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2004-05-11 第159回国会 参議院 厚生労働委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      有村 治子君     桜井  新君      江田 五月君     大脇 雅子君      紙  智子君     小池  晃君  四月二十八日     辞任         補欠選任      桜井  新君     有村 治子君  五月十日     辞任         補欠選任      小池  晃君     小林美恵子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         国井 正幸君     理 事                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君     委 員                 有村 治子君                 金田 勝年君                 佐々木知子君                 斎藤 十朗君                 田浦  直君                 伊達 忠一君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 浅尾慶一郎君                 朝日 俊弘君                 大脇 雅子君                 柳田  稔君                 山本 孝史君                 井上 美代君                 小林美恵子君                 西川きよし君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        国家公務員倫理        審査会会長    花尻  尚君        総務省行政評価        局長       田村 政志君        文部科学大臣官        房審議官     徳永  保君        厚生労働大臣官        房長       鈴木 直和君        厚生労働大臣官        房審議官     大石  明君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省医薬        食品局長     阿曽沼慎司君        厚生労働省職業        安定局長     青木  功君        厚生労働省老健        局長       中村 秀一君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (年金関係個人情報管理に関する件)  (広島労働局における公金適正支出に関する  件)  (選択エージェンシーからの監修料受領に関す  る件)  (ホームヘルパーの処遇改善雇用促進に関す  る件)  (痴呆性高齢者対策に関する件) ○薬剤師法の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、紙智子君及び江田五月君が委員辞任され、その補欠として小林美恵子君及び大脇雅子君が選任されました。     ─────────────
  3. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働大臣官房長鈴木直和君外八名の政府参考人出席を、また薬剤師法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医薬食品局長阿曽沼慎司君外四名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 辻泰弘

    辻泰弘君 おはようございます。民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。(「頑張れ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。  本日は、最近、誠に残念ながら、厚生労働省にかかわる不祥事等々が連日のごとく報ぜられたところでございまして、今日は何が出てくるのかというのを新聞で朝見るのが怖かったようなところがあるわけでございますけれども、本来、四月の半ばごろに、政府提出法案審議に先立ってこのような場を持たせていただいて、厚生労働行政の根幹にかかわる重要事でございますので、そのことを政府サイドに心していただくというところから出発して政府提出法案審議に入らせていただきたいと、このような思いもあったわけでございますけれども審議日程等関係で結果として今日に至ったわけでございますけれども、今国会最大重要法案と言われている年金法案の前にこういうことが持てたことは、それなりに意義があったと思うわけでございます。  本日は、最近のそういった厚生労働省がかかわる不祥事について御質問申し上げたいと思うわけでございます。  この一か月ほどいろいろとテーマを積み上げてまいりまして、どんどんどんどん在庫が膨れ上がってきたところでございまして、前のがどうだったのかなということを、忘れてしまったのをまた思い出したりしてやっているようなことでございます。  さてそこで、まず最初にお伺いしたいんでございますけれども、先般、福田官房長官がお辞めになったということがあったわけでございます。それは、もとより、国民年金保険料未納の問題、未加入の問題であったわけでございますけれども、その直接的な導火線といいますか、それが爆発した直接的な関係は、週刊文春に載った福田長官の、それ以前も払っていないときがあったよという、こういう記事だったというふうに報ぜられているわけでございます。  それがある程度定説になっているようなところもあるわけですが、その記事を拝見しますときに、私は、これは福田さんが未納であった、年金法案を提出されたお立場でお辞めになるということは当然だと思うわけでございますし、また、これはほかの閣僚の方にも問われることだと思うわけでございます。私ども菅代表もそのような同じような立場から昨日辞意を表明させていただいているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、福田長官がお辞めになったというそのことはそれとして、別の角度から見たときに、私はちょっと一つ問題があると思っているわけでございます。そのことについて聞きたいと思うんです。  すなわち、その週刊文春冒頭にこのように出ておりました。「衝撃の情報は、ある厚生労働省関係者からもたらされた。」と、このようになっているわけでございます。すなわち福田長官の、前長官のある意味個人情報厚生労働省関係者からもたらされたというのが冒頭に出ている。それから、福田長官のインタビューということで出ているかぎ括弧付きの文章の中に、「社会保険庁からも「これはもう、極秘で管理している」と聞いております」と、「もしそういうことがあったとすれば、社会保険庁から漏洩があったということなんですよ。」と、「もう誰と誰が扱っているかということはわかりますから、途端にクビですよ、そんなのは」と、こういうのが福田長官の、前長官発言として出ているわけでございます。  そこで、私はお伺いしたいと思いますことは、江角さんの例のあの問題のときには、本人の了承がなければ調べることもできないんだというふうなことを、この場であったと思いますけれども局長でございましたか、御発言もあったわけで、そういう意味において、これから情報化社会がどんどん進んでいって、基礎年金番号ももとより充実していく部分もあるでしょうし、また住基ネットの拡大というようなこともこれからあるんでしょうし、そういった意味個人情報管理というものはやはり極めて重要なことであって、社会保険庁としてはそのことについて極めて重大な責任があるというふうに思うわけでございます。  ですから、この福田さんのというより、福田長官という責任ある立場の人がこのようにおっしゃっているということでございまして、まず、今回の福田さんにつながった情報厚生労働省から流したということが本当にあったのかどうか、その辺、調べておられるかどうか、そのことについてまずお伺いしたいと思います。
  7. 薄井康紀

    政府参考人薄井康紀君) 今御指摘のとおり、年金関係情報個人に関する情報ということでございます。情報管理につきましては、先般のあの江角さんのときにも話題になりましたように、御本人からの照会等に応じてこれはお答えするということは当然であるわけでございますけれども、一般的に申し上げまして、御本人の同意を得ることなくそういった情報を流すと、こういったことはあってはならないことでございます。  御指摘週刊誌に掲載されました記事についてでございますけれども、私ども社会保険庁の本庁、それからデータ等を扱っております社会保険業務センター関係職員につきましては、この週刊誌から取材を受けたかどうかという確認をいたしましたけれども、そのような事実は、これはございませんでした。それから、地方庁、社会保険事務局なり社会保険事務所というところがございますけれども、こちらの方は現在確認を進めているところでございます。  いずれにいたしましても、仮に万一にも記事のような事実があったとすれば、年金加入歴という個人に関する情報を第三者に提供したということになるわけでございまして、これは、国家公務員法上の守秘義務との関係、あるいは個人情報保護法との関係、こういったところもございますので、情報管理上重大な問題であると認識をいたしているところでございます。
  8. 辻泰弘

    辻泰弘君 今の体制をお聞きしたいんですけれども、私ども名簿管理をすると名前で検索するということがあるわけですが、今の地方社会保険事務所で例えば名前を入れることによって検索できるんでしょうか。すなわち、地方の一社会保険事務所でも全国の方の名前で検索して引っ張り出すことができるんでしょうか。
  9. 薄井康紀

    政府参考人薄井康紀君) 基本的には、全国どこの社会保険事務所、あるいは年金相談センターというところがございますけれども、そこに御相談に見えられるということが当然あるわけでございます。そういう意味では、氏名と、お名前だけですとあれですから、生年月日、こういったものを使って検索をする。もちろん、同一姓名で同一生年月日の方もおられますから、そういう方につきましては特定がなかなか難しい、御本人の職歴とか、そういうことを確認をしないと特定ができないということになるわけでございますけれども。  ただ、そういうふうな形になっておりますから、私どもとしては、こういうふうな情報にアクセスするに当たりましては、カードを用意をいたしまして、個人情報照会を行う際にはこのカードを使用して、そのカード管理をすることによりまして現場におきます個人情報保護ということを徹底をいたしております。  具体的には、このカードを使ってどういうふうな照会をしたかと、こういったことが確認できる仕掛けにはいたして、そのことによりまして情報保護を徹底する、こういうことで考えておるところでございます。
  10. 辻泰弘

    辻泰弘君 そういたしますと、これは悪いケースになりますけれども、直接的な問い合わせが本人からなかった場合も、担当事務所の、社会保険事務所の方が調べようと思えば調べられるということになるわけですか。
  11. 薄井康紀

    政府参考人薄井康紀君) 御本人から御照会がなくてもそれは調べることは可能でございます。ただ、そういうふうな、調べたらそういうふうな履歴といいましょうか、そういうふうなものが残ってくるということでございます。
  12. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、日本全国社会保険事務所のところでは、例えば福田康夫と入力すれば、ぱっとそれは出てきて、ダブりはもちろんあるでしょうけれども、ダブりはあるでしょうけれども、それで、そこから群馬県とかいうことでアクセスしていくならば特定することはできる、一般の事務所の方が見ることができる状態にある、こういうことですね。
  13. 薄井康紀

    政府参考人薄井康紀君) 事務所職員がそういうふうなカードを使ってちゃんと認識をさせた上で、そういうふうな情報にアクセスすることはできると。これは、年金相談どこにでもいらっしゃるわけでございますので、どこにいらっしゃっても相談に対応できるようにするためにそういう仕掛けを取っているところでございます。
  14. 辻泰弘

    辻泰弘君 そのカードというのは、その事務所にかなりあるということなんでしょうか。
  15. 薄井康紀

    政府参考人薄井康紀君) 実際には、かなり頻繁にそういうふうなオンラインの端末を使って仕事をする職員には専用のを与えているというところもございますし、それから比較的頻度の少ないところは課で共用する、ただしだれが使ったかはそこできちっと管理をすると、こういうことでやっております。
  16. 辻泰弘

    辻泰弘君 その人その人の名前が書かれるわけじゃないですよね。ずっとそのカードを入れて開けっ放しにしていれば、ずっとそれはだれが使おうと見れる状態であると、こういうことでしょうね。
  17. 薄井康紀

    政府参考人薄井康紀君) 基本的には、カードにいわゆるそのカードを識別する番号といいましょうか、そういうのが付いているということと、それを実際に使った人が連動できるような形で管理をしているということでございます。
  18. 辻泰弘

    辻泰弘君 ですから、使った本人かどうかは必ずしも分からないけれどもカードを入れたら、その後、機械は動いていると、こういう状態だということですよね。
  19. 薄井康紀

    政府参考人薄井康紀君) 基本的にはそのカードを入れて初めてそういうふうな照会等ができると、こういう仕掛けでございます。
  20. 辻泰弘

    辻泰弘君 状況は分かりましたけれども、いずれにいたしましても、非常に情報化社会ということで個人情報管理というものは大事な側面、大事なものでございますから、その点についてお心掛けいただきたいということと同時に、先ほどこの件についても確認中だとおっしゃっておられましたから、そのことについて調査結果を、いや、ひょっとしたら、これは実は厚生省あるいは社会保険庁から流れたのではないかもしれないわけでございます。可能性として、その直接的な当事者が調べた後、その流れの中ということもあり得るわけでございますから、全面的に社会保険庁が悪いというふうに私は決めているわけではございませんけれども、いずれにいたしましてもこのことについてやはり御確認をいただきたいということと、やはり情報管理というのは非常に大事ですから、その点について大臣、ちょっと御所見、決意をお伺いしておきたいと思います。
  21. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは非常に大事なことでございまして、私もその記事を見て、あってはならないことでございますし、そういう情報を知っている人間というのは本当に限られた一、二の人だというふうに思います。流れているというようなことがもし仮にもあったとすれば、これは厳罰に処すべき私はことだというふうに思っている次第でございます。  個別の案件について軽々に省内といえども扱わないということにしなければいけませんし、万が一そういうお申出があって調べますときには、本当に限られた人間の中でそれを適正に処理をする、外部にそれが漏れるようなことがゆめゆめあってはならないというふうに思っておりまして、厳正にひとつ対応できるような体制にすべきだということを今言っているところでございます。  この件にかかわらず、よくマスコミにいろいろなことが流れるわけでありまして、我々が知らないことでも次から次にと出てくるものですから、それは聞かれて言うということもあるだろうとは思いますけれども、大事なことはきちっと中で処理をした上ででないと外に流してはならない、そうした基準もひとつちゃんと作るべきだということを今言っているところでございます。
  22. 辻泰弘

    辻泰弘君 そういった意味で、情報管理を徹底するという意味でも、今回のことを調べていただくという過程でそのことが伝わるという部分もあるかと思いますので、その点はしっかり御調査いただいて、今後とも、今の大臣の御決意に基づいて、非常に大事な、ますますこれから大事になる部分だと思いますので、お願い申し上げたいと思うわけでございます。  最初に言いましたように、文春のこと以前のことでも福田長官辞任されるべきだと私ども思っておりますので、それは、そのことは念のため申し上げたいと思うわけでございます。  さて、もう一つのポイントをお伺いしたいと思います。  これは、本委員会で四月の二十日に日歯日歯連についての集中的な審議がございまして、参考人の方はその一週間後であったかと思いますけれども、二十日では政府、対政府に対しての質問をさせて、質疑をさせていただいたときがございました。そのときの御答弁で、ちょっとひとつ確認といいますか、申し上げたいと思うわけでございます。  これは、岩尾医政局長さんの方からこういう御答弁があったわけでございます。日歯の問題で、厚生省方々日歯によく出向いておられると、こういうような質問の中で、局長が、歯科保健行政名前のとおり、仕事を遂行する上では歯科医師会協力が得られない限り何もできないと私は思っていますと、こういうふうに御発言をされておるわけでございます。そこで、これ素直に読めば、協力が得られる範囲でしか仕事をしないというふうにも読めるわけでございます。また、悪く見ますと、協力を得るためには何でもするというふうにも読むこともあるわけでございますし、協力を得て進めるということもあるわけでございます。  それで、やはりちょっとこういう集中審議過程でこういう発言が出たことは、私は少し、少しといいますか、残念に思っておりまして、やはり日歯協力を得る部分ももちろんあろうかと思うんですけれども、しかしいずれにいたしましても、厚生労働行政責任を持たれる厚生労働省として、また局として、あるべき歯科保健行政の姿というものを考えて、それに向けて、ある局面においては歯科医師会方々にも意見をし、意見しといいますかリードして、協力が得られない限り何もできないというふうなことではなくて、やはりリードして引っ張っていくんだと、こういう局面といいますか、そういう部分も当然なければならないと思うわけでございます。  この御答弁だけを見ますと、そういう思いが全然伝わってこないわけでございまして、そのことについて、局長、どうお考えか、お聞きしておきたいと思います。
  23. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 発言が不十分であったことにつきましては、誠に申し訳ないと思っております。  私の四月二十日の答弁の趣旨は、例えば乳幼児の歯科健診ですとか、それから歯科保健全国大会などの事業、そして母と子のよい歯のコンクールのような様々な事業がございますが、こういう事業を円滑に推進するためには、専門団体であります歯科医師会協力というのが不可欠であるということを述べたものでございます。一般的に、その歯科保健医療行政、円滑かつ的確に推進していく上では、歯科医師会を始めとする関係機関と様々な意見交換を行うということは必要であろうというふうに考えております。  以上です。
  24. 辻泰弘

    辻泰弘君 意見交換もさることながら、やはり要は、私が申し上げておりますことは、極端に言えば、歯科医師会が反対されることであっても、厚生労働行政進める上で、歯科保健行政進める上であるべきものであるというふうに思われるならば、それは説得しリードしてでもいくんだという、そういうことも当然あってしかるべきですが、そのことは当然に御自身のものとしておられるかどうかということなんですね。今の御答弁だと、率直に言ってやはりそれほど域を超えていないように思いますけれども、いかがですか。
  25. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 職務の遂行に当たっては、是々非々で行っていく所信でございます。
  26. 辻泰弘

    辻泰弘君 これ以上このことで時間は取りませんけれども、やはりこの答弁、非常に私は聞いた途端に残念に思ったわけでございまして、やはり、歯科保健行政のあるべき姿を追求する、そのスタンスから歯科医師会方々にも理解を求めていくのは当然でしょうけれども協力を求めるのは当然だと思いますけれども、やはりリードするのは厚生労働省であるというスタンスで取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  さて、それでは次に、ある意味では本体といいますか、広島労働局の問題についてお伺いしたいわけでございます。  これもかねがね報ぜられてきたところでございまして、一月九日の新聞から出発したことだったかと思いますが、それで、先般、報告書といいますか、処分も発表されたわけでございますけれども、まず、時間の関係上そんなに長くはしていただくこともかないませんけれども最終調査結果が出ておるわけでございますが、そのことについて御説明をいただきたいと思います。
  27. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 広島労働局におきます公金不正支出につきましては、広島労働局、それから厚生労働本省を挙げて調査をしたところでございます。  調査結果の概要につきましてかいつまんで申し上げますと、まず、同局職員平成十二年、十三年度におきまして、自らが管理する銀行口座公金を振り込む等の不正を行い、総額約二千三百六十万円の搾取を行ったこと、それからもう一つは、同局職員二名でございますが、その二名が中心となって、平成十年度から十四年度にかけて、架空物品等を購入するように偽装して上司の決裁を受けた後に、日銀に提出する国庫金振り込み明細票を差し替えまして、架空銀行口座公金を振り込む等によりまして、約一億三千二百万円の不正支出が行われたこと等を確認しております。また、これは労働局調査ではございませんが、広島労働局の元職業安定部長、これが職員、先ほど申し上げました職員等と共謀して公金を不正に着服したということで逮捕されたという事案がございました。  厚生労働省といたしましては、この調査結果を基に、先ほど申し上げました三名を懲戒免職の上刑事告発するとともに、当時の広島労働局会計担当者それから管理監督者を厳正に処分したところでございます。それから、当時、本省において広島労働局を指導する立場にあった者についても、その指導監督につきまして不行き届きがあったとして処分に付したところでございます。あわせて、不正に支出された額につきましては、延滞金を付して全額を国庫に返還したところでございます。  さらに、厚生労働本省職員広島労働局職員からの物品受領等につきましては、本省において調査を行ったところ、一部の職員ビール券等を受領していたり、それから出張した際の懇親会において費用を支払っていなかった等の事実が認められました。これにつきましても、その事実関係に基づきまして関係者に対する処分を行ったところでございます。  以上でございます。
  28. 辻泰弘

    辻泰弘君 今、処分を行ったということなんですけれども、報ぜられているところ、直接は聞いていないんですけれども本省サイドでは訓告とか厳重注意などという形だったと聞いておるんですけれども、懲戒より軽い矯正措置だと、軽過ぎるんじゃないかと、このような指摘もあるわけで、私自身もそのように思うんですけれども、事柄の性質上、何か非常に穏和なといいますか、軽い形でこなしてしまったようにも思うんですけれども一つのルールがあるかもしれませんが、そういう御指摘にはどうお答えになるでしょう。
  29. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 処分につきましては、広島労働局関係者、それから本省職員につきまして、従来の処分のルール等を踏まえて厳正に処分をしたと思っております。また、同時に、課長以上の者については氏名も公表するということでやったところでございます。
  30. 辻泰弘

    辻泰弘君 そのことについての問題意識はあるんですけれども、それはそれだけにいたしますけれども。  そこでまず、今もお話あったように、一億六千三百万、これは延滞金も含めての話だと思うんですね。一億三千二百万ですか、それが不正経理の対象といいますか、総額になるんだかと思うんです。ただ、その中で個人的、今先ほどのお話にもあったと思うんです、個人的な使い込みといいますか、そういう部分があると思うんです。結果、結局組織的に不正支出されたという額というのは幾らなんでしょう。
  31. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 金額につきましては約一億三千二百万、不正支出の額は御指摘のとおりでございます。  その中で、逮捕された者等についての個人的な着服の金額というのは分かりますが、それ以外の金額については資料等が、具体的資料がないということで、金額を確定することはなかなか難しいという状況がございまして、それぞれ具体的にどのように使われたかという点につきましては、金額の確定は難しいというふうに考えております。
  32. 辻泰弘

    辻泰弘君 一億三千二百万のうち、個人的なやつというのは、返済されたのが四千五百万でございましたね。ですから、どれぐらいが個人部分なのでしょうか。
  33. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 先ほど一名という者が説明でございましたが、その一名の着服が二千三百五十九万でございます。それから、その後の二名ということで申し上げましたが、その二名のうちの一名が着服額が千二百八十七万、それからもう一名が約百十三万ということで把握をしております。
  34. 辻泰弘

    辻泰弘君 これ後で聞こうと思っていましたけれども、今足すと三千七百万とかそんな感じですかね。これ、家族が返されたのは四千何百万だったですね。延滞料なんですか、その差というのは。
  35. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 個人が着服したものについては以上でございますが、それに延滞金が掛かることは御指摘のとおりでございます。
  36. 辻泰弘

    辻泰弘君 それは後でまた聞くところがありますのであれですが、それで、結果として一億円が特定できなかったと、大きく見ればですね。一億円の使途が特定できなかったというままになっているわけなんですね。で、結局そのままある意味では幕引きしてしまっているんじゃないかというふうに私は思えてならないわけなんでございます。  それで、まず事実関係として、書類が残っているのはいつ以降残っているんでしょう。
  37. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 会計の書類というものは平成十年度以降残っております。  といいますか、保存期限が来たものについてもこの関係については保存しておくようにということでやっておりますので、会計書類については残っておりますが、具体的に、不正支出をしてそれを具体的にどういうふうに使ったかというものについては全く資料がございませんので労働局のヒアリング等によってやっておりますが、その具体的な使途については、例えば懇親会、内輪の懇親会に使ったとか、あるいは本省に行った場合のビール券、土産に使ったとか、そういう具体的な事実関係についてはお聞きしておりますが、その金額については確定するに至ってない、そういう状況でございます。
  38. 辻泰弘

    辻泰弘君 一億円もの規模が特定できないまま終わってしまうというのは、私は本当にその内部調査がしっかりできたのかというのは率直に言って思うんです。  それで、一つ疑問に思いますのは、広島労働局に対する緊急の会計監査が行われたのは四月五日から一週間だったわけですね。これは、一月九日に新聞で報ぜられて以降三か月たってから会計監査が入ったわけなんです。それまでは、内部調査をしてからということになっていたわけですね。その内部調査結果を精査するために会計監査が入ると、こういうことだったように思っておりますけれども、なぜそんなに間が空いたのかといいますか、三か月入らなかったのかと、このことはどうなんでしょう。
  39. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 広島労働局での調査が、膨大な資料、会計書類を踏まえて調査をする、それから、その関係者からいろいろヒアリングをするということで、その関係の業務量、これがかなり掛かったということもございますし、それから、その都度、ある程度具体的な事実がはっきりした段階ごとに懲戒処分をして、その上で刑事告発をするということで段階を踏んでまいりました。  そういうことで、最終的にいろんな事実を確定する、不適正支出額を確定する、それから捜査といいますか、刑事告発をして、懲戒処分をして刑事告発すると、そういう段取りをして固めていったということで時間が掛かったという点でございます。
  40. 辻泰弘

    辻泰弘君 会計監査というのは日常的にもあり得る業務だろうと思うんで、それは何も内部的な調査を待たなくても、最初に入っておいてまた入ればいいわけだろうと思うんですね。  その三か月の間、現地に任せたということが私はどうも解せなくて、四月五日にそのことが分かったときに疑問を持って今日に至っているんですけれども、しからば、今回の報告というのは、その監査結果の報告というのが出てそれを踏まえたものであることは、そうなっているんですね。
  41. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 広島労働局調査におきましても、その不適正支出額がどのくらいかという点は、その大まかな点はある程度早い段階から概要は分かっております。ただ、それが具体的にどういうふうに使われたか、それから個人の着服額が幾らか、そういう点についてはかなりの調査をしないと分からないという状況ございました。そういった点で時間が掛かったということでございますが、その最終段階で不適正支出額が幾らかという最終確認をしたのは本省からの監査によるものでございます。
  42. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、監査の結果というのは、内部調査、その結果をある意味ではチェックしたと。それは結局、内部調査を結果としては認めるものであったと、こういうことでいいんですか。
  43. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 内部調査を踏まえていろいろ具体的な事実を確認したものでございますが、大体内部調査の結果のとおりでございますが、その中でいろいろ、広島労働局における検査体制の問題とか、そういった問題も含めて監査指導を行っております。
  44. 辻泰弘

    辻泰弘君 当初、一月九日段階で労働局長は、広島労働局長は一か月ぐらいで結果が出るだろうということもおっしゃっていて、その後いろいろ状況変わってきてそうなったのかもしれませんけれども、しかし私は、会計監査というのは、正に緊急の会計監査というのは四月五日に入るわけで、最初に緊急に入れば良かったんじゃないかと思うわけでございますけれども、素人の考え方かもしれませんが。  しかし、そこがどうもよく分からなくて、大臣、いかがでしょう。今後、こういうことがあっていいわけじゃございませんけれども、やはりこういうことがあったら、まず会計監査が入って、その現時点での状況をまず把握しておくことが大事だと思うんですけれども大臣、いかがお考えでしょうか。
  45. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、会計監査というのはふだんから毎年やっているわけですね。ところが、そこにそれでは上がってこなかったということでありまして、なぜ私も、会計監査をしているのにそこに、なぜそこが上がってこないのかということを再三私も問い詰めたわけでございます。しかし、いろいろ話を聞きますと、会計監査に上がってくるような状況になっていなかった、普通の会計監査をしても上がってこないようなからくりになっていたということでありまして、それでは会計監査を何のためにやっておるか分からぬじゃないかと、こう私は実は言ったわけでありまして、その会計監査のやり方にも私は今後一考を要すると思っています。  いつもやっております会計監査のやり方では上がってこないということになれば、それじゃ、本当にそこで使われておりますものが一体、そこにそろっております書類、ちゃんと書類があればもうそれでいいということになってしまっている。書類はあっても、その書類が違うものであれば、それは全くこれはやり直さなきゃいけないわけのものでありまして、そうした意味で、徹底的にひとつ調べてほしいということであります。  先ほどから官房長答弁しているとおりでございますけれども、中心的な人物が亡くなられたということもあって、そして全貌が分かりにくくなったということも正直言ってあるわけでございます。そうしたことも踏まえて、これからもう一つ監査の在り方も考えていかなきゃいけないというふうに思っています。  私、一番最初大臣にならせていただきましたときに一番最初にスタートしましたのがKSD事件でありまして、これでもう本当に国会でもいろいろと御議論をいただいて大変なスタートでございました。そういう経緯があって、そのときから、旧労働省関係について徹底的にそこはやらなけりゃいけない。だから、その当時は関連する特殊法人だとか外部監査の話でありまして、この外部監査についても、ただ単にやっているだけでは駄目だということを再三言ってそこを改善をしたつもりでいたわけでございますけれども、今度は肝心かなめの内部におきまして起こっているということでありまして大変私も大きなショックを受けたわけでございますが、もう一つ、もう一度ここはあらゆる角度から監査というのはやっぱりやらなきゃいけない。書類を見て監査をやっておるだけでは不十分だということをつくづく今回感じた次第でございます。  今後、そうしたことのないように、もう少しやり方そのものを改善をして、抜け道のないようにやっていかなきゃいけないというふうに思っている次第でございます。
  46. 辻泰弘

    辻泰弘君 実は、五月の七日に広島地裁におきましてこの逮捕された方々の初公判があったようでございまして、そのときにある被告の方が、前任の被告の、同じ被告になっている前任者の会計のという意味ですけれども、会計の前任者の人から不正経理の引継ぎを受け、不正経理が組織内で歴代引き継がれていたことを明らかにしたということが出ておりまして、そういう陳述があったんじゃないかと思うわけですけれども、すなわち、そういう不正経理の引継ぎがあったということが、毎年行われている会計監査によって全くチェックできなかったということを言っていることになるわけでございまして、それが多分正確な理解だろうと思うんですけれども。  ですから、今大臣がおっしゃったことにある意味では尽きるといえばそれまでなんですけれども、しかし、そのことの意味するところというのは、形骸化した会計監査であってはならない。また、今回の、一月九日でありながら、本省からの会計監査が入ったのは四月五日だということも、私はその対応として極めて疑問を持たざるを得ないわけでございます。そういった意味で、会計監査の在り方といいますか、やっぱりこれは根本的に変えていかなければならない。  やはり厚生労働行政は、それはもう正に、前に質問でも申し上げたと思いますけれども、やっぱり国民生活に大きくかかわる極めて重要な職責を担っているわけでございまして、厚生から労働、両方入って余計に増えたわけでございまして大臣も御苦労だということを前お聞きしたわけでございますけれども、それを担っている、厚生労働行政にあずかる方の責任は大変重いし、それだけ信頼されていなければならないということを思うわけでございまして、そういう意味で、こういった一つの大きな手掛かりとして会計監査というものはあると思うんで、そのことについては、これは本当は中央省庁すべてにわたることだろうとは思うんですけれども、少なくとも厚生労働省、こういったことが現実に大きく幾つかのことが報じられてきたわけでございまして、実際それがあったわけでございますから、そのことについては心してお取組をいただきたいと、そのように思うわけでございまして、大臣、先ほどおっしゃっていただいたことでございますけれども、強い決意のほどをお伺いしたいと思う次第でございます。
  47. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今回の事件、ずっと私も聞いておりまして、特に多額の金銭が隠されたというのは、平成十年、十一年、そして十二年にも若干またがっておりますが、その辺のところに集中して行われている。これがなぜそうだったのかということ、理由はよく分かりませんけれども平成少なくとも十三年の一月から新しい省庁が誕生するその直前でございまして、様々な制度が変わります前にそういったことが行われたとも言えないこともないわけでございます。  新しい体制で今、先ほども申しましたように、KSD事件のこともこれありという、徹底的な見直しをというのでやっているわけでございます。しかし、過去のことであるとはいえ、そういうことが起こったということは本当に国民の皆さん方に申し訳ない話でございまして、こういうことが再び起こることのないようにどうやっていくか、もう一度再検討をいたしまして、そして新たに出発をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
  48. 辻泰弘

    辻泰弘君 そのことはそれを了と受け止めたいと思うんですが、五月の七日の段階でしょうか、広島労働局長が記者会見をされたときに、この件は広島の特有の問題だと、こんなふうにおっしゃったというふうに言われているわけでございます。本当に広島だけのことなのかということになるわけでございます。  それで、この間、厚生労働省として、これは五月七日付けでしょうか、全国労働局に綱紀粛正などを通達されたというふうに聞いておるんですけれども、その程度のことでいいのかどうかということでございまして、後で聞こうと思いますけれども、別の問題も、今引き続き元労働省の課長の部分もあるわけでございますから、そういう意味ではいずれにしても調べていくことになるのかもしれませんが、これは広島労働局固有の問題だというふうに理解していいとは思わないわけでございます。これは五月の七日のある意味一つのくくりの、締めくくりみたいなときに、広島労働局長が広島の特有の問題だと強調されたということが、私は少しまたそのこと自体も問題だと思っておりまして、そこに閉じ込めてしまうことは私は恐らく間違いだろうと思うわけでございます。  ですから、労働局長がおっしゃったわけですから、官房長が御存じないという、御本人ではないわけですけれども、しかし、この広島特有と強調されたということはどういうことだったんでしょう。それは妥当ではないと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
  49. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 御指摘広島労働局長の発言につきましては、広島労働局長が今までの行政経験から御本人の判断として言われたものだろうというふうに理解をしております。  ただ、この問題につきましては、大臣からの指示もありまして、監査指導の本省体制を強化して、全労働局につきまして、第一・四半期中に全局、全労働局を監査指導するということで、現在監査指導を進めている段階でございます。  いずれにしても、広島労働局のような事例がないことを私どもは期待しておりますが、どちらにしても全局を調査するということは現在進めておるところでございます。
  50. 辻泰弘

    辻泰弘君 第一・四半期とおっしゃったということは、四月から六月のうちにという意味でございますね。
  51. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 六月末までには全労働局についてそういった監査指導を行いたいというふうに考えております。
  52. 辻泰弘

    辻泰弘君 是非、当然のことですけれども、今回のようなことがその元々の監査ではすり抜けていたわけですから、そういうことがあったということを踏まえて、そういうことがあるかどうかというところまで徹底的に調べていただくということでの監査にしていただいて、六月末の後に、また本委員会にも、そのときの状況にもよりますが、私どもにまたその報告をしていただきたいと、このように思うわけでございます。  それで、もう一つ広島労働局として再発防止策を出したというふうに聞いているんですけれども、これは独自に出されているんでしょうか。広島労働局として、広島労働局職員本省職員とが飲食を禁ずるとかいうふうな再発の防止策を出されたやに聞くんですが、広島労働局独自に、それこそ特有に出されたということなんでしょうか。
  53. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 再発防止策につきましては、広島労働局広島労働局でございますが、本省としても再発防止については最大限の努力を払いたいと思っております。  その再発防止策につきましては、先ほど大臣からもありましたように、監査指導の強化もございますし、それから同時に、例えば本省と出先機関との懇親会等の自粛等も含めてこれからやっていきたい。それから、具体的に、監査指導につきましては、従来書類でやっておりましたが、一番の問題は、特定職員がそういった会計、経理等に携わっている、そのチェック体制が全然なっていない、そういった問題が今回の広島の事案で見られました。監査指導におきましては、そこら辺も具体的にこれからどう見ていくか、そこら辺の方策を検討したいと思っております。  同時に、綱紀粛正全般にかかわる問題ですが、意識改革等も含めてこれから徹底をしていきたいと考えております。
  54. 辻泰弘

    辻泰弘君 そういった部分も大事だと思うんですけれども、私、もし官房長が把握されていないんならまた後でもいいんですけれども、私が聞いたので見ますと、広島労働局長がおっしゃった言葉、説明の中にあったんだろうと思うんですけれども広島労働局職員厚生労働省本省職員とが飲食をともにすることを禁ずるなどの再発防止策を明らかにしたと、こういうふうに言われているわけなんです。だから、そのことが事実関係としてそうなのかどうかということなんです。
  55. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 広島労働局長の方でそういったことを考えているというのは、私どもも把握をしております。  同時に、私ども本省としても、この問題が報道されて以降、労働局長会議等の場で各労働局に対して、そういった懇親会につきましては、完全に会費で払っていることが明確な場合を除き、そういったことはしないようにということもそういった会議の場で指示をしておるところでございます。
  56. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、その広島労働局が出されたやつというのは、その考え方を全国労働局でもしてもらうことになるということなんでしょうか。
  57. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 労働局長会議等の場で、私の方からそういったことを全国労働局長にもお話をしてございます。
  58. 辻泰弘

    辻泰弘君 全面的に飲食を禁ずるというのも、やはり人間の社会でどうかというところもあるわけですけれども、やはりそのルールが貫徹されなきゃいけないと。野方図な中でこんなことがあったと思うんで、その点については広島としてお考えになったということがあるようですから、それもベースにしつつ、全国ネットに広げていただくということでお願いをしたいと思うわけでございます。  それでもう一つ、新たなといいますか、それにかかわるような問題があるわけでございまして、これもどういうところから来ているのか必ずしもよく分からないんですけれども、元労働省の課長が、九道府県の職安の部門から振り込みを受けていて、一千八百万円入手していると、こういうことがあって、御本人も認めておられるということがあるわけでございます。その方は、恐らく中央の厚生労働省、いや、その当時は労働省ですね、労働省の課長であられたときに予算の立場におられたということのようなわけですね、予算配分を担当していたと、このように言われているわけでございます。ですから、その千八百万を受け取っていたというのがその見返りなのかというふうにも思ってしまうわけなんですけれども。  まず、その九道府県というのは把握されているんでしょうか、まず教えていただきたいと思います。
  59. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 報道等で九道府県という報道がございましたが、その中で具体的に九道府県が明示されてはおりませんでした。この問題については、どちらにしても、現在、厚生労働本省におきましてその事実関係調査中でございます。
  60. 辻泰弘

    辻泰弘君 その課長さん本人からも話を聞いていられるということでしょうか。
  61. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 現在、その元課長からの聴取も含めて、現在、調査をしている段階でございます。  この問題につきましては、広島労働局に関する部分については、その三百八十万というものが確認されておりますが、それ以外のものについてはまだ事実関係確認されておりません。  ただ、いずれにしても、早急に事実を確認したいと思っております。
  62. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、今の三百八十万は一億六千万の内数になるという理解でいいでしょうか。
  63. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 元課長に振り込んだ方は現在亡くなられておりまして、その振り込んだ事実は確認されておりますが、そのお金の性格については、そういう意味確認が難しい状況でございます。
  64. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、御家族の方が返されたという四千五百万の中に占めると、こういう位置付けになるということですね、あの三百八十万は。
  65. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) その中に含まれるといいますか、その亡くなられた方が個人的に出したものかそうでないのか、そこら辺の事実関係が分からないという意味でございます。
  66. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、その三百八十万が、さっきの一億、特定できないというところなのか、御遺族が払われた部分とか、そういう部分と、必ずしもちょっとよく分からないところがありますね。  それ、いずれにいたしましても、この問題についても率直なところ組織的な背景を感じさせるようなところもございまして、とりわけ御本人が予算配分を担当されていたということであると、これはまた非常に重要なものでございまして、個人的な借金の穴埋めに使っていたんだと、個人的なことでやっていたんだというんですけれども個人的なことで三百八十万も一人の担当者が不正経理で手にした金を振り込むということも、そんなにやるのかなというふうに思いますと、やはりこれは予算配分をされていた方との関係でいろんな組織的な背景もあったんじゃないかというふうにうかがえるわけでございまして、いずれにいたしましても、先ほどの広島労働局の不正経理事件、五月七日でおしまいになったということではなくて、この部分も非常に大きな問題で、これも九道府県というふうに伝えられているわけでございまして、そういう意味では広がりの大きさも感じるわけでございます。ですから、この点についてもしっかりと調査をいただいて、結果が出た段階で私どももこの委員会に報告をしていただきたいと、このような思いでございます。  大臣、ちょっとこのことについてのお取組、御決意をお伺いしておきたいと思います。
  67. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 広島の件についてもそうでございますが、いずれにいたしましても、組織的にもし行われているということになれば、これはもう大変なことでございます。もし仮にそういう事実があるならば、これはもう労働省、旧労働省全体の大きな問題でございます。全貌をもう残り隠さず明らかにすべしということを今言っているところでございまして、関係者から十分聞き取りをしたい。言われております九県にとどまるものなのか、あるいはもっとそれは多いのか、そうしたことも、これはもう全県そうしたことを調査をいたしまして、御報告を申し上げたいと思います。
  68. 辻泰弘

    辻泰弘君 そこで、この問題についての角度を変えまして、今回、一億六千万返納されたということになっているわけですが、そのことについてお伺いしておきたいと思うんです。  これは、一億六千三百万でしょうか、これをある意味では三つのジャンルといいますか、財源によっていると思うんですね。本省広島労働局と御家族といいますか、そういった三者。それ、内訳をちょっと教えていただきたいと思います。
  69. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 不正支出額、約一億三千万でありますが、延滞金を入れて一億六千万、約一億六千三百万になるものでございます。  その中で、具体的な返還の額というお話であろうと思いますが、個人不正支出した額、例えば最初の一名、二千三百六十万、これは延滞金を付して返還済みでございます。それ以外に、それ以外の分につきましては、私的に着服されたことが確認できた分は、着服した人間に返還を求めると。それから、残余の額につきましては、支払等に関する帳簿等の書類が残っておりませんので、使途が明確に確定できないということもありまして、個々人の費消した額の特定が困難なことでございますから、平成十四年、平成十年度から十四年度におきまして広島労働局、あるいは、当初は、十年、十一年は、広島県、県庁の一部でございました。そこで不正支出にかかわる部署に所属していた管理者約八十名、この方に返還していただくということを基本といたしました。  それからまた一方で、返還額が多額に上りまして、広島局のみでは全額の返還が困難ということもありまして、本省で関連の深い部局、例えば大臣官房とか職業安定局の一定以上の役職にあった者、約百四十名に協力を求めるということで返還を行ったものでございます。  広島局と本省の負担割合は、局が七、本省が三というような形の割合になるものでございます。
  70. 辻泰弘

    辻泰弘君 私、お伺いしたのは、こういうことなんです。その一億六千万の内訳として、広島労働局が大体七千万弱だと、それから本省が五千万ぐらいだと、それから御家族が四千五百万ぐらいだと、こういうふうに言われているんですが、そういうことかということを聞いているんです。
  71. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 大まかに言いますと、そのとおりでございます。
  72. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、七、三とおっしゃいましたですね、七、三なんでしょうか。
  73. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 局と本省との割合で考えますと、約七、三の割合になります。
  74. 辻泰弘

    辻泰弘君 それは、別にそれが大事だと言わないですけれども、七千万と五千万だと七、三になるんですかね。これ、ちょっと数の問題かもしれません。
  75. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 本省とそれから労働局の負担割合と申し上げましたのは、私的に着服した分、それもその広島労働局の方で本人からお金を集めて返還するという意味で計算しておりますので、それ全体を含めた上で七、三という割合になるものでございます。
  76. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、これの返還に向けて、ある意味では厚生労働省で、関係者だけか、関係者以外もか分かりませんけれども、声を掛けて返還をされたということになって、一億六千万調達されたと、こういうことになっているわけなんですけれども、まず厚生労働省としてこういうことは今まであったでしょうか。
  77. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 厚生労働省本省まで含めてこういったことをやったことは、ずっと昔あったかどうか分かりませんが、少なくとも私の知る限りではこういった前例はないというふうに考えております。
  78. 辻泰弘

    辻泰弘君 今、本省本省も絡んでということでおっしゃった。地方だけだったらあったということでしょうか。地方の出先といいますか、そういうことですか。
  79. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 金額という意味ではこのような多額の不正支出があったという事例は今までございませんが、地方労働局で不適正支出があって、それについて地方労働局の段階で返還したという事例はございました。
  80. 辻泰弘

    辻泰弘君 実は他の中央省庁でもあったかということを聞こうと思ったんですけれども、それは人事院なのか総務省なのかというのは行ったり来たりでなかなかお答えいただけない、各省ごとに聞かにゃいかぬということになるのかもしれませんけれども、そこは分かりませんけれども、恐らく中央省庁で、中央省庁の皆さんに返還、返還といいますか、協力してくれという呼び掛けをしてやったというのは前代未聞じゃないかと思うわけなんです。この返還というのは、こういう形でなされるのがいいのかどうかというふうにも、いいというか、返すべきは返すべきですが、こういう何かみんなでカンパしようよということで返すということが、やり方がどうも何か、やはりルールがあってしかるべきじゃないかと、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、この返還ということ、みんなでやってもらおうよとか、七、三っておっしゃったとか、そういうやつは、そういう方針はいつ、どこで、だれが、どのような会議で決めたんでしょうか。
  81. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) この問題につきましては、広島労働局広島労働局として、それから本省本省として、それぞれ関連する管理者等にお願いをしたというものでございます。本省につきましては、厚生労働省本省の幹部から、具体的には私等を含めて幹部の者から口頭で各管理者に協力をお願いをいたしました。具体的には、一番少ない方については五万円程度からほぼ一か月の給与相当に至るまで、管理者に協力をお願いして、その結果としてこういった返還を達成したということでございます。  この問題につきましては、確かにこういった形がいいのかどうかという問題はございますが、少なくとも国庫の金でございますから、これを早急に返還するということが一番の責務だというふうに考えてそういった処理をいたしました。
  82. 辻泰弘

    辻泰弘君 そうすると、合議で決めたのではなくて、官房長の御判断でお決めになったということでしょうか。
  83. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 厚生労働本省におきましては、合議といいますか、具体的に会議等を開いて決めたということではなくて、幹部の間でいろいろ相談しながら、それからそれを踏まえて私からいろいろお願いしたというのが実態でございます。
  84. 辻泰弘

    辻泰弘君 その方針について、大臣はどのようにかかわられた、あるいはどのように了承されたんでしょうか。
  85. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 具体的にどうするこうするというところまでは相談に乗っておりませんけれども、いずれにいたしましても、これは厚生労働省の中で起こしたことでありますから、早くこれは返還をするということが第一。一日一日遅くなってきますと、延滞金がどんどん付いてくるものですからだんだん膨れ上がっていくということもございまして、とにかく早く、どこかで、だれかの名義で借入れをしてででも早く返還をすると。そして、それに対してそれぞれの責任に応じてそれはやはり負担をする以外にないだろう。既に亡くなられた人もおみえでございますし、それ以上のことを申し上げるわけにもいかない。初めの方の方はほとんど貯金を、預金をされていたという方もございまして、余り実質的には使われていなかった、預金の中に残されていたという方もございまして、そうした方のは全部これはお出しをいただいて、延滞金もお出しをいただくということで、それはそれで済んだわけでございますが、しかしそうでないものがあるわけでございますので、そうしたことにつきましては、これはまあ連帯責任、これはやむを得ないんだろうというふうに私も感じたわけでございます。
  86. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、この、まあカンパと言っていいんでしょうか、このカンパの開始時期はいつごろ始められたんでしょう。
  87. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) いろいろ協力のお願いしたのは三月の下旬くらいだったかなと思います。で、結果として集まって返還したのは四月三十日というふうに記憶をしております。
  88. 辻泰弘

    辻泰弘君 私の理解ではもう少し早かったんじゃないかと思いますけれども、三月下旬なんでしょうかね。それで、そんな短期間で集まったということなんですね。  それで、まあそれはそれでいいとして、四月五日、会計監査があったわけですね。その内部調査をして、四月五日に会計検査をされたわけです。  しかし、私は、その会計監査の前にカンパをもう始めたということ自体を私は疑問に思うわけなんですね。やはりしっかりと見定めた上で、すなわち一億円の、すなわち四千五百万は御家族が払われたわけですけれども、やはり本人責任に帰すべきものについてできるだけ特定していくということがあって、そのことがあって残りにカンパということならあり得るかもしれないんですが、四月五日に会計監査を行っている。今のお話でも三月下旬とおっしゃったと思いますけれども、私はもっと早かったんじゃないかと思いますが、そういう形でなぜ会計監査の前にカンパを始めたのかということをお教えいただきたい。
  89. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 会計監査の中で具体的な金額が確定するというのはそのとおりでございますが、ただ、その段階で一億数千万に上る金額が不適正支出であって、その中で着服したとされる金額を除いても、かなり膨大な金額が不適正支出として上っている。それから、この間いろんな広島労働局調査本省での調査を継続してまいりましたが、その具体的な人がなかなか確定ができないという実態ございました。  そういう意味で、この一億六千万になるような金額の返還につきましては、ある程度その準備をしながらやっていかないと返還自体が難しくなるということもありまして、そういった準備をしながら進めてきたというのが実態でございます。
  90. 辻泰弘

    辻泰弘君 しかし、会計監査自体が形骸化していたら、その形骸化したやつの監査が後であって、別に何も問題はないと言ってしまえばそういうことになるかもしれませんけれども、しかし、やっぱり会計監査の前にもうある程度額を特定してそれに向けて走ったということ自体を私は非常に、その徹底的な調査というのを葬り去って幕引きを図ったというふうに見えて仕方がないわけなんですね。ですから、その部分については本当に疑問に思っているわけなんです。  それで、これ三月下旬とおっしゃいましたけれども、三月下旬から声掛けられたということなんですか。
  91. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 具体的に三月下旬からいろいろお願いをしたということで記憶をしております。
  92. 辻泰弘

    辻泰弘君 これ確認していませんけれども厚生労働省本省では三月初めごろにカンパが始まったということが言われているわけで、三月下旬から始めてこんな短期間に一億、本省の方は五千万でございましたか、そういうことになっているんでしょうかね。
  93. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 厚生労働省本省につきましては私の申し上げたとおりでございますが、広島労働局につきましては、その不適正支出額が非常に膨大な金額になるということもありまして、二月のころからいろいろお願いをしていたということを聞いております。
  94. 辻泰弘

    辻泰弘君 これで本省の方に返還に協力してくれということをおっしゃったのかもしれませんが、その求め方ですね、口頭なのか文書なのかということがあり得るわけです。だれが言うかということなんですが、それはどういう形で進められたんでしょう。
  95. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 具体的な協力の求め方でありますが、私を中心として、それからこの問題を担当している地方課の課長等を中心としていろいろ関係する方にお願いをしてまいりました。
  96. 辻泰弘

    辻泰弘君 全くこの広島労働局関係なかった方にも協力を求めたことはあるんですか。
  97. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) この広島労働局の事案につきましては、その広島労働局と関連の深い部局、例えば先ほど言いました大臣官房とか職業安定局、これを中心としてお願いをしてまいりました。ただ、そういったお願いをしている中で、全く関係ない部局の方からも協力の申出があったということはございます。
  98. 辻泰弘

    辻泰弘君 これはどこかの口座を作られて振り込みをしてもらうということになったんですね。そうすると、その振り込みの伝え方というのは、何か文書で渡されたということなんでしょうね。そうすると、何か文書があったんでしょうか。
  99. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 私からは口頭でお願いを申し上げました。それから、具体的に口座等につきましては地方課長なり地方課の職員からそういった口座名を協力がいただけるという方に連絡を申し上げました。
  100. 辻泰弘

    辻泰弘君 ちょっとマニアックな質問になるかもしれませんが、その口座名というのはどういう名前だったんでしょう。
  101. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 本省協力をお願いした段階につきましては、官房の地方課長名の口座に振り込んでいただくようにお願いを申し上げました。
  102. 辻泰弘

    辻泰弘君 大臣、ちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、この件で記者会見をされているときに、自分もこの返還に協力する用意があるんだと、このようなことをおっしゃって、「まだ出して欲しいという要求が来ているわけではございません。」と、「少し出していただく方のすそ野を広げていかないと、なかなか返せないと思うのです。」、このようにおっしゃっておりまして、この委員会にも御要請があるのかと思ったりしたわけでございますけれども、いずれにいたしましても大臣の方はこの返還仲間に入られたんでしょうか。
  103. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私もこういう事態を、過去であれ現在の問題であれ、今私がトップにいるわけでありますから、応分の責任を果たしたいというふうに思っておりました。しかし、官房長に聞きましたところ、返還すべき金額は既に集まったということで、そこまではしていただかなくても結構ですという話になったものですから、私は現在いたしておりません。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  前回、KSDのときには大臣手当、一年間返還をしたわけでございまして、それだけのやはりトップの座におれば責任はあるというふうに思っておりまして、金銭的な問題は問題としまして、様々な問題で私も責任を果たしていかなきゃいけないと思っております。
  104. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、これ返納が、これは労働保険特別会計の保険勘定になるのかと思いますけれども、このどこの会計に、勘定に、いつどのような手続で返されたのか、この点を確認したいと思います。
  105. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 会計区分別には、一般会計が千二百二十八万円、それから特別会計の雇用勘定が九千百十七万円、それから徴収勘定が二千八百五十四万円、労災勘定が十八万九千円、で、これに延滞金が掛かっている金額でございます。
  106. 辻泰弘

    辻泰弘君 それは、今年度の思わざる税外収入みたいな、そういう形で収入に計上されることになるんですね。
  107. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) この返還額につきましては、これ返還されて国庫に入るとなれば、雑収入になると思います。
  108. 辻泰弘

    辻泰弘君 それぞれの会計、それらの勘定の中の雑収入ということですね。
  109. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 先ほど申し上げました会計区分に沿って、それぞれの勘定に入るということでございます。
  110. 辻泰弘

    辻泰弘君 広島労働局関係質問はこれで終わりたいと思いますけれども、やはり非常に広がりが深い組織的な背景を感じさせるものでございまして、広島特有の問題とは思えないわけでございまして、先ほど元課長さんの問題もございますけれども、引き続きしっかりとお取り組みいただくということでお願いしたい。とりわけ、会計監査の在り方というものは根本的に見直していただいて、やはり国民の負託にこたえ得る厚生労働行政であってほしいと、このように思いますので、お願いを申し上げたいと思います。  それでもう一つ、時間も大分迫ってまいりましたけれども、もう一つ大きな問題として選択エージェンシーの問題がございました。十分御質問をできないかもしれませんけれども、幾つか御質問したいと思います。  まずこれは、国保中央会への補助金があったと、そして国保中央会が選択エージェンシーに本を作らせていたということでございます。それで、契約金額の方はすぐに出してくださったんですけれども、補助金額はある程度言ってやっと出てきたわけなんですが、それを見比べて、時間があれば皆さん方にその対比表をお配りできるかと思うんですけれども、昨日、私どもの党の方のいろいろなことも、会議もございましたものですから十分用意ができなくて申し訳なく思っておるんでございますけれども。  これを拝見いたしますと、前にもこの便利手帳、例えば便利手帳ですけれども、保健活動のための便利手帳に係る契約金額、これが平成十年三千八百万、十一年五千二百五十万、十二年七千五百六十万、十三年度七千五百六十万、十四年度四千二百八十四万、十五年度四千二百八十四万と。こうずっと波があって、上がって下がってと、こうなっていて、同じような、二万五千部、三万部という中でどうしてそんなに違うのと、単価がえらく違うじゃないかという御指摘があったわけなんですが、それはそれで一度御質問があったわけですけれども。  それと比べて、補助金の方を見ますと、保健師手帳に対する補助金交付額というのを見ますと、保健師手帳、十年度で四千百八十万、十一年度五千七百七十五万、十二年度七千九百二十万、十三年度七千九百二十万、十四年度四千二百八十四万、十五年度四千二百八十四万と、こういうふうになっておりまして、比べてみますと、波があるじゃないかということは同じことではあるんですけれども、気が付くことは、十年度の場合、三千八百万の契約金額に対して補助金は四千百八十万ということになっていると。三百八十万ぐらいプラスして補助金が出ているわけなんですね。十一年度におきましても五百万ぐらい上乗せした形で補助金が出ていると。十二年度、十三年度においても上乗せで出ているわけなんです。それは一つの考え方があるかもしれません。ただ、十四年度、十五年度が契約金額と補助金が全く同額で四千二百八十四万になっているわけなんですね。そうすると、どういう考え方で変わったのかというふうに思うわけなんです。この点はいかがでしょう。
  111. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 基本的に、まずこの補助事業の性格でございますが、これは中央会が保険者の事業の健全な運営を図るために行う事業、そして特に医療費適正化の推進に資するということで、補助要綱、取扱要綱で決まっております。  そういう事業を中央会が行いますことについて補助を行うと。その補助を行う事業の中に、例えば便利手帳というものを購入して配るという形になっておりますので、この補助事業全体の事業の中で便利手帳の購入というのはその一部というように位置付けられております。一部といいますか、その主な事業が便利手帳の交付でございますけれども、それについては、通常の補助事業一般でもございますように、いわゆる関連事務費も計上するというのが通常でございまして、この差額は事務費に相当するものということで理解をして交付をいたしております。  そのときに、当初はやはりこの事業が円満に動きますように事務費を積んでいるわけですが、一般的に全体に財政が相当厳しい中で、この事業に限らず、一貫して補助金の言わば受け手における適正執行ということを常に申してまいりましたので、そういう一環の中で、これは継続的な事業で行われておりますので、言わば事務費的なものを節減し、結果的に差額のないところまで行ったというふうに認識いたしております。
  112. 辻泰弘

    辻泰弘君 これは、この便利手帳自体が利幅が六割超えていたというふうな指摘もあるわけでございまして、この補助金の給付について審査がしっかりやられていたのかというふうに率直に思うわけでございまして、この点、こういった問題についてもしっかりとチェックをしてやっていただかなけりゃならぬということを御指摘申し上げておきたいと思うわけでございます。  時間も限られてきておりますけれども、幾つか確認しておきたい。  こういった監修料が数千万単位で課で一括管理されていた、いわゆるプールされていたという事実、いわゆる指摘があるんですけれども、それはありませんか。
  113. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 基本的にまず、受け取った監修料、これ個々の職員が勤務時間外に自宅等で行っていたものでございます。そして、その受け取った所得につきまして個人個人で税の確定申告を行っております。そして、これにつきまして、個人個人でやっておる職務外の行為でございますので、現に組織の責任者である課長自身も関与しておらず、また承知もしておりませんでした。  そういう観点から、組織的にプールしておるというようなものではなく、それぞれ受け取った限り、聞き取りますと、様々なものに使われておりまして、そのような意味で組織的なプールというふうな理解は持っておりません。
  114. 辻泰弘

    辻泰弘君 それはすなわち、組織的なプールではなくて、個人の任意拠出に基づくプールであると、こういうことですね。
  115. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 監修料の使途を聞き取っておりますが、例えば個人的な夜食代やタクシー代に使ったといったようなことでございます。  個人レベルとはいえ、事実上お金をプールしているんではないかということがよく指摘されているわけでございますけれども、複数の監修を行った者同士で自発的に懇親会経費等に使っていた場合もあるようでございますが、それは決してやはり組織的なものではないという理解でございます。
  116. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、大臣一つ確認ですけれども、もう既にいろんなところで発言されていますけれども、いわゆる補助金が交付される出版物について厚生労働省職員が監修料とか原稿料を受け取ることはやめるべきだということをおっしゃってきていると思いますが、そのことについて改めてお伺いしたいと思います。
  117. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 専ら補助金によりまして買い上げられた書籍というものにつきまして、そうした書籍について監修料を受け取るということは、これはもう不適切だというふうに思っております。今後、そういうことをやらないように言っているところでございます。
  118. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、人事院の方にもちょっと来ていただいていまして、時間が限られておりますけれどもお伺いしたいんでございます。  それは今のことにかかわるわけですけれども、すなわち、今は課長補佐以上の方について、五千円を超えるものについて贈与等があったとき報告しなさいと、二万円を超えるものについては情報公開の対象であると、こういうことになっているわけなんですね。  そこで、贈与等報告書においてチェックできるということ、情報公開においてまたチェックできると、こういうことになっている。ただ、それは課長補佐以上だということではあるわけですけれども、しかしそこで、私は今回のこと取り組んで思ったことは、やはり改善すべきだと思うということですけれども国家公務員倫理法の第九条の中で、「閲覧を請求することができる。」と、こういうことになっているわけです。  ただ、閲覧だけだと、現物には当たっておりませんけれども、時系列的にその書類が出されたときから並んでいたとすれば、個人で集約する、あるいはどこどこの企業からのものを集約するということができないという現実があるわけですが、いずれにいたしましても、せめて今の時代ですからコピー、複写が可能であるということを認められるようにすべきじゃないかと。現に役所によっては自主的な対応としてやっていらっしゃるところもあるようですけれども、やはりこれは全省的にそういうコピーぐらいできるという、情報公開の精神を普遍的にしていくためにはそういうことであるべきだと思うんですけれども、複写を可能とするようにすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  119. 花尻尚

    政府参考人(花尻尚君) 法律の「閲覧」という言葉の中に複写というのは含まれないというふうに私ども考えております。これは最高裁の判例でもあります。それで、今おっしゃったとおり、省庁によっては独自の判断で複写を認めているところもございますが、多くの省ではそうではございません。  それと、御承知かと思いますけれども情報公開法というのがございまして、それで請求なされば複写は可能でございます。
  120. 辻泰弘

    辻泰弘君 この点は、やはりこういうことがあってはいかぬわけですけれども、やはり情報公開の精神を貫徹するという意味から、コピーができるように、それができないならばこの九条改正ということあるかもしれませんけれども、そのことについてやはり問題意識を持ってお取り組みいただくように申し上げておきたいと思います。  それから同時に、贈与等報告書についてなんですけれども、この贈与等報告書は、本人が当然書いて、課や局の上司の手を経て人事課に届けられると、このようになっているというふうに聞いているわけでございます。  私は、ここも、課や局の上司の手を経るというか、厳密ではないかもしれませんけれども、そういうシステムがどうかというふうにも思うところがございまして、やはり今の情報化社会といいますか、そういう中ですから、その本人が、だれでもできるということはおかしいわけで、本人確認を経なければなりませんけれども、その本人がパソコンに入力してやれば、それでその贈与等報告を作ると、そういうことにすれば、だれだれの贈与報告というと、ぱっと出てくるわけですね、集計が。どこどこ企業に関してのといったら、ぱっと出てくると。  そういう形で、それと、実際こういうことがあったときに、多分選択エージェンシーのときは担当方々は大変な、報告を引っ張り上げるのに大変だったと思うんですけれども、そういった意味においても、やはりこの贈与等報告書の書き方、そのこと自体も、これは厚生労働省だけでできることだと思いますけれども、在り方を考えていくべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  121. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) IT社会というお話ございまして、コンピューター入力というようなお話かと思いますが、この問題については、全省庁に共通する問題でもございますし、一省庁だけですと事例が少ないということもありますので、関係のところとも相談しながら、今後の検討課題とさせていただきたいというふうに考えております。
  122. 辻泰弘

    辻泰弘君 こういった問題が厚生労働省には非常に多いものですから、厚生労働省からでも始めていただきたいというふうに私は思っております。  そういう意味で、国家公務員倫理法の改正、倫理規程の改正、こういったものに、それとまた今の贈与等報告書のことについてもお取組を求めておきたいと思います。  時間が限られておりますけれども、年金局長に来ていただいていて質問時間がなかったら悪いんですけれども、まあ年金局長にまた近いうちにお会いすることが多くなると思いますので、そのことは、質問ができなかったら御容赦をいただきたいと思うわけでございます。  それで、実は逮捕者が、厚生労働省、大変最近増えているというふうに私は思うわけです。それで、今回のこのことも含めてですが、逮捕者の状況と言ってはなんですが、職務にかかわる事由で逮捕された方の人数ですね、教えていただきたいと思います。
  123. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 平成十年以降で申し上げますと、職務にかかわる逮捕者につきまして現在把握しているものにつきましては、平成十年、十一年は該当はございません。十二年が二人、十三年二人、十四年四人、それから十五年が五人、それから十六年が先ほどの広島労働局の事例等もございまして五人となっております。合計、十年以降で数えますと十八人ということで、最近こういった事例が増えているということもありまして、このような事態を重く受け止めて、気を引き締めて、こういった問題が発生しないように万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  124. 辻泰弘

    辻泰弘君 私、これは、十年間の資料出せと言ったら、平成十年以降しかないんだということだったんですけれども、それはまた保存期間ということがあるかもしれませんけれども、しかし、厚生労働省という中央の責任ある官庁の職務にかかわる事由で逮捕された方の記録といいますか、そのことぐらいは過去ずっとあってしかるべきじゃないかと思うんで、そのことを申し上げておくと同時に、やはり最近非常にそういった逮捕者が増えている、また厚生労働行政にもミスがいろいろあるということがあるわけでございますが、こういった意味で、やっぱり国家公務員としての綱紀粛正といいますか、そういった意味での意識をしっかり持っていただくということが大事だと思うんですけれども、時間も参りましたので、最後に大臣に、こういった公務員の方々の綱紀粛正といいますか、しっかりとした公務員としての倫理の確立といいますか、そういったものについての御対処、御方針をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
  125. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 逮捕者が非常に増えてきているというのは、決してこれは好ましいことでないことはもう今更申し上げるまでもないわけでありまして、今後こうしたことが出ないように一体どうしていくのか、これはただ掛け声を掛けただけでは駄目だというふうに思っております。やはり職員一人一人の仕事に対する取組の仕方にこれはかかわる問題でございまして、そうした意識改革から行っていかなければいけないというふうに思っております。  とりわけ、それぞれの事務のトップに立つ者、そうした者がやはりしっかりしてやっていかなければいけないと。過去の経緯、その過去のことを何か継承していくというような気持ちでやっておりましてはいけないということを今一生懸命言っているところでございまして、御指摘いただきましたことにこたえられるように努力する決意でございます。
  126. 辻泰弘

    辻泰弘君 以上で終わります。
  127. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。質問をさせていただきます。  まず、私はホームヘルパーについて質問をいたします。  大変長生きをする時代になっておりまして、女性は更に男性と比較しても長生きをすると。そしてまた、ホームヘルパーをやっている方たちの中でも女性が圧倒的に多いんですね。そういうことを考えながら、私はホームヘルパーの問題というのは非常に重要な内容であるというふうに思っております。このやはりホームヘルパーのいろいろな労働条件や、またホームヘルパーの質的な水準が上がるという問題、こうした問題についてどうしても前進をしなければいけないのではないだろうかというふうに思っておりまして、今日は具体的にお聞きをしていきたいというふうに思います。  ホームヘルパーは、身体介護であれ、そしてまた生活援助であれ、要介護者の自立を支援することを役割としているというふうに考えます。相手の状況に応じてふさわしい自立支援、この自立支援をやっていくわけなんですけれども、その在り方について専門的な判断を求められているというふうに思います。食事を作るといっても、ただ食事を作るだけではなくて、やはり本当に栄養になるのだろうかとか、それからお年を召している方には食べやすいだろうかという、そういう配慮が要るというふうに思うんですね。だから、そういう意味でもやはり専門的な知識が必要だと考えております。  厚生労働省としては、このヘルパーの仕事の専門性についてどのように考えておられるのだろうかということを、まず最初大臣にお聞きしたいと思います。
  128. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今お話しいただきましたように、ヘルパーさんの仕事というのは、それがいわゆる身体に対するものであれ生活に対するものであれ、大変重要な役割を担っておみえになるというふうに私も思っておりますし、これから更に、今もお話ございましたとおり、女性は一層長生きされるということもございますが、男性であれ女性であれ、その人に対する、介護していただきます方は女性の方がまた多いということも事実でございます。  今もお話ございましたとおり、食事一つを作るにいたしましても、その人が本当に十分に飲み込むことができるのか、嚥下困難を起こしたりして、そして肺炎を起こしたりするようなことがないのかといったようなことを考えますと、やはり料理方法というのもかなり考えていかなきゃならない話でございます。  そうしたことを考えますと、やはりかなり専門性のあるお仕事ではないかというふうに理解をいたしております。
  129. 井上美代

    ○井上美代君 これから本当に高齢社会になるということで、ホームヘルパーの需要が高まることが予想されているというふうに思います。専門性を持ったホームヘルパーの雇用を促進する必要があるというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。大臣に御答弁をお願いします。
  130. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今お聞きいただきましたのは、ホームヘルパーの雇用の促進についてでございましたでしょうか。
  131. 井上美代

    ○井上美代君 そうです。
  132. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これだけ介護を受ける人の人数が増えてくる、あるいはまた痴呆性老人の人が増えてくるということになってまいりますと、それに対応していただく介護の人たちもまた増えなければならないし、質的な向上も目指していただかなければならない。働いていただく皆さん方のその体制というものも考えていかなければならない。この雇用という問題につきまして、やはりそれなりに整理をしていかなければいけないというふうに思っているところでございます。
  133. 井上美代

    ○井上美代君 雇用は大事だということを御答弁くださいましたけれども、もう一問大臣質問をしたいと思います。  日本労働研究機構というのがあります。これは現在厚生労働省の所管の独立行政法人になっておりまして、労働政策研究・研修機構というふうになっておりますけれども、ここが昨年三月に出した報告書があります。このタイトルは、「ホームヘルパーの仕事・役割をめぐる諸問題」と、こういうふうになっております。これを見ますと、ホームヘルパーの正社員の一年未満の経験者と、そしてまた女子学生の初任給の分布の状況を比較しております。  皆さん方のお手元に今資料をお配りしてあるというふうに思いますが、それの表、裏が、表、裏に資料がありますけれども、まず表のところですけれども、表の上の方に、女子学生の学歴別初任給及び経験一年未満の正社員のヘルパーの月収というのがあります。この一番左側をまず見ていただきたいんですけれども、十五万円未満というのがあります。一番下が、この線が、ちょんちょんとあるのがこれ大卒なんですね。そして、大卒でその人たちの月収が十五万円未満というのは一九%、そうですね、大卒が一九%。そして、その次のところに二〇・一というのがあるんですけれども、これは高専ですね、それから短大卒です。そして、そのまた上に行きますと四七・六というのがあります。これが高卒ですね。そして、その上に四九・五というのがあります。これはヘルパーなんです。ヘルパーさんなんです。結局、ヘルパーさんのところに十五万円未満というのが一番多いということがこの表で分かるということなんです。  このように、やはり女子学生の初任給の分布状況を比較しても、こういうふうになるよということを示している資料なんですけれども、正社員でこのような十五万未満というところに集中をしていると、約半分があるということが示されているんですね。二人に一人ということになるんですけれども、この資料を見ておりますと、高卒の初任給よりも十五万円未満の比率というのが高いというこのヘルパーの状況ですね、やはりここに注目をしたいというふうに思うんです。  報告書も結論として言っておりますのは、主たる生計維持者が二人に一人という正社員ヘルパーにとって、生活を支える収入が得られないという悩み、不安を持つのはもう当然で、質の高い人材の確保のために賃金面の待遇改善を進める必要を痛感するというふうに、この日本労働研究機構、これは言っておられるんですね。そういう意味で、賃金面の待遇改善を進める必要を痛感するというふうに、そしてまた質の高い人材の確保ということも言われているんです。  私、全労連の調査、まだこれは発表していなくて、中間のをいただきましていろいろ見たんですけれども、それもこの資料に入れておきました。これを見ていただいても、集中しているところが、有効パーセンテージのところを見ていただきたいんですけれども、五万円以下から、五万円から七万円以内、七万円から十万円以内、十万円から十五万円以内と、こういうふうにありますが、そこに集中をしているんです。二五・八、一八・九、二四・六、一八・二とありますが、これを全部足しますと、その右手の方に累積のパーセンテージということで八七・四%というのがあるんです。結局、八七・四%の人たちがここに集中している。五万円から十五万円以下ですよね、というところに集中しているということがはっきりすると思います。  こういう数字からは、ホームヘルパーが低い賃金であっても重労働の中で本当に懸命に頑張っている姿が浮かび上がってくるというふうに思うんです。やはり専門家として賃金を引き上げて、そして専門家としてふさわしい処遇のためにやはりどうしても賃金の改善が必要だというふうに思うんですね。  そういうことで、大臣に、賃金を上げて、そして質を高くしていくという、ここのところが重要であると思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。
  134. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今、確かにこの表を初めて見せていただくわけでございますが、これでいきますと、これは初任給ですかね、このカーブは。
  135. 井上美代

    ○井上美代君 そうです。
  136. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 初任給ですね。  初任給とはいえ、私が感じておりましたものとはいささか低いなという感じを私も受けるわけですが、これは、働かれますときにそこで経営者の皆さんとお話をして決定されることでありますから、一概に私が申し上げることはできませんけれども、しかし、専門性を高めて、そして最初は若干低いことがあったとしても、経験を積んでいくという実績があれば、これは更に賃金というものも上がっていくようにこれはしなきゃいけないというふうに思います。  介護さんの場合にも、お受けいただきますときにはいろいろの違いもあるようでございますけれども、経験をどういうふうに積んでいただいて、どういう状況になったらその人にどういう資格を与えるとかいったようなことも今後は少し検討をしていかなければいけないのかなという気がいたします。  この表を拝見させていただきまして、そう思った次第でございます。
  137. 井上美代

    ○井上美代君 私は、やはりこれを改善しない限りは老後の介護というのがなかなか大変だなというふうに思っております。  この低賃金は、ホームヘルパーの人材確保という点でもやはり障害の一つになっているというふうに思いますので、それも強調したいと思います。  介護労働安定センターがあります。これは財団法人なんですけれども、昨年の調査があります。事業所のうち、ホームヘルパーが不足をしている事業所の割合というのが全国で四二・一%で半分近くなんですね。ホームヘルパーが不足しているということは、私はそれほど不足はしていないだろうというふうに思っていたんですけれども、不足をしているんです。ケアマネジャーよりも不足をしている事業所の割合が高くなっております。傾向としては都市部で高くて、もう東京なんというのは実に七四・五%もの事業所が不足というふうに答えているんですね。  その一方で、同じ介護労働安定センターの二〇〇一年の調査があるんですけれども、これを見ておりますと、ヘルパーの研修を受けた人で介護の仕事に就いていない人にアンケート調査をしておりまして、その内容、そのうち二六・五%、これ四人に一人になりますけれども、四人に一人以上が労働条件が悪いため介護で働いていないと、こういうふうに労働条件を介護ヘルパーとして働かない理由に挙げておられるんです。その労働条件が悪いために就かない人が、その理由を、表ができているんですけれども、その表の一番上に賃金が安いというのがトップになっているんですね。だから、そういう点でも賃金の問題というのがヘルパーさんの間でも大きな関心になっているということが分かるというふうに思いました。  賃金の安さが人材確保の障害の一つになっているということはこうした統計を見るだけでも明らかではないかなというふうに思います。厚生労働省がその点どう考えておられるのか、参考人の御答弁をお願いしたいと思います。
  138. 青木功

    政府参考人(青木功君) 介護労働安全センターの調査についての御質問でございます。  平成十五年の十二月に介護労働安全、労働安定センターで今御指摘調査を行ったわけでありますけれども、確かに、都道府県別にホームヘルパーさんの不足事業所の割合、大きなばらつきがございます。  既に御案内のように、雇用が、雇用のトータルな増加の中で、実は医療、福祉、介護労働者の皆さん方が増えていることによる雇用増というのは相当なものがございます。そういう中で、やはりある意味で二つあると思いまして、一つはやはり地域の雇用情勢等もかなり影響があるのではないだろうかと。東京とか神奈川、あるいは中部地域、例えば愛知県といった、愛知地域等はかなり雇用も良くなってまいりまして、言わば求職者の方々の選択範囲も非常に広がってきていると。言わばそういう意味で労働条件のミスマッチみたいなことも一つ影響があるのではないかなというふうに思っておりますけれども、今先生お話しになりましたけれども、介護労働者の方々仕事に対する不満、これは給与だけではございませんで、例えば腰痛とかそういったものになるような御自身の健康面の不安であるとか、あるいはお仕事の中で休暇が取りにくいといったようなことも挙がってきておりまして、こういった人材不足の解消に当たりましては、賃金もそうでございますけれども、トータルの意味での仕事の魅力付けといいますか、雇用管理の改善も重要ではないかなというふうに思っております。  そこで、厚生労働省の施策といたしましては、事業主がきっちりとした雇用を作り、安心して働けるように、例えば健康診断の実施であるとか、あるいは次のレベルの高い資格を目指すときの教育訓練の受講の支援であるとか、そういったことで、働く人たちの環境と御自身の言わばステップアップというものを援助をすると、こういったことを通じて、言わばミスマッチを解消していい仕事をしていただけるような環境を作るというようなことに努力をしているところでございます。
  139. 井上美代

    ○井上美代君 私は、次のところで資料にも出しております、裏側のトップのところに、一番上にありますけれども、移動時間の問題で質問をしたいと思います。  私、以前、当委員会質問をしたのですけれども、ホームヘルパーの移動時間、そしてまた研修の時間について、労働時間であるにもかかわらず賃金が支払われていないという状況が依然として今も続いているということなんです。  これは資料に出しました全労連の調査なんですけれども、資料の裏側です。ここでは四割が支払われていないと、四〇・七%ですけれども、四割が支払われていないということで、移動時間、移動をするんですけれども、移動時間は結構掛かります。しかしながら、それが支払われていないということなんです。これは言うまでもなく労働基準法違反ですけれども、労働基準監督署によっては事業主への集団指導による啓発なども行っていると聞いております。  厚生労働省として、この問題についての改善について今までにどのような努力をされてきたのでしょうか、また今後どのような施策を考えておられるのでしょうか。時間が大変、私短くしか持っていないものですから、長くならないように御答弁をお願いしたいと思います。
  140. 大石明

    政府参考人(大石明君) 移動時間あるいは研修時間、こういったものが使用者の指揮命令の下に行われていると、こういうことであれば労働時間ということで賃金が支払われる必要があるということは御指摘のとおりであろうかと思います。  厚生労働省といたしましては、今委員も御指摘いただいたように、集団指導でありますとか、あるいは個々のケースで不適切なケースを把握した場合での指導と、こういったような形で指導を行ってきているところでございます。今後ともいろいろな機会をとらえて指導を強めてまいりたいというふうに思っております。
  141. 井上美代

    ○井上美代君 集団指導による啓発などということは是非やっていただきたい。全国的に行うなどの、やはりやっていただければ、これは全国的に改善も進むんじゃないかというふうに思います。是非その点をお願いしたいというふうに思います。  次に、いわゆる登録ヘルパーと言われる人たちが働いています。これについて少し考えてみたいというふうに思うんですけれども、基本的なところで、登録ヘルパーについてボランティアという見方が背景にあるのだというふうに思いますけれども、労働者として見ない見方というのがあります。また、委託や請負のように見る見方もあるんです。私は登録ヘルパーも労働者だというふうに思っているわけなんですけれども、この登録ヘルパーも使用者の指揮の管理の下にあるわけなんですね。ヘルパーの仕事をしているのであり、労働者であるということは間違いがないというふうに思います。厚生労働省はその点をどのように考えているのかということをお聞きしたいと思います。御答弁お願いします。
  142. 大石明

    政府参考人(大石明君) 登録ヘルパーというのがいわゆる介護保険制度に基づく際に使われている形であるならば、これにつきましては指定訪問介護事業所の管理者の指揮命令下にある者というふうにされているところでございます。  私どもといたしましては、仕事の実態に応じて契約というものの種類にかかわらずその個々のケースごとに判断するわけでございますけれども、今申し上げましたように、訪問介護事業所の管理者の指揮命令の下にあってそうした状態で働いていると、こういうことであれば労働基準法上の労働者であるというふうに一般的には言えるのではないかというふうに思っております。
  143. 井上美代

    ○井上美代君 私は、まだまだ専門性を身に付けるという点では不十分なところもあるかというふうに思いますけれども、今御答弁いただいたように、やはり登録ヘルパーもこれは労働者だということで見なければいけないというふうに思っております。  この登録ヘルパーについては、労働者性があいまいにされたことも背景に考えられますけれども、やはりきちんと書面で労働契約結んでいなかったり、あるいは労災保険に加入させていないというケースがほかの労働形態に比べて多くあるというふうに思います。  資料のところに、労災に入っているかどうかということであります。これは全労連の調査ですけれども、ここを見ていただきますと、上の方に労災保険への加入というのがあって、加入している、加入していないというのがあります。直行直帰というのがあって、直接働く、ヘルパーとして働くそのお宅に直行して直帰しているという人のヘルパーさんの場合ですけれども加入しているというのは五六・〇%、加入していないというのが八二・六%というふうになっております。このように、労災保険に入っていないケースというのが多いということがここではっきりするというふうに思います。  書面での労働契約の締結、そして労災保険への加入をどうしても促進しなければいけない。外をあっちこっち走り回って、広い範囲を回って歩くのが仕事ですから、そういう点でも労災保険に加入しておくということが大事だというふうに思っているわけなんです。今のこのような統計の現状では非常に心配なわけなんです。  厚生労働省としてはどのような施策を考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
  144. 大石明

    政府参考人(大石明君) 登録型あるいは一般的な介護ヘルパーにつきまして、厚生労働省としては、労働基準法に基づく労働条件の明示が適切に行われるよう、これまでも集団指導等の指導を行ってきたところでございます。また、労働保険の未手続事業につきましては、都道府県におきまして監督署あるいは公共職業安定所との連携によって未手続事業の的確な把握に努める、あるいは広報等による自主的加入の促進、あるいは労働保険事務組合を活用した適用促進、こういったことにより、あらゆる機会を通じて未適用事業所の解消に努めているところでございます。  今後ともこういった形での努力を続けてまいりたいというふうに思っております。
  145. 井上美代

    ○井上美代君 非常にやはりヘルパーさん、労働者の条件というのは具体的なんですけれども、ヘルパーの場合は非常に後れている部分が目立っているんですね。だから、そういう意味でも是非厚生労働省に期待をしたいというふうに思いますので、是非今の指摘した点など進めていただきたいというふうに思います。  引き続きこの登録ヘルパーについてなんですけれども、介護労働安定センターというのは先ほど申し上げましたけれども、そこが昨年六月に登録型ヘルパー研究会報告という報告が出されているんですね。私はこのたびいろんな資料を読ませてもらいましたけれども、やはり結構参考になるいろんな資料があるということを改めて知りました。  この報告では、改善への提言があるんです。そして、登録型ヘルパーは、日々雇用は、週雇用もあるが、中心は月雇用であり、つまり一月単位の雇用であって、月ごとの契約に移行していくことが望ましいと、こういうふうに言っているんですね。さらに、月契約が恒常化している場合は、労働者の希望によって所定の労働時間の定めのある雇用契約に移行していくのが望ましい、労使にとってもメリットがあると、こういうふうに書いてあるんですね。  そして、アンケート調査でも、登録ヘルパーのうち、この勤続年数の長い人ほど賃金の低いことや不安定な雇用形態に不満を持っていますということなんですね。このように、やはり自分がいろいろできるようになった人からすれば本当に不安定な労働なわけなんですね。だから、そういう意味でも改善が、急いで改善することが求められているというふうに思います。  地方では、幾つかずっと全国的に見れば教訓が既にあるんですけれども、今日は京都の例を一つ挙げておきたいと思いますが、京都の社会福祉法人京都福祉サービス協会というのがありますが、ここでは一か月に最低四時間は業務を保証するという、こういうことを決めておりまして、労働と所得を保証し、基本的には登録ヘルパーを解消する取組を行っているということなんです。だから、そこでは登録ヘルパーというこの言葉がなくなっているんですね。だから、そういう点でもやはり努力が既にされているということです。  こういった提言だとか、実践例も全国的に見れば生まれております。だから、厚生省としても是非こうしたヘルパーの雇用とそして所得の安定化、これを進める必要が、そしてまた進める時期が来ているんだというふうに思うんですね。  登録ヘルパーについては、そのような雇用を、雇用形態を望んでいる人がいるという、こういうふうに言われることもあるんですけれども、私は、自分がいろいろ現場へ行って触れたりいろんな資料を読んで、それはやっぱり例外的なことだと、登録ヘルパーでも働きたいという意欲を非常に持っているんですね。だから、そういう点で正社員や普通のパートにしていくということが、努力がもう非常に求められているというふうに思いますけれども厚生労働省はいかがお考えになりますでしょうか。
  146. 青木功

    政府参考人(青木功君) ただいまも、先ほど申し上げました介護労働安全センターの調査についてお触れになったわけでございますが、先生がおっしゃいましたけれども、この登録型ヘルパーを志す方々、非常に意欲の高い方々であるという調査結果も併せてあること、御案内だろうと思います。  重複回答でありますけれども、この仕事に就く動機として、介護や福祉の仕事に関心がある、あるいは介護の知識や技能を身に付けたかったからという方々が三分の二ぐらいおられると。ほかに仕事がなかったというふうな消極的な事情の方は八・八%ということで、非常に意欲の高い方々が入っておられるということでございます。また、あわせて、この仕事を選んだメリットとして、自分の都合のよい時間や日に仕事ができる、あるいは勤務時間や日数が短くて済むと。そういう意味で、非常に志が高く、そして御自分の生活と調和しながらこの仕事に就きたいということでスタートをされている方が多いということも御案内だろうと思います。そして、こういう中で結んでいくことによって、この実績を積んだ上で、次のステップの仕事の形態に入っていくということもあろうかと思います。  それから、お話にございましたように、この報告では、介護保険制度の中で月間勤務表をホームヘルプサービスの中で導入をするというようなことも前提にしつつ、月単位での雇用契約の形態がいいのではないかという提言をしております。これも専門の方々の提言でございます。  こういった様々な情報、そして働く方々の意識というものをその経営者の方々にもお伝えをするという中で次の新たな雇用形態が生まれていくものというふうに期待をいたしております。
  147. 井上美代

    ○井上美代君 これもこれからの努力が懸けられている問題ですので、是非先へ進むようにお願いしたいというふうに思います。  登録ヘルパーに多い問題として、キャンセル問題というのがあるんですね。キャンセル問題という、このことなんですが、それで所得の減少があるということなんです。お年寄りというのは本当にあしたがどうなるかということがあるわけなんですね。だから、もう利用者が高齢であればあるほど入院をするということが突然起きるわけなんです。そして、あるいは本当に悲しいことですけれども突然お亡くなりになるという、そういうケースもあります。そうしますと、この登録ヘルパーの場合は行くことを約束していたらたちまち仕事がなくなるんですね。これをキャンセルというふうに言っているわけなんですけれども。労働基準法上は、使用者が責任を負うべき理由で仕事がなくなった場合には労働者の従来の所得の六割を保障するということが労基法の二十六条で決めてあるわけなんです。規定があります。  登録ヘルパーの場合、日々雇用、月雇用など様々ですけれども、キャンセルなどのケースというのは、六割保障というのはどうなるのだろうかというふうに思います。これも将来的に言えば、事業者とそしてまたヘルパーさんと、そしてまた利用を約束していた人、そしてまた保険とか、こういうところからみんなでやっぱり出し合っていくべきじゃないかというのもあるんですけれども、何しろ登録ヘルパーさんの負担になっているということがあるんですね。  これは全くおかしな話だというふうに思うんですけれども厚生労働省として、登録ヘルパーがキャンセルなどで所得を失うということ、こういう実態を改善していただきたいという、こういう要求があるわけなんです。特に、事業主への啓発などもやはり厚生労働省としては必要だというふうに思いますけれども、どうやって改善していこうというふうに考えておられるのかという積極的なその姿勢を御答弁いただきたいというふうに思います。
  148. 大石明

    政府参考人(大石明君) 委員指摘のように、労働基準法二十六条におきまして、使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合には休業手当を支払わなければならないと、こういうふうになっておりますが、この使用者の責めに帰すべき事由に当たるかどうかというのは、個々具体的に判断していかなければならないものであるというふうに思っております。  一般論として申し上げれば、事業主の故意、過失、あるいは信義則上これと同視すべき場合、あるいは企業の経営者として不可抗力を主張し得ないすべての場合を含むものというふうに考えているところでございます。いわゆる介護労働、介護ヘルパーの休業の場合につきましてもこれを敷衍して考えていかなければいかぬというふうに思っておりますけれども、当該労働者を他の場所に、他の就業先に訪問させる、こういった可能性があるかどうか、あるいは過去のことでいえば、そういった努力があったかどうか、こういったこともまた含めて種々判断していかなければならないことというふうに思っております。  いずれにいたしましても、その当該業界、業種団体に対して、休業手当というものを払うことがあり得るということは十分集団指導等を通じて指導してまいりたいと、こんなふうに思っているところでございます。
  149. 井上美代

    ○井上美代君 これまで努力もしてくださっているとは思いますけれども、更に努力をしなければ今申し上げました現状というのは先へ進まないわけで、そういう意味でも頑張ってほしいというふうに思います。  最後に、私は大臣質問をしたいんですけれども、今日はいろんな数字も出しました。そして現状も申し上げたんですけれども、やはり登録ヘルパーの実態ももう大変なものだということが伝わったかなというふうに思っているんですけれども厚生労働省としてこれを改善していくということは当然だというふうに思いますけれども大臣決意をお聞きしたいと思います。
  150. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ヘルパーさんのお仕事というのが非常に専門性の高いお仕事だということは、私も実際に拝見をしながら知っているわけでございます。まだまだ介護制度を導入されましてそんなに長い時間がたっておりませんので、介護さんの必要性、介護さんのいわゆる専門性というものに対して十分な社会的な認識があるかといえば、私はまだ足りない面もあるというふうに思っております。介護する皆さん方の専門性というものをやはり高めなければならないし、その介護の皆さん方によっていかに違いが出てくるか、その介護を受ける人の将来にとって大きな差が出てくるということをもっと理解をしなければいけないというふうに思っております。  それだけに、介護を行う皆さん方の技術的と申しますか、技術的な問題も含めてその質的向上を図っていかなければなりませんし、皆さん方がそれが登録制であれあるいはどこかに定着をしてお勤めになる場合であれ、それらはやはりそのお仕事にふさわしい賃金というものが支払われなければなりませんし、あるいはまたその労働条件というものもやはり確保されていかなければならないというふうに思っております。皆さん方に是非ひとつ今後も努力をしていただきたいし、我々の方も整備をしなければならないというふうに思っている次第でございます。
  151. 井上美代

    ○井上美代君 やはり高齢社会の中でこの努力というのはもっともっと私たち真剣に、厚生労働省もその担当省庁として頑張ってもらわなければいけないというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。  時間があと少し残っておりますので、私は選択エージェンシーの問題を質問したいというふうに思います。  当委員会でも私も何度か取り上げてまいりましたこの選択エージェンシーの問題ですけれども、先日の報道で、これ五月の五日だったと思いますが、国立がんセンターで英文の案内パンフレットの制作、印刷を選択エージェンシーに発注したというものがありました。しかも、値段もこれは一冊一万円という値段ですけれども、国立がんセンターあるいはその他の国立病院関係の施設の発注状況、そしてまた契約状況はどうなっているかということを御答弁願いたいと思います。
  152. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 国立がんセンターを含みます施設等の機関においての選択エージェンシーとの間の契約実績については現在確認作業を進めております。監修料の問題でいろいろと今まで調べておったものですから、国立がんセンターなどについては監修料の受領はないという話があったんですが、先日の報道で発注の話だということで、急遽改めて各施設に話を聞いておるところでございます。もうしばらくしたらば事実関係その他御説明できると思います。
  153. 井上美代

    ○井上美代君 調査は是非急ぎ出していただきたいというふうに思います。やはり調査が進みませんと実際のどうなっているのかという問題が究明されないわけですから、是非急いでほしいというふうに思います。  もう一つは、私質問もしておりまして、調査も幾つか発表を出していただいているわけなんですけれども、四月の二十二日、更に追加して二十七日、厚生労働省から選択エージェンシーにかかわる監修料の受取状況というのが報告されました。この調査というのはまだ途中だというふうに私は思っているんですけれども、それとも二十七日の報告というのを最終というふうになっているんでしょうか。その点について厚生労働省答弁願います。
  154. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 今御指摘のありました四月二十七日の調査でありますが、これにつきましては、当省の職員選択エージェンシーから報酬を受けて書籍等の監修等を行ったとの報道を契機として、平成十年度以降、厚生労働省それから社会保険庁職員がエージェンシーから報酬を受けて監修等の作業に当たった書籍、ビデオ等を調査したものでございます。  これにつきましては、厚生労働省それから社会保険庁地方支分部局や施設等機関も本調査の対象になっておりますので、取りあえずこれについては一つの区切りと考えております。
  155. 井上美代

    ○井上美代君 そのほかについても調査をやっておられるんでしょうか。
  156. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 地方支分部局等も含めて調査をやったものでございますので、何か新しい情報があれば調査いたしますが、これはこれで完結しているものと考えております。
  157. 井上美代

    ○井上美代君 私は、先ほど辻議員も言われたんですけれども、プール金の問題というのは、これはやはりまだ調査が終了してはいないんだというふうに思いますけれども、現在、調査はどこまで、どのようにやられているのか。先ほどの御答弁聞いておりまして、もう先が、やる気持ちがないのかなとも思ったりもしたんですけれども、そこを答弁していただきたいと思うんです。  選択エージェンシーに関しては、やっぱりプール金の問題というのは非常に重要だと思うんですね。なかなかはっきり納得いくような回答はまだいただいておりません。キャリアのかかわりの問題、そして、そもそもなぜ選択エージェンシーが数年間で莫大な官庁の受注を取ることができたのか、まだまだ調査しなければならない。もう本当に徹底解明なしに再発の防止はないというふうに思います。再発の防止のためにもその全容が解明されなければいけないというふうに思うんです。  その点について質問をして、私の質問を終わります。
  158. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 私ども、国保中央会のことに端を発しましてこの問題が出ましたことから、私ども窓口で、国保中央会に関係する分、それから社会保険庁関係分あるいは医政局関係分、全部この監修料の使途につきましては省内で調べたところでございます。  そして、まず、何度も申して恐縮でございますけれども、職務外で職員が自らの仕事として受け取った監修料であって、個人の所得として税の確定申告を行っているということが一点、そして、受け取った監修料の使途は聞き取った限り様々なものであり、個人的な夜食代やタクシー代あるいは書籍代等も含まれているということでございます。  しかしながら、職員個人が受け取った監修料の使途につきましては、あくまでも個人の問題であり、これ以上細かに調べることは事柄の性格上適当でないということで、私どもこれまで調査した限りのことで、これは先ほど申しました、これまで申しておりますように、組織の責任者である課長自身も関与しておりませんし、承知しておりませんし、あくまでも個人レベルで行われておりますことから、組織的にプールしたものではないという理解で御説明さしていただいているところでございます。
  159. 井上美代

    ○井上美代君 終わります。
  160. 西川きよし

    西川きよし君 西川でございます。よろしくお願いいたします。  本日は、私の方からは介護保険制度のことについてお伺いをしたいと思います。  委員長、ちょっと、お替わりの間、お待ちしていいでしょうか。
  161. 国井正幸

    委員長国井正幸君) はい。
  162. 西川きよし

    西川きよし君 よろしゅうございましょうか。  それではお伺いいたします。  介護保険法については、附則の中で、サービスの提供体制であるとか費用、国民負担又は障害者の方を対象にするかどうか見直しの規定がございますけれども、現在、その見直しに向けて作業のもう真っただ中と思うわけですけれども新聞等々、いろいろと動向が伝えられております。  基本的なこの見直し、まず坂口厚生労働大臣からお伺いをしたいと思います。
  163. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この介護問題、スタートしましてから四年経過をしたわけでございまして、いよいよ来年見直しの時期を迎えております。  現在、四年を経過いたしましたその中で、何をこれから今までどおりに伸ばしていき、何を変えなければならないのか整理をしなけりゃいけませんので、今御指摘いただきましたとおり、鋭意今進めているところでございます。  現在、まだいろいろの御意見を聞いている真っ最中だものでございますから、大きくこういう方向で行きますということをここで御答弁申し上げることができなくて残念でございますけれども、様々な角度から御議論をいただいている。  ただ、一つ言えますことは、非常に介護の受け手、受けられる皆さん方が増えてまいりました。その増えてまいりましたのは、どちらかといえば介護度の低い方あるいは要支援の方、そうしたところ、要介護一、二といった低いところの方が非常に多い。低い方が多いんですけれども、その皆さんが実際問題として介護を受けていただいて、そして良くなっていただくとか、あるいは悪くなるのがそれでストップするということになっていればいいわけでございますが、なかなかそうなっていないという現実があるものですから、ここをどうクリアしていくかということが最大の課題であるというふうに思っている次第でございます。
  164. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  ただいま大臣もおっしゃいました見直しの課題の問題ですが、そもそもこの制度がスタートする時点でいろいろと考えたわけですけれども、実際の制度が動いてきた中で具体的な課題として上がってきたものが、それぞれ具体的な課題がまたあるわけです。  その中で、いつも御答弁をいただくんですが、中村局長さんのお話、書き物もいろいろ読ましていただいたり、御答弁をいただいたりして勉強さしていただいておりますが、局長さんは痴呆の皆さんのケアのことをかなり最近は強く強調していただいている。我々としては大変うれしいことですけれども、この痴呆の問題、今に始まったことではないんですけれども、なぜ今局長さんは痴呆なのかということを是非本日はお伺いしたいと思います。
  165. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) いわゆる痴呆性高齢者のケアの問題でございますけれども、高齢者の介護におきまして、身体の、例えば寝たきり老人の方の介護と並んで痴呆性高齢者の方の介護が大事だということは、もう随分昔から強調されてきたところでございます。  厚生労働省といたしましても旧厚生省の時代からその認識はございまして、例えば昭和六十一年に痴呆性老人対策本部というのを作って、どうも身体介護に比べて痴呆性高齢者介護の取組は後れているということで努力はしたわけでございますけれども、なかなかやはり難しくて、寝たきり老人対策のようには進んでこなかったということが現実でございます。  大臣からもお話ございましたように、介護保険制度が平成十二年からスタートいたしまして、要介護認定もさしていただいております。かつて分かりませんでした痴呆性高齢者の実態も、要介護認定をさしていただいている中で見えてまいりまして、今、要介護認定で該当されている方の約半数の方に何らかの痴呆、しかも見守りなどが必要な痴呆の方がおられると。それから、今、七十万人を超える方が介護施設に入っておられますけれども、八割の方がこれに該当、痴呆の状態にあるということで、これからの高齢者介護を進めていくためには、痴呆性高齢者のケアに対応できるケアにしていかなければこれからの高齢者介護はないという状況まで来ている。  しかも、高齢化の進展に伴いまして、今後こういった方々がますます増えるということが見込まれておりますので、私ども、介護保険制度の見直しも大事でございますが、サービスの提供の面では痴呆性高齢者のケアに対応できるサービスというものをこれから我が国にもっともっと作っていかなければならない、こういうふうに考えておりまして、いろんなところでそういったことについて、介護を担当される方、また介護を受けておられる方々に対しましてもお話をさしていただいているところでございます。
  166. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  私、時間が短いもので、三番、四番続けさしていただきたいと思いますが、局長さんのお話で、道具立てが現状とマッチしていないのではないかという表現がいろいろ、インタビュー、書き物の中でもございますけれども、寝たきりのお年寄りは優遇されているけれども、しかし、痴呆で、しかも動き回っている大変なお年寄りが在宅にいて家族が困っているということでしょうと、こういった部分も読ましていただきました。  我が家も、いつもお話をさしていただくんですけれども、かなり父親が最近弱くなってまいりまして、ケアマネジャーさんとスケジュールなど等々を調整させていただきます。当日、行かなければいけない。行きません。病院の方に行きます。勝手に点滴を抜いたりして部屋じゅう血だらけになんかにして大変病院に迷惑を掛けたりも、ほん先日のことですがございました。そして、おうちに帰ってきたい。帰ってくる。おうちでは大変なことになります。我々では対応できない、どうしたらいいのかな。  本当に家族ではなかなかコントロールできないわけですけれども、夜などは十五分、二十分置きぐらいに、奇声とまではいかないんですけれども、とにかく、誠にこういう形容して申し訳ないんですが、しょんべんに行きたいと、おれは行くんだということで、十五分、二十分に一回ぐらいということで、家内やら娘、嫁、僕もいるときはなんですが、こうして質問をさせていただいている間も家ではそういうことが全国であると思うんですね。ですから、そういうことをいつも真剣に御答弁をいただいて、局長さんには、大臣には本当に感謝をしているわけですけれども、何とかいい方法がないのかな。  しかし、その痴呆というものを受け入れるのにはすごくエネルギーがやっぱり要ります、家族全体で。そもそも、その初期症状と申しましょうか、うちのおじいちゃんは、うちの母親、うちの父親はというふうに、どうしても家族は受け入れたくない。突然、あんたはだれ、何、どこそこのどなたさんですかみたいなことを言われると本当にショックなんですけれども、毎日世話をしておる人間がそういうふうに言われたりもするわけですけれども、この介護保険制度が始まって、本当に全国の皆さん方は喜んでおられます。よかったと思います。  様々なサービスが充実されていっているわけですけれども、一方で、最初の一歩と申しましょうか、悪くなればサービスが受けられるけれども、初期の段階の相談、助言、情報の提供、こういった体制というのは少し僕自身遅れがちではないかなというふうにも素朴な疑問として思うんです。特に独り暮らしの方、独り暮らしの方に痴呆症状が出た場合は、現場でも大変これは難しい問題になっております。そしてまた、痴呆に専門的な知識がやっぱり乏しい、そういった家族、御家庭では、本当にそういった部分では太刀打ちができないわけです。  この部分をいかにして専門家の支援をいただくか、そういったところと結び付けるか。局長さんのおっしゃっておられるその道具立てとは、今後はどのように見直していけばいいのかというのも是非御答弁をいただきたいと思います。
  167. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 先ほども先生からも御指摘ありましたように、先ほども申し上げましたとおり、大変これまでの高齢者介護対策、寝たきり老人対策としては進展してまいっております。  道具立てがどうも現状にマッチしていないと申し上げておりますのは、先ほども申し上げましたように、七十万人を超える方が介護三施設に今入所されておられます。八割の方が痴呆の症状、入所者の方が痴呆の症状があると、こういうことでございますが、いわゆる身体機能が自立されておりまして重度の痴呆の方、何といいますか、表現が適切かどうかはあれですが、動き回れる、徘回する可能性がある痴呆性高齢者の方は二十五万人全国にいると言われておりますが、そのうち十五万人の方が実は在宅におられまして、施設の方七十万人のうちの八割、痴呆性高齢者の方がおられる、また、動き回れる痴呆の方は大変一番介護に家族も大変だと言われているわけですが、三施設におられる方は十万人もいないということで、私がミスマッチがあると申し上げておりますのはこういった点でございます。  こういったことを解消していかなければならないわけですが、今先生からお話がありましたもう一方の問題として、痴呆の問題は御本人の方がなかなかサービスを受けるというふうに申し出る力が弱ってくるという問題がありまして、介護保険、自分で選んでいただくということが基本になっているわけですが、そういうシステムの中になかなか乗りにくいと。また、御家族の方はなかなか自分の家族が痴呆になったということを認めたくないという気持ちもありますし、そういった意味で早期発見、早期の対応ということが遅れがちということも御指摘のとおりでございます。  これは、痴呆ということについてのいろんな専門職も含めて理解を深めていかなければなりませんし、早期発見すれば、最近では、対症療法ではございますけれども治療の可能性のある痴呆性高齢者の方が私どものある報告書では七割くらいいるんじゃないかという指摘もさしていただいておりますし、痴呆、かなり早期に対応すれば重度になるのを抑えられる期間が長くなるということで、御本人のためにもなりますし、また、御本人がいろいろ重度になった場合のことに備えての自己決定もできるとか、御家族の方とサービスの受け方などについても相当慣れることができるということで、その方の痴呆になってからの暮らし方についても相当改善されるということがありますので、早期発見の重要性も大事だと考えています。  今、こういったことにつきましては、何とか来年の法律の見直し、あるいは再来年の介護報酬、診療報酬の改定などもにらみながら痴呆性高齢者対策を進めることができないか。その際、お話にありましたように、地域の専門家の方自体まだまだ御理解いただいていないという問題、また、痴呆という言葉がちょっとおどろおどろしくて、やはり御本人が、そういう痴呆予防活動なども最近は盛んに行われておりますが、痴呆予防と言われると、普通の方が、あるいはハイリスクの方でも参加することに二の足を踏むというような問題もございまして、その痴呆という名称自体ももう少し国民の方々に恐怖感を与えないようなお名前に変えていただけないかという陳情も大臣のところに専門家の方からいただいているような状況でございますので、そういったことも含めまして総合的に痴呆対策に取り組んでまいりたいと考えております。
  168. 西川きよし

    西川きよし君 どうもありがとうございました。  正直に申し上げまして、例えば夜夜中ですけれども、何度も何度も本当におトイレにということで起こされたり、そしてまた、我が家は定期的なことですけれども、携帯用のトイレが倒れたりとか、倒したりとか、それはもう大変なにおいで、みんなが、家族が夜中にぞうきんを持って大騒動になるわけですけれども。そして、家の中で徘回というようなことで、まだ家の中ですからまだいいな、本当に家族が多くてよかったなというふうにそういったときに思うわけですけれども、こんな生活が続いてしまえば、本当に虐待につながると。  いろんな資料も見たり聞いたりして私も勉強させていただいたんですが、やっぱり一番多いのが、虐待をするのが、何と、せんだってもこのお部屋で児童虐待の御質問をさせていただきましたけれども、一番多いのが実母でした、大臣、ね。実母でございましたけれども、この高齢者の虐待は何と三割は息子だという、こんな悲しい現実。まさしく私も息子ですけれども、本当に正直申し上げて本当に難しい問題ですけれども、僕は、家内や娘や嫁やら息子やら見ておりまして、理解できないこともないなというふうに思うわけですね。  でも、やっぱり親に暴力を振るったりというようなことはやっぱりできませんし、思うのは、やっぱり家族を加害者にしてはいけないなというふうに思います。といって、また、巡回のパトロールでヘルパーさんやら介護の方やら専門家が来てくれて、その方々がという、それはもちろん大変なことですけれども、その前に何とか手を差し伸べてもらえるようなことがないのかな。また、我々もこうして参加をさしていただいているわけですから、差し伸べられるようなことをしっかりと考えていかなければいけないなと。  この高齢者の虐待について、先日その概要が報告されているわけですけれども、その内容を少しお聞かせいただければと思います。
  169. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 高齢者の虐待問題につきまして、まずは実態の調査が必要ではないかということで、四月二十日に、医療経済研究機構というところにおきまして家庭内における高齢者虐待の現状について調査をしていただき、その結果が取りまとまりましたので、四月二十日に概要を公表したところでございます。  居宅介護支援事業所、ケアマネジャーさんがいるところ、あるいは在宅介護支援センターなど介護事業所の約全国一万六千八百二か所の関係機関全国の市町村を対象に調査を行いました。  四割ほどの機関、六千六百九十八機関から回答をいただきまして、そのうち、過去一年間に虐待があったと言われた機関が四二・八%、二千八百六十五機関でございまして、三人まで個票を出してくださいというふうにお願いしましたところ、四千八百七十七人分、あったと答えた機関に対しますと二件弱になっておりますが、個票を回収いたしております。それから、人数だけ聞きましたところ、一年間で七千七百八十一人、これは機関ごとに重複があり得るわけですが、そういう結果でございました。  市町村にお聞きいたしましたところ、二千五百八十九の市町村から回答をいただき、約六千人の相談件数があったと報告があります。結果でございますが、年齢、虐待を受けている方の年齢は八十一・六歳、七十五歳以上の方が八割、女性が七六・二%、六割の方が痴呆の症状があるということでございました。  虐待をしている人の状況でございますが、先生から御指摘ございましたように、息子が三二・一%と最も多く、プロフィールとしては、ずっと高齢者本人と接触している時間が長いということ、主たる介護を行っていた方が六割、そのうち、ほかに介護協力者がいなかった方が五六・三%ということで、やはり介護にずっと従事している方が多い、それから、ほかから助けがないというような結果でございました。  虐待の状況は、心理的虐待とか身体的虐待とか、放棄、放任とあるわけでございますが、深刻度といたしましては、生命にかかわる危険な状態も一〇・九%あったということで、大変深刻な問題だと認識しております。  元来、介護保険、こういう介護地獄から救うためにというふうにスタートいたしましたので、我々、高齢者虐待の問題、いろいろ家族の中の問題あろうかと思いますけれども、介護の問題でこういうことが生じないようにしていくということが我々の使命だと考えておりますので、全力を尽くしてこういうことの解消に取り組んでまいりたいと思っております。
  170. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました、御丁寧に御答弁いただきまして。  私もいろいろ資料読ませていただきました。一番主な虐待の年齢ですが、四十代からおおむね六十四歳というふうに出ておりますし、本当に、どなるだけではない、たたくだけではない、食事を与えないだけではない、もう本当に、この委員会では、もう今ここで御説明できないような本当に虐待もたくさんございます。  この高齢者への虐待も含めまして、高齢者の介護、痴呆症、この対策についての、どのような御認識でこの制度をこれからどういうふうに進めていかれるのか。最後に坂口厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  171. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 痴呆になられた方、その人にとってみれば、住み慣れた地域、住み慣れた家で生活をする、家族と一緒に生活をするというのは最も恵まれているといえば、私は、それは決して間違いではないというふうに思うんですが、しかし家族必ずしも専門家であらずということだと思うんですね。ですから、専門家ではありませんから、かえってその人の痴呆状態を一層悪くしているということも中にはあり得るということだと思うんです。  したがいまして、家族で見るのも大事ですけれども、時にはショートステイ等を利用して、そして専門家にそれを見てもらって、何をどう気を付ければいいか、どういうことをしてあげればいいかということのアドバイスを受けて、また家庭で見てあげるといったようなことの繰り返しと申しますか、そうしたことが私はやはり大事ではないかというふうに思っております。  ずっとおうちで面倒を見ていますと、両方とも疲れもたまってまいりますし、共倒れになってしまうということもありますし、感情的にもなってくるということも、これも人間のことでありますから起こり得ることでございますので、その辺のシステム作りというのが一番これから大事になってくるというふうに思っている次第でございます。
  172. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。
  173. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 本日の調査はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ─────・─────    午後二時三十分開会
  174. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  薬剤師法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  175. 田浦直

    ○田浦直君 自由民主党の田浦直でございます。  この薬剤師法の一部改正案について、いろいろお尋ねをさせていただきたいと思っております。  最近の薬品を中心とした薬学の目覚ましい発展、あるいは薬剤師の方々の地位だとか、あるいは責任だとかそういったものの増大、そういったものから、薬剤師を育てる薬学部を六年制にするということは私も非常にこれまで期待をしておったところでございまして、今回その法案が提出されたということで大変喜んでおるところでございます。  早速その法案を拝見させていただきましたけれども、その中で私の思っていたのとちょっと違うのがあるんですよね。その辺についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。  医師でも歯科医師でも六年制をしいてやっているわけですけれども、それに準じて今回薬剤師も六年制と、私はそうなるんだろうと思っておりましたら、そうでもあるけれども、同時に四年制の大学もそのまま新しくまた併設するんだということなんですね。すなわち、六年制と四年制の二つの薬学部を作るということのようなんですね。私はこれがどうもすっきりしないんですね。もうこの際、四年制から六年制にするわけですからそれでいいんじゃないかと思っているんですが、その六年制の薬学部のほかに四年制の薬学部を作るということはどんなことなのか、まずその点についてお尋ねをしたいと思います。
  176. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  今回の薬学教育の制度改正でございますけれども、今、医療技術の高度化、あるいは医薬分業の進展などを背景といたしまして、医療人として質の高い薬剤師をどう育成するかと。そのためには薬学教育を六年教育にすべきではないかということを基本とするということでございます。  ただ、現実に今、現行制度で薬学部の卒業生の進路状況を見ますと、卒業して薬剤師として薬局とか病院、診療所で働いておられる方というのは約四割ございます。また、大学院に進学される方が三割弱ございまして、製薬企業あるいは一般医薬品の販売業に就職する方が二割ぐらいいらっしゃるという現実もございます。  また一方、薬学分野での研究者の養成に対する社会的ニーズも高いということがございまして、研究を志す方に対しては早い時期に大学院に進学できる道を確保する必要があるんじゃないかというふうな議論もございまして、四年制学部も併せて存置をするというふうになったという経緯でございます。
  177. 田浦直

    ○田浦直君 研究生を育てるとか、あるいはメーカーに勤める方々を育てるという意味で四年制も併設をするというお話でしたが、そうすると、その方々は六年制の薬学部を卒業しないわけですから、当然、薬剤師の試験を受ける資格はないものだと私は思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  178. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 薬剤師の教育が六年制を基本とするわけでございますから、国家試験の受験資格も、あくまでも基本は六年制の学部を卒業された方に国家試験の受験資格を与えるというのが原則でございます。ただ、今四年制から急に六年制になるわけでございますから、そういう意味では一定の経過期間も必要でございますし、例外的、限定的な措置も必要であろうということで、一部経過的な取扱いを設けております。
  179. 田浦直

    ○田浦直君 経過的な措置だということであれば、その四年大学というのはある時点でなくなるというふうに考えていいんですか。
  180. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今回の措置はあくまでも経過的あるいは限定的な措置でございますので、ある一定年限を経過すればなくなるものだというふうに考えております。
  181. 田浦直

    ○田浦直君 そうしますと、その四年制の大学に入った方は薬剤師の資格は取れないということで、これもよろしゅうございますか。
  182. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 六年制の教育が原則でございますし、基本でございますので、将来におきましてはあくまでも六年制の学部を卒業された方に国家試験の受験資格を付与するというのが原則でございまして、ただ、一定の期間、経過的な取扱い、限定的な取扱いを別途しておると、そういう整理でございます。
  183. 田浦直

    ○田浦直君 今おっしゃられたその経過的措置ですね、十二年間ということだそうですけれども、その十二年間の取扱い、それはどのようになっておるのか、それをお尋ねいたします。
  184. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) この経過的な取扱いについていろんな議論がございましたが、最終的には二つの観点に着目いたしております。一つは、卒業生の進路がどうなるかを確認する必要があるんではないかということ、六年制の学部と四年制の学部がございますので。それからもう一つは、カリキュラムが十分定着していく必要があるんじゃないかと。その二つの観点に着目をいたしまして、進路指導が実際には高校二年生ぐらいの時点で行われると聞いておりますので、高校二年の時点で五年分ぐらい既に六年制の卒業生が輩出されておれば、進路を決めるに当たって十分な情報が得られるのではないか、あるいはカリキュラムもほぼ定着しているんではないかということで、平成二十九年度まで入学する学生については一定の経過措置の対象にいたしておりますけれども平成三十年度以降に入学する方についてはもうそういう経過措置は必要ないと、本則だけで対応しようということで経過措置の対象にしない、あくまでも六年制の学部を卒業した方しか国家受験資格がないという取扱いにいたしております。
  185. 田浦直

    ○田浦直君 そうすると、十二年後からは六年大学を出なければ薬剤師を受験できる資格というのはないということですね。そうすると、その経過措置の間は、四年大学を出て、それから今度は大学院に行くわけですね、恐らく。そうすると、その人たちが受験をしようということであれば、それは受験が可能なんですかね。
  186. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 経過的な取扱いの方々でございますけれども、あくまでも六年制の学部を卒業した方と同程度以上でなきゃいけないというふうに考えておりまして、そういう意味では一定の条件を付ける必要があるだろうというふうに思っております。  したがいまして、現段階で考えておりますのは、その四年制課程を卒業し、かつその修士課程を修了していること、あるいは六年制課程の卒業者と同等以上のカリキュラムの履修が行われていること等の条件を付けた上で、それを満たす方々について個別に認定をして薬剤師国家試験の受験資格を付与するということにしてはどうかというふうに考えております。
  187. 田浦直

    ○田浦直君 私はそこに少し無理があるんじゃないかと思うんですね。大学院に入って、これは大学院の仕事をするわけですね、仕事というか研究をするわけで、それが本業というか、本当の仕事なんですよね。その合間に、薬剤師の資格を取りたい方は、四年大学で取らなかった単位を修得しなければならぬと、こういう制度になっておるような気がするんですね。  そうすると、こっちの方はそのまま六年行くわけですね。こっちの方は四年勉めて、あとの二年は大学院の研究をしながら、しかも残りの二年間の単位を取らなければならぬ、これは非常に難しいことじゃないかなと思うんですね。実際に、本業はこっちであって、しかも、こっちの方は丸二年間、六年制大学が丸二年間やっていたことを、同じ二年間でこっちもやり、こっちもやりということになると思うんですよね。それは非常に、何といいますか、現実的じゃないんじゃないかなと思うんですけれども、どうしてそういうふうな制度を作るのかなというのが分からないんですよね。その辺はどうでしょうか。
  188. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今現在、四年制の学部しかないわけでございまして、それを六年にするとした場合に、六年制の学部と四年制の学部を併置をするということになったわけでございます。  そういたしますと、四年制の学部に入って薬剤師の免許を要らない、必要はないと思っていたけれども、途中でやはり薬剤師になりたいと思う方も出てくるだろうと。そういう意味では、進路の変更をしたいという方もいらっしゃるだろうということで、ただ、六年制の学部を卒業された方と同程度の能力がなければいけないだろうということで経過的な取扱いを設けておりまして、今、田浦先生おっしゃるように、確かに、大学院で研究しながら十分な履修なりカリキュラムが取れるかどうかという問題は確かにあろうかと思います。ただ、そこの辺は、大学院の研究二年間終わって、その上でさらに足らないカリキュラムを別途取っていただく、あるいは実習をしていただくといったようなケースを考えておりまして、具体的な条件につきましては、今後、文部科学省を始めとして、また関係者意見も聞きながらその条件を決めていきたいというふうに思っております。
  189. 田浦直

    ○田浦直君 ちょっと今の説明では、大学院におるうちに資格を、受験の資格を取らぬといけないわけでしょう、今の法律では。卒業してからでもいいんですか、大学院を卒業してからでも受験資格を取るということができるんですか。
  190. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今、条件として考えておりますのは、四年の学部が修了して、かつ大学院の修士課程も修了しているということで、かつ大学に在籍しながら更に継続して追加の履修単位を取るというふうなケースを想定して経過措置を今考えているというところでございます。
  191. 田浦直

    ○田浦直君 大学院を卒業してからも受験資格を取ることができるということなんですか、今のお話だと。
  192. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 完全に詳細は決めておりませんけれども、これから文部省ともそこはよく相談して決めるわけでございますが、ずっと卒業した後永遠に取れるということじゃなくて一定の期間の限定はしたいと思っておりますが、学部の四年と大学院の二年と更に追加的な履修をするということを原則として考えたいということでございます。
  193. 田浦直

    ○田浦直君 それはまたちょっと何かおかしいなと思いますね。四年大学に入ったときは、それは研究生になろうと思って入ったわけですね。薬剤師の資格をもらおう、取ろうなんて思っていない。しかし、そういう人たちがまた考えが変わって、大学院に勉めておるときに資格を取りたくなったら残りの単位をその二年間の中でまた取る、それが取れなければ卒業してからでもまた取ってもいいなんて、そんな何かいい加減な私は制度は作ってほしくないと思いますけれども、どうして、元に戻りますが、六年制一本でやらないのかな、そんな曲がりくねったような制度を作って、何でそんなにまでして四年大学を置かなければならないのかというところがどうしても腑に落ちないんですよ。  何か、中教審なんかでもいろんな意見が出たということを聞いていますが、どういう御意見があったわけですか、これを残すというか、併設するということは。
  194. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) いろんな議論があったわけでございますけれども、中教審の答申によりますと、現在の薬学教育においては、薬剤師の養成のみならず、薬学に関する研究とか、あるいは製薬企業に進む研究開発、医療情報提供、あるいは衛生行政など、多様な分野に進む人材を育成してきているということがあるという、答申に書いてございまして、これは我が国の薬学が基礎研究を出発点として発展してきたという歴史的背景によるものであり、特に薬学研究においては世界的にも高い評価を得ている。このため、薬学系の基礎教育を中心とした教育を行う現行の修業年限四年の学部・学科を存置することを併せて認めることが必要であるということで、薬剤師の養成の六年の部分と、そういう意味では研究者の養成に相当する四年制の部分と両方存置するのがいいというのが中教審の見解であったということでございます。
  195. 田浦直

    ○田浦直君 中教審がそういうふうな答申を出されたということですから、尊重しなければならぬと私も思いますけれども、六年制ということを決めておきながら四年制をどうしても作りたいというところが、何か意図があるんじゃないか。例えば、大学院に早く人をたくさん入れて研究の人材的な確保をしたいとか、そういうふうな意図があるのかなと私は自分なりに考えておるんですよね。  そういうことでない限り、併設して二つ、せっかく今六年制の薬学を作ろうというときに、何でそんな二つ作るのか。そこ、どうしても理解できない。何かそういうメリットがないとそういうのは作るはずはないわけですよ。そのメリットを私が私なりに考えると、四年制で、あと二年間は自分たちの研究に使える、そういう人的な確保ができる、そういうふうなことではないかなと思うんですが、中教審ではそういう議論はなかったんですか。
  196. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 中教審の議論におきましては、現在の薬学部の教育というのはある意味で二つの機能を持っているということだと思うんですね、現状から出発しますと。薬剤師の養成をするという機能と、やはり今の四年制学部も、基礎薬学をやって研究者になる道、その道の保証をするという機能も持っている。したがって、それはある意味では我が国の薬学教育の特殊性といいますか、特徴といいますか特色であろうかと思うんですね。  したがいまして、それを前提にしてより良き姿を考えた場合には、医療人の薬剤師を養成する六年制の教育課程と、研究者等を念頭に置いた四年制の学部とそれは存置することはやむを得ないんではないか。ついては、逆に四年制の学部をやるということは、我が国の創薬分野の国際競争力というものを引き上げていくという意味でも必要なんではないかということで、六年制のコースと四年制の学部と二つ存置する。そういう中にあって、医療人としての薬剤師については、原則としてはあくまでも六年制の課程を経た方に国家資格を与えようというのが今回の私どもの提案の趣旨でございます。
  197. 田浦直

    ○田浦直君 六年制は薬剤師を育てる、四年制は研究生を育てる、それならそれでいいんですよ。それで分からぬことはない。しかし、そうでなくして、四年制を出てもまた薬剤師になる救済の道を残すというわけですね。  しかも、その道は非常に無理した道なんですね。大学院の研究をしながら、そして向こうでは二年間やってきた単位を、同じ期間にそれもやらなければならぬ。二つ同じことを同じ期間にやらぬといかぬ。それはもう本当に時間的にも物理的にも難しいことじゃないかなって思うんですね。そんなにまでしてなぜ四年制を残すのか、あるいは救済措置を取るのか。おっしゃられるように、六年なら六年は薬剤師のコースですよ、四年は四年でこれは研究生のコースですよ、それならそれで分かりやすいですよ。そこがどうしても納得できないんですね。  医学だって歯学だってみんなそんなにやっているんですよ。六年制をやって、その人たちがみんな研修、研究もやるし、そういうメーカーにも入る。そういうのは薬学部も同じでいいんじゃないかなって思うんですね。薬学部だけは四年制で研修をする、研究生をつくる、そこが私はどうしても納得いかないからこの質問をさせていただいたわけでございます。いろいろ繰り返しても同じことでしょうからね。是非、私の言うことをもう少し検討してもらいたいなって思うんですね。  それから、今、十二年間の経過的措置ということがありましたね。大体こういう話は、その辺りに近づいてくると恐らく延長するという話になると思うんですよ。僕は、今は十二年間ですからということで、それでもうちゃんと区切りを付けますよと言うけれども、そのときもやっぱり学生はおるわけですから、この人たちをやっぱり救済せぬといかぬという話は必ず出てくると思うんですよ。そのときに、じゃ、何とかしてやらぬといかぬなという話になりかねないなって思うんですね。だから、十二年間の経過的な取扱いが本当に延長されるということがないのかどうか、それをお尋ねをしたいと思います。
  198. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 薬剤師の養成のための薬学教育はあくまでも六年制の教育が基本でございますので、今回の経過的な取扱いはあくまでも例外あるいは経過的なつなぎの措置でございますので、十二年を超えて延長するということは考えておりません。あくまでも十二年間に限る措置だというふうに考えております。
  199. 田浦直

    ○田浦直君 それはそう答弁するしかないですよね。でも、恐らく十二年後には私もおらないし、皆さんもおらない。新しい人たちが話し合って、そういう同情的な意見が出たら、それはかわいそうだから救済してやらぬといかぬなということになるだろうと私は今そう思っておるところなんですね。だから、是非議事録にきちんと残しておきたいなと思って質問をさせていただいたわけでございます。  いろいろ話をさせていただきましたけれども、私は、この薬学部が六年制になる、これは大賛成でございますし、そしてこの薬学の発展のために尽くしてもらいたいと思うんですね。  もう一つ、私がお願いしておきたいなと思うのは、卒後教育ですね。これから現場に出て働く人たちの卒後教育というのも是非きちんと整えていただきたいなと、これは私の要望として申し上げておきたいと思います。  最後にちょっと大臣にお伺いいたしますが、私と局長といろいろやり合いをいたしまして、私は六年制一本でやるのがいいと今でも思っておるんですが、しかし、四年制を存続、存置するということはやむを得ないというふうになっているようですけれども、その辺について大臣の御見解も聞かせていただきたいなと思います。
  200. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、文部科学省といいますか、大学側が非常に強い御意見をお持ちになっているということでございます。  大学側の方が非常に強い御意見をお持ちになっているのは、先ほどから議論が出ておりますように、基礎薬学と申しますか、いわゆる研究者としてのやはり評価というものがかなり高いんだろうというふうに思っております。先生も御承知のように、医学部の基礎医学などでは薬学部の出身の皆さん方がかなり最近はお入りになっているというようなこともございまして、基礎的な部分での薬学というものに対する大学側のこだわりというのがかなりあるということでございます。  しかし、そこは一応期限を区切って、そして、将来的には、御指摘いただきますように、六年制の薬学、いわゆる臨床薬学という言葉があるかどうか知りませんけれども、そういう立場での人をつくり上げていく。私も、これから先、研究者として採る場合にも、四年制卒と六年制卒の人が出てきたら、私はやっぱり研究者としても六年制の人を採るところが多いんじゃないかという気がするんですね。そこは分かりませんけれども、そういうふうになってくれば、もうそれこそ六年制一本に大学の方もなってくる可能性があるということだと私は思っております。  しかし、現在のところ、大学側の御意見というものも少し尊重させていただきながら四年制の道も残させていただいたわけでございますが、この十二年間でございますか、この間にひとつ、もう少しその辺すっきりと落ち着くところに落ち着けていければというふうに私も思っているところでございます。
  201. 田浦直

    ○田浦直君 終わります。
  202. 藤井基之

    ○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。議題となっております薬剤師法の改正法案についてお尋ねをしたいと存じます。  日本に薬剤師の制度あるいは薬学教育の制度ができたのは、御存じのとおり明治の時代になってからでございます。この薬学の高等教育というものは、物の本によりますと、明治六年に当時の文部省の医務局長である長与専斎先生がヨーロッパの視察の後に我が国にも薬学教育をすべしということで設立の伺い書を出して、その結果としてでき上がったのが最初だと言われておりまして、現在の東京大学の薬学部に通じるわけでございますが、明治六年に第一大学区医学校に製薬学科というものが設立されたのが最初だということでございまして、これは設立当時、ドイツ語等の教育によって五年間の教育をしたそうでございます。  その後、経緯がいろいろありまして、三年の教育修業年限になって、そして四年になって、今回提案されていますのが薬学教育の中を六年を専らにするコースと四年のコースと二つというものができるという、そういうふうな、ですから、約百三十年間の間に大きな変遷をしてきているわけですが、今回のこの改正というものも非常に大きなインパクトを与える改正になろうと存じております。  この改正につきましては、特に、厚生労働省、文部科学省で綿密な検討の結果として法案が出されたものと期待しておりまして、この成果を待ちたいと思っておりますが、まず、お伺いをしたいと思います。  この修業年限を延長をされた、専ら臨床的な能力、実践的な能力を培うための六年の教育の導入というもの、これは当然のことながら医療の質の向上に資する、薬剤師の資質向上を図るための処置であろうということは当然のことでございます。具体的に、医療の質の向上、特に昨今いろいろと医療事故が言われておりまして、それもお薬に伴う医療事故等が多々報道されている現状があります。これらにかんがみまして、薬剤師の今回の修業年限延長というものに期待する、特に医療の質に対しての効果というものについてどのようにお考えかということについてお尋ねをしたいと存じます。
  203. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今回の薬剤師の六年制の導入といいますのは、やはり医療の高度化、あるいは最近の高齢化社会で非常にお年寄りも増えてきて、いろんな複数の薬を飲む方も増えてきているというふうな事情がある中で、やはり日本の医療水準を引き上げていかなきゃならないと。そのためには薬剤師の資質を向上するべきではないかということから出てきたわけでございます。  藤井委員指摘のように、欧米では既に六年制というのはかなり一般化しておりますので、従来からの懸案でございました。  特に、現在の薬剤師の方々が要求される知識というのは、私ども薬剤師問題検討会という検討会を設けまして、その中間報告書においても、拡充するべき知識それから技能ということで、例えば疾病、病態を理解し、あるいは治療計画などの医療全般を把握する知識が要るんではないかとか、あるいは臨床的な有効性、安全性の評価に対する知識が要るんではないかとか、あるいは技能といたしましては、薬物治療計画への助言、管理、評価、そういうような技能が要るんではないかというふうな御指摘がございまして、四年制の学部では必ずしもそういう知識、技能が十分得られないということで、やはり六年制にして薬剤師の資質の向上を図って、それがひいては国民の皆さんあるいは患者さんの皆さんに対する医療の質が上がっていくということにつながるんではないかという意味で六年制の提案をさせていただいているということでございます。
  204. 藤井基之

    ○藤井基之君 今御答弁いただいたとおりでございまして、私も、特に厚生労働省が昨今の医療事故対策という、医療安全対策ということで幾つかの方策を打ち出されていることを存じておりまして、国民は、医療に対して、安全性の問題、それから非常にある部分的なものについては危惧も高うございます。その対応策を幾つか取っていただいておるわけですけれども、残念ながら医療における事故といいましょうか、ミスといいましょうか、絶えないですね。私は、これいろいろな、今回に限らず国会でも何度か質問させていただいて、厚生労働省の対応ぶりについてもただしてまいりました。各々、毎回毎回提言いただく内容というのは確かにそのとおりだと思っているんです。でも、実際に医療現場においては事故がなくなっていないんですね。  この五月になってから、これは非常に立派な私は医療施設だと思っておりますけれども、相模原市の北里大学病院で投薬ミスがあったと。点滴用のリドカインという注射液、これを静脈に注射したと。なぜだというと、研修医の方がこの静脈用と点滴用の違いが分からなくて、指示ミスに近いですね。それで、病院長が、この患者さん亡くなったということで、これを非常に、何といいましょうか、会見をして謝られている。でも、考えたら、リドカインの取り間違いなんという事故なんというのはここのところもう軒並みなんですね。昨年もこれ静岡でもありましたし、東京でもこの死亡事故ってあったんです。  厚生労働省はこれに対してもちゃんと昨年注意を喚起する注意まで出している。それでもまだ続いてくるんですよ。私は、医療人の資質というものに対して、例えばお医者さん、歯医者さんについても卒後研修をちゃんとやります。薬剤師の資質も今回六年というような教育期間を置いて資質を高めようということで努力してもらっている。医療における事故対策もいろいろと練っている。それでもこれ繰り返し起こっているんですよ。私は、医療の個々人に一生懸命やってもらうのは結構です。厚生労働省のシステマチックな対応もいいんだけれども、でも現実になくなっていないんです、こういう事故が。これどうするかということをやはり考えていただきたいと思うんですね。  今回、今局長答弁いただいたように、薬剤師の資質を向上するんだと言っている。少なくとも、今医療のヒヤリ・ハット事例というのは、もう薬の事故というのが非常に多いわけですよ、薬の問題が。そして、その中に多いのが注射薬の問題なんですね。このリドカインのケースもそうなんです。私は、これは特に、今、医療従事者、薬剤師の医療従事者増えてきていますけれども、これ増えているのは、数字見たら分かるように、これは保険薬局で増えていっているんですね。残念ながら病院、診療所では薬剤師さんは増えていないですね。私は、ある一定の雇用というものを病院側に置かなければ、薬剤師の資質を上げても医療のためにならないんじゃないかと思うんですね。  私は、医療のこの安全対策には、これから高めていく、資質を高めた薬剤師の資質というものを、薬剤師という職能を幅広く使っていただきたいと思う。そして、使えるような環境を作ることが、より高い薬剤師は社会が求めることになるし、それはその当事者が自分で研さんを励んで、その仕事で国民の負託にこたえようとすることになると思うんですね。  私は是非大臣にお伺いしたいんですけれども、いわゆる病院等における薬剤師の方々、病院の中で一体何名置かれるかというのは、これ一つの基準を厚生労働省で御検討いただいているわけです。三年前、私この質問をさせていただきました。大臣は、医療問題に対する薬剤師の重要性というのを分かっているので、そういった方向も踏まえて検討を見たいということをお答えいただいたわけです。その見直しが、残念ながら三年前は現状維持だということになっていました。でも、その後ずっと見ていまして、医療事故が減らない実態を考えた場合、私は、三年目になっているので、病院内における医療対策というのを含めて、例えば薬剤師さんの配置の問題をどうするかということを、そして改めてもう一度この機に御検討していただきたいと思うんですけれども大臣いかがでございましょうか。
  205. 坂口力

    国務大臣坂口力君) たしか十三年だったと思いますけれども、そのときに配置基準が少し見直されました。しかし、これでは不十分だという御指摘をいただいたというふうに思っております。三年ぐらいの経過措置をして、そして三年目にはひとつ見直しをやりましょうということをそのときにお約束したのではないかというふうに思っております。いよいよその、もう十六年でございますから、三年目に来たわけでございますので、見直し開始をさせていただきたいというふうに思います。  いずれにいたしましても、これは病院の中でどういう人の配置をするかということでありまして、看護師さんの問題、薬剤師さんの問題等々、これはもうその中でどれだけ置けるかということにかかわってくる話であります。したがいまして、現状のままでもう少し薬剤師さんを置いてください、看護師さんを置いてくださいと言いましても、病院側はなかなかそれはうんと言わないのではないかというふうに私は思います。  そこで、今いろいろと検討を進めていただいておりますこの診療報酬体系の見直しの中で、いわゆるホスピタルフィーをどうするかということを今検討していただいているわけで、これはドクターフィーの問題もございますが、ホスピタルとしての基礎的な人の配置というものをどうするか。やはりそこで検討をしていただいて、そして必要な人的配置、それに対する費用というものを明確にしないことには、現実的には私は前に進まないというふうに思っております。  今幸いにしてそれが一方において進んでいるわけでございますので、一方においてこの薬剤師さんの問題を取り上げて、そしてその中で併せて議論をしていただいて、そして何とかその全体としての中で、それが本当に病院にだけ、その分だけ何とか割り出せというようなことではなくて、基礎的なベースとしてそこに入れることのできるようなやはり対策を講じないといけないというふうに思っております。そうした中での見直しということにやらせていただきたいというふうに思っております。
  206. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。是非御検討いただきたいと考えます。  今日、文部省の方来ていただいていると思いますので、文部省にお尋ねをしたいと存じますが、今ちょうど厚生省の、文教の委員会の方では学校教育法の改正法案の審議だということでございまして、できましたら大臣が来ていただいたらと思ったんですけれども、残念ながらそうもいきませんでした。  文部省にお尋ねしたいと思います。  今回、六年制の教育という形で、ある意味で国際水準に匹敵するような薬剤師教育が大学でなされることになるわけでございますが、そのために、当然のことながら、幾つかの環境整備をしなければいけないと思うんですね。特にその指導教育体制といいましょうか、特に、例えばカリキュラムで申し上げますと、実際の臨床現場における実習でありますとか、あるいは実際に、それに伴う、そういった現場の分かる指導の方々をこれから養成する、あるいはその方々にお願いをして、教育というものに対して、望ましい教育というものを実践していかなければいけない状況になろうと思うんですね。  それで、私、文部科学省さんにお尋ねしたいんだけれども、そういった教育体制の整備について文部科学省としてどのような御見解をお持ちかということ、そしてそれに対して、もう一つ言いますと、例えば大学はこれから努力をしてくれると私は信じておりますけれども、それに対する支援の体制についてもお尋ねしたいと存じますが。
  207. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) お答え申し上げます。  特に今回の学校教育法の改正をいたしまして、臨床薬学につきましては六年制にするという中で、特に実務実習ということが大きな要素を占めるわけでございまして、私どもといたしましてもその指導体制、あるいは実習体制の整備ということが大変重要であると認識しております。  その実習指導者の養成ということにつきましては、まず大学において事前の指導をするとか、あるいは各実習施設との調整を行う大学の指導教員も必要でございますし、あるいはまた各実習施設において指導に当たる薬剤師の方、そういった方も必要でございます。これにつきましては現在、日本薬学会におきまして教育指導者のワークショップというものを開いております。そこで実務実習内容と指導方法についての研修が実施をされておりまして、私どもといたしましても日本薬学会と連携をして、研修会の開催など、今後ともそういった取組を進めていきたいと思っております。  あるいはまた、その受入れ体制といったことも大きな課題でございます。この点につきましては現在、薬学教育協議会ということで全国八ブロックに置かれました地区の調整機構がございます。そういう中で、各大学あるいは薬剤師会から構成されました中で受入れの調整が図られております。都道府県単位、あるいは大学と関係団体の協議会設けられておりまして、こういった調整が行われているわけでございます。  私どもといたしましては、長期実務実習が実際にスタートをする平成二十二年度に向けて、文部科学省といたしましても厚生労働省とも連携をし、職能団体あるいは関係機関に対し協力を要請をする、あるいはまた関係者との協議の場を設けて実務実習の実施体制についての検討を進めていきたいと思っております。  また、そういう中で当然、今回、薬学、修業年限が延長されるわけでございまして、そういった観点で、様々、教員の配置基準でございますとか、実習担当のそういった指導者、そういったことについて必要な措置が大学で講ぜられることが今私ども期待しているわけでございますが、これに対しましては、様々そういった設置基準の改正等を行った上で、そういったものは私学助成なりあるいは様々な国立大学に対する運営交付金、そういったものの中に反映されるものと考えております。
  208. 藤井基之

    ○藤井基之君 今お話ちょっと出ましたけれども、大学の設置基準についても私御検討いただきたいと思うんですね。  といいますのは、学校教育法でいわゆる薬学において大学設置基準で決められている施設というのは何かといったら、薬用植物園なんですね。確かに薬草を勉強していただくことというのは重要なことだと思うんですね。それを否定するものではありませんけれども、今回の六年教育というのは何かというと、今それこそ文部省の答弁にもありましたとおり、現場における実習というものが非常に意味を持つとするならば、例えば医学部、歯学部においては、当然のことながら附属病院を設置しなきゃいけないという設置基準作られているわけですよね、設置基準が。でしたら、薬学においてそういった臨床の分野についての場所が要るというのだったら、例えば薬局を、保険薬局というものを、大学設置基準として、六年制の薬学教育についてはそれを設置義務化するとかという検討を是非私はしていただきたいと存じます。これは要望ですので、是非検討を前向きにお願いしたいと存じます。  続いて、時間限られておりますので、もう一つ、薬剤師の国家試験の問題につきまして御質問をさせていただきたいと存じます。  この薬剤師の国家試験という制度につきましても、先ほどの大学教育と同様に明治の政府がこれを導入したものでございます。これも相前後する時期でございますけれども、明治の八年に、当時の言葉で言うと薬舗というんですか、今ではこれを薬剤師というふうになって、薬舗主の方に対して薬舗の開業試験という制度を国が指示をしております。これが明治八年ということでございました。この薬舗という、免許薬舗主が明治二十二年の法律改正によりまして薬剤師という名前になってきております。ですから、薬剤師に対する国の試験の仕組みというのは明治からスタートしている、約百三十年の歴史を持っております。  ただ、御案内のとおり、現在のような一律の国の試験によってスタートが切られたといいますのは戦後のことでございます。第一回目の全国的な薬剤師の国家試験、これは昭和二十四年に始められたというふうに記録がございます。そして、この二十四年のときも、薬剤師の国家試験というのは一体何を見るのだという話を見ますと、これも法律に書かれておりまして、法律においてこれは薬剤師が具有すべき知識と技能について試験をするんだと、そしてその受験者というものは薬学の大学の正規の課程を修めたものですよと、こういう形でスタートしております。ですから、現在の法体系と全く同じ形というものが昭和二十四年からスタートしたというふうに考えられます。  今回この制度の中で、薬剤師の国家試験の受験資格が今回変えるという内容で提案がなされておるわけでございますが、今ある薬剤師法における国家試験というものは、やはり薬剤師に求められております知識と技能について試験をするんだと、こういうふうに規定をされているわけでございます。じゃ、ここに言う薬剤師に求められる知識、技能といったのは一体具体的に何なのか、これについてお考えをお伺いしたいと思います。
  209. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 基本的には先ほど申し上げたような話だと思いますが、現在の薬剤師の国家試験でございますけれども、その一定の知識なり一定の技能を獲得しているかどうかということを検証するために行われているわけでございますけれども、大きく分けて四分野に分かれております。基礎薬学の分野、それから医療薬学の分野、それから衛生薬学の分野、それから薬事法規、薬事関係制度の四分野にわたっておりまして、それぞれの分野で知識、技能を、必要とされる知識、技能の確保の状況というものをチェックをしているというのが今の国家試験の現状でございます。
  210. 藤井基之

    ○藤井基之君 そうすると、受験資格を今回六年を専攻した者に原則として限る形にしたということは、この求める知識と技能というものについては、今までと、従前とこれは変わりがないと、そういうことになるわけですか。
  211. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 四年制の学部の時代のカリキュラムの内容と、それから六年制の学部になりましたら当然カリキュラムの内容も変わってまいりますし、特に臨床薬学、医療薬学の分野が非常に充実をいたしますし、また実習の分野も入ってまいります。したがいまして、六年制の方が卒業する時点では、やはり国家試験の在り方についても当然見直しをしていかなければならないんではないかというふうに考えております。
  212. 藤井基之

    ○藤井基之君 ということは、求められる薬剤師としての知識、技能というレベルが変わるということを意味されているんでしょうか。
  213. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 六年制が導入されまして、最終的に、最初の六年制の卒業者が出てくるということであれば、その出題基準というのも当然、薬学教育の修業年限の延長に合わせて見直しが行われるんではないかというふうに思っております。
  214. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  私はやはり、言葉としてやはり法律で書ける範囲というのがあろうと思うんですね。ですから、昭和二十四、二十三年の法律だと思いましたが、その法律で書かれている文言と、昭和三十五年にできている薬剤師法、現行法令に書かれている文言と、文言としては同じ、知識、技能というものを調べるのが国家試験であると、こういうふうになっているわけです。ただし、その求める水準というのは、そのときそのときの医療の実態であるとか、社会の要請によっておのずからやはり変わっていってしかるべきだと思うんですね。ですから、私は、それは変わるべくして変わるものだと思う。そして、そのために必要な資質というものも変わるから、今回、六年制のいわゆる研修、研さんを受けた人間に対してそれを受験資格要件としようと、こういうふうになっていくんだと思うんですね。これは別に私はそれが当たり前のことだと思っています。  そして、もう一つ言いたいのは、先ほど田浦先生も卒後の研修の話がございましたが、私は、この薬剤師という国家試験、これは医師の国家試験も歯科医師の国家試験も同様でございますけれども、一度受けますとこれ生涯免許の形になります。いろいろな意見があります。そして、それは更新制という在り方もあるんじゃないかという議論もあることは私知っておりますが、更新制というといろいろな形で非常に大きな影響が出ると思います。それよりも、私は、やはりこれだけ時々刻々学問レベルやあるいは医療の実態が変わっている、法制度も変わってきている、そういった中において、一回そういった資格を取得した方々の生涯にわたる研修の仕組みといいましょうか、そういう、何というんですか、ある一定期間で再度例えば講習を受講していただいて、その後の専門家としてのお仕事をよりアップ・ツー・デートの状況でしていただくような、そういった仕組みをやはり考えるべき時期になっているんだと思うんですよ。  特に、この時期の薬学分野の進歩って、例えば十年前、我々の薬学を教えている教科書にゲノムの問題なんてほとんど書かれていなかったですよ。DNAの構造が書かれていた程度ですよ。今ゲノムで、例えばお薬の中だって、ゲノムのメカニズムを知って、どういったたんぱくができるから、だからこのお薬は効くんだという説明になってきている。そうしたら、それは、かつて薬剤師の資格をお取りになった方が、その後自己研さんされているかもしれないですけれども、多くの場合、少なくとも国家試験を受ける段階においては全く知らなかったし、国家試験では絶対出なかった出題範囲なんですよ。  私は、当然のことながら、変わっていくことは当たり前の話。だったら、変わることに対応して、やはり国が一定の資格を付与したんだったら、その後の、何というんですか、フォローアップといいましょうか、あるいはその資質を維持して向上させるための仕組みというものも併せて導入すべきだと考えますけれども、いかがでございましょう。
  215. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘のとおり、生涯教育といいますか、生涯学習というのは大変重要であると考えておりますし、薬剤師の資質を向上していく意味でも大変意味のあることだというふうに思っております。  したがいまして、私ども厚生労働省といたしましては、平成九年度から実務研修ということで実施をいたしておりますけれども、さらに、十六年度以降においてもこれをいかに充実させた形でやるかというものをこれから検討したいというふうに思っております。  それからまた、関係団体においても独自に薬剤師の資質の向上を図るためのいろんな研修の取組も行われておりますし、あるいは各大学においても公開講座をやられるとか、あるいは生涯学習の推進のためのセンターを設置されるとか、いろいろ生涯教育支援の取組も文部省のサイドで進められているというふうに承知をいたしております。  先生御指摘のように、薬剤師の資質を、新卒の薬剤師だけではなくて、既に現場で働いておられる方々の資質をいかに向上させていくかというのも大変重要な課題であると思っておりますので、私どもいろいろこれから知恵を絞っていきたいというふうに考えております。
  216. 藤井基之

    ○藤井基之君 是非お願いしたいと存じます。  これは、文部省になるのでしょうか厚生労働省になるのでしょうか分かりませんけれども、今、薬科大学、薬学というのが非常にたくさん増えてきておりますですね。たしか今年も八校増えるんですか。それで、確かに今いろいろな薬剤師に対する市場のニーズがあるからそういった新しい大学が増えていくんだろうと存じますけれども、先ほど申し上げましたように、薬剤師の資格を付与しますと、一応生涯免許の形になります。そして、途中でほかの仕事に移るということは非常に少のうございます。  そうしますと、私は、薬剤師の需給の状況というものをこれから先どう見ていくのか、それに対して今の、現行の教育機関というものの数というのは適切なのかどうか。現在、既にもう届出されている薬剤師だけで二十三万人近くの方がいらっしゃるわけですね。もちろん、無職の方が一万二千人強いらっしゃいますので、それを引いても二十万人以上の薬剤師が我が国に現在仕事をされているわけです、薬剤師として。この数字は決して少ない数字じゃありません。もっと言うならば、世界で最も多いかもしれないぐらいの数字なんですよ。それでなおかつ、自由の競争だからいいということかどうか知りませんけれども、文部省は設置基準上のチェックをしているかどうか私は知りませんが、多くの大学が新設されていく。これで本当に私は、将来の日本国の薬剤師の需給、あるいはそれにふさわしい資質を持った高校生の方々が薬学を選んでくる、あるいは、今申し上げましたような、局長答弁あったように、生涯研修の仕組みを作っていくとしたら、医学部の例を見ても、あるいは母校主義なんだ。出身した大学で研さんを受けてもらえる形というのをやっぱり考えていく必要があると思うんですよ。そうした場合、これだけ多くの大学ができてきて、また来年もできると言っていますよね。それが本当に生徒たちにちゃんとした教育をして、しかもそれなりに、日本国においてそれら大勢の方々に対してそれにふさわしい職を与えることができるのかどうか、それに対して文部科学省どのように考えられているか、御見解を伺いたいと思います。
  217. 徳永保

    政府参考人(徳永保君) お答え申し上げます。  先生御承知のように、大学・学部等の設置認可といったことにつきましては、従前、文部科学省では抑制的にこれを行うということに対応してきたわけでございますが、平成十三年十二月に、総合規制改革会議の答申におきまして、そういう学部の設置や入学定員増を抑制するということは参入規制として働く、問題があると、こういう指摘がなされて、それを受けまして閣議決定をされました、総合規制改革会議、規制改革推進計画によりまして、私どもといたしましては、医師、歯科医師等の五分野を除きまして、認可申請を受理した上で、大学設置基準等の法令に基づき専門的審査を行い、基準等に適合すると判断されたときはその答申を踏まえて認可をすることとしているわけでございます。  そういった事柄につきまして、様々御意見あろうかと思いますが、現在、政府全体として事前規制から事後チェックへということに立って規制緩和を進め、また、大学の設置等に係る設置認可制度それ自体についても議論がある中で、人材需給という観点から、例えば大学・学部の設置等を抑制をするといったことにつきましては様々な議論があるものと考えております。  なお、そういう特に質の確保といったことにつきましては、先ほど言いましたように、事後チェックという観点から、特に第三者評価というものを私ども重視をしておりまして、今後とも、この薬学につきましても第三者評価が的確に行われますよう、その体制整備に向けた支援を行っていきたいと思っております。
  218. 藤井基之

    ○藤井基之君 考えは分かりますけれども、私は何も抑制しろということを言っているんじゃないんですよ。適正な規模かどうかということをお尋ねしているんですよ。我が国の一億二千六百万人の人口の中で薬学という分野にどのくらいの人材を教育していけばいいかということは、おのずからある程度の基準というのがあろうと思うんですよね。だから、競争原理だといっていたずらに、そのとき薬学が必要だというんで増やして、要らなくなったらどんどんどんどん減ってもいいんだと、そうならないんじゃないかと思うんですね。  私は、この問題については、厚生労働省とも一緒になりまして、特にこれから先の需給の見通しはどうなのか。これは、先ほども田浦先生の御質問にありました、六年制と四年制と併置した場合に、例えば生徒、子供たちが、学生としては六年教育にどの程度の人が行かれて四年制にはどのくらいの人が行かれて、そして将来どういった道を選ばれるかと、そういったことも、これから先、是非この先の将来にわたるより適切な、より良い薬学教育のためのそういったデータ集積、そしてそれの解析をしていただきたいとお願いをしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  219. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  今ほどお二人の先生方から今回の法改正についての意義というような、まず基本的なお話がありました。私の方は、まず、先ほど藤井委員の方からもお話がありました医療事故に関連いたしまして、まず薬物相互作用ということで、一九九三年のソリブジン事件というのが大変象徴的だったわけで、その後安全対策が取られているわけですけれども、先般、四月にも報道がありました聖マリアンナ東横病院のフルツロンとティーエスワンの抗がん剤の併用、この事故もございました。  まず、薬物相互作用には一体どのようなものがあるのか、政府参考人にお尋ねをいたします。
  220. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 薬物の相互作用についてのお尋ねでございますけれども、いろんなケースがあろうかと思います。  幾つか例えばということで例を申し上げますけれども、例えば漢方製剤の小柴胡湯とインターフェロン製剤とを併用した場合に間質性の肺炎を発現するというようなことがあり得る、あるいは血液凝固阻止剤のワルファリンカリウムとビタミンK剤との併用をした場合にワルファリンカリウムの効果というのが弱くなるというようなことがあると。  いろいろそんなようなことで、相互作用はいろんなケースがあるものと承知をいたしております。
  221. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 これらの事件の原因、なぜそのような誤った併用がなされたのかというものを見ますと、使用の注意書きをそもそも見落としていた等々、いろいろあるわけですけれども。  続いてもう一つ、医薬品そのものによる副作用ということで、例えばスティーブンス・ジョンソン症候群などの重篤な副作用も起こっておりますが、一般医薬品により発生した副作用の件数は、今、年間にどの程度報告されているのでしょうか。
  222. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お尋ねの一般用医薬品にまつわるといいますか、により発生した副作用の件数でございますけれども平成十四年度の一年間の例で申し上げますと、一年間に製薬企業あるいは医療機関の方から厚生労働省に報告されました一般用医薬品の副作用報告の件数は二百六十五件でございます。ただ、この副作用報告というのは、同一の症例につきまして企業と医療機関の複数の情報源から報告されているケースもあろう、ダブりもあろうかと思いますが、全体としては二百六十五件ということでございます。
  223. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それは先回の薬事法の改正に基づいての新たな報告ですか。
  224. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 薬事法七十七条の四第一項の規定に基づきまして、医薬品の副作用によると疑われる疾病が発生したときは、製薬企業等は厚生労働大臣に報告しなきゃならないということでございます。
  225. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その中で、薬剤師等からの情報提供により被害を防止又は軽減し得たと思われる件数についてはどの程度報告されているのでしょうか。
  226. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 大変難しいお尋ねでございますけれども、報告されました一般用医薬品の副作用症例の中から、お話しのように薬剤師さん等が情報提供によって被害を本当に防止し得たか、あるいは軽減し得たかどうかというのは、明確に推定するというのは大変困難ではございますけれども、私どもなりに考えました。  例えば、添付文書で禁忌とされている患者がその医薬品を使用して発生した副作用の場合とか、あるいは患者さんが複数の同種同効薬を併用して副作用が出たといったようなケースの場合には、事前にお医者さんあるいは薬剤師さんに相談していたり、あるいは購入する際に薬剤師の指導があれば、場合によってはその副作用が防止あるいは軽減できた可能性があると仮に考えるならば、仮に考えるならば、平成十四年度の一年間に厚生労働省に報告された副作用報告は二百六十五件ございますけれども、三十件程度はそういうことが防止し得たのかもしれないというふうに考えております。
  227. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私、今参照しようと思った資料が見当たらなくなってしまったんですけれども、報告によりますと、平成十年から十四年度というようなこの期間の中で九百五十例、こういう一般医薬品の副作用についての報告があり、そのうち百十例を超えるものが薬剤師等からの情報提供により被害を防止又は軽減し得た事例であるというふうな分析も一方であるわけでございます。  そこで、この解決について質問する前に、医薬品の販売形態による分類についてはありますでしょうか。一般医薬品の副作用について、医薬品の販売形態による分類は厚生労働省の方ではなされていますでしょうか。
  228. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 副作用報告につきましては、企業あるいは医療機関あるいは薬局が医薬品の副作用によるものと疑われる症例を知った場合には厚生労働省に報告するというふうに求めておりまして、収集された情報に基づいて安全対策を講じるという立場でございます。  したがいまして、現在のところ、どこで購入したかということについては情報を求めておりませんので、御指摘のように、医薬品の販売形態による分類といいますか、そういうものは行っておりません。
  229. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 これは、私は問題点をここで一つ指摘しておきたいと思うんです。  今、医薬品の販売形態というのは、例えば配置薬というのもありますね。それから薬剤師の配置基準が決められている薬局、それから薬局よりも一つ基準の緩い薬種商、そして、これから規制緩和を進めていくということでコンビニ等での一般医薬品の販売等が検討されて許可される方向ということもありまして、これらの販売形態によって副作用の被害の報告がどの程度なされているのかどうか、その辺も分析しないと、今後規制緩和を進めるという政府の方向付けがあるわけですけれども、安易に、やはり薬ですから、そういうことを進めていってはいけないと。  一度そのことについて、私は販売形態による分類をして検討をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  230. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘のように、そういう販売形態によって副作用情報を収集するということは、考え方としてはあり得ないわけではないと思っておりますが、消費者の方にとってみれば、なかなか、今お話のあった配置の場合、あるいは薬局の場合と薬店の場合、薬種商の場合と、その部分を区別をするというのはなかなか難しい面もあろうかと思います。正確を期せない場合もあろうかと思いますし、なかなかやってみなきゃうまくいくかどうか分からないところもございますが、私ども今度、一般用医薬品の販売の在り方については、近々、厚生科学審議会の中に部会を設けまして、その在り方について検討をしていくことにしておりますので、そういう中で幅広く研究をしていきたいというふうに思っております。
  231. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 例えばドラッグストア等、薬局には薬剤師の配置基準を厳しくしておいて、片方で野放しということでは非常にバランスを欠くと思うわけです。科学的な根拠に基づいて薬剤師の配置基準を決めていく。そのためにはやはり、医薬品の販売形態によって、医薬品のそういう副作用、要するに薬剤師の適切な指導があった場合には防げたとか、そういうふうな分析がされなければならないのではないかと思いますので、問題点として私は指摘しておきたいと思います。  次に、もう一つこの医薬品にかかわる重大な問題、最近マスコミでも取り上げておりますが、医師の処方せんにより調剤された医薬品について薬物依存が生じた患者がいるということがこの間大きく取り上げられておりました。この件について厚生労働省はどの程度把握されているのかどうか、伺いたいと思います。
  232. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) マスコミでも取り上げられた問題でございますけれども平成十四年度の一年間に製薬企業、医療機関等から私ども厚生労働省に報告されました医薬品の副作用報告のうち、医療用の医薬品であって、副作用名として薬物依存というふうに書かれておりました副作用報告は十件報告されております。一年間で十件ということであります。
  233. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今のところの報告ということだと思うんですけれども、私、これはNHKだったと思うんですね、「クローズアップ現代」でしたか、たまたまこの薬物依存についての報告を見たわけですが、私、その番組を見て大変残念だったと思うんですが、私の意見を述べる前に大臣に伺いたいんですが、私は、医師が処方した調剤、医師の処方せんにより調剤した薬品によって薬物の依存が起こるということはあってはいけないと思うんですけれども、この解決策についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  234. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 薬物依存というのは、これは程度の差、どうなのかということで、多少の薬物依存というのはかなり私は幅広くあるんだと思うんですね。最近のように、慢性疾患が増えてきておりますから、ずっともう引き続いて飲んでいる。どこまでを薬物依存と言うのか、どの辺からそれを言うのかということにも私はよるというふうに思いますけれども、私は、現実問題としては、先ほど挙げた数字のようなことではなくて、もっとあるのではないかという気がいたします。  それで、それらをすべて、薬をずっと飲み続けておりましたときに、それがなかなかやめにくくなるというケース、これはこの前NHKでやりましたのは睡眠薬か何かのお話ではなかったかというふうに記憶いたしておりますが、そうしたものはかなりあるんではないかというふうに思っております。  あそこで私も実は見ておりまして、私も実は安定剤、夜飲んでいるんですけれども、これは絶対大丈夫だといってもらって飲んでいるのがあのNHKの中で出てきたものですから、大丈夫だってこれはもらっているけれども、大丈夫かなと思って自分もあれを見た次第でありまして、これは一番なるいからといってもらっているんですけれども、しかし人によってはそうもいかないということなんだろうというふうに思っております。  したがって、慢性的な疾病が非常に多くなってきております現在、程度の差はあれ、かなりそれは存在し得る問題だろう。そうしたことを医師にもよく相談をしなければいけないわけですが、医師そのものがなかなかそこが分からない面もありますから、そうした面で、やはりこれから薬剤師さんのいわゆる臨床薬学なるものをしっかり身に付けた方の存在というのは非常に大きくなっていくのではないかという気がいたしております。
  235. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私、大臣が安定剤飲んでいらっしゃるとは気が付きませんでした。何か質問しにくくなってしまったんですけれども。  安定剤、抗うつ剤等々、精神に作用するような薬がとかく薬物依存を招きやすいということで、あのとき報告されていたのは、かなりの大量なそういう薬を長期にわたって連用しているというような報告だったと思っております。  私は、あの番組をずっと三十分間見まして非常に残念だなと思ったのは、その最後の解説のところで、これを解決するのにはどうしたらいいかというようなところで、まとめのところで薬剤師という、今、大臣は薬剤師と、薬剤師の存在というふうにおっしゃいました。私もそうだと思います。これは、薬剤師の関与があって、この患者に対して非常に長期にこういうものを連用していることはいかがなものかということが、疑義照会といいますか、されれば防げたんではないかというふうに思って見ておりましたけれども、最後までとうとう薬剤師という言葉が出てまいりませんでした。  私は、これは非常にいけないと。なぜ薬剤師という言葉がここの番組に出てこないんだということで、これではいけない。薬剤師の医療チームの一員としての資質を高め、そしてその権限を高め、地位を向上して、この薬物の取扱いに関する権限、一番あるのは薬剤師というふうにしなければ、こういう問題、先ほどからいろいろ申し上げました、薬物の相互作用、それから一般医薬品の副作用等々いろいろ言いましたけれども、こういう問題というのはやはり、当然その前提として薬剤師の資質は向上しなければいけないわけですが、薬剤師の権限、薬剤師の地位を高め、薬といったらもう薬剤師なんだと、この間の番組では薬剤師がということがメーンに出なければ解決しないと思うんですけれども、いかがですか。
  236. 坂口力

    国務大臣坂口力君) そこはおっしゃるとおりだというふうに、私もそう思います。  同じ薬でも人によって違うということもございますし、そういたしますと、それは医師のところへ行くというふうに今まではなっておりましたけれども、臨床面を非常に勉強なすった薬剤師さんがこれからどんどん増えてくるということになれば、それはやはり薬剤師さんに御相談をするのが一番いいということにならなければいけないし、この六年制にする意味もないと私は思います。  そうした意味で、いわゆる掛かり付け医というような言葉がよくございますけれども、掛かり付け薬剤師さんといったような存在がそれぞれの地域でもできるということが大事でございましょうし、そしてそこで相談をするときに一番難しいのは、私はこちらの病院でこういう薬もらっています、こちらの薬でこんなのもらっていますと、全部持ち寄って、これどうですかって相談をしたときに、そこでは、薬剤師さん、それはこうだああだということ、意見を言ってくれると思うんですけれども、そこで薬を買わなければ、それはいわゆる掛かり付け薬剤師としての、これ幾らということを今のところは請求できないというシステムになっているわけで、それではやっぱり具合悪いと思うんですね。相談を受ければ、それに対してやっぱりそれだけのものをペイしなきゃいけないだろうというふうに思いますが、そうしたこともこれからの課題になってくるのではないかというふうに思っております。  私のように、単なる睡眠薬的なものを飲むというだけでも大丈夫かなと思って心配しておるわけでありますから、それはほかにはたくさんあるんだろうというふうに思っております。ここでじっと座らせていただいて、全然運動せずに、そしてストレスは非常に多いということでございますので、夜眠れなくなってまいりまして、少しやはり非常に軽い安定剤でございますけれども、安定剤を飲むということをやりましたら、やはり飲まないと眠れないと。飲まずにはなかなか眠れないということになってきておりますから、私も少しこれは依存症になり掛けているのかなと、こう思って、心配をしながら、しかしまだ毎日飲んでいるというのが現状でございます。
  237. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 永田町では、多かれ少なかれどの先生方もいろいろストレスがかなり掛かっているのではないかと思います。私自身も、別にマスクドディプレッションというわけじゃないと思うんですけれども、地元に戻っている間は平気ですけれども、こっちへ来ますとやっぱり神経過敏になるんで、早朝覚せい、早朝覚せいというんですか、不眠症じゃないんですね、不眠症ではないんですが、早朝覚せいといいましょうか、もうとにかく早く目が覚めてしようがないと。で、夜もいつまでも眠れないという、だれも信じてくれないみたいですけれども。  それで、疑義照会ということについて具体的に伺いたいんですが、今日、薬剤師による疑義照会はどのくらい行われているのでしょうか。
  238. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) ちょっと古いんでございますが、平成十二年のデータでございますけれども、日本薬剤師会が実施をいたしました疑義照会等の状況調査結果によりますと、疑義照会が行われた割合は、全体の処方せんの中の二・三八%というふうになっております。  また、実際に疑義照会が行われた後、その事例のうちの六六%ぐらいが処方の変更が行われているということの調査結果がございます。
  239. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それで、今の数字でございますけれども、それで疑義照会は十分に行われているというふうに考えていらっしゃるのか。その意味におきましても、今法案は果たして十分なのか。  報告によりますと、薬剤師が医師に対して疑義照会に踏み切りにくい現状があるという報告もございます。先ほども申し上げましたように、医師と薬剤師の身分格差、これが根底にある間は、この疑義照会等で未然に薬品によって起こる医療事故等を防ぐことは私はできないのではないかと思っておりますが、この疑義照会はこれで十分なのか。その意味でも、本法案は十分なのか。そして、この根底にある医師と薬剤師の身分格差を解消していくためには何が必要なのか、見解を伺いたいと思います。
  240. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 薬剤師法の中で、薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤をしてはならないという規定がございます。したがいまして、御指摘のように疑義照会をするというのは大変重要な役割でございまして、薬剤師さんがちょっと疑わしいという場合には、お医者さんあるいは歯科医師さんの方にこれを確かめて調剤をするということが大事であろうというふうに思っております。  今回の薬剤師法の言わば教育六年制の導入でございますけれども、これによりまして薬剤師の資質が一層向上するわけでございますから、私どもとしては、お医者さんと薬剤師さんとそれぞれが自らの専門性を十分に発揮していただいて、患者さんにより良き医療が提供されていくのではないかというふうに確信をいたしております。
  241. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 資質の向上には本法案はかなり貢献するものと私も考えておりますが、それだけでは私は今あるこの身分格差の問題は解消しないというふうに思っております。気持ちの問題かもしれませんが、具体的にも医療の担い手としての薬剤師の資質の向上を図るのと同時に、やっぱり社会的に薬剤師の地位向上を図る何らかの具体的な方策が必要ではないかというふうに思っております。  通告していないんですけれども一つの御提案として、医師の場合は医師免許の取消し等々につきまして医道審というものがあるわけでございますが、薬剤師の場合はございません。適格条項というものがあって、欠格条項、どっちでしたっけ、それに引っ掛かった場合には薬剤師の免許が取り消されるということがあるだけでございますが、薬剤師においてもこのような、言わば医師の医道審のような、そういうものについての検討をする機関というものが必要ではないかと思いますが、この点について大臣、いかがでしょうか。
  242. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 薬剤師の場合には現行の法律の中ではそういう医道審議会というふうな仕組みはございませんけれども、私どもとしては、今般、薬剤師の資質の向上のための六年制というようなこと実現するわけでございますので、今後、いわゆる処分の基準につきましても客観的な基準が必要ではないかと思っておりますので、専門家の意見を聞いて決めていくような、そういう今後の検討の場を検討していきたいというふうに思っております。
  243. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 是非そのような取組をお願いしたいと思います。  先ほども質問がありましたけれども、医療事故への対策と薬剤師の役割について、薬剤師の資質が向上し、そして薬剤師が、実際に大変優秀な薬剤師さんが多く育ったとしても、薬剤師が関与する機会が与えられなければ結局そういう医療事故は防げないと思っております。先ほど藤井委員指摘もございましたが、薬剤師の担うべき役割は大きいわけでございまして、その意味において、医療機関の中における薬局部門や薬剤師の位置付けを高めていくべきではないかと思いますが、このことにつきまして具体的な対応策を伺います。
  244. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 具体的といいますか、特に医薬品に関連する医療事故というのは大変多いわけでございまして、データを見ましても、薬に関する事例が大体四割弱、三五、六%もあるということでございます。したがいまして、私ども、先ほど藤井議員の御質問もございましたが、いろんな形で医療機関に通知を出しましたりして、薬にまつわる事故を防止するためのいろんな取組をお願いをしておりますけれども、今回、薬剤師の六年制の教育課程ができれば、更に医療事故防止あるいは安全確保という意味でもかなり前進をするんではないかというふうに考えております。
  245. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ですけれども、病院等々での薬剤師の配置基準等について、むしろ逆のことをやっているんじゃないですか、厚生労働省は。違いますか。
  246. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 病院の薬剤師の配置の問題につきましては、先ほど大臣から御答弁されたとおりだというふうに思っております。
  247. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 改善するということで、もう一度確認させていただきます。
  248. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは今後の仕事範囲とも関係してくるわけですが、今、病棟等でいわゆるいろいろの輸液が行われたりもしているわけですが、そうした問題、みんな看護師さんにお願いしているわけですね。本当は、どのお薬とお薬とを混合して、そして輸液をするかといったようなこと、本当はこれは薬剤師さんにお願いをしなきゃならない仕事だというふうに思っておりますが、そこが今の制度ではそうなっていないものですから、ほとんど看護師さんに今ゆだねられているということでございます。  よく言われますように、病棟に少なくとも一人ぐらいは薬剤師さんがやはり配置されるということは望ましいことだというふうに私も思っておりますが、そうしたことをこれからどう取り入れていくか。これはもう即そのことが診療報酬に跳ね返ってくる話に正直なところなるものですから、人の配置という問題がですね。ですから、その根っこのところからそこは積み上げていかないと私はうまくいかないというふうに思っておりまして、そこのところの見直しの中で私はやはり考えなければいけない大きな問題の一つ、そういうふうにとらえております。
  249. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 なかなかはっきりとした御答弁ではないわけですけれども、確かに今、日本の医療費、年々高まる医療費の問題というのは、一方でとにかく質の向上のためにどんどん診療報酬が上がるような方向に持っていけばいいと、ただそれだけでいいという話ではないわけでございまして、一方で経費を削減できる分野については積極的にやっていくべきだというふうに考えますが、そこで、その一つの方法として、ジェネリック医薬品の使用ということをもっと積極的に進めればいいのではないかというふうに思っているわけですけれども、ジェネリックは海外に比べて非常に後れているわけですね。  そのことについて資料を今日、配付させていただいたかと思うんですけれども、薬事法の改正のときにも伺っておりますけれども、本日配らせていただきました資料は国立の医療機関についてのジェネリック医薬品の使用率ということでございますが、このことについて、これでこの数年、ジェネリック医薬品の使用が促進されて、かなり促進されてきたととらえるのか、まだまだ不十分であるととらえるのか、その辺のところをまず大臣に伺ってよろしいですか。
  250. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この表を拝見をいたしましても、なかなか、促進されてきたとはなかなか言い難い数字だというふうに思います。とりわけ、大学病院でありますとか、国立病院でありますとか、独法化されましたけれども、そうしたところにおきましてはなかなか進んでいないのが現状でございますので、これは、無理にこれはドクターにこうしろああしろということもなかなか言えないわけでございますけれども、同じ薬効であるならばもう少し考えてもいいところがあるのではないかというふうに私は思っております。  国立病院も独法化になりまして、それぞれでやはり経営的にもお考えをいただかなければならないということになりますから、私はもう少しは変わってくるのではないかというふうに思っておりますが、少なくともこの表を拝見をする限りにおきましてはそんなに進んでいるということは言えない状況にあると私も認識をいたしております。
  251. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 政府参考人、伺いますが、世界に比べますと、どういうふうなものでございましょうか。お願いいたします。
  252. 坂口力

    国務大臣坂口力君) たしかアメリカは四〇%──五〇まで来ているそうでございます。私が前聞いたときは四〇%ぐらいと聞いたんですけれども、五〇%まで来ているということでございますので、他の国々ちょっとよく分かりませんけれども、いずれにいたしましても、日本の国はそういう意味では使い方が非常に少ないということは言えると思います。
  253. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その問題につきまして、医薬工業協会調べの数字ですと、これは二〇〇三年の資料でございますが、アメリカは五二、ドイツ五四、イギリス五二、フランスが一二・〇、日本は、これ九九年のシェアですが、一〇・八ということでかなり後れております。  もしこれが日本でもっとアメリカ、ドイツ並みに進められれば、先ほども言いました医療費の削減ということについて絶大なる効果を発揮すると思われますが、その財政効果についてはいかがでしょうか。
  254. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘のとおり、日本は国際的に見ていわゆるジェネリックの使用のレベルがまだ低いということですので、これが高まればトータルとして医療費が効率化されることは事実でございます。  どのように、どの程度見込まれるかということに関しましては、一つには、一義的にジェネリックを使うかどうかは医師の判断によるわけでございますので、先発品から後発品への医師の言わば置き換えの見通しというものが予想できないこと。それからもう一つは、同一の有効成分における後発品の中でも様々な、同じ後発品でも相当後発品の中で価格に幅がございます。  どのようなものに言わば乗り換えて、影響、どのような価格に下がるのかと、この辺りの見通しがなかなか付かず、どの程度の財政効果が出るかということはなかなか困難でございますが、ただ、平成十四年度の診療報酬改定以降、後発品のより積極的な使用促進ということでそのような診療報酬政策も講じておりますことから、今後その成果の検証、これを行うとともに、今後とも後発品の使用促進に努めてまいりたいと考えております。
  255. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 財政効果についてはもう二年前の予算委員会で、草川委員質問の中で四品目で六百億円という数字が二年前にも既に出ているわけですので、やる気がないのかなと、今の御答弁を聞いていますと。私は具体的に、何か、何品目で幾らとかちょっと計算してくださいよというふうに私はオーダーを出しておいたと思うんですけれども、もう少しまじめに取り組んでいただきたいと思います。  で、なぜジェネリックが使われないのかということについて、ジェネリックをもっと使うためにはやはり代替調剤ということをやらなきゃいけないと。代替調剤やるためにはやはり薬剤師の、先ほどから申し上げておりますように薬剤師の権限というものを強化しない限り代替調剤というのは進められないわけです。ですから、日本でジェネリックが普及しない理由は、代替調剤ということに踏み切れない、その踏み切れない理由は薬剤師と医師の身分格差というふうに私は考えるわけですけれども大臣いかがでしょうか。
  256. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) ちょっとその前にデータのことでございますけれども、森委員指摘の医薬工業協会のデータは数量ベースのデータでございまして、数量ベースでいいますと、先ほどで私ども入手している限りは、アメリカでも五二%、イギリスでも五二%、ドイツでも五四%、日本では一二・二%ということになりますが、恐らく金額ベースの数字にしますと大臣もちょっとおっしゃいましたようにもう少し下がるんではないかと思います。ただ、今私どもが承知しているデータはそういうことしかございませんので、数量ベースではそういうことだということでございます。  それから、代替調剤についてのお尋ねでございますけれども、諸外国のケースの場合には、例えばアメリカでございますとかフランス、ドイツのように、お医者さんの方が調剤変更を駄目だという指示をしない限りは、薬剤師が同一成分、同一規格の他の銘柄に調剤変更すると、そういういわゆる代替調剤というのを認めている国も確かにございます。  この代替調剤をどうするかという問題でございますけれども、これはやはり我が国におきまして、やはりお医者さんと薬剤師のそれぞれの役割をどう考えるかという問題でございますし、また医療の現場でどう考えるかという大きな問題がございます。したがいまして、まだ医療関係者の間で十分な議論が行われていないということでございますので、そういう意味では、代替調剤に踏み切るという段階にはまだ来ていないんではないかというふうに考えております。
  257. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、それはもう、まだ議論はされていないなんて、やる気がないんでしょうとさっき言ったんですけれども、もうちょっとまじめに取り組んでください。一方で医療費がもう高騰してしようがないと言っていて、一方でジェネリックを使えばそれは非常に財政効果があるというのがもうとっくの昔に分かっているわけですから、もっとまじめに取り組んでいただきたいと思います。  そのことについて大臣の御決意を伺うとともに、これは最後になりますけれども、例えば最近は分子標的薬ですとかそれからテーラーメード医療というような本当に高度な医療、薬剤というものが使われる、言われるようになってきたわけでございます。今般のこの薬剤師法の改正、薬学教育六年制の導入により、薬剤師は医療に対してどのような役割を果たし、そして医療の高度化に対応していくことができると考えているのか大臣に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  258. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 代替調剤の話はいろいろ実はやっているんです。やっているのになかなか難しいところもあるんですが、この前も話ししましたのは、例えば処方せんに、もうそこに書いてあるとおりの製品を使わなきゃならないというんだったら、まあ処方せんに丸を付けるなら丸を付けてもらうと。それで、付いていないのは自由にその中のどれかを使ってもらうということはどうかという提案をしたりもしたことはあるわけでありますが、なかなかこれは難しいんですね。いろいろ御意見ありまして、難しいことも事実でございますけれども、私もここはもう少し進めていいと思うし、進めなきゃちょっといかぬと思っております。抵抗も正直申しましてありますけれども、少しここは前へ進められるようにしたいというふうに思っております。  それから、テーラーメードでしたかね、医療につきまして、これはそういう医療の範囲がこれから拡大していくことは紛れもない事実でございます。そういったことになりましたときに、薬剤師さんの範囲、お仕事の範囲というのは更に拡大をするだろうというふうに私は思っております。  例えば、薬の中でも、肝臓で代謝される薬もあれば、腎臓で代謝されると申しますか排出される、排出はされるわけですけれども腎臓に負担の掛かる薬もある。その人の体の状況によって、腎臓の悪い方であれば、それはこちらの方のお薬を使った方がいいんじゃないですかというようなアドバイスは、それはやはり薬剤師さんがそういうふうなことはしていただくように今後なるんではないかというふうに思っておりまして、そうした意味で今後範囲は非常に拡大をしていくであろうというふうに思っている次第でございます。
  259. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日です。  既に三人の同僚委員からもうこの法案に関する幾つかの基本的な問題、質問を出されております。私もできるだけ重複を避けて幾つか考える材料を皆さんに提供しながら質問をさせていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕  なお、冒頭に、私ども、この薬剤師法の改正については、ある意味では遅きに失したというか、ようやくたどり着いたということで、是非成立をさせていただきたいと、こういうふうに基本的に思っています。もちろん、先ほど来御質問があるように、何で四年制と六年制と二本立てなんやろとか幾つか疑問点はありますが、基本的には賛成をいたします。むしろ、これからどういうところで薬剤師の皆さんに活躍をしていただけるか、そういう観点から御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初の材料は、参議院の厚生労働委員会調査室の方で作っていただいた資料の中に大変興味深い資料がございました。医薬分業に関する調査研究というのが載っております。これお聞きしますと、私はてっきり厚生労働省がおやりになったのかと思ったら健保連がやっているということなので、直接厚生労働省の方で実施された調査ではないようですが、是非興味深い調査結果がありますので、幾つか御紹介をいただきながら厚生労働省としての考え方をお尋ねしたいと思います。  まず最初に、ちょっとアウトラインといいますか、平成十四年度医療保障総合政策調査、正式な名前は医薬分業による薬剤給付の合理性に関する調査研究についてと、こういうレポートがあります。このレポートの趣旨なりあるいは概要について大ざっぱに御説明をいただければと思います。
  260. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘平成十四年度の医療保障総合政策調査、正式な名前は「医薬分業による薬剤給付の合理性に関する調査研究」ということでございますが、本調査は健康保険組合が平成十四年に実施をいたしたものでございます。  観点は、医薬分業が進む中で保険薬局による薬歴管理あるいは疑義照会がどういうふうに機能しているかどうか、それから医薬分業というのが患者側にはどういうメリットがあるのかどうかということで調査をやっておりまして、医薬分業による薬剤給付の合理性を検証するという趣旨で行ったものであるというふうに承知をいたしております。  研究方法でございますけれども、医薬分業率が非常に高まっている神奈川県におきまして、患者に対するアンケート調査あるいは薬局に対するアンケート調査、それから薬局と医療機関に対するヒアリング調査を実施して取りまとめたものだというふうに承知をいたしております。
  261. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それじゃ、その中で幾つか興味深いデータが出ているんですが、私が関心を抱いた点、三つないし四つの点に絞ってもう少し詳しく御説明をいただきたいと思いますが、やっぱり医薬分業が進んできているということで、しかし、本来目指した方向に進んできているのかどうか、やや私は疑問を感じています。  そこでまず、患者さんといいますか、薬をどこの薬局にもらいに行っているのか。病院に行く、そして処方せんを出してもらう、そしてその処方せんを持って患者さんがどこのどういう薬局に薬をもらいに行っているのか。多くの場合、医療機関の近くの薬局に行っているんじゃないか、自分の家の近くの薬局には行っていないんじゃないかと思うんですね。  そういう点についての、どんな薬局を選んでいるのかという点についての研究の結果を御説明ください。
  262. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘の点でございますけれども、院外処方で処方せんを持って薬を受け取るといった場合にどの薬局に行くかということでございますが、この調査によりますと、約九割の方が受診した医療機関の近くの薬局で薬を受け取っているという調査結果でございます。  それからもう一点、どうしてじゃ近くの薬局に行くかということでございますが、受診した医療機関の近くにあったから、あるいは医療機関で紹介されたからといったような理由が挙げられております。
  263. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうなんですよね。実は、余り人のことは言えなくて、私も近くの薬局に行っていることがあるんで、多分そうなっちゃうんだろうと、今ね。だから、そういうことと裏腹のことなんだと思いますけれども、案外、利用者、患者さんたちは、この院外処方について余り積極的な評価というか、好感を持って受け止めていないように思うんですね。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  この研究レポートの中でも、院外処方についてどういうふうに感じるか、余りよろしくないというふうに感じているような結果が出ていますが、この点についての御説明をいただきたいと思います。
  264. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) ちょっとどこだか記憶にございませんが、院外処方のメリットを感じている患者さんもそれなりにおられたという数字を記憶いたしております。ちょっと今手元にございませんので、今チェックをいたしたいと思いますけれども
  265. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちゃんとメモにして書いて渡してあるんで、見ておいてください。  このレポートでは、もちろんそういう設問の前に幾つかあるんですけれども、今回の受診で院外処方だった人が、余りいい、良くないというふうに感じた点、その第一は、要するに二度手間だと。要するに、お医者様に行く、玄関出て今度またすぐ近くの薬局に行く、二度手間になっているというのがやっぱり圧倒的に多いんですよ。もう一つは、項目として高いのは、医療機関の中で薬をもらうよりも支払額が高くなったという項目もあるみたいなんですが、そこの問題はいろいろケースによって違うと思いますけれども、何か二度手間を感じているというのは、これは医薬分業の観点からいって一体どうなんだろうかという気がしてなりません。  そこで、三つ目に、最近十年間、一九九四年以降に開業した薬局、幾つかのデータを見ますと、それを読みこなしますと、かなり門前薬局というか、第二薬局というか、マン・ツー・マン薬局というか、そういう種類の薬局が圧倒的に多いように思いますがどうでしょうかということと、そのことについて厚生労働省はどうお考えですか、この点についてお尋ねします。
  266. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘の点でございますけれども、医薬分業は平成十五年度におきましては大体約五〇%に達しております。したがいまして、近年着実に進展してきておりますけれども、御指摘のとおり、特定の医療機関の処方せんを中心に応需するという形態のいわゆる門前薬局が多いのも事実だというふうに私ども思っております。  こういう形の特定の医療機関の処方せんを中心に応需する形態の薬局といいますのは、必ずしももちろん医薬分業のメリットを発揮していないというケースでございますので、そういう指摘もございます。したがいまして、私ども厚生労働省としては、今後とも、患者さんがよりメリットを実感できる、適正な医薬分業の姿である掛かり付け薬局をどう普及していくということを主眼に考えたいと思っておりまして、そのための質の高い医薬分業を実現するという取組を進めたいというふうに考えております。  また、御指摘ございましたいわゆる第二薬局の問題でございますが、第二薬局の問題につきましては、医療機関と一体的な経営を行うものと認識いたしておりまして、これにつきましては、医療保険のサイドで、保険医療機関と保険薬局の間の健全な運営を確保するという観点から、保険薬局の指定を行わない、あるいは医療機関と一体的な経営を行う保険薬局については十分な監視、指導を努めるということをやっておりますので、そういう形でその第二薬局については適正な指導をしていきたいというふうに考えております。
  267. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非適切な指導をしてほしいんですが。ただ、あちこち回りますと、正直言って、かなり離れたところに病院がぽつんとあって、病院の前に薬局が三つもずらっと並んでいてという、ある種異様な光景が時々見られるんですね。これは本来医薬分業の目指した姿じゃないだろうと。  だから、もっと本来の医薬分業を進めていく中で、今おっしゃった掛かり付け薬局、ちょっと最近掛かり付けという言葉が余りいいイメージがないんですけれども、本来の意味は大変いい意味だと思うんです。この掛かり付け薬局ということの機能を増やしていくことによって、そこで、先ほど大臣がおっしゃっていました、あちらの医療機関からもらった薬、こちらからもらった薬を突合してみると、これとこれとダブっているじゃないかということが本当にできて、それをきちっと薬剤師さんが個人の薬歴をちゃんと見て、あなた、こうですよと、こう言ってくれるのが本来目指した医薬分業なんではないかと思うんですね。  ところが、意外と難しいのは、今私が申し上げた門前薬局あるいは第二薬局の実態というのが案外つかみにくいんですね。どうやってつかんでおられますか。どの程度把握できていると思いますか。
  268. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 門前薬局あるいは第二薬局、まあ第二薬局の場合には特定の医療機関と特定の薬局の関係でございますから、それは問題があるというふうに私どもは考えております。ただ、門前薬局の場合には、どこまでを門前と言うかというのはかなり、委員指摘のように定義が非常に難しい面がございまして、実態的に把握することが非常に難しいと思っております。  この問題については、要は、掛かり付け薬局であれば、門前薬局、門前にある薬局でもそれは問題がないわけでございますので、そういう意味では。掛かり付け薬局機能をいかに持つかということがやはり大きな問題だと思います。それは、先ほど大臣からも御答弁がありましたけれども、掛かり付け薬局をやはり本来の医薬分業の姿としてどういうふうに普及をしていくかというのが私どもの課題だと思っておりますので、普及啓発のみならず、いろんな形での推奨策について力を砕いていきたいというふうに思っております。
  269. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それじゃもう一点、先ほど疑義照会のことについてはもう御質問と御答弁がありましたので省略をしますが、たまたま平成十四年度、会計検査院の方で、決算報告の中で調剤薬局の調剤基本料のことについて改善の指摘がされております。ちょっと分かりにくいかもしれませんけれども、まず、会計検査院の方、おいでですかね、平成十四年度の改善措置を講じた事項について、どういう点であるか、概略を御説明いただければと思います。
  270. 増田峯明

    説明員(増田峯明君) それでは、ただいま委員が御指摘になりました検査報告掲記事項につきまして、概要を御説明させていただきます。  調剤報酬の調剤基本料は、薬局が処方せん受付一回ごとに算定をし、請求することができるものであるわけですが、この点数につきましては区分が設けられております。この区分といいますのは、各薬局における一月当たりの処方せん受付回数と、それからその受付回数に占める特定の医療機関からの処方せん受付回数の割合、この二つの数字に応じまして定められているわけでございます。各薬局がそのいずれの区分により調剤基本料を算定し、請求するかにつきましては、薬局における処方せん受付回数の実績と、それからそれに占める特定の医療機関からの処方せん受付回数の割合の実績、これに基づきまして薬局自らが決めることとされているわけでございます。  私どもで検査をいたしましたところ、検査を実施したわけでございますが、調剤基本料のただいまの区分に関する取扱いがあるわけですが、その取扱いに関する厚生労働省の周知及び指導が十分でなかったというようなことなどの原因によりまして、北海道ほか十六都府県の百五十九薬局のうち四十五薬局におきまして、受付回数等の実績を把握することなく、適正な区分の点数よりも高い区分の点数を用いて調剤基本料を算定し、請求していたわけでございます。  この私ども指摘に基づきまして、厚生労働省では、昨年一月及び三月に地方社会保険事務局、それから都道府県に対して通知を発しまして、薬局に対する指導を強化するとともに、関係団体と連携を図ることによりまして、調剤基本料の区分に関する取扱いについて周知徹底を図る処置を講じたものでございます。  以上でございます。
  271. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、会計検査院の方から指摘事項とそれに対して厚生労働省が取った措置について御説明がありましたが、ちょっと厚生労働省の方に伺います。  会計検査院からこういう指摘を受けて、本年四月にも診療報酬の改定もございましたので、どういう対応策を取られたのか。まだ実績というか効果というかは判断するのは早いのかもしれませんけれども、その後どんなふうに推移しているのかも含めて厚生労働省の方に御説明いただきたいと思います。
  272. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 今、検査院の参考人から御説明あったように、私ども、まず通知を発しまして、十分検査院の指摘事項に対応するようにという通達をしているところでございますが、あわせまして、今御指摘の診療報酬改定での対応でございますが、まず、今御説明にありました処方せんの受付枚数、あるいは特定医療機関に対する処方せん調剤の集中度と申しましょうか、この二つの要素によって四区分にいたしましたのは平成八年の診療報酬改定のときでございまして、これは、当時、チェーン薬局で様々な問題が出まして、むしろチェーン薬局、いわゆる門前薬局に対する言わば調剤報酬を適正化する観点から、言わば件数が多く特定医療機関に対する集中度が高いものについては点数を低く、そして件数が少なく特定医療機関に対する集中度の低いものを点数を高くと、こういうことで四つの区分を作ったものでございますが、その後、医療保険の患者負担率が高まる中で、むしろ患者負担額が異なるということについてむしろ患者側にとって分かりづらいという指摘が、意見が出てまいりまして、むしろこの四区分というものの簡素化というものが見直し事項の一つとなってまいりました。  そういうことから、今回の診療報酬改定におきまして従来の四区分から三区分に一つは簡素化するということと、それから、今の検査院の指摘事項に対応することでございますが、調剤報酬明細書、いわゆる調剤レセプトでございますが、この調剤基本料欄にこれまでは各月込み込みで点数を入れておりましたけれども、各保険薬局自身が、いずれの区分に該当するのか、どの区分に該当するのかということを自覚して記載した上でその点数を記載するようにということで、記載要領についても変更を行いまして、更に間違いのないように、それから、そもそも、その区分というものを簡略するという方向で改定をいただいたところでございます。  なお、この調剤基本料の区分の在り方につきましては、更に議論が必要だという指摘もございまして、今後とも中医協における御議論を踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。
  273. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それはそれで対応策を取っておられるということなんですが、今一番最後におっしゃったように、私は、そもそも調剤基本料のその指標というのか、区分の基本的な考え方を変えた方がいいんじゃないかと私は思っているんですね。  それで、ちょっとこの辺は、つまりどういうことかというと、処方せんの受付枚数が何枚かとか、あるいは特定の医療機関、ある病院からのやつが七割以上を超えているか超えていないかとかいう一つの指標、それは一つの指標なんだけれども、それで評価していくということにどれほどの意味があるのかなということを少し気になっていまして、むしろ、先ほどお話があったように、もっと掛かり付け薬局としての機能と役割をストレートに評価できるような考え方に切り替えられないかなというふうに実は思っているんですが、そのことも含めて、ちょっとここは大臣にお伺いします。  今、るる説明をさせていただきました材料が、実は一つは健保連の調査、もう一つは会計検査院の検査結果ということで、是非ここはひとつ、医薬分業の現状というか実態を、もう少しきちっと厚生労働省としても実態を調査をして、問題点の把握のし直しをすべきではないかというのが一つの御質問です。  そのことを踏まえて、今後、医薬分業を本来の目的というか、もっといい意味での機能、効果を発揮させていくためにどんなふうにさせていこうとされているのか。調査の結果を踏まえてということになるのかもしれませんが、現時点でその二点について大臣のお考えをお聞かせください。
  274. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほど朝日先生が言われました、朝日先生が言われたといいますか、調査の結果としていわゆる二度手間というのが非常に多く出ているというお話でございました。  それは確かに、今までの医療制度の中で考えていたことと比較をすると二度手間になるというか、そういう気持ちになられるんだろうというふうに思いますけれども、そこの意味というものを、やはり多くの国民の皆さん方になぜこうしたかということを理解をしていただかなければいけないと私も思います。それを理解をしていただきますためには、やはり調剤薬局に持っていって薬をもらったときに、今までの病院の中で、窓口で、はい、何番さん何番さんといってもらっていたのとは違って、薬の内容だとか、いろいろのことについていろいろのやはり指導をしてもらえるということがあって、私はそれはだんだんと理解されていくのではないかというふうに思っております。  そういう意味で、委員が今おっしゃいましたように、どこどこの病院で何枚ということも、それはそういう分け方もあるかもしれませんけれども、それよりも、どういう指導をしたらそれにプラス点数を付けるというのでも私はいいと思うんですね。確かに点数は上がったけれども、しかし、なるほど、自分はそういうことを気付かずにいたと、薬というのはなるほどそういうふうにしなきゃならないものだというようなことをその患者さんが理解をしてくれれば、私はそれだけの評価が上がるんではないかというふうに思っております。  したがいまして、御指摘いただきましたことを十分に踏まえて一遍調査もいたしますが、そうした積極的な面、薬局としての積極的な面をどう評価するかということについても今後ひとつ考えていきたいというふうに思います。
  275. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非お願いします。  というのは、そういうことの中で、これから薬学教育が六年に延びて、より優秀な人材がどんどん薬剤師さんとして出てこられる、そういう人たちが活躍できる場がまた一方で確保される、こういうことになるわけで、せっかくそういう言わば活躍の場を用意しないままに教育年限だけ延ばしたって、これはいかがなものかという気がしますから、是非この医薬分業の問題については、確かに調査、どうやってやったらいいかというような難しい点がありますけれども、是非、厚生労働省としても一定の実態把握に努めていただいた上で、もう少し本来の目的に近づけるためには何が必要かということを明らかにしていただく作業に取り組んでいただきたい、こう思います。  それでは次に、今日のこれまでの議論でも既に若干ありましたけれども、今度は病院の中での問題、特に医療事故に関する問題について私も考えてみたいと思います。  その考えていくための材料として、今日は総務省の行政評価局から来ていただいております。  医療事故に関する行政評価・監察結果に基づく勧告というものが今年の三月に出されております。これは、主として国公立病院対象に調査をされましたし、少なくとも、薬剤の問題だけではなくて、かなり広範に医療事故に関する調査をされていますので、その全体をお聞きする時間はとてもありませんが、まず総務省の行政評価局の方に、今回の調査、監視をされた趣旨、そしてその勧告の結果概要について概略御説明をいただければと思います。  なお、今申し上げたように、私はこの中で特に薬剤師が関与している部分というのはどんな状況なのかということについて特に関心を持っておりますので、その点を念頭に置いて御説明いただければ有り難いと思いますが、まずは概要の御説明をいただきたいと思います。
  276. 田村政志

    政府参考人(田村政志君) 医療事故に関する行政評価・監視は、近年、医療の高度化・複雑化等を背景として、生命に危険を及ぼす医療事故が多数発生している状況を踏まえまして、医療事故の発生を防止する観点から、平成十四年八月から十六年三月にかけて実施したものでございます。  この行政評価・監視においては、大学病院、国立病院・療養所及び公的民間医療機関、合計二百十七機関における医療事故防止対策の実施状況等を調査しまして、その結果に基づき、本年三月十二日、文部科学大臣及び厚生労働大臣に対して勧告を行ったところでございます。  その概要でございますが、勧告の柱が四点ございまして、一つは医療機関における医療事故防止対策の推進ということでございます。二つ目が、医療事故事例を収集・分析等する仕組みの導入ということでございます。三点目が、医薬品・医療用具に係る医療事故防止対策の推進ということでございます。四点目が医療の安全に関する教育の推進ということで、これが勧告の主な内容となってございます。
  277. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それじゃ、もう少し詳しくお尋ねをしたいと思いますが、まず、先ほどもやり取りがありました薬剤師法に基づく疑義照会ですね、この場合は医療機関の中における疑義照会だというふうに理解していいと思います。先ほどの御説明があった二・三八%という数字は、これは院外処方せんの薬局からの疑義照会ということだと思いますが、これを見ますと随分低いんですよ。調剤件数の一%、薬局の方は二・三八%で、病院の中の方が疑義照会がしにくいのかなという、そんな印象もふっと持つんですが、このことと、その疑義照会がされたことをどう取り扱っているのか、この点についての指摘がありますので、まずこの点について御説明ください。
  278. 田村政志

    政府参考人(田村政志君) 今回調査いたしました二百十七医療機関のうち、平成十三年度において調剤件数及び疑義照会件数を記録していたものが九十二機関、四二・四%でございます。これら九十二機関における調剤件数は一機関平均三十九万三千三百二十件でございまして、そのうち疑義照会件数は一機関平均三千七百七十七件、調剤件数の一・〇%でございました。これらの中には疑義照会がないまま投与されると重大な医療事故につながるおそれのあるものも見られたわけでございますが、疑義照会結果について調査した二百十七医療機関の取扱いは、常時インシデント事例として把握・分析しているものが十機関、四・六%でございます。それから、必要に応じて把握・分析していたものが八機関、三・七%でございます。把握・分析を全く行っていなかったものが百九十九機関、九一・七%となっております。
  279. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ですから、今お聞きになったように、まず疑義照会の件数が一・〇%と、調剤件数の一・〇%と非常に低い数値である。私は病院に勤務した経験もあるんですが、もっともっとやっぱり病院、医療機関の中でも薬剤師による疑義照会の件数が増えてしかるべきだと思っているんですが、なかなかそれができないというか、できにくい状況というか、環境があるのではないかということをまずは指摘をしておきたいと思いますし、もう一つは、問題なのは、せっかく疑義照会をしているのに、それをインシデント事例としてきちっと記録にとどめてない。これは極めて問題だというか、何やっているんだと。せっかく上がってきているんだから、それをきちっと、結果としてどうなったかは別として、すべて記録にとどめておくということがこれからのまたいろんな対策の重要な資料になると思うんですが、それができていない。こんな点が非常に気になりました。そういう意味では、この調査は非常にある種の問題点というかを指摘しているというふうに思います。  さて、その次に、この勧告の中で、医薬品の管理、要するに薬をどうやって管理しているか、この部分についても調査をし指摘をされておりますので、特に、結構法令違反の実態があるというような御説明もありますので、ちょっとこの部分について御説明ください。
  280. 田村政志

    政府参考人(田村政志君) 医薬品の管理の法令違反を指摘した事例でございますが、二医療機関において二事例見られております。  その内容は、薬事法では、「業務上毒薬又は劇薬を取り扱う者は、これを他の物と区別して、貯蔵し、又は陳列しなければならない。」とされておりますが、劇薬の錠剤と一般の錠剤とを区別せず混合して医薬品棚に並べていたものでございます。  もう一件は、薬事法では、「毒薬を貯蔵し、又は陳列する場所には、かぎを施さなければならない。」とされておりますが、毒薬の保管庫を常時施錠していなかったものが一機関ございました。
  281. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 だから、数はそんなに多くないけれども、こんなことが国立医療機関であってどうなんだろうかという事例が指摘をされております。  次に、医薬品の管理あるいは輸液、輸血の業務、それから投薬業務、それぞれ項目が違いますが、ひょっとすれば医療事故につながりかねないというふうに思われる事例について幾つか具体例を報告されて、それに対する指摘をされておりますので、できるだけ要約をして御説明をいただきたいと思います。
  282. 田村政志

    政府参考人(田村政志君) 医療事故につながるおそれのある事例としては、四十五医療機関において五十八事例が見られております。  その内容として、例えば医薬品の管理業務については、間違えて投与されると死亡に至る可能性が高いアルマール、血圧降下薬と、アマリール、経口糖尿病用薬を同一薬品棚に近接して配列していた例等、十五事例がございます。  それから、輸液、輸血業務については、医師が輸血の投与方法を指示していなかったため、患者担当の看護師のみの判断で投与していた、あるいは輸液を一人の患者ごとに一つの容器で仕分けをしていなかった等、三十一事例がございました。  それから、投薬業務につきましては、散剤の分包紙に患者名又は薬品名が印字されていないため、患者が誤って服用する危険があった、あるいは医師からの投薬指示が看護師のみに直接行われていることから、入院患者の注射薬剤の投与について、薬剤師のチェック機能が働かずダブルチェックが行われていなかった等、十二事例がございまして、これらについて指摘しているところでございます。
  283. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今お聞きいただいたように、もしかすると医療事故につながってもおかしくはない、そういう可能性の非常に強い事例について幾つか御指摘がありました。  これは後で、こういう勧告を受けて厚生労働省としてどういう対応を取ったのかお尋ねしたいと思っているんですが、例えば、今例として挙げられた薬の名前、非常に間違えやすい、アテレックとアレロックとか、タキソールとタキソテールとか、アマリールとかアルマールとか、こういう薬が、そもそも片仮名で書かれると非常に間違えやすくて、しかもそれが同じ棚に乗っていたらこれはもう間違えない方がおかしいぐらい、そういう事例について指摘をされているわけであります。  さてそこで、幾つかお尋ねしたい点たくさんあるんですが、もう一遍総務省の方にお尋ねしますが、特に、こういう監察をしまして、医薬品絡みで医療機関に対する事故防止対策の推進についてどういう点を勧告をされたのか、できるだけ絞って御説明をいただければと思います。
  284. 田村政志

    政府参考人(田村政志君) 二点申し上げたいと思いますが、医療機関における事故防止対策の推進に関して厚生労働省が講ずべき措置として、一点目は、医療機関に対して、医療法施行規則に定める安全管理体制を確保することにより、組織的な安全対策の検討、実施を徹底させること。その際、医療機関における院内報告については、調剤に係る疑義照会における重大な医療事故につながるおそれのある事例をインシデント事例として取り扱うことを含め、報告を求めるべき医療事故事例及びインシデント事例の範囲を明示すること。  二点目は、医療機関に対して、医療事故につながるおそれがある医薬品の管理、輸血、輸液、投薬等業務の事例を収集、分析して、これを提示し、その是正を図ることということでございます。  それからもう一つ、医薬品、医療用具に関連する医療事故防止対策の推進に関して厚生労働省が講ずべき措置としては、医療安全対策ネットワーク整備事業等において、取り違え、誤使用が発生しやすい医薬品、医療用具の情報や、同様の取り違え、誤使用により発生した重大な医療事故に係る情報等、医療機関等において活用しやすい情報の提供を推進すること。こういったことを勧告してございます。
  285. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。  さて、そういう勧告を受けて厚生労働省、これはもしかすると文部科学省にもお尋ねした方がよかったのかもしれませんが、厚生労働省としてどういう対応策を講じられたのか、あるいは今後どういうお取り組みをされていくのか、御説明ください。
  286. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 総務省から勧告を受けまして、私ども幾つかの施策を取っております。  まず、勧告の一つの医療機関における医療事故防止対策の推進ということですが、平成十四年八月の医療法施行規則の一部改正など、従来より医療機関における組織的な安全対策の検討、実施を図るべく取り組んでおるところですが、加えまして、この十五年の十二月に厚生労働大臣から医療事故対策緊急アピールというものを出して、医療関係者に更なる安全対策への推進をお願いしたところでございます。  それから、医薬品、医療用具に関連するインシデント事例に係る情報提供でございますが、従来、ヒヤリ・ハット事例収集事業の結果を踏まえまして、間違えやすい医薬品を列記し、これは平成十五年の十一月でございますが、都道府県経由で医療機関に対し、現場での注意喚起、取扱いの再検討を依頼したところでございます。  それから、収集された事例の分析、提供方法についても、引き続き医療安全対策検討会議などにおきまして、より活用しやすい提供方法について検討しております。  そのほか勧告された事項に関しましては、医療事故の報告の範囲の明示など、現在、所定の手続中のものもございます。準備が整い次第、順次対応を検討を進めて、医療安全対策の充実を図りたいと考えております。
  287. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、まだ対応準備中のところもあるようですが、例えば、ちょっと今の御説明で概要は分かったんですが、例えば非常に具体的に名前を間違えそうなやつについては、これは注意を喚起するというのは分かるんですけれども、そもそも名前をもう少し工夫するとか容器を変えるとか、そういうことはできないんですかね。
  288. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) この十五年の十一月に医政局長名それから医薬食品局長名で、間違えやすい医薬品の採用状況の確認、それから間違い予防のために講じている方策の確認、それから抗がん剤などの使用体制の確立ということで、先生先ほど述べましたいろいろな似ている薬を後ろに列記しまして、注意をしろということを通知をしております。  加えまして、メーカーの方に対しても、変えられるものがあれば間違いを防止していただきたいということも申し上げておるところでございます。
  289. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 だから、現場の皆さんに注意をしてほしいというのも当然だけれども、もっと言えば、もう見た目明らかに違うというふうに変えちゃえばこれは随分と違うわけだから、名前を変えるなり、あるいは全然、容器とか装丁を全然変えるなり、工夫の余地はあり得るんじゃないかと思うんですね。もちろん、メーカーの方がそれを受け入れるかどうかという問題はあるかもしれませんが、こういう点、せっかく総務省の方でいろいろ監査をして指摘をし、あるいは勧告をされているわけですから、今後どういう形で対応していくかということも含めて、また、その後のフォローアップをお尋ねをしたいというふうに思います。  ちょっと、最初予定していませんでしたけれども、ちょっと今のやり取りのところについて、大臣、何か感想ございませんか。
  290. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 総務省の方からいろいろ御指摘をいただいたこと存じているわけでございますが、具体的な問題としましては、先ほどからお薬の話出ておりますけれども、よく似た名前、よく似た色、よく似た形、そうしたものを避けるように、新しいこれからできてくるものについてはそういうことを注意をしていただくようにお願いをしているわけでありますが、でき上がっているものをどうするかという問題が一つはございます。そうしたことにつきましても、今後、包装とか、そうしたもので色を違うようにするとか、何か方法はあるだろうというふうに思っております。  そうした問題ございますが、今もお話を聞いておりまして、基本的な問題としましては、いわゆる臨床の現場には医師と看護師しかいないと。薬剤師さんは薬局にいて、検査技師さんは検査の場にいると。本当は臨床の現場に薬剤師さんも入ってもらい、検査技師さんも入ってもらい、そして入院している人の問題をいろいろと検討をする、こうだああだというようなことができるようにしているという病院の中のシステムの問題かなというふうに思ってお聞きをしていたわけでありまして、そうしたことができていかない限り、医師と看護師だけしかいないということになると、医師はすぐ看護師さんにあれしてくれこれしてくれということで、今までの、そういうことに慣れてきているものですから、それだけで済んでしまって、そこに本当の、やらなきゃならない薬剤師さんがその中に入ってこないとか、検査技師さんの問題がその中に入ってこないとかということになってしまう可能性があって、そうしたことがまた誤りにも結び付いていく。これからのチーム医療としての在り方、その中の組織をどうしていくか、患者さんの問題に対してどうしていくかということの在り方にかかわる問題だというふうに思いながらお聞きをしたところでございます。
  291. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 実は最後にお尋ねしようと思った点を今お答えいただきましたんでこれで終わりますが、やっぱり病院、医療機関の中の薬剤師さんが担う機能と役割をもう一遍きちっともう少し積極的に位置付け直して、場合によっては組織的にも少し機構改革をして、病棟なりあるいは薬剤管理なり、さらに、今日ちょっと質問できませんでしたけれども、輸血、輸液の部分についての関与なり、ことを含めて、是非、これからの病院、医療機関の中における薬剤師あるいは薬局部門の新たな位置付け直しについて、これは個別の病院でいろいろ御努力をいただくということと同時に、厚生労働省としてもより積極的な取組をお願いをしたいなと。そういうことによって、病院の中で薬剤師さんが担う役割をより積極的に位置付け直していく、強化していく、こういうことと相まって、じゃ、人員はこれでいいのかという議論に結び付けていかないといけないんじゃないかと、こんなことを改めてお願いを申し上げて、質問を終わります。
  292. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  大臣におかれましては、いろいろと、衆議院の方で今日年金の法案が本会議で可決をされたということで、大変に御苦労さまと申し上げたいと思います。  本委員会の議題でありますこの薬剤師法の一部改正案につきましては、公明党として賛成の立場であるわけでありますけれども、今日は何点か、私、専門ではございませんので基本的な質問が多いと思いますし、また、今日、二時間半の議論の中で既に多くの論点が出たわけでありますので、重複する部分もあるかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。  最初質問でありますけれども、さきに同僚委員からもいろいろお話ありましたけれども、明治時代から始まりました我が国の薬学教育は、新薬の開発あるいは製薬技術の導入、産業化を目的にいたしまして、研究者の養成というものに大変力点が置かれていたという指摘があるわけでございます。特に国立大学においてはその傾向が強いと言われているわけでありまして、その中で問題点としてよく指摘されてきましたのが、医療従事者としての薬剤師の養成の視点というものが乏しかったのではないかということでございます。  今回の改正は、そういった指摘を受けての改正だというふうに私も理解をしておりますが、先ほど来出ております薬剤師の能力不足による医療事故あるいは医療ミスといったものが今まであるということでございまして、私、最初質問としてお伺いをしたいのは、厚生労働省として具体的に、今までのシステムの中ではどういった分野で、あるいは領域で、あるいは専門領域で薬剤師の能力不足というものがあったのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  293. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 医療が非常に高度化してきておりますし、また、非常に複雑化してきているという実態がございます。そういう中で、薬剤師が最適な薬物療法の選択にどういうふうに寄与していくか、あるいは、先ほど来いろいろ議論ございますように、服薬指導をどう徹底していくか、あるいは医療安全対策の分野でどういう役割を果たすことができるかということが問われている時代だと思います。  現在の四年間の修業年限でございますけれども、私ども今回六年必要だというふうに考えておりますのは、例えば医薬品の効能効果、副作用等の、医薬品を人体に適正に使用するための十分な知識が本当にあるだろうか、あるいは患者さんとのコミュニケーション能力に問題はないだろうか、あるいは問題発見・解決型の能力が足らなくはないだろうか、あるいは医療現場での通用する実践力があるだろうかというふうな観点から、いわゆる医療薬学の分野について非常に充実を図る必要があるし、また実務実習を六か月程度やるということが必要ではないかというふうに考えたところでございます。
  294. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今、局長、いろいろと具体的に改善策を列挙していただいたわけでありまして、是非この改正案の可決を契機として、それぞれの改善策の実施を万全を期してやっていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、今のお話は、いわゆる大学段階での薬剤師教育の問題点を踏まえてお話しになったというふうに理解をしておりますけれども、もう一方で、先ほど坂口大臣もチーム医療という中での薬剤師の位置付けというお話をされていたと思うんですが、なかなか医師の処方せんに対して薬剤師が物を言う、あるいは場合によってはちょっと異なる意見を言うということがなかなかできないということがあるわけでございます。これは実態上の問題でありまして、大臣御承知のとおり、薬剤師法では薬剤師の立場でもし医師の処方せんに疑義がある場合には意見を言うことができることに法的にはなっておりますけれども、実態上これがなかなかできないと。その背景としては、今、最初質問でお聞きをした薬剤師側の資質の問題、知識の問題、経験の問題、能力の問題、こういったこともあるというふうに思いますが、他方で、医師と薬剤師の関係、あるいは薬剤師の医療機関の中での位置付けの問題等もあるというふうに思っております。  そこで、次にお聞きをいたしたいのは、先ほどもちょっと自民党の委員の方からも出ておりましたけれども、いったん大学を卒業して薬剤師になって医療機関等で働くようになってからも実は今の問題というのは継続してあるわけでして、ですから、薬剤師として働くようになった段階の後に、先ほど卒後教育というのが出ておりましたけれども、どういう仕組みの中で、先ほど私が申し上げた、法的には担保されている薬剤師の役割というものを、実態上もそれを果たせるところに近づけていく、そういう卒後教育の在り方ということに関して厚労省としてはどういうふうに取り組まれようとされているのか、お答えをいただきたいと思います。
  295. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘のとおり、薬剤師の卒後教育というのは大変重要であるというふうに思っております。  厚生労働省といたしましても、実務研修の充実ということで、平成九年から、経験豊かで適切な指導者の下で薬剤師業務全般についての幅広い基本的な研修を行うということで、薬剤師実務研修事業というのを実はやってきております。  ただこれも、どういう形で今後、特に来年の概算要求を控えておりますので、卒後研修という意味で、薬剤師の六年制も導入されていくわけですから、それを契機といたしまして、どう考えるかというのも今後よく考えてみたいというふうに思っております。  関係団体においても独自に研修が行われておりますし、また、先ほど御紹介いたしましたように、文部省サイドあるいは大学関係者でもそれぞれ工夫をされておりますので、そういったようなことも私ども参考にさせていただきまして、卒後研修の在り方というか、卒後の研修の実質的な充実ということについてよく研究をしていきたいというふうに思っております。
  296. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  是非いろいろと検討して改善策を講じていただきたいと思うんですが、これは次の質問に移る前の私の個人的なコメントでありますけれども、私もイギリスに六年三か月、留学生として住んでおりましたけれども、そんなに留学中は病気をしませんでしたのでイギリスの医療機関にそんなにお世話にはなっていないんですが、私が印象に残っておりますのは、イギリスは、やはり病院と薬局というのは全く別個のものとして、正に掛かり付けのお医者様がいて掛かり付けの薬局があるというようなことが社会の中で一般化していたなと、日本と比べるとですね、という印象が非常にありまして、それはやはり、医者に行って診断をされて処方せんをいただくという行為と、また薬局に行って薬を薬剤師と相談してもらうということ、自分の体に合っているかどうかということを薬剤師さんと相談しながらやるというのは、当然連動しておりますけれども、ある意味、別個の作業として国民の中にイギリスの場合は浸透していたなという、日本よりはですね、浸透していたなという体験を持っております。  そういう意味でいいますと、日本の場合は、これはいいとか悪いとかではなくて、私も一患者として病院に行きますと、どうしても薬剤師さんというのはお医者様に対して従属的な位置にあるような雰囲気というか環境を感じてきたわけでありまして、やはり、繰り返しになりますけれども、医薬分業というものが進んでいく中で、先ほど来ほかの委員の方からもいろんな指摘があったわけですけれども、薬剤師の重要性というものをかんがみたときに、やはり彼らの能力向上をやっていくと同時に、彼らの役割とか立場というものを法的にだけじゃなくて実態上も明確化をしてあげることが行政の側では大事なんではないかというふうに私は思っております。  次の質問は、先ほども話題になりましたけれども、ジェネリック医薬品についてでございます。  昨年から、健康保険法の改正でサラリーマン本人の自己負担が二割から三割に上がったと。従前の一・五倍の医療費を払うということになっているわけでありますけれども、国全体の医療費も現在約三十兆円あるわけでありまして、これが今後増えていくことが予想されていて、二十年の間に七十兆とも八十兆とも言われる規模に行くんではないかと。先ほど他の委員からもありましたけれども、これをもう削れるところはどんどん削る努力をしていかなきゃいけないということで、現在は六兆円と言われているこの薬剤費への切り込みということが大きな話題になっているというふうに私も理解をしております。  そこで、幾つかお聞きをしたいと思いますけれども、まず最初質問は、アメリカの医療事情に詳しい方が書いた書籍等を読みますと、アメリカの方は、まあ全員じゃないと思いますけれども、自分で、患者さんの立場ですよ、自分で支払う医療費あるいは薬剤費が高くないかということについて自らチェックをする方が大変に多いと。  それからもう一つ日本と大きく違うのは、これは私も根拠をちょっとよく分からないんですが、大体患者さんの五割から七割ぐらいの方は、同じ成分で同じ効き目で、そして品質もある程度同等で新薬よりも安い薬が存在しているということを知っているということなんですね。そこで何が起こるかといいますと、医師が処方せんを書く段階で患者さんの方から、同じ成分同じ効き目で安い薬があるならば安い薬にしてくださいと、処方せんを書く段階で医師の方に患者の方から申し出ることができるというふうに私は聞いております。  これは大分日本の事情とは違うわけでありまして、日本の患者さんの場合は、新薬とジェネリック医薬品の違いとかについて知っている方というのは非常にまれでありますし、また、ジェネリック医薬品とか後発医薬品と言われてもよく分からない、人によっては、それは品質の悪い薬のことを言っているんではないか、安いということは危ないんではないかと、まあそういう薬も実際あるかもしれませんが、いずれにしても、そういう患者さん側の薬に対する知識というものが非常に少ないということが反映をして、実は日本でジェネリック医薬品がなかなか普及しないというのは、患者さん側のそういう知識の欠如とかあるいは一般的知識の普及というものが遅れているということもあるんではないかと思います。  そこで、最初にお聞きをしたいのは、これは大臣でもよろしいんですが、厚労省として、患者さんが、医師が処方せんを書く段階で、新薬ではなくて同じ成分で同じ効き目の安い薬があるならばそれにしてくださいということを言えるような状況というのを作っていこうとされているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  297. 坂口力

    国務大臣坂口力君) まさしく、私、二、三日前でございますけれども、最近そういうことを指摘する方が日本でもあるそうでございます。  処方せんを書いてもらう段階で、このごろ非常にいろいろの知識を得ておみえになりまして、例えば血圧の下降剤なら下降剤に対しましていろいろの薬があるということを御存じになっていて、そして、その種のものだったらこういう安いのがあるはずだからそれを使ってほしいということをおっしゃる方が、まだそんなに多くはないですけれども、ちょいちょい出てきたそうでございます。  薬局で言われる方もあるそうでありまして、ドクターの前ではよう言わないんだけれども、薬局においてこれをこういうふうにしてほしい、ちょっと電話して替えてもらってくれないかといったようなことを言う人がおみえになるそうでございまして、そうした患者さん側の、何と申しますか、自分でいろいろのことをやはりきちんと選択できるということをやはり意識として持ち始められた方があるということをお聞きをして、私は、傾向としてはいいことだというふうに思っているわけでございます。  それは、しかし、かなり知識のある人なんだというふうに思いますけれども、支払をする、たとえ二割にしろ三割にしろ、払いますのはそれは個人の方でございますから、そうしたことがやはり発言できるようなことがそんなに特異なことではなくて、それが当たり前になってくるというようなことになってくれば、もっと私は医療の現場も変わるのではないかというふうに思っている次第でございます。
  298. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  やや余談になりますけれども、私、議員になる前に海外で難民支援をしているNGOのアドバイザーをやっておりまして、サダム・フセインが元気なころのイラクの北部でありますとか東チモールでありますとか行って難民キャンプ回りましたけれども、その際驚いたのは、そういった海外の難民キャンプで働いている日本人の若いスタッフの方は非常に薬にお詳しい方々ばかりでして、それで、後でちょっとお聞きをしますけれども、いわゆるジェネリックネームと言われる薬の一般名でどの薬がどういう症状のときに効くかということを、やはり第三世界の厳しい環境の中で仕事をしておりますので、大変詳しくて驚いた記憶があるわけです。  今、インターネットも普及をしてきまして、薬の、私も一回だけやったことがあるんですが、その難民キャンプの関係で、抗生物質でどういう名前の薬であればどういう効用があるかと。それは、私が難民キャンプでもらってきた薬、日本に持ってきて、効能を調べるためにインターネットを使ったんですが、名前を打ってサーチ掛けましたらやっぱり効能がちゃんと出てきたわけでありまして、私、大臣が今、非常にいい、患者さんで自分から指定をして薬に関して注文を付ける人が出てきたということはいいことだということでありまして、私もそれは非常にいいことだと。それはやっぱり医療の標準化、EBMが日本で普及していく前提としてもやはり患者さん側の意識というものが非常に大事だと思います。  それで、次に私が聞きたいのは、そうですね、先ほど代替調剤制度については大臣からもお答えいただいていましたので、薬の名前の処方せんへの書き方についてちょっとお伺いをしたいというふうに思っております。  私が勉強した限りでは、日本では、厚生労働省は処方せんに医師が薬を書く際は薬の商品名で記載をしなさいというふうに指導をしているというふうに聞いているんですけれども、ところが国際社会では、でも、アメリカとかドイツでもそれぞれの国の製薬会社が付けた名前、商品名を使っているということもあるみたいなんですが、例えば、やはりこれから日本もどんどん国際化をする、あるいは海外旅行に行く人も増えるという中で、国際的に通用する一般名、英語でジェネリックネームというふうに言うというふうに聞いておりますけれども、それでやはり統一をしていくべきではないかという意見の方がお医者様の中にもいらっしゃると。  例えば、私が今例として資料に見ておりますものによりますと、解熱剤とか鎮痛剤でよく知られている薬で、ジェネリックネーム、一般名はアセトアミノフェンというものがあるそうでありますが、ところがこれ、アメリカでは大体タイレノールという商品名で一般的に知られていると。日本の場合はもっと商品の種類があって、ピリナジン、アスペイン、ナパ、ネオセデナール、ピレチノールという、ちょっと非常に舌をかみそうですが、五つぐらいの商品名があって、だけれども、全部同じ成分で同じ効能の、まあそれは若干専門的には違いがあるのかもしれませんが、薬であるというふうなことで、私たちが一般患者としてこういう薬の名前を聞いても、商品名仮に覚えたとしても、海外へ行ってはもうこれ日本の薬の名前ですから全然通用しませんし。  やはり今後、いわゆる、先ほど大臣がおっしゃったように、患者の側から薬をいろいろと選んでいく、あるいは代理調剤制度がもっと充実をしていって、薬局の段階で患者さんと薬剤師が相談をして、医師が処方した薬であっても、それがジェネリックネームであれば、どの商品、同じ成分ですから、どの商品を使うかということを薬剤師さんと患者さんが相談して薬局で決めることができるというような意味で、やはり先ほど森委員からもお話ありましたけれども、ジェネリック医薬品をもっと日本で普及させようと思ったらこういう下地を作ることが必要ではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
  299. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 現在の薬価基準でございますけれども、これはいわゆる商品名で薬価基準は掲載されるということが基本になっておりまして、そういうようなことから、従来、薬価基準に収載されている医薬品名を処方せんに記載するということが原則となってまいりました。  ただ、これにつきましては、平成六年に少し取扱いが変わっておりまして、レセプトの記載要領等についてという通達の中で、「医薬品名は、原則として薬価基準に記載されている名称を記載することとするが、一般名による記載でも差し支えないこと。」と、こういうことで、一般名で言わば処方していただくということも差し支えないという考え方が出ておりまして、これにつきまして、最近、現に一部の病院で一般名の処方を行うという方向が出てきておりまして、そういうことから、私ども厚生労働省といたしましても、一般名による処方を推進することも含めまして、後発品の使用促進を図る観点から、その方策について引き続き検討してまいりたいと考えております。
  300. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 まあ表現の問題ですけれども、一般名で書いても差し支えないというのはやや消極的な表現で、恐らく今までそういうふうにやってこなかったお医者さんたちはなかなか一般名に切り替えるというのは現実問題としては非常に難しかったんではないかと。  それからもう一点、大臣よく御存じだと思いますが、このジェネリック医薬品をドイツとかアメリカで普及させる過程の中では、政府がやっている公的な保険、メディケアとかですか、保険の中で、例えば入院患者さんに使う薬についてはもうジェネリック医薬品の金額のお金しかカバーしませんよということを強制的にやって、それで、新薬を使うとそこの赤字になりますから、病院側がもう経営的な観点から後発医薬品に例えば入院患者については切り替えていったということがあるわけでして、是非、先ほどもう既に局長おっしゃっているわけですけれども、厚労省としてももっと本気で、もっと本気でジェネリック医薬品を普及させようというような方針を私は示す必要があるんではないかというふうに思います。  それから、これに関連して、先ほどやはり森委員から御質問の中で、経済効果ですね、後発医薬品を導入する経済効果についてはなかなか全体としてはよく分からないというお話だったんで。  例えば、例えばですよ、この朝日新聞記事の中で紹介されている東邦大学大森病院というところが、大臣も御存じかもしれませんけれども、院内で使う約二千品目の薬のうち、注射剤を中心に五十八品目だけ後発品に切り替えたと。二千のうち五十八だけですね。それで年間一億八千万円の削減ができたと書いてあるんですね。ですから、二千の薬、院内で使っていて五十八だけ後発品に切り替えたら一億八千万というのは、単純には類推できないけれども、相当なこれ全国的にやったら削減効果、それこそ何百億、何千億、年間見込めるではないかというふうに私は感じるわけですね。ですから、これは本当に本気でやっていただきたいということを改めて申し上げたいと思います。  最後の質問になりますが、ちょっと順序逆になって申し訳なかったんですけれども、このジェネリック医薬品が普及しないもう一つの理由として専門家から指摘されていることに、ジェネリック医薬品の薬価が先発の医薬品の八掛けの公定価格に今までなってきたと。これは今年の七月から七掛け、七〇%になるというふうに聞いておりますが、後発医薬品といってもいろんなものがありますので差はあると思いますけれども、先発品と比べたら相当少ない投資で作られている医薬品もあるわけで、それをわざわざ先発医薬品の一律に八割とか七割という値段にしてしまって、結局、本来は五割、三割でも製薬会社側も採算取れるというような後発品があるときにちょっと割高に設定されてしまうと。  ですから、例えば二割とか三割しか値段が違わないんだったら、だったら新薬の方が何となく信頼もできるし最近のだからいいやというふうに医師も患者さんもなってしまうんではないかというふうに私は思うんですが、これは何か特段理由があって、先発品に対して後発品は一律に八割とか七割の値段にしなきゃいけないというふうに決めているのは何か特段の理由あるんでしょうか。
  301. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、一律に決めるということがいいか悪いかの話はあるというふうに思いますが、これは市場実勢価格に基づいているわけでありまして、それで平均値を取ったらそういうことになっているということでございます。それぞれによりましてこれ事情は違いますから、現実にはもっと安くてもやっていけるものは確かにあるんだろうというふうに思いますが、その辺の検討もこれから少し、一律でなければならないか、そうでなくてもいいかという検討もしなきゃいけないと思いますし、どこかの新聞広告を見ましたら、ジェネリック使ったら一兆円下がるという広告もあるぐらいでありますから、それはかなりな効果があることは間違いないというふうに思っております。  今後医療費節減をしていかなければならないときに、何をもってしていくかということを今後考えていかなきゃいけないわけでありますから、そうした中で、こうした問題もやはり見直していくべきものは見直していきたいというふうに思っております。
  302. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非、大臣のリーダーシップでジェネリック医薬品の普及を更に進めていただきたいというふうに思います。  ただ、私も最後に一言、ちょっと違う観点のコメントをさせていただきますと、後発品を、ジェネリック医薬品を作っている会社も、研究者の数であるとかあるいは医薬情報担当者の質とか数について大変ばらつきがあるということも聞いておりますので、一概にまた後発品だからいいとか、安ければいいということではないということも私も認識をしておりますので、その辺の、やっぱり何といっても患者さんの安全性が第一ですので、そこを出発点にしながらも、諸外国と比べればかなり後れているこの後発医薬品の普及を推進をしていただいて、医療費の削減に資する努力をしていただきたいということを要望申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  303. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。  薬剤師法の一部を改正する法律案に関連して質問を幾つかしたいと思います。  私は、最初大臣に御質問したいんですけれども、神奈川県の相模原の北里大学の病院で、二十歳代の研修医が、通常の使用量を大幅に上回る不整脈の治療剤を、がんで入院中の七十歳代の女性患者に投与して、患者が死亡したという、こういう事件が四月の六日から七日にかけて発生いたしました。伝えられるところによりますと、この患者が不整脈になっているのを看護師がモニターで発見をし、そして当直だった研修医に連絡をし、不整脈の治療剤を投与するように処方し、そして患者に静脈注射をしたところ、女性は急変して、そして死亡してしまわれたということなんですけれども、研修医は処方を間違えてしまったと、申し訳ないと、こういうふうに言っておられるそうなんですけれども、病院の薬剤師はどうここにかかわっていたのだろうかというふうに思うわけなんです。  研修医の判断の誤りが直接患者の命にかかわる本当に重大な事故につながったわけなんですけれども、病院薬剤師が誤りにもうすぐに気付き、そして処方の修正を即座に研修医に求めていれば事故を避けることが可能だったのではないかなと、このように私、全く素人でありますけれども、思うわけなんです。  この事故で、薬剤師はどのように関与するようになっていたのか、そういうふうにもう疑問に思うわけなんです。この事故から言えることは、やはり病院薬剤師の役割というのが、今このように高度に発達してきている中で相当重要になってきているのではないかなということを改めて考えさせられているわけなんです。  システムとして薬剤師が安全確保の役割が果たせるように改善強化をすべきではないかというふうに思っておりますけれども大臣はどのようにお考えになるでしょうか。
  304. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 具体的な、北里病院の場合の具体的な例につきましては私、余り詳しくは存じませんけれども、しかし、これは先ほども、朝日先生のときにもお答えを申し上げましたとおり、病院の中でやはり医師と看護師というこの二種類しか、二種類の資格を持った人が直接患者に接している。そこに今までは薬剤師の方だとか検査技師の方というのは入る余地が余りなかったと申しますか、そういうシステムになっているというところに私は問題があると思うんですね。  したがいまして、これは夜間のことだったかどうか知りませんけれども、たとえ夜間であったとしても、そうした輸液あるいはまた不整脈のお薬を使うといったような場合にどれだけのものを使うかといったようなことにつきましては、これは本当は薬剤師さんがここに関与してもらわなければならない問題ではないかというふうに思っております。  ですから、これは大学病院のことでございますしいたしますが、全体としてそうしたところにやはりどう関与していただくようにしていくかということが今後の課題だというふうに私は思っております。
  305. 井上美代

    ○井上美代君 私は、今ここに、私も北里大学病院のことは余り詳しく知らないわけなんですけれども、この大学病院が報道関係者に出された書類を今持っているんですけれども、そこのところに、再発防止の委員会を設置して、そこで話し合った五項目が出ているんですね。その四のところに、「再発防止に向けて医師・看護師を中心に危険薬剤に関する教育の再徹底と病院全体としての注意喚起を行いました。」というふうに書いてあるんですね。ここには薬剤師は出てこられないんですね、ここには。看護師さんとお医者様は出ているんですけれども。だから、そういう意味でも、私は、これからの薬剤師をやはり重視していくという中で防止できるものがあるのではないかなというふうに思っているところです。もう是非そうなってほしいと思います。  私は、医療のやはり高度化、そして複雑化、そして医薬分業、先ほどもいろいろ審議されておりましたけれども、医薬分業の進展などに伴い薬剤師の業務が大きく今変化し、そして薬物療法の提供、そして服薬指導、医療安全対策など、広範な分野で薬剤師が医療の担い手としての役割を果たすことがこれまで以上に求められてきているというふうに思います。  薬学で学ぶ学生が六年制の下での長期実務実習が開始されるのは、これは二〇一〇年四月一日からになるんですね。それまでに実務実習体制をどのように作っていくのかという、これは大きな課題であると思いますけれども、それがあると思います。  そして、昨年の十月二十九日に薬剤師の問題検討会というところで中間報告書が出されておりますけれども、薬剤師養成としての薬学教育は、医療薬学及び臨床教育の充実した六年間の学部教育が基本であるとともに、最低六か月程度の実務実習を行うことが必要であるとして、そして、現状では十分な体制が構築されているとは言えず、今後、長期実務実習を実施するためには、受入れ施設の確保、そして実務実習の質の確保等の整備を計画的に行う必要があると、こういうふうに述べております。  病院における実務実習というのは、平成十四年度において、受入れ学生数は八千五百六十六人なんです。そして、受入れ施設が一千七百十四施設となっております。ほとんどの大学で必修化されつつあるということがこれで分かるわけなんですけれども、近年、着実にやはり充実してきているということが言えるのではないかと。  一方、今度は薬局における実務実習はというふうに見たときに、受入れ学生数が平成十四年度において三千百五十四名というふうになります。そして、受入れ施設数が平成十五年三月末において約五千施設というふうになっております。薬学生の入学定員が平成十四年度において八千百十人であることを踏まえると、まだ十分に実施されていないというふうにここは見て取らなければいけないかなというふうに思うんです。  この関係については、同じ中間報告なんですけれども、ここで、実習施設の受入れ体制に関して、薬局については、日本薬剤師会が、薬学教育協議会との連携の下、日本薬剤師会の地域ブロックが受入れ薬局を調整するシステムを構築しているということです。  一方、病院については、従来より薬学教育協議会が実習施設の調整を行ってきている。このような受入れ体制の整備に関する取組等から考えて、長期の実務実習は数年間程度の準備期間があれば十分対応可能であるというふうに考えられます。  また、実習の受入れ施設となる薬局そして病院、これにはそれぞれの施設間に差がある、そして一つの内容とするためには、複数の薬局、病院で実習を行うシステムを構築するなど、大学と薬局そして病院が個別に契約をするのではなく、大学と薬局、病院が組織として対応する必要があるというふうに思います。  なお、現在、日本の薬剤師会においては、薬学教育協議会とともに、複数の薬局で実習を行うことを前提として受入れ体制を整備しており、日本病院薬剤師会においても、各地域におけるグループ制による受入れ体制を構築すべくモデル事業を行っているところであるということです。  薬局と病院の長期実務実習の受入れ体制を整える段取りと実習の均一化というのは、この中間報告書以降、この法案ができるまでに一体どのように進んでおり、そして、今後、長期実習、実務実習実施までにどのように確実な体制を整えることができるようになっているのだろうかということを思います。このことについて御答弁をお願いいたします。
  306. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今回の薬剤師の六年制の教育課程の中で、実務実習というのは大変重要な問題でございます、御指摘のように。  それで、実務実習の受入れ体制についてのお尋ねでございますが、薬剤師問題検討会の中間報告以降、平成十五年の十二月に文部省におきまして、実務実習モデル・コアカリキュラムというのがまとめられております。    〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕  実習期間が現在一か月程度でございますけれども、それを六か月に長期化するということでございますし、これは薬局と病院と両方で実務実習を行うということでございます。それで、また実習を必修をするということでございますので、そのモデル・コアカリキュラムの下に各大学がカリキュラムを変えていくということで、今各大学の方で検討されているというふうに承知をいたしております。  その受入れ体制についての話でございますけれども、現在、日本薬剤師会あるいは日本病院薬剤師会が中心となりまして、お話もございましたけれども、その後、複数の病院をグループ化して学生を受け入れるシステムを構築する、それから、地区の薬剤師会と大学による実務実習の受入れに関する調整機関を設置するということが既に進められております。  そして、今後でございますけれども、私どもといたしましては、文部省、各大学が中心になるわけでございますけれども、文部省、各大学と連携をいたしまして、病院、薬局と協力をして、特に私どもとしては実習を指導する薬剤師さんの養成というものが大変重要であると思っておりますので、そこに力点を置きながら、この実務実習の円滑かつ適切な実施に協力をしていきたいというふうに考えております。
  307. 井上美代

    ○井上美代君 次に、これまでの実務実習についての経験報告では、カリキュラムの目標と現場のギャップが余りにも開き過ぎているということが指摘されているんですけれども、大学の教育担当者と受入れ側との懇談の中で、現場に行った学生からの報告があるんですね。それによりますと、小間使や説教ばかりされると。それから、大学のカリキュラムがあっても現場はカリキュラムとは無関係状態という、こういうふうに言っているわけですね。中には電話当番をさせられるという報告もある。  このようなことがあってよいのかなということを疑問に思うわけなんですけれども、受入れ側が実務実習の目的、内容を理解して目的が達成されることをどのように保証されるのか。また、実務実習が適切なものか、客観的評価できる仕組みを作るのかという辺り、この実務実習を本当に役に立つものにするというのにはまた一苦労要るのかなというふうに思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  308. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 実務実習におきましては、これはまだいわゆる薬剤師の資格を持っていない学生が実際に医療の現場に立つわけでございますから、事前に十分学生を評価をし、また学生に、実務実習に必要な能力を有しているかどうかということで、知識とか技能とか態度とか、そういった面について十分に説明をする必要があると思っております。  それで、今、大学の方では、実務実習に参加する学生の能力の評価のために、大学の間で共用して試験を実施するという共用試験というようなことを考えられているようでございまして、そういう意味で、一定の資質の確保なり実習の水準というのは、これから長期実習の在り方の問題として議論されていくんではないかというふうに思っております。
  309. 井上美代

    ○井上美代君 大臣にも是非御答弁をお願いしたいと思います。
  310. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これからより具体的にしていかなきゃいけないわけですが、薬局の中で、病棟でありますとか、あるいは外来から送られてまいりました処方せんに従ってどのように薬を調合すると申しますか、その一つの袋の中へ入れていくかという作業だけやらせたのではいけないと思うんですね。やっぱり、先ほど少し申しましたように、病院の中で患者さんが様々なお薬をお飲みになる、あるいはまたいろいろの輸液をお受けになる、そうしたことに対してどう薬剤師として関与をしていくか、そして何が必要かと、そのときの知識として何が必要かということをやはり教えないと私はいけないと思っています。それは現場の改革と併せてやっていかなければならないわけで、そういうことをやったけれども現場へ行ったら全然そんなことはやらせてもらえなかったというようなことではいけませんから、現場の改革と併せてやっていかなければいけないというふうに思っておりますが、これからの五年とか十年というのは、そうしたことを徐々に拡大をしていく、そうしたことが実質的に行われるような体制をどう作り上げていくかということになるのではないかというふうに思っております。
  311. 井上美代

    ○井上美代君 私は、もう一つ、四年制の下で薬剤師免許を有する薬剤師の卒後研修、この卒後研修をどのような体制で実施するかという問題が残されているのではないかと思っています。安全性と有効性の確保を前提に、薬物療法にかかわる新しい知識と技術について、生涯にわたりこの研修が必要と思っております。それをどのように考え、どのようなことをやっていけばいいのかということを厚生労働省もお考えになっているというふうに思いますので、是非御答弁をお願いしたいと思います。
  312. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 卒後研修の重要性については何度もお話をいたしておりますけれども厚生労働省といたしまして、生涯教育の中で特に実務研修の充実が必要だろうということで、平成九年以降、薬剤師の実務研修をやってきておりますが、平成十六年度におきましてもこれを更に充実をしたいというふうに思っております。まだ検討途上でございまして、どういう形で拡充、充実を図っていくかということはあともう少しお時間をいただきたいと思っておりますが、いずれにしても、生涯教育の充実という方向性の下に具体的な取組をしていきたい。  それから、単に厚生労働省だけではなく、文部科学省もあるいは各大学もそういう取組をいただいておりますし、また関係団体もそういう生涯学習、教育についての取組を進められておりますので、そういうものともよく連携をしていきたいというふうに思っております。
  313. 井上美代

    ○井上美代君 次に、現在行われております日本の薬剤師研修センターでの、免許を取得して間もない薬剤師さんが、この医療の現場において、ほかの職種との連携の下、薬の専門家として実務を幅広く経験し、そして患者等に接することにより、医療に対する深い理解を持ち、倫理観を養い、その資質向上を図り、医薬品の適正で安全な使用の推進、そして国民医療の質の向上に資することを目的として行われているというこの薬剤師実務研修事業というのがどのような研修を行っているのかということを知りたいと思いますが、御説明をお願いします。    〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕
  314. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今御指摘のございました薬剤師実務研修でございますけれども、これは財団法人日本薬剤師研修センターが実施をいたしておりまして、これは私どもが支援をして実施をいたしておるところでございます。医療に対する深い理解、倫理観を養うということも目的にいたしておりますし、また、医薬品の適正で安全な使用の推進、国民医療の質の向上というふうなことを目的として、研修センターの方で希望する薬剤師に対して実施をしているということでございます。
  315. 井上美代

    ○井上美代君 この内容を拡充して生涯教育の場とすることも重要だというふうに思うわけなんですが、特に卒前とそれから在学中の実務実習の指導薬剤師の養成にも活用できるのではないかというふうに思います。  先ほどから指導薬剤師の養成がいかに重要かということも審議されておりますけれども、そのための必要な助成の制度なんですけれども平成十六年度の薬剤師実務実習研修事業費はまあ言ってみればたったの四千万円程度なんですね。これをやはり大幅に拡充して、六年制の下での実務実習が開始されるまでに指導薬剤師も養成し終わるように計画的に実施をしていくようにしなきゃいけないんじゃないだろうかというふうに思っておりますけれども、その点いかがでしょうか。
  316. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 薬剤師さんの研修の問題でございますけれども、大きく分けて二つあると思っております。一つは、生涯研修といいますか、生涯教育という再度の、今既に薬剤師になっておられる方々の研修をどういうふうに考えていくかという問題と、それから今お話ございました、新しく六年制ができる、六年制の中で実習が必要となる、実習が必要となる学生に対して指導する薬剤師さん、指導する薬剤師さんの養成が要ると、そのための研修をやるというのが別途ございます。  したがいまして、私どもとしては、その二つの研修といいますか、養成といいますか、指導者養成を含めた二つの研修の方向性を念頭に置いて、今後、概算要求に向けて検討していきたいというふうに思っております。
  317. 井上美代

    ○井上美代君 例えば、何かの都合で五年間ぐらい現場を離れて復帰すると、そしたら本当にお薬もすっかりもう変わってしまっていて、そして処方せんのチェックがまずできなくなっているというふうに言われているんです。現場の声もいろいろ聞きましたけれども、薬剤師国家試験のこの受験資格を六年間とする制度、この制度改正が行われたとしても、薬剤師の免許を取得した者が自らの資質を向上させ自己研さんを行うことが当然求められるというふうに思うんです。自主的な努力に任せておくだけでは対応し切れないのも現実ではないかなというふうに思います。何かの研修や、そしてこの研究ができる制度をやはり作れないかなというふうに考えるわけなんです。せっかく学生が六年も在学をし、そしてその後四十年、五十年と国民が求める安全性と有効性を確保できる薬剤師として働けるように、やはり国として、私は、薬剤師のその資質、それからこの水準を高めていくという、こういう措置を力を入れて考えるべきではないかなというふうに思っておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  318. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘のように医薬品自体も、それから医療技術も、あるいは医療内容も日々進歩してきております。したがいまして、薬剤師さんも免許を取った後も常に資質を高めていく自己研さんの努力というのは期待されていると、また国民も期待しているところだというふうに私どもも考えております。  したがいまして、先ほど来申し上げておりますが、生涯教育の充実ということをいかに図っていくかというのが非常に一つの大きなテーマであります。要するに新卒の資質の高い薬剤師を養成すると同時に、既に働いておられる薬剤師さんについて自己研さんをしていただくと、それをいかにつくっていくかということも重要であると思っておりますので、今後、どういう仕組みができるかどうかよく検討していきたいというふうに思っております。
  319. 井上美代

    ○井上美代君 私、次の質問は是非大臣にお答えしていただければうれしいと思っているんですが、今回の改正で薬剤師養成にとって重要な観点と思われる点についてお聞きしたいわけなんですけれども、私は、ここへ来て仕事をするようになって、改めていろんな薬害の人たちとお目に掛かりました。サリドマイド、それからスモン、薬害エイズ、クロイツフェルト・ヤコブ病、こういうものは本当に、ヤコブ病なんというのも私は知りませんでした。しかし、ここへ来て、こういう薬害の問題が大きな社会問題になってきているということ、そしてその方々に直接触れながら、改めてこの問題の重要性を感じております。同時に、医療品の誤った使用による有害作用や重篤な副作用による取り返しが付かない被害、こういうのもある。スティーブンス・ジョンソン症候群というのも私は知りませんでした。そして、改めてこの問題も大変だと思っています。医薬品でいろいろこれは発生しているんですけれども、まだ因果関係が明らかになっていないようなんです。  薬害被害やそれに準ずる副作用による実際の被害について認識することは本当に重要なことだというふうに自分の自らの体験で思っているわけなんです。被害者の声を直接聞く人権教育とでもいいましょうか、そういうことをやるということや、そして被害や事故の実態と真摯に向き合い考える教育をと、こういうことが言えるのではないかなと思うんですね。そして、それをやっぱり身に付けるということが非常に大事だというふうに思っております。  本当に、繰り返されてきました薬害や医療被害では、患者の命や人権が軽視されてきた面があるのではなかったかなということを反省するわけなんです。医療倫理や患者の人権、そして社会学的な教育等は、本来その中心に位置するものでなければならないとしております。被害からやはり学ぶということ、このことが被害を繰り返さないことの基本ではないかなというふうに思うわけなんです。これまでの医学、そして薬害教育には全くと言ってよいほどこの発想がやはり欠けていたのではないかなというふうに思ったりもするわけなんです。  実務実習が行われる施設側の所管官庁である厚生労働省としても、薬学生がこうした観点を実務実習の中でもう本当にしっかりと身に付けられるように教育をすることが必要だと強く考えているこのごろなんです。薬剤師の養成においても、もう最大限考慮すべき観点ではないかなと思っているんですけれども大臣はどのようにお考えになるでしょうか、是非聞かしてください。
  320. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは薬剤師の方だけではなくて、医師、看護師すべてそうだと思いますけれども、過ちを繰り返さないためには、過ちにいかに向き合うか、過ちといかに厳しく対峙するかということが、過ちを繰り返さないために最も大事なことだと私も率直にそう思います。  これはそれぞれの教育の中で取り上げていただくことでありますから、一律にこうしろああしろということを言うことではないかもしれません。そうしたことがいかに大事かということを認識をしていただかなければなりませんし、過ちを繰り返さないためにはどうしたらいいかということをやはり教育の中でしっかりと取り上げていただかなければいけないというふうに思っております。  そうした意味で、御指摘いただきましたようなことにつきまして、できる限りそうした場を持っていただくようなことも、我々は機会ありますればひとつその提言をしていきたいというふうに思っております。
  321. 井上美代

    ○井上美代君 次に質問したいのは、病院薬剤師の場合には、調剤とともに、入院患者中心に、病棟業務である薬剤管理指導業務や、そして退院時の指導、さらには、新しい調剤として、注射処方せんによる調剤、医療事故、そして過誤防止のためのリスクマネジャーとしての業務、医療従事者にとどまらず、患者に対する医療品情報のための情報管理、さらに、新薬開発における業務である治験コーディネーターや治験管理という業務もあり、薬物療法の個別化にも対応することが求められているというふうに思います。  こうした病院薬剤師の業務の範囲の拡大というのは、これまでの業務の上に加わっており、安全性と有効性や品質確保のための相当過重な業務となっている。そのために、恒常的な残業もサービス残業が行われているということですけれども、この上、実務実習のための受入れ体制を取るためには、必要なだけのやはり指導薬剤師の配置というのがどうしても必要だというふうに思います。  こうした受入れ施設については、特別指導薬剤師の養成も含めて必要な援助が要るのではないかなというふうに考えているわけなんですけれども、診療報酬で手当てするとか、それとも特別な助成制度を設けるようにしなければ、なかなかこの実現、困難かなとも思ったりしているんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  322. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 実習をしていただくということになりますと、だれがその教育をするかということになるわけでありますし、教育をする人をどうつくり上げていくかということも大事なことでございます。年間、もう一年通じてやっているわけではありませんから、その一時期ということに多分なるんだろうというふうに思いますが、あるいは特定なところを決めて、そして各大学からの人をそれぞれ月ごとに割り振って、同じところで同じように訓練をしていただくというふうな方法もそれはあるかもしれません。いろいろの方法はあるだろうというふうに思いますが、教育をしっかりしていただける人をどうつくるかということがまず大事でございますから、そうしたことをしっかりやっていきたいというふうに思っております。  その後の、どういうそれをところに集中してお願いをするのか、あるいはそうしたところは幅広くお願いをするのかといったこともいろいろ御議論あると思いますから、十分関係者の御意見を聞いてやりたいというふうに思います。そうした中でそうした問題解決していきたいというふうに思っております。
  323. 井上美代

    ○井上美代君 時間になりましたので、この続きは十三日にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  324. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時五十九分散会