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2004-06-10 第159回国会 参議院 厚生労働委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月十日(木曜日)    午前十時九分開会     ─────────────    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任      愛知 治郎君     宮崎 秀樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         国井 正幸君     理 事                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君     委 員                 有村 治子君                 金田 勝年君                 佐々木知子君                 斎藤 十朗君                 田浦  直君                 伊達 忠一君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 宮崎 秀樹君                 朝日 俊弘君                 大脇 雅子君                 柳田  稔君                 山本 孝史君                 渡辺 孝男君                 井上 美代君                 小池  晃君                 西川きよし君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君        厚生労働大臣  谷畑  孝君        厚生労働大臣  森  英介君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       竹本 直一君        厚生労働大臣政        務官       佐々木知子君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        外務大臣官房領        事移住部長    鹿取 克章君        厚生労働大臣官        房総括審議官   井口 直樹君        厚生労働大臣官        房審議官     大石  明君        厚生労働省職業        能力開発局長   上村 隆史君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○児童手当法の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○社会保障に関する日本国アメリカ合衆国との  間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例  等に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○社会保障に関する日本国大韓民国との間の協  定の実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関  する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三日、愛知治郎君が委員を辞任され、その補欠として宮崎秀樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  児童手当法の一部を改正する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等児童家庭局長伍藤忠春君外七名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 次に、児童手当法の一部を改正する法律案社会保障に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案及び社会保障に関する日本国大韓民国との間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案の三案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。坂口厚生労働大臣
  6. 坂口力

    国務大臣坂口力君) おはようございます。  ただいま議題となりました三法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  まず第一に、児童手当法の一部を改正する法律案について申し上げます。  急速な少子化進行等を踏まえ、総合的な次世代育成支援対策を推進するため、子育てを行う家庭を経済的に支援することが喫緊の課題となっております。  このため、三歳以上義務教育就学前の児童に係る特例給付支給期間を延長することにより、子育てを行う家庭経済的負担軽減等を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。  この法律案概要につきまして御説明を申し上げます。  三歳以上義務教育就学前の児童に係る特例給付支給期間を、小学校第三学年修了前まで延長することとしております。  なお、この法律施行期日は、平成十六年四月一日としております。  また、この法律案につきましては、衆議院において、この法律施行期日を公布の日とするとともに、平成十六年四月一日にさかのぼって適用することとする修正がなされております。  次に、社会保障に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、社会保障に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定実施するため、厚生年金保険法を始めとする公的年金各法及び健康保険法を始めとする公的医療保険各法について被保険者資格に関する特例を設けるほか、公的年金各法について、給付支給要件及び給付の額の計算に関する特例を設けるものであります。  以下、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一は、被保険者資格に関する特例であります。  アメリカから我が国に一時的に派遣された者などは、公的年金各法及び公的医療保険各法に関し、被保険者としないなどの特例を設けることとしております。  第二は、給付支給要件に関する特例であります。  公的年金各法の給付支給要件について、アメリカ年金制度保険期間我が国年金制度に加入していた期間に算入するなどの特例を設けることとしております。  第三は、給付の額の計算に関する特例であります。  ただいま申し上げました特例に関する支給要件を満たした場合、我が国年金制度に加入した期間に応じた額を支給することとしております。  なお、この法律施行期日は、協定効力発生の日としております。  最後に、社会保障に関する日本国大韓民国との間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案について申し上げます。  この法律案は、社会保障に関する日本国大韓民国との間の協定実施するため、厚生年金保険法を始めとする公的年金各法について、被保険者資格に関する特例などを設けるものであります。  この法律案概要について御説明申し上げます。  韓国から我が国に一時的に派遣された者などは、公的年金各法に関し、被保険者としないなどの特例を設けることとしております。  なお、この法律施行期日は、協定効力発生の日としております。  以上、三法案提案理由及びその内容概要について御説明申し上げました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いを申し上げたいと存じます。ありがとうございました。
  7. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 山本孝史

    山本孝史君 おはようございます。民主党・新緑風会の山本孝史でございます。  冒頭、先週、本委員会におきまして年金法案が、総理に対する質疑の途中で、三人も質問者を残して、強行で自民、公明両党によって質疑打切り動議が出て強行採決されるという事態を招きました。私は、このことについて、委員長もいろいろとやっておられましたけれども、しかし、こうした正に暴挙は、日本民主主義を破壊することですし、この公的年金制度に対する国民不信を更にかき立てる、その結果しか招かない、そのことをまず冒頭指摘をして、強く抗議を申し上げます。  さて、今日の議題になっております法案年金協定について、外務大臣にお越しをいただいておりますので、後の公務がございますので冒頭お聞かせをいただきたいと思いますが、日独日英に続いての日米日韓協定でございますけれども、これはこちらの日本の、我が国の方から申入れをして協定を結ぼうとしているのか、あちらの方から協定を申し入れられてしておられるのか。ほかのたくさんの国も協議対象にはなっているようですが、これはどちらが呼び掛けをしてやっていることなのでしょうか。
  9. 阿部正俊

    ○副大臣阿部正俊君) お答え申し上げます。  山本先生既に御存じのとおりでございまして、この種のものは、どちらが先にということよりも、相互の人的あるいは企業交流規模とか、在留する邦人、あるいは外国で言うと日本におるそれぞれの国々の人や企業規模等々から、言わばおのずと条件が整ってくるというような状況現実だと思います。  御存じのとおり、例えば日米につきましては、私も実は、二十数年前ですけれども、関係しておったんでございますが、そのころから私どもの方からも呼び掛け、向こうの方も事務方としてはそうかなというようなことでやってきたんですけれども、時の政権の交代がありまして、歳入が一時的に、五年間の言わば短期派遣者につきましての保険料免除ということ、免除といいましょうか、徴収しないということが大きく響きまして、一時的に歳入が減るというような状況アメリカ政府が気が付きましてといいましょうか、というような理由交渉が打ち切られたりした経過がありまして、どちらが先というよりも、機が熟してきたのかどうなのかということでやってきたのが現実でございますし、これからもそうしたふうなことを十分心得ながら、状況が、人の交流だとかあるいは各企業の希望だとか、そういうことを念頭に置いて、できるところから順次ちゅうちょなくやっていくというような姿勢でいきたいと、より積極的に姿勢を持ってということは、これまで以上にそんな姿勢で臨みたいと、こんなふうに思っております。
  10. 山本孝史

    山本孝史君 本委員会調査室がお作りいただきました資料に、この社会保障協定締結状況という、外務省資料より作成というのがございまして、お聞きをしますと、社会保障協定締結については、相手国から申し入れられるということがずっと過去あって、日本の側から申込みをしている、こちらが能動的に動いているという国はほとんどないんじゃないか。日独日英協定のときもそうでしたけれども、非常に長い時間掛かっているわけですが、その間いろんな状況があってなかなか交渉は進展しないということは私も承知しておりますが、外務省なり厚生省なりがどれだけ能動的にこの協定を結んでいこうとしているのかと。  今度はEUが一つの固まりになってきますよね。すると、二か国間協定をするのか、あるいは多国間で一括した交渉をするのかというこれからの交渉の方針もあるでしょうし、そのことも含めて、向こう側が一生懸命、向こう側申込みをしているのか。例えば、我が国から向こう側に対して申込みをしたという、私たちの方が先だったという国はあるんですか。
  11. 阿部正俊

    ○副大臣阿部正俊君) 率直に申し上げまして、先ほど言ったような状況が熟したらということでございますので、以前から申し入れたというふうな形は今までございません。そういう形を取っておりませんで、ただ、現実問題として、現在フランスとベルギーについては具体的な形で交渉中でございます。あと、交渉ちょっと一段階前の段階でございますが、カナダとかオーストラリアとかの国々とは、現在実務レベル意見交換が行なわれているというような状況でございますので、それからいいますと、国際化ということは避けられないし、是非積極的に対応をすべきだと考えますので、外務省といたしましては、そうしたふうな条件が整いつつある国々とは積極的に交渉を展開するようにこれからもやっていきたいし、関係省庁においてもそのように願いたいものだというふうに思っております。
  12. 山本孝史

    山本孝史君 こちらの方から申入れをしたことはないと、こういうことでございますので、今回の年金については一元化という言葉があちこちで出てきますけれども、日本社会保障制度外国社会保障制度のある意味では一元化ということもあります。  期間の通算をどうするかということがあったり、あるいはそれぞれの物価が違ったりしてなかなか難しいということは承知をしておりますが、あちらの国の方も日本にたくさんおられる、日本からもあちらの国にたくさんおられるという国はオーストラリアですとかタイですとかたくさんの国がございますので、先ほど御指摘申し上げた、これからもバイでやっていくのか、あるいは地域間でやっていくのかということも含めて、是非外務省そして厚生労働省力を合わせて、年金に加入している、あるいは医療保険に加入していることの通算なり、あるいは二重加入の回避ということに努めていただきたいと思っております。  所管外のことですので阿部大臣に聞いても多分お答えいただけないのかもしれませんが、厚生労働省に、旧厚生省におられて年金のことについても造詣が深い副大臣ですので、私的に話をしますと、基礎年金というのはバーチャルなものなんだと、あれをバーチャルじゃなくてしっかりとした制度にするのが年金改革の根幹なんだよと、こうお教えをいただいたこともございまして、所管外の副大臣、多分御発言いただけないんだろうと思いますが、今回の年金法案、元OBとしてはどんなふうに見ておられますか。
  13. 阿部正俊

    ○副大臣阿部正俊君) 当委員会での様々な御苦労をいただきましたので、それに対して私あれこれ申し上げる立場にございませんので、それは御遠慮させていただきたいと思います。  ただ、年金改革といいますことにつきましては、やはり政治的なその時々のテーマということだけで取り上げるのは余りいいことではないんではないかなという気がしておりまして、できるだけやはり与野党を超えたといいましょうか、国民的な納得ということを目指して努力していってもらいたいものだなという気持ちは持っております。  特に、基礎年金につきましては様々な議論が展開されましたけれども、やはり将来いずれの時期にやはり基礎年金は本当に一元化しませんとまずいんじゃないかというふうに、気持ちは、私的な意見としては持っております。  一人一人がやはり国民連帯世代間連帯のあかしの一番ポイントとして加入し、かつそれを自覚する。そのためには、毎年の保険料納付状況等々につきまして、私はポイント制と言っていますけれども、確認をした上で保険者の方から各人に連絡をし、自覚を促していくということが絶対必要なものじゃないかと。  と同時にやはり、あえて申し上げますと、言わばIDといいましょうか、一人一人がどういう年金制度に加入しておるのか、それから社会保障制度というのは連帯という前提に成り立ちますので、年金だけではなくて、医療保険介護保険も同じIDということを前提にして組み立てていくということの構築がいずれ求められてくるんではないかということを強く、今回のいろんなことをよそから見ていまして、なおさらそんなふうなことを個人的には強く感じた次第でございます。  以上、余計なことを申し上げましたけれども、お許しください。
  14. 山本孝史

    山本孝史君 そういう自由な御発言といいましょうか、それぞれ政党の枠を超えて、あるいは立場を超えて年金というものについてそれぞれ持っている意見が自由に言い合えるということが私は非常に重要だと思っています。そういう流れを強行採決をしますと断ち切ってしまうわけですから、こういうやっぱり国会審議をしてしまうと、私は非常に問題があると思っています。  阿部先生にはいろいろとお教えをいただいているところもございます。学生に対して保険を適用することがいいのかどうかというのも先生厚労省におられたときに決断されたことでございますが、そのことも含めていろいろと議論したいと思っています。  お忙しい時間ですので、どうぞ御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  さて、今朝の朝日新聞と読売新聞、ともにトップになっておりますのは、合計特殊出生率が昨年一・二九ということで、想定の一・三二を下回ったという記事が両方に出ております。一つ新聞だけですと若干誤報かなと思ったりもしますが、二つの新聞に同じ内容で出ていますので、恐らくこういう内容なのかなというふうに思います。  先週の委員会坂口大臣に、これまで発表は早ければ六月の五日、あるいはその前は六月十一日といったような日にちもあるので、そろそろこういう数字を公表された方がいいのではないかと、こう申し上げたんですが、まだ私の手元には来ておりません、こんなふうにおっしゃいました。しかし、今日こんな数字も出ておりますので、この数字信憑性は一体どうなのかということをまずお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  15. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、皆さん方にこの委員会で正式に申し上げる前にマスコミに出たということを大変私は残念に思っておりますし、お断りを申し上げなければならないというふうに思っております。  私もまだ詳細、今日帰りましてから午後に状況を聞くことになっているわけでございますが、前回年金制度の改正のときに、山本議員の方からもうぼつぼつ出るんではないかというお話があったわけでありまして、そのときに出ないということを言っておいて、そして大臣にも報告せずにマスコミに流すという、誠に遺憾なことだと私は思っております。  昨夜から怒っているところでございますが、手順が間違っているというふうに思っております。まず、今日この委員会があることを分かっているわけでございますから、私からまず皆さん方に御報告を申し上げるのがこれは筋だというふうに思っていたわけでございますが、そういう手順が踏まれていないということに対して、優秀な職員であることには間違いないんですけれども、優秀なこととそうしたことをわきまえるということとは別な話でございまして、優秀だからみんなそうなるとは言えないわけでございますが、いずれにいたしましても、大変こうした内容を、きちんとした手続を踏むことなしに、だから、この数字がきちっとしたものなのかどうなのか、私もまだ十分にそこを検証してないわけでございますが、こうした数字が外に出る、マスコミにそうしたことをすぐ出してしまうということは、大変私は残念なことだと思いますし、厚生労働省としてそれはあってはならないことだというふうに思っております。そうしたことが社会保険庁政治家年金状況につきまして多数のアクセスが生じたりというようなこととも私は関連をしているように思えてなりません。  ここは、やはり役所としてどういうことが一番大事なのか、国会にどう報告するかということがいかに大事なことなのか、そうしたことをもう一遍しっかりとこれは締め直さなければいけないというふうに思っている次第でありまして、外に流した者につきましてはそれ相応の処罰をしたいと、そんなふうに思っている次第でございます。
  16. 山本孝史

    山本孝史君 先回も御指摘申し上げましたけれども、十四年が一・三一八六、そのずっとトレンドで下がっていきますと一・二九台に落ち込んでくることはまず間違いないだろうと、こう思ってはいますけれども、これは、一・二九は四捨五入して一・二九ですので、一・二八五というような低い数字もあり得るわけですね。  いずれにしましても、これまでの平成十四年一月推計の将来人口推計では、二〇〇七年、平成十九年に一・三〇六二二で底を打って一・三九まで戻っていくということを前提に今回の年金制度が設計されていますので、もうそこの数字を下回ってきているわけですから、児童手当の問題もありますけれども、このトレンドをどう読み込んで年金制度の将来像を見据えていくのかということについては、やはり基礎的な数字でございます。  この数字がやはり、その公表が遅れるということが、意図的ではないとしても、隠している、非常な隠ぺい体質がある、もっとほかに重要な数字があるんじゃないか、出てくる数字がひょっとしたらごまかされているのじゃないかという思いにつながって、回り回って年金制度というものに対しての不信が更に深まっていくということになりますので、そういうことになるということを前提に置きながら、やはり情報というものを、正確な情報をできるだけ早く国民の側に正直に知らせて、そしてどうしていったらいいかということをともに考えていくという姿勢がないと困ると思っています。  今日終わった後でお聞き取りということでございますし、まだ国会閉幕までに時間はあります。できるだけ早く、小数点以下でどのくらいまでになるのかということを含めて、正式にこの国会の方に御報告をいただきたいというふうに思います。  委員長、よろしくお願いをいたします。
  17. 国井正幸

    委員長国井正幸君) この扱いにつきましては、後刻、理事会でしっかりと協議をさせていただきたいと思います。
  18. 山本孝史

    山本孝史君 ちょっと時間を食っていますので、児童手当の問題については一問だけにさせていただきますが、少子化社会対策大綱が先般発表をされまして、拝見をしておりますと、中に、重点課題に取り組むための二十八の行動というたくさんの対策が並んでおります。その一番最後が実は児童手当なんですね。児童手当を増額する対象範囲を広げるということについて頭から反対をしているわけではありませんが、これからはあれもこれもということが財政上できなくなってきている、あれかこれかを選択しなければいけない、政策の中に優先順位を付けなければいけない時代が来ていると思っておりますけれども、今回、財源が手に入れることができたという中で、その財源を基にしていわゆるこの少子化社会対策大綱の中に書かれた政策のどれを選ぼうかというときに、なぜ児童手当が最優先に選ばれたのか、そのことについて御説明をいただけますか。
  19. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 少子化対策をこれから様々な角度から進めていかなければならないというふうに思っておりますし、なかなか特効薬的なものがありませんから、幾つかの少子化対策を組合せをしていかなければならないというふうに思っております。  我々の方も、前回のこの児童手当小学校に入学するまでの間に引き上げましてから、その後検証をいたしております。これは、子供のいる家庭、それから子供のいない家庭、あるいはまた所得、家族全体の年収別、そうしたことを基にしまして、細かくこの児童手当につきましての御意見というものを聞いているわけでございます。  しかし、これを聞きます範囲におきましては、他のもちろん保育所等充実の話でございますとか、あるいはその保育所内容の質の充実の話でございますとか、そうしたものもございますが、やはり経済的な理由を挙げておみえになるところもかなりたくさんございまして、子供のおります範囲といたしましては七二・六%がこれをやはり必要だということを言っておりますし、子供のいない家庭におきましても四八・五%のこれは必要だという意見が出ております。  もちろんのことながら、年収別に見ますと、これは年収の低い層のところにより強くこの必要性が出ているのは当然の結果といえば当然の結果でございまして、こうしたことも我々も分析をしながら今進めているところでございます。  これから先どうするかという話にもこれはなってくるというふうに思っておりますが、この少子化対策につきましては、もう少し科学的な検討が必要だというふうに思っております。  スウェーデンに参りまして、いろいろと具体的なことを教えてもらいましたときに、いろいろの政策課題を出しまして、この政策を導入すれば少子化に対してどれだけの影響があるかということを数字化をいたしておりまして、そしてそれに従って政策優先順位を決めていくということをやっておりました。それで、思ったようにそれがいかなかった場合には、なぜそれがまたいかなかったかということをまた検証をいたしましてその結論を出している。私、非常に興味深くそれを見せていただいてきたところでございまして、こちらに帰りましてから、日本もそれをすぐできないかということを言ったわけでございますが、それを行うためにはもう少し基礎的になる様々なデータが必要だといったことでございましたけれども、もうぼつぼつ私はできるのではないかというふうに思っております。  したがいまして、今後どの施策をより中心にして行っていくかというのは、もう少しより科学的な検証を行って決めていくということが大事ではないかというふうに思っておりまして、そうしたことに着手できるように取り掛かりたいというふうに思っております。今、そうしたことを考えているところでございます。
  20. 山本孝史

    山本孝史君 児童手当をなぜ今回優先させたのかということについては、これからは科学的な調査をして科学的な根拠をもって決めるとおっしゃっているだけであって、私の質問には直接には答えられていませんけれども、これまで公明党さん御主導で少子化対策臨時特例交付金というのを全国で配賦をされて、そのことがどのぐらい少子化対策になったのかということについてしっかり検討すべきじゃないかと前も私申し上げました。  全国一律にやっていくことでなかなか効果は上がらないということはありますから、そういう意味でやっぱり順序が逆でして、私は、これだけのお金があるのであれば、例えば学童保育を充実するとか、あるいは保育所の整備等々をするとかという方が私は政策選択順位としては優先されるべきだろうと思っています。現金給付をするのか現物給付をするのかということについてもう少し慎重に議論をされた上で、この児童手当というものの小学校三年生まで拡大をする、これも、どう拡大するかということについて、一子のところに重点を置くのか三子までいくのかということもいろいろあると思いますから、もう少し議論をした上でこういう形で決めていただきたいというのが私は思いです。選挙のために児童手当をやるということはやめていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。  先ほど御発言あって、私、御指摘が順序しましたが、少子化合計特殊出生率の数の問題ですけれども、大臣報告するよりも外に出したやつがいるからそいつを処罰するんだと、こういう趣旨でおっしゃいましたが、それは違います。なぜその公表を遅らせているのかということについて、それを処罰の対象にしてください。もちろん大臣報告しなきゃいけないということは、それはそうですけれども、しかし数字が、必要な数字がそのときに出てこない、そのことを意図的に遅らしているということがあるのであれば、これはもう厳罰であって、それはもう即刻解雇しても私はいいと思っています。大臣、今御自身の気持ちとして、なぜおれに言うよりも先にマスコミに出したんだと、こういう御答弁でしたけれども、いやそれは違いますと。内部通報ということもこれから公益性の保護として出てくるわけですから、若干そこは違いますという意味です。
  21. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私が申し上げておりますのは、やはり今日この委員会があるわけでございますししますから、委員会にまず報告をするというのが私は手順だということを申し上げているわけでありまして、それをそうしたことを抜きにして、そして先にマスコミに出すというようなこと、そうした行き方をこれは私は許しておいてはいけないということを申し上げているわけであります。
  22. 山本孝史

    山本孝史君 済みません、私の聞き取りが悪かったのかもしれません。申し訳ありませんでした。  先回の議論が途中で総理のマクロ経済スライドの発言で変な方向に行ってしまったものですから、質問がほとんど残ってしまっているので、大臣ともう少し年金の問題についてこの際議論をさせていただきたいんですが、資料をお配りをさせていただいていると思います。これは、出典がなくて恐縮ですが、資料の一は、社会保険庁作成の平成十四年国民年金保険者実態調査結果でございます。国民年金の未納者、未加入者の世帯の所得がどうなっているのかという分布状況で、これは高額所得者であっても未納している人が多いよということの説明によく使われる絵ですけれども、私が御指摘申し上げたいのは、実は、国民年金に加入している人の所得、世帯所得が八百万、九百万、一千万を超えるところにもたくさんの方がおられるということなんです。お医者さん、弁護士とまで言わなくとも、ここにおります国会議員もここのところに入ってくるわけですね。私たちもたくさんな歳費をいただきながら毎月一万三千三百円の負担で済んでいるということになっているわけです。  そういう状況にありますよということを申し上げて、先般もこのボードでお話を申し上げました。例の一元化の問題です。(資料提示)  申し上げているのは、被保険者年金の共済とか厚生年金、ここをまず一元化しようと、こうおっしゃっているわけですけれども、国民はそろって国民年金に入っていると。自営業者等々の方たち、すなわち、勤め人の人たちは国民年金の第二号被保険者、その奥様方は第三号被保険者、それに入っていない人たちは全員第一号被保険者と、こういう形になっていて、いずれにしても全員が国民年金に入っているんですと。給付は確かに一元化された。同じように入った月数に応じて皆さんここは給付を受ける。ところが、負担の構造が一元化されていないと、こう申し上げているわけです。  厚生年金に入っている人たちは、一三・五八%のうちの五%、ほぼ五%がこの国民年金の第二号被保険者保険料に該当すると。しかし、ここは所得比例ですから、九万八千円から六十二万円まで、それぞれ所得に応じて払っておられる。ところが、第一号被保険者は、今申し上げましたように、たくさん高額の所得のある人であっても一万三千三百円で済んでいる。非常に少ない所得の人であっても一万三千三百円払わなければいけないという形になっていて、ここのところの実は負担の構造が、国民年金給付の構造は一元化しているが負担の構造は一元化していないんだということを申し上げていて、私は、先ほど阿部先生もおっしゃいましたけれども、阿部大臣おっしゃいましたが、ここの基礎年金をしっかりとしたものにするということが重要なんだと。そこの、副大臣おっしゃいましたように、一元化というときに、ここのやっぱり負担の構造なんですよね。  それで、この前申し上げ掛けていたのは、ここに今度段階的な免除制度が入ってきますが、こっちの上の方の人たちにも所得に応じて介護保険と同じように段階保険料を設けて、そして所得に応じた保険料を払って、しかし給付を受けるときは、今の同じ体制を持っているということであれば、定額の給付をするということであれば、少し負担という構造の中でより公平性が出てくるのではないかと、こう申し上げているんですが、この考え方、少しお考えいただいたと思うんですが、大臣、どんなふうに受け止めていただいていますか。
  23. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先般、この委員会におきまして山本議員からそのお話聞きました。私は、その話は実はあのときに初めてだったわけでございます。いわゆる民主党さんの一元化のお話というのは僕は違うふうに理解をいたしておりまして、なるほどそういう御意見あったのかということを私は初めてお聞きをしたわけでございます。いわゆる基礎年金におけるいわゆる所得比例で負担をしていくということなんだろうというふうに思っておりまして、それは一つの考え方だというふうに私も思っております。  ただ、それをやりますためには、ある程度所得の把握というものをちゃんとしていかなければいけないというふうに思いますが、きちっと所得が把握ががんじがらめにできなけりゃそれは不可能かといえば、もう少し粗い形、例えば三段階とか五段階だとか、そういう段階でならばある程度それは可能なのかもしれないというふうに、私個人はそれを見せていただいた後も実はそういうふうに思っていた次第でございます。  今後、その所得把握の問題、これ絡んではきますけれども、その辺の整理をしながら、今後の検討課題一つとして考えていっていいのではないかというふうに私は思っております。
  24. 山本孝史

    山本孝史君 民主党が示した案はファイナルの姿でして、そのもう一つ向こうなんですね。国民年金にもいわゆる二階部分が付いてきて、全部を一つの形に収めるとこうなりますねと、そこまで最終的に行くんだけれども、その前段階においていろんな道筋があるだろう、富士山に登るにも、表からあればこっち側の道もあるという話で、申し上げている、やっぱり基礎年金の負担の構造を一元化する、基礎年金一元化するというときに、いわゆる年金制度一元化するというときに、やっぱり基礎年金をどうするかという問題が一番重要なんですね、未納、未加入の問題にしても第三号の問題にしても。  だから、そのうち、所得の捕捉ができないと、こうおっしゃるんだけれども、介護保険はもう既にやっているわけです。武蔵野市は十段階にしてみたらどうだと、こうおっしゃっているんです。そこはいろんなやっぱり段階の切り方があると思うので、今の形よりもより公平な負担をしているという形に持っていって、さらに、もちろん所得の捕捉をできるだけ努めていって、そういうものが合わさってきたら、将来的にもっといい、もっと所得に比例した制度になっていくのじゃないか。そうなってくれば、二階を付けることは選択制としてそれはでき得るだろうというふうに思っているものですから、そこをひとつ研究してみていただいたらどうだろうと思っているわけです。  それと、もう一つ大臣に、これは大臣のお気持ちを確認しなければいけないんですが、六月七日の日経新聞に、大臣が札幌で講演をされて、それで、十四年連続の保険料の引上げについて、年収の一五%に達する二〇〇七年度をめどにその保険料について検討をすると、こうおっしゃったというんですね。保険料一五%くらいのところで、年金財源について、税か保険かよく判断させてもらう機会が欲しいと、こう講演で述べられたということなんですが、そこら辺の真意を教えてください。
  25. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこは全く私はそういうことを申し上げておりませんで、他の新聞社の皆さん方もお見えになりましたけれども、全然そういうことは書いておりません。私もそういうことを申し上げたつもりはございません。  ただ、連合等が、一五%に達するまでにその話合いの結論が出るようにしてもらいたいという御意見があるということを申し上げたまででありまして、そこをどうするかということは私は申し上げておりませんし、また、我々は、社会保障全体の中でどれだけの税と保険料の負担をしていくのか、その中で年金におきましては税と保険料の負担がどうなっていくのかといったようなことを総論の中から考えていかなきゃならないだろうということを申し上げたわけでありまして、そうした中で、今後、いろいろのこの年金に対しましてもどれだけの税が導入される範囲があるのかといったことは、全体の中からそれはおのずから出てくるだろうと。そうしたことを今後やっていかなければならない、そうした話合いを今後しっかりやっていかなければならないということを私はそのときに申し上げたわけでございます。
  26. 山本孝史

    山本孝史君 経団連も連合も、上限は一五%程度にしてほしいと、こうおっしゃっておられる。そうすると、当然、抑えるということはその分だけ税の投入が増えるということが裏返しの話だと思うんですが、厚生省がお出しになった今回の法案は一八・三まで上げていくということで、保険料で賄うということにしているわけですね。しかし、大臣のお気持ちの中に税の投入をもう少し増やして保険料の上限を少し下げるということも検討課題として残っているではないかと、こういうことなんですよね。
  27. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこまで申し上げているわけではございません。それは、現在のままでも、もし基礎年金の二分の一という額をこれを税で賄っていくという場合にも、これは将来、これだけでもかなりな実は額になっていくわけでございます。少なくとも、将来、半分でありましても十数兆これは掛かってくるだろうというふうに思っております。それが、地方にも若干回さなきゃならない部分もございますから、あるいはもう少し増えるかもしれないという気が私はいたしております。  全体の額から見ましたときに、なかなか年金にも必要でございますけれども、高齢者医療にも必要でございますし、介護にも必要でございますし、そうしたことを考えますと、そこはおのずから限界もあるなというふうに思っておりまして、そうした全体像を詰めていけば、やはり保険料で行うべきところは保険料で行っていく、そして税は税でそこでどうそこに絡ませていくかということの結論が出てくるというふうに私は思っております。  したがって、今、私がそこを、保険料の方を下げて税でいけるというほど、私は頭の中でそういうことを思っているということではございません。しかし、議論はそこは詰めていかなきゃいけないところというふうに思っております。
  28. 山本孝史

    山本孝史君 実は、詰めていかなければいけない最大の議論ですよね、この負担の構造ということを考えるときに。保険料であれば保険に加入している人たちが負担することですし、税も税の姿によっては負担をする人たちが変わってきますので、そこは一番の議論なんです。それをやらなければいけない。それをやらせていただきたかったんですが、法案を勝手に成立させるということを、道を取られたわけですけれども。  そこで、大臣、お尋ねなんですが、国民の感覚からすると、社会保険料も実は税も余り意識としては、国民負担としては同じなんですね、総体としては。端的にお伺いしますが、所得に比例した現行のような年金保険料というものと所得比例の年金目的税というものとは、これは違うとお考えですか。
  29. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いわゆる保険料も、それから税の方も、これは御負担をいただくことには間違いがないわけでございますが、その使い方によって若干の違いは出てくるだろうというふうに思っております。社会保険料、社会保険料というふうに言いました場合には、それは過去においてどれだけ今までに掛金をしていただいたかという記録をもって、それに従って社会保険料というのはやっていくわけです。しかし、年金の場合にはそういうことはないわけですね。過去にこの人の税金でこれだけ出してもらったというようなことは、これは分からないわけでありますから、そこは私は保険料と税とは違うというふうに思っております。  ただ、何でも保険料でいいかといえば、それはやはり、職域連帯というものの強いものはやはり保険料、しかし、そうではなくて、もう少し国民全体で連帯をしていかなきゃならない部分というのは税でというのが私は大きな分け方なんだろうというふうに思っております。だからそういう意味で、年金でいえば、基礎年金の部分のところというのは、これは国民全体での負担をするといいますか、助け合うというニュアンスの非常に強いところではないかというふうに理解をいたしております。
  30. 山本孝史

    山本孝史君 同意見です。厚生年金のいわゆる二階部分の所得比例は、払った保険料に応じてそれで給付をするということだと思います。おっしゃいましたように、基礎年金の部分は、国民全員が入っていて、基礎的な生活費を全員で賄い合うというか支え合うということですから、これは高齢者であっても、やっぱり所得のある方はそれなりに負担をしていただきたいという思いなんですね。だから、私申し上げました所得に比例した年金保険料と所得比例の年金目的税とは何が違うのか。これは私は同じだと思っております。とりわけ基礎年金ということについては。  報酬比例としてやろうとすれば、当然それは納入の記録を残さないといけませんから、税の上で納入の記録を残すというのはなかなか難しいですので、それは別ですけれども、賦課方式になっていて単年度単位でその財源をどうやって賄うかというときに、それはやはり基礎年金財源保険料じゃなくて所得比例の税というものに置き換える。もちろん消費税というものもあるかもしれません。そういうものをミックスさせながら、そして、だから基礎年金財源を税にして、そして居住年数に応じて受給資格が発生して、四十年居住していれば満額の基礎年金が支給されるという形にこの基礎年金というものを制度設計してみたらどうだろうと思うんですが、そんなことまではお考えになりませんか。
  31. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこまで私は頭、整理をされておりませんけれども、おっしゃる意味というのは理解できるというふうに思っております。  いずれにいたしましても、これから社会保障というものをどう考えていくか、どのようにこれは積み上げていくかということだというふうに思います。中には、社会保障が非常に増え過ぎるから、上限作っておいてもう社会保障全額でここで頭打ちですよということを決めて、そしてその中を適当に分けてくださいみたいな議論がありますけれども、私は、これは乱暴な意見であって、もちろん、社会保障の中、年金年金、医療は医療、介護は介護、それぞれ整理をしなきゃならない、あるいは抑制しなきゃならない部分もあるし、それから今よりも増やさなければならない部分もあるしと、様々な部分がありますけれども、それらをよく整理をして、極力効率的な制度を作り上げるということを行って、それを積み上げて一体どうかということになっていくんだろうというふうに思っておりますし、今御指摘のように、その中で税と保険料というものをどうかみ合わせるかといいますか、絡み合わせるかということでありまして、そこは私はおのずから理解の得られていくところではないかというふうに思っている次第でございまして、先ほど御指摘になりましたようなことも議論の対象になるというふうに思っております。
  32. 山本孝史

    山本孝史君 国民全員で基礎年金は支え合うのだから、財源としては税の方がいいと、こうおっしゃいましたいわゆる税方式、これまでの税方式の議論は、どちらかというと消費税と、こうなっているわけですが、所得に比例した保険料ではなくて、所得に応じた年金目的税ということに置き換えていけば、ここは実は同じように税方式なんですね。  なぜそういうことを言っているかといいますと、この資料の、お配りした資料の二をごらんいただきたいんですが、これは社会保険庁が作成されておられます平成十四年度の国民年金の加入、納入状況ですけれども、今回、この年金制度が地方から国の方に事務が移行する中で国民年金の検認率が非常に下がったと。それは一つ理由は、免除、全額免除あるいは半額免除しておられることへの細かな対応ができなくなっていって、全部そこが未納になってしまっているんですね。したがって、全額免除の申請率が減っているところほど納付率が下がったということに、非常にここの強い相関関係が見られるということなんです。これは、保険料ということでやっている限りは、払わなければ給付は付いてこないわけですね。  国民年金ということで皆さんに一定の基礎的な生活費を支給するというか、年金制度として出すということを考えますと、やっぱり国民年金は社会保険制度はできないんですね。結局、払わなければ年金は来ない、負担なくして給付なしと、こうおっしゃいますが、払わなければ給付が来ないということの中で、今どんどんと払わないという人が増えてくる。従来はそこを免除制度で拾い上げて半額だけでも年金額を支給しようかと、こうやってきたわけですが、そこすら今落ち込んできているわけですね。  結局、免除制度というものがある限りにおいて、実は満額の年金をもらえない人が一杯出てくるわけです。国民年金でしっかりとした、今の基礎年金、満額の例えば六万七千円とかを支給しようとすれば、これは保険方式では不可能なんです。したがって、そこは税方式、税を所得比例の基礎年金税とするか、そこに消費税を組み合わせるか、いろいろあると思いますが、負担能力に応じて払っていればしっかりとしたものがもらえる、しかし負担能力がない人には年金まで下がっていく。すなわち、貧乏な生活をした人は、苦しい生活をした人は老後になっても更に苦しい生活が続いていくというのが年金制度なんですね。  そこをやっぱり、税金でしっかり支え合うという、先ほど大臣おっしゃったように、みんなで、国民共通でお互いに支え合いをする基礎年金という部分は、やはり税を財源とするものに切り替えていくと。それは消費税というのじゃなくて、繰り返しですが、所得に比例したものとして切り替えていくという形にするのが日本年金を安定させる、信頼をさせるという方向としては私は選択の一つだろう。だから、何回も申し上げているように、年金制度を一階部分と二階部分をしっかり切り分けて、一階部分をしっかりとした負担の一元化を進めて、それを所得比例の税に置き換えていくということが私はやっぱり選択だと思うんですね。  そういう方向に是非、負担能力に応じて負担をすれば満額の年金が支給されるという形に、一遍には変えられませんけれども、制度設計を変えていくべきだと私は思っているんですが、こういう点、いかがですか。御理解いただけましたでしょうか。
  33. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いろいろの意味が今発言された中には含まれているというふうに思っておりますが、最初に言われました、基礎年金の部分を所得に応じて比例してある段階を付けていくということは、私も理解の範囲に入れている、それはそういう方法も私はあり得るというふうに、私は、私個人、現在、個人ですけれども、個人はそう思っております。  ただ、そういうふうにしていくということは、一番所得の少ないところの人たちは、それがどれだけになるか分かりませんけれども、若干払う、例えば十分の一なら十分の一払うとか、払えばそれで将来は満額もらえるということにそれはなるんだろうと思うんですが、しかし、その十分の一をもう払わない、所得の少ないところはもう全然払わずに済むという話とは少し私はそこは違うのではないかというふうに私は思っておりまして、やはりここは所得に応じた支え合いでありますから、何らかの形でやはりそこは少しずつは支え合っていくという制度というのは残しておかないといけないのではないかというのが私の思いでありまして、そこは若干、山本議員のお話と後半のところでは少し違ったかなというふうに私は思っております。
  34. 山本孝史

    山本孝史君 ちょっと持ち時間が少ないので、最初の御指摘については御理解いただいていると思います。  基礎年金というものをちゃんとした、阿部大臣がおっしゃったように、バーチャルなものでなくて、ちゃんとし合う、支え合うときに、税金と同じでして、自分の負担能力に応じてそこは負担をしている。税金でしたら、消費税であっても何であってもみんなおのずと負担をしているわけですね。それで、日本国内に居住をしているその年数に応じて支給をするということで考えていけば、やはり負担能力がない人が負担できなかったことによって半額の年金額しかもらえないということでは厳しいんだと思うので、そういう制度設計、一遍考えてくださいと、こういうことです。  そこのところは、社会保険庁と国税庁の徴収部門を一体化させるということでもっと合理化が進むはずなんですね。そういうことで、何か社会保険庁の改革の中にいろいろとお考えのようですけれども、私は社会保険庁の、これは前、新聞に出ていましたけれども、一万円の給料をもらいながら、国民年金推進員が一生懸命集めてくるのは四千円にしかならないと。自分が一生懸命集めてきても、その金額は自分の給料よりも少ないということは、やっている方も大変だと思いますし、これはやっぱりシステムの問題なんですね。システム的に集めるということを考えないと、いかに人海作戦を取っても、それは全部お給料で消えてしまうわけです。そうではなくて、むしろ、社会保険庁の徴収部門を国税の部分と一元化して、そしてもっとシステマチックに集められるということを考えないと、これからやっていっても意味がないと思っています。  そういう意味で、是非、そういう一元化を視野に入れてこの社会保険庁の改革というものを検討すべきだと私は思っておりますが、大臣はいかがでございますか。
  35. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 現在の年金保険料というのは、特に国民年金保険料というのは一律でありますから、数は二千万とか二千五百万とか非常に大きいわけですけれども、一律なものですから、そんなに、いただくことについての計算だとか、この人はどれだけだとかというようなことは要らないわけで、しかし、もし仮に、山本議員がおっしゃるように、段階的に、所得を十分捕捉をして、あるいは大体捕捉をして、そしてそれによって保険料をもらっていくということになりますと、これは一人一人かなりチェックしなきゃいけない、よくそこを見ていかなきゃいけないということになってまいりますから、今よりもかなり難しい、徴収というのは難しいだろう。もしそういうふうになってくれば、確かにおっしゃるように、税務署的な発想と申しますか、そうしたことでやはりやっていかなきゃならない部分も確かにあるということは私も認めたいというふうに思いますが。  そういたしますと、現在、税務署の皆さん方が、国税の皆さん方が一生懸命おやりいただいて、約五万人の皆さん方で、本当に企業がどんどん多くなっていく中をそれを一生懸命おやりいただいて、数百万件ぐらいではないかというふうに、私、前聞いたのはそのぐらいというふうに理解をいたしておりますが、そうしますと、そこの部分はうんと、数倍になるか、四倍になるか五倍になるか分かりませんけれども、そこはかなり増えてくる。所得の把握を十分に見ながら増えていくということでありますから、ここはそう簡単な話ではないということだろうというふうに思っております。  そこのところを、今後それはどうしていくかという全体の、この社会保険庁の改革は、全体の改革、そうした大きな立場からの改革の話と、そして現在の中におきます改革の話と両方あるというふうに私理解をいたしておりまして、その大きい方の、どこどこと一緒にしたらどうだとか、そういう話も、これは一方においては是非そういう議論も行われるだろうというふうに思っておりますし、そうした場も、議論をしていただく場も作りたいというふうに思っております。  しかし、いずれにしても、それにしても、その中で、やはり社会保障年金や医療のところでやらなきゃならない部分の仕事というのはなくなるわけではありませんから、そこをより効率的にどうやっていくかということはしかし残されてくる。たとえどこかと一緒になるにしましてもそこは残されてくるというふうに思っておりまして、そこの部分の改革もやっていかないといけないというふうに私は、同時進行かもしれませんし、そこは若干の遅い早いの問題はあるというふうに思いますけれども、大きな課題と、しかしより具体的な問題と両方存在して、それを両方を今はやっていかなきゃいけないときだというふうに思っているわけでございます。
  36. 山本孝史

    山本孝史君 社会保険庁業務をもっと大胆に見直しをして、私も前職のときに奨学金の返還の滞納督促やりましたけれども、これはもう大変です。そういうことから考えると、もっとシステマチックにやらないと絶対できません。そういうことだけ申し上げておきたいと思います。  社会保険庁の運営の問題で御指摘だけ申し上げておきますので、是非御検討いただきたいと思っておりますが、一つは、国民年金保険料の納付のお知らせですね。  これは、私も国民年金保険料を口座振替で払っていますので、去年、あなた、一年間にこれだけ払いましたよというか、今年はこれだけ払いますよという、こういう通知書が来るんですね。毎回振替をすると毎回来ていましたけれども、それはもう毎回じゃなくて年一回にするということで業務を簡素化されると、こういうことでした。毎回一回来るものを、社会保険庁は年度単位で動いていますので、六月ぐらいに来るんです。これを暦年に変えれば、一月から十二月までこれだけ払いましたよということの通知が三月には送れるはずなんですね。それを、確定申告をする人たちにそういった社会保険庁からの通知書を添付していただければ国会議員の未納者なんということは出ないわけですし、そこは一つの業務を二つに使えるという意味で是非御検討をされたらいいのではないかと思っています。  それから、石川県の社会保険事務局の職員の選択エージェンシーの問題で逮捕者が出ました。この方が厚生省の官房の広報室の補佐というところに来られる。この人事も一体どういう人事なんだろうと、こう思いましたけれども、その前に石川県、石川県版の国民年金加入テレビコマーシャルというのをお作りになっておられる。年金制度って全国一つなのに、県版でいろんなPR版を作っておられるのかというのは非常に無駄をしておられると思っています。  だから、それぞれの事務局で勝手に作っておられるのかどうか知りませんが、どういうものを一体作っておられて、この年金の広報のために一体私たちの保険料が幾ら無駄に使われているのかという実態を是非調査をして、この委員会報告をしていただきたいと思っています。  それから、グリーンピア等の資産を売却されるということですが、このときに是非頭の片隅にしっかりと置いておいていただきたいのは、グリーンピア等の資産は税金で買っている資産ではありません。これは年金保険料で買っている資産です。  私が申し上げたいのは、国民全体の共有財産ではなくて、年金に加入している人たちの財産です。だから、そのことをこの国会の中で勝手に決めてはいけない。そもそもこれまでの年金審議をしたときに、未納議員が一杯いた中で勝手に決めてきた。自分たちは保険料も払っていないにもかかわらず、こんなものを保険料で造れと言ってきたし、今度はそれを売れと言っておられる。そういう勝手なことをしないで、これはやはり加入者の利益を守るということを第一に考えた運営をすべきだと思っています。  その意味で、御質問としては、社会保険庁の長官を民間人にされるということですが、社会保険庁の中に、年金を受けておられる人とか、あるいは年金保険料を払っておられる国民の代表を入れて評議委員会のようなものを作って、本当に年金というものはこういうふうにして集めるべきだし、こういうふうに使うべきだし、こういうふうに通知すべきだという加入者側に立った視点。何でかといったら、社会保険庁の職員、国家公務員共済ですから、自分たちには関係していないんですね、基礎年金として関係していても。だから、そういう視点がないんですよ。人のお金を預かっているという視点がないから。そういう意味で、そういう自分たちのお金なんだという視点を持っている人を評議委員として入れて運営をちゃんとチェックさせる、そういう機関を是非作るべきだと思っていまして、この点だけ、大臣、お答えください。
  37. 坂口力

    国務大臣坂口力君) その点は私も考えておりまして、評議委員会、まあ名前をどうするかは別にいたしまして、そうしたものを是非作って外部から見ていただきまして透明なものにしたい、そういうふうに思っております。
  38. 山本孝史

    山本孝史君 保険料が一杯無駄遣いされていると思いますので、そこを見ていただきたい。  それで、最後の質問です。  これから先の財政見通し等々、あるいは給付の水準についてこうなりますということの推計をいろいろ出していただきましたが、その中で実は落ちている視点は消費税の引上げなんですね。二〇二三年までの間に消費税の引上げということは必ず出てくるだろう。  消費税が引き上がりますと当然物価が上がりますので、それにマクロ経済スライドが掛かって給付の水準の抑制につながっていくと。物価が上がらないとマクロ経済スライドは効かないわけですからそういうことなんだと思いますが、どの時点で何%上げるかによって全然違ってくるんですね。例えば、ある年一遍に二%とか三%上げても、マクロ経済スライドが掛かるのは〇・九だけですから、そういう意味では違ってきます。小刻みに上げていくことと一遍に上げることによって全然違ってきますし、そういう意味で、財政見通しを、あるいは所得代替率の変動推移を推計するときに、消費税をいつの時点でどういうふうに上がるかということを織り込んでみて推計をしてみないともう少し実態の姿にならないのではないのと思うんですが、なぜ代替率ですとか財政見通しの中に消費税のことが含まれていないのか、あるいは含まれたものとして一遍推計してみようというお考えになるか、そこを最後に御質問したいと思います。
  39. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いつ消費税がどうなるかということはなかなか予測し難いものでございますし、今お話ありましたように、それを一度にやるのか、あるいはまた何段階に分けてやるのかといったことによってもそこは違ってくるというふうに思います。  過去の例で言えば、消費税を上げましたときには、その年の物価というものへ確かに影響を及ぼしておりますが、それがずっとこう続いて影響するかということは、そこはなかったというふうに思っておりますので、今後、そうした問題、俎上にのってくればまた改めて検討するということだろうと思います。
  40. 山本孝史

    山本孝史君 今日、大臣基礎年金の税方式化というものに対してその方向がいいんだという御認識をお示しになったと受け止めておりますが、様々にやっぱり議論をしていくということは非常に重要だと思っていますので、お互い、先ほど阿部大臣と私はいい議論ができていると思っていますけれども、そういうふうに続けていかなければいけないと思っています。  いずれにしても、きっちりとした説明をこれからもやっていかないと、国民の側の年金不信、強まるだけだと。その意味で強行採決は非常に残念であったということを再度申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  41. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  私、持ち時間が十五分で大変短いんですが、幾つか質問させていただきます。    〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕  まず一問目は、日米日韓社会保障協定についてですが、必要性については先ほども大臣お話があったかと思いますけれども、アメリカと韓国以外にも当然たくさんの邦人、日本人の方がお住まいなわけでございまして、それぞれ社会保障年金の問題等について同じような問題を抱えていると思いますが、今後、厚生労働省として、今後の取組の中で、米国と韓国以外の地域に赴任をされてお仕事をされている邦人の方々に対してどのような年金について対応をされていくのか、お答えをいただきたいと思います。
  42. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは、日本、かなり少ないんですね、過去の協定を結びましたの。先ほど山本議員からも少しお話があったんですけれども、私、大臣ならせていただきましてから韓国に行きましたときに、韓国で是非やりましょうということを、韓国の衛生長官といいましたですかね、お会いをしましたときにそのお話をしました。やはり、そういうふうにして決めますと、韓国の順位はもっとずっと後だったわけですし、もう既にフランスだとかベルギーだとか、そういうふうなことがもう始まっておりましたから、その後であったんですけれども、追い抜いて韓国が先に両方ともできたということでございます。やろうとすればできるわけであります。  現在、まだできていないところで、フランス、ベルギー等がございます。まだ俎上にのっていないところでものせていかなきゃならないところあるというふうに思いますが、フランスにつきましては、フランスの大臣が、昨年だったと思いますけれども、日本にお見えいただきまして、そのときに是非進めたいということをおっしゃいました。こちらの方も是非進めましょうということになっているわけでございますが、大臣が積極的に言われた割にフランスの方の事務当局の方は全然慎重なものですから、ちょっと行き違いもあったりいたしておりますが、昨年末に私の方からもお手紙を出させていただきまして、そして是非推進をしたいというふうに思っておりますので、今後ともそれぞれ事務当局で進めるようにお願いをしたいといったことをしたところでございます。  今後、また新しい諸国もあるというふうに思いますので、日本皆さん方がより多く行っていただいているところ、そうしたことを中心にしながら、また、相手国の方も、日本で多くおみえになるところ、そして年金制度等が充実している、ある程度でき上がっているところでないとこれはできないわけでございますから、そうしたところを選んで、より積極的に進んでいくようにしなければいけないというふうに思っております。
  43. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 よろしく対応方お願いいたします。  次に、先ほども出ましたけれども、この少子化対策大綱、六月四日に閣議決定されたということでございますが、私は、この大綱、大変大事だというふうに思っております。  先ほども出ましたけれども、今日の新聞で出生率が一・二九まで低下をしたという話があるわけでありますが、本当にこの大綱の冒頭に、ちょっと引用しますと、「日本が「子どもを生み、育てにくい社会」となっている現実を、我々は直視すべき時にきている。」というふうにあるわけでありますが、全く私は同感でございます。  ただ、また私が個人的に大変この大綱の中でうれしかったのは、六ページのところにこういう記述がございました。「社会保障給付について、大きな比重を占める高齢者関係給付を見直し、これを支える若い世代及び将来世代の負担増を抑えるとともに、社会保障の枠にとらわれることなく次世代育成支援の推進を図る。」と、こういう記述があったわけでありますが、この点は当委員会でも私、坂口大臣に申し上げさせていただきましたし、先日は決算委員会の締めくくり総括で小泉総理にもやや強めに申し上げさせていただいたところでございます。  現在、八十一・四兆円規模、今年度はもうもっとその上行っていると思いますけれども、の社会保障給付総額の中で、やはりこの高齢者関係、これは当然と言えば当然なんですが、五十五兆を超える額が使われておりまして、割合で言いますと、七割に近い割合が高齢者の皆さん方年金とか介護とか医療等々で使われていると。また、各種の補助事業も大変充実をしているわけでございます。  他方、児童家庭関係になりますと、不妊治療の助成でありますとか、これは今年の四月から始まったわけでありますが、またあるいは、今日の委員会でも審議をする対象になっております児童手当にいたしましても、全部合わせても三・七%の割合しかないわけでございます。  ですから、私は個人的には、この児童手当についても今回、小学校三年生まで拡充をされると。これは一昨年の税制改正のときに我が公明党が強く主張をして実現の道筋を付けた政策でありますが、ドイツが社会保障給付総額のうち九%を児童家庭関係に使っている、またスウェーデンは一〇%を超えていると。そして、この児童手当等についても所得制限もなく、十六歳あるいは十八歳未満まで支給をしているということを考えますと、日本はまだまだ少子化対策が足りない、今回の児童手当の拡大はもう当然である、遅いぐらいであるというふうに私は思っているわけでございます。  そこで、大臣に、先ほど私が引用したところで一点だけお伺いをしたいんですが、高齢者関係給付を見直すということが明確に大綱で書かれているわけでありますが、これはもう簡単な作業ではございません。やはり年金、医療、介護など複数の社会保障領域にまたがる話でもございますし、また財源の問題を考えますと、先ほども出ました消費税あるいは間接税の在り方というものもかかわってきます。  そこで私は、こういった非常に広範囲にわたる、そして根本的な社会保障の在り方を見直すということが、この少子化対策大綱の中に書かれた高齢者関係給付を見直すという言葉に実は凝縮されているんだろうというふうに思っておりまして、そういった大事な議論はやはり国民に見える形でしっかりやっていかなければいけないと思うんですが、大臣としてはどういう場所でどういう枠組みの中でこういった議論を今後されていくのが一番適当だとお考えなのか。経済財政諮問会議もございますし、あるいは少子化対策の本部というものも政府の中に今あるわけでございますが、どのような方向性をお考えなのか、お示しいただければと思います。
  44. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 少子化対策を今後どういうふうに進めていくか、何が一番効率的なのかということは、先ほども御答弁申しましたとおり、やはりここはもう少し科学的なデータに基づいてやっていくということが大事だというふうに思っているわけでございますが、そうしたことを踏まえながら、より効率的にどうしていくか。どこに使うにいたしましても財源が必要なことだけは間違いがないわけであります。  その財源をどういうふうにして作り出すかということになりますと、もう少し財源を、新しい財源を更に社会保障の中にプラスできるという状況であれば一番それは簡単なんですけれども、なかなか日本の経済あるいは財政状況、そういう状況にもなかなかないということになりますと、どこかから作り出さなきゃならないということになってまいります。作り出します場合に、割合としてこうしてみれば高齢者により厚く、そしてこの少子化にはより少ないではないかという議論は確かにあるわけでございますし、そこに書かれ、先ほどお読みいただきましたように、総論としてそういうふうに書かれたことも事実でございます。  しかし、これはなかなか言うはやすくして実際に行うというのはかなりこれはいろいろ難しい作業ではないかというふうに思います。これは、ただ、どこかを取ってどこかをどうするという単純なことでやるというわけにはいきません。それは反発を招くだけだというふうに思いますから、もう少しこれは、全体の社会保障像そのものを考える中で、少子化にはやはりこれだけのことが必要だ、そのためにはどういうふうなことが必要かというようなことをもう少し理屈の上で詰めていかないといけない。そして、高齢者の皆さん方に対しましても、高齢者に現在行われておりますことの中で例えば重複を非常にしているとか、そうした面があるならば、そうした面についてそこは御理解をいただくようにしなければいけない。そんなことを考えて、そしてその財源というものについて議論を展開をしていくということでなければならないんだろうというふうに思います。  したがって、それを議論をする場所は、例えば少子化なら少子化のことだけをやっている場所でそこをやりましても、そこでの結論は出るかもしれませんけれども、全体としてそれが受け入れられるかどうかということはなかなか難しい。じゃ、高齢者の問題だけをやっているところでその結論が出るかといえば、それもなかなか出ないということでございますので、私は、社会保障全体をどうしていくかというその場の中で、少子化に対してどれだけのやはり配慮が必要かということを、全体の中でやはり考えて結論を出すということが一番望ましいのではないかというふうに考えている次第でございます。
  45. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございました。  大臣いろいろおっしゃっていただいたんですが、幾つかの点について私も個人的にこれからしっかりと調査をして、歳出の部分で抑制できるところはないか、あるいは財源の確保についてどういう知恵が出せるかということについて、しっかりと努力をしていきたいと思います。  最後の質問にもうなってしまいますけれども、六月五日付けの一部の新聞の報道によりますと、今年の四月から国の補助金事業として始まった不妊治療の助成制度実施している都道府県が十五にとどまっているということでございます。さらに、実施をしている都道府県の中には、国の要綱に含まれていない独自の要件を設けているところもあるということでありまして、この事実の私、確認をさせていただきたいということと、今後、せっかくできたこの不妊治療の助成制度でございますので、全都道府県で実施をしていただきたいと思うわけですが、それに向けた取組についてお伺いをしたいと思います。
  46. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 不妊治療に対する助成制度実施状況でございますが、五月末に私どもが調査をした結果を申し上げますと、都道府県、指定都市、中核市、これが実施主体でございまして、全部で九十五自治体でございますが、本年度中に実施をしたいと考えておるところが大体八十程度の自治体でございまして、実施率で八五%程度にはなるんじゃなかろうかと思っておりますが、ただ、四月にスタートしたところは二十数件でございますので、そういったことが報じられておるんじゃなかろうかというふうに思っております。  それから、各自治体で若干いろんな要件を付けておるということにつきましては、これは、国のこういう補助制度に先行して今までやっておった自治体もございますから、地域の実情に応じて独自の要件を定めておるところもあると思いますが、これはそれぞれの実施主体である自治体がどういったことで行うかということを判断されることではなかろうかと思っております。  いずれにしても、この事業の意義というものについてできるだけ自治体に理解を得るようにこれからも努力をしていきたいというふうに思っております。
  47. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 終わります。
  48. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党の井上美代です。  まず最初に、年金改革法案採決に当たり、理事会であれだけ決定していたのに、最後まで審議すべきを本当に裏切って、小池議員、そして福島議員、西川議員、三人の審議権を奪って強行したあの暴挙、私は本当に脳裏に刻まれてしまっております。国会史上に恥ずべき汚点を残したこの暴挙に対して、怒りを込めて抗議をいたします。  質問に入っていきますが、私も今朝新聞を見ました。そして、合計特殊出生率が、〇二年の一・三二に続き、更に一・二九に低下をしたというのを見ました。これは戦後初めての落ち込みだということで、改めて私は子供たちの、もっと子供たちが増えることを改めて真剣に考えております。  私は、これまでの諸施策がやられてきておりますけれども、これでは子供はそう簡単には生まれないということを強く感じ、その施策に不足を思いながらやってまいりました。安心して本当に子育てができる条件と環境を、私は、国の財源の問題がいつも出てまいりますけれども、そこをやっぱり惜しまずに、四つに組んで、どう努力すればいいのかという抜本的なやはり研究、そして、思い切ってやる、これをしなければ、私は日本の社会の発展に大きな影響を及ぼすというふうに思っております。  今回出されております児童手当法案の問題ですけれども、この法案について、私ども日本共産党も従来からこの児童手当の拡充をずっと求めてやってまいりました。今回の児童手当法のこの改正法案については、その立場から賛成です。ただし、その財源を庶民増税に求める点には、もう強く最後まで反対をしていきたいというふうに思っておりますので、その点はどうぞ守っていただきたいというふうに思います。  児童手当子育て家庭を支援するものですが、子育てをする親たちを支援するには、児童手当の拡充も本当に重要な課題なんですけれども、私は労働条件の改善も大変重要であるというふうに思っております。  厚生労働白書の昨年版ですけれども、父親、母親に対して、「子育てしながら働く上で問題となっていること」というテーマでアンケートが取られております。母親の場合は、理由の第一に挙がっているのが、仕事と家庭、育児の両立が体力・時間的に難しいというもので、保育サービスにお金が掛かるが二位に来ているんですね。経済的支援もさることながら、私は、男性も含めて労働時間の短縮、これがやはり一番重要であるというふうに思っております。現状は余りにも懸け離れたものです。    〔理事藤井基之君退席、理事武見敬三君着席〕  そういった観点から、私は、今日は具体的に、JAL、日本航空において大変に問題になっております客室乗務員のサービス残業について質問をしたいと思います。  皆さん方のお手元に資料を出しております。それを見ていただきたいんですけれども、JALでは旅客機が飛び立つ一時間四十五分前が客室乗務員の始業時刻となっているわけなんです。これは出しました資料によってはっきりしているというふうに思います。裏と表がありますが、表の方に実態調査結果発表というのがあって、下の方にずっと書いてあります。どこが始業時刻になるかというのがそれで、下の表で分かるというふうに思います。打合せやセキュリティーチェックなど、様々な準備が必要です。  ところが、打合せを始めるためには、その前に仕事の分担を決める工程表というのがあるんですね。表でいきますと左側です。この左側にアロケーションチャートというのがあります。これは仕事の分担を決める工程表を作るということですね。それを作って、そして話し合って仕事に入っていくわけなんです。どうしても、始業時間の前にこの工程表を作っておいて始業時間とともに打合せをするわけですから、これはどうしても要る時間なんです。これを作っている時間というのはどうしても要るんです。左側に十三分と二十五分というのが書いてありますけれども、これを足しますと、平均ですけれども三十八分に及ぶということなんです。  問題は、この始業前の工程表の作成をしている時間に賃金が支払われていないという問題があるわけなんです。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  更に問題なのは、この早出のサービス残業とも言うべき賃金未払に対して、会社側はこれを是正しようという姿勢を全く見せていないということであります。客室乗務員四千人について計算すると、二年間で億単位の金額になる巨額のサービス残業なんですね。  客乗組合は昨年の五月に、空港の事業所のある、東京で言えば大田、千葉で言えば成田、そして大阪の岸和田の各労働基準監督署にこのサービス残業問題の申告をいたしました。  これも裏の、資料の裏の方を見ていただきたいというふうに思いますが、日本航空への管轄労働基準監督署の対応の経過というのがありまして、二〇〇三年五月からそれが始まっております。特に見ていただきたいのは、指導内容報告内容、指導内容報告内容というのがそこに出てまいります。それを是非見ていただきたいというふうに思います。  この申告をした監督署なんですけれども、各労基署が立入調査を行い、九月には、そこにありますように相次いで会社側を指導しているんですね。指導内容資料に出しましたけれども、労基署もサービス残業の存在を認定いたしました。認定いたしました。  それに対して会社は、十一月に成田の労基署に回答しているのですけれども、それは、サービス残業の事実は確認できなかったというものなんです。それに対して、さらに成田の労基署は、今年一月、確認できなかったと言うが、どういう調査をして、なぜ確認できなかったのかということを明らかにせよという追加の指導をしております。  それに対して二月十日に会社から回答がありましたけれども、具体的な実態を示すものはないというだけの、極めてもう本当に不十分、不誠実なものです。で、どういう調査をしたのか、なぜ把握できなかったのかという質問には全く答える姿勢を示しておりません。残念なのは、その会社の回答を受けての労基署の姿勢では、質問に対して会社はきちんと答えないので、なすすべがない、また、飛行機の出発が遅れたら会社の責任でしょうと、こういうふうに言っているわけなんです。どうやって調査したかも明らかにしないままに、ただ確認できなかったという結論だけを押し付けられて、どうして納得がいくでしょうか。  そこで、このJALのケースに限らず、一般論として私は聞きますけれども、労働者から申告を受けた労基署がサービス残業の調査を会社に指示した場合、会社側は申告者に対して調査方法も含めた調査結果の全体を誠実に回答する責任があるというふうに私は思います。  そこを答弁していただきたいんですけれども、労基署にはそうさせる責務があるというふうに思っているんですけれども、その点いかがですか、御答弁願います。
  49. 大石明

    政府参考人(大石明君) 労働者から申告があった場合、それに応じて迅速な対応をしていくということは当然のことでございます。  どういう調査をするか、集められるいろいろな資料を集め、そしてその経過というものは随時必要に応じて申告された方の方にもお話しすると、差し支えのない限りということになろうかと思いますけれどもお話しすると、こういう形で私どもも対処しているところでございます。
  50. 井上美代

    ○井上美代君 私は、監督署というのはそれだけの権限を持っているんですから、何も遠慮なく、きちんとやはり、そこをどう、いろいろ起きている問題を解決できるのかという視点に立ってやはり頑張っていかなければ、この法違反というのは是正できないというふうに思うんです。  さらに、このサービス残業の調査に対する会社の姿勢には疑問を感ずる点があります。  JALでは、社員が出社した際に社員番号をパソコンに入力しているんですね。そして出社記録を残すことになっているのですが、この出社記録も会社はいまだに出そうとしておりません。無責任じゃありませんか。出社時刻が分かれば、始業時刻の記録はありますから、その時間差を調べることで残業の存在を確認することができるんですけれども、それができなくなっています。  そこで、客室乗務員たちは、今度は何としてもということで、自分たちで付けた記録を労基署に証拠として持っていきました。今年の一月には十七名が個人で申立て、申告し、そして自分たちの残業の記録を提出しました。会社に対しても名前を明かして未払賃金の請求をしているわけなんです。もう本当に勇気あることなんです。労働者側はきちんとサービス残業の資料を示す、そしてそれに対して会社側はどうかというふうに思うんですけれども、何も出さない。  こうなれば、当然、会社側は追い詰められると思うのですけれども、ここで、残念なことなんですけれども、労基署が十分その役割を果たしていないんですね。それが現状なんです。現場での姿なんです。労働者が持ってきた証拠資料があるわけでしょう。名前も勇気を持ってきちんと公開しながら頑張っているわけなんです。  ところが、会社にそれを突き付けて説明を求めるということをしていないのでは、やはり会社側がその証拠資料を突き付けられれば、本来であったらやはり反論できないというふうに思うんですよ。そうなれば、一歩深く事実を突き詰めることは間違いないではありませんか。それができていないというところに、私は、あと一息のやはり奮闘をお願いしたいというふうに思うんです。  そこで、これも一般論として御答弁していただいて結構なんです。聞きたいことは、サービス残業を申告した労働者が資料を示している場合、やはりこれを十分に活用して、会社にやはりもう迫って話し合っていただくということ、このことが重要だというふうに思うんですけれども、会社に説明を求める必要があるときに、十分そこでもう迫り切れないということが出ているということ、これ非常に残念なことなんですけれども、その点いかがですか。御苦労もあるんだろうというふうに思いますが、御答弁を願いたいと思います。
  51. 大石明

    政府参考人(大石明君) 労働基準監督署においてこうした申告があった場合、何よりもやはり大事なことは、事実関係をしっかりと把握することだというふうに考えております。そのためには、当然のことながら、事業主からもいろいろな資料を求めますし、また労働者の側からのいろいろな御報告あるいは資料といったものも当然のことながら参考とさせていただきます。  さらに加えて、私どもとしての調査というものもあるわけで、その間には、事業主とのやり取り等々の中では種々の苦労もあるわけですけれども、そういうことを繰り返しながら、事実関係をしっかりと把握して、必要があれば指導していく、将来に向けてきちっとした労働関係というものを築き上げていただくために、そうした指導を必要があればしていくと、こういった段取りになるわけでございまして、その中で労働者側からの資料というのも参考にさせていただくことは言うまでもございません。
  52. 井上美代

    ○井上美代君 現場でやはり監督署に行くということは勇気の要ることです。職場も明らかにしなければいけませんし、自分の名前も明らかにするというふうになるわけで、私は、皆さん方も御苦労をしておられると思いますけれども、是非、今言われたことをやはり現場で実行できるようにしてほしいというふうに思います。  そこに、資料にありますように、昨年の五月に申告をしてもう既に一年以上がたっております。客室乗務員の方々は本当に、私、一緒にお話を聞き、現場で交渉をしてみて、どんなに粘り強く会社と交渉をしているか、そして会社というのがいかに冷たいかということをもう自分がじかに触れて感じております。  労基署に対しては、資料情報の提供もいろいろ行ってきました。もちろん、自らの権利を守り、生活を守るためでありますが、それだけではないんです。やはり公共交通機関、人の命を預かる仕事をしているわけなんですね。労働条件について会社に法律を遵守させることが空の安全にもつながるということを、この皆さんは本当に身をもって示しておられるわけなんです。  JALのサービス残業問題、公正かつ厳正な調査と指導をやはり緊急に行っていただきたいというふうに思うんです。大きい会社だから、トップの会社だから遠慮をするというのでは困るんですね。そこで働いている人たちというのは大変な痛い目に遭っているわけですから、私は本当に緊急にその調査を行って指導してほしいというふうに思っているんですけれども、その点について参考人の御答弁を願いたいと思います。
  53. 大石明

    政府参考人(大石明君) 個別の事案についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。  今委員から、大企業だから遠慮することなくというお話がございましたが、私ども、大企業とか中小企業とか、そういったことは念頭にございませんで、違反等の不適切な事案があれば適切に指導してまいりますし、それは大企業、中小企業、何ら変わるところはないわけでございまして、いずれにいたしましても、今後とも的確に対応してまいりたいというふうに思っております。
  54. 井上美代

    ○井上美代君 今御答弁がありましたけれども、私は、今御答弁くださったように、やはりどこでも本当に遠慮もなく、そこにある問題を解決する、どうすれば解決できるかという、そこに力を入れて解決していってほしいと思います、なかなか解決できていないというところが問題なんですから。  笑ってはいけませんよ。笑ってはいけません。真剣なことを私は言っているんです。  やはり女性労働者の多いところで本当に苦労しているスチュワーデスの方たち、私はやはり今言われたように、現場をやはり指導してほしいということです。全国ありますので、いろいろそれぞれありますので、是非よろしくお願いしたい。  私は大臣にもお尋ねしたいんですけれども、最近は三菱ふそうの問題などで改めて交通機関にかかわる企業の社会的責任というのが大きな関心事であり、また焦点にもなっているというふうに思っております。大変残念なことなんですけれども、航空関係業務ではテロの問題もあります。大変な緊張と責任がやはり課せられているわけなんですね。  サービス残業などの違法行為というのは本当に直ちに根絶をしなければいけない中身なのに、やはりほんの一部しかまだ解決できていない。私は、こういう法違反が放置されているということは、これはもう絶対許されないことだと思うんです。この点でもやはり厳正な調査と指導が私は必要なんだというふうに思っているんですけれども、大臣、その点についてどのようにお考えになっているでしょうか、お聞かせ願います。
  55. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私は調べておりませんけれども、ここに書いてあります、どういう調査をして、なぜ把握できなかったのかを明らかにすることというふうに監督署がそういうことを言って、それに対して何ら返答がないということが事実であるならば、もう一度、どういう調査をして、なぜ把握できなかったかを明らかにすること、もう一度出させたいと思います。
  56. 井上美代

    ○井上美代君 私は、この資料をつぶさに見ていただきたいんですけれども、やはり形どおりの答弁、答えになっているんですね。指導内容も、私はかなり現場としては努力しておられる中身ではあるというふうに思いながらも、やっぱりこれでは現場の法違反を改善することはできないなというのを改めて感じているんです。  こういうものが解決できないで、本当に子供を抱えながら空を飛んで、決して夕方など家には帰れない、そういう労働時間で苦労している女性たちの苦労というのは私は並大抵ではないというふうに思っているだけに、私は、本当に真剣に四つに組んでやっぱりこれを解決していく、それが少子化を克服する道にも通じていくというふうに思うわけなんです。  そういう意味で、是非、大臣子供たちの将来も、そしてまた更に日本の社会の将来も考えながらやっていただきたいというふうに思います。(「はい、時間」と呼ぶ者あり)まだありますよ。  私は、サービス残業については、ちょうど昨日、厚生労働省が是正指導件数の発表を行いまして、そして二〇〇三年に労基署が事業所に是正した件数が出されたんですね。私は、一万八千五百十一件と過去最高になっている数字を見まして、本当にうれしい思いがしました。労基署もサービス残業が実際に行われている夜間の立入調査を積極的に行っておられるということで、私は、労働者の側の申告、そして情報提供を土台に行政の側も頑張った結果だというふうに思いますし、大いに励まされております。  ただ、やはりまだこれは氷山の一角だと思うんですね。私は、現場の話を聞いておりまして、本当に大変な現場が余りにも多過ぎる、だから解決まで時間は掛かっているので問題があるわけなんです。  私ども日本共産党は、サービス残業根絶法案も今提出をしております。この解消のためには、やはり事業主に対して労働時間把握と記録の義務は罰則をもって強制すべきと考えているわけなんです。こうした方向での制度改正とサービス残業の根絶、男女とも働きやすい社会の実現に向けて、やはり全力を挙げていくべきだと思います。  最後大臣の御答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。
  57. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 具体的なお話が幾つか出たわけでございますが、その具体例は、それぞれまた具体的にそれぞれの役所が対応するものというふうに思いますが、いずれにいたしましても、やはり大きい会社であれ小さな企業であれ、お守りをいただかなければならないところは法に従って守っていただかなければならないわけでありますから、そこは役所も毅然として行わなければならないというふうに思っております。
  58. 井上美代

    ○井上美代君 終わります。
  59. 西川きよし

    西川きよし君 西川でございます。よろしくお願いをいたします。  まず冒頭、本日は当委員会の諸先生方に質問時間の御配慮をいただいたことを、まず冒頭、厚く御礼申し上げます。  ただ、先生方からもございましたが、先週の採決の在り方、与党側の対応につきましては、私も納得がいかず、本当に強く抗議をしたいというふうに思っております。  私のように、十八年間どちらにも属さず、そしてまた御支持をいただく政党もございませんでしたけれども、一生懸命この良識の府というところで、いいことはいい、悪いことは悪い、そして初心を忘れずにしっかりと自分では努力をさせていただきました。  そして、皆さん方にいろいろと御協力をいただいたこと、この場をかりて改めてお礼を申し上げたいと思います。  そしてまた、参議院のこの委員会に参加をさせていただいたことは、本当に自分自身よかったな、よく、揺りかごから墓場まで、そして朝起きて休むまでは本当にこの委員会にお世話になるわけですけれども。  しかし、最後は本当に残念でございました。三人の質問が剥奪されたわけでございますけれども、これは直接国会の運営のことですから、坂口厚生労働大臣に私はとやかく申し上げる気持ちはございません。そういう気持ちもございまして、問責のときにも、私は大臣に辞めていただくというようなことの気持ちの表現はいたしませんでした。  いつも申し上げるように、本当に続く限り、命の続く限り坂口厚生労働大臣には大臣を続けていただきたいというのが私の気持ちでございますが、大臣はいつもおっしゃるんですけれども、早く自由になりたいというふうにおっしゃいますけれども、初心を忘れず、いつもそうですね、やっぱり庶民の代弁者としてこちらへお仕事に寄せていただいている西川きよしといたしましてはそういう気持ちで一杯でございます。  しかし、その運営に関しては申し上げませんが、三日の日でございますか、細田官房長官、あの方の記者会見で、もう本当にテレビを見ておりましてびっくりいたしました。耳を疑いました。ここで御説明をさせていただきますが、野党は本当に質問をしたいと思っていろいろ用意をして質疑ができなかったのかどうかと、これははっきり申し上げましてびっくりいたしました。前日来、もう本当に皆さん方は十二分に、二〇〇%お分かりの方々ばかりですけれども、全国の方々はなかなか分かりにくいことでございます。ちゃんとこういった御質問をさせていただきます、そして政府の方々も一生懸命お仕事なさっておられるわけです。どこからああいった発言になったのか、本当によく分かりません。  是非、坂口厚生労働大臣が閣議等でお出会いになったときにはこの気持ちをお伝えいただきたいと思います。先ほど、一・二九の問題のときにも大臣は、まあ後々考えて処分をしなきゃいけないというような発言もございましたが、私が官房長官を処分するような立場ではございませんので、どうぞお出会いになりましたときには一言お伝えをいただきたいと思います。  誠に申し訳ないんですが、一言だけ今いただければと思います。
  60. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 官房長官の御発言は私も十分に存じておりません。しかし、そのときのメモ書き等によりますと、これは、参議院の場合どういうやり取りがあったのか、本当に質問をしたいと思っていろいろ用意しておってそれができなかったのかどうか、これは国会の問題、運営の問題ですのでよく調べてみなければと、調べてみないと分かりませんと、こういうふうに、参議院の場合はというふうにして区切って言っておみえになります。その前段の場合で衆議院のことに触れられて少しいるわけでございまして、報道の方はそれが少しごっちゃになって報道されたということもあるのではないかというふうに思っております。  委員からそういう御発言がありましたことはよく伝えたいと存じます。
  61. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。  次に、国民年金法の三十六条の二の関係についてお伺いをいたします。  この問題につきましては、本当に四年以上、オリンピックは四年に一回でございますけれども、四年半ほど前になると思うんですけれども、ある拘置所に勾留をされている人から僕のところに一通のお便りが届きました。実は、この方は二十歳前の障害による障害基礎年金の受給者の方でございました。  現行法によりますと、こうした無拠出制の年金については、監獄や労役所などに拘禁をされた場合は全額支給を停止されることになっております。当然だと思います。それは、日々その生活の中での衣食住は全部税金で賄われるわけですから、それにもう一つ年金という上乗せということになりますと税金の二重手当てというようなことになるのではないかなということで、私自身も当然ではないかなというふうに理解をさせていただくわけですけれども。  そこで、全額支給を停止されたということでございますけれども、そのお便りの中に、年老いたお母さん、そして子供たちと同居しておられるわけです。最初は、悪いことをした人ですから当然のことだというふうに思っておりました。何回も何回も僕自身も読み返して、内容を何とか、どういう角度から把握させてもらおう、理解しようというふうに考えたわけですけれども、どうも、いろいろ特養などにもお尋ねしたり、我が家にも年寄りがおるわけですけれども、年老いた親、そして小さな子供ということ、自分は悪いことをして勾留されているわけですからこれは当然といえば当然のことですけれども、どうしてもこの親、子供のところに私は引っ掛かりました。  そして、刑事手続上、裁判で有罪が確定するまでは無罪と推定するという、こういう原則があるわけですけれども、それから、僕が思うには、在宅起訴されている方は支給されます。そういったことを併せて考えますと、どうしても制度の矛盾を感じました。そして最終的には、これはなかなか難しいことですが、罪を憎んで人を憎まず、そういう思いでこれまでの間、四年半にわたり、大臣にも毎回のように本当に質問をさせていただきました。申し訳なく思っておりますけれども、これまで御質問をさせていただいて、心のこもった御答弁をちょうだいいたしました。  これまで御検討いただいた内容について、是非御答弁をいただきたいと思います。
  62. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 罪を憎んで人を憎まずということだというふうに思いますが、これは西川議員から前回にも、私ももう一、二回御質問をいただいたように思っております。かねてからこの御指摘を受けてまいりまして、私たちもいろいろと検討をずっと続けてまいりました。  今回の改正案におきましては、監獄などに収容されている者のうちでいわゆる未決勾留中の人について、刑事手続におきましては、有罪の判決が確定するまでは罪を犯した者として取り扱うことはしないという原則がございます。また、その方と生計を同一にしていた方がおみえになる場合もあるわけでございます。御家族のこともございます。そうした観点から、有罪が確定するまでは支給停止しないということにしたところでございまして、いろいろと御発言をいただきましたことについて検討をさせていただいた結果でございます。
  63. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。いつも本当に真摯にお取り組みいただきまして感謝申し上げます。  続いて、この省令の部分ですけれども、どういった内容とされるのか、是非お伺いしたいと思います。
  64. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 今先生御質問がございましたように、これまで、国民年金法第三十六条の二の第一項におきまして、二十歳前障害による障害基礎年金の支給が停止される事由が規定をされております。  その場合といたしまして、第二号の規定では、「監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。」、それから第三号の規定で、「少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき。」というふうに規定をされております。それで、この規定のままですと、有罪の判決が確定している方とそうでない未決勾留中の方との区別がなされておりませんので、未決勾留の方につきましても障害基礎年金は支給停止されることになっておりました。  今回の改正によりまして、有罪が確定するまでの間は支給停止しないようにするために、「第二号及び第三号」、先ほど申し上げた規定でございますが、「に該当する場合にあつては、厚生労働省令に定める場合に限る。」というふうに新たに規定することといたしております。これを受けまして、厚生労働省令におきましては、支給停止の対象者から未決勾留中の方が除かれるように、他の法令も参考にしながら規定することとしておりまして、今、端的に申し上げますと、例えば、懲役、禁錮あるいは拘留の刑の執行等のために監獄に拘置されている場合というふうに省令で限定をいたしまして、このことによりまして、未決勾留の方はその対象外となるというような省令を制定することを考えております。
  65. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。本当に、法律の専門家ではない我々のように、なかなか読ませていただいても理解に苦しむといいますか、そういった点を分かりやすくどうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、今回のこの審議の中でもいろいろとお伺いいたしましたが、ポストポリオという部分についてお伺いをしたいと思います。  ポストポリオと障害年金の関係でございますけれども、先日御質問をさせていただいた後に社会保険審査会の裁決の結果が出されたということでございますが、その内容はどういったことか、是非お伺いしたいと思います。
  66. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) お尋ねの裁決結果でございますが、厚生年金保険の被保険者が生後六か月に罹患したポリオに起因する両下肢機能障害について、四十八歳になってから障害となったとして障害厚生年金の裁定請求を求めていた事例につきまして、社会保険庁長官が、平成十四年十二月二十五日付けで、当該傷病の初診日が厚生年金保険の被保険者期間中にないとの理由により、障害基礎年金及び障害厚生年金を支給しないとした処分につきまして、当該処分を取り消す旨の裁決を行ったものでございます。  その認容の理由でございますが、まず、請求人の両下肢機能障害をポストポリオ症候群、PPSと以下略称させていただきたいと思いますが、このポストポリオ症候群であると認定いたしました上で、ポリオとPPSとの関係を同一傷病と見るか別傷病と見るかはPPSの発生機序が解明されていないこともあってにわかには決し難い問題であるが、ポリオの発症とPPSの発症との間には大きな時間的間隔が存在し、その後に従前の障害の状態とは程度、態様、部位において著しく異なる障害を発生したということ、そして請求人は、ポリオ罹患後、PPSの初診日まで四十五年以上にわたり、両下肢の軽度の障害を残しながらも、その障害の状態は安定し、これに対して格別の治療を施す必要がなかったものであり、特に、昭和四十九年に就職してからの二十年余りは厚生年金保険の被保険者として健常人と変わりない生活を行ってきたということを事実認定した上で、ポリオの原症状とPPSによる症状との間に存在をするこのような非連続性に照らせば、当該傷病の発生が四十五年余り前の疾患に由来するとのことを理由として厚生年金保険法上の障害給付を拒むことは、同制度の趣旨及び公平の理念に照らして著しく妥当を欠くという理由でございます。  長くなりましたが、以上のように、本事例につきまして社会的治癒の考え方を適用されたものと受け止めております。
  67. 西川きよし

    西川きよし君 どうも、分かりやすく、長い御答弁ありがとうございました。いえ、嫌みで決して言っているのではございませんので、辻局長の御性格も私はもう十二分に御理解さしていただいておりますので、本当にまじめな方だというふうに、この十八年間お仕事させていただいて、そう思っております。  そして、先日、社会的治癒について、そしてこのポストポリオにつきまして、大臣からは三、四か月掛けてというふうに御答弁をいただきました。三、四か月掛けて専門家の意見を聴きながら対応するという御答弁をちょうだいいたしまして、その際には、今回の裁決内容も十分御考慮をいただきながら御検討いただきたいというふうに、私自身こう思うわけですが、御答弁をちょうだいしたいと思います。
  68. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 前回にも御質問をいただきまして、そのときにも申し上げたところでございますが、いわゆる社会的治癒というのをどう解釈をするかという問題に尽きるというふうに思っております。  これは、法律的な解釈の仕方、それから医学的な解釈の仕方、いろいろあるんだろうというふうに思います。そうした専門家の皆さん方の御意見を聴いて、そして早くこの社会的治癒、どういう場合に社会的治癒と認めるかといったことの基準を明らかにやはりしなければいけないんだろうというふうに思います。それぞれの地域によってそれぞれが、担当者が解釈をしているというのではいけませんから、ここは明確にしないといけないというふうに思っておりますので、今回の判例等もございますので、今回のことなども十分に念頭に置きながら、ひとつ早く結論を出させていただきたいと思っております。
  69. 西川きよし

    西川きよし君 大変に本当に難しい問題ではございますが、辻局長、そしてまた大臣の御答弁、本当にありがとうございます。  この二つの問題も、本当に、日本全国約一億三千万人の人口から見ますと、果たして何十万、何万人、ややもすると何百万人の問題かもしれませんけれども、ポリオのこの第二感染の問題、そして最近ではお年寄りの通院介助の問題、そして国保組合の問題、坂口厚生労働大臣には本当に一つ一つ御丁寧に本当に対応していただいて、そしてまた解決の道を付けていただいたことを本当に有り難く思います。  それにしても、私もしつこくしつこく質問をさせていただいたことを本当にお許しいただきたいと思うんですが、それはやはり庶民の代弁者としてということでお許しいただきたいと思います。ここではそれが仕事でございますので。  時には、私自身もそうですけれども、ある方々からは、西川は木を見て森を見ていないという御批判をいただいたこともございます。しかし、与党、野党の先生方がしっかりとこの国の森をしっかりと見て守っていただいているわけですから、私はできる限り一本一本の木を見て、日の当たらない木がないのかなとというふうな気持ちでいつもここでお仕事をさしていただいております。そして、傷が付いている木がありましたら、手当てのお手伝いをさせていただければというふうに、それが自分の役割だというふうにこれまで取り組んでまいりました。(「すばらしい」と呼ぶ者あり)そして、あっ、ありがとうございます。もう身に余る光栄です。そしてそのことに、与野党の先生方、政府の閣僚の皆さん、政府の方々、職員の皆さん方、本当に懇切丁寧にいろいろと勉強もさしていただきましたし、また御理解もしていただきました。  それだけに、本当に最後ですけれども、今回のように、弱い者の意見といいますか、そういった部分、なかなかここでは取り上げてもらえないとか、はがき一枚、手紙、あとは本当に、国会の周辺でもよくデモがあったりするんですけれども、それでも取り上げてもらえない、そして会期末にはいつも請願の精査もありますけれども、そういったこともいろいろ考えまして、本当に弱い立場の人たちが安心して暮らせるような世の中をお作りいただきたいと思います。まだ何度か委員会もあるようですので、最後までしっかりと頑張ります。  時間が参りましたので、本日はこれで終わりにさしていただきます。  ありがとうございました。
  70. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 社会保障に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案及び社会保障に関する日本国大韓民国との間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案につきましては、他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより両案の採決に入ります。  まず、社会保障に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  71. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、社会保障に関する日本国大韓民国との間の協定実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  72. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会