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2004-06-14 第159回国会 参議院 厚生労働委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月十四日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  六月十一日     辞任         補欠選任      伊達 忠一君     上野 公成君      浅尾慶一郎君     山根 隆治君      朝日 俊弘君     佐藤 雄平君      小池  晃君     紙  智子君  六月十四日     辞任         補欠選任      上野 公成君     伊達 忠一君      佐藤 雄平君     朝日 俊弘君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         国井 正幸君     理 事                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君     委 員                 有村 治子君                 佐々木知子君                 斎藤 十朗君                 田浦  直君                 伊達 忠一君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 宮崎 秀樹君                 朝日 俊弘君                 大脇 雅子君                 柳田  稔君                 山根 隆治君                 山本 孝史君                 渡辺 孝男君                 井上 美代君                 紙  智子君                 福島 瑞穂君                 西川きよし君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    副大臣        厚生労働大臣  谷畑  孝君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       佐々木知子君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        財務省主計局次        長        杉本 和行君        厚生労働大臣官        房総括審議官   井口 直樹君        厚生労働大臣官        房統計情報部長  坂田  稔君        厚生労働省職業        能力開発局長   上村 隆史君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        厚生労働省政策        統括官      水田 邦雄君        社会保険庁長官  真野  章君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○児童手当法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十一日、小池晃君及び浅尾慶一郎君が委員辞任され、その補欠として紙智子君及び山根隆治君が選任されました。     ─────────────
  3. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  児童手当法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等児童家庭局長伍藤忠春君外十一名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 児童手当法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 大脇雅子

    大脇雅子君 民主党・新緑風会を代表いたしまして質問させていただきます。  さて、去る六月十一日、ですから、その素案をまとめたのは十日と報道されておりますが、公的年金保険料の無駄遣いなどが指摘されております社会保険庁が、同庁の改革素案年金制度改革協議会に提示したと言われております。しかし、提示された与党側は、論外の内容、甘え、もたれ合い内向きとさえ非難をされております。  今後の社会保険庁事業運営上問題点改革方向について説明してください。
  7. 真野章

    政府参考人真野章君) 与党協の方に社会保険庁業務運営上問題点改革方向というのをお示しをいたしまして、今般の年金改革法法案審議等に際しまして、社会保険庁並びに社会保険事業運営に関しまして寄せられました厳しい御意見、御批判に対しまして、それの問題点、それに対しましてどういう方向改革を進めていこうとしているかということを御説明をいたしたものでございまして、例えば、利用者立場に立った親切な業務運営ができていないんではないかというようなことに関しましては、利用者立場に立ったサービスの提供を行うと。  また、年金加入歴等個人情報保護重要性について意識が足りないのではないかということに関しまして、個人情報保護のためのチェックシステムの強化を図っていくというようなことでございまして、今般、法案で御指摘をいただきました御意見、御批判に対しまして、ただいま保険庁として考えている改革方向を示したところでございます。  大臣からも保険庁改革という御指示をいただいておりまして、御意見、御批判反省の上に立ちまして、改革方向性を示して改革に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  8. 大脇雅子

    大脇雅子君 そこで、運営協議会というのは、いつ、どのような規模で、どういうテーマに関して、いつ発足するのでしょうか。
  9. 真野章

    政府参考人真野章君) 御指摘は、保険料拠出者等への説明責任履行という観点から、労使代表学識経験者等から成ります社会保険事業運営評議会、これは仮称でございますが、そういうものを設置してはどうかということの私どもの案に対しての御質問かと思います。  保険料を使って事業を行う、又は給付も行っておるわけでございまして、この保険料拠出者方々に対しまして十分私ども事業内容その他を説明してきたかどうかということの反省に立ちますと、そういう場がございませんでした。そういう意味から、労使代表学識経験者等から成りますこのような場を設けまして、そこで私ども事業内容規模考え方、その他を説明することによって保険料拠出者の御理解を得ようというものでございまして、具体的な内容につきましては現在検討中でございます。
  10. 大脇雅子

    大脇雅子君 将来に向かって保険料拠出者説明責任を果たすための場を設けるということは、これはもう当たり前のことですが、それさえなかったということについてはまた驚きですが、与党年金制度改革協議会大野座長が、甘えの構造もたれ合い構造内向き構造だと言って職員猛省を促したいと語ったと言われておりますが、これは社会保険庁としてはどのように受け止めておられますか。
  11. 真野章

    政府参考人真野章君) それは文字どおり厳しく、文字どおり厳しく受け止めております。
  12. 大脇雅子

    大脇雅子君 どのような点で猛省をしているのかということをお伺いしたいわけでありまして、厳しく受け止めるのは当たり前。さらに、何を言われているのかということについてはどのように受け止めておられますか。
  13. 真野章

    政府参考人真野章君) ちょっと御質問の意図が取りかねましたけれども、具体的にどういうふうにするのかと、こういうことでございますれば、私どもこういう形で、まだ最終的にはまとまっておりませんけれども改革というものがまとまれば、当然職員全員周知徹底を行いまして、大臣からも緊張感がないという御指摘もいただきました。そういうような厳しい批判の目に社会保険業務はあるんだということを十分職員周知をしたいというふうに思っております。
  14. 大脇雅子

    大脇雅子君 与党からでさえそのような言葉が出たわけですが、社会保険庁長官は、国民が、社会保険庁のこれまでの保険料の使い方や運営について、どこに怒っているのかと、どこを批判しているのかとお考えですか。
  15. 真野章

    政府参考人真野章君) 保険料の現在の事務費につきまして、財革法以来、事務費国庫負担原則が、残念ながら一部保険料で使用するということになっております。したがいまして、事業運営上には非常にいろんな分野がございます。したがいまして、従来税で持っていただいていた分を保険料が肩代わりをせざるを得ないという状況下で、いろんな分野での使用といいますか、そういうものが指摘をされました。  それはしかし、従来は税で負担をしていただいたわけですけれども保険料を拠出されている方々にとりましては、こういうような分野にも使われているのかという御指摘だと思いますし、また、税から保険料へというときに、言わば貴重な保険料財源をよくよく精査して使うということについての意識がやや足りなかったんではないかというところは謙虚に反省をしなければならないと思っております。
  16. 大脇雅子

    大脇雅子君 やや足りないということではいけないと思います。やはり、のりを越えた、限界を超えた、年金事務費としての使途を超えているのは、私は、社会保険庁職員宿舎建設費、あるいは公用車購入費長官交際費職員海外旅費に至っては、余りにもこれは常識を超えた乱用、乱費だと思われます。  こうしたお金を皆さん方が支出して受け取られたわけですから、これに対しては国民から損害賠償請求すらできるような感じがしておりますが、自主的にこれらを年金財源返還するというような議論内部ではないでしょうか。
  17. 真野章

    政府参考人真野章君) 御指摘いただきました宿舎公用車、これは先ほど来申し上げておりますように、財革法以前は税での負担でございました。そういう意味で、宿舎がちょうど、また、国民年金保険料収納が、国が行うという時期に変わるとか、身分移管が行われるような時期に重なるというようなこともございまして、宿舎の整備が増えたというのも事実でございますけれども、それは、税による、財革法がなければ当然税によって手当てをしていただいた部分ではないかと思っております。  また、公用車につきましても、更新の時期についてよくよく考えるべきではなかったかという御指摘は我々謙虚に受け止めたいと思いますが、公用車につきましても、決して保険料であるからということではございませんでした。そういう意味で、旅費についても、海外旅費についても同様というふうに思っております。  ただ、長官交際費につきましては、内容につきまして、御指摘を受けた点につきまして、いかがかというようなこともございまして、前長官からは、退官記念品代、それから県人会への会費というようなものにつきまして返還を受けております。
  18. 大脇雅子

    大脇雅子君 返還を受けた項目というのは一体どんなものがございますか。
  19. 真野章

    政府参考人真野章君) 今申し上げましたように、退官記念品県人会費、七万円を返還を受けております。
  20. 大脇雅子

    大脇雅子君 長官交際費平成十年度から十四年度にかけて百二十五万円という数字があるわけですが、この七万円というのはどういうことでしょうか。
  21. 真野章

    政府参考人真野章君) 前長官在任期間中に長官交際費という格好で支出された項目のうち、今申し上げました退官記念品県人会費、これは長官交際費としていかがかというようなことから、前長官から返還を受けたものでございます。
  22. 大脇雅子

    大脇雅子君 前々長官、また前々々長官にも当然にそうした不当な出費については返還されるべきであると思いますが、その点は検討されておりませんか。
  23. 真野章

    政府参考人真野章君) 退官記念品県人会費につきましては前長官だけというふうに思っておりまして、その前長官から返還を受けたものでございます。
  24. 大脇雅子

    大脇雅子君 やっぱりこれは徹底して、責任のあるすべての方から不当な出費返還を受けるべきだと思います。  また、職員海外旅費について、その内容についても検討されたことはございますか。
  25. 真野章

    政府参考人真野章君) 海外旅費につきましても、現在は、正にそれぞれ、海外でのいろんな条約の協定の実務でありますとか、実際の行います実務についての相談というようなことでございまして、内容につきまして厳しく精査をして海外旅費は執行いたしております。
  26. 大脇雅子

    大脇雅子君 しかし、更に精査して、この問題も当然自己責任説明責任を十分果たされるように私は行われるべきだと思います。  それで、その社会保険庁改革方向につきますと、保険料年金給付に関すること以外は使用しないというふうに書いてありますが、これは一切これからこうした事務費等についても保険料の支出以外には出さないということでございますか。文字どおり、その確約でありますか。
  27. 真野章

    政府参考人真野章君) これは年金の施設の議論の際にも出ましたことでございまして、保険料年金給付に関すること以外には使用しないということで議論をしてきておりまして、私ども与党からもそういうふうな指摘を受けて、それを受けて、今後考えていくということでございます。
  28. 大脇雅子

    大脇雅子君 安易な随意契約の廃止ということを言っておられますが、今まではどのような割合で随意契約が締結されており、今後、一切随意契約は廃止されるというふうに承ってよろしいでしょうか。
  29. 真野章

    政府参考人真野章君) ちょっとにわかの御質問で、随意契約の比率はまた後ほど調べまして御報告を申し上げたいと思いますが、随意契約につきましても原則競争入札企画コンペをすべしということでございまして、そういう形での原則を踏まえつつ、実務上やむを得ずという部分はどうしても残るのではないかと思いますが、原則はそういう形の競争入札企画コンペ徹底をしたいというふうに思っております。
  30. 大脇雅子

    大脇雅子君 やはり厳しい自己反省と、それから責任履行というものに立ってこそ改革ができると思われます。  坂口厚生労働相は、十二日、社会保険庁の中期的な改革案を検討するために、厚労相私的諮問機関として社会保険事業について考える有識者の会議というものを七月にも設置する方針を固められたと聞いておりますが、この内容と構想についてお尋ねをいたします。
  31. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 社会保険庁改革につきましては、現在の社会保険庁そのものをどうするかという問題と、それから現在行われております社会保険庁内部の仕事をどうするかという問題と、私は大きく分けて二つあるんだろうというふうに思っております。  その中で、社会保険庁そのものの在り方についてどうするかということについて、これはやはり多くの皆さん方の御意見を伺わなければいけないというふうに思っております。それは、厚生労働大臣諮問機関みたいな形でするのがいいのか、あるいはそうではなくて内閣府なり他のところでやってもらう方がいいのか、そこは幅広いこれは議論でございますから、もう少し、本来ならば私は、私の手元というよりも、厚生労働省手元というよりももう少し広いところで私はおやりいただく方が望ましいというふうに思っておりますが、そこは今のところまだちょっと決定いたしておりません。よくそこは相談をさせていただいて決めさせていただきたいというふうに思っております。  そうした大きな問題を今後どうしていくかということについて、それが一年ぐらいでございましょうか、そのぐらい掛けて御議論をいただいて結論を出すといったことが大事だというふうに思っているところでございます。
  32. 大脇雅子

    大脇雅子君 社会保険庁が直接保険料を徴収するようになって年間約一〇%の勢いで未納者が増えてきたとも言われております。民主党は、社会保険庁は廃止すべきだ、歳入庁で徴収を厳格にすべきだという意見を出しております。そして、今まで官僚の政策に関しては、政策選択の問題だということで責任を問うというシステムが全く機能していなかった。しかし、限界を超えたそうした運営とか予算執行についてはやはりしっかりとした責任体制が取れるようなシステムを作るべきだと私は考えておりますが、この点については大臣のお考えはいかがでしょうか。
  33. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 財源の問題と申しますか、この社会保険庁が今後継続するというふうにしました場合に、そこに必要な経費というのは当然あるわけでございます。これ、十年以前はこれは一般財源から出ていたわけでございますが、国の財政が非常に厳しいということがあって、そして、一つ仕切りと申しますか、この分野社会保険庁の中でやっていくようにというような一つ仕切りが行われた、そのためにいろいろのことが今起こってきているわけでありますので、その仕切りを元へ戻してもらうということがまず先決ではないかというふうに思っております。これは、来年度予算予算折衝の中でこれは議論をさせていただくことに今なっているところでございます。  したがいまして、そうした議論を一方で行いながら、そして社会保険庁全体をどうしていくかという議論は別途これは進めていくと、双方で進めていくということでやっていきたいと思っております。
  34. 大脇雅子

    大脇雅子君 それでは、児童手当の問題について、子育て支援一般について含めてお尋ねをしたいと思います。  今回の法案では、児童手当支給対象年齢小学校三年生まで引き上げました。この根拠、なぜ小学校三年生までかということと、その効果についてどのように考えておられるのでしょうか。
  35. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 率直に言えば財政的な問題あるわけでございますが、どこで切るかということになりますと、やはり小学校学年高学年といったところで一つ区切りを付けて、低学年のところの方がやはりお父さん、お母さん年齢層も少し低いということもあって、経済的な面でも非常に困難な人たちが多いといったことも事実でございます。それからまた、小学校高学年になりますと、お母さんが働きに出られるケースというのもあることも事実でございまして、そうしたことをにらみまして、やはり低学年高学年のところで少し一つ区切りを付けさせていただいたというのが率直な意見でございます。  これによって、平成十五年度までは約六百五十万人、これで対象数あったわけでございますが、今回小学校三年生までになるということになりますと、約二百九十万人増えまして九百四十万人にその児童数はなるということでございます。これだけやはり対象のお子さんというのも非常に多くなるわけでございますし、これだけですべてを推し量るということはできませんけれども、しかし少子化問題、いろいろ論じますときに一つは経済的な問題があることも事実でございますので、私たちはそれなりの効果があるものと期待をいたしております。
  36. 大脇雅子

    大脇雅子君 今度の児童手当法改正案においては、支給対象年齢は上がりましたけれども手当額は相変わらず据置きでありますし、所得制限も相変わらず据置きであります。それで効果があるのかどうかということで、やはり子供や家庭への給付額の低さということは、欧米先進国から比しても非常に日本の場合は低いと考えられますが、いかがでございましょうか。
  37. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 欧米の国々と比較をいたしまして日本制度の特徴でございますが、先進諸国、おおむね児童手当支給対象年齢はゼロ歳から十六歳ないしは二十歳までということでございますし、支給額は大体一万円から二万円ということでございます。それから、所得制限は基本的に設けられていないと、こういった点において我が国の制度と少し格差があるということでございます。
  38. 大脇雅子

    大脇雅子君 社会保険庁の方は、どうぞ御退席いただいて結構です。  しかし、今おっしゃったような形で、非常に所得制限もあり、金額も低いということであると、将来的には児童手当というものはどちらの方を向いていくのかと。その拡大方向について検討されるのでしょうか、いかがでしょうか。
  39. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは税制改革ともいろいろ絡んでくる話だというふうに思っておりますが、総論的に申しますれば、これは拡大をしていくという方向だというふうに思っております。  ただし、扶養控除等ともこれ絡んでくる話でございますから、そうしたこととどう整理をしていくかということを今後の大きな課題だというふうに思っております。
  40. 大脇雅子

    大脇雅子君 先ほど、児童手当のこの政策がいわゆる出生率を上げることになり得るのかどうかという点についてはどのように考えておられるでしょうか。
  41. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここはいろいろ意見のあるところだというふうに思っております。諸外国の例を私たちも見させていただき、また今まで取り組んでおみえになりました過去の経緯というものも勉強させていただきましたが、いわゆる家族手当というものが非常に大きな影響を与えた、少子化対策として効果が非常にあったという御主張でございます。  家族手当といいます場合に、日本児童手当と余り同じではない、若干内容は違いはあるというふうに思いますけれども、しかし家族手当というものが非常に効果を上げているということは、どの国でもそれはお認めになっておりますしいたしますので、我々ももう少し力点の置き方をどうするかというようなことは考えていかなければいけないというふうに思いますけれども、こうした経済的な支援ということが一つの柱になることは間違いないというふうに思っております。
  42. 大脇雅子

    大脇雅子君 今回、一・二九ショックということで、非常に出生率の見通しが甘かったと。政府のやる統計でこれほど毎回予測が外れる統計は珍しい、それも低い方にいつも下降していくということで、この質問に対して坂口厚生労働大臣は、瞬間風速のようなものだという批評をなさったことがありますけれども、しかし、意図的に公表を見合わせたかどうかということについてはともかくとしても、年金法の骨格を左右するデータ隠しだと国民は思っておりますし、国民の不信はこれによってますます倍増をしたということが言えるのではないかと。この出生率東京では一を切るということでありまして、初婚年齢が低く、そして出産年齢が高いということが言われても、昭和初期から現在まで直線的に下降していることは事実であります。  私は、一番やはり重要な政策少子化対策というものは児童手当法だけではないはずですので、厚生労働省としては、これに対応してどのような施策というものを総合的に考えておられるのか、重ねて確認的にお尋ねしたいと思います。
  43. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 前回もここでお答えを申し上げたかもしれませんけれども、ここはもう少し科学的なデータを蓄積をして、何を優先をすべきかということを決定したいというふうに思っております。  諸外国も様々なデータを積み上げまして、そして何を優先させれば少子化対策として有効かということの数字を出しているわけでありますから、日本もやはりぼつぼつその点はやらなければならないときを迎えているというふうに思っております。  今回の数字を見ましても、前回数字を見ましても、今、東京都の例をお挙げになりましたように、地域による違いというものも、これも大きいわけでございます。全国一律の施策というものも必要でございますが、それだけではなくて、やはり地域別施策というものも少し考えていかないといけないのではないかというふうに思っておりまして、そうした取組を今後やっていきたいというふうに考えているところでございます。そうした施策の積み上げが今後必要になってくるというふうに思っております。
  44. 大脇雅子

    大脇雅子君 私は、少子化対策の最も基本的な柱というのは、一つは育児休暇制度であろうと思います。もう一つは保育サービスがいかに充実しているかということでありましょう。第三は、子育てのコストが余りにも高過ぎるのをどうするかということに対する政策だと思います。そして、その基礎として一番大切なのは、女性の人権を柱として、やはり産む、産まないの自己決定というのが女性にあり、そして女性が多様な働きをするときに育児や子育てについて差別を受けないという、そういう環境整備が行われること、これがやはり一つ欠けても私は駄目であろうというふうに思っているわけであります。  順次お尋ねいたしますが、育児休暇について、これは、現在六一・四%が育児休暇が取得されているけれども、男性の育児休暇の取得率は〇・〇三%だと。育児休暇の目標を八〇%に設定をするという政府の方針もあり、男性の育児休暇取得率を一〇%という、向上させるという対策もあるというふうに聞いてはおりますけれども、この育児休暇の男性の育児休暇取得率というものは、社会における男女の役割分担をいかに解消するかどうかということの象徴的な数字であると私は思うわけであります。この男性の育児休暇取得率の向上対策についてどう取り組まれるのかお尋ねをいたします。
  45. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 御指摘のように、我が国の男性の育児休業取得率は平成十四年度で〇・三三%という極めて低い水準でございますので、これを当面一〇%まで引き上げていきたいということで、今年度、各事業主にいろいろ計画を作っていただくということにしておりますが、その中で是非ともこういった点を中心に計画作りに取り組んでいただきたいということで、今いろいろ説明会等開催をしておるところでございます。  我が国の企業の一般的な雰囲気といたしまして、非常に男性がそういった家族のためにとか育児のためにといったような形での休暇が取りにくい、そういう職場の雰囲気をまず変えていくということで、これは企業の企業内改革というものを是非とも推し進めていただかなければならないというふうに考えておりますし、それから個々の労働者、従業員も、こういった育児休業制度についての理解、それから先生御指摘のような役割分担意識、こういったものからまだ抜け出していないところがあるんではないかというふうな気もいたしますので、そういった従業員、労働者の側の意識改革も併せて進めていかなければならないというふうに考えておりまして、両面からできるだけの手だてを講じていきたいというふうに考えております。
  46. 大脇雅子

    大脇雅子君 そうした、言わば意識の啓発とか環境の整備ということがよく言われますが、これが成功しないから現状があるんでありまして、例えばスウェーデンのように、男性、父親に対して強制的な割当ての育児休暇取得制度を作る、いわゆるパパクオータの制度でありますが、こういったいわゆる制度改革ということは厚生労働省考えておられないのでしょうか。
  47. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 先ほど申し上げましたように、まず、非常にまだ企業の中の雰囲気、こういう制度に対する理解というのが非常に不十分なところがありますから、まずはそこを改革をして、意識革命を進めていくということを通じてこの制度周知を図っていきたいというのが基本でございまして、いきなり北欧諸国のような制度を導入するのが我が国の実態に合っているのかどうか、これについてはもう少し推移を見て考えていくべきことではなかろうかというふうに思っております。
  48. 大脇雅子

    大脇雅子君 私は、高齢化社会の政策、高齢者に対する政策に比較して、日本は子育てに対する政策に非常に後れを取っておるし、冷たいと思います。いわゆる立法政策によって意識を開発し、啓発し、現状を改革をしていくという志がないということを常に残念に思っているものであります。とりわけ、厚生労働省では、そうした先導する立法政策というものを是非考えていただきたいと思います。  第二は、所得保障が現在四〇%でありますが、例えば一般の休業保障などは六〇%、雇用保険とか様々な所得保障など考えておきますと、その整合性からこの四〇%は六〇%に上げられるべきだというふうに思いますが、この検討はどうなっているでしょうか。
  49. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 育児休業期間中の育児休業給付についてのお尋ねというふうに思いますが、まずは、私ども、この育児休業につきましては、今国会に提案をしておりますが、育児休業法の改正によりまして、期間、現在一歳に到達するまでということが育児休業の内容でございますが、これを必要がある場合には一歳六か月まで延長する、これをまず、期間の延長というのを基本に制度改革を進めていきたいというふうに考えております。  その期間の所得保障でございますが、これにつきましては、この育児休業給付平成七年の制度創設時は二五%の給付ということでスタートしたわけでございます。それは、その当時、失業手当の基本手当の給付率との兼ね合いといったようなことを考慮いたしまして二五%としたわけでありますが、これを少子化の対応、少子化の進展に対応するという観点から平成十三年に四〇%へ引き上げたという経緯がございます。  これは、今申し上げました失業手当の基本手当が、最低五〇%の給付というものが失業手当の給付でございますから、こういったものとの兼ね合い、それから、育児休業給付を受ける際には、併せて社会保険料免除、控除が受けられますが、社会保険料の免除というものが給与の一〇%程度に相当するというようなことも総合的に勘案をして、現在のこの四〇%へ大幅に引き上げたところでございまして、こういった経緯からいたしますと、直ちにこの給付率を引き上げるということはなかなか困難なことではないかなというふうな考えを持っております。
  50. 大脇雅子

    大脇雅子君 通常の状況であれば四〇%でもなかなかに進歩したということは言えるのかもしれませんが、しかし、今少子化がこのように進んでいて、何を少子化対策として行わなければいけないかといった場合に、やはり私は、この所得保障の引上げというのは児童手当の引上げに勝るとも劣らない効果を生むものだというふうに思いますので、これを申し上げておきたいと思います。そして、是非、一歳六か月までではなくて、育児休暇は小学校三年生まで取得時期を引き上げてほしい、これが働く女性の望みであります。  さて、保育サービスの点で様々な特定保育事業が進んでおります。パートなどで働く人たちのための新しい特定保育事業の創設はどのような状況になっているのでしょうか。
  51. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 働く女性の雇用の形態も大変いろいろ、様々になってまいりましたので、そういった多様な雇用の形態に対応するために、保育サービスのニーズにこたえるように形を変えていかなければならないということでございまして、そういった観点から現在進めております政策でございますが、一つは、従来からやっております延長保育、これは時間外に延長して、夜ある程度、七時、八時まで預かるサービスでございますが、こういったものでありますとか、それから、乳児を含めた低年齢児、最近はゼロ歳児をお預けになる方も増えておりますが、こういった低年齢児の受入れ対策、それから、病気をした子供を、一定期間は保育所になかなか行けないわけでありますが、そういった病後のすぐの時期について預かるサービス、病後児保育と言っておりますが、こういったサービスを進めております。  それから、一般的に地域のいろんな子育ての相談にあずかる子育て支援センターといったものの設置を全国に進めておりまして、現在二千五百か所ぐらいの規模まで膨らんできておるところでございます。それから、非常に小規模の、保育ママといいますか、家庭で三人ないしは五人程度のお子さんを小規模で預かる、こういった事業も進めておりますが、一定の要件とか、まだ周知をしていないといったことからまだ必ずしも十分ではありませんが、こういった事業も進めております。  それから、働く形態に応じたということでは、特定保育ということで、一週間の午前中だけお預かりをするとか、あるいは一週間の特定の曜日だけ預かる、こういった特定保育というようなものでありますとか、あるいは一時的に子供を預けなきゃいけないときに預かる一時保育、こういった様々なニーズに対応してメニューはそろえておりますが、なかなか消化し切れていない部分もございますので、こういったものの定着にこれからなお一層努めてまいりたいというふうに思っております。
  52. 大脇雅子

    大脇雅子君 保育は、当初は保育に欠けるということで、家庭で保育ができない人たちを措置するというような考え方から契約的な考えに変わりましたが、私は、保育サービスというものを、少子化の中でやはり新しい連帯を育てる場所としてきちっと組み替えていくという哲学というか、視点が必要ではないかと思います。  私は何度も申し上げているのですが、例えばスウェーデンでは、年齢でクラス分けをするのではなくて、いわゆる縦にあらゆる年齢層を一クラスとして、そして上の子供が下の子供を見て、そうしたらまたその下の子供がその下の子供を見てということで、保育所は常に老人施設と隣同士にあって世代の交流をしていくという形で、新しい連帯が私は社会の中で育っているのではないかと。スウェーデンの高福祉の社会の中で、実は私は、このクラス編成のやり方というのは非常に私は関心を持っておりまして、年齢で切るというよりも、そうした少子化の中でこそ新しい社会連帯を育てる場所として保育所を位置付けていくということを是非、厚生労働省で検討していただきたいと思います。  さて最後に、私は、このごろ妊娠・出産差別の横行が非常に多いということを非常に心配をしておりますが、労働局の方で様々な個別相談がある中で、妊娠・出産差別の訴えというものはどの程度あるのでしょうか。
  53. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 御指摘のように、各労働局の雇用均等室におきますいろいろ相談事例を見ますと、妊娠、出産を理由とする解雇、退職、こういったことについての事例、相談が増えております。十三年度が六十一件でございましたが、十四年度が七十七件、十五年度が九十六件というようなことで、近年は毎年増加の傾向にあるというのが実情でございます。
  54. 大脇雅子

    大脇雅子君 少子化の中で妊娠・出産差別が職場の中にあるということは、これは実は重大なこと、事実として私たちは把握しなければならないと思います。雇用機会均等法でも、妊娠・出産差別というものは最も原始的、古典的な差別として禁止をされているということであり、少子化の中でこの妊娠・出産差別が横行する、増大するということは、実はその根に一体何があるのかと。  まず第一に、私は、そういう出産や妊娠をする女性労働者は非効率だという効率主義があると思います。子育てはそもそもが非効率な作業でありまして、このところ、社会の中で産み損という感覚が母親の中で蔓延し始めているということを指摘する識者もあります。子育てというものに喜びと豊かさがなければ少子化などというものは克服しないということであります。ですから、この妊娠・出産差別に対しては厳しい態度で勧告なり助言をして是正をしていただきたいと。  そして、このところ、私は、それと裏腹ですけれども、例えば宮澤喜一氏の発言とか谷垣財務大臣の発言とか、非常に幼稚な差別発言というか、古典的な差別発言というものが横行している。非常にふまじめで、これは正に女性べっ視で、人間の尊厳が損なわれている。こういうところにいわゆる少子化の克服ができるという社会情勢はないというふうに考えますが、大臣は、こうした大臣の発言についてどのように見ておられるでしょうか。
  55. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 国際的ないわゆるジェンダー主流化のお話だというふうに思っておりますが、個々の大臣の発言につきましては、その個々の大臣がそれぞれ取消し等もしておみえになりますので、そこに、個々の問題につきまして私、発言する立場にありませんけれども、全体として見ましたときには、やはり子育てをしていくということを社会全体でもう少し温かく受け入れていくということが御指摘のとおり大事でございまして、そこができるような体制を一体どう作り上げていくのか。先ほどから御議論いただいておりますように、そこは、法的にそれは縛ることが先なのか、それともそうではなくて、その環境を整えることの方が先なのかという議論が、私は両方ともあり得るというふうに思っております。  我々も、いつも労使皆さん方のいろいろの御議論を聴きながら旧労働関係の政策の決定をしているわけでございますが、そこで一致をするということはなかなかそれは難しいわけでございますが、時には、役所といたしましても、そこでたとえ一致をしなくてもやらなければならないことはやっていくという姿勢をやはり持たなければならないんだろうというふうに思っております。  御指摘いただいております内容につきましては理解できるところでございますので、今後、我々、法案作りというものも含めまして、一歩でも前進できるように努力をしなければいけないというふうに思っております。
  56. 大脇雅子

    大脇雅子君 先ほど宮澤と申しましたのは井上喜一氏の間違いでございますので、訂正をさせていただきます。  さて、私どもは六月の十一日の金曜日に、民主党として、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を国会に提案いたしまして、衆議院に提出しました。それによりますと、題名を短時間労働者と通常の労働者との均等な処遇の確保に関する法律というふうに改めまして、賃金やその他の労働条件について、労働者が短時間労働者であることを理由として通常労働者と差別的取扱いをしてはならないということと、それから賃金その他労働条件について均等待遇の確保をしなければならないということでございまして、厚生労働大臣は何が合理的な差別かということについて指針を出す。これは長い間、最初の短時間労働者の雇用管理の法律案ができまして十年を経て、ようやくにして改正案が国会に議員立法として出たのでございます。  この中の均等処遇の原則にもありますように、非正社員にも、私は、有期のあるいはパートの人たちについてもでき得る限り広い範囲で育児休業を認めていくと、そしてこうした出産とか妊娠というのは、結婚も含めて、正社員はできるけれども、非正社員は、余りの労働条件の不安定さに、そうした人生設計ができないということで結婚や出産や育児が遅れているという統計も出てまいりました。格差は出生率に確実に影響するのでございます。  こうした非正社員に対する均等待遇の原則の立法化について、大臣の御意見を伺いたいと思います。
  57. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) パート等の短時間労働者、こういった者に育児休業法等を適用すべきだという、こういう御趣旨の御質問だと思いますが、正に今、今国会に私ども、育児・介護休業法の改正案を提出をしておりますが、その主要な内容が、先ほど申し上げました育児休業を一年から場合によっては一年六か月に期間を延長するということと、今、法律の適用の対象になっておりませんこの期間雇用者、有期の雇用者にできるだけこの育児休業法を幅広く適用していこうと、こういう趣旨の内容を盛り込んでおるところでございますので、できるだけ速やかに御審議を賜り、成立をさせていただきたいというふうに願っておるところでございます。
  58. 大脇雅子

    大脇雅子君 均等待遇の原則の立法化について今まで私も何度もお尋ねしておりますが、最後に大臣の御見解を伺いたいと思います。
  59. 坂口力

    国務大臣坂口力君) まさしく均等待遇というところが一つのキーになると私も思っております。  短時間正社員という言葉もございますが、時間の長い短いはそれぞれが選択をされる場合もございますので、やはり短時間労働というのもあり得るんだろうというふうに思っております。しかし、時間が短いからといって時間の長い人と違った差別を受ける、あるいはまた時間が短い労働であるがゆえに長時間の皆さん方と同じような処遇が受けられないといったようなことは、やはりできるだけ排除をしていかなければいけないというふうに私も考えております一人でございます。  いろいろの御意見があることも十分に承知をいたしておりますけれども、ここのところは今後、一歩やはり前に進めていくべき課題というふうに理解をいたしておりますので、その辺を十分に踏まえて今後やっていきたいと思っております。
  60. 大脇雅子

    大脇雅子君 最後に、人身売買についてお尋ねいたします。  我が国は人身売買の最も盛んな国として、国際的にも大きな問題になっております。国際組織犯罪防止条約が批准されまして、人身売買における選択議定書を批准するということが今議論になり、人身売買禁止の立法化の連絡会議も各省庁の間でできたというふうに伺っております。  この選択議定書を批准するために必要な国内法の整備の課題についてお尋ねをしたいと思います。
  61. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) 人身取引につきましては、国際組織犯罪防止条約の人身取引補足議定書はこれを犯罪として処罰することを締約国に義務付けておりまして、我が国も平成十四年十二月に同議定書に署名するとともに、現在その締結に向けた作業を行っておるところでございます。  同議定書において、人身取引は、性的搾取、強制労働、臓器摘出等を対象とする目的で、暴行、脅迫、欺罔や子を支配する親などに対する金銭の授受等の手段を用いて対象者を採用、運搬、移送、蔵匿、収受する行為とされておりまして、同議定書の締結のためにはこのような行為の処罰の確保が必要になるわけでございます。  これらの行為につきましては、現在、刑法、出入国管理及び難民認定法、職業安定法、売春防止法、児童福祉法、いわゆる児童買春、児童ポルノ禁止法等により対処しているところでございますが、同議定書の要請するところを漏れなく処罰することができるよう、法整備の内容等に関しましては現在検討中でございまして、いまだこれを具体的に申し上げる段階にはございませんが、次期通常国会に所要の法律案を提出することを目標といたしまして、検討を鋭意進めているところでございます。
  62. 大脇雅子

    大脇雅子君 各省庁から様々な今まで行われてきた施策があるわけですけれども厚生労働省は人身売買についてどのような保護を行ってこられたのでしょうか。  例えば、その議定書によりますと、心理的なカウンセリングとかあるいは教育とか云々、様々な補助を、支援をすべきだというふうに言っておられますが、この点について厚生労働省はどのようにお考えでしょうか。
  63. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 厚生労働省といたしましては、各都道府県に設置をされております婦人相談所におきましていろいろなケースについての相談あるいは保護に当たっておりますが、ここで国籍を問わず各種の問題を抱えた女性に対していろいろ心理的なケアも含めた相談保護を実施をしておりますので、実際、幾つかの婦人相談所では既にこの人身取引の被害者につきましても保護をした事例があるところでございますので、そういった面で内外を無差別にいろいろ対応しておるというところでございます。
  64. 大脇雅子

    大脇雅子君 人身売買被害者の在留許可につきまして、今まで人身売買事犯の対象女性のうち在留特別許可を得た人数、あるいはどのような在留資格を付与されたのでしょうか。そしてまた、この議定書を批准するための国内法として在留資格についてはどのような点に留意されているのでしょうか。
  65. 増田暢也

    政府参考人(増田暢也君) お尋ねの点につきまして、きちんと統計を取っているわけではございませんが、平成十五年に警察庁が把握した人身取引の被害者八十三名について調査しましたところ、その中で我が国での在留を希望した方がお一人おられました。このお一人に対して、日本人の配偶者等という在留資格を与えております。  また、それとは別に、この人身取引の実態を把握するために、今年の二月一日から一か月間、入国管理局ではその一か月で退去強制手続を取った三千五百十七件について内容を調査したところ、人身取引の被害者と思われる案件が五十三件ございました。この五十三件の中で、その被害者と思われる女性であって、我が国に在留を希望されている方のうち、現在までに九名の方に日本人の配偶者等あるいは定住者という在留資格を与えております。  なお、入国管理局といたしましては、この被害者の保護につきまして、今後も被害者保護の観点から、被害者に在留資格を付与して、国外追放からの救済を図る方策について検討してまいりたいと考えております。
  66. 大脇雅子

    大脇雅子君 これ、今まで人身売買の被害者は、被害者として日本保護されることなく不法入国者として処罰の対象になってきたという歴史がございますので、今後そうした議定書を批准し、国内法を整備する中では、そうした人たちの人権を十分に保護し、支援する日本の国内法制を整備していただきたいと思いまして、私の質問を終わります。
  67. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  児童手当に関係する質疑に入ります前に、一問、坂口大臣にお伺いをしたいと思いますが、先週の金曜日に新聞の夕刊で出ておりますけれども、今年の三月に、共産党を支持する内容のビラを東京都内のマンションで配布したということで国家公務員法違反の罪で逮捕、起訴された社会保険庁目黒社会保険事務所の男性係長の自宅から年金加入者四十数人分の個人データが印刷された資料が見付かったと、警視庁がこれを押収していたということで、この情報は基礎年金番号、住所、氏名、生年月日などが記されていたということでございまして、私はこれは非常に重大な個人情報の漏えいの問題であるというふうに思いますし、また、この係長は今保釈をされておりますけれども、現在も社会保険事務所に勤務をしているということでございまして、今後この問題に対してどのような取組をなされるのか、お伺いをしたいと思います。
  68. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 事実をよく調査をしなければいけませんので、我々の方といたしましても、事実を調査をしまして、厳正に対処したいというふうに思っております。
  69. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非よろしくお願いいたします。  児童手当質問をさせていただきます。  一九四二年に、イギリスにおいて社会保障の制度構築の父と言われているベバリッジという方が、揺りかごから墓場までと俗に言われておりますけれども、社会保障制度を作る際に最優先で導入をしたのがこの児童手当と言われているわけでございます。  日本においては一九七一年に制度が創設をされまして、翌年から支給が開始をされたわけでありますけれども、我が公明党も強力に推進をいたしまして、順次その対象年齢が拡大をされてきております。今審議をしております改正案が通りますと、小学校入学前までの対象小学校三年生まで拡大をされるということでございまして、約三百万人の児童が対象に加わるということでございますので、大きな前進だというふうに私は理解をしております。  さて、最初に伺いたいのは、今のこの児童手当支給額についてでございますが、第一子、第二子は月額五千円、そして第三子は一万円ということになっているわけでございますが、大臣、この額が本当に適当な額であるというふうにお考えなのかどうか、もしこれが適当だということであれば、その考え方の根拠もお示しをいただければと思います。
  70. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 額がどこまでになれば一番適正かというのはなかなか出すのは難しいというふうに思いますが、中にはもっと高額の方がいいという皆さんもおみえでございますし、しかし一方におきましては、その児童手当だけに多くの財源を投入するのではなくて、これはある程度の額に抑えておいて、さらに他の必要な施策に回すべきだという、こういう御意見もあるわけでございます。  今回、この額が据え置かれましたのは、前回の改正のときから比べまして、物価上昇等を見てみましたときに、若干は上昇いたしておりますけれども、そんな大きな変化はございません。したがいまして、今回据置きをさせていただいたということでございまして、これも今後の物価の動向等によりまして検討すべき課題ではないかというふうに思っております。
  71. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  次の質問もちょっとやはり財源問題に直結する話かというふうに思いますけれども厚生労働省から私がいただいた資料を見ましても、児童手当制度を実施をしております先進諸国の例を見ましても、所得制限を設けていないところが私は多いというふうに思います。そういう意味でいいますと、現在、日本では児童手当の支給に関して所得制限が設けられておりまして、具体的に申し上げますと、収入ベースで五百九十六万円未満、所得限度額は控除の後四百十五万未満というふうになっておりますが、私は、やはりこの子育て支援、少子化社会の中で力を入れていくという意味において考えますと、各御家庭の所得の格差というものを勘案しなければいけないというのは他の支援策でも一般的なわけでございますが、やはり子供がどんどん減っている中においては、この所得制限の引上げ、あるいは最終的には撤廃ということも他国並みに考えた方がいいんではないかと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  72. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 我が国のこの児童手当制度につきましては、御指摘のように、子供の養育費がさほど家計の負担と感じない、そういった階層には我慢をしていただくといいますか、比較的効果が少ないと思われますので、所得制限を設けておるということでございますが、一般論として、我が国の社会保障制度、ほかの手当、そのほか、この所得制限という形でできるだけ所得の平準化を図るというような特徴を持った社会保障の中で、児童手当もその一つとして所得制限が設けられておるところでございますので、そういったことで今まで歴史的にこういった制度が続いておるということでございます。  ただ、その中にありましても、平成十三年、できるだけ支給率を改善をするという観点から、それまで七〇%程度でありました支給率を、おおむね子供を持っている家庭の八五%程度の御家庭がこの児童手当を受けられるようにするということで、かなりの改善を図ったところでございますので、今回もこの考え方を維持することにしたわけでございます。  今後、御指摘のような御意見もあるということも踏まえまして、総合的にいろいろ考えていくべきことではないかというふうに思っております。
  73. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 続きまして、二問とも、やはり財源、先立つ財源がないとなかなか実行をすることができないということは分かった上で申し上げておりますけれども、やはり私は、これは与野党超えてこういう方向性少子化対策強化していかなきゃいけないというのが大勢だというふうに思っておりますので申し上げました。  三点目の質問もその流れの中で申し上げたいというふうに思いますが、やはり日本のこの児童手当も含めた少子化対策は、ヨーロッパ諸国と比べるとまだ見劣りをしておるわけです。  最後のもう一つの理由というのは、やはり、この支給対象年齢がドイツでは十八歳未満まで、イギリス、フランス、スウェーデンでも十六歳未満ということになっているわけでございまして、私も個人的には、当然財源が確保されるということが前提でありますけれども、義務教育終了時まで児童手当を拡充するという方向性をやはり示していくことが大事だというふうに思っておりますけれども大臣の御見解を伺いたいと思います。
  74. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これもなかなか難しい問題でございますが、これは税制改正、すなわち扶養控除等とも非常にかかわってくるところでございます。限られた財源をどのように配分をしていくかということでございまして、子育ての家庭に対する配慮というものが必要なことはみんな分かっておりますが、それを、今までの税制上の問題でございますとか、そうしたものも総合的に考えて、少し整理をして、負担をすべきものは負担をしていくということが大事ではないかというように思います。  今後、そうした税制改正等も進んでくると思いますので、それらと併せて検討していく課題ではないかというふうに思っております。
  75. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  注文ばかり付けて非常に恐縮ではありますけれども、是非この少子化対策児童手当も含めて大きく強化をしていく方向で進めていっていただきたいというふうに思います。  ちょっと時間がまだありますので他の質問をさせていただきたいんですが、一つは、これは少子化対策大綱にも書かれておりますが、若年者の雇用対策に関して、平成十三年度の補正予算から開始をしました若年者トライアル雇用制度というものがございます。ただ、これは、利用者のうち八割が常用雇用に移行しており効果を上げているということであるんですけれども、例えば平成十四年度決算で見ると、予算額が七十五億円取ってあったんですけれども、執行額は二十九億五千万円にすぎなくて、利用率、執行率は四〇%弱にとどまっております。  そこで、私、前にもちょっと大臣にお伺いをしたんですが、この対象年齢が三十歳未満となっておりますけれども国民生活白書によりますと、三十歳前半、三十四歳まででも八十万人のフリーターが今いるということが言われておりまして、現場からも、若者から声があって、三十五歳までこの若年者トライアル雇用制度を使えるようにしていただけないかということがあります。  是非これは来年度からでも実施をしていただきたいと私思っておりまして、予算面でいえば、先ほど申し上げたとおり執行率が四〇%弱でありますから、これを、対象年齢を五歳拡大したからといって財源的に問題になるというふうに思えないので是非善処をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  76. 坂口力

    国務大臣坂口力君) トライアル雇用につきましては、これはいろいろの施策の中で非常に効率がいい施策であることだけは間違いがないというふうに思っています。  ただ、このトライアル雇用の制度を作りまして、これを導入することはいいんですけれども、ここを余り今度は増やしますと、そうすると、正規の雇用をすべきところを、正規の雇用をせずにまずこのトライアル雇用からやっていこうというようなところが出てきたりもするものですから、多少痛しかゆしのところがあるということでございます。  しかし、大体八割ぐらいの常用雇用に移行が実現をいたしておりますので、いろいろのことがございますけれども、ここは更に進めていきたいというふうに思っております。  それから、三十歳を超える皆さん方に対しましては、これはハローワークなどでも専門員を置きまして、そしてその人たちにできるだけきめ細かな対応をいたしておりますが、中には、御指摘いただきましたように、トライアル雇用に適した皆さんもおみえだろうというふうに思います。  その適した皆さんにつきましては、三十歳を超えた方、それは三十四歳までにするのか三十五歳までにするのか、それは少し考えさせていただくとして、三十歳を超えた皆さんにつきましても、そのトライアル雇用、適用できる人、適した人につきましては、それはやっていくということにしたいと思っております。
  77. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 もう時間もありませんので、これはもう質問というよりも、もう一つ提言なんですけれども坂口大臣大臣が、平成十四年以降、キャリアコンサルタント、キャリアカウンセラーを五年間で五万人養成をしたいという方針を打ち出して、今様々なそれに向けた施策が行われていると思いますが、一つ、若干苦言にもなってしまうんですけれども、厚労省がやっておりますキャリアコンサルタント推進給付金という制度がありまして、これは、民間教育訓練機関で講座を受ける際に、受講費用あるいは受験費用の一部の助成を事業主に対して行っている制度なんですけれども平成十四年度、これ予算が二億二千七百万取られておるんです。ところが、決算で利用された数を見ますと十三件、使った額が二百八十九万円ということでございますので、二億二千七百万の予算を付けておいて予算執行率が一・二七%なんですね。  これは、大臣、一・二七%しか使われないということは、元々制度を作ったときに何か利用者から見て非常に使いにくいとかいうことがあったとしか考えられませんので、是非この辺ちょっと、キャリアコンサルタント養成する養成するというふうに厚労省おっしゃっているんですが、実態見るとこういった問題点がちょっと散見されますから、もう一度、平成十五年度も含めて精査をしていただいて、必要な改革を取っていただきたいということを要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  78. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。  質問に入ります前に、今、遠山委員から、国会の場を利用して、直後が選挙になっているんですけれども、この選挙向けに不当な日本共産党への攻撃がやられました。私は強く抗議をいたします。  そして、質問に入ります。  私が議員としての最後の質問となりますけれども、今回の児童手当法改正案というのは、財源問題としてはここ区別しなきゃいけないと思いますが、賛成の立場です。  安心して子育てのできる社会をどう作るか、そのために、女性に限らず、男性も含めて働き方をどう変えていくかがこれから二十一世紀の大きなテーマであると私思っております。とりわけ、女性が結婚をし、そして出産をし、そしてその子を本当に丈夫に育てていくということは、これはやっぱり並大抵ではないと私思っております。そうした中で働き続けることができるようにするというのは、これは女性自身の権利の問題、そしてまた生きがいの問題にとどまらず、持続的な可能な社会に向けた重要な課題である、次の世紀に向けての課題であるというふうに思っております。  先ほどから大脇委員質問も聞きながら、同じ思いでうなずいていたわけなんですけれども、先日は、大臣も私の質問に対しても同じ問題意識だという答弁をされました。男女平等、そして女性の差別の是正というのは歴史の本流となっていることはもうはっきりしてきているというふうに思います。日本の企業社会では、残念ながら時代の流れに逆行している男女差別が根強く残っているということ、これもまた認めざるを得ない事実であるというふうに思うんです。  私は、時間が二十五分しかありませんので、短い時間ではありますけれども、以上の立場に立ちまして、本日は二つの事実が非常に明確になっております事例を取り上げて、急ぎ解決することを求めている課題について質問をしたいというふうに思っております。  二つありますけれども、二つの例を挙げたいと思いますが、一つは、世界有数の鉄鋼メーカーである住友金属工業における男女差別の問題なんです。現在、大阪地裁で争われておりまして、訴えているのは北川清子さん外三人の女性社員です。原告は高校卒業後の一九五〇年代から七〇年代にかけて入社いたしました。一九五九年に入社した北川さんは結婚をし、そして出産した後、一九六八年に職場復帰をすると退職を迫られました。北川さんは嫌がらせを受けながらも働き続け、仕事で部長賞だとか役員賞だとかを受賞するなど高い評価を受けてきましたけれども、能力評価では常に最低のCあるいはCプラスでしたと。  資料を今お配りしたというふうに思いますが、この資料でいきますと、一番下に女性は固まってあるんですね、左側の下になりますけれども、固まっているんです。この北川さんというのはもう定年退職をされた方なんですけれども、そのころはまだCというところがあったわけなんですね。今ではこの資料のようになっているということも付け加えさせていただきます。  北川さんが同期同学歴の男性社員と比べて余りに遅い昇進そして昇格に疑問を感じて人事室長に質問を、このC、そして女性がCになっているということで驚いて質問をしたわけなんですね。そうしましたら、女性はほとんどCだよと、こういうふうに返事をしたということです。一向に改善されない男女差別の中で、やむを得ぬ思いで一九九五年に大阪地裁に提訴をしたということなんです。  裁判の中で浮き彫りになったことは、男性は勤続二十八年目までに約九割が、管理職に一歩手前の管理補佐職というのがあるんですけれども、そういうふうになる。しかも、昇進の階段を上るのも共通して男性は速いわけです。一方、女性はどうかというふうに見たときに、三十年以上働いてもはるかに下の職分止まりで平のままなんですね。このために何しろ激しい賃金格差が発生しているわけなんです。北川さんの場合ですと、同期同学歴の男性と比べて定年退職時で年収が五百万円違います。そして、退職金で約一千万円の格差が生じているわけなんです。  原告は同じ高卒事務職の男性との差別是正を求めているのですけれども、会社側というのは、男性は幹部候補生として本社の採用をしている、女性は事業所採用をしていると、この男女の違いというのは採用区分の違いによるもので、男女差別ではないと、こういうふうに主張をしているということです。しかし、男性は本社採用、女性は事業所採用という区分というのは、原告らがやはり男女差別の不当性を訴えてから会社が言い始めた主張であって、それまで聞いたこともなかったということなんですね。このようなことで、就業規則にも労働協約にも全くないことをやっているということが今明らかになっているわけなんです。  女性が差別を受けてきたことは実際の昇進、昇格の実態が示しているとおりなんですけれども、私は大臣に、これは係争中ですのでこれ自身についてはお答えができないと思いますけれども、住友金属だけでは限らないところで女性たちは似たような差別を受けているんです。正に女性であるという理由だけで一律に低い人事評価をする、こういうことは男女平等の今の時代の流れに私は逆行しているのではないだろうかというふうに思っているんですけれども大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  79. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今お話しになりましたように、住友金属の問題は、これはこれで今訴訟中でございますから、具体的な問題につきましては私、触れさせていただく立場にはございませんが、一般論として、今先生もお示しになりましたように、やはり男女におきます格差が、過去はそれが当然のごとくに行われてきたことも私は事実だと思います。しかし、今後、能力ある女性が多く職に就かれるようになってまいりました現在、やはりこれから先、男女の格差というものをなくしていく方向でやはり努力をしていかなければならない、そこは私も御指摘のとおりだというふうに思っております。
  80. 井上美代

    ○井上美代君 さらに、資料に出しましたけれども、裁判の中で明らかになったのが労働者も全く知らない人事制度で、企業の上層部しか知らない、いわゆる「闇の人事制度」というふうに表題は付いておりますけれども、これは私が付けたんじゃなくて労働者の方々がそのように言っているんです。それほどひどい中身なんですね。これは余り細かく説明をしている間はないんですが、一面のものは、一枚目のは、私が少し分かりやすくと思いまして、アレンジって、そのまま分かりやすく表を作りました。しかし、その本物は、本物はと言うのはおかしいんですけれども、会社が出してきたものは二枚目にあります。これを見ていると本当に分からないんです、難しくて。何をどう言っているのかというのが分かりにくいんですけれども、分かりやすく一ページ目は作りました。  それで、この事務職の社員をイ、ロ、ハ、ニ、ホというふうに五段階に分けていて、女性は学歴を問わず最下位に位置付けられております。イは基本的に大卒の男性です。ロは高卒で入社当初から事務職の男性、また、技術職から事務職に変えて事務職に来られた、職掌転換した男性がおられます。この男性については更に二段階に分けてあります。そして、ハのBHと書いてあるんですけれども、これはブランチハイスクールということで、それからニの方はLCとなっておりますけれども、これはレーバークラークということで、技術職から事務職へ来たということで書いてあるわけなんです。このように、男性も幾段階にも分かれておりますが、女性はもうホのところに一か所にまとめてあるというものなんです。  こういった就業規則にもないような、そういうものが、労働組合ももちろん知らない、本人たちは知らない、そういう人事制度で女性を最下位に位置付けながら、表向きは差別がないように見せ掛けてこういう悪質なことをやっているという企業が、企業側の中身が今明らかになっているんですね。これについてやはりどうお思いになるか、是非、御答弁を大臣にお願いしたいと思います。
  81. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 大臣からは先ほど御答弁があったとおりでございます。私どもも、これは直接国が当事者となっておる裁判でもございませんし、この実態について特別のコメントを言う立場にはないということでございます。  いずれにしても、一般論として先ほど大臣が申し上げましたとおり、男女雇用機会均等法、こういった趣旨が徹底をするように私ども行政として努めてまいりたいというふうに思っております。
  82. 井上美代

    ○井上美代君 私は大臣の御答弁がいただきたかったんですけれども。  こうした問題については、既に、去年ですけれども、七月に女子差別撤廃委員会、国連の女子差別撤廃委員会でこの勧告がやられておりますけれども、そこでもやはり、雇用管理のカテゴリーに関して、やっぱり低い賃金、昇進できにくい分野に女性が集中している問題について論議がされて、間接差別ということでやられているんですね。  だから、そういう意味でも、私は、これは決して今日問題にならないことではなくって、私はこれをこそ問題にしながら、やはり女性が安心して働ける、子供を育てながら働ける、そういう職場を作っていくことの重要性を強調しておきたいと思います。  さらに、私は問題だというふうに思っておりますのは、この資料隠しというのがあります。これは産経新聞を資料としてそこにお手元に届けてありますけれども、裁判所の命令にも背いて資料隠しが行われているということです。  原告は、差別の実態を明らかにするために、賃金台帳だとかそれから履歴の台帳の提出を会社に原告は求めるように裁判所に申立てをしました。そして、裁判所から文書提出命令の決定が出されまして出てきたわけなんですけれども、会社はまず最初に八百三十七人分提出をしたんですけれども、原告たちがそれを見ていたら同僚の名前が抜けているんですね。だから、それを指摘したんです。それがきっかけになって三百十二人分も賃金台帳と履歴台帳を隠していたということが発覚したわけなんです。  この三百十二人分をどうして隠したのかということなんですけれども、この三百十二人分は処遇が高い人ばかり、明らかに女性との差別の実態を小さく見せようとするものだということが新聞記事にも出ているわけなんです。資料で示したのはそのときの、十一月十一日の産経の新聞です。そこを読んでいただくとそのことがはっきりすると思います。その後、大阪地裁は、文書提出命令に基づいて会社側に再度この資料を裁判所に出しなさいということを命令し、そして出し直しております。  私は、三菱のふそうのリコール隠しがこの典型的な事例だと思いますけれども、企業のやはり社会的責任、そして法令を遵守するその姿勢に今改めて社会が注目をしているときだというふうに思います。会社側が裁判所の命令にも反して資料隠しをする、こういうことは企業のやはり社会的責任からいっても許されないのではないかなというふうに思っております。  こういうのを今日改めていかなければ、やはり男女の平等、そしてお互いが助け合いながら仕事とそして家庭を両立させていくという、この施策というのはなかなか大変なんじゃないだろうかというふうに思っております。大臣の見解を求めたいと思います。
  83. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この個別な案件につきましては私もよく存じません。個別案件につきましてはよく存じませんが、先ほども申しましたように、総論としてやはり言えますことは、男女の格差というものをなくしていかなきゃならないという、その方向性については私も同意見でございます。そういうふうにしていかないといけない。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  いろいろの案件があるというふうに思いますが、一つ一つ整理をしながら前進させることだと思っております。
  84. 井上美代

    ○井上美代君 私はもう一つ、二つ目の問題に入りたいと思っています。これもやはり非常に深刻な問題ですけれども、子育て支援にかかわっての質問なんです。  日本航空では、今、深夜業の免除の制限が大きな問題になっております。育児・介護休業法では小学校に達する前の子供のいる労働者に対して深夜の免除を認めており、そして日本航空の客室乗務員に対しても一昨年までは深夜業免除が申請者全員に認められておりました。それが、昨年の四月から新たな申請者約百名に対してこの権利が大幅に制限されて、深夜業の免除を申し出ますと、昼間の仕事がなくなるんですね、ないんですね、ということが出てきたんです。  今もう本当に職場は大変な事態になっているわけなんですけれども、家族に無理を掛けて何とか働き続けているという方もいらっしゃるんです。そして、乗り切っていっているという方もいらっしゃるんですけれども、この深夜免除で昼間仕事がなくなって、仕事が保障されないから生活ができないというふうになりますと、結局は退職に追い込まれていくという人もおります。給料がもう本当に激減して、税金、社会保険料などを引くと結局赤字になってしまっているんですね。だから、働く元気もなくなっていくという、そういう状況なんです。深夜免除というのは法律できちんと保障があるんですけれども、何しろ仕事がないということがいかにつらいかということが御本人たちから言われております。  なぜそういう事態になったかといいますと、育児・介護休業法では、深夜業免除を申請した労働者に対して事業主には昼間の労働を与える義務がないんです、法律にないんです。育児・介護休業法で改善される話も先ほどから出ておりますけれども、そういうふうに昼間の仕事がなくなるというふうになるわけです。会社側はこれを悪用しまして、客室乗務員の深夜業の免除を全員に認め、全員この深夜業免除はしていいですよと認めているわけなんです。そして、会社側は、今度は申請者から言ってみれば仕事を取り上げるというふうな結果になっているわけなんですね。だから、それは深夜業の免除を申し出ることはできるけれども、じゃ昼間に仕事があるかというと、それが限られているということを言っているわけです。ここに問題があるというふうに思っております。  一か月で二十日間の就労日が普通だとあるんですけれども、わずか一日から十日しか仕事を与えられない。仕事のない日を無給扱いとすることにしてしまったためで、この深夜業免除を申請する労働者は昼間働けないで本当につらい思いをしていると。そうしたら、何のために子供を、深夜免除を申し出て子供を育てていくということ、それは結果としては仕事を全部取られるわけですから、元も子もないという状態が今生まれているということなんです。それで、仕事を取られて給料ももらえなくなって、あなたの権利は満たされましたと言われても、御当人たちは、それは納得いきませんというふうに言っておられるんです。  私は、これは法の不備の問題を、言ってみれば企業がそれを利用しておられる、悪用しておられる、もっと言えば、辞める人もいるわけですから、リストラに使っているということも言えるんじゃないかと思うほど、大変な現状になっているわけです。これでは出産後仕事に復帰できない人が増えるばかりでなく、これからの出産をしようという、そういう思いにもなれないわけで、だからやはり法の理念に照らして、法の趣旨に添って望ましい事態を作っていくということが重要ではないかというふうに思っているところです。  だから、一つは、こういう実態があるということについて大臣がどのようにお考えになるのか、そして育児・介護休業法の法律上の不備があることがもう既にはっきりしているわけで、そういう点で、深夜業の免除を申請した人が昼間働けるような法改正が今後の検討課題だというふうに私、思っております。  そういう意味で、先ほどから大臣が、法をきちんとするのが先なのか環境を整えるのが先なのかという御答弁がありましたけれども、私は両方が大事なんだというふうに思うんですね。そういう意味で、是非この法を、育児・介護休業法の理念に基づくようにやはり法改正をしていただきたいというふうに思っております。是非、検討課題としてやっていただきたいと思いますが、その点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。大臣にお願いしたい。
  85. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 事実関係だけ御説明申し上げますと、御指摘のようなJALの問題につきまして東京労働局もいろいろ相談を受けて、昨年来、指導してきたところでございます。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  そういったその行政指導も受けて、JALの側としても一定の深夜業の免除に代わる就業に就けるようにいろいろ配慮して、組合側に提示をして、一つの組合とは妥結をして、そういったことで今運用しておるというふうに聞いておりますが、御質問の趣旨は、育児・介護休業法の深夜業の免除ということだけでは不十分ではないかということでありますが、こういった法律、深夜業を免除するということは法律上設けられておりますが、それに代わって免除した場合に昼間の勤務を保障するということは、これはそういった業務が実際にその業態によってはあるのかどうかということもございますし、それから、昼間の勤務をする他の労働者との関係といったいろいろ困難な問題もありますから、一概にこれを法律で代替措置まで義務付けることはなかなか困難という認識の下に今のような法制度になっておるというふうに理解をしております。
  86. 坂口力

    国務大臣坂口力君) JALの問題は前にもお聞きしたこと、確かにございました。それで、この客室乗務員の皆さんというのは、これはやっぱり客室乗務員以外の仕事はしないということになっているんでしょうかね、そこのところも私ちょっとよく分かりません。できないということであれば、ほかに飛ぶ飛行機がないということになると仕事がないということになってまいりますし、その辺のところはこれは、これ、恐らく組合とよくお話をしておみえになるんだろうというふうに思っております。そこはひとつよくお話合いをしていただければというふうに私は思いますけれども、法律の問題は今局長が申し上げたとおりでございますが、この法律の問題と併せて、現場でそうしたことに対するお話合いが進むことがまず前提ではないかというふうに思っております。
  87. 井上美代

    ○井上美代君 大臣が今前提の話をされましたけれども、私は、局長が話されたようになっていることもよく存じ上げております。しかしながら、それをやればやるほど、育児・介護休業法、そしてまた、男女が家庭と仕事を両立させていくという、我々が目指しているこの方向に向かっては決して実現しないと、ますます悪くなるという中身があるわけですね。  だから、大臣は一歩前進、一歩前進ということを先ほどから答弁されておりますけれども、私はこの件についても、やはり企業が柔軟に、どうすれば救出ができるのか、介護休業法などの法律に、理念に沿ってやれるのかというところを考えて話合いをしなければいけないというふうに思いますが、大臣にもう一度答弁を願いたいと思います。
  88. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこは、企業の方もこの法律の理念というものをやっぱりよく理解してもらわなければいけないわけでありますから、理念をよく理解をして、そして働く皆さん方とよくお話合いをしていただくということが大変大事だというふうに私も思っております。
  89. 井上美代

    ○井上美代君 時間がもう過ぎておりますので、私はごあいさつだけさせていただきます。  職場における女性差別を是正し、男女が仕事とやはり家庭を両立させられる社会と、そして、私は、政治の実現に向けて今後とも力を尽くしていきたいと思っております。  厚生労働委員会で皆様方と御一緒に仕事をさせていただきましたことに、私はこの場をかりまして深く感謝を申し上げ、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  90. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  私は、六月三日、この厚生労働委員会で強行採決がされ、総理大臣に対する小池晃共産党の議員の質問、私、社民党福島瑞穂の質問、そして隣に座っていらっしゃる西川きよしさん、この三人の質問がされることなく強行採決になりました。  私は、国民の皆さんすべてに関係のある年金法こそ強行採決に全くふさわしくない法律であると、法案であると考えております。なぜ、国民の皆さんすべてに関係のある法案、強行採決なのか、本当に思います。また、総理出席の下での、正に正直、修羅場としての与野党の本当に強行採決、全くふさわしくないと考えています。  参議院は良識の府と言われていますが、非言論、非常識の、本当にひどい非良識の府になってしまっているのではないか、民主主義がこんな形で侵害されていくことに本当に心から抗議をいたします。  また、今日においてもその総理大臣に対する私たち三人の質問は回復をされません。強行採決された後に質問してどんな意味があるのかというふうに正直思う点もあります。しかし、私たち用意をして質問するはずでありましたので、それらの質問ができなかったということは本当に悔やまれますし、やはり怒りを感じております。  私は、総理に対する質問通告の中に、これこそ野党で共通をして社民党が質問してくれと言われた、納付状況についての質問をしてくれと頼まれておりましたので、野党の中で一致して、私は質問時間を少し多くしていただいて、総理に対して閲覧をした結果の納付状況について質問することになっておりました。そのことも、当然ですが与野党合意の下で質問項目もさせていただいておりました。その総理に対する納付状況についての質問通告をきちっとした上で、そのことは野党の中でも意思一致をし、させていただくということで野党に任された質問だったわけですが、それができなかったことも本当に悔しいと思います。  この強行採決の後に細田官房長官が、野党はどうせ質問する気はなかったんでしょうと、野党はどうせ質問する気はなかったという記者会見を行われたことにも本当に怒ってしまいました。小池さんと二人で抗議文を送りました。野党、特に共産党、社民党、西川さん、特に私も、当然ですが、質問通告をし、その質問の準備をし、きちっとやっておりました。それを全然御存じなく、またひどい立場で、野党はどうせ質問する気はなかったんでしょうと官房長官がおっしゃったことに改めてここで抗議をしたいと思います。  事実は全くそうではありません。私たち質問を恐れたかどうか分かりませんが、前倒しの強行採決がされて、それを官房長官が、野党はどうせ質問する気はなかったと、事情も御存じなく、野党の質問、私たち質問を封殺した、責任を本当にゆがめる形の記者会見をされ、もちろんその後も訂正もされないことに改めて抗議をします。  この委員会に所属をされている皆さん、理事懇で話をされた皆さんはその官房長官の発言が全く違っていることを了解をしていただけると思います。きちっと理事懇で合意をしたことも、たくさんある中での質問ですから、それについて強く抗議をいたします。  今日、私は児童手当法の改正法の質問に立っておりますが、一般質疑として二十二分を足していただきました。私は、あの日、六月三日四時から二十二分間、一般質疑大臣に対してすることになっておりました。本日、児童手当法改正法とともにその一般質疑二十二分を足して今日させていただくということを、それは皆さんが配慮していただき、私が二回分質問できなかったことは問題だと考えてくださって、与野党ともに合意をし、今日一般質疑ができることについては私は感謝を本当に申し上げます。総理に対する質疑はできませんが、一般質疑が与野党ともに合意で回復されること、今日できることについては、六月三日のことは悔しいですけれども、そのことについては、本日配慮していただいたことには感謝をいたします。  では、怒りの何か質問になって済みませんが……(「頑張れ」と呼ぶ者あり)はい、頑張ります。怒りの質問で、怒りの質問で頑張ってやっていきます。(発言する者あり)動議を出していただきたくなかったと、六月三日、動議を出していただきたくなかったと思いますが、はい、怒りの質問をいたします。  出生率の発表についてです。  六月十日の新聞、出生率低下、一・二九、これが新聞に出ました。その日のうちに厚生労働省の役人の方が、きちっと製本された、きちっとした質問をその日に持ってきてくれました。一体どういうことでしょうか。  この委員会の中で、出生率データを早く出せとずっと質問が出ておりました。例年より出生率データが遅いということに関して、よもや採決をされた後に出生率データが出てくるなんということはありませんね、そういう質問も出ました。なぜ採決をされた後、しかもすっぱ抜きの一・二九なのでしょうか。
  91. 坂田稔

    政府参考人(坂田稔君) 出生率を含みます人口動態統計につきましては、出生、死亡、婚姻、離婚、様々な事象につきまして、その状況を集計、公表しているところでございます。本年につきましても、それぞれの事象ごとに結果についての要因分析等を行いまして、六月十日に発表したという次第でございます。  よろしくお願い申し上げます。
  92. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 駄目ですよ、それでは。六月十日の日に新聞ですっぱ抜かれて、それで発表したんじゃないですか。私は、なぜこれが法案の最中に発表されなかったか、端的にお聞きします。
  93. 坂田稔

    政府参考人(坂田稔君) 出生率の発表につきましても、あくまでも人口動態統計全体の発表の中で行っております。したがって、例年のことではありますが、その集計作業、それからまたその後の分析には一定の時間が要することについては御理解を賜りたいと思います。  本年につきましても、大臣の御指示もあり、作業は急いでおりましたけれども、結果として六月十日になったということでございます。
  94. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 いや、違いますよ。新聞にすっぱ抜かれたから出たんじゃないですか。六月十日の日にこの資料届けてくださった厚生労働省の役人になぜ漏れたかって聞いても、どこから漏れたか分かりませんということですよ。漏れなかったらもっとずっと、この通常国会が終わった後にでも発表しようと思っていたんじゃないですか。  私たちは、出生率データを六月十日の日に発表する、記者会見する、そんなことを聞いておりません。問題なのは、六月十日にこうやってすっぱ抜かれた後になぜ製本されたデータが出てくるかですよ。製本されたデータがあるんであれば、もっと早く出すべきじゃないですか。すっぱ抜かれたから出したんでしょう。製本されたデータがなぜ出てこないんですか。
  95. 坂田稔

    政府参考人(坂田稔君) 製本されたデータの件でございますけれども、私どもは、もちろん、ごく近々に発表したいということで準備を進めてまいりました。そこに、六月十日ですか、朝刊で発表があり、それに合わせて大臣からの御指示を受けて発表したという次第でございます。
  96. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 近々に発表とはいつですか。
  97. 坂田稔

    政府参考人(坂田稔君) 私どもは、事務的には週末の発表を念頭に置いて準備を進めておりました。
  98. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 これは、この委員会で六月中と言われていました。  しかも、あなたの答弁、おかしいじゃないですか。記者会見するつもりだったら、六月十日に記者会見するつもりだったんですか、それとも週末にやるつもりだったんですか。すっぱ抜かれたから記者会見したんでしょう。
  99. 坂田稔

    政府参考人(坂田稔君) 記者レク等につきましてはまた記者クラブとの関係ございますけれども、あくまでも事務的な心積もりとしては、週末の発表を目指して準備を進めておりました。
  100. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 いや、納得がいきません。  この委員会で、六月中に発表するという報告があり、私たちはけげんに思ったわけです。御存じ、例年六月上旬、去年は六月五日にこの出生率データを発表しています。  私が一番変に思うのは、新聞にすっぱ抜かれたその日に、製本されたのがちゃんと出てきて届いているんですよ。出そうと思えばいつだって出せたんじゃないですか。
  101. 坂田稔

    政府参考人(坂田稔君) 再三の答弁で恐縮ですけれども、私どもとしては、事務的にはあくまでも週末の発表を前提に、念頭に置いて作業を進めておりました。
  102. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 週末というと何日のことですか、十一日に発表するつもりだったんですか。  私がおかしいと思うのは、準備して、それが事前にすっぱ抜かれて、製本されたデータが出てくるということですよ。私たち会議員は、厚生労働省が不利な証拠を隠したと、不利なデータを隠したと思いますよ。
  103. 坂田稔

    政府参考人(坂田稔君) 日にちにつきましては、十一日を含む週末ということで御理解願いたいと思います。
  104. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 いや、国会をばかにしていますよ。  これは例年、とっくの昔に六月、去年は六月五日です。しかも、データがあるんですよ。なぜすっぱ抜かれたその日にきちっとした製本化されたデータがすぐさま来るんですか。  しかも、六月中とか言われていましたよ。準備中で、なぜそんなことになるんですか。新聞社がすっぱ抜かなかったら発表はもっと遅れていたんじゃないですか。
  105. 坂田稔

    政府参考人(坂田稔君) 度々で恐縮ですけれども、私どもとしては、事務的にはあくまでも先週末の発表を念頭に置いて準備を進めておりました。
  106. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 大臣大臣がこの一・二九を知ったのはいつで、記者会見はいつと聞いていらっしゃいましたか。
  107. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは実は、先日もここでお答えをしたところでございますが、十日でしたかね、新聞に出ましたのは。その前の夜、実は新聞社の方から、実はこういう情報を得まして、あした出させていただきますということを私は言われた。で、私は全然知らないものですから、一体どうなっているんだと言って、夜、電話をしたというのが九日の夜だったというふうに思っております。  それで、いつも、私は怒っておりますのは、私は委員会において皆さん方に対しては、まだそれができ上がっておりませんということをここで報告をしているわけでありまして、私が委員会でそういうふうに報告をしているのに、その私にも報告もなしに新聞社に流すとは何事かと言って私は実は怒っているわけであります。それは本当に、委員会侮辱することになりますし、私は本当に、まあそんなことを言いましても、私が代表者ですから私が皆さん方にお断りする以外にないわけでありますが。  いつもですと、途中で中間報告というのを、あるんですよ。その全体が決まります前に、一週間か十日前には中間報告というのが来るんですね。それで、大体こういうことで今進行しておりますと。それで、多少その数字は若干変わるかもしれませんけれども、大体この辺のところに落ち着きそうですという話があるんですけれども、今年はそれもなかったと。私はここで忙しかったということもありますけれども、それもなかったということで、私はまあ怒り狂ったわけでございますけれども。まあしかし、今答弁をしましたようなことで、十日の日にマスコミに出たことだけは間違いのない事実でございます。  で、私はその日に、こうして出た以上、ちゃんと早く我々に対してその情報を提供しろ、そんな内々にも全然何も見せずにおるということはけしからぬということを申し上げ、各委員会皆さん方の、主な皆さん方のところにもそれはお届けをして早くきちっとするようにということを言ったというのがその出ました日の出来事でございます。
  108. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 今の大臣の答弁を聞いていても、十一日を含む日に記者会見する予定であった、それを大臣は九日の夜までも知らないわけですね。しかも、中間報告も例年と違って出されない。非常に奇妙ですよ。これは情報を隠していたとしか思えない。大臣が怒り狂うのは分かります。  でも、私たち会議員は大臣とは違う意味で怒りますよ。おかしいですよ。厚生労働省がなぜ、私たちが何度も資料要求しているのに、不利なデータを出さずに、残念ながら年金法が成立をしたのか。年金法案が成立し、通常国会が終わるまで黙っておこうということだったんではないですか。そうとしか考えられないですよ。大臣だって九日の夜の時点で記者会見のことを知らないわけじゃないですか。大臣が怒り狂うのと全く違う意味で、私は、この情報隠し、重要な基礎データがこれで変わってくるわけですから、厚生労働省責任は重いと。貴重なデータを隠して、欠陥商品を出している、これは本当に許せないと、本当に思っています。  ところで、出生率低下、一・二九ですが、基準ケースは一・三九、少子化進行ケースは一・一〇となっています。これは、厚生労働省の今回の法案は、将来この出生率が上がる二〇五〇年には一・三九に回復することを前提に算定をしています。今回、一・三二のはずが一・二九、これは大幅に試算をし直さなくちゃいけないというふうに思いますが、いかがですか。
  109. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 先生御指摘のとおり、平成十五年の合計特殊出生率は一・二九となったわけでございますけれども、その内訳を見ますと、二十歳代の後半の方々につきまして第一子の出生率が低下しているということが事実として認められます。これは現象的には、平成十二年、十三年に見られましたミレニアム婚、あるいは二十一世紀婚の翌年ということでございまして、平成十四年の婚姻数が一時的に大幅に減少しておりまして、これが平成十五年の出生数の減少に影響したのではないかと、このように考えているところでございます。  一方、推計上見込んでおります晩産化の傾向につきましては、三十歳代の後半を見ますと平成十五年の実績値と推計値がほぼ合致しているということが確認されるわけでございまして、単年、一年間のデータだけをもって直ちにこの推計の是非について判断するべきではないと私ども考えてございます。
  110. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 いや、厚生省は今回法案を出すときに自分たちの都合のいいデータしか出さなかったですよ。保険料の問題についてしかり、現役世代の五〇%を保障するということについてしかり。今回、一・三二ではなく一・二九なので、現役世代の五〇%を保障するという推計だってこれは変わってきますよ。現に、永久均衡方式で計算した場合で、今のが基準ケースで所得代替率が五〇%、少子化進行ですと四八あるいは四七・九と、政府の資料によってもなっています。一時的なものではなく、この一・二九を重く受け止めるべきであると考えています。とにかく出せ出せといった資料が、ようやくというか、すっぱ抜かれて出てきて、その日に製本化されてそのデータが出てきたと。例年と全く違うやり方で、これは厚生労働省年金法を成立させるために隠していたと言われても仕方がないというふうに思います。  次に、国民年金の財政再計算における納付率の前提についてお聞きをします。  平成十六年財政再計算は初めて有限均衡方式を取り入れたものであり、従来の財政再計算にも増して緻密な計算が求められますが、今年度の国民年金特別会計予算においては納付率の前提を何%と想定していますか。
  111. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 平成十六年度の特別会計、国民年金の特別会計におきます国民年金第一号被保険者納付率の前提でございますが、納付率につきましては七二・五%ということで予算を計上さしていただいております。
  112. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 私の記憶では、現在六二・数%、二十代ですと五〇%弱と思いますが、七二・五は高くないですか、今年の納付率。  去年、教えてください。
  113. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 平成十四年度の納付率は六二・八%と、こういう数字でございます。  それで、平成十五年、昨年八月に、こういうふうな状況を踏まえまして、大臣を本部長といたします国民年金特別対策本部を設置をいたしまして、今後五年間で八〇%という目標を立てたわけでございます。その過程におきまして、十三年度の納付率、これが七〇%でございますので、それから段階的に引き上げていくという前提に立ちまして、これは努力目標も含めまして七二・五%の納付率で予算を計上しているところでございます。
  114. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 私は、その八〇%を聞いて驚きました。なぜ今六二・八%の納付率が八〇%に上がるんですか。今回の年金法は、厚生年金国民年金ともに空洞化が止めることができない、ノーだという答えが横浜で開かれた地方公聴会の公述人から多く寄せられました。今が六二・八%、なぜそれが八〇%に上がり、なぜ今年は七二・五なんですか。上がらないですよ。
  115. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 具体的に十四年度六二・八%、これ、市町村から国への保険料納付事務の移管あるいは免除基準の見直し、こういったことの要因があって六二・八ということでございますけれども、これは昨年本部を設置をいたしまして、一つには、まずは年金教育とか年金広報ということによりましてまず理解をしていただいて自主的に納めていただく、それから、未納の方につきましては催告状の送付なり電話あるいは戸別訪問によります納付督励、さらには、納めやすい環境作りということでコンビニエンスストアでの納付の開始、さらに、地域に根差しました同業者団体等に納付協力をいただくと、こういったことなどを含めて取組を進めてまいりたいと考えております。  それから、十五年度からは、十分な所得がありながら度重なる納付督励によりましても理解が得られない方に対しては強制徴収を実施する、様々な取組を現行制度の下でも進めてまいっているわけでございますが、今般の年金制度改正におきましても、例えば多段階免除制度の導入、あるいは若年者に対します新しい納付猶予制度の創設、さらには口座振替の割引と、こういった幾つかの仕掛けも入れているところでございます。  こういったことも含めまして、五年後八〇%という目標に向けまして努力をしてまいると、かように考えております。
  116. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 私は、六月三日、強行採決をされたことをとても残念に思います。  今の答弁聞いても、本当に何なんだと。今六二・八%で、今度の法律は、保険料を引き上げる自動年金保険料引上げ法案給付は引き下がっていくわけですね。今の納付率が、六二・八%が将来八〇%になるなんて思えないですよ。それは払えない人たちもいるわけですから。私は、厚生労働省の試算は、申し訳ないけれども、甘いか、ごまかしているか、都合がいいことを言っているか、いずれかだと思います。ひどいですよ。虚偽広告ですよ。なぜ一・二九、一・三二ではなく一・二九。しかも、今の納付率六二・八がなぜ五年後に八〇%に上がるのか、さっぱり分かりません。今のままだと、今の年金法だと、今の年金制度だと、納付率は下がりますよ。今の二十代、五〇%弱なんですよ、納付率が。厚生労働省の試算の根拠が極めて甘いと。こういうことを前提に、納付率八〇%を前提に年金の試算をされていらっしゃるわけですから、危ないと。何か、豆腐の上で何かダンスを踊っているぐらい、何か足下が危ういというふうに思います。  次に、年金制度に対する国庫負担について、これまでに巨額の繰延べが行われているが、これまで繰延べ額は幾らに上りますか。運用収入相当額も含め、答弁されたい。
  117. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 年金国庫負担の繰延べでございますけれども、厚生年金の方が平成七年度から平成十年度までの元本で二兆六千三百五十億円と、こういう数字になっております。それから、国民年金の方でございますけれども、これは平成六年度と平成七年度分の元本でございますけれども、四千四百五十四億円ということでございまして、合わせますと三兆八百四億円というのが元本でございます。  繰延べ分に対します運用収入相当額でございますけれども、これは将来手当てをすることになるわけでございまして、金利変動とか運用動向など不確定な面もございますので、現時点で一般会計の負担額がどの程度になるかということを明らかにすることは難しいということを御理解をいただきたいと思います。  なお、今申し上げましたものとはほかに、厚生年金の方で、昭和六十一年度から平成元年度までの繰延べ額、これにつきましては平成元年度の補正予算におきまして、これは元利合計額の返済見合い財源といたしまして一兆五千億円、こういう数字を厚生保険特別会計の業務勘定に特別保健福祉事業資金という形で設置をされているという状況があることも併せて申し添えさせていただきます。
  118. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 非常に多額なお金なわけですが、国民保険料引上げを求める以上、国の責任として直ちに年金特別会計に対する借金を返済すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  119. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 年金の国庫負担の繰延べ措置、これは先ほど申し上げたように、少し古い時点でございますけれども、国の財政が極めて厳しい状況にある中でやむを得ず取られた措置でございます。ただ、この繰延べ分につきましては、先ほど申し上げましたような運用収入相当分を含めまして返済されることにされているわけでございます。  私どもといたしましては、例えば平成十六年度の予算要求の過程でございますけれども、昨年のシーリングの閣議了解におきまして、予算編成過程において検討ということで予算編成までに財政当局と協議をしていくこととされて、事項要求といたしまして返済を厚生労働省としては要求をさせていただいたところでございます。十六年度予算におきましては返済には至らなかったところでございますけれども年金財政の動向等も踏まえて、私どもとしては今後ともできるだけ早く返済いただけるように要請をしてまいりたいと考えているところでございます。
  120. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 三兆円以上が貸しているわけですね。これは私は、少子高齢化の中で年金の保険の引上げが必要、給付の引下げが必要、それは本当にしようがなくて、頑張って財政やるけれども仕方がないということであれば国民の皆さんは納得をされると思います。  しかし、この委員会でずっと質問してき続けたように、百四十七兆円、今度、独立行政法人で日銀総裁以上に権限を持つ理事長が一人で決裁をし、国会への報告義務もないと。百四十七兆円を丸々投資していくという、非常に危険です。危険な、本当にみんなの貴重な保険料外国の国債、外国の債券、外国の株式、日本の株式、日本の債券を買うポートフォリオの割合も極めて高くなりますから、あっという間に何十兆円損失ということも起こるわけです。しかも、国会への報告義務すらないと。日銀総裁以上に重い権限を持ちながら、本当に勝手に年金の百四十七兆円運用していくシステムが残念ながらあの強行採決と同時に成立した法律で認められています。  今の話でも同じ話です。国民保険料引上げを求める以上、国の責任として年金特別会計に対する借金を返済して、私は、年金の安心のために、年金積立金であれいろんな財源であれ使えと思っています。なぜこれが即座に、あるいは早く返済を受けられないのでしょうか。
  121. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 先ほど御答弁ございましたように、厚生年金及び国民年金の繰延べ措置につきましては、極めて厳しい国の財政事情にかんがみまして実施されたものでございます。  それぞれの繰延べ措置につきましては、後日、運用収入に相当する額を合わせまして一般会計の方から繰り入れることとしているところでございます。返済の時期それから方法等、返済の具体的内容については、今後の国の財政状況、これを勘案しながら検討する必要があると考えております。  いずれにいたしましても、厚生年金保険事業あるいは国民年金事業の財政の安定が損なわれることのないよういたしてまいるつもりでございますので、この点については十分配慮してまいりたいと思っております。
  122. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 国家の予算が大変厳しいことはよく分かります。ただ、国の予算が厳しいから福祉を切り捨てると言われるわけですね。ところが、たくさん、さっきも三兆八千億お金を貸しているわけで、年金の安定のためになぜきちっと財政をやらないかという根本的な疑問があります。  今後、この年金積立金についてはきちっと監視、チェックをしていくこと、それから年金特別会計に対する借金の返済についてきちっと求めていきたいと思いますが、財務省、いかがなのでしょうか。
  123. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 繰り返しになりますが、先ほど御答弁させていただきましたように、年金事業の財政の安定が損なわれることのないようということはそれぞれの法律にも規定されているところでございますので、国民年金事業、厚生年金事業、それから国の財政、これをそれぞれ勘案しながら、今後どういうことにしていくかということが毎年の予算編成過程で検討していく必要があると思っております。
  124. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ちょっと話が戻って済みませんが、大臣出生率データの発表については大臣も怒っていらっしゃる、私たちとちょっと違う意味かもしれませんが怒っていらっしゃいますが、納付率八〇%というのは申し訳ないけれども甘いと思うんですね。今六二・八が何で八〇%に上がるのか、厚生労働省が八〇%の納付率で今回計算をされているというのは私は間違っていると思いますが、大臣、率直にいかがですか。
  125. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは少なくとも八〇%、上げなきゃいけない。八〇%という数字は、じゃなぜ八〇なんだと、なぜ一〇〇だと言わないんだという人もいるわけであります。しかし、そこは取りようでございますから、我々も努力をして、それはできるだけ八〇以上にしなきゃいけないというふうに思っています。今そこができていないのは、できなかったのはなぜかということをよく分析しなきゃいけないというふうに思います。  先ほど社会保険庁の方から申しましたけれども、ああしたこともあるんです。あるんですが、これは市町村に今までお願いをしておりましたのをこの社会保険庁でやるということになって、そして、今まで婦人会でありますとかあるいは自治会でありますとか、そういう皆さん方にいろいろとお手伝いをいただいて組織化をしてきた今までの組織が、それが壊れてしまったと申しますか、それを利用できなくなってしまったというところに最大の課題がある。そこをもう少し再構築をして、そしてこの制度を高めていく。もちろん、払えない人たちもおみえになる。その払えない人たちに対しましての手当てというのはちゃんとしていかなきゃいけない。しかし、払える皆さん方の中で払っていただくようにこれはしていかなきゃいけないわけでありますから、そこはこの税制の問題等とも絡めて、そしてできる限りここは上げていかなければならないという、そういうふうに思っております。
  126. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 試験で百点取るのがベストだけれども、なぜ一〇〇じゃないのかと。ただ、この八〇という数字は私は率直に言って高いと思います。努力目標を高く掲げることと現実の試算では、やっぱり現実の試算はシビアに計算をしなければ、計算が狂い、みんなに約束することが違ってきます。  国民の皆さんは、今六二・八%の納付率を、将来、五年後、八〇%になる前提でこの年金の計算をしていると聞いたら、きっと皆さん驚くでしょう。非現実的な試算の上に年金の計算をしていると思われるんじゃないですか。出生率でも計算が違う、納付率についても今と全然懸け離れた高い数字を出してくる。申し訳ありませんが、厚生労働省は今回の年金において、保険料給付率、出生率、納付率、いろんな点について本当に自分たちに都合のいい高い数字あるいは自分たちに都合のいいデータしか出さなかったと。それを前提に年金の計算を組み立てている。やっぱりこれはおかしいと、欠陥商品であるというふうに思います。  今、数字がおかしいんじゃないかとかぼろぼろ出てきて、ただ残念ながら、国会で強行採決をされた後なんですが、法案問題点については今また問題を指摘しなければならないということも極めて残念です。審議が十分されなかった面もあるというふうに思いますし、強行採決されたことに改めて抗議をします。  ところで、児童手当の問題なんですが、児童手当と扶養控除の関係について、児童手当の充実ということが今回図られておりまして、私自身も児童手当の充実を図っていく方が子供の手当という点では、扶養控除が高所得者に有利という面などもありますので、いいのではないかと思いますが、厚生労働省としては今後どのようなビジョンを描いていらっしゃるんでしょうか。
  127. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今お話ございましたように、扶養控除の問題、確かにございます。扶養控除はもう改めて言うまでもございませんけれども、やはり高所得者のところに非常に大きなウエートがあって、そして低所得者ほどその扶養控除の受ける恩恵は少ないというところがございます。したがいまして、扶養控除よりもこの児童手当という形の方がこれはいいというふうに思っている次第でございます。  今後どうしていくかということになりましたときに、この扶養控除の問題を今後どうするかという問題とセットになってくる話だというふうに思っておりまして、これらの税制改正と併せて議論を進めなければならない問題ではないかというふうに思っている次第でございます。
  128. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 今日御質問した出生率の低下もそうなんですが、私自身は、児童手当を増やしていく、子供のための予算がなかなか切り捨てられていくことがありますので、児童手当の拡充については大賛成です。ただ、厚生労働委員会で審議をしておりますと、本当の意味で次世代育成支援をする気があるのかと思うことがあります。  例えば、三月末に児童福祉法の改正法が成立をしました。公立保育園に関して国庫負担金をゼロにする、所得譲与税で当分賄うという中身です。公立保育園はどんどんどんどん今数が減っています。今回の改正法に伴ってますます、特に過疎地であれば所得譲与税が人口比でいきますから、人口の少ないところは公立保育園も作れなくなっていくだろうというふうに思います。その意味で、少子化少子化と騒いでいる反面、子供を育てることがとてもしにくい社会に制度がなっている。  いろんな人の人生を応援するのが政治であるはずなのに、子育てをするのが物すごく大変。地域に公立保育園がなければ子供を預けられないという人だって山ほどいるわけですから、私は、厚生労働省政策が極めてばらばら、本当に出生率を上げるために努力をされているのか、三月末に成立した法案との絡みでお聞きをいたします。
  129. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) これは、三月に児童福祉法等の改正で一般財源化についての御議論をいただきましたが、公立保育所という自治体が自らの責任で設置をしておるというところに着目をして、その運営費を一般財源化をしたということでございまして、国が二分の一持っておる分を地方が負担をするということで、財源の言わば付け替えでございまして、保育所の運営についてのいろいろな施設の基準でありますとか人員の配置の基準、こういったものについては国が統一的に基準を示して運営をしておるということでこれは維持されるわけでありますから、財源が変わったということからこれが質の低下というようなことに結び付くものではないというふうに御説明申し上げたことでありますし、そのように私どもはこれからも運営をしていくように考えております。
  130. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 一般財源化の中で、自治体が、実際は公立保育園ができなくなるのではないかというふうに大変危惧を持っています。その意味で、次世代育成支援と言いながら、実はあの制度が非常に公立保育園減少策を取られていますし、実際減少しておりますし、そういうことについては、私は、厚生労働省の対応を変えていただきたいというふうに考えております。  非正規雇用、非正規、ごめんなさい、その前に、育児休業の取得率の増加について、なかなか上がりませんし、男性の育児休業の取得率もなかなか上がってはおりません。この点についてはどうなされるおつもりでしょうか。
  131. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 育児休業につきましては、政府全体といたしまして、女性は八〇%、男性、これは〇・三三%の現状を一〇%程度までということが当面の目標でございますので、今年度中に各企業に策定をしていただきます行動計画、この中で、特にこういう働き方の見直し、それから育児と仕事の両立というところに特に力を入れて、企業それぞれの立場から企業の意識改革、それから労働者自身もこういう制度についての認識を深め、出産後できるだけ有給休暇を取得するといったような現実的な施策も含めて、家事に男性が参加をすると、こういう機運を高めていきたいというふうに考えております。
  132. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 是非これは高まって、働きながら子供を育てていくことができると、私自身もそうやって子育てをしてきましたので、それは本当に思います。  ただ、厚生労働省に申し上げたいんですが、現場からいろんな相談を受けると、実際はこの不況下の中で育児休業を女性も男性も取りにくい。あるいは、先ほど井上委員の方からJALのケースがありました。深夜業の免除を子供が小さいので言っても、なかなかそれが職場では取りづらい、あるいは働きにくくなる。子持ちの女はもう職場には要らないといった、実際はそうなかなか働きづらいという声をたくさんたくさん聞きます。  厚生労働省は抽象的に育児休業の取得率を高めるとおっしゃいますが、現場のそういう問題点についてもっとフォローしてほしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  133. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) これは、今回の、今年の計画作りに向けて今各労働局で説明会をやっておりますし、聞くところによりますと、非常に予想を上回るような企業の担当者が集まっておるというようなことでもございますので、社会全体としてはこういった問題についての認識が徐々に深まりつつあるというふうに私ども考えておりますし、この機運を一層増進をしていきたいというふうに思っております。  それから、特にファミリーフレンドリーといいますか、こういったものに非常に関心の高い企業もありますので、こういったリーディングカンパニーといいますか、こういったものの表彰制度とか、そういったものを通じて社会の認識を深めていくと、こういった面も特に力を入れていきたいというふうに考えております。
  134. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 最後に一つだけ簡単に質問します。前から率直に疑問なので、ちょっと素朴な質問で、今日、財務省が来ていらっしゃるので質問します。  私は、予算が高齢者には結構まあまあだけれども、子供に対してはなかなか、幼稚園、保育などに厳しいんじゃないかと思ったりするんですが、その点、率直にいかがなんでしょうか。
  135. 杉本和行

    政府参考人(杉本和行君) 現在、社会保障予算も二十兆近くなっておりますが、その中で老人それから少子化対策を始めとする次世代に対する育成、そういうものをどういうふうに考えていくかというのは非常に重要な問題だと思っております。  それぞれ、毎年、厚生労働省からの要求を受けまして、私どもの方で全体の中で査定させていただいているわけでございますが、その中で高齢者対策、これも非常に高額のお金を使うわけでございますが、それをどういうふうに効率化していくかというのも私どもの重要な観点だと考えておりますし、それから、少子化対策についてもどういう施策考えていくかというのも非常に重要な観点と考えておりますので、全体のパイが非常に限られている中、財政事情が厳しい中でどういったところに重点的に資源配分をしていくかというのは非常に重要な問題と考えておりまして、今後とも十分検討してまいりたいと考えております。
  136. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 質問終わります。
  137. 西川きよし

    西川きよし君 西川でございます。よろしくお願いいたします。  私は、本日は次世代育成支援についてまず御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  今回政府が提出をされました児童福祉法の改正でございますけれども、今、世の中本当にこれだけ虐待問題が深刻化されている中で、私も含めてですけれども、この改正には大変期待をいたしておりますし、全国の皆さん方も同じ気持ちだと思います。成立ができないことで影響が出ないかと心配する思いもございますけれども、そこで、まあ私もこういった内容についてもう次からは質問ができませんので、いろいろな角度から御質問をさせていただきたいというふうに思います。  まずは改正項目でございますけれども、慢性特定疾患対策についてまず御説明の御答弁をちょうだいしたいと思います。
  138. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 小児慢性特定疾患治療研究事業の見直しについてのお尋ねでございますが、今回の児童福祉法の改正を機に、これまで予算措置でやってきておりましたものを法律に基づく制度にきちんと位置付けようということで、制度をこれからも安定的に運営をしていけるようにということで、まずその法律にこの根拠を置くという改正を考えておるところでございます。  それから、中身につきましては、小児慢性特定疾患事業、今までずっと長い期間続けておりますが、最新の医学的知見に基づいてこの対象疾患の追加あるいは除外を行うということと、それから対象をある程度重症者に重点化をしていくということでございます。  それから、これまでいろいろ疾患ごとに扱いがばらばらでございました。一応十八歳まで今対象にしておりますが、十八歳から二十歳までの間、これも、十八歳到達時にまだ疾患、ある程度の状態にある場合には、引き続き二十歳までこの小児慢性特定疾患治療研究事業対象にするということを統一的にやろうということを考えております。  それから負担の面では、これまで無料でございましたが、他の公費負担医療との均衡等も考えまして、低所得者にはいろいろ配慮しつつ、ある程度の無理のない範囲の御負担をお願いしていこうと、そういった形で安定的にこの制度運営されるようにしていこうということでございます。
  139. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  これまで財政構造改革、こういった流れの中でこの事業も大変な不安定な部分もあったと思うわけですけれども、次の国会ではこうした法制化の実現を是非期待したいと思います。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  ただ、社会には、様々な病気によって苦しんでいらっしゃる、子供さんはもとより、お父さんやお母さんもたくさんいらっしゃいます。  実は、先日こういうお話をお伺いしたんですけれども、小児交互性片麻痺と。この委員会にいらっしゃる皆様方も、ひょっとすれば、そういった病気は聞いたことないな、きよしさん、という方もいらっしゃるかも分かりませんが、僕も聞いてびっくりいたしました。  この病気、全国に患者さんが三十人ほどいらっしゃるそうでございます。人数は少ないんですけれども、強い発作が起こりまして、本当にこの発作が頻繁に起こる。片麻痺、四肢麻痺など大変に重い障害でございまして、子供にとっては大変な負担の大きい病気でございます。  その親御さんからのお話ですけれども、今も申しましたように、この病気の原因が不明ということもありまして、お薬、つまり特効薬がございません。ただ、以前はフルナリジンという薬が大変な効果であったというふうに親御さんからはお伺いしております。このお薬を飲めば発作も極めて本当に少なく収まるそうではございますが、子供にも親御さんにも大変安心のできるお薬であったというふうにお伺いをしております。ところが、この薬は元々脳梗塞の後遺症などのお薬だそうです。四、五年前に承認の取消しというふうになったそうでございます。  残念ながら、こうした子供さんたち、この薬を飲めなくなったわけですけれども、そういたしますと、発作が出ます。やはり頻繁にこの発作が起こるわけで、皆さん方それぞれいろいろとお考えになって、海外の情報を集めながら個人輸入に頼っているそうです。本当にそれはそれは不安な毎日であると思います。人数は少ないんですけれども、そういったことをここでしっかりお伺いしたいというふうに思います。  何とか国内でこのお薬が手に入るような方法はないものなのかということで、親御さんたちは必死になっておられるわけですけれども、ここに大臣がいらっしゃっても、ここで、じゃ承認しようではないかといったそんな簡単なお話ではもちろんございませんし、そういった意味では、親御さんからは切実な声を聞くわけですけれども、何かお手伝いができないものかな。今後、親御さん、皆さん方相談等々ございましたら、本当に厚生労働省といたしましては是非優しく皆さん方の声をお聞きいただいて、何とか方法がないものか、お願いをしたいものです。どうぞお力を、頭を、アイデアをいろいろとかしてあげていただきたい、孫の手で接していただきたいと思います。  そして、この次世代育成という観点からは、こうした病気で苦しむ子供さんに対する支援、そしてまたすべての子供さんに対する健康づくりという面におきましても、今後ともよろしくお願いをしたいと思うんですけれども、今いろいろるる御説明をさしていただいて質問をさしていただいたんですが、これまでの質問内容で御答弁をまず局長さんにいただきたいと思います。
  140. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 医薬品の承認の取消しの問題、これは医薬品自体のいろいろ観点からそういうことが行われているんだろうと思いますので、ちょっと私担当でもないので分かりませんが、一般論といたしまして、先ほど申し上げました小児慢性特定疾患のような特定の疾患、大体今五百疾患でございますが、一定の、その治療が長期間にわたる、あるいは医療費の負担が高額であると、こういったメルクマールから対象疾患を、いろんな先生方の、専門家の先生方の意見を聴きながら選定をしておるところでございますので、そういった事業対象にならない、先ほど先生が申し上げられました小児交互性片麻痺、その他いろんな、患者の少ない、あるいは非常に特殊な疾患というのもまだあろうかと思いますが、こういったこういう病気を持つ子供たちにどう対応していくかということでございます。  一般論としては、保健所あるいは市町村の保健センターというのを窓口にいたしまして、こういう長期療養を要するような子供たちのための看護とか栄養、あるいはそういった食事療法とか、いろんな相談にあずかる、あるいは利用できる福祉制度を紹介するような、こういった相談、指導といったようなものを行っておりますし、相談に来所することが困難なようなケースにつきましては、必要に応じまして医師や看護婦等のチームでその家庭を訪問していろんな相談にあずかると、こういった事業も展開しておるところでございますので、保健所や保健センターに御相談をされて、そういった制度についてまず御活用をいただくということが基本的なことかなというふうに考えております。
  141. 西川きよし

    西川きよし君 これを聞いていただいて、大臣に一言だけ何かお言葉をちょうだいできればと思います。
  142. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この小児慢性特定疾患、まあ難病、小児難病でございますけれども、今まで法律がなかったものですから、一つ施策としてやっていたものですから、毎年毎年一〇%ずつ予算が少なくなっていくということがございまして、それでその分を都道府県でカバーをしていただくというようなことがずっと続いてまいりまして、限界になってまいりました。ここは法律をちゃんと作って、そして予算的措置をするということが大事ということで今回出させていただいているわけでございます。是非ここは各党の御理解を得て、そしていつの日かこれを作り上げたいというふうに思っております。  それから、今の小児交互性片麻痺の話でございますが、私もどこかで聞いたような気はいたしますけれども、どういう特徴のある病気であったか十分に覚えておりません。先ほどおっしゃいましたその薬は脳梗塞に効く薬としてできたんだけれども、脳梗塞に余り効果がないからというので取消しになったんでしょうかね。先ほどのお話聞いてそんな感じがいたします。  それで、もし、一度でき上がった薬であって、脳梗塞には効かないけれどもほかの病気には効くということであれば、その薬を使われるところが非常に少ないということになれば、これは製薬会社の効率からいうとあるいは悪いのかもしれません。しかし、効率は悪いけれども必要な薬というのもあるわけでございますから、そこを一遍検討をさせていただきます。よく調べて、そして復活できるものならば、何か復活する道はないのか、検討いたします。
  143. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  今、大臣がおっしゃってくださった内容の答弁のとおりだと思います。よろしくお願いを申し上げたいと思います。私も専門的に中身は分からないものですから、もっともっといろいろと角度を変えて御質問をしたいんですけれども、次に移らせていただきます。  次は、里親制度についてお伺いをしたいと思います。  この児童福祉法の改正案、それから今年度予算を見ましても、この里親制度には随分とちょっと力を入れてくださっているなというふうに、こういった質問ばかりさせていただいている私としてはうれしいんですけれども、その趣旨をまず大臣にお願いいたします。
  144. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 最近は児童虐待等も増えてまいりましたし、そういうお子さんだけではなくて、御両親を亡くされたお子さんもおみえでございますし、不幸な子供さんというのがかなり増えてきていることも事実でございます。  そのときに、施設にみんな入っているわけでございますけれども、ただ施設に入れていくというだけではなくて、里親制度があるわけでございますので、そうした温かい家庭的な雰囲気の中でそうしたお子さんを育てていただくということが非常に大事ではないかと。  日本はこの里親制度がございますけれども、なかなか引き受けていただく方が少ないというようなこともあるわけでございます。最近、積極的に里親になっていただく方を増やしていこうというので関係者の皆さん方にもお願いをいたしまして、そして取組を進めているところでございます。
  145. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。  様々な本当に事情があると思います。お年寄りの皆さん方もグループホームというような家庭的な部分での施設が増えておりますし、これも大変な勢いで増えておりますが、きっとそういった温かい家庭的なというような面で増えているんだと思いますが、そういった様々な事情でお父さんやお母さんと暮らすことのできない子供さんにとりましては、温かい愛情、そしてまた理解を持った里親さんに育てていただけることは極めて有意義な制度であると思うわけですけれども。  今大臣もおっしゃいましたが、四十年には一万八千人いらっしゃった里親さんも今では約七千人ということでございまして、大変な減少でございますが、その理由はいろいろとあると思うんですけれども、やはり里親さんの御苦労ですね。小さな子供さん、そして少し大きくなった子供さん、そして思春期と。この時期になると、子供さんも大変ですが、もうお父さんやお母さん方も大変だと思います。  相当な里親さんの御苦労だと思うんですが、そうした負担を里親さんがすべて抱え込むということではなしに、そんな状況が長年続いてきたわけですから、ここ最近になりましてそうした支援体制を充実させて、ただいま大臣もおっしゃいましたように、皆さんに理解をしていただく、そして今後更に強化をしていく、その上でどういうふうに考えて強化をしていくのかということを局長にお伺いしたいと思います。
  146. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 御指摘のとおり、この里親、登録数は先生御指摘のように減っておりますが、実際の委託をしておる里親の数は、平成十一年を底に、今いろいろ御説明のありましたようないろんな支援策が功を奏しているのか、今上向きに転じておるところで、これを一層進めていきたいというのが私ども立場考え方でございます。  具体的には、十六年度予算におきまして、やはりいろいろ難しい子供さんが増えておりますから、里親の方々も非常に御苦労が多い、それを側面からサポートするということで、新しく始めます事業ではございますが、一定の児童相談所に登録をしていただいた方々に里親の家庭を訪問していただいて、里親を支援すると、ヘルパーですか、そういう形で里親自身を一週間に一回とか二回訪問して支援をしていただくと、そういうことを始めようというふうに思っておりますし、それから、いろいろ子供によって悩みも違いますので、里親自身が定期的にお集まりをいただいて、そこで悩みを共有していただく、あるいは相談をしていただく、そういう場を設けたいというような、こういうことも考えておりまして、こういった事業を通じて里親の悩みを解消し、それから側面からいろんな御苦労を支援をしていくということで、ますます里親が増えていっていただければというふうに私ども願っておるところでございます。
  147. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。  いろんな方法があると思うんですけれども、以前、僕は、知り合いの人皆さん、ホテルのシェフだとかいろいろ、料理長だとかいろんな方々が御一緒に子供の施設へ慰問に参らせていただきまして、そして、まあめったに施設ではいただくことができませんフランス料理のコースなど、これをずっとスープからいただいてもらうわけですけれども、後でいただいたお便りにはみんな、大きくなったら料理長になる、シェフになるというお便りが大変多かったんですけれども、本当に大切なことだと思います。お年寄りの施設はお年寄りの施設で、また全く違った感謝のお手紙をいただいたりするんですけれども。  そこで、里親と育児休業制度の関係について、是非最後の質問でお伺いしておきたいと思うんですが、里親と育児休業、この育児休業制度については、実の子、それから養子縁組をしている子供さんについてはこの取得ができるわけですけれども、里親さんが里子のためにはこの育児休業がただいまは取れません。例えば養子縁組をするにいたしましても、すぐにこれはできるわけではございませんので、その間は仕事をやっぱり休めない、つまり仕事を辞めなければならないという問題が以前から問題になっておりましたし、そういうお話を多々お伺いするわけですけれども。ですから、里親になりたいけれども仕事を辞めることはできない、つまり収入が入ってこない、里親になっても子供さんを育てられないというわけですから、こんなケースも多々ございます。  特にまた、乳幼児と申しましょうか、本当に小さい子供さんの場合は切実だと思うんですけれども、里親さんの御負担を少しでも軽くしてもらう、そういった意味でこの問題、もう本当にこういった質問をする機会がなくなるわけですから、是非最後に、今後の検討課題といたしまして坂口厚生労働大臣にお願いをして、最後の質問にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  148. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 西川先生の最後の質問ですから、本当はいい答えをしたいわけでございますけれども、ここはなかなかちょっと難しいところでございまして、この里親制度にも有給休暇をという、なかなかそこまで現実問題として少し話は進んでおりません。  しかし、これ少子化対策の話でございますから、あれは駄目だ、これは駄目だと言っておりましては事は前へ進みませんから、今日はいいお答えをなかなか申し上げることできませんけれども、今後十分検討させていただきたいと存じます。
  149. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  150. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  151. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、民主党・新緑風会を代表して、児童手当法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。  百年安心の抜本的年金改革政府与党、自民党、公明党が数の横暴で無理やり成立させた年金関連法は、百年どころか一週間ももちませんでした。平成十五年の合計特殊出生率は、政府年金改革の前提とした一・三二を大きく下回り、とうとう一・二九へと低下したことが年金関連法案の強行採決の五日後に明らかになりました。  今回強行された年金改革の柱は、言うまでもなく保険料の引上げと給付水準の引下げであり、合計特殊出生率はその算定方式として導入されたマクロ経済スライドの重要な算定根拠の一つであります。  しかも、この重要な算定根拠となる直近の数値を、政府は、民主党の山本委員の要求にもかかわらず、年金審議に間に合わせようとしませんでした。隠ぺいとか後出しじゃんけんと批判されても仕方がありません。  もっとも、小泉総理御自身が、法律の根幹であるマクロ経済スライドをほとんど、いえ、全然理解していないわけですから、合計特殊出生率が一・二九となっても、そんな算定根拠、当たらなくったって大したことないとおっしゃるかもしれません。  いずれにせよ、百年安心の年金改革法は、成立した直後から大きくその前提が崩れ、早くも抜本改革とはほど遠いということを自ら露呈することになりました。国民年金制度に対する不安、不信を更に増幅させた政府与党、自民党、公明党の罪は極めて重いと言わざるを得ません。  そもそも、少子化に歯止めを掛けることが年金制度を始めとする我が国の社会保障制度を充実、安定させるために必要不可欠であるとしながら、果たして本気で取り組もうという姿勢があるのか甚だ疑問であります。  今回の児童手当拡充の位置付けも、総合的な次世代育成支援対策の一環として行うと説明してきましたが、支給対象年齢小学校三年生まで拡大する根拠について全く明らかでなく、政策決定のプロセスからしても疑問であります。本来ならば、児童手当に関する給付額対象年齢といったニーズを的確に把握し、その上で財源を積算していくのが筋ではないでしょうか。坂口大臣の答弁からも、その効果について科学的な検証がされなかったことは明らかであります。  また、先ほど与党公明党の委員からも指摘されたとおり、現在の児童手当が本当に子育ての経済的支援になっているのかが問題となっております。もちろん、五千円でも子育て支援の一部にはなるかもしれませんが、これがあるから結婚しようとか、子供を産もうとかのインセンティブになっているでしょうか。  既に効果を上げている欧州各国の家族手当とも比較して検討しなければならないと大臣自らが先ほどお認めになりました。つまり、一・二九という合計特殊出生率を深刻に受け止めるなら、今回のような、ほとんど子育て支援をやっていますというアリバイ作りのような改正案が出てくるわけはありません。  民主党は、次代を担う子供を産み育てる家庭の様々な負担を社会全体で分かち合い、支援すべきとの考え方に立って、児童手当支給対象年齢欧米諸国並みに少なくとも義務教育終了までに拡大すること、また支給額を教育費等の相当部分を賄うことができる額に引き上げることを提案しております。  政府の今回の改正案では、合計特殊出生率の回復どころか、その歯止めさえおぼつきません。単なる選挙目当てのばらまきと酷評された、あの地域振興券の発想からいささかも抜け切れていないと批判されてもやむを得ないと申し上げたい。  ここに改めて本法案に対して反対の姿勢を表明するとともに、だれもが安心して子供を産み育てることのできる社会を実現するために、本法の抜本的な改革を含め、育児休業、育児休業中の所得保障、保育サービス等、仕事と子育ての両立支援を充実することはもちろん、子育て支援全体の強力な推進を強く求めるものであります。  最後に、今国会の審議の在り方について一言申し上げたいと思います。  小泉総理は、国民年金は払うべきときには払っていましたと答弁しましたが、これはうそでした。衆議院厚生労働委員長は、年金の未納はないと衆議院での年金強行採決まで言っていましたが、これもうそでした。もっとも、最後まで国民年金の納付状況を明らかにせずに強行採決に参加した自民党の厚生労働委員よりは私は評価できるとは思いますが。  政府は、年金給付額は現役世代の五〇%を割らないと説明してきましたが、うそでした。厚生年金保険料は一八・三%で固定すると言っていましたが、うそでした。国民年金保険料は一万三千三百円から一万六千九百円になるが、これ以上は上げないと言ったのもうそでした。参議院では中央公聴会を開くと言っていましたが、これも結果的にうそになりました。  うそでうそを塗り固めた年金国会。しかも、最後に少子化対策のアリバイ作りとしか言えない児童手当の拡充案を成立させようとする。まさしく国民を愚弄し、国民を無視する政府与党、自民党、公明党の姿勢を私は許すことができません。  まじめに一生懸命働いて保険料を納め、つつましく老後を暮らす国民の怒りを込めて、私の反対討論といたします。
  152. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。  近年、少子化は未曾有の速さで進行しており、今後の我が国経済社会に広範かつ深刻な影響を及ぼすことが懸念されるところです。私は、今日の急速な少子化の流れを変えるとともに、少子高齢社会を見据えた社会システムの構築を目指すことが急務の課題と考えます。  私は、児童手当支給対象年齢を引き上げる今回の改正案については、次の理由から時機を得た的確なものであると考えます。  第一に、児童手当の拡充は、仕事と子育ての両立支援、保育などの育児支援などとともに、子供を産み育てやすい環境の整備を図る上で重要な柱になると考えるためです。  もとより、少子化対策は、雇用、保育、教育、住宅など、幅広い施策を総合的に展開することが肝要ですが、とりわけ、子育ての経済的支援を求める国民のニーズは極めて高いものがあります。  各種の国民意識調査から見ても、夫婦が理想と思う子供の数をもうけない最大の理由の一つは子育ての経済的負担の重さであるとしているほか、子育て家庭の半数が今後充実が必要な子育て支援施策として子育ての経済的支援を選択していることから見ても、その必要性は明らかです。  第二に、急速な少子高齢化の進展や右肩上がりの経済成長の終えんにより、現役子育て家庭の経済的負担が重くならざるを得ない状況の中で、児童手当の拡充は、子育て家庭への所得再配分を通じ、将来にわたり若い世代が社会を支え、活力を発揮していく上で重要な政策手段であると考えるためです。  さらに、高齢期に偏った社会保障の給付負担構造を改め、世代間の公平の確保を図り、社会保障の持続可能性を高める上でも重要な役割を果たすものと考えます。  最後に、本委員会においても度々指摘されておりますように、充実した児童手当制度を有する欧米諸国との比較の観点から見ても、児童手当の拡充は必須の政策課題であると考えます。  最近では、アメリカ・ブッシュ政権やイギリス・ブレア政権において、我が国の児童手当に相当する児童税額控除を大幅に拡充するなど、子育ての経済的支援の取組を進めていることを付言しておきます。  このように、今回の児童手当の拡充については、総合的な次世代育成支援対策として重要な一歩を踏み出したものとして高く評価をするものであります。  以上、児童手当法の一部を改正する法律案について強く賛成することを表明して、私の賛成討論を終わります。
  153. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  児童手当法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  154. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会