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2004-04-06 第159回国会 参議院 国土交通委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月五日     辞任         補欠選任      上野 公成君     愛知 治郎君      北澤 俊美君     小川 勝也君      弘友 和夫君     松 あきら君  四月六日     辞任         補欠選任      木村  仁君     柏村 武昭君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         輿石  東君     理 事                 岩城 光英君                 鈴木 政二君                 池口 修次君                 大江 康弘君                 森本 晃司君     委 員                 愛知 治郎君                 柏村 武昭君                 沓掛 哲男君                 佐藤 泰三君                 斉藤 滋宣君                 田村 公平君                 鶴保 庸介君                 藤野 公孝君                 脇  雅史君                 小川 勝也君                 佐藤 雄平君                 田名部匡省君                 藤井 俊男君                 松 あきら君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君    国務大臣        国土交通大臣   石原 伸晃君    副大臣        国土交通大臣  佐藤 泰三君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       斉藤 滋宣君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       堀内 文隆君        国土交通省自動        車交通局長    峰久 幸義君        国土交通省海事        局長       鷲頭  誠君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君        国土交通省政策        統括官      矢部  哲君        海上保安庁長官  深谷 憲一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国際航海船舶及び国際港湾施設保安確保等  に関する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、上野公成君北澤俊美君及び弘友和夫君が委員辞任され、その補欠として愛知治郎君、小川勝也君及び松あきら君が選任されました。     ─────────────
  3. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際航海船舶及び国際港湾施設保安確保等に関する法律案の審査のため、本日の委員会内閣官房内閣審議官堀内文隆君、国土交通省自動車交通局長峰久幸義君、国土交通省海事局長鷲頭誠君、国土交通省港湾局長鬼頭平三君、国土交通省政策統括官矢部哲君及び海上保安庁長官深谷憲一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 輿石東

    委員長輿石東君) 国際航海船舶及び国際港湾施設保安確保等に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 田村公平

    田村公平君 私は、この法律案につきましては賛成の立場ではありますが、本来、海は自由のものでありました。かつての大航海時代、そして今、大西洋から太平洋の時代と言われ、自由に海上交通、往来ができるといういい時代もありました。しかし、世界情勢変化国際秩序に大きな変化が出てきてこういう法律が出されたということでありますが、我が国のこの法案対象となる港湾の総数は大体幾らぐらいあって、そしてこの保安措置対象となる港湾はどれぐらいあるか、冒頭お聞かせいただきたいと思います。
  7. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) お答えを申し上げます。  港湾法に基づきまして港湾管理者が設置されている港湾全国で千十六港ございます。そのうち、平成十四年に国際航海船舶入港実績のある港湾は百五十九港でございます。  今回の法律に基づきます保安措置は、国際協調によって国際海上輸送信頼性を高めようとするものでございます。その意味で、国際海上輸送網から見て重要な港湾施設について、保安対策を義務化しようとするものであります。このため、重要港湾に位置する港湾施設のうち、国際航海船舶一定程度以上に利用する施設について保安措置を義務付けることとしておりまして、その数は百十二港でございます。
  8. 田村公平

    田村公平君 ありがとうございます。  国際海上運送保安対策といいますと、今、議員立法とかいろんな形の中で北朝鮮船籍に限っての法律が出されようとしておることも承知しておりますが、この法案成立した場合に、いわゆる北朝鮮船籍に対して特段の何か制約的なものをできるかどうか、お伺いをいたします。
  9. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) この法律に基づきまして新たに入港規制を行うことになりますけれども、これは本邦の港に入港する船舶に起因して、ほかの船や港湾施設に対して危険を発生するおそれがある場合に、入港禁止等、危険を防止するための措置を取るものでございます。したがって、特定の国籍、例えば北朝鮮籍であることのみをもって入港禁止とすることはできません。  しかしながら、北朝鮮船籍を含めて、外国から本邦の港に入港するすべての船舶につきまして、この法律に基づきまして事前船舶保安情報を通報させまして、その船の保安措置実施状況あるいは危険のおそれの有無等を厳正にまず確認をすることにしております。そして、必要がある場合には、洋上におきまして入港前に立入検査を行うことにしておりますし、また、そのような立入検査を拒否したり、あるいはその船に不法に爆発物が持ち込まれているなど、ほかの船舶港湾施設に対して危害を発生させるおそれがあるような場合には、入港禁止等、危険を防止するための措置を取ることにしております。
  10. 田村公平

    田村公平君 今、そういう危険性を察知あるいは予知できる可能性のある場合には、洋上にて検査等、あるいは入港拒否というお話ではありましたが、具体的には、その作業というか、その任に当たるのは海上保安庁になると思いますけれども、それでよろしいんでしょうか。
  11. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) はい。先生指摘のとおり、海上保安庁入港規制を行います。
  12. 田村公平

    田村公平君 現実問題として、この日本、海に囲まれておって、それだけの海上保安庁要員船舶含めて、要員があるとは私は思えないんですが、そこいらは実態はどうなっているんでしょうか。
  13. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) 現在も、入港した船につきまして必要に応じて海上保安庁立入検査等行っております。したがって、同様な体制で、今回の法律に基づきます入港前の入港規制につきましても対応できるというふうに承知をしております。
  14. 田村公平

    田村公平君 いやね、そうはおっしゃいますけれども、私の土佐沖で、三百キロの覚せい剤北朝鮮籍と思われる、いわゆる瀬渡しということに失敗して、三百キロといったら何十億円ですよ。薬物の問題というのは我が国にとっても大変重要な問題ですが、現実問題として、それしょっぴいてないわけですよね。この広い海の中で、それで本当に危険だと思われる船舶を予知あるいは察知し、それだけの対応が、今ちゃんと立入検査もされると。それは入港時の場合でしょう。抜き打ちでしょう、ずばり言えば。抜き打ちというか、百隻のうちの何割かでしょう。それが足りているかどうかを僕は聞いているわけですよ。  さっきの答弁、ちょっと気に食わないね。そんな絵そらごとみたいなものじゃないよ。これは答弁のいかんによっては、海保の予算もっと増強しろぐらいのことを今日言ってやろうと思ったけれども、そういう官僚的答弁では、ちょっと委員長、これ委員会止めたくなるね。  ちゃんともう一回答弁
  15. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) お答えを申し上げます。  この法律に基づきまして、外国から我が国に入る船舶につきましては、漁船も含めましてすべての船舶に対しまして、あらかじめその船がどういう港に寄ったのか、あるいはその船が港に寄ったときにどういう保安措置を取っているのか、そのような保安情報についてすべて事前に通報を義務付けております。  そして、そのような情報に基づきまして、まず一定判断をいたしまして、さらに、これは危ないというふうな判断があった場合に、追加情報を求めたり、先ほど申しましたように、洋上において海上保安庁船舶、船が乗り込んでいって、そして立入検査をして、危険な人が乗り組んでいないかどうか、あるいは武器弾薬が積まれていないかどうかとかという、その状況を実際に現場で確認をして、不安が取り除かれた場合において入港を許可するということでございますので、その入港情報を求める段階一定のスクリーニングといいますか、網に掛けますので、一年間日本に十万隻を超える船舶入港しておりますけれども、十万隻すべてに対して海上保安庁の船が乗り込んでいくということではなくて、先ほど申しましたように、現在やっておりますポートステートコントロール対応しているのと同じように、ある程度絞り込んだ船舶に対して十分な検査をするということになりますので、必ずしもいい加減にやるということではなくて、事前十分情報を取って、例えば何といいますか、日本郵船とか、日本の良好な船会社がやっているようなものはその段階で多分落ちると思うんですけれども、例えば北朝鮮の船とか、危ないと思われるところについてはほとんど一〇〇%対応、現在もポートステートコントロール北朝鮮の船に対してはほとんど一〇〇%対応しておりますので、そういう意味では現行の体制で十分対応できるのではないかというふうに考えております。
  16. 田村公平

    田村公平君 今、爆弾とかそういう話がありましたけれども、だけれども、じゃ何で土佐沖覚せい剤がそんなぼこぼこぼこぼこ、たまたま三百キロは偶然、見付かりそうになったから海へ放り込んだだけの話なんですよ。そうじゃないと。摘発している、国内で摘発している覚せい剤の量だって莫大な量ですよ。全部外国から来ていますよ、空も含めて。それはそれでいいんですが。  じゃ、聞きます。私の友人に、ミンダナオを中心としたモロ民族解放戦線というのがありまして、私は彼の本拠地にもよく行くんですけれども、外務省は行くなと言うんですが、ある国の船がちゃんとした保安基準に基づいて、それでスルー海の辺りで、つまりモロ民族解放戦線の縄張ですよ、フィリピン政府は手が出ないところです、そこでそれらしき人物を、いいですか、モロ民族解放戦線、イスラムですから、乗っけてきたと。これどういうふうにチェックしますか。お化粧はきれいにしているんですよ、その船は。それ、対応できますか。それだけの情報収集能力ありますか、政府に。
  17. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) 同じような答弁になるかもしれませんが、先ほど申しましたように、あらかじめその保安情報を求める際に、今、先生がおっしゃいましたような、港でどういう対応を取ったのかということに加えて、航海中に外部とのコンタクト、どういうものがあったのか、あるいは遭難者を拾ったとか、航海中に海賊に襲われたとか、そのような外部とのコンタクト有無についても当然海上保安庁から照会をいたしますので、それに対して船が正直に答えれば海上保安庁が乗り込んでいってやるということになります。そういうことで、入港規制段階で十分なチェックをして対応するということになると思います。
  18. 田村公平

    田村公平君 ちょっと矢部さんね、あなたね、そういう、そういう答弁を木で鼻をくくった答弁というんだよね。おれがせっかく、あなた、本音で言っているのにさ、おたくも本音で答えたらいいと思うんだけれどもね。それはさておいてね、これは禅問答になるから。  私は、たまたま九月十一日、あのテロのときにアメリカン航空に乗って、オタワからシカゴまであと二十分というところで、いきなり出発した飛行場に帰されました。私の記憶間違っていなければ、北米大陸で一日四千便以上の、領空通過を含めて、民間航空、カーゴ等々が飛んでいますけれども、アメリカのやり方ってすごいんですよね。とにかく全部降りろ。敵味方識別器、トランスポンダーというのを飛行機積んでいますけれども、だけれども、どっちが敵でどっちが味方か分からないわけだ、だってハイジャックされているわけですから。だから、オタワに一週間ほどせっちん詰めになるわけですけれども、もう全部閉鎖ですから。とにかく飛んでいる飛行機、全部降りろ。これがアメリカというか、嫌な話ですけれども、そういう時代なんです、今。  ですから、この法律は僕は一歩前進だとは思っていますけれども、テロは実は防げないんです。だから、我が国政府として国民生命、財産を守るということであれば、この議員会館も、私も庶務小委員長もやらしてもらっておってこういうことを言うのはなんですが、ああいうまやかし的なガードをしたって、やるやつは何ぼでもやるんです。それはそうですよ。現にあなた、入ってきて、地下三階のちり置場のところに変なおっさんがライターで火を付けたって、だれも気が付かないんですから。議員会館面会票なしで、というか、入ってくるの幾らでもいるじゃないですか。その程度の国なんです。だから、普通の国になるというこの事態に即したその場合に、政府としては、例えばいわゆるディフェンスコントロール、DEFCONを一から五段階まで持つとか、そういう中で、テロ対象というのは別にダムや原発だけじゃないんですよ。どこでも起こり得る話なんですよ。私がテロリストだったらそうします、一番弱いところ。ここをやったっていいんですよ。  だから、そういう意味で、この法案自体は一歩前進、横の連携を取りながら考えていかないと絶対に防げないと。ただし、これだけの備えがあるから捕まる可能性があるからやめようかなというのが、それが抑止力なんです。  そういうことを踏まえて、政府として横の連絡を取りながら今後の対応をどういうふうにしていくかということをお伺いして、私は与えられた質問時間二十分ですから、今日ちょっと五分ぐらいはしょって終わろうと思っていますので、本当はこれ以上言うともう頭にくることがあるものですから、まず答弁をお伺いして、あとの五分をどういうふうに活用するかと思っておりますので、きちっとした答弁をお願いします。
  19. 堀内文隆

    政府参考人堀内文隆君) お答えをいたします。  国内におけるテロ対策につきましては、これまでも官邸の主導の下、関係省庁において日々密接に連携し、情報収集分析強化を図るとともに、出入国管理ハイジャック対策重要施設警戒警備等各種テロ対策強化徹底してきたところでございます。  また、我が国におきましては、鉄道におけるテロ対策といたしまして、情勢を踏まえ、国土交通省警察から鉄道事業者に対し必要な指導、助言等を行うとともに、警察官が駅構内等のパトロールを実施するなどして警戒徹底してきたところであります。さらに、今回のスペインにおけるテロ事件を受けまして、全国鉄道事業者に対しまして自主警備の更なる徹底等について指示するとともに、警察において鉄道事業者連携をして、新幹線を始めとする鉄道駅、列車内、トンネル、橋梁等沿線重要施設警戒強化を図るなど、引き続きテロ対策の一層の徹底を図っているところでございます。  今後とも、テロ関連情報収集分析に努め、情勢に応じて的確な対策を講じて、先生言われましたように、横の連携を密にして、政府一体となって国民安全確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  20. 田村公平

    田村公平君 もうこれで質問やめようと思ったけれども、全くもうそういう答弁していたら駄目よ。いかに政府が駄目かって分かるじゃない、これで。あなた内閣府でしょう。部下ほとんどいない寄せ集めのところでしょう。そんなことで情報収集が、本当の、いざというときの対応取れますか。  現実問題言いましょうか。高知港も、重要港湾高知県にもありましたよ、宿毛から須崎から。それで、フェンス作ってガードマン置いて管理者置く。大体、アベックがデートしていて間違ってアクセル踏んで海へ飛び込むというのは大体ああいう港なんですよ。それフェンス置いたところで、今、僕は三年ぐらい前だったかな、高知新港でタチウオが物すごく釣れて、夜中に釣りに行って、あれは七、八百億円金掛けているんだけれども、船全然来ない。しかし、一応港湾区域になっている。今度フェンスで覆ったら、おれの楽しみの夜釣りにも行けなくなる。その程度の国なんですよ、その程度の。  今の答弁聞いていたら、僕はこれ以上もう言いませんけれども、(発言する者あり)じゃ、分けてくれる。本当にもっと真剣に答弁してほしい、そういう原稿棒読みじゃなくして。そうでしょう。僕自身がこの法律に反対と言っているわけじゃない。一生懸命質問しているのに、あなたは何ですか。だれっていった、堀内内閣府でしょう。そんな、紙に書いた、そういうのをお役所言葉でお役所仕事と言うんですよ。そんなことで国民生命や財産守れますか。  私は、そのことを厳重に申し上げて、本当に次回、今度一時間ぐらい、与野党の理事さんにお願いして一時間ぐらい持って、この問題徹底的にやらせていただきたいなということをお願いを申し上げまして、質問を終わります。
  21. 大江康弘

    大江康弘君 おはようございます。民主党・新緑風会の大江でございます。  大変、田村先生の、尊敬する田村先生の緊張感あるこの質問に実は感銘を受けておりまして、もう本当にできたら私の分までやっていただいたらと思うのであります。  それだけに、これはもう与野党を問わず、お互い認識は一緒でありますし、同時に、いささかこの政府答弁を聞いておりますと心もとないというか、かなり我々との思い、意識に差があるなということを実は心配をしながら答弁を聞いて、質疑を聞いておったわけでありますけれども、やはりこれは大臣質問じゃないんです、我々日本国民というのは何かやっぱり事がなければ前に進んでいかないという国民性になってしまったと。だから、私は今がチャンスだと、これは国民の。だから私は、小泉政権いろいろあります、だけど、日本の国の形をどうするかという、やっぱりこういうことが、九・一一以降あるいはイラク戦争を通じて、国民もやはりある程度許容するような世論になってきたと。私は、やっぱりこの時期を逸したら本当に日本があるべき日本の形というのを作れないのじゃないかと。これだけ脅威にさらされる我が国でありますから、私は、もっとやはりこの法案というのは厳しく受け止めて、まあこれは条約に対する国内法整備でありますから、いささか限りがあるかも分かりませんけれども、いささかちょっと、何度も申し上げますけれども、ちょっと不安になってきたわけであります。  それで、私はたまたま昨年の三月の二十五日にこの場でこのSOLASのことに関して実は質問をさしていただいておりました。当時、今現在の海事局長鷲頭局長が、今タコ部屋に入って頑張っておるんだと、いわゆる国内法整備に頑張っておるんだということを答弁をされて、私はゆでダコにならないようにしてほしいということを実は要望したんでありますけれども、随分限られた時間の中で国交省としては私は頑張っていただいたかなというふうには思います。思いますけれども、今、前段申し上げましたように非常に不安な部分もあります。  このIMOのそうした今回の条約改正というものは、このSOLAS改正というのは、やっぱり九・一一のアメリカのあのテロがあった以降、やっぱりアメリカの強い意志、働き掛けというものがあってこういう流れになってきたんではないかなと思うんですけれども、まず最初に、ちょっと鷲頭局長に、こうした異例のスピードでこういう形に法案整備をされてきた経過というものをちょっとまず最初に聞かせていただきたいなと、そない思います。  これは、矢部局長、じゃない、局長の方、もし分かれば、去年からの経過があるので、ちょっとお願いしたいと思います。
  22. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 昨年、確かに大江先生から、私が政策統括官のときに、実はこの条約国内法化準備作業をしている点について御質問をいただきまして、そのとき私申し上げたのは、このテロというのは単に海事局あるいは海上保安庁、それから港湾局のみならず、やっぱり政府全体で取り組まなきゃならない問題ですんで、国土交通省の中では関係局が集まって、先生いみじくもタコ部屋とおっしゃいましたが、人を出してそこで縦割りにならずに横断的に作業をしておりますと、こういうふうに申し上げまして、関係省庁とも、そういう意味じゃ、法令協議の形で相談をしながらまとめてまいりました。  ただ、しっぽが七月一日ということで切られておりますんで、その限られた時間の中で、私としては精一杯、当時その準備をさせていただいて本日の法案、今日の法案の形になっていると、こういうような感じでございまして、私なりにできる限り急ぐ、あるいは各省との連携を取りながら詰めるという作業をしてきたつもりでございます。
  23. 大江康弘

    大江康弘君 済みません、ちょっと順番変わりますけれども。  これは確認しますけれども、いわゆるテロだとか、今も田村先生議論にありましたけれども、テロだとかいわゆる海上からの脅威に対してどうするかということが主眼ですよね。ちょっとそれは、矢部総括官ですか。
  24. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) 先生指摘のとおり、船舶あるいは港湾に対して直接破壊行為等危害を加える場合を対象にしておりますし、またあわせて、船舶あるいは港湾不審者が侵入する、あるいは爆発物武器等が持ち込まれると、そういうことを通じて、ほかのものに対して危害が及ぶと、この二つを主に想定をしているものでございます。
  25. 大江康弘

    大江康弘君 ありがとうございます。  そうしたら、ちょっと私、この法案に入る前に、ここ何日かというよりも、まあ数週間の中で日本にとっては非常に主権が侵害される事件が起こった。御存じのようにあの尖閣諸島魚釣島への七名の中国人のいわゆる領土侵犯でありますけれども、先ほど海上保安庁の責務、まあ後で聞きますけれども、これはやはりこの法案ができれば海上保安庁としてもまた新たな業務が増えるんではないかと、そういうことの議論もあったかと思います。  その中で、まずこの尖閣諸島の問題ですけれども、これはなぜこの上陸を許す結果となったのか、その原因は何だったのか、ちょっとまず教えていただきたいと思います。
  26. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) 御説明を申し上げます。  尖閣諸島警備につきましては、当庁といたしましては、特段状況にないあるいは情報に接しない、そういう場合でありましても常時巡視船を一隻配備いたしまして警戒を実施してまいりました。特段状況がございますれば、それに応じて対応をしてきたということでございます。  例えば、今年の一月にも中国の本土の方から、いわゆる同種の船舶が二隻、その魚釣島周辺に参りましたけれども、この際には、情報に基づきまして事前に私ども態勢を取りまして、これを排除したということでございましたけれども。  つい先般の、先月二十四日の件につきましては、実は具体的な渡航に関する事前情報に接しておりませんでした。実は当日、巡視船一隻配備しておりましたけれども、この巡視船は、目視あるいはレーダー、こういったものを使いまして魚釣島などの尖閣諸島、ここにおきまして警戒に当たっておったわけでございますけれども、日の出前の時間帯にこの魚釣島に接近してまいります船影をレーダーで把握をいたしまして、具体的にその船につきましての動静確認をしました結果、朝の六時二十四分という報告を受けておりますけれども、この船がいわゆる尖閣の領有権を主張する中国人活動家を乗せた中国漁船であるということが判明いたしました。現場におりました巡視船は直ちに必要な規制措置、具体的には警告あるいは進路規制と、こういったことを行ったわけでございます。  残念ながら、現場に巡視船一隻しかおりませんでした。活動家たちは、その中国漁船から手こぎボート二隻を下ろしまして、いわゆる小回りを生かしまして、残念ながら、結果的には活動家七名が上陸をしたという事態に至ったものでございます。
  27. 大江康弘

    大江康弘君 まあ見付けてからのこの対応というのは、これは私は、保安庁とすれば、現場で、やはり自然相手のところですから、その海側は我々どういう状態になっておるか知るすべもないわけですけれども、大変な中での任務の遂行であったと思うんですけれども、私が仄聞するには、いわゆるインターネットでもう既に行くんだと、上陸するんだということを彼らは言っておったと。しかも、香港のテレビ局が用意をした船であったのかどうか分かりませんが、そのテレビ局のクルーも乗せて、もう本当にこれ確信犯も確信犯で、もう正にこれひどい主権侵犯であるわけですけれども、結局、インターネットでやるぞやるぞと言っていたような情報すらも、これいわゆる取れなかったのか、取っても、それはさほど気にされなかったのか、そこらはどうなんですか。
  28. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) 二十四日の事件につきましての事前情報のことでございますけれども、海上保安庁といたしましては、当庁のみではなかなか中国におきます活動家の行動実態というのをすべて把握するというのにはおのずから限界がございますものですから、我が国のほかの関係機関と連携を取りながら、随時関連情報収集分析などをしながら共有化を図ってきたというのがこれまでのことでございます。  具体的に、先生指摘のインターネット情報でございますけれども、今般の件に関連いたしまして、インターネット情報上、二十八日に中国本土を、ごろ中国本土を出るというふうな情報、これについては私どももその情報を得ておりました。したがいまして、それに向けた、先ほど申し上げましたような状況に応じての警備体制、これはそれをしくべく準備をしておったところでございましたんですが、二十四日に現地に来るという、彼らはその後二十三日の午前一時に本土を出たというふうに主張しているようでございますけれども、そういった具体的な情報は、事前情報は実はございませんでした。言わば、正確な動静把握ができない結果として先ほど申し上げたような事態に至った、招いたということでございまして、こうした事実関係を踏まえまして、今後につきましては、関係機関においてそれぞれ事案、今回の事案を再点検いたしまして、改善すべき点が明らかになり次第、関係機関とも相談の上、改善を図りたいというふうに考えております。
  29. 大江康弘

    大江康弘君 長官、ありがとうございます。  私はその海上保安庁対応を責めていると、そういうことではないんです。せっかく頑張って犯人を捕まえたのに、政府は政治的判断だとかなんとかと言って早々に犯人を中国へ帰すと、こんなことをすれば、もう現場の士気は僕はもう全くなくなる、もう本当に私は今回の政府の取った措置というのはもう情けないというふうに思っておる一人であります。  本当に皆さんがあのしけの中、いろんなところで頑張ってくださっておるということにはもう日ごろから感謝と敬意を申し上げるんですけれども、私はやっぱり海上保安庁がこうして第一義的にそういう事犯に対して対応をされる、私はまだまだこれは増えると思うんです。やっぱり中国というのは、私はやはりまだまだ、これは政治的な話になりますけれども、あの江沢民という人が非常に政治的な隠然たる力を持っておる。御存じのように彼は日本が嫌いだ、しかも愛国主義だ。そういうやはり、今回来た七名もいわゆる江沢民の一つのお墨付きをもらっているというふうなことも我々もこれ聞いております。そういうことになりますと、なかなかやはりあの体制が崩れない限り、私は、いろいろ日本に対しての圧力の一つとして、それこそ我々、北朝鮮にいろんなカードを持っていますけれども、中国は我々日本に対していろんな日本国内を揺さぶるカードを幾つも持っておって、やっぱりそれが、私は一番心配なのは、やはりこういう連中がいわゆるテロ集団と密接に結び付いて、いわゆる日本でこういうことをされて攪乱をされる、その攪乱をされている最中に一番危険なことをされるという、やっぱりこういうことも私はあるんじゃないかと、そういう危機感を持っておる実は一人であります。  それだけに、今、長官の方からいろいろ御報告も含めて経過も言っていただきましたけれども、今後やっぱりかかることがないようなことに対してやっぱりどうするのか。そして、何が足りないのか。人的な面もありましょうし、いろんな装備の面もありますけれども、まず今後どう対応するのかという部分に、ちょっと長官、お答えいただきたいと思います。
  30. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) ただいま先生からいろんな点を御指摘いただきましたですけれども、今回の尖閣諸島の事案を踏まえまして、この諸島、尖閣諸島警備につきまして、特段情報がない場合の不測の事態に備えまして、これまでも巡視船一隻を常時配備してきておったわけですけれども、今回の事案を踏まえまして配備巡視船を増強し、現時点におきましては二隻体制ということにいたしております。また、突発的な事案、これは起こらないとは限りませんもんですから、そういう場合に備えまして石垣港からの巡視船を緊急発動させることのできる体制というものも現在取っておるところでございます。  さらに、今後、先ほども若干申し述べましたけれども、この事案の状況をよく検証いたしまして、事前情報収集あるいは事案に応じた警備手法など、警戒警備の在り方全般につきましてよく再点検をしまして、改善すべき点が明らかになり次第、速やかに改善を取ってまいりたいと、かように考えております。
  31. 大江康弘

    大江康弘君 そこでちょっと関連するんですけれども、先般の奄美、小笠原のあの法案のときにもちょっといろいろ御意見もあったかと思うんですが、この委員会の場で、いわゆる日本の海洋国家としての地政学的なそういう中で、非常に我が国がEEZ、いわゆる経済的排他水域が非常に多いという、今数字を見ますと、アメリカ、オーストラリア、インドネシア、ニュージーランド、カナダに次いで六番目に日本が四百四十七万平方キロメートルのこの海の面積を我々がいわゆる権利として管理をしておるということでありますけれども、ここで気になりますのは、この日本のEEZの中にもいわゆる違法に中国船が入ってきて盛んにいろんなことをされておるということ、これは海上自衛隊の方の関係もあるんでしょうけれども、ちょっと海上保安庁として、そこのところの把握、事実確認というものをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  32. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) ただいま先生指摘なのは、いわゆる中国の調査船についての動向についての実態のお尋ねかと思います。  排他的経済水域内、この場合、私ども領海内も整理上含めて考えておりますが、取った数字でございますが、そういったところでのいわゆる海洋調査、これにつきましては一定のルールがございますが、事前通報等がない、いわゆるルールにのっとらない、あるいはルールに従っての通報があってもその内容と違う言わば特異な活動、こういった外国調査船、これにつきましては平成十五年で九件、平成十六年、今年になりましてから既に七件、海上保安庁として確認をいたしておりまして、すべて中国の海洋調査船でございます。
  33. 大江康弘

    大江康弘君 私、予算委員会で申し上げたんですけれども、中国がわざわざ日本のEEZの中へ入ってきて、これ魚なんか観測する、しにきているわけではないんですよね。そんな中で、これはまあ海上保安庁に対しての話ではありませんけれども、一番多いのが一九九九年でしたか、何か一年間に三十三件が確認されたということで、今年はやはりもう既に、今御答弁がありましたように七件ということでありますから、もうその数をはるかに上回るような中国船のやはり違法な日本へのEEZ内での活動というふうになるんではないかというふうに予測をされておるやに聞くんですけれども。  やっぱり、今回私は、この法案というものは確かに、後でちょっと中身を聞かせていただきますけれども、入ってくる直前にどうするかということもあるんでしょうけれども、やはり日本が海に守られている、海に囲まれているという中で、やっぱりこういう、まず第一にこの水際の、まだその水際で対処をしなけりゃいけないという、これはもう宿命的なものを抱えておるという中で、私は、海上保安庁は大変御苦労いただいておる。先ほど田村先生海上保安庁の充実のためにといって言われていましたけれども、正に同じ気持ちであります。  それだけに、これはまた後で聞きますけれども、海上保安庁として、今回この法案によっていわゆる業務が増えた、今までよりも、通常の業務よりもやっぱり業務が増えたということになるわけですよね、これは。そこのところちょっと、どうかということだけちょっと教えていただけますか。
  34. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) 今御審議いただいておりますこの法案におきましては、入港前に必要な入港につきましての届出、それに基づきましての必要に応じてのチェック、立入検査等の仕組みの御審議をいただいているわけでございますので、そういった関連の業務は当然海上保安庁としても増えてまいりますので、それに必要な体制は整えたいと、かように考えております。
  35. 大江康弘

    大江康弘君 そこで、ちょっとこの法律の中身について若干聞かせていただきたいんですけれども、いわゆる国際航海船舶について、入港規制をするだとか、あるいはまた保安措置を付けるだとかという、大きくはこの二点であるんですけれども、一応、統括官、もう少しちょっと詳しくどういうことになるのか、教えていただけますか。
  36. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) 御説明を申し上げます。  この法律におきましては、今、先生指摘のとおり二つございます。船舶港湾に対して保安措置の実施を義務付ける。それから、もう一つが入港規制でございます。  まず、前者につきましては、船舶につきまして、国際航海に従事するすべての旅客船、それから国際航海に従事いたします貨物船のうち五百トン以上の船舶、これを対象といたしまして三つございます。一つは、事件が起こったときに海上保安庁にその旨を通報する船舶警報通報装置を設置するということ、それから船内で保安に関する事項を責任を持って実施する責任者をあらかじめ選任しておくということ、それともう一つ、これが最も大切なんですけれども、船上で講ずるべき保安措置をあらかじめ保安計画という形で作っておきまして、そしてこれを実施するという、主にこの三つの保安措置の実施が義務付けられます。  また、港湾施設につきましては、対象になる港湾施設は、先ほど申しました国際航海に従事する船舶等が立ち寄る重要な港湾施設対象になりますけれども、このような港湾施設に対しまして、船舶とほぼ同様の考え方に基づきますけれども、フェンスや照明等の保安設備の設置を義務付けます。そして、あらかじめ保安についての責任者を選任しておくということも船と同様義務付けられますし、また港湾施設で講ずべき保安措置の内容をあらかじめ保安計画という形で整理しておいて、それを実施するということが義務付けられることになります。  それから、二点目の入港規制の関係では、まず最初に、外国から我が国の港に入るすべての船舶、これは先ほど申しました保安措置の実施の義務付けの対象となる船舶よりも広がっておりまして、漁船を含めて外国に立ち寄った船は、全部我が国の港に入る場合あらかじめ情報提供を求めまして、我が国に入る場合に、外国でどのような港に寄ったのかとか、あるいはどのような保安措置を取ってきているのかということを義務付けることにしておりまして、それに基づいてチェックをいたしますし、更に必要があれば立入検査入港前に洋上で行いまして危険の有無確認する。そして、立入検査に協力しない、あるいは追加の情報提供に協力しないといったような場合には入港禁止等措置を取ることができると、こういう内容になっております。(「甘いな」と呼ぶ者あり)
  37. 大江康弘

    大江康弘君 今、甘いというような御指摘もちょっとあったわけですけれども、これも五百トン、我々は余り船に乗りませんから分からないんですが、いわゆる五百トンというのはなぜ五百トンでこの一応の線を引かれたのか。あの、我々つい想像するのは北朝鮮の万景峰号でありますけれども、いわゆる五百トン以下はこういうことは義務付けないということですけれども、それはそれで問題はないわけなんですか。
  38. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) 一応、先ほど申しましたように、貨物船については五百トン以上の船舶対象としておりますが、そもそものこの法案の基になっております改正SOLAS条約におきましても、貨物船については五百トン以上の船舶に対して保安措置を義務付けるということになっております。これが一つでございます。  それから、五百トン以下の船舶というのは元々船が小さいということで、ブリッジから船全体が十分に見渡せるということもございますし、乗組員の数も少ない、旅客船なんかに比べますと相当少ないということで、不審者が入っていればすぐに特定できると、そういう特徴もございます。  そういうことで、自己警備として常時保安措置を実施するということを法律で義務付けるまでには及ばないという判断をしてこういうことになっております。  ただし、それでは大丈夫なのかという疑問が当然残るわけでございます。船の大小にかかわらず、外国の港に立ち寄ったときにはテロリストが入るリスクもございますし、あるいは武器弾薬が積み込まれるというリスクもございますので、先ほど御説明しましたように、船の大小にかかわらず、すべて我が国の港に入るときには事前通報、保安情報について事前通報を義務付けておりまして、それに基づいて危険の有無判断をし、必要があれば追加情報の提供を求め、更に必要があれば洋上立入検査をして安全の確認をした上で入港を許すと、こういう仕組みになっております。
  39. 大江康弘

    大江康弘君 統括官、それは分かるんですけれども、やはり私はあの不審船の引き揚げたのを当時の藤井委員長に連れていっていただいて、視察で見せていただいて、あの観音扉を開けた中のあの船の構造を見たときにもう本当にびっくりしたわけであります。ですから、今、大小にかかわらずという御答弁ありましたけれども、私はやっぱり小敵たりとも侮らずという言葉がありますけれども、余り小さいからといって安心感を持ち過ぎたら、私は非常に危険ではないかということをちょっと御指摘もさせていただいて、五百トンという一応の義務化の線はありますけれども、やはりそこはひとつ十分に、この法を拡大解釈される中でやはり有効に使っていただきたいなと、このことは一点要望しておきます。  それで、今、日本にこの港湾というのは大体幾つぐらいあるのか。その中で今回対象となるのは幾つなのか、ちょっと数を教えていただきたいなと思います。
  40. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  港湾法に基づく港湾全国で約千ございます。その中で、今回保安対策を義務付ける港湾といたしましては百十二港を考えてございます。
  41. 大江康弘

    大江康弘君 ということは、この百十二港に七月の一日までにこういう法案に基づく措置をしろということを去年からやってきたわけですね。今年も補正予算か何かを付けてやられたというふうに聞いてはおるんですけれども、これも余り七月までということは時間がないんですけれども、そこらの状況はどうなっておるんですか。
  42. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 改正SOLAS条約が発効いたします七月一日までに、港湾における保安対策を実施をしていただくということが必要でございますので、緊急の措置といたしまして、この二月の九日に成立をいたしました平成十五年度の補正予算によりまして早期に保安設備の整備に着手できるようにいたしたところでございます。今回のこの支援措置等を活用して、港湾管理者におきましては保安設備の整備等を早急に進めていただけるというふうに思っております。
  43. 大江康弘

    大江康弘君 聞きますと、この港湾施設の管理者というのは、いわゆる地方自治体だとかあるいは公社とか民間という、この三つに限定をされてくるというようなこともちょっと聞くんですけれども、いわゆる国としてやはり限られた時間の中で、地方自治体もそうですけれども、なかなかお金がない中で果たしてこの法案が求めるような施設が完全にできるのか。そこらのところの、やらなければいけない、しかしなかなか物理的に難しいというようなことも考えるわけですけれども、いわゆるそこらの財政措置というふうなことはどうなっておるのか、ちょっと、国としてどういうような対応をされておるのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 国としての財政措置についての考え方でございますが、国際埠頭施設保安対策につきましては、今般の改正SOLAS条約国際海上運送システムの信頼性や安全性の確保を目的としたものでありますが、それが我が国の経済や国民生活にとって極めて重要であるということを我々も認識してございます。したがいまして、港湾施設の管理者、今、委員指摘港湾管理者、地方公共団体とか、あるいは、ですが、そういったものが行う埠頭保安設備の設置に対して、先ほど申し上げました平成十五年度の補正予算により、国としても一定の助成をすることにいたしたものでございます。  また、この保安措置の実施に当たりましては、当該施設への出入りの管理とか監視のための人の配置、あるいは設備の保守点検等に要する費用も必要になってまいりますが、これらの港湾管理者である地方公共団体が負担すべき費用につきましては、平成十六年度から普通交付税の基準財政需要額に算入をすることにより適切に財源措置を講じたところでございます。  また一方で、民間事業者の施設もございますが、民間事業者の実施する埠頭保安設備の設置に対しましては、日本政策投資銀行などによる低利融資の制度の創設を今年度から行っておりまして、そういった意味での支援を行っているところでございます。
  45. 大江康弘

    大江康弘君 ということは、今度、船の中に警報装置付けますよね。警報装置を付けると。これはあくまでも船会社がいわゆる会社の責任でやられるわけですね。ちょっとこれだけ確認しておきたい、その警報装置。
  46. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 先生指摘のとおりで、船会社の費用で設置するものでございますが、値段的にはそんなに高いものではないと聞いておりますんで、港湾の場合ほどの大きな負担になるというものではないというふうに承知しております。
  47. 大江康弘

    大江康弘君 値段の高い低いということではなしに、いわゆる船の責任として自覚を持って船会社がするということですよね。ありがとうございます。  そこで、今お聞きをしましたら、そういう船の装置だとか、あるいはまた港湾に関してはフェンスを張ったりなにしたりという、このいわゆる防護策の面に非常に重点を置かれているように思うんですけれども、一つ私がお聞きをしたいのは、いわゆる北朝鮮の船が入ってきてからポートステートコントロール、PSCですか、これが非常に注目をされました。国民の皆さんもこのPSCって、私個人もそうですけれども、知らなかったわけでありまして、かなり国民の皆さんもやっぱりそういうことに関心を持ってくれたんではないかなと。船の中に入って検査をする、そういうPSCの監督官の行動というものは非常に頼もしく実は思ったわけでありますけれども、いわゆる今日までの実績として、大体どのぐらいの船の数をPSCとして調査をされたのか、そして、現在PSCの携わる人がどれぐらいいるのか、ちょっとここらを教えてください。
  48. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) まず後者の方の、現在どれぐらいいるかという点について先にお答え申し上げたいと思います。  現在、百十五名の外国船舶監督官を全国四十二の官署に配属しておりましてポートステートコントロールを実施しております。  それから、実施の実績でございますが、二〇〇三年では、日本に入ってくる船というのは大体一万隻ほどいるわけでございますが、そのうちの四千八百六十五隻につきましてポートステートコントロールを実施しております。二〇〇二年につきましては、四千三百十一隻を実施しているということでございます。
  49. 大江康弘

    大江康弘君 決して人数が多いとは言えない体制であろうかと思います。四十幾つのところですか、そこに百十五名ですか。ということであれば、それは一度には北朝鮮のような船が何隻も入ってきませんからある程度は集中はできると思うんですけれども、やはり今後、こういう形の中で業務が増えていくということになれば、もう少しマンパワーも増やしていかないかぬなというふうには思うんですけれども、そこらの予定というのはちょっと聞かせてもらえませんか。
  50. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 外国船舶監督官につきましては平成九年度に四十六名で創設しておりまして、その体制ポートステートコントロールを実施してきたわけです。  その後、充実をしてまいりまして、平成十六年度につきましては新たに二十一名の増員というものを認めてもらっておりまして、全体で十六年度末には百二十四名の体制になることにしております。  そういう意味では、ポートステートコントロールの実施に必要な体制というものは相当程度整備が図られているというふうに私どもは考えておりますが、今後、先生の御指摘にございますとおり、引き続き我々としてはポートステートコントロールの実施体制を充実していきたいと、こう思っておりますし、それは数の面だけではなくて、いわゆる研修などを通じて個人個人の能力というものをアップしていきたいというふうに考えております。
  51. 大江康弘

    大江康弘君 局長は、その答弁、正に限られた中で一生懸命やっていただいているというのは分かるんですけれども、私は、少し巷間しますと、この間の、あれですか、昨年の、万景峰号が入ってきたときに、いわゆるPSCの監督官の方が船の中と外とで連絡をするのに、何かPDAというのがありまして、パーソナル・データ・アシスタントというんですか、こういう機械があればもっと外との連絡がうまく取れて、今、現状はこうだとかなんとかと言うことができたと。だけれども、まあ何か携帯電話か何かで非常に連絡が取りにくい。リアルタイムでそういう形ができにくいという話も実は聞きました。  今これを、このことをどうだということじゃないんですけれども、そういうことを一つ取ってみても、あるいはまた、どうも財務省辺りの税関の皆さんが着ている服と、PSC官、国土交通省のPSC官が着ている服がどうも見劣りすると。これはもう本当に何かちょっと気の毒を通り越してこれはおかしいぞと。何で、一番体を張って行っておるこの国交省のPSC官が税務官の方よりもいろんな服装の面に関してもみすぼらしいんかと。こういうことも私はやはりもっと機材も含めて充実をさせてあげないと、やはりいろんな対応がしにくいんじゃないかなと、こういうふうに思うんですけれども、局長の今後のひとつ対応を聞かせていただきたいと思います。
  52. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 大変温かいお言葉をいただいて、正に我々もそういう限られた予算の中で装備の充実というのは大変重要な点だと思っております。そういう意味では、制服が今見劣りをするというお話がございましたんで、ちょっと心致しまして、税関等に負けないように、いいようなデザインができるかどうかもちょっと検討してみたいと思いますが、それは一部でございます。全体的に装備の充実にも努力をしていきたいというふうに考えております。
  53. 大江康弘

    大江康弘君 ひとつ善処をよろしくお願いしたいと思います。  そこで、このPSCというのは何か六か月ルールというのがあるようでありますけれども、この六か月ルールというのをちょっと聞かせていただけないでしょうか。
  54. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 六か月ルールと申しますのは、一つの船があちこちの港に行ったときにいつもいつもポートステートコントロールに引っ掛かるというのは負担になるということで、外国船舶の運航に対して不当な負担を掛けないようにすると、あるいはポートステートコントロールをする側にしても、同じ船ばっかり見ていると逆に効率的でないというようなこともございまして、実はアジア太平洋地域の十八か国の国と地域でポートステートコントロールをやる政府機関が集まりまして合意されたルールというのがございます。それが東京MOUと言っておりますが、それがそういう集まりでございますが、その中で六か月間は、一か所のところでポートステートコントロールをやって、これで特段のことはない、良いと、こういうことになった場合には、六か月間はほかの国ももうポートステートコントロールをやらないということにしようということを決めたというものでございます。
  55. 大江康弘

    大江康弘君 私、何でこういうことをお聞きするかといいますと、それはそれで十八か国と恐らく香港も入っているから地域になるんでしょうけれども、これができたのが、聞きますと一九九三年ですから十一年前なんですよね。十一年前に採択をされて、やはり十一年たって非常に国際環境も変わった、我々日本が置かれている環境も変わったという中で、果たしてこの六か月ルールでお互いの信頼関係の中でこういうことがもつんだろうかということを私は非常に心配に思う実は一人であるんです。  それだけに、基本的なルールでありますからそんなに、また、しかも十八か国と一つの地域が寄って、これまあ東京でやったからあれ局長、東京MOUと言うんですかね、単に場所が東京であったから。しかし、東京という名前が付いておるということはやっぱり日本もそれなりの大きな責任があるわけでありますけれども、やっぱりこういう六か月ルールというものも私はそろそろ見直していかないかぬのじゃないかなと。いつまでも六か月ルールに甘んじて、いやもう六か月前にやったから心配ないんだとか、そんなことには僕はちょっとなりにくい今の国際環境ではないかなというふうには思うんですけれども、これちょっとそこのところを、私、事前質問のお願いはなかったんですけれども、そこらはどう思いますか、この六か月ルールの改定の問題。
  56. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) ポートステートコントロールというのは、根っこにありますのがSOLAS条約、船の安全設備あるいはMARPOL条約といいまして、船舶の汚染防止機器、そういうものについての寄港国側のチェックということでございまして、要は何をするかというと、具体的には、ちゃんと設備があって、それがワークしているかということを見るものでございまして、一度例えば汚染防止のための油排出防止装置みたいなのをチェックして、そこがちゃんとワークしている場合には、そう、何というか、三か月とか短くしても、要は多分その機器というのは半年ぐらいはちゃんとワークするんだろうということで六か月ルールというのを決めておりますんで、いろんな状況変化はございますが、基本的には機器の機能をチェックするという意味でございますので、それを半分にするとか毎月やるとかというようなことにはならないのではないかというふうに私どもは考えております。
  57. 大江康弘

    大江康弘君 これ万景峰号、これ四月に来る予定なんですかね。来る予定ですよね。何かそんなこと、聞いていますか。
  58. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 私ども正式には聞いておりませんが、新聞報道によれば四月に来る予定だというふうに聞いております。
  59. 大江康弘

    大江康弘君 そのときはしっかりまたやっていただけますね。
  60. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 万景峰号が去年参りましたのは九月でございますので、四月に入りますと六か月以上たちますので、私どもとしては次回の入港に際してはポートステートコントロールを実施するという方向で検討を進めております。
  61. 大江康弘

    大江康弘君 そこでもう一点、このPSCのこの今の体制と含めて、ちょっと深谷長官、戻りますけれども、いわゆる海上保安庁の今定員についてちょっと、長官、お聞きをしたいと思うんですけれども、平成十六年度の、いわゆる今年度の前年度と比較した中でどういうふうに定員が増になるのかどうか、ちょっと現況お聞かせいただけますか。
  62. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) 海上保安庁の定員についてのお尋ねでございますけれども、十六年度の予算におきまして海上保安庁全体で百三十九名の増員ということになっております。このうち、治安対策関係で百十三名の増員を十六年度ということで予算で認めていただいているところでございます。
  63. 大江康弘

    大江康弘君 なぜこの定員のことを聞いたかといいますと、先ほどのことにちょっとまた戻るんですけれども、今PSC官の方も増員もされていくということでありますけれども、海上保安庁として、私は、この人数で果たしてやっていけるのか。それと、聞けば、海上自衛隊のイージス艦一隻の値段が年間の海上保安庁の予算でありますから、これはもう本当に聞けばこれ気の毒だと。  これは、むしろ石原大臣にやっぱりそのことをお願いもせないかぬわけでありますけれども、大臣、ちょっとこれ、私、通告なかったんですが、やはりここらの部分に関していわゆる体制というか、人の面もそうですけれども、海上保安庁のいわゆるそういう予算の面でもなかなか私は十分ではないというふうには思う一人なんですけれども、ここら辺りのこれからの充実に関して、やっぱり大臣としてしっかり対応をしていってもらえますか。
  64. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいまの大江委員の御議論を聞かせていただいておりまして、海上保安庁の業務に対して温かい御理解をちょうだいしているというふうに理解をさせていただいたわけでございますが、そんな中で、業務が拡大する中で現在の定員でどこまで対応できるのか、また四面を海で囲まれておりますこの日本にあって、テロ等々の危険から国民の皆さん方の財産等あるいは港を守っていくような観点を考え合わすと更なる拡充が望まれると、そういう激励と聞かせていただいたわけでございますが、総定員法の問題等々ありますけれども、私も持論として、必要なところには必要な人間を充実していくと、そして要らないところは切っていくと、そういう方針で臨ませていただきたいと考えております。
  65. 大江康弘

    大江康弘君 よろしくお願いしておきます。  それで、ちょっと最後ですけれども、今日、堀内議官、来ていただいておりますが、内閣の方に水際危機管理室ですか、それができたというようなことでありますけれども、これはどういう体制でどういうことを目的として作られたのか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  66. 堀内文隆

    政府参考人堀内文隆君) お答えをいたします。  四面を海に囲まれた我が国におきまして、国際テロ等を未然に防止し、これに適切に対処する上では、航空機、船舶を通じて、人、物が出入りいたします事実上の国境であります国際空港・港湾の適切な管理が極めて重要であるというふうに考えております。こうしたことから、本年一月十六日に内閣官房に水際危機管理チームを、また枢要な空港・港湾に危機管理官を設置したところでございます。  水際危機管理につきまして少し説明いたしますと、水際危機管理チームは、内閣官房併任とします関係中央省庁の課長級の職員及び空港・港湾の危機管理官により構成されておりまして、現地における情報連絡、警戒検査強化についての連携確認、あるいは必要な助言、その他国際空港・港湾における危機管理につきまして必要な業務を行うとともに、水際対策に係る情勢につきまして随時情報交換を行うということをしております。このため、緊急時の連絡網を整備するとともに、定期的な会合を持ったり、あるいは関連する施策の実施状況確認や意見交換等を実施しているところでございます。  また、危機管理官を設置しました枢要な二つの空港及び五つの港湾のほかに、それ以外の国際空港と国際港湾におきましても、危機管理担当官、これを指名いたしまして、現地における必要な業務を行わせることとしているところでございます。
  67. 大江康弘

    大江康弘君 国交省からもこれ五人ほど参加をされているんですね。今日は委員会にも来られておりますが、越智参事官以下五名の方も参加をされておる。そんな中で、やはり今後このチームが非常に担わなければいけない役割というのは、私はやっぱり大きくなってくると。そういう中で、先ほど田村先生の方から審議官の方にもう少しやはり意識をちょっとしっかり持てというような御意見もこれありましたけれども。  やはり、せめてこのチームは、せっかくこれだけ、水際危機管理ですか、このチームというすごくこの、聞けば物すごく頼りになるなというような名前は名前ですよね。だけれども、この陣容見ますと、これ立派な方ばっかりおられます。ですから、やはりここを私はやっぱり充実をしていただきたいということを御要望を申し上げまして、どうかひとつこの法案が本当に我が国の安全と平和にうまくつながっていけるようなそういうやはり法案であっていただきたいことを願いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  68. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本でございます。  海上保安庁、大変いろいろ御苦労でございます。  我が国は、先ほど来話に度々出ておりますけれども、四面が海に囲まれていると、そういう状況の中にあって、我が国の平和と安全と秩序、これを維持していくには海上におけるいろんな監視等々が必要ではないかと。その任務に海上保安庁は当たっていただいておりますが、テロが発生し、あるいはまた不審船、工作船が昨今、日本の近海でいろんなことを行う、大変なときを私は迎えているんではないかと思っております。  そういう上で、今回の法案の基となっているのは、改正SOLAS条約であります。平成十三年九月十一日の米国同時多発テロを契機としてこれが作成されたものだと聞いております。すなわち、同時多発テロで問題となった航空の分野だけでなく、航空分野に比べて相対的に保安対策の後れていた国際海上輸送分野においてもテロを防止するための国際的な取組が必要と、こういうことで、米国を始めとする各国が認識して、海事分野の国際機関であるロンドンのIMOにおいて検討が進められてきたものであります。そして、この改正条約というのは、テロ対策ということもありまして、非常に異例のスピードで審議されまして、テロ発生から一年三か月の後の平成十四年十二月の締約国会議において全会一致によって採択されたと。アメリカやEU等各国も国内法化作業を進めておりますが、この法案我が国において、改正SOLAS条約国内法において担保するものだと聞いておるわけでございます。  そこで、このように、この法案改正SOLAS条約を受けて作成されているもので、条約に基づいて、船舶港湾保安対策については、自己警備として船舶所有者や港湾施設の管理者に保安対策強化を求めると、こういう内容になっているものであります。船舶所有者や港湾施設の管理者にこのような保安対策を義務付けること、このことについては私は異論はございません。しかし、目指しているのは、要はテロの防止であること、このことについてはむしろ国が責任を持って取り組んでいく問題ではないかと、このように考えております。  このような観点から、国自らのテロ対策強化が必要であるというふうに考えておりますが、この点についてどのように取り組んでいるのか、お伺いしたいと思います。
  69. 矢部哲

    政府参考人矢部哲君) 先生指摘のとおり、国自らがテロ防止対策強化していくということは極めて重要であるというふうに認識をしておりまして、これまでも海上におきますテロの発生を防止するために海上保安庁によります原子力発電所等重要施設についての警備強化しているところでございます。  また、国際テロを始めとするいわゆる国際組織犯罪に対処するためには、人、物が出入りいたします国境に相当します国際空港あるいは国際港湾における水際対策というのがやはり一番重要であるというふうに認識をしておりまして、政府は、本年一月から内閣官房が中心となりまして、空港・港湾保安委員会の設置あるいは活用、空港・港湾危機管理官の設置といった体制整備に取り組んできているところでございます。  さらに、今回のこの法律テロ防止という観点からも重要な役割を果たすものと認識をしておりまして、国土交通大臣による保安レベルの設定、あるいは、先ほど来御説明しておりますが、海上保安庁による入港規制を行うということ等を含めまして、国としてもこの法案法律に基づく保安対策を的確に実施していく所存でございます。  国土交通省といたしましても、今御説明を申し上げましたいろいろな取組につきまして、引き続き万全を期していきたいと考えております。
  70. 森本晃司

    ○森本晃司君 港湾局長にお尋ねしたいんですが、我が国港湾の国際競争力、これを高めていくという観点から、一つは港湾におけるリードタイムを短縮するというサービスのレベルアップが非常に必要ではないかと思われるんです。このことに加えまして、今度は保安上の保安水準の高さ、これが求められます。この二つがこれから求められていくことになりますが、一方、出入口で、この法案が成立すると同時にいろんな形でチェックするという形になってきます。物流の効果、物流を妨げることにはならないのか。  物流に関しては時間短縮をしなければならない、しかし一方で入ってくる船のチェックを十分にしなければならない、この二つを今度は課題として港湾局は持つことになったと思うわけでございますが、いかにして双方の両立を図っていくのか。また、これを図っていくには、これから私はいろんなIT技術、こういったことが極めて必要になってくるのではないかと思っておりますが、そういうことに対する取組をお伺いします。
  71. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  ただいま委員指摘のとおり、国際競争力を強化をするという観点から、物流の効率化への影響をいかに最小限に抑えて必要な保安水準を確保するかが非常に重要であると私ども認識をしてございます。  したがいまして、コンテナなどの貨物を港湾の制限区域に搬入するに当たりましてのチェックにつきましても、通常業務に組み込んで実施をする等をいたしまして、貨物の流れを遅延させないようにすることが必要であると考えているところでございまして、港湾施設の管理者や利用者の協力を得まして、合理的な保安対策が、保安措置が実施されるように努めてまいりたいというふうに考えてございます。  また、委員指摘のとおり、私どもも情報技術の活用が港湾物流の効率化とともに保安水準を向上させる上でも有効であるというふうに認識をしてございます。このため、官民一体となって関係部局とともに現在取り組んでおります電子タグなどを利用したコンテナの管理・輸送システム、そういったものの検討や港湾物流情報プラットホームの構築など、情報技術を活用した物流セキュリティーの強化及びこれに連動した物流効率化の実現に取り組んでまいりたいと、かよう考えてございます。
  72. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、この法案による監督措置についてお伺いしたいと思います。  船舶については、これまで入港後、港でいわゆるポートステートコントロールを行って船舶の構造や施設に関する安全性について監督を行ってきたと、このように聞いております。今度の法案では、我が国を目標とする国際テロへの対応という観点から、入港する前に海上で監督措置をするということになっています。すなわち、船舶事前入港通知をさせ、必要に応じて海上保安庁立入検査を行い、最終的には入港禁止等措置を講じることとしておりますが、一方、我が国入港する外国船舶の数は年間で十万そうを上回ると、このように聞いております。これらを全部海上事前にチェックをするということになりますと大変なことであります。  今、海上保安庁の方々がいろんな任に当たってくださっていることを、私は見学させていただいたり、あるいはいろんな御意見を伺ってきたわけでございますけれども、今度のこの任務が加わると、私は、果たして今の海上保安庁の人数やあるいは装備やあるいは組織、体制、こういったこと、もちろん人数の増員が必要でございますけれども、その体制が早急に必要になってくるんではないかと、このように考えておりますが、海上保安庁、この法律が通ると、実際そうは言ってもいろいろと人数は限られているという中で御苦労いただいていると思うんですが、率直に必要なものは必要だとこの委員会の場で強くおっしゃっていただく方がいいんじゃないかと思いますが、どうぞ。
  73. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) 御指摘大変ありがとうございます。  今御審議いただいておりますこの法律案が成立いたしますと、七月に施行をされまして、今、委員指摘のように、事前通報に基づいたいろんな対応を当庁としても求められてくるわけでございます。  したがいまして、海上保安庁におきましては、今、先生指摘のような多数の入港船舶、その中から今回の法案が目的といたします港湾施設などへの危険を生じさせるおそれのある船舶、これをどう的確に把握していくかということが一つの課題でございますけれども、この点につきましてはアメリカ等で既に手法も整理されておりますが、そういったことも参考にしながら、効率的で合理的なチェック手法といいますか審査手法、これを考えたいというふうに考えておりまして、実際にそれを実施していく体制でございますけれども、これにつきましては、本庁それから管区海上保安本部、これに情報調査室などを置きまして、一方で現在あります情報処理システム、これにつきましても改修をいたしまして、情報収集分析体制、これを強化をしたいというふうに思っております。  事前入港通報を実際受けますことになります管区海上、それで審査することになります管区海上保安本部あるいは海上保安部署、これにつきましても十六年度で三十九名の増員を今図る予定にいたしておりますが、加えまして、当庁におきますところのAISの整備、あるいは今申し上げました情報処理システムの改修費を含むそういった必要な予算につきましては今年度予算で既に計上させていただいております。  いずれにいたしましても、海上保安庁におきましては、九・一一のテロ以降、原子力発電所におきます十七基、十三か所の常時警備、あるいは先ほど大江委員から御指摘いただきましたような国境警備のお話、また先ほどお話出ておりますように、水際での対策が必要だというふうなことでの水際対策港湾危機管理官も五大港には五名、当庁の海上保安部長を充てておりますけれども、そういった現在の社会情勢、国際情勢の中で当庁に求められております期待というものも大変ひしひしと感じておるところでございまして、海上保安庁といたしましては、財政状況の厳しい折ですけれども、今後ともこのSOLAS条約改正によりますところの今審議をいただいているこの法案の成立、施行を遺漏のないよう今後とも実施体制確保、これには万全を期すべく努力をしたいと、かように考えております。
  74. 森本晃司

    ○森本晃司君 今、長官がいろんな角度から考えて三十九名の増員ということをおっしゃいました。え、それだけで大丈夫なんかなと思ったのは、この委員の、メンバー全員の気持ちではないかと思いますし、恐らく大臣もそういう体制でいいのかなと苦慮されているかと思っております。我々、果たしてそれだけで日本の国を海上保安庁保安員の皆さんで守っていただけるかということを考えますと、一生懸命もっと増員に応援をしなければならないのかなと、このように思っておりまして、今後も一生懸命長官の応援団として我々は頑張りたいと、このようにも思っております。  一方、人数はそういう形でいけるわけでございますけれども、じゃその日本海上保安庁のやっている、行ってくれている役割の範囲はどれだけということかを調べますと、排他的経済水域を含めますと約四百四十七万平方キロメートル、これは国土の十倍の広さの海域や、それから三万三千九百キロと、アメリカよりも長い海岸線を舞台にしていると。その上、原子力発電などいろんなテロリストからの攻撃を守るために警備したり、不審船あるいは工作船に対応したり、密航あるいは密輸に対応したり、非常に多岐にわたって日本の海を守ってくれているわけでございますけれども、現在、巡視艇は三百六十一そう配備されていると聞きますが、巡視艇一そう当たりどれだけの範囲を守っているのかというと、調べますと約一・二万平方キロ、これは東京、神奈川、埼玉、千葉、一都三県の面積に相当する海域と九十四キロの海岸線を守っているわけでございますけれども、先ほどの人員の増員と、もう一つこの巡視艇の更なる増強を図らない限り、私は、守ることが極めて不可能であり、今回のこの法律は通ったけれども、実際行動ができないということになるのではないかと危惧しておりますが、長官、いかがですか。
  75. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) 先ほども御説明をさせていただきましたけれども、海上保安庁におきましては、御指摘のように昨今様々な期待が寄せられておって、それにこたえていきたいというふうに、こたえていかなければならないというふうに思いを強く致しておるところでございますが、今御指摘巡視船艇あるいは要員、これにつきましても先生今御指摘のような状況でございまして、老朽化してまいります巡視船艇の代替建造、これも当然必要でございますので、そういったことと併せまして巡視船艇の高速、高性能化、あるいは装備につきましても武器等の装備についての高機能化、これも図っていかなければならないというふうに考えておりまして、今御指摘のように、私どもといたしましては、四面を海に囲まれた我が国におきまして、海上におけるいろんな諸活動、経済活動、社会活動ございます、そういった諸活動が安全で安心してできるようなことでなければいけないし、我々としてはそういった環境を国民の皆様に提供していく責務があるだろうという思いを強く致しておりまして、そういう思いを踏まえまして、先生のまた今いただきました温かい御指摘と受け止めておりますけれども、今後ともその巡視船艇の整備、それから定員の確保、これに全力を傾けていきたいと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
  76. 森本晃司

    ○森本晃司君 あとは、内閣官房内閣審議官もお見えいただいているわけでございますが、時間が参りました。  最後に大臣に、今私の前からもいろいろ議論がございましたけれども、こういった状況の中で、平成十四年というのはイエメン沖でタンカーが爆発している、爆破事件があった。それから、インドネシアのバリ島で爆破事件があった。つい先日にはスペインで鉄道爆破テロがあった。九・一一以降、非常にこういったことも多く増えておりますし、その上に尖閣諸島への中国人活動家の上陸の問題等々がございました。この中で、海上保安庁、頑張っていただいているわけでございますが、我が国国民の安全と、そして国の、国民に安心を与える上にもこれからも大事な大事な役割だと思いますが、大臣の決意をお伺いさせていただいて、終えさせていただきます。
  77. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 森本委員が冒頭、テロ対策であるならば国自身の責任によってもっと強化しろと、力強い御意見の開陳があったと思います。  やはり、テロに対しては毅然たる態度で臨んでいかなければなりませんし、今御審議をいただいております法案国際航海船舶港湾施設保安の確保、あるいは入港規制等々を着実に実施することによって水際対策というものを強化していかなければならないということは申すまでもございませんけれども、海上保安庁は海の警察官でございますので、海上の治安確保につきまして、委員のお話を聞きましたら一都三県の海域よりも広くて、九十四キロの海岸線を老朽化した、あるいは装甲も厚くない巡視船警備しているということを考え併せますと、この近代化、高度化ということも急務であると肝に銘じて頑張っていきたい、このように考えております。
  78. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  79. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  ただいま議題となりましたこの法律案は、改正SOLAS条約によって多国間の対応による海事分野の保安強化、それを図るものと言われています。今日、時間も限られていますので、私は、港湾における貨物の保安対策と安全対策について、とりわけ海上コンテナの貨物への対応について質問したいと思います。  調査室が作成されました資料がございますけれども、この五十ページに絵で示されていますけれども、港湾施設保安措置の例という図がございます。ここに幾つかの措置が出ていますけれども、貨物の取扱管理、これについてお聞きしたいと思いますが、レベル1は貨物の受入れ確認、そして外観の確認。レベルツーは更にそれを徹底すると。レベルスリーは一層の徹底と積込み、陸揚げの一時停止などが例示されていますね。  港湾管理者やバースの管理者が行う港湾施設での保安対策として、この貨物の取扱管理とは具体的にどのような措置を行うのでしょうか、伺います。
  80. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  港湾施設での保安対策における貨物の取扱管理のための具体的な措置についてのお尋ねでございますが、まず国際航海船舶に積み込む貨物につきまして、まず最初港湾施設の出入口のゲートにおきまして、港湾施設内に不正な持込みがないように貨物の送付状との照合によりまして、同一の貨物であるかどうかを確認をいたします。さらに、外観上異状がないかどうかのチェックなども行うことにしております。  次に、港湾施設内に貨物を受け入れた後におきましては、ヤード内に蔵置されている間に爆発物等を不正に紛れ込ませることがないように、その当該貨物への人が不正に接近することのないように監視を行うことにしております。  さらに、その貨物を国際航海船舶に積み込む際におきましても、外観の異状についてのチェックなどを行うことにしてございます。
  81. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 このたび港湾管理者、そしてまたバースの管理者が貨物の取扱管理の義務付け、このことが行う、この法律によって初めて導入される措置だと思いますけれども、港湾管理者は貨物の管理に関する、今言われましたけれども、いろんな爆発物の問題などを含めて保安上の知識、経験、ノウハウを持っているのでしょうか。本当に適切に保安規程を策定することが可能なのでしょうか。
  82. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  港湾管理者は、自ら管理する公共岸壁におきまして保安措置の実施主体として、実際に作業を行う港湾運送事業者などとの連携によりまして貨物の取扱管理等の具体的な措置を講ずることになります。これらの措置につきましては、港湾の管理行為の一環として行われるものでありまして、従来から港湾管理者一定のノウハウを有しておったわけでありますが、さらに、港湾管理者におきましては、これまで累次にわたる私どもから保安対策の考え方についての説明の聴取、あるいは埠頭保安管理者の育成のための研修等を通じまして必要なノウハウを蓄積してきているというふうに私ども認識をしてございます。  また、今後行われることになります国による保安評価、これや具体的な保安対策についての港湾運送事業者等との調整を進めていく過程で更に保安上のノウハウを高め、港湾管理者は適切に保安規程を策定することができるものというふうに考えております。
  83. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 港湾関係者とそれぞれ港湾管理者、本当に広い港湾という、私は独立国というような表現をしたいと思うんですが、そういうすごいところで仕事をしているすべての人たちが連携をして、保安対策、安全対策というのはやらないといけないと思うんです。ただ、一部をやったって、これは私は安全対策保安対策もできないという私は考え方なんですが。  そこで、連携をしてという中で、港湾管理者、そして貨物の取扱いのバースの管理者、本当にそれぞれ責任者いるわけですけれども、そういう中にはやはり第三者機関の人たちもたくさんいるわけですよね、検数とか検定だとか。そういう人を含めて連携をしてこの安全対策を図っていくという考え方をされているということでしょうか。
  84. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 今、委員指摘のとおり、それぞれの港湾あるいは施設におきまして関係する方々が連携をしてそういうことに当たるということで、それぞれの地元におきましてそういった組織体も作られて、日々そういったことに対していろいろと検討しながら保安対策を万全を期していくということで進めているというふうに考えてございます。
  85. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 非常に複雑な港湾の中で、本当に関係港湾の人たちが連携をしてこの体制を作らない限り、私は保安も安全も確保できないということを申し上げたいと思うんです。  今までも本当に港湾ではいろんな、特にコンテナの問題について事故というんですか、発生をしていますね。港湾施設で取扱いがされて、そしてこのコンテナというのは公の施設である道路に移動していくわけですけれども、私はいろんな事故の内容を見てびっくりしたんですが、荷役を、作業をしているときに、クレーンでつり上げたときにコンテナの強度以上の貨物が積み込まれていたために底の板が外れたとか抜けたとかいう事故ですね。また、古紙と偽って危険な医療廃棄物をフィリピンに違法輸出した事件もありました。そして、PCBに汚染されていたアメリカ軍の廃棄機械が入ったコンテナが何のチェックも受けずに横浜港から積み出されて、アメリカでもカナダでも陸揚げを拒否されたという、そして再び日本に戻された事件もありましたね。私たちの地元の神戸港では、多数の労働者が港湾作業に従事しているバースにモノクロロ酢酸というんですか、こういう危険物が漏れて、そしてコンテナが二か月も放置されたという大変な事件もありました。  今回の改正によって、港湾施設保安対策に初期投機だけで四百十五億円、毎年の維持管理も掛かると思うんですが、この今回の港湾施設での保安対策は、コンテナに積み込まれた、こういう今例を挙げました危険物による事故の防止にどのようにこの保安が効果的に貢献できるんでしょうか。
  86. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) 今回の保安措置における貨物の管理におきましては、他の場所で既に一度内容物のチェックを受けまして封印をされたコンテナを、港湾施設の中で改めて開いてそのチェックをするということまでは求めていないわけでございます。  しかし、今、委員指摘の危険物を積み込んだコンテナにつきましても、外観の異状のチェックやコンテナターミナルに蔵置された危険物の管理等の保安上の措置を行うということになりますので、コンテナに積み込まれた危険物による事故の防止の面でも一定の効果はあるのではないかというふうに考えてございます。
  87. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 一定の効果ということに表現されましたけれども、本当に危険な状況が、今言葉で表しましたけれども、これだけでも、こういう今の状況が危険だという中で本当に効果が私は安全面であるのかどうか、非常に疑問に感じています。  今言われましたように、封印されたものをチェックするものではないという今度の法案ですけれども、だけれども、そういう状況の中で安全が本当に守られるのかという点でもお聞きしたいと思うんですが、今言われたように、いったん封印されたら、荷主から荷主への一貫輸送が定着している関係がありますから、だから税関か捜査機関でもなければこれは開封できないというものだと思うんですね。だから、港湾管理者も運送事業者も何が起きても開けられないようになっているのが今の海上コンテナの特殊性だと思うんですね。だから、したがって、その安全対策も特別の対策が求められなかったら私はやはり大変だなと思うんですね。  だから、この海上コンテナ事故の安全対策では、ちょうど今から三年前になりますか、二〇〇一年の九月に省庁連絡会議を立ち上げたと聞いています。検討と対策を進めてきたと聞いているんですが、それから二年半たちました。国土交通省の担当の皆さんは非常に努力をしていただいているということもお聞きしていますけれども、この問題の重要性に対する関係省庁、それで関係部局の問題意識はどのようになっているのでしょうか。共通認識になっているのかどうか、この間どういう対策がどこまで前進したのか、御説明いただけますか。
  88. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 国際海上コンテナの陸上輸送、先ほど先生おっしゃいましたように、貨物の品名ですとか重量なんかが分かりにくい、分からないということ、あるいは積付け状況が分からないということで、そういう、伝達されにくいということから、荷崩れの横転事故とか、それから火災時には適切な対処がなかなか難しいとか、そういう問題がございまして、そういうことについての共通認識を持つべくいろいろ対策をやっているところです。  それで、この問題自体は、コンテナの荷主、船社あるいは海貨事業者などの関係事業者が非常に多いということと、それから複合輸送の特徴としまして、輸出入とか危険品の規制に係る関係法令とか、関係省庁の多岐にわたることから、これで関係省庁間の情報の交換と認識を共有を図るということで、それでトラック事業者を所管する国土交通省が事務局となって平成十三年の九月から五回、これまで五回開催してやっております。  その間、やはりトラック、コンテナ貨物情報が荷主側からトラック事業者に円滑に伝達されるようにするためにはどうするのかということを中心に関係事業者の認識は深まっているものと思っておりますが、具体的には全日本トラック協会から関係団体に貨物情報の開示に関する要請、これに対して我々も同じような要請をするとか、それから具体的な港湾等における情報伝達のためのシステムがいろいろ開発されておりますけれども、こういうところについての具体的な検討が、中身はどういうふうに示すんだということ、そういうことでの具体的な取組がやられ掛けているところでございます。
  89. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 まだ対策が見えていないという状況がある中で、今、先ほど私は海上コンテナの積み込まれた危険物による重大事故についての紹介しましたけれども、皆さんのところに資料を配付させていただきましたが、この資料を見ていただきますと、国際海上コンテナの横転事故の発生状況が一覧として示しています。これは皆さんが調査したんじゃなくて、いわゆる全国港湾労働組合が把握した事故だけですから、限られた事故だと思う。だから、それだけでもこれだけの事故があるという数字がだんだんと、年に、年度ごとに増えているということです。  ちょっと数字の、最後の、一ページの下から四行目に一九九八年と書いていますが、これは一九九九年の間違いでございますので、また訂正をお願いしたいと思います。  こういう形でコンテナに積み込む貨物の積み方、今言われましたように重心が上になり過ぎたり、左右どちらかに偏っていると輸送中に荷物が動いてしまうと。コンテナ荷物の、今言われました積付けと言うそうですけれども、これがしっかりしていないとここにあるような事故が発生するということになります。  EUやヨーロッパ諸国では、麻薬だとか銃器などの輸入の禁止物質への監視の役割としても有効だということで義務付けされているのが積付け状態証明書というのを発行する公的機関を設置して対応しているということを聞きました。  我が国ではその点はどうなっているのか、また国土交通省はこの積付けの重要性をどう認識していますか。
  90. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 積付け状況につきましては、全日本トラック協会から荷主さんなどに対しましてコンテナの輸送のチェックリスト、こういうものを示しまして、それでコンテナの内容物に係る情報を輸送事業者に積極的に提供するように、こういう形でいろいろ要請しているところでございます。
  91. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 今、積極的に提供するようにということですけれども、やはり荷主の関係、船会社の関係、そのことがきちっとやられていなかったら、今現在やられていないという実態がこういう事故に発生していると思うんですね。私は本当に、海上コンテナの事故は運送業務などの直接に担っているトラック運送事業者や関係労働者にとってどれだけ事故に巻き込まれる可能性が重大だかということ、そしてまた国民の安全という立場からも、これは本当に重要な問題だと思うんですね。  だから、本当に荷主、船会社、そういう問題が含めて、この貨物の重量、そして貨物の積付けの状況、安全にとって不可欠の情報が荷主企業から港湾業者やトラック業者に正確に伝達される仕組みですね、これを作り上げなければいけないと思うんですね。だけれども、日本にはそれがないという実態ですね。  だから、荷主の役割と責任は本当に重要だと思いますが、国土交通省や省庁連絡会が、今会議が開かれている、協議会が開かれているさなかであるようでございますけれども、そういうメンバーの人たちは、ここをどうするかということをしっかりと認識をして進めていただいているのでしょうか。
  92. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) まず、コンテナの中身の問題につきまして、今、港湾管理者の方で、いろいろな港湾の管理を効率化するという目的の中でございますけれども、その物流情報システムの方をいろいろ構築されております。そういうところに、先ほどの我々の連絡会議、あるいはトラック業界の方々も参加しまして、そこで、その中で危険物があると。  今、例えば博多港でありますとか横浜港でそういうふうなのを、情報システムを作るようにやっておりますけれども、そういう中で、危険物がどういうものがあるかとか、そういう情報が入ると、それをトラック事業者もいろんなサイトですとかあるいは携帯電話でも見れるというふうになるという、そういうふうなところの情報システムの活用をするべく、いろんな会議で進めておりまして、それの普及も併せて今後図っていきたいというふうに思っておるところです。
  93. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 博多港の例を挙げられましたけれども、一応何か実験、実証していらっしゃるということですので、本当に全国でこういう事故が発生する中で、連絡会と、またそういう実験を積み重ねながら、今からの方向を出されるんだと思いますから、その方向を出される上で大事な点ですね。ただ、私は今、荷主を信頼しているだけではこの貨物の安全も、私は管理もできないのではないかなという思いをしています。本来、保安対策には、私はもう本当に、道路を走るわけですから、国民の安全というのも掛かっているわけですから、そういう視点でこの施策の基軸を置いていただきたいと思うんですね。  やっぱり、そのためには、今言いました荷主の責任を明確化することが一つだと思います。そして、船会社の責任を明確化することが二つにあると思うんです。それで、三つには港湾地域で検査体制強化ですね。その内容は、やはり今言いました積付け証明を付けさせる義務ですね。それから、重量証明の義務付けですね。危険物の、有害物質の証明というのが要ると思います。そして、検査、検定、鑑定などの公的証明機関による検査体制強化をさせていくと。これらの証明書を運転手が持って輸送することによって運転手は、ああ、こういう荷物は何が入っているようなことが明らかになって、やっぱり気を付けて運転をやられるということになると思うんですね。そういう一貫した体制ですね、物流の、そのことが実験をしているということですけれども、やはり今連絡会が、各省庁でやっていらっしゃるその認識として、こういう方向付けで安全なものを作っていくということを私は要請したいと思いますが、最後に大臣に。  今、いろんなやり取りをさせていただきましたけれども、検討を始めたということは、この間、私は一歩前進だと思っています。だけれども、その成果がなかなかまだ見えない状態で事故が発生しているという実態がございます。本当に国際間を移動する海上コンテナの保安対策強化に踏み出したこの機会に、やはり安全対策の方も思い切って強化するという姿勢が求められているのではないでしょうか。関係労働者の方は、今も言いました荷主の責任を明確にするにはやはり個々の荷主の企業がきちんと対応するようにしないといけないと、そしてその上で海上コンテナの安全輸送法という提言をしていますけれども、そういう制度などを特別に立法化することが必要だということも主張されています。  せっかく踏み出した第一歩を実らせるためにも一刻も早くこの体制、そして法案化することが大切だと思いますが、大臣、今どのような方向性と対策をお持ちでしょうか。
  94. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま大沢委員議論を聞かせていただきまして、荷主さんが海上コンテナからトラックにコンテナを移動したときに、トラックの運転手さんがその荷物が何が入っているか、それによって物の重心等々、あるいは危険物等々によって、その情報をしっかりと把握することによって安全を確保するということはもう正におっしゃるとおりだと思います。  政府委員から答弁もさせていただきましたように、今、社会実験的なことをいろんなところでやらせていただいておりますが、やはり的確な情報というものがトラックの事業者の方に伝達されるということが一番肝要でございますし、海上コンテナ輸送の安全性の向上というものにはこれから、省庁またがる問題もございますけれども、全力で取り組んでいきたいと考えております。
  95. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 委員長、最後に一言。  やはり何度も言いますけれども、海上コンテナ安全輸送法というような特別な立法措置が必要だということが、やはり省庁をまたがっている中での対策としては今求められていると思いますので、この点を特に指摘をいたしまして、質問を終わりたいと思います。  以上です。     ─────────────
  96. 輿石東

    委員長輿石東君) 委員異動について御報告いたします。  本日、木村仁君が委員辞任され、その補欠として柏村武昭君が選任されました。     ─────────────
  97. 輿石東

    委員長輿石東君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国際航海船舶及び国際港湾施設保安確保等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  98. 輿石東

    委員長輿石東君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会