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2004-04-06 第159回国会 参議院 厚生労働委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月五日     辞任         補欠選任         浅尾慶一郎君     羽田雄一郎君      風間  昶君     千葉 国男君      小池  晃君     西山登紀子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         国井 正幸君     理 事                 武見 敬三君                 藤井 基之君                 辻  泰弘君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君     委 員                 有村 治子君                 金田 勝年君                 佐々木知子君                 斎藤 十朗君                 田浦  直君                 伊達 忠一君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 宮崎 秀樹君                 朝日 俊弘君                 大脇 雅子君                 羽田雄一郎君                 柳田  稔君                 山本 孝史君                 千葉 国男君                 井上 美代君                 西山登紀子君                 西川きよし君    衆議院議員        厚生労働委員長  衛藤 晟一君        青少年問題に関        する特別委員長  武山百合子君        青少年問題に関        する特別委員長        代理       小泉 龍司君        青少年問題に関        する特別委員長        代理       石毛えい子君        青少年問題に関        する特別委員長        代理       富田 茂之君        青少年問題に関        する特別委員長        代理       石井 郁子君    国務大臣        厚生労働大臣   坂口  力君    副大臣        厚生労働大臣  谷畑  孝君    事務局側        常任委員会専門        員        川邊  新君    政府参考人        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        法務省民事局長  房村 精一君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        田中壮一郎君        厚生労働省雇用        均等児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省老健        局長       中村 秀一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○児童虐待防止等に関する法律の一部を改正す  る法律案衆議院提出) ○クリーニング業法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律  の一部を改正する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 国井正幸

    委員長国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、小池晃君、浅尾慶一郎君及び風間昶君が委員を辞任され、その補欠として西山登紀子君、羽田雄一郎君及び千葉国男君が選任されました。     ─────────────
  3. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  児童虐待防止等に関する法律の一部を改正する法律案審議のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省雇用均等児童家庭局長伍藤忠春君外四名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 児童虐待防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 南野知惠子

    南野知惠子君 おはようございます。自由民主党、南野知惠子でございます。  まず、今朝飛び込んできたニュースの中に、新聞情報でございますが、虐待脳死障害で重症例が百二十九例もあるということでございます。一文をちょっと読んでみますと、虐待を受けたと疑われる子供脳死状態になったり重い障害が残ったりしたケースが、過去五年間で少なくとも百二十九例に上ることが日本小児科学会全国調査で分かった。これは臓器移植とも関連いたしておりますので、十五歳未満の子供からの脳死臓器提供の在り方を検討する中で調べたものであるということでございます。二百七十四施設の回答を分析しましたところ、虐待が疑わしかった十五歳以下の子供は、軽症も含めると二百四施設で千四百五十二例見付かり、このうち脳死状態重度障害になったのが六十五施設の百二十九例に上った。半数以上が一歳以下の乳児と考えられるという。さらに、虐待と分かるまでの受診後の日数が六十日以上掛かったのが九例あったと。半数以上の施設虐待発見のための組織や専門家がいなかったというようなことが述べられており、さらに、虐待の数は氷山の一角と思うというようなコメントもされているショッキングな情報でございました。  二十一世紀の主役となる子供たちに夢を託し、明るい未来が展望されるよう環境を整備し、すてきな大人へとはぐくんでいくのは、人生の先輩としての大人たち役割ではないでしょうか。児童虐待をめぐっては、今日も例外ではございませんが、連日のように痛ましい事件がマスコミなどで報道されております。そのたびに悲壮感と防げなかった残念さと無力さを痛感しております。二度と悲惨な事件は起こしてはなりませんが、そのためには、児童虐待発生の根底にある問題を解決していかなければ、社会から児童虐待を根絶することはできないと思われます。できるだけ早い時点で虐待の芽を摘み、加害者となるであろう人々SOSの発信を早期に受け止める予防策が重要だと思われます。  子供に対する親業の面白さ、子供と四十五センチ範囲で作る親子きずな、ともにはぐくみはぐくまれる夫婦子供、また、親の孤立化を防ぎ、保育園、学校、そして社会における子育て支援をいかに行っていくのかが大きなキーポイントであろうと思います。子供は親を選べない、そして子供は親の宝物であるでしょうが、仲良き親にはぐくまれることは子供宝物だと思っております。  そこで、坂口厚生労働大臣、様々な児童虐待が発生する今日の状況に対し御認識はいかがでございましょうか、お伺い申し上げます。
  7. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一番安全だというふうに思われておりました家庭の中で様々な虐待が行われ、それは夫婦間でありましたり、あるいはまた子供でありましたり、あるいはまた高齢者でありましたり、いろいろの情報が最近出てきたわけでございますが、とりわけ抵抗力のない小さな子供たちに対する虐待というのは誠に心に痛む話でございまして、何とかこの原因というものを明らかにしていかなければならない、皆さんがそうお思いになっているというふうに思います。しかし、なかなかその原因も複雑であり、それぞれのやはり立場によりましてその内容も千差万別だろうというふうに思っております。  これから、何ゆえにというところをいろいろの御意見をお聞きをしながら詰めていかなければならない大きな課題だというふうに思っておりますが、現在のところ、これを行えばなくなるという、そういう特効薬的な方法というのはないんだろう、様々な解決策の組合せによっていく以外にないんだろうというふうに思っている次第でございます。そうした中でこの法案の議員立法として御審議をいただけるということは、大変この時期に合った非常に大切なことであり、感謝をしている次第でございます。  これから、しかし、政府としましてもいろいろのことで取り組んでいかなければなりません。その中で、もしその虐待を受けた子供たちが成長しましたときに、再び虐待の連鎖というようなものを起こすようなことがあってはいけませんし、あるいはまた、障害を残しても、精神的な障害を残してもいけないというふうに思っております。  まずは、どうすればこの皆さん方の問題を防げるのか、そして起こったとしましたらその後どう対応していくのか、二つのことに分けて我々も取組を強化していかなければならないというふうに思っている次第でございます。少ないながらではございますけれども予算も確保いたしましたし、そうしたことも受けて、より効果的にこれを運用をしていくということが大事ではないかというふうに思っております。
  8. 南野知惠子

    南野知惠子君 いつもながら大臣の含蓄ある御意見拝聴できましたこと、うれしく思っておりますが、予防、それに対する発生したことについての問題点、そしてそれに予算をお付けいただけたということは、これは何が何でもしなければならないということでございますので、どのような形でそれを未然に防いでいく、効力を発揮していくかというのが今後の課題として残ったというふうに思います。ありがとうございました。  次でございますが、政府におかれましても、育児不安に悩む保護者への相談などを行っておられます地域子育て支援センター保育所への設置、それを始めとして様々な予防発生予防対策を講じておられると思っておりますが、どのような役割を果たしてこられたのでしょうか。また、子育て支援センターの数の増加などの計画はないのでしょうか。予算も付きましたので、よろしくお願いしたいと思います。
  9. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 御指摘地域子育て支援センターでございますが、これは、育児不安を抱える地域子育て家庭に対しまして、いろいろ相談支援、そういったものに当たるということで保育所などに設置を進められてきたものでございます。現在の新エンゼルプランに基づいて平成十六年度までに三千か所を目標にするということで進めてきておりますが、実績は、平成十五年度までで、現在で二千四百四十九か所、市町村の数にして千五百三十八市町村という状況になっております。  具体的な活動内容は、育児相談、それから園庭を開放して保育所入所児童地域子供一緒に遊ぶと、こういったこと、あるいは離乳食のアドバイスとかいった様々なことに取り組んできておりまして、一定のこの虐待といった観点からもいろんな予防効果があるんではないかというふうに考えております。  先ほど申し上げましたように、三千か所の目標でございますので、これに少しでも近づくように今予算面でも工夫をしておるところでございますから、これからも努力をしていきたいというふうに思っております。
  10. 南野知惠子

    南野知惠子君 三千か所、本当に充実した形で展開していっていただけるようにお願いしたいと思っております。  先ほども申し上げましたような機関に子育てに悩む母親が自ら相談してくるケースは、その親自身虐待しているのではないだろうかという不安の意識があるので、自分をコントロールできる力がまだ残されておられる人々かなと思います。まだそういう方たちは救われ、SOSを解決できるのかもしれませんが、自ら相談できないようなケース、隠してしまう親、孤立してくる親たちには、むしろ積極的に出向いていく出前支援サービス体制が重要かとも思われます。  特に、望まない妊娠をしたケース妊娠出産に至るまでの夫婦家族計画に関する対話が少なかったケース、十分に大人になり切れていないカップル等々に対し、母子健康手帳の交付時、また妊産婦健診、周産期診療のときなどに接する機会が多い助産師保健師などの役割が重要になってくると思います。母子保健専門職助産師こそ今が出番であり、大いに活用すべきときではないかと考えます。  また、出産にかかわった助産師たちは、そのケースに対してフォローアップサービスを展開することが必要であると痛感するものであります。声の聞こえる看護、姿の見える看護に心掛けて電話相談もなされていますが、子育て一つ一つの行為が、母子間のまた親子間の認識を、人と人の相互関係を作り上げていくのだと思いますけれども、子育てに慣れず、不安を感じたりストレスになったり育児への価値観を見失ってしまうケースには、そのSOSに対し即アプローチが必要であろうと思います。虐待未然に防止することができる大切な支援一つとも思うわけであります。  虐待ゼロ作戦に対してのマンパワー活用について、副大臣、御見解をお願いいたします。
  11. 谷畑孝

    ○副大臣谷畑孝君) 初めて出産をする母親にとりましても、また、二度であろうと三度であろうと非常に不安を伴って、同時にまた、子供出産した喜びというのか、非常に大変なものであろうと想像するわけでありますけれども、その場で立ち会って一緒に苦労を、相談を聞いていただき、また指導していただいた助産師というのは非常に心強いものであるんじゃないかと思います。  また、児童虐待、たくさんあるわけですけれども、その中にやはり育児ノイローゼというのか、そこにおける位置も非常に結構多いのではないか。そこを初期の段階で少し心のケアをしていけば、児童虐待が早い時期に、はっと自分に立ち返って、そしてもう一度子供をしっかりと育てていく決意が生まれてくるんじゃないかと。私は、そういう意味では、先生指摘しておりますように、助産師活用というのは非常に大事なことじゃないかと、こういうふうに思っております。  そういう中で、今厚生労働省といたしまして二つの点で助産師活用を実は考えておるわけであります。  一つは、児童相談所の中で一番中核を担う児童福祉司の登用についてでございますけれども、是非ひとつ、この助産師を登用していこうということで任用資格見直しをしていくと、こういうことにしておりますので、是非ひとつ応募していただいて、大いにこの制度を活用していわゆる児童福祉司になっていただきたいと、こういうふうに一つは思っております。  二つ目は、平成十六年度の予算において創設をしたわけですけれども、育児支援家庭訪問事業ということで、助産師活用しまして、いわゆる家庭訪問をして心のケアに乗っていくと、こういう事業もしておりますので、先生のおっしゃるとおり、更に児童虐待においては重要な役割を果たしていただきたいと、このように思っています。
  12. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。そういうシステムをお作りいただき、更にマンパワーが充実し、そのマンパワーの質の向上ということが次の課題になってくるのではないかなと思っております。  次は発議者にお伺いしたい。法律の中身につきましてよろしくお願いしたいと思います。  改正案作成のプロセスにおかれましては多くの討議がなされたことと思います。そして、このたびの「目的」に「児童の人権」を取り入れられたこと、又は「当該児童との面会」や、また「安全の確認を行うよう努める」こと、さらに、児童の面前でのDVが行われるなど児童への被害が間接的なものについても虐待定義するなど、DV防止法見直しに携わった一人といたしまして、非常に良かったな、時期を得た改正だなと、そのような感じをいたしております。  このような前提に立ってお聞きしたいのでございますが、親間の暴力、これはDVでございますが、それを絶えず目撃している児童にとりましては、直接的に虐待を受けている児童と同様に、この法律あるいは児童福祉法によりまして、第三者からの通告や児童相談所の介入、あるいは一時保護、さらには最終的な親子統合までの対象となるのかどうかの点でございます。  また、DVの場合は、配偶者間のやり直しあるいは家庭の再統合というのは、これ正直申し上げてなかなか難しい現実がございますが、このことと併せまして、法律の中にございます第四条、第十一条に規定されております良好な家庭環境ということについてのイメージについて、発議者の方のお考えがあれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  13. 小泉龍司

    衆議院議員小泉龍司君) 先生指摘のとおり、児童への被害が間接的なもの、精神的な被害が及ぶもの、こういうものにつきましても児童虐待定義に含めるという改正を今回行いました。今回の改正案の大きなポイント一つでございます。  先生おっしゃいました親の間の暴力DVを絶えず目撃する、こういうケースにおきましては、児童に著しい心理的外傷が及ぶというふうに考えられますので、直接的な虐待ケースと同様に本法が適用される、そのように措置をいたしたところでございます。  また、良好な家庭的環境という問題、どういう要素イメージかという御指摘でございますけれども、児童虐待が行われる家庭というのは大変親子きずなに深い亀裂が入ります。本法では、まず予防しよう、また、早期発見しよう、そして、発見したら迅速かつ適切に保護をしよう、また事後のケアもしよう、こういう各段階に万全を期する措置を求めているわけでございますけれども、一番大きな目的はやはり親子の再統合、もう一度良好な家庭に戻したいと、これが我々立法者も含めまして関係者の一番大きな思いでございます。  しかし、現実にはなかなか親子統合に至るということがすべてのケースにおいて可能なわけではございません。そのようなケースにおきましても、親子愛情家庭愛情きずながしっかり結ばれた、そういう良好な家庭的環境になるべく極力近い形で、様々な仕組み、様々なケアにより児童を導いていこう、こういう考え方に基づきまして第四条そして第十一条にこの概念を入れたわけでございます。  子供の成育の過程で一番大事なものは、人間的な愛情を与えること、無償の愛を与えること、その無償の愛によりまして子供たち自分を肯定できる、生きていけるんだと、そして他者を信頼する気持ちを取り戻す、こういう気持ちを込めまして良好な家庭的環境という言葉を規定いたしたわけでございます。
  14. 南野知惠子

    南野知惠子君 大変難しい定義であろうかなと、良好な家庭環境、様々な要素が含まれていると思います。小泉先生もきっとすばらしい父親業を展開しておられる、また夫業を展開しておられるだろうと思っておりますので、これから先も見本となる、お手本となる先生生活をまた教えていただければと、そのように思っております。ここにおられる方はみんなそうであろうと思いますが、法律をお作りいただきました小泉先生、しっかり頑張っていただいて、家庭きずなを強く強く結んでいっていただきたい。よろしくお願いしたいと思っております。  次の問題についてでございますが、虐待発見、また児童保護、あるいは児童虐待防止のための教育、啓発における学校役割という問題が随所に見られております。その際には学校養護教諭活用が重要と思いますが、文部科学省局長、よろしく御答弁お願いしたいと思います。
  15. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 学校におきます養護教諭活用についてのお尋ねでございますけれども、児童虐待の問題に関しましては、委員指摘のように、学校に対しましても、早期発見早期対応、あるいは被害を受けた児童の適切な保護が求められているところでございまして、各学校におきましては教職員が一丸となって、児童生徒の表情や態度、あるいは不自然なけがなどの身体的なサインを読み取るなど、日ごろから児童生徒状況の把握に努めることが大変重要であると考えておるところでございます。  特に、専門知識を持ちまして児童生徒健康管理等を行います養護教諭虐待の第一発見者となることも少なくないわけでございまして、その果たす役割は大変大きなものがあるというふうに考えておるところでございまして、日ごろから児童生徒がいつでも気軽に相談できる雰囲気を醸成しながら、早期発見早期対応、さらにはその後のケアに努めていただくことが大切だと考えておるところでございまして、このため、文部科学省におきましても、養護教諭に対しまして児童虐待に関する知識やカウンセリングに係る能力の向上のための研修会等を実施しているところでございまして、今後とも、養護教諭の資質の向上とその活用に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  16. 南野知惠子

    南野知惠子君 御答弁は確かにいい御答弁をいただいたんですけれども、学校教育の中で養護教諭はそれほど私は重宝がられていないのが現状じゃないだろうか。  例えば、養護教諭複数化というのを私させていただきました。それは八百人以上の生徒がいる学校について複数化ということでございますが、子供は一人でも二人でも、生徒がいればそこに養護教諭がちゃんといなければならない。養護教諭一人では、その人が子供のお世話をしたり、また、今学校には電話等職員室しかありません。子供たちがたむろする保健室にはないわけでありますので、電話が掛かったよといってそこまで行く間に子供が一人でほったらかされたり、また、養護教諭は教壇に立つことができます。命の大切さを教えることができる環境に今ありますが、そういう場面でも子供が取り残されたりするわけでございます。そこら辺のフォローを学校がどのようにしているのかということも、私にとっては少しまだまだ不満があるというところでございます。  複数配置は、このような事件が多発している中ではもうあしたからでも本当に複数配置をしていただきたいと思っております。そして、その複数配置される養護教諭も、普通のカウンセラーでは私は物足りないというふうに思っております。子供の心身の変化をさっとキャッチできる、そういう人たち配置というものに是非心掛けていただきたいと。ここに新聞がございますが、「学校で最初に気づいたのは養護教諭だった。」、これはどのときの新聞かといいますと、大阪岸和田市のあのケースでございます。養護教諭はこれだけじゃなく、子供に対しても、学校まで行って刃物を振り回している子供たちの仲裁にも入ったりしているわけでございますので、養護教諭活用ということを是非是非取り入れていただきたい。  そのことについて、もう少し考えるよとおっしゃるかどうか、ちょっとお答えいただきたいです。
  17. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) 委員指摘養護教諭複数配置でございますけれども、これに関しましても、平成十三年度から現在進めております第七次教職員定数改善計画におきまして、例えば小学校では従来は三十学級以上のところに複数配置だったわけでございますけれども、現在はそれを八百五十一人以上いる小学校には複数配置というようなことで定数改善を今進めておるところでございまして、平成十七年度にこれを完成させたいということで計画的な改善を行っておるところでございます。
  18. 南野知惠子

    南野知惠子君 私は八百人と聞いておりましたが、八百五十一人となるとこれまた問題が出てくるわけでございますが、是非是非、そんな生ぬるいことを言っている間に子供が何人虐待されるんですかということをお尋ねしたい。学校教育のそのポイントをしっかりと文部省はついていただきたいと思っております。  学校教育の背景を持つ養護教諭、命の大切さを教えられる養護教諭を、質の高い養護教諭を採用していただく、そのことが子供たちにとっての幸せではないでしょうか、そのようなことを思います。また、今は先生方学校養護教諭自分の病気のことを相談したりするということも聞いております。それほど希少価値のある養護教諭でございますので、是非、八百人とは言わずに、もう見直していっていただいてほしいというふうに思います。それの努力の一言をもう一度聞かせていただきたい。
  19. 田中壮一郎

    政府参考人田中壮一郎君) ただいま私が申し上げましたのは、小学校におきましては八百五十一人以上、それから中学校に関しましては八百一人以上の学校に現在複数配置を進めておるところでございまして、今計画的に改善を図っておるところでございますので、是非着実な推進を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  20. 南野知惠子

    南野知惠子君 この場はお許しいたしますが、後々お邪魔したいというふうに思っております。  時間も迫ってまいりました。被虐待児の家庭的養護の重要性を踏まえた家庭的グループホームや里親の底辺の拡大、制度の充実など必要なことと思いますが、何か御計画がおありでしょうか。
  21. 谷畑孝

    ○副大臣谷畑孝君) やはり、虐待を受けた子供にとりましては非常に深い傷跡を抱えているわけでありますから、この児童につきましていかに家庭的な雰囲気で健やかに成長していただけるかということが非常に大事なことだと思っております。そういう意味で、今、先生指摘しましたように、里親制度もその大きな柱だと思いますし、また、大きな施設で、そして管理の中で子供を育てるというよりも、むしろできる限り小規模化したグループホームということの中で、家庭的雰囲気の中で子供を育てることが非常に大事だと、この二つの点を思うわけであります。  そこで、里親制度につきましては、平成十四年度から、三等親内の親族も里親になり得る親族里親制度や、被虐待児童に対して専門的なケアを行う専門里親制度というものを創設をしたところであります。また、里親の休息のために一時的に児童施設等に預かる制度を導入をしております。また、平成十六年度からは、児童相談所から里親をサポートする者を派遣をし、その養育を援助する事業を創設をいたしております。また、今国会に提出している児童福祉法改正法案においても、里親の監護権等の明確化等により一層の普及に努めているところでございます。  また、先ほど言いました小規模化につきましては、平成十六年度の予算におきましてグループホーム型の児童養護施設を四十か所から百か所に拡張するということであります。また、施設において小規模グループによるケアを行う体制を最低一か所整備をし、必要な職員を配置をすることとなっております。各児童養護施設に少なくとも一か所の小規模ケアを確保して、ケア形態の小規模化の推進を図ることとしております。  以上、そういう取組をしておりますので、更なる御尽力をお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  22. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  あと一分残しておりますので一つだけお願いしたいんですが、児童相談所の果たす役割の重要性を踏まえた児童相談所職員、児童福祉司の質及び量の確保が必要と思いますが、いかがでしょうか。今後の計画について残りの時間で御答弁をお願いします。
  23. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) まず、量の面でございますが、児童相談所の主要なケースワーカーであります児童福祉司でありますが、標準団体当たり、この児童虐待防止法が施行される以前の平成十一年度、十六名の配置が標準でございましたが、これを今年度は二十五名というふうに毎年着実に増やしてきたところでございまして、かなり児童相談所の体制は従前に比べれば整ってきたのではないかというふうに思っております。  それから質の面でございますが、平成十四年度に児童虐待に対応するために国が中心となって設立をいたしました子どもの虹情報研修センターというのがございますが、ここでいろいろ児童相談所の職員の研修を各種、今やっておるところでございます。それから、今、国会に提案を申し上げております児童福祉法改正の中でも、先ほど副大臣から申し上げましたように、児童福祉司任用資格を広げる、専門家をもう少し登用するというような改正も考えておりますし、それから新任の児童相談所長は必ず研修を受けていただくと、こういったことも取り上げて、法律の中に書き込んでおるところでございます。  こういったいろんな面の施策を一層進めてまいりたいというふうに考えております。
  24. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。よろしくお願いします。
  25. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  まず、児童虐待防止法の改正案審議に入る前に、通告はしていないんですけれども、三月二十四日に判決が出ました無年金障害者の問題、そしていよいよ明日が控訴期限でございます。今日は傍聴席に無年金障害者の原告団の皆さんが見えていらっしゃいます。ここ数日来、坂口厚生労働大臣に面会を求めておりますが、果たされておりません。明日の控訴の期限を前にして原告団とお会いになるべきだと考えますが、なぜお会いにならないんでしょうか。  坂口厚生労働大臣、お願いいたします。
  26. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 無年金障害者の問題は先日来も御議論のあるところでございますし、私もかつてからこの無年金障害者の皆さん方の問題につきましてはいろいろと検討してきた、関心を持ってきたことでございます。  今回一つの判決が出たわけでございますが、この問題はこの問題として、私たち障害者の問題を、無年金障害者の問題をどう決着をするか、総合的にしていかなければいけないというふうに思っております。学生さんの問題もございますし、御家庭の奥様の問題もございますし、外国人の皆さん方の問題もございますし、様々でございます。それらを総合的に考えて、そして皆さん方の今後の問題として一歩ここで前進させるということが何にも増して一番重要なことであるというふうに私は自覚をいたしております。  そうしたことも踏まえながら、与党の協議も今朝からしていただいているところでございまして、それらの問題を含めて今日じゅうには決着を付けたい、そして今後の皆さん方の充実の問題につきまして更に検討を加えていきたいと、こういうふうに思っているところでございまして、そういう決意を持って今やっているということでございます。
  27. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 なぜお会いにならないのかということをお聞き申し上げました。お会いになって原告団の声に耳を傾けるべきと私は考えます。  それで、先般の判決は、立法不作為、違憲、そして過失という大変厳しい判決でございました。今、大臣答弁になりました与党の年金制度改革協議会、今朝から行われておりまして、先ほど合意がなされたということで今ペーパーを入手いたしました。  三つありますけれども、学生等の国民年金制度の発展過程で生じた特別な事情を考慮して、福祉的な観点から適切な処置を講ずる方向で云々というようなことが書かれてありますが、この与党案ではまず不十分であると考えます。特に、学生等ということで、主婦それから外国人等についてもこれが含まれるのかどうか明らかではない等々の問題がございます。  まず、この与党合意について、そして今まで長年違憲状態を放置してきた、その原告の皆さんに対して、ここで国が控訴するということになりますと更にその苦しみを長引かせることになるかと思います。  まずは控訴を国が断念すべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  28. 坂口力

    国務大臣坂口力君) いずれにいたしましても、そのことは決着を付けなければならないというふうに思っているわけであります。  しかし、一番問題なのは、これから障害者の皆さん方がどういう生活をしていただいていくか、そのことに対してどう支援をするかということが一番大事なことだというふうに思っております。今回の判決の中身もいろいろ読ませていただきましたが、無年金障害に対するこの年金を出さなかったということに対しましては、これは国の方が勝訴しているわけでありまして、私は、そうした考え方もあるかもしれませんけれども、しかし、何らかの手当を月々出していくということが私は大事なことだというふうに私は理解をいたしております。  平成十四年の七月に坂口試案を出しましたときにもいろいろの御意見を聞き、そのときに私は私として、障害者の皆さん方の御意見もいろいろ私はお聞きをいたしました。そして、年金というものの中でこれは決着のできることなのか、それとも福祉として決着をした方のがいいのかといったような観点から様々な議論を尽くした上で、年金というのはやはり年金の掛金をしていただいた人にお支払をするという原理原則がある、そこはなかなか年金というのは曲げられないところでございますので、福祉的な立場にしてそこはやっていくということにそのときも決着を、私の考え方として決着をしたところでございまして、そうした考え方に基づいて、今回もその延長線上でいろいろと御議論をしていただいているというふうに私は理解をいたしております。  学生さんだけではなくてほかの方々にどう広げていくかということは、学生等という言葉の中にそれは含まれているというふうに私は理解をいたしているところでございまして、今後その範囲につきましても議論を重ねなければならないというふうに思っているところでございます。
  29. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 救済策については与党がもう合意されているということでございますが、それであれば、まずは控訴は断念されるべきと考えますが、ここでその控訴断念ということを御答弁いただけないでしょうか。
  30. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 控訴を云々の問題はこの後決着をしたいというふうに思っております。それは総合的な考え方の中で決定をしなければなりません。ほかにも裁判に幾つかなっているわけでありますから、そうしたこともにらみながら決着をしなければいけないというふうに思っております。  もし仮に今回決着をするということになりましたときに、次の裁判の結果がまたどうなるのか、それはまた別の話になってくるわけでありますから、そうしたことも考えて、いずれの裁判の結果が出たといたしましても、共通してやらなければならないことは何か、そこをしっかり考えていくということが大事であるというふうに思っております。
  31. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 控訴されるおつもりなんでしょうか。私は、大臣が控訴をされないということを信じたいと思います。控訴をする一方で、また救済策を与党の方で出される、非常に矛盾していると思います。  原告団の願いは、まずは控訴を断念すること、しかる後、救済策を講じること、この点に尽きていると思いますが、明快な御答弁をいま一度お願いいたします。
  32. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 先ほどから何度も申し上げているとおりでございます。私は、やはり障害者の皆さん方には、それが年金という名前であれ手当という名前であれ、月々お出しをするという形の方が私は望ましいというふうに思っております。  今回の判決は賠償という形で決定をいたしておりますが、私はそういう形ではなくて、今後皆さん方に継続をして、やはり長い人生のことでございますから、お出しをしていくという、そういう救済の方法の方が私は望ましいというふうに思っております。
  33. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 無年金障害者を支援する議員連盟の決議、そして私ども民主党の方でも決定いたしましたことは、年金保険料、年金の資金を財源に無年金障害者を救っていくということでございます。拠出型の年金ということにその考え方は合致しないわけではありません。  私は、年金福祉施設等々で年金の保険料を無駄遣いしてきた、例えば社会保険庁の職員の宿舎のために保険料から拠出をしてきた、様々な年金の資源の無駄遣い、これらに比べれば、よほど無年金障害者の方たちを年金の財源で救済するということは、私は国民の理解を得られるものだと思います。  それで、大臣、もし控訴されるということであれば、私は、なぜ控訴されるのかその理由が分かりません。どうも今の御答弁ですと控訴を決定されているというふうに思わざるを得ません。また、報道でもそのようになっておりますけれども、なぜ控訴をしなければならないのでしょうか。どのような根拠で控訴をするつもりなのでしょうか。
  34. 坂口力

    国務大臣坂口力君) するしないはこれから決定をするところでございます。そのときには理由も明確にさせていただきたいと思います。
  35. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は、坂口厚生労働大臣大臣としては控訴はしたくない、そして坂口試案出していらっしゃいました。そして、この参議院の厚生労働委員会でも度々この問題の解決について熱意を示してくださいました。  是非、大臣の政治家としての決断をもって控訴を断念していただきたい、そしてその前に原告団に会うべきであるということを申し上げたいと思います。  なかなかきちんとしたお答えいただけないようですので、今日の議題に移りたいと思います。  このたび超党派でこの児童虐待の防止法の改正案を取りまとめられたことに関しまして敬意を表するものでございます。そしてまた、青少年特別委員会委員長提案という形で提案されました。  今回の法案の中身を見ますと、児童虐待定義を拡大し、保護者以外の同居人による児童虐待と同様の行為を保護者によるネグレクトとして児童虐待に含まれるとすること。二番目、虐待早期発見のみならず、予防から自立支援まで国及び地方公共団体の責務があるとしたこと、また調査研究及び検証を行うこととしたこと。三、児童虐待を受けたと思われる児童まで通告義務を拡大するものとすること。虐待を受けたために学業が遅れた児童への施策、居住の場所の確保や進学、就職の際の支援を具体的に求めることとしたなど、大きな前進が見られることを評価させていただきたいと思います。  しかし、まず最初に法案提出者にお聞きしたいんですけれども、先般起こりました、大変痛ましいと言うよりは、むごたらしいというか、信じられない岸和田の事件でございますが、この事件を契機として世間でも議論となりました立入調査の手法について、具体的な条文としては警察署長に対する援助要請等を明確にしたにとどまっておりますが、私は個人的にはもう一歩踏み込んだ規定が欲しかったようにも思っております。  この条文を取りまとめるに当たりまして、どのような観点からどのような議論がなされたのか、お伺いします。
  36. 富田茂之

    衆議院議員(富田茂之君) 立入調査の手法につきましては、犯罪が正に行われようとしているとは外部から判断できなくても、住所又は居所への立入りを行って児童の救出を行うべき場合があるのではないかという観点から、まず一定の要件の下で、警察官職務執行法で対応することが困難な場合にも警察官が住居又は居所へ立ち入ることができるようにする、こういった方策が考えられるのではないか。また二点目として、児童相談所長が裁判所に対し児童虐待を受けた児童の救済を請求し、その請求を人身保護請求の請求と見なして人身保護法を適用すると、そういった考え方があるのではないかと、この二点について発議者の間で議論がなされました。  マスコミからもこの議論がかなり注目されまして、いろいろな方から御意見が寄せられましたが、私ども発議者の間での議論の結果、現行の法の下で行われる罰則により担保された立入り又は警察官職務執行法による立入り及びこれを念頭に置いて今回設けられた警察署長への適切な援助要請、任意の説得等を駆使することにより、児童の生命又は身体の安全の確保を図っていけると考えられるのではないかという結論になりました。憲法三十五条が保障する住居の不可侵との関係で、行政機関の立入りをどこまで、どのような場合に認められるかは慎重な議論が必要だろうということと、人身保護請求の手続は児童虐待の救済手段として現実には迅速な対応という点で課題が残るんではないかという議論がありまして、現在の改正案とされたわけでございます。  ただ、議論となりました二点に関しましては、今後も関係者の間できちんと議論をして、三年後の見直しのところで何とか踏み込んでいければなというのが我々の間の共通した認識でございます。
  37. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございました。その件につきましては、後ほどもう一度、法務省等にもお伺いしたいと思いますが。  児童虐待に関する死亡事例の検証と虐待防止対策を厚生労働省がまとめられたとのことですが、これを踏まえまして各自治体にどのように周知させられたのか、確認させていただきたいと思います。
  38. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) こういった過去の事例を今後の教訓にしていくということは大変必要なことだというふうに思っておりまして、そういう観点から今回、最近の三年間、虐待の死亡事例についての検証を行いまして、総合的に、どういった要因なのか、どういった機関がかかわっておったのか、どうしたプロセスでこういったことになったのかということを総合的に検討したものでございます。そういったものにどう対応していくかという具体的な対策と併せて今年の二月末に私どもで取りまとめたものでございます。  この結果につきましては、三月一日に開かれました全国の児童福祉担当課長会議、こういったところで資料として提示をいたしましたし、こういった趣旨、内容を詳しく説明を申し上げて、こういった検証結果を踏まえた新たな取組をお願いをしたところでございます。  今回の虐待防止法の改正案にも、こういう調査研究あるいは検証の必要性が盛り込まれておりますので、今回は初めての試みでございましたが、こういったことをまた基盤にしてこれからの、何といいますか、こういったものに対する取組の一つのステップにしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  39. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今ほど御報告のありました検証と今後の虐待防止対策について読ませていただきました。その中で、検証の段階で関係機関の連携の不十分ということが言われておるわけですけれども、この児童虐待に接した機関、関係機関の中で保健医療機関のウエートが高いという指摘があるわけですけれども、改めてこうした機関に喚起をすべきと考えますが、いかがでしょうか。  それで、昨日の夕刊に出ておりました、今日の朝刊にも出ておりますけれども、今般、小児科学会が「虐待脳死・重障害百二十九例 軽症含め疑い例は千四百五十二」という過去の五年間の調査の結果を報告されました。この点については通告はしておりませんけれども、この小児科学会の報告も踏まえ、この点に関しての見解を伺います。
  40. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 私どもの先ほど申し上げましたこの検証結果、取りまとめの結果によりますと、虐待死亡事例とかかわりのあった関係機関のうち、最も比率の高いのがやはり保健医療機関ということで、全体の件数の約五割近くはこういう保健所でありますとかあるいは医療機関、こういったところがかかわっておったということでございます。  こういった観点から、いろんな横の連携といいますか、いろんな関係機関に幅広くこの認識を持ってもらう、それから虐待に対する速やかな対応をしていただくということが何よりも必要だというふうに思っておりますので、先般、虐待防止協議会と、いろんな関係機関に入っていただいて虐待に関する認識を共有してやっていこうということでございますが、こういう協議会を開かせていただきまして、この中には日本医師会でありますとか、あるいは保健所長会でありますとか、全国保健センター連合会、いろんなこういう保健医療機関、関係機関が入っておりますが、そういったところで先ほどのこの検証結果を詳しく説明をさせていただき、今後の取組をお願いをしたところでございます。  今後とも、そういった面での努力をしていきたいと思いますし、今御指摘のありました小児科学会の結果につきましては、私どももこれからよく内容を検討いたしまして、どういった形でまた小児科学会等と連携を取っていったらいいのか、よく調査研究をしてみたいというふうに思っております。
  41. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 改めて、医療機関、保健医療機関でのということでございますので、進めていただきたいと思いますが。  次に、大臣にお伺いしたいんですけれども、昨日から産経新聞で連載が始まりました「声なき叫び」、これは性的虐待についての調査でございます。  私の友人も地元で、DV、ドメスティック・バイオレンスの駆け込み寺を、シェルターを運営しておりまして、ドメスティック・バイオレンス、そして子供に対する性的虐待、こういうものはやっぱり関連性も密接にある、そのような様々な事例をじかに伺っております。  この性的虐待というのは本当に悲惨なものでございますが、こうした性的虐待についての厚生労働省のお取組について、坂口大臣に伺います。
  42. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) まず私からちょっと概況だけ申し上げますが、この性的虐待虐待の中でも大変深刻であり、困難な課題だというふうに私どもも認識をしております。  まずは、身体的な所見を伴うということが普通ありませんのでなかなか発見がしづらい。本人からの訴えにまつということが一つの一番大きな手掛かりでございますが、これがやはり強いためらいとかいろんなものがあってなかなか表に出にくい。  それから、その与える影響でございますが、人格に与えるいろんな、何といいますか、人格とか本人の性格に与える影響が非常に甚大である、こういったいろいろ難しい面を持っておるわけでありますが、やはり小学校学校でありますとか医療機関でありますとか、そういったところでできるだけサインを見逃さないで早く発見するということしかこの対策はないわけでありますので、過去、十分なこういった面での調査研究というのはそれほどありませんが、幾つかの研究者の報告でありますとかそういったものがございますので、そういったものを基に、今、これをできるだけ現場で具体的なものとして使えるように、マニュアルとまではいきませんが、何か具体的な取組のための指針にできないかどうかということを今私ども内部で作業を進めておるところでありますので、そういったことを少し、これからもう少し努力をして、できるだけ早くそういったものを成果にしていきたいというふうに思っております。  それから、虐待を受けた者のケアでありますが、施設に入った場合には、そこでの心理療法でありますとか個別のケア、こういったことで対応していくということでありますので、先ほど来申し上げておりますように、こういった施設の職員の増員とか質の確保、こういった面も併せて進めていきたいというふうに思っております。
  43. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 普通の虐待にいたしましても性的虐待にいたしましても、これは核家族化の進行とともに私はだんだんと明らかになってきたような気がいたします。だれかが見ている、だれかが一緒にいるということと、そして非常に、二人しかいないという環境と、そうしたことによって私は起こってくる可能性があるのではないかという気もいたします。  大変、今お話がありましたとおり、残酷なこれはことでございまして、何とかそうした皆さん方を救っていかなければならない。しかし、お子さん方もその声をなかなか上げられない、だれに上げていいのか分からないといったことがあるわけでございますので、そうしたことについて、これから取組方として、声を上げないお子さん方に対しても、そうしたことがあるかどうかということをどういう形でそのサインを出してもらうかという、そこのところをやはり検討していかなければいけないというふうに思います。  性的虐待の場合には、他の虐待と違いまして、先ほどからも話がありますように、外から見てなかなか分かりにくいということがあるわけでございます。したがいまして、そういうことが起こっているかどうかということを聞くこと自体、なかなかはばかられるというようなことがあって今までまいりましたけれども、もうそういうことを言っていられない状況になってきているというふうに思いますので、そこをどういう形でそのサインを出していただくということにするのか、そしてそれに対してどう対応をしていくのかといったことをこれからもう少し丁寧にそこをやっていかなけりゃいけない。  現在までのところ、十分な資料があるわけではございませんし、十分な方法というものが確立されているわけではありません。しかし、初めに申しましたように、私は、核家族化のいいところと核家族化の悪いところというのが出てきている。虐待は、どちらかというと、核家族化になりましたがゆえに、他の人が見ていないということからかなりこれは進行しているように思えてならないわけであります。そうしたことをひとつこれから十分に、もう少し深く検討をしていきたいというふうに思っております。
  44. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございました。  性的虐待は、特に魂の殺人とも言われるわけでございます。  私、「凍りついた瞳」という本があるんですけれども、これは椎名篤子さんという方で、女性漫画誌に児童虐待をテーマにした漫画を連載して大変世論を喚起した方で、その方が、児童虐待の現状、そしてその子供たちケアするために日夜奮闘していらっしゃる児童相談所、それから養護施設、乳児院等々、現場の方の様々なことをここに一冊の本にまとめられました。ゆうべ改めて読んでみたんですけれども、何と言ったらいいんでしょうか、もう何とも言えない気持ちになりました、これを読んで。何かゆうべ眠れなかったと言ってもいいかもしれません。ここに出てくる一人一人の子供たちを抱き締めてあげたい、そして、あなたたちが生まれてきたことは意味があったんだよと言って一人一人を愛情で包んであげたい、そんな気持ちにさせられるような本でした。是非、厚生労働省のこの担当の方、一度読んでいただきたい、そのように思います。  それで、今のお話なんですが、日本虐待・思春期問題情報研修センター、子どもの虹情報研修センターというのも国の機関としてあるわけでございますけれども、これが研修機会を確保したりするということに役立っているわけですけれども、まだ、今の大臣の御答弁でもありましたけれども、国レベルでのそういった調査研究、それからこの問題、児童虐待について調査審議する、そういう専門家委員会、そういうものがまだできていないわけでございまして、その設置を検討してはいかがかと思いますが、これは通告していないんですけれども、もしできましたらお答え願えればと思います。
  45. 坂口力

    国務大臣坂口力君) どういう形がいいのか、そのようなことも含めまして検討したいと思います。
  46. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 次に予定しておりました質問は少し後に回させていただきまして、法案提案者に伺いたいと思います。  改正案の第五条、「児童虐待早期発見」の規定におきまして、「学校児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体」とありますが、この「その他」に該当する者をここで確認させていただきたい。お願いいたします。
  47. 石井郁子

    衆議院議員(石井郁子君) お答えいたします。  児童虐待早期発見に努めなければならない者として、現行法では「職務上関係のある者」とされておりますけれども、今回新たに「業務上関係のある団体」ということが入り、加えました。「その他」のその「業務上関係のある団体」といたしましては、無認可保育所などを想定しているところでございます。
  48. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その「その他」、もう少し具体的に幾つか例示していただければ、厚生労働省の方でその機関に対して啓発活動も行われるかと思いますので、具体的な例示をできるだけお願いいたします。
  49. 石井郁子

    衆議院議員(石井郁子君) この条文には「学校児童福祉施設、病院その他」となってございまして、この「児童福祉施設」というのは実は大変広いものを含んでおりますので、ほぼそこに加えられるということがございまして、ここでは、お答え申し上げましたように、「その他」というのはそれに加えて無認可保育所などということでございます。  よろしいでしょうか。あと、「職務上」の質問があるかと思いますけれども、その「その他」の分もございますけれども、まあ取りあえず以上で……
  50. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 どうぞ。
  51. 石井郁子

    衆議院議員(石井郁子君) いいですか。
  52. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 はい。
  53. 石井郁子

    衆議院議員(石井郁子君) それから、職務上のことでも関係のある者で「その他」という規定がございます。「児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者」ということがございますので、この「職務上」という中には、例えば歯科医師など児童と接触して治療を行う機会が多いことでございます。そういう歯科医師も含まれると考えております。また、看護師、DVセンター職員、救急隊員、警察職員なども含まれると考えております。
  54. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今ほどお答えいただきました。ほかにもいろいろあるかと思います。この法案の成立後、厚生労働省の方からそのような関係するところへの意識の啓発というものを行っていただきたいと思います。  続いて、提案者に伺います。  現在の法案の附則には、この法律の施行後三年以内に、住所又は居所における児童の安全の確認又は安全の確保を実効的に行うための方策、親権の喪失等の制度の在り方などについて検討し、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとするとされておりますが、住所又は居所における児童の安全の確認又は安全の確保を実効的に行うための方策について、法案取りまとめの過程では具体的にはどのような議論がなされ、今後の検討とされたのか、お願いいたします。
  55. 小泉龍司

    衆議院議員小泉龍司君) 先ほどの私どもの発議者であります富田委員答弁と重複する箇所があるかもしれませんけれども、先生がおっしゃいました児童の安全の確認そして確保、これは今回の改正作業の中で一番議論が深まった、白熱した、様々な議論が出た部分でございます。  要請は二つあると思います。事態が切迫しているということが分かっているときにはとにかく確実に身柄を確保したい、保護したい、これが一点でございます。また、児童虐待というのは大変特殊ケースも多うございまして、家庭の中で何が起こっているか分からない、しいんとしている、しかしどうも長い間子供の姿を見たことがない、中の様子が分からない、そのときになるべく確実に迅速に安全の確認をしたい、これが二つの要請でございます。  しかし、制約条件も二つございます。憲法三十五条の住居の不可侵、この規定をクリアしなければならない。もう一つの要件は迅速性でございます。一週間も、十日も、二週間も議論しているわけにはいかない。すぐ即効性を持たなきゃいかぬ。  この二つの要請、二つの制約条件を合わせました四つの要素について、どういう組合せで制度を作るべきか。裁判所の許可を求めればいいのか、あるいは正面から、児童虐待に焦点を合わせて厳格な要件を付けまして、警察官の踏み込み、いわゆるキックインを正面から書くべきか、様々な議論がございました。私どもの検討過程においてはその議論が十分に熟さなかったという点が一つございます。  附則に書きましたのは、今回の改正法の施行状況も見極めながら、間を置かずに引き続きこの安全確認、確保の方策について新しい法制度、仕組みについて更に十分深く検討を深め各党の合意を得たい、そういう思いを込めまして附則に書いたわけでございます。  しかし、現状の十条、警察官職務執行法に基づく保護、援助要請、これも十分な認識を当事者が持つことによりまして、その運用において万全を期することができるということも我々は確認をいたしております。この点を申し添えたいと思います。
  56. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それでは、同じ件につきまして法務省に伺いたいと思いますが、虐待未然に防止する観点から、子供の安全を確認することを目的に、裁判所を関与させた上で立入りを認めるという手法について、法務省としての見解をお願いいたします。
  57. 房村精一

    政府参考人(房村精一君) 児童虐待を防止するというのは非常に社会的にも重要なことでありますが、現行法の下では、都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員等に居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができると、こう定めておりまして、この立入り等を正当な理由なく拒めば刑事罰が科せられる。また、その立入り等をしようとする者は警察官の援助を求められる。さらに、警察官は児童の生命、身体に対する危害が切迫している場合には実力を行使して立ち入ることもできると、このような規制が現行法の下では行われているわけでございます。  このような現行法の下における制度を超えまして、児童虐待に関する犯罪の嫌疑とか、あるいは緊急性の有無を問題とせずに立入りを認めるということにつきましては、裁判所の関与の下であっても、憲法三十五条の保障する、住居を保有する保護者等の住居の平穏の保護との関係で慎重な検討を要するということが私どもの考え方でございます。
  58. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 附則にこの立入りということの更なる検討ということが盛り込まれているわけですから、法務省としては今の段階でもう少し突っ込んだ私は回答がいただきたかったと思うんですが、いかがですか。
  59. 房村精一

    政府参考人(房村精一君) 先ほど御説明がありましたように、どのような事態を想定して、どのような要件で、どのような手続で認めていくかということにつきましてはそれぞれ関係がございます。また、手続を慎重にすれば時間が掛かるという問題がございます。ですから、そういったものを比較考量して、目的を達成するためにどのような仕組みがいいのか、またそのときに、憲法が要求しております住居の不可侵という憲法上の権利との関係をどう調整していくのか、そういう意味で様々な要素を考慮し、かつ実効性のある制度にしていかなければならないんだろうと思います。  そういう意味で、少なくとも現段階で私どもとして申し上げられるのは、そういった憲法上の権利にかかわることですので非常に慎重な検討が必要であろうということまで申し上げているわけで、制度自体に反対するとかそういうことではございません。
  60. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 緊急性を要するということで、そのハードルがあったために救えなかったという事例もございますので、早急にもう少し検討を法務省のお立場でも進めていただきたいと要望したいと思います。  それでは、次の質問ですが、法案提案者に伺います。  親権の喪失と制度の在り方について、今のダブる部分もあるんですけれども、親権の喪失について具体的にどのような議論がなされましたでしょうか。お願いいたします。
  61. 石毛えい子

    衆議院議員石毛えい子君) 委員指摘の親権の喪失と制度の在り方、これに関しましては、今回の児童虐待防止法の改正作業を進める過程で、例えば親権の一時停止あるいは一部停止というような形で、虐待を受けた児童支援に携わる市民活動団体ほかの皆様から大変強い要請がなされたところでございました。虐待の大変な激しさ、ひどさということを思えば、例えば身上監護権など、一時停止をしてもあるいは一部停止をしてもという意見も当然あると思いますし、発議者としましても、親権の在り方が非常に重要であるということは十分に認識をしております。  ただし、今回の改正作業の過程では、例えば身上監護権を停止した場合に、残余の親権、例えば財産管理権との関係をどのように理解したらいいのかとか、あるいは、一時停止といいましても、親権の停止期間を事前に適切に設定できるのかどうかというような議論を詰めるには至りませんでした。  また、現行法でも親権喪失ということに対する対応は可能であり、決して多い事例とは申せませんけれども何件かはなされているということもあり、それらをもう一回きちっと検討をして、そして附則二条は三年以内というふうに規定をいたしましたので、その期間にこの親権の在り方につきまして十分に綿密な検討をするということで、今回は附則に譲るということになりました。  以上でございます。
  62. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございました。  同じ問題につきまして法務省に見解を伺いたいと思いますが、緊急に手術を必要とする際に医療機関から保護者に同意を得ることが求められることもありますが、その虐待をする親から同意を求めることは非常に、同意を得ることは難しいという現実がございます。また、親権を一部一時停止するということは私は大変意味のあることだと思っておりますが、よろしくお願いいたします。
  63. 房村精一

    政府参考人(房村精一君) まず、緊急に手術を必要とするときに保護者が同意をしない、そういう場合に、一般論として申し上げますと、刑事法あるいは民事法の分野では緊急避難とか緊急事務管理というような法理を用いまして、そういうときに医療機関が親の同意を得ないで治療行為をしても違法とはならないという、そういう基本的な考え方は一つございます。  それからもう一つ、やはりそういう緊急避難というような法理に頼らずに、もう少し積極的に親権を一部一時停止するということで対応できないかという点でございますが、現行法の下におきましては、親権喪失の制度がございますので、この親権喪失の申立てをいたしまして、親権喪失の審判が出るまで多少時間が掛かりますが、それに備えて、審判前の保全処分として親権の一時停止あるいは職務代行者の選任ができるということが法律に定められております。  したがいまして、親権喪失を申し立てて、保全処分として職務代行者を選任していただいて、その同意を得るという形で正におっしゃるような親権の一時停止が可能な仕組みに現行法上なっております。
  64. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 先ほどと同じ問題ですが、次回に向けて早急に更に法務省でも検討していただきたいと申し上げておきたいと思いますが。  さて、この児童虐待防止法が平成十二年十一月二十日から施行したその後も、この虐待の事例、増加の一途をたどっております。死亡例も、厚生労働省が十五年の六月末にまとめた時点で百二十五件、百二十七人。とにかくこの虐待を何としても食い止めたい、どなたもお気持ちは同じだと思います。  その相談件数が非常に増えております。結局、児童相談所の現場、そして子供たち保護する児童養護施設、乳児院等々、大変人手不足、お金不足。この子供たち、もちろん虐待を起こさせない環境を作るということがメーンですけれども、そういう家庭支援していくということがまず私は重要だと考えておりますが、でも、現実の問題、これだけ虐待が多くなっている。その子供たち保護し、そして心のケアをしながら大人にしていく、そして虐待した親たち支援していくと、いろんな問題が課せられているわけでございますけれども、これを実行していくためにはやっぱりマンパワーが不足であるということを思います。  この点につきまして、児童相談所における児童福祉司の増員、それから児童福祉施設の職員のそもそもの職員配置基準、これを見直すべきだと前にも申し上げておりますけれども、この件につきましての御答弁をお願いいたします。
  65. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) まず、児童相談所の体制でございますが、先ほども申し上げましたように、この虐待防止法ができる以前の十一年度、標準団体、児童福祉司十六名から、この五年間で九名の増員を図りまして、平成十六年度においては二十五名というところまでこぎ着けたわけでございまして、こういったマンパワー活用しながら更に体制の強化充実に取り組んでいきたいと思っております。  それから、今、国会に提案をしております児童福祉法改正におきましては、従来、児童相談所が主としてこういった問題に対応する機関として位置付けられ、対応してきたわけでありますが、やはり住民に身近な市町村における取組というのをもう少し強化をする必要があるんではないかということで、一定の役割市町村に担っていただくということで、全体として、市町村、県、全体としてこういった問題に総合的に取り組むようにという体制を今模索をしておるところでございます。  それから、施設の問題でございますが、御指摘のありました配置基準というのはございますが、やはり個別の、こういった虐待とかいろんな個別のテーマに応じた職員の増員を図るという観点から、親の指導を含めて、ファミリーソーシャルワーカー、こういったようなものの施設への配置、それから個別に対応する、ケアを中心にする職員の配置といったことを今充実をして配置をしておるところでございますので、こういった形でかなり配置基準、表面的な配置基準以上に実態は充実が図られてきたんではないかなというふうに考えておるところでございます。
  66. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 地方自治体の役割の増大ということもありますし、先ほど御紹介しました本の中に、児童養護施設役割の変化、まあ乳児院も同じなんですけれども、現在は、何といっても、子供虐待の急増によって、親から保護された子供への対応が課題であると。著しく低い自己評価、自殺を思い詰める気持ち、親への強烈な思い虐待され見捨てられた無力感に打ちのめされた子供たちに、児童養護施設は今、児童養護に加え、心のケアという新たな役割を期待されているというふうにあります。これは児童養護施設。そして、児童相談所は本当に悲鳴を上げている。一人の担当者が扱う相談件数が四百件以上、こういう報告もあります。何といってもやっぱり人的な補充、マンパワーの増加、強化というものが必要だと思いますが、三位一体の改革というのもありまして、地方交付税、大幅に切り捨てたわけでございます。やりたいと思ってもできないという自治体も多いかと思います。  大臣に伺いたいんですけれども、そういう点できちっとした財源措置が必要だと思いますけれども、お願いいたします。
  67. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今まで都道府県を中心にしてお願いをしてきているわけでありますが、これから都道府県だけではなくて市町村に対しましてもお願いをする、そしてその連携の中でこれから進めていこうということを考えております。いずれにしても、財源の必要なことでございますので、ここは財務省なり総務省ともよく連携していかなければいけないというふうに思っております。  また、児童相談所の職員配置につきましても、児童相談所によりましては、件数の非常に少ないところもあれば、今御指摘のように非常に多いところもあるわけであります。一律の人員配置ではなくて、その地域地域によってやはり対応の仕方というのは少し違いがあっても私はいいのではないかというふうに思っております。  したがいまして、全体の人員を増やすということも大事でございますが、現在の児童相談所の中におきます、そうした地域環境によってそこはできる限り柔軟に対応できるという体制も必要ではないかということを今言っているところでございます。それらのことを加味いたしましてこれから対応していきたいというふうに思っております。  私も、児童相談所、幾つかお邪魔させていただきまして、非常に厳しい現状というのをよくお聞きをいたしておりますので、何とかそこを対応していきたいと思っております。
  68. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私の質問の時間がこれで終わりでございますが、先般、私が無年金障害者の判決を受けて先回の委員会で質問いたしましたときには、冷静に対応しなければいけないというふうに大臣は御答弁になったわけでございます。私は、確かに、政治を判断するときに、政治家が決断を下すときには理性的でそして冷静でなければならないと思うものでございますが、しかし、政治をやるその根底にはやはり情、愛情、困っている人を救おう、救いたい、一番困っている人に手を差し伸べなければならない、そういうものが根底に流れていなければならないと思っております。そういう意味で、この悲惨な状況にある子供たちに救いの手を差し伸べること、そしてまた無年金障害者、大変苦しんでいらっしゃる方に救いの手を差し伸べること、このことにちゅうちょがあってはならないと考えております。  国が控訴を断念することを切に願いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  69. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  我が党は、この児童虐待防止等法律改正については党を挙げて推進をしてきたわけでございまして、今日、提案者の一人として答弁に来ていただいております富田議員を中心にやってきた経緯がございますので、この改正案に対しましては賛成の立場でございますけれども、幾つか基本的な質問をさせていただきたいというふうに思っております。  提案者に伺います。  まず、今日の委員会で何度も出ておりますけれども、岸和田の中学校三年生の男児が食事を与えられずに衰弱死寸前まで虐待をされた事件では、児童相談所が立入調査権を行使しなかったことが問題になりました。これまで全国で起こっております他の多くの虐待事件でも、やはり児童相談所がなかなか立入調査に踏み切らなかったということが背景にあるというふうに言われておりますけれども、なかなか児童相談所が立入調査に踏み切りにくいというこの背景の理由ですね、どうしてなかなか立入調査が今までできなかったのかということについて、提案者の間でどのような議論があって今回の改正案を提出されたのか、お伺いをしたいと思います。
  70. 石井郁子

    衆議院議員(石井郁子君) お答えいたします。  岸和田の事件と立入りの関係というのはちょっと簡単にはいかない問題も含まれているかと思うんですが、それはちょっとおきまして、立入調査については、平成十二年の児童虐待防止法の制定によりまして、児童虐待が行われているおそれがあるときに行うことができる旨が規定されております。平成十一年度には四十二件行われました。平成十二年度に九十六件、平成十四年度には百八十四件と、その活用が図られるようになってきたものと認識しているところでございます。  しかしながら、一方で、初期の調査や介入の段階で安易に立入調査を行いますと、保護者との摩擦が大きくなる、後のソーシャルワーク援助において支障となったり、結果として親子統合が困難となるなど、子供にとって望ましくない状況を招きかねない、こうした理由から、児童相談所はできる限り保護者の理解を得ることを優先すると、立入調査の実施に極めて慎重であったということがこれまでの実施状況に影響を及ぼしている面もあるのではないかと考えているところでございます。
  71. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  続きまして、法案の第十条第二項関係でありますけれども、警察署長に対する要請に関連をいたしまして、ちょっと引用いたしますと、児童相談所所長又は都道府県知事は、児童の安全の確保及び安全の確保に万全を期す観点から、必要に応じ適切に、警察署長に対し援助を求めなければならないものとすることとなっておりますけれども、この中で、必要に応じ適切にという点につきまして、これを担保するという観点から、児童相談所の所長や知事に対しまして運用上どのように厳格な規定を設けていくのか、伺いたいと思います。
  72. 富田茂之

    衆議院議員(富田茂之君) 委員指摘のように、児童の安全を確保するために、必要に応じ警察官の援助を求めるというのは大変に重要なことであると私どもは考えております。現在、警察官の援助につきましては、児童相談所運営指針や子どもの虐待対応の手引きにおいてその対応の在り方等について指摘がなされているところであります。  若干その中の部分を説明させていただきたいんですが、児童相談所運営指針の第十一節、警察との関係というところに、五として虐待事例等における連携という規定がございます。その中に、(2)として、立入調査における連携として、「立入調査に当たっては、必要に応じ、児童又は調査担当者に対する保護者等の加害行為等に対して迅速な援助が得られるよう、児童虐待防止法第十条により警察官に対する援助の依頼を行い、これに基づく連携による適切な調査を行うとともに、状況に応じ遅滞なく児童の一時保護を行うなど、児童の福祉を優先した臨機応変の対応に努める。なお、警察官への援助の依頼については、緊急の場合を除き、行政組織を一体的に運営し、児童保護の万全を期する観点から、文書により事前に組織上の責任者から責任者に対して行うことを原則とする。」というふうになっております。また、六、その他の(2)として、「児童相談所は警察と定期的に連絡会議を行う等日頃から、情報の共有や意見交換の機会を持ち常に十分な連携を図る。」というような指針がございます。  現行法上もこれに従って運用がなされていると思いますが、私ども委員が聞くところによりますと、厚生労働省といたしましては、今回の法改正の趣旨を十分にしんしゃくされ、その適切な運用を図っていくこととしており、関係省庁とも協議の上、児童相談所の職員などの実務的ガイドラインであるただいま御紹介いたしました児童相談所運営指針や子ども虐待対応の手引きを今般の法改正に合わせて改定し、具体的な取組を明確にしていく考えというふうに聞いております。
  73. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今の御答弁の中で、私も非常に重要だと思いますのは、やはりこの児童相談所のスタッフと地元の警察との日ごろからの日常的な連携、あるいは協議、意見交換といったものがしっかり行われないと、やはり事件あるいは事案が惹起した際に迅速な対応がなかなかできにくいのかなというふうに思っておりますので、是非この点については坂口大臣にもしっかりと対応方をお願いをしたいと思っております。  続きまして、三番目の質問でありますけれども、今回の改正で、裁判所の令状なしの警察官の立入調査が安易に行われるのではないかというふうに、逆に、警察官の援助は、警察官に対して援助を求めることは大事であるけれども、令状なしの警察官による立入りが安易に行われるようになりはしないかという懸念の声があることも事実でございます。その点について提案者から所見を伺いたいと思います。
  74. 小泉龍司

    衆議院議員小泉龍司君) 先生指摘になられましたとおり、警察官が一度入りますとやはり親子の間に大変深い亀裂が入ります。元に戻すのが容易ではない、そういう心配も確かに深くあるわけでございます。しかしまた、適切に保護したい。ここの兼ね合いをどうするか。  我々も立法過程で大変議論いたしましたけれども、まず、今回の結論としましては、十条にございますように、現行の警察官職務執行法の適切な運用を期していこう、こういうことでございます。これは、あくまでこの法律の枠内の考え方は、警察官というのは側面支援でございます。主体として入るのは児童相談所の職員等専門家でございます。それを側面から支援していこう、こういう考え方でございます。現実に十五年中に、昨年、九十二件の警察官の援助要請がございまして、そのうち五件が立入りを拒否をされました。しかし、説得して説得して、合いかぎを持ってくる、おじいちゃんを連れてくる、様々な工夫で、そのうちの三件はドアが開いたということがございます。二件だけはチェーンカットいたしました。  こういう形で、現状においては警察立入り権の濫用は起こっていないと思いますけれども、今後そういう点についても十分法の適正な執行を期していきたいと、このように思っております。
  75. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 続きまして、最後に、提案者に対する質問としては最後ですけれども、虐待を受けた子供に対する支援措置が今回の改正で新たに盛り込まれたということになっておりますけれども、具体的にどのような措置が盛り込まれたのか、またその重要性についてお伺いをしたいと思います。
  76. 石毛えい子

    衆議院議員石毛えい子君) 委員指摘のように、虐待を受けた子供に対する支援が盛り込まれたという点は、今回の改正点の最も大きな注目すべきポイント一つであるというふうに発議者として申し上げたいと思います。「支援」という文言自体は、法の目的を規定いたしました一条を始めといたしまして、四条一項、三項、あるいは五条二項というように、随所に「支援」の文言を盛り込んでおりますが、具体的にその施策を規定しておりますのは第十三条の二でございます。ここでは、まず、国及び地方公共団体は、虐待を受けたために学校での学習が遅れてしまった児童について、年齢やあるいは能力に応じて十分な教育が受けられるようにするために、教育内容、方法の改善、あるいは充実を図る等の施策を講じなければならないというようにしております。  もう一つの点でございますが、国及び地方公共団体は、児童虐待を受けた児童が十八歳になった後も含めまして、自立を支援するために、居住の場所の確保、進学あるいは就業の支援その他の自立の支援のための施策を講じなければならないとしております。このことによりまして、虐待を受けた後に保護者との関係が絶たれてしまったような場合の際にも、施設を退所する場合において、アパートを借りる際や就職の際の保証人の問題、あるいは高等教育を受けるための学資の問題、就職をする際にアパートを借りることができないというようなことで、これまで住み込み形式の職業の選択に偏りがちであった、そうしたことを是正していく、解決していくというようなことが具体的な施策として期待をされているところでございます。  発議者として繰り返させていただきますが、今回は、第一条の目的の規定におきまして、虐待児童の人権の著しい侵害であることを明確に規定をいたしまして、予防早期発見保護という一連の施策、その施策に加えまして、さらにただいま申し上げました自立のための支援を具体的な施策として規定したところに、これ繰り返しでございますけれども、この改正法案の大きな意義があるというふうに考え、是非とも、今後この意義が十全に発揮されるようにと期待をしているところでございます。  以上です。
  77. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 御丁寧な答弁ありがとうございます。本当にその方向でしっかりと法施行時には運用が行われることを私も同様に強く期待をしたいと思います。  最後になりますけれども、厚生労働省にお伺いをいたしますけれども、やはりこの児童虐待防止改正案が通りまして、そして今朝のこの委員会で同僚の委員からもございましたけれども、いろんな意味で予算措置を拡充をしていかなければいけないんではないかというふうに思っておりますけれども、この予算の拡充について最後に厚労省からお伺いをしたいと思います。
  78. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 今回の予算におきまして、対前年度でございますけれども、三・五倍の予算付いたわけでございます。したがいまして、これらを使ってより効率的にこの虐待防止のために使用しなければいけないというふうに思っております。  一つは、家庭だけでは養育が困難な世帯に対しまして、保健師でありますとかあるいは子育てOBといったような人たちに訪問をしていただいてお話合いをするケースを増やしていく。皆さんに、やはり自分たちだけではなくて、いろいろなことが聞いてもらえる人がいるということが最も大事だというふうに思いますので、そうしたことができるようにしていきたい。  それから、施設をもう少し小規模化をいたしまして、できやすくしていきたいといったこともございますし、家庭支援相談員、名前をどうするかは別にいたしまして、そうした専門の御相談に乗るような人たちも増やしていくといったようなことを行う。里親制度もございますし、なかなか、里親制度もあるんですけれども、まだ十分に理解をされているとは言えない状況にございますから、皆さん方にやはりこの里親制度というものをよく理解をしていただいて、そして多くの人が里親になっていただけるような体制というのも作り上げていかなければならないというふうに思っております。自立援助ホームといったようなところの設置箇所数の増加といったことも大事だというふうに思っております。
  79. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 以上で終わります。ありがとうございました。
  80. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  法案審査に入る前に、今日は無年金障害の裁判の原告の皆さんがたくさん来ておられまして、京都からもお見えでございますので、私も最初に、大臣、まず原告にお会いいただくこと、それから控訴を断念していただくことをまず御要望させていただいて、質問に入りたいと思います。  衆議院の青少年問題特別委員会が、日本共産党も含めまして超党派で、三年前の法案作成に引き続き今回の法改正に積極的なイニシアを発揮されましたことについて、まず心からの敬意を表したいと思います。  そして、参議院でも共生調査会では、児童への虐待子供の人権を侵害する行為であることを明記いたしました児童虐待の防止に関する決議が、昨年の六月の十六日、全会派一致で採択をされております。今回の改正案は、その決議の方向にも沿ったものであり、我が党も賛成でございます。  その上で、更に何が必要かということで質問をさせていただきます。  まず、大臣にお伺いしたいんですけれども、本改正案の一条には、虐待児童の人権侵害と明記をいたしました。予防及び早期発見虐待を受けた児童保護と自立支援などを国及び地方公共団体の責務と明確化して、強調がされております。今年一月の国連子どもの権利委員会の勧告は、この本法案の施行後、相当の成果を上げたと評価をしながらも、なお我が国の児童虐待防止には包括的かつ学際的、分野横断的戦略がないと指摘がされております。  そこで、こうした国連の勧告を踏まえ、また本法案の改正点を実効あるものにするためには、国や自治体の基本計画の策定、また各省横断的なナショナルマシナリーといいますか、そういう機構の設置も必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  81. 坂口力

    国務大臣坂口力君) これは国際的にも、日本に対しまして、この児童虐待の問題に対して適切な手を打つべきだということを言っているんだというふうに思いますが、いろいろの分野がこれは協調してやっていくべきだということを簡単に言えば言っているんだろうというふうに思っております。  したがいまして、多分野にわたる戦略ということを言っているわけでありまして、これは協調も行い、そしていろいろのことを考えて総合的にやっぱりやっていかなければいけないということを指摘をされているというふうに思いますし、先ほどから議論のありますとおり、なかなか一つのことですべてを解決するということはできないわけでありますから、様々な施策の組合せ、そうしたものによって解決をしていく以外にないわけでございまして、私も、そうした総合的なやはり施策というものをどう作り上げていくかということが必要であり、最も効果的なその組合せというのは一体どういうことなのかといったことを検討していくときに来ているというふうに思っております。
  82. 西山登紀子

    西山登紀子君 私からの提案とさせていただきたいと思います。  次に、本法案の四条の三項には、国と地方公共団体は、児童虐待を受けた児童保護及び自立支援を専門的知識に基づき適切に行うとしております。  私は八年間、京都市の児童相談所で心理判定員をしておりました。親のカウンセリングと同時に、児童の心理治療なども担当しておりました。ですから、この法改正の方向は非常に大切だと考えております。児童相談所の実態は、どこも体制が追い付かず、大変です。児童相談所専門職として、児童福祉司の増員と併せて心理カウンセラーの役割も重要だと考えます。  心理カウンセラーの増員も視野に入れていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  83. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 児童相談所児童福祉司につきましては先ほど述べたとおりでございますが、御指摘のありました心理カウンセラー、こういったものについても、昨今のいろんな複雑化する虐待とかそのほかのニーズに対応していくために必要なことだというふうに思っております。  現在、児童相談所に心理判定員という形で八百数十名の方が置かれておりますが、さらに、平成十三年度からは児童相談所に併設をされております一時保護所にもこういった心理療法を担当する職員の配置を進めてきておるところでございますので、こういった面での充実を今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
  84. 西山登紀子

    西山登紀子君 積極的にお願いをいたします。  次に、提案者にお伺いをいたしますが、私は、児童相談所に勤務しておりました当時、併設されております情緒障害児短期治療施設、ちょっと聞き慣れない施設ですが、青葉寮というところのセラピストも実は兼務をしておりました。この施設というのは児童を、宿泊施設ですから預かって、生活指導、心理治療、学校教育、これを保障するという施設でございます。当時は五か所でしたけれども、現在は二十五か所。厚生省は、各府県に一つぐらいは必要だと、こういう目標にしていると聞いております。  今入所している児童の約七百人の中で、虐待された児童は実に六割を超えていると聞いております。今回の改正ではDV児童虐待に位置付けられましたが、虐待児童は心に深い傷を負っております。PTSDなど、治療は専門の知識が必要でございます。虐待親子関係の統合は、時間と親へのカウンセリングなどの支援も必要となってまいります。  被虐待児の治療と成長に効果があり、親への支援もある、こうした専門集団を持った情緒障害児の短期治療施設、この拡充、増設などは、改正案のどの部分に位置付けられておりますでしょうか。
  85. 石毛えい子

    衆議院議員石毛えい子君) 情緒障害児短期治療施設の具体的な展開の方向性につきましては厚生労働省から御答弁いただく方がよろしいかと思いますが、委員指摘のこの改正法案のどこに位置付けられているかという点におきましては、第四条第一項の最後の部分でございますけれども、少しその前段のところから読ませていただきますが、「関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援」、その次の「その他児童虐待防止等のために必要な体制の整備」というところに規定されております、位置付けられております。そのことを申し述べさせていただきたいと思います。  そして、少し私の方から関連して敷衍させていただきますと、PTSDなどを負っている大変重い症状をお持ちの虐待子供さんに対するケアとともに、そうしたケアも含めまして、今回の第四条では、民間団体の支援というようなことも規定をいたしました。全国的に子供にかかわる精神科医、精神小児科医と言ってよろしいんでしょうか、百名に達しているかいないかというふうに聞いておりますから、まだ非常に体制は不備であるというふうに発議者として認識をしております。  積極的に、虐待を負った子供たちの自立に向けて、体制が整備することを期待したいと思います。  以上でございます。
  86. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、児童虐待で死亡した子供の問題なんですが、今朝の報道でも非常にショッキングな報道がありましたけれども、虐待で死亡した子供の率は、五四%はゼロ歳児、一歳児でございます。ゼロ歳児の虐待死と呼んでもいいと思いますが、これは四か月未満が五〇%です。六歳未満で約九割を占めております。実母によるものが六三%、実の父親によるものが二二・四%でございます。  この実態からも、虐待の発生予防のためには、出産後の育児支援が非常に重要だと考えます。ネグレクトなどの防止は、保健師の新生児指導の家庭訪問や、乳児健診の未受診家庭への訪問などをしっかりやるということが必要になってくると思いますが、厚生省にお伺いします。実態と、対策はどのようになさりますか。
  87. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 御指摘のありました乳児健診あるいは新生児訪問でございますが、実態を申し上げますと、まず新生児訪問は、現在、二〇・五%程度の指導率でございます。それから健診は、一歳六か月健診が九一・三%、三歳児健診が八七・六%と、こういった数字になっております。  特に、産後すぐに訪問をする新生児訪問指導、こういったものについては、これを一層、もう少し率を引き上げて、必要な家庭に訪問をするというようなことに努めていく必要があるんではないかというふうに思っておりますし、それから、先ほど大臣からも御説明いたしました育児支援家庭訪問事業、一定の指標で対象家庭を絞り込んで、支援を必要とするような家庭育児OBでありますとかあるいは専門家を派遣する、こういった事業を今年度から始めることにしておりますので、こういった新生児訪問あるいは育児支援家庭訪問事業、こういったものをより積極的に活用してこの対策に結び付けていきたいというふうに思っております。
  88. 西山登紀子

    西山登紀子君 非常に低いということ、私も本当に驚きました。  提案者にお伺いしますけれども、こういう赤ちゃんの虐待虐待死が発生しないように明確な虐待発生予防認識を持って保健所などが保健活動に当たるべきだと思いますけれども、本法案にはどのように位置付けられているでしょうか。
  89. 富田茂之

    衆議院議員(富田茂之君) 保健師は、現行法におきましても児童虐待早期発見に努めるべきものとして第五条一項に挙げられておりますが、今回の改正により、児童虐待の防止のための研修等の対象、あるいは児童虐待の防止並びに保護、自立支援に関する施策への協力義務を課されるものとして新たに挙げられることとなっております。法文のこのような点に、保健所が明確な発生予防意識を持って保健活動に当たるべきことが表れていると発議者としては理解しております。  保健所や市町村の保健センター等は、未熟児及び障害児に対する訪問指導、乳幼児健診、母親に対する育児支援等を通じて児童虐待予防及び早期発見に寄与する立場にありますが、こうした場での児童虐待発見にとどまらず、先ほど委員から御質問があり、局長の方で御答弁されておりましたけれども、健診等を受診していない家庭であっても、養育力が不足している家庭を積極的に把握して必要な支援を行うことが期待されていると発議者としては考えております。
  90. 西山登紀子

    西山登紀子君 続いて、提案者にお伺いします。  十三条の二で保育所入所選考の際の配慮が明記されたことを評価したいと思います。ただ、平成十五年四月一日現在で、お聞きしますと、ゼロ歳から二歳で待機児童は、保育所の待機児童は一万七千八百九十三人と非常に多うございます。支援を必要とする子供の優先入所を可能とするためにも、産休明けなど乳児保育所の増設が育児支援策として非常に大事だと思いますが、抜本的な拡充などどのようにお考えでしょうか。
  91. 石井郁子

    衆議院議員(石井郁子君) 育児不安、育児ストレスなど、子育てにおける負担感が虐待につながるということが指摘されてきたところでありまして、保育所の受入れ能力の拡充というのは、子育てにおけるそういう負担感の軽減を通じて児童虐待の防止に大変重要だと考えております。そういう視点に限らず、働く家庭支援、少子化対策等様々な観点からも、西山議員御指摘の産休明け乳児保育所の増設などは重要な課題だと考えております。提案者としましても、政府の強力な取組が必要だと考えているところでございます。
  92. 西山登紀子

    西山登紀子君 最後の質問ですが、参議院の共生調査会の児童虐待防止決議では、父親の子育てに対する参加と責任が果たせるよう労働時間の短縮を始め、父親の子育て支援策を求めています。日本の父親の育児参加は極端に低うございまして、母親育児ストレスを高める一つの要因にもなっております。良好な家庭環境には、労働時間の短縮、家族の団らんは欠かせないと考えますが、政府の対策はいかがでしょうか。
  93. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 子育ての負担というのが母親に集中をしておる、それがいろんな問題を引き起こしておるということはよく言われることでございますから、こういったことにどう対応していくかということで、従来は保育所整備を中心にした環境整備というところに重点が置かれてまいりましたが、昨年の三月に決定をいたしました政府の次世代育成支援に関する当面の取組方針、こういったところでは、男性を含めた働き方の見直しということで、まず職場を改革していこうということを大きな柱の一つに据えたところでございます。  この中で、一日当たりの残業時間を例えば一時間以内を目指すといったようなことも目標に掲げられておりますし、それから昨年七月の成立いたしました次世代育成支援対策推進法に基づく計画作りが十六年度に行われるわけでありますが、こういった計画の中でも、各企業にそれぞれの立場から、職場の改革といいますか、働き方の見直しということに取り組んでいただきたいと思っておりますし、こういった形で社会全体として仕事と家庭の調和ということが図られることが、良好な家庭的環境の整備ということにつながってくるんではないかというふうに期待をしておるところでございます。
  94. 西山登紀子

    西山登紀子君 ありがとうございました。
  95. 西川きよし

    西川きよし君 西川でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  諸先生方からいろいろな角度で御質問がございましたんですが、私もまず、無年金のこと、控訴のないように大臣にもお願いをいたしておきたいと思います。あのときにお隣で座っておられました黒岩さんが今日は傍聴席にもお越しになっておられて、ひとつ僕の方からもよろしくお願いをいたしたいと思います。  そして、本題に移りたいと思うわけですが、児童虐待防止法の改正に向けてお取組いただきました提出者の武山委員長様始め皆さん方に本当に敬意を表したいと思います。  私の方からは、この法の施行後の行政側の対応方針について、まずお伺いをしたいと思います。  国や地方公共団体の責務の改正。第四条に、関係者に対して研修、あるいは児童虐待を受けた子供ケアなどの調査研究といったことが新たに新設をされたわけですけれども、例えば、今回の中学生の事件が起こった大阪府の場合でありますが、児童福祉司には大学で専門教育を受けた人を配置しているということでございますが、その点には配慮もし力も入れていただいたということですけれども、しかしそれでも、虐待への対応、家族への指導という意味では、十年、二十年いわゆる経験を積んで、本当に経験がないとなかなかやっていけない。それでも、その中でも独自に工夫をされて大変な成果を上げておられるという方々も実はたくさんいらっしゃるわけですね。  そこで、この法の施行後の対応につきまして、まず厚生労働省の方から御答弁をいただきたいと思います。
  96. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 関係機関の職員の質の確保といったようなことでございますが、まず職員の研修でございますが、平成十四年度に国が中心になりまして、こういう虐待問題に対応するために子どもの虹情報研修センターというものを設置しておりまして、そこで児童相談所に勤務する職員の研修、専門研修といったようなことを今実施をしておるところでございます。  それから、今回の、今、国会に提案をしております児童福祉法改正の中におきましても、新任の児童相談所長には必ず研修を受けていただくというようなことを盛り込んでおるところでございます。  それから、児童虐待防止のための調査研究におきましても、従来からいろいろ研究費を活用して、効果的な早期発見の方法でありますとか児童相談の方策、保護者に対する指導の手法、こういったものを研究はしておりますが、今後ともなお一層、こういう研修とかあるいは調査研究に力を、なお一層力を入れていきたいというふうに考えております。
  97. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  時間が短いものですから少しスピードアップさせていただきますが、警察署長に対する援助要請ですね。児童相談所と警察といかに連携を取るかということですが、そういう意味では、その警察に要請するタイミングですけれども、あるいは警察の対応、十二分な配慮が必要であると思うんですけれども、この点について警察庁のお考えをお聞きしたいのと、また、今回の岸和田の事件、副大臣行ってこられたんですが、見て聞いてという、ここの議論も本当に大切ですけれども、一歩でも半歩でも前に進まなければいけないという大変な課題ですので、是非御答弁をいただきたいと思います。
  98. 谷畑孝

    ○副大臣谷畑孝君) 西川先生指摘するとおり、私どももお互いに大阪の出身の議員として、私も岸和田へ行かしていただきまして、率直に申し上げまして、中学三年生が虐待をされて、まさしく死の寸前まで栄養失調で追い込まれていくという、非常に大きなショッキングな事件でございました。なぜ児童相談所が警察含めて立入調査ができなかったのかと、こういう発言というのは結構、大阪府民の皆さんからおしかりの言葉を実はいただいたわけです。私どもも現場へ行きまして、いかにこの児童相談所というのは数が少ないか、相談員そのものが。一人が百五十件の案件を抱えて、しかも、それぞれが複雑な家庭事情を抱えた百五十件ですから回るはずがないということがありますね。  それと同時に、一人の職員も、やっぱり経験を積まないと、やっぱりその家族から子供たちをもう一度、お母さん方、お父さん方を含めて子供を育てていこうという、もう一度心のケアをしながら立ち直っていくことが私はその子供にとってみても大事だと、こう思うんですね。やはり親の愛情なくして、家庭愛情なくして育つことはできないと思うんですね。そういう点は非常に大事だと。だから、そういうことで、幾ら個人がヒューマニズム的に思ってみても、なかなか警察含めて対応できないということなんですね。  だから、最後に、そういうことの中で状況というのがあるものですから、今回の法改正で、そういいながらでも、年間四十六名ですか、児童虐待でこれ死んでいっているわけですから、これも立入検査すれば救われておった可能性があるわけですから。だから、そういうことですから、今回の改正では、必要に応じて適切に警察署長に対して援助を求めなければならないという明文をはっきりと書いて、しかも、そういうことについて職員に対する研修をしながら、ネットワークを作りながらということで、一人でも多く救出をし、そしてその事前においては円満な形で再度子育てができるような環境を作っていく、こういうことでいきたいと、こう思っています。
  99. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) 児童虐待につきましては、警察としましても、児童相談所と一層緊密な連携を図りながら対応していかなければならないというふうに考えているところであります。  このため、児童虐待防止法第十条の規定に基づく援助要請の運用に当たりましても、警察と児童相談所が事前協議を行いまして、保護者の言動や虐待の態様あるいは被害児童状況等について共通認識を持っていく必要があるというふうに考えております。その際には、児童の安全の確保を最優先にいたしまして対処方針を検討しなければならないというふうに考えておりますが、その場合におきましても、子供の親に対する気持ちといったものを十分配慮してやっていかなければならないというふうに考えております。  また、事件として立件する場合にありましても、児童の心情に配意した対応を行いますように第一線を指導しているところであります。
  100. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  どうぞ、福祉部局などの連携をお取りいただいて、よろしくお願いいたします。  そしてまた、副大臣におきましては、見て聞いてという、地域そしてまた国がどういうふうに指導していくか、お互いが力を合わせてより良い方向へ一歩でも半歩でも、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  今、副大臣にお伺いしましてかなり理解をさせていただける部分がございましたので、もう一問聞きたいなと思ったんですけれども、あと二分しかありませんので、大臣に、坂口厚生大臣に、本当に素朴な疑問ですが、いろいろ勉強させていただきまして、やっぱり一番多いのが何といっても、この虐待で、大臣、実母という、実のお母さんが子供をこういう虐待する。どうしても考えられない。うちは四代で大家族なんですけれども、とてもじゃないけれども考えられない。こんな幸せなすばらしい国になって、なぜ実のお母さんが実の子供を、そして二番目に、実のお父さん、実父ですね。こういったことをいろいろ、三人育てて、自分も親としてどうも理解ができない。  大臣は一体、本当にこういった意味での長におられるわけですから、どういうふうに御理解をしてこれから、国はもとよりですけれども、地方と細やかに、本当に児童相談所、そしてまた警察、交番所のお巡りさん、いろいろたくさんいらっしゃいます。専門家の方々もたくさんいらっしゃいますが、トータル、これからこの問題どういうふうにお考えになっていかれるのか、お伺いして終わりたいと思います。  一分半から二分でお願いしたいと思います。
  101. 坂口力

    国務大臣坂口力君) 一番安全な場所という意味で母の懐という言葉がございますけれども、そこが本当は一番安全な場所であったわけでありますし、そうあるべきだと今も思っております。なぜそれがというのは、委員が御指摘のとおり、私もなぜそれがというふうに思い続けているわけでございます。  先ほども少し申しましたけれども、私も議員宿舎等で独りで生活をしたことがございますが、独り生活をしておりますと、なかなか、何と申しますか、歯止めが利かないと申しますか、食べるもの一つにいたしましても、本当は食べてはいけないんだけれども、だれも見てないということになると、それはやっぱり人間というのは弱いものでありまして、食べてしまう。  親は本当は、母の懐、父親の懐でそこに最も安らぎを子供たちに求めさせなければならないんですけれども、お父さんにしろお母さんにしろ、これは人間でありますから、感情の揺れというのは非常にあるわけで、生活上でいろいろの問題もあるでしょう。そのときに、虐待をしてはならないはずのそのお子さんに対して、その矛先が向いてしまうということになる可能性、そこにおじいちゃんがおみえになり、おばあちゃんがおみえになれば、いや、そんなことはというふうにして一言言ってもらえる。そのまたおじいちゃんやおばあちゃんの手前、そんなこともできないということも起こり得る。昔の大きい家族の中で起こらなかったことが、この核家族の中で起こりやすい環境を一面で作っていると私は思えてなりません。別に科学的な根拠のある話でもございませんし、全然ありませんが、私自身はそんなふうに思えてならないわけであります。  こうしたことにつきまして、今後もう少し科学的に検討を進めて、そして皆さん方の御期待におこたえをしていきたい、そう思っております。
  102. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。終わります。
  103. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  児童虐待防止等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  104. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  武山委員長及び大臣は御退席いただいて結構でございます。  ありがとうございました。     ─────────────
  106. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 次に、クリーニング業法の一部を改正する法律案及び公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  提出者衆議院厚生労働委員長衛藤晟一君から順次趣旨説明を聴取いたします。衛藤晟一君。
  107. 衛藤晟一

    衆議院議員(衛藤晟一君) 衆議院厚生労働委員長の衛藤晟一でございます。  ただいま議題となりました両案について、提案理由及び内容を御説明申し上げます。  まず、クリーニング業法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  本案は、クリーニング業において新しい営業形態の出現やクリーニング業を営む者に対する利用者の苦情が増えている状況等を踏まえ、利用者の利益の擁護を図り、クリーニング業における適正な衛生水準を確保するため、必要な措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、法の目的に、「利用者の利益の擁護を図る」ことを加えること。  第二に、営業者は、業務用の車両について必要な衛生措置を講じなければならないものとすること。  第三に、営業者は、利用者に対し、洗濯物の処理方法等を説明するよう努めなければならないとともに、苦情の申出先を明示しなければならないものとすること。  第四に、クリーニング所を開設しないで取次業を営もうとする者は、営業方法等を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。  なお、この法律は、一部の事項を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  次に、公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  本案は、公衆浴場が住民の健康の増進等に関し重要な役割を担っていることにかんがみ、住民の福祉の向上のため、公衆浴場の位置付けを明確にしようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、法の目的に、公衆浴場が住民の健康の増進等に関し重要な役割を担っていることを明確にするとともに、「住民の福祉の向上」を加えること。  第二に、国及び地方公共団体は、住民の健康の増進、住民相互の交流の促進等の住民の福祉の向上のため、公衆浴場活用について適切な配慮をするよう努めなければならないこと。  第三に、公衆浴場の経営者は、公衆浴場活用に係る国及び地方公共団体の施策に協力するよう努めなければならないこと。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  以上が、両案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  108. 国井正幸

    委員長国井正幸君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会