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2004-05-18 第159回国会 参議院 国土交通委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      岩本  司君     佐藤 雄平君      山口那津男君     森本 晃司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         輿石  東君     理 事                 岩城 光英君                 鈴木 政二君                 池口 修次君                 大江 康弘君                 森本 晃司君     委 員                 沓掛 哲男君                 佐藤 泰三君                 斉藤 滋宣君                 田村 公平君                 鶴保 庸介君                 藤野 公孝君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 藤井 俊男君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   石原 伸晃君    副大臣        国土交通大臣  林  幹雄君        国土交通大臣  佐藤 泰三君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       斉藤 滋宣君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        内閣道路関係        四公団民営化推        進委員会事務局        長        坂野 泰治君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        国土交通省総合        政策局長     澤井 英一君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        国土交通省航空        局長       石川 裕己君    参考人        日本道路公団総        裁        近藤  剛君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○高速道路株式会社法案内閣提出衆議院送付  ) ○独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構  法案内閣提出衆議院送付) ○日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律の  整備等に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○日本道路公団等民営化関係法施行法案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十四日、岩本司君及び山口那津男君が委員辞任され、その補欠として佐藤雄平君及び森本晃司君が選任されました。     ─────────────
  3. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事森本晃司君を指名いたします。     ─────────────
  5. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  高速道路株式会社法案外三案の審査のため、本日の委員会内閣道路関係公団民営化推進委員会事務局長坂野泰治君、総務省自治税務局長板倉敏和君、厚生労働省社会援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君、国土交通省総合政策局長澤井英一君、国土交通省道路局長佐藤信秋君及び国土交通省航空局長石川裕己君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  高速道路株式会社法案外三案の審査のため、本日の委員会日本道路公団総裁近藤剛君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 輿石東

    委員長輿石東君) 高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案、以上四案を一括して議題といたします。  四案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 皆様、おはようございます。沓掛哲男でございます。よろしくお願いいたします。  さて、道路関係公団民営化法案審議に先立ちまして、交通機関にとって一番大切な乗客安全確保について、大変気になる事件が最近相次いで起こっておりますので、それについて質問したいと思います。  第一ですが、四月三十日の読売新聞で、居眠り機長の見出しで、全日空羽田—山口宇部便機長が三月二十三日、飛行中に居眠りし、同乗の国交省試験官から注意され、一度は目覚めたものの途中また居眠りをし、副操縦士に注意されて目覚める等々、他紙も報じております。もし本当だとしたら、これは大変なことだというふうに思います。  この件の実情、なぜ居眠りをしたのかの理由、このような事件をなくするためにどのような措置を講じておられるのかについてお尋ねいたします。
  11. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) お尋ねの件でございますが、今年の三月二十三日の十時三十二分発羽田空港発山口宇部行きの全日空六九三便、乗員乗客約百八十名でございますが、ここにおきまして巡航中に機長居眠りをしたわけでございます。業務検査のために国土交通省職員でございます航空従事者試験官というのが同乗しておりまして、この試験官が副操縦士機長を起こさせたところでございますが、その後、数分後また機長居眠りをしたということでございまして、再度副操縦士機長を起こさせるということがあったわけでございます。巡航中、自動操縦中ではございますが、二度にわたって航空従事者試験官が副操縦士をして機長を起こさせたということでございます。  この事案発生を受けまして、直ちに私ども国土交通省から全日空に対しまして、当該機長に健康上何らかの問題があったかどうかということについて調査をし報告するように指示をしております。さらに、全日空におきましては、全運航乗務員に対しまして注意喚起の文書を発出いたしまして、再発防止に努めております。  この機長につきましては業務停止ということにしてございまして、単なる居眠りなのか、いわゆる睡眠時無呼吸症候群などの健康上何らかの問題があったかということについては、現在、詳細な調査をしているところでございます。
  12. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 起こったのが三月二十三日ですから、もう二か月近くたつんですから、その辺を早くきちっと調査をして、厳格な措置を講じていただきたいというふうに思います。  次に、羽田空港で四月の二十八日夜、強奪した車で工事用フェンスを突破して制限区域に入り、車を次々奪ってC滑走路に向かって、午後七時二十九分から三十六分の間暴走し、この間、C滑走路には航空機数機が相次いで着陸しており、後からの検証によれば、このうちのある便は十秒単位で激突を免れたと報道されています。一歩間違えば大惨事となることなんです。  この事件実情と、なぜ工事用フェンスが簡単に破られたのか、再発防止措置。それから特に、報道で、警察は強奪された車が空港制限区域内に入るのを知りながら、そこは国交省の管轄だからと手を出さなかったと伝えています。国交省警察との連携はどうなっているのかについてお尋ねします。
  13. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 現在、空港における保安体制強化というものが求められている中で、四月二十八日のような事案発生したことにつきましては誠に遺憾でございまして、事態を重く受け止めているところでございます。  羽田空港におきましては、周辺に強固なさくを設けまして、さくの上部には有刺鉄線等を設置するなどの侵入防止措置を講じております。モニターカメラあるいは赤外線センサーというふうなものによりまして、不法侵入発生した場合でも事態即時に把握できるようにしているところでございます。ゲートにおきましても、モニターカメラあるいは赤外線センサーによりまして不法侵入即時に把握できるようにしております。さらには、通常使用するゲートにつきましては強固な扉を設置する、あるいは警備員を配置するというふうなことをやっているわけでございますが、今回の事件発生した場所でございますが、仮設ゲートであったわけでございました。  これは国際ターミナル増設工事というのを行っているわけでございますが、この国際ターミナル増設工事に伴い、隣接する本来の第七ゲートというものが一時的に閉鎖されることに伴いまして、その代替として仮設をしたものでございまして、短期間で使用するということでございました。そのために通常のゲートと比べましてやや簡素であったと。さらに、モニターカメラあるいはセンサーというものも設置されていなかった。さらには、このゲートは五月七日から、つまり事件の後の日でございます、連休明けから使用するということであったものでございますから、その時点では警備員が配置されていなかったというふうなことがございまして、結果として暴走車侵入を許すことになってしまったわけでございます。  今回の事案発生を踏まえまして、私ども航空局といたしましては、直ちに羽田空港仮設ゲート警備員を二十四時間配置する等の措置を講じたほか、今後、同様の事案発生することのないように、緊急事態発生時の関係機関間の連絡体制強化不法侵入事案対応訓練の実施、それから防護フェンスゲート構造を含めた空港施設強化巡回警備強化などを進めていく方針でございます。  警察との関係におきましても、更に連携強化したいというふうに考えておりまして、五月十三日には、警視庁との間でこれらの事項について共同で取り組むことを確認いたしまして、警察庁、航空局、それぞれ各空港事務所空港を所轄する警察に通達を発したところでございます。
  14. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 事故事件は小さいうちに根絶しなければなりません。大したことでないと甘く見ていると思わぬことが起きます。  一九八五年八月十二日、今から十九年前ですね、羽田から大阪に向かったJALが事故を起こして御巣鷹山に激突し、乗客五百二十人が死亡しました。その原因は、事故機はその事故の起きる七年前に大阪空港で着陸に失敗し、しりもち事故を起こし、当時新聞に写真が出ていたのをよく私は今も記憶しているんですが、それを修理して使っていたのです。一度曲がった金属を伸ばして使用すれば必ず早く破壊いたします。耐用年数を短くすべきを惜しんだからだというふうに思います。しりもち事故を安易に考えた末の大惨事だと思います。交通機関を扱う皆さん方には特に肝に銘じて、このような大事故の起きないように事前にしっかりとした対応を取っていただきたいと思います。  では、次に移ります。  道路関係公団民営化法案審議に当たり、まず、一昨年以来本日に至るまで大変御苦労されました石原大臣始め国土交通省皆様方に心からの敬意を表します。  正に青天のへきれきとも言うべき大改革をされようとしているわけですが、その審議を深めるためにも現在の高速道路計画がどのようにして決められたのか、その背景等について少しお話ししてみたいと思います。  昭和五十八年度から第九次道路整備五か年計画が発足することとなりましたので、その案が前年の昭和五十七年に作成、策定されることとなりました。当時私が建設省道路局長で、次長が現在全国知事会会長をしております岐阜県の梶原知事でございました。このころの高速道路計画は、昭和四十一年にそれ以前にいろいろの手法計画されていた高速道路、すなわち閣法による国土開発縦貫自動車道法によるものや、あるいは議員立法による東海北陸自動車などや、あるいは政令指定による東名高速道路などというものでしたので、それをまとめて国土開発幹線自動車道として七千六百キロを予定路線に法定化されたものでした。  ところが、その後十数年もたった昭和五十七年ごろには、延長七千六百キロの枠に入らなかった道路高速道路並み機能を持つ自動車専用道路として整備を始めるものがいろいろな場所で出てきました。例えば、北大道路は北九州市と大分市を結ぶ一般国道十号で、これを自動車専用道路として道路公団一般有料道路やあるいは建設省直轄事業などで進めるというものでした。また、仙台市と石巻市を結ぶ道路も同じようにして自動車専用道路として整備され始めておりました。そのほかにも自動車専用道路での計画が各地で検討されておりました。  しかし、事業主体が違うと構造規格も違いますし、またそれぞれの道路については合目的計画されているものの、路線全体として使用する場合は乗り継ぎや料金徴収面等で不備のあるいわゆる合成の誤謬が起こってきておりました。そこで、将来我が国において必要とされる自動車専用道路全体のネットワークを決めることと、その整備手法を決めることといたしました。道路路線、インターの位置やその構造規格が決まっておれば、だれが建設、管理しようと利用者にとってはかかわりなく最適の交通利便が得られますし、将来はすべて国の道路になるのですから、弾力的に考えてもよいというふうに考えました。  そこで、第九次道路整備五か年計画では、期間中に、すなわち昭和五十八年度から昭和六十二年度までに自動車専用道路、すなわち高規格道路のマスタープランを決めるとともに、その整備手法を決めることといたしました。そして、昭和六十二年度に現行の高規格道路網一万四千キロメートルが決まりました。  その整備手法として、まず日本道路公団が従来の手法整備できるものは高速自動車国道として整備し、残り直轄事業として整備すること等とした結果、日本道路公団分が一万一千五百二十キロメートル、直轄分が二千三百キロメートル、そして本四公団分が百八十キロとなりました。  高規格幹線道路網としての一万四千キロの決定にはいろいろな経緯がありましたが、その規模についてはどうかということについて全体的にマスター的に見た場合には、昭和二十年の終戦時の鉄道の総延長が約二万キロメートルであり、また当時の直轄道路延長、今もほとんど変わっていないと思いますが、直轄道路延長もほぼ二万キロであり、その七〇%程度であること等から見て、個々にはいろんな基準で造ったんですが、全体的に見てまあ七割というのは妥当ではないかなというふうに当時思っておりました。ただ、日本海側路線が一部寸断しているのはちょっと残念な気もいたしました。その整備についてですが、現在、日本道路公団が管理している高速自動車国道供用延長は七千キロをちょっと今超えているところでございます。  ここで中国欧州社会資本整備も少し考察してみたいと思います。  中国高速自動車国道を造ろうということで日本に支援を求めてきたのは昭和五十九年でございました。その春の連休を使って、当時の水野建設大臣に随行して私も北京に行き、李鵬首相、当時公共事業担当首相でございました李鵬さんに種々説明しました。その直後、李鵬首相は来日され、自分の目で日本高速道路を確認されておられました。そして翌年には、私たちが説明した道路特定財源有料道路制度中国に適用して高速道路整備をスタートさせました。今や中国では二万五千キロメートルの高速道路が供用されております。国の大きさや制度等の違いがございますものの、日本では四十年余で七千キロメートル、中国ではその半分の二十年弱で二万五千キロメートルの高速道路が造られております。そのとき道路造りを通じて日中間交流を深める趣旨日中道路交流会議を締結してまいりましたが、それが今も続いているということで、本当に良かったなというふうにも思っております。  中国は、今、日本等技術先進国から猛烈な勢いで技術移転を行っています。あの揚子江の上流に建設していた三峡ダムも昨年から貯水を始めました。その貯水量日本全国にあるダムの総貯水量の二倍です。水力発電量も千八百四十万キロワットという大きなものであります。  また、日本よりも社会資本整備の進んでいた欧州では、新しい時代に即応して、ロンドン、アムステルダム、パリ、フランクフルトの四つの空港ハブ空港とし、その機能を高めるため高速自動車国道整備を進め、高速交通ネットワークを全欧州に広めています。今後とも、我が国経済産業国際競争力を増していかなければなりませんが、そのために必要な社会資本整備は的確に行っていかなければなりませんし、また国土交通省はその中心的な省庁でございますので、是非また皆さんの英知を尽くして頑張っていただきたいというふうに思います。  次に、本当は有料道路のいろいろな経緯のいろんなことも話したいんですが、ちょっと時間がありませんから、質問の方に入らせていただきます。  そこで、民営化推進委員会について質問していきたいと思います。  道路関係公団民営化方針が正式に決められたのは、平成十三年十二月十九日に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画で、日本道路公団、首都高速道路公団阪神高速道路公団本州四国連絡公団は廃止することとし、四公団に代わる新たな組織及びその採算性確保については以下の基本方針の下、内閣に置く第三者機関において一体として検討し、その具体的内容平成十四年中にまとめるとされ、平成十四年六月に道路関係公団民営化推進委員会設置法が制定されました。そして、これに基づきまして設置される民営化委員会の七人のメンバーが決められました。公共財中の公共財である高速道路民営化することには、長年道路建設管理行政に携わってきました私にとって一抹の懸念はありましたが、委員長今井さんが、またその道路学識経験者として現場もよく知っておられる中村先生委員に入られるとのことでしたので、ほっといたしました。当時、行革担当大臣であった石原大臣のいろいろな御配慮もあったことと思います。  しかし、平成十四年十二月の民営化委員会最終答申の直前、松田田中そして猪瀬委員の暴言によって今井委員長中村委員実質お辞めになるという残念なことが起こりました。そして、今井中村委員の不在のまま、残りの五人で道路関係公団民営化推進委員会意見書平成十四年十二月六日に提出されました。その後、この意見書を踏まえ道路関係公団民営化基本的枠組みとしての政府与党申合せ事項がなされ、それに基づいて今回の提案されている四法案が策定されましたが、その際、田中松田委員猪瀬委員との意見が対立し、田中松田委員辞任されたと聞いております。  そこで、これを所管しておられました内閣府にお尋ねしたいんですけれども、民営化委員会で、今申し上げましたように、一昨年の暮れの意見書をまとめる際に今井さん、中村さんが実質お辞めになり、またこの政府与党申合せ事項を決めた際、そしてそれに基づいてこの法案が作られた際、その際に松田田中委員辞任されるということとなり、残ったのは猪瀬大宅の二委員となっております。  そこで、このような異例な事態がなぜ起こったのか、そしてその影響はどのようなものなのか、そして今後このような混乱を生じさせないためにはどんなことが必要なのかについて、内閣府にお尋ねいたします。
  15. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) ただいま委員から経過についてるるお話がございました。そのとおりの経過をたどったわけでございますし、また二名の委員辞任など、御指摘のような状況になっておりますこともそのとおりでございます。  このような状況になった基本的な理由は、やはり各委員方々の間に基本的な考え方の相違があり、それが解けなかったというところに原因があるのではないかと考えておるわけでございます。  また、今井委員長及び中村委員意見書決定後欠席を続けられるという事態になった原因の一つに、この委員会として意見書多数決で決めるかどうかという問題があったわけでございます。運営の方法として、理論的には多数決以外にも、例えば両論併記でありますとかいろんなやり方があり得るわけでございますけれども、現実に取られた方法は、御承知のとおりの多数決ということでございました。合議制機関でございますので、いろいろ御批判はあろうかと思いますが、最終的にはこの機関責任として自ら意思決定方法を決める、そういうことにならざるを得ないわけでございまして、このような方法を取った結果は、やはり委員方々それぞれが自らその責任を負われるものと私ども考えておるわけでございます。  また、御指摘田中松田委員が昨年十二月に辞任をされたわけでございますが、これも、先ほど申し上げましたように、各委員の間の基本的な考え方それぞれに基づいた行動であったと私ども考えておるわけでございまして、この田中松田委員は、昨年十二月に政府与党基本的枠組み決定いたしました際に、この枠組み意見書の骨格を覆すものであるという評価をこのお二方が下されて、その結果として、もはや監視機能を果たすそういう状況にはない、そういう責任は負えない、そういう御判断辞任をされたと私ども承知をしておるわけでございます。  このような状況になったことは私ども誠に残念なことであるというふうに考えておるわけでございますけれども、それぞれの委員が最終的にそれぞれの責任判断の下にこのような行動をお取りになるという以上、事務局としても最終的にはやむを得ないものではないかと考えておるわけでございます。  なお、今後の件についてお尋ねがございました。  このような状況になって、しかし形式上なお五名の委員の方が在任をされておるわけでございます。組織としてはまだこの委員会委員会として存続をしておるということでございます。ただ、全員、五人の委員の方がそろって活動をしていただける、そういう状況にもまだなっていないということも事実でございますので、事務局としては、今後とも各委員に対して情報提供などに努めるとともに、様々な手段で各委員方々がいろいろなお考えをお述べになるような機会工夫をしたいと考えておるわけでございますが、例えば最近の例では、今御指摘猪瀬大宅、二人の委員の方が懇談形式でございますが、国交省などからもヒアリングをするというようなことで、そういう機会を通じて意見を表明をしておられます。  そんなようなことも含めて、これからも事務局としては工夫をしていきたい、そのように考えておるわけでございます。
  16. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 それでは、民営化推進委員会意見書については総理も基本的に尊重すると言っておられますが、最終的に田中松田委員辞任原因となった意見書政府与党の申合せ、すなわち、それに基づいて今回法案が作られ、提案されているわけでございますが、それとの相違点について、その内容と理由を簡単に説明していただきたいと思います。
  17. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 昨年十二月の政府与党申合せとこれに基づきます今回の道路関係公団民営化法案におきまして民営化委員会意見を基本的に尊重する、こういうことで、まず七点ほど尊重した部分を、主な部分、たくさんございますが、基本的にでございますので申し上げますと、整備計画区間のうちの未供用区間につきましては費用便益分析等を厳しく実施して抜本的見直し区間を設定する。さらに、コスト縮減などによりまして有料道路の事業費、対象となる事業費をおおむね半減する。さらに、債務は民営化時点の債務総額を上回らないようにいたしまして、民営化後四十五年以内に完済する。競争原理を導入するために、日本道路公団を三分割。また、一方的命令の枠組みを廃止しまして、会社の自主性を最大限尊重する。民営化までに平均一割を超える高速国道料金の引下げを図る。将来、株式上場を目指す。などなどでございまして、民営化委員会意見書のほとんどを実現した内容になっている、こういうことでございます。  しかしながら、先生御指摘の、どこが基本的に違っているか、こういう面で申し上げますと、二点大きな違いを申し上げたいと思いますが、一つは、会社による道路資産の保有、こういう問題でございます。二つ目は、料金への利潤の上乗せでございます。  会社による道路資産の保有という問題につきましては、これは意見書では十年後にこの機構を解散して、機構を作り会社を作るというところは一緒でございますが、十年後に機構を解散して会社が資産を買い取ると、こういうことが言われておったわけでございますが、これにつきましては機構が所有を続けるということでございます。これは、国民の共有財産と、こういう公共的性格から私有になじまないという問題と、それから私有化ということは永久有料化と、こういうことでございますが、これについて地方公共団体にも支持する意見がない、あるいはまた、民営化先進国のイタリア、フランスを含めまして、完全に私有化して永久有料として高速国道を運営すると、こういう国はないと、こういうような点からでございます。  それからもう一つ、料金への利潤の上乗せ、これにつきましても、原則として料金に利潤は含まない、こういうことにしたわけでございますが、これは国民共有の財産でありますので、民間企業の利潤獲得の道具として高速国道を使うと、これはなじまないんではないかと、利用者の負担を抑えるべきでないかと、さらに、債務の早期返済を優先すべきであって、利潤に回すという余裕があるのであれば早期返済を図るんだと、あるいはまた、地方公共団体もこの点につきましては利潤の上乗せに否定的であると。  こうしたことを踏まえまして、この二点について、大きな問題としてはこの二点につきまして意見書と相違する内容になっておると、こういうことでございます。
  18. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 それでは、次に移ります。  高速道路は国民共通の財産であり、私有財産化、永久有料化は認められないというふうに思います。今も説明がそういうふうにありました。先行していて、民営化されているイタリア、フランスにおいても、高速道路を民有会社の私有財産として永久有料としているわけではございません。  私は、一昨年九月にイタリアのローマにあるアウトストラーデ社の本社を訪ね、役員と有料道路事業関係のことについて懇談を、というより、事前にこちらの方から質問書を出しまして、その質問に答えてもらうというような、そういう形で懇談してまいりました。その少し前に、当時の石原行革大臣が来られたというお話をされておられました。  アウトストラーデ社は、高速道路有料道路として建設し、一定期間管理するコンセッション、すなわち日本流に言えば特許を国から受けている会社です。特許を受けた高速道路延長は二千八百五十五キロメートルで、既に全線完成して供用しております。アウトストラーデ社はIRIという国家資金を民間会社に出す機関の一〇〇%出資で一九五〇年に設立され、一九九八年から、六年前ですね、から株式を市場に上場し、二〇〇〇年に完全民有化した会社ですが、そのコンセッションの期間は二〇三八年までです。その後、高速道路を国に帰属させることになっております。フランスも、少し形は違いますが、ほぼ同様な形です。  この法案での高速道路の帰属、あるいは有料道路の期間をどうするのかなどについてのお尋ねをいたします。
  19. 佐藤泰三

    ○副大臣佐藤泰三君) 道路は無料自由走行が原則と思います。  御案内のように、九千三百四十二キロですか、計画が、七千キロはできておりますが、極めてこれは公共性が高く、私有にはなじまない国民共有の財産であります。これは、現行法制におきます基本的な哲学でもございます。このことは委員さんも御指摘のとおり、他の諸外国でも同様であります。我が国では、厳しい財政情勢の下、早期に道路整備するための特別措置として有料道路制度を採用しておりますが、これは債務完了後の無料開放を前提とするものであり、いわゆる永久有料制とは全く異なるものでございます。  このため、今般の道路関係公団民営化に当たりまして、次のような考え方を踏襲しております。高速道路は機構が保有し、債務完了後は国等の本来道路管理者に帰属させ無料化とするとしたところでございます。  なお、民営化委員会意見書においては、高速道路民営化会社の所有とすることは盛り込まれておりますが、これは永久有料制を前提とするものであり、上記の考え方とは相入れないものでありますので、採用いたしておりません。  以上でございます。
  20. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 どうもありがとうございました。  では、まず今後の我が国高速道路整備はどのようにして行っていくのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  21. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 二点申し上げたいと思います。  最初は、高速自動車国道につきまして既に整備計画が出ている区間、これにつきまして未供用の区間が約二千キロあるわけでございますが、このうち抜本的に見直しする区間、五区間、百四十三キロ、さらにそのほかの部分につきましては、いずれにいたしましても費用対効果、採算性その他の外部効果、こうしたことを評価基準として、いわゆる中村基準と申しておりますが、これをしっかりと適用し、そしてその必要性を厳しくかつ客観的に評価を行いました。  そこで、これからの整備の在り方と、こういう御議論で申し上げますと、これらの未供用区間につきましては、新しい直轄方式ということで、国と地方で税で行うという、税による負担で整備を行うという区間と、それから引き続き道路公団及び民営化会社が整備を続けるこういう区間と二つ、有料道路制度として整備を続ける、こういう区間の二つに分けると、こういうことになったわけでございます。  新直轄方式につきましては、昨年、この通常国会、昨年の通常国会でお通しいただきまして、そういう意味では、十五年度から制度を発足、そして昨年の暮れに約七百キロの、二千キロのうち約七百キロの新しい直轄区間というものを国幹会議で御指定いただいたわけでございます。  この総額につきまして、おおむね大体二兆四千億円、こういうことでございますが、新しい直轄方式につきましては、おおむね三兆円程度を目安として、まあ十五年ぐらいで何とか完成にこぎ着けたいと、こういうようなことも政府として考えておるところでございますので、そういう意味ではもう少し七百キロ以上に、もう少し選ばれるべき部分が出てこようかと。これは地方公共団体と十分話し合いをしながら、今後、会社発足時前後までに詰めていくと、こういうことかと思っております。  残りの区間につきましては、有料道路としてしっかりと事業を行っていただく。総額で申し上げますと、この二千キロ、対象となっております二千キロ、先ほど申し上げましたが、約二十兆円必要だと、こういう事業費について有料道路の事業の対象といたしましては十・五兆円以内でいろんなコスト縮減や今申し上げました新直轄による整備、こうしたことで整備していくと、こういうことを整理してまいりましたので、そういう意味では二十兆円のうちコストカットで四兆円、さらに新直轄、それから更なるコスト縮減、こうしたことを考えてまいりますと、約十・五兆円以内の有料道路事業としての整備、こうしたことをやっていこうという二通りに分けさせていただいたと、こういう状況でございまして、更にこれから詰めるべき部分を詰めてまいりたいと思っております。
  22. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 次に、今般の道路関係公団民営化の目的について、また公団方式の下での改革、ファミリー企業であるとかコストダウンであるとか、そのほかいろいろなことがなされたわけでございますが、公団の方式の下での改革ではなぜいけなかったのか。一番基本的なことなので、大臣にお答えをお願いいたします。
  23. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 大変基本的なことでございますので説明をさせていただきたいと思うんですが、民営化の目的というものは、私は、大まかに申しまして三つあるんだと思います。  一番目はやはり、およそ四十兆円に上る有利子債務を確実にどうやって返済するかということがあると思います。二番目はと申しますと、必要な道路というものはあると思いますので、真に必要な道路を民間会社であります民間会社の自主性を尊重しつつ、できるだけ早く、できるだけ少ないコスト、国民負担の下でどうやって造っていくのか。三番目は、これは民間ノウハウの発揮によりまして、多様で弾力的な運賃、マイレージ制度、エアラインで使っております、あるいは早朝割引、通勤割引、こういうような運賃や料金設定や、サービスエリア、パーキングエリアの運営や道路資産を活用した情報通信事業等々、関連事業についてできる限り自由な事業展開ができるような会社でなければならない、こんなことではないかと考えております。  そこで、委員の御質問でございます、公団ではなぜできないのか。それはやはり、裏を返しますと、これまで寄せられていた公団に対する批判というものはどんなものがあるのかということを整理していかなければならないんだと思います。  私は、一番最初に御指摘をさせていただきたいのは、やはり建設費の償還期限を順次先送りして、採算の取れないような路線もプールを拡大することで建設していくといったような、いわゆる既存路線利用者の負担による建設道路建設に歯止めが掛かってこなかった。これは東名高速等々がいい例ではあると思うんですけれども、開通から三十年後には無料にするという約束をさせていただきましたけれども、東名の料金で全国の道路整備していった。もちろん、それによりまして必要な道路整備されたところはありますけれども、必要ではないところにもお金が回ったという批判があるわけでございます。  それともう一つは、公団という企業体の抱える高コスト体質、すなわち道路建設や管理のコストを削減しようというインセンティブ、動機付けが乏しいことがあるんだと思います。さらには、ただいま沓掛委員が御指摘されましたような、天下りやファミリー企業との関係が不明朗、不透明であること、そういう指摘があるわけでございます。  これらの批判については、これまでも実は改革を行ってきたところでございますけれども、公団組織を維持したままでは十分な成果が上げられなかったということは歴史が物語っているのではないかと思っております。このため、民間にできることは民間にという構造改革の方針の下、道路公団改革を特殊法人改革の最重要課題と位置付けさせていただきまして、公団民営化という荒療治を行うことによって積年の課題を根底から見直すこととしたことでございます。  具体的にはどんなことをさせていただいているかと申しますと、債務の返済期限を民営化後四十五年以内と法定したこと、株式会社でありますところの会社に自主的拒否権を付与いたしまして会社の自主性を最大限尊重する仕組みにさせていただきましたこと、また会社が建設資金の市場からの自己調達により市場規律を導入したことなど、建設の厳格な歯止めというものを組ませていただいたわけでございます。  さらに、これは政府参考人からも御答弁させていただきましたが、徹底したコストの削減、新直轄方式の導入で有料道路事業費をほぼ半分、二十兆円掛かると言われていたところを十兆五千億にしたことでございます。また、ファミリー企業につきましても、業務を会社の内部化する等の抜本的見直しなど、抜本的な改革は公団民営化という組織の大改革を通じて初めて実現可能になったのではないかと考えているところでございます。
  24. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 どうもありがとうございました。  では、次に移ります。  会社法の「会社の目的」で、新会社は高速道路建設、維持、修繕その他の管理を効率的に行うとありますが、効率とはどのような意味なのか。民営化することによって効率性だけが追求され、今も大臣のお話にありましたように、真に必要な道路整備やあるいは環境対策や、あるいはまた交通量が少なく、したがって料金収入の少ない区間の維持管理などがおろそかになるなどということはないのでしょうか。
  25. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生御指摘の会社法の第一条の「会社の目的」にあります効率的に行うと。これにつきましては、高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に関しまして、無駄を排除して低コストで適切な品質や管理水準を確保する、こういう趣旨でございます。  同じことをやるのであれば、同じ管理をするのであれば、よりコストを削減できる、こういうようなことを目指していただく、こういうことかと思っておりまして、そういう意味で、利潤を生み出す事業に経営資源を集中して採算を良くするとか、それを最大の目的にするとか、そういう意味ではない、こういうことでございまして、そういう意味での経営の効率、こういう問題とは全く異なるものと、こういうふうに考えております。真に必要な道路を早期にできるだけ少ない国民負担の下で建設すること、これも今回の民営化の目的の一つでございます。  それから、高速道路は料金収入を得るための大切な資産でありますので、その維持管理についても、民間企業の経営センスを導入することによりまして、効率化を図りながら適切に実施されると、これを期待しているものであります。会社がその業務の実施に当たりましてこうした効率性を追求するということは、真に必要な道路整備や維持管理などを行うための余力も生まれてくる、そういうことも期待しているところでございます。
  26. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 この法案の中に外資規制が見当たらないように思いますが、これについて少し質問したいと思います。  一昨年九月、先ほど申し上げましたようにイタリアのアウトストラーデ社を訪問したときは、その株式の所有はベネトン社が三〇%、銀行等の大企業が四〇%、中小企業のグループで三〇%でしたが、昨年ベネトングループが株式五四%を追加取得し、ベネトングループで合計八四%の株式を保有しているとのことでした。  その理由は、外国企業、例えばフランスのバンシ等がアウトストラーデ社の株式の公開買い付けを行おうとしたため防衛的に取られた措置だと言われています。イタリア政府もいろいろ関与したということも裏では言われていますが、真実は分かりません。  欧州では、TOB、いわゆるテークオーバービッド、すなわち株式を公開するとそれを買い付けてその会社を支配し、その事業を支配することが行われています。アウトストラーデ社役員との懇談中、ベネトン社系の役員が、日本道路公団民営化され株式が公開されるならばその購入に参加したいという、そういう強い意欲も示しておりました。そういう必ずしも、株の取得は利益というだけではなくてもっと広い意味での、そういうTOBのような、そういうようなことになると、これはなかなか大変だなというふうに思います。  それに対して、確かにそれほど利潤が上がるわけでもないし配当もないということですが、この時点ではアウトストラーデ社も配当はしていませんでした。配当もしていないものを何でそんな買うのかといえば、今のTOBのこういう話がいろいろあったわけですけれども、そういうことを考えてみて、この外資規制について何かそういう方策があるんでしょうか、お尋ねします。
  27. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 多少の相違点みたいなものを最初に申し上げたいと思うんですが、イタリアのアウトストラーデの場合、先生の方がお詳しいかもしれませんが、現時点では資産そのものはアウトストラーデが持っていると、一定期間終了後国に帰属と、こういう形になっておりますが、今回のお願いしております法案につきましては、資産そのものは機構が保有し、会社の方はその運営管理をする、こういう形になっているということでございます。  そういう意味で、民営化後の道路資産、これは機構が一元的に保有するということと、この徴収期間の満了後は国に帰属し無料開放、さらに、もう一つ申し上げますと、会社の毎年度の事業計画や重要財産の処分につきましては国の監督が及ぶこと、こういうことが規定されておりますので、この場合、道路資産そのものとしては本体は会社からどこか第三者に譲渡しようはないと、元々会社のものではありませんので。この関連の部分でそういうようなことがあるか、こういう点で申し上げれば、重要な財産の処分に至るようなものであれば国の監督が及んで必要な処置をする、こういうことになりますので、そういう意味ではほかの用途への転用、こういうおそれがないと、こういうこともありまして外資規制を設けていないということであります。  会社そのものの経営につきましては、自主性を尊重しながら、こうしたこれらの規定によりまして適切に対応してまいることができるのではないか、そういうふうに考えております。
  28. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 それでは、次に総務省にお尋ねいたします。  確実な債務の返済のため、高速道路にかかわる固定資産税は是非、非課税にすべきであると思いますが、法案ではどのように担保されているのでしょうか。  昨年の四月二十二日、ちょうど今ごろですね、当委員会で総務省の若松副大臣民営化後の高速道路に対する固定資産税についてお尋ねいたしました。仮定を設けての質問でしたから、若松副大臣は、一般論として答えられ、最後に民営化後の組織形態、料金徴収の考え方、また市町村からの受益と負担等の議論を踏まえて検討しなければならないというふうに答弁されておられました。  今回は、法案がちゃんと出てきておるわけでございますので、これに即して、高速道路の料金に利潤が含まれないこと、償還後無料開放することの関係なども含めて説明いただきたいと思います。
  29. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 固定資産税の関係についてお尋ねがございました。  道路関係公団が所有をいたしております有料道路に対する固定資産税につきましては、第一に、料金徴収の期間が定められ、その期間が過ぎれば無料になるものである。第二に、徴収する料金の水準が建設費等から見て適正な水準であり、収益事業ではない。こういうことにかんがみまして、従来から固定資産税の一般的な非課税規定でございます公共の用に供する道路に該当するということで非課税というふうに解釈をしてまいりました。  今回、民営化に当たりまして種々議論がございましたが、民営化後の有料道路は、一つには、今おっしゃいましたように、四十五年以内に無料開放をされること、二つには料金設定に利潤を含めないなど、全体として道路事業からほとんど所得は上がらないと考えられる等の性格を有しているところでございます。  こういう点にかんがみまして、日本道路公団等民営化関係法施行法案におきまして、地方税法を一部改正いたしまして、民営化後の有料道路につきまして固定資産税の非課税措置を講じるということとさせていただいているところでございます。
  30. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 じゃ、よろしくお願いいたします。  次に、民間会社が行う関連事業は届出だけで自由にできることになっていますが、万一、ホテルやアウトレットモールなどでの大規模な投資で失敗し、倒産したら、高速道路の維持管理はだれが責任を持って行うんでしょうか。一日たりとも通行不能にならないよう措置できるのでしょうか。  よもやと思うことが実際にはいろいろ起こっております。三年前に倒産した英国のレールトラック社の例などは肝に銘じておかなければならないというふうに思います。その内容は時間の関係でちょっとできませんけれども、ひとつ、そういう問題について私はアウトストラーデ社でこのレールトラック社のことも尋ねました。彼らが言うには、我々にはANAS、いわゆる日本で言う道路庁ですね、が付いているから倒産することはないと言っておりました。何か非常に意味深長な話だなというふうに、国それぞれにまたいろんな関係があるんだなという思いもいたしましたけれども、まあ本当に大幅な投資をして、失敗して会社がつぶれたというようなとき一体どうなるのか。そうならないことが一番大切なんでしょうけれども、それについてお答え願います。
  31. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 今回の民営化の目的の一つに、民間ノウハウの発揮でサービスエリアやパーキングエリアや関連情報を活用した多様なサービスを提供する、こうして会社が幅広く事業を行うことを認めることとしたところでございますが、先生御指摘の、関連事業が道路事業に悪影響を与える、こういうことがあってならないのは当然でございますし、会社法上も有料道路事業に支障のない範囲内で関連事業を展開すると、こういう形になっております。  問題は、一つは情報をしっかりと世の中にも公開しながら、そういう意味でのチェックもいただくと、こういうことも必要かと思っております。そういう意味では、道路の本体の収入、本体事業からの収入支出、これと関連事業、これが会社の経理の公開上はきちっと分けて、それぞれがどうなっているか、こういうふうにしていただくということにしております。  また、今回の法案におきまして監督規定を設けておりまして、倒産するような事態、これは未然に防ぐこととしております。つまり、会社の発行する社債と長期借入金につきましては国土交通大臣の認可事項としている、特に必要があると認めますときには監督上必要な命令をすることができると。こうした観点からも、しっかりと世の中に常に明らかにしながら、倒産というような事態が生じないように運営していっていただく、こういうふうに考えております。
  32. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 高速道路に関する会計基準を国民に納得できる形で策定する必要があると思います。透明性を高くするためにも是非必要だと思いますが、この問題にどのように取り組んでおられるのか、簡単に説明してください。
  33. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 会社と機構に適用されます会計基準につきましては、企業会計原則などに準拠しつつ、具体的には高速道路株式会社法案等におきまして省令等によって定めると、こういうことにしてございます。このために、本年の一月に、黒川行治慶応義塾大学教授を委員長といたしまして、学識経験者や公認会計士等から成ります道路資産評価・会計基準検討会を設置して、いろいろ検討していただいています。  これまで六回の検討会を開催いたしまして、民営化時の資産評価の在り方や、民営化組織の会計基準の在り方などの検討を行っていただいております。この検討会は、会議自体を報道関係者へ公開するとともに、国土交通省のホームページに各回終了後速やかに会議資料と議事録を掲載もしております。  今後、八月末を目途といたしまして、会計基準の骨子を取りまとめて、その後、この骨子を基に更にパブリックコメントを予定しておりまして、多くの御意見いただきながらまとめてまいりたいと思っております。
  34. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 採算性の面から、本四を結ぶ三本の道路や、川崎—木更津線を結ぶアクアラインに批判はありますが、これらを利用したいのだけれども、高い料金抵抗によって他の輸送機関、船ですね、やあるいは代替道路を利用せざるを得ない。需要が多いのですから、せっかく整備した高速道路について利用促進のための方策をこれから大いに検討して進めていただきたいと思いますが、これについて何かお答えいただけますか。
  35. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 二つの面から申し上げたいと思います。  一つは、使いやすい料金といいますか、弾力的な料金という形で割引制度をいろんな形で運営してまいると、こういうことが大事なことかと思っております。  そういう意味で、平成十六年度におきましても、高速自動車国道の夜間の長距離割引、あるいはまた首都高速道路の夜間割引、こうしたことをETC活用と併せまして、四月の二十七日から実施しているところでありますが、また全国各地で通勤割引、通勤時間帯の割引、こういう形で朝夕の一般道路の渋滞などの課題を解決するための地方課題型の社会実験、これも十五年度からやっておるところでございまして、十六年度引き続き本格的にいろんな形でやってみたいと思っております。  高速国道の料金につきましては、民営化までに平均一割程度の引下げに加えまして、別納割引の廃止を踏まえた更なる引下げ、これもやることとしておりますので、具体的にはマイレージ割引であるとか、あるいは先ほど申し上げました夜間割引や通勤割引の社会実験の結果も踏まえながら実行してまいりたいと思っております。  もう一つの問題として、スマートインターチェンジといいますか、インターチェンジの増設、こういう問題がございます。大臣からはインターチェンジを、現行の高速国道で申し上げれば、二倍程度に広げるように、増やすように、そうした努力をしなさいと、こういう御指摘もいただいておるところでございまして、そういう意味で、スマートインターチェンジ、こういう形でサービスエリアやパーキングエリアを活用いたしまして、ここにETCの設備を付けまして出入りできる、こんなふうな実験をしようということで、十六年度に社会実験を実施すべく候補箇所を公募しているところでございますが、既に三十数か所から応募いただいている、こういう状況でございます。  こうしたことを通じて、使いやすい高速国道、こういう形でのインターチェンジの増設等にも力を入れてまいりたいと思っております。
  36. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 今回の四公団民営化によって料金政策はどのようになるんですか。身体障害者割引など必要な配慮は引き続き継続されるんでしょうか。  この身体障害者割引は昭和五十四年度からスタートしたものでした。当時、私、担当の有料道路課長でございましたので、大変苦労をして導入いたしました。もう当時、今からもちろん四半世紀前ですから、この割引の話をいろいろしたら、上の方から建設省は福祉政策をやるところではないということでございましたので、交通政策上是非この制度が必要だという理論を作って、そしてスタートさせました。  ですから、最初のスタートというのは下肢不自由者で、その人が自ら車を運転する、そうすることによって交通政策上非常に良くなる、いいんだという、そういう論理でスタートしたんですが、その後どんどん広げて、今は本当に立派な制度を作っていただいているんですが、これは今度民営化になるとそれがどうなるのかについて御質問いたします。
  37. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 料金政策全般につきましては、これから会社発足と機構の発足と、こういう形の中でいろいろ検討を重ねてまいると、こういう問題であろうかとは思っております。ただし、その大前提としましては、多様で弾力的な料金設定、こういうことでございますし、先ほど申し上げましたように、夜間割引とか長距離割引とかマイレージ割引とか、こうしたことを活用しながら、できるだけお使いいただきやすいということをしっかりと取り決めてまいりたいと思っております。  先生御指摘の障害者の割引でございますが、これにつきましては、現状をまず申し上げますと、本年からETCのノンストップ通行時の五割引きの割引適用、こうしたことを開始ができるようにいたしまして、五割引きの継続、こういう形を取らせていただいたということでございますし、また障害者の方のETC利用を促進する観点からは、この五割引きETCが使えるだけではなかなか難しかろうと。逆に、ETCをお付けいただくといいますか、設置していただくという面でも御支援を申し上げる必要があるだろうと。こういうことで、障害者の皆様に対しましては、ETC車載器購入代金等に関しましてお一人一万円の助成も実施している、こういうことでございます。  そういう意味では、障害者割引制度等の割引につきましては適切な対応がなされるように、今後とも関係機関とも調整しながら必要な措置を講じていく、こういう所存でございます。
  38. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 もう時間的にあと二分ですから、もう一問だけにします。  高速道路が大災害を受けたときの復旧は、公団の場合に比べて不利にならないのか。民間の災害保険に加入するようなことも考えられるのか。道路公団等でも災害を受けたとき大蔵省と予算折衝しましたけれど、もう料金でおまえたちはやれやれということで、なかなか苦労いたしました。でも、まだ公団ですから、いろんなことでいろいろな支援もしていただいたんですが、今度株式会社になるとその辺がどうなるのか大変危惧しますが、いかがでしょうか。
  39. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 災害も二通りあろうかと思います。  大規模な災害復旧、どの程度が大規模かと、これもケース・バイ・ケースで考えを整理していく必要があろうかと思いますが、大規模な災害復旧の場合には災害復旧の補助を投入できるというように、法律上、災害復旧補助の手当てを今回の法案に入れさせていただいているところでございます。  それ以外の場合に、通常の管理費から支弁することを基本とするということでございまして、ちょっとした崩落であるとか、そういうものについては、この通常の管理費から支弁。ただし、この場合にも幾つかの考え方があろうかと思います。  管理費の平準化と、こういう観点からは、先生御指摘の民間の災害保険の加入、これも選択肢の一つであるとは思っております。ただし、いろんなやり方がありますので、会社に対して機構から貸付料を設定いたしますが、この場合に、通常の災害復旧に必要な額の平均額といったことを貸付料に設定して、毎年の変動はあと会社が対応するとか、あるいはまた保険でやっていくとか、そんなやり方が幾つかあろうかと思います。  いずれにいたしましても、大規模な災害と、日常、通常、毎年起きるであろうような災害、これらに両方に備えるべく規定上は入れているということではあります。  公団の時代に比べて有利か不利かと、これにつきましては運用の問題でもございますので、できるだけ適切な管理ができるような運用に努めてまいりたいと思っております。
  40. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 以上をもって終わります。
  41. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 民主党の北澤俊美でございます。  小泉内閣の改革の目玉であります道路公団の改革の法案がいよいよ参議院へ入ってきたわけでございますが、これの質疑に入ります前に、まず大臣の政治献金の問題について少しお聞きをいたしたいと思います。  このたぐいの質問は質問する方もなかなか気の重い話でありまして、大臣も、それよりもおれの方がもっと気が重いよと言うかもしれませんが、三月の当参議院の予算委員会でも質疑がありましたし、また一昨日、我が党の池口議員からも質問がございました。  自民党の中では小泉さんの、まあお気に入りという言葉が世俗的で良くないとすれば、まあなかなか期待をされておる一員として行革大臣もなさり、また、この重要法案を抱えたときに国土交通大臣に御就任になったと、こういうことで、国民的にも期待をされておる一人だというふうに思うわけでありますが、それだけに、新聞報道を見れば、もう迂回献金だと。しかも、我が国を代表するような新聞の一面のトップに書かれたということになれば、政治家として自らこれをはっきり明らかにするという責任はもう避け難いんではないかというふうに思うわけであります。  そういう中で、過日、衆議院と参議院の委員会大臣の方から書類が提出されました。これは、改めて出していただいてみても、報道や通信社の配信を見れば既に明らかになっていることでありまして、今更という感があるわけでありますが、もう少し積極的にこの件について真実を御開陳になるという意思はございますか。
  42. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) お尋ねの件につきましては、先日の衆議院の国交委員会理事会での決定に基づきまして資料として提出させていただいたものでございます。詳細はもうお手元に届いておりますので割愛させていただきますけれども、自由民主党本部より私が代表を務めております自由民主党東京第八選挙区支部への交付金の額につきまして御提示をさせていただいたところでございます。  これは、御同僚の池口委員との御議論の中でもお話をさせていただいたわけでございますが、小選挙区制の導入に伴いまして、政治家個人ではなく、政治家がそれまでは政治資金管理団体を国、地方、二つ持っていたわけですけれども、政党を主体として政治資金を積むべきだとの政治改革の趣旨にのっとって、自由民主党の本部あるいは支部に政治活動を、政治資金を集めると、そういうふうに変えたというふうなことでございまして、自由民主党から第八選挙区支部に交付された交付金は支部に対するものでございまして、政治家石原に対するものではございません。
  43. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 そういうお話であれば、まず当面一般論としてちょっと見解を聞きたいと思いますが、政治家個人に献金ができないと、こういうことであれば政党を通じてと、こういうことになります。それはそれでいいです。しかし、特定の団体なり特定の個人が政治に対して自ら利益を得ようとして働き掛けをしたということで、個人の政治家と折衝をしてその利益を享受するために政治団体に献金をしたと、その献金が最終的に迂回をして個人のところへ来たと、こういうことになれば、それはあっせん利得であるとかあるいは贈収賄であるとか、そういうところに発展していくはずであります。  今、大臣がおっしゃったようなことは一般論でそういう形を取っておるけれども、それが個人に特定された場合はただいま私が申し上げたようなことにならざるを得ない。そういうケースというのは、大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
  44. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 請託がなされたときについては、これは犯罪であると考えております。
  45. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 そこで、三月の十日のこの新聞によりますと、私もいろいろお聞きをしましたが、総体で四千万の献金について、この当時は、三月十日では大臣の名前は特定されていないんですよ。しかし、その衆議院議員の事務所に経緯を尋ねたと、しかし、尋ねたけれども回答が、お願いをした期日までに回答がなかったと、こういう記事が載っております。  このときには、大臣は、事務所からその経緯について御報告を得ておりますか。
  46. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 申し訳ないんですが、その三月十日にどこどこのだれが何を問い合わせたかということがちょっと分からないんでございますが。
  47. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 これでも国民に選ばれて政治家としてやっていて、自らの政治資金、しかもそれが一万や二万じゃない、四千万に上る政治資金が、あなたのところはどうなっていますかと、こういうふうに、それも日本を代表するような新聞社ですね、そこから問い合わせがあって、余り承知をしていないとか、そういうことですか。三月十日の新聞は、あなた、手元にきっとあるはずですよね、東京新聞。
  48. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 今、済みません、手元にないんですが。
  49. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 いやしかし、それは、それの新聞も見たり、それから事務所からもこういう経緯がありましたということの説明も、それから相談もなかったんですか、事務所の職員から。
  50. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 申し訳ございませんが、私、新聞の記事、私に関すること等々でもう全部は覚えているわけではございませんで、三月十日にどういう記事があるかということが、今新聞記事の切り抜きもないので、ちょっと分からないんでございますが。
  51. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 まあそこまで言うんなら、私も気が重いとは思ったが少し聞かせてもらいますわ。  こんなものは、普通の人間なら、自らの政治献金について、しかも四千万だよ、それを新聞報道されていることを余りよく知りませんという話はないでしょう。誠実じゃないよ。それは、委員会に対して誠実じゃないというだけじゃなくて、国民に対してだってそうですよ。もっと自らのところへ掛かってきた嫌疑について、それはぬれぎぬもあるかもしらぬ、ぬれぎぬだったらもっと積極的に自らそれを払うという努力はしなきゃならぬ。知らぬ存ぜぬで、形式的な流れの下に身を隠してやるということは、それはひきょうな話ですよ。私は、もっとあなたは誠実に積極的に解明に協力すべきだと、する人だと思って冒頭質問したんです。  それじゃ聞きますよ。二〇〇〇年の八月に、その前にちょっと、厚生労働省から来ていますから、この問題の核心に触れるところですから、厚生労働省、どなたか。  この問題の一番の発端になったのは、我が党の櫻井議員がかなり前からこの歯科医の診療について、診断書について努力をしておった。そのことについて、やがて与党の議員諸君もこれに積極的に参加するようになってきた。そういうことについて、運動と、それからその成果が時系列的にどんなふうになってきたかということをちょっと教えてください。
  52. 塩田幸雄

    政府参考人塩田幸雄君) そしゃく機能障害と申しますのは食べ物をかみ砕く機能の障害ということでございまして、昭和五十九年の身体障害者福祉法の改正によりまして、身体障害の範囲に入るということが明確にされました。それで、身体障害者として認定されるためには、身体障害者福祉法では、医師の診断書に基づいて都道府県知事が身体障害者手帳を交付するという仕組みになってございます。  昭和五十九年の法改正当時、そしゃく機能障害というのは医師のみならず歯科医師に非常にかかわりの深い分野であるということから、その当時、与野党を問わず活発な議論がなされまして、医師の診断書だけでなくて歯科医師の診断書も添付してもらうべきじゃないかという議論がなされました。これは法律事項でありますが、最終的には、その国会では法律改正はせずに、運用通知によって歯科医師の診断書の添付を求めるということで決着が付いたところでございます。運用通知という結論になりましたが、将来は法律改正も含めて検討すべきだというやり取りが当時の大臣からもなされているところでございます。  その後、歯科医学などの進歩もありまして、先ほど先生から御指摘がございましたように、平成十二年になりまして、更に歯科医師の関与を高めたらどうかという御意見が各方面から出たわけでございます。例えば、この参議院におきましても、そういう歯科医師の診断書によるべきだという法律の提案もございましたし、質問主意書もありましたし、国会での議論もございました。そういった国会の議論のみならず、歯科医学に関する専門の方々からも歯科医師の関与を更に強めるべきだという御意見が出されたところでございます。  こうした一連の動きを得まして、厚生労働省で実務的かつ専門的見地から検討した結果、法律改正はまだまだ関係者の意見が一致しないということで、それならば運用通知によりましてもう少し歯科医師の関与を明らかにしたいということで、歯科医師の意見、この方が障害に該当するかどうかを具体的に書く欄を設けるという通知の改正をしたところでございます。  いろんな国会の先生、与野党を問わず、いろんな御意見とか御助言を当時いただいたと思いますけれども、具体的にどういう先生からどういうような御意見とか御示唆をいただいたかにつきましては記録も残されていないということでございます。
  53. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 今御説明をいただいたとおりでありますが、そこで、法改正でなくて通知ということですから、政治側からの強い要請があったことを受けたと。まあ通常ですと、与野党の議員が同じことを要望しているということになれば、それは法律改正で対応するのが一番理想的ですよ。しかし、それを更にその手続を踏まずに急いだということはうかがい知れるし、私もいろいろお聞きをしますとそういう経過があったようですが。  取りあえず、新聞報道によれば、二〇〇〇年の八月に、この問題をめぐり、議員会館で同じ政策集団のメンバーらと厚生省幹部、日歯幹部が協議した場に大臣は同席をしていたと。そこで、日歯の要望書を受けた厚労省は、一年九月に先ほど御説明のあったことを盛り込んだ通知を出したと。ここで成果は上がっておるわけですね。それで、日歯連は政策集団の同僚議員二人に対しても二〇〇〇年六月と一年九月に各一千万を提供したと帳簿に記載していたことが既に明らかになっておると、こういうことですね。その政策集団というのは四人、これは大臣、私が申し上げなくてもいいです、分かりますね。そのうちの三人にそういう政治献金が行われているということであります。  これは、先ほど申し上げた、特定の団体が自らの利益のために政策要望をして、それが実現をした、それに対して政治献金がなされたと。ここから先は、大臣のおっしゃるように、確かに国民政治協会へお金が入り、それが自由民主党へ行って、自由民主党から東京第八総支部へ入ったと。こういうことで、報道はこれを迂回献金だと、こういうふうに言っていますが、ただいま私が申し上げた新聞記事も含めて、八月に議員会館の会議室で協議はしたこと、そういうことについてはお認めになりますか。
  54. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) この点につきましては、衆議院の予算委員会、参議院の予算委員会等々で民主党の皆様方から御質問を受けました点でございますが、私どもの政策勉強会は様々な分野の勉強をしておりました。特に、年金、医療、介護といったものがクローズアップされておりましたのでそのような問題、あるいは金融の問題あるいは高速道路の問題、あるいは行政改革の問題、個々の活動について、いつ、だれと会ったかということは、記録もございませんし、私、覚えておりません。  そして、委員がおっしゃるように、私がですよ、特定の方から特定の金品を享受して、そして働き掛けを行ったということがあれば何らかの問題を問われることがあるかもしれませんが、私は、今、委員がおっしゃられた問題、さらには政府参考人から御答弁をさせていただいた問題について、厚生労働省に対して働きを掛けたという事実は一度もございません。
  55. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 私が聞いているのは、八月に議員会館で日歯の幹部と厚生省の幹部とあなた方四人が会合を開いて、そこでお話合いをしましたかということを聞いているだけです。
  56. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) これは、冒頭申し述べさせていただきましたように、各界各層の皆さん方与党の議員というのはいろんな分野で勉強会をしております。そして、四年前の特定の日にだれと会ったという資料はございませんので、確認のしようがないということを御答弁させていただいているところでございます。
  57. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 私も長いこと議員やっていますが、重要な課題について、特定の、しかも日本歯科医師政治連盟の幹部と厚生省の幹部と特定の政策について、このことの善しあしを私は言っているわけじゃありませんよ。これが成功したことは国民にとってもいいことでありますからね。それはいいんですよ。だけれども、このことを協議したことを、そんなにお若いあなたが簡単に忘れますか。それとまた、こうやって新聞に出たことについて、ああ、あのときこうだったのかなということぐらいは思い出せないですか。
  58. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 特定の日付を限定されてだれと会ったというのが御質問でございましたので、特定のだれと会ったか、それは当然厚生省の、当時は厚生省でございます、厚生省の役人の方、あるいは他の行革であるならば行革担当、金融であるならば金融担当の役人の方とお会いはしていると思いますけれども、だれと会ったかというようなことまでは覚えておりません。
  59. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 それじゃ、ちょっと。自由民主党から第八総支部へお金が来ますね。これは政党助成金という制度ができてから全員に、我が党もそうですが、来る定期的なものもあるのが、この調べですと、二百九十数回にわたって自由民主党から各総支部へ出ている。その中の九回が特定の人に入る。一般的でない九回の回の、その中の四回があなたのところへ入っておると。そうすると、これ特定のことなんですよね、特定のこと。  そうすると、そのお金は自由民主党の本部から何のために来たかということは分かりますよね。何のために来たかと。この四回については何のために党本部からあなたのところへ特別に一千万ずつ入ったかということについては分かりますか。
  60. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 政党本部から支部への交付金というものは、その地域において政党活動を周知たらしめる、さらにはその政党が行っている政策について御理解をいただくための政治活動への交付金だと認識をさせていただいております。
  61. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 何かつまらぬ答弁だな。  二〇〇〇年から二〇〇二年に各支部へ一回で一千万以上交付されたのは全部で二百九十一回。このうち二百七十六回は国から支給される政党支部交付金に充てられた。選挙に関係のない時期の交付は、このうちの、先ほど九回ということを言った、その中で選挙に関係のない時期の交付は、石原氏の支部への四回を含め六回だけなんですよ。あなたのところへ四回、あとのところへ二回、突出して特別の話です。  このことを今あなたが言ったようなその地域の何やらかんやらという話で済むんですか。東京第八支部のそのエリアの中で特別なことがあったんですか。
  62. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) これは北澤委員も御承知のことだと思いますけれども、自民党本部から支部への交付金の額というものをどういうふうに決定しているかということは、私の知り得る立場にはございません。自民党本部が党の支部に対しまして政治資金をいつ、どのように、どういう理由をもって配分されるかは、正に党の独自の判断において行われるものでございまして、そこの点は是非御理解をいただきたいと思います。
  63. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 私も政党助成金が入るようになってからは、もう自民党は離れているから今のシステムは分かりません。しかし、つまり何もあなたのことを自由民主党の内部の話として話すんでなくて、一般論として話したっておかしな話じゃないですか。  いつも定期的に来るもののほかに一千万というものが四回にわたって入ってきている。それを送ってくる方がどんな気持ちで送ってきたか私は知りませんと、しかし使ってはみましたと、こういう話はこれ、しゃばで通用する話じゃないでしょう。少なくとも、これは何ですかと聞くことだってできる。もらったから何でもいいやという話でもないでしょう。  それは大臣大臣としてだっておかしいし、政党人、政治家としてだっておかしいと思うよ。そんなことをここで通用するような議論になったら、私はとてもじゃないけれども、これより先に進んで議論できませんよ。そんな党本部から送ってきたから、それは送ったものの勝手で、おれは知らねえという、そんなばかな話ありますか。
  64. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) さっきも申しましたように、自由民主党の本部から支部への交付金というものは、その地域で政治活動を活発に行うようにという政党の指示でございます。こういうふうに認識しております。
  65. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 じゃ、あなたは、東京第八支部は、自民党に全部で三百幾つの支部がありますが、特段に地域の活動が鈍いんで特別あんたに一千万やるから頑張れと、こういう話ですか。そういうふうに受け取らざるを得ないでしょう。
  66. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 情けない話でございますが、党員の数等々、大変私の選挙区は、委員承知のことと思いますけれども、自由民主党の政治活動を行っていく上で御理解を得るにはなかなか難しい地域であるということは事実だと思います。
  67. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 まあね、それはいろんな答え方もあるが、今の答え方でしゃばが通るというふうに思っちゃいけませんよ、それは。私も長く自由民主党にいましたが、今のこの流れのことは知らぬわけじゃないんだ。知らぬわけじゃないんだ。それを、東京の私の選挙区は情けないことだがなかなかうまくいかない。あなただってそうは言ったって選挙に勝っているんでしょう。選挙に勝つということは政治としての最大の成果ですよ。それを成し得た人が、党の中で二年間のうちにわずか六回の中の四回があなたのところへ特別に党活動をしなさいということで来たなんというふうに本気で思っているんですか。そんなことはないでしょう。
  68. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 冒頭申しましたように、政党から政党支部への交付金というものは政治活動を行うために交付するというのがこの交付金の性格である以上、その性格にのっとって活動をするというのが支部の責任者との務めだと思っております。
  69. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 ちょっと視点を変えて聞きますが、あなたもこれね、これはぬれぎぬかもしれないんですよ、ぬれぎぬかもしれないんですよ。だから、私はある意味では協力的にあなたが自らの潔白を早く明らかにするような質問をしているつもりでもあるんだ。  事はあなたの対局にいる日歯連の臼田会長と常務理事かなんかの内田さんという人は、既にもう逮捕されているんですよ。すると、書類も、いろんな報道関係に聞けば、書類も取材に行ったけれどもすべてもう上げられちゃっていて、そこでは全く何も分からぬと、こういうことになっているんですよ。だから、捜査が進めばおのずと明らかになってくるはずの話なんですよ、これは。  だから、あなたの今、しかもこの小泉内閣の閣僚としている立場からしても、今のような答弁でなくてもう少し我々でも理解のできるような答弁をした方がいいんじゃないですか、どうですか。
  70. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 北澤委員のお心遣いは非常によく分かるんでございますが、私がこれ以上の答弁をするというようなことは、何をしゃべっていいのか、私には理解ができませんし、私は委員会の御指摘にされた点につきまして、理事会の決定に従って事実関係を証明し得るものを御提示させていただき、今も御答弁をさせていただいているところでございます。
  71. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 本題でない問題に余り長く時間を掛けるわけにはいきませんが、これは今申し上げたように、既に官憲に日歯連の人たちが逮捕されておりますから、捜査が進めばおのずから分かる。しかし、申し添えておきますが、押収された書類の中に、押収された書類の中に一部議員の名前も記載をされていたということをある一部の通信社が配信もしているんですよ。ですから、多分明らかになるだろうというふうに思いますよ。これは石原大臣の名誉のためにも申し上げておきますが、そのことがあなたの不正につながらないことを私も強く期待をいたしておりますが。  しかし、今どこへ行ったって、日本じゅうどこへ行ったって政治と政党に対する不信、そしてまた政治家に対するある意味でのさげすみの風潮は止まるところがないんですよ。そういう中で、こういう問題を、私はちょっと差し障りがあるかもしらぬが、日本の国の政治が二大政党制に進んでいって政権交代ができる仕組みがややできつつある。そういう中で、一方の期待された政治家としてあなたが今たまたまこういう岐路に立っておる。これは自ら明らかにするという姿勢をしっかり見せることによって、私はあなたの評価はまた高まってくるというふうに思うんです。今日の質疑では全くそのことが期待できなくて、私は極めて残念でありますということを申し上げて、次に移らしていただきます。  道路公団の問題に入る前に、小泉内閣の大変大きな柱として、これはある意味では日本の将来を占うものだというふうに思いますが、三位一体改革があるわけですね。三位一体改革が叫ばれながら、いよいよこの十六年度で本格的な予算編成に入ったわけです。この予算編成に入った中で、結果を見れば、分権社会を構築していくという、そしてまたそれによって日本を再生するというような理念というか理想というか、そういうものが完全に崩壊した。  私は去年の暮れから正月にかけて長野県内を、いろんな会合へ出ていきますと、市町村長さんたちの怒りたるや、これはただ事じゃなかった。ただ事じゃなかった。政府にだまされた、小泉にだまされたと、こういう声です。これは、多分自民党の皆さん方も同じことをみんな聞いていると思うんだ。これは、ある意味でだまし討ちですよ、だまし討ち。国庫補助金を一兆三百億削減した。しかし、普通ならば当然それの七、八割方は一般財源として来るものだと、こう期待をしているわけですよ。ところが、全く、全くというほど財源が措置のないままカットされちゃった。これは完全に自治体側の期待を裏切るものですよ。それから、あろうことか地方交付税、それと臨時財政対策債を合わせて二兆八千億強削っちゃった。これ、合わせると三兆四千億に上る削減ですよ。  私の長野県だけでも百十六市町村があるんですけれども、そこで三百七十八億が減っちゃっている。どこの市町村へ聞いたって、それはとても予算編成できない。来るべき時代ということで財政調整積立金を積んでおいた。それを取りあえず崩したり、やりくりをした。長野県知事なんかは給料を削ったりいろんなことをして、そうでなくてもなかなか評判の行ったり来たりしている知事が総スカンを食って、えらい目に遭っておりましたが。市町村だけでも三百七十八億ですよ、これだけ削られている。これは、今回は乗り切ったとみんな言っているんですよ、何とか。何とか乗り切った、来年はもう駄目ですよと、こう言っているんですね。  これはどういうことかというと、先ほどもちょっと申し上げたけれども、地方のやる気を完全になくしているんですね。分権社会だとか地方自治という理念や、次なる国への形が吹き飛んでしまったと、市町村の失望の拡大と、こういうことだと私は思うんです。  それで、まあそんなことを言っちゃなんだが、片山さんが大臣やっていたときは何とか、私も見ていて、財務省と互角に闘っていましたよ。なぜか今回の改造で彼は、ちょうど仕事半ばですよ、一番大事なところで替わったんですね。途端に、次の人がどうこう言うつもりはないが、途端に一気にやられちゃった。  それは確かに、二〇〇三年度の骨太方針の中をよく読めば、こんなことをやっていいようにちゃんと全部下地ができているんだ。だから、これに気付かなかった方もおかしいけれども、しかしやり方が余りにも急激だった。これに至る理屈付けが、なおけしからぬと僕は思っているんですよ。  地方財政計画というのがありますね。地方財政計画で、確かに投資的経費は計画よりも実績は六兆も減っているんですよ、六兆もね。だから、そのことを財務省は種にして今度削っているんだけれども。これはなぜかというと、その反対側にある投資的経費や何かのほかにある経費については、これ十兆増えているんですよ。それは、投資的経費を節約して、要するにナショナルミニマムの水準が極めて低い分野、分かりやすく、まあまあ私がここでえらく講釈言うつもりはないが、私は、地方の社会資本整備、とりわけ国土交通省責任を持たなきゃならない道路整備や災害に強い地域作りをするためのものが危なくなっていくという観点から今このことを一生懸命言っているんですが。要するに、例えば保育所の、公設の保育所の保母さんの給料なんというのは、二年ぐらい勤めたところの給料を平均にしているから、三年、四年とたてば、これはもう地方自治体が持ち出しになるんですよ。それをこの投資的経費の方から節約して、そっちへ持ち出していって補てんしているんでしょう。そういう努力をした結果としてこっち側で十兆も増えている。この十兆増えた方を全く見て見ぬふりをして、六兆減った方だけでもってぱんと切ってくるというのは、これは不届きだ。  これに対して、こういう経過、あなたはまたたまたま行革大臣もおやりになって、二度にわたって小泉内閣におりますが、当然、閣議でもこういう議論があったというふうに思いますけれども、あなたはこれについて、国土交通省を所管する大臣として、地方の財政を痛め付けて地方が再生できるか、地方のやる気をなくして地方が自立できるか、そういうような議論に加わったことはありますか。
  72. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) この点につきましては、前内閣のときにこの三位一体論の議論をまずさせていただきました。そして、昨年の十一月だったと思いますけれども、十六年度予算で一兆円の補助金の削減という指示が出され、国土交通省として三千億円何とか補助金を削減しろと、こういう指示が来ました。そして、一週間の回答期限をもって三千億円の削減すべき補助金等々を決定しろという、当時、覚えておりますが、大変きつい御指示だったと思っております。  それに加えまして、委員指摘のとおり、交付税の大幅な削減というものが行われ、国土交通省という役所の特性上、多くの市町村長さん等々、県知事さん等々が陳情にいらっしゃるわけですけれども、地方公共団体で十六年度の予算編成というものが本当に大変だったという話を聞いております。  そこで一番御要望の多い、また北澤委員が御指摘されました道路整備に関してでございますけれども、やはり各地域によってのニーズや緊急性の度合いというものは異なっているんだと思います。あるいは、高速道路を始めまして、都市と地方を通じて道路の必要性を客観的にどこがどういう順番で必要なんだ、どこが緊急性があるのかというようなことの物差しというものが国、地方、中心部、私の言う意味は、都会、地方に共通の物差しというものがないということも行革大臣のころから感じておりました。  地方の実情、今、委員が御指摘されましたものを踏まえますと、既に整備された道路延長や面積、あるいはそこに住んで暮らしている方の住民の数など、機械的に資金を配分すると実際の道路整備と地域のニーズというものがミスマッチが起こってしまう。どうも方向としては機械的にというようなことも感じずには得なくて、そうしますと大都会に偏重してしまう。しかし、日本全国道路整備というものを考えますと、それでは私は悪いのではないか。そして、委員が御指摘されましたように、意欲をなくすということではなくて、意欲のある地方が頑張れる仕組みにすることが私は大事だと思っております。  そんな中で、大きな金額ではございませんけれども、十六年度より地方道路整備臨時交付金、これの個別事業の事業配分を地方が自由に行えるといったような運用改善を行わせていただきますが、こういう地方の皆さん方の要望が通るようなものをやっておりますが、全体の削減額がかなり大きいということもあって、地方の皆様方に不満があるということは重々承知しているところでございます。
  73. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 とにかく親切じゃないんですよ。  要するに、地方交付税が減少したのは、御案内のことだと思うが、一九九三年に一・六%減ったことはあるんですよ。しかし、今回は一二%ですよね、一二%。そうすると、それも本当に突然で起きたことなんだ。これで、結果的に地方の人たちから見れば、国の財政再建だけが先行していって地方の自立した裁量が全くできていない。これは一緒に進まなきゃ駄目なんですよ。国の財政再建も大事だけれども、地方も、総額は減るけれども、自由裁量が広がればその中で何とかやっていこうという気持ちになるんですよ。その車の両輪がかみ合わない。かみ合わないどころか、片方の車輪を置いて走り出しちゃうんだから、駄目だ。  しかも、交付税を突然減らすということは、元々交付税の根幹にある財源保障機能とかそれから財政調整機能、この二つは交付税の一番の柱ですよ。これについて全く明確な方針が打ち出されていない。自治省も出していないし財務省ももちろん。それで、ただ切るだけですよ。こんなことで地方が希望を持って何かやろう、そんな気はない。そこへ合わせて、さあ合併しろ合併しろといって責め上げてくるわけでしょう。それはもう不信感たるや沸騰していますよ。そういう中で、泣き泣き今年は予算を組んだが来年は予算組めませんよと、こういうことですが、七月の参議院選挙も控えているからまたいろんなことは言ってくるんだろうと思いますが、これとても焼け石に水、地方は大変なことになります。  そこで、今、大臣の答弁もお聞きをさせていただきましたが、道路局長、今のようなことを、多分いろんな陳情や要請に来て地方の市町村長はいろいろ言っていると思いますが、道路行政をつかさどるあなたとして、今の状況で一体将来どうなるのかというようなことについて懸念を持っておられたら、ちょっと披瀝してください。
  74. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 市町村長たちのお考えも踏まえながら、将来の道路整備に対して大丈夫かと、こういう御質問かと思います。  幾つかの市町村長にお話を伺いますと、やはり高速道路はもちろんでございますが、身の回りの道路、こうしたものでどうしても、手を付けるべきであるが、なかなか単独事業でやれと言われても、事柄そのものとして難しいんですという、例えば踏切を立体にするとか、そうした幾つかの問題をお伺いすることがしょっちゅうございます。そういう意味では、日本の場合、まだまだ道路整備あるいは地域作り、まちづくりがまだまだこれから、こういう問題かと思っております。  そこで、大事なことは選択と集中、それから事業を効率的に行う、こういうことかということもございまして、先ほど大臣からもお話しいただきましたけれども、地方道路整備の例えば交付金事業で申し上げれば、計画そのものをパックにいたしまして自由度を増して、とにかく大急ぎでやるべき部分というものに着目して、地方ができるだけ弾力的に行い得るというようなことも十六年度から措置させていただいた、こういうことでございますが、なおこれから一層、使い方の工夫も含めて、公共団体、地方の首長の意見をよくよく伺いながら、道造り、まちづくりがきちっと進め得る、そんなふうに努めてまいりたいと思っております。
  75. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 大臣、この結果どうなっていくかというと、幾ら国土交通省が財源を持っても、それを今のシステムの中で補助金として出していって事業を地方にやらせようと思っても、それから直轄事業だってそうですよ、みんな。みんな裏負担もあるんだから。そうすると、地方がこれだけに痛め付けられたら受け入れられないんですよ。そうすると、結果として国土交通省の施策が行き届かなくなるんですよ。それは目に見えている、もう。来年からそうですよ。これは大変なことなんですよ。  是非、閣僚の一員として、自分の所管する国土交通省の社会インフラの整備責任を持つ者として、私は何も予算を広げてどうしろと言っているわけじゃないんですよ。少なくとも、地方と中央が一緒に、少ないものなら少ないもので協力し合ってやっていけるようなシステムのために是非御発言をいただきたいというふうに思います。  この制度について長野県の田中知事は議会で何を言ったかというと、まあ長野県のことを言ってもしようがないような気がするが、なかなかあの人は皮肉なことを言うから。自民党の県議団へ行って、皆さんが、私は公共事業を削るとこう言っていますけれども、好きで削っているわけじゃないんで、ここまで痛め付けられたらやりようがないから、政府へ一緒に自民党の県議団の皆さん、私と一緒に陳情に行きましょうと言ったら、自民党は、おまえと行くんじゃ誤解されるから嫌だと言って断ったようでありますが。それはお互いにもう気持ちは一緒ですよ、それは。だけれども、自民党の県議団の諸君に僕がその話を聞いたから、それは一番責任にあるのはあんたたちだよと、こう言ったんですが、こんなことが続けばこれはもう行き詰まるに決まっている。  この元はどこから来たかというと、地方に自由裁量させるために、新しい地方自治を作るために、民主党は二十兆ある補助金のうち十八兆を地方へ渡しましょうと、こう言って問題提起をしたんだ。そうしたら知事会は、いやいや、取りあえず九兆円やりましょうと、こう言ったんですよ。だから、半分ではあるけれども同じ方向なんですね。そうしたら市町村会は、いや七兆円でいきましょうとこう言った。ここまで来れば政府も黙っていられないから、四兆円を取りあえず三年間でやりましょうと、こう言ってスタートしたんですよ。  だから、補助金を地方へ自由裁量として渡すという流れは国民的な合意になったんだ。合意になったから十六年度予算でどうするのかとこう思ったら、話は元へ戻るが、一兆三百億やって、半分も、しかも何の裁量もないものをただ渡しただけで、実質は全く自由裁量はゼロになっちゃった。こんなまやかしはない。  だから、このことを強く申し上げておきますが、これは国土交通省の将来というよりも明日にかかった問題ですから、大臣のきちんとした見識を閣内で示していただきたいというふうに思います。  ちょっと前段が長くなりましたけれども、道路公団の問題に入らせていただきます。  私は、この道路公団民営化については自分の考え方からすると少しやりにくい部分もあるんです。私は、基本的に道路は国がきちんと整備すべきだというふうに思っております。しかし、それは沓掛先生が先ほどもお話しになったように、歴史の証人みたいな方でありますから、戦後財源がない中で、ワトキンス報告書にもあったように、とにかく早期に整備、そして財源不足をどうするかという中で、道路公団を作って、財投を投入してこの制度を作った。それはそれでいいんだ。それはそれでいいんだが、それが放漫経営の中で行き詰まった。行き詰まったら、今度はそれは民営化だと。それは違うんじゃないかと私は思う。まず、国が国の責任の中においてやってきたものがつまずいたんだから、国の責任できちんとしてからやるべきだと。  このことはこの前も質問のときに申し上げたが、私は再度ちょっと道路局長お尋ねをしたいが、道路公団が行き詰まったら民営会社にすぐして、はいそれで何とかしますと、これはちょっと国とすれば無責任じゃないかと思うんですよね。細かいことはこれから聞いていきますが、まず基本的にその辺はどうですか。
  76. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生御指摘の、道路公団と申しますか、有料道路制度道路の特定財源制度が、戦後、昭和三十年以来本格的に道路整備を進めてきた二つの柱とよく言われております。  この中で、有料道路につきまして、一昨年の八月でございますが、道路審議会、現在では社会資本審議会の道路分科会の御指摘でも、有料道路制度を活用することは大変重要なことである、しかしながら、現状においてこの有料道路制度で料金のみで、借入金と料金のみで整備を進めてき過ぎるという点について御指摘いただいて、現状のままでは有料道路制度の活用について限界があるから、もっと根本的に考えるべきではないかと、こういうような御指摘もいただいたところでございます。  そういう意味では、活用することは、有料道路制度、並べまして道路公団ですね、活用することは大事なことでありますが、その中で借金が、借入金が増加をし続ける、あるいはまたこのコストが高いという体質がいかがなものか、ファミリー企業なるものとの関係は世の中からの御批判もいただいている、そうした中で解決しようと、有料道路制度を本来の十分な活用がし得るような形にして、更に道路整備とそれからたまりましている借入金の返済なども考える、これを見直すべき時期ということは、そういう意味ではいろんな方面からの御指摘が固まってきているといいますか、集まってきている、こういう状態であったかなというふうに、実は二年前の社会資本審議会の御提言もいただきながら思ったところでございます。  そういう意味では、にわかに道路公団をどうするかという以前に、有料道路制度をもっと効率的に、なおかつ、引き続きある程度活用しなければ今の日本の現状、これからの道路整備を考えますとまだ厳しい。そういう中で、節度を持ってきっちりと借金の返済、借入金の返済を考えながら、なおかつまた、料金に頼り過ぎない、料金を上げるというようなことに頼り過ぎない、こういうような形でやっていこうというふうにいろいろ考えますと、現在の公団制度というままで本当にやれるか、こういう点からいろいろ検討いたしますと、この民営化という荒療治が必要と、こういう経緯をたどったというところでございます。
  77. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 佐藤局長はなかなか誠実な方で信頼もしていますが、最近、この委員会に出る回数が多くて弁舌さわやかになってきたら、余り楽しい今答弁をしてくれなくて残念なんだがね。  私から申し上げるまでもなく、道路は本来国が責任を持つもんだということを私はあなたの口からもっと期待しているんですよ。これは大臣も同じですけれどもね。本来、国が責任を持って国民に無料で提供すべきものだと、私はそう思っている。世界の歴史を見たってそうです。軍事と経済に基づいて道路を造ってきた。それを基にして、人の交流によって宗教や文化が伝わって多様な社会が作られてきたわけですけれども、道路整備と我々の生活は一心同体である、高速道路日本の発展の大きな牽引車であったと、これは佐藤道路局長の論文にあった、ちょっと抜粋をした、ね。だから、これだけの自負を持っておるわけですね。  今回の改革に当たって、道路についての基本的な認識をきちんと国土交通省として整理をしてから臨むべきであったというふうに思うんですよ。ところが、民営化というのが前へ来たもんだから、多分国土交通省とすれば、考えは持っていたけれども、後追いになったんではないかなというような気がします。  そこで、申し上げますが、小泉総理が道路公団民営化を打ち上げれば、当然国民は、高速道路は民間会社が経営して、四十兆の債務も会社が返済するものと思うんです。これは当然のことだ、当然のこと。しかし、少し物の分かった人は、国鉄のこともあるから、そうは言ったってそううまくいかないだろうと、一部は税金で返すのかなと、こういうふうにも思うわけだ。国交省は、道路は公共物であるから民間に任せることはできないという、これ一種の縄張争い、そう言うとちょっと言葉が悪いから、ある意味では哲学かもしらぬが、そういうものはずっと持っているはずなんですよね。  一方、国鉄の場合は、民鉄の存在があったんで、民間所有に反対しにくかった。しかし、たまたま運輸省と建設省が一緒になったから、かつての運輸省のJRの民営化で砂をかんだ思いはきっと共有していると思うんでね。石川さんはもういないか。だから、どれほど民営化してしまうと自分たちの手の届かないところへ行ってしまうかということも、これまたいい悪いは別にして、感じていたことだというふうに思います。  そういうことを全部含めた上で、国土交通省として、この破綻した道路公団を立ち直らせるために自分たちはどういう責任を負うべきかということをしっかりした上で、この民営化議論に僕は入るべきであったというふうに思うんだが、そこの認識が足らなかったんではないかというふうに思います。  それで、今のような議論を踏まえ、考え方を踏まえて、大臣は、当時行革担当の大臣だった。今は国交省大臣。この民営化推進委員会がスタートするに当たって、そういう問題について、まずどんな考え方をお持ちの上でこれに臨んだか、ちょっとお話をいただきたいと思います。
  78. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) これは御同僚の沓掛委員への御答弁でお話をさせていただきましたように、なぜ民営化しなければならなかったのか、なぜ公団のまま改革ができないのかという基本が原点にございました。  しかし、先ほど公団の抱える問題については、償還主義の問題、プール制の問題、あるいはファミリー企業の問題等々述べさせていただきましたが、どれも指摘はされていて、分かっていながらなかなか解決することができなかった。そこで、特殊法人の整理合理化計画、特殊法人は原則廃止か民営化だと。そんな中で、この道路公団民営化という荒療治を行うことによってそれらの問題を克服していく道はないのか、こういうことを行革の観点から考えたわけであります。  そして、先ほども御答弁させていただきましたように、この大都会と地方との必要な道路論争、こういうものにもやはり国民共通のコンセンサス、すなわち評価基準を統一していかないと、いつまでたっても、地方は高速道路がないんだから高速道路をもっと造ってくれ、都会で言いますとそんな地方の高速道路は無駄だから要らない、こういう不毛な議論がなされていた。それに対しての共通の物差しというものを作っていかなければならない。  そして、目指すべき方向は、やはり公団のままでは四十兆円に上るというこの債務が本当に返済できるのだろうかというような疑問を感じるような状態をどうやって改正していくか。すなわち、四十兆円の長期債務、有利子債務というものを法律でしっかりと返済する、そして債務の返済の引き延ばしや、あるいは全国プール制といったような、東名の料金で北海道の道路や九州の道路を造るということをどういうふうに改めていくのか、こんなことを考えて議論をさせていただいてきたつもりでございます。  そして、国土交通大臣に就任をさせていただきまして地方を多く訪ねる機会が増えたわけですけれども、正に委員が御指摘佐藤論文を引用されて御指摘されましたように、高速道路というものは地域の社会、経済、文化の発展の基盤となる社会資本の一つであるということも認識させていただきました。そして、まだまだ整備が足りていない。  例えば、大都会の環状道路でも、整備率を見れば、ロンドンは一〇〇ですけれども、日本は二三で、お隣の中国の北京は、ついこの間五〇%だと思っていたら一年で八二%までになる。あるいは、週末に長崎をタウンミーティングで訪ねたんですけれども、この三月の二十六日にできたと言われるながさき出島道路という、ただトンネルだけの、多分あれは地域高規格だと思うんですけれども、料金百円で高速道路にジョイントする道ができたことによって、市内から空港へのアクセスというものが二十分ぐらい短縮される。地域作りを支える道路ネットワーク整備の重要性ということも、実際に通ってみると初めて実感をしたところでもございます。  これからは、やはり客観的な指標に合わせて、その指標の点数のいいものから、真に必要な道路としてコスト削減を図りつつ、限られた財源ではございますが、やっぱり選択と集中で早く整備をしないと役が立たない、スピードアップにも努めていかなければならないと感じているところでございます。
  79. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 各論へ入る前に結論じみたことを言うのもどうかと思うんだが、さっき局長の論文をちょっと引用させてもらったが、その中に更にこういうことが書いてある、結びの方にね。高速道路公共財としての性格と有料道路としての採算性への配慮を両立させる画期的な仕組みですと、今回のこの法案をそういうふうに自画自賛した。ただ、私から見ると、推進委員会意見をうまく外して、道路局の思惑を十分に取り入れた仕組みとしか思えない。ここがちょっと二人の意見の違いで、これからそこのところへ、各論へ入らせていただきますが。  まず、一番の関心事は債務が返せるのかということですね。返せないと言う人の言い分、ちょっと強烈なのがありますから。  「高速道路 何が問題か」という、宮川公男さんという偉い学者さんですが、   私は本書で、償還主義のいう償還完了の時はこないであろうし、償還完了後の無料開放という期待はいつまでも裏切られ続けるであろうということを明らかにしたい。償還完了があるとすればそれは自動車交通が消滅し、高速自動車道路自体が無用の長物になるときである。 と、こういうふうに言っている。   過去五〇年間放置されてきた矛盾が根本的に再考されなければ、国民はまた次の四五年あるいは五〇年間、無料開放の幻想を抱き続けさせられ(賢明な国民はそんな幻想を抱かないかもしれない)、結局はその約束は裏切られることになろう。しかしその時には、今日の改革に関わった、自己の権益しか頭にない無責任で、かつ制度の明白な基本的矛盾に気づかないほど愚かな政治家や官僚たちは、もはやほとんど誰も生きてはいないのである。 と。  なかなか痛烈なことを書いておりますが、この人はどういう人だったかな。この文章は、私本文は読みましたが、なかなかしっかりした文章で、変に反対をためにするような論文ではなかったんです。この人は、一橋大学の教授を経て、今何か財団法人統計研究会の理事で一橋大学の名誉教授をおやりになっている方でありますが。  まず、冒頭、今これ申し上げましたが、この計画は駄目だろうと、こう言う人が多いんですよね、多いの。償還できないだろうと、こう言う。私も本当にそうなのかなと思って一生懸命に勉強してみたが、結局分からないんだね。それはそうだよ、四十五年まで生きている人はここに数人いるぐらいですからね。  しかも、過去の歴史を見れば、二十五年で返します、二十八年で返します、三十年で返します、四十五年で返します、五十年で返します、そのたびに変わってきたんだ。ただ、一つ変わって、大きく変わったのは、公団から今度は民営になると、こう言うんですね。だから、そこのところで希望が持てるかというと、これがまたとてもじゃないがなかなか希望の持てない。総裁もおいでになったから、後ほどいろいろお聞きしますが。  まず、今申し上げたように、二十七年に道路整備特別措置法、三十一年の特措法で日本道路公団ができたんですが、四十七年の料金プール制、それから昭和六十二年の国土開発幹線自動車道建設法改正による予定路線一万一千五百二十キロ、うち整備計画が有名な九三四二、それから供用、建設中九千六十四キロ。この中で初めて二十五年とされた料金徴収期間の約束は全く守れなくて、無料開放は次々に先延ばしされてきたわけですね。昭和四十七年認可の三千八百九十五キロによって償還計画は二十八年になった、二十八年。次に、平成十一年認可の九千六キロでは四十五年間になった。さらに、同じ年の十一年の国幹審で先ほど申し上げた九千三百四十二キロで、平成十三年から五十年と、こうした。  これは全部、自動車に乗っている人たちはだまされ続けてきた歴史なんですね。だまされていた。しかし、この間ずっと日本の経済は右肩上がりで成長を遂げてきたから文句も言わずにきたし、しかも、そうはいっても全国に高速道路整備が進んだから利便性も高まってきたということで、国民は文句を言わないできた。こうした償還主義とプール制の下で無料開放が先延ばしされた歴史は、高速道路の料金制度に対する不信感を植え付けたことだけは間違いがない。間違いがない。  この上で、今度の法改正によって四十五年で今度は返しますよと、こう言うが、にわかに国民は信じないだろうというふうに思いますが、道路局長、何か小泉さんのようにワンフレーズで国民をぱっと納得させるようなうまい答弁はありますか。
  80. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 簡潔にというお話でございますので一言だけ申し上げたいと思いますが、先生御指摘のように、これまで新しく整備計画を繰り入れる都度、全体としての、償還という言葉を使っておりましたが、償還期限を延ばしてきた。これは法律に記述してあるわけでございません。運用でそういう意味ではやらせていただいている、道路審議会のこの答申に基づいてやらせていただいている。そういう意味では、今回法律に明確に四十五年以内と、こういうふうに規定させていただくということは大変な違いを一つはもたらすものではなかろうかと思います。  もう一つ、幾つか申し上げるべきことがあるかもしれませんが、そこはまた御質問にいろいろ応じさせていただくことにいたしまして、もう一つ大事なことは、コスト縮減という形での十・五兆円と申し上げている内容であるわけでございます。  一つは、四十五年以内に返すんですよということと、もう一つは、これまで未供用区間の二千キロで申し上げれば、高速自動車国道の場合、ほかの場合、取りあえず簡潔に申し上げるためにほかの場合は別にいたしまして、高速自動車国道二千キロ未供用がある。この中で二十兆円これから建設費を要する。これを、要は有料道路の事業費の対象として、言ってみれば借入金で建設するという部分を十・五兆円以内に限定する。以内に限定する。これが、今までのように更にいろんな費用が掛かりましたからしようがないんですよ。事業費上がりました、それをまた繰り込んで全体の償還がどうなるかというようなことで計算をし直したら、四十五年が四十八年になりましたということを私ども自身が、ここはもう今回きっちりとやりませんと、こういうことで、そういう意味での四十五年以内という法律の明定と、それから高速自動車国道の新規の建設費で申し上げれば、現在、未供用部分の整備計画二千キロに対して十・五兆円、これも以内で建設するんだと、こういうことを明確にお約束しながらきっちりとした、この法律を成立させていただきましたらきっちりとした運用でそうしたことを実現したい、こういうことでございます。
  81. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 お話を聞けば、佐藤局長にはずっと長生きでもしていてもらいたいなと、そう思いますよ。  しかし、国民は、今申し上げたようにずっとだまされてきてね、だました人はどっちかというと忘れやすいけれども、だまされた方というのは割かし覚えているんだよね。これ、この議論はできますというのとできないというので、じゃやってみないと分からないところが大半でありますから、なかなか議論がかみ合わないというふうに思います。佐藤局長に長生きしていただくことは結構だが、太平洋戦争の生き証人みたいな人たちのことをよく出ますね。あの人たちが、大体みんなあの戦争は反対だ、まずかったとか反対だった、おれは本当は反対だったと言う。それだったらそのときに言ってくれよと言いたくなるんだが、まあその話は、人間なんて愚かなものだからそんなことでしょう。  そこで、上下一体かあるいは分離かという議論は民営化委員会の大きな柱でした。委員辞任をしたりいろいろしたのの、もうすべてここが発火点。そこで、この件についてちょっとお伺いしますが、民営化の本質論を超えて課税か非課税かということをかなり議論の道具に使うことによって物事が決まったんではないかという私は邪推をしているんですよ、邪推を。推進委員会は上下一体論が多数意見だった。ところが、課税問題によって十年間の上下分離ということになったんです。まあそれはしようがないやと、税金で取られて成り立たないんならしようがないというんで、取りあえず十年間は非課税でいこうということで意見書は決まった。しかし、政府与党合意は十年論を無視してしまう。その裏には、分離によって機構に資産、いわゆる道路を所有して会社との関係ではリース権を保持して会社運営をコントロールできるスキームにしたんだ。これは、道路局と与党のいわゆる道路族という人たちが、どんな人かよく分かりませんが、そういう人たちとの協議の中で。したがって、委員会が勧告まで出して、案ができたら政府与党の合意、合意を取る前に私たちに教えてくださいよと言った。しかし、それを無視したんですね。これ、何でそこのポイントを無視したのかということを一つ聞きたい。まあいいや、取りあえずそれを聞かせてください。
  82. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 民営化委員会の御意見をいただいた上で、これを基本的に尊重しながら政府与党でこの法、基本的な骨組みをお決めいただく。これは政府与党として責任を持って法律を出させていただくからには当然のことといいますか、一番大事な部分、こういうふうに考えていただいているものと思います。  昨年の十二月の十二日でございましたが、そういうことで基本的な骨組みをお決めいただいたわけでございますが、いろんな御意見を伺う、こういう意味で、公共団体の御意見も含めて、選択肢として考え得るものについて幾つかのポイントを、対案、複数の案をお出しさせていただいた上で、地方公共団体の意見も伺い、またそういう意味では民営化委員会に、そういう幾つかの対案の中でいろんな御意見いただきながら政府与党にお決めいただきますと、これも明確に手順として申し上げながら、また御説明も申し上げながら詰めていただいたと、こういう経緯がございますので、あながちに委員会を無視してお決めいただいたということでもまた、これまたないかなと。  そういう意味では、四つの選択肢を大きくお出しさせていただいたわけでございますが、お出ししていただいたわけでございますが、そういう意味であえて申し上げれば、PIといいますか、広く国民の皆様にもその経過も御存じいただきながらお決めいただいたというふうに理解しているところでございます。
  83. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 しかし、あれだけ鳴り物入りで委員会が紛糾もしながら意見をまとめたんですよね。もうあののを見ていると、どんなに偉い人が集まっても国会と似たようなことをやるんだなと。密室で談合してみたり、委員長が辞めてどこかへ行っちゃったり、いろんなことがあってなるほどなと思ったけれども、しかし何とかまとめた。  そのまとめた人たちが、政府との間で、与党との間で、政府与党が合意をするということは、我々からとったら残念なことだが、それは法案が国会を通るということですよ。そのときに当然、自分たちが出した意見がどんな形で法律として成立するかということを聞きたいというのは、これは当然のことだし、彼らにとっては義務なんだ。義務なんだ。それを無視するということは、それは道路官僚としては傲慢だ、不誠実だよ。どうですか、改めて。
  84. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) ただいま申し上げましたように、無視したということでは全くございません。基本的に尊重しながら、しかしながら国民的にたくさんの御意見があるかなという点については、複数の選択肢を明確にお出しした上でいろんな御議論いただいてお決めいただいた。その間には、当然委員会皆様の御意見も更にまたいろいろいただきながらということであったわけでございますので、無視したというよりは、基本的にできるだけ尊重しながら、どうしてもという部分についてより多くの国民の皆様が御理解いただけるような形で提案をまとめていただいた、政府与党としてまとめていただいた、そんなふうに考えておるところでございます。
  85. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 申し上げておきますが、これは幾ら言っても水掛け論だ。しかし、一生懸命になって作ったものを、それはあなたたちはそういう意見だろうと、あとはおれに任せろと、こういう話でしょう。そうはいったって、自分の育てたかわいい娘が嫁に行くときにどんな衣装で披露宴へ出るかと思えば、おやじとすればこれ見たいわな。いやお父さん、あんたの育てたのにかなうような支度して出るから安心してなさいといってどんな形か見せないで、披露宴へ行ったらとんでもない格好をしていたと、こういう話じゃ、これは親としては泣いても泣けないね。そういうことですよ、これは。  さあそれで、この課税問題というのは、要するに意見書を無視するために私はかなり有力な道具だったというふうに思うんですよ。上下一体の民営化であっても、固定資産税は非課税にすることは本当に不可能だったのか、このことについて改めて、課税当局に今日は来ていただいておりますんで、見解を聞かせてください。
  86. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 固定資産税の関係についてのお尋ねでございます。上下一体か一体でないか等によりまして、結果的に固定資産税の課税関係が変わったかどうかというお尋ねかと思います。  私どもの考えは、先ほど御答弁をさせていただきましたけれども、その有料道路の性格なりなんなりに基づきまして課税、非課税ということを考えさせていただいておりますので、その所有の形態というのはこの道路公団の改革問題に関しましては影響はなかったんではないかというふうに思っております。
  87. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 あなたが影響あったかないかまではあなたに聞く必要はないんで。  本当にこの国の根幹にかかわる高速道路の再生を図っていくという国家プロジェクトの中で、税務当局として上下一体で非課税にできる方途はなかったかということだけ聞きたかったんだ。
  88. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 固定資産税、そもそもここで申し上げるのもどうかと思いますけれども、いわゆる非課税用途であっても、貸付資産で、その貸付けに対して賃貸料を払っているという場合にはその所有者に対して固定資産税は課税しますよというのがそもそもの固定資産税の原則的な考え方でございます。  この場合に、上下分離といいましょうか、所有が分かれた場合に課税されるんではないかという議論は以前からございましたけれども、私どもといたしましては、今回の物事の本質なり重要性を考えまして、今回について貸したか貸していないかということによって課税関係が分かれるというようなことは適当ではないんではないかというふうに思っておりましたので、そういう意味で、先ほど申し上げましたのは、結果は同じであるということを申し上げたわけでございます。
  89. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 ありがとうございました。もう結構でございますから。  それから、大臣にちょっとお聞きをしますが、新しくできる民営会社は国が一〇〇%の株を持つわけで、上下分離で道路を持たない、社長もまた大臣が決めると、こういうことですね。自主性も自立性もない新しい機構のファミリー企業であるというような批判が盛んにされておりますが、これに対する大臣の反論があれば反論を。  それから、新道路会社は国が株を持って三つに分割されたが、機構は一つですよね。要するに、道路公団はそのままで、新規に子会社を三つ作ったことになるんだが、その上にいる機構の長というのは、機構の親方はどんな人がなるんですか。  この二つをちょっとお答えいただきたい。
  90. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 政府の関与が大きくて、機構が会社を支配するのではないかというのが一点目の御質問の趣旨だと思います。  高速道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理は、委員の御自説のとおり、本来は国、地方公共団体が実施すべき公共性の高い事業であるんだと思います。ですから、特殊会社であるところの道路公団が実施をしてきたわけでございます。  一方、政府の関与について調べてみますと、民営化いたしましたNTTやJR、これを参考にさせていただいたわけですけれども、新会社の自主性を尊重すると、それがすなわち政府の関与から自立するということになるわけでございますが、具体的には、道路が国民の共有財産で、極めて公共性が高いことから、政府等の株式の保有割合を三分の一とさせていただきました。そして、法律施行後十年以内の見直しの対象とさせていただいたことでございます。三分の一というのは大体NTTと同じでございます。  そして、より自主性が高まっているということはどういうところに表れているかと申しますと、関連事業については許可ではなく届出にさせていただいたことでございます。JRでキヨスク等々のビジネスを行うときは許可でございますけれども、駅ビル等々については許可でございますけれども、サービスエリア、パーキングエリアに至っては届出も要らないと、これだけ自主性を高めているわけでございます。  そして、委員指摘のとおり、代表取締役、社長は大臣認可でございますが、その他の役員は全部社長さんの人事でございます。NTTと比べてみますと、役員すべてが大臣認可であることから、会社の自主性というものは担保されていると思っております。  さらに、もう一点だけ、今日は第一回目でございますのでお話をさせていただきますと、拒否権を会社は、三分割された会社は持っております。それは、仕掛かり品の道路について、その自分の分割された地域の、三分割された地域にあるものについてまず機構は造りますか、この道路を造りませんかということを聞くわけですけれども、何らかの事情で造りたくないと、そういう拒否権を持たせる。さらに、九千三百四十二キロの外の新規建設については会社の申請主義を取る、すなわち手を挙げない限りは押し付けるということがない。こういうように機構と株式会社の間は遮断をされておりますし、NTT、JRと比べましても、今度できます民間会社というものはかなり自主性の高い機関であると認識しております。  二番目の御質問は、機構の長、どういう方になるのか。これはまだ政府として決めているわけではございませんが、この機構というものは独立行政法人でございまして、その役目というものもリース料の決定等々、債務がリース料によって着実に返すことがなっていくかをやるというのが主たる仕事でございますので、その機構の規模というものも百人に満たないものでも私は十分だと思っております。  そこの長についてはこれから選任させていただきますが、機構の性格上、そういう分野に精通された方が望ましいと考えております。
  91. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 この会社の自主性については、これは見解の分かれるところなんですが、実際に運営してみればすぐ明らかになることですから、この問題はまだあと続けてさせていただきますが、今お話の機構の長については、今のお話を聞いておりますと、大体事情に精通をした人というようなことになると、これはやっぱり国土交通省の行政の経験者ということになりますか。  道路公団では仲間意識が働き過ぎるというふうに思うんですが、国土交通省も同じのような気もするが、大体、道路局を経験したような人ということに理解していいんですか。
  92. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 機構の長については、先ほど申しましたように、資産の管理と債務を四十五年以内で返すためのリース料の設定等々が主管事務になるわけでございますので、財務あるいは金融に詳しい方であるならば、その長たる資格はあるわけでございまして、国土交通省のOBであるという必然性は特にはないと思っておりますし、総理も機構の長は民間人が望ましいともう既に御答弁をさせていただいているところでございます。
  93. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 そうすると、機構の長は民間から起用をするというふうに理解をしておいていいわけですな。いいですか。
  94. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) これは望ましいんであって、どなたも手を挙げてくれなかったらまたいろいろ人を探さなきゃいけないということで、望ましいと私も思っております。
  95. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 次に、先ほど沓掛先生も質問をされましたが、推進委員会の現状を少しお聞きをしたいと思います。  先ほど、ちょっと茶化したようで御無礼でありましたが、民営化委員会の現状は法的な成立要件を今満たしているのかどうかということですね。  今井委員長は十四年の十二月にまず委員長辞任をされておるわけですが、その後全く姿を見えないところを見ると、委員辞任したのかどうかということですね。それから、中村委員もそのとき以来欠席を続けておるということのようであります。それから、田中委員松田委員は、一年後の十五年十二月に辞表を提出して、これは正式にはお辞めになっているかどうかということですね。それから、川本委員は、何か聞きますと、この田中松田委員に同調をして、委員辞任しないけれども欠席をしているということでありまして、今何となく残っているのは猪瀬さんと大宅さんと、こういうことのようでありますが。  まず、今の事態を正確に把握したいために事実関係を教えてください。
  96. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) お尋ねの順に申し上げますが、まず、今井委員長委員長職を辞任をされたわけでございますが、委員としての身分はなお現在保有をしておられます。それから、中村委員もなお現在委員の地位にとどまっておられます。それから、田中松田委員委員の地位を辞任をしておられると。それから、川本委員委員の地位はなお保っておられるということでございます。したがって、現在、委員として残っておられる方の数は五名ということになります。  それで、委員会設置法では、委員会は七人以内の委員によって組織すると、こうなっておりますので、現在、五名の委員組織としては存続をしているということでございます。
  97. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 今の状況は、学校だと学級崩壊というのがあるが、正にそういうことだね。委員ではおるけれども、委員長は辞めたと。しかし、委員長を辞めてまたぐるっと回って末席でもって議論をするというのは今井委員の経歴や見識からすればなかなか耐え難いことだから、出てこないというのは何となく分かりますね。しかし、そのまんまでいいはずはないね、そのまんまで。それから、川本さんについても、意見があるとは申せ、全く出てこないということ。  これを、もう仕事は終わっちゃったからまあ取りあえずこのまんまでほっとけやと、こういう話ですか。それとも何か再建をするために努力をしているのか。それか、あるいは辞めた委員の補充をするとか。要するに、このまんまでいいのか、それとも何か手を打っているのかということはどういうふうになっていますか。
  98. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 御指摘のとおり、現在、三名の委員の方が委員会会議出席をなさらないという状況が続いているということになるわけでございますが、本来、委員の地位にあられる方が五名なわけでございますから、五名そろって活動をしていただけることが一番望ましい、これは明らかなことだと思っております。  ただ、しかし、最終的にそれぞれの委員の方がそれぞれのお考えで現在の行動を取っておられるということであれば、事務局としてはそれ以上のことをどうこうするというまた手だてもないと考えておるわけでございます。ただ、組織としてこの委員会が存続をしております。フォローアップをするという役割を持って存続をしておるわけでございますし、かつ委員の地位にとどまっておられるわけでございますから、事務局としては、現在の状況を踏まえれば、個別に委員方々に対して逐一様々な情報提供や資料を提供して、各委員がそれぞれのお立場でいろんな御意見をお述べになったりする機会をお作りいただくような、言わば側面支援と申しますか、そういうことを私どもしているというのが実際のところでございます。  委員の地位にとどまっておられる方の委員の身分をどうこうするか、あるいは委員の地位から離れた方々の後を補充するか、これは委員の任命権者たる総理の御判断にゆだねられる問題でございます。ただ、補充については、これはもう国会等の場では総理お答えになっておりませんけれども、当時の、辞任された当時の記者会見では、補充する考えは今のところないんだということはおっしゃっておられたように聞いております。
  99. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 ちょっと細かいことを聞きますが、あなたの立場からすればもうどうしようもないと。ここから後はちょっと大臣に聞きますが、これは報酬はどういうふうになっているんですか。
  100. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 委員は非常勤の公務員でございまして、いわゆる会議出席日当を、それぞれの審議会で格付がございますけれども、その格付に従ってお支払をすると。したがって、会議出席されなければ報酬は支払われないということになるわけでございます。
  101. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 そうすると、委員懇談会と称して猪瀬さんと大宅さんが二人で会合を開いているが、この役割というか、これは意味があるのかどうかということと、それからそういう場合は報酬はないんですか。
  102. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 今年になりまして、御指摘のように猪瀬委員大宅委員が二人で懇談会形式国土交通省などからヒアリングを既に五回程度しておられます。これはもう御承知のとおりだと思いますが、この委員会というのは委員の過半数が出席しなければ会議を開けないということでございますので、過半数は現在五名の委員のところ三名になります。したがって、二名では正式な委員会会議にはならない、事実上の会合ということになるわけでございます。したがって、委員会としての組織としての活動あるいは組織としての見解表明をするというためには、繰り返しますが三名以上の委員会議になる、でなければできないものだということを御理解をいただきたい。  それから、そういう二名の懇談会の形式でありましても、ヒアリング等をされるというときに、委員会会議室にお越しになって委員会会議に準じた扱いでヒアリングをされるわけでございますが、そのときの出席日当、これはお支払をいたします。
  103. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 それはおかしいんじゃないの。あなた、今、前段で成立しないと、こう言っているんだよな。成立しないもののところへ何で報酬を払うんですか。
  104. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 委員として日当をお支払するのは、先ほど私は、会議出席した場合日当をお支払するということでございますが、ただ、そのほかに委員として活動をされるケースがございます。例えば、これまでもございましたのは、現地視察などがございます。現地視察に行かれました場合は当然その旅費、日当はお支払をするということになります。  また、事実上の会合でございましても、委員としての身分を持ち、委員の任務を果たすためにヒアリングをしておられるということでございまして、正式な会議まで至らないにしても、いずれ仮に組織としての活動を開始するという場合にあっては、その言わば下準備、そういう意味もあるわけでございますので、委員としての活動としてお越しいただく場合に日当はお支払をすると。それは現地視察等の場合と同じ考えでやっておるわけでございます。
  105. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 それは、視察とか、そういうことはいいや、それはね。だけれども、それは視察に至るまでは、正式に成立した委員会の中で視察というのは決まるわけでしょう。だれが視察に行けと言ったんですか。任命権者がいるんですか。  それは駄目ですよ、それはね。会として成立しないところで勝手に二人が動いたものに報酬を払うというのは、これは間違いだよ。しかも、やっていることはどういうこと。日本道路政策を抜本的に変えるという大きな改革の責任をしょったところでやっている話でしょう。そんないい加減な話はないでしょう。これは間違いだと思うが、どうですか。
  106. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 視察の場合も、委員会の活動として視察をしようということでございますが、その視察の活動自体、委員会会議そのものとしてやっているということではございませんで、それぞれの委員委員会の活動を十全なものにするためにいろんな視察をする、そういうことでやっておるわけでございます。  また、このヒアリング、猪瀬委員大宅委員、お二人の方がヒアリングをされるのも、この委員会の任務を果たしていく上で必要ないろんな作業としてヒアリングをしておられる、そういうことであると私ども考えておるわけでございます。  この非常勤の日当というものは、会議、正式な会議だけにのみ支払うべきもの、それ以外は一切支払ってはならないという性質のものではなくて、その委員委員たる活動をする、そういうために必要な日当は支払う、その範囲に含まれると思っておるわけでございます。
  107. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 あなたもまあこの世界は専門家だからね、もしこれが行政訴訟で不当な支払を返還しろという訴訟を起こされたら堪えられますか。
  108. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 仮定のお話でございますのでお答えするのはいかがかと思いますが、私ども、正当な手続の下に支給をしておるものと考えております。
  109. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 あなた、それはただならぬことを言ったぞ。正当な。あなた、その前段で成立していないと言っていたんじゃないか。成立していないところで何で正当なんだよ。これはおかしいよ。正当じゃないよ。不正常だけれども、二人の熱心な何とかにかんがみてどうだとか、そういう話なら分かるが。だって、だれがそんなことを、開くということを決めたの、会を。会を開く開催権というのは委員長にあるんでしょう。で、委員長が辞めて、代理が辞めて、その後を補充する会は成立しないから補充できないんでしょう。だったら、それは正常じゃないじゃないか、正当じゃないじゃないか。おかしいよ、それは。
  110. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 先ほど私は、正当な手続の下にお支払をしておると、私どもが支払っている手続が正当なものであると、そういう意味を申し上げたわけでございます。  確かに、正式な委員会会議は定足数を満たす必要がある、したがって定足数を満たすことができない会合は正式な委員会会議にはならない、そういうことは当然のことでございます。
  111. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 あなたも局長だよな。それは、あなた、ちょっと言葉が悪いが、そういう小役人的な答弁はいただけないよ、それは。私たちは目の前の話をしているわけじゃないんだ、目の前のな。だって、これ、成立していないんでしょう、会が。  あなたの今言ったのは、本当の、一番の事務の支払をする人が言うんだったらばいいよ。請求が来たから、書類が調っていたから払いましたという話ならいいや。あなたは局長でしょう。一番の責任を持つ人だ。それが、成立をしていない会で勝手な行動をしたら、どうするんだよ。あの二人が外国行ってもいいのかい、視察に。たまたま都内で会合を開いているから、大した額じゃないから払ったという、そんな程度の話かい。外国、何か国も私たちはちょっと見てきますよと言ったら、どうするの。
  112. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 繰り返して申し上げますが、非常勤職員としての手当は、正式な委員会会議出席以外に、委員委員たる、委員として行う活動、これに対して支給するということは当然可能なことである、これはもう繰り返し申し上げておることでございます。  外国出張、これから行くとしたらどうするかというお話ございますが、そのようなお話もございませんし、一般論として申し上げれば、この委員会監視機能を発揮する上で必要な活動、そういう範囲に入るかどうかということであろうと思っております。
  113. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 あなたね、そんな答弁ここでやって、そこから帰れるの。駄目だよ、そんなの。成立していない委員会で勝手なことをやった人に日当を払ってさ、一応それでも仕組みの中で可能なものとして、外国行っても、じゃ、そのあなたの処置は堪えられるのかということだ。それは、そんな要求もないからという話じゃないんだ。あなたが今処置している、仕組みの中で処置している手法が拡大しても堪えられるものであれば、それはいいよ。堪えられないよ、それは。いい加減な答弁しちゃ駄目だよ。  わずかな金額といえども税金だ。しかも、それはきちんとした制度にのっとってやっていなきゃ。それだったら、こんないい加減な実態を改善しようとする努力さえできない。あなたが一番大変なところにいると思うんだよ、あなたが。そのあなたがそんないい加減なことをやっていたら、任命権者の総理だって、まあ、あそこで坂野君が適当にやっておるから、おれはなるべく見て見ぬふりすると、こういう話になっちゃうじゃないの。それが意見書を無視される体質になっているんだよ。  もう一度答えてくださいよ。
  114. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、この手当というものは、定足数を満たした正式な会議出席以外一切支払ってはならない、そういう性質のものではなくて、この委員会委員委員たる資格として必要な活動を行う、そういう場合においてもその手当を支払うことは可能である、そういうふうに私ども考えておるわけでございます。
  115. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 あなたね、じゃ、自分の職員が勝手にどっかへ出張に行ってきますよと言って行ってきて、出張旅費が払われていて、おれは聞いていないよと、何のために行ったんだと、こう言って怒るケースというのは間々あるでしょう。それと同じだよ。会議を開く開催権がどこにもなくて、だれも開催権を行使することができない中で、会議開いた人に、あなた、日当を払うというのはどういうことだよ。  大臣、どう思いますか、今の。彼は、かたくなに自分の、もう払っちゃったんだから必死になって守ろうと思って同じことの繰り返しをしておるけれども、こんな話はないよ。大臣、どう思いますか。
  116. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 所管大臣ではございませんので、一般論と過去の経験からお話をさせていただきますと、政府参考人から答弁されましたように、視察等々は、私の発議で私がどこを見に行くというときに、委員方々が任意で二名付いていらっしゃったことがあります。これは委員会の議決等々関係なく、私が視察に行くということに御同行されたわけでございます。そのときも、委員会の定例日ではございませんでしたが、日当等々は支払われていたと承知をしております。  そして、現在、正式な委員会が開くことができない、委員会の招集権は委員長又は代理が持っているわけで、その三名の過半をもって委員長等々を決めておりませんので開かれていないという現実がございます。  こういう御議論があったということを担当大臣の金子大臣に申し伝えていただき、善処すべきものは善処をさせていただきたいと考えております。
  117. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 これはもう、彼が自分で実行しちゃったことに対して必死になって守ろうとしているのは、これは許し難いことだけれども、これ以上時間つぶすわけにいかないが、今、大臣が前向きなお話をされました。あなたが今の金子さんの前任者でありますからね、是非、金子さんと会談をして、このことに対する処置をしていただきたい。  局長にまた伺いますが、先ほど話のありました意見書与党協議に付する前に当委員会に示して了解を得る必要があるとの意見が出されて、これを国交省が事実上拒否をして見せなかった。勧告も出されたようでありますが、十五年十一月の民営化委員会に提示することなく、複数のスキーム案が政府与党協議会に提出された。これは、勧告まで出したんだけれども、これの法的な効力というのはどこまで拘束力があるのか。それからまた、これを無視したことに対する違法性というのはきちんと指摘できるのかどうか。
  118. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 勧告は政府に対して尊重義務を課すものであると。これは法律で、明文の規定で尊重すべきだという規定はないわけでございますが、当然の解釈として尊重義務があるというふうに考えられております。それ以上の強制力と申しますか、そういう拘束力はこの勧告にはございません。  したがって、最終的にこの勧告を受けた政府がどういう行動を取った、あるいはその取った結果の責任をどう取るかということは言わば政治的あるいは行政的な責任にゆだねられる、そういうことではないかと思っております。
  119. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 二時間は長いと思っておりましたが、まだたくさん質問があって、お待ちいただいている方は誠に申し訳ないんですが。  じゃ次に、高速道路建設、管理、料金徴収と言っているが、これは局長、料金に利潤を含めてはいけないとの縛りがあるわけですね。しかし、リース料があらかじめ固定されていれば、効率的な管理で利益が生ずることは、これは当然ですよね。赤字は論外でありますけれども、この利益処分は一体どうなるのか。  利益がリース料値上げで吸い上げられたら全くインセンティブは働かない、そういう矛盾はありますね。また、各社の努力格差もあるし、今やろうとしていることは、これは横並びなんですよね、横並び。だから、むしろ判断を、この努力によって出た利潤は、その処置をどうするかということは会社に任せるべきではないかと思うんですよ。しかも、あれは五年ごとにリース契約は変更していくんでしょう、固定はするけれども。そうじゃなかったかな。そうすれば、そのぐらいのところは各社に任せなかったら私はインセンティブは働かないというふうに思うんだが、どうですか。
  120. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) まず前提を申し上げますと、会社は料金収入から管理費を差し引いて貸付料を支払う。あらかじめ会社と機構の間で、一応概念的には四十五年間以内になるわけでありますが、毎年それぞれの額を計算した上で約定をする、取決めをする、協定をする、こういうことになるわけであります。その場合に、問題は、管理費を節減する努力をしたら実際に管理費が協定よりも下がったと。これはそういう努力をするということが大事なことでもありますから、この部分については基本的に会社のインセンティブ、経営努力を促す、こういう形で会社の利益にしていただく。  ただし、ここは難しいところの部分でもありますが、料金そのものに利潤を設けないわけでありますから、現状から類推して、ある程度の管理費というのはかなりの見込みが、経年的にもある程度お互いに計算はし得るであろうと。しかしながら、新しい技術開発等もあって、常に恒常的に管理費が大幅に今までより安くなる、こういうことが明確になったときに、この部分をそのまま会社に利益でどうぞどうぞという形にするかどうか。  こういう問題がございますので、五年置きに、五年程度でいろんな数字が変わります、これは収入も変わりますが、要は、人口にしろ交通量調査にしろ、大体五年でベーシックな調査が行われる、こういうこともございますので、諸数字は洗い直してみて、実際にその協定を変更するかどうかは別の問題でございますし、五年たたなくても大きな何かの変動があれば、その協定は常にお互い信義原則に基づいて会社と機構の間でお話合いをしていただく、こういうことが大事なことだと思いますが。  いずれにしましても、先生御指摘のように上がる、仮に管理費が節減ができて利益が上がれば、そのインセンティブという形では会社のものになる。しかしながら、恒常的に大幅に利潤が上がる、これはお互いにとって正常な状態ではないということもあり得る議論として、常に互いに会社と機構の間でそのやり取りを世の中にも常に明らかにしながらしっかりとした運営をやっていただく、こういうことが大事だと思っております。
  121. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 時間になりまして、誠に申し訳ありません。  最後に一問だけお許しをいただいて近藤総裁にお聞きをしますが、結局は民営会社はサービスエリアとパーキングエリアの売上げでやっていく、それは三千五百億ある、こういうことで日本の代表的なデパートと同じぐらいな売上げだと、こう言うんですが、あなたはそれを更に一兆円にすると言う。これはほらなのか気宇壮大な計画なのか知らぬが、表明しておりますが、元々三千五百億というのはこれはテナントの売上げであって、財団の収入はそのテナント料の六百億ほどのことじゃないんですか。だから、三千五百をベースに新会社のことを言う前に、六百億のテナント料がベースであるということに基づいて計画をスタートさせなきゃいけないと思うんだが、そのことを一つと。  それからもう一つ、今これは法案審議しておるんですよ。法案審議しておるんだが、あなたはもうこの一兆円の計画に突き進んでおるんですね。SA・PA事業の拡大及び多機能化検討業務についてということで入札告示までしておる。この計画書によりますと、プレゼンテーションも実施をして、これはもうやっちゃったのかな、五月十五日に。法案が成立しないのに、法案を前提にして入札告示までしているということはどういうことですか。いや、これははしゃぎ過ぎということで済む話じゃないんだ。こんなことをやって、じゃ国会はこれはどうするんですか。皆さん方審議しているんですよ。法案が通るか通らないか分からないんだ。しかし、それを前提にして入札告示までして、白昼堂々と法案審議中にプレゼンテーションまでやるというような話はどういうことですか。  その二つ、答えてください。
  122. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 北澤委員にお答えをいたします。  まず、サービスエリア、パーキングエリアの商業施設からの収入のお話でございますが、これは売上げそのものよりも実際の収入がどのようになるのか、これはいろいろな方面からの検討が必要だと、そのように承知をしております。  そして、ただいま御質問ございました一兆円という言葉は正式には私申し上げておりませんが、いずれにいたしましても、飛躍的に売上げあるいは活動を活性化させるためにどのような方式があるのか、これは現体制であっても我々としては関心がございます。また、財団、両財団としても今までも常に検討をしてきたところでございます。  そういう意味で、今法案を御審議いただいておりますが、この法案が成立をした後、時間をできるだけ置かずにいろいろな施策が実行できるように、我々としても実際の準備だけはさせていただかなければいけないと、そのように考えております。  公団の内部におきましても、民営化に向けての準備委員会等も設立をさせていろいろな議論はさせていただいております。実際に手を付けて実行をさせていただくのは法案成立後でございますが、できるだけ法案成立後、民営化の期限が平成十七年度内ということになっております、したがって時間的な余裕もないということでもございますので、我々はできる限りの準備だけはさせていただきたいと、そのように考えているところでございます。
  123. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 法案審議中ですよ。時間がないからというのはどういうことだ。そうすると、法案の提出が悪かったんだと。大臣道路局長道路公団の総裁は、あなたたちの法案の提出の段取りが悪いから法案成立する前にやりますよと、こう言っているんだよ。今日はもう時間ないから。  あなたは、それから技術系部門を再編して一つの会社にしたいと、こう言っているんですね、新聞で。あなたはさっき一兆円とは正式には言っていないと言うけれども、至る所で言っておるんだ。軽く前言を翻さないでほしい。  それから、技術系部門を統一するということはどういうことだ。三分割をするということに対して、根っこのところは私のところでまとめましょうなんて、こんなことはあなたの立場で言えるはずじゃないでしょう。  道路局長、こんな話で、この法案の中身と違うことを道路公団の総裁がどんどん進めておる。しかも、今のこの入札告示までして事を進めているということについてどう思いますか。
  124. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 法案につきましては、とにかくきっちりと国会の御審議いただきながら私どもも是非早期に成立をと、こうお願い申し上げているところでございますが、ただいまのお話の、総裁の方でいろいろ勉強しておられる、この部分につきましては、どこまで、具体的なお話ではないというふうに私、今伺ったところによれば、いろんなアイデアを勉強してみようと、こういう御趣旨かと思いますので、そのお勉強自体は、速やかな法案成立がいただけましたら、いろんな検討も更にする必要があると、こういうことでございますので、勉強として伺ったところでございます。
  125. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 じゃ、これでやめます。  質問は半分ぐらいしかできなくて誠に残念だが、また私は時間をちょうだいをして、選挙で忙しいけれども、もう一回やりますが、今のことは、あなたの答弁で私が了承したと思ったら大間違いだ。場合によれば、この審議そのものが意味なさなくなる。内部でやるのはいいよ。入札告示を天下に告示してまで平気でやるというのはどういうことだ。議会は要らないよ、そんなこと言ったら。ふざけるにもほどがある。  周りにいる、それはあなた、近藤さんはこの間までこの辺にいた人でよく分からぬかもしらぬが、周りにいる人間だってそうじゃないか、そんなものは。道路局長責任だって大きいよ。相談を受けてやっていたのかどうか知りませんが、そのことはまた後ほどしっかり聞かせてもらいますから、今日は終わります。
  126. 輿石東

    委員長輿石東君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後一時二分休憩      ─────・─────    午後一時五十二分開会
  127. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  128. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 お許しをいただいて午前に続いて質問をさせていただきますが、どうも納得ができないのは、道路公団の総裁、さっき白昼堂々と申し上げたが、正に委員会の開催、しかも冒頭の日にこういうものを議題にするということは甚だしく議会が軽視されたということですよ。あなたもついこの間まで我々と同じ議会人だった。しかし、答弁を聞いていると何ら反省の色がないが、改めて聞きますが、これは内部で勉強するのはいいですよ、外に入札公示までして堂々とやるというのは一体どういう魂胆なのか。もう一度お考えをお聞かせください。
  129. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 北澤委員に改めてお答えを申し上げます。  このたびのこのサービスエリア、パーキングエリアの商業活動についての準備活動でございますが、従来から財団及び公団におきましてはこのサービスエリア、パーキングエリアの活動についてより効率化し、かつサービスの向上の方法はないかということを議論をしてきたところでございます。また、最近に至りましても各方面からいろいろなアイデアもちょうだいをいたしておりまして、その議論をもっとしっかりと部内で勉強をすべきであると、そのような意見もあったわけでございます。  そういう声も踏まえまして、このたび外部の意見をしっかりとした形でちょうだいをしようじゃないか、そういうことで我々の、先生先ほどおっしゃいましたように我々の部内の公団及び両財団の勉強の一環といたしましてそのような作業をやろうということを決め、実行をさせていただいたということでございます。  この法案審議を軽視しているというような考え方は全くございません。私も昨年十一月末まで先生おっしゃるとおり議会人でございました。その点、十分踏まえて勉強をさせていただきたいと思っております。
  130. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 これ、繰り返しなんですよね。要するに、事はこの議会の側にもうむしろ判断があるというふうに思います。今日は初日ですよ。初日にこういう事態を招いて、しかも議会に対する考え方が一向に表明されないということであれば、私はこの法案そのものを審議することができなくなる。これは委員長、しかるべく協議をしていただきたいと思います。
  131. 輿石東

    委員長輿石東君) 今、北澤委員の方からこれ以上法案審議するわけにはいかない、しかも議会側の判断だということになりますと、私ども委員会判断だというふうにとらえます。  ここで休憩をしたいと思います。    午後一時五十六分休憩      ─────・─────    午後二時六分開会
  132. 輿石東

    委員長輿石東君) 委員会を再開いたします。  私の方でただいま理事会で協議をした結果について御報告をしたいと思います。  二つありまして、もう退席をされていますけれども、道路公団坂野事務局長の手当支給にかかわる問題もやはりもう少し精査をし、手当支給の基準というようなものも明確にすべきであるというのが一点であります。それは後日でもいいからきちっとさせてもらいたい、これが理事会での確認であります。  もう一つ、近藤総裁の答弁ですが、先ほど国会の議論を軽視したものでは決してないと、こういう御答弁がありましたけれども、質問者は、いや、そういう疑いが持たれるようなことをすべきではないという意味だったと思いますので、再度、近藤総裁から御答弁をいただき、今回提案をされています四法案と総裁がやられた勉強会と称する今までの一つの活動が本当にかかわっていないのかどうか、法案を軽視するということにはなっていないのかということを含めてもう一度御答弁をいただき、質疑者にもひとつお願いをしておきたいと思いますが、答弁を受けて十分納得されない場合でも、後日、参考人や公聴会というような質疑の場もありますので、そこへも継続して引き続き検討していくというようなことで、今日のこの委員会は継続をしていただきたいと、これが理事会の確認ですので、まず近藤総裁の再度の答弁を求めます。     ─────────────
  133. 輿石東

    委員長輿石東君) 休憩前に引き続き、高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案、以上四案を一括議題とし、質疑を再開いたします。  近藤総裁。
  134. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 皆様の御配慮によりまして、改めて答弁させていただきますことを御礼を申し上げます。  先ほども申し上げましたように、これは、今回のこのプロジェクトは、我々が従来からやっておりますサービスエリア、パーキングエリアの商業施設の機能強化あるいはサービス向上を目指した勉強の一環でございます。決して法案審議に先立っていろいろなことをやろうと意図したものではございません。この点につきまして、改めて、先ほどの私の答弁が誤解を招くものであったといたしましたら、大変申し訳なく存じております。  現在、このプロジェクトに基づきまして、委員先ほど御発言なさいましたように、我々といたしましては各関係先から提案を受け付けている状況でございます。この提案の取扱い、そして最終的な発注先の選定、あるいはその特定につきましては、本法案の御審議が終わりまして法案が成立した場合には改めてさせていただきたいと、そのように考えております。  是非、委員各位の御理解を賜りたいと存じます。よろしくお願いをいたします。
  135. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 今の答弁では全く納得はいきませんが、委員長理事皆さん方の御配慮もございますので、またの機会をとらえたいというふうに思いますが。  近藤総裁は私の言っていることが分かっていないんだ。法案が成立すると、道路公団は三つに分かれるんですよ。そして、しかもこれは競争関係に入るわけだ。それを、今わずかの間にまとめて、同じものを研究しようとか。あなたのは、さっきもちょっと言ったが、技術関係のところも一社にして別会社を作るという構想をしておるが、あなた、自分がこの後、何か月かしたら、もしこの法案が成立したらどういう立場になるかということが分かっていないんだ。道路公団の総裁で居続けることはできないんだ、道路公団はないんだから。そういうことをきっちり考えたら、こんなようなことをやって、しかもそれは後々のためなんということは言えるはずはない。これは、三社が今度は個別に自立して生きる道を探していかなきゃいかぬ。しかも、まあいいや、そういうこと、またの機会をとらえて言いますが。  ちょっと具体的な細かいことを局長、いろいろお聞きをしますが、これ三分割して、要するに地域分割をしますね。これは、会社の組織の在り方は、もう日にちが、これが、法案が成立したとすれば、いつまでに、だれが、どのようにして検討をしてこの三分割をするのか。おおよそのイメージ図は我々も見せていただいておるが、例えば私がいる長野県なんかは、これは歴史的にそうなんだが、いつでも、国鉄でも河川でも三つか四つに分かれる。そういうようなことをいつまでに、だれが、どのようにして決めるのかということをちょっとお聞かせいただきたい。
  136. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 日本道路公団の三分割につきましては、それぞれの会社の範囲は会社法におきまして所管する都道府県名を明記しておりますが、一部につきましては重複している、これから精査しながらその境目を決めていく、こういう作業が必要なわけでございまして、大きくは東と中と西ではございますが、そのうちの路線ごとには、ジャンクション単位あるいはインターチェンジ単位で十分な整合性を持って考えていく必要があるだろう、こういうふうに考えております。  具体的には、経済とか生活圏域、交通特性、こうした利用者の利便性を踏まえること、あるいはまた非常時におきます代替路の確保と、こういう問題、さらには収支の状況であるとか組織の規模とか、あるいは現行の道路管理体制としてどういう形になっておるかというようなことをそれぞれ検討しながら定めていくということになろうかと思います。  基本的には、今後の手順でございますが、高速道路建設、管理の現況を熟知しております日本道路公団におきまして十分に、今申し上げましたような現行の道路管理の体制とか収支状況とかいうことも十分必要なわけでございますので、円滑な組織の立ち上げに当たっては、十分に道路公団の方でまず検討をしていただいて、その検討も踏まえまして、最終的には民営化までに、民営化までにでございますが、国土交通大臣が指定する、こういうことになるわけでございます。  また、分割民営化後の会社の組織や人事配置の在り方、こうした問題につきましては、これも重要な問題でございますので、一義的には公団がまず、この今までの組織、職員について詳細を把握しておりますから、主体的に、積極的に検討していただく、こういうことが必要だとは思いますが、最終的にはこの問題につきましては、組織の在り方については会社の設立事務を行う設立委員が定めることとなると承知しております。この設立委員につきましては、またしかるべき、法案成立後、しかるべき時期に国土交通大臣の方から任命すると、こういう形になっておるわけであります。
  137. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 分かりました。  それじゃ、次に、先ほどから申し上げておる、総裁、これは建設通信という新聞の二月の六日号ですが、三社の共同の子会社を設けると、こう言っているんですが、この記事を見ますと、「関連事業では、分割三社で合弁会社を設立する考えも示した。」と、こういうことですが、要するに、「「三社に分割するからといって、バラバラに事業を進めるのは効率的でない。統一的な事業を進める必要がある」と三社統一的な合弁会社の設立も考えている。」と。  これはどうやら技術系のノウハウを集約しようという、これは一つの考えかもしれませんし、クロスライセンスの問題もある。しかし、あなたに与えられている今の仕事は、国を挙げて、この道路公団を三分割して、競争関係の中でコストを削減していくと、こういうことで事が進んでいるのに、あなたが総裁になった途端に、あっちも一緒、こっちは効率的でないからと。それだったら、道路公団へ乗り込んでいって、おれが一人で道路公団をこのままで改革してやるということを言っているようなものなんですよ。  時の流れと国土交通省が進めている流れ、それから小泉総理が進めようとしている道路公団民営化、このことについて私は、私の考え方はまた少し違っておりまして、何度か言っているが、しかし事はそういう形で進んでいる、その中の中心的な存在のあなたがそういうことをこういう新聞で言ったりするということはどういうことか、真意を聞かせてください。
  138. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 三分割、これはいろいろなメリットがあるわけでございます。競争、切磋琢磨して競争力を付けていく、その努力を行う、あるいは地域密着型の道路運営をする、サービス強化に努める、こういうメリットがあるわけでございますが、一方でデメリットも生ずる可能性がございます。  まず、一つのものを三つに分ける、こうなりますと、経費の面で、ほうっておきますと増大をする可能性が出てまいるわけでございます。そういたしますと、これは民営化趣旨とはいささか異なったことになるのではないか、そのような懸念もあるということでございます。そしてまた、委員指摘の技術面につきましても、三社分割になりますと、現在まで積み重ねてまいりました技術的なノウハウが分散をしてしまう、技術開発にこれからおきましても、投資が分散化をするというような懸念もあるわけでございます。  そのような懸念を最小化するための方策もひとつ勉強をしておく必要があるのではないか、そのように感じているわけでございます。その一環として、いろいろ今部内で勉強させていただいていることを例示的に申し上げたものが記事になったものだと、そのように承知をしております。
  139. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 何度も審議が止まることは必ずしも私の望むところじゃないが、今の聞いていて、どうですか、大臣、それから道路局長。この法案審議しているのに、あなた方が我々に提案していることと全く違うことを言っているんだ。統一してくださいよ。お願いします。  駄目だ、これじゃ。(発言する者あり)いやいや、それは統一して、そんなあんた、指さしたら、あんた、統一見解が出るのかい。じゃ、道路公団の総裁を首切ってから答弁に立ってくださいよ。駄目だ、そんなのは。
  140. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 少々お時間をちょうだいしたいと思います。
  141. 輿石東

    委員長輿石東君) いったん休憩いたします。    午後二時二十分休憩      ─────・─────    午後二時四十一分開会
  142. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、高速道路株式会社法案独立行政法人日本高速道路保有債務返済機構法案日本道路公団等民営化に伴う道路関係法律整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案、以上四案を一括して議題とし、引き続き質疑を行います。  石原大臣
  143. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 大変、政府部内の答弁が混乱していると思われても致し方ないような状況に至りまして恐縮に存じますが、ただいま国土交通省並びに道路公団等々と打合せをさせていただきましたので、近藤総裁より御答弁をさせていただきます機会をちょうだいしたいと申します。
  144. 近藤剛

    参考人近藤剛君) ありがとうございます。  二点について改めて発言をさせていただきたいと存じます。  まず第一点が、先ほど委員から御指摘ございましたサービスエリア、パーキングエリアの商業施設の多機能化等に関する入札の問題でございます。先ほども申し上げましたが、誤解を生じないように、法案が成立するまでこの作業は凍結させていただきますことをここに改めて申し上げておきたいと存じます。  第二点は、先ほどの私の答弁でございます。三分割のメリット、デメリットにつきまして私が発言をいたしましたが、これは道路公団総裁として現在このような場でコメントすべき事柄ではないと存じておりますので、前言をここに撤回をさせていただきますことを発言させていただきます。  ありがとうございます。
  145. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 ただいまの御答弁で、御苦労をお掛けしましたが、大臣の裁量で正常に戻りましたので、私は、今のお言葉がなければこれ以上入口のところで議論が進まない、こういうふうに思いましたが、適切な処置をしていただきましたので質疑を続けさせていただきますが、もう時間がありませんから、たくさん通告をしてありますが、最後にプール制について局長に質問をいたします。  機構によると、新会社の債務の一体管理がプール制の再来ではないかという批判があるわけでありますが、ここのところがなかなかはっきりしていない。大臣は衆議院の答弁等で、自分の会社の中で自己完結するという点で全くプール制ではないと、そういうふうに言っておられます。したがって、東名の上がりで北海道の道路を造らないというようにお答えになっておりますが、しかし、機構で債務を一体として管理するが、その収支は会社ごとで計算されることになっているということであるけれども、しかしこれは、北海道や九州を持つ会社に対してはリース料を低額に設定する一方で、東名高速などを事業対象とする会社のリース料を高額に設定するという考え方に基づいているんではないか。四十五年以内のリース料設定の基準を具体的にどのように設定するのか、そのプロセスを明らかにしなければならぬ、そういうふうに思います。それが明らかでない限り、東名の上がりで九州や北海道の道路を造ることはないと言い切ることはできないと私は思っております。  また、見方を変えれば、法案のスキームでは、建設中、調査路線については、複数協議制の結果、事業エリア外の道路建設ができることとなっているわけですね。また、申請方式による新規路線建設においても、大臣認可で事業エリア外の道路建設ができることとなっている。高速道路について会社ごとのネットワークで協定が結ばれた場合、一つの会社について見れば収支バランスが黒字の路線も赤字の路線も抱き合わせることになるが、これは内部補助として行われると考えていいかどうか。会社ごとの内部補助が行われるということであれば、それはいわゆる地域プール制ということになると思います。  債務返済期間を四十五年以内ですべての会社を統一するためには、リース料金を調節して、結局は、既に当初計画上では債務の返済が終了している高速道路の通行料金収入をもって新規路線のリース返済を可能とするようにする仕組みに今回の法案スキームがなっていないか。会社ごとに内部補助が行えて、事業範囲外の高速道路建設できるのであれば、正にそれが透明であろうがなかろうが、法案のスキームとしては東名の上がりで九州や北海道の高速道路を造ることにならないか。  以上、たくさん申し上げましたけれども、最後に御答弁をいただいて、次なるまた機会質疑の参考にさせていただきたいと思います。  長い時間、ありがとうございました。これをもって終わります。
  146. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) まず、東名の料金収入で北海道の高速道路を造る、こういうことではないという点について申し上げたいと思います。  基本的なこれからの会社と機構の間の協定の大前提といたしまして、そこの部分を一つ申し上げたいと思うんですが、まず管理する路線区間は、先ほど御質問がありました、東、中、西でどの範囲で分けるか、ここでもって詳細、細部について決めて、大臣が指定し、協定もそれに基づいて結ぶ、こういうことになるわけであります。  その中で、その所管する範囲の区域の、東なら東の所管する区域の路線区間については、その当該会社が建設するかどうか、これは複数協議制、こういうことを申し上げているわけでございます。それを造るか造らないかというところまで固めないと、実は次に総料金収入、当該所管する会社の全体の料金収入から管理費を引いて、毎年貸付料幾ら払うか、これが決まってまいらないわけでありますので、先に、まず現在供用している路線区間の管理をどこまでするか、この区域分けと、次に、その区域の中で新規建設を引き続き実行する部分、これが今建設中あるいは調査中の区間について複数協議制の下に決まってくる。この決めました場合に、それぞれの会社は当該収益見通し、収入見通しを毎年の管理費を引いていって、その貸付料として払い得る範囲で債務をそれぞれが分担する、こういう構造になるわけであります。これは民営化委員会意見書においても、基本的な考え方としてはこうすべきである、こういうふうに御意見いただいているところではあるわけであります。  したがいまして、そういう意味では、地域の全体のプールといいますか、という委員会意見ではありましたが、ここの部分は高速道路なら高速道路が、高速自動車国道が、現在申し上げましたような新規建設をどこまでやるかという点を固めてしまいますと、高速自動車国道として、総額、既存の債務分とそれから新規に建設し得る分、これがそれぞれの収益に応じて決まってくる、収益能力に応じて、貸付料を返済できる額に応じて決まってくる、こういう問題になろうかと思います。  ここまではよろしいでしょうか。  つまり、それぞれの地域ごとに分けますが、区域と、それから新たに新規建設する部分も分けますが、分けてしまいますと、新規建設も含めて分けてしまいますと、四十五年間、あるいは料金の徴収期間で徴収し得る料金収入の見通しが決まりますので、そこで管理費を引いて、貸付料としてお返しする額が決まり、その三つの会社のトータルが、これまでの既存の債務プラス新規建設総額をそれぞれ貸付料として返していただくことによって総額が返し得ると、こういうふうに、言ってみれば出発に当たっての調整が行われる。  会社の出発に当たっての調整、こういう形になるわけでありますが、したがいまして、新規建設分につきましてはそれぞれの所管する区域の会社が新規建設し、なおかつそれに伴って必要となる将来の貸付料による返済ということもその会社が責任を持ち得る範囲で返します、貸付けを返済していきます。こういう形になるわけであります。  そこでもう一つ、法律的には、高速自動車国道全体といたしましては、それに伴いますネットワークの、ネットワーク型の一般の有料道路につきましてもこれを全体の料金を徴収する期間を一緒にする、こういうものがもう一つ命題としてできてきておりますので、常にここの部分についても、会社ごとの料金収入、貸付料、管理費、これを常に明らかにしながら、これも高速自動車国道と一般の有料道路ネットワーク型のものと、これも常に明確にしながら世の中にきちっとした御説明を申し上げるべきである。これがまた大事な部分として申し上げるべきかと思います。  そういう意味では、手続としては、独立行政法人の通則法に基づきまして国土交通大臣が定めます機構の中期目標にこうした方針を明記します。そして、国土交通大臣から機構に指示して公表をいたしますので、これに基づいて、この指示に基づいて機構が作成する中期計画にもこの内容が盛り込まれると。そして、国土交通大臣がこれを確認の上、認可する、こういう形で常にフォローしていくということを実行してまいるわけであります。  それと、会社ごとに機構と締結する協定及びこれを踏まえて機構が作成する業務実施計画におきまして、今申し上げましたような会社ごとの貸付料総額、新規建設費、これを常に明示する。今申し上げたようなことをきちっとこうした手順で手続をきっちり明確にしていくということを決めておるわけであります。  これによりまして、新規建設費が当該会社の支払う貸付料の範囲に収まっているかどうか、これが明確になりまして、この業務実施計画国土交通大臣が認可する仕組み、これを法律で定めることにしていただいておりますので、そういう意味で常に透明性を持ってそれぞれの所管の区域のこれからの新規建設分は当該会社の料金収入を元にした貸付料の返済で、貸付料で賄っていく、こういうことが明確にしてお分かりいただけようかと思うわけであります。  したがいまして、現行のプール制で全国一本でという形でやってまいりますのとは趣を異にいたしまして、最初から会社ごとにどれだけの新規建設を行い、そしてどれだけの貸付料を返済していくか、既存の債務の分も含めましてそれを常に明らかにしながら会社ごとに堅実に適切に運営していっていただく、こういうことにしているわけであります。  次に、もう一点、先生のお話の、しからば新規路線は、今新規建設する路線は既存の成績のいい道路の力で応援してもらうのじゃないか、内部補助と、こういう問題がございました。  ここの部分につきましては、現時点で東、中、西と、それぞれ分割した会社ごとにその収益見通しを出す、こういう面から申し上げますと、既存のそういう料金収入の力を使わせていただく、こういうことではありますが、この時点ですべて、これからの債務の返済も新規の建設の貸付料の返済も明確にする、こういう意味で今までの既存プールを、全体を一度に大きなどんぶりでということとは別に、明確にそこをさせていただきながら常に世の中に御説明できるような形でやっていくと、こういう面が今までより大幅に違ってまいろうかと思うわけでございます。
  147. 北澤俊美

    ○北澤俊美君 ありがとうございました。
  148. 森本晃司

    森本晃司君 公明党の森本でございます。  今日から参議院の方で高速道路公団民営化法案審議されているところでございまして、先ほど来も北澤先生からもいろいろと指摘されるところも多々あるようでございます。  ただ、私はここで道路に対する考え方、以前から申し述べておるわけでございますが、高速道路に対する考え方、これは、私は一日も早く高速道路を国が責任を持ってネット化すべきだという考え方であります。高速道路についていろんなことは言われるようでありますけれども、高速道路というのはつながってこそ生きてくるものであります。また同時に、地方の方々にも、高速道路が通ることによって均等ある国土の発展がなされるものであると。そういうことを考えると、あるいはこれからの国際経済社会の中で日本が頑張っていくためにも、高速道路が必要であるということを痛感する次第でございます。  衆議院通過し、参議院にやってまいりました。真剣な議論を我々は大いにしながら、一日も早くこの法律が成立して、そして十七年度中、十八年三月三十一日までに民営化をしなければならない。この問題に国として責任を持って取り組むべきものであると、私はそのように考えておるところでございます。そういう考え方の上から立って、私は今日数点質問をさせてもらいたいと思っております。  過去、高速道路を推進する上で現行の公団が果たしてきた役割は、私はそれなりに大きなものがあると思っております。また、国幹審等々でも、この道路の長さ、九千三百四十二については議論をし、進めていくことになった。また、高速道路が不要だとおっしゃる方も、自分の地元の道については、ここを何とか一日も早くという御議論が、与野党問わず、私もその責にあったときに現実に聞いているわけでございますので、私はそれはそれなりに果たしてきた役割は大きなものだったと思っております。  しかし、その高速道路もいつの間にか制度疲労し、多くの問題点が浮かび上がってきたことも事実でありまして、この様々な問題点にどう対処していかなければならないかということもまた我々の責任でもあると思っております。  そこで、この民営化という問題になりましたが、総論の話、改めて話になりますが、担当される国土交通大臣にお伺いしたいわけでございますが、なぜ公団を改革しなければならなかったのか、また民営化によって現在の持っているどんな問題が解決されようとしているのか、また今般の道路公団改革とは一体何であったのか、総論ではございますが、各論に入る前に大臣お尋ねしたいと思います。
  149. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 森本委員にお答え申し上げたいと思います。  道路公団道路公団民営化の目的は、大きく申しまして三つあると存じております。一つは、四十兆円に上る有利子債務を確実に返済していくところ。二番目は、ただいま委員が御開陳されましたように、私も予算委員会あるいは分科会、さらに当委員会等々で与野党の皆様方を通じて御意見がなされたことは、真に必要な道路を、できるだけ少ない国民負担のものに、しかも早く造る。三番目は、民営化でございますので、民間ノウハウの発揮によりまして、多様で弾力的な料金の設定や、サービスエリア、パーキングエリアの運営や、道路資産を活用した情報通信事業など、関連事業についてできる限りJRやNTTよりももっと自由にその民間会社が事業展開をできるようにする。この三つが大きくあると思っております。  それでは、なぜ現行の公団方式、委員指摘のとおり、財政力のなかった日本有料道路方式という方式を採用することによって、名神高速の整備に始まり、現在七千有余の高速道路網を整備したということは、この有料道路方式の成し得た業ではないかと思っておりますが、それを推進してまいりました道路公団等々、公団方式におきましては、先ほど政府参考人と北澤委員との間で議論がございました全国プール制の下に、不採算路線の安易な建設や、さらに安易な料金の引上げ、あるいは料金徴収期間の延長、すなわち償還主義の先送り等々、公団自体としてコストを減らす、あるいはそういう意欲が欠如している、言葉を裏から申しますと、そういう動機付けが働かなかったなど、問題があったわけでございます。  これらの問題を今回の改革ではどういうふうに改めていくかと申しますと、それはやはり、これも御議論のあったところでございますが、大都会、地方にとりまして、必要な道路というものの感覚が違うわけでございますので、厳格な事業評価を行って、それを公表いたしまして、さらに徹底したコスト削減、また新直轄方式の導入によりまして、有料道路事業費二十兆円掛かると言われたものを十兆五千億と半減する。さらには、冒頭申しました債務の償還というものを民営化後四十五年間にしっかりと法定し、その後は無料開放する。さらに、競争原理を導入して、地域に密着したきめ細かい事業展開を促進するために、道路公団を三分割する。また、施行命令という名の国の一方的な命令の枠組みを廃止いたしまして、会社の自主性を最大限尊重する仕組みを採用させていただいたところでもあります。  さらには、国民の皆様方にとりまして、良くなったなと言われる一つの要素といたしましては料金というものがあると思いますけれども、この民営化までに、平均一割を超える料金引下げや、サービスエリア、パーキングエリア等々でのサービスの向上など、利用者の視点に立った事業運営を行ってまいる。さらに付言させていただきますと、これも大変批判の強かった、いわゆる不透明なファミリー企業の抜本的改革によりまして、事業の効率や透明性というものを確保していく。公団民営化という組織の大改革を通じて初めてこれらのことが可能となったものであり、戦後の有料道路制度の初の抜本改革と、このように位置付けさせていただいているところでございます。
  150. 森本晃司

    森本晃司君 我が党に、高速道路整備に関する我が党で基本指針をまとめました。党内に道路公団民営化等検討プロジェクトチームを作りまして、私がその座長で、意見を十四年の十二月十日にまとめて発表させていただき、またそれが政府の案の中に持ち込まれるようにというふうに主張をしてまいったところでございます。  繰り返しますが、その中で基本的に、今後の高速道路の在り方で主張いたしましたことは、九千三百四十二は確実にやるということ、それから、料金収入、これを最大に活用して建設投資を確保して、そして早期にネットワーク整備するということ、さらにまた、新組織整備しないところは新たな直轄方式で整備すべき等々を在り方として申し入れ、主張し、さらに大事なことは利用者にとってメリットのあるものにしなければならないということを大きく一つの項目として掲げさせていただきました。  そのメリットは何かというと、一番分かりやすいのは、申すまでもなく、コスト削減であります。このコスト削減については、いろいろと工事の在り方、あるいは四車線でいいのか、それとも二車線でいいのかと、そういうことも含めて検討するということ、それからもう一つは、ファミリー企業をより活性化する必要があるということも含めて、コスト削減を主張しました。  先ほど来の議論の中で、サービスエリア、パーキングエリアのことが議論になりました。総裁が北澤委員意見に対して凍結するというお答えをされました。それはそれで私は良しと思うんですが、考え方、物を思考することまで是非凍結しないでいただきたい。今のサービスエリアもパーキングエリアも、改善すべきところは今からでも改善すればいいんです。この法律、決して私はそれはこの委員会の中の議論を無視したという問題ではありません。入札の問題は別です。凍結の問題は凍結でやってください。  しかし、例えば、私は今サービスエリアもよく利用しますし、それから道の駅もよく利用するんです。全国各地回れば必ず私は道の駅に立ち寄ります。道の駅、随分すばらしい、楽しい、夢のある道になっている、道の駅が。ただ物を売るだけじゃなしに、そこに、この間行ったところは温泉もあり、休憩するところもある。本当に道路を運転する人がそこで、道路を利用する人が安らぎの場、あるいはそこが地域の活性化の場にもなっている。  どうぞ総裁、そういうことも分割するしないその以前の問題として、サービスエリアやパーキングエリアの問題、私はよく思うんです。サービスエリアにしたってパーキングエリアにしたって、高速道路を利用する人しかこれ利用できないように今はなっている。そうじゃない。その地域の人たちがそこへやってきて、買物もできるように、あるいは楽しめるようになってもいいんじゃないかと。そういう考え方がむしろこれから考えた方がいい。インターチェンジ一つにしたって、そこに新しいインターチェンジというすばらしいいろんな人たちが利用するところができる。そこを利用して、私はそれぞれの地域の経済発展に、地域に貢献できるようなものにすればいいと思う。  どうぞそういったことについては、頭の考え方を凍結せずに、大いに議論をしながら、将来分割したときにその議論したことがどう生きていくか、民営化になったときにその議論が生かされて、一日も早く利用者皆さんにメリットのある考え方を今から私は準備する必要はあるんではないかというふうなことも申し述べさせていただきたいと思っております。  それから、ETCを大いに利用することも主張いたしました。ほかにいろいろと償還の部分、あるいは災害が起きたときは国が責任を持って行うべきである、民営化されようとも、というふうなことも我が党として主張させていただきましたが、今の私のことも踏まえまして、こういったコストの縮減、サービス向上、必要な高速道路整備を行うということについて、私は今度のスキームは我が党の考え方を大いに取り入れていただいたんだと思っておりますが、大臣考え方をお伺いいたします。
  151. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) ただいまの森本委員が御指摘されました平成十四年十二月の基本指針というものは私も読まさせていただきましたが、高速ネットワーク整備というものは国が責任を持ってやるべきであるという基本認識の下に、ただいま委員が御指摘されましたファミリー企業の問題、コスト削減の問題、あるいは利用者にとってのメリットのある民営化の実現等々、様々な御提言がなされていたと承知しております。  私も国土交通大臣に就任をさせていただきまして全国を歩かせていただき、我が国の高速ネットワークにつきましては、限られた財政事情でございますので、やはり選択と集中の原則の下に、国際競争力確保や、あるいは都市環境の向上、また地方に参りますと、今日の午前中の審議では、せんだって通ってまいりました長崎の出島ながさき道路、大変すばらしい道でございましたけれども、この地域作りを支える道路ネットワーク整備の重要性というものも改めて感じさせていただいたところでございます。  また、高速国道というものは全国的な自動車交通網の主要な部分を構成する社会資本であるということは申すまでもございませんけれども、ネットワークの在り方につきましては、これも委員承知のことだと思いますが、引き続きまして、国会議員の皆様方、有識者の皆様方、あるいは地方の知事さん等地方公共団体を始めとする各方面の意見というものを最大限取り入れた上で、国幹会議の議を経まして国土交通大臣責任において決定をいたすと、こういうスキームを取らせていただいております。国幹会議の議を経て定められました計画を前提として、これから民営化されますけれども、新会社は採算性等の観点から整備を行うか否かを自分の会社のオウンリスクとして決めていくことになるわけでございます。  したがいまして、今回の民営化スキームにおきましても、国が高速ネットワーク整備に対しまして引き続き必要な責任は果たしていくということになるんだと思っております。  公明党の基本指針で目指すものを実現していくことができると確信をしているところでもございます。
  152. 森本晃司

    森本晃司君 次に、民営化委員会意見書との相違について伺いたいと思うんですが、私は、政府案というのは、意見書を尊重し、そして作成されたものだと思っているわけでございますけれども、マスコミ等々の、法案では、今般のスキーム、意見書と大きく異なると、こういうふうに報道されたりしておりますが、具体的には相違点は一体何であったのか、また何が意見書どおりにいかなかったのか、そういった点についてお伺いいたします。
  153. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 今回の民営化の、お願いしております法案につきましては、民営化委員会意見を基本的に尊重してお願い申し上げている、こういうことではございますが、昨年の十一月の二十八日でございますが、政府与党におきまして、幾つか、民営化するに当たって複数の案で考えるべきものがあるではないかと、こういう御提示をいただいたところでございました。  これにつきましては四つでございますが、道路資産の帰属と債務返済の考え方、それから地域分割の在り方、それから新会社による建設の範囲とその仕組み、料金の性格と民間企業としての収益確保と、この四つにつきまして幾つかの代替案を、複数の代替案を用意させていただいて、そしていろいろ御議論をいただいた、こういうことでございました。  その中で、この民営化委員会意見と、国民全体といいますか、多くの御意見がちょっと異なるのではないかということで、最終的に十二月の二十二日の政府与党協議会では、お決めいただいた内容として、民営化委員会意見と基本的に大きく異なる部分というのが二点だけ残ったと、こういうふうに理解しております。  そういう意味では、その二点につきましては、まず会社による道路資産の保有の問題と、もう一つが料金への利潤の上乗せ、こういう問題でございました。これにつきましては民営化委員会意見の採用を見送ったと、こういうことであります。  会社による道路資産の保有、これは今回の法案につきましては機構が所有するということでございます。これは、国民の共有財産という公共的性格から私有になじまないんではないかということと、会社が保有する、こういう形で申し上げると、完全私有化、永久有料化と、こういう方向が委員会の御意見の帰結というふうに考えられるわけでございますが、これにつきましては地方公共団体にも支持する意見がない。さらに、民営化先進国、イタリア、フランスを含めまして、完全私有化で永久有料化、高速道路につきましてこうした方式を取っておられる国もない。  こういうことから、会社による道路資産の保有、永久有料化、この点につきましては、政府案といたしましては、機構が所有して四十五年以内に返済する、会社は、これを貸付けを受けて運営管理すると、こういう方式でお願いを申し上げることになったと、こういう経緯でございます。  それから、料金への利潤の上乗せ、こういう問題につきましては、原則として料金を含むべきではない、こういうふうなことでございました。  先ほど申し上げました四つの主要なポイントにつきまして、これにつきましてもそのうちの一つであったわけでございますが、これも、地方公共団体の意見も利潤の上乗せにほとんど否定的であるということと、国民共有の財産と、こういうことで民間企業の利潤獲得の道具としてなじまないんではないか。そして、なおかつ単純に申し上げますと、現在既にいろいろ供用しながら利用料金をいただいておるわけでございますが、ここに利潤を乗せると、こういうことになりますと、利潤の分だけは論理的には料金が上がると、こういうことにもなりかねない、こういう問題もあるわけでございまして、そういう意味で、利用者の負担を抑える、それから債務の早期返済を優先すべきではないか、こういう点から、以上二点、主な点については民営化委員会意見と内容が異なる法案を提出させていただいている、こういうことでございます。
  154. 森本晃司

    森本晃司君 無料化という議論があります。これは、衆議院の方では無料化案については否決されたものであります。この無料化というのは、否決はされたものの直ちに無料化してはどうかという意見もあることも事実であります。  私は、この無料化問題について少々触れさせていただきたいと思うんですが、これ実現性は一体どうあるんだろうかという問題、それから無料化ということは一見非常に国民受けはしますが、果たして公平なんだろうか、私は逆に無料化というのは不公平を呼ぶんではないだろうか。それは、高速道路を利用しない人も負担をしなければならないという問題、もう一つは、阪神高速とかあるいは首都圏高速を利用する人は、これは二重の負担をしなければならない、こういった、言うならば双子の負担というものも無料化することによって起きてくるんではないだろうかという問題、こういった問題、様々ありますが、政府としてこの無料化案に対してどのような考え方になっているのか。  衆議院で議論されたことは私は承知しておりますが、改めてこの参議院の場でも、否定はされ、否決はされたものの、そのことについてお伺いをしたいと思っております。
  155. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生御質問のように、衆議院におかれましては民主党から無料化の案というものもお出しいただいたわけでございます。内容的に十分私ども自身がそしゃくできていない部分もあろうかと思いますが、お出しいただきました無料化案につきまして、衆議院の御審議、御質疑等を見ながらといいますか、経過いたしまして、多少のコメントを出させていただきたいと思います。  お出しいただきました無料化案につきましては、具体的にどう債務を返済するか、財源をどのぐらいどこに求めるかというような問題が明確ではないと、こういう問題もございました。それから、そういう意味では、債務の負担を税金で求める、こういうのがベースであるということになりますと、先ほど先生の御指摘の不公平な部分が出てくる。あるいは大都市の高速道路は引き続き無料と、有料と、こういう形で申し上げれば不公平さといったような問題が出てくるのかなと。あるいはまた、大都市周辺が有料だと、こういう形で申し上げれば、高速道路から降りた車によって一般道路の渋滞あるいは環境問題、そうした点も含めてどういうふうに具体的に実現をお図りになるのか、こういうような問題があったという、問題があったといいますか御質疑があったという経緯は御報告申し上げておきたいと思います。  政府案につきましても、将来的にといいますか、無料化する、ここの基本的な考え方は一緒でございますが、政府提案の場合には、債務を受益者負担と、こういうことで確実に四十五年以内に返済しようと。そして、真に必要な道路につきましては、会社の自主性を尊重しながら、できるだけ少ない国民負担の下で造る、こうしたことをこの目的として、民間企業の経営センス、会社の自主性、市場規律が生かされる仕組み、こうしたことを構築したいということで、今までにない提案をお願いを申し上げているというふうに考えております。
  156. 森本晃司

    森本晃司君 高速道路利用者にとっての意義という点で私は二点から質問をさせていただきたいと思いますが、まず第一点は高速道路の料金、これは利用者にとって非常に大きな関心事であります。また、これは国民の生活にも直結する問題であると言うことができます。  政府与党申合せでは高速道路の料金を一割引き下げることとしておりますが、これはいつまで、どのようにして実現することになるのか、また民営化後の料金はどのように設定されていくのか、このことも併せてお伺いいたします。
  157. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 民間のノウハウの発揮によりまして多様で弾力的な料金設定を行い、そしてできるだけ高速道路の利用の促進もお願い申し上げると、これが民営化の目的の一つというふうに考えております。  そういう意味で、民営化までの間にも、ETCの活用などによりまして各種割引によりまして料金を引き下げる、特に高速国道の料金につきましては、民営化までに平均一割程度の引下げに加えまして、別納割引の廃止を踏まえた更なる引下げを図ると、こういうふうに考えております。  具体的にはマイレージ割引、夜間割引、通勤割引などが実施可能なものと考えておりますが、詳細について、今後、十五年度から十六年度にかけましていろいろ社会実験を行っていると、こういう状況の下で、それを評価しながら今後詳細に検討するということになるわけでございますが、多様な、で弾力的な料金設定、こういう問題に向けまして、この料金水準の違いによって一般の道路から有料道路への転換割合、弾性値と申していますが、の変化などを把握して一層の、同じ割引でも一層利用の促進につながる、こんな形が大事なことだろうということで、この十六年度におきましても、高速自動車国道の夜間で長距離の割引あるいはまた首都高速道路の夜間の割引、これはETCを活用しながら四月二十七日から始めているところでございますし、また通勤の時間帯の割引ということで、朝夕の一般道路の渋滞等の課題を解決するための地方提案型の社会実験を全国各地で実施する予定にしております。  この十五年度の結果で申し上げますと、例えば朝の通勤時間、朝夕の一番込む通勤時間帯に五割引きした。そうしますと、平均的には七割、八割の交通量の増加がある、こういうことでございますので、まあ料金収入としては多少落ちても、平均的に、しかしながら利用の促進が大変図られる、こんな傾向も実績として出ているわけでございまして、さらにそういうことを一層勉強してまいるということにしております。  そうしたことを積み重ねながら、新会社が徴収することとなります料金は、民営化までにそうして引き下げられた、割引された料金、これを引き継ぎながら、貸付料に支障を与えない範囲で自主的な判断決定をいただくと、こういうことになろうかと思います。特に民間の経営センスを生かして、一層の利用促進、こうしたことにつながるような弾力的な料金設定を期待するものでございます。
  158. 森本晃司

    森本晃司君 次に、コスト削減について伺いたいんですが、道路公団でも今までコスト削減には努めてきたと私は思っておりますが、しかし今回のこの、今まで、だけれども、それは必ずしも十分ではなかったのかと思いますし、今回の民営化基本的枠組みにおいて、有料道路事業費を約二十兆から最大で十・五兆に削減させると大胆な方針が出されていますが、具体的な内訳はどうなっているのか、その点についてお伺いします。
  159. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 高速自動車国道の現在整備計画が出ておりますうちの未供用区間、約二千キロあるわけでございます。これが平成十五年度以降、日本道路公団が約二十兆円で建設すると、こういうことにしていたわけでございますが、昨年の、平成十五年の三月二十五日に公表いたしましたコスト削減計画で約四兆円のコスト削減をする、そして国と地方の負担によって整備を行う新直轄方式、これにおおむね、目安でございますが約三兆円を切り替える、それから昨年末に、十二月の二十二日でございますが、基本的枠組みにおいて決定いたしました二・五兆円の更なるコスト縮減、こういう形で、この二十兆円掛かるというふうに考えておりました高速自動車国道建設費を、有料道路の事業費の対象としてはほぼ半減するということで十・五兆円という、以内にすると、こういうふうに取り決めたところでございます。  最初のこの四兆円のコスト縮減、これにつきましては、インターチェンジやジャンクションをコンパクト化するなど規格変更する、あるいはトンネル掘削に関しての施工方法の見直しであるとか、あるいは六車線のトンネル部を四車線にする、こうしたことによって実現するということで、三月二十五日に出させていただいて以来、その後の検討を重ねて、十二月の、昨年のことでございますが、いずれも、十二月二十五日の国幹会議で具体的に個々の路線に張り付けまして、この四兆円のコスト削減、これを整備計画を変更した、こういうことでございます。  さらに、約三兆円、目安三兆円は新直轄方式という形で、これは、昨年同じく十二月二十五日の国幹会議では約七百キロ、二兆四千億円をお決めいただいたわけでございますが、民営化に向かいまして更にここを詰めながら、地方公共団体とも詰めながら、最終的にどのぐらいになるか、これからの課題の部分であるわけではございます。  そうしてもう一つ、二・五兆円の追加的な削減、これもこの十二月の二十二日に出させていただいているわけでございますが、これは民営化によって実現可能となりますサービスエリア、パーキングエリア、これは負担区分の見直しあるいは契約方式の見直し、こういう形で今度は、道路公団整備計画の中で用意するというよりは、それこそ地方公共団体あるいは民間会社もサービスエリア等をこれから新規建設する部分について積極的な展開があり得る、接続協議ができればそういうこともあり得る、こういう議論でもありますので、ここにつきまして負担区分あるいは契約方式の見直し、こういうことが考えられると。  それから、大胆な、大規模な改築事業、これにつきましては、例えば第二東名を整備する、こういうことと、現在の東名を大幅な改築事業を行う、車線の増幅を行う、こういうこととの言ってみればトレードオフ、補完関係を整理して、必要な部分を削減、最小限にしていく。そうして、構造規格を見直す、あるいはジャンクションの事業の区分、これにつきましても、新直轄が入ってくることでもございますので、そういう意味では、その接合部分といいますか、等についてどういうふうな事業区分にするか、こうしたこともこれからの検討課題として検討をしながら、二・五兆円の追加的な縮減、これを必ず実施する、こういうことによって達成してまいる、こういうことであります。  いずれにいたしましても、そういう意味では、道路公団と、それから道路公団民営化されて三つの会社に分割されるわけでございますが、いずれにしましても、従来二十兆円掛かるであろうというふうに見込んでおりました有料道路としての整備計画の未供用部分二千キロについては、十・五兆円以内で、事業費の対象として十・五兆円以内でこれを整備を進めていく、こういうことにいたしたところであるわけでございます。
  160. 森本晃司

    森本晃司君 あとコスト削減というのは、これは今度の民営化の大きな目的の一つでもあります。私はそのように認識しておりますが、今般の民営化基本的枠組みでは、建設費の削減だけではなしに管理費も三割削減するんだと、こういうふうな、これを目指しているということであります。また、同時に料金にはその利潤を認めないという枠がございます。こういった中で、果たしてこのコスト削減が絵にかいたもちにならないのかどうか、今度の新会社にどのようなコスト削減へのインセンティブが働いていくのか、こういったことについてお伺いいたします。
  161. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 今度の、今回お願い申し上げております公団民営化におきまして、会社の経営努力の程度が、努力の程度でございますが、業績に反映される、これが大事なことだということで、二点申し上げたいと思います。  建設費に関しましては、この協定に従いまして削減分の一部、会社と機構で協定をするわけでございますので、その削減分の一部を、建設費の削減分の一部を機構から会社に還元する、これが一つ考えられることだということだろうと思います。協定で定めた限度額を超えた増加分、これは一方で会社の負担とすると、こういう協定を十分会社と機構の間でしっかりと結んでいただく、こういうことが一つでございます。  それから、管理費につきましては、この管理費の構造といたしましては、料金の収入から管理費を引いて毎年の貸付料を支払いする、これが大前提でございますので、この管理費についても、協定においてあらかじめ収入と貸付料、これを固定した上で、管理費は、会社が企業努力によって管理費が減ればこの利益は損失としてその減った分、あるいは逆に増えると会社の損失にもなるわけでございますが、これを業績に反映される仕組み、こうすることが大事だろうということで、これは協定の問題でもございますが、いずれにしましても、基本的にはそういうことが反映されるということを前提にして、現在その具体的内容を検討している最中でございます。  こうした企業努力が、程度が会社の業績に反映される、こうした仕組みによって十分会社が経営のコストを削減すると。建設費にしろ管理にしろ、コストを削減する、こうした努力をしていただけるような運用になることが可能というふうに考えております。
  162. 森本晃司

    森本晃司君 公団の入札あるいは工事発注についてはいろいろと意見が出ておりまして、ファミリー企業ががっちりとやっているので新規参入は非常にやりにくいとか、そういった問題が多々あるようでございます。改善はされているものの、まだまだあると思います。  ファミリー企業関係について質問をしようと思っておりましたのですが、時間の関係上、これはあさってにまた私は質問をさせていただきたいと、このように思うところであります。  そこで、透明性の確保ということ、情報公開について、これは今後民営化になったらどう守られていくんだろうかということを危惧するものであります。民営化になっても大事な、私は、国民の財産でもございますので、この点について最後にお尋ねをさせていただきたいと思うんですが。  情報公開については、これまで路線別収支や交通量等について公表されるとともに、情報公開法に基づいて様々な情報が公開されてきています。しかしながら、情報公開法というのは民営化に伴い適用除外になると。今後は、これまで公開されてきた多くの情報が公にならないのではないかと危惧しているところでございます。  今般の法律では、国、地方公共団体による会社の株式保有は三分の一以上とされていますが、官製談合防止法及び入札契約適正化法は国の出資割合が二分の一以下になると適用にならなくなるということになっています。このように、法制上、入札等に関する情報公開義務が課せられなくなりまして、民営化の透明性確保について従来よりも悪化するんではないかと危惧するものでありますが、民営化後どのようになるのか、御答弁願います。
  163. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 高速道路という高い公共性を有する社会資本建設、管理を行う、こういう観点から、関係法令を遵守することはもちろんでありますが、先生御指摘のように、国民の疑惑を招くことのないような、十分な透明性を持って配慮して業務に当たらなければならない、こういう問題かと思います。  衆議院の国土交通委員会におきましても、附帯決議におきまして、情報公開法に準じて、その経営状況とか財務状況等について積極的に情報の開示を行うべしということと、入札契約適正化法の適切な運用を通じて経営内容の透明性の確保に努めることと、こうした附帯決議も付いているところでございまして、これを十分に尊重する必要があろうかと思っております。  そういう意味では、機構については情報公開法が適用されると、こういうことから、的確な運用を図るというように指導するとともに、会社につきましても、協定あるいは事業許可申請書や毎年度の事業計画及び財務諸表など、国や機構に提出される資料等をできる限り公表する、これが客観性、透明性を確保するために必要なことと思っております。  それから、各論で申し上げますと、会社につきまして商法や証券取引法などによって情報の開示義務が、これはこれでその範囲であるわけでございますが、さらに国が株式の二分の一以上を保有している間は入札契約の適正化法が適用される。あるいはまた、国又は地方公共団体が株式の二分の一以上を保有している間は官製談合防止法が適用されると、こういうことになっておるわけでございます。  この民営化会社の原点ということも考慮いたしまして、会社において自ら積極的な情報開示を行う、こういうことを期待しているものでございます。
  164. 森本晃司

    森本晃司君 総裁の御意見を聞かせていただいて、質問を終わります。
  165. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 森本委員にお答えをいたします。  公団といたしまして、これまでも高速道路ネットワークなどの整備管理を行う国の機関といたしまして情報公開の徹底を進めてまいりましたほかに、従来から入札契約情報の公表拡大などによりまして透明性の確保に努めてきたところでございますが、これからも引き続き適正に対応してまいりたいと考えております。  新会社につきましては、民営化に伴いまして情報公開法は適用除外となりますが、商法等に基づきまして経営状況や財務状況等について積極的に情報の開示を行っていくべきものと考えております。将来は完全民営化、上場を最終的に想定しておりますので、設立の段階から上場する際に必要な情報は徹底して公開し開示していくことにより、最大限の透明性の確保に努めてまいるべきだと思っております。  入札契約に関しましては、新会社は、決定される関係法令を遵守するとともに、業務の合理化、効率化も踏まえながら、透明性の最大限の確保など、国民の理解を得られますように事業を執行していくべきであると考えております。
  166. 森本晃司

    森本晃司君 終わります。
  167. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  公団民営化問題について伺いたいと思います。  最初に、冒頭ですけれども、大臣に一言伺っておきたいと思います。  先日の提案理由説明の中で、真に必要な道路を、会社の自主性を尊重しつつ、できるだけ少ない国民負担の下で建設することを目的として民営化を実施すると、こういうふうにおっしゃいました。この言葉は、今日、午前中からの答弁の中でも何度かおっしゃっておりますけれども、この中で、真に必要な道路を造るということは、無駄な道路は造らないということですか。
  168. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 言葉の上ではそういうことなんですが、これも今日の午前中の議論の中でお話をさせていただいたんですが、必要な道路というものに対する概念が大都会と地方によって大きく違うと。そして、今回の改革では、今後の高速道路整備について何が必要かというものを三つの指標で判断していこうと。一つは、費用対効果、いわゆるBバイCでございます。さらに、有料道路である以上は採算性。しかし、それだけではない。地方の方々が必要な道路、代替道路がない、災害に弱い、一般道しかない、あるいは原子力発電所が存在している、また基幹病院へ到達するまでの時間が非常に掛かってしまうなどなど、外部効果から構成される評価基準に基づきまして、厳格かつ客観的な事業評価を実施することが、今回の改革の真に必要な道路とは何かということを決める上で重要なポイントでございます。  この評価を踏まえまして、選択と集中という基本的な考え方の下、優先順位の高いものから原則的に必要な道路整備していくという、そういう意味で使わせていただいたところでございます。
  169. 富樫練三

    ○富樫練三君 局長に伺います。  今、三つ、何が必要な要素かという大臣からの答弁がございました。そこで、無駄な道路は造らないという場合の歯止めはありますか。
  170. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) いろんな考え方はあり得る議論だとは思います。しかしながら、今回の高速自動車国道のこの検討に当たりまして、厳格な事業評価を行う、その中で、民営化推進委員会の中で委員のお一人である中村先生が、中村委員が御提案なさり、そして委員会としてもこれでいくべきである、こういうふうにお決めいただいた物の考え方民営化委員会としてこうすべきであるという物の考え方を申し上げますと、基本的には、まずBバイCが、便益を費用で割って、これが一を超える、これが無駄か無駄でないか、一つの条件である。  そして、これを超える場合に、なおかつ私どもが、今回の検討に当たりまして、もう一つこうした評価基準に基づきまして分類いたしましたのが、さらにその費用と便益がどうか、それから採算性がどうか、それからその他の外部効果がどうか、この三つの指標を総合的に評価した上でそれぞれの路線区間の評価をすると。  ただし、その場合に、実は一つ申し上げるべきことは、有料道路としてはこの利用交通量というものが料金の抵抗等もあって厳しい、少ないということで、BバイCが一を割る、こういうものが中にあったのも、計算上あったのも事実であります。これは、無料道路であったらどうかという点で再計算をしますと、一をはるかに超える、あるいはまたぎりぎりのところもある、こういうことでもございました。しかしながら、基本的にはそれぞれBバイCが一を超えると、結果としてそういう評価を出させていただいたということでございました。  そういう意味では、民営化委員会に基づくこの中村先生の御意見というのも一つの明快な考え方だと思いますし、BバイCが一を超えるのが最小要件というふうに私どもも考えております。
  171. 富樫練三

    ○富樫練三君 BバイCで計算をして費用対便益で考えると。すなわち、今まで何度か答弁もされておりますけれども、評価を厳密にやるというか、厳格な評価をすると、こういう意味なんだろうというふうに思います。  そこで、その厳格な評価についてちょっと伺っておきたいんですけれども、四月二十八日、本会議で、私どもの大沢議員が質問したことに対して、総理はこういうふうに答弁しました。この評価結果、厳格な評価ですね、に基づいて、「抜本的見直し区間を五区間百四十三キロを設定し、これらについては事業を一時中断し、計画を抜本的に見直すこととしており、現在の計画のままで整備を進めることはありません。」と答弁しています。これは、百四十三キロ五区間についてでありますけれども。  そこで、伺いますけれども、この百四十三キロのうち、北海道縦貫道の二つの区間、二区間と、中国横断自動車道の一区間、合計しますと百八キロになりますけれども、この抜本見直しのうちの百八キロについては、国が建設するいわゆる新直轄、その中に含まれていますか。
  172. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 御指摘のとおり、新直轄区間にこの三区間ですね、新直轄に移行しましたのは、北海道の士別—名寄、それから同じく北海道、これは縦貫道、横断の方の足寄—北見、それから中国横断の米子—米子、こういうことで、三区間百八キロが新直轄区間に含まれております。
  173. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうしますと、今問題になっているのは、いわゆる九三四二キロが問題になっているわけですけれども、その中の未供用部分約二千キロ、正確に言うと千九百九十九キロぐらいになりますかね。その中の百四十三キロは抜本見直し区間だから、ここについてはこのとおり進めることはないんだよというのがこの間、総理の本会議の答弁でした。  しかし、そのうち百八キロは既に新直轄の方で税金で造るんだと、そちらの方に入れていますから、今の答弁だとね。そうすると、どうするかということ、造るか造らないかも含めて改めて更に厳密な検討を加えるというか、それは残るところの三十五キロということになるんじゃないですか。
  174. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 新直轄に移行をいたすことになりました百八キロ、三区間百八キロ、これにつきましても、先ほど申し上げましたように、無料道路としてはBバイCが一を超える。そして、なおかつ、やはりできるだけ大きく超えていただくのが大事なことだとも思いますし、そういう意味では、このこれまでの計画を見直して、場合によりましてはルートも、今までのルートではなくて、もっと簡易なといいますか費用の掛からないような、あるいはまた逐次効果を発揮し得るような、現在の国道なり既存の道路の一部分をバイパスするような形で、そうすると、シャクトリムシで、いきなり七十九キロとか、でき上がらなければ効果を発揮しないということではなくて、短い区間でも効果を発揮し、最終的にそれをつなげていくと新しい道路ができ上がると、こういうやり方もあろうかと思います。  したがいまして、そういう検討をしようということで抜本的な見直し区間と、こういうことになっておるわけでございますので、おのずから、必ず造ると、今まで計画どおりと、こういうことではなくて、計画をそれこそ抜本的に見直して、見直さない限りは、逆に申し上げますと、事業に取り掛かることはできないと、こういうことだと理解しております。
  175. 富樫練三

    ○富樫練三君 結論から言うと、バイパスを利用したり、あるいはそのルート変更したり、したがって距離が変わるかもしれないし、道路構造も多少変わるかもしれない。そういう見直しはするんだけれども、百八キロについては新直轄でやるということは、これは間違いないということだろうと思うんですね。やめるとはどこにも言っていませんのでね。残る三十五キロについてもこれも、抜本的な見直しなんだけれども、しかしこれもやめるとは言っていないと。  ただこれは、事業主体というか、どこが建設するか、民営会社が造るのかそれとも国が造るのか、ここはまあ決めていないというのが三十五キロ。あとは全部、だれが造るかということは計画としては決まっていると、こういう中身ですよね。  そうすると、その約二千キロぐらいの中でいえばわずか三十五キロですよ、残っているのは。だから、これを仮に廃止したとしても、たった三十五キロ。ですから、これで、この厳格な評価をやってその歯止めを掛けたんだというふうには私はとても言えないと。約二千キロのうちの三十五キロですよ。  ですから、無駄な道路は造らない、真に必要なものを造るという角度からいっても、これは余りにも見直しとしては微々たるものというふうに私は思うんですけれども、大臣は、この点についてはどういうふうに思いますか。
  176. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 百八キロの部分につきましても、政府参考人から御答弁をさせていただきましたように、当面は一般国道を活用した段階的な整備が可能じゃないか。  すなわち、一般国道と他の幹線道路が交わるところでブリッジを造る、そういうものによってほぼ高速道路と、交通量が少ないところでございますんで、同等の機能を有する道路というもので整備をしていくということも念頭にあるわけでございます。そうしますと、それは名称としては何という名前になるかははっきりいたしませんけれども、これまで考えていたいわゆる片側二車の自動車専用道路、こういうものとは明らかに違うわけでございます。  さらに、そういう見直しを行わない限りは造らないわけでございます。そういう見直しを行って、必要であるならば造る。その必要である、必要でないという客観的基準というものは一つのもう物差しを作らせていただきまして、政府参考人から御答弁をさせていただきましたように、公共事業である以上は、いわゆる費用対便益というものが一を上回れば、これは公共事業として社会資本整備していくという原則というものはやはり私はあるんだと思います。
  177. 富樫練三

    ○富樫練三君 そういうことで、一般国道を利用するんだということであれば、その百八キロについては私は新直轄の中から外すべきだろうというふうに思うんですね。もう新直轄で、税金で百八キロ造るんだという計画の中に含めておいて、それで一方で、一般道路で造るんだから見直すんだと、こういうやり方というのは余り理解、納得は得られないのではないかというふうに思います。  次に、やはり提案の説明の中で、「できるだけ少ない国民負担の下で」というふうに、こう言っているわけなんですけれども、これは、できるだけ少ない国民負担というのはどういう意味ですか。大臣でも局長でも結構ですよ。
  178. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先ほどの新直轄のお話もございますので。  新直轄につきましては百八キロ、例えば足寄—北見七十九キロ分が一つの路線として今は、整備計画が七十九キロ分、もうこれは地元にもルートを出している、こういう形で提示しているわけでございます。既に提示までしている。しかし、それに対して、造り方の工夫をしていこう、こういうことでございますので、それを一般の国道で必ず造るんだと、こういうことを決めているわけでもなくて、計画を抜本的に見直すということでありますから、七十九キロ区間を、今の計画を離れて根本的にどういう構造がいいかということをよくよく検討するまで事業を始めない、こういう趣旨でございますので、多少の誤解があるかもしれませんので申し上げておきます。  それから、できるだけ少ない国民負担、これは真に必要な道路はできるだけ少ない国民負担の下で建設する、こういうことが重要であるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、必要な道路、こういう観点で申し上げますと、BバイCがやはり一を超える、こういうことかということだと思います。そういう意味では、今、未供用の部分二千キロにつきましてはBバイCが一を超えると、これも事実であるわけでございますから、必要な道路であるということであります。  しかしながら、すべて有料道路方式により整備をすると、こういうことになりますと、債務の増大、こういう観点と、それから返済の確実性に支障を来す、こういう問題があろうかと、そういうことでありますので、この有料道路方式では料金収入で管理費も賄えない。こういうような道路につきまして、新直轄方式を導入して、そういう意味での全体としての国民負担を少なくする、最小にするということであります。  大前提は、必要な高速道路、これはBバイC一を超えると。そうしたら、それをどういうふうに造っていくかと。そのために、国民負担を最小にするにはどうするかと、こういう観点で考えているところでございます。
  179. 富樫練三

    ○富樫練三君 国民負担をできるだけ少なくするといって、新直轄の事業枠は、先ほどの答弁でも三兆円と、こう言っていましたよね。それで、既に計画しているのが約七百キロで、七百キロに対応する部分が二兆四千億ですか、ということですよね。  これは、元々公団でやっているときはこういうのはなかったわけですから、前回からこれが、こういう方式が取り入れられましたけれども、公団でやる場合はこういうのは、新直轄というのはないわけで、そのときは、ただし公団に対する出資金であるとか利子補給とか、そういうのがあったと。出資金は後から返済するとしても、利子補給といっても年間大体三千億ぐらい。今度は、国民の負担を少なくするからといいながら、実は三兆円税金を負担するんだと、税金で負担するんだと、こういうふうになってきたわけですよね。  ですから、こういう膨大な税金をつぎ込んで、際限なくといっても、もちろん何キロって、最高で今一万四千キロとかというのは出ているんだけれども、どんどんどんどん税金で高速道路を造っていくという仕組みを作るのが今度の民営化の中身になっていると。ですから、これでどうして国民負担を少なくしたんだと、こういうふうに言えるのか、大臣、ここはどういうふうに考えていますか。
  180. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 今の御議論を聞かせていただいておりまして感じますことは、それならば我々の示しました客観基準をクリアしているものも造るなと、そういうことを、何か客観的な指標として事実としてあるならば、今、富樫委員が御指摘されましたように、我々の基準では造るという、すなわち必要な道路という客観基準を満たしていますけれども、造らないというところがあればそういう御議論が成り立つと思うんですが。  私どものやっぱり整理としては、いわゆるBバイC一を超えていても、一に限りなく少ないものも実はあったわけでございます。一・〇二なんという道路がありました。しかし、これを無料のBバイCで測ると三ぐらいになる。すなわち、有料道路ではなくて無料の高速道路であるならば、その社会的必要性というものは格段に上がるという道路がやっぱりあるわけですね。そういうものをどうするのかという考えの中でこの新直轄方式を念頭に考えてきたわけでございます。
  181. 富樫練三

    ○富樫練三君 今、BバイCということを盛んに言っていますよ。だけれども、この道路計画を作ったときはネットワークを作ろうというふうな、それが大前提であったわけでしょう。ですから、BバイCで計算すれば、個々の路線で計算すれば、これは一以下というのはもうたくさんあると、現在だって一以下というのはたくさんありますよ。一定のプールしたところで見れば、それはプラスになるかもしれませんよ。だけれども、個々で見れば、これはマイナスのところというのは一以下というところは一杯あるわけで。だから、私は、そういう意味で国の方の基準、いわゆるクリアしている基準があるんだと、こう言うんだけれども、それ自身に大いに問題があるというふうに思っているわけです。  その上で、午前中の大臣の答弁の中でも言っておりましたけれども、これも一つの歯止めというか、民営化された会社の自主性を尊重というか、拒否権を与えたんだと、こういうふうに言っておりました。  これは、これも提案理由説明の中で、「会社の自主性を尊重しつつ、」と、こういうふうに言っているわけなんですね。これは衆議院の委員会局長は、「建設に関しまして、会社と国の対等な立場で協議手続を入れる。これは、会社に、現在建設中のものも含めて、自主的な言ってみれば拒否権の付与、」こういうふうにも言えるわけでございますというふうに言っています。  率直に伺いますけれども、この会社に、民営会社に拒否権を付与した最大の理由は何ですか。
  182. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 従来の公団方式による事業と、こういう形でやってきましたものについていろんな御批判がございました。特に、今の御質問との関連で申し上げますと、国から一方的に命令が出ると、こういうことで、採算の取れない路線も含めて既存路線利用者の負担によって道路建設する、これに歯止めがない、そして債務がこの結果で際限なく拡大するのではないか、こうした御批判があったということもしっかりと踏まえるべきであろうというふうなことだと思います。  こうした指摘にかんがみまして、今回の民営化に当たりまして、民間の経営判断も反映させる、これが一つ大事なこと。そして、会社による有料道路事業として妥当性を検証する、この仕組みを導入したわけでございます。  そういう意味では、まず事業地区間につきまして、この当該区間を所管する会社が当該区間の建設費、管理費、会社の料金収入等を基に事業性について十分に検討して、この検討結果に基づきまして国と会社が協議して、この東、中、西と、こう分けるわけでございますが、当該区域を所管する会社が、これはなかなか難しいという区間がありましたら、これは建設中、事業中、調査中の路線のことでございます、区間のことでございますから、そういう、今やっているけれども会社としてなかなか難しい、こういうお申出があれば他の会社とも協議し、どことも調わない、こういうことでございましたら社会資本審議会で、会社がなぜ無理かという点についても申し出ていただいて、社会資本審議会の意見を聴取する。世の中にすべてこれを明らかにしながらの手順で実行すると、こういうことでございますので、そういう意味では実質的に拒否権があると、こういうことを申し上げたわけでございます。
  183. 富樫練三

    ○富樫練三君 今の説明だと、新会社が造る、新しく造る部分、いわゆる未供用部分二千キロのうち約千二百キロぐらいですか、新会社が造る千二百六十キロぐらいですかね、それについて、新規の建設にはこの拒否権は適用されないで、現在建設中、途中になっているものについてはこれは拒否権があるんだと、こういうふうに限定されたものという理解でよろしいんですか。
  184. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 恐縮でございます。  高速自動車国道予定路線として法定されておりますのが一万一千五百二十キロでございます。この中で九千三百四十二キロが整備計画が既に出ている。そこで、ここでちょっと線引いて、そして九千三百四十二キロの中で未供用の部分が二千キロありますと。先ほど先生御質問の新直轄に約七百キロいっておりますから、現時点では千三百キロが有料道路事業の対象として、未供用部分として残っている。これについては既に建設中あるいは調査中であるわけでございますが、この千三百キロについて、建設中、調査中でありますが、引き続き、民営化した会社が、その区域を所管する会社、あるいは他の会社でもいいわけでございますが、引き続き建設を続けるという判断をするかどうかという点については、それぞれ会社が判断した上で申し出る。  それで、この九三四二の外側、一万一千五百二十キロの中、こういう二千キロ、約二千キロが残っているわけでございますが、これについては申請主義、こういうことでございますので、むしろ会社が是非やりたい、こういうことでない限りは会社が実行することにはならないということであります。
  185. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうすると、未供用部分の約二千キロのうち民営会社が新しく造ろうとしている千三百キロというのは、これはいわゆる調査中、建設中の中に含まれるということですね。したがって、これらについては拒否権があるということですね。  そこで伺うわけですけれども、この約千三百キロの民営会社が担当するであろう区間というのは、これは厳密な評価に基づいて国の方が、これはBバイCが一以上であって、外部効果、そういうものもいろいろな点を見て、結論としても採算上も大丈夫、したがって有料道路でいこう、したがって民営会社で建設しよう、それができないものについてはこれは新直轄でやりましょう、約七百キロは新直轄でやりましょうと、こういうことですよね。  そうすると、民営会社がこれから造ろうとしている千三百キロというのは、これは採算上は大丈夫だというふうに国の方が太鼓判を押したものですよ。それに対して民営会社が、仮に、いや、私のところではとてもできませんというふうに言って、申請されて、資料も出てきて、正当な裏付けがあるということで大臣が認めれば、これは拒否権が認められたことになると、こうなりますよね。制度としてはそういうことですよね。  国が太鼓判を押したものが何で民営会社は私はできませんと、こういうふうになるのか。そこの、それを認めるから拒否権というのが成り立つわけなんですよね。国のBバイCの計算や採算の計算というのはそんなに信用がなくて、そんなに、何というか、民営会社を説得することができないような厳密な評価なんですか。どうなんですか。
  186. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) ただいまのお尋ねにお答えするには、全体の構造をもう一回、大変恐縮ですが、簡単に申し上げたいと思うんですが。  二千キロの中で七百キロは新直轄、こういうことにはなったわけでございますが、さらに、これから民営化会社が発足していろんな協議しながら半年以内にいろいろ固めると、こういうことになるわけでございますが、現時点で申し上げますと、この新直轄に移行した七百キロは更にもう少し増えようかと、こういうふうに思っているわけでございます。これが先ほど申し上げました、事業費で申し上げますと、現在の七百キロが二・四兆円でございますからおおむね目安三兆円ぐらいはあえて申し上げれば、むしろこれからの事業を新直轄事業と、こういう観点で見たときに、逆に申し上げると一定の期間で重点的投資が可能な範囲としてそのぐらいまではあるかなと、こういうことでございますので、更にこれからもう少し詰めるという部分があるわけでございますが。  いずれにいたしましても、そうした中で、次にもう一つ申し上げるべきことは、二十兆円を、有料道路事業対象二十兆円を十・五兆円と申し上げました。そういう意味では、次にもう一つ、トータルの縛りとして四十五年以内に全体の高速道路の借入金を返していくと、こういう点から申し上げて、高速自動車国道の場合には、公団、会社で合計で十・五兆円、こういうこともお約束を申し上げているわけでございますので、この両面、新直轄をどこまで、これは地方公共団体も御意見があるところでありますから、よくよく今後も相談しながら、新直轄で更にどこをやるべき部分があるかと、これはもう一つ検討する。もう一つは、つまり二点というのはもう一つは、今度はトータルが公団、会社で十・五兆円と、こういうことを超えない範囲で有料道路事業を実行していくと。この両方から今後詰めるべき問題と、こういうふうに考えております。
  187. 富樫練三

    ○富樫練三君 聞いたことに局長は全然答えてないんだよ。  その約千三百キロの民営会社が造るべき、造る予定になっているところというのは、先ほどからの大臣説明でも、BバイCも厳密に計算をして、採算はどうなんだと、そういうことを全部やって、大丈夫だ、採算は取れますから民営会社でやりましょう、採算の取れる、取れないところ、困難なところは新直轄で国がやりましょうと、こういうふうに切り分けたわけでしょう。約二千キロを七百キロと千三百キロに切り分けたわけでしょう。こっちの民営会社が造る千三百キロは、これは採算上大丈夫なんだと。にもかかわらず、民営会社がうちの方はできませんというふうに言ってきたときに、大臣がそうかと認めれば、正当な理由があって認めれば、それは拒否権が生きるというか、それはやらなくてもいいということになるわけですよね。  国の方が厳密に評価した結果でもそういうものが出てくるというのはおかしいでしょうと。そんなことは本来あるはずがないんだけれども、あえて拒否権をそこに設定をしたというのは、国の方のBバイCの計算も含めて、厳密な評価というのは実は自信のない評価なんだなと、こういうことを示しているんでしょうと、こう言っているわけで、イエスかノーかで答えてくださいよ。
  188. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) そういう意味では、恐縮でございます、多少繰り返しになるかもしれませんが、全体の構造としましては、新直轄はおおむね三兆円目安と、こう申し上げているわけでありますから、七百キロよりも更に超える、これが一つでございます。七百キロよりも超える。  それからもう一つは、そういう意味では、厳密にここまで採算取れるというふうに計算した結果、今七百キロと千三百キロと分けていると、こういうことではありません。そういう意味では、私どもは、あえて申し上げれば、有料道路事業の対象として高速道路で新規に投資する部分は会社と公団で十・五兆と、こう申しておりますから、その範囲でまた今後の調整を図ると、これが大事なことだと思っておりますので、そういう意味では、先生御指摘の、もう明確に今七百キロと千三百キロで分けて、この千三百キロは採算が取れる部分だからそれに違反、できないと言うのはおかしいだろうということにはそういう意味でもならないわけではあります。
  189. 富樫練三

    ○富樫練三君 今のは全然答えになっていないんだけれども、まあ先へ進みます。  要するに、民営会社はうちの会社では造れませんというふうに言うことは前提としてあるということを今、局長は言っているわけですよね。要するに、新直轄の枠というのは三兆円あるんだ、そのうち二兆四千は一応計画しているけれども、したがって一千三百キロの民営会社が造る予定のところから新直轄の方に移ってくる部分、すなわち拒否権が認められた部分、これは三兆円の枠の中でできますよと、こういうことを局長は言っているんだと思います。  そこで、三兆円というと約六千億円です、あと残りは、残り枠は。聞いてみたところ、大体一キロぐらい造るのに高速道路というのは五十億円ぐらいだそうです。そうすると、六千億円だと百二十キロなんだよね。大体平均すればの話ですよ。今、千三百キロのうち百二十キロ分を新直轄に持ってきても、これは何とか対応できると、三兆円の枠の中で。  ところが、これが仮に五百キロだとか六百キロ、半分ぐらいはとてもできませんというふうになった場合には、これは三兆円の枠を増やすしかない。あるいは、そういうところについては道路を造らないというふうにするか。造らないことにするか、新直轄で税金で造るか、どちらしかないと思うんですよ。ここは政治判断が伴うんですね。大臣、そういう場合はどういうふうにしますか。
  190. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) これは仮定の話でございますので、これも仮定のお答えになるかと思うんですけれども、そういうときはそういう地域があるわけでございますから、どちらかというと農山地域、過疎地域だと思います。そういうときは、その地方公共団体の意見も聞かせていただいて、委員が御指摘のとおり、新直轄方式による整備も含めて、今後の整備の在り方というものを国と地方と決めていくことになると思います。
  191. 富樫練三

    ○富樫練三君 いわゆる新直轄でやるということのようですから、そうなれば税金の負担というのはますます増えるということになるわけで、なるべく少ない国民負担でというのは、これはどうも言っていることとやることは違ってくるというふうに指摘をせざるを得ません。  これらの関係でまだ若干ありますけれども、次の問題に移りたいと思います、ちょっと時間がなくなってまいりましたので。  一つは、先ほども質問がございましたけれども、とかくこの道路建設をめぐって政官業の癒着の構造、これは今までも何度も指摘をされてきたものであります。国民が求めている公団の改革、道路行政の改革の中の大きな一つに、この癒着の構造を断ち切るべきだと、こういうのがございます。  そこで、先ほども情報公開の問題が出されました。民間になれば情報公開の対象にならないわけですが、私は、今日はここに、現在の公団が情報公開で出した資料を、このぐらいの分厚いものですけれども、これが情報公開で出された資料です。これはどういう資料かというと、実は接待のために飲み食いをした領収書です、ここにあるのが。これは全部領収書ですよ。それで、ここに青い附せんが付いていますけれども、この附せんが付いているところというのは大体国会議員が招待されたやつなんですね。全体でこのぐらいあるうち、これが国会議員が招待されたところ、名前も、ここに具体的に個人名も書いてありますけれども、一々読み上げると時間がなくなりますので。  で、伺いたいのは、公団民営化、民営会社になった場合に、先ほどはなるべく公開して、オープンでというふうに言っておりましたけれども、こういう資料は出すことはできますか、法律上。
  192. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 公団民営化会社になりました場合には、いわゆる情報公開法、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律、こういうことでありますので、民営化に伴いまして適用除外にはなります。
  193. 富樫練三

    ○富樫練三君 適用除外になればこういう資料はもう出てこないと、こういうふうになるわけですから、ますます不透明になると。  次に、局長が衆議院の方で答弁されているんですけれども、その中で、例の入札契約適正化法、この件についてこう言っているんですね。「基本的にはこの入札契約適正化法の対象になるかな。」、「かな」と言っているんですよね。「かな」というのは、なりそうでならないのか、ならなそうでなるのか、これはよく分からないんですよね。極めてあいまいな答弁をしています。  そこで、この適正化法の対象になる場合は二つの条件があって、資本金の二分の一以上の国からの出資、あるいは事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によっている法人、もう一つの条件は、他の建設工事の発注を計画的かつ継続的に行う、この二つの条件に当てはまれば、これは法律の適用の対象になるということで、先ほどもちょっと答弁ありましたけれども、ここで確認しておきます。  今度の民営会社というのは、三分の一以上国が出資をするというふうになっています。すなわち、二分の一以下であります。当面は一〇〇%出資かもしれません。だけれども、それは一日も早く、なるべく早く三分の一に近づけようと、こういう努力をしますね。そうすると、ずっと減っていって、二分の一のところを超えた、二分の一以下になった瞬間にこの適正化法の対象から外れますね。この点はいかがですか。
  194. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 法律の厳密な適用、こういう意味で申し上げれば、官製談合防止法も入札契約適正化法も、法的には国、地方公共団体の株式の保有割合が二分の一を下回りました場合には法律的には義務付けられなくなると、こういうことだと認識しております。
  195. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうなれば、ますます情報公開法も適用されなくなる。そして、官製談合防止法も、二分の一以下になれば、これはその瞬間に適用されなくなる。あわせて、入札契約適正化法も二分の一以下になった瞬間に適用されなくなる。そうすると、民営化になればどんどんどんどん国民の目からはどんどん隠れていってしまう。そういう中で、先ほど示したようなこういう接待を含めて、こういうところにお金が使われていくということになるわけで、無駄をなくすということであれば、まずこういうことをきちんと処理できるようにならなけりゃならないと思うんですね。  そこで、今度のこの政官業の癒着の問題、これについては天下りの防止の問題や、あるいはファミリー企業との関係の透明化の問題、そして何よりも道路建設行政、今までは公団中心だったわけですけれども、これに対する政治家の介入、こういうものを断ち切ることがどうしても必要だというふうに思います。  そういう点で、これはちょっと委員長にひとつお願いをしたいわけですけれども、今まで既に問題になっているところで、道路問題をめぐる癒着や疑惑の解明のために、例えば自民党の青木参議院幹事長とか、飯島総理秘書ですね、秘書官、あるいは、この今までの政治家からの圧力について一番当事者としても詳しく状況を知る、知り得る立場にいたのではないかと思われる藤井前道路公団総裁、こういう方々について、当委員会にお呼びをして、参考人として質疑ができるように、そういう場を作っていただきたいということを委員長にちょっとお願いなんですけれども、いかがでしょうか。
  196. 輿石東

    委員長輿石東君) はい。これは理事会で協議をさせていただきます。
  197. 富樫練三

    ○富樫練三君 是非そういうことで、今日が実質審議のスタートでありますので、これらについても全面的にきちんと解明するということをやっていきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  198. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  道路公団民営化する理由について大臣にお伺いいたします。まず初めに、今回提案をされております道路公団民営化する理由について、改めてお尋ねをいたします。  なぜこれまでどおり公団ではいけないのか、道路公団のどこに問題があったと考えられているのか、お伺いいたします。
  199. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) これは大変基本的な問題なんですが、振り返ってみますと、平成十三年に特殊法人改革を小泉内閣でやっていこうと、こういうことを決めたわけでございます。これまでの特殊法人改革は、特殊法人の数を減らす、こういうことに着眼していたわけでございますが、今回の改革は初めて、全法人の事業を徹底的に見直す、そしてその事業見直しの結果を踏まえて原則的に廃止、民営化する、そしてどうしても必要なものは中期目標等々、透明度が非常に高まる独立行政法人に組織形態を見直すと、こういうふうに整理をさせていただいたわけでございます。  そして、道路公団につきましては、企業的経営による方が事業をより効率的に継続できる法人と、そういうふうに位置付けさせていただきまして、民営化をするということを決めたのが経緯でございます。  そして、この経緯に至る途中経過といたしまして、これも基本論でございますけれども、公団のまま公団改革をすればいいんじゃないか、こういう議論が確かにございました。しかし、これも当たり前のことではございますけれども、建設費の償還期限の順送り、採算性の伴わない路線もプールを拡大することによって建設していくといったような既存路線利用者の負担による建設に残念ながら歯止めが掛かってまいりませんでした。さらに、高コスト体質、すなわち道路建設や管理のコストを公団自体が削減しようとする動機付けがなかったわけでございます。  さらに、当委員会でももう再三再四問題になっております天下りやファミリー企業の不明朗、不透明な関係、こういう指摘をクリアしていくために、公団組織を維持したままでは十分な成果が上げられない。この際、大胆なコスト削減を行い、コスト削減を受けた整備計画の変更、さらには抜本的な改革として、公団から民間会社になるという荒療治を行う中で今言ったような問題に解決策を見いだそう、そういうふうにさせていただいたところでございます。
  200. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今、問題点について、様々な問題が出されましたけれども、ただいま答弁された問題点が民営化することによって解消することができるということでございますけれども、現在の公団であっても、組織や運営等、抜本的に見直していくことができれば解消できた問題ではないかと思うんでありますが、見解はいかがでございましょうか。
  201. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 従来の公団による事業に対しまして、今、大臣からも申し上げましたが、コストが高いんではないかとか、あるいはまた際限もなく、道路建設に歯止めが利かないんじゃないか、あるいはまたファミリー企業との関係、こういうような様々な御批判や御指摘があったのは事実でございます。  これは、歴史的にもといいますか、経緯も長い時間がたっておりまして、既に昭和五十年代になる前と、こう申し上げてもよろしいのかもしれませんが、結局のところはそうしたことを何とかいろいろやってこようと思いながら十分な成果が上げられてこなかった、こういう経緯を踏まえての議論が一つあるわけであります。  しからば、何ゆえに民間にできることは民間にと、こういうことで何とか抜本的な改革ができるようになるのかと、こういう問題でございますが、そういう意味では、経営の形態まで変える、そこまで踏み込んで初めて、民営化後四十五年以内には法律で定めて債務の返済期限も決めるとか、あるいはまた高速国道の事業費の対象としては二十兆円掛かるとされていたものを十・五兆円以内にするとか、これは恐らく公団という方式のままでこれまでも努力してきたように一層努力しましょうという形で種々検討を申し上げても、そこまでの踏み切りというのが、これは政府部内だけではなくてよく地方公共団体の御議論もあるわけでございますが、地方公共団体にとりましても、公団高速道路整備を進めてくれれば地方の負担もないわけでございますし、そういう意味ではできるだけ努力してほしい、こういう全体の雰囲気。  あるいは、整備促進団体あるいはまた愛用者団体と申しますか、そういう面から申し上げても、なかなか今までの形態のままでここまでの抜本的な改革をお願い申し上げるという形の雰囲気形成といいますか、そういう意味での世論の形成、こういうことが今までのままでは難しかったかな、そんなふうに思っておるところでございます。
  202. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今の答弁ではすとんと落ちてこないですね。ここらが、やっぱり道路公団民営化に対する国民の批判というものが私は出てきているんじゃないかというふうに思うんでございますが、それはそれといたします。  次の問題として、自主経営権の問題についてお伺いをいたしますが、法案では、国は新会社発足時に全株式を保有をして、上場後も三分の一を持ち続けるようになっておりますね。しかも、役員人事や認可する権限を国が持っているために、経営者としての自由な発想など生まれてこないのではないかというふうに思います。  さらに、新会社が新規建設を不要と判断をした場合にあっても、国土交通省の諮問機関である社会資本整備審議会の判断にゆだねるようになっております。これでは、新会社の自主経営権はどこにあるかというふうに疑わざるを得ないし、疑問に思います。したがって、見解についてお伺いをいたします。
  203. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 今般の民営化で新会社の自主的な経営権、これがどこにあると言えるのかと、こういうお尋ねでございました。  そういう意味では、一つは他との比較、こういう面を一つ申し上げたいと思いますが、政府等の株式保有割合は三分の一以上、こういうふうに設定したわけでございますが、その中で、例えば代表取締役のみは大臣認可ですと、こういうふうにしたわけでございます。例えばNTTと比べますと、政府保有株式の割合は同じく三分の一以上でありますが、NTTでは役員すべて大臣認可が必要、こういう形でございまして、そういう意味では、そういう他との比較、こういう面から申し上げても、政府の関与が今回の法案におきましては最小限にさせていただいているということが御理解いただけようかと思います。  それからもう一つ、今度、事業の内容、こういう面から申し上げますと、高速道路整備につきまして、従来の国からの一方的な命令の枠組み、これは廃止したわけでございますし、先ほど来拒否権があるかないかと、こういう御議論があるわけでございますが、世の中にそのプロセスも明確にして、例えば三つに分かれた会社が、東、例えばどこでもいいですが、ここの建設中の区間については自分の会社では建設これ以上できませんよという申出があったときに、その細部について、その理由も含めて、申出のあった段階から既に明確に世の中に公表しながら、どちらに無理があるか、こういう形でやり取りをする、そして社会資本審議会にまで出して御議論もいただく、こういうことでございますから、どちらに無理があるかという点については、多分おのずから常識の範囲で落ち着く問題ではなかろうかと思うわけであります。  しかも、複数協議でございますから、一つの会社だけじゃなくて、三つの会社ともに自分はできませんよ、自分たちはできませんよとこうなるわけでございますから、そういう中で国土交通省がどうしてもやりなさいというような形にはならぬだろうと。これは常識の問題としても明らかだと思いますし、密室でやるわけではないんで、そうしたプロセスの公開ということもきちっとやっていくということにしているわけであります。  さらに、政府の関与の最小化という意味では、関連事業につきましては認可ではなくて事前の届出制、こういうことでございますし、サービスエリアとパーキングエリアの事業については、実はこの会社は届出も不要だと。それで、JRの場合には駅舎等の活用の仕方について、これは一応認可が必要、こういう形になっておるわけでございますし、あったわけでございますから、会社の自主性の最大限尊重というのはできるだけ配慮を申し上げながらお願いしていると、こういうことでございます。
  204. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 結果的には、じゃ最終的には大臣が決めるというふうに考えておっていいの、そういうふうに考えて。
  205. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生の御指摘は新規建設の方でございましょうか。  そういう意味では、プロセスとしては複数協議でございますし、それを社会資本審議会にお出しさせていただいて、そして社会資本審議会の御意見をいただく、最終的には大臣が決める、こういうことではございますが、そこは常識に従って落ち着くものと思っております。
  206. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 先ほど道路公団総裁のいろんな御意見を聞いておりまして、ちょっと、少し私の聞き違いがあるかもしれません、勘違いがあるかもしれませんが、大臣、雇用問題についてお伺いをしたいと思います。  ただいま、道路公団では大体一万人を超える人が現在働いておるわけですが、今後は三つに分割されるということになります。先ほど議論を聞いていますと、何か新たに技術の集団を一つ作るような、一本化していくようなお話がございました。しかし、法案の中では、雇用関係については一切触れられておりません。しかし、答弁によりますと、公団検討委員会の中で設立委員会が定数問題について決めると、こういうふうに言われたというふうに思います。ひょっとしたら、人事配置というふうに言われたかもしれません。人事配置をするということを言われますと、そこで当然問題になってきますのは、やはり定数と雇用との関係という問題が出てくるわけでございますので、私は、やはりここのところはしっかり労使の間でも話をしていただいた上で、一人の首切りも許さない、雇用継続はそのままやっていくという大臣の決意を一つはお伺いしたいと思うのでありますけれども。  先ほど言われておりましたように、三つに分割をしても、なお一つの技術集団といいましょうか、技術系統は別に一本化すると。これは、答弁は、メリット、デメリット、何とかかんと言いましたね。メリット、デメリットの問題についてコメントすべきではないので撤回するというふうに言われましたけれども、私は、やはりそういうことが考えられているとすれば、やはり従来三つのこういうふうに分けることも、三つに分けるかもしれませんが、加えてもう一つ分けるということになったら、今働いている技術集団の方々は一体どうするんだというような、少し私は疑問を持つわけですね。  ただ、しかし、いろんなことを考えてみましても、やっぱり人は財産であるというのはもう経営の鉄則でございますから、やはり今の我が国道路関係における技術水準を維持するためにも、そういう研究集団を作っていくということは私は大事なことだと思うし、推し進めていることは大事なことではないかと思いますが、それらの人たちについても雇用不安というのは私はないと思いますが、雇用関係について、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  207. 石原伸晃

    ○国務大臣石原伸晃君) 事実関係だけをまず御説明申し上げたいと思うんですけれども、道路公団から民間会社と機構へ業務の引継ぎというものがございます。権利及び義務の承継という形に整理をされると思うんですけれども、これはどういう形で決めていくかと申しますと、基本方針というものを行政であるところの国土交通大臣が定めます。それで、各公団が実施計画を定める。その中に、ただいま委員が、渕上委員が御指摘されました職員の雇用関係が入ってくると思います。  そして、この問題につきましては、実は衆議院の国土交通委員会でもかなり論点のあった点でございまして、附帯決議が付されております。これまで維持されてきた職員等の雇用の確保に努めることを踏まえて適切に対応されるものである。今の前段の部分が附帯決議でありまして、それを政府として尊重するという答弁を私も附帯決議の議決の後させていただいたわけでございます。  また、三つに分割されますから、どこに職員の配置がなされるかという点につきましては、これは各会社の事業展開がどうなるかということが分かりませんので何とも言えませんし、各会社の経営者の判断によってどういうセクションにどういう人を配置するのかということが決まってまいると、こういうふうに考えております。
  208. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 その再配置をしていくときに、それぞれの会社が判断をして余剰人員が例えば出るとしますね。その場合の扱いはどのようになるんですか。
  209. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) そういう意味では、余剰人員が出るということを前提に今考えるわけにはいかぬのじゃないかとは思っておるわけでございまして、公団が会社になる、そうすると会社と機構と、機構はわずかな人数だと思いますが、会社に引き継がれる。さらにまた、道路公団の場合で申し上げれば、ほかもそうでございますが、道路公団の場合には二つの財団法人が現在はありまして、これの業務を、SA、PA、こういう事業で言えば内部化する、こういう形に伴って子会社にそのまま子会社化する。何らかの組織に行かれる方と、それからあえて申し上げれば、逆にまた公団組織に、公団というか、会社の組織に新たに入る方も、今、財団の職員としてもその二つに振り分けられるかもしれません。  そういう意味では、逆に、今現在公団の職員は、いずれにしましても本体の会社であるか、あるいは機構であるか、あるいはまた子会社、関連会社という形であるか、いずれにしましても、雇用は保障をしていただきながらいろいろ考えていただくというのが原則と思っております。
  210. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 恐らく各労働組合もあると思いますから、理事者側と労働組合の側できちっとそういうところの問題について話合いをして決めていただいて、雇用不安のないようにひとつどうか努めていただくようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  211. 輿石東

    委員長輿石東君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十六分散会