありまして、ここはそういう議論の場じゃありませんけれども、ちょっと様子を見ているしかないかなという感じがいたします。  ただ、私は、地方自治体の長が、国の方がほとんどですけれども、自分のところの財政にメスを入れても、負担をしても、これは必要だから造るんだという判断についてはこれは十分尊重して、必要な道路という、そのような認識でいかなきゃいけないなと、私はそういうふうに思っております。
  248. 芳賀滋彌

    公述人(芳賀滋彌君) 新直轄方式につきましては、確かに地元負担は出るわけでございますが、計画に沿って早期整備するためにはやむを得ないといいますか、地域としてはやはり必要であるという考えでおります。  以上でございます。
  249. 橋本良仁

    公述人(橋本良仁君) 私は、公述でも先ほど述べましたけれども、まず、問題は二つあると思います。新直轄で決めた路線が本当に必要だというふうな議論がどの程度煮詰まってこれが決まったのかと。私の聞いている範囲では、例えば国幹会議の、こういう六百九十九キロメーターの新直轄を決めたわけですけれども、二兆四千億投入するこの問題がわずか四十五分、もちろんそれだけじゃなくてその前に様々な議論があったでしょう。しかし、私たち国民に見える目では、これが本当にそれ、路線が本当にこれ新直轄でやるべきなのかどうかということは地元の人たちにどれだけ理解されているのかどうかということがあると思うんです、一つ。そのプロセスの問題ですね、一つは。  それから二つ目は、明らかにこれは地元負担になることはもう当然です。そうすると、財源に余裕はないわけですから、例えば道路特定財源だってこれに使わざるを得ない。そうすると、今まで造れていた、それでも不十分だったと思うんですけれども、県道、市町村道に回るお金は当然ながら減ります。  だから、もっと簡単に言えば、本当に高速道路が欲しいのか、それとも自分たち生活道路が欲しいのか。先ほど生活道路という、高速道路生活道路というお話もありましたけれども、現状では全然そういうレベルではありません。そのときに自分の本当に、そこの地域の人たちが欲しいのは何かということを考えますと、そこに大変大きな矛盾がこれから出るんじゃないかという私は危惧感を持っております。
  250. 富樫練三

    富樫練三君 二つ目の問題ですけれども、これは高速道路が造られることによる地元のというか市町村への影響の問題についてなんですが、質問は二つあります。  一つは、今度の民営会社公団が民営会社になるわけですけれども料金収入で経営するというふうにはなりません。したがって、サービスエリアパーキングエリアでの事業、ここを中心に経営を進めていくというふうなことでありますけれども、今後の将来展望として、一般道と高速道路の出入口をたくさん造る。その出入口付近の開発を含めた、そこに大型店など計画をするということも将来展望として言われているようであります。  そういう中で、心配だと出されている意見は、現在でも中心市街地がいわゆるシャッター通りと言われて地域経済が大変な事態になっている。これが、郊外にそういう大型店などがどんどん進出するということになった場合に、今まで以上に中心市街地が疲弊するのではないかという心配が出されています。  この点について、どのようにお考えかということと、もう一つは、都市と都市の間の問題です。  それは、高速道路でネットワークを構築することが、都市から人と金が別の都市、むしろ中小都市の方に移動する。そのことによって中小都市の経済が活性化するのではないかと、ここに非常に大きな期待が持たれています。  残念ながら、しかし、今まですべてそううまくいったかというと、その逆の現象が現れたというのも全国にございます。開通してみたら人も金も流れは反対で、むしろ中小都市からその地域中心的な都市に吸い取られていってしまう、こういう現象が起こっているということも言われています。いわゆるストロー現象と、こういうふうに言われているわけでありますけれども、そういうふうになった場合に、少子高齢と言われていて、中小の市町村の場合には高齢化率がどんどん進んでいる。これが更に若い人たちが都市の方に吸い取られていった場合に、果たして本当に地域経済の活性化につながるんだろうか、こういう疑問が出されています。  この二つの点についてどのようにお考えなのか、三人の方にお聞かせいただきたいと思います。
  251. 立谷秀清

    公述人(立谷秀清君) 先生の方から極めて難しい問題を聞かれたと思っております。実は、これは市議会レベルでもしょっちゅう議論になることでありまして、中心市街地の活性化をどうするかという問題なんですけれども、これは高速道路のインター近辺に大型店を作る作らない以前の問題でありまして、さらに、相馬市もそうなんですが、郊外の国道近辺に大型店ができまして、行くと、それはそれは繁盛しておるわけでありまして、中心市街地のお店はシャッター通りということになっております。  これはモータリゼーションというのも一つの大きな問題でありましょうし、もう一つは、店側の努力の問題もあるんですね。こういう時代ですから、皆さん意欲をなかなか失っていらっしゃるという問題もありまして、二世の方々は大概後を継がない、大概サラリーマンになっていらっしゃるというのが現状でございます。  この点について、高速道路との、私、インターとの議論はなかなか難しいと思いますね。これは相関関係を求めるとしたら、インターそのものじゃなくて、大型店と小売店の在り方の問題ではなかろうかと思いますので、一つには、中心市街地がいろいろ企業努力できますようにいろんなセミナー等々やっているんですが、いかんせん、その担い手が皆さん御高齢であるという問題がございまして、なかなか思うに任せないのが現況でございます。そのような中で、医療機関を持ってこようとか、いろんな試みもするんですが、相馬市の場合、中心市街地が半ば住宅地になり掛けているという、そのような現象がございまして、この点は極めて難しい問題でございます。  もう一つは、ストロー現象の問題でありますけれども、これは、私はある程度やむを得ないのではないかというふうに思っております。これは、魅力あるところに吸収されるわけでありますから、これは、例えば相馬市と仙台市の場合ですと、仙台に買いに行きたいという相馬の若い人たちの利便性が向上したということでしかないと思います。それは、多分高速道路がなくても、ゆっくり時間掛けても彼らは行くのではないかと。高速道路があれば、若干その分楽になっていくんでないかということですから、これも困難な問題。  ただ、しかし、我々はその分のマイナスの経済効果を凌駕するだけの工夫をしていかなくちゃならないんじゃないかと。例えば、先ほど私、NPOの話をしましたけれども、仙台市にないような観光資源というのはありますし、例えば民宿の宴会やりますと、これは都会部よりも私どもの方が風光明媚なところで、はるかに安くできるわけでありますから、そのほかに観光イチゴ園なんというのもありますし、いろいろ盛りだくさんのイベントを持っているわけです。  そういうものをどうやって宣伝をして、こちらの方に観光を始めとした誘客を図っていくか、新しい相馬市の魅力をどうやって作っていくかということが大きなテーマでありまして、私は、ストローで吸い取られることを食い止めるための心配をするよりは、これは攻めの経営をしていきたいと、そんなふうに考えているところであります。
  252. 芳賀滋彌

    公述人(芳賀滋彌君) 中心市街地の御指摘の問題につきましては、やはり中心市街地に子供と年寄りが住める町に改造していかないかぬということで、それには併せて、これまでどちらかというと公共施設は中心部から郊外に移転するという傾向があったわけですけれども、それを呼び戻そうというような動きも行政と相まって、今、どうやったら年寄りが快適に中心部で生活できるかというためのいろんな工夫がなされてきておりまして、いずれそういう方向でどんどん進んでいくんではないだろうかというふうに思います。単なる商店街の問題だけに終わらせては、この問題は解決しないだろうと思います。  それから、ストロー効果の問題でございますが、例えばちょうど仙台と山形を、頭文字取りまして、仙山圏と言っていますが、いっときは高速バスがどんどん、仙台—山形間ができて、山形の人はみんな人も買物も仙台に取られるとかという、最初そういう話でありましたけれども、現実は、確かに仙台にいろいろショッピングで若い人たちも来ますけれども、逆に、仙台の方からは、山形に行っておいしいそばを食べようとか、おいしい果物を買ってこようとかいうことで、双方向の交流ができております。  要は、それぞれの地域が差別化された自分のところの地域の魅力を、個性的な魅力をどう高めていくかという努力をしない限りは今のような問題が出るだろうと思いますが、そういうことにお互い気が付いて努力をしていますので、ストロー効果という現象はありますけれども、それは解決に向かって対応できるというふうに思っております。  以上でございます。
  253. 橋本良仁

    公述人(橋本良仁君) この問題に関しましては、大店舗法なんかの適用が今度の法案には受けないと、民営化会社ですね、そういうようなあれなんかも出ているようで、私もそれは危惧しております。  私は、東京の八王子なんですけれども、やはりインターのそばに大変大きな物流センターとか、それから温泉センターを造ろうとか、いろいろ、私たちの市長さんも一生懸命いろんなことを考えていますけれども、やっぱり御多分に漏れず五十万都市の八王子でも中心街が今シャッター通りが増えてきている。これの対応は道路だけではもちろんないと思います。ただ、私は、新しい民営会社がそういうところもやり出すと、これはそれを加速するおそれは十分にあるというふうに思います。  ただ、今もお話があったように、これはやはり将来は、日本は確実に少子高齢化社会、特にお年寄りが増えるわけですから、自立した経済圏、地域経済圏というものと同時に、お年寄りの歩ける範囲内なんというのは、行動範囲というのはせいぜい一キロ範囲ですよ。車だってそのうち乗れなくなるわけです。そういうような自転車とか歩いていけるような範囲内で安心して暮らせるような、そういうものをやっぱり造っていくと。  これは、高速道路ということとはやっぱりもっと切り離して考えていって、全体をやっぱり統括的に考えていかないといけない。それは私の前の公述人方々意見とも重なると思います。  それから二点目ですけれども、ストロー効果というのは、かなりこれは物すごい勢いで起こります。  私は、例えばアクアラインの場合ででも、これは現実に私の目で見て、地元にも呼ばれたりして御説明もしましたんですけれども、明らかに横浜に流れるわけですね。それで、もう本当にひどいぐらい木更津の商店街は壊滅状態だと、まさかこんなになるとは思わなかったと。木更津の商店街の方たちがサボっていて、何もやらないで、対策を講じなかったわけでは決してありません。一生懸命努力もしています。しかしながら、やはりこういうものは、いかんともし難い動き、流れというのがあるんですね。ですから、観光バスに乗って、みんな、お年寄りまでも乗って、船を見て、そして中華街へ行ってショッピングも元町でして帰っちゃうよね、又はそごうでやるという。こんなようなのがもうよくあるんですよ。  ですから、そういうようなことを見ると、やはりこれは放置できないだろうと思います。これはむしろ、行政に携わる人たちはそこのところは真剣にやっぱり考えてもらわないと、道路ができれば道理が引っ込むだけの問題じゃなくて、道路が通ったために通過されちゃったり、さらには自分の町が衰退するということが決してないようにしていくという、こういう対応を考えるべき、そこのところは大変重要な問題だと私は思います。
  254. 富樫練三

    富樫練三君 時間ですので終わります。
  255. 輿石東

    ○団長(輿石東君) ありがとうございました。  以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人方々に一言お礼を申し上げます。  皆様方には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。  本日、拝聴いたしました御意見は今後の本委員会審査に十分反映してまいりたいと思います。重ねてお礼を申し上げます。本日は誠にありがとうございました。  また、本公聴会のために種々御尽力を賜りました関係者の皆様方にも、この場をおかりしまして厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。  以上をもちまして参議院国土交通委員会仙台地方公聴会を閉会といたします。  ありがとうございました。    〔午後三時二十分閉会〕