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2004-04-12 第159回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月十二日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月五日     辞任         補欠選任      山本 香苗君     山下 栄一君  四月六日     辞任         補欠選任  ツルネン マルテイ君     柳田  稔君  四月九日     辞任         補欠選任      柳田  稔君     池口 修次君      小林美恵子君     八田ひろ子君      畑野 君枝君     宮本 岳志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 岩井 國臣君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 八田ひろ子君     委 員                 大野つや子君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 月原 茂皓君                 常田 享詳君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 藤井 基之君                 山内 俊夫君                 池口 修次君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 齋藤  勁君                 羽田雄一郎君                 広野ただし君                 和田ひろ子君                 木庭健太郎君                 遠山 清彦君                 宮本 岳志君                 又市 征治君                 岩本 荘太君    国務大臣        国土交通大臣   石原 伸晃君        環境大臣     小池百合子君    副大臣        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        財務大臣政務官  山下 英利君         ─────        会計検査院長   森下 伸昭君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局審査局        長        楢崎 憲安君        警察庁交通局長  人見 信男君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        財務省主計局次        長        佐々木豊成君        国土交通省総合        政策局長     澤井 英一君        国土交通省国土        計画局長     薦田 隆成君        国土交通省土地        ・水資源局長   伊藤 鎭樹君        国土交通省土地        ・水資源局水資        源部長      甲村 謙友君        国土交通省都市        ・地域整備局長  竹歳  誠君        国土交通省河川        局長       清治 真人君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君        国土交通省住宅        局長       松野  仁君        国土交通省鉄道        局長       丸山  博君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君        国土交通省航空        局長       石川 裕己君        国土交通省政策        統括官      矢部  哲君        海上保安庁長官  深谷 憲一君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    南川 秀樹君        環境省総合環境        政策局長     松本 省藏君        環境省地球環境        局長       小島 敏郎君        環境省自然環境        局長       小野寺 浩君    説明員        会計検査院事務        総局次長     重松 博之君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君        会計検査院事務        総局第三局長   船渡 享向君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四  年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十四年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)  (国土交通省環境省及び住宅金融公庫の部)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、山本香苗君、ツルネンマルテイ君、小林美恵子君及び畑野君枝君が委員辞任され、補欠として山下栄一君、池口修次君、八田ひろ子君及び宮本岳志君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事八田ひろ子君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は、国土交通省環境省及び住宅金融公庫決算について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 柏村武昭

    柏村武昭君 どうも皆さん、こんにちは。自由民主党の柏村武昭でございます。  最初は、ちょっとお金に関する話からそれるかもしれませんが、大変重要なことなんで、あえて一番最初質問いたします。  先月二十四日、尖閣諸島魚釣島不法上陸いたしました中国人七人が逮捕されまして、その後起訴されることもなく、即刻本国へ強制送還させられました。この中には、反日活動で以前捕まったことのある、言ってみれば執行猶予中の者もいたそうであります。  この事件の背景としては、中国政府台湾総統選挙への威嚇説我が国に対する揺さぶり説などがささやかれておりますが、いずれにせよ我が国固有領土不届き者がやすやすと上陸した事実は重大でありまして、これは責任者は厳重に処分されるべきであると考えます。昔だったら切腹物でありますが、これはだれも責めを負っていない、何とも不思議なことであります。元々、尖閣諸島我が国防衛施設なり保安施設がないのも大変おかしなことであります。  そこで、海上保安庁に伺います。  たくさんの質問を一遍にやりますので、一遍にお答え願いたいと思うんですが、どうして中国人上陸を実力行使してでも阻止しなかったのか。そもそも警備体制は万全であったのか。また、相手を何隻で捕捉しようとしたのですか。それに、どうして彼らが乗ってきた母船を拿捕しなかったのでしょうか。それから、現場での対応も一体だれが指示を出していたんでしょうか。沖縄県警とはどのように連携をしていたのでしょうか。また、今後再び同じような事態が起きないとも限りません。こういった事態が生じた場合はどうする覚悟なんでしょうか。海上保安庁長官、すべてに御答弁をきちんとお答え願います。よろしく。
  7. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) それでは、お答えを申し上げます。  いろんな項目につきましてお尋ねいただきましたので、一つ一つ説明を申し上げたいと思いますが、まず最初お尋ねいただきました、今般の先月二十四日、魚釣島不法上陸をした、これにつきまして、その上陸を実力で阻止しなかったのかという点につきましてでございますけれども尖閣領有権を主張する活動家が乗船した中国船、これを発見いたしまして、その発見後、直ちに現場におりました巡視船対応に動いたわけでございますが、人身事故を起こさない、これを基本といたしまして、必要な警告あるいは進路規制、こういった規制措置を取ったんでございますけれども、残念ながら、その中国の船は小型搭載ボートを二隻、これを降ろしまして、その小回りを利して七人が上陸したと、こういう事態に至ったものでございますけれども、関連いたしましてその警備体制、これがどうであったかと、万全であったかということについてもお尋ねいただいたと思うんですが、これまで尖閣諸島警備につきましては、特段状況あるいは特段情報、これがない場合におきましても絶えず巡視船を二十四時間三百六十五日、常時一隻を配備いたしておりました。さらに、事前活動家に関する渡航情報等はありました場合には、全国から必要な巡視船艇を集結させるなどいたしましてこれまで対応してきたところでございます。  ちなみに、例えば今年の一月十五日にも中国の船二隻が尖閣周辺に参りました。この際も私どもといたしましては事前情報を接しておりましたので、必要な巡視船艇を集結いたしましてこれを規制し退去させております。昨年の十月にも中国の船が一隻参りましたが、同様に巡視船艇、必要な隻数を集結しましてこれを退去させております。  しかしながら、今般の事案、二十四日の不法上陸につきましては、残念ながら事前の具体的な情報がございませんものでしたから御案内のとおりのような結果になりましたけれども、私どもといたしましては、この事案を踏まえまして、現時点におきましては巡視船現地に常時二隻を体制としておりまして、また一方で、最寄りは石垣港でございますけれども巡視船艇を緊急発動できるような体制というものも併せて取らせていただいておるところでございます。  また、先生から何隻でというお尋ねがございましたけれども、先ほど申し上げましたように、今回の事案につきましては、二十四日に現地に来るという事前情報がなくて、実は二十八日に本土をそうした船が出る可能性があるという情報には接しておったんですけれども、それより早く、後から彼らの申すところによれば、二十三日の午前一時に本土を出航したそうでございますけれども、いずれにしましても、そういう状況でございましたものですから、先ほど申し上げましたように、その時点におきましては、二十四日の早朝時点におきましては一隻で現地では対応せざるを得ない状況であったと、こういうことでございました。  また、やってきました船、これについての拿捕の点につきましてもお尋ねをいただきました。これにつきましては、更なる不法上陸、これを防止する観点現場におきましては力点を置いたことや、事案対応時の気象、海象などの現場状況どもろもろ総合的に判断いたしまして拿捕には至らなかったということでございます。  また、じゃ現場指揮の点をお尋ねいただきましたけれども事案発生後直ちに、まずあの地域、あの海域を所管、管轄いたしております沖縄那覇にございます第十一管区海上保安本部対策本部を設置をいたしまして、第十一管区本部長指揮をして事案対応に当たったということでございました。  また、現地におきましての沖縄県警との連携、これについても御指摘をいただきましたけれども、もちろん本件対応に当たりましては、沖縄県警察と今申し上げました当庁の第十一管区海上保安本部と密接な連携を図った上で対応しております。  じゃ、具体的にはどういうことかと例えば申し上げますと、事案発生後の情報共有、あるいは巡視船あるいは当庁の航空機によります魚釣島への警察官の緊急輸送、あるいは逮捕された中国人活動家那覇港への搬送、魚釣島における現場検証等への協力などがございますけれども、こうした中国人活動家による不法上陸事案につきましては、従来より、警察のみならず、関係機関とも情報交換を始めといたしまして連携協力を図ってきておるところでございます。  今後、こうしたことにどう対応していくのかという最後お尋ねあったかと思いますが、私どもといたしましては、同じような場合の対応につきまして、今回の事案状況をよく検証いたしまして、事前情報収集、当庁だけでは中国本土内の事前情報収集、限界もございますけれども関係機関ともよく連携をしながら、事前情報収集、それから警備手法などにつきまして、警戒警備在り方全般につきましてよく再点検をいたしまして、改善すべき点があれば速やかに改善を図って今後も厳正に対応をしてまいりたいと、かように考えております。
  8. 柏村武昭

    柏村武昭君 非常に何を聞いたのか分からないような答弁でございまして、今後同じような事態が生じた場合は絶対にもう上陸をさせないとか、そういった覚悟を私は聞きたかったわけでありますが、まあ何か善処したいとか、そういうふうなことでは私は決して国民共感を得られないと思います。  と同時に、領海を侵犯したと同時に船に乗り込んでいって、その七人を確保することもできたわけでありますが、そういったことを、ゴムボートでやすやすと上陸させたということは非常に我々にとっては不満であります。この辺のところをもう一回じっくりと考えてみてもらいたい。  それから、今、海上保安庁長官答弁の中に中国人活動家という言い方がありましたが、これはやめてもらいたい。犯罪者でありますから、中国人不法侵入者若しくは犯罪者で結構です。これは是非とも国民を代表して私はお願いしたいと思います。  続いて、警察当局に伺います。  今回の事件処理には中国への政治的配慮見え見えだという見方もあります。どうして正規手続を踏まなかったのでしょうか。これではますます中国が付け上がるんじゃないかと私は心配しておりますが。国民共感が第一でありますが、全く今、共感が得られておりません。国家主権の侵害を云々する以前に、尖閣諸島我が国固有領土であることを声高らかに宣明すべきときではないでしょうか。それなのに、我が国大臣はわざわざ中国まで出掛けていって、温家宝という首相からあれは中国領土だと言われてのこのこ帰ってきました。ふがいない、頼りない、情けない、本当に残念でございます。  そこで、警察当局質問ですが、今回の事件に対する一連の警察対応についてどう自己評価していらっしゃいますか。なぜあのような処理になったんでしょうか。だれの判断でしょうか。また、国民からの厳しい反応にはどうこたえますか。それから、中国人には限らないんですが、再びこうした反日的分子が同じような領土侵犯事件を引き起こした場合どう対処する覚悟なのか、海上保安庁との連携在り方についても触れて、短くお答えください。どうぞ。
  9. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) お答えいたします。  三月二十四日の尖閣諸島魚釣島への中国人七人が上陸するという事案についてでございます。  沖縄県警察では、先ほど海上保安庁からも御答弁ありましたとおり、海上保安庁協力をいただきまして所要の人員を現地に派遣をいたしまして、上陸していた中国人男性七人を、全員を出入国管理及び難民認定法違反の容疑で逮捕し、二十五日午前中までに沖縄下那覇警察署ほか三署に留置したわけでございます。  その処理でございますが、不法滞在外国人につきましては、警察といたしましては、昨今の外国人犯罪の増加といった情勢の中で、これを速やかに国外退去させるということが望ましいものと考えております。そこで、本件につきましても、その捜査状況を踏まえまして、法務当局とも相談、協議をいたしまして、一般論として、本件のような場合にも入管法六十五条による引渡しを妨げるものではないという回答を得まして、沖縄県警察の判断として、現地の検察及び入管当局協議をいたしまして引渡し手続を取ったものであります。  本件被疑者中国人被疑者七人を不法入国現行犯として我が国が逮捕し速やかに強制退去措置を取ったということは、沖縄県警措置は適切なものであったというふうに考えております。  それから、今後同種事案についての対応方針いかんということでございますが、これは個別の事案ごとにその具体的な状況等がそれぞれ異なるものというふうに思います。そういった具体的な状況を総合的に検討し判断をして対応するという必要があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、今後とも、海上保安庁等関係省庁と緊密に連携をいたしまして、あくまでも法令の規定にのっとりまして厳正に対処してまいる所存であります。
  10. 柏村武昭

    柏村武昭君 既に竹島もあるいはまた北方四島も、すべて我が国領土でありながらどこかの国が居座っているという。このいわゆる尖閣列島最後のとりでみたいなところですが、それにつけてもこういう弱腰では、私は全くこれから心配でたまりません。もっと極論を言えば、中国正規軍がこの尖閣諸島上陸する可能性すらあるわけであります。そういったことを、もしあった場合にどういうふうな対応をするかしっかりとマニュアルを決めておかないと、またみっともないことになるんではないかと指摘しておきたいと思います。  海上保安庁長官、それから警察庁警備局長、御答弁ありがとうございました。御退席の方、どうぞよろしく。  それでは、平成十四年度国土交通省環境省所管事項に関する決算について質問いたします。私はできるだけ分かりやすく質問をすることにしておりますので、両大臣政府参考人の方々には簡潔で極めて短めの御答弁をお願いしたいと思います。  まず、港湾の大規模地震対策について伺います。  会計検査院は昨年の秋、大震災発生時に緊急物資被災者海上輸送を可能にするための港湾岸壁耐震強化事業計画のたった四割しか行われていないと指摘しました。これは毎日新聞の平成十五年十一月三日朝刊ですが、この事業阪神大震災の教訓を生かす形で始まったものですが、平成十四年度末の進捗率はようやく五〇%ということなんですね。東海地方首都圏整備が進んでいる一方、瀬戸内海九州地方整備遅れが目立っています。  そこで、どうして瀬戸内海整備遅れが目立っているのか県庁に聞きますと、やはりお金の問題、財政上の問題であることが分かりましたが、国がせっかく良い制度を、まあ良い制度というか仕組みを用意しても、それに一定の地元負担があるためになかなか進まない。それに加えて、防災岸壁には通常の岸壁の一・五倍のコストが掛かることも整備遅れに大きく響いています。そうした厳しい財政上の問題もあっても、この事業はしっかり進めていくべきだと私は考えております。  ここで当局にお伺いしますが、港湾の大規模地震対策をより早く進めていただくために今後どのように取り組んでいくおつもりなのか、お聞かせをお願いします。
  11. 鬼頭平三

    政府参考人鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  お尋ねのありました港湾における大規模地震対策といたしましては、従来より、施設液状化対策耐震強化岸壁整備、あるいは防災拠点避難地などの整備を行っているところでございます。  このうち、お尋ねのありました耐震強化岸壁につきましては、大規模地震などの災害発生直後には避難者緊急物資輸送路を確保する、それと併せまして、その後の復興に必要な物流機能を維持することによって被災地域社会経済活動に対する影響を最小限にとどめるということを主眼に鋭意整備を進めているところでございますが、ただいま委員指摘のとおり、その整備状況といいますか進捗率は、目標といいますか計画の約五割にとどまっているのが現状でございます。ただ一方、東海地震あるいは東南海南海地震などの大規模地震切迫性が言われております。そういったことを踏まえますると、港湾における大規模地震対策を更に進めていく必要があるというふうに私どもも認識しているところでございます。  このため、今後は、既存ストックを有効に活用するという観点も踏まえながら、特に、人口や資産が集中している地域港湾耐震強化岸壁空白地域になっている港湾、あるいは陸上交通が途絶した場合に海上輸送に頼らざるを得ない地域港湾などに重点を置いて整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。  さらに、大規模地震切迫度や各地域への影響対応した計画の見直し、あるいは今申し上げましたような既存施設を活用した耐震性強化など、大規模地震対策を推進するための新たな取組についても検討していきたい、かよう考えているところでございます。
  12. 柏村武昭

    柏村武昭君 私は災害対策特別委員会のメンバーでもございますので、この防災港湾事業については今後もしっかり注目して、かつまた応援もしていきたいと思います。  次は調整費について伺います。  調整費といいましても、なかなかぴんとこないと思いますが、これは国土交通省予算の中で国土総合開発事業調整費として計上されてきたもので、十六度予算からは社会資本整備事業調整費と名称が変わっております。この調整費、実は透明性というか、国会の財政監視という観点からは若干問題があるかなと思うんですが、不思議なことに衆参両院予算委員会国土交通委員会でほとんど議論されておりません。  さて、その国土総合開発事業調整費は昭和三十一年に設けられまして、あらかじめ予算の目を定めない経費として、様々な分野にわたる事業間の調整とか各省庁にまたがる公共事業に関する調査を調整するため、年度の途中でも必要に応じて弾力的な予算措置ができるようにしたものですね。言わば国土交通省に、総額限定ではありますが、白地の小切手帳を与えるようなものですから、仮に必要な制度であったとしても、その使い道、配分結果についてはしっかりと明らかにされるべきものです。そうでないと、先ほど指摘しましたように、財政民主主義観点からも問題が出てくるからであります。  そこで、国土計画局長に伺いますが、平成十四年度当初予算国土総合開発事業調整費の実際の配分状況決算書を見てもよく分かりません。そこで、ごく簡単に御説明をお願いします。また、その配分によってどのような効果を上げることができたのか、その点についても併せてお願いします。
  13. 薦田隆成

    政府参考人薦田隆成君) お答え申し上げます。  国土総合開発事業調整費は、各府省所管する事業間を調整することによりまして、事業を効率的、一体的に実施し、複数事業の相互的な効果を一体的に発揮させることを目的とした経費でございます。  この経費は、予算計上段階では目の区分ができないものにつきまして、執行段階でこれを確定し、事業所管する各府省に移し替えて使用されるということによりまして年度途中における機動的な財政措置を図るものでございます。  平成十四年度につきましては、予算額約二百三十億円に対しまして、道路整備事業に約百六十二億円、治水事業に約三十三億円など、合わせて約二百二十億円を配分したところでございます。これによりまして、例えば河川事業圃場整備事業との間に進度の違いが生じている場合に、そこに調整費を投入し、同時に行うということによりまして、土砂の流用や工事用道路の兼用が可能となりまして、事業効果の早期の発現や経費の節減効果が発揮されたところでございます。  今後とも、調整費を適切に配分することによりまして、事業の効率的な実施に資するよう努めてまいる所存でございます。
  14. 柏村武昭

    柏村武昭君 使い道がはっきりしている限り、この調整費というのは大変意義のある仕組みではないかと思いますが、とにかく当局には、今年度から新しくなった社会資本整備事業調整費と景観形成推進費などをできるだけ効果的に活用していただくと同時に、その使い道、使途についてはしっかりと我々に対して報告していただきたいと思います。  さて、次は都市再生の話題に移りたいと思いますが。  現在、政府の都市再生本部では都市の再開発に向けた取組がなされております。都市再生特別措置法によって都市再生緊急整備地域に指定されますと、民間の力を活用して有利に都市の再生事業が進められるわけですが、ちょっと気になるのは、地域指定を受けた私が住んでいる広島市では、残念ながらこの制度が活用されていないようであります。広島市では、広島駅の北口と南口、それから駅近くにある貨物ヤード跡地、大変広い跡地ですが、この三か所の再整備が懸案となっておりますが、市政の停滞を反映してほとんど動きがないわけです。  貨物ヤード跡地、これはわざわざ買ったのに使い道がなく、借金の利子もどんどん増えていきまして、返すのがやっとであります。広島市民は憤っております。こんなていたらくを、本当に国は何にもアクションを起こさないんでしょうか。広島市が要望したから指定を受けたんですね。国から何らかのアクションをしてもらいたいなと私は思います。  そこで当局に伺いますが、せっかく用意した都市再生の好機が地方自治体の動きの鈍さのために滞ってしまっている、こうした場合には国が何らかの手だてを講じるべきではないでしょうか。国の対応方針を是非ともお聞かせください。
  15. 竹歳誠

    政府参考人竹歳誠君) お答えいたします。  広島市における都市再生緊急整備地域に関するお尋ねでございます。  先生御指摘のとおり、広島駅の周辺につきまして、広島市からの申出を受けまして、昨年七月十八日に都市再生緊急整備地域の指定が行われております。この地域におきます具体的なプロジェクトにつきましては、民間事業者の撤退でございますとか、市におきます大規模プロジェクトの見直しによりいったん中止とされるなどの地区がございまして、大変難しい状況にあります。  市におきましては、関係者とともに具体の事業計画の検討が行われていると聞いておりますが、国土交通省といたしましては、何といっても広島といえば中国地方の中枢都市でございますし、それから市から申出があった件でもございますので、事業が具体化し特例措置の申請等が行われた場合には積極的にこれを支援してまいりますし、またさらに、必要があれば広島市や関係者に対する助言などを行い、事業促進に努めてまいりたいと考えております。
  16. 柏村武昭

    柏村武昭君 とにかくお金がないからじっとしているという姿勢がもう本当に市民にとってはいらいらしっ放しなんでありますが、やっぱり何らかのアクションを国から起こしてもらうと少しは活動していくんじゃないかと期待をしております。  続いて、空港整備の問題について質問いたします。  四月一日に成田空港が民営化されまして話題となりましたが、成田ですとか伊丹、関空といった空港は大規模拠点空港として空港整備予算の中でも潤沢に予算配分されております。いずれも国際空港でありますから当然ではあるんですが、しかしながら、お金を使っている割には海外からの評判が芳しくない。空港着陸料やら乗り入れ枠の問題など、以前からいろいろ問題となっております。多額の税金を投入している以上、国民にとって使い勝手のいい空港にするために関係者はもっともっと努力する必要があるんじゃないかと思います。後ほど質問しますが、観光立国と言うなら、まずその玄関口を立派にしてもらいたい。  ここで、限られた空港整備予算をもう少しうまく使うべきではないかということで提言したいんですが、四大空港の充実の陰で、いわゆる一般空港の整備が後回しになっている。十六年度当初予算で見ますと、空港整備特別会計の空港整備事業費二千七百二十四億円のうち、その約八割の二千百三十六億円が大規模拠点空港に配分されまして、一般空港には残りのわずか四百四十億円しか回ってこない。予算配分にめり張りを付けるのは分かるんですが、あともう少しだけでも一般空港整備予算を付ければ、もっともっと分母も小さいんですから、一挙に一般空港の整備、改善が進むんじゃないか。この点、是非とも大臣には御理解願いたいと思います。  それから、空港アクセスも重要なんですね。私の地元の広島空港は陸の孤島という別名があります。市街地から約五十キロも離れている上に、高速道路が唯一のアクセスであります。このハイウエーで事故が起きたら、過去起きたこともあるんですが、一発で空港には行けません。アウトです。  そこで痛感するのは、空港の滑走路とターミナルだけ整備してもうまく機能しない、市街地から空港までのアクセスも一緒に考えなきゃいけない、そういうことなんですね。その点、大臣のお父様、石原慎太郎運輸大臣の成田エクスプレス導入決定は大英断だったと思います。  そこで、親子二代にわたって空港行政に当たっておられる石原大臣にお伺いしますが、来年度予算編成に当たって一般空港の整備についてどうなさるおつもりなのか、また、空港アクセスの整備、充実について具体的にはどう取り組まれていくのか、併せてお聞かせください。
  17. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 我が国の供用中の空港がもう九十五あって、おおむね整備が完了しているということは言えると思います。一般空港というのは、国内空港のネットワークの形成とか地域の活性化に大変役立っているという面があります。  今のお尋ねは一般空港についてどうするのかという話ですけれども、御要望でありますのは、最初造りました飛行場の滑走路の距離が短くて大型機が着陸できない等々のお話と、今委員が御指摘になりましたような、立派なものを造ったけれども空港に行くのにえらい時間が掛かると、空港アクセスの問題等々がありますけれども、継続事業として中心的にこれからやはり機材の変化というものに堪え得る意味で滑走路の延長等々には引き続いて取り組んでいかなければならない重要課題だと認識しております。  空港アクセスの方なんでございますけれども、今回は決算委員会ですが、新しい十六年度予算の中で、委員の御指摘にこたえるべく空港アクセス航空サービス高度化推進事業ということで新規に百三十億、今の委員の御指摘にこたえられるように予算措置を取らせていただいております。これはアクセスの改善だけではなくて、やはり少子高齢化社会でございますのでバリアフリーとか、あるいは飛行機が飛んでくる就航率の改善等々に役立つものなどに使えるような予算措置を取らせていただいております。  今後は、先ほども申しましたけれども、継続事業を中心に今もう九十五ある空港の質の向上、こういう点に的を絞って、また委員指摘の空港アクセスの改善等々、今あるものをどうやってブラッシュアップしていくのか、そういう形で一般空港の整備に努めてまいりたいと考えております。
  18. 柏村武昭

    柏村武昭君 せっかくいい空港できても、アクセスが全然駄目だと本当に宝の持ち腐れになっちゃうので、この辺どんどんとお願いしたいと思います。  次は、観光振興について質問したいと思います。  昨年の四月に総理の肝いりで観光立国懇談会報告書というものがまとめられまして、今積極的に海外からの観光客を増やしていこうということになりました。しかし、毎年千六百万人もの日本人が海外に出掛け、日本に来る外国人の数は五百万人程度であります。これが問題なんですね。やっぱり根本的にはこの成田空港入口に問題があると思います。これは先ほど指摘しましたが。  広島の場合を例に取りますと、十年前にアジア大会を招致いたしまして、市民は大喜びしたわけでありますが、これがとんでもない結果になりました。借金だけ残して、全く広島市民はがっくりきました。なぜがっくりきたかというと、参加国の物価と日本の物価水準が余りにも懸け離れ過ぎておりまして、例えば選手が市内から新交通、新しくできた新交通を利用して中心街まで行く、その交通費が大体その国の月収の半分ぐらいいっちゃうわけですから、これじゃとてもとてもみんな行きません。まあ、選手がせっかく町中へ出ていっても、地元で行くところといえば百円ショップだと。百円ショップはもう超大にぎわいだったんですね。この百円ショップがなかったら出場選手たちはさぞかしつまらなかったと思いますね。  実際、彼らは二度とこの日本にはやってこないと思います。行くのも大変、移動も大変、しかも旅先では過ごしにくい、旅したくない三点セットがそろってしまっているんです。まず、観光立国にしようと思ったらそこから考えなきゃいけないんじゃないかなと思います。  大臣にお伺いしますが、日本が魅力あふれる国になるために観光立国としてどんなことをお考えでしょうか。どうぞ。
  19. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員の御指摘にございましたこの物価の問題も、やはり観光客を誘致する上で大きな障害になっているということは承知をしております。  そんな中で、そういうものに対して民間の方がどう取り組んでくれるのかということを後押しする意味で、カリスマ百選というような事業もさせていただきまして、東京でもある方を指名させていただいて、その方は、海外の方が一泊素泊まりなんですけれども六千五百円、その旅館の部屋の埋まっている率ですけれども、もう九割ぐらいで運営されている。それはまた、御近所の商店街等々で食事を食べるところは紹介してあげる、そういう努力がいろんなところで起こってきつつありますが、委員の御指摘を踏まえまして、これからも今三つ言われたことの逆になるようなことを努めていかなければならないと考えております。  また、委員が御指摘されましたビジット・ジャパン・キャンペーンについても、広島県などとも連携をさせていただいておりまして、これはもう委員の方が御専門でございますが、韓国のテレビ局がいらっしゃって韓国の有名な歌手の方と瀬戸内海の見どころと食べ物を紹介するテレビ番組を作っていただいたところ、お地元の韓国で大変な大人気になっている。観光カリスマ百選については、四季を通じて楽しめる観光農園を整備した広島県の北部の三次市の平田克明さん、この方も東京の方でも有名でございまして、やはり、小池環境大臣いらっしゃいますけれども、これからの観光ツアーの中にも、このエコ、農村の体験等々入れたものというものも、今、徐々にではありますが、人気が高まりつつございます。  そのようなこと、地道な積み重ねを重ねることによりまして、今委員が御指摘になりましたように、一千七百万ぐらいの方が海外に行っていて、おいでいただくのは五百万強という状態を何とか一千万人に届けるべく、この観光立国の推進というものに取り組んでまいりたいと、こんなふうに考えております。
  20. 柏村武昭

    柏村武昭君 やはりソフト、ハード、両面から、どうすれば、先進国の皆さんは来てくれると思うんですが、開発途上、言ってみればアジアの仲間の皆さんが来てくれるためには何を行えばいいのか、やっぱり官と民と両方で考えなくてはいけないときが来ているんじゃないかなと思います。期待しております。  それでは続きまして、環境省関係の質問ですが、まず、今年の三月に瀬戸内海我が国最初の国立公園に指定されて七十周年を迎えました。瀬戸内海のすばらしさは幕末以降に来日した欧米の識者たちからも絶賛され、正に東洋の地中海と言われておりますが、それは戦後が随分と埋立てや工場の進出でまるで工業運河のように瀬戸内海なってしまいまして、ここで昭和四十八年に瀬戸内海環境保全臨時措置法、いわゆる瀬戸内法が制定されまして、産業排水規制と埋立て規制が実施されました。五年前には基本計画が改定されて、従来の自然保全に加えて自然再生という視点も取り入れられまして、開発の抑制から瀬戸内海の再生、復活へと目標は転換したわけであります。  かつては東洋の楽園と言われたこの瀬戸内海を、この国立公園指定七十周年という節目に改めて見直して私たちの子孫に残していきたい、私は強くそう願っております。  そこで提案なんですが、政府の掲げる観光立国のステップとして、瀬戸内海をユネスコの世界遺産に登録するための活動を開始してみてはいかがでしょうか。これは環境大臣の御見解、お願いしたいと思います。
  21. 加藤修一

    ○副大臣(加藤修一君) 瀬戸内海は、点在する多数の島があったり、あるいは漁村や段々畑、そういった景観が調和した特色のある景観を有しております。先ほど御指摘がありましたように、昭和九年に我が国初めて国立公園として指定されておりますし、そういった意味では傑出した風景地であると認識しているところでございます。  一方、世界遺産については、世界遺産条約に基づきまして価値基準を満たすこと、その価値を将来にわたって守るために必要な措置が取られていること、これらが登録の要件になっているわけでございます。瀬戸内海につきましては平成八年に厳島神社が世界文化遺産として既に登録されているところでございますし、またこの世界自然遺産、これにつきましては、昨年、学識経験者によりまして検討会を設置いたしまして、我が国の新たな候補地について検討を行ってまいりました。ただ、この瀬戸内海につきましては、生物の進化の見本となるような原生的な生態系がなかなか認めにくい部分があるという、そういった理由等から、瀬戸内海につきましては候補地として選定されなかったという経緯がございます。  しかし、委員指摘のように、瀬戸内海我が国を代表する国立公園であることについてはもう当然ながら変わりないわけでありますし、今後もやはり自然と人間、その営みが一体となった、いわゆる瀬戸内海の自然環境の保全、これには努力をして一生懸命取り組んでまいりたいと、このように考えておりますので、何とぞ御理解のほどよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  22. 柏村武昭

    柏村武昭君 次は、環境税制についてお伺いします。  私は、先月の総務委員会の三位一体改革法案の質疑の中で自動車税のグリーン化について質問したんですが、その際、総務省が税収の中立ということで、大変中立ということに神経質だったのが印象的だったんですが、総務省当局の心配するように、グリーン化のおかげで低公害車の普及が進んで、その代わりに古くなったディーゼル車がどんどん減ってきまして、結果的には自動車税収、自動車税の収入は減ったようであります。良いことを促し悪いことを抑える仕組みですから、これは当然であります。税収の中立にこだわることは、国民の立場から見て納得できないし共感もできないことだと指摘しておきます。  さて、法定税のグリーン化や森林税、産業廃棄物税などの法定外目的税が増えてきましたが、こうした環境保全のための税制は国の環境政策を進めていくためには大いに生かしていくべきだと思います。  六年後に迫った京都議定書の目標の達成がなかなか厳しい状況だと言われておりますが、今正に環境税が必要になりつつあると考えます。既に、環境省では温暖化対策税というものを準備して平成十七年度からの導入を目指しているとのことですが、一方の経済界には反対論も依然根強いために、その実現が危ぶまれております。実際問題としては、ヨーロッパ諸国ではもう導入されているわけで、結局は政府のやる気といいますか、総理の政治的決断に懸かっているのではないかと思います。  そこで、小池大臣に、温暖化対策税の早期導入に向けた決意と段取りについて伺いたいと思います。よろしくお願いします。
  23. 小池百合子

    ○国務大臣小池百合子君) 後の段取りの方からになるかもしれませんけれども、温暖化対策税、環境省といたしましては、今年二〇〇四年がこれまで政府全体で進めてまいりました温暖化対策全体の評価見直しの年となっているわけでございまして、今正にその作業を進めているわけでございます。そしてまた、その際、その見直しの結果として導入が必要だということに備えまして、様々なシミュレーション、検討を進めているところでございます。  昨年の八月ですけれども、中央環境審議会の専門委員会において国民的な議論のたたき台を用意していただいておりまして、具体的な制度の案を御報告していただいたり、またそれを、たたき台を正にベースといたしまして、広く国民各界各層の皆様方と各地におきましてのシンポジウム等を通じて議論を重ねさせていただいているというのが今の段取りといいましょうか、状況でございます。  また、この中央環境審議会でございますけれども、昨年十二月から、正に本格的にこの温暖化対策税制、そしてそれに関連する施策等、総合的な議論をお進めいただいているということでございます。    〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕  決意の部分でございますけれども、税という名が付きますと、これはありとあらゆる税、どうぞやってくださいとなかなかいかないところではございます。特に、広くお願いをするということになりますと、広く御理解を深めていかなければならないということでございまして、私も、一生懸命皆様に御理解いただけるようにこれから活動してまいりたいということを決意いたしているところでございます。
  24. 柏村武昭

    柏村武昭君 二十世紀が競争の世界、戦争の世紀とすれば、二十一世紀は今度はいかに地球を残すかという世紀、私たちがお互いに支え合う世紀になるべきだと考えますので、そういう意味からして大変に大事な問題ではないかと思います。  おしまいは、中国の酸性雨対策と黄砂対策について伺います。  中国の驚異的な経済発展のために、東アジアの環境汚染がどんどんと進んでいるようです。全く迷惑な話であります。そもそも人の助けでようやく自立できるまでに育ったにもかかわらず、いまだに小遣いをせびり続けている、しかもこれまでの恩義に感謝するでもなく、その反対に悪口の言い放題、そんな人間がもしいたとしたら私たちの社会では真っ先に嫌われますが、別にこれは中国のことを言っているわけではないんですが。  しかし、対中国のODAやら新北京空港、それから靖国参拝批判とかいろいろ気に障ることが一杯あるんでありますが、これはおいておいて、東アジア地域の十二か国が集まって東アジア酸性雨モニタリングネットワークというものが作られまして各国が協力してこの酸性雨の調査をしているそうですが、そこに対する拠出金は平成十四年度で一億六千五百万円だそうであります。もちろん、またまた日本が最大のスポンサーでありますが、こういうものも公害発生源の中国が全部払えばいいんです。しかし、これをほうっておくとますますこの東アジアを汚染し続けるかもしれないので、これは致し方がないという考え方なんでしょうか。黄砂対策についても、日中韓とモンゴルの四か国で政策対話やモニタリングが行われているようですが、これにも世界銀行を通じて日本からお金が出ているようですね。  こうした国際的な環境問題では、地球温暖化による海水面上昇などのように後になってからではどうしようもないケースが多いわけですから、早め早めの対応策が必要ではないかと思います。  最後大臣に伺いますが、中国からの酸性雨と黄砂対策への投資効果について、また東アジアの環境保全の分野でこれから日本が主導的な役割を担っていく覚悟がおありかどうか、御答弁をお願いします。
  25. 小池百合子

    ○国務大臣小池百合子君) まず、東アジアの地域における環境保全の分野での日本のリーダーシップということでまずお答えさせていただこうと思いますが、正に環境こそボーダーレス、そして一衣帯水の関係にあるわけでございまして、地理的、経済的、文化的にも共通する部分を持つと同時に、この環境面での連帯といいましょうか、連携ということが極めて重要だと考えております。  特に、東アジア地域といいますと、最近の経済活動がもう大きな広がりを見せている、そしてまた、最初の部分でもいろいろと御指摘がございましたように、大変今大きく動いているところでございます。また、今後のエネルギー需要なども考えますと、これは何というんでしょうか、私は常に緩慢なるオイルショックは続いているというふうに考えているわけでございますが、そうなると、環境のみならず、エネルギー分野でも様々な協力をするということが我が国にとってもプラスに返ってくるということも考えられるわけでございまして、そういった意味で、我が国が主導的なイニシアチブをしっかりと払っていく分野だと考えております。  そして、酸性雨とか黄砂とか、これは地球の回転の関係からむしろその発生源からこちらの方にその結果が起こってくるということで、正にこの辺りはともにモニタリングなどもしていくということで、実際に酸性雨に関しましては、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク、これはEANETと申します。それから黄砂の問題でございますが、これは、日本、中国、韓国とモンゴルに国連環境計画、UNEPを加えました共同プロジェクトで対策を進めているところでございます。  それから、お金の話でございますけれども、例えばEANET参加各国でございますが、これまではどちらかというと日本が一元化して負担をしていたところを、これから、参加をしていただくんだから、それならばそれぞれ各国も持ってくださいよということで、この分野で、いわゆる国連の分担金のシェアですね、この考え方を導入しようということで、それぞれ関係各国にも、参加するためにはということでそちらの方でも負担をお願いするということで、お互いの共有の目的達成のためにもそういった面でも分担をお願いをしていくことで深めていこうと、そういう流れになっているところでございます。  いずれにいたしましても、この東アジア地域における日本は、お金の負担だけでなく、その分、技術面、そしてまた様々な分野での声はしっかりと大きいものがこれまでもあるわけでございますので、さらに、日本のイニシアチブに対して各国が、日本が言うんだからそうだねというふうに付いてきてくれるような、そういう状況を醸し出してまいりたいと考えているところでございます。
  26. 柏村武昭

    柏村武昭君 いずれにいたしましても、第二の水俣とか四日市が起こらないためにも、中国を引っ張ってきても同じ席に着かせなきゃいけないという、私たちはそういう義務があるんじゃないかと思います。二〇五〇年になったら、私はこの間、水と食料会議にバンコク、出ましたけれども、二〇五〇年になったらもう水がそろそろ枯渇してくるんじゃないかということもありますし、これからどのようにして、世界レベルで地球を残していかなきゃいけないんじゃないか、そういうことを考える時期に来ております。  政治とは、国民の皆さんから預かった貴重な税金をいかに公平に配分していくかに懸かっております。来年度予算においても筋の通った投資支援がなされるよう、しっかりと私は注目し、支援の方もしていきたいと思います。  以上で質問を終わります。どうも。
  27. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 自由民主党の山内俊夫であります。  この決算委員会というのは、昨年から通常国会の中に設置され、その間にやろうということで大変、党派を超えて皆さん熱心に行われている。私もこの委員会というのは重要視をいたしております。といいますのは、やはり衆議院が予算、私は、参議院が決算という大きな考え方を十分踏まえてやりたいな、このような気持ちでございます。  そのときに私、昨年も同じように住宅政策に関して質問をさせていただいたわけでございます。といいますのは、日本はよくウサギ小屋だとかどうのこうの言われておりますけれども、住宅政策というのはやはり、心の豊かさ、また心をいやす、やはり安らぎを求める場所でありますから、当然住宅政策というものは最重要視していく必要がある、そのように考えております。  特に、昭和四十五年から大体四十六年ぐらいまでの間でございますけれども、これは大体二千六百万世帯という、言われておりました。それで、それが今はどのように変わってきているかといいますと、約四千四百万世帯に変わってきております。戸数は実はもう既に五千万戸を超してきておるわけでございますが、そういったもう量を提供する、量に対しての充足感というのはそれなりに私はもうでき上がってきたのかなと思っておりますが、じゃ、量より質という時代に私はもうそろそろ入らなきゃいけない。  各ヨーロッパの国々を見ていますと、決して日本と大差はないんです、広さは。ただ質は、大変いい質、クオリティーの高い住宅が一杯あるわけでございます。それは、地震がないとか湿気が少ないとかいろいろ気候的な状況があろうかと思いますけれども、そろそろ日本も量から質、そのような方向に向かわなきゃいけないな、そう思っておるわけでございます。  幸い日本の住宅環境、持家制度というのは、大体六〇%ぐらい、これはほとんど昭和の二十年代とそんなに大きくは変わっていないと思うんです。先ほど言いましたように、戸数はかなり増えてきた。けれども、中に住んでいる一世帯当たりの人数が少なくなってきましたから、空間としては大分増えてきたように私は思うわけなんですね。それだけゆとりが少し出てきたのかなという気がいたすわけでございますが、この二十一世紀に向かっての新たな住宅政策の在り方というものはどんなものであるか、またどういうことをイメージしているか、石原大臣の口から是非お聞きをしたいと思います。
  28. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま山内委員が意見の御開陳の中で明らかにされましたように、一世帯当たりの住宅というものは一・一六倍ぐらいですから、もう数的にはほぼ行き渡っていると見てもいいと思いますし、あるいはよく単純平均いたします、まあこれは借家と持家によって率は違いますけれども、平米数で見ましてもそこそこ遜色なくなってまいりましたし、委員指摘のとおり、お子さんの数が減ってきますと、一人当たりに対する面積も充実してきた。  そんなものを支援するために住宅ローン減税とか住宅金融公庫の証券支援化業務でこれまでバックアップをしてきたわけですけれども、やはりこれから大切なことは、日本の住宅というのは二十年、下手したら三十年ぐらいで建て替えて、また新しいものを造っている。  その点、石の文化と紙と木の文化という文化の違いはあるにしても、これからは、委員指摘のとおり百年、悪くても五十年、百年ぐらいもつ質の良い住宅というものをどういうふうに造っていくのかというのが二十一世紀の住宅の一つのポイントだと思いますし、また高齢化社会でありますのでバリアフリーとか、あるいは日本という地政学的な位置、あるいは火山国ということを考えると、地震対策の割合をどうやって対応したものを増やしていくのか。なかなか、様々な援助をさせていただいているんですけれども、耐震工事というものは個人の住宅では進まないという現実もあるわけですけれども、やはり防災性能の高い家というものを質の中の一つのキーワードとして考えていかなければならない。  一言で言いますと、やはり豊かさを実感できる、委員はウサギ小屋という言葉をされましたけれども、豊かさを実感できる時代にマッチしたものというものを求めていかなければならないんだと思っております。
  29. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 正に大臣おっしゃるとおりで、私もやはり量から質へという転換の中で、やはり我が国は平均住宅建て替え率というのは三十年を切っているという状況ですね。ヨーロッパ等々はやはり六十年、七十年という、ほぼ倍に近い建て替えサイクル、正に今、先ほど話が、柏村さんからもお話ありましたように、地球環境の資源の有効利用という意味からも、やはり質のいいものは私は環境にも随分寄与するだろうと、このように思っておるわけです。  ところで、第八期、これはもう、平成十三年から十九年度までの間ですが、五か年計画がございます。その中で、都市型居住型というんですかね、それとか一般型と二つも分かれておりますが、誘導居住水準というのが出てくる、こういう言葉が出てくるんですが、誘導居住水準というのは、当然これは政府がある程度国民に提示をして、こういうモデルケースが一番いいんじゃないですか、これがいわゆるベターでありますよという水準だろうと思うんですね。  これ、聞くところによりますと、面積が中心になっていると聞いております。果たして面積だけで、言わば先ほど言ったように、一世帯当たりどんどん数が少なくなって戸数は増えてきていますから、当然空間は広くなってくるわけでございますから、これはほぼ充足感に近い状態にはなってきているんだろうと思いますが、やはり質を問うとなってきますと、何らかの別の水準、基準というものも必要になってくるんだろうと思いますが、その辺りはどうなんでしょうか。
  30. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) お答えいたします。  まず、誘導居住水準でございますが、この誘導居住水準は、住宅建設計画法に基づきます住宅建設五か年計画というのがございまして、今第八期でございますが、昭和六十一年度からの第五期の五か年計画以降この誘導居住水準というものが設定されておりまして、その文字どおり望ましい水準ということでございます。  それで、居住する世帯の人数に応じた住宅の面積を定めているということでございます。例えば、戸建ての場合は、戸建て住宅では四人世帯で百二十三平方メートル以上、それからマンションで、都市型と言っておりますが、都市型居住の場合は四人世帯で九十一平方メートル以上ということでございます。  現在の達成状況でございますが、この誘導居住水準の達成比率は、世帯の比率といたしまして、国全体としては昭和五十八年に二八%でございましたが、平成十年のデータがございますが、これでは四七%、約半分がこれをクリアするというところまで大幅に改善をされてきております。ただ、三大都市圏では四一%、その中で借家で見ますとまだ三〇%ということで、大都市圏あるいはその借家を中心にその改善が望まれているところでございます。  平成十三年度からの現行の第八期五か年計画におきましては、誘導居住水準の達成世帯比率につきまして目標を定めております。平成二十二年度、つまり二〇一〇年度を目途にすべての都市圏で半数の世帯が達成する。それから、二〇一五年、平成二十七年度になりますが、全国で全体として三分の二の世帯が達成するということを目標として定めまして各種施策を講じているところでございます。  先生御指摘のとおり、これは面積中心の水準でございます。やはり面積以外にいろんな性能が必要な時代になってきておりますので、耐震性あるいは省エネルギー性、バリアフリー、あるいは配管の設備の維持修繕の容易さと、こういったものを、住宅性能として必要な時代になってきております。したがいまして、この第八期五か年計画の中にも、先ほど申し上げました誘導居住水準とは別に住宅性能水準を定めまして良質で寿命の長い住宅ストックの形成に努めていきたいというふうに考えております。
  31. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 ありがとうございました。  今、性能水準という言葉が出てまいりました。私も正にそれが必要であろうと思います。ただ、その性能水準に私は加味していくのは、もう少しセキュリティーの面もかなり加味していただいた方がいいのかなと。最近、ピッキングなんか簡単にその施錠を解除してしまう、犯罪にまたつながる、ひいては犯罪の中身もがらっと大きく変わってきておりますから、いきなり強盗から殺人までやってしまうというような動きがありますから。そういった意味からも、最近の住宅でもよく売れておりますのが、入口のドアが二重、三重のやはり施錠ができる、また複雑な電子ロックが掛かる、そして一枚のドアが大きい、多少重いけれども重量感があってそれこそ五十年、七十年そのドアは使えると。そのような、やはり性能がかなりハイクオリティーな状況のものが売れているということを聞いております。ですから、広さというよりも今後その性能水準をより高めていただきたい、このように思うわけでございます。  さて、昔は、余りいいものをしますと、これは金融公庫のお金の対象にならなかったという時代がありまして、ところが最近、住宅金融公庫、これは公庫法の改正になりまして、平成十三年十二月の閣議決定以来、特殊法人等の合理化計画の趣旨を踏まえたということで、平成十五年六月の国会において、例えば証券化支援事業を公庫に持たすぞと、それとか平成十九年の三月三十一日までには公庫の権利義務を引き継ぐ新たな独立行政法人を設置するということで、ほぼその方向に向かっておるわけでございますけれども、これは国民から見ますとまだまだちょっと不安が一杯あるんですね。  私も昭和五十年代の前半に結婚したものですから、ちょうど団塊の世代の入口なものですから、そのころ大変助かったのはやっぱり公庫の、三百六十万ぐらいしか貸してくれなかったんですけれども、やはり十八年間固定金利で低金利と、これは非常に住宅を持つには助かった制度なんですけれどもね。これが一応将来的には、その債権等々は引き継ぐということにはなっておるわけでございますけれども、これをできるだけ民間金融機関に移行したらどうかと、また移行すべきであるというようなことも言われております。  その中で、国民は少し不安になっているのは、果たして固定、今までのように公庫のような固定的な安い金利が果たしてあるのかどうか。競争原理の中でいきますと、それは安くなる場合もありますし、まあ多分変動制になるんだろうと思いますけれども、高くなってくる可能性もある。そしてその枠はどのぐらい貸してくれるんだろうか。例えば土地までにもある程度適用してくれるのであろうかどうか。大変いろいろな不安が一杯あるようでございますが、この辺り、少し国民に向かって、こういったところは改善しているから安心してくださいというコメントをいただければと思うんですが。
  32. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) 住宅金融につきまして、その公庫の将来像がどうなるかということでございますが、先生御指摘のとおり、住宅を手に入れようとしますとかなり多額の資金が必要になりますので、やはり住宅ローンに頼るという必要がございます。この資金が安定的に供給されるということは大変重要でございます。  近年、民間の金融機関におきましても住宅ローンの貸付けは積極的に行われております。多様な商品も供給されておりますが、これまでのところ見ますと、やはり変動金利あるいは短期の固定金利というものが中心でございまして、長期固定金利、つまり住宅金融公庫がやってまいりましたような長期固定の住宅ローンの供給はまだ限定的ではないかと思います。このため、将来の返済額を確定できるという、この長期固定のメリットがあるわけですが、これを民間のローンとして供給していただくという必要があるということで、先生先ほどお話しになりましたとおり、昨年の六月に公庫法を改正いたしまして、民間機関が長期固定のローンを出す、それを公庫がバックアップする、買い取るというようなことによって、証券化という手法で資金調達をするという法改正をいたしました。  一方、公庫が従来どおり、直接融資をどうしていくのかという議論がございます。現在は整理合理化計画に基づきまして、平成十四年度から融資額、融資戸数、これを段階的に縮小してきております。平成十六年度予算におきましても、昨年の三十七万戸から二十二万戸に減らしてきております。こういった段階的縮小を図りながら、一方で民間の長期固定のローンを証券化支援という形で支援していくということで長期固定のニーズに対応していきたいと考えているわけです。  平成十九年三月三十一日までに公庫が廃止される、その際、公庫の権利及び義務を承継する独立行政法人が設置される、これは改めて法律が必要でございますが、その際に、その独立行政法人が設立される際に、その際の民間ローンの状況、つまり長期固定が十分に供給されているかどうかといったことを勘案して、引き続き公庫がこの直接融資をやるべきかどうか、その時点判断をして法律を提出するということになっているわけでございます。  以上でございます。
  33. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 その件につきましては衆参の委員会の中で独立法人化における附帯決議がなされておりまして、十分その辺り配慮せよということにはなっておるようでございますが、その後具体的な検討がかなり進んでいるのかどうか、その辺りはちょっと分からないんですが、将来的には十分配慮して、直接融資ができるかどうかも検討いただけたらと思うわけでございます。  先ほどの中で少しまだお答えいただけなかった部分があります。これは土地購入資金ですね、これについても融資が可能なのかどうか、これ少しお聞かせいただけたらと思うんですが。
  34. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) 今のお尋ね、公庫法の改正で証券化支援事業によって民間の長期固定のローンが出せるようになったということでございますが、その制度の内容どうなっているかということだと思います。特に土地費が融資できるのかどうかということでございます。  証券化支援対象の民間の住宅ローン、これは、利用される方は公庫のように直接融資の場合と同様に収入などの返済能力を審査させていただくと、これは客観的な公庫の従来の基準と同様の審査をするということで、職業であるとか勤務先で左右されるというものではないということでございます。また、融資額につきましては、公庫が現在は一般的に年収が八百万以上の方、未満の方で五割あるいは八割という仕分をしておりますが、今回のこの民間住宅ローン証券化支援による住宅ローンにつきましては土地取得費も含めまして融資可能でございまして、これを含めまして八割まで融資が可能で、金額としては五千万円まで融資できるという、かなり弾力的な扱いができる制度になっております。償還期間、金利につきましては、ほぼ公庫の通常の直接融資と同様の中身として、最長例えば三十五年までの固定、長期固定の融資が可能な制度になってきております。
  35. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 ありがとうございました。  さあ、そうなってきますと、個々の家の専有面積部分についてはいろんな意味でそれぞれクオリティーも高めることもできます、またセキュリティーも高めることができますが、じゃ、公共空間、個々の、最近では特に再開発型ということで高層住宅にもなってきています。郊外型は比較的分譲住宅。それでも、やはり公共部分に対して今まで日本の場合は余り力が入っていなかったと言われても過言じゃないかと思うんですね。外国の場合、その辺り非常に力を入れておりますから、公共部分に対してやはりバリアフリーという非常に大事な部分、社会的な弱者に対する配慮、これが非常に進んでおります。  そういった意味から、私は、公共空間のバリアフリー化、また公共交通機関もそうでございますけれども、こういったところに対するやはりクオリティーの高さを求めるとなってきましたら、やはり快適空間をどう提供するか。これに対する税制面のやはり助成なんかをどうするか。公的なところだけが負担するんじゃなくて、当然民間も開発したときには公的な空間を提供してくるわけでございますが、その辺りが少しおざなりになってしまうようじゃ困ります。  やはりハイクオリティー社会を目指すということになってきますと、その公共空間に対するバリアフリー化、またバリアフリーにできるようないろんな施策、後押し施策、そういったものはどうなっているか、少しお聞かせいただけたらと思います。
  36. 澤井英一

    政府参考人(澤井英一君) 総じて町の魅力を高める、その中で特にバリアフリーという御趣旨と思いますけれども、特にバリアフリーにつきましては、駅、道路あるいは建物、そういった町中で連続したバリアフリー環境を作るということがある意味では今後の標準装備、町の標準装備というものにもなるべきだと考えております。  例えば中心市街地で再開発ビル等を造る場合にも、これはハートビル法の中でバリアフリーというものが義務付けられておりますけれども、例えばそれよりも高いバリアフリーを更に誘導していくというようなことで、一定の場合には容積率の特例措置というものも認められていたり、あるいは補助制度でそういうものを支援するという仕組みもございます。  それからまた、バリアフリーにつきまして言いますと、建物のバリアフリー化あるいは駅などの公共交通機関のバリアフリー化に合わせまして、周囲の道路とか公園のバリアフリー化ということも鋭意進めております。  道路でいいますと、住宅地についてあるいは一定の中心商店街について、くらしのみちゾーンということで、交通安全あるいはバリアフリーというものが整った施策を面的に進めていこうという取組も始めております。公園で申しましても、例えば国営昭和記念公園では、ハード、ソフト、まあソフトといいますと、ガイドボランティアというようなことも含めてバリアフリーに相当配慮した取組をしておりまして、ここでは昭和記念公園の伸び、利用者の伸びよりも、そういった取組もありまして身障者の方の利用の伸びが更に大きいというような実績もございます。河川につきましても、近くに老人ホーム等がある場合に、緩傾斜、緩い傾斜のスロープを河川の内側、堤防の内側に付けまして水辺へのアクセスを容易にするというようないろんな取組をしております。  そうしたバリアフリーの取組を中心といたしまして、先ほど公共空間というお話ありましたが、個人あるいは企業、民間の造る建物も、外側は景観という観点から見ると公共領域であるという思想が大事だと思いますので、自分だけ良ければいいというんじゃなくて、周りとの調和を考えて、全体を良くするという意味では非常に公共性の高い分野だと思いますけれども、そうした景観、そういったことを含めてトータルで町の魅力を高めていくというためにいろんなことを総合的にしなければいけないと思っております。
  37. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 ありがとうございました。  なぜその辺りを私が結構突っ込んでいくかといいますと、例えば今、東京は一極集中、また都心回帰、こういう流れがあります。地方の流れはどうなのかということを皆さんにも十分理解いただけたらと思うんですが、地方の大体今平均する十万から二十万人ぐらいの都市、十五万人ぐらいの都市であろうと思うんですが、これはもう中心市街地の空洞化といったようなもの、これ物すごく進んでおります。もうほとんど町中は、商店街だったら半分以上閉めている、シャッター下ろしている状況であります。  これをやはり今からもう一度、少子高齢社会で、それぞれ独り暮らしの御老人、夫婦だけの生活している高齢者というのはかなりの今ウエートを占めてきております。ほぼ三〇%強になってきております。そういう人たちが、やはり安全面、防災の安全面もそうでございますが、それとか防犯に対する安全面、あらゆるものを勘案しますと、空洞化した町中に人を帰すという私は方向性がいいんではないか、このような感じがするわけなんですね。  そのとき、町中というのは非常にもうインフラが整備されております。下水道はもう完備しております。上下水道も完備しております。そういった中でうまく空間を、クオリティーを高めるという意味でいい空間提供をしながら町づくりをやっていく、そういうことも今から、二十一世紀型としたら十分視野に入れていって、そういう誘導策も必要ではないか。地方がより活性化できるような、またいい住宅が提供できるようにしていきたいな、このように思っております。是非、局長、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  さて、この関係で、土地、建物の関係する最後質問になるんですけれども、地価というのが最近ほぼ公示価格は下げ止まりを見せてきております。多分、来年度ぐらいの動きの中では横ばいになってくるのかな、資産デフレもほぼ止まり掛かったのかなという気がいたしておりますけれども、これが今、正にチャンスでは私はあると思うんですね。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕  今、私の方の町でも、昔、大体百五十万から二百万しておった、坪当たりですが、その土地が、今はもう三十万切っております。ということは、大変、これ容積率も五〇〇%持っているわけなんですけれどもね、正に今から再開発、また快適な空間づくりを提供するには正にチャンスだと私は見ておりますから、これもう、是非、国土交通省、その辺りをしっかりと認識をしていただけたらと思うんですが、土地建物供給量というのは、これは動向ですね、これは今後どうなるか、土地政策上の対応はどうしているかと、この辺りを、全体像を少しお知らせいただけたらと思います。
  38. 伊藤鎭樹

    政府参考人(伊藤鎭樹君) まず、私の方から新規の宅地の供給量ということで申し上げますと、宅地の供給量は昭和四十七年に年間で、推計値でございますが、二万三千四百ヘクタールを供給したことをピークといたしまして、その後漸減傾向ということで、十三年度には六千九百ヘクタールと、そういう数字になってございます。そして、実は私ども、これ、宅地の長期需給見通し、十年間を見通すということをやっておるわけでございますが、平成十四年度に策定いたしました現行の第五次見通しにおきましても、需要はやっぱり十三年度の六千九百ヘクタールよりは漸減していく、こういう傾向は見て、需要は漸減していくというふうに予測しておるところでございます。  そういう中でございますが、今委員指摘のように、近年の状況を見てみますと、確かに町中ですとか都心居住と、こういうものが一方では非常に見られるということは事実でございますし、一方、これは世論調査、内閣府で行っております世論調査でも、都市公団がやっている調査なんか見ましても、ほとんどこの十年以上にわたって変わっていないのが、やはり一方で便利さ、利便性という意味での都市居住と、そして郊外部における豊かな自然環境やゆとりある空間、そういうものに対するニーズといいますか需要といいますか、そういうものも大変根強いものがあるわけだと思っております。  そういたしますと、私どもの宅地政策という観点でいいますと、こういう多様なニーズ、こういうものにうまく対応していくという観点、これは大変重要な観点だと思っておりまして、そういう意味で私どもが取り組んでおりますのは、既存の宅地ストック、これも相当ございますので、これを最大限有効に活用する、それが一つあると思います。  一方で、やはり職住近接のライフスタイルでございますとか、あるいはやはり単に住居だけではなくて周り全体の魅力といいますか、そういうものとセットになったそういう宅地へのニーズ、そういうものも頭に置きましてやっぱり需給見通しを勘案しながら、量的充足から質の向上への視点と、こういうものを重視した政策展開、そういうものを図っていきたいと思っております。  そういう中での土地政策ということでございますが、委員指摘のとおり、地価の動向につきましてはこの三月、今年三月に十六年の地価公示を行っておりますが、そこで見ますと、全国平均で住宅地ということで見ますと、住宅地についてはピーク時の五七%ぐらいの水準になってございます。そういう中で、東京都区部やそれからその周辺地域におきましては地価の下落傾向というのが相当強まってきていることは事実でございますし、その傾向が、今年の特徴でございますけれども、地方の中心都市の一部にも現れてきていると、そういう状況だと思っております。それを私どもは地価動向に変化の兆しも見られるのかなというふうに認識しているところでございますが。  そういう前提での今後の土地政策ということでございますけれども、こういう変化の兆しが出てきたときこそ一番大事だと、資産デフレを克服するという観点でも一番大事だということで、私どもとしては、一つは、都市再生やまちづくり、そういうものと連携しながら土地の利用価値といいますか有効利用というものを促進していく、そういう利用面からの施策と、あるいは土地税制の見直し、あるいは土地に関する情報整備といったいわゆる土地市場といいますか、土地取引条件の整備、そういうことを並行して取り組んでいくことといたしております。  以上でございます。
  39. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 ありがとうございました。  是非その辺りの時代の変化というものを的確に、半歩でよろしいかと思います、三歩も四歩も先というんじゃなくても、現実に半歩先をうまくリードしていただければと、そう思うわけでございます。  さて、二つ目の大きな課題でございますけれども、観光立国、先ほど柏村委員からも話があったと思います。これは外国からの日本へ来られる観光客を倍増していこうという考え方でございます。私も大いにそれは賛成でありますが、私は少し観点を変えまして、その観光立国であるけれども、実は国内観光をもっともっと充実させないだろうかということの観点からでもちょっと質問をしたいと思います。  まず、ダブるかも分かりませんが、今なぜ観光立国なのか、また今度どのように取り組んでいかれるのか、これはもう大臣の是非御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  40. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 山内委員が国内観光のお話もされるということで国内の話は後においておきまして、まず、外国のお客様をなぜ増やすのかという観点からお話をさせていただければと思います。  WTOという世界観光機関の調査によりますと、二〇〇〇年の世界を旅行される観光客の方は七億人、二〇一〇年には十億人、二十年たった二〇二〇年には十六億人と倍増以上するわけですね、この二〇〇〇年代の、二十一世紀の初頭。すなわち、一九九〇年に冷戦が崩壊して人と物と金の動きが自由になるということがボーダレス社会を作ってきたわけですけれども、その意味では一番物と金が最初に大きく移動して、旅行客という形で人がこれからますます流動していく。  こんなときに、この旅行というものは、外国の地を訪れれば外国の文化、人にも接することによって相互理解も進みますし、あるいは国内的な雇用とか産業への幅広い経済効果がある。そしてまた、特に日本は観光資源と言われるものが至る所にあるわけですね。文化、伝統的なもの、自然のもの、あるいは日本先端のハイテクノロジー、こういうものをうまく使うことによって経済の活性化にも役立てていこうということで昨年の七月に観光立国行動計画というものを政府で初めて決めさせていただいたということがあるわけです。  私も初代のこの観光立国担当大臣になりまして、やっぱり、先ほどの柏村委員との御議論の中で、広島県とタイアップしまして韓国の方々を招いて、韓国のトップ女優さんなんかが、李朝時代に、徳川ですか、に等々、来たときの、そのときの韓国の方が、李朝ですから韓国という国じゃございませんけれども、朝鮮の方々が来た旅と同じものを放映することによって関心も上がり、日本の一地域もクローズアップされる、こういうやはりアジアの方々に目を向けた観光立国ということが非常にまずは重要なんじゃないかと認識しております。一番日本においでいただいているのは韓国、二番目が台湾、アメリカ、中国、香港ですか、そこをまず固めまして、その次はやはり、アメリカもちろんのこと、ドイツ、フランス、イギリスといった観光先進国の方々においでいただく、こういうことをやるために、ビザの発給の免除、四月からは香港を行わせていただきましたし、韓国の修学旅行生のビザの免除は三月から行わせていただいている。  様々な施策、もちろん国土交通省だけではございませんので、法務省とか外務省とか関係省庁と御協力させていただいて、政府一体となって今取り組ませていただいているところでございます。
  41. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 基本的に今、日本へ来てお金を落としていただいているのは大体三十四億ドルと言われておりますし、日本人が外国でお金を落として帰っているのは三百二十八億ドル。かなり、十分の一でございますね。それをできるだけ、フィフティー・フィフティーにできなくても一対二ぐらいの比率に是非持ってきてもらいたいなと、そのような気がいたします。  私は、今回ちょっと国内大交流時代を作ろうじゃないかという掛け声を掛けさせていただいておりますのは、日本は非常に温泉国でございますね。温泉の効能というのは、これはもう専門家に言わせるといろんな効能がありますから私あえてここでは申し上げませんが、最近では足湯を使うことによって、駅でも足湯を使える、それによって非常に鉄道のお客さんが増えたとか、そういう意見もありますし、幸い香川県は、大阪資本でありましたレオマという施設が二年半ぶりに再開をしたわけでございます。この四月の十一日にリニューアルオープンをいたしました。これはもう地元資本が中心になってやったわけでございますけれども、やはりかなりのにぎわいを呈しておるようでございます。  そういったこともございまして、少し明るさが見えてきたのかなと。そのポイントを経営者の社長に私がお聞きをいたしますと、例えばアミューズメントでも、どんな施設でも最近の施設というのはちょっと過激になってきたんですね。例えば、観覧車でも大型の観覧車であり、またジェットコースターも、子供、小さい子供が乗れないような極端な絶叫型の施設。そうじゃなくて、お年寄りと子供が楽しめるソフトな施設というものが見直されなきゃいけないだろうというのが経営者の視点でございまして、多分これは結構当たってくるんじゃないかなと思います。少子高齢社会ですから、お年寄りも小さい子供も楽しめる。父ちゃん、母ちゃんはその辺りでサポート役でおればいいんじゃないかということなんですけれども。  大交流時代を私は迎えなきゃいけない、そのために国内で大いに人が動いてもらわなきゃいけないなと思うわけなんですが、この地域観光、例えば、過疎地であるということは、実は本当は物すごくいいいやしの場所なんですね。そういうことも考えながら、国内観光をどう今後国土交通省として、どういった視点で将来どうしたいんだということを、計画があれば是非お聞かせいただけたらと思います。
  42. 澤井英一

    政府参考人(澤井英一君) 先ほど来御議論いただいておりますが、観光立国行動計画の中でも、一地域一観光ということで、地域の観光振興それ自体が、全体五つの分野に分けて計画が決まっておりますけれども、その中の一つの重要な分野として位置付けられております。こういった取組は既にもう全国各地で、いろんなところでいろんな工夫がされているわけでありますが、例えばということで四国で二つほど例を申し上げますと、徳島の脇町の町長さん、これは行政と住民が一体となりまして、そこにあります歴史的な町並みの保存を核とした観光町づくりということを進めておられますし、また、愛媛県新居浜市の森賀さん、これも市の職員の方と聞いておりますけれども、江戸時代に開坑されました別子銅山を歴史的産業遺産として生かして、これは全国でいろんなところで今産業観光というものが立ち上がりつつありますけれども、ここでも産業観光都市づくりということで努力しておられます。  こういう観光地づくりにたぐいまれな手腕を発揮しておられる先進的な取組をしている方々を、まず私どもは観光カリスマという格好で顕彰しまして、この皆様の体験や御苦労を全国各地で参考にしていただく取組を進めております。  また、先ごろ平成十五年度の国土交通白書を発表いたしましたけれども、この中でも、今年は、全国各地で行われております創意工夫に富んだ地域づくりへの取組を多数紹介しております。  いずれにしても、地域の固有の資源を核にした創意工夫というものが観光に限らず地域づくりのこれからの基本だと思いますが、そのためにも、私ども、そういう有益な体験あるいは御苦労、そういったものをまず収集して、きちんと取り組もうとしておられるところに情報提供するということは常に基本的に大事なことだと思っているという意味で御紹介を申し上げました。  また、観光を軸とした地域振興を進める上では、あるところである人だけが頑張ればいいわけではなくて、異なる魅力を持つところと連携をして相乗効果を生む。あるいは、行政だけでなくて住民の皆さん、NPOあるいは企業、そういったものが連携してやっていくというようなことも大事でございますので、そういった横断的な連携取組、またハード、ソフト含めた取組、そういったものを十五年度から観光交流空間モデル事業ということで選定をして支援をする取組も進めております。  なお、今国会に提出をいたしております景観法案を始めとする緑の法案あるいは広告物の法案、こうしたものも、これが観光活性化にも非常に重要であるという位置付けも行動計画の中でされておりまして、この流れの中でこういう法案も提出をさせていただいているということでございます。
  43. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 ありがとうございました。  正に私は、国内観光というのはもっともっと力を入れるべきだと思います。今、各地域の知事さんもようやくそれに気が付き始めたと思っております。それぞれの知事さんを中心に地域連携を図っていこうという動きも生まれてきておりますから、是非その辺りの後押しをお願いをしたらと思います。  もう余り時間がございませんので一つはしょった形になりますが、モーダルシフトですね、これは少し環境との絡みがございますので、環境省じゃなくて国土交通省としてこのモーダルシフトにおける考え方というものを少しお聞かせいただけたらと思うんですが。  まず、今大体四千六百万トンぐらいの削減がされなけりゃいけないと、こう言われておりますが、これはモーダルシフトだけでほぼ四百四十万トンぐらいのCO2削減、これができるというようなことも聞いております。大変モーダルシフトによって各運輸機関が非常に効率良くやれるんではないか。そのための、道路もそうです、海の港湾もそうです、船の形態もそうです、いろんな、エアカーゴのようなシステムでコンテナシステムをもう少しより高度なものにしていくとか、いろんな技術的な方法があると思いますけれども国土交通省としてモーダルシフトの意義、それと目標、こういうものを明確にしていると思うんですが、それをちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
  44. 矢部哲

    政府参考人(矢部哲君) お答えを申し上げます。  鉄道あるいは海運の輸送に伴いまして排出されます二酸化炭素の量、これはトラックと比べますと、トラックの約八分の一あるいは約四分の一ということでございまして、したがってトラックから鉄道、海運に輸送方法を転換するこのモーダルシフトというのは物流部門におきます二酸化炭素の排出量の削減に大きな寄与をするということでございまして、したがって地球温暖化対策の非常に有力な手段という認識をしております。  なお、モーダルシフトの目標につきましては、平成十三年に閣議決定をされました新物流総合施策大綱、ここにおきまして長距離の雑貨輸送量のうち鉄道又は海運によって輸送される輸送量の割合、これをモーダルシフト化率という言葉を使っておりますけれども、このモーダルシフト化率を二〇一〇年までに五〇%に引き上げるということが目標として掲げられております。  それからもう一つ、平成十四年に策定されました地球温暖化対策推進大綱におきまして、同じく二〇一〇年までですが、これは率ではなくてモーダルシフト等によって削減される二酸化炭素の量、これを四百四十万トンということで目標として掲げております。  国土交通省としてこの目標達成に向けていろいろ施策を推進してきておりますけれども、現状を見てみますと、モーダルシフト化率、先ほど申しました率ですが、目標の五〇%に対して平成十三年度のデータでは三八・六%ということで、大きく下回っている状況にございます。
  45. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 モーダルシフトが進んでいないという部分もちらほら聞こえてくるわけなんですが、なかなか、数字的にいきますと、一九九八年にはほぼ四二・九%ぐらいまで進んでいたというのが、一時また三八、九%までダウンしておる。そういったことで、もう少しその数値が上がってこなきゃいけないというものがあると思うんですけれども、これは、理由についてはかなりの時間を割きますので、今日はそれについてはお答えなくても結構でございますが、モーダルシフトを今後促進するというために、私は先ほど言いました技術的な革新というものをもっともっと進めていかなきゃいけないと思うし、なお一層の取組強化というものも国土交通省としては思い切ったやり方でやっていかなきゃいけないと思うんですが、このモーダルシフトの促進に向けてどのように考えられているか、これは大臣から明確に前向きの答えをいただけたらと思います。よろしく。
  46. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 山内委員の御意見を聞かせていただいて、ますますやはりこのモーダルシフトの重要性というものを再認識して、強力に推進していかないというようなことを強く思わせていただきました。  CO2の排出量で見まして、トラックに比べて鉄道が八分の一、船舶がおよそ四分の一でございます。今政府委員から答弁させていただきましたように、荷物を出す側の荷主さんの意識向上、これはソフトの方だと思いますけれども、ソフト、ハード両面からモーダルシフトの推進というものを進めていかなければならない。  具体的には、二つ例を出させていただきますと、一つはスーパーレールカーゴ、この間ビデオを見せてもらったんですが、これちょうど私が最初大阪へ行ったときに乗ったこだま号が六時間半ぐらい東京―大阪掛かったのを覚えているんですが、これは六時間十五分。コンテナが三十一個ですか、ちょっと正確には覚えていませんけれども、二十八個ですか、載るということで、そのコストも聞きましたら一コンテナ当たり十万円もしないんですね。ですから、ドライバーの方が東京―大阪を東名等々使って運ぶよりもコストも安いですし、CO2の排出量も低い。  それとやはり、なかなか内航海運の方がまだ難しいんですけれども、スーパーエコシップ、次世代の何というんでしょうか、早くて手軽な内航海運の船でございますけれども、こういうものの技術開発、参入規制の撤廃等々、いろいろ問題がございますけれども進めることによりまして、委員指摘のとおり、環境対応した物流というものを作らせていただくよう努力をさせていただきたいと考えております。
  47. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 ありがとうございました。  いろんなアクションプログラムも組まれておるようでございますから、もう少し練り込んで、このモーダルシフトを大いに推進をしていただく、そうすることで環境に対する優しさというものがもっともっと生まれますし、それとまた事業者も、その意識啓発をしっかり事業者に向けても是非よろしくお願いをしておきたい。  最後に、先ほどの答弁の中で、大臣じゃなかったと思いますが、地価、宅地供給の動向等、この部分について少し不明瞭な点がありましたので、少し答えていただけますでしょうか。
  48. 伊藤鎭樹

    政府参考人(伊藤鎭樹君) 先ほど、私、東京都区部及びその周辺地域において、地価の状況につきまして、地価の下げ止まり傾向が強まっているというところを、下落傾向が強まっているというふうに全く逆のことを、大変申し訳ございません、申し上げたんではないかと思っております。下落傾向が強まっているということではなくて、下げ止まり傾向が強まっているということでございますので、どうかよろしくお願いいたします。
  49. 山内俊夫

    ○山内俊夫君 分かりました。終わります。
  50. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  私は、今日は持ち時間を大半、関西国際空港の問題についてお尋ねさせていただきたいと思います。  さきに、会計検査院平成十二年度決算におきまして、関西国際空港の設置運営及び関西国際空港株式会社の経営状況について特定検査を行っております。それから数年来経過をしておりますけれども、基本的には、この会計検査院の特定検査の所見が出されておりますが、その所見が果たしてその後、会社及び国土交通省として履行しているように取り組まれているかどうか。そして、関西国際空港がちょうど開港して今年は十年を迎えるそうでございますけれども、現時点、そして将来の需要動向を含めまして幾つかたださせていただきたいというふうに思います。  そして、大方の、今冒頭申しましたとおり、この質問に入る前に、この特定検査対象に関する検査状況は、平成十二年度、検査院はどういう所見を行ったんだろうかということについて冒頭触れさせていただきたいと思います。  関西国際空港の利用状況と需要予測、関西国際空港株式会社の経営状況と経営予測及び関連事業の運営状況について検査したところ、一つ、需要予測は数回行われているが、開港初年度の航空輸送需要やその後の伸びを大きく見込むなどした結果、実績が予測を下回っていたり、二つ目に、需要予測に基づき収益を大きく見込んだ結果、経営成績の実績は予測を下回っていて、単年度黒字化の経営上の目標が達成できていなかったり、三つ目に、事業部門別損益を把握しておらず、本院が試算したところ、ホテル事業等は赤字となっていて、関連事業の運営が会社の損益に寄与していなかったりしていた。したがって、今後は、特に需要の将来動向を一層的確に予測した上で、その規模と発現時期に対応する施設整備を行うとともに、的確な経営予測と償還計画に基づいて適切な事業運営を行うことが望まれると。こういうふうに総論として触れられております。  それでは、幾つか具体的に現状についてお尋ねさせていただきます。  最初に、関西空港建設費、この返済状況と今後の返済見通しについて、関西空港建設費の返済状況と今後の返済見通しについて、国土交通省としての見解を述べていただきたいと思います。
  51. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 関西国際空港は、騒音等の環境に配慮いたしまして整備した海上空港でございます。このために、開港までに約一兆四千五百八十二億円、これの事業費を要したところでございます。  関空会社は開港して十年になるわけでございますが、関空会社の財務状況につきましては、営業損益は開港後一貫して黒字、償却前損益も黒字となっている状況にございます。  関空会社の有利子債務の残高でございますが、開港時と比較いたしまして着実に減少しておるところでございまして、有利子債務の償還が進んでいるというふうに考えております。  さらに、平成十四年十二月の財務、国土交通両大臣間の申合せに従いまして、申合せにおきましては、関空会社の抜本的な経営改善等を前提としつつ、安定的な経営基盤を確立して有利子債務の確実な償還を期するために新たな補給金制度というものを設けたわけでございまして、毎年度予算の範囲内において継続的に措置をすることとしてございます。  したがいまして、今後、一定の需要の伸びを前提といたしますれば、関空会社の経営努力とさらに補給金制度の活用などによりまして、有利子債務の確実な償還が図られると考えておるところでございます。
  52. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 後ほどやるつもりだったんだけれども、本当にこれ、有利子債務、確実に減るというつもりでいるんですか。どういう神経で言っているんだろうね。数字言ってくださいよ、じゃ。そんな自信持って言うんだったら、最初から。私、有利子負債の残高、平成六年から、じゃ平成十三年、平成十四年度、私、資料いただいていますけれども、役所から、どういうふうに変化ありますか。
  53. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 関空会社の有利子債務でございますけれども、償還期限の到来した元本返済額から借入額を差し引いた言わば実質的な償還額というものでございますが、開港後の平成年度から平成十四年度までの間で総額で約九百五億円償還をしてきております。最近五年間で平均では約百四十四億円、実質的な元本償還をしておるところでございます。
  54. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 要は利払いでしょう。残高、有利子負債の残高を教えてくださいよ。
  55. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 平成十四年度の、有利子負債の十四年度末の年度末残高は約一兆円、九千九百七十五億円ほどでございます。
  56. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 平成年度も一兆円じゃないですか。平成年度も一兆円じゃないですか。平成十四年度も約一兆円じゃないですか。そういう、何か希望を与えるようなそんな答弁しちゃ駄目ですよ、そんなこと言っちゃ。  開港以来の利用そして収益実績、今後の需要見通し、旅客、貨物、利用状況、収益、今後の需要見通しについてお尋ねします。
  57. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 関空の開港以来の利用実績でございますが、関西国際空港の発着回数あるいは旅客数あるいは貨物数でございます。  平成六年の開港以降、平成十二年度まではおおむね増加傾向で推移をしてまいりました。例えば、発着回数につきましては、開港直後の平成年度が十・七万回であったものが、平成十二年度では十二・四万回まで増加をしてきております。旅客数につきましても平成十二年度では二千五十八万人ということでございます。貨物量につきましても平成年度から平成十二年度には増加をしているわけでございますが、その後、国際線につきましては、平成十三年の同時多発テロ、あるいは平成十五年のイラク戦争あるいはSARS等の影響によりまして、発着回数あるいは旅客数あるいは貨物数というものは減少しております。  発着回数につきましては、平成十二年度では十二・四万回でございましたが、平成十五年では十・一万回と減少しておるわけでございますし、旅客数につきましては、平成十二年度では二千五十八万人でございます、先ほど申し上げましたが、平成十五年暦年では千四百八万人に減少しております。貨物量につきましては、平成十二年度では九十七・二万トンでございましたが、平成十五年では七十六・六万トンというふうに減少しているところでございます。  しかしながら、国際線につきましては、現在、回復基調でございまして、平成十六年の、今年の国際線の夏ダイヤの便数でございますが、六百九十四便となっております。これは、過去の最高でありました平成十三年夏、同時多発テロの前でございますが、これが週当たり七百便ということでございましたので、この七百便に迫る六百九十七便ということでございます。  それから、関空の国際線につきましては、この一年間を見ましても、上海航空の新規乗り入れ、あるいは煙台、南京、福州、杭州路線の開設など、中国路線を中心として堅調な伸びがなされているところでございます。  ちなみに、この中国路線における就航都市数というのは現在十三都市になってございまして、成田空港の十二都市を上回る状況になってまいりました。  このほかに、ハノイ線の新規路線の開設でありますとかシカゴ路線の復便でありますとか等々の増便等がございます。  国際線は以上のような状況でございますけれども、国内線につきましては減便傾向にございます。関空会社におきましては、平成十六年度から割引制度というふうなものも行って努力をしているところでございます。  私どもとしても、今後とも、関空会社が行う国内線の努力というものに対して成果を見守ってまいりたいと考えております。
  58. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 我が国の大都市圏拠点空港ですよね。二十四時間空港、アジアのハブ空港、この位置付けで今日まで事業展開をしてきたと思うんですが、私は、別にけちを付けたりどうでもいいなんというそんなつもりはなくて、大変な国費を投入しているわけでありまして、どういうふうにしたらこの空港というのがこれからもそういった位置付けになっていくんだろうかなというふうに思いながらいるんですけれども、今回、決算審査に当たりましていろいろるる調べさせていただきまして、短時間ですけれども、冒頭、局長から随分明るいような見通しを立てられていますけれども、今、後段の方で述べられても、ずっと暦年度でこれ、発着回数とか旅客、貨物、ずっと述べられましたけれども、このことでいえば、まあ来年、十六年度で国際線の十三年度と比較したそういったことについては朗報としてあるんでしょうけれども、お先真っ暗と言うとかわいそうかも分かりませんけれども、大変な状況じゃないですか、これ、というふうに私は思うんですよ。  先ほど、冒頭、十二年度の検査院の特定検査対象に関する検査状況の中で三点まとめて申し上げさせていただきましたけれども、今ずっと局長からいろいろ予測がありまして、大変問題の、この検査院の所見の中でこういうのがありますね。「十二年予測及び十二年経営予測を除き、関空会社における需要予測及び経営予測の根拠資料の多くが保存されておらず、予測の妥当性を分析し検証することは困難となっている。今後は、関空会社において確実に資料を保存し活用することが望まれる。」というような、これ検査院の所見なんですよ。これ、十二年度決算について。  六年度からでしょう。六年度から六年たってこういう所見が述べられて、予測予測予測で、これはずっと下回っているわけです、あらゆる点で。会計検査院が検査をしたら、いろいろ調べていったら、この予測の妥当性を分析し検証することは困難となっている。今後は、関空会社において確実に資料を保存し活用することが望まれる。いや、これは見方を変えれば、これ、予測をこれは大きく下回っちゃった、下回ったときにこれ出てきちゃったじゃ、この予測の分析をする資料が出てきちゃったら大変なことになっちゃうというふうにこれは受け取られても不思議じゃないはずですよ、これ。  だから、私は一つ、まあ二点ですね。このことに対し、当時、先輩諸氏がその後この決算委員会でこのことについて指摘があったんではないかと思いますが、このこと、この指摘に対し、会計検査院のこの確実に資料を保存し活用することが望まれると。望まれるという、前段になかったということについて国土交通省としてどう認識をしているのか。そして、今、いろいろ伸びを、予測をこれ言われましたけれども、その後、あれですか、望まれるように資料というのはあるんだろうか、今日まで。二点お伺いいたします。
  59. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 資料がなかったことにつきましてどう認識しているかというお尋ねでございますが、資料につきましては、その後、会社には、そういうような資料はきちっと保存するように指導しております。
  60. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 二つね、二つ。  だから、十二年度決算のこの指摘のところに、予測の妥当性を分析し検証することは保存されていないので困難となったということを所管庁として、検査院から指摘したことについてどういう、今もうさかのぼった話ですけれども、どういう所管をされたんだろうかというのが一つと、その後、あるんですよねと、今局長がいろいろ言われていることについては、こういう分析の資料が根拠としてあるんですという意味で言われているんですねということを、二つです。
  61. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 会計検査院が資料がないということに対する指摘につきましては、そういう御指摘があったとすれば、済みません、私当時のことはよく詳しく分かりませんけれども、現時点においては大変残念だと思います。  それで、それから今申し上げましたように、そういう資料につきましては、今後ちゃんと保存するように指導をしておりますが、需要予測のことにつきまして申し上げますと、先ほど申し上げましたように、平成十三年度の同時多発テロあるいはイラク戦争、SARSと、こういうふうな言わば予想もしなかった状態が発生したわけでございまして、それに対しましては、先ほど申し上げましたように、国際線については大分回復をしてきている。ただ、国内線については、まだ残念ながら回復をし切っていないという現状でございます。
  62. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 局長、当時局長じゃないからね、それは質問されても困りますということかも分からないけれども、それじゃ困っちゃうんだよね。ずっと飛んでいるわけですし、空港が今一期から二期行くわけです、二期事業へ入っているわけですから。それぞれの予測に基づいて、予測に基づいて我々の国費なり、あるいはいろいろ経営しているわけですから、これ大変な問題なんですよ、この検査院の指摘というのは、こういう指摘ということについては。これはやっぱりきちんとした役所として検証していないと、今仕事をしていること自体もある意味では正当性もなくなって、根拠が。  大臣、今私がこの場で発言をしてから、今お聞きになっていて、従前の経過についてはなかなかその当時の大臣ではございませんから答弁については難しいなと思うんですけれども、率直に言って。  ただ、私も今回質問するに当たりまして、これは大変なことだなと。これは、検査院の文書そのまま私読んで、特定検査を読んでいるわけですから、このことに関して、このことに今、局長は、SARSとかテロとか、そういう話じゃないんですよ。国土交通省という役所としてこの関空会社に対する私は指導の在り方の問題として検証していないんじゃないですかと。  今日、私が関空の問題について質問するということになっているんですから、当然そういったことについては、るるやっぱりひもといてもらって用意をしていただくというのが当たり前のことじゃないかというふうに思いますが、この時点での大臣としての所感はいかがでしょうか。
  63. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 私も、齋藤委員の言うところひもをといていない側で、今初めてお話を聞かせていただきまして、これはやはり特殊会社としての関空の、関空会社のある意味での甘えの表れではないか。  特殊会社ということは、公団から一歩進んで民間会社を目指す会社であれば、それに見合った民間企業並みの書類の保存義務というものも経営陣の中には分かっていらっしゃる方がいるわけですから、そういう自覚もなければならなかったでしょうし、それを監督する政府出資会社でございますので、政府の側にも十分な現状認識と置かれている立場の認識というものが欠落していたのではないか。これは全く個人的な感想ではございますが、そんなことを思わせていただいたところでもございます。
  64. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 書類がないということの前に、関空会社の経営予測はこれまで数回行われているけれども、経営成績の実績は予測を下回っていて、単年度黒字化の経営上の目標は達成できていない。関空会社においては、十二年予測及び十二年経営予測で予測当時の最新の実績等を踏まえた予測を行っているが、今後なお一層の精度向上を図ること、また、国土交通省においては、関西空港に係る需要予測及び経営予測の一層の精度向上を確保できるよう、必要に応じて適切な指導等を行うことが望まれるというところから、前段から入っているんですよ。  だから、国土交通省として指導をしてきていないんじゃないのということを私はあえて言いたいわけですよ。この時点では指導してきていないということをあえて私は検査院として言ってきて、今後、まあ検査院ですから駄目だ、こんちくしょうなんということは言えないわけでしょう、検査院としては。言えなくても、相当私は表現として厳しいですよ。  じゃ、局長、先ほど予測、言われました予測、これはあれですか、この妥当性分析し検証する根拠資料というのはあって、国土交通省としていろいろ精査をして述べられたということでよろしいですか。
  65. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 関西国際空港の需要予測につきましては、今まで何度かやっているわけでございまして、平成三年の段階平成八年の段階、さらには八次空整というか、平成十五年の段階でやらさせていただいております。  平均の伸び率、堅めに見ておりますけれども、現時点においては、平成十四年の交通政策審議会航空分科会でお示しした平均の伸び率、予測をしているところでございます。
  66. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、だから、ほら、予測の妥当性を分析し検証することは困難となっていた、困難だと言われたんだから、この根拠資料はあった上で、根拠資料はあった上で、その後、十二年から十三年、十四年、十五年、十六年ということで予測立てられているんですねと、そういうふうに指導しているんでしょうということなんですよ。  そのことだけお聞きしますよ。
  67. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 失礼しました。  先ほど申し上げましたように、平成十四年に交通政策審議会で需要予測してございますけれども、会社に対しましてもそれを指導してそのような形にさせていただいているわけでございます。
  68. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ここの委員会に出してくださいよ、この委員会に。この十二年の特定検査に関する検査状況、検査院から指摘をされていますから、この直近の十二年予測を除き、何を前提の、具体的な予測の手法、予測の前提条件、需要が競合する空港の影響の特定方法、予測に用いた基礎データ等の根拠資料の多くが保存されておらずというふうに指摘されているわけですから、その後、この指摘に応じてこういうことをしましたと、こういう根拠資料はこういうことですということを出してください。よろしいですか。
  69. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) いろんなことがあると思いますが、ちょっと検討はさせていただきますが、できるだけ対応したいと思います。
  70. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの齋藤委員の発言につきましては、後の理事会において協議をさせていただきたいと思います。
  71. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、ここの大都市圏拠点空港、成田、羽田、関空、中部、そしてこの関西国際空港二期事業等、二期事業、ずっと進行しておりますけれども、関西三空港、関西三空港というのは、これ、伊丹と神戸ということでよろしいですよね。  伊丹空港について、ここの利用状況、利用実績、旅客ですね、旅客を中心にお知らせいただけますか。
  72. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 伊丹空港でございますが、平成六年の関空の開港後にも国内線の利用客は増加しておりまして、平成十四年度には約一千八百六万人でございます。
  73. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ポイントで言ってください、ポイントで。今、五年前がこうで十年前がこうでとか、そういう数値を言っていただくと、私たちも理解しやすいと思いますから。
  74. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 平成五年のまだ関空がない時点の伊丹の利用客、乗降客数でございますが、国際線は五百四十万人ほどおりましたが、国内線は千八百二十二万人ほどいたわけでございます。  で、関空が開港した後、平成七年の数字で申し上げますと、国内線が千二百七十九万八千人、約千二百八十万人であったわけでございますが、これが年々増加をしてまいりまして、先ほど申し上げましたように、平成十四年千八百六万人ということになってございます。
  75. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 だから、あれでしょう、とにかく右肩上がりですよね。よく言う、伸びているわけですよね。さっきの関空の方は右肩、横ばいから右肩少し上がってきたんだけれども、逆に今下がってきているということだと思うんですよ。  それでは、神戸空港というのは需要予測だとどの程度見込んでいるんでしょうか。今どういう建設の着工状況で、いつ供用開始をする予定になっていますか。
  76. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 神戸空港は現在建設中でございますが、処理能力としては年間二万回を予定してございます。
  77. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 二万回なんて、旅客の方、見込み人員、年間、旅客。
  78. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 恐縮でございます、済みません。  発着回数でしか今手元に資料がございませんので、利用人員につきましては後ほど調べて御報告させていただきます。
  79. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 二万回だとどれぐらいなんですか。  例えば、関空で平成年度開始のときには、これ幾つですか、二万九千、二万九千発着回数、このときが国内線で四百五十三万六千人。そうすると、四百万ぐらいですか。こんな見込みでいいんですか。
  80. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 機材の問題とかありますので正確なところはあれでございますが、例えば現在でいいますと、伊丹の発着回数と利用客数あるいは関空の発着回数と利用客数というのを考えますと、大体一万回当たり百万ぐらいと、こんな感じだと思いますので、まあ二百万ということかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、滑走路の長さ、機材その他ございますので、もう少し、済みません、そこは後で調べて御報告させていただきます。
  81. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、後で教えてもらってもいいんですけれども、これはあれですよ、役所の方の社会資本整備重点計画平成十五年十月十日閣議決定という中に、空港整備事業というところにこれ書いてあるわけでありまして、その中で私が、「関西三空港について、それぞれの特性に応じた機能分担や連携のあり方に関し、さらに検討を進める。」というふうに書いてあるわけで、既にこれから造ろうなんていう空港じゃないわけであって、もう造っている最中の空港ですから、何万回で何人でというので、じゃ、どういうふうにやって伊丹空港と関空とうまくリンクしてやっていこうかというのが私に、私にですよ、国会議員にこうですこうですってどんどん説明しているのは困っちゃうじゃないですか、後で資料よこしますというんじゃ。  いい場じゃないですか、この決算委員会で。それじゃ困りますよ、そんなの。これから閣議決定するというんじゃないんですよ。
  82. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 具体的な数字じゃなくて大変申し訳ないと思いますが、先ほど申し上げましたように、神戸は二万回の発着回数を念頭に置いて現在整備を進めているということで御理解いただきたいと思います。
  83. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 お聞きになって役所の方は、神戸空港まで聞くんだったら神戸空港のを聞いてくださいよって、齋藤議員と思われたかも分かんないけれども、関空の一期、二期とかでいえば、私は、伊丹の話も出るし、それからこの大阪湾での神戸も出るし、そして役所の方の、閣議決定の関西三空港の機能分担、連携在り方も、これ連係して話が出るだろうなというのは当たり前なことじゃないかというふうに思うんですね。  数字を聞きたいということではない。数字を聞いているんですが、いかに、冒頭も申しました、関空が十年迎えた、二十四時間ハブ空港、位置付けありますよ。これからどういうふうにしてこのことが、位置付けが発展されるんだろうかということをひもといてみたら、いや、これはなかなか、二十四時間はいいかも分かんないけれども、ハブ空港として大変なものだなと、これ沈没しちゃうんじゃないかというふうにこれは思ってしまうほどなんですよ。  だから、それは利用人員が右肩上がりじゃない、横ばいでもない、下がっていっちゃうんですから。一方、伊丹の方はどんどん右肩上がり、そして神戸空港ができていく。これ一体どういうことなんだろうと。先輩諸兄はやっぱりこれいろんな委員会で指摘をしていますよ、本当に心配で心配で。  例えば、平成十五年ですから、昨年の五月の衆議院の決算行政監視委員会で、これは石田委員が、これ議事録を、今手元にございますけれども、それに対して政府参考人、扇国務大臣がいろいろ、ある意味ではこういうところなのかなというふうに思う答弁をしております。  一つは、伊丹空港なんですけれども、関空を造ったときに、伊丹を廃止するとちゃんと明記をしてあったと、関空を造るときにね。これ、扇国務大臣答弁ですよ。五月十九日付けの決算行政監視委員会、衆議院の、第四分科会の議事録です。「昭和四十四年以降、何回も伊丹空港廃止という訴訟が起こりました。」、これは騒音問題、これは騒音に対して国費、いろいろ補償していると思いますが。そのときに、廃止をするとあったと、「まあ、名前は出せませんが、関空ができたときに、ある大臣が、いや、伊丹は存続していいよということに決まったときからおかしくなっているんです。」と。ある大臣が、いや、伊丹は存続していいよということに決まったときからおかしくなっているんですよというのが扇国務大臣答弁です。  これ、だれなんですかね、これ。これ、ある大臣が、いや、伊丹は存続していいよということに決まってからおかしくなったんだと。これ、現職の大臣が、過去の大臣におかしくなったんだというふうに言っています。私も、このとき、これ、だれ、いつのことを指しているのか分からないんですけれどもお尋ねしたいと思います。分かりますか。分かるのなら、だれですか。
  84. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 済みません。  大変不勉強で申し訳ありませんが、当時の大臣がどなたであったかということにつきまして、ちょっと今、私、手元にございません。申し訳ありません。
  85. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 それはおかしいんじゃないの。  それは、局長、今日は別にいじめるつもりで言っているんじゃないですよ。扇国務大臣が、十五年だから昨年ですよ、昨年のこの衆議院の委員会で、「関空をつくったときには、伊丹を廃止するとちゃんと明記してある。ところが、まあ、名前は出せませんが、」というふうに言っているわけで、関空を造ったときに伊丹を廃止する、明記した、明記したと、これは事実ですね。これは事実ですね。
  86. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 当時、伊丹空港は御承知のとおり大変な騒音問題を抱えていたわけでございます。したがいまして、言わばそのままでは伊丹空港は大変なことになるということで、様々な議論が行われたわけでございます。  そういう中で、一つの需要予測の、それこそ需要予測のあれとして、このままではやはり関西に新しい国際空港を造らなければいけないという議論があったことは事実でありますし、そういう中で様々な議論が、今御指摘ありましたように、様々な方が様々な議論をした上で今日のような形態になっていると承知しております。
  87. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、教えてほしいんですよ。教えてほしいの。扇国務大臣委員会で答弁しているんだから、教えてほしいということを言っているんですよ。  関空を造ったときに伊丹を廃止するとちゃんと明記してあったんですねと、私聞いているわけですから、大臣が言っているんだから、そうですと言っていただければいいですよ。
  88. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 失礼しました。  昭和四十九年の段階で、航空審議会の第一次答申で、泉州沖が最適という中で、関西国際空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、その位置及び規模を定めるというふうになっております。  ただ、この意味は、大阪国際空港の廃止を決定したものではなく、仮に同空港が廃止されても、その機能を十分に果たし得る新空港の建設を推進することというふうに解されているところでございます。
  89. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、廃止まで、一〇〇%廃止じゃないんだ、ね。そうすると、扇国務大臣は、あなたの、今の石原国土交通大臣の前任の国土交通大臣がこういうことを言ったわけですね、だから、議事録、「伊丹を廃止するとちゃんと明記してある。」と、ところがですよと、「まあ、名前は出せませんが、関空ができたときに、ある大臣が、いや、伊丹は存続していいよということに決まったときからおかしく」なったんだというふうに言っている、答弁しているんですよ。おかしいじゃないですか、そうしたら。十五年五月十九日の扇国務大臣の、国土交通大臣答弁、おかしいってなるんですよ。注意しなきゃいけないじゃないですか、大臣、違いますよと。そういうことでしょう。いや、そういうことになるんですよ。
  90. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 繰り返しになりますけれども、そのときの言い方として、関西国際空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、その位置、規模を定めるとなってございますが、仮に大阪国際空港が廃止されても、その機能を十分果たし得る新空港の建設が、推進することだということでございます。先ほど申し上げましたように様々な御議論があったわけでございますし、現在でも様々な御議論あるわけでございますが、先ほどの昭和四十九年の答申はそのようでございます。  それから、その昨年度の扇大臣の御答弁につきましては、扇大臣、その扇大臣が過去において様々な政治的な動きがあったことについて一部お触れになっているというふうに解釈しているところでございます。
  91. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 まあ実にいい加減ですね。いい加減であると、あきれて物が言えない感じですけれども、これ、物言わないと審査になりませんから、これはもう引き続きやっていきますけれども。  ここに、石田議員の前段に、この伊丹空港の問題でこういうやり取りがございます。これは洞政府参考人答弁をしていますが、「関西国際空港の機能を十全に」、十分にですね、「発揮させるためには、国内線ネットワークを拡充して、乗り継ぎ利便の確保を図るということも極めて」重大な「課題であると認識して」いると。「一方において、先生よく御存じのとおり、」、ここが一つの政策的課題になっていくと思うんですが、「航空運送事業の規制緩和の中で、国内線のネットワークの設定等が基本的に航空会社の判断にゆだねられている。」と。「要するに、需要というものを勘案して、航空会社が便数を幾つ張るかということを決めるということに方針転換をしたわけでございまして、こういった二つの相矛盾する課題の実現に非常に難しい面があるということは事実でございます。」と。これはある意味じゃ正直なところだと思うんですね。  だから、ここの航空運送事業の規制緩和、だから、役所からこうしろ、ああしろということは、今なかなか形態が変わって、便数をこっちを減らしてこっちを増やせとかなんて強制的にはなかなか言えないと。事業者が、規制緩和の中で、航空会社の判断で重要なものを、需要を判断をして、便数をどうするかということがあると。だから、よくこの関空に対して、不便だと、役所の方が、もっと便数を増やしてくれ、このずっと議論の中でも、ある時間帯に五時間も七時間もないということを、いろいろ議論の中で、増やそうということで役所は航空会社に言っているけれども、いや、そうは言ったって、規制緩和の中で、航空会社が便数を幾つ張るということは、これはもう規制緩和のこれは自主的判断なんだと、こういうことなんですね、一方で。  これは局長、実態として、関空会社をもっともっと便数を増やそう便数を増やそうと思ったって、ここに一つのまた問題点があるということでよろしいですか。
  92. 石川裕己

    政府参考人(石川裕己君) 今御指摘のとおり、ダイヤの編成につきましては、規制緩和後、基本的には航空会社の判断ということでございますけれども、やはり例えば先生御指摘のように、かなり時間帯、時間が空いてしまうとかいろんな問題点が指摘されているわけでございます。したがいまして、私どもとしても航空会社に対して要請をしております。航空会社の適切な対応を期待しておるわけでございます。  さらに、特に国内便を充実させるために、関空会社におきましても平成十六年度から多頻度で運航している路線の着陸料、これを運航頻度に応じて割り引く、多頻度割引、又は伊丹では就航していないけれども関空では就航している、こういう路線については着陸料を割り引くというふうな関空単独路線割引、このような国内線の維持拡充を図るための営業割引というのを行っているところでございまして、私どもとしても航空会社に対して要請をするとともに、関空の経営努力ということも期待をしていきたいというふうに考えております。
  93. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大臣お尋ねいたしますけれども、今、二期事業行っていますね。これは年間処理能力、発着回数でいいますと、一期分については今実際使っているところですが、十六万回。これが先ほど言ったとおり、上がって横ばいになって下がってきている、十万回ですね。今度二期完成時は二十三万回にしようというふうに言っています。伊丹空港は廃止がああだこうだと今言っても、これはきちんと、ああだこうだと私の方が言っていて、皆さん方の方が答弁が非常に不十分なんですけれども、これ率直に言って、二つありますが、伊丹は廃止なんということは今実際無理なんでしょう、伊丹空港については。  それからもう一つ、十六万回にも満たない十万回、果たして二十三万回なんということについて必要があるんだろうか。一方で神戸空港、鴻池決算委員長のおひざ元でございますから、要らないなんと言うと、後で、齋藤、このやろうなんて怒られるかも分かりませんが、この三空港の機能分担とか連携在り方と言っていますけれども、この二百万人という予測、正確に言わないんですけれども、これ本気に、空港整備事業、閣議決定したら本気でこれ実行しようとしているんだろうか。それぞれ所感伺いたいと思うんですよ。
  94. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 齋藤委員のおっしゃいっていることは私は正論だと思うんです。ただ、現実に伊丹の空港もエアラインの側としたら関空に飛ばすよりも伊丹の発着枠をそれこそもっと時間を広げてでも飛ばしたいというのが民間の考えであります。その一方で、現実は政府参考人から御答弁させていただいたとおりであります、どんどん減っている。常識的な人間が考えたら、減っていって、エアラインの方は国内線は伊丹の方に持っていきたいというような状態の中で、二十三万回に上がるとはだれも思いません。  そこでどうするかということですが、私これはもう関西の方に、この話は国交委員会でも何度も出るんですね。今日は非常に齋藤委員はニュートラルですけれども、伊丹を代表する方、関空を代表される方、神戸を代表される方、これもう与党、野党じゃないんですね、もうその地域代表です。それじゃやっぱり駄目なんですね、もう現実にあるわけですから。神戸空港を仮にだれかが駐車場か何かにするという考えを、エアは二つですけれども、現実にできるわけですね。  で、調べて見てきたんですけれども、神戸空港のアプローチのところとやはり関空のところの距離は実際に飛行機で飛んでみるとかなり近くてかなりダブるわけですね。そうしますと、やっぱり神戸空港の発着枠というものを、関空の二期工事もやって拠点空港として整備していくと、かなり難しい。  ですから、結論的には関空、伊丹、神戸のいずれの空港の基本的役割というものを地元の方々ともう一回再整理をして、国土交通省としてその意見をもう一度聞いて、全部のところだけ全部いいようには絶対なりませんので、この整理を行う必要が私はあると思っております。
  95. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 それは石原大臣が前任の行革担当大臣のときに、たしか関空とか何かにいろいろ発言されているなと思いながらインターネットで見させてもらいまして、実は今度、国交大臣になって二期事業も凍結するんじゃないかなぐらいなこの経緯でいいますと思ったんですけれども、これまた予算組みましたけれども、要は前段言われたような発想で行革担当大臣のときに言われているんですよ。  だんだんもう時間もなりましたけれども、二〇〇二年の二月には福島市内で講演をされておりまして、巨額の赤字を抱え、関西国際空港二期工事については、工事を進めて二本の滑走路になっても飛んでくる飛行機がどうなのかと需要の面から強い疑問を呈したと。神戸市が主体となっている、整備を進めている神戸空港についても、本当に造る必要があるのかと批判をしたということなり、二〇〇一年の十二月には、当時自民党行革推進本部の太田誠一本部長、関空二期工事を三大ばか事業の一つと切捨てと。工事凍結の急先鋒に立つ石原行革担当相も、関西空港開港時に伊丹空港を廃止するというかつての原則を持ち出し、成田は滑走路一本で十分やってきたと、こういうことを告げたということであり、個々にだれが言った彼が言ったということは、一つのある意味ではこれからの方向を見いだすために私はある意味では発言をさせていただいているつもりなんですね。  そもそも国際空港というのはだれが整備すべきで、アジア近隣諸国の空港とどうやって競争していくんだろうかということになっていくときに、確かにマクロ的には二十四時間空港、ハブ空港、必要だけれども、これ十数年掛かってしたってそういう実態になってきていないと。むしろどんどんどんどん国費投入して、二十三万回、実態としては十六万回もいかない、十万回なのに、二十三万回、この発着回数処理能力をする二期工事を今やっているわけですよ。何かもう、食べ出したら止まらないなんというコマーシャルがありますけれども、やり出したら止まらないというんですよ。これは止まってもらわなきゃ困っちゃう、止まってもらわないと。埋立て工事した。じゃ、仮に二期工事やったら、二期工事の上物を造らないとか、滑走路を造っただけにするとか、多分そういうのも場合によれば考えられるかも分かりませんし。  これ行革担当大臣として、私は、私の質問にある意味では一つのニュートラルというふうにお話しになっても、これはだれもが、だれもがこれは思うことだというふうに思いますので、あえて石原行革担当大臣、今は国交大臣でありますから、今もう既に新年度予算というのが可決をされたことは事実ですけれども、次年度予算に対して、これはやっぱり閣議決定を見ますと、関西三空港についてそれぞれの特性に応じた機能分担や連携在り方に関し更に検討を進めるというふうに書いてありますから、更に検討を進める。  これは、進むも、場合には退くも含めてこれはあるわけですから、従来の方向を何でもかんでも突っ走るということがこれはいいということではないと思いますので、これ見直していく、この方向ではなくて見直していくという視点に立った私は検討をすべきだというふうに思いますが、最後にそのことをお尋ねさせていただきまして、私自身の持ち時間も来ましたし、先ほど委員長からお取り計らいいただきました資料等も後日決算委員会に御提示いただく、あるいはまた別な機会でいろいろこの点ついて指摘する機会があろうと思いますが、そのことについて最後大臣からお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  96. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 私は、関空の二期工事を完成させて使うようになって、あの飛行場が計画どおり二十三万回の離発着を可能とする方法はあると思っているんです。これはまだ研究の段階の最中でございますので詳しくはお話しできませんけれども、活用する方法はあると思っています。それが第一点と。  第二点、今委員がおっしゃいましたように二期事業の供用開始に必要な施設整備というものがあるんですね、滑走路だけ、あるいは埋めたって、さっきはちょっと、駐車場という表現は取り消しますけれども、あるわけですから、やはり需要動向、それと補給金を入れていますけれども、その補給金を入れて経営が成り立つという、これは、これも試算なんですね、試算。ですから、状況が変化したらその試算は下ぶれするかもしれないし上ぶれするかもしれない、それを見て行うこととしなきゃいけないんだと思っています。
  97. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 民主党・新緑風会の佐藤雄平でございます。  今の質疑を聞きながら、なるほど会計検査院指摘事項がこの二十年で最高に達したんだなとつくづく感じました。  齋藤委員と石川局長との質疑の中で、石川局長が自ら所管しているところの関西空港の資料がないと、こんな答弁は私はもう本当に聞き捨てならぬ、正に会計検査院もこれしっかりしてもらわなきゃいけないな、そんな思いを今したところでございます。  続き、会計検査院国土交通省それから環境庁という順番でそれぞれ質疑をさせていただきます。失礼しました、環境省、昇格しておりますからね。  そういうふうな中で質疑をさせていただきますけれども、昨年、決算委員会は三十五年ぶりに通常国会で審議を議了すると、正に画期的な審議をさせていただきました。これは役所の皆さんも、また議員の皆さんも十分御承知と思いますけれども予算も大事だけれども、使った後の検証もある意味ではもっと大事であると。しかも、日本の今の経済状況を考え、さらにまた予算自体が半分以上が赤字、半分が赤字国債でできているということから考えれば、もう一円たりとも使い方に無駄があってはいけないという意味合いから、決算を重視しようということでそのような形になったわけでありますけれども、残念ながら、平成十四年度決算状況を見させていただきました。そうしたら、これはもう驚くなかれ、平成十四年度決算というのは、指摘事項、決算の会計院が事項として指摘したのは四百億と、しかも三百七件と。  この三年間、ちなみに平成十二年度は二百十億の指摘がありました。平成十三年度が二百四十三億。そして、正に不名誉ながら十四年度が四百億。しかも、過去二十年間で最多の指摘事項と金額を受けたということは正に不名誉でございます。  そういうふうな中で、私は、会計検査院、しっかり私はある意味ではこの指摘事項を多くしたんだからもう大変な活躍をしたなと思うんですけれども、しかしながら、残念ながら増えているという現況についてどういうふうなところに、院長、まず原因があるかなと。この件と、それと会計検査と、それから院長、決算委員会も、これはある意味では決議事項を作りながらも残念ながら増えているということは、我が議院としても、もう一回しかと改めてその決算の大事さというふうなことを各霞が関の役所に知らしめていかなきゃいけないかなと、そんな思いをしておりますが、まず院長からこのような現実についての御所見をお伺いしたいと思います。
  98. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 今、ただいま平成十四年度決算検査報告におきます指摘金額が四百億円という、ここのところでは最高の金額になったということはそのとおりでございます。ある意味では我々の検査活動が広く成果を現したという面があろうかと思います。  しかしながら、この四百億円という金額をもってどのような評価ができるかということについてはいろんな見方があろうかと思っております。私ども、検査に当たりましては、社会経済情勢のいろんな変化の様子でありますとか、それから予算額の多い少ない、そういう重点事項といったようなもの、それからこれまでの検査でいろいろ問題があったようなところ、それからあるいはこれまで余り手を付けていなかったようなところ、こういったことを考えながら、検査のテーマやらそれから検査の方法、着眼点などを考えて検査の箇所を選定したり、どのぐらいの人員をそこに配分するかというようなことを考えながら毎年検査をしてきているわけでございます。  したがいまして、毎年のその結果として出てまいります指摘金額というのは、そういった検査の方針によるところによっていろいろ金額の表れ方は違うのかなというふうに考えております。したがいまして、今、三年間を取りますとまあ上昇傾向にあるということでございますが、一般的にそういう傾向的なものをその指摘金額からとらえるというのは、やや結論を急ぎ過ぎではないかなという感じがいたしております。  そういったことで、我々、この四百億円というものが本年やや突出したような金額になりましたのは、例えば前年度の十三年度検査報告では四十億円以上の一件の指摘金額のものが一件しかございませんでした。しかし、十四年度におきましては四十億円以上のものが三件あったというようなことで、そういう数字の表れ方になっているのではなかろうかと思います。  我々が検査の対象としておりますいろんな各省庁、いろんな各団体、これらが経理において全般的にまずくなってきたというようなふうには考えておらないわけでございます。
  99. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 院長、とんでもないあなた答弁ですよ。  検査の方針だからこうだと、しかも大きな金額の指摘事項があるからまた金額的に大きくなったんだと。とんでもない話だ。三百二件から三百七件になった。あなたの今の答弁を聞いていますと、じゃ、もっとあったけれどもしてこなかったというふうにも受け取れますよ。と思いませんか。
  100. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 今のような受け止め方をされたとしますと私の本意ではございません。件数にいたしましては三百件ということで、十三年度、十四年度は大体似たような件数でございました。しかし、金額が四百億円というふうに大きくなった。そういうふうに我々は見方をいろいろと変えていきまして、そして大きな金額になるような指摘を探し続けているわけでございます。そういうことで成果が上がったというふうに理解しております。
  101. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 そうすると、院長、あれですかね、その検査の方針というのは平成十四年度は例えば国土交通省を中心にやるとか、来年は農林水産省を中心にやる、そういうふうな方針で会計検査をしているんですか。どうですか。
  102. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 我々は各省庁についてそれぞれの検査を担当する課を設けておりますから、今年は国土交通省というような、そういう重要事項を定めているわけではございませんで、社会保障の関係、それから公共事業の関係、それから防衛の関係、文教の関係というふうに、それぞれやはり予算の重要項目は我々の検査の重要項目になっているわけでございます。
  103. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 今の院長の答弁のとおり、もう本当に私は、この決算委員会決算審議をしていること自体が何か、何のためにこうして毎週やっているのかなと思うような気持ちになってまいりますよ。  実は、昨年総括のときもちょっと質問をさせていただいて、何か院長が答弁しているときの姿をテレビで皆さん方見ていて、各省庁に何か遠慮しているんです。どうしても、あなたじゃなかったんですけれども、前の院長のとき、私はそのとき何か遠慮し過ぎているんじゃないですかと。冷静に考えてみれば、霞が関のほとんどの省庁はみんな政治家が大臣になっているから、会計院だけが役人がなっているから、そういうふうな弱みもあるのかなと思いながらも、残念ながらそういうふうな見方をさせていただきました。  私は、やっぱり会計検査院の院長というのはもっと威厳があっていいかなと。思いません、院長。本当にあなたがその小池、石原大臣の間に入るぐらいじゃないと駄目だよ。隅っこにいてね、何か遠慮しながら、にこにこしながら答弁しているようじゃ駄目だよ、ちょっと。
  104. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) もう大変強い激励のお言葉をちょうだいいたしました。それを受けまして、しっかりやってまいりたいと思います。
  105. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 この間、決算委員会とそれから会計検査院についての参考人の質疑をさせていただきました。多分、私は、会計検査院というのはやっぱり、広野議員が質問したんですが、あのとき、正に私は同調したんです、バックボーンがないから弱いんじゃないかなと思う。弱いということは、これ、これから本当に、国民経済がこういうふうな状況のとき、本当にさっき言ったように、一円でも大事なんですよ、これ、納税者からすると。ですから、ある意味では、会計検査院の院長というのは内閣総理大臣よりも威厳があって権威がなきゃ駄目なぐらいの時代だというふうな認識をきちっと持ってもらわなきゃいけないし、今のような姿勢の中で、私は、場合によっては会計検査院は衆議院か参議院、院の方にいて一緒に検査をした方がいいような気がしてならないんです。  この間、参考人のそれぞれの話を聞きながら、私はつくづく、会計検査院というのは独立しているとはいいながらも、どうもやっぱり霞が関の役所の中に非常な遠慮があるような気がしてならないんで、それこそ参議院と一緒にやるとか衆議院と一緒にやるとか、院の方に来るような、私自身、今ちょっと考えたんですけれども、院長、会計検査院としての仕事を全うするにはどういうふうな方法がいいか、あなたの考えがあったらお聞かせ願いたいと思います。今のままでいいか。
  106. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 会計検査院は憲法と会計検査院法によって内閣から独立した組織とされておるわけでございます。したがいまして、客観的で中立的、公正な会計検査を行うことが保障されているというふうに思います。  我々は、そういう地位とそれから権限を十分に活用して立派な成果を上げていかなければいけないというふうに考えながら検査を続けてきたわけでございます。これからもそのような姿勢で頑張ってまいりたいと、こういうことでございます。
  107. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 院長の御活躍を期待申し上げます。来年の決算のときは、まあ十四年度よりもまた増えちゃったなんということ、決してないような厳しいやっぱり会計検査を期待しておきます。  次に、国土交通省、移らせていただきます。  先般も、あれ、松野さんと大臣質問させていただきました、六本木の自動回転ドアの事故です。  私は、もう本当に溝川涼君の痛ましさ、もうこの間も言いましたけれども、人工都市に埋没してしまったな、正に回転ドアが凶器に見えましたと、行ってきた感想を述べさせていただきました。そして、私の質疑に実は松野参考人から答弁していただいたんですね。ちょっと読ませていただきますと、国土交通省としては、これまで、自動回転ドアにおける同様の重大な死亡事故という事故は把握しておりません、今までそういうふうなことは聞いておりません、また、建築基準法では、自動回転ドアの安全基準というものは定めておりません、また、関連するJIS規格やあるいは業界団体等による自主基準も現在のところはないというふうに聞いておりますと、ここまでの答弁を私も素直にそのまま聞いちゃったんです。  そしたら、これ次の日、これ毎日新聞、毎日新聞の社会面に、「国交省、危険性を認識」と、具体案講じずと。国土交通省が昨年の二月、これは昨年の二月、つまり石原大臣もう就任していたんだっけかな、していない、よかったね。昨年の二月、回転ドアは危険で設けないことが望ましいという文書をまとめていたことが分かったと。ビルなどの建築・設計のガイドラインとして有識者らを交えて作成した、国交省は危険性を認識しながら、その後も安全基準作りなど具体案を講じておらず、行政の不作為とも言える姿勢が問われそうだと。そして、この委員会の会長を務めた東洋大学の高橋儀平建築計画学の教授は、回転ドアに視覚障害者のつえがはまったり、高齢者の歩くスピードに合わないのは常識的に明らかと、だからガイドラインでは危険と書いたと、国交省がこれまで油断していた面は否めないという話があるんです。  今ほど、私は政治、行政の中で安全、安心を優先しなきゃいけない時代はないと思うんです。特に、建築、道路、国交省は現場を一番お持ちです。一番大事なのは安全、安心。特に、建築物についての、私は、安全、安心というのは最前提となっていろんな基準を作らなきゃいけないであろうと、そんな思いをしているときに、いかにもその、全くこのような局長答弁を聞いていると、そのようなことが今までは全くなかったんだというこの答弁にまた、まさしく私はふがいさを感じて、この間の質疑のときも、実は去年の二月にこういうふうなことがありましたぐらいの、何でそういうふうな答弁が、私が、できないのか。  やっぱりね、その今の三菱自動車の話についても今度の回転ドアについても、広く言えばBSEについても、何か事が起こってからじゃないと日本の行政というのは進んでいかないんです。私は、やっぱり防止策というか防護策というか、その前提、前にどうしてこういうふうなのが作れなかったのか、この件について、局長、この間の答弁も含めて、それからまたこの毎日新聞の記事も含めて、どのようなそのお考え、どのようなことだったのか、詳しく説明をしていただきたいと思います。
  108. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) 議員御指摘の記事にもございますが、国土交通省が昨年の二月に改正をいたしましたハートビル法のガイドラインを作成したわけでございます。ここに回転ドアについての記述がございますけれども、このガイドラインは高齢者あるいは障害者の方が使いやすい建築物、いわゆるハートビルの普及促進を目的として解説書として作られた、設計者向けの解説書として作られたものでございます。  解説の中で取り上げられておりますのは、回転ドアという記述にございますように、従来からございます一般的な回転ドアのことを記述したわけでございます。これはどういうことかといいますと、ちょっと想像していただければお分かりになると思いますが、かつての回転ドア、自動式じゃなくて自分の力で開けなければいけない、あるいは、かつては小型ですから今のような大型ではない、こういう状態のものは、車いすの方が利用するときには自力で押さなければいけないとか、あるいは狭いスペースのところの中に入ってしまったときには、場合によっては危険性があると。これをとらえて危険性があるのではないかというような表現をしてきたと、したわけでございます。  したがいまして、今回の大型の自動型回転ドアに子供が飛び込んで重大な事故になってしまうというようなことがあるというようなことを前提に議論をされたものではございません。  今回課題となっておりますのは大型の自動回転ドアでございまして、国土交通省としては、その安全装置などが高齢者、障害者、それから子供を含めた一般の人々の通行に当たって十分なものでなかったのではないかという観点から、安全性について検討を行うこととしたわけでございます。で、現在、全国の実態把握を含め、運行休止などの注意喚起を行うとともに、有識者から成ります検討会を設けました。第一回の会合を去る四月八日に実施いたしました。これから三か月程度掛けまして、ガイドラインを整備していく予定でございます。なお、大臣の意向を踏まえまして、検討会には高齢者、障害者、あるいは子供の視点に立ったメンバーを含めているところでございます。
  109. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 自動回転ドアじゃないという前提の中での審議会だったというふうなことですけれども、しかしあれ、局長、自動回転ドア使ったことはありますでしょう。そうすると、もう本当にタイミング取るのが、やっぱり健康な人でも体育学系の人だってこれ大変だと思うよ、あのタイミング。そういうふうな発想は実は生まれなかったですかね。障害者、子供、年寄りの、いわゆる自動でない手動、手動の回転ドアの審議会だったんでしょうけれども、そのとき国土交通省のいわゆる担当官、何人かいたと思うんです。そのとき、自動回転ドアのその危なさなんという発想は生まれないものなんでしょうかね。  それともう一つ、やっぱり自動回転ドアがこれだけやっぱり普及しているわけですよ、四百二十何件ですか、あれ。普及しているわけですよね。それで、全く事故の報告がなかったというけれども、四百五十九件あるでしょう。けがが百四十二件出ているんですが、こういうふうなことが、国土交通省にいわゆる安全面での危惧があるというふうなことを何か上申するようなというか、国土交通省にやっぱり一つ情報として入ってくるような、これは警察かどこか分かりませんけれども、こういうふうなシステムというのはきちっと作っておく必要があるんでしょうかね。
  110. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) その点は委員の御指摘のとおりだと思います。大型の回転ドアにつきましては、その認識がなかったということでございます。  これはむしろ、かつて通常の回転ドアが狭くて、大変、自力で開けなきゃいけないという、場合によっては危険性がある。つまり、車いすの方たちにはかえって危険性があるという認識がございましたが、例えばこの解説書は、法律を今回改正して新しく出しましたが、その法律制定当時あるいはその以前から、ハートビル法がない以前からガイドラインとして作ってきたものでございます。それを見ましても、一九八二年のまだまだ自動式回転ドアのない時代には、これは通常の小型の回転ドアしかなかったものですから、回転式の扉のみとするのは避けることというような、つまりそれ自体は大変場合によっては車いすの方にとっては危ないのではないかという認識がありました。  ハートビル法ができたときに、一九九四年でございますが、これは、このときには既に大型の自動ドアができておりました。そのときに表現が変わっております、車いす使用者が通過できない構造の回転式の扉のみとすることは避けると。つまり、以前は、回転式の扉のみとするのは避けると言っていたんです。これはむしろ大型になって車いすが入れるようになって、むしろ自動式ですから自分で押さなくてもいい、車いすの方も使えるという事例で、そのときに事例紹介もされております。そういう認識であったということでございまして、今回のその回転ドアと書いてあることをとらえて、大型の自動回転ドアの危険性を認識していたと、それを知っていながら何もしなかったというふうに言われるのは大変心外でございます。  事故が、報告が建築サイドに上がってこないのかということが一方で御指摘のとおりございまして、これにつきましては、確かにそういうことで問題があるだろうと。  今回も、六本木ヒルズのあの事故、合わせてあのビルで過去三十三件の事故があったというふうに聞いております。その中で見ますと、少なからず救急車で運ばれた事例があるということも分かりました。  通常、ああいうビルの中での事故が起こったときというのは救急車が駆け付ける、つまり消防サイドが駆け付ける、あるいは警察が駆け付けるというようなことになります。それを建築サイドに逐一報告があるということは通常ございません。したがいまして、何らかの方法で建築サイドに、まあこれはプライバシーの問題にも配慮しながら考えなけりゃいけない問題ですが、入ってこないものかということを今考えております。この検討会でも、併せて、そういった体制をどうして整備していくかということも考えていきたいと思います。  逐一、事故ごとに消防サイドから建築サイドに報告をしてほしいということになりますと、これは過重な義務になってしまいますので難しいかと思いますが、少なくとも例えば定期的に、あのビルではどうも事故が多いとかけが人が多いというような、どういう原因か分かりませんけれども、そういうのが多いというような情報が入ってこないかというようなことも含めて、今後検討させていただきたいというふうに考えております。
  111. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 局長、これシックハウスのときもそうだったんですよ。ハートビル法ができましたけれども、私は記憶するに四年前、我が党の小川君がここで、国土交通委員会で、ホルムアルデヒドの話から始まって、シックハウス対策を早くしなきゃいけない。あのとき何の対応も実はなくて、二年後、結果的にはその法案を作らざるを得なくなったというふうなことに私は記憶しておりますから、もうともかく今回のこの事件を期して、先んじて安全、安心、これを、特に国土交通省現場を持っているわけですから、各省庁にやっぱり指導的な立場の中で、優先してその法律をどんどん、どんどんというか作って、国民が安心して暮らせるような状況作りをしていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕  次に、土地局長来ていただいて、また小池大臣も待たせて申し訳のないような気がするけれども、じゃ局長に、地籍調査、これ、法案ができて、あのときはもう早く地籍を調査しなきゃいけないというふうなことになっていますけれども、全く進んでいるような状況じゃないんですけれども、法案を作ったときの質問者としても私も責任がありますので、現況と今後の地籍調査についてお伺いしたいと思います。
  112. 伊藤鎭樹

    政府参考人(伊藤鎭樹君) 地籍調査でございますが、昭和二十六年に国土調査法ができまして、それ以来、市町村等が実施主体となって実施してきているわけでございます。昭和二十六年といいますと、私自身の生まれた年が昭和二十四年でございますので、非常に長い期間調査をやってきていて、現在、進捗率ということで申し上げますと、全国の調査対象面積が二十八万六千平方キロに対しまして、既に実施済みと、完了済みという面積が十二万九千平方キロということで、進捗率としては四五%ということになってございます。  地籍調査がそういうことでまだ五〇%というところまで行かないような、そういう段階である理由として、一つは、この調査が境界の現地確認等の手続を一筆ごとにやっていかなければいけないということで、市町村の職員等が現地確認等の確認手続とかそういうことに多くの時間や労力が必要となると。また、調査の完了期間も、早いものでも十年以上掛かりますし、長いものは三十年とか四十年とか、そういうふうに時間が掛かる、そういうものでございます。そういうことが、そういう地籍調査の性格がございまして、同時に、そういうことも一つの背景だと思いますが、必要性は認めつつも、調査の実施にどうしても消極的な市町村というのがございまして、特にまだ調査に未着手の市町村というのが相当数あるという状況でございます。  こういう状況に対しまして私どもとしても手を打っていかなければいけないということで、一つは、市町村の職員の負担をできるだけ軽減するということで、平成十二年度、現行の第五次十か年計画から始めたことでございますが、境界の立会い、いわゆる一筆地調査というものでございますけれども、それについては測量士等の専門家に外注化できるようにしております。そして、その外注化できる範囲も順次拡大してきているところでございます。  それから、未着手の市町村等に対する啓蒙啓発ということにつきましては、実際にやった市町村が、そのことによってどういう効果があったか。それは単に登記簿に備え付ける図面が正確になったということだけではなくて、町が、いろいろ考える町の将来構想、長期計画とか、いろんなものを考える上でもこの調査が非常に役に立ったとか、そしてまた、これは実際にその地籍調査をやった町村の方々皆さんおっしゃるわけですけれども、いざ災害が起こったときに大変、この調査があることによって災害復旧も早くなるとか、いろいろな効果があることも、そんなことを各町村、研修会等で皆さん方に御理解いただけるように努力しているわけでございます。  それと併せまして、平成十六年度からは国直轄で街区の基礎的データを整備する、いわゆる都市再生街区基本調査ということを始めて、都市部における地籍整備の促進ということに抜本的な手を打とうということで今取組を始めているところでございます。  それと併せまして、山村につきましても、今年度、山村、十六年度でございますが、山村境界保全モデル事業というものを、失礼いたしました、山村境界保全事業というものをモデル事業として実施いたしまして、山村も若干都市部と並んで地籍が後れているところでございますので、そういうところでの促進ということについても、GPSやそれから森林組合の御協力もいただいてやれるような、そういうことも今、今年度の調査で始めようといたしているところでございます。  私どもは、こうした取組を通じまして、関係省庁とも連携というものもこれまで以上に強化いたしまして、この地籍整備の推進ということに集中的に取り組んでいく、そういう所存でございます。  以上でございます。
  113. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 一日も早く調査が終了するように御奮闘を願います。  小池大臣、お待たせをいたしました。  地球温暖化防止、京都議定書から始めさしていただきます。  平成九年、COP3、京都でありました。今年はもうCOP10で、日本もマイナス六%を約束をしたわけでありますけれども、六%になるどころかどんどんどんどん毎年増えているという状況でございます。  イギリスのホーキング博士は、ある著書で、地球はあと五百年の寿命だと。ですから、本当に現有世代は今の人類だけでいいのかと。百年、二百年、五百年、一千年、永劫の人類を本当に考えるんであれば、この地球温暖化、気象枠組み変更条約機構の京都議定書を一日も早くこれ発効しなきゃいけない。しかも、やっぱり日本は議長国をしたわけですから、それだけ私は責任があると思うんです。  なかなか二酸化炭素の抑制、これは産業経済といろいろ絡んでくる難儀なところはあると思いますけれども、私は、やっぱり産業政策というのは十分条件であって、空気と水というのは必要条件であろうと。十分条件がいつの間にか必要条件をなくしたんでは、人類が滅亡してしまう、生物も滅亡してしまうと。  そんな観点から、大臣に、まず、先進国の中で最大のCO2を発しているところはアメリカ、米国が三六%と、それからロシアということになって、この二つの国が入るというのが大前提になるわけでありますけれども、なかなかアメリカはうんと言わないと。これはやっぱり一国主義に浸りたい、経済で生きていきたいというふうなことなんでしょう。ただ、ロシアが今ちょうどその寸前に行っているのかなと思っておりますが。  まず日本の、議長国として、環境省が、これから今アメリカとロシアに対してどういうふうな、削減のため、またその条約の批准のため、実効ならしめるためにどういうふうな活動をしているのか、そしてさらにはまた、どうしても、そのトップにあるのが国連でございますから、国連がどういうふうな方針を目指すか、地球全体を本当に考えるかどうかというふうな一つの観点をきちっと持つというふうなことが前提になるのかなと思うんですけれども、まず日本のアメリカとソ連に対する働き掛け、さらにはまた国連に対してどういうふうな日本は議長国としてイニシアチブを取っていくのか、この二点についてまずお伺いしたいと思います。
  114. 小池百合子

    ○国務大臣小池百合子君) 最初に御指摘ございましたように、京都議定書が発効するためにはロシアかアメリカか、もちろんベストは両方入ってくれれば一番いいわけでございますけれども、ロシア又はアメリカの批准が必要という状況になっているわけでございまして、対ロシアということで申し上げますと、昨年の十月に小泉総理がプーチン大統領に対しまして、議定書の締結、直接働き掛けをいたしております。プーチン大統領の今ロシアにおけるリーダーシップを考えるならば、このトップダウンの方法というのは非常に有効に今後ともなってくるのではないか。また、私自身でございますが、昨年十二月にミラノで開かれましたCOP9の席上でというか、その際に、ロシアの政府を代表して参加されておりましたベドリツキー水理気象環境モニタリング庁長官に締結に対しての働き掛けを行わせていただきました。今後とも、ロシアについてはプーチン大統領の再選ということも、これも終わりましたので、正にあらゆる機会をとらえて働き掛けを行ってまいりたいと思っております。  それからアメリカでございますが、これも首脳レベル、それから閣僚級の日米ハイレベル協議などの場でアメリカ政府に対しての働き掛けをいたしておりまして、先ほど申し上げましたCOP9、ミラノにおきまして、アメリカは対外的な代表として国務次官であるドブリアンスキー女史を参加させておられまして、彼女と直接にこの京都議定書に対しての働き掛けを行わせていただきました。  それから、御指摘がございましたように国連ですけれども、この気候変動問題に対しては大変重要な役割を果たしております。最近の国連の動きでは、今年の二月に第五十八回国連総会が行われた際の決議で、現在及び将来の世代のための地球規模の気候の保護というレゾリューション、決議文書を採択いたしておりまして、当然我が国もその交渉に積極的に参加をいたしております。御参考までに、この文書におきましては百十九か国の国と地域が既に京都議定書を締結したこと、今この時点でいうならば百二十一か国と地域、EUでございますが、この文書においては、議定書の批准国が未批准国に対して時宜を得た批准を強く促すということが盛り込まれた決議となっております。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕  それから、今年の三月でございますが、気候変動枠組み条約の発効からちょうど十年がもう既に経過したということで、それを記念いたしましてアナン国連事務総長が国際社会に対するメッセージを発しておられまして、その中で、京都議定書の重要性と未批准国に対して議定書の批准を求めるということを述べておられるわけでございます。  いずれにいたしましても、マージャンというと不謹慎と思われるかもしれませんが、コントラクトブリッジの席に今三人までが座っていると。あと一人ということで積極的にロシア及びアメリカに対しての働き掛け、様々な国内政治の問題もありましょうが、我が国とすれば議長国としての役割、しっかり果たしてまいりたいと、このように考えております。
  115. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 ロシアが入れば五一%になって発効するわけですけれども、その小泉・プーチン会談というのはどういうふうな中身だったですか。それが、実は三年前、私ロシアに行ってきたときに、今ちょうど今度の大使のロシュコフ氏が次官でございまして、ちょうどあのとき排出権の取引なんですよ。だから、多分森林吸収を認めるような時代になったものですから、ロシアからすれば森林吸収の中で排出権の、まあ変な話、その価格の話になっているのかなと。私は、この件を話をきちっとすれば私はもうロシアは調印するんじゃないかと思うんですけれども、その小泉・プーチン会談の中身が分かって排出権等についての話でもあれば、その辺を御披露していただきたいなと思うんですけれども
  116. 小島敏郎

    政府参考人(小島敏郎君) 総理とプーチン大統領の会談ではそういう具体的な技術的議論はございません。事務的にはそういうお話はさせてはいただいておりますが、首脳会談でそういう議論がされたということは聞いておりません。
  117. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 この件は私、環境省の皆さんもよくもう承知だと思いますけれども、この辺が一つのキーポイントになるのかなと私は感じております。時間もありませんので、次に行かせていただきます。  我が国のCO2対策でありますけれども、二〇一〇年までマイナス六%と、これも大変なことだと思うんです。森林吸収を含めても四・六ぐらいになってしまうと思うんですけれども、具体的に年次的な計画として、単年度でこれぐらい、しかもまた、総合してもう質問しちゃいますけれども、産業的には、この辺の産業にはどれぐらいを目標値として進めていくかということ。  ただ、地球温暖化防止の法案作るとき、あのときいろいろ議論になったんです。産業界が守らなかったらペナルティーを科すかどうかという話になったんですけれども、あのときは残念ながら、もうちょっと環境庁、あのときは環境庁だな、あれ頑張ってもらえればペナルティーを科すぐらいになったんですけれども、ほかの省庁から押されちゃって努力目標というふうなことになって、それが結果的にはもう七年目を迎える中で増えている原因になっちゃっているんですけれども、今後六%の削減目標に向かっての一つのどのような計画をお持ちか、その件についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  118. 小池百合子

    ○国務大臣小池百合子君) まず、私の方から今後のアクションプログラムプランについてお話を説明させていただこうと思いますが、現時点、二〇〇一年度の温室効果ガスの排出量について申し上げますと、京都議定書の基準年に比べまして五・二%上回っているということは、議定書の六%削減約束でのことを考えますと、約一一%の削減が必要な状況というふうになっているわけでございます。  これを達成するというのは、もうみんなが原始的な暮らしをするとか、もうよほどのことという考え方もありますけれども、しかしながら、今現実に着実に地球温暖化対策推進大綱に基づいて一つずつ進めていくというのも一つ極めて現実的な話だろうと思います。そこで、温室効果ガスの排出抑制、それから吸収源となります森林の整備、それから途上国のクリーン開発メカニズム、CDMの各種様々な対策を、政府であり、地方公共団体であり、事業者であり、国民の一人一人のライフスタイルの見直しでありといったような形で総力的に向かっていくということだろうと思います。  それから、今年が、先ほどもお答えさせていただいたんですが、二〇〇四年、ステップ・バイ・ステップのアプローチに沿いまして、推進大綱のこれまでの対策がどうであったか、その施策は評価、どの程度できるのであろうか、見直しすべきはどういったところであろうかということを行います区切りの年でございまして、今後とも実効性を確保するという観点からの評価、見直しをしっかり行ってまいりたいと思っておりますし、また必要性をそこから見いだすならば追加的な対策を講じることで京都議定書の六%削減の約束、これに着実に達成してまいる、そのためのプランをまた様々組ませていただいております。  続いて局長からお答えさせていただきます。
  119. 小島敏郎

    政府参考人(小島敏郎君) 現在のところ、京都議定書の対象ガスは六つのガスでございますけれども、エネルギー起源のCO2以外はおおむね減少傾向を示しております。  エネルギー起源のCO2につきまして、御質問の産業部門と民生と、こういうことでございますけれども、産業部門につきましては五・一%減少、民生については、オフィスビルなどの業務その他部門については三〇・九%の増加、民生のうち家庭については一九・四%増加をしております。  工場等の産業部門につきましては、経団連の自主行動計画が二〇一〇年度に産業部門とエネルギー転換部門からのCO2、これを一九九〇年度レベル以下に抑制すること、そのように努力をするということになっております。自主行動計画でございますので、その目標を達成できなかった場合のペナルティーは特に用意されておりません。  また、今後の民生対策でございますけれども、この日本の社会を考えますと、製造業からサービス産業へのシフトなどの産業構造の変化、あるいは生活水準が向上するということで、業務その他部門や家庭部門についてその二酸化炭素排出量のウエートが大きくなると見込まれますので、この部門に対するより効果的な対策が必要であると思っております。
  120. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 だから、排出量の割合というのは民生と産業ではどれぐらいの割合になっているの。
  121. 小島敏郎

    政府参考人(小島敏郎君) 全体のエネルギー起源CO2につきますと、産業部門が約四割でございます。民生の場合は、民生その他部門がございます。全体、家庭が一〇%、それから業務その他も大体十何%だと思います。ちょっと後でまた正確な数字を御説明させていただきます。
  122. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 まあ産業、民生のその削減率からすれば産業部門は非常に企業努力をしているのかな、まあ民生部門は家庭の中でもっと頑張ってもらわなきゃいけないかなと、そんな感じでありますけれども、しかし全体からすればどうしてもこれ四割、総発生量の四割が産業というふうなことで、これから産業界とのCO2の削減計画というのも、これもいずれ作んなきゃいけないと思うんですね。  ただ、この間も本当に議論になったのは、環境省がどうしてもやっぱり、例えば自動車産業にしても建設産業にしても間接的な指導になってしまう。あのとき、やっぱり都道府県の商工労働部にどこがアプローチするかなという話になったとき、あのときはまあ環境庁でありましたけれども、庁でありましたけれども、なかなかどこから、やっぱり経済産業省を通して、ある意味では国土交通省を通しながら産業界にアプローチするというふうなことになってしまうしかないのかなというふうなことで、あのときもこの件についての難しさを感じたわけでありますけれども、やっぱり私はこれもう削減するというのはやっぱり産業界はどうしてもしたくないと思うんですね。  やっぱり民生の生活の中でも、それぞれみんな理念を持った社会ならいいんですけれども、残念ながらまだそこまでの理念に至っていないところあるんで、どうしてもやっぱり、どんな一生懸命環境省が努力しても、これはもう結果としてこのような増えているわけですから、私はやっぱり各省庁との物すごい連携、もうあらゆる権限を環境について、CO2についての権限は環境庁がすべてもう駆使していくんだぐらいの強いやっぱり立場になっていかないと、まあさっきの会計院の話も同類のところありますけれども、そういうふうなところあるんで、やっぱりもう各省庁との連携を極めて強く作って、是非達成に向かっていただきたいと、そんな思いをしております。  時間もあと二分だというふうなことで来ておりますが、二分というのは、二分というのは、どこでいこう、やめる前にですね。  国の目標がなかなかできない中で、私はやっぱりどうしても、それはしなきゃいけないよ。やっぱり一つ一つの国が自分の努力目標をこれ達成しないと私は地球だ世界だと言ってもなかなかできないわけです。まあ、しかしながら、なかなかそこは難儀なところがある。そういうふうな中で、我が国は排出権をどういうふうにこれから駆使していくかというふうなことが日本の産業のこれから生きる前提となるのかなと、そんな思いをします。  短くて結構ですから、排出権の現況、もう具体的に始まっているのか、この件についてお伺いしたいと思います。
  123. 小島敏郎

    政府参考人(小島敏郎君) 排出量取引、京都メカニズムでは三つのものがございます。  一つはクリーン開発メカニズム。途上国が相手でございます。二つ目が共同実施。附属書Ⅰ国が相手でございます。そして、排出量の国際取引がございます。現在、クリーン開発メカニズムと共同実施、これは具体的なプロジェクトに裏打ちをされたクレジットでございますので、そこに力を入れております。  これまでに日本政府が承認をいたしましたCDM・JIプロジェクトは全部で六件でございます。その六件のプロジェクトの削減量の総計は年間三百三十三ないし三百八十五万トン、CO2換算でございますが、に上っております。これは我が国基準排出量の約〇・三%に相当をします。しかしながら、これは、これから審査機関による審査、あるいはCDM理事会の手続がありますので、これが確保されたというわけではございません。また、クレジットの獲得量は現地の国と日本国との、日本との間の配分というのがございますから、これからまた配分をしていくということになります。  いずれにしても、現在は事業ベースの京都メカニズムに力を入れているということでございます。  なお、先ほどのことでございますが、産業部門約四割と申し上げました。家庭部門が一割強、業務部門が一五%ということでございます。
  124. 佐藤雄平

    佐藤雄平君 終わります。ありがとうございました。
  125. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 地球環境というCO2の問題、大事な問題、お話を、論議があっておりました。  私は、ちょっと足下の話をしたいわけであって、もちろんそういう地球環境の問題、大事な問題であり、是非ともやっていただきたい問題ではありますが、今日環境省にお聞きしておきたいのは浄化槽の問題でございます。  河川の水質の保全というか、現実、今、日本社会どうなっているかというと、それは下水道も含めて整備はほとんどできていないわけであって、そんな中でどう水質を、河川をきちんとやるか。また、河川の水量を確保するかという問題でいけば、本来は、国交省いらっしゃいますけれども、やはり下水道よりはこういう浄化槽の問題、場所によってはやっぱり広げていくことが大事だと、こう思っておりまして、環境省もこれ平成年度からでございますが、浄化槽について市町村整備促進事業というのも創設をしていただいて、環境省としてもその推進に力を注いでくださっていると承知はしております。  平成十六年度予算も見させていただきましたが、三位一体改革で公共投資関係はどちらかというと縮減される方向の中で、廃棄物全体の処理予算になると前年度九%ということで削られてはいるんですけれども、事、浄化槽整備に至っては約二〇%増ということで取組をいただいていると。非常にこれは大事なことだとは思っております。  ただ、その前にちょっと聞いておきたかったのが、一体その執行状況予算は付いたんだけれどもどうなっているかという問題でございまして、十四年度決算の今日は審議でございますので、十四年度執行状況についてまずお話をしていただきたいと思います。
  126. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 十四年度予算でございます百六十三億六千万でございますが、執行率は九五・一%でございます。この予算、二つから成っておりまして、一つが個人が設置する浄化槽に対する支援でございます。この執行は九五・九%ということでございます。もう一つが市町村が設置、維持管理する事業でございます。これが今御指摘あった事業でございますが、これが執行率が八九・三%と、幾分低くなっております。これにつきましては、当該事業に対する理解がまだまだ市町村の間で不十分だということでございまして、現在普及に努めているところでございます。
  127. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃったとおりで、浄化槽というのは個人型と市町村型があると。これについても、浄化槽の処理人口についても目標がございまして、平成十四年度が八%でございますから、これを十九年度までに一一%にするという目標も掲げて取り組んでいただいていると。今もお話ししていただいたとおり、もっと突っ込むとちょっとこれ、なかなかうまくいっているんで、十五年度になるともっと厳しいんですけれどもね、そこまでは言いません。せっかくやってもらいたい、予算付けてもらってできていないという問題ですからこれ以上言いませんけれども、何を申し上げたいかというと、ちょっと、おっしゃったとおり、要するに、特に市町村については、やはり環境省がこれを広げたいとはおっしゃっているけれども、市町村の理解が非常にまだまだ後れていると思いますし、実際に私ども、この浄化槽の設置、いろんなところで見させていただいているんですけれども、現実には、本当に汚水を処理していくという問題でいけば、それは下水道よりよほど浄化槽の方がいろんな意味で進んだところあると私は思っていますし、下水道というのは一番金食い虫でもあるんですよ、いろんな予算の中で。そういった中で、この浄化槽の問題というのは大事だと思っているし、別に国交省に何か言いたいわけじゃありませんで、やっぱりすみ分けながら浄化槽を進めていかなくちゃいけない。  感じているのは何かというと、国交省の出先というのはもうよくやっていますわ、市町村に対しても。自分の縄張確保したいこともあるかもしれないけれども、きちっとある意味では市町村に対しても働き掛けをやっている。それに対して環境省、やっぱりまだまだちょっと弱いなという感じがしていて、是非市町村の理解を得るために取組をしていただきたいし、とにかく目標があるわけですから、普及率の、これへ向かってどういった環境作り、また市町村への周知の徹底をやるつもりでいらっしゃるか、副大臣、お座りでございますので、何かあれば、はい。
  128. 加藤修一

    ○副大臣(加藤修一君) この浄化槽の関係は非常に有効な水処理技術ということで、これはもう世界に誇れる日本の技術だと私は考えておりまして、昨年も第三回水フォーラム、世界水フォーラムもありましたけれども、そういった中でもこれは非常に関心を呼んだ水処理技術であるということで、この処理技術を使って、これは水環境の保全とか、あるいはさらに健全な水循環の維持、そういった面にも非常に大きな貢献を果たしていくものであると、そういうふうに考えてございます。  先ほど委員指摘されましたように、なかなか進んでいない部分も確かにあると。そういった意味では、浄化槽の特徴について情報が不足している懸念も当然あり得ますし、あるいはその整備の意義に対する理解が必ずしも十分ではないと、御指摘のようにそういったことは言われるわけでございますので。やはりもう一点は、市町村の事務負担の増加もあると。そういったことから、やはり導入がなかなか進んでいないなというところがあるように私も思ってございます。  そういった観点から、やはりそういった情報の関係とか、あるいは負担の関係も含めて、新規に、新規予算として考えていかなければいけないということで、実は平成十六年度予算におきましては、浄化槽の特徴や整備の意義についてタウンミーティングの開催等によりまして、環境省自ら普及啓発を行う事業といたしまして予算計上を行っているところでございます。  また、負担の関係でございますけれども、これはやはり軽減を、措置をしていかなければいけないということから、浄化槽の計画を策定する際の専門家の活用、それを支援する経費も計上しているところでございます。  いずれにいたしましても、この浄化槽の機能を更に地域の中に展開していくと、そういったことで極めて重要な意義を有しているわけでございますので、事業が円滑に進んでいくように最大限の努力を傾注してまいりたいと、このように考えておりますので、よろしく御理解のほどお願いを申し上げる次第でございます。
  129. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 大臣にも是非一言、この浄化槽へ取り組む問題について。  まあ全体的には、これ、浄化槽だけの問題じゃなくて、国庫補助金の問題ね、整理を十八年度までにしなくちゃいけないということも一つある中なんですけれども、そういった中で、ひとつやっぱりそれぞれ私は、すみ分けながら下水道、農村の集落排水の問題、そしてこの浄化槽というものがきれいにこうマッチしていったときに、私は一つの日本の新しいそういう河川についての、またそういう取組ができるだろうと、こう思っておりますし、是非、そういったことも含め、財源確保の問題も含めて、大臣の決意をこの問題でお伺いしておきたいと思います。
  130. 小池百合子

    ○国務大臣小池百合子君) 汚水処理施設整備でございますけれども、これまでの都市化などということの歴史を踏まえまして、これまでは大都市を中心として面で進められてまいりました。ただ、今後の、これまでの整備もかなり進んだということで、これからはむしろ中小の市町村が中心となると、つまり点と線みたいな形で進めていく必要があるわけでございます。そういった中で、人口規模、そして財政規模が小さいという地域のそれぞれの実情がございますので、経済性、効率性に優れた浄化槽の整備の推進はますます重要と考えております。  一方で、今御指摘ありましたように、国庫補助金の問題については政府全体で整理合理化を進めているという、そういう大きな流れもございます。一方で浄化槽に対する地域のニーズはむしろ増えてきているということでございまして、浄化槽の整備に必要な財源に不足を来すことがないように努力をしてまいりたいと考えておりますし、またよろしく御支援のほどお願いを申し上げます。
  131. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 環境省は以上でございますので、どうぞごゆっくりされて結構でございますので。これからは国交省についてお尋ねをいたしますので、どうぞ本当、大臣、副大臣局長、はい。
  132. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どうぞ御退席ください。
  133. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 国交省に対して幾つかお尋ねをしたいと思っておりますが、まず、バリアフリーの問題、特に交通バリアフリーの現状についてお伺いしておきたいと思うんです。  この交通バリアフリー法も随分いろんなことがありまして、平成十二年だったと思いますが、ようやくこれが施行されて今四年が経過しております。しかし、その進み方を見ますと、四年たちながら、例えば公共交通機関の旅客施設、つまり駅とかそういうところの問題ですけれども、段差解消の問題も十四年度末で施設の全体の四割弱でございますし、バリアフリー化がある面では思うように進んでいないという指摘も多くございます。  バリアフリー法、この交通バリアフリー法の基本方針を見ますと、平成二十二年度までに、例えば旅客船、これ、船のバリアフリーの基準適合率を五〇%にするというような目標が示されておるわけでございます。ところが、十四年度末を見ますと、何%かというと、二%でございます。  現状、今この交通バリアフリー、どういう現状になっているのか、また今後の整備の見通しについて御説明をいただいておきたいと思います。
  134. 澤井英一

    政府参考人(澤井英一君) 御指摘のバリアフリー法による対応、また道路の方でも、幅の広い歩道、あるいは歩道の段差、傾斜、勾配の改善等、いろいろと進めてきております。  現状について申し上げますと、十四年度末、平成十五年三月末時点で、例えば鉄軌道駅のバリアフリー達成率は三九%。それから、車両でいいますと、ノンステップバス、バスについてノンステップバスの導入ということを挙げておりますが、これは七%。それから、船のお話ございましたが、バリアフリー化された旅客船の割合は二%でございますが、隻数で二十三隻でございます。実はこれ、一年前の十四年三月末ではまだ二隻でございまして、一応、十四年三月から十五年三月までの一年間で二十一隻増えているということで、ベクトルとしてはかなり上向いてきたかなということも考えております。それから、主要な鉄道駅周辺の地区での主な道路のバリアフリー化については、十五年三月末で一七%、十五年度末、この三月末でありますが、見込みで二一というような現状でございます。  こうしたバリアフリー化を一層強力に進めていくために昨年十月に閣議決定されました社会資本整備重点計画でも、社会資本整備系の目標を幾つか挙げております。平成十四年度から十九年度までの五年間で、例えば、駅については先ほどの三九を七割強まで持ち上げようと、また、こうした旅客施設の周辺の道路のうちバリアフリー化されたものの割合、現状一七を約五割まで持っていこうというような目標を設定しておりまして、いろんな支援手段も使いまして、また市町村の基本構想の策定の推進というようなすそ野の広い取組も含めましてこれからやっていきたいと思っております。
  135. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 法律自体、交通バリアフリー法ですね、これを見ると、附則の第三条で、施行後五年を経過した場合に法律の施行状況につき検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるというふうな見直しの条項があるわけでございます。来年がこれ施行後五年でございます。  じゃ、今の現状を踏まえられて、また目標を踏まえられて、一体じゃ法律についてはどういうことをお考えになられて、例えば来年の通常国会には法改正のためのこういう措置をするというところまで御準備をなさっているのか。私は、もう一歩いろんな意味で努力義務みたいなところもございますし、進めなくちゃいけない面があると思いますが、これからこの五年経過の来年までに具体的にどのような措置を講じられようとしているのか、この辺を御説明をいただきたいと思います。
  136. 澤井英一

    政府参考人(澤井英一君) 交通バリアフリー法の施行が平成十二年の十一月でございまして、五年といいますと平成十七年十一月、来年の十一月でございます。それに向けて今からいろんな取組を進めなければいけないと思っております。  幾つかの観点をかいつまんで申しますと、一つは、基本的にまず整備を推進していくということで、先ほど申し上げましたような目標も作って進めているというのが一つあります。  それから、障害者の皆様等にそうしたバリアフリー化の状況について情報を提供するということも非常に大事だと思っておりまして、例えば全国の主要駅で、統一的で分かりやすいバリアフリーの状況なり乗換案内などの情報提供をするらくらくおでかけネットという情報提供システムを立ち上げて、これは平成十四年一月からやっておりますが、相当のアクセスがございます。既にこれまでに百八十万件アクセスがありまして、それだけこのシステム、情報システムが利用されていると思っております。  それからまた同時に、施設整備をしましても、それが本当に使いやすいものかどうかということについて、使った利用者の方、身障者の皆様を含む利用者の方の声を聞くということが非常に大事だと思っておりまして、例えば都営地下鉄の大江戸線、東京で申しますと、これは全駅バリアフリー施設ができております。  その声を聞きますと、例えば、介助なしで単独で自由に外出できるようになったとか、あるいは介助者の費用とかタクシー代などの出費が減ってほかのものに回せるようになったとか、更に言いますと、これを使えば、今までは自宅で仕事をしていたけれども、就業の選択肢、仕事の選択肢が広がるとかいう、かなりいろんな反応をちょうだいしております。  また同時に、身障者の方々等の目線でこういった問題は考える、そういうことで、国民全般のバリアフリーの取組のすそ野を広げていくということが非常に大事だと思っておりまして、平成十三年度から、心のバリアフリーという言葉を合い言葉にしまして、交通バリアフリー教室というものを開催し、介助体験とか疑似体験を通じまして、一般の方々が自分の問題としてバリアフリーの意義を考える、それによってそうした介助を含む行動のすそ野を広げる取組を進めております。これもかなりの方が全国各地の教室に参加をいただいております。  バリアフリー法の見直しに当たりましては、法整備そのものに至るまでに、こうしたいろんな実践的な取組の成果あるいは反省といったものを踏まえることが基本的に重要だと思っておりまして、法律の見直しに当たりましても、そうした声を、また、実際に使う方々の声もその段階でも反映させなければいけないというようなことも考えておりまして、見直しを視野に入れながら取組を進めていきたいというのが現状でございます。
  137. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非、様々な取組もしていただきたいし、大臣、この交通バリアフリー法できる前というのは、前は運輸省ですよね。そのとき、例えば駅にエレベーターを付ける問題、何回もこういう場で議論したことがある。どういう答えがそのときは運輸省から返ってきたか、こうなんですよ。私が例えば駅にエレベーターを付けろと、こう言うでしょう。で、運輸省が当時お答えになるのは、駅というのは、あれはJRだったり私鉄だから民間だって、民間事業者だと。何で民間事業者に政府が一々何だかんだと言えないと、それは民間の問題だと、こう突っぱねられて、本当に正直、一駅に一つエレベーターを付けるのにどれだけ苦労しながらみんながいろいろやっていたかと。  ところが、交通バリアフリーって本当に意識変換が多くて、ようやくそういうのを国としても取り組み、役所としても意識変革をしていただいてやり始めたというのが正にこれだと思うし、そういう意味では、なかなか、一生懸命やろうとする反面、一つ難しいのは、そういう元々の発想が、なかなかそういう意識がなかったところが急激に転換して今始めたところなんですから。  そういう意味では、私はこの問題、交通バリアフリー法は、もうある意味じゃ交通機関なりそういうところの問題ですよ。ただ、やっぱりこのバリアフリーの問題というのは、単に交通機関にとどまったんじゃ意味がないんであって、やっぱり点から線、それから面に広がるという、これは今、国土交通省でも取り組んでいただきます。全体の面としてどうするかという問題、ユニバーサルデザインの問題にも近づいてきますが、町全体でのそういうバリアフリー作りに取り組む必要が、私は今後は一歩ずつ進めながらあると思っておりますし、そのために是非、意識がようやく変わっている中で、各局、各部局、縦割りでいろんなことを考えるのじゃなくて、全体で是非とも考えてもらいたいし、是非とも知恵を、単に国だけじゃなく自治体、現場の知恵もおかりしていただきたいし、こういう問題を取り組んでいるNPOとか、また事業者なんかの意見を聞きながら、連携を取りながら一つの大きなものにしていっていただきたいと思っていますが、大臣から見解を、バリアフリーに取り組む見解を伺っておきたいと思います。
  138. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま木庭委員が御指摘されたとおり、私も政治家になりまして十五年目を迎えまして、最初、ある駅にエスカレーターを付けるのに大変苦労して片側だけ付けたんですね。片側だけ付けたんですけれども、その後は、なかなか場所がないだの言って、もうJRもなかなか協力してくれなかったという記憶があります。今ではもう地下鉄で、エスカレーターが駄目でエレベーター作るといったら隣のビルを使ってじゃ作ろうみたいな、かなり意識変革が進んでまいりましたし、委員の御指摘のとおり、駅という点から線になり面にしていくということが非常に重要だと思います。  社会資本整備重点計画で十九年度までにどういうところでどれだけ整備するかということは、もう既に政府参考人からお示しさせていただきましたので、目標を目掛けて全力で取り組んでいくということは言うまでもありませんし、市町村との連携という話が今出たわけですけれども、その基本構想を市町村が作成できるようにしまして、もう既に委員御承知のとおり百十九ぐらいの市町村でこういうふうにやりたいみたいなものも出てきて動き出している。これをやはり、更に三千ぐらいの市町村があるわけですから、後押しをしていかなければならないと思っております。  それで、やっぱり大切なことは、委員が後段おっしゃられましたように、市町村といったような行政機関とNPOや事業者の方々、そしてこの間、地元の敬老会で面白い話聞いたんですけれども、石原さん、老人にとってはエスカレーターが凶器に見えると言うんですね。これはえっと驚いたんですが、エスカレーターを付けることに血眼になっていたけれども、高齢化があれからまた進みまして、エスカレーターに乗るのが非常に怖い。ですから、もう次のステージに来ている。あと、エレベーターの中で開くと閉まるというのが書いてあるけれども、もう薄暗いと我々でも分からないですわね。あと、昔のエレベーターは何階というのが出っ張っていましたけれども、今はタッチ式ですから、ですからそういうところもきめ細かく、閉まれは赤で開けは青とか、そういうきめ細かいエレベーター、エスカレーターの手当てをしないと、我々の言うバリアフリーと現実にそのバリアフリーを享受される方々の感覚にもこの十年間で差が出てきてしまったということに昨今びっくりもして、そういうものにも対応していかない。そういうことも行政の側にもしっかりと申していかなければなりませんし、委員指摘の面的な整備というものを推進していく決意でございます。
  139. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 さっきも佐藤委員指摘されていましたが、自動回転ドアの死亡事故の問題ですね。それだけじゃなくて、最近見ていると全国各地で遊ぶ道具で傷害事故が起きたりしていると。そういうのを見ていると、言わば何かこういうバリアフリーみたいなことに対する理念が欠落して、ある意味では国の社会、国が、社会含めてなんですけれども、やっぱり子供の視点とか障害者の視点とか高齢者による視点みたいなことがどうも少し欠落しているところがあるんではないかなということを私はあのとき本当に感じまして、例えば一例、これが本当かどうか知りませんが、マスコミ報道で見ましたが、先ほど、四月八日開かれたんですか、その自動回転事故を踏まえた事故防止対策検討会、これ国土交通省と経済産業省で設置されたと。ところが、最初そのメンバーには高齢者や障害者の団体代表が含まれていなかったというような報道があっておりましたが、これ一つ取ったって、ある意味ではそういう視点、バリアフリーへの配慮が本当に希薄じゃないのかなという気がしたんですけれども、これは事実なんですかね。
  140. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) 今回の事故を受けまして、お話がございましたとおり、国土交通省と経済産業省の共同で自動回転ドアの事故防止対策検討会を設置いたしました。四月八日に第一回を開催いたしまして、おおむね三か月程度でガイドラインを整備するということでございますが、この検討会につきましては、建築物における日常安全という分野がございますが、この専門家でございます東京理科大学の直井英雄教授を委員長に、かなり専門的な視点から検討することができる委員により構成するということを予定したわけでございますが、その後、石原国土交通大臣から、高齢者、障害者や子供といった利用者の視点に立つことも重要であるということで、この人選に加えるべきではないかという御指摘をいただきまして、それらの立場の方々も検討に参加していただこうということで、メンバーを追加するようにしたものでございます。  この結果、そのようなバリアフリーに詳しい学識経験者はもちろんですが、高齢者団体、障害者団体、子供の安全に関する団体の代表の合計四名を委員に加えまして第一回を開催したということでございまして、今後とも、施策の検討に当たっては、高齢者、障害者あるいは子供の視点に立つことも重要であるということを徹底してまいりたいと考えております。
  141. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 だから、やっぱり視点が欠けているんですよ。そこの辺の意識の問題なんですよ。大臣、それは大臣、大したもんだな、そこは。そういう視点を入れようと言ったんだから。  ただ、本当はあなたが、局長がきちんとある意味では、そういう問題を考えるときにどういう視点を入れるのかというのは、それはやらなけりゃ。そうじゃないですか。
  142. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) 誠に御指摘のとおりだと思います。  最初、かなり、今回の事故を受けまして、専門的に技術的な検討になるということを想定いたしまして、学者あるいは専門家で構成するという、日常安全の専門家を委員長に据えるということで考えたわけですが、大臣の御指摘のとおりでございますので、これを加えさせていただくということにいたしました。
  143. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 だから、例えばさっきハートビル法の話されていましたよね。ハートビル法を制定するとき、これ平成十四年ですよ、ここの参議院の国土交通委員会でも、附帯決議の中には、建築上の、利用上の制約を受けるおそれがある者について、設計上の配慮の必要性等の周知徹底を努めることと、こういう指摘もさせていただいて、既にこういう問題考えるときの視点の大事さみたいなのは言っているわけよ、前から。にもかかわらず、こういったときにそういう対応されることに私は非常に何か不満感も抱きますが。  じゃ、少なくとも十四年に附帯決議こうやってやっていた。もしこれに基づいてやっておけばこういう自動回転ドアの問題なんか、一つ、こんな事故が起こる前にいろんなことができていたんじゃないかなという気持ちにもなりますが、具体的にこの附帯決議を受けてどんな措置を講じていらっしゃったんですか。
  144. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) この附帯決議では、建築物の利用上の制約を受けるおそれのある者について設計上の配慮の必要性等の周知に努めることということがございます。特に、ハートビル法でいいます高齢者、身体障害者等ということになっておりますが、これは高齢者、身体障害者のみならず、その他日常生活上あるいは社会生活上身体の機能上の制限を受ける者をいうということでございまして、妊産婦、けが人などの一時的に制限を受ける人々や、身体の機能上の制限を受ける知的障害者あるいは精神障害者もすべてハートビル法に基づく施策の対象ということでございます。  こうした附帯決議を踏まえまして周知措置を講じなければいけないということで、だれもが使いやすい建築物の設計を明らかにいたしました高齢者・身体障害者等の利用を配慮した建築設計標準を作成いたしまして地方自治体あるいは関係団体に配付いたしますとともに、建築主を対象とした講習会を全国的に展開をいたしまして、これを実施しまして周知に努めてきております。  引き続き、設計上の配慮の必要性等につきまして周知に努めてまいりたいと考えております。
  145. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 分かったような分からないような御答弁ではございますが、さっきもちょっと議論、ちょっと回転ドアの問題について、手動の問題については指摘をしたけれども、自動回転ドアについては、高齢者、車いすを使う方たちについては、ある意味じゃその危険性というものはなかったんだというようなまとめ方をハートビル法、このときに決められたということですか。ちょっとあの辺の説明が、質問通告していませんが、さっきの議論の中で、普通の手動の回転ドアと自動回転ドア、これを私はある意味じゃ同じ立場で物を考えなくちゃいけなかったと思うんですけれども、仕分けして考えられていたんですかね、そのとき。
  146. 松野仁

    政府参考人(松野仁君) 今となっては区別して考えておくべきだったということではございましょうが、従来から、むしろハートビル法の世界では、例えば車いすの方は、昔からあります比較的小型の自分で押さなければ回転できないような回転ドアについては、車いすの方が例えば使われるときのことを想像しますと、かえって非常に使いづらくて、小型の、非常に小さなスペースの中に閉じ込められたときにはかえって危険なことがあるという前提で、したがって、ハートビルの世界では、できるだけ、出入口に全部ああいうドアを配置するというようなことではなくて、それ以外の出入口も設置するようにということをお勧めしてきたと。  したがって、そういう危険性があると、場合によってはですね、昔からの伝統的な、それをずっと考えていたものですから、あの記述の中には、回転ドアが危険であるからすべて出入口をそういうもので措置しないようにというようなお勧めをしてきておるわけですね。  したがって、逆に、平成六年のときは、大型の自動式、動力付きの回転ドアが出てきて、かえって、車いすの方は自分で押さなくても回りますし、それから大きなスペースができて車いすが入れるようになったと。で、車いすの方も使えるようになったこういうドアも出てきたという紹介もしてきてはおります。  したがって、認識は、あの記述を見て、大型の回転式自動ドアの危険性を認識していたのに何もしなかったと言われるような記事が出ましたけれども、それは大変私どもにとっては心外な記事であるということでございます。
  147. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この問題はこの問題でまた別途論議をしなくちゃいけない問題だと思うんですけれども、とにかく、私が一つ言いたかったのは、さっき大臣からも御答弁をいただきましたが、このバリアフリーの問題というか、交通機関、建築物、いろんなことありますけれども、意識の中でのこのユニバーサルデザインを考える問題もあるんですけれども、とにかく、一つのこの町のユニバーサルデザイン、そういう観点を踏まえた施策というのをいろんな意味で、そういう危険性の問題も含めてですよ、全体を含めながら進めていく必要があると思っておりますが、この点について局長から答弁をいただいておきます。
  148. 澤井英一

    政府参考人(澤井英一君) 御指摘のとおり、安全性を含めまして連続したバリアフリー空間と、あるいは環境というものがこれから非常に大事だと思っております。  バリアフリー法では、拠点的な交通施設あるいは車両といったようなこと、あるいは周辺の道路ということも中心としてやっておりますが、例えば道路について言いますと、より一般的に、例えば住宅地や商店街などでくらしのみちゾーンということで、面的に安全でまたバリアフリーな空間を作ろうと、特に歩行者、自転車の安全で快適な利用を優先するゾーンを作ろうというような取組も行っていますし、また、公園につきましては、公園内の段差を解消する、あるいはトイレの整備などをする、また、そこにボランティアガイドなんかの援助もいただいて使いやすくする。河川空間につきましても、老人ホームが例えば近くにあるところでは、緩やかなスロープで、いろんな方が水辺にアプローチしやすくすると。いろんなところでそういうことをやっております。  ただ、一般的にユニバーサルデザインといいましても、場合によっては、身障者の方々のニーズの向きが必ずしも一致しない場合があります。例えば、典型的には、視覚障害者の方にとって必要なブロックが車いすの方にとってはむしろ振動になると、そういった調整を取らにゃいかぬとか、現場でなかなか、考え方は非常に大事だと思っていますけれども、それを実現するのに難しいという面もありますけれども、そういった辺りも克服しながら、より幅の広いバリアフリーを進めていきたいというのが今のスタンスでございます。
  149. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後に、まだ一杯質問用意したんですけれども、私も持ち時間あとわずかなんで、最後にお聞きしておきたいのは、今のお話のまとめとして、確かに、ハード面というか、いろんな意味で日本は諸外国と比べていろんなものは進んできたとは思いますが、今御指摘したこの問題を含めて、実際の生活とか移動とかいうときになると、何か日本というのはストレスがたまるんだというような御指摘をされる方もいらっしゃいますし、そしてソフト面をどう充実していくかという、心の中でのこのバリアフリーの問題をどうやっていくかという問題もある。  さらに、せっかく、例えばですよ、さっき言われた点字ブロックを整備したとしても、整備したとしてもですよ、この使う、道路を使う側の人たちの意識の中できちんとしたものがなければ、もうそれはごらんになったとおり、駅前行ったらどうなっているかというと、きれいなちゃんと点字ブロックはあるけれども、そのところには何か自転車がばっと並んでいるわけですよ。それじゃ、せっかくのものというのがきちんとなっていかないところもあるし、ある意味では、このバリアフリーという問題は国民の理解と協力というか、そういう面が本当に必要になっていくと思いますし、例えば子供たちにですよ、これ、大臣の直接の所管じゃないですけれども、教育ですからね。でも、例えば総合学習の場でそういったバリアフリーの問題を積極的に取り上げていくとか、そういったことも必要になると思うし、またその一方で、例えば今回の回転ドアの問題があってみたり、遊具の問題今いろいろあったりしている。そういったものの、今度は逆にそれは危険も伴うものもあるんですよというものがあるんであれば、そういったことの周知徹底も、子供たちが危険回避するなり、そういう障害者の人たちも一緒に生きていくなり、そんなことも含めて、これは親が言うだけの問題じゃなく、やはり学校教育現場でもそういう取組をしていく必要もあるんじゃないかなと私は考えております。  言わばハード面からソフトのバリアフリー、そんなことまで取り組む必要があるんじゃないかなと思っておりますが、大臣から御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  150. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいまの木庭委員の意見は私も賛成で、やはりソフトが非常に重要だと思うんですね。実際にこれから年を取っていくのも子供さんたちでありますから、そして子供さんたちに障害をお持ちの方々あるいは弱い立場にある人たちに対してのいたわりの心を実践してもらうには、自分たちも将来そうなるんだよということを分かってもらわないことにはなかなか理解はしてもらえない。  それと、これごらんになったと思いますが、「みんなの駅」というようなパンフレット、ドラえもんなんかを使って子供さんに分かりやすいようなものは配ってありますけれども、これを置いてあるだけじゃ読まないですね。そういう意味でも、教育というものは重要だと認識しております。
  151. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  152. 宮本岳志

    宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  三月二十六日、六本木ヒルズ森タワーで発生した自動回転ドアにおけるあの痛ましい死亡事故では、大阪府吹田市の六つの男の子が尊い命を落としました。私もすぐ現場に伺って手を合わさせていただくとともに、視察も行ってまいりました。  まず、私は亡くなった溝川涼君の御冥福を心よりお祈りするとともに、御遺族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。  そこでまず、国土交通大臣にお伺いをしたいんですが、実は大臣は回転ドアの設置を政策的に促してきたと思うんですね。事件のちょうど一か月前、二月の二十六日付けで文科、厚労、経産など各大臣との連名で石原大臣が出した告示、今日は資料一に付けてありますけれども、いわゆる省エネ設備のガイドラインでは建物の気密化のために回転ドアを設置することを促してきたと。これは事実ですね。
  153. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員が御指摘になりました四省合同によります告示第一号は事実でございます。
  154. 宮本岳志

    宮本岳志君 そこで、先ほど来議論になっている昨年二月策定の高齢者・身体障害者等の利用を配慮した建築設計標準と、ここにお持ちしましたけれども、これいわゆるハートビル法ガイドラインと呼ばれるものですね。  それで、この、これも資料にお付けしましたが、二とされている三十ページには、先ほどいろいろ議論があるんですけれども、戸の形式として、これは明確に回転ドアは設けない方が望ましいと、留意点に回転ドアは高齢者、障害者等には使いにくく、危険であるとはっきりそう書かれてあるわけですね。  だから、一方では既に一年も前に、つまり昨年二月に回転ドアが危険だということがハートビル法ガイドラインで定められておりながら、今年二月、この促進する大臣告示というものに名を連ねたと。これは、危険を分かっていながらそれを促したのか、あるいはハートビル法のガイドラインすら理解していなかったのか、どちらにしてもこれは大臣の責任そのものが問われると私は思いますが、大臣、いかがですか。
  155. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 回転ドアが危険なんじゃないと思うんですね。回転ドアの運用を誤ると危険なんだと私は思っておりますし、今日は国土交通と環境の合同でありますけれども、やはり環境を配慮する上で回転ドアというものが役立っているということは、私は事実だと思います。
  156. 宮本岳志

    宮本岳志君 この中には、危険であるため主な出入口に設けないことが望ましいとはっきり書いている。このガイドラインをまとめる座長を務められた高橋儀平東洋大学教授、この高橋先生は今回の回転ドアの検討会にも名前を連ねておられます。その方は、先ほど役所からはいろいろお話ありましたけれども、明確にこの座長は、回転ドアに視覚障害者のつえが挟まったり、高齢者の歩くスピードに合わないのは明らかだ、だからガイドラインでは危険と書いたんだ、国交省がこれまで油断していた面は否めないと、はっきりそう述べておられるんですね。  私がたしか石原大臣と、大臣最初に論戦をさせていただいたのは、一昨年の通常国会予算委員会だったと思います。あのとき、大臣とやり取りする前段で、時の武部農水大臣に対してBSEの問題を追及したんですけれども、五月にEC委員会から危険が指摘されていながら九月のBSE発生まで放置したのは責任重大だと指摘した、そのやり取りがあのときのやり取りだったんですよ。  大臣の場合は、昨年二月に危険だとこの高橋東洋大教授も含めて指摘されておりながら、一年間たって、しかも今年二月、推奨までしたと。これは大臣、さすがに責任逃れられないんじゃないですか。
  157. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 開いている時間の短い踏切は渡るのに危険だけど、踏切は必要である、やはり運用の問題だと思います。
  158. 宮本岳志

    宮本岳志君 まともな答弁じゃないと思いますね、それは。そんなことで私は、御家族は絶対納得しないということをはっきり申し上げたいと思っております。  さて、回転ドアは、それでもこの一人の尊い命の犠牲と引換えに今はすべて止められる、あるいは全部が点検されております。  ところが、何人死んでも同じ悲劇が繰り返されているのが踏切事故なんです。私は、この六年間、大阪府下の踏切事故、とりわけ被害者に何の責任もない高齢者や障害者の方々の事故については、必ず現場に足を運んで現地調査を行ってまいりました。そこで絶えず聞かされるのは、踏切に設置されている障害物の検知器というものは車を検知するものであって、人や車いすを検知するものではないんだと、こう聞かされているんですね。  国土交通省にこれは聞きますけれども、なぜ車だけでなく人を検知する、そういう検知器を設けないのか。いかがですか。
  159. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 現在、踏切に設置されております障害物検知装置はレーザーを使っておるわけでございます。レーザーというのは非常に直進性が強くて、光を遮断したことを検知して反応する、こういうことになっているわけでございますが、人間のような小さい障害物を踏切のように広い面的な部分ですべてカバーするということにつきましては新たな技術開発が要るということで、現在、例えばステレオカメラでございますとか、それからミリ波を使った、面的に障害物をとらえる技術開発を推進しておるところでございます。
  160. 宮本岳志

    宮本岳志君 今おっしゃられたステレオカメラあるいはミリ波という技術開発ですね、その開発がどこまで、研究がどこまで進んでいるのかと。実証実験の段階に入っているというふうにもステレオカメラの方はお伺いしたわけですけれども、今年度どこで行う予定になっているのか、この辺りを少し。
  161. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) ただいま先生御指摘ございましたように、ステレオカメラを利用した障害物検知システムにつきましては、十五年度にJRの青梅線で行いました。今の実証実験の結果でございますが、検知率につきましては、車については大体九九%、昼間は九九%、夜九八。二輪車、歩行者につきましては九七%ぐらいの精度が得られたところであります。  今年度につきましては、JR西日本大阪環状線にございます一ツ家踏切において実証実験を行う予定でございます。
  162. 宮本岳志

    宮本岳志君 JR環状線の一ツ家踏切というのは、実は三月の十七日に車いすの女性が電車と接触し、死亡する事故がございました。私も十九日に現場に行ってきたんですが、これは環状線でただ一つの踏切なんですね。歩行者専用の踏切であります。しかし、この技術も実用化するには限りなく一〇〇%に近い精度が必要だと、こういう説明を受けたんですね。  確かに、踏切事故の根本的な解決のためには、立体交差化で踏切そのものをなくすとか、あるいは人を検知できる、こういった障害物検知システムの開発が有効なことはよく分かっているんです。しかし、それがいつできるのかといえば、大変時間が掛かることは事実なわけですね。その間も一人また一人とこれ命が奪われていっていると、何の罪もない車いすの障害者、シニアカーのお年寄りが命を落とし続けているというのが今の現状だと思います。  そこで、大臣に私お伺いするんですけれども、私、指摘しているのは、踏切をくぐり抜ける人がはねられる事故だとか自殺とかということではないんですよ。高齢者や障害者の方々が車いすやシニアカーでレールに車輪を取られるとか遮断機に挟まったりして命を落とすという事故が続いているわけでありまして、先ほどバリアフリーという議論がやられておりましたけれども、障害者の社会参加というのは、これはバリアフリー法も作って私たちは大いに進めようとしているわけでありますし、また高齢化社会というのは、これはもうだれもが認めざるを得ない現実でありますから、そういう時代の流れを受けて、やはりそういった抜本的な技術が開発される以前でも、今すぐ、少なくとも障害者の方々や高齢者の方々が命を落とすことのない、今すぐできる対策というものを検討する必要があると私は思うんです。そういう検討を行う用意といいますか、おつもりおありかどうかを大臣から聞かせていただきたいと思います。
  163. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) やはり踏切を普通に私たちが歩くスピードと、体が不自由な方々、特に最近はシニアカーというものが出てまいりまして、平たんなところで利用すると便利だという話は聞くんですけれども、非常に段差にあの車は弱いと。ちょっとでもスロープがないところは上れないという話を聞いております。  そういう中で、踏切というのはどうしても段差が必ずどこか、これまでの踏切はあるわけですから、そういうものの段差や幅ですね、シニアカーが、シニアカーというのは車いすより若干太めですし、三輪のやつが非常に危ないと私なんかは見せていただいて感じたんですけれども、そういうものを、もう普及している現状ありますし、委員指摘のとおり、私も調べさせましたら十五年だけで数件事故が、あとは、何ですか、シニアカーともう一つ、手押し車というんですかね、あれで補助がないと歩けない御老人の方でも出歩いて、これは本当はいいことなんですよね、どこでも歩けるようにするのが。しかし、そういうことはなかなか予想されて物が設計されておりませんので、これからもやはりそういう方々も社会の中で活動できるようなものに改良していくということを努力していきたいと考えております。
  164. 宮本岳志

    宮本岳志君 一人の人間の命は地球より重いと言われますけれども、これはきれい事ではないと思うんですね。政治や行政に携わる者は肝に銘ずべき理念だと考えます。罪もない人命が失われ続けるのを拱手傍観するということであってはならないと。  抜本的な対策、例えば立体交差化、それで踏切そのものをなくすということが根本的解決であることはよく分かっておりますし、またそういった先端技術が開発されることが根本的解決に結び付くこともよく分かっているわけですけれども、今すぐなし得るべきことをなすと。そのための検討会等々、ハートビル法もできておりますし、バリアフリー法もあるわけですから、役所の方でも是非鋭意検討していただく、このことを重ねて要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  165. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  今日は徳山ダムの建設について質問をいたします。  徳山ダムは自然豊かな木曽三川の一つ、揖斐川の最上流で、福井県との境、岐阜県に建築中のものであります。ダムの高さが百六十一メートル、国内三番目で名古屋城の三・三倍、総貯水量は六・六億立米で国内最大、貯水池の広さは十三キロ平米と、長野県の諏訪湖を超えるという巨大なものです。これまでに総事業費二千五百四十億円の大半をつぎ込んでもまだ完成はされておりません。  近来、ダム建設については巨額の予算ゆえに談合や汚職疑惑が問題になってまいりました。昨年初め、長野県では第三者機関である公共工事入札等適正化委員会、ここで浅川ダムというダムについて談合と認定をし、これは工事の入札関係書類とともにしんぶん赤旗が報道したゼネコンの内部文書等を調べて検討をし、判定をされたということです。  そこで、私はこの徳山ダムについても山崎文書と国土交通省からいただきました資料をまとめました。皆さんのお手元に配付をされておりますのでごらんください。  まず、大臣に伺いたいんですけれども、この山崎建設の内部文書、一番目にありますね。徳山ダムの得意先と書かれていますが、事実上の落札見込み業者、ここに熊谷組、大成、大林とされていますね。  二枚目見ていただきますと、ダム本体工事の入札状況調書、これがありますね。二、三とずっとめくっていってください。ダム堤体建設一期工事を熊谷、大成、青木が百四十一億円で落札しています。ダム洪水吐きその他建設一期工事というのは大林、清水、大日本になっていますが、百三億円で落札。内部文書は正にその業者が的中しているわけです。その上、落札価格を予定価格で割った落札率、それが横に書いてありますが、それぞれ九六・三%と九七・〇%、非常に異常な高さだというふうに私思います。  この二つの資料に照らすならば、長野県が断定をされました予定価格の漏えいとか入札参加業者間の談合が疑われるのではないか。少なくとも私、これは大変異常だと思いますけれども大臣はどう思われるでしょうか。
  166. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 私、今この内部資料というものを初めて拝見させていただいたわけでございますので、これについてのコメントは、この資料が正確か、どんなものか分からないので差し控えさせていただきますけれども、その点につきましては、資源機構あるいは河川局等々に入札あるいは契約に関して何か問題があったのかという話を再三再四聞いておりますけれども、法令等に基づきまして適切に対処されると聞いております。  詳細につきましては、過去のことでございますので、政府参考人から経緯等々話させていただきたいと思います。
  167. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 疑惑が、私ども指摘しているんですから、私は調査をされるべきだというふうに思うんですね。  次に、公正取引委員会に伺いますけれども、談合の疑惑を持たざるを得ないというのはこの本体工事だけではありません。次、ずっとめくっていただきますと、関連工事も濃厚だと思うんですね。  私、これ、平成年度から平成十五年度の二月までの入札、三百五十九件ありました。これを全部調べてみたんですけれども、この資料をごらんください。何と全体の九割以上、三百三十三件が、これ九三%になるんですけれども、落札率が九〇%より高いという状況なんです。落札率九五%以上に絞ったとしても二百六十二件ということで、七割以上ですね。  そこで、公正取引委員会に伺いたいんですけれども、このように、一つの関連事業で数百件以上に上るこういう関連工事のほとんどが九〇%以上の高さの落札率で受注されている、こういうのは正常と言えるんでしょうか。私は、異常な事態であり、こういう事態がもしあるんでしたら調査されるべきだと思いますが、公正取引委員会はどうお思いでしょうか。
  168. 楢崎憲安

    政府参考人(楢崎憲安君) 配付された資料等見ましたけれども、落札率、過去の工事等、平成十三年、十四年度以降、大分少しずつ落札率の低いものが最近では多くなっているかなというふうな印象を持っております。それからまた、工事の中身につきましても様々な行為、道路舗装とか宿舎の建設とか様々な物件等がございまして、一律に徳山ダム関連工事ということで入札談合があったかどうかということについてこの資料だけで、また個別の案件につきましてそういったことをコメントするのは控えさせていただきたいというふうに思いますけれども一般論として申しまして、様々な情報が寄せられているということを踏まえまして、私どもとしても、幅広く情報収集し、かつ収集した情報を分析し、独占禁止法に違反する疑いのある具体的端緒に接した場合には、必要な調査を行い厳正に対処していくこととしているところでございます。
  169. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 今ごらんになったばかりなのでよく分からないかもしれませんが、平成十四年度、今日の決算のところですね、そこでは九割でないのもあるんですが、平成十五年度になるとまた九割、一番少ないところで八七・六%ですから、よく精査をしていただいて、調査をしていただきたいと思うんですね。  大臣、長野県の浅川ダムを談合と認定をした調査報告書、これ、私、大変興味深く読ませていただいたんですけれども、徳山ダムの事業についても指摘しているわけなんです。このゼネコン内部文書に記載された本命業者であった熊谷組とか大成が落札している、こういうことが書かれています。  長野県の公共工事入札等適正化委員会が、いわゆる山崎文書というふうに言われておりますけれども、これとか、あるいはほかのダム事業者で浅川ダムに入札参加した業者、この入札状況、また談合についての判例の数々を検討をして、談合が行われたという事実認定は十分に証明されるんだと、こういうふうに結論をしているわけです。  この浅川ダム本体工事の落札率というのは九六・三二%、徳山ダムの方は九六・二九%、さっき三というふうに言ったんですけれども、長野県の文書ではこういうふうになっていまして、徳山ダム本体についても、長野で判断されたように、入札以前に本命業者がゼネコン内部文書で記載をされていて、関連工事の落札率も七割以上が九五%以上、とても業者間に競争が成立しているとは言えない状況がありますよね。これは浅川ダムと同じような状況なんですけれども、ですから談合の可能性が濃厚だと私は思うわけなんです。  だから、きちんと調査をして、その結果をこの当委員会にも報告をされる、こういうことが必要だというふうに思うので、それを是非お願いしたいというふうに思います。  次の質問なんですけれども大臣、この問題だけじゃないんです。一番最後のページをまた見てください。徳山ダムについて更に重要な、資料の一番最後ですね、問題があります。それは、受注企業による政治家への政治献金なんです。  これ、最後なんですけれども、これは私が調べた範囲だけですので全員だということは申せません。しかし、私が調べた範囲だけでも、徳山ダム本体工事及び関連工事の受注業者から自民党の有力政治家に巨額の献金が行われています、そうでない党の方もあるんですが。こうした事態は、正に政官業の癒着による無駄な大型公共事業推進の土壌をうかがわせるものだと私は思うわけなんです。  国交省は、過去、公共事業の受注企業が政治献金を行うことについては好ましくないという通達も出されているんですけれども、やっぱりこういうのはきちんと調査して指導すべきではないでしょうか。大臣に、大臣に聞いていますので。
  170. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) まず、簡潔に事実関係だけ申し上げます。  まず、今回配付されました山崎建設内部文書でございますけれども平成十三年九月十三日に国土交通省にて山崎建設から事情聴取をいたしまして、山崎建設は、会社として報道のあったような文書は作成していないと明言しております。また、この旨、平成十五年二月二十六日の衆議院国土交通委員会において瀬古由起子議員の御質問等にも答弁しているところでございます。  また、その後ろに何年か分の個別工事を出しておられますが、幾つかの談合情報が寄せられているものもございますが、その都度、水資源機構は、談合情報対応マニュアルに基づいて、公正入札調査委員会の開催、公正取引委員会への通報、入札参加者に対する事情聴取等の対応を適切に行っているところでございます。
  171. 八田ひろ子

    八田ひろ子君 もう時間がないので通告しているこの質問ができなくて残念なんですけれども、やっぱりこういう疑惑は、国民に疑惑を持たれないという態度をしっかりと示して、調査いただきたい。  それから、利水の問題でもこのダムは非常に問題で、今水利権の返上が岐阜県からも愛知県からも名古屋からも表明されて、当初の計画が毎秒十五トンだったのに、今は需要予測を合計しただけでも六・六トンなんです。実態は水余りなのにダムの本体工事がまだ三五%程度という、今の段階で四割もの増額変更。当初二千四百五十億円だったのが三千五百億円にしたいと。ところが、岐阜県民や愛知県民や名古屋市民にはその是非について意見を表明する機会も与えられていません。  だから、今木曽川水系のフルプランの見直しが行われていますけれども、私はこういうダムをきちんとやめさせる、凍結をして調べて、そして中止をすると、こういうことを強く求めて、時間が参りましたので質問を終わります。
  172. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  今日は道路特会についてお伺いをしてまいります。  道路特別会計は、平成十四年決算額、資料をお配りしておりますが、四兆八千四百八十九億円で、近年ちょっと減少傾向にありますけれども、保険や年金を除く事業会計では最も大きな会計であります。問題にされてきた道路特定財源が囲い込みにされている、こんな格好ですが、私はこれも去年問題になりました離れですき焼きの典型だと思いますが、今日は少し地方分権の観点から幾つか国交省にお尋ねをしてみたいと思います。  二〇〇三年度に地方へ九百三十億円を税源移譲したというふうにされているわけですが、しかし、移譲といっても、直轄高速道路の地方負担導入の分に四百五十億円、市町村道路の補助金削減の穴埋めに四百五十億円ということであって、これでは地方の自由度は全く全然ないわけですね。また、大赤字の本州四国道路公団の穴埋めに回すのが二〇〇三年度だけで二千二百四十五億円、プラス出資金が八百億円、これは三分の一を地方に負担させる、こんなわけですね。  本四公団の救済のための今後の支出は国が一体幾らで、どの税源から出すのか。また、十一の自治体の負担が毎年幾らで、何年この後続く予定なのか、この点、まずお伺いしたいと思います。
  173. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 本四公団の債務処理のこれからの額についてのお尋ねでございました。  まず、本四公団の債務処理、債務総額全体の中で有利子債務一・三四兆円を切り離していただいて、そしてこれを一般会計で処理する、その財源は国の自動車重量税の一部を活用して行う、こういうことで十五年の通常国会でお決めいただいた、こういうことでございます。この場合、利払いを含めまして一・おおむね四七兆円ぐらいになるだろうと、平成十五年度から十九年度にかけて処理させていただく予定であります。これは、自動車重量税の一部を活用して処理させていただく、こういうことになります。  それから、これからの出資金等でございますが、国と地方で平成十五年度から三十四年度まで二十年間ということでお願いを申し上げるわけでございますが、毎年八百億円をお願いする。このうち国が三分の二でございますので、五百三十三億円、二十年分、こういうことになりますと、一兆六百六十七億円、こういうことになります。  したがいまして、十五年度以降、国の負担累計は、その両方を合わせますと約二・五兆円でございます。一方、地方自治体の方は、十五年度から三十四年度まで同じように八百億円の三分の一でございますので、毎年二百六十七億円、これが二十年でございますので、五千三百億円。そういう意味では、今後、十五年度以降ということでございますが、国が約二・五兆円、地方が五千三百億円、こういう負担の割合になっております。
  174. 又市征治

    ○又市征治君 いわゆる本四公団の赤字補てんに合計三兆四千七百ぐらいになりますか、ぐらいの負担になるわけですね。肩代わり分はもちろんだし、出資分の方も配当金が来るんじゃなくて全く後ろ向きの金ですよね。国は道路特会を使えるわけですが、地方にはそんな便利な隠し金がないわけですよ。一番多い兵庫県の例だと、今おっしゃったこれで当てはめますと毎年五十二億円を二十五年間ですか、出させられることになりますよね。国は、地方に何かこの分については何か補てんをするんですか。
  175. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) ただいまの兵庫県の例で申し上げますと、二十五年ではなくて、平成十五年度以降二十年間でございますので、五十二億円といたしますと、約、総額一千億円ぐらいになりましょうか、ということでございます。  ここで、地方に対して手当てができるのか、あるのかと、こういう御議論でございます。  そういう意味では、二つ申し上げたいと思うんですが、一つは、地方からの出資金につきましては、地方財政法におきまして、出資金の財源とする場合におきまして地方債をもってその財源とすることができると、こういう規定はございますので、取りあえず地方債で処理していただくと、こういうことも一つあろうかと思います。  それからもう一つは、特定財源全体の問題といたしまして、これはまあ個別に本四関係の公共団体のみに適用される問題ではもちろんないわけでございますが、道路事業全体の中で地方に必要になるその費用、これに充てるものとして特定財源、十例えば六年度で申し上げれば約二・二兆円、先ほど先生お話しの自動車重量税の実は十二分の一を十五年度から地方への譲与分を増やした、従来四分の一だったものを三分の一にしたと、こういうことでございますが、そういうことも全部含めて約二・二兆円の道路に充てるべき特定財源ということが県、市町村合わせて行っております。  このうち、大体十六年度で申し上げますと、二兆円弱が国の直轄事業の負担金、あるいは補助事業を行っておりますのでその補助事業の国費が逆に地方の負担金。そうすると、二・二兆と一・九五兆ぐらいでございますが、大体は二、三千億はトータルでは財源としては出てくる。トータルの問題でございますが。  それから、そういう意味では県道あるいは市町村道の整備や管理、これに対しましてはまた地方財政全体の中で総務省でいろいろケアをしていただいてはいるわけではございますが、いわゆる地方交付税を算定するに当たっての基準財政需要額というような形で手当てもされているということで、全体としての手当てという面では何とかやっていっていただけるような状況でないかなというふうに思っております。
  176. 又市征治

    ○又市征治君 それおかしいんで、地方債は自治体の借金ですよね。補てんとは言えぬわけでありまして、こういう赤字補てん見合いのリターンのない出資金というのは、これからの会計制度では認められないはずですよ。この点は大変に問題だという点ははっきり申し上げておきたいと思います。  次に、大臣にお伺いをいたしますけれども平成十四年度決算の揮発油税二兆一千三百億円余りのうち四分の一は、資料をお配りしたその中で道路特会への直入分が七千百億円余りですね。これは元々、昭和六十年のシーリング設定から逃れるために地方分を枠外に出したものなわけですが、つまり道路財源の肥大化に一役買ってきた、こういうふうに言わざるを得ません。  しかし、今もこの全額がそのまま地方道路の分として交付されているわけですから、国の会計とは完全にやっぱり切り離して経理を明確にできるはずだろうと思うんです。仮に、道路目的とする、このことを変えないとしても、やっぱり分権の観点からいえば、この収入、支出をセットで地方に移譲する、そして地方の自主的な事業決定にやっぱりゆだねるべきではないか、こう私は思いますが、この点についてどうか。そして、過渡的には地方が共同管理をする、例えば地方道路整備特会という名前でもするか、国とは別会計にするということがやっぱり求められるんじゃないのか。この点について、大臣の御見解はいかがでしょう。
  177. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 恐縮でございます。事業の内容的な部分もございますので、私の方から取りあえず一言御説明をさせていただきます。  先生御指摘の地方道路整備臨時交付金につきましては、地域の実情に応じまして生活に身近な道路を計画的に整備する、こういうことで始まったものでございます。この地方の自主性を高める、こういう観点からいろいろ工夫をしてまいったところでございまして、運用改善、こういう面でむしろ非常に通常の補助金とまた別の形での運用をしているということで、自主性が十分尊重されるといいますか、ということで大変好評をいただいているものと、こういうふうに考えております。  これは、基本的には国と地方が、これは別に法律で決めているわけではございませんが、国が五・五、地方が四・五、これを都道府県単位で設定して、個別事業ごとの国費の割合、これも自由に設定していいですよ、県が全体をまとめる上で必要な、市町村も含めての議論でございますから、必要な事業をどういう形でやるか、自由度はそこに、県の自主性ということに任されているものであります。  さらに、個別事業一件ごとに審査するんではなくて、複数の道路事業、これはこの事業を始めた当初からそうでございますが、複数の道路事業、例えば病院に行くアクセス道路を県道も市町村道もちゃんと改善しましょうというようなことであれば、そうした目的に応じて複数の道路事業をパッケージで一括して一緒にやる、こういうようなことでやってまいったわけでございますが、平成十六年度からはさらにこのパッケージについて、事後評価、成果で事後評価、こういうことで、一つ一つ事業は自由に地方で設定していただく、全体として十分な成果が上げられる、こういうことだけを大事な問題としてやっていっていただく、こういうことにしたところであります。  仮に、先生のように、先生御指摘のように、自由度的にと、こういうことになりました場合には、やはり道路整備のそういう緊急性、あるいはこのプロジェクトをどういうふうに支えるか、こういうような観点からではなくて、外形基準みたいな形で機械的に配分されるということになりますと、その効用について、特にやっぱり成果目標でどれだけ重要なものを緊急にやるか、この辺の十分な執行ということが十分できるかな、そんな問題もございますので、やはりこうした自主、自由度を高めながらやっていっていただく、これが大事な問題じゃないかと、こういうふうに考えております。
  178. 又市征治

    ○又市征治君 私が言っているのは、国の会計から切り離したらいいじゃないか、あなた、そこまでおっしゃるならと、こう申し上げているんですよ。  そこで次に、国交省の皆さんは、地方が道路事業を望んでいる、こういうふうに言われるわけですが、国直轄の道路事業を決めておいて地方から強制的に金を取っている、こういう仕組みになっていますよね、現実は。道路特会の歳入のうち、資料の上から五段目のところを見ていただきたいと思いますが、七千三百七十七億、一三・一%も地方から国は金を取っているわけです。過去五年間、毎年、さっきの交付金よりもやや多い額を吸い上げていると、こういう格好になっているわけです。  この国直轄事業地方負担金については、以前にも私指摘をしたんですが、この分権の観点からいえば、こんなものはやっぱり廃止すべきだ、あるいは百歩譲って、少なくとも当該自治体の意見をもっとしっかり聞いてやっていくということがないと、国が勝手に決めて、それで地方から金を吸い上げてしまう、こういうやり方になっているわけでしょう。  だから、分権を言い、地方の自由度を高めると言いながら、公共事業の補助金は切り、交付税も削る、こんな格好で、国全体としてはそうなっているわけですよ。その上、金を出せと言う、正に昔の幕府の御用金取っているみたいなこんな制度、まずこれはやっぱり廃止すべきではないか、こういうことなんですが、大臣、正に小泉改革の先頭を切ってあなた自身、改革の問題やっておいでになったんですが、ここら辺のところを聞いておられて、どういうふうにお考えですか。是非、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  179. 石原伸晃

    ○国務大臣(石原伸晃君) 詳細については参考人の方からお話をさせていただきますが、前段の揮発油税を切り離すというのは、やっぱりこれは税制の議論になってくるわけですね。国税として取っている中で、委員がおっしゃるように譲与税でその部分、七千億を地方に配分するとなりますと、これは外形標準でいかざるを得なくなると、東京に住んでいる人間のエゴとすればその方が増えますからいいって言いたいところでありますが、それは、やっぱり全国の緊急性あるいは必要性の道路事業というものをどこが客観的に見るのかという点で、私は問題があるのではないかと思っております。  そして、今、委員が御指摘のこの五段目に書いてある負担、直轄事業の負担金なんですけれども、この考え方は、やっぱり国直轄といっても、国が県に管理を任せている国道があるというように、やはりそこでその道路を利用することによって受益者たる公共団体がお金を負担していこうという考え方の基本があると思うんです。その制度を改めれば委員の言うことは可能かもしれませんけれども、やはり今の道路行政の中ではやはり応分の負担を受益者に取ってもらおうと、そういうことになっていると思います。  ただ、そうはいっても、今、委員がおっしゃられたように、ぼったくりみたいなことにならないようにどうするのかみたいな、自治体とこちらでいうと出先機関の連絡みたいなものは密にやって、ぼったくりじゃなくて本当に必要なものを緊急性にかんがみる、あるいは必要性にかんがみる、この選択と集中でありますが、そういうものは常々政府参考人の方にもそういうものをしっかりとやるようにというような指示は出させていただいております。
  180. 又市征治

    ○又市征治君 ちょっと前段の揮発油税の問題を、私は揮発油税のそれが全部地方へ持っていけと言っているんじゃなくて、地方分だというふうに分けているわけですから、したがって、これは会計切り離したらどうかと言っているんで、ちょっと見解が違いますが、時間がありませんから先に進みます。  次に、これも私は無駄遣いの一種だと思うんですが、道路特会、毎年繰越しが非常に大きいんですね。これは一番下の段を見ていただくと分かると思いますけれども、これ一兆三千二百四十三億円、これは支出済額一〇〇に対して二七・三ポイントにもなるわけです。それこそ、離れですき焼き論で言えば、母屋では肉が足りなくて困っているのに離れでは食い飽きた上に余った分を一生懸命冷凍室に隠しておるみたいなものでありまして、さきの当委員会の参考人聴取でも、財政審の特別会計の小委員長からこの点の批判がありまして、オーストラリアでは繰越分は次年度予算から削っている、こういうふうにお話がせんだってございました。  事業繰越しなんだからいいんだという論法というのは、この財政難の時代にやっぱり私は通用しないんだろうと思うんですよ。過度のやっぱり繰越しは制度としてやっぱり規制すべきじゃないか、こんなふうに思うんですが、この点については、今日は財務省もお見えですから、政務官ですか、あるいは大臣と、両方からちょっとお伺いをしたいと思います。
  181. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) 我が国の極めて厳しい財政事情の下で財政規律の重要性の御指摘、十分認識をいたしております。一方、予算執行の柔軟化の要請から、その性質上、次年度に繰り越される場合が想定される経費等については、予算の柔軟かつ効率的な執行を確保する観点から、繰越明許費として国会の議決を経て翌年度に使用できることが財政法上も規定をされておりまして、真に必要な場合に活用されているというふうに理解をしております。  道路整備特別会計におきましても、事業計画又は設計に関する諸条件、気象又は用地の取得あるいは補償処理等突発的な事情等も含め年度内に支出を完了することが期し難くなるということも事実でございまして、このような真に必要な場合に繰越制度を活用することによりまして、予算の柔軟かつ効率的な執行を図っているところであると理解しております。
  182. 又市征治

    ○又市征治君 簡単に。
  183. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 二点、申し上げたいと思います。  繰越しはできるだけ少ない方がいいと、御指摘のとおりだと思います。繰り越しております多くは明許でかつ契約をしておりまして、特に補正等があります場合には、一月、二月に補正が成立して、それを契約して、実際の支払が翌年度になる、こういう点がございますので、御容赦をいただきたいと思います。  できるだけは努力しようということで、少しでも年度内の執行が進むように努力してまいりたいと、一層努力してまいりたいと思っております。
  184. 又市征治

    ○又市征治君 ちょっと余りにも大き過ぎるんですよね。ここ五か年見てみましても、みんな二〇%以上の額に当たるわけですよ。それは複数年度にあることはだれだってもう承知していますよ。しかし、余りにも額が多過ぎる、そして毎年こうだということが問題だと思うんです。  せんだっての参考人をお呼びしての議論の中でもありましたけれども、私は、やっぱり道路特会及びその他の公共事業関係の特会は一般会計にやっぱり再統合して、透明性を高めて、本当にやっぱり無駄な支出をなくすべきだというふうにせんだっても主張してきたわけですが、仮に特定、これらの問題を、特定財源を認めて、それを生かすのであればもう少し自動車の弊害を軽減するように、環境に優しい輸送手段や公共交通の分野へ使い道をやっぱりもっと拡大をしていくとか、こんなところにもっとやっぱり振り向けていくという、こういう努力が必要なんじゃないのか、こういう感じがいたします。  瀕死の状態の地方のバス路線の問題であるとか地方ローカル鉄道への助成であるとか、これら全部出しても、国はほんのわずかしか出していないわけですね。もっとこういうところにも目を向けて努力をいただくように、ちょっともう時間がなくなってしまいましたから、その点は要望として申し上げて、今日は終わりたいと思います。
  185. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  最後でございますが、最後までよろしくお願いしたいと思っております。  最初に、質問、一問だけですので、国土交通省の方に質問をさせていただきたいと思うんですが、これ私、日ごろ大変疑問に思っていることで、あるいはこの疑問、私だけかなというような気もするんですけれども、事例として道路に関することをお話ししたいと思うんですが、公共事業一般の物の考え方として公共事業の親分である省として御見解をいただけたらと、こう思っているわけでございますが。  実は、町を歩いていまして、よく道路を駐車場に使っているところがありますよね。それ皆さんよくごらんになると思うんですけれども、昔からだんだんだんだん増えてきた。増えてきておりますけれども、昔はある時間帯だけをその用に供するというような格好が多かったような気がするんですけれども、最近では二十四時間使うとか、大体駐車場みたいな格好で使っているような事例をよく見掛けるんです。さらに、私は一つ見て驚いたのは、対向二車線の道路を片側を駐車場にしまして、そこを一方通行の道にしているというような事例もあるんですよ。こういうのを見ますと、これは何のために造ったのかなというような感じがしてならないわけです。  それで、世の中変わってきますから、その交通量も少なくなる、いろいろ状況が変化するから、それに合わせて、今の現場におられる方々、この方々が工夫をされてそういうふうに有効に使われるという、その御努力は認めますよ。そういうことについては何の疑問も感じないんですが、どうも公共事業としてとらえたときに、こういう駐車場というのは一体何なのかなという疑問を持ってならない。  それで、それがどのぐらいあるものか、実は警察庁にお願いしてちょっと調べてもいただきました。したがって、交通局長、今日ちょっと来ていただきまして、別に特に質問を今準備しているわけじゃないんですけれども、作っていただいたということでちょっとお呼びしているんですけれども。  その表によりますと、全国でこれパーキングメーターとそれからパーキングチケット発給設備を有する駐車可能枠、これを合わせますと三万六千八百四十一枠あるんですね。そのうち東京都というのは、これ二万一千で大体五八・七%ぐらい。だから東京都が非常に多いというのは分かるんですが、この三万六千八百四十一枠、これが大体一つのパーキング可能枠というのがどのぐらいの道路面積を所有しているかというのを教えていただきましたら、五・九五平方メートルから十六・二五平方メートルという大変幅が広い。これを単純にこの基数に掛け算をしますと、少ない方が二十二万平米ですね。多い、大きい方の枠で計算しますと六十万平米と。これは、言うなれば、十メーター、単純に、こういう道路あるか分かりませんけれども、十メーターの幅の道路として計算すれば、二十二万平米ということは二万、二・二キロになりますか。失礼、失礼、十メーターですから二万二千メーターですね。二万二千メーターということは二十二キロですか。ごめんごめん、二十二キロですね。逆に、広い枠でいけば六十万平米なんですよね。  これだけの道路を造るには、やっぱりそれいろんなお金が掛かったと思うんですね。そういう点から見まして、もしこれを最初から駐車場という見通しを立てて造ったとすれば、この道路計画といいますか、これは都市計画と合わさっていたのかもしれませんけれども、そういうものの税金を使う部分というのがかなり減っているんじゃないかと。  したがって、こういう、そうすべきであったけれどもできなかったという事情は分かるんですけれども、こういうことをやっぱり、今の公共事業いろんな無駄があるというようなことを言われているときに、やっぱり一つの反省材料といいますか、そういうものとして考えるべきではないのかなというのが私のふだんの疑問なんですけれども、これについて御所見ございましたら、お答えを願います。
  186. 澤井英一

    政府参考人(澤井英一君) ただいまの御指摘の駐車の問題、パーキングメーターのことと理解いたしますが、短期的な需要にこたえるためにそういう対応警察、都道府県、都市計画担当部局等、協議の上でされているということでございます。  今、一般論というお話でございますので、私どもの方では、まず施設整備をするときにはできるだけ、ある意味では確実に起こる需要というのはいろんなものを考えて造らなければいけない、駐車需要も含めてでございますけれども、それはおっしゃるとおりだと思います。  話は違うんですけれども、例えば公園を造るときに、洪水が来たときにそれが遊水地になるように最初から設計をしておくとか、あるいは防災用の施設をふだんは公園で使うとか、話が更に飛びますけれども、下水道の処理場の上をふたをして公園を造る、公園にするとか、一定の資源を投入して、できるだけいろんな目的に使えるようにすべきときにはするという工夫は一方でしているつもりでございます。  ただ、その段階で想起できない需要というのはどうしてもあるものですから、そういうものについて最初から織り込むということはなかなか難しゅうございますので、だからといってかたくなに、これはこういう目的で造ったからこれだけだということではなくて、造ってから、皆さんにお使いいただいていく中でいろんな需要が出てきたというときには、いろんなツールを駆使いたしましてそういう状況の変化にできるだけ弾力的に対応すると。  河川や道路でいいますと、その方法の一つに占用許可というものをどういうふうにうまく使うかということもありましょうし、最近、地域再生の文脈の中でいろんなことを民間の方にやってもらう、そのために占用許可なんかもできるだけその地域の実情に精通した市町村の御意向を尊重してやっていく、イベントに使ったりとか。いろんな工夫もしなければいけないと思っていますし、また、状況の変化によって需要がずっと減ってきた、一方でそこに補助金が入っているため補助金適化法上のいろんな制約があってなかなか転用ができないというような場合にも、個々の需要をよく考えて、転用をした方がいいものについてはしていくというようなことの取組もしております。  繰り返しですが、計画段階でできるだけいろんな需要を見込むということと、見込めないものまで造る余裕はない中で、でき上がってから状況変化に弾力的に対応していくという二つのスタンスでこれからも取り組んでいきたいと思っております。
  187. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 あれですよ、その時々の需要に合わせてやるというのは、別に私は文句言っているわけじゃないんですよ。それはそうだろうと思うんですけれども、やはり、今のお話聞いていまして、いろんな需要におこたえするように造るといっても、道路と駐車場を同一として、同じとして造るという、そういう造り方は僕はないんじゃないかという感じがするんですよね。今の状況であれば、道路を造り駐車場を造ると。  これはちょっと、私自身確たるあれがございませんのでこれ以上言いませんけれども、やはり公共事業というのは、スパンの長いことは確かですけれども、常に反省する気持ちは持つべきじゃないかと。私も公共事業にかかわらなかった身ではないんですけれども、そういう反省を、是非とも公共事業の主管官庁といいますかそこで持っていただきたいと。これはこの辺で御要望だけに代えさせていただきます。  次に、環境大臣もお見えですので、環境問題についてちょっと質問をさせていただきます。  私、国会議員になるときも、いろんな面で環境が大事だということでいろいろ、環境を問題にしていろいろと皆さんとお話しした身なんですが、実際はこの国会で環境問題を取り上げるというのはこの決算委員会環境省のときぐらいしかないんで、私自身もじくじたる思いがあるんです。環境に対して何をやっているかといったら、分別した家のごみをごみ箱に運ぶぐらいの、そのぐらいのことしかやっていないんで、これは私自身もじくじたるものがあるんですけれども。  こうはいいましても、今環境問題というのは大変大きな問題であることは事実でありまして、昨年もそういう意味で禅問答みたいなことをやりましたけれども、やはり具体的に環境問題としてとらえて動き出さなきゃいかぬ。どうやって動き出していくかというのが今環境問題の一番大事な点じゃないかなというような気がするんです。  その中で一つ、やっぱり地球温暖化といいますか、京都COP3ですか、の京都議定書の批准問題等についてが一つの大きな具体的な流れだと思うんですけれども。最近あれですね、あれに対して、例えばあの議定書に対してアメリカは批准しないとか、あるいはどうもあの議定書のアプローチの仕方というのは本当に良かったのかなというような見方も一部にあるようで、それからまた、あれ五〇%の量、批准がないと、量の批准がないと発効しないというようなことも言われているわけですよね。それで、それが今まだそこまで行っていない。  まあ、それはいいんですけれども、あれ、一九九七年、それが今二〇〇四年ですよね。ああいうものが発効しないまま実はどんどんどんどん環境、いわゆる地球温暖化の問題が進んじゃっているんじゃないかという気持ちがあるんですよね。したがって、ここのところでひとつ一九九七年に戻って、戻ってというか、その時点のことをおさらいしておかなきゃいかぬということで、あの九七年の京都会議は何であったか、そしてそれが今どういうふうに、どういうような状況にあるか。これは詳しい方、大臣でも局長でも結構ですけれどもお答えください。
  188. 小島敏郎

    政府参考人(小島敏郎君) 一九九七年の十二月に京都会議で今の京都議定書が採択をされたわけでございます。  この会議に至るまでにいろんな政治的な主張がございまして、EUは先進国で一律マイナス一五%削減という野心的な目標を示しておりましたし、アメリカはプラス・マイナス・ゼロというようなことを言っておりました。日本は全体でマイナス五%という感触を持ち、日本自体は三つのガスを対象とするということで二・五%の削減というようなことを言っておりました。  日本、アメリカ、EU、それぞれの主張は随分懸け離れていたわけでございますけれども、最終的には、裁可された六、七、八のそれぞれのパーセント、あるいは対象ガスが当初政府が予定していた三つのガスからフロン等を入れた六つ、六ガスになったこと、それから吸収源が入ったこと、それから排出量取引なども入ったと、こういうようなことを全部パッケージにして議論をいたしまして、日本とアメリカとEUが率先して厳しい排出削減を受け入れると。これによって先進国全体でマイナス五%を超える数値にするということで、日本、アメリカ、EU以外の国に対しては、当時の議長であるエストラーダ議長、実質的な、プレナリーの議長でございましたけれども、この方々も日本と一緒になって説得をして、ほかの国もおおむね八%減というようなことを基本として各国別の削減数値が決まっていったものと承知をしております。  そういう意味では、当初いろんな主張がこの二週間の間に集約をされて、一つの合意に至ったというふうに記憶しております。
  189. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもそのようらしいんですね。  私は技術系統の人間ですから、やっぱり何か目標があるとすれば、確固たる見通しがあって、それに対してみんなどう協力しようかと、数字の上でやっていくのかと思ったら、必ずしもそうじゃないんですね。数字を持って、これ、例えばCO2がこれだけに、これだけにすると、これだけというか、マイナスはいいですよ、全世界の、どういう数値か分かりませんけれども、現状がこうだからそれをどのぐらいのレベルに持っていくと、濃度を、そういうようなものであるのかなと思ったら、必ずしもそうじゃない。それはそれでいいんですけれども、その辺が何か、だから京都議定書の一つの、まあ私、素人でこんなこと言っちゃ失礼かもしれませんけれども、一つのネックになっているのかなというような感じがするんです。  それで、それはさておきまして、今削減すると言われていましたけれども、実はこれ、環境省からいただいた資料なんですけれども、二〇〇一年の排出量ですね。要するに、これは日本はマイナス、要するに、一九九七年からだんだんマイナスに本来向かうべきものですよね。それが五・二%の増、アメリカが一三%、EUは全体でマイナス二%なんですね。だからこれは努力されている。それから、カナダなどに至っては一八%、一八・五%ですか。それからロシアは、これはやっぱり産業構造が変わったんでしょうか、三八%のマイナスと。これで、全体になってどうか分かりませんけれども、これ、全体としてやはり増加傾向にあると思うんですよね。  そういうときに、やっぱり京都会議を開いた日本としては、世界に対してかなり強い働き掛けが本来必要じゃないかと思うんですが、その辺は大臣、どうですか。その世界に対する働き掛けについて御所見を伺いたい。
  190. 小池百合子

    ○国務大臣小池百合子君) 先ほど京都議定書発効の要件としての排出量が五〇%を超えるという御指摘ございましたけれども、これ、五五%でございます。  いずれにいたしましても、ロシア又はアメリカの参加が見込めないとこの発効に至らないということで、ロシアそしてアメリカへの呼び掛けを直接、また総理からプーチン大統領に直接働き掛けをしていただくなどして、そういった積み重ねをありとあらゆる機会を通じまして行わさせていただいているという次第でございます。  それから、世界への働き掛けでございますけれども、昨年、私、参加いたしましたミラノでのCOP9、COP3からもう既にCOP9を数えるようになっているんですけれども、ここでコチェア、共同議長を務めさせていただきまして、議長サマリーを制作をするというその過程におきましても、各国への働き掛け、つまり未批准国から批准国へと、その呼び掛けを行わせていただいたわけでありますし、また、特に我が国、アジアに位置をしているわけでございますし、その観点から申し上げますと、これから排出量が増えていくであろう地域でございます。そういった意味で、途上国に対しても、地球温暖化アジア太平洋セミナーというのを、これは一九九〇年から毎年開いておりまして、そして、こういった途上国に対しても、様々な省エネであるとか代エネといったような温室効果ガスを減らすための技術移転、それから環境に必要な人材の育成ということなどで正にリーダーシップをこれまでも取らせてきていただいたと。その延長におきましても、私も、こういったアジアという地域的なもの、それから、環境問題は正に地球環境の問題でございますので、ありとあらゆる国々に対しまして、むしろ日本として、環境ということをテーマとした発信を続けてまいりたいと、このように考えている次第です。
  191. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 数字の御訂正、ありがとうございました。  時間ありませんけれども、ただ一つ、もう一つ、これ非常に科学的な論拠のある問題じゃないんですが、昨今、いろんなSARSとか鳥インフルエンザとか、予想もしなかったと言えるかどうか分かりませんけれども、いろんなものが出ているのが、これは地球温暖化の影響じゃないかというようなことを言う人もいるんですね。私もその根拠分かりません。その辺について、そういうものがそういう可能性もあるのか、環境省としてはどういう御所見を持っているのか、ちょっとお答えを願います。
  192. 小島敏郎

    政府参考人(小島敏郎君) 世界の科学者によって取りまとめられましたIPCCの報告書によりますと、温暖化によって従来熱帯地域における感染病と考えられておりましたマラリアあるいはデング熱というものの発生地域が拡大をするということが予測をされております。こういう疫病に限らず、温暖化は食料生産あるいは生態系、海面上昇、多岐にわたる影響をもたらします。  鳥インフルエンザやSARSと温暖化の影響の関係については現在のところ分かっていないというのが正確なところだろうと思いますが、一九九九年にニューヨークで西ナイル熱ウイルスというのがはやりましたが、これはその温度の急激な上昇によっていわゆる鳥と人間の間を媒介する蚊が急激に増殖をして、これが発生の一つの要因になっていると。つまり、媒介物である蚊の生息ということが言われております。  今回の鳥インフルエンザあるいはSARSということの影響は分かりませんけれども、との関係は分かりませんが、現在予測されていない未知の重大な影響がもたらされる可能性もあるということで、温暖化に伴ってどういう影響が生じるかという研究を進めるとともに、温室効果ガスの削減対策を早急に進めることが必要だと考えております。
  193. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 やはり一般の人には温暖化がどういうふうに怖いものかということを分かるスタイルで教えなきゃいかぬと思うんですね。そういう意味では、こういうウイルスが温暖化の影響かどうかということをしっかり調べるというのも一つの手だと思いますので、その点、こういうことをやるのは環境省しかないと思いますので、よろしく頑張っていただきたいと思います。  以上で終わります。
  194. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようでありますので、国土交通省環境省及び住宅金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二分散会