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2004-04-22 第159回国会 参議院 厚生労働委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月二十二日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      佐藤 雄平君     浅尾慶一郎君  四月二十二日     辞任         補欠選任      伊達 忠一君     愛知 治郎君      浅尾慶一郎君     榛葉賀津也君      柳田  稔君     平野 達男君      風間  昶君     木庭健太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         国井 正幸君     理 事                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君     委 員                 愛知 治郎君                 有村 治子君                 金田 勝年君                 佐々木知子君                 斎藤 十朗君                 田浦  直君                 伊達 忠一君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 宮崎 秀樹君                 朝日 俊弘君                 大脇 雅子君                 榛葉賀津也君                 平野 達男君                 山本 孝史君                 木庭健太郎君                 井上 美代君                 小池  晃君                 西川きよし君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    副大臣        厚生労働大臣  谷畑  孝君        厚生労働大臣  森  英介君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       竹本 直一君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        法務省矯正局長  横田 尤孝君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        厚生労働省医薬        食品局長     阿曽沼慎司君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○結核予防法の一部を改正する法律案内閣提出  ) ○薬剤師法の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、佐藤雄平君が委員辞任され、その補欠として浅尾慶一郎君が選任されました。  また、本日、柳田稔君が委員辞任され、その補欠として平野達男君が選任されました。     ─────────────
  3. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  結核予防法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省健康局長田中慶司君外四名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 結核予防法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 藤井基之

    藤井基之君 おはようございます。自由民主党の藤井基之でございます。  議題となりました結核予防法の一部改正法案につきまして質問をさせていただきたいと存じます。  御案内のとおり、結核はかつては不治の病と恐れられておりまして、我が国では国民病と恐れられたわけでございます。  二十世紀の前半、今からまだ百年よりも近い過去の状況でございますが、大正の後半におきましては、これは、死亡者数というのは大体十万人を超えておったわけですね。死亡率人口十万に対する死亡率で見ましても、一九一八年、大正七年では二五七・一という数字を記録しております。一九二〇年、大正九年には二二三・七。戦中になりますか、今から六十年前の一九四三年、昭和十八年には、この数字が二三五・三という数字でございました。現在、死因のトップであります悪性新生物、がんの死亡率状況と同じような数字を示していたわけでございます。  それが、その後、国を挙げての取組、そして加えまして戦後多くの新薬、有名なお薬を挙げますと、ストレプトマイシンでありますとかパスとかイソニアジド、リファンピシンと、これらの抗結核薬進歩あるいは治療法進歩等によりまして、我が国結核対策というものは非常に大きな成果を上げてきたということが言えると思います。二〇〇二年、平成十四年の死亡別順位は二十五位にまで落ちておりまして、人口十万に対する死亡率は、これは一・八という数字になってきております。近年、患者数発生状況も、また死亡者数減少傾向にあります。  しかしながら、この減少のパターンが、少し陰りが見えているといいましょうか、本来私どもとしては、もっともっと減っていって、あるいはもう結核フリーの社会が構築できるのではないかと期待をしていたわけでございますが、多くの人々の努力にもかかわらずまだ引き続き結核の制圧に取り組んでいかなければいけない状況にあろうと認識をしております。  このような状況の中で、今回結核予防法改正法案内閣から提出されたわけでございますけれども、まず大臣にお伺いしたいと思います。  今回提案されました改正法趣旨、そしてそのバックグラウンド、そして究極とされる目的についてどのようにお考えかということをお伺いしたいと存じます。
  7. 坂口力

    国務大臣坂口力君) おはようございます。  今、委員からの御指摘をいただきましたとおり、この結核につきましては、今日までの経緯をたどってまいりまして、非常に患者数は少なくはなってまいりましたけれども、その減り方がいささか鈍化してまいりました。戦後のあの状態等を思いますと、本当に少なくはなりましたけれども、しかし現在、高齢者グループ等におきましてやはり発病する機会がある。  結局のところ、戦前、戦後の栄養状態でありますとかあるいはまた生活環境というようなもので、日本が非常に大きな、結核菌に対して大きな汚染を受けた時代があったわけでありまして、現在の高齢者はそれを克服してきているわけでございますけれども、一度感染をいたしておりますので、その免疫力が下がってまいりますとまた再び発病が起こるといったことが現在、尾を引いていると申しますか、そういう状況に現在あるというふうに思っております。  したがいまして、平成十一年におきましては結核緊急事態宣言というのを行ったりいたしておりまして、平成十二年以降はこの罹患率低下傾向にはあります。ありますけれども、ここで更にひとつこの対策を着実なものにしていかなければならないというふうに思っております。  若年者中心罹患から、高齢者でありますとか一定リスクの層のところへの罹患変化というのが見られるわけでございます。例えば、病院のだれかが結核罹患いたしますとそれがその周辺に広がるというようなことがございましたり、あるいは学校の先生、あるいはまた生徒のだれかが持っておりますと学校において拡大をしたりといったようなことがリスクとしてあるわけでございますので、そうした一定ハイリスク層中心罹患への変化、そうしたものに対します対応をしていかなければならないというのが現状ではないかというふうに思っております。  もう一つは、予防接種に対する科学的な知見がだんだん進んでまいりまして、そうしたことに対しても見直しを行っていく時代に来たのではないかというふうに思っております。健康診断につきましては、一律的、集団的な対応からリスクに応じた対応ができるようにするということが一つ。そして、科学的知見に基づきまして、予防接種におけるツベルクリン反応検査を廃止をするということがもう一つ。それから、結核対策計画的推進を図るための国、都道府県計画の策定でありますとか、直接服薬確認療法推進でありますとか、こうしたことを今後重点的に行っていかなければならないというふうに思った次第でございまして、今回ここに提案をさせていただきました。
  8. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。是非積極的な対策をお願いしたいと存じます。  今、大体のバックグラウンドにつきましては大臣から御紹介いただいたわけですが、私、一つ気になっていますのは、今の結核全体としては新規患者さんが減ってきているわけでございますが、その中を見ますと、患者さんの地域分布と申しましょうか、罹患率で見ますと、いわゆる地方と都市部とでも申しましょうか、これは厚生労働省の資料にもあるとおりでございますが、ホームページにもあるとおりですけれども、例えば大阪などの地区結核罹患率は非常に高いんですね。これは長野なんかと比べるとかなり違うわけですね。  ですから、この結核対策推進するということを考えた場合、国として大きな方針を示されることは十分結構な話なんですが、やはり中に、法案の中にもあるように、地域に、特性に応じた対策というものも是非これが必要になってくるんだろうと思うんですね。私は、そこにつきまして、国全体の対策推進、加えて、地方自治体における地域実情を踏まえた対策というものを求める必要があるというふうに考えますけれども、いかがでございましょうか。
  9. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 我が国では、地域間格差が非常に大きく、罹患率が最も高い大阪市の結核罹患率というのは、人口十万人対でございますけれども、七十四でございまして、最も低い長野県の十二・五の約六倍というふうになっております。大阪それから東京等大都市中心として、結核罹患率が非常に高いという状況がございます。  これらの状況を踏まえまして、厚生労働省としましても、結核罹患率が高い大都市等に対しましては、結核対策特別促進事業、こういうような事業がございまして、これを活用しながら、この高い地区あるいは集団というのがございますので、それに対しまして健診を行い、早期発見を努めるほかに、治療成功率を向上させるための直接服薬確認療法、こういうようなものを取り入れた事業を実施する等、地域実情に即した取組支援をしてきたところでございます。  また、今回の御提案申し上げております改正案でございますけれども都道府県結核対策の実施に関する予防計画を策定するというふうになっておりまして、地方自治体の判断で、その地域実情に応じました施策をこれに位置付けまして、効果的な対策計画的に推進していただけるようになるというふうに考えているところでございます。
  10. 藤井基之

    藤井基之君 国内においては、その地域間の問題ということがこれからの政策の中心課題になろうかと存じますが、これを大きな目で見ますと、いわゆる地球規模考えた場合、結核の問題というのは非常に大きな問題というふうにとらえられているようでございます。御案内のとおり、世界保健機関WHOが出しました、直近のといいましょうか、推計数字を見ますと、アジア、それから西太平洋地域の新発生結核患者数というのは五百万人だと、年間、そういう数字を出しているわけですね。これは、世界の新発生患者さんの数が約八百五十万人という、これもすごい数字なんですけれども、そのうちの約六割がアジア太平洋地域、その領域で発生しているんだと、こういうふうに言われているんですよ。  そして、我が国のその新規患者さんの数、非常に少なくなっているんですけれども、これ厚生省ホームページにもあるとおりですけれども、中を見ますと、いわゆる外国人の方々の発生の報告が増えてきているわけでございますね。当然のことながら、グローバル化が進んでいる今日ですので、感染症対策というものは国境を越えて対応を取らなきゃいけない時代になってきておるわけでございまして、確かに、我が国は現在の水準におきましても、欧米等結核対策先進国と言われるような国と比べると若干罹患率も高いわけですけれども、このアジアアフリカ等開発途上国と比べたら、圧倒的に日本対策というのは進んでいるというふうに言えると思うんですね。  我々は、結核というものに対しては、国民病だという結核病をこの約五十年の間に激変させるだけの我々実績を持っているわけです。我々、この実績、そして、少なくともこのアジア地域においては医療リーディングカントリーであると私は思っておるんですね。その我が国におきまして、結核多発地帯がこのアジアとか西太平洋域だと、こういうことであるならば、特にこの地域を重点的に技術協力といいましょうか、経済協力といいましょうか、そういったものは我々は避けて通るべきではないし、我々は地球規模考えたとき、少なくともこのエリアにおいては、日本それなり努力をすべき我々は立場にあるんだろうと考えております。  現在、こういった国際協力というのはどのように行われているのか、また、今後こういった国際協力というものをどのように進めていくつもりなのかということについてのお考えをお尋ねしたいと思います。
  11. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 御指摘のとおり、人の交流が大変活発でございまして、感染症対策に関しましても国境というのはなくなって、ボーダーレスの時代ということでございます。国内対策だけではなく、結核罹患率死亡率が高い開発途上国におきます結核対策への支援協力、こういうものに積極的に取り組む必要があるというふうに考えているところでございます。  このため、従来から、結核研究所中心としまして国際研修コースによる人材育成というのをまずやっております。これもかなり実績がございまして、過去、八十九か国、千八百二十三人というような人材養成実績を持っているところでございます。  また、結核対策プロジェクトでございますけれども、現在の段階では、ネパール、フィリピン、イエメン、カンボジア等で実施されておりまして、ここに今専門家を派遣しているという実態がございます。またそのほか、もう少し小さな小ぶりのプロジェクトとしましては、インドネシア、ミャンマー等で実施されておりますDOTSモデルプロジェクト、こういうようなものに対します複十字シール募金益金等による支援というのも行っておりますし、また、途上国専門家との共同研究推進、こういうものにも積極的に取り組んでいるところでございます。  また、別の枠組みでございますけれども、二〇〇二年の一月には、開発途上国におきます結核対策等支援目的としまして、WHOによりまして、世界エイズ結核マラリア対策基金、こういうようなものが設立されたところでございまして、我が国もこれまでに約二億三千万ドルの拠出を実施したところでございます。  今後とも、開発途上国結核対策への支援に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  12. 藤井基之

    藤井基之君 是非、積極的な対応をお願いいたしたいと思います。  途上国は非常に多くのものを日本期待をしておりまして、その期待をしている一つ分野というのが医療、特に、非常にかつて我々の国で国民病と言われて恐れられたような結核対策という、これは御案内のとおり、エイズ等蔓延等も踏まえて、いわゆるコンプロマイズされたいわゆる、大臣がおっしゃられたような、免疫力が下がった段階における結核問題というのは重視されてきているわけでございますから、そういった医療の問題というのが、結核だけ独立しているとは思いませんけれども我が国の総合的な技術力医療分野の力というものを発揮していただいて、アジア、特にアジア諸国に対する御支援をお願いしたいと存じます。  そのことが、結果的に、アジアから日本に来られて、例えば患者さんが入ってこられたら、日本国民もそれによって感染することがあるわけでございますので、そういったことの予防にもつながるものだと信じております。  続いて、次に結核治療薬の問題についてお尋ねしたいと存じます。  御存じのとおり、世界結核対策にお薬の力というのが非常に大きな力を持ったということは歴史的な事実が証明していると思うんです。我が国結核対策を見ても、それは新薬が導入された時期と非常に相関をしているということは厚生省幾つかの文書においても明らかにされているところでございます。ただ、最近、その結核対策のお薬といいますと、リファンピシンが常置されてから、ここのところ数十年間、新しいこれという新薬が実は出ていない実態があると思うんですね。  これ、そのことが原因かどうかは別ですけれども、最近の結核薬については、いわゆる耐性結核患者さん、薬が効かないそういった患者さんも増えてきておるというふうに伺っております。ですから、新しい結核薬をやはり開発する必要性が高いんだろうと思うんですね。  今回、改正案におきまして新設されました三条の三で、国はいわゆる結核予防を総合的に推進するための基本方針を策定すると、そういうふうになっているわけです。そして、この基本方針の中に「医薬品研究開発推進」ということが挙げられております。  先般、この委員会でも審議をいたしましたが、独立行政法人医薬基盤研究所法案というものをこの委員会で可決さしていただいたわけでございますけれども、そこでも議論がありましたが、やはりお薬によっては民間に任せて研究が進まない分野のお薬というのがあるわけですね、オーファン薬とか言われる、例えばこの結核も私はそれに該当するかなと思っております。  といいますのは、現在、これは十四年末の厚生省数字によると、結核登録者数の数というのは八万人強しかいないわけですよ。新規患者さんというのは、十四年度を見ますと三万人強の新規患者さんしか出ていないわけですね。こういった状況で見ますと、我が国だけのマーケットというふうに考えると市場規模が非常に小さくなってきておるわけですね。  で、お薬の開発というのは非常にリスクが高い、お金も掛かる、時間も掛かると。そういった中で、マーケットが非常に小さいということは、民間にやれやれと言うだけではなかなかこれは進まない、いわゆるオーファン薬のジャンルに入るのではないかと思っております。  それで、お伺いしたいんですが、基本指針に示されている研究開発促進、これについて国は具体的にどのようなことを検討されているのか、お尋ねしたいと思います。
  13. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 委員指摘のとおり、特に多剤耐性結核というのは再発事例の約二割を占めると言われていることから、DOTS等によりまして治療を徹底して多剤耐性結核発生予防に努めるとともに、現状では治療が困難な多剤耐性結核患者治療、改善に向けた取組も非常に重要でございます。  そして、このため、従来から、新興再興感染症研究事業によりまして、結核に対する研究班を組織して新たな抗結核薬開発について調査研究に取り組んできたところでございまして、今回の改正案でも、御指摘のとおり、結核予防法に基づきます基本指針の項目の一つとして医薬品研究開発推進というのを掲げているところでございます。  この基本指針に組み込むことになります医薬品研究開発の具体的な取組方向性につきましてですけれども、これは今後専門家の意見を参考に十分検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  14. 藤井基之

    藤井基之君 是非、十分なる検討をお願いしたいと存じます。  今回改正されました内容によりまして、今までなじみがありましたツベルクリン反応というものがなくなってしまう。そしてBCG接種、私も記憶ありますけれども、非常に痛い注射だったという記憶があるんですけれども、それもいわゆる二度目の再接種というのがなくなる、乳幼児の方の直接BCG接種だけという形に変わる。これは科学的な知見を基に、十分な検討の上にこういった方向になったんだと理解をしております。  これに際し、一つお伺いしたいんですが、乳幼児BCG直接接種という形になったわけでございますけれども、このBCGを供給している企業というのは我が国において一社しかないというふうに今伺っておるわけですね。これは市場が小さくなったこと等によって、かつては多くの会社がBCGを作っていたわけですけれども、現在一社しかない。この一社だけで生産しているそのBCGというものについて、必要量の持続的、安定的な確保する体制というのはどのようになっているかということについてお尋ねしたいと存じます。
  15. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘ありましたように、BCG供給体制の問題でございますけれども平成十五年四月から、小学一年、中学一年に対するツベルクリン反応検査あるいはそれに伴いますBCGの再接種が中止をされまして、十五年度の年間製造量というのはかなり減ったわけでございます。その結果、製造業者の方でもワクチンの価格を引き上げるというふうなことを対応いたしまして、安定供給に努めているところでございます。  今回の法案ではツベルクリン反応検査をやめるということでございますけれどもBCGワクチン接種対象者数にはほとんど影響がないわけでございますので、私どもとしては安定供給には問題がないというふうに考えております。
  16. 藤井基之

    藤井基之君 先ほど大臣の御説明にありましたDOTSというんですか、DOTS、ダイレクトリー・オブザーブド・トリートメント・ショートコースという、これはWHOが主唱して、世界じゅうでこの方式によってお薬を的確に服用していただくことによって結核対策が進むという、そういった実績を基にWHOが推奨しているやり方です。我が国におきましても、日本実情に即した形でこのDOTSという方式を採用する、それが今回の法案の中にも記されているわけでございますが、例えば、二十五条、二十六条等に書かれているわけでございますが、その関係でお伺いしたいんですけれども、二十五条を見ますと、保健所長さんがこのDOTS推進の仕事というものも担当される。そうした場合、保健所長としては保健師その他の職員をしてこういう処方される薬剤を確実に服用すること等の指導をしていただくという法案の構成になっているわけでございます。  これについてお伺いしたいんですけれども保健所としては、もちろんDOTSというのはこの法案ができてからスタートするわけじゃないので、もう実態として幾つか進んでいるわけですが、法整備された状況考えますと、各保健所、この業務をやはりそれなり対応していく、そういった対処が当然必要となってくるわけでございます。  それでお尋ねしたいんですけれども保健所におきますこのような技術スタッフというものはどのような配置状況になっているのか、そして具体的にこのDOTSという法に基づく指導体制、これが十分実施できる状況になっているかどうか、それについてお尋ねをしたいと存じます。
  17. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 今御指摘DOTSでございますけれども、これは新興再興感染症研究事業におきましてより効果的なDOTSの実施方法の開発等を進めるということと同時に、結核対策特別促進事業、これによりまして自治体におきますDOTSの実施を積極的に支援を今しているところでございます。  DOTSは、お話のとおり、保健所保健師だけで推進するものではなくて、医薬品の知識を有します薬剤師等のほかの職種、あるいは地域医療機関、それから薬局等との連携もいただきまして実施することが重要であるというふうに考えているところでございます。  実際、入院中に行われています院内DOTSにつきましては、五五%の施設におきまして薬剤師が積極的に取り組んでいるという報告もございます。また、一部の自治体では、退院後に実施されます地域DOTSについて、保健所地域医療機関及び薬局の協力を得て積極的に取り組んでいる先進的な事例もあるというふうに伺っているところでございます。
  18. 藤井基之

    藤井基之君 是非よろしくお願いをしたいと存じます。  今お話ありましたように、このDOTSなんというもの、実は、私もこの法案を見せていただくまで実は知らなかった単語なんですね。それで、WHOのレポートだとかなり従前から書かれているし、今、局長から御答弁ありましたように、厚生省研究班を組織して、日本でどういった形でこのDOTSを具体化するかということの研究もずっとなされていたわけですね。  私は、今回のこの法律を実際に今審議をさせていただいているわけでございますけれども、これを施行する際には、是非この内容等の周知を図っていただきたいと思いますですね。特に、これは専門家の方々でさえあるいは必ずしも十分な御理解がないかもしれないわけです。まして、国民の方々となるとどうかということを思うわけでございますね。  今回、私は、法案の内容については、非常に、時代とともにといいましょうか、患者さんの人権を守らなきゃいけないし、医療の近代化にも対応しなきゃいけないし、多くの地域対応をどうするか、専門家がどう対応するかということを非常に幅広く、加えて国の責務、地方自治体の責務、書かれておりまして、是非、私はこういった法案の実施によりまして是非結核というものを撲滅してもらいたいと思っています。それは、国だけで撲滅できるものじゃないことは重々分かっております。でも、国が旗を振っていただいて、そして国、国民を挙げて結核対策に取り組む、そして地球上から、まず日本がなくなったら、その次には地球上からやはり結核をなくしてもらいたいと思いますですね。そういった努力是非国としてやっていただきたいと思っているわけです。  最後に、大臣にお伺いしたいんですけれども、今申し上げましたように、私は、私だけじゃなく国民のすべての願いなんですよ、もう結核なんて過去の病気にしたいというのは。それがまだ生き残っているのが非常に残念でならないんですね。治療法とか治療薬進歩している今日でも、これが本当に国の努力でこれだけ減らした、でも根絶できない状況がある。世界状況を見ると、我々が想像する以上に厳しい深刻な状況が続いているわけです。国際的な交流がますます盛んになってまいります。我が国では結核というものを、我が国状況がここまで下がったからまあこの程度でというわけにはやはりいかないんだろうと思うんですね。是非我が国世界をリードして結核対策の先頭に立ってもらいたいと思っております。  そして、そのためには、国民に対してやっぱり結核の問題というものがもう我々過去の問題というそういう意識を持たさない、現在においても地球上では特に大きな問題なんだと。それはエイズとかSARSというと新聞も一杯書いてくれるけれども、でも結核だと余り書いてくれない、もう時代が違うというふうにとらえているかもしれない。国民の理解をやはり一にして、正しい理解を国民に求めていただいて、そして国の施策あるいは地方自治体の施策、それに対して国民は合意して納得して協力してもらえる、そういった体制を作らなきゃいけないんだろうと思っております。そのためには、国民に対して国は、こういう状況で、こういう対応を取るんだ、世界的にはどういう状況になっているか、それをもっともっと知っていただく努力を国がすべきだと思うんです。  国民に対する啓発等を中心として、今後の取組に対する厚生労働大臣の決意をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  19. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今お話ございましたように、減ってきたとはいいますものの、先進国の中では日本は非常に多いわけでございます。また、感染症という立場で見ましても非常に多い方でございまして、決して撲滅をしたとはなかなか言えない病気の一つでございます。また、先ほども申しましたとおり、六十歳以上ぐらいの皆さん方は約半分ぐらいは、五〇%ぐらいは感染をしているんだろうというふうに思います。その人たちがこれから更に高齢期に入りましたときに、発病していなかったのが発病するということは当然考え得ることでございますので、しばらくの間これは気の抜けないと申しますか、ここでこの対策を低下をさせてしまうと再び大きなリスクを負うことになってしまうということになりますので、この際にひとつしっかりと結核に対します認識というものを、国民の間で確かにもう結核を過去の病気としてもう薄れがちになっておりますけれども、その症状等につきまして国民の皆さんにもよく理解をしていただいて、そして、こういったときには早く診療を受けていただくといった、診察を受けていただくといったことをお願いをするといったことも含めまして、やはり結核という病気の恐ろしさ、過去に日本が経験したことの恐ろしさ、そうしたことも若い世代の皆さん方に十分に認識をしていただく必要があると私も思っております。  それから、委員がもう一つ指摘になりましたことで重要なことは、非常にグローバル化されてまいりまして、外国から多くの皆さん方がお見えになる。その皆さん方の健康の問題もこれ大事でございまして、そうしたことにも十分配慮をして、自分の国のみだけではなくて周辺の国々と共々にこの病気を減らしていくという、そういう決意が重要であるというふうに思った次第でございますし、そういう視点から今後やらせていただきたいと思っております。
  20. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  終わります。
  21. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 おはようございます。民主党・新緑風会の朝日です。  既に藤井委員の方から幾つかの背景、ポイントを含めて御質問がありましたが、私なりに、今回の法改正に当たって、幾つかのバックグラウンドと法改正の中身とそれから今後の対応についてお尋ねをしておきたいと思います。    〔資料配付〕
  22. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 まず、話の流れで、今皆さんにお配りをしておりますグラフ、「結核死亡率の年次推移 各国の比較」というのをまずごらんいただきたいと思います。  ちょっと質問の順序を変えます。  先ほど藤井委員は、特にアジア地域における我が国のリーダーシップを求めるという御意見がありました。それはそれで確かに必要なことだというふうに思いますが、ただ、現実を冷静に見ますと、特にこの結核に関して言うと、確かにかつてのような状況ではない、徐々にあるいは急速に改善されてきてはいるんだけれども、ヨーロッパ等の欧米の主要先進国と比べるとまだまだ課題が多いという状態にある。WHOは、日本のこういう状態を、結核改善足踏み国とか、かなり適切な表現だと思うんですね、足踏み状態にある国とか、あるいは中程度に蔓延をしている国だというふうに評価しておりまして、まだまだそういう意味では課題があるという認識を私は持っています。  そこで改めて、結核状況の推移、感染の推移については、一つは、今お示しをした死亡率一つのメルクマールですし、もう一つ新規登録患者数、この二つが大きな目印かなというふうに思うんですが、この二つを目印にしながら、我が国における結核現状について御認識を伺いたいというふうに思います。  特に、私ちょっと記憶が定かじゃないんですが、数年前、なかなか思うように新規登録が減らないということで緊急事態宣言を発して、何かパンフレット作ってあちこちに、これじゃ大変だという、そういう取組をされたというふうに記憶していますが、その辺の状況、そしてその後どうなってきているのかということを含めて、まずは基本的な認識をお伺いしたいと思います。
  23. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 近年の結核罹患状況について御説明申し上げます。  死亡状況につきましては、正に先生御配付の資料のとおりでございます。  罹患状況も、改善はしているんですけれども、その改善が鈍化しているということでございまして、平成九年から罹患率が三三・九、三四・八、三八・二ということで、三年連続上昇傾向に転じました。これは人口十万人当たりの罹患率でございます。  この三年間上昇したということに着目しまして、これは大変なことだということで、平成十一年七月に、今御指摘結核緊急事態宣言、これを発しました。結核対策を少し見直したらどうだろうかということでございます。そして、平成十二年度には結核の緊急実態調査というのを行いまして、この結果を受けまして、厚生科学審議会感染症分科会結核部会、これを開催いたしまして、結核対策の見直しについての検討を行いました。平成十四年三月にその結果をまとめていただいたわけでございます。  こうした中で、現在は、新規登録患者数は三万二千八百二十八人という状況でございまして、罹患率は二五・八、先ほどの数字よりは随分改善はいたしましたけれども、また三年続けて減少はしているものの、改善の状況は必ずしも急ではなく横ばいであるということでございまして、こうした結核状況、取り巻く状況対応しまして、結核予防のための総合的な対策の一層の推進を図るために今回の法案を出させていただいたということでございます。
  24. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今御説明があったような状況でして、そういう意味では、先ほどWHOの表現を引用しましたけれども、私はまだ結核改善足踏み国だというふうに認識すべきだと思うんですね。  そういう基本的な認識の上に立って、さあどうしたらいいかということなわけですが、まず、その具体的な対策に入る前に、我が国における結核感染の特徴的な傾向をどうとらえるかということがその次に問題になってくると思います。  事前に御説明をいただいた中では、私なりにピックアップすると三つぐらいあるのかな。一つは、高齢者罹患率がかなり増えてきているし、なかなか改善されてこない、それから二つ目は、先ほど藤井委員からもお話がありましたが、かなり地域間の格差がある、それから三つ目は、ゼロ歳から四歳の乳幼児新規の登録が必ずしもすごい数ではないんだけれどもなかなか減り切らないという、この三つの問題がやや特徴的な傾向なのかなというふうに私は思うんですが、まとめて聞くと混乱しますから、一つ一つ説明をいただきたいと思います。  まず、高齢者の割合が多い。これは人口構成が高齢化してくればある意味では当たり前なんですが、それを超えてなお高齢者に非常に高い罹患率があるということはなぜなのかということ、そしてそれに対してはどうしようとしているのかということについて、まずお伺いします。
  25. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 平成十四年度におきましては、七十歳以上の患者さんが全体の患者に占める割合というのは四一%でございます。新規登録患者におきます高齢者の割合というのはどんどん増加傾向にございます。  その原因と申しますと、先ほど大臣も御説明申し上げましたように、既感染率、つまり過去において結核感染している割合というのが、私どもの世代ですと二五%ぐらい、今六十歳代ですと五割、六十歳以上ですと多分七割以上というような方が既に感染しておられるというような、その既感染率が非常に高い年齢層であるということで、その方々が免疫の状態が良くなくなったり、何らかのほかの疾病にかかったりしたことをきっかけに再発するというような状況があるというのではないかというふうに考えているところでございます。  現在、結核対策特別促進事業を活用しました地方自治体取組では、高齢者対策としましては、施設入所とか在宅寝たきり高齢者を対象としました喀たん検査などによります健康診断事業、あるいはハイリスクの者に対します予防投与事業、それから高齢者及びそれを介護する方に対します結核についての正しい知識の普及啓発事業というようなことも行いまして、これらの高齢者対策ということを行っているところでございます。  また、改正案でございますけれども、定期健康診断につきましては対象者のリスクに応じて実施することということになっておりますけれども、当然、これら過去に感染を受けている可能性が高い高齢者につきましては、引き続き毎年の健診を徹底するという方向考えているところでございます。
  26. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今の御説明でなるほどと思ったんですが、ちょっと念のため伺いますが、あれですか、かつて若いころに感染した方がそれなり治療を受けて治ったというか状態になっていて、ずっと比較的問題ない状態が続いていたのに、高齢期になって、例えば体力が落ちるとか免疫力が落ちるとかいう状態になったときに、かつてかかっていたものが再び症状を現すという、そういう理解でいいんですか。その結核菌はずっと中で生きているんですかね。ちょっとその辺御説明ください。
  27. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 私も見たことはないんですけれども、再発するということは、やはり菌が静止状態だったのがまた活動し始めるということであるというふうに御理解いただいていいと思います。
  28. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 分かりました。多分、そういう方たちが知らず知らずのうちに再び病状が悪化をし、それがまた新たな感染源になると、こういうことにもつながるということで、そこをどう食い止めるかという課題があるということだというふうに思います。  次に、先ほども御質問があってある程度お答えいただいたわけですが、地域の格差が非常にあると。あちこちいっても始まりませんから、大阪は何でそんな高いんやというのをちょっと説明していただけますか。地域間格差、とりわけ大阪は何でやろと。
  29. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 地域間格差でございますけれども大阪市は罹患率が七十四・四ということで長野県の六倍ということでございます。  なぜかというと、何とも具体的な答えがあるということではないと思うんですけれども、特定の結核感染するリスクの高いグループが多く存在するということ、それから過去において結核の蔓延状況が、これ昔から大阪一定地域でございますけれども、は非常に蔓延状況がずっと高かったというような、そういう歴史を引きずっているということではないかというふうに考えているところでございます。
  30. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今のお答えでちょっと満足はできませんけれども、むしろこれはこれから都道府県でちゃんと計画を作ってもらうということになっているようですから、それぞれの地域ごとの特徴についてはきちんと分析をし、対策計画立てると、こういうことになるんだと思います。  三つ目の特徴点ですが、先ほどもちょっと申し上げましたように、新規の登録で結構ゼロ歳から四歳の新規登録がなかなか減らないというか、決して多い数ではないんだけれども、年々まだ横ばいという状況になっていると。この点についてはどういうふうに分析されていますか。
  31. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 平成十四年のゼロから四歳の新規登録患者数というのは八十人ということになっております。罹患率そのものは十万対にしますと一・四、普通の全国平均で二十五という状態ですので、この年齢層の罹患率は決して高くはないという状態でございます。また、下がっているということでございます。  問題なのは、非常に予後の悪いといいますか、重症の結核になるということでございまして、結核性の髄膜炎あるいは粟粒結核と、こういうようなものが発生するということでございます。ちなみに、平成十四年の結核性髄膜炎は二人、それから粟粒結核は四人ということでございます。  これに対します対応策というのは、唯一BCG接種ということでございまして、こういう重症の転帰を取る患者さん、特に乳幼児を減らすと、の乳幼児の重症の結核を減らすという意味でも、是非BCG接種率を向上させるというような、そういう対策を徹底するようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
  32. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 非常に重症化するという意味で、数はそれほど多いわけではないけれども、大変問題があると。  どういうところから感染が想定されますか。例えば、もしかすると病院ですか。それとも、どうやら、まだゼロ歳から四歳ですからほとんど家庭が中心だと思う。家庭内感染考えられるか。どの辺を想定されていますか。
  33. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 手元に具体的なデータあるわけではないんですけれども、ほとんどが家庭内感染というふうに考えてよろしいんではないかというふうに思います。
  34. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、推測の域を出ないんですけれども、かなり、先ほどの説明と併せて考えると、家庭に高齢の方がおいでになって、元から持っていたのが悪くなっていて知らず知らずのうちにお孫さんに感染させているということが考えられるのかなというふうに推測をするんですが、そういう意味でも、最初にお尋ねした、高齢者罹患をされている方の対応についてこれからもますます対応が求められてくるんじゃないかというふうに思います。  じゃ次に、最近、時々新聞などで、小さなグループというか、小集団で集団感染というのが時々忘れたころにぽっぽっと新聞で報道されるわけですね。つい最近、今年も四月に、十二日でしたか、横浜市の学習塾における小学生の集団感染の事例があったという記事が載っておりました。私、まだ新聞の記事しか知っておりませんが、この事例について、どんな実態でどんなふうに対応されているのか御報告ください。
  35. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 御指摘の事例でございますけれども平成十六年二月に横浜市内の学習塾の講師の方が感染性の肺結核を発病したために、管轄の保健所におきまして、家族それから塾の生徒等に対します定期外の健康診断を実施した結果、新たに二名の患者さんと十六名の予防内服者が発見されたということでございます。本年四月に集団感染事例として報告されたということでございます。  今回の改正案では、乳幼児、学童の結核感染を受けやすい集団に日常から接している者で結核を発病した場合には、二次感染を起こしやすい者に対しまして重点的に定期健康診断を実施することとしておりまして、当該事例の経験を踏まえまして、若年層につきまして有効な結核集団感染防止策を講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  36. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 すぐに対策の話に行かないで、これどこから見付かったんですか、この事例は。今の御説明だと、感染源となったであろう女性講師からその塾に通う小学生に感染したのではないかと、こういうふうに新聞にも出ていますが、そもそもこの感染、集団感染を疑われた最初の発端はどこからですか。分かります、分かりません。
  37. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 今手元にある資料によりますと、この患者さんが医療機関に受診し、その医療機関から報告があったということでございます。
  38. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、その感染源となったであろう講師の方が自ら受診されて分かったと、こういうことのようですね、はい。  それで、私は、これからの対策一つのポイントは、小グループにおける集団感染をどう食い止めていくかということが一つのポイントだろうと思うんです。そういう意味で、この間、十年ほどにわたって集団感染の事例がどれぐらいありますかということでお尋ねをしました。そうしたら結構ありまして、私たちも新聞報道を見落としているんだなと思ったんですが、平成九年、十年ごろから毎年数十件程度、四十件、五十件、六十件と集団感染の事例があるようなんですね。  これ、すべてを御報告をいただく時間もありませんから、ちょっと総括的にお尋ねするんですが、最近、毎年数十件近くある結核の集団感染事例をずっと見ていって、どういう傾向というか、どういう特徴というか、があるのか。その辺をどう把握されているのか、御説明いただけますか。
  39. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) まず、実態でございますけれども、御指摘のとおり、最近、年間大体四十から六十件の集団感染事例が報告されております。  それより前を少し見てみますと、年間十から二十件程度ということでございまして、これは恐らく、私どもが集団発生事例を報告していただきたいというような御指導を申し上げました結果として、こういう数の飛躍的な増加につながっているんではないかというふうに思っております。  発生場所の内訳を見ますと、これはそれほど変わっていない部分、つまり、より年長者の多い事業所とか、それから病院とか、学習塾とか、集団発生の場所とか、学校とか、そういうようなことでございます。
  40. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 もう少しきちんと分析した方がいいんじゃないかと私は思うんですね。でないと、具体的なそういう小集団における集団感染をどう食い止めるかという具体策につながってこないと思いますから、これは是非作業をお願いしたいと思いますが。  そこで、私が気になりますのは、その中に毎年病院の発生があるんですよ。一般病院であったり精神病院であったり、あるいは老人保健施設であったり、老人保健施設は病院というカテゴリーとは違いますが、いずれにしても、本来医療が身近にあるところで、おひざ元で集団発生がある、感染があるというのは、これはいかがなものか。確かに病院に行けばかえって感染の可能性が高くなるということも考えられますけれども、しかし、毎年毎年全国どこかの病院で、あるいは医療機関で結核の集団発生が、感染が少人数ではあるけれども毎年あるというのは、これはいかがなものかという気がしてならないんですね。  そこで、まずお尋ねしたいんですが、医療機関における感染は、入所されている方、患者さんへのいわゆる院内感染の形なのか、それとも医療機関に働く職員への感染なのか、どういう事例なんでしょうか。ちょっと御説明いただけますか。
  41. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 平成九年から十四年の間に発生しました二百五十六件の集団感染事例のうち、病院で発生したものは六十件、二三%を占めております。毎年このごろ大体十件前後発生しているという状況でございます。  お尋ねの一体どういう感染があるのかということでございますけれども、それはいろんなものがございます。職員間だけで集団感染がしているものもありますし、職員から患者さんにうつすというのもありますし、患者さん同士で病室の中で院内感染が起こってしまうというような事例もありまして、実態は様々ということで、特別一定の要因に偏っているという状況ではないということでございます。
  42. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 いや、そう言っちゃえば、いろいろありますということなんです。それで済むのかな、済まないんじゃないか。院内感染の場合は院内感染の場合でどうするか、それからそうでなくて医療従事者への感染であればそれをどうするか、幾つかタイプに分けてどうするのかということを対応策を取らないと、何か毎年毎年十件、二十件と医療機関から集団感染がありますと言って、そうでございますと済まない話だと思うんですが。  どういう対応策を取ろうとされているんですか。
  43. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) まず、既に行っている対策を申し上げますと、平成十一年に結核院内感染予防の手引というようなものを作りまして、これを周知徹底するということをしているところでございます。また、集団感染事例等の発生時の積極的疫学調査実施チーム、こういうようなものを派遣しまして、原因の究明、対策の適切な対策を取るというようなことも行っているところでございます。  やはり、いろいろということにどうしてもなってしまうんですけれども一つポイントとしましては、特に若い職員は未感染の方が多うございますので、こういう方々に対して定期の健診をするというような、これも今回の改正で盛り込んだ項目の一つでございますけれども、そういうような対応もこれから取っていかなくちゃいけないんではないかというふうに考えているところでございます。
  44. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっともう少し、いろいろあるというのは確かにそうなんだろうけれども、私はこう思う、ちょっと推測なんですがこう思うんですよ。医療機関に油断があると思うんです。意外と医療従事者の意識に結核という意識が薄れてきているんだと思う。だから、かつてのように十分注意していればもっと早く見付かったのに、油断の結果として感染を起こし、それで慌てるということになっているんじゃないかと推測するんですよ。  問題は、そういう意味では、医療機関における小集団感染をもっときちっと対応できるようにしないと私はまずいと思う。それは厚生労働省がそれこそリーダーシップを取ってきちっとやれる範囲だと思うんですね。ここは是非もう少しきちっと、いろいろな例がありますというのはそのとおりだと思いますけれども、特徴的な例を例示しながら、こういう場合についてはこういう点が抜かっていたんじゃないか、だからこういう対策をすべきじゃないかというような整理はされて当然だと思うんですけれども、されてないんですか。ちょっと意外なんですけれども
  45. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 先ほど申し上げました十一年に作成しました結核院内感染予防の手引というのは、正にそういう集団感染事例を分析しまして、例えば結核の院内感染対策の基本的な五要素というのがあるんですけれども、例えば早期発見をするとか、環境を良くして結核菌の密度を少しでも少なくする努力をするとか、あるいは職員のマスク、まあ当たり前の話といえば当たり前の話なんですけれども、あるいはその他手洗い等、スタンダードプリコーションというような、そういう院内感染防止の基本を徹底する。さらには、発病の予防ということで、もしBCG接種をしていない者があればそれはきちっとするとか、それから定期の健診をするとか、そういうようなことが盛り込まれております。これが一応過去において集団感染の事例に学んで、そしてこれに対してしかるべき結核による院内感染防止をするための施策としてまとめたものでございます。  委員の御指摘のとおり、もう一度これを少し見直して、今後も結核の院内感染というのは絶対あってはいかぬことでございますので、更に少なくするように徹底はしていきたいというふうに考えております。
  46. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 是非やってください。それで、そのマニュアルを作って、その結果、一定期間たって果たしてどれだけ実効が上がったかという評価もきちんとして、それで不十分ならば更に第二弾、第三弾とやるというのが当たり前でしょう。是非これは、まずは結核の集団感染、たとえ小グループであってもそういうことを医療機関からなくしていくということができなくて何ができるかという気がしてなりませんので、そこはひとつきちっとやっていただきたいと。これは大臣にもお願いをしたいと思います。  意外と、私の経験でも、例えば、もちろん感染症に詳しい先生がおいでのところは決してそんなことはないと思うんだけれども、かつて精神病院を巨大な無医村と皮肉った人がいますけれども、無医村、病院でありながら無医村だと言われた時代があるんですが、案外、そういう意味では、医療機関でありながら結核という病気についての認識が非常に薄いというところがありますので、ここはひとつきちっと対応をお願いしたいと思います。  それじゃ次に、話ががらっと変わって、拘置所の話に行きます。  これは、今日は法務省の方がおいでで。多分集団感染ということではないんだと思いますが、これも大変新聞報道だけで恐縮なんですが、二年、おととしの十一月ですか、某紙にかなり大きな記事が出まして、それ読んでちょっと私もびっくりしたんです。「拘置所で結核ジワリ」と、「被告発病率 世間の二倍」、法廷では全員マスク姿でと、こんな見出しで、これは何だというふうに思いまして、その後ちょっと詳しく聞く機会を失っていましたので、この機会にまず法務省の参考人の方に、この新聞報道は事実であったのかどうか、まずその点を御説明いただけますか。
  47. 横田尤孝

    政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。  今、委員指摘の新聞報道、確かに私どもも拝見しております。その報道は、全国平均の結核患者発生率とそれから拘置所及び拘置支所のそれとを比較したというものでございまして、実際に平成九年から平成十三年までの五年間における未決拘禁者の結核の発病者数は百九十三人、これ記事にそう書いてありますが、百九十三人でございました。  ただ、この全国平均の二倍程度という報道につきましては、幾つか御留意いただかなければならないかなというふうに思っているところであります。といいますのは、まず、拘置所等の行刑施設では、入所時の健康診査それから定期健康診断というものを行っておりますほか、処遇にかかわる職員によります二十四時間体制の動静視察というものがありますので、そのような方法によりまして健康上の異常の発見、把握に常時努めておりますために、一般社会に比べまして結核患者の捕捉率が高いのではないかというふうに考えております。  それから次に、全国平均の母数は、感染率が比較的低いと言われているゼロ歳児からの乳幼児をも含んだ全人口でございますのに対しまして、行刑施設の母数は主として成人であることが挙げられると思います。  それから、報道されました行刑施設の発病者数でございますけれども、これは、施設の入所後に結核患者として認知された数でございまして、行刑施設内で感染した患者数を指すものではないということであります。  以上のことから、厚生労働省による全国平均の患者発生率と、それから単純に比較することにはやや疑義があるというふうに私ども考えております。  いずれにいたしましても、この拘置所という行刑施設は御案内のとおりの集団拘禁の場所でございますので、この施設内での二次感染防止が非常に重要であります。特に、御承知のように、現下の行刑施設は過剰収容と言われている状況でありますので、ますますこういった二次感染防止の重要性というのを私ども認識しておりますので、今後とも結核患者早期発見そして早期治療に努めてまいりたいと考えております。  以上です。
  48. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、新聞の報道のしぶりについてはやや問題があるというか疑義があるということのようですが、しかし、ちょっと確認したいんですが、そうすると集団感染ではなくて、あるいは入所してからの感染ではなくて、その時点で健診をしたらたまたま見付かった人が百九十三人いたと、こういう理解でいいんですか。    〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
  49. 横田尤孝

    政府参考人(横田尤孝君) おっしゃるとおりで、新聞の見出しに大きく書かれました五年間百九十三人といいますのは、これは集団健診ではございません。はい。そして常時見ております。それから、入所時、あるいは定期健康診断、先ほど申し上げましたように結構診断というのを行っておりますし、それから本人の申出もございますし、そういうようなことで把握された数だというふうに御理解いただきたいと思います。
  50. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 だから、集団感染ではなくて健康診査で確認された数ということですね。今ちょっと表現が。
  51. 横田尤孝

    政府参考人(横田尤孝君) おっしゃるとおりでございます。
  52. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それはそれでそういうふうに正確に理解をしたいと思いますが、それにしても、この行刑施設に少なからぬ結核患者さんがおいでになると。今御説明があったように、当然閉ざされた空間でありますから、そういう方たちの定期の健康診断とか、あるいは治療とか、さらには入院治療も必要になってくるかもしれませんね。そういうことについては現段階ではどういう対応をされているのか、また対応できる体制があるのか、その辺についてもお伺いします。
  53. 横田尤孝

    政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。  先ほどお答えしたものと一部重複いたしますけれども、行刑施設におきましては、被収容者に対しまして入所時の健康診査、これは施設に入るときに全部健康診査を行います。それから、定期の健康診断を行っております。そして、それから結核予防法令に基づく胸部エックス線検査を行っております。さらに、本人からの申出もありますし、それから処遇にかかわる、携わる職員による二十四時間体制の動静視察というものを行っておりまして、そのような方法によって健康上の異常の発見、把握に努めるものとしておりまして、その健康管理には十分配意しているところでございます。  その結果、被収容者が結核罹患していることが判明した場合には、その治療に万全を期することはもとより、結核予防法に基づきまして速やかに最寄りの保健所に届け出まして、保健所長との協議の下で患者の隔離や接触者の健診を行うなどの感染防止に努めているところでございます。  なお、一般の行刑施設で結核患者発生して、その患者が排菌しております場合には、医療刑務所というものが全国にございますので、そこに移送しまして専門的な治療を行っております。  以上でございます。
  54. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 分かりました。  一つちょっと確認ですが、そうすると、拘置所にあるいは刑務所に、いわゆる行刑施設に入所されている方にも結核予防法はきちんと適用されると、こういう理解でよろしいですか。
  55. 横田尤孝

    政府参考人(横田尤孝君) そのとおりでございます。
  56. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今日はこの程度にとどめます。というのは、以前から行刑施設における医療体制の在り方についてはいろいろ検討会を設けて対応されているということも承知していますので、是非また別の機会に行刑施設における医療の在り方については御質問させていただきたいと思いますが、今日は結核予防法との関連でお尋ねしましたので、ありがとうございました。  法務省については結構でございます。  それじゃ、いよいよ法改正案についての質問に移りたいと思います。  既に、今回の法改正の法案を提出に至った経緯等については既にるる御説明がございましたから質問は省略をしまして、今回提出された改正案の骨格について、私は、感染予防医療法という法律、これは新たに作られた法律で、そのときにも、なぜあの結核予防法と一緒にしないんだという議論があったというふうに記憶をしております。ですから、その後、結核予防法感染予防医療法とが並行して存在するという形になってきていたと思います。  今回提案されている改正案をずっと感染予防医療法と見比べてみますと、かなり一致させようという努力の跡は十分見て取れます。ですから、そういう問題意識で結核予防法感染予防医療法を統合、包括するということを念頭に置いているのかなというふうにも受け止めました。  しかし、逆に言うと、だったら今回何でできなかったのかなと。むしろ、きちんと感染予防医療法の中に含み込んで、その中の結核対策ということできちんと定めた方が良かったんではないかという、これは後で医療提供体制との問題とも絡むわけですが、そんなふうに私は思いますが、こういう形で今回あえて引き続き独自の結核予防法として改正案を提出されたその理由について、これは是非大臣に伺いたいと思います。
  57. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは、御指摘の点は私も十分に理解できるところでございます。確かに感染症法とそれから結核予防法というのは同じ感染症のことを扱っているわけでございますから、特別な、別々のことを扱っているわけではございません。  ただ、大枠で分けるとすれば、感染症法というのは急性の感染症のことを主にやっているところではあるんですが、中心ではありますけれども、しかし、エイズも入っているではないかという話になってまいりますと、これは慢性もあるではないかということになってまいりまして、そうしたことを考えますと、かつて梅毒等の性病の問題等は別の法律が一つになって感染症法になったという経緯もございますので、なるほど、御指摘いただいた点は素直にお受けをしてこれから検討しなきゃならないのかなというふうに、私もそう思った次第でございます。  ただ、結核の場合にはまだまだ、先ほどから御指摘をいただいておりますような結核そのものが持っております特殊性もございまして、やっていかなきゃならない点もあるということで今回改正をしてここに出させていただいたわけでございますが、今後の一つの問題点として検討させていただきたいと思っております。
  58. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今回、何が何でもというつもりではありませんから、是非そういうことを視野に置きながら検討をお願いしたいと思いますが、同じことについて、健康局長、何かありますか、御意見。
  59. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 大臣お話しのとおり、一応は一本の法律でできるかどうかというような議論もあったところでございます。ただ、やはり結核我が国最大の感染症であって、固有の対策を、やはり存在するんではないかと。  例えば、健康診断というような規定は感染予防法上はございませんし、それから、外来医療を公費負担するという制度はございます。これは適正な医療を普及徹底するということでこういう制度がございますけれども、それもないと。それから、一番の問題は、やはり患者の登録、管理ということでございまして、治療の経過が非常に長うございまして、しかも治療に失敗しますと、耐性菌のような、多剤耐性菌のような、非常に周りにも迷惑するような治療の結果になるというようなこともございまして、やはり、しばらくの間は現行の法体系の下で独立した対策を行ってはどうかというようなことになったということでございます。
  60. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それはそれで理解をいたしますが、私は、例えば、先ほども大臣からもお話ありましたけれども、多分エイズと結核とが合併をする事例とかあると思うんですね。ですから、当面それぞれの法律に基づいて施策を進めるとしても、逆にそれが、何というか、障害になって、壁になっちゃいけないと思うんですね。  だから、そこは是非、特にこれから合併症が非常に多くなるということも含めて考えると、あるいは非結核性の呼吸器感染症ということも考えると、何か結核だけで対策を立てていくということのメリットとデメリットがあって、結核予防法を引き続き存続させることによってデメリットが増えてきてはまずいと。そこはきちっと押さえていただきたいなというふうに思います。  それではその次に、各論部分について幾つか、基本的には今回の改正について私はおおむね是としたいわけですが、どうも気になる点がありますので、幾つか各論部分についてお尋ねをします。  その第一は、これまでやや一律的にというか、定期健康診断という形での実施を中心にやってきたわけですが、これからはもう少しポイントを絞ってというか、ハイリスクグループに焦点を当てて適時重点的な健康診断を実施するように見直したいと、こういう方向が示されていまして、法律の中でもそのような方向を打ち出しておられますが、さて、もう少し具体的に、じゃ、どういう集団、グループをハイリスクというふうにリスク評価するのか。この辺のリスク評価の原則というか、基本的な考え方がちょっとまだよく分からないんですね。  リスク評価の基本的な考え方についてお尋ねします。
  61. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) リスク評価といっても、二つ多分整理することができると思います。  一つは、発症する、あるいは発病するリスクが非常に高いグループでございまして、それは、一定年齢以上の高齢者、あるいは、特定の地域に居住する、非常に社会経済的な環境が良くない状況に住んでおられるようなそういう方々というような、結核の有病率が高いようなグループが一つございます。それからもう一つは、これをハイリスクと言っていいかどうか、名前、命名の仕方があると思いますけれども、いったんその方が感染するとほかの方に感染を及ぼしやすい方。例えば、今先ほど先生御指摘ありました塾の先生とか学校の先生とか医療従事者とか、あるいは高齢者の、あるいはお子さんでもいいんですけれども、福祉施設の職員と、こういうような方というのがあると思います。これらの方は今回定期健康診断の見直しの中でハイリスクグループというふうに考えて、定期健康診断を引き続き徹底するグループとして考えていきたいというふうに考えているところでございます。
  62. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 確かに、そういう意味では二通りの、そういう意味では後者はハイリスク可能性グループだというふうに思いますが、そういうグループについては、何か具体的な告示とか何かでこういうところを想定してという一覧表みたいなものを作られるんですか、それともその都度適宜判断されるんですか、ちょっとその辺の考え方。
  63. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 具体的な対象者、今私ども考えはそういうふうに思っておりますけれども、具体的な対象をどうするかということに関しましては、審議会の御意見を伺いまして、医学的な特性等を精査した上で政令に定めたいというふうに考えているところでございます。
  64. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 分かりました。是非その二つのグループというか考え方を少し整理しながら、政令が示された時点でまた御説明をいただければと思います。  次に、先ほども藤井委員から御指摘がありました、今回ツベルクリン反応を廃止してBCG直接接種に切り替えると、こういうことを打ち出されました。いろいろお聞きすると若干の議論があったようであります。確かに私も、随分長くツベルクリン反応をやって、そしてBCGを打ってというのは何か頭の中にしみ込んでいるので、これを変えるというのはやや勇気が要るなと。  逆に言うと、今まで何でずっとこれをやってきたのかなという気もしないでもないんで、ここはひとつ、なぜこういう方法に、これまでずっと長くやってきたんだけれども、この改正を機に方法を思い切って変えたいというふうに打ち出されたこの点を、これかなり市民の皆さん、特に子供をお持ちのお母さん方は関心があると思いますから、私に説明するのではなくてお母さんに説明するつもりでちょっと、なぜツ反をやめて直接BCG接種をすることになったのか御説明ください。
  65. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) うまく説明ができるかどうか自信ありませんけれども、御承知のとおり、ツベルクリン反応、ツ反というのは結核感染しているかどうか確認するための手だてでございまして、それが陰性の者だけに、つまり結核に対して免疫がないという者に対してBCG接種すると、非常に教科書的なプロセスであったわけでございます。  ただ、非常に蔓延率、結核感染率が非常に減って、例えば先ほどゼロ—四歳の乳幼児期の患者さんが八十人というふうに申し上げましたけれども、一万人に一人も感染していないという、そういう状況に今ございます。そうすると、これは検査のどうしても出てしまう副作用といいますか、免疫がない者にも陽性反応が出るというようなことが間々ございます。そうすると、そういう方々はBCG接種の本当は必要があるにもかかわらず必要がないグループに入れられてしまうというようなことがございます。  それからさらに、今の二回ツベルクリン反応検査をして、二日後にまたそれを見てもらってBCGを打つというようなことをしますと、乳飲み子を抱えたお母様が二回接種会場あるいは医療機関に足を運ぶというようなことになりまして、どうしてもBCG接種の機会を失ってしまう方が少なくともおられると。現実に恐らく三%から四%の方がBCG接種の状態で今おられると思います。もちろんそのほかに一歳半健診とか三歳児健診とかいろいろな段階がございますので、その中で補完的に予防接種するというのは可能なんですけれども、やはりできればなるべく早い時期にBCG接種していただきたいということがございますので、そういうBCG接種率を上げるためにツ反を省略するというようなことでございます。  ただ、先生御危惧されますように、もし結核感染していた乳幼児の方に直接BCG打って副反応、副作用というのは心配ないのかということでございますけれども、これに関しましては、一時的に接種部位にはれが出る、コッホ反応と申しますけれども、はれが出るということも報告されておりますけれども、これは重度に至るということはないと、安全であるということが確認されておりますので、まあ余り心配ないのではないだろうかと。  また、感染している方を見過ごしてしまう、ツ反をやらないでBCGを打ってしまうと見過ごしてしまうというおそれもあるんじゃないかと、こういう議論もございましたけれども、それもコッホ反応を見れば、もしかしたらこの赤ちゃんは既感染ではないかということを判断することができますので、そういうようなことでツベルクリンの代替、ツベルクリン検査に代替するような情報を得られるというようなこともございまして、ツ反を今回省略しまして直接BCG接種するということに、という判断に至ったということでございます。
  66. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 もう少し分かりやすい説明が欲しかったんですが。特に私は、やっぱり今おっしゃったように安全性は十分判断をしておかないといけないと思うんですね。同時に、有効性それから効率性も判断しなきゃいけないと思いますが、是非これは、具体的に実施に移す段階で十分理解を得るような説明というか解説というか、そういうことを是非やっていただきたいなというふうに思います。  参考までに、結核対策をほぼうまくやってきている欧米先進諸国ではこのシステムはどういうふうになっていますか。大体BCG直接接種方式でやっていますか。
  67. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 非常に蔓延率が低くなっている地域ではもう既にBCGもやっておりませんけれども、例えばフランスとかそれからアジアの各国ではツ反をせずにBCG接種をしているということでございます。これは一応世界標準ということになっております。
  68. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 分かりました。その辺も含めて是非十分皆さんに周知いただけるような努力をお願いしたいと思います。  さてその次に、これも先ほど藤井委員から指摘のあった点で、今回の改正法の二十五条、二十六条にわざわざ、例えば家庭訪問指導の項目では、保健所長保健師等に家庭を訪問させて、「処方された薬剤を確実に服用することその他必要な指導を行わせる」というふうに法律で書いてあるんですね。これはいろいろ説明をお聞きしますと、先ほど来DOTSDOTSという言葉が何度か出てきておりまして、そのDOTSを法律上に移してこういう表現をしたんだというふうに御説明されるんですが、改めてちょっとそのDOTSとは何だということを説明していただけますか。どうも私理解ができないんですよ。  つまり私の理解は、先に言います。DOTSというのは、Dはダイレクトリー、直接ですよね。オブザーブドだから観察するですよね。トリートメント、これをトリートメントを服薬というふうに訳しているんですね、皆さん。直接に服薬を観察するということだけがDOTSの意味なのか。違うんじゃないかと私は思うんですよ。ところが、それを法律では「処方された薬剤を確実に服用すること」。こんなこと当たり前の話じゃないのと。お医者さんが処方したやつをやはり確実に飲んでください、糖尿病にしろ高血圧にしろ、でしょう。何でこの結核予防法だけにわざわざ「処方された薬剤を確実に服用することその他」というふうに書くのか、どうしても合点がいかぬのです。  なぜそういう法改正に至ったのかということの前に、DOTSということの基本的理解をまず御説明ください。
  69. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) まず、DOTSとはいかなるものであるかということでございますけれども、先生の御指摘の、御説明のとおりですね、直接服薬確認療法ということでございます。  どういうところでできたかといいますと、WHO結核対策戦略の一つということで、結核の薬というのは大体六か月ぐらい、多分毎日毎日飲み続けなくてはいけない。最初のうちは症状があったりしますので患者さんも飲むわけですけれども、そのうちだんだんこう、どうしてもそれを飲まなくちゃいけないということは分かっていても忘れてしまうというようなことが間々ございます。そういうことで、医療従事者の目前で内服するということを、それをポイントとして患者治療を総合的に支援すると、こういう施策としてWHOが打ち出したものでございます。これは非常に有効でございまして、各国でもこのDOTSという方策が取り組まれているということでございます。  なぜそこまでおせっかいなことをやるかということなんですけれども一つ患者さんが治療を完遂するといいますか、治療を完遂する、完成することがどうしても必要であると、その患者さんにとってはメリットがあると。まあ、おせっかいかもしれません。  もう一つは、治療を失敗しますとどうしても多剤耐性結核という症状が、事態が起こるということでございます。この多剤耐性結核というのはほかの人に対して非常に迷惑を掛けることになりますので、そういうことから、治療の効率を上げると同時に多剤耐性結核を少なくするというような、そういう意味でこのDOTS、直接服薬確認療法というのが取り上げられ、そして世界的にもこれが普及定着しているという状況でございます。  ただ、このやり方に関しましてはいろんなレベルがございまして、本当に毎日毎日、フードスタンプみたいのを上げるからおいでねと言って、それで毎日服薬を確認するようなやり方から、週に二、三回電話なりなんなりして飲んでいますかというようなチェック、あるいは月に一回薬を取りに来るときに徹底的に服薬指導をするというような、いろんなやり方がございますけれども、いずれにしましてもその服薬を確認する、そういう結核管理の一つの手法ということでございます。
  70. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 分からぬのですね。  インフォームド・コンセントをちゃんと徹底してほしいということを、これは医療全般にわたって強調されていますよね。私の理解は、インフォームド・コンセントというのは正に患者さんに、もしか中断しちゃったら多剤耐性菌ができるかもしれないし、自らが感染源になって集団感染を起こすことになるかもしれないし、ということも含めていろいろと話をし、だからこの薬飲んでくださいねということで理解をいただき、納得して薬を飲んでいただくというのがインフォームド・コンセントだと思うんですね。    〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕  インフォームド・コンセントを丁寧にいただくということとDOTSとはどう違うんですか。
  71. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) インフォームド・コンセントというのはDOTSの場合でも当然の前提条件でございまして、それをクリアしない限りはDOTSに入るということはできないというふうに考えております。  DOTSは、確かに、医療を提供する側からいえばそんな当たり前のことじゃないかというふうに御理解されるかもしれませんけれども、トータルの結核対策ということを考えますと、現実に、例えばDOTSをやった場合とやらない場合で治療の完遂率、治療の成功率あるいは治療から脱落する率というのが明らかに違う。DOTSをやりますと九割以上の方が六か月の服薬を終えて完全に結核が治ると。DOTSでないと七割とか六割とか、そういうレベルであると。そういうフィールドでの経験から、こういうDOTSというような方法というのが非常に有効であるということが認められて、世界的にもこういうやり方で治療が行われているというふうに御理解いただけたらと思います。
  72. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 これ厚生科学審議会感染症分科会結核部会報告の中にも載っているんですが、こういう書き方しているんですよ。DOTSじゃなくてDOT、直接服薬確認治療、こんな訳が当たっているのかどうか怪しいと思うんですけれども、「(直接服薬確認治療)を中心とした結核患者治療を公的に支援する総合的戦略DOTS推進し、」と。私、これなら分かるんですよ。ところが、法律の中には「処方された薬剤を確実に服用する」ということしか書いていないんです。全然分からない。総合戦略なんだということをWHOは言っているはずです。だったら、そういうふうに書けばいいじゃないですかと思うんですが、いかが。
  73. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) ちょっと、規定ぶりの話でございますけれども、この二十五条の保健所長の職務権限の規定でございますけれども、これはあくまで患者さんが法的義務を持つものでは当然ございません。  それから、二十六条の方もそうですけれども、あくまで療養上の指導を適切に行うようにというふうに訓示的に責務を定めたものでございまして、明らかに患者さんに強制するというようなものでもございません。
  74. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そんなことは聞いていない。それは次に聞こうと思っている。今聞いているのは、DOTというのはどうやら目の前で服薬を確認する方法ですよということらしいと、そこまでは分かった。で、DOTSというのはそのことも含めて患者さんに総合的な支援をするための戦略なんだということをWHOは言っているわけです。だったら、それを素直に受け止めた書き方にすべきじゃないか。何か法律を見ると、「処方された薬剤を確実に服用すること」というふうにしか書いていないわけです。ほかに、じゃ、DOTSということの戦略が書いてあるの。それならまだ分かる。御説明ください。
  75. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) ちょっと間を飛ばしてしまったのかもしれませんけれどもDOTSは当然総合戦略です。その総合戦略のよりどころとなる条文が欲しいということであの二十五条、二十六条の書きぶりになったということでございますけれども
  76. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと立法者のセンスを疑うですね。  視点を変えて聞きます。  そうすると、先ほどお答えになっちゃったけれども、この法律によって、それに違反した場合に、保健所長とか保健師さんとか医師が何らかの罰則を、ペナルティーを受けることになるのか、また、指示に従わなかった患者さんがペナルティーを受けることになるのか、あるいは不利益を受けることになるのか。そして、もしそういう指導に基づいて、まあ嫌だなと思いながらも薬飲んだとする、副作用が出たとする。そうしたら、それは国がちゃんと全面的に責任を持つのか。
  77. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 少し先走った御説明を申し上げまして失礼しました。  二十五条はあくまで保健所長の職務権限を定める規定でございまして、人々に法的義務を課すものではありませんし、二十六条は医師に対して療養上の指導を適正に行うように訓示的に責務を定めたものでございます。また、これによって患者さんに治療を強制するものではございません。当然、同意と理解、理解と同意ですか、というのが前提になります。それから、大阪市でも特対事業として実際にDOTSをやっておりますけれども、すべて同意を前提にして事業に参加していただいております。
  78. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 大臣、ちょっと眠そうな顔していますけれども、今の議論聞いていてどう思いますか。  私は、私は、そもそもこの二十五条、二十六条にこういうふうに書くことが、WHOが言っているDOTSの総合戦略性を表現しているとどうしても思えないんです。むしろ、こういう書き方をするんじゃなくて、書くとすれば基本方針かどこかにきちんと書いて、その上で、保健師や医師の役割としてこういう点に十分留意してやってほしいと。これはむしろ臨床レベルのガイドラインで済む話なんです。何で法律に書くのか、全然理解できないんです。これで、けしからぬ、この法律全部駄目だと言うつもりはありませんけれども、どうもセンスを疑うんですが、どう思います。
  79. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 私はそこまで実は疑問を持たなかった。その手前で、一体DOTSって何というのが私の質問でございまして、何度も聞き直しました。私も聞き直したところでございます。私がこの法律で疑問に思ったことは三つございまして、一つは、ツベルクリン反応をなぜやめるのというのが一つ。このDOTSと、それからもう一つは、健康診断のときにレントゲン写真、なぜやめるの、そんなにずっと撮らなくていいのということが私の三つの疑問でございまして、何度も聞き直しました。  しかし、その中でDOTSは、先生が御指摘になるほど私は実は疑問を持って、なぜこんなところに書くのというところまでは私は思いは至らなかったわけでございますが、今、先生から御指摘をいただいていろいろ聞いておりますと、いわゆる法律の事項としてなじむのかどうかというお話なんだろうと思うんですね。  当然のことといえば、ちゃんと飲むのは当然の話でございますが、今回、この場合には、ちゃんと飲まなければ、そのことが本人のみならず他人に大きな影響を与えることになり得ると。例えば、耐性菌を持つということになってしまえば、その人だけにとどまらなく、ほかの人にも影響を与えるというようなことがあってここは書いたのかなというふうに、私はそこは非常に単純に聞いたときに考えていたわけでありますけれども、法律事項としてなじむのかどうかということを問われますと、私もなかなかそれ以上は答えにくいんですけれども、違いとしては私はそういうことではないかというふうに思っております。
  80. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 もうやめますけれども、どうもここのところはすとんと落ちません。先ほどから何度も申し上げているように、WHOが言っている趣旨は、むしろ患者さんの治療支援するための総合戦略を打ち出しなさい、その中で服薬について確実に進めていく方法が具体的な方法論としてはかなり有効ですよということを言いたいんだと私は思うんですよ。  ところが、その総合戦略、患者さんを支援するための総合戦略という視点を、それはもう分かっている話だというふうに横に置いたのかもしれませんが、法律上、何かしら処方された薬剤を確実に服用することというふうに出てくると、私はちょっと心配し過ぎかもしれませんけれども、かつてのある時代保健所の保健婦さんのことをアリナミン保健婦と言ったことがある。飲んでいますかと、それで帰っちゃう。保健師さんがまた、こういうふうに法律に書かれたということで、余計服薬、服薬というところに目が行くんじゃないか。本当は保健師さんにやっていただきたいことは、患者さんの治療を公的に支援する役割なんです。何も薬だけを飲めということをやってほしくないわけです。とすれば、そこを分かるように法律上書くべきじゃないのか。  ここは、今から条文を直せといってもなかなか難しいかもしれないけれども、もし具体的にこれから法律を施行するに当たっては、十分、今申し上げたような誤解が起こってはなりませんから、十分きちんと趣旨を理解できるような御指示を、あるいは手を打っていただきたいということを是非これは強く要望しておきます。  その上で、もう時間がだんだんなくなってきましたから残された質問全部できませんが、今たまたま保健師さんの話になりましたから、その話に移ります。  今回の法律で、国と都道府県計画を策定を義務付けると。まあ、またしても計画かというふうに都道府県の方は思っているのかもしれませんが、それはいいとしましょう。  問題は、問題は、その予防対策を、予防活動を実際に担う、そして拠点になるべき保健所実態はどうなのかということがどうも気になります。  まず、現状を、この十年間といいますか、具体的に言えば地域保健法が施行されてからだと思いますが、相当の勢いで保健所が、特に都道府県保健所が統廃合されて数がぐっと減ってきていると思います。二、三百減ってきていると思います。それに伴って保健師さんの数も減ってきていると思う。もちろん、地域保健法の制定の趣旨は、市町村に拠点、新たな拠点として市町村保健センターを作るんだということもありましたから、市町村における市町村保健センターの方については一定の配慮、拡充がされてきていると思いますけれども保健所の方についてはそういう統廃合が進んでいる状況ではないか。  まず、現状どうなっているか、ちょっと御説明ください。大ざっぱな数字で結構です。
  81. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 保健所の数といいますと、平成九年が七百六か所、平成十五年が五百七十六か所。市町村保健センターの方は、逆に、平成九年が千四百八か所、平成十五年が千七百四十六か所というふうになっております。  保健師さんの数も申し上げますと、平成十年に七千八百十四人、これは保健所でございます。平成十四年が七千六百七十人、少し減少しております。一方、市町村に勤務する保健師さんは、平成十年が一万八千四百十人、平成十四年が二万一千六百四十五人というふうになっております。
  82. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 だから、心配したとおり、保健所については相当統廃合も進んでいるし、保健師さんの数も、そう大きくはないにしても減ってきている。一方、市町村については、市町村保健センターの整備を含めて保健師さんも相当数確保されてきている、これはこれで理解をするんです。地域保健を、体制を言わば重層的に担うという意味ではそれなりに理解をするんですが、ただ、私が知っている限り、従来から、地域保健の中でも精神と結核都道府県保健所の保健婦さんがやるんだよというある種の位置付け、役割分担があったはずなんです、つい最近まで。  ということは、逆に言うと市町村の側はその蓄積が非常にないんです。どちらかというと市町村の側は、母子とかあるいは老人保健とかいうところに力点、力量を割いていた。最近では介護の方にも大分引っ張り出されて家庭訪問の回数が減ったというふうに保健師さんぼやいておられましたけれども、そういう状況なんですね。  ですから、果たして、国と都道府県予防のための計画を策定するということを盛り込まれても、肝心の担うべき保健所が非常に基盤が弱体化してきているんじゃないか。この点について大変危惧をしまして、この先ほど申し上げた報告書を読みましたら、むしろ保健所の位置付け直しをちゃんとやれと。保健所が言わば地域の拠点として機能できるように、こんなふうに書いてあるんです。「現在、地域保健法の施行、保健所の再編など、保健所を取り巻く環境は大きく変化しつつあるが、今後とも、公的関与の優先度を考慮して業務の重点化や効率化を行うとともに、公衆衛生対策上の重要な拠点であることにかんがみ、結核対策の実働部隊としての位置付けを明確にすべきである。」、こう書いてある。こういうことを書いて、都道府県計画も作りなさいというんなら非常によく分かる。  この点について、どういうお考えなのか。これは局長大臣と、それぞれお考えを聞かせていただいて、私の質問を終わります。
  83. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 確かに、保健所の役割というのは変わってきておりますし、そして変わらない、昔からおやりをいただいている部分と両方あるというふうに思っています。  先日来も、これは、保健所の在り方は一体今後どうしていくのということを実はやっているわけでございます。  それは何に端を発したかといいますと、保健所長をどうするかという話がございまして、それで、保健所長を医師でない人にもやらせていいのかどうかということをいいますときに、保健所の役割というものが一体これからどうなっていくのか、どうするのか。それによって、それは保健所長がだれがなるかということは決まってくるのではないかということを実は先日来言っておりまして、それで、その中で、この保健所の仕事と、そして一番関連のありますのは、今、大変関連あると思いますのは市町村合併でございます。  市町村合併がされてきまして、非常に大きな市が生まれてくる。今までの保健所が担当していた範囲、一つ保健所が担当していた範囲よりも広い市が生まれてくるというふうなことになっている地域もあるというふうに聞いております。  そういうふうになってまいりましたときに、これから大きな市が担うべき分野と、それから保健所が担うべき分野というものとの整理というものが今必要ではないかというふうに私は思っております。  その中で、結核の問題でございますとかそうした問題、それから感染症の、新しいSARSなどの感染症の問題、そして、いわゆる薬品でありますとかそうしたものの製造等に対する監視の問題等々、ほかにもあるわけでございますが、やはり様々な市町村に対しまして、市町村がやっている分野ございますけれども、その市町村がやっております分野をどのようにやはり全体的に見ていくかというのが保健所の役割ではないかと。すべてを市町村に任せてあるからそれでいいという話ではなくて、市町村にゆだねてあります分野につきましても総合的に計画を立てて、やはりちゃんとそこは統一して、県内なら県内でやられているかどうかということを見ていくところが必要であり、そこをやはり担うのは保健所ではないかという私は気が今いたしておりまして、その議論を今盛んにやっているところでございます。  今日、幸いにも御指摘をいただいたところでございますが、そうした中で、県として、保健所としてやらなければならないところというのは、私は、確実にそこは存在するというふうに思っておりまして、そこをどう強化をしていくかということと先ほど申しました保健所長の話はセットではないかというので今やっているということだけ御報告を申し上げたい。
  84. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 結核予防法では、市町村の役割というのは全然ないわけじゃありませんで、定期の健康診断とかあるいは予防接種というようなことが市町村の役割として書かれてございます。また、保健所の役割としましては、定期外の健康診断とかあるいは患者管理、入所命令というような、就業禁止とか、そういうようなことが書かれてございますので、それぞれの役割分担をきちっとして結核対策が円滑に進むように、こちらからも御指導申し上げたいというふうに思っております。  また、今、大臣ちょっと申し上げましたけれども、健康危機管理の拠点として保健所というのは今ひとつ見直されようとしております。結核というのは、やはりだんだん皆さんの意識から外れてしまっているというようなこともこれありまして、是非結核というのが一つの健康危機のテーマにもなるというような状況もございますので、啓発普及というような面でも、また危機管理の一つ対策としても、結核対策というのは力を入れて重点的にやっていかなくちゃいけないというふうに考えているところでございます。
  85. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  86. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、結核予防法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  87. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山でございます。大臣、よろしくお願いいたします。  今朝から当委員会におきましてこの結核予防改正法案についての質疑が行われておるわけでありますが、かなり午前中に、御専門家であられる先生方の質問で大分私が質問しようとしていたことも含まれておりまして、議論が重複するかもしれませんけれども、何点か基本的なことも含めて質問をさせていただきたいというふうに思います。  WHOの推計によりますと、世界結核患者の八〇%が二十一か国から発生をしていると。ところがこれに含まれるいわゆる先進国と呼ばれるのはロシアと日本だけであるということでございまして、人数こそ、最近ですと死亡者が二千三百人、それから登録患者が、新規でありますけれども平成十四年現在で約三万三千人ということでありますけれども、依然、結核我が国の最大の感染症であるということでございます。今朝からも出ておりますけれども日本WHOが定義するところの中蔓延国あるいは結核改善足踏み国ということでございまして、今回の法案の改正を契機に更なる強い政府の取組期待されるところでございます。  そこで、午前中の審議でも出ていたわけでありますけれども日本で劇的にこの結核患者の数が減っていた時期もあるわけでありますが、その低下傾向が近年鈍化をしているその原因について、再度、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  88. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 我が国では、昭和二十六年に結核予防法が制定されまして以来、様々な対策によりまして、戦後間もなくと比べまして罹患率がかなり低下したところでございます。しかし、委員指摘のとおり、依然として先進国の中でも非常に罹患率が高い水準にあります。  その最大の理由というのは、恐らく、急速な高齢化の進展に伴いまして、結核の蔓延が著しかった当時に感染を受けたと考えられる現在の高齢者、この高齢者の方が多く発病しているからだというふうに考えているところでございます。
  89. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今、高齢化が最大の原因ではないかというお話があったんですが、世界的に国際比較をいたしますと、いわゆる罹患率が低くなっている先進国、例えば、十万人に対する患者数でいいますと、イギリスが十・一、日本は二十五・八ですが、イギリスが十・一、フランスが九・八、オランダが八・八、ドイツが八・五、スウェーデン四・五というふうになっておりますが、これはお答えいただかなくても結構ですが、素朴な疑問としては、こういう先進国も高齢化が進んできているわけでして、なぜ日本だけなのかというところが疑問にございます。  それで、次の質問の答えの中に今の私の疑問に対する答えを含んでいただいても結構なんですが、これは厚生労働省が出しております資料等を読みましても、近年の結核患者発生は、今おっしゃっていた、局長がおっしゃっていた高齢者、あるいは合併症を患っている方、ホームレス、それから治療脱落者、あるいは社会経済的、医学的に弱みを持った階層に顕在化をしていると。  対策も、こういう層に、いわゆる結核に対して脆弱性がある層に集中をしなければならないというふうに言われていると私も理解をしておりまして、結核対策基本方針としては、今までのようなやや画一的な集団的対応から、そういうそれぞれの社会集団の特徴を押さえた上での個別的な対応へ転換をしなければいけない段階になっているというふうに私も理解をしております。  そこで、その一方で、結核治療の専門医師が不足をしているという指摘でありますとか、あるいは、今朝も出ておりましたけれども、いわゆる直接服薬確認療法、いわゆるDOTSというものを推進していくに当たって、それを担っていく保健所の人材というか職員が本当に充足しているのかというようなところが指摘をされているわけでございますけれども厚生労働省としてはどういう御見解か、お伺いしたいと思います。
  90. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 委員指摘のとおり、高齢化のほかにも特定の集団において非常に罹患率が高いというような現象もございますし、また地域的な格差、つまり東京とか大阪とか名古屋とか、ある特定の地域が非常に罹患率が高いというような現状がございます。  これを踏まえまして、今までの画一的な結核対策ではなくて、例えば健診一つ取りましても、定期の健診、毎年やるということではなくて、リスクの高い方々に少し焦点を当てためり張りのある健診をして、早期発見一つ取っても、より効率的に対策推進していきたいというふうに考えているところでございます。  それから、こうした状況を改善して、それからDOTS等対策推進していく上で、結核治療にかかわる医師の確保、あるいは保健所の機能強化というようなことも非常に重要ではないかというふうに思っておりまして、医師に対しましては、結核の臨床あるいは必要な知識の習得を目的としました幾つかの研修を行っているほか、最新の臨床知識、技能の習得、それから結核対策におきます医療機関の役割についての認識を深めるための研修等を行って、この結核対策の質的な担保ということを図ろうとしているところでございます。
  91. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  続きまして、先ほどもちょっと言及をいたしました保健所におけるDOTSの実施について伺いたいというふうに思っております。  これは、結核患者が完治するまでしっかりと服薬を確認をするために、基本的に、前提として、この結核患者への直接指導、訪問指導といったものが前提になっているというふうに私は理解をしております。  ただ、ここで一つ指摘をさせていただきたいのは、保健所中心になってやると思うんですが、先ほど来話に出ているように、最近は結核罹患している患者、発病している患者高齢者が多いということでございまして、その観点からしますと、例えば保健所の中ではなくて、市町村の役所の中に介護保険を担当して高齢者を訪問されている方々がいらっしゃるというふうに理解をしておりますが、結核予防、あるいは結核罹患した患者に対する対応で、市町村の介護保険担当の方々との連携についてはどのようにお考えでしょうか。
  92. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 市町村というのは、結核予防対策において定期の健康診断あるいは予防接種について実施主体ということになって、一つの役割を分担しているところがございます。そのほかに、今委員指摘新規患者さんの過半数が六十五歳以上の高齢者であるというようなことで、高齢者に対します保健・医療・福祉サービスに従事する方々と連携して事業を実施することというのは非常に有効ではないかと思います。御指摘のとおり、市町村等の高齢者施策の担当者と、地域において結核予防等を担当する保健師等との専門職が十分連携を図りながら施策に取り組んでいただくということは非常に重要、意味があることではないかというふうに考えております。  厚生労働省といたしましては、このような地域におきます関係者間の連携について、地方自治体に対しまして助言、御支援申し上げていきたいというふうに考えているところでございます。
  93. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 地方分権の時代でもございますので、地方の主体性というものがこの結核予防対策の中でも非常に大事になってくると私は考えております。  現場ではいろんな仕事を一人で兼ねてやっておられる方も、医療とか福祉の世界では大変多いわけでありますから、難しいところもあるかもしれませんけれども是非ともこのやや不名誉な結核中蔓延国という状況を改善するためにも、市町村の中での介護とかそういった福祉という面で高齢者の方々と接している方と結核予防対策を担当されている方が連携を取る中で、私は更に改善が期待できるんではないかというふうに考えておりますので、是非、今局長がおっしゃられた方向で各地域でも施策の実施をしていただきたいというふうに要望を申し上げたいと思います。  そこで、今の話にちょっと関連をいたしますけれども、この法案の第二条三項には、国及び地方公共団体の責務に関する規定があるわけでございますが、この中で、国が地方公共団体に対し「必要な技術的及び財政的援助を与えることに努めなければならない。」ということが明記をされてございます。  これは、国が結核予防対策において地方に対して技術的、財政的な支援をしろと、まあ努力義務ということが言えるかと思いますが、他方、今この三位一体の改革の中で市町村の財政事情というのは大変厳しいわけでございまして、新たな、重要だとは分かっていても、新たな結核予防対策で財政面で負担が上がるとなりますと、恐らくこの規定に基づいて厚生労働省、国に対して財政的な支援を求めてくることがあると思います。また、当然、併記されているように技術的な国からの支援というものも要求してくると思うんですが、これについては、特にこの財政的支援というところ、なかなか、理想としては非常に立派な話ではありますけれども、現下の政府の財政事情、厚生労働省所管の予算を考えても難しいところがあるのではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
  94. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 技術的なまず援助でございますけれども、例えば医師、保健師等に対しまして、結核の臨床及び結核対策に必要な知識の習得を始めまして、結核対策に関します技術習得の援助を行うことを考えているほか、結核患者の集団感染等が起こりました場合には、積極的結核疫学調査実施チームを自治体に派遣することなどを通じまして、技術的な援助を行うこととしているところでございます。  また、財政的な援助といたしましては、従来より結核対策特別推進事業費等の補助を行っておりまして、今後も引き続きこれらの技術的、財政的な援助を努めてまいりたいというふうに考えております。
  95. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 局長、一点確認ですが、最後のところの、この財政支援のところは、私の理解では、全国一律、どこの市町村でも結核予防で特別な財政支援をしますよということではなくて、先ほども話出ていましたけれども地域結核が大きな問題になっているところとそうでないところがございますから、非常に大きな問題になっている地域にやや選択的、集中的に支援を行うというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。
  96. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) この結核対策特別促進事業費というその補助金の趣旨も、やはり地域によります格差の是正等に着目しまして、結核対策地域に密着したものとして推進していくということで補助をしているところでございまして、めり張りのある運用をしていきたいというふうに考えております。
  97. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは、御指摘のように、「財政的援助を与えることに努めなければならない。」、わざわざ書かなければならないほど、ここは難しいということだろうと私も思っているわけでありまして、やはりめり張りが利くようにやらなければいけない、そうせざるを得ないというふうに思いますけれども、やはりここは国からの支援がなければここはなかなか進まないところでございます。マスコミ等でも盛んに取り上げられるというような問題でありますと、どうしてもお国の方の目もそちらの方に参りまして、そしてそこには財政的措置も付くわけでございますけれども、なかなかそういうことがない地道な地味な分野というのは、なかなか財政的にも付きにくいということがございますから、あえてここにこうしたことを言ったんだろうというふうに思います。  それから、先ほどの御質問のもう一つの、ちょっと答弁ありませんでしたけれども、ほかの国も高齢者はたくさんいるではないかと、だけれども日本だけが高齢者いるわけではなくて、ほかの国も高齢化しているではないか、でも下がっているではないかと、こういう話だったと思うんですが、日本高齢者が若かった時代ですね、そのときのやはり栄養なり生活環境というのが非常に悪かったということではないかと思うんですね。だから、ほかの国ではそのころかなりもう生活環境やそれから栄養等が改善をされていた。ちょうど昭和初期から十年、十年代、大戦を次々繰り返しているようなその時期、そのときの状況が今日まで影響を与えているということではないかというふうに思います。
  98. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣、大変懇切丁寧な御答弁、ありがとうございました。一つまた勉強になりました。ありがとうございます。  続きまして、後ほど大臣にもこれやはりひとつ答弁いただきたいと思っていることなんですが、法案の第二十八条の従業禁止及び第二十九条のこの入所命令の部分について伺いたいというふうに思います。  当然これは伝染を、結核にかかった患者が出てきた場合に伝染を防止するという意味での制限的措置というふうに私は理解をしておりますが、当然この結核患者、あるいはほかの感染症の患者でも当然でありますが、患者の人権に最大限の配慮をしながら、なおかつ社会的な影響を考えてこの伝染防止措置というのをやらなければいけないと。ただ、現場では、市町村の現場あるいは保健所等では、この従業禁止や入所命令といっても強制力がないというふうなことが度々混乱のもとになっているというふうに聞いておるわけでございます。  後ほど大臣にこの点について、例えば具体的に申し上げますと、山形県の村山保健所の所長さんが指摘している、主張している意見の中で、もうちょっと感染症法に準じた入所、入院の勧告、措置を制度化した方がいいんではないかと、もうちょっときっちりできるようにした方がいいんではないかという提言もあるわけでありますが、最初に局長に、この従業禁止とか入所命令が出される件数というのは年間どれぐらいあるのか、お聞かせ願えますでしょうか。
  99. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 結核予防法二十九条に基づきます命令入所の実施数でございますけれども、統計上は平成十三年で五千七百八十五件であると承知しているところでございます。  また、結核予防法第二十八条に基づきます従業禁止の実施数につきましては、統計上は近年ゼロというふうに承知しております。
  100. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 命令入所をいたしますれば自動的に従業禁止になりますので、従業禁止の方は特段この件数というのは出ていないということは理解をできるんですけれども。  先ほども申し上げた点ですが、これ大臣に伺いたいと思いますけれども患者感染者が不当な差別や偏見を受けないように人権には十分配慮しなければいけないと。他方で、結核よりも最近はSARS等に非常に注目が集まっておりますけれども、この感染症法の場合はより制度化された形で隔離がされるというふうに理解をしておりますが、結核でもなかなか事態が改善しない中で、そういう制限的措置の制度化をもうちょっとしっかりやった方がいいんじゃないかという御意見ありますが、大臣いかがお考えでしょうか。
  101. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 厚生科学審議会感染症分科会結核部会というのがあるんですけれども、そこでもいろいろ議論をされているようでございまして、この入院医療の在り方について、この結核というのはほうっておきますとほかの人にも感染するわけでございますし、そしてまた御自身の状況もまた更に悪化するわけでございますから、何とかもう少し強制力を持って入院させてはどうかというやはり御意見もあるようでございます。  しかし、議論は今までされてまいりましたけれども、現在のところは、じゃそうしようというところまでは至っていないというのが現実でございます。今後、この公衆衛生対策としての必要性、それから現在九十四日間という長い平均入院期間の短縮問題でありますとか、あるいは対象者の範囲でありますとか、人権に配慮した行政手続の問題ですとか、そうしたことを中心にしましてもう少し議論をしようということに現在なっております。  昨年十二月にこの結核部会に更にまたその下に小委員会というのができまして、厚生科学審議会の中に感染症分科会がございまして、その中に結核部会がございまして、またその下に検討委員会ができて、それで、そこでこうした問題を今後議論をしていこうということに今なっているのが現状でございまして、昨年十二月にできまして、第一回の会合がこの五月の十四日に開催されるというような現状でございます。  もう少しここで議論をさせていただいて、そうした、どうしてもやっぱり入院をしていただかなければならないんだけれども、しかし、そういいましても、それに応じない人がいましたときに一体どうしていくかという問題について、もう少し専門家の間での議論を深めていただいて結論を得たいというふうに思っている次第でございます。
  102. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  今後の検討課題であるというふうに理解をしておりますけれども、やはり結核にかかった上で、本人に人為的なとがはないでしょうけれども、しかし社会的には非常に問題になるわけでございまして、入院しなさいと言われても、理由はいろいろあるでしょうけれども、嫌だと言う患者が出てきた場合に、私はそういう例が幾つあるのか知りませんけれども、どう対応するかという点については、今後とも専門家の方も中心にしっかりと議論をしていただきたいというふうに思っております。  それで、最後の質問にもう時間的になるかと思いますが、今のケースは、結核にかかったけれども、入所命令を、罰則もございませんし、嫌だと言った人に対してどう対応するかということでありますが、次に私がお伺いしたいのは、午前中も出たかもしれませんけれども感染症である結核に対する知識の欠如、認識不足によって問題が起こることが日本でもあるということでございます。  有名な話ですが、昨年の六月には、福井市内の診療所に勤務する内科医師、お医者さんですね、御自身が結核を発病をしたんだけれども、気付かないまま医療行為をしていたために、患者や同僚ら十人が結核に院内感染をしたと。はい、漫画みたいな話だと今御指摘ありましたけれども。この女性と接触した可能性のある患者は実に三千四百人に上ったと。この女性医師は、医師でありますが五年間エックス線撮影をしておらず、結核感染に全く気付かなかったと。医師ですら、医師の不養生という言葉もあるんですが、医者の不養生という言葉もありますが、医師ですらこういう状況であると。  また、もう一つ例を挙げさせていただきたいんですけれども、一昨年の八月には大阪の出版会社の中で結核集団感染発生をいたしました。四十六人が感染をして、六人が発病したと。最初に発病した方は三十四歳で、ほかに発病した方のほとんどが二十代の若い社員であったということなんですけれども、この事件というか例から浮かび上がってくるのは、若い方々ほど、結核というもの、感染症に対する知識が全く、意識が全くないと。  このときに実際に集団感染が見付かったのも、中には、発病者が、たんが出る、せき込む、微熱が続くという状況、症状が出ていたにもかかわらず、まあ大したことないだろうということで定期健診を受けるまで全く気付かなかったということがあるわけでございまして、法案の六十三条の二項にも、結核に関する正しい知識の普及に国や地方公共団体努めなければいけないというふうになっているわけでございまして、この点について厚労省どういうふうに今後取り組まれるのか、この点をお伺いをして、私の質疑を終わりたいと思います。
  103. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今日午前中にも御質問のあったところでございますが、二十人以上でこの結核感染した集団感染事例といいますのは、平成十二年で六十例、それから十三年で四十九例、それから平成十四年で三十一例と、かなり発生しているわけでございます。  今お話のありましたように、病気を治すはずの病院の中で発生をする、医師がもとであったというようなケースも、その一件のみならずほかにもあるわけでございます。主にこうした病院でありますとか、学校でありますとか、あるいは福祉施設でありますとか、そうしたところで起こりやすいということでございますので、そうした皆さん方の健康管理というものは平素からきちんとやはり受けていただくようにしなければいけないというふうに今思っている次第でございます。  お若い皆さん方は、特に結核という病気がいかに恐ろしい、ほうっておいたら恐ろしいものであるかということが余り御存じありませんし、知識もお持ちになっていないということだと思います。結核の初期の段階、そうした症状が出ればいいんですけれども、比較的症状がなくて、そして結核の方はかなりやはりはっきりしているというケースも中にはあるわけでございますから、さらに、やはりわずかな体の変化でありましても、そのことにどう気付いていただくかということを理解をしていただくことが大事だというふうに思っております。  それをどう皆さん方に分かっていただくようにするかということでございますが、ここは、先ほどからも何度か出ておりますように、結核という病気はそんなに新しい病気では、新しい病気ではありませんし、珍しいことではないものですから、マスコミ等に登場することも少ないということでありますので、うっかりしておりますとなかなかそれが目に入りにくいということになるわけでございます。  したがいまして、この結核という病気についての一般的な知識というものをいかに国民の皆さんにお持ちをいただくかということは、これはもう、一つか二つの方法でそれでやっていくといいましてもなかなか私は不可能なことだと思うんですね。多少パンフレットを作りまして、そしてどこかに、役所なり保健所なりに置いて、お見えになった方にどうぞお持ち帰りくださいという程度のことではなかなかこれはいかない。もう少し様々な機会をとらえて、やはりこの結核の問題というのは国民の皆さん方に理解をしていただくようにしなければいけない。重層的な国民の皆さん方への説明というものが重要になってくるというふうに思っております。  したがいまして、今後、これらの問題、ひとつもう少し国民の皆さん方に理解をしていただくようにするためにどういうことをやるかということを真剣に議論をさせていただきたいというふうに思っております。役所は、ややもいたしますと、インターネットに出してありますと、こう言うんですけれども、インターネットを皆見ておるわけではありませんししますから、そういうことだけでは済まないというふうに思う次第でございますので、ここはしっかり議論をして詰めたいと思っております。
  104. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 一言だけ。  私、昭和四十四年生まれでございまして、男性の参議院議員では最年少なんですが、私の世代ではもう結核とか赤痢というのは世の中には存在していないというぐらいに意識がないわけでございまして、私の先輩の議員の方にお聞きをしますと、昔はどこの病院に行っても結核についてのポスターが待合室に張ってあって、みんな意識を持っていたけれども、いつの間にか消えてしまって、もうそのポスターが消えると同時に結核日本からなくなったという勘違いをしているんではないかという御指摘がありました。  是非、インターネットも便利でございますけれども、ほかの方法でも、まだなくなっていないこの結核、そして結核で死亡する方も二千人以上年間にいるという事実にかんがみても、しっかりと取り組んでいただきたいと御要望申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  105. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。  私たちの党は、この今審議されております法案については賛成でございます。先ほどからいろいろ出ておりますけれども、やはり心配なこともありますので、質問させていただきます。  日本結核罹患率というのは、私もこの勉強をして初めてこんなにも違うのかと思いましたけれども、やはりアメリカの五倍、イギリス、フランスの二・八倍で、先進諸国の中でも極めて高いということですね。そして、結核は依然として軽視できない感染症であるということです。そして、多剤耐性結核の出現ということで複数の薬で結核治療しているということですが、なかなか治らないということが出ているようです。  地域格差の拡大の問題とか、そして高齢者などのハイリスク・デンジャー層の拡大などの新しい状況への適切な対応を図り、そして結核予防、そして治療技術の前進を踏まえた包括的な対策を講じていく。結核感染を抑えていくということがどんなに大事かということは、これまでの質問者も言われたとおりであるというふうに思います。  そうした中で、私は、まず一つは、今回の法改正項目の一つであります乳幼児へのBCGの直接接種ツベルクリン反応の検査の廃止というのは、今日の到達した知見に基づいて取られる措置であると思います。今後の結核発生動向については、やはり長期的な追跡を可能にしていくということが大事であるというふうに思います。だから、取られた措置について評価できる体制があるかどうかということにもなるのではないかというふうに思いますので、どのような体制検討しておられるかということをまずお聞きしたいと思います。
  106. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 今回の結核予防法の改正以前に、平成十五年四月に既に、小学校一年、それから中学一年に対するツ反、BCGの廃止ということをしております。現時点で廃止後一年経過しておりますけれども感染者の増加あるいは重症化といった問題は生じていないというふうに考えております。  今後とも、小中学生のツ反、BCG接種の廃止が小児結核発生動向にどのような影響を及ぼすか、廃止に伴って患者発生の増加あるいは重症化などが起きないかを調査するための研究を実施しているところでございまして、今回の直接BCG接種、この導入に伴います小児結核発生動向への影響、それから副反応等弊害がないかの確認につきましても、今後とも確認に努めてまいりたいと、このように考えております。
  107. 井上美代

    ○井上美代君 私は、次に、結核がやはり過去の伝染病疾患だと、伝染性の疾患だという考え方が臨床医師のところでも相当浸透しているというふうに言われているわけなんですけれども、現場の医師の中でも、せきだ、たんだというふうに訴えても、それがもう結核の可能性があるというふうに直接結び付かないとか、それからエックス線の写真を見ても、肺炎か肺がんだというふうに考えてしまうというようなことがしばしばあるということを聞きまして、それが診断の遅れ、そして集団感染発生という結果につながっているというふうに思います。  それで、これはやはり医学教育、そしてまた生涯教育の問題として対応しなければならないというふうに考えられますけれども、医者のやはり結核についての研修について、どのような応急措置といいますか、それを考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。特に、一般の医療機関で早期発見をしなければならないというようなことになると、今日の結核についての知見を前提にした全面的な再教育、これが必要ではないかなというふうに思うわけなんですけれども、その点はどうでしょうか。
  108. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) お医者さんに対します研修といたしましては、財団法人結核予防結核研究所におきまして、これまで毎年結核の研修、臨床及び結核対策に必要な知識の習得を目的としまして、それぞれの目的に応じまして複数の研修のコースを実施してきているところでございます。また、昨年からは、結核の臨床に携わる医師に対しまして、最新の臨床知識、技能の習得を図るとともに、新しい結核対策におきます医療機関の役割について認識を深めることを目的といたしました医師臨床コース、こういうようなコースも新設されたところでございます。  厚生労働省といたしましては、これらの研修を支援するとともに、学会等関係機関と連携を図りながら、今後とも結核診療に必要な人材育成に取り組んでまいりたいと考えております。
  109. 井上美代

    ○井上美代君 結核患者減少が、やはり停滞から増加して、そしてまた停滞というふうにお聞きしているんですけれども、当時の厚生省結核緊急事態宣言というのを出されたのは一九九九年七月であったというふうに思います。  忘れられようとしていた結核が、改めて我が国では依然として最大の感染症であるということが認識できるようになってきておりますけれども、二〇〇二年でも、新登録結核患者数というのは全結核で三万二千八百二十八人と、人口の十万人に照らしますと二十五・八人がかかっているということになるんですね。結核死亡者数というのも二千三百十六人ということで、死亡率人口十万人で一・八人というふうになりますので、やはり軽視できない内容があるというふうに思います。  我が国のこのような後れた状態というのにとどまっている最大の原因は一体何だろうかということを考えるわけなんですけれども、その後れを取り戻すために、国としてやはり私は目標を持つべきだというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  110. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 結核患者の特性、日本におきます特性というのは今朝来議論のあったところでございまして、既に申し上げたところでございますが、一つは、高齢者が増えてきて、現在の高齢者の若かりしころ非常に日本においては結核が蔓延をしたということでございます。それが今日に及びまして、その感染した人の免疫が低下をしてきて、そして発病するといったケースが見られるということが一つでございます。  それからもう一つは、その結核というものに対する、先ほどから先生御指摘のように、認識というものが非常に下がってきている。そうした中で、病院でありますとか学校でありますとかあるいは福祉施設でありますとか、そうしたところでだれかが発病することによってその中にグループ発生が起こってくるといったようなことが特徴的に現在言えるわけでございまして、もちろん個々のケースもございますけれども、そうした現在特徴を持っております。  したがいまして、それらの特徴のあることが明らかであります以上、そうした特徴に見合った対策というものを立てていかなければなりませんし、それによって、やはり少なくとも何年先にはどのぐらいまでやはり減らしていくんだという、御指摘のようにやはり目標もちゃんとしていかなければいけないというふうに思っております。  それらのことも十分念頭に置かせていただいて、今後の対策を立てたいというふうに思っております。
  111. 井上美代

    ○井上美代君 私は、もう一つ地域格差ということで法案の中には出てくるんですけれども、路上生活をしている人たち、いわゆるホームレスの人たちの罹患率が意外に高いことが言われているんですね。シェルターや自立支援センターでの健康診断で見てもそういうふうになっておりますし、大阪の場合を聞きましたけれども平成十四年度の健康診断で、一つの施設の入所者なんですけれども、百八名が受診して、患者発生状況は、通院で三名で入院で一人だったということが言われておりますし、そして東京の場合なんですけれども、これを聞きましたところ、自立支援センターの入所者、これは大田寮と板橋寮ですけれども平成十三年の十二月から十五年の十二月までの入所者五千百六十四人を調べているわけなんですけれども結核が三百十名いたと。これは十万人でやりますと六千三人になるという、これは大変なことなんですね。  だから、患者発見率では約六%の患者発見率ということになるわけなんですけれども、この間、この間といってもこれは二〇〇二年の話を聞かせていただいたんですけれども、九月に台東区内の路上生活者の同一グループで三名が隅田公園の路上で倒れて、救急車で搬送されて、病院で結核というふうに診断されたわけなんですね。一名は入院後数日で死亡し、そして耐性菌によるとされていて、三人とも菌がDNA鑑定によって異なっていたということがはっきりしたわけなんです。だから、言ってみれば、お互いに感染したのではないというふうに言われているわけなんです。  これは、移送されて病院からの届出がなければ罹患率やそして有病率の中に含まれていないということを私聞きまして、それは大変なことだというふうに思いましたけれども、路上生活者が都市の中で健康の点で危険な状態に置かれているのと、そしてもう一つは、やはり地域に対しては、患者がいるとやはり感染源になり得るということが考えられるというふうに思います。だから、そのために、このような路上生活者のために健康診断をどういうふうに行っていくかというのがあるんじゃないかなと思うんですね。  是非大臣にお聞きしたいんですけれども、その点どういうふうにやっていけばいいかということを是非御答弁願いたいのですが。
  112. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 結核罹患率の高い特定地域地方自治体におきましては、国の補助事業も活用しながら、ホームレス等に対しまして、無料宿泊所や公園等の宿泊場所、あるいは食料品支給会場など、こういった場所に健診車を派遣するというようなことによって早期発見を行うというような取組が行われているところでございます。  このような対策が必要な地域におきましては、都道府県において定めることとなります予防計画に各地域実情に応じました施策を位置付けまして、これに基づきまして効果的な対策を積極的に推進していきたいというふうに考えております。
  113. 井上美代

    ○井上美代君 なかなかこの点も十分行き渡り切れないでいるという現状があると思います。  路上生活者の状態を改善することなしには、やはり我が国における結核対策の遅れを私は取り戻すことができないのではないかというふうに思っております。一刻も放置できない問題であると。これはやっぱり感染症ですから、そういう点では本当に深刻だというふうに思います。一般的な地域格差と同時に、こうした大都市の異常な患者発生を推定されるところは特別に調査もやはり行わなければいけないんじゃないかと。そして、路上生活者が結核の健診も受けておらず結核の登録患者にもなれない、こういうふうになりますと、なかなか生活保護の対象にも今なるというのは困難になっているわけなんですけれども、もうこれでは本当に地域格差やいわゆるハイリスク層にも反映してこない。これでは何しろ結核の制圧という点でも、生活も非常にもう病気がいつ出てもいいような状態ですので、そういう点で対策になっていないというふうに思いますので、かなりこの部分については力を入れなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っているわけです。  それで、私は、保健所は総出で同一グループの結核の健診等を勧めたとのことですけれども、この健診を拒否する人、ホームレスたちがいらっしゃるというようなことで、やはり路上生活者の結核健診の問題というのは自治体としても苦労しているようなんですね。だから、やはり自治体がどういうふうにやるのかということについても国がガイドラインをやはり作っていただくということ、そして、特別の対策をそこに力入れてやっていただくということが大事ではないかなというふうに思っておりますので、その点、いかがでしょうか。
  114. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 先生御指摘のホームレスあるいは社会経済的な弱者といいますか、蔓延度の、罹患率の非常に高いグループというのが、非常にハイリスクグループとして結核対策上看過することが、見逃すことができないという状況であるということは私どもも認識しているところでございます。これは一つ高齢者対策と同じぐらいウエートを置かなくてはいけない結核対策の柱であるというふうに私ども考えております。  ただ、ホームレスというのはどこにでもいるわけではありませんで、各地域実情に応じた施策というのが必要になってくるんではないかというふうに思います。国は、今後基本方針を策定するに当たって、都道府県予防計画を定める参考となる事項をお示しするということになっております。それに応じて都道府県がその地域実情に合いました予防計画を作るというような段取りになると思います。  今後、そういうようなことも十分配慮して国は基本方針を定め、都道府県予防計画を作っていただくというような手順を取っていきたいというふうに考えております。
  115. 井上美代

    ○井上美代君 是非よろしくお願いしたいというふうに思います。  私は、もう一つ、職場における問題というのを質問させていただきたいと思うんです。  厚生労働省の二〇〇二年の定期健康診断調査結果というのを見ました。これによっても、この有所見率は言ってみれば年々悪化をしているんですね。そして、いわゆる生活習慣病関連の指標が目立っております。同時に、この喀たん検査の一・四二%とか、それから胸部のエックス線検査での三・三一%、そしてまた感染疾病としての指標の持つ意義というのは、これを見ておりまして非常に重要な意義があるというふうに思いました。結核が糖尿病との併発の問題が指摘されていることから、血糖の検査の八・三二%という有所見率も決して結核対策として軽視できない値だというふうに思っております。  労働安全衛生法では、事業者というのは、労働者に対する健康教育だとか、そして健康相談その他、労働者の健康の保持増進をやるということが義務付けられております。厚生労働大臣はそのための指針を公表し、そしてその指針に従い事業者に対して指導を行うことができるというふうに書いてあります。結核に関する正しい知識を労働者に普及するというこれは一つの方法ではないかというふうに思われるんです。特に、先ほどから皆さん方が審議されておりますように、どうしても認識が薄れておりますので、そういう点でも、国の責務としてもこの点に注意をしながら対策を取っていくということが大事ではないかと。  特に、だから職場の場合には、様々な慢性的な疾患など、生活習慣病も含めて、結核などの病気を予防することに役立つ正しい知識を普及していくということが非常に大事になっていると思うんですね。職場によっては多分項目の中に入っているところもあるんじゃないかとも思うんですけれども、そこにやっぱり注意を向けていくということが大事だと思いますので、その点、いかがだろうかというふうに思います。御答弁お願いします。
  116. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 職域におきます健康診断というのは非常に大事だと私も思っております。ややもいたしますと、健康診断をするまではするんですけれども、その後のフォローがされていないところが非常に今まで多かったわけでございます。健康診断をいたしました結果について、やはりそれぞれの人にその結果を十分に伝えなければいけませんし、ましてや、そこで異状があればはっきりとそのことをその人に、その従業員の方にお伝えをして、今後の対策というものを立てていかなければならないというふうに思っております。いわゆる大きい企業になりますと健康管理医の先生がおみえになるわけでありますので、その健康の状況というものと、それからその職場におきますところの働き方といったことにつきましても、その健康管理医がやはり労務の皆さん方によく話をしていただくというようなことがこれは一連の問題として非常に大事だというふうに思っておりまして、そういう状況になるように現在も指導をしているところでございます。
  117. 井上美代

    ○井上美代君 どうもありがとうございます。  何しろ努力してまだいかなければいけないというふうに思います。  私は、残りの時間で選択エージェンシーをめぐる疑惑について質問をしたいと思います。  厚労省の職員の逮捕になりましたけれども、厚労省としても徹底した調査を行い、国民の前に明らかにする必要があると思います。  まず、その不透明な随意契約の問題です。    〔資料配付〕
  118. 井上美代

    ○井上美代君 今資料を配っていただいておりますので、資料に基づきながら質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、逮捕されたケースも、随意契約にするために小口の分割発注をしていたということなんです。国の契約というのは一般競争が原則でありまして、随意契約というのはこれは特例になっているんですね。資料の一、一ページ目ですけれども、上にあるのが社会保険庁と選択エージェンシーの契約内容、下が国民健康保険中央会との契約内容です。そして二ページの、裏になりますけれども、これは国立病院の特別会計との契約関係です。選択エージェンシーの契約のすべてが、例外であるはずのこの随意契約であるということに、やはり私はもう当然と言っていいと思うんですが疑問がわいております。  この価格がどうやって決まったのかが問題だというふうに思うんです。随意契約をするときも、発注側は見積りを出して、それを厚生労働省が妥当かどうか判断をします。そして具体的には、厚労省が決める予定価格の範囲内かどうかを見ることになっているというのが当然のことだというふうに思っております。この資料も、すべてこれは厚労省からいただいた資料ですけれども、随意契約、随意契約、随意契約と皆、皆一個残らず随意契約になっているわけなんですね。  それで、資料の三ページ、二枚目のところの見積書というのがあります。これは、分かりやすい国民年金のQアンドAというのが、冊子があるようですけれども、これについて選択エージェンシーが厚生労働省に提出した見積書なんですね。単価が六百円というのは、定価が七百五十円の二割引きで、それに二万五百冊を掛けたのが見積金額、一千二百三十万円ということになるわけで、それがこの見積書に示されている数字なんです。予定価格も、単価を定価の二割引きとして、それに数量を掛けて決めたと厚生労働省からの説明は受けました。  確認しますけれども厚生労働省はこの見積りの二割引きを妥当としており、それを基にこの予定価格を算定するため、当然、予定価格と見積価格は同じになるということでよろしいのでしょうか。
  119. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 今御案内ございましたように、出版物等の購入、本の購入でございます。  業務上大量に購入する場合、一冊であれば本屋で買えばよろしいわけでございますけれども、大量に購入する場合は、通常は発行元の出版社から割引して買うということの方が、本屋さんからの競争といいましょうか、そういうふうなものよりは有利に調達をできるということでございますので、そういうことで発行元との随意契約ということで、お手元の資料の一ページの上三つ、「わかりやすい国民年金Q&A」の購入につきましては随意契約になっているところでございます。  今ございましたように、この本の購入につきましては、定価が七百五十円ということでございますけれども、発行元の選択エージェンシーの方から定価証明書というのを出してもらいまして、これは、この本、過去買っていればその本、それから、そういうのがなければ一般的な相場、大体定価の二割引きというのが一般的な相場というふうに、割引率の相場というふうになろうかと思いますけれども、そういうことを踏まえまして予定価格を決定した上で、私どもとしては先方から見積書の提出を求めるということで、我が方で予定価格との比較を行いまして、予定価格の範囲内の価格をもって購入価格として契約を結ぶと、こういうふうな手続を踏んだと、こういうことでございます。
  120. 井上美代

    ○井上美代君 今、予定価格の二割ということを言われました。単価を定価の二割引きでやっているということでいいですよね。
  121. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) すべてのケースがそうであるかどうかはちょっと別といたしまして、一般的には、書籍の購入等で二割引き程度で購入をするというのが一般的に多いというふうに私も承知しております。
  122. 井上美代

    ○井上美代君 二割引きということですけれども、なぜ二割引きなのかということを聞きたいんですけれども。なぜ二割引きなんでしょうか。
  123. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) この本でということではございませんけれども、一般的に書籍の購入等の際に、ある程度大量、これは何冊買うかということで割引率というのも変わってくるのかも分かりませんけれども、その一般的な本を購入する際の割引率の相場、大量購入の際の相場ということで、二割引でこのときは予定価格を設定したというふうに承知をいたしております。
  124. 井上美代

    ○井上美代君 資料の次は四枚目、四ページ目に、裏ですね、裏になるんですけれども、これを見ていただきたいのですが、これは国民健康保険中央会が選択エージェンシーに発注した保健活動のための便利手帳の各年度の契約金額、そして購入部数、定価、購入価格、割引率、それが書いてあります。  この出版物は、国民健康保険課の職員が監修料をもらっていたものです。監修料をもらっていたものなんです。これを見て、一番下の欄が割引率ですけれども平成十年と十一年と十二年は〇%です。そして割引していません。平成十三年度でやっと割引しているのですが、購入価格は、見ていただくとそうですけれども、変わっていません。いません。これはなぜかというと、定価をわざわざ上げてあるのです。一一%割り引いているのですけれども、二千八百三十五円に高くしたために、購入価格は二千五百二十円で前年度と変わりません。右左を見ていただくと変わってはいません。もっと不思議なのは、平成十四年、十四年です。十四年に定価が千円以上も下がって、今度は一千七百八十五円になったことなんです。こんなに安く買えるのだったら、平成十三年の二千八百三十五円というのは高過ぎるのではないでしょうか。もっと安くできたのではないでしょうか。平成十四年に値段が下がったのは、国民健康保険中央会の中でも、ちょっと高いのではないかという、そういう声が、意見が上がったということを聞いております。  これを見て思うのは、定価を動かせれば割引率がどうであろうと幾らでも高くできるということになるわけなんです。社会保険庁の方の契約も二割引だというのですけれども、やはり定価は選択エージェンシーの言い値でやられているというふうに思います。割引をしているけれども、基になっているのは選択エージェンシーが示した定価なんですね。  だから、私、大臣にお聞きしたいんですけれども国民保険の中央会の注文した便利手帳のいきなり千円も安くなるのは、もっと安くできたのではないかと、そういうふうに大臣お思いになりませんか。定価や購入価格の動きを見ておかしいとお思いになりませんでしょうか。いかがでしょうか、大臣
  125. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 恐れ入ります。何といいますか、事実的な経過について、私ども国保中央会から聞き取ったことをまず御報告申し上げたいと思います。  年々単価が、定価が上がっておりますことにつきまして、中身の事情があるということで、順番に申しますと、十一年度に上がりましたのは、買上げ部数が増えている以外にページ数が増えていると、中身がそうして増量されていると。それから十二年度が、保健婦の意見、要望によってバインダー化ということで仕様を変えたと。そして、十三年度はまた、バインダー化するとともに、持ち運びしたり使いやすいように素材の質的アップしたというようなこと、そういうことで年々いろんな中身の改善に伴って定価が動いたこと。そして十四年度は、逆にそこで、スタイルが定着した中で、全くバインダーの型番も全く同じ、変わりないという中で相当部数を購入しているということから、言わば定価を引下げ、なおかつ購入価格を下げたと、値引きしてもらったというふうに伝えられておりますが、その背景といたしましては、言わば作成当時というのは、いろんな言わば新規的な考え方だということで価格付けがなされている中で、一般的に補助金に対する言わば効率的な執行というのを、これは保険局だけではなくて各局ともにこの補助対象に対して行っているものでございますが、そういう適正化というもの、補助金の効率的使用という観点から、極力補助金を有効に使ってほしいという一般的な要請の下で、国保中央会としてそのような様々な交渉を行って、その結果このような経過をたどったというふうに報告を受けております。
  126. 井上美代

    ○井上美代君 今御説明がありましたけれども、それだけではこの私が質問しました内容に答えているというふうには思いません。やはり不明朗だというふうに思うんです。だから、その点についても、今御答弁はありましたけれども、もっとはっきりと、だれが聞いてもそうだというものを出していただかなければいけないんだというふうに思うんです。  私は、この選択エージェンシーという会社は平成の七年に設立されているんですね。だから、歴史は浅いんです。つまり、設立後三、四年で官庁から巨額の受注を受けるようになっているんだということです。そんな新しい会社がなぜこんなに随意契約を結べるのか、もう大変疑問に思っております。  報道では既に言われているんですが、四〇%の利益率、通常五%に比べて異常に高いものだったということです。当事者も利益が高かったことを認めております。そして、その一部は元政治家秘書に流れていたことも明らかになっております。どうやってこの随意契約を結んだのか、その経過を克明に明らかにする必要があると思います。随意契約にする特別の理由があったのか、政治的な力がなかったのか、その随意契約が妥当なものだったのか、厚生労働省と所管の公益法人が選択エージェンシーに発注した事業の契約すべてについて国民の納得がいくように明らかにしていただかなければ、これは本当に疑問のままであると思います。この徹底的な究明なくして、これからの改革もあり得ないというふうに思うんです。私は、これはどうしても大臣に御答弁を願いたいと思います。  大臣、明快な御答弁お願いいたします。
  127. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 国民健康保険中央会のことは、これは中央会にお聞きをいただかなければこちらでは分からぬわけでございますから、そこはそういうふうにしていただきたいと思います。  厚生労働省のかかわっておりますところにつきましては、これは昨日衆議院でもお答えを申し上げたわけでございますが、いかに少ない額であろうとも随意契約というのは今後やめなきゃいけない、これは競争入札にやはりして、すべてのものはやらなきゃならない。しかしこれは、この問題は、これはできました本を買い取るわけでありますから、同じものを、本といいますか手帳、手帳でしょうか、中には本もある、それはどこにもある品物じゃなくて、その一つのところしかないものでありますから、そこはよく、社会的一般の相場というのはあるわけでありますから、そこを十分わきまえてこれはやらなければいけないというふうに思っている次第でありまして、その二割というのが妥当なのかどうかという話はそれはありますけれども、やっぱり二割ぐらいをまけさせて、そして必要なものを買い取るというのは、一つのこれは相場ではないかという私は気がいたします。  高くなった低くなったというのは、これはこちらではちょっと分かりません。なぜそうなったのかは、それは良くなれば高くなるし、薄いものを作れば安くなるしということでございましょう。そこのところまではこちらちょっと分かりませんけれども、そこのところは中央会にひとつお聞きいただかないと分からない。
  128. 井上美代

    ○井上美代君 私は、大臣はもう少しいろいろ深く事実を明らかにしながら考えておられるというふうにこれまでずっと思っていましたけれども、今日の今の答弁を聞いておりますと、やはり公益法人だから、まあ聞きなさいと、こういうふうに冷たくはねておられる。こういうことはやはり大臣としては許されないと思いますよ。やはり公益法人についても契約に不明確なところがあれば、それをただすのが政府ではありませんか。私は、それだけの誠実さを持って大臣はいらっしゃると思っておりますよ。だから、私は、今のような答弁は絶対いただけません。  だから、大臣、やはりこのことを、先ほど随意契約についても、大臣は何か、それは随意契約もありますよなどとおっしゃっているけれども、そうではないでしょう。法律にあるのは、国との契約があってやるのは、随意契約をすべてやっているわけじゃないし、そして今日例を挙げましたのはすべて一個残らず随意契約ですよ。これを不思議に思わない大臣なんて、私はそれは本当に真剣にこの問題を考えておられるのかと疑問に思いますよ。もう一度答弁してください。昨日も衆議院でやっておられるでしょう。
  129. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 昨日、衆議院でお答えをしたとおりでございます。  今申し上げたのは、でき上がりました手帳ですとかそうした本を買うというのは、そこしかないわけでありますから、そうでしょう、同じ本がこちらのAという書店にもある、Bという書店にもある、どこにでも同じものがあるというのなら、それは競争入札にしなければいけませんけれども一つのものを買うというときにはそことの交渉だけしかないということを私は申し上げているので、別に無理なことを申し上げているわけではないわけであります。  ですから、その手帳がどういうふうに良くなったか悪くなったかということは、それは中央会がいろいろの御意見をお聞きになって、そして注文をされたものでございましょう。だから、そこは、高くなった低くなったということは、私は、その内容を見なければそれは分からないというふうに思うわけです。  そのお作りになったものをこちらが購入すると、同じものを購入するというときには、それはそこしかないわけでありますから、それはそことの契約でやる以外にないということを申し上げている。ただ、厚生労働省がどこかに本を、例えば書籍を作ってもらうとか、あるいはまた手帳を作ってもらうというときには、それは何社かの入札によって決めなければいけないということを私は申し上げているわけでありまして、昨日もそのことを申し上げたわけであります。
  130. 井上美代

    ○井上美代君 大臣、やはり私は、なぜじゃマスメディアがこのように、まず私は逮捕者が出ているという問題もあるというふうに思いますし、マスメディアもかなりはっきりしたことを言っております。私は、そういう点を大臣がきちんと受け止められるということが大事だというふうに思いますし、やはり、大臣大臣としてやはり事実をしっかりと見極めて、そして大臣として、公益法人だからというのではなくて、公益法人含めて見ていただかなければいけないというふうに思います。  だから、随意契約の問題について、私は、衆議院ではこれからは随意契約はやめるというようなことを言っておられるようだけれども、やはり過去にさかのぼって、過去のやはり不明朗な選択エージェンシーとの関係については、どうしても厚生労働省として調査をしていただかなければいけないというふうに思います。調査をしていくという点では、大臣、どうですか。
  131. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 井上議員がおっしゃっているのは何の調査かよく分かりませんけれども、全体の調査は現在進めているところでございます。結果が出ましたら、御報告を申し上げたいと思います。
  132. 井上美代

    ○井上美代君 私は、特に随意契約の問題を必ずやってくださいということを言っているところです。随意契約についてはどうでしょうか。過去にさかのぼって、これからの問題ではありません、過去にさかのぼってこれまで不明朗だったところをはっきりさせていただきたいということを申し上げているんです。大臣、どうですか。
  133. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 私どもの場合、選択エージェンシーとの関係は、国保中央会という公益法人の問題でございますが、なぜ随意契約としたかということにつきまして聞き取って、御報告をいたしたいと思います。
  134. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 私ども社会保険庁の関係で申し上げますと、この一ページ目にございますが、先ほど本の購入三冊は申し上げましたけれども、そのほかに、平成十三年から十四年にかけて三点ほどのチラシを随意契約で出してございますが、こちらの方は、複数社からの企画コンペというか企画案を出してもらいまして、その中で選定を中でして、一番企画として良さそうなところに選ばしていただいたということでございまして、随意契約ではございますけれども、競争した上での随意契約ということを御理解をいただきたいと思っております。
  135. 井上美代

    ○井上美代君 随意契約も含めて調査をするということを約束してくださいましたので、是非そこはきちんとしてほしいと思います。  次に、その監修料の問題ですけれども、この問題では既に、厚労省の国民健康保険課の職員の方がこの選択エージェンシーから出版物などの監修料として報酬を得ていたことが明らかになっているわけなんです。  私は、四月の八日にこの厚生労働委員会におきまして、社会保険庁の職員が同じように出版物の監修料をこの選択エージェンシーから受け取っていなかったのかどうかということで質問をいたしました。この質問に対して、調査をすると答弁をいただいております。しかしながら、もう二週間たっても、いまだに何の回答もありません。  国民健康保険課の職員が受け取っていた監修料については、大手マスコミ各紙、そしてまた週刊誌でもそうですけれども国民健康保険課の職員が三年間で延べ三十人程度、三千万円以上を課の庶務係長が一括して受け取っていたということが共通しているわけなんですね。  保険局長、この点に間違いありませんでしょうか、お答えを願います。
  136. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 便利手帳、それから保健師のためのビデオと、この監修料の総額及び受け取っていた職員の数について、現在、当時の関係者から聞き取り調査を行っておりますが、現段階で把握したことについて申し上げますと、当時の国民健康保険課の庶務係長が監修を行っていた職員に代わって窓口として監修料を受け取っており、その額は少なくとも平成十二年度から十四年度までの三年度間で、便利手帳とビデオの合計で約二千八百万円、これは源泉徴収前でございますので、源泉徴収されたものを受け取っているはずでございます。そして、三年間で延べ、ちょっと今精査中でございますが、三十ないしは四十人の職員で受け取っており、税の確定申告も行っていたということでございます。  また、平成十年度と十一年度については、同様に監修料を受け取っていた可能性が高いということでございますが、なお確認を要する点も多いことから、より正確に把握した上で御報告を申し上げます。
  137. 井上美代

    ○井上美代君 今、調査中の話が出ましたけれども、調査なしにこのはっきりと見えるようにすることはできないわけで、そういう意味でも、私は早く調査を出していただきたいというふうに思います。  次に、庶務係長は一括して受け取り、そして各職員に渡したと、こういうふうに言っているんですけれども、その点はどうでしょうか。各職員に渡したことがはっきりしないと、国保課にプールされているのではないかという疑惑が出てまいります。その点はどうでしょうか。
  138. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 現在、その点を確認中でございますが、確定申告は、その庶務係長一括でしておりませんで、個々にしているという前提で調査いたしておりますので、その点、確認を急ぎたいと思っております。
  139. 井上美代

    ○井上美代君 本当に、プールされているとも言われているわけですからね、その疑惑を払うためにも是非はっきりとさせるべきだと思います。しかも急いでやるべきだと思います。  私は、社会保険庁の職員というのは選択エージェンシーからこの監修料などの報酬を受け取っていたのだろうかということを思いながら、この事件を追っております。中間報告として調査した範囲は、今言われたことで中間報告となるのでしょうか。
  140. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 社会保険庁の関係について申し上げますと、先日、井上委員からもお尋ねがございましたし、また大臣の方からも、事実関係をよく調査をし、確認をするようにという御指示をいただいているところでございまして、現在調査を進めているところでございます。  先日も御答弁申し上げましたように、今日お配りいただきました一ページにございますチラシ等につきましては、これは直近の話でございますけれども、原稿料等は受け取っていないということを、これは確認ができているところでございます。  十年度から十二年度にかけましての「わかりやすい国民年金Q&A」につきましては、少し時間がたっておりますので現在調査中であるということでございまして、大臣が、副大臣が昨日衆議院の方でおっしゃいましたように、私どもとしてもできる限り早く調査ができるようにということで努力をしてまいりたいと考えております。
  141. 井上美代

    ○井上美代君 この選択エージェンシーにかかわっては逮捕者が出ているという、本当に非常に重要な事件であり、内容を持っております。  この随意契約の問題というのも、相当これは大きな問題を含んでいるんじゃないだろうかということを思いますし、監修料の問題、そしてまた、今も答弁でありましたけれども、不透明な実態というのが私たち国民の前には明らかに見えません。洗いざらいやはり国民の前に明らかにする必要があるというふうに思います。  私は、最後に、大臣にその決意をお聞きしたいと思います。
  142. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 過去の問題につきましては現在調査中でございますので、しっかりと調査をして御報告を申し上げたいと思います。
  143. 井上美代

    ○井上美代君 時間になりましたので、これで終わります。
  144. 西川きよし

    西川きよし君 西川でございます。よろしくお願いいたします。  私の方からは、本日のテーマであります結核予防法。  まず、そのリスクに応じた対応、そしてまた地域格差の観点ということが午前中からいろんな先生方からの御質問にも出ております。特に、私の地元であります大阪罹患率が大変高いわけですけれども、その要因の一つといたしまして住所不定患者の問題。  これは、大阪に限らず、東京、名古屋、大都会共通の問題であるわけですけれども、特に大阪はあいりん地域というところがございまして、これが問題でありまして、このあいりん地域には全国各地から仕事を求めて、こういう御時世ですから、日雇労働者の方がたくさん集まってこられるわけですけれども、雇用状況も大変厳しゅうございます。その中から路上生活を余儀なくされるという人も多いわけです。大変お気の毒な方もたくさんいらっしゃるわけですが、その結果、体調を崩し、免疫力も低下をいたします、そして発病。そういった意味では、予防対策はもちろんのことですけれども、そうした雇用の環境の改善ということも大きな課題ではあると思うわけですけれども、この地域格差。  大阪選出の谷畑副大臣是非、今日は御無理を申し上げまして御答弁をちょうだいするわけですが、どのようにお考えでしょうか。よろしくお願いします。
  145. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 西川先生御指摘のとおり、大阪結核罹患率というのは非常に高い状況でございます。全国平均が二五・八%でありますけれども大阪市ということになってきますと七四・四%ということで、実に三倍も、非常に高いということでございます。  もちろん、今、先生も指摘されましたように、なぜそういう高いのかということでありますけれども、これはやはり、大阪には西成区におけるあいりん地域ということで、全国でもホームレスの一番多い町になっておりますし、また、ホームレスだけじゃなくて、スラムというホームレスとも非常によく似た状況がありますけれども、いわゆるアパートに独り住まいというような、そういうスラム的形成をされておりまして、特に、若いときに結核菌を患いながら、若いころは体も元気ですからそれが感染しないというのか、抵抗力があるということでありますけれども、高齢化に伴って、アルコール漬けとか生活が不規則だとか、そういう状況によって結核になると。しかも、残念ですけれども、そういう不規則な生活の中で、早期治療だとか発見だとか、そういうことができないという状況の中で今そういう状況になっておると、このように思うわけでございます。  今後、法律の改正によって、国やあるいは都道府県でその指針というのか、作られていくわけでありますけれども、その地域による実情に応じた効率のいい結核対策を強化をしていくと、こういうことにしていくわけでございますので、よろしくひとつお願いを申し上げます。
  146. 西川きよし

    西川きよし君 ひとつ細やかによろしくお願いしたいんですが、引き続き、こういった方々は、発病率が高い、そして発見が遅れるということでございます。そして、せっかく治療していただいても、すぐに治療をやめてしまう、途中でやめてしまう、こういう方々が大変多いわけですけれども、そういった意味では、早期の発見、早期の治療、そして何よりも完全に治すと、病気を治していただくということだと思うわけですけれども大阪のあいりん地域の場合でも、重症で発見される患者さんが大変多いわけです。そして、合併症を持つ方、その大部分が、四十歳以上の方々が大変多い、そして四十歳以上で単身の方が多いわけですけれども大阪市において、例えば仮設避難所へ入るときには健診を行うとか、あるいは、あいりん総合センター前で、月に一回ですけれども、住民の健診を行っておるわけですけれども、様々な対策を取っていただいておるわけですけれども、その成果もかなり出ているように思うわけですけれども、今回のこの早期発見対策の充実強化と、こういった点につきましてこうした地域では具体的にどのような対策考えておられるのか、谷畑大臣にお伺いしたいと思います。
  147. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 先ほど罹患率をパーセントで述べたわけでありますけれども、これは人口十万人に対する数字でありますので、そのように理解をお願いしたいと思います。  今、西川先生の指摘でありますけれども、今後どのようにしていくのかということですけれども、やはり若年者、昔だったら若い人たちにこの結核というのは多かったわけですけれども、今先ほど言いましたように、高齢者の方が非常に多くなっているということです。やがてこれは、危険なのは、この結核がまた若い人たちに巡回をしていくという、ここにやっぱり私どもは、そうさせてはならないというか、非常に早い、そういう意味では早い時期に発見をして、そしてやっぱり治療していくと、こういうことが非常に大事だと思っています。  そういう意味で、日雇労働者に対しまして、夜間に簡易宿泊所等において移動健診車を移動しましてしっかりと健診をしていく。あるいは、ホームレスが一番たくさんおられるという公園ですね、大阪城公園でもそうですけれども、そういう公園へ出掛けて健診をしていくと。こういうことをしっかりとやはり、健診をしていくことが非常に大事じゃないかと、このように実は思っています。  更にしっかりと取り組んでいきたいと、このように思っています。
  148. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞ本当によろしくお願いしたいと思います。  長野県などに比べますと、すごい、十二・五と七十四・四と、こんなに差があるわけですし、それに、そういった方々が抱えておられることといいますのは、早期治療、もっとものことでございますけれども、こういった方々は、例えば、自分自身の身分を明らかにしたくない、そういった方々もたくさんいらっしゃるわけですし、そういったところをどういうふうにすればいいのかなと。また、治療費の、お金の問題ですね。そして、治療を受けない人、ためらう人。例えば、せっかく治療を始めましたのに途中でやめてどこへ行ったか分からなくなってしまう。今、大臣もおっしゃいましたように、若い人たちにも大変多くなっている。若い人たちが夜遅くまで換気の悪いようなお店に出入りすることによってたばこをする、換気が悪い、そういったところでもそういった病気が出ているというような結果も出ているわけですけれども、早期治療、そして患者の管理、国と都道府県支援がこれはもう大いに必要なんですけれども、そういった問題意識というものをまず健康局長にお伺いしたいと思います。
  149. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 大都市等の、大阪等の大都市においては、結核対策特別促進事業と、こういうのを活用いたしまして、直接服薬確認療法DOTSというようなものによりまして早期治療を実施しまして、また、治療に漏れがないような適正な患者情報の管理を実施しているところでございます。  こうしたDOTSによる早期治療支援、それからこれに伴う適正な患者管理につきましては今後の結核対策の柱の一つと、非常に大きな柱の一つ考えておりまして、今回の改正案におきましては新たにこうした取組を法律で位置付けることとしたほか、都道府県において定めることになります予防計画においても必要な施策として位置付けまして、これに基づきまして計画的かつ効率的に実施していくことが必要であると考えているところでございます。
  150. 西川きよし

    西川きよし君 今、局長さんの方から御答弁に出ましたが、そのDOTSでございますけれども患者さんが退院をされてから支援ということではなかなか難しいというふうに我々はお聞きするわけですけれども、やはり入院中の院内のDOTSによって、結核に対する患者さんに対する教育と申しましょうか、そういったことを徹底する。午前中からもこのDOTSについては大変いろんな先生方からの御質問も出たわけですけれども、あるいは服薬確認の習慣化、そして何よりも薬を飲んで病気を治すという意欲を持ってもらうということですね。そして、退院後の外来DOTSへうまく継続をしていくというふうにも思います。当然そこには、病院の医師とそして保健所保健師さん等々の情報の共有化と申しましょうか、連携と申しましょうか、そういうものが大変重要になってくると思います。  引き続き、こういった点について健康局長に御答弁をいただきたいと思います。
  151. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 先生御指摘DOTSでございますけれども平成十二年に、我が国実情に合いました日本版二十一世紀型DOTS戦略と、こういう新しい対策が提言されまして、これを踏まえまして結核対策特別促進事業、これに、大都市における結核治療向上事業、こういうようなメニューを追加しまして、その推進を図ってきたところでございます。  自治体におきましては、保健所保健師等が中心となりまして、入院期間中から、院内DOTSに引き続いて、患者保健所等に来所しまして服薬確認を行います外来DOTS、さらに、保健師等が患者宅を訪問する訪問DOTS、こんなようなものが現在行われているところでございます。  入院中の院内DOTSから退院後の地域DOTSへ速やかに継続するためには、入院中から保健所保健師等が患者を病院に訪問しまして患者とのコミュニケーションを構築するとともに、医療機関の医師、看護師、保健所保健師、ケースワーカー等によりますDOTSカンファレンス、こういうようなものを実施しまして、退院後を念頭に置いた治療方針検討、各自の役割分担の決定を行う、こんなようなことが重要であると考えておりまして、この事業の実施要領におきましてもこれらの徹底を定めているところでございます。  今後とも、引き続き、医療機関、保健所等関係機関の連携の強化に努めまして、DOTSの効果的な実施を推進してまいりたいと考えております。
  152. 西川きよし

    西川きよし君 引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。  それから、そのリスクに応じた対応という観点から、日本に不法滞在をしている外国人への対応という問題もあるとお伺いをしておるわけですけれども、例えば、不法滞在ということになりますと、当然ながら受診が遅れるわけですし、あるいは受診をしたとしても、医療機関側の対応も非常にこれは難しい問題ですね。そのことで、接触者、そして健診ができなければ更に感染者、発病者が増加するおそれがあるわけですけれども、現実に二十五万人とも言われる不法滞在者が日本にはいるわけですね。現実に生活しておるわけですから、この不法行為とは別に、感染者、感染症対策として対策が必要ではないかというふうに私自身思うわけですけれども局長、いかがでしょう。
  153. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) お答え申し上げます。  我が国結核患者医療費、これは医療保険による給付がなされない部分につきましては公費によって負担しているところでございます。  不法滞在外国人でありましても、入管当局に収容されるまでの間につきましては、公衆衛生上の必要性も踏まえまして必要な医療の給付等の措置を講じることとしているところでございます。引き続きこのような処置を講じていくとともに、今般の改正案、それを踏まえまして、実際に患者さんが発生した場合の接触者など、結核が疑われる者に対しましては定期外の健康診断の徹底に努めるなどによりまして、結核の蔓延の防止に努めてまいりたいと考えております。
  154. 西川きよし

    西川きよし君 大変難しい問題ではあると思います。法務省の入管等々の問題もあると思いますけれども、本当に大切なことでありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  また、日本学校に通う外国人のような場合でも、健診を行った結果では、患者の発見率は日本の一般住民に比べてかなり高くなっているというお話もございます。健診を実施している学校というのは極端に少ないようでございますけれども、こういった点はいかがでしょうか。
  155. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 我が国では、結核の蔓延防止という観点から、結核対策特別促進事業、これにおきまして、外国人対策としましては幾つかメニューございます。一つは、結核健診を受診する機会の少ない外国人に対します健康診断事業、それから二つ目としまして、外国語のパンフレットを利用しました正しい知識の普及啓発、このようなメニューがあるところでございます。今後、こういう事業を通じまして、日本学校に通学する外国人に対します健康診断の受診機会の確保等に努めてまいりたいと考えております。
  156. 西川きよし

    西川きよし君 この問題もどうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、これはちょっと理解大変しづらいんですが、この法律の二十二条でございますけれども、医師の、お医者さんのですね、医師の二日以内に届けるという規定がございますが、例えば大阪市の場合、これまた谷畑大臣も胸が痛いと思うんですが、半分にも満たないんですね、はい。これは大阪市に限った問題なのか、それともあるいはこの制度に問題があるのか、この点についての問題認識も是非お聞かせいただきたいと思います。二十二条でありますが、いかがでしょう。
  157. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 結核予防法二十二条に基づきます医師の行う届出というのは、二日以内に届けなくてはいけないという規定でございます。平成十四年度におきまして、都道府県が平均五三%、政令指定都市等が六〇・七%、大阪市は不幸にも四九・八%ということで多少低くなっております。  厚生労働省といたしましては、やはりこの届出が基になって患者管理が始まりますので、是非遵守されますように御指導を、今までも行っておりますけれどもこれからもしていきたいというふうに考えているところでございます。
  158. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。  この結果は谷畑大臣、どのように思われますか、一言ください。
  159. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) やっぱり二日以内にこれ届けるということが五割以下ということですので、やっぱりなぜそれそうなっているのか、もう少し原因をしっかりとこれ掌握しなきゃならぬじゃないかと。やっぱりなぜ届出ができないような状況になるのか、それと同時にまた、周知徹底がされていないのかどうか、そこらの点もよく踏まえて、更に率が上がるように努力してまいります。
  160. 西川きよし

    西川きよし君 どうぞ副大臣、よろしくお願いをいたします。病院の場合でしたら、七日以内に患者さんについて厚生労働省令で定める事項をちゃんと保健所長に届けなければならないというふうにもなっておりますし。  最後の質問を坂口大臣にさせていただきたいと思います。  はしかについてお伺いをします。  昨年でございますけれども、一度僕、質問をさせていただきましたはしかの予防接種についてでございますが、このときには、中学校などではしかの集団発生が起こっておりますが、心配なのはワクチン接種を受けた子供が多かったということでございまして、その対応方針をお伺いを申し上げました。  当時の答弁では、一回の定期接種についても十分できていないので、この点を徹底するということでございまして、昨年の十一月ごろですが、朝日新聞の調査によりますと、予防接種を受けながら小学校、中学校、高校生になってはしかにかかるケースが全国各地で広がっているということでございました。そして、要因といたしましてはワクチンの効果に問題があるのではないかと問題提起をしているわけでございましたけれども、もしこうした実態があるとすれば、たとえ接種率を改善させたとしても大きな問題が残るというふうに私自身思うわけですけれども是非、今日は厚生労働大臣に、この八番目、御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  161. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 確かに、このはしかの予防注射といいますのは受けていないお子さんが非常に多いものですから、我々も憂慮しているわけでございます。接種期間は生後十二か月から十五か月に改めまして、この間にひとつ第一回目を受けてくださいということをお願いをいたしております。一歳六か月健診でありますとか、三歳児健診でありますとか、そういう健診がありますときにも、もし接種漏れがあります方にはチェックをいたしまして、そして是非お受けくださいということをお願いをしているわけでございます。そこが、まず私ども努力としては、まず一回目をひとつ、まあ全員といったってそれは中にはお体の調子の悪い方もあるでしょうけれども、ここを一〇〇%近くやはりお受けをいただくように最大限やっぱり努力をしなければいけないと思うんです。  確かに、一遍この予防注射を受けましても、それで確実にこの免疫ができるかどうかということは、その受けたお子さんの体質にもよるというふうに思いますけれども、必ずしもそうとも言えないという御指摘のあることも私たちはよく承知をいたしております。しかし、多くのお子さんにおきましては、この一回目の予防注射を受けて、それからはしかがはやりましたときにそれで感染をされる、しかし発病に至らず、そして全体の免疫は更に上がるというケースもかなりそこにはあるわけでございます。  免疫の程度をどの程度かということまで全員測定するというわけにもまいりませんから、まず第一回目を十分受けていただくということを前提にして、そしてさらに二回目の接種というものも私たちも念頭に置いておかなけりゃいけない、今後、ここを行うということになると、全国的にこれやらなければいけないわけでありますから、その一回目の努力を十分にして、そして二回目のことを考えるという、手順としてはそういうことではないかというふうに思っておりまして、十分念頭に置かせていただいて今後対応させていただきたいと思っております。
  162. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。
  163. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  164. 国井正幸

    委員長国井正幸君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、伊達忠一君、浅尾慶一郎君及び風間昶君が委員辞任され、その補欠として愛知治郎君、榛葉賀津也君及び木庭健太郎君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  165. 国井正幸

    委員長国井正幸君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  結核予防法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  166. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、森君から発言を求められておりますので、これを許します。森ゆうこ君。
  167. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、ただいま可決されました結核予防法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派並びに各派に属しない議員西川きよし君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     結核予防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。  一、結核に関する海外の事例の収集、分析等を行い、最新の知見に基づく結核対策の実施に努めること。また、アジア、アフリカなどにおいて結核がまん延している状況にかんがみ、WHOを始めとする国際機関等と連携し、結核に関する国際協力支援の一層の推進を図ること。  二、結核患者の高齢化や糖尿病等の合併症を伴う患者の増大、多剤耐性結核の増加等により、患者に対して必要とされる医療の多様化・複雑化が進んでいるにもかかわらず、結核専門家結核病床が減少している現状にかんがみ、呼吸器系の疾病全体に対する総合的な治療が行える体制を早急に整備すること。  三、退院後の治療継続を確実に行うため、必要に応じ、入院中より保健所との連携体制を確立し、退院後も医療機関、保健所等が連携・協力して治療を継続できる体制を構築すること。  四、保健所については、地域における結核対策の中核機関として、国、地方公共団体の関係機関と緊密な連携を図りつつ、届出に基づく結核発生動向の把握、患者への支援、住民に対する必要な情報の提供等、その役割が十分果たせるよう体制の強化を図ること。    なお、近年、企業の健康診断の対象外とされがちな非正規労働者等が増加している状況にかんがみ、これらの者への結核に関する知識の普及・啓発に努めるとともに、健康診断の実施等が図られるような方策を検討すること。  五、結核患者及び感染者に対し、その人権に配慮した良質かつ適切な医療が提供されるよう、医師、薬剤師、看護師、保健師等に対する教育・研修の充実に努めること。  六、結核の集団感染が、学校のみならず学習塾等で発生するなど小集団化、多様化していることから、教職員を始めとする関係者、保護者及び児童に対し、結核に関する正しい知識の普及に努めるとともに、関係者の健康診断の実施の徹底が図られるよう指導を行うこと。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  168. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいま森君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  169. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 全会一致と認めます。よって、森君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂口厚生労働大臣
  170. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。  ありがとうございました。
  171. 国井正幸

    委員長国井正幸君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  173. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 薬剤師法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。坂口厚生労働大臣
  174. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ただいま議題となりました薬剤師法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  近年、医療の高度化、複雑化、高齢社会の到来、医薬分業の進展など薬剤師を取り巻く環境が大きく変化している中で、薬剤師につきましては、最適な薬物療法の提供、服薬指導医療安全対策など、幅広い分野において医療の担い手としての役割を果たすことがより一層求められております。  こうしたことから、基礎的な知識、技術はもとより、高い倫理観、医療人としての教養、医療現場で通用する実践力など、薬剤師の資質の一層の向上を図る必要があります。  このため、薬剤師養成を目的とする大学における薬学教育につきましては、教養教育、医療薬学、実務実習を充実し、これらの教育課程を有機的に編成することによって臨床に係る実践的な能力を養うことができるよう、今般、学校教育法の一部改正案が提出され、その修業年限を現在の四年から六年に延長することとなっております。  これに伴いまして、薬剤師国家試験の受験資格についても見直しを行うため、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、薬剤師国家試験の受験資格を修業年限六年の薬学の課程を修めて卒業した者に与えることとしております。  第二に、大学の薬学教育においては、研究者の養成などを目的とした修業年限四年の課程も存置されることから、経過的取扱いとして、本課程に続きその修士課程を修了した者等が一定の要件を満たす場合には、薬剤師国家試験を受けることができることとするほか、所要の経過措置を設けることとしております。  最後に、この法律の施行期日は、平成十八年四月一日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いを申し上げる次第でございます。
  175. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十二分散会