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2004-04-05 第159回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月五日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月二日     辞任         補欠選任      柳田  稔君     今泉  昭君      山下 栄一君     山本 香苗君  四月五日     辞任         補欠選任      今泉  昭君 ツルネン マルテイ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 岩井 國臣君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 小林美恵子君     委 員                 大野つや子君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 藤井 基之君                 今泉  昭君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 齋藤  勁君             ツルネン マルテイ君                 羽田雄一郎君                 広野ただし君                 和田ひろ子君                 木庭健太郎君                 遠山 清彦君                 山本 香苗君                 畑野 君枝君                 又市 征治君                 岩本 荘太君    国務大臣        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   河村 建夫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        内閣府副大臣   佐藤 剛男君        財務大臣    石井 啓一君         ─────        会計検査院長   森下 伸昭君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        事務局公務員制        度等改革推進室        長        春田  謙君        人事官      小澤 治文君        人事院事務総局        職員福祉局長   関戸 秀明君        内閣大臣官房        審議官      永松 荘一君        内閣府政策統括        官        尾見 博武君        総務省行政管理        局長       松田 隆利君        総務省行政評価        局長       田村 政志君        財務省主計局次        長        佐々木豊成君        財務省理財局長  牧野 治郎君        財務省理財局次        長        日野 康臣君        文部科学大臣官        房長       白川 哲久君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       萩原 久和君        文部科学省初等        中等教育局長   近藤 信司君        文部科学省高等        教育局長     遠藤純一郎君        文部科学省研究        振興局長     石川  明君        文部科学省研究        開発局長     坂田 東一君        厚生労働大臣官        房審議官     新島 良夫君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君        経済産業大臣官        房審議官     齋藤  浩君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      寺坂 信昭君        国土交通省航空        局次長      宿利 正史君    説明員        会計検査院事務        総局次長     重松 博之君        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君        会計検査院事務        総局第四局長   友寄 隆信君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四  年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十四年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)  (国会会計検査院財務省文部科学省、金  融庁国民生活金融公庫日本政策投資銀行及  び国際協力銀行の部)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二日、山下栄一君及び柳田稔君が委員辞任され、その補欠として山本香苗君及び今泉昭君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は、国会会計検査院財務省文部科学省金融庁国民生活金融公庫日本政策投資銀行及び国際協力銀行決算について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 松山政司

    松山政司君 自由民主党の松山政司でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  まず最初に、平成十四年度決算検査報告について質疑をさせていただきます。  当委員会では、国政調査決算審査の一環として、視察を行ったり、また参考人意見聴取質疑をこれまでに行ってまいりました。特に、決算審査在り方という先般開催された参考人意見を聞きますと、行政の方がはるかに大きなスタッフを抱えているのに対して議会の調査スタッフ大変少数であると、このようなことを勘案すると、内部統制に対して外部統制が牽制を図る、あるいは的確な、サポートで、監視をするといった点から、行政府に対抗するような調査機関あるいは補助機関が必要ではないかというような旨が述べられました。その位置付け検査院を挙げておられて、また加えて、国会検査院をもっと活用すべきであるとの意見がございました。私ももっともな意見だというふうに思います。  後ほどまたお伺いをしますけれども、既にこの会計検査院には私も早期報告提出ということで大変御努力をいただいておりますことに敬意を表すところでございますけれども、私も以前は中小企業に籍を置いておりましたので、このプラン・ドゥー・チェックというこの大きなキーワードは極めて大事で、特にこのチェックの部分は大変重要な部分であろうと思います。次のプラン・ドゥーにどうつなげるかという極めて重要な位置付けであろうかと思います。  そういう意味では、当委員会を始めこの参議院の機能、あるいは会計検査院位置付け、役割というものは同じように大変重要な機関だというふうに思うわけでありますが、本日は、次のステップにどう生かしていくかと、どういうふうに新しいシステムをバージョンアップさせて翌年また次々年度に反映をさせていくかという、発展的で前向きな御答弁お願いを冒頭に申し上げたいというふうに思います。  そういった観点で、まず最初に、平成十四年度決算検査報告概要とその特徴から会計検査院長の方にお聞きをしたいというふうに思います。
  5. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) ただいま平成十四年度決算検査報告をこの国会提出して御審議をいただいているわけでございます。その現物は千三百ページを超える大部なものでございますので、まず、取りあえず簡単にその概要を御説明させていただきたいと思います。  掲記いたしました事項の総件数は三百三十七件となっております。その内訳は、適切とは認められない事態を取り上げたものでございまして、通常、指摘事項と呼んでいるものが三百十九件、それから国民関心が高い問題などについて検査、分析した状況報告しております特定検査状況というものが十八件となっております。この特定検査状況の十八件という件数は、平成二年にこの形式での掲記を始めて以来最も多い件数となりました。  また、今申し上げました指摘事項について更にその内訳を申し上げますと、四つの態様がございます。まず第一に、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項というものがございまして、いわゆる不当事項と呼んでおります。これが二百七十二件ございます。それから二つ目に、意見を表示し又は処置を要求した事項というのが五件ございます。これは、会計検査院法三十四条あるいは三十六条の規定によりまして意見を表示しあるいは処置を要求した事項でございます。三番目には、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項、これはいわゆる処置済事項というふうに呼び習わしておるものでございますけれども、これが三十八件ございます。  この処置済事項と申しますのは、検査の過程におきまして、先ほど院法三十四条あるいは三十六条の規定に基づいて意見を述べたりあるいは要求したりするために、質問を発するなどして検討会計検査院で行っていましたところ、当局におきまして速やかにその改善処置あるいは意見に対応する処置が取られましたために、改善処置が講じられた事項という整理をしているものでございます。これは、この事項検査報告掲記いたしておりますのは、そのような指摘があったということを明らかにするとともに、他の各省庁におきましてもあるいは団体におきましても、これらの指摘参考になるのではないかと、いわゆる他山の石になる、そういった意味合いを込めまして掲記をしているものでございます。これが三十八件ございます。  それから四番目に、特に掲記を要すると認めた事項というものが四件ございます。いわゆる特記事項と呼んでおります。  この特記事項と申しますのは、事業効果を発現させたりあるいは事業運営改善させたりという見地から広く問題を提起いたしまして、その事態改善、進展などが図られるよう求めるものでございまして、これらが四件ございます。  そうしまして、これらに対します指摘金額というのをカウントしているわけでございますけれども、この指摘金額と申しますのは、今申し上げました三百十九件すべてでカウントできるわけではございませんで、そのうちカウントできないものもありますが、カウントできるものだけを合計をいたしますと、平成十四年度検査報告では約四百億円という金額になっております。この四百億円という金額は、過去二十年間の検査報告の中では最も大きい数字ということでございます。  以上が検査報告のごくごくの概要でございます。  それから、この平成十四年度決算検査報告特徴説明していただきたいということでございます。三つほど挙げさせていただきます。  まず第一に、会計検査院は、不正不当な事態に関する厳正な検査を行うという立場から、会計検査の基本であります正確性合規性検査、これに一層徹底して行うということに努めておりまして、決算の表示や基本的な会計事務執行につきまして不適正な事態を多数掲記しております。  具体的に幾つ事例を申し上げますと、国立大学附属病院におきまして事実と異なる会計事務処理を毎年度継続して行っていたという事態を取り上げておりますし、また、国立療養所におきまして虚偽の勤務実績によりまして給与を支払っていたという事態などを取り上げているところでございます。  二つ目特徴として挙げられますのは、厳しい財政現状などを背景といたしまして、行財政改革が強く求められております。会計検査院といたしましては、経済性効率性、さらには有効性観点から事務事業の業績を評価し、改革検討に資する検査に力を注いでいるところでございます。そのような検査を実施いたしました結果、財政資金有効活用を求めようとしたものや、特殊法人事業運営公共事業における経済性効率性有効性に関して多くの事項掲記いたしております。  これにつきましても幾つ事例を申し上げますと、財政資金有効活用に関しましては、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計におきまして多額剰余金が生じている状況、こういったことを取り上げております。また、公共事業につきましては、公共工事品質確保のための監督・検査体制の整備に関する事項を取り上げたりなどいたしております。  三つ目特徴といたしましては、少子高齢化あるいは情報通信技術推進、それから厳しい経済情勢など社会経済動向に対応して問題意識を持った検査を実施しております。これらに関連する事務事業につきまして多くの検査結果を掲記いたしております。  これらのまた一例を御紹介いたしますと、少子高齢化に関しましては、健康保険それから厚生年金保険保険料徴収不足多額に上っている事態を取り上げております。また、情報化につきましては、各省庁情報システム調達の契約に関しまして、その競争性についての問題を取り上げた事項がございます。それから、厳しい経済情勢に関しましては、中小企業総合事業団が行っております信用保険事業保険収支に関する事項、こういったものを取り上げたりしてきております。  会計検査院といたしましては、いろんな社会経済動向、それから会計検査院の与えられている使命、そういったものを十分認識をした上で検査を実施していきたいというふうに考えております。
  6. 松山政司

    松山政司君 ただいまお話にございました指摘件数の三百件を昨年に続いて超えているということ、加えて指摘金額は四百億円と、過去二十年で最高の額になっているということでありますけれども、この十四年度決算実施率は九・五%というふうに聞いておりますが、この額になるということは、検査をしていないところにも相当の指摘があってもおかしくないというふうにも思われるわけでありますけれども、このような指摘額になったその要因あるいは背景について検査院長にお聞きしたいと思います。
  7. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) 指摘金額平成十四年度決算検査報告では過去二十年のうちで最高になったということでございますけれども、会計検査院といたしましては、検査のテーマあるいは着眼点、それから検査勢力の配分ということにつきましては、社会経済情勢などに対応して毎年見直しをして検査を実施しております。したがいまして、検査報告掲記された指摘事項は毎年度異なった内容のものとなっておりまして、それに伴いまして指摘件数金額も変動するものでございます。したがいまして、金額件数というのに何らかの毎年の傾向があるというようなものではないと考えております。  平成十四年に指摘金額が多かったのは、結果として指摘額の大きい事案が多数あったということでございます。四十億円以上を超える指摘平成十四年度には三件ございました。一方、平成十三年度はそのようなものが一件しかなかったと、こういった状況でございます。  それから、検査実施率検査指摘金額との関係でございますが、検査実施率九・五%と申しますのは、分母は検査を要する箇所、三万一千か所と数えておりますが、その中には特定郵便局やJRの駅など非常に小さな経理単位も含んでおるものでございまして、これらを除きまして各省庁本省政府出資法人の本部といった大きな重要な箇所について見ますと、その検査施行率は四〇%を超える、こういったことになっております。とはいいましても、こういう重要な箇所でもすべて毎年実地検査をするということはできないわけでございますので、検査箇所の選定に当たりましては事前の調査検討を綿密に行って、実地検査に出掛けましても、そこでどのような検査をするかという着眼点を十分絞り込んで実施するように努めて、そして人員や時間の制約をできるだけカバーしようと努力しているところでございます。  また、検査をしない、実地検査に行けないところでも同じような事態があるのではないかということでございますが、それは確かにそのような面がございます。ただ、今のような施行率から申し上げますと、必ずしもこの施行率を基にした比例的な関係にあるというわけではございませんが、ただ、私どもが指摘をいたしますと、それらに対して再発防止のための処置が各省庁において取られます。各省庁はその指摘された箇所についてだけ処置を講ずるのではなくて、その省庁が所管している全体の箇所についての改善処置を取ります。そういった意味検査効果はそういうところにも及んでいくわけでございます。  そのようなことに留意しながら検査を進めているところでございます。
  8. 松山政司

    松山政司君 次に、今後の検査体制強化という視点からお伺いをさせていただきます。  昨年の当委員会では、決算早期提出、また検査院検査機能強化ということで要請をいたしております。総理も、検査院予算、定員については配慮したという答弁も行っておられます。  検査院におかれましても大変御努力をいただいているところだと思いますが、この検査密度を低下させることなく、どのように検査体制あるいはこの組織編成というものをやろうとしているのか、また既にやってこられたのかということを、決意のほどを含めて簡潔に説明お願い申し上げます。
  9. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) 会計検査院といたしましてもその検査の結果が予算編成に反映されるということを望んでおりまして、決算早期審査重要性について十分認識しているところでございます。したがいまして、平成十五年度決算以降早期提出するという取組につきまして、もう早速本年準備を始めているところでございます。  ただ、早期提出を図るためにはこれまでの検査サイクルの大幅な前倒しが必要となりますので、前倒しに伴いまして、例えば四月以降の本格的な検査実施期間が大幅に短縮されることにもなりますし、それから、本省検査というのが予算要求繁忙期に重なったりして従前のままの検査体制では検査効果的、効率的に行いにくい状況になっております。したがいまして、検査実施前倒しにつきまして受検庁の理解と協力を得るように努めているところでございます。  さらに、検査報告早期提出して、しかも十分な検査実績を確保するために、平成十六年度予算におきましては検査要員を四十名の純増ということにしていただきました。これによって検査体制充実強化が図られることというふうに考えております。  また、早期提出に適切に対応するとともに、行政改革動向国会要請等に適切かつ機動的に対応するために組織体制を整備しているところでございまして、やはり十六年度から、機動的な特別検査を担当する課へ専門調査官を配置いたしましたり、金融検査室あるいは経済協力検査室文部科学統括検査室を設置したりしているところでございます。  さらに、早期提出のためには、これらに加えまして、実地検査終了後の在庁して行います検査結果の取りまとめ業務にもより一層の工夫を凝らすことによって、決算早期提出が可能となるよう最大限努力してまいる所存でございます。
  10. 松山政司

    松山政司君 それでは次に、特定検査対象についての検査状況をお伺いします。  先ほどお話ございましたが、十八件と、特に国民関心の高い問題についての内容と、実施される調査でありますけれども、平成二年以来、これもう最高になっています。この検査にはかなりのマンパワーを取られるというふうに私も思いますが、ある意味では政策評価部分にもかなり関係するというふうに考えられます。  これはどのような目的でこの検査に力を入れているのか、また今後この検査状況在り方をどういうふうにされていかれるか、検討あるいは計画されている状況検査院長に御説明を求めます。
  11. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) ただいまお取り上げいただきました特定検査対象に関する検査状況といいますのは、国民が非常に高い関心を持っている問題などにつきまして会計検査院はどういう取組をしているのかという責任説明責任も果たさなければいけないということで、その検査活動状況を記述しているものでございます。  その内容といたしましては、主として国民関心の高い施策事務事業実施状況を多角的な側面から検査、分析したものとなっておりますが、具体的に例を取り上げますと、先ほども少し触れました、例えば石油エネルギー構造特別会計多額剰余金の問題でありますとか、それから各省庁における情報システム調達の問題でありますとか、それから中小企業総合事業団信用保険事業保険収支の問題であるとか、こういったものを取り上げておりますほかに、さらに例えば政府開発援助に関する事項でありますとか、それから国営諫早湾干拓事業などについても、この特定検査状況というところで取り上げているところでございます。  昨今、行財政執行に対する国民関心は一層高まっております。行財政現状に関する情報提供必要性はそれにつれてますます高まってきているわけでございまして、政府部内におかれましても政策評価等取組が行われており、会計検査院としても、政府外部から国の会計を監督する機関として、ただいまのように各種施策事務事業分析評価を行い、国会を始めとする各方面の政策立案議論に寄与する情報提供していきたいと考えておりますし、あるいはまた問題を提起したりすることによってまたいろいろ議論をしていただけることは大変重要なことであると考えて、検査に取り組んでいるところでございます。そのような取組がいろいろと実ってきたことが、近年、この特定検査対象に関する検査状況件数が増加している要因だというふうに考えております。  会計検査院といたしましても、今後とも行財政に関する情報提供問題提起を行う項目としてこの特定検査状況を積極的に活用してまいりたいというふうに考えております。
  12. 松山政司

    松山政司君 今、説明いただきました特定検査対象でありますが、この検査状況の中に政策評価に踏み込んだ検査を行っているもの、特に法人税関係租税特別措置法実施状況でありますけれども、これについての概要検査院長の方から御説明お願い申し上げます。
  13. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) 平成十四年度決算検査報告特定検査状況として法人税関係租税特別措置法実施状況を取り上げたところでございます。これを取り上げた問題意識といたしましては、我が国の経済の長期にわたる低迷が続いてきております中、民間経済を活性化するための取組としての税制改革に期待が寄せられている一方で、国税収入の落ち込みによる国の財政への影響もまた懸念されているということでございます。このような現状認識から、法人税に関する措置法の各条文の適用状況及び経済産業省における政策の検証の状況について検査をしたわけでございます。  その検査の結果でございますが、まず措置法の適用という面から、法人税に関する措置法の各条文の適用状況を調べてみましたところ、件数金額で多く適用されている条文は、中小企業等を対象としたものなどに多く見受けられました。一方で、条文によっては適用の少ないものも見受けられるという状況でございました。それから、どのような企業がこの条文を適用しているかという別の面から見てみますと、景気が長く低迷していることによりまして利益計上法人の割合が低下しているということがございまして、措置法の適用を受けておりますのは主に利益計上法人でありました。  このような状況認識を踏まえまして、会計検査院は、所見として、このような特別措置は、経済財政状況等を含めた総合的な政策判断の下で決定されるものであるが、今後とも、措置法の適用状況の把握に努めていくことが望まれるといたしております。  次に、もう一点の報告内容でございますが、経済産業省におけるこの措置法に関連する取組について検討いたしました。  経済産業省においては、税制改正に際して、制度の拡充、延長等を必要とする理由などを明示したり、企業の景況等に関する公表資料やアンケート調査に基づいて特別措置の利用状況を把握して、政策効果を分析するなどしたりして特別措置の検証を行っているという状況が見受けられました。また、平成十四年四月から政策評価基本計画に沿ってこの特別措置について政策評価を実施しているということでございます。  会計検査院としては、これにつきまして、所見として、今後もこれらの検証についてより一層内容を充実することにより、施策の実効性を高めていくことが望まれるとしたものでございます。
  14. 松山政司

    松山政司君 ただいまの説明にありましたが、検査院の方からは、法人税に関する措置法の適用状況の把握に努めることが望まれるというふうにし、また経済産業省においては、政策の検証の状況についても、より一層内容の充実をすることによって、施策の実効性を高めていくことが望まれるというふうにしています。  この記述や検査院の所見に関連して、両省はどのような対応をしているか、財務省経済産業省、それぞれにお伺いをさせていただきます。
  15. 齋藤浩

    政府参考人齋藤浩君) 経済産業省の対応の状況について御説明申し上げます。  三つの段階に応じまして、私どもは租税特別措置に関する政策の効果の評価を行っております。第一段階が、要望書を提出する前、省内の手続でございます。利用状況あるいは政策的な必要性、政策効果を十分省内で検証した上で、要望を出すかどうかを決めております。第二段階、要望書を財務省提出する際には、形式的な要件いろいろ指定されておりますが、私どもとしてできるだけ具体的なものとするように努めて要望をいたしております。第三段階としまして、そのフォローアップといたしまして、政策評価をいたしております。これは税制措置だけではなくて、それを含みます政策を、予算あるいはそのほかの財政投融資なども含めた政策というくくりでやっております。その際にできるだけ充実せよということでございます。  私ども、産業を幅広く所管をさせていただいている立場から、アンケート等によりましてできるだけ企業の方々の実態を把握する、それから技術開発など専門的な分野もございますので、その際にはできるだけ外部の専門家の御意見などもお伺いするということで対応いたしております。  十四年度検査院指摘以降、十五年、十六年度と、既に租税特別措置に関する実績を積み重ねております。具体的には、十五年度、十六年度におきましても、所要の見直しをいたしまして新しいものを作りました租税特別措置もございます。また、廃止をするということで縮減をしました租税特別措置もたくさんございます。  かような形で御指摘をいただいた内容の充実については十分おこたえできるような運用をいたしておると考えておりますが、さらに政策評価につきましては手法を磨くなどによりまして精度を高める、あるいは世の中の方々に御理解がいただけるような政策評価書の提出をできるように努めてまいる所存でございます。
  16. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 法人税に関する措置法の適用状況の把握に努めることが望まれるという検査院の所見でございますけれども、そもそも租税特別措置は、特定の政策目的を達成するという立場から、公平、中立、簡素という租税原則の例外措置として講じているものでございますので、常にその目的や効果、あるいは手段としての適正性を十分に吟味をしまして、整理合理化を行っていく必要があるというふうに私どもも考えております。  したがって、その前提といたしまして、従来より関係省庁に対しまして毎年度、租税特別措置の利用状況調査票の提出をしていただきまして、実際にどれだけ利用していただけるのか、あるいは利用の見込みがあるのかと、こういう調査をさせていただいております。また、税制改正要望書、これを提出をいただいているわけでありますけれども、その様式を見直しをいたしまして、その記載内容を充実させることによりまして租税特別措置の適用状況の把握に努めているところでございます。  今回の検査院の所見も踏まえまして、今後とも必要に応じまして税制改正要望書の記載内容改善を図るなどによりまして、関係省庁協力を得つつ、適用状況の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。
  17. 松山政司

    松山政司君 ありがとうございました。  最後に、会計検査院長に一点お伺いしますが、ここまで決算検査報告の一端をお伺いしてきましたけれども、有効性検査合規性検査は確かに車の両輪の関係にあるというふうに思います。今回の検査では指摘金額は四百億と、大変、検査率も九・五%の話ですから、検査院だけで到底全部カバーし切れるものではないというふうにも思います。  そこで、各省庁の内部監査の整備強化が重要視されると思いますが、十三年度決算報告検査報告の中でも、国の機関が内部監査として実施する会計監査の状況についてというものが掲載をされています。その内容について簡潔に御説明をいただきたいというふうに思います。  また、今後とも会計監査機構との連携を図っていくという記述がありますけれども、どのような連携を図っていくのか、併せて簡潔に御説明お願いしたいと思います。
  18. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) 内部監査といいますのは、各府省におきまして、国民から信託された予算を適正に執行していくための内部統制手段の一つであるというものでございます。内閣から独立した財政監督機関が行う会計検査とは立場や性格が異なってはおりますけれども、適正かつ効率的な予算執行を期するという面では共通しているものがあるというふうに考えられるところでございます。  先生御意見のように、会計検査院の限られた陣容で検査対象のすべての会計経理を悉皆的に検査できるわけではないことを考えますと、会計経理の適正化のために、我が会計検査院による外部チェックのほかに、各省庁との内部監査ができるだけ充実して行われることが重要であり、そういう意味で両者は相互補完の関係にありますし、車の両輪とも言えるものではないかというふうに考えております。  このような問題意識から、平成十三年度決算検査報告におきまして、各省庁における会計監査の状況、その実施体制について検査をしたところでございます。  その検査の結果といたしまして、省庁の内部部局に設置されております会計監査機構におきましては独立性をしっかり保持しているものは少なくて、大半は監査対象である会計担当課内の組織会計監査業務を兼務しているといいますか、そういった状況になっておりました。  このような状況改善することが必要であると考えられますが、そのためには、会計監査の客観性、公正性を確保するということから、まず監査計画を策定することが必要であろうと、そしてその策定権者は組織の長であることが望ましい。それから、監査マニュアルをやはり整備して、それによって監査を行う、それから監査をした結果、監査報告を作成してそれを監査計画策定権者へ報告したりする、こういった方策を取ることが望ましいということを検査報告で述べたわけでございます。そのようなことを実施に移されて、監査の実施面での客観性を確保して監査実施体制の拡充を図ることを望んでいるということでございます。  それから、会計検査院とそういう内部監査機関との連携につきましては、従来から、そのような重要性にかんがみましてその連携を図ることを重視してきております。  各省庁等の内部監査体制、その活動状況等につきましては、会計検査院では、毎年書面による報告を求めるなどいたしまして情報収集に努めて、その結果を検査計画の策定や検査の実施に役立てるということにいたしております。  それから、各省庁等の内部監査機能の充実向上を支援するために、内部監査の担当職員を対象とした研修会を会計検査院で開催をしたり、各省庁等が開催する各種の研修会に会計検査院の職員を講師として派遣をいたしましたり、各省庁等の会計課長、監査課長あるいは出資法人の監事、監査役の方々に対しまして決算検査報告説明会を開催したり、あるいはさらに公会計監査フォーラムという形で内部監査の担当者やあるいは公会計監査に関与する様々な機関関係者の方にお集まりいただいて、意見情報の交換を行うなどの努力も積み重ねているところでございます。  今後とも、内部監査との一層緊密な連携を図るように努力してまいりたいというように考えております。
  19. 松山政司

    松山政司君 次に、文部科学省にHⅡAロケットについてお伺いをさせていただきます。  情報収集衛星二基を搭載したHⅡAロケット六号機、昨年の十一月二十九日十三時三十三分、種子島宇宙センターから打ち上げられましたが、およそ二分後に分離するはずの固体ロケットブースターの分離に失敗、爆発せざるを得ない事態となり、およそ十一分後に指令破壊信号を送信したとのことであります。先般、先週の三月三十一日の決算委員会の中で宇宙開発委員会の井口委員長より原因究明の中間的な状況をお聞きをいたしました。  まず、端的に、今回の打ち上げ失敗によって、この衛星二基を含めました全体の損失額についてお伺いしたいと思います。
  20. 坂田東一

    政府参考人(坂田東一君) 昨年十一月のHⅡAロケット六号機によります情報収集衛星二号機の開発、打ち上げに要する経費でございますけれども、まず予算額といたしましては、衛星システムの開発に約五百十八億円、ロケットの開発、打ち上げ及び打ち上げにかかわります附帯経費に約百十五億円、合計約六百三十三億円が計上されております。ただ、実際の契約金額は少し違っておりまして、衛星システムの開発は約五百十八億円でございますけれども、ロケットの開発、打ち上げ等にかかわります経費は約百十一億円でございまして、合計約六百二十九億円となっております。  先生がお尋ねの損失額ということに関しましては、打ち上げをいたしました後も地上には今後も使用ができます専用治工具なども残っておりますので、こういったものの金額を控除して計算する必要があるということでございますとか、また、ただいま申し上げました委託契約の精算がまだちょっと確定しておりません、完了しておりませんので、そういう意味では現時点におきまして正確な損失額はまだ決まっていないという状況でございます。
  21. 松山政司

    松山政司君 今回のトラブルにつきましては、開発時においても同様の問題が生じていたというような報道もありました。そのときに抜本的な改良を加えておけば避けられるべきものであったのではないかというような報道もありました。限られた予算の中で確かにコスト削減に努めることも大変重要でありますが、そのことで最も重視されるべき信頼性の確保がおろそかになっていくとしたら本末転倒であるというふうに言えます。  事実、今回の失敗で、今説明がありましたように、巨額の損失が発生したのも事実でありますし、たった一回の失敗でコスト削減の努力も水泡に帰したというふうに言わざるを得ないわけですが、今回の問題については文部科学省の宇宙開発委員会においてもその存在に気付いていたという指摘も、そういう報道もございました。宇宙航空研究開発機構だけに限らずに、文部科学省責任も重いというふうに考えます。  さらに、今回は情報収集衛星を搭載していたわけで、その失敗の影響は、我が国の宇宙開発の遅れだけのみならず、極めて大事な危機管理あるいは安全保障上の問題にも影響を及ぼしております。是非とも、自分の国からロケットが打ち上げられるという意味では、ロケットの開発は私たちの子供たちの大変大きな夢にもつながってもおりますし、是非、このような失敗が繰り返されないように、万全の原因究明はもちろん、我が国の宇宙開発の将来を見据えてしっかりとした責任ある体制を築いていくことが大事だというふうに思います。  そこで、文部科学大臣の御認識と再発防止に向けた取組について、是非前向きな、明快なお答えをお願い申し上げたいというふうに思います。
  22. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 松山委員指摘のとおり、残念ながらロケット六号、失敗をいたしまして、再びこういうことのないようにということで、これからの対策、今、最後の詰めをやっているところでございますが、まず一点は、技術的な観点から直接的な原因究明、これを徹底しなきゃいかぬ、そして対策を講じなきゃいかぬという点であります。そして、ロケット全体の総点検をやるという、再点検をやるということ。それから三番目としては、設計、製造の責任体制を見直そうということでございます。技術的な面だけではなくて、体制的な面からもHⅡAロケットの信頼性向上に向けた万全の対策を講じなきゃならぬと、こう思っておるところでございます。  技術的な観点から申し上げますと、直接的な原因究明については宇宙開発委員会調査部会において審議を行っておるところでございまして、今後、原因究明を踏まえて、対策の方向性に従って、不具合の発生した個体ロケットのブースターノズルの部分の設計見直しを行うという方向が打ち出されております。確認試験等を行いました後、再発防止対策を確立してまいりたいと、このように考えておるところであります。  さらに、御指摘がございました万全の体制の中には、今後の責任体制の在り方、これが非常に大事でございます。宇宙開発委員会におきましては、設計、製造、経営等の幅広い分野の有識者を構成員といたしました特別会合を置きまして、今回の失敗の背景にあるメーカーを含めた宇宙開発研究開発機構、JAXAの業務の進め方、そしてその体制について調査審議を行っているところでございます。  この結果を踏まえながら、より信頼性の高い宇宙開発が進められますように、しっかりとした責任体制を構築して、宇宙開発の信頼回復に全力を尽くしたいと、このように考えておるところであります。
  23. 松山政司

    松山政司君 次にもう一点、昨年の十月に統合されました宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所、宇宙開発事業団、この三機関が統合されたわけでございますけれども、これについてのメリット、そして今後の宇宙開発の在り方について御所見を求めます。
  24. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 宇宙開発研究開発機構、JAXAでありますが、この宇宙三機関の統合によりまして、基礎的な科学研究から実用的な研究開発までを一貫して行う組織にすることができ、これによって、これまで宇宙三機関が培ってまいりました能力あるいは経験、更に特徴を有機的かつ効果的に生かして宇宙開発プロジェクト、これが推進できるようになる、このような期待を持ちまして発足をさせたものでございます。  具体的な効果といたしましては、第一点は、プロジェクトの実施に当たりましては、基礎研究から開発段階までの幅広い人材を有するために、横断的に多様かつ強力なチーム編成が可能になってきております。  第二点としては、発射場や試験設備、施設を一元的に管理運営ができる、同時に、設備の整理合理化も行うことができまして、効率的な運営体制が構築できるという点がございます。  第三点としては、それぞれの機関が持っておりました大学、産業界とのネットワーク、これを合わせることによりまして、我が国全体にわたっての幅広い人材や能力の活用が可能になってくると、こういう点がございます。  残念ながら、JAXAができまして、発足直後に打ち上げを失敗いたしましたし、人工衛星のトラブルも発生をいたしておりまして、これは非常に残念、遺憾でございまして、このことは本当に重く受け止めております。  そして、この失敗によって得られる貴重な教訓、これを、技術的な対策を講じることはもちろんでありますが、JAXA全体として体制面それから運営面を含めて総合的にこれを生かしていかなきゃならぬと思っておりまして、この統合のメリットを十分に発揮しながら、我が国の宇宙開発の大宗を担うJAXAを中核といたしまして、国民の信頼にこたえて、子供たちにも夢を与えることができるような宇宙開発を更に推進してまいる所存であります。
  25. 松山政司

    松山政司君 大いに期待をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、財務省にお伺いをさせていただきます。  税収見積りの精度向上についてでございますが、この問題につきましては、先般、二月二十七日の本会議で当委員会委員でもあります南野先生が取り上げられました。  バブル崩壊後の度重なる税収の過大見積りは看過し得ないものがあるというふうに思います。特に、平成四年、五年、九年、十三年と四回にわたって歳入欠陥が生じていることは戦後財政における異常事態でもあります。九年秋の金融不安、十三年の同時多発テロ等々、不測の事態があったとはいえ、このような歳入欠陥が発生していることについてどのように受け止めておられるか、大臣の御所見を求めたいと思います。
  26. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) どれだけ税収をいただけるかというのは財務省にとって大事でございますので、これは非常に力を入れてやっているわけでございますが、具体的にはその見積りの時点での実績であるとか、あるいは政府経済見通しというようなものを基礎として詰めていくわけでございますが、委員指摘のように今までそれが、見通しを誤ったことが何度かございまして、平成五年のときにはいわゆる円高で景気回復が遅れたというようなことがあったと思いますし、平成九年のときにはいわゆる金融危機、金融機関の破綻であるとか、あるいはアジア経済危機というものが背後にあったことは委員の御指摘のとおりでございますけれども、これはこういうことであってはかなわぬと、こういうことで、大法人に対する聞き取り調査を拡充するとか、それから土地取引に関するヒアリングを実施するとか、あるいは民間調査機関からのヒアリングを行うというようなことを、その時点、平成五年、九年の失敗を、見積りの失敗を踏まえましてやったわけでございます。  しかし、平成十三年度におきましても、これは今、委員がおっしゃいましたように同時多発テロのような問題が背景にあったわけでございますが、こういうことで歳入不足というようなものが生じました。そこで、先ほど申しました法人企業に対する聞き取り調査についても一千社を超える企業を対象といたしましたほか、民間調査機関からのヒアリングにつきましても、対象機関、それまで五機関あったのを十三機関にするといったような充実策を実施に移してきたところでございます。  この税収の見積りは、いろんな経済情勢の変化などによりまして必ずしもパーフェクトな精度を求むるわけにはなかなかいかないわけでありますけれども、結局、どう予算を組みどう政策を打っていくかの基礎でございますので、今後とも精度を上げるような工夫は、これはもう全力を挙げてやっていかなければいけないと思っております。
  27. 松山政司

    松山政司君 時間の関係で最後の質問にさせていただきたいと思います。  これに関連しまして、財務大臣、そして経済財政政策担当大臣にお伺いをいたします。中長期的な税収の推計についてであります。  十四年一月の「改革と展望」の参考資料によりますと、十四年度、十五年度の名目経済成長率をそれぞれマイナス〇・九%、プラスの〇・六%と仮定をして、税収については十四年度予算税収である四十六・八兆円を基礎として、十五年度四十六・四兆円、十六年度四十七・六兆円という見通しを立てておられました。  しかし、その後の実際の税収の推移を見ますと、先ほどの同時多発テロ等の影響で十三年度税収の減少や、税制改正の影響等で、十四年度決算が四十三・八兆円、十五年度予算で四十一・八兆円、十六年度予算で四十一・七兆円と減少傾向にあります。  確かに、推計を行った後の経済社会の変動で見通すことは不可能な面も多々あろうかと思いますけれども、今後、我が国財政の健全化への道筋を示すためにも、内閣府と財務省がしっかりと連携をして、一定の経済見通しを前提として、税収の中長期的な、中期的な推計について責任ある統一した予測を公表するとともに、実績と乖離が生じた場合にはしっかり原因を分析をして、毎年度の改定を加えながら最終的な予測モデルの改善につなげていくべきだというふうに思います。  この点について最後に財務大臣経済財政政策担当大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  28. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、委員指摘のとおり、財務省とそれから内閣府、二つの試算といいますか見通しがあるわけでございますけれども、これは内閣府とも、私どもの積算根拠、推測、予測というものとも十分意見を交換し合って、両方で精度を高め合っていくということが今後考えられなければならないことだと思っております。  それで、この二つの資料が出てくるのはどういうことだということは今年度予算審議でも随分御議論をいただいたところでございまして、二つの関係をどうしていくのかよく検討せよというような御議論もいただきまして、今、我々も取り組んでいるわけでございますけれども、この二つの試算というのは、それぞれ背景といいますか、またねらいとするところも違っておりますし、それぞれ立場によって、何というんでしょうか、メリット、デメリットというものがあるんだろうと思います。  したがって、すぐ、全部これ、取っ払われる、一本化できるかどうかというのはすぐには答えが出ないわけでございますけれども、それぞれの目的を踏まえて、どうするかということは我々の内部でちょっと議論を詰めてみたいと思っております。
  29. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 松山委員指摘の二つの点、内閣府と財務省が税収見通しに関して情報交換を含めてしっかり協力せよという点、それと、誤差が生じた場合はそれを逐次しっかりと改定して精度を高めよという点、この二点はもう誠にごもっともなことだと思っております。そうした心掛けで我々も日々やっているつもりでございます。  財務省との協力に関しては、これは足下の、今年度、来年度の見通しまでは、これは、財務省とこれは全く数字は一緒でございまして、情報交換をしてしっかりやっている。その先の二つの試算につきまして、財務大臣がおっしゃったとおりなんでございますが、重要な点は、中長期的な観点からの手法が違っているという点もこれは重要だと思っております。財務省の方はGDPに対する税収の弾性値を想定する、内閣府の方はいわゆるモデルの関数でございますので、こういう手法をあえて二つを重ねて、それで更に協議をして必要な改定をして精度を高めていく、こういった努力は是非とも引き続き続けたいと思っております。  さらに、財務大臣おっしゃいましたように、そもそもこの二つのものをどのようにしていくかというそもそも論につきましても、是非協力して議論を重ねたいというふうに考えております。
  30. 松山政司

    松山政司君 終わります。
  31. 後藤博子

    ○後藤博子君 松山先生に続きまして、自民党の後藤博子でございます。  今日は、このような質問のチャンスをいただきまして本当にありがとうございます。各大臣、副大臣、それと関係の皆様、お疲れさまでございます。私も、もう本当に地元の往復が多くて、なかなか質問に対して時間が取れなかったなと今反省しながら質問をさせていただきます。  桜の花も私は三回目になりました。なかなか見ることができなくて、かいま見ながら、ああ桜の花はたまにはゆっくり見たいなという気持ちがしております。  それでは、早速でございますが、金融機関への公的資金の投入と今後の見通しについてお伺いをさせていただきます。  最近は、不良債権処理が峠を越えたとの報道が聞こえてきました。これは大変喜ばしいことと思っております。早速でございますが、これまで金融機関へ投入した公的資金について費用対効果観点からお伺いをいたします。  預金保険機構による平成年度から十四年度までの主な資金援助は、金銭贈与が十八・六兆円、破綻金融機関からの資金の買取りが六・四兆円、資本増強が十・四兆円となっております。  このうち、破綻処理におけるペイオフコストを超える資金援助のために手当てされた十三兆円の交付国債の使用累計額十・四兆円は、現在、現段階で国民負担として確定しているなど、そのコストは多大なものでありました。  そこで、お伺いいたします。  累次にわたる公的資金投入の効果と残された問題について、政府の総括的な所見を伺わせください。よろしくお願いいたします。
  32. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どなたへの質問でしょう。
  33. 後藤博子

    ○後藤博子君 済みません。金融大臣、よろしくお願いいたします。
  34. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 後藤委員指摘のとおり、金融、預金保険機構によります主な資金援助等は、金銭贈与が十八・六兆円、資産買取りが六・四兆円、資本増強が十二・四兆円でございまして、そのうちの交付国債使用額十・四兆円が確定しているということでございます。  その効果と残された課題についてというお尋ねでございますけれども、これまでのいろんな局面でいろんな公的資金の投入があったわけでございますけれども、これらを通じて預金者を保護するということがまず第一、それと結果的に金融システムの安定化が図られた、その結果として内外の信頼の確保に一定の役割を果たしたと、これはやはり効果としてはあったのだと思います。今として思えば、かなり前のことになるかもしれませんけれども、やはりジャパン・プレミアムが相当高い時期がありましたけれども、こうした時期の投入等々、やはりそれなりの効果があったということだと思います。  今後の課題ということでありますけれども、やはり何といっても不良債権問題を早期に終結させなければいけない。結果的に、そうしたことによって金融機能を円滑に発揮していくようなやはり状況に是非とも向かって邁進したいというふうに考えております。  そのための手段としまして、主要行については、金融再生プログラムをもって不良債権比率を半減させるという目標を掲げております。この目標に向けては、順調に着実に進捗していると認識をしております。中小、地域の金融機関につきましては、これは中小企業の再生と地域経済の活性化を図るための取組を進めてください、そうすることによって地元も良くなるし、金融機関も強くなるということを考えているわけでございます。  さらに、今、地域経済の活性化が大変重要になっているという状況に対応しまして、金融機関が一層リスク対応力を高めて、十分な安心感を持って地域等の金融が行われるように、金融機能強化のための新たな公的資金制度を整備するということを検討させていただいているところでございます。法案の提出をさせていただいているところでございます。  引き続き、こうした取組に全力で取り組むことによりまして、より強固な金融システムを構築していきたいというふうに思っているところでございます。
  35. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  本当にそうだと思います。国民の負担額というのを国民一人当たりでざっと計算しますと約十万円ぐらいになるかと思います。バブル時代の銀行員の高所得額のこともちょっと当時いろいろと報道の場面でもありました。平成不況のこれまでの貸し渋り等もありましたし、一方では預金金利が依然としてゼロ%に近いといういいイメージを持たせていただけなかった金融機関に対しまして、国民の感情といたしましては非常に我慢の限界かなと、そういうことも感じております。また、今おっしゃられましたように、政府としては地域経済活性化のための新たな公的資金制度として金融機能強化のための特別措置に関する特別措置法を提出されるなど、金融行政について様々な取組が進められていることも承知しております。この新たな公的資金制度は不良債権問題とは直接関係しないものと理解をしているところでございますけれども、いずれにしましても我が国の金融問題の本丸は、大臣もおっしゃいましたように、不良債権の問題の解決だと考えております。  今質問をしようかなと思ったことを今答えていただきましたので、改めまして決意表明といいますか、一言お伺いできれば有り難いです。
  36. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 今、委員指摘になられましたように、やはり国民の心情として銀行しっかりしてくれという思い本当にあると思います。九〇年代を通して行ってきた銀行の責任は、私は誠に重いものがあると思います。そうした中で、総理が不良債権を半減させるということに向けてしっかりやれというメッセージを出して、厳しいこともいろいろありますけれども、銀行は銀行としてそれなりに対応をしっかりと始めてくれていると思っております。  昨年度の、三月三十一日に終わりました昨年度の一年間を取りますと、こうした不良債権の処理の効果も反映して、実は主要銀行の株価というのは四倍に一年間でなっております。これもしっかりとやって、しっかりとやって自らを良くすることが銀行のその価値を高めるということを証明しているんだと思っております。  金融再生プログラム、そしてリレーションシップバンキングのアクションプログラム、それら双方において我々としては全力を挙げてこの実現に向けて努力をしたいというふうに思います。
  37. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。国民の皆様が本当に待っていらっしゃいます。大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、公的会計改革についてお尋ねをいたします。これは、谷垣財務大臣と副大臣になるかと思います。  前回の私も、決算委員会におきまして、決算重視の立場から質問させていただきました。その場で、財務省主計局次長から、公的会計改革を目指した省庁財務諸表を作成のことをお聞きいたしました。そこで改めて、この公的会計改革に関連すると思われることについて幾つかお聞かせを願いたいと思います。  特別会計では不要不急の事業が行われているのではないか等の指摘を踏まえて、財政制度等審議会では総ざらい的な検討がなされ、昨年十一月、特別会計の見直しについての報告がなされました。この報告の中では、すべての特別会計に対して五十三項目にわたる具体的な方策が提言されております。例えば、厚生保険と国民年金特別会計での赤字福祉施設の廃止、労働保険特別会計での勤労者福祉施設の早期廃止。五十三項目の中で全部挙げるのは多いのでこの程度の例を挙げさせていただきますが、これらの中には当決算委員会においても議論が行われてきたものも含まれております。  改めて財務大臣に御説明を賜りたいと思うんですけれども、財政制度等審議会においてはこれらの論点についてどのような検討が行われてきたのか、報告取りまとめに至る経緯について御説明お願い申し上げます。
  38. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 今、委員指摘いただきましたとおり、昨年の通常国会におきまして、この特別会計につきまして様々な御意見、御批判を賜ったところでございます。  そういった状況を踏まえまして、昨年の三月に財政制度等審議会の下に特別会計委員会を設置をいたしました。昨年の四月の初会合以来、十一回にわたって審議を行ったところでございますけれども、この間、この特別会計委員会におきましては、まず特別会計現状を把握をするということとともに、各特別会計を担当している府省からヒアリングを実施をいたしました。また、特別会計の事業を対象といたしました財務省予算執行調査、この結果について聴取等が行われたところでございます。こうした審議の結果、昨年の十一月に財政制度等審議会におきまして報告書が取りまとめられたところでございます。
  39. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  では、次に財務大臣にお伺いいたします。  今後は、財政制度等審議会の報告で示された方策をいかに確実に実施していくかということに私は懸かってくるかと思います。これからどのような日程で特別会計の見直しを実行に移していくのでしょうか。所管省庁のいろんなお考えとか、抵抗と言うとちょっと大げさかもしれませんけれども、いろいろなお考えがあるかと思いますので、それを併せましてこれからの具体的見直しの実施に向けての大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  40. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、石井副大臣からも御答弁いたしましたように、昨年十一月、財政制度等審議会の答申、方策をお示しいただいたわけですが、五十項目を超えるいろいろな御指摘がありまして、今年の予算編成に当たりましては、期間が短かったんですが、対応できるものは一応全部盛り込もうということでやらせていただいたつもりでございます。  もちろん、項目によりましては、検討会を設けて議論をしているというようなものもございますから、そういったもので結論が出ましたら、逐次また予算編成等に反映をさせていかなきゃいけないと思っておりますが、十六年度では事務事業の見直しによる歳出の合理化、効率化であるとか、あるいは一般会計繰入れの減額とか、借入金をスリム化するというような歳入歳出の構造の見直しというようなことをやりましたし、それからもう一つは、なかなかこの特別会計というのはいろいろあって、国会で御議論していただいても、一般会計はまあある程度分かるが特別会計はなかなか分からぬというようなことがございましたので、説明責任が大事だという御指摘がありまして、新たな資料の作成、開示とか、あるいは企業会計的手法を活用した財務書類の作成といったことに取り組んでおります。  もちろん、今までの公会計というものと企業会計というものはその性格も違いますので、すぐに理論的にこれでぴたっというものになるかどうかは、これは相当工夫も、これからの議論改善も必要なことだと思いますが、これは今後とも努めていただいて、国の財政在り方というようなものがはっきり理解できるようなものを我々も作っていかなければいけないと思っております。  どのぐらい見直しをしたかというのを、余りこの数字というのは意味があるのかないのか分かりませんが、今申し上げたような歳出の縮減とか一般会計からの繰入れの縮減とか借入金の縮減、それぞれ性格も違いますので単純に足し合わせるというのは余り意味があるかどうか分かりませんが、あえて単純に合計すれば、五千億円以上の見直しになっているということでございます。
  41. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  本当に、公的会計改革ということで私もこの質問を受けるときにちょっと説明を受けたんですけれども、本当に大変な作業と膨大なその資料といいますか、そういうものを併せましてお作りになっているということで、何か御苦労の一端を伺わさせていただきました。  今大臣もおっしゃってくださいまして重複するかもしれませんけれども、財政制度等審議会のこの報告では、分かりにくい特別会計を分かりやすくするために、企業会計的手法を活用し、歳入歳出の構造を明確に示すなど、特別会計ごとの財務情報を充実させることも提言されております。このことは、さきの決算委員会で御説明を受けた、すべての省庁を対象とする省庁財務諸表作成とも関連することと思います。  そこで、省庁財務書類作成で期待される効果特別会計特殊法人改革への波及などについての大臣の所見と、省庁財務書類作成に向けた今後のスケジュールについてお伺いしたいと思います。
  42. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 公会計の手法といいますか、ディスクロージャーと申しますか、こういうものを高めていくということは、国の財政会計、こういうものに対する民主的コントロールといいますか、国民の理解ということにも資すると思いますし、それから、そうやって明らかにしていくということが財政の効率化とか適正化ということにもつながるのではないかというふうに考えているわけでございます。  特別会計に関していえば、企業会計的手法を用いて開示をしていくということになりますと、これは財務内容等の特別会計間での比較、こっちの方はうまくいっているけれども、こっちの方はどうも非効率じゃないかということも明らかにできると思いますし、それから、民間企業とのパフォーマンスの比較というようなこともできるようになってまいりますので、その事業内容財務内容の今までよりも深い分析というものが可能になってくるのじゃないかなと思います。  それから、特殊法人などに関して申し上げますと、企業会計に準拠した行政コスト計算書が作成、公表されておりますけれども、これによって特殊法人と民間企業との比較、財務内容の比較が可能になりますし、先ほど申し上げたように、業務内容財務内容のより深い分析が可能になってくるんだろうというふうに思います。  これまで公会計充実について財務省としてやってまいりましたことは、一つは、国の貸借対照表、これはまだ試み、試案ということでございまして、先ほど申しましたように、民間の手法と国の会計の手法と違うものですから、まだまだ理論的にも練らなきゃならぬということだろうと思いますが、差し当たって試案というものを作成、公表しておりますし、それから新たな特別会計財務書類と、それから特殊法人等の行政コスト計算書、それに独立行政法人の財務諸表、こういうものを作成、公表してまいりました。  それで、今、各省庁を作成単位とする省庁別の財務書類の作成について今検討を進めておりまして、これについては今年の六月を目途としまして省庁財務書類の作成基準というのをまとめたいと、こういうことを考えております。それで、この省庁別の財務書類については、今申し上げた作成基準を今年の六月にまとめた後、平成十四年度決算分について各省庁で作業をしていただいて公表をしていただくというつもりで今仕事をやっているわけでございます。  それから、特殊法人や独立行政法人を全体を連結した連結省庁財務書類というのも今検討を進めておりまして、これも六月をめどにその作成基準を取りまとめていただきたいということで、今やっていただいております。  こういった取組のほかに、今後、個別の、各省庁別というふうに個別のそれぞれの政策あるいは施策に関する財務情報の開示についても、これはまあ全部やりますと物すごく膨大で手間暇も掛かりますので、どういうふうにやっていくかということを今検討を進めることが必要じゃないかというふうに考えておりまして、これもまずできるところからやってみたいと、こんなつもりでいるわけでございます。  どうぞ、また御支援や御指導をお願いしたいと思っております。
  43. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。本当、詳しく説明していただきました。  なかなか本当、分かりづらくて、私も小さい会社で経理していたというものの、全く国の会計になりますと本当に分かりにくい。ましてや、一般の国民の皆様はまだまだ、ますます分かりづらいんじゃないかと思います。本当に国民の皆さんに分かりやすい言葉や制度であってほしいと心から願っておりますし、また御健闘お祈り申し上げます。  今が一番、でき上がるまで大変な時期だと思っております。いったんこれがシステムで乗っかってでき上がってくれば後は何とかスムーズに流れるんじゃないかなと、そういう希望も持っております。引き続き、大臣、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。  次に行かせていただきます。  次は、文部科学大臣あるいは会計検査院の方にお尋ねになるかと思います。国立大学での医薬品等購入の不適正経理についてでございます。  十四年度決算検査報告では、岡山大学において、医薬品等の購入に係る予算執行について、非常に長期にわたり、また一大学としては非常に多額の不適正な予算執行事例掲記されております。本来支払うべき年度とは別の年度に医薬品等の代金を支払っていたということであると思います。ところが、国立大学の医薬品等購入の不適正経理については、平成年度決算検査報告においても同様に秋田大学など十大学に対して指摘されています。  まず、会計検査院から本指摘事項概要について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  44. 友寄隆信

    説明員(友寄隆信君) 今回の岡山大学に係る指摘概要ということでございますが、国が行う契約から支払までの会計事務会計法令に従って処理することになっております。しかしながら、岡山大学医学部附属病院において平成年度から十四年度までの医療費の会計経理について、各年度中に購入した医薬品等の一部について、当該年度内に支出負担行為等の会計事務を行うと示達された歳出予算の額を超えることになるため、納品日を作為した書類を作成するなどして、あたかも翌年度に契約・納品等が行われたかのような一連の会計事務を行って代金を支払っていたものでございます。このような不適正な会計経理を行っていた金額は七か年間の合計で約六十七億円に上っていることから、不当事項として指摘したものでございます。  以上でございます。
  45. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございました。  ちょっと早口で分かりづらかったところもありますけれども、そういうことを踏まえまして、平成年度決算検査報告での指摘の大要、及びその後各大学への指導はどうなされたのでしょうか。
  46. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 御指摘のように、平成年度から四年度におきまして国立大学附属病院では医薬品等の購入代金の一部につきまして会計年度を超えて支払が行われたということがございまして、平成年度決算検査報告におきまして、国立大学病院における医薬品等の予算執行を適切に行うようということで是正改善措置要求が行われたところでございます。  これを受けまして、当時の文部省といたしまして、平成五年の十二月二十七日付けで病院を置く各国立大学長に対しまして、医薬品等に係る会計事務処理等を適切に行うとともに、一層の病院運営の合理化、効率化を図るよう通知をしたところでございます。また、これと併せまして平成五年の六月から、大学病院の関係者あるいは学識経験者の協力を得まして、国立大学附属病院の運営体制の改善、病院運営の効率化、合理化に係ります具体的な諸方策につきまして調査研究という形で御審議をいただきまして、そして平成六年九月に、運営改善のための基本的な留意事項、そして先進的ないろんな改善事例を取りまとめました報告書を作成をしまして、病院運営の参考にということで活用を促してきたところでございます。  さらには、その後、いろいろな場におきまして、病院運営の改善、適正な予算執行等につきまして継続的に指導をしてきたというところでございます。
  47. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  大臣にお伺いになるかと思いますが、もうこの四月からは国立大学へと組織替えをします。大学の自主性が尊重される制度へと移行されていきます。殊のほか予算の適正な執行に関しては、これまでより更に厳正であるべきだと考えます。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、所管大臣である文部科学大臣として、再度このような指摘を受けたわけでございますので、今後どのような指導を行っていくのかということに対しましての御所見をお伺いしたいと思います。
  48. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 御指摘の点、こうしたことが、会計処理を翌年度に持ち越したような形でありますが、極めて遺憾なことだと思います。病院経営の、医薬品等の予算執行についてはこれまでも度々指摘をしてきたところでありますが、残念ながらこんなことになっております。  特に、岡山大学に対しましては、適正な予算執行を万全を期せられたいということで、この点につきましては、関係法令と予算の遵守を関係職員に指導徹底をさせるということ。それから、学外の専門家ですね、経理等の専門家等、公認会計士も含めて、病院経営の改善に関する委員会、これによって支出削減のための所要額を更に見直すようにとか、特に予算執行の管理体制の強化、正にこれに尽きると思うのでありますが、これを徹底する。こういうことで、昨年十二月二十四日に、八年度からの担当者に対しましては訓告、厳重注意、こうした処分も行ってきたところでございます。  後藤委員指摘のように、いよいよ法人化成ったわけでございまして、そういうことになりますと企業会計が導入されますから、直ちに翌年度の支払処理を繰り返すということが法令違反ということにはならぬのでありますけれども、健全な経営管理体制かというと、これはそういうことは言えません。  そういう意味で、国立大学法人自らが適切な財政運営を行う必要があるわけでございまして、文部科学省といたしましても、附属病院経営の改善に取り組む、こういうことで、その取組例でちゃんとやっているところもあるわけですね。そういう例も紹介をする、あるいは財務分析に関する情報提供する、こういうことで病院経営、特に医薬品の管理状態、そういうものが企業会計にのっとってきちっとされるように最大限の支援、指導を行ってまいりたいと、このように思っております。
  49. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。やっぱり再度というのが再々度にならないように、またお願いを申し上げたいと思っております。ありがとうございます。  また、ちょっと内容は少し違いますけれども、同じようなことでお伺いいたしますが、幼児期の教育、保育についてなんですが、今までの決算検査報告で、私立幼稚園をめぐる不適正経理事項は、平成十一年度に園舎新築に使われました私立学校施設整備費補助金の経理の件があります。そこで会計検査院にお伺いいたします。平成十一年度以降、私立の幼稚園をめぐる私立学校施設整備費補助金に関して指摘事項はありましたでしょうか。お伺いいたします。会計検査院ですね。
  50. 友寄隆信

    説明員(友寄隆信君) 文部科学省では、幼稚園の教育の振興に資することを目的として、幼稚園の園舎の新増築等の事業を行う学校法人に対し、当該事業に要する経費の一部を補助するため、私立学校施設整備費補助金を交付しているところでございまして、私ども会計検査院は、この補助金について毎年かなりの都道府県にお邪魔しまして検査を実施しております。  先ほど委員指摘いただきましたように、最近のものとしては、平成十一年度決算検査報告に私立学校施設整備費補助金の経理が不当と認められるものとして一件を掲記してございます。これは、学校法人立の幼稚園園舎の新築事業に対して、当該事業に要する経費の一部として四千万ほどの国庫補助金を交付しているわけでございますが、実際の契約額を水増しした工事費に基づいて補助対象事業費を算定するなどしていたため、国庫補助金が三百七十七万余円過大に交付しているというものでございますが、これは三、四年以前の指摘でございますが、その後も引き続き検査しておるわけでございますけれども、そのような不適切な事態は、その後本院としては見付けておりません。  以上でございます。
  51. 後藤博子

    ○後藤博子君 見付けておりませんということで、安心いたしました。ありがとうございます。今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます。  過去、例外的にこうした不当な件もありましたが、今、私の選挙区大分でも、子供の数の減少や幼児教育等、保育に対する多様なニーズに対応すべくもう苦慮しているのが実情でございます。一方で、子供を産み育てる母親の働き方も多様になってまいりました。  幼児教育に関する国の予算はどのようになっているのでしょうか。まあ決算委員会の場所で予算というのもどうかと思いましたが、予算があってまた決算があるということで、幼児教育に関する国の予算について御説明お願い申し上げます。初等中等局長様ですか、よろしくお願いします。
  52. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。  平成十六年度の国の幼児教育関係予算でございますが、対前年度五%増の五百三十八億七千八百万円でございまして、厳しい財政状況の中ではございますが、少子化対策の観点からその充実に今努めてきているところでございます。  主な内容といたしましては、幼稚園就園奨励費補助におきましては、保護者の経済的負担の軽減を図ると、こういう観点から、同一世帯から同時に就園をしておる第二子以降の減免単価を引き上げまして、対前年度一億五百万円増の百八十億八千七百万円を計上いたしております。  また、私立高等学校等経常費助成費補助におきましては、預かり保育の機会の拡充を中心といたしまして、二十五億四千三百万円増の三百二十九億六千九百万円を計上していると、大体こういうような状況でございます。
  53. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。増えたということで、本当にすばらしいことだと思いますし、また本当に今、幼児教育が問題がたくさんございますので、予算の面からもしっかりと支えていただきたいと思っております。ありがとうございます。  このように少子化が急速に進行する中で、就学前の児童の子育てをめぐる環境は、専業主婦家庭も含めまして大きく変化しております。このような社会の変化を受けて、厚生労働省や文部科学省でも幼保一元化や総合施設などの施策検討されていることは承知いたしております。  この総合施設に関しまして、まず厚生労働省にお伺いをいたします。幼児期の教育、保育を一体としてとらえた総合施設についての考え方と取組についてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  54. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) お答え申し上げます。  御質問の総合施設につきましては、十七年度に試行的な事業を実施をして十八年度から実施をするということを目標に進めておりますが、その考え方といたしましては、私どもの立場から申し上げますと、一つは御指摘がありましたように働く母親が大変増えておると、しかもパートタイム労働といったように非常に多様化しておるというのが一つでございますし、それから、核家族化の進展などによりまして、共働きあるいは専業主婦家庭を問わずに非常に子育ての負担感が増大しておると、こういった二つの観点が私どもの立場から見ると非常に大きな視点でございます。  こういった状況に的確にこたえていくためにどういったことをすべきかということで、新しい総合施設ということも考える際にも、こういった視点から基本的なコンセプトを構築していきたいということで、今関係審議会において議論をしていただいておるところでございます。  今後とも、こういった審議会の議論を通じて、議論を深めていくと同時に、文部科学省とも緊密な連携の下に議論を進めていって、先ほどのようなスケジュールでこれを実現に移していきたいというふうに考えております。
  55. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  答弁聞いたり、いろいろとこのためのレクチャーを受けたりいたして感じたことですけれども、もし伍藤さんの子供さん、あるいは娘さんの子供さん、お嬢さん、お孫さんが総合施設というものの中に預けられるとしたときに、どんな総合施設だったら預けたいなと思うかどうかという、そういう総合施設の考え方を、皆さんが、担当されている皆さん、私もそうですけれども、含めて考えていかなければならないと思っています。  もう一つ、子育てに関しましては、重要な施策であります食育でも厚生労働省と文部科学省協力しながら進めております。こうして、幼児期の教育と保育を一体としてとらえ、一貫した総合施設を作る以上は、財政措置も含めた新たな制度が必要になると考えております。  文部科学大臣にお伺いいたします。総合施設についてのお尋ねでございますが、財政措置も含めた検討状況について大臣の所見をお聞かせください。よろしくお願いします。
  56. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 後藤委員指摘のように、幼保一元化という話はもう随分前からいろいろ言われてきたところでございます。これが今いよいよ本格的に統合施設といいますか、そういう形で今正に日を見ようとしているところでございますが、これ、今厚生省側からもお話がございましたように、この十六年度中に方針を決めると、基本的な考えをまとめる、十七年度にまず試行事業をやってみて、そして十八年度から本格実施しようと、こういうことになっておりまして、このための必要な法整備も進めていかなきゃならぬわけでございまして、今正に準備に臨んでおると、こういう状況でございます。  この総合施設の在り方は、そのもの、文部科学省においては、中央教育審議会の初等教育の分科会の中に幼児教育部会を置きまして、幼児教育の充実を図るという観点議論をいただいておりますし、厚労省側も、社会保障審議会の児童部会においても今議論を行っておられるわけでございます。これを、これから煮詰まってまいりますと、両部会一緒になって議論をしていただく、審議をしていただく、検討していただく、こういうことになると思います。  文部科学省といたしましても、地域や保護者のニーズございます、正に子供の視点、子供のためにということでございますが、厚生労働省とも十分な連携の下に、今財源措置のこともございますが、これも含めてこれからの検討課題としてやってまいりたい、このように思っておるところであります。
  57. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  まだこれからなので、厚生労働省と文部科学省が一つになってと、今一緒になって取り組んでいくという大臣の今御返事でございました。  私もレクチャー受けるときに、どちらがリードするんですかとか、どちらがお動きになるんですかとかお伺いしたんですが、まだまだそこは双方でお互いにやっていますよというお話だったんですね。それはそれで形としては今はやむを得ないと思いますけれども、やはり子供をどうするのかというその視点から、子供の立場に立った考え方という、その子供の立場に立った考え方がというのがどこまで子供の立場に立っているのかという、その辺がなかなか見えてこないし聞こえてこないのがちょっと私にいたしましては寂しい限りでございます。  今回の文部科学省の幼児教育担当の若い方々とも一緒に話をしたんですね、ちょうどうちに質問取りに来ていただいた。そのときに、今結婚していますか、していませんかというお話から、まだしていません、これからしますという方々がいらっしゃいました。だから、あなた方が、本当に総合施設、ああ、こんな総合施設だったら絶対いいよね、自分の子供が生まれても、ここだったら、こういうところだったら預けたいよねって、そういうことが浮かんできませんかって聞いたこともあるんですけれども、仕事としてやっぱりとらえているのだと思うんですね。だから、本当に自分が実際どういうものができたらいいのかという、それは偉い方でも有識者でもどんな方でもそうですし、かと思いますけれども、本当にそれに携わっている省の若い人たちにも是非そういう意見を聞いていただいて、自分たちが預けられるような総合施設へと持っていただければいいんではないかと思っております。  そこで、少子化の進行や女性の働き方の多様化、地域文化の喪失など、未来を背負っていかなければならない子供たち、そして母親とこれからの母親、その人たちにとってのこの現在というのは、もう一刻を争う状況なんですね。その十年、二十年先の日本のことを見据えた文部行政最高責任者としての、総合施設においても、大臣の、河村大臣の哲学とか理念が生かされていることと強く期待をしております。その大臣の哲学や信念を含めましたこれからの児童施設の取組についての所見をお伺いしたいと思います。
  58. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 極めて大事なところの視点だと思います。昔から三つ子の魂百までと、こういう言い方しますが、特に幼児期の教育、どういうしつけをするのか、その辺がかなり大きな影響があるということを最近特に言われるようにまたなりましたですね。生涯の人間形成の正に基礎を成すところだと、こういうことであります。  そういう意味から考えて、後藤委員も御指摘のように、やっぱり子供の視点といいますか、どういう施設だったら正に子供を預けたいか、またどういうふうに子供を預かって、そしてどういう保育、教育をやるかと、こういうことをしっかり考えていかなきゃなりませんから、これは厚生労働省があるいは文部科学省がどっちが主導権持ってやるとか、そういう話とちょっと違うと思うんですね。総理からも、これはもう早くそういうことはきちっとしなきゃいかぬと、すぐできないんなら、両方の担当者をまず入れ替えて、両方の役所に入り込んでお互いにひとつ十分話し合ってもらいたいと、こういう今指摘も来て、人事からちゃんとやれと、こういう話でありますが、これがうまくいかないということでありましたら、厚生省、私が言うとあれでありますが、厚生省側もそれから文部科学省側も、担当者を全部引き揚げて一つにしてどこかで別のところでやってもらうとか、そうでもしなきゃいけないようなことにならないようにきちっとした話合いを私はすべきだと思っております。  特に、やっぱり保護者の就労状況というもの、これによって大きく分かれたり今のところしていますね。その必要があるのかないのか。正に親にとっては、きちっとした保育をやり、小さい段階では保育をやり、そして正に就学前においてはその事前の教育ができるところと、これを望んでおられるわけでありますから、それが一緒にできるというところが総合施設の正にねらいでございますから、そのような視点でやっていかなきゃならぬだろうと思っておりますし、幼稚園と保育所と家庭、こういうものが全体を、とにかく幼児教育の充実という視点でこの統合施設を考えていくべきだろうと、このように思っておりますし、この統合施設というのは、正に親も一緒に学び親も一緒に育つ施設でもなければならぬと、こうも思っております。  そういう意味で、これまで厚生労働省側でいわゆる保育の観点からやってこられたこと、それから保育士がいらっしゃる、それから幼稚園の方は幼稚園教諭がいる、これが合体するわけでありますから、今免許も両方持ち合わせるようにということで、幼稚園教諭も保育の視点を持つ、それから保育士も当然、いわゆる教諭といいますか、教育の視点を両方持った上で統合していかなきゃ、今その準備も進めておるわけでございます。既に民間の方の経営者の中には幼稚園とそれから保育所と両方運営しておられる方もおられまして、それでいわゆる厚生省側の措置費の方がやっぱりゆったりしているというようなこと、それから幼稚園側は、正に民間八割が私立でありますから、そうすると私学助成的なものしかないと、これは何とかなりませんかとかいうような、そういう議論もございます。  そういう意味で、正に理想的なといいますか、この機会でございますから、中央教育審議会もやっておりますし、また厚生省側もいろいろ議論いただいておりますが、正に両方がうまくそのいいところをお互いに引っ張り出して、後藤委員指摘のように、親にとってもこういう施設ならいいと、これからはやっぱり統合施設でなければと、こういうふうな形に持っていけるような仕組みを、仕組みと一緒に作っていかなければならないんではないかと、このように思っておりまして、正に、この幼保一元化の正に第一歩となります統合施設でありますから、理想的なもの、そして現実に合ったもの、そういうものを併せ持ったものにしてまいりたいと、このように考えておりまして、トータルとして幼児教育の充実につながると、こういうものにしたいと、こう思っておるところであります。
  59. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  実は、先般、地元の方で働く女性たちとお話しする機会がありまして、もちろん働いていますから、もう三十代なんですけれども結婚しておりません。子供ももちろんいません。その方々と、キャリアウーマンと言われる方々と話す機会があったんです。そのときに、ある意味でちょっとショックだったんですけれども、考えさせられましたんですが、もう自分たちは今職場の中で男性と肩を並べて仕事をしていると、だから、まあその人は元々もう負けず嫌いだと思うんですけれども、ですから男性と肩を並べて働くことの女性の大変さということがありました。その大変なときに、もう自分のこと、いわゆる仕事して帰ったらもうビールでもかあっと飲んで後はもう寝たいんだと、そういうこと。ですから、仕事をして帰って、保育所に預けた子供を連れに行って、連れて帰って、家事や育児をやって、また、ましてやそれにだんなの世話まではもう到底見るような余裕はないと、そういうことを言われました。  でも、もし、家庭に代われるような家庭的な総合施設がもしできるんであれば子供を産んでもいいかなとその女性は言ったんですね。でも、そんな都合のいい総合施設なんてできませんよね、あるわけないですよねって笑っておっしゃったんですが、そのときに、その笑いながらおっしゃっている顔を見ながら、ああ、これからの総合施設というものは、家庭に代われるような、本当に家庭だと思えるような総合施設が、何といいましょう、作ることが必要なのかなと。  何か非常に、反面、私はもうずっと、子供の時代はゼロ歳から、マタニティーから、とにかく子供を三歳、六歳まではもう親の手で育てましょうよというのが私の持論だったんですけれども、今働く女性にとってみれば、もう自分のことで精一杯で子供のことどころじゃないと。ましてや、産んで何とかという、そこまでいかないんだという、その話を聞いたときに、総合施設というのは、これからは本当に、総合施設なんという呼び方じゃなくて、本当に、伍藤さんちの家みたいな、河村さんちの家みたいな、何かそういうものになってくるのかなと、そういうことを思いました。そういう温かい血の通った施設ができることを期待しております。  しかし反面、子供の立場になって考える、子供の視点に立って考えるということは、もうこれは、ここにいられる大野先生も、皆さんそうだと思いますけれども、子供の視点に立って、子供の立場に立って考える一番幸せは、子供が親のそばにいることなんです。それは是非最後に申し上げまして、一分早いんですけれども、私の質問終わらせていただきます。これからの総合施設に、そして皆様方に対しまして御期待を申し上げ、私も頑張りたいと思います。  本日はありがとうございました。
  60. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党の神本美恵子でございます。  今日は、文部科学省文部科学大臣を中心に御質問させていただきたいと思います。  まず第一点目は、公立学校における臨時教職員の問題についてでございます。  これは、この決算委員会でもう、前回でしたか、我が川橋理事の方から、一般職、地方公務員の一般職の公務パートについて御質問がありました。そのときに、学校関係者を除くというところでお話が進められていましたので、学校関係者はどうなっているのだろうという私自身の問題意識もございまして、今日、冒頭に御質問させていただきたいと思います。  今、学校現場は、いわゆる正規採用だけではなくて、臨時的任用や非常勤という立場で子供たちに直接かかわっていらっしゃる教職員、いわゆる講師と言われる方たちですけれども、が増加傾向にあるというふうに言われております。私、学校現場におりましたころも、従来からのいわゆる産休を取る方、育休を取る方、また最近では介護休暇、そういう正規職員の休暇に対応した、その代替として任用される臨時的任用教職員、これに加えて最近では、不登校や中途退学、あるいは学級崩壊、引きこもりというような、今日的な学校現場が抱える様々な課題に対応して、それに対応できる多様な任用形態ということで、市町村独自、県独自で非常勤職員、非常勤の講師の方が任用されているというようなこともございますし、また、三十人以下あるいは少人数のきめ細やかな指導をするということで非常勤の講師の方が任用されているというふうな、そういう今の学校現場の現状があるからだと思います。  そこで、そういう方々の賃金や労働条件といったものはもちろん各自治体が決めることではあるでしょうけれども、そういったものに対する、そういった臨時教職員の人数が大体どのくらい全国的に今現在いらっしゃるのか、そしてその待遇はどうなっているのかということに対して文部科学省としてはどの程度に把握していらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。
  61. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えいたします。  先生御指摘になりました公立学校に配置をされております非常勤講師等の正確な人数でありますとかあるいはその待遇等につきましては、私ども詳細な数字を持っていないところでございます。
  62. 神本美恵子

    神本美恵子君 この前の地方公務員の一般職の公務パートに関しても、これは厚労省の方が同じような御答弁をなさいましたのでみんなびっくりして大声を上げたんですけれども、文部科学省としてこの実態が把握できていないのはなぜなんでしょうか。
  63. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えいたします。  公立学校の非常勤を含む教員の処遇あるいは待遇等につきましては、服務監督権者であります各教育委員会がその責任と権限においてこれを適切に管理すべきものと、このように考えているからでございます。
  64. 神本美恵子

    神本美恵子君 各都道府県の県教育委員会が把握するものではあっても、これちょっと後でまた御意見として申し上げたいんですが、この臨時教職員には、いわゆる産休、育休などの臨時的任用や期限付任用、それから高齢再任用が始まりまして、再任用の教職員というように幾つかの体系があると思うんですね。その法的な位置付けと賃金、労働条件はどのようにして決定されるのかということについて教えていただきたいと思います。
  65. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) 非常勤の教職員につきましては、その多くは特別職の職員になると考えているわけでございますが、地方公務員法は一般職の職員を対象としているために、非常勤の教職員につきましては基本的に地方公務員法の規定が適用されず、その処遇等につきましては各地方公共団体の条例で定められているということでございますし、いわゆる臨時職員につきましては、これは一般職の地方公務員でございますから、その勤務条件につきましては地方公務員法あるいはそれに基づく条例等で定められていると、このように理解をいたしております。
  66. 神本美恵子

    神本美恵子君 地方の条例で定められるというようなことで、人数も、それからその待遇面も一切文部科学省としては把握されていない、また把握されるおつもりもないというふうに私は今聞こえてきているんですけれども、そうなんでしょうか。
  67. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えいたします。  これは、公立学校の教職員全体もそうでございますが、全国で公立学校の教職員が九十万人おるわけでございますし、また、今、先生御指摘のように非常勤あるいは臨時的な職員もまた多くいらっしゃるわけでございまして、このすべてについて個々の勤務状況を国が把握をするということは技術的にも物理的にも極めて難しいわけでございますから、国といたしまして全国的なその調査を行うということは今考えていないところでございます。
  68. 神本美恵子

    神本美恵子君 技術的な困難性ということは私も少し分かりますが、ただ、各都道府県の教育委員会が把握していることでありますし、そこに尋ねればいいことであって、先ほど私言いましたように大きくは四体系ぐらいだと思うんですね。地公法の何条に定められた臨時的任用とか期限付任用とか再任用というふうな、その体系に基づいて各都道府県教委に聞けば、都道府県は当然把握していますでしょうし、市町村費職員については、市町村の教育委員会が把握して任用しているわけですからそれを聞けば分かることで、こんなに簡単な、技術的には簡単なことはないというふうに私は思いますが、その把握する必要性についてはどうお考えでしょうか。
  69. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えいたします。  勤務実態の把握につきましては、各教育委員会において必要に応じて行うべきものだろうかと思っております。国として一律に調査を行うようにまた各県に求めるということは考えていないわけでありますが、各教育委員会の判断において実態調査が行われているものがあれば、必要に応じてその結果を御提供いただくということはあり得るものと考えております。
  70. 神本美恵子

    神本美恵子君 必要に応じてですから、必要が今のところないというふうに文部科学省としては判断されているというふうに私は今受け止めましたが、そこで是非お聞きいただきたいんですけれども、これインターネットで調べました。ですから、その調査背景も分からないんですが、全国に約十三万人こういう臨時的任用あるいは非常勤講師の方がいらっしゃるというふうに、ただその調査がどうやって行われたかが分かりませんので全然これは確かな数字ではございません。  でも、少なくとも、十三万人例えばいらっしゃるとして、その方たちが今学校現場で子供の前に立てば、子供たちから見たら、これは正規の先生だ、これは臨時の先生だ、この人は講師だという、そんなことは区別ないわけですよね。子供から見ればみんな尊敬したい自分たちのやっぱりかがみとなる先生であってほしい、そういうふうに思うわけですけれども、その方たちがそういう臨時あるいは非常勤講師ということで現場でどういう思いを抱いて子供の前に立っていらっしゃるかということで、講師であることに誇りを持ちたい、それは自分の声を取り戻すということだ。採用試験に合格していないという劣等感、臨時だから仕方がないというあきらめ、それらの抑圧感は自らをやみの中に溶け込ませ、沈黙の中に沈めていった。その結果、様々な不合理を受け入れ、差別にも甘んじ、劣悪な待遇の中で仕事をしてきたのだというような生々しい声がございます。  こういう非常勤あるいは臨時的任用の方たちは、例えば産休は、四月年度当初から入るわけではありません、いつ産休になるか分かりませんから、年度途中で産休の先生が出ればそこに代わりの先生がやってくるわけです。その方は、年度途中、どんな学級の実態であってもそこを担任をする。もう本当に準備をして、私は正規の職員の経験しかございませんけれども、想像すると本当に講師の方たちって大変だなということを思います。  その様々な課題に対応して、現場に即応して職務内容をこなしていらっしゃる、その人たちが学校現場で、本当に至らない管理職のためにロッカーも更衣室もない、更衣室、ロッカーとか、そういう個人のロッカーがないとかいうような、こういうのはもう本当に言語道断なんですけれども、そういういわゆる教諭よりも劣っているという位置付けに置かれているということは、これはゆゆしき問題ではないかと思うんですね。もちろん、条件決めるのは都道府県あるいは市町村であっても、教育政策を進める文部科学省としてこういった問題を放置してはおけない。  では、何をどうすればいいのかということは、まず実態把握からではないかと思うんですけれども、その点について、文部科学大臣、是非実態調査をしますというお答えをいただきたいんですけれども、いかがでしょう。
  71. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 公立学校において、やっぱり臨時採用の方も学校運営の一角におられるわけでありますから、その方々がその役割をきちっと果たしていただかなきゃなりませんし、臨時採用でも非常に評判がいい方があって、こういう人がなぜ採用されないんだろうという御意見もいただいております。そういうことについては、そういう実績評価、そういうものをきちっとしていただいて、次の採用試験のときにはやっぱり通るように、やっぱり周りがよく気を付けてあげる必要があるんじゃないかと、こういう話も私してまいったわけでございます。  学校において、臨時教員だから特別に能力が落ちるとか、そういう視点で見られるかどうか。これはやっぱりその学校経営の責任者であります校長先生辺りの感性も非常に大きいと思うんですね。同じ仲間ですから、入ってきた以上は。ロッカーが満足に置けないということは、現実にそういうことはあってはならぬし、あり得ないことだろうと思います。だって、校長先生、そんな校長じゃ、とてもじゃないですが学校経営やっていけませんよ。  だから、その点は私は、昔から臨時講師というのはあったわけであり、我々の時代からもずっとあったわけでございますから、しかし、それが最近きめ細かい教育をやらないかぬということでかなり増えてきている。今、十三万人と言われました。私が得ております、国庫負担分だと高等学校も含めて四万弱、三万八千ぐらいだという数字になっておりますけれども。  おっしゃるように、実態をどういうふうに調べるか、どのような形でとらえていくか。現実にそのような問題があれば、これはやっぱり教育を進める上で問題になるわけでございますから、各県が今どのような形で取り組んでおるか、文部科学省も実態を知りながら、全体のこれからのきめ細かな教育を進めていく上でのそれは一つの資料として、そして全体の、国の全体の教育水準を落とさないようにというのが我々の一つの大きな役割でありますから、そういう視点に立てば、情報を持ちながら、特別にどの地域は臨時教員が非常に多いということになりますと大丈夫かということにもなりましょうから、そういう視点で私の方も、どういう形で調査をしたら的確にできるか研究してみたいと、このように思います。
  72. 神本美恵子

    神本美恵子君 もうお言葉どおりに私は受け止めたいと思います。やっぱり実態の把握なくして施策はできないわけですから、そのようにおっしゃいましたし、どのような方法でやれば的確な把握ができるかということを研究、検討していきたいというふうにおっしゃいましたので、是非この件についてはもう早急に取組を開始していただきたいということをお願いをしまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。ああ今日は質問して良かったなと今ちょっと思っております。  次に、学校施設の耐震化の問題についてであります。  これにつきましては、私も三年間、文教科学委員会に所属している間、質問させていただくときは毎回と言っていいほどこの問題、ずっともう応援のつもりで質問させていただいてきたんですけれども、この公立学校の施設というのは、子供たちにとっての生活や学習の場であるということはもとよりですが、非常災害時の応急の避難場所として地域で指定されて、多くが指定されておりますし、その安全性の確保ということはもう言うまでもないことだと思います。  ところが、この公立学校施設の現状はといいますと、二〇〇二年の四月一日現在のもの、文部科学省からいただいた資料ですけれども、それで見ますと、全体の約、小中学校の施設十三万棟あるうちに、耐震性が確保されている建物は約六万棟、四六・六%というような現状であるというふうにお伺いしております。  それで、昨年の、昨年じゃありません、二〇〇二年度の耐震化の推進のために補正予算で五百十五億円が計上され、当初予算と合わせると千五百十三億円が予算化されております。そして、十五年度、二〇〇三年度は当初予算で千百四十九億円が計上されたわけですけれども、これによってどのくらい耐震化が進んだのか、現在の耐震化の状況についてまず御報告お願いしたいと思います。
  73. 萩原久和

    政府参考人(萩原久和君) 公立学校施設の耐震化の進捗状況についてお答えいたします。  平成十五年、昨年四月に実施しました公立学校施設の耐震改修状況調査によりますと、公立学校の耐震性のある建物は約四七%となっておりまして、公立学校施設の耐震化の推進は先生御指摘のように緊急の課題となっております。この十五年四月の調査といいますのは十四年の事業実施までのものでございまして、十五年の耐震事業といたしましては、先生御指摘のように一千百四十九億円計上しておりました。この調査でありますが、七月現在、いや四月、十六年四月現在の調査は今実施中でありまして、調査結果はまだ出ておりません。  そして、平成十六年、公立学校施設整備に係る耐震経費としまして前年度比六億円増の一千百五十五億円を計上しているわけでございますが、この十五年、十六年の事業を実施いたしますと、これは今のところ推計といいますか、見込みでございますが、五千棟の建物が耐震化が進むものと見込んでおりまして、耐震化率は五〇%に達すると考えております。
  74. 神本美恵子

    神本美恵子君 聞き間違い、十五年四月で四七%ですね。
  75. 萩原久和

    政府参考人(萩原久和君) 十五年四月、昨年十五年四月現在のその調査によりますと、四七%の耐震化率ということになっております。
  76. 神本美恵子

    神本美恵子君 ということは、十四年で四六・六%が十五年で四七%になった。〇・四%。今度、十六年は五千棟の見込みで五〇%に達するということは、進み具合が加速しているというふうにとらえたい、前向きにとらえたいと思うんですが、文部科学省としては、この耐震診断を、とにかく耐震診断を促進しようということで実施計画等を立ててやっていらっしゃる、これは非常に大事なことだと思うんですけれども、その実施状況はどんなふうになっているんでしょうか。
  77. 萩原久和

    政府参考人(萩原久和君) 次に、公立学校施設の耐震診断の進捗状況についてお答えします。  これも昨年四月に行いました、文部科学省が行いました調査でございますが、公立の小中学校のうち耐震診断を実施している建物は、昭和五十六年以前のいわゆる旧耐震基準で建てられた建物の約三五%となっております。  学校施設の耐震化を推進するためには、その前提としまして、各学校ごとに必要な耐震診断を行いましてその耐震性能を確認することが重要であります。そのため、平成十四年七月、各設置者に対しまして、昭和五十六年以前の建物で耐震診断がまだ行われていない建物について三年以内に耐震診断を実施するための具体的な実施計画を立てるように依頼したところでございます。  その結果、各設置者におきましては、改築あるいは統合等を予定しているために耐震診断を実施しないもの、これが幾つかありますが、これらを除きまして、平成十五年から十七年までの三か年に耐震診断を終了するように計画をしているところでございます。
  78. 神本美恵子

    神本美恵子君 耐震診断がその計画どおりに進められれば恐らく改築等が進むというふうに思いたいんですが、なかなかこれがこれまで進んでこなかったんで、生半可な取組では進まないのではないか。今現在でも五〇%しか耐震化がされていないということについて、先ほども言いましたように、地域の避難指定場所になっているわけですよね。  これは防災担当の内閣府の方にお伺いしたいんですけれども、この学校施設が今お聞きのような状況で、まだ五〇行っていない、四七%しか耐震化が進んでいない。昨年の宮城沖地震のときの、私は新聞記事でちょっと本当にびっくりしたんですけれども、宮城県北部の地震で、避難所となっていた小学校の体育館の天井の一部が壊れて、そこに避難していた人たちが近くの中学校に再避難をしたというようなことが新聞で報じられておりました。ああ、やっぱり起きてはならない事態が起きたんだということで、そこでけが人が出たり事故がなかったことを私はほっと胸をなで下ろしたんですけれども。  今どこの地域でいつ地震が起きるか分からないということは専門家がもう繰り返し言っていることで御存じだと思います。こういう地域の防災上の観点からも、公立学校は避難所になるわけですから、その耐震化を早急に進めるべきだと考えますけれども、防災担当として、その促進化に対して何か取るべき方策、お考えでしょうか。
  79. 尾見博武

    政府参考人(尾見博武君) 小中学校の耐震化の問題でございますけれども、先生が御指摘のとおり、学校自体は明日を担う小中学生がそこで勉強するという場でもございます。そういう場が耐震性がないというのは極めて問題だというのは御指摘のとおりだと思います。おっしゃるように、避難所としても学校あるいは学校の体育館、そういうものが使われるという現実がございます。体育館の方は、実は学校の本体よりも若干耐震性はいいという数字が出ておりますけれども、でも五十歩百歩という状況だと思います。  御指摘のように、日本全国どこで地震が起きてもおかしくないということでもありますが、特に東海地震でありますとか東南海・南海地震でありますとか、そういう海溝型の地震については極めて切迫性が高いというふうな御指摘がございますので、私どもどうしたら進むかということについて二つの観点でお答えをしたいと思います。  一つは、今お話が出ましたけれども、耐震診断というのをまずやっていただく、これが大前提になると思います。で、この結果を、これは関係省庁とも今御相談をさしていただいているところでありますが、できるだけ公表していただくと。耐震性がないということをやっぱり市民の方々に知っていただくと。その市民の目線でいろいろな御意見をいただくと、こういうことが非常に大事なんじゃないかと思っておりまして、今申し上げました東海地震とか東南海地震の対策のマスタープランの大綱などでは、その公表についての必要な措置を講じていくという方向性を出しております。それが一つです。  それからもう一つは、何といってもこういう地方の財政状況の中でこの負担の問題が大変大変だと思いますので、現在の枠組みとしては、阪神・淡路の震災の後にできました地震防災対策特別措置法という法律がございます。これは全国どこでも地震が起きてもおかしくないという前提の下に地震防災施設の整備を進めるということでありますが、この地震防災施設の中でも小中学校の耐震化というのは一番の大きな柱になっておりまして、補助率についても三分の一から二分の一にかさ上げすると、こういう措置が講じられているわけでありまして、こういう御要望をまとめて計画的に推進するということが柱だと思います。  あともう一つ申し上げますと、この耐震化については、例えば文部科学省さんの予算の中で、改築と耐震化と恐らく一つの予算の中でやられていると思いますけれども、できましたら、例えば耐震化ということについてもう少し重点的に進めていくというようなことをまたこれから御相談さしていただければ更に進んでいくんではないかと、こういうふうに思っております。  以上です。
  80. 神本美恵子

    神本美恵子君 今の二点、促進するためにということでおっしゃった、特に耐震診断の結果を公表するという、これは非常にやっぱり効果的ではないかと思います。逆に、このことがあって、このことというか、耐震診断をすればうちの学校は危ないと保護者も地域住民も知るところになって、学校、教育委員会はそれを知られたくないために耐震診断を先送りにしてきたという話も聞きます。  それは、その市長部局というか自治体の方が改築の予算が取れないので耐震診断もしないでくれという悪循環に陥っているというお話もお聞きしたことがありますので、その点は、本当に今もうそういうことを言っている場合ではないということで、耐震診断をまず行い、そして公表して住民とともにその必要性を共通認識を持って予算をそこに最初に振り当てるというような、是非そのことへの、何といいますか、文部科学省もこれまで怠慢ではなくて、私も最初は怠慢だと怒っていたんですが、お話聞きますと、地方に行くとそういう事情があってなかなか、そしてまた教育委員会の担当している一つの設置者である市町村の施設の担当者は一人か二人しかいなくて、その人が一生懸命管内の学校を回って何とかしようと思っても、それを言ってもそれが市町村の予算を取る力になかなかならないということで、そういう悩みもお聞きしたことがあったんですが。  是非、縦と横のつながりで、これは本当に三年以内と言わずに、三年以内でもいいですけれども、我が民主党は昨年、この問題については議員立法で臨時措置法案というのを出しています。公立の小中学校等における地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備の促進に関する臨時措置法案ということで、今内閣府の方からおっしゃいましたように、補助金のかさ上げとか、それから結果の公表、そしてとにかく五年以内に全部耐震診断を終えるように、それを国として義務付けるというような法案を出したんですけれども、それを受けまして、少し一部取り入れて文部科学省は耐震診断の実施計画、三年以内ということで立てて進めていただいていますけれども、是非縦と横で連携をして、この耐震化を五〇%から五年以内に一〇〇%にするぐらいの目標を持って進めていただきたいと思いますので、この件についての河村大臣の御見解をお願いします。決意をお願いします。
  81. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 神本委員からいろいろの点御指摘をいただきましたが、状況もすべて承知の上で今、更にと、こういうお話でございます。  文部科学省も、この耐震構造、早くこれを全部やりたいという思い、これは同じ思いでございまして、公立学校の施設整備の予算は耐震関連経費ということでできるだけ増やすようにと今努力していること、御承知のとおりでございます。そして、そのためには、今御指摘のように必要な耐震診断を行わなきゃならぬということでございまして、これは今具体的な、各都道府県それから市町村に対してこの計画をお出しいただきたいということで、十五、十六、十七年の三年計画、先ほどお話がございました、これを今依頼をいたしております。  民主党案として法案が出ていること、私も趣旨をよく承知しておりますが、今の公表の問題等も含めて、これによって進めることができるということについては私も十分理解をするんでありますが、中身の具体的な点において国庫補助率をもっとかさ上げすべきであると、こういうお考えのようであります。こういうことについては、確かに地方の財政負担は軽減をする点があります。しかし一方では、国の予算をよっぽど大幅に増やさないと実際に耐震化の事業が実施できる箇所数というのは減っていくというようなこともありまして、今国と地方の役割分担のことが盛んに言われるわけでございますが、この辺で本当に適切であるかどうかという問題もこの中に含んでおるなという感じも抱いております。  しかし、いずれにしても、この耐震上の問題、これはやっぱり子供たちの安心、安全につながる問題でありますから、できるだけ建物改築・補強事業、これが円滑にいくように、これは確かに予算の問題が非常に大きくかぶさってきておりますが、必要な予算は取っていく。それから、各県また市町村においても、これ積極的にこの問題を取り上げていただいて、計画を出していただければ我々はそれに応じてやっていかなきゃいかぬと、このように思っておりまして、いずれにいたしましても、この耐震化を積極的にやっていかにゃいかぬと、こういう思いは強く持っておるところでございまして、できる限りの予算確保に努めたいと、このように思っておるところであります。
  82. 神本美恵子

    神本美恵子君 河村大臣のお人柄なのかもしれませんけれども、必要性は分かるけれども、なかなかこの補助金を取っていくということは難しいと、結局はそういうことをおっしゃっているように聞こえたんですけれども。ですから、だからこそ、そこで防災担当の大臣と二人で、二人でといいますか、これはもう絶対大事なんだと。補助金削減とか、そんなことを言っている場合じゃ、それはそれで言っていいんですが、これは減らす対象ではないということの問題意識を私は十分大臣はお持ちだと思いますので、そのことを防災担当大臣と一緒になって、もう三年以内にすべての学校の耐震診断を終えて改築を完了するんだ、耐震化を完了するんだというぐらいの意気込みを持ってこれは是非頑張っていただきたい。内閣府の方も防災担当大臣に是非お伝えをいただきたいというお願いをしまして、この問題を終わりたいと思います。  最後に、日本育英会の奨学事業について幾つかお尋ねをしたいと思います。  これは、日本学生支援機構の本当は理事長に今日おいでいただきたかったんですけれども、そういう、まだ替わったばかりということで、替わったばかりといっても引継ぎをやっているんでしょうというふうなこともお聞きしたんですが、なかなかそういうふうになっていないようですので、担当の方でお答えをお願いしたいと思います。    〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕  まず、昨年の国会で独立法人化されましたこの日本育英会ですが、この四月から日本学生支援機構というふうになりましたので、簡単で結構ですので、最初にこの奨学事業が支援機構になってどのように変わるのかということを簡単にまず教えてください。
  83. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) この四月から日本育英会が独立行政法人の日本学生支援機構になったわけでございます。その奨学金、基本的には同じでございますが、変更点、主な変更点として二点ございます。  一点目が、大学院生に対する奨学金の返還免除制度でございまして、これまでは教員あるいはその研究所の研究員ということで就職したことによって返還を免除すると、こういう制度であったわけでございますが、人材誘致の効果が薄れてきている、あるいは厳しい就職環境の中で不公平ではないかと、いろいろ指摘がございまして、御議論もございまして、今年度からは、在学中に特に優れた業績を上げた大学院生を対象といたしまして卒業時に返還免除をすると、こういう制度に改めたという、これが一点でございます。  二点目は、高校生の奨学金でございますけれども、地方分権の観点から、平成十七年度の新一年生に対する奨学金の貸与からこれを都道府県に移管をするということとしてございます。その際、これまでの高校奨学金の貸与水準を維持できますように、国として所要の財源措置を実施をするということにしておる次第でございます。
  84. 神本美恵子

    神本美恵子君 その二点目の高校生の奨学金事業なんですけれども、これについて、都道府県に移管されるわけですが、水準維持のために、財政的な措置は分かったんですけれども、都道府県の具体的にどこが実施することになるのか。ちょっと私も仄聞したところでは、万全の体制が都道府県で整えられているのか、これは二〇〇五年、来年度から実施されますので、その辺どんなふうになっているんでしょうか。
  85. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。  移管をされる高校の奨学金事業でございますが、各都道府県の教育委員会あるいは知事部局の担当課又は所管の財団法人等が事業を行うことが考えられるわけでございますが、どの部局が担当するかは各都道府県がそれぞれの判断で決める事柄ではございますが、各都道府県におきましては、今この高校奨学金事業が円滑に実施できるような必要な体制整備も含め、準備が進められていると承知をいたしておりますし、私どもも、各都道府県に対する支援といたしまして、各都道府県の担当者を集めた会議におきまして、日本育英会がこれまで実施をしてまいりました高校奨学金の貸付け、回収などの業務内容に関する実務的な説明を行うなど必要な情報提供に努めているわけでございますし、また、この十六年度、本年度より予約採用業務が発生をいたしますので、その事務処理に必要な経費につきましては地方交付税措置を講じるということで支援をしてまいりたいと思っておりますし、日本学生支援機構を通じまして、この貸付け、回収等の事務処理のためのモデルシステムを作成をし、本年度中に各都道府県に提供していきたいと、こんなようなことを通じまして、移管をされる高校奨学金事業が各都道府県において円滑に実施をされるよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
  86. 神本美恵子

    神本美恵子君 それをお聞きして安心しました。  私、この件で御質問しようと思ってインターネットを見たんですけれども、育英会のホームページは、もうこれは閉じましたって書いてあって、次はこちらと、その学生支援機構がクリックすれば開くようになっているんですね。そっちを開いてみて、この移管される高校生の奨学事業はどうなるんだろうと思って見たんですが、ただ採用は春と書いてあった、あるだけで、あとは、例えば私が高校生、これから高校生になって受けたいなと思ったときに、どこにどう聞けばどうなるというようなことが、もうちょっと親切に書いてあるかなと思ったんですが、全然書かれていないし、高校の分は育英会からこっちへ、地方へ移管されましたというふうに書かれているだけでは、ちょっとこれは困ったなというのが一点、学生側から見てですね。  それから、各都道府県から見ても、これも、これまでに各都道府県単独で奨学金事業をやっていたところはそれなりのノウハウがあるんでこの育英会の分が来てもやれると思うんですけれども、全くそういう県単独のこれまでに事業がないところはノウハウがないと思うんですね。そういう点を私は心配して今日質問したんですが、今御説明ありましたように、モデルを作って、それでこの一年間で準備作業を進めていくということですので、是非とも、万全の体制でスムーズに移管ができるように是非ともやっていただきたいと思います。育英会から法人になって、学生支援機構になって、内部の体制を整えるのも大変かもしれませんけれども、本務の一つである奨学事業がスムーズにできるようにお願いをしたいと思います。  それから次に、この独立行政法人の移行に先立って、会計検査院が、延滞債権について、回収の見通しや回収施策等について検査をされた結果が十四年度会計検査報告掲記されております。  育英会の奨学金というのは、受けた者が卒業後、これを返還するという、私も奨学金を受けた経験があるんですが、その義務があって、その返還されたお金が育英会の次の奨学金の原資となるという仕組みになっております。しかし、この返還金を滞納する人、あるいは滞納額が年々増えているというふうに聞いております。平成十三年度末の延滞債権額が千五百六十二億円というふうにお聞きしておりますけれども、十四年度末の延滞債権額は幾らになっているんでしょうか。
  87. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 日本育英会奨学金での延滞債権額でございますが、十三年度の一千五百六十二億に対応する平成十四年度末での数字が一千八百六十五億円でございます。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕  ただ、この延滞債権額と申しますのは、返還期日を一日でも過ぎた滞納者に係りますその奨学金、これからずっと先の分まで全部を含めた金額でございまして、そのすべてが返還をされずに回収不能となるというものではないと、こう理解をしておるわけでございます。
  88. 神本美恵子

    神本美恵子君 何か最後の説明で、だから何を言いたいんですかとちょっと言いたくなるような御説明でしたけれども、いずれにしろ、この二〇〇二年度決算検査報告によれば、会計検査院は、延滞債権のうち、予測される回収不能額として四百四十四億円を試算しております。  しかし、育英会では、これまで貸倒引当金の積立額として二〇〇一年度末で二十五億円余りしか計上されておりません。これは従来の特殊法人会計規程に従ったもので、これまでは問題とはならなかったかもしれませんけれども、しかしこれから、独法化された今後は機構の運営上も非常に大きな解消すべき問題であり、このままで回収不能額が増加した場合には将来的には債務超過となって、奨学事業に影響が出ることも考えられるのではないかと思います。  このような観点から、検査院は、この決算報告の中で、新しい機構への移行に際して、財政基盤の安定という観点から、貸倒引当金の積み増し、延滞債権の回収率向上のための施策検討ということを求めているんですけれども、学生支援機構としてはこれらの意見をどの程度取り入れられたのか、また現在どのような体制でこれに取り組むようになさっているのかをお伺いしたいと思います。
  89. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 御指摘のように、会計検査院報告では、要返還債権に係ります平成十四年度中の回収状況を基に将来の回収不能額を推計すると約四百四十四億円が想定されるということでございまして、今後は独立行政法人会計基準に照らして、貸倒引当金の積み増し、それによって生ずる欠損金の処理計画の具体化が必要と、こういう指摘をされてございます。  この検査報告を受けまして、この貸倒引当金でございますけれども、御指摘のように、平成十四年度決算、これは移行前でございますけれども、貸借対照表上では有利子貸与分として約三十三億円の貸倒引当金を計上しておったわけでございますが、この日本学生支援機構への移行に当たりまして、会計基準も異なるということで、平成十五年度決算平成十五年度決算でございますからこの三月三十一日でございますが、あとそれから二か月ぐらいして確定すると、こういうことでございますので、まだ予定ということではございますが、将来的な貸倒れリスクを計上するということでございまして、現在の試算では、無利子分、有利子分を合わせまして約一千億円を計上するという予定にしてございまして、そういうことできちんとやっていこうということでございます。  それから、回収でございますけれども、これも更に力を入れてやるということでございまして、例えば口座引き落とし方式による返還、あるいは滞納者に対する電話の督促を更に徹底をしてやるということ等々、まだ一杯ございますけれども、そういったような返還金回収業務の強化に努めるということにしておるというところでございます。
  90. 神本美恵子

    神本美恵子君 貸倒引当金の積み増しについては今一千億円ということでお聞きしましたが、二点目の回収業務ですね、これについてはいろいろありますがと、そのいろいろもできたらお聞かせをいただきたいんですけれども、現在の督促の手段としては、電話やそれから請求書を発送したりというふうに書かれていたんですけれども、ただ、この会計検査報告の中でも、滞納者の就労先の把握が二五・三%しかされていないと。ということは、返還を滞納している人の経済状態が的確に把握されていない。したがって、督促がそれ以上に踏み込めないという状況になっているのではないかと思います。  また、これも検査報告の中の指摘なんですが、連帯保証人というのが当然あるわけですけれども、その連帯保証人に請求をして、保証人から割賦金の返還が行われても、その次の、その後の請求は本人にまた行っているというような、ちょっと、何というか、本当に熱心に未返還、返還滞納について取り組んでこられたのかということをちょっとこの検査報告を読みながら私は感じたわけですけれども。こういう滞納者のその後の足取り、あるいは連帯保証人の機能を有効に使う、あるいは電話、請求書の発送だけではなく、口座、リレー口座という名前になっているようですけれども、その口座の登録さえされていない返還者といいますか、受給者がいるというようなことも書かれていましたので、その辺についてはきめ細かな、もっと延滞、滞納をなくしていく取組が必要ではないかと思うんですが、いかがですか。
  91. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) いろいろと申し上げなくて大変恐縮でございましたけれども、リレー口座でいきますと、新規の返還者の加入率は九四%になっております。ただし、これは平成年度からでございますから、それ以前の人もいまして、全体としては七割ということでございますが、更にどんどんこれも進めていきたいと、こう思っておりますし、平成十三年度から外部委託によって電話督促、これも日中やっていたんでは、どこかへ行っているわけですから日中は、だから、土、日とか夜間に電話で催促をするというようなこともして、始めてございます。それから、平成十三年度からは一年以上の滞納者全員に法的手続を取るということもしてございます。それから、この十六年度からの導入の予定でございますけれども、連帯保証人や保証人に対する請求、これは一年たたないとしていなかったんですが、三か月滞納だったら連帯保証人、保証人に対して請求をするということにしようということにしてございますし、それから機関保証制度ですけれども、今まで連帯保証人、保証人のような人的保証だけでございましたけれども、これと、選択的にどっちでもいいよということなんですけれども、機関保証制度、これも導入をして、返還がきちんとなされるようにということにしたいと、こう考えております。
  92. 神本美恵子

    神本美恵子君 いずれにしても、奨学金を必要とするすべての学生さんが、これは経済的な理由によって学業を途中でやめなければいけないとか、あるいは学習の、進学したいのに経済的な理由で進学できないというようなことがないように、この奨学事業というのは非常に子供たちの、将来を担う子供たちの人材育成と本人の夢を作るということで非常に重要な事業だと思います。  学生支援機構に移行しましても、恐らく、私いただいた資料では、これは嫌みを言うわけではございません全く、そういう奨学事業を円滑にあるいは更に発展させていくためにも、職員の方たちがより一層これまで以上に業務、サービスを心掛け、延滞金をなくしながらやっていただきますことを心からお願いします。職員の方の平均給与、平均ですから、それも教えていただいたら約七百八十万、決して低くはないものだと思います。それだけやはり期待が大きいわけですから、学生支援機構になりましても、奨学事業により一層努めていただきますことを心からお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  93. 松井孝治

    ○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。  今日は谷垣大臣、河村大臣、そして竹中大臣お見えでございます。国の財政では、一般会計、そして政府関係機関、そして特別会計というのが、予算でも決算でも大きな柱でございますが、なかなか特別会計議論が及ぶことが少ないと思います。今日、特別会計に的を絞って、三大臣にそれぞれの御担当の分野について御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、資料を今日お手元に配付をさせていただいております。資料一に関連をして、この資料一をごらんいただきながら御質問をさせていただきたいと思います。  これ、もう通告をさせていただいています。厚生労働省もお見え、社会保険庁もお見えだと思います。社会保険庁のオンラインシステムのこれは昭和四十二年からの予算の一覧でございます。既に全般的質疑においても御質問をさせていただきました。社会保険庁のオンラインシステムというのが、この金額、累計で一兆円余りの予算が、予算といいましょうか財政支出が、これは個別企業でいうと三つの企業にずっと随意契約で行われています。このことはもう既に先日の委員会で御説明したところであります。  ここに、私の手元に、これは配付いたしておりませんが、東京新聞の今年の一月三日の記事がございまして、私、これは本当かなと思ってちょっと事実関係確認したいんですが、この記事に書いてあることは、この会社Aと今日配らせていただいている会社に関連してのことなんですけれども、この通信専用料という予算、十六年度予算でいうと八百億円の予算があります。これで、三鷹にある社会保険業務センター三鷹庁舎というのはこのA社という会社のオフィスの中にあって、賃料は払っていない。じゃ、どうやって、ただで借りているのかというと、そういうことではなくて、このA社に通信専用料というその範囲でそのオフィスの賃料も賄われているというのが、この記事にはいろいろ指摘があるんですけれども、一つの指摘はそういう指摘なんですが、これは事務方で結構ですが、政府参考人で結構ですが、そういうことは事実関係として正しいんでしょうか。
  94. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 社会保険業務センターの三鷹庁舎でございますけれども、これは社会保険オンラインシステムによりまして被保険者の記録の管理などを行っている部署でございます。この三鷹庁舎がA社のビルの中に所在をしているということは事実でございます。そして、このシステムの利用と、それからこの建物の使用ということと合わせまして、一括をいたしまして、このデータ通信役務サービスの契約の中で処理をされているということでございます。  ただ、御議論、この新聞記事等もございますので、私どもとしてもこういう積算、いわゆるデータ通信役務サービスの積算の中には入っておりますけれども、システム経費の透明性の観点から、今後その取扱いにつきましては必要な見直しをしていきたい、かように考えているところでございます。
  95. 松井孝治

    ○松井孝治君 今、お認めいただきました。要するに、私は、理解していたのは、コンピューターのハードウエアとソフトウエアと、そのサービス、運用を一括してお投げになっているということは、これはもう社会保険庁も認めておられましたが、この社会保険業務センターの賃料まで含めてどんぶり勘定で、言ってみればA社と、これも電話代と同じ費目です、電話代と同じ費目で賃料まで見ていたということなんですね。  これ、谷垣大臣、ちょっと感想を、今社会保険庁の方もそれは適正化するということでしたし、政府としてもこの予算の使い方、随意契約で一兆円なんですね。これは特別会計ですから収入は基本的に保険料で賄われているわけですが、特別会計ではありますが、これ、この累計一兆円がずっと随意契約で、しかも今お認めになられたように、家賃まで含めてそこで見ているということなんですね。  これは、ちょっと事務方に確認をいたしまして、こういうのは本当にいいんですかねと、会計法上適正なのかなというふうに私も疑問を持ちました。それは多くの方が実はそういう指摘をされていますが、会計法を見ますと、会計法二十九条の三というものの中に四号というのがあって、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。」という規定があるんです。  要するに、契約の性質又は目的が競争を許さない場合だというふうにおっしゃっているんですが、これ普通にオンラインシステムを作るのは、今回も特許庁はそれ、やり方を変えるということで、恐らく十七年度以降競争入札にされるということになろうと思うんです。この八百億もの財政支出について、これ特別会計ですが、これ競争を許さない、確かにずっと経緯がありますから、その一社に、ずっと同じところにお願いして丸投げやっていますから直ちに変えることはできないかもしれないけれども、どう考えても、この会計法の精神に照らして、この契約というのはやはりこれ改善を要するんじゃないかと。  これは、谷垣大臣、どう思われますか。
  96. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 前回の委員の御質問のときにも感じたことでございますけれども、余り想像で物を言っちゃいけないんですが、恐らくこのシステムの開発等をこの会社に依頼したというようなことがあり、その特許権をどうするかというような、著作権ですか、どうするかというようなことがあり、こういう形になっているんだろうというふうに想像はするんですが、やや、何というんでしょうか、会計法から見るともう少しよく検討しなきゃならない側面があるのかなというふうに感じます。  まだよく事情が分からずに、あるいは見当外れのことを言っているかもしれません。
  97. 松井孝治

    ○松井孝治君 いいえ、事情十分お分かりだと思いますよ、見当外れでもないと思います。それが一般の常識だと思うんです。  それで、今正に大臣がおっしゃいましたけれども、これ経緯がある話なんですね。恐らく昭和、この表に、見ていただければ分かりますように、昭和四十二年ぐらいからこの予算計上が始まっておりますし、A社というところにしても五十年代から契約が始まっていて、最初恐らくいろんなソフトウエアを開発する上で初期投資が掛かる、しかしこれは予算の単年度主義とかそういう問題もあってその初期投資分を一遍に賄えない、だから、それは後々その初期投資を回収する、六年とか十年とか掛けて回収するという仕組みにするという知恵を働かせたのかもしれませんけれども、このやり方やっている限りにおいては一切競争入札ができないんですね。ですから、これはやはり改善をしていただきたいと思います。  それで、実は内閣委員会でも御質問申し上げたんですが、これ、特許庁は十六年度予算で三百億円近い予算計上をされて、これは財政当局協力をされたんだと思います、その分、前年に比して相当大きな予算計上が必要ですから。で、やったんですが、それは特許庁の場合は、初期投資のソフトウエアというのは支払を済ませたらそれは特許庁のものになるという契約になっているんです。約款があって、その約款の特約が付いているんです。  これ、社会保険庁も、本当に確認だけで結構なんですが、社会保険庁の場合、実は私も調べて、いや約款は変えられませんと社会保険庁の方がおっしゃった。総務省の電気通信の方の担当の方にも確認したら、約款は、いや今は個別で、このA社の場合は電気通信事業法上全く届出も必要ない状況になっているので個別で変えられますと。しかも、別に仮に約款本体を変えられなくても特約を付ければいいんですが、今は社会保険庁とA社との関係では、仮にこの未払のソフトウエアなどの開発費用を払ったとしてもそのソフトウエアは社会保険庁に帰属しないという契約になっているんですね。  事実関係だけ端的にお答えください。
  98. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 今御指摘ございましたように、私どものデータ通信サービス契約につきましては契約約款に基づいてされております。現在、契約約款につきましては届出が不要になっていると私どもも承知をいたしておりますが、その契約約款によりますと、ソフトウエアの著作権というのは事業者でありますNTTデータに帰属するという契約約款上の規定になっているところでございます。  特許庁さんのお話がございましたけれども、そういうふうな事例、特約でという御事例もあると私ども承知をいたしておりますので、現在、私どもとしても、これは政府全体の方針でございますが、レガシーシステムにつきまして刷新可能性調査ということで外部業者に委託をして実施をいたしておりますけれども、その結果も含めまして、この著作権の帰属の問題も含めて必要な見直しが必要ではないかと考えているところでございます。
  99. 松井孝治

    ○松井孝治君 いわゆる残債と言われているものがありますね。先に開発投資をこのA社にお願いしている部分、あるいはB社、C社もそうかもしれませんが、これは社会保険庁のシステムでどれぐらいあるんですか。
  100. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 残債という言葉が適当かどうか、これから提供を受けます通信役務サービスに対します対価ということでございますので、債務が現実には発生しているものではないわけでございます。ただ、契約を解除した場合には、このA社に対しまして、別に定める方法により計算した額を払うということになっております。  別に定める方法による計算した額が幾らになるか、これは金利の設定とかでいろいろ変わってくるかと思いますが、ソフトウエアの開発経費ということでありますものを見ますとトータルで千九百四十億ほどと、こういう数字になります。
  101. 松井孝治

    ○松井孝治君 この千九百四十億というのは、予算書にも決算書にもどこにも載っていない数字なんですね。これ今オープンにして競争入札にするということになると、いったん打ち切らなければいけない、契約を解除しなければいけない。そうすると、千九百数十億円分未払が出る。それは請求されるわけですね。  これは、こういうものが随意契約の、国の特別会計ですが、歳出の中にこういうものがあるという、こういう契約自体、これは特許庁のときについても、いろいろ議論はあるけれどもそれは予算計上、平成十六年度でされたというふうに聞いていますが、そういうその残債と世間では言われているものがあること自体について、財務大臣はそれは適切だと思われますか。
  102. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これも、委員先ほど触れられましたように、システム開発の長い背景があるんだろうと思いますが、今私ども進めておりますのは、できるだけ国が負っている財政の状態あるいは債務の状態、こういうものを全体的に把握できるようにという観点からしますと、それがなかなか表に出てこないというのは少し工夫の要するところかなという気がいたします。
  103. 松井孝治

    ○松井孝治君 これ、大臣、平年度予算で一千億程度あるわけです。それは今申し上げたように、残債と言われているものがその倍あるわけですね。これ、やはり工夫を要する、もちろん工夫を要するんです、その過去の経緯がありますから。一日で、明日からはもうそれチャラよというわけにいきません。それは工夫を要するんですが、工夫を要するということだけではなかなか片付けられない問題だと思います。  ですから、これは是非政府としてきっちりと見直しをしていただきまして、特許庁だけ済ませればいいということではなくて、いわゆるレガシーシステムというのは三十幾つあるそうでございますから、そこについての契約の在り方政府調達在り方について、これはもう会計法の運用上適切かどうかという議論になってきますんで、各省庁だけの問題ではなくて、やっぱり特別会計のこの歳出についても財務省がきちんと監視をして適正化をしていただきたいと思います。  竹中大臣にもちょっと感想を伺いたいんですが、これニューパブリックマネジメントの関係で今年度モデル事業というものを始められましたね。モデル事業を見させていただいて、十事業あるんですが、その中に特許庁の正にこのレガシーをどう改善するかというところが、特許庁のIT化というのがモデル事業の中に入っていました。それを拝見させていただくと、アウトカム目標が特許庁について一応設定されているんですね、定量的目標が。で、この社会保険庁は、これ特許庁よりも更に規模が大きいものなんですね。で、まあモデル事業はあくまでモデル事業ですから、ニューパブリックマネジメントの試行的手段としてやっておられるんでしょうけれども、これやはりこういう、何のために社会保険庁はIT化進めているのか。  私、この前の委員会でも指摘させていただきましたが、IT投資をこれだけ一兆円して社会保険の徴収システムが本当に合理的なものになっているのか。これは、国税も少し前まで古いシステムを使っておられたから、ある意味では類似の問題あったのかもしれませんが、国税に比較して随分、社会保険庁のシステム効率性が上がっているとは言えない。これは数字において先日の委員会でもお示しもいたしましたし、いろんな方々の実感を見ても、社会保険庁、人員たくさんいらっしゃるけれども、本当にそれが、効率的にその業務が行われているのかどうかについては批判が多々あります。  これ、モデル事業を今後ずっと続けていかれるのか分かりませんけれども、こういう社会保険庁の多額のこういう予算について、竹中大臣のおっしゃる、私も賛成ですが、ニューパブリックマネジメントとおっしゃるんであれば、これについてやはり定量的な目標設定をして、きちんとその歳出が削減されて、なおかつ業務の効率化あるいは被保険者へのサービスの向上につながっているかどうかを、正にこういう問題はチェックするべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  104. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 各省の予算の中身、その使い方については、これは査定の問題になりますので谷垣大臣の御担当になるわけでありますけれども、そもそもこのモデル事業、ニューパブリックマネジメント型の予算をモデル事業としてやっていこうという観点、私の観点から申し上げますと、やはりまず、このアウトカム目標とは言うけれども、それを一体どういうふうに作るんだと、それで評価というふうにやるけれども、それはどんなふうに評価のシステムを作っていくんだという、その一つのきちっとしたパターンを作るということがまず一つの目標になります。その上で、ある程度ここの成功事例を踏まえて、それをいかに各省庁に広げていくのかと、その問題になってこようかと思います。  特許庁から社会保険庁へ云々というのは、今の松井委員の御指摘は、その第二のいかに広げるかということに関連するかというふうに思うんですけれども、これはこういう制度を作った我々の気持ちとしましては、とにかく良いパターンをまず作っていただいて、その上でどんどん広げていただきたい。特にいろいろな御指摘をいただいているような分野については、これは各省庁勇気を持ってこの手法を取り入れて広げていただきたい、そういう思いは持っております。今後、モデル事業そのものをどのように広げていくかと、深めていくか、広げていくかということに関連しますので、我々も大変大きな関心を持って今回のそのモデル事業を見ているところでございます。  お答え、十分になっているかどうか分かりませんが、基本的にはこの方策を活用して、まずパターンを作って、その上でしっかりと各分野に、各省庁に広げていくような努力をしたい、それが私たちの基本的な立場でございます。
  105. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非、各省待ちではなくて、経済財政担当大臣ですから、十分に、例えば来年度予算要求のフレームを作られる責任は竹中大臣におありでしょうから、是非広げていただきたいと思います。  次に、これは空港整備特別会計というものについて申し上げたいと思います。これは、これも配っていませんが、週刊ポストに、ちょうど昨年の今ごろずっとシリーズで、羽田空港のいろんな問題が取り上げられています。これは、この空港のいろんな、例えば駐車場料金とかターミナル内の飲食料金が高いというようなこととか、それとの関係で、空港の子会社であるとか外郭団体の天下りの問題をずっと取り上げた記事であります。これを受けましてかどうか分かりませんが、昨年、財政審やあるいは執行状況調査もやられたのかも分かりません。会計検査院も取り上げておられまして、この羽田空港の問題を含めた空港整備特会の在り方について提言がなされていて、この四月一日から若干駐車場料金も変わったというふうに聞いています。このこと自体、私は評価できると思うんです。  ただ、これは委員の皆さんにも知っていただきたいわけでありますが、この空港の、例えば羽田空港の駐車場についていうと、物すごい黒字が出ていたんですね。それは、事業収入、駐車場の事業収入が二十一億円、国有財産使用料、要するに羽田空港の駐車場ビルのところは国有財産ですので、その国有財産の貸付料が八億円、その他経費が七億円、人件費とかいろんなものがあるんでしょう。だけども、二十一億円の収入で収支差が六億円も出ていたんですね。これは、そもそも国有財産の貸付料がよっぽど安いのか、あるいは駐車場料金がもっと本当は利用者に還元して安くできるものを高くしていたのか。  いずれにしても、この空港の駐車場を運営する会社は二つあるわけですけれども、そこに天下りが行っているということもあって、この週刊誌なんかの指摘は、その天下り先に事業収益をもたらすためにこういうシステムを組んでいるんじゃないかというふうにとらえられていて、実際、政府の、財務省にしても、会計検査院にしても、それは不適切だという指摘が、こういう新聞報道等があって、その後にそういう議論がなされて、そして現実に、四月一日から駐車場料金について、特に長時間止めるオーバーナイトステイ以上のものについて安くするとか、あるいは国有財産の貸付料を引き上げるということが行われたわけであります。  これも是非、谷垣大臣、あるいは今日は国土交通省の政府参考人にもお見えでございます、改善されたんで、私はそれは改善されたということは評価をいたしますが、やっぱりどうしても特別会計への国有財産の貸付け、あるいはそこの特別会計絡みの外郭団体の運営について非常にいろんなことを言われる余地がある。現実に天下り問題も是正はされていますけれども、それでも関係団体に、空港ターミナルの関係団体にたくさんの天下りが行かれているわけですね。天下りが行っているからそういう料金設定にしていたのか、例えば国有財産の貸付けを安くしていたのか、あるいは駐車場料金の設定も甘く高い料金設定で認めていたのか、それは分かりませんけれども、分かりませんけれども、いずれにしてもそうやって天下り団体に利ざやが残るような運営をしていたということを私はこれは厳しく改めていかなければいけない問題だと思います。これは時間がありませんからもう答弁要りませんけれども、これは空港整備特別会計についてもこういう問題があるということは指摘をしていきたいと思います。  次に、労働保険特別会計、これも先日の委員会で私が申し上げたものであります。典型的な例は、例のスパウザ小田原、この決算委員会のメンバーが視察に一緒に行かせていただいたスパウザ小田原でございます。  資料二というものを添付させていただいております。配付させていただいております。この資料二を見ていただきたいんですが、これは、厚生労働省お見えだと思いますが、伺いたいのは、これ、この評価額、評価額を五〇%減額しているんですね。これは委員会でも先日取り上げさせていただきました。これ五〇%減額して小田原市に売っているんですけれども、この五〇%減額をする前の金額、ここでいうと鑑定額合計という、一という項目の鑑定額合計が約十六億ですね。それを五〇%減額をしているわけですが、実際にこの施設は何に使われているかというと、その小田原市が今ヒルトン・インターナショナルに貸しておられるわけですね。要するにホテルなわけですね。ホテルに対してどうして、これは公共目的がある場合は五〇%減額ということになるわけです、これは国有財産の売却でも同じことなんです。  まず財務省伺いたいんですけれども、これ、政府参考人でも結構ですけれども、あるいは財務大臣でも結構ですが、財務省の場合はホテルに売却、例えば国有財産を売却するときに公共目的だということになりますか。
  106. 日野康臣

    政府参考人(日野康臣君) お答えいたします。  国有財産の減額譲渡につきましては、法律に基づく場合に限られております。とりわけ減額譲渡を広範囲に規定しております国有財産特別措置法におきましては、国有財産を公共の利益の増進等に有効に適切に寄与させることを目的としておりまして、減額譲渡に関してもこの目的に即して規定をされてございます。したがいまして、例えば地方公共団体等に譲渡される国有財産が、この特別措置法第三条において規定されております病院、学校、公営住宅、あるいはスポーツ施設等の施設の用に供されるときは時価からその五割以内を減額した対価で譲渡することができるとされております。  今、先生が御指摘になりましたホテルはどうかということでございますけれども、国有財産をいわゆる宿泊施設でございますホテルの用に供する場合には、減額譲渡を可能とする法律の規定がありませんから、時価により譲渡することとなります。
  107. 松井孝治

    ○松井孝治君 要するに、今、財務省政府参考人からしっかり御答弁がありましたから、これは相手が小田原市であろうと、ホテルに貸すというものを公共目的だと言って五〇%減額する根拠はないんですよ。  そういう意味では、いや、ひょっとしたら社会保険庁は小田原市に、失礼、厚生労働省は小田原市にこれを雇用促進事業団、雇用・能力開発機構が売却をするとき、雇用・能力開発機構ですが、これは実際は国のお金が特別会計に出ているものですよね。国のお金で取得したものですね。これは小田原市にもし売却するときに本当にそれはホテルにならないんだともし思っていたとしたら、それは適法かもしれない、今の考え方からいえば。しかし、その場合ですら、やはりホテルに使う、使っているという今の利用実態があるんだから、じゃ、申し訳ないけれども五〇%減額分は、今の利用形態は契約違反でしょうと、そういう趣旨に照らして適切じゃないでしょうということで、これは更にその残りの五〇%分も国庫に返納していただくように、あるいは払っていただくように交渉されるおつもりはありますか、厚生労働省。
  108. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) スパウザ小田原の関係でございますけれども、この譲渡価格につきましては、今ほど先生がおっしゃったとおり、評価額十六億で、それにつきまして、小田原市におきまして、一つには、施設の趣旨、建設趣旨を尊重しながら滞在型健康リフレッシュ施設を中心とした公共目的の事業展開を行う、第二に、最低十年間はこの計画用途に供すると、第三に、スパウザ小田原で勤務していた職員のうち希望者全員を再雇用すると、この三つの条件を小田原市において実施をするということで五割減額をしたわけでございます。  この公共性につきましては、雇用・能力開発機構と小田原市との間の譲渡契約書におきまして、この物件につきましては所期の建設目的、趣旨を尊重して、滞在型健康リフレッシュ施設を中心とした地域振興あるいは観光などを含めて、公共、公用を目的とした多様な事業展開を行うということが、この契約において公共性は担保されているというふうに考えております。  さらに、小田原市と先ほどのヒルトンとの間でございますが、この協定書におきましても、この健康リフレッシュを念頭に置いた事業展開を行う、あるいはすべての施設をだれもが利用することが可能になるようなものにして有料の会員制とはしない、あるいは健康相談、健康づくりセミナー等を実施するというようなことで、総合健康プログラムの……
  109. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 答弁は控え目に、短めに。
  110. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 一定の公共性が担保されているということで我々理解しております。
  111. 松井孝治

    ○松井孝治君 それを公共性と言うなら、全国のいろんなリゾートホテルは全部公共性があるわけですよ。今理財局の次長がはっきりおっしゃったように、国有財産であればこれは五〇%減額の要件を満たさないとはっきりおっしゃっているんですよ、ホテルの場合は。じゃ、例えば浦安にあるホテルだって本当に滞在型のリゾートじゃないですか。そういうものに、じゃ、意義がないかといったら、あるのはあるんですよ。だけれども、それは五〇%減額の要件にはならないというふうに私は理財局次長の御答弁は解釈するのが適切だと思いますよ。  ですから、もしそれが滞在型リゾートだというふうにおっしゃって、それは普通の民間と違うと言うんなら、それはどう違うのかと、もっと民間に、国民に分かるように説明されないと。ヒルトンの小田原であれば五〇%減額のこれは滞在型リゾートでスポーツ施設も含みますと。いや、大規模なリゾートホテルというのはみんなテニスコートありますよ、あるいは滞在型リゾートですよ。だから、どうしてそこは、ヒルトンは違うのかと。  別に私、ヒルトンのことを責めているわけじゃないんですよ。五〇%減額する公共性があるとおっしゃるから、その公共性はどこにあるんですかと。ヒルトンはほかのホテルとどう違うんですかということを申し上げているんですが、もう答弁長くなるから、厚生労働省ではなくてこれ谷垣大臣ね、いきなり振って申し訳ないですけれども、これは常識的に、しかも見てください、これは資料二、従業員宿舎ってあるんですよ、これ。これ私も確認しましたけれども、小田原市内にあって、この従業員宿舎なんというのは今の滞在型リゾートでも何でもないですよ。今も社宅か何かで使われているんですよ。この従業員宿舎が三億円分あるんですよ。これも半額にしているんですよ。これはちょっと幾ら何でも、先ほどの理財局次長の趣旨からいって、それは雇用・能力開発機構所有のものですから、これは国有財産そのものではないですよ。しかし、経緯からいえば、国が支出してその財産を特別会計で取得しているわけですよ。  これについて、こういう売り方、恐らくこれ全国で探していったら、別にこのスパウザだけの問題じゃないと思いますよ。閣議決定して売り急いでいるから、とにかく売ってしまわなけりゃいかぬと。小田原市がヒルトンと話をしているということも恐らく内々御存じだったんじゃないかなと私は推測しています。これは推測ですから根拠はありませんが。そういう状況の中で売り急いで、五〇%減額で売っていると。ホテルで堂々と営業しておられますよ。私のところにメーリングリストで一杯このヒルトンの小田原も含めた同じ、例えばヒルトンの新宿とかと同じようにメーリングリストでセールスが来ますよ。それは大いに結構なことですよ、やってもらうのは。だけれども、五〇%減額という判断はおかしいんじゃないかと私は思うんですが。  別に難しい専門的知識とかいうことではなくて、一般常識に照らして、大臣、どう思われますか。
  112. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 松井委員から一般常識で攻められて、御答弁にちょっとなかなか苦しむんですが、これはそれぞれの執行官庁の責任でやっておられることでもありますし、国有財産法の適用が必ずしもある物件ではないということもございますし、それから、今、松井委員は契約のときのいろんなのは御自分の推測だとおっしゃいましたけれども、どういう形でこの契約をされたのかというようなことも、ちょっとよく私把握がまだできていないことがありますので余り的確に申し上げることはできないわけですが、先ほど次長の御答弁、次長がしました答弁から見ますと、まあ、これなかなか限界事例かなというような気はいたします。
  113. 松井孝治

    ○松井孝治君 これ限界事例、限界を超えているんじゃないかなと。実際、この委員会委員が各会派またがって視察させていただいて、確かに、あれがもし公共性があるというんなら、全国の本当に高級リゾートホテルはみんな公共性があるということにならないのかなと。少なくとも国の、従来で言う特殊法人が持っていた財産を五〇%減額で売るというのは、これはどこでどういうふうに玉突いて処理するのか分かりませんけれども、これは是非ちょっと政府部内で厳しく今後この問題については、最初の契約上どこがどういうふうにボタンを掛け違っているのか分かりません、分かりませんが、あれを公共性がある保養施設だと、スポーツ施設だと言うのは私はしんどいと思います。それは指摘をしておきたいと思います。  また何かの機会で御質問させていただきますので、これで終わりにしないでいただきたいと思います。次の私が質問するときには、きちんとした是正が行われていることを期待したいと思います。  次、済みません、特別会計でいろんな項目を挙げさせていただいていますが、電源開発促進対策特別会計についてお伺いをしたいと思います。  これはいろんな問題があって、今日は河村大臣お見えいただいています。高速増殖炉「もんじゅ」の問題もございますし、それから、これ特会の中見ますと「ふげん」というのがありますね、これ、運転休止している。谷垣大臣もお詳しいわけですが。これについて、引き続き年間の維持費が七十億円計上されているんですね、され続けているんです。どうも聞いてみたら、それはまだ、燃料の取り出しをしてその後解体をするということでまだ、何で使っていないのに七十億円毎年こう掛かっているのかなと思いましたら、そういうことだったらしいんです。  お伺いしたいのは核燃料サイクルの問題なんですね。これ、高速増殖炉の「もんじゅ」の問題もそうですし、今日は政府参考人にお見えいただいていますが、経済産業省が電力業界と相談をしながら推進しておられるのか、前に進めておられるプルサーマルの問題もございます。  これについて、この前新聞を読みましたら、プルサーマルという部分、これは河村大臣とは直接関係ありませんが、プルサーマルについてはバックエンド費用、要するに後の処理をする費用について言っても十九兆円掛かるというのは、これは電事連、要するに電力業界の試算でございました。  これ、政府参考人にお伺いしたいんですけれども、この十九兆円というのはどういう積算根拠なのか。それから、今電力業界で大体二兆円ぐらい掛けて六ケ所村に施設を造っておられて、ほぼもう稼働する直前の状況だと思うんですけれども、これ十九兆円の将来の負担が出てくるというふうに民間が試算されているわけですが、この十九兆円はどういう形で国と民間で負担をし合うことになっているのか。そこについて政府参考人の方から御答弁いただけますか。
  114. 寺坂信昭

    政府参考人(寺坂信昭君) お答え申し上げます。  電気事業者によります、いわゆるバックエンド事業費用十八・八兆円という試算がなされているわけでございますけれども、これは、青森県の六ケ所村に現在建設中の再処理工場、これの操業期間を約四十年間、その間に再処理されます使用済み燃料の量を約三・二万トンと想定いたしまして、これに基づきまして、再処理事業や、あるいはその関係のその放射性廃棄物、その処分事業等の各事業のスケジュールを想定いたしまして、二〇〇五年四月から各事業の終了時までに要する費用をその事業ごとに見積もったものでございます。  こうした費用の見積りに当たりましては、バックエンド事業が現在の原子力長期計画等に沿いまして今後とも計画的に実施されることを基本的前提といたしまして、先行事例やあるいは現在の知見を基にいたしまして一定の技術的想定を置いているところでございますけれども、これらにつきましては、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会のコスト等検討委員会におきまして、合理性があるという、そういう評価をいただいているわけでございます。  この十八・八兆円の試算の中には、再処理事業を中心にいたしまして、必要資金規模が計算可能だった費用項目につきましては、将来の支出に備えまして既に引当金という形で電力会社に手当てされているものがございます。これは電気の需要家に既に御負担をいただいているというものでございまして、こうしたものも含まれてございます。  いわゆるバックエンド事業、今の御質問の費用負担でございますけれども、いわゆるバックエンド事業は原子力発電に伴います事業でありますことから、原子力発電により受益をする者がこれを支えていくということが基本であるというふうに考えてございますけれども、では具体的に、先ほどのその十八・八兆円につきましても具体的にどのような費用につきましてどのような主体がどのような形でその負担を行うべきか、そういったことにつきまして正にこれも総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会におきまして現在審議をいただいているところでございます。
  115. 松井孝治

    ○松井孝治君 要するに、まだ官民の分担の割合は決まっていないという御答弁だと理解をいたしましたが、そういう状況の中で、これ、六ケ所村の施設を運営を開始しますと、これ一回運転しますと恐らく止めるのに二兆円近い、一・六兆円とかそういう費用が掛かると言われていますね。それから、正に今高速増殖炉の「もんじゅ」の問題について言うと、高裁判決、無効判決が出て、それをどうするのかということが問われていますね。高速増殖炉の構想が一緒に走るのか走らないのかによって、資源的節約がどれぐらい講ぜられるのかということも変わってくるわけですね。もし高速増殖炉が前に進むんなら、それは資源的に相当節減効果があると思いますけれども、それがもし前に進まないんなら、これプルサーマルだけやったってウラン資源の節約というのはそんなに大したことないわけですね、一〇%とかそれぐらいのものなわけですよ。  これをどうするのかということについて言うと、私、報道等で聞きます限りにおいては、原子力委員会というところで平成十二年に長期契約を立てておられますが、これそろそろ原子力委員会で、メンバーも替わって、もう一度核燃料サイクルの在り方も含めて議論をしようというふうにされているところだと、今非公式に準備に掛かっておられるところだと聞いています。時間があれば答弁を求めたいんですけれども、時間がないんでスキップしますけれども。  そういう状況のところで、官民の、私も原子力発電が今なくてこの国が回るなんて思っていませんよ。しかしながら、核燃料サイクルという重要な問題について、私の理解では、これは原子力委員会において基本的に政策を決められる、それに基づいて文部科学省経済産業省あるいは電力業界も整合的な核燃料サイクルの在り方でそれぞれの所管の事業をどういうふうに前に進めるかどうかを決められるんだと私は理解しているわけですよ。  しかし、その原子力委員会が、今、まあ恐らく平成十七年かなと、前が十二年でしたから、五年ごとに計画は改定されていますから。そこの議論をしようとしているときに、今の官民分担の議論もまだはっきりしない中で、プルサーマルを見切り発車をしてしまって本当にいいのかな。これが私から見れば、これも一つの特別会計の中で予算計上がされている問題ですけれども、極めてこれは慎重に議論をしなければいけないんじゃないか。私は、何が何でも今の時点でプルサーマル凍結すべきかどうか、それも含めて議論をすべきだと思うんですよ。原子力委員会においてまず議論をすべきだと思うんですけれども、これ、河村大臣せっかくお見えでございますので、文部科学省としては、これ例えば「もんじゅ」については原子力安全委員会においてこれ高速増殖炉の問題を見直すというふうにもし仮に将来決定されたら、その決定には従われるんですよね。
  116. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 新たな原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画、これ現在、内閣府の原子力委員会、策定検討中でございまして、文部科学省もこの新たな原子力長期計画が策定されますと、これにのっとって原子力の研究開発を進めていくと、こういうことになるというふうに考えております。
  117. 松井孝治

    ○松井孝治君 要するに、その原子力委員会検討を尊重されるという御答弁であったと思います。そうである以上、私は、これは民間の事業であるというところにおいて文部科学省の高速増殖炉の問題とプルサーマルの問題は性格は違うことはよく認識していますが、やはり原子力委員会検討を踏まえずに経済産業省が総合資源エネルギー調査会だけで議論をして前に進めるというのは、やはりこれはやや拙速ではないのかなというふうに考えています。  これはただ、民間の事業者が今までたくさんの投資をしてこられたことですから、経済産業省だけでこれを止めるとも前に進めるともなかなか言いにくい問題だと思いますが、是非これ、政府全体として整合性の取れた形でしっかりと国民議論をして、前に進めるのか、あるいはもう少し時間を掛けるのかを検討していただきたいということだけ申し上げておきます。  特別会計の問題、いろいろ議論をさせていただきましたけれども、余りもう残された時間がないので幾つかの議論は飛ばして、せっかく政府参考人もたくさんお見えいただいているんですけれども、申し上げていきたいと思います。  本当は財務省には、外為特会、これ財務省自身も特別会計すごい大きなものを持っておられて、すごい金額が、三月に入ってからは少しいろんなアメリカからのクレームもあって控えておられるようですが、すごい金額が使われていますね。しかし、運用益もあるから今のところ国民に負担は掛けていないよという御答弁をされるだろうからもうそれは聞きませんけれども、しかしこれ、アメリカももちろん為替介入していますけれども、それは財務長官がきちんと議会で収支報告をしておられるんですよね。  これ、谷垣財務大臣、外為特会、これ政府全体の特会の在り方を見直すときに、御自身のところの特別会計説明責任も果たしていただかなければいけないと思うんですが、外為特会のこの為替介入の収支を、毎月というふうには申し上げませんけれども、ある一定期間ごとにやっぱり国会報告して、それは財政金融委員会かどこか分かりませんけれども、きちんとそれを国民説明する努力を払われないといけないと思うんですけれども、どうでしょうか。
  118. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今アメリカの例をお挙げになりましたけれども、我が国も毎月末にその月の介入総額を公表しておりますし、それから四半期ごとに、今度は一体何日に幾ら介入したかという、それから売買通貨の種類まで含めて公表しておりますので、これはアメリカ、ヨーロッパ、大体同じシステムでやっておりまして、そんなに違いはないと思っております。  ただ、今委員がおっしゃったのは、一九八八年の包括通商競争力法というものに基づきまして、アメリカの財務省が一年に一回、半年に一回ですね、連邦議会に対して報告をしているわけですけれども、これは効果的な国際収支の調整を妨げることや国際貿易上不当な競争力を得ることを目的に米国の貿易相手国が為替レートを操作していないかどうか、これを報告するということで、アメリカの介入政策について報告をするという形になっておりません。ほかの国がどうしているんだという報告でございますから、ここはまたアメリカとしてのお考えなんだろうと思いまして、あと自分の国が何をやっているという面では、私は報告ではそんなに変わりはないと思っております。
  119. 松井孝治

    ○松井孝治君 何十兆円という金額が介入で使われているわけです。今のFBとそれからアメリカの国債との利回りからいえばそんな大きな問題は生じないのかもしれませんが、これが将来長期金利がこっちが上昇してくると大変なことになる可能性もありますんで、しっかりと説明責任を果たしていただきたいと思います。  もう時間が残り本当に三、四分になりましたので、ちょっと関係する政府参考人においでいただいて恐縮なんですが、最後に質問をさせていただきたいと思います。  これは予算編成在り方なんですけれども、竹中大臣お見えでございますが、さっきモデル事業のお話をさせていただきました。しかしこれ、もうモデル事業で十事業ぐらい集めて、そしてその部分だけで定量的目標を作るということ、そのことは悪いことではないと思いますが、もう時期がそんなにモデル事業で様子を見てという状況にはないんじゃないかと、これだけの財政赤字の状況でいうと。予算編成在り方自身を変えていかなければいけないんではないかと私は思っています。  その意味で、竹中大臣の方からこの予算編成在り方を、もっと各省ごとのめり張りを付けて、私、前に申し上げたように、一部の、ニューパブリックマネジメントを竹中大臣推進されていますが、イギリス型の予算の国は、財務大臣と数人の閣僚でまず大枠の予算編成の仕組みを作ってしまう、大枠を作ってしまう、その上でその大枠に基づいて各省に編成させると。従来のような積み上げ型の編成とか、あるいはシーリング閣議という名前が表すような、各省のシーリングだけ設定して後は各省で工夫しておいでというようなことではなくて、これはまず国全体の財政構造をどう変えるんだということを、数人の閣僚でもいいですから、大枠を変更しないとこの国のこの財政赤字というのは抜本的にいつまでたっても改善しないんじゃないかと私は思うんですが、そこの、予算編成在り方についてそろそろ次のステップに、また六月に骨太二〇〇四をまとめられるというふうに聞いていますが、そこに向けてちょっと竹中大臣の御決意を伺いたいと思います。
  120. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) モデル事業でニューパブリックマネジメント型の予算編成を導入する、それだけで十分と思っているかという問い掛けに対しては、これはもう十分ではないというふうに思っております。  ただ、このいわゆるプラン・ドゥー・シーを非常にはっきりさせるこういう予算のプロセスというのは、これは三年前から何とか日本に定着させたいとあの手この手いろいろ考えているわけですが、どうもやはりうまくいっている国というのは、ニュージーランド、スウェーデンに象徴されるようにやっぱり予算規模の小さな国であって、そこをやはり全体をなかなか、例えば総理とか大統領が見渡しやすいからトップダウンでぐいっとできると。  ところが、アメリカは採用しておりません。アメリカ、日本のような大きな国でやるにはどうしたらよいか。これは総理一人で、財務大臣一人でと見渡せるものではありませんから、やっぱり是非システムをしっかり作るしかないだろうと。そこで、モデル事業で小さく始めて、しかしプラン・ドゥー・シーの評価に至るまでのところをちゃんと枠組みを作って、それを広げていきたいというのが基本的な考え方なんであります。  財政赤字が厳しいというのはおっしゃるとおりであります。それに対しては、予算の全体像という形でマクロの枠組みは、これは諮問会議でしっかりやる。この予算の全体像というのも、実はおととし初めて試行的に導入しまして、昨年の夏にこれをしっかりと諮問会議の中で位置付けて、それで今年の二〇〇四年度予算になっております。その中で、あとは、その枠組みを決めるということと、あともう一つは、大臣イニシアチブというのを活用して、各担当大臣に来ていただいて、その部分をしっかりと私たちは強化をしていきたい、それでモデル事業を広げていきたい、そういうつもりでおります。  骨太の方針、六月を目指して議論始めますけれども、その中では、予算の全体像の中身、これを例えばその特別会計まで含めていかに充実させていくかとか、その中での大臣イニシアチブの枠組みをいかに強化していくか。ここは、漸進主義という御批判はあるかもしれませんが、やはり大きな予算の規模を考えるとそういう形で堅実にやっていくのが現実的ではないかというふうに考えております。
  121. 松井孝治

    ○松井孝治君 もう時間が来ましたので終わります。  資料三というものだけ配付させていただいております。今日、時間がありませんが、政府が小泉総理のイニシアチブで天下りについての規制を特殊法人、独立行政法人についても加えるとおっしゃいました。結局それは、半数程度に制限するという話がありました。私が最新時点で調べた限りでは、上手にできていますね。現時点での特殊法人、独立行政法人の天下りが常勤役員でいうと半分なんです。ですから、今の半分の天下り規制では現状を追認するという状況になっていることだけ申し上げまして、これについてはまた後日の質疑で追及していきたいと思います。  ありがとうございました。
  122. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  今日私は、参議院決算委員会文部科学省を中心にいろいろと質問をさせていただきたいと思いますので、河村大臣、よろしくお願いいたします。  まず最初に、科学研究費補助事業、いわゆる科研費の問題について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  今年三月二十六日でありますが、東京慈恵会医科大学の教授がこの科研費約二千五百万円を不正流用したことを理由に懲戒解雇処分される事件がございました。この科研費の不正流用、不正使用の事件はここ数年大変に多うございます。多うございますというよりも、暴露されたもの、事件になったものが多いということも言えるかもしれませんけれども、以前にも東京大学の副学長まで歴任した教授が約一千三百四十万円の科研費を空出張などで不正流用したことが発覚して処分されたこともございました。  こういった一連の問題があるわけでありまして、私、今日質問をさしていただきたいんですが、まず最初に、基本的な数字を確認する意味で質問さしていただきます。  この科研費の補助事業というのは、国が大学の研究者等に研究費を助成する制度でありますけれども、平成十四年度、今回の決算の対象になっている十四年度の新規、継続合わせてのこの研究課題の補助対象の採択件数と、措置した予算の総額を教えていただきたいと思います。
  123. 石川明

    政府参考人(石川明君) 平成十四年度の科学研究費補助金についてのお尋ねでございます。  まず、件数についてでございますけれども、新規の採択が二万一千五件、継続につきましての採択分が二万三千八百六十七件、合わせまして四万四千八百七十二件となってございます。そして、平成十四年度の科学研究費補助金の決算額は一千五百七十五億二千七百五十万円でございます。
  124. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ということは、この平成十四年で四万四千件余りの科研費の補助事業が案件としてありまして、千五百七十五億円の、決算ですから、予算が措置済みということになっているわけです。  会計検査院のこの平成十四年度決算報告の中では、平成十一年から十四年の期間に科研費の交付内定を受けた研究課題のうち、これ引用しますと、研究期間内、研究期間の間に研究機関から異動したり長期間離れていたりなどしていた研究代表者にかかわる研究課題千十七件につきまして調査をしたところ、その一割を超える、まあ二割に近い百七十三件について、この研究代表者が資格要件を満たしていなかったことを報告しております。まあこれ、調査母数考えますと、問題の氷山の一角なわけですね。  大臣もこれ記者会見で今年に入ってからおっしゃっていますけれども、幾つかの大学、特に医科大学の医局に、あるいは医科大学の教授の研究室に支給された科研費の研究費の中には、その研究代表者がこの補助金が出る前から海外へ留学しちゃっているケースもあるんですね。あるいは、補助期間が二年間で、最初の二、三か月だけその大学にいて、その後、海外にさようならと。もう大臣もよく御存じな事件のケースでは、研究代表者はいなくなっているわけですから、払われたお金はほかの人に、ほかの研究員に教授の裁量で、じゃ、おまえ使っていいよというふうにやっていたと。これはもう完全な不正使用、不正流用ということが起こっているわけです。  実は、もう大臣よく御存じのとおり、平成十三年度決算に関する内閣に対する決算委員会の警告決議で、この科研費の不正の使用の問題について再発防止のための対策を求めております。どういう対策を取られたのか、お聞きします。
  125. 石川明

    政府参考人(石川明君) 平成十四年度決算の警告決議についてのお尋ねでございます。  研究経費の不正使用に関しましては、ただいまお話ございましたように、昨年、参議院の方から、「研究費使用について必要な制度改善を一層進めるとともに、綱紀粛正、内部監査の強化等の指導を図り、この種事案の再発防止に万全を期すべきである。」という平成十三年度決算に対する警告決議をいただいたところでございます。  文部科学省におきましては、昨年の四月に、全国の国立大学等に対しまして、研究経費の不正行為の防止についてという通知を発出いたしました。その中で、研究経費について臨時の内部監査の実施を求めました。それから、会計事務に係る調査の積極的な実施ですとか、あるいは教職員に対する研修等の実施によりまして、より一層の再発防止に努めるよう指導したところでございます。また七月には、研究機関の実務担当者、これ千六百人余りでございますけれども、東京に招集いたしまして、不適正経理の具体的な事例を示すなどいたしまして、臨時説明会を開催して適正な経理・管理につきまして周知徹底を図っております。さらに九月には、取扱規程、科学研究費補助金の取扱規程を改正いたしまして、研究費の不正な使用を行った研究者につきましては一定期間、科学研究費補助金の交付の対象としないというような措置を導入してございます。  これらのこと、もろもろの取組をいたしておるところでございまして、文部科学省といたしましては、今後とも研究費の不正使用の防止に向けて全力で取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  126. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今の御答弁は若干、この間、財務大臣が、政府が去年の当委員会の決議に対して、警告決議に対して取った措置として要約しているものを若干詳しめにおっしゃった内容だと思う、要するに二つやったと言っているんですね。  一つは、文科省所管の国立大学等に対して臨時の内部監査及び教職員に対する研修等を実施するように指導したと。私、通知も全部読ませていただきました。しっかりと通知は出しておりました。もう一つは、正にさっきも言ったように、空出張やって、もう国民の税金ですよ、この科研費を一千万円以上ですね、出張したふりをして不正使用した、流用した、横領したと言っていいのかどうか分かりませんが。そういうことをした研究者については、これは一定期間と今おっしゃっていましたが、要するに二年から五年の間、この補助、科研費の対象としないという措置を取ったということでございます。  それで、ちょっと文科省、もうちょっと政府参考人、詳しめに聞きたいんですが、この国立大学に対しての臨時の内部監査、それから教職員に対する研修を実施しなさいよと通知は出しましたけれども、出してから、最初のやつ出してからほぼ一年になるかと思いますが、これは何件ぐらい具体的にやったという報告を受けているんですか。
  127. 石川明

    政府参考人(石川明君) この四月の通知に基づきまして内部監査の実施を求めております。これにつきましては、内部監査の実施をして、もし手続等に不十分なところがあればこれをすぐに是正するように、またそれによって不正が見付かった場合には直ちに報告するようにという指示をしてございます。その結果……
  128. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 何件、何件。
  129. 石川明

    政府参考人(石川明君) はい、件数といたしましては全部のすべての国立大学に対して内部監査の実施を要請しております。
  130. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 いや、だから要請したんじゃなくて、要請を文科省がして、それをちゃんとやりましたという報告を受けていないんですか。
  131. 石川明

    政府参考人(石川明君) これはすべてについて内部監査が実施されておるというふうに承知しております。
  132. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 教職員に対する研修はどうですか、研修。要するに、あのですね、この問題は、私も大学の教員二年やっていましたからよく存じておりますが、要するに大学の教員の個人のモラルの問題が非常に大きいわけですよね。本来、大学の教員までやっている人に、国からこういう用途で使いなさいと言われたお金を、こういうほかに使っちゃいけませんよなんという指導をすることは本来おかしな話なんですが、しかし、しなきゃいけないぐらい事件起こっているんですね。私、大臣も御存じだと思いますけれども、私これ手元にちょっと関連の記事集めただけでこんなにあるんですよ。愛媛大学もやっているし、いろんなほかの医科大学でもありますしね。  だから、教職員に対する実施はどうなっているんですか。
  133. 石川明

    政府参考人(石川明君) 教職員に対する研修等の実施につきましても、これは期限を切りまして、五月、失礼しました、当時の四月の通知でございますけれども、五月の十五日までにその研修の計画について報告せよということでございまして、すべてのところで研修が実施若しくは計画をされておるというふうに承知しております。
  134. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 じゃ、今、局長の御答弁は、すべての国立大学で臨時の内部監査もやり、そして研修も、教職員に対して不正な流用しちゃいけませんよと、やったということですね。もし今後、国立大学で科研費の不正使用が発覚したら、文科省も、検査結果を、ああそうですか、やったんですかと丸のみしたという意味では、責任出てきますからね。  大臣、これ、あれですよ、国立、後で私言う話に関連しますから言いますけれども、大学当局が研修ちゃんとやりました、不正使用しちゃいけませんよというふうに指導をやりましたと、それから臨時の内部監査ですか、監査ですからね、かなり強力な言葉ですから、監査をしっかりやりましたよと、全部の国立大学報告していて今後こういう問題起こったら、これ大問題ですからね。この点は指摘します。  次に、大臣にこれは御答弁をいただきたいというふうに思いますが、先ほど私申し上げたとおり、いわゆる不正流用した研究者に対してはこの科研費の補助の交付を一定期間禁止をしますと。それから、四月二日の読売新聞の記事によりますと、正に今月からは共同研究者も、いわゆる研究代表者だけじゃなくて共同研究者も連帯責任を負って、一年間にわたって科研費を申請できなくなるという厳しい措置をしたということも新聞にも報道をされておるわけです。ただ、私はこれは甘い措置だというふうに言わざるを得ません。なぜならば、先ほど東京大学の名前を出しました。この委員会の中にもそこの大学の出身者の方が多くいらっしゃるかもしれませんけれども、これ東京大学でも二度、最近でも起こっているわけですね、事例があるわけですね。  そこで、私は、連帯責任と言うんであれば、一つの大学なり研究機関でこの科研費の不正が起こったと、一回ですね、そのときは研究者本人に対して制裁措置というか、そういうものを取ると。もし同じ機関で再度起こった場合には、私は、その大学、研究機関に所属する全員がこの科研費の申請資格を少なくとも一年ぐらい失う、なくすと、ぐらいの厳しい措置を取らなければいけないというふうに思っております。そうなれば、例えば大学の教員で、まあ意図的にせよ出来心にせよ、自分が国からいただいた、元々国民の税金である科研費の補助金を不正に流用しようとしたときに、それが発覚して自分が不利益を被るのはともかくとして、自分の所属する大学のほかの研究者にも全部これが来年及ぶとなれば、それは相当な抑制効果になりますよ。本当はこんなこと言わなければモラルが保てない大学の教員の質に問題あると思いますが、しかし現実にこれだけ多発していることを考えたら、私はここまで踏み込む必要あると思うんです。  大臣は、実は私、調べて分かったんですけれども、一月二十七日の会見でそこまで言っているんですよね、もうその不正使用した研究者出した大学全体にも責任負わせなきゃいけないということを言っているんです。ただ、その後に、事務方の抵抗を受けたのか何か知りませんが、これトーンダウンしているんですよ、トーンダウンして共同研究者だけ一年間とかね。それ、甘い。  大臣、私も大学の講師、二年間だけですけれども、やりました。やった感覚で言いますと、やっぱり、自分はともかく、ほかの同じ大学の教員に迷惑掛けるとなったら、これやりませんよ。自分で抑制します。どうですか。
  135. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 正に研究者のモラル、医師のモラルの問題だと私も思いまして、この話を聞いたときに、今甲子園も終わったところですけれども、あれ、甲子園の予選のときにだれかやったら全部出場パアになるじゃないかと、こう言ったんですよ。  私も同じような思いを抱いておりまして、ただ御指摘の点、私も内部でいろいろしたんですが、その場合に、特別に優れた研究をしている、それがストップするということになると、これは言葉を大きく言えば国益を損なうような実験も中にあって、そういうこともあるんで、ちょっと一遍にそれまで行くには影響大き過ぎるんじゃないかと、こういう御指摘もあったものでありますから、当面その申請者の資格対象については共同研究者までと、こう今いたしておりますが、しかし今後の課題としては、おっしゃるように、そのまた期間内にまた起きるとか、それからこの流用の内容ですね、同じ研究者、同じ研究の方向に向かってこの人がもらったんだけれどもとか、そういうこともあるかも分かりませんが、しかし流用の状況によってまた同じ事件が繰り返されるということになれば私はそこまで考えないと、残念ながらそれでなきゃ止められないというなら私はそこまで考えなきゃいけない課題かなと、こう思っておりますが、まず共同研究者までしても相当影響が出るんで、この点でまず見て、当面これで見ようと。しかし、今後こういうことが頻発するようであれば、そのことも含めて考えなきゃいかぬと、私はこう思っております。
  136. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣の後段の御発言で、もし今後も大学の研究者等による科研費の不正流用が続いて、とりわけ発覚した場合、何しろ、確かに国益を損ずるような、大事な研究をされている、まじめに研究をされている教員がいることも私は存じ上げておるつもりです。確かにそういう人たちに影響が出るということは問題なんですが、しかし、この不景気のときに、国民の税金二千五百万円不正流用したとか、東大の副学長までやった人が空出張をやって一千三百四十万円も、何に使ったのか知りませんけれども、学生と飲んだのか懐へ入れたのか知りませんが、しかし一年間や二年間で一千三百四十万円も懐へ入れて、それで別に刑務所行かないんですよ、この人。懲戒解雇されただけじゃないですか。ですから、これは、だって役所だって、私、勤めたことありませんので分かりませんけれども、二十万とか三十万着服しただけでも場合によっては刑事罰とか問われるんじゃないですか。それから見たら、この科研費の処分とか今の文科省の措置はやっぱりちょっと甘いんですよね。  ですから、研究は大事だというのはおっしゃるとおりです。大臣も恐らく思いとしては私と同じだと思うんですが、まあ今日のところは、引き下がるわけじゃありませんが、もし同じような事件が今後起こったら文科省としてはより厳しい措置を、これいろいろやりようがあると思うんですよ。大学全体に広げなくても、学科とか学部に限定してやってもいいわけですし、そうしたらその学科とか学部の教授同士で、こういうことは本当にやめようと。いや、やめようと言ったら今やっているみたい。ないようにしようということに、申合せにしますしね。これは、文科省があるいは学術振興会議が領収書とか全部チェックするわけにいきませんからね。本当にどこまで行ったって最後は本人のモラルなんです。だから、それを促すということを検討していただきたいということで、今後の課題とさせていただきたいと思います。  続きまして、ちょっと厳しい話が続いて大臣に申し訳ありませんが、医師の名義貸しの問題についてお聞きをしたいというふうに思います。  先ごろ、北海道の岩見沢市の元病院長らが、勤務実態のない医師の名義を借りて、介護報酬、これは幾らでしたっけ、十三億円ですね、介護報酬十三億円を得ていたことが詐欺罪に当たるという、認定される判決が出ました。医師の名義を借りた行為が犯罪だというふうにされたわけですけれども、そこだけ見るとこれ厚生労働省じゃないかと思うんですが、名義を貸している人はだれかというと、これは文科省も既に調査済みでありますけれども、ほとんどが国公私立大学の医学部に籍を置く大学院生であったと。  しかも、これらの大学院生が個々人で動いていたわけではなくて、国立大学の教職員までもが名義貸しに関与していたことが明らかになっており、いわゆる医局が組織ぐるみでこの名義貸しに関与をしていたと。  名義を借りる病院側としてはやはり、これは別種の問題でもあるんですが、医師数の確保によって診療報酬の減額を避けるというメリットがあったというふうに言われております。他方、名義を貸す大学、医局側としては、大学病院で無給で働く、これ自体問題なんですが、無給で働く大学院生のアルバイト代を出してもらえる、あるいは、新聞にも出ておりますけれども、保険証をこの名義を貸している病院から発行してもらえるということがありまして、両者のもたれ合いになっていたと。  それで、この一連の事件は、悪いこととは知りつつ、しかし仕方がないということでやってきたのかもしれませんけれども、有罪判決が出たわけですから、この医科大学の医局ぐるみとされる名義貸しの行為について、やはり文科省として主体者意識を持って責任ある対応をしなければいけないというふうに思いますけれども、文部科学大臣責任ある所見をお伺いいたします。
  137. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) この問題出まして、平成十五年九月に全医学部を置くすべての国公私立大学対象に、その実態と防止対策、防止方策、調査をいたしました。  名義貸しに至ったきっかけは、特に名義貸しをたくさん出した大学に聞いたところによりますと、医局の医師からアルバイトの紹介だけでなく医療機関から直接依頼を受けたり、先輩医師から紹介されたケースもあって、大多数が名義貸しという認識がないままにアルバイト紹介等に安易に応じたと、こういうケースが多いと。仕方ないという部分もありますし、余りそういう意識がなかったということがあるということでありました。  ただ、実態調査において名義貸しを意図して紹介を行った医局の医師、五大学で六名、調査対象七十九大学、七万三千五百六十二名でありまして、この調査結果からすると、名義貸しに医局がかかわって、そこの医局ぐるみでやったということになると、もうひとつ明確でないという点もあります。しかし、これはやっぱり、正に名義貸しをやって実際に勤労、働かないのにその報酬をもらっておったというようなケース、一種の詐欺になるわけでありまして、こういうことについてはやっぱりちゃんと根絶していかなきゃいかぬと。また、国民からもこれは変だと思われているわけでありますから、こういうことは絶対に防止しなきゃいかぬということで、医師の紹介、各病院に対して医学部から紹介して医師が行く場合がありますが、この紹介のシステムはやっぱり透明化する必要があると、こう思っておりまして、このことを指導を徹底するように要請をしたところです。  それから、この問題については今遠山委員も御指摘ありましたが、やっぱり病院側も診療報酬を確保するために医師、医者が確保されていなきゃいけない。要するに、医師不足の背景があるわけですね。これも慢性的な医師不足というのがあるので、これは医療政策上の問題でありまして、私も予算委員会で御答弁を申し上げたんですが、一方では医師を抑制しろと言いながら現実には医者が不足している部分もあると。この辺の医療政策は、これは厚生労働省側とも提携をして、名義貸しの根絶と地域医療ですね、地域医療の充実、この両面からこの問題には解決策を取っていかなきゃいかぬと、このように考えておるところであります。
  138. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 いや、文部大臣指摘のとおり、この問題は、私、根が深いし、背景は結構多様だと思っているんですね。私、この間の参議院の厚生労働委員会で、へき地医療対策について厚生省側の方にもっと、やっぱり過疎地とか山間部とかあるいは離島に非常に深刻な医師不足の問題抱えている地域にもっともっと、自治医科大学の学生ばっかり行っているんです。そうじゃなくて、ほかにもそういう地域で頑張りたいという若いお医者さんが行けるように、私はもうへき地手当ぐらいまで出して行政やるべきだということを主張しているんです、それはちょっと今、今日の委員会とは違うんですけれども。確かにこの名義貸しの裏には地方の医師不足というのがあると。  それからもう一つ、ただ文科省としてちゃんとできることは次の問題だと思うんです。それは、やはり大学によって差があるでしょうし、医局によっても差があるでしょうし、その医局を統括する大学の教授の質によっても違いがあると思いますけれども、やはりいろんな新聞報道やテレビ報道で既に明らかになっておりますが、こういう医局員として働いている若いお医者さんたちは相当悲惨なコンディションで生活をしていると。そこの医局のトップである教授にある意味生殺与奪の権を握られていて、不義なことがあっても逆らえば未来がなくなると。そういう一種異様な封建体質を、いまだに医科大学の医局の中にあるということを私はいろんな調査で認めざるを得ません。そこについては、文科省としても、しっかりとメスを入れて改革をしていただきたいと思います。  ところで、大臣、申し訳ありませんけれども、これも大臣にちょっと聞きますが、文科省がこの四月から新しい医師臨床研修制度を導入すると。これは、今私が指摘したような弊害をなくしていくために取る方策でもあるようですけれども、要するに、研修医を今までみたいに内科とか外科とか一つの科だけではなくて、内科、外科、産婦人科、地域医療など各分野を一定期間ずつ回ることを義務付ける新しい研修制度なんですね。  ところが、これで問題が発生をし始めておりまして、つまり、これを導入すると、今度医局に、いわゆる私が今申し上げたような若い医局員がいなくなると。で、医局が人員不足を起こして、今まで地方に派遣をしていた医師を呼び戻すということが副作用的に起こってしまって、この結果、地方の病院の医師不足に拍車を掛けるという、やや意図していなかった問題が今生じていると言われておりますが、この点について、大臣としてどういうふうにお考えになるか。
  139. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 遠山委員指摘の点、新しい医師の研修制度によってこうした問題があるということ、これは私も聞いておるところでございまして、この制度によって大学側は医師をきちっと確保しなきゃいけなくなったと。要するに、病院に行っているやつ引き揚げなきゃいかぬという現状、現実が起きていると、こう聞いております。  特に大学病院は地域の中核的な医療機関でありますから、これは、地域医療機関から医師の照会があった場合には、本人が合意すれば紹介をするというこのシステムを作ってきたわけですね。しかし、現実に、医療機関へ、ほかへ回るとか、あるいはもう雇用条件合わないとか、当該の医師が開業したとか、その後任の医師がなかなか派遣できないという事例が増えておるというふうに聞いておるわけでございます。  そこで、今、遠山委員指摘のように、新しい臨床研修が、いろんな科を回させるとかそんなことがありまして、短期間でどんどん変わっていくというようなこともあって、大学病院もその医療供給体制を変更する必要が生じております。こういうことについても考えなきゃならぬということ。  それから、研修医のアルバイトも禁止したと。原則禁止という方向が出ておりますので、これは、これから大学病院、それから地方の医療機関、両方において、これ、よっぽどこの協議体制を作りませんと、今御指摘のような問題がもっと攪拌していくんじゃないかと私も心配しております。  そこで、この両者の関係においてその不足が出た場合に、この話、相互の理解を得ながらその医師の配置ができるようにどうしていったらいいかということを考えていかなきゃならぬということで、今、厚生省、それからいわゆる地方自治、総務省も連携をしていただきまして、地域医療に関する関係省庁連絡会議、これを持ちまして、今この取りまとめの中で都道府県の医療関係部局、あるいは大学と地域の医療機関などの協議会、こうしたところで、これらの協力体制をどうするかということで今取組を進めておるわけでございます。  医師は定着しない、さっき、離島、辺地等へなかなか行く医者がいない、こういう問題がございます。これは、地方の各大学の医学部を持っているところにはその地域枠を若干設けて、地域に定着させる方策も取ったらどうかというようなことも今進めておるわけでございますが、いずれにしてもそうした医師の確保、これは大きな問題でございまして、深刻に受け止めながら、できるだけ大学側がこれに協力できるような関係省庁との連携、これをしっかりひとつ推進をしていきたいと、このように思っております。
  140. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 正に大臣今おっしゃったように、実は、これはもうここまで来ると文科省だけの問題ではもう全然なくて、これは厚労省の側でやはり地域医療、へき地医療の方の医師の充実をどういうふうにしていくのかと、これはもう、私、この間、厚労委員会でさんざん詳しく質疑をさしていただきましたけれども、まだ取組が不十分。  たしか北海道、東北は、望ましい医師の数に対する充足率が五割程度なんですね。ところが、日本全体の医者の数で考えると、医者が増え過ぎて過剰だなんという話になっているんですよ。東北、北海道は五割ですよ。沖縄は、私よく回りますけれども、離島なんか行ったら、もうどこ行ったって医者不足で大変です。文科大臣、沖縄の離島へ行ったら大変なことになりますよ。  そういう状況をどうやっていくのか。これ、厚労省、文科省、それから総務省との壁乗り越えて、やはり地方の人々、特に高齢化もスピードが速いと言われているわけでありますけれども、どういうふうにこれから対応されていくのか、御答弁願いたいと思います。
  141. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 先生御指摘のように、地方の医師確保の問題は私ども重要な課題と認識しております。先生おっしゃったように、医師の数、現在二十六万人ほどおりますが、毎年七千人ほど新規に入ってきます。亡くなる方もいるとしても、五千人弱は毎年増えていくということですから、どのように適正に配分していくかという、私どもとしては地域偏在の問題をどのように改善していくかということは大きな問題だと思っております。  あと、専門、医師の専門性の問題その他もございますが、このような中長期的、総合的に対策を進めるということが必要だと認識しておりますので、引き続き文部科学省を始め関係省庁と十分協力しながら、医療計画の見直し、医師需給見通しの見直し、地域における医師確保の新たなシステム検討など、総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
  142. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。これについては、今後も厚労委員会等でも私も注視をしていきたいというふうに思っておりますので、対応方よろしくお願い申し上げたいと思います。  続きまして、また文科省にお伺いをいたしますけれども、今年度から海外に留学する日本人学生に対する奨学金制度が創設をされました。私もイギリスの大学院に六年間留学をしていたこともございますし、また公明党としても強く主張をしてきた政策の実現になるわけでありまして、大変に歓迎をしております。  もう大臣も御存じのとおり、今日、海外の大学や大学院で学びたいという若者は日本では大変に増えておりまして、特に真剣に学位を、海外の大学、大学院で学位を目指して学ぶ学生を応援するということは非常に大きな意味があるというふうに私は思っておりますし、日本全体の発展につながるというふうに確信をしております。  ただ、一点だけ確認をしたいというか質問したいことがございまして、この今年創設された制度は予約採用方式となっているんですね。つまり、日本の大学、高校に在籍していないと利用できないんです。これ、貸与の奨学金の話、私今しているんですね、借りるやつですね。これはちょっと私は厳し過ぎる要件なんではないかなと思っているんですね。  つまり、大学を出てから一度社会で数年経験を積んでから海外の大学院行きたいという人は使えないんです。あるいは、日本の高校を出て海外の大学行って、そのまま海外の大学院行く人は、今、海外の大学に在籍しているためにこれ使えないんです。これは実態に合っていない。貸与ですよ、給付じゃなくて。給付の方もあるんですが、百人だけ。貸与の方、これ、たしか千人ぐらい対象だったと思うんですけれども、これ、私、要件厳し過ぎると思うんですが、いかがでしょうか。
  143. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 十六年度から新たに海外留学の支援の制度を設けたわけでございます。全く新しいものでございますから、限られた財源を有効活用し、十分な事業実施効果を確保すると。こういうことで、在学中から目標に向かって計画的に海外の大学等に進学を希望する者であって、海外の大学等を修了する十分な能力を有する者、これを貸与の対象とするということで、我が国の高校、大学等の卒業見込み者につきまして、その学校長の推薦でそれらの状況を確認するということで、十六年度からスタートをしようと、こういうことでございます。  厳し過ぎるじゃないかという御指摘もございます。この貸与対象の在り方等につきましては、今年度からということもございまして、事業の実績、学生のニーズ踏まえながら、今後どういう対応が可能か検討していきたいと、こう思っております。
  144. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ちょっと、要は、今年初めてやるから実績を見てというように私今受け取りましたけれども、私自身留学をした者として、あるいは大学の教員として学生を留学、送り出した人間としては、非常にちょっとこれは実態に合ってない要件ではないかという思いは捨て切れませんので、今後の実績の推移を私も注視をしながら、必要があれば変えていくというスタンスを御理解をいただきたいというふうに思っております。  私、時間がないのでもう質問じゃなくて、これ文科大臣に一点だけ聞いてほしいんですね。  今、若年者の雇用対策の一環で若者自立・挑戦プランというのが出ていますね。その中で文科省も重要な役割を果たしているんですが、文科省から資料をいただくと、キャリア教育総合計画みたいなものがどんと出ておるんです。その中で、キャリアアドバイザー、民間の人を学校に送って社会で学ぶ意味を教えましょうというすばらしいことをやっているように装っている文書を堂々と国会議員に回しておるんですね。  私、調べたら、大臣ね、このキャリアアドバイザーって何人いるんですかと言ったら、六百十五人いますと言うんですね。それはどういう予算でどういう人を選んでやっているんですかと調べたら、大臣、何とびっくり、この六百十五人というのは、厚労省の緊急地域雇用創出特別交付金で進路指導のために雇った六百十五人をいって、キャリアアドバイザーと言っているんです。文科省で予算も付けずにやったことを、キャリアアドバイザーを利用して学校で民間人に、子供たちにキャリア教育やっていますなんてよくも言えたなと私は怒り心頭に達したんです。  今日はもう時間過ぎちゃいましたから質問言いませんけれども、これ、文科省はキャリア教育担当の審議官もいない、参事官もいない、統括する部局もない。私は、これから若者の雇用対策、若い人がフリーターのリスクとか分かりながら社会でしっかりやっていくためには教育機関が大事だというふうに思っていますので、是非、大臣のリーダーシップで改善していただきたいと要望しまして、私の質疑を終わります。     ─────────────
  145. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この際、委員異動について御報告をいたします。  本日、今泉昭君が委員辞任され、その補欠としてツルネンマルテイ君が選任されました。     ─────────────
  146. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  私は、障害児学校、特に養護学校について今日は質問をいたします。  その質問の冒頭なんですけれども、二つ御紹介したい文書がございます。  その一つは、大阪府の寝屋川養護学校の校長先生が是非国会で紹介していただきたいと、知的障害者の作文を託していただきました。  それを少し読み上げますと、私のお母さん、あなたのお母さん、たった一人。お母さんは頑張り、せっせと働いて働いてお金をもらい、そして飛ぶようになくなり、また働いて働いて頑張っている。お母さん、大好き。生んでくれたお母さん、ありがとう。私の大切なお母さん。知的障害児の作文です。  さらに、もう一つ紹介したい文書がございます。この三月に養護学校高等部を卒業された生徒のお母さんの手記の一部です。  私は、十二年前、我が子の就学先について考え、悩んで養護学校を選びました。就学した養護学校では、多くの先生たちから子供を継続に見てもらえました。子供の発達段階にかみ合うカリキュラムや日課を準備してもらえましたので、本当に安心できました。養護学校では、小学部、中学部、高等部を通じて一貫した教育を用意してもらえました。子供の成長、発達を先生たちと一緒に喜び合えました。養護学校でしかできない教育、専門性の高い教育を保障してもらえたと思っています。お母さんの手記でした。  私は、この二つの作文や手記の中に、これまで養護学校また盲学校、聾学校が子供たちの障害に、実情、発達に即して丁寧な教育をしてその成長を促進してきた大きな役割があったというふうに思うんですけれども、この点についてまず大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  147. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 今、感動的なお手紙の一部、拝聴いたしました。  養護学校がその役割をきちっと果たしているということ、特に障害の状態に応じて専門性の高い教育を行っているということ、このことが実際にそういう成果になって表れているということは大変評価できることだというふうに私も思っております。  特に最近の傾向といたしましては、特別支援教育といいますか、そういう形の中で、それぞれの児童生徒、障害の著しい児童生徒に対して個々のきめ細かい教育をということ、それから自立し社会参加できるような教育をやる、こういう観点から、養護学校に通わせるのか、あるいは健常者とともにあるべきかと、いろんな今議論があるわけでございます。しかし、委員が今御指摘にありましたように、やっぱり専門性の高い教育ができる、これがやっぱり養護学校の一つの大きな特色だし、一貫とした教育ができるということが大きな養護学校の特色だと、こういうふうに思っております。  そこで、これからも、その学級編制等々、特別な措置を取ってきているわけでございますが、特に学級編制は小中学校では六人、小中学校六人、高等学校八人、それから重複の障害児の場合には小中高とも三人でということで児童生徒数の標準を定めておりまして、そうした教員、教職員の配置も行って特別な措置を取ってきたということだと思います。そういうことの成果が今の答えの中にも表れておると、こう思っておりますし、養護学校がそういう意味で大きな意義を果たしてきておると、こう考えております。  さらに、障害のある児童生徒のそうした個性に合わせたといいますか、一人一人の教育的ニーズ、これに応じたきめの細かい適切な支援を行いながら、養護学校での教育の充実を努めていかなければならないのではないかと、このように感じております。
  148. 小林美恵子

    小林美恵子君 養護学校の役割は大臣もお認めになるということですよね。  それで、私は、養護学校へ、今、養護学校など障害児学校へ子供たちが通うのが随分増えています。二〇〇〇年には八万八千八百十四人から、二〇〇三年度でいきますと九万六千四百七十三人となって増えているんですね。しかし、いかんせん施設整備というのは極めて不十分でございまして、過大、過密の養護学校となっている現状がございます。私は、子供たちにやっぱり行き届いた教育をするという点から申しますと、この施設整備というのは本当に大切だと思うんですけれども。  ここで、文部科学省の担当の方にお聞きしますけれども、養護学校の小学部から高等部の学部をすべて合わせまして二百人台、三百人台、四百人台の学校が全国で何校あるか、教えていただけますでしょうか。
  149. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) 養護学校一校当たりの平均在籍者数は、これ平成十五年五月現在で約百五人という数字があるわけでございます。また、学校基本調査で小学部、中学部ごとの児童生徒数別の学校数を集計をしておりまして、これも平成十五年五月現在の数字でございますが、少し細かくなって恐縮でございますが、小学部では児童数が一人から百五十人の学校が七百四十九校ございます。また、百五十一人から二百人以上の学校が一校ということでございまして、この中で一番多いのは一人から五十人の児童数、これは五百四十三校、五十一人から百人というところが百八十八校と、こういうような状況でございます。  なお、中学部でございますが、生徒数一人から百五十人という生徒数の中学部を抱えておる養護学校の数が七百五十一校と、これも少しそれを分けて見ますと、そのうち、一人から五十人の生徒数の学校が六百七十一校と、五十一人から百人という学校が七十七校ということでございまして、小中学部のそれぞれの学部ごとの児童生徒数別の学校数はそういう形で出ておるわけでございますが、ちょっと申し訳ございません、小学部、中学部、高等部の児童生徒数を合計した養護学校一校当たりの、先生御指摘になりましたような二百人台、三百人台、四百人台という、こういう学校数については把握をしておらないところでございます。
  150. 小林美恵子

    小林美恵子君 時間が短いですので御答弁は簡潔にお願いしたいと思うんですけれども、私はこれは通告しておりましたので、やっぱりお調べにいただいて御答弁いただきたかったと思います。  私がつかんでいる範囲でも、例えば昨年度最高は愛知県の養護学校で四百三十七人の学校がございました。そして、大阪でいきますと、二百人以上の学校が十一校ありまして、中でも三百人以上は四校あります。例えば、大阪府立寝屋川養護学校では、この四月一日で三百二十人、昨年度より十二人、小学部だけでも百二十人から百二十九人と九人増えているんですね。これは、大阪府の学校教育審議会が二十二年前に示された百五十人から二百人が適正というものからいってもその規模を大きく超えているわけです。もう間もなく小学部だけでその規模に匹敵するかというような状況になっています。  私はここでお聞きしますけれども、学校適正規模についてですが、国として、小学校、中学校、養護学校と、どんな規定になっているでしょうか。
  151. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。  公立の小中学校並びに養護学校の児童生徒数の基準というものについては特に定めてはいないところでございますが、学校教育法の施行規則におきましては、小中学校の学級数は十二学級以上十八学級以下を標準としながら、地域の実態その他により特別の事情のあるときはこの限りではないと、こういう形で小中学校については定めておるわけでございます。  一方、養護学校における児童生徒数でございますが、こういった定めはないわけでございまして、各地方公共団体が障害のある児童生徒の状況、あるいは地域の実態等を考慮した上で判断すべきものと考えております。
  152. 小林美恵子

    小林美恵子君 小学校、中学校にはあって、養護学校にはない。これはなぜでしょうか。
  153. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) 児童生徒数の基準は、これは小中も養護学校ともないわけでございますが、例えば、先生が今の御指摘は、例えば盲・聾・養護学校についても施行規則で学級数の標準を決めるべきではないかと、こういう御指摘だといたしますならば、まさしくこの盲・聾・養護学校は、在籍する児童生徒の障害の状態でありますとか地域、学校の実情によってその実態が様々でございますし、またこの重複障害学級の数も学校によって異なっておるわけでございまして、なかなかこの盲・聾・養護学校の適正な学級数を国が一律に定めるということは難しいところがあると、このように考えておるところでございます。
  154. 小林美恵子

    小林美恵子君 過大、過密の養護学校というのは、七十学級を超すところがあるんですよね。今、小学校から例えば高校までクラス数の多いところを足しても、恐らく七十学級を超えるところはないのではないかというふうに思うんです。いかに今の養護学校が過大になっているか、ここは本当に私は国として適正規模を設けるべきではないかというふうに思うんですね。  次に移りますけれども、今、適正規模、地方自治体では一定、定められているところがございます。先ほど大阪の例を御紹介しましたけれども、その地方自治体の適正規模からいくと、一・五倍、二倍というのが今の養護学校の過大、過密の現状なわけです。これを適正と言えるかどうか、この点について、これは文部科学大臣にお伺いしたいと思います。
  155. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 今の御指摘のような、その過大なといいますか、学級数が七十学級もあるような養護学校があるという御指摘でございます。盲・聾・養護学校、この在籍する児童生徒の障害の状況、あるいは地域、学校間の、学校との実情も、実態が非常に様々であるという点があります。先ほど局長からも答弁いたしました。  それから、重複障害学級の数も学校によって非常に異なっているということもあって、これはやっぱり設置者の方において障害のある児童生徒の状況とか地域の実情を考慮して判断をいただくということが必要ではないか。かなりそういう点のばらつきがあるものでありますから、一律に国の方でこの基準ということが適正であるか、適当であるかどうか。しかし、現実考えたときに、地方自治体で考えられたときに、これはもう教員の確保とかそういう面からいって、これでは実質的な障害教育はできないということになれば、その時点で、その時点といいますかそういうことになれば、そこのところは考えていかなきゃいけない課題だろうと思っておりますが、こういう点についてもやっぱり地域の状況を我々としては受け止めて対応を図っていかなきゃいけないんではないかと、こう思っておるんですが。
  156. 小林美恵子

    小林美恵子君 その地域が定めました適正規模よりもはるかに超えているというのが適正規模と考えられるかどうかということを私は先ほど伺いしたんです。その点、もう簡潔でよろしいですから、もう一度お願いします。
  157. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) この適正規模というものをどういうふうにお考えか、全国のいろんな例も比較しながら考える課題かと思いますけれども、現実にどういう規模でどういうふうにされたかということだと思いますが。
  158. 小林美恵子

    小林美恵子君 それでは、私はこの過大過密になっている養護学校でどういう現状が起こっているかということを御紹介をしていきたいと思うんですね。  子供の人数に比べてとにかくトイレが少なくて、廊下にポータブルトイレが並んでいるという学校があります。また、普通教室がもう足りなくて、現場では特別教室や遊戯室などを普通教室に転用しているんですね。しかも、その転用する教室ももうなくなってしまって、一つの教室をカーテンで間仕切りをして、隣の教室の声が聞こえるというそういう教室もあるんです。  私は、大臣はこういう現状を把握されておられるのでしょうか。いかがですか。
  159. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 今おっしゃったお話は初めて聞きました。
  160. 小林美恵子

    小林美恵子君 今、過大過密の養護学校のことが大きな問題になっていると思うんですよね。それが今初めて聞いたというのはいかがかなというふうに私は思うんですけれども、初めてお聞きになったというんでありましたら、それをしっかりと受け止めていただきたいというふうに思うんです。  それで、私は、とりわけ、特別教室が普通教室に転用されていく、この問題について質問していきたいと思うんです。  養護学校の子供たちに行き届いた教育をするには、施設整備の改善を早急にすべきということはもう重要だと思うんですね。中でも、特別教室を普通教室に転用されているということは問題だと思うんです。障害を持つ子供たちにとって、遊戯室で体を動かしたり、音楽室でレコードを聴いたり、楽器演奏をしたりと、そういう教育というのは本当に大事だと思うんですね。ましてや、作業室とか訓練室は養護学校の子供たちには欠かせない場だというふうに私は思います。  実は、私はかつて養護学校で子供たちを教えた経験がございます。重度の障害を持つ子供も、音楽を聴いたり体を動かしたりしますと本当に豊かな表情になるんですよね。そこに障害の個別の状況に即した教育が施されていくというふうに思うんですけれども、その教育を保障していく施設整備、特別教室などはやっぱり養護学校にこそ私は大変必要だというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  161. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 御指摘の点、そういうことによって現実に障害のある子供たちの教育に障害を来しているということになれば、これはそういうことが起きないような配慮というのは必要だろうと思います。  これまでも、文部科学省は、それぞれの都道府県の教育委員会等の設置者において、学校の施設整備等々、また公立の盲・聾・養護学校の施設整備に、要請において必要な補助といいますか、そういうことをやってきたわけでございまして、これは公立の盲・聾・養護学校の施設は整備、これまでしてきているわけです。だから、その数字上ではわずかではありますけれども、例えば平成年度辺りの児童一人当たりの保有面積は四十五平米なんですが、わずかではありますけれども平成十五年度では保有面積四十八というように増えておりますので、全体から見ると統計上は増えている。しかし、今御指摘のようなところがある。  この地域差が非常にあるということは、特に最近は知的障害者の方の数が増えているという報告も伺っておりますので、今御指摘のような点は非常に問題でありますから、これからの教育環境の整備、特に障害のある児童生徒の受入れ、これは支障があってはなりませんので、今の状況、私も初めて聞いた、申し訳ないと思いますが、是非、この状況については、どういう点が今問題になっているのか、その地域性があるのか、そういう過大な状況になっている、そういうような問題については把握させていただいて、今御指摘のような点が、障害児の教育上問題点を解消するように努力していかなきゃいかぬと、このように考えます。
  162. 小林美恵子

    小林美恵子君 今の御答弁でいきますと、障害児教育に支障が来すような施設整備であれば改善をするということですよね。それは確認させていただきたいと思うんです。  それで、先ほど大臣はおっしゃいましたけれども、今私が申し上げました特別教室の普通教室の転用などの、また、全く転用する教室もなく、一つの教室で間仕切りして二つの教室を作っていると、そういう現状はなかなか御存じなかったということも率直におっしゃっていただきました。それは把握をしていくということですよね。これも確認をさせていただきたいと思います。  それで、地方自治体でいきますと、こういう特別教室が普通教室に転用するということが言わばまかり通っている現状もございまして、なかなか関係者の皆さんが施設の整備、増設をという要請をされても、そこでなかなかストップされるんですよね。その点は、やっぱり私は、国としてしっかりと対処すべきだというふうに思うんです。そのことを強く申し上げたいというふうに思います。  それともう一つは、これを抜本的にやっぱり打開をしていくためには、やっぱり予算の問題が大きいというふうに思います。  それで、今お手元に資料が配られていると思いますけれども、私は今日、パネルも持ってまいりました。(資料提示)  これは、盲学校、聾学校、養護学校への国の財政支援、いわゆる障害児学校に対する予算の推移をグラフにしたものでございます。先ほども申し上げましたけれども、二〇〇〇年からいきますと、八万八千八百十四人の在籍の、障害児学校在籍の子供たちが、二〇〇四年には、あっ、これは二〇〇三年でしたかね、九万六千四百七十三人になっているということで、増えているにもかかわらずいわゆる予算は減少しているというのがこのグラフでは一目瞭然だというふうに思うんです。  こういう予算では、やっぱり過大、過密の養護学校の解消とか新たな増設というのは、できる保証ではないというふうに思うんですけれども、この点は大臣はどのようにお考えでしょうか。
  163. 近藤信司

    政府参考人(近藤信司君) ちょっと数字の問題がございますから私から説明させていただきますが、特別支援教育関係予算が十四年度から十五年度約百六十八億円減になっておるわけでございますが、これはいわゆる三位一体の改革の一環として義務教育費国庫負担金の減、いわゆる共済費長期給付の一般財源化でありますとか平成十四年度の給与改定、人事院勧告の跳ね返り分、こういったものが約百六十億円あるわけでございまして、これが大きな減の要素でございます。  また、十五年度から十六年度の減につきましても、これもまた義務教育費国庫負担金の減九十六億円、これはこの国会で御審議をいただきました退職手当、児童手当の一般財源化、あるいは平成十五年度の人事院勧告のこの給与改定の跳ね返り等によるものでございます。  そういったことで、厳しい財政状況の下であるわけでございますが、特別支援教育関係予算の確保には努めてきたところでありまして、今後とも、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
  164. 小林美恵子

    小林美恵子君 予算の確保に努めていただくのは、私は、障害を持つ子供たちに本当に丁寧な教育をしていくということでは当然のことだというふうに思うんですね。  それで、今、数字的な説明がございましたけれども、でも、そういうのをひっくるめましても、実際上はこの予算というのは減少しているというのは間違いのない事実だと思うんです。ですから、私は、この予算の更に上積みを図っていただくように強く申し上げたいというふうに思うんですね。  最後になりますけれども、養護学校が義務化されてたしか二十五年になると思います。障害児学校の歴史というのは、その関係者の大きな努力で子供たちの成長を本当にはぐくんできました。私がかつて受け持った子供の中で、残念ながら既に他界をしている子供もいます。病気や障害と向き合い一生懸命に生きる障害児に対して行き届いた教育を保障するというのは、憲法と教育基本法を持つ私は日本のこの国の政府の大きな責務だというふうに思います。  この点で、先ほどからもるる申し上げておりますけれども、実態の把握、大臣なさるとおっしゃいました。しっかりなさっていただいて、過大、過密の養護学校の解消や施設整備、増設に力を入れていただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  165. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  財務大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。  まず初めに、財務省幹部の天下り問題についてお尋ねをいたしますが、人事院の報告によりますと、昨年の高級官僚の天下りは七十八件ありまして、一昨年より十九件増えていると、こういう報告です。財務省は、全省庁のうち最も多くて十三件でありまして、国税庁の九件と合わせて二十二件、こういう報告になっています。就職先も、プロミスなどサラ金が三名、大手証券会社系が一名、大手酒造メーカーが一名など、職務権限との関連が疑われるこの種のものも実は五分の一強あるわけです。  これを見ますと、国民はやっぱり官と業の癒着があるんではないかと、こう思うだろうと思うんです。国民からやっぱり疑念を持たれないためには、もっと厳しいこうした基準にする必要があるんだろうと私は思います。そんなことをずっと主張してまいりました。  ところが、政府の一部では、公務員制度改革大綱の中で逆に基準を緩めて当該省庁内部だけでの承認で済ませようという、こういう動きがございました。この案は国民の批判を受けて今とんざをしているようですけれども、財務大臣にお伺いをしたいのは、この天下りの規制の緩和の動き、こんなことは今の状況の中で大臣自身はどのようにお考えになっているか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  166. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 今、又市委員から、先日の年次報告をごらんになって、財務省随分増えているじゃないかという御指摘だったと思います。  それで、財務省では、この昨今の公務員の再就職に対する批判、これはなかなか厳しいものがございますので、真摯に受け止めて、人事院承認を要するものについては極力これを行わないようにするということでやってまいりました。  ただ、承認件数が多いという御指摘がございまして、これは結果として昨年よりも増えておりますけれども、そのかなりの部分が経団連が、日本経団連が窓口となって人事院を通じて求人をするという公正な人材活用システム、透明性を高めてやろうと、これを活用した企業からの人材要請に基づく就職件数が増えたことによるところが大きいわけでございます。  それから、プロミス等、これはサラ金で職務権限との関係があるじゃないかという御指摘だったと思いますが、これも国家公務員法や人事院規則に基づいて人事院で審査していただいて、職務権限の関係がないというふうに判断されて承認されたものでございまして、それから今申しました公正な人材活用システム、あるいは自分で探してきたと、役所があっせんしたというようなものでは必ずしも、先ほど多分三名御指摘になったと思いますが、そういうものではないということを申し上げたいと思いますが、いずれにせよ、この辺のところは批判がありますことを真摯に受け止めて、今後も対応してまいりたいと思います。  それから、公務員制度改革大綱がとんざしたようだがどうかというお問い掛けでございました。  それで、これは現在、行政改革推進事務局が中心となって公務員制度改革検討しておりますけれども、その中で天下りの問題も含めて御議論をいただいているというふうに承知しておりますが、これは当然、私どもとしては真摯に受け止めてやっていかなきゃならないことと思っております。
  167. 又市征治

    ○又市征治君 大臣自身、少し、この天下り問題は国民の声をしっかり受け止めて厳しくと、こういう御答弁をいただいたものと、こう受け止めておきます。  さて、本題の特別会計について伺ってまいりますが、去る三月八日の決算委員会で、私、国民の資産が出資先の法人で毀損していることをただしたわけですけれども、谷垣大臣は、政策目的でやっているものだからいいんではないかと、こういうちょっと建前論にすり替えをなさったような、こういう感じを私は受けたわけですけれども、しかし現実は、投資が回収不能になって、特殊法人を解散をした基盤技術センター二千八百六十億円を始めとして、出資金の評価損が五千五百六十億円にも上っている、こういう会計がございますね。財務大臣所管の産業投資勘定、これですね。十一月の財政審答申や政府の十六年度予算方針でも、ここらについては改革目標に挙げられていますね。財務大臣なら、この二重の意味特別会計のこのようなずさんな現状に対する実態を抜本的にやっぱり改革をしていく、こういう努力をしてもらいたいし、そういう期待を私は持っているんですが、この点について大臣、どうですか。
  168. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 三月八日でしたか、又市委員議論をさせていただきまして、そのときは、財政融資、あるいは特に年金との関係で原資たる預託金がちゃんと戻ってくるのかどうかということで、私は、それは御心配をいただくことはないと御答弁申し上げたわけですが、産業投資につきましては、これは個々の出資について見ますと、確かに当初見込んだ収益を上げられなくて、そして結果として償却した資産があるということは、これは事実でございます。  これは、財政融資の場合は、預託金とか財投債という償還の必要な財源によりまして、確実性、償還確実性の確保というものを基本に考えて固定金利でやっておりまして、そういう、先ほど申し上げたように、これは御心配いただくことがないということになるわけでありますが、産業投資の方は、今まで出資した配当を基本にしてある程度リスクの高いところに、相当程度高い分野に出資を行うということをやっておりますことから、さっき申し上げたような、結果として毀損の出たものも出ているということでございますが、出資金額全体では、十四年度末現在で出資金残高が三兆八千七百六十四億円あるわけですが、出資先からの利益還元、国庫納付金等の利益還元が一兆七千二百二十一億円ございまして、これは出資残高の四四%に及んでいるということでございますので、ここは、個々はリスクは高いところ出しているところはございますが、全体としての健全性というものは私は確保できていると思っておりますが、今後とも、こういうところにきちっと評価をしながらやっていかなきゃならないことは当然のことだろうと思います。
  169. 又市征治

    ○又市征治君 やはりもっとメスをしっかり入れていただくことを申し上げていきたいと思いますが。  次に、財務省所管の産業投資特別会計、このほかにも問題が度々指摘されているわけです。それがもう一つの勘定である社会資本整備勘定の乱用とでも申しましょうか、とりわけ十三年、十四年度公共事業の財源として二兆三百億円余りの巨額を貸し付けているわけですね。これは国債を三十兆円の枠に抑えたと見せ掛けるためというふうに私は見ざるを得ない。こういう指摘があちこちから起こっているわけです。  貸付けだといっても、事業者は、これはもちろんのこと地方公共団体であるとか各省であるとか、あるいは公社公団ということになるわけですが、この事業者は、返済するときに国の一般会計から同じ額を補てんされる仕組み、つまり将来の税金の先食いということになりますね。こうした隠し財源がある限り、公共事業を聖域扱いをして財政を食いつぶす、こういう構造は改まらないんじゃないのか、こう申し上げざるを得ません。  一般会計で補てんされる点を見ても独立性が全くないんですから、とすれば一般会計に再統合したらどうか、このことも前回申し上げてまいりました。この点について改めて御答弁いただきたいと思います。
  170. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 今、御指摘のございました産投特会の社会資本整備勘定でございますけれども、これは国債整理基金の円滑な運営に支障の生じない範囲内におきましてNTT株式の売払い収入を原資といたしまして社会資本整備のための無利子貸付けを行っているということでございますが、このNTT株式の売払い収入につきましては、最終的にはこれは国債の償還に充当するために国債整理基金特別会計に繰り戻す必要があるものでございます。そういった意味からいたしまして一般の公共事業とは原資の性格が異なりますので、一般会計とは区分して経理する必要があると、こういうふうに考えているところでございます。
  171. 又市征治

    ○又市征治君 それは原資だけの問題ですからね。それはそういう名目を、歳入の部分はそれを一般会計の中で明示すればいいわけですよ。  私が言いたいのは、公共事業改革観点から、やっぱりこの勘定の存続自体、これはやっぱり取りやめて、一般会計の中でやっぱりやっていくということが透明性が高い、こういうことになるんではないかと思うんです。  そこで、次に進みますが、この二つの勘定に共通をして言えることですけれども、国民には一般会計での財政の逼迫、これは事実上逼迫をしているわけですけれども、そのことを言いながら、特定分野の優遇のためにはこうした隠し財源を特別会計で取りのけておくと、別に置いておくと、こういうことはやっぱり許されないんじゃないか。  例えば、平成十四年度、今我々がここで論議をしている平成十四年度と来年度、もう今年度に入りましたが、十六年度予算を比較をしてみますと、全特別会計の合計額は余り変わらないんですけれども、この二勘定は倍増以上になっているんですね。倍増以上になっている。かなりこの決算委員会で随分とこの特別会計そのものを全体的に問題にされてきているんですが、財務省所管のこの二つはどんどん倍以上に増えている、こういうことになっている。  そこで、財務大臣、歳出のやっぱり元締なわけですから、財務省は自分の所管内で取るべき態度じゃないんじゃないのかということを申し上げたい。  そもそも、今も副大臣お答えになりましたが、NTT株などの資金は国民共有の財産ですよ。使い道を産業投資だとか社会資本整備だとかと称する狭い分野に限定するんではなくて、やはり福祉や雇用やあるいは環境保全など幅広く国民に還元をすべきもの、こういうことなんだろうと思うんですね。したがって、特別会計改革の目玉として、財務省自らこの産業投資特会をやはり解体をして、目的も名称もそのようにもう少し国民に分かりやすい形で変えていったらどうか、このようなことをずっと提言を申し上げているんですが、改めてこの点についての見解を伺います。
  172. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 幅広く、公共事業だけではなくて教育や社会福祉といった全体の社会的なインフラに、社会資本に使途を拡大してはどうかという御趣旨であったと思いますが、今やっておりますNTTのAタイプ、Cタイプといった事業は、これはNTTの株式を売り払った資金を原資としているわけですけれども、これは相手方の事業収益をもって返ってくる、それで最終的には国債の償還に充てるというスキームになっておりますから、教育、福祉といった収益を確保しにくい分野に使途を拡大するということは、これは国債を返していくという観点から見るとやはりちょっと問題なしとしないなというふうに考えております。  十三年度の第二次補正予算において措置されましたBタイプ事業の方、これは償還時に貸付金と同額の補助金を事業主体に交付するというものでありますが、これは法改正を行いまして、学校施設とか保育所あるいは児童福祉施設、こういう整備事業を新たに無利子貸付けの対象としたわけでございますので、委員の御趣旨はある程度そちらの方でカバーすることができているのではないかというふうに考えております。
  173. 又市征治

    ○又市征治君 もう一つ、大臣、そこは、言っている趣旨が、私の言い方が悪いのか、あちこちでこの産業投資会計の中だって随分と毀損しているものがあるわけでしょう、さっき冒頭に申し上げましたように。現実に投資はしたけれども回収不能と。産業基盤センターの問題なんかその典型的な例ですよね。そういうものがもう五千五百六十億も出ている。こんなところにそうした隠れ財産が使われているみたいな格好になっているじゃないですか、こう申し上げているわけで、そんなところをやっぱり大胆に改革をすべきだ、今の格好「ではまずいんじゃないか、こう申し上げてきているわけです。  ちょっと時間の関係がありますから先に進みますけれども、是非、今申し上げたことは是非受け止めてほしい、こんなことを申し上げながら、次に連結の問題について申し上げておきたいと思うんです。  財政審は、一般会計特別会計を連結しろ、行く行くは特殊法人等とも連結すべきだ、こういうふうに指摘されていますね。ところが財務省の方は、所管のこの産業投資勘定の決算説明書を見ますと、これに対して、この勘定は政策的な投資を業務としており、出資先特殊法人等との間に業務の関連性がない、また、JTやNTTの株は一般会計から無償で、つまりただでもらったので、業務と関連性がない、よって、特殊法人との連結は行っていないというふうに、こういう説明をされているわけですね。これはちょっと説明責任を放棄した言い分だ、こう私は言わざるを得ないと思います。もし業務と関係ないとおっしゃるんなら、財務省はこの勘定を、まして財務省と余り関係ないようですから、この勘定を手放して、いっそ国土交通省や経済産業省にそっくり引き渡してもいいという理屈になるんじゃないですか。  私が申し上げているのはそういうことではなくて、この特別会計国民の暮らしに直結するような使い道に変えるべきではないか、支出面はさっきから申し上げているように一般会計でやればいいんじゃないのか、こういうことを申し上げているわけです。もちろん、過去に投資や貸し付けてしまった分については、国民の資産の状況が分かるように相手先特殊法人との連結はすべきだろうと、こう思うんですけれども、この点については、財務省、どのようにお考えですか。
  174. 牧野治郎

    政府参考人(牧野治郎君) お答えをいたします。  今、先生から、去年の六月に財政制度審議会が新たな特別会計財務書類の作成基準というのを取りまとめまして、その中で、特会についても連結決算を示していく、それで特会の透明性あるいはディスクロージャーを図っていくという方向を示したじゃないか、なぜ産投はしないのかという御指摘だったと思いますが、今、先生が御指摘されました財政制度審議会の報告書、作成基準でございますが、これの目的は、特別会計が経理している業務と関連性があり、政策的に一体性がある特殊法人等を連結することによって、特別会計の経理する事業及びこれに関連する特殊法人等の事業を合算したところの財務状況を示すとなっておりまして、こういうように、業務の関連性あるいは政策的に一体性のあるものを連結しようという考え方でございますので、同じ報告書の中で、出資や補助金等の財政支出が相当程度ある場合に該当するが、政策的な投資を業務としている特別会計から財政支出を受けている特殊法人等については、特別会計特殊法人等との業務関連性は弱いと考えられることから連結対象とはしない。このような特殊法人等について連結を行わなかった場合においては、その旨及び理由について注記するというように指摘されておりまして、こういう考え方に基づきまして、産投特会につきましては連結をいたしませんで、かつ、報告にそう記されておりますので決算にきちんとその旨注記したということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  175. 又市征治

    ○又市征治君 まだまだ特別会計、時間が短いものですから突っ込んだ議論にならないんですが、引き続き、こうした特別会計、さきにも大枠としては谷垣大臣から、さきの質疑でも、特別会計はもっとメスを入れて抜本的に改革をしていく、そういう努力はしていかなきゃいかぬと、こういう御答弁をいただいておりますけれども、更に問題点、この後も引き続いて指摘をさせていただき、また、その意味でここらのところが大変財政が厳しいと言われるだけに、この特別会計、奥座敷ですき焼きを食っておるなんというばかな話にならないように、是非とも財務省の側ももっと根本的にメスを入れていただく、そんな努力要請を申し上げて、今日の質疑を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  176. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  先般の三月八日の全体的質疑のときに準備したもので質問の残ったものをということで今日は考えておったんですが、谷垣大臣お見えですので、その前にひとつ赤字財政について、まだ私は谷垣大臣のお考えを余り聞いたことがなかったものですから、この機会に是非伺わせてもらいたいと思って、まずそれを取り上げたいと思っております。  お手元に行きましたか、「中期財政展望等による公債発行見込額と実績額との対比」、これは、いわゆる各年度ごとに出ておりますが、その年度予算書に添付されている資料から取ったわけでございまして、これはある一定の条件がありますから、大体平均的な数値を取っております。したがって、傾向として見ていただければいいと思うんですが、一年度だけですと毎年毎年変わるものですから傾向が分からないと思いまして、これだけ並べたわけです。それと実績額、それといわゆる公債残高、累積公債額ですね、それを表にしたものでございまして、個々の細かい数字はさておきまして、傾向として眺めていただければいいと思うんですが。  まず、これは前にも指摘したことあるんですが、一つ言えますのは、かつて小泉総理が、公債は三十兆で抑えるということを元気よく言われた。確かに抑えられたわけですが、あれはこの表から見ますと、もう既に、たしか二〇〇一年度だったと思いますけれども、これはもう要するに三十兆に満たないことが分かっていたことを総理が言ったというように、私はこれは代表質問でも一回指摘させてもらったことがあるんですが。したがって、総理は公債、赤字国債をなるべく抑えるということは、それは言葉ではそうなんでしょうけれども、実態はなかなかそうじゃないんだなということを指摘させてもらった記憶がございます。  それと同時に、やっぱりこれだけのものが、赤字がありますと何らかの努力をしなきゃいかぬ。  その前に、実はこれ、中期展望といって昔出していたんですね。実にいい資料だったんです。要するに、事務方が作る本当の事務的な資料として、将来何年間かの赤字の公債の発行額見込みですね。ところが、そういうことを申し上げますと、あくまでも事務的な資料だからというようなことがありましたけれども、私は本来、事務的な資料を基にそれを政治的にどうやっていくのかというのが筋じゃないかと思って、なかなかいい資料だと思ったら、途中から何か後年度の歳出・歳入への影響試算というような、名前が変わりまして何か訳分からなくなった感じがありますけれども、まあ公債額というのは出ておりますからそれでいいのかなとは思っておるんです。  それと同時に、見ていただきますと、やっぱり後年度に至るに従って数字が上がってきていますね。これは、なるべく赤字国債を出さない出さないと言っているお考えとは大分違うんじゃないかなというような感じがしてならないわけです。でありまして、それは、政治的に本来何か手を加えなきゃいけないものに対して、言うなれば怠っているんじゃないかなというような気持ちもなきにしもあらず。  これがこの表から分かるのでありますが、この中の分析はさておき、私は六年前に参議員になりましたけれども、その前から地方行政に携わっておりましたものですから、この赤字国債というものは本当に大丈夫かと、どんどんどんどん上がることについて大丈夫かという気持ちを随分持っておりまして、参議員になりまして、こういう場でも随分言わせていただきました。各、宮澤大臣のときから塩川大臣のときにもいろいろ質問をさせていただきました。  ということは、要は、これだけ膨らんでいっても国民は心配しなくても安全だよと、そういう将来見通しといいますか、そういうものを財政当局から教えてもらえないかというのが私の気持ちだったわけでございます。当然、財務省としてはやっぱり上がっていくのは困るわけですね。これ、どんどん上がっていくということは、私は大臣は恐らくじくじたる思いがあるんじゃないかと思いますよ、財務担当者としてはですね。しかし、現実にこうなっていく。そしてまた、担当機関である、担当大臣であるということから、まず谷垣大臣は、こういう状況でどんどんどんどん累積していくことに対して、大丈夫だよという、国民に対してこれは将来こうだから大丈夫だよというメッセージを送っていただけるんであれば、一言お願いします。
  177. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) なかなか一言でこのメッセージを出すのは私も苦しむんでございますが、私は財務大臣としての職責を離れても、大きく言えば政治家が取り組むべき課題は今三つなんじゃないかと思っています。  一つは、ようやくトンネルの出口が見え掛かってきて、これを、この景気をどうやったら持続可能な民需主導のものに持っていけるかということがまず今当面の課題でございます。それから二番目は、やっぱり昔と随分変わりまして、日本のいろんなシステムが本当に将来大丈夫なのか、持続可能なのかと、この中には年金も入ると思いますが、今お尋ねの日本の財政状況が本当に持続可能なものなのかどうかと、それにきちっと答えを出すのが二番目の問題。それから三番目の問題は、これは安全保障や何かも含めまして、治安も含めまして、安心、安全というものを政治がきちっと確保できるのか、これが三番目の問題。  私は、今私が担当しております仕事は、予算を付けるんですからどれも関係があるわけですけれども、主として私が責任を負わなければならないのは、この二番目の財政システムが将来にわたって持続可能なものであるのかどうかと、これに答えが出せるか出せないかというのが私の主たる仕事だと、こう思っているわけであります。  そこで、一言で大丈夫というメッセージを出せるかというお問い掛けでございますが、その答えは、今の小泉内閣の基本的方針は、二〇一〇年代初頭に、ややこれは難しい言葉ですが、プライマリーバランスを回復すると。これは率直に言えば、随分モデストな目標であるとともに、モデストであるけれども相当高い目標であるというふうに私は、相当ではないかもしれません、極めて厳しい目標だというふうに思っております。  モデストだという意味は、要するに、そのときにいただいたその世代の出した税でその時代の政策をやっていこうと、つまり次世代にツケを残さないようにやっていこうというのがプライマリーバランスの意味でありますから、それを今から十年近く掛けてやろうというのは極めてある意味ではモデストな目標であると。当たり前の目標をこれだけ言わなきゃならないことは私は担当者として誠に情けないことだし、これは非常事態だなというふうに思っております。  しかしながら、じゃそれを具体的にどう達成していくかということになりますと、そうモデストだモデストだとばかりは言っておられません。私はその答えは一応、もうここでは時間もございますから申し上げませんが、骨太の方針に基本的なことは書いてございます。しかし、この骨太の基本的な方針は書いてございますけれども、それを具体的に実現していこうと思うと、毎年度年度の非常なこれは苦しい努力が必要だろうと思いまして、全力を挙げてそれに取り組まなければならないと、こう思っております。
  178. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 昨年もたしかこの問題、塩川大臣のときに取り上げさせてもらったんですけれども、やっぱり同じようにここの、要するに二〇一〇年ですか、このプライマリーバランスに達すると、そのためにはここ三年ぐらいの間にそういう軌道に乗せるというようなことをちょっと言われたような記憶があるんですが、ただ、現実に今年の数字見ましても、公債発行予定額が三十六兆ぐらいですね。これに対して、いわゆる国債費というのが十七兆ぐらいだったような記憶があるんですけれども、要するにプライマリーバランスというのは収入としての公債の額と支出としてのそれがイコールだということですよね。それから言いますと、二十兆あるんですね、差が。本当にこれが大丈夫かという気がしてならないんです。  だから、それはさておき、今大臣はいろいろるる述べられましたから分からないでもないんですけれども、大臣は今のこの財政状況というのは、赤字国債の状況というのは異常と考えておられますね。その辺をちょっと、異常と考えておられるのか、ほかのお答えがあるのか、その辺をちょっとお答え願いたいと思います。
  179. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 我が国のことで異常というような言葉は使いたいとは思っておりませんが、先進国の中でGDP比で見ました場合に最悪の水準にあることは、これは間違いないと思っております。  非常にこれは厳しく認識しなきゃならないと思っております。
  180. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 先ほど言われました三つほどの重点ポイントがあると。その中でも、大臣が一番大事だ、大事だというか一番担当としてやらなきゃいかぬという、そういうお気持ちを酌んで、御期待を申し上げてこの件についてはやめますが。  次に、これは全体的質疑のときに積み残した問題で、ちょっと個別の問題になりますけれども、実は私の地元にも積雪寒冷地があるんですが、そこなんかを回ってみますと、要するに、予算を今の四月―三月じゃなくて、年度をですね、四月―三月じゃなくて暦年にしてくれないかというような声が非常に多い。なぜかといいますと、要するに四月から、いわゆる前もってこう予算が付くかもしれないと分かっていてもなかなか実際には取り組めない。したがって、実際に予算が付いたときには、付いてから準備を始めて仕事を始めると。そうすると、積雪寒冷地で、四月に決まって、もうすぐには手を付けられないから、やはり準備期間が要ると。そうすると、実際に手を付けたや否やすぐに雪が降ってくるというような、したがってそういう障害があるからひとつ考えてくれないかと。  これ、実は前に取り上げています。去年の代表質問で小泉さん、総理にもお尋ねしたんですけれども、予算制度はとても無理だというようなことはおっしゃられて、私も本来、小泉さんほどの改革論者であれば、このぐらいから変えてやろうというぐらいな意気込みが本当はあっていいんじゃないかなとは思ったんですけれども。  それはさておき、その後、こういう個別のときに塩川大臣にちょっとお話伺いましたら、要するに事情は分かると、そして言うなれば、そのときの議事録ちょっと持ってきたんですけれども、「特に雪国なんかそうですね。もう掘り起こしたら雪降ってくる、また閉めてしまわにゃならぬ、解けてからまた掘り起こしておる、それはもう非常に不経済だと。 これは、是非ひとつ私たちも頑張るように、頑張って議論にのせるようにします。」と、こういうお答えを、大変有り難いお答えをいただいたんですが、これはもう一年たちましたので何らかの対応ができているんじゃないかなと思いますので、その辺をちょっと大臣お願いします。
  181. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 私の選挙区も日本海側でございますので、委員の選挙区ほど雪は多くありませんが、同じような問題を抱えている地域でございます。  ただ、暦年制を採用せよという御主張、これは委員の御持論かと思いますが、やっぱりこれはなかなか、長い間の仕組みになっておりますので、これは言うべくしてそう簡単ではないんだろうと。今、胸を張ってやるというふうにはなかなかお答えしにくいことでございます。  それで、昨年の委員と塩川大臣の御議論も私、議事録拝見させていただきましたら、塩川大臣がいろいろお答えになっているのは、多分この委員会でもいろいろ、今日も御議論になりましたモデル事業みたいなことを、塩川大臣、モデル事業の議論を念頭に置いて、もう少し弾力的にできないかということをどうも答弁しておられるんじゃないかというふうに私は思いました。  それで、モデル事業、それで私も実は事務方と、じゃ委員が問題にされているようなことをモデル事業でうまくさばけるかなという話をしましたら、よく考えてみると昔から公共事業執行なんかでもう少し効率的に、弾力的にできないかという議論が先にあって、そしてモデル事業というのが出てきて、言わばモデル事業というのはどちらかというと公共事業をどうやったらもう少し柔軟に執行できるかという工夫と言わば、何と言うんでしょうか、ぴたっと合っているようなところがあるわけですね。  それで、今の委員問題意識に対するお答えは、現在の仕組みの下であるとゼロ国債をやはり活用するということになるんではないかというふうに思います。本年度は事業費ベースで、十五年度補正予算で事業費ベースで四千五百億ということになっておりますが、積雪寒冷地分は二千五百六十四億円と、こういうことでございますので、こういうゼロ国債等の国庫債務負担行為とかあるいは繰越明許費を活用する、これは思想は正にモデル事業と同じでございますが、それを大いに活用し工夫していきたいということだろうと思います。
  182. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。  私も現実主義ですので、予算制度を変えられないんであれば何もそれに固執するつもりはないんですが、確かにおっしゃるようなゼロ国債というのが一つの運用かと思うんですが、あの制度そのものは景気対策ですよね。景気対策で昔できて、それがずっと続いてきて、先日いろいろお話伺いましたら、担当者の方から今はそういう積雪寒冷地みたいなところでも適用しているということで、まあ、それならいいかなと思ったんですが。  現実に、現実的に私にそういう話が来ていると、来たということは、それだけ徹底していないのかな、あるいは勉強不足なのかなというような面もございますので、私は、そういう面では、勉強不足であればこれは我々がよく教えなきゃいかぬ。仕事を、仕事といいますか、制度を徹底させてもらう面ではこれはやっぱり行政サイドが取り組んでいただきたい、こういうことで是非お願いをしたいなと、こう思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、会計検査院の質問も実は八日の日に準備いたしたんですが、実はこれは私はかねてから、ODAはやはり日本の国の国民の税金を使っているから、これはやっぱり検査をしっかりやっていただきたいというふうに思っていたわけですが、それに対していろんな障害、やっぱり外国というせいですかね、いろんな障害があってなかなか制約条件があるというようなお話があるんですけれども、制約条件があっても、やはり納税者が納得するような検査というのは、これは納得するためにはやっぱり会計検査院ばっかりじゃない、外務省もやらなきゃいかぬという思いでおるわけですが、なかなか、それに対して明確な答えはなかなかいただけないので、そこから始めますと、実はもう時間、私、三分ほどしかございませんので、できませんけれども。  ただ一つ、そういう面で、会計検査院は、いわゆるODAを与える発展途上国の人の会計検査院なんかに対する研修事業というのをやっておられるというようなことは伺っておりますんですけれども、それ以外にいわゆる日本の国は技術協力でいろんな分野でいろんな教育をしているわけですので、そういう会計検査的なものについても、何といいますか、日本から長期、長期といいますか、技術屋、技術者の派遣といいますか、調査技術の派遣ということができないか。当然、これは相手の要請によらないと日本のODAというのはできないわけですけれども、そういうことによって検査技術を向上させるということができないかと思っておるんですが、この辺について会計検査の方からお答えを願いたいと思います。
  183. 重松博之

    説明員(重松博之君) お答えいたします。  我が国のODAが効率的、効果的に実施されるためには、まず本院が更に充実した検査をするということは必要であるというふうに認識をしておりますが、先生今御指摘いただきましたように、私どもも、開発途上国の検査院検査能力の向上のためにセミナーを行ったり等々、検査能力に向上できるように貢献をしているところでございます。  そこで、御指摘の専門家の長期派遣でございますが、これについては、予算の裏付けあるいは人材面の検討、さらには相手国のニーズというものを十分考慮していく必要があるということでございます。そういうことでございますので、開発途上国から具体的にそういった要請があれば、本院としてもそういった面を十分考慮しながら検討してまいりたいと、さように考えているところでございます。
  184. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 前向きなお答え、ありがとうございました。  私、この問題を取り上げますのは、前にも一回申し上げたんですけれども、いわゆるODAと言っている中で、その支出が普通の人はほとんどが発展途上国に行くと思っている。ところが、実際はそうでないですね。日本の国内の企業なんかにも行っている面が非常に多い。そうすると、日本のいわゆる一般予算と同じような性格があるんじゃないかと。したがって、その国民が非常に疑問に思うようなといいますか、そういう何かおかしな事件といいますか、事件と言っちゃおかしいですけれども、いろんなうわさが立つことになっているんじゃないかと。  そういうものを会計検査という立場からしっかりと介入することによって、そういうことが少しでも少なくなればということで御質問申し上げている次第でございまして、時間が参りましたので、以上でやめます。  どうもありがとうございました。
  185. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようでありますので、国会会計検査院財務省文部科学省金融庁国民生活金融公庫日本政策投資銀行及び国際協力銀行決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時散会