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2004-04-13 第159回国会 参議院 国土交通委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      藤野 公孝君     山内 俊夫君      大門実紀史君     大沢 辰美君  四月九日     辞任         補欠選任      山内 俊夫君     藤野 公孝君  四月十二日     辞任         補欠選任      弘友 和夫君     魚住裕一郎君  四月十三日     辞任         補欠選任      脇  雅史君     有村 治子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         輿石  東君     理 事                 岩城 光英君                 鈴木 政二君                 池口 修次君                 大江 康弘君                 森本 晃司君     委 員                 有村 治子君                 沓掛 哲男君                 佐藤 泰三君                 斉藤 滋宣君                 田村 公平君                 鶴保 庸介君                 藤野 公孝君                 松谷蒼一郎君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 藤井 俊男君                 山下八洲夫君                 魚住裕一郎君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君    国務大臣        国土交通大臣   石原 伸晃君    副大臣        国土交通大臣  佐藤 泰三君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       斉藤 滋宣君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        国土交通省総合        政策局長     澤井 英一君        国土交通省海事        局長       鷲頭  誠君        国土交通省政策        統括官      矢部  哲君        気象庁長官    長坂 昂一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海洋汚染及び海上災害防止に関する法律等の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る八日、大門実紀史君が委員辞任され、その補欠として大沢辰美君が選任されました。  また、昨日、弘友和夫君が委員辞任され、その補欠として魚住裕一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海洋汚染及び海上災害防止に関する法律等の一部を改正する法律案及び油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会国土交通省総合政策局長澤井英一君、国土交通省海事局長鷲頭誠君、国土交通省政策統括官矢部哲君及び気象庁長官長坂昂一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 輿石東

    委員長輿石東君) 海洋汚染及び海上災害防止に関する法律等の一部を改正する法律案及び油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 田村公平

    田村公平君 おはようございます。  この両法案とも、海洋環境保全というよりも海洋環境を良くしようという趣旨法律でありますので、私は賛成の立場でありますが、若干の質問をさせていただきます。  まず、海洋汚染防止法の一部を改正する法律案について澤井局長にお尋ねをいたします。  今までなぜ船舶等についてこのような大気汚染防止規制を行ってこなかったか、それはどういうことなんでしょうか、それをまずお尋ねいたします。
  7. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 船舶につきましては、陸上生活空間と近接しておらず、生活環境に対する影響が他の陸上発生源に比べると小さいということから、これまで船舶起因排出ガスによる大気汚染防止対策は講じてきませんでした。  しかしながら、国際的に一九八〇年代の終わりごろから、特に北欧におきます酸性雨の問題などを契機といたしまして、船舶起因排出ガスによる大気汚染防止国際海事機関IMOでありますが、において検討され、船舶起因大気汚染防止に関する新たな条約が採択され、来年早々にも発効が見込まれるに至っております。  一方、我が国現状を見ますと、自動車や陸上施設からの排気ガス対策が進む中で、船舶からの排気ガスについては未規制のまま残された分野となっております。なお、公共団体の中には、地域それぞれの環境状況を踏まえ、手法は様々ですが、船舶からの大気汚染防止に係る取組を進めているところもあります。  こうした状況を踏まえ、今般、国際的に合意された統一的な枠組みの下で船舶についての排出ガス規制を導入しようとするものであります。
  8. 田村公平

    田村公平君 船舶への大気汚染防止策というのは本来もっと早く、もし日本海洋国家というのであれば、やるべきだったと思いますが、議論発端となった、先ほど局長答弁の中にありましたけれども北欧中心とした酸性雨被害がこの法案というか改正発端になったというふうに今おっしゃいましたけれども、その酸性雨被害は一体どのような現状になっておるかをお教えいただきたい。
  9. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 酸性雨被害といたしましては、例えば湖沼、湖の酸性化によります水中生態系の破壊、あるいは土壌酸性化することによります森林の枯れ死、さらに、建築に関係してまいりますけれども、大理石とか金属製建造物が溶けるというようなことが被害として挙げられております。  特に欧州ではこうした酸性雨被害が顕著でありまして、例えば北欧では多くの湖沼で魚がいなくなり、また欧州の広範囲で針葉樹の一種であるトウヒ、これはマツ科の植物でありますが、などに被害を与えたり、さらに歴史的な遺跡、建物、石像などに影響を与えています。こういった影響には船舶から放出される硫黄酸化物あるいは窒素酸化物影響もあるとされ、これが今回の規制導入契機一つとなったものであります。  我が国について見ますと、酸性雨の強さ、雨の酸度の強さ自身はpH四%台でありまして、この数値自体欧州と比べて若干酸度は弱いという程度で大きな差はないわけでありますが、一方で、専門家の分析によれば、我が国特性から酸性雨被害、今のところ顕著ではないというふうに言われております。特性と申しますと、我が国欧州を比べた場合に、例えば酸性雨影響を受けにくい火山性の土質、これは水中に溶けている酸性物質土壌に入ったときにその酸度を吸着してしまうような、そういう成分が日本土壌には欧州と比べて多いということのようであります。また、木の種類が大変多様でありまして、その中に酸に対して強い樹木も多いということから、現在までのところ、先ほど申しましたように、顕著に酸性雨被害が出ているということにはなっておりません。  しかしながら、雨の酸性度がより強くなったり、更に今後長期に酸性雨が降り続いていくということがあれば、将来、酸性雨による影響日本でも現れる可能性があるというふうに指摘がされております。
  10. 田村公平

    田村公平君 私は一九九一年にシュバルツバルト、黒い森というのがドイツにありますけれども、そこで酸性雨による被害が甚大だということで、当時国会議員の秘書をしておりましたけれども、勝手に調べに行きました。それから、チェコとオーストリーとドイツ国境地帯のところにナショナルパークという、ドイツとしては珍しい、アメリカ制度を導入した、森林保全を兼ねて、なおかつ森林の持つ機能、そういう酸性雨等公害に対する学習センターも併設されているリンゲライという場所があるんですけれども、かなり前から総合的にヨーロッパでは取り組んできたというふうに私自身実感をしておりますし、あるいは中国、このころになって、春先になってくると、黄砂といいますけれども黄砂だけじゃなくて実は酸性雨もついでに、うちの、八六%森林面積を持っておる高知県にも外国からの影響がもう出ております。  ですから、国土交通省として、もちろんこの船舶に対する規制は大変歓迎すべきものだと思いますけれども、環境省とも連絡を取りながら、やっぱり地球的な規模で、京都議定書、COP6ではありませんけれども、国として総合的な取組をしていただきたい。それは、例えばネパールのカトマンズやあるいはベトナムのハノイやホーチミンシティー、急速に発展途上国近代化していく中で、非常に質の悪い燃料を使い、モータリゼーションが進化していくのはいいんですけれども、そういうトータルで、我が国が持っておるあの四日市の公害、あるいは川崎の公害によるぜんそくとか、そういう今まで我が国近代化を図っていく中でいい面と悪い面があって、公害対策というのは私は日本は大変な大きな技術を有していると思います。船舶のみにかかわらず、国土交通省だけじゃなくして、政府全体としてそういうことを取り組んでいっていただきたい。そういう意味でのODAの活用もしていただきたいし、ハード、ソフトを含めた技術移転是非この際お願いをしておきます。  次に、油濁損害賠償法の方に質問を移らせていただきますけれども、この法律趣旨はもう十二分に承知しておりますので私の体験に基づいて言わさせていただきますけれども、例えば日本国政府は渡航してはいけないという注意を喚起されておりまして、当時の話ですが、モロ民族解放戦線がいるミンダナオの海域でございますけれども、この前もちょっと質問させてもらいました。私は有り難いことにモロ民族解放戦線とは非常に仲がいいものですから人質になることはなかったんですが、それは今の問題もありますので余り深く触れませんけれどもミンダナオの方に行きますと、はるかかなた水平線に黒雲がわいております。それは、先ほど申し上げましたように、劣悪な燃料と劣悪なエンジンを使って、フィリピンもそうです、インドネシアもそうです、船、島が多いものですから海上交通が非常に重要であります。ところが、どの国とは、今ちょっと挙げましたけれども、その国だけではありませんけれども大変日本の船が我が国近隣諸国に随分中古船として船齢の古い船が輸出されております。  というのは、私の高知県は遠洋漁業も盛んでありましたけれども商社が間に入って、まだ使える遠洋マグロ船、当時は二百二十四トン型というのは今は五百トンクラスになっていますけれども、それを下取りをして、そして新船に替えさせて、金指の造船場なんかは土佐船ででかくなって、今つぶれたんですけれども、あるいは伊勢のゴーリキの造船場もそうです。新潟鉄工もそうです。随分土佐船で稼いで、その下取りした船が近隣諸国に行って、言わば日本だけは商社介在し、造船場がもうかり、それで中古船近隣諸国に輸出をしておる。これは建設重機もそうなんですよ。思わぬところでうちの田舎の何々組さんの重機がそのまま建設現場で使われたり、つまり日本だけはいい子になって発展途上国にそういう形で売っておる。  こういう問題についても、国交省だけの問題ではないと思いますけれども、そういうことについての対策等はどういうふうにお考えになっておるんですか。
  11. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) ただいま先生御指摘されましたとおり、日本で古くなりました船が周辺諸国に売船されるという実態は確かにございます。随分ございまして、それでそういう船が、今おっしゃられたとおり、フィリピンなりインドネシアなりで動いているというのも事実でございます。  それで、基本的には、今IMOSOLAS条約というその条約に基づいて、各締約国政府がどういう船であれ責任を持って船舶安全性を確認して証明書を出すというやり方になっておりまして、そういう意味では、フィリピン政府あるいはインドネシア政府というものがその船について国際条約に基づいて安全性証明をする、こういう義務があるわけでございまして、そういう前提で売られているわけでございますからそれ自体規制することは困難であるとは思いますが、先生おっしゃられた、そういう古い船が事故を起こすとか黒い煙を出しているということも事実でございますので、私どもとしましては、そういう船というのはやっぱり国内だけにいるわけではなくて日本に来たりしますので、ポートステートコントロールという制度がございますので、そこで東南アジアを含めて十八か国、東京MOUというものを作ってやっておりますが、そこに入ってくる船についてはそのポートステートコントロールをやって安全性を確認をするということをしておりますし、それから、今国際海事機関という場で、フィリピンがそうとは申しませんけれども、割と安易に安全性を確認しないで船舶証書を出しちゃう国があるので、そういう国については、適切な第三者が入って監査をして、そこの国の船舶検査制度がしっかりしているかどうかということをチェックをする監査制度を作ろうではないかという動きが国際機関の場でございます。そういう場を活用して海外に売却された船舶安全性というものを確保していきたいと、こう思っております。  以上であります。
  12. 田村公平

    田村公平君 私、先般、国会のお許しをいただきましてベトナムの船の国際会議に行きましたけれども、その前にベトナム、しょっちゅう行っているものですから、ベトナムという民族は非常に誇り高い民族でございまして、ベトナム戦争世界最強米軍をやっつけたと内心喝采を送りたい思いが私自身の心の中にあるものですから、若干質問通告にないことを言わさせていただきますけれども、その誇り高いベトナム人たちが、ハイフォンの、私、造船場に行きました。そうすると、普通、造船所で船を造る場合は、ドックで造るか、それから竜骨を木で押さえて、それで本船ができ上がったときにスライドして持っていく。ところが、おかで船造ってそれを横倒しにするんですよ、横滑りに。これは物すごく、日本が明治維新の直後にやっていたような船の造り方しています。そこに、実は廃船寸前の船が山ほど造船場に来ています。それを切り取って、もうぼろぼろの鉄板なんです。それを、だから使えるところを切り取ってパッチワークみたいな形で造船やっております。  今、有償、無償を含めてベトナムには九百億円を超えるODAお金を使っています。だれが悪いとは言いませんが、某大使はあの商社を使えとか、大変暴言的なことをしておりますが、その前はインドネシア経済担当の公使でありましたけれども、そのときから私、非常に不愉快な思いをしておりまして、今回も非常に不愉快な思いをしておるわけですけれども。  国交省、今こういうアジアを中心にした、あるいは国際条約の中でこういう法案、両法案を作っていくわけで、改正するわけですけれども是非歴史と伝統のある旧運輸省の、横浜国大の船舶工学技術屋さん、優秀な人一杯いますよ。そういう本当に地元の人に役に立つ造船技術等も、技術移転、本当に安いお金でできるはずです。そんな総合商社が間に入って利権の山分けするような、そういうことじゃなくして、本当に役に立つ現場技術者含めて、そういうところにも目配りをしながら、この両法案改正案の立法の趣旨を生かして、今後の取組併せてお伺いをさせていただいて、質問を終わります。  総合政策局長でもどっちでもいいですよ。
  13. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) ただいま先生おっしゃられたとおり、周辺我が国周辺造船場に対する技術支援というのは、確かに私ども船舶工学科を出たエキスパートがおりますので、現在でもJICAの技術協力でそういう造船場に行ってその技術移転をやっておりますし、先生のお話もございましたので、これからもそういうきめ細かな協力をやっていきたいと思っております。
  14. 田村公平

    田村公平君 終わります。
  15. 池口修次

    池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。  本日は二つの法案の審議ではありますが、冒頭イラクの情勢、人質の問題がかなり大きな問題になっておりますので、それについて、冒頭でございますが、御質問をさしていただきたいというふうに思っております。  現在、イラク日本人が、三名の方が人質になっておりまして、日曜日辺り解放されるんではないかという情報もありまして、安心をいったんはしたんですけれども、その後なかなか実現をしてないということで、大きな、日本にとっても大きな問題だというふうに実は思っております。  石原大臣は今回の人質事件対策本部のメンバーではないというふうにお聞きをしておりますが、ただ、内閣の一員でもございますので、一応このイラク人質事件に対する大臣としての所見をまずお聞きをしたいというふうに思っております。
  16. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま池口委員が御開陳されましたように、日曜日には釈放されるという情報も飛び込んでまいりまして、ふと胸をなで下ろすようなこともございましたが、現在は非常に情報が錯綜しておりまして、極めて慎重な対応をしていかなければならないと、改めて戒めているところでもございます。  言うまでもございませんが、今回の日本人人質事件は、無辜の民間人をあのような暴力をもって誘拐するといったような卑劣な行為として、一人の人間として強い怒りを感じているところでもございます。また、御家族皆様方の心痛を思いますと察するに余りないと、月並みな言葉ではございますが、家族としてはいたたまれないのではないかと思うところでございます。  ともかく、政府としても一日も早い三名の方の無事の、解放されるということに全力を取り組んでいるということでございます。
  17. 池口修次

    池口修次君 この件についてはいろいろな方がいろいろな御意見を言われているわけですが、私は、現時点でいえば、まずは三名の方の無事解放をどうするのかと、どうすればこれが実現をできるのかということを最優先に考えるべきだというふうに思っておりますし、ただ、犯人要求と言われておる自衛隊撤退はどうかということについては、私は解放されてから日本としてどうするかという議論は必要だというふうに思いますが、これについて現時点で私は絡めて発言するつもりはまずないということをまず申し述べておきたいというふうに思っております。  ただ、これについていろいろ、政府の高官なり自民党の重職を担っている方がいろいろの発言をしております。その発言の中で私にとっては少し、言い方は失礼になるかもしれませんけれども、少し安易な発言に思われるものなり、人質解放ということに本当につながるかどうかという発言が、私、今感じております。  一つは、この事件が起きたときに、小泉総理並びに福田官房長官が即座に、自衛隊撤退することはあり得ないという発言をされました。私も彼らの要求に屈して自衛隊撤退するという解決は私はないというふうに思っておりますが、ただ、それを言うからには、やっぱりそれに代わる何らかの解放につながるものがあればやっぱりそれを明確に言ってもいいんですが、多分あの時点では背景も分かってなかったというふうに思いますし、多分政府の中においても、じゃ、この自衛隊、彼らの要求には拒否をするんだけれども、じゃ、こういう形で解放をしようという明確なものがあったというふうには私は感じていません。そうすると、あの発言というのはどこに向けてされた発言かということを勘ぐりますと、アメリカに向けた発言というふうに取る人も私は出てくるんだろうというふうに思っております。  ということで、最終的に撤退解決をするということはあり得ないというふうには思うんですが、もう少し慎重な発言が私は必要ではなかったのかなというふうに思っております。  二点目に、最近、外務省発言として、外務省としては十三回避難勧告をしてきましたというふうに竹内次官も言っていますし、今日、朝、民主党として外務省からお聞きしたときにもそういう発言がありました。確かに避難勧告はやっていたんだろうというふうに思いますが、これをどういう意味発言したかということを考えますと、いや外務省としては精一杯やっているんだということを言おうとしているんだろうというふうに思いますが、じゃ、それを言ったから解放につながるというふうには私は思っていませんし、場合によっては最悪の事態を想定して外務省は、いやこれだけ努力しているということを言ったのかなというふうにも思っておりまして、私は現時点での適切な発言だというふうには思っておりません。  もう一つテレビで見ていましたら、安倍幹事長が広島においてということでしたけれども、このときは解放がされるという報道がありました直後でしたからそういう発言になったのかというふうに思いますが、政府が断固たる姿勢でテロには屈しないということを受けて解放されたという発言テレビでしておりました。  あの時点では解放されるという見通しを持ちながら、ある意味、多分補欠選挙のために入っているというふうに思いますので、そういう発言をしながら、やっぱり政府としてはこれだけやって成果が出たんだということを言いたかったのかなというふうに推測はしますが、ただ、現時点で見ると、本当にあの発言が良かったのかどうか。場合によっては、あの発言犯人の方は、日本でこういう発言をしておる、決してそんなつもりじゃなくて、我々は聖職者の説得に応じてやったのに、日本ではああいうふうに言われておるということがもしあったとすると、あの発言というのは適切かどうかということで言うと、私は余り適切ではなかったというふうに実は思っております。  石原大臣はこの件について慎重な発言をされているというふうに理解をしておるんですが、是非こういう、いろいろな発言が、それはマスコミが求められますのでどうしても発言をせざるを得ないというところは確かにあるというふうに思っております。私は個人的にはマスコミの方もただ質問すればいいということではないというふうに思いますが、是非国土交通委員会大臣であります石原大臣には是非、これからの発言を求められたときにも、一番はやっぱり解放につなげるというためのある意味戦略的な発言をしていただきたいなというふうに私はもうお願いをしたいと思いますが、この点について、もし石原大臣のお考えがありましたらお願いしたいと思います。
  18. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま池口委員意見の御開陳の中で御披露されましたように、私も今回の事件解決に絡めてイラク自衛隊撤退ということを軽々に議論すべきではないと思っております。これは賛成、反対ございましたが、イラク自衛隊が行っている業務は給水、医療あるいは社会インフラの整備等々の復興支援事業でございます。そしてまた、委員がおっしゃられましたように、この問題は全く私どものこれまで経験したことのない形で事件が進行しておりますので、閣僚としての発言あるいは行動というものは慎重に慎重を重ねるべきものであると考えております。
  19. 池口修次

    池口修次君 ただ、やっぱり今のイラクの状態を考えますと、イラク特措法で言うところの本当に非戦闘地域がイラクにもあるという前提で出した状態、あのときにも民主党を始め野党は、そんなイラクが、非戦闘地域があるなんというのは架空の話ではあるという主張をさせていただきましたが、ますます今の状態からすると非戦闘地域でないと。だから、私はああいう事件が起きたんだし、一部、官房長官は、いや、テロはどこだってあるんだということで、日本でもあるし、それはイラクでもあるんだというような発言もというふうにも受け取りましたけれども、ちょっとそれは私は違うんではないかなというふうに思っておりまして、やっぱりイラクの状態が非戦闘地域の議論をしたときの状態とは相当違っておるということを含めて、じゃ日本としてどうするのか。  私は、これは日本だけで判断できる問題ではないと思います。やっぱり一部、スペインがこれからどう対応を取るのかという話もありますし、やっぱり日本がいろんな国といろいろ議論を重ねてこれからの、本当に今の状態を続けるということが妥当であるのかどうか。我々は、法律の概念からはかなり懸け離れているので、やっぱりそういう議論をする時期が来ているんじゃないかというふうに思っておりますが、私は、この人質事件とはちょっと別にしても、本当に議論をする時期になっているというふうに思いますし、今回のものは本当に無事解放されてほしいというふうに思いますが、じゃ、これからイラクで同じような事件がないのかと。今回は多分アルカイーダではないというふうに言われておりますが、じゃアルカイーダがもしこの同種の事件をやったときには、多分今回のようなことでは済まないという状況に私は来ているんだという認識で是非内閣においても議論をしていただきたいというふうに思いますし、国会の場でも私は議論をすべきだというふうに思っております。  もう一点。石原大臣はやっぱり国内でのテロ対策には相当重要な役割を担っているというふうに思っております。スペインではあの列車の爆破事故も起きました。日本においても全く起きないということはあり得ないというふうに思いますし、石原大臣は、私の印象としてはやっぱり陸海空の輸送機関についてのテロ対策の、総理は別にしましても責任者だというふうに思っておりますので、この日本でのテロ対策についてどういうふうに、できれば国民が安心できるような説明をいただきたいということと、あと、役所の皆さんに、具体的にどういう対応を取っているのかということをお聞きをしたいというふうに思います。
  20. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいまの池口議員が申されましたように、スペインの列車爆発テロ以来、また今回のイラクでの邦人三名の誘拐等々に見られますように、テロの危険性、テロ対策の必要性というものが私も急速に高まっていると認識をしております。  今朝も幹部職員に対しまして、改めましてテロ対策の実態と、そして対応をしっかりするようにと檄を飛ばしたわけでございますが、やはり運輸関係ということで、JR各社あるいは民鉄各社、また地下鉄事業者に対しまして、鉄道局から事件発生後の四月九日に通達を出させていただきまして、もう既にかなりの緊急配備等々の警戒態勢は各社とも、鉄道を利用されますと目に付く程度行われているとは思いますけれども、陸海空の交通事業者、施設管理者に対して、今は鉄道の話を例に出させていただいたわけですけれども、改めて、テロ対策の再点検及び徹底を指示させていただいたことを、同じ内容ではございますけれども改めてお話をさせていただいたところでもございます。  これ、テロ対策でございますので、話せますことと話せないことがあるんですが、鉄道事業者においては、もうこれ委員もお気付きのことだと思いますけれども、駅構内や列車内での巡回の強化や不審物発見時における利用者への協力要請などを行っておりますし、警察においても、機動隊員や警察犬の投入、あるいは新幹線の駅、列車内、トンネル、橋梁等々の重要施設の警戒の強化を実施しているところでもございます。  そして今回は、四月の十六日、十六日ですか、を一度区切らせていただいて、皆さん方が行っている警戒等々の御報告を是非戻してくださいと。そして、それをまたこちらで見て、テロ対策の専門家等々ともお話をさせていただいて、欠けているところはないのかあるのか、こんなこともさせていただきたいと考えております。  公共交通機関におけるテロ対策の徹底というものは国民生活の安全を確保していく上で極めて重要であると認識しておりますので、できる限りの施策を打ち出し、また関係する警察機関とも連携の下、措置の徹底というものを図っていくということに努めさせていただきたいと考えております。
  21. 池口修次

    池口修次君 具体的な報告はありますか。
  22. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) 今の大臣の御答弁に対してちょっと一点だけ補足させていただきますと、今交通関係のテロ対策については大臣の御答弁のとおりでございますけれども、やはりこのテロ対策につきましては、人と物が出入りするいわゆる国境に相当する空港、港湾におきます水際対策というのが極めて重要でございまして、この点につきましては、内閣官房を中心に関係省庁の連携を推進しながら、現在、各国際空港や港湾に、空港、港湾の危機管理官あるいは空港、港湾の保安委員会という、関係機関、関係民間企業も含めまして連携体制を強化するための委員会というものを設置いたしまして、水際対策の強化を推進しているところでございます。
  23. 池口修次

    池口修次君 かなりやっていただいているというふうに思うんですが、ただ、やっぱり鉄道ということに限っても、やっぱりすべての鉄道若しくは新幹線を全部チェックするというのは、私は、できないとは言えないわけですけれども、相当かなりの人を投入しないと万全の体制はできないというふうに思っております。  そういう意味で、やっぱりそれは限られた部門だけではなくて、やっぱり国民一人一人がこういう問題に対してどういう対応をするのかということが私は重要だというふうに思っておりまして、アメリカにおいてはこの危機管理のレベルを国民に国家安全保障警報システムということで警鐘をするシステムができているわけですけれども日本においてはなかなか同種のものがあるというふうに私は認識をしていないわけで、これは衆議院でも一部そういう議論がされていたというふうに聞いていますが、余り警報を出すと心配をするというのもあるんでしょうけれども、やっぱりこういう問題はある程度やっても、人命にかかわるものですから、やっぱり国民の協力を得るようなシステムが必要ではないかというふうに思っておりますが、この点について何か御所見がありましたらお願いします。
  24. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) 先日御審議をいただきました国際船舶、国際港湾につきましてのテロ対策法におきまして、警戒レベル、一応その国交大臣が指定する三段階のレベルに応じて船舶と港湾は保安対策措置を講ずるということになっております。  その際、議論のときにも何人かの先生方から御質問がございまして、日本としても、アメリカの五段階の警戒レベルというシステムがございますけれども、そういうものについて日本としても導入すべきではないかという御指摘がございまして、内閣官房の方からも答弁がなされたところでございますけれども、いずれにしましても、そういう事態の認識について、国として三段階なのか五段階なのかと、いろいろ議論はございますけれども、何らかの、港湾、船舶に限らない全体についての事態認識については内閣官房の方において今後検討されていくものと認識しております。
  25. 池口修次

    池口修次君 この点については、この後、今日ですかね、今日か明日、衆議院で議論をされます有事法制に入る議論かもしれませんけれども、やっぱり世界一安全な国と言われた時代とは相当やっぱり様変わりをしてきているというふうに思っております。是非、万全な体制ができるような議論お願いをしたいというふうに思っております。  法案質問に移らさせていただきたいというふうに思っております。  まず一点は、海洋汚染及び海上災害防止法についてでございます。  今回の法律の、国内法ですけれども、MARPOL条約に基づいた国内法の整備だというふうに思っておりますが、ただ、今回の内容は大気汚染船舶からの大気汚染を主体にした法整備ということで、正直申しまして、私の頭の中ですと、船舶海洋汚染はダイレクトに結び付くんですけれども船舶からの大気汚染というのが少し、どういう関係になっているのかというのがまだ整理が実はされておりません。  必要ない法律だということまで言うつもりはないんですが、是非ここのところを今日の審議の中で整理をできたらなというふうに思っておりますので、まず、今回の国内法を立法する目的は何かという点からお聞きをしたいというふうに思っております。
  26. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 海洋汚染防止法、従来は御指摘のように船舶から、船舶などから油とかごみとかを投棄することについていろいろとコントロールをしてきたということでございますが、今回、船舶からの排気ガス規制すると。これにつきましては、従来の大気汚染の中で船舶起因のガスが直接生活環境影響するということが陸上発生源に比べると小さい、要するに発生源としても遠いですから、ということから、諸外国を含めて余り規制はされていませんでした。  ところが、一九八〇年代の終わりぐらいから北欧中心酸性雨という格好で議論が始まりまして、窒素酸化物硫黄酸化物、それからオゾン層破壊物質等々について包括的に規制をしようという条約が九〇年代の後半に採択されて、来年の早い時期に発効するという段階まで来ているということでございます。  我が国状況を見ましても、自動車とか陸上施設からの排気ガス対策が進む中で、この船舶からの排ガスというのは残された未規制の分野でございます。公共団体の中には地域それぞれの状況を踏まえて、いろんな手法ですけれども船舶からの大気汚染防止に係る取組を進めているところもあるという状況でございます。  以上のようなことを踏まえまして、今般、今、国際的にそういう大気汚染について船舶規制しようと、排ガスについて規制しようという枠組みができましたので、そういった統一的な枠組みの下で排ガス規制海洋汚染防止法によって行っていこうというのがこの目的でございます。
  27. 池口修次

    池口修次君 確かに、今のお話の中でも、ノルウェーで酸性雨被害があって、これは船舶影響が大きいんじゃないか、確定しているのかどうかというのはちょっと分かりませんけれども、そういうお話がありましたけれども、それ以外に船舶からの排気ガスの、いや、こういう実害があるんだというところを、特に日本という立場であるのかないのかという、についてお聞きをしたいというふうに思います。
  28. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) これは排気ガス一般について言えることでもありますけれども船舶からの排気ガスのうち、排出ガスのうち、呼吸器に影響をするものとして窒素酸化物あるいは硫黄酸化物がございます。また、この中で、窒素酸化物につきましては光化学スモッグの原因物質でもありまして、これまた呼吸器に影響をいたします。加えて、こうした物質が国際的、国境を越えて移動するということを含めて、地球環境問題の一つとしての酸性雨の原因になるということがまず一般的に申し上げられると思います。  こうした船舶からの排気ガスが実際に我が国の環境にどういう影響を与えているかということにつきましては、必ずしも定量的に、継続的にモニタリングしてこのぐらいの度合いだということを明確に申し上げることはなかなか難しいんでございますが、一定の試算をしますと、最も影響が大きいという場所と条件で計算して、当該地域の環境基準として許容される最大値の一割程度というような試算も出ておりますし、また一方で、酸性雨について、国内の発生源からの寄与分あるいは外国から来た分の寄与分、これはどうかということも継続的な調査結果ありません。  東アジアについては、国際協力の下でモニタリングをしようという専門家取組も始まっておりますけれども、これまた、例えば日本について言いますと、夏は南東の方から風が来ます。冬は北西の方から風が来ます。夏の酸性雨への寄与は日本国内の発生源の寄与が非常に大きい、冬についていえば中国の方の寄与が大きいというような一つの調査結果もございます。  そういった様々なことを踏まえまして、我が国の今の状況についていえば、今日までのところ、直接深刻な影響を船からの排気ガスが国民の生活環境に及ぼしているという状態ではないとは思いつつ、一方で、様々な、陸上の排出源も含めた様々な排出源と併せまして、生活環境中のNOxあるいはSOxの濃度について一定の寄与はしているということを申し上げることはできると思います。
  29. 池口修次

    池口修次君 何となく分かったとかいうか、確かに産業界から出るものは、これは場所が決まっていますし、自動車なんかでも、日本の国内の中という地域が、密集したところで起こる話ですから非常に分かりやすいんですが、何となく私がよく理解できないのは、船の場合はかなり広いところで、そんなに密集をしていないところから出るものが本当にどういう影響があるのかなというところが少し理解を、私自身はちょっと理解を実は不足しております。  フロンとかオゾン層の破壊は、量として大気圏のオゾン層に影響しますから、それはどこで出ても同じだということがありますが、本当に酸性雨だとか光化学スモッグというところに広い海で出た排気ガスというのはどういう影響をするのかというのは、私自身はちょっと理解が実は不足をしておりますのでこういう質問をさせていただいているわけですが、何か補足でありますか。
  30. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 船舶は当然国際的に移動もしますので、日本生活環境だけの影響で判断することもできないと思います。そういう意味で、国際的な条約の枠組みで用意ドンでこういう規制をしようと。その一環として私どもも、逆に船舶からの排ガスが一切影響していないということも言えません、一定の寄与はしておりますので、そういった意味でこの条約を批准し、それに対応する国内法をきちんと整備しようという考えでございます。
  31. 池口修次

    池口修次君 私も国際的な問題というのをやっぱり考えるべきだというふうに思っております。  ただ、その観点で少し質問をいたしますと、MARPOL条約の附属書Ⅵですか、これは九七年に議定書ができたと。その後それぞれの国がこれを批准をして、今は十二か国ですかね。十五か国になれば発効するということで、日本もこれを批准の、審議もこれからか知りませんけれども、待っているということですが、ただ、今は二〇〇四年ですから、七年間掛かっているわけですよね。本当に七年間掛けないと国内法の整備ができなかったかというと、私は必ずしもそうではないんじゃないかなということにも思いますし、若干ここら辺のところもこの法律との関係で少し疑念を持っているところですけれども。  なぜ七年間掛かったかということと、このMARPOL条約の附属書Ⅵについて、認識、国内が中心の問題なのか、国際的なノルウェーの酸性雨でこの附属書Ⅵが作られたのは事実だろうというふうに思いますので、ここがやっぱり中心なんだと、目的は、というところをやっぱり明確にしてもらった方がやっぱりこの法律について正しい理解が得られるということと、これを聞きますと、なかなか、確かにノルウェーだとかは批准していますが、ほかの例えばアメリカだとか、よく名前が出るところは余り批准をしていないというふうに思いますが、ここら辺の背景が何なのかというのをちょっとお聞きしたいというふうに思います。
  32. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 初めに発効条件について現状を申し上げますと、御指摘のように十五か国以上で民間の船舶の、船腹量の五割以上ということで、船腹量についてはもう満たしておりますが、国が最新段階で十四まで増えております。この十五を超えてから十二か月で発効するという意味で、法案提出段階から申し上げております来年の早い時期の発効という状況は変わっておりません。  国際的な問題を重視するか国内的な問題を重視するかということを含めて、どのようなこの条約について我々がまずスタンスに立っているかということを申し上げますと、議論発端北欧からの酸性雨契機とする提案でございます。これに対応して、私ども海洋国家として、また御指摘のような公害対策の先進国として積極的に取り組むべきだという思いで最初から取り組んでまいりました。特に自動車とか陸上施設大気汚染規制が進む中で、船舶は未規制だということと、それから世界有数の海運、造船国である、そういった観点から国際的に技術力あるいは知見を提供できる、またそういうことが役割だという思いでございます。  具体の影響についていえば、酸性雨について申しますと、先ほど言いましたように欧州ほど顕著ではないけれども、このまま続いたときにいろんな被害が顕在化するおそれはあるということと、それから一般的な生活環境につきましても自動車あるいは陸上のNOxなどについては世界でも有数のレベルの規制がされております。  そういうことが一方でありながら、先ほど言いましたように未規制だという、未規制の大きな分野で、これは発生ベースでいえばEZの海域まで含めれば、陸上と合わせますとNOxの三割が船から出ております。これはどこまで拡散するかということはなかなか把握しがたいところはありますけれども日本国の領域の中でいえば三割発生しているということも一方で事実でございますので、放置はできないという辺りを考えております。  十四まで批准国が進んでまいりましたけれども、米国につきましても、既に上院にそういった批准に向けた案が提出されているということを聞いておりますので、今後の動向は注視してまいりたいと考えております。我が国については、是非国会で批准をいただき、また国内法について議決をいただき、来年の発効に向けて体制を整えたいということでございます。
  33. 池口修次

    池口修次君 私は、日本被害というのは余り明確でないとしても、やっぱり国際的なこれらの条約に、特に周りを海に囲まれた日本が積極的な対応をするということについては必要だというふうに思っておりますので、今いろいろ疑問を、疑問点を申し上げましたけれども、ある意味正しく理解をするがための疑問ということで、必要ないということではないということだけ申し述べておきたいというふうに思っております。  二点目に、二番目の法律であります油濁損害賠償保障法についてお聞きをしたいというふうに思っております。特に、油濁損害の保障契約にかかわる点を何点かお聞きをしたいというふうに思っております。  今回の法律で言うと、保障契約という表現になっておりまして、保険というような表現には必ずしもなっていないわけで、保険よりももう少し広い概念かなと、保障契約というのが、を含んでいるのかなというふうに思うんですが、この保障契約という表現にしたこの意味合いをまずお聞きをしたいというふうに思っております。
  34. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 御説明申し上げます。  この法案におきましては、我が国に入港する総トン数百トン以上の外航船を対象にいたしまして、一つには燃料油の油濁損害の賠償、それから二つ目は船舶の撤去費用といった費用の両方をてん補して、かつ適切な額の保険金が支払われる保険への加入というのが義務付けることにしております。  それで、まずその保険という意味では先生おっしゃられたとおり保険でございますが、もう一つ保険以外の手段といたしまして保証、保証人の保証ということでございますが、と言って賠償の履行を担保するための契約というものも認めておりまして、こういう意味では、例えば荷主が保険金払うべき額、それに見合う補償金というものを用意して事故が発生した場合に被害者に対して支払う契約を結ぶといったようなこともこの法律で認めているところでございます。
  35. 池口修次

    池口修次君 そうしますと、必ずしも日本に入ってくる船が、PI保険というのかどうか、それしかないのかどうかちょっと分かりませんけれども、PI保険に入っていなくても、例えば荷主が、もし何かあればこれは補償をしますよという中身があれば大丈夫であるということなのかということと、後の質問にもちょっと関係するんですが、例えば港を管理しておる自治体なんかが、やっぱり余り制限をしちゃうと、一方で座礁の問題はあるんですが、それ以上に経済効果が停滞をする心配があるというようなことを想定したときには、場合によっては自治体なんかがそれを補償するということも可能なのかどうかという点をちょっとお聞きしたいと思いますが。
  36. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 先生おっしゃられたとおり、今、保険に入らずに保障契約、例えば為替レートでいろいろ変わるんですが、百トンの船の場合には約一億七百万ほどの金額が保険対象になっておりますが、それを保険に入らずに荷主がその部分を積むと、それでその補償をするということであれば、それで我が国には入ってこれるような制度になっております。  それから、港によって、私どもは、実はこれを法制化するに当たって港湾管理者、自治体でございますが、その港湾管理者とずっと話をしてまいりました。そういう中で、おっしゃるとおり、ある意味じゃ二律背反のところがありまして、港湾の繁栄と、それから事故による被害というのがございまして、その辺は港湾管理者の方も了解をした上でこういう制度でいいということになってございます。  それで、例えば今ある大規模な港湾に関して申しますと、現在も保険加入率というのは相当高くなっております。全体の中で、やっぱり大規模な港湾というのは保険の加入率、保険に入っている船が大変率としては高いということでございまして、そういう意味では余り影響はないと。それから、事故後の処理で、むしろ事故が起こってその後の処理で問題が発生するということになりますと、荷主も迷惑をするし港湾管理者も迷惑をするということで、一般的には荷主としても保険に入っている船を今後は使うようになるというふうに考えておりまして、保険義務付けによりまして我が国の物流とか経済に大きな影響を及ぼすような事態にはならないというふうに考えております。  ちょっとこれは先行事例と申しますか、条例で同様の規制を導入しております茨城県、これは平成十五年の四月一日からやっておりますし、新潟県、これは十五年の七月二十三日から条例を、港湾管理条例を作っておりますが、そういう保険を義務付けた条例の港でも外国船舶の入港回数というのは減っていないという実態があると聞いております。
  37. 池口修次

    池口修次君 次に、今回の法改正で入港がどういうふうに変わるのかということで、保険に加入をしていない、若しくは荷主が補償しない船は日本に入港できないという法律になるわけですけれども、一番の関心はやっぱり北朝鮮の船がどうなるのかと、この法改正によってどういう状況になるのかというところが、やっぱり国民の中で言うと一番の関心事項だというふうに思いますので、今の北朝鮮の加入状況なり、これから北朝鮮の船が日本に来るために保険に加入をするというケースを取り入れたときに、本当に確かな保険という確認をどうするのかということなり、来れないということになるとそれぞれの港にどういう影響が出るのかという点について確認をさせていただきたいというふうに思います。
  38. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 平成十四年の一年間に、国土交通省で調査しました、我が国の港に入港した外国船舶について保険加入の有無を調査いたしまして、そのデータによりますと北朝鮮は二・八%という大変低い保険の加入率でございます。そういう意味では、一般的に申し上げますと、北朝鮮の船にとってはこの規制によって影響を受けるだろうということは想定をされます。  それで、先ほど先生に申し上げましたとおり、第三者の損害に対して補償するPI保険というものがこれに対する保険としてあるわけでございまして、船によりあるいはトン数により保険料というのは変わりますので一概には申し上げられませんけれども、現行のタンカーにつきましてはもう既に保険が義務付けられておりますので、タンカーには保険が掛かっています。それの例で見ますと、百トンぐらいの漁船だとするとPI保険で年間四十万円の保険料でございますし、千トンぐらいの船舶で年間百万円ぐらいの船舶だと、こういうことになっております。  ここから先でございますが、新たに保険に加入する船舶の数というのは、私どももちょっと予想するというのは大変困難だとは思っておりますが、どの程度の保険料であれば負担が可能かということを正に船主側が経営判断として行いますので、例えば四十万円なら入ってこようとか百万だと高いからやめようとか、そういうようなことで、保険料を支払ってでも我が国の港に入港するということが経営の観点から必要であると判断すればその保険に入ってくるものと思われます。  そういう意味で、その四十万円という額をどういうふうに考えるか。特に影響を受けるのは小さい船だと思いますので、その小さい船が保険料を払うかどうかというところだと思いますが、必要があってビジネスになると思えば払ってでも来るというふうに考えております。
  39. 池口修次

    池口修次君 次の質問に移りますが、今回のある意味国内法を作るきっかけはチルソン号の事故が大きいという理解をしておるんですが、チルソン号の事故の処理なり、どういう費用分担でこの処理がされたのかということをまずお聞きをしたいというふうに思います。
  40. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) チルソン号は、平成十四年十二月五日に茨城県日立港の検疫錨地に錨泊中に、低気圧の接近で波高が高まった際にいかりがほどけて走錨しまして日立港東防波堤消波ブロックに乗り上げて座礁しました。この座礁によりまして船底が破れて燃料油の一部が流出したという事故でございます。  このため、燃料油の防除とか船体の撤去が必要になりましたが、これは本来船主が責任を持って対応すべきものでございますけれども、チルソン号の船主は適切な保険に加入しておらず、賠償資力が不足していたため適切な対応がなされなかったということでございまして、結局、地元自治体が油防除と船体撤去について約五億円という多額の費用を負担する結果となりました。国におきましては、油防除と船体撤去のそれぞれにつきまして費用の二分の一を結果的に補助しているということでございます。
  41. 池口修次

    池口修次君 そうしますと、今回の法改正でいろいろな対応が取られるわけですけれども、このチルソン号と同種の事故というのはこれからは起きないというふうに考えればいいのか、この点を説明していただきたいというふうに思います。
  42. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 今回の法律によりまして、日本に入る船というのは基本的には保険に入ってもらいますので、仮に事故が起きましても船主の責任で保険でカバーをするということですから、そういう意味ではチルソン号のような事態というのは起こらないと思いますが、実は日本を目的地としないで通り抜けるだけの船とかあるいは百トン未満の船につきましてはこの法律が適用されませんので、その辺につきましては対応が必要になってくるわけでございまして、そういう意味では、チルソン号がああいう状態で自治体が費用を負担したというケースが起こり得るということでございます。  これにかんがみまして、船主による、今申し上げた通過船舶とか小さい船について船主による責任ある対応が図られず、かつ地方公共団体が油防除などの費用を負担するような事態が生じた場合のために、平成十六年度予算より地方公共団体が行った油等防除措置や船舶撤去に関し国が一定の財政支援を行う制度というものを創設したところでございます。
  43. 池口修次

    池口修次君 事前の説明の中でもそういう説明をいただきました。これからも全くないというわけではないということで、特に通過をしようとする船が座礁したときにはいろいろなケースはあるんですよと。それは港の中というふうには必ずしも限定がされないわけですけれども、そうしたときに、油が日本の海岸に来たときに、じゃどうなるんだというふうに質問をしましたら、やっぱり油が流れ着いたところが負担をするんですと、それは運が悪いんですというような、ある意味説明でしたが、本当にそういう整理でいいのかなというふうに思っておりまして。  別にそこが何も悪いことをしていなくて、たまたま通過しようとした船がそこに座礁をして、海流の流れでそこにたどり着いたと。で、たどり着いたところがやっぱり補償をするというのが基本的なシステムで、補助金はあるらしいんですが、補助金はあるということは、国が主体の責任ではなくてやっぱり地方がその問題については対応するんだという精神だというふうに思いますが、私はどうもそこは納得は必ずしもできないですし、やっぱりその被害額というのが大小あるんでしょうが、やっぱりかなり地方自治体に対しては負担になるんで、これからも補助金のシステムしかないんだということですが、なぜそういう補助金でしか対応できないのかというのをちょっとお聞きしたいというふうに思います。
  44. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 国と地方の役割の分担のお話だと思いますが、放置座礁船についての油防除とかあるいは船体撤去につきましては、地域における災害への対応という観点から地方自治体がその責務を有しております。たまたま来たにせよ、その地先を管理する自治体に災害への対応という観点からの責務というものがございます。  また、港湾区域、今、港の中とおっしゃられましたが、港湾区域におきましては、港湾管理の観点から地方自治体は管理者としての責務があると、こういうふうに考えられておりまして、そういうこともあってこれまで油防除や船体撤去にかかわる費用については地方自治体が負担してきたというのが事実なんでございます。  一方で国も、国としても、放置船、放置座礁船への対応につきましては、海洋汚染及び海上災害防止の観点ということから一定の責務を有しているということがございますので、チルソン号の事故の場合に国が二分の一補助したというようなことを契機といたしまして、実は去年から議論を進めましてその辺の整理をですね、それで、それが整理されまして、今回、補助制度ができたわけでございます。  そういう意味で、国が新たに補助制度を作ったからといって、地方自治体が元々持っておりました責務というところには変わりがないということでございますので、地方自治体がその費用を負担することというのは今後とも半々、油防除に関しましていえば半々なんですが、そういう負担を行うということは適当であるというふうに考えております。
  45. 池口修次

    池口修次君 確かに理屈としては、いろいろな災害があるわけですから、すべての災害を国がやるなんということになったら大変なお金が掛かるという理屈かなというふうに思っておりますが、やっぱり災害でも予防できる災害と予防できない災害、この今の議論をしているケースは海流の流れを変えるわけにはいかないわけですから、たまたまそこで座礁した、そして海の、海流の流れがそうだということまでも本当に地方自治体が主体かなというふうに私自身は少し思っておりまして、これからもこの災害対策がどこが責任を負うのかというところについて、やっぱり政府の中においても突っ込んだ議論是非していただきたいというふうに思っております。  最後の質問になりますが、今回、この法律も保障契約がない船は日本に入れないという法律ですし、前回議論をしたのは、保安設備が整備されていない船は日本に入れないんだという法律で、この近いところで急に二つの入港制限を加える法律ができました。一部、少し性格は違うんですけれども、議員立法で特定船舶の入港を制限をするという法律も用意をされております。入港を制限するという意味では事情としては同じわけでございまして、それぞれの法律のどこが違って、効果として何が違うのかというところをまずお聞きをしたいというふうに思います。
  46. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) まず、この油濁損害賠償保障法というのは、今御説明申し上げましたとおり、座礁船による被害を救済するために一定の船舶に対して保険の加入を義務付けるというものでございます。  それから、先日御審議いただきました国際航海船舶等保安法につきましては、テロの危険性のある船舶を入港規制をすると、こういうものでございまして、ところが今、議員立法で御議論されているというふうに承知している法案におきましては、特定の国籍等に着目して入港を規制するというものでございますので、目的がそういうふうに異なっているというふうに理解をしております。
  47. 池口修次

    池口修次君 確かに目的は異なっておりますが、結果として入港禁止ということでは同じだというふうに思いますので、今回の二つの法律でもなおかつ心配をする人が多いので議員立法の議論がされているんではないかなというふうに思いますが。  大臣は、議員立法ですから大臣は直接関係ないかなというふうに思いますが、この点について、二本法律、入港禁止の法律ができるんですが、やっぱりまだいろいろほかにも心配要素があるんだということなのかどうかというのを、もし支障がなければお聞きをしたいというふうに思います。
  48. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいまの池口委員がおっしゃられました議員立法は、民主党の皆さん方、あるいは私ども自民党、公明党の二つの案が国会にもう既に提出されたと承知しております。  委員がおっしゃいますように、目的は違いますけれども、入港規制ということでは似ている部分もあるわけですけれども、片や議員立法の方は、特定の船舶を対象に安全保障とか外交上の観点から入港を禁じるというのがその趣旨でございますので、そういう事態が起こったとするならば、これは国としてどうあるべきかを判断する非常に重要な問題を提起している法律案であると考えておりますが、正式に国土交通省として具体的にどうどうどうであるというようなことは、ここでの場では御議論が深まったときとか、そういうときに譲らせていただきたいと思います。
  49. 池口修次

    池口修次君 最後に、理由は別のことで入港が制限をするということで、場合によっては、保険に入っているかどうか、若しくは保安設備が整っているかどうかというのは何らかの方法でチェックをすることになるんだろうというふうに思っております。  そうしますと、多分、保安の担当をする、日本における海事の保安を担当する部門と保険を担当する部門というのは違うんじゃないかなというふうに思っておりまして、えてして、ある意味、役所の不効率というところで縦割りという弊害がありまして、いや自分は保険に入っているかどうかチェックに行ってきたので、そこだけ見て帰ってしまう、それで次に保安体制がちゃんとなっているかどうかというのをチェックするというようなことも考えられないわけではないんですが、それは大変な無駄ですから、やっぱりこういうものの管理は、これから審議をするワンストップではないんですが、やっぱり一括でチェックをして効率的に解決をするということであるべきだというふうに思っておりますが、今回の法律で、前回の法律はもう既にできていますし、今回の法律ができると、そのチェック体制等を効率的にやるためにどういう方法を考えているのかというのをお聞きしたいというふうに思います。
  50. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 先生御指摘のとおり、油濁損害賠償保障法、今回の法律ですね、それと前回御審議いただきましたSOLAS法で、実際の実務にかかわる部署というのは地方運輸局と海上保安庁の部署、それから港湾管理者、大変多岐にわたるわけでございますので、先生おっしゃるとおり、あれが来てこれが来てということになると大変効率も悪くなるし、受ける側からすれば大変迷惑であるということもございますので、今、先生の御指摘も踏まえまして、縦割りとならないように、例えばSOLAS等の国際条約に基づいてのポートステートコントロールを実施する際に油濁法の保険のチェックも一緒にするとか、そういう体制を作るとか、我々の、関係者の間で大変連絡を密にして効率的な事務処理体制というものを作っていきたいというふうに考えております。
  51. 池口修次

    池口修次君 是非、効率的な体制をしいていただきたいということをお願いをしまして、私の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  52. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本晃司でございます。  海洋汚染海上災害防止法関係から質問をさせていただきたいと思います。  今回の改正は、船舶から排ガスによる大気汚染について初めて規制をしようとするものであります。今回の規制については、一九八八年にノルウェーが国際海事機関IMOに提案して国際的な議論が始まりましたが、九七年に議定書が採択され、ようやく発効間際というところまで来ております。国際的にいろいろと物事を決めていくということについてはとても長い時間が掛かるわけでありますが、ようやく海上の世界においてNOxやSOxといった大気汚染物への対策が講じられるようになったということは評価されるべきものであります。  船舶の排ガス規制議論が国際的に始まってから今日に至るまでの経緯と、その過程で我が国がどのような役割を果たしてきたのか、その点についてまずお尋ねを申し上げます。
  53. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 全体の流れにつきましては、今、先生御指摘のとおりでございまして、一九八八年に酸性雨被害が深刻なノルウェーから国際海事機関に対しまして、船舶からの大気汚染防止に対する国際的な取組の検討開始が提案されたというところに端を発します。これを受けまして、一九九〇年の十一月にこの規制船舶汚染防止条約、MARPOL条約の新附属書として検討するということが正式に決定されました。  私ども日本国といたしましては、条約の枠組みを作る過程、すなわち採択までの過程でございますが、条約の枠組みを作る過程におきまして、世界の約三割の船舶用ディーゼル機関を生産するエンジン生産国であるということで、エンジンの構造とかNOx排出メカニズムに関する知見あるいは技術情報を提供するとともに、NOxの排出規制値やその確認方法を提案いたしまして、IMOにおける議論をリードをしてまいりました。  こうした検討過程を経まして、IMOは九七年九月に船舶からの大気汚染防止に関する議定書を採択しております。この議定書の採択後も、IMOにおきましては議定書を有効に実施するために必要な検査の指針などを順次採択してきましたけれども、これらの議論に際しましても、我が国は船の上でNOxを簡易に計測する方法の指針の案を提出するなど、積極的に対応してまいったところでございます。
  54. 森本晃司

    ○森本晃司君 他方、まずは今回の規制措置が着実に導入されるよう、しっかり取り組んでいっていただきたいと考えるところでありますが、規制の導入が決してそれはゴールではないということであるということは言うまでもありません。  例えば、今回の規制でエンジンについて見ると、内航船については新たな建造船から、それから外航船については二〇〇一年一月以降の建造船から適用されることになっておりまして、それ以外の既存の船舶は適用されないということであります。このことは、せっかく法律による規制を掛けても、すべての船舶のエンジンが基準に適合する性能を有するようになりますと、船舶の代替期間等入れますと十五年前後掛かるんではないだろうかということになると思われます。このため、より迅速にNOx削減効果が現れるよう、例えば公用船について率先して環境負荷の低い船舶を導入していくなど、政府として積極的に取り組んでいくことが必要ではないかと思っております。  また、まずは世界的に規制を導入することが重要だとしても、今回の排出基準が将来的に同様のままでいいということにはならない。IMOにおいて九七年に議定書を採択する際に、発効後五年ごとに窒素酸化物規制値の見直しを実施することと規制されているように、より環境に優しい船舶が導入されるよう、段階的に基準を上げることも視野に入れた対策を講じていくことが極めて重要であると考えられます。  この中で、我が国は環境先進国として国際的な議論是非リードしていっていただきたいわけでありますが、そのために、まずは技術面でより環境負荷の低いエンジンを開発していく必要があります。窒素酸化物の排出低減技術に関する政府技術開発状況と今後の取組についてお尋ねいたします。
  55. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) お答え申し上げます。  今回、海洋汚染防止法改正によって導入される窒素酸化物硫黄酸化物の排出基準につきましては、これをクリアする技術は既に国内に確立してございます。  先生今御指摘されたとおり、今後、国際的に排出基準の見直しを行っていくということになっておりますので、我が国としましては、将来、一層厳しい基準が適用されることに備えて、排ガス浄化技術の開発に着手したところでございます。  具体的に申し上げますと、まず、窒素酸化物につきましては、高温、高圧状態の水、超臨界水と申しますが、これをエンジンの燃焼室に直接噴射することによりましてNOxを五〇%以上削減しようというものでございます。これは超臨界水エンジンと言われるもので、燃費の向上によりCO2の削減も図られるという意味で、両方両立できる技術開発でございます。  御参考までに、硫黄酸化物につきましても、表面に微細な穴が空いた炭素繊維を利用して排ガス中のSOxを約九五%除去する装置の開発といったものも進めております。  さらに、こうしたエンジン単体とか排ガス処理装置の開発に加えまして、船舶全体の研究開発といたしまして、環境に優しく経済的にも優れた次世代内航船、スーパーエコシップと私ども言っておりますが、の研究開発を実施中でございまして、これによっても排ガスによる環境負荷が低減されることになります。  これらの技術開発によって適用が可能となる厳しい排出基準をどの時期に、またどのような方策で導入するかということも並行して検討することとしておりまして、我が国は環境先進国として国際的な議論をリードしていきたいと考えております。
  56. 森本晃司

    ○森本晃司君 海洋問題というのは、四方を海に囲まれた我が国にとって極めて海洋環境というのは大事な問題であります。その海洋環境保護のために、我が国は国際的にも主導的な役割を果たしていく必要があると思います。  今回、船舶の排ガス対策の法律議論になっておりますけれども、それを含めまして海洋環境をめぐる諸問題へ対応していくことが必要であるかと思いますが、海洋国家として我が国が国際的に主導的役割を果たすべき、そのことについて大臣考え方をお伺いいたします。
  57. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま森本先生が御指摘になりましたように、四方を海に囲まれていて、日本の海岸線は三万五千キロ、アメリカよりも長いと。そういう我が国にとりまして、委員御指摘のとおり、海洋環境保全というものは、死活と言っては大げさかもしれませんけれども、非常に重要な問題であると私も考えております。  一方、御審議いただいておりますこの船舶は国境を越えて海を走るわけでございますので、一度油濁事故というものが起きますと他国への影響が大きいということは、これまでも事故が数々起こり、各地域の皆様方が大変御苦労されるということからも明らかではないかと思っております。  こんな中で、我が国はと申しますと、これまで船舶の排ガス対策などの海洋環境に関する国際的な枠組み作りにリードをして、積極的に参加してきたんだと思います。そのほかにも、ポートステートコントロールのアジア太平洋地域における協力体制でございますか、あるいは北大西洋海域における環境保全のための国際協力など、様々なところでコミットを強めてきております。  これからも、委員の御指摘のとおり、海洋国家としてこの海洋環境保全するという立場に立って世界をリードしていくという心掛け、意思というものを強く持って行政に当たらなければならないと考えております。
  58. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、油濁損害賠償保障法について質問をさせていただきます。  今回の改正というのは、タンカーによる巨大油濁事故の補償制度の一層の充実と、最近問題になっている放置座礁船への対策の二点が改正点の内容となっております。  放置座礁船については、本来であれば撤去や油の防除の責任を負う船舶所有者が無保険であるということで責任を果たさない、こういう結果、船の撤去や油濁防除の費用を、先ほども池口議員から御質問がございましたけれども、地方自治体が負担するという事態になっておりまして、これはやはり大きな地方自治体にとって問題となっているところであります。この点についてもよく我々は見ていかなければならない。  そこで、今回我が国が入港する外航船舶に関して保険加入の義務などを制度化して、放置座礁船の問題に対応するということですが、このことについては是非しっかりとやっていただきたいと思うところであります。  そこで、タンカーによる巨大油濁事故の補償制度の充実について質問をさせていただきますが、油濁補償制度の、油濁損害賠償の制度について、昨年度、国際基金の限度額が約一・五倍に引き上げられまして補償限度額が三百二十五億円となったところであります。このように、昨年改正を行ったにもかかわらず、今回約一千億円という大幅な補償限度額の引上げを行っているわけであります。昨年度は国際基金自体の限度額の引上げでありましたけれども、今回は国際基金とは別の基金を創設し、引上げを望む国のみが加盟する形になっており、昨年度と改正の仕方が違っている。  国際基金の補償限度額を昨年引き上げたにもかかわらず、今回大幅な補償限度額の引上げを行う理由はどこにあるのか、また、なぜ一部の国のみが加盟する別の基金を創設することになったのか、この辺についての見解をお尋ねいたします。
  59. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 今、先生からお話がございましたとおり、現行の国際基金につきましては、ナホトカ号事故、これが二百六十億円ほどでございます。エリカ号事故、これは二百四十億円ほどでございましたが、そういう巨大油濁事故が発生したことから、その補償限度額を約一・五倍、三百二十五億円に引き上げることを二〇〇〇年十月に決定いたしまして、条約の規定に従いまして、昨年十一月に発効しております。これに合わせて、油濁損害賠償保障法を昨年引き上げ、限度額を引き上げさせていただいたわけでございます。  しかし、その後、エリカ号事故を経験したフランスなどの欧州諸国を中心に、この引上げでは将来の巨大油濁事故への対処としては不十分であるといった議論が提起されておりまして、またその時期に、二〇〇二年の十一月にプレスティージ号というタンカー、ナホトカ号の約三倍の大きさのタンカーでございますが、これがスペイン沖で大きな油濁事故を起こしたというようなこともございました。  これらを踏まえて、その基金の場では、昨年度と同じように国際基金の補償限度額自体を引き上げると、更に引き上げようというような議論もございましたが、一方で、その拠出金の増額を望まない発展途上国中心として、これ以上限度額を引き上げるのは反対といったような消極的な意見も出て、結局そういう意味では調整が付かず、このため、ナホトカ号事故を経験した我が国としては、欧州諸国、そういうニーズのある欧州諸国と連携して、巨大油濁事故の発生に備えて補償限度額の引上げが直ちに必要と考える国のみが当面加盟する、国際基金とは別の追加基金制度というものを創設をするということにしたものでございます。
  60. 森本晃司

    ○森本晃司君 追加基金というのは、欧州中心とした国が主導して、そして昨年五月に採択された議定書によって創設されたものでありますが、この議定書の採択に当たって我が国は具体的にはどのように対処し、主張してきたのか、お尋ねいたします。
  61. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) この追加基金の議論の中では、我が国、ナホトカ号という大変巨大な油濁事故を経験した日本といたしましては、その油濁事故の被害者への補償を一層充実する追加基金議定書というものを積極的に支持をしたものでございます。  しかし、同時に、追加基金制度発足当初の加盟国が現在の国際基金の加盟国の一部の国にとどまるということによりまして、日本は基金全体の中で二割ほどの拠出割合を持っているわけですが、それが国の数が絞られることによってシェアが上がってしまうというような、我が国のみが結果として現在と比べて特に大きな負担を強いられるというふうなことになることは適切でないということも考えておりまして、このため、我が国の主張として、追加基金へ加盟する国が十分そろうまでの一定期間、一つの締約国の拠出者の負担総額を全締約国の二〇%に抑えると、すなわち今の日本の負担額と同様に抑えるという、いわゆるキャッピング制度というものを導入するということを主張いたしまして、これを実現をさせたところでございます。
  62. 森本晃司

    ○森本晃司君 この油濁損害賠償補償制度というのは、事故が起きたときに被害の、被害者へ補償を行うという観点で重要な役割を果たしていることは間違いありませんが、そもそもこのタンカーの油濁事故が起こらないということがまず一番大事なことではないかと思っております。それはもう一つもないと、根絶することは極めて難しいことではありませんけれども我が国、大変な負担国ともなっておりますし、国際的なイニシアチブを発揮すべきだと考えておりますが、大臣考え方をお伺いいたします。
  63. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 委員おっしゃられるとおり、これはなったときにどうするかという話を議論しておりますが、そういう事故が起こらないようにするということはある意味では一番基本的な重要課題ではないかと思っております。  これまで、国際海事機関を通じまして率先して、事故時に油がこぼれにくいダブルハルタンカーですか、導入促進に向けたシングルハルタンカー廃止時期の前倒しの提案なども我が国は行わせていただいておりますし、あるいは東京MOUという関係国による協力体制を構築して、先ほどもお話しいたしました、アジア太平洋地域においての安全環境に関する国際基準を満たさない船舶を排除するためのポートステートコントロールを十数か国で共同で運営するなど、この分野におけるリーダーシップを発揮させていただいていると考えております。  さらに、船籍国の政府が自国船の検査を適切に行っているか、先ほど政府参考人より御答弁申し上げました中にあるんですけれども、第三国の監査チームが検査体制を監査する新たな制度の導入についても今取り組ませていただいているわけでございます。引き続きまして国際的なイニシアチブを発揮してまいる、これが正に、先ほど来委員議論いただいております海洋国家日本の使命であると考えております。
  64. 森本晃司

    ○森本晃司君 最後に、今日は気象庁お見えいただいているかと思いますが、海洋国家、この我が国が母なる海と言われるこの地球を守らなければならないというところから考えますと、海洋気象の観測というのは極めて大事ではないかと思っております。どのような取組をしておられるのか、地球の環境に与える影響についてはどのような見解を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  65. 長坂昂一

    政府参考人長坂昂一君) お答えを申し上げます。  御案内のように、海洋は地球の表面の七〇%を覆っておりまして、地球の気候に大きな影響を与えております。海洋は熱を蓄える能力が大気に比べまして非常に大きいと、こういうこともございまして、気温の変化を和らげる働きをしてまいっております。  このように、海洋は地球の気候に大きな影響を及ぼすために、気象庁では世界気象機関などとの国際的な協力の下、日本近海はもとより北西太平洋において、五隻の観測船により、海洋の気象、あるいは海流、海の中の水温、さらには二酸化炭素濃度、油分などの海洋汚染物質の海洋観測を定期的に行うほか、国内の関係機関と連携して、海洋汚染を含めた海洋気象の把握に努めております。この一環としまして、文部科学省等の関係省庁との連携の下に、海の中を測りますアルゴ計画、フロートによりますアルゴ計画、こういったものも進めているところでございます。  地球温暖化は、大気中の二酸化炭素の濃度の増加がその大きな要因の一つでございますが、このような各種の観測を通じ、北西太平洋等の海では、増加しつつある大気中の二酸化炭素の一部を海洋が吸収しているということが明らかになりつつあります。このように、海洋はその熱の蓄える能力の大きさと相まって、地球温暖化の抑制に大きく寄与していると考えられます。  気象庁としましては、今後も海洋の観測を実施し、海洋が地球温暖化を始めとする地球環境に与える広範な影響について更に調査を進めてまいる所存でございます。
  66. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  67. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  最初に、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案について伺います。  今回の改正は、大気汚染防止の立場から、MARPOL条約に基づいて国内法を整備するという内容であって、私どもはこの法律案には賛成の立場でありますけれども、なお改善すべきと思われる点について幾つか伺います。  この改正について、内容は大気汚染防止しようとするものでありますけれども、その規制の主な対象は窒素酸化物硫黄酸化物、揮発性有機化合物、フロン、ハロンなどのオゾン層破壊物質、こういうものの規制をしようと、こういう中身であります。その中でも、大気汚染の重要な原因になっているのが窒素酸化物硫黄酸化物でありますので、この二つについて伺います。  最初に、硫黄酸化物、SOxの規制についてであります。  二百海里以内、約四百五十万平方キロの中で船舶から排出される硫黄酸化物は年間約二十七万トン、国内総量比で約二五%にも達していると言われています。今回の改正でこの硫黄酸化物規制は、使用する燃料の質を向上させることによって硫黄酸化物を、燃料を減らそうと、その排出を減らそうというものであります。この規制については詳しくは政令で定めると、こういうことになっているわけでありますけれども、その規制する海域と硫黄酸化物の濃度についてはどういう基準を予定しているのか、伺います。
  68. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 法律の、法案の十九条の二十一に基づきます政令で定める海域及び燃料油中の硫黄分濃度につきましては、九七議定書に定めてありますとおり、一般海域においては硫黄分濃度四・五%、特別海域でありますバルティック海におきましては硫黄分濃度一・五%を定めることを予定しております。
  69. 富樫練三

    ○富樫練三君 今のこの世界的な規制、硫黄分四・五%にしようと、こういうことだそうでありますけれども、モニタリングの結果でも、現在でも四・五%はほぼクリアできると、この基準というのは特別何もしなくても大丈夫だと、極めて緩やかな基準だと言われています。三井商船グループでは、低硫黄の燃料によって、燃料を切り替えることによってSOxの排出量を規制値の四・五を下回る二・六にしていると、こういうふうにも言われています。  そこで伺いますけれども、世界的にも、日本船舶会社でも既に四・五をクリアしているというんであれば、その基準をもっと低く、すなわちパーセントを下げて、基準としては厳しい規制にするべきではないかと思うんですけれども、なぜ四・五%にしたんですか。
  70. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 今回の条約議論の過程の中で、この船舶燃料油の硫黄分につきまして、そもそも国際的に統一して規制すること、グローバルキャッピングと言っておるそうでありますが、こういうことを行うか否かにつきまして条約交渉当初から大変な議論がありまして、日本欧州などの規制をすべきだという国と、質の重い原油を産出する国やこれに同調する途上国などのこういった国際的な統一規制は不要だという国が対立しまして、交渉の最終盤まで未決着の状態が続きました。条約採択のための外交会議におきましても、硫黄分濃度五・〇を支持する国と、それより低い数値を支持する国が拮抗いたしまして、最終的に四・五とすることでようやく妥協が成立し、これによって初めて国際的に燃料油の硫黄分濃度に関する規制条約として盛り込まれたということでございます。  今般の硫黄分濃度の規制は、このような議論を経まして、船舶に対して初めて枠組みが国際的にできたということにまず意味があると思っております。こういった条約がいったん発効いたしますれば、今後、締約国間での規制値の見直しの議論の中で、環境の状況も踏まえながら、我が国としても必要な規制の強化充実を主張していきたいということを今でも考えております。
  71. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうすると、現時点でももう既にクリア、大部分はクリアできるんだけれども規制を、その制度を作ることに意味ありということでその規制値四・五にしたということのようなんですけれども、私は何でも厳しくすればいいというふうに単純に言っているわけではなくて、例えば日本のマリンエンジニアリング学会では、硫黄含有量の上限を四・五%では顕著な改善効果は余り期待できない。スウェーデンでは、既に〇・五%以下の油、燃料とか、あるいはNOx発生量の二グラム、これを実現したエンジンをフェリーに搭載した場合には、航路や港湾税、これを半分にすると、こういう例もあるというふうに報道されています。すなわち、技術的には四・五からずっと引き下げることももう既に可能なんだと、こういうことなんですね。  ここで、大臣にこの点について伺いたいんですけれども技術的に可能であれば、国内としては、日本の国としては、やっぱり低いところで地球の温暖化を防ぐ、大気汚染を防いでいくという立場から、日本として積極的に対応すべきではないのかというふうに思うんですけれども、その姿勢について、大臣考え方を伺います。
  72. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 技術的に、ただいま委員もおっしゃられましたように、技術的に可能であるならば、他国の例というものも参考にしながら、今後研究していかなければならないと考えております。
  73. 富樫練三

    ○富樫練三君 是非そういう方向で進めていただきたいというふうに思います。  そこで、燃料の中の硫黄分の濃度について今回法改正が求めています四・五%、それから先ほど言いました三井商船グループでは二・六%と言っています。あるいは先ほどのスウェーデンでは〇・五%と、こう言っています。  そこで、ちょっと伺いますけれども、この油の中の硫黄分の四・五%、二・六%、〇・五%というのは、日本のJIS規格で言う重油の種類でいうと何種何号の重油になるのか、あるいはA重油、B重油、C重油という、こういう基準でいった場合にはどれに分類されるのかを教えてください。
  74. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) JIS規格におきます重油の分類につきましては、硫黄分濃度以外にも、引火点その他の基準がございますが、硫黄分濃度だけで申し上げれば、まず、四・五%の重油、これはJIS規格では三種二号又は三種三号のC重油であります。また硫黄分濃度が二・六%の重油と申しますと、JIS規格では二種のB重油又は三種のC重油ということに当たるわけでございます。さらに、硫黄分濃度が〇・五%の重油、これはJIS規格では一種のA重油に該当すると思います。
  75. 富樫練三

    ○富樫練三君 まあ、A、B、Cで分類するとそういうことになると。  その上で、現在日本の港では、港湾管理者が、地方自治体ですね、が大気汚染防止のために条例や指針などを作って、その港湾地域での使用燃料の向上を図ろうと、こういうことで船会社に要請をして、この港に入るときにはA重油にしてもらいたいと、こういう要請をしているところがあります。  で、川崎市と神戸市についてですけれども、要請している内容、その場合の使用できる重油のランク付け、すなわちA重油かB重油かC重油か、これについてはどういうふうになっているのかをお願いします。
  76. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 川崎市と神戸市でございますが、まず川崎市につきましては、川崎市公害防止生活環境保全に関する条例におきまして、荷主などが船舶運航者に対しまして硫黄含有率の低い燃料の使用等を要請するように努める、まあ今風に言いますと一種のグリーン購入の要請のようなことと思われます。こういう努力義務がありまして、具体的には、川崎港内でA重油の使用に取り組むということと承知しております。  神戸市につきましては、神戸市民の環境をまもる条例におきまして、船舶運航事業者は神戸港の区域におきまして使用燃料の改善に努めなければならないとされておりまして、市において、黒煙の著しい船舶に対し、A重油への切替えなどによる黒煙、黒い煙ですね、の削減を要請したという実態があると承知しております。
  77. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうすると、今度の法改正で、全国的には四・五%、すなわちC重油ですね、今の基準からいえば、JIS規格からいうと、C重油で航海をしてきた船が神戸や川崎の港に入るときにはA重油に切り替えて公害を少なくして入ってくださいと、こういうことですね。  そうしますと、例えばその船が自治体や港湾管理者からはA重油に切り替えてくださいと言われても、いや、法律では四・五%でいいんだからそれで入りますよというふうになると、自治体の側が公害をなくすために努力してきたことに逆にその法律で足を引っ張ることになってしまう、こういうこともあり得ますか。
  78. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) まず、一点申し上げたいことは、前提として、今回のMARPOL条約、それから海洋汚染防止法規制しておりますのは、重油に関して言いますと硫黄分でございます。自治体の今のお取り組みは、同じ油に着目しておられますけれども、硫黄分規制というよりはむしろすすの規制と承知しております。  こういった規制の目的は若干違うということがありますことと、それから、今、神戸、川崎の例、紹介申し上げましたけれども、そういう意味で、条約規制していることとはちょっと違うことをやっていることと、それから、ある意味では努力義務のようなことであるということもありまして、こういったことがこれまでも当該港については船舶に受け入れられてきたということを踏まえて、今後もこういったことが続いていくんではないかと、そのことが直ちに国際法との関係でどうこうということにはならないんではないかというふうに考えております。
  79. 富樫練三

    ○富樫練三君 この法律を作るに当たって、賛成法律ではありますけれども、しかし、この点についてはとても大事なところだというふうに私は思います。これは国の姿勢が問われる問題でもあるわけですね。自治体の側は大気汚染防止しようという努力しているときに、国がその基準よりも緩やかな基準を作ることによって逆行させてはならないというふうに思います。  ここで、この問題について大臣に伺うわけですけれども、最低限、自治体の努力を逆戻りさせない、このこと。そのために、法律では四・五%なんだけれども、しかし港湾管理者の要請があった場合にはその基準に協力するべきだと、船会社としてですね、船を運航する側の方として。そのことをきちんと、どういう形にするかはともかく、政令でやるのか、あるいは通達、通知でやるのか、どういう方法でやるかはともかくとして、何らかの形で国は自治体の足は引っ張らないよということを明確にすべきだというふうに思いますけれども大臣考えをお聞かせください。
  80. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま富樫委員は川崎市と神戸市の努力義務等の独自の規制についてお話がございましたけれども、やはり国際条約法律に照らして問題のないものはできる限りこういう地方自治体の努力というものを尊重してまいりたいと考えております。
  81. 富樫練三

    ○富樫練三君 是非それが有効に働くようにお願いをしたいと思います。  次に、もう一つ規制対象でありますNOx、窒素酸化物について伺います。  これも二百海里以内四百五十万平方キロの中で船舶から出される窒素酸化物が毎年七十二万トン、三〇%にも達しているというわけでありますから、大変なものであります。これについてはエンジンの性能アップによって規制しようというのが今回の趣旨中心だというふうに伺っています。これは、例えばエンジンの回転数で低速一分間で百三十回転未満の場合は一キロワットアワー当たり十七グラム、高速の二千回転のときは、それ以上の場合は九・八グラム以下と、こういうふうな規制をしようというわけです。  この基準も日本のメーカーはほとんど全部クリアできるというふうに言われておりますけれども、それは事実ですか。
  82. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) ディーゼルエンジンのNOx排出基準につきましては、大型船に用いる低速エンジンから小型船に用いる高速エンジンに至るまで、我が国に今日流通しております今回の規制の対象となるエンジンは規制値を満足していると、条約の採択までの議論等も踏まえてそういう体制を作ってきたということと承知しております。
  83. 富樫練三

    ○富樫練三君 この点についても先ほどのSOxと同じように基準、規制値は極めて緩やかということだと思います。既に欧米諸国では、今後、今後の問題ですね、将来の問題として、九七年の議定書の規制基準以上のもっと厳しい規制をやるべきであると、こういう意見も出されているというふうに聞いていますけれども、それはどういう中身でしょうか。
  84. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 例えば、アメリカは二〇〇〇年にIMO国際海事機関に対しまして九七議定書上のNOx規制値から更に二五ないし三〇%削減された値という提案がかつてされております。また、欧州につきましては、二〇〇三年十二月に開催、去年の十二月ですが、そこで開催されましたEUの環境大臣理事会におきまして、二〇〇六年末までにIMOにおいてNOx規制強化値が提案されないときには欧州委員会が提案をすると、数値は把握しておりませんが、そのような議論がされているというふうに聞いております。
  85. 富樫練三

    ○富樫練三君 スウェーデンとかあるいはアメリカでは窒素酸化物規制を大幅に進めよう、強化しようということで、例えば一キロワットアワー当たり二グラムまで下げるということも今後の、将来の問題としては議論の対象になっているというふうに報道されています。  そこで、NOxの排出量を削減するための方法として今進めようというのはエンジンの改良ということなんですけれども、今後の問題として脱硝装置を付けるとか、あるいはC重油からA重油への燃料の質を向上させる、こういう技術的な改善、この可能性はどういうふうに見ていますか。
  86. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) このNOxの排出規制値につきましては、九七議定書が採択されたときの決議の中で、五年を超えない期間ごとに国際的な見直し議論を進めていくということになっておりまして、現時点では、まず排出基準値への対応は、エンジン本体の性能向上、その次に脱硝装置などのエンジン本体に設備を付加してNOxを除去する方法、そういうものが次に来ると思います。  そういったことで、より一層のNOxの排出改善を行うことで、ある程度見直された排出基準値も達成できると思いますが、更に高い排出基準値、より厳しい排出基準値についていえば、原動機の措置で、さっき言いました本体の性能あるいは付加装置といった原動機だけの措置で対応することが困難な状況までに達した際には、御指摘のような燃料油の種類、A重油とかジメチルエーテルというものがよく議論になりますけれども、そういったものも議論の俎上に上ってくるというふうに考えております。
  87. 富樫練三

    ○富樫練三君 この点について大臣に伺いたいんですけれども、エンジンの改良やあるいは外付けの脱硝装置、こういうことも有効だと思います。併せて、やはり燃料そのものを上質のものにしていく、CからAに切り替えていくという方向も、これはこういうことを視野に入れた全体的な地球環境を守っていくというこういう方向は、日本としてむしろ先進的にこれをやっていくべきだろうというふうに考えますけれども、この点についての大臣の見解を伺います。
  88. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま政府参考人からそのような環境対策が議論の俎上に上ってくるという見通しをお話しさせていただきましたけれども、必要とあらば積極的に国際的な議論に参加してまいりたいと考えております。
  89. 富樫練三

    ○富樫練三君 是非その点を強化していただきたいというふうに思います。  最後に、油濁損害賠償保障法について伺います。  この点について二つ併せて伺いたいと思います。  一つは、船主責任保険、PI保険に加入している船舶が事故を起こして多大な損害を与えた場合に、その損害総額が保険の責任限度額を超えた場合に、超えた部分についてはだれがどう責任を負うのかと、今度の制度ではどういうことになるかという問題です。  もう一つは、座礁船の問題とかたくさんあるわけですけれども被害を受けるのはその沿岸の住民や自治体であります。したがって、住民や自治体が相談をできるようなそういう窓口を国の段階でしっかり設けて、それで早く対応ができる、そういう支援の体制が必要だというふうに思いますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
  90. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) お答えいたします。  最初の点でございますが、船主の損害賠償責任につきましては、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律によりまして、船舶のトン数に応じて一定の限度額まで制限ができることになってございます。そういう制度でございます。一般船舶による油濁事故等が生じた場合には、このように船主による責任を制限される可能性がありますけれども、一義的には被害の補償につきましては船主に請求を行うことになります。万が一船主による補償が十分なされず、自治体が油濁事故について費用を負担することとなった場合のために、平成十六年度予算より国による自治体への一定の財政的支援の制度を創設をしております。  それから、二点目でございますが、おっしゃるとおり、政府の中にも関係機関、水産庁、それから私ども海上保安庁、それから総務省、大変その関係機関が多いということでございますので、自治体等に対する国の窓口を設置するという対応が必要であるというふうに認識しております。ということで、関係者と調整を図りながら窓口の設置などの対応を図っていきたいというふうに考えております。
  91. 富樫練三

    ○富樫練三君 終わります。
  92. 輿石東

    委員長輿石東君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  93. 輿石東

    委員長輿石東君) 委員異動について御報告いたします。  本日、脇雅史君が委員辞任され、その補欠として有村治子君が選任されました。     ─────────────
  94. 輿石東

    委員長輿石東君) これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより順次両案の採決に入ります。  まず、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律等の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  95. 輿石東

    委員長輿石東君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  96. 輿石東

    委員長輿石東君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四分散会