運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-04-26 第159回国会 参議院 行政監視委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月二十六日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十二日     辞任         補欠選任      愛知 治郎君     脇  雅史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松 あきら君     理 事                 田浦  直君                 橋本 聖子君                 福島啓史郎君                 岩本  司君                 岡崎トミ子君     委 員                 阿南 一成君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 吉田 博美君                 大脇 雅子君                 鈴木  寛君                 田名部匡省君             ツルネン マルテイ君                 長谷川 清君                 続  訓弘君                 岩佐 恵美君                 林  紀子君                 中村 敦夫君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        文部科学大臣   河村 建夫君        経済産業大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   石原 伸晃君    副大臣        防衛庁長官   浜田 靖一君        外務大臣    逢沢 一郎君        財務大臣    石井 啓一君        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君    事務局側        常任委員会専門        員        白石 勝美君    政府参考人        防衛庁長官官房        長        北原 巖男君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        総務大臣官房総        括審議官     大野 慎一君        総務省行政評価        局長       田村 政志君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        外務大臣官房外        務報道官     高島 肇久君        外務大臣官房領        事移住部長    鹿取 克章君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        財務大臣官房審        議官       篠原 尚之君        財務省主計局次        長        杉本 和行君        文部科学省初等        中等教育局長   近藤 信司君        経済産業大臣官        房審議官     佐藤 哲哉君        資源エネルギー        庁長官      日下 一正君        国土交通省鉄道        局長       丸山  博君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君        国土交通省政策        統括官      山本繁太郎君        環境省自然環境        局長       小野寺 浩君    参考人        国際協力銀行理        事        森田 嘉彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (行政評価等プログラムに関する件)  (政策評価現状等に関する件)     ─────────────
  2. 松あきら

    委員長松あきら君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  去る十二日、愛知治郎君が委員を辞任され、その補欠として脇雅史君が選任をされました。     ─────────────
  3. 松あきら

    委員長松あきら君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、防衛庁長官官房長北原巖男君外十八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松あきら

    委員長松あきら君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 松あきら

    委員長松あきら君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会国際協力銀行理事森田嘉彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松あきら

    委員長松あきら君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 松あきら

    委員長松あきら君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のうち、行政評価等プログラムに関する件及び政策評価現状等に関する件を議題といたします。  本日は、既に説明を聴取いたしました行政評価等プログラム政府開発援助に関する政策評価及び検査検定制度に関する政策評価について質疑を行うことといたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 松村龍二

    松村龍二君 自由民主党の松村委員でございます。  行政監視委員会ができまして、長らくこの委員会に所属しておりませんでしたので、私、初めてこの行政監視委員会質問をさせていただくわけです。総務大臣国土交通大臣、また外務大臣財務大臣日本行政トップを行かれる四大臣に御出席賜りまして回答を賜るということで、大変光栄、有り難く思う次第でございます。どうかよろしくお願いいたします。  まず第一に、私は、今日、地方自治のいろいろな問題についてお伺いしたい、それを中心にして質問をしたいと考えておりますが、先般、イラクで三人の人質救出されまして、イラク隣国でありますヨルダン、その首都のアンマン逢沢副大臣行かれまして、政府出先対策本部本部長として大変目覚ましい活躍をしてこられまして、結果、三人の救出、またその後に続きました二人の救出というような大成功を見たわけですけれども現地へ行かれまして、あのような人質解放仕事、だれも余りしたことのない仕事かと思いますけれども、終始、逢沢副大臣、落ち着いてぶれがないということで非常に信頼ある対応をしておられたというふうに思います。やっぱり、ああいうときはトップに行かれる方が一喜一憂、ぐらぐらしますと何か我々も不安になるんですけれども、時には困ったような顔をしておられたこともありましたけれども、終始筋の通った対応をしてこられたというふうに思っております。  そこで、冒頭、現地へ行かれまして、いろいろなああいうときの情報在り方、あるいはアラブ人との交渉、あるいは今自己責任という問題が言われておりますけれども、その辺について、逢沢副大臣、どのようなお考えをお持ちになったのか、忌憚のないお話をお聞かせいただきたいと思います。
  9. 逢沢一郎

    ○副大臣逢沢一郎君) 松村先生から御指摘をいただきましたように、先般、イラクにおきまして、邦人三名、またその後に二名の方が誘拐をされ拘束をされるという、あってはならない事件が起こりました。  四月八日、日本時間の夕刻でございましたけれどもイラクにおいて三人の邦人がどうやら誘拐をし拘束をされている、そういう第一報が届きました。直ちに政府対策本部を立ち上げ、また現地にも緊急対策本部を立ち上げる必要がある、そのような判断が下され、私がイラク隣国ヨルダンアンマンに設置をされました現地緊急対策本部責任者として直ちに当地に赴いたわけでございます。  私どもに課せられた使命は、できるだけ早く無事、誘拐をされた三人の邦人解放し、そして保護する、そして速やかに日本に御帰国をいただく、そういった使命であったかと承知をいたしております。現地におきましても、緊密に東京の官邸また外務省当局連絡を取りながら、また周辺国大使館、もちろんイラク・バグダッドにございます大使館等々と緊密な連携、連絡を取り、またヨルダン政府また公安関係者等々、数多くの関係国関係機関と緊密な連絡を取りながら、情報の収集、分析、そして的確な救出のための対策を練り上げる、実行に移していく、懸命な努力をさせていただいたところでございます。  特に、現地におきまして私ども意を用いましたのは、情報の言わば徹底した管理でございました。また、時に報道では、情報が必ずしも十分集まってないんではないか、そういうふうに報ぜられる局面もあったように記憶をいたしておりますが、それは逆でございまして、種々様々な情報等々が寄せられておりました。しかし、その情報の中身を十二分に吟味をする、その確度がどの程度高いものであるかということを判断する、そのことに大変なエネルギーを割いたということを率直に報告をさせていただきたい、そのように思います。  しかし、いまだなおかつ複数の国の多くの方が誘拐をされ、束縛をされている状況が引き続き続いておりますし、また、三人の方々解放に直接間接かかわっていただきました宗教関係者、また部族の関係者方々イラク政府関係者、また多くの方々の安全やまたお立場にも十分配慮しなくてはならないということがございまして、したがいまして、政府はどのような情報を入手をしていたのか、あるいはどのような解放に向けての具体的な行動を取っていたのかということについては、この場で具体的に申し上げさせていただくことは差し控えをさせていただきたいというふうに存じます。  いずれにいたしましても、私ども目的一つでございまして、一刻も早く邦人無事解放、保護を実現をするということでございましたが、国会の先生方等々、また多くの国民の皆様方の御支援もいただき、約八日間で無事目的を達成することができました。心から感謝を申し上げ、御報告の一端とさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  10. 松村龍二

    松村龍二君 我々は、ともしますとマスコミの情報、記事だけで、日本政府の能力がどの程度あるのか、案外ないんじゃないかとか、思った以上にあるんじゃないかというふうなことであれするわけですけれども、せっかくの貴重な経験をまた基に、今後同様の事件も発生するかと思いますけれども、生かしていただくことをお願いしたいと思います。  また、外務省につきましては後ほど最後に幾つか質問をさせていただきたいと思います。  今、憲法改正ということが声高に言われております。私どもも、参議院におきまして憲法調査会というのがありまして、鋭意、憲法をいろんな面から検討をしておるわけです。また、自民党自民党内部におきましても同様の努力をしております。  そういう中で、私も地方自治について憲法がどういうふうに書いてあるかなと思って見てみましたところ、第八章地方自治というのがあるんですが、わずか三条しかないんですね。九十二条というのは、地方自治基本原則、組織及び運営に関する事項は地方自治の本旨に基づいて法律でこれを定める。九十三条は、議会を設置する、地方公共団体の長、議会の議員は直接選挙で選ぶと、これが二番目の条です。第三番目の九十四条というのは、地方公共団体事務を処理するというような権限を有するほか条例を制定することができると。これ、三条しか書いていないんですね。今の日本地方自治在り方、戦後、官選の知事だった時代に比べまして大変に大きな発展をしてきているというふうに思いますけれども憲法の扱いはわずか三条かなというような感じもいたします。  また、この五十年の間、特に最近、平成に入りまして、地方分権ということが、いろいろ小泉内閣その他取り組みまして、地方分権推進会議、また平成十一年には地方分権一括法案というようなものも作られたことを記憶するわけでございます。  また、現在の小泉内閣は、中央から地方へ、官から民へというようなスローガンで、地方自治が非常に大事にされているように一見見えるんですけれども、さきの地方分権一括法、第一次、第二次とありました。いろいろな中央権限地方に譲るといっても、中央でこれは要らぬ、これは今まで戦後の流れでどんどん集積したけれども、まあ地方へくれてやっても痛くもかゆくもないという権限地方権限として譲り渡した。また、今回の三位一体改革ということが中央財政再建の道具になっているんじゃないかというふうに思いたくなるような現象もあるわけですけれども、まず、麻生総務大臣は、この地方自治在り方ということについて、地方の守護神と言っては語弊がありますが、そのようなお立場でございますし、地方に対する肩入れは並々ならぬものがあろうかと思いますが、地方自治というものを基本的にどのように考えておられるのか、お伺いします。
  11. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 松村先生、やっぱりこの国は、明治四年、廃藩置県をやりましてこの方、やっぱり当時の国情を考えると、三百諸侯ばらばらだったものをいかにうまく集めて、そして中央集権国家にして、もって、当時のアジアの情勢は極めて列強による植民地がどんどん進んでおったあの時代に合わせて、いかに国家を、国家権力を集中して、総合的に、総力戦で戦争を、日露戦争に勝ち抜けるかというのに少なくとも優先順位の一番を置いて法律を作った、憲法というのを作っております。  御存じのように、あの伊藤博文公国憲起草勅令が下りましたときには、我が国にはいわゆる条例を定めたようないわゆる文書による憲法はできない等と当時伊藤博文報告をされたぐらいのような状況からスタートいたしておりますので、そういう時代の名残が戦後もある程度残っておったことは確かだろうと存じます。  したがいまして、戦後も同じように、あの新憲法ができたとはいえ、少なくとも官僚主導業界協調という形で戦後の経済復興というものに全力を挙げて、間違いなく世界第二の経済大国にのし上がったという事実は、紛れもなくその政策が当たったと思います。しかし、その間非常に大きく時代が変わって、経済は豊かになった。結果として、少なくともそこそこ皆同じような行政を、サービスでいえば最低限のレベルはそこそこのものが皆受けられるように、どこでも同じような公民館が持てるようなという形で、均衡ある地域発展ということに関しては間違いなく最低限は達成できたという状況になって、改めてここで、特色ある地方とか特色ある地域という言葉が出てくるようになったのは、ここ数年であります。  したがいまして、各地域においても、特色ある地域というのを中央で決められるはずもありませんから、そういった意味では、地方においていろいろな自由度というものをいかに増やすかということによって、その地域の特色ある、その地域に合った行政を、その地域に合った政治を行えるような自由度、すなわち規制が中央から地方に移される、地域主権ということになり、そしてそれを裏付けるには財源が要るということになろうと思いますので、その意味では税源移譲ということが必要になり、そして、ある程度多様な行政を求めるんであれば、それを受け入れるのには、それに対応するためにはある程度の人数、規模が要るということになってきて、町村合併等々の話が出てきておるという一連の流れの中にあって、間違いなく中央集権から地域主権という方向の流れに合わせてきておりますので、この中には、三条、四条、九十一条から約四条しか書いてありませんけれども、そういった中では、地方自治のところに関しましても、意識としてはいろいろな意味地方自由度が増す、それを裏付け、自由に付けるためには財源が要る等々のことをすることによって、結果として、地域に住んでいる地域住民がよりハッピー、より幸せにということになるということであって、地方自由度、それを裏付ける財源、この二つが今後の一番大きな二つのキーワードになろうと存じます。
  12. 松村龍二

    松村龍二君 どうもありがとうございます。  三位一体改革ということが言われまして、私も、元々は財務大臣が、国庫補助金を減らす、地方交付税削減する、それに伴って地方税財源が保障されないと大変なことになるということで、三つは一緒だよということで、税財源をしっかり確保したいというねらいから、片山当時総務大臣が発明した言葉じゃないかなと。そうしたら、経済財政諮問会議三位一体というような言葉を使うようになりまして、実際どういう形に昨年なったかといいますと、小泉内閣としては一兆円の国庫補助削減すると、それから交付税が突然予算の内示、予算が決まる段階で一二%カットになったと。それで、地方とすると、今から来年の予算をと思って手ぐすね引いていたところに突然交付税が一二%カットになったものですから、これは大変だというような実態が昨年から今年に向けて日本じゅう市町村を覆っているのかなというふうに思うわけですが。  そこで、私は、今回質問するにつきまして、地元市町村に、私が質問するについて何か助言するといいましょうか、こういうことを質問してほしいというようなことがあるかということでファクスを入れましたところ、今までほとんど反応があったことないんですけれども、この問題についてだけは三分の一の市町村から返事が来まして、その内容をちょっとこちらから一方的に申し上げますと、地方は国の経済対策に呼応して積極的に公共事業県単独事業実施してきたと。これは、国が財源対策債地方総合整備債合併特例債等の発行を認め、元利償還の一部について後年度交付税措置をしてあげるから使いなさいということで積極的にやってきたと。また、最近は、交付税が足りなくなると、財務省特別会計総務省と、その負担で、特別会計ということで負担していたものまで市町村に全額返すから、あんたのところの名義にしておいてくれよというようなことで起債を引き受ける形になっておると。  そういうことで、私の地元福井県では十五年末現在で七千三百億円の県債残高を抱え、近年公債費も増加しておりますが、この県債残高の三分の二は一応後年度元利償還金交付税で措置されるという約束を得ているんだけれども日本じゅうということになるとこれは大変な金額になるだろうし、将来別途措置できるのかなというのが一つの疑問ですね。それから、やはり交付税措置が万が一うまく中央でやってもらわないと大変だというようなことで、一般行政経費に係る交付税が圧縮され、財政運営が厳しくなるんではないかと危惧しておるわけです。約束分による今後の交付税総額一般行政経費への影響についてどういうふうに心配しないでいいのかといった質問ですね。  それから、地方は、どうも財務省の方、国の方は地方というのは無駄遣いばっかりしておるというふうにどうも思い込んでいるようだけれども地方地方で一生懸命行政改革財政改革に関する計画を策定しておりますと。職員削減出先機関外郭団体等の統廃合に積極的に取り組んでいるけれども、国の方はそれほど歳出削減努力が見えてこないというような、国ももう少し真剣にやって、国庫補助負担金廃止等をするのなら、事務権限移譲職員の出向、転籍などについても国と地方を通じた全体の効率性といった観点から取り組むべきではないかと。  今回、ある市町村では、町長が、非常に町の財政が逼迫して借金が膨らんでいくことに耐えられない、職員の時間外勤務はゼロで今年予算組もうかというようなことを言っておりましたけれども職員団体もあることでしょうからそう簡単にはいかないにしても、それほど努力もしておるということが果たして国で分かっているんだろうかなといったことです。  それから、直轄事業負担金についても、算出方法が分からないとか、当初の計画額が、農水関係事業にしましても、国土交通関係もそうかも分かりませんが、大幅に上回る、事業が膨らんでくると。それで地方でそれに応じた負担をしろと言われても困ると。維持管理費地方への負担転嫁など極めて不合理な点があるんで、直轄事業負担金を改善すべきではないかと。  それから、このたびの、先ほど申しました交付税予算編成の過程において一方的に突然決まったと、もっと早い段階で具体的に教えてもらっていれば有り難かったんだけれどもというような声。  最後にもう一つだけ申しますと、所得譲与税で、今度国庫補助事業を削った半分ぐらいは所得譲与税ということで対応していただいたわけですが、一般財源化対象国庫補助金、今まで個別にくっ付けていた予算補助金をもう一般交付税に入れるからその中で賄ってくれということで、従来決算見込みベースで二十一億円あったけれども、今度措置される額は十四億円しか福井県の場合ないと、県と市町村ではですね。  例えば、敦賀という町が、これは不交付団体で、原発をやっている町ですけれども、そういうことで、私立幼稚園じゃなくて公立幼稚園補助をしておったら、それに見合う金が、負担金が従来二億五千万あったのに一億一千万しか手当てされないんで目を白黒しているといったような話もあるわけです。  そういうふうなことで、この差額につきましては、本当に地方の方では財源が不足することになるんじゃないかと、こんなような話をいただきました。  そこで、一々答弁は求めませんが、総務大臣に一括してお答えをいただく前に、せっかく今日財務大臣石井大臣もお見えでございます。十六年度の三位一体改革の結果、補助金削減額に対して税源移譲等の額が少ないわけですが、税源移譲等の額はどのような考えの下決められたのか、財務省の所見をお伺いします。
  13. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 基本方針二〇〇三の中におきまして、今回廃止する補助金の中で、事業自体を縮減をいたしまして地方実施をしないというものについては、これは税源移譲は行わないと。一方で、引き続き地方が主体となって実施をするものについて税源移譲をするということにいたしました。  その税源移譲をするものにつきましても、義務的な経費については効率化を図った上で全額移譲するということにいたしますが、その他の補助金についてはおおむね八割程度を目安として移譲すると、こういう考え方の下で行いまして、具体的に申し上げますと、十六年度における税源移譲につきましては、十五年度の補助金改革におきまして地方事業が残るとされたものに係る財源補てん措置のうち、国負担とされたものの二千五十一億円とそれから十六年度の補助金改革において同様に地方事業が残るとされたものについて個々の事務事業を精査した上での必要額二千百九十八億円の合計四千二百四十九億円について所得譲与税による税源移譲を行うと。さらに、義務教育費国庫負担金退職手当等一般財源化に伴う所要額二千三百九億円について税源移譲予定特例交付金により財源措置を行ったところでございます。
  14. 松村龍二

    松村龍二君 基準についてはよく分かりましたが、そこで、総務大臣にお伺いするわけですけれども、ただいま申しましたように、特に交付税赤字地方債が大幅に削減されたために、財政力の弱い団体にとりましては大変な打撃になったわけであります。基金の取崩し等で今年は何とか予算編成ができても、このままでは、来年度以降はこれは本当に予算が組めなくなってしまうという声をよく聞くわけでございます。  三位一体改革は、麻生総務大臣がよく言われますように、地方が元気になる改革でなければならない。この改革を通じて真の地方分権を進めるためには、まず何よりも地方の実情をよく理解し、地方の声に真摯にこたえる姿勢が必要であると思います。十七年度以降の三位一体改革地方の声をよく聞き、地方が困ることのないように改革に取り組んでいただきたいと思いますが、総務大臣の御所見をお伺いします。
  15. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) いろいろ御質問をいただきましたので、最初の方の、地方もいろいろやっておるという実態について申し上げさせていただければ、地方公務員のよく数の話が出ますけれども、現実問題として、平成七年から昨年の平成十五年度までの間に、九年連続になりますが、減少いたしております。結果として、三百二十八万人が三百十一万人に減っております。よく使われますラスパイレス指数でいきますと、この約十年間ぐらいで一〇ポイントぐらい下がって今一〇〇・一とか二とかいう数字になりますので、かなりの市町村で一〇〇%を下回っているところがかなりあるというように御理解をいただければと思っております。  大体今一千二百八十六団体になります、正確にはなりますけれども、給与を人事院勧告より下回っているというところが今申し上げた地方自治体の数ございますので、そういった意味では地方自治体においてはそれぞれがいろいろ苦労しておられるという実態というものは是非頭に入れておいていただかないと、地方はえらく楽しているようなイメージは間違っていると、私は基本的にそう思っております。  次に、今言われました中で保育園の話を、いわゆる補助金から地方住民税に置き換わった結果、従来もらっていたものより減ったというところにつきましては、その減った分につきましては交付税の手当てをいたすことにいたしております。従来二千五百万だったものが千八百万しか来なくなったら七百万円は交付税を充てるということであります。逆に言えば、不交付団体等々において更に多く入ってきたときはその他の税を減らします、渡すものを減らしますので、その線で調整をいたしたいと考えております。  いろんな形で、今回の一連の中で申し上げさせていただければ、総じて人口約五万人以下のところのというような団体地方公共団体の方こそ影響が大きくということになっておると思いますが、そういった町村数からまいりますと、八五%弱は大体人口五万人以下の町村数です。しかし、そこに住んでおります人口数からいきますと、五万人以上のところに住んでおられる方々が全人口の約七割ということになりますので、人口と町村数というのは必ずしも一体にはなっておりませんので、今回の三位一体の中にも総じて良かったと言われる方と問題ありと言われる方との差は、その町村におきます人口数がかなりの部分影響しておる。逆に申し上げれば、小さな町村ほど今回の改正はダメージが大きかったということになろうかと思います。  いずれにいたしましても、今言われましたように、財源はなく、そして補助金だけが減らされるという状況になれば、それは地方はきつくなるのは当然のことでありますので、そういった意味では、税源移譲というものが明らかにどれだけ来るかも分からず、先行きが極めて立ちにくいという状況においては来年度のいわゆる歳出計画も立てにくいということになろうと存じますので、そういった不安を与えないようなプランを考えておく必要があろうと存じておりますので、先ほど石井大臣の方からお話にあっておりました二〇〇三、今年度できます二〇〇四につきましてもその点を考えて、早めにそういったものをきちんと対応策を出してしかるべきものだと思っております。
  16. 松村龍二

    松村龍二君 大臣もよく御承知のとおり、全国市長会とかあらゆる地方の協議会等がこの三位一体地方税財源在り方等について非常な危機感で要望活動も行っているようでございますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  地方の、総務省関係の問題についてはあと幾つも準備してきたんですが、一つだけお伺いしますが、昨年の税制改正で外形標準課税ですね、これがようやく導入できまして、関係の方々の御尽力があったわけですが、赤字の会社も、ガス、水道その他、道路を地方にお世話になっているわけですから、それに応じて、もうかっている会社だけ払う、法人事業税払うというのは不公平だというような観点、また税が非常に年によって偏りが起きては地方行政も安定しないというようなことから、外形標準課税がいよいよこの四月からスタートするわけですけれども、企業収益が本格的に改善する局面になってきますと、この税金の値打ちが出てくるんかなというふうに思いますが、総務省といたしましては、現在、四分の一とされております外形標準課税の割合を高めたり、対象法人に一億円以上の大企業だけでなくて中小法人も含めるというようなこと、外形標準課税を拡大していくことについてはどのようにお考えでしょうか。
  17. 麻生太郎

    国務大臣麻生太郎君) 外形標準課税の導入につきましてはいろいろ、誠にこの数年にわたっていろいろ御意見をいただいたところですが、御存じのように、この四月一日から施行ということに相なりました。今のところ、まだその反応と言われてみれば、まだ一月たっていない状況でございますからとやかく申し上げるようなところではありませんけれども、少なくとも税金を払っていない企業、よく三百万社と言われますが、三百万社、しかしこれは景気が良かったあのバブルのときでも税金を納めておられる会社は約五〇%、今は納めておられる会社がバブルがはじけました以降その半分、いわゆる二五%しか払っておられぬ、残り七五%は払っておられないという実態でありました。  したがいまして、そういう状況というのは、元々生い立ちが、会社をスタートさせるときに自分に投資をしてくれと言って金を集めるか、仕事をするから金を貸してくれで仕事をするかによって、借入金でスタートするか投資金でスタートするかでは税金が全然違います。したがって、日本の場合等々、ドイツもそうですけれども、敗戦国だった方は基本的に資本金が、資本が足りませんものですから総じて借入金をもってそれに充てたという例がありますので、借入金の場合は返済するのが目的でありますから、別に赤字でも返済はできる。しかし、投資でありました場合は、それに対する返済は配当でしか投資に対する返済はできませんので、どうしても会社は黒字というのに非常に大きな重きが置かれるという、これは元々の生い立ちの違いから日本の場合、ドイツの場合はいずれも税理士が発達したということが多分歴史だと存じますけれども、いずれにしても、日本の場合は借入金でこれまでやってきましたものですから、金利さえ払えば別に問題はなかった。  金利は御存じのようにいわゆる税の対象になりませんので、そういった意味では日本の場合はこれまで払わなくても別にいいということでできてきたんですが、今、御存じのように、そういう赤字をずっと続けておられる企業でも、それなりにいろいろなものの公共施設を利用しておられるわけなんで、そういった意味では外形標準課税をということを申し上げて、随分いろいろ御意見がありましたけれども、一応スタートをさせていただいております。  今はまだいわゆる始まったばっかりですので、まだ一年もたっておりません段階からその先のことまでちょっと申し上げるような状況にはございませんけれども、ただいま、すぐどうするかと言われれば、今すぐどうにかする、これをすぐ直ちに変えるという意思はございません。
  18. 松村龍二

    松村龍二君 町村合併が今全国で行われております。我々の県でも、御多分に漏れず法定協議会がたくさん作られまして、非常に優等生ですんなりとまとまった市と、あるいは大上段に振りかぶったけれども思惑が外れたり、あるいはだれが町長になる、市長になるかとか、役場をどっちに置くかとか、もうそういう基本的なことで崩れてしまうといった問題もあります。  また、地理的状況その他からこの市町村合併の法定協議会に加わらなかった人口一万人以下の町村が、何か日陰者として肩身が狭い思いで県庁の中を歩かぬといかぬということは何としてでも避けてくれといった要望も受けておりますので、質問は、先ほど市町村合併を行うことによって行財政の主体をコンパクトにして力あるものとしてスタートさせたいというふうな基本理念も伺いましたので、一応次のテーマに移らせていただきます。  三位一体税財源をしっかり、中央からも目を見ていただく、また地方が特区その他工夫をするということのほかに、やはり真に必要な公共事業国家的に取り組まなければならない国家事業地方を活性化していくという方法もあるんじゃないかなというふうに思います。  先般、リチャード・クーの話を聞いておりましたら、あの人は、この長いバブル、デフレ不況の中で各会社が借金を返そうということで需要が伸びない、そこでもう、一人一人の会社の心構えはいいけれども、それが全部が日本がやることになると合成の誤謬ということになりまして大変な不況になると。そこで、小渕さん以来、百兆円補正予算でやったということ、補正予算公共事業をやったけれどもちっとも良くならぬかったじゃないかという指摘もありますが、あれだけやったからこの程度で終わって、今立ち直りという説もあるわけです。それで、リチャード・クーさんにどなたかが、小泉内閣が一番景気対策で効果のある手を打っているのは何だと聞きましたら、三十兆円の国債発行を三十七兆円にしたのが一番効果のある景気対策だったという、何か皮肉のようにも聞こえるわけですが、そんな話もあったわけでございます。  そこで、真に効果のある公共事業として新幹線の問題があるんじゃないかなというふうに思います。そこで、国土交通省に幾つか御質問をいたします。  一昨年十二月に東北新幹線盛岡―八戸間が開業し、先月十三日に九州新幹線新八代―鹿児島中央間が開業したわけでありますが、実際に相当な地域への波及効果が出ているんではないでしょうか。
  19. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 新幹線開業に伴う波及効果についてお尋ねがございました。  まず、東北新幹線盛岡―八戸間で見ますと、一昨年十二月一日に開業しましてから一年間の利用者数が四百十八万人に達しております。これは、新幹線がなかった年に比べますと一五一%という大幅な増になっております。また、新幹線の利用客が増えたことによりまして、例えば十和田湖畔の宿泊者数は二割増しになったというような事実もございます。また、八戸地域地場産業センター、これは特産品の展示などを行っているところでございますが、入り込み客数が倍増したというようなことで、観光その他の産業面に相当な延伸効果があったというふうに見られると思います。  一方、九州新幹線、この三月十三日に開業したわけでございますが、一か月間の利用者数が三十万人、対前年比で見ますと二三七%ということで、これも顕著な開業効果が現れていると。  今申し上げましたようなデータにかんがみますと、両区間につきましては沿線地域に相当の波及効果をもたらしたというふうに認識をしておるところでございます。
  20. 松村龍二

    松村龍二君 新幹線はエネルギー効率や炭酸ガス排出量といった観点から見て非常に環境に優しい交通手段であると聞いております。私ども地域は新幹線ないんですが、私の家内は地元におりまして、ある程度高齢でございますので隣近所のおばさんたちと年がら年じゅうバスに乗って観光へ行っておりますけれども、しかし聞くところによりますと、新幹線、鉄道というのは乗用車に比べまして、一人当たり移動に関する炭酸ガスの使用量は七分の一というふうな話も聞くわけです。  京都議定書によりましてCO2を減らさぬといかぬと、これが、森林が炭酸ガスを吸収するんで森林の対策もあるというようなことで、声高に環境対策が言われているわけですが、今後、高齢者が増えてくるというような日本にありまして、この環境問題ということは非常に大きな問題だと思いますが、このことについてはどのように考えたらよろしいのでしょうか。
  21. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 新幹線のCO2排出量、エネルギー効率という点から見たことにつきましてお話をさせていただきますと、まず、二酸化炭素の排出量で見ますと、人一人を一キロ運ぶ場合に、新幹線は航空機の五分の一、自家用車の八分の一で済むということでございます。それから、エネルギー消費量で見ますと、やはり人一人を一キロ運ぶ場合について見ますと、鉄道のエネルギーの消費量は航空機の四分の一、自家用車の六分の一ということになっております。  整備新幹線のうち、現在、高崎―長野、それから先ほど申し上げました盛岡―八戸、それから九州新幹線の新八代―鹿児島中央間が完成したわけでございますが、私どもの試算では、他の交通機関からの転移によりまして、自動車約三万三千台分の二酸化炭素排出量に相当いたします十万トンの、年間十万トンの二酸化炭素の排出が削減されたというふうに推計をいたしております。  ただいま申し上げましたように、CO2の排出量あるいはエネルギー効率という点から見ますと、新幹線は環境面で大きな利点を有しているのではないかということが言えると思います。
  22. 松村龍二

    松村龍二君 諸外国でも、この質問をする前に勉強いたしましたところ、高速鉄道が非常に各国とも重用しておると。フランスではTGVというような、私も八年ほど前にニースの方からパリの方まで乗ったことありますけれども、TGV。ドイツはICE、スペインはAVE、またイギリスとヨーロッパの間はユーロスターというような新幹線がそれぞれ競い合うようにして延ばされておるということで、時代、世界の趨勢である、高速鉄道の整備は世界の趨勢であるというふうに言えるんではないかというふうに思います。  現在、与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームにおいて整備新幹線に関する政府・与党申合せの見直しに向けての検討が行われていると聞いておりますが、その検討状況はいかがでしょうか。
  23. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) ただいま整備新幹線に関します政府・与党の申合せにつきましてお問い合わせがございました。  整備新幹線につきましては、昨年末に与党の整備新幹線建設促進プロジェクトチームで取りまとめが行われました。この取りまとめを踏まえまして、昨年十二月に内閣官房長官財務大臣国土交通大臣、それと与党の政務調査会長によりまして合意がなされたところでございます。  この合意の中身でございますが、与党整備新幹線建設促進プロジェクトチームにおいて未着工区間の着工などについて結論を得た上で、政府・与党から成る検討委員会において未着工区間の着工の在り方などについて検討を行うこととされております。これに基づきまして、現在、与党のプロジェクトチームにおきまして精力的な検討がなされているところであると承知しておるところでございます。  国土交通省といたしましては、現在、必要なデータの提供などの協力を行っておるところでございますが、今後とも、引き続き同プロジェクトチームにおきます検討に協力をしていくことはもちろんでございますが、合意内容に沿いまして、今後設置される予定の政府・与党から成ります検討委員会においても未着工区間の着工などの在り方につきまして検討に参画してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  24. 松村龍二

    松村龍二君 真に効果のある公共事業は積極的に実施すべきであるというふうに考えております。  環境にも優しい、また地域の活性化に大きな効果をもたらす事業である。かつて何十年か前に、財務省の主計局長ですか、何か昭和の三大ばか査定というような発言があったように記憶しておりますけれども財務省も大分お考えお変わりになったというふうにも聞いております。  国土交通大臣が道路も手際よく収められた、改革をされたということで、交通大臣にお伺いしたいんですが、ちょっと財務大臣御所用があるということで先にお伺いしますけれども財務大臣も真に効果のある公共事業という観点で、新幹線に前向きにお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  25. 石井啓一

    ○副大臣石井啓一君) 整備新幹線につきましては、先生おっしゃるように、平成十二年十二月の政府・与党申合せにつきまして整備を行っておるところでございまして、この申合せの考え方につきましては、安定的な財源の見通しを確保した上で収支の採算性、投資効果等を十分に吟味をいたしまして、また関係者の合意を取り付ける、こういった基本的な条件が整うことを確認した上で整備新幹線の整備を行うと、こういうことにされているところでございまして、今後ともこういった考え方に基づきまして進めてまいりたいと存じます。
  26. 松村龍二

    松村龍二君 国土交通大臣にお答えいただいた後、北陸新幹線について一言申し上げるつもりでございますが、財務大臣どうぞ退席していただいて結構です。
  27. 松あきら

    委員長松あきら君) じゃ、御退出いただいて結構でございます。
  28. 松村龍二

    松村龍二君 どうも国土交通大臣、大変恐縮でございましたが、さっきも申しましたけれども、我々も高速道路も必要としておる地域なんですが、確かに片側二車線でなくても一車線で済むとか、いろいろ大変な二割、四割というような金額を節約したということは、これはもうやっぱりこれだけやってよかったなというふうにも思うわけですが、新幹線の整備につきまして国土交通大臣の御所見をお伺いいたします。
  29. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) つい昨今開通いたしました整備新幹線の区間の経済の波及効果は、政府参考人から御答弁させていただいたとおり、かなりの波及効果があるということが実証されていると思います。その一方で、これからの建設ということも取り組んでいくわけですが、厳しい財政事情の中で選択と集中という基本を確保しつつ、透明性、そしてまた公正性というものもしっかりと見極め、費用対効果あるいは地域への影響、特に経済社会への影響など、外部効果というものもしっかりと踏まえた事業評価というものを行っていくということが重要だと思います。  そんな中で、整備新幹線というものはこういう厳格な評価の下に着工されてきているものと承知をしているところでございます。これからはこうした条件の検証を改めてしっかりと行った上でその整備というものを進めてまいりたいと考えております。
  30. 松村龍二

    松村龍二君 お手元に資料を配付させていただきました。  今、新幹線の状況は、青森まで日本列島の北の端までまず完成させようと。平成十二年からおおむね十二年以内にと。それから、九州新幹線が南半分できましたので、更にあと福岡まで完成させたいと。それから、ここの肝心の私どもに関係する中部地方の新幹線、北陸新幹線ということですが、長野がオリンピックがあるということでまず完成しまして、今、富山まで平成十二年から十二年後に完成すると、こういうことになっております。  そのときも金沢まで完成するというふうな話もあったんですが、計画する話があったんですが、時の総理大臣が森さんで、我田引鉄と、総理大臣だからといって自分のところへ引っ張ってくるのは何だと、こう言われまして富山でとどめたと。ところが、金沢の先の松任というところに操車場がありますので、どうしても松任まで造りませんと富山までにも通らないと。私は、どうもその先にあります福井県というところでございます。  これはもう、北陸線というのは、明治時代に造られたときもむしろ山陽線よりも早く北陸線に手を付けたわけですが、何しろ長大な路線ということで金が掛かるということで、後回しに後回しになってきたわけです。しかし、我々といたしましては、やはり将来東海大地震があると言われていろいろ政府が一貫した施策をしているときに、やはり代替機能としての新幹線が、年間何億人運ぶんですか、今の東海道新幹線、これが万が一傷んだときに北陸新幹線というものの価値がある。  また、もう本当にこれ見ていただくと分かるように、南越から、もう平成八年に認可申請をしております。敦賀はもう環境評価が終わっております。敦賀から米原へつなぐということになると、本当にもうあと指でこれぐらいの面積をやっていただけば、日本として、我々地元が欲しいというんじゃなくて、日本にとって必要な、また先ほどから申し上げておりますように、高齢化の進む時代地域の活性化という点で非常に重要な鉄道でないかなというふうに考えております。  これについては、丸山局長、どのようなお考えか、ひとつお伺いします。
  31. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 先生ただいまお話のございました北陸新幹線につきましては、オリンピックの前の年にまず高崎―長野間が開業いたしました。これは整備新幹線の中で最初ということでございます。長野以北につきましては、平成十二年十二月の政府・与党申合せにおきまして、まず長野―富山間を全線フル化するということと、それからおおむね十二年強後の完成を目指すということとされておるところでございまして、現在、同区間につきましては順調に工事が進んでおります。私どもといたしましては、申合せどおりに十二年強後の完成を目指しまして整備を進めていく考えでございます。  また、富山以西の未着工区間についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、現在、与党の整備新幹線建設促進プロジェクトチームにおいて検討がされておる、私どもも必要な協力をしておるというような状況でございます。
  32. 松村龍二

    松村龍二君 この私ども福井県というのは、原子力、この若狭というところで原子力発電が十五基ありまして、風評被害その他の大変厳しい中で関西の電力の半分を供給しておるわけですね。それから、今、原子力発電の核燃料サイクルということで、「もんじゅ」という発電所を完成しませんとプルトニウムを燃やすことができない、リサイクルができないわけです。そういうようなことで、これにも協力しなければならないと思っておりますが、やはりそれだけの貢献についてしっかりした評価を賜りたいと思っておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  それで、最後にまた外務省に戻るわけでありますが、私どもは、地方におりますと、先ほど申しましたように、職員の超過勤務手当も出せないというようなことで、いろいろな赤字に対して首を締め付けられるような思いをしている人たちからしますと、日本政府は、これはイラクだけの問題を言うわけではありませんが、イラクの復興支援に五十億ドル、五千億円、六千億円ですか。それから、パリ・クラブというので、日本イラクに対して借金、債務を、債権を持っているわけですね。これが四千億円以上あるわけです。日本が断トツといいましょうか、多いわけですけれども日本、ロシア、フランス、ドイツ、その次にアメリカが日本の半分ぐらいということですけれども。  先般、べーカーという方が来て、この借金は少し大目に見ようじゃないかと、そうしたら大賛成、大賛成といって、私どもも一千億とかいう金額がどんな金額か分からぬものですから、ぴんと来ないわけですけれども、ODAの問題にしましても、ちょっと日本政府気前がいいんじゃないかというような声をよく聞くわけです。私が気前がいいと言っているわけじゃなくて、よくそういう声を聞きます。  そこで、これに対しまして、当然にその折々に必要なことということでやっていると思います。また、私どもも、去年まで外交防衛委員長をしておりましたので、東欧諸国の方とお付き合いすると本当に日本に対して雰囲気がいいんですね。これはもう日本がODAその他で援助しているから有り難く思ってくれていると。有り難く思ってくれることは大変うれしいことでもありますし、今回のイラク人質が救助されたということも、そういうことが遠因していることもあろうかと思いますが、しかし、一面、自分の家計を運営することを考えたときに、人の財布だと思って何か余り景気よく使うなと、こういう声が出てくるんだろうと思いますが、これについてどのようなことでもって私はその方に説明すればいいのか、外務大臣、教えていただきたいと思います。
  33. 逢沢一郎

    ○副大臣逢沢一郎君) 松村先生御指摘のように、我が国にとりまして、ODAを通じて途上国の開発支援に積極的に取り組む、正に重要な外交でありますけれども、それを支えるODAは大切なツールである、そのように承知をいたしております。  しかし、御承知のように、厳しい財政事情を受けまして、我が国のODAのピークは平成九年度でございまして、一九九八年度は一兆一千六百八十七億円を計上しておったわけでありますが、以降七年間で約三割の削減となりました。平成十六年度は我が国のODA予算八千百六十九億円でございまして、現在では一般会計の歳出における割合は一・七%という割合に減少してまいりました。  昨年、ODA大綱を新たに編成をいたしたわけでございますけれども、透明性の確保、効率性の向上、国民参加をキーワードに、新たなODAに対して国民の皆様の理解と支持がいただけるように政府挙げて懸命に取り組んでいるところでございます。  世界の平和と安定、また繁栄に貢献をする、引き続き大切な外交上のツールであることを国会議員の先生方、また国民の皆様方に御理解をいただけるよう、今後も引き続き努力を重ねてまいりたいと存じます。
  34. 松村龍二

    松村龍二君 やはり国のお金は財務省が握っているわけです。昔から我が家の大蔵省というと奥さんのことをいうということで、きんちゃくをしっかり握っているという言葉にありますように、財務省が究極のところお金をしっかり握っているという意味におきまして、シーリングの時代、各省庁に予算要求を任せるような面が出てきた流れの中ではありましたけれども、やはり財務省の役割は致命的に大きいというふうに思っております。  せっかく財務省から審議官と主計局次長にお見えいただいておりますので、一言お考えを述べていただきたいと思います。
  35. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) お答えさせていただきます。  ODA予算につきましては、従来から、厳しい財政事情を踏まえまして、効率性を高めながら、限られた財源の中でできる限りの効果を上げるという観点から、その内容を精査しましてODA予算の縮減を図ってきたところでございます。先ほど逢沢外務大臣からございましたように、十六年度のODA予算はピーク時に比べまして三〇%の減額になっているところでございます。このような中で、先ほどから先生御指摘のような、イラクの復興支援などの国際社会が直面する喫緊の課題に関しまして必要な支援を実施してきたところでございます。  ODAに関しましては、国際社会の重要な課題に対し適切に対処するという考え方でございます一方、既存の経費の徹底した効率化を図っていきたいと考えておりまして、今後とも、国民の理解を得ながら、国際情勢に機動的に対応するとともに、援助対象の重点化、それから評価の充実、こういったことを通じて、徹底した戦略性、透明性、効率性の向上、こういったものを図ってまいりたいと考えております。
  36. 松村龍二

    松村龍二君 それじゃ、どうも大変ありがとうございました。
  37. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、イラクにおけるODAと、昨今問題になっております自己責任をめぐって御質問をさせていただきます。  さて、我が国のイラクの支援は、湾岸戦争前のODA、そして湾岸戦争後は言わば経済封鎖の中で国際機関を通していろいろな支援を行ってきたわけですけれども、こうした現在のイラク戦争が起きる前の我が国の援助とその評価、そしてそれが今回のイラク戦争によってどのような被害、あるいは効果を失ったのかという点についてお尋ねします。
  38. 逢沢一郎

    ○副大臣逢沢一郎君) お答えを申し上げます。  湾岸戦争以前でございますけれども、我が国はイラクに対しまして、例えば肥料工場、発電所の建設、また医療機器の供与のための有償資金協力、あるいは研修員の受入れ、また専門家の派遣、機材供与等の技術協力を鋭意積極的に実施をしてまいりました。そして、一九九〇年のイラクによるクウェート侵攻直後に国連安保理決議で経済制裁が科されたわけでございますけれども、我が国はイラクに対する経済協力の凍結等の措置をその段階で取ったわけでございます。  他方、その経済制裁を科している間にも、湾岸戦争により発生をいたしました避難民に対する支援でございますとか、あるいは対イラク経済制裁により極度な食料、医薬品不足に見舞われたイラクの国民の皆様方の窮状を救済する支援は、これは人道的見地からという判断で関係国際機関を通じて協力をしてまいりました。  今、先生御指摘のように、そういった戦争前のイラクに対する様々な支援、また経済制裁下におきましても人道的な支援を行ってまいりました。今日、イラク人の方々日本を見る目、また日本人を見る目が非常に好感度が高い、またそのことは今回の人質事件を解決する世論形成にも大いに資した面があったというふうに私ども感じているわけでありますが、率直なところ、お答えをさせていただきたいと存じます。
  39. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 副大臣アンマンで大変努力をなさいまして、本当に御苦労さまでございました。  大臣がまだ現地にいらっしゃる間にこちらでは様々な自己責任論が噴出いたしまして、特に、私は、外務事務次官の自己責任論、それから外務大臣が言われた自己責任論に関しまして、どういう意味自己責任ということを言っておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  40. 逢沢一郎

    ○副大臣逢沢一郎君) 御承知のように、イラクの現状は大変厳しいものがございます。治安が大変、地域によって多少の温度差はあるものの、総じて厳しいわけでございます。  したがいまして、政府は、渡航情報、危険情報を累次発出をしてきたわけでありますが、イラクにあっては退避勧告という明確な形で国民の皆様に情報を提供をし、徹底した注意喚起を行ってまいりました。  しかし、そういった状況の中、今回の事件が発生をしたことを大変私ども残念に、遺憾に思わせていただいているところでございます。改めて、海外へ渡航、また滞在される方々に対しましては、自らの安全につきましては自ら責任を持つという大原則を是非御確認をいただきたい、自らの行動を律していただきたいということを政府としてはお願いを申し上げたいというふうに思います。  また、当然のことでございますけれども政府の役割、邦人保護、また海外における日本人の安全確保、これはいついかなる場合にも大変重要なことというふうに承知をいたしております。これからも必要に応じて、渡航情報、危険情報等を必要に応じて発出をいたすわけでございますが、そのことをできるだけ国民の皆様方に分かりやすく受け取っていただける幾つかの工夫は必要ではなかろうかというふうに考えているところでございますが、いずれにいたしましても、国民の皆様方におかれましては自らの安全については自ら責任を持つ、そのことを今回の事案を踏まえて改めて御認識をいただきたい、切にお願いを申し上げております。
  41. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 平成十三年十月の五日に勧告をされました在外邦人の安全確保対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告というのがございます。  その勧告の中では、安全に関する自己責任の意識の欠如に起因する事件、事故等に対する援護の実例や援護の実施に伴う他の公館業務への影響を紹介するということで、主として、自己責任を取れということではなくて、自己責任の意識の啓発活動を充実せよというのがこの行政監視の主たる問題であると思われます。  しかし、今回自己責任と言われましたのは邦人保護に対するいわゆる限界があるぞというようなメッセージとして聞こえますし、とりわけ、費用分担をさせるということ、あるいは謝罪をさせるとか渡航禁止をさせるというような形で、この今まで自己責任の意識の啓発ということから一歩飛び越えまして自己責任論というものが議論されているのではないかと思います。  一つ御紹介をいたしたいのは、日本では人質解放は自弁という意味で、フィリップ・ポンス特派員がル・モンドに書いていることでございます。これによりますと、お仕置きおやじとなった小泉純一郎首相はこのボランティアたちをしかり飛ばした。そして、報道によれば、解放された人質は受診した医療検査と帰国の旅費としてそれぞれ三十五万から四十万支払わなければならない。議員の中には解放に要した費用の一部負担を主張する者もあると。むしろ人質解放に決定的な役割を果たしたスンニ派の委員たちに対して日本の首相が一言も感謝を述べていないということで、現地には不満が出ているというふうに報道されております。  そこでお尋ねしたいのですが、人質が今回負担した費用というのはあるのでしょうか。それから、あるいはこれから政府が請求しようとしている費用というものはあるのでしょうか。
  42. 鹿取克章

    政府参考人(鹿取克章君) 今回人質になられた方々につきましては、これは従来もそうでございますが、航空運賃、例えば航空運賃等直接の経費は、これは自己負担をお願いしようと考えております。  具体的には、バグダッドからドバイまでチャーター機で移動いたしました。そのチャーター機は全体で約六十六万円掛かっておりますが、そのうちの約十三万円は解放された三人の方々負担でお願いしたいと考えております。  そのほか、今、先生御指摘がありました病院のコストあるいはドバイから日本への飛行、こういうものも自己負担になると考えております。
  43. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 今回のその自己負担というのは、今までの例えば開発途上国における人質救出その他と同じ取扱いですか。
  44. 鹿取克章

    政府参考人(鹿取克章君) これまでも危険な地、例えば危険な地域からの退避ということで政府がチャーター便を用意したことがございます。このようなケースにおきましても、一般的にはそのチャーター便のコストというものは、それぞれのそのチャーター便に搭乗された方々の自己負担としてお願いしているところでございます。
  45. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それでは、今回サマワの自衛隊の基地におきまして、サマワにいた報道関係者を危険だというところでサマワの自衛隊の基地に避難させて、報道関係者はコンテナ内に入るように指示をし、迷彩服の防弾チョッキを配り、そしてサマワの基地からタリル空港まで陸上自衛隊の車で運んで、そして今度はタリル空港からクウェートまでC130機で移送をしたというふうに聞いておりますが、これの法的な根拠は、これは自衛隊が初めて民間人を救出したわけですけれども、それが報道関係者以外に普通の民間人が入っていたかどうか、そして民間人に便宜が供与されたかどうかも含めてお尋ねをします。
  46. 浜田靖一

    ○副長官(浜田靖一君) 今回の事案に関しましては、サマーワには陸上自衛隊のイラク復興支援群の取材等のために邦人記者等が滞在をしておりまして、今月八日に発生した邦人人質事件の発生を受けまして、防衛庁としては報道関係者の安全確保のために、事態の緊急性にかんがみまして、サマーワ所在の記者と日常的に連絡している陸自現地部隊から要請することが適切である、効果的であるというふうに判断をいたしまして、防衛庁長官の指示によって、四月八日十八時十分ごろ、現地時間でありますが、努めて早くサマーワ宿営地にお集まりいただくよう、サマーワ所在記者の皆様に対して要請を発出いたしまして、同日二十一時十五分、現地時間でありますけれども、までに邦人記者十七名、外国人スタッフ、ドライバー、通訳も含めまして四名の二十一名を宿営地に受け入れたところであります。  その後、頻発する外国人の拘束事件によりまして、イラク全土において邦人拘束されるおそれがある事態が生起し、加えて、サマーワとその他の都市間には商用の航空便は運航されておりませんので、また陸路でもサマーワから国外へ移動することは自ら防護する手段を持たない民間人にとって困難な状況となっておりましたので、そのため、サマーワに取材員が所在する報道各社からのクウェートへの出国の希望があったことも踏まえまして、外務大臣から防衛庁長官に対して自衛隊法百条の八に基づきまして当該邦人等の輸送に係る措置について依頼がなされたところであります。  防衛庁としては、輸送の安全確保等、必要な検討もしてまいりまして、今月十五日、航空自衛隊のC130輸送機一機によりサマーワに滞在する邦人記者をタリル飛行場からムバラク飛行場まで輸送したところであります。また、タリル飛行場までの陸上輸送に関しましては、イラク人道支援特措法に基づく対応措置を円滑かつ効果的に行う上で必要な広報活動の一環として、陸上自衛隊車両によりまして輸送を行ったところであります。  この件に関しましては、我々の、法的には問題なくこれによって行われたものと考えておりますし、そしてまた、今回の場合、サマーワには邦人記者以外の邦人の方はいないということでございましたので、今回の場合は邦人記者にお声掛けをしたということであります。
  47. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 この報道記者の中でも、自力で陸路で、自衛隊のこの輸送とそれから飛行機によらないでクウェートに脱出した新聞社もありますし、それから、その自衛隊の自動車、車でタリルまで行って、タリルからクウェートまで飛行機に乗った社があると思いますが、どことどこの社がその飛行機に乗って、どことどこの社が自力脱出したか、お答えいただきたいと思います。
  48. 浜田靖一

    ○副長官(浜田靖一君) 今回輸送した報道関係者は十名でありまして、会社は、フジテレビジョンが五名、共同通信社が二名、読売新聞社が二名、日本電波ニュース社が一名であります。
  49. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 自力で脱出をした社はどことどこですか。
  50. 浜田靖一

    ○副長官(浜田靖一君) 我々としては、我々の方はあくまでも今こういうものを用意していただきましたがいかがでしょうかということでお声掛けをいたしましたので、今回の場合はこの十名の方の所属する会社に確認を取りましてこのお名前を言っているところでございまして、使わなかったところに関しては我々としては今確認をしていないところであります。
  51. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 サマーワの宿営地にはフリージャーナリストも避難をしておりましたか。
  52. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 御答弁申し上げます。  私ども、先ほど副長官から御答弁申し上げました現地時間の四月の八日の十八時十分ごろに先ほど申し上げましたような御要請を申し上げました。それにつきましては、私どもが承知しているプレスの方々に広く声を掛けておりまして、フリー、フリーといいますか、いわゆるフリーの方とあるいはそのほかの方々と区別するとか、そういったことはいたしておりません。幅広く声を掛けたものであります。
  53. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 その場合に、車代とかあるいはそのクウェートまでの飛行機賃の相応の分担を請求されましたか。
  54. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答えいたします。  今のところは、それについては請求するという形での作業はしておりません。先ほど当方の副長官の方から述べましたように、広報活動の一環という形で、広報活動支援の一環という形でやっておりましたので、なじまないのではないかと、このように考えております。
  55. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 イラクでNGOが活動する場合に、自衛隊を派遣すればその中立性の確保が非常に不可能になり、あるいは巻き添えで民間人が攻撃をされるということが当然予想されると思います。  私は、その自衛隊派遣に関するリスク管理の問題として、この人質事件対策を立てておくべき責任が政府にあったのではないかというふうに考えますが、その点について外務省はいかがお考えでしょうか。それから、防衛庁の方はどうでしょうか。
  56. 逢沢一郎

    ○副大臣逢沢一郎君) 特措法において自衛隊の方々が今イラクの地にあって鋭意活動をいただいております。これはあくまで人道復興支援の活動でございまして、いわゆる治安警察活動はその目的外ということを改めて申し上げておきたいと思います。あくまで国連の要請に基づき新しいイラクの国づくりをお手伝いをする人道的復興支援に限定した活動、そしてそのことは地元のサマーワ始め広くイラクの国民の方々に理解をいただいておるというふうに私ども承知をいたしております。  一方、イラクにおける邦人の保護、安全の確保につきましては、先ほど申し上げましたように、度重ねて危険情報、退避勧告を発出をさせていただいております。自らの安全は自ら確保していただく、その大原則に基づいて今のイラクについて申し上げるとすれば、イラクにお入りをいただくわけにはいかない、またイラクにおられる邦人は速やかに国外に退避をいただく、そのことを強くお願いをいたしておりますが、そのことは引き続き正しく国民の皆様に御理解がいただけるよう努力を続けてまいりたいと存じます。
  57. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私の質問は、人道援助をするNGOにとって、自国の軍隊が派遣されることによって人道援助と政治の境界があいまいになり、NGOと国際ボランティアの報告でも、NGOは地域の社会に溶け込んで、武器を持たず、武器を持つ軍隊組織から距離を置くことで身を守る、したがって、今回の人質解放も、結局、草の根の運動の今までの経過と国際ネットワークの推進にかかわる人たちがイラク現地でつながりを通して働き掛けをしたということが人質解放につながったと思うわけです。  したがって、私は外務省にお尋ねしたいのは、軍隊を派遣することにはリスクを伴って、NGOの人たちを危険におとしめるのではないかという点についての考え方をお尋ねしたいわけです。
  58. 逢沢一郎

    ○副大臣逢沢一郎君) 今現在も、イラクの新しい国づくり、復興支援に対して積極的に活動いただいているNGOはございます。ただ、退避勧告、危険情報が出されている状況でございますので、そのNGOの邦人のスタッフの方々は、イラクの国内に立ち入ることなく、例えば隣国ヨルダン等がその中に入るわけでございますが、隣国等から現地スタッフとメール等を通じて様々に連絡を緊密に取りながら、しかし鋭意積極的にイラクの復興支援活動は行っていただいているわけであります。  そのことと、イラクに対して危険情報が出されていること、また人道復興支援のために自衛隊が活動しているということはそれぞれ別の問題として私どもは理解をすべきではなかろうかと、そのように承知をいたしております。
  59. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私はそこの関連をやはりきっちりとつかまえていくことが大切であろうかと思います。  ノーマ・フィールドというシカゴ大学の教授が言っておられることですが、日本の自業自得、自己責任論を読めば、反日意識も生まれてきます、迷惑掛けるなという身近な表現が秘めている奴隷根性をつくづく感じる今日このごろですというふうに書かれております。  NGOが命を懸けて人道援助をすることに対する外務省の基本的な認識、それをもう一度お尋ねしたいと思います。
  60. 逢沢一郎

    ○副大臣逢沢一郎君) NGOの活動なくして我が国も当然外交を積極的に展開することはできない、そう申し上げてよろしいほど、NGOの持つ経験あるいは知見あるいは実行力、目標達成をする力、これは私どもとしても高く評価をさせていただいております。しかし、そのNGOの持てる力を発揮するためには、ある一定レベルの少なくとも治安というものが確保されていなければ彼らの持つ力も発揮のしようがない、正しくその現状は認識をする必要があろうかというふうに思います。  現に、そういう認識に立ち、多くのNGOの方々は、イラクにおける治安が回復するまでイラクの国内に立ち入ることはできない、そういう適切な判断をいただいているわけでございまして、そういったNGOの方々との意識をこれからも緊密に共有をしながら、安全を確保しつつ、我が国のできるイラクの新しい国づくり、復興支援をこれからも鋭意積極的に展開をしてまいりたい、そのように承知をいたしております。
  61. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 防衛庁、何かありますか。
  62. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 防衛庁におきましては、先ほど外務大臣の方からお話のございました国としての貢献の一つという形で、安全性を図ってその貢献を果たすということでございまして、当方にありましては、自己完結性ということで、自分たちの身を守りながらその貢献を果たし得るという、そういう特質を持っておりますので、我々としては、安全を図りながらその任務を全うしていく、イラクの復興の貢献のために努力していくという認識を持ってやっているところでございます。
  63. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、人質に対する費用負担とか、あるいは人質に対する謝罪をまるで要求するような政府側の発言というものに対しては、やはり慎むべきだと思います。  実は私は、ボスニアの紛争のときに、公用旅券ではなくていわゆる通常の旅券で、政府から許可が下りなかったので、断固出掛けまして、そしてボスニアまで行って、当時のカラジッチなどに対する平和的な紛争の解決の説得に行ったことがあります。そのとき議員は私と自民党の小杉さんと二人でありまして、あと三人、民間人と一緒に行ったわけですが、そのとき、私はショックを受けたことがあります。防弾チョッキを二つしか持ってこなかったんですね、大使館は。私は、その民間の人の三人をさておいて着れるわけはないでしょう、五つ持ってきてくださいと言ったんですけれども、そこにいた、大使館は閉鎖されておりましたけれども、持ってこられなくて、私たちは防弾チョッキなしで、砲弾が遠くで鳴る街道をセルビア軍の銃剣の下で森の中まで会いに行ったという経験がございます。そのとき私はつくづく感じたんです。官民格差というのは、これは一体何か。  それから、今、報道関係者だけ優遇して、人質という人たちにこうした費用の分担とかあるいはバッシングを行うということは、正に民の、民民格差といいますか、民の選別を、無意識か意識的か私は分かりませんけれども、少なくとも政府がメディアと共々にやっているということについて強く抗議をしたい。私たちは、そうした政府の行為に対してとても残念であり、本当の邦人保護というのはそういうものではないだろうというふうに今回の人質事件で思いました。  さて、今、イラクの人道支援はビジネス化していると言われております。イラクの米英占領当局CPAは、イラクで人道復興支援活動にかかわるすべてのNGOに対して登録の義務化とか活動資金の提供先や資金源の全開示を要求して、約九割のNGOがそれはNGOの自殺行為だと言って拒否をしております。CPAは昨年十一月にこの登録義務付けをオーダー四十五号として出しているわけです。  国連事務所や赤十字の爆破事件はそうした占領当局に加担したものとみなされたことが原因だと言われておりますが、こうしたアメリカの、いわゆる占領当局のNGOに対する態度について、副外務大臣はどのようにコメントされるでしょうか。
  64. 逢沢一郎

    ○副大臣逢沢一郎君) より詳細につきましては堂道局長の方から後ほど答弁をさせたいというふうに思います。  イラクは今非常に治安が厳しい状況が続いております。今一番大切なことは、ブラヒミ特別顧問がイラクに入られました、国連主導で政治プロセスを鋭意積極的に進めていく、そしてそのためにやはり治安を確保していく、そしてそのことを国際社会全体が支えていく、そのことが最も大切なことではなかろうかと思います。治安が回復したその段階で、能力のある、また経験を持つ、知見を持つNGOあるいは民間企業、そういった方々イラクに直接入って正に人道的な復興支援を本格的に行うことができる、一日も早くそういう状況を私どもが確保できるように引き続き努力を重ねてまいりたい、そのように承知をいたしております。
  65. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  このイラク国内で活動するNGOでございますけれども、先生御指摘のとおり、CPA命令によりましてイラク計画・開発協力省管轄のNGO支援事務所に登録を行うということになっております。登録に当たりましては、そのNGOの名称とか所在地、連絡先、入国日、イラク訪問・活動歴等、あるいは金融機関以外からの一定以上の借入金額、借入先など、詳細な情報の提出を義務付けられております。  NGO関係者の間では手続の簡略化を求めるという声があることは承知しておりますけれども、私どもとしましては、こういう手続は依然として予断を許さないイラクの治安情勢にかんがみればある程度やむを得ないところがあるというふうに思います。NGOの目的、大半の場合は慈善目的あるいは人道救済、人道復興支援ということでございますけれども、国際的にはNGOの名前を使っていろいろな活動が行われているのも事実でございまして、そういう状況もあり、一定の登録を求めるということについてはやむを得ないところがある。  しかし、これらが余り、規制が非常に難しいという声もあることは事実でございますので、この点については、今後、実行段階でいろんな意見が出てきて、これらについては、CPAの政策にも反映されていく、あるいはその後を受け継ぐイラク政府政策にも反映されていくであろうと、こういうふうに考えております。
  66. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 最後に、今回のサマワの宿営地からクウェートに運ばれた邦人輸送は、災害、騒乱その他の緊急事態に適用されるという百条の八を規定根拠としているということになれば、既に現地が純粋な戦闘地域であるということを示唆していることにほかならないということであると思います。  現状を踏まえ、撤退の議論が政府内できちっとされることを求めて、私の質問を終わります。
  67. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 民主党のツルネンマルテイでございます。  本日の私の質問のメーンテーマは在日外国人児童生徒の教育、とりわけ日本の公立の義務教育諸学校への受入れにかかわる諸問題です。質問の参考にしたのは、私たちの手元に配付されたこの総務省行政評価局がまとめた通知です。  この通知は、報告は全体としてはかなり良くできていると私も見ています。なぜならば、まずその基本方針としての精神が悪くないからです。差別をなくそうとする姿勢もその中に表れています。そして、理想だけを並べている通知だけではないんです。例えば、文部科学省の方針に対する各地方自治体でのばらつきがまだまだ残っていることもこの通知の中では認められているということも私も評価しています。そのばらつきを中心に、河村文部科学大臣と近藤初等中等教育局長質問をさせていただきます。  日本に在留する外国人の数は現在はほぼ二百万人となっています。そのうち、学齢に相当する外国人の子供がおよそ十万六千人です。これは平成十三年末のデータですが、更にもっと増えているかもしれません。そして、その中で義務教育諸学校に在籍している者が約六万八千人、また各種学校として認可された外国人学校に在籍している子供が約二万六千人ですね。これは合計九万四千人になります。残りの一万二千人はどの学校にも在籍していない子供たちでいます。彼らはいわゆる不登校児童生徒です。その数が実際にはもっと多いかもしれません。例えば、ブラジルの大使館の調べでは、ブラジル人だけでもひょっとしたら一万五千人ぐらいの子供たちはどこの学校にも行っていないと言われています。しかし、私は今日はその数を問題にするのではなく、彼らを含めて、外国人の子供たちは公立学校へ受け入れられる、受け入れるその体制について質問させていただきます。  御存じのように、日本は在日外国人の子供たちには義務教育の就学義務を課していません。しかし、その代わりと言ってはなんですけれども、国際規約に基づいて、外国人子女の保護者が公立の義務教育諸学校への入学を希望する場合には日本人子女と同様に無償の教育が受けられる機会を保障することが義務付けられています。これは私たちは知っていることです。  そして、入学を希望するときの一つの大きな問題は学齢による学年の受入れ原則です。つまり、原則に対して例外が認められているかどうかの問題です。特に、来日したばかりの子供たちは、日本語も分からないうちには同学齢のクラスに入れられれば、勉強に付いていけないことは当然なことです。  そこで、まず河村文部科学大臣質問したいのは、外国人児童生徒の就学については、学齢による学年での受入れを原則としつつも、特別な配慮を必要とする児童生徒に対しては学年を下げての受入れについてどのような見解をお持ちでしょうか、伺います。
  68. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) ツルネン議員御指摘のように、義務教育段階における外国人の児童生徒、公立の義務教育諸学校へ就学を希望する場合にはこれを受け入れる、これは国際人権規約等とありますから、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の十三条、あるいは子どもの権利条約にもあると思います。  この中で、日本人の子供たち、児童生徒と同じように無償で受け入れる、あるいは教科書も無償配付をする、それから就学援助も含めると、こういうことになっておりまして、日本人と同一の教育を受ける機会は保障されておると、こういうことでございます、御指摘のとおりでありますが。その際に、今ツルネン議員御指摘のあった、原則として学齢、入ってくる場合には学齢相当の学年に入っていく、編入学をしていくわけでありますが、特にまだ日本語が十分でない、このようなときにはその学年を少し下げて受け入れる、この方が本人にとっていいであろうというようなケースについては、これは一時的に編入する措置が可能であるということで、都道府県の教育委員会に対してそのように通達をしておるところでございます。  これは相当前からそういう問題がありまして、実は昭和三十三年ごろ、ブラジルから日本に進出された企業等々からも御指摘があって、そのように答えていることがございます。小学校、中学校に対しては直ちに相当学年の課程における教育を受けることが適切でないと認められるときは、学校の生活に適応するまで一時的に適宜下学年、下の学年に編入する措置が取られることもあるからと、こう言っておりますので、このように受入れをちゃんとやるようにということでその外国人の子供に対してのきめの細かい指導をするようにいたしておるところであります。
  69. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 つまり、文部科学省の考えではそういう特別扱いも例外も認められているということですね。しかし、これは実際には地方自治体の判断に任されているんですから、残念ながらいろんな地方自治体ではそのような特別扱いが認められていないというところもあるんです。  私は、一つ例として取り上げたいのは横浜市の問題です。横浜市では平成十四年には、市立小中学校の校長たちには、教育委員会事務局からの通知に次のようなことが書いてあります。「国際規約に基づく取扱いは、就学について、あくまでも日本国民と同様の取扱いを保障するものであり、外国人児童生徒に対し特別の取扱いを行うものではありません。」と書いてあります。  さらに、それを具体的に説明するところは、平成十三年には、教育委員会の方からは、この小中学校のすべての国際教室担当者に対して次のようなことをアドバイスしています。保護者の希望により学齢より下げて編入する傾向がありますが、今後は学齢どおりの学年でのみ受け入れることをするようにと口頭で通知したそうです。そして、後でこの方針を文書でも確認して、これは私にはある教師の方からメールで書いてある知らせですが、その理由としては、横浜は御存じのように非常に大きな地方自治体ですから、千校近くある市立の小中学校から個々の相談の受けるゆとりがなく、原則を提示したものであると書いてあります。  このような特別取扱いを認めない方針は恐らく横浜市だけではないと思います。このことについて、こういう例もあるということを再度、大臣の見解を求めます。
  70. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。  いろんな経緯があったかと思いますが、最近では平成十四年の、その後でございますが、四月十日付けで、これは横浜市教育委員会事務局の指導第二課長の名前で、市立小・中・盲・ろう・養護学校長あてに「外国人児童生徒の就学について」という通知文が出されておりまして、先生御指摘のあった外国人児童生徒の指導に関する取扱いの部分でございますが、特別な事情により学齢による学年での就学に支障がある場合は、学齢による学年で受け入れ、必要により一時、下の学年での学習をさせるなどの工夫をし、外国人児童生徒の能力向上に努めますと、このように改めて通知を出しているわけでございます。  私ども、やはりこういった考え方にのっとって、各都道府県でそういった外国人児童生徒の就学が円滑に行われるように、また私どもも引き続き各都道府県にその趣旨を徹底してまいりたいと思っております。
  71. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 今も分かるように、あるいは私も横浜市からいろんな情報が入っているところは、やはり地方自治体によってはそういうばらつきがあるということは、これは文部科学省だけのせいではないと思いますけれども、やはり問題が残っている。  二番目に、私はこれは近藤局長にお聞きしたいんですけれども、さっきから言いましたこの不登校、外国人の子供たちの不登校について、どこの学校にも入っていないということの問題ですけれども、先ほども言いましたように、推定ですけれども最低でも一万二千人くらいが行っていないんですね。もっと多くかもしれませんね。そして、その理由は、なぜ学校に通っていないかということは、もちろん日本人の不登校のときと似ているかもしれませんけれども、違ったのは、少なくとも、言葉がなかなか通じないこととか、あるいは日本人よりも以上いじめられているということとか、あるいは親の方では誤解があるということ、例えば公立の学校に行っていてもお金はたくさん掛かるとか、こういう理由も、そういう声も聞こえますけれども、しかし私たちは、人道的な視点からでも考えていっても、このような子供たちは両親が働いているときは狭いアパートの中で一日を過ごしたり、外出したときはどうしても非行に走ったりすることもあり得るんですね。だから、これをほうっておくことはできない。  この彼らに対する対策について見解を求めます。
  72. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) 先生おっしゃるとおりに、日本のいずれの学校にも就学をしていない児童生徒がいるわけでございまして、そういった不就学の子供を含めた外国児童生徒に対する教育をどうやって充実していくかと。これは学校だけではなく地域ぐるみでやはり取り組んでいくということが有効であろうかと思っておりまして、文部科学省では、特に在日外国人が多い地域を指定をいたしまして、その不就学への対応方策でありますとか、あるいは地域の人材活用する方策等について重点的に調査研究を行い、その成果を全国に普及をしておるわけでございますし、先生おっしゃったように、なぜ就学をしないのかと。もちろん言葉の問題もありましょうし、日本の学校教育制度についてのやっぱりまだまだ理解と申しましょうか、現実に分からないと、こういったようなこともあろうかと思っております。  そこで、私ども文部科学省では、外国語による就学のためのガイドブックを、ポルトガル語ですとか中国語、スペイン語など七つの言語で作成をいたしまして各教育委員会に配付をし周知をしていると。もちろんこの数は限られておりますから、各県でもまたそういったものを刷り増しをしていただくと。各県でもまたいろいろな努力もしていただいておるわけでございますけれども、そういった関係機関と連携をしながら、こういった外国人児童生徒が一人でも多くそういった就学の機会を失わないような、そういった観点から引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  73. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 今ももう既に言われました、答弁の中で言われましたように、日本語に対する指導ということは、あるいは日本語だけではなくてその案内とかガイドも問題ですけれども、今言われたように、文部科学省の方ではガイドブックができています。いろんな国の言葉でできています。しかし、私は今日は、参考資料にしている中でも認められていることは、いろんな調査では、各地方自治体の調査では、それでもそういうのを日本語しか使っていない学校もあるということですね、その案内に対しても。  あるいは、学校では日本語の教育を行うときは、私は去年、たまたま群馬県の大泉町に視察に行ったときは、御存じのようにそこは人口の中の外国人の割合が日本で一番多い、一五%ぐらいと言われていますけれども、そこへ行ったとき聞いた話では、これは群馬県だけの方式かもしれませんけれども一つの学校には五人以上日本語の指導を必要とする子供がいれば予算も付きますけれども、それ以下、例えば一人とか二人とかの場合はなかなかできない、それで予算も付いていない。  日本語はやはり学校によってまだ十分に教えることできていないということに対して、更にちょっと答弁をお願いしたいと思います。これは大臣の方からお願いします。
  74. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 現実に、日本語を特別に教えないとその子供たちは十分でないというケースがあろうと思います。そういうときは、特別に教員が自分の空いている時間を活用する、あるいは各教室での、子供たちを何クラスか取り出してそこで授業を行う。それは先生であったり、加配教員といいまして、特別にそのための、指導のための先生を増やす、あるいはその地域でポルトガル語、ブラジルであるとポルトガル語ですが、そういう言葉ができる人たちで指導ができる人、そういうボランティアの方にも来ていただくとかいうことで日本語の指導に今取り組んでおるのが現状でございます。  ただ、実際はそうでありますが、今御指摘のように、総務省の指摘によりますと、十分日本語指導体制が整備されていないケースがあるという御指摘もございますので、特にそういう子供たちが集中的にいる地域というのはある程度こちらでも分かっておりますので、一度そういう体制が整うようにその充実に努めてまいりたい。  今後、全く日本語の指導がなされていない部分については、加配といいますか、特別にそうした担当の先生を回すというようなことも考えていかなきゃなりません。そういうふうにしながら、外国の子供たちで日本で学んでいる人たちの指導というものを、さらに日本語の指導体制、これに充実を図っていかなきゃいかぬと、このように考えます。
  75. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 もちろんこれは簡単なことではないということはよく分かります。というのは、現在でも、これも調査ですけれども日本語の指導を必要とする子供たちは二万人くらいいると言われています。そして、それは五千校に散らばっていますから、平均としても四人かそれ以下、そうして実際には一人か二人しかないというところは多いですからね。だから、予算というよりもやっぱり、さっき大臣も言いましたように、そのボランティアを生かすということでもっと徹底的にする必要があると思います。  時間がもう六分、七分しかありませんから、どんどん先の方へ行きたいと思います。  もう一つは、さっきも触れましたように、やはり外国人であることも理由でいじめも非常に頻繁に行われている、それで苦しんでいる家庭も子供たちもたくさんいます。このいじめを、もちろんこれは日本人の場合でもそうですけれども、防止する対策には何か考えていますか。これも、もしできれば河村文部科学大臣の方からお願いします。
  76. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 学校教育でいじめが起きるその一番元は、やっぱり差別とか偏見とかそういうものになっておりますから、そういうことでない社会をどういうふうにつくっていくか。これはもう学校教育の、人権教育と一口に言いますけれども、非常に大事な部分でありまして、特に外国人の子供、児童生徒、これは生活習慣も違いますし言葉も違う、そういうようなこともあってどうしても注目を浴びやすい。日本の子供たちは、そういう人たちには大体親切に接しなきゃいかぬわけでありますが、時にそういういじめに発展する場合がある。こうした場合に、やっぱり学校としても、そういう子供がいるというときには、特別にやっぱり国際教育といいますか、そういう国際理解といいますか、そういうものをやっぱり最初に、スタート時点でちゃんとやっていくということが必要ではないかと思います。  ともかく、いじめについては、もう絶対いじめは許されないことだということは、もうこれは周知徹底しなきゃいかぬことでございまして、これはやっぱりその学校が全体として取り組んでもらわなきゃいかぬ、学校の組織を挙げてやっぱりそういう雰囲気といいますか、そういうものをきちっと作っていく、これは非常に大事なことだと、こう思っておりますし、教育委員会を通じてそのことは周知徹底を今いたしております。これまでもしておりますし、これからもしていかなきゃいけない課題だと思います。  特に、外国人の児童生徒がいる場合の相互理解、これはむしろ、外国の子供たちがいるということは、そういう国際問題といいますか、いわゆる国際化を推進する上では一つの大きな教材でありますから、そういう意味で、その子供たちの持っている言葉を覚えさせるとか、なじむとかいうような授業、何かアミーゴタイムというのを設けておって、朝のスタートする前に、その外国人の子供たちに、母国語の言葉の代表的な言葉を言って、みんなでそれを暗唱し合って覚えさすとかいうようなことをしながら、そういうことが起きないように、相互理解が深まるように、こういう活動も行っておるわけでございます。  まあ、いずれにしても、外国人の子供たちと日本の子供たちがともに理解をし合って教育の国際化を進める、このことは特に留意していかなきゃいけない課題でありまして、そこにいじめが起きないように最大の配慮をすべき課題であると、このように考えております。
  77. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 今、大臣が言われたように、本当にその子供たちに気を払って、そういう、その言葉を、あいさつだけでもいいから教えてあげれば、それは国際理解のためには役に立つと思います。  私は最後一つだけ、これも本当に大きな問題で、数分間で取り扱う問題ではありませんけれども、在留資格のない子供たちも日本にはいます、残念ながら。その不法滞在者の、大人も含めての数がまあ今推定では二十五万人ですね。その中では子供たちはどのくらいいるか、はっきりした数がありませんけれども、少なくとも何千人もいるということです。  そして、さらに、文部科学省の就学ハンドブックの中では、入学の要件には国籍や在留資格は入っていないということ。つまり、考え方としては、入れることは可能です。しかし、これも実際には、今度はどっちかというと各地方自治体に任されているんですよ。私たちの下にも入る声では、やはり在留許可がない理由で学校に入るのを拒否されているケースもたくさんあります。  もうちょっと時間がありませんけれども、これに対して、どちらかな、見解を求めたいと思います。近藤局長の方からお願いします。
  78. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。  先生御指摘のこの在留資格のない外国人の子供の問題でございますが、私どもは、在留資格がなくても、義務教育段階にある外国人児童生徒が公立の義務教育諸学校へ就学を希望する場合には、国際人権規約等を踏まえまして日本人児童生徒と同様に無償で受け入れており、教科書の無償配付でありますとか就学援助を含め、日本人と同一の教育を受ける機会を保障しているところでございます。  この在留資格のない外国人につきましては、外国人登録が行われていない場合が多いんだろうと思っておりますけれども、その場合でも、市町村の教育委員会におきまして、当該児童生徒の居住地、住んでいる場所が確認ができるような場合には、就学の機会を逸することがないよう、保護者に対して入学に関する事項を記載をした就学案内を発給するような指導をしていると、こういう取扱いをしているところでございます。
  79. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 やはり私たちは、そういう子供たちもできるだけ学校に行けるように、教育を受けるように、これは私たちみんなで力を合わせなくちゃならない。  最後に、ちょっともう答弁は求めませんから、私は一つだけ、私の手元には大阪市の教育委員会の在日外国人教育基本方針というのがあるんですね。これは、私は読んでいて非常にすばらしいものであって、もちろんそこでは多くの外国人たちは、韓国・朝鮮人たちも含めて勉強していますけれども、その中の一つの文章だけを、これはできれば私たちは、すべての日本の教育に当てはめることができるんじゃないかなということをここから引用して、私の質問を終わりにしたいと思います。  こう書いてあります。日本人と在日外国人の児童生徒がともに学び、ともに生きるため、互いの人権を尊重し、違いを豊かさとして認め合う子供を育てる教育を実践するように努めますと書いてあります。これはもうすべての教育に言えるかと思います。その違いを豊かさにするということはいいアイデアかなと思っています。  私の時間が終わります。ありがとうございました。
  80. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は公明党の続でございます。  去る四月十二日の本委員会において、総務大臣から、検査検定制度とODAの政策評価の結果について御報告がございました。本日はこれに関連して何点か質問いたします。  まず、総務省に伺います。  先日の総務大臣の御報告では、総務省が初めてコスト分析の手法を用いて検査検定全百二十六制度を統一的に評価したということでありますが、コスト分析と規制改革との関連について、今回の政策評価の結果からどういうことが明らかになったかを明らかにしていただきたいと存じます。
  81. 田村政志

    政府参考人(田村政志君) 今回の政策評価におきましては、検査検定制度、これは施設設備や鉱工業製品等の物資が満たすべき基準とその基準に適合することを確認する方法や手続を法令等に規定いたしまして、基準への適合性を確認又は証明する制度ということでとらえられるわけでございますけれども、この検査検定制度につきまして政府として初めてコスト分析を行いまして、検査を受ける、また検査の実施に要する直接的コストとして手数料や受検対応コストなどを把握したものでございます。その結果、どういう事項でどれくらいのコストが掛かっているのか、それは規制改革により変化したのかしなかったのか、変化した場合、それはどの程度かなどを明らかにすることができました。  今後、各府省においてこの評価結果及び総務省が用いた手法を最大限活用し各制度の特性に応じたコスト分析が行われれば、検査検定制度の今後の在り方を検討していくために重要な情報を得ることが期待できるものでございます。  このようなことから、コスト分析を通じ現行制度の実効ある見直しが行われ、その結果、規制改革の更なる推進につながるものと考えております。
  82. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいま、総務省から御答弁で、規制改革の推進においてコスト分析を行うことの重要性、有効性が確認されました。だとすれば、各省はそれぞれの所管制度について直ちに実効ある評価に取り組む必要があると思います。  検査検定制度を所管する府省は七つございますが、所管制度が五十五制度と最も多い国土交通省と、次に多い三十二制度の経済産業省に、今後の取組姿勢についてお答えいただきたいと存じます。
  83. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 国土交通省におきましては、陸海空の交通機関をきちんと安全に運行するということに関連する仕事をしておりまして、鉄道などの施設とかあるいは車両、それから自動車、船舶、航空機などにつきまして、安全保安上の基準を定め、これを世の中に実施するということで検証しております。それから、世の中の投資活動の相当部分を占めております建築行為、これにつきましても基準を定めまして、これを実現するという仕事をしているわけでございます。  もとより、事業者が交通機関を安全に運行するというのは、事業者自身の第一義的には責任に属する事柄でございます。建物を建てる場合にも、そこで事業活動、家庭生活が行われるわけでございますので、建築活動をする人がその安全の基準をきちんと守って活動をするということがまず第一であるわけでございますけれども、それを怠った場合に生じるいろんな社会的な問題を考えますと、少なくとも最低限の基準については社会的にきちんとこれを設定して、世の中で行われるように確認していくということが必要になるわけでございます。それで、国土交通省も五十五の検査検定制度を運用しているわけでございますけれども、私どもは、この行政仕事の一番大事なことは、そういう消極的な意味ももちろんあるわけでございますけれども、この基準の設定でございます。  この基準は、内外の私たちが得られる一番新しい知見を適用して、常に研ぎ澄まして、無駄なものはないか、必要なものは落ちていないかということを、常に基準を研ぎ澄ますこと、これが行政の一番正面の課題だというふうに考えております。それにまず一番の力を加えていくわけでございますが、そのことを前提に、今御指摘がありました検査検定制度に掛かるコストをトータルにきちんと分析をする、国民の皆様にどういう負担が掛かっているのかということをきちんと分析するということと、その効果を的確に把握するということも効率的にこれを実現するという観点から大切でございますので、これから精一杯取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  84. 佐藤哲哉

    政府参考人(佐藤哲哉君) 経済産業省が所管をいたします検査検定制度には、計量や製造、製品安全に関します検定など、三十二の制度がございます。これらにつきましては、規制改革推進三か年計画などを踏まえまして、それぞれの制度が本来持っております様々な政策目的の達成に支障がないことを前提としながら、自己確認や第三者認証制度への移行などの措置を講じているところでございます。  今般、総務省におかれまして検査検定制度に関します政策評価書が取りまとめられたところでございますが、経済産業省といたしましても、この報告書を踏まえまして、それぞれの制度の特性に応じたコスト分析や効果の把握に努めてまいりたいと存じております。また、引き続きまして規制改革に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  85. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいま両省から、総務省の検査検定の調査を踏まえながら、真剣に前向きで検討するということを誓われました。是非そのようにしていただきたいと思います。それ以外の省庁におきましても同じような取組の姿勢を要望申し上げます。  次に、規制改革に関連して総務省に伺います。  行政改革等の改革は、行政改革と規制改革、このことは不即不離の関係にあり、民間活力を引き出すためにも公がかかわる許認可等は極力削減すべきだと叫ばれ続けてまいりましたが、許認可件数の推移を見ますと必ずしもそうではないようでございます。そこで、許認可件数の推移とこれに対する御見解についてお尋ねいたします。
  86. 田村政志

    政府参考人(田村政志君) お答えいたします。  平成十五年三月末現在で把握した国の許認可等、許認可等の中には許可、認可、承認、検査、登録、届出、提出、報告といったようなものが含まれておるわけでございますけれども、この総数は一万一千七件でございまして、前回の十四年三月末現在で把握したものに比べまして差引き三百八十六件の増加、法律に規定されているものの増加件数は二百八十二件でございますが、これだけの増加になってございます。  前回、今回の把握結果について、根拠法令別に見ますと、法律に規定されるものの割合が七二・八%というふうになってございます。これは主に社会的、経済的要請などにより許認可などが新設されたことによるものと考えられます。例えば、金融機関組織再編特別措置法の成立によりまして、金融機関等の経営基盤の更なる強化を図るため、経営基盤強化計画の認定など二十四件の許認可などが新設され、また自動車リサイクル法の成立によりまして、自動車製造業者や関連事業者による使用済み自動車の引取りや再資源化などを適正かつ円滑に実施するため、特定再資源化物品の再資源化の認定など七十六件の許認可等が新設されております。  このほか、規制緩和に伴いまして許認可等が新設されたものもありまして、例えば信書便法の成立によりまして民間事業者による信書の送達事業が認められまして、一般信書便事業の許可など三十四件の許認可等が新設されております。  なお、許認可等の数の増減と規制緩和の関係についてでございますけれども、規制緩和の態様は様々でございまして、許可対象の一部について届出で足りるという場合でも許認可、規制緩和により許認可等の件数が増加することもございまして、規制緩和と許認可等の件数の増減に明確な相関関係を見いだすことは直ちにはできないのではないかと、このように考えてございます。
  87. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいま大変言い訳、苦しい言い訳のような印象を受けました。昨日の実はNHKの日曜討論「景気回復は本物か」の中でも規制改革に関連した議論がございました。その中で、経済同友会の代表幹事の北城氏は、景気回復は本物として、民間活力を引き出すためには何としても経済的規制は全廃すべきだということを力強く主張しておられました。このことも踏まえながら、大変苦しい言い訳ではありますけれども、あなたの方が中心になってこの規制改革に対して大なたを振るっていただきたいということを特に御要望申し上げます。  次に、ODAについて伺います。  日本のODAにおいては、近年、厳しい財政事情の下、貧困、紛争、テロ、エイズなどの感染症、環境問題等、国際社会の重要な開発課題への対応が必要とされており、以前にも増して国民の幅広い支持と理解を得つつ、効果的かつ効率的に実施していくことが求められております。  このような中、昨年八月、十一年ぶりにODA大綱が改定され、ODAを一層戦略的に活用していくとともに、より効果的かつ効率的に援助の実現を目指すこととされました。私も昨年の九月、インドネシアのジャカルタで開催されました第二十四回AIPO総会、すなわちASEAN議員機構総会に出席、参議院を代表して出席をいたしました際に、参加各国から熱いまなざしで日本のODAに対する幾つかの要望がたくさん寄せられました。それに対して、私どもは、三人出席いたしましたけれども日本の厳しい財政事情、そしてまたODA大綱の改革の精神、これらを参加各国の議員さんに理解を求めてまいりました。  そこで、外務省に伺います。  今回の総務省の評価結果を踏まえ、また新たなODA大綱の着実な実施に向けて外務省ではどのように取り組んでいくつもりなのか、お答えください。
  88. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  御指摘の総務省による総合性確保評価としての経済協力に関する政策評価書を先般ちょうだいしたわけでございますが、これは平成十三年度から十五年度に評価を実施されまして、そして今般、作成、公表されたというふうに承知しておるわけでございます。  この間、これらの作業と並行いたしまして、私ども外務省といたしましても、ODA改革・十五の具体策、これが平成十四年七月、行動計画平成十四年八月等を基にODA改革を推進してきたわけでございます。そして、先ほど御指摘ございましたように、その集大成として昨年八月には新しいいわゆるODA大綱を閣議決定したところでございます。  この大綱の改定に当たりましては、政府部内のみならず、各方面、広く御意見をちょうだいいたしまして、今般の総務省政策評価書の御提言といったものがこの新しいODA大綱にも実質的にほぼ盛り込まれているということでございまして、これらを私どもとしては具体的にこれから取り組んでいくということになるわけでございます。  特に、今般の御指摘のキーワードは連携ということでございまして、援助形態あるいは各府省庁あるいは他の援助国、国際機構、NGO等民間団体、被援助国等々との連携に注意することが最も重要であると、こういう御指摘をいただいておるわけでございますが、これらの点につきましては、例えば関係省庁との連携、調整といたしましては、内閣総理大臣の下で開催されます対外経済協力関係閣僚会議を核にいたしまして、省庁間で資金協力会議、技術協力連絡会議、ODA評価連絡会議といったものをこのところ加速化させまして、調整、連携強化に努めておるところでございます。  また、他の援助国との連携といたしましては、米、英、仏、独その他主要援助国との間で二国間の援助政策協議をこのところ大変密に行っておるところでございます。  また、NGO、民間団体等との連携につきましても、NGO・外務省定期協議会の強化でありますとか、あるいは現地ベースでNGOと大使館、あるいはJICA、JBICとの協議の場としてのいわゆるODA大使館につきましても昨年度開始いたしまして、既に十二か国で実施しておるというようなことでございます。  等々、連携ということを中心に、御指摘いただいた点につきましては今般の大綱の考え方にも沿うものでございますし、積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  89. 続訓弘

    ○続訓弘君 当委員会では、何回となくこのODAが問題になりました。そして、委員会の決議も行いました。そのことは、ODAに対しては国民の税金が財源である、そういう意味では特にODAについて心してほしい、本当に喜ばれるような、援助して良かった、そして援助してもらってありがとうと、こう言われるような援助の仕方にしていただきたいというのがこの委員会の願いでもありました。そして、決議でもありました。そのことを是非踏まえて、これからも、今お答えございましたように、各省との調整を踏まえながらやっていただきたいということを御要望申し上げます。  そこで、総務省に伺います。  昨年七月、参議院本会議において政策評価に関する決議が行われました。この中で、総務省政策評価結果に基づく各行政機関が講じた政策の見直し・改善の状況について的確なフォローアップを行うこととされておりますが、この決議を受け現在どのように取り組んでおられるのか、お答えください。
  90. 田村政志

    政府参考人(田村政志君) 御指摘のとおり、昨年の決議を受けまして、私どもとして、総務省が行った評価結果の政策への反映状況について各府省に回答を求め、本年六月にも予定されております国会への報告に向けて、現在、取りまとめ作業を進めているところでございます。
  91. 続訓弘

    ○続訓弘君 総務省に重ねて申し上げます。  参議院の本会議の決議の重みをしかと受け止めていただいて、積極的なフォローアップをお願い申し上げます。同時に、この国会にもそのことを御報告願います。  この参議院の行政監視委員会はどういう目的でできたかといえば、参議院改革の一環としてできた委員会であります。そのことは、もう今更申し上げるまでもなく、国民の目線に立って、国民の皆様の怒り、苦しみ、そして建設的な意見、そういうことを国会で取り上げてほしい、言わば平成の目安箱として機能していただきたいというのが本委員会の言わば設立の目的でもありました、経緯でもありました。その意味では、あなたが各省庁の窓口といいますか、あなたが監視役なんです。  したがって、総務省としては、後ろにそういう国会のバックがあるんだということをしっかりと受け止めて、果敢にこの行政監視使命を果たしていただきますことを重ねてお願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  92. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は今日はサハリンにおける石油ガス開発と環境問題について質問をしたいと思います。  サハリン北東部沖合のオホーツク海大陸棚で石油ガス開発のプロジェクト、サハリン1、サハリン2が進められています。それぞれの概要について簡単に御説明いただきたいと思います。
  93. 日下一正

    政府参考人(日下一正君) 御答弁申し上げます。  今お話ございましたように、サハリン1、サハリン2、双方ございます。  このうち、サハリン1プロジェクトにつきましては、操業責任者のエクソンネフテガスのほか、日本、ロシア、インドの企業を事業主体として三つの鉱区を対象に石油ガス開発を行うプロジェクトでございまして、総事業費は約百二十億ドルが見込まれております。計画では、二〇〇五年に原油の生産を開始し、その後、天然ガス購入のめどが付きましたら準備をいたしまして、国際パイプラインによりまして我が国に供給する予定であります。原油、天然ガスともそれぞれ我が国の輸入量の六%ないし一一%、ピーク時にはかなりの供給になることが見込まれております。  他方、サハリン2プロジェクトにつきましては、我が国企業とシェルが出資するサハリンエナジー社が事業主体となり、二つの鉱区を対象に石油、天然ガスの開発を行うプロジェクトでございまして、総事業費は約百億ドルと見込まれております。同プロジェクトでは、原油は夏の間だけの生産でスタートしておりまして、一九九九年から生産開始でございます。二〇〇六年には年間を通して生産、出荷がなされる予定でございます。天然ガスにつきましても、二〇〇七年よりLNGの形、形態によりまして供給される予定でございまして、ピーク時には、原油については総輸入量の四%程度、天然ガスにつきましては日本の輸入量の一八%程度に達することが見込まれているところでございます。
  94. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それぞれの事業への国際協力銀行の融資はどうなっているでしょうか。決定額とそして執行額、それぞれ御説明いただきたいと思います。
  95. 森田嘉彦

    参考人森田嘉彦君) お答えいたします。  ただいまの、まずサハリン1のプロジェクトでございますけれども、こちらにつきましては、日本側の投資会社を通じまして約九億ドルの融資を決定しているところでございます。  一方、サハリン2のプロジェクトにつきましては、これはフェーズ1とフェーズ2に分かれておりますけれども、フェーズ1の初期の石油の開発、こちらのプロジェクトにつきまして、事業実施主体でございますサハリンエナジー社、こちらに対しまして約一億二千万ドルの融資を行っております。  サハリン2のLNGの生産段階でございますフェーズ2につきましては、融資要請は受けておりますけれども、現在検討中の段階でございまして、まだ融資の金額等、具体的な内容について決定する段階には至っておりません。
  96. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 サハリンは広大な手付かずの自然が残されています。鳥類、海生哺乳類など、多くの希少野生動物が生息しています。今その環境の破壊が大きな問題となっているわけですが、特にこの地域で繁殖しているオオワシは、冬、北海道で越冬して、日本の天然記念物に指定されています。サハリン北東部で発信器を付けたオオワシの八〇%以上が冬、北海道に渡ってきている、そのことが確認をされています。サハリンでのオオワシの繁殖地が破壊をされれば、北海道へのオオワシの飛来数、これは激減することは明らかです。  オオワシの生態について説明していただきたいと思います。
  97. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) オオワシは大型のワシ類で、翼を広げた長さは二メーター二十から二メーター五十、ロシア極東のオホーツク海沿岸、カムチャツカ半島、サハリン北部及び日本に分布し、総個体数は六千羽から七千羽と言われております。そのうち、日本では北海道東部を中心に千四百羽から千七百羽が越冬していることとされております。通常、水辺に近いカラマツなどの巨木に営巣、四月から五月上旬に産卵、五月末から六月にふ化し、八月には幼鳥が巣立ちます。  オオワシは個体数が減少していることから、環境省作成のレッドデータブックによって絶滅危惧Ⅱ類に分類され、種の保存法に基づく国内希少種に指定されております。オオワシは日ロ渡り鳥等保護条約で渡り鳥として附表に掲載され、両国においてそれぞれ保護施策を推進されることとなっております。我が国における保護方策としては、代表的な越冬地である知床半島を国指定の知床鳥獣保護区特別保護地区に指定し、その越冬地を保護しているところでございます。
  98. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 環境省は猛禽類について保護マニュアルを作っています。そして、開発などに際しての配慮を求めているわけですけれども事業用地に営巣木が発見された場合、オオワシと同様のイヌワシについてどのような措置を求めているでしょうか。
  99. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) 「猛禽類保護の進め方」は希少猛禽類保護のための指針として平成八年に当時の環境庁が作成いたしました。つがいの行動圏及び行動圏内の繁殖に重要な場所などを調査によって把握すること、個々の事案ごとに専門家の指導、助言を求めることなどを保護対策の前提とした上で、イヌワシの保護方策で配慮すべきこととして、具体的には営巣地を中心とした営巣中心域においては環境の改変を避ける必要があること、十二月から四月ごろは生態調査を含めた営巣中心域への接近は避けるべきとしております。営巣中心域は地域や個体によって異なるため、事案ごとに調査する必要がありますが、イヌワシの場合は過去の事例を基に推定すれば、巣から半径一・二キロメートル程度とされております。
  100. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 かなりデリケートな鳥、大型であっても、鳥ですね。多分イヌワシもオオワシもそう変わらないと思うんですね。そういう鳥に対して一体どうなっているかという問題なんですが、釧路湿原で野生生物の保護に取り組んでおられる北海道野生生物保護公社が、モスクワ大学と共同で、二〇〇〇年から四年間、現地のオオワシ調査を行っています。  二〇〇三年のNGOの調査によりますと、サハリン1のチャイボ湾のパイプライン建設計画ルート上に繁殖中のオオワシの巣が発見されています。このパイプライン計画の中心線で既に測量工事が行われています。そして、二メーター幅で伐採が行われている。営巣木はその中心線から六・五メーターしか離れていない。先ほどの話だと一・二キロということですから、もう全然、そういうオーダーからするともう本当に考えられない至近距離なんですね。パイプラインの本格工事は幅四十メーターにわたって表土を削る予定です。そのため、この営巣木は確実に切られることになるということです。また、チャイボ湾に建設中の橋からわずか二百メーターのところでも繁殖中のオオワシの巣が確認されて、しかもひなが一羽確認されたんです。幼鳥が親を待っている巣からは建設の道路が丸見えだと、そして建設工事の大きな騒音が響いていたということです。  環境省のマニュアルでは、国内の猛禽類についてはこういう乱暴なやり方は認められない、それは先ほどの答弁でも明らかであります。ところが、現地の建設会社の環境担当者は、NGOの調査に対して、巣から二百メーターのバッファーゾーンを設けているので問題ない、そう主張したと報告されています。  サハリン1の事業について、オオワシについて適切な環境影響評価が行われたのでしょうか。
  101. 森田嘉彦

    参考人森田嘉彦君) お答え申し上げます。  サハリン1のプロジェクトに関しまして作成されました環境アセスメント報告書、これにつきましては、ロシア政府の方で現地法制に基づきまして適切なものであるということで承認をしているものでございます。私どもの銀行といたしましては、この報告書の内容につきましてレビューを行いまして、その上で、先ほど申し上げましたように、融資の決定を行っているものでございます。  ただいま先生から御指摘のオオワシの営巣地の問題につきましては、現在、事業実施主体が調査を行っているというふうに承知いたしております。仮にこういったオオワシの巣が計画地に発見されるとかそういった場合には、先ほどのロシア側の政府の承認も得ました環境アセスメント報告書、これに基づきまして適切な対策実施主体によって取られるというふうに承知いたしております。
  102. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 環境影響評価がきちんと行われていたなら、NGOに指摘されるような、こんな無法とも言える、私、本当に無法地帯だなと思ったんですね、そういう乱暴な工事、これが行われるはずがないんですね。日本のJBICが融資する事業に対して希少野生動物の生息環境を破壊するような乱暴な工事、これが行われるなどということは私は絶対に許されないことだと思います。  そこで、サハリン1の環境影響評価書、これはどうなっているのかというふうに伺ってみたら、ロシアの国内の一部地域でのみしか閲覧できない、国際的には公開されていないということなんですね。今のお話だと、どうも旧日本輸出入銀行、現在のJBICですけれども、そこがサハリン1の事業の融資に当たって直接ちゃんと環境影響評価のチェックをしたのかどうかというのも疑わしいような感じがいたします。  それで、私どもとしては、一体このサハリン1の見られない評価書というのはどうなっているのかということを直接見たいということで皆さんにお願いをして、とにかく借り出すことができましたので、これは後でちゃんと精査をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、こういう重要な事業情報公開がされないというのは私は大問題だと。今後こういうことがないようにきちんとしていただきたい、そういう要望を申し上げておきたいと思います。  今、サハリン1の問題ですが、サハリン2の環境影響評価についてもNGOから事実と違うという点が数多く指摘をされています。  例えば、NGOの調査では、チャイボ湾で十五つがいのオオワシの繁殖が確認されました。ところが、アセスでは五つがいしか記載されていません。日ロ共同調査団の四年間の調査から推定されるオオワシのつがい数は、チャイボ湾では三十つがい、エナジー社のアセス記載ではその六分の一の五つがい、ピルトゥン湾では十五つがいいるのに三分の一の五つがいとなっております。アセスの数字は余りにも少な過ぎるんです。  しかも、エナジー社の調査にかかわったロシア人研究者は論文で、これらの湾のオオワシの調査について日ロ共同調査団とほぼ同じ数字を発表しています。そのため、エナジー社の環境調査はデータが改ざんされたのではないか、そういう疑いが持たれています。もしこれが事実だということになりますと、このようなずさんな環境影響評価の下で事業が進められる、そしてオオワシの繁殖に多大な影響が出るということを放置をすることになってしまうんですね。  小池大臣は、昨年十一月、知床半島を視察された際に、このような事実の指摘に対して、いろいろな開発主体があり、現在持っている情報調査する必要があると述べたと伺っています。オオワシを国内絶滅危惧Ⅱ類に指定をしている環境省として、オオワシの繁殖実態やエナジー社のアセスについてチェックをする、そしてサハリンの石油ガス開発でオオワシの生息地、生息、繁殖、これらを保全するように対応すべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  103. 加藤修一

    ○副大臣(加藤修一君) サハリン部の石油ガス開発の関係につきましては、環境保全の視点から、私も個人的には数年来注視している話でございます。  御指摘の点でございますけれども、サハリン地域のオオワシの生息状況については、先ほど話が出てまいりましたけれども、北東部のビルトゥン湾及びチャイボ湾において、サハリン2プロジェクトの環境影響評価のための調査ということで社団法人の北海道野生生物保護公社とモスクワ大学の共同調査が行われているわけでございます。それと実施主体も当然やっているわけでありますけれども、その調査結果を見てまいりますと、プロジェクトの実施主体によるサハリン2の環境影響評価のための調査では十つがいになっていると。それから、北海道野生生物保護公社及びモスクワ大学の共同調査では三十九から四十四つがいというふうに報告されているというふうに我々も伺っているところでございます。そこで、ロシアのプロジェクト実施主体によりますオオワシ等野生生物に対する環境保全措置が我々としては適切に講じられることが基本ということで認識してございます。  なお、環境省では、先ほど委員が御指摘になりましたように、日ロ渡り鳥等保護条約がございますので、その枠組みの中で、サハリン地域でオオワシ等の生息状況を把握するための共同研究及びその準備会合の開催をロシア側に提案をしておりまして、現在、ロシア側がこれについて検討中ということで推移している段階でございます。
  104. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 しっかりやっていただきたいと思います。  サハリン2によるオオワシ等への影響についてはもう北海道庁も心配をしています。今年二月にエナジー社に対して、生息状況を十分に調査し、事業区域の見直しを含めて生息環境保全の十分な措置を講じること、道民に対する説明や意見聴取の機会を継続的に設けることなどの要望書を提出をしています。NGOも、専門家を交えた十分な議論の場を設置すること、十分透明性を確保した場で継続的な議論を行うこと、専門家やNGOなどとともに万全の対策を確認すること、日本国民に十分説明することなどを求めています。  また、四月二十三日付けの北海道新聞によりますと、サハリン2関連工事のプラント建設工事によって行われた百五十万立米にも上る大量のしゅんせつ土砂がサハリン南端のアニワ湾に投棄をされ、そのことによって周辺の生態系に影響が出るおそれがあるとして北海道や北海道漁連が大変心配をしているとのことであります。  JBICとして、サハリン2に対する道やNGOの指摘をきちんと受け止めて積極的に対応すべきだと思いますが、いかがですか。
  105. 森田嘉彦

    参考人森田嘉彦君) サハリン2の環境配慮につきましては、実施主体でございますサハリンエナジー、こちらはロシアの法令に基づきまして、サハリン島の中ではもちろん公聴会を実施してきているわけでございます。また、先生御指摘のように、あわせまして自主的にこれまでも北海道庁、漁業組合、北海道大学、あるいはNGOの方々との会合を開催してきているというふうに承知いたしております。  JBICといたしましても、御指摘の御心配あるいは御要望があることは十分承知いたしておりますので、そういった要望等について、折に触れまして実施機関の方にも私どもの方からも適切な対応を要請しているところでございます。
  106. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 二十一世紀は環境の世紀です。人間の都合だけで、自らの利益のみを追求して他を顧みない、地球の未来を考えない、そして自然を破壊をしてしまうということは、これは国内でも国際的にももはや通用しません。とりわけ、データを捏造したり、住民の意見を聞かないで自然環境を破壊する、そういう企業の事業というのは成功するはずがない、そう言われています。  JBICは、環境社会配慮のためのガイドラインで、適切な環境社会配慮がなされない場合には融資等を実施しないこともあり得るとしています。このことを私はしっかり踏まえて、融資についてJBICは厳しく対応すべきだと思いますし、それから経済産業省としてもきちんとした大所高所の指導をしていくべきだと思います。それぞれお答えいただきたいと思います。
  107. 松あきら

    委員長松あきら君) 時間が来ておりますので、短めにそれぞれ御答弁よろしくお願い申し上げます。
  108. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 石油、ガスの開発事業では、環境に十分配慮する、こういうことはもう当然でありますし、これはサハリン、ロシア連邦でございますから、ロシアの法令にのっとってきちっとやっていかなければいけないというふうに考えております。  開発の責任者はいわゆる国際石油メジャーでございますから、環境に対して十分な配慮をしながらロシアの環境、サハリンの環境を汚さないように、日本も参加しておりますけれども、十分注意をしてやっていかなければいけないことだと思っております。
  109. 森田嘉彦

    参考人森田嘉彦君) 私どもといたしましても、このサハリンのプロジェクトにつきまして、環境社会配慮というのは極めて重要であるということは承知いたしております。そういった環境社会配慮と両立する形で進みますように、私どもの銀行の立場からも対応していきたいというふうに考えております。
  110. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  111. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 大分県の大入島の埋立て問題について質問します。  大分県佐伯市、ここには大入島という島がございます。私も先日、視察に訪れました。佐伯市から船に乗って六、七分ぐらいの、本当に目と鼻の先の場所で、大変きれいな島なんですね。  ここで大分県が廃棄物の埋立てによる護岸整備事業を進めているわけなんですね。これは埋立面積十七・三ヘクタール、処分量二百四十六万立方メートルとなる廃棄物処理用地計画というもので、現在では第一期工事六・一ヘクタール分が施行されています。  しかし、九八年一月の住民説明会でこの計画を知った住民たちが激しく反対しています。今年の四月二十六日の現在に至っても、工事用の汚濁防止膜、これすら張れない状況になっています。特に、県が汚濁防止膜の展張を強行した昨年の十一月以降、住民たちはテントを張って監視を続けています。五か月以上にわたって着工を阻止しているという状況ですね。その先頭に立っているのが、この島で健康的な生活を送ってきた本当に高齢のおばあちゃんたちですね。非常に元気なおばあちゃんたちが長年の自分たちの人生を振り返って、こんなことはしてはいけないということで立ち上がっているわけですね。  何よりも、この反対の理由というのが、この海岸が彼らの生活の基盤になってきたということです。地元住民はこの海岸で江戸時代からの生活のための海藻、貝類の採取を続けてまいりました。現在も自治会に当たる区が管理する形で住民が海藻、貝類を採取しています。これは磯草の権利と呼ばれて、住民たちはこの権利を守るために住民訴訟を今起こしています。同様に、漁業権をめぐっても同意に問題ありということで訴訟が提起されています。  この沿岸は、アワビ、サザエが四時間余りで百キログラム以上取れるというような非常に豊かな漁場となっているわけですね。また、海の栄養分も豊富であるので、養殖業も盛んです。そのために、後継者にも恵まれて、漁民たちは漁業を続けたがっていると。この美しい浜辺は子供たちの遊び場であるだけでなく、明治四十四年に大正天皇、昭和天皇がここから上陸した記念碑があると。そういうふうに環境や景観、教育、歴史の点からも重要な役割を地域で担っています。  この大入島埋立問題というのは非常にずさんな港湾行政の典型例だというふうに私は思うんですけれども、それをチェックする観点から質問いたします。  まず、国土交通省にお伺いします。  大分県の計画によると、処分量二百四十六万立方メートルのうち七十一・七万立方メートルが国土交通省の女島地区公共埠頭整備事業によって発生するしゅんせつ土砂なんですね。ところが、ここにはパルプ工場の廃液によって生じたヘドロが堆積しているわけです。県の除去作業にもかかわらず、まだ大量のヘドロが残っています。これは、砒素、カドミウム、水銀、ダイオキシン、こうした有毒化学物質が含まれているわけですね。大変危険なものなんですね。このヘドロをしゅんせつ土砂として処理するのは非常に大きな問題があるんではないか、このことにまず答えていただきたい。  それからもう一つ、そもそもこの原因をつくったパルプ会社興人というのがありますが、ここがそれこそ自己責任を取るべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  112. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  佐伯港の女島地区の航路あるいは泊地の整備に伴うしゅんせつ土砂でございますが、ただいま委員からお話のありましたように、大分県が整備をいたします大入島の廃棄物埋立護岸内、まあ海面処分場と言った方がいいかも分かりませんが、そこに埋立処分をする計画でございます。  このしゅんせつ土砂につきましては、予定区域内で平成十年に底質調査をしておりまして、その調査におきましては、全地点で海洋汚染防止法に定める三十二項目、今先生おっしゃられましたPCBとか砒素とか、そういうものも含んだ項目でございますが、そういった項目すべて基準をクリアしております。そういう意味で、しゅんせつ土砂を大入島地区に埋立処分をすることについては特段の問題はないというふうに私ども考えてございます。  さらに、ただいまお話のありましたパルプ会社の興人につきましてでございますが、昭和四十年代に、委員のお話にありましたように、興人による海洋汚染が地元で大変問題になったことがございます。その後、大分県が興人の負担もいただきまして、汚泥の除去を行ったということについては私どもも承知をしております。  以上でございます。
  113. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 現在のしゅんせつ土砂の化学成分について問題がないとおっしゃられましたが、いろんな研究者や住民の話を聞くと、そんなはずはないということがありますもので、そのデータとともに、もう一度何らかの形で質問する機会を設けさせていただきたいと思います。  さて、次の質問ですけれども防衛庁にお聞きします。  埋立予定地はかつて海軍の基地だったところですね。現在も自衛隊の潜水艦がしばしば停泊しています。佐伯市議会は昨年の九月、ここへの自衛隊基地誘致を強行採決で決議しました。  防衛庁は今新しい防衛計画を策定しようとしていると聞きますが、佐伯港を基地建設の事前調査対象としているのかどうか、お答え願いたいんです。それから、防衛庁が大入島の埋立事業の第二期工事を実施する予定はあるのかどうか、お答えいただきたい。
  114. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) お答えをいたします。  現在、佐伯には分遣隊を配置をいたしておりますが、昨年九月、佐伯市議会の決議がなされまして、市議会の代表者から防衛庁長官に基地化の申入れをいただいたのは事実でございます。  しかしながら、現在、防衛庁といたしましては、佐伯基地分遣隊を基地隊に格上げすること等について具体的な計画は有しておりません。また、基地の移転、大入島への移転の問題でございますが、現在そのような計画も持っておりません。
  115. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 防衛庁に対する質問、これだけですから、結構です。
  116. 松あきら

    委員長松あきら君) 御退席いただいて結構でございます。
  117. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 再び国土交通省にお伺いします。  この大入島も九州ですけれども、瀬戸内海の一番端のところに位置しているわけですよね。瀬戸内海というのは、瀬戸内法があるにもかかわらず、この埋立て自粛というのはとどまらない。そして、海流の変化、水質汚染、砂浜減少というものが非常に進んでしまって、漁業が著しく衰退してしまいました。生態系ももうずたずたになっているというような、ある意味では死の海になってしまっているという状況があります。しかも、そうやって埋め立てたそういう土地が何もしないで放置されているという部分、たくさんあるんですね。だから、昔はそれを工場誘致とかいろいろ目的あったでしょうけれども、もはやそういう状況というのは去ってしまって、本当に海を壊しただけで、荒れ果てた姿をさらしているわけですよ。  この大入島の埋立予定地というのも、これはまだそういう犠牲にならずに大変美しく豊かな海として残っているわけですね。そして、大分県や専門家の環境調査によりますと、絶滅危惧種の貝が非常に多数生息しているということが判明しました。大変貴重な海のエリアなわけですよね。ですから、この瀬戸内海をずっと埋め立ててきて悲惨な状況にしてしまった、この続きのような埋立事業というのは、こんな貴重な場所が残っているんですから、是非とも差し控えるべきじゃないかと、将来のこれはどうしようもなくなりますしね。  そういう観点ですね、やっぱり五十年、百年の計という観点に立って、もうただ事業のためにやるという、そういう動機でもって埋立てに対して補助金を出すというようなことは考え直されたらいかがでしょうか。
  118. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) お答えをいたします。  大分県といたしましては、今話題になっております廃棄物の海面処分場に係る公有水面埋立免許手続の一環として環境調査も行い、その結果といいますか、県の要綱に基づく環境アセスメントを実施をしているところですが、ただ、平成十五年の八月に自然保護団体が行いました調査におきまして、県が実施しました今申し上げた環境調査では確認をされなかった希少種の貝類が確認をされております。したがいまして、その結果を受けまして、同じ年の十一月に、県としましても調査を補足する調査実施をいたしました。そういたしましたところ、県が指定をする絶滅危惧種の貝類を含む数種の希少種が確認をされていることは今委員が御指摘をされたとおりでございます。  大分県は、この結果に基づきまして、環境部局も交えて県内で議論をし検討をいたしました結果、廃棄物海面処分場の整備については、総合的に見て環境の影響は軽微だろうという判断をされまして、今後、地元への説明を行いながら現地に着工していきたいというふうに考えているというふうに聞いてございます。  本件埋立事業につきましては、先ほどの公有水面埋立免許などの法的手続等、適正に行われているというふうに私ども考えておりまして、県としましても、今申し上げましたとおり、今後とも引き続き地元への説明を行うというふうに聞いてございまして、事業実施に当たっても適切に対処をしていただけるものというふうに考えてございます。  したがいまして、国土交通省といたしましても、本事業の必要性に照らして、必要な支援を行っていきたいというふうに考えております。
  119. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 このままにしておけば環境はすばらしいんですよ。ここを埋め立てる、しかもかなり問題のある土砂を使うわけですから、これは今ほっておくよりは確実に危険性というのは高まるということでありますね。影響が軽微であるかどうかという問題ではありません。  そして、要するに、そういうことをしてそこに埋立地を造って何をするんですか。さっきの自衛隊の答えだと、今そこに自衛隊基地を造る予定はないと言っているわけですよね。そうすると、埋め立てて、その土地どうするんでしょうか。
  120. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) 取りあえず埋立免許の認可、免許が下りております第一期の六・一ヘクタールについては、緑地と、それと住宅をそこに設けるというふうな計画になっているというふうに承知しております。
  121. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 全くばかげた話でして、そんなところにだれも造ってほしいと言ってないわけですよね。これから人口も減りますし、それどころの騒ぎじゃないというんで、その目的の整合性そのものがおかしい。だから、私が言ったように、もう瀬戸内海でも全部空き地になっているんですよ、コンクリートのまんま。それの二の舞になることはもう分かり切っているじゃないですか。どうでしょうか。要するに、決議されたとか書式が整っているからって、そんなものは目的の第一義にはならないと思いますけれども、どうでしょう。
  122. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) 埋立てをいたしました土地の用途については今申し上げたとおりでございますが、この廃棄物の海面処分場は、先ほど来御説明をしておりますしゅんせつ土砂をそこに投入をすることと併せて、陸上部の国道等の整備に伴う建設発生土についてもそこで処分をするという計画になってございます。こういった処分について県の方でいろいろ考えた結果、ここで処分させていただくということで埋立ての手続等が取られているというふうに私どもは承知しております。
  123. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 要するに、そうしますと、そこを埋め立てる土地の目的というのは付け足しであって、要するに、土砂という、しかも非常に危険性のある。ごみ捨場にするということでいいんですか。
  124. 松あきら

    委員長松あきら君) 時間が来ておりますので、簡潔によろしくお願いいたします。
  125. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) ごみ捨場ということではなくて、廃棄物海面処分場と言っておりますが、そこに投入するものは、言ってみれば非常に土地を造るために良好なものであるというふうに考えておりますので、土地の需要があるということと併せて、ここにその処分の場所を考えているということでございます。
  126. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 ほとんどこれ、世の中の理解を得られない回答でした。もう一度考え直していただきたいんです。  終わります。
  127. 松あきら

    委員長松あきら君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五分散会