運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-04-15 第159回国会 参議院 厚生労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月十五日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  四月十三日     辞任         補欠選任      有村 治子君     脇  雅史君      伊達 忠一君     泉  信也君  四月十四日     辞任         補欠選任      泉  信也君     伊達 忠一君      脇  雅史君     有村 治子君      風間  昶君     浜四津敏子君  四月十五日     辞任         補欠選任      宮崎 秀樹君     愛知 治郎君      柳田  稔君     平田 健二君      浜四津敏子君     木庭健太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         国井 正幸君     理 事                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君     委 員                 愛知 治郎君                 有村 治子君                 金田 勝年君                 佐々木知子君                 斎藤 十朗君                 田浦  直君                 伊達 忠一君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 宮崎 秀樹君                 朝日 俊弘君                 大脇 雅子君                 平田 健二君                 山本 孝史君                 木庭健太郎君                 浜四津敏子君                 井上 美代君                 小池  晃君                 西川きよし君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    副大臣        文部科学大臣  稲葉 大和君        厚生労働大臣  森  英介君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       竹本 直一君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      上原  哲君        内閣構造改革        特区担当室長   滑川 雅士君        文部科学大臣官        房審議官     丸山 剛司君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        上田  茂君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君        厚生労働省医薬        食品局長     阿曽沼慎司君        厚生労働省老健        局長       中村 秀一君    参考人        独立行政法人医        薬品医療機器総        合機構理事長   宮島  彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○独立行政法人医薬基盤研究所法案内閣提出)     ─────────────
  2. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、風間昶君が委員辞任され、その補欠として浜四津敏子君が選任されました。     ─────────────
  3. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  独立行政法人医薬基盤研究所法案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医薬食品局長阿曽沼慎司君外七名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  独立行政法人医薬基盤研究所法案審査のため、本日の委員会独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長宮島彰君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 独立行政法人医薬基盤研究所法案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 公明党の浜四津敏子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、医薬基盤研究所についてお尋ねいたします。  医薬品等開発は、ゲノム科学などのライフサイエンス研究成果を活用することが世界的な潮流となっているようです。こうした中にあって、今回の医薬基盤研究所はどのような経緯で、またどのような目的で設置することとなったのか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
  9. 坂口力

    国務大臣坂口力君) おはようございます。  日本におきます医薬品は、いろいろの進歩はございますけれども、諸外国に比べまして決して進んでいるというふうには言うわけにはまいりません。特に、この数年間、目立った新しい医薬品というものが生まれてきていないということも事実でございまして、日本医薬界にとりましてもう少し前進をさせるために何とかひとつここで考えなければならないのではないか、こういう環境があったというふうに思っております。  一方におきましては、国立試験研究機関の再編の一環といたしまして、平成十四年の臨時国会国会決議等もございまして、この医薬品医療機器総合機構立ち上げと、そしてそこに研究開発振興業務の統合といったことが今回図られたわけでございますが、先ほど申しましたように、ゲノム科学などの最新科学技術を活用しました医薬品の基盤的な研究開発、特に基盤的な研究開発を進めなければいけない。そして、それを公平に研究者に提供をするといったようなことが今後非常に大事になってくる。そういった意味で設立をすることになったものでございます。
  10. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、がん対策についてお伺いいたします。  がんの中でも乳がんというのは罹患率がトップでございます。患者数年間約三万五千人を記録して、今後も増加する傾向を示しております。乳がんによる死亡者年間一万人に達しておりまして、五十年前に比べて約六倍以上となっております。乳がんは今や女性の三十人に一人がかかると言われておりまして、多くの女性たちが不安を抱えております。  この乳がん増加傾向原因が判明すればその対策も見えてくるわけでございますが、厚生労働省としてはこの乳がん増加傾向原因をどのように分析されておられるのか、お伺いいたします。
  11. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今先生からお話のございました我が国乳がんの推移でございますけれども、女性のおっしゃるとおりがん罹患率の第一位になっておりまして、年間約三万五千人が発症し、約一万人が亡くなると、こういう病気になっております。また、御指摘のとおり、一九七五年以降この乳がんの率も約二倍に増加していると。逆に、死亡率につきましては、アメリカでは一九九〇年以降低下傾向にございますけれども、我が国では増加傾向にあるということで、特に六十五歳未満の比較的若い女性にとりましては乳がんがん死亡の一位になっているということで、そういう状況にございます。  なぜ増えているかということでございますが、私ども、がん検診在り方を見直すために、昨年十二月、専門家にお集まりいただきましてがん検診に関する検討会を設置いたしまして、この三月に中間報告いただいたところでございますが、その報告書では、乳がんの性質といたしまして、乳がん原因としては、遺伝や人種、それからホルモンの関係閉経後の肥満、妊娠・出産と関係があると指摘されております。また、発症するライフスタイル関係する因子といたしましては、結婚されないこと、出産されないこと、あるいは高齢の初産、それから早い初経や遅い閉経閉経後の肥満家族歴等指摘されているということで、これらのライフスタイル因子につきましては、我が国の近年の女性ライフスタイル変化の方向と合致しておりますので、そういう女性ライフスタイル変化がございますので、乳がんは今後とも増加するのではないかと、こういう予想をいたしているところでございます。
  12. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、大臣マンモグラフィー検診についてお伺いいたします。  乳がん死亡者を減らすために、視触診などではなくて、マンモグラフィーによる検診が非常に効果的で、現在大変注目されております。例えば、東京都内十一区市の委託を受けマンモグラフィー検診を行っている財団法人東京予防医学協会によりますと、マンモグラフィーによる検診により乳がん早期発見が目立って多くなったとのことでございます。また、マンモグラフィー併用した乳がん検診を行っている財団法人大阪がん予防検診センターは、導入以前との乳がん発見率の違いをホームページなどで公開しております。導入以前の一九九九年、視触診と超音波検査併用した検診で発見された乳がんはわずか一件、二〇〇〇年度でも二件にすぎず、早期がんがそのうち一件でした。ところが、マンモグラフィー併用導入した二〇〇一年度はがん発見数が十五件に急増いたしました。しかも、早期がんが八件と半数を占めております。がん発見率で見ますと、従来の検診方法の七・五から十五倍、早期がんも八倍という結果となっております。マンモグラフィーによる検診がいかに効果的かということをこのことは示していると思います。  しかし、乳がん検診マンモグラフィー検診導入することにつきましては、一つ財政事情、もう一つには高い技術を持つ技術者医師を確保する、この二つがネックになっていると言われております。機械だけで約三千万円、検診車に掛かる費用も含めますと約五千万円にもなる、こう言われておりまして、各地方自治体でその購入費等をどう捻出するか、大変に厳しいものがあります。  対応策一つとして、国としてマンモグラフィー購入への助成制度を設けることも考える必要があるのではないかと思います。また、広域的に幾つかの自治体が共同で購入することも選択肢の一つかと考えられます。また、マンモグラフィーを操作して撮影された影像を的確に読み取る技術者医師養成が急務であります。今、医学会で独自の認定制度を設けまして、撮影技術読影能力の取得に御苦労されていますが、この技術者養成についても国のバックアップが必要ではないかと思います。  それとともに、乳がん死亡率を下げるためには、受診率を高めることも必要でございます。日本では、乳がん検診受診率は二〇〇二年度で一二・四%程度、アメリカやカナダ、イギリスではマンモグラフィー併用検診受診率が約七〇%に上っておりまして、これらの国で乳がん死亡率が減少に転じた原因は高い受診率にあると言われております。  三月に発表されたがん検診に関する検討会中間報告でも指摘されていましたが、日本でも乳がんにかかる年代は四十歳代に最も多いことから、四十歳以上の女性を対象にマンモグラフィー検診充実及び普及が重要と考えますが、厚生労働大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  13. 坂口力

    国務大臣坂口力君) がん検診は、乳がん検診のみにとどまらず、全体に受診率が非常に低いものですから、大変問題になっております。大変残念なことでございますけれども、もう少しやはり検診受けていただける体制をどう作っていくかいろいろ検討しなきゃならない点も多いんだろうというふうに思っております。受けていただけない皆さん方に対して、なぜ受けていただけないんですかと言っているだけではやはり解決できない問題だというふうに思っております。御指摘乳がん検診につきましても非常にやはり受診率は低いということがございまして、このことも何とかしていかなきゃならない。  それから、検査方法につきましては、マンモグラフィーお話ございましたけれども、確かに今までの検診方法では限界があるということも事実でございます。マンモグラフィーを用いました検診を今行っております市町村はまだ少ないわけでありまして、いろいろ古い機械もございますけれども、それを交ぜても五〇%ということでございまして、もう少しやはり最新の新しい機械で、そしてこのマンモグラフィー検診のできる体制を作り上げていかなきゃいけないというふうに考えております。  四十歳以上にするということは大体決定したところでございますが、四十歳以上の皆さん方にお受けをいただくということを決めたといたしましても、それぞれの検査体制が整わないとこれはいけないわけでございまして、検査体制をどうするかということだろうというふうに思っております。  それは、機械の問題と、御指摘のとおり人の問題と両方あるわけでございますが、機械の問題が、一台三千万もする代物でございますから、そう簡単に市町村もなかなか買えないというようなこともあるわけでございます。市町村合併が進んでおりますから、これから大きい市で、あるいは町でいろいろと検討していただけるということもあろうかと思いますが、小さな市町村の場合には、お隣同士の町村間で互いに連携をして、そして利用するというようなことも考えていただいて今後進めなければいけないというふうに思っております。  国としましての今後の体制でございますが、今まだ決定した段階、確実に決定した段階ではございませんけれども、このマンモグラフィー購入につきまして何らかの支援対策をしていきたいというふうに考えているところでございまして、どんな形で支援ができるのか、それは補助金のような形にするのか、それとも他の何か方法があるのか、そんなことも含めて今検討している最中でございます。もう少しお時間をいただきたいというふうに思っております。
  14. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、臨床腫瘍医育成についてお伺いいたします。  アメリカでは、抗がん剤開発が進んだ一九七〇年代臨床腫瘍医専門医制度が確立しております。臨床腫瘍医は、がん薬物治療専門家で、部位別ではなく総合的にがんを診る主治医として治療方針に中心的な役割を果たします。アメリカではこの臨床腫瘍医がいるので、外科医も安心してがん手術に専念できると言われております。  そこで、私は、日本においても臨床腫瘍医制度を確立すべき時期に来ているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。  また、二〇〇四年度から始まる第三次対がん十か年総合戦略では、抗がん剤治療専門に行う臨床腫瘍医育成が盛り込まれたと記憶しておりますが、その具体的構想も併せてお伺いいたします。
  15. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) お答え申し上げます。  近年の医学進歩によりまして、がん治療は、手術療法放射線療法化学療法免疫療法、あるいは遺伝子治療法等、多岐にわたっております。がん治療法が目まぐるしく進歩する時代にありまして、各分野におきます治療専門に扱う医師育成というのは大変重要な課題であると認識しているところでございます。化学療法専門に扱います医師を始め、がん専門医育成に当たりましては関係学会取組が重要でありまして、その取組に対する協力方策検討していきたいというふうに考えております。  具体的には、今年度から開始されますがん臨床研究事業研究課題として、効果的かつ効率的ながん専門医育成方法に関する研究、こういう課題を設定しておりまして、この研究の中で協力方策について検討をしていただく予定でございます。
  16. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、がん患者さんが手術受けて退院した後のケア充実についてお伺いいたします。  一般的に、手術がんを切除した後、再発の危険性が高い期間は五年と言われております。そこで、特にこの五年間の十分なケアが大事だと考えますが、現実にはこの五年間患者さんは定期検診受けたり、あるいは不具合があったときに受診するくらいのもので、ほとんど何の指導も助言もないのが実情で、生活の中で何に留意し、どういう点を工夫しなければいけないのか、ガイドラインもないのが実情でございます。そこで、患者さんは大変大きな不安の中で過ごしておられるわけで、この五年間ケア在り方を工夫する必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。  また、がんは、とりわけ生活を支えている働き盛り年代にとって非常に大きな健康上の脅威になっております。また、がんにかかるのではないかという不安を抱えて生活している方も多くいると認識しております。したがいまして、がん予防及び質の良いがん治療、並びに十分な患者さんの術後のケアなどを含めまして、がん対策に重点を置いて取り組んでいくことが重要と考えますが、今後のがん対策への取組について大臣の御見解をお伺いいたします。
  17. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 対がん十か年計画というのが、第一次、第二次終わりまして、今年から第三次の新しいまた対がん十か年計画スタートしたわけでございます。その中でやらなきゃならないことは様々あるというふうに思います。  新しい予防法、あるいは診断法、そしてまた治療法、その後のリハビリ等々たくさんの問題がございますけれども、その中で、新しい診断にしろ治療にしろ、そうしたことにより積極的に取り組んでいかなければならないわけでありますし、それを行うことが結局はその後の患者さんの健康というものにも大きな影響を与えるわけでございますから、しっかりとした治療方法の確立というものが非常に望まれることは、もう私はもちろんだというふうに思っております。  がん患者さんの場合に、それぞれ、そのがん部位でありますとか、あるいはまた進行状況等によりましてその人に対する対応というのはかなり違うわけでございますので、一律的にどうするこうするということもなかなか難しい問題がございます。しかし、一番基礎的な問題として、がん発生を予防するために、あるいはまた、一度発生したがんの再び転移が起こらないようにするためにどういう生活をしなければならないかとか、どういう食生活に注意をしなければならないかといったようなことで、共通部分もあるだろうというふうに思います。  共通部分につきましては、いろいろとこれは、指導すると申しますか、PRもしっかりとやっていかなきゃいけないというふうに思っておりますが、それぞれの患者さんが手術をなさいました後、どういう生活を送るべきか、どういうことに気を付けていくべきかということは、その手術受け主治医との間で連携を密にしていただいて、毎年毎年、半年ごとなのか一年ごとになるのか分かりませんけれども、その指示を受けながら、そこでしっかりとやはりフォローをしていただくということが非常に大事ではないかというふうに思っております。  そうした専門医体制というものが今後非常に望まれるところでございますので、そうしたことも併せてこれから我々も検討していかなければならないと思っております。
  18. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、介護予防対策についてお伺いいたします。  現在、介護が大きな問題となっておりますが、実際には多くの高齢者方々が元気に暮らしておられます。これまでこうした元気な高齢者に対する国の支援健康診断くらいで、積極的な支援はほとんどありませんでした。高齢者方々はもちろん、多くの国民の皆様が生涯はつらつと元気で楽しく人生を送りたいと希望しておられます。また、元気だった高齢者の方が要介護状態になる大きな原因一つが転倒による骨折という統計があります。これを防ぐことによって要介護にならないようにすることもできるわけでございます。今後、国として、元気な高齢者支援していくということが大事と考えます。それによって、高齢者も満足、社会も明るくなる、また自治体が抱えている医療介護財政負担が大幅に軽減される、正に一石二鳥、三鳥の効果があると思います。  先日、私は茨城県大洋村の健康増進施設「とっぷ・さんて大洋」を視察してまいりました。大洋村は大変すばらしい環境の中にありまして、定年退職された方々が数多く引っ越して住んでおられる村で、そのため、現在、高齢化率が二八%と大変に高い村でございます。そこで、村として、特に高齢者健康維持のために大変な努力と工夫をしておられます。  この施設もそのために造られたものですが、ここでは、送迎バスで通ってこられる高齢者方々一人一人のために作られた健康づくりメニューを基に、プールでの歩行や水泳、トレーニングジムでウオーキングマシンやダンベルなどを使って運動しておられました。体操教室や、あるいは散歩コースもありました。また、運動した後に温泉でゆっくり疲れをいやしたり、仲間と一緒に団らんや食事もできるようになっておりまして、健康づくり仲間づくりに配慮された施設でございました。その結果、大洋村では高齢者一人当たりの医療費全国平均の約半分になったということも伺ってまいりました。  高齢社会が加速いたしまして、要介護者が既に昨年末には三百七十六万人に達して、更に増加傾向があります。介護保険法も来年にはちょうど五年目の見直しの年に当たります。大洋村で取り入れてすばらしい実績を上げているこうした介護予防センター健康増進センターを小中学校区に一つ程度設置して、そこで健康づくりをしていただく、あるいは楽しく過ごしていただける居場所づくりをするということが必要と思いますが、厚生労働省としての具体的施策についてお伺いいたします。
  19. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 高齢者の問題でございますが、現在、介護を多くの皆さんがお受けいただくようになったことは大変いいことだというふうに思っております。しかし、その中で非常に増えておりますのは、要支援、要介護一といった非常に軽度皆さん方介護受けていただく率が高くなっているということでございまして、考え方はこれはいろいろあるわけでございますが、初期の段階でいろいろとお受けをいただくということは大変いいことだというふうに私は理解をいたしております。しかし、その軽度皆さん方、あるいはまた介護にまだ入らないその直前の皆さん方をどう健康を維持していくか、それ以上悪化をさせないようにどうしていくかということが一番大事なことでございまして、そのための対策を取らなければいけないというふうに思っております。  そういう意味からいたしますと、御自身がいかにして健康の維持に取り組んでいただくかということも大事でございますので、それぞれが自主的に、筋肉トレーニングでありますとかあるいは散歩でありますとか、そうした運動に心掛けていただくということは大変大事なことでございます。しかし、高齢者のことでございますから、お一人でどうぞ自由にやってくださいというのではいけないというふうに思いますから、そこにやはり手を差し伸べるところがなければいけない、いかに手を差し伸べて皆さん方努力をしていただくということが大事だというふうに思っております。  その人その人によりまして、例えばリューマチ性疾患によって手足が動きにくい人もあれば、あるいは骨折等によって、そして起こった人もございますし、あるいは脳梗塞等の後遺症として手足の不自由な人もあったり、人様々でございますから一概に申し上げることはでき得ませんけれども、そうした、病院というよりも健康増進、健康維持のためにどうしていくかといったことは、これは、市町村あるいは地域のこれは医療機関、そうしたものと連携の上で、形は様々あるだろうというふうに思いますが、その地域で合った形でそうしたことを取り入れていただくという御努力がやはり必要ではないかというふうに思っている次第でございます。
  20. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、ドクターヘリの導入についてお伺いいたします。  ドクターヘリのメリットは、いち早くドクターが事故現場に駆け付けることによりまして迅速な応急処置、そしてまた医療機関への搬送が可能になり、死亡症例や後遺症を大幅に減らすことができるところにあります。海外では、既にヨーロッパ諸国やアメリカなどで導入されまして大きな実績を上げております。公明党は、昨年発表したマニフェストでも、ドクターヘリの拠点地域を四年以内に三倍に拡大し、十年後には各都道府県一か所、計五十か所地域の整備を目指しますと提案したところでございます。  厚生労働省はこれまでにドクターヘリ導入を進めてこられましたが、現在はまだ七か所にとどまっております。人命救助に大変に効果的なドクターヘリ導入促進事業の拡大推進を図るべきと考えますが、大臣の御決意のほどをお伺いさせていただきたいと思います。
  21. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほどマンモグラフィーの話ございましたが、ドクターヘリはまたもう一つ高いものでございますからなかなか、全体にこれを広げていくということもなかなか難しいんですが、しかし、例えば和歌山県が、お隣の奈良県と三重県と、三県これは共通でと申しますか、一緒に使いましょうというので、和歌山が中心になりましておやりをいただいているというのは一つのテストケースだというふうに思っております。山間へき地、隣接いたしておりますし、道路もこれは各県にまたがっているわけでございますから、特に医療機関の少ない機関を抱えておりますので、そうしたことが非常に大事ではないかというふうに思っております。  したがって、全県がそれぞれ一台ずつ是非とも持たなきゃならないということではないというふうに私は思いますが、それぞれの地域においてできるだけ過不足がないようにドクターヘリが運用されるように配慮というのはしていかなければならないわけでございまして、例えば沖縄の地域、現在はこれは他の機関のヘリを借りてやっておるわけでございますけれども、そうしたところを、やはり島も多いわけでございますので、必要かどうかといったようなこともやはり真剣に考えて、早く対策を立てないといけないというふうに思っております。
  22. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございました。
  23. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 おはようございます。民主党・新緑風会の朝日でございます。  今日は、まず冒頭に、議題に入ります前に、どうしても大臣の御所見をお伺いしておかねばならない問題がございます。  もう既に皆さんも御承知のとおり、今日のマスコミ各紙で、中医協の委員らに係る贈収賄事件についての報道が一斉になされております。見出しは多少新聞によって違いますが、この問題について、まず素直に、厚生労働大臣としてはどのように受け止めておられるのか、そして今後どのように対処されようとしているのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  24. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 昨夜からのこの報道を聞きまして、非常に私も大きな衝撃を受けているわけでございます。まさかこういうことが起ころうとは思っていなかったことでございますので大変大きな衝撃を受けたわけでございますが、この報道が、あるいはまたこの捜査の状況というものが今後どういうふうに進んでいくか、そしてそれが事実であるとすれば誠に遺憾なことだというふうに考えております。  この中医協の審議そのものは、これはもう公開でやっているわけでございまして、すべてがオープンでやらせていただいておりますので、そのことにつきましての一部始終は、これはマスコミの皆さん方もまた関係者の皆さん方もそれを十分に御理解をいただいているところだろうというふうに思っております。  しかし、こういう事態が、これが事実だということでありますれば、やはり今後の中医協というものの在り方ということにつきましてもいろいろ検討をしなきゃならないことも出てくるかもしれないと、私は率直にそう思っております。
  25. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 御指摘のとおりで、私も、この問題は、もちろん今後の捜査の状況を注意深く見守らなければいけないという前提で申し上げますが、中医協という舞台で行われたということが非常に重大であるというふうに思っているわけです。  今大臣は、公開でやっているんだからというようなお話でしたが、多分ですよ、ある新聞にも書いてありましたけれども、中医協の審議の状況を傍聴しても、専門用語が飛び交って必ずしも十分理解できないような部分も結構あるんですよね。そういう、ある種特別なというか、限られた集団の皆さんでこれからのこの具体的な診療報酬の在り方について審議をする。  調べてみますと、この中医協の構成も含めて、当初のスタートとは大分違った形になってきている。私どもは改めて、この中医協の在り方を根本から見直すことも含めて十分に検討しなければいけない。そうしないと、これから来年に向けて議論が準備されている医療制度改革、この話が全然議論をする土台ができないと。信頼関係のないところに幾ら議論をしても始まりませんから、そういう意味では、これからの医療制度改革の核心にも触れる問題につながってくるだろうというふうに思います。  改めて私は、そういう問題を含めて、大臣に是非きっちりとした検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  26. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今後の医療制度改革につきましては、確かに中医協の中で御審議をいただいておりますけれども、中医協の中だけではなくて、もう一つ別途検討会も作らせていただいてありまして、双方で並行して進めていただいているところでございます。  どうしてもこの医療問題等になりますと、これは専門家の集まりということになるわけでございますが、やはり医療の中にいる人たちだけではなくて、いわゆる医療の外と申しますか、中立的な立場の皆さん方の御意見というのも大事でございますし、患者さんの皆さん方の御意見というのも大事でございます。そうした問題、そうしたお声をどういうふうに取り入れていくかということが次の医療制度改革の基本でなければならないというふうに私も考えているところでございます。  したがいまして、ただ中医協だけではなくて、そうしたもう一つ検討するグループも一緒に作りまして、そして並行して今進めていただいているところでございまして、そうした皆さん方の御意見というものを十分に聴きながら、今後その医療制度改革は進めていきたいというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、今回こうしたことが出てまいりまして、そして、これはまあ今後の捜査の進行によるわけでございますけれども、これが事実であるということになりました場合に、今後の在り方というものをどういうふうにしていくか。これはいわゆる制度の問題として起こったというよりも、その他の要素で起こったということにそれは理解をするのか、それとも制度そのものにも関係するというふうに理解をするのか、その辺のところもよく慎重に検討をしていかなければならない問題だというふうに思っております。
  27. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 問題意識はお持ちいただいていると思いますから、今後、是非十分な検討をお願いしたいんですが、私の理解は、やっぱり今、大臣もちょっとおっしゃいましたけれども、診療報酬の決定プロセスに、診療者側と支払側とそれから公益側という三者構成で成っているんだけれども、実は、一番大事な、ユーザーの側というか利用者の側というか、患者さんの側の意見が、あるいは問題意識が十分反映されない仕組みに成り立っているというところに相当根本的な問題があるというふうに私、思わざるを得ませんので、是非、制度的な問題が背景にあるという前提で是非検討を深めていただきたいというふうに思います。これは要望として申し上げておきます。  さて、この問題は、その中医協という舞台をめぐっての様々な問題にとどまらず、もう一方で、日本歯科医師会、あるいは日本歯科医師会をバックとする日歯連、政治連盟との関係もどうしても検討せざるを得ない課題だというふうに結び付いていきます。私どもは、予算委員会で、日本歯科医師会及びその連盟に所属する、多くは役員を兼職されているんですが、皆さん参考人として是非出てきていただきたいと、こういう要求をさせていただいておりますが、ここは委員長にお願いですが、今日は法案の審議もございますから、今後しかるべき時期を見て、しかるべき参考人をきちんとお呼びして、この問題についてはきっちり議論をする場を作っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  28. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 後日、理事会で協議させていただきます。
  29. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今、委員長の方から御検討いただくということですので、この問題については今日はこの程度にとどめます。是非、根本的な背景の問題も含めてお互いに十分議論を尽くしていきたいというふうに思います。  さて、本題に入りますが、今回提出されている医薬基盤研究所法案、この各論に入る前に、私からは少し総論的にというか、あるいはもう少し一般論的に幾つかの点について御質問させていただき、お答えをいただきたいと思います。  といいますのは、この予算委員会で、ちょうど二月の十八から二十日、視察を行いました。私は第二班に所属をして大阪、神戸の方を視察させていただきました。そのときには、大阪府の彩都バイオメディカル・クラスター創造特区という何か随分難しい名前の特区に位置されている、もう既に建物がほぼでき上がった状態の研究所を視察させていただきましたし、その翌日には神戸の方に行って、いわゆる神戸の医療産業都市構想の中で位置付けられている幾つかの研究施設、病院も含めて視察をさせていただきました。  そこで、そういう視察をさせていただいた中で感じたことの幾つかを今日は基本的な考え方としてお尋ねをしたいと思いますが、まず第一点は、我が国において、いわゆるバイオテクノロジーに関する研究開発、これが随分あちこちで取り組まれている。そのこと自体はある意味では結構なことだというふうに思うんですが、どうも、例えば関西だけを見ても、今先ほど御紹介をしました彩都のライフサイエンスパーク構想から、それから神戸の医療産業都市構想から、それだけはなくて、例えば長浜にはバイオ大学があり、京都にはバイオシティー構想がありというふうに、随分とあちこちでバイオ、バイオという取組が進められているということで、さて、政府としてはこのバイオテクノロジーの研究開発に関する総合戦略をちゃんと持っているんだろうかと。もしお持ちであれば、それはいつどんなようなところで検討されたのだろうか、その中身についてはどんなものなんだろうか。限られた時間の中ですから詳細には述べる時間がないかもしれませんが、基本的なところについてまずはお尋ねをしたいと思いますが、これは内閣府の方でよろしいですかね。お願いします。
  30. 上原哲

    政府参考人(上原哲君) お答え申し上げます。  バイオテクノロジーを含みますライフサイエンス分野につきましては、十三年三月に、科学技術基本法に基づきます科学技術基本計画の中で、非常に重点分野にすべきであるということで、ライフ分野、情報通信分野、ナノテク・材料分野、それから環境分野の一環といたしまして、非常に重点分野としてまず取り上げられている点が第一点でございます。  それで、個別の戦略でございますが、分野別の戦略を作ってございまして、ライフにつきましての分野別戦略ができて、RアンドDに関します分野別戦略ができてございます。ちょっと中身を御紹介いたしますと、最近ヒトゲノムが非常に解読が進みまして、その終了が一昨年の十二月で終わったわけでございますので、そういう問題につきますゲノム科学とか、非常に再生医療の問題が大きなクローズアップされていますので、ヒト胚の問題を含みます再生医療の推進の問題、それから脳研究が非常に盛んになっておるという点から、脳研究をどういうふうに推進していくかという形の、多々、七項目ばかりの内容といたしますライフサイエンスの戦略目標並びに戦略分野が定められてございます。  それから、特に、研究開発のみならず、それを実用化につなげることが非常に重要だということで、基礎研究から実用化までをにらんだ、全体を通してきちんとやっていこうということで、平成十四年の十二月に、内閣総理大臣が主宰いたしております、と関係大臣並びに有識者から成りますところのBT戦略会議が報告書を出してございまして、我が国のバイオテクノロジーの国家戦略といたしまして、バイオテクノロジー戦略大綱を作ってございます。  戦略大綱につきましては、まず、研究開発が諸外国と比べて非常に遅れている部分もあるということなので、研究開発を圧倒的に充実していこう。それから、産業化プロセスにつきましてもなるべくバイオの問題を取り入れていこうということで、例えば生分解性プラスチックスの問題その他につきましても問題になりますので、産業化プロセスの抜本的な強化をしていこう。それから、こういうものを扱う上で非常に国民的理解が重要でございますので、国民理解の徹底的浸透という三つの大きな戦略の下に、具体的な行動計画、約二百ぐらいあるわけでございますが、その行動計画を作成して、それを関係府省の協力の下、実施しているという段階でございます。  それから、これらの、こういう活動につきましては、先ほど申し上げました総合科学技術会議の分野別戦略が生かされているということでございまして、こういう戦略に基づきまして現在進めているという段階でございます。  簡単でございますが、以上でございます。
  31. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 まとめて御説明をいただいたんですが、実は私、この質問を作るときに、随分どこに質問したらいいのか実は困ったんですね。たどり着いたところが、内閣府にある総合科学技術会議というところがあって、そこでいろいろ戦略を考えているんだと、こういう御説明でしたんで、今内閣府の方から御説明をいただいたんですが。  ただ、さはさりながら、実際のプロジェクトでは、随分といろいろ所掌する省庁があって、例えばある分野は文部科学省であったり、ある分野は厚生労働省であったりということで、所掌する省庁が分散したりあるいは重複したりしている。こういうプロジェクトが相当幾つかあるということでなかなか分かりにくいんですが、政府としては、これらの事業の、あるいは研究開発の進み具合、進捗状況をある程度総合的に、あるいは全体的に把握できているんだろうか。あるいは、そもそもそういう把握する機能をどこか持っているんだろうかと。もし持っているとすれば、そこがそれぞれのプロジェクトについて状況を見て適切に評価をし、場合によっては関連する分野を結び付けたり、あるいはあっちとこっちをうまく調整を図ったり、場合によっては統合したり、こういうことも必要になってくるんではないかと思うんですね。  この分野というのは、まさしく先端的な分野ですから研究者もそういう意味では非常にたくさんいるというわけでは必ずしもない。とすると、そういう知的能力を持った人たちを非常にうまく集約して発揮していただくような仕組みを作らないと、何かあっちにばらばらこっちにばらばらということではまずいんじゃないか。しかも、もう一つ気になるのは、結構大学の壁みたいなのがあって、あるいは研究室の壁みたいなのがあって、それがばらばらにやっているといかにも非効率的ではないかという印象を実は心配も含めて持つわけで、果たしてそういうことをやっておられるんでしょうかね。どこがどんなふうにやっておられるのか、ちょっと御説明いただけますか。
  32. 上原哲

    政府参考人(上原哲君) 先ほど申し上げましたが、分野別の戦略の一環としてライフサイエンスをまず最初に五か年を見通した計画を作ってございまして、それが毎年度どういうふうに、そういう具体的に先生今御指摘の、企画され立案され、それが実施されて評価されてフィードバックが掛かって、それが次の年度へどういうふうに生かされているかという御質問かと思いますが、基本的には、まず現在、今作業を進めている段階でございますが、科学技術に関します基本方針と申しましょうか、資源、お金とか人材の資源配分方針というのを現在、今策定しておりまして、これはずっと毎年毎年作っているわけでございまして、その中でもライフサイエンスが非常に重要視されてございまして、そういうまず基本方針を作って、それを各省の方々が予算要求に当たって考慮していただくと。その考慮したものを、次に九月の段階になりますと、個別のプロジェクトにつきまして、例えば、SABC付けと言っているんですが、個別のプロジェクトの中身がいいものであるか悪いものであるかということを審査させていただきまして、これはSということで非常に優先順位が高いもの、Cについては少し見直していただきたいという御指摘をさせていただいております。  その中で、個別のプロジェクトが各省連携してやらなきゃならぬもの、例えば平成十六年度のケースで申し上げますと、第三次対がん十か年総合戦略に基づく研究開発というのが十六年度予算で約二百億ぐらいでございまして、それが大体十年間ぐらい続くというものでございますが、これは文部科学省と厚生労働省がんセンターなり大学が共同してやるものですから、そういうものにつきましても個別に、プロジェクトごとお話を聞かせていただきまして、大学がやるべきが望ましいもの、それからがんセンターでやっていく方がいいものという形でプロジェクトごとに評価をさせていただいてございまして、それが予算に具体的に反映させていただいているという現状でございます。
  33. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 そうすると、そういうことを、ちょっと確認ですが、どこが担っておられるんですか。内閣府の総合科学技術会議というところが担っているんですか、それともそうではないのか、ちょっとその担っているところ。
  34. 上原哲

    政府参考人(上原哲君) 御指摘のとおりでございまして、私どもが事務局をやっております総合科学技術会議で、有識者並びに関係大臣の下で、最終的にはそういう御報告を申し上げて全体をやっているものでございます。
  35. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今御答弁のあったとおりでございますが、私もその会議に出させていただいておりまして、そのBT、正式にはどういう名前だったか、BT戦略会議、戦略会議。ここで日本のこのBT関係が置かれております現状というものの分析がかなり行われる。  トータルで申し上げますと、日本は決してこの分野で進んでいる国とは言えない、むしろ後塵を拝している可能性もあると。だから、かなりここに積極的に取り組んでいかないと、なかなか将来他の国々と肩を並べてやっていくということができないのではないかと。むしろ、日本の国が諸外国を抜いてこの分野で優位な立場に立つということが今の状況では無理ではないかというのが全体としての私はまとめであったというふうに思っておりまして、それを切り開いていくために今一番何が必要なのかということが議論をされております。  一つは、やはり先ほど朝日議員も御指摘になりましたように、人が十分に育成されていない。現在の大学におきましても、十分それを育成するだけの体制ができているかというと、それも少し問題点がある。そうしたことで、どういうふうに今後人を育成していくかという問題と、それから、日本としてこれからどこを重点に取り組んでいくべきか。基礎的な研究ができておりますけれども、その基礎的な研究を、それを実用化させていくというところの結び付きがなかなか日本の国としてはうまくできていない。そこの結び付けをどうしていくかといったようなことが議論をされておりまして、そのための対策をこうすべきだという御意見がその中から専門家の中で出ているというのが現状ではないかというふうに、私は出させていただいた認識としてそういうふうに思っております。
  36. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 今のその戦略会議でいろいろ検討がされているということでありますので、是非そこでの十分なる検討をお願いしたいんですが、私は、大きく言って三つの壁というかバリアがあると思うんですね。  一つは、官と民のバリアが一つありそうだと。そこを何とか突破しようという努力は最近かなりできてきていると。それから今度は、大学と大学、研究室と研究室の間のバリアというの、これがまた結構学会も含めてある。それともう一つは、各省庁の壁というんですか、三つあると思うんですね。  ですから、その省庁の壁、大学の壁、そして官民の壁をどうブレークスルーして有能な人材を集めるかということがキーポイントだと私は思うので、是非、その戦略会議と名付けられている会議での中身ある議論を是非お願いをしたいし、リーダーシップを発揮していただきたいというふうに思います。  その上で、幾つかの留意しなければいけない課題があるということで、三点ほどお尋ねします。  その第一は、つまり、いわゆるライフサイエンス、バイオサイエンス、あるいはバイオテクノロジーの研究開発を進めていくに当たって、一体どこでどんな研究がされているんだろうかとか、あるいはどこまでそれが進んでいるんだろうかとか、どんな領域に来ているんだろうかということが必ずしも、専門的な分野でもあることもあって、なかなか理解しにくい点があると。しかし、関係者あるいはそういう研究施設がある地域の住民の皆さんには、少しでも広くよく理解をしていただくために、今どんなことをやっているんだという情報の公開というか、情報の提供を是非積極的にやっていく必要があると思うんですね。そのことによってできるだけ丁寧な解説をして、少しでも広く御理解をいただくというバックグラウンドがないと、こういうプロジェクトはなかなか、えてして壁にぶつかることがしばしばあるわけで、そういう点について、どんな基本的な考え方、問題意識をお持ちか、どんなふうにされようとしているのか。これは内閣府の方からと、さらには厚生労働省の方から御意見、お考えを聞かせていただければと思います。
  37. 上原哲

    政府参考人(上原哲君) 先ほど申し上げましたとおり、バイオテクノロジーの戦略大綱の第三番目が国民的理解の圧倒的推進ということで、先生の御指摘のとおりでございます。  そういう観点から、こういうバイオテクノロジーが国民生活に入っていく場合には、必ず国民的理解の下で実施するべきだというのは我々も考えてございまして、そういう意味で、新しい技術社会に適用されるときに問題を起こさないような形の、ないしは国民的理解の下で実施していくことが非常に重要だという考え方の下に、国民理解の促進のための総合戦略ということで、バイオテクノロジーに関する国民理解の促進についてという報告書を取りまとめると同時に、例えば図入りの「バイオテクノロジー戦略大綱」というような冊子を発行いたしまして、そういうものの理解を、より分かりやすいものの理解をすると同時に、現在、非常に情報通信発達しておりまして、ホームページが盛んでございますので、各省のホームページを全部官邸に集めてリンクできるようなシステムを作るなどの対策を講じてございまして、こういうもの、非常に重要でございますので、私どもも一生懸命やってまいりたいと思っております。  以上でございます。
  38. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今のお話の続きでございますけれども、このバイオテクノロジー戦略大綱の中で、大きな飛躍を目指した三つの戦略というのを実は立てておりまして、一つは、研究開発の徹底的充実、これ、戦略一でございます。戦略二としまして、産業化プロセスの抜本的強化というのが二番。三番目に、国民理解の徹底的浸透というのが三番目に実はなっておりまして、やはりここにおきましても、国民理解の徹底的浸透というのがなければこのBT産業あるいはBT研究というのは成り立たないという基本的な考え方がここでも述べられているわけでございます。  これをより分かりやすくするために、国民の皆さんに、より良く生きる、より良く食べる、より良く暮らす、この生きる、食べる、暮らすというこのことにBTというものをいかに実現をしていくか、ここにいかに貢献をさせていくかということが中心でなければならないと。研究者もそういうことに注目をしてやっていかなければならないし、そして利用者に対しましても、そういう方針でやっていくということを徹底して理解をしていただくようにしていかなければいけないというのが一つのまとめに実はなっているわけでございます。積極的なPR、情報公開というものがこれはもう避けて通れない課題であるということがこの中でも議論をされているところでございます。
  39. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 十分留意すべき、配慮すべき事項の第一が情報の積極的な公開、提供であります。  二つ目の留意点は、個人情報の取扱いの問題です。これは、特に私、これからどんなふうに展開していくのかかなり心配をしている面もあって、特にゲノム分析、あるいはゲノムに基づく遺伝子情報が相当解析されていく、で、蓄積されていく、これはもう究極の個人情報ではないかと私は思うんですが、これを研究開発の中でどうしても扱っていくステップにもう既に入ってきている。もう改めて言うまでもなく、極めてセンシティブな個人情報について、どうこれを保護していくのかという課題があります。  既に総合的な、包括的な個人情報保護というのは法律としてできたわけですけれども、あれは私に言わせれば、随分大きく網を掛けたものですから、遺伝子情報などという究極の個人情報の保護という観点から見ると、とてもじゃないけれども大ざっぱ過ぎるというふうに思えてならない。個別の個人情報保護法の検討も含めて、この個人情報保護についてどのように考えられているのか、あるいは今後どのようにされていこうとするのか、基本的なお考えをお尋ねします。
  40. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 確かにこのゲノムの問題は、御指摘のとおり、最終的な個人情報と言ってもいいというふうに私も思っております。ここをどう管理をしていくのか、研究をすると同時にここをどうしていくのかといったことがやはりこの戦略会議におきましてもかなり議論をされました。  今後、この研究を進めていくに当たってそこをどうしていくか、そしてまた、研究者研究をしたことが、それは知的財産としてその人の財産になり得るのかどうかといったようなことも含めてでございますけれども、しかしそこには個人情報が含まれているということでございますので、ここは、これは厚生労働省だけの範囲にとどまらないことでございまして、全体として今後この問題は、バイオテクノロジーの進展と同時に、これは決着付けていかなきゃならない大きな問題になってきているというふうに理解をいたしておりますし、そして諸外国の例等もそこで参考にも出されていたりもするわけでございますが、国々によって取扱いも現在のところはばらばらの状況でございます。  日本としてこれからこの問題を発展をさせていきますためには、これは情報管理というものを含めてどうするかということをやはり明確にしていかないとなかなかこのBTの研究開発も前に進まないんだろうというふうに思っています。これ、前へ進めるためにはやはりそうした整理が早く必要だというふうに私も認識をいたしております。今後、各省庁間でよく議論をさせていただいて、早く、そうしたことも含めてどう解決をするか、どう進めていくかということについての議論をやりたいというふうに思っております。  もし何か御議論がございましたら、済みません、付け加えてください。
  41. 上原哲

    政府参考人(上原哲君) 若干補足させていただきますと、先ほどのバイオテクノロジー戦略大綱の中に、BTの進展に合わせて国民各層において、倫理的、法的な、社会的問題についての理解を深めて、BTを適切に進めるルールの設定、見直しを行うということが非常に重要であるという御指摘がございまして、総合科学技術会議におきましては、そういう遺伝情報の取扱いのほか、ヒト胚の取扱い、それからクローン技術等の問題がありますので、そういう問題を検討するための専門の調査会を設けてございまして、生命倫理調査会と申しているものでございますが、現在、再生医療が非常に望まれているところでございますけれども、一番今問題となっているのはヒトクローンの問題その他がいろいろ問題になってございますので、その辺の検討を現在進めてございまして、進め方につきましても国民的理解を得ながらやっていこうということで、中間報告を昨年の十二月に取りまとめたわけでございますが、例えば、パブリックコメントと同時に、国民的理解を得る意味で東京と神戸でシンポジウムを開く等のこういう国民的理解、それから特にバイオエシックスの問題につきましてはそういう形でやらせていただいているところでございます。  それから、先ほど私、ゲノムの解読を昨年四月と申し上げたようでございまして、おととしの十二月の間違いでございます。併せて訂正させていただきます──失礼いたしました、おととしの十二月が昨年四月の間違いでございます。訂正させていただきます。どうも済みません。
  42. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっと念のためお尋ねするんですが、確かにクローンの問題なども含めて慎重に検討しなきゃいかぬということはおっしゃるとおりで、調査会を設けて議論されているというのはそれでいいんですけれども、ところで一方で、現実の実験というか研究はどんどん進みよるんですよね。特にゲノム解析の問題が進んでいきよるんで、もう膨大なデータが蓄積されようとしてきているわけですよ。  だから、一方で進んでいる事態に対しては、今後、じゃ法律そのものをどうするかということについては十分検討しましょうということで分からないでもないんですけれども、現在進行中のものに対してはどういうふうに対応するんですか、ちょっとそこは。
  43. 上原哲

    政府参考人(上原哲君) 私どもが承知している限りにおきましては、生命倫理調査会の中でそういう議論もさせていただいてございまして、例えば、今三十万人規模のゲノム情報を合わせて、病気の原因別で分類してそういう遺伝子の関係を見付けようというプロジェクトが走っているわけでございますが、そういう問題につきましても、例えばだれから血液を採取したとか、そういうのが分からない手法の問題とか、そういうガイドラインを一個一個作っているかどうかの確認をさせていただいてございまして、例えばデータが漏れて個人情報が明らかにならないような対策を講じているものについて推進していただいているというふうに思ってございます。
  44. 丸山剛司

    政府参考人(丸山剛司君) 若干補足をさせていただきます。  個人情報の保護に関しましては、平成十三年の三月に、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が共同いたしましてヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針というものを作ってございます。この中では、今先生が御指摘の個人情報の保護を徹底することということで、例えば試料を匿名化することによって研究を行う、そういった内容も盛り込まれておりまして、様々な遺伝子関係研究が行われておりますけれども、この指針に沿って現在研究が行われているところでございます。
  45. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 現在進行中の実験、研究開発についてはその倫理指針に沿ってということで、それはそれで理解をしましたが、逆に言えば、あくまでも倫理指針でありますから、どうなんでしょうか、これはどなたにお尋ねしたらいいのか。個別法の制定というところまではまだ視野に入っていないんでしょうか。たしか個人情報保護法を作るときに相当議論があって、附帯決議も含めてそういう指摘があったというふうに私理解しているんですけれども、その後の状況なり今後の方向についてはどうお考えですか。どなたか、ちょっとこれは。
  46. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) ただいま先生お尋ねの個人情報保護法の関係につきまして御説明申し上げます。  昨年の個人情報保護法の附帯決議におきまして、医療分野について個別に早急に検討し、十七年四月の同法の施行までに少なくとも一定の具体的結論を得ることと、このようにされたところでございます。  厚生労働省といたしましては、こういった状況を踏まえ、医療分野や医学研究において個人情報保護を推進するための適切な措置について検討するための場を設ける方向で準備を進めているところでございます。
  47. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 いや、今、隣でぶつぶつ言っていますけれども、間に合うんでしょうかという心配があります。いいです、いいです、お答え。  今おっしゃったように、十七年の四月までに何らかの方向を具体的に示さなきゃいけないわけですから、その割には検討が、これから検討の場を作るというのは、取組としてはかなり後手後手にというか遅れているんじゃないかというふうに思います。  私は必ずしも何が何でも法律と言うつもりはありませんけれども、しかしあれだけ個人情報保護法を作るときに議論があって、しかも一方でどんどんどんどん研究の方は進んできていて、その対応検討が後手後手に回ってしまうようではこれはまずいと思いますから、これは是非、これまでの経緯を含めて、ただ単なる倫理指針にとどまらず、よりきちっとした形の、法制度化も含めた検討を早急に進めてほしいということをこれは念を押しておきます。    〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕  その上で、留意事項の第三番目です。  今、個人情報との関係の中でも倫理という言葉が出てきましたが、これは個人情報の取扱いの問題にとどまらず、バイオ関係研究開発については極めて倫理上の問題、バイオエシックス面における十分なる対応が必要だというふうに思います。  そもそも、例えばこんな実験をしてもいいのかどうかということを含めて十分に検討をしなければいけないと思うんですが、このバイオエシックスの面での現時点での考え方なり、あるいは今後どんなふうに具体的に取り組もうとしているかについて、これもできれば内閣府と厚生労働省と両方からお聞かせください。
  48. 上原哲

    政府参考人(上原哲君) 先ほどもちょっと御紹介申し上げましたが、総合科学技術会議の中に生命倫理専門調査会を設置いたしてございまして、例えばES細胞といいまして、胚性幹細胞からできた細胞の樹立及び使用に関する指針とか、そういうものの調査検討を行うとか、先ほどもちょっと御紹介申し上げましたが、ヒト受精胚の生命の萌芽としての取扱いに関する検討とか、これ自体はクローン技術規制法に基づくものでございますが、そういう検討とか、先ほども御紹介申し上げましたとおり、そういう今、研究開発の進展に応じまして、やるべき指針類なり法律上検討を求められるものを現在鋭意検討を進めている段階でございます。
  49. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) 先生御指摘のとおり、バイオテクノロジー研究開発の推進に当たりましては倫理面への配慮が不可欠でございます。  したがいまして、厚生労働省あるいは文部科学省等の関係省庁の審議会におきまして、この点についての議論を経まして、先ほども御紹介がございましたが、例えばヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針を作成したところでございまして、その周知徹底に努めているところでございます。  その中身、主な中身を御紹介させていただきますと、インフォームド・コンセントを基本とすること、個人情報の保護を徹底すること、倫理審査委員会を設置すること、このように遵守すべき事項を示しているところでございます。  今後とも、引き続き、必要に応じまして、こういった指針の見直しあるいは運営体制の強化を図りながら、国内における医学研究における倫理性の確保に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  50. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 これ結構、研究あるいは実験というのはやり始めるとどんどんどんどんのめり込んでいくところがありますから、特にこのクローンも含め、あるいは遺伝子操作も含め、非常に倫理面での配慮を十分にしておかないといけないというのはつくづく感じますので、言わば基本原則のようなことと、それから具体的な指針というようなことと、あわせて、それぞれの研究施設における具体的な手順ということと、三段階ぐらいきちっと分けて確立をしていっていただきたいなと思います。ある種、研究、実験に携わる者にとっては耐え難い魅力を、ついつい引っ張られて入り込むことがよくありますので、是非その辺も含めてこの分野における取組をお願いしたいと思います。  以上で総合的というか総括的な御質問は一応締めくくりまして、ちょっとこれからは各論的な質問に入ります。  一つは、神戸に参りまして、医療産業都市構想という構想そのものについての御説明と同時に、その中で取り組まれている幾つかの研究について、現場の視察も含めて見せていただきました。特に神戸の医療産業都市構想の中では再生医療というところに一つの力点を置いて取り組んでおられるということでありました。これはかなり現実的なところまで入り込んだプロジェクトもあるということで大変興味深く拝見をしたんですが、その中で、ちょっと随分各論的になって申し訳ないんですが、一つ注目しましたのは、臍帯血を使った一つは移植のことと、もう一つは臍帯血を利用した再生医療研究開発のことと、二つの問題について非常に関心を持ちました。  臍帯血移植、まず厚生労働省の方に、臨床的な面でもう既に何年か前から実施されていると思いますが、臍帯血移植の実施状況と今後の取組方針について御説明をください。
  51. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 御説明申し上げます。  臍帯血移植は、我が国におきましては平成六年に初めて行われまして、平成十一年からは二万個を保存するという目標の下に公的臍帯血バンク事業、これを開始いたしております。現在保存されています臍帯血は一万八千個となっておりまして、本年中には目標を達成する見込みでございます。  さらに、平成十五年から、子供だけではなくて大人への適応も視野に入れまして細胞量の下限の引上げに取り組んでいるところでございます。これに応じまして移植例数も急増しておりまして、平成十五年度には六百例以上、七百例程度となりまして、骨髄移植と並びます白血病等血液難病の治療法として実績を上げているところでございます。  今後も、臍帯血移植の安定実施のための公的臍帯血バンク事業の運営への支援、さらに治療成績の評価、また今後の治療成績を向上させるための臍帯血の増幅技術等の研究等を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  52. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 幸い、臍帯血の移植の実施状況については比較的順調に進んでいるようであります。多分、テレビのコマーシャルも含めて、それなりの御理解をいただいているのかというふうに思うんですが。  さて、その臍帯血移植のシステムというかネットワークが一つありまして、そのシステムから一部つながる形で、今度はその臍帯血を臨床に使わなかった場合に再生医療研究に使うという仕組みがドッキングしているというか、ということのようであります。まず、そこのところ、どういう関係にあるかも含めて、臍帯血を利用した再生医療研究開発プロジェクトの現状、あるいは今後の課題などについて御説明をいただきたいと思います。特に私が関心があるのは、臍帯血をいただく場合に提供者の皆さんからちゃんとそういうことも含めて御理解をいただいているんだろうかということもやや心配になりますので、そこの点も含めて御説明ください。
  53. 丸山剛司

    政府参考人(丸山剛司君) 先生御案内のとおり、文部科学省におきましては、平成十五年度、昨年度でございますが、から十か年計画で再生医療の実現化プロジェクトというものを推進してございます。この中におきましては、臍帯血由来の幹細胞も含めまして、幹細胞を利用した再生医療の実現というものを目指して研究をしております。  臍帯血由来の幹細胞というのは、提供者の危険を伴わない、それから造血系以外にも様々な再生能力を持っているということで、重要な研究の試料であるというふうに認識しております。このため、本プロジェクトにおきましては、多くの研究機関におきまして臍帯血を用いた研究を行えますように、臍帯血移植のために収集されながらも結果として移植に不適応とされた臍帯血、こういったものを研究に有効活用するという考え方の下に、理化学研究所が窓口になりまして研究用の臍帯血バンクのネットワークの構築というものを進めております。  平成十五年度中には、臍帯血の処理や保存のための設備の整備、それから先ほど来御指摘の倫理的あるいは技術的なシステムづくりというものがほぼ完了いたしまして、現在、この研究に向けた事業の開始ができるような最終準備を整えている段階にございます。  このプロジェクトにおきましては、先生御指摘のとおり、本来は移植のために臍帯血をインフォームド・コンセントをいただいて使わせてもらうということでございますが、移植に不適応になった場合には研究に使わせていただきますというインフォームド・コンセントを別途これに加える形で取りまして実施をしておりますし、それから個人情報保護を徹底するということも含め、倫理的措置には万全を期しております。そして、なるべく多くの研究機関がこの臍帯血由来の幹細胞を用いた再生医療研究を進めるような、こういう環境づくりに取り組んでいきたいというふうに考えております。
  54. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 念のため確認ですが、その提供者の個人とここにある材料とは結び付けられないように匿名化はちゃんとされていますか。
  55. 丸山剛司

    政府参考人(丸山剛司君) 個人情報の保護に関しましては、二つの点に留意をしております。今先生御指摘の匿名化ということと、それから連結が不可能になるような仕組みと、この二つを研究に使う場合には講じております。
  56. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 関連して、ちょっと厚生労働省に、通告していなかったんで申し訳ないんですけれども、十四日、昨日、再生医療でヒト由来細胞を増殖させるのに用いるフィーダー細胞の取扱いなどについての指針を決めたというニュースがありますが、これ分かりますか。分からない。もし分かったらお答えいただきたいんですが。
  57. 藤井基之

    ○理事(藤井基之君) 厚生労働省、どうですか。
  58. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 結構です。分かりますか。関連するかなと思ったものですから。  つまり、今文部科学省の方で御説明いただいた再生医療に関する幾つかの倫理規定などを設けているというお話と、昨日厚生労働省がお決めになった再生医療でヒト由来細胞を増殖させるのに用いるフィーダー細胞の取扱いについてということは関連するというふうに思ったものですから、この点について、通告はしていませんけれども御説明いただければ有り難いなと思っているんですが、どうですか。
  59. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) この点につきましては、先ほど来、倫理指針のお話させていただきましたが、より具体的な、そういった研究の更に言わば細則的な指針の報告がなされたということでございまして、済みません、現在詳細をお持ちしておりませんが、また後ほど御報告したいと思っております。
  60. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 分かりました。  また後で御説明いただきますが、あえて聞いたのは、どうもやっぱり厚生労働省文部科学省との間でもう少し、コラボレーションというのか、協力があっていいんじゃないかということをちょっと感じているんですよ。  一定のやっぱりルールというのは共有していないとまずいと思いますし、問題意識も共有していないと、実験研究を進めていくに当たってはいろんな場面で微妙な違いが出てきてはまずいなと思ったものですから、あえて再生医療にかかわる部分について、一方では文部科学省の方で様々な指針等が検討されている、一方では厚生労働省の方でも検討されている、お話を伺うと、いや、人的交流も含めてやっているから大丈夫というお話でしたが、そこはひとつ、先ほどちょっと指摘しましたけれども、省庁間の壁が災いしてはならないという観点から是非取組をお願いしたいという意味であえてお尋ねしました。問題意識だけ受け止めていただいて、後でまた御説明をいただければと思います。    〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕  以上で少し区切りが付きましたので、研究所に関する幾つかの問題については同僚の山本議員に全面的にゆだねることとしまして、私の質問は終わります。
  61. 山本孝史

    ○山本孝史君 ということで振られましたけれども。  中医協の問題は大変深刻な問題だと私も認識をしています。診療報酬の決まり方、極めて不透明だという指摘はかねてからなされているところでして、どういう形で決まっているのか、実は中医協の場に出てきたときはもう既に事前交渉はすべて終わっていて、そこは単に最後のお飾りの場所だけになっているのかということになりますと、先ほど朝日委員指摘しましたように、これから医療制度改革の問題等踏まえて考えましても大変深刻な問題だと思っておりますので、この委員会でもしっかりこれから議論をしていかなければいけない問題だと思っております。  時間が限られておりますので、独行法の医薬基盤研究所法案について御質問いたしたいと思います。  まず、この業務の内容なんでございますが、大臣にお伺いいたしたいと思いますけれども、私は、今回新しい法人を設立されるのであれば、これまでのありました組織の再編統合というものにとどまらずに、医薬基盤研究所という名称にふさわしい業務内容とすべきであったのではないかと思っています。すなわち、今回の業務は極めて技術中心の業務内容になっておりますけれども、遺伝子バンクや組織バンクの運営、ヒト由来の試料を用いての研究指摘がありましたように社会全体の受容の下に円滑に進められるように、社会基盤の整備、あるいは関連する諸問題の解決策を戦略的に提案するといった業務もこの法人が担うべきであったのではないかというのが私の認識なんでございますが、大臣はどうお考えでございましょうか。
  62. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今お話のありましたように、研究が一方で進んでいく、そしてその研究社会の中でどういうふうに位置付けていくか、また国民の皆さん方にどういう理解を得ていくかといったことと、これは問題としては確かに御指摘いただくようにセットの問題でございます。  この研究所の中で現在の段階はすべてそれができるという体制では率直に言ってございません。しかし、御指摘の趣旨は私もそのとおりだというふうに思っておりますが、そこを、この研究所とそしてそうした社会全体のそれを受入れ方をどうしていくかということを、そうしたシステムづくりといったものとをどう連結をさせていくかということなんだろうというふうに思います。  その連結の在り方につきましては、私の方もこれからこの発足と同時に考えていきたいというふうに思いますし、もし、おっしゃるようにこの研究所の中でそうしたことももし可能であれば、それは一部そうしたこともその中でやらすということもいたしますけれども、片手間にやる仕事ではないというふうに思いますので、この研究所の問題と、それを取り巻きます整備というものと並行してやっていくということはそのとおりでございますので、注意してやっていきたいというふうに思います。
  63. 山本孝史

    ○山本孝史君 片手間の仕事でないと思います。  新法人の中でやるかどうかとおっしゃいましたが、法の十五条で業務の範囲が定められておりますので、業務の範囲にないものはできないと考えるのが普通でございますので、ここで、こういう法律でお出しになると、私はこの法人ではできないということなんだと思います。  したがって、どこでどうするのか。国家的なプロジェクトを片っ方で進めながら、朝日委員の質問に対してのお答えを聞いておりますと、研究は先に進んでいるけれども後から指針が追い掛けてくるというのはやっぱり逆なんであって、先に指針等のまずはこういう範囲内でやりましょうということが決まっていて、その上で計画が進んでいくというので、どうも皆さん方の御答弁は発想が逆になっていると私は受け止めております。  早急にこの連携在り方というものを考えていかなければいけない。どの場で考えていくかということもあると思いますが、なぜそう申し上げますかというと、先ほども御指摘がありましたけれども、平成十三年の三月二十九日に、文科省、厚労省、経産省の三省でヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針が作成がされております。平成十四年の六月十七日には、文科省と厚労省で疫学研究のための倫理指針が作成されております。  こうやっていわゆる倫理指針は作成されておりますが、昨年の七月、本委員会で武見委員が取り上げられましたように、広島県の熊野町において、文科省が助成しますがん疫学研究で人権侵害事件が起きております。これはどういうことかといいますと、生活習慣や病歴などを尋ねるアンケート調査を自治会の世話人を通じて行いまして、同時に、健診のときの採血から遺伝子情報を入手して両方のデータをマッチングするという研究でございますが、住民は調査の趣旨や採血の利用目的を全く知らされていない。それに対して文科省は、国家プロジェクトであることを強調してこの行為を正当化したというのがこの事件でございます。平成十三年十月には、ヒト細胞を使って研究をしております日本ヒト細胞学会の理事長が個人で所有していた日本人数十人のヒト細胞株が借金の担保に提供されていて、差し押さえられて競売に付されるという事件がございました。指針ができているにもかかわらず、こういった事件は実は現場では既に起きているわけであります。  そこで、文科省にお尋ねをしたい。今日は副大臣にわざわざお越しをいただいて恐縮でございますが、先ほども議論になりました三十万人ゲノム計画が文科省の管轄の下に進められておりますが、今私が触れました倫理指針はこの計画が推進される中でしっかり守られているのか、そのことについて副大臣、文科省の責任者として御答弁をいただきたいと思います。
  64. 稲葉大和

    ○副大臣(稲葉大和君) 山本先生御指摘の件につきまして、改めてこのプロジェクトの目的を御説明する必要はないかと思いますが、これからの個人個人の治療に更に奉仕できるような、そういう目的を持ったものでありますので、同時に個人の情報がそこに十分盛り込まれる、そういうこともありますから、この情報については管理をきちっとしなければならない、御指摘のとおりだと思っております。  この倫理の面につきましては、御承知のように、ヘルシンキ宣言に基づいて今御指摘の倫理指針を策定し、その倫理指針の中できっちりと事前の患者さんあるいはその提供者との意思の疎通を図るべしということと同時に、各機関において倫理面においてしっかりと倫理委員会を設けてチェックするように、こう規定されているわけであります。言うなれば、それぞれの機関においての倫理委員会、さらにこのプロジェクトの推進委員会においても倫理委員会を設けてダブルチェックを果たしているわけであって、我々としましては、二重のセーフティーネットを掛けているものと思っております。
  65. 山本孝史

    ○山本孝史君 二重のセーフティーネットを掛けていると思っている、思いたいというお立場はよく分かるのです。しかし、申し上げましたように、指針を作っているにもかかわらず、現場ではその指針に反するような事態が起きているということは、先ほど申し上げましたように、広島県の熊野町の問題であれ、あるいはヒト細胞株が競売に付されるといったような売買の対象、あるいは価値が付いてくるといったような想定されていない事態も生じているわけですね。  それを起こらないようにということで指針を作っているわけですが、この指針がきちんと守られているのかと。今、副大臣おっしゃったように、大学の中に倫理の委員会がある、あるいは病院の中にも倫理委員会があります。形は整ってきていると思います。思いますが、残念ながら守られていないという事態があるものですから、今、とりわけ大変大きな規模で行われている三十万人のゲノムの遺伝子バンクというものがその中で指針がしっかり守られているんですねと。守られていることを、責任ある立場の方がしっかり守らせていますということを御答弁をいただきたいんです。そうでなかったら、これは文科省としてこのプロジェクトを進めていけないと思うから、しっかりとして副大臣にお答えをいただきたいのです。
  66. 稲葉大和

    ○副大臣(稲葉大和君) 私どもとしましては、おっしゃられるとおりの、きちっと守らせるように指導している、かように確信しております。
  67. 山本孝史

    ○山本孝史君 守られていないという事態が起きたときは、副大臣、政治責任になりますから、これは大臣としてしっかりここは、この御答弁を覚えておいていただいて、現場の指導をしていただきたいというふうに思います。  なぜこんなふうに申し上げているかといいますと、指針が確かに定められてはいるのですけれども、細胞や組織の提供あるいは研究の利用、その試料というものが一体だれに所有をしているのかという所有権の問題ですとか、あるいは売買ということについて、私は明確に定められているというふうには、何回か読みましたけれども、思えませんでした。すべてやはり研究者の裁量あるいは研究者の倫理観にゆだねられているというのが現実なんじゃないだろうかと思っています。  そういう意味で、この倫理指針の遵守されている状況、私は必ずしもそうとは思いませんけれども、この倫理指針というものを、先ほど朝日委員検討しなさいと、こうおっしゃいましたけれども、私はやはり法律として作っていくということが極めて重要なのではないかと思います。  法律を作るという話なので大臣に御答弁をいただきたいと思っておりますが、なぜ法律事項にしなければいけないかということですけれども、それは、きちっとした日本の中の研究がそうしたものに守られている、従ってやっているんだということを国民にもあるいは諸外国にも示すという意味において、私はやはり法律事項になっているということは極めて重要だと思っています。イギリスでもあるいはほかの国でもそういったものがちゃんと法律として存在をしているわけですから、日本がいつまでも指針であっていいと思いませんので、法律事項にするお考えはあるのかないのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  68. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 確かに難しい問題が含まれておりますことは十分認識をいたしておりますし、ただ、先ほど山本議員がおっしゃいましたように、法律やいわゆるその他の問題が後追いをしていくというお話がございました。確かに後追いにはなっておりますが、予期していないような様々な研究が先に進行するものですから、どうしてもそこは、それに追っ掛けてそこをどう規制をしていくかという話になってくることは、ある意味では、自然科学とそれを取り巻きます問題として、ある意味では私はやむを得ない側面もあるというふうに思っております。  しかし、それはできるだけ早くそこは整理をしていかなければなりませんので、自然科学の方が急速に進歩をして、それを、いつまでもそれを放置をしていくということはでき得ない。やはり法律が、私は、法律が必要かどうかということの検討も含めてでございますけれども、早くそれは結論を出したいというふうに思っております。  私の個人的な考え方でございますけれども、私も何らかの法律が必要ではないかというふうに私個人は思っております。
  69. 山本孝史

    ○山本孝史君 今回のこの研究所法案のためにいろいろな資料等を読んでおりましてやっぱり非常に心配になるのは、厚労省と文科省でそれぞれに研究をしていたりとか倫理指針をそれぞれに定めていくとか、あるいはいわゆるミレニアムプロジェクトで始まって、森さんの一声でぼんとお金が付いて五年計画でやりますとかという話になった。それをどこでやるんだといったら、それは内閣府というところに下りてきたと。今日聞いておりましても、内閣府というものが統括してやっているわけではなくて、それぞれのところがそれぞれなりに動いておられるんですね、国家プロジェクトといいながら。先ほども御指摘があった行政の縦割りと研究者の縦割りというものがあって、本当にこれで大丈夫なんだろうかと、だれに聞いたら、この質問だれにしたらいいんだろうと、こう思ってしまうわけです。  それで、大臣は今、厚生省としての、厚生労働省としてのお立場でお答えをいただいたわけですが、先ほど内閣府の方に、質問通告していないというか、私はお呼びしていないんだけれども、ちょっとお残りをいただいてとこう申し上げたのは、先ほど、生命倫理の専門調査会を設けて中間報告を昨年十二月に出したと、こういう御答弁だった。私、この中間報告というものに目を通しておりませんので、その内容の中で、これまでに作ってきました指針というものをどう評価しておられて、その指針で十分だという御認識なのか、あるいはその先何かまだ検討をこの調査会でしていくというような中間報告になっているのか、そこのところ御紹介をいただければと思います。
  70. 上原哲

    政府参考人(上原哲君) お答え申し上げます。  今のまず検討状況でございますが、昨年八月二十六日に中間報告を出して、御指摘のとおり出してございまして、それ以降、パブリックコメントそれからシンポジウムを、昨年、失礼いたしました、昨年十二月二十六日にヒト胚の在り方に対する中間報告を出してございまして、それを踏まえましてパブリックコメントその他実施している段階でございます。  それで、その検討の中身でございますが、ヒト胚の倫理的地位はどういうふうに考えていったらいいか、それから研究目的の受精胚の作成、利用をどういうふうに考えていっていいか、それから人クローン胚、特にクローン胚が再生医療の問題で大きな問題でございますので、そういうものの作成、利用をどういうふうに考えていったらいいか、それから、それに引き続きまして、そういう物の考え方に基づきまして制度的枠組みをどうしていったらいいかという四点について今現在検討を進めてございまして、十二月の段階報告書も意見が分かれているところでございまして、鋭意今審議を再開いたしまして、パブリックコメント並びにシンポジウムの結果を踏まえまして今検討を進めている段階でございます。
  71. 山本孝史

    ○山本孝史君 済みません、ヒト胚のと、こうおっしゃっているんで、そうすると、この調査会はヒト胚の利用だとか研究だとかということに関する倫理の調査会、こういう理解でしょうか。
  72. 上原哲

    政府参考人(上原哲君) 当然、先ほどもちょっと御説明を申しましたが、ES細胞の樹立の問題とか使用の問題とか、そういうものについても検討を既に終了させておりますので、今、当面、ヒト胚の取扱いについて法律で委任されている関係上、その点を中心にやってございますが、並行いたしまして、そういうガイドラインがどういうふうに運用されているとか、そういうことについてのヒアリングなども実施いたしているところでございます。
  73. 山本孝史

    ○山本孝史君 重ねてお尋ねしますが、そうすると、生命倫理全体に関する法律的な整備、あるいは生命倫理に関する研究ですとかの仕方について今ガイドラインというものが幾つか出てきているわけだけれども、そういうものを総合して、先ほども、昨日ですか、何か一つのまた指針が出ましたとかというようなお話ししておられるわけだけれども、総合的な、生命倫理に関するようなことをトータルに考えていく調査会なのか、あるいは個別の問題に対して考えておられる調査会なのか。すなわち、私どもとしては、私としては、これからこの内閣府の調査会の検討状況に期待をしていいのか、あるいは何かそこにもう少し出てくるのかということなんです、聞きたいのは。
  74. 上原哲

    政府参考人(上原哲君) 私どもといたしましては、現在、今、法律で委任されている部分はヒト胚の問題でございますが、生命倫理の一環といたしまして、今先生御指摘の点も含めて、全体について検討すべきだというふうに考えてございます。
  75. 山本孝史

    ○山本孝史君 分かりました。  是非早急に、やはり私、科学の進歩に追い付かない、そういうものが出てきたときにどうするかというふうにおっしゃったんだけれども、大臣は。諸外国でもう既にいろんな問題が生じているわけですし、私、それに対して法律の整備は、外国の場合はやってきている、そのことについて後追いをしていっていいのかどうか。あるいは、私は法律の整備とまでは言わないまでも、国会ないし社会の中で、こうしたヒト由来の様々な情報をどう利用していくのか、あるいはそれを受け止めていくのかということについての議論がないと研究などというものは社会的に定着しないと思うのです。  多分これから先こういうことが起きてくるんだろうというのは、遺伝子の情報が解明をされて、人の遺伝子が解明されて、これから先、いわゆるテーラーメード医療ということをおっしゃっておられる。そうすると、遺伝子診断導入されてくると、このテーラーメード医療によって患者の選別が当然行われるという事態が生じてくるはずではないだろうか。すなわち、いい意味でとらえますと、あなたにはこの薬は、あなたの遺伝子から判断するに、あなたにはこの薬は効きません、あなたにこの薬を使ったときは副作用が少ないからこの薬を使いましょうという話。いい面でとらえればそうなんですが、しかし、あなたにはもう使う薬はないんです、あなたの遺伝子では今のところ治療はできませんという言い方もある意味でできるわけですね。しかし、患者の側は、とにかく今試せるものはみんな試してほしいと、こう思うわけですから、そこにすごい医師患者の間にあつれきが生じるわけです。  必ずしも、残念ですけれども、日本医療の現場は医者と患者の間の信頼関係が十分に成立しているわけではないという中において、こうした新しい技術が入ってくるということについてどう受け止めをするのかということの議論を私はしていかなければいけないのじゃないか、そういう議論ができる土壌を作っていかないと私はゲノムの研究などというものは進まないのではないかと思っています。したがって、それを一体だれがある意味では仕掛けるのか、だれが議論をリードするのか。  国会の議事録を検索しても、テーラーメード医療ですとかオーダーメード医療ですとかということを検索語に入れても余り出てこないんですね。遺伝子という問題についてもほとんど出てこない。クローンのときの技術、クローンの規制法のときはあったけれども、それでも非常に表面的な議論に終わってしまっている。そうすると、これは内閣府のお仕事なのか、研究を進めておられる文科省のお仕事なのか厚労省のお仕事なのか。  私は、どこがおやりになるのかはそれぞれ協議だと思いますけれども、もっと国民の中に、この遺伝子情報というか、これから進んでくる医学の新しい局面というものについてどう対応していったらいいのかということの議論をするような、私は参議院なら参議院でそういう調査会を作ってやるのが一番いいのかもしれないと思いますけれども、そういう継続的な議論をする必要性がある、国会の側もそれから行政の側も、そういう思いがいたしました。質問ではなくて、私の今回の法案に対して質問を準備したときの一番のこれが思いです。だれがと言ったら、多分あそこがここがとおっしゃるだろうからそれ以上聞きませんけれども、そう思います。  それで、もう一つ、やはり朝日委員がお触れになりました個人情報保護法が来年の四月に施行される、それまでに医療に関する個人情報の保護に関する法の整備はしていかなければいけない。先ほど上田審議官は、これから検討の場を作ると、こうおっしゃいましたので、思わず、一年間でどこまで一体結論ができるんだろうと思いますけれども、これから検討の場は一体どういう検討の場を作ろうとしておられるのか、どこまでその検討をしようと思っておられるのか、法の附帯決議に付いております内容についてどう受け止めておられるのか、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  76. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) この問題につきましては、当然、厚生労働省も考えながら、あるいは他省庁との意見交換をしながら進めてきたところでございます。  この場におきまして、やはり私ども、医療分野ですとかあるいは医学研究の分野を考えているわけでございますが、こういった参加のメンバーの方をこれから検討しながら、できるだけ早くその場を設けて、その場におきましてそれぞれの立場から御意見をいただきながら、今後の対応を進めていきたいというふうに考えております。
  77. 山本孝史

    ○山本孝史君 ですから、法律はもう既に施行されているのです、個人情報保護法は。その議論の中で附帯決議が付いたんです。その附帯決議をどう実現するかということについては、それぞれこれから協議しながらとおっしゃっているが、これは医療に関する情報なので、これは厚生労働省のお仕事なんです。これは内閣府がうんうんとうなずいておられますが、これは厚生労働省が、すなわち医療情報は厚生労働省が、情報通信はどこが、金融通信はどこがというふうに決まっているんです、受持ちが。だから、これは厚生労働省の仕事なんです。厚生労働省がこれから検討の場を作るというのは、一年間何やってきたんですかと。  これからも一年間の間に具体的な一定の結論を得なければいけないわけで、これからだれにお願いしてどうしましょうかなんて言っていたら到底間に合わないと思うし、一年間何やってきたんですかということについてちゃんと答えてください。これからどうするかということについて、もうちょっと具体的に御答弁ください。
  78. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) 先ほどお話ししましたように、個別法を早急に検討し、十七年四月の同法の施行までに少なくとも一定の具体的結論を得るというふうにされておりますので、やはり私ども、これを受けまして、検討の場を設けるということでございます。  したがいまして、この検討の場につきましても、できるだけ早くということで努力していきたいというふうに思っております。
  79. 山本孝史

    ○山本孝史君 答弁繰り返しになっただけなんで。はい、どうぞ。
  80. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは文部科学省ともそれから内閣府ともよく御相談しなきゃならないところでございまして、厚生労働省だけでやはりここも決めていてはいけない話だというふうに思っております。  したがいまして、早急に文部科学省とよく連携させていただいて、そしてその内容を詰める。大体、詰めなきゃならない論点というのはもう分かっているわけでありますから、そこをどうするかの話でありまして、より具体的にそこをどう、どうするかというのはどう決めるかということにもなるんだろうというふうに思いますから、論点、一つ一つチェックできて、そしてそれが実現できるように、これは早急にやりますから、お答えしたいというふうに思っております。
  81. 山本孝史

    ○山本孝史君 去年の六月十三日の関係省庁の申合せによって個人情報保護関係省庁連絡会議というものが既に設置をされておりまして、内閣府事務次官が長になって、各省庁の職員をもって構成するとなっております。内閣府の国民生活局が連絡会議の庶務をしている。既に連絡会議はあるのです。だから、形だけにとどめないでしっかりとしたものを作る。一年間何もやってなかったということだけよく分かりましたけれども、できるだけ早急な対応をしていただきたいし、またその対応についてこの委員会でも御報告をいただきたいと思います。  それから、この平成十四年、ですから一昨年になりますか、この十二月に、元々の独立行政法人医薬品医療機器総合機構法案の審議をこの委員会でしました折に、坂口厚生労働大臣が整理をしていただいた事項がございます。その整理事項に基づいて今、医薬品医療機器総合機構が動き始めているのだと思いますが、最初の御質問は、この大臣御整理いただいた中で、審議会、審議機関の問題なんですけれども、医薬品等による健康被害を受け方々の代表を含めた学識経験者の幅広い意見を反映するため、現行の評議員会に相当する審議機関をこの総合機構の規制と振興の部門ごとに設置をするという整理をいただきました。  この点についてお伺いしたいのですが、この審議会への大臣が御整理になりました医薬品等による健康被害を受け方々の代表の参加というものはどういうふうに整理をされたのか、審議会全体の構成も含めてお知らせをいただきたいと思います。
  82. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘いただきました大臣の御発言がございまして、それを受けまして、独立行政法人の、新しく機構についてどういう形で審議会を設置するかということで、厚生労働省といたしましても検討いたしまして、その結果を機構の方に申し送りをいたしたところでございます。  最終的には機構の方で決定するわけでございますけれども、今お話がございましたように、まず、規制にかかわります審議会には被害救済と審査、安全対策についての委員会を設けるということ、それから被害者の代表者が規制にかかわる審議会、振興にかかわる審議会及びその委員会に参加するということを機構の方に申し送っております。  これから、御指摘の具体的な審議機関の、審議会の構成員でございますとか等々につきましては、今現在機構において検討が行われるというふうに承知をいたしております。
  83. 山本孝史

    ○山本孝史君 済みません、宮島理事長にお越しをいただいておりますので、どういう検討状況になっているのか、お知らせくださいますか。
  84. 宮島彰

    参考人宮島彰君) 当機構といたしましては、厚生労働省から申し送られました事項を踏まえまして、早急に審議会を立ち上げたいというふうに思っております。  現在段階検討しています中身について少し御説明したいと思いますが、審議機関につきましては、今お話にもありましたように、いわゆる救済、審査、安全、いわゆる規制を担当する審議機関とそれから研究部門を担当する審議機関、この二つを一応設置するという予定にしています。  規制を担当する審議機関の下には二つの委員会を設置する予定にしておりまして、一つは救済業務を担当する委員会、もう一つ審査、安全の業務を担当する委員会というものを予定しております。  それから、被害者の代表の方々に参加していただく人数でございますけれども、これも厚生労働省から申し送られた事項の中では一応五名という人数をいただいております。その中で、今申しましたように、審議機関の本体と各委員会にそれぞれ参加していただくという予定になっておるところでございます。
  85. 山本孝史

    ○山本孝史君 五人というふうにおっしゃったんですが、審議会そのものの全体の構成の人数、あるいはほかにはどういう方が参加される審議会になるんでしょうか。
  86. 宮島彰

    参考人宮島彰君) 審議機関につきましては、現在のところ、二十名以内で構成するという予定にしております。基本的には学識経験者を中心としておりまして、関係者の方、いわゆる大学の先生でありますとか研究機関の方々、それから関係する団体、これはいわゆる製薬メーカーの関係の団体もありますし、それからいわゆる医師なり薬剤師という関係の団体もございます。それから、病院現場の方々ということで病院長という方々の代表も入ってまいる予定になっております。それから、いわゆる一般消費者の代表の方ですね、そういう方々にも入っていただくと。それから、もちろん、今申しましたように、被害者の代表の方々にも入っていただく、そんな構成で今整理しているところでございます。  それから、開催のものにつきましても今整理しておりますけれども、審議機関の開催につきましては原則二回程度を予定しております。それから、それに加えまして、各委員会につきましても原則それぞれ二回程度開こうかと。ただ、特定の、別に審議する事項があるとかあるいは開催の要望があればこれに加えまして適宜開催すると、こんな形でやっていきたいというふうに思っております。
  87. 山本孝史

    ○山本孝史君 審議会が二回、委員会が二回、必要に応じて開催すると、こういうふうなことでおっしゃいました。  審議会で、予算、決算の審議でいえば年二回というような話で、三月に開いて五月に開いたらそれで終わってしまうというのではちょっと形だけになると思いますし、とりわけ、委員会がもっと、何でしょう、実際には機能しなきゃいけないわけですから、委員会も年二回と言われますと、もう形だけというか、お飾りになってしまう。それでは本来作った審議機関の意味がないと私は思うんですね。  もう少しそこはやっぱり機能させる、何か今の宮島さんの御答弁聞いていると、機能させたくないという思いの中で答えられているように受け止めてしまいますが、というのはちょっと言い過ぎでしょうか。もう少し機能させるという方向で審議会なり委員会を動かしていくという、そういう御答弁をいただきたいと思いますが。
  88. 宮島彰

    参考人宮島彰君) 先ほど言いました、現段階で私どもが整理している原則でございますので、当然、審議会なり委員会の持ち方等につきましては、またその審議会の会議の中でいろいろ御議論いただいて、またより良い方向に持っていきたいと思っていますが、基本的には、本体の審議機関については今お話ししました予算、決算なり年度計画という基本的な方針を御審議いただいて、各委員会についてはいわゆる現実に行われています業務についていろいろ御意見等をいただくという役割分担で、特に委員会の方はおっしゃるように機動的に審議を行っていくという形が、審議会本体とは違いましてそういう形も必要かと思いますので、そういうものを踏まえながら検討していきたいというふうに思っています。
  89. 山本孝史

    ○山本孝史君 私、個人的な思いも含めて申し上げますと、独行法の理事長は大変大きな権限を持っている。独行法の理事長に総理大臣は天下りは認めない、こういうお話をされたわけですけれども、私、事この医薬品総合機構の話は、宮島さんに責任を持って、厚生省時代からあるいはその前のこの機構のところからの引継ぎ、あるいは大臣がここで御答弁された整理された事項を誠実に実現をしていただく、そのためには新しい人がここに来られて全く違う方向に行ってしまうのは困るので、現段階宮島新理事長を私は歓迎をしております。そういう意味で、しっかりとしたここは御答弁をしていただかないと、違う方向に行ってしまっているというのは困るんです。  そういう意味で、これからどう動かしていくかということについては、これまでも被害者の皆さん方とお会いをいただく中で細部を決めてきていただいている部分がありますが、新法人の発足の前にこうした被害者の皆さん方と面談をするということは、大臣あるいは宮島理事長はお約束事であったというふうに思っております。残念ながらまだ実現をしておりませんので、まだこれからいろんなことを細部決めていくというふうにさっき御答弁いただきましたので、大臣並びに宮島理事長に、これから細部を決めるに当たって、患者皆さんあるいは被害者の健康被害、医薬品等による健康被害を受け方々の代表の皆さん方とお会いを早急にいただきたいと思いますが、大臣並びに理事長の方から御答弁をいただきたいと思います。
  90. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 前回の、昨年であったと思いますけれども、この委員会でお約束をしたことでございます。それ以後、局長を中心にしまして患者の会の皆さん方とのお話合いは頻繁に行ってくれておりまして、いろいろの点で御意見をお聞きをし、そして整理すべきところは整理ができてきたというふうに思っております。皆さん方の方もかなり自分たちの意見を取り入れてもらったというふうに理解をしていただいておるように聞いております。  そうしたことを踏まえてきておりますので、私もいいときを見てひとつお会いをさせていただいて、最終的ないろいろの御意見もお聞きしたいというふうに思っております。できるだけ早く私もやりたいと思っております。
  91. 宮島彰

    参考人宮島彰君) 法人発足後、先日も私が被害者の代表の方々とお会いしまして意見交換を一度行いました。その後、若干未調整の部分も残っておりますので、その整理を引き続き進めまして、再度今月中には被害者の代表の方々とお会いする予定にしております。
  92. 山本孝史

    ○山本孝史君 よろしくお願いします。大臣の指示はよく聞いてくださるようでございますので、よろしくお願いしたいと思います。  それで、ちょっと私も確認の意味でもう一遍ここだけお伺いしておかなければいけないと思っているのは、規制と振興の部門ごとに今回審議会が設置をされる、ここまでは了承するんですが、今度、医薬基盤研究所ができますと、この総合機構の方の振興部門はこっちの医薬基盤研究所に移るわけですね。そうすると、医薬基盤研究所の方には審議会というものがまず設置をされるのかどうか。その設置されたところには医薬品等による健康被害を受け方々の代表も含めるという形になるのか。ここにあるのが、組織はこっちに移って、新しい法人に移りますので、当然、審議会も私は移ると、こう理解をしているのですが、その理解でよろしいでしょうか。
  93. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 法人の設立に向けまして検討を進めていくことになるわけでございますが、御指摘の機関を設置するということになっていくだろうというふうに思います。
  94. 山本孝史

    ○山本孝史君 医薬基盤研究所法案の中には、審議機関ということについては触れていないのです。法律には触れていないんだけれども、実際にどう動かしていくかについてはそれぞれその理事長さんなりが決めるということになっていますので、今、そのようにしていくと、こうおっしゃいましたので、そう理解していてよろしいですね。審議機関のようなもの、すなわち、今の医薬品医療機器総合機構に設置されているような審議会がこちらの医薬基盤研究所にも設置をされる、そこには医薬品等における健康被害を受け方々の代表者も含まれると理解してよろしいでしょうか。
  95. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 堅苦しいことを言いますと、本当は、もうここで独法ができたわけでございますからその理事長さんがお決めになることであって、私が余分なことを言う立場には本当はないわけでございます。  しかし、過去からの経緯、この独法を作るということの経緯の点から申しますと、何らかのやはりその独法の取り巻きます問題についてやはり意見を言っていただく、あるいはまたこういうことをやるべきだというようなことを発言をしていただく、そうしたことが大事なことは当然でございますので、私は、そうしていただけるのではないかと、こう申し上げたわけでございまして、御趣旨を十分に尊重したいと思っております。
  96. 山本孝史

    ○山本孝史君 済みません。  宮島理事長は医薬品医療機器総合機構の理事長なので、それはそれでいいのですが、これから新しく作る医薬基盤研究所の方、ここの辺り、理事長が、これは後の質問として、どんな理事長を選ぶんですかというのが質問なんですが、ここのところにも、大臣が整理をされたことを踏まえていけば、当然審議会ができて、そこには健康被害を受け方々の代表も含まれると、こう理解してよろしいでしょうかというのが質問です。
  97. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 済みません、ちょっと勘違いをいたしておりまして。  新しくできる方のお話でございますが、新しくできる方の審議会というものは、新しい、できました時点でそちらの方に私は作りたいというふうに思っております。  理事長さんの話はこれからでございますか。
  98. 山本孝史

    ○山本孝史君 大臣の御指示を理事長が受けて、理事長がそれを誠実に実行されているんですね。これは形の上では僕、少しおかしいと思うんですが、しかし、宮島理事長は、大臣の御指示をいただいておりますので、それでしっかりとその範囲内でやっておりますと、こういうことになるのでしょうか。  新しくできる医薬基盤研究所も、私の理解では、当然、現在総合機構にある、二つの審議会がありますが、研究振興部門はこの新しい医薬基盤研究所ができると今の総合機構から移ってきますので、審議会も当然、移るかどうかは別にして、そういう同じような審議会が当然医薬基盤研究所の方にできるのだろうと、そこには医療品等における健康被害を受け方々の代表も含まれるのだと。  そのとき大臣おられたらいいんですが、内閣改造がうわさされておりますので、この場で現大臣として、この法案を、医薬基盤研究所法案を審議したときの大臣としてそのことはしっかり次の大臣に申し送りをすると、ここでそういう御答弁をいただいておかないと、次の大臣は、自分の判断で決める、あるいは次の医薬基盤研究所の理事長が決めることだというふうにおっしゃりかねないので、これまでの前法案の審議、あるいはそこでの大臣の整理踏まえて、ここで御答弁をいただいておきたいのです。お願いします。
  99. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 新しい独法ができましたらそこに新しい理事長が生まれるわけでございますから、そこの理事長の下にすべてのことは進められるわけでございます。しかし、その新しい理事長が誕生するまでの間の経緯と申しますか、その経緯はこの国会において議論をされたことにかなり影響を受けてできること、間違いがないわけでございます。こういう経緯があって、そしてこの振興部門が新しい独法の中に入ることになったということを、私が替わりますときにはよく御説明を申し上げたいというふうに思っております。多分そのころにはもう替わっていると思いますので、忘れずに覚えておいておきたいと思います。
  100. 山本孝史

    ○山本孝史君 明確な御答弁だけいただければいいんです。だから、経緯がありました、したがって新しい医薬基盤研究所にも審議機関のようなものを設けます、現大臣としては設けたいと思っています、そこには健康被害の代表者も含めるという整理をしてきましたので、それを次の大臣に申し送りをするということで理解してよろしいですね。理解してよろしいかどうかということだけで御答弁ください。済みません。
  101. 坂口力

    国務大臣坂口力君) おおむね理解をしていただいて結構でございます。
  102. 山本孝史

    ○山本孝史君 後であなたが誤解していたんだと言われないように、ここにおられる委員皆さん方も是非聞いておいていただきたいと思います。  少し細部になりますが、そうすると、心配しております、先ほど、どういう人をそのトップに据えるかということで早く御答弁したいというような思いでございましたが、医薬基盤研究所の理事長にはどういう人が選ばれるのがいいのか、どういう形で決めていこうとしておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  103. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この独法の理事長さんの選択というのは、なかなかこれは難しいんだろうというふうに思っております。一つは、やはりゲノム科学でありますとかたんぱく科学でありますとか、こうしたことに対しての先端的な研究に従事をしておみえになった、そのことに対する理解が十分にできるということが一つの大きな柱になると思いますし、そしてもう一方におきましては組織運営ということができる人でなければならない、両面を持ち合わせていただいているということが大変大事なことだというふうに思っております。そうした側面から選考を進めさせていただいて、最も適当な方にお願いをするということになるというふうに思っております。
  104. 山本孝史

    ○山本孝史君 この理事長の選び方、非常に私は難しいだろうと、私も思います。ただし、お願いしておきたいのは、生命倫理ですとかバイオエシックスという問題に非常に敏感である人と同時に、片一方で、医薬基盤の研究所なので、どういう研究を採択するかということについては極めてビジネスマインドなんですね。しかし、片一方で、ある意味ではお金を使って国家的プロジェクトとして研究を進める一方で、片一方でしっかりとした生命倫理というものを守っていくんだという、この両方の感覚、バランスよく持っておられる方でないといけないわけです。そこのところをしっかりと認識をして選ぶんだということで、むしろどういう形で選ぼうとしておられるのかということを分かる形にしていただく方がいいのかなと思っています。  なぜそんなことを申し上げているかというと、先ほど申し上げましたように、ここの医薬基盤研究所の業務は技術中心の形になっていまして、しかし、必ずしも倫理が、倫理ですとかあるいは指針が守られていない、守られているとは言えない状況があるわけですから、例えば研究内容、この医薬基盤研究所が採択している研究の内容あるいはその研究に基づいて行われている業務というものがきちんと指針が守られているのか、あるいは国民の理解が求められているのかというような、倫理面からチェックする部局というものがこの新しい医薬基盤研究所の中にもないといけないと思うんです。  さっき審議会のことをしつこく聞いているのは、そういうものを設けないと多分オープンな形で決まっていかないだろうし、この業務というものが、必ずしも生命倫理というものを社会の中に広めていくということについてこの医薬基盤研究所が業務としては定められていませんから、そうすると、そういう部局が、セクションが医薬基盤研究所の中に要ると私は思うんです。その辺どういうふうに考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  105. 坂口力

    国務大臣坂口力君) この医薬基盤研究所というのは、先ほども申しましたとおり、研究面とそれからその他のものと両面持ってはいるというふうに思いますが、私は、倫理面のことでありますとかそうしたことは、この研究所だけの問題ではないんですね。ほかの研究所にもそれは当てはまる問題でなければならないし、国全体としてのこれは問題になってまいりますから、私は、個々の研究機関の中にそれぞれ一つ一つ作って、そこでまた、余りまた違うことを決められてもこれ具合が悪いわけでございますから、もう少しそこは束ねた形で、そこに、どういう倫理規定を持ち、どういうふうなプライバシーを保護していくかというようなことについての枠組みとかそうしたことについては、私は、個々の中になくてもいい、もう少し広い範囲で、そうした皆さん方に、そこがちゃんと守っていただけるような体制を作るということでいいのではないかというふうに私は思っております。
  106. 山本孝史

    ○山本孝史君 具体のこれからこういう研究所にしていきますということについて検討していかれるんだと思いますので、そうしたものをまた教えていただく中で、こうした方がいいんじゃないかというようなまた御意見も言わせていただければと思っています。  ここの研究所がやりますのが、どちらかというと委託研究ということで、外部に研究をお願いするという形になっていますので、委託研究先はどのようなプロセスを経て選定されるのか。いろんな方面からの要望としましては、研究がうまく進めば製品化に着手する意向がある企業というようなベンチャー的な企業があれば、そしてまた、その研究が、目利きの人がいて、この研究をやれば非常に製品化が早いと思われるような研究があればそれを優先的に採用するといったような要望も出ているわけですけれども、どういったプロセスを経てこの委託研究先を決めていかれるのか、そこのところについてお尋ねしたいと存じます。
  107. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 現在、機構の方でも既にこうした業務が進められておりますが、現在、機構では、学識経験者等で構成される外部委員会で申請のあった研究課題や事業目標の評価を実施し、委託先の選定を行うことにしております。特に、適正な評価を行うという観点から、一次評価、二次評価という二段階評価を実施しております。  厚生労働省としては、委託先の選定を行うに際しまして、こういう外部の学識経験者による評価が極めて重要と考えております。現在、評価機構でこのように行われているということですので、今後できることになりますこの医薬基盤研究所におきましても、同様の外部機関を設置しまして、同じようなプロセスで中立公正な選定を努めてまいりたいと考えております。
  108. 山本孝史

    ○山本孝史君 企業秘密にかかわる部分もあるので難しいとは理解しておりますが、透明性のあるプロセスを経て研究が決定されていく。これまでの機構の中で必ずしも、投資をしたからそれがすぐ戻ってくるかと言われるとなかなか難しい領域だと思うんですけれども、しかし、税金を使ってやることですから、国民の側にもこういうやはりメリットがあるんだということも示せるような研究を選ぶということも重要なんだと思うんですね。  国の試験研究機関を独行法にするときに一番やはり私は問題になってくるのは、すぐに成果が出ない仕事だけれども、研究だけれどもやらなければいけない研究がある。しかし、中期計画上すぐに成果を求められるというものが研究者の側に非常に意識としてあって、そういう研究に偏っていってしまって、だれもやらない研究というか、本当に重要なんだけれどもだれもやらない研究が残ってしまうというのが、実は国立の試験研究機関におられる皆さん方の独行法化されるときの最大の心配点だったと思います。そこについてしっかりこたえてあげれるような機構にしていただきたいと思います。  質問時間が短くなってきましたので最後の質問なんですが、文部省に長いこと残っていただいていて申し訳ないんですが、私も、聞いていてというか、いろいろ資料をいただいてやっぱり分からないのは、厚労省と文科省の間でそれぞれ同じような研究をしている。間で一体どういう連携を持って研究しているのだろうと思います。  いずれもオーダーメード医療の実現を目指して、厚労省側はヒトゲノム解析研究を今の機構の中でもやっておられますし、片一方で、文科省の方は、先ほどから議論になっております三十万人のバイオバンクというもので試料の収集をしておられる。厚労省のプロジェクトが動いている、これで遺伝子バンクがこの医薬基盤研究所に移ってくれば、そこを中心にいろんなことをしておられる。そこでもやはり個人、人から得たいろんな情報を持っておられる、試料を持っておられる。こちら側で、東大医科研を中心として三十万人の遺伝子バンクを作ろうとしておられる。  国家的プロジェクトといいながら、何か同じようなことを二つのところでやっておられて、どう違うんですか、どう二つの間で連携しているんですかと昨日もお聞きしたんですが、私が納得いく答えが得られませんでしたので、もう一度この場で、一体この二つの研究はどういう連携を持ってやっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  109. 丸山剛司

    政府参考人(丸山剛司君) 私ども、厚生労働省の国立感染症研究所で実施されております遺伝子バンクにつきましては、概略承知しているところでは、既知の遺伝子について、研究者の求めに応じて、いろいろな研究用途のために幅広く安定的に供給できるようなものというふうに理解をしてございます。  他方、先生御指摘の、私どもの文部科学省で行っております個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクトといいますものは、ヒトのゲノムの約三十億ある塩基配列のうち、九九・九%は共通ですけれども、約〇・一%について個人差があると。その差によってある病気にかかったりかからないということがございます。それから、薬の副作用を受け受けないといった、そういう差がございます。その点に着目いたしまして、遺伝情報の差異と疾患との関連を統計的に明らかにしようというのが私どもの研究の内容でございます。  したがいまして、この統計的処理のためには多数のサンプルが必要であるということで、私どものプロジェクトにおきまして、約四十の疾患について合計三十万人の患者さんから臨床情報とともに血液サンプルの御提供を、インフォームド・コンセントそれから倫理の指針をきちんと守った上で御提供をいただくということにしております。  我が国において、こういう統計的な処理をした研究、遺伝情報と疾病の相関関係を見るというための利用可能なバンクはございませんので、文部科学省のプロジェクトの一環としてこういうバンクを整備せざるを得ないというのが実態でございます。ただし、このバンクにつきましても、このプロジェクトの研究者が利用することは当然でございますけれども、ほかの研究者に対しましても、研究内容が倫理的な面で問題がないということを確認した上で、幅広く研究の推進の観点から血液のサンプルとか臨床情報を提供していきたいというふうに考えております。  先生御指摘のように、その違いはなかなか説明は難しいのでございますが、私どもと厚生労働省の事業の目的や内容というのは異なっておりますが、遺伝子に関する研究を幅広く両省で協力しながら推進するという観点から、必要な連携は十分に図っていきたいというふうに考えております。
  110. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今お話のあったとおりでございますが、文部科学省でおやりをいただいている研究というのは非常に基礎的な研究、非常に基礎に近い研究を中心にしておやりをいただいているというふうに理解をいたしております。厚生労働省関係のところでやっております研究は、どちらかといえば治療に近いところの研究をやっているということだとふうに思っております。  もちろん、そういう立て分けはいたしておりますけれども、中にはそれは、厚生労働省のやっておりますものも、基礎的なことに多少近いことも、それは関係してくることもございますし、そういうことはございますけれども、大きく分けますとそういうことではないかというふうに思います。  この医薬基盤研究所が今度できまして、そしてここでやることは基礎的なことになるわけでございますけれども、ここは実際問題として本当に薬に限定をした基礎的なこと、そしてその薬がいわゆる、何と申しますかね、世の中に出てそれで大変商売になるものは、それはやられていくんだろうと思うんですけれども、しかしそうでないものもあるわけですね。本当は特別な、例えば数は少ない患者さんだけれども、その疾患に関する薬というのは必要なことがあるわけで、そうしたことをこの基礎研究所におきましては、他のところではなかなかやっていただけないことをここで引き受けてやっていくといったようなことが私は大事ではないかというふうに理解をいたしております。  そして、この基盤研究所は、いろいろなところを、こことタイアップをしていただくところがたくさん必要でございますし、この研究所ができることは、その周辺に多くの研究機関でありますとか、あるいはまたそれを更に実用化するための製薬企業でありますとか、そうしたかなり大きな広がりを持ったものだというふうに思っておりまして、先生が大阪だからというて申し上げるわけではありませんけれども、これは東京ではなくて大阪にできたということに私は非常に大きな意味があるというふうに思っておりまして、非常にここは広がりのある、これは中心になるのではないかと、やはりそういうふうにしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
  111. 山本孝史

    ○山本孝史君 もう質問時間過ぎてしまって申し訳ありません。  文部科学省と厚生労働省のそれぞれのプロジェクトがきちっと連携を取り合ってやっていただく方がより効果的だと私は思いますし、その倫理に関するいろんな規定の整備ということについて内閣府もやはり総合的な責任がおありになるだろうと思っています。そういう意味で、それぞれお願いをさせていただきました。  稲葉副大臣、そして宮島理事長、ありがとうございました。どうぞよろしくお願いします。
  112. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 午前の質疑はこの程度とし、午後三時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ─────・─────    午後三時三十分開会
  113. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、柳田稔君及び浜四津敏子君が委員辞任され、その補欠として平田健二君及び木庭健太郎君が選任されました。     ─────────────
  114. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 休憩前に引き続き、独立行政法人医薬基盤研究所法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  115. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  法案質疑に先立って、昨日、日本歯科医師会の臼田会長らの逮捕がありました。これに関してお尋ねしたい。  東京地検特捜部の発表した被疑事実によれば、中医協で歯科医師会に有利な意見を述べてほしいという趣旨の贈収賄であります。収賄側は下村健健保連副会長らで、贈賄側は臼田貞夫日本歯科医師会長らであります。下村容疑者は厚労省社会保険庁のOBだ。臼田容疑者は厚労省管轄の公益法人である日本歯科医師会のトップであります。しかも、事件の舞台は中医協で、これは国民の受け医療内容にこれ重大な影響を与える診療報酬の改定をめぐる贈収賄だと。  大臣にお伺いしますが、こういう性格の贈収賄であって、これは厚労省としての責任、私、重大だと思うんですが、どう考えていらっしゃいますか。
  116. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今朝も朝日委員に御答弁を申し上げたところでございますが、これが事実とすれば誠に遺憾なことであり、我々も重大な関心を持ってこの処置に当たらなければならないというふうに思っております。もう少し検察等の調べの経緯も必要でございますが、我々も責任のあることでございますから十分に対応したいというふうに考えております。
  117. 小池晃

    ○小池晃君 これは診療報酬の改定をめぐる贈収賄ですから、私は、厚生労働行政の公正性が問われる、そういう性格の問題だと。そういう認識ございますか。
  118. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 中医協は、これはもうオープンにいたしておりますし、皆さん方にどのように御発言をしていただいているかということはすべてオープンになっております。その中医協におきますそれぞれの委員皆さん方の御発言というものは、私は今日まで信頼をしてきたところでございますが、そうしたことに何らかの影響があったかどうかということは現在の段階では分からないことでございます。しかし、体制的には私はこの皆さん方の御意見というものが十分に生かされてきたというふうに思っているところでございます。  今後、もう少し経緯を見て私たちも検討したいと思っております。
  119. 小池晃

    ○小池晃君 ちょっと事実関係確認したいんですけれども、下村容疑者、加藤容疑者から歯科診療報酬改定の内容について厚生労働省に対して中医協の場以外で何らかの働き掛けがあったと、そういう事実ございますか。
  120. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今も申しましたとおり、これは、中医協の中でそれぞれの方が発言をされて、それが集約されて一つの結論になるわけでございますから、その中医協の場でどのように発言をされているかというところまで現在私は調べておりません。  厚生労働省の方にそういうことがあったかどうかということも、今ちょっとここで御答弁をすることはでき得ませんけれども、これはやっぱりちゃんと調査をしなければいけないというふうに思っております。少なくとも私のところにはそういう話はございませんでした。
  121. 小池晃

    ○小池晃君 これ、司直の手に任せるということにはならないと。やはり、厚労省として調査されると言ったので、これ全力を挙げるということを求めたいと思います。  そもそもこういう事件なぜ起こるのかということに関して言うと、私は、背景としてやはり歯科医師会と歯科医師政治連盟が一体となった集金活動が横行しているという問題があると思うんです。これによって多額の資金が生まれて、そういう資金が政治家や今回のように中医協の委員にまでばらまかれているということではないだろうか。ここにメス入れない限り、私はこうした疑惑の根を絶つことできないと思います。  この間、この問題、私も何度も取り上げてまいりましたが、その後、今日も、こういう事態あったんで朝からいろいろと調べてみたら、それだけでも次から次へと事実出てくるわけであります。  これは山梨県の歯科医師会が歯科医師会の名前で会員の医療機関に送った文書なんですが、この中には、会費の通知なんですけれども、山梨県歯科医師会会費と政治連盟会費、それから日本歯科医師会会費と政治連盟会費がこれ一緒くたに全部記載されて合計額として示されている。これが医療機関に送られている。正にこれ、混然一体となった集金活動の、私、動かぬ証拠だと思う。  それから、後で厚労省にはこれお渡ししますけれども、北海道の歯科医師会が会員に送った領収書のコピーがございます。これははがきで送られているんですが、歯科医師会費十五年度前期分五万円、日本歯科医師政治連盟の会費十五年度分三万三千円、北海道歯科医師政治連盟会費十五年度分一万円、その他国保料など全部合計して十八万四千九百七十三円が北海道歯科医師会の発行した領収書で会員に送られているわけです。  さらに、これは医師会、歯科医師会でなく医師会ですが、神戸市の医師会が会員に送ったこれ二枚の請求書がございます。これ、全く書式も同じだと。片やこれ医師会費、片や連盟会費なんです。これ、振り込み口座両方とも書いてあるんですが、どちらも大和銀行神戸支店、それから神戸中央郵便局、それぞれ口座番号は全く同じで、口座名義人は両方とも社団法人神戸市医師会となっている。この送り付けられた請求書に同封されていたのがこの振り込み用紙でございまして、この振り込み用紙には医師会費と政治連盟の会費を合計した金額が書かれて、口座名は神戸市医師会、ここに振り込んでくださいと。つまり、医師会費も政治連盟の会費も医師会の口座に全く一緒に振り込まれているという、こういう構図あるわけですよ。こんなことやったら、どこまでが医師会費でどこまでが連盟会費なんて、これは峻別のしようがないわけです。  この問題は私も何度も取り上げてきましたが、こういう医師会や歯科医師会とそれから政治連盟を一体となって集金活動やるということに私は重大な問題があると考えておりますが、大臣の認識いかがですか。
  122. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは以前にも御答弁申し上げたことがあるというふうに思いますが、医師会は、これは厚生労働省の管轄でございますが、医師会政治連盟でありますとか歯科医師政治連盟でありますというのは我々の、この厚生労働省の範囲のことではございません。  ただし、そうではございますけれども、今御指摘のように、医師会と医師政治連盟、それから歯科医師会と歯科医師政治連盟の会費を一緒に集めるとか、あるいはまた同じ場所に存在をするとか同じ口座にするとかというようなことは、これは避けなければならない。それは別の話であって、別にすべきだということを各種団体に対しましても流しているところでございますし、何度もそれは我々の方といたしましては各種団体に言っているところでございます。  しかし、そういうふうに流しております、流しているといいますか、皆さん方にもそういうふうにして申し上げているところでございますけれども、それでもなおかつそういう事態が今後も続いているということであれば、現在も続いているということであれば、ひとつしっかりとその辺は一遍調査をして再度確認をしたいというふうに思います。
  123. 小池晃

    ○小池晃君 これが続いているんですよ、依然として。これ、通達出してそれで終わりじゃなくて、今、大臣、調査するとおっしゃったんで、これ是非調査していただきたい。これ全国調査すべきですよ、こういう実態がもう本当に。だって、私、今朝から調べただけでこれだけ情報来るんですよ。これは厚労省がもう全体としてやればもっともっとこれはっきり全貌分かるはずだ。これは是非調査すべきだというふうに思います。  政治連盟の活動の中身も、これ見てみますと、例えば中野区の、東京の中野区の歯科医師政治連盟の例をちょっと御紹介しますと、昨年九月二十七日に中野区歯科医師会の会館の講堂で総会が行われているんです。会長のあいさつがちゃんと報告書になっています。どういうあいさつかというと、四月の中野区議会議員選挙におきまして所期の目的を達成し、山崎芳夫区議が当選できましたことは、先生方のお力添えのおかげです。ありがとうございました。来年七月に参議院選挙があります。我々の業界より日本歯科医師連盟公認の笹井啓史氏、厚労省の出身の方ですね、が立候補いたしますと、こういうごあいさつされていて、その後は粕谷茂前衆議院議員、川井重勇都議会議員があいさつをして、正に自民党の後援会の決起集会みたいなことをやっているわけです。  川井都議はこんなことを言っている。粕谷茂前衆議院議員を東京都連盟の特別枠推薦で比例区で押し上げたいということで話を進めておりますと。定年は七十三歳ですが、総裁・総理経験者、それに準ずる働きが党にあった方という特例がありますと。東京都連盟、まあ歯科医師連盟ですね、正にそれに準ずる働きをなさった方ということで、認めていただけるかどうかは国レベルの問題となるので今現在分かりませんが、そうしたいと。正に候補者の決定にまで歯科医師連盟として取り組んでいるということを書いているわけで、これ事実としては重大だと。  私は、中野区のこれ調べてみますと、歯科医師政治連盟の会費は、日本歯科医師連盟が三万三千円、東京都連盟一万五千円、中野区歯科医師連盟が二万円ですから、これ合計、先生方一人当たり六万八千円の政治連盟会費を払っているわけです。これが膨大に集められて、それが言わば医師会員、歯科医師会員から自動的にこれだけの巨額なお金が集められて、それが自民党の政治活動に使われているとしたら、これは私重大な事態だと、こんなことを許していていいのかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。  こういったことがまかり通っているんですよ。こういったことに対して、これは連盟の問題だというふうにおっしゃるけれども、歯科医師会と全く一体となってやっている以上、これは厚生労働省として物を言うべきじゃないですか。いかがですか。
  124. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 政治連盟の中でどういうふうに行われているか、そこでどういう発言をされたかというところまで我々は関知することではないと思っております。
  125. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、今回こういう事件にまでなってきていると。これは歯科医師、中野区歯科医師連盟の会長は言っているんですね。我々の仕事というのはどういう仕事かなと、こういうふうに言っているんですよ。連盟の仕事というのは、社会保険の問題、また委託事業、学校歯科健診、三歳児健診等に関し関係各所と折衝し歯科界の立場を主張すると。政治力がないとできないから、こういう政治力を発揮してやろうと。正に連盟の政治力を使って厚生行政を、これ動かしていこうということを言っているわけですね。これはちゃんと会員に公然と配られているあいさつですよ。  だから私、これは政治連盟だから関係ないじゃ済まされない。正に今回の事件がそれを示しているじゃないですか。この混然と一体となった集金活動によって莫大なお金、そしてそれが峻別されていないから、どこまでが医師会のお金でどこまでが政治連盟だか分からない。そういう金が正に厚生行政を動かす、診療報酬の点数を変えるために使われていると。こういう実態があるのに、それは政治連盟の話で関係ありませんじゃ済まないでしょう。  これ、厚生大臣として、こういう実態があるのであれば、やはりただすべきところはただすと、私は当然そういう態度で臨むべきだと考えますが、大臣、いかがですか。
  126. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 政治連盟がどういうことを主張されるか、それは政治連盟がお決めになることでございます。  政治連盟というんですから、それは政治をどう動かそうかと皆思われるでしょう。それはほかの団体でも同じことでありまして、政治に対してどういう働き掛けをするかということをやはりそれはお考えになって政治連盟をお作りになっているわけでありますから、我々の主張を政治にひとつ反映させようということに、おっしゃるのはそれは当然のことだといえば当然のことだというふうに思うわけであります。だから、そのことと今回のこととがそんな直接関係あるということではないというふうに私は理解をいたしております。
  127. 小池晃

    ○小池晃君 そんなことを断定できる段階じゃないと思いますよ、事実がまだ分かんないって大臣だっておっしゃったんだし。これは徹底的に、こういう事実関係について厚生労働省の責任で私は明らかにすることを求めたいと。先ほどおっしゃいましたから、それはやっていただくということで。  委員会に対しては、これは診療報酬の改定にかかわる疑惑ですから、私はこれはもう正に厚生行政にかかわる重大問題だと思います。日本歯科医師会の代表の参考人招致を求めます。会長と言いたいところですが、逮捕されていますので、それに代わる代表を呼んでいただきたい。それから、疑惑が起こった当時も現在も中医協の会長を務めておられるのは星野進保さんですので、この両名の参考人招致を求めますが、いかがでしょうか。
  128. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 後日、理事会において協議させていただきます。
  129. 小池晃

    ○小池晃君 それから厚労省には、これは〇二年度の歯科診療報酬改定の経過にかかわる疑惑であります。この歯科診療報酬改定の経過についての、どういう議論がなされたか、それから日本歯科医師会あるいは今回逮捕された容疑者からどのような働き掛けがあったのか、大至急調査をして資料を提出することを要求いたします。  それでは、法案の質疑に入りますが、医薬品基盤研究所法案の問題です。  この法案によって、独立行政法人医薬品医療機器総合機構から研究開発振興業務が分離をされます。機構法案の審議の際にこれ大問題になりまして、規制と振興という全く正反対の業務を同じ法人でやるということが大問題になった。大臣も発言があって、研究開発振興業務の分離を検討するということで、これは分離が決議されたことに基づいて今回こういう方向になっている。これは過去の薬害の教訓からも当然だとは思います。  同時に、問題なのは、国立の医薬品食品衛生研究所と感染症研究所の業務の一部もこれは新しい法人に統合されてまいります。しかも身分は非公務員型と。これまで公務員だった研究員がこれ非公務員になるわけで、雇用の問題も不安定になりますし、研究業務の安定的な継続に支障が出るおそれが大きいのではないかというふうに思うわけです。  これは元々、九五年に、当時の厚生省が基盤技術開発研究所、まあ仮の名前ですが、これ提唱したときには、これ国立の研究所として設置するという計画を出しておられた。それから、平成十三年三月三十一日に、大阪大学の岸本総長を主任研究者とする基盤技術研究所の在り方についての厚生科学研究、この検討会の最終報告でも、研究者の身分についてはこれは国家公務員の身分を与えることが適当だと言っているんです。  そこでお伺いしたいんですが、この研究所の研究員の身分を国家公務員であることが適当だと言った理由は何なんでしょうか。
  130. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) お答えいたします。  この岸本先生、主任研究者であります岸本先生の最終報告書によりますと、ただいま御指摘の点でございますが、「その研究者等の身分については、本研究所の研究成果技術の移転は、医薬品等開発の基盤となるものであることから、特定の個人や企業を利することなく、適正かつ効率的に行う必要があること、研究資源の提供のための標準化は公平に行う必要があること、現実問題としてその職員の一部は、さまざまな専門領域にわたり、複数の国立研究機関から異動することとなることなどから、国家公務員の身分を与えることが適当であると考える。」というふうになっております。
  131. 小池晃

    ○小池晃君 私、この最終報告書の今のお話もっともだと思うんですね、そのとおりだと。しかも、現在の職員の身分、労働条件を後退させないためにも、それから公平中立に研究技術移転を進めるためにも私は国家公務員の身分にすべきだったというふうに思うんですが、なぜ今回非公務員型というふうにされたんでしょうか。
  132. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) 平成七年に当時の厚生省におきまして国立試験研究機関の再編を進める構想を取りまとめ、その一環として医薬品等の基盤的研究を行う国立の機関として設立することを計画したところでございます。しかしながら、その後の行政改革の流れの中で独立行政法人制度が創設され、公権力の行使や国の危機管理等の業務を行うものを除き、国立試験研究機関について独立行政法人化すべく具体的な検討を行うこととされたところであります。こうした流れの中で、基盤研究所は、その業務の性格から国立試験研究機関ではなく独立行政法人として設立すべきものと判断したところでございます。  また、先ほど御指摘の岸本先生の研究報告書においては、基盤研究所について公務員型として設立することが適当と考えられるとされたところでございます。  しかしながら、独立行政法人通則法におきましては、業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に著しい支障を及ぼすと認められるもの、また、法人の目的、業務の性格等を総合的に勘案して、その役職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められるもの、このようなものに限定して公務員の身分を付与することとされているところでありまして、医薬基盤研究所につきましては、いずれの要件にも該当しないものというふうに考えているところでございます。  さらに、医薬基盤研究所におきましては、産学官の連携による共同研究を視野に入れた研究の推進を予定しているところでありまして、そのためには、身分の異動を伴わず、民間企業から等の人材を受け入れることが可能な非公務員型の方が望ましいと考えているところでございます。
  133. 小池晃

    ○小池晃君 いや、私は説明になっていないと思うんですね。だって、先ほどの岸本大阪大学総長の報告書では、要するに特定の個人や企業を利することになるから公務員型だと言っていたわけですよ。なのに、今の説明は民間から受け入れやすいから公務員型でないんだと。これ全然違うわけですね。百八十度違うじゃないですか。これ、民間企業との連携を進める部門だからこそ正に公平性や中立性ということが大事になるんだと、それを指摘したのが私、この最終報告書だったはずなんです。ところが、それを全く捨て去ってしまった。  私、これ、研究成果とかあるいは技術の移転について、この報告書で言っているように、特定の個人や企業を利することなく行うことというのが、これ公務員型でなくて担保する仕組みというのはあるんですか。そういう仕組みはできているんですか。
  134. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) まず、独立行政法人につきましては、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業を行うものであることから、役職員が公正かつ適正に業務を実施することは当然のことというふうに考えております。したがいまして、医薬基盤研究所の業務の実施に当たりましては、産官学が連携した研究を行うという特性にかんがみ、公平性にも十分に配慮することが必要であるというふうに考えておりまして、例えば外部評価の導入といった担保を行うことを積極的に進めていくとか、あるいはまた研究所の役職員に法律上守秘義務を課すとともに、刑法等の罰則の適用については公務員とみなすこととしておりまして、公平中立な法人運営が行われるよう法律上も厳正な取扱いとしているところでございます。
  135. 小池晃

    ○小池晃君 公平性、中立性を保つようにするというのは当然のことでありますけれども、以前の報告書では、やはりそれはできないから、だから公務員型にする必要があるというふうに言っていたのに、今回非公務員型にしたということは、非公務員型にしても公平性、中立性が守られるというちゃんときちんとした担保があるからそう言ったんでしょうと。それはあるんですかと聞いているんです。
  136. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) ですから、先ほど申し上げましたように、公平性にも十分配慮する必要がございますから、外部評価の、評価の導入といった、こういったことも含めましてそういった対応を進めていきたいというふうに思っております。
  137. 小池晃

    ○小池晃君 それじゃちょっと駄目だと思うんですね。  それから、その継続性という問題もこの報告書では触れているわけですけれども、採算性が期待されない基盤的研究とかあるいは生物資源管理、これは利益優先を優先とする民間企業ではなかなか担えない公的な研究なわけです。それを行う機関なわけです。特に生物資源研究部門については、効率性が追求されるとこれは予算や定員が削減されるんじゃないかという不安が起こっているそうですが、研究の継続性という点ではどうなんですか。これはどのように担保するというふうにおっしゃるんですか。
  138. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) ただいま先生の方から生物資源の研究につきまして御質問いただいたわけでありますが、まず生物資源のこの部門につきましては、基盤的研究部門とそれから研究振興部門と並ぶ医薬基盤研究所の重要な三部門の一つでございまして、薬用植物、医学実験用霊長類、小動物、細胞、遺伝子などの生物資源を開発し、そして医薬品等開発に資する役割を担っているところでございます。この業務については法律上も明確に規定しているところでありまして、具体的な業務の推進の内容につきましては研究所の中期目標等において位置付けられるものでありますが、医薬基盤研究所の業務の重要な柱というふうに考えているところでございます。  なお、独立行政法人制度におきましては、毎年度、評価委員会等による業績の評価が行われますので、医薬基盤研究所全体として生物資源研究の活性化を図っていくことが大切であるというふうに考えております。
  139. 小池晃

    ○小池晃君 この研究の継続性というのは、やっぱり雇用が安定しているということと私は一体だというふうに思うんです。やはり安心して職務に専念できる、そういう体制を確立してこそやはり安定的な継続した研究というのが可能になってくるんだろうというふうに思うんですね。  大臣に私お伺いしたいんですが、非常に危惧があるわけです、その中立性の問題、継続性の問題。私は、これは本当に長期的な視野に立って、国として必要なやっぱり研究を継続して、研究者育成をして、そしてやはり雇用も安定させて、安心して研究にしっかり取り組めるという体制を作るということが本当に大事だというふうに考えるんですが、大臣はその点いかがお考えですか。
  140. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今おっしゃった点につきましては、それはそのとおりだと思います。継続性を持った仕事をしていかなければならない、しかしそこで働いている人たちはそれに役立つ人でなければならない、役立たないのにずっと置いておくというわけにはそれはいかないということなんだろうと思うんです。ですから、それは御努力をいただかなければならないということになる。努力をしていただく以上、雇用も継続されるということだと私は思っております。
  141. 小池晃

    ○小池晃君 審議官に、ちょっと細かい問題ですが、職員が公務員宿舎法の適用除外とされているわけです。これは、基盤研に移って東京から大阪へ転勤となるという場合の職員の宿舎の問題ですが、これは当然確保すべきでないかと思うんですが、その点どうなんでしょうか。
  142. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) ただいま国家公務員宿舎の利用についてのお尋ねがございましたが、この国家公務員宿舎の利用につきましては、新設される非公務員型の独立行政法人として国家公務員宿舎法は適用除外とされたところでございます。  しかしながら、勤務、労働条件を整えることは極めて重要であり、研究所職員の住居の問題について鋭意取り組むこととしております。具体的には、政府から研究所に対し国家公務員宿舎を現物出資し、研究所の宿舎として職員が利用できるようにする、あるいは研究所において民間アパート等の借り上げを行い職員に貸与する、あるいは民間アパート等を借りる職員に対して住居手当の支給を行うといった、このような様々な方策が考えられるところでございます。  今後、研究所に勤務されることとなる職員の方について、現在の国家公務員宿舎の利用状況、あるいは今後の宿舎への入居希望等を勘案し、研究所設立に向けて適切に対応していくことと考えております。
  143. 小池晃

    ○小池晃君 続いて医薬品業界との癒着の問題をお伺いしたいんですけれども、基盤研究所の設立というのは、これはいわゆる医薬品産業ビジョンの中で、医薬品開発のための基盤技術研究研究資源の供給を目的として、集中的、効率的に研究を推進し、研究成果を産業界へ速やかに移転するなど、産官学連携を推進するための中核的な研究所と、こういう位置付けであります。国民医療患者の立場から見て、優れた安全な医薬品ができるだけ安く開発されるということは、これは重要なことだというふうに思います。  しかし、その産業ビジョンでは、これは国際競争力強化が強調されております。それは大事なことではありますが、結局、こういったことが前面に出てきますと、製薬大企業のための研究開発が中心になるんじゃないかと。こうした中で、職員の身分は一方で非公務員型というふうになりますと、医薬品開発に向けたプロジェクト、こういう短期的な研究を優先する体制につながりかねないんじゃないかという危惧があるんですが、その点どうなんでしょうか。そうならないという担保があるのか、お伺いしたい。
  144. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) 基盤的な研究につきましては、個別の製薬企業等のみでは十分に担い切れないような共通的な技術に関する研究を行うこととしているところでございます。このため、個別の研究課題を設定するに当たりましては、医薬品等開発に係る研究状況ですとか、ゲノム科学等の科学技術の進展、普及の状況等、こういうことを十分踏まえることが必要でございます。  そういった総合的な諸状況の判断と、それに基づく方向付けを幅広く議論しまして、外部の意見を聴取する仕組みを導入するなど、医薬品等開発の基盤整備を行う観点から、そのふさわしい研究を実施する体制について整備、そのような体制を整備できるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  145. 小池晃

    ○小池晃君 新しい職員を採用するときとか、あるいは兼業とか共同研究とか、こういう形で製薬大企業との癒着が生まれないかということが危惧されるわけであります。公的な機関として中立性とか公平性が保たれるのかという懸念があるわけであります。  この研究開発業務については、これは医薬局長の方にお伺いしたいんですが、独立行政法人医薬品医療機器総研究機構の方、これは法案審議の際に、製薬企業との癒着の防止のために人事交流を制限、規制すべきということが問題になって、これは大臣も厳格に対応すると表明されて、これ、四月から発足した機構ではどういう制限がこれは実現をしたのか、御紹介願いたいと思います。
  146. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 独立行政法人の医薬品医療機器総合機構関係でございますけれども、これにつきましては、小池委員指摘のように、国会審議の際にいろいろ議論がございまして、機構の中立性の確保という観点からいろんなことが議論がされました。詳しくは本当は理事長が答弁すべきかもしれませんけれども、経緯がございますので私の方から御紹介させていただきますが、現在、機構が定めております就業規則におきましては、まず採用時に履歴書の提出を求めると同時に誓約書を提出していただくということにしております。  誓約書の中身でございますけれども、不偏不党かつ公平に職務を遂行する、あるいは退職後二年間は営利企業の地位でその退職前五年間に在職していた職務と密接な関係にある地位に原則として就任をしない、あるいは退職後も秘密保持義務が適用される、あるいは関連企業の株式の取引を自粛するといった誓約書を提出していただくとともに、また、採用の前に営利企業に在職していた場合につきましては、採用後の二年間はその採用前五年間に在職していた業務と密接な関係にある機構の仕事には就けないというふうにする。あるいは、理事長は、このような二年、五年という規定に関係なく、機構における業務の公正性を確保するために必要と認める場合には職員が従事する仕事の範囲を制限できるといったような規定を設けておりまして、機構の中立性の確保が図られる就業規則ではないかというふうに考えております。
  147. 小池晃

    ○小池晃君 私は、この新法人の基盤研究所の方でも、やはり中立性、公平性を担保するために同様な厳しい仕組みが必要だというふうに考えますが、その点はいかがですか。
  148. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) ただいま医薬品医療機器総合機構における就業規則の状況お話がございましたが、御説明がございましたが、これらは、規制を行うという医薬品医療機器総合機構の特性を踏まえて厳格に定められているものというふうに理解しております。いやしくも中立性、公平性に誤解を招くことのないよう適切に処理していくことは必要ではございますが、一方、産官学連携を図りつつ、画期的な新薬の開発につながる基盤的研究を推進していくためには、民間企業等から優秀な人材を受け入れていくことも必要というふうに考えております。  したがいまして、医薬基盤研究所としての就業規則につきましては今後具体的に検討していくべきものでありますが、検討に当たりましては、医薬品医療機器総合機構の就業規則を参考にしながら、医薬基盤研究所の所期の目的が達せられるよう十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  149. 小池晃

    ○小池晃君 そういう共同研究するからこそ、中立性、公平性を担保する仕組みが必要なんだということを言っているわけですから、参考にするという程度ではなくて、やはり同様の基準にしていくという方向で検討すべきだというふうに考えます。  坂口大臣、いかがですか。私は、やはり横並びで考えるべきだと考えますが。
  150. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ここは横並びで考えるようにいたします。ちょっと説明が回りくどくて分かりにくかったですから、明確に申し上げておきます。
  151. 小池晃

    ○小池晃君 さて、独立行政法人は結局だれのための機関となるかということが問われると思うんですが、その点で、具体例でオーファンドラッグの開発支援の問題についてお聞きをしたいんです。  この業務は、四月から一年間は独法医薬品機構の方で行って、その後は基盤研の仕事になってくるわけですが、そもそも副作用被害救済の目的でできた副作用被害救済基金に、八七年の改正で研究振興業務がこれ加わって、薬害の被害者の皆さんは、製薬企業を支援する業務が加わるということに複雑な思いもあったとは思うんですが、オーファンドラッグの開発支援で、困っている本当に少数の患者のためになるのであればと認めてこられたと思うんです。  大臣に最初に、このオーファンドラッグの開発によって患者を本当に救済していく、ごくごく希少な病気の患者さんにしっかり治療技術を提供していくということは、これはきちんとやるべきことだというふうに思いますし、充実すべきだと思いますが、どう充実させていくのか、お考えをお聞かせいただきたい。
  152. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 確かに、難病等非常に少数の疾患がございます。しかし、その皆さん方に対する治療方法というのを早く確立をしなきゃならないという問題があるわけでございます。ただいまオーファンドラッグのお話出ましたけれども、まさしくそういう皆さん方に対する治療薬というものについては、これはなかなか民間の採算レベルに乗らない問題あるわけでございますから、そうしたところこそこの研究の中で取り上げてやっていくべきだと私も思っております。
  153. 小池晃

    ○小池晃君 そもそもの機構の出発点が被害者救済だったわけですから、やはりこうした歴史的背景からも、患者の立場に立った開発が必要だというふうに思うんです。  これまでオーファンドラッグの開発支援のために助成金、交付されてきました。これが有効に活用されているのかと。確かに、HIV抗ウイルス剤の開発、製品化などに成果はありましたが、しかし製品化されなかったものもございます。これは医政局長になるかと思うんですが、この助成金の交付の実績、これはどうなっているのか教えていただきたい。
  154. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) オーファンドラッグに指定された品目のうち、平成五年度から平成十四年度までに希少疾病用医薬品等開発振興業務において助成してきた品目は、医薬品で百六品目、医療用具で五品目、交付金額は合計で約五十一億円となっております。助成してきた品目のうち、医薬品五十四品目、医療用具一品目が既に薬事法の医薬品医療用具としての承認を取得し、製品化しております。  平成十四年度までの医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構への納付金実績は約四億円でございます。
  155. 小池晃

    ○小池晃君 聞いていないところまでお答えになったんですけれども、要するに企業がオーファンドラッグを利用して得た収入、利益から納付金が企業から入ってくるわけですが、それは四億円だと。助成金五十億円出して、結局その企業から戻ってきた納付金は四億円ということになるわけで、それから品目も、百六品目に助成をして製品化されたのは五十四品目ということですから、これ結果からいえば約半数が製品化されてないわけであります。  これは、製品化されなかった理由というのはそれぞれ公表されているのでしょうか。
  156. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) それぞれ企業の研究開発にかかわる部分ということで、企業秘密にもかかわるということから公表しておりません。
  157. 小池晃

    ○小池晃君 助成金を受け研究は絶対成功しなきゃ、製品にならなきゃ駄目だというふうには私も申しませんけれども、それできなかったのであれば、必要な薬だといいながら研究助成をして結局できなかったのであれば、なぜできなかったのかということはこれは私は示す必要があるのではないか、検証する必要があるんじゃないかと思いますよ。それは企業秘密だから駄目です、言えませんではどうなのだろうかと。  九四年度に、具体例で言いますと、九四年度にオーファンドラッグに指定された乾燥濃縮ヒト活性化血液凝固第Ⅶ因子、これは九四年から九五年の二年間助成金を受けております。これは幾ら助成金を出したのか。これ結局製品化されてないと思うんですが、なぜ製品化されなかったのかお伺いします。
  158. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 個別の品目に関する助成金額は、先ほどの研究開発に投資する企業の資金とも関連するということで公表しておりませんが、平成六年度と七年度につきまして助成金の交付の総額でいいますと、六年度が三億九千万、七年度が五億五千万ということになります。
  159. 小池晃

    ○小池晃君 これはなぜこの問題取り上げるかというと、結構大変重要な薬でありまして、これはノボノルディスクファーマが開発したリコンビナントの製品は、これ製品化されたわけであります。しかし、日本のメーカーである化研が開発を手掛けた献血由来の製剤なわけですが、これ製品化されなかったと。国内献血による自給というのが厚労省の方針であったわけですよね。多様な製剤をやはり国内メーカーで、献血由来で供給するということが私は安全性と安定供給の両面からやっぱり望ましいことなんだと。これは厚労省もそういう考え方だというふうに思うんです。  これは、今後の製品化実現するために、私は、これで駄目だったからもう終わりというのではなくて、国として当然責任を果たすべきだというふうに考えますが、医薬局長、その点いかがですか。
  160. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 血液製剤の国内自給につきましては、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の基本理念として規定されております。したがいまして、私ども厚生労働省としても、その達成に向けまして、献血量の確保あるいは血液製剤の適正使用などの取組を進めているというところでございます。  こうした取組によりまして、輸血用の血液製剤あるいはヒト血液に由来する血液凝固因子第Ⅷ因子製剤あるいは第Ⅸ因子製剤につきましては、御承知のように国内自給が達成されております。  それから、アルブミン製剤それから免疫グロブリン製剤につきましても徐々に自給率が向上しておりまして、平成十六年度にはそれぞれ五〇%あるいは八五%となる見込みでございます。  今御指摘のヒトの血液、要するに献血由来の血液凝固Ⅶ因子製剤につきましては、現在、止血効果を高めるために第Ⅹ因子を加えた製剤を国内メーカーが開発中であると聞いておりまして、私ども、実用化されれば国内自給の観点からも大変評価できるのではないかと思っております。
  161. 小池晃

    ○小池晃君 国としてやっぱりきちっと責任を果たすべきだと。こういう政策方針を掲げた以上、それを実行するという責任があるということを申し上げたい。  やはり、開発患者の本当のニーズを満たすかどうか、反映させる仕組みがあるかどうかということが大事なわけで、前回の法案審議、大変な審議をしたわけですが、やはり国民の立場に立った業務を行うということで、やはり原点に立った業務を行うためにも医薬品医療機器総合機構では被害者の代表も参加した審議機関が、規制部門と振興部門、それぞれ設置されるわけです。  今回、基盤研でも、先ほど御議論あって、もうこれは質問、私しませんが、被害者も含めた審議機関が設置されるというのは当然だと先ほど大臣からも答弁ありました。やはり作るのであれば、関係者とよく協議をして、形だけではなくてしっかり内容の伴う審議機関となるようにしていただきたいということを求めておきたいというふうに思います。  宮島理事長おいでいただいたんで、総合機構の業務運営の問題、お伺いしたいんですけれども、この総合機構の設立に当たって審査の迅速化ということ、これは前回私、この委員会で質問いたしまして、どうもその審査の迅速化ばかりが強調されていて、審査部門は大幅に体制が強化されるわけですね。一方で、安全対策とか被害救済部門の人員増はごくわずかであると。そもそものこの機構の出発点というのは、正に被害救済業務であって、それがおろそかにされるのではないかという不安起こっているわけです。  それから、分離される研究開発振興業務についても、これは国民の立場から推進するスタートが問われていると思いますが、理事長としてこの機構の発足に当たって、この組織のそもそもの原点踏まえて、どういう機構として進めていくのか、御決意をお聞かせ願いたい。
  162. 宮島彰

    参考人宮島彰君) 今度新しく発足いたしました医薬品医療機器総合機構におきましては、今、先生御指摘のように、いわゆる救済業務を中心に、新しく審査業務、それから安全対策業務、それから研究振興業務といういわゆる四つの分野の業務が行うということになるわけでございます。  救済業務につきましては、これはもう既に基金当時から二十五年ぐらいの一応実績を踏んできた業務でございますけれども、ここにおける問題点としては、一つ制度の周知がまだ不十分で、被害者の方が給付を受ける機会を十分確保されていないんではないかという指摘がございました。これにつきましては、政府広報なり、全国的な広報を展開して、制度の周知を更に一層進めていきたいと思っています。  それからもう一つは、支給事務が非常に遅いといいますか、という指摘もございました。これにつきましては、今度の新法人発足とともに三名一応増員いたしました。それに加えまして、いわゆるこれまでの症例をデータベース化して、既に、ある意味ではパターン化した症例については速く処理するというような体制とか、それから判定業務の方は厚生労働省の方で行っておりますので、どちらかといえば厚生労働省における事務についてもスピードアップを図らなきゃいけないということで、いろんな事実関係の調査なり資料の整備、これはできるだけ機構側で事前に整理した上で判定をして行うというような形で業務の合理化、効率化を図って、救済部門の業務のスピードアップと充実を図っていきたいというふうに思っております。  それに加えまして、今度新しく、審査の業務のほかに安全対策業務というのを新しく今度作られたわけでありますけれども、やはり安全対策業務、これは審査とともに私は車の両輪だと思いますけれども、いわゆる市販後、直後においてはいろんな未知のリスクなり新しいリスクが出ますので、安全対策業務をきちっと立ち上げて、従来どちらかといえばやや受け身的な形でしたけれども、医薬局長もおっしゃっていますけれども、攻めの安全対策といいますか、できれば予防段階も視野に入れた安全対策をシステマチックに組み立てるということに力を注ぎたいというふうに思っておるところでございます。  いずれにしましても、私どもの業務につきましては、やはり国民の皆様の信頼を得た体制にするということが一番大事だというふうに思っておりますので、業務の透明性なり、あるいは国民の皆さんに分かりやすい情報公開を進めまして、常日ごろより国民の皆さんの評価なり批判を受けるという形で進めてまいりたいというふうに思っております。
  163. 小池晃

    ○小池晃君 お話聞くと、何か安全対策に非常に力を入れているというふうに、そんな印象を受けるわけですが、しかし、その中身を見ますと、機構の中期計画、この間委員会でも取り上げたんですけれども、被害救済業務の事務処理については、標準的事務処理期間の八か月のうちに処理すべき目標を全請求件数の六〇%以上として、一方でその審査業務は期間中に当面七〇%、中期目標の終了時には八〇%、医療機器については九〇%と、これ横に並べて見ますと、やっぱり被害救済よりもその審査をスピードアップさせているというふうな印象を受けると、私、この問題議論したんですが、この点についてはどうなんですか。私は、この目標の数字だけ比べれば、正にこの新機構は審査をスピードアップさせてやると、安全対策は後から付いてくると、そういうふうに見えるんですが、そうでないというのなら、説明していただきたい。
  164. 宮島彰

    参考人宮島彰君) 救済業務の事務につきましては、先生御指摘のように、ここ二年間、残念ながら事務が非常に遅れているという状況が発生しております。  これは、経過を見ますと、十三年度までは申請件数がほぼ横ばいで、大体四百八十件程度で横ばいでしたけれども、十四年、十五年と非常に急増しております。その一つの背景としましては、十四年、十五年、政府広報なり、あるいは昨年から今年にかけまして全国的な新聞紙の広報を大々的に行いましたので、そういう影響もあって非常に申請件数が増加して、今年度において八百件近くまで行くということで、大体一・六倍ぐらいまで一気に膨らんでおります。  残念ながら、これまでの体制は基本的に変わっておりませんので、率直に言いますとややオーバーフローの形になって、非常にそういう意味では結果的に事務処理がだんだん遅滞化しているという状況にございます。一応、標準的な事務処理期間、八か月置いておりますけれども、従前は大体六、七割ぐらい達成できたんですけれども、それが十四年度は大体五割を割りまして、今はもっと、かなり悪化しているんではないかというふうに思っております。  そういう状況を踏まえまして、私どもとしては、やはり事務処理のスピード、迅速化を図るということで先ほどのような体制を早急に作りまして、まず、今ちょっと悪化の状況にありますから、それを下げ止めて、これからは改善の方向へ伸ばして、少なくともやっぱり中期目標にありますように六割まで、これは最低、ミニマムの目標ですので、それをミニマムとして、更に超えるぐらいのものを目指しながら進めていきたいというふうに思っております。  確かに、審査等の八〇%とか九〇%に比べますと、六〇%の低いような印象を受けますけれども、ちょっと現実の状況がそういう状況でございますので、それを踏まえた上での目標というふうに設定されたんではないかというふうに思っております。
  165. 小池晃

    ○小池晃君 それは正に皆さん方の理屈であって、それはその申請件数増えている、副作用被害が増えていることの反映なんであって、現実がそうなんだから、それよりちょっと良くなっているんだから勘弁してくださいという話じゃ済まないんですよ。これはやっぱりあるべき姿をきちっと行政として示して、それを目標に据えて頑張んないと、現状がここですから、それよりちょっと伸びているんでここは御勘弁願いたいという話じゃなくて、やはりもしそれだけ救済の申請が増えているんであれば、それにこたえるという体制を作んないといけないと。それに対してやはりしっかり責任を持った仕組みを作り上げて、人員体制も厚くして、それだけ申請が来ているんであれば、それにこたえられる人員体制を作るということをしなけりゃいけないと思うんですよ。  それに加えて、もう一つ、救済の期間なんですけれども、救済業務について、今申請期限が二年以内となっているという問題があるんですね。  これは二年間の間に副作用だというふうに気が付いて申請すればいいけれども、分からないと。後になってみればあれは薬の副作用だったんだというような事件は今までも、スティーブンス・ジョンソンなどで典型的ですけれども、あるわけですから、私は、少なくともカルテ保存期間の五年程度にこれは延長すべきだということが関係者からも要望されているし、当然取り組むべきではないかと思いますが、これは医薬局長ですか、いかがでしょうか。
  166. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 現行の医薬品副作用被害救済制度の請求期間でございますけれども、御指摘のように、医療費あるいは医療手当につきましては、費用の支払あるいは医療が行われたときから二年間となっております。また、遺族年金、遺族一時金、葬祭料につきましては死亡から五年ということになっておりまして、また障害年金、障害児養育年金については特に請求期限はないということでございます。  このように、医薬品副作用被害救済制度におきます医療費医療手当の請求期限が二年に設定されているということでございますけれども、他の制度等を考えますと、予防接種の被害救済制度の二類疾病の医療費医療手当、あるいは労働者災害補償保険制度の療養補償給付等も同様二年となっておりまして、特に医薬品副作用被害救済制度の請求期限が特別短いという認識には立っておりません。  ただ、被害者団体の方々からこの請求期限を延ばしてほしいという御要望があることは私どもも承知をいたしておりますので、本制度の業務を行う独立行政法人医薬品医療機器総合機構の保健福祉事業の中で、救済給付受給者の被害実態等における調査の一環としてその請求の実態をまず把握をしたいというふうに考えております。
  167. 小池晃

    ○小池晃君 実態把握して、是非ここの二年というのは見直していただきたい。  もう質問は終わりにしますが、この基盤研究所、議論してまいりましたけれども、やはり製薬企業の国際競争力を強化するという流れの中で位置付けられて、これまで公務員としてやってきたものが非公務員型の独立行政法人に移ると、大手製薬企業の利益を優先する体制になるんではないかという危惧は消えません。公的な機関としての中立性や公平性が担保されるのかという問題も、危惧もますます深まっております。  こういう不安の声が起こる中で、私は、国民の医療をやはり患者本位の立場でしっかりとした安全な医薬品開発を進めるために国として責任を果たすべきだということを最後に申し上げて、質問を終わります。
  168. 西川きよし

    西川きよし君 西川でございます。よろしくお願いいたします。  私は、まず、この医薬基盤研究所は大阪の国際文化都市の彩都という場所に作られたわけですけれども、私も箕面市というところに住まわせていただいて三十年になりますが、それまでは本当に何にもないところでございました。こんなすばらしいものができて、地元はもとより大阪の方々も喜んでいるわけですけれども、箕面市と茨木市、五万人都市ができるということでございまして、五万人都市で、その中で約二万四千人の方が働く、お仕事をされる都市ということでございます。  非常に環境も良くて緑も多いところなんですけれども、午前中、そしてまた今、小池先生の方からいろんな角度から、身分のことから機構のことから、いろいろな御質問が出ました。  今申し上げましたように、大変すばらしいところではありますけれども、この研究所がなぜこの場所にできたのかなと。本当に我が家から車で五分か十分も走ればあるところなんですけれども、是非御答弁いただきたいと思います。
  169. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) お答えいたします。  厚生労働省では、平成七年より、試験研究機関の重点整備、再構築の一環としまして、国立医薬品食品衛生研究所の大阪支所を、医薬品等の基盤的研究等を行う研究施設に発展的に改組することとして検討をこれまで進めてきたところでございます。  また、平成十三年八月には、小泉総理が本部長をされておられますが、都市再生本部において、大阪圏におけるライフサイエンスの国際拠点形成を推進することが都市再生プロジェクトとして決定され、同プロジェクトの実現のため、大阪府茨木市一帯において彩都ライフサイエンスパークの整備が進められたところでございます。  このような状況や、元々大阪府は製薬産業の中心となっており、また近くには大阪大学や国立循環器病センターも立地しているなど、産学官の連携を図りつつ研究を進めていく上で非常に恵まれた環境であることなどを踏まえ、平成十三年度より医薬基盤研究所施設をこの彩都地域に設置することとしてこれまで整備をしてきたところでございます。
  170. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  大阪ではもう早くからこうして新聞に大きく、医療と行政が連携してすばらしい町ができるというようなシンポジウムなども行われておりまして、本当にすばらしいことだなと思いますが、今までの諸先生方のいろいろ心配な部分、僕たちの代わりと言ってはなんですが、御質問もしていただきまして、よく理解をさせていただきました。  よく何年か前に、本当に、狭い日本そんなに急いでどこ行くのというふうによく看板が国道沿いなんかにも立ててありましたが、最近はめったに見られなくなったわけですけれども、こういった場所ができるわけですから、今までの諸先生方の御質問はもとよりですけれども、僕の方からも、透明性の高いといいますか、いい施設にしていただきたいと思います。  十年、二十年、長い目でひとつこういうところを育てていただきたいと思いますし、こういった部分では、諸外国にはなかなか、例えばフランスであるとかイギリス、ドイツ、イタリア、スウェーデンなど、そういったところは大変な歴史があるわけですけれども、日本はそれにも勝るとも劣らないようなすばらしい頭脳を持っているわけですから、こういう狭い、本当に土地の少ないこういった国で何とか諸外国に負けないようにということになりますと、やっぱりこの狭い土地をしっかりと頭で利用し、何かを作らなければいけないということで、こういったものができていくことはすばらしいことではないかなと。  特に大阪では失業率が大変高うございます。全国でも二番目かというわけですけれども、雇用情勢も悪い、そういった景気が続いているわけですけれども、この研究所を始めといたしまして、関西圏がライフサイエンスの拠点になることが関西の産業再生につながるのではないかなというふうに私たち自身も大変大きな期待を寄せるわけですけれども、大臣、午前中の山本先生への御答弁にもございましたが、これは大阪にできて大変良かったと私は思いますという御答弁もいただいたんですけれども、将来ビジョンなども含めまして御答弁をいただけたら有り難いなと思います。
  171. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ITが非常に今もてはやされてまいりましたけれども、私は、ITよりもこのバイオテクノロジー、BTの方が将来性はあるのではないかというふうに私個人は考えております。これからの伸びというのは非常に大きい分野であるし、まだまだこれから開発される分野でございますし、大変な産業になるのではないかというふうに思っております。  したがいまして、大阪にこの基盤研ができることによりまして、その周辺に様々な企業が、企業群ができ上がる、もちろん研究所も様々できるでしょう、民間の研究所もできると思いますけれども、その研究所等で研究されましたものが生産の今度は過程に上っていく、大変大きな広がりを持ったこれは産業になるのではないかというふうに私は思っております。  そうした意味で、先ほどもお触れになりましたように、大阪は非常に失業率も高いし、そして新しい産業になかなか恵まれていないということがございます。そうした意味で、このバイオテクノロジーというのは新しい将来性のある産業でございますし、他にまだそんなに広がりのない産業でございます。したがいまして、大阪を中心にしてこの基盤研ができ上がって、そしてそこから大きな広がりを持っていけば、私は全体として大阪のために非常になるのではないかと思っている一人でございます。  これから大きく育てていかなければいけませんので、今日先生方から御指摘をいただいたようなことも、一生懸命これは気を付けていかなきゃならない点あるというふうに思いますし、いわゆる公平で偏りのないということも考えていかなければなりませんけれども、やはり大きく育てるという、小さく産んで大きく育てるという言葉がありますけれども、大きく育てるということが何よりも大事でありまして、私は、十年、二十年と、そういう期間よりはもっと短い期間の中で私は成長するのではないかというふうに期待をいたしております。その期待にこたえられるような、その核になるようなものにしなければならないというふうに考えている次第でございます。
  172. 西川きよし

    西川きよし君 御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。  私は十年から二十年ということを申し上げましたが、大臣がもっと早い、早く答えが出ればという御答弁をちょうだいいたしました。そうなることを私も期待したいと思います。  そして、この医療基盤研究所には様々な機関から業務が移行されてくるわけですが、移行されるまではどのような役割を担っていたのかということを私なりにこれからしっかりと質問をしてまいりたいと思いますので、まず御答弁をいただきたいと思います。
  173. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) 医薬基盤研究所におきましては、医薬品等研究開発を推進し、国民生活の向上を図るために、それぞれの機関から移行され、そして統合し、一体的な研究を行うわけですが、大きく三つの研究をそれぞれ行い、そして今回統合的に行うものでございます。一つ医薬品等開発に資する基盤的研究、二点目は民間等における医薬品等研究開発の振興、三点目は試験研究用の生物資源の研究、これらでございます。  まず、それぞれ御説明申し上げますと、基盤的研究業務につきましては、これまでは国立の医薬品食品衛生研究所で一部実施してきた研究でございますが、これを今後充実させようということでございますが、これは製薬企業等が医薬品等開発を行う際に、言わば共通的に利用できる技術研究を行うものでございます。具体的に申し上げますと、医薬品の安全性予測のための毒性学的ゲノム研究、あるいは新薬のシーズを発見するための疾患関連たんぱく質の解析研究、このようにゲノム科学等の先端技術を活用した研究を行うこととしております。  次に、研究開発振興業務につきましては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構研究開発振興業務を継承し、医薬品等開発につながる研究開発を行う企業等に対し必要な資金の交付や研究委託等の支援を行うものございまして、具体的には、基礎的研究を行う者に対する研究費の交付、あるいは特許等を受託者に帰属させる方式によるベンチャー企業等を対象とした研究委託、あるいは希少疾病用医薬品等研究開発を行う企業に対する助成金の交付などを行うこととしております。  三点目でございますが、生物資源研究業務につきましては、これまで国立医薬品食品衛生研究所及び国立感染症研究所が行ってきました生物資源関係の業務を継承し、医薬品等に関する試験研究に用いるための霊長類、マウス等の動物、薬用植物、生物の遺伝子、細胞等の、これらの生物資源に関する研究等を行うとともに、これらの生物資源を研究者に対し供給するものでございます。  以上でございます。
  174. 西川きよし

    西川きよし君 御丁寧にありがとうございました。  また、素朴な疑問ですが、業務を一体化、一元化というんですか、そういうふうにしていくことによってメリットとか心配事、デメリット、僕らはこういったことに対しては本当に素人でございますので、教えていただければと思いますが。
  175. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) 医薬基盤研究所の業務は、これまで行ってきております国立医薬品食品衛生研究所、国立感染症研究所、独立行政法人医薬品医療機器総合機構からそれぞれの業務の一部を移行、統合するものでございますが、これまで、今申し上げましたように、複数の機関で行われてきた業務を一元化することによりまして、例えば基盤的研究研究開発振興、生物資源研究のそれぞれの各業務における研究成果や、また、こういった各業務を実施する中で把握された研究ニーズを活用することによって、これまで以上に医薬品開発につきまして成果を上げることが期待できること、あるいは、これまで複数の機関において管理されてきました研究用の生物資源、この生物資源につきましても一元的に管理、供給することが可能となり、その結果、利用者の利便性の向上が期待できること、このようなことが考えられます。  我が国における医薬品等開発支援という目的の下に、各業務部門が有機的に連携を図り、研究所に期待される役割を果たしていくことができるように、今後とも工夫してまいりたいというふうに考えております。
  176. 西川きよし

    西川きよし君 ということは、もう、我々が心配するようなそういうデメリットみたいなことはもうないというふうに理解させていただいていいわけですね。はい。  そこで、お伺いしたいんですが、その移行された機関の中で実験用の霊長類のセンターがございますが、ここでは具体的にはどのような業務を行っていたのか、是非今日はお伺いしてみたいなと思いまして、お願いいたします。
  177. 上田茂

    政府参考人(上田茂君) 筑波医学実験用霊長類センターは、現在は国立感染症研究所の一部門として事業を行っておりますが、その内容につきまして申し上げますと、医学実験用霊長類の検査、検疫、健康管理、繁殖、育成、供給及び遺伝子保存や情報の収集・分析、また疾患モデルの開発及び改良に関する研究、また国内各研究機関に共同利用施設を開放し、猿類を用いた研究支援、このような業務を行っているところでありまして、またポリオワクチンの国家検定に必要なカニクイザルについての供給も担っているところでございます。  今後、医薬基盤研究所に移管された後につきましても、筑波の地において引き続きこのような業務を推進していく考えでございます。
  178. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  そこで、今出ましたポリオの生ワクチンの検定を行っているというお話でございますけれども、今御答弁いただきましたが、将来的に導入を考えておられるこの不活化ワクチンの実用化のために厚生労働省といたしましては現時点ではどういった施策をお考えになっておられるのでしょうか。それも是非お伺いいたしたいと思います。
  179. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 議員御指摘の不活化のポリオワクチンでございますけれども、日本ポリオ研究所から平成十三年の七月三十一日に承認申請がなされております。厚生労働省といたしましても、この不活化ポリオワクチンは大変医療上必要があるというふうに考えておりまして、迅速に審査を進めてきたところでございます。ただ、なお企業においてまだ有効性、安全性に関する追加データをまだ集めておりまして、いま少し時間が掛かるかと思いますが、今後とも企業に対しまして追加収集データへのアドバイスを行うとともに、資料が提出されれば迅速に承認審査を進めていくというふうに対応したいというふうに思っております。
  180. 西川きよし

    西川きよし君 ポリオの不活化ワクチンでは接種が原因で麻痺になることはないとのことですので、できるだけ早く導入されることをお願いしたいわけですけれども、現状ではこの不活化ワクチンが認められていないために経口の生ワクチンによる接種が行われているわけですけれども、昨年十二月でございましたか、松山で新たにポリオの生ワクチンの接種による二次感染の疑い、二次感染疑いのある事例が報告されたんですけれども、分かっている範囲内でお答えをいただけないでしょうか。
  181. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 委員指摘の松山の事例でございますけれども、昨年十二月二十五日に愛媛県松山市からポリオワクチン接種後の二次感染の疑い事例として発表されているところでございます。  これによりますと、当該事例は、三十歳代の男性が十一月中旬から発熱しまして、左下肢の疼痛、筋力低下等の症状が出現しまして、十二月中旬に入院しました。入院後の投薬治療によりまして患者さんは快方に向かっているということでございます。  この患者さんの子供は十月にポリオワクチンの接種を受けておりまして、愛媛県立衛生環境研究所の検査で患者さんからポリオウイルスが検出されました。この事例に関しましては、その後の検査で、患者の便から検出されましたポリオウイルスはワクチン由来のものであるということが確認されたと聞いておりまして、二次感染の可能性があるものと考えているところでございます。
  182. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  ポリオの問題も何度か御質問もさせていただきまして、昨年の質問のときに大臣にお答えをちょうだいいたしました。今年度からポリオワクチンの接種による二次感染に対して健康被害の救済措置が取られるようになったことで、本当に有り難いことでございます。  詳しい中身について、是非本日、御答弁をお願いしたいと思います。
  183. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) ポリオの生ワクチンを接種した場合に、極めてまれに被接種者からの二次的な感染によりましてポリオ麻痺患者さんが発生するということが知られておりまして、これにつきましては、平成十五年に厚生科学審議会感染症分科会におきまして、野生株によるポリオの国内発生がなくなった後に発症しました二次感染者に対します救済制度を設けるべき等の意見が取りまとめられたところでございます。これを踏まえまして、本年四月一日から、昭和五十五年以降に二次感染により疾病や障害を受けた方につきまして、申請に基づきまして、因果関係審査した上で、医療費医療手当等の給付を行う救済事業を開始したところでございます。
  184. 西川きよし

    西川きよし君 次に、この法案の内容を見て考えるとされていました税制上の問題ですけれども、税制上の措置はどのようになったのかということをお伺いしたいと思います。
  185. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 新たに創設いたしましたポリオ二次感染者に対します救済事業につきましては、予防接種法に基づかない予算措置でございます。現時点ではこれらの税制上の措置の対象とはならないところでございます。ただ、新たな救済事業の趣旨、それから既存の税制措置の内容等を踏まえつつ、今後の対応検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  186. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございます。  いろいろとお伺いしてまいりました。二十一世紀の医薬品産業として発展を期するためには、このような外部研究機関の積極的な活用は不可欠であるということでございまして、本当にいい研究所ができたわけですけれども、先ほど大臣の方からの御答弁もございましたけれども、十年二十年ではなしに、もっと早い期間に答えが出ればということでございますけれども、地元で幾つかのお訴えというのか御質問もいただいたんですが、その割には何か、もう少し皆さんが期待されるのかなというふうに思っておりましたけれども、大阪のそういった業界の方というのはもう一つ盛り上がりに欠けているようなところがございますんですけれども、こういったことも含めて、再度大臣に、短い時間ですけれども、御答弁をちょうだいして、最後の質問にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  187. 坂口力

    国務大臣坂口力君) その問題にお答えする前に、ポリオワクチンのことでございますが、この委員会で御質問を委員からいただきまして、その後いろいろと検討をさせていただいて、それは御指摘をやはり踏まえて前進させなければいけないというふうに思った次第でございます。先ほど答弁ありましたように、十五年の厚生科学審議会感染症分科会におきましてその御議論をいただいて決定させていただいたということでございます。ありがとうございました。  さらに、全体の基盤研の問題でございますが、いずれにいたしましても、まだこれからでございますし、そしてこのバイオテクノロジーなるものがどういうこれから発展をするのかということがまだ目に見えてまいっておりません。目に見えてまいっていないと申しますか、多くの皆さん方にそれが実感として把握をしていただくところまで来ていないということなんだろうというふうに思います。しかし、この研究が進みまして、そしていろいろの成果が出てまいりますれば、私は、実感として把握をしていただけるようになるというふうに私は確信をいたしております。  現在のところそうした状況になっておりませんので、皆さん方、大阪の皆さん方が現在のところそこまで、期待はするけれども一体どこまで大きくなるのかなというお気持ちをお持ちになっているということは私も理解のできるところでございまして、それだけに、期待にこたえなければならないというふうに私たちも思っているところでございます。  是非、委員の周辺で、思っていたけれども、余り期待していなかったけれども、しかし大きくなってきたなというお声が出るように我々も努力をしたいというふうに思っている次第でございます。
  188. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  終わります。
  189. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  190. 国井正幸

    委員長国井正幸君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、宮崎秀樹君が委員辞任され、その補欠として愛知治郎君が選任されました。     ─────────────
  191. 国井正幸

    委員長国井正幸君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  192. 井上美代

    ○井上美代君 日本共産党を代表して、独立行政法人医薬基盤研究所法案に対して反対の討論を行います。  本法案は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が創設されたときに、副作用被害救済業務や審査承認業務と相反する医薬品医療機器の研究開発振興業務が同一法人で行われることに世論が猛反発し、そして、参議院厚生労働委員会研究開発振興業務を分離することを求める決議がされたことを受けたものであります。  しかし、分離された研究開発振興業務と国立医療品食品研究所大阪支所と研究所の業務の一部である薬用植物栽培試験場などや、国立感染症研究所の業務の一部である遺伝子バンク、実験動物開発医学実験用霊長類センターを統合し、非公務員型の独立行政法人医薬基盤研究所を設置するための法案です。  国立の試験研究機関等を独立行政法人に移行させることは行政改革の名に値せず、これまで日本共産党、反対してまいりました。  非公務員型への移行も、雇用の不安定化、医薬品開発プロジェクトなど短期的研究優先の体制になり、採用、兼業、共同研究で製薬大企業との癒着が生まれる、公的な機関としての中立性、公平性が担保されません。基礎研究、特に長期的な基盤的研究がおろそかにされ、その衰退にもつながりかねません。  全体の奉仕者として職務に専念し、採算性が期待されない基盤的研究や生物資源管理など、利潤最優先の民間企業では担い得ない公的な研究を行い、公正中立な立場から産官学連携を進めるためにも、公務員身分の確保は不可欠であります。  本研究所は、製薬産業の国際競争力強化を目指す厚労省の医薬品産業ビジョンの中で、医薬品開発のための基盤技術研究研究資源の供給を目的とし、研究成果を産業界へ速やかに移転するなど、産官学連携を推進する中核的な研究所と位置付けられております。  医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構が行ってきた医薬品産業の利便を追求する遺伝子解析など研究開発振興業務と、国立研究所での基盤研究や生物資源研究が結び付けられ、製薬大企業のための支援が一層進められる一方で、採算性の低い希少疾病用医薬品開発医療機器の基礎的研究が形骸化されることが懸念されます。  以上の理由で、本法案に対する反対の討論といたします。
  193. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  独立行政法人医薬基盤研究所法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  194. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、森君から発言を求められておりますので、これを許します。森ゆうこ君。
  195. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、ただいま可決されました独立行政法人医薬基盤研究所法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員西川きよし君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     独立行政法人医薬基盤研究所法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。  一、ヒトゲノム研究、遺伝子治療、テーラーメイド医療等最先端の研究開発については、国際的にも遜色のない研究水準を確保するため、一元的な国家プロジェクトとして重点的に進める体制を早急に整備すること。  二、医薬基盤研究所の役員の選任に当たっては、製薬企業等との不適切な関係を疑われることのないよう、当該分野に関し識見を有する適切な人材を幅広く起用する等十分配慮すること。  三、医薬基盤研究所の中期目標を定めるに当たっては、医薬品医療用具等に関する産業政策と厚生労働科学に関する科学技術政策との整合性に配慮し、関係部署との連携を図りながら、長期的な広い視野に立って設定するとともに、事務・事業や組織の見直しを行い、経営の一層の合理化、効率化と経費の削減に努めること。  四、医薬基盤研究所の業務内容や運営方法について、研究者、消費者及び産業界の代表並びに法学や倫理学の専門家等を含む学識経験者から意見を聴取する方途を講ずること。  五、民間事業者へ委託する研究開発については、成功確率の向上と期間の短縮を図ることができるよう実用化研究に重点化し、これを医薬基盤研究所の中期目標に明記するとともに、企業規模にかかわらず公正に機会が提供されるよう十分配慮すること。  六、患者数が少なく、研究開発投資の回収が困難である希少疾病用医薬品等研究開発支援充実強化を図ること。  七、ヒトや動物の細胞・遺伝子、ヒト組織、薬用植物等の生物資源の収集・管理体制を国際的視点に立って計画的に整備すること。その際、ヒト遺伝子に係る個人情報を保護するため、指針を策定する等その取扱いに万全を期すること。  八、人体に由来する研究資源に関する調査研究を推進し、社会の認知の下に利用できる体制社会基盤の整備に資するため、ゲノム研究等に関する医師医療関係者を始めとする専門家と国民への普及啓発に努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  196. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいま森君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  197. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 多数と認めます。よって、森君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの附帯決議に対し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂口厚生労働大臣
  198. 坂口力

    国務大臣坂口力君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。  ありがとうございました。
  199. 国井正幸

    委員長国井正幸君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会