運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-05-17 第159回国会 参議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十七日(月曜日)    午後一時三分開会     ─────────────    委員異動  五月十日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     柳田  稔君  五月十一日     辞任         補欠選任      後藤 博子君     関口 昌一君  五月十二日     辞任         補欠選任      加治屋義人君     荒井 正吾君      柏村 武昭君     中島 眞人君      関口 昌一君     後藤 博子君  五月十三日     辞任         補欠選任      荒井 正吾君     加治屋義人君      中島 眞人君     柏村 武昭君      柳田  稔君     平野 貞夫君      和田ひろ子君     櫻井  充君      小林美恵子君     大沢 辰美君  五月十七日     辞任         補欠選任      佐藤 雄平君     若林 秀樹君      木庭健太郎君     千葉 国男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 岩井 國臣君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 羽田雄一郎君                 松井 孝治君                 畑野 君枝君     委 員                 大野つや子君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 常田 享詳君                 中原  爽君                 藤井 基之君                 神本美恵子君                 川橋 幸子君                 齋藤  勁君                 櫻井  充君                 平野 貞夫君                 広野ただし君                 若林 秀樹君                 千葉 国男君                 遠山 清彦君                 大沢 辰美君                 又市 征治君                 岩本 荘太君    国務大臣        農林水産大臣   亀井 善之君        経済産業大臣   中川 昭一君    副大臣        経済産業大臣  坂本 剛二君    大臣政務官        財務大臣政務官  山下 英利君        厚生労働大臣政        務官       竹本 直一君        経済産業大臣政        務官       江田 康幸君        経済産業大臣政        務官       菅  義偉君    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   山木 康孝君        農林水産大臣官        房長       小林 芳雄君        農林水産省総合        食料局長     須賀田菊仁君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        農林水産省経営        局長       川村秀三郎君        農林水産省農村        振興局長     太田 信介君        林野庁長官    前田 直登君        経済産業大臣官        房総括審議官   石田  徹君        経済産業大臣官        房審議官     岩田 悟志君        経済産業省製造        産業局次長    中嶋  誠君        経済産業省商務        情報政策局消費        経済部長     小川 秀樹君        資源エネルギー        庁次長      石毛 博行君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       藤田 昌宏君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        細野 哲弘君        中小企業庁長官  望月 晴文君    説明員        会計検査院事務        総局第四局長   友寄 隆信君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事辞任及び補欠選任の件 ○平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四  年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十四年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)  (農林水産省経済産業省農林漁業金融公庫  、中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団信  用保険部門の部)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、大塚耕平君、小林美恵子君、和田ひろ子君、木庭健太郎君及び佐藤雄平君が委員辞任され、補欠として平野貞夫君、大沢辰美君、櫻井充君、千葉国男君及び若林秀樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 理事辞任についてお諮りいたします。  川橋幸子君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事辞任及び委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事羽田雄一郎君及び畑野君枝君を指名いたします。     ─────────────
  6. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林水産省経済産業省農林漁業金融公庫中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団信用保険部門決算について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 大野つや子

    大野つや子君 自由民主党の大野つや子でございます。  初めに、中心市街地活性化対策現状等についてお伺いいたします。  シャッター通りの言葉で象徴されますように、中心市街地の多くの商店街で売上げが減少し、商売をやめてシャッターを閉めたままの店舗が増加していることは御承知のことと思います。車社会が進み、駐車場の完備している郊外型の大型小売店に客足が向かった結果ではありますが、地方経済活性化には中心地活性化は欠かすことのできない重要な課題です。私ども岐阜県でも、歌にまで歌われた柳ケ瀬を始めとする中心市街地駅周辺活性化は県全体としても大きな課題になっています。  そこで、お伺いいたします。  経済産業省国土交通省などと協力して中心市街地活性化に取り組んでこられたことは私もよく存じており、今日までの御努力に対し感謝申し上げるところでございます。平成十四年度には、空き店舗を活用した保育施設等コミュニティー施設設置支援商業基盤となる施設整備商店街活性化のためのソフト事業等、様々な支援実施されました。  そこで、今日までの取組成果を踏まえ、今後、より一層の活性化に向けどのような取組が必要とお考えでしょうか。経済産業大臣から是非御見解をお聞きしたいと思います。
  8. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今の大野委員の御指摘でございますが、地方に行きますと、例えば駅前とかいわゆる中心市街地があるわけでございまして、そこがある意味では経済あるいは人の流れ中心になっているわけでありますが、今委員指摘のように、委員の御地元岐阜市、あるいは私の地元もそうでございますが、ほうっておくとどんどんといわゆる御指摘のようなシャッター街、人の流れが少なくなっていくという状況は、やはり町づくり又はその町に対する外からのイメージといったことも含めまして、いろんな意味でこの活性化をしなければならないということは極めて重要なことでございまして、そういう意味で、中心市街地活性化のために、今御指摘ありましたように、我が省あるいはお隣の亀井大臣農林水産省始め関係各省庁と今一生懸命施策を講じておるところでございます。  約六百の中心市街地活性化基本計画というものを策定されておりますけれども、率直に言って進捗状況はいろいろな状況、うまくいっているというところもありますし、苦労しているというところもあるのは事実でございます。何といいましても、町は一つ一つ顔違い中身が違いますから、地域の皆様、商工会議所等商工会等中心になって、あるいはまた町の青年あるいは御婦人が中心になって、地元の人がオーダーメードでこういうものをやっていくんだということを政府としてもお手伝いをさせていただきたいということで、これからも更に努力をしてまいります。  今後は、特に人材面に重点を置きまして、町づくりのために、地元皆さん、あるいはまた地元でなくてもプロの皆さん方知恵やあるいはまた行動というものが活性化のために実現できるように頑張っていきたいというふうに思います。  また、今御指摘のような大型空き店舗問題というものも、非常にこれは大きな問題でございますので、こういうところをどういうふうに活用していくかということにつきましてどうぞ御地元知恵、意見をどんどんどんどん出していただいて、それを政府としても各省連携して活性化のためにお役に立たせていただきたいというふうに思っておるところでございます。
  9. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。  次に、中小企業対策についてお伺いいたします。  昨今、景気回復基調にあることは大変喜ばしいことですが、我が国企業数の九九%を占める中小企業が依然として厳しい状況に置かれていることは、本年三月の日銀短観企業による業況判断を見ると明らかです。大企業中小企業景気判断には歴然とした差があり、回復の遅れは明らかですが、中小企業が元気を取り戻さなくては本格的な景気回復はあり得ないと存じます。また、実感できる我が国景気回復とは言えないわけでございますので、経済産業省として中小企業現状をどのように認識されているのか、お伺いをしたいと思います。
  10. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) 先生指摘のように、全般的には景気が持ち直しの動きが見られるわけでございます。ただ、この動きも、中小企業には経済的に全体の回復の影響が少しずつ浸透しつつあることもまた示すものでもございます。ただし、業況判断DIは依然としてマイナスの値でありまして、中小企業の大部分を占める非製造業におきましては特に水準が低い状況にあるわけでございます。消費に明るい兆しも見えてきておりますけれども、非製造業業況回復に広く浸透するにはまだまだ時間を要するなという、そんな考えを持っております。  経済産業省といたしましては、金融セーフティーネット対策とか証券化支援などによります金融支援、それから企業再生支援策、新たな事業に挑戦する中小企業創業支援策、これを三つの柱といたしまして中小企業をしっかりと支えてまいる所存でございます。
  11. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  どうぞしっかり支えていただきたいと思います。  次に、中小企業高齢化進展後継者難への取組についてお伺いいたします。  中小企業の中でも特に自営業における問題が、自営業主高齢化後継者問題に苦労していることだと存じます。自営業主年齢構成は、約二十年前には自営業者の半数が五十歳未満でしたが、二〇〇二年には五十歳未満は三割を切る中で、七十歳以上の方が一七・五%と二割近くを占めているなど、高齢化が顕著になっています。総務省の調べでは、平成十三年十月の事業所数は約六百四十九万事業所がありましたが、ここ五年間で三十六万七千か所も減少し、加えて、雇用においても二百六十二万人が減少している状態です。  このような状況では、このまま中小企業事業主高齢化後継者難の問題を放置しておくことは日本経済の先行きに大きな懸念材料であると思いますが、この現状をどのように認識されているのでしょうか。また、今後どのような対策をお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。
  12. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) これも先生指摘のように、もう世の中の高齢化とともに中小企業企業主も非常に高齢化していって、しかもまた後継者がなかなか難しいという、そういう大きな課題に直面いたしております。  そこで、経済産業省は、平成十五年に、後継者確保をするというそういう視点から、血縁関係者でなくても、外部から人材を求めることができるようにするための後継者人材マッチング促進事業を創設しておるところでございます。この事業では、後継者難に悩む事業者後継者となることに関心を有する者、例えば新規事業を希望しながらなかなか実現しない、あるいは何かちゅうちょしている、そういったような方々とのマッチングをインターネットの活用とか商工会等における現地交流会などの実施によって支援していきたいと、こうやっておるわけでございます。  平成十六年度もこれをやっておりまして、実は三月十五日にサイトを立ち上げまして、後継者を探している事業者、これは七十二件、もう既に登録されています。これは、商工会地区商工会のある地区から五十七件、それから商工会議所地区から十五件ほど登録されております。これは、後継者となることを希望する者は二百八十八件ほど登録されているのでございます。  また、現地交流会などの実施状況でございますが、全国二十一か所の商工会商工会議所で既に実施しておりまして、マッチングの成立が六件、それから今協議継続中、どうしようかというのが五件と、こういうことになっておるわけでございます。  また、税制面におきましても、減免措置を講じて環境整備を、後継者が、後継事業が行えるような環境事業整備を図っておるところでありますが、具体的には、身内の後継者事業を継承しやすくするように、事業用の宅地や自社株式に係る相続税負担を軽減する措置を講じているところであります。これは平成十五年度、それから十六年度改正においてその拡充を図っております。また、親族後継者がいない場合、自社株式親族以外の者や他の会社に売却して経営を引き継ぐことを円滑化すべく、平成十六年度税制改正において非上場株式譲渡益課税の減税を、税率を二六%から二〇%に減額、軽減したところでございます。  今後とも、こうした施策を通しまして、後継者難を抱える中小企業対策支援を積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  13. 大野つや子

    大野つや子君 よろしくお願いをいたします。  次に、横ばい中小企業予算増額していく必要性についてお尋ねいたします。  中小企業対策予算額は、平成十四年度、一千三百五億円、十五年度、一千二百九十五億円、十六年度、一千三百五億円と横ばいで推移しています。先ほど日銀短観による企業業況判断事業所数減少状況を紹介いたしましたように、中小企業の置かれている現状は大変厳しいものと言わざるを得ません。財政面が厳しいこと等はよく理解いたしておりますが、先ほども申しましたように、企業数の九九%を占める中小企業対策予算が一千三百億円前後にとどまっているというのはいかにも少なく、もっと増額していく必要があるのではないかと、納得いかない気持ちなのは私だけでしょうか。  対策費増額必要性に対する御認識を含め、御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  14. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 中小企業予算につきましては、先生指摘のとおり、十六年度の中小企業対策費についても千三百五億円、これは、ただ十五年度からは十億円の増額ということ、わずかではございますけれども、大変厳しい財政事情の中にありまして増額予算を組んだということでございます。  加えまして、実は中小企業対策費につきましては、当省計上の今申し上げました千三百五億円のほか、財務省で三百九十億円、厚生労働省で四十三億円の中小企業対策費がございまして、政府全体では十六年度は千七百三十八億円を計上いたしております。この千七百三十八億円も、昨年度の千七百二十九億円からは、微増ではございますけれども増額予算といたしております。  また、平成十五年度の末におきましても、政府全体の当初予算千七百二十九億円、ただいま申し上げました十五年度の千七百二十九億円のほか、補正予算で八百四十五億円を計上をいたしているところでございます。  今後とも、大変限られた財源の中ではございますけれども、工夫をしながら、御配慮をいただきながら、適時適切に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  15. 大野つや子

    大野つや子君 大変予算が厳しいというお話ではございますけれども、おっしゃることも大変よく分かるのですが、元気が出る中小企業対策予算増額も今後もよろしくお願いしたいと思います。  次に、産業再生機構中小企業版とも言える中小企業再生支援協議会成果についてお伺いいたします。  岐阜県の中小企業再生支援協議会岐阜商工会議所設置されており、これまでの相談取扱い件数は四十三件に上っていますが、このうち再生計画策定を完了した案件はわずか一件のみにとどまっています。有望な技術力を有する中小企業再生は、地方都市における産業活性化に何より必要な政策であり、中小企業再生支援協議会活動に私も大いに期待しているのですが、協議会現状、今後について経済産業省の御所見をお伺いしたいと思います。
  16. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 経済産業省におきましては、先生指摘中小企業再生支援協議会をすべての都道府県に設置をいたしまして、地域金融機関など地域の総力を結集して、相談から再生計画策定支援まできめ細かに中小企業再生への取組支援しているところでございます。  協議会ではこれまでに、日本全体で三千五百八十五の企業からの相談に応じております。うち三百十二件の再生計画策定支援を行っているところでございます。その中から百三十七の再生計画策定が既に完了をいたしまして、その結果、これらの企業に雇われております一万一千七百二十一名の雇用が確保されるなど、成果が上がりつつあるというふうに考えているところでございます。  なお、先生指摘のように、各地の協議会ごと相談件数再生計画策定件数などの活動実績に若干の差が生じているのは事実でございます。全協議会が更に成果を上げていきますように、協議会間の情報共有などを図っていく必要があると認識をしているところでございます。このため、当省では、すべての協議会を一堂に会しての全国連絡会議地方経済局地域ブロックごとでの連絡会議を開催するなどによりまして、これまでの経験から得られました再生のためのノウハウや知見などの情報につきまして協議会同士共有をされるように努めているところでございます。  今後とも、協議会を軸といたしまして、政策金融など様々な施策を結集をいたしまして、地域中小企業再生に万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  17. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。  次に、女性起業家の一層の育成方策についてお伺いいたします。  これからの日本には、より一層女性主婦感性を生かした社会作りが求められると存じます。特に、男女共同参画社会進展に伴って、女性社長研究者方々が増えつつあることは大変喜ばしいのですが、私は、女性起業家が今日以上に現われ、女性主婦感性が生かされた産業社会が花開いていくような更なる政策が進められることを期待いたしております。  そこで、女性起業家支援策現状について、経済産業省の御所見をお伺いいたします。
  18. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 委員おっしゃったように、我が国経済活性化をするためには女性創業というのは極めて大事であるというふうに思っています。そういう中で、我が省におきましても女性起業家に対して様々な支援策を講じてきております。  例えば、創業者に無担保無保証で融資を行う新創業融資制度、これは女性に対しては一般創業者よりも若干低い金利、これが設定をされておりまして、例えば十五年二月から十六年四月まで約六百五十件、十七億円の実績を上げております。さらに、創業を目指す者に短期間で創業に必要な基礎知識ビジネスプラン作成に必要な実践的能力を修得を支援する創業塾、これにもやはり女性のための創業塾を開設しておりまして、十五年度におきましては全国合計六十か所で実施をしたところであります。  これからも、女性起業家皆さんの様々なニーズにおこたえできるように施策展開を行っていきたいと考えています。
  19. 大野つや子

    大野つや子君 大変女性に対して御理解をいただいているということでございますが、これからも是非強力にお力添えを賜りたいと、このように思います。  次に、新事業創出育成への支援施策としては、平成七年以降、中小企業創造活動促進法や新事業創出促進法などに基づき、直接金融による支援の創設や間接金融による新たな金融制度整備等を行っており、一定効果を上げていることを承知いたしております。しかしながら、平成十四年度決算検査報告では、これらの事業を検証した「新事業創出育成に係る金融支援施策実施状況について」の中で、一定効果が見られるものの幾つか改善すべき点があるとの報告がなされております。  まず、会計検査院からこの指摘の概要について端的に御説明お願いしたいと思います。
  20. 円谷智彦

    説明員円谷智彦君) お答えいたします。  産業構造の変革と経済活性化を図ることを目的といたしました新事業創出育成に係る支援施策の一環といたしまして、平成七年以降、新事業実施する企業を対象に、直接金融による支援を創設するとともに間接金融による支援でも新たな融資制度整備いたしましたが、これらの金融支援施策につきまして中小企業総合事業団産業基盤整備基金中小企業金融公庫及び日本政策投資銀行におきます実施状況を検査いたしましたところ雇用創出には効果が見られましたものの、直接金融では、支援体制が十分でなかったり、支援の枠組みが投資先企業の破綻、低金利等外部要因を受けやすいものであったりしたことなどから、実績が減少しておりましたり、また地方圏企業に十分に波及していなかったりしておりました。また、間接金融では、創業期あるいは成長初期段階企業など、資産が少ない企業に対する支援が低い割合にとどまっておりました。    〔委員長退席理事岩井國臣君着席〕  中小企業総合事業団産業基盤整備基金は十六年度に新法人に統合することとされておりまして、新法人におきます直接金融支援では、地域の実情に配慮して事業を一層活用していくことや、これまで培った経験を同種の事業実施する際に活用していくことが望まれるところでございまして、また中小企業金融公庫日本政策投資銀行におきます間接金融支援では、新事業実施する企業が有するリスクを勘案しつつ資金を供給することができますよう貸付手法や債権回収方法等を整備していくことが望まれる旨を昨年度の検査報告に本院の所見として掲記したところでございます。  以上です。
  21. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  ただいまいろいろ御説明をいただきましたが、実際に六割程度の企業において売上高が伸び、また半数以上の企業において自己資本比率が増加し、さらに従業員数も少しずつ増加しているというような一定効果は上げているんだということは確かだと思います。しかし、支援体制が十分でなかったり、地方企業に十分波及していないなどの問題点とともに、最も支援を必要としていると考えられる創業期あるいは成長初期段階企業などの資産が少ない企業に対する支援が低い割合にとどまっているなどの課題もあると思います。  これらの点を踏まえ、経済産業省として今後の金融支援施策の在り方についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
  22. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答えいたします。  我が国経済活性化のためには、創業やベンチャーの促進というのは大変重要なことでございますし、政策課題として私どもも特に重要なものと位置付けて取り組んでいるところでございます。  まず、御指摘の直接金融支援につきましては、目利き能力の欠如から投資先企業の破綻が多いなど、従前の制度は実績が減少しているという会計検査院からの平成十二年の指摘を受けたところでございますけれども、当省といたしましては、その後新たに中小企業総合事業団が民間投資家とともにベンチャーファンドを組成し、ベンチャー企業育成を行う仕組みを新たに導入するなど、民間の能力を生かしたより効率的な事業実施に取り組んでいるところでございます。  これまで平成十一年三月から平成十六年四月末までの事業団から出資を受けたファンドは三十四ファンドになっておりまして、これらのファンドから投資された六百二十七の会社がございます。このうち、二十八社が実は株式公開を達成をしているという状況でございます。  また、御指摘創業期あるいは成長初期段階企業などに対する支援が低い割合にとどまっているという間接金融におきましても、担保となるような資産を十分に保有しない傾向にある創業者支援するために、優れたビジネスプランさえあれば無担保無保証でお金を貸すということを、国民金融公庫が新創業融資制度というものを創設をいたしました。五百五十万円までの限度で無担保無保証で貸すことにいたしております。  こういった新たな貸付制度の整備に努めてきたところでございますけれども、これまで同制度では平成十四年一月から十六年の五月まで約一万件、三百二十億円の実績を上げてきているわけでございます。さらに、平成十六年度からは、融資限度額をただいま申し上げました五百五十万円から七百五十万円に引き上げたところでございます。  当省といたしましては、今後ともこれらの金融施策を適時適切に見直しつつ強力に推進し、創業やベンチャーの促進に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  23. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。今後ともよろしくお願いを申し上げます。  次に、リサイクル政策についてお伺いいたします。  まず、家電リサイクル法が施行されてから三年が経過し、国民の間でもリサイクルの重要性がすっかり定着した感があります。それに伴いまして、資源の有効活用や環境への配慮の観点からも一定効果が現れているものと思われます。  しかし、過日の新聞報道にもありましたように、一部家電量販店が委託した運送会社によってリサイクルされるべき家電が横流しされる事件が発生しております。このような事態は、資源が有効活用されないばかりでなく、リサイクル料を負担する消費者のリサイクル政策への不信も招きかねないものです。今回の事案はリサイクル券をはがすといった手口であるとのことですが、このような単純な手口で横流しができること自体、法や制度に若干の不備があったのではないかとも考えられます。  そこでまず、今回の事件について経済産業省としてどのような御所見をお持ちなのか、また今後同様の事態を招かないようどのような対策を講じようとしていらっしゃるのか、あるいは既にもう講じていらっしゃるのか、その辺、お尋ねをしたいと思います。
  24. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 過日のこうした事件につきましては極めて遺憾なことであるというふうに思っております。このため四月九日の日に、ヨドバシカメラには勧告を、ビックカメラに対しては厳重注意を行いました。  そもそも、この現行制度というのは、小売業者に対し廃家電を製造業者の指定引取り場所に引き渡すことを義務付けをしているところでありますけれども、このルールが今後しっかりと守られるように、小売業者に対しては製造業者などへの引渡しを確認するように三月十日付けで文書で指導したところであります。  さらに、家電リサイクル券の運用面の改善でありますけれども、これにつきましては、小売業者、製造業者とともに検討しておるところであります。
  25. 大野つや子

    大野つや子君 しっかりお願いしたいと思います。  次に、フロンガスの回収についてお伺いいたします。  まず、カーエアコンに係るフロンの回収実績についてですが、来年一月からの自動車リサイクル法の施行に先んじ、十四年十月よりカーエアコンからのフロン回収が制度化されました。  これは、廃車の際、自動車ユーザーがフロン券というものを購入し、フロンの回収、破壊の費用負担をするものであります。しかしながら、環境省やフロン回収事業をメーカー等から委託されている自動車リサイクル促進センターの調査等によりますと、これまで販売されたフロン券は百九十三万枚に対し自動車の回収台数は百四十三万台にとどまり、実に五十万台分の差異が生じております。当初予定しておりましたとおりにはなっていないのではないかという懸念が生じます。まず、この五十万台分の差異が生じている理由について経済産業省にお伺いいたします。  また、この五十万台分のフロン券に係るユーザー負担の金額については同センターにプールされているとのことですが、来年の自動車リサイクル法施行後も含め、その取扱いはどのようになっているのでしょうか。併せてお伺いしたいと思います。
  26. 中嶋誠

    政府参考人(中嶋誠君) フロン回収・破壊法におきましては、自動車を廃棄する際に、事前にコンビニエンスストアあるいは郵便局などにおきましてフロン券を購入の上、これを添付して自動車を廃棄することになっておりますが、フロン券の販売枚数と実際にフロン類を破壊した台数に差があることは事実でございます。  その理由といたしましては、まずフロン券は金券的な性質を有するものであり、自動車のユーザーの便宜のため、ディーラーなどの関係事業者があらかじめ購入しておくことが可能であります。また、使用済みの自動車の廃棄から、フロン類を回収してボンベへ充てんし、最終的にフロン類を破壊するまでには一定の期間が必要であることが挙げられます。  このため、フロン券の販売枚数と実際にフロン類を破壊した台数には差異が発生し、一定程度の金額が必然的にプールされる仕組みとなっており、フロン券の販売枚数と実際にフロン類を破壊した台数を単純に比較することはできないものとなっております。したがって、御指摘の約五十万台分、これは本年三月の数字でございますけれども、のユーザー負担金額がそのまま剰余金となるものではございません。  他方で、使用済みの自動車から回収されましたフロン類がフロン類の回収業者により再利用される場合には、フロン券により入金された金額が実際には回収・破壊費用として使用されないことになります。結果として剰余金が一部発生することは、これまた当然に想定されるものとなっております。  このように、結果的に発生した剰余金の取扱いにつきましては、産業構造審議会におきます審議結果等を踏まえまして、財団法人自動車リサイクル促進センターにおいて、他の事業とは明確に区分をし、来年一月の自動車リサイクル法施行後に、フロン類に関する広報活動など、フロン類の大気への排出抑制に資する公共目的の事業に活用されることとなっております。  経済産業省といたしましても、このような形で有効活用されるよう同センターをしっかり監督してまいる所存でございます。
  27. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  次に、フロン回収・破壊法によるフロン回収には、カーエアコンだけではなく、業務用エアコンに係るフロンの回収も想定されております。しかし、こちらの方も、当初予定していたほど回収は進んでいない実態が新聞等で報じられております。  まず、業務用エアコンは、年間の回収見込みが五千二百トン強であるのに対し、十四年度の回収量は二千トン弱と、実に三千トン以上もの開きがあります。また、先ほどお聞きいたしましたカーエアコンも、年間の回収見込みが推計で一千五百トン弱であるのに対し、実際の回収量は四百十トン余りと、ここでも千トン以上の開きが出ております。このうちの幾らかは違法に空中に放出されているのではないかとの懸念も生じているわけでございますが、もちろん法律の制定により、これまでの自主的な回収に比べればはるかに回収実績が上がっていること自体は評価したいと思いますが、仮に違法に放出されていることとなれば環境に重大な影響を及ぼすことになります。  この見込みを大きく下回っている実態について、どのような御認識をお持ちでしょうか。また、この状況を改善するためにどのような取組を行っているのか、お伺いしたいと思います。
  28. 中嶋誠

    政府参考人(中嶋誠君) 確かに、今、委員指摘ございましたように、平成十四年度の業務用エアコンなどからのフロン類の回収量は約千九百五十八トンでございまして、平成十三年度までの自主回収時の実績に比べれば約一・六倍増加して、本法の施行は一定成果を上げているものと評価はしております。他方で、業界推計によりますとフロン類の回収対象は約五千二百トンと見込まれておりますので、これによりますとフロン量ベースの推定回収率は約三六%にとどまっているということになります。この推計自体は業界推計でございまして、引き続き正確な廃棄実態の把握に努める必要がございますけれども、いずれにせよ、政府としてもフロン類の回収が十分徹底されていない状況にあるというふうに認識しております。  このため、フロン回収・破壊法の適正な運用について、都道府県において立入検査等を強化するなどその確保に努めているところでございます。ちなみに、平成十五年度では約八千百件の立入検査を実施しております。  またさらに、より一層フロン類の回収が徹底されるよう次のような対策を取っているところでございます。  まず第一に、フロンの回収に応じる法律上の義務のある機器の所有者の団体に対して、関係各省の協力を得つつ法令の周知徹底を行い、あわせて、法施行事務を担当する都道府県等に対しましても庁内の各部局並びに域内の市町村への周知徹底を図るように要請を行いました。  第二に、こういった業務用冷凍空調機器の廃棄の具体的な状況が必ずしも正確に把握されていないという面もございますので、機器の廃棄のより正確な実態把握に努めているところでございます。  これを踏まえまして、本法によるフロン類の回収をより確実にするための回収システムの構築を目指しながら、関係業界の協力の下、環境省、国土交通省農林水産省なども含めて、当該システムの在り方についての検討会を開始したところでございます。  今後とも、関係業界、関係省庁あるいは自治体と協力をしながら、フロン類の回収促進に取り組んでまいりたいと思っております。
  29. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございます。  次に、エネルギー政策、特に特別会計を中心にお聞きいたします。  エネルギー関連の特別会計には、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計と電源開発促進対策特別会計の二つがあります。いわゆるこのエネルギー二特会は、これまでにも多額の不用、余剰及び繰越しが問題視されてきております。十四年度決算を例に取れば、石油特会の石油等勘定で繰越額が一千二百四十四億円、不用額が一千八百十二億円、電源特会の電源立地勘定で不用額が九百六十五億円、電源多様化勘定で繰越額が四百六十三億円、不用額が三百九十一億円となっております。  会計検査院においても、十三年度に電源特会、十四年度に石油特会を特定検査対象として取り上げ、これらの動向を注視すると記載しておりますし、昨年十一月の財務省によります特別会計の見直しの中でも同様の指摘がなされております。さらに、この見直しでは、これら二特会について、両特会の在り方と区分の必要性について検討すべきとの指摘もなされております。  これら二特会については、特定財源化し、エネルギー財政の硬直化を招いているとも言われる事態に対し、また財務省によるこれらの指摘について、経済産業省としてどのような御認識をお持ちでしょうか。さらに、これらの事態を解消していくためにどのような取組を行っているのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
  30. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) お答えいたします。  いわゆる石特会計におきましては、石油等の安定供給、それから地球環境問題への対応、そういうものを図るために、石油石炭税を財源としまして石油等の備蓄あるいは自主開発、そういうものの政策、省エネルギー・新エネルギー対策、そういうものを実施をいたしております。  それからいわゆる電特会計におきましては、電力の安定供給確保を図るために、電源開発促進税、それを財源としまして、原子力などの長期固定電源の立地の円滑化を図るための施策、それからこれらの原子力などの利用促進に資するような技術開発、そういうものの施策実施をしております。  石特会計におきましては、御指摘のような不用、繰越しが発生をしております。不用につきましては、石油の備蓄事業におきまして緊急時における備蓄放出に備えて計上している予算がございますけれども、放出が必要となるような緊急事態が生じませんでしたのでその執行を要しなかったと、そういうことによるものでございます。それから繰越しにつきましては、クリーンエネルギー自動車の導入に対する補助等について事業の進捗が遅れまして当該年度内に終わらなかったと、そういうことによるものでございます。  それから電源特会につきましては、その不用は、発電所建設時に多額の支出が行われる地元の自治体へ交付金が付されるわけですけれども、原子力発電所の建設計画の遅れによりましてその交付金が交付されていないということによるものであります。それから電源特会の繰越しでございますけれども、住宅用の太陽光発電の導入に対する補助金などにおきまして事業の進捗が遅れまして当該年度内に終わらなかったと、そういうことによるものでございます。  そういうことについてどういう対策を取っているかということでございますけれども、我々、これらの特別会計を効率的、効果的に活用していくことが重要でありますので、まず石油対策につきましては、石油備蓄予算中心として石油対策の思い切った合理化、すなわち平成十六年度の予算におきましては十五年度比で二百二十四億円の削減を行っております。そういう合理化を行っております。  その一方、地球環境対策の強化の観点から、すなわち新エネルギー・省エネルギー対策などのエネルギー需給構造の高度化対策、そういうものを拡充強化をしております。そういう措置を取っているところでございます。  それから電源特会、電特会計におきましては、電源立地の状況などを踏まえまして、電源立地地域対策交付金などの予算を大幅に減額すると、そういうことをする一方、今後の電源立地の進展に伴いまして、将来的な財政需要増に備えるために周辺地域整備資金、そういうものを作りまして、そこに五百三十億円を積み立てることといたしております。  それから繰越しの問題につきましては、石特会計も電特会計もできる限り迅速な事業実施に努めるなどの努力を行ってまいりたいと考えております。また、この両方の特別会計は受益者負担の考え方に立っておりまして、そういう考え方に立って財源を確保するとともに、支出の対象となる事業の性格や範囲を明確にするために置かれたものでございます。  経済産業省といたしましては、これらの特別会計を効率的、効果的に活用しながら、エネルギー政策の総合的な推進に努めてまいりたいと思っております。また、その性格を踏まえながら、引き続き両特別会計の一層効果的な活用について検討していきたいと、そのように考えております。  以上でございます。
  31. 大野つや子

    大野つや子君 次に、FTAの締結と地場産業等の支援についてお尋ねいたします。  FTA、自由貿易協定の締結は世界の潮流であり、我が国もさきにシンガポール、メキシコと合意に至ったことは、ハードな交渉であったと伺っておりますだけに皆様の御努力に対し感謝しておりますが、今後増加することが予想されますFTAの合意、締結に当たりましては、我が国の農業や地域の地場産業への影響もより一層考慮していただかなければならないと思います。特に繊維産業などは価格の影響が大きく、FTAの締結により影響を受ける可能性も高い業種と言えます。今後、韓国やタイ、またそのほかの国々とのFTAの締結が具体化してくるものと考えますが、影響を受ける農業や地場産業の声にしっかりと耳を傾けていただくとともに、国として確実に支えていただける万全の体制を築いておいていただきたいと思いますが、農林水産大臣並びに経済産業大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  32. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) FTAの交渉に当たりましては、あくまでもこれはWTOを補完するものと、このように考え、特に今御指摘のメキシコにつきましては三月に大筋合意をいたしたところでもございます。さらに、韓国につきましては昨年十二月、そしてマレーシアは本年一月、さらにフィリピン、タイにつきましては本年二月から政府間交渉を開始しておるところでもございます。  御承知のとおり、十年以内に関税撤廃が原則でありまして、交渉は大変厳しいものが予想されるわけであります。各国の情報を収集あるいは分析をいたしまして、そして関税撤廃の例外や関税割当て、あるいは経過期間等をも設けまして戦略的に対応してまいりたいと、このように考えております。  さらには、農林水産業と、多面的な機能を維持する、また食料の安全保障、国土の保全、こういうことを確保しなければなりませんし、さらには農業の構造改革の進展に悪影響を与えないように十分留意をして対応してまいりたいと、このように考えております。
  33. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本は貿易立国でございますから、輸入をしてそして付加価値を付けて輸出をするというのが、ある意味では、日本経済といいましょうか、日本の生きる大きな一つの原則だろうと思います。そういう中で、FTA、あるいはEPAといいましょうか、もっと広い包括経済連携というのは世界で百九十ぐらいあるというふうに言われておりまして、そうなりますと、貿易立国としての相対的な競争力というものが弱まりますと、日本全体として非常に今後国益という観点から危惧されるというのが経済産業省の立場でございます。  したがいまして、今農水大臣からも御答弁がございましたように、今近隣の四か国と政府間協定交渉をやっておるところでございまして、物、サービス、あるいは投資、人の移動等々につきまして協議をやっておる最中でございますが、何が何でもやるために弱い部分はばさばさと切り捨てるということは決して考えていないわけでございまして、特に、今繊維という御指摘がございましたが、我が省にも極めてセンシティブな分野がございますし、そういうところは、守るべきところは守っていかなければならない。特に地場産業でありますとか、あるいはまた地域の重要産業でありますとか、伝統的な大事な産業であるとか、そういうものは守っていかなければいけないと思っておりますし、他方、そういう前提を持ちながら、トータルとして二国間においてEPAが結ばれることによってお互いにハッピーになっていく、更に連携が広まっていくことによって二国間の包括的な連携が強化されていくということは、特にこの近隣四か国については我が国にとりましても極めて重要なことであるというふうに思っております。  そういう意味で、今申し上げたような前提等を踏まえながら、我々としてはこの四か国とのEPA協定の交渉につきまして今鋭意努力しているところでございます。
  34. 大野つや子

    大野つや子君 両大臣、ありがとうございました。しっかりした体制を築いていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。  最後の質問になりますが、次に、十二年度検査報告のフォローアップということで一問お伺いいたします。  十二年度の決算検査報告では、国が公益法人等に補助金等を交付して設置造成させた五十六法人、九十四資金のうち、三十五法人、六十二資金について実地検査したところ、二十七資金について使用見込みのない資金を保有するなどの事態が見受けられたとの指摘がなされております。しかも、指摘された資金の多くは農林水産省及び経済産業省所管の公益法人等に設置造成されている資金となっております。また、一部は十四年度決算検査報告でも指摘を受け、資金を国に返還させるなどの措置が講じられております。  本来ならば、このような事業は検査院から指摘される以前に自ら廃止するなり事業内容を変更するなりして改善を図るべきものでありますが、いまだに多くの資金が存続しています。  これらの資金について今後どのように処置していくおつもりでしょうか。両省に併せてお伺いし、質問を終わりたいと思います。
  35. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 今の先生からの御指摘ございました、私ども農林水産省関係では、十二年度の決算報告におきまして十六資金について御指摘をいただいているところでございます。  その内容につきましては、今御指摘ございましたように、例えば事業実績につきまして、実績が全くないものとか、それから継続的に少ない状況となっているもの、あるいはピーク時と比べて近年低調になっているもの、こういった点がございます。また、使用見込みのない資金を保有している、あるいは追加造成によって資金が滞留している、こういったような様々な指摘をいただきました。  これにおきましても、当省といたしましては、検査報告の公表後速やかにこのいろんな問題についての在り方の検討に着手いたしまして、これまで所要の見直しを進めておるところでございます。  具体的に申し上げますと、事業終了後、直ちに残余資金を返還させたもの、これは食品産業関係でございましたけれども、一資金ございます。また、事業のそれぞれ見直しを行いまして、それで事業を廃止したもの、こちらが例えば加工用トマト生産安定緊急対策、こういったものにつきまして三資金ございます。  また、事業を有効活用していくという観点で見直しを進めまして、その結果、活用を図っておるものが農水産物の加工利用増進事業といったもの、七資金ございます。  また、さらには事業の継続性、これは必要を前提といたしまして、ただ国からの新たな資金造成、これを中止していこうといったもの、こちらの果樹関係等、五資金でございます。  あるいは、ただいま先生から御指摘いただきましたように、検査院から指摘をいただく前に、まず省として社会経済情勢の変化等にきっちり対応した適切な運用を図っていくということが必要だと思っておりまして、こういった見直しをこれからも適切に進めていきたいと思っているところでございます。
  36. 石田徹

    政府参考人(石田徹君) 先生指摘のとおり、当省所管の公益法人につきまして、八つの基金について平成十二年度の決算検査報告指摘を受けております。こうした指摘も踏まえまして、当省といたしましては、基金の在り方について事業実施状況あるいは経済状況等を踏まえまして見直しを行ってきたところでございます。  具体的には、財団法人金属鉱業緊急融資基金につきましては、平成十五年末に解散をし、その際、基金のうち国庫補助相当額を平成十五年末に国庫返納させております。また、社団法人ソーラーシステム振興協会に造成されましたソーラーシステム普及促進の融資基金につきましては、平成十六年度をもちまして利子補給事業を終了いたしまして、既往案件の償還期限が到来しましたならば速やかに国庫補助相当額を国に返納させることといたしております。  その他の六つの基金につきましては、会計検査院指摘も踏まえまして、より有効に基金により行っている事業が活用されますように、制度あるいは運用の改善を行う等の対応を図ってきたところでございます。  今後とも、不断の見直しを行いまして適切に対応してまいりたいと考えております。
  37. 大野つや子

    大野つや子君 ありがとうございました。終わります。
  38. 加治屋義人

    加治屋義人君 自由民主党の加治屋義人でございます。  農林水産省に絞ってお伺いをさせていただきたいと思いますが、私の隣に大分県の後藤先生おいでですけれども、お伺いしましたら、高崎山のボス猿の役割というのは何ですかとお聞きしましたら、外敵から群れをしっかり守ることと、群れのえさを確保することだと、こう教えていただきました。まあ、私どもの社会に置き換えますと、国民の安全を守って食料を守ることこそが国家そして政治の最大の仕事なんだろう、こういうふうに思っております。  食料自給率についてはもういろんな場で議論をされておりますけれども、十四年度の決算でありますので、この食料自給率について少し触れさせていただきたいと思います。  計画期間の四年がたちました。自給率はどう推移しているんでしょうか。目標達成のための諸施策が十四年度にどのように生かされているのか、まずお伺いをしたいと思います。
  39. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国の食料自給率、カロリーベースで平成十年度以降五年連続で四〇%でありまして、食料・農業・農村基本計画の策定平成十二年三月後は横ばいということであるわけであります。  目標の年度、平成二十二年度までに食料の自給率を四五%を達成する、こういうことで今いろいろ進めておるわけでありまして、条件としては、総供給熱量の四分の一を占めます、自給率がほぼ一〇〇%である米の消費を維持する。平成九年度、六十六・七キロでありましたが、平成二十二年には六十六キロ、こういうことを想定しておるわけです。米以外の品目につきましては基本的に生産を拡大する、こういうことなどを前提としておるわけでありますが、しかし今日、国内生産の面で困難な油脂類などの消費が伸びております。  米につきましては、消費量の減少、こういうことで平成十四年には六十二・七キロというようなことで、六十六キロということには達していないわけであります。減少しておるわけでありまして、米以外の品目、麦、大豆や砂糖にあっては目標の水準に達するまでの生産量が増加しておりますが、総じて米以外につきましては生産量が減少している、こういうことで自給率が低下の要因が上昇要因を相殺している、こういうことでありまして、食料の自給率の上昇がなされていない、こういうことであります。  食料の自給率の向上のためにいろいろの施策を進めておりますが、十全に効果が発揮されていない、こう受け止めているところでありまして、今後この目標の達成の前提となります消費、生産、そしてこの両面にわたります課題の解決と、更なる努力を傾注しなければならない、このように思い、また消費者、生産者、食品関連業界が一体になった形で取り組んでいく必要がある、このように認識をいたしております。
  40. 加治屋義人

    加治屋義人君 御答弁いただきましたとおり、この自給率というのは即成果を見るものでないこともよく分かっているんですけれども、しかしちょうどやがて折り返し点、十年パターンで考えたときに、今日そういう目標に向かってのものが順調に進んでいるのかどうか、そのことだけ大変心配をしているわけでございまして、もう私は今で六年後に四五%大丈夫ですかということは申し上げませんけれども、ただ新しい取組としてこれから御努力をいただきたい、そういうふうに思っています。
  41. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今も御答弁申し上げましたとおり、米の消費量が、減少がこれはやはりずっと続いてきておる、また、さらには、麦、大豆や砂糖を除きますものの生産量が減少している、このような、仮にこういう情勢が推移をするということになりますと目標の達成は困難、こう申し上げなければならないわけであります。  そこで、消費者あるいは生産者、食品産業事業者等の関係者が一体となっての対応、この課題に取り組んでおるわけでありますが、消費の面で、やはり食生活の変化に伴いまして、食料自給率の低下に加えて栄養バランスが崩れてきておると。そういうことから、生活習慣病の増加、これは社会問題となっておるわけでありまして、食生活の大切さ、こういう面で食育を進める必要があるんではなかろうかと。  あるいはまた、生産の面でも、米政策の改革の着実な推進、また、意欲と能力のある担い手や農地の確保、技術の開発、普及、こういうことを通じまして農業の構造改革を進めまして、消費量の需要に応じた国内生産の増大、こういうものを図ってまいりたいと、このように考えております。
  42. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  次に、米の備蓄について伺いたいと思いますが、政府備蓄米を年度別に見てみますと、十二年産以降の備蓄米については比較的順調に処理をされていると思っています。十一年産以前については、その処理が滞って、現在の備蓄米の主流は八年から十一年産、そういうふうに理解をさせていただいています。  現在の備蓄量が九十万トン、その中の十一年以前の米が七十六万トン、実に八割を占めているようであります。特に八年産、九年産はもう主食用として使えないんだろうと、多分飼料用として処理されるんだろうと思っておりますが、その場合に一千億円規模の差損が発生するのではないかと言われております。その上に、古い援助用備蓄まで入れますと千五百億円になるとも言われております。  古い備蓄米の処理についてどのような方針をお持ちなのか。また、飼料用として処理した場合と主食用として処理した場合との比較において、どの程度の差損が発生するのかについてお伺いをしたいと思います。
  43. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生指摘のように、政府備蓄米、年産の古いお米がかなり多いという在庫状況でございます。私ども、基本的には、古いお米は需要者の評価に応じた価格で主食用に販売する、これを基本にしております。しかしながら、例えば八年産、九年産といった古いお米の中で、古米臭がする、あるいは肌ずれがするということで主食用として販売に適さないという品質のものについては、やむを得ず配合飼料用等に処理をするということとしております。  現在まで、八年産、九年産、三十四万トン飼料用に処理をいたしまして、総経費四百九十四億円が掛かりました。内訳は、売買差損が四百四十億円、処理経費、運送料だとか袋を破る費用でございますけれども、これが約五十四億円、合わせまして四百九十四億円を措置したところでございます。
  44. 加治屋義人

    加治屋義人君 そこで、政府備蓄米の特別会計、食糧管理特会の国内米管理勘定の損失額は非常に多額に上がっております。平成八年度からの本年度損失額の推移を見ても、備蓄に係るものだけでも毎年一千億円の損失が発生をしております。十四年度の決算を見てみますと、国内米管理勘定の損失額、これは二千九百六十九億、このうちの政府備蓄に係る損失額は千六十八億円となっております。米の安定供給、そして食料の安全保障などを考えますと、単純に費用対効果だけでは測れないものであることはよく分かっておりますけれども、しかし一方では、備蓄について余りにも多大な費用が掛かっているよねと言われてもおります。  そこで、そういう中にあって、農林水産省の御苦労、努力は私もよく理解をさせていただいておりますが、国民が納得できる備蓄のこれからの在り方、そして政府説明責任、そういうものを含めて、大臣お願いをしたいと思います。
  45. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員から御指摘のとおり、食糧管理特別会計、国内米の管理勘定、この損失額は、御指摘の備蓄に係る売買損失と管理経費千六十八億円、また稲作経営安定対策消費拡大対策等の米政策関係助成金等が千九百一億円、こうあるわけでありまして、政府備蓄につきましては、主食である米を国民に安定的に供給するという観点から、備蓄に対します財政負担を踏まえ、過去の作柄変動というものを基に翌年の増産可能数量、こういうものを考慮いたしまして、十年に一度不作や通常の不作が二年以上続いた事態を想定いたしまして、適正在庫として百万トンの水準を目指すこととしておるわけであります。そういう面で、昨年は作柄があのような状況でいろいろ御心配をお掛けをいたしましたが、輸入というようなことなしに今推移しておるわけであります。  今後とも、政府米の保管等につきまして可能な限り効率的な運営をいたしまして、この備蓄経費の削減に、節減に努めてまいりたいと、このように考えております。
  46. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  次に、農業経営基盤強化措置特別会計について伺いたいと思いますが、この会計の目的の一つの農業改良資金貸付けの決算状況、これを見てみますと、毎年多額の予算計上しながらも、そのほとんどが使用されていない状況。そして、そういう中で農水省は、融資額が即財政支出になるわけでもないとか、あるいは借入れ希望者が不安を感じないように余裕を持って融資枠を設定しているとか、こういう説明を過去受けてきたわけですけれども、しかし十四年度決算では余りにも活用をされていないと。この状況についてどう分析をされておられますか。融資の手法とか農業者への周知徹底とか、そういうことを検討する必要があるのではないか、含めてお尋ねをしたいと思います。
  47. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農業改良資金についてのお尋ねでございます。  この資金は、普及事業と密接に連携をいたしまして、新技術の導入でありますとか、農業の担い手の育成確保ということで大きな役割を果たしているところでございます。ただ、御指摘のとおり、近年、貸付実績が減少傾向ということでございまして、十四年度においては三十九億、十五年度においては対前年比八一%の三十一億円と、こういうことでございます。  この要因としては、一つは、近年、非常に農産物価格の低迷がございまして、農業者の投資意欲が非常に低い状況にあるということ、これが続いておるということ。それから、近年の市中金利の低下によりまして、この改良資金、無利子ではありますけれども、その無利子資金の魅力が乏しくなってきているということがございます。それから、十四年度に実は大幅な制度改正を行いました。これは、できるだけ利用者にとって分かりやすく使いやすい制度ということで制度改正を行ったわけでございますが、その制度改正から日が浅くて、なかなかこれが十分に浸透していないということが挙げられると思います。  今、委員の方からも今後の対策として御指摘ございましたとおり、まずは投資意欲がわくような環境ということが大事ではございますけれども、特にこの農業改良資金の普及ということで一層の、格段の努力が必要だというふうに思っております。相談窓口へのリーフレット等の作成配布、また貸付事例や優良事例等の現地での紹介、検討会、また普及が中心になっておりますので、よりこの普及を中心とした活動を、特に現場での指導を拡充するといったようなPR活動も必要だと思っています。  そしてまた、今年度からは、特に最近の経営規模の拡大ということは作業受委託によっても進んでおりますので、作業受委託の受託費の相当額を貸付対象へ追加するといったような改善も行いまして、一層の活用をするように努力をしているところでございますが、今後ともこうした努力を続けていきたいと思っております。
  48. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございます。  平成六年に創設をされた就農支援資金貸付け、これも十四年度、ほとんど活用をされておりません。先ほどの農業改良資金貸付けのことと併せ考えますと、これらの制度が農業を一生懸命やろうとする方々のもうニーズに合ってきていないのではないか、そういうことを懸念をいたしておりますが、この考え方はどうお考えでありますでしょうか。
  49. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 就農支援資金制度でございますが、これも創設以来、この資金につきましては幸い増加傾向にはございます。  平成十四年は三十億円でございましたが、そのうち研修資金が十億、就農準備資金が一億、それから就農施設等資金が十九億ということでございます。確かに、貸付枠が百七十四億ございまして、それに対する実績は一七%と低いわけでございますが、ソフト関係は研修資金と準備資金がございますけれども、貸付枠二十四億円に対しまして貸付実績が四八%となっております。それなりに実績が上がってきたかと思います。  ただ、ハード資金は、これは十二年に導入したわけでございますが、これもまだ、率直に申し上げまして、まだ現場への浸透が十分ではないということもありますし、先ほど申し上げましたような、無利子資金の特質というもののメリットというものがちょっと乏しくなっているということもあって、なかなかまだ実績が上がっておりません。  この施設等資金につきましては、貸付実績が低かったということもありまして、十五年度からは約三割貸付枠を削減する等の改善をしております。ただ、やはり用意した以上、十分に活用していただくということが大事なので、やっぱりPR活動、これの強化、それからまた就農希望者のニーズや意見を踏まえながら、活用しやすい制度として運用してまいりたいと思っております。  なお、近年、農業法人等への就農を通じまして新規就農されるという方も増えております。こういう方を貸付対象とすること等を内容といたします青年等就農促進法の一部改正法を現在参議院で御審議をいただいているところでもございますので、こういった法案も通していただいて、その努力を続けてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  50. 加治屋義人

    加治屋義人君 この二つの、農業者にとって大変すばらしい制度だというふうに思っておりますけれども、私はもう数字はあえて申し上げません。数字を言えば、数字を見た限りで言わせていただくと、これはお役所は、何というんでしょうか、必要な方はどうぞ的な発想の考え方しかないのではないか、本当に農業者を育成するという意欲がないのではないか、そういう感じを受けてなりません。  そこで、大臣にお伺いをしたいと思いますが、実は、今後のこの制度の見直しの必要性、このことについて、財政制度審議会報告で、経営感覚に優れた農業者を育成するという基本的方向を踏まえて財政資金の有効な活用を図るとして、更に徹底した見直しを進めるべきであると、こうされておりますが、農林水産省として、今後どうしてこの制度を生かしていかれるのか。自らの創意工夫で農業経営を発展させていこうとしている農業者の資金ニーズに的確に対応するために、現在のこの制度、特別会計の資金を有効にもっともっとすべきではないか、そのことについて大臣所見をお伺いしたいと思います。
  51. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) いろいろの制度を作っておるわけでありますけれども、しかし現実に農業関係者にとりましてはなかなか使い勝手が悪いと、こういうところ、またそれは現場で私どももいろいろお話を受けるところでもございます。  特に、この財政審での指摘を踏まえ、平成十四年度以降につきましては、農業改良資金につきましては、複数の資金、種類を一本化をいたしまして利用しやすくするというような、そして需要拡大を図る、こういうこと、あるいはまた担い手への農地集積を図るという観点、土地改良区への貸付けを行うというようなことで農業経営基盤強化措置特別会計につきましては対応をしておるところでもございます。さらに、十六年度におきましては、この財政審の御指摘も受けまして、家畜排せつ物処理施設の緊急的な整備に合わせ、機械又は施設のリース事業を創設をいたしました。  あるいはまた、現在、本院、参議院におきまして御審議をちょうだいしております青年等就農促進法の改正によりまして、新規就農者を採用する農業法人に対する就農支援資金の貸付けの実施をする、このような新たな措置を取りまして資金の一層の有効活用、これを図ることにいたしておるわけでありまして、今後とも農業者のニーズ等を踏まえて有効活用に向けて検討してまいりたいと、このように考えております。
  52. 加治屋義人

    加治屋義人君 大臣、是非この制度を生かしていただいて、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、森林・林業について伺いたいと思います。  我が国の国有林、これは七百六十万ヘクタール、これは国土の二割、森林面積の三割を占めています。過去において、木材産業の振興、国土の保全、水源涵養など、公的な機能を発揮して国民生活の安定に寄与してきたことは御承知のとおりであります。そして、近年は、地球温暖化防止、生物の多様性の保全など、国有林に対する国民の期待、要望は大変大きなものがあります。  一方、この国有林を管理運営している国有林野事業特別会計、これは平成十年十月に成立した国有林改革二法によって徹底した自助努力で改革に取り組んでいただいております。この改革は平成十五年度末を集中改革期間と位置付けておりまして、終了時には、将来にしっかりした管理運営の体制を確立をしますよ、そして今後五十年間で一兆円の債務を返すことにしますよ、こうなっております。  しかしながら、御承知のとおり、木材需要の低迷、価格の低下、森林・林業を取り巻く環境というのは大変厳しい中でありますけれども、この集中期間の実質的な改善状況、そして財政の健全化の状況をどう評価をされておられますか。十四年度の状況を踏まえて、今後どのように取り組んでいかれるのかについてお答えいただきたいと思います。
  53. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 国有林野事業につきましては、国有林改革二法に基づきまして、集中改革期間におきまして、いわゆる公益的機能の維持増進を旨とする管理経営への転換や、あるいは組織、定員の合理化、そして縮減、財政の健全化等に着実に取り組んでおるところでもございます。  このような結果、組織、要員につきましては、平成十五年度末までに七森林管理局とそして九十八森林管理署等に再編をしまして、職員の数の適正化を推進するとともに、平成十六年度予算においても新規借入金をゼロとするなどの財政の健全化を進めております。  国有林野の適切かつ効率的な管理運営を進めていくための基礎が築かれたと、このように考えておるわけでありまして、今後は、こうした基礎の上に立ちまして、今年度を始期といたしまして、国有林野の管理経営に関する基本計画に基づきまして、開かれた国民の森の実現に向けまして、公益的機能の維持増進、地球温暖化防止対策など、新たな政策課題への率先した取組、そして森林環境教育や国民参加の森作りの推進、これら各般の努力をすることによりまして改革を着実に進めてまいる所存であります。
  54. 加治屋義人

    加治屋義人君 今、大臣の答弁や平成十四年度決算状況を見させていただく限り、改革は着実に進んでいるのかなと、そういう気がしておりますが、会計検査院の十四年度決算検査報告の中で、一般国道の道路敷となっている国有林野の取扱いについて指摘をされています。少し読ませていただきたいと思いますが、林野庁は、国有林野を国道の道路敷として使用させる場合には、国土交通省においてその行政目的の遂行に必要な行政財産としての管理が行われるように国土交通省に所管を有償で移すこと、所管換えの手続前に、又は臨時に一定期間に限って国有林野を使用させる必要がある場合には使用承認を行うこととしております。  しかし、この会計検査院指摘する平成十四年度に国有林野の財産価額が三千万円以上の二十八路線、それから、財産価額が三千万未満の百四十九路線について調べたところ、有償による所管換えがなされていなかったり、無償のまま使用承認が継続されていたりしている実態が見受けられた、こうしてあります。  こうした事態を受けて、会計検査院から林野庁に対し、森林管理署において道路管理者と協議して、早期に有償による所管換えをするよう年次計画を策定すること、有償による所管換えの推進及び無償による使用承認の早期解決を求めているところであります。  国有林野事業の財政の健全化は、先ほど大臣お話しのとおり大前提であって、自らの努力を通じて、できる限りの自己収入を確保していくことが極めて大切だと思っております。  この会計検査院報告を踏まえて、どう処置を講じられているのか、その成果等についても教えていただきたいと思います。
  55. 前田直登

    政府参考人(前田直登君) ただいま先生指摘ございましたように、一般国道の道路敷として使用させております国有林野につきまして、早期に有償により所管換え等をするように是正改善及び改善の処置について会計検査院より指摘を受けたところでございますが、これにつきましては国土交通省との間で早期に有償所管換えを行う旨、文書により確認を行ったところでございます。  現在、この確認に基づきまして、都道府県等の関係道路管理者と関係森林管理署との連絡調整の場におきまして早期の有償所管換えに係る年次計画を策定するなど、速やかに適切な措置を取るよう取り組んでいるところでございます。
  56. 加治屋義人

    加治屋義人君 是非そういう成果を上げていただきたいと思っています。  地球温暖化防止に向けた取組について質問をする予定、時間の関係もありまして、はしょって、説明を抜いて質問だけさせていただきたいと思いますが、京都議定書の六%削減、そして森林による吸収量三・九%、このことについて、四月七日に開かれた中央環境審議会地球環境部会の報告では、現在までの対策進捗状況として、平成十年から十四年の水準で森林整備が進んだ場合に、平成二十年から二十四年、すなわちこれが、第一約束期間におけるこの吸収量が三・一%だと、それが約三千七百七十六万二酸化炭素トンにしかならないと試算しているんです。これは、当初の目標値である三・九%を考えた場合に、三・九%というのは四千七百六十七万二酸化炭素トンなんですね。  そうしますと、その差が約一千万二酸化炭素トンで、下回っている状況なんですけれども、今年度はこの地球温暖化防止に向けた取組の第一ステップの最終年度であります。第二ステップに向けたこの地球温暖化対策推進大綱を改定されると聞いておりますけれども、どう評価をされておられますか。また、森林整備についてどう進めていかれるのか、お尋ねをしたいと思います。
  57. 前田直登

    政府参考人(前田直登君) 以前、この森林吸収によります二酸化炭素の吸収量二・九%という話を御報告申し上げたと思いますが、その後、十四年度までの五年間、これでもう一回試算しましたところ、今お話ございましたように、三・一%というような状況になっております。  そういう意味で、若干改善はされているわけでありますけれども、三・九%に比べましてはまだ依然として大幅に下回るということで、例えば植栽について見ますと、平成十年度から十四年度までの実績四万ヘクタールから、これを七万ヘクタールに増やさなきゃいけない、あるいは間伐を三十四万から三十八万に増やさなきゃいけないというような状況にございます。  今、先生お話ございましたように、森林吸収源の十か年対策、十七年度に向けまして第二ステップに入るわけでありますが、この第二ステップに向けまして、これまでの取組状況、これの評価を行いますとともに、必要な追加的対策等も含めまして検討することといたしているわけでございます。何といいましても、本対策の着実な推進を図るためには、コスト縮減などを図りつつも、やはり一般財源はもとより、新たな税財源、これの確保についても取り組んでいくことが必要であると考えておりまして、林野庁としても、昨年来議論されております温暖化対策税、これが導入された場合、その税収が森林整備等に活用されますように積極的に対応していきたいというふうに考えている次第でございます。
  58. 加治屋義人

    加治屋義人君 是非よろしくお願いしておきたいと思います。  次に、木材関係についてお尋ねしたいと思いますが、我が国では長い年月を掛けて木材を利用する木の文化が養われてきました。低迷する国内林業にてこ入れをするために、二〇〇三年度の森林・林業白書、これは国産材の利用拡大を社会全体で進めるよう求めて、木の時代の復活を提起していただいております。  どうも私は、この木材関係というのは、結局行き着くところは、どうこの消費拡大に向けた誘導策を作っていくのかと、このことに尽きるんだろうと思いますが、国産材の利用拡大をどのように進めていくかについて数点お尋ねをしたいと思っています。  一つは、国産材の市場は全国的に人工林の齢級差、これは数年の差はありますけれども、間伐小径木から標準伐期齢に達した利用目的の択伐中径材へ順次移行をしてきているわけですけれども、その中径材の有効な利用方法を、どのような方法を取っていけばいいのか、これが私は木材利用の最大の要因だと思っているんですけれども、このことについて一点お伺いしたいと思います。  二点目は、我が国の森林面積の三割を占める国有林野のうち約三分の一の人工林、これは自給率を高める上では大きなファクターであると思っておりますが、将来的な人工林の活用計画、供給体制は本当に大丈夫なのか、そのことについてまずお尋ねをしたいと思います。
  59. 前田直登

    政府参考人(前田直登君) 確かに、先生指摘のように、現在、間伐材、そしてそれから主伐期に向けての材の供給、こういったものが出てくるわけでございます。  そういったことで、私どもも、この木材、国産材の利用拡大、これを積極的に進めていかなきゃいけないということで、昨年八月には農林水産省におきまして木材利用拡大の行動計画、これを策定いたしまして、積極的なPRと使用拡大、こういったものに努めているところでございますし、また、そういった中で、やはり何といいましても公共事業、こういったところに国産材、地域材、こういったものを使われていくことが大変大きな意味を有するわけでございまして、そういった面から、公共事業への地域材の利用促進、さらには木質バイオマスエネルギー、こういった新たなる需要、そういったところに需要開拓、こういったものに努めているところでございます。  また、産業の構造改革という面からも、乾燥材、こういったものをきちんとやっぱり安定的に出していくということが大変重要でございますので、そういった面からも加工施設の高度化あるいは流通合理化、こういったものに努めているところでございます。  特に地域材の需要拡大、こういったものを進めていく上で、言わば住宅までつながった形で、間伐材等のそういったものを含めまして集成材加工、こういったことを行いながら、新たなる流通・加工体制、こういったものの整備の確立、供給体制の確立、そういったものにこの十六年度から新たに取り掛かっておりまして、そういったものも通じながら需要の拡大と供給体制、これの確立、こういったものに結び付けていきたいというように考えております。  また、国有林、御指摘のように、今後、相当間伐材を含めまして木材供給がなされていくという状況にございまして、安定供給システム、こういったものを進めているところでございますけれども、そういった安定供給システム、国有林材の安定供給システム、こういったものを核にしながら安定的な供給、こういったものに努めてまいりたいというように考えている次第でございます。
  60. 加治屋義人

    加治屋義人君 大変御努力をいただいてありがとうございます。  お話ありましたとおり、国産原木の新たな需要、国産集成材の活用や、また合板メーカーさんとの利用方法とか、是非、林野庁としてまた御努力をいただければ有り難いと思っています。  少し時間、三点目にお伺いしたいのは、今までもよく自民党部会等でも勉強の舞台になっているんですけれども、よく議論しているんですけれども、違法伐採の木材を輸入をしないための施策、例えば輸入外材の出所を明確にしなさいよとか、まあいろいろ出ているんですけれども、そのことについて何か検討されているのか、そのことを簡単にひとつお伺いしたいと思います。  それから、国産材需要拡大のための、全国各地でいろんな地域努力をされているわけですけれども、先進的な例があれば挙げていただきたいと思いますし、また、そのところについて国がどうバックアップをされているのか、もしあるとすれば例を挙げていただきたいと思っています。  この二つについてお願いを申し上げます。
  61. 前田直登

    政府参考人(前田直登君) 前段の違法伐採問題でございますけれども、これは当然のことながら、持続可能な森林経営、こういったものを著しく阻害するものでございまして、やはり地球規模での環境保全の面からもこういったものはきちっとやっていくことが必要というふうに考えております。  我が国といたしましても、違法に伐採された木材、使用すべきでないということで、そういった基本的な考え方に基づきまして、二〇〇〇年の九州・沖縄サミット以来、様々な国際会議の場においてもこれにつきまして主張してきたところでございますし、また、昨年六月には我が国とインドネシアの間で、合法に伐採されました木材の確認・追跡システム、こういったものの確立、違法に伐採された木材を貿易から排除する、そういった仕組みの検討を内容にいたしますアクションプラン、これを策定いたしまして、両国の担当大臣間で署名し、公表しているところでございます。  今後とも、この取組を先駆といたしまして、二国間、多国間での協力あるいはアジア森林パートナーシップ、こういったものの活動との連携を通じながら、こういった地球規模での持続可能な森林経営、環境保全への取組、こういったものを推進してまいりたいというように考えている次第でございます。  また、木材の拡大の取組の先進事例ということでございましたけれども、先ほどちょっとお話し申し上げましたように、やはり木材を安定的に間伐材も含めまして供給し、利用されていくということが大事でございます。そういった意味で、今お話もございましたが、集成材あるいは合板、こういったものも含めまして需要を住宅までつなげていくということで、昨年、東北と九州の方でモデル的にこういった新しい流通・加工システム、こういったものの検討をやってまいっております。また、それを受けまして、本年度から新たなる流通・加工システム、こういったものの事業を着手したところでございまして、こういった中で積極的に進めていきたい。  また、一部では木材輸出、こういったものも動き始めております。先生地元の鹿児島では韓国の方に、あるいは宮崎、秋田あるいは島根ですと中国の方にというような動きもございまして、そういった木材の利用拡大を図る上で、やっぱり中国等への輸出、こういったものも大変大きな役割を果たすんではないかということで、そういったものに対しましても、私どももいろんな方面から支援しながら取り組んでいるところでございます。
  62. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございます。  大臣、森林・林業、木材というのは正に表裏一体なんですね。この国産材の消費拡大があって初めて日本の森林は守れるんだというふうに思っておりますだけに、是非この国産材の消費拡大に全力を尽くして御努力をいただきたいと思いますし、またそれをするための何か全国に向けたキャンペーン的な、林野庁としてそういうものも考えていただくようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
  63. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。  本日は、省庁別審査の最後ということで、農水省、経産省でありますけれども、私は農水省関連について質問をさせていただきたいと思っております。  まずは、先日も農林水産委員会の方で取り上げさせていただいているわけですけれども、牛肉の偽装事件で逮捕者まで出してしまっているということで、会計検査院も「会計検査のあらまし」の中で、市場隔離牛肉緊急処分事業における助成金の算定について指摘をしております。検査結果等、会計検査院の方からお答えいただきたいと思います。
  64. 友寄隆信

    説明員(友寄隆信君) 市場隔離牛肉緊急処分事業における助成金の算定についての検査結果についてのお尋ねでございますが、その結果については、平成十四年度決算検査報告で処置済事項として掲記しているものでございます。  その指摘の概要ということでございますが、農林水産省では、BSE関連対策として多数の事業実施しており、このうち、市場隔離牛肉緊急処分事業は、さきに実施した牛肉在庫緊急保管対策事業、この事業はBSEの検査を受けていない牛肉を市場から一定期間隔離し冷凍倉庫に保管する事業でございますが、この保管事業の対象となった牛肉を市場に再び流通させることなく焼却する、焼却処分するものでございます。そして、この事業では、焼却処分する牛肉価格の補償として、事業の対象となる牛肉の評価額を農畜産業振興事業団を通じて助成することとしております。  そこで、私ども、この助成単価が適切に、適正に算定されているかについて検査いたしましたところ事業の対象となる牛肉の品種、性別の実態を十分考慮しないまま一律の単価で助成することとし、また、全箱検品により作成された現品調査表等により対象牛肉の品種、性別の確認ないし判定を行うことができるのにその検討が十分でなかったなどのため、助成金が過大に交付されることとなっていたと認められました。  このため、当局に見解をただしましたところ農林水産省におきまして、一律の単価に代えて、品種、性別ごとの助成単価を設定し、また品種、性別の確認ないし判定の基準を示し、これを事業団に指示して、これらにより助成金の交付を行わせる処置を講じたものであります。  これらの指摘によりまして、交付金額を二十億円余、節減されたものであります。  以上でございます。
  65. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 ただいま検査院の方からも報告されたように、全箱検査をすれば、しっかりと事業対象牛肉のほとんどについてその品種と性別の確認ないし判定ができたということでありまして、その前は抽出検査をしたり全ロット検査、その中で、私が、あのときは須賀田さんが担当であったわけですけれども、指摘をさせていただいて、国際基準の一番厳しい基準であると言っていたのを、その前段階のもので検査をしていた。その甘い検査でやっておきながらも、それを変える必要はないんだということを農水省は記者会見等でも言っていた。  そして、全箱検査になったのも、武部大臣が農水省に対して自分を無視したということでお怒りになられて全箱検査がやっとやられたというのが現状でありまして、その中でやっと会計検査院でも指摘されたようなことが行われるような形になっているという現状でありまして、検査の結果が大変甘かった、検査内容が甘かったんではないかという指摘がされてもしようがないと思っておりますけれども、農水省が取った改善の処置を教えてください。
  66. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) ただいまの委員の御指摘でございます。  私どもが取った改善処置ということでございますが、当初、市場隔離牛肉の焼却処分を行います処分事業実施に当たりましては、BSE発生確認前の一年間におけます食肉の中央卸売市場、これ十市場でございますが、この十市場で取引されました全品種の枝肉の平均、取引平均価格を基に評価額を一キログラム当たり千五百五十四円ということで算出をいたしまして、これは一律に支払うものというふうにしておったわけでございます。  しかしながら、この対象牛肉におけます和牛と乳用牛の品種割合が、いわゆる中央市場の枝肉としての取引実績とは異なりまして、乳用牛の割合が多いのではないかというふうな会計検査院からの指摘もございまして、そこで平成十四年三月には、この品種なり性別が判明するものにつきましてはそれに応じた六区分のそれぞれ単価を適用いたしまして、また区分できないものにつきましては判明いたしております分の加重平均単価を適用するというふうにしたわけでございますが、その時点におきましては、約半分のものが品種等の区分が不明であったということでございまして、ただいま委員からもお話ございました同年四月から開始した全箱検品の結果も反映させまして、不明分をできる限りなくすこととしておったわけでございます。  また一方、会計検査院の方からも、全箱検品によりまして作成された現品調査表をできる限り活用するなどしまして、とにかくできる限り品種等を確定させるべきであると、こういう指摘も受けたこともございまして、改めまして平成十五年の三月十七日付けで私どもから事業団に対しまして、品種、性別の判定基準を示しまして、より適切な助成金額を算定させる、これを助成金の支払に反映させる処置を講じたところでございます。
  67. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今も聞いていただいて分かったように、全箱検査が行う前の段階での偽装事件等が起きているわけでありまして、この中でやはり輸入牛肉が和牛として扱われているというような状況が起こっているのが現状でありまして、国民の皆さんの税金を使っての助成金としては大変甘い検査であったと考えますけれども、大臣、今までの経緯等、農水委員会でも質問をさせていただきました、中村敦夫さんからも指摘がされました。そういう中で、聞かれた感想、そしてこれからの態度をお示しいただければと思っております。
  68. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) この事業、極めて短期間に隔離、そしてまた処分事業と、こういうことでありましたが、会計検査院から指摘を受けたということは農水省の事業の執行上拙速で不十分な点があったと、このように思いますし、非常に残念なことと、こう思っております。  会計検査院指摘を厳粛に受け止めて、より適切な評価が算定され、そして助成金の交付というものが反映されるような措置を取らなければならないわけでありまして、今後十分このようなこと、補助事業の問題等々につきましても執行に当たって十分このことを反省し、対応をさせてまいりたいと、このように思っております。
  69. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 農水省は、やはり国民の税金を使って助成する、事業に、ということをしっかりと頭に置いていただきたいと思いますし、あいまいな検査によって大きな穴だらけの処置をしてきたのは何かあるんじゃないかと思われてもしようがないというふうに思っております。このことが今現在も捜査中でありますので、今後明らかになった段階で、また農林水産委員会等でも注視していきたいと考えております。  本来であれば、本日は和田委員が質問をされる予定でありました。私も少しするということでありましたけれども、内閣委員会の委員長になられたので和田委員は質問ができないということになっておりまして、和田委員の思いも含めてこれから質問をさせていただきたいと思っております。  昨年来、農政の基本指針であります食料・農業・農村基本計画の見直し作業が進められております。この基本計画は、平成十二年三月に閣議決定され、十年後の平成二十二年に食料自給率をカロリーベースで四〇%から四五%に引き上げることを目標にしております。しかし、この五年間、食料自給率は四〇%のままで推移しており、先日の農水委員会で大臣は、食料自給率が下がるのに歯止めを掛けているのが現実ということを言われました。  この食料自給率向上は、平成十一年に制定された食料・農業・農村基本法の下での唯一の数値目標であり、それを実現することは農政の最大の課題と言っても過言ではありませんし、中期的に世界の食料需給が逼迫すると予想される中で、できないことは仕方ないでしょうみたいなことでは済まされない問題だと思っております。お隣の中国でも砂漠化が進んでおり、二十一世紀飢餓の時代が来るとまで言われております。  そこで、お伺いをさせていただきたいと思いますが、基本法制定以降、食料自給率の向上に向けてどのような取組をされてきたのか。また、各年ごとの予算、また農業関連施策、農業関連予算、すべてが食料自給率の向上に向けた取組だということであれば、新基本法を制定して実施してきた農政の政策効果が全く上がっていないということになると思いますけれども、いかがでしょうか。須賀田さんにお聞きしたいと思います。
  70. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 食料自給率は食料消費に占めます国産に係る食料の割合、指標でございますので、その向上の要諦は、一つは、消費面で、日本の風土、資源に適した食料中心の食生活に誘導していく、そしてその中で、二つ目に、生産面で、できる限り国産の食料の振興を図っていくと、こういうことにあるわけでございまして、生産から消費に至る一連の取組が必要というふうに認識をしているところでございます。  こういう面で、私どもの予算の面から見ますると、農林水産予算全体で、十三年度三兆四千億ございまして、十五年度は三兆一千億というふうに減額をしているわけでございますけれども、そうした中で、特に消費面での取組で重要な食育の経費といたしまして、十五年度から新規に六億八千万円を計上するといったような、いわゆるめり張りを付けた予算というものを計上をして取り組んできたわけでございます。  しかしながら、現状は、これもう先生御存じのとおりでございます。お米の消費、これは平成九年度を基準年次といたしまして横ばいで推移する、六十六キロぐらいで推移するというふうに見込んでおりましたけれども、平成十四年度で六十二・七キロということになっておりまして、減少をしている。野菜も、自給率、これ高いわけでございますけれども、消費が目標より減少をしておる。また、自給率が二%と極めて低い油脂の消費が増えている。消費面で我々の想定していた以外の状況になっておりまして、また生産面におきましても、麦、大豆、砂糖といったものは非常に頑張っている、生産増強に努めているわけでございますけれども、そのほかの、例えば果実、牛乳・乳製品、こういったものの生産の増強といったものがいまだ達成されていない状況にあるわけでございまして、こういう結果が五年連続横ばいの四〇%という自給率の推移に表れているものというふうに思っております。  私ども、こういう結果、政策面におきましては、やはりそれぞれの政策効果が十全に実現、発現をしていないというふうに思っておりまして、各々の政策の点検、検証を行いながら、どのようにすれば実際に食料自給力の向上に資するものとなっていくかどうか、更に見直しを行いながら努力を傾注をしていく必要があるというふうに認識をしております。
  71. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 食料自給率を向上させるためには足腰の強い農業経営を作っていくことも必要だと思いますし、そのために政府も農業構造改革を推進することとしていると思っております。  この構造改革に関しては、基本計画と同時に公表された「農業構造の展望」においては、平成二十二年に約四十万の効率的かつ安定的な農業経営が生産の大宗を担う農業構造が望ましい姿としております。しかし、現状は、認定農業者が十八万、これに、既に効率的、安定的な農業経営を実現している専業農家の十万人を合わせても二十八万程度であり、先日、この点について和田委員が質問をしましたけれども、農水省は、目指すべき構造改革の実現は非常に難しい状況にあると、余りにも簡単に答弁され、びっくりしたというのが実情であります。  それでは、何のために新たな基本法の下でいろいろな施策を展開されているのかと、こういう気持ちになってしまいます。しかし、農水省は農業の構造改革なしには明日の農業はないというように、何かというと農業構造改革の推進の必要性を言われますが、そう簡単にはいかないのも事実だと思いますし、むしろ構造改革が国際化の進展に対処するための切り札にはならないと思っております。  そこで伺いますが、今回の基本計画の見直しの主なテーマの一つに農業構造の一層の改革が挙げられておりますが、農業構造改革が進まない原因をどう分析しておられるのか、また基本法制定以降、農業構造の改革に向けてどのような取組をされてきたのか、また各年ごとの予算額はどうなっているのか、教えていただければと思っております。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕
  72. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 委員がただいまお尋ねございましたとおり、農業の構造改革の進展が思うように進んでいないのが実情でございます。  その要因としまして、幾つかありますけれども、一つは、近年の経済状況の中におきまして担い手の規模拡大意欲が抑制をされております。それからまた、担い手から見て質的に望ましい農地がなかなかないということ、また機械化の進展等を背景に兼業農家等が稲作に特化した経営を持続することが可能になっている等の背景があろうかと思います。  食料・農業・農村基本法を作りまして、正に効率的、安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造ということで、まず一つは、農業経営を発展させる、それから農地の確保なり有効利用、それからまた担い手の育成確保といったことで順次施策を充実してきたところでございます。  例としまして、法制面といたしましては、平成十二年に農地法を一部改正いたしまして農業生産法人要件の見直しをいたしました。また、平成十三年には公庫法の一部改正によりまして、資金、金融関係の改善をしたということもございます。また、平成十五年の基盤強化促進法におきまして、集落営農を担い手として位置付ける等の内容を盛り込んだ法案を出したところでも、成立させていただいたところでもございます。  また、予算面でも、経営構造対策事業、あるいは農地保有合理化事業の再編、拡充、また平成十四年には農業経営総合対策の創設等を実施してきたところでございます。  こういう、今現在の基本計画の見直しの中でも、この担い手の問題、農地の問題は一つの大きな柱として見直しをしているところでございまして、基本法の掲げる目標に向かって、できるだけこの目標が円滑にまた迅速に達成できるような見直しを進めていきたいと思っておるところでございます。
  73. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、平成十四年度から本年までで、三年間、野菜の構造改革が実施されておりますが、この間、どのような取組をされ、各年ごとどのような予算になっているか教えてください。また、それによって野菜農家の経営はどのように改善されてきているのかお答えをいただければと思っております。
  74. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) ただいまの野菜についての構造改革の取組のお尋ねでございます。  野菜の構造改革につきましては、平成十三年のネギを始めといたします三品目に対しますセーフガードの暫定発動を受けまして、急増する輸入野菜に対抗し得る国内産地の確立、それから国産野菜の安定供給、これを推進いたしますために、平成十四年度から十六年度、三年間ということで取組が開始されているところでございます。  そこで、生産から流通あるいは消費の全般にわたります対策といたしまして、いわゆる生産振興総合対策事業、それから輸入急増農産物対応特別対策事業、それに価格低落時の野菜農家の経営に及ぼす影響を緩和をいたしまして、次期作の確保を図りますための野菜価格安定制度、この三つを一体的に運用いたしまして構造改革に取り組んできているところでございます。  それに係ります予算でございますが、この三つのものを合計をいたしますと、平成十四年度で二百五十二億円、平成十五年度は二百七億円、平成十六年度は百八十八億円と、こういうふうな推移になっているわけでございます。  全国の野菜農家は、平成十四年度以降、全国のこの野菜指定産地の面積の約六割に当たります全国で千七百の産地におきまして産地の改革計画というものを策定をいたしまして、そこでもってこの野菜の構造改革に取り組んでいるところでございます。  そこで、経営改善ということでございますが、これらの産地におきましては、例えば低コスト耐候性ハウスと、こういうものを導入をいたしまして、そういうものを整備することによりまして低コスト化を図る。あるいはまた、産地間のリレー体制の整備というふうなことで、契約取引の推進。さらには、糖度の分析、あるいは鮮度の保持機能と、こういうふうなことで、そういう機能を持った集出荷施設整備、こういうことによります高付加価値化と。そういった三つのモデルを立てておりまして、これを参考にいたしましてそれぞれ農家は取り組んでいるわけでございます。  この経営改善でございますが、こういった取組の結果、それぞれの野菜産地におきまして、例えば低コストの例で申し上げますと、ネギの収穫機と、こういうものを導入をいたしまして、生産コストがキログラム当たり三百円掛かっておりましたものが二百十円、キログラム当たり二百十円というふうなことで約三割削減させた事例もございますし、あるいはまた、通い容器というふうなことで、これを利用することによりまして契約取引の拡大につながる。さらには、減農薬でございますとか、あるいは減肥料、減化学肥料と、そういう栽培面積の拡大によりまして高付加価値化というふうなものにつながった事例もございまして、そういった意味経営改善につながる効果も徐々に現れてきておるわけでございます。  今後とも、こういった施策を有効に活用しながら、しっかりと各産地におけます構造改革に向けた取組を加速化してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  75. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 是非、構造改革、各ところで進めていただいて、高付加価値、また日本の農業の在り方というものをもう一度見詰め直してお進めいただきたいと思っております。  私は、決算委員会予算の無駄遣いを指摘するのも大切なことだと思っておりますけれども、必要な予算が手当てされていなかったから政策効果が上がらなかったようなことがあれば、そのことを指摘することも極めて重要だと考えております。  ウルグアイ・ラウンド対策として、自由化に必要な足腰の強い農業経営を作るために六兆一千億円が投じられましたが、その効果を疑問視する向きもあります。事実、今回のWTO農業交渉においても、急激な関税の引下げ等は国内農業に破滅的な打撃を与えるとして政府も反対をしているということであります。  また、来年三月に予定されております新たな基本計画の策定によって、認定農業者など一定規模以上の効率的かつ安定的な農業経営、いわゆるプロ農家と言っているようでありますけれども、に各種の支援策を集中、重点化し、構造改革を加速しようということでありますし、そのために基本計画あるいは関連施策の在り方が検討されているということでありますが、作物別の農業産出額に占める主業農家の割合を見ますと、土地利用型でない施設園芸や畜産の分野では供給量の大半を主業農家が担っております。  問題は、米や畑作物などの土地利用型農業であり、特に米は六割以上を兼業農家が担っております。また、大規模化が進んでいる北海道の畑作農業においても一層の規模拡大と担い手の確保が喫緊の課題となっておりますが、土地利用型農業は構造改革は容易に進むものではありません。WTOやFTAによって今後一層の関税の引下げや撤廃が求められ、国内の農産物価格が趨勢的に下落していく状況にあることを考えれば、認定農業者など一定規模以上のプロ農家に各種の支援策を集中化、重点化することで農業の構造改革が加速するのか疑問であります。また、土地利用型農業の現状から見て、今言われているような構造の改革、プロ農家への農地の集積による規模拡大だけで輸出国との生産コスト差を解消することは極めて難しいと考えます。  私どもの国、我が国の平均経営規模を諸外国と比較すると、アメリカの百二十三分の一、欧州の十二分の一と極めて小さく、土地生産性を上げて対抗するのは容易ではありません。また、労賃は中国やタイの三十倍であることから、労働生産性でも競争にならないということであります。仮に規模拡大の目標面積を実現しても、輸入農産物に価格面で勝てるという保証はありません。ですから、農業構造改革が進まないというのが現実だと思っております。  そこで、伺いますが、農業構造改革を加速するために検討されております品目横断的な政策への移行と、担い手や農地に関する制度の改革の具体的な内容はどのようなものを想定しておられるのか、そのような措置によって農業構造の改革を加速し、輸入農産物との価格競争に負けない経営を確保できるのか、品目横断的な政策への転換を検討するに当たってはその前提として更なる国際化の進展をどのように想定しているのか、小林房長、川村経営局長にお聞きをさせていただきたいと思います。
  76. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 今、先生から種々御指摘いただきました様々の農業政策における課題がございます。今、食料・農業・農村基本計画の見直し、これを進めておるわけでございますが、その中の一つの課題が品目横断的な政策への移行あるいは担い手・農地制度改革の在り方ということでございまして、私ども、確かにこれから国内の正に生産性向上あるいは国際的に見た内外価格差、これをどうするか、そういった観点、それからそれの競争力強化という意味で、構造改革という形でいかに農業経営をそういった競争力強化に向けて進めていくかと、こういった観点の政策が必要ということでございます。  ただ、これは実は基本法、基本計画を作ったときからの課題でございまして、そういったものをベースに、今の現状を見ながら、更にこの政策の在り方を強化していきたいという認識でございます。  そういう中での品目横断的政策でございますが、これは今先生からも御指摘ございましたように、施策を担い手に集中することが基本でございます。規模拡大あるいはコスト削減努力、こういったことで引き続き進めてもらうという、そういった皆さんをプロ農業経営という形で今位置付けておりますが、そういった方々を対象に、またとりわけ諸外国との生産性格差が大きく、言わば格差がまだあります畑作、水田作、こちらを中心考えていきたいということでございます。  具体的な手法といたしましては、今諸外国で進めております直接支払、こういったものを視野に入れながら、従来の個別品目ごとの価格支持的政策から担い手に対する品目横断的な政策へ移行する、これによりまして様々の従来の、経営というところにもっと着目したより競争力の高い経営ということに進めていけないかという観点でございます。  それから、担い手・農地制度、こちらも非常に難しい課題が続いておりますが、望ましい農業構造なり土地利用制度を実現するという観点でございまして、これにつきましては地域の実態を踏まえた担い手の明確化と施策の集中、これは米政策であれ、先ほどの野菜関係であれ、またこういったことが一つの基本だと思っております。  また、さらには、農地の取得要件等につきましての参入規制、この見直しによる担い手の確保、さらには様々なニーズに対応した農地あるいは土地利用規制の見直し、こういったことによります優良農地の確保、維持などにつきまして重点的に検討を進めているところでございます。
  77. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 私ども経営局は、特に担い手、それから農地の問題を検討しておりまして、ただいま小林房長が申し上げましたとおり、地域におきます担い手、この要件あるいはその手続、そういうものをどうやっていくか、また、農地に関しましても、広く参入の問題をどうしていくのか、あるいは遊休農地等含めまして、農地制度全般にわたる検討をしているところでございます。
  78. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 私は、地域における一部の農業経営が規模を拡大し効率化しても農業の構造改革は進まないと思っておりますし、豊かな農村の地域社会を確立することはできないと考えております。  そこで、兼業農家であっても地域に貢献している農家をどのように支援をしていこうとしているのか、お答えいただきたいと思います。
  79. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) ただいま申しました政策の展開を進める上で、今御指摘ございました地域の様々な農家の皆さん方がいらっしゃるわけで、こういった人たちをどういうふうにまた様々な支援を進めていくかということでございますが、担い手以外の例えば零細小規模な農家の方々でありましても、これからの在り方としまして、一つは集落型経営体という形で政策を進めておりますが、その構成員として言わば全体としてのプロ農業経営に参画していただくという、あるいはその農地を周囲のプロ農家に対しまして貸し出すというケースもあるわけでございまして、その場合にはそういった形の参画と賃料収入の確保という道もあるわけでございます。  それから、さらには、これからの時代といたしましては自給的あるいは生きがい的農業というものも一つのポイントであると思っておりますが、そういった営農活動を選択して言わば生涯現役で営農活動を継続すると、こういった皆様もおるわけで、言わば私どものこれからの政策、そういった地域の実態とかいろんなニーズにこたえた形での政策展開、言わば農家の意向に即した様々な選択肢を用意していくということが重要かと思っております。  それから、もう一点でございますが、今申しました言わば経営担い手を中心にした政策の在り方ということと併せまして、もう一点、地域における環境とかあるいは農地、水等の資源保全、あるいは多面的機能の発揮と、こういった重要な課題があるわけでございまして、そういった面での積極的な役割を果たしていくということもこういった方々の役割として考えられるわけでございまして、このような位置付けを明確にしながら新しい政策体系を整備してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  80. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 私は、先に構造改革ありきではなく、地域の資源や経営の実態に基づいて、足腰の強い農業経営を作っていく中で農業構造の改革を進めていくべきだと思っておりますし、その地域の御努力に対する支援をしていくべきだと思っております。  また、地域ごとにどの程度の規模拡大を実現し、そのことによるコスト削減によって輸入農産物に価格面で太刀打ちが可能かどうか、輸出をも視野に入れた高付加価値型の農業を実現するためにも、品目別、規模別、また地域別の詳細なコスト面の比較を行い、その結果に基づき類型別に目指すべき経営の現実的かつ適正な規模の目標を提示すべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
  81. 川村秀三郎

    政府参考人川村秀三郎君) 農林水産省では、先般のこの平成十二年三月の食料・農業・農村基本計画の策定と同時に、「農業経営の展望」というものを公表しております。この農業経営の展望は、他産業並みの労働時間で他産業並みの生涯所得を得られる効率的かつ安定的な農業経営の具体的な姿につきまして、水田作でありますとか、あるいは畜産等の代表的な営農類型ごとに、経営規模あるいは一定の技術体系を前提といたしまして、生産性、収入、所得等の経営指標を試算したものでございます。これは、目標というよりも、基本法に基づきます各種施策を講ずるに当たりまして、効率的、安定的な農業経営の具体的な姿を、代表的な営農類型なりあるいは経営形態について例示的に示したものでございます。  各県、各地域におきましては、効率的、安定的な農業経営というものを中心にして施策を推進していただいておりますけれども、特にこの認定農業者制度の運営におきまして、都道府県や市町村が示します効率的かつ安定的な農業経営の指標の作成に活用をされているところでございます。  今般の基本計画の見直しの中でも、この農業経営の展望の在り方、これ自体をどうしていくかということでの検討をしております。単に、今後の農業経営の方向を考えますと、農業生産だけではなくて、加工なり、あるいはいろんな販売、そういったものも、いろんな複合経営なり多角化というものも考慮に入れて示すようなことができないかということでの検討を更に続けてまいりたいと思っております。
  82. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 やはりこれからの二十一世紀の農業を考えたときに、輸出を視野に入れた農業というものを考えていかなければならないんだなということを感じております。二十一世紀、飢餓の時代が来るとも言われておりますし、先日、テレビを見ておりましても、青森のリンゴで残念だったんですが、長野のものではなかったんですけれども、青森の陸奥が中国のデパートで飛ぶように売れていると。それも、中国で作られたものよりも高い値段で売っているのにもかかわらず、やはり安心、安全、おいしそうだということで売れているという話もございまして、そういう意味では、日本の農業全体を考えるときに、やはりこれからの飢餓の時代が来るということも含め、安心、安全というものをしっかりと日本は守っていく、そのことによって、国民の皆さん、また世界の皆さんに安心して食べていただけるようなものを作っていく必要があるんではないかなということを考えます。  次に、食料・農業・農村基本法の重要な政策の一つとして、中山間地域等直接支払というものがございます。これは、耕作放棄地、放棄の防止と農業の持つ多面的機能を維持するために平成十二年度から五年間の事業として始まり、来年度以降の扱いはまだよく分からないのが私でございますけれども、この夏までに決定されるということであります。一方、基本計画見直しの中で、農業の環境資源対策として直接支払が検討されておりますが、この具体的な内容も明らかになっておりません。  しかし、関係市町村では中山間地域等直接支払制度の継続を強く求めております。新基本計画の検討内容との整合性を取りながら、十七年度以降も継続して実施されていくべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
  83. 太田信介

    政府参考人(太田信介君) 御指摘のとおり、中山間地域等直接支払制度でございますが、平成十二年度に発足し、十六年度までの五年間ということになっております。発足時から五年後に制度の検証及び課題の整理を行うこととされておりましたので、現在、中立的な第三者機関でございます中山間地域等総合対策検討会におきまして、三月から現行制度の検証を始めております。四月には第二回目の会合も持ったという状況になっております。  この制度は、食料・農業・農村基本法に国が行う基本的施策と位置付けられておりまして、耕作放棄等によりまして多面的機能の低下が特に懸念される中山間地域等におきまして、現在約六十六万ヘクタールの農用地で農業生産活動等が継続され、多様な集落活動取組が活発に行われるようになってきております。  また、これまで地方公共団体等から、十七年度以降も本制度を継続するように多数の要望が寄せられております。先般の農林水産大臣主宰によります都道府県農林水産主務部長政策提案会におきましても、そうした提案が数多く出されたところでございます。  本制度の平成十七年度以降の対応につきましては、地方公共団体等からの制度継続の提案のみならず、中立的第三者機関でございます本検討会におけます検証等を踏まえて、広く国民的理解を得ながら検討を進めるという考えでおります。
  84. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 また同時に、中山間地域等直接支払制度の見直しに当たっては、耕作放棄の防止と農業の持つ多面的機能維持という目的にとどまらず、中山間地域の一層の活性化に役立つものになるようにしていかなければならないと考えております。また、国民の皆さんに無駄と言われぬよう、そして、助成してもらっている者が何でもらっているんだろうと、分からないという声もあるのも一部にあるわけですね。農地を持っているということだけでお金が入ってきて、何にもしていないのにお金だけもらって、これもらっていいのかという疑問を持っている人も実は数は少ないですけれどもいるというのが現状でありまして、その人たちが納得して受け取れるよう制度内容を見直し、更に充実させ、継続していくべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
  85. 太田信介

    政府参考人(太田信介君) 正に御指摘のとおり、この中山間地域等直接支払制度でございますが、広く国民的理解を得ていくことが非常に重要だという観点で、現在も明確かつ客観的な基準の下で透明性を確保しながら実施しているという状況にはございますが、御指摘のような声が聞かれる点もございます。  そうしたことを含めまして、現在の検討を進めておる中でも、そういったこともテーマにしながら議論を進めていただいておりますが、いずれにいたしましても、この十七年度以降の対応につきまして、地方公共団体等からの提案にも耳を傾けながら、この中山間地域等総合対策検討会、中立的な第三者機関でございますこの検討会での検証等を踏まえて対応を進めてまいりたいというふうに考えております。
  86. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 最後になりますけれども、改めて申し上げたいと思います。  中長期的に世界の食料需給が逼迫すると予想されている中で、国民の食料を確保することは国政の最も重要な課題であり責務であります。したがって、食料自給率目標四五%を達成できなかったり、うやむやにするようでは、国内生産の増大を基本として食料の安定供給を確保するという基本法の理念はむなしく聞こえますし、WTO交渉で各国の多様な農業が共存できる公平公正な貿易ルールの確立などと言っても全く説得力を持たなくなります。  必要な予算はしっかり確保して食料自給率目標四五%を確実に達成すべきと思いますが、改めて大臣の見解を伺って、質問を終わらせていただきたいと思います。
  87. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 我が国の農業、それは生命の源であります食料の供給、こういう面、さらには国土環境の保全、そういう面で多面的な機能、これを発揮をしておるわけでありまして、そういう中でやはり農業を健全な姿で維持発展をさせていくということは大変重要なことでありまして、そうして真に豊かな安定した国民生活と、それはやはりそういう中から生まれてくるわけであります。  しかし、我が国の農業をめぐる問題、先ほど来いろいろ御指摘をいただいておりますとおり、構造改革の立ち後れやあるいはまた農村地域高齢化の問題等々、地域の活力の低下が見られるようなわけでもございます。そういう中で、やはり食料自給率の低迷、本当にここのところ四〇%を維持しているというのが現状であるわけでありまして、またさらには食の安全、安心と、こういう面で国民の関心も大変高いわけであります。  そういう点から、やはり今、来年三月を目途に食料・農業・農村政策審議会の企画部会でいろいろ基本計画の見直しに向けて議論をちょうだいしておるところでもございます。そういう中で、本当にやる気と能力のある経営の後押しをすると、そして足腰の強い農業構造の確立と、農業の多面的な機能が発揮をされて、そして万全な農業の体制というものが確立できるように頑張ってまいりたいと、こう思っております。
  88. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 ありがとうございました。
  89. 広野ただし

    広野ただし君 民主党・新緑風会の広野ただしです。  今日は、決算委員会、省庁別審査ということで中川経済産業大臣そして亀井農水大臣、ということでお出掛けでございます。今国会、年金国会ということも言われておるわけであります。やはり国民の皆さんに大変な負担を強いるということからいいますと、私は政府、提案者、非常に重い責任があるんだと、こう思うわけであります。  そこで、中川大臣、先月ですね、年金の未納問題が出て、いち早くある意味では誠に正直に謝罪をされて、これは、今まで未納であるということは未納として、私は一つの識見だと思うんです。  ところで、福田官房長官は、元官房長官は、六十歳でも払っておりましたというようなことをおっしゃって、それで、実際は三年ぐらいですね、払っておられなかったということがありました。そして、連休明けに福田官房長官は辞職をされたわけであります。  このことについて、まず中川大臣はどのように思っておられますか。
  90. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、広野委員から御指摘のありました国民年金の、私は未納というよりも未加入でございまして、四月の十三日、十二日に調べて分かって、十三日に遅まきながらやれることをやったわけでございますが、二十四日だったと思いますが、自ら、おわびかたがた、国民の義務を果たしていなかったということで発表させていただいたところでございます。  先週の参議院の本会議でも御質問がございまして御答弁させていただきましたが、私といたしましては、本当に私の全くの当時の無知、そして現在に至るまでそれが続いていたということについては、この場をおかりいたしましても深くおわびを申し上げなければならないというふうに思っております。  私のこの職につきましては、任命権者でございます小泉総理大臣に御判断をおゆだね申し上げているというところでございます。
  91. 広野ただし

    広野ただし君 私は、中川大臣を男中川だと、こういうふうにやっぱり思っております。父上のときから、北海のシロクマと言われる中川一郎先生ですね。私は非常に正義感の強い方だったと思います。  そういう中で、やはり自分の責任はだれかに任すんじゃないんじゃないかと私は思うんですね。福田さんは最終的に自分で責任を取られたと。それくらい閣僚というのは私は重いものだと思うんですね。だから、自分の身柄は任命権者の小泉さんに任せたということではないんじゃなかろうかと。  特に、国民年金というのは、若い世代にとって一万三千三百円払うのはなかなか大変なことです。また、まして、いい職に、思うとおりの職に就けないという場合は、本当に身銭を切って正にもう大変な思いで払っているわけですね。それに対して、今度それがいろんな原因で、今は四割の方が未納だと。若者だと五割近く未納だと、こういうことになると思うんです。  厚生労働省は、来年からそれに罰則を掛ける、払わない人には罰則を掛けるということまでやろうとしているんですね。そういう中において、私は政府というのは物すごく重い責任があると思うんです。それを、私の身は全部総理なんだというのは男中川昭一としてどうなんでしょうか。
  92. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 御指摘は重く受け止めさせていただきます。  このことが分かった直後に総理のところに御報告に行きまして、誠に申し訳ございませんでしたということで御報告をいたしましたところ、職務をしっかりやりなさいということでございましたので、総理のその判断に今基づいて、一生懸命現在与えられた仕事をやるということで、今全力を挙げているところでございます。
  93. 広野ただし

    広野ただし君 まして任命権者小泉さんも、まあ、ぶっきらぼうに、払っている、加入していない、強制加入になってからは払っている、こういうことであります。任意加入のときは加入していないんだから、未加入なんだからそれは未納と言うんじゃないんでしょうと、こういう、まあ何というんですかね、まやかし的な答弁ですよね、説明の仕方をしておられる。これで国民の皆さんに払ってくれなんというのはとんでもないことで、私はそのことは小泉総理に対してまた別の機会に大いに話をしていきたい、追及していきたいと。  総理の言葉の重さというものは大変なことで、そのことを、まあ何というか、人ごとのごとくに突き放したようなことで言うのはいかがなものかと、こう思うんですが、任命権者に対して大臣が、中川大臣がどう思っておられるのか、そのこともちょっと伺いたいと思います。
  94. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 任命権者のみならず、人様のことを私は今言う資格がないと思っております。
  95. 広野ただし

    広野ただし君 まあ、昔、政治家に政治倫理を求めるのは八百屋で魚を求めるがごとしだと言った人もおられます。だけれども、政治は最高の道徳だと、こう言われる人もおられるんですね。  私は、やはり北海のシロクマ中川一郎先生は、ある意味で非常に正義感があり、最期非常に痛ましい亡くなり方をされましたけれども、私は非常に尊敬をいたしておりました。それは、やはり自分を処することに対して非常に厳しい方だったんじゃないかと思うんです。まして、何ですか、今北海道で参議院に出てこられるような、スキャンダルめいた、ある意味で、その秘書もしておられた鈴木宗男とは全く違う人ですよね、全く違う人。だから、そういう意味で、私は政治の中でしっかりとしたけじめを付けないと、これは国民が見ているんです。  特に、私が心配するのは子供たちですよね。子供たちは、あっ、政治家というのは何やってもいいんだ。本来、いや、自分は国のためにやりたい、あるいは何か偉い人になりたいと、こう思っている、そういう子供たちだっていると思うんです。そして、子供というのは親の背中を見て育ってくる、そしてそれは親の背中を見て育ってくる、そういうことだと思うんですね。我々社会人、特に政治家の背中を見ている場合だってあると思うんです。そういう人に、そういう子供たちに、教育上もこの現在の日本の姿というのは本当に誠に憂うべきことだと思うんです。  何かこう、しっかりとしたものが一つも見えない、でたらめの政治じゃないか、こういうふうにしか見えないと思うんですが、大臣、どう思われますか。
  96. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も小学生の子供がまだおりますので、子供には健全に育って立派な日本国民になってもらいたいと思っている父親の一人でございます。そういう意味で、今回のことは誠に重く受け止めているところでございます。
  97. 広野ただし

    広野ただし君 やっぱり閣僚、七閣僚なのかどうなるか分かりませんが、そのほか副大臣、政務官ですね、たくさんの重要な責任を持っている方々が、何というか、口をぬぐってほっかぶりして、まあ、言わば何の責任も取らない、福田官房長官一人に任せておくと。これは私は誠に談合政治で、そんな自民党政治だったのかと私は思います。自民党の中にも立派な人たち一杯おられます。やっぱり、しっかりとしためり張りの利いた政治をやっていくと、そういうことでないと、とてもじゃないけれども日本の進路、もう誠に危ういんじゃないかと、こう思うんですが、再度、中川大臣の答弁を伺います。
  98. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今回のことは重ねて本当に、今の世代の我々が今の受給資格のある方々をいわゆる支えているんだというシステムでございますから、そういう意味で、私が二十一年間、そしてさかのぼって二年はお払いいたしましたけれども、それ以外の部分についてはお支えしなかったということについては、本当にこの年金というものは国の大きな柱、国を運営していく上での大きなシステムでございますから、そこに私が大変なミスを犯してしまったということについては重ねておわびを申し上げます。  そして、これを本当に反省材料にして、今まで以上に、与えられた立場で、できればお国のために、将来を背負う子供たちのために頑張っていきたいというふうに思っております。
  99. 広野ただし

    広野ただし君 亀井農林水産大臣はこの年金問題について、国会議員が国民年金の強制加入となった八六年四月以降、六十歳になるまで年金に加入し保険料を支払っていたというふうに、きちっとしたことであったというふうにお話をされております。  そのことで、じゃ、今、中川大臣がこうやってお話をされる、こういうことについてどう思われますか。
  100. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 私は、私として、政治家としてのその職務を全うするということが使命と、こう思っておりますし、年金のことにつきましては私自身も受給者の資格があるわけでありまして、それで今日まで、サラリーマン以降ずっと年金を納めておったと、こういうことで社会保険庁からも通知をちょうだいしたようなわけでもございます。
  101. 広野ただし

    広野ただし君 広野ただしでございます。  私は、中川大臣、五十歳を過ぎられたばっかりの本当に将来非常に期待をしている政治家であります。で、今、亀井大臣も言われたように、身の処し方というのはだれも言えないことだと思うんです。だけれども、やはりそこは国民皆さん注視の中で、やっぱり私はめり張りの利いたすぱっとしたことをやられれば、中川大臣に対する評価というのは一段と上がるんじゃないかと私は思うわけであります。党は違いますけれども、そういうことを強く申し上げたいと思います。  ところで、経済産業省関係のまず石油公団の問題について入らせていただきたいと思います。  石油公団、この堀内元総務会長が指摘されましたように、大変なお金が石油開発のために費やされました。先ほど、同僚議員がおっしゃったとおりであります。実際、累積投融資、投資あるいは融資ですね、石油公団から三百十四社に支援をし、二兆一千六百八十六億円ですか、重複部分を除けば一兆九千二百七十億の支援がなされた。そのほか、債務保証ということで一兆二千二百億円というすさまじい投融資あるいは債務保証がなされ、支援がなされてまいりました。  三百何十社、三百何十社、そのうち当たったのは何社なんでしょうか。
  102. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答えを申し上げます。  石油公団が創設いたしまして以降、御指摘のように三百社を超える開発会社に対する出資をしたのは事実でございます。そのうち、現在でも操業いたしております企業につきましては約三十、これは数え方にもよりますが、中核的企業等々として今後期待されているもの及び今後処分をするもの、全部ひっくるめまして約五十社でございます。
  103. 広野ただし

    広野ただし君 私がいただいている資料でいきますと、現在生産中のものが、プロダクションですね、している方は三十八社、うち十四社がやっぱり繰越損があると、こういうことで今清算をされたり何かいろいろとしておられる。  私は、石油開発、これは非常に重要なことだ。今でもエネルギー全体の半分は石油、日本は半分は石油でやっておるわけです。ですから、石油開発の重要性はよく分かるけれども、何でこんな何百社にもやって、ワンプロジェクト・ワンカンパニーですか、という形でやって当たったものは本当に少ない。なぜこういうことになったのか、その原因について伺いたいと思います。
  104. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答えを申し上げます。  これまで数多くの会社に出資をしてきたというのは事実でございます。先ほど申し上げたとおりでございます。その原因でございますけれども、まず、日本は残念ながらメジャーのような世界に伍して独立でやっていける会社がないということで、民間主導ではございますけれども、従来から国の支援をするということで両輪相まって開発を進めてきたということでございます。  それで、なぜこんなに数が多いかということについてのお答えでございますけれども、一つは、これは各開発のプロジェクトごとに独立の会社を一つずつ作っていったと。いわゆる我々の言葉でワンプロジェクト・ワンカンパニーと言っておりますが、そういう形式を取ってきたことが一つ原因であろうかと思います。  もちろん、こういった形式を取らない形での開発もあるわけでございますけれども、御承知のように、石油開発は非常にリスクの高い事業でございます。したがいまして、各プロジェクトごとに応分の民間からの出資をいただくわけでございますが、仮に失敗をしたときに、その効果を独立の会社だけにとどめておくということで、リスクの波及を遮断するという意味においてもワンプロジェクト・ワンカンパニー方式というのはそれなりに意義があったわけでございますが、従来そういった方式を取ったことが多くの開発会社に対する出資をもたらしたものと認識をしております。
  105. 広野ただし

    広野ただし君 認識をしていても、二兆円あるいは大変な金額。皆さん、何兆円といったら、まあそういうものかと思っておられますけれども、私らも、ちょっと見るのは百万円ですよね。百万円のものは大体一センチですね、この厚さは。一億円になると、それが百センチですから一メーターになる、一メーターになるんですね。一兆円になると、これの、一万メーターになるわけです。一万メーターというのは富士山の三倍ぐらいになるんですよ。それを二兆円もどこかに捨てちゃったということでしょう。  ですから、私は、やっぱり堀内総務会長、なかなかの勇気を持ってそのことを表に出され、その清算をされたんだと、こう思うんです。  ですから、このものをただメジャーと比べて、こういうことですと淡々とやることであってはならないんだと思うんですね。やはり責任は責任としてしっかりと取り、そして決してこういうことの起こらない、私も石油開発というのは千三つぐらいだと思いますけれども、やはり税金を取ってやっているんですから、しっかりとしたものにしなきゃいけないんだと、こう思いますが、大臣いかがでしょうか。
  106. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 堀内元通産大臣のことは私は詳しくは存じ上げませんので、コメントは差し控えさせていただきますが、今答弁申し上げましたように、日本は御承知のとおり資源がない、特に石油資源がほとんどゼロである、そしてまた石油がないと困るという中で、ある意味ではいわゆるメジャーと言われている、世界に五あるのか幾つあるのかは分かりませんが、そのメジャーがいわゆる石油の大どころを押さえている。もちろん、日本としてはそういうところからの石油供給というものも頼らざるを得ないことでございますけれども、しかし万が一、どういう状況のときにそれが安定的に供給されないというリスクというものも常にあるわけでございます。  したがいまして、元々日本の中で石油が今のところないという状況でございますけれども、そういう中でメジャーの合間を縫ってという言い方は大変変な言い方かもしれませんけれども、日本としてできる限りのことを、いわゆる自主開発というものをやることも必要ではないかと。もちろん一〇〇%自主開発ということには限界があるのかもしれませんけれども、できるだけ自主開発が必要ではないかと。  また、今、広野委員指摘のように、これは地下何千メートルに眠っておるものでございますから、可能性があっても掘ってみたらなかったとか、あるいはあってもコストが合わないとかいろいろなことがあるわけでございますから、そういう意味でリスクが非常に高い。しかし、確保できればこれはまた我が国の安定的なエネルギー確保と、資源確保という意味で非常に意味の大きいものでございますから、今までそういう形で必死になって、資源のない、そしてまた経済的に我々、一生懸命国民の皆さんが頑張っておられるという中でできるだけの安定供給、安定確保をしていかなければならないということで、結果的にこういうことになったというふうに理解をしております。
  107. 広野ただし

    広野ただし君 なかなか地下構造ですからよく分からない。だけれども、やっぱり民間ですとすごいんですよ。アラ石の山下太郎さんは、やっぱり百発百中のような感じで当たったんですね。だからアラ石というのは大変な役割を果たしてきたと。もちろん、今取り分が少なくなりましたけれども、そういう形になったと。だけれども、何か人の金だ、税金で入ってくる人の金だというような気持ちでやっているから、この三百社に出して、そして野方図にばらまいて、数撃ちゃ当たるというような感じでやってきたんだと思うんですよ。ちょっとした情報が入って、ほとんどそれが誠にどうにもならぬようなよた情報で、それで大変なくずをつかまされてもうほとんどが失敗しちゃったということだと思うんです。ですから、これはやはり強く責任を感じてもらって、こういうことのないようにしっかりとやらなきゃ駄目だと思うんです。  今石油は、バーレル、史上最高とかいって四十ドルを超したというようなことになってきております。確かに、また石油は有限な、無限なものじゃなくて有限な資源ですから、本当に大変なことだと思うんです。  その中で、やはり何か明確な指針もなくって、この前、自主開発原油は百二十万バーレル、日本の輸入量の三割を自主開発原油でやるんだと、こういう高い目標があったんですよ。ところが、それはもう昔からほとんどそれ達成不可能で、今それの半分ぐらいになってきているんですか、六十万バーレルぐらいになった。前回、前から見れば、三十年ぐらい前から見りゃ三倍ぐらいにはなりましたでしょう。  だけれども、そういうことが何か目標を明確に定めてそこへ行くんなら、それでそういう説明をしっかりと国民の皆さんに分かるようにやっていかなきゃいけない。ただ野方図に数撃ちゃ当たるような形でやっておったんでは、これはもうだれも責任も取らないし、そんなことでは絶対当たらないと私は思うんですね。ですから、そこは、堀内総務会長が線を引かれたのは、私はやっぱり一つの炯眼だと、こう思います。  そして、今清算をして、あるいは解散をしたりして中核五社にまとめようとしておられるんですか。そこの明確なビジョンをちょっとお知らせください。
  108. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) お答え申し上げます。  具体的には、中核的企業を構成すべきものとして、国際石油開発あるいはジャパン石油開発株式会社等、開発会社の統合、連携を通じた中核的企業の形成、上場に向けた準備が今進められております。その一環として、ジャパン石油開発株式会社の民事再生手続も実施しているところでございます。  それから、石油資源開発株式会社の株式につきましても、昨年十二月十日の東証第一部に上場し、発行済株式の一五・八%、約三百十六億円を売却していろいろとやっておるところでございます。  ただいま先生指摘になりましたのは、今月更に五社について入札手続する予定になっていますが、一社はアンゴラ石油株式会社、エイジョコ・エクスプロレーション株式会社、エイジェックス石油株式会社、サザンハイランド石油開発株式会社、エジプト石油株式会社と、こうなっておるわけでございます。  今後とも、前提の整った案件から可及的速やかに入札手続を進めていきたいと、こう思っておるところでございます。
  109. 広野ただし

    広野ただし君 解散をさせる、あるいは民事再生法で更に復活をさせていく、あるいは上場をしていくという中で、このジャパン石油開発、これがその全体の損失一兆二千のうちの約四分の一から三分の一ぐらい占めるくらいの三千何百億を食っているんですね。  これを民事再生法へ持っていって再生させるというふうに考えておられるその理由は何ですか。
  110. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答え申し上げます。  今御指摘のジャパン石油開発でございますが、多額の負債を抱え、これまでも特別措置ということで石油公団で支援をしてきたところでございますが、残念ながら、全体の先行きについて計算を新しい条件の下でしましたところ、債務超過ということで民事再生法という手続に入ったわけでございますが、これは、過去における投資、これはもう非常に、三十数年前に行った投資でございまして、投資、非常に油価とか為替が開発者にとって非常に不利な状況であった、その下での投資が、言わばその後の進展によって非常に重荷になってきたということでございます。  が、それはまあアセットといいますかそのバランスシート上の問題としてはそうでございますが、一方におきまして、このジャパン石油開発というのは、アラブ首長国連邦で活躍をしている会社でございますが、日本の先ほど御紹介申し上げた自主開発原油の担い手としては非常に大きな会社であり、かつ、今申し上げたその資産上の評価とは別にランニング上の評価をいたしますと、非常に安定的にかつ良質な石油を着実に日本に運んできてくれていると、そういうことでございまして、いわゆる過去におけるそういった俗に言いますところの損切りさえすれば非常に事業体としてのこれからについては期待が持てるということでこの手続に入ったものでございます。
  111. 広野ただし

    広野ただし君 そこが本当に期待できるのかどうか分かりませんが、例えば国際石油開発、こちらの方は、売上高も今は千五百億ぐらいですか。で、純利益が二百七十億ぐらい出ているんですね。そして剰余金が二千百億あります。こういう企業を早く上場をしたらいいと思うんですね、早く。それで、私も経済産業委員会で随分そういうことも言いました。  そして、石油資源開発の方は、これは上場をしまして、剰余金も千六百億あります。ですから、今、株価はあれですか、四千円台になっているということで株式売却益は三百何十億になっているんですね。十何%売ってそうです。これ、まだ五〇%ぐらい持っているわけでしょう。  だから、早くこれを売って、それをもって今までの債務の返済ですとか何かにやっぱり充てるべきじゃないんですか。どうでしょうか。
  112. 細野哲弘

    政府参考人(細野哲弘君) お答え申し上げます。  国際石油開発につきましては、御指摘のように、先ほど御説明を申しましたように、この民事再生法を、手続を完了いたしましたジャパン石油開発、それから、ソデコと我々言っておりますが、サハリン石油開発との連携、合併を済ましました後、速やかに上場するように予定をしております。  それから、石油資源開発の方でございますけれども、これは単独で昨年の十二月に上場を果たしましたんですが、おかげさまで今御指摘のような相場で推移しております。まだ、石油公団が五〇%弱の持分をまだ維持しております。これにつきましては、市場等の状況を見ながらできるだけ速やかに売却をしていきたいと思っております。
  113. 広野ただし

    広野ただし君 やはり、石油をめぐって戦争が起こるとか、また石油は何だかんだ言っても国民生活と非常に密接な影響があって、それこそまだ全体のエネルギーの半分を持っているわけですから、それをどうするかというエネルギー政策の根本ですね、これをもう一回考えてもらって、きちんとした石油政策、石油開発政策というものを打ち立ててもらいたいと、こう思います。  そして、先ほどお話ありました、そういう石油開発政策なり石油政策というものもやらなきゃならないのに、石特はどうなっているか。これは、歳入は、先ほどありましたが、十四年度ですと九千四百億の歳入、そこに対して歳出は四千五百億。半分ですよ、半分。そして、剰余金が四千八百億出ている。あるいは不用額というのがそういう予算に対して二三%出ると。これ、何やっているんだということなんですね。経済産業省もっとしっかりしろ、私はそう言いたいですね。  このところ等について、大臣、どうでしょうか。
  114. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) 先生指摘のとおり、石特会計におきましては、この石油等の備蓄、そして自主開発等の施策や省エネ・新エネ対策実施してきているところでございますが、石特会計の十四年度決算におきまして発生しましたこの剰余金というのは、主に石油備蓄事業におきまして緊急時における備蓄放出に備えて計上している予算が執行を要しなかったこと、また備蓄原油等の購入にかかわる借入れに対する利子補給金の前提となる金利予算計上よりも実際には低かった、そういうことによる、そういうことの不用によるものでございます。  これらを踏まえましてこの十六年度の予算におきましては、石油備蓄予算中心としまして石油対策の思い切った合理化を行う一方で、地球環境対策の強化を図るために、新エネ、省エネ対策等のエネルギー需給構造高度化対策を更に拡充強化するなどの措置を取っているところでございます。今後も、本省としましては、剰余金の減少に努めながら、この政策実施に万全を期して、引き続き予算の効率的また効果的な活用に努めてまいる所存でございます。
  115. 広野ただし

    広野ただし君 いや、そういう役所みたいなこと言っているんじゃないんですよ。縦割りみたいなこと言っているんじゃないんですよ。石油開発をもっとやらなきゃならないんだったら、こっちで、私は備蓄政策は成功していると思いますよ。ですから、安心して、今のような中近東で危機的な状況があってもそれなりのことが安定させる。石油第一次ショックの、オイルショックのときはそういうものも何もなかったから大変なインフレになったわけでしょう。だから、こんなに余っているものを何しているんだということですわ。石油政策に対して大して物事を考えていないのか、あるいはもう要りませんと言っておるのか、どっちかだということでしょう。  そしてまた、先ほどもありましたけれども、一般会計にまず石油税ということで入りますね、これは目的税じゃないですから。一般会計に入って、それからこの石特に非繰入れのものがもう平成五年以降、毎年三千億あるんですよ、三千億。毎年ずっと三千億ある。これは大蔵省が適当に使うから、絶対これは経済産業省に入ってこない。だから、北方領土だと言われているんですね、これ。北方領土というものが一般会計に預けてあるんだというようなことが言われております。  もしそういうことで、石特なりというものに要らないんであれば、税金を下げればいいんですよ。めり張りのあることをやればいいんです。だけれども、ちゃんと何か、石油開発やらなきゃいけないんでしょう。とすれば、ちゃんとしたことをやってもらいたいと、こう思います。  そして、私はかねがね言っておるんですが、石油特会と電源特会ですね、石油特会と電源特会、そしてエネルギー多様化だとか何とか、縦割りになっています。だけれども、そんなの一緒にしたらいいんじゃないですか、一緒にして。そして、実際、今、地球温暖化の炭酸ガスというのは、そのエネルギー源から九割以上炭酸ガスは出てくるというわけです。自動車から始まって、発電所も、家庭でも使いますから。環境対策にこれを使えばいいんですよ。  現在、このエネルギー、石油特会あるいは電特等から環境対策に使われている費用はどれぐらいですか。
  116. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 答弁はどなたがされますか。
  117. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) 環境対策として恐らく認識できるものとしてエネ高対策の支出があると思うんですけれども、おおむね二千四百億円ぐらいの支出を十六年度においては予定をしております。
  118. 広野ただし

    広野ただし君 それは環境対策としてですか。
  119. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) 環境対策という形で明示的に銘打っているわけではございませんけれども、エネルギーの高度化対策ということで、省エネルギー、新エネルギーの開発、あるいは天然ガスの利用促進、化石燃料の環境負荷低減利用対策、そういったようなことに主として使っておりますので、大きな意味で環境対策というふうに認識できると、環境にも寄与するという意味でですね、本来はもちろんエネルギー対策でございますけれども、環境にも寄与する対策というふうに認識できると思っております。
  120. 広野ただし

    広野ただし君 私は環境省に任せたお金というのは数百億円だと認識しておりますが、間違いですか。
  121. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) 環境省には、平成十六年度につきましては百二十五億円の予算を割り当てております。もちろん、これについては、今後、十七年度、十八年度、どういう予算の額になるかまだ決定しておりませんけれども、現時点ではそういう金額になっております。
  122. 広野ただし

    広野ただし君 中川大臣、これは前の平沼大臣にもよくお話もして、平沼大臣も、ううんといって言っておられましたが、もう石特と電特一緒にして、そして環境問題も中にひっくるめて、今おっしゃった環境省には百何十億ですね、全体のエネルギー特会というものにもしまとめますと、大体一兆円ぐらいですよ、簡単に言いますと。そのうち今さっき言われた二、三千億なり四千億なり環境問題に対応していけば、環境税だとか何かと言っているよりも早く環境対策が私はできると思うんです。  実際、経済産業省、今温暖化のことで、二〇一〇年、炭酸ガス三億トンですか、それが守れないんで、二億八千万トンとかいうところしか炭酸ガスは減らすことができないでしょうというようなことを言っているんですよ。だけれども、やる気になればやれるんです。そういうお金の使い方をすればですね。  実際、剰余金は四千八百億、そして先ほど言いました一般会計に三千億、そういうのがあるわけですよ。それを活用して、思い切って環境先進国として日本はやっていけばいい。エネルギー、細かく、石特の何とか勘定、何とか、そんなことはもう我々分かりません。だから、ばさっとやって、しっかりとしたエネルギー政策と環境政策をやっていく。  これ塩川大臣も、本当に特別会計というのはもっと整理しなきゃいけない。再編統合というものをしていかなきゃいけない。ある意味で、剰余金があってじゃばじゃばになっているんですよね。そうじゃなくて、ちゃんとした政策を展開をすれば、環境政策に展開をすればお金は足りないくらいだということじゃないかと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  123. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) もう広野委員はよく御存じのことだと思いますけれども、いわゆる石特特会というのはエネルギー関連、それから電源特会というのは電源立地に関係する特会ということで、それぞれ使うお金の用途が決められているわけでございますが、しかし、エネルギー政策もまた電力政策も共通する部分が非常に多いわけでございまして、一つは、石油とか天然ガスとかそういう資源においても共通いたしますし、また、委員指摘のように、我々、エネルギー政策といえば環境ともうこれは裏腹といいましょうか、大前提ということになってまいっております。地球温暖化の問題とか、あるいはまたいろいろな大気中に排出しないようにするための努力というような問題。他方、電力の方につきましても、やっぱり安全で省エネで環境に配慮した電源政策といいましょうか電力供給政策といいましょうか、ということで非常に重なり合っている部分が多いということは事実だと私も思います。  そういう中で、いろいろと御指摘をいただいておりますし、広野委員のようなお考えをお持ちの方もいらっしゃることも重々承知をしているところでございます。いずれにいたしましても、このエネルギー政策、電力政策、あるいはまた環境政策、安全対策等々が一体的に国民に対して、国民経済に対して、国民生活に対してきちっとした対策としてやっていく必要があると思います。  ただ、現在のこの二つの特会は、目的はあくまでも冒頭申し上げたようなことであるという前提に立ちますと、その中でできるだけ、今、次長から答弁申し上げましたように、環境対策と言えば言えるという答弁をいたしましたけれども、そういう決められた特会の中ではありますけれども、そういう重要な問題にできるだけ配慮しているというのが現実でございます。
  124. 広野ただし

    広野ただし君 今、やはり大臣、大事なことを言われまして、本当に、何も厳密に環境省に任せたものだけが環境対策ではない。幅広く考えれば、その二千億ぐらいになるものが環境政策かもしれません。いずれにしても、だけれども、国民の皆さんに訴える訴え方ですよね。  これからいうと、いや、石油は石油だ、電気は電気だ、そして環境は環境省だというようなことじゃなくて、もう非常に総合的に抱えてしっかりとしたものをやっていくと。そして、そういう大英断をしてもらって、だって炭酸ガスががんがん増えてきて水位が、暖かくなって、もう水位が高くなると、これ人間やっていけないわけですから、これはもうやはり真剣に取り組んでいくと。環境税だとか何か言っている前に私はやれることが一杯あるんだと思うんです。そして、それは特会をまず合同、再編統合して、そして思い切って、今余っていると言われるそのお金をそういうふうに使っていけばいいんじゃないかと、こう思いますので、平沼元大臣も、ううんというようなことも言っておられました。中川大臣も是非また英断を持ってそういうこともやっていただく、これが本当に国民のためになる改革じゃないかなと私は思っております。  ところで、農水大臣に伺います。  鳥インフルエンザ、季節の問題もあろうかと思いますが、何か今一つの峠を越したのかなと、こう思うわけでありますけれども、またいつ何どき、冬になればそういうことが蔓延するのかも分かりません。そこのところで、私もちょっと本当に分からないんですが、鳥インフルエンザにかかっている鳥を食した場合、食べた場合、これは人間に対してどんな影響があるんでしょうか。
  125. 竹本直一

    大臣政務官(竹本直一君) 今、広野先生御質問の件なんですが、鳥の肉や卵を食べまして鳥インフルエンザに感染した例は世界にはございません。ですから、その危険性はないと承知いたしております。  したがいまして、山口県における鳥インフルエンザが発生しましたのが今年の一月十二日でございますが、その趣旨を徹底するために、翌日の十三日に厚生労働省のホームページで「鳥インフルエンザに関するQ&A」というのを設けまして、その感染の例はないから安心しなさいという趣旨の広報を徹底いたしました。  また、報道機関の照会に関しても、その旨、趣旨の徹底を図ると同時に、関係省庁の対策会議も設けまして、そこで各知事を通じて広報を依頼いたしました。  そのように、その点での理解を十分していただくという努力をいたしております。
  126. 広野ただし

    広野ただし君 ならば、例えば、何というんですかね、鳥インフルエンザにかかった鳥は焼却しなくてもいいんですか。もしそのまま、何というんですかね、蔓延しない措置さえ取れば食べてもいいということですか。
  127. 竹本直一

    大臣政務官(竹本直一君) 鳥から鳥への感染というのはこれは農林水産省の所管でございますが、厚生省は人への感染をどうするかという立場で論じております。そういう意味で、食べても人間には感染しないというふうに、人間との関係では我々はそのように見ております。  ですから、感染した肉をどうするかという食の世界につきましては、これ農林水産省の方が本当かというふうに思います。
  128. 広野ただし

    広野ただし君 そこが私も本当に、農水省と厚生労働省の食の問題については本当に複雑で、しかも、それで浅田農産ですか、あのときなんか自殺者も出たわけですね。私は、遅れて、意図的に遅らせて通報をしたという、これはもう申し開きのできないことだと思います。ですから、政治家だってそんなことやっちゃいけないんですよ、年金の問題だって。そんなことだと思うんですよ。それと同じ。だけれども、本当に責任を取って御両親は亡くなられました。そして、社長は何か意図的に通報が遅れたということで逮捕、告発されて逮捕されたと、こういうことでありますけれども、私はある意味企業経営者の痛ましいくらいの、またある意味で悲鳴が聞こえるような気がするんですね。  それは、これだけ何千羽も死んでしまえば売れない、そして倒産してしまうということから、これは遅れることはとんでもないことですよ、遅らすことは、意図的に。だけれども、そういうきちっとした何かそういうときに措置がなされている、なされるんだということがもっとその経営者に早く分かっておれば、多分そんなことをやらなかったんじゃないかと私は思うんですが、どういう措置があり、またそういうものはどうやって普及されているのか、お答えいただきたいと思います。
  129. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 現行の家畜伝染病予防法におきましては、高病原性鳥インフルエンザの発生農家に対しまして、いわゆる患畜あるいは疑似患畜のこれは殺処分やあるいは汚染物品の焼却、また埋却につきましては、これは国が手当金を支払うと、こういうことになっております。  しかしながら、京都府の件、今いろいろ御指摘がありましたが、通報が遅れて周囲への影響が大きくなったと。こういうことから、今般、家畜伝染病予防法の改正案を国会に提出をしておるところでございまして、届出義務違反に関する罰則の強化をするとともに、移動制限命令に協力をした農家に対する助成措置を制度化すると。こういうことで早期通報を促す、そして充実を図ろうと、こういうことでありまして、今般この改正案を、今、衆議院では御可決をいただきましたが、参議院で御審議いただくことになっておりまして、御可決をいただきまして、関係者に対しまして法改正の内容等を周知徹底をしてまいりたいと、このように考えております。
  130. 広野ただし

    広野ただし君 やはりとんでもないことはそれは許しちゃいけないですけれども、やはりそういう中小経営者の悲鳴とか、本当にこの間もひどいことがありましたけれども、イラクのところで人質になった、もう目的がちょっとなっちゃいないんだからそんなもの自己責任論だと。私はそんなことよりも、やはりもっと温かい政治というか懐の深い政治をやっていかないと、もうぎすぎすした、日本の良さのなくなる政治になってしまうんじゃないかということを訴えまして、終わらせていただきたいと思います。
  131. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  最初に、農水省にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、私も、今、広野委員から若干ございましたけれども、食の安全と安心の問題についてお聞きをしたいと思います。  申すまでもなく、近年、食品事故の増加がございまして、国民の食に対する関心というのは大変高まっているわけでございますが、政府もいろんな対応をいたしまして、昨年の五月に食品安全基本法が制定をされて、そして今もありましたけれども、農水省、厚生労働省の省庁の壁を取り払って対応しなきゃいけないということで、内閣府の方に食品安全委員会が設置をされたということでございます。    〔委員長退席理事岩井國臣君着席〕  また、BSE問題に絡みまして、牛肉の問題についてはトレーサビリティー法の整備がなされて、そしてすべての牛について、国内については、どこでどのように生産、飼育をされて、そしてどのような流通経路をたどって消費者の手に渡るのか、逐一確認できるような体制になってまいりました。  しかし、今年に入りまして、まずはアメリカ牛のBSEの問題が発生をする、そして今もあったように鳥インフルエンザの問題が発生をするということになりまして、日本の国内の消費者は非常に不安に駆られるような事態が続いております。  そこで、最初に大臣にお伺いをしたいんですけれども、やはり私は、このトレーサビリティーシステムというものを牛肉以外に対象を拡大をしていくことが必要なんではないかと。具体的に申し上げれば、米でありますとかあるいは青果物等についても、農場から、生産の場所から食卓に、消費者の食卓につながるこの経路というものがもっと分かるようにこのトレーサビリティーの拡充、言い換えれば本格的な導入をするべきであると思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  132. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 御指摘のトレーサビリティーシステム、食品の生産、そして流通過程の追跡、また遡及を可能にする、こういう仕組みでありまして、万一食品事故が発生した場合にその原因の究明を容易にする、こういうことによりましてリスク管理に役立つものであるわけであります。また、あるいは農薬の使用状況など、消費者が求めております情報や生産者が伝えたい情報、こういうものを伝達する、いわゆる生産者と消費者との間の顔の見える関係、こういうものを作るに役立つわけであります。  米や野菜ですとか、牛肉以外の品目のトレーサビリティーシステムの導入につきましては、生産者あるいは流通業者の自主的な導入の取組を基本といたしまして、各食品の特性、流通の実態に応じましたシステムの開発、こういうことにつきまして今助成をするようなことを行っておるわけでありまして、このトレーサビリティーシステムの情報の伝達を通じまして食卓と農場を結び、消費者と生産者の間の信頼関係を構築することを可能とするわけでありまして、ひいては健全な食生活の普及と地域農業の活性化にも資する仕組みであると、このように思います。今後とも自主的に導入の取組支援をしてまいりたいと今考えております。
  133. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣、よろしくお願いいたします。  今、IT技術も大変進んでおりまして、次に私が聞く質問に関連をいたしますけれども、技術革新のおかげでどんどんいろんなことができるようになってきていると思いますので、よろしく対応方お願いをいたします。  次の質問ですけれども、私、平成十四年度の決算の質問に当たりまして、平成十四年度のいわゆる農水白書を読ませていただきました。その中で、第一章の食の安全、安心の確保のところでリスクコミュニケーションが取り上げられております。特に私が注目をいたしましたのは、コラムの欄に、これ大臣も御存じだと思いますが、紹介をされていましたいわゆる「米国における食品のリコール制度」、回収制度についてでございます。  この米国の食品リコール制度について、FDA、米国食品医薬品局による三段階のリコールの基準があるというふうに聞いておりますけれども、ちょっと簡潔にこの米国の食品のリコール制度について説明していただけます。
  134. 中川坦

    政府参考人中川坦君) では、私の方から簡潔に御説明を申し上げます。  FDAにおきましては一般に食品全体についての安全性に関する業務を行っておりますけれども、FDAの方では具体的な手続といたしましてまずホームページを開設をいたしております。そこで欠陥商品についての情報や質問などを受け付けると。そういった情報を入手した場合に、全米のFDAの現地事務所におきまして指摘のあった製品につきまして調査を行い、その結果をFDAの本部に報告をすると。本部の方では、専門家から成りますリスク評価委員会が製品のリスクの状況に応じまして、今、先生おっしゃいましたように、三段階のランク付けを行うと。それで、ランク付けされたリコール情報をFDAの方は事業者の方と協議をしてその上で公表するということでありまして、重大な健康被害を及ぼすおそれがあると判断される場合には事業者に対しまして警告も発しますし、また企業が自主的なリコールをしない場合といったときにはFDAが製品を没収をするというふうなことも行われているというふうに承知をいたしております。
  135. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  ちょっと通告していないですけれども、同じような制度って、つまりホームページにこういう製品、食品が問題がありますよということが、一般消費者が書き込んで、それを受けて日本政府の役所の皆さんが、例えばある県でそういうことがあったとしたら調べるような制度というのは今あります。
  136. 中川坦

    政府参考人中川坦君) 農林水産省の例で申しますと、本省を始め各地方農政局あるいは四十七都道府県に設置をされております地方農政事務所、ここには「消費者の部屋」というのがございます。ですから、先生おっしゃったようなホームページということではなくても、消費者の方が何か食品等で不審に思われたという場合には、いろんな御相談に応じる窓口というものは設置をしてございます。
  137. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 これは大臣に最後に伺いますが、これ、技術的には全然難しくないと思うんですよ、もう日本でも。つまりホームページで問題があるんではないかという食品とか製品について、これは農水省だけじゃないですよ、当然厚生労働省もやらなきゃいけないし、そのために内閣府に食品安全委員会作ったわけですから、そこでやってもいいんですが、いずれにしてもホームページで受け付けて、アメリカの場合は国土が広いということもあるんでしょうけれども、このホームページで受け付けた欠陥製品とか食品に関する情報に基づいて調査をして、リスク評価委員会が動いて、それを三段階の基準で分けて、そしてそういう製品とか食品作っている事業者に通知をして対応する、これで未然に健康被害等を防ぐと、非常に合理的な制度になっているわけですね。  そこで、これは私も農水省だけの問題だというふうには思っていません。これは省庁を超えた問題ですし、食品衛生法の世界でいえば厚生労働省が一番重要な省庁だと理解した上でお伺いするんですが、農水大臣としてこういったシステムの導入に対してやはり前向きでいていただきたいというふうに私は思っているんですが、いかがでしょうか。
  138. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今もお話しのとおり、食品安全委員会がスタートいたしまして、そして私ども、そのリスク評価、リスク分析、そういう中でのいわゆるリスク管理、リスクコミュニケーション、このことをいろいろ努力をしておるところでありまして、食品の安全性の確保に今努めております。  御指摘の違反食品の回収等の問題、このことにつきましては、やはり食品衛生上の問題でございますので、厚生労働省のいわゆる食品衛生法に関連をいたしまして、厚生労働省並びに地方自治団体衛生部局の実施ということになろうかと思います。  私ども農水省におきましては、食品の安全性、こういうことを確保する、品質の管理の徹底を図る、こういうようなことで、HACCP手法というようなことでいろいろその導入を支援をいたしまして、食品製造業者に対しまして自主的な取組支援しているわけでありまして、米国の食品リコール制度につきましては今も局長からも答弁をいたしましたし、またお話のとおりのことも私も承知をしておりますが、食品衛生法による違反食品の回収命令といった点は、やはり強い措置が講じられております現行の制度、これが存在するわけでありますので、それを中心に適切な運用を図っていただくということが、今日、今の状況であるわけでありますが、私どもも十分、先ほど申し上げました食品の安全性の確保、食品製造業者等々につきましても、十分リスクコミュニケーション、リスク管理、こういう面で努力をしてまいりたいと、このように思っております。
  139. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  大臣、若干歯切れ悪いんですけれども、それはやはり厚生労働省のエリアが広いという意味だというふうに私は解釈しておりますが、私も厚生労働の今委員やっておりますので、坂口大臣には別途私の方から同じことを申し上げようと思いますが、いずれにしても、さっきの広野委員質疑じゃないですけれども、農林水産省厚生労働省でボール投げ合って、結局いろいろ話聞くと、ボールが宙に浮いた状態が一番長いというのは一番よくありませんので、是非、食の安全に関しては省庁の壁を越えてやっていただきたいと、これを強く要望したいと思います。  次に、経済産業省に、お待たせいたしました、幾つか質問いたしたいと思いますが、最初は迷惑メールへの対応についてでございます。  ユーザーが望んでもいない電子メールによる商業広告を一方的に不特定多数のパソコンとかあるいは携帯電話に送り付ける問題があるわけでありまして、日本での対応を申し上げる前に、私調べておりましたら面白い報告書がありまして、二〇〇三年度の国連貿易開発会議、UNCTADの報告書によりますと、迷惑メールへの対応で企業活動に掛かっている余計なコスト、全世界でですね、これは二百五億ドル、約二兆二千三百億円に達しているというふうに報告をされております。  そのコストの内訳は、大量の迷惑メールが回線を占拠して通信速度が落ちたり、ネットを通じたサービスの提供に混乱を招いたりする情報通信資源の浪費が四四%、次いで、メールの処理に余計な時間を取られるなど生産性のロスが三九%、それから、当然のことでありますが、消費者からの問い合わせに対応するためのヘルプデスクの維持等に必要な追加費用が一七%というふうになっております。  大臣、二兆円以上の余計なコストですから非常に大きな問題になっているわけで、実は日本のみならずEU、欧州連合、それから米国でも最近になってこの迷惑メールの規制法の法整備がされました。EUでは昨年の十月三十一日に迷惑メール防止規制法というのが発効したと。また、米国では今年の一月一日に迷惑メール防止法が発効をいたしました。日本は若干先行しておりまして、二〇〇二年七月にいわゆる迷惑メール防止対策二法というものが経産省所管と総務省所管で一法ずつできたわけであります。  最初に質問をしたいことは若干技術的なことなんですが、今この迷惑メールを防止するのに大体二つの方式があるというふうに言われているわけです。一つ目の方式がオプトアウトという方式でありますけれども、一回目の迷惑メールは来るんですね。だけれども、来るけれども、二回目からはそれを防止できるようにしましょうというのがこのオプトアウトの方式になるわけです。二つ目の、オプトインというのがあるわけですけれども、これは電子メールの受信をホームページ等で登録したものに限ると。つまり、事前に網掛けて、私はこういうメールだったら受け取りますけれどもそれ以外は受け取りませんよというふうにユーザーの方で指定できるシステムがあるわけですね。  そこで、最初に経産省にお伺いをしたいのは、日本はこのオプトアウト方式とオプトイン方式のどちらをこの迷惑メール対策二法の制定後に採用したのか、またその採用理由について、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  140. 小川秀樹

    政府参考人(小川秀樹君) 委員指摘のとおり、電子メール広告に関する規制の方式として、いわゆるオプトアウト規制とオプトイン規制に大別をされるわけでございます。  我が国につきましては、御指摘ありましたように、一昨年の七月に、当省であれば特定商取引法、そういった法律で電子メールによる商業広告についてオプトアウトの規制に当たる規制を新設したところでございます。  これは、当時いわゆる迷惑メールによる苦情相談が非常に急増していたという状況に的確に対処しなければならないという強い社会的要請を背景として、議論の結果、そういうオプトアウト規制ということに至ったわけでございますけれども、オプトイン規制も一つの考え方ということでございますけれども、インターネットのネット分野というのが非常に新技術の開発、多様なビジネス形態の創出といったものが予想を超えて次々に生まれる可能性のある分野ということで、過度な法規制がその可能性の芽を摘むことがないように慎重に対処すべきと、そういう考え方の下にそういうオプトアウトということに判断をしたということでございます。  ちなみに、諸外国、御指摘のとおり、当時、EUが指令段階ではオプトインの規制の導入を認めるという動きがございましたし、一方、当時、オプトアウトの規制を導入している国が導入国の中では多かったという状況もあったわけでございます。
  141. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。  ビジネス振興の観点から、オプトイン、なかなか難しいということなんですが、それで、大臣、オプトアウト、まあ日本の方式の場合は、大臣も受け取ったことあるかもしれませんが、冒頭に未承諾広告、シャープみたいな表示が来るわけですね。そうすると、二度目から受け取るときには、これはもう要らないと、私は、ということで意思表示をして、正にオプトアウト、英語で言うところの自分はアウトすることができるということで、それで実際にこの方式を採用したときに、消費者取引委員会の提言では、この方式でも、この反射的効果として、販売事業者の側でもおのずと消費者の請求ないし事前の承諾を受けるように促されていく、つまり実態上オプトイン規制導入と同様の効果が出されるんではないかというふうに言われております。  そこでもう一回、事務方で結構ですが、法律が施行されて一年十か月になるわけですが、これらの期待されていた効果に対してどのように検証されているか。特に、具体的には違反者に対する警告数、それから処分が行われた場合にはその処分数、両方教えていただけますか。
  142. 小川秀樹

    政府参考人(小川秀樹君) 特定商取引法におきましては、十四年の改正によりまして、電子メールによる広告を送付いたします通信販売事業者等に対しまして、まず御指摘ありましたメールのタイトルの欄でございますね、そこに未承諾広告、それにプラスして米印を付すことになっておりますけれども、そういう表示をすると。それから、メール本文の方では、冒頭に、事業者名等の必要な情報に加えまして広告メールの受取を希望しない、そういう旨を事業者に連絡する方法を表示するという、その表示義務を義務付けております。その上で、御指摘ありましたオプトアウトでございますけれども、広告メールの受取を希望しない旨の意思を表示した相手に広告メールを送付することを禁止するという規制になっておるわけでございます。  この規制の実効確保のために、当省といたしましては、違法な迷惑メールの送信を行っている事業者に対しまして是正を促すための警告メールの送信を行っておりまして、数といたしましては、十四年度及び十五年度合計で六千五百件の警告メールを送信しております。  警告メール送付にもかかわらず迷惑メールの送信が続いているような、そういうケースにつきましては、事業者の特定、ここがなかなか難しいところがあるわけでございますけれども、事業者の特定に努めた上で報告徴収ないし立入検査等の必要な法律上の調査手続を経て行政処分を行う努力をしておるわけでございまして、昨年十月、実はこれがまあ初めてでございますけれども、二社の出会い系サイト運営事業者に対して業務是正の指示処分を行ったわけでございます。  それに加えまして、各携帯電話事業者もこの規制を受けまして、フィルタリング機能の導入でありますとか、それから迷惑メール事業者の送信回線を契約約款に基づいて停止する措置とか、あるいは一日とか一定時間数当たりの送信通数の制限とか、そういった民間事業者の自主的な措置もあって、そういったことが加わりまして、そういった官民による多面的な対応が背景と言うべきだと思いますけれども、効果といたしましては、当省は消費者の方々から不適正な広告メールに関する情報提供を関係機関を通じて受け付けておりますけれども、その数ですけれども、一昨年七月の法施行前、これ、例えば十四年二月でございますと三万七千件、月、あったわけでございますけれども、それが最新時点、十六年四月でございますと一万九千件、月当たり一万九千件ということで……
  143. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 それは処分数じゃないですね。問い合わせ数でしょう。それはいいんです。
  144. 小川秀樹

    政府参考人(小川秀樹君) ええ、処分数じゃございません。はい。  そういうような効果は出ておるというふうに考えております。
  145. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣効果は若干あると思いますけれども、でも、ある大手の携帯電話会社で一日送受信されるメールの数、御存じですか。十億通なんですよ。十億通のうち、十億通のうちですよ、八億通はあて先が存在しないアドレス、迷惑メールですよ。八億ですよ、一日ですよ。  それで、今警告のお話ありましたけれども、平成十四と十五、二年度で警告メールはたったの六千五百件なんですよ。処分の数は二社でしょう。ですから、これは、この部屋にいらっしゃる方々も今年に入ってからも迷惑メールをたくさん受け取っている方いらっしゃると思いますが、全然本当には効果が上がっていないんですよ。  それで、最後の質問にちょっとこのメールの関係で行きますけれども、日本の場合は世界と違って、世界は大体パソコンに来る迷惑メールが問題になっているんですね、日本の場合は迷惑メールの多くが携帯電話、九〇%以上が携帯電話で受信するというふうに言われております。  この間、毎日新聞に載りました調査によりますと、大体、携帯電話を持っている人の六四%がほぼ毎日何らかの広告のメールを、自分が欲しくないメールをもらっているというふうになっているわけです。更に問題なのは、この携帯電話を使っている人の六四%がほぼ毎日もらっているメールの八〇%以上が出会い系サイトとかアダルトサイトと呼ばれることに関する広告メールなんですね。  それで、これは大臣も、また経産省の局長さんもみんな御存じだと思いますから具体的に言いませんけれども、こういうアダルトサイトとか出会い系サイトのメールのタイトルはもうはっきり言って、まあ今日は言いませんが、おどろおどろしい内容で来ます。送信事業者は当然、受信者の年齢層とか時間を選んでいるわけではありませんから、こういった同様の迷惑メールを、非常に不健全なメールを、もう中高生の約七割が携帯電話を持っていると言われているわけですから、この中高生も受信をしていることが想定をされるわけであります。  ちなみに、大臣、ここで、大臣の所管には全く関係ありませんが、社会問題になっております出会い系サイトに関係した事件に関する警視庁の昨年度のデータを紹介したいと思うんですが、出会い系サイトに関係した事件の検挙件数は昨年度で千七百四十六件。そのうち、携帯電話を使用した、出会い系サイトの事件で使用された事件がそのうち九五%、約、千六百六十二件。この出会い系サイトの事件で被害者千五百十人のうち、十八歳未満の児童が千二百七十八人。つまり、出会い系サイト絡みの事件、検挙された事件の被害者の千五百十人のうちの八五%が十八歳未満の児童だということになるわけです。  私は短絡的に迷惑メールがこれらの事件の発端になったというふうに一〇〇%言い切れないというふうに思っておりますけれども、しかし青少年に無差別にこういった悪質な不健全な迷惑メールが届いていることは事実でありまして、このままやはり放置しておくことは私はできないというふうに思っております。  そこで、最後に改めて伺いますが、この件に関して、もうちょっと規制を強化する必要があるんじゃないかと。特に、先ほど申し上げたオプトアウトからオプトイン方式、選択制でもいいですから、ユーザーの、取れるようなことを、特に十八歳未満の子供たちが携帯電話を一杯持っている、事件に巻き込まれている人が千人以上いるということも踏まえて、経産省としても、これは総務省考えなきゃいけないんですが、お考えになった方がいいと思いますが、いかがでしょうか。
  146. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) 遠山先生は青少年対策には非常に力を入れて進めていただいているということでこのような御質問でございますが、おっしゃるとおり、いわゆる出会い系サイトの利用に関しましては、青少年が被害を受ける事件が多発しているのが事実でございます。  これに対しまして、もう先ほどから出ておりますように、いわゆる出会い系サイト規制法を前通常国会で制定し、昨年九月から施行されております。警察庁が児童による出会い系サイト利用の防止のために取締りに努力しているところでございまして、先ほど検挙数が報告されておりましたけれども、昨年九月の施行以降は十六件を検挙をしてきているというところでございます。  私もまだまだ非常に少ないと思うのでございますが、一方、このような被害が携帯電話へのいわゆる迷惑メールをきっかけにする場合が多い、すなわちインターネットのホームページを携帯電話に紹介するというようなところが多いというのもまた事実でございまして、これを踏まえて迷惑メール対策に一層努力するということが必要と考えております。  本省としましても、総務省、警察庁と十分連絡を取って、迷惑メール抑止のための特定商取引法による規制の執行強化に一層努力してまいる所存でございますが、御指摘のオプトアウト規制かオプトイン規制かというところにつきましては、先ほどからもありますように、ビジネスとしての、ビジネス振興の点からもちょっと慎重にしなくてはならないというところが一方ではございます。  しかし、いずれにせよ、我々としましても、この特定商取引法による規制も含めて必要な措置を早急に取っていく、また検討を続けていくということで先生方の御指摘を十分にとらえていきたいと、そのように思っております。
  147. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  残り時間、少なくなってまいりましたので、知的財産、またコンテンツを利用したビジネスの振興について取組を伺いたいというふうに思いますが、もう大臣も大変お詳しいということでありますけれども、私は今後の日本経済成長を考えたときに、非常に知財ビジネス、コンテンツビジネスの振興というのは不可欠であるというふうに思っています。  日本のアニメ、映画、音楽、またゲーム等のコンテンツは国際的に既に非常に高い評価を受けているわけでありますが、それが今日までなかなかビジネスに結び付いてきませんでした。その背景としては、一つは、制度的にこういうビジネスの世界でやっている人たちが資金調達が困難であったということが一つ、それからもう一つは、著作権に対する権利意識というものが他国に比べて日本は非常に希薄であったということがあるというふうに思っております。  ただ、今年、約八十年ぶりに信託業法の全面改正があって、詳しくはもう大臣御存じだと思うので申し上げませんが、例えば著作権流動化ビジネス等の実現へ向けて財界の方も動いているということでありまして、私はこれは政府策定を最近いたしました知財推進計画の目的に合致するというふうに思っておりますが、ただ、いろんな問題点も、今日議論する時間が余りないんですが、指摘されております。  そこで、大臣に最初に聞きたいのは、このような知的財産ビジネスの日本での成功に大臣としてどの程度自信を持っておられるか、見解をお聞きしたいと思います。
  148. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本はとにかく、先ほどの質疑ではございませんけれども、資源がない。とにかく国民が一生懸命知恵を絞って、そして経済的な付加価値を出してという国でございますから、それをいかに国がバックアップをするかという中で、御指摘のような知的財産というものが非常に重要になってくるわけでございます。したがいまして、知的財産立国を目指す、あるいはまた今私が作業をしております新産業創造立国というような観点からも、いわゆるコンテンツというものが非常に重要であるというふうに考えております。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕  アニメ等々を中心日本はある意味では非常にもう圧倒的な強さを持っていると私は自負をしておりますが、他国も必死になってキャッチアップしようというふうな話も最近ちらちらと危惧するような声も聞いておりますので、何としても我が国のこの強い、また更に強くしていかなければいけない部門につきましては、今お話あったようなことも含めまして、いろんな手法をもちまして誘導していきたいというふうに考えております。
  149. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 次にお伺いしたいのは、経済産業省、それから中川大臣、全力でこの知財ビジネスの振興、推進をしていかれるんだと思いますが、問題はアニメとかゲームなどのコンテンツの収益性ですね、特に将来的な。それに対しての投資家のコンフィデンスがなかなか日本で確立するのが、新しい分野ですからこれから難しいハードルがあるだろうというふうに私も思います。  大事なのは、やはり投資環境の一層の整備というものが大事だというふうに思うんですが、例えばコンテンツビジネスへの投資で発生した損失や、あるいは資金調達を目的とする権利の譲渡、これを税務上どう扱うか、これはまだ整理がし切られていないというふうに私は思っております。それから、コンテンツビジネスで活躍し出している方々からは優遇税制の創設も検討する必要があるんではないかという声がございますが、経産省の見解はいかがでしょうか。
  150. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、委員指摘のように、こういうもの、これは大手であろうが、特に委員は多分ベンチャーを念頭に置いて御質問されていると思いますが、ベンチャーの本当に意欲を持った人、才能がある人がどうやってすばらしいコンテンツを作っていくか、そしてまた、それが世界の子供たちあるいは大人たちも含めてアミューズメントとして利用していただけるかというこの一つの大きな流れのためには、今御指摘があったように、税の問題、それから先ほどお話あったように知的財産権の権利の保護の問題等々、まだまだ未整備の分野があると思います。  そういう意味で、これは日本だけではなく、場合によっては知的財産に関して極めてルーズといいましょうか、知的財産権なんというものはないんだというふうに思っているんじゃないかと私が思うぐらいの国もあるわけでございますから、その辺につきましてもきちっとしたものを法整備をし、また税制上あるいはまた金融上の投資マーケットも含めまして整備をする必要がまだまだあるというふうに思って、鋭意努力をしているところでございます。
  151. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 もう最後に、私のコメントというか、要望を申し上げて終わりになってしまうと思いますけれども、やはり今まで日本経済というのは、不動産とか株とか、そういった物的担保に基づいて経済やってきたと。マネー経済がなかなか、最近は当然マネー経済日本でも発達してきているわけですけれども、いわゆるアイデアとか構想とか、そういう知的な、実体のないものに対して収益性、投機性を認めて、それを経済に生かしていくということはなかったと思うんですね。  ただ、私、今年の三月十四日付けの東京新聞で興味深い記事を見ました。それは、昨年、日本政策投資銀行が福岡のIT関連企業に一千万円の融資をしたという記事なんですが、その融資の担保がこの会社がやっているインターネットのホームページなんですね。私もこのホームページ見たんですけれども、これは髪ナビといいまして、髪の毛の若干少ない方にとって非常に有益な情報が満載されている。私も、これ、ついこの間見たんですけれども、かつらは空港の金属チェックに反応するのかとか、プールで泳いでも大丈夫かという、やはりこの世界の人たちにとって非常に切実な悩みにすぐ答えるような欄もあって、非常にすばらしいホームページなんですね。  ただ、私が感動したのは、その中身というよりも、このホームページを担保に一千万円、しかも日本政策投資銀行という政府系のしっかりとした金融機関融資をしたという事実なんですね。  ですから、やはりこういうことがありますと、私、若い人たちがベンチャー企業とか起こしていく中で、手持ちの資金がない、あるいは土地もない、株も持っていない、家もない、何もないという中で、だけど、すばらしいホームページを作って、会員を十万人ぐらい獲得をすれば、これを原資に、担保に一千万円単位のお金をもらって仕事ができるということは非常に夢のある話だなと思っておりますので、是非、中川大臣のまたリーダーシップで、年金問題いろいろありますけれども、負けないで、こういった若い人たちのベンチャー企業育成等にも力を入れていただきたいということを要望申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  152. 大沢辰美

    大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  私は、日本の国土の八割を占める森林を守ることと、そして国内産木材の普及について質問をしたいと思います。  今、日本の森林を守る仕事は、新植面積の八割、また間伐面積の六割を、森林所有者などを組合員とする森林組合の皆さんが手でちゃんと行われています。  私は、先日、地元兵庫県の森林組合の皆さんからいろんな直接の御苦労の状況をお聞きしてまいりました。山全体を本当に見渡しながら森林を守ることは、経験、そしてまた知識も非常に大変な仕事だなということを実感したんですけれども、単に自分の山を守るということにとどまらず、日本の環境や国土を守る本当に大事な仕事をしているんだという、そういう自覚を持って奮闘されていることを直観いたしました。  まず、森林組合の役割について農水大臣認識をまずお聞きしたいと思いますが。
  153. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今御指摘のように、本当に森林組合の皆さん方が大変御努力をいただいております。私も、地方に参りまして、森林組合の皆さん方にお目に掛かり、いろいろお話を承ってもおるわけであります。  今、森林組合は、平成十四年度末現在で全国に九百九十の組合がありまして、我が国の森林の整備活動に大変御努力をいただいております。その中で、新植面積の八割、さらには除間伐面積の六割を実施するなど、正に中心的な役割を担っていただいて、重要な組織であります。  森林・林業をめぐる厳しい情勢、そういう中で森林組合の経営も大変厳しい状況にあります。今後とも、森林組合が森林の整備、保全に中心的な役割を果たすために、森林所有者の協同の組織として、その負託にこたえて、そして従来にも増して事業運営の効率化、低コスト化に努めていただき、健全な自立的経営が実現していくことが重要と、このように考えております。  本当に、現地に参りましてお目に掛かると、厳しい状況の中で御努力をいただいておりますこと、ただただ頭の下がる思いであります。
  154. 大沢辰美

    大沢辰美君 重要な役割を果たしている森林組合であると認識をされていることは事実なんですけれども、私は、その中で、国が様々な支援をされていることも統計で見させていただきました。    〔資料配付〕
  155. 大沢辰美

    大沢辰美君 しかし、今配付をさせていただいておりますけれども、国の林業関係一般会計予算が二〇〇〇年には六千二百六十二億円だったものがだんだん減らされて、今年度の予算は四千三百八十七億円ですね、実に五年間で三〇%も減らされてしまっていると。私たちは、スーパー林道などの無駄なものはやめるべきだと思いますが、幾ら法整備を進めても、やはり予算がこのように落ち込んだのでは、やっぱり林業を守ることはできないのではないかと非常に心配をしています。  例えば、先ほども森林組合の皆さんのお話を聞いたと申し上げましたけれども、兵庫県に一宮町という、町全体の九割が山林なんですね。そこの森林組合は、二〇〇三年度に天然林の育成だとか整備する事業、間伐のための事業、作業道の整備に関する事業などを約二億円を組んで、予算事業を行おうとして、八千二百万円ほど県と国に要請をしたそうです。しかし、結果的には千三百万円しか補助が得られなかったということで、森林組合の役員さんは非常に御苦労をされて、業者、そして労働者に支払うやりくり、それで御苦労されたという訴えをお聞きしたんですけれども、現場は一生懸命やっているんだけれども大変だという実態がここにあります。  自立的にやはり森林組合が経営できるように私はならなければいけないと思いますが、計画どおりに事業が進むことができないという森林組合をこういう状態に追い込んではいけないと思うんですが、そういう森林組合の支援策を拡充する必要があると思いますが、その点についていかがでしょうか。
  156. 前田直登

    政府参考人(前田直登君) 先生御案内のように、森林組合を取り巻きます経営環境、木材価格の低迷、さらには森林の林齢構成、こういった関係もございまして、主要事業でございます森林整備の受注量、これが減少するなど厳しいものというふうに認識いたしております。しかしながら、先ほど大臣の方からもお話ございましたように、やはり森林組合、地域の中核的な担い手ということで、健全な自立的な経営、これを実現していかなければならないと。  このような中で、森林組合系統におきましては、森林組合改革プラン、これに基づきまして、合併等によります経営基盤の強化と業務執行体制の充実強化、こういった組織改革ですとか、事業の効率化、低コスト化、森林所有者に積極的な働き掛けを行うことを通じました安定的な事業量の確保、こういったものに取り組んでいるところでございます。  林野庁といたしましても、このような森林組合の改革、この推進に対しまして、都道府県と連携しながら指導、助成を行うとともに、森林整備事業ですとかあるいは林業・木材産業構造改革事業、こういった各種の事業実施を通じましてその安定的な経営に寄与しているところでございますけれども、今後更に森林・林業関係者等から森林組合の育成に関します幅広い御意見、これをお聞きしながら、森林施業集約の担い手としての森林組合の経営基盤の強化、これが図られるよう支援してまいりたいというように考えている次第でございます。
  157. 大沢辰美

    大沢辰美君 ただいま紹介したこの町は、もう山林の地籍調査なども完了しているというんですか、担当された、非常に先進的な森林組合なんですね。ですから、私は本当に国が守らなければならない分野を担当していると言っても言い過ぎではないと思うんですが、やはり森林組合が成り立たなくなってしまったらこれまた大変だと思うんですね。そういうことにならないように、私は、そういう人たちを支え、支援し、自立して経営ができるような方向付けをやはり示していただきたいという、そのことを強く申し上げたいと思います。  それを維持していくために、私、後継者の問題が非常に大事だということで一点お聞きしたいと思うんですけれども、二〇〇一年度から緊急雇用対策として全国で一万八千人、そして森林整備などの仕事に就いて引き続き仕事をしたい人を対象に二〇〇三年から緑の雇用担い手育成対策事業を農水省が立ち上げていますね。約二千四百人が雇用されているようです。現場でも、労働者の若返りが急務であるということで、大変歓迎されています。  この制度はまだ産声を上げたばかりですけれども、新たな森の守り手として育成する制度としては定着をさせていただきたいと思うんですね。森を守るためには経験や技術が要るんだと、本当に単純に一年ぐらいでは養成ができないということを現場の方はおっしゃっていました。ですから、一定程度の期間が、私は長期的な制度として維持をしていただきたいと思います。  ですから、今、森林組合からはこの制度を延長できるように支援策を取っていただきたいという声が寄せられていますが、この制度が本当に実を結ぶためにも、制度を定着させるために更なる発展をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  158. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今お話しの平成十四年の補正予算から緊急雇用事業、こういうことで緑の雇用担い手育成事業実施したわけであります。  私も、この緑の雇用皆さんと、現場に研修している、チェーンソーをやっておられるところに参りましていろいろお話を承り、その後、いろいろお話を承った中でも、やはり定着をしていただく、そういう面では就業の環境を整備するということが大変重要なことでありまして、中には町で住宅を提供すると。そして、地域に定着をしていただき、やはり山深いところになりますと、そういう若い人が定着をして仕事をしていただくことによって地域が大変明るくなる、あるいはスポーツの指導もしてくれるというようなお話も承ったわけでもあります。  いわゆる各都道府県林業労働力確保支援センターによる就業者に対する高度な技術・技能研修あるいは林業事業体への高性能林業機械の貸付けですとか、あるいは都道府県ごとに造成されます森林整備担い手対策基金によりまして社会保険の掛金への助成や労働安全衛生器具の整備の助成、また地方財政措置によります新規林業就業者等のための貸付住宅の取得、整備に対する助成、こういう支援措置を講じておるところでもございます。  今後とも、引き続き緑の雇用の担い手育成事業の推進と併せ、林業の就業環境の整備の着実な推進によりまして基幹的な林業就業者としての地域への定着に努めてまいりたいと、このように考えております。
  159. 大沢辰美

    大沢辰美君 時間が参りましたので、その点を強く、ただ言葉だけじゃなくて実体の制度として延長していただきたいと。  あと、要請だけしておきたいと思いますが、本当に消費を増やすためにどうしたらいいかということで、先ほども質問がありましたけれども、本当にこの点についても、私は、各県で、また各地域で、自給率という言葉を使いながらも、地域材、国産材を使うための努力をしていると思います。兵庫県もやっていることも紹介したいんですが、時間がありませんので、このことについては重ねて強く、国産材を利用できる宣伝というんですか広告、そういう点を重点を置いて、本当にすばらしい木材が利用できる転換を求めていただきたいということを強く申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  160. 畑野君枝

    畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  まず、コイヘルペス問題について伺います。  全国二十五都府県で広がっているという状況でございますが、神奈川でもこのコイヘルペスウイルス病は、四月以降で鶴見川、引地川、多摩川、境川、菊名池で発生が確認されております。私も鶴見川の現場に伺いまして京浜河川事務所に説明を受けましたし、多摩川の漁協、神奈川県からもお話を伺ってまいりました。  そこで、亀井農水大臣に伺いたいのですが、この蔓延防止対策、そして原因解明、これを是非進めていただきたいと。そして、河川管理者であります自治体ではこの回収や焼却処分など新たな負担が生まれております。各省とも連携を強めて進めていただきたいということを申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  161. 中川坦

    政府参考人中川坦君) まず、コイヘルペスウイルス病に対します具体的な措置について私の方から簡単にお答えを申し上げたいというふうに思います。  昨年の秋からコイヘルペスウイルス病が発生をいたしまして、各都道府県におきまして、持続的養殖生産確保法に基づきます感染ゴイの処分なりといったもの、こういった費用につきましては、昨年、予備費でもって充実をいたしました。こういった措置は、早く措置をすることが大変大事でございますから、そういったことが的確にできるように、私どもとしては措置をしたところでございます。
  162. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) コイ養殖業や天然資源の漁業に大きな影響をもたらすものでありまして、この感染コイの早期発見とそして処分、持ち出し禁止、蔓延防止に万全を期してまいりたい。特に都道府県等とも連携を取り、また感染経路の解明に努力をしてまいりたい、このように思っております。
  163. 畑野君枝

    畑野君枝君 是非不安のないように進めていただきたいと思います。  次に、経済産業省に伺います。  昨年末から鉄鋼など原材料の価格急騰と品薄で中小企業経営に大きな影響が出ております。  神奈川県商工団体連合会から伺いますと、機械部品加工では一五%値上がりで製品に転嫁できないとか、あるいはある鉄鋼では平均二割ぐらい上がっていて問屋が出し渋りをしている、あるいは倍に上がっている、建築鉄骨では労務費にも食い込むという状況を伺っております。  中小企業家同友会などからもいろいろなお話を伺っているところですが、特に原材料の値上げ分の価格転嫁ができないということがありまして、この価格転嫁が適正にされているかという点の調査と、そして値引き強要等を防止する体制、措置を取っていただきたい、あるいは中小事業者に原材料が適正価格で供給されるように、製造メーカー、卸問屋を含めた関係事業所に要請していただくと同時に、市場価格の動向を掌握して価格の操作が起きないように監視を強めていただきたい、そして相談窓口を経済産業省中小企業庁に設置し対応してほしい、こういうようないろんな要望が出されているところです。  中川経済産業大臣、是非この対策を強めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  164. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、畑野委員指摘のとおり、昨年から、日本は物を輸入して製品を作るという体制の中で、輸入物資、特に原材料がじりじりじりじり上がってきておることは我々もよく承知をしているところでございます。  したがいまして、今年の三月から省内に原材料等連絡会議というものを設置をいたしまして、いろいろモニタリング等々をしながら注意深く見守っていたところでございますけれども、今、御指摘のように、川上が上がると必然的にそれがうまく転嫁をしていって、しかし、これは最終消費者のところまでぽんと行くと、なかなかこういう状況なので末端でうまく価格転嫁ができるか、つまり値上げができるかという問題が一つあるようでございますけれども、かといって、御指摘のように、弱い部分、つまり中小企業とか弱い部分にしわ寄せが行くということがあってもいけないということでございまして、先日、私の大臣名で、下請中小企業振興法という法律に基づきまして基準を作りまして、いわゆる弱い者いじめ、下請に対して十分配慮をするようにということを通達を出したところでございますけれども、今後ともよく情報を取りながら、また本省、それから地方経済産業局等々、あるいはまた商工会議所等々に連絡をいただいたら、迅速に情報を把握できるような体制を強化していきたいというふうに思っております。
  165. 畑野君枝

    畑野君枝君 大臣がおっしゃられたように、本当に弱い中小企業、業者の皆さんたちがなかなかそういうことで言えないという状況ありますので、是非そういう国の指導、支援を強めていただきたい、そして相談にも機敏に乗っていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  日本経済を支える物づくりの主役である中小業者の経営を守るために、公正な取引関係の確立に向けて進めていただきたいと思います。  さて、それと併せて、この四月から消費税の総額表示方式実施に伴っていろいろな問題が起きております。小売業者と納入業者の取引に関する調査を公正取引委員会が行っておりますけれども、今回の総額表示方式実施に伴う納入業者に対する小売業者からの実質的な納入価格の引下げを求めてくるという場合があったというふうに伺っております。  この点でも消費税分の転嫁をすることができないという深刻な実態があると思いますが、その点いかがでしょうか。
  166. 山木康孝

    政府参考人(山木康孝君) いわゆる消費税の総額表示の義務付けに伴いまして、大手スーパー等の優越的な地位の濫用行為があるかどうかという点について、私ども、本年二月以降、小売業者、それから納入業者に対しましてアンケート調査等を行ってきたわけでございます。  その中で、問題のある行為も一部ございましたので、小売業者に対して改善の指導を図ったところでございます。それから、問題のないようにということで一般的な考え方も公表をいたしまして、違反行為の防止に努めているところでございます。  今後とも業界において問題の行為がないようにウオッチしていきたいと、かように考えているところでございます。
  167. 畑野君枝

    畑野君枝君 調査結果を読ませていただきますと、納入価格の引下げを求めてきた小売業者があったというのが二百十七社、一七・五%あったと納入業者から訴えがあったと。これについてはどのように徹底されたのですか。
  168. 山木康孝

    政府参考人(山木康孝君) 私どもの把握した事例といたしまして、問題がありそうなところが四十八社ございましたので、その会社に対しまして問題点の指摘、それから指導を行ったところでございます。  それから、違反の審査事件といたしまして、四社につきまして注意ということで、これもまた指導と申しますか、指摘をしたわけでございます。
  169. 畑野君枝

    畑野君枝君 ほとぼりが冷めて、またこういうことが繰り返されないように徹底してやっていただきたいと思うんですが、こういう、消費税率が上がる、あるいは消費税の表示の仕方が変わるということで、こういうトラブルが起きるということがあるのは、また起こるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  170. 山木康孝

    政府参考人(山木康孝君) 問題の行為が起こる契機の一つとは思いますけれども、日ごろからよく小売業者のバイイングパワーということで、購買力の濫用と言われることが多いわけでございますので、この問題にも限らず、優越的な地位の濫用の問題については十分ウオッチしていきたいと考えておるところでございます。
  171. 畑野君枝

    畑野君枝君 中小業者が泣き寝入りをしないように、是非、調査だけに終わらずに、納入業者が匿名でも声を出せるような対応を強めていただきたいというふうに思います。大手のハウスメーカーの下請の方には、注文書の中に広告宣伝協力費、三%値引き、こういう実態もあるわけですね。いろんな分野で中小業者の皆さんが苦労されていると。  私、経済産業省に、改めて中川大臣にも伺いたいんですが、消費税の総額表示方式、この点では、例えば商店街、値段を付け替えるだけでも本当に大変な実態、苦労があるんですね。余計な仕事をしなくてはならないと。これは商店街だけでなく、納入業者の皆さんもそうです。それから、消費税の免税点が一千万円に引き下げられたということで、もう本当に不況の中で苦労されているわけです。  で、そういう中で中小企業あるいは商店街支援予算、これはもう本当に実態に合って、抜本的な対策は行っていく必要があると。消費税問題については私たちの立場と大臣の立場は違うというふうに思いますが、しかし、中小企業商店街支援、この予算、余りにもですね、少なくて、これを抜本的に増やしていくということが私、今、大切になっていると思うんですが、その点いかがでしょうか。
  172. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほども中小企業予算については具体的な数字含めて質疑がございました。大変厳しい財政事情ではございますけれども、福祉あるいはまた科学技術と並んで、ささやかではございますけれども、中小企業関係予算は、十六年度予算におきまして、微増ではございますけれどもマイナスの中で増えていると。これはやはり政府といたしましても、日本経済を支えるのは中小企業であり、また商店街であるということでやっておるわけでございまして、商店街の主役は、中小企業の主役はもちろんそこに住んで仕事をされている皆さん方でございますから、その方々の熱意、あるいはまた厳しい状況を一つ一つを伺いながら、どうやったらお役に立てるかということで、人的支援も含めまして、様々なハード、ソフトの支援をさせていただいていき、これからも全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。
  173. 畑野君枝

    畑野君枝君 我が党も、大型店の身勝手を許さず、地域商店街、中小商店の値打ちが生きる町づくり、ルールの確立をという提案をさせていただいておりますが、消費税増税はやめるということを申し上げると同時に、是非この予算を抜本的に増やすということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。
  174. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  私は、今日は主に地球温暖化防止の目標達成とそれに果たす国有林野事業、林野特別会計の役割について伺いたいと思います。  まず、今、森林総面積が二千五百十万ヘクタールということですけれども、民有林と国有林の割合、また国費が両者に対してそれぞれどのぐらい投じられているのか。加えて、森林の面積自体は最近下げ止まっているようですけれども、国費は随分減ってきているわけですが、これらの実情について、まずお伺いをしたいと思います。
  175. 前田直登

    政府参考人(前田直登君) 先生御案内のように、我が国の森林、約二千五百万ヘクタールございます。大ざっぱに言いまして、そのうちの三分の二、これが民有林、三分の一が国有林というような状況になっているところでございます。  予算の方でございますけれども、公共予算ベースで見ますと、約七六%が民有林の方に、国有林の方には約二四%。ただ、非公共も含めまして予算総額で見ますと、大体七割が民有林、国有林が三割と、三一%ぐらいだったと記憶しておりますが、というような状況になっているところでございます。
  176. 又市征治

    ○又市征治君 そのうち、国有林野についてですけれども、一九九八年、平成十年に国有林野事業改革特別措置法が制定をされて、国土保全、緑、水源を保全する公益的な事業へと転換が図られているわけですね。公益目的へ転換して以後、森林整備の面でどんな事業をされてきたのか、簡潔に説明をしてください。
  177. 前田直登

    政府参考人(前田直登君) 御案内のように、平成十年、抜本改革をいたしまして、国有林の管理経営の方針を、それまでの木材生産軸足から公益機能の発揮ということで大きく転換いたしております。  具体的には、国有林のうちの約八割、これが水土保全ですとか、あるいは森と人との共生というようなことでいわゆる公益林に位置付けまして、残りの二割、これが資源の循環利用というような形で管理経営いたしております。もちろん、それに従いまして、複層林ですとか広葉樹との混交林というようなことをやっておりますが、加えまして近年では、ふれあいの森というようなことでボランティアの森を作ったり、あるいは遊々の森というようなことで森林環境教育に資するというような森作り、そういったことにもいろいろ力を入れておりますし、広くその公益的機能を発揮していくというような観点から各種の事業にも取り組んできているというような状況にございます。
  178. 又市征治

    ○又市征治君 いろんな事業に取り組んでおいでになるわけですが、ところがこの特別会計は非常に奇妙な特色が、特徴があります。それは、民間金融機関からの借入金があるわけですね。平成十四年度、今論議をしているこの二〇〇二年度でいうと一千四百八十一億円、林野勘定の歳入の四九・九%、ちょうどもう半分、これが民間金融機関からの借入金、こうなっているわけですね。  そこで、財務省にお伺いします。山下政務官にお伺いをいたしますが、あまたある特別会計の中で、利子の付く金を民間から、しかも収入の五〇%も借りている特別会計というのはほかにあるのかどうか、まずこれが一つ。  それから、利子補給しているのは分かりますけれども、なぜ無利子の資金を国家財政内部で手当てをしないのか。公益目的に転換した林野事業なわけですが、何か特別の事情があって民間から借りているのか、この点、二点についてお伺いをします。
  179. 山下英利

    大臣政務官(山下英利君) 又市先生の御質問でございますけれども、国有林野事業の特別会計、御指摘のとおり、この国有林野事業勘定の平成十四年度の決算におきましては、民間借入金は一千四百八十一億円ございます。これは、歳入合計二千九百五十八億円の五〇・〇七%となっております。  御質問の最初の点ですが、このほかに民間からの借入金を行っている特別会計、これにつきましては、現在、以下の二つがございます。  最初が、交付税及び譲与税配付金特別会計交付税及び譲与税配付金勘定、ここにおきまして、通常収支の財源不足を補てんをするための借入金がございます。このうち民間からの借入金は、平成十四年度決算におきましては十七兆円ございまして、歳入合計六十四兆四千八百八十七億円の二六・三六%となっております。  もう一つは、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計石油及びエネルギー需給構造高度化勘定におきまして、これは平成十五年からでございますけれども、石油及び石油ガスの備蓄基地の建設費用に充てるための借入金がございます。このうち民間からの借入金は、平成十六年度の予算におきましては三千七百八十一億円となっておりまして、これは歳入合計一兆九千三百二十五億円の一九・五六%となっております。  御質問の、これほど高い比率の借入金はほかにあるのかと。手元資料ではこれが一番高いという状況でございますけれども、この林野事業におきます民間借入れを行っている理由につきまして御説明申し上げますと、国有林野事業におきましては、平成十年度の抜本改革で国有林野事業勘定の負担とされた約一兆円の債務をこれは平成六十年度までに返済することとされております。  したがいまして、このため、平成十五年度までの間は要員調整等新規借入金を必要とする状況でございますけれども、平成十六年度以降は新規借入金からは脱却することとされております。したがって、抜本的改革以降の借入金は基本的には債務返済までのつなぎ資金ということでございまして、財政投融資資金には、資金借入れにはなじまない、そういった観点から償還期間の短い民間借入金で活用させていただいていると、そういう状況でございます。
  180. 又市征治

    ○又市征治君 今おっしゃったとおり、利子補給と言うけれども、国家財政トータルから外部へその分だけ不必要な利子を銀行に今払っているわけですね。元々償還相手は財投ですよね。こういうおかしげな話というのはちょっとないと思うんです。  翻って、三十二特別会計、三十四の勘定の中には潤沢な原資を自動的に取り込んでいる会計、勘定が多いというのはこの決算委員会で随分と議論がされてまいりました。いわゆる離れですき焼きの状態と、こういう中身。  今も政務官おっしゃいましたけれども、財務省の判断で他の余裕のある特別会計からの無利子融資に是非切り替えていただく、このことを強く私は求めておきたいと思います。正に公益事業にしたわけですから、そういう点をしっかりと、この林野会計というのは非常に厳しい厳しいと言いながら利子をまだ民間に払っているなんてばかな話というのはないと思うんです。是非そのことは強く求めておきたいと思います。  さて、そこで大臣にお伺いをしますが、その林野事業の公益目的といえば、大きくは地球温暖化防止ということになりますですね。京都議定書で日本の森林による二酸化炭素の吸収目標は三・五%、一千三百万炭素トンということで確認をされました。これの達成について亀井農水大臣は、今年の予算委員会で、三月の予算委員会で我が党の福島委員に、現状で推移した場合は大幅に下回っていくんではないかというふうに答弁をされています。  改めて、その見通しの根拠、そしてまた今後の対策について大臣のお答えをいただきたいと思います。
  181. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今御指摘のとおり、森林による二酸化炭素吸収目標三・九%を達成するためにいろいろのことを進めておるわけであります。  そして、十四年の十二月には地球温暖化防止森林吸収源十か年対策策定をいたしまして、健全な森林の整備あるいは保安林等の適切な管理・保全、あるいは木材及び木質バイオマス利用の推進と、これらステップ・バイ・ステップでいろいろ進めていくと、こういうところでございまして、そして平成十四年から十四年の間、この森林整備水準で推移した場合、森林吸収量は三・一%ということでございまして、目標を下回っておるわけであります。  このために、平成十七年から始まる第二ステップ、ステップ・バイ・ステップの第二ステップに入るわけでありまして、今これまでの取組状況、こういうものをいろいろ評価を行っているところでございまして、これを踏まえて適切な森林の整備と保全が図られるように追加的な対策も検討しておるわけであります。  これとあわせて、この対策実施するためには、何といっても、一般財源はもとより、新たな税源の確保ということを今私ども農水省としてもいろいろ勉強しているところでございまして、これらが実現ができるということになりましたら、この温暖化対策税が導入された場合にはその税収が森林整備に充てられるように積極的に対応してまいりたいと、このように考えております。
  182. 又市征治

    ○又市征治君 現状だと目標の今お話あったように三・一%ぐらいにしかならない、大変な努力が要ると、財源も要るということですね。  昨年八月、中央環境対策審議会の委員会では、必要な追加投資額は一兆一千七百四十億円、こんなふうに言われていますが、六か年で割りますと、単年度一千九百五十七億円ぐらいになります。京都議定書の議長国として、また今の国家財政としても、このくらいは出せるんだろうと、こう思います。  例えば、問題の多い道路特別会計、平成十六年度の予算でいいますと、四兆一千七百七十億円に比べたら、その五%にも満たない、四・七%ぐらいなんですね。道路特会は毎年剰余金を出しているわけですが、例えば平成十三年度の剰余金は八千四百五十億円なわけで、その四分の一弱回せば温暖化防止の森林事業ができるわけで、これは一つの例ですけれども。そういう、大臣としても、しっかりとやっぱり財務当局とも話し合い、そういうような努力をいただき、そういう財源対策というものを図っていただきたい、こんなふうに思います。  もう一方の問題は、私は労働力ではないかと、こう思います。林業就業者の現状、また将来試算はどうなっているのか、それと林野事業の職員数はどんな形で減ってきているのか、この点についてお伺いをします。
  183. 前田直登

    政府参考人(前田直登君) 林業就業者数でございますが、昭和五十年の十八万人から平成十二年には六万七千人に減少をいたしております。そういった中で、現状におきましては、林業生産活動の停滞等もございまして深刻な就業者不足には至っていないというように考えているわけでございますけれども、しかしながら、現在の減少傾向がこのまま続きますと、平成二十二年には四万七千人程度までに減少するというように見込まれるところでございます。  今お話ございましたように、地球温暖化防止、このための三・九%、これを確保するためには、やはり相応の労働力を確保する必要がございまして、今後の機械化や路網整備進展等もございまして、一概にはなかなか申し上げられないんですが、生産性の向上等も考えますれば、おおむね現状程度の就業者数、この水準を維持することが必要ではないかというように考えている次第でございます。
  184. 又市征治

    ○又市征治君 六万七千人、これは官民合わせてですけれども、林野庁の職員だけでも一九六五年までは十万人台いた、こういうことですね。しかし、森林の公益性、環境やあるいは国土の維持発展というのは、この果たす役割というのを余り考えないで、木材が売れない、もうからないからといってどんどん減らしてしまった。二〇〇一年にはその十分の一の一万人にまで落としてしまった。二〇〇三年度末では約七千五百人。小泉構造改革の一環だからという受け身の姿勢ではなくて、国際的公約である森林の二酸化炭素の吸収目標、三・九%の目標達成、このことにしっかりとやっぱり今踏まえて当たるべきなんだろうと思いますね。大臣が、現状のままでは達成できないと、こうおっしゃっているわけですが、そういう面では労働力の面も大きいことは確かだと思います。  さて、国有林野は猛烈な行革で定員を減らして、定員外職員に切り替えて働いてもらっているという現状があります。定員内と定員外、特に定員外の内訳はどういう人がどのぐらいいるのか、またこういう体制で森林が守れるということになるのかどうか。委託でといっても、委託の労働者は雇用の保障がないわけですから短期にやっぱり下りていってしまう、山を下りていってしまう、こういう現状が起こっているわけですね。こういう点についてどのようにお考えになっているのか、お伺いします。
  185. 前田直登

    政府参考人(前田直登君) 今お話ございましたように、国有林の職員、八千人弱というようなことになっているわけでございます。このうち、定員内が、十六年度の職員のうち、定員内の定員ベースで見ますと約五千四百人、このほか、お話ございました現場作業に従事いたします定員外の職員、この方が約二千三百人というようになっております。  この内訳といたしましては、基幹作業職員が正確には二千百五十九人、常用作業員が十二人、定期作業員が百三十一人というようになっているわけでございますが、実は、この平成十年に成立いたしました国有林の抜本改革、こういった中で、今後の国有林の仕事につきましては、いわゆる切ったり植えたりという現場作業、これを全面的に民間委託に持っていくということで、国の職員としては、森林計画ですとか管理、こういったものに純化していくというような形を志向いたしております。  そういった中で、この業務に見合ったというような形で組織につきましても再編いたしまして、相当大幅な組織縮減を行っておりますし、また職員につきましてもそれに見合った形で要員の適正化を進めているというような状況でございます。  こういった体制の下で、今後の国有林の適切な管理、こういったものに努めてまいりたいというように考えている次第でございます。
  186. 又市征治

    ○又市征治君 次に、大臣にお伺いしますが、時間がなくなってまいりましたのでお伺いしますが、民間委託の推進などという、こういうふうに言われていますが、もうそういう段階は過ぎたんでないのか、極限まで切り詰められていて、機械化や路網だけではもう無理だ、こういうふうに現場では言っているわけですね。今は逆に仕事が足りない状態だという説もありますが、それは山の現状維持だけを考えている話なんだろうと思うんです。  林業に本当に希望を取り戻されるためにも、取りあえず国有林野事業が先導性を持って、職員数もやっぱり復活をするということをやるべきだろうと思いますね。しかも、できるだけやっぱり定着性のある、保障のある正規職員が必要だというふうに私は思いますよ。さっきもちょっと出ましたけれども、本当に短期間の格好では、訓練をしたりなんかするだけでも大変だ、とてもじゃないけれども間に合わない、こういう話、出ているわけですね。  そういう点で、森林をやっぱり復興して三・九%を達成するためには、今の計画ベースで、官民合わせて年間十万一千人、現状との差で六万人、年平均一万人の林業労働者の育成が必要だと言われていますけれども、今やっている緑の雇用対策も二千四百人では私は足りないと思いますね。  そういう点で、改めて大臣の、国土を守る、そして環境を保全していく、こういう立場での林業労働力の積極的な育成、確保についての決意についてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  187. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 地球温暖化の森林吸収源の三・九%を達成する、このためには、生産性の向上等も併せまして、林業就業者数におきましてはおおむね現状程度の水準を維持すると、こういうことが必要、このように認識をいたしております。  そこで、毎年、四、五千人の程度の退職者や離職者があると、一方では新規就業者二千二、三百人と、あるいはまた緑の雇用と、こういう面で二千四百人程度のことを考えれば、ちょうど一つのバランスが取れた、いわゆる退職者等とのバランスが取れるんではなかろうかと、こう思います。  そういう面で、この森林整備を着実に進めると、こういう面で都道府県の林業労働力確保支援センターの取組支援すると、そして地方財政措置等とも連携しつつ、緑の雇用、この育成対策事業を積極的に進めることによりまして新規就業者の確保、育成に努めてまいりまして、そしてその目的を何とか達成してまいりたいと、このように考えております。
  188. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  189. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  本日の質問の最後でございます。よろしくお願いをいたしたいと思います。  本日は、農水省と経産省の審議でございますが、私は農水委員会に所属しておりまして、日ごろからそちらの方の質疑は幾度となく繰り返しておりますので、今回は経産省に限った質問をさせていただきたい。しかし、中川大臣のお顔を見ますと、農業問題を取り上げた方が波長が合うのかなというような気もいたしますが、そういうこともかなうわけがございませんので、経産省関係の質問に限らせていただきたい。  実は、私は余り専門でないんで、間違いがあったらといいますか、いろいろ御訂正をしていただきながら教えていただきたいと思うんですけれども、実はエネルギーの需要、エネルギー需要の、供給というよりも需要の長期見通しとか長期計画ということについてちょっとお話を伺いたいと思うんですが、実はこれ決算委員会でもう、もう四年半前になりますか、取り上げたことがございます。今そのときの議事録をひっくり返してみますと、余談になりますけれども、十一年秋にこれは実は平成八年と平成九年の決算やっているんですね。もう今から考えますと、思いも寄らないくらいな隔世の感がございますけれども、皆さんの御努力でこの決算審議がこのようになったということは、この古い資料を見て何か感に堪えない感じがいたします。  その中で、私はかねがね、何といいますか、エネルギー、特に発電計画なんかにタッチしますと、何というか、供給計画といいますか、そちらのサイドのアプローチというのは非常に多い感じがいたしまして、需要計画なんか、需要の見通しなんかも、今までの状況がこうだったからってグラフを見せられて、それに棒をあてがって、この先もこうなるんじゃないかというような、そういう非常に単純なところから供給量を算出するような、そんなふうを見受けていて、本当にこれでいいのかと。  昔のように、どんどんどんどんエネルギーを増やして経済発展させるという状況ならいいんですけれども、少なくとも私が質問した時期あるいはそれより前から、地球温暖化の問題もございますし、エネルギー資源の何といいますか枯渇の問題もあるでしょうし、本当に自由経済の中で求められればそれに従っていいのかというところに非常に疑問を持っていたんです。  したがって、需要計画といいますか、そういう、いわゆる単に放任するばかりじゃなくて、こうあるべきだという、需要についてこうあるべきだという考え方を取らなきゃいけないんじゃないかなということを思って質問をいたしましたら、五年半前にはやっておられるんですね、実は。  私は質問して分かったんですけれども、総合エネルギー調査会の需給部会が、これ昨年といいますから十年ですね、長期エネルギー需給見通しというのを作ってこういうことを検討されたと。それで、いわゆる基準ケース、何も施策を講じないようなケースだと一九九六年対二〇一〇年比率で一六%増、しかし対策を講じると一・八%の増って、もう信じられないぐらい節約が続くような計画がありまして、これは、これならまあいいかなというような気持ちでおったんですが、今回はそのフォローアップという意味で御質問したいと思うんですけれども。  何か、こういうやつは総合エネルギー調査会の仕事だと思うんですけれども、何か今日あったんですか、何かそんな、先週レクを聞きましたら、今日やるんだというようなことをお伺いして、新しい方向が何か出てくるようなふうにお話があったんですが、この辺、エネルギーのその需要の長期計画というか、その辺について今どういうふうにお考えになっているのか、それをまずお答え願います。
  190. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) エネルギー政策につきまして、供給と需要の両面から施策に取り組むということは先生誠に御指摘のとおりでございます。  経済産業省としましては、エネルギー安定供給の要請に加え、地球温暖化問題への対応の必要性がある一方、民生部門でのエネルギー需要の伸びが著しいことなどから、省エネルギー対策などの需要面の施策の重要性が高まっていると考えております。  また、昨年閣議決定されたエネルギー基本計画においても「これまでの大量エネルギー消費型の経済社会構造の転換を図り、資源節約型の経済社会構造の形成に向けた取組を進める必要がある。」とされているように、需要面の施策の重要性が示されているところでございます。現在、二〇三〇年に向けたエネルギー需給見通しと施策について総合資源エネルギー調査会で審議いただいているところでありますが、その結論も踏まえて、IT技術を活用した省エネ支援システムや省エネ支援サービスの導入、促進など、家庭や業務部門を中心とした省エネルギー対策を更に強化してまいりたいと、このように考えております。
  191. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  先ほどちょっと申し上げました、五年、四年、五年ほど前には数字でちょっとお示しいただいたというか資料にあったんですけれども、要するに、先ほどちょっと言いました、基準ケースでは一六%だけれども対策を講じておいて一・八%と、二〇一〇年に向けて。こういう設定というのは今回はないんですか。
  192. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) 先ほど先生からお話がありましたとおり、ただいま現在、総合資源エネルギー調査会で、二〇三〇年に向けた、需要がどういうふうになるのか、それに対応して供給はどういうふうに考えたらいいのか、そういうものを今検討していただいているところであります。  それで、その際に、前回の見通しの手法として、基準的なケース、それから政策を取るケース、そういうふうな考え方を取っていたということでありますけれども、基本的に今回においても、分け方はいろいろあるわけでありますけれども、基本的な考え方としては、自然体のケース、それから政策を更に加速するケースなどに分けて検討をしておるところでございます。
  193. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 何かもうひとつ前回、何か御説明がちょっと引き下がったような感じがしてならないんですが。何か数字ないんですか、そういう、何年に対してどのぐらいの増なりどのぐらいの減なりというか、そういうような数字というのは設定されていない。
  194. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) ただいま、今日現在で算定する一つの試算の結果として、過去三十年間に年平均でおよそ二%ずつエネルギー需要が伸びてきたということでございますけれども、今後の三十年を見通しますと、二〇三〇年までのところを見通しますと、人口それから経済社会構造、そういう変化がございますので、それで見ていきますと、年平均で見ますと〇・一%程度まで構造的に伸びは鈍化するのかなと、そういう見通しがございます。  それから、総合資源エネルギー調査会では、省エネ技術の実用化、普及が相当進んだケース、そういうものも試算しておりますけれども、その場合には、エネルギー需要は、今後の三十年間において年平均でむしろマイナス〇・三%と、そういうようなことまで低減する可能性はあると、これはあくまでも可能性でございますので、今後そういう政策がどこまで普及するかというふうにかかわってくるということだと思います。
  195. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そうおっかなびっくり答弁していただかなくても、マイナスならマイナスで今の風潮に合っているわけですよね。そういうふうなことをやられるんだったら、経産省としても胸を張って言われたらいいんじゃないかと思うんですけれども、産業界があるからどういう反応が出てくるか知りませんけれども、何か私の印象では、前回とは、ちょっとトーンダウンしているなというような印象がちょっと否めないんですよね。  今、年率二%というのが十五年ぐらいたつと一六%か何かになるということですかね。そうかもしれません。だからそれほど変わっていないのかもしれないんですけれども、ただマイナス三%に持っていきたいというような……
  196. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) マイナス〇・三%。
  197. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 マイナス〇・三%ね、にですか、持っていきたいというようなお気持ちもあると。これは今のまだエネルギーは幾らでも使いたいという気持ちがある時代に相当なことだろうと思うんですよ、こういうように持っていけるとすれば。そのためにいわゆる政策的にはどんなことを考えておられるんですか。
  198. 藤田昌宏

    政府参考人(藤田昌宏君) 省エネルギー対策でございますけれども、現在、産業部門、民生部門、運輸部門と、それぞれ部門ごとに対策を講じております。  例えば、産業部門におきましては、省エネルギー法に基づきましてエネルギー一定量以上の利用者に対して省エネルギー計画の報告を義務付けるなどの対策をしておりますし、あるいは民生のうち、例えばオフィスのような業務部門につきましては、省エネルギー法に基づきますエネルギー管理、あるいは情報技術を活用した照明や空調の自動制御による省エネルギー等を推進しております。民生部門の家庭部門におきましては、省エネルギー法に基づきましてトップランナー基準による電気製品等の省エネルギー効率の向上を図っております。また、運輸部門につきましても、トップランナー基準によりまして自動車の燃費の向上を図っているところでございます。
  199. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 先日もレクでちょっと聞いたんですけれども、そのトップランナー制度といいますか、トップランナー、もう少し簡単に、これ一般の人に分かりやすいようにちょっと御説明願えませんか。
  200. 藤田昌宏

    政府参考人(藤田昌宏君) トップランナー基準と申しますのは、自動車あるいは電気製品等の機器、エネルギーを使う機器の省エネルギーの効率につきまして、エネルギーの効率につきまして、目標の年度を定めて、それぞれ機器においてその時点で商品化されている製品の中で最もエネルギー効率のいいものをトップランナーというふうに称しまして、ほかの機器メーカーに対してもそのトップランナーに追い付くように義務を課する、一定の期間の中で追い付くように義務を課するというものでございます。
  201. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そうしますと、更に企業努力をして更にもっといい省エネの機器があれば今度それがまたトップランナーになると、そんなふうに考えて向上していると、そういうことですね。分かりました。  それで、そういうことをやっておられるのは分かりますが、先ほどの数字で、この一九九六年から二〇一〇年まで対策を講じて一・八%の増と見込んだ、これの実績といいますか、それはどんなふうになっておりますか。大体これ目標に合ったような方向で動いておりますか。動きましたか。
  202. 石毛博行

    政府参考人(石毛博行君) 今、先生の方からお話のあった数字については、ちょっと基準年次が違って、私が今手元で持っているものと基準年次がちょっと違っておりますので、完全に数字が一致しているかどうかは分かりません。分かりませんが、この二〇〇〇年度、二〇〇一年度の最終エネルギー消費につきましては、二〇〇〇年度は前の数字に比べて増加をしておりますけれども、二〇〇一年度は産業部門の減少によってむしろ減少したというような実績になっております。  恐らく、おおむね前回見通した数字に近いとは思いますが、その年度によって多少の振れはあるんだろうというふうに思っております。
  203. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 御努力を続けていただきたいと思いますが。  そういう実績といいますか、御努力というのは、お金と関連するかというか、比例するものではないと思いますけれども、ある意味では、そういうものに対する対策費ですね、そういうものをどう見るかによってある程度の判断といいますか、そういうこともできるかなと思うんですが。  何か僕は別の資料で見たら減額しているようなちょっと表があったんですが、これ後で、実はそれはそうじゃないんだという御説明がありまして取り下げたんですけれども、実際、省エネのための予算といいますか、こういうのはどんなふうな経緯で、まだ増額してやるというような分野も随分含めておられるんでしょうか。
  204. 藤田昌宏

    政府参考人(藤田昌宏君) 省エネルギー対策といたしましては、例えば発光ダイオード照明等の技術開発でございますとか、あるいはエネルギーの利用効率の高い給湯器や、そうした機器の導入の支援、あるいは車のアイドリングストップの体験実験等のイベント等々を実施しております。特に十六年度におきましては、エネルギーの効率的な使い方につきまして、第一に、民間企業の優れた省エネルギーサービスを活用をして経済産業省自身の庁舎のエネルギー利用の改善を進める、率先して進めることとしておりますし、また、コンビナート等において複数の事業者が連携して省エネルギーに取り組むことを支援する調査事業なども新たに計上をさせていただいております。  予算の額でございますけれども、平成十四年度が省エネルギー関連の予算が千三百十二億円、十五年度には千三百四十六億円、十六年度は千四百三億円となっておりまして、年々その拡充を図っているところでございます。
  205. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 最後に、ちょっと、通告はしていませんでしたけれども、大臣のお考えといいますか、ごく、ふだんお考えになっていることで結構なんですけれども、経産省は、これは産業ですから、自由経済の中でそれぞれ、それぞれの自由な活動をしていくというのが原則かもしれませんが、今のエネルギー問題にしても、それだけに任せておくとどっちの方向に行くか分からぬ、非常にほかの問題が起こってくると。先ほどから出ております環境問題とかなんとか、いろいろあるわけですよね。その点で、こういう産業政策というのは非常に難しいと思うんです。  ましてや、特に農業問題、私、農水委員会におりますから、WTOの関係なんかも、その産業としてのそういう食料、食品産業あるいは輸入等、それから国内の需給の問題とか、勝手に自由に放任してはいけない、おけないような問題があって大変難しいと思うんです。この需給、需要問題だって、本当はこんなことやらなくてもいいかもしらぬということもあると思いますけれども、そういう難しいところを、私は、やはりそういうことも、計画経済ではないですけれども、自由経済の中でもあるものは考えていかなきゃいかぬという、当然かもしれませんけれども、そういうことがあると思うんですが、その辺に対しては、今いわゆる産業政策を担当されている大臣としての御見解をちょっとお聞かせ願えたらと思います。
  206. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も岩本委員とお話をするときは、どうも食料・農業政策エネルギー政策が非常に私は常に何か似ているといいましょうか、基本的な面でやっぱり同じだろうと考えております。エネルギーもそれから食料も一日たりとも欠かしてはいけませんし、また、特にエネルギーの依存、外国に対する依存度は高いわけでございますけれども、食料も先進国の中では一番自給率が低いとか、非常なアナロジーが一杯あるんだろうと思っております。  そういう中で、先ほどから、もちろんその供給サイドのそのエネルギー見通しではなくて、やはりこういう需要があるだろうということを前提にした、二〇三〇年を見通した計画というものを今作っているわけでございますけれども、先ほどもお話ありましたけれども、いわゆる省エネとか地球温暖化対策とか環境対策とか、例えばクーラーを一度温度を上げたらどのぐらいになるとか、スイッチを小まめに消したりするとどのぐらいになるとか、そういうようなことというのは今後ますます重要になってくるんだろうというふうに思っております。  もちろん、今すぐその石油や天然ガスが枯渇するとは思いませんけれども、例えば中国とかインドとか、ああいうところ状況考えてみますと、決して、日本が世界じゅうから資金によってエネルギーをかき集められるかどうかということも非常にこれからは厳しき状況になっていくと思いますので、そういう意味で、安定的かつ長期的なエネルギー政策、そして先ほど言ったような環境とかそういうものにも配慮し、そして、エネルギーの場合には、いろんなエネルギーをポートフォリオ的にきちっと確保しながら、長期的などのぐらいの国民経済の中でエネルギーが必要になっていくんだろうかと、ここは私は計画経済ではないと思うんです。  ただ、それを前提、予測した後であるならば、中長期的にどのぐらいのその供給確保をしていくか、そこは正に国家の私は責務があるんだろうというふうに思っておりますので、もちろんその需要があっての、それを何とか国民経済の中で確保していきたい、世界じゅうから確保していきたい、あるいはまた新技術によって究極のエネルギーと言われている例えば水素エネルギーみたいなものもございますけれども、新エネも含めましてエネルギーを確保していくということだろうと思います。  いずれにしても、自給率の向上じゃございませんけれども、そういう観点からエネルギーの、国民経済の進む方向でどのぐらいエネルギーが必要なんだという前提をまず与件として、我々としてはそれに対して国民の意欲をそぐことのないような供給の確保ということを重要な政策として位置付けているということでございます。
  207. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。終わります。
  208. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようですから、農林水産省経済産業省農林漁業金融公庫中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団信用保険部門決算についての審査はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時六分散会