運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-05-20 第159回国会 参議院 厚生労働委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十日(木曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  五月十八日     辞任         補欠選任      続  訓弘君     風間  昶君  五月十九日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     柳田  稔君  五月二十日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     榛葉賀津也君      風間  昶君     渡辺 孝男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         国井 正幸君     理 事                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君     委 員                 有村 治子君                 金田 勝年君                 佐々木知子君                 斎藤 十朗君                 田浦  直君                 伊達 忠一君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 宮崎 秀樹君                 浅尾慶一郎君                 朝日 俊弘君                 大脇 雅子君                 榛葉賀津也君                 柳田  稔君                 山本 孝史君                 渡辺 孝男君                 井上 美代君                 小池  晃君                 福島 瑞穂君                 西川きよし君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    副大臣        財務副大臣    石井 啓一君        厚生労働大臣  谷畑  孝君        厚生労働大臣  森  英介君        経済産業大臣  坂本 剛二君    大臣政務官        総務大臣政務官  小西  理君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        厚生労働省職業        安定局長     青木  功君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        太田 俊明君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国民年金法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○年金積立金管理運用独立行政法人法案内閣提  出、衆議院送付) ○高年齢者等雇用安定等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、続訓弘君及び櫻井充君が委員辞任され、その補欠として風間昶君及び柳田稔君が選任されました。     ─────────────
  3. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国民年金法等の一部を改正する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長吉武民樹君外三名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 国民年金法等の一部を改正する法律案年金積立金管理運用独立行政法人法案及び高年齢者等雇用安定等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  この際、森厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。森厚生労働大臣
  6. 森英介

    ○副大臣森英介君) 発言をお許しいただきまして、ありがとうございます。  私は、担当副大臣として、自らの未納の事実が判明した四月半ば以降、その事実を公表すべきだと考えてまいりました。  折しも、五月十三日午前の参議院厚生労働委員会理事会の場で、副大臣政務官年金保険料納入状況について明らかにすべきである旨の与野党合意がなされたのを受けまして、午後の委員会再開に先立って、他の副大臣政務官とともに省内にて記者会見をさせていただきました。  以上が正確な経緯でございます。  当日の会見における私のコメントに十分意を尽くさず、誤解を与える部分がありましたことについては、誠に申し訳なく、おわび申し上げます。
  7. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 以上で発言は終了いたしました。  これより、前回に引き続き、三案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。  質問に先立ちまして、冒頭、大臣に一点、これは通告をいたしておりませんが、確認をさせていただきたいんですが、本日の新聞日本歯科医師会から厚生労働省の幹部に現金が渡っているということが記事として出ております。この事実関係について何か御存じのことがあるのかないのか、もしないとするならば、全く事実無根だとするならば、その新聞に対してそれなりの措置を取るのかどうか、あるいは事実関係をしっかりと調査するのかどうか、その点を含めてお答えいただきたいと思います。
  9. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私もまだ今朝の新聞を見た限りでございまして、全く存じ上げておりません。したがいまして、まだ、朝、聞くゆとりもなかったものでございますから、今日のこの委員会が終わりましたら詳細に聞き取りをしたいというふうに思っておりますし、事実関係確認をいたしまして、もしもそれが事実であるというならば、厳正な処分をしたいと考えております。
  10. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非、事実であるとするならば、厳正な処理をしていただきたいということを再度申し上げさせていただきたいと思います。  そこで、年金法案について質問をさせていただきたいと思いますが、私は、今回の政府が提案をいたしました法案、百年安心法案だということを言われておりますが、とても百年もつものではないというふうに申し上げたいと思います。と申しますのは、この年金の問題が抱えております五つ問題点五つ矛盾点について何らその解決を示していないということであります。  その五つというのは、申すまでもありませんが、一つは、働く場所、働き方によって加入する年金制度が違う、厚生年金共済年金国民年金様々制度が分かれているということであります。それから、共働きの世帯とか独身の人も増えているわけでありますが、そういう方々から見ると、いわゆる第三号被保険者の問題について、この中では解答がないんじゃないかな、解決がされていないんではないかなというふうに考えております。それから、世代間の給付負担のバランスということについても今回の法案では解決が見えていないと。  この一から、今、一個、二個、三個、申し上げましたこの点については今までいろいろと言われてきたことでありますが、あわせて、国民年金未納による時効が約八兆円ということも明らかになりました。それから、その八兆円の中には実は未加入というものが含まれていないということも明らかになったわけでありまして、そうした問題についても余り解決が見られていないんではないかなというふうに思います。  ここまでが四点でありますが、もう一点、実はこれからこの点について質問をさせていただきますが、五割を、現役世代の五割を保障するという法案の中身になっていますが、その法案を詳細に検討しますと、厚生年金の被保険者、いわゆる加入者が減ってしまうと五割が保障できないという実態が明らかになっております。  その点に関して、まず、経済産業大臣、お越しでいらっしゃいますが、経済産業省としては、前に保険料厚生年金保険料が二〇%になると相当な失業者が増えるということでありましたが、今度一八・三%になることによってどの程度失業者が増えるというふうに判断をされておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
  11. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) 経済財政諮問会議での雇用への影響試算は、これは通商産業研究所研究者が実施した実証研究をベースといたしております。この試算は、政府内部年金制度改革を検討するに際して、保険料引上げ雇用に与える大まかな影響のイメージをつかむために、限られたデータの中で、一つの試みとして全くの機械的試算として実施したものであります。  具体的には、一気に厚生年金保険料を二〇%に引き上げたと想定しております。引上げ期間経済動向変化については考慮しない、こういう前提を置いております。保険料引上げの実際に雇用に与える影響については、種々の要因を考慮する必要があり、このような単純化した試算で示すことは極めて困難であります。  今回の年金改正法案においては、今後十四年間掛けて段階的に厚生年金保険料を一八・三%まで引き上げることとしております。このような保険料段階的引上げ雇用への影響について検討する場合、一つ引上げ期間中の経済動向変化を考慮せずに試算を行うことは適当ではなく、また、引上げ期間中にどのような経済動向になるかについても正確な予測は極めて困難であります。このため、経済財政諮問会議での試算の手法を今回の改正法案による保険料引上げ影響にそのまま適用することは誤解を招くことにもなりますので、私どもとしては差し控えさせていただきたいと考えております。
  12. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 影響があるということを言いたくないということなんだと思いますが、それじゃ厚生労働省にお伺いいたしますが、仮に被保険者が、失業者ということは多分厚生労働省では数字がないということでしょうから、厚生年金加入者、被保険者が百万人減少した場合にどういった影響があるのか。二〇二三年までは何とか五割を維持できるということであるでしょうけれども、それ以降はいわゆる積立金がなくなってしまうので五割が維持できなくなるというふうに聞いておりますが、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  13. 森英介

    ○副大臣森英介君) マクロ経済スライド調整率は、公的年金全体の被保険者数の増減と寿命の延び等を勘案したものを用いて計算されます。このため、失業率が増加することによって厚生年金の被保険者国民年金へと移動したとしても、公的年金全体の被保険者数の総数はほとんど変わらないため、毎年のマクロ経済スライド調整率自体は基準的なケースと比べてほとんど変わらず、所得代替率が五〇%へ到達する時期が早まることはないというふうに考えております。
  14. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の質問をもう一度よく聞いていただきたいんですが、五〇%に下がる時期が早まるということではなくて、それ以降五〇%を維持できないんではないですかという質問です。  なぜ、五〇%に下がる時期が早まらないというのは、今ある積立金を使っていくから、取り崩していくから早まらないんであって、その積立金を使い尽くしてしまったら、厚生年金の財源がなくなってしまうんじゃないですかと。被保険者の数が減ってしまうんではないですかと。ですから、その計算をしてくださいという質問通告を先週の段階でしてあるわけですから、是非お答えいただきたいと思います。
  15. 森英介

    ○副大臣森英介君) 仮に厚生年金の被保険者数の減少の程度ということで粗い推計を行いますと、平成十六年度に約四十万人以上が国民年金の第一号被保険者に移動し、平成十七年度以降、将来にわたってその雇用環境が続くとすれば、下限の五〇%まで給付水準調整しても、長期的な給付負担が均衡しない場合が出てくることもあると推測されます。
  16. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 つまり、長期的には給付負担が均衡しないということですね。それはいつごろから均衡しなくなるんでしょうか。
  17. 森英介

    ○副大臣森英介君) そういう場合もあるということで、それは雇用環境ですとか経済状況ですとか、様々なファクターによってのことでございます。
  18. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私が質問通告で出させていただいたのは、例えば七十万人被保険者が減少した場合で、ほかの経済動向は変わらない前提数字お答えくださいと、それでもってコンピューターを動かしてくださいという通告を出していたわけですから、その数字お答えいただきたい。(発言する者あり)
  19. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止
  20. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 速記を起こして。
  21. 森英介

    ○副大臣森英介君) 恐縮でございますけれども、ちょっと今即答できかねますので、ちょっと時間をいただきまして、他の質問の後でお答えをさせていただきたいと存じます。申し訳ありません。(発言する者あり)
  22. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ちょっと、じゃ、速記止めてください。    〔速記中止
  23. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 速記を起こして。
  24. 森英介

    ○副大臣森英介君) ちょっと私どものその御通告の受け止め方が若干間違ったのかもしれませんけれども、私ども先ほど御答弁した御通告の内容だというふうに思っておりました。ということで、大変手間取りまして恐縮でございますけれども委員がおっしゃられました七十五万人が国民年金の第一号保険者に移動したという、そういう仮定を置きますと、ずっとそういう雇用環境が続くと、二〇二五年で四九・七%という計算にはなります。  しかしながら、私ども財政計算上の前提条件としては、そこまでの数になるということは予想しておりませんので、こういう結果になる可能性というのは極めて少ないというふうに思っております。
  25. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まず、質問通告はちゃんとしていましたから、そこはちゃんと徹底してください。  それから、今七十五万人に厚生年金から国民年金に移動していたとした場合には、要するに五割を割ると。今まで絶対五割は守れると言っていたのが、そこで崩れるわけじゃないですか。その崩れることを言いたくないがためにそういうことは起きないという話をしましたが、具体的な例で申し上げますが、これは何も失業に限らないんですよ。  具体的に言いますと、私の知り合いが厚生年金保険料もう払えないということで社会保険事務所に行ったら、一応五人以上の従業員を抱えているところは厚生年金に入らなければいけないと、そういうふうに社会保険事務所が言いました。しかし、そんなことを言ったって、今いろいろ報道されているじゃないかといってさんざん言ったら、何と、じゃ、政治家になって変えてくださいと、あなたの脱退を認めますと言われて脱退を認められているわけですよ。つまり、失業者が増えなくても、厚生年金から脱退する人が増えればすぐ五割を割るということじゃないですか。  その点についても併せて、どういう根拠で七十五万人は厚生年金から国民年金に行かないんだと断言ができるか、お答えいただきたいと思います。
  26. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 我々も、これから先の年金につきましては、被保険者の数がどういうふうに推移をしていくのかということは計算をしているわけであります。その中で、もう二〇一五年には、現在の人口動態から見ますと、三百九十万人ぐらい労働力人口が減ってしまうという計算になります、二〇一五年。そうした問題を起こさないように、できるだけ徐々に、雇用者が減っていかないようにしていくかという、これは政策的な手段を取らなければいけないというふうに思っております。  今、委員が御指摘になりましたのは、それに更にプラスをして七十五万人減るというふうに、機械的に計算をすると先ほど申しましたような結果が出るということでございまして、これは様々な政策と重なり合っていくことでございますから、そうしたことにならないようにどう政策を立案をしていくかという問題とセットの話だと思います。  したがいまして、先ほど御議論ございましたように、地域地域によりまして、あるいはまた企業によりまして、そういうことが起こるときというのは、これはこれからも起こり得ると思うんですね。景気の変動が非常に激しくて、悪くてといったときに起こり得ることはあるというふうに思いますが、そういう状況がずっと続くということはこれまた考えにくいわけでありまして、そうしたことも、そのときそのときの経済動向も勘案をしていくということは大事でございますが、平均して見ましたときに、そうしたことを我々も念頭に置いて計算をしていることは事実でございます。
  27. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 七十五万人で四九%、いわゆる五割を割ってしまうということなんですが、先ほどお話が出ました経済財政諮問会議の数値は、二〇%まで保険料を上げた場合には百万人失業者が増えるということを同じ政府が言っているわけであります。百万人失業者が増えるかどうか、そこは分かりませんが、しかし、段階的に引き上げていく方が、実は一気に引き上げるよりかは、加入者が減るということは私はむしろ促進するんではないかなというふうに考えております。  なぜならば、加入者、つまり事業主ですね、事業主にとってみれば負担が増えるということが予測ができるわけであります。負担が増えるということが予測できる中で、先ほど申し上げましたように、現状では脱退ということも事実上可能になっていると。更に言うと、じゃ、質問としてこれは通告をいたしておりませんが、もしそういうことで把握できるんなら教えていただきたいと思いますが、厚生労働省は、法律上、五人以上従業員がいるところ、事業所厚生年金加入しなければいけないということになっておりますけれども、じゃ、実際、五人以上従業員がいる事業所がすべて加入しているということは断言できますか。これは絶対できないはずです。じゃ、その段階で何割ぐらいが加入していないかという数字を持っていますか。持っているか持っていないかだけお答えいただければと思います。
  28. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 御指摘のように、五人以上が全部入っておるということはないと思います。その数字は後で、持っておると思いますから、報告をいたします。
  29. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私、これ、三月二十三日の予算委員会でも質問をさせていただきましたが、その数字はないはずなんですね。ないというのは、要するに五人以上の従業員がいる事業所を把握していないはずなんです。把握しているかどうかだけお答えいただきたいと思います。
  30. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 申し訳ありません。数字としては持っていないというふうに言っております。
  31. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 要するに、数字として持っていない、なおかつ、加入している事業所は持っておりますけれども、そこから出るものについても余り把握をしていないと。先ほどのような具体的な例もあるわけであります。つまりは、失業者が仮に増えなかったとしても、脱退していく事業所が増えれば同じことなんですね。脱退する事業所が増えた結果、加入される方が七十五万人減れば、結果として五割は維持できないということですから、ですから、冒頭申し上げました五つの問題の五番目、いわゆる失業者が増える、あるいは被保険者が減った場合には維持ができない、そういう問題を抱えているんではないかというふうに思いますが、その点についてどう思いますかと言ったら、そうならないように努力するというふうにはお答えになるでしょうが、努力する以外に何か具体的な方案、手だてがあるかどうか伺いたいと思います。
  32. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先に答弁言っていただきましたから言いにくいわけでございますが、ならないようにしなきゃいけないわけでございますが、しかし、厚生年金なら厚生年金の中に入っている人たちの数が減る。長期的に見れば、その人たちが今度は、そういたしますと、いわゆる年金としている、年金として受ける人たちの数も減っていくわけでありますから、長い目で見ればそれはその中で均衡されていくということだというふうに思います。  しかし、初めに申しましたように、経済動向等に非常に影響を受けますけれども、そうした経済状況をどう作り上げていくかということが一つは最大の課題、先ほどから申し上げておりますように、実質賃金が上がっていくような数字前提にしておるわけでありますから、そういう社会をどう構築をしていくかということに尽きるというふうに思っております。
  33. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いろんな欠陥が抱えているんであれば、最初から百年安心ということは言わない方がいいんじゃないかなと、こういうふうに思います。  次の質問に入らさせていただきたいと思いますが、厚生年金共済年金、これ様々違いがあることが明らかになってきております。百年安心ということを言っておられるわけでありますが、今日は国土交通省にもお越しいただいておりますが、かつて国鉄共済というものがありました。これが、国鉄が民営化されるに従ってJRになって、そして厚生年金に移行されました。その中で、かなりの額の年金債務厚生年金が結果として引き受けたということでありますが、その経緯について、国土交通省お答えいただけますでしょうか。
  34. 鶴保庸介

    大臣政務官鶴保庸介君) 鉄道共済組合平成九年四月一日に厚生年金に統合されました。その際、移換金として当時の厚生省に対し総額約一・二兆円を支払うこととなりました。また、移換金とは別に、厚生年金に統合されなかった昭和三十一年六月以前の国鉄での在職期間に対する給付に要する費用として、統合時の現在価格で総額約三・五兆円の追加費用負担が必要と見込まれておりました。  なお、追加費用及び移換金については、現鉄道建設運輸施設整備支援機構が旧国鉄から承継した土地及びJR株式売却収入と国からの補助金などを原資として支払を行っておるというところでございます。
  35. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 旧国鉄債務は、結局、JR株売却とか様々な形で返しているんですが、それでも足りなくて、たばこを一箱二十円、一本一円上げる形で返していると。お金に色は付いていませんから、その三・五兆円というのは、これは共済年金ができる前の恩給のときの話だというふうに思いますが、それと、一・二兆円というのは積み立てた額。  更に言うと、積み立てた額に対して、物価スライドがありませんから、もっと追加費用は実は発生しているはずでありまして、手元の資料ですと、年間厚生年金から、これは共済ではありません、厚生年金から旧の国鉄共済、あるいはJTの共済、そしてNTTの共済に対して、移換を受けたので大体一千億円ぐらいずっと払っているということになっていますが、この数字は間違いありませんか。今の三・五兆、一・二兆に加えて、年間、毎年毎年、いわゆる物価スライド分が一千億円ぐらい厚生年金から発生しているということで間違いないと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  36. 森英介

    ○副大臣森英介君) 間違いございません。
  37. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 つまり、今、鶴保政務官お答えいただいたのは、三・五兆円と一・二兆円は結果としてたばこを一本一円上げる形で、その中で返していると。なおかつ、厚生年金から毎年毎年一千億円出していますよということなんですが、そこで、この質問をする前に一つ事実をお伺いしたいんですが、実は旧国鉄時代に辞められた方、国鉄のときに辞められた方の平均の年金受給額、いわゆる国家公務員、三公社ということなんでしょうけれども、その平均の、何というんですか、共済年金の受給額を教えていただけますでしょうか。月額で結構です。
  38. 森英介

    ○副大臣森英介君) 平均年金月額は、組合員期間が二十年以上の受給権者につきましては十九万六百五円、すべての受給権者については十八万九千四百六十五円でございます。
  39. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 じゃ、厚生年金の平均の受給額は十四万円ということで間違いないですね。
  40. 森英介

    ○副大臣森英介君) 間違いありません。
  41. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 つまり、何を申し上げたいかといいますと、要するに、高い年金、これは別にそのことが悪いと言うつもりはありませんが、しかし客観的に見れば、高い年金を守るためにたばこが上げられている、月五万円高い年金を守るためにたばこが上げられているということが客観的にそこから証明ができるわけであります。  そこで、次の質問に入らさせていただきますが、今、小泉内閣が掲げております一つの大きな方針として郵政事業民営化というのがあります。この郵政職員、国家公務員でありますから、平均の年金の受給額、月額十八万とか十九万ということになるでしょう、もう確定しているものについては。これをもし厚生年金に移行した場合、また厚生年金はその分を高いものも含めて負担するんでしょうか。
  42. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは、共済年金厚生年金とを合併をするということになりますと大きな問題点になるわけでございます。  先ほどお触れになりました、旧国鉄、旧専売公社、そうした共済年金と合併をいたしますときにも、その当時かなり大激論になりまして、いろいろの問題がございました。確かに旧国鉄あるいは旧専売公社等の方が保険料が高いわけでありまして、高いのに、それに負担を受けるとはどういうわけかというようなこともございまして、旧国鉄の場合には、一緒になっていただきますときに、負担率というものを、保険料の率をたしか上げてもらったというふうに私は記憶をいたしております。  したがいまして、現在の国家公務員の共済年金と合併をするということになりましたときにもそうした問題が発生しますので、そこは十分に均衡の取れた形というものを考えていかなければならないんだろうというふうに思います。
  43. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ちなみに、先ほど国鉄の場合で三・五兆と一・二兆という数字お答えいただき、累計で四・七兆円という、厚生年金が毎年毎年一千億円負担しているものとは別にお金が掛かっているというお話をいただきました。  郵政公社で同じベース考えた場合に、金額としてどれぐらいの負担が、累計の四・七兆円というのは、つまりたばこ税、たばこを一本一円上げることで賄っていることでありますが、郵政公社の場合はどういう金額になるんでしょうか。
  44. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) お尋ねの趣旨が郵政公社を民営化した場合どうなるかということであれば、それは民営化の姿によって変わってまいりますので、現時点で確固たる数字を申し上げることはなかなか難しいのでございますが、ただ、現在の郵政公社のじゃ年金給付債務はどうなのかということであれば、これもざっとした計算でございますけれども平成十一年の財政計算の結果によります粗い試算によりますと、平成十一年以前の過去期間に対応した国共済全体の給付現価は三十七兆円と試算されております。  それで、国共済全体の年金受給権者数に対します郵政公社の共済組合の年金受給権者数の割合が約四分の一であることから、仮にこれを基に機械的に試算をいたしますと九兆円から十兆円程度ではないかと、こういうふうに試算がされるところでございます。
  45. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 その九兆円から十兆円というものに対応する積立金がそれだけあれば問題はないわけでありますけれども、恐らくそういう積立金はないでしょうし、特に先ほどお話が出ております昭和三十四年以前の旧恩給時代のものについては積立金はそもそもないわけでありまして、そうすると、そこはまた結果としてたばこを上げて、たばこ税を上げて、今の機械計算でいきますと、一箱かつては一円だったんですが、今度、国鉄のときが一円で済んだんですが、一本一・五円ぐらい。禁煙運動が盛んになるからいいという顔をされている委員もいらっしゃいますが、しかしそのことと、喫煙者が負担すべき債務かどうかというのは私は相当疑義がある話じゃないかなというふうに思っておりまして、どういうふうに考えておられるんでしょうか。
  46. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは国家公務員全体として今度は考えなければならないんだろうというふうに思いますから、いわゆる郵政だけの話ではないというふうに思います。今回やりますときには、もう国家公務員、地方公務員全体として考えなきゃいけないんだろうと思います。
  47. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私も国家公務員全体でやるべきだと思っています。  それで、年金の一元化ということはこれは是非やるべきであるというふうに考えておりまして、国家公務員共済あるいは地方公務員共済を詳細に読んでみますと、先ほど国鉄の方の方が年金額が多いと。何でかなと思っていろいろ調べてみましたら、法案には文字どおりでは書いてありませんが、数式を換算いたしますと、二割増しということが法案に書いてあるんですね。ですから、そこから変えていかないといけないんではないかと。そこを変えるか、あるいは退職金の方で現在企業年金の一時金換算額というものを出しておりますから、どちらかをやめると。  私は、退職金の中にもし企業年金の一時金換算額を残すんであれば、年金の方は二割増しというのをやめて、厚生年金と同じ形にして、それで統合するというのが一番理想的な姿だというふうに思いますが、大臣が今言われた全体の中での話ということについては、その二割増しというものも改めるように政府部内で強く発言するという理解でよろしいですか。
  48. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これはまた決まった話でも何でもございませんが、私も、今議員がおっしゃったように、そうした部分はもう持ち込まないと、こちらの方に。一緒になりますときに、厚生年金と一緒に、厚生年金の方にそうしたものは持ち込まないということだろうと思うんです。持ち込まなければ、それをどうするかという問題はもう一つ残るわけでございますが、それは共済、現在また共済の中で御議論をいただくことだろうというふうに思いますけれども、一元化をしましたときにはそうしたものは持ち込まないということだろうと思います。  ただ、一つ、恩給の問題がございまして、これは、これから年金加入される方というのはこれはもう関係ない方だというふうに思いますが、過去になられて、現在七十歳以上ぐらいの人の場合にごく一部入っている、あるいは八十歳以上の方であればもっと入っているというようなことがございまして、これらの点をどうするかという問題も残るというふうに思います。
  49. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間が参りましたが、是非そういうことも含めて実現をしていただきたいと。  冒頭申し上げました五つの矛盾を解決して、いわゆる今の年金が抱えている五つの矛盾を解決するのが本当の百年の計だというふうに思っていますが、その点について、それが百年の計かどうか、大臣の所見を伺って質問を終えたいと思います。
  50. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 年金制度はどんな形にするにいたしましても負担給付が付いて回ることだけは間違いのない事実でございますから、そこをトータルで見てどうかということを押さえていかなければならないというふうに思っております。  今までは五年ごとの再計算ということで見てまいりましたけれども、将来の問題として予測のできるもの、できにくいものも確かにあります。予測ができなければ数値が変わるということもそれは起こり得ることでございますから、そこは十分に気を付けていかなければなりませんけれども、長期展望の下に今回は作らせていただいたということでございます。  確かに、働いております場所が変わりますと年金が変わるということは現在あり得るわけです。それは共済厚生年金との間であり、あるいは自営業者になれば国民年金になるということでございます。共働きの三号被保険者の問題も、これも個人単位で年金を考えるか、それとも世帯単位で考えるかということと関連するわけでございますから、これは今後の年金改革の問題として残した問題というふうに思っております。  それから、世代間の問題につきましては、これ今回もかなり若い世代の皆さん方にお願いを申し上げなければならない点があるわけでございます。しかし、過去の問題としてもう既に済んでいる部分もございますので、世代間の格差というものを完全にこれを解消するということはどんな制度を作りましてもなかなか難しい、できにくい問題だというふうに思っております。  それから、この未納問題につきましては、これも今後も起こり得ることでございますので、ここは運用の仕方としても起こらないようにどうしていくかということを徹底してやっていかなければいけないというふうに思っておりまして、運用面のまずさ、制度もさることながら運用面のまずさということがあったことも事実でございますので、そこをひとつ徹底的にやっていきたいというふうに思っているわけでございます。  以下、五割の問題につきましては、先ほど質問いただきましたので割愛させていただきます。
  51. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  まず冒頭、先ほど浅尾委員からもございましたけれども、私も今日の朝刊を見まして、この日歯の問題に絡みまして厚生労働省の幹部が現金を、詳しい経緯はまだ捜査中のことでございますので私もつまびらかにいたしませんけれども先ほど大臣おっしゃったように、もしこのことが事実であれば、捜査中の問題であって警察の手、司直の手にゆだねられている案件ではございますけれども厚生労働省としても厳正なる対応を取っていただきたいということを、私の方からも改めてお願いをしたいというふうに思います。  それから、これは今日の通告質問とはかかわりがないんですけれども、一昨日の当委員会で私は、小泉総理御出席をいただきまして、年金教育の重要性についてお訴えをさせていただきました。総理からは若干つれない御答弁であったわけでございますが、私は、これは大臣には御理解賜っていると思いますけれども、私は年金教育は実は非常に重要であるというふうに思っております。  私は現在参議院で最も若い議員の一人であります。この私の周辺に、友人等に話を聞きましても、やはり二十歳から年金に入らなければいけないという意識が二十歳のころなかったという方がほとんどでございます。もっと言いますと、二十歳を超えた後に、大学生でいいますと大体三年生以上になるわけですけれども、友人と、大学の友人とこの年金に入らなきゃいけないとかいけなくないとかということで話題になったこともほとんどないという方が非常に多いわけでございます。  私は、今日はやりませんが、いずれ二十歳以上の学生と年金の問題についてはちょっと集中的に質疑をさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、今日最後に、これは質問でも何でもございません、御指摘申し上げたいのは、大臣は当然もう御存じの話ですが、社会保険庁が平成十四年に行いました調査、国民年金加入をしている方々、これは多分十万人以上、十一万人ぐらいに調査をしているというふうに思いますが、毎回、のうち、先日申し上げたとおり、受給に最低二十五年必要だということを知らなかった人が四〇%、それから六十歳から六十九歳まで任意加入できるということを知らない人が六八%、物価が上昇すれば受給額も増えるということを知らなかった人が五二%、また、基礎年金部分について国が給付の三分の一を賄っている、負担をしているということを知らなかった人は五八%、約六割、そして障害基礎年金が受け取れるということを知らなかった人は五一%と。ほとんどの実は数字で、加入をしている方でも半数以上の方が残念ながらこれらの国民年金の特徴について御存じがなかったと。  私は、これは二十代だけ取り出したサンプルを見ておりませんけれども、若い人になればもっとこの数字は増えるということでございまして、大臣、私は、厚生労働省が、特に平成六年前後から、若い人への年金教育も力を入れようと、また一般国民全体に対しても幅広くこの年金の必要性について広報しようという努力をされてきたことは私は認識をしておりますけれども、それが今まで十分であったかというと、こういった数字を見ますと不十分であったと言わざるを得ないわけでございまして、総理は小学生に年金の話してもそんなの分からないだろうという、そういうことばかりおっしゃっていましたけれども、私は資料としては中学、高校での年金教育の数字を出しましたし、是非、少なくとも現状よりは高校辺りでの年金教育等についてはもっと力を入れていただきたい。これはもう当然文部科学省の全面的な協力を得なければいけないわけですが、それを冒頭に要求をさせていただきます。  それで、今日の質問に移らせていただきたいと思いますが、先ほど浅尾委員の方からは失業率の問題等々からお話があったと思いますが、私は、政府の今回の与党案、当然、私も与党年金改革協議会のメンバーでもございましたので、強く支持する立場からあえて質問をさせていただきますが、この政府・与党案の前提一つに出生率がございます。これは、政府の想定では一・三九以上に回復することを前提試算をされているわけでございますが、現在の出生率は、特殊合計出生率は一・三二でありまして、このまま超少子高齢社会が進行すると、先ほどの話ではございませんけれども年金給付水準を守れなくなってしまうのではないかという指摘があるわけでございます。  最近の動向を見ておりますと、少子化が大変進んでおります。東京都におきましては一・〇を切るところが自治体によっては出てきておりまして、これは先日のNHKニュースでも報道されておりましたが、渋谷区で、渋谷区が全国最低なんですね、出生率が。〇・七五、目黒区が〇・七六と。逆に九州、沖縄方面が非常に高い、上位大体十位以内がそちらの自治体になっているわけでありますが、こうした都市部で一・〇を切るような状況の中で、全国平均で一・三九ということを前提に今回の政府・与党案はできているわけでございますが、この一・三九を実現していくためには、景気が良くなるということも必要ですが、やはり政府の側の少子化対策というものがもっと拡充をされていかなければならないというふうに思っておりますが、まず冒頭、大臣のこの少子化対策への御決意を、今の私のお話も踏まえて伺いたいと思います。
  52. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 現在結婚をしている人たちが二人ずつお子さんを産んでいただくということになりますと、結婚しない人もおりますし、結婚しても生まれない人もありますから、それで約一・五になる。また、皆さん方に何人お子さんを欲しいですかということをお聞きをして、その皆さん方の出していただく答えからいきましても、大体平均しますと一・五になる。その何人欲しいかという質問に対しましては二・五人ぐらいになるわけでありますけれども、しかし現実問題としては一・五ぐらいになっていくということでございまして、一・五という数字が本当は目標に掲げたい、少なくともそれぐらいは目標に掲げたいわけでございますが、しかし現実はなかなかそうもいかない状況にございます。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  これは、政治の方だけの問題ではありませんし、皆さん方のお考えにもこれはよるわけでございますが、少なくとも、産みたいけれども産めないと言っていただく皆さん方に対してどうおこたえをしていくかということがこの少子化対策だろうというふうに思っております。  したがいまして、その少子化対策に対して何が一番必要なのか。ここは、日本の中ではそこがまだちょっと不十分でございまして、スウェーデンに私も参りましていろいろ向こうの勉強させていただきますと、向こうの方はそれぞれが、それぞれといいますか、その国の中でそれぞれの政策がどういう少子化に影響を与えるかということを数値で出しておみえになるわけであります。これ、なかなか今までの積み重ねがなければできないことだというふうに思いますけれども、やはり少子化対策に対してはどういう政策手段を取ればどれだけの回復を、少子化を回復をさせることができ得るかというやはり研究もこれからきちっとしながら政策判断をしていかないと、私は限られた予算の中で間違うことになってしまうというふうに思っております。  しかし、そのスウェーデンでも、〇・三は回復すると思って導入しましたものでも〇・二しか回復しなかったというケースもあるそうであります。そのときには何が要因で所期の目的を達することができなかったかという、これまた解析をおやりになっている。そうしたことの繰り返しの中からどういう政策を選択すればいいかということを出しておみえになりますので、そうしたことをひとつ日本の中もしっかりやりながら、そしてこの少子化対策というものを充実をさせていくということにしなければならないというふうに思っております。
  53. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣、今スウェーデンのお話をされましたけれども、私も昨年スウェーデンへ行きまして、主に若年者雇用の問題についてスウェーデン政府関係者と懇談をさせていただいたんですが、私もスウェーデンの様々な社会保障分野における政策には感銘を受けておりますが、ただ、スウェーデンの場合は、消費税も二五%程度で、国民負担率は現在の日本の三六%前後と比べますと七五%以上あるということで、いろいろな国の財源上の前提が違うのかなと思いますが、そこで、私、その財源のお話にちょっと今日は入りたいと思います。  まず、私は、今の政府社会保障政策の中で、特に社会保障給付の面に着目をいたしますと、少子化対策の優先順位がまだまだ低く扱われているのではないかというふうに思わざるを得ないわけでございます。  ちょっと古いデータで恐縮ですが、平成十三年、社会保障関連の財源は実に九十・四兆円になっております。そのうち、社会保障給付は八十一・四兆円の規模に全体でなっているわけでございますけれども、例えばこの社会保障給付総額のうち、年金給付を始め、老人保健給付費、医療分です、老人福祉サービス給付費、高年齢雇用継続給付費等の高齢者に対する施策関連でこの八十一・四兆の何%を使っているかといいますと、六八・七%、つまり高齢者関係の施策にはこの八十一・四兆円の実に七割近くのお金が充てられているということでございます。それに比べまして、医療保険の出産育児一時金あるいは児童手当、児童扶養手当、保育所運営費等々の児童・家族関係給付費の割合を見ますと、驚くべきことに三・七%しかないわけでございます。  私は、この数字を出すことで、決して高齢者への政策を弱めなきゃいけないということを言うつもりはございません。高齢化社会で寿命が延びておりますので、それはしっかりと対応していかなければいけないと思っておりますが、しかし、こうやって数字で見ますと、やはり高齢者に対しては七割、少子化対策で家族関係、児童関係三・七%、四%以下。聞くところによりますと、国によってばらばらなんですが、スウェーデンも含めて他の先進諸国ではこの数字が一〇%程度はあるというふうに聞いているわけです。  それからもう一つ大臣、最近私が聞いたニュースで驚いたのが、オーストラリア政府が、オーストラリアは七月から予算年度が始まる国でありますけれども、二〇〇四年度の予算案を出したわけでございますが、タイトルがモア・ヘルプ・フォー・ファミリーズと、家族への支援をもっと厚くというのが予算案全体のタイトルになっておりまして、当然、予算規模とか人口規模とか、いろいろオーストラリア、日本と違いますので単純比較はできませんけれども、この目玉となっておりますのは、オーストラリアでは五年間掛けて百九十二億ドル、オーストラリアドルですね、これは日本円で一兆五千億円相当になるわけですが、オーストラリアは人口二千万の国ですから、それで目玉が出産手当なんですね。これを今年度からお子さん生まれた御家庭には三千ドル、これ二十三万円出しますと。二年後にはこれを四千ドル、三十一万円にしますと。さらに、二〇〇八年には、四年後には五千ドルまで上げると。三十九万円。しかも、私、驚いたのが、所得制限一切なしと。ですから、所得の、年収の多寡にかかわらず、子供さんを一人生まれた御家庭には一律に政府が三千ドルから四千ドル、五千ドルと上げていって出しますよということを訴えておられます。  それ以外にも、オーストラリア全土で四万の託児所の増設とか四千の家族デイケアセンターの増設等々が盛り込まれておりまして、非常に感銘を私は受けました。ここまで少子化対策を頑張る姿勢を示せば、オーストラリアも、大臣御存じのとおり高齢化に悩んでいる国でありますが、大きく一歩踏み出したなという感じがしております。  そういう中で、大臣先ほど申し上げました四%そこそこの少子化対策では、財源上ですね、非常に不足しているんではないかというふうに思いますが、これ是非、今だんだん景気も好転をしてきて、政府の財源も、まだまだ非常に厳しいわけでありますけれども、二〇一〇年代のプライマリーバランス黒字化に向けて歩み出しているわけでございますが、その中で、是非ともこの少子化対策、力を入れていただいて、このパーセンテージを私は個人としてはできれば倍にしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  54. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この児童・家族関係いわゆる給付費と言われますものは、今お話ございましたように約三兆円、三・七%でございますし、それから高齢者関係給付費は五十六兆円、その全体、先ほどお話ございましたように六八・七%を出している、国費で出しておるわけでございます。単純な比較だけではいけないというふうに思いますけれども、高齢者の場合にはそれだけのいろいろの手を差し伸べなければならない分野もありますし、これからまた高齢者が増加してくることも紛れもない事実でございますから、ここをそんなに削るということもなかなか難しいわけでございますが、しかし、ある程度の抑制はお願いを申し上げたい。それは、社会保障費として抑制するのか、それとも、その中で所得のある皆さん方につきましては税でそこを還元をしてもらうのか、いろいろのやり方があるというふうに思いますけれども、ここはやはりいろいろの検討をしなければならない課題であるというふうに思っております。  いずれにいたしましても、この少子化と申しますか、児童あるいは児童を抱える家庭、それに対する支援をどうしていくかということが今後の一つの大きな課題になってまいります。しかし、日本の財政全体が非常に厳しい中でございますから、そう多くをなかなかここで望むわけにはいきませんけれども、これに対して、ここに使います予算をどこからどう作り出していくかという知恵を絞らなければならないときに来ているというふうに思っております。  少子化対策というふうに言いましたときに、一応、少子化になるということを前提にして、その上でその社会をどう維持していくかということを考えるのか、それとも少子化そのものを何とか食い止めるという対策をするのかという、両面あるというふうに思っておりますが、それらのことに対しまして様々な施策の組合せによってやっていく以外にないというふうに思っております。個々の分野に対しまして、各分野において施策をちりばめていくというのがこれからの施策ではないかというふうに考えております。
  55. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣の御答弁の最後の部分というのは、私がちょっと飛ばした質問にかかわるところで、理念的なお話なんですが、やはり我々この年金問題考えたときに、大臣正におっしゃったとおり、少子高齢化社会がもうこのまま進行していく、深刻化していくことは避けられないので、それに耐えられる例えば年金についても制度設計にしようという発想でいくか、それとも、やはり同時に、恐らく今回政府・与党が出している制度設計というのは正に、過去、この十年間、政治の混乱もございました、景気の低迷も長く続いたということもございましたけれども年金の根本的な制度設計に手が付けられてこなかったと。これはやはりある意味、約十年間抜本的には手を付けていなかったので、今回しっかりやろうということで政府・与党案を出したという意味で、我々は抜本改革だというふうに思っているわけでございますが、しかし同時に、この少子高齢化の流れを逆転をさせるための施策を総動員をしていかないと、この今出している案の前提も崩れてしまうということは私も問題意識としてありまして、ですから今日こういう質問をさせていただいているわけなんですね。  そこで、あと二つ、ちょっと時間あるかどうか分かりませんけれども、具体的に、具体的な施策として少子化対策なんですが、一つは、やはり女性の社会進出が進んでいく中で、当然政府もそれを支援しようという動きになっているわけですが、男性が一方で働きながら育児支援に参加すべきであるということが言われているわけでございます。次世代育成対策の関連三法案が今国会でも出ていて、ちょっと今衆議院の方でどうなるか不透明な状況になっておりますが、育児・介護休業法の改正案も出されております。  これは数字を見ますと大変厳しいものがございます。男性の育児休業取得率でありますが、これは実に〇・三三%というのが現状でございまして、厚生労働省が示した企業に対する計画策定例、例ですね、例示としては、専業主婦を妻に持つ男性も産後八週間は必ず育児休業が取れるようになることを周知徹底するべきだということも言われておりますが、実態はかなり懸け離れているわけでございます。  さらに、もっと申し上げれば、経済界の方も男性社員が育児休業を取ることに必ずしも積極的とは言えない状況でございます。昨年、次世代育成支援対策推進法が成立をした際に、地方自治体と従業員三百名以上の企業については特定事業主行動計画の策定を義務付けられて、子育て支援がしやすい環境づくりの整備を促したわけでありますが、その中で育児休業の取得率について目標を掲げた行動計画をしっかりと届け出なさいということを最初は言っていたわけでありますが、実際には、経済界の反対で、策定しましたよという事実の届出のみ、それから、企業側の行動計画の内容については公表しないと。結局は、中身の実効性については全然担保が取れないような形でこの次世代育成、スタートしたんですね。  私、思うんですが、今この年金の改革の問題でも、財界から給付をもっと抑制して、負担も抑制してという話がいろいろ出ているわけでありますけれども、それはそれとして自己完結の議論としてあるのかもしれませんが、しかし一方で、男性社員の育児休業について余り御理解をいただけず、この〇・三三%の状況でいきますと、仮にお子さんが欲しいという家庭、平均して先ほど大臣からもありました一・五人と言われていても、結局は御主人の、夫の関係で断念をするということになりかねないというふうに思っておりまして、私は、男性の育児支援がもっとしやすくなるような政策、ある面やや強気でやっていかないといけないと思うんですが、この点、いかがでしょうか。
  56. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 男性の育児休業を中心にした企業風土の改革という問題であろうかと思いますが、御指摘のとおり、少子化というのは企業自身に対しましても労働力の確保でありますとか市場規模の縮小といったことで大変甚大な影響を及ぼすものというふうに考えられておりますので、是非とも企業に取り組んでいただきたいというふうに私ども思っております。  今、るる御説明ありましたように、次世代育成支援法を策定する段階ではいろんなやり取りがございました。企業の雇用管理との関係、自主的な雇用管理を余り阻害してはいけないというふうな議論があったことは確かでございますが、この法律に基づく計画をこれから一年掛けて今作るところに差し掛かっております。  実は、昨日付けで全国の経営者団体等七十団体を支援対策の推進センターとして指定をさせていただきまして、こういったところ、行政ももちろんやりますが、こういった自ら、経済界自らにもお骨折りをいただいて、この計画の策定作りに取り組んでいくということを今本格的に進めておるところでございますので、こういった中で企業風土の改革ということを旗印にこれから鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
  57. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 最後の質問になるかと思いますが、今企業の文化変えなきゃいけない、これはもう本当、何度も何度も、政府も国会もやっていかなきゃいけないことだというふうに思います。女性の育児負担が非常に重く受け止められているという中で、かといって国が、大臣もよくおっしゃいますけれども、国が女性に子供をもっと産みなさいと言えないわけですから、これはもっと女性が産みやすい環境を整えなきゃいけないと。  最後に、私、これもうお答えいただかなくていいんですが、不妊治療も非常に重要だと思っています。これはもう生理的、生物学的な問題になるわけですけれども、お子さん欲しいという家庭が多くても、今十組に一組の若いカップルは不妊に悩んでいるというふうに言われております。今年から、大臣からも御尽力をいただきまして、年間十万円の助成を二年間不妊治療に充てるということが出ておりますが、私が調べたら、四一・九%の不妊治療をやっておられる御家庭では、コストが百万円以上掛かっているというデータがございまして、保険適用をしてほしいという声は相変わらずあるわけでございますし、また、十万円二回じゃ足りない、もっと拡充してほしいという声もあって、私も実情を見ますと、もっとやっぱり支援する必要があるのかなというふうに思いますので、この点も検討していただいて、是非ともこの少子化対策もっと力を入れなければ、政府が今回の年金改革法案前提にしている出生率一・三九の回復が難しくなってしまうということを申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。
  58. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  最初に、先ほども議論がありました問題、ちょっと通告ありませんが、一言お聞きしたいんですが、七十五万人厚生年金加入者が減少すると、これたちまち五割を切るという御答弁がございまして、これ七十五万人というのは大丈夫なんだと、これは頑張るんだというお話でした。しかし、五年前の再計算のときに、これは厚生年金加入者の数予測しております。このわずか一年後に予測よりも二百十一万人下回っている。それから、二〇〇一年には二百七十二万人厚生年金加入者下回っているわけです。  二百万人単位で計算違い、見込み違いをしておきながら、七十五万人減ることはないんだということは、私はどう考えても納得できないんですが、大臣、いかがですか。この実績から見れば、私は、七十五万人、見込み狂う、あってはならないことではありますが、そういう危険性は極めて高いし、そうなれば、たちまち六十五歳の支給開始時点から五割を切るということになるというふうに思いますが、大臣お答えいただきたい。
  59. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先生お尋ねの前回財政計算とそれから今回財政計算、それから最近の実績でございます。実績の関係はおっしゃるとおりでございますが、今回の財政計算は、その実績を基本にして、将来の将来推計人口、あるいは労働力率、被保険者数ということで推計をいたしております。それから、七十五万人という数字は、あれは経済財政諮問会議自身の数字ではございませんで、経済財政諮問会議経済産業省が御説明をされた数字でございますけれども、一三・五八%の保険料率を一挙に一八・三%に引き上げる、そういう前提数字でございます。したがいまして、一年間で約四・八%保険料率を引き上げるというそういう数字を、それまでのある時期の、今申しましたような負担と、それからいわゆる雇用者数といいますか、これは逆でございまして、雇用者数が増えるときのデータに対処して出されたものでございます。私どもの今回提示を申し上げております保険料率の引上げにつきましては、年〇・三五四%ということで、相当の期間を掛けて引上げをお願いをするということでございますので、私どもとしては、基本的には、その間の日本経済の成長、その中における雇用の問題という形になってくるんではないかというふうに考えております。
  60. 小池晃

    ○小池晃君 いや、私はそんなことは聞いてないんで、七十五万人の数字の是非を言っているんではないんですね。二百万人単位で前回見込み違いが起こっていると。それとは違うんだと言うけれども、どこが違うんですか。全く、前回を踏まえてまたやったと言うけれども、前回二百万人減っているのに、今回は大丈夫ですと。  大臣、私、お聞きしたい。率直に国民から見れば、前回、五年前だってこれだけ見込み狂ったのに、今回は大丈夫ですと、七十五万人減ることはないですというふうに、見込み違いは絶対ないというふうに大臣、胸張って言えるんですか。私は、国民から見れば、先ほどのやり取りを聞けば、これは五〇%切る危険性は極めて高いんじゃないかと率直に皆さん思われると思いますよ。大臣、そう思われませんか。
  61. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今おっしゃいました七十五万人なり百万人の問題は、それはそうした経済の動向によりまして起こり得るときもあるだろうというふうに思いますけれども、それは一時的には起こったといたしましても、それが連続してそれが続いていくということは考えられません。そしてまた、先ほどから申し上げておりますように、現在の人口動態からいたしましても、これから労働力人口が減少していくわけでありますから、その減少分につきましては十分に計算の中に入れているということを申し上げているわけであります。  したがいまして、そうした計算も行いながら、そして過去に予測をしたのを違ったことも計算に入れながらこの再計算を行っているということでありまして、先ほどの御質問は、それに更に輪を掛けて、それにプラスして七十五万なり百万なりが更に減ったらどうだという、こういうお話でございましたから、それは御質問としてそれにお答えをしなければなりませんからお答えはいたしましたけれども、決して五〇%を下がると思ってはおりません。
  62. 小池晃

    ○小池晃君 五年前も大丈夫ですと、こういう数字ですというふうに言って、そこから二百万人更に減ったんですよ。今回も大丈夫だと言っているけれども、七十五万人割ったらこうなるんだという指摘なわけですから、私は今のは全然国民から見れば説得力ないというふうに思います。ちょっともう一回改めて議論したいと。  続けて、厚生労働大臣年金保険料未納問題についてお伺いをしたい。  森副大臣確認したいんですが、御自身の未納については、四月十四日の衆議院厚生労働委員会の時点でこれ把握していたということでよろしいですね。
  63. 森英介

    ○副大臣森英介君) そのとおりです。
  64. 小池晃

    ○小池晃君 さらに副大臣は、先日の記者会見で、坂口大臣に報告したというふうに発言をされています。  坂口大臣に報告したのはいつですか。
  65. 森英介

    ○副大臣森英介君) 私のその事実関係が判明いたしまして、でも、大臣も大変お忙しくて、私の記憶で、委員会が始まるその前か何かに、私は、実は私もこういうことになっておりましたということを私は御報告したつもりなんですけれども、今から思いますと、大臣はいろんなことがある中だったものですから、私が自分のことを申し上げていると認識されてなかったんじゃないかなという気がいたします。  そういう意味で、ちょっと若干私が御報告申し上げた、説明申し上げたことと結果的には違ったことになってしまっております。
  66. 小池晃

    ○小池晃君 ちょっと何かすごいことを言い始めましたが、四月十四日の委員会の前に言ったというんですね、大臣に。
  67. 森英介

    ○副大臣森英介君) いや、それはいつか覚えておりませんけれども、少なくとも四月十四日以前ではありません。
  68. 小池晃

    ○小池晃君 それじゃ、大臣にお聞きします。  森副大臣から副大臣未納問題をお聞きになったのはいつですか。
  69. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 委員会の席上だったというふうに思いますけれども、森大臣から、自分の年金の問題についても今調べておりますと、機会を見て発表したいと思いますと、こういうお話がございまして、是非そうしてくださいということを申し上げたわけであります。
  70. 小池晃

    ○小池晃君 いや、未納期間があるということはお聞きになったんですか、ならなかったんですか。
  71. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 委員会で並んでの隣同士の話でございますから、そんな詳しい話はお聞きはいたしておりませんが、しかし、調べて時期を見て発表したいというふうにおっしゃったことは事実でございます。
  72. 小池晃

    ○小池晃君 調べて発表したいということは、これは未納期間があったということですよね。こんな大事なことを委員会の席で、ちょっと何というんですか、世間話みたいに聞いて、定かには覚えてない、そういう話でいいんですか。これ、担当副大臣がもし保険料未納だとすれば、正に衆議院で年金改革の是非をめぐって大議論がされているときに、その問題についてこんなあいまいな対応でよかったんですか。  副大臣、こういう、まあ大臣にお聞きしますよ。こんな大事なことをそんなあいまいなことで済ましたんですか、大臣は。お聞きになったのであれば、これは直ちに調査して直ちに発表せよと言うのが担当主管大臣として当然の責任じゃないですか。こんなことをあいまいにしたまま審議を続けたことは、私、責任重大だと思いますが、大臣、いかがですか。
  73. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほど申し上げましたようなお話がございまして、是非そうしてくださいということを申し上げたわけでありまして、そのころはまだ皆さん方の全体として出ていないときであったというふうに思いますから、是非副大臣も、そういうふうに思っていただいているならそういうふうにしていただいたらいいというふうに私は思ったわけでありまして、そういう時期であったということであります。
  74. 小池晃

    ○小池晃君 確認しますけれども、それはいつですか。そういうふうに大臣がお聞きになったのはいつのことだかお答えいただきたい。
  75. 坂口力

    国務大臣坂口力君) その日までちょっと覚えておりません。
  76. 小池晃

    ○小池晃君 いや、全く無責任ですよ。これ重大な情報じゃないですか。  大臣、この副大臣保険料未納しているかどうかということは、これは国会と国民に対して報告すべき重大な情報だという認識はお持ちでないんですか。
  77. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ですから、そういうふうにしてくださいということを申し上げたわけであります。
  78. 小池晃

    ○小池晃君 そういうふうにしてくださいと言ったけれども、その日も覚えてないし、その後、じゃ何かされたんですか。そんなに重大でこれは大事な情報だというのであれば、その後、副大臣に対して、あれはどうなったんですかと引き続き問いただしていくべき問題だと思いますが、大臣はその後副大臣に対して問いただしたんですか。
  79. 坂口力

    国務大臣坂口力君) もうその当時それぞれで自分の履歴というものはだんだんと発表していくという時期でありましたから、それは、副大臣は副大臣としておやりをいただけるというふうに私は思っておりました。それは、だから発表していただいたというふうに思います。
  80. 小池晃

    ○小池晃君 何を言っているんですか。発表したのは、衆議院通過して、参議院に来て、参議院の委員会やった後でしょう。しかも、一国会議員の問題だけじゃないんですよ、これは。厚生労働大臣でしかも厚生省担当の年金を主管している副大臣先ほどから答弁に何度も立っている、そういう人の情報をそんなあいまいにしたと。  大臣、これこの程度の軽い問題だったのかということをお答えいただきたい。
  81. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 何も軽い問題だというふうに言っているつもりはありません。御本人からそういうお話がございましたから、そのようにしてくださいということを申し上げたわけでありますから、私は別に軽く扱ったということでは思っておりません。
  82. 小池晃

    ○小池晃君 確認しますが、じゃ、大臣は四月の委員会の、衆議院で審議をしている真っ最中の委員会の、四月中ですね、四月中の委員会でお聞きになったと。しかし、その後は副大臣に対してそのことを問いただすことは一切していないと、そういうことでよろしいですか。
  83. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それはまあ同じ間柄でございますから、いろいろの話はしていますよ。しかし、その問題につきましては、そこでそのようにお答えをして、その時期を待っていたということでございます。
  84. 小池晃

    ○小池晃君 じゃ、大臣お伺いしますが、大臣は副大臣未納期間を持っているという認識を持たれたのはいつですか。
  85. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それは、そのときには調べて発表したいと思いますというお話でございましたから、そのように申し上げたばかりでございまして、そのときにはまだその未納があったかどうかというところまで十分に私は存じておりませんでした。  しかし、いつの時点でございましたか、その未納問題があるということをおっしゃったのは事実でございますけれども、それはそんなに前の話ではございません。
  86. 小池晃

    ○小池晃君 いや、肝心なところをごまかしちゃいけませんよ。大臣はその未納問題あるというふうにお話を今されたと言いました。それはいつだったんですか。
  87. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それはいつだったかというところまでは覚えておりません。お聞きしたことは事実でございます。
  88. 小池晃

    ○小池晃君 正確に、克明にとは言わずとも、要するに、大臣は、確認したいのは、大臣は森副大臣記者会見で発表する前の時点で森副大臣から未納期間があるということをお聞きになっていたということは間違いないですね。
  89. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それはそのように御理解いただいて結構でございます。
  90. 小池晃

    ○小池晃君 それは衆議院での委員会採決の前ですか、後ですか。
  91. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ですから、そこまで詳しくは覚えていないということを申し上げているわけで、お聞きしたことは、最終的にお聞きしたことは事実でございます。
  92. 小池晃

    ○小池晃君 この問題は森副大臣の問題にとどまらないと私は思います。  坂口大臣が、このことを知りながら、本当にのらりくらりとあいまいな答弁していると。私、この問題明確にしていただかない限り、この議論できません。ちょっと止めていただきたい。ちょっと、これじゃ駄目ですよ。
  93. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 速記止めて。    〔速記中止
  94. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 速記を起こして。  小池晃君、質問続けて下さい。
  95. 小池晃

    ○小池晃君 続けろと言ったって、答えないのに続けられないじゃないですか。
  96. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 質問続けてください。
  97. 小池晃

    ○小池晃君 大臣、私が聞いているのは委員会の採決の前か後かなんですよ。これ、重大なんですよ。だって、このことをあいまいにしたまま採決をしてしまうということは、このことにふたをする。衆議院で議論しないで、衆議院の議論にはこの重大な情報を提供しなくていいというふうに大臣が判断したということなんです。  この前か後かは、これ、記憶にないじゃ駄目です。答えていただかないことには、これ以上前には進めません。はっきり答えていただきたい。
  98. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 四月の時点でそういうふうに調べておりますというお話はございまして、その話をお聞きをしたのは五月に入ってからというふうに思っておりますが、定かに幾日であったかというところまで記憶をいたしておりません。
  99. 小池晃

    ○小池晃君 五月のいつごろなんですか、それは。
  100. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ですから、そこまで、具体的に幾日だったかというところまで覚えていないということを申し上げている。
  101. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、四月の十四日に未納の問題について調査しているというふうにお聞きになったのであれば、これは四月十四日に、四月に、四月に委員会の席上で会ってお聞きになったということは、森大臣未納可能性があるということは、大臣はそれは認識されていたというふうに思います。  しかしながら、それをじゃ二週間余りにわたって大臣は問いただすこともせず、確認もせず、そして採決を迎えたというわけですか。
  102. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いや、調べるというのは調べてみないと分からないでしょう。お調べをいただきたいということを申し上げたわけで、それでその結果を発表したいというふうにおっしゃったんですから、そうしてくださいということをそこは申し上げたわけで、それは別に何ら問題ないと思います。
  103. 小池晃

    ○小池晃君 大臣は、この副大臣保険料未納していたという情報は、衆議院の委員会質疑、採決の前までに国民に対して明らかにするべき重要な情報だという認識を持っていなかったということですね。
  104. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 副大臣は両副大臣もおみえになりますしいたしますから、それぞれの副大臣にもお調べをいただきたいというふうに思っておりました。したがいまして、それは両副大臣とも、あるいは政務官も含めてお調べをいただいたわけでありまして、森副大臣は少し早めにそうした、自分も今調べているということを連絡を、連絡と申しますか、お話をいただいたということを先ほどから申し上げているわけであります。
  105. 小池晃

    ○小池晃君 いや、全然答えてないんです。私、事実経過聞いているんじゃないんです。  この担当副大臣保険料未納可能性があるとしたら、極めて重大な情報なんです。それは、そのことを国民に明らかにしないまま委員会採決するなどということは許されないはずなんです。しかし、大臣委員会採決までそのことについて、これは国民に対して明らかにするべきだと、これは急いでやらなきゃいけないと、そういう認識持っていたんですか、いなかったんですか。
  106. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ですから、五月に連休が終わりましたどの時点でございますか……(発言する者あり)いやいや、それは四月の段階のところでは、それはお調べになるということでございますから調べてくださいということを申し上げたわけでありまして、調べないと分からないじゃないですか。
  107. 小池晃

    ○小池晃君 答えてないんですよ。  大臣、調べるといったって、こんなの、副大臣ですから、厚生労働省の副大臣ですよ。一日でもう、何分間で分かる話じゃないですか、すぐに聞けば。それを二週間にわたって調査中だということで済ましていいような情報だったんですかと。大臣は、だからこの問題は採決までに国民に対して明らかにすべき情報だという、そういう認識だったんですかと、この一点についてお答えを。
  108. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 副大臣でありますから、お調べをいただきたいというふうに思っております。そしてまた、いつの時点かは御本人が決められることでありますけれども、それは発表していただきたいということを申し上げていたわけであります。
  109. 小池晃

    ○小池晃君 未納を五月十三日まで隠し通してきた森副大臣の責任も重大ですが、今日の質疑通じて、それを知りながら、未納可能性があるというふうに分かりながら衆議院の採決が終わるまで明らかにさせようとしなかった、私は厚生労働大臣の責任問題にこれはなってきているというふうに思います。これは、引き続きこの問題は追及していきたい。  それから、年金積立金の浪費の問題についてちょっと残る時間でお聞きしたいんですが、グリーンピアの問題ですけれども、これ全施設を売却するというふうに決めましたけれども、これ今のところ売却できたのは岩沼と二本松、そして横浪の施設の一部だけであります。そのほかはそれぞれの自治体と調整中というふうにされている。  今日お配りした資料、これは私が自治体議員や地方自治体からお尋ねした資料なんですけれども、これは既に売却をしている二施設に加えて、私が今回調査した結果、売却見込額が出ていること、これは大体七か所あります。これ合計しますと、九施設で建設費が千百九十四億円、修繕費と維持管理費で百三十三億円、合計千三百二十七億円。これに対して売却予定価格は合計三十二億円なんです。建設費と維持費を合わせた合計のわずか二・四%の売却額にしかなっていない。十三施設中九施設の分だけでもうこれ年金保険料約一千三百億円が消えてなくなる、今、こういう売却状況になっていると。  局長、簡単でいいんですが、このグリーンピアの売却を取り巻く環境というのはこういう厳しい環境にあるという御認識ですか。
  110. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 売却予定額につきましては、自治体を中心に引受けをしていただくということを考えておりますけれども、自治体が引受けができない場合には民間譲渡ということで、その場合には入札方式を取りますので、売却予定額自体は公表をいたしておりません。それから、基本的には直近の鑑定評価額に従いまして自治体には参考価格を示しておりまして、自治体の方で現実にその譲渡を受けるということをお決めになりますと、その時点でもう一度直近の鑑定評価を行うという形でございます。  鑑定評価の点で申し上げますと、御案内のとおり、最近は収益還元法といいますか、この施設自体の将来の収益を現在の価値に還元するというこういう考え方、あるいは周辺の同様の価値があるものをどう考えるか、あるいは現実に今再建設しましたときにその価値は幾らあるかというような、こういう幾つかの評価法がありますので、この評価法につきまして、鑑定の専門家に二社を選びまして鑑定をしていただくという形でございます。  現実には、グリーンピアはある程度時間もたっておりますし、そういう意味で現実の、今申しましたような鑑定をしていただく、鑑定評価額が下がってきておるというのが現実の姿でございます。
  111. 小池晃

    ○小池晃君 厳しい環境だということをお認めになった。大臣、こういう状況になっている。この責任について、大臣、どのようにお考えですか。
  112. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これ、売却が済みましたのはまだ三か所でありますから、そのほかのところがどれだけの額になるかということ、これ、ここにはえらい数字まで書いてありますけれども、これからの話でございますから、これはまあ分からない将来の話と思います。  ただ、この建設費を丸々そのまま売却をして得られるというふうには、それは思っておりません。もう建築いたしましてから何年間もこれは経過しているわけでございますしいたしますから、その評価というのは多分に下がっていることは事実でございます。その間、様々な利用もしてきたことは事実でございますから、そうしたものを織り込んでこれからどうしていくか。  しかし、このグリーンピアができました最初のその意向というのは、それは国会でもいろいろ議論をされて、そして附帯決議が出たりもいたしまして、その中でこの施設を中小企業を始めとするなかなかそういう機会に恵まれない皆さん方のためにこれは使うということでしたわけでありますから、私は、今後もできるだけ地元の皆さん方を始めとして、そうした地域の皆さん方に御利用をいただけるということが前提条件というふうに思っております。  そこを抜きにして、例えば産廃業者のような方も買いに来ていただいたりしておりますよ。しかし、何でも高く売ればいいというわけではない。私はその本来の趣旨というものを尊重していかなければいけないというふうに思っている次第でございます。
  113. 小池晃

    ○小池晃君 この売却については、いろいろと地元にお聞きすると、道や県はほとんどお荷物引き受けたくないというふうに言っていて、その結果、財政力のない市町村に押し付けられていると。市町村からは悲鳴が上がっているという実態もある。年金掛金使いながらこれだけ無駄遣いをやり、赤字になったら売却だということで市町村に破綻のツケを押し付けると。非常に二重三重に無責任なやり方だということを申し上げたいと思います。  それからもう一点、目的外流用の疑惑を取り上げたいんですが、二〇〇三年三月に全国の社会保険事務所に金銭登録機というのが導入されまして、これは全国三百十二か所のすべての社会保険事務所が個別にカワグチ技研という会社と随意契約を結んでおります。カワグチ技研というのは社員七名の小さな会社です。金銭登録機というのはハンディータイプの保険料の徴収員が持ち歩く端末なんですが、一台十七万六千円、全体で二千五百七十四台購入して、総額四億四千六百万円、こういう金額が国民の年金保険料から支払われている。  配付資料の三枚目に経過が、社会保険庁からいただきましたが、これは二〇〇三年の三月十一日に事務連絡で各事務所に年度内に機器導入を終えるように指示をして、この三月十一日から三月末日までのわずかの期間で三百十二か所の社会保険事務所がすべて個別にカワグチ技研というところと随意契約を結んで、そしてすべて期限内に購入したという、そういう経過なんです。  私は、これは社会保険庁が指示でもしなけりゃこんなことになるはずがないと。ところが、社会保険庁は一切指示していないというふうに私に説明している。しかも、このカワグチ技研というのは、繰り返すけれども、社員七名、資本金一千万円の会社だと。こういうところに、社会保険庁がゴーサインもなしに、四億円ものシステム開発費が掛かっているんですが、こんなことするんだろうか。社会保険庁が組織的に関与することなしに、七名の社員でわずかな期間で稚内から石垣島までのすべての社会保険事務所と個別に随意契約を結んで契約、納品する。  大臣ね、これ常識的にはこんなことあり得ないと、思いますが、大臣、いかがですか。──ちょっと併せてお聞きしますからお答えいただきたい。  しかも、これはこれだけじゃないんです、問題。調べていくといろいろと驚くべき事実がある。カワグチ技研というのは、これは金銭登録機のほかにも、パピアートという伝票類の専用のプリンター、これを社会保険庁とリース契約しています。これがやはり全国の社会保険事務所とそれから地方自治体に配置されて、これ五年間で二十二億七千万円、見積価格のまま随意契約をされております。実際にこれは使用されていないということが新聞でも取り上げられています。  しかも、このカワグチ技研という会社には関連企業がございます。カワグチ技研の代表取締役は川崎義幸さんという方です。ところが、この人はニチネン企画という会社の監査役で、フォーム印刷社という会社の取締役なんです。ニチネン企画というのは、これは社会保険庁と出版物なんかの印刷でこれはやっぱり随意契約をしていて、契約高は五年間で十億八千五百万円。それからフォーム印刷社というのは、これは単年度ですけれども一億数千万円の契約がある。年金に関する帳票の印刷までやっている。すべてこれ随意契約なんです。これを全部合わせると、この関連企業で三十九億円の費用になる。しかし、カワグチ技研の社員数七名、ニチネン企画は十四名、フォーム印刷七名、延べ二十八名で年金絡みの三十九億円の受注を受けているんですね。私は、これは一人当たりにすると一億四千万ぐらいになるんですが、これ極めてこの三企業と社会保険庁の関係、私は異常なものを感じる。  大臣、いかがですか、この関係に極めて異常なものを感じる。私はこれを徹底的に調査すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
  114. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この議論は衆議院の方でもかなりたくさん出していただきました。
  115. 小池晃

    ○小池晃君 全体、やってないです。
  116. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 全体、いやいや、出ております。  そうした中で、私がそこで申し上げましたのは、確かにこの随意契約という契約の仕方というのは好ましくないということをそこでも申し上げたわけでありまして、社会保険庁の方に言わしめれば、いろいろの理由があってしたというふうに言うんでしょうけれども、しかし、第三者的に見れば、随意契約でこういうふうに全国にやっているということは良くない。したがって、今後は随意契約をやらないということでやってほしい、こういうことを今申し上げているわけであります。
  117. 小池晃

    ○小池晃君 そんな一般論を聞いているんじゃないんです。随意契約の在り方の問題じゃないんです。年金ファミリー企業というのはそういう実態じゃないですか。こんなことを放置していいのかと。  私、これだけの特別な関係を持っているのであれば、私は、厚労省関係者がこうした企業とつながりを持っているのかどうかというのは徹底的に調査すべきだというふうに思いますが、大臣、最後に、これ、厚労省からの天下りがこの三企業にあるのかどうか。大臣、こうした疑惑に対して、人的関係について、厚労省として徹底的に調査すべきだというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
  118. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 衆議院のときにもそういうお話がございまして調べましたけれども厚生労働省から行っている者はおりません。  そして、これらの問題につきましては、先ほど申しましたように、そうした疑いを持たれないようにこれからどうするかということに結び付けていかなければいけないということを申し上げているわけであります。
  119. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 小池晃君、時間が来ていますので。
  120. 小池晃

    ○小池晃君 はい、はい。  今のは事実と違うと思います。  この問題、課長以下も含めて徹底的に人的つながりも含めて調査をすべきだということを申し上げて、取りあえず午前中の質問を終わります。
  121. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  私の方から、まず冒頭、大臣に、通告はなかったんですけれども、与党と民主党との三党合意について、今朝、朝刊を見せていただいて感じたことを少し質問をしたいなと思いまして。  与党からの具体案が出さなければ、その合意を破棄することもあるという記事が出ておりまして、私は、国会でその協議機関を設置して、会派の枠を超えて将来の年金制度を真剣に議論していきましょうということに大変大きな意味があると思います。どうぞこの協議をこれからいい方向に持っていってもらいたいなと。あえて無所属の立場から、是非今後の協議会の設置、そこでの議論、是非とも実現をしていただきたいというふうに正直な気持ちであります。  やはり、政府・与党の立場からはできる限りの対応も国民が期待していると思いますので、まず冒頭、坂口厚生大臣の方から一言いただけたらと思いまして。
  122. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 三党合意と申しますか、民主党さんとの間でいろいろのお話合いが調いまして、衆議院の段階で合意をされました意義は非常に大きいと私も思っております。  今後、社会保障全体の中で考えていかなければならない問題がたくさんございます。これは、年金の将来像を考えますときに、年金だけではなくて、医療もあるいは介護も、その他の福祉も含めた形の中でこれから負担給付をどうしていくか、やはり全体として考えないといけない問題がその中には含まれております。  年金だけを見ますと、負担給付、これはどうしてもこれからの少子高齢社会にマッチをした負担給付というのがあるわけでございますけれども、個々人、皆さん方が出していただきます懐は一つでございますから、医療の問題も介護の問題も同じ財布の中から出していただかなければならないわけでありますので、全体としてどういう姿形になるのかということが非常に大事でございます。  しかも、そのことについて、出し方も、それは保険料として出すのか、それとも税として出した方がいいのか。税であればどういう税で出したらいいのかといったことも含めて、トータルで御議論をいただいて、そうした中からまた年金の将来の在り方というものについての御提言があるということならば、そこは謙虚に耳を傾けなければならないというふうに思っているところでございます。  これからそうした場ができまして、いろいろ議論ができれば幸いだというふうに思っている次第でございます。
  123. 西川きよし

    西川きよし君 是非、この協議機関は大切にしていただきたいというふうに思います。  そして、一昨日ですけれども、小泉総理大臣に自助、そして共助、公助というこのバランスについてお伺いをいたしました。今日のこの少子高齢社会を考えたときに、後々、本当に今の子供たち、そして孫の時代ですね、そういった子供たちに負担を掛けてはいけない。しかし、一人一人の立場に立てば、自分自身が将来設計として考えていた年金が下がる、仮にそういうことになれば、それは自助としてそのための準備が必要になるわけですけれども、ではその手だてを一体どうすればいいかということが大変難しいわけでして、みんながみんな自助ができるかといえばそうではないというふうに思います。それぞれお一人お一人がいろんな理由があると思うわけです。そのためには私は、公助、公の枠組み、これをしっかり準備していただきたいなというふうに思います。給付は下がりますし、後はしっかり頑張ってくださいということであれば、全国お一人お一人の方々は本当に不安が増幅するだけであります。  今日は坂口厚生労働大臣に、この自助と共助と公助のバランス、これがうまくいっているのか、現時点では崩れているのかというところを分かりやすく御答弁をいただけたらと思います。
  124. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、人によりましてどういうふうにお感じになっているのか、それは違うだろうというふうに思いますが、御指摘いただきましたように、公助、共助、自助、その三つによって成り立っていることだけは紛れもない事実でありますし、これから先もその三つの組合せによっていかなければならないところでございます。  少子高齢社会というこの社会がこれからどのように更に進んでいくのかということによってもこれは異なりますけれども、その中で、やはりこの負担をする、支える人たちの数が増えて、支える側の人が減るということは、やはりそれぞれ個人の自助というものにつきましても御理解をいただかなければならない社会だというふうに思っております。  したがいまして、これはもうそれぞれの人生設計にかかわる話でございますから、早めにいろいろとこれはお話を申し上げて、そして御自身で御努力をいただくことはお願いをしていくということにしなければいけないというふうに思っております。  したがいまして、今般のこの年金改正におきましても、公助と言われます部分、すなわちこの基礎年金負担の部分につきましても、国の負担というものを三分の一から二分の一に引き上げていこうと。ここはやはり国の方も、厳しい財政の中とはいいながら、やはりきちんとやらなければいけないところだと思っております。  しかし、それぞれの共助、お互いもそれぞれに御負担をしていただかなければならないわけでございますから、ここは今までと違って少ない人数で多くの人を支えるわけでございますから、御負担若干増えますことはお許しをいただきたいというのが我々の考え方でございまして、しかしそれぞれもまた将来に対してそれは備えをしていただくということも、これはお願いを申し上げなければならないというふうに思います。  バランスは取りながら、しかしバランスは取りまして、それでもなおかつ、これから先の生活というのは今までのような調子にはいかないということでございますから、公助の方も共助の方も自助の方も、それぞれレベルアップをしていただくということでバランスを取っていく以外にないのではないかというふうに思っております。
  125. 西川きよし

    西川きよし君 御丁寧な御答弁ありがとうございました。  しかし、御答弁をお伺いしますと、なかなか難しいということがよく御理解させていただきました。みんなで力を合わせて頑張らなければいけない。  時間が短いものですから、これがもう最後の質問になるわけですけれども、まだまだ当委員会は長い、遠いスケジュールになるのではないかなというふうに思いますので、全部質問ができない場合はよろしくお願いを申し上げます。  今度は副大臣に御質問をさせていただきたいと思います。  今御答弁をいただきまして、一つには、元気で働きたい、そして働ける、そういう方にはできる限りしっかり頑張っていただく。私の周囲でも、本当に六十五歳でも七十歳でもお仕事していらっしゃる方、たくさんいらっしゃいますし、お元気です。仮に働く場があるとすれば、自分は六十五歳と言わずに七十歳まで頑張って働きたい、その代わり働けなくなったときには十分な年金をちょうだいするということになるわけですけれども、そういう選択があっても僕は大いに結構なことだというふうに思います。人生八十年時代と言われるわけですから。  今回、厚生年金にも繰下げ支給を導入するということでございますけれども、例えば現行の給付水準六〇%を維持したいと思えば、何歳ごろまで頑張れば、例えば六〇%、一生懸命働いて、何歳まで頑張って働ければ、ただいまその六〇%を確保できるかなというのをまずお伺いをしておきたいと思います。後々のためにもよろしくお願いします。
  126. 森英介

    ○副大臣森英介君) お答え申し上げます。  今、委員指摘のとおり、今後高齢期の就労が進んでいくことが見込まれます中で、引退年齢を自由に選択して、実際に引退した後から年金を受給することを望む方が増えていくことが考えられます。  そこで、今回の改正案におきましては、現行の六十五歳から一律に支給される老齢厚生年金につきまして、支給開始年齢を繰り下げることができる仕組みを導入することといたしているわけでございます。仮に、基準となる前提厚生年金の標準的な年金の水準が、これはモデル、いわゆるモデル世帯で平成三十五年に五〇・二%となることを予想しているわけでございますけれども、となった場合に、繰下げにより現行の五九・三%の水準の額とするためには約一八%の増額が必要となります。  そこで、加算額の算定方法など繰下げ制度の具体的な内容については法案成立後に検討することとなりますが、現行の老齢基礎年金の繰下げ制度と同様に、一か月、一月当たり〇・七%増しという設定といたしますと、六十七歳二か月、二十六か月分繰り下げるとほぼ同程度の増額となります。
  127. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  時間が参りましたので、午前中はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  128. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  129. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、風間昶君及び浅尾慶一郎君が委員辞任され、その補欠として渡辺孝男君、榛葉賀津也君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  130. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案外二案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  131. 藤井基之

    ○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。一昨日に続きまして、年金等三法につきまして質問をさせていただきたいと存じます。  御案内のように、日本人の平均寿命、二〇〇〇年の数字で、女性は八十四・六二歳、男性は七十七・六四歳、正に世界一の長寿を誇っております。将来推計によりますと、この数字は、二〇二五年には女性は何と八十七・五二歳まで、男性も七十九・七六歳という正に世界一の長寿の地位を保つ、そのような経緯が想定されておるところでございます。  しかし、近年は、単なる寿命の長さを誇ってもしようがない、その質が問題ではないか、こうされてきております。どうすれば充実した人生を少しでも長く送ることができるのか、一生の中で活動性の高い生活を行える期間を少しでも長くすることが非常に重要な課題ではないか、そのような認識が強くなっております。  WHOが、世界保健機構ですが、WHOはワールド・ヘルス・レポート二〇〇二におきまして、六十歳以降に健康で過ごせる期間につきましての報告をしております。それによりますと、我が国の男性は、六十歳以降健康で過ごせる期間は十七・一年だと、女性は二十・七年という数字が示されております。正に我が国の高齢者は、その健康状態は世界の最高水準なんだと、そういうことを示していると思います。加えまして、一昨年には健康増進法も制定されました。健康長寿社会づくりは重要な国策であります。厚生労働省は、健康日本21キャンペーンを推奨され、各種施策を実施に移されております。その最大限の努力とその成果につきまして、国民の一人として大いに期待を持っているところでございます。  しかし、その一方で、まだまだ健康で働く意欲も旺盛な元気な方々が定年であるとかリストラでやむを得ず職を離れ、また、再就職をしようとしてもなかなか職に就けないという深刻な状況が続いております。長年の経験、立派な実績を持ち、まだ働く意欲も元気もある方々が経済社会活動から離れてしまうことは我が国にとって大きな損失であり、誠に残念でなりません。かつまた、急速に進む少子高齢化により、現役世代人口が減少を続けている今、年金改革の視点からも、年金財政を支える世代の確保という意味からも、高齢者の雇用の確保は重要な課題であります。  そこで、本日私は、高齢者雇用年金という観点から御質問をさせていただきたいと存じます。  今回、年金三法としまして、その一つとして高年齢者等雇用安定等に関する法律の一部改正が提案されまして、大臣から趣旨説明を受けました。旧厚生省と旧労働省が合体した厚生労働省となって初めての年金制度改革、その感を強くした次第でございます。厚生労働省としましても、これまで以上に年金雇用との関連性、両施策の連携の重要性を意識されたのではないかと考えます。  まず、年金雇用という観点から、省内におきましてどのような検討が行われ、今回法案として提出されたのか、お尋ねしたいと存じます。
  132. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 就労形態の多様化が進む中で、個人の就労を抑制することのない、あるいは個人の働き方の選択や、逆に企業の雇用形態の選択に対しましてもできるだけ中立的な年金制度を目指すということが求められているところでございます。  そこで、今回の改正に当たりましては、雇用政策と相まって、支え手を増やしていくための公的年金制度としての方策につきまして、労働経済を始めとする専門的な観点からの調査検討を行うために、学者、研究者の方の参集を求めまして、雇用年金に関する研究会を開催いたしまして、最近における雇用の動向、それから年金制度との関係について議論をしていただいております。この研究会は、事務局といたしましては、年金局とそれから旧労働省の雇用対応部局で一緒に事務方を務めさせていただいております。  その研究会の中で検討を行っていただきました事項は、短時間労働者の方への厚生年金の適用拡大、それから在職老齢年金制度の見直しという点について検討を行っていただいております。  この研究会の報告内容につきましては、その後社会保障審議会年金部会におきまして在職老齢年金制度の見直しあるいは短時間労働者への適用拡大の議論をしていただいておりますので、そこでも御報告をしていただきまして、その基礎資料となってきたところでございます。
  133. 藤井基之

    ○藤井基之君 二〇〇三年、昨年の十月一日現在、六十五歳以上の方々の人口というのは二千四百三十一万一千人、そう報告されております。これは我が国人口全体の一九%に相当いたします。それに反して、少子高齢化の急速な進行によりまして、若年層であるとか働き盛りの世代の人口は大幅に減少することが予想されております。二〇〇〇年、平成十二年ですが、八千六百万人、全人口に対する約六八・一%の方々、これに該当する方々が実は十五歳から六十四歳までの若者とか現役世代と言われる人口でございました。この数字が二〇二〇年には何と七千四百万人まで下がる、全人口に対する割合も六〇%にまで下がってしまう、そのような推計が厚生労働省から発表されております。  労働力人口の減少、これは我が国の経済社会の活力をそぐとともに、年金を始めとする社会保障制度の支え手が不足するという、これゆゆしき事態となるわけでございます。  今後の労働力人口、それに対する厚生労働省の見通しにつきまして御説明をいただきたいと存じます。
  134. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 今後の労働力人口の見通しでございますけれども、今御指摘のとおり急速に少子高齢化が進行しておりますので、生産年齢人口、十五歳から六十四歳でございますけれども、これにつきましては、二〇〇二年から二〇一五年までの間に約八百四十万人減少すると見込んでいるところでございます。  お尋ねの労働力人口でございますけれども、これにつきましては、高齢者の方、女性の方の労働力率が相当程度上昇すると見込んでおりますが、一方で若年層とか壮年層の大幅な減少がございますので、約九十万人減少すると見込んでいるところでございます。なお、この労働力率の上昇が見込まれない、変わらないと仮定いたしますと、労働力人口は二〇一五年までの間に約三百九十万人減少すると見込んでいるところでございます。  また、労働力人口の内訳を見ましても、二〇一五年にはいわゆる若年者、三十歳未満が約三百四十万人減少する一方で、高齢者、六十歳以上の方は約三百四十万人増加すると見込んでおりまして、その中身が相当程度変わると見込んでいるところでございます。
  135. 藤井基之

    ○藤井基之君 このような労働力人口の見通しを踏まえますと、高齢者の方々に今後ますます活躍していただく必要があるということについては議論の余地がないところであります。  ところが、現在の労働市場を見ますと、六十歳で定年を迎え、まだまだやる気もある、能力もある、しかし、それにもかかわらず引退せざるを得ない高齢者の方々が数多くいらっしゃいます。これでは、高齢者の持つパワーが十分に社会で発揮されているとは言えないのではないでしょうか。高い就労意欲を持つ高齢者が長年培ってきた知識と経験を生かしてますます活躍し、我が国の発展に大いに貢献していただくことのできる環境整備、これが是非とも必要だと考えます。  そこで、この問題についてどのように認識をし、また本提案においてどのような対応策を講じようとされているのか、大臣より御説明をいただきたいと存じます。
  136. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 六十歳代の皆さん方にどう働いていただくかということは、その皆さん方にとりましても大事なことでございますが、年金全体を考えましても、六十歳代の皆さん方が雇用に従事をしていただくということは、その分だけ年金にも好影響を与えるわけでございます。一つ保険料をお支払をいただくということもございますし、また一方におきまして、年金そのものを遅らせていただく皆さん方も出てくるということでございますから、両方に大きな意味を持っているというふうに思っております。  したがいまして、いかにして六十歳代の皆さん方に対して今後雇用を提供していくかというのは非常に大きな課題でございます。定年の引上げでございますとか継続雇用制度の導入によりまして、六十五歳までの雇用の確保ということを今回法案の中でもうたわせていただいているところでございます。  募集ですとか採用時に、しかしそうはいいましても、年齢制限を付けてくるところもあるわけでございまして、もし仮にそういう年齢制限を付けてくるということになれば、それは中高年齢者の立場に立って、なぜその年齢制限をしたかといった理由を明確にしていただかなければならないということにもしているわけであります。我々の方といたしましても、中高年齢者の再就職の促進というのは、これはもう積極的に進めていかなければいけないというふうに思っております。  女性の雇用の問題とそしてこの六十歳代の皆さんの雇用の問題、この二つを好転させれば、それだけでもこの保険料率に非常に大きな影響を与えてくるわけでありまして、これは将来もしそういうふうな社会を実現できたときに、保険料の抑制の方を採用されるのか、それとも保険料は上げていくけれども年金額の方を上げるということにされるのか。それは今後、将来の皆さん方がどう選択されるかということになってくると思いますけれども、その二つを解決できれば保険料率にして三%ぐらいのこれはプラスに動くことだけは間違いないと思っている次第でございます。
  137. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございます。  今、お話ございました国民のライフスタイルが変わりつつあると。それに対応してこの年金制度、あるいは、もっと広く言いますと社会保障全般の仕組みというものを見直していかなければいけない、そういったところに来ていると私も思っております。特に女性問題につきましては、先日は我が同僚議員南野先生からもるる御質問をさせていただいたところでございます。今日は、私もその議論をしたいんですが、時間もありますので、いわゆる高齢者雇用の問題について続けて質問をしたいと思っております。  我が国におきます年功を重視した人事とか賃金決定、これは非常に広く行われております。この仕組みといいますのは、かつてのように若者の方々の数が多くて高齢者の数が比較的少ないという、そういった人口構造の下においてはこれは非常に有効に機能していったメカニズムだと思っております。しかしながら、少子高齢化の進展や経済構造の変化などに伴いまして、年功序列、この制度の仕組みというものの問題点も顕在化してまいりました。各企業におきましては、もう既に成果主義でありますとか、能力主義という言葉に立脚した賃金体系とか人事体系への移行が相次いでおります。  そういった一面もありますが、全体を見ますと、まだ日本におきましては年功重視の企業、これがまだ数多く存在しております。こうした企業が、この法案で求めるように、例えば定年を引き上げるという、こういうことをやりますと人件費が増加してまいります。企業経営に与える影響も膨大なものになるおそれがあります。年功賃金制と終身雇用制というものは、中高年者の労働市場の硬直さ、硬直性をもたらす、あるいは中高年者の雇用促進を阻害する面もあるんだと、こういう指摘をする研究者も大勢いらっしゃいますし、その種の論文も多々散見されるところでございます。  政府は、今回法案におきまして、企業に定年の延長を求める、そういった内容を提示しているわけでございますが、年功序列的な賃金体系でありますとか人事、処遇制度の見直しなど、これらも併せてアドバイスすることが必要であると考えますけれども大臣、いかがでございましょうか。
  138. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 企業とそこで働く人たちの問題は、基本的にはその労使で決定していただくということだろうというふうに思いますが、全体として見ました場合に、この六十歳代の雇用というものは、今までの年功序列のこの賃金体系の中で考えますと、やはり企業の負担というものが多くなるということはあるわけでございます。  しかし、六十歳代で継続雇用というふうに言われますような場合には、大体一度六十歳で区切りを付けて、そして再雇用のような形になっているところが多いわけでございまして、企業によりまして様々でございます。また、中には、もう五十歳代後半ぐらいなところから賃金体系をそうした六十歳代に焦点を当てて、その賃金体系を新しく作っておみえになるところもございますし、いろいろでございますが、我々の方といたしましても、高年齢者雇用アドバイザーというのを置いておりまして、それぞれの企業においていろいろの違いはあると思いますし、それぞれの御議論もあるというふうに思いますけれども、できれば御相談に乗せさせていただいて、円滑にそこが推進できるようにしたいというふうに思っているところでございます。
  139. 藤井基之

    ○藤井基之君 高齢者が意欲と能力のある限り働き続けることができるためには、できるだけ企業においても、少なくとも六十五歳までの雇用の場を確保していただくこと、これは必要だと思います。  しかし、近年産業構造が変化等ありまして、経営環境もなかなか厳しいと言われている。したがって、リストラによりまして定年前にやむを得ず離職を余儀なくされるような中高年者の方々も多く存在しております。  政府委員にお尋ねしたいと思いますが、現在、中高年者の雇用失業情勢、どのようになっているかということについて簡潔に御説明いただきたいと存じます。
  140. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 中高年齢者の雇用失業情勢でございますけれども平成十五年の数字でございますけれども、まず失業率でございますけれども、六十歳代前半層の失業率が七・五%でございまして、これ年齢平均では五・三%でございますので、平均よりもかなり高い数字になっております。また、有効求人倍率でございますけれども、四十五から五十四歳の有効求人倍率が〇・三四倍でございます。それから五十五歳から五十九歳では〇・二〇倍でございます。若い方は一倍を超えているところもございますし、年齢平均でも〇・六二倍でございますので、やはり四十五歳を超えますと有効求人倍率が急激に低下するということでございまして、いったん離職いたしますと再就職が困難であるとか、そういう状況が大変厳しいというふうに認識しているところでございます。
  141. 藤井基之

    ○藤井基之君 このように、定年前にリストラ等で解雇されますと、今お話があったように、いわゆる労働市場全体を見ても中高齢者に対しては厳しい状況があるわけでございます。こういった中で、少なくとも基礎年金の受給開始年齢であります六十五歳までの雇用機会を確保する、これは行政として最大限の努力をしなければいけないし、こういうことは、多くの方々に対して円滑に再就できるような環境整備、この必要性のためにもっと一層の努力をしてもらわなきゃいけない理由になるだろうと思っております。  先ほど大臣からもちょっと御説明ございましたが、改めてお尋ねしたいんですけれども、再就職の支援対策の強化、これは非常に重要だと思っておりますが、これについてもう一度、具体的にどのような取組を行うこととされておるのか、法案に含まれている内容を含めまして御説明をいただきたいと存じます。
  142. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 六十歳代、とりわけその前半の皆さん方の雇用をどうするかということが非常に大事になってきておりますから、そこにできるだけ焦点を当てて対策を講じていかなければいけないというふうに思っております。  御指摘をいただきましたように、ここは有効求人倍率も非常に低いわけでございますから、この低さに対応していかなければなりません。しかし、最近、五十歳代あるいは六十歳代の皆さん方のお持ちになっている能力、特に物づくりにおきましては、この皆さん方が身に付けておみえになります能力というのは何物にも替え難い、是非もう少しこの皆さん方を活用したいというふうに言われる経営者も増えてきております。特に、若い皆さん方が物づくりの中にお入りになってくる人数が少ないという現状の中で、そうした要望が特にこの半年ぐらいの間に多く聞かれるようになってまいりました。それはある意味では大変いいことではないかというふうに思っている次第でございます。  雇用対策法に基づきます募集ですとか採用時の年齢制限の是正指導というのを一つはやっております。それから、離職を余儀なくされた中高年齢者に対しまして再就職援助を行います事業主への助成というのも実はやっているわけでございます。世帯主など特に再就職の緊急性が高い中高年齢者を対象といたしましたいわゆるトライアル雇用というのも実は実施をいたしておりまして、もう一度リフレッシュしていただいてお勤めをいただくようにするといったことを今行っているところでございます。  労働者の募集・採用に当たりましては、事業主が、先ほども申しましたとおり、上限年齢を設けました場合にはその理由を明示することを今回法律で義務付けております。事業主都合で離職を余儀なくされる中高年に対しましては、事業主がその職務経歴でありますとか能力に関する情報といったものをこの再就職支援措置の内容としてそれを作って、そして提示をしてもらうということによりまして求職活動の支援に資するといったことが今行おうとしている内容でございまして、もしもリストラをするときには、その人がどういう社内で仕事をしてきて、こういうこの人は能力を持っているかということをやはりひとつ証明するといったようなことになりますと、その範囲の中で、ハローワークにおきましてもそうした仕事がほかにないかというようなことで探す一つの手助けになりますし、今までやっていただきました仕事を更に延長していただくという意味で役立つのではないかというふうに思っている次第でございます。
  143. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  今日午前中の質疑におきましては同僚議員から少子化の問題についての御質問がございました。今私は高齢者の問題について聞かせていただいておるわけです。  少子高齢化時代と一口で申し上げますけれども、少子化は少子化だけで行政対応があるとか、高齢者対策は高齢者対策であるという、必ずしもそういった分けて考えなければならない問題ではなくて、やはり全体として一元的な対応というのが必要なんだろうと思っております。  今回、特にそういったことでこの雇用の問題を考えた場合に、年金の問題の中で雇用を考えるという意味で、そういった意味でも厚生労働省という一つの組織にまとまったということは大きなメリットが出てきて、その成果を是非生かして、年金制度改革における高齢者雇用問題についての対応をしていただきたいと考えております。  そして、これは年金問題だけに限らず、一昨日も質問させてもらいましたが、福祉でありますとか、あるいは介護であるとか、あるいは医療であるとか、社会保障全般について一元対応する際にどうしても避けて通ることができない問題だろうと思っておりますので、大臣以下、皆様の御奮闘を御祈念申し上げたいと思います。  時間が限られまして、これは通告をしておりませんけれども、私も通告外でございますけれども一つだけ大臣に御質問させていただきたいと思います。  今朝の朝刊で、ほぼすべての新聞で報道をされておりました。今、国会の衆参を中心にしまして年金改革議論がずっと続いているわけでございますが、社会保険庁の業務、その運営の在り方に対して多くの指摘をさせていただきました。私も多くの問題点について指摘をさせていただきましたが、こういった問題というのは、この国会の厚生労働委員会を中心とした議論ではなくて、どうも新聞によりますと、昨日、厚生労働大臣が御出席なさっておりました経済財政諮問会議の場においてもこういった議論があったということでございまして、そのときの指摘を受けまして、厚生労働大臣社会保険庁の業務運営や組織の在り方について見直しを行いたいとの御見解を表明されたというふうに新聞で見せていただきました。  今までもこの委員会におきましても大臣はいろいろとその種の御発言をしていただいておりますけれども新聞の報道だけじゃなくて、改めて、昨日の経済財政諮問会議でしょうか、あるいはその後の記者会見でございましょうか、大臣は、社会保険庁の改革、スクラップ・アンド・ビルドを進めるべきと私どもも考えております。大臣の御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
  144. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 経済財政諮問会議におきましてもいろいろの御意見をいただきました。しかし、中には社会保険庁をもうなくしてしまえみたいな話もあったわけでございますけれども、しかし、年金、医療の問題を抱えております社会保険庁の役割というものは私は重大だというふうに思っております。保険料の徴収にいたしましても、それは徴収をしたらそれで済むというわけではなくて、今度は年金を支給するという方に結び付けていかなければならないわけでありますから、この徴収と給付、両方を行っていかなければならないわけでございますので、簡単に国税庁と一本化してしまえという議論は少し荒っぽ過ぎるのではないかなという気がいたします。同じにやれるところはそれはやるということでいいというふうに思いますが、もしも一本にするというのであれば、もう基本的に年金の今度は支給の方の在り方等もどうするかということを考えてからでないと私はいけないというふうに思っている次第でございます。  しかし、そうはいいますものの、現在の社会保険庁が持っております様々な問題点というのは、十分これは理解をしていかなければなりませんし、ここで改革を行って断行していかなければならないというふうに思っております。そうした意味で、社会保険庁長官の民間人からの起用ということも含めて、全体の在り方というものを検討していきたいということを昨夜申し上げたところでございます。
  145. 藤井基之

    ○藤井基之君 終わります。
  146. 山本孝史

    ○山本孝史君 民主党・新緑風会の山本でございます。よろしくお願いを申し上げます。  最初に、未納の問題について触れておきたいと思います。  だれにも起きることだから騒ぎ過ぎだと与党の皆さん方がおっしゃっておられる。武見委員は一昨日の、おられませんけれども委員会質問のときは持ち時間の四十数分すべてを使って総理の未納問題をかばう質問をされました。私も本論に入りたいんですけれども未納問題の本質というものをよく理解をしておかなければいけないと思っております。  本質は二点あります。  一つは、政治家のモラルです。未納大臣が続出をしました。審議をしました衆議院の厚生労働委員会の自民党の衛藤委員長未納でした。答弁に立たれた厚生労働大臣未納でした。法案成立を強引に推し進める公明党の神崎代表以下三役も未納でした。しかも採決後に未納を公表するという、私はこれは非常に悪質な行為だと思います。これで子供に道徳を説くか、そういう国会であるのか、そういう大人なのかと私は思っております。どのようにけじめを付けるのか。  民主党は全議員を調査して未納状況を公表いたしました。国会の委員長は自ら辞任をいたしました。党の役職にも就かないということで対応しております。せめて、未公表の自民党も、未納のあるいは未加入状況を公表して、国民の政治への信頼をつなぎ止める、そのことが今自民党の諸君に求められているのではないか、私はそのように思います。  未納問題のもう一点は、いい加減な国会答弁を許していいのかという問題です。未納、未加入はいろんな状況の中で起き得ると思っておりますが、そのことにどう対応するのかという問題であろうと思います。私、そこの点において、総理の対応というのは、私は一種犯罪だとすら思っております。  小泉総理は、四月九日の衆議院の厚生労働委員会で、我が党の城島委員に対して、「私も、もう年をとりまして、年金を、保険、払う時代は過ぎちゃったんですね。過去はちゃんと払っております。」と答弁されました。四月二十八日の同じ委員会でも、我が党の今度は三井委員質問に、私は、過去、議員になる前はどうだったか、自分でも詳しくは覚えておりませんが、払うべき期間におきましては払っておりますと答弁をされました。  しかし、先般来から飯島秘書官がこの状況を公表されておられるわけですが、これは最初に飯島秘書官が公表されたときのものでございますけれども未納の期間が幾つかある。(資料提示)  一つは、予備校生だった、彼が二十歳になったときの三か月間、予備校生だったということですので、予備校生は国民年金法では加入の義務があります。したがって、この三か月間は未納であったということになりました。あわせて、大学を卒業されてロンドンに留学されて、途中でお父さんが亡くなられて日本に帰ってこられて選挙にお出ましになります。この期間、ロンドンにおられた二十七か月と日本に帰ってこられてから八か月、この間は住民票が国内ならば加入の義務があります。実態として、少なくともこの八か月間、選挙に出るために帰ってこられたこの期間は日本におられたわけで、日本で生活をしておられたわけですから、この期間は加入の義務があります。  今、六十一年より前は加入の義務付けがなかったとおっしゃいますが、国民年金法ができました昭和三十六年からすべての人に加入の義務が義務付けられております。加入しなくてよかったのはいわゆる専業主婦と学生の皆さん、これは任意加入ということになっていた。そういう意味でいきますと、実はやっぱり加入の申出違反、あるいは納入の義務違反が小泉総理大臣には起きているわけです。みんなそうだったじゃないかと、こうおっしゃるわけです。しかしながら、法律は、実は罰則規定を設けて、届出をしなければいけない、納入をしなければいけないという国民年金法になっています。そのこと自体がお気付きにならないか、あるいは未納、未加入がこんなにたくさんあるからいいじゃないかと与党の皆さん方はおっしゃるわけだけれども、私はそうではないだろうと。いや、たとえそうであったとしても、そのことを公表をして、謝罪をして、そしてこの国民年金法の採決あるいは審議に臨むというのが国会議員のあるべき姿ではないんだろうかと、私はそう思うわけです。  もう一つ小泉総理大臣の問題は、厚生年金に入っておられたという問題です。  飯島秘書官もおっしゃっておられます。あるいはもう既に記録が公表されましたので、その期間におきますと彼は二回目の選挙に当選をいたしますが、その前後五十五か月間、厚生年金加入をしておられます。国会議員になられた後も引き続き厚生年金加入をしておられます。厚生年金加入するということは当然働いておられたということですが、しかしながら、昨年九月十九日の衆議院本会議で、我が党の当時菅代表の質問に、私はサラリーマンの経験はありませんと答えておられます。サラリーマンの経験のない方が厚生年金に入っておられたということになっているわけです。このことについて、私はやはりこの委員会においてしっかりと小泉総理大臣からお話を聞かなければいけないと思っています。  小泉総理大臣は、飯島秘書官を通じて、社会保険庁には五月十七日になって確認をしたとおっしゃっておられます。これだけ騒がれている中で、御本人の納入記録がどうだと言われている中で、五月十七日になってようやく確認をされた。  飯島さんはこの三か月間は予備校生だとおっしゃったけれども、本人は友達に言われて、いや、おまえ、あのときは大学行っていたじゃないかということで、ここは、三か月間は慶応大学の学生であったという話になっている。しかし、普通、自分が生きてきた中で、自分が二十歳のときには何やっていたかという話ぐらいは、学生だったか予備校生だったか、要は、二浪で一留なのか、一浪で二留なのかということぐらいは、それはだれだって分かる話で、それを飯島秘書官が勝手に公表しているとすれば、それは秘書官の資質の問題だし、そのことについて御本人が訂正されないのであれば、これは御本人の問題だと思っています。  したがって、小泉総理大臣は結果的にうそをついておられる。国会答弁の中でうそをついておられる。結果的にそういう形になっている。それはなぜか。彼が誠実に国会で答弁をしていないからです。  私が申し上げている問題は、未納、未加入という問題は、確かに起き得る状況に国会議員は置かれている。あるいは当時の状況は、年金法の状況はそうであったと思う。しかしながら、しかしながら、これだけ言われているときになぜ確認しないんですか。なぜ勝手なことを事実として公表するんですか。自分の思っているままでなぜ国会で、本会議で答弁までするんですか。私は、そのことが、総理大臣としてあるいは国会議員として資質が欠けているんじゃないか、こう思わざるを得ないわけです。だから、もう一度この委員会に小泉総理大臣に出ていただいて、しっかりとした御本人からの御答弁をお聞きをしたい。  また、一昨日、委員会で自らは公表されませんでしたけれども、同時間帯で飯島秘書官が報道機関の皆さん方に、報道の記者の皆さん方に、社会保険庁のいわゆる被保険者記録の照会回答票という公的な文書をマスコミの皆さんには公表された。しかし、この委員会、国会に対しては公表しない。それは与党の皆さん方が公表しないんだということで抵抗しておられるわけだけれども、マスコミを通じて公表されているものが国会に公表されないということは、これは国会の権威にもかかわる話でございますので、これはやはりこの委員会にきちっと出していただきたい。  もう一度やはり小泉総理大臣に来ていただいて、御自身どういう人生を歩んできたのか、一体二十歳のときには予備校だったのか学生だったのか、そういう話もしっかりとしていただかないと、これは一国の総理大臣、日本の国として恥になります。そういう思いで、私は必ずそうしていただきたいと思いますので、お願いいたします、委員長
  147. 国井正幸

    委員長国井正幸君) この問題につきましては、先刻の理事会から協議中でありますが、ただいまの山本委員の御発言について、後刻、理事会で再度協議さしていただきます。
  148. 山本孝史

    ○山本孝史君 非常にまじめな国井委員長ですので、私は信頼申し上げております。  これはやはり委員会、国会の権威にかかわる話ですので、うその答弁をしていてもそのまま素通りしてしまうということは、これは許されない。本人が思い違いであったとおっしゃるか、あるいは自分たちの記録が間違いであったとおっしゃるか、それはいろいろあるでしょう。しかしながら、それはやっぱり国会という公的な場で、ここでやっぱりやっていただかないと、私は本来審議をすべきじゃないと思っておりますが、止まっているとずっと止まりますのでといって理事に怒られますけれども。  もう一度ちゃんと環境を整備するということも、大臣、私はあなたのお仕事だと思う。この委員会審議がちゃんときちんと本来のところで議論ができるようにすることも、私は、小泉さんを来ていただけるということについて、坂口さんも閣僚の一人としてきちっと対応していただきたいと思います。いかがでしょうか。
  149. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは委員会の取り仕切りの話でございますから、委員長中心になっていろいろと御議論をいただいて結論を出していただきたいというふうに存じます。私も、その御議論をいただきましたら、それに従ってしっかりと総理にも申し上げたいというふうに思います。
  150. 山本孝史

    ○山本孝史君 内閣の一員として、この法律を所管しておられる、あるいは内閣全体でお出しになっているんだから、国会というものがこんなに汚されていくということについて私はきちっとした対応をしていただきたいと思うし、どこか外で出ていくよりも後で国会に対してその公的な文書が出てくるということだけはやっぱりやめていただきたいと思います。でないと国会の権威にかかわる。  もう一点、私はやはり、今日お二人の副大臣にお越しをいただきましたけれども、私は両副大臣ともに国会への答弁姿勢は極めて問題だと思っております。未納の問題が大きくなって、担当の副大臣として確認しようと、自ら自分の記録がどうなっているかということを確認しようと思われなかったということが私にとっては信じられません。お二人ともずうっと後になって、人から言われて、とうとうやらなきゃいけなくなって初めて自分で記録を確認した、これが法案を出している厚生省の担当副大臣の姿でいいんだろうか、そう思います。  谷畑副大臣に御質問をしたいと思います。  私はあなたと同じ選挙区で、選挙も戦った仲ですし、この間飛行場でお会いをしたときに、あなたの年金大丈夫ですかとアドバイスもさせていただきましたが、しかしあなたは記者会見で、安倍幹事長に言われて五月七日に調べた、こうおっしゃいました。なぜそれまでに早く調べようとは思われなかったのか、このことについてお答えください。
  151. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 私の年金問題、過日答弁をさせていただきましたように、基本的には、大学卒業して、それ以後、公務員の共済年金、そして厚生年金にずっと入っておりまして、ちょうど参議院に四十二歳で、四十二歳で参議院議員に当選させていただいて、厚生年金からいつも天引きをされておるということの中で、私の認識不足の中でそのときの切替えができなかった、それが五年十一か月でございました。  その後、年金をお払いをさしてもらっているわけでありますけれども、そのことについて五月の七日に安倍幹事長の方から両議院の所属議員に対して、いわゆる自己責任の中で、いわゆる調べるなり、あるいは発表をする人はするなりということで指導がございましたので、私、そういう立場の中で五月の七日に社会保険庁へ照会をさせていただいて、そして五月の十七日に私自身、記者会見、再度させていただいたわけであります。  御存じのように、私も、副大臣としての責任というのについては、もうこれは十分、一日もこの問題について忘れることはないわけでして、いつも自分を責めてもおりますし、なぜそのときに、振り返ってみましたら、厚生年金から切替えのときに、平成九年度からは通知があるわけですけれども、私たちのときには通知がないということもありまして、そういう意味では、私自身ももう少し早く公表をすべきであったと思いますけれども、私自身としましても、委員会なりで質問なりでいろいろとそういう、時期というのか、そういうことの中で発表をしたかったわけでありまして、決して自分自身がそういう問題から逃げたり、ああだこうだという、そういう気持ちはもう全くなかったわけでありますけれども、いずれにしましても、五月の七日に安倍幹事長の両議院に対する通達ということの中で、私自身、その流れの中で記者会見をさせていただいたと、こういうことでございます。決して反省していないという、そんなわけじゃなくて、ずっとそのことについては心を痛めておったわけでございます。
  152. 山本孝史

    ○山本孝史君 違うよ。四月二十八日に既に向こう側で、衆議院で強行採決になる、あるいは三月の二十三日の江角さんのところから未納の問題というのは非常に大きな問題になってきたじゃないか。  あんた、担当副大臣なんだろう。自分で法律、あんたは労働担当かもしれないけれども年金は労働と非常に強いだろう。そういう中で、自分の年金問題がどうなっているんだとかということを、安倍幹事長に言われなきゃ、あんた調べないんですかと聞いているわけだ。  だから坂口さんも、さっき坂口大臣は両副大臣にはちゃんと調べておいてくださいよと早くに言ったとおっしゃったじゃないの。あんた、大臣から聞いていないの。聞いたとしても調べなかったわけ。五月七日に党の幹事長から言われて初めて調べたわけ。
  153. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 私にとりましては、この件については私なりで、発表する時期については私自身の流れの中でしたいと思っております。  調べた時期は五月七日でございます。
  154. 山本孝史

    ○山本孝史君 だから、何で五月七日まで調べなかったのかと。
  155. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) いやいや、それについては、私自身陳謝をしておりますように、五月七日にそういう一つのきっかけの中で調べさせていただいたということでございます。
  156. 山本孝史

    ○山本孝史君 だから、先ほど大臣の御答弁だと、もう四月の間には、森副大臣には、あなたには、調べておいてねとおっしゃったとおっしゃったから。あなた、だから大臣の言っていることを無視して、自分は大丈夫だとかって言いながら、党の幹事長から言われて初めて調べるわけでしょう。それが普通の大臣だとかほかの一般の委員だったらいろんなことあり得るだろうと思うわけ。でも、あなた、副大臣として答弁に出てくるんだもん、自分が所管しているんだもん、法律。そのときになぜあなたは調べないんですかと聞いているわけ。  しかも、この間の記者会見で、昭和六十一年以前の記録は確認していないと、こうおっしゃったんです。六十一年に義務化されて、それ以降のことについては、そういう基準だったからとか、ほかの党のことの基準を持ってきて言っているけれども、自分の年金が幾らもらえるかということすら気にしないんですか、あんた。  六十一年以前、社会保険庁なんて、今必ずしもデータは正確かどうか分かんないんだよ。だからみんな自分で確認しなきゃいけないわけ。今度の騒動がもたらした一番の問題は、自分の年金は自分でちゃんと管理してよっていう話よ。だからみんなあんなに社会保険庁の事務所へ行っているんじゃないですか。あんた、何で六十一年前の自分の年金がどうなっていたかということを確認しないの。
  157. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 記者会見の場合は、民主党さんの場合もそうでありましたし、皆それぞれのいわゆる発表の基準といいましょうか、国会議員になってからの期間の発表ということでございましたから、私はあくまでもそういうことの状況でさしてもらっているわけで、私自身はその以前のことについても分かっておりますし、ちゃんと今日も発言しましたし、前回の委員会の場におきましても、大学を卒業してからずっと年金を払っておりますと、こういうふうに答えておるわけでございまして、記者会見の場合は、そういう状況でありますので、そういう状況に合わせてお話をさしていただいたと、こういうことでございます。
  158. 山本孝史

    ○山本孝史君 私、やっぱり副大臣として、だから問題は二つありますと申し上げたのは、これはやっぱりモラルの問題と、いい加減な国会答弁しちゃ駄目ですよということなんですよ。  森副大臣にも申し上げたいわけ、あなたは一体どうしていたんですかと。五月十一日の衆議院での採決が、あんたたち二人とも、衆議院で採決が終わって、五月十二日の参議院本会議があって、趣旨説明が始まって、いよいよ十四日のこの委員会の趣旨説明が始まるという前になって、私たちが要求したから初めて公表される、こういう状態になっているわけでしょう。それっていうのは本当に誠実さに欠けるんじゃないですかと私は思うわけ。  特に森副大臣は、四月の中旬には分かったとおっしゃっているわけだから、発表する五月の十三日まで一か月間あなたは黙っていたわけだ、いろいろおっしゃっているけれども記者会見ではタイミングを見計らってと、こうおっしゃったし、あるいはこの間の委員会では諸般の事情を見計らってとおっしゃった。諸般の事情というのは、法案に、発表したら法案審議に影響するからというので黙っていたと、こうおっしゃっているわけですよね。  記者会見では、先ほどはいつ分かったかよく分からないとかっておっしゃっていたけれども記者会見では念を入れて社会保険庁で調べたと、こうおっしゃっているわけです。これ、どうやって調べたんですか。だれかに頼んだんですか、あなた御自身、社会保険事務所に行かれたんですか。
  159. 森英介

    ○副大臣森英介君) 私はいつ調べたか分かんないということは申し上げておりませんで、四月十四日に馬淵澄夫衆議院議員から御質問がありましたので、それに先立って社会保険庁に依頼をして、私が依頼をして調べました。
  160. 山本孝史

    ○山本孝史君 あなた自身が依頼をしたというのはどうしたの。  あなた自身が事務所に行かれたのか、あるいはあなたの秘書官かどなたかに調べてくれとおっしゃったのか。
  161. 森英介

    ○副大臣森英介君) 後者であります。後者、つまり秘書官に要請をして調べました。
  162. 山本孝史

    ○山本孝史君 いつごろ分かったんですかという話に、江角さんの事件があって二、三週間後だとかいろいろおっしゃっているわけね。  先ほど来から、いつ大臣に報告したかという、あなたがいつ知って、いつ大臣が知ったかという話、さっき小池さんずっとやっていたわけだけれども、あなた自身がそれいつだったかなとかとおっしゃっているものだから、秘書官に頼んで行ったんなら、秘書官はいつだったかと知っているわけよね。秘書官はその時点で、じゃ、そうすると、あなたが未納であるということは、あなたから仕事を頼まれた秘書官は、じゃ、あなたが未納であるということは知っていたということだね。
  163. 森英介

    ○副大臣森英介君) それはそうです。  ちょっとお待ちください。私は、江角マキコさんの事件が発覚して直ちに、これはあれですけれども、私の家内にどうなっているんだろうかと、私の場合、おれの場合は。そうしたら、ちゃんと払っているから大丈夫よと言うんでほっとしたんですけれども、それでなお念を入れて社会保険庁で調べたのが四月の中旬でございます。
  164. 山本孝史

    ○山本孝史君 あなたの事務方というのはどなたですか。
  165. 森英介

    ○副大臣森英介君) 後ろにいます。
  166. 山本孝史

    ○山本孝史君 あなたの秘書官というのは、あなたが頼んだ人というのはだれ。
  167. 森英介

    ○副大臣森英介君) 私の、副大臣の秘書官でございます。
  168. 山本孝史

    ○山本孝史君 その副大臣の秘書官はそのことを大臣に伝えたのかどうか、そこで聞いてくださいませんか。
  169. 森英介

    ○副大臣森英介君) それはやっぱりあくまでも私の個人の問題ですから、私の秘書官が大臣に報告する義務も、そのいわれもないというふうに私は思います。
  170. 山本孝史

    ○山本孝史君 じゃ、再度聞きます。  あなたは大臣にいつ報告したんですか。
  171. 森英介

    ○副大臣森英介君) それは先ほど申し上げたように、いつ報告したかというのははっきり覚えていないんですけれども、最終的には五月に入ってからですけれども、その途中で、私としてはこういうことになっておりましたということを委員会に先立って御報告したつもりなんですけれども、ちょっとそれが、私の表現、誠に言語不明瞭なところもあるものですから、大臣にそれがちゃんと伝わっていなかったように私は思うんです、今にして思うと。  そういうことで、きちんと御報告したというのは恐らく五月に入ってからであったというふうに思います。
  172. 山本孝史

    ○山本孝史君 大臣は五月に入ってから知ったとさっきおっしゃったんで、僕ら普通の感覚でいくと、五月、連休中だから、あなたたち、どこで会っているのか知らないけれども、五月の連休明けにいろいろ御報告されたのかもしれない。  しかし、これだけの大事な問題になっていて、しかも、あなたはずっと国会で答弁してきたのよ、副大臣として。自分はそれを知りつつ、自分が未納であるということをいつ見計らって公表しようかと思いつつ答弁してきたわけでしょう。その姿勢って、僕たち、じゃ何だったんですかと思うわけ。  じゃ、あなたは、これから先答弁をするときに、そのときは都合が悪いからといって答弁しないで、後になって、あれは審議に影響しますから私は答弁しませんでしたと、しかし、法案が成立した後、実は私、こうでしたと、こういう態度になるんですかと私は思うわけ。  そんな副大臣の、私、答弁を信用して聞いているわけにいかないんですよ。そんな国会であってはいけないんですよ、やっぱり。国会というところはいろんなことがあるから、しかしそこはちゃんと公表して、謝罪をして、しかし、その後どうするかは、それぞれの人が自分の立場を考えるのかもしれない。  私は、あなたに議員を辞職しろなんて言ってないんです。しかしながら、本当に副大臣としてその任にあっていいんだろうか。これから先いろんな法案が、谷畑さんもそうだけれども、森さんもそうだけれども、あなたたちは人間的にはいい人だと私は思います。しかしながら、副大臣という職に就いている人として、私はこれから先、あなたたちの答弁を聞くわけにはいかないと思っています。  やっぱり、議員が公表しないで賛成票を本会議で投じてということ自体が僕はやっぱりおかしいと思うんですよ。そこはやっぱり、みんなはいろいろあるから、でも発表して、そしてその答弁するなりしないと、やっぱり、こんな法案とさっき申し上げたように、みんなが未納で、出した人たち未納だったら、委員長未納で、答弁している人も未納でという法案は私はやっぱり廃案にすべきだと思う。出直すべきですよ、この話は。  だから、衆議院を解散、総選挙して一遍全員みそぎを受けて、それからこの法案を審議することが私は一番正しい道だと思いますが、坂口厚生大臣はどう思われますか。
  173. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先日、選挙のあったばかりでございますが、我々国会に籍を置きます者、それぞれの過去につきましてやはり明確にすることは大事でございますし、山本議員がおっしゃる趣旨というのは私も十分に理解できるところでございます。
  174. 山本孝史

    ○山本孝史君 こんな状態で法案通して、国民の皆さん方に十四年間連続の保険料引上げをお願いすると。それで何か、よりによって与党の皆さん方は、国会議員もこれからまだ追納できるようにしようとかとおっしゃっているわけでしょう。  何か、やっぱり立場というか、自分たちの立っている場所を忘れているんじゃないかと思うんですよ。そういう意味において、自分の年金額も知らない、自分の年金どうなっているかも分からないままに年金の審議に参加するというのはどうかなと私は思うわけ。  だから、私は、あなたたち二人には、申し訳ないけれども、ここにいてほしくないので、済みません、退席してください。森副大臣と谷畑副大臣、退席してください。私はあなたにもう質問しないんです。あなたたち、ここにいる必要性ないんだから、出ていってください。申し訳ないけれども。  委員長、あの二人に退席を私は求めます。  質問者が呼んでないんだから、もう終わったから、あなたたち、仕事が忙しいから出ていっていいよ。
  175. 国井正幸

    委員長国井正幸君) いや、これにつきましては、大臣を補佐してこれまでも両副大臣、国会に出席をしていただいておりますので、このまま質問、続行してください。(発言する者あり)  じゃ、速記止めて。    〔速記中止
  176. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 速記を起こして。
  177. 山本孝史

    ○山本孝史君 では、失礼をいたしました。御答弁はいただきましたので、私はもうお二人に質問をいたしませんので、御退席いただいて結構でございます。
  178. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 公務御多用ですから、山本委員質問は両副大臣にないようでございますから、御退席していただいて結構でございます。
  179. 山本孝史

    ○山本孝史君 それぐらいに私、腹を立てているということです、本当に。悲しい思いがします、この国会は。未納で騒いでいるのではありません。みんなに未納は起きたと思います。しかしながら、それに対してきっちりと対応して国会という権威をみんなで守っていかないと、本当に国民が投票に行かないし、政治というものに対して信頼しないし、年金法案というものに対してみんながこれで納得して保険料を払うということに私はならないと思うんです。その意味で、やっぱりきちっとしたことをやらなきゃいけない。それは一つ一つ節目を付けて、公表するとか謝罪するとか、あるいはきちっとした大臣の指示を受けてやるとか、そういうことをやってほしいと思います。  本論です。給付水準の低下の問題について、大臣とここで会話を交わさせていただきたいと思います。  もう既に明らかになっていますように、給付水準の五〇%維持という問題ですけれども、これは六十五歳の支給開始時だけだという話はもう御承知のとおりでございます。最初のころ、今の早い人たち、早く受ける人たちマクロ経済スライドが余り掛かってきませんので、五〇%台をずっと維持していくことができますけれども、これから先、若い人、将来受ける人、確かに受け始めのときは五〇%ではありますけれども、そこから先はこの賃金スライドが掛かっておりませんので、物価スライドでその価値は維持をされますけれども、賃金の方の、いわゆる働いている人たちの賃金は上がっていくものを、年金生活者の方にはそれを反映させないという仕組みを取っていますから、当然のごとくに給付水準は下がっていくわけです。  このことについて、五〇%を維持する、維持するということだけが余りにも声高に叫ばれ過ぎているのではないか。そのことについてもっときちっと説明をした方がいいと思うんです。  これは自民党と公明党の方たちがお作りになった、「これが私たちの考える「暮らせる年金」です」というパンフレット。今年の四月にこういうパンフレットをお作りになっていますが、このパンフレットの中にも、「モデル世帯の受け取る厚生年金は、現役世代の給料の五〇%以上を確保します」と、こう書いてあるんですね。こう書いてあるだけなんです、実は。こういうふうに読むと、必ず現役世代の給料の五〇%以上をずっともらえるんだなと、こう思うわけです。  政治的にはそうおっしゃりたいことは理解をするが、しかし、政治のメッセージと、政策として国民に正しい年金に関する情報を伝えるということは、これは違いますから、こういうミスリードをされたのではやっぱり私は困ると思うんです。これはやっぱり意図的な私は説明不足じゃないだろうか、説明を回避しておられると思うんですね。  五年前の平成十一年の前回の年金法の改正のとき、自自公、自民、自由、公明の連立政権に、ちょうど公明党がお入りになって連立政権になりました。公明党は、そのときの自公の連立政権の合意文書で、給付水準は六割を維持するとおっしゃっておられました。五年前、公明党の皆さん方と自民党の皆さん方は六割を維持するというのが合意文書だったんですね。五年たたないうちに、これが今度は五割を維持するというふうにがたっと下がってしまったわけです。これを信用しろというのはやっぱり無理がある。しかも、附則で国庫負担率を五割にするとおっしゃったわけだけれども、これもほごにされてしまっている。年金不信をこの間、五年間で与党の皆さん方が増幅させられたと私は思っているんです。様々な状況があったことは理解をしますが、結果として、政府が約束したことは何も守られていないという思いです。  年金額は下げませんというこの表現も、意図的な説明回避です。これは予算委員会で私が御指摘申し上げたとおりで、問題は、年金の名目額ではなくて、購買力、実質的な価値がどれだけあるかという問題だと思います。マクロ経済スライドの適用期間中は物価スライドが完全には適用されませんから、物価は上がっていくけれども年金額は同じ額面で維持をされているという状態が続くわけですね。だから額面は変わらない、だから年金額は下がらないと言っているけれども、世の中は物価が上がっているという状態になるわけです。マクロ経済スライドによる給付水準の私、最大の問題は、これが基礎年金の部分にも掛かるということです。一五%カットが一階の基礎年金にも掛かってしまう。  社会保険庁で教えてもらう年金の予想額というものがあります。私も社会保険庁に行って、自分の年金加入状況と、もう間もなく五十五歳なものですから、社会保険庁の窓口の人が、実際は五十四ですけれども、もう五十五ですから、計算してあげますねといって計算してくれました。私、大学を卒業して厚生年金に十七年、十八年ほど入りまして、あとアメリカの大学に行って、それから国会議員になって十三年ということです。この間は国民年金です。私の年金額が幾らになるか。  ちなみに、自分のことを言うのも何でございますが、六十歳になったときに、まだ私、二十四年生まれですので二階の部分だけがもらえるわけですね。二階の部分が五万四千円。六十五歳になりますと基礎年金が付いてきて、両方で一か月十万円ということです。議員年金がなくなりますとなかなか厳しいというのが正直なところですけれども、だから、厚生年金扱い、厚生年金というのは、サラリーマンじゃないので厚生年金というのは変なんですけれども、二階部分をやっぱり議員の間は付けるということも、昔はそうだったので、そういうこともやっぱり考えた方がいいのかなというふうに、これは余談ですけれども思いますけれども、十万なんですね、私、予想額として六十五歳のときに。  それで、実は今もらった十万円は確かに予想額ですから、ここには実際の年金額はこの試算結果と異なることがありますと書いてあるんですが、この金額は確かにもらえるんだと思うんです。ところが、マクロ経済スライドが掛かってきますから、実質価値は一五%下がるわけですよね。だから、金額ではもらうけれども、みんなこの金額、今の感覚でもらうと思うけれども、実際に年金を受給するときは、世の中物価が上がっているにもかかわらず、年金額の実質価値は上がっていないわけだから、その分は非常に下がっているわけです。このことの説明がないと、みんな間違うわけです、自分の生活を、このプランを立てるのに。だから、しっかりとした説明をされた方がいいと、こう申し上げているわけです。こういう理解でよろしいんですよね。坂口大臣
  180. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 年齢によってそこは違うというふうに思いますが、五十歳以下、正式に、正確に言えば四十七歳ですか、八歳ですか、その辺以下の皆さん方の場合には、これはもう二〇二四年なり二五年になりますから、六十五歳が。そうなりますと、その皆さん方は物価の上昇に合わせて上昇していくわけですけれども、それまでの二〇二三年までの間は、これから、今、年金をおもらいになっている方、それから間もなくもらわれる方、それは山本議員おっしゃるように、物価の上昇分、全部それはその分だけ上がっていくわけでありませんで、〇・九引いていくわけでありますから、一%上がりましたら〇・一%ずつしか上がっていかないということになるわけでありまして、そこは物価に追い付いていけないというところがございます。それはおっしゃるとおりだろうと。  しかし、それはいつまでもそうかというと、そうではなくて、少なくとも四十七歳か八歳か、その辺のところからは二〇二四年、二〇二五年にもらい始められるわけでありますから、そこから先は物価とともに上がっていく、こういうことになると思います。
  181. 山本孝史

    ○山本孝史君 そうなんですけれども、今社会保険事務所でいただくあなたの年金予定額はこれですという金額は、確かにその金額ではあるけれども、実質的な価値は、受け始めるときにはもう既にマクロ経済スライドで下がっているということをしっかりと御説明をされるべきだと私は思います。でないと、老後に備えられないから、プランが立てられないので、そう思いました。  それから、少子化が進行する、一・三二というのがどこまで行くかですけれども、これがもし下がるとすると、この間の御答弁は、調整期間を延長しますと、こうおっしゃったわけですね。調整期間を延長するということは、給付水準が一層低下するということですよね。
  182. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 延長するということは、そういたしますと、その調整期間がより後にずれるということになるというふうに思います。──あ、ちょっと、よろしいか。
  183. 山本孝史

    ○山本孝史君 違うでしょう。違うんですよ。
  184. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 五〇%のところでございますが、御案内のとおり、法律の中に基本的には五〇%を確保するものとするという原則が書いてございます。  しかし、先生がおっしゃいましたように、例えば少子化が非常に進行しますと、大体通常、直前の財政検証の際にその先の状態が大体見えてまいります。あるいはもうちょっと前から見えるかもしれません。それで、その際には、今申し上げましたスライド調整を例えばやめる、あるいはスライド調整の比率を小さくするということによって、五〇%より低下しないようにするというのが一つの基本でございます。  しかし、そうしますと、また給付負担関係がトータルで中長期的にバランスを取ることが難しくなってまいりますので、そこについてはそういう措置を取った上で検討していくというのが基本的な考えでございまして、これはもちろん二〇二〇年あるいは二五年ぐらいのその時点におけます日本経済あるいは日本の社会あるいは少子化も含めまして、将来、じゃそこで本当に下がりっ放しでずっと下がっていくのか、二〇二〇年になりますとまたそれから三十年、四十年、五十年ということになってまいりますが、そういうことを総合的に御検討いただくということになりますが、基本的な構造は今申し上げたようなことを法律の中に盛り込まさせていただいております。ですから、大臣がおっしゃった趣旨は、調整幅を小さくすると。
  185. 山本孝史

    ○山本孝史君 この話、元々無理があるのは、やっぱり給付水準も五〇で固定したい、六十五歳の受給時に、保険料率も一八・三で上限で固定したい、この中でどう収めるか。ずっとこの間の大臣の御答弁は、少子化を一・三九を超えるところまでいきたい、賃金の上昇率を二・一超えるところまでいきたい、そういう政策を打てばこの幅に収まりますからという話は、これは政策次第なんですよね。政策次第ということは、今まで何やってきたかというと、政策が全部失敗してきたということですね、そのとおりいかなかったわけだから。だから、これから先うまく政策が成功するという保証はどこにもないわけです。  だから、私たちは申し上げたのは、その数字の話でやるとなかなか難しいので、制度を変えたらここの話はちゃんと落ち着くじゃないかと、こう申し上げたわけだけれども、しかしながら、──後ろで首ひねるな。どうやってこの間を調整をしていくのかというときに、もしその数字を守ろうとすると、例えば六十五歳支給じゃなくて六十七歳支給にするとかという、一八・三とそれからこの五〇というものの数字を変えないでいると、ほかのところの数字を変えたりして合わせるという話になってくるわけですね。そういうことがやっぱりこれまた問題が起きてくるので、そもそもにおいてこの話は無理がある。  今日言いたいことは、それと同時に、やっぱりこの基礎年金というものをなぜマクロ経済スライドの対象にするんですかというのが私にはよく分からないのです。これがやっぱり最大の問題だと思うんですよ。(資料提示)  夫婦二人分で十三万円と言っていますでしょう。それで、元々基礎年金制度を、国民年金とか基礎年金制度を作ったとき、基礎年金の六十一年作ったときに、それを幾らでスタートするかという、五万円でスタートしたと。それは何だったかというと、食料だとか住居だとか光熱費だとかといういわゆる基礎的な生活費の部分を見て、その中にどこまでを含めたらいいかということで考えて三十一年に始まったものが、ちょうど二十五年たって六十一年で二十五年の受給者が出てくるという中で、それが五万円弱だったから、五万円、いろんな生活実態調査とか考えて五万円という数字でスタートしたわけですよね。  だけれども、今、夫婦二人としても、夫婦二人でカバーしているものはようやく医療費だとか交通通信費のこの辺ぐらいまで、これ消費実態調査だからいろんな数字の見方はありますけれども、ここまでなんですね。これ一五%給付水準カットするわけでしょう。ということは、ここが実質的な価値としては、ここは物価で上がっていっても物価で上がらないわけだから、これ下がるわけですよね。ということは、カバーできる範囲が狭まってくるという、こういう理解だと私は思うんですが、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  186. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこも先ほど申し上げましたように、四十七、八歳以下の皆さん方のところは物価の上昇に合わせてこれは上がりますから、そこはそういうことは物価に合わせていきますけれども、それまでのところは特に物価を抑えていきますから影響が出る。だから、一五%下がる、それによる影響が受けるということは御指摘のとおりでございます。
  187. 山本孝史

    ○山本孝史君 そこなんですよ。だからね、結局、実はだからマクロ経済スライドが、さっき御退席をいただきました森副大臣がいみじくもおっしゃいましたけれども加入者全体を考えてマクロ経済スライドを考えたと、こうおっしゃったわけですね。(資料提示)  マクロ経済スライドをこの年金制度の中でいけば、本来はこの厚生年金とか給付水準という話は基本的には、あるいは、ごめんなさい、所得代替率という話は本来はここの厚生年金共済年金の話ですよね。だから、ここの二階の部分に付いている部分を含めてどうするかという話であって、ところが、マクロ経済スライド、この一階部分全体にも掛かってきますので、この部分の下がり方が厳しいと、本来の基礎年金という表現にあるように、高齢者の基礎的な生活費を賄うと言っているものが賄えなくなってくるのではないんですかと、こう申し上げているわけです。  なおかつ、ここにこの非消費支出という税金とか保険料負担というのが出てくると。これから先は、大臣、もう高齢者自身にも負担を求めていかざるを得ないと、こうおっしゃっているわけで、そうすると、この部分も膨れ上がってくるわけですね。介護保険料も今また上がるわけでしょうけれども。そうすると、生活していく中において、この部分での賄いの部分が非常に厳しくなってくるんじゃないか。  私、さっき申し上げましたような年金額が想定されるわけだけれども、それは自分の年金額であって、そこに私のパートナー、家内の基礎年金部分が含まれてくればという話になるんだけれども、女性の方は遺族年金があるかもしれないと思う、変ですけれども、いろいろ思いながら、自分が一人になったときに自分はやっぱり十万円で老後をずっと送っていかなきゃいけないわけですよ。十万円で自分の老後を送ろうとしたら、一体どこまでカバーしてくれるのかなと、こう思うわけですね。これ二人で計算しているからこんな話していますけれども、じゃ一人になったときに、確かに食費は減るでしょう。しかし、住居費だとかあるいは水光熱費だとか、そんなに減ってこないんじゃないだろうかと思うんです。だから、基礎年金の、一人当たりの基礎年金が幾らかということが一番実は年金制度の中の問題であって、そのことをしっかり議論しないと駄目なんじゃないかと私は思うんです。  そこで、大臣に御質問です。  前回改正のときに附則が付きましたよね、基礎年金の国庫負担率二分の一に上げるという。同時に、そのときに基礎年金の水準についても検討するというのが附則の中にあったんです。どういうことを検討された結果として、この基礎年金にもマクロ経済スライド一五%を掛けてもいいという結論になったのか、その間のいきさつを教えてほしいんです。
  188. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 先ほど山本先生お話し……
  189. 山本孝史

    ○山本孝史君 公明党さんに聞いているんですけれども、公明党。大臣、公明党で。
  190. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) ちょっと事務方としまして……
  191. 山本孝史

    ○山本孝史君 あなたじゃなくて、与党合意でまず決まったこと。
  192. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 附則は法律に盛り込まれております。  先ほど山本先生おっしゃったとおりの問題ありまして、一つは、世代間で負担給付の問題をどうするかという、給付負担倍率が、私どもあれだけでとは思っておりませんけれども、しかしそういう世代間の負担給付をどう考えるかということがあるんだろうと思います。  それで、基礎年金の場合にも、その問題についてどう考えるかということでございますが、今回の考え方を申し上げますと、世代間の給付負担についてもできるだけ公平を図る。それは将来世代保険料負担をできるだけ抑制するといいますか、そうしますと、先ほど大臣が申し上げていますけれども、この調整を行わせる間の世代の方には、現役の世代の支える力が減ってまいりますので、六十五歳になられる方あるいは五十歳になられる方についても、いわゆる新規裁定の年金については、そういう形でその現役世代の支える力が減る分を年金給付の中で反映をさせている。しかし、同時に、年金受給をしておられる方についても同じ反映をしていただくという。  二〇二三年あるいは二五年ごろに調整が終了いたしますと、基礎年金の水準は賃金によって引き上げるということを法律上明記しております。したがいまして、厚生年金の賃金再評価の考え方が基礎年金にも入ってまいります。通常、申し上げますと、経済が回復し発展すれば賃金は物価より上にまいりますので、そういう意味で基礎年金の改定ルールは今までより明確にしているという形であると思います。  じゃ、その間どうなるかということでございますが、いわゆる新規裁定年金について申し上げますと、私どもの標準型で申し上げますと、名目賃金が二・一%伸びると、二〇二三年ぐらいまでの間で申し上げますと、いわゆる被保険者数は毎年〇・六%ぐらい平均して減ってくるだろう、それから寿命の延びは毎年〇・三%ぐらいあるだろうということでございますので、平均して〇・九%を控除させていただきまして、二・一%から〇・九%を控除いたしますので、一・二という形になります。物価が一でございますので、新規裁定については物価より若干高い形で上昇してまいります。  新規裁定の方について申し上げれば、これまでの基礎的な消費支出の伸び方はほぼ物価と一緒でございます。ほぼ物価と一緒でございます。そういう形で二〇二三年の状態で申し上げますと、新規裁定については多分基礎年金の、これはもちろんこれからの基礎的消費支出がどう伸びるかというのはなかなか明確には申し上げられませんが、過去の伸び方を申し上げますと、物価で伸びますので、ほぼ基礎的消費支出と同じ形で基礎年金は二〇二三年ごろ設定できるだろうと。そこから先は賃金に対応して伸びてまいりますので、そういう形で調整を完了いたしますと、むしろ基礎年金の水準は賃金に沿って上がり、そしてその裁定後は物価によって維持をされるという形であります。  ですから、この調整期間の問題と、それから調整が終了して年金制度全体が安定する問題、両方を議論をしていく必要があるだろうというふうに思っています。ある意味で、今の四十代以降、四十代より前ぐらいの若い世代がその上の世代の、言わばこの制度に対する理解なりお力添えによって安定をしますと、それ以降の世代はむしろ基礎年金は賃金によって上昇する、それから基礎年金の価値は物価によって維持をするという、そういう形になってくるということを考えております。
  193. 山本孝史

    ○山本孝史君 それは一般的な改定のルールをお話しになったと。私はそれを聞いているんじゃないんです。五年間の間に、自公の連立政権で六割が五割になったこともあるけれども、基礎年金の水準をどうするかということを議論されたんでしょうと。基礎年金というのは一体どこまでカバーしているのがいいんですかという話になったんでしょうと。なった結果として、基礎年金のところも一五%のマクロ経済スライドを掛けて下げてしまっていいということになったのかと。基礎年金だけで生活している人もいる。これは夫婦二人分で書いてあるけれども、一人分でしか持っていない人もいる。その人たちの生活をどう思い描いて基礎年金のところまで一五%カットしていいというこの過酷なカット案を考えたんですかと。  世代間の負担の問題というのはいろいろあります。でも、それは所得代替率の話に出てくるように、厚生年金の二階の部分が付いている話。基礎年金の、全員の、全国民が入るこの年金部分をどういうふうにして安定させるかということが実は年金制度の中の骨格であって、一番大切な議論なはずなんですね。そこのところをどうするのかということについて皆さん方はどういうふうに考えてこられたのか。税金や保険料負担は高齢者もこれから先増えていくだろう、どこまで増えますかと言ったら、そこのところは分かりませんというような御答弁だった。  この間の総理大臣のお話で、ほんまかいなと、こう思って私は聞いているのは、年を取れば、年を取ればこうした消費の部分はちっちゃくなっていくから、この金額が下がっていったってここの部分は賄えると、こうおっしゃったんですよ。年を取っても余りでも基礎的な消費にかかわる部分というのは少なくならないんじゃないかと私は思うんですが、総理がそういうふうにおっしゃったものですから、坂口大臣も同じ思いですか。
  194. 坂口力

    国務大臣坂口力君) それは、今までのこの消費、高齢者の消費調査の結果が、そういうふうに六十五歳、七十五歳、八十五歳というふうになっていくにつれまして落ちてきていることは事実でございます。  これね、時代によりましても若干違っておりまして、一番最近のものですと、八十五歳、これは平成十一年ですと、六十五歳から六十九歳までのものを一〇〇といたしますと、七十から七十四歳では一〇一、それで七十五から七十九までは九三と、こうなってくる。もう少し前の平成六年のときには、六十五から六十九を一〇〇としますと、七十から七十四は九八、そして七十五から七十九は八八というふうにこう落ちてくるんですね。  それは確かに、私は、まあ年齢とともに消費活動というのは若干落ちてくるということはあり得ると思うんです。しかし、最近のように、医療の問題あり、介護の問題これありということになってきますと、そこはまあトータルでどうなるかということは別問題として考えなければならないと思うんです。そこは、それこそ社会保障全体を御議論をいただく中で、一体どうしていくのか。年金、基礎年金というものは確かに基礎的な消費を賄うということになっておりますが、実際問題、独りになりましたときにそれじゃそれでいいかといえば、それは独りになりましたときにそれはやっていけないということはあり得るわけであります。  山本議員は十五万というふうにおっしゃいましたが、私は八万でございまして、更に少ないわけでありますから、これは独りになりましたらとてもじゃないですけれどもなかなか生活するのはえらいなと自分でも思っているわけでございます。  しかし、年金の場合には、ただ年金だけというのではなくて、それぞれの御自身の御努力も加えて今後の老後をどうやっていくかという話になるんだというふうに思っている次第でございます。
  195. 山本孝史

    ○山本孝史君 だから、そこなんですよね。だから、国として公的年金としてどこまではカバーしてあげられますよということがはっきりしていれば、それを前提に自分のライフサイクルの中で備えることができるんです。  備えてもらわざるを得ないと、こうおっしゃるのであれば、間違った情報を流してはいけないんですよ。そこのところが幾らになるのか、あるいはそれは下がり得ることもありますよ、五〇%というのも実は六十五歳のときだけで、後はこうやって下がっていきますよと。だから、賃金が上がってもあなたたちの年金は上がらないということになれば、世の中は豊かになっていくけれども、しかし高齢者の生活はそれと同じようには豊かにならないんですよと、こういう話じゃないですか。  言うのは厳しい話だけれども、そういうふうに言って、そしてできるだけ早くに年金額を予測して、私も今度こんなものだろうなと思いながら社会保険事務所で教えていただいて、社会保険事務所の女性の方が、申し訳ありません、これだけしかならないんですけれどもと、こうおっしゃいましたけれども、しかし、十万なら十万ということを想定しながら、あと自分でこれから先、といっても、もう五十五でしょう。六十になって雇ってくれるところがあればいいかもしれないけれども、こんなかさ高い国会議員なんか雇ってくれるところないでしょうから。そうすると、これなかなか大変なんですよ、正直なところ、そんな資産家じゃありませんし。だから、そうやって考えると、みんなそうだと思うんです。  だから、僕申し上げたのは、この国会の中で余りにもひどい議論だと思っているのは、議員年金がみんなあるから、国民年金とか公的年金に余りにも関心がないんですよ。これ、今回初めて未納のことが議論になったけれども、五年前のときもみんな未納だったんですよ、考えてみたら。だから、そういう意味において、自分の年金は何であって、自分の年金額が幾らになるかということがあって初めて、後ろに傍聴に来ておられる皆さん方と同じ視点に立って、どうやったら年金は安定するのか、どうやったら安心してもらえるのかなという話じゃないですか。そのときにやっぱり一番大切なのは、基礎的な生活費を賄う基礎年金の水準はこれを守るという話だと思うんですよ。給付水準の話とか所得代替率の話とかばっかりしているけれども、それは厚生年金の話であって、そうじゃないんです、やっぱり基礎年金なんですよ。  基礎年金の、大脇さんがもうちょっと数分やらしてくれると言うからちょっとお許しをいただいて、次の機会があれば一元化の議論をしたいんですけれどもね。要は、一元化一元化と言うときに、大臣がお考えになる一元化と私が考えている一元化は多分違うと思うんで、まずは、大臣の考えておられる一元化とは何ですか、まずお聞かせください。
  196. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一元化といいます場合には、過去の一元化の問題とこれから先の一元化の問題と、これは違うというふうに思っております。  過去に一元化というふうに言ってまいりましたのは、それは、様々な職域保険、職域年金を一元化していくという意味と、それから基礎年金のところを、これを一元化していく。各国民年金と、それから厚生年金共済年金、共通部分を作っていくというようなことが今までの一元化としてやられてきたことであります。  今後の一元化の問題としましては、共済年金厚生年金の一元化の話が私はあると思います。今日御指摘をいただいたとおりだというふうに思っております。  それに加えて、今度は国民年金厚生年金との間の一元化をすれば、現在国民年金にお入りになっている皆さん方の自営業者の中にももう少し豊かな年金が確保できるではないかと、こういう御意見だと思うんですね、山本さんの御主張になっているのは。だから……
  197. 山本孝史

    ○山本孝史君 違います。
  198. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 違う。違ったら、違ったところを後で言ってください。私はそう理解をいたしておりますが、この一元化をいたしますときに、その二階部分をどう作るかという話だと私は思っております。そういうふうに私は理解をしている。
  199. 山本孝史

    ○山本孝史君 そういう理解だということを承知しながら、その理解と私の理解が違うんだということを申し上げたいのです。一元化、今大臣がおっしゃった一元化、ここの、厚生年金とか共済年金のここの部分、二階の部分を持っている部分をどうしようかという話をしているわけですね。その次におっしゃったのは、この部分全部を含めて一つ制度にするかどうかという話をおっしゃっているわけでしょう。  私がまず申し上げている一元化は、この基礎年金国民年金なんですね。国民年金という全員が加入する年金制度、この間の本会議でも申し上げましたけれども、サラリーマンは厚生年金に入っているというけれども、実は厚生年金国民年金と両方に入っているわけですね。全員がこの国民年金制度に入っている。しかし、働き方によって一号、二号、三号というふうに分けられている、こういう理解ですね。  それで、大臣この間からおっしゃっているように、一元化、基礎年金は既に一元化が実現したとおっしゃっているんです。何が実現したのか。これ、給付の一元化は実現したんです。ところが、負担の一元化は依然として実現していないんです、これ。六十一年に作られた基礎年金制度はいまだに改革は中途半端なんです。  一階部分と二階部分に分かれた。だから、縦論横論と申し上げましたのは、そもそも縦になっていたものを、基礎年金を作って横に一つのものを作りましたと、横に切ったんですね、これ。切って、しかし、同じ保険料率、一緒に、一緒くたで払っているからよく分からないけれども、実は両方に入っているんだと。だから、ここは所得に応じた、報酬に応じた定率で払っています、一三・五八。ここは一万三千三百円という定額で払っている。この世界の中には所得再分配があるけれども、ここの世界は所得再分配はほとんどないんです。負担の構造が違うわけですね。この負担の構造を一緒にしたら、一つにしたら、みんなが同じ共通の基礎年金制度国民年金と言っている中で、みんなが同じ負担をし合うような構造にしようじゃないか、そう私は一元化という意味で申し上げているんです。  二階の部分を付けるというのは、これは自民党の皆さん方が我が党案をけなすためにおっしゃっている話であって、いきなり一三・五八になるのかとか、あるいはこの国民年金の二階部分を付けるのかとおっしゃっているけれども、それは次の議論なんですね。まずはこの一階部分のこの負担の構造を同じものにするということが、私は、基礎年金制度の改革の仕上げというか、本来の基礎年金の在り方として成るものじゃないのかというのが私の一元化なんですが、大臣はそう思いませんか。
  200. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今のお話を聞きますと、しかしそうはいいますものの、国民年金のところにも二階部分は作るんですね。最後はそこを作るのかどうかなんです。
  201. 山本孝史

    ○山本孝史君 それは次の議論なんですね。この上に二階を作るかどうかという話にしても、いずれにしても所得の捕捉はしなきゃいけないわけですから、この上に作るかどうかよりは、まずこの一階部分の所得の捕捉をして、これを所得に応じた負担構造にしようじゃないか。これ一三・五八で掛けていますでしょう。九万八千円から六十二万円で、それぞれ定率で掛かっているじゃないですか。でも、ここに例えば一千万を超えるような人たちがいても、これ一万三千三百円で済むわけですね。そうじゃなくて、この国民年金の、国民年金で言う第一号被保険者の中の所得のある人にも同じように負担してもらおうじゃないかと。  元々公明党さんも、昔、基本年金構想を出されたときに、あるいは六十年の前の、基礎年金を作るときの前の議論として、本来やるならばこの一階部分も所得比例年金がいいねと言ったんですよ。ところが、なかなか所得の捕捉が難しいねと言って、あるいは自営業者が多いねと言ってきたわけですね。  ところが、今やこの第一号被保険者の実態は、これ自営業者といっても、このうちのかなりの部分はこっちの厚生年金からこぼれてきた人たちであったり無職の人であって、本来の自営業者というのはこの中のほんの一部なんですよ。家族の従業員という方たちはみんな給与所得だから、そういう意味でいけば、皆さん駄目だ駄目だとおっしゃるんだけれども、その割合は非常に少ないんですよ、今は。  だから、それは一〇〇%の所得の捕捉は無理、一〇〇%の公平さは無理だと思うけれども、そこに向かって一歩進んでいって、本来の六十一年改正の元々の議論であった基礎年金制度の所得比例に近づけていくということにしないと。  私、古川さんがずっと言い続けていた話は、所得の捕捉はできないんですと、こうおっしゃるでしょう。所得の捕捉はできないと言いながら、片方、所得税掛けているんですから、所得に応じて。ここから先も、介護保険にしても国民健康保険にしても所得に応じて払うんだから、やっぱり所得に応じた国民年金制度あるいは一号被保険者制度というものに向かって進んでいくということでないと駄目なのに、皆さん方は、この上に付けて、一三・五八で、事業主負担もないのに高いものをするのかと、こうおっしゃるから、違うんですと。この部分を、だって一三・五八のうちの一階部分は五%程度なんですよ。だから、この五%程度の部分と一万三千三百円の部分を同じ負担構造にするという方向が基礎年金の一元化あるいは一元化の第一歩なんじゃないんですかと、こう言ったら、ここまでいけば理解していただけます。
  202. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 山本議員が描いておみえになりますその姿というのは分かりました。所得比例負担、所得比例負担と、一言で言ったらそういうことでしょうか。お考えになっている御趣旨というのはよく理解できました。
  203. 山本孝史

    ○山本孝史君 私、これしかないと思うんです。  それで、繰り返しになりますけれども、所得の捕捉ができないとかなんとかっておっしゃるんなら、元の姿に戻して、別々の制度にしてちょうだい。厚生年金厚生年金でやります、国民年金国民年金でやってください、そういう方がサラリーマンからすれば公平な負担なんですよ。でも、六十一年改正でここまで来たんだったら、この横論、縦論横論と言っていますけれども、この横論でいくんであれば、そこをもう一遍やっぱり前に向かって進んでいくということが年金改革の一番の重要点だと思います。  その第一歩として、私は、厚生年金保険料一三・五八%を、両方の制度に入っているというんであれば、厚生年金の二階部分の保険料と一階部分の保険料と分けて払わせてくれと、サラリーマンの人たちに。分けて払ったら、自分たちは二つの制度に入っていて、ここの負担構造が違うということについてどうするかという議論が、真っ当な議論が起きると思うんですけれども、そういうお考えはありませんか。
  204. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 現実に今の形で分けてというのは無理だろうと思いますが、ただ、実際にそこの部分の財源として保険料率の部分がどれだけ充当されているかというのは、審議会などでも御説明を申し上げてきております。
  205. 山本孝史

    ○山本孝史君 もう時間がありませんので終わります。  いずれにしても、未納の問題だとか副大臣の問題だとか、朝日先生に怒られるんだけれども、やっぱりちゃんと仕切っておかなきゃいけないと思ったので三十分近くまでそれに使っちゃいましたけれども、この議論はもう終わりにさせていただきたい。そのためにも、皆さん、ちょっと身ぎれいにしていただきたい。  本論に入って、少なくともこれ、このままで、未納のままで参議院の本会議、ボタンを押すということだけはやめてほしい。そんなの、国会、恥ですもの、そんなの。だから、副大臣のこともちゃんと処遇してくださいと。でないと、毎回毎回言わなきゃいけない。また帰れと言って怒られるかもしれないけれども。だから、そこはやっぱり大臣として責任持って副大臣の処遇を考える、そして、こういうちゃんとまともな議論が、まともかどうか知らないけれども、ちゃんとした本体議論ができるような環境整備をするというのも、私、大臣の責任だと思いますので、そのことについての大臣の御決意をお伺いをして、私の質問終わりたいと思います。
  206. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 最後にお聞きしましたそのお話は非常に私もよく理解のできる話でございまして、山本議員がお考えになっております案というものを今日私も初めて理解できたように思います。  副大臣との問題等につきましては、これは過去のことではございますけれども、大変残念なことであったというふうに私も思っている次第でございます。しかし、ここから先、より議論を深めていただきますためには、両副大臣にも頑張っていただかなければならないと思っているところでございます。
  207. 山本孝史

    ○山本孝史君 一言いい。  それは、坂口大臣、あなたの監督責任だし、あなた自身も同罪ですよ、それ。だから、やっぱりそれはここできっちりけじめを付ける、それが私たち国会のやっぱりやるべきことだと再度申し上げておきます。  ありがとうございました。
  208. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 山本議員の骨太な議論の後、私はまず、同じ立場でございますけれども、この法案というものを成立させるべきかさせるべきでないのかという新聞の世論調査の数字がございます。    〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕  朝日新聞によりますと、この法案は成立させるべきでないという数値が七〇%、そして成立させるべきだというのがわずか一六%であります。毎日新聞でもまた、成立させるべきでないというのが六二%ということでありまして、毎日新聞の社説、五月十八日の社説によりますと、「国民は政府案を見放した」という言葉が書かれております。そして、小泉首相は少なくとも法案を白紙に戻してけじめを付けるべきである、原点に立ち返って徹底論議が必要だ、まず政治不信を払拭しなければならないと述べているのであります。  この国民の世論というものを大臣はどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
  209. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私は、この年金問題を考えましたときに、やはり今後の年金問題の一番大事なところは何か、どこに着眼をして今後の年金制度を作っていくのかということは、今、具体的な、山本議員がお触れになりましたような様々具体的な問題はございますけれども、最も大枠のところでは、どういう制度を作るにいたしましても少子高齢社会にマッチした案を作っていかなければならない、ここだけは紛れもない事実だと私は思っております。  ところが、高齢化の影響というのは現在既に出てきておりますが、少子化のその影響というのは本格的に私はまだ出てきていないと思っております。しかし、これから二十年先、三十年先になりましたときに、もろにその影響社会の中に出てくる。そのときに、多くの国民の皆さん方は、少子高齢社会とはこういう社会であったかということをお分かりいただけるのではないかというふうに思っております。  しかし、今私たちがやらなければならないのは、そうした将来のことを見据えながら、少し国民の皆さん方から見まして御理解をいただけないところがあったとしても、行うべきところは行っておかなければならないというふうに私は感じております。  したがいまして、新聞等の世論調査を見ますと、あるいはまたテレビ等の世論調査を見ましたときに、確かに現在の反対意見というのは多い。それは私もよく理解をいたしておりますが、しかし、そうした現状というものについて、特に将来起こるであろうことについて国民の皆さん方に全部それを理解をしてもらうということは甚だ難しいことだというふうに思います。  しかし、年金というものは遅れてはいけないわけでありまして、余りにも後世に、若い世代の皆さん方に御負担を多くをしてはいけないわけでございますから、今のうちにその体制は整えて、そしてさらにその次どういう年金制度を最終的に作り上げるかということにつきましては、先ほどから御議論のあったところ、いろいろなお考えがありますから、そうしたことも念頭に入れてやっていくということがよろしいのではないかというふうに私は思います。
  210. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 少子高齢化というものがいかに深刻な社会であるかということの大臣の御認識というものは的確であろうかと思いますが、この成立、現政府案を成立させるべきではないという国民の反応といいますか考え方、私は、これは、公的年金の信頼性が崩壊し、そしていわゆる社会の連帯というものが音を立てて崩れていくというような予兆ではないかと。国民の静かな反乱としてもっと深刻に受け止めるべきではないかと。  今の大臣のお話を聞いておりますと、そうした少子高齢化に対する国民の理解不足が原因であるというように聞こえてまいりますが、なぜ成立させるべきでないというふうに人々が考えるのかという、その原因について重ねてお尋ねいたします。
  211. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほどお答えを申し上げたことの延長になるわけでございますが、現在、反対をされます皆さん方の中にはいろいろの方が私はおみえだと思います。過去の社会保険庁等が行ってまいりました問題、そうしたこともこれは明るみに出ましたから、そうしたことに対して反対をされる方もおありだと思いますし、あるいはまた、国会議員の中にも未納者が多いではないかといったようなことに対して反対をされる方もおみえになる、いろいろの私は反対理由というものが存在するというふうに思います。  しかし、純粋に年金制度そのものを考えてみましたときに、やはり将来どうあるべきか、この少子高齢化という支える側の人間が少なくなっている社会の中でどこまで支えることができるのか、そしてそれに対して高齢期を迎えた人たちがどこまでそれを受けることができるのかという問題につきましては冷静に今判断をしなければならない問題であるというふうに思っております。その冷静な判断の中でお考えをいただけるということは、今の環境、なかなか全体としては難しいことを十分に私も理解をしながら、しかしそこは冷静に我々は判断をしていかなければならないと思っている次第でございます。
  212. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 まず、前段の社会保険庁の様々な問題、それから議員自身の未納問題というものも確かにあると思います。この点に関しては、先回、小泉首相は、任意加入の時期の不払というものは、自由なんだからどちらでもいいので、何で問題になるのかというふうに言われたのですが、坂口厚生労働大臣はニュアンスが違って、たとえ任意加入でも、国民皆保険という一つ年金制度ができた場合には、連帯をするという、社会のきずなということのために払うことが望ましいことであって、政治家であれば任意加入の時期といえどもやはり支払っておくということが一つの望ましい態度ではないかとおっしゃったニュアンスに聞きましたが、こうした国会議員の未納問題、とりわけ任意加入の時期の未納問題について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  213. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは人によりまして受け止め方はかなり違うというふうに思いますけれども、歴史的に振り返ってみますと、昭和三十六年にこの皆保険制度がスタートをいたしました。そのときに、今まで年金に入っていなかった皆さん方はすべて何らかの年金に入れるようにこれは作られたわけでございます。しかし、そのときに、共済年金でございますとか、国会の互助年金と申しますか、この国会における年金等が既にそのときに存在をいたしておりました。そして、そうした年金に入っている人は国民年金の中には入れない、入らないということでスタートしたという経緯がございます。  そうして、昭和五十五年になりますと、三十六年から皆年金制度がスタートをしたものですから、そうすると、二十年そこでもう経過をしているわけでございます。国会議員に当選をされます皆さん方、その国会議員に当選をされる皆さん方の中にも、二十年とか二十二、三年もう掛金をされまして、あと一、二年とか、あと四、五年でその資格を得られるという人も出てきたわけでございます。そうした皆さんに対して、余り国会議員だからというのですべてこれを拒否するというのではなくて、お入りをいただけるそこに余裕を作ろうではないかということで、昭和五十五年に任意加入制度になったというふうに私は理解をいたしております。  そして、六十一年を迎えまして、今度は国民全体で、今度は全体で支えるんだと。基礎年金という部分を全部がそこに作って、そして国民全体でそこは支えて受けるんだという、年金の理念と申しますか、考え方というものが大きくそこで展開されたというふうに思っております。  そうした中で、国会議員といえども今までの年金制度に入っているということだけで国民年金に入らないということを許されることはできない、国会議員もすべて入るべきであるということがそこでまた正式に決定されたという、そういう経緯がございますから、そうした経緯の中でこれは考えていかなければならないというふうに思っております。
  214. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうしますと、五十五年で任意加入になり、六十一年には法的義務化されたわけですが、私どもとしては、やはりこの法案を審議するという立場に立てば、先ほどの山本議員の言葉をかりれば、身ぎれいにしてボタンを押すべきだというふうに言われたのは、これは私どもその法案を審議する議員として当然のことであろうと思います。    〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕  ということになりますと、この厚生労働委員会における各審議に参加する委員未納問題というものが明快になっていないのは自民党だけでございます。こういう点ははっきりとやはり審議の中で明らかにすべきであって、これは個人の問題だということではない。はっきりしておられる方もございますけれども、一般的にやはりそれはきっちりすべきであろう。  これは、厚生労働委員会の理事会でしっかりと、最後には必ず開示をして、でき得る限り早く開示すべきだということをお決めいただきたいと思いますが、委員長にお願いしたいと思います。
  215. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまの問題については、先般来理事会で協議中でありますが、改めまして、大脇委員のお申出を受けて、後刻、理事会で更に協議を進めてまいります。
  216. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 さて、国民年金の未加入未納によって発生します、無年金、低年金というものがその結果として発生するのですが、このような、先ほど言いましたような、成立させるべきでないというような国民の意識の上に立ってこの発生予防策をどうするのか。とりわけ私は、憲法に保障する、二十五条が保障する生存権保障の見地からは最低保障年金を確保する必要があるというふうに考えているものでございますが、こうした下限に対する制度上の保障がない。  このままではともかく未加入未納の強制徴収に、社会保険庁は抵抗できるとは思わないわけですが、この点については、大臣はいかがお考えでしょうか。
  217. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 生存権のお話ございました。  これは社会保障全体の中で考えなければならないことだというふうに私は思っておりますが、中には年金だけで暮らしていけない、年金はそれぞれの人によりまして額が違ってくるわけでございますから、私は、人によりましては年金額だけで生活のできない人もおみえだというふうに思います。  しかし、その年金だけで生活のできない人の中にも、これは他に財産がたくさんありますとか、あるいはまた預貯金がありますとか、そうしたことで十分賄える人もおりますし、しかし、そうしたものも全くなくて、年金額も少ないという方もおみえでございます。したがいまして、負担給付の中でこの年金制度は成り立っておりますから、年金制度年金制度として、それで負担をしていただき、それに見合った給付をしていかなければなりませんけれども、それでなおかつやはり足りないところは、それは生活保護なりなんなり、ほかの問題もその中で併せて検討をしていくということだろうというふうに思います。  もうそんなことを言わずに、もう生活保護のような形はなくして、すべての人が年金という形で若いときからここに参加をしていただいて、もうそれ一本でいこうというような考え方も中にはあるかもしれません。しかし、人によりましては、お若いときに非常に裕福であったけれども老後は非常に惨めになるという方もございますし、あるいはまたその反対の人もおみえになるわけでございますから、そうした問題と併せてここをどう考えていくかということについては議論を今後更に深めていただく必要があると私は思っております。
  218. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 国民年金の最低保障というものにつきましては、失業保険の最低額あるいは生活保護基準というものとやはり整合性が必要であろうと思います。  スウェーデンでは、年一回オレンジの手紙ということで、自分の年金が果たして幾らになるのか、したがって幾ら払えば幾らになるのかという形で、非常にそのオレンジの手紙によって支払のインセンティブが掛かってくるということが言われておりますが、今回、社会保険庁がそうした年金の様々な事務を統合する場合に、スウェーデンのようなオレンジの手紙というのを国民に出すとすれば百億円ぐらい掛かるとかいろいろ言われておるわけですが、この国民に対する国民自身の年金の情報公開というものはどのような形で将来していこうと考えておられるのでしょうか。
  219. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 総論的に申し上げますと、ここはおこたえをしていくようなことにしないといけないというふうに思っております。  何歳以上にするかというようなことがございます。二十五歳や三十歳の皆さん方はまだ保険料を納められ始めたときでございますから、そこまで皆さん方にする必要はないという御意見もあるでしょうし、そこは年齢を幾つかにするかということはございますが、例えば十年なら十年以上掛金をしていただいた方々には、毎年毎年そういうことをおこたえをするというやり方もあろうかというふうに思っております。いずれにいたしましても、これ整備をいたしまして、これからおこたえをしていくということにしなければいけないというふうに思っております。  中には、年金だけではなくて、ほかの社会保障についても、どれだけ掛金をあなたはしていただいております、そしてそれに対して何歳になられたらこういうサービスがございますというようなことも併せておこたえをすべきだという御意見もございますし、そうしたこともよく整理をさせていただく必要ございますが、とりわけ年金につきましてはおこたえをさせていただくということで今後進めていきたいというふうに思っております。
  220. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 是非、そうした点は国民が待ち望んでいることであろうというふうに思います。  さて、私は一般質疑においても申し上げましたし、南野議員も先回の総理への質問で女性と年金問題について触れられましたが、今回の政府案に対しては、この問題というものには全く触れられていないと。  モデルの、幾ら保険料で幾らもらえるかという、いわゆるモデル世帯というのは片働き世帯になっております。夫が働き、妻が百三十万円以内で働く、そして被扶養者と位置付けられている世帯というものが基準になっておりますが、実は、働く主婦というのは既に専業主婦を上回っておりまして、一九八六年以来上回っているわけであります。これはもちろん百三十万円を取得しているパートの人たちも含んでですけれども上回っておりまして、既に専業主婦を千五百万ほど上回っている。にもかかわらず、この年金のモデルというのが片働きの世帯というものが基準になっているということは全く世にも不思議な、日本の議論の不思議と言われてもう久しいわけであります。日本は、この年金制度において、私は、そういう意味において、本当、奇想天外な百年の設計をしておられるのではないかというふうに思っています。  平成十三年の十二月に、女性のライフスタイル変化等に対応した年金の在り方に関する検討会の報告書が出ております。この報告書は、「終わりに」というところで強く要望しておりますことは、個人単位と世帯単位、応能負担と応益負担、公平性の確保という問題というものは、これは女性と年金をめぐる問題だけではなくて、我が国の年金制度の在り方とか社会保障制度全体の問題だと。したがって、国民的論議が広く求められる。そして、現行制度から円滑な移行と長期的な視点が必要であると。そして、そのための環境整備をすべきである。  女性の人たちが今度の政府案に対して非常に大きな疑問を持つのは、この百年、現行制度を維持するのかと、もう実態が全然違っているのに一体どういう時代錯誤なのかということは、持っている疑問、根本的な疑問であろうかと思います。  この検討会の報告書が今度の年金制度政府案を検討する際にどういう取扱いをされたのでしょうか。そして、この報告書の評価は厚生労働省としてはどのように考えておられるのでしょうか。そして、その改革の展望というのは政府案のどこにあるのでしょうか。  まず、この報告書よりなぜ後退したのかということについてお尋ねしたいと思います。
  221. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今御指摘になりました女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会、ここでの御議論、そしてその最終的な結論というのは先ほど指摘をいただいたとおり、そのとおりでございます。  この結論をいただいて、そして、とにもかくにも、パートで働いていただいている皆さん方に対しても、これはこの年金制度の中にお入りをいただくことがいいのではないかと。まずそこからとにかくスタートをするというのが手順としてよろしいのではないかというのが最初の厚生労働省としての考え方でございました。  しかし、お話をだんだん進めてまいりますと、ここはなかなか私たちが思っておりましたとおりに国民の皆さん方と申しますか、パートで働いていただいている皆さん方もお受け取りいただいていないということが分かってまいりました。それは、経営者の皆さん方が、特にパートをお雇いになっている経営者の皆さん方がそれは難しいというふうにおっしゃるのはそれなりに経営上の理由があるというふうに思いますが、私たちが意外でございましたのは、その中で働いておみえになりますパートの皆さん方から非常に多くの反対の陳情がございました。  このパートで働く人たち、私たちはまず、現在三十時間以上ぐらいになっておりますが、これを二十時間以上というふうに言ったわけでございますが、それに対しまして反対が多かった。これは、先ほど指摘をいただきましたとおり、三号被保険者というものを残したままで制度を改正をするということに対してやはりいろいろの思いがあるのではないかというふうに理解をいたしております。  したがいまして、国民年金の方はもう今個人単位でございますが、厚生年金の方は御指摘のとおり世帯単位になっております。これを、それじゃ個人単位にするとしたときに、それじゃ現在の三号被保険者の皆さんの保険料は一体どこが払っていただくのか。個人が払っていただくのか、あるいは企業が払っていただくのかという問題に突き当たるわけでございまして、これに対しましてもいろいろの御意見がございまして、なかなか一つにまとまるということができなかったというのが現実でございます。  そうした問題がございますし、また社会保障の中におきましても、介護は個人単位になっている、そして医療保険の方は世帯単位になっているというような問題がございまして、社会保障全体としてこれからどういうふうにしていくかということも御議論をいただいて決定しなければならない問題ではないかということで、約五年後までにその結論を得るということで整理をしていただいたわけでございます。  したがいまして、今後、やはり今後のこの四、五年の間にいろいろ御議論をいただきまして、そうした社会保障全体の中でどうするかといったことも含めてこれは決定をしていかなければならないものというふうに思っている次第でございます。ただし、いつまでもこのままでほっておくというつもりはございません。
  222. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そういたしますと、要するに五年以内にこの第三号被保険者問題というのは、まずパートタイム労働者の保険適用を入口として考えて結論を出すということでしょうか。  私は、この第三号被保険者の問題は、国民年金の部分はこれは支払ったものとみなすというふうに二号保険者の附属物として女性を見て、そして支払義務それ自体がないわけであります。しかし、結果としては年金があるということですから、それはどこから持ってくるかというと、厚生年金から二人分を国民年金のところへ支払う形によってそれ擬制をされているということであります。  例えば、このごろ家庭裁判所なんかに行きまして生活費の要求などをいたしますと、今までは男性の働きに応じていわゆる生活費が決まっていたのが、このごろはガイドラインができまして、女性は潜在稼働力を持っているというふうにみなされて、パート収入それ自身が稼働する能力があるんだというふうに考えられて、働かないということはマイナス効果として計算に入ってくるようにもう取り扱われているわけです。しかし、年金については相変わらず、共働きを例えばパートでしていても、百三十万円の範囲内であれば被扶養者になってくる。  だから、先ほど、介護保険は個人単位で医療保険は世帯単位で、日本の場合は非常にばらばらだということを図らずも言われましたけれども、このパートタイム労働者に対する保険適用問題で是非お願いしたいのは、百三十万が保険適用の限界値だといたしますと、いわゆる配偶者手当が出て、非課税限度額というものがありまして、百三万円の非課税限度額を撤廃をしないとやはりこれは百三十万の保険適用の問題の根本的な解決にならないということが見過ごされていると思います。日本の議論の二つ目の不思議は、この税の問題で女性の働き方を規制しているにもかかわらず、年金との議論で連動してこないということであります。したがって、この問題も含めて第三号被保険者としてのパートタイム労働者の適用を議論していただきたいと思うんです。  今、パートタイム労働者の方で反対があったというふうに言われましたけれども、これはそうした二重に女性の働き方が鎖で縛られている結果の意識の表れだというふうに、是非その根源を見詰めて議論を進めていただきたいというふうに思っております。  したがって、私は、第三号被保険者というものをどのように縮小していくかという点については、パートタイム労働者に対する保険適用と同時に、やはり一号に準じて定額負担一万三千三百円は必ず負担をしていくという形でその解消をしていくということが重要であろうというふうに思うのですが、こういう考え方についてはどのようにお考えでしょうか。
  223. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 前半の非課税限度額が一つのネックになっているというお話は、私もそのとおりというふうに思っております。ここはやはり何らかの形で改善を加えていくということが大事なんだろうというふうに思いまして、ここはしかし税の方の話でございますから、私がああしろこうしろということは言えない立場でございますけれども、しかし意見、私の意見といたしましては、この百三十万なら百三十万という額をもう少しここは低くしてでも皆さん方に御参加をいただいて、そしてその代わりにこの社会保障の中にもお入りをいただくという方向に持っていくのがよろしいのではないかというふうに思っている次第でございます。そうした中でこれは行っていきたいと思います。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  一番最後におっしゃいました一万三千三百円のお話というのは、ちょっと私、聞き漏らしたんですが、それは何との関係でございましたでしょうか。
  224. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 今、前段のパートタイム労働者に対する百三十万円を、これはかなり下げれば、そうすれば女性が調整して働くということはないということをその検討会の報告書でも言っておりますので、これはかなり百三十万円を下げることによってパートタイム労働者に対する保険適用を推進すべきだと思います。  もう一つは、専業主婦が全然払っていないにもかかわらず払っているとみなされて、そして厚生年金から二人分が入ってきているということ、そして厚生年金が今だんだんとシュリンクして小さくなってきているので、やがてこの第三号被保険者の問題は厚生年金保険のところを圧迫する一つの要因ともなってくるというふうに思われますので、純粋専業主婦でも定額負担の一号に準じた一万三千三百円というものをともかくだれもかれもが支払うのだという、そういう制度設計をしたらいかがかということでございます。
  225. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この法案を作ります過程の中で、三号被保険者の皆さん方にも全額、例えば国民年金として一万三千三百円お支払をいただくということになれば大体どのぐらいな金額になるのかということを試算をしてもらったことございますけれども、非常に概算でございますけれども、多分二兆円ぐらいになるのではないかということでございました。かなりなこれは額になるということも分かったわけでございます。  そうしたことを今後これからどういうふうにしていくか、三号被保険者の問題はこれは一に掛かって、先ほど委員が御指摘になりましたように、個人負担か世帯単位かということをどう整理をするかということと併せてこれ決着をしなければならない問題でございますので、この次に行わなければならない問題としてはそこが一番大きいと私も考えているところでございます。
  226. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私が家庭裁判所の潜在稼働能力ということを申し上げましたのも、専業主婦が他律的に夫の二号保険者に従属しているという位置付けで、夫の加給年金というものにもまたそれが従属しているということになりますと、制度設計それ自体が何か傾いているような感じをいたしますので、今二兆円という試算お答えがありましたが、やはりこの点は女性の自立の問題ともかかわって、やはり検討すべき問題ではないかと私は考えるものでございます。  さらに、今度は遺族年金でございますが、この点が、今度は老齢年金等々少し組み替えられまして、三分の二の遺族年金支給が少し仕組みが変わりました。そして、共働きの人の場合は二分の一、夫の年金二分の一、自分の年金二分の一というものとの選択が可能になりましたが、これは私もともかくこだわっているわけですけれども、共働き女性の八〇%が夫の遺族年金を選択して自分の保険金を掛け捨てにするという現状であります。  それで、私は、その共働き女性が支払った保険料を掛け捨てにして支払われない金額というものは大体幾らになるのかというのは、ずっと私は知りたいなと思い続けているのですが、これは分かりますでしょうか。
  227. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、そういう御質問があるということを先ほど、お昼休みにちょっとお聞きしたわけでございますが、聞きましたところ、それを十分に証明するだけの計算というのは今ないようでございます。今後できるのかどうか、もう少し検討させていただきたいと思います。
  228. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 是非、これは共働きモデルを作る場合に非常に大きな問題であろうかと思います。確かに、女性の平均賃金は男性の平均賃金と比べて非常に低いと。そして、働く期間も育児や介護の時期があって、日本のモデルはM字型と言われまして、育児の時期が退職あるいは休職するときが多いということで、この共働きモデルを設計する場合には、賃金を幾らに設定するのか、男性の賃金と女性年金の賃金格差をどうするのか、そして働く期間を何年と見越すのか、非常に難しいモデルがあり、そうしますと今の政府案とがらりと設計が変わってこざるを得ないと。  したがって、そうなりますと保険料の額も、それから平均報酬、平均賃金の何%保障だということも全く違ったものにならざるを得ないと。いわゆる世帯単位から個人単位への転換、これはもう私は必然だと思うわけですけれども、これはどうしてもやらなければならない改革でございますので、そのときの財政計算の中で支払われない保険、掛け捨てになった保険料等、必要不可欠な数字となってくると私は思いますので、是非この点を検討をしてお教えいただきたいと思います。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  遺族年金については、これはどういうふうに見るのかと。例えば、スウェーデンでは遺族年金というのは生活転換年金というふうに考えられておりまして、いわゆる生活保障年金というよりは遺族年金の、若いときに関してでしょうけれども、そういう生活転換年金の性格を持って、例えば若いときは五年の有期というような形でしか出ないということになっております。これはやはり、女性を自立したものとみなす、いわゆる潜在稼働力があるとみなしての設計であろうかと思いますが、この遺族年金の将来展望というものを、見直しの視点というものはお持ちなのでしょうか。
  229. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 遺族年金につきましてもいろいろ御意見をちょうだいをしているところでございます。  確かに、共働きをしておみえになります場合に、御自身の年金を選ばれる方、それから御自身の年金ではなくて亡くなられた配偶者の四分の三を選ばれる方、あるいは両方選ばれる方というのでしょうか、様々、人によって違うわけでございます。今、一番御指摘になっておりますのは、御自身がお若いときにかなりの保険料を納めていただきながら、それは選択せずに御主人の四分の三を選択される方が一番多いと、八〇%あるという御指摘でございまして、それは御指摘のとおりでございます。  その前に、今回の整理の仕方としましては、これ額が別に増えるわけではないわけですけれども、まず御自身の年金をお選びをいただく、そして御主人の、御主人と申しますか、配偶者の方の四分の三の方が多い場合にはその四分の三の額との差額と申しますか、それを上乗せをしてお支払いをするという形で、御本人のまず保険料を、御本人の年金をまず生かしていただいて、そしてそれに上積みをするという今回割り切りにさせていただいているわけでございますが、決してこれで年金額がしたがって増えるというわけではございません。  奥様の方、奥様と申しますか、配偶者の、残られた方の方の年金額が非常に高ければそれは問題ないわけでございますけれども、そうでないときにはそういう仕切りにさせていただいたところでございまして、この問題、しかしこれで、これだけでいいのかという御指摘もあるわけでございますので、この辺のところも女性と年金の問題を考えていきますときに非常に重要であるというふうに思っております。なぜなら、先ほどから御議論のありますように、平均寿命が年金の場合に非常に高い、そして男性の方が短いということになってまいりますと、この遺族年金の問題というのは今後も大きな課題になるであろうというふうに思っているところでございます。
  230. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 政府案に流れる哲学といいますか、先回、社会保障制度学会で、社会保障学会で議論されていたことは、政府案というのは、今までは生存権の観点から給付ありきという形で右肩上がりの経済の中でそれを考えてきたけれども、今回はこうした少子高齢化の中でまず拠出ありきということに哲学が変わったのではないかという批判がなされておりました。そういたしますと、少子化というリスクといわゆる高齢化という余命伸長リスクというものはすべて拠出側に負わせるという結果の計算になっていないかということで、両世代にそれを分配するという視点というのが検討されなければならないということが議論されていたということを申し上げて、やはり骨太の、やはり個人の一人一人の年金権というものを確立するための議論を更に行うべきであると。  したがって、世論が正に見通しているこの法案というものはもう一度白紙にして出し直すべきだと。それは政治不信の払拭だけではなくて、百年の年金設計のために必要だということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  231. 小池晃

    ○小池晃君 午前中の質問の最後の金銭登録機等の問題で、厚生労働省と天下りの関係、人的関係あるのかということで、衆議院で答えたという答弁ありましたが、衆議院では、個別の名前を挙げて厚生労働省との関係があるかということで、確かに大臣は調査報告されると答弁されていますけれども、今日、私、求めたのは、カワグチ技研、ニチネン企画、フォーム印刷社という三社についての人的関係があったかなかったかを徹底的に調べてほしいということでしたので、これは今日初めて申し上げましたので、これは改めて調査して報告していただきたいということを最初に申し上げます。  さらに、おとといの審議の続きをちょっと議論したいんですが、五割割り込むじゃないかと。新規裁定時は五割超えるけれども給付をしていれば下がるじゃないかということを私が指摘をしたらば、大臣予算委員会で議論したとおっしゃった。私、いろいろ調べてみまして、厚労省にも聞きまして、恐らくこの辺りがそうなのだろうなと思う議事録を今日資料で配りましたが、この議事録を見ても、大臣が説明しているのは、これは物価が下落しない限り年金の名目額は下げないということはおっしゃっていますが、その五割保障するのは新規裁定時だけで、給付が始まればこれは五割を切ることになるんだという説明は一言もされていないと思いますが、大臣、もう一回確認したいんですが、これは大臣の口からはそういう説明はしていないですよね。
  232. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一番最初のこの川崎何がし、この三社の関係のお話は一度調査いたします。御報告を申し上げたいと思います。  それから、その五〇%のお話でございますけれども、先日もこれは御質問をいただいたところでございますが、我々が申し上げておりますのは、それぞれの人が生涯の間に受けました手取り賃金、平均手取り賃金、その五〇%を確保しますということを申し上げてきたわけであります。
  233. 小池晃

    ○小池晃君 違うよ。
  234. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いやいや、そうなんです。スタート時点の話ですよ。  それは、この若い世代、その人その人の現役時代の手取り額の平均値、平均といいますか、手取り額の平均ですね、その五〇・二%を確保しますと。それは、そのときそのときの、そのときの現役男子の平均賃金とそれは一致をします。例えば、今から、今五十五歳の人がいて、十年後に年金をもらい始めたと仮定をいたしますと、十年後のその時期に、平均的な人が生涯受け取ってきた賃金、手取り賃金の五〇・二%と、そしてその十年後の、今からいえば何年になるか、二〇一四年になりますか、そのときの平均賃金とは一緒になると、こういうことを先日申し上げているわけであります。したがって、その人の生涯の受け取りますその人の平均賃金に対して将来の年金額を見ますと、それは五〇%、五〇・二%から下がっていくことはないんです。  しかし、もうちょっと言わせてください。しかしそうは言いますけれども、そのときそのときの、その十年先あるいは二十年先の、そのときそのときの現役の平均賃金と比較をすると、その額は上がっていきますから、それはパーセントは下がります、こういうことを申し上げているわけです。
  235. 小池晃

    ○小池晃君 おっしゃることはそうだと思います。だから私聞いているのは、一つは、その後でおっしゃったことは衆議院では大臣の口からは説明していないですねと。それはそうですよね。
  236. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、たしか厚生労働委員会ではありませんでしたけれども、これは予算委員会だったと思いますが、これは古川議員が御質問になりまして、絵をお示しになって、そして二〇二五年の段階でこれはこうなりますねという御質問をいただいた。
  237. 小池晃

    ○小池晃君 いや、古川議員がそういう質問をしたのは、私は議事録、今日は示していますから、そこにあるんです。しかし、それに対して大臣の口から、新規裁定時は五割保障するけれども、その後は下がるという説明はしていないんですよ。それが一点。  それから二点目は、現役時代に自分がもらった給与の五割を保障しますというのは、これはある意味では当たり前なんですよ。だって、その現役時代にもらった給与というのは、それが分母になるとすれば、それはその後変わらないわけです、分母は。しかし、分子の方の年金の取り分は、これは物価下落しない限りこれは名目額下がることはないわけですから。そういう言い方をし始めれば、新規裁定時に五割を超えていれば、その後はずっと五割を超えるということになるのは当然ですよね。当たり前のことを言っているにすぎないんですよ。  こんな、年金の世界ではこういう比較の仕方はしないわけでしょう。所得代替率といえば、その時点その時点で賃金を再評価して、その賃金と比べて五割を保障するかどうかということが年金の考え方だと。局長そうですよね、年金でいえば。  それで、この法律の考え方というのは、法律で示している条文は、正に、男子被保険者のうち、平均的な賃金に対する比率が五〇%になるように給付水準を将来にわたり確保するというふうに言っているわけですから、正にこれは現役世代の収入との比率で五割を確保するということがこの法律の立法の趣旨だと思いますが、確認したいんですけれども、いかがですか。
  238. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 大臣がお話し申し上げていますのは、日本も、平成十一年改正の前までは、年金受給者につきましてもいわゆる賃金ベアをやってきておったわけでございます、五年に一回。  これは御案内のとおり、その状態の年金制度を取られておりますのは、今では西ドイツでございます。日本はその西ドイツと一緒でございましたけれども、しかし後代負担を考えましたときに、年金受給者になられるまでは賃金を反映をするけれども、その後は基本的には物価でお願いをしたいというのが前回の改正でございます。  それで、イギリスもアメリカもフランスも基本的にはこういう仕組みになってございます。フランスの場合には、もっと現役時代の賃金再評価も行いませんで物価で考えるという形です。
  239. 小池晃

    ○小池晃君 聞いていないことを答えないで。
  240. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) そういう形で申し上げましたときに、年金の裁定を受けた後は基本的には物価でごらんをいただきたいというのが前回の改正でございますので、そういう意味で賃金との関係の比率というのは、六十五歳までは賃金の関係の比率で見るわけですけれども、その後はその水準を物価で維持をするということでございます。そういうことを大臣が申し上げているということだろうと思います。
  241. 小池晃

    ○小池晃君 だから、現役時代に自分がもらった給与に照らして五割を保障するというのは、それは仕組みとしては当たり前のことで、問題は、その世代世代のときに、その後五割を保障しなくなるじゃないかと。  ちょっと大臣、はっきり答えていただきたいんですけれども、私は、大臣の口から衆議院で、五割保障するのは新規裁定時だけで、この後については下がっていくと、五割を割ることはあり得るということは説明されていないと思いますけれども、それはもう間違いないですね。そこをはっきりしていただかないと、これは、ここは大事なことなんですよ。大臣はっきり答えていただきたい。大臣に聞いているんだ、大臣の答弁ですから大臣に答えていただきたい。
  242. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そういう議論もあったように思いますけれども、私もよく一遍調べてみます。  問題は、年金を受給を始めてから、その後の物価の上昇と賃金の上昇がどういう形になるかによってそれは変わってくるわけであります。我々が描いておりますのは、物価の上昇よりも実質賃金の上昇の方が高くなるようなそういう世界をやはり描いておりまして、そうする方が今後の少子高齢化を生きるためには大事ではないかということを申し上げているわけです。  物価の上昇よりも賃金の上昇の方がカーブが上になれば、それは、その人その人のもう既にもらっている年金の額というのは、若い人の平均賃金に比較すれば下がっていくと。しかし、それはやむを得ないではないか、むしろそうなることの方が私はいいのではないかということを先日申し上げたわけであります。
  243. 小池晃

    ○小池晃君 物すごい開き直りで、これ、まず説明一切しなかったんですよ、そういうことについて。今初めてなんですよ。衆議院ではこういう議論は一切していないんです。大臣の口からは少なくとも、古川議員から指摘されたけれども、それには答えてなくて、大臣が答えているのは、そうは言っても名目額は減らさないんですというふうに言っているだけで、この古川議員の指摘が正しいとも正しくないとも何も言っていないんです。  今みたいな説明は衆議院では一切やっていない。にもかかわらず、小泉総理は、あたかも今日初めてこの話をしたという話をしているけれども、そんなことはありません、こういう議論はよく指摘したというふうにおとといの当委員会発言されています。これ、明らかにこの答弁は重大な偽りがあるというふうに思います。  この件に関しては、これは総理の答弁ですから、総理の再答弁を私要求する。これは是非理事会でお諮りいただいて、ほかの問題でも総理の質疑は求められていますが、この点について再質疑を総理との間でやらせていただきたいということを委員長にお諮りしたいと思います。
  244. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまの件については、後刻、理事会で協議をいたします。
  245. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。  冒頭、今朝、読売新聞の報道について取り上げられた委員がいらっしゃいましたけれども、私も、この日歯側、五月一日には特捜部の捜索を受けている厚労省が、二幹部に現金が渡っているというのが報道されているんです。これは、二〇〇一年から二〇〇三年、吉田前議員を介して受け取っているということが報道されているんですが、私は、この問題について、四月の二十日の本委員会質問で、厚生労働省の課長補佐以上の幹部が臼田会長を訪ねて、歯科医師会を本当に頻繁に訪問している事実を取り上げました。私、もう本当にあれには調べてびっくりしましたけれども、二〇〇一年の八月から三年弱で五十回も訪問をしておりました。  今回の報道を受けて、厚生労働省の職員が接待を受けたことがなかったのかということをやはり見てみなければいけないと思います。そのことで行政がゆがめられることがなかったのかというところも改めて疑惑の目が注がれているわけですので、その点についてきちんと調べる必要があるんじゃないかというふうに思います。  だから、報道された幹部は二人ということですけれども、そこにとどまらず、接待の実態について全体像をきちんと明らかにする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。大臣、御答弁願います。
  246. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今朝、新聞に出ました問題は、私も今朝初めて見たわけでございまして、まだそのことにつきましての省内の報告は受けておりません。この委員会が終わりましたら報告を受けるつもりでおりますが、もしあそこに出ておりますことが事実でありますならば、全体としてよく調査をしたいと思っております。
  247. 井上美代

    ○井上美代君 当然お昼に見ておられるというふうに思いましたけれども、まだ見ておいでにならないというのは事実でしょうか。是非きちんと調べていただきたい。そして、やっぱりこういう問題が、五十回も訪問されているんですからね、今日の記事を読みながら、ああ、これは大変なことだというふうに思いましたので、是非、全面的な調査をお願いしたいと思います。  それでは、質問に入らせていただきます。  年金制度と支え手の問題というのは非常にやはり重要な部分だというふうに思っておりますし、年金雇用にかかわる問題も、何人かの委員からも質問がありましたように、この雇用の問題についても非常に重要だというふうに思っております。  政府は、今回の年金改正案を提案した理由として、急速な少子高齢化を挙げておられます。しかしながら、年金制度の支え手の問題は少子高齢化に左右されるだけではないと思います。どれだけたくさんの人が自らの能力とそして意欲をやはり持って生き生きと生きたいと、このように思っておられる。そして、自分が体が続く限りは働きたいと、こういうふうに思っていらっしゃると思うんです。つまり、労働力人口、就業者数がどうなるかが大変重要だというふうに思うんです。  政府の諮問機関も、社会保障制度を維持可能にするために、二十一世紀は特に女性や高齢者、こうした人たちが働きやすい、そして働き続けられる環境を作るということがどうしても必要だというふうに私考えております。そういった意味でも、政府雇用政策はもう重要である、重要視しなければいけない、そして積極的に取り上げていかなければいけないと、このように思います。  そこで、厚生年金の支え手の将来の見通しがどうなっているかが資料として、今日五枚ほどの資料を出しておりますが、お配りいただけましたでしょうか。お手元に行っている資料を是非見ていただきたいというふうに思います。  政府参考人にお聞きいたしますけれども厚生年金の被保険者数は、今回の政府案の将来見通しと前回の将来見通しがどのように変わったのかということを、その表にも出ておりますけれども、説明をいただきたいと思います。
  248. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 平成十一年、前回財政計算におきます厚生年金の被保険者数予測でございますが、西暦で申し上げますと、二〇〇五年度で三千四百八十万人、二〇一〇年度で三千三百八十万人、二〇一五年度で三千二百七十万人、それから二〇二〇年度で三千百七十万人、二〇二五年度三千百万人、二〇五〇年度二千四百四十万人となっております。  それから、平成十一年財政計算と比較いたしますために、今回の財政計算で実は農林共済、農林年金を統合いたしておりますので、そういう意味で集団が大きくなっておりますから、今回の財政計算におきます厚生年金の被保険者数には旧農林共済部分が入ってございますので、これを控除しました被保険者数で申し上げますと、二〇〇五年度三千百八十万人、二〇一〇年度三千百三十万人、二〇一五年度三千四十万人、二〇二〇年度二千九百八十万人、二〇二五年度二千九百二十万人、それから二〇五〇年度二千百九十万人となってございます。
  249. 井上美代

    ○井上美代君 今御説明がありましたけれども、皆さん方のお手元にあるのは一九九九年の改正、そしてまた二〇〇四年の改正というのが推計として出ていると思います。二〇〇五年から二〇五〇年まで将来見通しをしているわけなんです。  今回の見通しは、前回の見通しと比べると大幅に人数が減ってしまったことが分かります。例えば二〇〇五年、これでいきますと、差引きしてあるんですけれどもマイナス二百九十、そしてマイナス二百五十というふうにずっとなっておりまして、大変に大幅な減があっているということが分かるわけなんです。  来年の二〇〇五年については見通しがマイナス二百九十万人ということになるわけです。これは言ってみれば三百万人近くも減ってしまったということになるんです。そして、一番下の方に二〇五〇年についてはマイナス二百五十万人の見込み違いと、こういうふうになるわけです。前回の推計値が全体で二千四百四十万人ですので、一〇%以上も減ってしまったというわけなんです。もうこれは大変な支え手を失っているというふうに思うんです。この一九九九年改正以後の五年間影響で激減してしまったということになります。前回と比べ、本当に一〇%以上ももう吹き飛んでしまっているわけですから、これは大変な深刻な問題であるというふうに思うわけなんです。  そこで、質問なんですけれども、なぜこれだけ厚生年金の被保険者は減ってしまったのだろうかということです。政府参考人に御答弁願いたいと思います。
  250. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 今、先生のお話にございましたいわゆる直近の部分でございますね、直近の部分の減少がございます。  それから、この表でごらんをいただきますと、例えば二〇五〇年、二千四百四十万人から二千百九十万人で、約二百五十万人減少しておりますが、これは、端的にごらんいただきますと、二〇〇五年で三千百八十万人ぐらいの被保険者の数が二千百九十万人になるということでございまして、これは別に雇用情勢が悪化したとかそういう問題ではございませんで、基本的には少子化の影響でございます。これ中位推計でございますが、少子化の影響というのはここでごらんになるほどやはり社会にとっては非常に大きな影響がございまして、社会経済全体としてこの問題をどう考えるかというのは大変なテーマになっているということがここでごらんいただけると思います。  足下の状態を申し上げれば、基本的には、この数年間の経済の厳しさ、それからこれに伴う雇用の問題が前回財政計算で想定した、おりました状態よりも厳しかったということだろうというふうに思います。
  251. 井上美代

    ○井上美代君 少子高齢化のことを理由にしておられますけれども、私はやはりそこをきちんと見なければここを乗り切っていくということはできないというふうに思います。  それで、やはり実績なども見てみたいと思いますが、この数年の実績を見ると、実際の厚生年金加入者であるサラリーマン、労働者の数が前回の一九九九年の改正のときに見込みを大きく上回って減っているということで、資料には実績として下の方に二〇〇二年三千百七十という数字を書いてあります。この数字は、前回の改正のときで見ると、二〇二〇年にそうなるだろうと見込んだ数字なんです。つまり、二〇二〇年に予測していた数字が二〇〇二年にはもうそこまで到達してしまったということになるんですね。だから、実績でいきますと二〇〇二年に三千百七十ですが、一九九九年の改正のときに推計したというのでいきますと、二〇二〇年に三千百七十というふうになっておりまして、この数字は、偶然ですけれども、全く重なってしまって同じなんですね。ということは、この一九九九年の改正のときに二〇二〇年には三千百七十万人になるだろうというふうに予測していたものが、実績では二〇〇二年に三千百七十になったということです。これは厚生労働省の資料を使っているわけなんですけれども、そういうふうになっております。これは十八年も早く、これは二〇二〇年ですから、十八年も早くもう人数が減ってしまったということになるんです。  少子化の影響の前に、私は正に、これは財界のリストラ、そして雇用の流動化政策をずっと取っておりますけれども、それによってこういう結果がもたらされたんだというふうに思っているんです。もちろん少子高齢化も私はあるというふうに思うんですけれども、この間のリストラや、そしてまたいろんな雇用の形態がどんどん変わってきますよね。そういう中での結果がもたらしたものだというふうに思っております。  もう一つ、二枚目の資料なんですけれども、これは短時間雇用者の比率の見通しを出したものです。これは一度予算委員会で出しているんですけれども、もう一度改めて年金との関係で見てみようかということで出しました。  二〇二五年までの短時間雇用者の比率の見通しです。短時間雇用者というのは、非農林業雇用者に占める一週間の労働時間が三十五時間未満の人の割合です。一九九八年の推計値と二〇〇二年の推計値がここにあるわけです。上の方が平成十四年ですから、〇二年の推計です。下の方が平成十年の推計です。だから、それを見ていただければどのような比率で見通しを考えているのかということが、下に年号がありますので、二〇〇五年から二〇一〇年、二〇一五年、二〇二〇年、二〇二五年というふうにいきます。  そうしましたら、十年の推計によりますと二四・七から二五・三というふうに余り大きくは変わっていないんですね。ところが、平成十四年の推計になりますと、二七・二から、三〇・六、三二・三、そして三五・八、こういうふうになっております。ここが違っているわけなんですね。  これについて、これはどのように違っているのかという、その説明を政府参考人にお願いしたいと思います。
  252. 青木功

    政府参考人(青木功君) 短時間雇用者比率の見通しの問題でございますけれども、御案内のように、資料にもございますが、平成十四年推計における短時間雇用者比率につきましては平成十年の推計よりもかなり上方に高まるというふうに推計をしておりますが、これは、十年の推計以降、想定したよりも短時間雇用者の比率が高まったということ等を前提にいたしまして推計をしたものでございます。現在の雇用の動向であるとか、あるいは女性の職場進出、あるいは高齢化に伴う多様な就労形態の進展、そういったものを見ますとこういった見方になるんじゃないかというふうに考えた次第です。
  253. 井上美代

    ○井上美代君 二〇二五年には、一九九八年推計とそして二〇〇二年推計では何%これは違うということになるんでしょうか。
  254. 青木功

    政府参考人(青木功君) 平成十年度推計では二五・三の、十四年推計三五・八でございますので、一〇・五ポイント程度になるかと思います。
  255. 井上美代

    ○井上美代君 一〇%以上違っているということは、これは大変な違いだというふうに思います。  特に女性が不安定雇用に非常に移っていっているという、そもそもが女性は不安定雇用のところにおりますけれども、更にそこにどんどん移されて、正社員から変わってきているという問題があります。  それで、短時間雇用者の推計がこれだけ違ってきてしまったということは一体なぜだろうかというふうに思いますが、その点、参考人の答弁を求めます。
  256. 青木功

    政府参考人(青木功君) 繰り返しになりますが、もちろんこの比率は、これからその時々の雇用情勢、経済情勢がどうなるかによって動くものでございます。それを前提に申し上げますと、労働力の構成が変わってまいります。これは、先生御案内のとおり、少子高齢化の中で働く方に占める年齢の高い方の割合も増えていきますし、しかし、そういった方々のお力を社会は必要としております。また、家庭と両立をしながら働く方々も増えてまいります。  そういった方々がどういった形で就業するかと申しますと、今よりも少し多様な形での就労が増えてくると。また、そういったことでないと社会全体が成り立たないというようなことを加味したものというふうに考えます。
  257. 井上美代

    ○井上美代君 短時間雇用者もこの間やはり非常に増えてきているということで、将来見込みも大きく変わってしまってきているということを見ることができると思うんです。これもやはりこの間の雇用の流動化によって、労働法制にいわゆる規制緩和というのがありまして、本委員会でもいろいろ審議いたしましたけれども、労働基準法やそして労働者の派遣法の改正がありましたよね。そのように正社員が派遣に変わっていく、パートなどに置き換えられていくという、この影響というのは間違いないというふうに私思っております。  こういう状況厚生年金の人数がどんどん減っていくわけなんですが、今回の政府案の見通しも危うくなっているのではないかという、この問題が出てきているというようにこの統計からも見ることができるんじゃないだろうかというふうに思います。  もう一回資料の一を見てほしいんですけれども、二〇〇二年で、農林共済を除いて、実績でいいますと、既にこの実績は、先ほど申し上げましたように三千百七十万人ですね。今回の推計では、二〇〇五年が三千百八十万人ということで、十万人既に下回っているわけなんですけれども、実績の出ているこの二〇〇二年まで毎年減っていっております。この社会保険庁の速報によりますと、二〇〇三年の三月まで毎月減っているわけなんです。今年になってからも、失業率が落ちたといっても、増えているのはパートだとか派遣が増えているわけですね。いわゆる不安定雇用なんです。これで果たして二〇〇五年に見込みどおりに三千百八十万人になることができるんだろうかというふうに不安に思っているわけなんです。やはりこれは非常に厳しい数字ではないかなというふうに思っております。御答弁をお願いしたいと思います。
  258. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) これ、ごらんをいただきますと、二〇〇二年で三千百七十万人、十六年財政計算で、農林共済を除きますので、二〇〇五年で三千百八十万人ということでございますので、足下は若干変わってきておりますけれども、十万人ぐらいの形がどうなるかということでありますが、現実にこの数年間雇用関係におきまして、これは必ずしも、年金の被保険者で申し上げますと、第二号被保険者と第一号被保険者関係で申し上げますと、通常は第一号被保険者が減少しながら第二号被保険者が増えます。増えますが、これは一方的にそうなっているわけではございませんで、いわゆる第二号から一号になる方が相当おられ、それから一号から二号になる方が相当おられ、その中の総合計をいたしますと、経済が非常に安定して雇用が良かった時代は第二号が増えるということだったわけでございます。  しかし、この数年、そういう状態の中で、第二号から第一号になる方が増えて、第一号から第二号になる方が少なくなって、結果的に第二号が減少してきているという状態でございますが、しかしこれも、必ずしも先生がおっしゃるようにすべてパートという形で移行していくのか、それとも、最近はGDPも相当上がってきておりますので、そういう状態の後に、通常、雇用は遅行指標でございますので、経済が回復した後に雇用の改善が来るというのが通常でございまして、今回の雇用の面で見ましても、経済の後に雇用が来ておりますので、そういう点をよく見ていく必要があるだろうというふうに思っております。  それから、私ども何もこれは、その財政計算、百年間という形でやらせていただいているわけでございますので、その足下の一年、二年、三年が財政計算で想定している数字とぴったり合うかどうかということよりも、全体的な動きがどうなってくるかということが年金財政なり年金制度の安定のために必要でございまして、私どもの今回の計算で申し上げますと、足下の状態は非常に厳しい状態から厚生年金の被保険者数は出発をしておりますので、足下の非常に悪い状態はある意味で一〇〇%織り込ませていただいているということでございます。
  259. 井上美代

    ○井上美代君 何か見込みがあるようにおっしゃるんですけれども、私はそこのところを、足下から、足下がこうなっているけれども、先は大丈夫のようにおっしゃるんですけれども、それこそ足下が大変なんだから先はもっと大変なんですよ。そこはやっぱり見ていただかなきゃいけないと思いますよ。  増える要素が、じゃ、あるんですか、見込みがあるんですか。
  260. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 結局三十年、五十年という形で長期の財政試算を行いますから、そのときに、通常の例えば五年あるいは十年というような、例えば内閣府のモデルがございますけれども、そういうシナリオモデルのような計算ではなかなかこれはもうできないというのは御案内のとおりでございます。ですから、むしろ中長期の状態を私どもので申し上げれば、賃金なり物価なり、あるいは運用で申し上げれば運用収益率を見ながら、それから基本的には人口の推移、それから労働力率、こういうものを大きな状態で見ながら考えていくというのが年金財政計算でございまして、これを三十年、四十年、五十年というところを非常に細かなところで見ても、なかなかそれは全体の趨勢にはならないだろうということであります。  しかも、私どもの場合には、基本は標準ケースで示させていただいておりますけれども、それ以外にも、少し経済が良くなった場合、悪くなった場合というのもこれまで御説明申し上げておりますので、そういう中で年金制度全体の安定を考えていくということだろうと。それから、何度も申し上げておりますが、今回の財政計算に当たりましては、この厚生年金の被保険者数が非常に減ってきているという状態をまず足下で前提にして今のようなことを計算をさせていただいているというところでございます。
  261. 井上美代

    ○井上美代君 やはり私は今の答弁では全く納得がいきません。今の社会を見てください。今の困っている人たちのことを聞いてください。私は納得いたしません。  いずれにしましても、私は、達成できる保証は今のところはないし、努力をされればそれは違うかもしれませんよ。しかしながら、今の数字を示したように、十八年間しか、十八年先のがもう既に実績として出ているんです。ひどいじゃありませんか。こんな中で達成できる保証というのは私はない。だから、大変厳しい状況にあるんだということを見なければいけないんじゃないかと思います。厚生年金の被保険者数のこの減少というのは大変深刻な問題であるというふうに思います。厚生労働省の見通しを大きく上回って、そして減っていきました。  そこで、大臣の基本的な認識をお尋ねしたいのですけれども、前回の改正からの厚生年金の被保険者数の減少によって厚生年金財政は大きく悪化したとお思いになりますか。いかがでしょうか。
  262. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほどからの御意見ずっと聞いておりまして、今後の見通しとして間違いないのは、少子高齢化における影響はこれは間違いなく出てくることは事実でございます。経済の動向につきましては、これはなかなか予測し難いところがありますけれども、ここは一定の条件を置いて予測をしていく以外にないだろうというふうに思っています。この数年間の厳しい経済の動向というものをやはり踏まえて計算をしておることは事実でございますので、そうしたことも織り込んで今後の計算をさせていただいているということでございます。  それから、近年の厚生年金の被保険者数が非常に減ってきている、これが財政影響を与えているのではないかというお話でございますが、これは減ればその分与えることは御指摘のとおりでございます。それは私も影響は与えるというふうに思っております。ただ、これから先、この経済の動向にもよりますけれども、全体として、委員も最初にお触れになりましたように、これから先の女性の働き方、そしてまた中高年と申しますか、六十歳代の皆さん方の働き方をどのように改善をしていくかということによってこの雇用関係は大きく変わる、年金に与える影響は大きく変わると私は思っております。そうしたところにどうこれから政策的なてこ入れをしていくかということが最大の課題というふうに考えております。
  263. 井上美代

    ○井上美代君 私は、女性の問題についても本来取り上げたいんですが、今日はもう本当に短い時間しかいただいておりませんので、だから取り上げ切れないんですけれども、私は、女性の問題も含めまして、やはり少子高齢化だけではなくて、これは経済の問題、雇用政策、こういうものがかかわっていると。今大臣がそれを答弁してくださいましたので、やはり年金財政がこのままでは悪化するということを認めていただいたと、そして改善を図っていかなければいけないということを御答弁いただいたと、そのように受け取ってよろしいですね。
  264. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 経済の状況が悪いままで経過をすれば、それは今後影響が出るということでございますが、そこは我々も経済の状況というのを良くしていかなきゃいけませんし、かなり回復をしてきていることも事実でございますから、もう少しここは回復させなければいけないわけでございます。ですから、この状況がずっとこれから先もこの四、五年の関係がずっと続いていくということには決して考えておりません。
  265. 井上美代

    ○井上美代君 例えば、具体的に挙げれば、どういう努力というのを大臣はお考えになっているでしょうか。
  266. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは厚生労働省の範囲の中の問題とそれ以外の問題と、両方あるというふうに思います。  一つは、先ほど申しましたように、我々の範囲の中でいえば、それは中高年の雇用の問題やあるいはまた女性の働き方、M字型のカーブをどう改善をしていくかといったようなことが非常に大きな影響を与えるというふうに思っております。  しかし、それ以外の、経済全体で見れば、経済の発展のために何が一番必要かと。それは日本にとりまして労働生産性を高めていく以外にないわけでありますから、労働生産性を高めるための手をどう打つか、研究開発にどう我々が力を入れていくか、そうしたことによって私は日本の経済というものは回復していくというふうに思っております。
  267. 井上美代

    ○井上美代君 私は、年金財政を悪化させているという問題というのは、財界の雇用流動化の戦略というのがやはりあると思います。これを後押ししてきている今の政府雇用政策、ここに問題があるというふうに思っております。  資料をもう一つ出しているんですが、三ページ、三枚目の資料です。これは厚生年金保険者数の年齢階層別の推計値と実績の比較というものです。これを見ていただきますと、これ一九九九年の改正のときの数字なんですけれども厚生労働省は二〇〇〇年については年齢階層別の推計値を出していたのですが、二〇〇一年、二〇〇二年については合計人数だけで、いわゆるここにありますように年齢別の推計というのがないわけなんです。それで、言ってみれば、合計人数のところから計算をさせていただいてこれを作りました。私のところで作りました資料をだから合わせているわけです。  それから、前のもそうでしたけれども、農林共済とか六十五歳以上は含まないとか含むとかというのを下の方に注で書いているんですけれども、農林共済につきましては既に二〇〇二年に統合されているんですね。しかしながら、この比較を各年度やるものですから、それに合わせてこれも作っているということです。  これを見ますと、やはり二十代の若者のところで激減をしていることがまず分かります。これは、二〇〇〇年、二〇〇一年、二〇〇二年というのを見てほしいんですけれども、二十歳から二十四歳、二十五歳から二十九歳、ここのところがどの年度にしても大きいんです。もう一つ大きいのは、四十五歳から四十九歳、五十歳から五十四歳。ここを見ていただきますと、例えば二〇〇二年でいきますとマイナス六十、マイナス五十九ということで、高いですよね。要するに、若者とそして中高年、ここが激減しているということが分かると思います。四十代の後半は、言ってみれば二十九万、五十二万、そして六十万人、こういうふうに減っているでしょう。この上の二十から二十四歳のところはもう二〇〇二年は百五というふうに数字が出ておりますので、そういう点でも非常に大きい。  そして、失業と不安定雇用の言ってみれば激増の中身というのが、若者は厚生年金に入れなくなっているし、中高年は大企業を中心とした正社員の削減、そして不安定雇用への置き換えの結果、多く減ることになっていると。正にこの間の財政政府雇用流動化政策の結果だというふうに思うんですね。  これは、やはり先ほどから、近年のこうした雇用に対する影響というのはやはり非常に大変なものがあるということは先ほどの御答弁の中にもありましたけれども、やはり私は、この近年示された、これから先のことを考えたときに、この近年の雇用問題、こうした問題については相当そこから教訓を引き出して改めていかなければいけない問題があるのではないかなというふうに思っているところなんです。  そういう意味で、雇用流動化の問題も含めまして大臣がどう考えておられるのかということを、そこをお聞きしたいというふうに思います。
  268. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この表がどこまで正しいのかということを私よく分かりませんけれども、しかし想像いたしますところ、二十歳代前半、それから五十歳代のところ、この辺のところが現在失業率等におきましても厳しいところでございますから、それと考え合わせますと、ある程度の方向性は示しているのかもしれないというふうに思いながらこの表を拝見したわけでございます。  こうした動向というのは、現在、ここにもありますように、年齢層によります違いというものが一つございます。それからもう一つは、地域における格差というものが非常に大きくなっております。この両方から私は見ていかないといけないというふうに思っております。  一つ、年齢層の問題といたしましては、二十歳代前後と申しますか、二十四歳未満、ここのところにどういう手だてを行うかということが非常に大事でございまして、我々も今ここに鋭意取り組んでいるところでございますが、一つは、高等学校卒業の皆さん方に対しましてデュアルシステムというのを取り入れて、そして何とかひとつ皆さん方の実技と申しますか、実務と申しますか、そうしたものと、それから教育というもの、お勤めになりながら勉強をしていただくというその姿を作り上げていきたい。それから、トライアル雇用が非常に大きな効果を現しておりますので、そうしたトライアル雇用も拡大をしていって、お若い皆さん方に対してきめ細かな対応をしていくということが大事だというふうに思っております。  高等学校におきましては、優秀な、優秀なと申しますか、立派な先生がおみえになりますところは非常に就職率もいいわけでございますが、学校による格差が非常に大きいものでございますから、特に悪いところに対しましてはハローワークの職員を派遣をいたしまして御相談に乗るといったようなことを行っているところでございます。
  269. 井上美代

    ○井上美代君 この表で見ましてもそうですけれども、一九九〇年代の後半に始まります一連の労働法制の改悪があります。  先ほども申し上げたんですけれども、労働者の派遣法というのは、やはり企業の使い勝手が非常にいい労働力をどういうふうに作っていくかということでやられたというふうに思います。そしてまた、労働基準法も有期雇用を拡大していきましたよね。そして、財界は、まだまだ足りないということで、規制緩和の名の下に新たな労働法制の改悪を進めようとしておられます。財界と政府が進めてこられた雇用政策を大きく転換させない限り、更にやはり低賃金労働者が増えていく、拡大していく、そして若者のフリーター化を進めることになっていくと。不安定雇用というのは、フリーターもそうですし、パートタイマーもそうですし、いろいろな形で、契約社員もそうですし、いろいろあります。  年金財政政府の見通しを上回って悪化していくことになるというふうに思いますけれども雇用政策を改めて、やはり労働者の雇用のところ、そして所得がもっと均等待遇になるようにする、こういう改善の政策なしにはやはり転換できないのではないかなというふうに思っておりますけれども大臣、その点はいかがでしょうか。
  270. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今御指摘になったのはパートタイムのお話でございましょうか。  パートタイム労働者の問題におきましては、やはり同一のお仕事をなすっている以上、同一賃金に近づけていくというのが我々の考えておりますことでございまして、パートタイムの中にも様々な形がございますから、正規雇用と同じようなお仕事をなすっている人につきましては、これはもう当然のことながら、正規雇用と同じような時間帯の賃金をこれは整備をすべきだというふうに思っております。  しかし、中身におきまして正規の職員の、職員と申しますか、従業員の皆さん方と違いますときには、それなりの評価をしていただかなければならないわけでございますから、そこのところも若干は見定めを付けないといけないというふうに思っておりますが、全体としての傾向といたしましては、パートタイム労働者に対するやはり地位向上というものが大事だというふうに思っている次第でございます。
  271. 井上美代

    ○井上美代君 私、今のパートタイマーだけではなくて、均等待遇というのは、仕事を同じにしながらも、それ以上にやっている人と差別を付けられたりしているという問題ですから、パートタイマーだけに限らないわけなんですけれども、やはり均等待遇をきちんと実現させていくということが大事だと思いますので、是非、大臣、その点について前進させてほしいというふうに思います。  最後に、私は独り暮らしの高齢者がどういう生活をしているのかということを御紹介したいというふうに思います。  資料を皆さん方の中に入れております。ほかにもしたかったものですから資料が余分になっておりますけれども、一番最後のところにとじてありますので、見ていただきたいというふうに思います。  東京に、二十三区内で東京に住んでいる方です。Aさんというふうにしましょうか。女性は八十九歳です。Aさんは国民年金四万三千円だけが収入です。正に国民年金の平均額とほぼ同じです。資料でお示ししたのが月々の平均の支出です。家計簿をきちんと付けていらっしゃいますので出すことができたわけなんです。毎月二万円の赤字になっているというのは、一番下に赤字が書いてあります。貯金を取り崩しながら、もうやっとの思いで暮らしておられます。食費は二万円ちょっとです。おふろも三日に一回も入れず、買い物も一番安いところで買っているので、これ以上削れと言われても無理だと、こういうふうに言っておられました。それでもできるだけほかの人には迷惑を掛けず生きていこうと一生懸命努力しておられる方でございます。  こういう方の給付額も削ってしまうというのが今回の政府案なんですね。こういう人たちに温かい光を当てるのが政治の役割だというふうに思うんですけれども、その点はどのようにお考えになるでしょうか。さらに、年金を削れというのは、これは言ってみれば憲法の二十五条の生存権の侵害以外の何物でもないというふうに思います。こういう人の年金を実質的に削っていく、絶対やってはいけないことに手を付けているのが今回の政府案だというふうに思っております。  大臣、こういう高齢者はたくさんおられます。こういう人たちに生活のどこをこれ以上削れと言うことができるんでしょうか。私は、この方のこの家計簿を見ながら、この方はまだ病気がそれほど出ていないから医療費が意外にまだ掛かっていないんですね。これはもう八十九歳などとなるとかなりの病気を持つことになるわけです。そういう点でも、これはもういよいよ生きていけないなという気がしているんですけれども大臣、ここはどうお考えになるでしょうか。
  272. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 個々のケースではいろいろの方がおみえになるというふうに思います。  ここにお出しをいただきましたAさんでしょうか、中にはこういうケースの方もおみえになるというふうに思います。八十九歳とおっしゃいましたでしょうか、そのぐらいの年齢でございますと国民年金も非常に低い方が多うございますから、こういう年金の方もおみえだというふうに思います。  しかし、年金と比較をいたしますと二万円の差が出て、そして、しかし生活を、そこをいわゆる預貯金の中からお出しをいただいているということだろうというふうに思います。現在の高齢者もそうでございますし、これからの高齢期を迎える者にとりましても、なかなか年金だけで生活をするということ、なかなか厳しい場合も私は率直に言ってあると思います。それは夫婦そろっておりますときにはまだよろしゅうございますが、一人一人になりましたときに一体どうするかという問題はあろうかと思います。  そこは年金だけで決着の付く話ではございません。全体でどうこれを解決をしていくかということを考えていかなければならない課題であるというふうに思っております。
  273. 井上美代

    ○井上美代君 何しろ低所得者の方々、高齢者の方々、こういう方々が本当に安心して生きていける、そういう年金にしていかなければいけないというふうに思っております。  日本共産党は最低保障年金制度というのを出しております。これは、全額税で、当面は今の財政からして五万円とするということで、それを提案しているわけなんですけれども、やはりこの方向でなければ、こうした今のようなAさんのような深刻な低年金、そして無年金の問題というのは解決できないというふうに思うんですね。  世論調査では、今本当に国会で年金法案を通すなという声が広がり、そしてたくさんになり、圧倒的にその方たちが今広がっているところなんです。  私は、徹底審議の上、これは廃案にするしかないということを表明いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  274. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。  まず、午前中の御質問でございますけれども、現行の水準の年金を受けたいと思えば私は何歳の時点までの繰下げがいいのでしょうかということをお伺いいたしました。そういたしますと、六十七歳と二か月というお答えをちょうだいしました。僕自身もびっくりいたしました。よくここまで計算をしていただけたなというふうに、六十七歳と二か月ということでございます。できればこの年齢まで元気で働きたいなというふうに考えておられる方々も世の中にはたくさんいらっしゃるのではないかなと。これを聞いて、また頑張ろうという方もたくさんお増えになるのではないかなと。  しかし、やはりそうは申しましても、働けなくなったそのときのことをやっぱり考えますと、経済的な面での自助ということになるわけですけれども、この点についてはどのような対応が取られているのか、副大臣、引き続きよろしくお願いします。
  275. 森英介

    ○副大臣森英介君) 今回の制度改正におきましては、公的年金給付水準の見直しを行うとともに、老後生活の自助の一つである企業年金についてもその充実を図る措置を盛り込んでいるところでございます。  具体的には、企業年金一つである確定拠出年金について、その拠出額の限度を引き上げることにより将来の年金給付の充実を図ることといたしております。また、企業年金の中核である厚生年金基金について、前回改正で凍結された免除保険料率の凍結を解除し、引き上げることによりまして財政の安定化を図ります。また、雇用の流動化に対応した企業年金の通算措置の改善を図るなどの措置を行うことといたしております。
  276. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  そこで、例えば、今御答弁の中にも出てまいりましたけれども、確定拠出年金でございますが、この限度額を引上げということでございますけれども、企業型で他の企業年金がない場合、今回三万六千円から四万六千円、つまり一万円引き上げるということになっておるわけですけれども、素朴な疑問といたしまして、この一万円というのはどういう意味なのかなと自分自身考えたんですけれども、例えば根拠というようなものがございますのでしょうか。御答弁をいただきたいと思います。この一万円ですが。
  277. 吉武民樹

    政府参考人吉武民樹君) 確定拠出年金平成十三年に創設をされた制度でございますけれども、この限度額につきましては、厚生年金基金のいわゆる上乗せ部分と申しまして、代行、厚生年金の本体を代行している部分ではありませんで、本来の企業年金部分の望ましい水準、これは公的年金の場合には生涯の平均賃金に対してどれぐらいの所得という、所得代替率ということでありますが、退職直前の給与水準、退職直前ですね、通常は退職する直前の給与は高くなりますので、その給与水準の六割程度公的年金厚生年金基金の上乗せで達成しようというのが望ましい水準でございまして、これを念頭に設定をいたしております。  今回、厚生年金あるいは基礎年金につきまして二十年ぐらい掛けまして給付水準を調整をさせていただきますので、最終的には五〇%程度というふうになります。そうしますと、その分だけ公的年金の分野が少し小さくなりますので、この差を今申し上げました限度額の引上げで達成しようということでございます。  したがいまして、退職直前の給与水準の六割程度の望ましい水準はそのまま維持しながら、サラリーマンの大部分の方、例えば給与でいいますと九割ぐらいの高いところにある方、年収八百万円ぐらいの方でこれは達成できるというのは、今申し上げました一万円の引上げに伴います四万六千円の拠出水準でございます。
  278. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  その限度額の引上げについてでございますけれども、それがどの程度の支えになるのか、余り理解ができなかったわけですけれども先ほど大臣の御答弁でも自助、自分で努力をして頑張ってもらわないといけないという部分もございますという御答弁を午前中にもいただきました。この経済面での自助、それについての支援というものは果たしてこれだけで十分だとは思えないわけですけれども、さらに財形貯蓄制度の拡充であるとか税制上の配慮等々、この自助を支援するという点での対策でございますけれども、財務当局との十分なお話をいただくというようなことも大変必要ではないかなというふうに思うわけですけれども、今日は是非大臣の御見解をお伺いしておけばと思います。
  279. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 自助の言わば中身についてだというふうに思いますが、これは全く個人が行います自助というのもございますけれども、それだけではなくて、やはり社会全体が支援をして、そしてそれぞれの皆さん方が自らの将来に備えやすい環境を作り上げていくという問題もその中には広い意味で含まれるというふうに思っております。  したがいまして、企業におきましての企業年金、あるいはまた四〇一kのような新しい制度といったようなものもその中の一つに加えられるというふうに思いますし、そうしたものを選択しやすい状況、そしてまたそれが将来の、例えば職場を替わられてもそれはどこへでもそれが付いていくようなシステム、そうしたものを作り上げていくということがこれ大事でございまして、そうしたことを今後やはりできるだけバックアップをしていくということが大変大事なことだというふうに考えております。
  280. 西川きよし

    西川きよし君 そこで、頑張って六十七歳まで、ただいまも申し上げましたけれども、頑張って例えば年齢でいいますと六十七歳まで働きます。そして、七十歳まで、せんだっても御質問したんですが、七十歳まで働ける人は働きます。その気持ち、そういった気力、大変大事なことですけれども、現在のこの雇用情勢を見る限りでは、とても簡単に働ける場がという、先ほど来も大変たくさんの先生方から御質問が出ておりますけれども、高齢者の雇用安定法について藤井先生の方からも御質問がございましたけれども、私も改めて何点かお伺いをしたいと思うんですけれども、この今回の改正案でございますけれども、働く立場からすれば相当これは企業側に配慮したのではないかなというふうにも思います。これで果たして年金の開始まで、開始年齢まで安心して働けるのかなと。この特例とか段階的とか、結局それにはじかれたというようなことではないのかな、安心につながらないというふうに思うわけですけれども、この辺りの政策判断の根拠、どういったことでこうなったのかということを是非政府参考人にお伺いしたいと思います。
  281. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 今般の改正案におきましては、基本的にすべての事業主の方が六十五歳までの定年の引上げ、あるいは希望者全員を対象とした継続雇用制度の導入等を行うことを原則としているわけでございますが、その上で、労使協定でございますとか、一定の場合に就業規則によりまして基準を定めまして継続雇用制度の対象者を限定することもできるというふうにしているわけでございます。  まず、労使協定で基準を定めることができるとしましたのは、これは各企業の置かれている状況が様々であるために、六十五歳までの雇用を確保するに当たりましては、各企業の実情に応じまして労使の工夫によりまして柔軟な対応を取ることを可能にするためのものでございます。  それからもう一つは、就業規則で基準を定めることとしておりますけれども、これは事業主が労使協定をするために努力をしたわけでございますけれども、それでも協議が調わなかった、不調に終わった場合に、施行から一定期間、期間を限定しまして、当面大企業は三年間、中小企業は五年間を予定しておりますけれども、この間に限って暫定的に認めることとしたものでございます。  ただ、この場合でありましても、すべての事業主は定年の引上げあるいは継続雇用制度の導入等を行わなければならないとしているわけでございますし、さらに、事業主はこの基準につきまして労働組合等の意見を聴くことが求められるわけでございますので、事業主による一方的な対象者の選別を防ぐことはできるものと考えております。  なお、こういった六十五歳までの雇用確保につきまして法的整備を行うべきか、あるいはどのような制度とすべきか、これは今お話ございましたように労使それぞれの立場から様々な御意見があったわけでございますけれども、最終的には労働政策審議会の場で御提案させていただいているような仕組みで労使双方の合意が得られているところでございます。
  282. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  ここでこうしてお話を、質問させていただいてお答えをいただく。なかなか現場は厳しいわけですけれども、仮にそうした施策が功を奏したとして、当然それは定年制、定年制の下に現に働いている方々が対象であるわけですから、既にリストラなどで職を離れている方々ですね、方々にとりましては再就職が本当に厳しい。いろんな方々にお話をお伺いすると本当に、きよしさん、本当に四十歳でももう危ないと、なかなか厳しいというようなお話、四十歳。大変なことですけれども、再就職は非常に厳しいというふうにお伺いをいたしておりますし、そして賃金と能力のバランスの問題でありますとか、それから仕事の内容のことも当然あると思いますし、そういった意味で、やはり再就職のこの支援でございます。再就職の支援、そして環境の整備が大変重要となってくると思います。この点についての現状、現状認識とこの法改正によるねらいというようなところを是非、ここの部分は大臣にお伺いができたらと思いますが。
  283. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 中高年齢者を取り巻く雇用失業情勢というのが非常に厳しいことは御指摘のとおりでございまして、最近少しその雇用情勢が良くなってきた、失業率が改善をされた、あるいは有効求人倍率が改善されたとはいいますものの、四十五歳から五十歳代というところは非常に有効求人倍率も低いわけでございます。四十五から五十四歳のところは〇・三四でございますから、全体の〇・七七に比較をいたしますと、ここが非常に低いというふうに思っている次第でございます。  こうした状況を踏まえまして、いわゆる中年のところの有効求人倍率をどう回復せしめるかというのは最大の課題でございまして、雇用保険等につきましても、この年齢層のところに集中的にひとつ、皆さんにハローワーク等でも対応をするように今言っているところでございますし、できる限りこの層の皆さん方に雇用が生まれるように、そしてその雇用をいかにそれぞれの地域で掘り起こすかということも今併せてやっているところでございます。特に、先生の地元の大阪等、近畿地方はとりわけ低い状況だものですから、お地元の方におきましてはそうした声も非常に多いのではないかと、私も率直にそう思うわけでございます。  高年齢者の雇用安定法の今回の改正案におきましては、この労働者の募集・採用につきまして、上限年齢を定める事業主は求職者に対しましてその理由を明確にしなければならないということにしたわけでございます。若干そこは歯がゆいと、もう少しはっきりと、なぜちゃんとそういうことを禁止をさせるところまでいかないのかという御意見あることは私も十分に存じておりますが、ここはそれこそ段階的に一歩一歩進めていく以外にないというふうに思っております。現在のこの経済動向を踏まえますと、一足飛びになかなか行きにくい。しかし、行きにくいけれども一歩でも二歩でも進めていくということが大事、それが企業を知っていただいております皆さん方のお気持ちと申しますか、皆さん方の一つの活力にそこは結び付いていくのではないかというふうに思っておりまして、是非ともそこは、皆さん方に御協力をいただくところは御協力をいただかなければならないというふうに思っている次第でございます。
  284. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。  まさしく、大臣が御答弁いただいたとおり、大阪は大変厳しゅうございます。九八%、三百人以下の中小零細企業が多いわけですけれども、僕なんかにはいつも本当に、せんだってもお伺いしたんですけれども、とにかく企業と企業とのすき間というんですか、ニッチと申しましょうか、そういったことで今は必死、みんなで一生懸命知恵を絞り出して、そしてまた人と人とのすき間、間、一生懸命頑張っている。  今回の改正では、募集及び採用についての理由の提示という対応が取られているわけですけれども、この点につきましては既に努力義務規定がございます。ただ、それでも年齢不問というのが、これが一八%ということでございますけれども、そもそも求人になぜ企業が、企業側が年齢制限を行うのかなというふうに、こういうことについてはどういった分析を政府といたしましてはされておられるのか、今日は御答弁をいただきたいと思います。
  285. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 今、先生お尋ねの企業がなぜ求人に年齢を設けるかということでございますけれども平成十二年の調査がございまして、一番多いのが、年配者は体力的に対応できないからというのが三三・八%ございます。次いで、年配者は賃金が高くて人件費が掛かるからというのが二六・九%でございます。それからその次は、年配者が職業能力的に対応できないから等の回答率が高くなっているわけでございます。  したがいまして、やはりこうした調査を踏まえますと、企業が募集・採用に当たって年齢制限を行う背景には、まず、やはり一つは、我が国の年功的な賃金、人事、処遇制度、高齢者の方が賃金が高いということが一つあると思います。それからもう一つは、やはり新規学卒者を一括で採用して長期間にわたって育てていくという、こういう雇用慣行があるということ。それから、これは事業主の意識でございますけれども、やはり高齢者は加齢に伴って意欲や体力が低下するという事業主の認識があること、これは必ずしも客観的に正しいわけではないですけれども、そういう意識が存在するということがあるんじゃないかと思っております。  したがいまして、こういう事業主の意識でございますとか我が国の年功的な賃金、人事、処遇制度を見直していくことが、募集・採用に当たっての年齢制限是正のためには必要ではないかというふうに考えているところでございます。
  286. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。  いろいろと御答弁をいただいたわけですけれども、もうこの努力義務を禁止規定に、先ほども出ましたが、禁止規定にした方がいいのではないかと、そんな意見も本当に強くあるわけですけれども、この辺りの御判断、改めてどういった理由があったのか、これは大臣ではなしに政府側にお伺いしたいと思います。
  287. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 今お話のございました募集・採用時の年齢制限の禁止につきましては、大臣からもお話ございましたように、やはり将来の課題としてそういうことをすべきではないかというような議論もありまして、審議会の場でもいろんな検討が行われまして、いろいろ議論はありましたけれども、最終的には、現時点では直ちにこれを行うことは適当ではないという結論に達したところでございます。  その理由でございますけれども、まず第一は、先ほど先生からお話ございましたように、現在、年齢不問求人の割合が約一八%にすぎないということで、これを直ちに法律上禁止しますと、我が国企業の雇用管理の実態との乖離が大き過ぎるのではないかというのがございました。  二つ目は、今のことと関連するわけでございますけれども、年齢に代わる基準がない中で直ちに禁止しますと、募集・採用の場面で労使ともに混乱を招くおそれがあるということではないかということでございます。これ具体的には、例えば、求人者にとりまして、企業側にとりましては、年齢も設けませんと求職者が殺到するおそれがあるということで、なかなか整理が付かないということ、一方で、中高年の求職者にとりましては、年齢制限がないので応募しても、実は実際には採用されなかったというケースも多くなるんじゃないかということがありまして、そういう結論に達したところでございます。  今回の改正法におきましては、上限年齢を定める事業主に対しまして、求職者にその理由を示すことを義務付けるということで、その年齢制限が真に必要かについて改めて考えていただくと。まずはステップとしまして、説明責任を果たしていただくと、こういうことで年齢制限の是正を促進してまいりたいということになったわけでございます。
  288. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  今回の措置が取られたにしても、これはいろいろな理由を提示してくるんだろうと思うわけですけれども、その提示の内容に対して、そういった内容に対して今度はどうされるのか、引き続き御答弁をお願いします。
  289. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 事業主は、やむを得ない理由によりまして年齢制限を行うという場合には、その理由を示してくださいということになっているわけでもございますけれども、その理由の提示に当たりましては、書面など一定の方法によりまして、それぞれの個別具体的な事情を踏まえた真にやむを得ない理由を示す必要があるわけでございます。  この理由の提示につきまして、不適切な方法で提示された場合でございますとか、示された理由がやむを得ない理由ではないと、そういうふうには認められないという場合には、事業主に対しまして必要な指導を行うこととしております。  具体的にどうやるかということでございますけれども、まず、理由の提示がない場合でございますとか具体的な理由が提示されない場合には、ハローワークの窓口で具体的な理由を記載するように指導を行います。それから、たとえ理由が具体的であったとしても、実態とは異なっているというような状況、あるいはやむを得ない理由ではないと判断される場合等には、年齢制限を行わないように、ハローワークの方から必要な指導を行うこととしております。さらに、一応やむを得ない理由としては認められるわけでございますけれども事業主の工夫や適切な助言、援助があれば年齢制限の是正が可能ではないかと判断される場合には、これは高齢・障害者雇用支援機構に専門家のアドバイザーを置いておりますので、この高年者雇用アドバイザーによる専門的な技術的支援を受けてくださいと、そういう勧奨等も行うことにしておるわけでございます。  ただいま申し上げましたように、ハローワークの窓口指導あるいは訪問指導等によりまして、年齢制限の是正につきまして実効性の確保を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  290. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  いろいろと本当に、ハローワークを始め、皆さん方御努力していただいていることは本当に理解をさせていただいております。  今御答弁の中でも細やかに、本当にお年寄りの方々にはお年寄り、そしてまた若い方々のそういったことを十二分に理解をさせていただいているつもりですけれども、今、本当に今を乗り切らないと、本当にこの国自体が過渡期というような、そんな気持ちがいたします。  それで、その再就職の際の有効な手段の一つといたしましてトライアル雇用というのが昨年四月から事業化されているわけですけれども、十六年の三月現在で若い人まだ二千三百人ぐらいということで、ちょっと少ないなというのが実感ですけれども、この事業始まってまだまだ短いということもありますけれども、極端に実績が少ないと。  その実績の現状と、なぜこういうふうに少ないのかという御説明とその背景、そして、今後その事業実績を上げていくためには一体どういったところを直せばいいのか、どういったところを改善すればみんなが安心してお仕事に就けるのかというようなことの御答弁をいただければと思います。  時間が参りましたので、これを最後の質問にしたいと思います。お願いします。
  291. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 今お尋ねの中高年トライアル雇用事業でございますけれども平成十五年の四月から開始された制度でございまして、四十五歳以上六十五歳未満の者で再就職の実現が困難な者であって、速やかな再就職を促進することが特に必要である者につきましてトライアルで雇っていただきまして、その期間の賃金を一部助成するというような仕組みになっております。  私ども、この制度は、職種転換が難しい中高年齢者にとりまして、未経験の職種でありましてもトライアル雇用ということで思い切って挑戦ができるということ、それから、求人者にとりましては、そのトライアル雇用の期間、三か月間でございますけれども、労働者の能力、適性を見極められるとともに、働く方にとってもその企業の特質を判断することができるということで、労働者、企業ともに当該事業に対する評価は非常に高いわけでございまして、有効な事業であると考えております。  ただ、御指摘のとおり、平成十五年度、始まったばかりということもありますけれども、全国で約二千三百人ということで、実績が必ずしも十分でない状況でございますが、これはやはりトライアル雇用の今申し上げました有効性への理解が必ずしも全国的に十分普及していないことが原因ではないかというふうに考えているところでございます。  したがいまして、こういった状況を踏まえましてどうするかということでございますけれども、私どもとしましては、やっぱりこの事業を活用していただきたいということでございまして、一つ事業主の、事業の利用者の声とかメリット等を分かりやすく説明したリーフレットを約四十万部作りまして、今各事業主団体に幅広く配布しているところでございます。  さらには、トライアル雇用の積極的活用を地方の都道府県労働局に指示もしておりますし、それからまた、今年の四月には目標設定いたしまして、トライアル雇用就労者の常用雇用への移行率が七五%程度以上というような目標も設定いたしまして積極的に推進しているところでありまして、今後、更に質、量ともに有効活用が図れるように積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  292. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。
  293. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時五十三分散会