運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-03-31 第159回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月三十一日(水曜日)    午後一時一分開会     ─────────────    委員異動  三月二十二日     辞任         補欠選任      池口 修次君     柳田  稔君  三月二十五日     辞任         補欠選任      藤井 基之君     中川 義雄君      山下 栄一君     高野 博師君      畑野 君枝君     小泉 親司君  三月二十六日     辞任         補欠選任      中川 義雄君     藤井 基之君      松山 政司君     森下 博之君      高野 博師君     山下 栄一君  三月二十九日     辞任         補欠選任      森下 博之君     松山 政司君      小泉 親司君     畑野 君枝君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 岩井 國臣君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 小林美恵子君     委 員                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 常田 享詳君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 藤井 基之君                 山内 俊夫君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 齋藤  勁君                 羽田雄一郎君                 広野ただし君                 柳田  稔君                 和田ひろ子君                 木庭健太郎君                 遠山 清彦君                 山下 栄一君                 畑野 君枝君                 又市 征治君                 岩本 荘太君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    福田 康夫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、個        人情報保護、科        学技術政策))  茂木 敏充君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、産業再生機        構))      金子 一義君    大臣政務官        財務大臣政務官  七条  明君        財務大臣政務官  山下 英利君         ─────        会計検査院長   森下 伸昭君         ─────    政府特別補佐人        人事院総裁    中島 忠能君    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       春田  謙君        内閣府政策統括        官        林  幸秀君        内閣府政策統括        官        山本信一郎君        内閣遺棄化学        兵器処理担当室        長        高松  明君        内閣男女共同        参画局長     名取はにわ君        内閣食品安全        委員会事務局長  梅津 準士君        内閣情報公開        審査会事務局長  柚木 俊二君        総務大臣官房総        括審議官     大野 慎一君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        総務省行政評価        局長       田村 政志君        総務省自治行政        局長       畠中誠二郎君        総務省自治行政        局公務員部長   須田 和博君        総務省自治行政        局選挙部長    高部 正男君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        総務省統計局長  大林 千一君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        財務省主計局次        長        佐々木豊成君        文部科学大臣官        房総括審議官   玉井日出夫君        文部科学省研究        振興局長     石川  明君        文部科学省研究        開発局長     坂田 東一君        宇宙開発委員会        委員長      井口 雅一君        厚生労働省医薬        食品局長     阿曽沼慎司君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       伍藤 忠春君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君        農林水産大臣官        房審議官     岡島 敦子君    説明員        会計検査院事務        総局事務長官        房総括審議官   友寄 隆信君        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君        会計検査院事務        総局第四局長   重松 博之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四  年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十四年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)  (皇室費内閣内閣府本府、総務省公営企  業金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫の部)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、池口修次君が委員辞任され、その補欠として柳田稔君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 異議ないと認めます。  それでは、理事松山政司君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は、皇室費内閣内閣府本府、総務省公営企業金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党神本美恵子でございます。  私は、まず最初内閣官房報償費についてお伺いをしたいと思います。官房長官、よろしくお願いします。  この問題につきましては、昨年四月の当決算委員会におきましても私、質問させていただいたんですけれども、二〇〇二年度の、松尾事件等を受けて策定されました内閣官房報償費取扱いに関する基本方針、これに基づきまして官房報償費運用された最初の年であると承知しております。二〇〇二年度内閣官房報償費執行は以前と比べてどのような点で改善をされたのか、官房長官にまずお伺いをしたいと思います。  それから、二〇〇二年度報償費決算額は十三億八千八百四十五万円となっておりますが、十二年度、十五億一千八百九十五万円、十三年度、十四億六千九十九万円に比べて減少傾向にございます。この決算額も、平成年度から十二年度までは毎年四千円を残して使い切るという決算になっていたんですけれども、この十四年度については十三億八千八百四十五万円と減少しておりますけれども、その減少理由も併せてお伺いをしたいと思います。
  7. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) まず、お尋ね内閣官房報償費取扱いに関する問題でございますけれども、どういうふうに違ってきたかということですけれども、これは、これまでに慣行に基づいて行われてきた事務手続をルール化して明記するということが一つございます。それからもう一つは、可能な限り複数の目による事務処理を行うこととすると、こういうことでございまして、管理執行体制整備等の措置を講じたということでございます。それに基づきまして、報償費について一層の厳正かつ効率的な執行に当たってきたというところでございます。  次に、その執行状況、金額的にというお話でございますけれども、そもそも官房報償費というのは内政外交を円滑かつ効果的に遂行するための経費として国政の運営上不可欠なものである、こういうふうに考えておりますが、そういう中にありまして、平成十四年度の当初予算においては、内政外交の円滑かつ効果的な遂行という内閣官房報償費目的を果たし得るかどうかという点と、節減の取組等総合的に勘案して削減の努力を行ってきたところでございます。その結果、平成十四年度決算額減少をしたと。こういう努力の結果であると御理解いただきたいと思います。
  8. 神本美恵子

    神本美恵子君 内政外交の円滑な遂行のためということで、官房報償費については一切非公開だった従来に比べるとわずかながら公開が行われているというふうに聞いております。これは、二〇〇一年四月に開示請求があって、それに対して当初政府全面開示を出されたんですけれども、これに対する不服申立てを受けて、二〇〇二年八月から二〇〇三年九月まで情報公開審査会が開かれ、昨年の九月に情報公開審査会が、この官房報償費について、請求書支出計算書また支出済一覧表のうち主要国首脳会議出席に係るもの等について開示すべきとの判断を下したと聞いております。ただ、支出関係書類出納管理簿支払明細書などは一切が非開示となっております。  この情報公開審査会経過、あるいはこういった結論になりました理由について、所管する内閣府から御説明をお願いしたいのが一点です。  また、政府は、当初、事務の円滑かつ効果的な遂行支障を及ぼすというふうに言うことで全面開示を主張されたんですけれども、この点について情報公開審査会が是正を求められたことについて、官房長官の御所見をお伺いいたします。
  9. 柚木俊二

    政府参考人柚木俊二君) お答えいたします。  内閣官房報償費につきましては、昨年の九月以降、おおむね同様の内容でございますが、計十七件につきまして情報公開審査会から答申がなされております。情報公開審査会がこれらの答申において、内閣官房報償費支出計算書等につきましてその記載の一部を開示すべきと、こう判断いたしました理由でございますが、請求対象となりました文書を審査会において見分した結果、答申にあるとおりでございますけれども、「具体的使途が明らかになるとは認められず、その内容を公にしたとしても諮問庁の主張する内閣官房報償費目的を損なうおそれが殊更惹起されるとは考え難い部分も存在する。」、こういうことから支出計算書類等記載の一部につきまして情報公開法五条第三号また六号に該当するとは認められず、開示すべきであるとされたものと承知しております。
  10. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 委員お尋ねは、これを公開すべきかどうかという点でございますか。
  11. 神本美恵子

    神本美恵子君 一部公開になったことに関する……
  12. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) これは今答えたとおりでございます。
  13. 神本美恵子

    神本美恵子君 今、内閣府は、所管するところとして情報公開審査会がどのような経過理由で一部公開を言ったのかということの経過を御説明いただいたんですが、官房長官はそれを受けて、当初は一切非開示を言われていたのに一部開示になったことについてのお考えを。
  14. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 不開示理由ということでございます。  これは今お答えを事務当局からしたとおりでございますけれども、昨年の情報公開審査会答申がございまして、具体的使途前提とせず、機動的運用に備えるために行われたもの等につきましては開示すべきこととされておる、こういうことです。  しかし、同時に、答申では、報償費具体的使途が明らかになるものについては、報償費の機動的な運用を損ない、内政外交の円滑な遂行に重大な影響を及ぼすということから、不開示とする判断が妥当とされておりまして、報償費性格について御理解をいただかなければいけないというように考えております。
  15. 神本美恵子

    神本美恵子君 一部開示になったことについての所見をお伺いしたいのですが、時間もありませんので、この官房報償費使途の大部分については、今もおっしゃったように、他国等との信頼関係理由、あるいは事務の円滑かつ効果的な遂行支障を及ぼすという理由で非開示が続いておりますけれども、昨年のときも、私は、類型別にこの報償費は使うということで明らかにされたんですが、その類型別の概数を教えていただきたいと言ったんですが、答弁を差し控えたいと、昨年、官房長官とここでやり取りしたことを私も覚えているんですが、その一点張りでございました。  つい最近も、前の中川官房長官とこの官房報償費をめぐる問題が国会でも取り上げられておりますし、報道もされております。そういう、あらぬ疑い、ある疑いなのか、あらぬ疑いなのかは分かりませんけれども、そういう疑いを招かないためにも必要最低限情報開示が必要なのではないかと、この使途に関しても。  ただ、今すぐ開示をして、そのことが円滑な遂行支障を及ぼすとすれば、民主党は、かつて、この報償費使途について、一定期間後に、二〇〇一年に法案として提出しました機密費流用防止法案の中では、十年ないし二十五年の期間経過した後に公表するべきではないかという法案を提出しております。残念ながら廃案になっておりますけれども、今後、この一定期間後の使途公開検討する、是非検討する必要があるのではないかということと、ただ、昨日も私、内閣委員会警察捜査費について質疑を行ったんですけれども、この捜査費報償費といったようなものはなかなか国民皆さんに明らかにできないということで、後でその問題が明らかになったときにはもう既にその書類がない、証拠書類といいますか関係書類がないというようなこともありますので、一定期間後に公開検討していただきたいのですが、そのための書類は、保管はどのようになっているんでしょうか、保管期限といいますか、それも併せてお願いしたいと思います。
  16. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 答弁はどなたですか。
  17. 神本美恵子

    神本美恵子君 官房長官一定期間後の公開については、官房長官
  18. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) それでは、その期限の方はこれは事務当局から答えていただくということにいたしまして、一定期限過ぎたら公開したらいいのではないかと、こういうことであろうかと思います、そういう御意見だったと思いますけれども、これにつきましては、この報償費目的、この目的、いわゆるその内政外交、円滑に遂行する、こういうことに関する問題でございまして、これは将来公開するんだということを前提にして執行する、そういうような、使用するということになりまして、それが前提条件でございますから、やはり内政外交支障を来すということが十分考えられることでありまして、円滑なる執行はできないということがございます。  したがいまして、これは公開をするということを前提にはできないということでありまして、そういうことでありますので、取扱責任者であります内閣官房長官判断責任の下で運用をしてくると、こういうことでございます。
  19. 神本美恵子

    神本美恵子君 書類保存……。
  20. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 今、ちょっと調べてもらいましたが、報償費関係書類保存期間は五年間となっております。
  21. 神本美恵子

    神本美恵子君 一定期間後も公開できないというお話でしたが、じゃ、未来永劫、この報償費の中身については、どういうものに使われていたのか、使われてきたのかということについては国民は知ることができないというふうになると思うんですけれども、一定期間を過ぎれば明らかにできる、明らかにできないようなものに使うということそのものが私は納得できないところでございますが、これについてはまた今後とも会計検査在り方にも、こういうあらぬ疑惑を招かないためには会計検査がきちっとやられるということも必要だと思いますので、次に会計検査院の方に伺いたいと思います。  昨年の本委員会で、検査院報償費検査について、執行体制整備が図られたということなので、そういった執行体制が確実にそのとおり実行されているかということは、専従の担当者を決める等検査のレベルの向上を図って対処しているというふうに御答弁されております。  新たな体制執行されたこの二〇〇二年度官房報償費について、検査院としては以前とどのような異なる体制検査をされたのか、またその結果はどうであったのかについて御答弁を求めたいと思います。
  22. 石野秀世

    説明員石野秀世君) お答えいたします。  内閣官房報償費につきましては、今お話しのとおり、内閣官房におきまして十四年四月に基本方針等を策定し、執行体制整備を図られたというふうに承知しております。  検査院といたしましても、十四年度内閣官房報償費が、その執行体制が確実に実行されているのかどうかということにつきまして、担当者を固定して配置し、そこに十分な経験を積ませる、あるいはその検査内容につきまして担当者間で十分な検討を行うというふうなことで厳正な検査を実施したところでございます。その結果、検査報告に掲記するというような事態は見受けられなかったところでございます。  今後とも、内閣官房報償費検査に当たりましては、十分厳正な検査を実施してまいりたいと考えております。
  23. 神本美恵子

    神本美恵子君 次は、検査院長に御答弁をお願いしたいんですけれども、この官房報償費というのは計算規則第十一条で簡易証明が認められている経費と承知しております。近年、官房報償費のみならず、先ほども申しました警察捜査費、それから検察の調査活動費、これらも全部簡易証明が認められている経費なんですけれども、これについては本当に様々な疑惑が次々と出てきているというふうに思います。  昨年の、私、この決算委員会で質問したときに、当時の杉浦会計検査院長ですが、こちらは政策推進費、これは官房報償費ですが、政策推進費というような特に高度な政治的な問題についても、ほかの経費と同じような考え方に立って、必要であれば最適な時期に最適な方法により検査をするというふうに御答弁を私、いただいております。  そういったことから、一つは、最適な検査方法、最適な時期ということについては、当然検査院としても検討されてきたと思いますので、それについて一点お伺いしたいのと、それから、先ほど申し上げましたように、一定期間後に公開を、使途公開を求めるということについて、検査院としてどのようにお考えかということと、もう一つは、簡易証明範囲が今現在たくさんあるんです。たくさんというか、何項目か、ちょっと今手元に出てこないんですが、あるんですね。その範囲を再検討するお考えはないかということについて、お伺いをしたいと思います。  そのことが検査院チェック機能をより高めて、国民から見ればブラックボックスになっているようなこの報償費というようなところの透明性を高めることになると思うんですけれども、それについての検査院長の御所見をお願いします。
  24. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) 官房内閣官房報償費の最適な時期、最適な方法検査ということでございますけれども、最適な方法といいますのは、内閣官房報償費内政外交を円滑に遂行するために官房長官の下でその判断責任において執行されているという経費性格に着目をした検査を行わなければいけないというふうに考えております。今、そのためのいろんな方法考えておりますけれども、具体的なことは申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。  それから、最適な時期といいますが、それはやはり毎年度内閣に赴きまして、実地に検査をすることによって行うということになろうかと思います。  次に、将来、公開することについていかがかということをお尋ねになったかと思いますが、会計検査院といたしましても、その経費性格経費内容につきましては、内閣官房長官が先ほど御説明されましたように、将来やはり公開されるということであれば、それは非常に機密性についての問題が生じるものではなかろうかというふうに考えております。  それからさらに、第三点のお尋ねの、この内閣官房報償費警察捜査費などにつきまして、計算証明規則の規定に基づいて領収証書等取扱責任者手元保管させておいて、会計検査院にはその支払明細書を提出させるという、そういう取扱い承認しているわけでございます。  この承認につきましては、これが計算証明という制度の例外的な取扱いであるということから、毎年度、その承認ということが適切なものであるかどうか、その内容がどうかということを見直すという仕組みを設けておりまして、毎年度、それまでの検査の結果などを勘案して、承認をするべきかどうかという判断をやってきているわけでございます。  したがいまして、経費性格がいろんな時代の変化とかそんなものによって変わってきますれば、またそれはそれに対応して承認判断をしていかなければいけないと、それが毎年度見直しをするということによって担保されているというふうになっておるわけでございます。
  25. 神本美恵子

    神本美恵子君 会計検査院が厳正な検査を行われているというふうに信じておりますし、国民皆さんも、国費の使い方について会計検査院が憲法に位置付けられた機関としてきちっとやっているということを信頼の上で、その期待にこたえる検査を行われていると思いたいんですけれども、昨今のこういった疑惑や、それから最近では警察捜査費についても、会計検査院はなぜこれを見抜けなかったのか、こういった不正を見抜く体制にはなっていないのか、検査在り方に問題はないのかというような疑問もまた払拭できないところであります。是非とも、一定期間後の公開簡易証明在り方について、範囲についても、会計検査院としても今後とも御検討をお願いしたいと思います。  残された時間が少ないので、次に移りたいと思います。  次は、内閣府、男女共同参画ということで、官房長官担当大臣でございますが、ドメスティック・バイオレンスについてお伺いをしたいと思います。  ドメスティック・バイオレンスを根絶するということは男女共同参画社会実現にとっては不可欠のことであり、非常に重要な問題であると思いますので、担当大臣であります官房長官に是非、決意も含めてお伺いをしたいと思います。もう一点だけです。  この参議院の共生社会に関する調査会でDV法の見直しについて、委員長提案という形で先日、見直し法案を可決させていただきました。現行法では、特にDV被害者に対する保護、それからその後の自立支援にかかわるところまで、なかなかそこまで含んでやれていなかったので、この改正案では自立支援をしっかりやろうということが一つ大きな目玉となっております。  現在では、その自立支援を担っているのは多くは民間シェルターでございますので、その民間シェルターに対して財政援助が行われております。平成十四年度は六都道府県、それから十五年度は八都道府県というふうに、財政援助を受けることができている民間シェルターというのは非常に偏って、都道府県間で格差がございますので、この民間シェルターへの財政援助について格差をなくすことが必要ではないかということが一点あります。格差が存在している背景は何なのかということが一点です。  それから、この民間シェルターへの財政援助を含めたシェルター整備について、内閣府としても国としても体制整備についての援助、方策を講じるべきではないかというふうに思っておりますので、それについて一点と。  それから、今度の改正法案の中では、これを円滑にといいますかスムーズに進めるために、政府基本方針を定め、各都道府県は基本計画を定めて具体的に施策を講じるというふうになっております。その基本方針、基本計画の中に是非とも財政援助、民間シェルターへの財政援助について明確な位置付けをしていただきたいという要望が大きいんですが、その三点についてお伺いをしたいと思います。  よろしくお願いします。
  26. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 民間団体への財政的援助、これはそれぞれの地域における公的な施設の状況、それから当該民間団体への支援の必要性、適格性などを踏まえまして、それぞれの地方公共団体の判断により行われるべきものでございます。したがいまして、全国一律に財政的援助を行うように働き掛けることはこれは適当でないというように考えております。  なお、地方公共団体から民間シェルターに対する財政援助につきましては、地方交付税法における特別の財政需要として特別交付税の算定基準に盛り込まれているところでございまして、内閣府においては、各地方公共団体に対しまして本制度の周知に努めてまいりたいと考えております。  次に、民間シェルターへの財政援助の位置付けでございますが、この改正配偶者暴力防止法案につきまして、現在国会において審議が行われているものでございまして、現時点で内閣府として具体的コメントはこれは差し控えるべきではないかと考えております。  なお、本改正法案が成立した後には、新たな配偶者暴力防止法の効果的な運用に最善の努力をいたしてまいります。
  27. 神本美恵子

    神本美恵子君 それでは最後に、もう時間が本当にございませんので一つだけ総務大臣にお伺いします。  この件は年末にも大臣のところに要請に伺ったことですけれども、三位一体改革における義務教育費国庫負担の一般財源化の問題でございます。  今日、本会議でこの義務教育費国庫負担法の一部改正法案通りましたけれども、この一般財源化ということで、今回の改正では退職手当、児童手当が一般財源化されました。  これに対しては、聞くところによりますと、全国知事会でも非常に大きなテーマとなって、日ごとに各知事から、これは、今の制度、義務教育費は国庫補助金ではなくて国庫負担金であるということで、堅持すべきだという声が大きくなっているというふうに聞いておりますし、つい先日も市町村長が記者会見をして、この三位一体は国の財政再建のために地方に負担を強いるツケ回しではないかというようなことをコメントを発表したりしております。  この点について、総務大臣として是非とも、教育の観点から見て、行政サービスの水準を維持するための必要な財源を確保する、その財源保障機能の堅持ということについての総務大臣の御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  28. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 義務教育国庫負担金の話につきましては、基本的には国が義務教育を行うということを決めております分を地方に移管する分につきましてはすべからく、すべて全額国が保障しております。もう御存じのとおりで、その点が減ったということはありません。そこは間違えないでください。皆さん混線されている方多いから。これは、もう義務教育の国庫負担金とかいわゆる保育園とかいうようなもの、いろいろありましたけれども、あれを税源として渡せと言ってきたのは地方ですから、それにこたえて渡したんですから。そして、その額は間違いなく全額保障されております。間違いなく渡されております。  そこのところだけは、ところが、人口が少ないところはその分だけ税源移譲されても、対象人口が少ないがために、その分が従来の交付金より税収入の方が減るというところが出てきたところが文句を言われますが、その分につきましては交付税をもって埋めるということも言ってあります。  だから、その点だけはよく話を聞かれてから、読まれてから言われないと、皆さん同じことをもう何回もあちこちで言われますけれども、横の連絡がおありにならぬのかどうか知らぬけれども、同じ質問をされますが、もうこれは全部なりますと、もう各市町村にみんな、その一言言っております。  ですから、そこの点は、もし市町村から言われた場合は、是非それはよく読みなさいという話を指導していただくと、私どもの方も非常に手間が省けて助かるんですが、是非その点も併せて御協力のほどお願いを申し上げます。  それから、税負担というものにつきましては、間違いなく今後とも、幾ら町村合併をいたしましても、地方によっていろいろ人口の多いところ、法人なんかがあって、企業として法人税を取れる、地方税として取れるところが多いところと少ないところの差は今後とも出ます。当然、地域間格差は、税が偏在いたしますから、それは当然出ますから、その税を埋めるために交付税は今後とも必要です。その財源を確保することも当然です。
  29. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 何か私の質問のお答えにも言っていただいたのかなというふうに思いますが、三位一体改革と市町村合併についてお尋ねをいたします。総務大臣、よろしくお願いします。  政府は、昨年の六月に、基本方針二〇〇三で、国と地方の改革について、三位一体の改革を推進して、地方が決定すべきことは地方が自ら決定するという地方自治の本来の姿の実現に向けた改革であるというふうに言っています。しかし、これまでの地方分権の経緯を見てみますと、三位一体の改革はその流れに逆行しているように思います。  平成七年の地方分権推進法は、第一条において、国民がゆとりと豊かさを実現できる社会を実現することが大切であるという地方分権推進をしています。また、平成十三年の地方分権推進委員会の最終報告では、分権改革の基本目標は、従来の中央省庁の主導する縦割り、画一行政システムを住民主導の個性的で総合的な行政システムに切り替えること、画一から多様へという時代の流れに的確に対応することとしています。  国、都道府県及び市町村相互の関係を従来の上下の指導から、関係を新たなイコールパートナー、協力関係に変えていく、正に三位一体というのはそういうことだというふうに思いますが、今の三位一体の改革は、上下が強まるだけで必ずしもイコールパートナーにはならないというふうに思います。私たちは、中央集権の上下、主従の関係から、対等、協力の関係へ転換して、地域社会が自己決定、自己責任により、ゆとりと豊かさを実現できる社会を実現しようとするのが地方分権の本来の目的であったわけでありますから、平成十六年度の三位一体改革の姿を見てみますと、実態とは全く違うということで、今回、民主党は各、全国の市町村長さんにアンケートを出しました。  もう本当に、これは我が福島県のを持ってきましたが、福島県は九十の市町村がありますが、その中で六十市町村の回答が来ました。ほんの短期間に三分の二の回答があるというアンケートは本当に珍しいというふうに思います。そして、その回答しない町村でちょっと、役場の職員にどうしてこれ出してくださらなかったんですかとちょっと聞いてみたら、もしかして総務省に知れて何かペナルティーが来たら怖いから出せなかったという本音の心が聞こえてくるんですけれども、正にそういう回答を得たのをちょっと御紹介をしたいと思います。  三位一体改革あるいは税源移譲について、五つの、五段階評価で、ほとんどが全く評価しない、もうなっていない、一か二なんですね。五は最高位ということなんです。一と二なんです。一が大半、二が少しということです。  具体的な意見を紹介しますと、本来の三位一体改革は、地方でできることは地方でという考えであるけれども、仕事は地方で財源がなしというのが今回の改革である、国は地方へのしわ寄せを図る前に自らの改革を行い、失政のツケを地方に回しては困るというのが共通の認識です。国の財政再建を優先し負担の地方への転嫁にすぎない、地方の繁栄なくして国の繁栄はない、地方財源の縮減が余りにも急激で改革の意欲すらもそぎ、切り捨てられる、今回の改革は地方財政の一層危機状況に追いやる大変な改革である、このままでは来年度予算は編成できず地域経済への影響も大きい、財源移譲があっても歳入減となり、これはかえって地域格差は一層拡大する、税源移譲は都市部に多く過疎地域はますます税源不足となる、こういうことをもう本当にたくさん書いていただいています。国庫負担金の改革による影響について、直接住民生活に影響するばかりでなく、政府が提唱する子育て支援や共働き支援にも反するなど、本当にたくさんの回答をいただきました。  今回の三位一体改革に対する全国の自治体に共通する意見なんですけれども、どういうところを縮減しますかというと、もう本当にやっぱり、保育園の運営費の縮減とか介護保険料の事務費の縮減とか、今までやっていたことを、事業をやめるか延期するしかないとか、そういうことなんですよね、基金を取り崩すとか。本当に地方の皆さん、御苦労されております。  例えば保育、今、神本さん、教育費のことをおっしゃいましたが、保育の運営費を縮めることによって今度はお父さん、お母さんに負担が広がるんじゃないか。国がせっかく少子化のために、子供を産む努力をしてほしいためにいろんな政策出しても、こんなことから全部崩れてしまっては何の意味もないというふうに思いますが、どういうふうに思われますか。
  30. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 自治税務局長の顔やらこの種の顔を見ると何となくいまいちのようにイメージを持たれるというのは、やっぱり鴻池委員長とか私みたいな柔らかい顔がなっておきゃよかったなと思いながら伺っておりましたけれども、まず基本的には、今言われたように、幾つかたくさん御質問があったんですが、基本的には、今言われた中で、今回、共同通信がやりましたあの調査が一番広かった、公平的に全部行き渡った、多分その資料が基になっているんだと思いますけれども、その資料の……
  31. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 いいえ、私たち、自分たちのです。
  32. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 御自分の、福島県だけですか、それは。
  33. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 いいえ、全国にやりました。
  34. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) どこでおやりになったものですか。
  35. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党でやったということです。
  36. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 民主党でやった分ですか。  一党に偏っております、一党に偏っておられますので、共同通信の資料を使わせていただいて言わせていただければと思いますが、基本的には、人口五万以上の町の方々は総じて今回のものについては評価と出ております、人口五万以上。人口五万以上で全国一億二千七百万人で人口を割りますと、大体約七割の方が人口五万以上のところに住んでおられます。これが一点です。  また、町村別で割りますと、人口五万以下の町村というものが約八〇%、八五%ぐらいあります。したがいまして、首長さんの数からいきましたら五万以下の数の方が多いということです。したがいまして、今、その種のやつをパーセントを取られたら、人口五万以下の数の方が多いんですから当然のこととして高くなる。私はまず、それがまず、是非全体を見ていただくときに忘れていただきたくない第一点です。人口比は大きいですから、首長さんの数だけがすべてじゃありませんので、人口としてはそういうことになる。まず、これ、一点ちょっと御理解をいただきたいところです。  もう一点は、広義の三位一体と狭義の三位一体と思いますが、広義の三位一体、狭義の三位一体。  それは、三位一体というものは質の話と量の話とあると思うんですね、質の話と量の話と。質につきましては、今申し上げましたようにいろんな形で、これまでありました国税と言われたいわゆる所得税等々が地方税に移管されたというのは始まって以来と、少なくとも一回も過去こんなことはありませんから、そういったようなことは過去一回もないぐらいのことが起きたことは間違いありませんから、地方税に移管されたというのは、これは過去ないと思いますですよ。少なくとも、その意味では認めておいていただかないかぬところが狭義の部分で申し上げたい。質の意味では明らかに転換した。  もう一個の広義の方の三位一体という部分につきましては、これは量の話です。量の話につきましては、少なくとも地方自治といたしましては、約総額五十兆円にわたる交付税のいわゆる赤、赤というか交付税が今滞っておるわけですから、全体でいけば二百四兆円になりますけれども、そういった意味では、ある程度地方でも少なくともバブル以前までのものに、地方の単独事業のレベルはバブル以前に戻していただけませんかと。また、地方で単独でやっておられる事業、また地方で、ラスパイレス指数いろいろありますけれども、少なくとも今地方でやっている部分につきましては、今年度以上は増やさないでいただきたいというスリム化をお願いしている部分と二つあります。  したがって、質的な点と量的な点と、そこの点で一緒になってきていますので、三位一体というとその量の話の方がどうしても目に付くところですから、総じて反対が出られる。特に小さな町村になりますと、私のところも、いわゆる生活保護世帯率が極めて高い地域から私も来ておりますのでそういう話はよく聞くところでもありますし、内容が分からぬわけではない、私も基本的にはそう思っております。  したがいまして、その地方、中小の小さな自治体、人口一万以下のところ、そういったところの首長さん方の方に痛みが大きかったということは間違いありません。したがいまして、それをどうするかというところが、再生債とか再建債とかいうようなことで対応していかねばならぬというんであって、これは地域によって全部違いますので、個別に対応させていただく以外にほかに方法がないと存じます。
  37. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 小さいところは切っていいかというような皆さんの話なんですけれども、その小さいところを切るのが今度は町村合併になりますよね。町村合併の話をさせていただきます。  市町村合併自体は否定するものでは私もないんですが、各地方団体が自主的、自立的に決定すべきものだというふうに思っています。例えば、各地で市町村合併が行われて、合併を機に地方議員の報酬などが高い方に、住民のサービスは低い方になっているという実情が今いろいろのところで報道をされております。  例えばさいたま市、何回もお聞きだと思います。議員の報酬は、旧浦和市と旧大宮市が月額六十二万一千円、旧与野市の月額は四十二万円とばらつきがありましたが、合併を機に高い方に統一をされました。月額六十二万一千円となって、与野市の議員は報酬増、期末手当増、政調費アップ、合わせて年収五百五十七万円も増加しました。  一方、住民サービスについて見ますと、さいたま市は新市建設計画等に基づく大規模公共事業の事業費を捻出するためにすべての部局で事業費を一〇%削減したことから、住民に密着した生活関連公共事業は軒並み削減され、児童センター、高齢者複合施設、公民館の建設先送り、市道整備や河川改修予算の一割カット、学校営繕費の四割カット、交通安全施設の三割カット、こういうふうに行われました。これが埼玉県の例でございます。そしてまた、合併に伴って保育料とか市立高校の授業料の引上げ等が行われました。これは市民のためのものではないというふうに思います。いかがでしょうか。  そして、市町村合併が住民に利益に結び付いていない現状がある一方で、市町村合併によらずに自立の道を歩んでいる自治体もあります。もう御存じだと思います、福島県矢祭町でございます。合併をしないと宣言で有名ですが、合併はしません、あとは何も努力をしませんというような無責任な自治体ではなくて、自立を選んだ以上は自らの責任を全うすべきだという考えの下に、行政経費の削減に血のにじむような努力をしています。  その努力の一端を御紹介します。  今まで百九人いた職員を八十三人に減らしました。最終的には五十人にするつもりです。その一方で、職員の給与カットとか非常勤職員の採用なんというこそくな手段は取りません。職員の給与を維持して、三十人いたパートの職員はゼロにしました。また、職員の給与は維持する一方で、町長など三役とか教育長、助役さんなんという方たちは大幅に削減しています、給与のね。さらに、このような努力に町の議会も賛同して議員提案で定数を十八人から十人に削減したところであります。さいたま市のような合併前にメリットばかりを挙げて、合併後には平気で約束をほごにするような自治体ではなく、矢祭のような自治体こそ国はその自立支援に向けた努力をされるべきではないんですか。  麻生大臣は、今年の一月二十七日の経済財政諮問会議において、矢祭町について、町村合併に反対するのは構わないが、後で具合が悪くなったときに何とかしてくれと持ち込まれるのは困るというふうにおっしゃっております。国は今までいろんなところで間違ったことをしてなかったんですか。一生懸命努力をする矢祭町に何でそんなことを言うんですか。これは、地方自治を所管する総務大臣の発言としては甚だ問題があるというふうに思います。国の方針に反しているからというその理由だけで、その自治体がどんな努力をしているか、そんなことを見もしないで冷たく見放す態度というのは、地方自治を守り発展させていく重要な責務を有する総務大臣のありようではないというふうに思います。  総務大臣の発言の真意を伺うとともに、矢祭町のような自立を目指す市町村への支援について御所見をお伺いします。
  38. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) さいたま市がどうなったかと言われると、それはさいたま市の、これ間違いなくさいたま市という独立した地方団体が地域主権を求めて政令都市になられたというわけですから、政令都市は今まで以上に自分で自分のことを決める権限を持つのは当然のことです。それをどう、決めた方、よろしくないということを、我々に介入することを期待を向こうはしているはずもありませんし、またそれがよろしくないなら、さいたま市新市民が、その方たちがその人たちをどうされるかは考えるべきであって、我々がどうのこうの言う話ではありません。  それから、矢祭町の話の方が出ましたけれども、僕はその内容を全部詳しくは知りませんが、少なくとも自分で合併をしない方を選ばれた場合は、それは選ばれなかった場合には今までは、選ばれなかった場合は、それはその分だけ自主独立を選ばれたわけですから、その分だけ自主独立できるように努力されるのは当然、それを私ども止めるつもりは全くありません。私どもは、強制合併しろと言った例は一回もありませんから、したがって、どうぞ独立を選ばれるならそれは全然間違った方法ではありませんから、その代わり、いよいよ後になってそういった町村合併をするに当たってしてくださいと。  なぜ私どもはしてくださいと申し上げるかというと、少なくとも人口一万以下の町の行政経費は百三万円ですよ。人口一万を超えますと、一人頭に掛かります行政経費は四十三万円まで下がります。二万超えますと大体三十万円台まで下がる。行政経費です、一人当たりに掛かる行政経費。その行政経費はほかの人が払っておるわけですから、したがいまして、私どもはせめて一万人ぐらいやっていただいて、今の行政経費を半分ぐらいに減らしていただきたいというお願いを私どもはしておるわけです。  嫌だと、おれたちは独立を選ぶ、結構ですと。その代わり、そこの分の差は自分で掛からないように、行政経費が掛からないように、例えば、いろいろなところありますが、シティーマネージャーを雇って全部その人たちにやってもらう、一つ方法です。アウトソーシングができるように地方自治法も変わりましたから。経営をやられるわけですから。また、これからのあれは行政手続はすべてオンラインになります、法律で決まりましたから。したがいまして、いろんな意味ですべての情報はオンラインで下りてくる、書類に代わってオンラインで来るわけですから、そのオンラインに対する対応もすべてそういうところで御自分でなさることになる。そういったことをやればコストは下がりますから、そういったようなことを一つ一つなさっていくということは私は決して悪いことだとは思いませんし、町長さんの給料を下げる、収入役は置かなくてもいいことになりましたし、議員さんの数を大幅に減らしているところも幾つもあります。  そういったところは、私はそれは一つの見識だと思いますので、私はそれ全然間違っている方法だとは思いません。
  39. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 もう時間ないんですけれども、そういうお考えであれば、この財政諮問会議のようなところで、もう知らないよなんていう発言じゃなくて、やるところは一生懸命やりなさいという御発言の方がずっと大臣としての質は向上する、みんなからよく思われると思いますので、間違ったような言い方はなさらない方がいいと思います。  国は市町村合併によって規模を大きくしろと言っていますけれども、五千人未満の市町村の割合は、全地方公共団体、さっきおっしゃいました二二・三%であり、例えばG7の国の中で突出して低いんですね、日本は。もう本当に、フランスなんかは九四・九%、イタリアは七二・八%、日本は二二・三%、アメリカは七七・八%、カナダは七九・五%、ドイツは七九・六%であります。フランスの総人口は七千万人に満たないのに対して、市町村の数は三万七千であります。しかし、財政の論理を優先して国が先導して市町村合併を推進しているという話は聞きません。  政府は、市町村を少なくして国の財政負担を極力少なくする、矢祭のような自立を目指して努力をする自治体を見放して合併を推進しているのではないかというふうに思っています。そして、いろんなところの人たちが、文化を大切にするだの、今までのこの歴史を大切にしてほしいという、もう本当に各界各層の人が町村合併によって失われるものの大きさを言っています。  どうぞ、その意味を込めてもう一度御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  40. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) その地方に文化が残る、全然反対いたしません。ええことだと思っております。地方のそのまた地名が残さにゃいかぬ、当然です。残せるようになりましたし、地方自治区は、何やら自治区は全部名前を残してもいいような形になりました。これも法律は変わって名前が残せるようになりました、御存じかとは思いますけれども。そういった意味では、合併して自分の地名がなくならないようなための方法も、全部きれいにその方法もできております。  是非、そういった意味では、私どもは、イギリスとかフランスとかいろんな例が出ましたけれども、私どもの方は、確かに地方の自治体数の数からいきましたら、人口五万以上は約一四・四%です。五万人未満が八五%、一万人未満が四七%、人口五千人未満が二二%という数字になっております。千人以下がちなみに一・五%が私どもの国というのの実態であります。  そういった中にありまして、結構、人口五万人未満のところの町の方が八五%あるというのも事実として是非御理解をいただきたいところでして、私どもとしては、そういった地域によっていろいろ差があるというのは、その国にそれぞれ生い立ちもありますのと同じように、それぞれの国のあれで、この国だとこれが正しいとかこれが間違っているというのも、私ども、その種のそんな尊大なつもりもありませんので、これが絶対とか言っているわけでもないし、またフランスとかイギリスが絶対とも思ったこともありません。  そういった意味では、私どもとして申し上げたいのは、今申し上げたように、いろんな意味で地方も、国がスリム化しているのと同じように、地方もスリム化していただかない限りはどうにもならなくなってきておるという実態も併せて考えていただいて、地方も努力をしていただいて、不要不急なんであれば三年掛かるところは四年でやっていただけませんかとか、そういったようなお話を申し上げているんだと存じますので、そういった意味では、地方が今後とも、仮に、景気が少し上がってきておりますけれども、だからといって、地方税が増えるところと地方税は全然増えないところとあるということもよく分かっておりますので、その意味では、今後とも地方交付税並びにそれに対する財源措置は必要だと一番最初にお答えしたということだと思っております。
  41. 川橋幸子

    川橋幸子君 和田ひろ子議員、神本美恵子議員のお二人の大変ビビッドな質問の後で、私の方は、後半部分は地方財政に関する質問と、それと男女共同参画の質問、大きく言ってこういうことで伺わせていただきたいと思います。  一点目は、悪化する地方財政について財務大臣はどのような現状認識を持っておられるかということを伺いたいのでございます。  平成十四年度の国の財政は、もうデフレ経済の進行の下で税収の落ち込みが極めて大きく、歳入総額のうち公債金が四割までを占めて、公債三十兆円枠の公約が十三年度一年にして破綻したと。十四年度は実現しなかったと。小泉総理は去る二月二十七日の参議院本会議におけます私の質問に対しまして、この程度の公約違反は大したことではないという発言について改めてどう思われるかを伺いましたところ、初めて、適切なものではありませんでしたと発言され、非を認められたんだと思います。  さて、地方財政でございますが、十四年度の特徴は、大幅な財源不足と高い公債依存度がその特徴でございます。もう博識でいらっしゃる麻生大臣に釈迦に説法のような質問かも分かりませんけれども、ですが、やっぱり改めて数字を申し上げると、私はこれは本当にゆゆしい話だなと思うのでございます。  財源不足額が十四兆円余、このため公債依存度が高まりまして、説明の言葉が省けますようにお手元に資料を差し上げてございます。平成年度から、バブル崩壊後からこの地方財政における地方債の借入金残高がウナギ登り、こういう状態になっているわけでございます。十四年度ですと百九十三兆円の残高があり、十六年度にはこれはもう二百四兆にも。こういう借金にあえぐ自治体財政というものが数字の上から、グラフの上からはっきりと見て取れるわけでございます。こういう状態を麻生大臣はどのように認識しておられますでしょうか。まず、所見伺います。
  42. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、川橋先生御指摘のとおり、地方におきます借入金残高二百四兆円というのは、これは非常事態だと思っております。加えて、その中で地方交付税と、よく言われています地方交付税の残高が約五十兆、そのうち地方が持ちます分が三十二兆八千億ということになりますので、そういった意味におきましては、これは地財合わせ、地財の分が十四兆ございますので、そういったものを考えますと、これはもう明らかにこれ、地方にとりましては、これは国家財政も危機的なものと言われます反面、地方の方も極めて厳しい財政状況にあるということはもう間違いない事実だと思っておりますので、おっしゃるとおりこの数字、グラフをきちんと示しておりますように、バブル以降の部分、急激にこの種のものが膨れ上がっておるというのは事実だと思って、ゆゆしき事態だと私も認識いたしております。
  43. 川橋幸子

    川橋幸子君 そこで、先ほど来出ております三位一体改革のお話に移らせてもらいます。  昨年一年間は、三位一体改革をめぐりまして本当に長い時間を掛けて議論がもめにもめていたと、こういう印象がございます。塩川財務大臣、片山総務大臣の間の綱引きが続いて、先ほど、あるいは大臣と同じような認識なのかも分かりませんが、私は、どうもこの三位一体改革というのが数字の、お金の配分の取り合いと、そんなことに矮小化してしまいまして、本当にこの三位一体改革が国の財政改革、プライマリーバランスを回復するための一つの重要な政策手段であるという、そういう質的な面、仕事の見直しの面というものが忘れ去られていたのではないかと思うのでございます。  前両大臣、とても御努力されたんでしょうけれども、十六年度予算編成で、麻生大臣が予算編成で決着を付けられたときに、地方が元気になる三位一体改革と、大変すばらしい名前でネーミングを付けてくださいましたが、先ほど来お話がありますように、本当にこれで地方は元気になれるのでしょうか。個別には先ほどしかるべく対応しますという、そういう配慮の言葉がある一方で、もしかしたらそれはまた旧体制を引きずりまして、地域再生事業債の発行条件を緩和して交付税の増額を招いていくということもあるんじゃないかと。  三位一体改革が初年度にして後退することなく、なおかつ地方が元気になっていけるようなそういう三位一体改革、財政再建のための三位一体改革について、総務大臣の決意のほどをお伺いしたいと思います。
  44. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、三位一体改革の中で、地方、質の部分と量の部分と二つと申し上げましたけれども、質の部分に関しましては、少なくともこれまで補助金として、例えば保育園なら保育園というものに関しましては、この保育園ではこれしか使っちゃ駄目ですという形で、きちっと枠をはめられた補助金が二千億ということになっておりました。その分が地方税に回りました。その分は、地方がその分をもらった分は、その分は地方が税金として入ってきたわけですから、補助金として使用目的を厳しく制限されているお金ではありません。したがいまして、そのお金が地方において自由に使われる、自由裁量権が増すということは、地方がそれだけ経営感覚を持ってそのお金を使えるということですから、そういった意味では、私は間違いなく質的には大きな変化の一つだったと思っております。  例えば、大きなところでいろいろやっておられますのは、その分を使って公立の保育園を公設民営にしておられるという形で、いろいろな形でそのお金を自由に使えるような形になり、別の意味でそのお金は地方で生かされているという例は幾つもありますので、そういった形では明らかに質的変化が出せるようなものが出たということは、私は間違いなく今回十六年度として一つの大きな第一歩だったと思っております。  ただ、十七年、十八年と三か年間で約四兆円の補助金を削減をする方向にいたしておりますので、初年度の分につきましては、例えば義務教育の退職手当の話なんかよく話題になるところですが、この退職手当につきましては、退職手当というものはもう決められておりますので、これ地方の裁量ではありません。しかし、そういったものは三か年間の間に義務教育全体のことを考えて、とにかく退職金というものは今後とも団塊の世代が退職年齢に入ってきますとずらっと増えますんで、その増える前から決められてた分では後になって地方が払う分が増えますんで、そういったものは今の段階から決めておいたら地方が困りますんで、そういった意味では今の段階では決めないと。ただし、後になって地方税として、いわゆる住民税として渡すということで、きちんと話をして、もう既に発表になっておるとおりでございますんで、そういった意味では、地方というものはかなりそういった点は、今申し上げた、二つだけ申し上げましたけれども、自由度が増しておるとは思いますけれども。  ただ、全体として、私どもは補助金というものは、従来ですと補助が来てる、来てるから使わにゃ損というような話ではなくて、少なくともその額はいかに使うかというのは、地方の経営裁量と首長の責任で地方でやっていくという自由度が増したという意味では、私どもは、その地方の時代というのは地方間が競争する、地域が主権を持って自分でその行政体は経営するという才能を問われることになろうと思いますので、いろんな意味で私どもは面白くなってくる部分、自由になって、こんなやり方もあるあんなやり方もあると。中央の役人じゃとても思い付かないようなアイデアを一杯持っている人はいますから、そういった意味では、私どもは大いに期待をしているところと足りないところはやっていかにゃいかぬ部分と、二つあるんだと存じます。
  45. 川橋幸子

    川橋幸子君 大変自信のあるところを伺いまして、それじゃ今後三年間、是非期待させていただきます。  それでは、私ども野党は一致しまして、財務大臣はこの省庁別審査にも御出席いただけないかということを申し上げておったのでございます。つまりは、決算、事後評価を次年度予算に反映させるためには是非このやり取りを聞いていただきたい。今の三位一体改革とプライマリーバランスを有機的に、回復を有機的に連携付けまして、そして財政再建を図っていくというのは正に総務省と財務大臣との連携の仕事になるわけですね。  本日は、残念ながら財務大臣、お見えいただけませんでしたが、政務官がお見えでいらっしゃると思いますので、政務官の方に伺いたいと思います。  さて、一般会計のプライマリーバランスのGDP比を見ますと、十四年度決算ではマイナス四%近くに上りますし、十五年度、十六年度も続くということがもう見通されているわけです。二〇一〇年初頭にこの回復というのは不可能ではないかという感じがする一方で、今回の三位一体改革の初年度というのは、先ほど来同僚議員の質問にもありましたように、真っ先に地方に負担を押し付けたのではないかと、こういう感が否めないのでございます。  財務大臣に代わっての見解をお伺いいたします。
  46. 山下英利

    大臣政務官山下英利君) 政務官でございます。  一生懸命答弁させていただきますので、よろしくお願いいたします。  ただいま川橋先生が御指摘の、この三位一体の改革とそれからプライマリーバランスの点についての御質問でございますけれども、これはもう今正に「改革と展望」二〇〇三で、改定版で示されている考え方に基づきまして、二〇一〇年代初頭には国、地方の基礎的な財政収支黒字化を何とか目指すということで走っているところでございます。したがって、この三位一体の改革というのは、社会保障制度の見直しとか各般の歳出改革に併せて取り組んでいるところの一つの改革、大きな改革だというふうに位置付けさせていただきたいと思います。  そして、その三位一体の改革では、この基本方針の二〇〇三におきまして、十八年度までに国庫補助負担金についてはおおむね四兆円、これをめどにして廃止、縮減等の改革を行った上で、廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについては、これは個別事業の見直し、精査を行った上で基幹税の充実を基本に税源移譲、税源の移譲を行っていくと。そしてさらに、地方交付税につきましては、地方財政計画の歳出を徹底的に見直すことによりまして、これは地方交付税の総額を抑制して財源の保障機能は縮小していきましょうと。しかしながら、地域間の財政力格差を調整する財源の保障、調整機能につきましては、これは維持する必要があるということとしているところでございます。  これはすなわち、国から地方への考え方で地方分権を進めるとともに、この厳しい財政状況の中で国、地方全体のスリム化を併せて推進していくものでありまして、国、地方を通じた財政状況の改善につながるものと、そういうふうに考えておるところでございます。
  47. 川橋幸子

    川橋幸子君 最近、地方自治体財政にもういま一つ大きな危機が訪れているという報道が絶えないといいますか増えているのでございます。どういうことかといいますと、悪化する三セク、とりわけ地方公社の財務状況が破綻に瀕しておるということでございます。  この問題につきましては、総務省はかねてから指針を出しておられまして、昨年十二月にはこの指針を改定されたわけでございますけれども、今回、三月二十五日に発表されました総務省の調査で見ますと、三セクの三割強が赤字、とりわけ住宅、道路、土地開発のいわゆる地方公社の悪化が著しくて、例えば住宅供給公社の場合は、全国五十七社のうちの六五%までが赤字と、前年から、前年の十二社から三倍にも赤字法人が増えているということでございます。  昨年十二月の指針改定で十分なんでしょうか。  もう一つ、併せて伺いますが、そういう状況になりまして、特定調停を申し立てる公社が増えてきております。北海道、千葉の住宅供給公社などが非常に目立つわけでございますけれども、むしろ自治体が後ろ盾になって、自主再建することをもう放棄してしまって特定調停を求めて、金融機関に債権放棄を迫るといいましょうかお願いするといいましょうか、そういう例が相次いでおります。  これを総務大臣はどうごらんになられるでしょうか。こうした三セク、地方公社の破綻的な財政というのはこの三位一体改革の中では織り込み済みなのでしょうか。最近の事例をしっかりごらんいただきまして、こういう事例が続けば更にまた国や政府系金融機関への支援の要請も高まると思いますが、これを織り込んだ上での三位一体改革で、プライマリーバランスの改善も二〇一〇年代にできるんだということでございましたら御答弁、簡潔にお願いしたいと思います。
  48. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 川橋先生よく御存じのように、いわゆる地方三公社、住宅、道路、土地と三つあるんですが、今言われましたように、全国一千六百五十四公社の四七%に当たります七百八十一公社が経常赤字でありまして、四%に当たります六十二公社が既に債務超過になっております。発表されておりますので。  それに対して、地方公共団体は、その四百八十七、そのうちの四百八十七公社に貸付けを行っておりまして、その貸付総額は一兆九千九百億ぐらいということに、一兆九千五百億ぐらいになっております。並びにまた、残りの一千十七の公社につきましては、いわゆる損失補てんという、まあ補償等々行っておりましてその財務、残高が七兆九千九百億ぐらいということになっております。そういう意味におきましては、私どもから見まして、これは極めて状況としてはとんでもない状況になっておる、もうはっきりしておると思っております。  また、地方の中で、隠れ借金とかいろいろな表現ありますけれども、これは非常に明らかな部分でして、そういった意味では、借入金を補てんしている部分ですから、そういった意味では、私どもは、こういったものに平成の十二年度から、こういったものの保有土地を削減してくれと、そうしないと、これ、えらいことになりますよということで、経営健全化のために削減してくれという策をいろいろ申し込んできたところでもありまして、その他細目、いろいろ細かいところは幾つもございますけれども、今北海道出ました、北海道住宅供給公社は債務超過総額六百六十億になっておりまして、そういった意味では、北洋銀行、北海道銀行等々に対していわゆる債権放棄の請求をいたしております。約二百何十億していると思いますが。  そういったようなことは、これは非常にゆゆしき事態なんでありまして、私どもといたしましては、こういったものに今後とも適切な指導をしていかないかぬと思って、これは国土交通省の方もいろいろしておられるということは伺っておりますし、こういったものは将来のプライマリーバランスにどれぐらい影響が出てくるかと言われると、このプライマリーバランスの話というのは、今の景気状態がこのままでいくのか、それとも言うように二・二%台に名目は乗るのかと、いうのかというのによってはこれまた全然また違ったものになりますので、だから、そういった意味では、これは今の段階で、だのかというのは、ちょっと正直、総務大臣のレベルで言える話ではありませんので、プライマリーバランスの件につきましてはちょっと財務省なり竹中さんの方なりに聞いていただかないと、私の方ではお答えをいたしかねるということだと存じます。
  49. 川橋幸子

    川橋幸子君 麻生大臣には、それじゃ、そのうち総理になっていただいて、二〇一〇年代初頭の回復、本当に可能ならば別に修正することはございませんけれども、これだけ不安材料があるときには、私は、ぼんやりとしたあいまいな目標を立てるよりは、事前にしっかり修正するタイミングで修正していくと、その方が国民、住民に対する協力要請としては誠実なのではないかと思っている人間であることだけ話させていただきまして、次に、政策評価の問題に入らせていただきます。  昨年一年間は、やはりニュー・パブリック・マネジメントの下で事後評価を重視すると、こういう手法から、財務省も、それから総務省の政策評価も、それから会計検査院の方の検査機能の強化も併せて整合性あるものとしてやっていくんだと。ただ、トライアルとしての一年目なんだから、まだそうシステマチックになってないかもしれないけれども、まあ次の年を見てくださいよというような片山大臣、塩川大臣、杉浦検査院院長の御発言があったことをしっかり覚えているのでございます。  さて、それでは、トライアルの一年が終わりましたところで、十六年度予算編成には片山大臣がお約束して多分引き継がれたと思います。組織、定員の査定にも十分生かしてくださるような、そういう政策評価になったかどうか、大臣の目から見て、政策評価に対する事後評価をしていただきたいと思います。政策評価という無駄だけが増えたのではないかという国民の目があるわけでございます。  まず、総務大臣からお願いいたします。
  50. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 政策評価につきましては、平成十四年四月、行政機関が行う政策の評価に関する法律というのが、これを、国会を通ったのに基づきまして今のことが取り組まれたんだと思いますが、概算要求が行われました八月までに政策評価の実施、評価の公表を行うということで政策評価の実施をいたしておりまして、公表の時期をまず早めるということをまず御存じのとおりいたしまして、評価結果の結果、ダムなどを中止させました部分、政策評価として駄目ということで、見直しを反映した部分が約四〇%ございます。それから、定員の要求などへの反映状況を明らかにするために、これをまとめまして、九月末にはもう御存じのように発表をいたしたところでもあります。  また、各省庁の中で、これ、きちんと政策評価をしていただかないとえらいことになりますよということで申し上げて、各、七つの役所で政策評価審議官というポストを正式に置いてきちんと対応していただきますよと、その人が呼び出されて責任取られることになりますからということを申し上げて、いろんな形で役所に対して、審議官を置いたんだからその審議官にちゃんと答えを我々が要求したとき出していただきますよというようなこともさせていただき、今申し上げたようなことが結構進んでおります。細目は、もう少し詳しいのがお聞きになりたければ、直接役人に聞いていただいた方がよろしいと存じます。
  51. 川橋幸子

    川橋幸子君 続けて、それじゃ、財務省とそれから会計検査院、それぞれのお立場から前年度の、前任の大臣の方々、院長の方々の御発言のフォローアップの御答弁をちょうだいしたいと思います。
  52. 山下英利

    大臣政務官山下英利君) 川橋先生、ただいま麻生大臣の方からも答弁ございました、これ政策評価というのがやはりこれから一番大事な部分だという認識を持っておるところであります。やはりこれだけ厳しい財政の中で、いかに政策評価できちっとした中身を見ていくかというところは、財務省としましても塩川大臣の御指示以降しっかりと中での体制も作り上げているところであります。  予算の執行の調査と検査院会計検査、それから総務省の行政評価・監視や各府省における政策評価、それぞれの目的それから性格が違っておりますので、他方こうした評価活動がより有効に実施されまして、効果的な政策の遂行や予算編成、執行が行われるために、それぞれの機関が十分に相互に連携を図っていくということが非常に重要でございます。  それで、具体的には会計検査院とは年二回、担当者レベルの意見交換会と申しますか、突っ込んだ意見交換会を行っているほか、毎年局長クラスの意見交換会、これも実施をいたしますし、そして、主として財務省からは予算や予算執行調査の状況について説明を行いまして、会計検査院からは検査結果等の説明を受けるなどして、中身のある意見交換を実施いたしているところでございます。  また、総務省とも同様に適時意見交換や資料の交換を行っております。そして、そのほかに毎年局長クラスの意見交換会を実施をいたしまして、予算執行調査と行政評価・監視の連携や、その政策評価の結果の予算編成への活用等について十分な意見交換をするということで今実施をいたしているところでございます。
  53. 森下伸昭

    会計検査院長森下伸昭君) 会計検査院の方から御説明をさせていただきます。  政府部内におけます総務省における政策評価、行政評価・監視、それから財務省におけます予算の執行状況の調査の実施ということは、財政執行の効率等の点から非常に好ましいことでありますし、私ども、国の会計経理を内閣から独立した地位で監督する立場として誠に望ましいことであろうというふうに考えております。そして、会計検査院は憲法上、国の決算についての検査機関とされ、内閣から独立した立場から国や国の出資法人などの会計経理を監督してその適正を期し、かつ是正を図るということを目的としておりまして、総務省や財務省とはその立場あるいは目的が異なっているところではございますけれども、会計検査総務省の行う評価や財務省の行う予算執行調査とは類似した点もございますので、会計検査院といたしましても、限られた陣容で検査効率を上げるという観点から、これら両省の評価、調査の実施状況には強い関心を持っているところでございます。したがいまして、それぞれの担当部局との間で連絡会などを行って情報交換や情報収集を図っているところでございます。  総務省の行政評価局との連絡会につきましては、会計検査院総務省との相互の活動に資するため、現在、毎年春と秋とに二回、年二回開催しておりまして、主として会計検査院からは前年の検査結果の説明を行っており、総務省行政評価局からは政策評価、それから行政評価・監視の結果の説明を受けるなどして相互に忌憚のない意見の交換を行っているところでございます。  それから、財務省主計局との連絡会につきましては、今御説明もございましたけれども、予算編成当局との会計検査院との相互の活動に資するためということで、現在、やはり毎年春と秋とに年二回開催しております。やはり、主として、会計検査院からは前年の検査結果の説明やあるいは検査を進めている途中の発見した事項に対する予算編成当局の見解などを聴取しておりまして、財務省側からは予算の説明や予算執行調査の状況の説明を受けるなどしているわけでございます。これもお互いに忌憚のない意見の交換の場となっているところでございます。  こうしたことはそれぞれの職責を果たしていく上で非常に有意義なことと考えておりまして、今後ともこういう情報交換の場を積極的に開催していきたいというふうに考えているところでございます。
  54. 川橋幸子

    川橋幸子君 それぞれ顔合わせをして年何回かお会いになったことだけは今のお話でよく分かりましたけれども、こういうの、システマチックな相談、協議ということになっているのか、やっぱりこの説明だけでは国民の方は分からないと思うのでございます。  先日、この参議院の決算委員会で参考人の意見聴取をさせていただきました、参考人質疑をさせていただきました。そのときに強調されましたのが、事後評価が大事というんなら事前のアウトカム目標を量的にしっかり立てろと、こういうことでございました。  総務大臣からは具体例がダム等で示されましたけれども、十六年度予算ではモデル事業とか政策群とかの新しい取組がやられるようでございましたら、是非そうした政策群、モデル事業をモデルにいたしまして事前評価のアウトカムを決算委員会の方にも情報として御提出され、なおその後の今度は事後評価の方、それぞれのお役目の立場からどのように評価なさるのかということを、そういう情報を決算委員会の方に御提示くださることを希望しまして、次の質問に移らせていただきます。  さて、情報収集衛星の打ち上げ失敗でございます。もう私の方、時間が、あと何問もありまして、時間が少ないものですから数字を挙げての質問はいたしませんが、是非、お答えする立場の方からは、費用対効果、どれだけの予算をつぎ込んでどれだけの損失が出てくるのかというところも含めまして御答弁いただきたいと思います。  官房長官も大変がっかりされたんだと思います。最初の二基打ち上げのときには、とても喜んでおられる、もちろん私どもも喜びました。あの国産ロケットが失敗しないで打ち上がるという、大変いいことでございます。談話が発表されて。ですけれども、後続二基については昨年十一月にもろくもついえ去ったと。そして、様々、災害とか様々な国民の安全対策のための情報収集においてこういう衛星打ち上げが大変重要な時期に当たっているときに今後どうされるのかと、これをまとめてお伺いしたいと思います。  まず、官房長官には、今回の失敗についてどう思われるのか、今後どうされるのかを伺いたいですし、それから本当に何が原因だったんだろうかと。日本の国産ロケットは、本当に技術力を誇る日本なのに何であんなによく落ちるのだろうと思ってしまうのでございます。国産という威信を懸けた産業だから、むしろ競争がなくなってしまうところに甘えが出てくるのかなというようなことを素人としては思ってしまうわけでございますけれども、今日は宇宙開発委員会の井口委員長にもお越しいただいておりますので、専門家の目で見た客観的な評価、あるいはこのように技術についての政策評価になりますよね、こうして衛星ロケットには対処すべきだというような御見解含めて、客観的な科学的な目から御答弁ちょうだいしたいと思います。
  55. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 情報収集衛星、これ落っこちる前に上がらないんです。誠に遺憾な事態だと思っております。  この情報収集衛星は、これ、自然災害の備えとか安全の確保といったような、これに必要な情報を収集するということを主な目的といたしておりまして、それは国家、国民のために大変大事な役割を果たすものであるということで期待いたしておるんでございますが、今回の衛星の二号機打ち上げが失敗に至ったこと、これは誠に残念に思っております。  それで、今後どういうふうに対応するかということになりますけれども、まず、その前に、この打ち上げの失敗について政府として原因究明を徹底的に行う、こういうことで今それをやっておるところでございます。技術的な観点からは宇宙開発委員会の専門家が調査審議をしておりまして、その内容が中間的に整理された段階にあるというように聞いておるところでございます。  今後は早急に宇宙航空研究開発機構とメーカーにおけるロケットの設計、製造から打ち上げに至る責任体制の見直しを行いまして、万全の対策を講じた上で、宇宙開発利用への国民信頼回復を早期に目指すとともに、当初の計画でございます四基による情報収集体制の確立に向けて努力してまいる所存でございます。  四月からは昨年の三月に打ち上げました情報収集衛星一号、二号機を最大限活用しまして、本格的な運用を開始することといたしております。
  56. 井口雅一

    政府参考人(井口雅一君) 先生方の御期待に沿えなかったことを心からおわび申し上げます。  昨年十一月二十九日に起きましたHⅡAロケット六号機の打ち上げ失敗につきましては、現在、宇宙開発委員会調査部会におきまして、十二回にわたる審議と失敗の原因となりました固体ロケットブースターを製造しました現場の調査も含めまして徹底的な原因究明を行いまして、中間的に整理したという段階でございます。  これまでの調査では、打ち上げ失敗の原因につきまして、ノズル、ロケットの一番下に女性のスカートのような形の部分がございます。そこの部分の断熱材が、開発当時には想定をしていなかったメカニズムによる局所的に急激な板厚減少が発生いたしまして、外に向かって穴が空いてしまいました。そこから高圧の燃焼ガスが外に漏れ、それが固体ロケットブースターを本体から離すことになっておりました導爆線、信号線でございますが、それを焼き切ってしまった。したがって、ロケットブースターが本体から離れなかった。これが直接の原因でございます。  この断熱材がなぜ予想外の急激に板厚が減少したかということでございますが、基本的には、高圧の燃焼ガスが非常に流れが乱れてしまったためにそういう減少が起こってしまったということでございます。  それで、実は、その今回のブースターの一世代前のブースターに比べまして燃焼の圧力をかなり大幅に上昇させました。上昇させる前はそういう今申しました局所的な溝掘れといいましょうか、溝ができるんですけれども、そういうものが起きておりませんでした。したがって、対策といたしましては、根本的には、なるたけ燃焼の圧力を下げてそういう局所的な溝掘れが起きないようにすることが第一。それから、万一起きた場合には、今よりもはるかにその起き方が少なくなると思いますので、それに対して、こういうノズルのスカートの部分を、ちょうど中世の女性がはいておりましたような、腰の部分を、広がるとそれが和らげられるということが分かっておりますので、そういう対策とか、板厚を増やすという対策を講じ、ともかく根本原因に近いところで対策を打ってまいりたいと思います。  さらに、直接的な技術的原因のみならず、宇宙航空研究開発機構とメーカーにおけるロケットの設計、製造から打ち上げに至る責任体制につきまして、特別会合というものを組織いたしまして、現在、調査審議を行っておりますので、これらを踏まえて改善方策を講じてまいりたいと考えております。
  57. 川橋幸子

    川橋幸子君 どうも井口委員長、ありがとうございました。  とにかく、徹底的な究明をしていただくことと責任体制を明確にしていただくこと、素人の私から申し上げられるのはそういうことでございますけれども、そうしたことで、本当に官房長官が残念がっておられますので、早く四基体制、早くというのはよくないですね、究明した上でしっかりとした対策を立てていただいた上で取り掛かれるように御期待させていただきます。どうもありがとうございました。  それでは、残りました十分ばかりの時間でございますが、多様な働き方について質問をさせていただきます。  お手元に資料を何点か差し上げてあります。ざっと御説明させていただきますと、二ページ目にパートタイム労働の現状というのがございます。これは厚生労働省の方の資料でございますが、上の方の棒グラフは、手書きで右端三九・七%と書いてあるのは、働く女性のうちパートタイマーの割合はどのぐらいかといったときに四割という、こういう数字が出てくるわけでございます。下の点線は男女合わせたときの割合、二三・二ということが出てまいります。数としては、これ千二百万人という男女計の数字が手書きで書いてあります。これに派遣ですとか、それから様々な有期雇用ですとか契約ですとか、そういうものを入れる、アルバイトというものを入れまして、就業構造基本調査で見ますと、今や何と働く人たちの三割、千五百万人がいわゆる非正規雇用者という、そういう方々だということです。  その方々の労働条件はどうかといいますと、下の棒グラフでございます。これ直、全体に当てはまるものではございませんが、典型的にパートタイマーの賃金がどういう状況かというのを見ますと、その折れ線グラフ、前はですね、これは女性の数でございますけれども、女性の中の正規とパートタイマーの賃金格差というのはそう拡大していなかった。それが逆に、パートが増え続けることによって非常に拡大してきているという状態です。もちろん、その働き方、職種が違うだろうということを言われるわけでございますけれども、右側の円グラフにありますように、正社員と職務、責任が同じパートがいる事業所の方が四割もある、こういう状況の中で格差が拡大してきている。つまり、労働市場が、まあ単純な言い方をしますと正規、非正規に二極分化しつつあるというものをこのグラフで御理解いただきたかったのでございます。  二極分化しつつあるということは、今までは女性の問題ということで忘れられがちだったのでございますけれども、実は女性だけではない若年の生涯設計の問題、フリーターと言われている人たちの問題、ひいては日本の将来の問題にかかわりますし、今回、年金の改正の中で年金の持続性をどう維持していくかというときに、正規従業員だけ相手にしていく、そういう在り方ではもう持続性がもたないんだということがはっきりするといったことなど、こうした正規、非正規で労働市場が二極分化していることの逆の社会的コストが非常に大きくなってきているということが目に付くのでございます。  そこで、公務と民間というのは画然とした労働市場の間の壁が制度的壁でございます。規制緩和をしてこの間の壁を取ってもらいたいと思うのでございますけれども、典型例として国公立の大学の非常勤の講師の方々が、あした四月一日からエージェンシーになると民間労働者になる。今までは公務員だったのが途端にパート労働法の適用対象になると、こういう制度間の転換があるんですが、こういうことに対して文部省はしっかり通知文書を発出していただいたということなのでございますが、簡単にでいいですが、それを御報告いただきたいと思います。  時間が短うございまして、恐縮ですが、短めに短めにお願いしたいと思います。
  58. 玉井日出夫

    政府参考人玉井日出夫君) お答え申し上げます。  国立大学、四月一日から法人化をするわけでございまして、そのことから各国立大学に対しまして本年三月十五日付けで、非常勤講師につきましては法人化後、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律、いわゆるパート労働法でございますが、これの適用を受けることになりますので、したがって、法人化後の非常勤講師の給与につきましては、短時間労働者について通常の労働者との均衡等を考慮して適正な労働条件を確保するといういわゆるパート労働法等の規定にのっとり、適切に対応するよう通知をしたところでございます。  それから、公立大学でございますけれども、これは本年四月一日以降、制度としてそれぞれの選択によって法人化が可能になるという形になりますので、今後私どもとしては公立大学の法人化を予定している地方公共団体に対し、個別に必要な情報につきましては事前に提供するよう努めてまいりたいと、かように考えております。
  59. 川橋幸子

    川橋幸子君 さて、この間、内閣委員会で、こうした公務パートと言われる人たち、もうこれは公務と民間の間の壁を取り払って見なければ、分析し、観察しなければならない状態になっているわけでございますが、実態としてどのような数がいるのだろうかということを私質問させていただきました。  確認的でございますが、国の方は、人数だけお答えください。
  60. 戸谷好秀

    政府参考人(戸谷好秀君) 各省に勤務する一般職非常勤、この枠でございます、この中の、済みません、一般職非現業の国家公務員のうちで非常勤職員の総数、平成十五年七月一日現在のポイントでとらえますと二十三万二千人余ということで、職種は多様なものがございます。  以上でございます。
  61. 川橋幸子

    川橋幸子君 二十三万余ですか。
  62. 戸谷好秀

    政府参考人(戸谷好秀君) 二十三万二千……
  63. 川橋幸子

    川橋幸子君 済みません。次に飛ばします。  ところで、地方公務員についてその数がなかなか把握されない。過去におきまして様々労使関係の諸事情があったようですけれども、もうそれを、労使関係の中でそれを処理するという次元の問題ではないように思うのでございます。  地方公務員については調査できないということの御答弁でございましたけれども、逆に言えば、自治労調査によれば約三十一万人という数が紹介されておりますし、先ほど挙げました就業構造基本調査でも一定の統計数字からの推察ができるわけでございます。  そこで、これも数だけで結構でございますので、就業構造基本調査によりまして、地方公務員のパート、何万人とされておりますでしょうか。
  64. 大林千一

    政府参考人(大林千一君) お答え申し上げます。  平成十四年十月に実施いたしました就業構造基本調査によりますと、地方公務員の非常勤職員の数そのものは把握しておりませんけれども、地方公務員に分類される方の総数が百六十四万六千三百人で、パート、アルバイト、派遣、嘱託などの方の数が二十万六千七百人となっているところでございます。
  65. 川橋幸子

    川橋幸子君 それぞれ何十万というオーダーの数のパートの職員の方がいらっしゃるわけでございます。統計調査の方で把握される場合には学校関係が除かれるということで、かなり数字としては低めに出てくるかと思います。正規職員の一五%ぐらいの人数の方が、公務員は地方公務として、公務パートとしてオンされていると、こういう状態だということを御認識いただいて、大臣に御認識いただいたら、これは間違いではありませんので、私を信用していただきたいと思うのでございますけれども。  さて、今回、任期付短時間職員制度という法案が既に提案されております。法案審議の際にこの問題は議論されると思いますけれども、もう一回この資料の方を御紹介させていただきたいと思います。走り走りで大変恐縮でございますけれども、資料の三ページ、パートタイム労働法、これあらましというパンフレットの中からコピーいたしましたので、言葉が法律用語になっておりません、口語体になっておりますが、そこの一番の上の右端の方、通常の労働者との均衡等を考慮して条件を決めると、これがパートタイム労働法でございます。その下にありますのは、これは一般職の職員の給与に関する法律、国家公務員の場合でございます。二十二条の二項、ちょっと手書きで丸をしちゃいましたけれども、権衡という文字を使いますが、これは均衡と同じ概念というふうに言われております。国家公務員の場合は、非常勤であっても一般職の通常の労働者、類似の労働者とのバランスを保ちなさいという規定があるのでございます。  最後のページを開いていただきますと、地方自治法でございますが、今回、その任期付法の改正とともに出されてくる改正案が上の方、現行が下の方でございます。二百三条の方は報酬というふうに書いてあります。二百四条の方は給料及び旅費というふうに書いてありまして、要するに非常勤職員、いわゆる地方公務パートについては報酬という形で、他の審議会委員などと同じような扱いで、まあ雇用関係といいましょうか、そういう規定ぶりにはなっていないのでございます。はっきり言いまして、パート労働法に書かれている均衡、あるいは先ほどの給与法に書かれている国家公務員の場合の権衡、これに当たる概念が地方公務員法の中にも地方自治法の中にも見当たらない、こういう問題があることを女性たちは問題にしております。詳しく聞くと、法律解釈上はこうこうしかじかという、それは問題ないのだという答弁になるかと思いますが、ここはむしろ今の、過去の公務員体系ではなく、現在の民間及び公務で増大しつつある非正規職員の処遇の問題というふうに考えていただきたいと思います。  この間、竹中大臣に同じようなことを質問いたしましたら、経済用語を使って、まあ仕事が違い、それから技術も違うかもしれない、だけれども最低のところではイコールフッティングの下で競争が可能になるような体制が必要なことは経済学としても分かると、こういうふうに言っていただきました。  是非、もう本当に時間がございませんので、これは要望になってしまいますが、今回このように任期付き職員、まあ有期の公務パートができるわけですね、有期でしかもパートの。そういう、民間でいえば短時間正社員という、短時間正社員というようなモデルがいち早く公務部門で出てくるときに、この法体系を見ると権衡とか均衡とかということが今までの地方自治法の中には表れていない、こういう問題をどう考えるかということの論点整理を是非お願いしたいということでございます。もう答弁をいただく暇がありませんので、今日は要望にとどめさせていただきまして、またの機会を期待させていただきたいと思います。  さて、同じように有期のパート職員、有期正職員を国家公務員の中でも作りたいということが人事院で進んでいるようでございます。現在、研究中でありまして、来年夏には実現したいというふうにこの間お伺いいたしましたけれども、今度こそ国家公務員の場合もパート労働法を考慮した、パート労働法には先ほどの均衡以外にも様々なバランスを取ることが書いてあるわけです。民間にあって公務にはなかった、そういうパート労働法のルールを民間準拠ルールとして適用していただくこと、それから未組織労働者というものは今は本当にどこでも意見表明の機会がないわけですが、そういう方々もNPO等を通じまして様々ネットワークされつつあるわけですが、そういう人たちの意見表明機会の確保を先日の内閣委員会でお願いしましたところ、局長答弁としてはお約束しますという、そういう趣旨の答弁をいただきました。  今日はもう人事院総裁をお迎えしまして、総裁としてのお約束をちょうだいしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  66. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 二十四日でしたか、うちの局長がお答えしたことに付け加えるものはございませんけれども、新しい制度を作るというときには、やはり何といいましても国民の納得というものを前提にいたしまして、労働者、使用者側の意見というものを幅広く聞きながらいい制度を作っていくという前提で、よくおっしゃるように意見を把握し検討してまいりたいというふうに思います。
  67. 川橋幸子

    川橋幸子君 もう時間がなくなってしまいまして、前回官房長官にも、この決算審査のときに改めて女子差別撤廃委員会、国連の委員会からの勧告についての所見とか、それから間接差別について国内法で明記していくことのそういう要請に対してどのようにこたえられるか、また今のような公務パートに対して男女共同参画からの意見表明を是非御配慮いただきたいと申し上げたところでございます。  もう時間が過ぎてしまいまして大変恐縮ですが、でも十秒ぐらい一言御答弁いただきまして、質問を終わりたいと思います。
  68. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 現在、厚生労働省の研究会におきまして雇用の分野における間接差別の問題についての検討が行われておりまして、この春の終わりごろといいますからもう少しですかね、報告書を取りまとめるということでございまして、その結果も含めまして、何が間接差別に当たるかといったようなことについて社会的合意の動向を注視しつつ適切に対処してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  69. 藤井基之

    藤井基之君 自由民主党藤井基之でございます。  今日は、通告をしておりました順番は最初に科学技術問題をやらせていただくということでありましたが、答弁大臣の関係がございまして、先に規制緩和の問題の質問をさせていただきたいと存じます。
  70. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) いま少々、少々お待ちください。  それでは、藤井君。
  71. 藤井基之

    藤井基之君 金子大臣、お忙しいところありがとうございます。最初に、金子大臣の方の御質問をさせていただきたいと存じます。  いわゆる規制改革、規制緩和の問題につきましては、これは平成の十三年から平成十五年度にわたる三か年の規制改革推進三か年計画、これが無事終了をなさいまして、十六年度からは新たに名前も規制改革・民間開放推進三か年計画ということで、去る三月の十九日にこれ閣議決定されたところでございます。  私も中を読ませていただきました。政府のいわゆる骨太の基本方針二〇〇三、これでは、いわゆる日本経済の体質強化のために三つの宣言というものを掲げられている、御案内のとおりでございます。その一というのが、民間活力を阻む規制・制度や政府の関与を取り除き、民間需要を創造するということでございました。三つの宣言を受けまして七つの改革を推進すると。その七つの改革の第一がこの規制改革ということでございました。  新たに閣議で了解をされました三か年計画、これを見せていただきますと、昨年の十二月に総合規制改会議が策定されました第三次答申であるとか、あるいは旧三か年計画のうち平成十六年度以降に何らかの措置とか検討がなされることが想定されているものと、これらが規制改革事項の中心として据えられているわけでございます。  そして、まず御質問をさせていただきたいのは、このような状況を見ますと、今回の閣議決定、そしてこの計画の名称等は変更なさったわけでございますけれども、この内容というものの基本的な方針といいましょうか、方向性というものは、今までの規制改革が踏襲されたと考えてよいのかどうか、新計画のその目的といいましょうか、基本的方針というものについて、まずお尋ねをしたいと思います。
  72. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 藤井先生御指摘いただきました規制改革でございますけれども、言うまでもなく事業者間の競争してもらおうと、同時に消費者の利便を向上してもらおうと、こういうところ、それによって雇用を拡大をしてもらいたいと。  新しい体制としまして、今御質問がございました部分でありますけれども、併せて民間開放と。これは、具体的に申し上げれば、今まで国あるいは地方自治体あるいは独法等々、公の部分あるいは官の部分がやってきた事業もできるだけ民間でやってもらえるようにしていきたい、これが趣旨でございます。したがって、何か新しいことというのがあるのかという御質問に対しては、元々のこれまでやってまいりました今申し上げたような事業者間の競争あるいは消費者の利便、その観点に加えまして、民間になるべくやれることは民間でやってもらうという趣旨を更に加えたものであります。
  73. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございます。  この規制改会議検討をされて、今回新しい計画にシフトされている課題というのを、いろいろな、これかなり分厚い資料でございまして読むのに時間掛かったんですが、分野別の個別措置事項という、これは総数でたしか七百六十二項目あるという膨大な内容でございました。これらの項目というのは、実際には総合規制改会議、少なくとも十三年から十五年までの三か年で御検討いただいた内容等々が引き続いて踏襲されて載っているわけですが、まずお尋ねしたいんですが、この検討の課題というのはどういったプロセスで取り上げられ、選定されて、これを会議として閣議の了解に持っていこうとされたのか、それをお尋ねしたいと思います。  といいますのは、この七百六十二項目、見していただきますと、その中には、法律改正をしなければならぬような非常に制度全体を改めようとするようなものから、はっきり申し上げて、何といいますか、個別具体の各論的なものまでが並んでいるというのがあるわけですね。ですから、その課題の設定の基準といいましょうか、その考え方というものについて明らかにしていただきたいと思います。
  74. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) これまで民間の規制改委員の皆様方、これ、それぞれの分野、教育、医療、農業、金融、産業といいましょうか、工業といいましょうか、それぞれ幅広い皆様方にお集まりいただいておりますし、またその下に専門委員、それぞれの分野の専門委員皆さん方もおられます。そういう方がやはりいろいろな御提言をいただく。    〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕  と同時に、決してその委員だけではありません。幅広く民間企業あるいは業界団体、地方公共団体にも規制改革に関する提言を呼び掛けておりまして、特に、特にでありますけれども、去年からは年二回、私たち、あじさい月間、これ六月ごろ、もみじ月間、十月ごろ、年二回でありますけれども、集中的にこういう御提言というものをいただくという期間を設けて幅広く呼び掛けさせていただいているという、そういう中で取りまとめられ、そして土俵に上げられたと申しましょうか、検討課題とさせていただいておる、これが今までの取ってきた方針であります。
  75. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございます。  ここで大臣に、私、各論のどうこうという御質問をするつもりは毛頭ございませんので、単なる例示だと思って聞いていただいて結構なんですが、一つ、昨年までずっと新聞をにぎわした問題の一つに、お薬をコンビニで売らせる案をどうするかということで、これはたしか前大臣と厚生労働大臣とかなり御議論をいただいたというふうに私ども伺っておりまして、一定の結論が出て、今そのプロセスに乗っているわけでございます。  それを考えますと、その規制改会議が重要事項として取り上げられた一つの論拠、先ほど言いましたいろいろな御意見があって、委員の方々の御検討をいただいたわけですが、そのとき、コンビニで販売、医薬品を売ってほしいという声が高いのですと、こうおっしゃられた根拠がございました。  これ、政府委員の方がいたら具体的にどういうデータかというのをお尋ねしたいんですけれども、大臣にそういうことでお尋ね、失礼ですので、私の方から答えますけれども、これ、コンビニの方のいわゆる運営している、いわゆるコンビニエンスストア等の団体でありますフランチャイズチェーン協会が、ここが外部委託をしまして、そして千名の方のアンケートの結果の数字なんですね。この千名のアンケートというのは、これはインターネット調査をされているわけですね。二〇〇二年の八月に実施されている。その結果で、七割の方がコンビニであってほしい商品のトップが薬でしたよと、こういうことが論拠になっております。  私は、今の時代に人々がどう考えるかという話、いろいろな見方があるというので結構なんですけれども、今インターネットで調査をできるという話になりますと、それを使える方しか答える方いらっしゃらない。これが本当に国民の声になるかどうかということというのについては、私はいささか疑問を感じております。  といいますのは、この問題が表に出た後実際どういう動きが起こったかということなんです。これ大臣御案内のとおり、昨年この問題が表に出た後どういう動きがあったかというと、この一般用医薬品をコンビニ等で売る話について、各地方自治体で反対の意見というのが出てまいりましたですね。御存じのとおりでございますけれども、これ昨年たしか一年間で四十五都道府県議会が、この一般用医薬品を一般小売店で販売することに対しては慎重であるべきとか反対であるという旨の意見書をされている。市町村議会でいいますと、六十八の市町村議会が反対の決議をされているわけでございます。  そうしますと、この問題というのは、私は今大臣おっしゃられたように、こういう、どういう課題をどう提言するかとか、あるいは多分、意見もパブリックコメントをお求めになられているんだろうと思うんですけれども、こういった、中央ではこういう仕組みでやっているよと言われても、その声は必ずしも国民全部にはなかなか通じていないような問題というのはあろうと思うんですよね。ですから、新聞でどこでも薬を買えるようになりますよと言ったら、本当にそれでいいんですかという意見が全国から出てきたんだと思います。そのことが、昨年非常に、これの決着見るために非常に関係者御苦労いただいたのになかなか結論が出ない。そういって、ある意味で僕は無駄な努力だとは思いませんけれども、非常に御苦労いただく結果になってしまった。  ということになると、私はこのテーマの採択の在り方というものに、今大臣おっしゃられたとおりでして、集中的に多くの方から意見をもらうという、結構なんです。私は、その意見をもらわれたときに、その意見を最終的にこの委員会で決めていただくわけでございますけれども、本当にこれが当初おっしゃられたこの会議の合目的性という、いわゆる日本経済の体質を強化する、あるいは利便性を高めるとか、民間開放するという、そういった目標に対してこのテーマを採択することがどの程度の効果を持つだろうかという、何といいましょうか、予測のようなこと、そういったことを行って、確かにこのテーマというものはそういう非常に高い合目的性があると。だから、それについてもっと突っ込んだ議論をして実際にそれを政策提言しようという、そのプロセスが私は必要なんではないかと思うんですけれども、いかがでございましょう。
  76. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 大変鋭く御指摘をいただきました。  四月から始まりますこの規制改会議は、民間委員の皆様方と同時に、並行して今度は閣僚ベースで議論をしていくという場を作らしていただくと。そこの閣僚のテーブルに、民間委員皆さんの代表者にはなると思いますけれども、何人かに出掛けていただいて、そうして議論すると。ただ、民間委員の皆様方のやっぱりこの発想というんでしょうか、視点というんでしょうか、これを殺すという意味ではありません。入口はうんと広げていこうと思っているんです。どんどんいろんな形で引き続き民間の方からというか、全国からいろいろな意見を寄せていただく。しかし、その過程は、今、先生が御指摘いただいたようなことというのは、そういう過程できちっとこなしていけるようにしていきたいと。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕  今、先生から個別の薬の話がありました。これ、厚生省で、専門家でいろいろ委員会を作って、そこで議論をしていただいて、そして言わば薬品の供給体制在り方というところに議論が来ておると。藤井先生がいろいろ御指導いただいている中で、薬局の方もその供給体制について随分積極的な今対応が出始めているやに伺っております。こういうのはある意味、消費者利便という点からいえば大変プラスの方向に働いているのではないかと思っております。
  77. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございます。  今おっしゃられたとおりでして、私はこういう規制という、民間の方々の御意見というものが、今までの我が国の一定のルールというものに対してよりよい方向に、国民のためになる方向に動いていくという、そういったことがあるからこそ、いわゆる規制改革に対する国民の世論というのがそれをフォローしていくんだろうと思います。  ですから、問題はそのやるやり方といいましょうか、あるいはその内容的なものを最終的にどのように考えるかということに最後は突き詰めていけばそこになるんだろうと思っております。  例えば、今一つお話ございましたように、利便性の問題というお話がございました。あるいは、経済活性の問題というものもありました。  今、厚生労働省は、規制改会議との約束によって、新しく約三百五十のお薬を一般小売店で売れるような仕組みにするというプロセスに今入っていると思うんですね。この形の動きというのは、実は平成十一年のときにも同じようなプロセスが採択されまして、その当時、お薬でありましたいわゆるドリンク剤と言われている大きな一つの区分があるわけですが、それが医薬部外品となってコンビニ等で売られるようなプロセスになった経緯がございました。  この結果を見ますと、確かに利便性が高まったということは私は言えるかもしれませんが、経済活性的な意味といいましょうか、市場が活性化されたか、市場が大きくなったかというと、残念ながらそういった傾向は実はなかったというのがもう定説になってきております。これは、商品がお薬という商品である以上、やはりそれが身近にあれば、それによって病人を惹起するとか、それだけその市場が大きくなるということはないんだろうと思うんですね。  それよりも、例えば、もしもインフルエンザがはやれば、それだけマーケットというものはその時点で興る。それは何も望ましいことだと思っておりませんけれども、やっぱりほかの商品と違った性格というものをこれは持っている。あるいは、多分これは医療の問題においても一部そういった特殊性があると思いますし、教育等の問題についてもあるんだろうと思うんですね。  ですから、そういったことを踏まえて、一般的な規制の改革というもの、それをどういう個別具体のときにどう与えるか、当てていくかということについては、これはまた是非大臣の御裁量いただかなきゃいけない問題だろうと私は考えます。  それで、例えば、このお薬の問題で言うならば、大臣御案内のとおりでございますけれども、今皆保険制度でございまして、お薬の、今生産されている世界一のお薬が実は日本の医療に使われておりまして、皆保険制度でありますから、実はお薬の生産の出荷金額の約九割、これは全部医療機関、お医者さんのところに行った形で実は患者さんに使われるという形態になっているわけですね。といいますと、逆に言いますと、国民の方々が自己判断で選べるお薬というのは実は残りの一割しかないということになっております。  この比率というものは、少なくとも皆保険制度ができた昭和三十五年当時は、医療用と言われる、お医者さん経由して供給されてたお薬というのは七五%ぐらい、残りの二五%というのはセルフメディケーション、いわゆる国民の方々が自己判断できる、薬局や薬店にあった、そういった経緯から、どんどんどんどんシフトしてきている。  この九対一という割合というのは、世界的に見ても少し偏り過ぎているんじゃないか。逆に言いますと、今お医者さんのところに行かなければいいお薬というもの、新しいお薬というのがなかなか入手できないというふうに今国民が置かれている。  私は一つの方策としてですが、これはもう個人の意見だと思っていて結構なんですけれども、例えば、そういった意味で、患者さんのためにより利便性を高めるということだったら、お医者さんのところに行かなくても自己判断で、判断で使うことができるようなお薬、あるいはそういった自己判断できるだけの情報提供する仕組みを作ってあげる、あるいはそれに対する例えば、先ほど言いましたが、例えば薬局に対するもう少し患者さんに対する徹底したサービスできるようなそういった仕組みに薬局を置くことによって、お医者さんに行って初診料も払う、あるいは再診料を払うということもなくて、そのお薬というのが個人の判断で使えるような仕組み、この方が私はある意味で規制緩和という目的に沿った形になるのかなという感じがしております。  これはいろいろな御意見があると思いますので、これをやってほしいというふうには申し上げませんけれども、お薬というジャンルの中でそれを、いわゆる許認可を受けている薬局や薬店以外のところに売らせるという、そういった発想法が出るのなら、お医者さんのところに行かなきゃいけないお薬というものがお医者さんのところへ行かなくても使える仕組みというのはどうかという発想がなぜ出ないのかということで、私は不思議に思っておりました。
  78. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) 藤井先生の今御指摘、厚生大臣にも伝えさしていただきたいし、民間委員の皆様方にも検討していただきたいテーマとさしていただきたいと思っております。  しかし、今の方向が二つ大事なことを御指摘いただきましたのは、規制改革というのは自己責任と裏腹であると、ここのところをもう一つ国民がきちっと理解をしていただける。これ先生はまた、むしろ指導していただきたい。  同時に、同時に、だからこそ、それが進めば一層薬局の皆さん方の医療の、薬品の供給体制、やっぱりチェーンストア協会といえども、やはり七割の国民が、夜間開けてちょうだいよと、薬を欲しいよというニーズもあるわけでありますので、そこへの更なる御指導は一方でお願いを申し上げたいと思います。  それから最後に、先ほどちょっと、もみじ月間、十月と申し上げたんですが、十一月の誤りであります。
  79. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございます。  私もできるだけ、大臣の御意向をよく理解できますので、そのような私としての努力もしてみたいと思っております。  最後になりますが、ひとつこれも大臣のお考えをお伺いしたいと存じます。  今まで三次にわたるこの規制改革、規制緩和の計画というのを我が国進めてまいりました。それによって多くの成果が上がってきていると私も考えております。ただ、全体で見ますと、この三次にわたる計画だとたしか五千項目以上のものになっているというふうに、これ、新計画の中にも書かれておるわけですね。そうすると、この五千項目のものを規制改革やったんだろうかと。実は私も思い出して幾つ、どれとどれがあったかなというのを分からないんですね。  私は是非大臣にお願いしたいんですけれども、これから先もこの規制改革、規制緩和というものを積極的にやっていただくためには、今まで行われたこういった規制緩和、規制改革といったものの行政的な効果といいましょうか、成果といいましょうか、例えて言いますと、我が国の経済の体質強化にどの程度寄与したのか、あるいは国民の方々に対する利便性に対してどれだけ寄与したのか、経済活性化にどれだけ寄与したのか、このような検証を是非やっていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  80. 金子一義

    国務大臣(金子一義君) これも重要な御指摘であると思っております。やはり国民にどういうふうに理解、どういうことを、やってきたことのある意味利便性、これを理解をしていただいてこそ更なる規制改革というのが進むんだと思っておりまして、いろいろな方法を通じてやってまいりたいと思っております。  なるべく、これちょっとやや政府広報になりますけれども、国民皆さんの身近なところからこういうことが進んでおりますと。例えば携帯電話、今はもう当たり前でありますけれども、ついこの間までは先進国では一番価格が高かった。今やちょっとした規制改革、コネクションの部分でありますけれども、それによって本当に一番安くなってきている。通勤客で、皆さんが使われるあの定期券、Suicaというのがありますけれども、あれもちょっとした電波法の一部分の改正によりましてこういうのができている等々、なるべく身近なところで理解いただけるようなものを私たち今一生懸命作らせていただいているんでありますけれども。  それから、経済的な部分でいえば、内閣府、これ、こういう昔の経済企画庁のセクションでありますけれども、これまでの規制改革で十四兆円の経済効果があったという分析はしております。御指摘のように、さらに、経済の体質として何が進んだのかという質的な部分も含めて、引き続き我々、やっぱり理解してもらえるような方法というのは考えてまいりたいと思っております。
  81. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  一応、以上で、私の方から金子大臣に対する質問は以上でございますので、委員長の方から御退席についてのお取り計らいをお願いしたいと思います。
  82. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) では、金子国務大臣、どうぞ御退席ください。御苦労さまでございました。
  83. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  続きまして、茂木大臣の方に御質問をさせていただきたいと存じます。  今、我々が審議していますのは、実は十四年度決算ということでございます。この十四年度という年はいろいろな出来事があった年でございますけれども、茂木大臣の所管されていますその科学技術の問題においても、非常にこれ、ある意味で我が国にとってはエポックメーキングな年だったというふうなことが言えるんだろうと思います。  と申し上げますのは、この年、小柴昌俊先生と田中耕一先生、お二方がノーベル賞、初めてのダブル受賞ということでございました。この十四年に先立つ二年前の平成十二年には白川英樹博士が、また平成十三年には野依良治先生がノーベル賞をもらわれて、三年連続で実はノーベル賞を受賞したという、ある意味で私ども国民にとりましては非常にうれしいニュースが出て、我々受け取りまして、我々国民としても喜びましたけれども、それに加えて、特に我が国の研究者の方々が非常に自信と誇りを持った、そして我が国の科学技術の力というものを世界に再認識させることになったと思っておりますので、私はこの二十一世紀、我が国が生きていく一つの道というのは科学技術創造立国という、そういった国策だろうと思っております。  茂木大臣にも御努力いただきまして、その科学技術創造立国に向けて、多くのいろいろな形での政府の御努力をいただいているわけでございます。この十四年に限りまして見ますと、総理の直轄の組織が知財戦略大綱というものを夏には打ち出しておりますし、また暮れには、バイオテクノロジー戦略大綱という非常に重要な、科学技術政策を進めるために非常に根幹になるような政策提言をしていただいたわけでございます。  総務省のデータによりますと、この平成十四年度、我が国の科学技術研究費というもの、これ官民合わせまして十六兆六千七百五十一億円でございましたか、対GDP比が三・三五%という過去最高の数字を記録をしております。その中見ますと、残念ながら、国の御負担いただいているものというのは実はそのうちの二割程度だとたしか記憶しておる。といいますのは、残りの八割ぐらいというのはこれ全部民間がその研究、科学技術研究費というものを使われていると、そういう出資をされているという形なんですね。このことが、我が国の研究がどうも基礎研究が弱くて製品開発の方に少し偏重していないかという指摘を受けるときに、この問題というのはやはり避けて通れないんだろうと思っておるんですね。  これ十三年度のデータなんですが、といいますのは、総務庁のホームページ見たらこれしかなかったものでして、十三年度を見ますと基礎研究の比率というのは一四・六%なんです。一方、開発研究比率というのは六二・〇%ということなんですね。やはり開発研究に依存しているというか、そちらに多くなる。ですから、この基礎研究増やすためには、やはりこれは民間の研究に、研究費に依存するんじゃなくて、やっぱり国側が国の研究費というものを増やしていくということが基礎研究を振興するために私は必要不可欠だと思っているんですね。  それで、お伺いしたいんですけれども、近年の国の研究開発費というものがどのようにシフトしているかということについて教えていただきたいと思います。
  84. 林幸秀

    政府参考人(林幸秀君) お答えいたします。  最近の科学技術関係の予算の推移でございますけれども、平成十四年度で三兆五千四百四十四億円、それから十五年度で三兆五千九百七十四億円、それから平成十六年度が三兆六千二百五十五億円というふうに着実に増加をしてきております。  この中で、一般会計で、今先生の方から御指摘のありました基礎研究ということで、非常に重要な経費でございます科研費なんかを含みます科学技術振興費という大きなくくりがございます。その予算につきましては、平成十六年度で一兆二千八百四十一億円でございまして、対前年度比四・四%の増加となっております。これは、一般歳出全体が対前年度比で〇・一%という非常に厳しい枠の中で、また、ほかの歳出が軒並み前年減となっておりまして、そういった中で社会保障費などと並びまして極めて例外的に増加をしておるというふうに承知しております。
  85. 藤井基之

    藤井基之君 御努力、多としたいと思います。引き続きまして、いわゆる国としての資金の供給といいましょうか、その確保に力を入れていただきたいと存じます。たしか十二年のとき、競争的研究資金といいますのは三千億円届かなかったというふうに私記憶していますが、そのとき、五年計画で倍増しようよという、たしかこれ科学技術白書の方でもそういった方向が出ていたと思いますので、御努力いただきたいと存じます。  さて、それだけ非常に貴重な、財政状況厳しい中で一生懸命競争的研究資金等を用意していただいて研究者の方々にお配りしていただいているわけですけれども、残念ながら会計検査院の十四年度決算に対する検査報告によりますと、やっぱり不適正な利用、理由、利用といいましょうか、不適正事例として表記されているものがあるんですね。これ、文部科学省から直接、あるいは学振を経由して研究者に渡されたお金なんですけれども、十二年から十四年度の補助金の交付のうち二億四千九百万強、このお金がその執行が不適正だったと、こういう指摘を受けております。  文部科学省にお伺いします。これに対してどういう対応を取られましたか。
  86. 石川明

    政府参考人(石川明君) 科学研究費補助金の取扱いについてのお尋ねでございます。  ただいま先生の方からお話ございましたように、平成十四年度決算検査におきまして、科学研究費補助金の取扱いにつきまして、応募の要件を満たしていない研究代表者が科学研究費補助金の交付を受けていたり、あるいは外国留学等で長期間所属研究機関を離れる場合に行うことが必要とされております所定の手続が行われていないというような事例が見受けられたということで、適正な取扱いについて周知徹底すべきだというような指摘をいただいたところでございます。  文部科学省といたしましては、従来から科学研究費補助金の事業の適正な実施について周知に努めてきたところでございますけれども、このたびの会計検査院の指摘を踏まえまして、昨年の十月に科学研究費補助金のすべての対象機関へ文書を発出いたしまして、その適正な事務処理について改めて周知徹底を行ったところでございます。さらに、同じ十月に開催されました国立大学研究協力事務担当者研修会及び十一月に開催されました国立大学等の研究協力部課長会議等、関係する会議におきましても、科学研究費補助金事業の適切な実施について周知徹底を行っております。  文部科学省といたしましては、今後とも様々な機会を通じまして、この科研費補助金の適正な取扱いについて、研究者、そして研究機関に対して周知徹底を図ってまいりたいと、このように考えております。
  87. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。  適正執行に努めていただきたいと存じますが、それとともに、ルールといいましょうか、ルールに縛られて、結果として研究者をつぶすようなことになってもいけないんだろうと私は思っておりまして、手続的には確かに守らなきゃいけないルールはあるわけでございますけれども、この報告にありますように、中には、そういった問題があるけれども研究成果はちゃんと出ているというようなことも書かれているわけでございまして、そうなると、一体何のために規制をしたりする必要があるのかどうかということがあろうかと思いますので、それについては文部科学省の適切な是非御指導をお願いしたいと存じます。  さて、今お話ありましたが、競争的研究資金の在り方につきまして、総合科学技術会議というのが昨年の四月、「競争的研究資金制度改革について」という意見書をおまとめいただいています。これ、すばらしい私レポートだと思うんですね。中に、御指摘受けておる、さすが総合科学技術会議だというふうに思っております。  その意見の中で、幾つか取り上げさしてお考えをお伺いしたいと思うんですが、まず一つ、我が国の競争的研究資金の配分が金額的に細分化され過ぎていないかという御指摘がございます。  これ、何もアメリカとだけ比較する必要はないわけでございますけれども、我が国で一番競争的研究資金の大きいのは科研費の補助金だと思うんですね。これ二〇〇二年のとき、これ総額が千七百億円強でございます。ところが、これの採択件数というのは二万一千件あるんですね。何もこれを比較するつもりはありませんが、例えばアメリカで一番大きなこういった競争的研究資金を提供しているというのは、アメリカはNIHだと思うんですね。これ、二〇〇〇年の数字だと一兆七千億円強。で、ここで採択された件数というのは八千六百件。つまり、一つの採択課題に対する経費としては大きな差が出るわけです。  もう少し正確に言いますと、この科研費の、日本における科研費の研究者一人当たりの配分額が百万から百五十万円、年間ですよ。こういった少額プログラム課題というのが、件数ベースだと、十三年度は六一%、十四年度は六六%という非常に多くのものというのは、こんな非常に小さな、細切れプロジェクトといったら言葉が悪うございますけれども、そういったプロジェクトに応募されて、それが実際に施行に移されているわけですね。  このことは、多分この意見書の中でもありますように、特定の研究者の方々が複数の研究費を受託する形が起こっているという指摘があります。多い人によっては十三件もの研究費を受け取っているんだということなんですね。これは多分、研究費が余りにも細切れになっているから、幾つかの研究に所属して経費がある程度ないとまとまった研究費が取れない、そういったことも一つ理由じゃないかというふうに考えるわけです。  私はこの研究課題の細分化されている問題というものについては、これ十一年度に、これは科技庁が実施した調査報告で、産官学の研究者に対して、我が国の研究者に、自らのプロジェクトのために最大かつ効率的に成果を出すためには競争的な研究資金の適正規模をどう考えますかというふうにお尋ねした、そういったアンケートに対して、その約半数の方々は五百万から二千万ぐらいというのが私のプロジェクトのために最も適切と、こういうお答えをされているんですよ。そうすると、先ほどの科研費でいうと百から百五十万円が全体の六割とかというのと大分違うんですね。  私は、この研究課題の細分化されていることに対して、これに対してどのようなお考えか、そしてこれを改善するとしたらどういった方向に改善されようとなさるのか、お考え伺いたいと存じます。
  88. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 委員御指摘の数字、大体正確な数字でありまして、先ほど日本の科研費の補助金とアメリカのNIHの予算、比べていただいたわけですけれども、日本の方が十分の一と、そして採択している件数はアメリカの二・五倍日本があるわけですから、結果的には一つ当たりのプロジェクト、平均しますとアメリカの二十四分の一と、こういう形になってくるわけであります。  実際、この競争的研究資金で見ましても、課題数約四万件のうち八割以上が研究者一人当たりの配分額が五百万以下と、こういう形になっておりますし、また御指摘いただきましたように、この競争的研究資金の約半分を占めております科学研究費の補助金につきましては、配分額が百万から百五十万の少額の研究課題が件数ベースで六割以上占めていると、こういう形でありまして、欧米と比べても確かに少額、小さな規模の研究課題が多いなと。研究者の立場からすると、そうするとたくさんの申請を行わざるを得ないと、それを合わせ技みたいに使っていくと。一方、それを出す側からしましても、今度は、膨大な申請件数が出てきまして、その評価にも過重な負担が掛かっている。  こういう状況を改善したいと、こういうことで、御指摘のように昨年の四月に総合科学技術会議の方で競争的資金制度の改革についてと、こういうことを取りまとめをさせていただいたんですけれども、これ御案内のとおり、研究課題によりまして、全部が同じだけで五百万でいいのか、一千万でいいのか、こういう違いというのは出てくるわけでありますけれども、もう少しその研究費の適正な規模、こういうことは考えなくちゃならないなと、恐らく一課題当たりの規模というのは増やしていかなくちゃいけないんだと思っております。  同時に、間接経費と、これが余り見られていないと、こういうこともありまして、そういった引上げも必要だと、こんなふうに考えておりまして、これからも関係府省にもそのこと働き掛けをし、またその結果につきましてもきちんとフォローアップをしていきたいと考えております。
  89. 藤井基之

    藤井基之君 総合科学技術会議が、これ二〇〇一年の三月だと思いました、そのときに作られました科学技術基本計画において、今後五十年間に三十人程度のノーベル賞受賞者を出すことを目標にしますよと、こういうふうに言われたわけですね。私、すばらしい目標だと思っているんです。このためにじゃ何をするのだろうかというふうに思った。やはりこれはある程度若手の研究者というものをどう育てるかということに尽きるんだろうと思っているんですね。  現在、その競争的研究資金の配分を見ますと、どうも五十代以上の研究代表者の方に五割以上のお金、研究資金というのが配分されてしまっていると。そして、その五十歳代の研究代表者に対する平均配分額というのは、若手研究者に対する配分されている金額の倍以上になっているという、どうも若手の方々に対する研究費の配分比率が少ないんじゃないかということが見て取れるわけですね。  御案内のとおり、ノーベル賞受賞の対象になる研究というのは大体研究者が三十代のころに研究なさったテーマですと、こう言われているわけです。田中耕一さんのノーベル賞受賞の対象になった研究というのは、これ二十八歳のときにやられた研究だということなんですね。そうしますと、やはり私はこれから先、若手研究者に対してどのようにこういった研究資金をある程度手厚く渡してあげることができるかということというのが、この先の大きな目標である、ノーベル賞をもっと日本から出させる、陸続と出させるというがためには必要なことになるんだろうと私は思っております。  そして、私、考えますのに、この若手の方々というのは必ずしもその研究費をもらうだけが、この人がその後研究者として大成していくかどうかという、それはそんな簡単なものじゃないんだろうと思うんです。私は、やはり我が国のシステム、いろんな問題があると思うんですけれども、やっぱり少なくとも若手研究者の活性化を図るためには、この配分だけじゃなくて、そもそも研究資金をその方がもらうということ自体がこれはその人の研究者としてのキャリアパス形成に役立つんだと、あるいはそのことがその人の肩書として次の研究機関へ、私は日本の科研費というものを五年間もらったんですと、そういったことが自信を持って言えるような、そういったキャリアパス化をしていく必要が私はあるんだろうと思うんですね。  私は、これ、答えが一つだとか二つだとは思いませんけれども、非常に漠然としますが、若手研究者を活性するために科学技術大臣がどのようなお考えをお持ちかということを教えていただきたいと存じます。
  90. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 藤井委員お話伺っていまして、欧米のシステムよく御存じだなと、その上での御質問だなと、こういう思いを持ったわけでありますが、この研究資金、全体的に言えば、例えば二十四兆円であったり、それからまた競争的研究資金を倍増すると、そういった量的な拡大、これも大変重要なテーマでありますが、同時にその全体のボリュームをどういう形で振り分けていくかと。先ほどありました一課題当たりの研究費、これをどうするか、それからどういった人にその研究費を効果的に振り分けるかと、これが大変私は大きな課題だと思っておりまして、確かにノーベル賞の受賞者、受賞したときの年齢は別にしまして、受賞に対象になるような研究、三十代、四十代でやっている研究というのが非常に多いわけであります。  それに対しまして、日本の研究資金の配分、これを見てみますと、五十代の研究者が中心になっているという形でありまして、やっぱり、お水でもそうですけれども、しゅんなときに上げないとちゃんと育たないわけでありますから、そこら辺というのは見直していく必要があるなと、こう考えておるわけですけれども。  じゃ、どうしてこうなっているのかと。この原因を調べてみますと、一つは、審査に当たりまして、これまで研究計画、それよりも研究者の経歴であったりとか業績が重視されるような傾向にあったこと、もう一つは、教授等の名前の下で申請するケースというのが多くて、若手の研究者も独立をしていないと、こういう問題点があったんではないかなと、こんなふうに考えておりまして、こういった状況を改善しまして、若手の研究者にしっかり資金が届くようにするために、まず一つは研究計画の内容重視と、こういった審査に改めることが必要だと思っております。同時に、若手研究者向けの競争的資金制度の拡充を図ると、こういうことも必要だと考えておりまして、これらの具体的方策につきましては、昨年の四月に取りまとめられました競争的研究資金制度の改革についてと、委員冒頭御指摘をいただいたこの意見具申でありますが、そこにも盛り込んだところであります。  最近の傾向としては、この若手研究者向けの研究資金増えている傾向にあるわけでありますけれども、更にそういったことをしっかり進めていきたい、こう考えております。
  91. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。是非その方向でお願いしたいと存じます。  次に、BT戦略会議の報告の関係について御質問させていただきたいと存じます。  内閣総理大臣が議長を務められて、BT戦略会議が戦略大綱を作られた、すばらしい内容だと私先ほど申し上げましたが。このBTの分野といいましょうか、その関係している分野としてライフサイエンスというのが直接的に相対をしているわけですが、これは茂木大臣も御出席いただいたので御記憶あるかもしれません。昨年の十月に、ライフサイエンスの推進議員連盟とか総合科学技術会議とか日本バイオ産業人会議で、これらが主催したライフサイエンス・サミットというのが東京で開かれました。そこでBT戦略大綱の進捗状況がどうかなというようなお話があったわけでございますね。  御案内のとおり、このBT戦略大綱というのは大きな三つの戦略というのを訴えられておりまして、その中に約二百の詳細行動計画を作られて、それを各省庁で用意ドンで動き出していると、そういう状況になっているわけです。そして、それらの実際の進捗状況について、まだ時間が非常に短かった、早い段階だったわけですが、産業界が仮の評価をしてみたという報告がこのライフサイエンス・サミットでされております。そのとき進められている二百の項目中、評価の時期が早くてまだ情報も取れていない、あるいはまだスタートして間がないので評価できないというものもあるわけですが、非常にその成果が上がったよと言われているのは実はほんの数項目しかなかったということがございました。  その後、時間が大分たってまいりましたけれども、こういった民間側もこの方向がどうなっているかということで非常に関心が高いものがあるわけでございますけれども、政府として、この戦略大綱で指摘しておる二百項目というものについて、現在どのような状況か、進捗状況はどうかということについて、この評価をなさっているのかどうか、なさっているとしたらどのような今評価になっているかということについてお尋ねしたいと存じます。
  92. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) バイオテクノロジー戦略大綱の下で主要課題として具体的な取りまとめを定めたものは、委員御指摘のとおり二百の詳細の行動計画がございまして、これらの取組を着実に進めるということでありますけれども、現在の状況で申し上げますと、この二百のうち百九十九項目につきまして現在実施中若しくは完了という状況にございます。まだ一年余りでありますので、完了したものは十二項目、そして今実施中のものが百八十七項目と、こういう形でありまして、実際にそのプロジェクトに入ると、こういった意味ではおおむね順調に進捗をしているんではないかなと、こんなふうに考えております。  ただ、まだ一年ということもありまして、実施中のものの中にも初期段階からかなり進んでいるものもございまして、着手したばかりと、こういう項目もございますので、そういったものを一層推進しながらフォローアップしていく、こういうことを図ってまいりたいと考えております。
  93. 藤井基之

    藤井基之君 このBT戦略大綱は、先ほど申し上げましたように、三つの戦略があるということを申し上げましたが、その一つ、三番目に書かれているんですが、国民理解の、何というんですかね、徹底的浸透というふうな表題で、いわゆるライフサイエンス、バイオサイエンスの国民に対する啓発といいましょうか、理解を高めることが重要だということを言われているわけですね。これは、先ほど申し上げましたライフサイエンス・サミットの大会宣言におきましても採択されているわけですね。  私は、このテーマちょっと申し上げたいのはなぜかというと、このテーマというものはほかの二つの戦略と違いまして、このテーマは国の責任が非常に大きい。国が、ひょっとしたら国しかやれないかもしれない。そういった内容を私は含んでいるから、是非国の方向というものをお聞きしたいと思ってここに今取り上げているわけでございます。  このライフサイエンス・サミットにおきまして大会宣言が採択されました。その中で、この問題に関係してこういうふうに言っているんですね。産業発展や研究進展に不可欠な国民理解の増進を図るべきだと。BTの応用、進展に対応し、安全情報の収集や科学的分析評価等、安全確保の対策とその充実のための基盤の確立が要ると言っている。そして胚性幹細胞、ES細胞、あるいはそれの取扱い、あるいは個人遺伝情報の取扱い等の倫理面であるとか、またバイオ製品、これはゲノム医療でありますとかバイオ医薬とかあるわけで、これらの普及に関連する問題を検討、整理して、国民の目線に立ち積極的なコミュニケーションを実施することによって国民理解の増進を図ると、こういう決議をされているわけでございます。  これに関係して、例えばアメリカにおきましては、政府のBT関連予算の場合は、一定品質を、一定割合を、エルシーといいましょうか、エシカル、リーガル、ソーシャル、そういったイシューに予算の一定配分を確保してそれに使うんだと、そういったような政策展開をしているわけでございます。  私は、先ほど申し上げましたように、この分野というものは国の責務が非常に大きいと思うんですね。私は、是非国として総力を挙げた、いわゆる総合的な国民理解促進政策、これを是非試みていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでございましょうか。
  94. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 委員御指摘のように、この分野、欧米等、パブリックリレーション、大変重要にしているわけであります。  何となれば、例えばこの分野、食品の安全であったり安心にかかわってくる。それからまた、テーラーメード医療と、また委員御専門の分野でありますが、そういう分野であったり、ES細胞や生命倫理と、正に国民の関心の高いというか、非常に重要なテーマでありまして、国民の理解を得ながらきちんと進めていくと、こういうことが重要だと考えております。  じゃ、これに関して今政府としてどういうことをやっているかということでありますが、例えばでありますけれども、バイオテクノロジーに関しますリンクを官邸のホームページに設置する等、情報の積極的な開示、提供を行っております。また、遺伝子の組み換え生物に関する法律の整備等、バイオテクノロジーの安全確保対策に万全を期すとともに、その姿勢を国民に分かりやすく提示をいたしております。  また、科学技術・理科大好きプランの推進などを始めとする学校教育、社会教育の充実といった施策も進めておりますし、また生命倫理の分野なんかにつきましては、今専門調査会で検討しておりますことを早めの段階でパブリックコメントに掛けようと。  こういうことで、国民皆さんと双方向でいろんな議論をする、こんなことも進めさせていただいておりまして、何にしても、この分野、特にほかの分野と比べても国民の理解を得ると、こういうことが重要だと思っておりますので、そういう点には更に注意をしながらこの分野の政策を進めてまいりたいと考えております。
  95. 藤井基之

    藤井基之君 是非頑張っていただきたいと存じます。  最後になりますが、このBT戦略大綱というのは、今言った分野もありますし、そのほかの二つも分野もあるわけですから、この実施というのは関係省庁とか産業界に任せておけばうまくいくだろうかといったら、私は必ずしもそうじゃないと思うんですね。この非常に幅広い、総合的なサイエンスであるものというのは、各省庁が縦割りでやっていたんじゃいたずらに消費するだけだと、変な話ですけれども。成果が出づらい。やはりこれは科学技術担当大臣が強力なリーダーシップを持って事に当たるべきだと、私はそう考えております。  そして、そのためには何が必要かと、私聞いたと思うんですけれども、このレクのときにお尋ねしたら、今スタッフ何人いるんですかと聞いたら、二人しかいないと言うんですね。私は一瞬数字を、けたが違うかと思ったんですよ。二つぐらい数字、けたが違うかなと思いました。  これから先、BT戦略大綱って、一年少したったわけですね。大綱の具体的な、そういう二百もある行動計画だとか研究課題の進捗状況をこれフォローアップしなきゃいけないんです、フォローしなきゃいけないんですね。そして、その評価あるいは評価結果を今度は大綱にフィードバックもしなきゃいけない。関係省庁の連携も強化しなきゃいけない。また、この推進計画と研究課題に対する産業界であるとかあるいは個別の研究者の方々の意見も吸い上げなきゃいけない。吸い上げて、そして新たなバイオテクノロジー戦略のための国策としての方向付けを導かなきゃいけない。それには大臣に頑張っていただく以外、私はそうしなければこれは動かないんだと思うんです。そのためにスタッフが二人というのは幾ら何でもひどい。  大臣、やはりこれを戦略的に総合的に進めるためにはやはりその事務体制というのをもっと拡充すべきだと考えるんですけれども、最後に大臣の御見解と御決意を伺いたいと思います。
  96. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 全く同感であります。  その二人のスタッフは非常に優秀でありますけれども、これからやっていくこと、二百項目の評価であったりとか、それから府省間の連携の問題もあります。さらには産学官の連携を進めていく、そういう総合的な調整をしたり大きな方針を出したり、様々な作業が出てくるわけでありまして、それをしっかりと進めていくためには体制、推進体制の強化、これはどうしても避けられない最も大切な課題だと考えておりまして、この課題の解決に向けまして全力で私としても取り組みたいと思います。
  97. 藤井基之

    藤井基之君 ありがとうございました。
  98. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) しばらくお待ちください。  次に、後藤博子君。
  99. 後藤博子

    ○後藤博子君 続きまして質問させていただきます自民党の後藤博子でございます。  改めまして、麻生大臣総務大臣、本当にお疲れさまでございます。皆様も、今日はお答えをいただくために来ていただきまして本当にありがとうございます。  大臣、御承知のように、私もようやく三年を迎えるに当たりました。三年前に本当にこの世界に飛び込みまして、もうびっくりすることばかりで、戸惑うことが一杯ございました。その中で、今日も総務大臣に質問させていただくということで非常に今緊張しております。準備不足も勉強不足もございますけれども、何とぞよろしくお願い申し上げます。  私は、今申し上げましたように数年前までは普通の生活者でございまして、民間企業を細々と経営しておりました。そのときに、私の役割は経理担当、偉そうに取締役という役職で仕事をしておりました。そのときに、企業というのは人、物、金と言われています。私の場合はお金を担当として企業経営に携わっていたことになります。国の場合であっても同じことが言えるのではないでしょうか。つまり、社長に当たるのが総理であり、人事担当取締役が文部科学大臣、経理担当取締役は総務大臣ということになるのかなと思っております。国と企業を一緒にするなとおしかりをいただくかもしれませんけれども、しかし、構造改革も三段階を迎えまして、官から民への趣旨に沿って改革施策が次々と具体化されるようになっています。ここはひとつ、官の見方、考え方から、民の見方、考え方で我が参議院での決算在り方に関して考えてみることをお許し願いたいと思います。  幾つか質問させていただきます。  まず、民間企業の場合ですと貸借対照表あるいは損益計算書といった財務諸表が大変重視されております。その財務諸表を様々な角度から検討することによって、人、物、金に関しての企業の強みや弱みを浮かび上がらせることができるからです。今までの決算諸表によって企業の過去から現在までの体質と体力の変化と実力を知ることができます。その上で企業のトップは企業環境を読み、将来を考えて日ごろの経営に当たっています。このことは、国にあっても同じことが要求されているのではないかと思います。  我が参議院においても、決算重視がうたわれて、決算審査に力を入れつつあることは本当に喜ばしくて、私自身、微力でございますけれども大いにバックアップしていきたいと考えております。  そのためには国の財政状態を表す公式の財務諸表を作成すべきだと考えております。政府においては、平成十二年から毎年国の貸借対照表が作成されていると承知しておりますが、あくまでも財務省内の試案にとどまっておるのではないか、公式の書類でないのではないかと思います。また、損益計算書に至っては、全くと言っていい状態ではないかと思っております。今や試算の、試案の段階から国として、そして省庁としての財務諸表を示すべき段階へ移るべきではないかと考えています。また、新たに企業会計的手法を取り入れた省庁別の財務諸表を作成する動きもあるようです。民の見方、考え方を取り入れるという意味で大変意義あることと私は大賛成をしております。  そこで、お伺いしたいんですけれども、企業会計的手法を取り入れた国及び省庁別の財務諸表作成の検討状況と見通しについて教えていただければ有り難いです。お願いします。
  100. 七条明

    大臣政務官(七条明君) 今、後藤先生の方からいただきました企業会計の手法ということでございますけれども、これは財務省の方から御説明をさせていただこうと思います。  公的部門における財務諸表の整備状況というのは、今先生もお話がありましたけれども、平成十二年の十月に基本的な考え方を取りまとめました。そして、国のバランスシート、いわゆる国の貸借対照表、これを作るようになりまして、十年度決算から公表をさせていただいております。  その後、特別会計あるいは特殊法人あるいは独立行政法人等々も順次同じように、例えば特殊法人でありましたらば行政コスト計算書、これを十三年の六月から作成指針を取りまとめる、そして十二年度決算より公表をすると。あるいは、独立行政法人も、今いろいろと問題になっておりますけれども、十五年の三月に改定をして、設立後、当初の決算表から公表をすると。あるいは、特別会計も同じように、十五年六月より取りまとめをして、十一年度決算分より公表をさせていただいております。  その公会計、いわゆる公の会計に関する基本的な考え方を、これを財政制度等審議会において、公会計に、公の会計に関する基本的な考え方を取りまとめを昨年の六月にいただきました。これが一つの答えとして次のこの方向性を示していただいたものでございますから、本年の今度は六月までに各省庁に対するいろいろな諸表を取りまとめていく省庁別財務書類の作成について財政制度審議会において今御検討をいただいておるところでございまして、本年六月までに取りまとめをする予定でございます。  この各省庁別の財務諸表は、企業会計的な手法、今先生が言われました企業会計的な手法を取り入れて、それを活用をし、各省庁単位で、あるいは貸借対照表あるいは損益計算書のように、フローとあるいはストックとの両方の分野の作成をしていきたいなと、こういうふうに考えているところでもございます。  いずれにいたしましても、私たち財務省だけではなくして、各省庁一緒になりましてディスクロージャーを今後も方向性を見いだしていくという形で公の会計、公会計の充実について積極的に取り組んでいかなければならないと、こういうふうに考えておるところでございます。  ホームページも読んでいただいたりしますと、それをディスクロージャーをしてできるだけ財務省も今やっておりますので、是非ホームページの方もごらんいただければと思っております。
  101. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。早速ホームページをのぞいてみたいと思っております。  私も、小さな会社を経営しておりましたので、そんなに詳しく分かっているわけではありませんけれども、国においてもまた経営のバロメーターとなるこの財務諸表の在り方、是非今おっしゃいましたように重要なことだと思いますので、今後とも取り組んでいただきたいと思います。  また申し上げますが、民間企業では今のようなことを踏まえまして、例えば三月の決算という報告でも六月に、三か月の六月の株主総会で承認を求めるのが一般的な会社では行っております。当然、国と民間企業では決算の制度や在り方は違いがあるとはよく承知をしておりますけれども、冒頭で述べましたように、長期的な観点を持ちつつ現状打破を考えて施策を打ち出す政府にあっては、決算年度終了後一年近くたって決算審査を行うのは遅過ぎるのではないかと私も思っております。  そのような状況の中で、この秋から決算を早期提出することを総理が約束されたことは私は大きな前進であると思っております。そのためにも、一層の早期提出、審査できるような新たな制度作りも検討する時期に来ているのではないかと思いますが、御見解をお伺いいたします。
  102. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どなたへの質問でしょう。
  103. 後藤博子

    ○後藤博子君 そうですね、総務大臣にお伺いいただければ有り難いですが。はい、お願いします。
  104. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、後藤先生、損益計算書、比較貸借対照表、財産目録等々は、これは企業会計で出てくるところですが、やっぱり貸方、借方がなかなかこの世界には入ってきにくいんだと思うんですね。例えば徴税権、例えば国債発行権、例えば大蔵省印刷局の持っておるお金の印刷権等々は資産として幾らで評価しますかと言われて、答えられる人は多分いないんだと思うんですね。したがいまして、比較貸借対照表の、いわゆるそちらから見たら左側の方に立てるべき科目のその三つについて、額は出せないというところが一番難しいというのが一つ。  もう一つは、単年度決算が基本ですから、いわゆる資金繰り等々の話がなかなか入ってきにくいということなんだと思いますので、そういった、基本的には分かりやすく、三月決算が六月の総会までにというのは、決して今、これだけコンピューターやら何やらが随分普及した今の時代ですので、ある程度の予測を入れて出させてもらうというのを認めていただければかなり早く出せると思うんですが、これは何十兆であろうとも、何円、何十銭までぴしゃっと合わないといろいろ問題が起きるという世界ですから、完璧を目指しますとどうしても長くなるという部分でありまして、会社の場合はその点が、小数点、千円以下は切捨てとかいうようなことが通らないという前提に立ちますと、なかなかその点が難しいかなと思いますので、今御指摘の点は、今回政策評価の中でも複数年度のいわゆる予算というのを初めて導入されることにもなっておりますので、単年度決算が複数年度を政策群の中では認めてもらえるようになった等々は幾つかの変化だとは思いますけれども、今申し上げたようなところから、いわゆる企業会計がそのままというのはなかなかいき難いものがあるという前提で、なるべく早くというところが肝心なところかなと。そこらのどこで妥協するかというところがなかなか難しいかなというのが率直な実感です。
  105. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 財務省、答弁しますか。
  106. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) 財務省の立場からお答え申し上げます。  これまでいろいろ公会計めぐる書類といいますか、それは正式なものとして予算、それから決算、予算書、決算書ございます。これはいずれの主要国もそうでございますけれども、財政の民主的な統制という観点から現金主義で成り立っております。それで、単年度主義という制約もございます。  そういう中で、予算書、決算書というのがありまして、先ほど早く御審議に付するために早く決算をまとめるべきではないかという御質問につきましては、正にできるだけ早くもう作業を進めまして、会計検査院の作業もございますので、それをできるだけ切り詰めて、決算が閉まります七月から更にそういう手続を経て、十一月の二十日ごろに提出をさしていただくということで努力をさしていただくということになっております。  それから、先ほど、民間企業的な会計を取り入れた書類、これはまたその予算、決算とは別の、言わば財務状況を表す参考書類といいますか財務書類でございまして、これは先ほど七条政務官のお話にもございましたように、できるだけいろんな試作を重ねながら、いろんな比較ができるような、国の財政状況よく分かるような資料を作るように努力をいたしているというところでございます。
  107. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  本当は、私たちのような小さな会社と大きな国とでは、もう全然中身が違うのではないかと思います。できるだけ早い取組といいますか提出をお願いできればなと考えております。  私も社長からよくおしりをつつかれまして、月々決算出せとか、月々のことはどうなっているか、それをまた前の年とどう比べてどうあるんだというような、そういうことも鍛えられてきたものですから、ついつい民間の感覚で質問させていただきました。ありがとうございます。  では次に、各委員からも質問が出ているようなんですけれども、私も構造改革と政策評価についてちょっと考えてみました。  行政機関が行う政策の評価に関する法律、これは、いわゆる政策評価制度は一昨年四月から施行されています。この制度の目的は行政の質を向上させることと私は理解をしております。各府省には政策評価担当組織が設置されまして、必要性、効率性、有効性などの観点から政策の評価が行われております。総務省は、この制度の管理者として、各府省が行う政策評価について整合性や総合性及び客観性の観点から評価するという仕組みになっていることは私も理解しております。この政策評価制度は、先ほどの質問でも取り上げました決算審査と併せることによって予算策定上の重要な道具立てになると私は期待をしております。  政策の必要性、効率性、有効性を問うこの政策評価制度は、政策の質について評価する仕組みです。経済社会ではお客様が商品の質を評価するものですけれども、政治の場合は政策を作った各府省が自分でといいますか、その各々が評価していることになるのではないかと思っております。つまり、お客である国民が不在ではないかと考えております。お客である国民に代わって総務省が各府省庁の評価ぶりを客観性や総合性の観点から評価して、必要な助言や指示をすると解釈しておりますが、それでよろしいですかね。  じゃ、そこだけちょっとお答えください。──じゃ、ちょっと最後まで行きます。  この法律が成立する前までは、いったん実施に移された政策の質の良しあしを評価することは制度としてなかったことと考えれば、より開かれた政治を目指した大きな前進だと私は考えております。  そこで、お伺いしたいんですけれども、構造改革は各府省庁が力を合わせて取り組むことが必要でありまして、重要な政策だと思います。政策評価制度の対象としての構造改革について、大臣の御見解をお伺いいたします。
  108. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 政策評価は、これはもう後藤先生、最も大事。特に決算を主にということをお考えになる場合は、特にこの政策とか行った事業の評価をいかにするかというのは、これは決算と誠に表裏一体、誠に大事なものだと、基本的にそう思っております。  そこで、特に、長い間、予算の作成をした時期と、またそれを実施に移されるまでの間に時間差が出たときには、その問題が、米よこせデモがあった時代と米が余っている時代とでは全く、田畑に対する需要が全く違うのと同じように、時間が違うことによってえらく違いますので、どうしても長く掛かりますと、いかにもということになったときに、それが今でも必要か必要でないかといった場合に、客観的情勢だけ見れば必要ないということになるかもしれませんけれども、そこまで、例えば田畑供出させられた方からしてみれば今更というような、政治的な判断を要するところ、これはなかなか簡単にはいかないところも一杯ございますので、そういった意味では、評価というのは非常に大事なところであって、これは役人にだけ任しておけばいいなんという話ではないんであって、それは国民を代表される国会議員の方々は、いろんな意味でその点に関与して関心を持たれて、決算委員会等々で質問等々の形でそれをきちんとフォローされるというのはとても大事なところだと思っております。  それで、今いろいろな中から、多分昨年度の中で一番大きなのは、やっぱり役所で複数年度の予算を認めるというようになりましたのは、これは明らかに国会の議員の方から出た意見が結果的に採用になって初めて、正確には丸々初めてではありませんけれども、この種の形で公になりました、複数年度の予算を認めるというようになったのは初めてのケースだと思いますので、こういったのは明らかに今までと違って、決算に基づいたり、これまでの時代に合わせて何となくそういうものだよという話から、何となく複数年度でやると逆に調達コストが下がる等々の話が出てきたということなんかを考え合わせまして、やっぱりこの種のやつは、政策を実施するに当たりましては客観性の確保というのが一番大事なところだと思いますので、役所がやると、自分のことを自分で決めるわけですから、何となく我田引水っぽくなるのはやむを得ぬところなので、それを、またさらに全然関係ない会計検査院が入ってくるとか、昔で言う行管庁が入ってくるとか、行政監察が入ってくる、プラス決算委員会という形になっておるんだと思いますので、いろんな意味で政策の評価が極めて客観的に確保されるというためには、決算委員会が非常に強化されたり、その時間を、何年先、何年後だったものが去年のものになってきたり、いろんな形でだんだんとその方向に動いているのは大変いい傾向だと、私自身はそう思っております。
  109. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  私も、本当、大臣のおっしゃるとおりで、いい傾向になったなと思いまして、私自身も決算委員のメンバーとして、しっかりまた質問等を踏まえながら勉強させていきたいと思っております。ありがとうございました。  次に、三位一体改革と地方財政ということで、総務大臣あるいは自治財務局長の方にお伺いをいたします。  私も、三位一体改革と地方財政ということで、なかなか勉強というか、追い付いていけませんで、三位一体改革を取り上げるのは私自身もどうかなと思ったんです。ですけれども、自分の勉強のためにもなると思いまして、あえて取り上げてみました。  三位一体改革が内閣の重要な柱になりまして、地方でできることは地方といったキャッチフレーズもありまして、昨年末は予算編成の大きな目玉になりました。三位一体改革という言葉の響きの良さも手伝いまして、地方団体ではそれなりの期待感が高まっていたと思います。しかし、結果は、補助金や交付税の大幅削減、地方団体には突然お金を削減されたというそんな気持ちが強いと地元に帰りましても感じます。私も地元に帰るたびに、大変な財政難だとか予算が組めないとか、突然こういったことになるのは困る、年が明けてからでは予算編成に間に合わないといった、そういう声も聞こえてきます。ですから、正直に申し上げまして、地方は非常に今混乱してしまっている部分があるのではなかろうかと思います。  三位一体改革は、私は必要な改革と思っておりますけれども、それだけに、地方団体になかなかうまく伝わっていないんじゃないかと思うんですね。私もある団体で講演をさせていただくことがあったんですが、そのときにも、なかなか浸透していない、理解されていないなという思いがありました。三位一体改革は平成十八年度まで、あと三年ということでございますけれども、これからは、今年の反省を踏まえまして、地方団体の意見をよく聞いて改革を進めていただきたい。意見を聞いてというか、よく会話しながら改革を進めていただきたいと思います。  また、これはなかなか難しいと思いますけれども、来年度に向けて早く見通しを示す必要があると思います。削減額や税源移譲の額を年度途中で示すというのは本当に難しいこととは思いますけれども、地方団体の気持ちをよく考えていただきまして、先の見通しがない中で合併や行革や経費削減ということが行われておりますので、もう本当に今地方団体も困っているのが実情でございます。最低限地方団体の意見をよくお聞きしていただいた上で、できるだけ早く政府としての方針を決めていただき、決めたことは地方団体に十分時間を掛けて周知徹底をしていただくと、こういうことを徹底していただきたいと思うわけでございます。  三位一体改革では、地方団体が混乱しないよう来年度に向けて地方団体との連携を強化すべきだと考えておりますが、なかなか難しいと思いますけれども、その辺のお考え総務大臣にお伺いしたいと思います。
  110. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 先ほど、民主党和田先生、神本先生いずれも同様の御指摘があっておったと記憶をいたしますけれども、基本的には今回の場合は、三位一体という、大体宗教用語だったんですけれども、父と子と聖霊との御名によってと、これ大体宗教用語だったのがいつの間にか片山虎之助がそれを法律用語に変えておるんで、政治用語に変えて、かなり戸惑う話、私のような敬けんなカトリックはちょっと戸惑うところがあるんですけれども。  いずれにいたしましても、この三位一体なる、三者一体というのが正確だと思いますけれども、三つのことを一緒にやるというのは思想としては正しいと思います、基本的には。こればらばらじゃできませんので、通常ですと二者一体、最後には追っ掛けてあと一者というところだったんでしょうけれども、政治的に三つ一緒にやるということで決着が付いたというのが多分政治的な決断だったとは思いますが。その分は地方に対して、いわゆる国がやっております国税であります所得税が地方の住民税に移し替わっていくなどというのはこれはもうえらいことですから、そういった意味では、これは大蔵省やら何やらは、ここは主計局ですから余り関係ないですけれども、主税局なんてかなり焦ったところだと思いますよ、ええ、それはもう。こちらは何となく主税とおれたちは関係ないという、これは省は省、局とかなり意識が違うところですから。だけれども、主税局はかなり焦ったと思いますが、結果的にはそれは前に進んだことは間違いないと思っております。  ただ、その部分と、先ほど御質問にありましたように、国もちょっと御存じのように借金抱え込み過ぎておる、地方の方も二百四兆円に上りますいわゆる地方としては借金を抱えておると、交付税だけでもかれこれ五十兆ということになってきますとそれはとてもではないんで、地方の方もちょっと体を絞ってくださいと、国の方も絞っていますんでスリム化してくださいという話は、こっちは量の話なんだと思うんです。質の話と量の話が一緒に来ていますものですから、やっぱり金が入ってくる、入ってこないという量の話の方がやっぱり目先どんと来ますから、そういった意味では極めて数字が、地財計画等々を考えてみてもこれはえらい減らし過ぎだったし、急に減食し過ぎではないかという御意見が出ているんだと思うんです。  いずれにいたしましても、この問題はなかなか話が、今、後藤先生御指摘のようになかなか話が行き渡ってないところもありますし、大体役人というのは自分が頭がいいものですから人も頭がいいと勝手に思い込んでおるところがありまして、おれの頭で理解できないやつは駄目と、最低限おれが分かるようにまで落とすということをしつこく言ってあるんですけれども、まだこうだんだんだんだん聞いていて話が分からなく難しくなってくるんですが、これはだんだんだんだん逆に下げてもらわにゃいかぬところなんだと思うんです。分かりやすく説明するというのは大事なことですから。  そういった意味では、一人だけ分かっても意味がありませんので、とにかくこれ予算が終わったらとにかく地方に出ていけと。とにかくこっちから行って、この辺に来て、おまえ来たら教えてやるみたいな態度は駄目というんで向こうに行けということに言って、日にちも、総務省主催の分は四月、五月、それからもう一回、十月にもう一回やります。それから、全国市長会で全国九支部で実施をされますんで、それには総務省の職員を派遣します。もうとにかく日にちが合えば必ず出しますと。それから、全国町村会でも同じような話を四月から七月にかけて各ブロックでやりますのでというお話が、伺っておりますので、これも総務省の職員は可能な限り派遣させていただきます。  そのほかにも、全国財政課長・市町村担当課長会議というのを四月にやりますんで、こういったものを含めまして、全国総務部長会議、大体今予定されているのはこれだけですけれども、この会議は私ども総務省の財政局の職員やら何やら総出でこの問題に対応をさせていただいて、きちんと今言われたような御不満なり、また理解不能みたいなところもありますので、そういったところは丁寧にお答えすると同時に、これ各町村別によって随分と差がございますので、その財政支出の差があります分は、財政支出の低いところ、悪いところの方がきついことになっておると思いますので、その分に対する対策等々はきめ細かく対応をさせていただかねばならぬものだと思ってやらせていただきますので、今も言われた点で、御不満を、私どもと同じようなものを一杯抱えておりますので、私どもって、私の選挙区でも同じような話をよく聞かされるところでもありますので、きちんと対応をさせていただきます。
  111. 後藤博子

    ○後藤博子君 はい、ありがとうございます。  もう本当、大臣に分からないことはもちろん私にも全く分からないのでございまして、また地域の人たちにはまだますます分かりません。その辺も今大臣詳しく御丁寧にお答えをいただきましたので、もう何か今すごく何か気持ちもよく、うれしい気持ちがしております。  あえてもう一つ、補助金改革でちょっとお聞きしたかったんですけれども、三位一体改革の中でも補助金改革はもう本当に重要な課題だと思います。しかし、どうも金額だけの議論に偏っているのではないかという、そういう思いもいたします。昨年末は、総理から一兆円削減の掛け声がありまして政府として取り組んだと思いますが、お金の議論がメーンで政策論的なものが余り聞こえてこないように思います。  三位一体改革の本当のねらいというのは、今大臣もおっしゃいましたけれども、地方が自由な発想で、だれのために、住民のために行うということで、だれのために、それは国民、住民のためであるはずですし、何のために、それは地方団体の自由度を拡大するためのものでもあると思います。三位一体で補助金や交付税や税源移譲を行うのは、その手段にすぎないのではないかと思うんですね。  そこで、平成十六年度の国庫補助金改革では地方団体の自由度が高まらなかったのではないかとの意見があります。先ほども各委員からちょっと出ておりましたけれども、あえてその点をもう一度お聞きしてよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
  112. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 補助金の場合は、後藤先生御存じのように、これをやらねばならぬといって、例えば先ほど御質問が出ていました、保育園の話は和田先生だったか、が出ておりましたけれども、例えばあの補助金の例で引きますと、簡単に言えば、何でしょう、従来二千億が公立保育園の補助金として出ておりました。それをそっくりその同額が地方税として地方に行くことになりました。だから地方はそのままもらうんですが、問題は、交付金のときだと三千万円来ていたけれども、補助金に、済みません、補助金のときには三千万円来ていたけれども、地方税、いわゆる住民税になった場合は、住民が少ない若しくは取る法人の事業税が、取る相手の企業がいない等々で、地方税でやりますと千五百万円しか入ってきませんというと、おれのところは千五百万円補助金をもらっておった方がもうかったんやという話が出てくるわけです。その分につきましては、千五百万円につきましては必ず地方交付税で埋めます、だからそこのところは問題ないんですと。  そうすると何が違うかというと、地方税で入ると、補助金と違いますので、例えば駅前保育をやるということになりますと、これは駅前保育に公立保育園の補助金は使えません。なぜ。御存じのように、そこは遊び場が確保されていない、また預かり児童が十一人しかいない、これはいずれも対象になりませんから。しかし、新たに地方交付税ではなく税金、地方税で入ってまいった場合は、いわゆるそこの首長さんの権限で、うちは国が定めた保育所の要件に該当していないということであっても市条例等々において、そこに対して、これはもう預かり保育等々の考えから考えたってこれはどうしたって必要だというんであれば、それに対してお金が出せる、補助金が出せるという形になります。  したがって、公立であったところを公設民営ということもできるでしょうし、いろんな形で地方の自由度はその面においては出てきたというように、この一つの例、公立保育園を例に引けばそういうことでありますので、丸々全部自由度が一挙に上がったとはとても申せませんけれども、一部確実に上がってきていることは確かだと存じます。
  113. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。もうお聞きしたいことが本当に先に出て、大臣の口から出てきていただきまして、本当に有り難いと思っております。  繰り返しになると思うんですけれども、補助金改革というのは、地域の視点が本当にやっぱり大切だと思うんですね。今、大臣もおっしゃったみたいに、都市部では認可保育園だけでは足らずに、無認可の保育所に通わせている方が増えておりまして、さっきおっしゃいました駅前保育所などでは、もう田舎では本当は余り必要ないかと思うんです。都市部ではもう本当にこれは朗報ですよね、駅前保育所ができるということは。しかし、今おっしゃったように、屋外遊戯場が必要である等の、またこの基準をクリアするということはまたこれ難しいということ、一方でまた、過疎地では定員が二十人以上にという国の基準をまたこれクリアするのが難しいケースもあると思います。だから、このような基準に縛られずに、多様な地域で多様な行政の選択をすることでいいサービスが生まれるのではないかと思います。それは、国庫補助を見直すだけではなくて、同時に補助金と連動している認可基準を見直すことも必要だと思います。  いつまでも、これ失礼な言い方かもしれませんけれども、霞が関だけでいろいろ議論しているんではなくて、本当についつい中央の議論になっていることが多々ありまして、私も地方の議員ですのに、ついつい中央の議論に自分も何か入り込んでしまっていて、地元に帰ったら全くその地域との格差がすごい広がっていて、ああ、知らず知らずに中央の議論が当たり前の議論になっているんだなということを強く感じます。  そこで、保育所のお話が出ましたので、保育所の国庫負担金の見直しに当たりまして、それと同時に、認可基準などの規制緩和を同時にしていくべきだと私も思っておりますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。
  114. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 誠にごもっともな御指摘で、今の保育園でいけば、例えば調理場がなきゃ駄目だとか、幼稚園と保育園の違い、調理場があるかないかということになるんですが、そういったものを含めまして結構ございます。  例えば、地方自治法が改正されまして、例えば夏、夏休みの間、村にある小学校のプールは閉鎖しておる。これ、使ってもいいと、すればいいではないかと言ったんですが、これなかなかごちゃごちゃしたんですが、これは少なくともそこを預かる、公設のものを預かる人は公務員じゃなきゃ駄目だというわけです。プールだろうがと言ったが、これ駄目。それは、結果的にこれはオーケーになった。当然のことで使うかと思ったら使えない。なぜ。今度は教育委員会が駄目と。という話がある。おかしいでしょうがという話になって、これは文部省の話になるんですが、そういった話は実は多分、今保育所とプールを例に引きましたが、ほかにも多分一杯ございます。  そういった意味では、きちんとして、私どもとしては、法律はこう変わって、地方自治法というのは変わっておりますので、是非こういった形でいろんなものをアウトソーシング、今風の言葉で言えば下請、外注ということになろうかと思いますが、そういったものにしてもいいと、民間の管理者団体に管理してもらってもいいという法律になったんだからというお話をさせていただいて、これは各所管官庁いろいろございますんで、総務省としては、いろんな役所にその点に関しましてはこの点この点、いろいろ実例を挙げていただいた方が私どもとして気が付いてないところ一杯あろうかと思いますので、伺って、納得すれば確実に他省庁に働き掛けてまいりたいと存じます。
  115. 後藤博子

    ○後藤博子君 はい、ありがとうございます。  もう本当に、なかなか責任を取りたがらないんですよね。もし事故があったらどうしようかとか、だれが責任取るのかとかいうことで、まあ子供たちが一番その犠牲になっているんですけれども、今の大臣のお言葉で本当に心強く思いました。  今、大臣がおっしゃいましたように、三位一体改革はもう本当に私は麻生大臣の役割が非常に大きいと思います。今おっしゃいました保育所のことでも教育のことでも、麻生大臣がリーダーシップを取らないと地方のための改革にはならないと思っております。  私の地元でも、自治省が総務省になってから何か非常に地方に冷たいんじゃないかとか、そんな声もちょっと聞こえてくるんです。これはまあちょっと、今ないというふうに首を振っていらっしゃる、私もそうでないと思います。帰りまして、しっかりその辺は申し伝えたいと思っております。是非、三位一体改革が地方のために成果を上げていただくように本当によろしくお願いいたします。  少し話題を変えさせていただきます。食の安全について、厚生労働省、農林水産省、あるいは内閣府に安全食品委員会についてお尋ねをいたします。  十三年の九月の我が国で初めてBSE感染牛が発見以来、大分県でもありましたけれども、鳥インフルエンザの発生など、食の安全と安心を脅かす事態が相次いで発生しております。また、BSE対策をめぐり食肉の偽装等の事件が相次いだことも記憶に新しいところであります。  そこで、まずBSEについて厚生労働省にお尋ねをいたします。  十三年九月に発見されましたBSE感染牛に関して、十四年度中に実施された全頭検査などのBSE対策の費用と、費用対効果といいますか、費用と成果、そして、及び今後の見通しについて、簡単で結構ですので教えてください。よろしくお願いいたします。
  116. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) BSE対策事業の費用、成果及び今後の見通しについてのお尋ねでございますが、平成十四年度に厚生労働省として実施をいたしました事業でございますけれども、まず屠畜場における全頭検査に必要な検査キット及び機器の整備費といたしまして約四十四億円でございます。それから、特定部位の焼却、背割り前の脊髄除去等に必要な屠畜場の設備整備費といたしまして一億六千五百万程度支出をいたしております。  これらの事業の結果といたしまして、全頭検査を実施しておりますので、百二十五万三千八百十一頭のBSEのスクリーニング検査を実施いたしまして、四頭のBSEの感染牛を発見いたしております。また、屠畜場におきますBSE対策に必要な設備整備を通じまして、私どもとしては国産牛肉の安全対策を講じることができたのではないかというふうに考えております。  今後の問題でございますが、BSE対策といたしましては、現在国産牛肉について講じております特定危険部位の除去、それからBSEについての全頭検査というものを引き続き実施していくことが必要であると考えておりまして、平成十六年度予算におきましても必要な経費を計上しているというところでございます。
  117. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  もうこれは各部会やいろいろの場面でお聞きすることが多いので結構です。ありがとうございました。  同じように、これは農林水産省になるんでしょうか。昨年の鳥インフルエンザ対策の同じような費用と成果、今後の見通しについて教えてください。
  118. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 現在、鳥インフルエンザ対策、講じておりますので、ちょっと事業とか予算につきましては、まだ、何といいますか、対策を講じているところでございますので、直接お答えすることは今回は控えさせていただきたいと思いますが、この対策の考え方につきまして、よろしければ御説明をさせていただきたいというふうに思います。  まず、農林水産省といたしましては、BSEの経験も踏まえまして、昨年の七月に消費・安全局というものを設置いたしました。そして、高病原性鳥インフルエンザにつきましては、我が国への侵入防止等、国内の防疫対策という観点から、昨年の九月に防疫マニュアルを策定いたしまして、その徹底を図ってきたところでございます。そして、今回、国内での発生に当たりましては、このマニュアルに即しまして防疫措置を実施しているところでございます。  具体的に申しますと、山口県、大分県のケースでは、通報が早かったこともございまして的確な対応が行われたものというふうに考えておりますけれども、京都府での発生に関しましては、発生農場からの通報がなかったということで影響が拡大したということでございます。こうしたことも踏まえまして、現在、千羽以上を飼養する養鶏農場に対しまして、家畜伝染病予防法に基づきまして毎週死亡した鳥の数の報告を求めるという措置を講じているところでございます。  また、三月十六日には、鳥インフルエンザ対策に関する関係閣僚による会合によりまして、蔓延防止の徹底や早期通報促進、被害拡大のための法制度の整備などを内容とします鳥インフルエンザ緊急総合対策を取りまとめたところでございます。  関係府省庁が緊密な連携を取りながら、政府一体となって対策に万全を期すこととしております。  このような取組を的確に進めまして、国民の食の安全、安心の確保に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  119. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  また、女性にお答えいただくというのは、非常に私にとっても心強い限りでございます。これからも、是非、女性の視点で取り組んでいただければ有り難いと思います。  そして、ちょっと重なるかもしれませんけれども、こうやってBSEがあり、鳥インフルエンザがあるわけですよね。ですから、そのBSEで得られた教訓があると思うんです。その教訓がこの鳥インフルエンザ対策にどう生かされたのかという、その部分がありましたら、お答え願えますでしょうか。
  120. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) BSEの教訓を生かしまして、まず一つは、組織を見直しまして、危機管理も含めました対応を取れるような体制を作っていたということが一つあるかと思います。  また、防疫マニュアルというものを策定しまして、万が一発生した場合の対応につきまして備えてきたということもあるかと思います。  また、もう一つ、リスクコミュニケーションと申しましょうか、BSEのときになかなかうまくいかなかったということもございますので、鶏肉、卵の安全性につきまして、国民の方々への情報提供、あるいは話合いといいますか、そういったことに努力をしてきているというのがBSEの大きな教訓ではないかというふうに考えております。
  121. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  本当、鳥にとっては、何というか、かわいそうなといいますか、本当にそのためにもう何万羽も命を落としたわけでございますから、これを踏まえて、やっぱり命の大切さということを踏まえながら、これからも是非取り組んでいただければと思っております。  ですから、様々な事態を受けまして、食品安全基本法が制定されました十五年七月には、内閣府に食品安全委員会が設置されました。リスク評価、リスクコミュニケーション、今お話がありましたけれども、同委員会の果たすべき役割は私は極めて大きいものがあると思います。とりわけ、国民の食に対する不安を解消するためには積極的なリスクコミュニケーションは望まれます。  時間がありませんのでちょっとはしょっていきますけれども、国民は非常に食の安全にやっぱり不安を感じているというのが九四・八%に上るわけですよね。そして、リスクコミュニケーションが適切に行われていたと回答した者は、それに比べますと一・八%にすぎないわけです。こういうことを踏まえまして、食の安全に関しての行政及び食品の安全委員会のリスクコミュニケーションの取組状況とその姿勢、見方とか考え方なんですけれども、それについてお答え願えますでしょうか。
  122. 梅津準士

    政府参考人(梅津準士君) 御指摘のように、食品の安全確保のためには食品に含まれる危害要因の大きさに応じた対応が基本でございますので、今御指摘の中立公正なリスク評価と同時に、そのことを関係者が正しく理解するプロセスが重要になります。こういう観点から、私ども、リスク分析という考え方全体、あるいは個々の評価の対象について、消費者を始め関係者とのリスクコミュニケーションを幅広く行っているところでございます。  具体的には、意見交換会の開催等、これまで延べ三十回程度行ってきています。それから、今般の鳥インフルエンザあるいは遺伝子組み換えといった国民の関心の高い項目につきまして、各地で講演会あるいは意見交換会等を行ってきております。  今後とも、科学をベースにして、かつ、関係者がきちんと理解しながら食品安全行政が進められますよう、関係府省と連携を取りながら、様々の形でリスクコミュニケーションを積極的に展開してまいりたいと思っております。
  123. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございます。  もう本当に、食の安全性に対する信頼性を回復していくというのが本当に大きな課題だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。  私も、食品の安全について、子供を育てる母親の立場で質問したことがあるんですけれども、そのときに返ってきた答えが、食品の添加物が何%あるから体に大丈夫とか、添加物はがんにならないから大丈夫とか、何かそういう答えが返ってきたんですね。私は、そういう答えを期待しているわけではなくて、本当に子供たちやお年寄りや家族に安心で安全なものを食べさせたいという、そういう願いを込めて質問したわけでございますけれども、返ってきた答えがちょっと残念な答えでございました。  時間がなくなりましたので、最後、また総務大臣にちょっとお尋ねしたいと思います。  郵政三事業民営化なんですけれども、小泉構造改革の官から民へを、ちょっと早口になりまして申し訳ありません、官から民へを形として具体化されるべき目玉であると考えます。  私は、冒頭で、企業は人、物、金と言いました。企業を支える大きな三つの要素という意味でもありますが、ビジネスを大きく三つに種別する意味でもあります。さらに、それに情報が加わりまして、人、物、金、情報と言われて久しくなっています。つまり、人をビジネスの対象としているならば教育産業であり、物ならば製造や流通産業であり、金ならば金融産業と種別できます。さらに、今急激に成長していますインターネットビジネスは情報産業です。  そのような目で現在の郵政公社を見れば、郵政公社は、多数の地域に根差した特定郵便局ネットワークを使って郵便物を運ぶ流通企業の姿を全国の国民の前に見せながら、郵貯や簡保を扱い、国債などを大量に保有する巨大金融企業の姿を一方で見せていると思います。物企業なのか、金企業なのか、私たち国民にとって大事にすべき郵政事業の財産は一体何なのかと、判断に迷ってしまいます。  その郵政事業が、この二面性を持ったままで民営化されようとしているのです。つまり、民営化後の形が明確でないままに経済財政諮問会議で議論が進められています。郵政三事業の民営化は国民に分かりやすいものではなりません。  そこで、大臣にお伺いいたしますが、今までの郵政事業が残してくれた人的資産やネットワーク資産、そして金融資産をこれからどのビジネスに活用させていくのか、その制度設計に当たってお考えがあればお教えください。  時間が……
  124. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 総務大臣、既に時間が参っておりますので、簡潔にお願いを申し上げたいと思います。
  125. 後藤博子

    ○後藤博子君 それで、大臣、今日は御丁寧に……
  126. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後藤委員に申し上げます。  時間が参っておりますので、そこで打ち切ってください。
  127. 後藤博子

    ○後藤博子君 はい、最後に。それで大臣、本当に今日はありがとうございました。つたない質問で申し訳ございません。  最後に、じゃ、それでお答え願って、私の質問を終わります。
  128. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 支店二万四千七百、従業員二十八万、パートタイム十二万、合計四十万、預り金総額三百兆。これだけのもので郵政が今後、各市町村が合併やら何やらしていく中にありまして、この二万四千七百と四十万の職員というものの持っております資産、人的資産、ネットワーク、金融、物流、いずれも極めて地方にとって大事なものだと思っておりますので、これを民営化されるということになった場合は、それを活用しないという手はないんであって、民営化というのはそれを大いに活用して、更に大きくしていくものだと心得ております。
  129. 後藤博子

    ○後藤博子君 ありがとうございました。  終わります。
  130. 山下栄一

    山下栄一君 まず最初に、昨年夏に質問主意書でさせていただいた件でお取り上げさせていただきたいと思います。国民年金の保険料。  国民年金の保険料が、口座振替利用者には、六百数十万人、領収書が毎月発行されていると。これはちょっと今の時代から考えて改善するべきじゃないかということを申し上げました。それについて、経費の節約等、郵送経費の節約等の観点から見直すことを検討していると、このような御回答を得たわけでございますけれども、いつから実施されて、経費節減効果はどのぐらいあるのかということをお答えいただきたいと思います。
  131. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) お答えを申し上げます。  昨年、山下先生からの質問主意書におきまして、国民年金保険料の口座振替の際の領収済みの通知書、これは毎月、納付の方は毎月出ておったわけでございますけれども、効率的な形でできないかと、こういう御質問をいただきまして、検討しているというふうにお答えをしたところでございますが、口座振替で納付しておられる被保険者に対しまして、郵送経費の節約等の観点から、この平成十六年度の保険料からは領収済額の通知というふうなものは年一回まとめて通知をするというふうに改めることにいたしたところでございます。  具体的に申し上げますと、まず幾らお納めいただくかというのは、これはきちっとお伝えをしなければいけませんので、年度当初に一年分の振替の予定日と予定額の通知というのをさせていただきます。領収書の方でございますけれども、基本的には、一年たちました後、翌年の六月に一年分をまとめて領収の通知をするということで考えております。一部、毎月納付ではなくて前納、一年分とか半年分の保険料を前納される方がおります。若干そこは違ってまいりますが、基本的にはそのように考えております。  この取扱いにつきましては、今年の三月分の保険料の領収済額の通知書におきまして被保険者にも周知をいたしたいと考えております。  見直しによります節減額ということでございますけれども、これは口座振替をされる方、あるいは先ほど申し上げました前納の方がどうかというところで若干動きは出るわけでございますけれども、平成十四年度の実績を基に振替予定額の通知に要します費用も考慮の上、計算をいたしますと、約二十五億円の節減効果があるというふうに考えているところでございます。
  132. 山下栄一

    山下栄一君 小さいことかも分かりませんけれども、今、年金は大きな問題になっております。一つ一つ社会保険庁、努力をしていただきたいと思います。早速取り上げていただいて実施するということになりましたこと、当然とはいえ、早速の実施、努力していただきまして、ありがとうございました。  次に、無駄遣い一掃のための省庁連絡会議、既に我が党の提案によって実施されておりますけれども、このようなたぐいのやつが予算決算及び会計令に基づいて領収書を発行することになっているわけですから、ほかの似たような納付金にかかわること、例えば国有財産の借りている方々に対する通知の送付も含めまして、同じようなことがほかの部門でもあるのかないのか、あればすぐに改革として取り組んで、どれだけの無駄遣いの削減になるのかということ、早速この今回の社会保険庁の取組を参考にして取り組んでいただきたいと、お願いします。
  133. 春田謙

    政府参考人(春田謙君) 今お尋ねの件でございます。  公明党の方からの御提案を踏まえまして、先月、行政効率化の関係省庁連絡会議を設置したところでございます。また、昨日、三十日火曜日の閣僚懇におきまして、官房長官から、行政の効率化に向けた取組についての御発言をいただいたところでございます。  この御発言も踏まえまして、現在私ども、基本方針二〇〇四への反映及び行政効率化の関係省庁連絡会議の取りまとめ、これを念頭に、各省庁において有識者、更に直接国民の声を聞くといった工夫をしながら、具体的な計画案を作成するという予定になっております。この中で、今御指摘の点につきましても、行政効率化につながるようにしかるべき検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  134. 山下栄一

    山下栄一君 しっかりお願いします。  次に、既に人事院の方で検討されているということをお聞きしておりますが、公務員の退職時の特別昇給制度の見直しの件でございます。  私は、これは昭和二十七年から実施されているけれども、元々の人事院規則がおかしかったというふうに考えております。勤務成績の特に良い方について、退職時に一号給上げて昇給させるという、そういう制度ですけれども、特別に勤務良好な人というのはどういう基準かということは全くないと。と同時に、実施できるかどうか、一号給上げてよかろうかどうかという判断も、人事院の承認は要らないで各省庁が勝手にできるということから、大半の方々が、九割以上の方々がこういう恩恵を受けているというようなことが既に指摘されておるわけでございますけれども、これは元々の人事院規則、昭和二十七年の規則に不備があったというか、欠陥があったというふうに私は理解するんですけれども、総裁、いかがですか。
  135. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 人事院規則が悪いとかいいとかという話は別にいたしまして、いずれにいたしましても、現在の運用というのが制度の趣旨に合致していないと、制度の趣旨から離れて運用されているというのは事実だと思います。  そこで、実態調査をして、その結果、廃止を含めて検討いたしますということを申し上げたわけですけれども、私たちいろいろ内部で議論いたしまして、この際、廃止をするということで廃止のための手続を進めてまいりたいというふうに思います。  そこで、どういうことかといいますと、廃止をするということで人事責任者である各省の官房によくお話をすると、労働団体にもよくお話しすると。特に、厳しい国民世論というものをよく御説明して、そして廃止についての了解を得るという、そういう手続を進めてまいりたいというふうに思います。  現在、今日からそういう手続を進めておりますので、この際、一歩踏み込んでそういうふうに持っていきたいというふうに思います。
  136. 山下栄一

    山下栄一君 直ちに廃止の手続に入りたいということですけれども、これは十六年度予算にそれが反映されていくということでよろしいか。
  137. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) もちろん、十六年度というよりも、十六年度の早い時期にそのようにいたしたいというふうに思います。  これについての世論の厳しさというのは関係省庁もよく理解してくれるでしょうし、労働団体もそこらは敏感に感じ取ってくれるだろうというふうに思います。私たちは、廃止ということで固い決意を持ってそれぞれに話をしてまいりたいというふうに思います。
  138. 山下栄一

    山下栄一君 国民の側に立って改革、今後もお願いしたいと思いますけれども、先ほどの無駄遣い連絡会議に、人事院の方でそういう手続に入られて該当者の調査もされておるようですので、結局これに基づいてどれだけの経費節減になるのかということの計算も連絡会議の方で速やかにやっていただいて国民に示していただきたいと。  これは読売新聞の方で、十四年度については四十億円と、これを廃止すればというようなこと載っておりましたけれども、これは新聞社の方で自主的に調査されたようですけれども、十五年度、また十六年度ですね、十六年度ですか、はどれぐらいになるのかということを計算をして速やかに国民に示していただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  139. 中島忠能

    政府特別補佐人(中島忠能君) 今まで私は答弁で、十五年度の実施状況というのを調査するというふうに申し上げましたけれども、先ほど、その調査の結果というか、そういうものを待たずに廃止の方針ということで関係方面にお話しするということでございますので、調査をするということになりますと霞が関だけではなくて北海道から沖縄の出先機関まで全部照会する必要がありますし、もうそういう無駄なことはやめろというふうに私は言っております。結論を出して速やかにやった方がいいだろうというふうに思います。  そこで、どれだけの節約ができるかということなんですが、仮に今データがある過去のものを同じように十五年度に実施した場合にどれだけの節約ができるかという、そういう仮定の数字というのを計算して、先生の事務所にお示しいたしたいというふうに思います。
  140. 山下栄一

    山下栄一君 私の事務所というよりも、国民皆さんに是非お示しいただきたいというふうに思います。  人事院総裁はこれで結構でございますので、退席していただいて結構でございます。
  141. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どうぞ御退席ください。
  142. 山下栄一

    山下栄一君 次に、公職選挙法の方ですね。選挙人名簿の件でございます。  選挙人名簿の閲覧制度、これは私、非常に個人情報の保護、また基本的人権の擁護という観点から考えると非常に不備があるというふうに思っております。選挙人名簿がどんどん流出して営利目的で使われているということは何度かあったわけでございまして、これは選挙部長ですかね、まずお聞きしますけれども、公職選挙法上、住民基本台帳法上じゃございません、公職選挙法上、この選挙人名簿の閲覧制限、法律上はございますか。
  143. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) お答え申し上げます。  公職選挙法におきましては、この選挙人名簿の抄本について閲覧に供し、その他適当な便宜を供しなければならないと、かように規定されているところでございます。
  144. 山下栄一

    山下栄一君 私聞いたのは、閲覧制限、閲覧を制限するような規定はあるかどうかということを聞いたわけです。
  145. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) 公職選挙法において、ただいま申し上げましたような規定になっておりますことから、こういうことでしか閲覧できないとかといった趣旨の規定はございませんが、元々この選挙人名簿の閲覧制度の趣旨は、選挙人名簿の正確性を期するということで、できるだけ選挙人名簿を選挙人の方等にお示しして、それが正確になるようにという趣旨でできておるところでございますので、そういう趣旨に従って閲覧が行われるようにという観点で解釈し、そのような運用について選管とお話をしているということでございます。
  146. 山下栄一

    山下栄一君 閲覧制限、法律上書いてありません。  それで、営利目的で、営利目的というか営利のために実際使われているという事例は新聞報道でもたくさんあります。去年の十一月におきましてもこの選挙人名簿が流出して、これは地方紙の世論調査を名目にして申請して行った件なんですけれども、これが西宮市、伊丹市始め、全国計十八都市で閲覧を繰り返していたと。名簿化して、それが実際販売されているというふうなことが起きております。  はるか昔、昭和六十一年ですけれども、このとき、物すごい話で、全国五十九選挙管理委員会から一千五百万人分の名簿が流出して、売買額数十億円と、こういうふうな、これ新聞記事ですけれども、こういう、これはもう大問題になって、このときは、昭和六十二年の段階では、この参議院決算委員会でも、当時自治省ですけれども、法的規制も含めてこれを考えるというふうな取組をするということになっていたんですけれども、行われた形跡もないというふうに私は思います。  それで、具体的に聞きますけれども、このような、今は個人情報ですね、特に四情報でもそうですけれども、どこに住所、それから生年月日、もちろん名前もそうです、それだけで経済的価値が出てくるという、そういう時代で、だから名簿業者、金融業者、通信販売業者、ダイレクトメール業者ですか、利用されているわけですね。だから、公職選挙、選挙人名簿の閲覧制限は法律上ないということが悪用されているわけです。実際、これ悪用されたケースがあるということを私は申し上げましたけれども。  こういうことで、名簿化されて、販売されて、いろいろ経済的利益を上げている、恐ろしい利益を上げているということについて、今までこういうことを行った人が刑事罰を受けたり罰金払ったりとしたことはあるんでしょうか。
  147. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) ただいまの時点で、御指摘ございましたような事実があったというデータは持ち合わせておりません。
  148. 山下栄一

    山下栄一君 今の御答弁は大事な御答弁で、閲覧制度が、公職選挙法第二十九条、閲覧に供する、正確性を期するためということになっているけれども、それはそういう観点から大事なことなんですけれども、一方でこれが閲覧自由でコピーも別に禁止されていませんし、かえって便宜供与しなさいと書いてあるわけやから、そのコピーを許可している自治体も約半数にわたって全国市町村あるわけでね。  そういうことになってくると、個人情報に経済的価値があるわけですから、それじゃ、罰則も何にもないと。それで不当な目的に使ってはならないという規定すらないと。不当な目的に使ってはならないという規定はないわけです。というような、歴々おっしゃったように、全国でこういうことが具体的事件と、事件というのか、事件にもなっていないと思いますけれども、行われて経済的利益を得ている人がおると。選挙人名簿閲覧制度の不備と私は思いますけれども、によってね。これは、このままほっておいていいのかというふうに私は思うわけです。今おっしゃったように、刑事罰を食らった例もないし、罰金払ったり何もないと。やり得だと。  もう一点、私がもっと更におかしいと思いますのは、閲覧が実質上自由にできるということが基本的人権を侵害しているということにつながっていくと。住民基本台帳じゃございませんよ、二十歳以上の選挙人名簿の話です。  それで、例えば家庭内暴力で奥さんが家出をして、そういったことの追及するのに使われる、使われないとも限らない。ストーカー行為に使われぬとも限らない、二十歳以上の方でしたらね。また、差別、住んでいる場所によっては差別につながる可能性もあると。基本的人権の侵害にかかわることに利用される、これが。  閲覧という制度が余りにもルーズなために基本的人権の侵害につながる可能性があるということは、私は、選挙するとかしないとかいう以前の、これは基本的人権ですからね、これは。そういうことに使われてしまう可能性を残していると、公職選挙法における選挙人名簿制度の閲覧制度が。これはもう重大な問題であるというふうに思うわけです。  それを、何らこの閲覧制度に対して、法律上ですよ、法律上、自治体には指導しているかも分かりません、何ら制限もないし罰則もないと。不当な目的に使ってはならないという規定すらない。不当な目的が何かということも分からない。そういう状態で市町村の選挙管理委員会にゆだねられている。こんなおかしいことはないと。  有効な再発防止策を直ちに法律規制を含めて検討すべきだと私は思いますけれども、まず部長に聞いてから総務大臣に、総務大臣も余りこのことについては、おられなかったかも分かりませんけれども、お願いします。
  149. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) お答え申し上げます。  選挙人名簿の制度は、選挙の一連の手続の中で、まず選挙の、選挙人として参加する者を決めるという重要な位置付けを持っておりますことから、選挙の一連の手続の中で、選挙人名簿の登録、それから選挙と二段構えになっておりまして、選挙人名簿につきましては、登録したときに縦覧に付して、縦覧に付したときに選挙人からの異議を受け付けるという形で名簿を確定するという手続を取っているわけでございます。  そういう観点もございまして、名簿が正確でなければならない。時に架空転入等が問題になることもございますので、それから現在におきましても、新聞紙上で選挙人名簿に係る訴訟が最近話題になったことをごらんになったかもしれませんが、そういう観点で名簿の制度あるいは名簿の争訟の制度ができているわけでございます。これで一つ切り離して、選挙の争訟とはまた別途の体系でやっているというのが今の仕組みでございます。  この名簿登録、縦覧という仕組みと併せまして、閲覧に供することによって随時選挙人が閲覧をして、自分が載っているか載っていないか、あるいは他者が載っている、誤載がないかどうかということについて調査の請求ができるような仕組みになっており、それを受けた選管は随時の補正登録でありますとか抹消というような形で選挙に備えると、こういう仕組みになっているわけでございます。そういう意味で、選挙人名簿につきましては、選挙人名簿の正確性の観点というのが非常に大事な仕組みという形になっておりますから、現行のような形で閲覧に供するということになっているわけでございます。  そこで、制限もないという御指摘がございましたけれども、現在の仕組みは、例えば住民基本台帳の仕組みと比べますと、住民基本台帳につきましては、元々居住関係の公証という仕組みになっておりますので、いろんな社会的な利用のされ方を考えて仕組みができていると、これは私の所管外ですが、と思われますが、選挙人名簿というのはあくまで選挙のために使うという前提になっておりますから、元々、選挙人名簿の閲覧についても、請求権というような規定の仕方ではなくて、選挙人名簿の正確性を期するために閲覧に供するという仕組みになっているわけでございまして、閲覧の体系につきましても、そういう趣旨に従って閲覧に供するということで、そういう趣旨に従ってやっていただくような運用をお願いしているところでございます。そういう観点で、御指摘ございましたような営利目的の閲覧といったようなものについては、制度の趣旨に合わないということで拒めるという仕組みになっているところでございます。  そういう観点でできておりますので、この閲覧の問題についていろんな御指摘ございますけれども、選挙人名簿の仕組み全体の中でのいろんな検討の仕組みが、いろんな選挙人名簿の仕組み全体の仕組みをどう考えていくのかという中での検討が必要というような面もございまして、慎重な検討が必要ではないかなと我々考えているところでございます。  ただ、いろんな指摘もございます。それから、選管なんかの意見も聞くところでございますので、我々といたしましては、制度と、いったん作ったものがすべて不変であればいいというわけではございませんので、いろんな意見を聞きながら、今後ともいろんな意見を聞きながら研究していきたいとは思っているところでございます。
  150. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 山下君。──大臣答弁
  151. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 山下君と言ったから。
  152. 山下栄一

    山下栄一君 大臣にちょっと是非これはお聞きしたいと思っていますのでね。  今の部長の話は私の質問にまともに答えていない。閲覧制度があることは法律に書いてあるわけだから、それは理由があってそういうことになっているわけだけれども、それが、だけれども、今申し上げたように、営利目的で名簿を作って販売しても名簿業者が、やり得になっているわけです。不当な目的に使わないようにしなさいよと指導はしているよ、それは市町村には。だけれども、法律上は閲覧の制限は全くないし、何が不当な目的かということも全く明示していない。課長通知だけでやっている。そういう状況で困るのは選挙管理委員会の方だと、だから選挙管理委員会は繰り返し法律規制をしてほしいということを、こんな緩い規定では、分かりにくい規定では困りますということを訴えているわけですよ。  先ほど申し上げたように、営利目的に使われても何ら規制が行われない。選挙管理委員会が一生懸命調べるしかない。警察に告発することもできない。警察告発できるんですか。警察に告発できますか。そういう思いっ切り営利目的、この閲覧制度利用して名簿作って販売して、選挙管理委員会は刑事告発できるんですか。できるんですか。
  153. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ちょっとこれは役人にその種の話をされても、山下先生、これは法律作るのは議員ですから、何か勘違いされておられるんであって、基本的には法律に書いてあるどおりにやるのが行政職の仕事ですから、それはおかしいと思うんだったら、これは立法府としては立法されにゃいかぬですよ、あなた自分で。議員立法として提出されるなり修正するなり。  これは昭和二十五年にできた法律ですから、そのときはインターネットなんてものもありゃしませんし、今と全然時代が違うんだから、その時代はこういう方法によって閲覧に供するというように、「その他適当な便宜を供与しなければならない。」と書いてあるんだから、そのとおりに施行する立場が役人でしょうよ。だから、それ役人責めても駄目なんであって、この法律に不備があると思われるんだったら、これは議員立法で出すか、何かいろんなしかるべき方法を出されないといかぬのだと思うんです。  しかし、いずれにしても、これはあれですよ、選挙人名簿というのはそこに引っ越してきただけで全然手続はしていないとか、実に今でもいろいろありまして、住民基本台帳ができたとして、引っ越し届しなくてもどんどんできるようになったのを確実に履行してくれるならともかくも、少なくとも選挙人名簿というものを出して、これで間違いありませんねということを確認して、転勤したばっかりとか引っ越ししたばっかりの人が、いやおれの名前載っていないだの載っているとかいうようなことを含めまして、確実にするためにはある程度必要な方法だとは思います。  ただ、それを悪用するやつがいた場合はどうするかというのは、そんなもの、当時悪用する人がいないという前提で法律が多分できたんだと思いますんで、悪用したときはどうするかという話をこの際考えるべきであるというんならば、それは立法府で考えてしかるべきだと思いますが。
  154. 山下栄一

    山下栄一君 だから、私、先ほど申し上げて、昭和六十一年にこういう大事件が起きて、一千五百万人分流出して数十億円利益せしめたけれども、結局その方々は何ら制裁受けていないわけですよ。それで、このときは大臣じゃなかったと思いますけれども、正式の御答弁の中にこの法律的規制も含めて検討するということになっていたんですよ、十数年前の話。それが結果的には何らされないままに、しかるべき再発防止の有効な役所として取り組むべきことすらもやられた形跡がないと。だから、まだ今も、去年も起こっているわけです。  今おっしゃったように、確かに私は法律の不備があると思いますけれども、この住民基本台帳は比較的、請求の事由を書けとかまた拒否できるとか、不当な目的のためには。ところが、選挙人名簿の方の閲覧の方には何らそんな規定が全くないんですね。昭和四十二年以降は、住民基本台帳と選挙人名簿はリンクされてそれからも何度か改正されておるけれども、個人情報の保護の観点から、公職選挙法の見直しは一回もされていないわけですよ。だから、先ほど申し上げたように、基本的人権も、基本的人権にかかわるようなことについても、選挙人名簿からであれば、二十歳以上の方は非常にルーズな形になっていますから閲覧できるので、ドメスティック・バイオレンスのこととかストーカー行為につながっていくと。そういうことが許されている状態になっておると、今は。選挙の公正性も大事だけれども、私は基本的人権の侵害ということにかかわっていく話ですから、基本台帳の方は確かにそういう対応を、警察と連携を取ってやるというようなことに検討されているようですけれども、この選挙人名簿の閲覧の方は全くそれすらも検討されていないということですから、この深刻さを大臣に共有してもらいたいなと思ったんです、私は、総務省の最高責任者としてね。  確かにおっしゃるように、不備があったら議員立法作ってということは、それはそうかも分かりません。だけれども、それはだから総務省の方も、総務省、これ選挙行政やっておられるわけですから、選挙行政と同時に個人情報、行政機関、地方自治体は関係ないのか分からぬけれども、行政機関の個人情報保護にかかわっておられるわけですし、住民基本台帳にもかかわっておられるわけだけれども、横の連携が僕はされていないと思うんですよ。だから、こういう閲覧制度に対する法律的規制は何らないと。住民基本台帳が若干だけれどもあると。行政機関の個人情報の保護があれだけ議論になったのにどういうことだと、これはと、私は率直に感じましたので、私は大臣にも共有していただいて、この選挙行政というか個人情報保護、そしてこの選挙人名簿の在り方が、おっしゃるように時代が変わっているにもかかわらず、情報そのものに価値があるような時代じゃなかったですからね、そのころは。いろいろありまして、またストーカーとか、そういうふうなことも余りなかったような時代ですので、そういうことが非常に深刻な時代になっているからこそ、選挙人名簿の閲覧制度は基本的に見直しをして、もちろん選挙の、公正な選挙を保障するための閲覧は私は否定していませんけれども、再発防止策をこれやらぬと大変なことになると、販売業者もこれによって実際利益を得ているわけですから。  ということで、大臣にも共有していただいて、場合によれば閣法で公職選挙法の改正案を出していただいても構わないと私は思うんですね。そういうことも検討すべき閲覧制度そのものが、非常に深刻な基本的人権の侵害とか名簿業者が不当な利益を得るような背景になっていますよと。利益を得ても何ら罰則がないと、告発もできない、これはどう考えてもおかしいでしょうということも申し上げているわけで、そういう観点からの総務大臣の御見解をお聞きできたらなというふうに思います。
  155. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) そもそも、法律の生い立ちが住民基本台帳と大分違いますので、そもそもの生い立ちも違いますし、できた時代も違いますし、今の時代も大分違ってきておりますので、それは検討はせにゃいかぬけれども、これは直ちにというよりこれはかなり慎重にやらぬと、閲覧を拒否するということになりますことが出てくる。それ、どこまでが正しい利用法でどこから先は一切駄目、罰金は十万円ですよと、住民基本台帳は十万円ですから、十万円ですよというようなことになりますと、これはほかの法律との関係もありますので、罰金額やら何やら結構これは照合せにゃいかぬところ一杯出てくると思いますので、慎重には検討をさせていただきます。検討はさせていただきます。慎重に検討させていただきます。
  156. 山下栄一

    山下栄一君 ちょっと、この問題ちょっと大事な問題でまた別の機会に改めて取り上げさせていただきたいと思いますけれども、幹部公務員の給与に関する有識者懇談会、これは数か月前から検討されてまいりまして、本日、先ほど報告されたという、最終報告が出たというふうに聞いております。  私は、特別職、特に行政府に念頭がありますけれども、特別職、内閣総理大臣始め特別職の給与法がございますが、法律に書いてあることは、金額は書いてあるけれども、なぜこういう金額になるのかという基本的な考え方、例えば総理大臣は、国務大臣は、また人事官は、検査官はどういう給与水準であるべきかということは何らかの形で法定しないと、金額だけ示されても国民はなかなか分かりにくいのではないかというふうに私は思います。  そういう観点からも今回の有識者懇談会では提案されているというふうに思いますので、私は、そういう特別職の非常に日本をリードされる方々の給与の在り方、これを法律で給与水準また基準という形で、何らかの形で法定、法律で定めるべきだというふうに考えますけれども、また、今回の有識者懇談会を設置されて、こういう問題に直接今まで余り日の当たらなかったというよりも日を当てなかったといいますか、そういう観点からについて官房長官の下にこういう懇談会が設置されて検討されてきて今日の報告に至ったということは非常に高く評価しておりますけれども、給与水準の在り方を法定すべきではないかという考え方につきましても官房長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  157. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 懇談会の報告は、実は今日の午後いただいたわけでございます。そして、幹部公務員の給与の在り方について、それぞれの職務の内容とか責任の重さなど、こういうような実情を踏まえて必要な見直しを行うためにこの会を開催したわけでございますけれども、この報告の内容についてまだ十分吟味しているわけじゃございません。  官職の職務と責任に応じて、かつ一般職の官職との均衡などを考慮して定めるのが適当であるという基本的な考え方が示されているというように聞いておりますので、今後、政府としてこの報告を踏まえて具体的な対応を検討してまいりたい、今そういうふうに考えているところでございます。
  158. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございました。  終わります。
  159. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  私は、今日、三位一体改革に関連いたしまして、公立保育所の運営費一般財源化の問題について質問をしたいと思います。  早速でございますけれども、総務大臣にお伺いしたいんですけれども、いわゆる保育所運営費というのは地方財政法第十条、つまり国が進んで経費を負担をする必要がある、いわゆる負担金とされているものだと思うんですね。この負担金を一般財源化するということは個別に十分な検討が必要だと思うんですけれども、今回はどのような御検討をなされたのでしょうか。
  160. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のありましたように、国庫負担金と言われるものは、国と地方というものがそれぞれ役割分担というものをきちんとしておらにゃいかぬというので、見直しに伴いまして国が本当に義務的に負担すべき分野というものに限定ということになっております。  したがいまして、今までの中で、同化定着とよく言われますが、同化しているもの、定着しているもの、同化定着というんですが、同化定着しているものに関しての補助金は速やかに一般財源化というのが元々の話からこれをスタートをいたしております。  また、この種の話は地方六団体、いわゆる知事会、市長会、また町村長会からも最も強くこの一般財源化の強い要望というものが昨年ずうっとなされてきたところでありますので、こういった状況を踏まえまして一般財源化させていただいたというのが経緯でありますので、かなりの長きにわたりまして慎重な審議がなされたと記憶をします。
  161. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、この十条の精神といいますか、国が進んで負担をするというのが十条の理念だというふうに思うんですね。そのことを考えますと、いわゆる負担をする場合と負担をしなくなった場合ということは天と地の違いになると思うわけです。つまり、それは国が公立の保育所に対するいわゆる責任を財源的に後退させたことにつながるのではないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  162. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 全然見解が違います。
  163. 小林美恵子

    小林美恵子君 それでは、別の視点でもう一度お伺いしたいというふうに思います。  総務大臣が、たしか昨年の十一月十八日に総務大臣のお名前で、「国庫補助負担金の改革について」という文書をお出しになっていると思うんですね。この文書の中に、保育所運営費負担金などその他の経常費にかかわる国庫負担金についても云々かんぬんとあるんですけれども、真に必要な分野に限定するよう抜本的見直しが必要だというふうに書かれているわけなんですね。  それで、今回、公立保育所の運営費はいわゆる一般財源化されて、従来どおり、いわゆる民間保育所は従来どおり負担金を渡していくということを考えますと、私は大臣の認識の中に、いわゆる公立保育所と民間保育所と真に必要な分野という、そういう区別をされているのではないかという気がするんですけれども、その点はいかがですか。
  164. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、国も地方もそれぞれ経費節減、スリム化する方向にあって、少なくともそういった中にあっては、国、地方を見ました場合に、効率よく運営されているというのはどちらであろうかというと、これはなかなか意見の分かれるところだと思いますよ。国の方がうまくいっているという自信もおありにならぬだろうし、地方の方が間違いなくうまくいっているという自信もおありにならぬと思うんですね、これはみんな各地方によって違いますので。  そういった意味からいきますと、今回の保育所のそのいわゆる経常費というものにかかわるものの負担金については、少なくとも今まで間違いなくその額がへずられて渡されるならともかく、その額は丸々地方に渡されるんですよ。その額は全額もらうわけですから。その額が減っているというのなら、それはいろいろまた問題が起きるかもしらぬが、少なくとも国が大事なものとして渡していました分につきましては、その分は地方できちんと、より効率よく、国からああしろ、こうしろと言われることなく、その地方に与えられた自由裁量によってその内容運用をできるということに関しまして、渡される金額は地方税として入る額が同額でありますから、そういった意味におきましては、差別とか区別とかいうような話ではなくて、地方がそれを求めたのに応じて地方の自由裁量権を増すという趣旨に基づいてそれをお渡ししたということだと理解しております。
  165. 小林美恵子

    小林美恵子君 それでいきますと、本当に地方が公立の保育所に向けてそのお金を使うかという、私はやっぱり危惧があるというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。
  166. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) それをどこかピンはねするということを心配しておられるわけですか。何を心配しておられるんですか。
  167. 小林美恵子

    小林美恵子君 いや、今、地方も財源大変ですから、ですからやっぱり、国庫補助負担金というふうに名を付けますとやっぱり保育所の方にお金行きますよね。でも、一般財源化になりますとその辺がどうなるかという危惧があると思うんですよね。その辺をお聞きしているんです。
  168. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 全然変わらないんじゃないですかね。  基本的には、住民の子供が保育所に預かるという制度がきちんとしているというのが大事ですわね。それが一番の目的ですから。そうなりますと、その運営をしておられる立場に立った首長さんがそれをいかに効率よく運営するかという運営自由裁量は市長、首長さんが持つんですよ。そういうことになりますから、それを、どういうようなことを心配しておられるのか、よく分かんないんですが。  基本的には、例えば公設民営ということがあり得るのはよろしくないと言われたいのかどうか知りませんけれども、公設民営化されても子供は従来どおり保育所に行くことになりますし、そういった意味では、基本的には地方はそれによって自由裁量ということを増すことになりますし、私立の方がより効率よく運営をされているというんだったら、それはそちらの方がより良いに決まっていますから、そういった意味では、どっか着服するかのごとき、何かどういう心配されておるのか、よくちょっと理解ができないんですが。
  169. 小林美恵子

    小林美恵子君 今、大臣が御答弁なさいましたけれども、公設民営化というお話をされたと思うんですけれども、私は今その保育の現場がどうなっているかということを改めて御認識をいただきたいというふうに思うんですね。それで、少し御紹介をしたいと思います。  この間でも公立保育所が廃止、民間委託、民営化が促進されています。それで、例えば二〇〇一年から二〇〇三年までの間に、全国でいえばいわゆる民間保育所、私営の保育所は四百七十五か所増大しているという数字が出ています。逆に、公立公営の保育所は三百三十四か所減少しているんですね。  大阪保育運動連絡会の調査でいきますと、大阪の公立保育所の場合は、昨年の九月の時点でいきますと、二〇〇〇年からでは四十四か所、そのうち、明日四月一日ですけれども、明日時点で十四か所と公立保育所が廃止、民間委託、民営化される状況になっているんです。  こうしたいわゆる公立保育所の民営化というのは、そういう促進が現に進められているというふうに思うんですけれども、この現状については、総務大臣はいいですから、厚生労働省、今日お越しいただいていると思うんですけれども、厚生労働省の方はどう御認識されているか、お伺いしたいと思います。
  170. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 御指摘のとおり、保育所の実態でございますが、最近は私立が増大し、公立が減少しておるということは事実でございます。  それから、経過から申しますと、平成十三年には児童福祉法の改正がございまして、この中に公立の民営化を促進をすべきだというような条項も盛り込まれておるところでございます。この背景には、サービスの観点からすると、民営の保育所の方がいろんな意味で効率的かつサービスも向上されるんではないかというそういった御認識があって、こういう立法措置がされているんではないかと思っておりますが、実情もそういった形で今進んでおるというふうに認識をしております。
  171. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、いわゆる今の民間保育所そのものを否定はしてないですね。ただ、企業の参入、いわゆる利益優先の企業参入の保育所というのは保育所にはなじまないというふうに思うわけでございますけれども、ただ、なぜ公立保育所が公立、いわゆる民営化されなければならないのかというところが私は大きな問題だというふうに思うんです。  それで、先日、大阪の大東市、昨年四月に民営化されたんですけれども、この大東市の保育所のお話をお聞きしてきました。それを御紹介しますと、四月一日時点で二十一名の保育士が全員替わるんですよね。それで、市とその替わる保育所のところと、三か月間は従来の公立保育士、そして新しい保育士さんと引継ぎをするという契約になっていたというんですけれども、実際はそういう契約どおりにいっていない。三か月前に着任したのは園長さんであったとか、それから、結局全員がそろって引継ぎに、配置就いたのは四月一日直前の、三月末の二週間前だったというふうに言われているんですよね。つまり、子供たちにとりましては全く初めての先生ばかりに突然保育されるという状況が生まれるわけですよね。それは私は子供には本当に大きな影響を与えるというふうに思うんです。  その、私の手元にメールがあるんですけれども、そういう公立保育所から民営化された保育所に預けざるを得なかった親御さんが子供の様子をつづったメールがあるんですね。それを少し御紹介しますと、おねしょが戻ってしまったというのもあります。さらに、最近夜中に泣きながら怒りまくっていると。連絡板に保育園やめますと書いておいてと子供が言うんですね。事あるごとに何回も、職員室へ、お母さん迎えに来てと電話してくださいと言いに行ったりしている。僕な、○○君と保育園一緒にやめる約束してんねん。こういうふうに、保育所ですからゼロ歳から五歳ぐらいで、まだ五歳そこそこの子供が一度に先生が替わるということでこういう思いになっているんですよね。これではお父さん、お母さんも安心してやっぱり保育所に預けて仕事に就くということはなかなかできないと思うんですけれどもね。  それで、この保育所では、昨年一組がもう既に退所して、明日、四月一日付けでは新たに三組が退所するというお話を聞きました。私は、厚生労働省として、こういう子供たちの現状、保護者の現状をどう受け止めているかということをお伺いしたいと思います。
  172. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 公設、公立の保育所を民営化していくという方針は、先ほど申しましたように各自治体がどういった形の保育が適切かということで御判断をされるということで、それはその自治体な、賢明な選択にゆだねるべきことだと思いますが、これをどういったプロセスで進めていくかということについては、私どもも、平成十三年に、先ほど申し上げました公設民営化を促進すべきだという条項が法律に入ったときに、手続の透明性でありますとか公正性に、十分確保して、それから保護者の理解を十分得るようにということで注意を喚起して、そういう通達を出しておるところでございますので、できるだけそういう趣旨に沿って、丁寧かつ十分な話合いといいますか、理解を得ながら進めていただくようにというふうに期待をしておるところでございまして、そういった形、そういった点に留意して、また機会があれば自治体の方にもお願いをしていきたいというふうに思っております。
  173. 小林美恵子

    小林美恵子君 保護者の方のなかなか御要望はそういう場合は反映されていないというのが現状であるんですね。なかなか説明もきちっとしてもらえないと、せっかく契約したのに契約が不十分であると、こういう実態なんですよね。  それで、こういう公立保育所の民営化によって職員が一度に替わるというのはここ一園だけの問題ではないと思うんですね。私は、二日前に、私の住んでいます大阪西成区でも明日から公立保育所が民営化されます。その関係者にお聞きしましたら、二人の保育士さん除いて全部が替わるというふうにおっしゃっていました。引き継ぐのもあいまいで、そういう状況で、全国ではどうなっているかということを私は厚生労働省の方に御説明をしていただきたいというふうに思います。
  174. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 個別の事例がどうなっているかということは私どもも把握をしておりませんし、そういう立場にもないと思いますし、正にそれは住民自治といいますか、自治体が住民との接点に立つ行政機関としてどういう形で、プロセスで進めていくかという自ら御判断をされ、この適切なプロセスを踏んで進めていただきたいと言うほかありませんし、そういったことを周知するように私どもとしては努めてまいりたいというふうに思っております。
  175. 小林美恵子

    小林美恵子君 地方自治体が自ら進んでというふうにおっしゃいますけれども、こういう実態をつかんでおられない厚生労働省としては、私は問題だというふうに思うんですね。  例えば、ここに厚生労働省が通達、出した文書がありますけれども、元々二〇〇〇年のときに保育所の設置主体の制限が撤廃されました。それで企業も参入できるようになる。そして二〇〇一年、二〇〇二年と、先ほども厚労省さん自身がおっしゃっていましたけれども、この通達の文書の中には公設民営と、そういう項目もあって、民間活力を活用した保育サービス提供が課題となっておりということで、民営化の促進が文字どおりうたわれています。  つまり、こういう公立保育所を民営化していくという、そういう通達を出した所管の省庁として、私は、今の保育所の民営化でどうなっているのかということをつかむべきだというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。
  176. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 民営化された後の何をつかむかということでございますが、民間でやっている保育所というのは既に今半数あるわけでありまして、その民間がやっておる保育所について特に問題があるといったような状況にはないわけであります。  今指摘されていることは、多分、民営化に移行するプロセスを大事にしてできるだけ混乱のないようにという御趣旨じゃないかと思いますが、その点については、私どもも幾つか断片的にではありますが、いろんな自治体のそういう混乱といいますか、トラブルのような状況についてはお聞きしているものもございますので、そういったものを参考にしながら、必要に応じてこれをこれから民営化を進めていく自治体には適宜情報提供したり、先ほど言いましたような手続の透明性とか公正性、あるいは保護者との対話の重要性と、こういったものについては、繰り返しになりますが、これからも徹底をしていくように努めてまいりたいというふうに思っております。
  177. 小林美恵子

    小林美恵子君 プロセスにおいてとおっしゃいましたけれども、そのプロセスもしっかりと見ていただきたいと思うんですね。  それで、民営化になってからどうなっているのかということもやっぱり見るべきだというふうに思うんですよ。たしか三月二十六日に「NEWS23」というニュース番組で大阪の大東それから横浜のこの保育所の問題が取り上げられていました。これ自身は厚生労働省の方はごらんになりましたか。
  178. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 私自身は見ておりません。
  179. 小林美恵子

    小林美恵子君 テレビで取り上げられるぐらい、公立保育所が民営化されていくということは大問題になっているわけですよね。  そこで、子供たちがもう保育所をやめたいというふうな気持ちになってしまうということ自体は、私は本当に重大な問題だと思うんですよ。それをしっかりと、やっぱり厚生労働省として、公立保育所が民営化されたその保育所についてやっぱり調査していくべきだと思うんです。例えば明日四月一日から、先ほど私は大阪の例を出しましたけれども、新たに民営化になる保育所が歴然とあるわけですから、全部の保育所調べなさいと言っているわけじゃないんですから、そういう保育所についてやっぱりお調べになる必要があると思うんですけれども、いかがですか。
  180. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) ですから、ちょっと私も趣旨がつかみかねるんですが、サービスが不適正だとか基準を満たさないというような状況になりますと、これは都道府県の事務として、これは民営化された保育所とかそうでないとかいうにかかわらず、基本的に、適正に保育サービスが実施をされておるか、あるいは基準が守られておるかといった観点からのいろんな指導なり監査なりは都道府県が行うようになっておりますので、公設のものが民営化された部分だけを特に調査するということが必要なのかどうか私自身今判断をしかねるわけでありますが、そういったものの状況というものを、先ほどの一般財源化されたその施設の状況がどうなるかという観点からは、これは一回実情を、大掛かりに今回一般財源化するわけでありますから、先ほど言いましたように、それによってサービスが低下するとかそういうことはないとは思いますが、念のためにいろいろ機会をとらえてそういった状況を把握する必要はあるのかなというふうに思いますが、公設民営化されたものを調査するというのは、先ほど言いましたように、民営でやっている施設は今半数ぐらいもう既にあるわけでありますから、今までが公立であったのがこれから民営化になったものだけを取り上げてそこを調査するというのはなかなかどういう目的なのか私もつかみかねますので、先ほど言いましたように、一般的な指導とか監査の中できちっと間違いといいますか、おかしな運営が行われないように十分監視をしていくということにつきましては、都道府県を通じて十分私どもも留意をしてまいりたいというふうに思っております。
  181. 小林美恵子

    小林美恵子君 要するに、今おっしゃいましたけれども、一般財源化された後どうなっているのかということについては厚生労働省として調査をしていくということですね。それは確認していいですよね。  その点について、最後に私は総務大臣にもお伺いしたいと思います。この点についても私は総務省としてもこれが必要ではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  182. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) まず伍藤局長、続いて総務大臣にお願いいたします。簡潔にお願いいたします。
  183. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 先ほど言いましたように、必要に応じて、こういった今回の改革の後にどんなサービスになっておるかということは、当然のことながら保育の実施に責任を負います私どもとして当然いろいろ調査なり把握なりをしていく必要があろうかと思っております。
  184. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 所管省庁を通じまして実態を調べてみます。
  185. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  麻生大臣、私の方は余り関係ございませんから、御退席いただいて結構です。  今日は大量破壊兵器の問題を取り上げたいと思います。  日中戦争、第二次世界大戦が終わって五十九年、戦争の惨禍が決して過去のものになったわけではありません。沖縄や被爆者の問題その他、多々ありますけれども、官房長官の所管事項で、旧日本軍の毒ガス兵器の問題について今日は少しお聞きをしたいと、こう思っています。  この問題は、国内と中国など日本の旧占領地での問題がありますけれども、今日は特に中国に捨ててきた毒ガス兵器にかかわる決算上の問題をちょっと考えてみたいと、こう思っておるわけであります。  中国での日本軍の毒ガスは北から南まで広範に分布をしているわけですが、昨年死亡事故のあったチチハルには関東軍化学部隊、いわゆる五一六部隊というのがありまして、そしてまた、いわゆる七三一部隊というのは有名ですが、この細菌戦部隊があったのもハルピン。こんなわけで、旧満州が特に日本の、日本軍の生物化学兵器の実験場だった、こういう状況にあるわけですね。実はこの処理をめぐって一九九九年に日中間で覚書に調印をしまして、以来五年間、七百七十七億円の予算が内閣府に組まれてまいりましたね。    〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕  そこでお伺いをするわけですが、中国における残存化学兵器は日本政府の推計で約七十万発と言われるわけですけれども、うち回収されたのは三万六千発というふうに言われていますけれども、これに相違がないかどうか、まず一つ目。それから二つ目に、一体全体、予算は七百七十四億円とこう言っているわけですが、決算ベースで一体幾ら投じられてきたのかというのが二つ目。三つ目に、九七年発効の化学兵器禁止条約及びさっき申し上げた九九年に結んだ日中の覚書、これの期限でいうと二〇〇七年が期限ですね。そうすると、このペースで一体全体、やっと三万六千発と、こう言っているわけですから、これ間に合うのかどうかですね。ここの見通しについて三点目にお伺いしたいと思います。
  186. 高松明

    政府参考人(高松明君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、中国に旧軍が遺棄したとされております遺棄化学兵器の数は、御指摘のとおり、数十万発に及ぶとみなされております。現在までに、すなわち三月までにということでございますが、中国各地で発掘、回収されました化学砲弾は、各種砲弾が二千九十九発……
  187. 又市征治

    ○又市征治君 細かい数字は結構です。
  188. 高松明

    政府参考人(高松明君) はい。有毒発煙筒が約三万発余り、それからびらん剤が含まれておりますドラム缶が二十二缶と言われております。大部分の化学兵器は吉林省のハルバ嶺にあるとされておりまして、この部分の発掘、回収及び実処理を早急に取り進めたいということで、今、中国側と鋭意協議中でございます。  それから、次に御質問のございました決算の点でございますが、御指摘のとおり、平成十二年度から平成十六年度までの当初予算を合計いたしますと約七百七十六億円の予算を計上しております。しかし、決算ベースの比較ができます平成十一年度補正予算から平成十四年度予算を累計いたしました予算額は約三百十六億円でございまして、それに対応いたします平成十一年度決算から平成十四年度決算を累計いたしました決算総額は百五十九億円でございます。  それから、三つ目のお尋ねの点でございます処理が可能かということでございますが、本事業は、委員御指摘のとおり、非常に半世紀以上を経ました古い大量の化学兵器を処理するという前例を見ない事業でございます。安全性及び中国の環境基準を考慮いたしまして、いかなる技術が最も適当であるか、あるいはどういう形で実際上現地で処理をしていくか、そういったいろいろな側面につきまして従来から中国側と非常に集中的に協議をしてきているところでございます。  御指摘のとおり、二〇〇七年までに残されました時間は決して十分なものとは言えませんが、私ども、中国側と相まちまして、各方面の知見を集積しつつ、遺棄化学兵器事業を一刻も早く完了したいということで最大限の努力を行っております。
  189. 又市征治

    ○又市征治君 その最後の話ですが、三百十六億に対して半額の百五十九億ぐらいしか使ってなくて、それで七十万発と言われるものが三万六千発しか処理されていない。これじゃ間に合うわけがないわけですよ。やっぱりここらはしっかりやらぬと、またまたそういう死亡事故なんかが起こってくるという問題があるわけで、ここはしっかりやっぱり取り組むべきだと思います。  そのことを申し上げた上で、この関東軍化学部隊、さっき申し上げた五一六部隊のあったチチハル市、ここ黒竜江省ですけれども、この毒ガスでも死亡を含む被害に対して、政府は昨年十月に三億円を支出しますということで中国政府と合意をされました。これを政府は処理事業費という、こういう名目で言っていますが、実態は個人補償も含んでいると言われていますね。なぜ補償費として支出をしないのか、おかしな話だと思うんです。マスコミなんかでは、どんどんどんどん、中国政府はこの費用を関係諸方面に適切に配分することになっており、そういう意味では被害者や遺族にも送られる見通しだと、こうマスコミは書いている。政府の側は補償費ではなくて処理事業費だ、こういうことでなっているわけですが、当然個人にも支出を、配付をされているわけでしょう。  その点をお聞きをしておきますと同時に、内閣府で一億五千万、外務省で一億五千万、何で内閣府と外務省で折半の一億五千万ずつなのか、この内訳を少し明らかにしてください。
  190. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  ただいまのチチハルの事故でございますけれども、本件事故との関連で遺棄化学兵器処理事業に係る経費として三億円を中国政府に対し支払うこと、そしてまた、中国は、この費用につきまして中国政府責任において関係諸方面に適切に配分するということを我々と合意してございます。これは、委員御指摘のとおり、この支払というのはあくまで本件事故との関連で遺棄化学兵器の処理事業に掛かる費用として支払われたものでございまして、さきの大戦の請求権に関する補償ないしその代替措置との位置付けということではございません。この点についてははっきりと日中間でも約束をしてございます。  今の中での、実際のそれでは三億円の中で、外務省そしてまた内閣府の方で支払ったことでのその内訳でございますけれども、外務省の支出した経費といいますのは、正にチチハル市における毒ガス事故の発生した八月四日に開始された中国における遺棄化学兵器の現地調査、これに対する中国側協力に対する実費というのを外務省で見ておりまして、具体的には、様々の中国側の作業、汚染現場の除去作業等ございます、そうした作業員の手当等々についての作業の経費というのが外務省の支払った一億五千万円でございます。
  191. 高松明

    政府参考人(高松明君) 内閣府の支出いたしました経費につきましては、遺棄化学兵器処理事業の一環といたしまして、同事業の遂行に欠かすことのできない医療体制確立事業の実施に当たり、医療データ提供等、中国側の協力に対する実費を支払ったものでございます。  具体的に申し上げますと、旧軍の遺棄化学兵器による中毒症状、治療の在り方や中国における治療実態などのデータは残念ながら現在ほとんど実在していないのが現状でございます。このため、今後、中国におきまして本事業を更に推進していく上で、作業員等が中毒被害を受けた場合に効果的な対処を行うには、この事故に関する被害実例、治療例、臨床データの収集、分析によって知見を集積していくことが極めて重要であると考えております。  これらのデータ収集等には当然中国側の病院当局等の協力が不可欠でございまして、本経費は、かかるデータ及びそれに関する協力に対する実費を支払ったものでございます。
  192. 又市征治

    ○又市征治君 だけど、おかしいんですよね。何で、本当に具体的に積算したんならば、積算して出しているならば、内閣府で一億五千万円、外務省で一億五千万円、こんなばかな話ないんじゃないですか。何でこんな丸いお金で一体全体割り勘にするわけですか。  問題は、私は、いや、補償するなと言っているんじゃないんだよ。補償はすべきなんですね。過去にやっぱり日本がそれだけ大変な害をまき散らしてきたわけで、それが現実に死亡事故まで起こった、負傷者が出ている、こういう状況ですから、当然補償すべきなんです。ただ、問題をこんな形で、何で外務省と二つで分けて、両省で分けて、内閣府と分けて、こんな格好にして、それでうやむやの中身で、言っている中身全然分からない。これは積算なんかされてないじゃないですか。こういうやり方、こういうことがそういう意味では大変に私は問題だということを申し上げているんで、しっかりと隠し立てしないでちゃんとやっぱり補償するべきものは補償していく、こういうことが大事じゃないか。  なぜこんなことを申し上げるかというと、韓国あるいは北朝鮮を含めて、アジア全域で個人に対する戦後補償というのはやっぱり残念ながらなされていない。前にそういういろんな協定を結んだ、こういう問題がありますが、最近どんどん問題が起こってきているということだと思うんですね。もっと公明正大にやってもらいたいということを申し上げているわけです。特に、日本でも、この毒ガス補償の例とかあるいはアジア女性基金の創設など、法的にはむしろいろんな無理があった、あるけれども、幾つかこの事実行為はこれらをクリアをして、そして個人補償の判決も出されてきているわけですね。  私は、だから、決算委員会としてはもう政府に、補償なら補償と説明の付く、そういうやっぱり予算編成、またその厳正な執行というものを求めていくべきではないか、こんなふうに思います。また、我々立法府の側も、そういう意味では、立法の不作為だなんという、こんなことを言われないように、こんなことをやっぱりしていかなきゃならぬのだろうと、こう思うわけですが。  そこで、財務大臣、ごめんなさい、官房長官にこの関連で幾つかお伺いをしておきたいと思うんですが、戦後五十数年過ぎて、日本軍や日本政府に対する民衆レベルの個人補償の要求がようやく社会問題として認められるようになってまいりましたね。従軍慰安婦問題しかり、あるいは強制連行、あるいは奴隷労働させられた中国や朝鮮の人たちの花岡鉱山の問題であるとか、私の出身地の富山県の不二越訴訟の問題であるとか、日本で裁判があって最高裁まで行って和解、あるいはそういう意味ではそれを容認をするという判決が出てきています。この三月二十六日にも、新潟地裁で中国人強制連行の裁判では初の賠償命令の判決が出ているわけですね。  こういうふうに、ずっと変化が出てきている、日本国内でも裁判でも変化が出てきている、こういうことがあるわけですが、どういう、どういう原因でこういう変化が現れてきているかというふうに、現れているというふうに官房長官はお思いですか。その点の見解をお聞きしたいと思います。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕
  193. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 変化が現れているとおっしゃるけれども、どういう変化があるのかということで、よく分かりません。もう少し具体的に言っていただきたいと思うんですけれども、もし、この新潟地裁の判決のことをおっしゃると、おっしゃっていると、そういうことですか。──そういうことですね。であればね、であれば、これは本日ですね、今日控訴ね、今日控訴をいたしました。控訴状を提出したと、こういうふうに承知をいたしております。  ほかの件については、ほかの五件の、がございまして、そのうち四件は国が勝訴ということになっております。そして、この一件が控訴状提出でございますけれども、すべて高等裁判所で係争中の問題ではございます。
  194. 又市征治

    ○又市征治君 大変今お聞きをして、今日控訴をしましたというのは、大変残念、私は本当に残念な思いで、いたします。  今一番切実なこの変化が現れてきている理由というのは、やはり当時被害を受けた中国や朝鮮の人たちが今や高齢化をして、そして最後の叫びを上げているわけですよ。本当にその訴えに社会が気付き始めてきた。だから、そういう意味では、国家間では覚書を取り交わしたとか、あるいは協定を結んだとか、そういう点ではもうその戦後の個別の補償なんかというのは認めないんだということを乗り越えて、こういう人々が現れてきている。彼らにとってみては、戦後五十数年もたっているわけですから、もう自分の全生涯を懸けた存在証明として、そして日本の軍事政治支配への抗議の声明もあるんだろうと思います。せめて死ぬ前に、本当に日本政府が一言謝ってもらいたい、あるいは金額は問題じゃないんだ、こういう声が非常に多く聞こえてきているわけですね。そんなことに私は日本の政府はもっと敏感になるべきだと、このことを申し上げたいわけです。  そういう意味で、戦後補償の進んだドイツはもちろんですけれども、アメリカでさえも例えば日本人の収容所の問題でさえ戦後補償の対象に入ってきているわけです。そんなことはついこの間まで問題にもならなかった、しかしそういうことはやっぱり認めようという動きになってきている、こういうことだろうと思いますね。  かつて、そういう意味で日中共同声明や日韓条約の時代に国と国だけで決めたそうした賠償請求権放棄という法理論というのは今や通用しない時代になってきているんじゃないのか、そういうところにもっと敏感にいかないと、何か知らぬけれども、そういう最後の叫びを、悲痛な叫びを上げている人たちに、はい、それはもう控訴をいたしました、こういう格好で果たしていいのか。  じゃ、一体全体なぜそのチチハルで起こった去年の事件に対して三億円という金を出して、根拠も明らかでないのにそういう格好で補償していくのか、こういう問題になるじゃありませんか。全く政府のやっていることは整合性が取れない、こういうことに私はなっていると思うんです。  その点について、もう少し官房長官、やっぱり内閣の女房役として、ここらのところのかじ取りの問題を含めて、今私が申し上げた、こうした社会が今こういう悲痛な叫びを上げている人々に対して気付いて、何とかそういう補償を裁判でもみんな認めていくという流れができてきている、こういうことについてもう少し率直であるべきじゃないでしょうか。そこら辺のところのもう一度改めて見解をお伺いしたいと思います。
  195. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 我が国の選択した戦後処理、この基本方針というのは、これはさきの大戦に係る問題を国家間で一括して最終的に処理をすると、こういうものでございます。  一般に戦争に起因する損害にはいろいろな形態がございます。その規模も甚大なものがございます。したがって、個々の損害について個別の救済を図るということになりますと、戦後処理問題を終局的に解決するということはなかなか困難であると、こういうことであります。そのため我が国は、さきの大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題については、サンフランシスコ平和条約、二国間の平和条約及びその他の関連条約等によりまして国家間で一括して完全かつ最終的解決を図って、これら条約上の義務を誠実に履行してきたと、こういうことでございます。  今、ドイツの話もございました。ドイツは戦後、東西に分裂して、平和条約を締結し得なかったという事情があるなど、諸外国と我が国では、それはその戦後置かれていた状況、それぞれ違います。戦争中の行為に関する戦後の取組に関しましても、それぞれの対応を単純に比較するということは、そういう意味でこれは適当ではないと思っております。  我が国としては、我が国の置かれた状況の中でできる限りの対応を今まで行ってきたわけでございます。具体的には、さきの大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題については、サンフランシスコ平和条約及びその他関連する条約等に従って、我が国として誠実に対応もしてまいったわけでございます。  チチハルの件につきましては、先ほど事務当局から答弁したとおりでございます。
  196. 又市征治

    ○又市征治君 大変残念な御答弁ですね。  やはり本当に、先ほども申し上げましたけれども、本当に自分たち個々人が、言ってみればそういう被害を受けて最後の叫びを上げている人々に対して、サンフランシスコ条約がどうだとかこうだとかという問題を超えて、やはり補償すべきはしていく、そういう流れが社会的に起こってきているときに、私は、対応が非常に遅れている。そして、そういう対応をしているから、そうした、外務省と内閣府が折半で、何かしら使途不明の、よく訳の分からない、言ってみればつかみ金をぽんと渡して後はそっちでやってくださいと、こういう格好になっていて、一体全体アジアの人々に本当の意味で信頼を得れるような日本という国になるのかと、こういうことを非常に心配をいたします。  その点を強く求め、是非、政府がそのような態度からもう一日も早くやっぱり脱却いただいて、もう少し人間の血の通ったそういう政治をやっていただくように求めて、私の今日の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  197. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  最後ですので、いや、実はもう役所の時間がちょうど終わり、終業時間のせいがあるかもしれませんが、先日、通告させていただいた折、答弁政府参考人は要らぬという有り難いお言葉でございまして、大臣に御質問を直接できることを大変感謝いたしておる次第でございます。  先ほどといいますか、本日ずっと、地方分権といいますか三位一体論、いろいろ出ておりまして、そのことについて、いわゆる地方分権といいますか、私も国会議員になる前にそちらの面では地方分権あるべしということで随分推進させていただいたことがありますが、たまたま国会議員になって、ちょっと前よりは離れたような感じがございます。  しかし、ずっと長い時間掛かって、最近見てみますと、やはり分権一括法を始めとして、三位一体、財源の三位一体論、いろいろ盛んにやっておられます。そして、今日のいろんな議論を聞きましてもやっぱり個別な地方の問題等いろいろ出てまいりますけれども、私は、地方分権が本当に進んだら、今日出てくるような、ここへ出てきたような議論の大半といいますか、そういうものはもう国会の審議の場じゃなくて地方に任されてできるのが本当じゃないかなと。そういう面からいきますと、ちょっとまだ地方分権というのは道遠しというような感じがなきにしもあらずでございまして、そういう面から、やはりひとつこの辺でおさらいといいますか、まだこれから続くわけですけれども、しっかりと、地方分権は何たるものかということをしっかり把握し直す、し直すというか、やる必要があるんじゃないか。大臣も新しくなられましたから、その辺の個別の細かな問題は私はお聞きできませんので、いわゆる理念といいますか、そういうものについてお話を、お考えをお聞きしたいと、こう思っている次第でございます。  例えば、なぜ分権を、地方分権をやるのか。総理なんかは、民でできることは民で、地方でできることは地方でと、そういうことを言われている。大臣も、地方に活気をといいますか、元気をというようなことでやられている、それはそれなりに説得力があっていいと思うんですけれども、もう一つ踏み込んで言いますと、地方でできることは地方でというよりも、むしろ、地方ですべきことを国でやっていたけれども、地方ですべきことを地方でやった方が今の時代に合っていることを、それを地方でやるというのが本来の筋で、そのためにその体制なり権限なりが不備であればそれは補うと、地方のために補うというんだろうと私は思うんですけれども。  私、そこで大臣のその理念をお聞きしたいんですけれども、私なりに申し上げた方がいいと思うんですけれども、私の理解としては、地方分権というのは絶対たる正義といいますか、正ではない。地方分権と中央集権というか、まあ二つこうあるわけですけれども、これは時代時代によってそれぞれ必要な時代があるんじゃないかと、そういう認識しておるわけですが、したがって戦後の例えば復興期、これは私は中央集権の方がうまくいったと思うんですね。それがうまくいったことによって、今ある程度地方の人が自分の豊かさを主張できる、それに伴ってそれを生かしていったらいいじゃないかというのが今の地方の分権の姿じゃないかなと、こう思っておるわけでございまして、そういう意味で、当然ながら、それと同時並行的に、国の財政が大変厳しいと、厳しいけれども、それを、それと地方分権と絡めて、地方に財政負担を押し付けるというようなことがあっては絶対駄目です。そういう感覚を持たれてもうまくいかない。  要は、そういう、ここにおられる皆さんも、皆さんそれぞれ地方を持っておられるわけですから、中央、地方という、そういう人種が違うということでなくて、同じ日本の中でその地方、今は地方の考え方をかなり受け入れて、地域地域ごとの在り方を見付けていく、それでその地域地域がいかにうまくこう動くか、そういう面を配慮していくのが今の地方分権の在り方ではないかなという思いがするんですが、大臣の御所見をちょっとお願いいたします。
  198. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 岩本先生おっしゃいますように、明治四年、廃藩置県この方、少なくともあの時代に、かれこれ三百大名がいたわけですから、その大名のときに、やっぱりあのときの明治の先輩というか政治家の人たちは、岩倉具視の二年間の海外というので、あれが多分直接のきっかけだと思いますが、周りの状況から見て、このまま行ったらうちはロシアの植民地と、はっきりしているではないかと。断固自主独立をかち取るためにはいわゆる富国強兵、殖産興業と、もう国家目標が極めてはっきりして、それに沿ってばあんとやって、おかげさまで、たった三十七年しかたたなかったけれども、あのナポレオンすら勝てなかった帝政ロシアに勝ったというのは間違いなく正しかったと思うんですね。  それから、今おっしゃいましたように、敗戦直後からたった十年で間違いなく、もはや戦後ではないという言葉が出て、少なくとも、官僚主導、業界協調という中央集権体制で少なくとも世界第二の経済大国にのし上がったというのも、間違いなく政策の手法としては当たったんだと思います。  ただ、今おっしゃいましたように、間違いなくある時期から、多分、歴史変わったのは多分一九八五年、あのプラザ合意で二百四十円が百二十円、あれぐらいからだと思いますけれども、あの段階で地方分権というような、いわゆる中央で決めて全部というようなものでは多分時代が合わなくなってきたんだと思うんです。  そういった意味で、おかげさまであのころから、失礼ですけれども、筑豊銀座とか何か訳の分からぬ、銀座でもなかったくせに新潟銀座とか何とか銀座という言葉はなくなって、何となく東京のまねするというのもはやらなくなってきて、何となく地方の特色ある地域とかいろんな言葉が出始めるようになったのもあのころだと思いますので、やっぱり流れとしては、だったんですけれども、体制としては今おっしゃったように中央集権がかなり色濃く残っている部分がありますので、それが何となくそごをだんだん来してきたという経過にあって、少なくとも、これは地方分権より地域主権という言葉なんだと思うんですが、地域主権というものの方に多分流れは行っているのに、多分それに合わせて今の三位一体とかいろいろな表現やっていますけれども、そういった方向に合わせていくというのは、これは今までの百三十二年間続いた体制をぶち壊すという話ですから、これはなかなか大変な話なんであって、そういったところが今進んでおりますので、多分、その哲学は何かと言われたら多分その時代背景にあって、やっぱり国のシステムという、制度というものを、体制というものを作り替えていくという今過程にあるという具合に私自身は理解をいたしております。
  199. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございます。私も大体それと同じような理念を持っておりますけれども、したがって、そういうことで物事を判断していただけたらと思っているわけですが、そういう意味で、大臣がどこまで現実に具体的な政策がおやりになれるかどうかは別といたしまして、担当大臣としてそういう今お話になったような理念の下にそれぞれを見てもらいたいなと思うんですが。  それで、私はこれ、地方分権、具体的に言いますと、今三位一体と言うと、財政の問題をいろいろ言っていますけれども、地方分権、当初言われたときからは出ていたと思うんですけれども、私は、この地方分権の三位一体というのは権限と財源と人材だと思っているんですね。そのうちに、権限についてはいわゆる一括法案等である程度でき上がったと。それで、財源は今三位一体でいろいろ議論しているという段階であろうと思うんですが、その中のこれからの予想といいますかいろいろ出てくる問題としては、一つは権限にしましても、一応はできましたけれども、これだけ長くといいますか、最初検討のころから相当時間がたっていますから、またこの権限というのは永久の課題だと思うんですね。これでいい、これだけ決まればそれで済むというものじゃない。したがって、永久の課題だろうと思いますから、新しい要求が出てきたものをやはり組み入れなきゃいかぬと。そういうものをひとつどういうふうにお考えになるかですね。  それと、また、もう一つお尋ねいたしますが、もう一つは、理想論かもしれませんけれども、地方分権というのは、これは地方が一色であれば、これは全然分権じゃない。要するに、各地域が自分の特色を持って、特色を持ってそれを生かすように自分でやるから、それが初めて地方分権の姿が出てくると。したがって、私、石川県ですけれども、石川県のその地方分権の在り方と、隣の富山県の地方分権の在り方が違ってもいいじゃない。正直言いますと、石川県というのは中小企業が非常に多いと。富山県、逆に言えば富山県は中央の資本が割と入ってくる。そういうところは当然やることが違っていいじゃないか。そうした場合に、要求する権限といいますかね、こういうものは、我々やりたいというものは違いが出てきてもいいじゃないかというような気がするんですが、その辺について大臣
  200. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 岩本先生、全くそうだと思いますが、簡単には加賀、お隣越中ということになろうかと思いますが、加賀と越中と、これは丸々文化が違いますから、そういった意味では長いこの国の場合は歴史の中ではぐくまれたそれぞれの文化というのがありますんで、そういった意味ではいろんな意味で今猛烈な勢いで変わってきていると思っております。  したがいまして、県境を越えて合併するというような話も、この間長野と岐阜でそういうのがスタートしておりますけれども、これきっとほかにも一杯出ると思います、私どもとしては。そして、私どもはそういった方向でやっていった場合、これは今の段階で申し上げさせていただければ、少なくとも地方というものがやっぱりいろんな意味で、その地方の市であるとか県であるというものを一番上に立たれる知事さんとか市長さんが経営をするということになれば、うちの市の方が、あの市よりうちの方がこれだけ税金安くしますよと、だからおたく、企業、うちに来ませんかとか、うちにお見えになったらこれだけのあれを優遇しますよとか言って、そういった権限を持って多分やったのが多分三重県だと思いますが、あれはシャープの誘致に成功した。明らかにあれは大した決断だったと私は思いますけれども、そういったようなことがいろんな形で、地方が競争する時代になっていく、それが多分活力を生むということになり得ると思っておりますので、みんな一緒のはずはありませんので、私ども基本的には、そういう有能な知事さんを選ぶ、ただただいい人だけじゃとても首長さん務まらぬということになってくるという可能性は、地域主権ということはそういった意味では特色がいろんな意味で出てくるというのが私は望ましいんだと思っております。
  201. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 その場合に、要するに権限の移譲といいますかね、そういうものについても一応考えてあげなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。それが委員長がやっておられた特区というような考え方もあるかもしれませんけれども、そういうものでやっぱり差を付けるといいますか、それぞれのその地方が独立心を起こすという、その辺を、そういう認識を是非持っていただきたい。  それと、財源はさっき言いましたように三位一体で、これ私もどういうふうに回っているか余りよく分かりませんので、これは飛ばしますけれども、もう一つ、人材の問題で、人材というのは、私はやっぱり仕事が減れば職員の数も減るんじゃないか、仕事が増えれば職員の数ももっと要るんじゃないか、単純なそういう発想で。ただ、仕事が増えたからって、これ効率的に仕事をすればいいという考え方も当然出てきますから、単純に増やせばいいということではありませんが、地方分権が本当にまともにこういった場合には、やはり中央の人と地方の人の、何といいますか、交流でもないですけれども、そこの、何といいますかね、移動といいますかね、そういうものも考えなきゃいけないんじゃないかと。その辺については、私見ている限り、なかなかそういう意見を、意見というか、そういうあれが出てこない。ただ、地元に行きまして首長さんなんかに聞きますと、やはり権限がいろいろ移ってきたらそういう人も是非必要なんだという、そういう声も非常に聞きますので、その辺については、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  202. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) ある市で企業誘致をやる計画局長を興業銀行から引き抜いて市の職員にした市があります。出ました企業、幾つ出ましたでしょうか、でかいのが結構出ました記憶がありますので、そういった意味では結構私どもの知らないところでそういう人を職員にするんですよ。最近、任期制とかいろんな話があります。当時そんな言葉はありませんでしたけれども、採用してやっております。  そういった意味では、私どもはいろんな意味で、自治省というところは結構課長のときにみんな外に出したりなんかしますので、いろんなところで助役やったり部長やったり何やったりみんなする経験を自治省出身者は少なからず三回、四回地方に行って経験をするんだと思いますけれども、私は、その地域にとって優秀な人であればはまる人もいらっしゃるのはもう御存じのとおりなんで、そういった意味では、自分の出身県に限らず、例えば京都の荒巻というのは、元々あれは福岡出身の人ですけれども、あれは京都で請われて知事になったという人だと思いますが、あの人もやっぱり京都にはまったんだと思います。今もたしか京都に、この間まで京都に住んでおられましたが、そういった意味では、いい人材行って、人に、優秀だからといってはまるとは限りませんから、そういった意味では確かに交流は必要なんだと思いますし、またそういった者が来ることによって受け入れる地方の方も触発されて、おお、こんなこともできるのか、あんなこともやれるのかという意味で、自分の知らない視野が広がる、世界が広がるという効果もあろうかと思いますので、私は今後とも人材交流は必要だと思いますし、優秀な人材を請われたらそれはどんどん出すべしと、基本的には私もそう思っておりますし、また県から市から出向してこられるんだったら、私どもは大いに受け入れてやるべきと思っております。  事実、国際的には日本の場合は、経企庁なんかの場合は、多分世界でこれぐらい統計やら何やらの役人を世界に貸しているというところは、多分日本では統計局、経企庁が一番だと思いますけれども、統計の取り方は、経済指標の取り方は全部今人は海外に貸し出しておりますので、そういった意味では結構そういった交流も既にやっておるというので、国内で人事交流が進むのはいいことだと私自身はそう思っております。
  203. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 いいことなんですけれども、私なんかも見ていても、やはり今の国の組織でも地方にいろんな出先がありますから、その中から交流といいますか、あるいは地方に行くこともできると思うんですけれども、やっぱり日本の、これ偏見かもしれませんけれども、やはり中央に、中央の官庁の人はどうしても中央に集まってくる、これはどうしても予算のせいなんですかね。そういう予算、財務省があってそことの接触が非常に多いということがあるのかもしれません。そういうことの壁を越えるときには、やっぱり大臣のそういう信念といいますか、理念というものは是非必要なんで、その辺を是非お願いしたいと思うんですが。  それともう一つ、これはちょっとこそくな話かもしれませんけれども、今年の予算なんかのときに、いわゆる補助金カットしてこれは交付金に回すとかいろんな話ございました。ただ、財政の問題からカットされるんじゃないかと、役所の人間は、そんな心配をされたせいかもしれませんが、何か地元の人を陳情で連れていきますと、カットされることを、陳情はいいけれども、補助金カットされるのが困るからね、それをひとつよろしく頼むよなんていう逆陳情を受けることがあるんですね。  それは確かに、役所としてはそういう気持ちというのは分からないでもないですけれども、地方分権という立場から考えたら、そういう意識は是非変えてもらいたいなというような感じがするんですが、その辺、大臣、そういうケースを御存じか、あるいは御想像付かれると思うんですけれどもね。そういうことに対して一言お願いいたします。
  204. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) やっぱり予算を編成する側の地方自治を預かる首長さんにとりましては、やっぱり補助金というのは非常に大きな税収入の、税収入というか収入の元でもありますし、交付金なおさらのこと、そういった意味では今のおっしゃる点はよう分かりますんで、その分が補助金じゃなくて地方税に置き換わるという形でいかないかぬところなんであって、どうしても地方が必要だというんで、その分を国が地方に委託していながら払わないというのは駄目です。やっぱり地方に、その分やってもらっている分はきちんとそれは払うべきものは払わないかぬというところだと思いますんで、不要なものはそれはやめていただくにしても、きちんとそういったものは基幹税という形で、いろいろたばこ税とかいろいろ話がありましたけれども、基幹税として、今回は一部ではありましたけれども、間違いなく、いわゆる所得税が地方住民税に移ったというのは非常に大きな一歩だったとは思いますが。  基本としては、今おっしゃるように、何となくこういう話だと何となくさもしくみすぼらしい話であって、いかにもこっちの方が下げ渡すみたいな話じゃないんじゃないかという気がいたしますんで、地方税で入った、納めた、結構地方に納まった分の、所得税のうちの一割を確実に地方にというような話はされても、これはちっともおかしくないんだと私は基本的にはそう思っております。
  205. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 時間が参りました。  この地方分権というのは大変な仕事だと思います、先ほど大臣が言われましたように、期間も掛かりますし。その辺、常に理念を同じくして、今の大臣の理念、それを私は共有できると思いますけれども、そういう理念を持ってよろしく御指導のほどお願いいたします。  時間が参りましたので終わります。
  206. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようですから、皇室費内閣内閣府本府、総務省公営企業金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時九分散会