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2004-03-24 第159回国会 参議院 国土交通委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十四日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十八日     辞任         補欠選任      畑野 君枝君     大沢 辰美君  三月二十二日     辞任         補欠選任      富樫 練三君     緒方 靖夫君  三月二十三日     辞任         補欠選任      緒方 靖夫君     富樫 練三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         輿石  東君     理 事                 岩城 光英君                 鈴木 政二君                 池口 修次君                 大江 康弘君                 森本 晃司君     委 員                 沓掛 哲男君                 佐藤 泰三君                 斉藤 滋宣君                 鶴保 庸介君                 藤野 公孝君                 松谷蒼一郎君                 北澤 俊美君                 佐藤 雄平君                 藤井 俊男君                 山下八洲夫君                 弘友 和夫君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   石原 伸晃君    副大臣        国土交通大臣  林  幹雄君        国土交通大臣  佐藤 泰三君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       斉藤 滋宣君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     樋口 修資君        厚生労働大臣官        房審議官     中島 正治君        経済産業大臣官        房審議官     宮本 武史君        国土交通大臣官        房技術審議官   門松  武君        国土交通省総合        政策局長     澤井 英一君        国土交通省国土        計画局長     薦田 隆成君        国土交通省都市        ・地域整備局長  竹歳  誠君        国土交通省河川        局長       清治 真人君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        国土交通省鉄道        局長       丸山  博君        国土交通省自動        車交通局長    峰久 幸義君        国土交通省海事        局長       鷲頭  誠君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君        国土交通省航空        局長       石川 裕己君        海上保安庁長官  深谷 憲一君        環境大臣官房審        議官       小林  光君        環境大臣官房審        議官       小沢 典夫君    参考人        住宅金融公庫総        裁        望月 薫雄君        日本道路公団総        裁        近藤  剛君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十六年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十六年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (国土交通省所管及び住宅金融公庫) ○奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振  興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○東京国際空港における緊急整備事業の円滑な推  進に関する特別措置法案内閣提出衆議院送  付)     ─────────────
  2. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十八日、畑野君枝君が委員辞任され、その補欠として大沢辰美君が選任されました。     ─────────────
  3. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会経済産業大臣官房審議官宮本武史君、国土交通大臣官房技術審議官門松武君、国土交通省総合政策局長澤井英一君、国土交通省国土計画局長薦田隆成君、国土交通省都市地域整備局長竹歳誠君、国土交通省河川局長清治真人君、国土交通省道路局長佐藤信秋君、国土交通省鉄道局長丸山博君、国土交通省自動車交通局長峰久幸義君、国土交通省海事局長鷲頭誠君、国土交通省港湾局長鬼頭平三君、国土交通省航空局長石川裕己君及び環境大臣官房審議官小林光君を、また、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会文部科学大臣官房審議官樋口修資君、厚生労働大臣官房審議官中島正治君、国土交通省総合政策局長澤井英一君、国土交通省都市地域整備局長竹歳誠君、国土交通省海事局長鷲頭誠君、国土交通省航空局長石川裕己君、海上保安庁長官深谷憲一君及び環境大臣官房審議官小沢典夫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会住宅金融公庫総裁望月薫雄君及び日本道路公団総裁近藤剛君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 輿石東

    委員長輿石東君) 去る二十二日、予算委員会から、本日一日間、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、国土交通省所管及び住宅金融公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題とします。  予算概要について政府から説明を聴取いたします。石原国土交通大臣
  8. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 国土交通省関係平成十六年度予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成十六年度一般会計予算に計上いたしました国土交通省関係予算額は、六兆七千四百三十六億円です。  このほか、自動車損害賠償保障事業特別会計道路整備特別会計治水特別会計港湾整備特別会計自動車検査登録特別会計都市開発資金融通特別会計空港整備特別会計及び特定国有財産整備特別会計について、それぞれの所要額を計上しております。  なお、北海道、離島及び奄美に係る公共事業予算については、他省関係予算を含めて、国土交通省予算所要額一括計上を行っております。  次に、財政投融資計画については、当省関係公庫公団等の分として四兆五千百六十一億円を予定しております。  国土交通省におきましては、重点分野予算全体のおよそ七割を配分するとともに、公共投資については、整備水準及び緊急性経済構造改革推進、官と民、国と地方役割分担等観点から、各事業目的成果に踏み込んできめ細かく重点化することにより、厳しい財政状況の中で、選択と集中によるめり張りある予算実現いたしました。  また、昨年十月に閣議決定した社会資本整備重点計画等を踏まえ、横断的な政策目標を設定するとともに、その効率的達成に向け、事業間連携強化政策評価予算への反映等推進しております。  さらに、五年間で一五%の総合コスト縮減率達成を目指し、積算・発注方式改革事業のスピードアップ、ローカルルール推進等を通じ、公共事業の効率的、効果的な実施に全力を挙げて取り組みます。  加えて、国庫補助負担金制度について、地方にできることは地方でを基本に廃止、縮減等を行うとともに、従来の補助金とは全く異なる、市町村自主性裁量性を追求したまちづくり交付金を創設するなど、地方裁量を高める方向での改革に取り組んでまいります。  最後に、特殊法人等について、経営改善、業務の見直しなどの措置を講じます。  次に、政策分野別主要事項につきまして、御説明を申し上げます。  第一の分野は暮らしです。  まず、住宅金融公庫証券化支援事業等による良質な住宅取得等促進により、居住水準向上を図ります。  また、公共交通機関歩行空間等バリアフリー化推進により、バリアフリー社会実現を目指します。  さらに、まちづくり交付金を活用し、地域創意工夫を生かした全国都市再生推進するとともに、電線類地中化推進により、住環境都市生活の質の向上を図ります。  第二の分野は安全です。  頻発する自然災害等に対応するため、防災情報高度化などのソフト施策と併せて、水害、土砂災害、地震及び火災対策を効果的に実施してまいります。  また、交通安全の確保や海上における治安対策強化します。  第三の分野環境です。  クリーンエネルギーの利用や住宅建築物省エネルギー化放置座礁船対策推進し、地球環境自然環境の保全を図ります。また、低公害車等開発普及促進、沿道における大気汚染騒音対策合流式下水道緊急改善等推進により、生活環境水環境改善を図ります。  第四の分野は活力です。  三大都市圏環状道路整備、羽田空港再拡張事業を始めとした大都市圏拠点空港整備及び国際港湾機能強化への重点的な投資により、国際競争力向上等実現します。また、鉄道駅や駅周辺の総合的な整備により、都市交通快適性利便性向上を図ります。  あわせて、幹線交通体系である高規格幹線道路整備新幹線整備推進し、円滑な広域移動実現するとともに、ビジット・ジャパン・キャンペーンなど観光立国実現に向けた施策を強力に推進し、地域活性化や活発な内外・地域間交流促進します。  さらに、海底の天然資源我が国権利が及ぶ大陸棚を画定するため、大陸棚調査推進するとともに、土地の境界や権利関係を示す地籍の調査集中的に推進します。また、建設産業構造改革推進し、建設業再生に向けた環境整備推進します。  国土交通省としては、これらすべての予算を活用し、事業横断的な目標を効率的、効果的に達成してまいる所存です。  引き続きまして、政府関係機関である住宅金融公庫平成十六年度予算概要を御説明いたします。  住宅金融公庫収入支出予算は、収入二兆三千百十三億円、支出二兆三千六十三億円を予定し、住宅三十万戸等について総額四兆九千百三十八億円の貸付契約等を行うことといたしております。  以上をもちまして、国土交通省関係及び住宅金融公庫平成十六年度予算につきましての説明を終わらせていただきます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  9. 輿石東

    委員長輿石東君) 以上で予算説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 藤野公孝

    藤野公孝君 おはようございます。  自由民主党の藤野公孝でございます。よろしくお願いいたします。  ただいま大臣の方から平成十六年度の国土交通関係予算概要について御説明がございましたが、私もこれを、予算を見せていただいて、いろいろな感ずるところ、思うところあったんですが、今日そのうちの二つについてちょっと質問をしてみたいと思うんですが。  一つは、今度の予算について、今の大臣の御説明の中にございましたまちづくり交付金関係で、市町村自主性を高めて、地域の非常に主体性というか、責任でもって地域を作っていくという姿勢が予算の面でも明確に表れた非常に画期的なことだと私は思うわけであります。  それからもう一つは、これは説明の中には余りはっきりは出ていませんでしたが、景観形成推進事業二百億というようなのが入っておりますが、この景観とか美しさとか、この国土を美しくしていく、単に、何といいましょうか、いろいろ公共事業を量的に対応するだけではなくて質を、見た目も含めた質を高めていくというような観点、これも非常に新しい芽だと思うわけでございますが。  実は、このルーツがどこにあるんだと思いましていろいろ私なりに考えてみましたけれども、ちょうど六年前、平成十年の三月三十一日に年度内ぎりぎりに成立いたしました、閣議決定いたしました第五次全国総合開発計画におきまして、実はその大きな方向転換公共事業在り方等に対する国づくり方向転換がなされた、かじ切りがなされた。しかし、大きな船でございますので、なかなか実現というか、その具体的な方向を定めるには今まで六年間掛かったのかな、こんな感慨を持ちながら今回の予算、やっと具体的な形で法律予算、こういうところでこの精神、第五全総の精神実現されてきたのかなと、こう感じて、感慨深いものがあるわけでございますけれども。  それまでの全国総合開発計画、御承知のように、均衡ある国土発展ということで昭和三十七年の第一次といいますか、総合開発計画から第四次まで、昭和六十二年でございますが、ずっと国土の均衡ある発展、実はこれは非常に今でもノスタルジアというか、この委員会でも御意見いろいろ出ておりまして、何で均衡ある発展を目指すことがいけないんだと、今地方は大変疲弊しているんではないか。そういうふうな声もあるわけでございますけれども、閣議決定をよく読みますと、趣旨としては、地域活性化するためにいろいろ均衡ある国土発展ということでやってきたんだけれども、結果として、その意図とは違う方向で、東京への一極集中がどんどん進んでいったと。で、もうこの一極集中の延長線上に二十一世紀日本の未来はいい姿が描けないということで、本当に断腸の思いでこの旗をもう下ろさざるを得ない、新しい理念の下に二十一世紀国土デザインをやっていこうということでかじ切りがなされた。  そのときも大変反論、異論がありました。新しいこのスローガンであります地域自立促進と美しい国土発展という新しいスローガンに対して、何だと、こんな文学的というか少女趣味っぽい、特に美しい国土創造なんというのは相当、これは何だ、笑わせるなというふうな意見も当時ありましたよ。やっと今、その笑わせるなと言われた感じが、そうではなくて、本当に中身のあるこれはスローガンということで認知され、具体的な法律予算に実を結ぶ、結実してきた。こういう今時期になっているんだなと思って、本当にこの芽を更に大きく伸ばしていただきたいと、こんな思いであるわけでございますけれども、今申しましたように、大きな船のかじを、面かじを切るわけですから、そうそう簡単には船は方向転換できない。  これまでのその六年間の国土交通省、旧建設省、運輸省の時代含めていろいろ御苦労もあったかと思うんですけれども、その辺の今日までの取組についてお伺いいたします。
  11. 斉藤滋宣

    大臣政務官斉藤滋宣君) おはようございます。  今、藤野委員からるるお話がありましたけれども、当計画を立てたときの担当審議官でございますから、当時の状況から、思い出、そしてそれに懸ける思いというものが今ひしひしと伝わってきたわけでありますけれども、何か私が答弁に立つのは釈迦に説法的で大変失礼でございますけれども、お答えさせていただきたいと思います。  当計画につきましては、二十一世紀国土グランドデザインでは、地域特性を生かした地域自立、美しい国土形成をいち早く目標として掲げてまいりました。この目標実現に向け、地域自らが知恵と創意工夫の発揮により自立的な地域作りに取り組めるよう、推進連絡会議などを開くなどして関係府省庁の連携の下、これを支援しているところであります。  国土交通省といたしましても、地方戦略会議を開催を通じながら、国と地方対話型行政推進、さらには地域活性化促進するためのインフラ整備市町村自主性裁量性を尊重したまちづくり交付金などの創設によりまして、個性を生かした地域自立促進に努めているところであります。  また、先ほどもお話ありましたけれども、美しい国土創造観点からは、景観緑法等、良好な景観形成に向けた取組をこれからも推進してまいりたいと思っております。  以上であります。
  12. 藤野公孝

    藤野公孝君 ありがとうございます。  なかなかこの面かじを切って国全体の公共事業社会資本整備在り方を変えていくというのはなかなか大変なことでございますけれども、引き続きそのしっかりとしたかじ取りをやっていただきたいと思うんですけれども。  今、後半、後段の方でお答えのございました美しい国づくりということに関しまして、私も実は、ここまで皆さん内部で勉強されていたのかなという資料を実は読ませていただいておるのが、今ここに手に持っております美しい国づくり政策大綱というのが去年の七月に国土交通省という名前で、決して私的な何か文書ではなくて、省としてこういう美しい国づくり政策大綱先ほど六年前に美しい国土創造と言ったら笑われました。それが今こういう、本当に本家本元でこういうものをまとめられたということは、これはもう本望といいましょうか、実際この方向でみんな必死になってやらなくちゃいけないという気持ちが伝わるわけでありますが、ちょっと御紹介しますと、この前文になぜこういうことをやるかというその決意といいますか、若干ここに書いてあるので御紹介しますが、国土交通省、私たちは、社会資本整備目的でなく手段であることをはっきり認識していたか、量的充足を追求する余り、質の面でおろそかになった部分がなかったか、等々率直に自らを省みる必要がある。この国を魅力ある国にするために、まず自ら襟を正し、官民挙げての取組のきっかけを作るように努力すべきだと認識していると。この国土を国民一人一人の遺産として、我が国の美しい自然との調和を図りつつ整備をし、次の世代に引き継ぐという理念の下に、行政方向を美しい国づくりに向けて大きくかじを切ることとしたというふうなこともここに書いてございまして、私も全くそのとおりだと思うんですが。  一応今のようなことで、ここに決意の表明がされているわけではございますけれども、これは結論でございまして、これここに至るまでにいろいろ御苦労なり内部議論なり、本当に大きなかじ取り方向転換でございますので、その辺につきましてひとつ御説明をいただけたらと思います。
  13. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 背景に、まず社会資本整備重点計画策定ということがベースに我々はあると思っています。  御承知のとおり、成果主義あるいは事業連携ということを基本とする社会資本整備重点計画、昨年十月に策定されました。その策定に至る流れを一つの核といたしまして、国土交通省では、例えば構想段階から住民参加促進する、あるいは公共事業コスト構造改革を進める、今後の技術開発在り方を展望するなど、その行政全体にわたる横断的な課題についていろんな議論を重ねてきております。  その課題一つが、御指摘の美しい国づくりであります。全国的な状況でも、公共団体、近年景観に関する独自の条例の制定も相当増加しておりまして、そうした条例も踏まえまして、様々な取組が進められております。  私どもでは、昨年一月から省内で本格的な検討を開始いたしまして、例えば電線類あるいは無秩序な看板などで形成されます悪い景観をいかに改善するか。一方で、歴史的町並みあるいは美しい自然景観など、優れた景観を保全すること。さらに、全体としては水あるいは緑による潤いのある景観を作り出すことなどにつきまして議論を重ね、ただいま仰せのとおり、昨年七月に美しい国づくり政策大綱としてまとめたものでございます。  この良好な景観は、観光振興にも大変重要でございますので、この政策大綱主要施策が昨年七月に決定されました観光立国行動計画の一地域観光の中にも特に位置付けをされております。  さらに、今国会には、先ほど政務官仰せのとおり、関連予算と併せまして政策大綱に盛り込まれた景観緑三法を提出しているところでございます。
  14. 藤野公孝

    藤野公孝君 今お答えの中にもありましたように、いろいろこの美しい国づくりということを具体的に進めますと、これは単にそのことだけではなくて、今大きな政策の柱になっております観光立国推進にも大きなこれは推進力になっていくと、当然のことでございます。  五全総を取りまとめるときにもいろいろ御議論あって、この日本の二十一世紀一つのイメージとしてガーデンアイランド、庭園の島といったようなことでやってきて、それによって日本の自然、文化といったものを外国人にも見てもらおうというようなことも議論をされたことを思い出しますけれども、観光立国というときに、ただ呼んでくるという、国の光を見せるというのではなくて、国の光を示すという、住んでいる人たち、その地域住民が一体となってその地域の光を示していくということが観光立国の本当の意義だということで、住んでよし、訪れてよしの地域づくり国づくりということで、今御案内ありました観光立国推進懇談会といいましょうか、そういうものからずっと今まで政府が一丸となって取り組んでこられていると思うんですが、しかし、幾ら政府が働き掛けても、やはり今申しますように、地域がしっかりとこれにこたえていって自らの光を示すという努力をしないと、何かこう政府が頼って、頼っているというか、自分たちで動かなければ新しい動きはそこで止まってしまうと私は思うんですけれども、この市町村を中核として地元の参加連携といったことが一番大きなポイントになるし、一番難しいことだと思っておるわけでございますけれども、これに対して、ただやれやれと言うだけじゃなくて、具体的にどういうようなことをこれまでなさってきたか、また今後なさろうとしておられるかということにつきまして、ひとつ方針をお示しいただきたいと思います。
  15. 鶴保庸介

    大臣政務官鶴保庸介君) 委員指摘のとおり、観光の本質には正にその住んでいらっしゃる地域方々の光を見るということでございます。その地域方々が自らの地域を再発見し、その地域に誇りを持つことが何より大切であると認識をしておるところであります。  こうした観点から、御指摘のとおり、国土交通省といたしましても、その地域活動を検証し、そしてそれをPRしていくことを積極的にやっていこうということで、平成十六年度から観光プラスワン大作戦、あるいは平成十五年度からは観光交流空間づくりモデル事業といったような事業展開をさせていただいております。観光カリスマを各地域で選定し、その観光カリスマ方々観光を通じて地域観光振興に成功された体験などをPRし、そしてそれをまた地域観光事業の成功に結び付けていくというようなことも、今策定を鋭意継続事業としてさせていただいておるところであります。  今後とも、これらの施策を通じて、地域取組支援して、全力支援をしてまいる所存でございます。
  16. 藤野公孝

    藤野公孝君 具体的に少し地域取組について検証してみたいんですけれども、去年の七夕、七月七日に能登空港が開港いたしました。私も、別に能登のあちらの出身ではありませんけれども、記念式典に参加するチャンスを得まして行ってまいりましたけれども、大変な地域の意気込みではございました。地方空港のありようについては様々な批判もこれあり、私も重大な関心を持ってその後見ておるわけでございますけれども、現在までのところのこの能登空港の利用状況につきまして、最新のデータ等ございましたら、お答え願いたいと思います。
  17. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 昨年七月に開港いたしました能登空港でございますが、御案内のとおり、現在羽田と能登の間にエアーニッポンが一日二便就航しております。  開港から二月までの間で八か月たったわけでございますが、この八か月間の搭乗実績を見ますと、地元を挙げた取組成果もありまして、これまで順調に推移をしてきております。旅客数がこの八か月間で延べ約十万人、平均搭乗率は約八三%という高い水準を示しております。  このような好成績を踏まえまして、実はエアーニッポンではこの四月から二便とも機材を現在のボーイング737―500、百二十六席のものから、ボーイング737―400、座席数百七十席というふうに機材を大型化するというふうに聞いております。
  18. 藤野公孝

    藤野公孝君 今のところ、大変好調のようで安堵しておるわけでございますけれども、この能登地域というのはこれまでなかなかいい資源、観光資源やいい文化が残っていると言われながらも、非常にアクセスが不便であり、東京、首都圏あるいは近畿圏辺りからのいま一つ訪れる人が少なかったという状況の中で、今言われますように、エアラインも機材を大きくしようといったような状況にあるということを聞きまして、安堵すると同時に頑張れという気持ちであるんですが、ここに至るまでに地元の取組も相当なものがあったように私は思っております。  大体、今まで旅館でも自分のところへ囲い込んで自分の旅館が発展することを主眼にやっておったのが、だんだん地域がしっかりして連携してやっていかないと、もうその旅館そのものの存在も危ないということで、旅館から外へ出ていくという形で、有名旅館も含めてもう地域全体を活性化していこうというようなことのそのつながりと空港の開港とをうまく結び付けて、県の指導等もあり、今こういう形になっているという認識を私は持っておるわけでございます。  どうも能登再生のこれはラストチャンスであると、そのときの開港のときのあいさつで谷本知事も言われましたけれども、もうラストチャンスというむしろ悲壮感を持って、みんなが一丸となって取り組むというような姿勢がまだ崩れていないというか、なお一層そういう形で進んでいるのかと思いますが、しかし能登の観光資源、魅力だけで能登の永続的な、持続的な、私は発展はなかなか言うは易くして難しいんじゃなかろうかと思うわけですが、やはり他の金沢とかあるいは加賀温泉郷とか、あの小松空港を含めた一つのルート、新しいルートの形成といいますか、そういうところまで、あるいは富山の、広がっていかないと、能登のこの地域の永続的、持続的な発展もおぼつかないのではないかと思うわけでありますけれども、こういうことに対して、それは地元のやることだ、あるいは観光業者のやることだということで済むのかなという気持ちもいたします。  何かお手伝いを、ここの振興の観点からの行政サイドのサポートというのもあってしかるべきかなと思うわけでありますが、この点についてお伺いいたします。
  19. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 能登地域におきましては、空港開港の立ち上がりの好調をこれからも継続していこう、特にその効果を広域的に波及さしていこう、逆に他地域との連携も深めていこうという観点から、様々な取組が行われております。  一、二例を申し上げますと、漆器作りとか酒造りなど地域固有の資源の魅力を見直す活動でありますところの能登学事始め、あるいは能登ブランドの確立を目指したNPOによります能登産品とか町並みの認証という仕組み、あるいは地元の民話を語る「かたりすと」、これは平仮名で「かたりすと」ということなんですが、という人材を養成するなどの取組を進めています。  また、県や航空会社におきましても、空港開港の効果を広域的に波及させる観点から、冬場の能登、金沢、加賀、広域観光キャンペーン、あるいは、羽田から能登の空港に降りまして広域的な周遊をした上で小松から羽田に帰るという経路で使えるような割引サービスなどの取組も行っております。  国土交通省では、こうした能登地域の広域的な取組観光交流空間モデル事業一つとして選定いたしまして、こうした地域のいろんな活動に対する支援はもとより、能登と他地域のアクセス改善のための道路整備などについても支援を行っているところであります。
  20. 藤野公孝

    藤野公孝君 ありがとうございます。  地域取組ということで、もう一つお伺いしたい地点がございます。  ちょうど一年後、今日からですか、愛知万博が開催されます。この愛・地球博、愛知万博の前売り券の発売状況も好調だというふうに聞いておりますけれども、この六か月の期間中、まあこれ、あくまでも見込みではございますけれども、どのような数字を持っておられるか、特にその中で、また外国人の来訪客をどのように見ておられるか、お伺いします。
  21. 宮本武史

    政府参考人宮本武史君) 愛・地球博についてのお尋ねでございますが、目標入場者数というものを私どもは会期中千五百万人を見通しております。それから、そのうち海外からのお客様ということにつきましては、全体の約一割、百五十万人を見込んでおります。  以上でございます。
  22. 藤野公孝

    藤野公孝君 この愛知万博につきましても、今のお答えですと、あくまでも見込みというか期待値でしょうけれども、百五十万人の外国の方を期待している、想定しているということでございます。これも、ただあの会場に、愛知万博の会場に百五十万人来てそのまま中部国際空港からまた帰っていくというだけでは、本当にこれ、もったいない話だと思うわけでありますし、二〇一〇年の一千万人、テンミリオンといいますか、倍増計画から見ても一つの弾みを付ける大きなこの万博はチャンスだと私は思うわけですけれども、そのためにも、この大勢の百五十万人、外国人を、ただその地域だけではなくて、いろいろそこから日本のいろんな姿を見てほしいということで、地域地域が、誘致といいましょうか、そういうようなものをやる絶好のチャンスであるように思うわけでございますけれども、その利用、今回の万博を利用した外国人誘致のための各地域での取組といったものについてお伺いいたします。
  23. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 全体一千五百万、特に外国の方は百五十万、これは年間五百万という全体の数字の中での大変大きなものだと思っております。  私どもでは、この外国の方はもとより、もちろん国内の方につきましても交流を深めていただくということで、いろんな活動を進めていきたいと思っております。  まず、具体的に入っている予定としては、今年の四月十六日からナゴヤドームで旅行博、旅フェア二〇〇四というものが開催されますけれども、その中で、ビジット・ジャパン・キャンペーンの実施本部と、それから博覧会協会、さらに中部国際空港会社と連携いたしまして、日本観光の魅力をPRいたします。この中で、訪日観光ツアー造成のための外国のエージェントとの商談会なども予定していますし、また旅行博には全国から各地の出展がありますので、万博に来場した外国人観光客の全国各地への誘客も期待できると思います。  あわせて、例えば万博の期間中、近くでアジア初の世界ボート選手権というようなものも行われますし、また愛知県を中心として、産業観光ということで町おこしをしていこう、あるいは万博を契機として本当に少し減り掛けた交流人口を増やしていこうという、いろんな取組もされております。  そういった取組についても様々な努力、工夫をいたしまして、国内のお客様、国外のお客様が万博の周辺地域、さらには全国に様々に訪れていただくような努力をしたいと思っております。
  24. 藤野公孝

    藤野公孝君 どうもありがとうございます。  これからも地域発展というか、本当に地域が、それぞれが主体的に取り組んでいかなければいけないという気がするわけであります。  質問、あと時間ももう少なくなってまいりましたけれども、港湾の整備についてお伺いしたいと思うんですけれども。  今度の予算を見せていただいて、いわゆる選択と集中というか、めり張りのある予算という趣旨を、精神を生かして、港湾整備におきましても、その投資にめり張りを付けて、地方港湾の整備を抑えて、国際競争力強化ということで、国際港湾機能強化のための予算は、逆に二・八、対前年二・八%増というようなことで計上なさっておりますけれども、具体的なその機能の、国際競争力から見た機能の向上といったようなものの具体的な内容についてお伺いいたします。
  25. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  港湾におきましては、我が国経済の国際競争力強化をいたしまして、さらに国民生活の向上に資するように、コスト、スピード、安全性、そして信頼性といった様々な面で国際的な水準を確保できる物流体系の構築、これを念頭に整備を進めているところでございます。  具体的に申し上げますと、特定重要港湾を含む重要港湾におきまして、現在、国際海上輸送の分野におきまして主役の座を占めております国際コンテナ物流の一層の効率化を図るとともに、地域の産業競争力を支え、地域経済の再生を促す物流機能を高めるため、国際海上コンテナターミナルや多目的国際ターミナルの整備促進することとしております。  また、その際には、昨今におけます基幹航路に就航する船舶が大変大型化をしてございまして、それへの対応やら、効率的なターミナル運営を可能とするため、十分な広さを持ったヤードを有する大水深のコンテナターミナル、コンテナ岸壁の整備、あるいは大水深航路の整備などに重点を置くようにしてございます。  今後とも、ハード、ソフト一体となった施策の展開を進め、国民生活や地域我が国経済活動を支える国際港湾の機能の強化を通じて我が国国際競争力強化を図っていきたい、かように考えているところでございます。
  26. 藤野公孝

    藤野公孝君 今、局長の御答弁にもありましたように、ハードだけではなくて、ソフトの面も含めて国際競争力向上を図っていきたいと、こういうようなことをおっしゃいますけれども、今アジアの各、シンガポールでありますとか香港でありますとか、釜山でありますとか台湾の高雄でありますとか、本当に国際競争力が抜群のアジアの港湾がどんどん成長、発展を遂げておる中で、日本が相対的に地位が低下してきていると皆さん危惧しておるわけで、これに対して、やはりハードもさることながら、使いやすさ、船会社からとって、あそこを是非拠点にしてやりたいという魅力のある港湾造り、こういうものが今後の一つのかなめになっていくと思うんですけれども。  聞くところによると、スーパー中枢港湾というような形で、そのアジアの今のような港と伍して闘っていける競争力のある港を造るというプロジェクトがもう既に始まっておるように伺っておりますけれども、これまでの状況と今後の、何ですか、いつごろまでに決めるかというふうなことについて、答えられる範囲でお答え願いたいと思いますが。
  27. 鶴保庸介

    大臣政務官鶴保庸介君) スーパー中枢港湾につきましては、港湾コストの約三割の低減、あるいは現行三日から四日掛かっておりますリードタイムの縮減、一日程度への縮減によりまして、アジア諸港等々、競争相手に伍することのできるハード、ソフト面での整備推進するため、スーパー中枢港湾の選定を今急いでおるところでございます。  現在のところ、その候補地は五地域に絞られており、各候補の港湾管理者においては、本年三月末までの提出となっておりますスーパー中枢港湾育成プログラムの内容の精査及び関係者の調整を行っておるところでございまして、その適合性等々の精査におきましては、スーパー中枢港湾選定委員会における議論を踏まえ、できる限り早期に選定の、指定の判断を行うことといたしたいと考えております。
  28. 藤野公孝

    藤野公孝君 もう時間が参りました。最後に大臣に総括的にお伺いしたいんですが、今お聞きのように、空港、港湾を今日取り上げたわけでございますけれども、国家的な視点等についても大きくそれを使命を与えて整備していくということではございますが、一方、地域におきましては、そういう空港や港湾によってその地域を浮上させていく、活性化させていくという熱い熱い期待があるわけでございます。いろいろ公共事業に対するいろんな批判もある中ではございますけれども、こういう地域にある熱い期待を踏まえて今後の交通関係社会資本整備に取り組む大臣の所見をお伺いして、私の質問を終わります。
  29. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 本日、藤野委員がお取り上げになりました能登空港の例、これはもう正に地域活性化に大変役立っているということの例として委員が御指摘をされたんだと思いましたし、またこの質問の前段でお触れになりましたスーパー中枢港、これによりまして国際競争力向上していく、アジアの他の港湾に負けないものを造っていく。いずれも交通関係社会資本整備というものが大変地域あるいは国際競争というものに資する大きいものであるという認識を、改めて委員質疑を聞かせていただいて持たせていただいたところでもございます。  これからこの事業を今後実施するに当たりましては、やはり限られた財政事情の中で選択と集中基本として、費用対便益、ただ費用対便益だけでは計測することができないその地域の社会経済への影響、簡単な言葉で言いますと外部効果というんでしょうか、こういうものを踏まえた事業評価を厳格に実施して、無駄なものを作らないで、真に国民の皆様方、地域の皆様方が必要とするものを、事業を実施してまいりたいと考えております。
  30. 藤野公孝

    藤野公孝君 終わります。ありがとうございました。
  31. 池口修次

    ○池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。  本日は六十分時間をいただきましたので、何点か御質問をさせていただきたいというふうに思いますが、冒頭お聞きしたいのは、道路なり自動車ユーザーの税負担についての大臣のお考えを何点かお聞きをしたいというふうに思っております。今日はたまたま院内テレビの放送がないようでございますので、是非率直な、テレビがないから率直というわけにはいかないんでしょうが、率直なお考えをお聞きをしたいというふうに思っております。  なぜ私がこの問題を冒頭に取り上げたかということを言いますと、もちろん一つは、今国会の争点が年金なり道路公団というふうに言われています。それと、二点目で、これはどうしても言わなきゃいけないのは道路問題、公共事業も含めてですけれども、少し、間違ったイメージとは言えないんですが、ちょっと偏ったイメージが少し宣伝されているというか広がっているんじゃないかというふうに思っていますので、是非それを今日のいろいろ大臣のお考えを聞く中で正しい方向に持っていけたらというふうに思っております。  一つ目の質問でございます。一つ目の質問は、簡単に言いますと国にとって道路とは何なのかということをまずお聞きをしたいというふうに思っております。  最近のイメージですと、やっぱり道路というのは無駄じゃないかというようなことを言われていまして、必ずしもそういうふうに言ったんじゃないんでしょうが、そういうふうな受け止め方をしている人が結構おります。まあちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、ある意味、小泉総理がある意味、道路公団問題を手掛けて道路改革と言ったのが少し違った方向に受け取られているというふうに思っております。  確かに、私もすべての道路が必要かどうかということでいえば、例えば国道と並行して立派な農道ができているというものが無駄な道路もあるでしょうし、テレビで見たんですけれども、どこか北陸の方で二つの橋が架かっておって、一つは有料の橋で一つは無料の橋で、これは所管が違うからそうなったんだというようなものでしたけれども、こういうのもちょっと無駄かなというふうに思っております。  余り揚げ足を取るつもりはないんですけれども、クマしか通らない道があるとしたら、これは無駄な道路だというふうに思っております。ただ、多分クマしか通らない道はないと思って、使う人が少ないということでしょうけれども、ただ、やはり使う人がこれは一人か二人かもしれませんけれども、やっぱりそこに生活している人にとってみれば必要な道路であれば、私は必要な道路というふうに分けるべきではないかなというふうに思っております。  問題は、この日本財政状況の中で、いかに効率よく社会資本整備をしていくのかというところが本当は議論というか、国民の中で議論されるべきなんですが、何となく道路が無駄かどうかというところがちょっとそういう方向に走っているんじゃないかというふうに私自身は感じております。  その点で、まず、その道路というのは私は日本にとって社会資本、重要な社会資本が道路であるというふうに認識をしているんですが、大臣のお考えをまずお聞きをしたいというふうに思っております。
  32. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま池口委員が道路に関する基本的な御意見、お考えになっている道路はどういうものかというお話をされて、私も伺わせていただいておりましたが、私も免許を持っておりますし、自家用車も持っている。七千万人以上の方々が免許を持ち、車を持っている。地方に行かれると一家に二台、車がある。自動車の、旅客輸送のおよそ七割、貨物輸送のおよそ九割がこの自動車というものが担っているということからも、その人や物の移動の道路への依存度というものは高くなることはこれからも予想されますけれども、低くなるということはなかなか予想されない。それだけ国民の日常生活、経済に必要不可欠な社会資本一つであるという認識は正に委員指摘のとおりである、同じ認識を持たせていただいております。  ここに来て、ただ委員が御懸念を示された無駄な道路、これはよく議論になるわけでございますけれども、どこに住んでいるかによりまして、自分の社会環境によりまして何を無駄と思うかというその尺度というものは違うわけでございます。やはりこれまでの、今日、近藤総裁おいででございますけれども、高速道路はややもすればすごくお金を掛けて大変立派なものを造って、車が余り走っていない、これは橋もあると思うんですけれども、そういうものが目に付く結果、委員のその御懸念の現状というものが増勢されてきたのではないかなという気が私もしております。  そして、すべてを、先ほど御同僚の藤野委員とのディスカッションの中でもお話をさせていただいたとおり、すべてを採算性、費用対効果だけでは見れない、社会的な外部効果、委員の御指摘でいうところの、クマの話をされましたけれども、余り車は通らないけれども、拠点病院への到達時間が一時間なのか三十分かによってその死亡率等々も大幅に変わる、あるいは災害が起こったときの代替道路がほかにない、あるいは近くに原発がある、いろんな外部要因、外部効果というものがあると思います。こういうものをできる限り客観的に指標化して、必要であるのか必要でないのか、この指標にのっとって、何が無駄なのかということを国民の皆さん方が共通なコンセンサスを持てば、委員が御懸念されたような議論というものはなくなる。しかし、そういうものがなされてこなかったという現実もまたその一方に私はあるんだと思っております。  そういうことを踏まえて、コストとかの削減や今お話をさせていただいた厳格な評価基準に基づく事業評価をこれからも実施して、国民の皆さん方に必要な道路の整備というものに努めてまいりたい、このように考えております。
  33. 池口修次

    ○池口修次君 ありがとうございました。  大臣が話されましたように、なかなかこの必要性というのは、まあすべての国民がその必要性について共通認識に立つというのは私はなかなか難しいと思いますし、北海道に必ず旅行をするという、北海道と余り地名を出してふさわしくないかもしれませんけれども、多分クマは北海道ですからいいんですが、すべての人が北海道に行くわけじゃないですから、行かない人にとってみれば確かに不必要な道路ということになるかもしれませんけれども、そこの人にとってみれば一番必要な道路かもしれないんで、尺度がやっぱり違うんじゃないかというふうに思っております。  そういう意味で、確かに経済効果なりBバイSというのは非常に難しい、BバイCですか、非常に難しいと思うんで、どういう方法がいいかというのはやっぱりこれからいろいろ検討していかなきゃいけないということで、民主党のことを言うとまたいろいろ言われそうなんですが、民主党はやっぱり全部この日本の中で決めるという、この東京で決めるというのはやっぱりなかなか難しいんじゃないかと。一番分かっているのは地方の人なんで、地方の判断にかなり任した方が、無駄かどうかというような議論東京でやるよりはいいんじゃないかというのが一つでございます。  次に、もう何点かあります、道路の受益者はだれかという点も、これも私はちょっと非常にイメージがそれぞれの人で違っているんじゃないかというように思っております。  特に、道路の受益者はだれかというときに議論されるのは、道路特定財源との絡みで、道路特定財源は何で必要なのかということのときには、いや、これは受益者負担なんですということで言われてきたのが今までです。ただ、私、道路特定財源については後ほども少し、大きさの問題はちょっと後で議論させてもらいますが、現実として、国の道路予算はほとんどが道路特定財源が実は使われております。  私がお聞きしたいのは、やっぱり道路の受益者というのは、私は、必ずしも自動車ユーザー、自動車を持っているユーザーだけなのかなと。高速道路はちょっとまた後でお聞きしますが、一般道でいえば、当然人も歩くでしょうし、あと生活の物資なり、郵政の話がこれからあるかもしれませんけれども、郵便物だって道路を使って運ばれてくるわけですから、道路の受益者はイコール自動車ユーザーだというのは私はちょっと間違っているんじゃないかというふうに思っておりますが、大臣のお考えをちょっとお聞きしたいと思っております。
  34. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 池口委員の言葉じりをとらえるつもりはないんですけれども、物流によって得られる食料品を得るということを考えれば、道路を利用しない近隣に住んでいる方々も受益者でありますけれども、やはり最大の、それは道路が全部細い道であるとかでなくて、今の全般の、道路全体で考えると、最大の受益者はやっぱり直線的な便益を受ける自動車ユーザーということは言えるんじゃないか、広くとらえると委員のおっしゃるとおりだと私も思います。  なぜそうかというと、やっぱり道が良くなればA地点からB地点に達する到達距離が、到達時間というものは短くなりますので、そのメリットを受けるのはその自動車を利用しているユーザーである、こういう単純な理由から、最大の受益者はやっぱり自動車ユーザーなのではないかなと率直に考えております。
  35. 池口修次

    ○池口修次君 私も、自動車ユーザーが道路の最大の受益者であるというのは全くは否定はしません。ただ、今の議論なり、税金若しくは高速道路での通行料ですけれども、この仕組みからいうと、少なくとも国の道路予算はほとんど道路特定財源なんですね。  じゃ、その使い道が何かというと、いろいろな使い道を実はしておりまして、ということを私は申し上げているし、高速道路でいうと、これはかつては税金も少し投入されましたけれども、一〇〇%通行料金ということは、これは一〇〇%ユーザーが負担をしているということで、そうしますと、これは大臣の言い方ですと最大のユーザーなんだから全部あなたたちが負担をしなさいということは、私はちょっとこれは違うんじゃないかというふうに思っておりまして、高速道路についていえば、やっぱり今、例えば東京で新鮮な、朝取った新鮮な野菜がすぐ食べられる、若しくは朝陸揚げされた魚が食べられるというのは何の利益かということになりますと、やっぱり高速道路がこれだけ発達をしているんで都会の人も新鮮なものが食べられるということは、やっぱり私はかなりの受益だというふうに思っているんですよね。  だから、そういう面で、私は全く、ユーザーはほかの人と一緒ですよなんと言うつもりは全くないんです。やっぱりかなりの恩恵で、例えば行楽に行くときに高速道路を使ってかなり時間を短縮できて、その人の活用する時間が増える、これは全くかなりの大きな恩恵だというふうに思っているんですが。  ただ、今も税制に、全体の仕組みからいって少し、自動車ユーザーが最大の受益者であるということを理由に少し負担を負わせ過ぎているんじゃないかというのが私の認識なんですが、大臣はいかがでしょうか。
  36. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 話が高速道路に入ってまいりましたので高速道路の話をさせていただきますと、やっぱり今、委員が御指摘されましたように、新鮮なものを食べることができる、その物流の効率性というんでしょうか、そういうものを考え合わせますと、委員の御指摘のとおり、その利益を受けているのは消費者である以上は、言葉を換えますと、受益を享受する者は広く国民一般である、私もそのとおりだと思います。  委員の御指摘は、やはり自動車取得等々あるいは自動車を運行するにかかわる諸税が担税力があるという名の下に過度になっているんじゃないかという御指摘だと思うんです。私も、やはり地方税、国税合わせて六種類、七種類、油まで入れたらもう少しあるかもしれませんけれども、そういうものはやはり高いんじゃないかという率直な印象を持っております。  そこで、これからきっと御質問があるであろう暫定税率のお話等々も、この担税力があり、かつ自動車が走る道路というものをこれからももう少し整備していかなければならないということで、恒久税率ではなくて暫定的に税率が高まっている。ですから、道路の整備がある程度終わったら、この税率というものは本則に戻るのが税の世界でも常識である。  すると、やはり私がいつも疑問に思いますのは、消費税というこのインダイレクトタックスが入ったときに、実はもう少し本当でしたら税制というものは整理すべきだったと思うんです。自動車に関する税は少し細かく分かれ過ぎていると。そういうものを整理すると、きっと、自動車を持つということに対してはどれだけの税金がどういう形で掛かるのか、こういうことがよりクリアになる。買物としては家の次に高いものが多分車だと思うんですね。そういう大きい買物の中で税が非常に複雑になっているところに、その委員が御指摘のような思いを私も持ちますし、多くの方々が持つという現実があるような気がいたします。
  37. 池口修次

    ○池口修次君 今の、高速道路については今お答えいただきましたんですが、自動車ユーザーの問題について入っておりますので、ユーザーの税負担についてですけれども、この点で言いますと、一口に大体九種類、九兆円、これは消費税も入っておりますので九兆円というのが必ずしも正しい言い方ではないというふうに思いますが、道路特定財源だけでも六兆円程度あると。本を正せば、やっぱりある程度道路整備を早くしなけりゃいけないということが一番の趣旨で、この自動車に関する税金というのがいろいろ作られたんだろうというふうに思っております。  ただ、今の社会、もう一つは自動車というのがある意味高級品の部類にあるときには、自動車を持っている人は担税力ですか、があるということがあったのかなというふうには思っておりますが、今は、大臣もいみじくもおっしゃいましたように、もう七千万台も日本国民は持っているわけですから、ほぼ二人に、最低でも二人に一台は持っているということであれば、私はやっぱり分類から言えば、高級品なり、ぜいたく品ではなくて、生活必需品だというふうに思っておりますし、今言いましたように道路の整備というのもどこまでやるかというのはあるんですが、ただ、現状で言いますと、この道路特定財源、九兆円ということで仮定しますと、国と地方も合わせました税収の約一割ぐらいには達しているというふうに思います。  道路特定財源ということだけを考えてみましても、この比率というのはどんどん高まっておりまして、平成一年ぐらいのときには、国の税収もたくさんあったというのも事実なんですが、多分道路特定財源の占める比率というのは三%か四%だというふうに思っております。現時点は国の税収もどんどん下がっておるということなり、ある意味減税もやられておりますので、今のその四十三兆円の国の税収に対する比率というのは多分六%か七%に高まっているというふうに思っております。  やっぱり、これは何としても、私の考え方で言うと、自動車関係諸税というのはやっぱり支払う人が限られる特別な税金ですから、ある意味、公平なという観点が維持されなきゃいけない。とても今の全体水準なりというものは、私は公平というところからかなり場合によっては外れているんじゃないかということなり、九種類というのは、ある意味自動車を買う段階なりが一種類、自動車を持っているということで一種類、で、自動車を走らせる、走らせるためにはいろいろ環境負荷も増えるというのは事実でしょうから、それに対する税金が一種類とか、やっぱりある意味、もう一回ここで自動車に関する税金というのを整理をして、何のために税金を掛けるかということを是非整理をしていただきたいし、複雑過ぎるのも分かりやすいように、燃料課税であれば、これは例えばですけれども、走らせることによって道路が傷むんですよ、若しくは排気ガスが出るんですよと、だから税金を立てるとか、保有について言えば、ある程度やっぱり車を持っているということで言えば、先ほど言いましたように担税力があるのかもしれませんから、まあ少し出してほしいということになります。やっぱり整理をする時期に来ているんではないかというふうに思っておりますが、先ほどの答弁でも大分含んでいたと思いますが、再度、ちょっと大臣の方からお願いをしたいと思います。
  38. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま池口委員が、買うとき、持つとき、走らせるとき等々と、そういうシンプルに、これに多分間接税が入ってくるんだと思うんですけれども、三つ四つに整理できるんじゃないかという御意見をお持ちでございますが、私も常識的に考えればそのぐらいに整理することが必要なんだと思います。  今、先ほど八つぐらい細かく油まで入れたらあるというお話しましたけれども、国税で見ても揮発油税、石油税、自動車重量税ですか、更に地方税なんかで言いますと取得税とか軽油取引税とかガス税とかありますから、これはやっぱり整理していく方向が税としては私も正しい方向ではないかと思います。また、その方が、八千万人近くの方々が免許を持って七千数百万台の車が走っている社会の中では、利用者、すなわち車を買う人たちにとっても分かりやすい。  その一方で、まだ道路の整備も行っていかなければならないものは大都会でもあります。環状道路を見ましても、東京で見ましても環状道路の整備率が二三、ロンドンを一〇〇として二三%で、お隣の中国の北京を見てまいりましたら、去年の十一月に新しい道ができて八二%になって、その前は五割ぐらいだったんですけれども、本当一年ぐらいでぱっと道ができて八割まで整備される。  そういうことを考え合わせますと、道路整備のための財源負担については、一番の、何というんですか、先ほどお話ししましたヘビーユーザーであるところの自動車を持っている方々の御理解を得て税制というものを組み立てていくということがやっぱりその一方で肝要なのではないか。ただ、それもさっき申しましたように、あるとき必ず整備の到達点というのが参りますから、その後は委員指摘のとおり環境に配慮するためとか、あとは維持補修のためという形になっていくんじゃないかと私も思っております。
  39. 池口修次

    ○池口修次君 幾ら率直といっても、今やりますとかやりませんとかいうのは多分言えないというふうに思いますので、多分、私の意見にかなり御理解をいただいたというふうに勝手に思い込んでいるわけですが、是非、タイミングというのはいつになるかというのは、これは国の財政状況もありますから非常に難しいというふうに思うんですが、是非そんな観点でいろいろ、閣議の場でも機会とかもあるんでしょうから、そういう考えを是非発言をしていただきたいなというのが私の感想でございます。  それともう一つ、この点で道路特定財源の、若しくは話にも出ていた暫定税率の話というのは、既にもう決まった話だということで言えば確かに決まった話なんですが、暫定税率はずっと変わっておりません。ということは、道路特定財源の収入というのは景気変動に関係なく安定した税源ということで確保されております。  一方で、小泉総理が、小泉内閣になって以降、公共事業というのは順次削減をしていくんだという方針の下に、その道路の建設分というのは毎年何%ずつか減っております。そうしますと、収入の方はかなり安定しておって、支出、特に道路の建設ということでいうと、これは内閣の方針ですから国土交通省は不承不承だというふうに思いますが、下げざるを得ない。そうすると、その間は当然空いてくるわけで、それを道路を使っているのか。私から言わせれば、本来はこの税制を下げるということが筋だと思うんですが、実はその間が使途拡大という名目で私は使われているというふうに理解をしております。  使途拡大の理解できる部分もあるんですが、冒頭言いましたように、必ずしもこれは自動車ユーザーが負担すべきかなというのもあるんじゃないかなと私は思っておるんですが、暫定税率は、特別なことがない限りは、去年決まったので五年間ぐらい変わんないですね。ということになりますと、ギャップが開いてくると、そうすると下げるわけにいかないので、それじゃ使途拡大するかというような感じになる懸念を実はしているんですが、本当にそういうことでいいのかどうかというのをちょっと大臣にお聞きしたいんですが。
  40. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 委員指摘のとおり、昨年かなり議論があった中で、十五年度から十九年度までの五年間の措置として、本則の倍になっている暫定税率を延長するということを国会で御決議いただいたわけでございますので、これは十九年度までは新たな状況の大きな変化、議論等々がなければいくんだと思います。  そこで、委員の御指摘は、そんな中で内閣の方針として公共事業に対する支出というものが減っていて税率は一緒なわけだから、そこのすき間のお金を何に使うことが正しいのかという議論だと思います。税の理屈からいえば、税の理屈からいえば委員のその御指摘はまあ正論なんだと思います。  その一方で、先ほど委員がおっしゃられたように、納税者の理解が得られる中で環境に税を回すということは重要であるというような御指摘先ほど、その前段にあったような気がいたしたんですけれども、やっぱり環境配慮ということで、DPFですか、ディーゼルのすすを取る機器に自動車に関係する税から回す、すなわちその使途を広げる。このほか、ETCですか、ETCの普及促進というものに料金を弾力的に安く下げるのの補てんに回す、あるいは無電柱化推進のための技術革新とかですね、道路に何となく関係するところに納税者の理解を得て活用している。それに対する、それはけしからぬと言う方もいるし、もっと地下鉄に、地下鉄も道路の下走っているんだからいいじゃないかと。  ここは、税の理屈はやっぱり池口委員が一番正論をおっしゃっているんですけれども、それをめぐってはいろいろな考えがあって、道路に関係すると思われるところで、国民の皆さん方の税金を納税者の皆さん方の納得を得られる範囲内で使っているというのが私は現状なんだと思います。
  41. 池口修次

    ○池口修次君 今、正に大臣がおっしゃいましたように、やっぱり税の理屈からいったら、私はちょっとかなり逸脱をしているんじゃないかというふうに思っておって、本当は税の理屈が一番正しいものが、何で正しい方向議論をされないのかなというのが私の最大の疑問でございまして、それは必ずしも税の理屈だけではできない部分があるんでしょう。だから、半分は税の理屈で議論して、半分は、国土交通省とは言わないんでしょうが、やっぱりいろいろ財政不足なんでということがあればまだ理解できるんですが、正しい税の理屈というのは全然横に置かれちゃっているんですね、今はね。すべてが使途拡大ということは、私はちょっとおかしいと思いますし、石原大臣は税に元々は詳しい方ですから、やっぱり正論が通る日本にしてほしいなというふうに思っているんですが、再度、何か御感想がありましたらお願いします。若しくは決意がありましたら。
  42. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) これは結局、税制のかくあるべきという理屈に、更にややこしいことは、国民の皆さん方の社会資本整備に対する要求というものも実はまだまだボリュームがある。すなわち道路に対する、道路改修あるいは新設する道路、バイパス等々に対しての日本全国の、先ほど東京の環状線の話をしましたけれども、東京にもあるわけです。それに、その財政事情が厳しい中で財源を充当するということで、様々な今議論が分かれているんだと思います。  ただ、これも先ほど申しましたように、いつまでも新しい道路をどんどん造っていくということは、きっとこの二十一世紀ないんだと思うんですね。もちろん、維持補修とかそういうものはありますけれども、必ずどこかでマックスに到達すると。そういうものをにらみながら税制どうあるべし。  これは、ですからさっきも言いましたように、恒久税率で倍になっているわけじゃなくて、暫定税率として五年ごとに国会の御審議を得ると。委員と考え方にはそんなに違いはないということが分かりましたが、国会の中で見ますと、我々の方がマイナーグループであるということもまた現実でございますので、税の理屈と国民の皆様方の道路に対する要求というものをどう整合性を付けさせていくのかということで、この問題の解決、そして理解というものを求めていかなければならない重要な点だと認識しております。
  43. 池口修次

    ○池口修次君 大変いい議論ができたと思いますので次に移らさせてもらいますが、そういう状況の中で、実は更にユーザー、自動車ユーザーの負担が増える可能性のある議論が、環境省の中で環境税を創設するのかどうかということで検討がされているというふうに思います。  これは去年の国会の中でも、環境税の創設自体を反対するわけではないんですが、今の税制に更に環境税を持てるということになると、もう自動車ユーザーの負担は必ずこれ増えることになるので、やっぱり、ここはやっぱりユーザーからすると、先ほど、今まで議論してきたみたいに、本当に今もう少し下がっているものがまだ下げられていない。そこにまた税金、それは名目はいろいろあるんですが、ユーザーからすれば全部税負担ですから、それが乗るというのはちょっとどうかということを御質問をしまして、当時は、環境省としては一応現行税制との調整も検討項目には入っていますよというお考えを聞いているんですが、そろそろ環境税の議論が煮詰まってきたんじゃないかというふうに思いますので、今日、環境省の方から来ていただいていると思いますので、今の検討状況をお聞きしたいと思います。
  44. 小林光

    政府参考人小林光君) 環境省でございます。  今お尋ねの点でございますけれども、温暖化防止のための環境税、これはもう御案内のとおりでございまして、市場の力を活用して環境対策を促進していこうと、そういう目的に立つものでございます。そして、目的をはっきり掲げて温暖化対策を進めようと、こういうことであります。  実は、これも委員御案内のとおりでございますけれども、温暖化対策につきましては今年が全体の見直しの年ということになってございます。その中で、現在いろいろなところで行われております政策あるいは対策、こういったものが不足をするということになるということになりますと、追加的な政策をする必要が出てくるわけでございますが、その一環として環境税といった考え方も追加するに値するのではないかということで検討を進めているわけでございます。  現在の検討状況いかんと、こういうことでございますけれども、中央環境審議会におきまして、現在、施策の総合検討のための小委員会でございますが、これを設けさせていただきまして、いろんな立場の方々、学者さんだけではございませんで、いろんな立場の方々の御検討をいただいている。また、各方面の御意見を聞くためのヒアリングを行っているという状況でございます。  少し、そういうことで検討中ということでございますので、なかなか立ち至ってそれがどうなるのかということについて御報告するにはまだ及ばないわけでございますけれども、基本的な考え方につきましては、昨年五月にも御質問、同じ観点から先生から賜ったというふうに承知をしてございます。このときに申し上げましたように、現在の例えばガソリン税等々の燃料課税、こういったものがCO2の削減に実際に結果として効果を果たしているということもございます。  また、その税収の一部が、今、大臣の方からも御答弁ありましたように環境対策に使われている、こういう現実もあるわけでございますが、そうした現実も踏まえて、なおCO2が削り足らない、追加的な対策が必要だということになりましたならば、既存税制との、現実もそういうことを踏まえまして、その上で、じゃその温暖化対策の税制をどうやっていくかということを慎重に検討しなければいけないなというふうに考えておりまして、そういったものが十分な検討の対象になると、考えなきゃいけない論点であるということについては深く承知をしているところでございます。
  45. 池口修次

    ○池口修次君 もう私は、自動車ユーザーが自動車を走ることによって環境に負担を掛けているということは否定はしません。ですから、やっぱりその負担をどうやって対応するのかというところは正論だというふうに思います。  ただ、今の話でもありましたように、自動車ユーザーは、大臣とはこの点一致したと思うんですが、必ずしも今の税制は正論ではない。今までは、大臣が言ったのかどうかは、それは断定はしませんけれども、私はそう言いまして、相当、正論じゃないところに、いや、正論だからといってまたユーザーの負担を増やすというのは自動車ユーザーからしたらちょっと勘弁してよということに私はなるんだろうというふうに思いましたので、是非この点を今後の検討の中で生かしていただきたいというふうに思っております。  ちょっと時間が大分迫っておりますので、次に移らさせていただきますが、日本道路公団の問題について、総裁にも来ていただいておりますので、何点かお聞きをさせていただきたいというふうに思っております。  日本道路公団につきましても、少しある意味悪者みたいな感じになって、大変総裁は苦労をされているというふうに私は思っておりまして、そういう意味で、今、日本道路公団がどういう努力をしているのかというのをまずお聞きをするという観点ですが、その前に、今、道路四公団が借金なり返さなきゃいけないお金が幾らあるのかというのが、人によっては四十兆とかそれ以上あるんだとかというふうに言われております。本当は四公団全部呼んでも、呼ぶべきかと思いますが、余り参考人が多いと怒られますので、代表して道路公団の総裁に来ていただきましたので、まず日本道路公団として現在時点で返さなきゃいけない借金というのは幾らなのかというのをお聞きをして、その後で、国土交通省でちょっと代表して、全体四公団を合わせましてどの程度の借金があるのかというのをお聞きをしたいというふうに思います。
  46. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 池口委員お答えをいたします。  お尋ねの日本道路公団の債務総額でございますが、平成十四年度決算値で申し上げますと、流動負債と固定負債を合計をいたしまして約二十八兆六千億という数字でございます。なお、資本金が二兆三千億円ございます。したがいまして、要償還額という点で申し上げますと三十兆九千億円ということでございます。
  47. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) そこで、道路関連の四公団でございますので、今の日本道路公団以外の債務について御報告申し上げます。  まず、首都高速道路公団は、有利子及び無利子債務の残高が五兆一千億円であります。さらに、阪神高速道路公団四兆一千億円、本州四国連絡橋公団二兆五千億円、これで、平成十四年度末でございますが、四公団合計で四十・三兆円でございます。このうち、本四公団につきましては十五年度以降で有利子の債務一・三四兆円を平成十五年五月に切り離していただきましたので、その分を引いた数字として今御報告申し上げております。  さらに、それぞれの公団に対しての国及び地方からの出資金がございます。これの累計値はそれぞれ、首都高速道路公団は七千億、阪神高速道路公団が五千億、本州四国連絡橋公団が九千億、こういうことで、先ほど日本道路公団の分と合わせますと四・四兆円、こういうことでございます。  したがいまして、平成十四年度末で申し上げますと、有利子及び無利子の債務の分としての四十・三兆円、それから出資金の累計四・四兆円、これを合計いたしますと四十四・七兆円ということでございます。
  48. 池口修次

    ○池口修次君 四十兆というような言われ方もしていましたけれども、丸めますと四十五兆ということで、今の借金を返すだけでも大変な支払になるなというふうに思っております。これはまたいろいろ議論する場があると思いますので、確認だけさせていただきました。  いろいろ、昨年度のこの国土交通委員会議論の中でも、民営化とは別にしまして、道路公団としてもこれからはいろいろ努力をしていきますというのをお聞きをしております。  時間の関係もありますので、項目だけ私の方で言わさせていただきますので、分かる範囲で結構でございますので、近藤総裁の方から日本道路公団としての今やっていることについてお聞きをしたいと思いますが、一つは、工事費等については当初でいうと二割削減というのが目標だったというふうに思います。管理費がどのぐらいの目標だったのかちょっと分かりませんが、ちょっと失念しておりますが、工事費、管理費についてどの程度の削減実績なり途中にあるのかということと、あと、ファミリー企業の問題についてもいろいろ問題点を指摘されてまして、現実、日本道路公団にもかなりのファミリー企業があるというふうに認識をしておりますので、この見直し、さらには、日本道路公団からファミリー企業への天下りの問題、そして新聞等でも一時期取り上げられました別納割引制度の見直し。  昨年、こういうことを一応やっていきますということでお聞きをしておりますので、この点につきまして、今の進行状況なり目標なりを総裁の方からお聞きをしたいというふうに思っております。
  49. 近藤剛

    参考人近藤剛君) お答えをいたします。  幾つか御質問ございましたが、まずコストの削減について申し上げます。  日本道路公団におきましては、コストの削減を民営化に向けての重要な環境整備一つと位置付けしております。昨年三月に、建設・管理に関する新たなコスト削減計画を作成をいたしました。建設コストにつきましては、平成十五年度以降事業費の予定額、これは二十一・一兆円でございましたが、そのうち三・九兆円の削減、これは削減率一八・五%に相当する金額でございます。その三・九兆円の削減を図ることといたしております。  さらに、民間企業における例を参考にいたしました契約方式を導入する、そのほか幾つかの施策を講じまして、削減額を四・四兆円、これは率にいたしますと二〇・九%に相当する金額でございますが、この四・四兆円を目指すと、そういうことにしたわけでございます。  人件費を含めます管理コストにつきましては、平成十四年度事業費、これは改良費等も全部含めますと六千二百九十三億円でございます。平成十七年度事業費をこの六千二百九十三億円に対しまして四千七百二十三億円に抑える、これは二五%の削減に当たるわけでございます。しかし、これに加えまして、更なる技術開発あるいは現在我々進めております業務改善等によりまして更なる削減を行いたい、できれば三割を目指したいと、そのように考えているところでございます。  加えまして、昨年の暮れ、十二月二十二日でございますが、政府・与党の申合せにおきまして、建設費につきましてはこの今申し上げました四・四兆円に加えまして更なる削減を図ると、こういうことが言われたわけでございまして、平成十七年度までに、十四年度、六・五兆円ですね、合計いたしまして、二・五兆円を上乗せをいたしまして六・五兆円の削減を図ると、こういうことにされたわけでございます。  これが建設費でございますが、加えまして、管理費につきましては、先ほど申し上げました十四年度のコストに対しまして、十七年度までに先ほど目標として申し上げました三割、これが政府・与党におきましても確認をされたということでございます。  我々といたしましては、このような目標を着実に達成をしたいと、そのように考えておりまして、最大限の努力を行うということで、今公団の中におきまして特別の作業チームも結成をいたしまして、いろいろと具体的な検討を行い、できるものから実行に移させていただいているということでございます。  具体的に更に申し上げますと、これら今申し上げました取組等によりまして、建設コストにつきましては、平成十五年度におきましては約二千億円削減をできる見込みでございます。更に平成十六年度までには一兆六千三百億円の削減を目指したいと、そのように考えているところでございます。管理コストにつきましては、平成十五年度におきましては、平成十四年度と比べまして三百二十一億円の削減ができる見込みということでございます。平成十六年度までには八百七十七億円の削減を我々は目指したいと、そのように考えております。  それから、今のがコストの問題でございますが、あと、ファミリー企業の問題につきまして委員からお尋ねがございました。二つほどに分けてお答えをさせていただきたいと存じますが、一つが維持管理業務にかかわる入札契約方式の見直しでございます。平成九年度から参入希望者を公募する競争入札方式を採用していたわけでございますが、平成十五年度からは、応募要件の見直し、あるいは企業結合関係にかかわる競争入札参加制限の方策等を講じました。適宜、その入札契約方式の見直しを行っているところでございます。  また、ファミリー企業の天下りの問題でございますが、公団職員の役員への就任の自粛あるいはOB役員の退任等につきまして、子会社あるいは関連会社の協力もいただきながら対応を進めているところでございます。  その結果、今年の二月一日現在の数字を申し上げますと、我々が把握いたしている限りにおきましては、子会社、関連会社の公団出身社長、平成十四年六月末時点におきましては六十人いたわけでございますが、二月一日現在におきましては二十九人にまで減っているということでございます。また、公団出身の役員につきましては、平成十四年の六月末時点におきましては三百三十人いたわけでございますが、二月一日現在におきましては百六十五人に減っていると、こういうことでございます。  ただ、三月期決算の企業におきましては、役員人事がこれから行われるところでございます。したがいまして、株主総会が終わった時点では更なる削減が達成できているのではないかと、そのように私といたしましては期待をしているところでございます。
  50. 池口修次

    ○池口修次君 別納制度。
  51. 近藤剛

    参考人近藤剛君) 済みません。それで、失礼いたしました、幾つか別納制度の見直しにつきましてお答えをいたしますが、昨年の九月でございました。国土交通大臣から、現行の別納割引制度を廃止をするということ、それから不正利用につきましては、厳重に審査をして契約を取消しをし、かつ損害賠償請求をするということが御指示いただいているわけでございます。  直ちに、九月三十日付けでございますが、新規加入の受付は中止をさせていただきました。そして、十月十五日には別納カードの追加発行の受付も中止をさせていただきました。また、不正利用につきましては、不正利用を行いました七十一組合に対しまして、不正に取引をされました金額、我々が把握しております金額は二十四億円でございますが、返還請求をさせていただいております。また、約款に基づきまして、これまでに特に悪質な十五組合に対しましては利用停止又は割引停止、その他五十六組合に対しましては文書警告の措置を行わせていただきました。
  52. 池口修次

    ○池口修次君 ありがとうございました。  私の方でちょっとまとめて質問をさせてもらったんで、ちょっと混乱させまして申し訳ございません。  今お聞きをしました私の受け止めですと、これは近藤総裁の力が大きいというふうに思うんですが、かなり道路公団の改革なりが進んでいるかなというふうに思っております。ここまで改革が進んだ道路公団を、何か解散をして、何か民営化する必要があるのかなというのが率直な私の印象でございますが、これは法案の審議の中での議論になるかなというふうに思っておりまして、また近藤総裁が民間会社の社長になるのかどうかというのは分かりませんけれども、なるとしても三つの兼任は多分できないでしょうから、一つじゃもったいないなと、これだけの実績を残してねというのが私の実感でございます。  時間がちょっとなくなりました。  ということで、実績だけちょっとお聞きしたいんですが、ETCの問題も、昨年、私も何回か質問をさせてもらいまして、どちらかといえばやっぱりETCを積極導入すべきだというふうに思っておりまして、その中で、特に導入状況がどうなっているのかということと、お願いをしておりました二輪車のETCの問題、これも経過からいいますと、ハイウエーカードをなくするということの中で、四輪の場合はETC割引に切り替えたわけですけれども、二輪が、それがそのときにはなかったということで導入を検討されているというふうに思っております。  これと、障害者割引についても、なかなか障害者の方が高速道路の料金所を通過するというのは大変な苦労をしているということで、ETCがなればこの苦労が取り除かれるので、是非お願いをしたいということを昨年までの中でお願いをしておりまして、大変時間がなくて申し訳ないんですが、この三点につきまして現状を、どうなっているのかと聞きまして、多分これで時間終わりになると思うので、申し訳ありませんが車検の問題は別途させていただきたいと。  これで、お答えをいただいて私の質問を終わりたいというふうに思います。
  53. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 三点のお尋ねでございました。まとめてお答え申し上げさせていただきたいと思います。  まず、ETCの普及の現況でございます。  平成十五年度、ETCのモニター・リースなどの支援事業などによりまして四十七万台、車載器購入助成を実施する、こうしたようなこともございまして、ETC車載器のセットアップの台数は二百六十万台を超えたところでございます。ETCの利用率の方も、今年度の目標であります利用率一五%を二月に達成するということで、急速に普及が進んでいる現状でございます。さらに、首都高速道路の本線料金所でETCレーンの専用運用時間、これは十八か所あるわけでございますが、これが一月で平均二十三時間、専用運用させていただいていると。こうしたこともございまして、今年度中には基本的にすべての本線料金所で専用レーンの二十四時間化を実現したい、そんなふうにも思っておるところでございます。  普及状況はこういうことでございますが。  次に、自動二輪車用のETCについてお尋ねがございました。  これにつきましては、平成十五年度に現行のETCを活用したノンストップ方式と、それからタッチ・アンド・ゴーといいますか、非接触のICカードでタッチ・アンド・ゴー方式、この二つを試行運用を実施しているところでございます。現在、実運用上の効果と課題を確認しているところでございまして、その結果を踏まえて二輪車における新しい料金の支払方法について導入方法を、方針を決定したいと、そう考えておりまして、関係機関と意見調整を行っているところでございます。  それから、障害者割引の導入の問題でございました。これにつきましては、一月の二十日から道路関係の四公団と地方道路公社でもETCノンストップ用の場合に、料金所で本人確認を受けなくても障害者割引、五〇%でございますが、適用をさせていただいているという状況でございます。  御利用いただきます場合には、あらかじめ福祉事務所などにおいて障害者割引の適用対象者であることの確認、これと併せまして御本人のETCカード番号、それからETCの車載器の登録番号の証明、これを受けていただいて有料道路事業者の窓口に登録していただく。こういうことが必要でございますが、既に一月二十日から実行させていただいている、こういう状況でございます。
  54. 池口修次

    ○池口修次君 一点だけ、ETCの問題というのは、やっぱり専用ゲートをいかに作るかということをしないと、兼用ですと、せっかく高い投資をして作ったんだけれども、兼用ゲートですとなかなかETC本来の、ノンストップで、止まったことによる渋滞の排気ガスの問題とかそういう問題が改善できませんので、是非、専用ゲートをどういうふうな形で普及をするかというところが私はこのETC問題の最大のチェックポイントだというふうに思っておりますので、そういうつもりで是非これからも御努力をいただきたいということで、私の質問は、ちょっと一つ質問を通告のした中身はできませんでしたけれども、申し訳ないんですが、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  55. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本でございます。  観光立国を目指して大臣も取り組んでいただいておりますが、私も全力を注いでいるところでございますが、観光の県といえば京都、奈良が代表的になっているわけでございます。  私は、今日は私のふるさとの奈良県、世界に光るその奈良でございますので、でありますが、残念ながら、この奈良県に世界に誇ることのできない課題がございます。一つは、大和川というのは絶えずワースト一位、二位にあること、それから奈良県の道路、世界からいろんな人がお見えいただいている、渋滞度、高速道路の延長は全国四十七位でございますから、意外とこれは奈良ということで全国の方々に知られていないわけでございますが、こういったことをちょっと今日は取り上げていろいろ御質問をさせていただきたいと思っております。  まず、清流ルネッサンスというのは国土交通省、旧建設時代から一生懸命取り組んでいただいております。大臣の今日の、第三の分野環境ですということと、それから合流式下水道緊急改善等推進により、生活環境水環境改善を図ります、こういうことが今日の大臣説明の中にありますが、水環境に対してやはりこれから我々はしっかりと取り組んでいかなければならない。我々は小さいときには川辺で遊ぶこと、水と親しむことをいろいろとやりながら育ってきたわけでございますけれども、最近は川辺で遊ぶということはほとんどできなくなってきたんじゃないかと思っております。いろいろと地元の皆さんの熱意とともに河川管理者あるいは下水管理者及び関係機関が一体となって清流ルネッサンスに取り組んでいただいておりますが、この進捗状況とこの問題に取り組む大臣決意をお伺いしたいと思います。
  56. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま森本委員が御指摘されました清流ルネッサンス事業については、平成五年度に制度を創設いたしまして、平成十二年度の当初目標地点での事業対象の二十一河川、この中に委員指摘の大和川も入っておりますが、どうであるかというと、期間内に目標達成した河川、すなわち水環境が著しく改善されたのが八河川、目標達成ながら水質改善は若干進んだ河川が十二河川、これが大和川が入っていると思います。残念ながら水質改善が全く進まなかった河川が一と、これは黒部川でございますが、という結果になっております。目標達成の河川については、平成二十二年まで目標期限を延長したところでございます。  河川管理者、今、委員が御指摘されました下水道の管理者、関係機関、流域の住民が一体となって、先ほど申し述べさせていただきましたように、水環境改善、これにこれからも引き続き全力で取り組ませていただきたいと考えております。
  57. 森本晃司

    ○森本晃司君 私の小さいときは、大和川で泳いだりしていたんです。しかし、今もうほとんど大和川で泳ぐ子供もいない。それはもう水質が非常に悪いということでございます。  今、大臣がおっしゃっていただいたように、大和川の水質については、改善傾向にあるものの、昭和五十七年以降水質汚濁ワースト一、二を脱することができない。ちなみに平成十年から見ますと、平成十年は大和川はワーストワン、十一年はワーストツー、綾瀬川がワーストワンになりましたんで。平成十二年になりますと今度は綾瀬川が改善されて、大和川がまたワーストワン。平成十三年は、今度は綾瀬川がワーストワンになって大和川がワーストツー。平成十四年は鶴見川がワーストワンになって、大和川がワーストツーで、綾瀬川がワーストスリーと。この三つが絶えずワースト、誇るべきことではありませんが、大変こういう状況にあるということでございまして、今申し上げましたように、平成十四年もBOD平均値でワーストワンで、ワーストツーになっておるわけでございます。  私は、かつてこの問題も度々取り上げさせていただいておりますが、アユが泳ぎ蛍が舞う万葉の清流を復活させたいと、このようにしておるところでございますが、いつを目指しておられるのかということと、それからもう一つは、川をきれいにするということについては、木工沈床という工法があるわけでございます。大和川でも一部そういうことが行われておりますが、私は、これは森と川と海が一体となってきれいにしていくということが極めて大事じゃないかと。森の間伐材を、山の間伐材を使って川をきれいにしていくということで、木工沈床を大いに進めていくべきだと。山も守ることができるし、川も守ることができるし、海も守ることができると、このように思っているんですが、この点についてどのように考えていらっしゃいますか。
  58. 清治真人

    政府参考人清治真人君) 大和川の水質につきましては、今、委員が御指摘のように、もう過去十年以上ワーストワン、ワーストツーというような不名誉な状況にあるわけでございます。  清流ルネッサンス事業で取り組んできた経過につきましては、大臣からお話がありましたが、まだ十分な水質の改善が見られていないということでございまして、清流ルネッサンス21と称して、二十一世紀を迎えるまでにこういう水質にしたいという目標を掲げていたわけでありますが、その当初のときにはBODの平均値でございます、河川、大和川の何地点かございますが、八地点の平均値で九・四という数字でございました。これが清流ルネッサンス21の目標平成十二年で六・七まで改善されてまいりましたが、これも委員が今お話になりましたように、これでもワーストワンでございます、このときの水質が。その後、目標達成できなかった河川につきましては、清流ルネッサンスⅡ、第二フェーズという形で取り組んでいるわけでございますが、これにつきましては平成二十二年、大臣からもお話がありました、二十二年を目標にしてございまして、約十年を掛けて目標達成していきたいということでございます。水質の問題は、河川での対策もございますが、下水道の対策あるいはその発生源となっておりますところでの抑制策、いろんなことを併せてやっていくことが重要だと思っておりまして、これから取組強化したいと思っているわけであります。  目標でございますが、アユでありますとか蛍、ゲンジボタルのお話もございましたが、そういう生物が、多種多様な生物相が生存できるように、そして生育できるような、そういうことが可能になるような川を目指していきたいと思っております。また、流域の方々が河川に親しめるような、そういう川にもしたいと思いますし、景観も確保されているような、そういう川を目指していきたいと思っているわけでございます。  間伐材を利用した木工沈床の話がございましたが、この大和川におきましては河川の整備を行うときに水質改善に役立つような工法を取っていこうという工夫を様々にしておりまして、この木工沈床についても現在試行的に取り組んだところでありますが、間伐材の有効活用の面からも、大和川に限らず各河川において、この木工沈床のような、昔の歴史的な伝統工法でありますが、活用していくように今後とも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  59. 森本晃司

    ○森本晃司君 是非、取組をよろしくお願いいたします。清流ルネッサンス21、私もそれにかかわった一人でございましたので、私も全力を挙げたいと思っております。  私のいろんな角度の夢がございまして、その中の一つは大和川と、後に触れる明日香村に蛍が飛び交うというのが私の夢の一つとして取り組んでおりますので、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。  一方、この大和川というのは水質の問題がワーストワンかツーにいつもいてるわけですが、それだけじゃなしに、もう一つは県民にとって大変、毎年心配することは、この流域の洪水、浸水であります。  昭和五十七年、私は国会に議席を置かせていただく一年前の昭和五十七年のときに、この大和川、王寺町を中心に大洪水が起きまして、そして一万二千戸が浸水したという。その中で、私も一生懸命水を配ったり、あるいはいろいろな、体使いながら、いろんな作業を当時させていただきました。その後、いろんな関係者が一生懸命改善に尽くしてくださっておるわけでございますが、家屋浸水、今申し上げました五十七年には一万二千戸、平成七年には千六百戸、平成十年には千九百戸、平成十一年二百四十、平成十二年には八百戸。こう、奈良盆地の浸水問題というのは大変でございます。  王寺周辺は、皆さんの努力によって本当に改善されましたけれども、まだ全体で厳しいものがある。そして、一番大きな課題は、これも以前取り上げさせていただきましたけれども、大和川から大阪へ向かうところの亀の瀬というところが地すべりがずっと続いている。これに対して相当な予算を組んで取り組んでいただいておりますが、この亀の瀬が、ちょうど大和川、ここに地すべりがぐっとあったときにはもう奈良県全体が浸水状況になってしまうというところで、この対策も極めて大事でございます。  こういった問題についてどう取り組んでおられるのか、お伺いします。
  60. 清治真人

    政府参考人清治真人君) 水質の問題に加えて、洪水の問題が非常にあの奈良も問題になっているわけでございます。奈良県は、人口、まあ都市化といいますか、それがかなり遅れてきたということでありまして、人口集中が非常に進んだわけでありまして、その間、今まで治水対策が十分でなかったところに市街地が広がってしまったであるとか、それから河川の流出につきましても、市街化することによって洪水が一気に流下するというようなことが起こっていたわけでございます。  これらに対しまして、国土交通省としましては、昭和五十五年から総合治水対策ということで、河川の整備も進めるけれども流域の中での対策をしっかりやっていこうという取組を進めております。  奈良県におきましては、古くからあるため池を活用して流域の中でためるとか、それから学校とか公園とか、そういうところでも水をためるというような対策に加えまして、ここは大和川北部河川という呼び方をしておりますが、大和川の本川、それから佐保川、富雄川、こういう川についての河道整備計画的に推進していこうという取組で進めてきているわけでございます。そういう中で、現在の河川の整備状況、流下能力がこれだけ高くなってきましたということと流域内での対策の進捗状況を併せて総合的に整備の度合いというものを測りますと、大体七割方のところまでは来たんではないかというふうに評価しているわけでございます。  これからも、ハードの対策、今申し上げましたハードの対策もございますが、ソフトな対策、情報を適切に流すとか、それから常時自分の、自分たちの住んでいるところがこういうところなんだというようなことを知っていただくような努力も併せてしながら、対策をこれからも進めていきたいというふうに思っているわけであります。  それから、亀の瀬の地すべりの話でございますが、生駒山地と金剛山地の間でございますが、大和川、ここから大阪に下るわけでありますが、ここのところの地すべりが歴史的に昔から課題になっていたわけであります。直轄の地すべり対策として取り組んだのは昭和三十七年からでございますが、現在までに大規模な地すべり対策というのを着々と進めてきたわけでありますが、特に基幹的な工事であります深礎ぐいでありますが、これがおおよそ平成十九年までには概成するんではないかというところまでこぎ着けることができました。  これから地すべりの監視をしていくということもございますが、これが、今はもうそういう大きい地すべりはないんではないかというふうなところまで対策が進んでまいりましたけれども、これがいったん起こりますと、閉塞して奈良盆地に対してせき上げるとか、あるいはそれが壊れたときに下流の大和川を大変な洪水が襲うというようなことになるわけでありますので、そこの解消はかなり進んだというふうに理解しているわけでございます。
  61. 森本晃司

    ○森本晃司君 大和川周辺を中心として奈良県というのはあるわけでございまして、そこに人口も集中しておりますし、それから奈良県の資産もその中にはございますので、引き続いてこの対策をお取組をいただきたいと思います。  治水対策と、それからまた水の問題については、奈良県にとっては非常に大事な問題で、もう一つ、大滝ダム、これは早期供用されることが期待されておりますし、もう一生懸命、国土交通省、それから地元の皆さんも取り組んでいただきました。  ところが、昨年の五月にこの大滝ダムの白屋地区において地すべりが発生しました。これの対策、取り組んでいただいているところでございますけれども、早期にやらなければならない。どのような状況にあるか、またその対策への取組についてお伺いしたいと思います。
  62. 清治真人

    政府参考人清治真人君) 大滝ダムにつきましては、これも昭和三十七年から直轄の多目的ダムとして実施してきております。これは紀の川の洪水調節、それから奈良県、和歌山県の都市用水、そして発電ということで、多目的ダムのその早期完成が待たれていたわけでありますが、四十年余を経まして、昨年三月に試験湛水に掛かることができたわけでありますが、水位が上がっていく段階で、今お話がございました白屋地区の亀裂が入って地すべり現象が生じてきたということで、地元の方々に大変な御心労をお掛けしたわけでございます。  私どもの方の対応としましては、白屋の地区の三十七世帯の方々には全戸移転をしていただくということで地元の方々と協議が調いましたので、その後、仮設住宅なり公営住宅に移っていただいているような状況で年を越していただいたということで、これについても御心労、並びに関係者の方々に大変な御心配をお掛けしてきたわけでございます。現在、その移転補償の話を関係者の方々と進めておりまして、安心してその生活再建ができるように現在取り組んでいるところでございます。  また、その地すべりの対策につきましては、委員会でしっかりと検討してもらった結果が出てきておりますので、これに対して早期に対応を図っていくべく現在取組を進めておりまして、これからも奈良県それから和歌山県、川上村の方々と密接に連携を取りながら、早期にダムの完成に持っていきたいというふうに思っております。
  63. 森本晃司

    ○森本晃司君 日本のふるさとといえば奈良でございまして、奈良の中でもまた一番歴史的発祥の地が明日香村でございます。この明日香村は、私は小学校のときは石舞台へ遠足に行ったりしたところでございまして、大変私も、多くのもう世界じゅうの皆さんに来ていただきたいと思っておるところでございますし、やがて私はこの明日香村でボランティアでガイドをやりたいという希望も持っています。蛍も飛ばしたいし、ガイドをやろうと思っております。是非、大臣始めそれから委員の皆さん、奈良を訪ねてくださって明日香村へ行きたいということであれば、ガイド森本晃司を御指名いただいたら、当然ボランティアでございますから、無料で一生懸命させていただきますので、是非大臣も、大臣に来ていただきましたら、一度是非明日香村へ、僕が案内しますから、もう何でもしゃべることができますから、是非お見えいただきたいと思うんですが。  この明日香村がちょうど特別措置法制定二十年経過いたしました。それで、第三次明日香村整備計画、これをやっぱり着実に行っていただく必要がありますし、平成十二年に創設された交付金制度による支援、これもやはり引き続いてやっていただきたいと思うんです。  それから、キトラ古墳、これはもう大事な大事な歴史的なものでございますから、この古墳の整備、それからついこの間は、蘇我馬子の居城であったのではないかというところがまたこの明日香村で発掘されております。  是非、私もこの政界の仕事を終えた後は、ここに一生懸命全力を引き続いてやりたいと、こう思っておりますが、これに対する取組についてお伺いしたいと思います。
  64. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、明日香村は、飛鳥時代の遺跡等の歴史的、文化的遺産が周辺の環境と一体となりまして、全村にわたって他に例を見ない貴重な歴史的な風土を形成しているわけでございます。  そこで、明日香村の生活環境及び産業基盤の整備等を一層推進するため、今、第三次の明日香村整備計画というのをやっておりますが、進捗率につきましては、平成十四年度末、三か年分でございますが、二六%強ということでおおむね順調に進捗しております。今後も、奈良県、明日香村と連絡調整を図りつつ、事業の円滑かつ効率的な進捗に努めてまいりたいと思います。  次に、平成十二年度より交付金というものが措置されているところでございますが、平成十六年度予算におきましても必要な経費として一億円を計上しております。  三番目に、キトラ古墳でございますが、古墳時代末期の遺跡と考えられておりまして、高松塚の古墳に匹敵する極彩色の壁画を有する明日香村の枢要な文化財の一つでございまして、平成十二年十一月に文化庁によって国の特別史跡に指定されております。  古墳及びその周辺部分につきましては、日本人の心のふるさとをテーマに整備を進めております国営飛鳥歴史公園の一部として整備を行うことが平成十三年の三月に閣議決定されておりまして、十三・六ヘクタールが都市計画決定されております。現在、基本計画の検討等を進めておりますけれども、歴史的風土の保存に併せ、明日香地域活性化にも貢献できるよう鋭意事業を進めてまいりたいと考えております。
  65. 森本晃司

    ○森本晃司君 明日香については、国土交通省を始め全員の皆さんの取組、御協力をよろしくお願いいたします。  私は明日香村で待っておりますので、是非また皆さんが、大臣始め皆さんがお見えいただくことをお待ちしておる次第でございます。  最後になりました。これも決して名誉なことではありませんけれども、世界に誇る奈良県が高速道路延長は全国で四十七位でございます、延長距離。四十七位ということは、四十七位でございます、お分かりいただけると思います。これが高速道路延長です。それから一般道路改良率が全国で四十三位。それから道路整備率、四十三位ということでございます。  県民のアンケートでは、道路整備や渋滞対策というのが最も不満な事項でございます。それから県外居住者アンケートにおいても、観光を結ぶ幹線道路が不十分だということがトップでございます。世界の人が奈良を訪れて、これからもう春になってくるわけでございますが、住んでいる私たちも交通渋滞に悩むわけでございますが、世界の人々も悩まれる。観光立国推進の上においてこの道路の渋滞解消が大事ではないかなと。  奈良県、国道事務所を始め多くの皆さんが取り組んでいただいておりますが、高速道路、京奈和自動車道、これは観光資源を有効、有機的に連絡する道路でありますし、それから関西大環状道路の一翼を担う道路でありますし、いよいよ平城遷都千三百年を迎えまして、この記念行事、記念行事を支援する極めて大事な道路であります。また、奈良県では、柿本知事が就任以来、なら・半日交通圏道路網に取り組んでおりますが、京奈和自動車道、これは京都、奈良、隣におられる和歌山と結ぶ極めて大事な道路でございます。これの取組。  それから奈良の中和地区を横断しております中和幹線。時間がございませんのでまとめて申し上げます。あと国道、これも吉野から和歌山へ抜ける百六十八号、いろは街道と言われておるところでございますが、百六十八号。こういった問題についてどう取り組んでいただいておるのか。奈良の道路についての取組についてお伺いしたいと思います。
  66. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生御指摘の奈良県では、なら・半日交通圏道路網構想、これを掲げて、基本方針として県と国土交通省と一体として取り組んでいるところでございます。  そのうち京奈和自動車道、これが奈良の南北方向の大幹線になるべきと、こういうことであるわけでございますが、これにつきましては京都から奈良を経て和歌山へ、全体の延長は百二十キロでございます。このうち、大和郡山から和歌山までの七十六キロについて事業を実施している最中でございまして、この中で大和郡山市から五條市を結ぶ大和・御所道路、これは二十七キロでございますが、このうちの一部、西名阪ジャンクションから橿原北インターチェンジまで、十七年度に供用を目標に今事業を進めているところでございます。  また、五條市内につきましては、五條道路として七・九キロ、これも平成十七年度に全線供用を目標事業をやっているところでございまして、そういう意味では、県内四十七キロのうち四七%、二十二キロを平成十七年度内には供用したい、約半分ですね、ということを目標にしてやっておるところでございます。  さらに、奈良市と大和郡山市を通過する大和北道路、これが一番へその部分になるわけでございますが、これにつきましては古都奈良を保存と両立させながら実行する必要があるだろうと、こういうことで、現在地域意見を幅広く聞きながら、ルート、構造等の検討をPIという形で行わせていただいているところでございます。  それから、五條新宮道路につきましてでございますが、これは和歌山と奈良を結ぶ地域高規格道路、南北方向のでございますが、これが百六十八号、こういうことになるわけでございますが、このうち事業中が十津川道路、それから宇宮原バイパスで、この十津川道路につきまして一・七キロ、平成十七年度に供用目標、さらに宇宮原バイパス一・八キロにつきましては平成十八年度に供用を目標とする。残り、直轄権限代行でこの事業を実施しておりますが、十津川道路残り分につきましては十九年度に部分供用というような形で整備を進めているということであります。  さらに、今度、東西方向の幹線道路として中和幹線が大事な道路であるわけでございますが、これは県中部と北部とそれぞれ主要都市を東西結ぶ、こういうことで県と市が現在事業を鋭意進めているところでございます。  この、なら・半日交通圏道路網構想、こういう形で国土交通省、県、一緒になって努めているところでございます。
  67. 森本晃司

    ○森本晃司君 ありがとうございました。終わります。
  68. 輿石東

    委員長輿石東君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ─────・─────    午後一時五分開会
  69. 輿石東

    委員長輿石東君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、国土交通省所管及び住宅金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  70. 大沢辰美

    大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  委嘱審査に当たりまして、私は国土交通省予算の中で大半を占めている公共事業についての質問から、まず入りたいと思います。  大臣所信の中では、公共事業については無駄なものは作らず、選択と集中基本として、昨年の社会資本整備重点計画策定を契機に、財政政策を、政策の評価を徹底してまいりますと述べていますね。  そこで、具体的には、私は、今日はダム建設の問題について質問をしたいと思います。  一つは、最近の新聞報道を見てみますと、ダム事業水余りで見直しとか、七水系新規ダム見送り、新たな水資源開発計画国土交通省の方針、そして余剰工業用水を上水道にとか、ダム開発撤退をという報道が大見出しで新聞紙上にぎわっていることは御存じだと思います。今日は、特に淀川水系、その流域についてのダム建設をめぐる幾つかの問題について質問をしたいと思います。  十三年の九月に閣議決定しました淀川水系における水資源開発基本計画では、一九九〇年度から二〇〇〇年度まで、それをめどとする水の用途別の実績と需要の見通しを立てています。需要想定と実績はどうなっていますか。それを水道用水と工業用水ごとに報告をしていただきたいと思います。同じく、淀川水系における、私は、水資源開発基本計画の開発予定水量に対する開発実績水量はどうなっていますか。併せてお聞きします。
  71. 清治真人

    政府参考人清治真人君) 淀川の水資源開発基本計画の数字でございますが、平成十二年の水需要を想定しておりまして、その中では、水道用水につきまして、需要の想定は約百二十一トン毎秒になっております。それから、工業用水は同じく二十二トン毎秒という需要予測になっておりますが、それに対して、平成十一年の実績でございますが、水道用水につきましては約八割に相当する九十三トンでございます。工業用水は約六割の十二トンでございます。  それから、現行のフルプランの計画期間内で新たに水資源開発ができました施設でございますが、主なものを申し上げますと、琵琶湖開発事業、それから日吉ダム建設事業、比奈知ダム建設事業、布目ダム建設事業等でございますが、新たに確保しようということで予定されておりました開発水量が五十六トン毎秒でございます。これに対して、その約八五%に当たります四十七トン毎秒に相当する新たな施設ができたということになっております。
  72. 大沢辰美

    大沢辰美君 今、皆さんのところに資料をお配りさせていただいておりますが、これが今説明のあった一部なんですけれども、水道用水の方はその想定と実績の差が、実績は七七%ですね。そして、工業用水の方は五六%という実績になっているわけですね。こういうふうに見ますと、私は、需要想定と実績の乖離が非常に大きいことが分かりますが、その原因はどこから来ていると思いますか。
  73. 清治真人

    政府参考人清治真人君) 水道用水につきましては、今お配りいただいております資料にございます、給水人口の推定というのが一つございます。この給水人口の推定につきましては、若干需要の予測よりも下回っているという現状がございますのと、それから一人一日当たり平均給水量という見込みがございますが、これがむしろ下回っているというような状況にございまして、水道用水につきましてはこれが大きい原因かというふうに思っております。  それから、工業用水につきましては、製造品出荷額がかなり落ち込んでいるということもございますし、産業構造の変化というようなものもある。例えば、産業の空洞化とかそういうものも影響しているんではないかというふうに分析しております。
  74. 大沢辰美

    大沢辰美君 工業用水と水道用水の差の理由というのは違うと思うんですが、工業用水は確かにそういう空洞化という問題と移転の問題もあると思うんですね。私は、水道の方は逆に想定値が高く見ていたのではないか、大きかったのではないかなという予想も感じており、まあちょっとその一応基本的なベースをここに数字を置かせていただいて、今新たな水資源開発基本計画を検討中と聞いています。これまでのように右肩上がりの水需要の見込みを前提にした私は計画とは違って、これからは経済行動や生活様式の大きな変化に対応した水需要を踏まえた計画が求められていると思うんですね。  淀川水系だけを見ても既に建設の計画が決まっているダムがメジロ押しの状況ですね。そして、新規ダムは見送るが、これまで認められているダム建設計画は継続することを前提にしたような計画では、私は大臣の言うやはり無駄なものは作らずということは貫けないと思うんですね。ですから、事務方がいろんな発想の転換を図っていただくためにも、大臣から基本的な指針を示す必要があると思うんですが、その点についてどうお考えでしょうか。
  75. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ダムについてのお話があったわけでございますけれども、日本の地政学的な位置、国土の厳しい気象条件や、あるいは先ほども同僚の御議員の中で、洪水が、昭和五十年代にもすごい大きい洪水があったと、こういう洪水に対しての防御、あるいは夏になりますと渇水等々も各地域で、一般論ですけれども、起こるような現状を考えると、ダムというものが一つそういうものに対する有効の手だてであるということはあるんだと思います。  その一方で、治水事業の実施に当たっては、さらにダムということだけにこだわらないで、私もいろいろ見てまいりましたけれども、遊水池とかあるいは堤防とか、様々な手法をコンビネーションで合わせることによりまして適切な選択ということがなされていくのがこれからの姿だと思います。  ダム事業についても、かなり巨額の費用を有するところから、また厳しい財政事情から、新しく新規の箇所を厳選するなど、国土交通省としても事業重点化というのは図っていると思います。  実際に数字を拾ってみますと、事業中のダムについては他の事業に先行して事業評価を実施しておりますし、平成十年からは第三者委員会事業の評価監視委員会というものを審議していただいて、見直しを含めてやって、もう新聞にも半年ぐらいでもうかなりの数の中止が出ていたと思いますけれども、昨年の十二月の末までで九十三の事業をやめております。有名なところでは戸倉ダムなんかがあると思うんですけれども、これは利根川水系と荒川水系におけるフルプランの見直し作業で利水予定者が、県ですけれども、事業から撤退する意向が示されたことから、昨年の十二月に中止を決定したわけでございます。  今後とも、やはり水需要の動向、今、委員は水道利用と工業用水利用の需要と実績に乖離があるというお話をされておりましたけれども、水需要の動向というものを精査して、これはもう社会経済状況の変化によって大きく変わるわけですし、河川の地域特性関係自治体、住民の皆さん方の意見を十分聞いて、それぞれのダムの事業の必要性、妥当性を十分検証して見直すべき事業は見直すと、こういう方針で臨んでまいりたいと考えております。
  76. 大沢辰美

    大沢辰美君 一定の見解が出たわけですが、そこで、一九九七年に河川法の改正でダムなどの河川事業を進める際には住民などの意見をよく聞くことが必要になったということは、今、大臣もおっしゃったわけですが、これを受けて、二〇〇一年の二月に設立された淀川の水系流域委員会は、昨年の一月に「新たな河川整備をめざして」という提言を近畿地方整備局に出しましたね。この中で、「計画・工事中のものを含め、ダムの建設については次の取扱いとする。」としています。  それは、「自然環境に及ぼす影響が大きいことなどのため、原則として建設しないものとし、考えうるすべての実行可能な代替案の検討のもとで、ダム以外に実行可能で有効な方法がないということが客観的に認められ、かつ住民団体・地域組織などを含む住民の社会的合意が得られた場合にかぎり建設するものとする。」と、そういう提言をされています。  私は、これは大多数の国民の良識にも合致した内容だと思うんですね。大臣も今一部言われましたけれども、当然だと言える提言だと思います。国土交通省は、もう一度大臣に念を押したいんですが、この提言内容を尊重してダム行政を進めていると思いますが、それで確認できますでしょうか。もう一言で結構です。大臣、一言で結構です。
  77. 清治真人

    政府参考人清治真人君) 今、委員指摘のように、淀川水系の流域委員会が約二年間、非常に御熱心な討論、意見交換を行っていただきまして、提言をちょうだいいたしました。その提言に対しまして、河川整備計画の基礎原案というのを昨年示させて、九月でございますが、出させていただきました。  この中身でございますが、提言に対する考え方というのを述べさせていただいているわけでございますが、ダム計画につきましては、治水、利水等の面から効用は大きいわけでありますが、提言にもございましたように、水没を伴いますし、また河川環境を大きく改変するということがございますので、ほかに経済的にも実行可能で有効な方法がない場合において、その軽減策、環境に対する対策とかそういうものも併せて行うというような検討を河川事業以上に配慮するという形で、その上で妥当と判断される場合に実施することとしております。  また、現在事業化しております五つの事業ございますが、これについてもその調査検討を進める期間、本当に止めることのできない、地元の地域生活に必要な道路でありますとか、防災上途中で止めることが不適当な部分についてしか工事は行わないという形で調査検討を進めていくことにしております。  その中では、先ほどお話がございましたフルプランの見直しに当たりまして、関係の府県、六府県ございますが、それと利水者等からの需要の見通し、こういうようなものも出していただきまして検討していくことになります。  それから、環境面につきましても併せて当然検討していった上で、どういう形がいいかということをこれから河川整備計画策定段階でいろいろ議論していくことにしております。  そういう中では、委員指摘のように、この流域委員会の提言については尊重するということでありますし、また関係地方公共団体の長でありますとか地域住民方々意見もよく聞きながら、地域の理解を得てこの整備計画策定してまいりたいというふうに思っております。
  78. 大沢辰美

    大沢辰美君 じゃ、淀川水系流域委員会というのも、この提言が本当に実施されるかどうかというのが非常に心配であるという、言明というんですか、心配をされているわけですね。ですから、本当に今言われた提言の内容を重々国土交通大臣はしっかり受け止めて、やはり的確な対応をしてもらわなければ、せっかく諮問会議を作って、そして提言、地域委員会が提言をして、そしてそれに対して国土交通省意見を述べて、またそれに対して出すと。本当に繰り返し繰り返し長い時間掛かって作り上げたこのものを、私は本当に尊重してやっていただきたいということを強く申し上げたいと思います。  そこで、大臣、私は、繰り返しますけれども、一度決定した公共事業は何が何でも進めるということではあってならないと、これが国民の今の厳しい批判を浴びている本だと思います。公共事業の重大な問題点であるとも思うんですが、そもそも、この淀川の水系の流域委員会地域、近畿の地方整備局の幹部も発言していたんですけれども、これは新聞発表だったんですけれども、このように言っていますね。各地で住民の合意を得ずに進めた事業が今どんな状態か、そして同じことをすれば同じ結果になる、これからの公共事業住民の合意なしにはできない、この反省から出発したということを言われています。また、淀川水系流域委員会は、我々の常識が世間とずれていたのかもしれない、委員会の運営は市民の常識に任せたいということも言われて出発をしたと言われています。  だから、議論を重ねて作られたこの提言、意見ですね、だから本当にこの提言を後退させてはいけないということを強く求めたいと思いますが、大臣、一言。
  79. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 淀川水系におけるダム事業の進め方については、ただいまの政府委員の方から御答弁をさせていただきましたとおりでございますし、尊重すべきものは尊重するしということは言うまでもございませんが、基本は、先ほど冒頭に基本的な考えの中で申し述べさせていただきましたように、それぞれの事業の必要性あるいは妥当性を十分検証して、見直すべきものは、見直すべき事業は見直すと。立ち止まるということも非常に重要なファクターであるということは、もう九十三の事業を停止していることからも御理解いただけるのではないかと思っております。
  80. 大沢辰美

    大沢辰美君 淀川水系のことも強く申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  次に、私は、国土交通省が監督官庁になっています全日本検数協会神戸支部の問題についてお伺いします。  全日本検数協会は、船舶で輸出入する貨物の個数や破損状況などを船舶会社や荷主の代行として、国際貿易の公正な取引、危険物などを水際で監視する、そういう国民生活の安全を守るという非常に公共性の高い仕事をしている公益法人です。  で、全日検というのは、規制緩和や震災、そして影響があったことによって貨物量が確かに回復しないという状態もありました。そのことを理由に、神戸港に働く神戸支部の労働者の賃金を、二〇〇一年ですね、四月に五〇%カットするという前代未聞の合理化攻撃を掛けてきました。そのときに、全日検神戸支部の組合員の人百六十七名が神戸地裁に訴えました。そして、一年四か月後に判決が出ました。二〇〇二年八月二十三日のことです。  神戸地裁判決の内容を説明してくださいますか。
  81. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 先生ただいま御指摘いただきました訴訟について御説明を申し上げます。  社団法人全日本検数協会神戸支部労働組合に所属しております組合員百六十七名が、同協会が賃金協定を破棄して行った賃金の五〇%カットは無効であるとして差額賃金の未払を求めたものでございます。先生今御指摘ございましたとおり、二〇〇二年の八月、神戸地方裁判所で判決が出ております。  その中身は、まず一つ目でございますが、全日本検数協会の経営状況は各事業者への諸支払や退職金の支払を繰り延べて資金繰りを行ったり、従業員の新規採用の一時停止、役員の減員、遊休資産の売却、固定費の圧縮等の経費削減を行っており、協会の経営状況の逼迫は事実であり、協会が協会及び神戸支部の経営状況について主張するところは誇大とは言えないと、これが一つ目でございます。  二つ目が、賃金カットによる人件費の圧縮等の経費削減策が経営上必要かつ有効な収支改善策の一つであることはだれしも否定できないところであるが、原告らの生活実態からすると五〇%の賃金カットは合理性を有するものとは認め難い、それが二番目でございます。  三番目は、また神戸支部職員組合が本件賃金カットと同様の賃金カット率に同意しているからといって、それだけで神戸支部労働組合に対する五〇%賃金カットの合理性を裏付けるものとはにわかに認め難いといったような理由から、協会に対して、平成十三年四月から平成十四年八月までの間の本来の給与との差額及び年率五%の割合の額を原告側へ支払うよう命じたものと聞いております。
  82. 大沢辰美

    大沢辰美君 判決は本当に納得できる判決でございました。ところが、協会本部は、その年の九月五日ですね、控訴を断念したんですね。だから、それで確定したんです。  ところが、その舌の根も乾かぬ九月下旬、労働協約を一方的に破棄して、新たな合理化計画を発表しました。それは、今度は三〇%の賃金カットと五十七歳以上の労働者に対して三か月の自宅待機と、その後の一時帰休三年間という実質的な整理解雇に等しい提案をされました。労使の合意のないまま、二〇〇三年一月にそれを強行しました。組合は、五月二十三日に再び神戸地裁に提訴しました。  職場は今、仕事がないんではないんです。それどころか、人手不足で、連日OBやアルバイト、派遣労働者が働いています。その一方で、長年協会に貢献してきた正規雇用の労働者を排除し、一時帰休者に対しては五〇%より更に過酷な五八%のカットをしてきています。ある五十八歳の労働者の賃金は、手取りで十一万円という実態になっています。また、私のところに手紙が届いたわけですけれども、電話、電気、ガス、水道が何度も止められて、給料の出る一週間前は会社の昼の弁当しか食べられないことも経験しましたと、こんな苦しみは私たちだけでいいという、切々と訴えています。  大臣にお聞きしたいんですが、五十八歳の労働者の給料が十一万円で、家族を含め生活ができるという状況で私はないと思うんです。公共性の高い、本当に国際貿易の中での水際で頑張っている労働者が、本当にこういう状態に置かれているということをどうお思いですか。
  83. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 近年、コンテナ化の伸展などによりまして、先生先ほども御指摘ございましたとおり、物流構造が大きく変化する中で検数事業そのものが全体的に減少しまして、全日本検数協会におきましても、この十年間で売上げ二百八十億円あったものが百億円も減少するというような極めて厳しい状態になっております。また、地域別に収入と職員構成にアンバランスが生じまして、神戸支部のように単一の支部で数億円の赤字を出す一方、東京のように黒字を計上する支部というのもございます。  全日本検数協会におきましては、その神戸支部の採算悪化が協会全体に回復不能なダメージを与えかねない状況に至ったため、各支部の特性に応じた経営の再構築を実施し、協会全体の存続を図るために支部の独立採算的運営というのを行っているというふうに聞いております。  平成十四年八月の神戸地裁の判決におきましては、経営改善策として賃金カットなどを行うことはやむを得ないが、五〇%の賃金カットは他の支部と比較してカット率が突出しているということから、適当でないというふうに判断がなされたというふうに理解しております。このため、その判決の趣旨を踏まえまして、北陸支部などと同様、神戸支部に対し、改めて三〇%の賃金カットを行うとともに、先生今御指摘ございましたように、給与レベルの高い五十七歳以上の職員に対する一時帰休や自宅待機といった提案をしたところでございまして、従業員の方には大変つらいこととは思いますが、法人そのものの存続を図るためにやむを得ず行ったものであるというふうに聞いております。  いずれにせよ、先生おっしゃいましたとおり、今この件につきましては、現在、神戸地裁において係争中でございまして、国土交通省としては、裁判の結果が出た段階で、その結果を踏まえ協会を指導することになると考えております。
  84. 大沢辰美

    大沢辰美君 私は、だからといって、その公益法人の本当に頑張っている、大切な仕事に従事している労働者を月十一万円で生活をさせるということは本当に許せない、そういう行為だと思いますね。  私は、全日検がどういう状態なのか調べてみたんですが、合理化計画を発表したのが二〇〇一年四月です。しかし、全日検は二〇〇一年度も二〇〇二年度も法人税を払っています。その額を教えていただきたいです。
  85. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 二〇〇一年度の法人税額は約八億一千五百万でございます。それから、二〇〇二年度の法人税額につきましては約二億七千九百万円というふうに協会が作成した収支計算書には記載されております。
  86. 大沢辰美

    大沢辰美君 結局、合計で十一億円も支払っているわけですから、すぐにでも破綻しそうな会社であれば、私は法人税を十一億円も支払えないと、そういう状況ではないかと思います。  もう一つ聞きますけれども、この法人には監督官庁だった、当時ですね、旧運輸省からの天下り役員はいますか。いましたら、その氏名とそのときの役職名を教えてください。
  87. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 現在、協会に在籍しております旧運輸省のOBにつきましては、会長として松村義弘氏がおりまして、運輸省退職時点での役職は貨物流通局長をやっておりました。
  88. 大沢辰美

    大沢辰美君 全日検の会長は松村さんということで、天下りをしていると。この役員報酬は幾らですか。また、仮に今退職されるとすれば、退職金は幾らになりますか。教えてください。
  89. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) プライバシーに関することでございますが、現時点における松村会長の年間報酬額は約二千二百八十万円と聞いております。それから、退職金の額は在任期間の長さによって異なりますが、協会の規定によりますと、年間基準報酬額掛ける年数掛ける三という算式によって計算されることになります。  昨今の港湾運送事業を取り巻く経営環境が大変厳しいということから、同協会におきましては、本部においても役員を含め待遇の見直しを行っておりまして、現在、二〇%カットの措置を取っているというふうに聞いております。
  90. 大沢辰美

    大沢辰美君 実に年間二千二百八十万円、驚くべき金額です。他に同じような仕事をしている特殊法人と私は比べてみても高いなと思ったんですが、例えば同じ検数業務をしています日本貨物検数協会の会長の役員報酬は千九百八十万円です。地裁判決でも言っているように、労働者賃金カットとは大きな不均等がある、これは明らかだと思いますね。  大臣、今お聞きしていただいたように、労働者の賃金は五〇%カットする一方で、旧運輸省の貨物流通局長までやった方が天下りして、今、会長になって、しかも多額の給料をもらっている。そういうことは、本当にこれは大きな私は社会問題でもあると思うんですね。  大臣はこれまで行革担当大臣していました。特殊法人の役職の報酬が高過ぎるということも指摘をしていました。そういう点から見て、このことは何を意味するのか、見解を伺います。
  91. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 基本的には、きっと労働者の方々の賃金とか役員の方の退職金、あるいは報酬については、その団体、企業が考えるのが基本だと思うんです。  仮に百億の売上げが落ちたとはいえあるということは、かなり、私はその従業員数までは承知をしておりませんけれども、かなりの独占的な仕事をやっているからこそそれだけの売上げがあるんだと思うんですね。そういうときは、やっぱりそこの経営実態の最高責任者が自らの責任において、自分の企業が年商が半分になっちゃったと、そうしたら自分で考えるのが当然のことだと私は思います。
  92. 大沢辰美

    大沢辰美君 基本的には労働者と企業の経営陣の責任はあるという指摘ですけれども、私はこの件を取り上げさせていただいたのは、やはり監督官庁である国土交通省が、そして旧運輸省の天下りをされた会長がこういう実態を、追い込んでいるという私は指摘をしたいと思うんですが。  だから、経営悪化の原因が規制緩和や私、大震災の影響だけではないということを感じます。ですから、経営陣は今、民営化されれば退職金を払わなければならなくなるとかですね、民営化されることが決まっているわけでもないのに、労働者をそこで人員解雇しなければならないなどということは、とんでもないと思うんですね。  結局、経営者が私は経営の失敗を労働者の賃金カットで、一時帰休という形で押し付けてきたというのが真相ではないかと思うんです。しかも、独立採算を名目に、神戸支部にだけターゲットにした、全国規模の単一事業体としての努力すら行っていないと。こんなことで、私は、監督官庁である国土交通省は認めていいのですかということを言いたいと思うんです。  ですから、経営の実態をしっかり調査をしていただいて、事情をお聞き取りしていただいて、公共法人としての、公益法人としてのやっぱり労働者に対しても企業に対しても社会的責任を果たさせるようにきちっと私は指導をしていただきたいと思いますが、もう一度大臣、御答弁をいただきたい。
  93. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 委員の御指摘のとおり、さっき言いましたように、二百億の仕事をやっていたものが百億になったら経営陣がけじめを付けるのが、これが常識なんですね。そういうこととその労働者の方々の賃金カットということが対比されて、協会の労使関係が不安定になったり、そのことが不安定になることによって、もちろんコンテナが主流になってきていますから仕事量は圧倒的に減ってはいますけれども、そういう仕事に支障を来すようなことになりますと港湾の円滑な運営に悪い影響が出るということは、これはだれが見ても明らかですので、そういうことにならないように適切に指導させていただきたいと考えております。
  94. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上です。  懇談の場の設置についてお伺いをいたします。  政府は、一九九七年四月、公共事業コスト縮減対策関係閣僚会議において、公共事業コスト縮減対策に関する行動指針が策定され、政府全体でコスト縮減する取組が開始され、二〇〇三年三月には国土交通省公共事業コスト構造改革プログラムが、九月に公共事業コスト縮減対策関係省庁連絡会議において公共事業コスト構造改革プログラムを策定、〇三年度から五か年間で、〇二年度比で一五%総合コスト縮減率達成するとの目標を打ち出しています。  これらの一連の施策が中小建設業者の生コンクリート圧送業者の経営を著しく圧迫し、そこに働く労働者の賃金、労働条件切下げを加速させていることは明確であり、無制限な価格競争に歯止めを掛け、適正な規制措置が必要と考えます。実際、九七年度以降、政府及び国土交通省が進めたコスト縮減に関する施策は、入札契約方式の規制緩和と相まって公共事業分野でも激しいダンピング競争を生み出しています。このため、建設業者のダンピング競争の影響を最も受けやすいセメント、生コンクリート価格及びコンクリート圧送料金に関して最低限の労働コストと品質保証を満たす、あるべき適正価格の合意形成を図るために、発注者、元請業者団体、それから関係労働組合による懇談の場を設けるべきだと考えますが、お尋ねをいたします。
  95. 門松武

    政府参考人門松武君) お答えいたします。  公共工事を発注する際に設定いたします予定価格でございますが、取引の実例価格などに基づきまして工事の標準的な価格として設定されるものであります。契約金額を決定する際の上限となるものであります。  予定価格の積算に当たりましては、適正な品質を確保するために、必要な労務費、資材費、機械損料、諸経費等を工種ごとに積み上げて標準的な価格を算定しておるところでございます。また、積算に用います諸数値、労務費、資材費等の単価でございますが、実態の調査に基づきまして決定しており、算出された価格は適正な価格であると考えております。  なお、予定価格について懇談する場ではないのでございますが、品質の確保とか労働条件の改善などについて、適宜関係団体等との間で意見交換を行ってきているところでありまして、今後とも努力してまいりたいと考えております。
  96. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 関係団体の中には労働組合も入っていると理解しておっていいですね。  次に、公共事業の品質管理と社会保険加入の問題についてお伺いをいたします。  国土交通省がまとめた二〇〇二年度建設業構造基本調査結果を見ましても、二一%の建設業者が経常赤字であり、七〇・八%の企業が原価割れ工事を抱えているという実態が明らかになっています。工事発注、労働単価の下落が建設労働者の賃下げの口実に使われているほか、建設・生コンクリート圧送業では、社会保険を脱退して違法な雇用形態で労働者を就労させる事業者も増えています。更に悪質なことは、生コンクリートの不法加水を行っており、社会問題となっております。  私は、このような行為を行った建設業者及び生コンクリート製造業者に対しては指名停止や納入停止など制裁措置を厳格に適用すべきだと考えますが、見解はいかがでしょうか。  また、公共工事に参加する下請業者の社会保険加入を促進する目的で、公共事業参加する元請業者に対しては、施工体制台帳に記載された下請業者及び資材納入業者の社会労働保険加入の有無を確認するよう指導するとともに、未加入の下請業者がいた場合は元請業者が責任で加入させるようにするべきだと考えますが、見解はいかがでしょうか。
  97. 門松武

    政府参考人門松武君) まず、生コンクリートへの加水など、不正な事業者に対する指名停止措置の厳格な適用についてお答え申し上げます。  我々、国土交通省が直轄工事にいたしますときに、工事中、発注者が生コンへ加水をしていることを発見した場合でございますが、工事の請負契約で定められた品質適合の問題があり、契約違反により請負者に対して指名停止措置を行うこととしております。また、工事中発見されず、工事完成後に、例えばコンクリートの剥離など何らかの瑕疵が発見された場合でございますが、この原因が加水によることが明らかな場合にも請負業者に対して指名停止措置を行うこととしております。  なお、生コン製造業者が加水を実施した場合は、発注者が直接生コン製造業者に対して制裁措置を実施することはできませんが、当該事業者がJIS表示認定工場である場合には、経済産業省が工業標準化法に基づきJIS表示の除去、抹消等の罰則を行うことと聞いております。  国土交通省では、生コンをマル適マーク工場から調達することを基本とするなど、コンクリート構造物の安全性の観点は重要であると認識しておりまして、今後とも関係機関と連携しつつ適切に対応してまいりたいと思っております。
  98. 澤井英一

    政府参考人澤井英一君) 御質問、後段の社会保険の加入の促進の件でございます。このことは、私ども建設業行政の立場からも社会保険の加入の促進は重要な課題だと思っております。  国土交通省では、元請及び下請を含む建設業団体に対しまして平成五年に建設労働者の福祉の充実についての通達、通知を発出いたしまして、以来この通知に基づきまして労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険等への加入を指導しております。現在もいろんな機会を通じてそうした指導をしております。  また、加えまして、建設業法に基づいて企業評価、建設業の企業評価を行う仕組みであります経営事項審査の中で、一つは、法定福利制度であります雇用保険、健康保険及び厚生年金保険に未加入の事業者については減点をする。一方で、法定外福利制度であります建設業退職金共済組合制度、あるいは法定外労災保険等の加入事業者については加点をするということによりまして、労働者福祉の充実に向けた企業の取組を企業評価に反映するということを通じまして、個々の企業レベルでの加入の促進を図っているところでございます。  なお、建設労働者の雇用の改善等に関する法律を所管いたします厚生労働省とも連携いたしまして、今後とも啓発指導に努めていきたいと考えております。
  99. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 よろしく御指導お願いを申し上げておきます。  次に、法八十条と一括申請についてお伺いをいたします。  国土交通省は、十六日、介護輸送に係る法的取扱い方針を定め、関係各所にお知らせをしています。また同日、福祉有償運送及び過疎地有償運送に係る道路運送法第八十条一項による認可の取扱いについて通達をされております。  これまでの介護輸送をめぐってはいろいろと議論があったことは御案内のとおりであります。今回の取扱いにおいて、要介護者等の輸送については道路運送法の事業許可によることを原則とすることが明記されたことは評価できますが、NPO等による輸送に道路運送法八十条一項を適用して自家用車の有償輸送を認めることは法を逸脱するものと考えます。法八十条はあくまで例外規定であり、それを恒常的な輸送にまで拡大適用することは将来禍根を残すことになるのではないかと思います。しかも、許可申請が指定訪問看護事業者等が一括して行うことができるようになっており、個別のチェックが不可能であることや、安全の確保や適法な輸送維持の点で事業者責任があいまいになることが危惧されますけれども、見解はいかがでございましょうか。
  100. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 御指摘にありましたように、今般、厚生労働省とともに介護輸送に係る法的取扱いの中間整理というものを発表させていただきました。これは要介護者などの輸送サービスがタクシーなどの公共交通機関のみによっては必ずしも十分に提供されていないということ、それとともに、現にNPO等のボランティアを始め様々な担い手の方々によって提供されている。こういう状況を踏まえまして、そうした輸送のニーズとそれから我々担当しております輸送の安全の確保、これのバランスを図るために、道路運送法上の取扱いについて、厚生省とも協議しながら包括的な整理を行ったものであります。  御指摘の自家用自動車の有償運送許可を定めた道路運送法第八十条の運用の問題でございますが、これが公共の福祉を確保するためにやむを得ない場合についての許可制を定めたものでございますが、これまでも地域住民の生活の交通でありますとか障害者等の移動手段の確保が必要である場合には期限を定めることなく許可はしております。  なお、今回の訪問介護サービスを提供するヘルパーの方に対する自家用自動車の有償運送許可につきましては、輸送の安全の確保の観点から原則として二年の期限を付すこととしておりまして、その許可の基準を遵守しているかどうかにつきましては、そのときに定期的にチェックしてまいりたいと思います。  それと、その方、ヘルパーの方々の問題に関して、介護事業者が一括して申請するというのは特別チェックができなくても大丈夫かという御質問でございますが、これにつきましては、おっしゃるとおり、一括して介護事業者が申請できるようになっておりますが、この場合におきましても、個別の申請内容につきましては、ヘルパーの方がケア輸送サービスに係る講習を受講しているなど、十分な能力とか経験が有しているかどうかということを見るとともに、それから道路運送法の事業許可を受けた介護事業者などの責任においてちゃんと運行管理、運転者の指導とか監督、あるいは苦情の処理、あるいは事故時の対応、その他の安全の確保策が、旅客の利便の確保等旅客の利便に対する措置が取られているかどうかと、こういうことについて厳正に審査していくこととしております。なお、こういう形でいろんな適正な運用を図っていきたいと思っております。
  101. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、労働時間等の改善基準についてお伺いいたします。  いずれにいたしましても、今回の通達や取扱いによりまして道路運送法の四条一項、それから四十三条の一項、八十条の一項のいずれかの許可を得ることになりますが、そこで、まず初めにお尋ねをいたしますが、国土交通省における自動車運転者の労働時間等の改善のための基準はどのような位置付けにあるのでしょうか、お伺いいたします。
  102. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 労働省告示は平成元年に定められておりますが、これを受けまして国土交通省では、通達によりまして旅客自動運送事業者に対する指導を行ってきていましたけれども、それが平成十三年の八月からは運輸規則の改正によりまして、それでこの基準を運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準として告示しまして、これで道路運送法の体系に位置付けまして、あわせて処分基準の強化などを図ってこの遵守の徹底を図ってきているところでございます。
  103. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、介護輸送運転者についてお伺いをいたします。  自動車運転者の労働時間等の改善のための基準は、乗合バス、貸切りバス、タクシー、トラックを重点事業としていますが、これはあくまで重点であって、他の輸送業務に携わる運転者もその対象となっていることは御存じのとおりであります。当然、道路運送法に基づく許可を得た介護輸送運転者もその対象となると理解していますが、間違いないでしょうか。いかがでしょうか。
  104. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 先ほど申しました基準でございますけれども、この告示につきましては、道路運送法の事業許可を受けた旅客自動運送事業者がこれに従って勤務時間でありますとか乗務時間を定めなければならないとしているものでありまして、NPO等の有償ボランティア輸送に係る、従事する運転者を含めて、自家用自動車の運転者については適用されておりません。  いずれにしましても、NPO等の有償ボランティアの輸送につきましても、輸送安全の確保の観点から、運転者に対して適切な管理が行われるということは非常に重要であると思っております。元々、このNPO等の有償ボランティア輸送につきましては、地方公共団体が責任ある立場で主宰する運営協議会において地域関係者による協議を行いまして、それで協議が調った場合に有償運送の許可を出すこととしております。  そういうことで、この運転者に対する具体的な管理の在り方につきましても、輸送安全の確保の観点から運営協議会において十分な検討が行われるべきだというふうに思っております。
  105. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 労働時間の管理について伺います。  では、労働時間等の改善基準に基づくところの介護輸送運転者の労働時間管理についてはだれがどのように行うのでしょうか。  それから、専属の運転手であるならばなおさらのこと、他の職種と掛け持ちというようなことであれば、運転者の労働時間の管理は直接安全と結び付くため、しっかり管理を行わなくてはならないと考えますが、明快なお答えをいただきたいと思います。
  106. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 先ほど考え方については申し上げましたが、NPO等の輸送主体の責任において、この責任者の選任でありますとかあるいは指揮命令系統の明確化等を図るということ、こういう形で輸送安全の確保がされるべきだというふうに思っております。  それから、これも先ほど申し上げましたが、いずれにしましても輸送の安全の確保というのが重要でございますので、先ほど申し上げました多くの団体が主体になってこの制度を運用しておりますので、その中で地域の運営協議会、この中で運転者の具体的な管理の在り方については輸送の安全の確保の観点から十分協議されるべきだと思っております。
  107. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、安全についてお伺いをいたしますが、通達では、第二種運転免許を基本とするが、これにより難い場合は十分な能力及び経験を有していると認められることを要するとありますが、十分な能力と経験を有しているのであれば、第二種免許取得を義務付けるべきではないでしょうか。  第二種運転免許は有償運送を行う資格の要件でありますが、その要件を満たすことができないにもかかわらず認めるということになれば、輸送、運送というすべての要件、すなわち安全という絶対要件すら軽んぜられることになりかねません。人命にかかわることでありますので、是非再検討願いたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  108. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 運転者の要件につきましては、二種免許を有することを基本とするとしているところでございますけれども、これにより難い場合は、当該地域における交通の状況等を考慮して、十分な能力、経験を有していると認められれば、運転者は二種免許を有していなくても許可の対象となることにしております。  これは、現状におきまして福祉輸送でありますとか過疎地域における輸送が、二種免許を有する者によってのみでは十分に確保されないという現状におきまして、一定の能力、経験を有することを条件に、この輸送ニーズを満たすために認める必要があるというふうに判断しているものでございます。  それで、この場合に能力、経験を有している者にするという検討に当たりましては、申請日前の一定期間に運転免許停止処分などを受けていないということは当然でございますけれども、それと同時に運転技能でありますとか乗降介助の技能を習得するための研修の受講を受けている、こういうことを基本としたいと思っております。  それで、都道府県公安委員会等が、具体的に申し上げますと、都道府県公安委員会などが実施する実車の運転を伴う特定の任意講習等の講習とか、あるいは福祉輸送に関係しましては、社団法人全国乗用自動車連合会等が実施するケア輸送サービスの研修でありますとか、そういうたぐいの研修を受けているということを考慮したいというふうに思っております。
  109. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 質問を終わりますけれども、今第二種免許を持っておる方が確保されにくいと言われましたですかね、いかがですか。
  110. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 申し上げましたのは、福祉輸送であります過疎地域において、そういうところでは二種免許の方だけでは必ずしもその福祉のニーズだとか過疎地域における介護あるいはその地域住民の足としての二種免許を持っている方によるサービスの提供がされにくいというふうに申し上げた、そういう地域的な限定を付けての問題で、そういうところではなかなか二種免許を有する方々によってのみでは確保されてないという現状を申し上げたわけでございます。
  111. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  112. 輿石東

    委員長輿石東君) 以上をもちまして、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、国土交通省所管及び住宅金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 輿石東

    委員長輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  114. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  115. 藤野公孝

    藤野公孝君 今、委員長の方からありました、紹介ございました奄美、小笠原両地域の振興開発措置法の、これの改正案についての質疑を行いたいと思いますが、まず、この両方の法案について、今回大変重要な改正内容が含まれていると思います。単に期限を五か年間延ばすといったようなものプラス、だけではなくて、この前回説明いただきました提案理由説明の中の改正の第一点ということにまず書いてございますように、これまでの考え方、すなわち両地域発展計画の定め方を、東京都とかあるいは鹿児島県が作った案をベースにして国が策定するという、そういう従来のシステムがあったわけでございますけれども、今後は国の基本方針というものに基づいて地元市町村がこの案を作って、東京都やあるいは鹿児島県が具体的に策定するということで、より本当に地元の生の意向、そういうものを反映する振興計画に持っていきたいという熱い思いがあってこういう改正がなされておるということにつきまして、大変私は評価するものでございますけれども、これが絵にかいたもちになってはいけないわけでありまして、具体的にこういう今回の法律の改正の趣旨を生かして、奄美、小笠原両地域がどのように振興していくのかということについての取組の姿勢についてお伺いしたいと思います。
  116. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答えいたします。  ただいま先生御指摘のとおり、今般の法律改正は、単に五年間法律を延長するということをお願いするにとどまりませんで、計画体系を見直し、市町村意見を積極的に計画に反映させて、地元の発意と創意工夫を生かしながら、より主体的、自発的な地域作りを目指すものでございます。  また、その際、両地域の有する自然的、地理的な特性というものを十分に生かしまして、特に奄美群島につきましては、島ごとの文化的、社会的特性も踏まえるということにしております。  国土交通省といたしましては、今後策定することになります基本方針におきまして、地元による主体的な地域振興、それから今まで不利だと考えられていたいろいろな条件を優位なものへと転換するというような法改正の趣旨を盛り込んでいくとともに、今まで行ってまいりましたハードの事業と併せて人材育成とか交流促進などのソフトな面にも力を入れて、地域振興を支援してまいりたいと思います。
  117. 藤野公孝

    藤野公孝君 この奄美、小笠原両地域、今後の振興が今回のこの思想の転換といいますか、すばらしい手法でどんどん進められていき、実を上げることを期待するものですが、時間の関係もあります、奄美についても大変関心もあるんですけれども、今回は小笠原の振興について少し個別の質問をさせていただきたいと、このように思っております。  小笠原は、皆様よく御承知のとおり、東京から約千キロぐらい離れている非常に遠いところにあって、交通の便等もかなり今不便な状況に置かれているわけでございますが、見方を変えますと、日本のいわゆる経済水域、排他的経済水域といいましょうか、EEZ、これの三分の一はこの地域で稼いでいるという、言葉は失礼ですが、日本の支配できる、経済的に支配できる実質上の区域をそれだけ拡大してくれているという国土政策上の大変重要な地域でありますし、来年度の予算の中にも入っております大陸棚調査も今大変関心を呼んでおりますが、このやはり小笠原地域一つの大きな重点地域になっておるわけでございます。  片や、資源、観光資源も大変豊かでございまして、将来、近いうちに世界遺産の登録あるいは申請、登録も目指しているというような大変そういうユニークで個性的で重要な地域であるという認識を私自身持っておるわけでございますけれども、この非常にユニークな特色のある自然環境、これを今後ともこの島、諸島の発展一つの大きなばねに、宝物にしていくべきだろうと私は思うわけですが、そのときに、やはり自然環境の保全あるいは涵養とそれから観光の振興といったものを両立させる必要があろうと思うわけですが、一つの考え方としてエコツーリズムというような考え方がございます。観光一辺倒ではなくて、やはりそこの資源を積極的に守っていく、こういう一種の世界的な運動でもございますが、これも一つの手法じゃなかろうかと思いますが、まだ新しい手法でございますが、このエコツーリズムを小笠原振興にどのように適用していくというか、対応していこうとしておられるか、お伺いします。
  118. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答えいたします。  小笠原諸島は、その成立以来一度も他の地域と陸続きになったことがないということから、固有の野生生物でございますとか、絶滅のおそれのある希少種が数多く存在するなど、自然環境面において極めて貴重な地域でございます。このため、このような貴重な自然環境を将来にわたって維持することと、これらの資源を生かした観光振興、これを両立させるということが重要でございまして、東京都と小笠原においては一体となりましてエコツーリズムの取組を進めておられるところでございます。特に、南島及び母島の石門一帯のツアーについては、両地区の自然環境を保全するため、東京都におかれましては、その認定した自然ガイドの同伴を義務付け、一日当たりの最大利用者数も限定するというような規制を行っております。  国土交通省におきましても、このような地元におきますエコツーリズムの推進支援するため、自然ガイドの育成を支援するとともに、植生回復の事業、このようなものにも取り組んでまいっているところでございます。
  119. 藤野公孝

    藤野公孝君 このような貴重な資源を有する小笠原地域でございますけれども、今現在船が通っております。唯一の交通手段と言っても過言ではないと思うんですけれども、六日に一日といいましょうか、片道乗りますと、私もその船に乗ったこと学生時代にございますが、二十五時間半、当時はもっと掛かっていたかもしれませんが、現在は二十五時間半、六日に一日、一週間に一回程度という、そういうかなり不便というか状況にありまして、年間も、正確な数は私も知りませんが、二万数千人とか三万人とか、その程度の入り込み者じゃなかろうかと思うわけでございますけれども、伺いますところ、この小笠原に、もう会社もできているように聞きますけれども、テクノスーパーライナー、TSLが来年春をめどに、目途に就航すると伺っております。  今二十五時間半といったような時間が相当短縮されると思いますし、その今二万数千人、三万弱のような入り込み数も増えていくものと思いますけれども、今後そういうTSLが導入された後の姿についてどのような今想定をなさっているか、お伺いします。
  120. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 先生御指摘のとおり、来年の春にテクノスーパーライナーが小笠原航路に導入をされます。それで、今、先ほどおっしゃられた片道二十五時間半から、テクノスーパーライナーになりますと十六時間半程度に時間が短縮されるということになりまして、航海時間が短縮されることに加えまして、行ったり来たりができるということで、便数が年間約六十便から約九十便にテクノスーパーライナーを導入することによって増やすことができると、こういうことでございます。  それから、時間的にも、島民が本土に向かう場合の旅行日程は、現在のおがさわら丸という船を使って来ますと通常九泊十日掛けて島から来て島に帰るということでございますし、観光客が本土側から小笠原に向かう場合の旅行日程は通常五泊六日ということでございます。これがTSLを就航した後、航海時間の短縮、便数の増加によりまして、最短の場合で二泊三日で小笠原に行って帰ってこれると。ですから、金曜日に出て日曜日に帰ってくるというようなこともできるという意味で、利用客は様々な旅行日程を設定することが可能になります。  それで、そういう意味で、今行っている人数が倍増するというふうに私ども考えております。島、島民や観光客の様々なニーズに対応することが可能になりまして、利便性向上するとともに、従来の観光客に加えまして、短期旅行者など多様な目的を持った観光客の来島が可能になります。  このように、テクノスーパーライナーの導入が島民の生活の利便性向上、あるいは観光客の大幅な増加につながって、小笠原の活性化に大いに寄与するということを期待しているものでございます。
  121. 藤野公孝

    藤野公孝君 今、鷲頭局長からも御説明ございましたように、お話しございましたように、このTSLの就航、基本的には島の発展、将来にとって歓迎すべきものであって否定すべきものではないと思いますけれども、一遍に訪問客が急増してたくさんあふれ返ると、いいじゃないかという意見もあるかもしれませんが、やはりこの脆弱な資源、貴重な資源、それから将来に向かって持続可能な発展を遂げていくという観点から、やはりいろいろ、ただ来ればいい、お客さんがたくさん来てお金を落としていけばいい、こういうものではなかろうと思うわけであります。  よくこの小笠原を称して東洋のガラパゴスというような言葉もささげられておりますけれども、本当に東洋のガラパゴスとして世界に誇れる離島という特性を生かした観光地にするためにも、やはりこれは相当知恵を絞っていかなきゃいけない、単なる商業主義でいっただけではいけないと思うわけでありますが、先ほどいろいろ入域制限地域でありますとか、いろいろございましたけれども、改めて今後そういうTSL導入後のお客が二倍、三倍に急増していくことを前提とした何か対応というものも考えられておられるかどうか、お伺いします。
  122. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答えいたします。  小笠原の父島、母島の約四分の三は国立公園に指定されております。また、先ほど申し上げましたように、地理的条件、自然的条件、固有種、希少種、様々な貴重な動植物があるというようなことがございますので、TSLが通うことになって来島者が二倍見込まれるというような状況になっても、こういう島の基本的な条件というのは大事にしていく必要があると思います。  小笠原諸島の振興開発審議会というのが平成十五年に意見具申をされているわけでございますけれども、今後のこの地域自立的経済社会構造への転換を進める上でどういうことを考えなくちゃいけないかということで、地理的な位置、固有の自然環境等が有する国家的、さらには地球的とも言えるこの役割というものを生かしていかなくてはいけない、国を越えた規模での交流促進でございますとか研究機能の充実強化、こういうことも非常に重要ではないかと具申されているわけでございます。  先日、小笠原で復帰三十五周年の記念式典がございました。そこで、石原東京都知事からは、例えばこの地域を北マリアナ、小笠原をベースにして一つ観光拠点というようなことにしてはどうかというようなこともお話がございまして、やはりこの小笠原という非常に重要なポジションを生かした観光振興地域振興、自立発展ということが今後求められていくと思います。
  123. 藤野公孝

    藤野公孝君 最後に、大臣にお伺いいたしたいと思います。  私自身もう二十年近く前になりますが、昭和六十年にこの小笠原を訪問させていただいたことがございます。そのときも今も同じと思いますが、飛行機で行くには、飛行機といいますか、そういう空路を使う場合には硫黄島の方に、そこからヘリコプターで、そういう感じで小笠原に行く、そういう相当時間を掛けて伺ったわけでございます。  そのころ兄島というところに空港建設、一つの予定地がございまして、その空港建設についての熱い島民の思い等もあり、いろいろ現地も見たいということで当時伺ったわけですが、島民の方々、おじいちゃん、おばあちゃんも含めて日の丸の小旗を振りながら我々を迎えてくださって、今もその記憶まざまざと脳裏によみがえるわけですけれども。そのときにあるおばあさんが、私の孫が東京都内にいますと、私の目の黒いうちに是非とも飛行機で孫のところに行きたいと、かなわぬ夢かもしれないけれども、是非是非政治の力でその夢を実現させてほしいというようなことを涙ながらに訴えられたのを今も覚えておりますが、なかなか空港建設の面、難しい面も私も承知はしておるんですけれども、こういう絶海の孤島のようなところに住んでおられる方にとって交通の利便性の確保、こういったものが本当に我々が思う以上に悲痛なぐらいの悲願なわけでございます。  空港建設も含め、これらの方々先ほど言いましたように、二百海里のことを含めて、単に離れ小島じゃなくて、日本国家全体にとっても大変これは重要なポジションを占める島でもございますし、これらの島に住む方々の生活の面、あるいはそこに住んでいて良かったと思っていただける面を含めまして、この島の活性化や島民の生活の向上に対して、これからこのTSLがあるからもういいじゃないかということに是非ならないように私は思っているわけでございますけれども、今後、取組について大臣の御所見を伺い、私の質問を終わります。
  124. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 藤野委員のスーパーテクノライナーの導入等々、交通機関の利便性向上によって小笠原諸島の振興を図るという考えは正に同感でございます。  私も、昭和五十五年だったと思うんですが、ちょうどこのおがさわら丸が、今走っているおがさわら丸がちょうどできたころ小笠原に行きまして、初めて三十時間を切るようになったと島民の方々が喜んでいたのを今でも鮮烈に覚えております。あのすばらしい自然環境、また観光資源も豊富だなという印象を持ったわけでございますけれども、我が国の排他的経済水域の三分の一がこの小笠原諸島によって確保できるといったような重要な地政学的な意味合いも持つ地域でございます。本改正案の趣旨を踏まえて、小笠原諸島の自立発展に向けた観光振興やあるいは地場産業の育成などの取組についてこれからも全力で積極的に支援をさせていただきたいと考えておりますし、十七年春、来年でございますか、テクノスーパーライナーの導入も支援させていただきますし、今、後段、藤野委員が御指摘されました航空路の確保のための問題についても、東京都で行っている航空路の検討についても相談がありましたら、技術面を含めまして協力を行ってまいりたいと考えております。
  125. 藤野公孝

    藤野公孝君 終わります。
  126. 大江康弘

    ○大江康弘君 御苦労さまでございます。民主党・新緑風会の大江康弘でございます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  そこで、大臣に少しばかりお聞きをしたいと思います。実は大臣国土交通大臣になられてから初めてのこうした質疑をさせていただくかと思います。いつだったか、私は決算委員会大臣に同じ世代として本当に期待をさせていただいておる一人だというふうにエールを送らせていただいた。大臣にとっては余り他党からそんなに言われたら迷惑かも分かりませんけれども、やはり選ばれし者という言葉がありますけれども、やっぱり私はそういう国家国民のためにやはり特別にこの、我々もそうですけれども、やっぱりそれ以上の重い責任を与え、天が与える、やっぱりそういう私は役目の人もあると思います。私は大臣がその一人であるというふうに思っています。いろいろ政府のいろんな方針等の中でいろんな制限等もありますけれども、やはり若いそういう世代の一人としてこの御期待をしておるということもひとつまた御理解をいただきまして、今後この委員会でまたいろいろと御指導いただけたらと、こんなふうに思いますし、大臣の右隣におられますのが私の郷土の、同じ郷土出身であります鶴保政務官政務官、日ごろのそうした御自身の人徳やいろんなこともあって、今年は選挙が楽みたいです。ですから、国務にひとつ精励をしていただくように大臣からもしっかり、しっかり使ってあげていただいて、やはり党派を超えて、この方もやっぱり私は和歌山県民の一人として期待をしておるわけでありますので、政務官、今日は答弁ありませんからひとつお許しいただきたいと思いますので、以上で打合せのようなお話を終わらせていただきたいなと、そんなふうに思います。  そこで、今朝も同僚の池口議員とのやり取りの中で、大臣が、私は大変、大臣公共事業のとらえ方の中で少しばかりこの、BバイCのそういうお話が随分出てこられておりましたから、私はかねがね、よく無駄なというこの形容詞が付く今の公共事業ですけれども、やはり今日の私は、この法案の審議もそうですが、私余り説得力ないんです。今、藤野先生がかつて一度小笠原へ行かれた。私は小笠原へ行ったこともありませんし、奄美にも行ったことありませんし、ましてそこの地域の皆さんとお話もしたことありませんから、本来はもっとその地域関係のある皆さんがどんどんここで御議論をされたらよかったわけですけれども、そういうことで説得力ありませんけれども、それだけに公共事業一つ取ってみても、やっぱりそれぞれの地域に住む皆さんにとっては、これは無駄なものは私は何もないんじゃないかと、こんなふうに思います。それがいろんな時代の推移の中で、非常に国土交通省も特に八割、予算公共事業の八割をやっておるという、そういう一つの国民注視の中にありましょうし、いろいろと政治家のいろんな不正等の身を正さなければいけないような事犯も起こっておる中で、やはりこれは我々も公共事業在り方を考えなければいけない、そういう天の啓示のときかなというような思いもあります。  それだけに、大臣が、今朝ほど池口議員の中にも、BバイCだけでなくて、やはり少しばかり私にとっては有り難いようなとらえ方をおっしゃっていただいたんですけれども、もう一度私、いわゆる無駄な公共事業というのは本当に何なのか、いわゆる公共事業というのは何なのか、ちょっと大臣にまず御質問させていただきたいと思います。
  127. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいまの御質問は午前中の質疑でも話題になった点だと思います。  その前に、大江委員に大変温かいエールを送っていただきまして、私事で恐縮でございますが、私の家内の祖父は和歌山県の御坊出身でございますので、八分の一ぐらいは私も和歌山県人のつもりでおるということを申させていただきたいと思います。  この議論は、道路にしてもあるいはダム等々にしても、公共事業全般に、住んでいる地域によって、あるいは個人の考え方によって、何が無駄で何が無駄じゃないかということにばらつきがあるところにこの議論の難しさがあると思っております。  そんな中で、私がやはり基本にしなければならないのは、いわゆる便益と費用との割合が、公共事業である以上はやはり一を超えなければならない。しかし、一を超えたとしても、一・二とか一・三とか低いものもあると。さらにそれと、高速道路ですとこれに採算性という概念がきっと入ってきているんですけれども、それだけで計り知ることのできない公共事業の持つ重要な意味というものが私はあると思います。  それは何かと申しますと、例えば公共事業によってなされる住民の生活の向上、あるいは地域社会全体の利便、またそれによって環境が保全される、さらには安全性、いろんな指標のファクターがあると思います。  その中で、よく例に出させていただいているのが高度先端医療を受けられる中核都市までへの到達時間の、時間距離の問題、これは非常に大きいような気がいたします。多量出血で見ましても、三十分以内に基幹病院に到達しますと死亡率は五割ですけれども、一時間血が流れっ放しですと一〇〇%亡くなってしまう。  あるいは、道路ばかりで恐縮なんですが、代替路という問題がやっぱりあるんだと思います。和歌山県も半島が出ておりまして、平地が大変少なくて山がぎりぎりまで迫っておりまして、なかなか代替路といっても、山の中に細い道路がある。そういうことを考えますと、この代替路の確保ということも重要だと思いますが、こういうものは実は費用対効果の中には絶対分からない部分だと思うんです。こういう外部効果というものもできる限り指標化して、客観的に評価していくということが、一億二千七百五十万の国民のコンセンサスのある公共事業を作るメルクマールになるんじゃないかとかねがね思っております。  しかし、まだまだこういうことを言い出して日が浅いということで、地方の道路は、高速道路は要らないんだとか、もうダムなんか造らなきゃいいんだとか、割と観念的に、空港も要らないんだとか、護岸も直す必要はないんだとか、そういう観念論がどうしても前に出がちなような気がしております。  しかしながら、やはり全員が共通の物差しを持ちまして、その物差しで成績のいいものから昨っていくということが、公共事業を国民共通の社会インフラとして重要であるということを国民の皆さん方が再認識していただく上で私は重要なのではないかとかねがね考えているところでございます。
  128. 大江康弘

    ○大江康弘君 大臣、随分御丁寧な答弁、ありがとうございます。  もう一点聞きます。  私はやっぱり、無駄なというのはどこに、今、大臣おっしゃっていただきましたが、やっぱりいわゆる政治家が公共事業で三%も五%もそのキックバックをしてそのお金をもらったり、例えば、私の田舎なんか行けば、大体大きな家で、大体車庫にその地域の景色に似つかわない外車が止まっておるのが土建屋の家ですね。昨日までユンボやブルドーザーへ乗っていた人が次の日にベンツに乗ったりという、これまあ別に、自由社会ですからいいんですけれども。それと、やはり非常に不労所得がいわゆる多いのが私は公共事業だと思います。  しかし、今我々が無駄だと言われる、やはりこの必要な中でも無駄だと言われる、本当に改めなければいけないのは、例えば人一人でも、私はそこに人が住んでおればこれやっぱり道路も付けてあげないかぬ。和歌山県でも、ようよう二年前に上水道が付いた家もありました。今まで付いてなかった。それだけに、この建設の単価、設計単価の問題なんかもどうなのかって、やっぱりこういうところが私は無駄なわけでありましてね。  それで、私はちょっとびっくりしたのは、実はこれ、〇二年の集計ですけれども、都道府県の知事が集めた政治資金あるんですね。これ一番多いのは京都の山田さんで一億八千四百四十四万円、〇二年に集めているんです。知事で一億八千四百四十四万円。ずっときて、大体一億台が四人いてるんですね、福岡まで、青森、愛知、福岡。それからずっと、大体五千万円から九千万円台集めておるのが十数名。最後がいわゆる、これはまあ北川さんが当時おりましたけれども、北川さんはゼロ円。鹿児島の須賀さんというんですかね、この方が百十九万円。改革派の知事と言われている片山さんが千四百七十七万円という、非常にここらは私は良識的な知事の政治資金の数字だなというふうに思うんですけれども、何でそんな、知事がこんな政治資金を、億も付くような政治資金をという。私はもうこれほどけしからぬ話はないと。  そして、我が和歌山県で調べてみたら、うちの県も改革派の知事と言われる人ですけれども五千万近くもらっていて、私が調べたら、大体上位二十人の中で半分以上が土建業者の社長が入っているんですね。これは、知事は御存じのように無所属ですから個人献金しかできない。それで、個人献金の名前を調べてみたら大体土建屋の、まあ和歌山県でいえばAランク、特Aのランクの社長が軒並み献金をしておるという、こういうばかな、私に言わせればばかなこういう構図になっておるというか。  ですから、私はやはり少なくても、議員は百歩譲っておいといても、あるいは私は、こういう指名権を持っている立場の人間がいわゆる公共事業を受注をした業者から本当に個人献金の限度額一杯までそんな献金を、これはまあ法的には今問題ありませんから、ちゃんと申請をすればいいんですけれども。私はやっぱり、これだけ公共事業がいろいろ言われておる中で、そんなに土建屋が献金ができるんだったら、私はやはり公共事業のこの、先ほど言いました、何でそんなお金が出てくるんだろうという部分を見直せばいいわけであって、何も人が少ないから、まあクマの話も出ましたけれども、私はやっぱりそういう観点の話ではないというふうには実は思っておる一人であります。  それだけに、私は大臣にお願いをしたいのは、これはもう法的に認められておるものでありますから、現在は、少なくても国が発注をする公共事業を請け負う業者から、例えば都道府県の知事が何らかの形で献金をもらうというようなことは、これは僕は、大臣、本当に今の我々が問われておるこの公共事業在り方、国のやはり国土交通省在り方、そんなことを含める中で、こういうことは一度大臣から、まあこんなことは自粛した方がいいんじゃないか、そんなこと、おまえ、余計な話だと言われるかもしれませんけれども、これ、私が今申し上げていることは、大臣、これ間違ってますかね。
  129. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 大江委員の見識だと思って聞かせていただいておりました。
  130. 大江康弘

    ○大江康弘君 私の見識がどこまで広がっておる見識か分かりませんけれども、私は少なくてもこの、これはまあ、ここで実はする話ではないということを分かっておりながら大臣に申し上げたかといいますと、やはり前段に申し上げたそういう大臣への期待感の中で、もうそろそろ政治家もこういうばかなことをお互いが慎まないと、本当に待っておる、本当に望んでおるその地域のそれぞれの皆さんの公共事業というものまでが同じような観点で扱われ、同じような視点で見られて、私はやはりいい意味でこたえて、地域で本当に切望をしておる皆さんにこたえていけないんではないか。そんなふうに実は思ったから、最初の大臣とのこうした質疑でありますから申し上げさせていただきました。直接法案とは関係がなかったんですけれども、ひとつ大臣、機会があれば、ひとつ今の短い答弁以外の補足をまた個人的にでもしていただけたら有り難いなと、そんなふうに思います。  そこで、この二つの法案に入らせていただきたいと思いますけれども、この奄美、小笠原。  いわゆる奄美は五十年、そして小笠原は三十五年ということであります。私も短い期間でありましたが、この法案を担当させていただく中で勉強を少しばかりさせていただいたんですけれども、やはり余り説得性が正直言ってありません。行ったこともありませんし、そこで住んだこともありませんから。森本先生はこの後やられますけれども、小笠原はわしは行ったことないから奄美だけするんだと言われておりました。しかし、それでもやはり行かれておるということは大変立派なことであります。  少し机上の話になるかも分かりませんけれども、担当の局長の皆さんにお願いをしたいと思います。  そこで、五十年、三十五年という経過をした中で、今回特に皆さんがこの法案というものは変わったんだということを強調されておられました。先ほど藤野先生のときにも強調されておられましたけれども、要するに、今までのそれじゃ成果というのは大体何合目当たりまで来ておるのか。そんなことも含めてちょっと一回総括をしていただきたいと思うんですけれども、お願いします。
  131. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答えいたします。  何合目ぐらいかというお尋ねでございますが、奄美、小笠原に限りませず、日本の各地域、過疎地域等々ございます。そういう中で、このような地域振興の立法というものがいろいろあるわけでございます。  例えば、奄美についていいますと、全国の所得に比べますと依然として七〇%ということでございます。通常は、地方は所得も低いんですが物価も低いというので、実質的な生活は場合によっては東京よりもいいんだということもあるわけでございますが、奄美、小笠原について申しますと、所得が低いにもかかわらず物価は高いということで、通常の日本の本土の過疎地域等々と比べましてもかなり厳しい状況にあるということで、今後ともいろいろ御支援を申し上げていかなくてはいけないんじゃないかと考えているわけでございます。
  132. 大江康弘

    ○大江康弘君 そこで、その五十年と三十五年という年数の違いはあるんです。ただ、ともに共通しておるのが、かつて終戦後ずっとアメリカが統治をしておったということで。  それで、この奄美の場合に、元々このいわゆる法律目的の第一条のところに「復帰に伴い、」という字句があったんですね。それが今回奄美の場合は復帰という文言が、字句が消えた。ところが、小笠原の場合はこれ見てみますと、まだいわゆる「小笠原諸島の復帰に伴い、」、これは変わっていないわけですね、今回。これはやっぱり私は復帰というこの言葉の、いわゆる言葉の語源というものがやっぱりこの特別措置法というものの作り上げてくるスタートにあったと思うんですけれども、これが奄美で消えて小笠原で復帰という字句が残っておるというのは、これはやっぱり何か違いがあるんですか。
  133. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答え申し上げます。  奄美、小笠原とも今回の法律改正におきましては、目的自立発展を目指すということで共通しております。  特に、奄美につきましては五十年たったと。昔は米軍統治下にあったことによって様々な不利な条件があった、それを何とか支えなくてはいけないという状況がありましたが、そういう点についていえば、さすがに五十年たちましたので、奄美特有のいろいろな事情があって今後も支援しなくてはいけませんけれども、米軍統治というファクターは相当なくなってまいりました。それで今回の法律改正では「復帰に伴い、」という字句を削除をしたわけでございます。  一方、小笠原につきましては、戦後と申しますか、戦争が激しくなって強制疎開ということが行われまして、多数の島民の方が島を離れました。そして、今も実は政府措置として帰島していただくと、島に戻っていただくというような措置が必要でございまして、税制上のいろいろな措置も行われております。  ということは、いまだにやはり戦争中、その強制疎開ということを引きずっておるわけでございまして、やはりそういう強制疎開、それから米軍の統治下というような中で島に戻れなかったと、それを何とか少しでも島に戻っていただくためには、今後とも復帰に伴うということが依然として小笠原にとっては重要だということで、小笠原については「復帰に伴い、」ということが残っているわけでございます。
  134. 大江康弘

    ○大江康弘君 ということは、まあ局長、これは小笠原の島民の皆さんの、この文字というのは、ある意味においては、この島で生活をする、あるいは島にいつかは帰りたいと思っている人たちのことを考えますと、やはりこの二文字というのは非常に支えになるということですか。
  135. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 御指摘のとおりでございまして、そのような気持ちを支える意味でも様々な政府としての対策を講じていきたいということでございます。
  136. 大江康弘

    ○大江康弘君 そこで、そうであるならば、私は、何でこの五年、五年というその期間なのかということがもう一つ分からないんです。  それじゃ、またこれ、五年後に恐らくこれ委員会審議ということになるんでしょうし、それはいつになったらエンドレスなのか、あるいはもうエンドレスがなくてずっと恒久法のような形でいくのか。離島振興法でも私はやっぱり十年という、この一つの区切りのいい、ある程度中期的にですね、なかなか長期的にはこの計画は立てにくい部分がありましても、やはり五年というのは今のスピードの、進行の、この時代の流れからいけば、私はやはりこの五年というのは何で五年なのかなという非常に疑問を持つんですけれども、そこらは、十年、十五年という、もう本当に奄美であれば五十年というこの節目のときにそういう私は議論が出てこなかったのか、ちょっとそこら聞かせていただきたいと思います。
  137. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 御指摘のとおり、この法律の有効期間を五年とするか十年とするかについては、従来よりいろいろ御議論がございます。  今回の改正に当たりましても、地元の中には、沖縄とか離島とかと同じように十年にしてほしいという御意見もありました。一方、これも同じ地元の方の御意見ですけれども、むしろ十年というと忘れられてしまうんじゃないかと、五年ごとに機動的に見直していくと。そういう中で新しい、必要があれば新しい政策もつぎ込んでいくということで、むしろ五年の方がいいんだというような御意見、両方ございました。  この法律につきましては、従来より五年ずつで見直してまいりました。また、日本地域立法を見ますと十年の方が多いんですが、五年というタイプの地域立法もございまして、そういう観点から、奄美、小笠原につきましては、地域が狭いということもありまして世の中の変化を受けやすいというので五年と、今回についても五年という有効期限にさしていただいたわけでございます。
  138. 大江康弘

    ○大江康弘君 そこで、いわゆる今回、この法律の非常に特筆すべきところは、よく国交省も言われておるんですけれども、いわゆる当該の市町村、自治体が独自に移行できると。今までは国から県、県から自治体ということで、それが今度逆の流れになったということであります。  ただ、その奄美群島で見ますと、名瀬市が一市ですか、それから大島郡で十三町村。これ、一市十三町村で十三万二千余名あるわけですね。これは、今後この市町村合併がどうなるか分かりませんけれども。小笠原は小笠原村一村で二千三百二十四人。ですから、それぞれ自治体にしてみれば、非常に体力の弱いところなんですよね。  それで、私は自治体の主体性ということは、非常に言葉はきれいなんですけれども、いわゆる我が党が主張しておる地方主権、地方分権の中で、我々は補助金をなくして交付金という、そういう我々は主張をずっとかねがねしておるわけでありますけれども、そういう自由裁量の、そういう自治体の、そういうことが生かすことができるのかどうか。私は、いわゆる地方から独自にということで、国が基本計画を立てるという建前ではありますけれども、私は、むしろそのことは、やはり国のこの主体的な責任が軽くなったり、ある意味においては、いわゆる小さい市町村ですから、体力がない中で本当にそういう自治体がマンパワーの面でもしっかりとやっていけるのかというその場合に、私は本当に国や県がもっと支えてやらないかぬのじゃないか。  ですから、今、国がそういうふうにして地元のためにと思ってやられている法案でもあろうかと思うんですけれども、やっぱり国の計画の実効性という、国の関与のね、いわゆる計画の実効性に対しての国の関与というものが非常に薄められていくのではないかというような危惧を実は持つんですけれども、そこらはどうなんですかね。
  139. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 今の先生の御指摘の前提は、市町村が弱体で弱いんじゃないかというようなことがまず前提になっていると思います。が、私は何回か地元の市町村長さんとか議長さんとかお会いしましたけれども、大変お元気な方ばかりでございまして、やる気満々で、こちらが受け止め切れないぐらいに、あれもやりたいこれもやりたいというような大変に意欲にあふれた方がたくさん住んでおられます。  また、奄美についていいますと、周りの応援する方も物すごくて、例えば関西の奄美会というところには三十万人、東京奄美会というのは十万人の方がいらっしゃって、こういう方が、島を離れてはいらっしゃるんですけれども、大変応援をされていると。また、今回、民間の奄美審議会というようなものもできまして、これは何と石原官房副長官、それから各省の事務次官、非常に奄美に御縁のある方がいろんな提言もなさっているということで、私はこの市町村計画立案能力は大変高いんじゃないかと思います。  それを前提に今度は申し上げますと、やはり地方分権、地方主権という流れの中で、国は基本方針を作りますと、それで市町村が案を作られ、県がそれを、県や都がそれを受け止めて独自の案を作られると。また、今までも公共団体関係ですからいろいろ意見交換はあったと思いますが、今回はきっちりと法律に、例えば市町村の案が出てきたら、それをきちっと受け止めなくちゃいけないと法律上も明記するというような形で、制度的にもそういう地元の方々創意工夫というものが生かされる、こういうような法律体系になっておると思います。  国としましても、今後とも様々な補助率のかさ上げとか、様々な支援措置でこれを支えてまいりたいと考えているわけでございます。
  140. 大江康弘

    ○大江康弘君 局長、ひとつそれは元気がある町長さんやしということですけれども、さはさ言いましても、やっぱりマンパワーとかいろんな意味においては限界があるというふうに思いますので、やっぱりそこらの僕はサポートの体制というのは、ひとつしっかりと作っておいていただきたいということをひとつ要望しておきたいと思います。  そこで、実は私も二年前から、もうリタイアされましたが、藤波孝生先生が会長をされておった実は島嶼議員連盟というのが衆参でありまして、その連盟に加わらせていただいておったわけですけれども、そこでもうかねがね問題になっておったのが、いわゆるこの離島との航空路の対策をどうするかという、その高い運賃コストですね、航空運賃のコストをどうするかと。いわゆる百歩譲って観光というのは、これはもうあれです。しかし、それにしましてもやっぱり観光客をたくさん誘客をしようと思えば、やっぱり今の高さ、航空運賃の高さでは、もう非常にお客さんが来るのが限定されるのではないかと。  ちなみに、御存じかと思いますけれども、東京奄美間で今、日に一便あります。これが三万九千五百円、東京から奄美直便ですね。これが実は一杯で行けないときはどういう行き方をするかというと、まず東京から鹿児島へ行く。で、鹿児島から奄美へ行く。そのときに東京奄美間直通が三万九千五百円であるのに、この直通便が乗れなかったばっかりに、例えば東京―鹿児島へまず行く、これが三万三千三百円、それから鹿児島から奄美へ行く、これが一万九千五百円、五万二千八百円掛かっているわけですね。  だから、直通で行くのと、乗れなくっていわゆる乗換えして行くのと一万四千円近いこの、やはり片道だけでも運賃のこの差を負担をしてというか、やっぱり私はこういうところが非常に、奄美に限らず離島が非常にやはり見捨てられていくというか、何かやはり遠ざからざるを得ないというか、そういう部分にあると思うんですけれども。  やっぱり生活路線としてこの航空運賃というのは私は大変高いと思うんですけれども、そこら辺りはどう思われます。
  141. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 今、離島の運賃についてお尋ねがございましたが、元々離島は大変需要が小さいということで、基本的にコスト高になります。そういう意味で、一般的にその航空会社の経営というのは非常に厳しいわけでございますが、ただ、今、先生お話がありましたように、離島航空路というのは地域住民の日常生活に不可欠な路線だということで、その路線の維持を図るということが大事だろうと思います。  そういう意味ではございますけれども、基本的に一般的な、先ほどお話ございましたような本土と奄美間の路線というものにつきましては、他の一般的な路線、いわゆる離島路線というものと比べても必ずしも高いものではないというふうに考えております。
  142. 大江康弘

    ○大江康弘君 必ずしも高いものではないということですよね、局長。そうですか。まあ、ちょっとそこらが私あれなんですけれども。  そこで、これ国はいわゆる離島路線に対して公的支援をやっていますよね。いわゆる航空機の購入費の補助金、それから平成十一年からは新たに運航費の補助金と、これは国が離島に対して一生懸命やっているんだという胸を張るんですけれども、そこで、これはまあやっているのは悪いことでないんですけれども、やっぱりどういう今問題点が現実的に、現実的にこれを運用していくに当たってどういう問題点が出ておるかといいますと、いわゆるこれは日本政策投資銀行というところが作ったレポートです。  一つ目に、いわゆる「コミューター航空機の物件費は相対的に小さく、実際の当該路線の赤字額に対して交付される補助金が下回るケースもある」。二番目に、「対象路線選定の要件として、「当該離島にとって最も日常拠点性のある地点を結ぶ路線」との制約が課されており、離島の生活ネットワークの維持に対しての効果は限定的」になる。それで、三つ目に、「航空機購入補助と違い、」、いわゆる運航費補助のことを言っているんですね。これは「益金算入されるため、他の路線での経営努力で全社ベースの黒字を確保する事業者の場合は、いわゆる受け取った補助金を税金として納付せないかぬ。だから、事業者にとれば、これ経営効率化の部分においてはいわゆるインセンティブを阻害しかねないという、そういういわゆる調査報告が出されておるんです。  ですから、必ずしも、これ鹿児島なんかは、特に奄美に対しての飛行機に対しては別枠県が補助金を出しておるわけですけれども、結局こういう補助や助成の在り方というのが僕はこれでいいのかなというふうに思うんですけれども、それだったら、私は航空運賃、これ国でも、高速道路が三兆円掛けて十五年ですか、これ、いわゆる直轄でやるという、これは不採算路線だからそういう国が税金を掛けてやる。だから、僕はやっぱり航空路も、やっぱり道路とみなしたときに、そこにやっぱり航空運賃に対して直接的に補助するということは、僕は何ら問題はないと考える一人であります。  それはそれとして、いずれにしても、この今の補助や助成に対して、果たして生活路線として使っておられる島民の皆さんたちが、いわゆる局長は運賃は決して高くはないと言いましたけれども、もう一々言いません。これはもう二万円や三万円近いこの運賃、果たしてこういう補助をしておる中で、運賃に対して、いや、運賃の安くなっていくというこのインセンティブが働いておるのかどうか。生活者の皆さんにとって、島民の皆さんにとって、果たしてそういう航空会社に与えておる国の施策が果たして運賃にいい意味で還元されておるのか、僕は非常に疑問に思うんですけれども、ここらはどうですか。
  143. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) まず一つは、御案内と思いますけれども、航空運賃は航空会社が自主的に決めて届け出るものでございますが、そういう中で、先生が今お話がございましたように、私どもとしても、運航費や機体購入費の補助であるとか、あるいは着陸料、あるいは航空燃料税の軽減等々やっているわけでございますが、これは私どもからすれば、離島航空路の維持ということを主眼としているものでございまして、要するに離島航空路そのものがなくなってはいけないという観点から、少しでもバックアップをしていこうということでございます。  運賃につきましては、先ほどもお話がありましたように、基本的には航空会社がそのコスト等見合いで決めていくものでございまして、なおかつ現在いろいろな各種の割引運賃を設定しているというふうにしていると思っております。
  144. 大江康弘

    ○大江康弘君 実は局長、これもう私、だから局長のその答弁というのは、いわゆる第一義的には航空会社でしょう。要するに二義的には、本来やっぱり島民の皆さんの利便性を考えないかぬ、安くしてあげないかぬということが、本来我々は考えてやらないかぬというのに、だから、今、局長が言われることは、航空会社にとってみたら、おれたちは飛んでやっているんだと。だから、国からしている補助金のシステムやあるいは助成のシステムなんというのは、いわゆるそれは担保や保障の部分であって、私はやっぱりそこがちょっとどうも違うんじゃないかと。もう、ちょっと私、ほかのこと聞きたいので、時間ありません。  これはまた別な機会に聞きますけれども、私はやっぱりもう少し運賃、直接運賃に対してやっぱり考えてあげるということでなければ、こんな東京から奄美までこれ四万も五万も掛かって、こんな海外行くよりも高い中で、これ本当に島発展させなんて、こんなことむちゃな話ですよ。だから、やっぱりそこらをもっと現実的に僕は考えていただきたいということをお願いを申し上げておきます。  それからちょっと一つ要望ですけれども、先ほど藤野先生も言われたTSLの中で、これは東京都が主体ですけれども、やっぱり小笠原というのは、私は最終的には空港というものが非常にやはりこれは必要になってくるんではないかということを思います。ですから、この部分は東京都がやはりこれは主体になることでありますけれども、やはり国交省としましても、やはりその空港建設の早期着工という部分にどうかひとつ、今後とも引き続いて国交省の立場でひとつ応援をしてあげていただきたいなと、実現に向けて応援をしてあげていただきたいなと思います。  今日は海上保安庁長官に来ていただきましたけれども、このEEZの話、ちょっともう次回に譲ります。申し訳ございませんでした。  どうかひとつ大臣、この委員会大臣がずっとおられる間、お付き合いをいただくと思いますけれども、ひとつ日本のいわゆるインフラを今後またどうしていくかという、日本国土をどうしていくかという、やっぱりひとつ大臣なりの大きなグランドデザインをひとつかいていただいて、我々にひとつそれも提示をしていただけたらな、こんなことを要望申し上げまして、終わります。
  145. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本でございます。  先ほど大江委員から、森本は奄美だけ絞ってというのを先におっしゃっていただきましたが、私は、今日は奄美だけに絞ってさせていただきたいと思っております。  なお、この奄美につきましては、うちの党内に、公明党の中に奄美ティダ委員会、こういうものを作って奄美振興に力を入れていこうと。ティダというのは太陽という意味でありますけれども、我が党内もそれに全力で取り組んでいるところでございますが、弘友さんがその副会長で、本当は今日は弘友さんが質問するのが一番いいわけでございますが、弘友さんは度々奄美へ行って、いろんな意見を聞き、いろんなところで取り上げて、一生懸命頑張っていただいております。  ちょうど今回は、私もそれに、その中に加えてやろうという弘友さんの考え方でございまして、先ほど局長から話がありましたけれども、関西、尼崎辺りに行きますともう奄美出身の人たちが一杯います。そういった人たちからも私はそのいろんな声を伺っておりますので、弘友さんの意図、それから関西に、奄美におる人たちの気持ちとを私は合わせて、今日はこの質問に立たせていただきたいと思うところでございます。  まず最初に、奄美群島というのは、奄美大島と徳之島と永良部島等々、八つの島から成っていまして、トカラ列島と沖縄諸島の間に連なる島々で、一市十町三村、人口約十三万人で構成されているところでございます。昭和二十八年十二月二十五日に本土に復帰して、そして昭和二十九年議員立法で奄美群島復興特別措置法が制定されました。その後、今回まで九回の延長がされてきているわけでございますが、その間、その特別措置法に基づく各種の事業が実施されてきたので、交通、産業基盤、生活環境等の整備も進みまして、今日では亜熱帯性、海洋性の豊かな自然環境等の地域特色を生かした園芸や養殖業等の産業振興の機運も高まっているところであります。  しかし、奄美群島と本土や沖縄との間には、依然として、所得、暮らしを始め交通基盤、先ほども所得の格差については局長の方からお話がございましたけれども、あるいは社会基盤、教育、文化等にわたって格差があります。あわせて、本土から遠い地理的条件を持っておりますし、台風の常襲地域でもあるという厳しい自然条件にあって、いまだ奄美群島が自立発展していく基礎的条件は確立されていないと、自立的に発展していく基礎的条件は確立されていないと言えるのではないかと思います。  そこで、先ほど申し上げました趣旨で質問させていただきたいんですが、今回の趣旨は、地元の発意、創意工夫を生かし、両地域の地理的、自然的特性を増進させるような振興も図るものであると思われますが、これまで奄美群島振興開発特別措置法では、計画決定は国が行うと、こういうことになっておりました。しかし、今回では、地元の発意、創意工夫を生かすため、計画策定は国の基本方針に基づいて県が行う、県はその策定に当たっては国の同意を得なければならない、こういう具合になっております。  この点見ますと、今回のスキームの改正によりまして県の裁量が非常に大きくなったように思われます。地元の発意というのは極めて大事でございますけれども、地元の方々は、逆に今度心配されているのは、国の責任がこのことによって後退しないかどうかと。国は責任をどう果たしていくのか、こういうことが奄美人たちにとっての国への心配事でございますが、この対応はいかに考えておられるのか、御答弁願います。
  146. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 今御指摘のとおり、今回の法改正では、従来国が決定していた奄美計画につきましては県が決めるという大きな転換を行ったところでございます。  ただ、県の計画の前に、国は基本方針を作ります。審議会の意見を聞き、関係行政機関の方々意見も聞いて、従来どおりこの奄美についてどう取り組むのか、また今回の法改正では、幾つかの国として配慮しなくてはいけないような規定も設けております。  制度の形としては、国が基本方針を作り、県が市町村方々の下からの積み上げで計画を作っていくという形になっておりますが、例えば、具体的な補助率のかさ上げとか、具体的な支援措置についても今後も継続するということで、より一層地元の創意工夫を生かしていくということでございまして、国の責任が後退するというようなことではないということを是非御理解いただきたいと思います。
  147. 森本晃司

    ○森本晃司君 奄美と沖縄との関係についてお尋ねしたいんですが、奄美群島と沖縄というのは地理的、歴史的に深いつながりを持っているわけであります。本土復帰の時期は違いますけれども、一時米軍施政下に置かれていた点も共通しているわけであります。  しかし、それぞれの振興特別措置法を見てみますと、沖縄にかかわるものは非常に手厚いように、沖縄のその手厚いのを削れというわけではありません。沖縄と比べて、沖縄は非常に手厚い分、その結果、人口動態、所得、老齢化率、生活保護率、市町村財政力指数などの指数は沖縄に比べて大きな後れを取っているのが奄美の現状ではないかと思います。  奄美群島の振興に当たって、沖縄振興に係る諸施策状況をも考慮すべきだと思いますが、いかがですか。
  148. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 御指摘のとおり、奄美と沖縄は同じ南西諸島の琉球弧の中に位置しておりまして、自然、経済、文化及び戦後米国軍政下に置かれた歴史的経緯等、多くの共通項を有しております。  今、沖縄について大変手厚い助成措置が行われているという御指摘がございましたが、そのとおりでございます。日本各地すべての中で、ある意味では一番手厚い助成措置が行われていると思います。奄美、小笠原につきましては、その中間に当たるということでございますが、御案内のとおり、沖縄はやっぱり非常に特殊な事情もあるということで、本土とそれから本土の過疎地、それから奄美、小笠原、それから沖縄と、幾つかの助成措置について差が付いていることもございます。  ただ、今御指摘ございましたように、この地域は非常に近いということがございます。ということで、経済的、人的交流もいろいろございますし、そういう中で沖縄の方が手厚いものですから、是非我々も一緒にしてほしいという声がございます。  我々といたしましては、両地域がそれぞれ今の段階で違う状況に置かれているということはございますが、沖縄振興に係るそういう状況についても十分留意しながら、奄美の振興を図ってまいりたいと思います。
  149. 森本晃司

    ○森本晃司君 沖縄の皆さんには更に手厚くそれは続けていただきたいと思いますし、奄美の皆さんにも、同じような状況下にあるわけでございますので、是非手厚い振興がなされるように、この改正を機会に訴えをさせていただきたいと思います。  同時に、沖縄とのちょっと比較でございますが、先ほど大江委員から航空運賃の話がございました。大江委員は、東京からの運賃が高いということと、それから東京から鹿児島へ行って、鹿児島から行くという運賃のことをお話しされました。  私は、東京あるいは大阪から沖縄と奄美との運賃の格差についてお尋ねしたいと思うんですが、東京から奄美大島まで行くのに三万九千五百円、で、東京から奄美よりもまだ遠い沖縄に行くのに三万四千五百円、五千円沖縄の方が安い。大阪から奄美大島へ行くのに三万五百円、大阪から沖縄へ行くのに二万八千五百円、これも奄美の方が二千円高い。遠いところの方が安いわけでございまして、これはいろいろと機材の関係とか、それから乗る人の頻度の問題もあるかと思うんですけれどもね。  これ、この問題について、やっぱり奄美振興をやると国が決めた以上、料金は先ほども航空会社が決めるものだというものでありますけれども、ここ一つ見ても同じような運賃にする必要があるんじゃないですか。沖縄を上げろというんじゃなしに、奄美の方を下げるんです。こう考えているんですが、どうですか。
  150. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 先生今御指摘のように、奄美と羽田の関係と羽田と那覇の関係、那覇の方が安いと、こういう格好になっています。  それにつきましては、今お話がございましたように、やはり奄美路線が沖縄路線と比べて小さな機材で運航しております。一便当たりの座席数が少ないということで、例えば那覇であれば言わばジャンボ機が飛んでいるわけでありますが、奄美は小型機で百六十席程度、こういうことでございます。それから、運航便数も奄美は一便でございますが、那覇は二十便飛んでいる。それから、お客数が、客数が奄美でいうと約八万八千人でございますが、那覇だと約四百四十万人という圧倒的な数字の違いがあるということがございまして、やはり基本的に離島路線というものについては需要が小さく、そのためにコスト高になるということは先ほど申し上げたとおりであります。  ただ、私どもとして、先ほど申し上げましたように、離島路線の維持というのは不可欠だと考えておるわけでございまして、そういう意味で、先ほど申し上げましたけれども、運航費だとか機体購入費の補助でありますとか、着陸料の軽減、六分の一に軽減してございます。あるいは、航空機燃料税の軽減、四分の三等の支援措置を講じているものでございまして、あとはそういうものの中で航空会社が適切な運賃を設定するということを期待するものでございます。
  151. 森本晃司

    ○森本晃司君 次に、環境省来ていただいていますが、奄美・琉球諸島の世界遺産についてお尋ねをしたいと思いますが、奄美には御承知のようにアマミノクロウサギという世界的な希少動物が生息していますし、亜熱帯性常緑広葉樹林が分布しているということでございます。地域振興ということには自然を生かすことが有効でありますが、一方、自然環境観点から見ると、世界遺産に登録して保護していく必要もあるのではないかと思われるわけでございます。世界遺産の候補地として知床と小笠原と琉球諸島、この琉球諸島に奄美が含まれているわけですが、これが選定されましたが、次のステップである世界遺産委員会への推薦は知床のみが選定されたということでございます。  そこで、琉球諸島が選定されなかったのはなぜなのか、今後推薦される見込みなどはどうなのかということと、それからこれは琉球諸島というので付いていますが、奄美・琉球諸島としたらどうなのかと、こういった点にお願いいたします。
  152. 小沢典夫

    政府参考人小沢典夫君) 世界自然遺産の御質問でありますが、世界自然遺産の登録には二つの条件が必要であると言われておりまして、第一にはその自然が世界的に見て貴重なものであること、第二はその自然を将来にわたって守るために必要な保護措置が取られていることの二点であります。  琉球諸島につきましては、これは今御指摘のありました奄美諸島にはアマミノクロウサギでありますとかアマミデンダといったような固有な動植物が多くありまして、独特の生態系を有しております。そして、これを含む琉球諸島の島々がそれぞれに固有な生態系を持っておりまして、全体として非常に多様性に富んで、世界的にも貴重な存在であるというふうに認識しております。  しかしながら、第二の要件の保護措置という点から言いますと、これは奄美、沖縄を通じて言えることでありますが、海岸部は比較的国定公園などに指定されて保護されておりますが、陸上部の保護区の設定がまだ十分でないというような状況にございます。このため、今回、知床と同時の推薦は見送ったわけでございますが、私ども環境省としては、やはり貴重な自然でありますので、鹿児島県などと連携を取りながら陸上部の保護区の拡充ということに努めまして、世界遺産の条件が整い次第、推薦の手続を進めてまいりたいと思います。  それから、名称のことでありますけれども、これは生態学などの学問的な立場から琉球諸島ということが言われておりまして、もちろんこの中には奄美諸島、奄美群島が含まれているわけですが、そういった学問的な立場ということもございますので、そういう名前を使っております。この点につきましては、今後推薦の手続を取るまでに多少議論されることもあるかと思いますけれども、十分検討してまいりたいというふうに考えます。
  153. 森本晃司

    ○森本晃司君 是非名称についても、学問的立場だけではなしに、分かりやすくした方がいいと思います。琉球諸島いうたら沖縄かなという感じですから、奄美も入っているというんですから、よくまた御検討いただきたいと思います。  最後に、今回のこの奄美大島、小笠原諸島の改正について、国土交通大臣決意を伺わせていただいて、終わります。
  154. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいまの森本委員の踏み込んだ御議論を聞かせていただきまして、まだまだやらなければいけないことがありますし、県民所得が全国の平均七割という奄美諸島の島民の皆さん方の経済面あるいは生活面の格差というものの是正ということも忘れてはなりませんし、さらにこの自然とすばらしい地理的要件、こういうものを生かして、自立的に発展できる観光業の振興とか、さらには地場産業の育成などに積極的に支援してまいりたいと考えております。
  155. 森本晃司

    ○森本晃司君 終わります。
  156. 富樫練三

    富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。奄美の問題に限って質問をさせていただきたいと思います。  最初、今回出されております法律案ですけれども、この法案の第二条でこういうふうに書いてあります。国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣基本方針を定める、こうなっています。その基本方針の内容については第二条の第二項で十四項目挙げられています。その中で、例えば六項目の保健衛生の向上、七項目の高齢者の福祉その他の福祉の増進、それから八項目めの医療の確保、十一項目の教育及び文化の振興などがあります。これらについては、本来厚生労働大臣や文部科学大臣の所管事項であるというふうに思います。しかしながら、冒頭の基本方針を定める大臣の中には厚生労働大臣や文部科学大臣は入っておりません。  そこで、最初にちょっと確認をしておきたいんですけれども、厚生労働省、文部科学省から今日おいでいただいていると思いますけれども、当然この法律に基づく基本方針の策定とその執行については文部科学省も厚生労働省も一緒に責任を負うものだと、こう理解してよろしいかどうか、この点、まず確認をしておきたいと思います。
  157. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答えいたします。  今お読みになりました第二条の第五項というところに「国土交通大臣、総務大臣及び農林水産大臣は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、奄美群島振興開発審議会の議を経るとともに、関係行政機関の長に協議しなければならない。」ということで、今御指摘の幾つかの項目、当然関係各省、関係してまいるわけでございます。
  158. 富樫練三

    富樫練三君 関係しているというのは分かっているんです。この法律基本方針を定めることと併せて、この法律の執行についてそれぞれの厚生労働省やあるいは文部科学省は一緒に責任を負うんですか。いや、負わないんだと、国土交通省だけが責任を負うんだと、こういうことではないように思うんですけれども、その点、いかがですか。
  159. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 政府として基本方針を決めるわけでございますから、この基本方針に書かれたことについては、各省庁責任を負うということでございます。
  160. 富樫練三

    富樫練三君 そこで、次に進みますけれども、その中の厚生労働省関係について伺います。  今日は資料を配らせていただきました。この資料の①番の、一番上のところですけれども、その表の上から二つ目、左側に医療というところがあります。医師数は、人口十万人当たり、全国は二百一・五人、奄美が百五十二・七人ですから、大体四分の三というか七五%程度と。それから、歯科医師についても、これは人口十万人当たりでありますけれども、七十一・六人、奄美が四十・八人ですから、半分ちょっとというところになっています。上、一番上の欄の道路のところを見ますと、国道の改良率は、全国が八九・二で、奄美は九五・五ですから、全国よりも奄美の方がむしろ進んでいる、改良率で言えば。県道もそうであります。やっぱり医療の、特に医師の確保については全国より後れているというふうに言わざるを得ません。  そこで、どうしてこういうふうになってしまっているのかですね。これは、実は五十年前に復帰をして、それ以来ずっと特措法に基づいて様々な手だてをやってきた、努力をしてきたんだと思うんです。ただ、到達点がこういうことだと。厚生労働省としてはどういうふうにそこを理解しているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  161. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 御指摘奄美群島の医師、歯科医師数につきましては、人口十万人当たりで見ますと、鹿児島県平均や全国平均よりも低く、加えて中心となります奄美大島の名瀬市に集中をしております。他の地域では無医地区等が一方で生じているというふうに理解をしております。  へき地、離島におきます医師等の確保に困難を生じております原因としては、勤務する医療機関の立地条件や生活環境観点、医療を行う際の支援体制や医療技術の進歩等に対応するための研修の機会の確保等が必ずしも十分に行えないことなどが考えられると聞いております。
  162. 富樫練三

    富樫練三君 こういうことは言えるんでしょうか。  例えば、へき地保健医療対策費であるとか、医療施設等の施設整備費であるとか、あるいは医療施設、設備ですね、施設じゃなくて設備の方ですね、こういうもので補助をしたり援助をしている、支援をしていると、これはあると思うんですね。今までやってきているということだと思うんです。ただ、これはほかの離島であるとかへき地であるとかそういうことと同じように進めているわけで、この特別措置法に基づいて奄美群島について特別手厚くしているということではないので、結果としてこういうことになっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういう理解でよろしいのかという点が一つと、もう一つ、今度の法案、法律では、平成十六年度を初年度として五か年をめどとして、目途として達成させるような内容のものでなければならないと言っているわけで、これから新しい法律に基づいた基本方針が作られると思います。その場合に、少なくとも五年後にはこの医師の確保や歯科医師の確保については本土並みになると、こういうふうに厚生労働省は考えておられるのかどうか、それがあって初めてこの特別措置法の意味が出てくるというふうに思われるわけですけれども、この点はいかがですか。
  163. 中島正治

    政府参考人中島正治君) 奄美群島振興開発特別措置法におきましては、鹿児島県が奄美群島における無医地区に対し各種事業を実施する際に要する費用について、国がその二分の一を補助するものと規定しているところでございます。これは厚生労働省が全国レベルで実施をいたしますへき地保健医療対策と同じ補助率となっておりますけれども、例えばへき地診療所の設置基準につきましては、全国レベルでは無医地区の人口が一千人以上とされておりますのに対して、奄美群島においては人口三百人以上の地区でも対象とするなど、特別に緩和措置を講じているところでございます。  また、奄美群島振興開発特別措置法におきましては、国及び鹿児島県は無医地区における医師等の確保に努力をするというふうにされております。このため、国といたしましても、へき地保健医療対策の中で鹿児島県のへき地医療支援機構に対しまして補助を行っておるところでございます。  また、特別措置法第六条の三、第三項の趣旨を踏まえまして、この機構の計画調整の下、へき地医療、拠点病院であります隼人町立医師会医療センターから奄美大島や喜界島のへき地診療所に医師を派遣する、奄美群島の五地区に眼科、耳鼻科、皮膚科の巡回診療を行う等の取組も行っているところでございます。  奄美群島の人口十万人当たりの医師数、歯科医師数につきましては全国平均よりも低くなってございますけれども、医師数については鹿児島県全体では全国平均を上回っているというところもございます。奄美群島におきます医師数の確保につきましては、へき地医療支援機構を中心といたします国の補助制度も活用いただきながら、県全体として広域的なへき地保健医療対策の推進に取り組んでいただくことが重要であると考えておりまして、いずれにしても、奄美群島を始めといたします地方における医師確保の問題については大きな課題でございますので、厚生労働省、総務省、文部科学省による関係省庁連絡会議におきまして、医師確保が困難な地域における医療提供体制の確保方策について協議を進め、先月の二十六日に当面の緊急的な取組を取りまとめたところでございます。  地域における関係者の連携の下、地域医療を担う医師の養成確保に向け、総合的に取り組むこととしているところでございます。
  164. 富樫練三

    富樫練三君 五年を目途にということは答弁がありませんでしたので、次のときにちゃんと答えてください。  文部科学省関係ですけれども、学校の整備についてです。先ほどの資料のやはり一番の医療の下の義務教育のところを見ていただきたいと思います。  小学校の校舎の整備率は、全国が九〇・一%、奄美が七〇・四%、屋内運動場についていえば、七三・二と四三・四、中学校の校舎の整備率は、全国が九三・五で奄美が七五・三、同じく中学校の屋内運動場でいえば、全国が八〇%で奄美が四五・六ということで、これも全国に比べて整備率という点でいえば、かなり大きな格差があるというふうに思われます。  そこで、先ほどからの議論の中で、今度は市町村意見を県に出して、県が中心になって計画を作っていくんだと、具体化していくと、もちろん基本方針は国が作ると、こういうことで、下から上へと、こういう流れにしていこうということが強調されていると思います。  市町村長会、奄美群島の市町村長会と議長会が連名で鹿児島県知事に提出した「平成十六年度以降の奄美群島における法に基づく特別措置への意見及び新振興計画(地元の目標)について」という文書が出されております。これは、もちろん国の方も見ていると思いますけれども、その中で、学校校舎の整備については、事業費枠及び補助単価の実施単価九〇%以上の確保・補助単価への離島加算分の上乗せ、これが要望されています。これらについてきちんと対応をすることによって整備率は引き上げていくということが、今度の措置法に基づけば当然のことというふうに思われますけれども、文部科学省はどう対応されますか。
  165. 樋口修資

    政府参考人樋口修資君) お答え申し上げます。  文部科学省といたしましては、従来から奄美群島におきます公立小中学校施設の整備におきまして、補助率のかさ上げ措置を行いますとともに、具体の市町村の申請に基づきまして、施設整備に当たって必要な国庫補助を行ってきたところでございます。  先ほど委員指摘整備率の問題が出ましたが、国庫補助におきます必要面積と実際に整備された面積を案分して算出されたものでございまして、国庫補助における必要面積は学級数に応じて算出されるものでございますが、一方、実際の公立学校施設整備に当たりましては、児童生徒数が少ないなどの地域の実情を勘案しながら、国庫補助における必要面積にかかわらず、市町村の判断によりましてその具体の学校施設の整備が進められているものと考えているところでございます。  先ほどのお話で、学校校舎補助率の堅持の問題がございましたが、私ども、これまでも公立小中学校施設の整備に係る国庫補助単価に当たりましては、予算の範囲内で可能な限り単価の加算を行ってきたところでございます。本年度におきましても、事業認定を行わせていただきました奄美群島におけるすべての公立小中学校に対しましても、その地域の実情を勘案いたしまして、具体に単価の加算を行い、ほぼ実施単価での補助を行わせていただいたところでございます。  今後とも、文部科学省といたしましては、奄美群島におきます教育環境の充実が図られるよう、引き続き市町村からの補助申請に対しては十分その事業枠を確保しつつ、予算の範囲内で可能な限り、その単価の加算についても地域の実情を踏まえて配慮してまいりたいと考えておるところでございます。
  166. 富樫練三

    富樫練三君 予算の範囲内で可能な限りというのは今までもやってきたんですよね。その結果が私が今言った数字になっているんですよ。ですから、それじゃ進まないというのはもうはっきりしているんです。だから、地元からは市町村長会と議長会からそういう文書が出ているんです。ここのところをしっかりと踏まえて対応するかというのが今度の特別措置法で求められている内容だと。これは、今度の法律でも適切な配慮ということをわざわざ言っているんですよ。これについて、残念ながら文部科学省はきちんと対応は今のところはできていないので、これからしっかりやっていただきたいというふうに思います。  次に、自立発展ということが今度の法律では特に強調されています。自立発展と言った場合に、特にその地域の産業を振興させること、その点でいいますと、奄美群島の場合は観光産業というか観光事業というか、これが非常に大きな自立のための資源でもあるというふうに言えると思います。  今、産業の実態を見ますと、お配りしました資料の真ん中のところ、②のところですけれども、例えば、サトウキビはこの十五年間の間に百五十億円から百億円に出荷額が下がっているわけなんですね。三分の一落ち込んでいると。林業でいえば何と四十九億円から八億円ですから、ほとんど壊滅状態と言っていいほど重大な事態にあります。大島紬、これは当時、十五年前は二十四万反作っていたものが四万に減っているわけですから、大変な事態です。そういう中で、やっぱり観光行政、これをしっかりと確立するということは、今、島の人にとって大変大事だというふうに思います。  そこで、先ほどからも問題になっておりましたけれども、航空運賃の問題について。どうやって本土からたくさんのお客さんを呼び込むかということは一つの大きな課題だと思います。先ほども出ておりました。羽田―奄美間は千二百六十七キロで、距離がですね、それで三万九千五百円。羽田―沖縄間というのは、那覇ですけれども、千五百八十四キロですから遠いんですね、で三万四千五百円。運賃はこちら、沖縄の方が安いということです。もちろん、運賃というのは、先ほどから答弁がありましたように、これは距離だけで決まるものではなくて、使用する機材とか便数とか客数とか、あるいは着陸料とか燃料税とか総合的に決まるものだというふうに思います。ただ、この二つの路線を比べてみますと、一キロ当たりにすると、沖縄と奄美と比べますと、羽田―奄美間は沖縄との運賃の約一・五倍になるんです、直行便でですね。鹿児島経由をしなくても一・五倍なんです。これは余りにも大きな差だと言わざるを得ません。  そこで、運賃にも間接的に影響あります燃料税についての軽減措置ですね。本土―奄美間の軽減措置先ほど四分の三にしてあると、すなわち二五%減ですね、ということだと思いますけれども、沖縄の場合はどうなっていますか。
  167. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 航空機燃料税につきまして、奄美大島につきましては本則の四分の三でございますが、沖縄につきましては本則の二分の一でございます。
  168. 富樫練三

    富樫練三君 そうすると、さっき奄美の方は一・五倍の運賃だと申し上げましたけれども、減税率からいえば沖縄の方はマイナス五〇%で奄美の方はマイナス二五%、これはもう全然違いますよね。ですから、先ほども質問ありましたけれども、沖縄の方を引き上げろと言うんではなくて、これは、奄美の今のこういう産業全体が先ほど示しましたようなこういう事態になっているんですね。そういう中で観光事業を振興させる上では、こういうことから一つ一つその振興対策をやっていかなくちゃいけないもんだろうと思うんです。  観光行政国土交通省が担当しているというわけでありますから、当然これは、税を担当する財務省の方に対してそういうきちんとした要請をして奄美の振興を図るということが必要だと思いますけれども、この点についてどうお考えですか。
  169. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 御指摘の点でございますが、奄美と那覇の運賃の違いにつきましては先ほど説明しましたので省略させていただきますが、現在の羽田と奄美路線ということにつきまして他の離島路線と比べてどうだということを考えますと、必ずしも突出しているわけではございません。先ほど申し上げましたが、例えば羽田と奄美の間、三万九千五百円でございますが、約一千四百三十六キロでございます。これと似たような距離でいいますと、例えば関空と宮古間、千五百三十キロでございます。これ約四万円ということで、奄美が特に高いということではないと私どもは考えております。  それからもう一つは、先ほど先生の御資料にもありましたけれども、奄美につきましては最近旅客数は増えてきております。路線の維持という観点から見ますと、私ども航空旅客数が増えてくるということは大変喜ばしいことでありますけれども、そういう意味でいいますと、更なる支援ということを考えるよりは、むしろ他の離島路線とのバランス等を考えれば、旅客数が増えている現状においてなかなか難しい問題であると考えております。
  170. 富樫練三

    富樫練三君 時間ですので、最後の質問にします。  沖縄との比較でやっぱり皆さん考えているんですね、奄美の場合は。あわせて、奄美の特別措置法を作るというわけですから、ほかと大体同じだからいいではないかということでは済まされないということだと思いますので、ここはひとつ是非とも努力をしていただきたいと思います。  その上で、最後の質問ですけれども、資料の③番、振興開発事業関係予算案というのを、これは国土交通省の資料なんですけれども、この中、公共事業についての、公共事業合計というところ、これは三百五十億です。非公共の合計が四億八千です。合計しますと三百五十五億になるんですけれども、三百五十五億のうち、治山・治水、道路、港湾・空港など、こういうものが三百五十億で、残り微々たるところが非公共になっているんですね。  そこで、地元からはソフト面にもっと力を注いでもらいたいと、こういう要望が出されております。先ほど言いました地元の町村長会と議長会から出されている中でこういうふうに書いてあるんです。特別非公共事業制度を新たに創設するという、これを希望しているんですね。その内容としては、主に観光開発、特産品振興、交通、福祉、教育、文化などの事業を行う、こう書いてあるんです。いわゆるソフト面全体を充実させようと。  五十年間特措法に基づいて進めてきて、いわゆる公共部門については大方のところかなり進行しているというのは、先ほどの道路の例でお分かりいただけると思うんです。いよいよこれからはソフトの部門にもっと力を注いでいく、そういうふうにかじを切るべきだろうというふうに思いますけれども、大臣の見解を伺って、質問にしたいと思います。
  171. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) 委員が表をお示しになられて、道路あるいは義務教育等々の社会資本整備、道路の方は全国平均よりも上回っておるけれども、義務教育の校舎あるいは屋内運動場等々ではまだまだ足りない、社会資本整備ということの重要性ということもこの表からは明らかになりましたし、今御指摘のそのソフト事業推進していくということも島民の皆様方が望むという上で私も重要なことだと思っております。  そんな中で、今回は具体的に、奄美群島を丸ごとミュージアムに仕立てるといったような奄美ミュージアム構想の策定事業や、ガイドや自然、文化等々の研修を行う人材育成事業などにも予算を付けさせていただきましたが、これからはこれまで以上にこのソフトの面の充実ということを考え、積極的に推進してまいらなければならないと考えております。
  172. 富樫練三

    富樫練三君 終わります。
  173. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 渕上です。  これまでの成果と問題点、今後の方向性についてお伺いをいたします。  奄美群島は、一九五三年のクリスマスの日に本土復帰をしてから今日までほぼ約半世紀を経ました。また、小笠原は、一九六八年に復帰し、この間ずっと特別措置法が存在をしている。振興法が延長されなければならないのは当然でございますが、本土との格差は同法が制定されたときの精神に反してむしろ広がっているというのが現実ではないでしょうか。減り続ける人口、流出する若者たち、地場産業の衰退から、こんなはずではなかったという声が上がり始めております。  格差の状況は、奄美や小笠原に責任を課すべき問題ではありません。やはり、今日までの特別措置法の在り方、特別措置法の運用に関してなお心すべき点が残っているのではないでしょうか。この間の実施されてきた国の振興開発の成果や問題点を検証して、今後どんな方向性を目指していくのかが問われています。  国として、これまでの特別措置法の成果や問題点についてどのように認識され、改善しようとしているのでありましょうか。また、今後特別措置法の運用についてどのような点を心掛けていこうと考えておられるのか、お伺いいたします。
  174. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答えいたします。  この奄美、小笠原につきましては、長い間この特別措置法ということで支援してきた結果、社会資本整備等の面ではかなりの成果が上がってきたと考えます。しかしながら、奄美群島の例えば住民一人当たりの所得は全国平均の七〇%にとどまる、経済面、生活面における諸格差は依然として残されているということで、今後ともこれらの課題の克服に向けた取組を行っていく必要があると思います。  そこで、今回の改正案では、地元の発意、地域の個性と創意工夫を生かす主体的な地域づくりを進めるということ、それから、今、大臣からも御答弁申し上げましたが、ソフトの点をもっと重視していくと。地域の魅力と資源を活用した産業振興、観光振興、自然の保全と両立させながら、こういうものを進めていくというようなことが今後の大きな課題であると考えております。
  175. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ソフト面の施策の充実についてお伺いをいたします。  特別措置法に基づく公共事業補助率かさ上げによって公共事業に過度に依存をし、島の持ち味であるはずの自然が破壊をされて、大事な観光資源がどんどん失われているという声が上がっております。自然環境に配慮をした事業を行い、自然と人々との暮らしがうまく調和した社会の実現に期待をしたいし、島民の生活全体の質を引き上げるようなソフト面の充実を図る必要があると考えます。  今もお答えがございました。かなり充実をしていきたいというお答えがありましたけれども、では、交通にしても、基盤整備や施設の整備は必要ですが、やはりハードだけではなくてソフト面の充実についても強化すべきであると考えますし、奄美群島内の交通通信の確保に関する事項についてはソフト面の支援も含まれているのかどうか、お伺いいたします。
  176. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 奄美、小笠原の自立発展促進していくというためには、基盤となる社会資本整備と併せて、産業振興などのソフト事業推進していく必要があると思います。  具体的には、十六年度の予算案におきましては、奄美ミュージアム構想ということで、奄美群島全体を博物館に見立てるような産業や観光、文化等を総合的に振興するための構想作りでございますとか、観光客が増えていると、そういう中で、農産物を販売する施設に対する税制上の措置、さらに奄美基金に対する国からの追加出資というようないろいろなソフトの対策も盛り込んでおります。  基本方針におきまして、交通通信の確保に関する事項ということでございますが、これはハードだけではございませんで、例えば情報通信サービスでございますと、災害情報等の提供とか、交通関連サービスについてもいろいろな輸送サービスに対するソフト対策、こういうことも含んでいくということでございます。
  177. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 主にやはり奄美の場合は、小笠原についてもそうでありますけれども、観光というのが非常に重要な産業だと思いますので、とりわけ交通通信に対する確保について一層の御努力をお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、人材の育成についてお伺いをいたします。  国及び地方公共団体の配慮規定として、離島振興の場合とは異なり、人材育成が加わっていますが、本法案独自に人材育成への配慮規定が設けられた理由と、これに伴う具体的な施策についてお伺いをいたします。
  178. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) 地域自立発展のかぎを握るのは人材であると申し上げても過言ではないと思います。したがって、この奄美、小笠原につきまして、人材の育成に関する事項ということを明確に計画に位置付け、国及び公共団体は適切な配慮をするということで地域における各分野での活動を支える人材の育成を図っていきたいと、このように考えているわけでございます。  具体的にはどうかということでございますが、先ほど奄美ミュージアム構想ということを申し上げました。これは、奄美が国の宝だと、いやしの島奄美というようなことを群島内外にPRするというために人材育成をする、群島を訪れる観光客の皆様にじかに接する機会の多い地元の関連事業に働いておられる方々を対象に例えば様々な研修を実施するというふうなことがあります。例えば、奄美で旅館、ホテル、ガイド、タクシーの運転手さん等々、観光客の方々と直接、じかに触れ合う方々が約三千五百名程度、こういう方を対象に例えば研修をしていくというようなことも具体的な政策として考えているわけでございまして、奄美のPRとともに、奄美を来訪するリピーターの増加、こういうことを考えていきたいと思います。  また、小笠原におきましては、十七年春にテクノスーパーライナーが就航するということで、観光客を案内する自然ガイドの育成、こういうようなことにも取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
  179. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 では、離島空港、アクセスの改善についてお伺いをいたします。  地元からは、例えば五万円パックなどで島々を伝い歩くことができないかという趣旨で、奄美諸島の島々を周遊できる航空運賃の設定についての提案が出されていますが、離島にとって航空アクセスの充実は悲願とも言えますし、離島航空路の安定と運賃の軽減を図ってほしいという声が強くありますが、先ほども何回も答弁もありましたけれども、再度、国土交通省としてどのように考えているのか、お伺いいたします。
  180. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 奄美の運賃につきましては、先ほどから話がありますけれども、これは便数が少なく、一便当たりのコストがどうしても割高になっているというようなことが背景にあろうかと思います。  ただ、今お話がありましたように、航空会社によりまして各種の割引運賃というのもそれぞれ工夫をして設定をさせていただいているところでございます。そういうことからして、他の離島路線と比べて、先ほど申し上げましたけれども、突出して高いレベルになっているわけではないと思いますけれども、そのような割引運賃というのも御活用いただければと思います。  一方で、先ほどもちょっと触れましたけれども、この奄美路線に関しましては、この五年間、平成十年から平成十四年の五年間において羽田路線でいいますと三二%、伊丹路線で一〇%増加をしておりまして、堅調な伸びを示しているところでございます。  いずれにしましても、航空路線というのは離島振興に欠かせない重要な交通基盤でございますので、私どもとしても、今後とも運賃の推移について注視してまいりたいと考えております。
  181. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、小笠原空港問題の状況についてお伺いをいたしますが、前回改正時には、「空港整備構想の推進を図るため諸課題の解決に努めるとともに、自然環境の保全にも十分留意すること。」という附帯決議がされました。  二〇〇一年の十一月十三日、東京都は小笠原諸島父島の時雨山付近に計画をしていた空港建設を正式に撤回されましたが、小笠原空港あるいは小笠原への航空路については、現在どのような状況になっているのか、お伺いいたします。
  182. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 小笠原空港、小笠原諸島における空港の問題でございますけれども、今お話がございましたように、東京都が平成十年に空港の建設地を父島の時雨山周辺といったん決定したわけでございますが、その後の調査の結果を受けまして、平成十三年十一月に、自然環境への影響あるいは多額の事業費、こういうことを理由にして時雨山周辺における建設計画を白紙撤回をしたわけでございまして、費用、環境、技術面から、新たな航空路案を検討するということになったわけでございます。  東京都におきまして、その後、硫黄島活用案、水上航空機案、州崎地区活用案及び聟島案、こういうものの検討を行っていると聞いておりまして、私どもとしては、その検討状況を見守るということでございますし、今後、東京都から御相談があれば技術面等の協力を行うなどの対応をしてまいりたいと考えております。
  183. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 テクノスーパーライナーへの支援についてお伺いをいたします。  新会社の保有するテクノスーパーライナーの第一船は、この春、東京―小笠原航路に投入される予定と聞いております。これにより、本土から小笠原へのアクセスが大幅に改善され、都民の利便性向上や小笠原の活性化に大いに寄与することが期待をされます。テクノスーパーライナーは、空路プラス貨物船に比べ、内地出荷生活物資の鮮度も良く、大量輸送もできるし、荒天時にも強いために、緊急時の対応が安心、一回の輸送力が大きいなどのメリットがありますが、今後とも国土交通省としてしっかり支援をすべきだと考えますが、見解、いかがでございましょうか。
  184. 鷲頭誠

    政府参考人鷲頭誠君) 先生御指摘のとおり、TSLの導入によりまして、今まで二十五・五時間掛かっていたものが十七時間ぐらいに運航時間が短縮されますし、その結果、運航回数というのも年間約六十便から九十便と大幅に増えるわけでございます。これに加えまして、小笠原における受入れ体制の充実によりまして利用者は倍増するものと、数的には倍増するものというふうに私ども見込んでおります。  こういう中で、今御指摘がございました事業者としても需要喚起策とかコスト削減という努力をする中で、民間事業としてこういう需要増と合わせて十分採算ベースに乗るものと考えておりまして、事業者の方もそういう見通しで今準備を進めているところでございます。  したがいまして、現段階におきましては、民間ベースでやっていただくという方向事業の推移を見守っていきたいと思っております。
  185. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後の質問になりますけれども、五年間の延長問題についてお尋ねをいたしますが、奄美法それから小笠原法、ともに五年間延長されることになりますが、五年という根拠は一体どこにあるのか、そして五年で本当に自立達成できるのかどうか。せっかく今回この二つの特別措置法が五か年間延長されるわけですから、計画が終わるときにはやはり格差が是正されていると。地域がどのように具体的に活性化されているのか。地域自立について見るべき成果が報告できるように積極的に取組をしていただくようお願いをする次第でございます。  御所見をお伺いして、質問を終わります。
  186. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) この点は先ほども御同僚の議員の御質疑の中でクローズアップされた問題でございますけれども、両法とも過去五年間ずつ延長されてまいりましたし、経済社会の変化の動向というものを見ますと、変化のスピードが速い中で適宜機動的に制度を見直していく必要があるということを考えると、五年程度ということが適当ではないかと考えております。  当面は両奄美群島、小笠原諸島の現状というものをしっかりと見詰め、将来の自立発展に向けまして、国、地方公共団体、そして民間事業者が一体となって地域振興を図っていくことが必要だと考えております。
  187. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  188. 輿石東

    委員長輿石東君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  189. 輿石東

    委員長輿石東君) 次に、東京国際空港における緊急整備事業の円滑な推進に関する特別措置法案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。石原国土交通大臣
  190. 石原伸晃

    国務大臣石原伸晃君) ただいま議題となりました東京国際空港における緊急整備事業の円滑な推進に関する特別措置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  我が国において、航空輸送の利用者の利便の向上を図るとともに、都市再生、首都圏の国際競争力強化等を図るためには、東京国際空港の発着容量の大幅な拡大及び国際定期便の就航を図ることが喫緊の課題となっております。このため、同空港に新たに四本目の滑走路等を整備する事業、いわゆる羽田空港再拡張事業の円滑な推進を図る必要があります。  このような趣旨から、このたび、この法律案を提案することとした次第です。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、東京国際空港において滑走路等の新設等を行う事業緊急整備事業として位置付け、国は同事業の円滑な推進を図るために必要な資金の確保に努めるものとしております。  第二に、地方公共団体は、国の空港整備特別会計に対し、緊急整備事業に要する資金の一部を無利子で貸し付けることができることとしております。  その他、無利子貸付けを受けている地方公共団体からの意見聴取等所要の規定を整備することとしております。  以上がこの法律案を提案する理由です。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
  191. 輿石東

    委員長輿石東君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十四分散会