運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-03-08 第159回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月八日(月曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  二月二十七日     辞任         補欠選任      若林 秀樹君     柳田  稔君      山本 香苗君     遠山 清彦君  三月四日     辞任         補欠選任      月原 茂皓君     中川 義雄君  三月五日     辞任         補欠選任      柳田  稔君     円 より子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 岩井 國臣君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 小林美恵子君     委 員                 大野つや子君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 常田 享詳君                 中川 義雄君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 藤井 基之君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 齋藤  勁君                 羽田雄一郎君                 広野ただし君                 円 より子君                 和田ひろ子君                 木庭健太郎君                 遠山 清彦君                 山下 栄一君                 畑野 君枝君                 又市 征治君                 岩本 荘太君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     麻生 太郎君        法務大臣     野沢 太三君        外務大臣     川口 順子君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   河村 建夫君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   亀井 善之君        経済産業大臣   中川 昭一君        国土交通大臣   石原 伸晃君        環境大臣     小池百合子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策食品安全        ))       小野 清子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、個        人情報保護、科        学技術政策))  茂木 敏充君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣規制改        革、産業再生機        構))      金子 一義君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(防災)        )        井上 喜一君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        厚生労働大臣  谷畑  孝君        国土交通大臣  佐藤 泰三君        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        文部科学大臣政        務官       田村 憲久君        文部科学大臣政        務官       馳   浩君         ─────        会計検査院長   森下 伸昭君         ─────    政府特別補佐人        人事院総裁    中島 忠能君        内閣法制局長官  秋山  收君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       竹崎 博允君        最高裁判所事務        総局経理局長   大谷 剛彦君    事務局側        事務総長     川村 良典君        常任委員会専門        員        和田  征君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事務局長     天野英太郎君    裁判官訴追委員会事務局側        事務局長     高田 健一君    国立国会図書館側        館長       黒澤 隆雄君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       春田  謙君        内閣男女共同        参画局長     名取はにわ君        内閣食品安全        委員会事務局長  梅津 準士君        宮内庁次長    羽毛田信吾君        公正取引委員会        事務総長     上杉 秋則君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君        法務省民事局長  房村 精一君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       遠藤  明君        厚生労働省職業        安定局長     青木  功君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省社会        ・援護局長    小島比登志君        厚生労働省老健        局長       中村 秀一君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        厚生労働省政策        統括官      水田 邦雄君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君        農林水産省消費        ・安全局長    中川  坦君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        農林水産技術会        議事務局長    石原 一郎君        国土交通省総合        政策局長     澤井 英一君        国土交通省住宅        局長       松野  仁君    説明員        会計検査院事務        総局次長     白石 博之君        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君        会計検査院事務        総局第四局長   重松 博之君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君    参考人        国民生活金融公        庫総裁      薄井 信明君        住宅金融公庫総        裁        望月 薫雄君        農林漁業金融公        庫総裁      高木 勇樹君        中小企業金融公        庫総裁      水口 弘一君        公営企業金融公        庫総裁      持永 堯民君        沖縄振興開発金        融公庫理事長   八木橋惇夫君        中小企業総合事        業団理事長    見学 信敬君        国際協力銀行副        総裁       田波 耕治君        日本政策投資銀        行総裁      小村  武君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四  年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十四年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  本日までに、若林秀樹君、山本香苗君及び月原茂皓君が委員辞任され、補欠として円より子君、遠山清彦君及び中川義雄君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は全般質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 岩井國臣

    岩井國臣君 皆様方御承知のように、今私ども参議院では、参議院改革の大きな柱として国会における決算審査というものを重視いたしまして、その前倒しに取り組んでおるところでございます。予算衆議院決算参議院というふうに単純に割り切るわけにはいきませんけれども、参議院としては決算を重視して、かつ重点的に早期審査を実現して、そしてその結果を何とか予算審議に反映させたいというふうなことで取り組んでおるわけでございます。そして、そういう趣旨から予算審議の前に今日この決算委員会をやっておると、こういうことでございます。  御案内のとおり、まだ雇用情勢とか地域経済、まだまだ厳しいものがあるわけでございますけれども、ようやく景気の方は設備投資や輸出に支えられながら何とか回復の方にこれ向かってきておると、株価もかなり上昇してまいりまして、日本経済の復活の兆しが確かに見えてきてはおるかと思います。だからこそということだと思いますが、この明るさを何とか本格的な回復軌道に結び付けていかないかぬと、こういうことだろうと思います。そういう観点に立ったときに、どうしてもこの予算というものを一日も早く成立さして、そして切れ目のない予算執行というものをやって景気を押し上げていかなければならない、こういうことだろうと思います。  そういうことで、予算審議に先立ってこの決算審査を今日こうやってやるということにつきまして、私も与党の筆頭理事として大変責任も感じるわけでございますし、そしてまた、今日この決算審査が本当に参議院らしい中身の濃いものになることを切に望んでおるわけでございます。そういうことで、それぞれ決算委員方々、一生懸命やられると思いますし、総理始め閣僚皆さん方中身の濃いひとつ答弁をよろしくお願いしたいということで冒頭に申し上げさしていただきます。  まず、それと、質問に入りますけれども、最初に総理に質問さしていただきます。  十一月二十日問題と言っても何のことか分かりませんが、憲法に従いまして決算決算書ですね、これは会計検査院検査報告も含めてでございますけれども、国会に、通常国会に提出すればいいということになっておるんですね。しかし、それを何とか二か月ほど早めて十一月の二十日までに国会に提出していただけないかということで、これもうずうっと過去取り組んできたわけであります。私も随分その点、財務省の皆さんやあるいは会計検査院皆さんにお願いもしたんですけれども、もう全然はしにも棒にも掛からない、ぱっとこう窓口でやられちゃって、にっちもさっちもいかない、それでずっとこう来たわけであります。  これをかねがねお願いしておるわけでございますけれども、何とか総理の力でこれを実現してもらいたい。これはもう参議院全体の悲願みたいなものでございますので、総理、いかがでしょう。この場でひとつ約束をお願いしたいと思うわけでありますが。
  5. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 本日、決算委員会予算委員会の前に開会されるというのは恐らく初めてじゃないでしょうか。衆議院予算が成立した後、参議院で直ちに予算委員会が開会されて、その後決算委員会が開かれるというのが今までの通例だと思います。しかし、衆議院参議院の役割というものを考えながら参議院としての独自性、主体性を出していこうという参議院与野党皆さんの認識といいますか、努力というもの、決算というものを次の予算に反映しなきゃいかぬということから、衆議院とは一味違った参議院の持ち味を出そうということで、今回、異例ではありますが、予算委員会の前に決算重要性を認識してもらおうということから、今回このような予算委員会の前に初めて決算委員会が全閣僚出席の下で行われるということだと思うんであります。それだけに、決算を重視している参議院意欲表れだと思いまして、敬意を表したいと思います。  また、この決算委員会予算委員会の前に行われるということは、決算を重視せよ、この決算審議議論をよく聞いて次の予算に生かしなさいという趣旨だと思っております。そういう意味において、今年の十一月にこの報告を出すという、これまた今までとは、こんなことできないということをやれという、これはやっぱり参議院全体の与野党を通じた強い意欲表れだと思いまして、政府としても真剣に受け止めなきゃならないと。できないできないと言っていたんじゃ駄目だ。どうやってこの参議院意欲というものを政府としても真剣に受け止めて実現に持っていくか。もうできるだけ努力をして、十一月に報告できるように全力を挙げて努力したいと思います。
  6. 岩井國臣

    岩井國臣君 十一月二十日に臨時国会が開かれていなければならないと思いますけれども、十五年度決算書を十一月二十日までに提出していただければ、早速、決算委員会をやりまして、その結果を十二月の予算編成に間に合わすことできるんですよね。そして、翌年になって通常国会が開かれれば、その予算審議に、衆参両方予算審議にその秋の決算委員会の結果が反映できると、こういう画期的なことになりますので、是非ひとつよろしくお願い申し上げたいと思うわけであります。  さて、現在、様々な問題が噴出しております。イラクの問題が最大の問題かも分かりませんけれども、そのほかにもBSEの問題やら鳥インフルエンザの問題やらあるいは年金の問題やら、そしてまたイラクと関連してODAの問題やら、その他様々な問題があるわけでございますけれども、私ども参議院自民党といたしましては、この決算委員会で、食の安全の問題と年金にかかわる問題と、それからODAにかかわる問題、この三つ重点課題としてひとつやろうじゃないかと。そのほかにもあるんですよ。そのほかにも様々な問題あるんですけれども、この三つの問題につきまして、本当に国民から批判の声が一杯寄せられておると。無駄が多いんじゃないかとか、どうなっておるんだということでございます。  国民不満が今にも爆発しそうな気配でございますが、そういったことに関連いたしまして、総理としては国民不満に対しましてどのように考え、どのように対処をしていこうとしておられるのか、その辺をまずお聞きしたいと思います。
  7. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 食の安全につきましても、あるいはイラクの問題につきましても、多くの国民皆さんは不安に思っておられる面も多々あると思います。内政、外交全般にわたりまして、少しでも現状を改善していこうと、良くしていこうという、そういう国民の思いに政治が後れているのではないかという批判不満というものを真摯に受け止めて、そのような国民意見をどのように実際の政策に反映していくか。こういう点につきましては、国会責任は極めて大きいと思いますし、国会審議状況というものを政府政策に反映していかなきゃならないということで、小泉内閣としての責任も大変重いと認識しております。  国会審議の場での意見というのは、与野党を通じて、国民各界各層の様々な意見を集約してきている議論でありますので、その点を真剣に受け止めて、どうしたら改善できるか、改革できるか、今後も懸命に努力をしていきたいと思います。
  8. 岩井國臣

    岩井國臣君 是非勝ち組の方はいいわけですけれども、そうでない方々もいろいろおられるわけで、不満がうっせきしておるわけでありますから、そこに対する一つ配慮というのは非常に大事なことではないかというふうに思います。  それと、今、鴻池委員長の顔をこう見ておってふっと思い出したんでございますけれども、やっぱりそういういろんな面を考えて説明していく、安心していただくようにしていくということも大事なんですけれども、もっと積極的に明るいもの、例の特区ですよ、鴻池さん、委員長特区をおやりになった。これは大分やんちゃ坊主みたいなところがあったなと思いますけれども、いや、これは、やっぱりこれ変わるぞと、日本はこれで元気になるんじゃないかという気がしたんですよね。  ところが、金子大臣地域再生プログラムですよ、これなかなか金子大臣の顔が見えてこないというか、これどうなっておるのかなと。これ特区とどう違うんでしょうか。
  9. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 鴻池委員長がテーブルたたいて風穴を開けていったと。大変評価をしておるんです。  一方、地域再生、基本的にはどこが違うか。特区も基本的には規制緩和なんです。ただ、保育園と幼稚園、これ特区で合体するときに、保育園の厚生省が要請した、使ったお金の返還をしなくてもいいというところまで踏み込みました。地域再生する、更にそれをもっと広げまして、例えば、これからの市町村合併小学校がどんどん廃校になっていく、こういう廃校になっていくものをほかの目的にも使ってもいいと。その地域事業者がその学校を、廃校になった学校を利用して事業をやってもいいと。事業というのは仕事ですね、やってもいいと。そのほかに、あるいは、例えば図書館を作るというようなときにはそれに対してリニューアル債小学校を改装して図書館作るというときには予算の方も用意していくということも対応するようにしてまいりました。  つまり、より幅広く使えるような仕組みを今度の地域再生の中では考えておりますし、同時に金融面、これも鬼怒川温泉、足利といったようなところではやはり一番金融の問題も中小企業ですからあります。そういうところに対しては政策投資銀行あるいは国の三政府系金融機関対応、より対応力を求めるというようなことも踏み込んでおります。
  10. 岩井國臣

    岩井國臣君 いや、規制緩和もやらなければいけないし、金融も特段の配慮をしていかなければならない、これはまあ当然のことだと思うんですけれども、先ほど申し上げましたように、地域経済が本当に悪いんですよね。中央はいいんですけれども、地方は駄目なんです。したがいまして、地域再生につきまして、規制緩和だとか金融だけじゃなくて、実際に何かやるときに金が要るんですよ、金が。予算を付けなきゃ駄目なんですよ。  その辺は、金子大臣、どのようにお考えになっているんでしょうか。
  11. 金子一義

    国務大臣金子一義君) これから考えていきたい。  それから、今回の地域再生の中でも一番考えていたことは、特区と違いまして予算補助金要件採択、例えばこの町では三十人の採択ならば補助金が出てくる。だけれども、しかし、実際この町では二十五人いれば十分だと、二十五人でその事業ができればより補助金が効率的に使われるではないか。補助金要件採択、つまり、その地域に合った事業補助金事業にしてやりたい。あるいは補助金統合化予算統合化。例えば、通信で言えば総務省が持っている通信農村地域が持っている農林省の通信、これを両方地域に一緒に下ろしてあげれば、そうしたら農村町部だと言わずに一括して、本当に地域がその予算使い勝手のいいものとして使える統合化でありますけれども、これは、今回私たちのスタートが遅かったということもあって、なかなか今それが、まだ制度としてはでき上がっていません。  今年度については、総理の御指摘もあって、使えるものは使えというお話をいただいておりますけれども、既にある予算の中で今申し上げた補助金要件緩和あるいは統合化というものを使っていって、そしてその地域が本当にこれをやりたいと、これをやることによって雇用も継続して出てくるというような地域については、今申し上げたような仕組みを作り上げていきたい。  従来のような財政措置を講じないと言っていますのは、従来は地域指定さえ受ければ、国が、予算が来て、そして地域がその裏負担を付き合うということでありましたけれども、私たち地域再生では、地域がこれをやりたい、どんなに、苦しいけれども、みんな県は苦しい。だけれども、そういう中でもこれだけの予算を付けるから国も考えてくれと、使い勝手のいいものにしてくれと、そういう言わば本当に地域にとって使いやすい仕組みというものを工夫してまいる、今それをやっている最中であります。
  12. 岩井國臣

    岩井國臣君 要するに、地方が大変なんですよね。本当に沈滞ムードというか、どうやればいいのか分からぬと、そんな状況があります。小泉改革に限らず、やはり改革は積極的に進めていかなければなりません、これはもう当然のことやと思うんですけれども。どうも、これはもう役人だけではないと思いますが、全般的に沈滞ムードというか、やる気がないというか、何かに向かって情熱を燃やしてこうやるというふうな雰囲気がないんですよね。  今、男女共同参画社会の問題、自民党の中でいろいろ意見が出ていまして、今そんな勉強もちょっと始まっているんですけれども、そのやる気の問題というか、ニヒリズムですよね、社会ニヒリズムというのが蔓延しているのではないか、そんな気がしてならない。そういう現代のニヒリズムみたいなものが何でそんなふうになってきているのかなというようなことを私もつらつら考えるんですよね。  そうすると、やはり国民全体、それぞれいろんな立場の人が、いろんな人がおるわけですけれども、この目標ですね、国としての一つ目標目標大臣総理大臣、何かないんじゃないでしょうかね。国家像が、この国を引っ張っていく国家像というものがないのではないかという気がするんですよ。そうしますと、それをせんじ詰めていきますと、やっぱりこの国を引っ張っていく哲学というのがないのではないかなというふうなことを私は非常に心配するわけであります。  総理是非、優秀な哲学者なんか総動員して、この国を引っ張っていく哲学というものをひとつ明らかにしてくれませんか。国家像というものを明らかにしてくれませんか。我々が進むべき、いろんな人が進むべき目標というものをひとつ指し示すようにしていただけませんか。総理、どうでしょう。
  13. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 哲学者意見を伺うというのも大事なことだと思います。哲学と政治は違いますが、いろいろな名論卓説持っている方々意見をどのように政治に生かしていくかということは、古今東西、政治の任に当たる者が心掛けてきたところだと思います。日本におきましても、これから新しい進むべき道、多くの識者の意見を聞きながら、これをどう今後の政策に生かしていくか、改革を進めていくかということで私も心掛けているつもりでございます。  やはり、日本の国家におきまして、これから、欧米に追い付き追い越せという戦後の目標を掲げてきたころに比べますと、もう今や単なる欧米の制度に追い付いたり追い越したりということだけでなく、いいものは学びながら、日本独自の歴史なり伝統なり文化を生かした行き方があるのではないかという気持ちが各界各層に出てきていると思います。  外交におきましても、日本国だけのことにとらわれないで、国際社会の中でどのような日本の役割があるんだろうか、国際社会の中でどのような責任を果たしていこうかという、そういう国際貢献の意見におきましてもいろいろな意見が出て、日本としても積極的に国際社会の平和と安定のために貢献していこうじゃないかというのもこれは大事な視点だと思いますし、国内におきましても、今、地域の中において、あるいはいろいろな振興策を考える場合においても、国から補助金をもらったり、あるいは税制の優遇を考えてもらったり、そうするんじゃなくて、自らの知恵や工夫を生かしてやっていこうという意欲も出ております。これは非常に大事なことでありまして、どのような国家におきましても、最も大事なことは自ら助ける精神と自らを律する精神だと思うんであります。国からお金をもらえば地域が発展すると、そうじゃない、現実に見ていくと。観光振興におきましても、あるいは地域の振興策を考えるにおきましても、お金がないんなら、自分たちの町をどうやっていこうかと。  例を挙げれば、ある町づくり、伝統、歴史を生かした町づくりを進めていこう、あるいは電線の地中化も地域が一体となっていこう、あるいは商店街も、今まで自分たちの店主だけで店をやっていたのを、廃業が多くなったらば人に貸そうじゃないかと。そういう、国からお金をもらおうというんじゃなくて、自分たちがやっぱりいろいろ知恵を働かせながらやっていこうと。  防犯におきましても、警察官だけ頼るんじゃない、地域、町内会、自治会がボランティアで見回りをしようじゃないかと、警戒しようじゃないかと。町並みはどのように考えていったら犯罪が少なくなるのか。  地域の振興におきましても、自分たちが、市に頼るんじゃない、自分たちの家々がその自分たちの家を外から見てどうやって美しくしていくかということを考えることによってよその町から見に来ると、こういう意欲も出ているわけであります。  やっぱり個人においても企業においても国家においても最も大事なことは、自ら考えて自らを助けようと、その精神、そしてやっぱり欲望に限りありませんから、それを自らを律する、制御する、こういう気持ちを持つというようなのがどんな時代においても私は大事だと思っております。  そして、やっぱり努力した者が報われる社会年金におきましても、やっぱり給付側のどれだけもらえるかということだけ考えていたんではこの年金制度は維持できない、給付の裏には必ず若い人が負担しているんだという、負担する立場も考えようと。お互いがやっぱり助け合う精神、そして足らざるところは自治体なり国なりから支援する。  この自助の精神、自ら助ける精神とお互いが助け合おうという精神と、そして足らざるところは国全体で、国民全体が、一人は万人のために、万人は一人のために、そういう精神を持って新しい日本の発展を期そうという、これが私はどのような時代においても最も大事なことであるというふうに認識しております。
  14. 岩井國臣

    岩井國臣君 そのとおりだと思います。総理のおっしゃっていること、間違っているわけではないと思うんです。しかし、私が哲学云々と言うことは、今言われたようなこともさることながら、歴史と伝統文化を我々継承していくというときに、日本の国における歴史と伝統文化のその真髄は何かと。  恐らくこれからの世界は、アメリカを中心とした西洋の文明というもの、今の科学文明だけでは世界は多分やっていけないんだろうと思います。日本の歴史と伝統文化のその真髄ですよね、日本のアイデンティティーですよ、それが何なのかということは分かっておるようで分かってないですよ。それはやはり哲学的な思索から明らかにしていく必要があると、私は私なりの認識あるんですけれども。要するに、アメリカを中心とした西洋のやり方だけでは世界はやっていけません。そこで、日本の歴史、伝統文化と真髄部分、そこが大事なんですけれども、私は違いを認める文化ではないかなと思っておるんです。まあ、それはいいです。  要するに、日本ならではというもので世界へ貢献していかないといかぬのではないか。そういうことで、ちょっとODAの問題もやらさせていただきたいと思います。  政府開発援助、ODAにつきましては、国民の間で大変な不信感が渦巻いております。私は、ODAにつきましてはもっともっと積極的に情報公開やって透明性というものを担保していかないといかぬ、そして政府の説明責任というものをしっかりと果たしていかなければならないと、こう思っておるんですけれども、外務省はまだまだ古い体質を引きずっていますね。今の外務省の体質ではとてもじゃないなという感じ、実はしておるんです。  ODAの問題というのは、予算を減らせばよいということではもちろんありません。透明性が問題なのでございます。ODAの多くはまだやみの中にあって、やみの中で何が行われているのかよく分からないというところが問題なんですよ。私は、我が国のこれからのありようを考えたときに積極的に国際貢献をしていかなければならないと思います。真に必要なODAは積極的に増やしていかなきゃいかぬ、そのように思います。無駄なものはもう思い切ってカットしていくということだと思います。ODAに対する国民批判、そこに集中しておるわけであります。その最たるものが中国へのODAですね。  この中国へのODAにつきましては、昨年の決算委員会でも我が党の世耕先生が取り上げられました。日本国内の経済情勢がこのように大変厳しい中、中国へは累積で既に三兆円を超える援助を行っている。しかも、しかもですね、そのODAの一部が訳の分からないところに流用されているのではないか、そんなこともささやかれておるわけであります。ささやかれておるどころか、大変大きな声になってきつつあるんですね。そこへやはり国民の不信感というものが渦巻いているように思います。  やはり、ODAというのは我が国民の血税を使うわけですから、当然ODAの目的どおり正しく使われ、そして、かつ相手国民の我が国に対する感謝の気持ちというものが伝わってこないといけないのではないでしょうか。昨年、世耕先生はその点を指摘されたかと思います。中国のODAに限りませんけれども、相手国民日本からの支援などとは全く思っていないというふうな、そういうケースが多いのではございませんか。やはり、ODAは我が国民の血税を使うわけですから、顔の見える支援でなければならないのでございます。  中国の問題は、昨年、世耕先生が取り上げられたということもございますし、この問題は大変な問題で短時間でやれませんので、またいずれ決算委員会でもやらさせていただくことがあるかも分かりませんけれども、本日はやりません。他の問題を取り上げたいと思います。顔の見える支援という観点から、まずイラクの復興支援を取り上げたいと思います。  イラクの復興支援につきましては、我が国は、自衛隊の派遣はもちろんのこと、ODAにつきましても積極的に行うべきであるというのが私の考えでございます。そういうことで、最初に外務大臣にお聞きいたしますけれども、イラクへのODA、我が国の場合、幾らか。アメリカ、イギリスなどの先進諸国と比較して多いのか少ないのか、その点、国際比較をしながら、外務大臣の評価というものをお聞かせいただきたいと思います。
  15. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) イラクでございますけれども、これは昨年十月にマドリッドで支援会議がございました。その会合で、我が国は最大限五十億ドル、うち十五億ドルが無償でございまして、三十五億ドル、最大限三十五億ドルが円借款という感じでございます。基本的に円借款ということでございます。  これに対しまして、ほかの国でございますが、米国、これは百八十六億ドル、約百八十六億ドル、これが全部無償資金ということであります。それから、欧州委員会とEU加盟国、これが総額約十二・六億ドル、これも無償資金の供与でございます。  そういった形で、このほかにもカナダ、豪州、北欧の諸国、サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦といった周辺国、それに中・東欧の諸国、そういった国が拠出の表明を行いまして、三十八か国及び国際機関によりまして総額三百二十億ドルのプレッジが行われたわけでございます。我が国は、一つの国ということで考えまして、アメリカよりも、アメリカに次いで二番目であるということであります。  評価という意味では、我が国の支援は、そういう金額を言ったということがほかの国の援助を引き出すという意味で呼び水にもなったという意味がございます。マドリッドの会議で、この会議の成功に日本が貢献をしたということについて、非常に主催国のスペインを始めとして大きな評価が寄せられました。  それから、先ほど透明性の重要性についておっしゃられまして、これは私ども、おっしゃるとおりだと思っております。それで、透明性、外務改革の一環で、経済協力については透明性の付与ということで相当な努力をいたしたつもりでございます。  例えば、イラクにこの間パトカーの支援をいたしましたけれども、入札で行いましたけれども、外務省のホームページを見ていただきますと、どこの企業が、企業名を具体的に挙げまして、幾らで入札をしたかということが全部今出ております。したがいまして、透明性という意味では、私どもは相当に、今まだまだやるべきことはあるかとも思いますけれども、十分に胸を張ってやれるというふうに自負をいたしております。  それから、ほかの国が感謝をしてもらうようなそういう援助ということもおっしゃるとおりでございまして、中国からも温家宝総理を始め日本に対して有り難いというせりふもいただいております。
  16. 岩井國臣

    岩井國臣君 日本イラクの復興支援に五十億ドルですか、十五億ドルが無償で三十五億ドルが円借款、こういうことですけれども、イギリスとかフランスは幾らでしょうか。
  17. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 先ほど欧州委員会、EU加盟国として総額十二・六億ドルというふうにまとめて申しましたけれども、内訳で申しますと、イギリスが一国として約四・五億ドル、それからイタリアが約二・四億ドル、フランスは具体的には一つの国としては幾らということを今言っていないと承知をいたしております。
  18. 岩井國臣

    岩井國臣君 これは、アメリカは特別ですよ。これはちょっと横へ置いて、そうすれば、日本イラクの復興支援に対するODA、断トツだということを私どもはしっかりと認識しておかなければならないというふうに思います。  そういう前提で、総理イラク国民に対し、世界平和を願う日本国民の、私どもの心情を格調高く切々と訴えてほしいというふうに思います。日本の自衛隊は戦争目的でイラクに行くわけではありません。あくまでもイラクの復興支援のために派遣されているわけであります。ましてや、ODAに関連する文民あるいは民間企業は武器を全く持たない平和の使者であります。ただひたすらイラク国民の生活安定のために働く平和の使者であります。特に、民間企業はイラク国民雇用の場を提供するために行く、そのことを是非切々と訴えてほしいと思うのであります。  その上で、ODAにつきましては民間レベルでの本格的活用を考えてほしい。イラク国民日本の民間レベルの活動を待っている。今、イラク復興プロジェクトが五千からようやく千プロジェクトに絞られて、ぼちぼち動き出そうとしておりますね。日本の業者がイラク復興協力事業のため多くの受注を確保してこそ、顔の見える復興支援につながるのではありませんか。  今年は、日露戦争ちょうど千年を迎えました。(「百年だ」と呼ぶ者あり)いや、百年、百年を迎えました、百年。日露戦争の勝利はイスラム世界に思わぬ反響を与えたようでございます。世界の中には冷めた意見もあったようでございますけれども、イスラム世界では賛美一辺倒だったというふうに言われております。そういった感情が、その後も日本に対する見方の基調になって今日に至っているという、この点は極めて大事なところだと思います。  エジプトの詩人が書いた「日本の乙女」というすばらしい感動的な詩があったそうであります。この詩をレバノンやエジプトなどでは教科書に載せて、ある世代までこれを暗唱していたそうであります。東洋では初めてロシアという巨大なヨーロッパの大国を打ち破った日本、その日本に対する期待を持って、自分たちの民族的悲運と重ねながら、いかにすれば日本のようになれるか、そういうことを語り合った世代があったということのようであります。イスラム世界におけるそういう日本に対する好感情というものは大事にしていかなければならないものと思います。  イラクでは、そういう日露戦争の評価もありまして、日の丸には特別の思いを持つ人が少なくないようであります。アメリカの星条旗では駄目なんです。イギリスのユニオンジャックでも駄目なんです。やはり日の丸の旗でないと駄目なんです。顔の見える支援とは、日の丸の旗を背負った支援であります。それをイラクの人々は待ち望んでいる。  総理イラクODAにつきましては、民間レベルでの本格的活用というものも是非考えましょう。イラク国民日本の民間レベルの活動を待っている。イラクに対するODAは私たち日本国民の顔の見えるものにしなければならないというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  19. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自衛隊によるイラクの復興支援、人道支援は、これは一部であります。自衛隊がすべてではないんです。そのためにも、早くイラクの治安の回復、そしてイラク人のイラク人による政府が作られなきゃいけない。そういう環境をできるだけ早く作るために米英始め各国が努力している。  日本としても、現在、外交官までが殺害される、民間人の方はなかなかそのような状況で出るというのは難しい。イラク国民は、早く日本の企業、電力にしても、いろいろな生活基盤の整備におきましても、あるいは病院の建設におきましても、過去、日本の企業がイラクの国づくりに果たしてくれたことに対して大きな評価をしてくれております。そういう状況が、一日も早く民間人も民間企業も積極的にイラクの復興支援活動に参加できるような、そういう状況を作るために、日本は国際社会と、また国連と協力しながらやっていかなきゃならない。  当面、自衛隊の諸君に、こういう厳しい状況の中で民間企業が行けない、民間人が行けない、しかし自衛隊ならできることがあるだろうということで今行っていただいている。これが早く多くの日本の民間人も企業も行けるような状況に、国際社会と協力しながら取り組んでいかなきゃならないと思っております。
  20. 岩井國臣

    岩井國臣君 是非よろしくお願いしたいと思います。  日本ODAの関係、まあある程度は国連ベースの支援ということにならざるを得ないと思いますけれども、できれば半分ぐらいは二国間タイドでお願いできればなと思ったりしておりますので、できるだけ日本の文民あるいは日本の企業が参加できるように、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  私は、昨年、マダガスカルを訪れた際に、フランスのNGOが日本の草の根無償資金を使って共同洗濯場を作り、地元の皆さんに非常に感謝されている、その状況というものを目の当たりに実際に見てまいりました。実にいいんですね。しかし、その反面で、草の根無償資金につきましては様々な問題点が指摘されておるかと思います。  平成十四年度決算において、会計検査院が五件調査したところ、実に三件に問題があるというふうに指摘されております。また、昨年の予算委員会におきまして、我が党の尾辻先生がドミニカでの草の根無償資金のずさんな使われ方について質問を行っています。外務大臣、よく覚えておられるかと思います。  そこで、質問でございますが、草の根無償資金につきましては、こうした問題点が多いことを踏まえて、外務省はしっかりとしたやはり調査体制というものを整えて今後の運用に当たっていただきたい、そのように思います。外務大臣、いかがでしょうか。
  21. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 草の根・人間の安全保障無償の良さにつきましては先ほど先生がおっしゃっていただいたとおりでございまして、これは非常にきめ細かに地域の事情に詳しい在外の公館が中心になりまして、そこで活動をしている日本、外国あるいはその国のNGO等を対象にしてやっていくもので、非常に評判が大変にいいということでございます。  他方で、おっしゃられたようなその問題が会計検査院から指摘をされたということであります。これは五件のうちの三件ということなんですけれども、実際会計検査院で検査をいたしましたのはセネガル、カザフスタン等の五か国で、平成十年、十一年度、十二年度、三年度で、三年間で実施をした二百八十六件、この草の根の無償の案件の中から特に問題のありそうな五件、これを選んで現地で実地の調査をしたというところでございます。そして、三件が決算書に上がってきたということでございます。  この三件につきましては、数年間計画どおりに活動した後で機材を売却を当方に連絡をしないでしたり、活動休止をしたりということもありましたし、事業が全く実施をされなかったというものもございました。それで、我が方といたしまして、これは外務省といたしまして幾つかのことを、指摘を受けた後、いたしました。  実施の要領に関するガイドラインの整備及び周知の徹底、在外公館の担当官の能力の向上、外部委嘱の拡充を通じてモニタリング体制を一段と強化をするということがございます。また、案件の選定、供与の限度額の決定の一層の適正化、これにも努めております。  草の根無償の場合に、この良さを生かしながら実施をしていくということについて、ほかの経済協力、大型の案件とちょっと違った側面があるというふうに思っております。これは、一つの案件、これは五百万だったり六百万だったりするわけですけれども、それを実施するのに大体各大使館一人しか担当官がおりませんで、一つの案件について十回とかそれぐらい現地のその相手方と話をしながら案件を形成をし、お金を供与するということでございまして、これが五年分ぐらいストックになりますと何十件というふうに案件がありまして、それを一人でずっとやっているというような体制でございます。  なかなかその人数に制約があるのでそういった点で難しい点はいろいろございますけれども、これは大変評判がいい、また現地のニーズに本当にぴたっと合っているということでございますので、それを大事にしながら、国民の税金であるということをきちんと踏まえてその運用については引き続き努力をしていきたいと考えております。
  22. 岩井國臣

    岩井國臣君 金は余り掛からないけれども、もう現地のニーズが物すごく強いと。そういう意味で、極めて足の速い、使い勝手のいいというか、足の速い支援だということで本当に喜ばれているんですよね。ですから、大いにこれから伸ばしていかなきゃいかぬと思いますが、実は問題もあります。  私、先ほどマダガスカルの草の根無償の話をしたんですけれども、日本の無償資金が行っているのがフランスのNGOなんですよ。日本のNGOじゃないんですよ、フランスのNGOに行っている。ほとんど皆そうじゃないですかね。草の根無償を日本のNGOが使って活躍してやっているというのは余りないんじゃないですか。そういう予算もないことはないと思いますけれども、マダガスカルへ行きましたらサザンクロスというすばらしい団体がございまして、外務省の支援なしに物すごいやっているんですよ。だから、そういうところへ何で日本の無償資金が行かないのかと、こう思ったりもするわけですけれども、いかがですか。
  23. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 我が国のNGOに対しても無償の同じようなものは、お金は出ておりまして、これは日本のNGO無償という予算的には別なカテゴリーで、草の根無償というのは現地あるいはその外国のNGOということでございます。これについてもきちんと金額は用意をいたしております。
  24. 岩井國臣

    岩井國臣君 日本のNGO向けの無償資金というのは予算が格段に小さいんですよ。小さいんです。だからそこが一つ問題で、だからNGOを育てなあかんという問題が片方にあるんですよ。ですから、是非日本のNGOをしっかり育てていただいて、そして顔の見えるやっぱり無償資金にやってほしいと、そのように思います。  さて次に、無償資金協力の一環であります食糧増産援助、通常、二KRと、こう呼ばれているようでありますが、この食糧増産援助につきまして、二KRネットというNGOもできたりしていまして、今まで厳しい、何というんですか、追及というのか議論がなされてきたようですね。  第一に、農薬による環境汚染が著しいのではないかという問題、そしてまたいろいろと不正も行われているのではないか、そんな指摘もあるんですね。そういうことで昨年、JICAの調査団を派遣されましたね。外務大臣、その際に、使われていない農業機械や農薬が一杯あったのではありませんか。外務大臣、いかがでしょう。
  25. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 調査を昨年いたしました。そして、これはレソトにございます、レソトでございますけれども、これは、ここでかんがいポンプ、そして歩行用トラクター、こういったものがまだ売られないで残っていたということでございました。  それで、食糧増産援助でございますけれども、外務改革で変える会というのを作りましたときに、この報告で、今、先ほど先生がおっしゃった農薬の適正使用ですとかあるいは環境配慮、こういった観点から抜本的に見直しをするということで報告がございまして、それを受けまして外務省としては方針を見直して、農薬については、これは原則として供与をしないということに決めました。ただ、国際機関が、例えばFAOが、これが責任を持って農薬を供与するというときには日本も協力をするということにいたしております。  それから、農薬を除く肥料、農業機械等の農業資機材につきましては、これはニーズや実施体制について十分に事前に調査を行って、そしてモニタリング評価体制を確認した上で慎重に供与の是非については検討するということでございまして、平成十五年度の食糧増産援助予算は六〇%の削減を十四年度比でいたしております。この減らした金額で十六年度についてもほぼ同じようなレベルに推移をするということで、今、抜本見直しをした上の新たな原則にのっとって食糧増産援助は行っております。  引き続き、こういった調査を踏まえまして政府間で協議をいたしまして、各国で政府間で協議をいたしまして、そういった渡した機材が当初の計画どおりにちゃんと活用されているかどうか、そういったことをフォローアップをJICAあるいは現地の大使館にて行うということを続けていく予定でございます。
  26. 岩井國臣

    岩井國臣君 私の持ち時間が大分なくなってきましたので、本当は、技術協力ですね、円借款と無償資金協力と並んで三大柱である技術協力の問題もちょっとやりたかったんですけれども、時間がございませんので、ちょっと次にダムの問題に移りたいと思います。これは円借款であります。  さて、マレーシアのケラウ・ダム建設計画というのがあるようであります。これは日本ODAでは過去最高の円借款になるようであります。このプロジェクトにつきまして、現地のNGOなどいろいろと反対の動きがある、反対の声が強いということでありますけれども、この点、外務大臣どのようにお考えになっているんでしょうか。マレーシアのケラウ・ダム建設計画につきまして、その概要とそれから今後の見通しについてお話しいただければと思います。
  27. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) このケラウ・ダムでございますけれども、これは、我が国はパハン・スランゴール導水計画というものに対しまして円借款を供与いたしました。その導水計画の一部でございます。  それで、このパハン・スランゴール導水計画は、ダムに加えて導水トンネルを建設をするということをいたしまして、クアラルンプールにおける水の需要に対してこたえていくと、そういう性格のものでございます。  それで、現地の住民との関係、NGOとの関係ですけれども、マレーシア政府が二〇〇二年の四月及び七月に関係の住民ですとかNGOの参加を得て説明会をいたしました。そして、この説明会には日本政府国際協力銀行も職員を派遣をいたしまして、その結果移転が必要となる、これは住民が約七十世帯移転が必要になるわけでございますけれども、その移転が必要な住民の代表から、この計画の実施には異存がないという旨の表明がございました。そして、その後も引き続きマレーシア政府と住民との間でこの計画については協議といいますか対話が行われているということだと承知をいたしております。  この経緯を踏まえまして、政府は二〇〇三年の三月にマレーシア政府との間で円借款供与のための交換公文を署名をいたしまして、今、国際協力銀行が借款契約の締結に向けましてマレーシア側と協議をしまして、準備を進めております。ということでございます。
  28. 岩井國臣

    岩井國臣君 マレーシア政府とそれから現地のNGOとの話合いがどうのこうのという今お答えをされたと思うんですけれども、一月の二十三日に、外務大臣あて、川口順子様、財務大臣谷垣禎一様、経済産業大臣中川昭一様、国際協力銀行総裁にも来ていますけれども、このスランゴール導水事業、円借款の決定についての見直しの要望というのか、何かこう行っていますよね。  相手方でもいろいろ問題になりますけれども、国内でも問題になるんですよ。そういう、NGO側にしてみれば、いろいろと問題のあるものについて、ODA資金協力、国民の血税ですから、資金協力すべきでないじゃないかという話がこれから出てこぬとも限らない。今はもうとにかく世界ネットワークの時代ですから、そういう、緑の党やないですけれども、とにかくダムの関係なんかももう世界じゅういろいろ走り回るんですね。それで、必ず日本でも火がついてくるように思います。  私は、やはり必要なもの。ダムに対するアレルギー物すごく強いんですけれども、やはり必要なもの。去年の三月、京都で世界水フォーラムありましたね。そこで、ダムは要らないじゃないかなんという人は一つもなかったんですよね。ということで、必要なところは必要なんだと。  しかし、やっぱりダム反対の動きは一杯ありますから、そういうことにひとつ惑わされないようにして、そのためには、国土交通省、これはダムの専門家多いわけでありますから、国土交通省だとか、農業関係であれば農林水産省だとか、外務大臣ですね、是非各省と、外務省だけでこれを握っておっても駄目ですよ。各省と協力して、連携をしてこのような問題に取り組んでいただきたい。そのことを最後にお願い申し上げまして、これ時間でございますので、次の私の同僚議員の質問にバトンタッチさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  29. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。中川義雄君。
  30. 中川義雄

    中川義雄君 今、私が食の安全と食料の安定供給について質問しようとしているその席に、大変痛ましいニュースが入ってまいりました。それは、姫路市内山中において男女の自殺死体が見付かった、それが九時九分に浅田会長御夫妻であったことが判明した、死亡が確認されたというショッキングなニュースであります。私は、御夫妻の、事の善しあしは別にして、命を絶たなければと、そういう心境について、心から痛ましい、御冥福を祈る次第でありますが、もし総理の感想があればお聞かせいただきたいと思います。
  31. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 浅田会長夫妻が自殺されたという報道でありますが、誠に痛ましいことだと思っております。鳥インフルエンザに対しまして、国民の厳しい反応、そして自らの責任を考えられて、その御苦労は大変なものだったと思います。  この自殺というのは本当に痛ましいことで残念でありますが、今後とも、食の安全について消費者の信頼をかち得るように、業者の皆さんもどのような対応が必要か、またそれを受けて、政府、行政の対応をしっかりとしなきゃならぬと思っております。  誠に、自殺ということを伺いまして痛ましく思っております。
  32. 中川義雄

    中川義雄君 私は、二〇〇一年の九月に国内でBSEが発生した、大変なショック、これをどうしようかと、こう考えていたその翌日が二〇〇一年九月十一日、ニューヨークにおける同時多発テロでありました。自来、アフガニスタン、アルカイダの掃討作戦や、またイラクにおける戦争、大変国際関係は複雑になってきております。一方では異常気象による砂漠化、酸性雨、そして耕地面積の減少、一方では人口の爆発、そんなことで食料危機が来るのではなかろうか、そういった大きな危惧が最近になって強まってきております。  特に、欧米諸国、先進国においては戦後ずっと飽食の時代が続いて、食料危機といったようなことがほとんどなかったために、ドイツのある学者は、先進国においては食料の自給率が七〇%を切ったらその国民の生存権が危うくなる、そういったことを言っている学者も出てきているようであります。  しかし、一方、この国の食料自給率を見ると、四〇%そこそこという数字であります。欧米諸国はほとんどの国が輸出国になっているのに対して、先進国の中で我が国独りだけが四〇%そこそこ。御承知のように、食料・農業・農村基本法においては平成二十二年度の食料自給率の目標を四五%に設定しましたが、最近その動きがどうなっているのか、農水大臣の見解を伺いたいと思います。
  33. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 現行の食料・農業・農村基本計画に掲げられております平成二十二年度までに食料の自給率を四五%にするという目標で、その達成のための条件と、こういう面では、何といっても総供給熱量の四分の一を占めます自給率ほぼ一〇〇%の米の消費、これが平成九年から六六・七%、平成二十二年に、六十六・七キロ、平成二十二年に六十六キログラムと、このように想定しておるわけであります。  それ以外の品目につきましては基本的には生産を拡大すると、こういうことでありますけれども、現実に麦、大豆につきましては、また砂糖につきましては生産が拡大を、増加がしておるわけでありますが、やはり米の自給率が減少していると。平成十四年度で六十二・七キロと、こういうことでございまして、また現状はそういうことで自給率、カロリーベースで平成十年度以降五年間、四〇%を推移しているということでございます。
  34. 中川義雄

    中川義雄君 ただいまのように、四六%、いや四五%を目標にしたが、ずっと横ばいで経緯している。私は、このことは大変大きな問題ではないかと思うんです。国民に対する食料の供給に私は大変な不安を感じているんです。これにどう対処するか、このことは国家的な大きな問題であると思います。これに対する総理の基本的な考え方を示していただきたいと思います。
  35. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今後、人口がますます世界で増えていく、そういう中で食料を自国で一定量供給体制を作るということは極めて重要だと認識しております。  しかし、現状を考えてみますと、今、農水大臣の答弁にありますように、国民の食の嗜好も変化しております。日本国内で生産される食物を日本国民が大いに食するということであればこの自給率というのは向上していくと思うんでありますが、現在、グローバリズムといいますか、世界各国の様々な食料が日本に提供されます。そういう状況にあっては、日本の食料自給率、確保するために日本の生産品だけを食べなさいということを政府国民に強要することもできない。そして、様々な国民の要求にもこたえていかなきゃならない。同時に、外国の農業、貿易のみならず農業、経済、あらゆる交流を考えていくということになりますと、農業問題のみならず経済全体という面も考えなきゃいかぬということで、日本としては、農産品だから自給率を確保するために外国の農産品を拒否するという状況にもないと思っておりますが、それだけにこの自給率確保というのは極めて重要な問題でありますが、現実を考えると、これはどうやって向上、自給率を向上させていくかというのは非常に難しい問題で、一番自給率を向上するという面に考えれば、もっと国民皆さんがお米を食べてくれればこれは自給率の向上にもつながっていくと思うんであります。  ところが、国民の嗜好もいろいろあります。パンを好む方あるいはめん類を好む方、いろいろ、肉の消費という面につきましても過去と違っていろいろ多い点がありますので、私どもは、この自給率の向上を図る努力をしていかなきゃなりませんが、同時に外国との貿易交渉というものを考えていかなきゃなりませんので、厳しい状況でございますが、できるだけ自国の消費者に合わせたような国内の食料生産体制をどう構築していくかということを真剣に考えていかなきゃならないとも思っております。
  36. 中川義雄

    中川義雄君 私は、ただいまの総理の答弁というのは私の見解とはかなり懸け離れたものだと認識しております。  私は、日本人が自らの持っている食文化、そのことを非常に大切にしなければならないと思っているんです。日本の食文化というのは国際的に見て非常に立派なものである。その日本の食に対する考え方というものは非常に世界から注目されているわけであります。しかし、私は、消費サイドからばかり言えない問題でありまして、やっぱり食料自給率の向上というのは供給サイドからもしっかり支えていかなければならないわけであります。  欧米においては輸出補助金を出している国が大勢を示しているというようなことを考えても、欧米がなぜそれをやっているか。食料危機に対して若干の余裕を持たすために貿易余力も持たせておくことが大切だという国民的な合意がそうさせているんだと思うんです。それに対して今日の日本の供給サイドを見ましたら、農村の人口は減少し、老齢化が進み、担い手が少なくなる。正に、供給サイドは存亡の危機に達していると思うんです。  この農村も農業も危機的状態にある現状を総理はどう認識され、それを克服していくのか、その考え方についても総理の基本的な考え方を示していただきたいと思うのであります。
  37. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、今、私、答弁した中にも含まれておりますが、生産者のみのことだけでなくて消費者の嗜好を考えるということも現在では大事ではないかと思っております。  日本は、自給率向上といいましても、畜産等を考えましても、えさはほとんど輸入品ですから。日本の食文化大事にすると。おすしを例に取ってみても、ほとんど輸入品が多いんですよ。こういうことを考えると、自分の国だけで国民の食生活を賄うような体制を取れと言うことは簡単でありますが、現実につきましては、どれだけお金を投入するのか、これを考えるとなかなか難しい面もあるんです。供給者の側の立場と消費者の側の立場、これは非常に難しいですよ。供給者の立場と消費者の立場をどう調整していくかというのが大事であって、日本の農業も、輸入拒否ばっかりでなくて、輸出できるということもやっぱり考える必要があるんじゃないかと。  現に、中川議員の地元の北海道ではナガイモを輸出していると聞いています。これは限られた市場でありますけれども、日本人が想像していなかった現象が現に起きているわけであります。ナガイモを日本の人たちが食べる以上に輸出に回さなきゃならないから、今、需給が逼迫しているという状況だと考えております。あるいは、果物でも今輸出を考えている地域があると、鳥取とか、めんにおきましては輸出も考えていると。  ですから、私は、輸入を防ぐということだけでなくて、日本の農業というのは輸出も考える時期に来ているんではないかと。安ければ安いほど売れるという食品もありますが、高くても質がいいもの、健康にいいものは売れるという状況でもあります。そういう点もやっぱりよく考えていく必要があるんではないかと。農業の輸入は阻止すると、生産者に奨励金を出そうというだけでは私は自給力向上につながらないのではないかと思っております。
  38. 中川義雄

    中川義雄君 私は今、消費者の立場も後から言います。大切なことだと思います。今、供給サイドからの話をしているわけでありまして、今、農水大臣に、総理がああいうことを言うものですから聞かせていただきますから。  この小泉内閣が成立して、農業予算は毎年一千億ずつぐらい減額されているはずであります。それに対して、アメリカにおいてもEUにおいても、この間農業予算はずっと厳しい財政の中でも増嵩しているんです。この違いというものは非常に大きなものだと私は思うんですが、担当農水大臣としての考え方を示していただきたいと思います。
  39. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 食料の自給率の問題、これは限られた国土の中でいろいろ安定供給を図るための努力をしなければならないわけであります。  今、委員御指摘の生産の面につきましては、いわゆる高齢化の問題あるいは遊休農地の問題等々ございます。そして、そういう中でやはり私は、担い手の育成と、そしてやる気と能力のある農業者と、これを後押しをする施策を進めなければならないと。そういう面で、経営所得対策等につきましても、外国の例も参考に、今、食料・農業・農村政策審議会の企画部会におきまして精力的にいろいろ議論をしていただいておるところでもございます。  そういう面で、農地制度の問題、あるいはまた環境、水との問題等々を含めて全体的なその議論をできるだけ早くしていただきたいと。七月に論点整理をしていただくと、そういう中で来年度の概算要求に間に合うものは間に合うような形で進めて、そして来年三月の基本計画の見直しをして、総理からもお話がありましたが、やはり構造改革を進めて、そして足腰のしっかりした農業、これを養成して、そして生産の面での自給率の向上、これを考えてまいりたいと、このように思っております。
  40. 中川義雄

    中川義雄君 私は、今なぜ最初に言ったかというと、輸入に余りにも依存していると、それがいろんな要因によって阻止される場合が考えられる、この厳しい状況、そして、いつどんな大変な不作が起きるかもしれない、そんなときやはり自らの国で少しでも自給率を向上することに、この食料の安全供給ということを考えたら、それを基本に置かぬとならないと思っているんです。  一方では、WTOやFTA交渉の中でよく聞くのは、自由貿易にとって農業が非常にネックになっているという声が聞かされるわけであります。  自由貿易の振興も私は大事だと思いますが、その結果、農業にしわ寄せが来るということになりますと、それこそ食の国民に対する安定供給という面から見たら、特に都会に住んでいる方々、こういった方々はいざ何か起きたらパニック状態になるかもしれない。そういうことを考えたら、やはり食を守るということは私は大変重要だと思うんですが、小泉総理、再度見解をお伺いしたいと思います。
  41. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 食料を安定的に供給するということ、そして食の安全を確保することと、それと同時にFTAを推進するということ、両立していかなきゃならないんです。一方だけ偏るわけにいかないんです。そこが政治の難しさでありますので、私は両立するように、理解を得るよう努力していきたいと思います。
  42. 中川義雄

    中川義雄君 調和の取れた政策が大事なことですから、私はその中でも、まだ四〇%そこそこにある食料の自給率というものが大変危機的な状況であるということは常に念頭に置いて調和のある施策を取っていっていただきたいということを強く要望しておくわけであります。  また、我が国のように、農用地面積が非常に限定されている国ですから、そういった意味からも自給率の向上には非常に大きな限定条件になっているわけであります。  しかし、そういう中でも、国民に対する食の安全を保障するというのは政治の、また国家の最も大切な仕事だと、こう考えるわけでありますから、自給率向上とはまた別に食の安全供給のためにどのような施策を考えているのか、農水大臣の考え方を示していただきたいと思います。
  43. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 委員からも今御指摘がございましたが、国土の資源に制約がある我が国におきましては、やはり食料の安定供給、こういう面では何といっても国内農業生産の拡大、この努力をいたすわけでありますが、やはりこれと同時に、やはり輸入と、また備蓄のことも適切に組み合わせていかなければならないわけであります。  輸入につきましても、国内で生産できないものもあるわけでありまして、そういう面で国民の需要にこたえる、これは必要なことであります。しかし、農産物の貿易、これを見ますと、やはり生産量のうちに貿易に回る部分、これはやはり大変割合は低くなる傾向もあるわけであります。そういう面で、また少数かつ特定の国と、こういうところに輸出量が大きな割合を占めている、こういう問題もあるわけでありまして、常に安定的に行われる、こういうことが重要なわけであります。  そういう面で、平素から、何といっても国内外の需要動向、これらの情報収集、また分析という、これは必要なことと、こう思います。また、あわせて、主要輸出国との安定的な関係を維持する、これはまた必要なことでありますし、情報交換ということも必要なことであります。  また、備蓄につきましても、主として米でございます。供給の多くを輸入に頼ります食料用の小麦であるとか大豆につきましては、やはりそのことも考えなければならないわけでありまして、いわゆる国内生産と需要の動向、これを適切にそして考え、また国内の不作時にどう対応するか、こういうことを考えていかなければならないわけでありまして、そういう面からもやはり国民の理解が得られるように食料の自給率の向上、これを図っていくことのその基本はやはり食料の安定供給、国内生産と併せて安定的な輸入の確保、こういう面から食料の需給と、供給というものをしっかり考えてまいりたいと、こう思っております。
  44. 中川義雄

    中川義雄君 主食である米の安定供給ということは非常に大事であります。瑞穂の国、やっぱり日本文化をずっと支えてきた米、これがまた大変な危機状態に来ていることも大変、事実であります。  水田地帯は大変苦しみが重なっております。そういう中で、今、大臣も備蓄について、特に主食である米の備蓄についてお話がありましたが、私はそういう中で、総理大臣特別補佐官であり危機担当副大臣である方がもみ米一億トン備蓄計画というのを、大構想を発表されております。私はそれを読んで、ここまで考えなければならないのかなというような考え方を持ちましたが、しかしその内容を見ますと、私は共感することが非常に多かったわけであります。しかし、このことについてはまだ正式に副大臣からの政府の見解としての発表があるわけではないですから、今のところまだ一個人としての見解でありますからこれ以上深く聞くことはやめたいと思いますが、しかしそれにしても、主食である米の安定供給、そしてまた米作農家の安定性を考えたら、一定の備蓄をしておかないと、いざ、平成五年のあの例もありますから、大変なパニック状態になる可能性がありますから、米の備蓄が現状でいいのかどうなのか、一億トンまで備蓄しなくても今の程度でいいのかどうかということ。しかも、それが米の場合、玄米で備蓄するとすぐ古々米という形に品質が下がってきます。ほとんど商品価値がなくなってくる。それに対して、もみ米ということになると、この副大臣も言っていますが、三十年前のもみ米を私は食べたがまだ立派な味がしたという、そういう見解でもありますから、備蓄方法も考えるべきではないのかと思いますが、大臣、改めて見解を示していただきたいと思います。
  45. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) もう委員御承知のとおり、昨年は米の不作と、こういうことで、まだしかし百五十万トンの備蓄がありました関係から、消費者の皆さん方に心配のないような形での供給が図られておるわけでもございます。備蓄の重要性というものを十分承知をしておるところでもございます。  具体的には、平成十三年に備蓄運営研究会の報告をいただきまして、過去の作況変動によります翌年の増産可能数量を考慮いたしまして、十年に一度の不作、作況指数九二や、通常の不作、作況九四と、こういうことが二年続いた状況でも対処できる百万トン程度の備蓄水準と、これを基本といたしまして、また、御指摘ございましたが、財政的な負担の問題があるわけでありまして、もみによります備蓄につきましてはいろいろ問題点があるわけでありまして、やはり財政負担に留意をしながら国民の理解が得られる効率的な観点から考えていく必要があると思いまして、回転備蓄方式と、こういう備蓄の運営を行っているところでもございます。適切な備蓄を確保して安定供給が図られるように努めてまいりたいと、こう思っております。
  46. 中川義雄

    中川義雄君 要するに、古々米になるとえさにしか需要がないというような形になるわけであります。ですから、経済性を見ても、私は、もみ米で備蓄していくことの方が将来米としての製品価値というものを考えたときは、それからまたもみで備蓄した方が加工にその分だけ手間が省かれて費用が省かれているということも考えなければならないと思いますから、これはもうこれ以上深く追及しませんが、そういうこともやはり真剣に考えておくときではないのかと、こう思うわけであります。  BSEの発生、このことが食の安全、安心に国民が本当に大きな関心を寄せた、そういうこともございまして、主食の安定供給をずっと戦後一貫そのことを担っていた食糧庁が廃止されて、それを契機にして消費・安全局が農林省の中に新設されました。また、内閣府には食品安全委員会を設置しました。それぞれの役割とそのやってきた成果等について、それぞれの当局の皆さん方の御意見を、考え方を示していただきたいと思います。
  47. 中川坦

    政府参考人中川坦君) お答え申し上げます。  農林水産省におきましては、従来、農林水産業といった産業振興の業務を行う部局と、それから食の安全性確保のためのリスク管理を行う業務と、こういったものが明確に区別をされずに同一の局で実施をされてきたわけでございます。ところが、BSEの発生を契機といたしまして、これでは両者の間のチェック・アンド・バランスが十分に機能しないのではないかといった御指摘がございました。これを受けまして、一昨年の六月でございますけれども、食品安全行政に関する関係閣僚会議の取りまとめにおきまして、消費者保護や食品の安全性確保に万全を期す観点から、このリスク管理部門の産業振興部門からの分離、強化を図るという方向が示されたわけでございます。  こういった関係閣僚会議の決定を受けまして、農林水産省におきましては、食の安全確保のため行政の再構築を図るという考え方の下に、昨年の七月に食糧庁を廃止をいたしまして、省内の産業振興部門から分離、独立をして、消費者行政とそれからリスク管理業務を一体的に行います消費・安全局を設置をいたしました。  こうした新たな体制の下で、国民の健康保護を第一に考えまして、BSE、あるいは最近では鳥インフルエンザ等の様々な問題に対しまして迅速的確な対応を心掛けることによりまして、食の安全、安心に対する国民それから消費者の方々の信頼の回復に努めているところでございます。
  48. 中川義雄

    中川義雄君 もう一人いたな、済みません。
  49. 梅津準士

    政府参考人(梅津準士君) 食品の安全確保のための行政は、食品の安全に影響を与える危害要因の大きさに応じた形で行われる必要があります。食品安全委員会は、この危害要因の健康への影響、すなわちリスクを科学的、客観、中立公正に評価するために設置されたものでございます。  委員会発足以来、食品添加物、農薬など二百七十四品目について厚生労働省、農林水産省から評価の要請を受けまして、このうち五十四品目について既に評価結果を通知し、また全国各地において意見交換会の開催など、消費者、食品関係事業者等との双方向の意見、情報の交換を進めてきております。  今後とも、リスクの大きさに応じた行政対応を行うというリスク分析の基本的考え方が広く普及、定着するよう、科学に基づく食品安全行政の推進に取り組んでまいりたいと思っております。
  50. 中川義雄

    中川義雄君 私は大変高く評価しているわけでありまして、このような安全のための努力というもの、そのために、最近になってBSEが十頭目、そして、つい最近は北海道で十一頭目というように重ねて発見されておりましたが、当初とは違った消費者の動きであります。それは何といっても、しっかりとした安全対策、全頭検査、そして危険部位の除去、そしてまた、もうこんなことまでやるのかと思われるような肉骨粉の焼却、そういったことが国民から信頼されてこのような落ち着いた動きになってきていることを私は高く評価したいと思っているわけであります。  そういう中で、アメリカにおけるBSEの発生がありました。アメリカからは、是非安全なんだから輸出をと、我が国に対して輸入促進の強い働き掛けがあると思っております。私は、どんなことがあっても、我が国でやっている検査、それと同様な検査が行われない限り一切それは認めるべきでないと、そう考えますので、農水大臣の決意を伺いたいと思います。
  51. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 米国産の輸入再開につきましては、消費者の安全、安心と、このことを第一義に基本的なこととして考えていかなければならないわけであります。  そういう面で、屠畜場におきます全頭BSEの検査と、また特定危険部位の除去と、このことを再三申し上げておるわけでもございます。やはり、米国からは日本の消費者のニーズに合うものをやはり出荷されるということを、私は基本的なことではなかろうかと、このように思っておりまして、現在、この再開につきましても米国から特別な提案もないわけでありまして、日本が取っておるような対応、これが提案をされると、このように期待をしているところであります。
  52. 中川義雄

    中川義雄君 そうはいうものの、大臣、一方では牛肉の消費に対する国民の一定の期待、そういったものがあるわけです。何といっても、アメリカからは三割弱の、国内消費の牛肉の三割弱の輸入があったわけですから、国民の食生活に大変な影響を与えるわけであります。  そこで、もう一つ大事なことは、牛肉の国民に期待にのっとった供給をどう図っていくかという、また輸入だけを一方的に止めるだけじゃなくて、供給サイドからどのような、この大きな欠けた部分をやっていくかということが大事なことだと思いますので、大臣の見解を伺いたいと思います。
  53. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 今、委員からも御指摘のとおり、牛肉の消費量の約六割を海外に依存しておるわけでありまして、中でも米国産牛肉は輸入牛肉の約半分と、したがいまして国内消費の約三割を占めると、こういう状況であるわけであります。  そういう面から、米国におきますBSEの発生のように、世界の牛肉貿易が不安定な要素を有しておることにかんがみまして、引き続き国内生産の維持増大を図るとともに、また海外の生産、輸出情報の収集、提供を通じまして、民間ベースによる輸入の円滑化を図ることが重要であるわけであります。  国内生産におきましては、短期的に拡大することは困難でありますけれども、平成十六年度の予算におきましても、和牛繁殖地域の活性化と育成を図るための取組を推進するなど、肉用牛の頭数の着実な拡大に努めていただくような施策も進めておるわけであります。やはり、短期間にできないわけでありますので、担当官を豪州に派遣をするなどいたしまして、今いろいろ調査をいたしました。  そういう中で、やはり豪州産の牛肉の一部には米国産の代替として我が国でも需要が見込まれる高品質な部分肉があるわけでありまして、供給余力もあると、このようにも報告を受けておるわけでありまして、これ商取引によりまして行われるわけでありますが、今後ともこの牛肉の需要動向、これを十分把握をいたしまして安定供給の確保に努めてまいりたいと、このように考えております。
  54. 中川義雄

    中川義雄君 山口県において、そしてまた大分県、先日は京都府において七十九年ぶりかに、鳥インフルエンザの発生がもう次から次起きてきております。また、東南アジアにおいては鳥インフルエンザによる人間の死者が出たというようなニュースも聞いております。国民の健康に対しては相当大きな影響があると思われますので、しかも京都での発生は養鶏農家からの通報に大変時間的なずれがあったとも聞いております。  この問題について、これをどう対処していったらいいのか、このことについて、まず農水大臣厚生労働大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  55. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 高病原性鳥インフルエンザのことにつきまして、山口県及び大分県におきましては通報が早かったと、こういうことで、ウイルスの発生場所以外に拡大することがなく、家畜伝染病予防法とあるいはまた防疫マニュアルによります対応と、こういうことで蔓延防止がうまく機能したわけでもあります。  しかし、京都のケースは、今委員からも御指摘の、養鶏業者からの通報がなかったと。そしてさらに、大量死亡の後も生きた鳥等の出荷を続けて、出荷先でも感染が確認をされたと、またさらには近隣農場で感染したと、鳥が発見をされたと、こういうことであるわけであります。  こうした中で、私も京都の現場に参りまして、三月三日に、省内の対策本部におきましても通報義務の明確化による早期発見、早期通報の確保や行政の連携の緊密化など蔓延防止強化策を更に指示をしたところでありまして、特に早期発見、早期通報が何よりも重要であるわけでありまして、三月四日に通知を出しまして、各都道府県が養鶏業者に対しまして、毎週一回、異常の有無などにつきまして報告を求めるよう指導をしたわけであります。  また同日、都道府県の担当部長会議を招集いたしまして、その趣旨を徹底し、各県、情報の緊密な連携と、またその対応と、これを取る体制を取ったわけでもございます。  是非、発生農場に由来する鶏肉及び鶏卵につきましては、これを食べることによる鳥インフルエンザの人に感染した例は世界的にないわけでありまして、卵あるいは鳥肉と、そういう面では今そういう報告がないわけでありまして、是非国民皆さん方に御理解をいただきたいと、そして私どもも正しい情報の提供に更に努めてまいりたいと、このように考えております。
  56. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 私の方で取扱いをさせていただく問題としては、二つ大事なことがあるというふうに思っております。一つは、国民皆さん方に食品として安心をしていただけるようにすることでございます。もう一つは、この鳥インフルエンザから人への感染を防ぐという意味でございます。  初めの、食品としての方につきましては、これは、早く知って、そしていわゆる食鳥処理場で、ここでもうストップさせなければいけません、感染しましたものにつきましては。そこが遅れましたためにスムーズにいかなかったわけでございますので、これから農林水産省と緊密な連絡の下に早く、一刻も早くそこをお聞きをして、そして食鳥処理場でそこをストップをするという体制を整えたいというふうに思っております。また、検査等も強化をしたいと思っております。  もう一つの方の、人間に感染する方につきましての危惧もあるわけでございまして、そうした意味では、特に鳥を扱っておみえになる皆さん方におきましては、ふだんから予防的な措置を取っていただくように一つは徹底をいたしておりますが、とりわけインフルエンザが出ましたこの養鶏場等におきましては、その皆さん方に防護服等の体制、あるいはまた予防投薬等々を行って万全を期していただくという体制を取りたいというふうに思っておりますし、現在既に取っているところでございます。
  57. 中川義雄

    中川義雄君 浅田御夫妻の死というものは重く受け止められなければならないと思っております。その要因はたくさんあったか知りませんが、やっぱり最大の原因は通報が遅れたと、そのことに対する責任というものが非常に大きくなってきている。  そうすると、なぜ通報が遅れたかということを我々考えなければならない。移動制限措置その他について、すぐそういう負担は生産者に掛かってきます。しかし、それは強制的に掛かってくるが、それについての補償措置というものは全然ないわけであります。ですから、二十万羽も飼っていて、大変な借金をしてやっている中で、これが補てんされないということになりますと人間としての弱さが出てくる可能性があるわけであります。  そういうことを防止するためにも、家畜伝染予防法を改正して、補償措置といったものをこの際思い切って考えていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
  58. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 今、委員からも御指摘のとおり、今回の三例目の京都のケース、これはやはり通報の問題があるわけでありますし、重大な問題と、このようにも認識し、また蔓延防止に全力、万全を期さなければならないわけであります。  そういう面で、養鶏業者が迅速に通報することが極めて重要でありますし、またそのためにも、通報しても当該地域の関係業者が大きな損失を被ると、こういうようなことのないことが必要なわけでありますので、そういう面で、今まで山口県の補償もそれなりの措置をいたしております。やはり今日まで、山口県のケースまではケース・バイ・ケースでと、こういうことで対応してまいりましたが、やはりこの蔓延防止の徹底を図るためには制度化をすると、こういうことでしっかりした対応をしてまいりたいと、このように考えております。
  59. 中川義雄

    中川義雄君 よろしくお願いしたい。  時間が来ましたので、ここで終わらせていただきます。
  60. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 続いて、関連質疑を許します。藤井基之君。
  61. 藤井基之

    ○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。私の方からは、国民の生活に非常に関係の深い、関連の深いといいましょうか、身近な問題といいますか、年金の問題であるとか医療と社会保障の分野に限って質問をさせていただきたいと存じます。  ここに厚生労働省から資料をいただいたんです。二〇〇〇年の年金、公的年金の給付額がどうなっているかという数字なんですけれども、四十一兆円を超えているんだそうですね。四十一兆円を超えているということは、これ我が国の国民所得の一割を超えているということを意味していますよ。  十四年の国民生活基礎調査、この数字で見ますと、高齢者の方々の一世帯、世帯当たりの所得、この所得金額というのは三百四万六千円。公的年金と恩給で幾らそのうちのウエートを占めているかといったら約七割、二百十二万六千円。これは公的年金と恩給による所得なんです。これからも明らかなように、特に高齢になってからの国民の生活というのは年金に大きな依存がある。しかも、これから先、高齢化は進むということになっているわけです。  現在の六十五歳以上の人口、これは十四年十月現在でたしか約二千四百万人、六十五歳以上の方がいらっしゃるわけです。この数字は全人口の一八・五%ですよ。これ推計によれば、二〇五〇年になったときにはどうなるか。約五十年先ですけれども、これは三千六百万人になるという。しかも、平均寿命は、おかげさまでいろいろな環境整備、医療整備があって延びていく。男性も、今七十歳代ですけれども、八十歳に届く、女性はもう九十に届くところまで平均寿命が延びるという、そういった社会になっている。  こういった社会において、これ、どういうふうな社会保障問題の、経済状況どうなるかという話と、いろんな仮定の下に計算されていると思うんですが、一つの、これ厚生労働省が出された数字なんですけれども、医療費は現在三十一兆円超えた辺りの数字、これが二〇二五年には六十兆円を超えると言っている。介護保険の給付費、これ今五兆円ですよ、これが二十兆円行く。年金の支給額は今四十一兆円。この数字は八十兆を超えるんだと、こう言っているんですね。つまり、厚生労働省の見通しによると、現在約八十兆円の社会保障費というものが、これは二〇二五年には百七十六兆円になるんだと、こう言っているんですよ。大きな額です。  この推定の前提というのは、幾つかあるわけでございますけれども、その一つには、将来人口がどうなるかという前提の下にこの話というのはされるわけです。この将来人口というのは、厚生省の外郭といいましょうか、管轄している研究機関が、人口問題研究所が出している、五年ごとに将来推計をしてくれている。いろいろなデータからいろいろな見方で、その推計は、将来を推計するわけですから、一つの数字を言っているわけじゃないんですね。特に少子化が極端に進んだ場合、そしてそれが緩やかな場合と、そしてそのどっちかというと真ん中のような数字を出している。この真ん中の数字がいろいろな推計のときに使われてくる。でも、この推計数字見ると、残念ながら外れが多いというかな、どうも精度が悪いんじゃないかと言われている。  一生懸命やっているのはよく分かるんですよ、人口問題研究所。この人口問題研究所というのは、評価が国際的に高いと言われている。で、いろいろな調査をしていろいろと推計する、当然推計が、将来の推計ですから何が起こるか分からない。これは人口がまだたくさん生まれていたころで、ごうのとら年だったのでどすっと落ちた。こんなこと推計しろなんてできるわけはないんだと私は思うんですよ。で、推計した数字にならなきゃいけない、推計した数字に引っ張られて、例えば社会保障政策をそっちに曲げていくんだったら、これはやっぱりおかしい。だから、政策もあるし経済の動向もある、それらも踏まえて推計をしなきゃいけない。  人口問題研究所、一生懸命やっているのは分かるんだけれども、ここの将来推計、何とかもう少し精度を上げる、確度を高めるために調査研究体制というものをもうちょっと充実強化しなきゃいけないと思うんですけれども、どう考えられますか。
  62. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お答え申し上げます。  まず、人口推計の評価についてのお尋ねでございますけれども、まず背景から申し上げますと、私ども国立社会保障・人口問題研究所におきましては、平成十四年一月に日本の将来推計人口の取りまとめを行っているわけでございます。この推計におきましては、平成十二年に実施されました国勢調査に基づきまして、その人口を基準として、人口学的、統計学的な手法により行っているものでございます。  今回の推計におきましては、特に出生率の将来見通しにつきましては、従来から判明していました未婚化、晩婚化の要因に加えまして、今回新たに判明をいたしました夫婦出生力の低下と、こういう最新の要因を踏まえまして推計を行ったところでございます。  その結果、二〇五〇年時点の出生率は、中位推計で申しまして一・三九程度にとどまる見通しとなってございますけれども、現段階におきまして見込むことのできる要素すべてを織り込んだ見通しでございまして、そういう意味で、私ども、適切な推計結果であると考えてございます。  なお、国立社会保障・人口問題研究所の研究体制についてのお尋ねもございましたが、人口分野に係る研究者につきましては、国連の人口開発委員会議長なども歴任されました阿藤所長を始め、二十余名の体制、研究体制で調査研究に取り組んでいるところでございます。また、関連経費といたしましては、平成十五年度予算におきまして、予算状況厳しいわけでございますけれども、約一億一千万円を確保しているところでございます。  さらに、この研究所におきます人口分野の調査研究の成果につきましては、所内の研究者におきまして海外の学会あるいは専門誌に発表されるなど、国際的に見ても高い水準の調査研究が行われているものと考えてございます。
  63. 藤井基之

    ○藤井基之君 るるやっていただいているのはよく分かるんですよ。ただ、これ、これ新聞記事なんで見られたかどうか。でも、どう書いているかといったら、暮らしの安心というコラム、コラムというか、そういうシリーズ物で、甘い人口推計、不信増幅と書かれているんですよ。もう調査やなんかはよくやっているというのは私、認めますよ。一生懸命やっていることも分かる。でも、それでもこう言われるんだから、今やっているのはいいよだけじゃ済まないんだろうと私、思いますね。是非、この精度というものはやっぱり高める努力をしてもらいたいと思います。  この少子化の問題というのは社会保障全体に影響してくるんですよ。年金だけじゃない、医療についても介護についてもかかわる。各々は、制度改革のときに、特に負担をする金額をどうするのか、給付をどうするかというバランスが今検討に非常に力を注いでいる。その前提がこの人口推計問題なんですよ。だからこそお願いしたい。  医療費の問題について、小泉総理いらっしゃるので、一つ……(発言する者あり)はい、分かっております。分かっております、はい。いやいや、一つ、ちょっと、もう一つしゃべってからにさせてください。  十四年に小泉総理のリードでいわゆる医療制度改革をしましたですね。このときは総理が提唱なすった三方一両損だという方針でやった。いろいろ議論がありましたけれども、結果的にそういうことで十四年の四月に医療費を改定しました。マイナス改定を初めてした。そして十月には、老人医療費の一割定率負担を導入した。そして昨年の四月には、これは健康本人の本人負担を三割にした。こういった制度改革、着々とやってくれた。で、じゃ、これで結果はどうなったのかという話なんですよね。  私が聞いている限りにおいては、医療費が確かにマイナス成長になっているんだということは言われている。これも一つのこの制度改革の成果かもしれない。でも、制度改革の目的というのは医療費下げることだけだったんじゃないと思うんですよね。  例えば、この医療費下がったことの一つの理由は、患者の窓口負担が増えるんだから、だから医療に掛かりたいのを控えて、抑えて受診をしなかったとか、そういったことも医療費を下げた一つの要因じゃないかと指摘する人もいるんですよ。そうなったら何のための医療制度改革かということになるんだと思うんですね。私は、是非、この医療制度の見直しというのはお金の問題だけじゃないんだということを踏まえた対応を取ってもらいたいと思うんですけれども、大臣にお伺いします。
  64. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 最初の統計のお話でございますが、私は、このまま自然に推移すればどうなるかということよりも、やはり年金にしろ医療にしろ今後の統計についてはこういう政策を行うということとセットの話だと私は思うんです。それがなされなければならないわけでありまして、今後のこの統計、例えば合計特殊出生率一・三九というのを挙げておりますけれども、そうなるような政策をどうこれから構築をしていくかということと関連するものと私は思っております。  それから、今の医療費のお話でございますが、確かに平成十四年、十四年ですね、ここはマイナスの〇・七%というふうに下がりました。今までもずっと上がり続けたのが少し下がったことは事実でございます。しかし、平成十五年になりましてから、四月からこの九月までの間を見ますと、ここでもうプラス一・六%というふうに反転いたしまして、また増加に転じております。これは高齢者がどんどんと増えてくるわけでありますから、当然のことながら全体としてはこれは増えてくることはもうやむを得ないというふうに思いますけれども、余りにもこの増え方が大きいと将来その負担をどうするかということになってくるわけでありますので、これは病院や診療所、あるいはこのお薬の方、それぞれのお立場からすれば、余りここを抑えてどうするんだという御意見になるわけでございますが、将来のことも十分に念頭に置きながらこれはやっていかなければならない話でございまして、御承知のように、この医療の質を下げるような制度改革はこれはいけない、医療の質を担保しながらどう調整をしていくかということでなければならないと私も思っているところでございます。
  65. 藤井基之

    ○藤井基之君 大臣から非常に、私も全くそのように考えております。  今、世界に冠たる皆医療保険制度を我が国はしいているわけですよ。だから、この制度というものがこれから先も少子高齢化社会の中でもやはり持続できなきゃいけないんだろうという、そういった観点も必要です。でも、国民はまた別のことも考えているんですよね。今、大臣おっしゃられたんですけれども、昨今、医療ミスに関する報道が多過ぎると思いませんか。  本屋さんの健康コーナーなどにはいろんな本が並んでいます。私も昨日それ調べてきたんですけれども、面白いのありますですね。患者が決めたいい病院という本がありますよ。それから、名医のいる病院というのもありますよ。それから、グッドドクターベスト百五十という本もある。(「迷う方じゃないだろうな」と呼ぶ者あり)まあそこは、迷う方じゃなくて名、グッドの方なんですけれども。  つまり、これ何かといったら、皆保険制度は本当に全国あまねく質の高い均一な医療が廉価な価格で受けれるんだということになっている。でも、患者さんは選ぼうとしているんですよ。これ何でだろうか。医療ミスが多いからじゃないでしょうかね。医療費抑制とか医療費コストの削減という政策目標は前面に出ますけれども、大臣おっしゃるように、やはり医療の質の確保、患者が安心して掛かれる環境というのができなければ、医療なんか一体何だと、こういうふうに言われるんだと思うんですね。  私は、それから医療不信の問題というのはこの医療ミスの報道の問題が一つありますけれども、もう一つあると思うんですよね。何かというと、これ今日、決算委員会ですからこの分厚い十四年会計検査報告、この中にも書いてあるんですけれども、大臣もごらんになったかもしれませんけれども、これ見るとやはり医療費の支払の問題、やっぱり指摘がある。去年もあったですね。おととしもあった。大臣ともやらしていただいたんですが、去年。これは理由は、大臣おっしゃられるとおりなんですね。去年答弁されているんですけれども。これルールが難し過ぎると。電話帳だって私、持ってきました。確かに大臣言われるとおり電話帳ですよ、これ。これがルールなんですね。この医科とこれ調剤しか入ってない、歯医者さんのやつはもっと別途あるんですけれども。これを学んでこのとおりやらなければ不正だと、こう言われる。しかも、これ解釈がいろいろ難しい問題もあるんです。最近言われている例えば大学病院の医師の名義貸しの問題、これだって考えたらこの診療報酬の仕組みにその要因があるかもしれないんだと思うんですね。私はこういった不正が、診療報酬の支払等が国民の医療不信を惹起する一つの大きな理由になっていると思います。  これについて、昨年、大臣は、この問題については診療報酬をやっぱりもう少し明確化して単純にしなきゃいかぬのだろうと、こう言われた。四月一日から新しく診療報酬改定されて実施に移されるわけです。昨年、大臣がお約束していただいた改革を検討していきたいという御趣旨、今回の改正の中では一体具体的にどのように制限されているんでしょうか。
  66. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の診療報酬体系についてでございますけれども、御指摘がありましたように大変複雑だということで、昨年三月に閣議決定されました診療報酬体系に関する基本方針において更に簡素化を図るということで検討しているところでございますが、四月からの診療報酬改定におきましても、できるものから着手するということで着手させていただいているところでございます。  具体的には、DPC、これは急性期入院医療の診断群類別包括払いというものでございますけれども、これにつきまして一定の要件を満たす民間病院にも試行的に適用する、言わば包括化というものを、分かりやすい包括化というものを適用する。それから次は、検査院の指摘にも対応するものでございますけれども、入院基本料等の届出に係る基準を明確化し分かりやすくすること、あるいは手術の施設基準や褥瘡対策に係る減算方式につきまして、加算、減算の考え方を明確にして、より関係者に分かりやすい方式に改めたこと、あるいは四区分の調剤基本料を三区分にし、簡素化の方向を目指すこととしたことといったように、できるものから対応しております。  今後とも進めてまいりたいと考えております。
  67. 藤井基之

    ○藤井基之君 まだそれで満足できるというわけじゃないと思いますので、引き続き努力をお願いしたいと思います。  次に、介護のことについて一言だけ触れさせてください。  介護保険制度、我が国にできまして、ようやく社会に定着してきつつあるのかなという感じがします。といいますのは、要介護の認定者の数なんですけれども、二〇〇〇年の四月にこの数字が二百十八万人だったと、ところが、二〇〇三年十月、いわゆる三年半たったときにはこの数字が三百七十一万人ということで、七割増えてきているんですね。こういったことから、介護の意義が認められて、介護のサービスのニーズが分かってきたからこういうふうになっているんだと思うんです。これから先も介護というのは幅広く国民に提供していかれるサービスになると思うんです。  一つだけ気になる点があるんですよね。これ、介護は抜本見直しがありますので、そのときまで是非検討してもらいたいと思うんですが、行政の方も御存じだと思いますけれども、これ、島根県の松江等で行われたフィールド試験、フィールドテストの結果なんですよね。これ、介護の中で比較的軽度な方と認定された要支援とか要介護度一という方、重篤な要介護五というんじゃなくて、軽い方の人、こういった人たちについて、介護状況を二〇〇〇年の十月と二〇〇二年の十月と二年間、前後でどうなったかということを比較しているんですよ。そうすると、二〇〇〇年のとき要支援者だった方が、そのうちの約半分、四八・九%がその後重度化しちゃっている、二年後。要介護一だった人も三分の一以上、三四・八%の方が重度化しているんですよ。  つまり、これだったら介護サービスを提供していても、実際にその介護サービスが介護の予防効果だとか、あるいはその介護状態が悪化することを止める、改善に、そういうのにどうもつながっていないんじゃないかという指摘だと思うんですよね。このまま行きますと、これは、介護給付どんどん増える、介護費掛かりますよ。でも、目的は達成されなくて、どんどんどんどん重度化しちゃう。そうすると、もっとお金掛かるようになる、介護の費用も掛かる、そういうふうになっちゃう。  私は、この要支援とか要介護一の方々という、こういう軽度な方々のその介護予防、これに対して極力力を注ぐような制度設計をしてもらいたいと思います。これは答弁結構です。  次、年金に近い方に、本題の方に入らせていただきたいと思うんですけれども、これ、御存じだと、委員長、特に御存じですよね、これ、この前一緒に行きました。先月、この委員会で、委員長以下皆さん御一緒で小田原市にあります、実はヒルトン小田原リゾート・アンド・スパ、現在、実はこんなパンフレットできているんですね。きれいなパンフレットですよ。こういう施設があるんですよ。  これ、小田原市の郊外にありまして、元々はこれ、こちらに、スパウザ小田原と言われる、いわゆる小田原市の勤労者リフレッシュセンターというんでしょうかね、これは雇用開発、雇用・能力開発機構が雇用保険の保険料を財源にして、勤労者の福祉施設として四百五十五億円、四百五十五億円掛けて建設して、十年の三月から動き出した、五年前ですよ。それが、十三年の特殊法人等改革推進本部が作成した特殊法人等の整理合理化計画、これに従ってこの施設が小田原市に八億五千万円ちょっとで売られた。そして、それが十五年には経営委託、小田原市はヒルトンに頼んだ。だから、今、ヒルトンのいわゆる提携ホテルとして開業して動いている、先月からもう動き出しています。すばらしいホテルですよ。中には、温泉を利用して、大浴場があったり、温水プールがあったり、インドアのテニスコートがあったり、アウトドアのテニスコートもある、フィットネスのジムもある、ゴルフの練習場も、パターゴルフコースだってあるんです。すばらしいところです。一度行かれたらいいと思います、私も行きたいなと思っています。  ただ、やはり私は国民感情として、これ行ってみて思うんですが、何で四百五十五億も掛けたものが八億五千万なのと思いますよ。行った人、みんなそう思っているんです。これ、どうしてこういう売却価格になったのかというのを説明してもらえませんか。
  68. 青木功

    政府参考人(青木功君) お答え申し上げます。  スパウザ小田原がこの二月に小田原市に譲渡されたのでございますが、この価額につきましては、不動産鑑定業者二社による不動産鑑定評価額が約十六億円でございました。さらに、小田原市から、この施設の建設趣旨を尊重し、滞在型健康リフレッシュ施設を中心とした公共目的の事業展開を行うこと、また、最低十年間は公共目的と計画用途に供する、さらに、勤務していた正規職員のうち希望者全員を再雇用する等としたことから、不動産鑑定評価額から五割を減額してこの値段になったものでございます。
  69. 藤井基之

    ○藤井基之君 分かりました、趣旨は。ただ、納得できませんよ。これがなぜ、何もあなたに文句言うつもりは毛頭ないんだよ。ただ、こういう、これからいろいろな年金の福祉施設についても、これから譲渡したり売却しようとしている中で、前例がここにできているんですよ。こういうすばらしい施設が、国民感情としては、何でこんな安く、ダンピングに等しいような値段で売られるかということについて、国民感情も踏まえて施策提言してもらわなきゃいけないんだろうと私は思うんですよね。この先、年金の問題も出てまいりますので、これがある一つのサンプルになるんだと思うんですよ。  これに国民は満足してないんだということを踏まえて、これから先のいろいろな、例えば年金保険料で作った保養施設とか福祉施設の売却等についてもそういった考えでやっていただきたい。そうしないと、国民、納得できないんだろうと私は思っています。  この年金制度について触れます。  これについても今回の会計検査で指摘があるんですが、実はこれ、何を今度は指摘しているかというと、厚生年金老人ホームと厚生年金総合年金ホーム、これについてなんですよ。十四年度の報告書。それぞれウェルハートピアとかウェルサンピアという名前、いい名前が付いているんです。検査対象になっているのは、これは三十一施設あるんですけれどもね。これ、中細かく言うともうエンドレスになっちゃうのでやめますけれども。  五年間で施設修繕費とか委託費として厚生年金会計、特別会計から百六十億円、これ支出されているんです。これら施設は老人ホームとして認定されているんですよ。老人ホームだから当然長期入居施設というか、老人の方々に対して食事のお世話をするとか日々の生活のお世話をするためのそういった長期の居住施設がなきゃいけない。ところが、これ調べたらとんでもない状況。  まず、経営状況がひどい。二十のうち十一施設は累積赤字だと言っている。それから、総合老人ホームでやったら、十一施設のうち五施設が累積赤だと、こう言っているんですよ。  それから、長期入居施設についていうと、老人ホームと合わせこれで十四の施設というのはそんなものはないんだと。なぜないのかといったら、最初に十一施設は当初は計画したんだそうですよ。当然です、それは、老人ホームとして認可を受けたんだから。ところが、計画したんだけれども、入居者の見込みが立たないからやめちゃったと。あとの三つは、これは設置したけど入居者がいなくなったんでもうやめて短期だけにしましたと、こういうふうに言われている。  これに対して会計検査院は、この年金財源で作ったこれらの老人ホーム等は、利用率が低くて、そして本来の目的に沿った活用がされてないという言い方をしているんですよ、これ。  厚生労働省、どう考えますか、これ。
  70. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 役人答えますと長うなりますから、私の方でお答えさしていただきますが、これ、グリーンピアにいたしましてもそれから先ほどのスパウザにいたしましても、これはもう過去のこうしたものをいかに整理をするかということだというふうに思います。これはもう全部整理をしていくと。ただし、整理をするときにいつまでにというふうに限定しますとたたき売りになってしまうんですね。ここも気を付けなきゃいけない。  これはいずれにいたしましても、作りましたのは国民皆さん方に福祉還元をするという趣旨で作ったわけでありますが、その福祉還元が趣旨どおりに生かされていなかったところに問題があるわけでありまして、ですから旧労働省の側のものにつきましては、土地は大体市町村がお持ちのものでございますから、できれば市町村にお持ちをいただいて、本来の趣旨にのっとって、そして中小企業の従業員の皆さん方始め国民皆さん方に御利用をいただけるような形にしていくということが大事。まあ金勘定も大事でございますけれども、その建てた趣旨を生かしていくということも私は大事だというふうに思っております。  それから、ただいまありました老人ホームや総合老人ホームなどは、これはもう現在民間でも、そして公的な機関、他の公的な機関でもたくさんできてきまして、これからもうこの年金の資金でやっていかなきゃならないというような時代ではございませんから、早くこれは決着を付けるというふうにしていかなければいけないというふうに思います。そうさせていただきたいと思っております。
  71. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。大臣からは明確に御答弁いただきまして、次の質問でそこをやりたかったんですけれども、もうしません。  ただ、一言言いますと、年金給付の問題について、そうすると年金給付以外に使われた保険料というのが、たしか先週、衆議院の方の御答弁で明らかにしているんで、五兆六千億円ですか、物すごい巨額ですよね。もちろんそれはある事業をやれば、それに伴っていわゆる年金、だから、年金に積み立てて年金だけに使いますという以外に、その事務経費とかいろいろな経費が掛かることは分かるんですよ。だからこれも五兆六千億、巨額だけれども、全体の事業の規模からいったら一%かちょっと、その程度の金が間接的な使われ方にしたのかもしれない。でも、この金額膨大だ。  これは、この中というのは、例えば今お話あったグリーンピアだとかいわゆる住宅融資に使われたりということで、正に福祉還元のために使われたわけですね。過去はそれとして意義があったと思うんですけれども、やはりこれからこんな巨額をやはりどうするんだということ、これ大きな政治的な課題になってくると思うんですね。  今大臣がおっしゃられたように、これらの対応というものを、やはりその地元ではいろいろな意義があって動いていたかもしれない。かといっても全体の見通しというのは、我々自民党においても、いわゆる年金保険料、資金としては福祉施設の在り方というのをこれ検討させてもらって、年金保険料はやっぱり年金給付以外に使うべきじゃないよという、そういった方針を決めさせてもらっている。私はそれに沿って、やはり今大臣おっしゃられた方向で対応を取っていただきたいと思います。そうすることが国民年金事業に対する信頼を回復する一番早い、手っ取り早い手だと思うんです。是非お願いをしたいと。
  72. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 私も大臣にならせていただいて、スパウザ小田原とグリーンピアと何度聞かせていただきましたことか、私はこの言葉を聞くために大臣になったような気がいたしますけれども、この二つを、これらをどう決着をしていくかと。これは今後どう継続するかではなくて、どう決着をしていくかということを国民の御理解をいただけるようにしなきゃいけないというふうに思っております。  藤井先生は元厚生省におみえになったんですから、私よりもよく御存じのとおりでございますが、これはスタートしますときには衆参の本会議における決議がありましたり、あるいはまた委員会における附帯決議がありましたりで、拡大しろというこの御意見が最初は多かったわけであります。平成になりましてからのまだ十年まで、七、八年ぐらいまででございましょうか、まだそのころは補正予算が出ますとこうした建物に回っていたという経緯もあるわけでございまして、これらの問題につきまして、しかし過去を清算をどうするか、過去を清算をしていかに前に進むか、このことにもう年金問題を始めとしまして他の問題もそうでございますが、尽きると思っております。  過去のことを清算をする意義につきましては、これはよく検証をしなきゃいけないというふうに思っておりまして、過去の清算をきちっと検証し、第三者にも入っていただいて検証をして、そしてそれを十分に見るということが大事でございまして、そうしたことと並行をして新しい将来の問題をやっていくということが大事。併せてこれはやっていくことにしなければならないと思っております。
  73. 藤井基之

    ○藤井基之君 前向きな答弁をいただいておりますので、もう一つ前向き答弁をいただきたいと思うんですが、いわゆる資金運用の問題なんですけれどもね。  財政投融資制度が見直されて、年金資金が自主運用が可能になったんですね。そして、これまで約三十五兆円程度の年金資金が運用されていると思うんですね、それも国債だとか株式等に分散されましてね。この年金の保険料というのは、もちろん年金給付のために国民から国がお預かりしているお金ですから、その運用というのは、安心といいましょうか安全が前提だよという、そういう意見も強く出ております。法律にもそのような趣旨書かれているわけです。でも、ある一定の利回りを求めるためには、国債だけ買えばいいかといったら、そんなもんじゃないはずなんですね。だから、それについてはバランス取れた運用をしなきゃいけないんだろうと思っているんですね。  いわゆる年金問題に対して国民が信頼を落とした一つの理由の中に、この運用で大きな穴空けたんじゃないかという報道があったですね、十四年度のときまでに、いわゆる株価が下がった関係で。何か六兆円も損しちゃったと。何だと、役人何やっているんだと。まあ、役人がやっているわけじゃないんですけれどもね、これは。それなんか、やはりその時点の、株価が低かったときの、そのときの評価では確かに厳しかったのかもしれない。でも、こういうポートフォリオで運用していくんだったら、株式を全くやらない運用なんというのは考えにくいと私は思っているんですね。  これ、今六兆まで赤字が出たと言っていたのは現在どうなっていますか。それから、この先、資金運用について新しい組織を作って運用するというふうに決められているわけですね。この運用の方針についても一言お願いしたいと思いますが。
  74. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 運用につきましてもいろいろと御指摘をいただいているところでございまして、この運用につきましては、新しい組織、独立行政法人の中で新しくやっていきたい。今までは、厚生労働省の中でいわゆる基本方針、ポートフォリオというのを作っていたわけでございます。これは、基本的にどういうふうに運用をしていくかということでございます。それは、それも含めてその中で今後はおやりをいただきたいというふうに思っております。  ここは、専門家にひとつゆだねるということにいたしまして、理事長になっていただく方も民間の皆さん、民間の方を選ばせていただくことにしたいというふうに思っておりまして、人選を進めているところでございます。そうした運用の中で今後どういうふうにしていくかということでございまして、私も、株がどんどん下がるときだったものですから、この二、三年、本当に心を痛めてきたわけでございます。  しかし、確かに今まで六兆円の赤字があるわけでございますが、昨年の四月から去年の暮れまでの間に三兆五千億、これはプラスになったといったことで若干ほっといたしておりますけれども、しかし、それにいたしましても、株価でこう上がったり下がったりということで、大臣が毎日の株価で心を冷やさなきゃならないようなことは、僕は余り好ましいことではないと思います。国民皆さん方にとりましても、これは好ましいことではない。したがいまして、できる限り安定的にこれは運営ができるようにしなければいけないというふうに思っておりますが、さりとて国債を全部買っておけば安心かといえば、そうではないわけでございまして、そうした意味で、幾つかのものを組み合わせて、そしてそのリスクを最低限に抑えるということでございます。  六兆円の赤字は、これはもう言わずもがなでございますが、いわゆる財投からお金を借りてきまして、そしてこれはただでは、年金の金ではございましたけれども、平均して五・一%の利息を付けて借りてきたわけでありまして、利息を親元へ返していたわけでございまして、実質的には全部が全部これを赤字にしたというのとは意味が違うわけでございますけれども、形の上ではそうなっていることは事実でございまして、その点では私たち責任を感じているところでございます。
  75. 藤井基之

    ○藤井基之君 大臣には本当に御心痛で大変だと思うんですが、株価の欄を見なくていいような、そういった運用がすぐには図られるようにしたいものだと思っております。一緒に検討させていただきたいと思います。  また、年金の問題で一つ指摘されている問題に、国民年金保険料のその納付率の問題というのがありますですね。これ、十四年度は納付率が六二・八%という、つまり四割近くの国民方々国民保険料払っていないと、こういうことになるんですね。これは、この保険制度というものは、皆保険制度動いていて、国民がみんなそっぽ向いちゃったらこんな制度ぶっ壊れちゃいますよ。  私は、今行政庁もいろいろ努力してくれているんですね、支払窓口をコンビニもいいよとしたり、あるいは督促出しますよとか、あるいは本当にひどいところに対しては強制徴収もやろうなんて、こういういろんなプラン作っている。私は是非、やはりそれは国民に対して、やはりちゃんと払っている人もいるんだったら払っていない人にはお願いしますということの努力はしなきゃいかぬと思っていますね。この数字が、四割が三割五分に、三割に、二割五分、二割と、こう段階的でもいいからやはり改善する方向に動かしてもらいたいと思うんですね。  まだこれ、厚生労働省、きっとこの実績というのはないと思うんですけれども、私はこういった施策目標に対しては、できることならある程度時期を定めた数値目標なども振って、その後具体的にどういうふうに変わってきたかということを国民に示していただきたいと思うんですね。今は四割が払っていないけれど、来年になった時点では実は三割取れませんでしたと、だけど七割払ってもらったんですよと、そういうPRができなきゃいかぬのだろうと私は思っています。  それからもう一つ、この公的年金の問題でなぜ国民が余りこう信頼していないかという、あるいは不安がっているかというのは何かといったら、自分が払ったお金が幾らで、これは幾つになったら幾らもらえるかという例がなかなか分かってこない、ある年齢にならなきゃ分からぬというんですね。確かにこれは世代間の問題で、社会で全体決めているんだけれども、個人個人生活したら私は一体幾らもらえるんでしょうかというのを知りたいのは、これは当たり前だと思うんですね。しかも、二十歳のときから納めたら、今だったら六十五ですよ、四十五年間たたなきゃ原則もらえないんだったら、そんな先のときに一体幾らもらえるんだろうかと思いますよ。それで、そんなときだったらいいやと、いつ死ぬか分からないしということになったら払わなくなるかもしれない。  ですから、やはり年金の問題というのは非常にこれ難しい問題を一杯抱えているんだと思うんですよ。本当に坂口大臣の御苦労、多といたしますけれども、行政の皆さんもここは一生懸命やっているんだと思う。だけど、やっぱり結果が出なきゃたたかれてしようがないんですよ。私も自民党で与党だけれども、言いたかないけれどもやっぱり言わなきゃいけないんだと思っているんです。野党だったらもっと言うかもしれないですよ。私は優しく言いたいんですけれども。(「与党がしっかり言わなきゃ」と呼ぶ者あり)はいはい、ありがとうございます。言います。  私は、この保険料収入、納入率といいましょうか、これを高めるとか、それから年金制度の国民の信頼を高めるということは、いろんな施策をやってもらうことも大切なんですけれども、根幹は何かといったら、どうすればそういった信頼が高まるかというと、やっぱり公的年金制度の意義を国民に理解してもらう、そのための努力というのがやっぱり回り道かもしれないけれども一番手っ取り早いのかなという感じがしているんですね。  これはまあ古い言葉で言うと、若い人に怒られるかもしれない、公的年金制度、考えてみたら、これ昔の言葉で言うと仕送りみたいなものなんですよね。世代が、若い世代が御高齢の世代に対して仕送りをしているようなものなんですよ。私どもが負担して仕送りをしたら、我々が高齢になったら今度は次の若い人が仕送りをしてくれるんだと。いわゆるこれは世代間共助とでも言うんでしょうか、そういった言葉で言われるんですけれども、こういった社会連帯の下に成り立つ仕組みなんですね。それを国が保障してやるんだと、そういう仕組みだと思うんですね。  私は、この年金に対する理解を、若い人にやはりより高く理解してもらう、これがもろもろの年金問題解決する結局一番早い道だと思っているんです。私、厚生労働省に聞いたら、いやいや我々はやっていますよと、こう言われた。教えてよと、こう言った。そうしたら、平成五年から中学校、高校の学校教育の中に副読本などを使用して年金教育を進められているというんですね。ただ、私は、じゃこれどのくらい効果があったのというふうに伺った。効果まだ傍証できていないんです。これ、もう少し調べさせてもらったら、学生生徒を対象にした年金教育実施している学校の数というのは平成十四年度で約三千なんですよ。三千というと、中学、高校の該当する学校全体については一八%にすぎない。五つに一ついってないんですよ。これでやっていますと言われると、何となく、あっ、そうという感じもするんですけれども。  これ、文部科学大臣も聞いてもらっているんですけれども、厚生労働大臣、まずこれ文部科学省とも相談して、もっと積極的にこういった公的な年金仕組みとか社会保障の仕組みというものをもう少し身近なものと分かっていただけるような教育をしたらいい、そういった対応を取ったらいいかと思うんですけれども、どうでしょうか。
  76. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) これは大変大事な御指摘をいただいているというふうに思っております。文部科学大臣にもお願いを申し上げまして、そしてお若いときから年金のその趣旨、なぜ年金というものが存在するか、なぜこれに参加をしなければならないかということについての御理解を得るようにしていかなければいけないというふうに思っております。  制度改正ももちろんやりまして、御理解のいただけるようにしなければいけませんが、やはりそうしたことに対する、基礎的なことに対する御理解をいただきたいというふうに思っておりますし、そのようにこれから努力をさせていただきたいと思います。
  77. 藤井基之

    ○藤井基之君 文部科学大臣、いかがでございましょう。
  78. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 今、厚生労働大臣からもお話がございましたとおり、文部科学省も、やっぱり子供のときから年金というのはどういう意味を持っているのかとしっかり教え、知る必要があろうと思いますね。  まだ数が少ないということでございますから、これを更に進めるように、位置付けはしてあるんですが、もっときちっとしたものにまとめていきたいと、こういうふうに思います。
  79. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。両大臣のこれからの対応について実績を見させていただきたいと思っております。  時間がもうあと五分になりましたので、ずっと聞いていただいた総理に対して一問だけ質問させてください。  今回、政府が提案しました年金改正につきまして、多くの抜本改革につながるような提言をさせてもらっております。例えば、保険料の負担率の上限を定めて段階的なそこに対する道筋を示すとか、あるいは給付の水準の見通しというものをセットしてそれに対してどういう対応をするかということを示した。また、いわゆる基礎年金の国庫負担の二分の一への引上げ、これについても道筋を示しておりまして、そういった意味で、私は、今回の改正案というものはやはりこれは検討に値するし、しかも早急に実施に移されるべきものであると私は思っております。  しかし、そうはいっても、じゃ二分の一に例えば財源するよと言っても、これに必要な財源というのは二兆七千億円、やっぱり大きな額なんですね。どういうふうな形で具体的にその制度設計をしていくかという問題。  それから、国民は、今、時々刻々やっぱり変化しております。そうしますと、今取りあえずおまとめいただいた、昨年の十二月に政府・与党協議会で合意した内容、そして法案審議までに、法案提出までに検討する内容と、一杯いわゆるステージングしていろいろ検討してもらっている。でも、これでもまだ国民はいろいろなことを聞きたがっているんですよ。  国民のライフスタイルがどんどん変わってきているじゃないですか、これどうなりますかと。勤務形態が多様化して流動化していますよと、これにどう対応するんですか。女性と年金の問題、例えば離別したときどうするんですか、これは一部今回の提案にも入っています。第三号被保険者の問題どうするんですかと、年金の積立金の運用はどうするんですかと、あるいは次世代の育成策はどうするんですか。年金制度一元化すると言っている、そうしたら、それじゃ一元化のためにはどういうステップを踏んで一元化をするとするのか、そのために必要な例えば国民の所得を正確に捕捉するための仕組みはどうやって作るのかと。多くの問題が、年金制度改革と一言で言っていますけれども、いろいろな問題、すべて重要な問題です。そうしてこれらが山積しているんですよ。  政府、わずかですが、政府が言っているわずか二十年後ですよ、二〇二五年というのは。二〇二五年の社会保障費は現在の倍以上になりますよというふうに推計されている。百七十六兆円になると言われているんですよ。そうなら、国民に信頼される年金制度を作り上げるために、また真に豊かな高齢社会構築のためにも、社会保障全体を恒久的、安定的なものにするための制度の在り方、これをどういうふうに作るのかと、またそのために必要な安定的な財源等についても含めて、これを全部早急かつ十分な検討が必要だと思うんですね。  私、この問題については非常に本分野に造詣深い、厚生大臣を御担当されたこともありました、立派に職責を全うされていただいた総理の御見解を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。総理、いかがでございましょうか。
  80. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 藤井議員から今様々な問題を提起されましたが、一つ一つ大変重要なことであります。  例えて言えば、年金制度が創立された当時は主婦の皆さんはほとんど専業、仕事を持っていなかった。二十年前も、私は、夫婦の例を取れば専業主婦の方が多かった。しかし、現在、現時点において奥様も仕事を持っている。これが今一番多くなってきたと思います。  それから少子化も、二十年前に、あるいは四十年前に、現在のように少子化が進んでいくかということも推計もなかったし想像もできなかった。そして、これからの将来を推計しながらどう考えるかという中で、公的年金制度は必要だろうと、これは私は創設時よりも今の方が認識は強くなっていると思います。創設時は、たかだか月々五千円か一万円もらったって小遣い程度じゃないか、大したことないよと批判もありました。しかし、現実にそういう若い方が年金の給付を受ける段階になれば小遣いどころじゃないと、今や老後の生活の六割から七割ぐらいは年金、公的年金の給付で自分たちの生活を賄おうというふうに変わってきております。だからこそ、この公的年金制を、制度を破綻させないで長く続いていく制度にしていかなきゃならない。  そのためには、今指摘されました、若い人が年金を払わなくなった、あるいは払えない人と払えるのに払わない人がいると、そういう問題も出てきて、どうやってこの保険料も払っていただくか、これも考えなきゃいかぬ。それで、給付を受ける側もやっぱり負担することの、人も考えていただかなきゃなりませんが、二十代、三十代の人は、六十五歳までおれは生きなくてもいいやと思っている人いるんですよ。しかも、どの程度もらえるか分からない。ところが、年を取れば取るほど長生きしたくなる。五十代、六十代になればなるほど、おれは八十まで生きる、百歳まで生きようと意欲がわいてくる。となると、やっぱり公的年金制度というのはますます大事になってくる。若い人の意識、高齢者の意識、違う。若い人はできるだけ保険料を安くしてくれ、高齢者は給付を厚くしてくれと。この調整が難しいものですから、年金制度は大事だ。  そういう中においても、やっぱり給付水準の、水準というのは五〇%を確保しようと。これは一つのモデルの中ですけれどもね、モデルケースの中。また、負担の方は一八・三%で上限を抑えていこうと。そういうことを手続を踏んでやっていこうということを明示したんですから、これは給付と負担ということを考えるならば大変大事なことであり、こういうことについて、より国民の理解を得られるように努力をしていきたいと思います。
  81. 藤井基之

    ○藤井基之君 終わります。
  82. 円より子

    円より子君 おはようございます。民主党・新緑風会の円より子でございます。  小泉総理は常々、改革には痛みが伴うのが当然だとおっしゃっております。改革の痛みは常に真っ先に社会の弱者に及びます。そして、その改革の成果は常に弱者には最後にしか現れてこないんですね。そうしますと、一番長く痛みを受けなきゃいけないのは社会の弱者でありまして、私は、一国の総理というのはそうした弱者にもしっかりと目を向けた政策を作るべきだと思っておりますし、政治というのは、人々の不安を取り除き、心に平安が持てるような、また将来に、未来に夢が持てるような政治をするのが政治家の使命だと思っております。  本日は、そのような視点から、小泉改革がいかに社会の弱者に痛みをもたらしているかについて、小泉総理以下、政府の考えをただしたいと思っております。    〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕  まず最初に、母子世帯について取り上げたいと思いますが、このパネルをごらんください。(資料提示)皆様のお手元にも資料が届いているかと思いますけれども、母子世帯の失業率でございます。  この母子世帯の失業率は、平成六年、一九九四年から昨年二〇〇三年まで、平成十五年までを書いてあるんですけれども、母子世帯の収入、母子世帯には収入のある父親がいませんから母親だけが仕事を持って収入を得ているわけで、もしその母子世帯のお母さんが失業すれば当然無収入になります。  元々、母子世帯の持家率というのは二六%というふうに一般の六割から大変低い数字なんですね。そうすると、失業して収入がなくなれば家賃も払えないというような状況になりますが、残念ながらこの失業率は右肩上がりです。こんなの私は是非右肩下がりになってほしいと思っておりますけれども、この今失業率四・九%、一般はそうですが、それでも失業率が高くて大変だという方がたくさんいらっしゃる中で、何と母子世帯は九%に近い失業率なんですね。  では、次の二つ目のパネルをごらんいただきたいと思います。  この二つ目のパネルは母子家庭の母の就業状況です。失業してなくて一応仕事をしている人たちも、何と常用雇用者はどんどんどんどん下がってきております。これこそ右肩上がりにならなきゃいけない、下がっている。そして、一番増えているのが臨時の、そしてパートの人たち、これが四割近くにもなっているわけです。こうして、失業者が多い、なおかつ仕事を持っていても不安定な仕事に就いている、これが今の母子家庭の状況でございます。  こういった状況について総理は認識ございましたでしょうか。母子家庭についてどんなに厳しい生活をしているか御存じでいらっしゃいますか。まず一言だけ感想お聞かせください。
  83. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 常々、円議員からの質問にもこのような問題認識を提起されております。私も厚生大臣経験しておりますし、そのような困難な状況にあるということは承知しております。
  84. 円より子

    円より子君 では、次にパネルの三をごらんいただきたいと思いますけれども、これは全世帯、一般世帯と高齢者世帯と母子世帯の一年間の一人当たりの平均所得でございます。一般世帯は二百十四万円、おととし、平成十四年のものでございますが、一番最近のもので二百十四万円。そして、高齢者世帯も一人頭百九十五万円あるんですね。こうした中で、何と母子世帯は百万円を切る九十四万円しかございません。  そうした中で、とても子供を学校にやれない、また何とか転業して自分で起業をしようかとか、住宅の資金がないとかという方たちが、母子貸付金というものが行政にあって、これを借りていらっしゃる方が多いんですね。これは年三%程度の低利子で借りられるということなんですが、大した金額じゃない、でもそれを借りざるを得ない方たちがたくさんいらっしゃる中で、この母子貸付金の償還率は、この下の方のグラフをごらんくだされば分かりますが、どんどん逆に下がっております。つまり、返せない状況なんですね。いかに母子世帯が厳しいかということも、全く不安定な経済生活を強いられているかということもお分かりになるかと思います。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕  さて、こうした状況を少しでも改善するために、昨年、母子家庭の母親の就労を支援する仕組みとして自立支援教育訓練給付金の制度ができました。これは、母子家庭の母親が仕事を得るために必要な技能を学ぶ講座を六割の自己負担で受講できる、受講料四割は国と自治体が負担することになっております。ところが、この制度を実施している自治体は、全国三千以上の自治体がありますけれども、現在のところ三十五都道府県と一政令指定都市、六の中核都市と一般市は百十一、たった百五十三にしかすぎません。これもお見せしたいと思います。  昨年せっかく政府の方でできましたのに今言ったような状況で、この十六年度は一応都道府県は、二県を除いて、宮城県と三重県を除いてはやることになりました。そして、たった、去年は、今年ですね、平成十五年は大阪市だけしか実施していなかったのが何とか半分まで、福岡、北九州、神戸、京都、川崎、横浜が大阪に次いで実施するということになった。また、中核市もこのように平成十六年度は五一・四%まで実施しますよという、こういう予定にやっとなってきましたけれども、この政令指定都市と中核都市でこれほど少ないというのは大変問題なんです。  どうしてかといいますと、母子家庭のお母さんたちは、先ほど言いましたように、自分が仕事を得て収入を得て子供たちをしっかり育てていかなきゃいけませんから、地方には、今までもそうでした、地方はなかなか就職口がないんですね。この今の不況でもう本当に、どの地方に行きましてもシャッター通りが増え、この間まであったお店がなくなり、家も空き家になっていく。昨日も岐阜に行きましたけれども、ようやく子供に大学に行かせるためにパートにやっていた、その仕事がリストラになって失業したと、もう今の小泉さんのやり方では私たちはどうなるんだと、たくさんそういうお話を聞かせていただきました。本当に地方は大変です。  そうした地方で仕事がありませんから、母子家庭になると、つまり離婚したり死別すると、家があればもちろん別ですけれども、家もないときには都会になるべく出て仕事を探すというのが当たり前の状況になるんですね。そうしますと、中核市や政令指定都市にほとんどの母子世帯が行くという状況の中で、せっかくできた母子家庭自立支援の教育訓練給付金の事業が全く政令都市でもそして中核市でもやっていないという状況をどのように考えられるか、ちょっと坂口厚生労働大臣にこの分析をしていただきたいと思います。
  85. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 母子家庭対策につきましては、先生にいろいろと昨年も御指導をいただきましてありがとうございました。  平成十四年の十一月に改正されました母子及びこの寡婦福祉法、そして昨年作っていただきましたこの母子家庭の母の就業の支援に対する特別措置法、これらによりまして、今御指摘いただきましたように、都道府県及び政令指定都市等、これらは早急にその対策を講じていただかなければならないわけでございます。  十五年度につきましては、まあできました最初の年でもございましたので、これは途中からということもありましたから、まあ多少低くっても私はまあやむを得ない面もあったというふうに思っておりますが、平成十六年はこれは本格的に各地域ともにお取り組みをいただかなければならないというふうに思っております。  県の方は四十五。二県だけになっている。三重県入っておりまして、私もいささかおりにくいわけでございますが、そうしたことをこれは各県ともにやっていかなきゃいけないわけでございますし、特に政令指定都市には強力にお願いをしなければいけませんので、私の方も全力を挙げて政令指定都市等、中核都市も含めまして実施をしていただけるように働き掛けをしているところでございまして、更に一層働き掛けをしていきたいというふうに思っております。
  86. 円より子

    円より子君 今、坂口厚生労働大臣から御答弁いただきましたけれども、この自立支援教育訓練給付金というのは、予算額が十一億円なんですね。これは昨年、本来でしたら二百億円の児童扶養手当という離別母子家庭の十八歳までの子供たちに支払わなければいけない予算を、政府は昨年二百億円も削られた。その代わりに、お母さんたちに何とか自立してもらい就職してもらい、そしてその支援をしていこうということでできたのが十一億円なんです。  私は、二百億円削った割には本当にみみっちい数字だと思いますけれども、それでも、これができた。ところがこの十一億のが、去年というかまあ今年です、去年から今年の十五年度で、今までにたった二百万円しか使われていないんです。十一億のうちの二百万ですよ。  今、もちろん、大臣は十五年はできたばっかりだからとおっしゃいましたけれども、これは実は六割自己負担、あとの四割のうちの四分の三が国、四分の一が市町村。そういうことになりますと、市町村が全然、地方の財政が厳しいものですから予算を全然付けないんですよ、厚生省が幾ら言っても。  これは、小泉さんがおやりになっている三位一体改革によって地方財政がますます苦しくなって、地方では、教育とか福祉とか人々の生活に一番密着した、その暮らしをますます悪くするようなところの予算を削らざるを得ないんだと言っていらっしゃるんですよ。  これ、どう思われますか、総理
  87. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、これは、まあ麻生担当大臣が後ほど答弁していただきますが、地方において自主的な裁量権を与えと、与えようということで補助金の問題、改革しようとしております。民主党も、まあ四兆円じゃ足らない、十兆円以上削減しろと、そして補助金を自由に与えよと言いますけれども、義務的な福祉対策においては、地方は、何とか国に持ってくれという声もあるわけです。その点、国と地方の役割というものを今後考えていかなきゃならないと。  これは、そういう中で、福祉関係も地方にある程度自主権を与えるのも私は必要だと思います。そういう中でも、やっぱり今後、今の御意見も参考にしながら、じゃ補助金を削減するなら、どういう削減を、対象項目を削減するかということを民主党も提言していただけば、その中でも私は考えていきたいと思います。
  88. 円より子

    円より子君 国の全体の改革の方向としては、おっしゃるとおりでも構わないんです。ところが、先ほどから申しましたように、今、例えば、痛みを強いられても、五年後、十五年後には国はこういうふうになるんですよと言われれば、それを我慢できる人たちというのももちろんたくさんいらっしゃるんですね。ところが、今実際に九十四万というような一人頭の一年間の年収で家賃も払わなきゃいけない、子供を学校にも行かせなきゃいけないという人たちは、五年、十年の痛みは待てないんです。ばたばた今死んでいっている人たちがたくさんいる、その人たちに対してどうするかというのは、補助金がどうの自治体がどうのじゃなくて、そこだけはしっかり総理、おやりになればいいと私は思うんですね。  そうしましたら、例えば、この二年なり三年なりの時限であっても、その自己負担の六割をもっと少なくするとか、それから、今の市町村の割合も、本当大した金額じゃないんですよ、それができないという自治体にもすごく私は問題があると思いますけれども、そこの部分、二年間、じゃ国が四割持とうとか、そのぐらいのこと、大したことじゃなくて、十一億もあって二百万しか使っていないんだったらおできになるんじゃないですか。それが総理として、いえ、私は、坂口厚生労働大臣は、もう今までも何度もお話をして、すごく母子家庭のことよく分かってくださっているんです。ですから、総理に分かっていただいてお答えいただきたいんです。  それと同時に、いつも、質疑通告しても何でもそうなんですが、これは総務省です、これは厚生省です、縦割りで。こういう問題はやっぱり一つでやらないと、少子化の問題も後で福田官房長官にお聞きしたいと思いますが、きちんと官房長官総理が分かっていてくださらないとできない問題ってあるんです。  是非お答えください。
  89. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この問題については、坂口厚生労働大臣が実に詳しいんです。その対策を、私は、よく今の意見を参考にしながら対処してくれと指示しております。
  90. 円より子

    円より子君 総理も離婚なさってお子さん三人抱えていらっしゃれば、もう少し母子家庭の問題等しっかりやっていただけると私は思っておりますので、期待しておりますけれども。  さて、ちょっと母子相談員のお話をさせていただきたいと思うんですね。  母子相談員というのを、制度があるのを御存じでしょうか。  総理、もう坂口さん御存じなの分かっていますから、御存じですかと総理に聞いているんです。
  91. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 母子相談員はもちろん分かっておりますし、その皆さん方の数を増やすだけではなくて、やはりお仕事の内容を充実をさせていかなければならないと思っております。
  92. 円より子

    円より子君 私は、ただ御存じですかとお聞きしただけですので、答えてくださればいいと思うんですけれども。  もう一度このパネルの下をごらんください。母子貸付金の償還率、すごく下がっておりますね。つまり、どんどんどんどん返せなくなっているわけです、生活が厳しいですから。  そうしますと、私は、母子相談員というのはたくさん知り合いおります。皆さん嘱託で働いていらして、彼女たちの地位も大変悪い。そういう中で、一生懸命やっていらっしゃる方たくさんいらっしゃるんですけれども、その母子相談員の人たちは、子供たちの不登校ですとか母親のそうした家賃が払えない、失業したというような相談に乗るものだとばかり思っていたんですが、何と大変聞き捨てならない話を聞きました。  まず、母子相談員になったときにどういうことを言われるか、自治体の人に。母子相談員は、この今の母子寡婦、母子貸付金の返せない人たちの取立てをまずやるんですよと、それが最初の仕事ですよと言われている自治体があるんです。そして、十二月から三月まで取立て強化月間というのがありまして、その間もう朝から晩まで電話でサラ金業者顔負けの取立てをやっているところがあるということなんですね。  私は、一つや二つのところで聞いたわけじゃありませんで、それだけでは国会で質問するので申し訳ないので、きちんと、私のやっております女性のための政治スクールに今五十人以上市町村の議員さんが来ていらっしゃいますので、その方たちにも調べていただきました。そういう中から御質問させていただいているんですが、こういう相談員、母子相談員の在り方、これについてはどういう対処をなさるべきだと思いますか。
  93. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 私もその具体的なところまでは存じませんが、市町村によりましてそういうところがあるんでしょうか、これが、非常に多くの市町村でそういうことが行われているということになれば大変な問題でございます。まあ一か所でありましても問題でございますが、これから先、これからのこともございますしいたしますので、早速一遍検討をいたしまして、そして、そういうところがありましたら、まあそれは返してはいただかなければならないんでしょうけれども、無理な取立てをすることがその仕事だというようなことではあってはいけないわけでありまして、現実にどのように生活をしていただけるようにするかということが一番大事なことでございますから、これは、もう国も当然でございますが、市町村におきましてもそうしたことを中心にしながら、まず公的な機関がその皆さん方をどう雇っていけるかといったようなことも中心にしながら、やはりやっていかなきゃいけないというふうに思います。
  94. 円より子

    円より子君 お昼の前の時間が私にもうあと一分程度しか残されておりませんけれども、今、お答えですけれども、例えば母子貸付金は三%程度の低利と申しましたが、それだけでは足りなくてもっと高利のを借りていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんですね、やむを得ず、だれもそういうものを借りたくなくても。そうした場合に、そちらを先に返さないともっと生活が立ち行かなくなりますから、それこそ一年、二年それは待つというぐらいの御判断なさってもいいと思いますが、総理、いかがですか、最後に。午前中の最後です。いやいや、総理にお願いしたいんです。
  95. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) いろいろと、具体的な例でも様々な例があると思いますから、よく検討させていただいて、そして対応したいと思っております。
  96. 円より子

    円より子君 私のまた後の質問は一時からにさせていただきたいと思います。
  97. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  98. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十四年度決算外二件を議題とし、全般質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  99. 円より子

    円より子君 午前中は、小泉改革によって最も痛みを受けている人々、中でも母子家庭の就労支援について質問をさせていただきました。  さて、引き続きまして、午後は、少子化の問題や児童虐待についてお話しさせていただきたいんですが、その前に少し、午前中できなかった生活保護について質問をさせていただきます。  今、生活保護ですとかホームレスが大変増えていること、御存じだと思いますけれども、犯罪が増えております背景にも仕事のないことがございます。中高年の労働者について言いますと、もう当然倒産とか失業で大変、自殺まで、この数年間ずっと一年間に三万人以上もの自殺の方が増えておりますし、そもそも自殺や失業までいかなくても、五十代で希望退職させられ、希望退職って、希望ではなくて退職を余儀なくさせられている人も言葉とは違ってあるわけでございますけれども、年金が六十五歳からということにもしなりますと、その間どういうふうに仕事をし、収入を得て生きていけばいいのか、大変悩んでいらっしゃる方が多くなっております。  衆議院選、去年の衆議院選ですが、各地応援に参ったときに、演説が終わりますといろんな方が私のそばにいらっしゃいました。残念ながら六十代ぐらいの男性たち、多くの人たちが酒臭いんですね。昼間からお酒を飲んだりすると体に悪いんじゃないですかと言いますと、いや円さん、よく聞いてくれたと、だれも好き好んで朝から酒を飲んでいるわけじゃないと、もう二年も三年も前から失業して、どんなに仕事を探しても、ハローワークに行っても仕事が見付からないんだ、もう酒でも飲むしかないような、そういう厭世的な気分になっている、そういう方が本当に地方に多かったです。  こうした形で、まだ、お酒を飲んでいる方は御自分の体を壊すだけ、また自殺をする人も、本当は政治家としてそういうことを許してはいけないんですけれども、自殺をして自分の生命保険で借金を返して会社や家族を助けようとする、日本の男性というのは私は大変律儀にまじめに働いて、その上にとてもけなげだと思っておりますけれども、中には本当にパニックに陥って切れてしまう大人も多くなっています。切れてしまうのは子供たちよりも今、大人の方が多いんですね、統計をごらんになれば分かると思いますけれども。  そうした方々を増やす、生活保護やホームレスを増やすということについて、どのように対処すればいいか。総理は、これは厚生労働省だけの問題ではありません、経済をどうしていくかということにとっても、一番の大きな原因があります。貧すれば鈍するという言葉もありますけれども、人々はなかなか、物は食わねど高ようじですとか、なかなかりりしくやっていくというのはやっぱり難しい、だれもがりりしく生きたいと思っていても、そういう経済状況が悪化しているということについて、総理、どう思われますでしょうか。
  100. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 経済情勢の悪化も影響ありますが、同時に、就職しよう、また仕事をしようという方々にとっては、昼間からお酒を飲まないような努力も必要だと思います。やっぱり仕事しようという人に対しては、できるだけ自分が教育訓練受けようとか、あるいはどのような仕事、自分向いているかというやっぱり相談に行くとか、そういう際に酒を飲みながら行くと、やっぱり人を採用したいと思う人にとってみれば、昼間からお酒を飲んでいるようじゃ仕事にどうだろうかということも考えると思いますね。  だから、やっぱりそういう点には、やっぱり仕事を探そうという人には努力していただく、同時に、経済状況全体も良くすることによって雇用の機会も広がってまいりますので、当然、経済全体を活性化していくという点も大事であると。総合的な対策が必要でありますし、現在厳しい状況でありますが、最近は企業も人を求めております。求人数が多い、しかし求職者は来ないと、そのミスマッチもあります。そういう点についてはやっぱりよく、なぜこれだけ人を求めているのに、失業者がかなり多いのにそちらの方に仕事行かないのかというと、やっぱり教育訓練とか仕事の訓練、こういう点も、仕事のミスマッチをなくすために、自分に合ったような仕事に就くために訓練をどうすればいいかと、こういう点についてはよく考えていかなきゃならない問題だと思っております。
  101. 円より子

    円より子君 私の質問の意味をわざとお分かりのままはぐらかしていらっしゃるのか、それとも全く、いや、今首かしげられたということは全然質問の意味をお分かりになっていないとしか思えない。そうするとしたら、余りにもこういう総理をいだいている私たち国民は情けないと今テレビを見ている方は思っていらっしゃると思いますよ。  今私が言ったのは、お酒を飲んでハローワークに行くようなのは良くないと総理おっしゃいましたけれども、そんなこと言ったんじゃありません。ずっと、仕事を見付けてハローワークに行っても年齢制限があって仕事ができない、そういう人たちが、いろんな状況があるでしょう、やむを得ず、今もう仕事が見付からなくて落ち込んで、そしてお酒を飲まざるを得ないような状況になっているんだという、そういうことを申し上げたのに、全然お分かりじゃありませんね。  ちょっとパネルを。はい、これは資料をお渡ししてありますから、ごらんになってください。(資料提示)生活保護を受けている人、一九九三年から二〇〇三年までの間に八十八万三千百十二人から百三十六万七千人にまで増えています。じゃ、この状況はどう思われますか。
  102. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 生活保護を受けている方が確かに増えております。これはやはり経済状況も影響しておりますし、今の失業率が多いということも関係しているんだと思っております。
  103. 円より子

    円より子君 何だか余りに、すぐ、笑ってしまうような御答弁なので、ちょっとぽかんとしてしまいまして。  これだけ生活保護を受けている人が多くなったということは、この裏にホームレスの人も増えています。大阪などでは子連れのホームレスまで増えています。ホームレスの方たちは住まいもありません、仕事もありません。それは、中には総理がおっしゃるように仕事見付けたくなくてお酒飲んでいる人だっているかもしれない。でも、私が言ったのは、そういう意味じゃなくて、お酒を飲まざるを得ないような状況に追い込まれている人がいると。  年齢制限はずっとありましてね。私は二十数年間いろいろな三万人の女性たちの相談を受けてきましたけれども、彼女たちが、別に離婚とかなんとかではなくて、いつも子育ての後、子育てが一段落した後仕事をしたいと思っても、例えば教師でも、静岡県と富山県以外はいまだに、多分、教師の再就職年齢時の年齢制限外しているところはこの二県以外ないんじゃないかと思います。国会議員になって、十一年前に十分間の質問時間をもらいましてこの年齢差別についてこれを撤廃すべきではないかと申し上げましたが、そのころから多分、保母さんだって二十七歳とか三十歳ぐらいで試験が受けられないとか、変わってないと思うんですね。公務員もそうですし、民間もそうです。  そうすると、再就職したいときに年齢制限で入口のところでシャットアウトされる人もいる。また、今申し上げましたような生活保護やホームレスの人は中高年者に増えていますけれども、その方たちも五十幾つとか六十で仕事ないんですよ、したくても。その人たちの勤労意欲の問題にすべて特化して、だからその人が悪いんだというふうな形ではやっぱりやっていけない、政治はそういうふうな形では私はいけないと思うんですね。  さて、この生活保護について、住み込みで働いている五十代後半の女性が、失業をして、もちろん住まいをなくし、そして預金もないような状況の人が多いんです。大体月に十万とかその程度の仕事ですから、預金なんかなかなかできない人が多いんですね。そういう人が、住まいがなくなり、仕事がなくなり、五十代後半で仕事を探そうとしてもなくて、困りに困って生活保護課に行きましたら、住まいがない人は生活保護を受けられないんですよと追い返されたそうです。国の法律はそうはなっておりません。でも、窓口はそういう対応をした。それで彼女は困り果てて、水商売で本当に短期に、何週間かでというとどういう仕事をなさったか想像に難くありませんけれども、お金をためてウイークリーマンションのようなところに入って住所を不定じゃない形にしたら、これで何とか生活保護が受けられるかと今度行ったら、そんなぜいたくなところにいるんだったら生活保護受けないでもいいでしょうと言われたそうなんです。もうパニックに陥った彼女は、もうどうしたらいいのかと泣きわめいた。そんなところで泣きわめけば窓口の人も困ったんでしょうね。だから売り言葉に買い言葉だったかもしれません、でもホームレスにでもなったらいいじゃないか、そうおっしゃったそうです。それで、彼女はある大きな駅の前にその日から寝始めたそうですが、精神的におかしくなっていたんでしょう、駅員の人たちが親切にも精神科医のところに連れていってくれて、それでその市の生活保護課に話をしてくれたそうですけれども。  こういう状況地方のあちこちでもし起きているとしたら、先ほど私が午前中に最初に申し上げましたように、確かに構造改革はお進めになるのは大事なことかもしれません。でも、そこで、その日その日子供たちが食べていけなくなるような状況や、中高年の人たちが失業で食べていけなくなるような状況に対して、それはまた別に手を打つというのが政治家としての責任ではないか、そのように私は思うんですが、この生活保護の件や、またそうした今私が申し上げたようなことについて、お答えいただきたいと思います。
  104. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 生活保護を受けるその窓口も、それは都道府県によりましては違うのかもしれませんし、あるいは今おっしゃったようなところが私もないとは申しません。事実あったんでしょう。しかし、すべての窓口がそういうふうになっているとは私は思っておりません。熱心にお話をお受けをしているということだと思っております。都道府県によりまして、生活保護を受けておみえになりますその数も十倍の開きがございまして、それは地域によっての格差というふうに思っておりますが、一生懸命できるだけそういう皆さん方には対応をするように心掛けている都道府県も私はあるというふうに思っております。  もし、そういうふうなことがあちこちで起こっているということであれば、我々も改めて都道府県や市町村に依頼をし直さなければならないというふうに思っております。
  105. 円より子

    円より子君 生活保護を受ける方が増えているということは、行政が一生懸命、生活保護を受ける、受けたいという人たちをシャットアウトせずにやっていらっしゃることのもちろんあかしでもあるわけです。それはよく存じております。ですから、厚生労働大臣がおっしゃったように、全国でほとんどの方が、今のようなケースではなく、一生懸命窓口でやっていらっしゃることも私もよく存じております。しかし、このように多くなっていることの異常さ、その裏にあるものをしっかり考えて経済運営や労働環境を良くしてほしいというのが私の質問の趣旨でございました。  それでは、今度は少子化問題についてお尋ねしたいと思います。  今、大変年金に関心が集まっております。当然だと思います。若い人たちは、自分たちが年を取ったときには、幾ら今掛けていてももうもらえなくなるんじゃないかという世代間格差について心配なさっておりますし、まず、そもそも様々な無駄遣いをして、また私も十年近く前に年金財政の運用についても質問、決算委員会でさせていただいたこともございますけれども、そのころからもう決して無駄遣いが収まっておりませんし、だれもが日本政府年金の運用の在り方について不安を持っていることも事実です。しかし、一番大きなことは、午前中に自民党の同僚議員からも御質問がありましたけれども、人口がどんどん減っている状況では、どんなに頑張っても年金制度というのが難しいことも、これもまた事実なんですね。  そうした中で、せっかく子供が欲しいと思っている人たちがなかなか子供を持てないような状況、これをやはりもう早急に解決していかなきゃいけないんじゃないかと私思っておりまして、どうも総理保育園の待機児童を早くなくしたいという、そのことに少子化問題を特化なさっているような気がしてならないんですけれども。  フリーターが四百万人を超えています。その人たちも好きでフリーターをやっているわけではない。それから、女性たちの正規雇用の人が少なくなって、母子家庭だけではありません、派遣労働やパートが増えています。そうしますと、男女ともに学校を出てもなかなか就職口がない上にそうした不安定な就労状況しかなければ、結婚して子供を産むということを安心してできなくなっているんですね。  合計特殊出生率という一人の女性が一生の間に産む子供の数、どんどん減っています。一・五七ショックが列島じゅうを駆け回ったときに、私たちはもっと子育てのしやすい労働環境や住環境や様々なことに目配りをして作らなければいけないんじゃないかということを、まだ国会議員じゃなかったときですが、随分要望させていただきました。そういうころから、残念ながら余り変わっていないどころか、悪化しています。  厚生省の方が先ほど答弁なさった中に、合計特殊出生率等が下がった中に、晩婚化や未婚化だけではなくて夫婦出生率の低下があるとおっしゃいました。この夫婦出生率が低下した原因って、総理、お考えになったことありますか。これ、年金財政にも、ありとあらゆること、これから外国人労働者を入れなきゃいけないかというような問題にも、高齢者や女性の能力の活用、様々なことに全部影響することです、労働力のことも、日本がどういうふうにこれからなっていくか。  夫婦出生率が低下したって、なぜだと思われますか。
  106. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 少子化の問題、また出生率の低下という問題は一様じゃないと思います。様々な要因が重なっているし、経済状況だけでもない、意識の変化、もういろんな状況、国によっても違います。私は、こういう問題について、これが少子化の原因だということは一言には言えないと思っております。
  107. 円より子

    円より子君 様々な原因、要因があるのは当然のことです。それをそれぞれ全部挙げて、どれに一番大きな要因があるんだろうかと一つ一つやっぱり変えていく努力をしていかなきゃいけなくて、様々でございますで私は済む問題ではないと思うんですね。  それで、その夫婦出生率の低下の大きな原因ですが、実は十年前は、専業主婦の家庭、そしてもう一つ、三世代同居とか親が近くにいる、働くお母さんの家庭では三世代同居又は親が近くにいる、そういう家庭は、働くお母さんの家庭でも二人目、三人目を産んでいました。そして、働かない専業主婦の家庭が一番子供を産む数が多かった、トップだったんです、十年前までは。今どうなっているかといいますと、専業主婦の家庭のお母さんの子供を産む数はとても少なくなっています。これが私は夫婦出生率を下げている大きな原因だと思います。  なぜ、では専業主婦の家庭の出生率が下がったか。これ、ちゃんと政府が出していらっしゃる統計ですからね、私が勝手にやった統計ではございません。なぜ下がっているか。一番になったのは共働きの家庭の、それもパートでも派遣労働者でもなく安定した職業を持つ正社員の課長職以上のお母さんの家庭が一番子供を産むようになっているんです。こういう統計が出ているんですね。これは、二人合わせてようやく、夫と妻と収入があって何とか安心して子供を育てられる、そういう住環境も持てる、教育費のコストが掛かっても何とかやっていけるんじゃないか、そういう安心感が子供を二人目、三人目産めるようにしているんだと思うんです。やっぱり派遣労働ですとかパートですとか、いつ首を切られるか分からないというところで、夫の状況も今良くない、そうしたら当然、子供が欲しくても産めませんよね。  だから、私は、子供を産めなくなっている原因の多くは、もちろん地域の子育てのネットワークが少なくなっていることや住環境、飛び出せば車がびゅんびゅん飛んできて、バギーで子供を引いていったって公園に行ったって遊ぶ場所もないような都会ですとか、いろんな問題があると思います。自然の問題だって、水も駄目になり、空気も駄目になり、地球環境がどうなるかと思えば、子供を産むのをためらう人もいるでしょう。でも、一番大きな原因は、好きな人がいるんです、でも正業がなくてなかなか結婚できない、子供が産めないんですという人たちの声をお聞きになったと思いますけれども、そういうことが私は今とても大きな原因になっていると思いますので、是非これはもう、総理だけに何も責任を押し付けているわけではありませんけれども、ここをしっかり認識してくださって、保育園の問題だけではなく、少子化を解決していけるような、子供を持ちたい人が持てるような、ためらわないで済むような、そういう状況を作っていただきたいと思っています。  では次に、坂口厚生労働大臣にお聞きしたいんですが、このリストラなどの夫の経済状況が思わしくない現在で、妊娠、出産、育児の資金援助をしてほしいという声が大きくなっております。依然として、ずっと妊婦健診、出産費用など、現在は出産手当は三十万円なんですけれども、公立病院などでは今六十万円掛かると言われていますが、こうした出産時の補助ということはお考えになっておりますでしょうか。
  108. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 出産手当につきましては、これもう病院によりまして様々だというふうに思いますが、国立病院、今国立病院で、今度独法化されますけれども、国立病院を中心にして見ると三十一万円ぐらいでございます。したがいまして、一応三十万円に我々もしておるわけでございますが、これも、私立のところを見ましても、非常に安いところもございますし、確かに高いところもございまして、格差はございます。いろいろのサービスの違いもあろうかというふうに思っておりますが、一応私たちは現在の国立病院を中心としたその額を当てているわけでございまして、今後のことにつきましては今後の動向も見ながらこれは決めていかなければいけないというふうに思っているわけでございまして、決して固定的に考えているわけではございません。
  109. 円より子

    円より子君 先ほど申しましたように、少子化の原因の一つに貧困ということがあるとすれば、そのようなこともいろいろ検討していっていただきたいなと思っておりますが、もう一つ、出産時に、私も一人しか子供を産んでおりませんので大きなことは言えませんけれども、大変子供を産んだことは幸せだと思いました。その出産のときも大変いい、楽しい経験をいたしまして、こんなだったら二人目、三人目をもっと産みたいというふうに思ったことがございます。  出産時の助産婦さん等の周りのケアというのが大変大事になってくる。これは児童虐待を減らしていくためにも、その予防のためにも大事なんじゃないかと私は思っているんですけれども、そうした助産婦のケアによってとても出産が自然なものになって、逆に医療費も減らされるでしょうし、質の高い助産師の養成というものが少子化にも大変いい影響を与えると思うんですが、こうしたことを、助産師の質の高い教育や、また医療費削減等につながるというような問題については厚生省や文部科学省は御検討いただいているんでしょうか。
  110. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 私、かつて四十二歳で参議院議員務めさせていただいて、また参議院のこうして決算委員会の大事なこの委員会で答弁をさせていただけることを本当に光栄に思っております。改めて円先生に感謝を申し上げます。  私も、子供を産んだ経験はないわけでございますけれども、しかし、いわゆる妊娠して出産をするときに、その配偶者である男性が一緒に立ち会って手を握りながら一緒に苦楽をしながら子供を産んでいくという、こういう非常に感動的なシーンを見ましても、やはりその出産をするお母さんにとりましても非常に充実感というのか、精神的な、気持ちといいましょうか、子供を産んで良かったなと、こういうことになることがあるという話を聞きますし、そのとおりだと私自身も思っています。そういう意味では、今後とも、子供が生まれてから、そういう精神的なサポートをいただいて良かったなということが子育てに非常に大きく役立つし、またその子供にとってもいいことだと、このように実は思います。  つきましては、厚生労働省といたしましては、いいお産をテーマとしたシンポジウムを開催するなど、更にそういう点を普及をしてまいりたいとも思いますし、また、いいお産の普及ということを、この育成支援対策推進法におきましても、しっかりと行動計画の中に位置付けをして、普及をしてまいりたい、このように思っています。  今後とも、また医療機関や自治体、専門団体においても、更にそういう妊産婦へのケアの向上をしっかりと図っていきたいと、こういうふうに思っております。
  111. 円より子

    円より子君 児童虐待についてちょっとお聞きしたいんですが、パネルを出していただけますでしょうか。(資料提示)資料を皆様の元に配付させていただいております。  この児童虐待の相談件数が、一九九三年は千六百十一件でございましたが、十四年、二〇〇二年は二万三千七百三十八件と、十四・七倍にも増えております。最近はもう皆様もテレビや新聞等で、本当に虐待死で、死に至るまで虐待されたような子供や衰弱、この間の岸和田で、小さい子供さんだけではなくて十五歳の子供や、また小学校六年生の子供が衰弱死させられるまで虐待されているような、そういった事件、本当に痛ましいですが、毎日のように見聞きさせられてしまうというような、こういう状況をよくご存じだと思いますけれども、こういうときに鬼のような母とか鬼のような父というような言葉がよく以前使われておりましたし、自分たちとは関係のない人だというふうにとらえる人が多いんですけれども、実は私も二十年ぐらい前から様々な相談を受ける中で、随分、もう思わず子供の首に手を掛けてしまって、それではっと気が付いてやめて、何と自分はもう母親の資格がないというふうな、泣いて相談にお見えになったような、そういうケースたくさん聞いておりました。  何も、鬼のようなという、特別の人たちじゃないんですね。だれでももしかしたらその一線を超えてしまうかもしれないというのは、もちろんそこでコントロールするのが人間なんですけれども、そういうケースがたくさんありまして、先ほどのような、明日アパートを追い出されるかもしれないとか、失業するかもしれないとか、あしたのお米がないとか、まあ今あしたのお米がないというぐらい困る方は少ないかもしれませんが、様々に物思いが多く、悩みが多くなった人たちが、それが幾つも幾つもそういうものが重なるとどうしても、かわいい子供だから子供だけ大事にするというふうにならない。残念ですけれども。  昔はと言ってしまえばあれですが、どんなに自分が苦労して貧乏しても子供だけは大事にしたい、それが親だと思うんですけれども、そうならない人たちもやっぱりいる。そういう虐待のこの激増ぶりを見ますと、どうしてもまた貧すれば鈍するというような、その言葉を思い出してしまうような状況なんですね。それで、ありがとうございます。  十数年前なんですが、まだこれほど児童虐待の問題が増えてなかった。これも、これだけ増えたのは、一つには児童虐待防止法、こういうものを作って、周りの人たちも何とか虐待死、死んでしまうまでほっておかないでちゃんとケアしようということが、法律もできたから増えてきたということももちろんあります。  でも、実は十数年前からこういった問題、随分社会問題視されてまいりまして、大阪の茨木市というところで、ある年に生まれた二千人の子供たちの六年間ほど実態調査したものがございます。その中で、お母さんがしつけと称して、六か月までの子供や、それから一歳半までの子供、三歳まで、五歳までと、こう何回かに分けて調査しているんですが、まだ六か月や一歳半といったようないたいけのない子供に対してしつけと称してたたいたり縛ったりというような、そういうことをやっているケースが随分あったんですね。これは、保健所の方々と精神科の先生たちと看護婦さんたち、それから行政とがみんなでプロジェクトチームを作って調査したものなんですが。  それで、その赤ちゃんたち二千人の、お母さんが働いているか又は家にいるか、パートか、三世代同居か、核家族なのか、すべて調査した中で、母親が働いても、三世代であっても、核家族であっても、子供の精神的、それから知能的、それから体力的発達に有意差は全くなかったんです、この二千人に。ところが、先ほど私が言いましたようなしつけと称して殴ったりしている子供は、体力的にも能力的にも知能的にも精神的にも有意差で少し低くなっているということが判明したんですね。  それで、お母さんが孤立していろいろな悩みがあるときには、ついついそういうしつけと称して少し過度な体罰を加えてしまっているということが分かって、それは何とか周りが、地域がネットワークを作って、お母さんがそうならないようにしなきゃいけないという調査がもう実は十何年も前に出ているんです。  それで、そのときに大きな影響を与えるのが、もちろん地域や親の、また友達のネットワーク大事なんですけれども、やはりそこにいつも体罰を、過度な体罰を加えているお母さんの横にいるはずの夫がほとんど育児について放任主義といいますか、かかわり、関心を持っていないというか、そういうことがもう判明しているんですね。  そうすると、今、父親の育児休業取得率は〇・四%だとたしか思いました。そして、政府はこれを一〇%に是非上げたいと。〇・四を一〇%というのは、私、一〇%ぐらい取ってほしいと思いますけれども、二十五倍ですかね、大変な数ですよね。これをどのように上げられるつもりか、検討なさっているのか。  それから、その前にお答えいただきたいけれども、まず総論として、今言ったような児童虐待の陰に、様々なネットワークがなくて母親が孤立していることや、いろんな影響がある、鬼のような母だけの問題ではないということについて、父親がそれから育児休業をなかなか取得できない状況について、小泉総理、総論で結構ですから感想をお聞かせください。  いいえ、先にまず総理からお願いします。
  112. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 児童虐待というのは最近増えており、新聞、テレビ等で報道されているのを見ても大変悲惨な状況で、一番愛情を受けなきゃならない子供が逆の、虐待をされるということについては、私も、何でこのようなことが起こるのかと、子を持つ親として子供をかわいがることがどうしてできないのかということについては非常に驚いておりますが。こういう状況に対して、自分の子供については余り構ってくれるなという家庭もあって、よそからいろいろな世話とか関与とか、介入したくないと。また、それを拒否することが多くて、まだまだ分からない部分、数字に表れていない多くの部分もあると思います。  しかし、これからの子供の将来のことを思いますと大変大事な問題で、どう対応していいかということについては、これは単に家庭に任すのではなくて、行政としてもどのような対応ができるか、また、将来の子供の健全な育成という面において親御さんに対する配慮、教育、あるいは育児休業等への対応、父親も子育てに参加すると。同時に、最近は母親のいない、父親だけの家庭で子供がいるというのも増えてきております。単に父親がいないというだけじゃなくて、母親がいないという家庭もありますので、両面の対応が必要じゃないかと。  やはり一番小さなときから、子供に対してまずしつけて、罰を与えるというんじゃなくて、一番大事なのは愛情だという点を大人が、親がしっかりと認識する必要があるのではないかと、そう私は思っております。
  113. 谷畑孝

    ○副大臣(谷畑孝君) 私は大阪出身でもありますし、過日、二月の五日、岸和田の児童虐待について視察をさせていただいたところでありますけれども。先生が指摘しておりますように、本当に子供がいわゆる栄養失調で亡くなっていくという、そこまで、餓死に追い込んでいくということについて非常に大きな衝撃を受けたわけでありますけれども、今後とも、児童福祉法の改正ということの中で、児童いわゆる相談所が立入検査ができるわけですけれども、やはりもう少し地域で、学校だとかあるいは保育所だとか、あるいはまたNPOの子育ての皆さんだとか、そういう連携をして、しっかりとやっぱり地域でネットワークを作って、そして総合的な力でやはり児童虐待を防止をしていかなきゃならないと、こういうふうに強く実は思っています。  年間四十二人の方が虐待によって死んでいくということでありますから、私ども厚生労働省としましても、一人たりとも児童虐待で死なせないという、まずこういう強い意志を持って取り組んでいかなきゃならないという、こういう私自身決意をしておるところでございます。  また、先ほどの質問の中で、男性の育児参加ということでございます。  私も、うちの家内が二十八年間、保育所の保母さんとして最近まで働いてきて、一緒に子供を育てた経験から、本来子供を育てるというのは非常に楽しいことだと、こう思っています。えらい済みません。今後とも、是非子供を、男性も参加できますよう努力します。
  114. 円より子

    円より子君 確かに地域の子育てネットワークをしっかり作っていく。昔でしたら、本当、縁側から、もう近くの、近所のおじさんやおばさんがいたり、いろいろ親だけではなくて本当に周りが助けてくれるようなそういう状況があったんですが、今はマンション住まいで、隣の人たちもみんな働きに出ているという状況ですから、子供もお母さんも孤立化している。そういう中で、地域のネットワークも必要で、そういう中から児童虐待も減らしていく。もちろん、起きてしまった後の様々な周りの支援も大事なんですが、なるだけ予防の方に力を入れていただきたい、そのように思っている次第でございます。  さて、先般、戸籍について、続き柄についての東京地裁での判決がございました。この件について少しお話をさせて、質問させていただきたいんですが、子供を産みたい人たちもいるし、そしてそれをためらっている人たちに喜んで産んでもらえるようなそういう社会環境作りが必要なのは、もちろん今までお話ししたとおり言うまでもありませんけれども、じゃ、生まれた子供たちが児童虐待に遭ったり、また、児童虐待に遭わなくても、人権をしっかり大事にされているかというと、どうもそうは思えない節があって、日本って余り有権者でない子供たちが大事にされないのかなと思わないではないんですが。  実は、戸籍に長女、長男と書かれるケースと、ただ子と書かれる、子供の子だけなんですが、子というふうに書かれるケースがあるんですが、その子と書かれるケース、総理、そういうケースあるのを御存じでしょうか。  総理、御存じかと聞いただけですので。
  115. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 知っております。
  116. 円より子

    円より子君 はい。済みません。  では、法務大臣、よろしくお願いします。
  117. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 円先生には、かねてから女性問題あるいは家族問題につきまして御造詣が深く、また、今回も戸籍の問題につきまして御関心をいただきましたことを感謝いたしております。  御指摘のその裁判所の判断……
  118. 円より子

    円より子君 まだ質問していないんですけれども。御存じかだけで、あと質問していませんけれども、まだ。
  119. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) ああ、そうですか。  今の点はよくわきまえておりますので。
  120. 円より子

    円より子君 済みません。  それで、私の質問は、そうした法律的に夫婦となっていらっしゃる方の子供さんは長女とか長男というふうに書かれるんです。ところが、事実婚の御夫婦の子供さんは子としか書かれない。前には住民票にもそういうふうになっていたんですが、これは変わったわけですね。今回、戸籍の場合の続き柄のところも、子供にとって大変な不利益を被るので、ここを改めてほしいというようなそういう裁判があって、そしてその裁判の判決が出たわけですけれども、それに対してはプライバシー権の侵害という、この区別の記載は戸籍制度の目的の必要限度を超えてプライバシー権の侵害ではないかというような初判断が下されたというふうに聞いておりますが、今後、行政の方ではこれを改めていくようなそういった検討はなさっているのか、このままのままでいいと大臣は思っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  121. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 今度は御質問にお答えします。  御指摘の裁判所の判断につきましては、これは私どもとしては真摯に受け止めまして、よりプライバシーの保護に配慮した続き柄の記載の在り方を検討してまいりたいと考えております。そろそろこの辺は前進させるべきときが来ていると思っております。
  122. 円より子

    円より子君 是非、その前向きな御答弁を早速生かしていただきたいと思っておりますが、こうした区別記載がありますのは、御存じのように、民法で相続の部分で嫡出子と非嫡出子の間に差別がございますね。この民法によってこうした戸籍上、また住民票上の区別記載があったと私は承知しておりますけれども、国連の子ども権利委員会からは再三にわたってこうした子供を差別することはならないと言われておりますが、この点については、大臣、どうお考えでしょうか。
  123. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 私も、外務委員長のときに子どもの権利条約の批准をいたした記憶がありまして、今、委員の御指摘の点についてはよく存じておるつもりでございます。  差別をしていかないというのが世界的な潮流にもなっておりますので、私ども、民法が非常にもう古くもなっておることもございますので、今後の御検討の中で国民世論の動向等をよく見極めながら検討を進めなきゃいかぬ問題と思っております。
  124. 円より子

    円より子君 是非、その嫡出子と非嫡出子の相続差別についても民法を早く改めていただきたいと思っておりますが、実はもうこれは法務省では法制審議会で改めるということ、それからそのときに、離婚したときの夫婦での財産の分割、これは今、離婚時の年金の分割のことが随分言われておりますけれども、その前に、二人で築いた財産を分割するということ、そして結婚したときに今九七・七%が夫側の姓になっておりますけれども、別にこれは夫でも妻でもいいんですけれども、今までの日本の家族意識みたいなものからそうなっているんだと思いますが、これを選択制の夫婦別姓にしたらどうかということ、それから婚姻年齢が十六歳と十八歳というふうに男女で違う、これも同じようにすべきではないか、様々な幾つかの法制審議会で決まったことを閣議に法務大臣が、たしか長尾法務大臣のときだったと思いますが、出されました。ところが、閣議に出されたときに却下されて、国会には実は出てきてないんですね。そのときの一つが、今、大臣のおっしゃった嫡出子と非嫡出子の相続差別の問題もその中にありました。  民法というのはなかなか、商法がどんどん変わるのと違いまして本当変わらないんですけれども、やはり人々の意識や社会の在り方が変わってくればこういったことも変えていくべきだと思いますが、今、夫婦別姓については大臣は、もう一度法務省の方で閣議にお出しになろうというお気持ちはないんでしょうか。あのときは、たしか何度も、二回でしたか、大掛かりな、国民の間の、有識者にもアンケート調査もすべてなさって、法制審議会の答申がいいということでお出しになったと思いますけれども。
  125. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 選択的夫婦別氏制度導入の問題につきましては、法務省としましては、平成八年の法制審議会の答申の内容を踏まえながら、少しでも多くの方の御理解を得られるように努力を続けてきたところでございます。しかしながら、この問題は現在もなお婚姻制度や家族の在り方と関連する重要な問題でありまして、国民各層や関係各方面で様々な議論があることを承知しております。法務省といたしまして、このような議論を踏まえまして、大方の国民の御理解を得ることができるような状況で法改正を行うことが相当であると考えております。  今後、この問題についての関係各方面での議論、特に国会における議論が一層深められることを期待しまして、それらの議論を受けて取り組んでまいるつもりでございます。
  126. 円より子

    円より子君 前田法務大臣のころから延々ずっと各法務大臣にこのことは質問をさせていただいて、皆さん法務大臣は結構前向きでいらっしゃいますのに、なかなかこれができないというのは本当に残念でございまして、是非、民法改正の中の一つとして、子供の権利、そしてそうした働く女性たちや自分のアイデンティティー喪失に悩まれる方たちのためにも、夫婦別姓のことも早急に御検討をいただきたいと思っております。これは総理にも本当はお願いしたいことでございます。  さて、もう一つ法務大臣にお聞きしたい。これも総理にもお聞きしたいんですが、実はフランス人を父に、日本人を母親に持って、フランスで生まれフランスで育っている十八歳の男の子から手紙をもらいました。  彼は二十歳になると、フランスでずっとこれから住み続けるならば日本国籍を放棄しなければいけない。そして、彼は毎年おじいちゃん、おばあちゃんのいる日本に来て、日本語ももちろん勉強し、一か月ですが日本小学校、中学校にずっと通い、日本をとても誇りにして、日本が大好きな男の子なんですね。でも、フランスでずっと住み続けて向こうで仕事をする。ところが、もしかしたら二十五か三十になったときに日本に帰ってきて仕事をするかもしれないというような希望も持っている。そうした人たちが今、全世界にたくさんいらっしゃるんですが、せっかく日本を愛している子供が日本国籍を放棄しなきゃいけないという、とてもそこで悩んでいるわけです。  自分の親の血を、また受け継いだ文化、そうしたものをすべて何か放棄するようなアイデンティティーの喪失に悩む。なぜ国籍を放棄しなきゃいけないのか。そういう方たちがこれから国際結婚や、また国際結婚じゃなくても外国で仕事をする方たちが増えていくこうしたグローバルな社会の中で、こういう問題は早急に私は改めた方がいいのではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。まず総理から。済みません。
  127. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も実際知り合いの人がおりますので、フランスのみならず各国からそういう話聞いております。率直に言って円さんみたいな感想を持ったわけです。で、どうなのかと聞いたら、なかなか難しいんですね、手続上、今までの二重国籍の問題。やっぱりこういうのは、国民議論も踏まえましてよく検討する必要があるのではないかと思っております。
  128. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) この国籍法につきましては、これまでも我が国を取り巻く国際情勢や国内情勢の変化等を踏まえて、所要の法改正を行うことも含め適切に対処してきたところでございますが、今後とも御指摘の点を踏まえながら、こうした問題についての国際的な動向等を注視してまいりたいと思っております。世界的な傾向を見ますと、二重国籍等を認めるという流れが今のところ大きくなっているように伺っております。
  129. 円より子

    円より子君 今まで子供たちの問題について、その人権や、そしてこれからの将来を担う子供たちが本当に幸せに生きていけるような社会を目指す、そうした環境作りについて質問をさせていただいてまいりましたが、母親の問題というのが一つございまして、今一番働き盛りの女性たちの死亡率のトップは乳がんなんです。本人ももちろんですけれども、早期発見をすれば乳がんは死ななくても済む病気ですのに、母親というのは、家事ですとか育児ですとか、そういうものにどうしても追われてなかなか検診を受ける時間もなくて、それで乳がんで死亡する人が本当に多いんですね。  今、厚生省では、視触診という形で、目で見たり触ったりで、がんがあるかどうかというその検診だけではなくて、もっと精度の高いマンモグラフィーという装置を早く導入して早期発見をしなきゃいけないというふうに、少し、今検討会を開いて、三月末にはその指針が出るというふうに聞いておりますけれども、でもまだまだ、国庫補助が一般財源化されたことで、ここでもがん検診の実施が自治体にゆだねられて、そのマンモグラフィー併用検診の受診率が低くなっているという、そういうやっぱり財源の問題ってとても大きい。  お母さんたちの乳がんの死亡を減らすためにも自治体がしっかりやってくれればいいんですけれども、こうした受診者の検診施設へのアクセスをもっと確保するために、マンモグラフィーを本当に普及させていくために、乳がんで死亡するお母さんを少なくするためにどのように考えていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
  130. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) マンモグラフィーを使ってやっている市町村というのは約半分というふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、いわゆる検診を受けていただく方もまた少ないわけでありまして、全体の検診の仕方を改めていくと同時に、今度は皆さん方にいかにすればこれをお受けをいただけるようにするかということも併せてやっていかないといけないというふうに思っております。  一台二千万円ぐらいするそうでございまして、かなり高いものですからなかなか市町村の方もそう簡単にというわけにはいかないんだろうというふうには思いますけれども、しかし、事は命にかかわる話でございますし、今お話しいただきましたように、四十歳代ぐらいのところから非常に増えてくるということでございますから、とにかく女性として一番これからというときでございますので、その皆さん方に対してやはりこれは十分にお受けをいただく体制を整えなければならないというふうに思っております。  御指摘いただきましたように、今検討会で検討を重ねておりまして、できれば、この中で結論を出していただくことでございますが、今五十歳以上になっていますが、まず四十歳以上ということにしてもらえればというふうに思っているところでございます。  そして、マンモグラフィーをどう普及させるかということでありまして、これは財源も伴うことでございますけれども、早く各地域におきましてこれが全地域導入されるように努力をしたいというふうに思っております。
  131. 円より子

    円より子君 関連質疑を松井さんに譲りたいと思います。(拍手)
  132. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 関連質疑を許します。松井孝治君。
  133. 松井孝治

    ○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。  今日は、この十四年度決算を中心に、私は、税金の無駄遣い、そして保険料ですね、保険の加入者の方々が、あるいは雇用保険の問題も触れていきたいと思いますが、皆さんが一生懸命納められた保険料や税金の無駄遣い、それがどのように起こっていて、そしてその根源に何があるのか、そのことについて御質問をさせていただきたいと思います。  まず最初にこのパネルをごらんください。(資料提示)  これはもう既に衆議院予算委員会でもいろいろ議論になりました。あるいは参議院でも議論になりました。この年金給付以外に使われた年金保険料で明らかになったもの、これ既に坂口厚生労働大臣がお認めになっているものをまとめさせていただきました。ですから、一々これを具体的に事実確認の答弁は最小限にさせていただきたいと思いますが、字が細かくて恐縮ですが、五兆六千億円という金額が、これ、ある程度の累計で分かっている限りのもので、皆さんが一生懸命納められた保険料が保険の給付以外にこれだけ使われた。これはやっぱり問題ですね、総理。眠いかもしれませんが、是非お付き合いいただきたいと思います。  グリーンピアの話、有名ですね。そして、グリーンピアだけじゃないんですね、年金福祉施設と言われるような全国で二百六十か所余り施設が作られています。これは箱物行政の典型ですよね。こういうものに皆さんが一生懸命納められた保険料が使われてきた。これ坂口厚生労働大臣、もう既に答弁し飽きたというような雰囲気が午前中ございましたけれども、もう国民から見たら、一生懸命納めた保険料でこれから給付が下がっていく、負担が上がる。だけれども、それを保険給付以外のものにこれだけ使ってきた。これはやっぱり保険料を上げる前にきちんと責任を明らかにしていただきたい。これは国民の当然の声だと思いますよ。  どういうふうに、さっき午前中に自民党の藤井議員の御質問の中に若干答えておられましたが、どうやってこの問題責任問うんですか。整理するというのは分かりました。それは分かりましたから、具体的にこれ、どうやって再発防止をする、こういうことが二度と起こらないようにするために何をされるのか、どうやって責任を追及していかれるのか、その点について坂口厚生労働大臣、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
  134. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 私に対する集中審議みたいになってまいりましたが、この年金の問題につきましては、もうその年金の本論に入る前に、今までの過去の問題をどう整理をするかということに意見が集中しているわけでございます。今御指摘も、そのとおりだというふうに思います。  五兆六千億という数字はお示しを既に申し上げたところでございますが、このスタートを、私もいつごろからこう起こっているのか、ずっとこう様々な問題を拾っておりますが、私も経験いたしておりますけれども、最初は国会においてこうしたいわゆる福祉還元ということが非常に言われた時期があったことも実は事実でございます。そうしたことを踏まえて今日を迎えているわけでございます。  そこを今後どうしていくかということでございますが、今日午前中にも申し上げましたとおり、一遍過去を検討する、過去のことにつきまして一度検証をするということをこれは第三者を含めて行いたい。これは、行うのはもうそんなに掛からずにすぐにでも早く掛かりたいというふうに思っております。  いつまでにやるんだと多分おっしゃるんだろうと思いますから、最終のところは、これは始めていただいた皆さん方にある程度お任せをしなきゃならないわけでございますが、そんな二年も三年も掛かることではないというふうに思っております。
  135. 松井孝治

    ○松井孝治君 過去の問題とおっしゃいましたね。過去の問題でもあると思いますよ。でも、過去の問題だけじゃないんですよ。今日は、そのところをはっきりさせていきたいと思います。  これ、午前中にも藤井議員からお話がありました。鴻池委員長共々、この決算委員会のメンバーで旧スパウザ小田原、見てみました。大変すごい施設でございまして、これごらんいただければ分かるとおり、すごい広さです。四百五十億円余りを投じられています。オープンして六年後に八億円で売っています。五十分の一で売っています。要するに、約四百五十億円これですったということですね。  これは年金の問題とは違うんですね。雇用保険の問題なんです。しかし、これは雇用保険のどういう財源がこのスパウザ小田原に投じられたかというと、一生懸命中小企業の経営者の方々が従業員の方々の給料の千分の三を積み立てて、千分の三というと小さく考えられるかもしれませんが、月々の給料ですから大変な金額です。それをこういうものに使ってしまった。六年間で四百五十億、総理、これはすったんです。これ、ごらんになられたことがあるかどうか分かりませんけれども、これ四百五十億といったら大変な金額なんです。奨学金にしたって、この四百五十億円の奨学金といったら大変な何年分の奨学金という金額であります。それを全部上げたと思えばいいと。お金の使い道としては大変なものにすってしまった。しかし、これは坂口厚生労働大臣、過去のバブル期の遺物だというふうに思われているでしょう。だけれども、私が申し上げたいことは、これはバブル期の遺物だけじゃないんですよ。構造が今も残っているんです。  どういうことか、少し明らかにしていきたいと思います。  このスパウザ小田原、閣僚皆さんにも委員皆さんにも資料をお配りしていると思います。三ページ目だと思います。スパウザ小田原というのは、元々の経緯からいうと、ちょうど、そうですね、バブルの最盛期に制度が企画されています。そのころにだれが企画をされたか。私も厚生労働省に友人がおりますので、聞きました。このスパウザ小田原ってだれが作ったんですか、本当の話はと。大勢の方がもちろんかかわられているわけでありますが、キーパーソンが、何人かの方に聞きましたら、お二人キーパーソンがいらっしゃるということでありました。  お一人は関さんという前の理事長ですね。これ、スパウザ小田原に関連しては厚生労働省、当時の労働省、そして雇用促進事業団という特殊法人、そしてこのスパウザ小田原を運営する財団まで御丁寧に作っておられます。この関さんが最初の言い出しっぺだった。バブル期に一生懸命こういうものを作ろうという発想があったんでしょう。ゆとりを持とう、勤労者もゆとりを持とうと、そのこと自体は悪いことじゃないんですね。この方が事務次官のときに初めて、この方が雇用促進事業団の理事長のときに概算要求をして、立地を決定して、基本設計をしている。この方は雇用促進事業団の理事長とこのスパウザ小田原を運営する財団の理事長を兼ねておられるんですね。それがこの時期ですね。そして、この雇用促進事業団の理事長を退かれて、リフレッシュ財団という、このスパウザ小田原を、このすごい施設を運営する財団のトップになられたわけです。非常に首尾一貫した生き方ですね。  それで、その後、清水さんという方がもう一人のキーパーソンだということを、これは私が申し上げているんじゃなくて、厚生労働省の職員の方に聞いたんですよ。だれとは申し上げられませんからね、その方が後でいじめられても困りますから。この方が、実は概算要求、昭和六十三年八月の概算要求のときに、この方は官房長です。役所の方は皆さんお分かりのように、官房長というのは概算要求の役所の中の取りまとめ役ですね。そして、職業安定局長ですから、雇用促進事業団を監督する局長をやっておられる。そして、その後、事務次官になられて、この関さんの後を継いで雇用促進事業団の理事長をやられて、現在は勤労者リフレッシュ財団というこの運営財団の理事長をしておられる。分かりやすい構造でしょう。だれが、だれがこの事業を進めてきたかというのは、おおむねこの図表で明らかになるんじゃないかと思うんです。こういうことを何で起こしてしまったのかと。  さっき、一般的に、これ過去の問題をきちんと検証していかなきゃいけない、そういうふうに厚生労働大臣はおっしゃいましたけれども、例えば、例えばですよ、私、フェアに申し上げると、このお二人の事務次官経験者の方は労働省の中でも非常に仕事ができられる方だったらしいです、一生懸命仕事をされた方だと。だけれども、こういう、まあマンモスプロジェクトを作って、四百五十億円すってしまったということについて、政府としては何か責任を追及されるおつもりはあるんでしょうか。  個別論の前に、総理、これ、今、私、概要を御説明しましたけれども、どう思われますか。
  136. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、私が厚生大臣やっていたときに、年金福祉事業団、これを廃止しろと言ったときに、みんなびっくりしたんですよ。この厚生年金福祉事業団で果たして収益が上がるのかどうかと。民間よりも安い、施設はいい、普通に考えれば収益は上がんないぞと。やっぱり、厚生年金福祉事業団、これは保険を掛けている人にとってみれば、給付をできるだけ多くしてもらいたい、あるいは保険料をできるだけ少なくしてもらいたい、これが最大のサービスではないかと。確かに、その施設に行く人は普通の民間の施設よりもいい施設で安ければ恩恵を受けれるかもしれないけれども、そういう人たち年金を掛けている人に比べればごくわずかだということを考えれば、この年金福祉事業団は廃止してしかるべきだということで、廃止の方向に持っていったんです。  今、これは労働省の問題。確かに、これは似たような問題です。今、事務次官がやっていると。だから、つい最近ですけれども、この雇用、何と言ったかな、(「雇用促進事業団」と呼ぶ者あり)えっ、雇用促進事業団か、この理事長に事務次官経験者を起用したいと私のところへ持ってきた。今までの国会議論を何と聞いていたのかと私言ったんです。少しぐらい責任を感じたらどうかということで、私は、事務次官経験者、しない。しかし、もうほとんど決まっちゃって適任者がいないと言うから、しばらくそれでは今までの、全部新しい人は今探すの無理だと言うから、短期間ということで持ってきて、後はもう事務次官経験者はしないということに決定しています。  少しぐらいは反省しなきゃいかぬという認識においては、私は松井議員と同じような認識を持っております。
  137. 松井孝治

    ○松井孝治君 少しではなくて、大いに反省しなきゃいかぬのですよ。それ、今、総理、うなずかれましたよ、テレビ画面もとらえていると思いますからね。  これね、総理、これは氷山の一角なんですよ。例えばこれ以外で何があるかといったときに、いわゆる年金福祉施設、これさっきもこのパネルでごらんに入れました。(資料提示)これ、二百六十五か所あるわけですよ。それから、さっきの勤労者福祉施設というのは全国で二千七十あるんですよ。これは地方に委託しているものが多いですけれども、勤労者の方はね。この年金福祉施設の見直しも、坂口大臣も若干言及されておられますけれども、これ、どういう構造になっているか。  この年金福祉施設、二百六十五か所あるものを、これまた閣僚皆さんも表を見てください。表を見ることによって眠気も覚めると思いますので、表を見てください。(資料提示)  そして、これちょっと見ていただきたいんですけれども、これがその二百六十五法人を運営している財団、社団でありますね、都道府県のものもあります。ちょっと注目していただきたいのは、この役員、役員数千三百七十五名。これ、いろんな天下りの問題を取り上げた政府の文書も、この千三百七十五役員があるけれども、そのうち厚生労働省の出身、いわゆる天下りが百五十四だと。それだけじゃなくて、職員に六百十四いるんですけれどもね。この数字をよく見ます。でも、ちょっと私、今回調べてみたんですよ。財団とか社団というのはいつも勤務している人は少ないんですよね。割と形の上だけ非常勤理事という方が多いんですよ。  これちょっと調べて、厚生労働省に調べていただきました。そしたら、この二百六十五の運営財団の常勤の役員のうち、百三十五名のうち百二十四名が厚生労働省の天下りなんですよ。こういう構造なんですよ、総理。  要するにさっきの、バブルのとき、日本じゅう狂っていました。恐らく労働省だけの責任じゃなくて、政府も内需拡大ということで生活基盤施設を整備するといって何回も何回も、竹中大臣よく御存じのとおり、何回も何回も景気対策でこういう施設に投資してくださいというお願いをしているんですよ。それも全部文書を私は取ってあります。  だから、これは言ってみれば政府全体の責任なんですが、なんですがですよ、さっきのこれ、見てください。(資料提示)もうバブル崩壊しているんですよ。バブル崩壊しているときに、平成六年に基本設計完成で、六年、七年と本体工事、十年に営業開始なんですよ。気付くべきなんですよ、その時点で、やっぱりこれは失敗したと。そこで見直すべきなんですよ。  私は、この決算委員会というのはそういうことをやる委員会だと思うんですよ。問題は気付いているんですよ。労働省の人に聞きました、担当の人に。おかしいと思わないの、こんなもの作ってと。おかしいと思いますと。何で直せなかったの。それは、それはそうですよ。これはすご腕と言われるような事務次官経験者が天下って、自分の上司だった人、恐らく入省して間もないときにえらい怒られたような人が理事長をやっている、その運営財団のこの施設の、民間でいえば社長をやっているわけですよ。それ、やめろと言えますか。これ、人情からいうと難しいですよね。  だから、これはシステムの問題としてメスを入れなきゃいかぬのですよ。さっきの労働省関係の施設、ほとんどが天下りじゃないですか。こういう仕組みにしていると、後輩がおかしいと思った。やっぱりこれ、雇用保険特会も昔はじゃぶじゃぶだったときがあったんですよね。この負担率を、さっきの千分の三・五をもうちょっと引き下げようかどうしようかと思った。しかし、役所の先輩というのは余計なことを考えるもので、こんなものを引き下げたら将来の自分たちの後輩が苦労する、引き上げるときは大変だということで、使ってしまえということになったわけですね。だからこんなものを作ったわけですよ。これは時代の共同責任かもしれない。しかし、今の時代に我々はできることがある。  それは、さっきちょっと総理がおっしゃり掛けたけれども、これは物事の本質は私は二つあると。一つは天下りですよ。私も昔、役人をしていましたから、ここにもたくさん役所の方々が来られている。一生懸命働いていますよ。ここのうちの相当の方々は毎日毎日徹夜しているような方々ですよ。一生懸命働くけれども、だけれども、やっぱり国民の税金を預かっているんだと。それをこういう形で早く退職させられて、五十そこそこになると肩たたきを受けて、そして後輩に、後進に道を譲るといって外の特殊法人に出ていく、あるいは財団法人に出ていく。そういう形で道を譲って、それは別に特別会計などを中心にしてその人たち事業を守る、もっと言うと人件費を守る、こういう制度を作り上げてきた。これを直すことが私は責任を取るということだと思います。  だから私も聞きましたよ。この関さんとか清水さんの退職金が幾らか聞きました。でも、そんなことは言いません。それはきちんとした退職金を取っておられますよ。相当な金額です。恐らく国民方々が聞かれたら驚くような金額かもしれない。だけれども、そこの問題よりも、もうこれから後にこういう構造を残さないという改革を、小泉さんがさっき、もう理事長にするなとおっしゃったと。それは一つの見識だと思いますよ。だけれども、その人一人の問題じゃないんですよ。山ほどあるんですよ。  その問題について、私、小泉総理、この問題を契機に、これから本当に保険料がどんどん上がっていくということについて、まだこんなもの、いつまでこういうことに自分たちの保険料あるいは税金を使うんだということについて国民皆さんに物すごく疑念があります。これをただすおつもりがあるか。具体的に言うと、この特殊法人とか、あるいは非常に国との関係が深い財団法人への天下りの問題について見直すかどうか。せっかくですから総理のお言葉で御発言をいただけませんでしょうか。
  138. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私が就任以来、最大の改革の視点がそこなんです。だから、特殊法人改革、民間にできることは民間に、そしてその本が郵政三事業だと。財政投融資、特殊法人、全部につながるのが郵政民営化なんだということからやっているわけです。特殊法人も一番税金を使っているところの道路公団から始めようということで始めている。民間にできることは民間にということで進めております。これはもう非常に大事な改革でありますし、今後、各役所がその特殊法人を廃止したがらない理由も今、松井議員が言ったような点もあると思います。  ですから、事務次官が自動的に自分の役所の特殊法人に行ったり独立行政法人に天下りしていくのはもう許される時代じゃないと、できるだけこういうものは直していかなきゃいかぬということで、既に、この雇用促進事業団だけじゃなくて、政府系金融機関のトップもすべて事務次官経験者がトップに座っています。しかし、これは次からはもうそうしないということをはっきり言明しておりますから、今言った視点を大事にして、特殊法人改革、そして財政投融資制度、郵政民営化、この入口から出口までの官の分野の構造改革、これこそが小泉内閣改革の本丸でありますので、これは断固として進めていきたいと思います。
  139. 松井孝治

    ○松井孝治君 今、非常に勢いのある答弁だったんですけれども、肝心な約束されていないんですよね。  もうちょっと具体的に国民皆さんに、どういうことなのか、天下り問題というのはということを御説明したいと思います。資料の中に入っています。  国家公務員の再就職というのは、例えば国土交通省、例えばですよ、例えば国土交通省から、国土交通省で例えば道路局長をやっておられた方がゼネコンに行く、これは二年間できません。それは皆さんよく御存じだと思うんですね。ところが、何ができるかというと、道路局長が道路公団、これは小泉総理も格段の思いを持っておられる、その割に結果がよく分かりませんが、そういうものでありますが、この道路公団には道路局長がいきなり行ってもいいんですよ。確認してもいいですよ。人事院総裁も来ておられるから、人事院総裁がそれをチェックしておられるかどうか確認したいと思いますけれども、行けるんですよ。道路公団からゼネコンに確実に行けるんですよ。今の天下り規制と、ここの下の欄には何にも手を付けていないんですよ。(資料提示)これは別に国土交通省に恨みがあって言っているわけじゃない。経済産業省でも、例えば昔の石油公団に、資源エネルギー庁長官が石油公団に行って、石油公団を通じて石油会社に行く。何の問題もないんですよ。こういう天下り規制で本当にいいと思われていますか。  まずその前に、人事院総裁、お見えでございます。人事院総裁はもうこの三月末で御勇退だというふうに伺っておりますが、いろんなこれまでの思いも含めて御答弁もいただければと思いますが、人事院総裁、私が今申し上げた、今の人事院が規制しておられる天下りというのは、こういう上のルートは規制するけれども下のルートは全く何にも手が付いていない、要するに、特殊法人、公益法人への天下りは手が付いていないということだけ、事実関係だけお答えいただけますか。
  140. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 各大臣が目を通しておられると、それが今のシステムでございます。
  141. 松井孝治

    ○松井孝治君 要するに、人事院としてはチェックをしていない。  じゃ、各大臣、そうですね、どなたに聞くのがいいかな。麻生大臣、麻生大臣は人事制度担当の総務大臣でいらっしゃいますが、こういう特殊法人、そして公益法人についての天下りのチェックというのは各大臣でしておられるのか。もしされているとしたら、それを、どれぐらいのものを、いや、実際、そこの再就職は困るといってはねておられるのか。具体的に、もしチェックをしておられるならお答えいただきたいと思います。
  142. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 公務員制度改革大綱というのに基づいて事は動いておるので、再就職の状況については既に公表されていると思いますが、それは御存じですね。その上で聞かれるということですね。  昨年の退職者千二百八十五人のうち、営利企業以外への法人再就職は、財団法人三百八、社団法人百四十六、特殊法人七十四というのが公表されておる数字と理解しておりますが。
  143. 松井孝治

    ○松井孝治君 私が聞いているのは、今、人事院総裁が、人事院としてはそれはチェックをしていない。いや、それは公表しているかどうかということじゃないんです。それについて何らかの規制があるんですかと。国から特殊法人あるいは財団法人に再就職することについて規制があるんですかと。公表しておられるかどうかということではありません。  今の数を聞かれて、ああ、そんなたくさんの数の方々が特殊法人やあるいは財団法人、公益法人に行っておられるということは国民皆さんお知りになられたわけですが、何かチェックをする仕組みはありますか。もしあれだったら金子大臣でも結構ですが。
  144. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 確かに、人事院総裁お話ありましたように、営利企業以外は各担当大臣、しかし、特殊法人等々については内閣の人事委員会、官房長官をトップとするそこでチェックを受ける仕組みになっております。  ただ多分、松井先生が御質問は、ただ天下り禁止と言ったって駄目だろうと、それをどうするんだと。さっきちょっと肩たたきというお話がありました。先生もお役人の、だからよく分かるという意味を込めておっしゃったのかと思うんですけれども、やっぱり肩たたきではなくて目一杯役所の中で働いていただく。しかし、しかし一方で、高齢化するからといって人件費が右肩上がりになってくるという仕組みは、これは変えていかなければいけない。こういう全体の公務員制度改革、この議論を今関係者と、皆さんと進めております。この中で解決をしていくということは、もう一方で総理がおっしゃられた特殊法人改革、公益法人改革等と併せて必要だろうと、私たちはそういうつもりで進めております。
  145. 松井孝治

    ○松井孝治君 先ほど人事院総裁が、営利企業への再就職については人事院がチェックしている。それから政府の方は、今、金子大臣からお話がありましたが、内閣で本当に重要なポストについてはこれを承認する、それがもうごく一部ですね。恐らく総理なんかが見ておられて、これ、このポストがこの事務次官経験者が行くんですがなんといって聞いておられるのは、ごく最近、政府系金融機関のこととか、あるいはこの旧雇用促進事業団の話をお聞きになられていると思いますが、それ以外のことなんて、これはもう何百とあるものをお聞きになられていませんよね、なられていないというふうに今うなずいておられます。ですからもう答弁要りませんけれども、そういう状況なんですよ。  したがって、問題は、そこを本当に見逃していいのか。そこが本当の、さっきから保険料とかあるいは税金の無駄遣い、OBがいる、天下りのOBがいる、だからこそそこにいろんな補助金が出ている、委託費が出ている。さっきのざっと天下りの数字を、ほとんどは厚生労働省の天下りだという表を見せましたけれども、あそこに、あの団体だけでも百三十億円からの補助金が年間で出ているんですよ。この補助金も切れない。そして、そこから特会で出ている事業費も切れない。だから、これをやっぱり見直していかなければいけない。  当然、職業選択の自由の問題もあります。それから、勧奨退職制度をやめるということになりますと、役所の中で人件費がその分増えるということもあるでしょう。だけれども、今の現状はどうなっているかというと、役所の中で五十過ぎの、これも一部キャリアの話ですよ、今で言うⅠ種の職員の問題ですけれども、これは五十過ぎになると肩たたきされる。じゃ、その人たちが特殊法人や財団法人に天下る、その人件費というのは結局いろんなところで見ているんですよ。  それは、今日、ちょっと谷垣大臣にも特別会計の話聞きますけれども、さっきからの話ってほとんど特別会計なんですよ。特別会計について財務省がどれだけチェックできているかというと、甚だおぼつかないところがある。そういうところで、特別会計で裏でそういうOBの人件費を面倒見る。そして、それを財団にまた行って、財団に委託費を投げる。そういう形で結局コストとしてはかえって高く付いているんじゃないか。かえって、それだったらきちんと定年までいらっしゃって、なおかつ民間が採用されているようにスタッフ制みたいなことにして、少し給料は、働けなくなってきたら給料を見直していく、そういうことを特にキャリアの方々について言うと、していった方がいいんじゃないか、私はそういうことを申し上げているつもりであります。  それで人事院総裁に、ちょっと話がそれますけれども、今公務員制度改革大綱がもうできてから随分、なかなか、今国会に国公法改正案が出てくるかと思ったら出てこないですよね。公務員制度改革大綱というのがまとめられました、政府責任で。これはさっきの天下り、これは人事院は営利企業はチェックしています、非営利の特殊法人とかあるいは財団法人はチェックしていないという話がありました。でも、営利企業は人事院が不十分かもしれないけれどもチェックはされている。非営利の方は今のような現状です。実際これだけの数の方々が天下りされている状況であります。  そういう状況の中で、政府がまとめられた公務員制度改革大綱は、このもう人事院のチェックやめてしまおう、それは政府として、正に特殊法人とか公益法人がそうであるように、政府責任でチェックするようにしましょう、各大臣がチェックするようにしましょう、そういう改革が、制度改革大綱としてまとめられています。  人事院総裁、この政府として決定された、もう少し前になりますね、一年以上前になりますね、この大綱で本当に今の天下りの問題、私から問題提起させていただいている問題は解決できると思っておられますか。
  146. 中島忠能

    政府特別補佐人中島忠能君) 遠慮なしに答弁させていただきますけれども、全く駄目だと思いますね。なぜかといいますと、大臣というのは勧奨退職をする責任者ですね、させる。しかも、勧奨退職をさせた人を再就職させる、あっせんする責任者でもあるわけです。その責任者が当該天下りが適正かどうかということを判断させるというのは、全然理屈に合っていませんね。
  147. 松井孝治

    ○松井孝治君 勇気ある御発言だと思います。もう総裁も期限があとわずかだということで、本当に本音を述べられたんではないかなと私、思います。  総理、今後ろから官房長官が何かアドバイスをしておられましたけれども、いろいろあるかもしれませんけれども、中島総裁の今のは本当に本音の直言だと思いますけれども、この天下り制度を何とかしなきゃ、別に私は退職している人に、個々の人々に恨みがあって言っているわけじゃないんですよ。だけれども、そうじゃなくて、やっぱりここの根っこが、総理が特別会計に問題がある、あるいは従来の郵政事業を始めとしたお金の回し方に問題があるというふうにおっしゃった、それと同じ問題が構造的にここにあると思われませんか。これは是非、ほかの大臣ではなくて、総理に思い切った御発言をお願いしたいと思います。
  148. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは一連の特殊法人、財投、郵政の改革が大きな改革でありますが、同時に天下りの問題もこれは大事な改革だと思っております。四十代、五十代で辞めろというのも無理ですしね、働き盛り。これを延長するということを決定したのも、今までの役人の世界だったら非常に大きな改革なんですね。国民から見れば不十分だと思いますけれども。今、公務員制度改革におきましても、閣議で決定いたしましたけれども、与党の方でやはりちょっと見直した方がいいんじゃないかという声も出ておりますもんですから、この問題はもう少し検討し直す必要があるんじゃないかと思っております。  今言った視点も踏まえまして、天下りの問題も含めて、公務員制度、できるだけ意欲を持って公務員の皆さんが働くことができるような、そして天下りも今のような状況にならないような制度改革というのはどういうものかという点について、十分私は見直していかなきゃならないと思っております。
  149. 松井孝治

    ○松井孝治君 総理、それは公務員制度改革大綱の再検討をこの場で、今テレビ中継もされていますから、総理として指示をされるということと理解してよろしいですか。
  150. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今後、各般の意見を踏まえ、また与党とも相談しながら、見直してもいいのではないかと私は思っております。
  151. 松井孝治

    ○松井孝治君 総理が見直すというふうに明言されましたから、やっぱりこの天下りの問題についてもきちっと私は、中島総裁が、遺言と言うと失礼ですが、最後に、任期の最後にあそこまでおっしゃって、私もここで、これは人事院が政府部内かどうかというのはいろいろ議論の分かれるところかもしれませんが、政府政府ですよね、人事院があそこまで、人事院総裁がおっしゃったんだから、これは政府が不一致じゃないかというような議論をしてもいいんですけれども、そういう議論をするよりは、きちっと見直すというふうに総理がおっしゃっていただいたということで、議論を少し先に進めたいと思います。  ちょっと小さな話なんですけれども、本質的な話なんで確認をしたいと思います。  さっき坂口厚生労働大臣が、いろんな施設の整理をきちんとさせると、期限は私が聞いていなかったですけれども、二年か三年ぐらいの範囲内で見直しをするというような趣旨の御発言に私には取れました。  それで、じゃ売り急ぎがあってもいけないという話がありましたね。現実にいろんな施設、私、フォローしてみたんです。総理はもうこれ以上建設をさせないという判断をさせた、あるいは十三年度に、十七年度末をもってもう整理、売却するという閣議決定を、あれは小泉政権ですね、されている。その結果として何が起こるか。さっきのスパウザ小田原、あれ、八億何千万で売っていますね。あれは何で八億何千万なのかと、私調べてみたんです。そうしたら、何と半額にして売っているんですよ。なぜか、何で半額にしているのか。なぜかというと、公共目的に使うから半額にして売っている。グリーンピアのある施設についても調べてみたら、半額にして売っている。これも公共目的に使うからということで半額で売っているんです。  それで更に調べてみました。さっきのこれですね。(資料提示)これ見てください。旧スパウザ小田原、現ヒルトン小田原リゾート・アンド・スパなんです。立派な施設ですよ、本当に。私も家族連れて行きたいな、なかなか時間とお金がないので行けないですけれども、行きたいなと思うぐらいの施設ですよ。  だけれども、これ、ヒルトンですよ、ヒルトン。公共目的で半額で、これ、公共目的の担保というのは、売っている先は小田原市ですよ、小田原市ですけれども、その事業に着目して、公共目的であるかどうかということを判断されていると私は政府の関係の方から伺っています。  このヒルトン小田原リゾート・アンド・スパのどこら辺が公共目的なんですか、坂口厚生労働大臣
  152. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 我々の対象は小田原市でございまして、小田原市に我々は売却をしたということでございまして、そこから先どうなさるかは、それは小田原市の話になってくるわけで、それで、それで……(発言する者あり)もう少し言わせてください。  私も、その話を聞きましたときに、それならなぜ厚生労働省、まあ政府が、政府が、じゃ、民間なら民間に売却できないのかと。民間の中にもいろいろの手を挙げる人もいるんですが、しかしその手を挙げる人の中には、ただ、きちっとした方ではなくて、それはヒルトンはきちっとしたところだと思うんですが、そうではないところも中にあって、値段さえ高ければいいというわけにもいかないと。初め、何はともあれ、作ってしまったわけでありますから、作った趣旨に沿ったところにやはり売却をしなきゃいかぬというふうに我々は思っているわけであります。  このなにの方は、旧労働省の方は、土地はこれはそこの市町村のものなんですね。だから、そういうこともある。
  153. 松井孝治

    ○松井孝治君 これ、十六億という数字が付いたんですよ、最初。だから、それが八億になっているんですが、その十六億の数字を導き出すときにどうやって導いているかというと、いろんな、期待収益率とか、竹中大臣御専門ですが、そういうもので一応計算はしているんです。しているんですが、そのときの相場はもうきちんとホテルだとしてどれぐらいの収益率ですかということでやっているんです。しかも、収益還元法で計算をしているんです、収益ですよ。  要するに、ホテルとして事業をするのにどれぐらいの価値があるかということで還元価格を作って売っている、相手は小田原市ですけれども。しかも、小田原市だけれども、小田原市に売るから安くしているんじゃないんですよ。利用目的とか用途、それからどういうふうに雇用形態を維持するかという、そこに着目して安くしているんですよ。これは財務大臣も御承知のように、国有財産の売却のときの基準に沿ってやっているんです。これも、特会から出た、特殊法人の財産ですから国有財産とほぼ同じような性格のものなんですね。  だから、その決め方で、正に事業用資産として見積もっているのに何で半分で売るんですか、それはおかしくないですかというふうに、私、厚生労働大臣に聞いているんです。もしそれが公共目的と違うというのなら、それは元々売却したときの条件と違うんだから、その八億何千万と同じ金額、半額にしたんだからもう八億ちゃんと出してください、それは我々が雇用保険の特会に戻します、そしてきちんと勤労者福祉のために使いますからと、そういうふうに撤回すべきじゃないですか。  厚生労働大臣厚生労働大臣に。大臣議論です、これは。違います、テクニカルな議論じゃないんです。委員長厚生労働大臣を御指名ください。
  154. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 後ほど、後ほど厚生労働大臣にお答えを……
  155. 松井孝治

    ○松井孝治君 じゃ、もう結構です、それじゃ。  要するに、国民皆さんの良識で判断していただければ、これは明らかに私はおかしいと思う。別にヒルトンを責めているわけじゃない。ヒルトンは言われた条件の中で一生懸命やっているんです。問題は、そこの売り方、その条件の付け方、それがおかしいと私は申し上げているわけであります。  こればかりやっていてもほかの議論になりませんので、これは是非個別の省庁別審査のときにでも続きをやらせていただきたいと思います。  最初に私、表を見せました。ちょっと五兆六千億で私が申し上げていないところがあるんですね。(資料提示)それは何かというと、この「その他経費累計」とありますね、下の欄に。そこに「一兆三千九百億円」とあります。「被保険者へのサービス向上」、「システム経費」と書いてあります。何だろうなと私、思いました。ちょっと調べてみました。調べてみましたら、これは社会保険庁のオンラインシステムの構築経費なんですね。これも調べてみました。恐らくこれは麻生大臣が一番経緯的にもお詳しいと思うんですけれども、この社会保険庁のオンライン経費が何でこんなに掛かるのかなと思いました。そうしてみたら、どうもその世界では非常に有名な仕組みであった、これはレガシーという問題であったということが明らかになったわけであります。  社会保険庁のまあ電算予算、古い言葉で言うとね、コンピューター絡みの予算を調べてみましたら、年間に一千億ものお金が出ているんです。総理、一千億ですよ、一千億。それは昭和五十年代からずっと同じ二つの事業者に出ているんです。個別名は今あえて言いません。もう個別には通告してありますから、関係者の方は御存じであります。しかも、それは随意契約で、平成十六年度予算でいうと一千億のお金が出ている。随意契約で個別の二つの企業に、今でいうと八百億と二百億、そのレベルのお金がここ、昭和五十五年度以来ですから、ずっと、金額は増えてきていますが、ずっと出ている。これ、私の常識でいうと、千二百万円とかそれぐらいの金額を超えると競争入札にしろ、それが、WTOの政府調達ルールに則せばそういうふうにしろというふうに一般的には言われていると私は信じておりました。  こんな一兆円、累計一兆円もの予算が随意契約で個別の企業に出ている。これ財務大臣、これ政府調達の仕方としておかしいんじゃないですか。
  156. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 確かに松井委員がおっしゃったように、私もそのぐらいの額が毎年そのシステムのために出ていると聞いております。ただ、その背景にありますのは正に松井委員のおっしゃったレガシーでございまして、要するに受注しているところがその特許権といいますか権利を持っているわけでございますので、その権利をどうするかという問題が大きな問題として残ると、こういうことであろうと思います。
  157. 松井孝治

    ○松井孝治君 「社会保険庁の情報システムの問題点」というのをまとめてみました。閣僚皆さん方にも資料としてお手元に届けてあります。(資料提示)  これですね、ちょっと難しい言葉でシステムコストの割合、要するに社会保険関連業務に係る経費のうち情報システムに費やしている部分がどれぐらいか、これが何と三六%なんですね。これはほかのコンピューターをたくさん使う仕組みで比べてみました。特許の場合が二六%、これも高い。これもレガシー問題と言われている問題です。これは経済産業省は十六年度予算要求では替えて、それを清算しようという判断をいたしました。そして、車検の方で一六%、これに比べても著しく高い。社会保険庁の事業収入とシステム経費の割合でいっても三%、これは民間平均が一・三%と言われて、やっぱり高い。  そして、じゃこれだけの情報化投資をしていて、さっき申し上げたように、五・六兆円の中ですから、皆さんの保険料で賄われているコンピューターシステムなんですね。これだけ投資をしてどれだけのパフォーマンスがいいのか調べてみました。  この一万円徴収に必要な社会保険の、午前中の質疑にも出ていましたね、必要な経費、徴収コスト、国民年金八百十円、国税は百三十六円ですよ。これ国税の六倍の経費が掛かっていますよ。そして、職員一人当たりの徴収額は、国民年金が三・三六億円、そして国税は九・五五億円。要するに国税、ちょっと谷垣大臣を褒めるわけじゃないけれども、少なくとも国税の方が全然徴収の効率はいいわけです。事業経費に占めるシステム経費の割合は、社会保険庁が三六%で、国税七・九%。こういうふうにこれだけのお金を費やしてこれだけ効率が悪い仕組みができている。  何のために情報化投資をするのかということを考えますと、別にお金を使って景気対策をやるために情報化投資するわけじゃないんですよ。その背景にあるのがさっきのレガシーの問題であります。要するに、旧型のメーンフレームを使って、ソフトとハード、そしてサービスを一体化して、どんぶり勘定で経費を請求している。しかも随意契約ですから、ずっと同じ業者が、もう昭和五十五年以来ぐらいずっと同じ業者がやっているんです。その歴史が長過ぎて、その会社の方が経営形態が変わっているぐらい、まあ余り言うと会社名が推測できますから言いませんけれども、そういうことなんですよ。  これ、IT調達の問題点、今申し上げたことをまとめた紙も付けてあります。(資料提示)要するに、一体でどんぶり勘定、しかも途中で他の業者に乗り換えられないんですよ。ずっとやっていて、ソフトも何十本というソフトを毎年毎年ローリングしているものですから、ここで切るということができない。  しかも、これ大きな問題ですよ。谷垣大臣に御答弁いただきたいけれども、巨額の残債、要するに未払金があるんですよ。これ、未払金なんかどこにあるんだと、予算書を見ても決算書を見てもどこにもないですよ。それは何かというと、ソフト経費が将来に、開発しているから、それについて当然後で払ってくださいよと、今年の予算で計上しているのは一部分ですよということで未払経費が社会保険庁だけでも二千億あると言われているんですよ。  本当かねと思って私はその会社のアニュアルレポートというのを、まあ年次報告書ですね、見てみたら、その会社のアニュアルレポートにはちゃんと、今受注しているものよりもその倍の売り掛け債権がありますと、要するに将来の、将来そこから収入が得られるものがありますとはっきり書いてある。しかも、それは社会保険庁と書いてあるんですよ。そういうことが行われている。しかも、なぜかこの事業が始まってから、その会社及びその会社の子会社に天下りが社会保険庁、厚生労働省から行っている。だから切れない。こういうことに皆さんが一生懸命納めた保険料が使われているんですよ。  財務大臣、これはやっぱりちょっとおかしいんじゃないですか。
  158. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これは政府の電子政府構築計画の中で刷新可能性、今のレガシーの問題が指摘されまして、刷新可能性調査、どういうふうにしたらそれを改めていくことができるか、今調査をそれぞれやっていただいているわけですが、今おっしゃった社会保険庁のシステムに関しては十五年度、十六年度でこの調査を行って、どうしたらもう少し効率的なものにできるか、今検討していただいておりますので、これはいい検討をしていただいて、その検討を踏まえていただくべきことと思います。
  159. 松井孝治

    ○松井孝治君 これは、保険料を上げるときに、今これから中長期的に検討すると言われても国民方々は納得できないと思いますよ。やっぱりこのレガシーの問題、難しいんですよ。それは、確かに一年で全部入替えというわけにいかない。特許庁なんかの場合も、今年の十六年度予算要求で査定されて、さっきの社会保険庁で二千億と言われている残債は、特許庁の場合、二百数十億ありました。それは財務省が決断をされて、その部分の、残債を解消する部分の経費は認めましょうということで十六年度予算の中に入っています。いや、それをされるんなら、そういう予算の計上をされないとこの問題は解消しないんです。そこをまず財務省として財政的に、いや、今までおかしかったかもしれないけれども、これは一回清算しようという判断をされなければいけない。  これ、麻生大臣が政調会長のときに正にこの問題、特命委員会の委員長として検討されてきた問題だと思いますが、行政情報システムの統括でもあられる麻生大臣の御見解を伺いたいと思います。
  160. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) レガシーシステムという言葉がどれくらい通用するかよくは存じませんけれども、旧大型のコンピューターと思っていただいてよろしいんだと思いますが、今ですとラップトップでできるようなものでも大きなものをしておった時代の話なんですが、その時代からのものがずっと続いておるという御指摘は正しいです。また、それにかかわります、ランニングコストにかかわります部分に関しましても同様に、簡単なことで、新しい時代になったんだから、新しい、こんな小さなコンピューターでこういうシステムでということができないわけではありません。もうそれは御存じのとおりです。  ところが、それをやりますと、仮に二十億なら二十億掛かるとしますか。そうすると、一発で発注すれば十七億で済むんですが、単年度予算でありますために、従来どおり七億、七億、六億というようなことになりますと、三年間掛かりますと、それは今のやつをそのままメンテナンスしていった方が安いという役人なりのコスト計算になる。それは、単年度決算に極めて問題があるということで財務省とお話をいただき、今年度の予算から、一部ではありますけれども、複数年度というものを認めていただいて、一発でいけるようにしていただくとトータルコストとしては三年間でこれだけ安くなりますということで、社会保険庁を始めいろんなところも今一線に掛かって、特許庁は今言われたとおりのところなんですが、社会保険庁は余りに巨大なものですから、ちょっとすぐ一発というわけにはなかなかいかないというところで、十五年度、十六年度掛けてこれをほぼ言われた方向で決着を付け得ると思っております。
  161. 松井孝治

    ○松井孝治君 今、本当に年金保険料が上がって、午前中も議論がありましたように、もう若い方々も、自分たちが本来であれば世代を超えた仕送りという考え方もあったんでしょう、それに対して急速にもう信頼を失っている状況であります。その保険料がこういう形で無駄に、特定の企業と長期間の、何十年にもわたる長期間の契約が随意契約で行われている。もうこれは業界のだれもがおかしいと言われている。そういう形は一刻も早く私は解消をしていただきたい。もちろん時間が掛かるものもあるかもしれません。だけれども、着手をまずされないと。特許庁で着手ができたのなら社会保険庁でも直ちに着手をして、そして清算のための予算を組んで、それで一日も早くこの保険料の無駄遣いというものをやめていただきたい。  同時に、麻生大臣、これお願いでありますが、各省が本当に、個別の給与であるとか人事管理であるとか、いろんなソフトウエアをばらばらに投げているんです。これが、今郵政が抜けましたから若干減りましたが、それでも一・五兆、年間に。これは税金によるものが多いと思います。それだけのものがIT投資ということで発注されています。ただ、これも重複が多いんですね。考えてみたら、人事とか経理とか、そういう管理をするソフトウエアが何で各省ごとにばらばらで発注されなければいけないのか、物すごく問題があります。  同時に、本当に先ほどの問題、この保険庁なんか典型的ですが、特別会計、特会というのが、これが訳が分からぬわけであります。これは麻生大臣、立たれなくてももううなずいていただければいいですけれども、例えば、過去に郵政事業特会で郵政省の大臣官房の職員の給与が支払われていた例ってありますよね。うなずいていただければ結構です。いや、もうイエス、ノーで結構ですよ。
  162. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今言われている部分に関しましては、イエス、ノーでいくとちょっと誤解を生むおそれがありますから、丁寧に答弁をさせていただきたいと思っておるんですけれども。  この部分に関しては、ありましたと答えるべきなんだと思いますので、今総務省になってからはきちんと分かれておるというんで、何となく誘導尋問に引っ掛かってそのままだと言われると誤解を招きますので。
  163. 松井孝治

    ○松井孝治君 あったわけです。特別会計で、財務大臣が、社会保険庁は、いや人件費は皆さんの保険料で出していないとか、一生懸命。あれは税金で出しています。それどころか、税金を一銭も投じていない郵政三事業のその経費で郵政省の官房の人件費が賄われていたという事例もある、あったんです。正確に言うと、それは今ないです。  しかし、これは各省で、財務省の人に聞いてみたんです。各省でこういう事例まだあるんじゃないのと聞いてみたら、ひょっとしたらあるかもしれないけれども、それを取るすべすらない、上手にその特別会計関係の事務の併任か何かになっていたらその特別会計のお金が流れているということも分からない。それが今、特別会計が各省の財布と言われるゆえんなんですね。  だから、ここの特別会計の問題も、これは谷垣大臣、小泉総理、きちんとメスを入れていただきたいと思います。入れるということだけで結構ですよ。
  164. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 塩川前大臣国会での御議論の中で、母屋でおかゆをすすっているのに離れですき焼き食っているのはけしからぬと、こういう御発言がありまして、それで昨年、財政審等で総ざらえ的に特会の見直しをしていただきました。  これも本当は何をするか長くお答えしたいんですけれども、見直すと言うだけでよいと松井委員がおっしゃいますので、今年もある程度取っ掛かりましたけれども、これからも引き続きやってまいりたいと思います。
  165. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非、メスを入れていただきたいと、そういうふうに思います。  もう時間がなくなりました。本当は、さっきの社会保険庁と国税のコストが何であんなに違うのかと、それだったら、徴収という事務は同じなんだから、これ行革担当している麻生大臣是非答弁求めたいと思ったんですが、これ一つにしたらどうですか。社会保険庁と国税と徴収組織一つにしてしまったら、よっぽど税金の無駄遣いも保険料の無駄遣いもなくなるんじゃないですか。これ、何か総理、発言されたいですか。いや、総理、どうぞ。じゃ、麻生大臣、どうぞ。
  166. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 極端にコストが安いのは源泉徴収がありますからね、その分だけちょっと。聞いていると、源泉徴収の意味の分からぬ方が聞かれると何かえらく高いようになりますが、サラリーマンの源泉徴収も国税の中に入っていますので、その分もちょっと計算していただかぬといかぬところだと思うんですが。  これは一緒にすればええか。効率だけからいったらいいんですが、先ほどの中島総裁の話じゃありませんけれども、徴収する分と采配するのと一つでやるということになりますとまたぞろいろいろ問題が起きるという点は、大蔵省で全部やらしちゃう、地方税も何もかにもといえば、それは物すごくええというように、次に保険も集めろ何も集めろ、労働保険も社会保険も何もと、四つ五つありますので、それ全部一人ですればその分だけ安くなるだろうということになるんだとは思いますけれども。さあこれはちょっといろいろ何、取る方と配分する方が一人という話になりますので、またちょっとこれは問題があるかなという感じが正直しないわけではありませんので、ちょっとこの点については議論のあるところかなと思っております。
  167. 松井孝治

    ○松井孝治君 この議論をすると非常に長くなりますが、私はその地方分権と絡めてそれをやってしまえばいいというふうに思っていますよ。地方分権と絡めて、その一極に権力、権限の過度な集中を排除して、むしろ国が集めて地方に分配するという仕組みをやめて、ドイツの共同税みたいな形で地方でそういうことを集める、一括で徴収するというような形もあると思いますよ。それは、議論はもう時間が掛かりますから、この辺りにさせていただいて。  今日、もう一つ、調達絡みで御質問がございます。  石破防衛庁長官、お待たせをいたしました。防衛装備の問題。これ、日本の防衛装備コストが高いと言われていますね。同じ戦車が、例えば日本の九〇式戦車はドイツで造っているものに比べると三倍ぐらいするんじゃないかという話もありますし、戦闘機一機一機比べても、本当に日本でライセンス生産しているわけですね。あのライセンス生産、それは本当は輸入すりゃ全然安く買えるんじゃないかという議論がある。あるけれども、それはまあコストの議論です。同時に、本当に安全保障上、やっぱり国内生産をするということの意味もあると思います。しかし、BMD予算が入ってくる中で、政府文書の中でも、陸海空のその装備の在り方について非常に、これ効率化に努めるという決定もあります。  ここら辺について、防衛装備の調達の在り方、輸入品と国内品、あるいは国内の製造拠点を持つことの意味、あるいはそれによってどれぐらい余分なコストが掛かっているか、石破長官、簡単に御意見を述べていただきたいと思います。
  168. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それこそ簡単にお答えするのは極めて難しいお話だと思います。  確かに委員御指摘のように、例えば我々の九〇式戦車とドイツのレオパルトと比べてみると、九〇、一両で三両買えるなんというような議論もあります。ただ、全く同じ性能かといえば、それは違う。直輸入すりゃそれでいいんだという話もありますが、どの国だって、自分の国の納税者のお金をつぎ込んで、つぎ込んで、やっと作った技術を全く自分の国に提供するのと同じ金でよその国にくれるかというと、そんなに親切な国があるはずもなかろうということでございます。  そしてまた、委員御指摘のように、じゃ安けりゃ外国からみんな買えばいいのということになりますと、やはり戦車の技術、戦闘機の技術あるいは護衛艦の技術で培ったものがいろんな民生品に波及をしていくという問題もあります。一朝有事のときに、外国からみんな頼っていたら、一朝有事のときにそれみんな来なくなっちゃったらどうするの、そういう問題もございますので、私は、平成十六年中に新しい大綱を定めるという閣議決定もございます。そこにおいて必要なことは、何のためにどのようなものをどのような価格でどのように調達をすべきかということはきちんと明らかにすべきだろうと思っています。  委員も私も同世代ですが、昔、戦闘機一機で学校が幾つ建つという議論がありました。あれはたしかF104戦闘機のころの話、昭和四十年代の話、あのときに戦闘機一機五億円でした。それから、五十年代になりましてF4というのが出てくると、戦闘機一機が四十億円弱になりました。今のF15は一機当たり百二十二億円ということになっております。何を何のためにどのようにという御議論、これやはりきちんといろいろな場でいただくことが必要ではないだろうか。それがどれだけ限られた予算の中で防衛費を効率的に使っていくということではないだろうか。厳しい財政事情の下で、私どもはよく御議論を踏まえて勉強してまいりたいと思います。
  169. 松井孝治

    ○松井孝治君 おっしゃるとおりで、これ、防衛費、装備品の調達が安けりゃいいということではないと思います。しかし同時に、今おっしゃったように、一機百二十億とかそういう高い買物になるわけですから、何のために高い買物をしているのか、それがどれぐらいのコストが掛かっているかということを私は国民にきちっと明らかにしていただきたい。  そのために委員長、これは委員長に対して、要望も兼ねてでございますが、今日、国産品でなければどうしていけないのか、今、その性能の違いとかあるいはひょっとしたら補修とかメンテナンスの関係での弾力性があるとかないとか、そういう議論があるでしょう。そこで私は、陸海空、どなたでも結構ですから、幕僚長にこの委員会においでをいただいて、そして幕僚長のお立場で現場のそれぞれ陸海空の装備の運営の責任者でありますから、御意見を賜りたいということで要望をいたしました。  多くの理事の方は問題を、別に差し支えないのではないかという雰囲気ではありましたが、やはりどうもちょっと政府方面からの働き掛けが一部インフォーマルにあったようでありまして、幕僚長の御出席はかないませんでした。  私は、本当の意味でのシビリアンコントロールということを考えるんだったら、こういう場に、こういう場に現場の武官の方が来ていただいて、本当に現場の武官でしか聞けないことを私は伺いたいと思う。別に、武器輸出三原則をどうしますかなんてことは聞きません。  やはり、財務省が予算査定するときに、谷垣大臣、廊下にたくさん制服着た方々並んでおられるでしょう。それは、予算査定するときに、やっぱり制服の方々の本当の現実の知識が必要だから呼んでおられるんですよ。その説明をしなければきちんと予算の説明ができないから、防衛庁だって制服の方々が来られているわけですよ。  国会が制服の方々の、この国会議事堂の中に、委員会室の中に制服の方が入ってはいけないというようなタブーがあるとすれば、かえって私はそれはシビリアンコントロールを犯すんではないか。  これは、ひとつ委員長に問題提起をさせていただきたいと思います。
  170. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この件に関しましては、理事会において協議をしていきたいと考えております。
  171. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。よろしくお願いします。  BMDの共同研究開発が行われています。そうしますと、今の武器輸出三原則でいうと、このBMDの共同研究開発は、技術移転、せいぜい試作品の提供ですから、これは適用除外になるという判断を政府としては示されているようであります。しかし、これはもう時間の問題であって、すぐに共同研究が、共同研究開発、要するに量産である程度のものをアメリカに、日本が分担している部分がありますね、今研究開発で、共同研究開発で。その部分をアメリカに出すか出さないかという判断がそう遠くない将来に議論になると思います。  これについて、武器輸出三原則を見直すのか見直さないのか、石破長官国会における御答弁はもうひとつよく分からない。政治の場で議論をしていただきたいといつも石破長官はおっしゃっているけれども、この政治の場の議論というのは正に、石破防衛庁長官は政治家ですよね。政治家として石破さんと、川口大臣は政治家じゃないかもしれないけれども、中川経済産業大臣と政治家として政治的な議論をしないで、それこそ役人にこの議論をゆだねるというのは本当に危険なことだと思います。  武器輸出三原則、総理国会で、衆議院ですかね、防弾チョッキやヘルメットが、これ今武器輸出三原則に照らして、これは防御のための装備ですよね、これも今輸出認められない。そういうような問題もあれば、老朽戦艦を海賊対策で、その船舶の上の大砲とかそういうのを全部取っ払って、エンジンと船体だけでももらえないかというアジアの同盟国の要望もかなえられない。  そして、もう少しハイレベルな世界でいうと、このBMDの共同研究開発で本当にどこまで日本は付き合うのかはっきりしないと、結局、総理が本当に信頼しておられる大好きなアメリカの機嫌を損ねることにもなりかねないと思うんですが、これは、冗談はさておいて、本当に安全保障技術、要素技術を取得する上でも日本はどこまで覚悟を決めるのか、それを政治の世界で判断してあげなかったら、防衛庁の事務職員だって来年度の予算要求を出すときに、それこそどうしていいか分からないじゃないですか。  こういう問題について、まず石破長官、そして総理に、この武器輸出三原則の見直しの政治レベルでの検討というのをどうされるか伺いたいと思います。
  172. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 武器輸出三原則についてでございますが、現時点で政府内でこれを見直す、そのような考えはございません。  で、何なのだという、何でおまえそういうことを言うのだというふうにお尋ねになりますと、これは経緯をよく委員も御存じのことだと思います。佐藤三原則があって、三木三原則があって、そのときにいかにして平和を築くかという憲法の趣旨も体してと、こういうことがございました。これは、それだけ重いものだということだと思います。  我が国として軍縮もやっていかねばならない、しかしこの世の中はユートピアではない。じゃ、どのように考えたらいいのと。やはり、その議論の中で、憲法の趣旨も踏まえた極めて重いものであるということであります以上、これはただ政府のみでこうだということを決めるわけにはまいりません。やはり、政治の場における御議論、自由民主党の中では自由民主党の中で一つ意見があります。御党の中でもいろんな御議論がありますでしょう。やはり、主権者の代表、納税者の代表である議会においてこうあるべきだという御議論をいただくべきではないか。  政府として、このようなインフォメーションを提供せよということがあればもちろんそれに応じますが、やはりこれはそれだけ重要な課題であり、我が国の行き方にもかかわる問題である、したがいまして政治の場における御議論、このように申し上げておるわけでございます。
  173. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もう今、石破長官十分言われましたので、付け加えることはございません。
  174. 松井孝治

    ○松井孝治君 時間が参りました。  本来であれば、私の地元の京都府丹波町で起こった鳥インフルエンザ問題について取り上げたいと思いましたが、これはまた翌日も、明日も参議院予算委員会が予定されています。同僚の福山哲郎議員の質疑に譲りたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  175. 山下栄一

    ○山下栄一君 公明党の山下でございます。  今朝も冒頭、岩井委員からもお話ございました。また、総理からもお話ございましたけれども、参議院予算審議の前に、決算委員会でこの行政監視、立法府の大きな役割が行政監視だという観点から非常に鋭い質問が午前中からも今に至るまで行われているわけでございまして、参議院独自性、躍如たるものがあるというふうに非常に喜んでおるわけでございます。  その行政監視をする側の立法府の不祥事が、国会議員の不祥事が、昨日、佐藤観樹前衆議院議員の逮捕という形であったわけでございます。それも公設秘書、公設秘書というのは特別職の国家公務員でございますけれども、税金が支払われておりますその公設秘書の給与の詐取、詐欺容疑で逮捕されたという非常にゆゆしき深刻な事態であるというふうに思うわけでございます。  この問題につきましても、きちっとやはりこういう場で立法府自らの考え方を私は示す必要があるのではないかという思いで、今、私自身の感想を述べさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  佐藤前議員は自治大臣経験者でございます。政治資金を監視する立場で最高責任者であり、また国家公安委員長も兼ねておられました。十一回衆議院議員当選というベテラン議員でもございます。また、民主党の両院議員総会会長という民主党の最高幹部の方でもあるわけでございます。  そういう方が詐欺容疑で逮捕されたと。それも国民、公設秘書の流用問題、給与流用問題というのが最も国民の関心をもたらしていた二〇〇〇年から二〇〇三年、山本譲司元議員、また辻元清美元議員、そのときに、また中島衆議院議員、同時期だと思いますけれども、その大変な関心があった時期にそのことを堂々と行っていたということ、これは本当に国民に対して弁解の余地がないというふうに思うわけでございます。  じゃ、立法府自らこの問題について真相解明の努力をしたのかと。今はもう司直の手にゆだねてしまいましたけれども、立法府の自浄能力はどうなっているんだということが国民のお声ではないかというふうに思います。所属されていた民主党、除名はされましたけれども、何ら調査も今もされておりません。こういう自らの真相究明の努力もしないままに除名しかようせぬのかということがまた国民のお声ではないかというふうに思います。  行政監視をしっかりやらなきゃならない立法府のメンバー自らがこういう大変な不祥事を起こしてしまった。国民の立法、行政への不信はとどめるべくもないというふうに私は思うわけでございますけれども、このことについての総理の御感想をお聞きしたいと思います。
  176. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国会議員がこのような詐欺容疑で逮捕されたということは極めて遺憾なことであり、残念だと思います。今後、こういう不祥事を起こさないように、各議員、襟を正して国民の信頼を回復するように努力していかなけりゃならないと思っております。
  177. 山下栄一

    ○山下栄一君 この公設秘書の制度を見直すということは既に立法府でも今、各党検討しておるわけでございます。私は、この問題、始まりましてもう四年近くなるというふうに思います。またかという国民の声、これについては具体的な形で改革を今国会で実現しないと、年金も含め様々な問題、国民にも御負担をお掛けせないかぬような問題もあるわけでございまして、そういう観点からも、この公設秘書問題、きちんと今国会で実現を図る努力をしなくちゃならない、各党結束してやる必要があると、このように思うわけでございます。  特に、衆議院の方でも検討されております有識者の懇談会、また各党協議会でも具体的な案が出ております。例えば、三親等以内の親族の公設秘書への就任は禁止しようとか、また秘書給与、秘書から議員や、また政党への寄附を制限するとか、またこの兼職、秘書の兼職を禁止すべきだとか、こういう案が検討されております。何としても今国会で実現目指して努力してまいりたいというふうに思っております。  次に、鳥インフルエンザの問題でございます。  これも幾つか午前中からも質疑がございました。また、経営者の会長が、御夫妻が自殺されるという痛ましいニュースも先ほどお聞きしたわけでございます。国民に大変な不安が広がっておるわけでございまして、また、死んだカラスからウイルスが発見されたという、そういう報道もなされました。どこまで広がるのかというふうな深刻な事態でございます。  このことにつきまして、届出義務、経営者又は獣医師による届出義務、特に経営者の方からの届出義務が非常に、今の法律では伝染病が疑わしいと発見したときに知事に報告せよというふうな、たしかそういう規定だったと思うわけでございますけれども、じゃ伝染病と知らなかったと言えば逃れれるのかというふうなことになるわけでございまして、家畜伝染病予防法のやはり分かりやすい形で届出義務が間違いなく課されているというふうになるような、そんな規定に見直す必要があるのではないかと。  今、緊急措置で、ある一定の鳥が死んだ場合は、まあ一千羽以上と聞いておりますけれども、報告をするようにというふうな通知がなされておるようですけれども、通知じゃなくて明確な形で届出義務が課され、また罰則も厳しくなるような、そういう法改正をすべきであるというふうに考えますけれども、農水大臣、お願いします。
  178. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 今御指摘のとおり、届出の問題、このことにつきましてはやはり早期に通報すると、こういうことが一番大切なことでありますし、早期の対応が欠かすことのできないことでもあります。  そこで、この届出の関連につきまして、家畜伝染病予防法第五十二条に基づきまして、農場からの報告を毎週提出させると、こういうような通報義務を課すことにし、また都道府県の担当部長会議を開催をいたしましてその周知の徹底をしておるわけであります。  委員御指摘の千羽の問題と、このことにつきましてはやはり早期通報を徹底すると、こういう面で、千羽未満の養鶏業者に対しましても、またペットとしての鶏の飼養者に対しましても、この早期通報を徹底するにどうするかと、今そのことをちょっと準備をいたしておるところであります。
  179. 山下栄一

    ○山下栄一君 是非、この法改正の準備に取り掛かっていただきたいというふうに申し上げておきたいと思いますし、千羽以下の、これどうするんだという課題もあるわけでございますので、こういうことも緊急的措置として千羽以下でもちゃんと行うと、報告義務が生じるというふうな緊急措置としての通知も是非やっていただきたいというふうに思います。  鳥を殺処分、また隔離、これは義務が課されるわけでございますけれども、それ以外でも周辺地域の経営者、卵の業者、また鶏肉の販売業者その他移動制限区域内の、移動制限が設けられているけれども補償措置がないと、午前中もそういう議論ございましたけれども、こういうことがあるならば、経営者の方々も、補償措置があるのかどうか分からないままにともかく義務だけが課せられる、だから非常にこの届出にちゅうちょするというふうな事態もあったのではないかというふうに思いますので、やはり法律の中に、義務を課す以上は、その場合には、国民への伝染を阻止するためのやむを得ない緊急措置なので、義務に見合う形で財政支援、損失補てんの措置を取るというふうな規定もやはり設ける必要があると考えますけれども、この点、御見解をお願いします。
  180. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 京都府の問題、また実は山口県、大分県での例もございまして、いろいろ山口県のことにつきましては、低利融資規定のほかに、また鶏卵の損失等につきましては国がその一部、価値の減少、輸送、保管の二分の一等々の助成をしてきておるわけでありまして、このことを中心に、いろいろ制度化の問題と、十分考え、支援措置を考えてまいりたいと。特に、いわゆる制限区域外の養鶏農家におきましても大変いろいろの卵価の低迷と、こういうこと、あるいは風評被害と、こういう点で大変苦労されておるわけでありまして、それらを含めて、支援の措置と同時に、制度化の問題につきまして早急に考えてまいりたいと、このように考えております。
  181. 山下栄一

    ○山下栄一君 次の質問に移ります。  今回の会計検査院検査報告、全部読んでいるわけじゃございませんけれども、その中に非常に、こんなことが行われておったのかということ、会計検査院の懸命な御努力に敬意を表するわけでございますけれども、そういうふうに感じた不当事項がございます。それが、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構、長い名前の独立行政法人ですけれども、不当な会計処理についてと。私は、この検査報告読んでいまして、非常に怒りにあふれる表現が検査院のこの国民に公表される報告の中に入っておりましたので、私も怒りに震えたわけでございますけれども。金額はそんなに大きくございません。六百、大きくないと言ったらしかられるかも分かりませんけれども、六百二十五万円の不当事項ということでございます。指摘されたのは、鳥インフルエンザにも関係があるんですけれども、この産業技術研究機構は農水省の独立行政法人ですけれども、その中に十一の研究所がありまして、その一つに動物衛生研究所がございます。これは、鳥インフルエンザのウイルスの型を特定したり、また鳥がインフルエンザにかかっているかどうかの最終的な、専門的な判断を下す研究所がこの中に入っておるわけでございますけれども、二年ほど前までは国営の、国営といいますか、国直轄の組織でございました。特定独立行政法人の不祥事でございます。  この問題について簡潔にちょっと会計検査院の方から何がどう問題なのかということを、特に怒りの部分をちょっと報告していただきたいと思います。
  182. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 今御指摘になりました独立行政法人農業技術研究機構の動物衛生研究所の北海道支所というところで起きた事件、事案でございまして、昨年、検査に参りましたところ、平成十三事業年度に堆肥場の上屋の設置工事を完成させていたというふうになっておりました。これについて検査をいたしましたところ、実はその平成十三事業年度には何もやっておりませんで、実際に工事に着工して完成をしたのは平成十四事業年度であるということが分かりました。したがいまして、この工事に係る会計経理につきましては、十四年度で実際に行われていますのに十三年度で行ったかのようにいろんな書類を偽って作っておりました。  それから、この契約は六百五十二万円のものでございますので随意契約はできないものでありますけれども、随意契約という方法で実際にやっており、それからさらに随意契約として行う場合には見積り合わせをするわけでございますけれども、この見積り合わせも実際に受注した業者から一つ取っただけで、あと三者からも取りましたという書類、見積り合わせがあるわけでございますけれども、それはすべて繕ったものであったというようなこと。  それから、十四年度に入りまして、事業に、工事に着工したわけですけれども、工事の着工前に代金の全額を払うという普通の常識ではあり得ないようなことを行っている。  それからさらに、工事の完成を保証するためのいろんな保証の措置というものが必要でございますが、こういうものも一切やっていないということで、我々も全く今までに経験しなかったような極めて遺憾な事態であるということでございます。  したがいまして、検査報告で著しく会計規程などに違背した不適正なものであると、不当事項として取り上げた、こういうことでございます。
  183. 山下栄一

    ○山下栄一君 会計検査院の長い歴史の中でこれほどひどい会計処理は経験したことがないと、見たことがないというふうな事案でございます。  先ほど申し上げましたように、平成十三年の前までは国直轄の施設ですから、それが独立行政法人になった途端に、非常に処分につきましても会計処理につきましても甘くなってしまっていると。国直轄の研究所であったので、そのときにこんな事態が生じたならば国有財産法違反、それから会計法違反、場合によっては公文書虚偽作成ですから刑法の罪に当たるような、そのようなことが独立行政法人に移った途端に内部規程の違反に終わってしまうというふうな、そんな問題になってしまっておるわけでございます。  こういう問題が起きたことにつきまして、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  184. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 今、会計検査院からも御指摘をいただきましたとおり、大変適正経理の認識を欠く大変重大な会計処理をしておった、このように認識をしております。チェック機能が不十分であったと、適正を欠いたことにつきまして所管大臣として誠に遺憾に思っております。  今後、このようなことが起こらないよう会計事務の適正化につきまして一層努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  185. 山下栄一

    ○山下栄一君 今回の事案は個別の独立行政法人に対する会計検査院の指摘としては、これ初めてなんですね。しかも、この独立行政法人初の不当事項だと。  元々この独立行政法人は何のために設置されたのかという、そういう通則法まで戻りますと、効率性、透明性、自主性。公共性もないわけじゃないわけです。しかし、この自主性という、自主独立採算ということを悪用したケースではないかなというふうに私は思います。透明性なんて全くない。全部握りつぶそうとして書類を、虚偽書類を作成して、そして工事完成が十四年度三月なのに、十四年の三月なのに、実際、実際完成したのは十四年度の八月なわけです。それも最初に発注した業者はつぶれてしまって、つぶれた業者に全額払っていると。その二回目の業者に発注した書類も何も残っていないと。そんなことがどうして許されるのかなと。国有財産の管理台帳、これ、国有財産じゃございませんけれども、財産管理台帳どうなっているんだ、これはと、こういうふうな問題でございます。  私は、金額が小さいからというふうな問題じゃないと、これ、私は思うわけでございまして、独立行政法人がどうなっていくのか。今スタートして三年目ですかね、丸四年目ですか。今年初めて最初の中間評価を、中期目標の評価ですか、しようとしているという段階で、この独立行政法人、特殊法人から独立行政法人になった法人も多いわけですけれども、そういう制度設計が、そのものがどうだったのだということを問われるような、自主性ということをいいことに、行政府の、また立法府の監視も見えないようにしてしまっているのではないかというふうなことを問われても仕方がないような事案だというふうに私は思うわけでございます。このような独立行政法人制度そのものの信頼性を損なうような、そういうことについて、中途半端な対応は許されないというふうに思うわけでございます。  独立行政法人通則法を見ても、なかなか主務大臣がどこまでできるかという、余り監督し過ぎますとこれはまた特殊法人に戻るのかということになりますし、非常に難しい、確かに大臣も何をしたらいいかなというお考えかも分かりませんけれども、しかし通則法に、何もできないことじゃないわけで、例えば第六十四条に基づく報告聴取を理事長にさせるとか。会計処理したのは会計職員かも分からないけれども、こういうモラルそのものに問われるようなものにつきましては、理事長から、この事案についてどう考えているんだということを主務大臣ができないことはないというふうに、それが六十四条やと思いますし、これぐらいはやっぱりやるべきではないかというふうに思います。  この点、今はまあ再発防止をおっしゃったけれども、再発防止の前にやることあるでしょうということを申し上げているわけでございまして、大臣、この六十四条を発動して報告聴取、理事長呼んでやるぐらいのことをやったらどうですかね、農水大臣
  186. 石原一郎

    政府参考人石原一郎君) お答えいたします。  今回の会計検査院の指摘につきましては、今後このような事態が生じないよう、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構におきまして、一つは内部監査体制の強化、あるいは内部牽制体制の強化、それから会議、研修などを通じました会計事務の処理の適正化についての周知徹底を図ったところでございます。  この独立行政法人が取りました措置につきましては逐次報告を受けておるところでございます。しかしながら、今後、委員御指摘のとおりに、このようなことのないよう徹底を図る意味におきまして、独立行政法人に対しまして、本件に関して取った措置の全体の報告書の提出を求めることとしたいと考えております。  また、委員が御指摘の独立行政法人通則法の六十四条に基づきます報告につきましては、この提出を求めた後に提出がない場合におきまして、御指摘のような形での六十四条の報告を求めたいというふうに考えております。
  187. 山下栄一

    ○山下栄一君 六十四条の主語は主務大臣やからね、主務大臣報告を聴取できると書いてあるわけやから、それは大臣がすべきやというふうに思うんですけれども。  ちょっと時間の関係で、これね、この農業技術研究機構、動物衛生研究所もその傘下にあるわけですけれども、通則法第三十二条に基づく業務実績に対する評価を行っているんですよ、これね。ところが、これ、今に至るまで評価ランクA、Aとなっている、要するに経費節減も含めて効率的運営に努力が認められるとして評価Aになっているんです。これは、評価A、B、Cまで至らない、私はこれ問題やと思って、評価ゼロという問題じゃないかなというふうに思うぐらいでございます。職員の資質向上も評価項目に入っております。内部監査機能も全く機能していないような、そういう職員資質向上がちゃんと評価Aになっていることはとんでもない話だというふうに思いますし、これは評価A、B、Cどれですかという以前のモラルそのものが問われているというふうに思うんですね。この評価Aというのを撤回すべきではないかというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。──いや、大臣
  188. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) この件、十四年度の業務実績の評価につきましては、十五年五月から八月にかけて外部の学識経験者によって構成された独立行政法人評価委員会におきまして総合的に調査分析がされ、評価が取りまとめられたものであります。  今回の会計検査院の指摘にかかわる事業につきましては、十五年七月から十一月にかけての検査が行われたものでありまして、したがって今回の会計検査院の指摘については、次年度及び中期目標期間の評価において独法、いわゆる独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構が今後の防止策として取った措置を含めて評価をされるべきものと考えておりまして、いろいろ先ほど来御指摘のように、今後十分監督をし、対応してまいりたいと、このように考えております。
  189. 山下栄一

    ○山下栄一君 主務大臣のお立場も非常に難しい体制になってしまっているのがどうも独立行政法人制度なので、その信頼感の上に成り立っている制度そのものを揺るがすようなひどい話やなと思うんです。  鳥インフルエンザの問題のかぎを握る動物衛生研究所の施設ですからね、この建物の不当事項は。したがいまして、今回の検査院の指摘も、特別行政法人初の不当事項として不名誉なことになってしまっているということを頭に入れていただきながら、是非農水大臣には、理事長さん、ちょっと私、どなたか存じ上げませんけれども、含めて、きちっとやはり御指導をされた方がいいのではないかというふうに思います。  次の問題、行きます。  外務省の問題でございます。外務省の問題もいろいろと国民の不信感、不信を抱かせるようなことがいろいろありまして、外務省におかれましてもいろいろ努力されているとは思うんですけれども、私、また基本的なところでちょっと問題提起をしたいと思いますし、なぜこんな制度になっているのかなというふうに思う問題でございます。それは、在外公館、海外にある日本の大使館その他の在外公館手当の問題でございます。  在外公館に勤務する外務公務員の給与法という法律がありまして、国家公務員なんだけれども外務公務員の在外公館で勤務されている方々の諸手当、基本手当、住宅手当、その他ございますけれども、その給与に関しては一般職と違う扱いになって、なぜこういうことになったのかということもよく分からないんですけれども。国家公務員法は昭和二十二年、この今申し上げました外務公務員の給与法は昭和二十七年、日本が独立してからなのでこういうことになっているのかなとも思いますけれども、なぜ人事院勧告の管轄外の扱いになってしまっているのかなということが全然納得できない制度だなというふうに思うんですけれども、この点、外務大臣はどのようにお考えでしょうか。
  190. 北島信一

    政府参考人(北島信一君) 事実関係と思いますので、私からお答えさしていただければと思います。  名称位置給与法という法律がございます。これは一般職の給与法に対する特別法の一つということでございますけれども、名称位置給与法上、在勤手当の額の決定については人事院に代わり外務人事審議会、これは国家行政組織法で言うところの八条機関でございますが、この外務人事審議会が外務大臣に勧告を行うことになっているわけです。  お尋ねの、なぜかと。在勤手当についてこのような取扱いがなされておりますのは、名称位置給与法第五条に、「在勤手当は、在外職員が在外公館において勤務するのに必要な衣食住等の経費に充当するために支給されるものとし、その額は、在外職員がその体面を維持し、且つ、その職務と責任に応じて能率を充分発揮することができるように在外公館の所在地における物価、為替相場及び生活水準を勘案して定めなければならない。」というふうに規定されておりまして、要するに在外職員の職務の特殊な性格によるものというふうに考えております。  すなわち、在勤手当の額が在外職員のそれぞれのポストにおいて職務と責任を果たすために必要な経費に見合う額となるように、約二百に上る任地において刻々と変化する物価、為替相場及び勤務、生活環境並びにこれらの影響の下による、影響の下にある在外職員の生活実態については、外務大臣がこれらを把握すべき立場にあるというふうに考えております。
  191. 山下栄一

    ○山下栄一君 ちょっと外務大臣是非御答弁願いたいんですけれども、この制度は本当におかしな制度やなと私は思うんですけれども、この外務公務員の給与法の第七条に、在外ですから海外、確かに日本とも違うし、為替相場も変わるし、物価もいろいろ違うでしょうと。しかし、その、そういう毎年どのような金額にするかという基礎資料となる調査を外務省自らが、在外公館の長が行うことになっておるわけですね、第七条で。そして、自分たちで自分たちのこの給与のための調査をして、その調査報告書を外務大臣に提出すると。外務大臣はそれ、審議会の意見を聞いて、審議会に勧告を受けて行うと、こうなっているんですけれどもね。これ、国会を全く関与しません。  これ、毎年在外公館の手当は改定されて、今国会では基本手当の基準額を変えるので法律事項になっておりますけれども、毎年これ改定されるんですけれども、これはもう様々な批判があるように、大使の中には総理大臣の給料よりもたくさんもらっている人もおる。それからまた、なぜこんなたくさんもらえるのというふうなほど驚くようなことを外務省の元職員の方もおっしゃっているような記事もいろいろあるわけで、この在外公館、在外勤務手当に対する不信感が国民の中に広がっているというふうに私は思うわけです。  こういうことにならないようにするために、自分たちの手当の調査を自分たちがやるということもおかしいし、外務大臣だけに報告して国会報告しない。一般職の給与の改定については人事院が調査して、詳細に調査して、調査資料も付けて国会内閣の両方に報告することになっているわけですけれども、この外務公務員の在外勤務手当だけは全然国会には知らされない、そして外務省の中だけで決められていると。そんなこと、財務省もよく認めておられるなと私は思うんですけれどもね。何でこんな仕組みになってしまっているのかなということは、それは外務公務員の特殊な勤務、それしか、体面を維持するためとかしか書いてないわけですよ。  こういう分からないことはやっぱりやめるべきだというふうに思いますし、少なくともこういう調査をしてこういう金額になりましたということは立法府に報告すべきだと、税金であるわけですから。それを自分たちだけで調査して、外務大臣だけに報告して、外務大臣も調べようがないと。外務大臣には調査報告書が出ているようですけれども、どんな調査をされているのか。そんな調査をする能力が、専門性を持って、ちゃんと外務省にあるのかなというようなことも思いますけれども、いずれにしましても、この調査をすること、そしてこういう金額、税金を投入して金額を決めるわけですから、それについては国会報告するという仕組みにしないと、これは納得できないと。  公務員給与の決定というのはこれはもう最重要事項ですから、決定過程の透明性を図るために国会報告するという事項にすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  192. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 在勤手当につきまして、外務省の中だけで決めて国会等に全然お話をしていないということでは、これは全くないということでございます。  まず、在勤手当。これは調査の上、外人審かけまして、そして基準額の改訂ということになりますけれども、これは法律の改正法案でございますので、これについては国会で御審議をいただいているわけでございます。ということで、立法府にお話をさせていただいている、御審議をいただいた上での決定でございます。  それから、人事院との間でございますけれども、これは、在勤手当制度の改革あるいはその運用、その他、この在勤手当の、手当の改正につきましては、これは助言をいただいたり、それから改正についてお話をしたりと、そういうことで緊密に連絡をさせていただいております。  それから、先ほど、官房長が外務人事審議会、八条機関であるということを申し上げましたけれども、これについてはこの八条機関に報告をされているわけでございまして、これは外交又は人事行政に関する高い見識、学識を有していらっしゃる方々から構成をされている審議会でございまして、それの方々に在勤手当の在り方についても御審議をいただいて、御意見をいただき、また中長期的な観点からの改善の方途についても必要と認められる勧告、必要だという勧告もいただいているわけでございます。  そういう意味で、外務省の中だけで決めているということではございませんで、調査の結果についてはその御報告をしておりますし、その結果、在勤手当をどのように変えるということについては国会で御審議をちょうだいしていると、そういうことでございます。
  193. 山下栄一

    ○山下栄一君 大臣の認識は私、間違っているというふうに思いますね。  外務公務員の手当の基準額は法律に書いてあるんですわ、それは書いてあるんです。これ基準額そのものを今度変えようとするので、今国会には法律改正として出てくるんですけれども、毎年は、二五%、基準額の二五%以内ならば政令で決めれると書いてあるわけですし、毎年の給料というのは、これはほかの一般職の場合には、毎年極めて詳細な調査をして、人事院が調査をして、それを調査報告書を付けて人事院勧告をする。その調査の内容も全部国会内閣両方に報告するわけですよ。  ところが、この第七条に書いてありますように、毎年の、来年どうするかということは、在外公館の長が調査報告書を外務大臣に提出するだけなんですよ。これ、法律に書いてあるわけだから。それは国会報告、提出と書いてないんです。第八条も審議会の勧告を受けると言っていますけれども、審議会の勧告そのものも、そういう、それらの各海外の在外公館の地域の物価がどうなっていて、為替がどうなっていてというようなことは、そういう詳細な調査は報告されてないんですよ。勧告事項にも入ってないんです。  こういうやり方がおかしいと私は申し上げているわけで、同じ税金で給料払うわけですから、一般職の給与の仕組みと同じように、例えば人事院が、毎年の給料の変更ですよ、それについてはきちっと調査を、人事院勧告をそれを毎年やっておるわけですから、それを同じような形でやる仕組みにしないと、なぜ外務公務員の在外勤務手当だけが特別扱いになっているんだというふうに私はなってしまうというふうに思うんです。そういう、同じような扱いにしないと、国民の信頼を得られないということを私は申し上げているわけでございまして、ちょっと大臣は、レクを受けた方が間違って言ったのか、ちょっとおかしいと思いますね、私は。
  194. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これにつきましては、法律に規定されているとおりに、外務省としてはそれを忠実にやらせていただいているわけでございます。  それで、先ほど政令で二五%というお話がございましたけれども、これは在外のことでございまして、為替変動が、それはいろいろな形でございます。そういった分のアローアンスといいますか、そういう部分が必要でございまして、その部分がそういうことになっているということでございます。  それから、調査、先ほどこれ官房長が申し上げましたけれども、物価、為替、そういったことの調査もいたしますし、それから、そのそれぞれの国で在勤をしている人間が外交官活動をするのにふさわしい、そのためにどれぐらいの経費が要るかという配慮、その計算もしているわけでございまして、そういった調査は、やはり二百の都市について、出ているところについていたしますので、そういうことについて詳しくなければそこは分からない、機械的にやるということではないわけでございます。  そういったことを全部資料として用意いたしまして、それの結果でき上がった改正の案というのは国会で御審議をいただいているわけでございます。
  195. 山下栄一

    ○山下栄一君 国会審議してないんですわ、毎年はね。基準額を変えるときだけ審議するんですよ。  いずれにしても、法律そのものがおかしいのではないかというのが私の問題提起ですので。法律にのっとってやっておられるんです。法律にのっとってやっておられるけれども、それが極めて不透明であるということを申し上げておるわけで、在外勤務の手当の支給が極めて不透明であると。毎年それを調査したのなら調査した内容を国会報告してということをやるべきだというふうに思います。  ちょっともう時間があれなんですけれども、これ、昭和四十五年にこの問題本格的に取り上げられたことがあるんですよ、我が党の大先輩の峯山参議院議員がこれを指摘されたんですけれども。このときの愛知、当時、愛知外務大臣は、在勤手当については外務人事審議会ではなくて人事院で担当すべきだと、これだけを例外扱いすべきではないと、それを強く要望される答弁を昭和四十五年に、まだ在外勤務手当が低かったからかも分かりませんけれども、人事院の担当で一般職と同じような扱いでやるべきだということを昭和四十五年の大臣答弁でおっしゃっております、愛知揆一元外務大臣でございますので。それほどおかしな仕組みなんですよ。  それが昭和四十七年からなぜか今に至るまで見直しされないでやっているということ自身の、本格的にメスを入れる時期が来ているのではないかということを申し上げているわけで、総理、ちょっと何か。外務大臣、ちょっと、もうちょっと前向きの答弁、ちょっとお願いします。
  196. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) あの……(「財務財務」と呼ぶ者あり)財務大臣ですか。
  197. 山下栄一

    ○山下栄一君 財務大臣。済みません、失礼しました。
  198. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど財務大臣とおっしゃっているのか外務大臣とおっしゃっているのかよく聞き分けられませんで。  いや、先ほど委員が御指摘のように、確かにこの問題は在外公館の法律の五条に決められているとおりやっているわけですが、財政当局としてはその五条の規定を基本にして、我が国の財政も厳しいわけですから、これは厳密に査定しなきゃならないということでやっておりまして、特に最近では在勤手当の縮減を進めてきたところで、ピーク時と比べますと大使で約三割、一等書記官クラスで約二割削減しているところでございます。今後ともそういう方針できちっと査定をしていくということは続けてまいりたいと、こう考えております。
  199. 山下栄一

    ○山下栄一君 だから、私は、申し上げているのは、厳しく査定するのは当然なんですけれども、制度そのものが不透明にならないように、きちっと調査内容、そして勧告につきましてもきちっと国会報告事項にすべきだと、愛知大臣もそうおっしゃっていたわけでございますので。特に外務大臣、もう一回、いや、もう答弁結構ですけれども、研究していただきたいというふうに思います。  特別職の職員の給与問題も、今、官房長官の下の懇談会でも何度か検討されてきておるわけですけれども、この特別職の給与に関する法律も余り透明じゃないなというふうに思っておりまして、これ、内閣総理大臣以下、国務大臣、それから政務官、検査官、人事官、これ特別職の公務員に当たるわけですけれども、大使、公使もそうでございます、国家公安委員長とかも全部そうなんですけれども、これも、なぜこの金額か、金額そのものは法律で書いてあるわけですけれども、どういう根拠でこういう金額になったのかと。  スタートの時点で決めて、毎年この一般職の給与と比較しながら変えてきているんですけれども、給与水準の基準はどうなっているんだということすら明確になっていないので、こういうことを明確にすべきではないかということを官房長官の下の有識者懇談会でも論点整理で書かれております。私もそれ正しい指摘だなというふうに思っております。是非これは懇談会の答申を受けて、もうすぐ報告されるというふうに思いますので、特別職の給与法につきましても、きちっと国民が納得のいく基準を法律に書いて行うべきだというふうに思うんですけれどもね。  ちょっと、総理大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、お聞きしたいというか御提案したいんですけれども、総理大臣の給料はどうあるべきかということもこの有識者懇談会で検討されております。それは是非やっていただきたいと思うんですけれども。私は、今、立法府においては、議長、副議長、国会議員、一割カットを十四年度、十五年度、二年連続続けてまいりました。十六年度どうするか、今、衆参の議運でも検討されているというふうに思うんですけれども、こういう御時世、総理大臣自らもこの一割カットというようなことを考えているというふうなことをおっしゃったら、そこまで真剣に財政削減、財政再建考えているのかと。年金保険料上げる、また消費税の問題もありますけれども、その前にやることがあるだろうというのが総理のお考えというふうに思っておりまして、税金の無駄遣いをなくそうという省庁連絡会議もセットされておるわけでございます。これはまあうちの神崎代表が主張されて、早速実践していただいているわけでございますけれども、総理の給与についてもちょっとこの臨時措置として、ちょっとカットを一遍考えてみようかというふうなことをお考えございませんでしょうか。
  200. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、官房長官の下で有識者懇談会で、総理大臣のみならず、行政の給与の在り方について議論しているということは承知しております。  また、総理大臣給与、閣僚も今一割カットをずっと続けておりますし、これ今年も続けるんですね。国会議員、みんな続けております。
  201. 山下栄一

    ○山下栄一君 済みません。私申し上げたのは、国会議員はそうなんですけれども、特別職の、行政の方の特別職の給与についてはカットしていないという、していないはずなんですわ。それをだからカットしたらどうかということを私は提案、議長と大体総理が同じようなランクになっているんですけれどもね。議長は削減していますね、立法府の方はね。ところが、総理の方はそのままになっているんですわ。  だから、それをちょっとやったらどうかということを申し上げているんですけれどもね。
  202. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どなたへの質問でしょう。
  203. 山下栄一

    ○山下栄一君 官房長官ですかね。
  204. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ちょっと、議長だったらこっちへ聞いた方がいい。
  205. 山下栄一

    ○山下栄一君 事実関係ですからね。
  206. 戸谷好秀

    政府参考人(戸谷好秀君) 私の方から現在の懇談会での議論について御説明申し上げますが、幹部公務員の給与に関する有識者懇談会におきましては、幹部公務員の給与と議員歳費、これにつきまして性格の違いがあるのではないか、これに留意すべきとして、歳費削減との関係につきましては、給与削減に対しまして否定的な議論というのが会議の中では出されているというふうに聞いております。(発言する者あり)  それから、現在の閣僚につきましては、給与のカットは返納という形で、国会議員であらせられる方につきましてその一割が返納という形でカットされております。
  207. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 議員の歳費のカット、これ一割ということで申合せでやっていますね。それから、そのときに大臣分、もちろん総理もそうですけれども、その分についての一割カットもあわせてやっていると、こういうふうにやっているということです。
  208. 山下栄一

    ○山下栄一君 やっていないはずなんですけれども、ちょっとこれは調べていただいて、もしやっていなかったらやったらどうかなということを提案させていただいたのでございます。また前向きの御検討をお願いしたいと思います。  時間が参りました。済みません。
  209. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  緊急の問題として、まず初めに、高病原性鳥インフルエンザの問題について質問をいたします。  日本は、これまでの歴史の中で初めて鳥インフルエンザが全国に広がる、そういう深刻な可能性の事態に直面をしております。一つの農場の問題が二十三の府県にかかわるという問題になりました。先ほどから出されておりますように、そうした中で今日、その農場を経営している浅田農産の会長夫妻の自殺が伝えられました。大変痛ましい事態が起きております。  一つの農場から鶏、鶏肉、羽毛、卵並びにゆで卵などが各地に運ばれました。パネルをごらんください。(資料提示)鳥インフルエンザの発生した農場のある京都府を含めて、鶏は赤、鶏などは赤、鶏肉などはピンク、卵又はゆで卵は黄色、その他羽毛などは緑に色分けしてございます。  小泉総理の地元の神奈川県でも、その農場から送られた卵がゆで卵に加工されて更に各地に流通いたしました。食品加工工場の消毒とか輸送した車や倉庫の消毒なども行われました。私も県から話を伺ってまいりましたけれども、鳥インフルエンザについての相談件数は百八件、その中には、ゆで卵は大丈夫かということで、県としても、加熱処理基準を満たしているので大丈夫だと説明するなど、県民の不安に対応されているということでございます。  今回の問題では、流通が非常に複雑で広い範囲に及んでいる、しかも新鮮な食材ということで流通のスピードが速い、こういうことで、そのために日本全国に広く影響を及ぼすということが明らかになったと思います。つまり、いかに速やかな対応、初動の対応が必要かということだと思います。  この点で、小泉総理に伺いたいんですけれども、このような事態を二度と起こさないために、万全な初動態勢、これが必要であると思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
  210. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 鳥のインフルエンザ、拡大していることに対して多くの国民が不安に思っております。また、政府としても、なぜこのようなことを防止できなかったのか、業者の皆さんどうして通知が遅れたのか。そういう点も含めまして、今後の対応に反省点はどういうべき点か、また、この拡大防止、食の安全に対してどういう対応をすべきかという点につきましては、農水省だけじゃありませんので、厚労省も含めまして各省非常に広範にわたっています。焼却する場合の後々の公害の問題も含めまして、政府一体、連携となって、その反省も踏まえまして、このようなことが起きないような防止対策、これしっかり対応していかなきゃならないと指示しております。
  211. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 初動態勢で最も重要なことは、いかに早く通報させるかということだと思います。この点では、京都府の事例では失敗だったと言えると思うんです。  養鶏協会は、香港での鳥インフルエンザの発生を受けた三年前から、日本鳥インフルエンザが発生したら大変だと講習会も何回も開いて、日本で昨年は鳥インフルエンザが発生した韓国への渡航自粛を養鶏業者にも要請しておりました。一月に山口県で鳥インフルエンザが発生してからは全国の養鶏業者がこの問題に神経をとがらせてきたわけですから、当然今回、毎日一千羽以上死亡する鶏が発生しているにもかかわらず放置して、なお感染した鶏を出荷し続けた浅田農産の対応というのは、家畜伝染病予防法違反とも言えるような重大な責任を負うべきだろうというふうに思います。しかし、それだけで済むのかということもあるわけです。  現在、家畜伝染病予防法では、家畜伝染病の届出義務は基本的には獣医師にあります。法定伝染病に限って、獣医師に診断などを受けていない場合だけ家畜の所有者に届出義務が生じることになっております。問題は、百七十五万羽もの大量の養鶏を行っている経営者自身にどのような社会責任を果たさせるのかということであります。  日本には、四百万羽というような経営規模を持っている大きな養鶏業者もあるわけです。自分の養鶏場で何が起こっているかというのを一番知っているのはその業者の方本人なんですね。ですから、その業者の社会責任という点からも、獣医師に見せようが見せまいが届出義務を持たせるということは、これは国民の健康の確保という点からも当然国がやらせるべきだったのではないでしょうか。それを行わせてこなかったという国の責任ということは、危機管理という点で極めて大きいと思いますし、総理自身の責任もあるというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。
  212. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) まあ、あの病の蔓延防止の対策、こういうことにつきましては、アジアで発生をし、昨年九月、防疫マニュアルを作成をいたしました。そしてさらに韓国で発生をし、都道府県にもその防疫マニュアルの徹底と、この指導をいたしてきたわけでありますが、本年山口県に発生をいたしまして、また大分県に発生をした。これは、あらかじめ作成された防疫マニュアルに則しまして通報が早かったと。七十九年ぶりと、こういうことでありましたが、その対応が迅速かつ円滑に行われたわけでありますが、京都府における発生につきましては、発生農場からの報告がなかったということ、初動防疫態勢に支障を来したわけでありまして、このような事態になりましたことは大変、極めて遺憾に思っておるわけであります。  今後の問題といたしましては、私も京都に参りまして視察をし、知事を始め関係の皆さん方意見交換をいたしまして、今後の防止対策、それには早期発見、早期通報と、そして通報義務の明確化、立入り捜査の積極的な活用と、あるいはまた行政連携の緊密化と、こういう面では一元的な情報の、連絡網の整備と、地方農政局の活用と、あるいは職員の派遣等も、いろいろなことをいたしておりますが、そしてさらに、移動制限命令に伴う問題への対処と、この問題等、そして全国の都道府県の主務部長を集めまして、そしてその連携と、そしてまたさらには関係府省とも連携をして今その対策対応をしておるわけでもあります。  また、京都の今回の問題につきましては、やはり家畜伝染病予防法、これに基づきます届出の問題、こういう面で問題があるわけでありますので、十分京都府の府庁と連携をいたしまして、私は、告発、このことを視野に入れて対応していかなければならないと、このように考えております。
  213. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 京都では昨日はカラスからインフルエンザのウイルスが見付かったということで、今、動物衛生研究所で詳しい検査がされているわけですけれども、もし鳥インフルエンザが検出されるということになれば、野鳥ですから、またその影響が懸念されるわけですね。  防疫マニュアルの話されましたけれども、やっぱり行政上のマニュアルではなくて、罰則付きの法的根拠に基づく義務付けというのが本当に必要になってくるわけですね。防疫マニュアルというのはあくまでも行政指導ですから、業者が法的に従う義務はないというふうになるわけです。この点では、やはりBSEのときの教訓を本当に学んでいないと言われても仕方がないと思います。  日本でBSEが発生した原因ともなったのは、一九九六年三月に世界保健機構が、牛に対して牛の肉骨粉を与えることを禁止するように各国に勧告をしたわけです。ところが、農林水産省が専門家の意見も無視して法的に禁止することをしなかった、行政指導にとどめていたということです。BSE問題に関する調査検討委員報告では、重大な失政と言わざるを得ないと断じて、日本は行政の危機意識が欠如し、最悪のケースを想定して防疫体制を強化しておく危機管理の考え方が欠如していたと指摘しました。  今回の鳥インフルエンザの事態というのは、正に最悪のケースを想定した防疫体制を強化しておくという、この点での危機管理の考え方が欠落した結果と言わざるを得ないんです。この点では、やはり総理、どのようにお考えになるか。この点、私は先ほどから総理に伺っているんです。
  214. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 具体的な対応は担当大臣に任せますが、そのような今御指摘の反省も踏まえて、今後どういう対策が必要かということを今各省連携して研究しているところでございます。
  215. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 先ほども申し上げましたが、やはり早期に通報することは極めて重要なことでありまして、そういう面で、蔓延防止の強化と、そういう中で早期の通報と。  実は、この法律上の手当ての問題、改正も含めて今検討しておりますが、取りあえず、早期通報体制の確立につきましては四日に、違反に対して罰則が設けられております家畜伝染病予防法第五十二条に基づきまして、農場から報告を毎週提出をしていただくと、このような通知、通報義務を課したわけでもございます。このことも、各都道府県の部長会議におきましても周知徹底をいたしたところであります。
  216. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 この鳥インフルエンザの問題は、単に動物に感染する家畜伝染病であるだけでなくて、そのウイルスが極めて毒性が強く、人に感染した場合は極めて死亡率が高いと。それだけでなく、一たびこのウイルスが人から人への感染力を獲得した場合には大流行を起こすと。研究者によっては、世界で五億人、世界人口の約一割が死亡することになりかねないと警鐘を鳴らしている問題です。だからこそ世界保健機構は、一九九九年それから二〇〇二年とインフルエンザ大流行対策を打ち出して、加盟国への勧告をしてまいりました。であるならば、一社で何百万もの養鶏を行っている事業者に届出義務を課す、一たび異変があったなら初動で抑え込む、こういう最悪のケースを想定した対策を取っておくべきだったと。  今、総理は反省すべき点は反省してというふうに御答弁されました。やはり、その核心は何か。初動の対応が決定的に重要だという点で、今、農水大臣からも御答弁ありましたけれども、今回、農水省は報告制度を改めて、一千羽以上の養鶏場で死亡した鶏の数を一週間ごとに報告させるようにすると言っておられます。  しかし、考えてみますと、浅田農産の場合は、一週間通報しなかったことで、その間に京都では二例目の感染が生まれると、こういう空白の期間あるわけですね。さらに、カラスへの感染への可能性というのも言われて深刻な事態が広がっているわけですから、一週間ごとに報告させること自体はこれは必要だと思いますけれども、それだけで済まない。例えば、病死した鶏が出た時点で直ちに検査をして報告する、こういうことを含めてきちんとした体制を作る必要があるんじゃないかというふうに思うんです。  国民が心配しているのは、ベトナムやタイで死者が出た、このことなんです。日本であっては絶対ならないわけですから、国の責任で徹底的に抑え込む、そのためにも徹底的な検査が必要だというふうに思いますが、いかがですか。
  217. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 一週間の通報と、こういうことと併せて防疫マニュアルにおきましても、常に養鶏場、この状況を把握をしていただいておるわけでありますし、さらに養鶏業者の皆さん方も大変この問題につきまして非常にシビアに受け止めていただいておるわけでありまして、その養鶏場の状況というものは毎日毎日また大変な関心を持って対応していただいておりますので、この早期通報と、この徹底の中で十分対応してまいりたいと。  また、一千羽未満の問題、ペットだとか鶏の、飼養者もあるわけであります。それらの方々につきましても、どう対応するか、徹底する方向で今いろいろ準備をしておるところであります。
  218. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 私が申し上げた点も是非検討を強めていただきたいというふうに思います。  国連食糧農業機関が、アジア太平洋地域の養鶏業の復興については最低五億ドルは必要だという見解を明らかにしております。的確な防疫体制の確立のためにも、防疫によって被害を受ける養鶏業者に対する損失の補てん、これは極めて重要です。それができるかどうかが鳥インフルエンザを広げるか広げないかのかぎだとも言えるわけです。  家畜伝染病予防法では、家畜の移動制限の規定はありますけれども、それにより被害を受ける家畜所有者に対する補償規定はありません。直ちに法改正に着手すべきだと思いますが、いかがでしょうか。  さらに、山口県では行われておりますが、大分、京都、兵庫における移動制限を掛けられた養鶏業者などに対する補償措置についても、これは法改正を待たずに予算措置をするべきだと思いますが、いかがですか。
  219. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 何といっても養鶏業者が迅速に通報していただくことが極めて重要でありますし、さらには、そのために通報しても当該地域の関係者に大きな損失を被ると、こういうことでいろいろ通報の問題があるわけであります。  この補償の問題につきましては、山口県で補償を発表しております。大分県につきましても、また京都につきましても、そのことを基本的な考え方として、そして今日までケース・バイ・ケースで、いろいろな対応がありますから対応しておりますが、制度化の問題を十分考えてまいりたいと、このように考えております。
  220. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 総理、その点で是非、法的整備と補償の促進という点でお考えを伺います。
  221. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 鳥のみならず、食の安全については、これは、国民、非常に大きな関心を持っておりますし、これから健康な生活を送る、あるいは自らの健康は食生活が非常に大事だという認識が増えてきた段階で、実に大きな問題だと思っております。  偽装表示の問題やら今のようなインフルエンザの問題やら、いろいろ不祥事が起こっておりますが、そういう食の安全に対しまして政府としてどういう対応ができるか。また、業者の皆さんが消費者に対して、自分たちの食品は安全ですよというような、そういう努力もしていただかなきゃならないのかなと、情報の提示ですね。賞味期限も含めましていろいろ、偽装表示の問題もありますので、そういう点を総合的に考えて、しっかりとしたこの食の安全に対する対応をしていかなきゃならないと痛感しております。
  222. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 法改正、そして補償の推進を是非強くお願いをしておきます。  それで、最悪のケースを想定して防疫体制を強化していくという危機管理の考え方に立ちますと、鳥から人への感染、さらに人から人への感染という事態もあり得るという前提で対策を強化する必要があると思います。その中で、関係者から重要だと指摘されているのが鳥インフルエンザウイルスに対して効果があるとされている抗ウイルス剤タミフルの国家備蓄の問題です。これはスイスにある製薬会社一社が製造しているものですけれども、危機管理の観点からすれば日本においても製造をする必要があると思います。  この問題では、日本の製薬会社がタミフルの製造能力を持っていて、特許を取れば製造ができることになると。この点で厚生労働省が働き掛けをされているというふうに伺いますが、この点についてどうなっているのか伺います。そして加えて、国として国家備蓄についてどのように進めようとしているのか伺います。
  223. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 検討状況について御報告いたします。  当該薬を輸入、製造するその製薬企業から、今シーズン全体では約千三百七十万人分が準備されていると聞いております。現在、二月末時点でございますが、当該製薬企業及び卸売業者に合わせて五百七十万人分の在庫があることを確認しております。また、その本格的な備蓄について検討するために、当該製薬企業に対し輸入数量の増加及び国内製造体制の確保について現在検討を依頼しているところでございます。
  224. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) タミフルは人間の間にはやっておりますインフルエンザにも効くわけでございまして、今年大流行する可能性があるということもあって昨年とは多い千三百七十万人分を依頼していたわけでございます。幸いにいたしまして、人間の方のインフルエンザは今年は始まるのが遅く、そしてまた終結も早まりまして、大体もう五合目ぐらいまで下りてきておりますので、昨年よりも非常に少なくて済むだろうというふうに思っております。  そうしたものを今度は鳥インフルエンザに利用するように振り向けなければいけないというふうに思っております。現在のところ、先ほどお話し申しましたように半分ぐらい医療機関に渡っておりますが、それがすべて使われたわけではないというふうに思いますし、まだ半分ほど残っておりますので、今年はこのぐらいは大丈夫だろうというふうに思っておりますが、万が一これが大きな、人から人へのものにうつるということになってまいりますと大変でございますので、日本における製造が何とかできないだろうかというので、スイスの製薬会社にもお願いをしているところでございます。
  225. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 そういう点で感染対策総理、本当に進めることが必要で、そういう点では製造、製薬会社だけではまた負担の問題含めてあるわけですね。だから、国家備蓄として、国としてそういう備蓄をして対応する、そういうことを是非検討していただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。
  226. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 先ほどお答え申し上げましたとおりに、万全を期す、期することができるように対策を講じたいと思います。
  227. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 是非、深刻な事態、蔓延防止含めて補償の対策、そして感染対策、これを強く小泉内閣として進めていただきたいと総理に重ねて申し上げて、次の質問に移らさせていただきます。  今回の件も含めまして、国民の命と健康を守るという政治の責任が今大きく求められております。私、二〇〇二年度決算にかかわって、この間の小泉内閣が進めてきた医療政策について次に質問をいたします。  二〇〇二年十月に高齢者医療の窓口負担として定率一割負担などの導入が実施されました。窓口で全額支払った後で、決められた上限を超えた高額医療費が申請をすることによって戻ってくるという償還払いの制度が行われるようになりました。  そこで、伺いますが、二〇〇二年十月以降の高齢者医療について、高額医療費の返還はどうなっているのでしょうか。その金額、さらに件数を説明してください。
  228. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の平成十四年十月から償還制度に変わりましたが、十五年三月診療分までの資料が平成十五年十月一日時点において都道府県を通じて把握できております。  それによりますと、高額費医療費の支給状況は、まず支給件数で四百九十万件、支給額で二百九十八億円。これに対しまして、未支給件数で百二十万件、未支給額で六十八億円でございます。
  229. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 大変なお答えがありました。  つまり、高齢者にお返ししていない金額が六十八億円、百二十万件もある。重大な事態です。二〇〇二年の法律改正によって生じた事態だというふうに思いますが、総理総理責任でこれ解決図るべきではありませんか。
  230. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) これは、この改正のときにもいろいろ問題になったわけでございますが、一つの病院にだけ掛かっておみえになる人であればどれだけその一か月に必要になったかということが分かるわけでございますけれども、複数の医療機関に掛かられました場合にその方が一か月にどれだけかということがなかなか分かりにくいということもございまして、この償還制度というのを導入させていただいたわけでございます。  しかし、今お話ございますように、これを償還払いを受け取ることができない、受け取りにお見えにならない方がおみえになるということがございまして、償還払いを受けることができる高齢者に対しましては通知をすることにいたしました。そして、申請手続にかかわる負担を軽減するための取組を市町村においても講じるように言っているところでございまして、お電話等で各その高齢者に対しましてお知らせを申し上げて、これだけの償還ができますということをお知らせをするということを今やっているところでございます。
  231. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 こうした問題が起こるということは、法律改正のときに我が党は質問をして、やめるべきだというふうに申し上げました。そして、我が党の追及の中で、国としてもいろいろな手だてを打たなくちゃいけないというふうにせざるを得なくなったわけです。それをやってもなおかつ六十八億円、百二十万件も払われてない。これは今まで指摘したとおりにこの制度そのものが問題があるという証明じゃありませんか。  坂口厚生労働大臣は、対象者が高齢者であることをかんがみ、制度が知らない、あるいはまた手続の上の過重な負担によって支給を受けられないといったようなことがないように十分な対応をしてまいりたいとおっしゃっていた、その対応ができてないわけです。  私、小泉総理に伺いたいんですけれども、小泉総理も質問に対して、これは大変なことになるんじゃないかと我が党が質問いたしました。そうしましたら、高額医療費の制度については、患者負担に一定の歯止めを設けて、重い病気などの場合に著しい負担増が生じないようにするんだと言ってきましたけれども、歯止めとしての役割、なってないわけですよね。  ですから、こういう点では高齢者に複雑なこのような手続、生み出すようなこの償還払い制度、これはやっぱりやめるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  232. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) やめるということじゃなくて、手続の面においてどのようによりよく通知、理解をしてもらうような方法が必要か。これは一割負担になってから低所得者については一定の上限設けておりますし、高額所得者においても一定の限度額を設けております。  ですから、この点についてまだ未払があるということですので、このようなことについて、あるいは知らない人がいるのか、あるいは知っていても面倒くさいのか、手続の点においていろいろ分かりやすいような方法を今後よく検討していきたいと思っております。
  233. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 これは、病院の窓口では本当にトラブルを生んでいるんです。そして、神奈川県保険医協会の調査では、負担増が原因と思われる治療中断があったという会員が二割近くある。本当にあってはならない中断が起きているんですね。いかに総理、現場見ていないかということになるわけです。  そういう点では、こうした償還払い制度をやめる、そして患者の負担増は元に戻す、こういうことを本当にやらなくちゃいけない、そういう結果を私、示していると思うんです。  私、加えて、二〇〇二年に法律の改正がされまして、二〇〇三年の四月から行われているサラリーマンなどの健康保険本人の窓口三割負担について伺いたいと思うんです。  これ、実態どうなっているか、パネルをごらんください。(資料提示)  これは二〇〇三年健康保険本人の受診率です。厚生労働省の資料によります。これを見ますと、三割負担の始まった四月から前年の同じ月と比べたものです。四月はマイナス二・一、五月はマイナス一・六、六月はマイナス三・五、七月はマイナス三・六、マイナスが続いて大きく減っております。  総理に伺いたいんですが、この事態、どのように御説明なさいますか。
  234. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 確かにお示しになりましたように、平成十五年の四月から平成十五年九月までを見ましてもマイナスの四・三になっておりますので、下がっていることは事実でございます。  三割負担をお願いを申し上げたわけでございますが、そのことがどれだけの影響をしているかということもございますけれども、しかし、医療全体を見ました場合に、三割負担をしていただかなければ継続してこの医療制度を続けることができ得ないという判断の下にお願いをしているわけでありまして、高齢者のみならず、お若い皆さん方につきましても、重い病気につきましては上限を設けて、そして割合を少なくする、軽い病気についてはひとつ三割の御負担をお願いをする、こういうことをお願いをする以外にないわけでございますので、そうしたお願いをしたところでございます。
  235. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 何を言っているんですか。本当に実態を、厚生労働大臣、御存じないと言われる問題だと思いますよ。(発言する者あり)いや、岩手県の保険医協会の調査では、二〇〇三年四月と五月の外来で、患者負担増が原因と思われる治療の中断があったというのが二七・五%なんです。で、中断があったという人の中で最も多い病名は高血圧で四二・二%。高血圧というのは、適切な治療を受けていないと重症化する危険性が高くて、脳梗塞とか脳出血とか、そういうことが起こる危険性があるわけですね。  私は小泉総理にこれどうですかというふうにパネル、パネルをお示しして伺っているわけなんですけれども、小泉総理は、この法律改正のときに、必要な医療は抑制されないようにとおっしゃっていました。この間の、二月の決算についての本会議答弁でも、我が党の議員の質問に対して同じことを繰り返しておられました。  しかし、サラリーマンというのは、これはなかなか仕事を休んで病院に行くことはできないんですね。本当に今過酷な労働の現場にあります。ですから、必要もないのにお金をわざわざ払って病院に行くわけはない。それが減っている。症状があったとしても、よほどのことでないと掛かれないということになっているんじゃないでしょうか。  先ほど厚生労働大臣もおっしゃった、お認めになったように、国の調査でも受診率が減っていると。これは事実でございます。三割負担の影響、これは否定できないわけです。  これでも必要な医療は抑制されていないと総理はおっしゃるんでしょうか。私はもう三割負担は元の二割に戻すべきだと思いますけれども、いかがですか。
  236. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは法案審議の際にも盛んに出た質問で、私も何回も答弁しております。  受益者負担、三割負担が低ければ低いほど患者さんの皆さんにとってはいいことは事実であります。しかし、その一方で、病気になっていない方々の負担も考えなきゃいかぬと。毎月毎月全くお医者さんにも掛からない、病院にも行かない人の保険料が負担があるからこそ、いざ病気になった人が軽い負担で病気の検診が受けられる。また同時に、税金も毎年毎年投入されております。  健康な方の保険料負担と税金の負担と、そしていざ病気になった場合の個人負担、本人負担がどの程度かという中で議論された問題であり、今、健保の受診率が、二割から三割に引き上げられるときにもこのような議論が盛んに行われたわけでありますが、国保の加入者は前から三割負担なんです。こういうことも考えて、私はサラリーマンの皆さんにも三割負担をお願いして、税金投入、これはいずれ負担が軽くなれば税金が増えるわけですから、税金を投入多くしろということでしょう。保険料負担を多くしろということじゃない、共産党の主張は。となると、じゃ、どうやって税金を投入するのかと。今でも国防費以上の税金が投入されているわけであります。そういう点を考えて、やっぱり医療全体の中で考えなきゃならない問題ではないかと私は思っております。
  237. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 必要な医療が抑制されないということについての証明は何もございませんでした。質問に答えておりません。  財源の問題ですけれども、健康保険本人二割に戻すのは四百億円です。四百億円といったら、先ほどから各党が質問している旧スパウザ小田原、四百五十五億円ですよ、一つの施設で。無駄遣いをなくせば国民の命と暮らしを守る財源は生まれるということを私申し上げて、質問を終わります。
  238. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  本日は、全般的質疑ということでありますので、大枠な問題を取り上げて、細部については後日の審議に参加をしてまいりたいと、こう思っています。  かねてから、私も巨額なそして不透明な特別会計についてただしてまいりましたけれども、昨年十一月に財政審がその見直しの報告をなされました。それによると、一つは、電源開発特別会計における不用、剰余金、一般会計からの繰入れを縮小して石油特別会計との整理統合をすると、こういう中身が出ています。しかし、この程度では極めて不十分だと思うんですね。なぜかなら、この原発の新規建設全体が凍結だとか中止だとかというのは随分出てきていますね。そういう現状の中で、こうした原発推進、あるいは去年のこの決算委員会でも大変論議をいたしましたが、利権垂れ流し型のこういう状況があるこの特別会計そのものがむしろ不要になってきているんではないか、こんなふうに思われてしようがありません。あるいはまた、産業投資特別会計も大幅縮小の方向がその中では出されているわけですけれども、巨額の原資を毀損、つまり回収不能にして検査院から厳しく指摘されたわけですから、これはもう当然のことだろうと思います。  しかしながら、例えば電気通信産業などは技術革新が非常に早い分野でもありますし、そしてまた経済力も強いわけですから、この特別会計はむしろ一般会計に吸収をして、そしてもっと弱い分野、例えば過疎地域対策であるとか、あるいは情報弱者対策であるとか、こんなところにむしろ活用すべきじゃないかというふうに私は思っています。  今、その個別の幾つかを聞くつもりで申し上げているんではなくて、そこで財務大臣にお伺いをしたいのは、こうした不要になった、あるいは財源囲い込みによって腐敗が生じたり、あるいは国民の資産を毀損した会計、こんなの幾つかございますね。こんなのはやっぱり廃止をするなど、もっと踏み込んだ改革をするべきではないか、こんなふうに私思っておるんですが、ここのところの基本的な考え方をまず財務大臣からお伺いしたいと思います。
  239. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど、委員の御議論の中にもありましたが、昨年、財投審で総ざらい的な検討をしていただきまして、それを踏まえましてこの十六年度から始めておりまして、これは今年だけで終わるわけではありませんで、これからも続けていかなきゃならないと思います。  そこで、考え方としまして、前塩川大臣がおっしゃいましたように、離れで、母屋でおかゆを食べているのに離れですき焼きはけしからぬというように、その一つ一つの事務事業を見直して、効率化それから合理化というものをしなきゃいけない。それから、一般会計から繰り入れたりいろんなことがございますが、そういうものを縮減するとか、あるいはその料金などをきちっと見直すとした、歳出、その特会の歳出歳入構造の見直しですね。それから、全体見渡しても、この数が非常に多いのと、一般会計からの出入りや何かで、なかなか国会なんかで御審議いただくときでも特別会計の全体像というのはなかなか把握しにくいというのが実情じゃないかと思います。  そこで、その企業会計に準じた新たな特別会計財務書類を作成するといったようなことで、アカウンタビリティーといいますか、そういうようなものも今後引き続き、まだ公会計と民間会計の違いというものがありまして、なかなかやってみると難しいんですけれども、できるだけそれは進めていって、全体像をこういう国会の御審議でも明らかに見ていただくようにしなきゃいけない。  最後は、要するに区分経理を行うのが特会の、それが必要性があるから特会を認めるわけですね。区分経理した方がはっきりして、そこでの独立のいろんな責任も分かっていいような状況なのか、それとも、そのことがかえって何か陰の方で一覧性を阻害して余りオープンにならないようになっているのか、そこら辺りを更に厳しく見直していかなきゃいかぬと、こういうことで今後ともやらせていただきたいと思っております。  ただ、先ほど御議論になりました電源特会とかの問題は、これは経済産業大臣に……
  240. 又市征治

    ○又市征治君 そこはいいんです。
  241. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) ああ、そうですか、じゃ、そこまでで。
  242. 又市征治

    ○又市征治君 今お話がございましたから、三位一体改革ならぬ、三位ばらばら改悪で、二兆八千六百億円も地方が交付税や補助金が削減をされた、予算が組めないと、こう悲鳴を上げている、こういう現状を踏まえますと、さらにこの特別会計、突っ込んだ改革を、今も大臣からありましたけれども、強力に進めていただくように申し上げておきたいと思います。  そこで、次に厚生労働大臣にお伺いをいたしますが、年金問題について大きく二つについてお伺いをしたいと思います。  この抜本改革なき、これは先送りで、保険料は上がります、給付は下がりますという今回の改革案についてはごうごうたる批判が起こっておる。これは当然だろうと私も思います。この問題は今後の法案審議であるいは予算委員会でもしっかり論議をしてまいりたいと思いますが、今日は決算の立場で年金の積立金について伺っておきたいと思います。昨年十一月の厚生労働省の案では、従来この積立金は崩さない、こういう方針でずっと来た。しかし、この案では積立金取崩しの方向性も出されたわけですね。これ自体は私は結構なことだと思っています。  そこで、この積立金は、九九年度末で百四十四兆円がある、今現在では百四十七兆と、こう言われているわけですが、大臣、これね、本当にこの価格で、現実にこの価格で現存しているのかどうか。さあ、いざ取り崩そうと思ったら、随分この額が減っておりました、いや、実は回収不能になっている額があるんです、こんなことは毛頭ないんですね。この点についてまずお伺いいたします。
  243. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 積立金につきましては、財務大臣からも先日も御答弁をいただいているところでございまして、今日まで順調に返還をしていただいておりまして、そして今後も順調に返還をしていただけるものというふうに思っている次第でございます。
  244. 又市征治

    ○又市征治君 実は、ここに日本医師会附属の日医総研、日本医師会総合政策研究機構というのの調査報告書がございます。昨年の、一昨年の四月ですかね、四月に発行されていますから、当然厚生労働省は検討済みなんだろうと思うんです。  これによりますと、今、これは皆さんのお手元に最後のまとめの一枚が出ていると思いますけれども、これによりますと、年金の積立金百四十四兆円のうち、六割に当たる八十七兆八千億円が不良債権化をしているんだということが記されているわけです。このペーパーでいいますと右側の一番上のところ、年金積立百四十四兆円のその横の方ですね、八十七兆八千億円、これが不良債権化と、こう書かれています。資金運用部に、つまり現在の財務省の財政融資資金を通して投融資した積立金のうち、例えば特殊法人で五十九兆七千億円、これは表の左側の一番下、特殊法人がございますね、ここの下で不良債権化をしているのは百八十三兆八千億円あるんだけれども、うち郵貯などが入っているから、これを案分すると五十九兆七千億円不良債権化をしているんだ。あるいは右端の方へいきますと、国の特別会計、これでは十兆六千億円が焦げ付く。こういうふうに実はまとめとして出されているわけですね。  そこで、大臣にもう一度お伺いをするんですが、厚生労働大臣は当然これの、年金責任者でございますから、出資者として当然自らチェックをした上で、先ほど当然これは全部返ってくる、こういうふうに御答弁なさったんですが、これは焦げ付きは全く起こらない、あるいは毀損は絶対ないんだ、こういうことなのかどうかもう一度改めて御説明を願います。
  245. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど厚生労働大臣が御答弁されましたように、今、年金から預託していただいたのは今着々とお返ししておりまして、平成二十年度までに全部お返しをするということで今順調に進んでおりまして、御懸念はないものなんです。  それで、今お示しになりました日医総研の見解ですけれども、これは財投の姿を正しくとらえたものというふうには私どもは思っておりません。  その理由を申し上げますと、まず財投機関に対して国費が投入されている場合がありますが、それを全部この論文では不良債権化しているとしてとらえてこのような試算をなさっているんですが、しかし財投機関に対して国費が投入されているのは、受益者の負担する利用料とか、あるいは金利を低く抑えようという政策目的でやっているので、これを全部不良債権だととらえていただくのは少し、少しというか全然違うんじゃないかというふうに思うんですね。  それから、財投が引き受けております地方債とか、それから特別会計向けの貸付けのおおむねが不良債権で返済不能に陥るというふうに見ておられますが、これは極めて非現実的な前提で書いておられるんじゃないかと思います。  それから、この論文は、特殊法人などの債務超過額を独自に算出しておられるわけなんですが、その方法も、将来投入される国費をすべて負債とみなすというようなやや極端な前提の下に計算されておられるというので、まあ余りこれ以上申しませんが、そういうことで私どもとすれば、実態を正しく反映したものではないというふうに考えております。
  246. 又市征治

    ○又市征治君 かなり、私もざっと目を通しましたけれども、この調査報告書はラフな計算ではなくてかなり、各特殊法人それから各特別会計の財務状況一つずつかなり精査をして、そして積み上げてこの金額を出しているわけですね。だから、今私も、今、財務大臣の御説明の一部は理解をいたします。いたしますが、問題は、一体全体そうした、私たちもこの決算委員会で随分問題にしてまいりました、あるいは先ほども言いましたが、この特殊法人やあるいは国の特別会計で随分と毀損が起こっておる、現実にある、回収不能だと、こういう問題などがあるから今こういう指摘がされているんだろうと思うんですね。  したがって、もう一度お聞きしますが、そういう毀損があったとしても、これは一切、国民には一切迷惑掛けないんです、こういうことなのか、いや毀損は元々ないんだ、これはもう誤っているんだと、こういうお話なのか。私もちょっと確かめましたけれども、少なくとも日本医師会ですよ、そこの総合研究所。じゃ、ここに誤りだというふうに抗議をなさって、そしてこれは訂正をお求めになられたのかどうか、これも全然聞いていないんですが、ここのところをまずお答えをいただきたいと思います。
  247. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) これ抗議したのかということでございますが、民間の個別の研究者の論文でございますから、私どももそれは他山の石として十分参考にさせてはいただきますけれども、それぞれ学問の自由もおありだと思いますから、一々抗議するというようなことは考えておりません。
  248. 又市征治

    ○又市征治君 総理にも申し上げておきたいと思うんですが、この特別会計の改革、昨年の審議でも明確にされた、そしてまた元厚生大臣もなさっておったわけですが、本当にこの年金資金が貸付けにされておって、そのところで毀損なんていうのは全くないのかどうか。これは、大変今、年金問題、重大な国民の関心事ですから、そういう点ではやはり、こうした問題についてやはりしっかりと調査をそういう意味では御指示いただき、そしてこうした、いや抗議しなかったという問題じゃなくて、私は、どこかの単なる一民間とおっしゃいますけれども、日本医師会ですよ。そういう意味で極めて私は権威が高いと思う。  そういう意味で、部分的に誤りがあるならあるというふうに明確に指摘をされるべきであって、それなりきのお医者さんの皆さん方がこんな格好でこんなにむちゃくちゃだとおっしゃっているから私どもにもこれが入ってきたわけでありますから、そんなことを含めて、是非そういう意味では総理、この点について調査をそういう意味では御指示なさいませんか。
  249. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 又市議員のお話を伺っておりまして、これは今までの年金の運用の在り方、あるいは特殊法人、財投等の運用の在り方に対して警鐘を鳴らしているんだと理解しております。  私はその調査レポートを読んでおりませんが、これはよく考えなきゃいけないことなんですが、今、年金についても郵貯にしても、財投預託を廃止しました。これは財投改革の一環でありまして、国民にとっては、例えば特殊法人の、今、年金福祉事業団、グリーンピア等、当初は国会でも反対なかったんですよね、決議して作れと。地方では歓迎するんですよ。あるいは雇用福祉事業団のあの施設にしても、過疎地にそういう安くていい施設が来れば歓迎すると。自治体も誘致に、国会議員等に陳情してくる。そういう中で、果たしてこれがどういう負担でなされているかという点についてはなかなか見えにくかった。また、要望の方が強いものですから、資金も積立金等で潤沢にあった、雇用保険にしても年金の積立金にしても。だから、これは一部の方々に負担を還元するんだということでやってきた。しかし、これは考えてみれば、どこかで負担している人がいるわけですから、収益事業を上げない限り、必ずどこかで負担する。で、結局負担し切れないときは税金で負担しなきゃいけない。  いい例が、住宅金融公庫でもそうです。廃止決めましたけれども、これは民間の金融機関よりも低利で貸してくれればみんな喜ぶんです。しかし、その低利の部分はどこで負担しているのか。結局税金で負担するわけですよ。しかし、この資金はどこからというと、郵貯の下で財政投融資として来ている。だからこそ、官の分野の構造改革をしなきゃいかぬということで、財投改革にしても、特殊法人改革にしても、郵政の改革でもやっているわけです。  これは非常に難しい問題で、結局、民間のやる分も、民間のやっている人は、何にしても、サービスにしても高い、あるいは金利にしても高いから低い方がいいというふうになると、その差額は結局税金で負担しなきゃならない。どっちがいいかと。だから、民間でできるところは民間にといって住宅金融公庫を廃止と言ったらば、廃止できるわけないじゃないかといって反対があったけれども……
  250. 又市征治

    ○又市征治君 そんなこと聞いてない。ちょっと答弁簡単にしてくださいよ。
  251. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 実際、廃止された場合は、民間が今まで官がやっていた分野にも参入してきて、これからの資金が有効に民間にも活用されると。  これはやっぱり非常に重要な問題で、一つの警鐘を鳴らしているというふうに財務省も真剣に受け止めなきゃならないと思っています。現状がいいという答弁は当たらないと思っております。
  252. 又市征治

    ○又市征治君 話が横へそれてしまって時間がなくなっていくんですが、坂口大臣にちょっと簡単に最後に一つ年金問題に絡んでお聞きしておきます。  社会保険事務所の事務の国一元化と国保の納付率の低下の問題についてちょっとお伺いしておきますが、以前は県庁内にありました年金課あるいは保険課というのが、事務の国一元化に伴って全部都道府県の県庁から出て一等地のテナントビルに入居して、年間、今でいいますと二十二億ぐらい余分な金が掛かっていると、こういう無駄が生じているわけですね。  また、平成十二年以前は市町村と協力をして国保の納付アップというのを図ってきたわけですが、それがなくなったものですから、国一元化になってしまいましたから、したがってこれが、納付率が大幅に落ちてきている。十四年が特にそうだと。そこで、その納付率、今六二・八%まで落ちている、これを何とか八〇%に上げようということから、現在、全国で千九百人の国民年金推進員、これを配置をして何とかアップ図ろうと、こうしているわけですね。雇用問題、別に見れば、私にしてみると、国民の保険料を使って随分と壮大な無駄遣いやっているんじゃないのかと、こういう気がしてならないわけです。  そういう意味で、私は、むしろこの社会保険事務は地方にやってもらった方がよっぽど効率がいい、こんな無駄は使わなくてもいい、こう思っているんですが、その点、簡単にお答えいただきたいと思います。
  253. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 思いは私も分からないでございません。地方でおやりをいただいておった方が非常に丁寧で効率的であったことだけは、効率的と申しますか、丁寧であったことだけは間違いがありません。  今、国でやっているわけでありますが、国がやるということになりますと、地方の何分の一かの勢力にこれはなってしまうわけです。たとえ千九百人導入したとしても、過去に比べればこれは少ないわけでありますから、その点は私たちも留意をしてやらなければいけないというふうに思っておりますが、ここはしかし全体でアップをしなきゃならないことだけはもう紛れもない事実でございますので、懸命にやりたいと思っております。
  254. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  255. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  朝から大変の長丁場、御答弁される閣僚方々もお疲れになったと思いますし、けれども私自身も待ちくたびれた感がございますけれども、最後のここでひとつ一踏ん張りで最後までよろしくお願いいたしたいと思います。  この決算審議、冒頭から岩井委員あるいは総理も御指摘なさいましたように、大変去年から前向きに進んでおりまして、是非ともこの流れは戻らないようにしっかりやっていただきたい。お互いに、閣僚方々もそうですし、また同僚議員にも是非ともお願いいたしたいと思っております。特に、私の短い経験ですけれども、参議院選挙の年というのはどうも決算が長引いたような記憶がございまして、今年が正にその年ですので、去年よりも戻らない、一歩進むということで是非御協力を願いたい、こう思う次第でございます。  と同時に、今のこの状態が最善の状態ということでなくて、先ほども岩井委員御指摘になりましたように、もっと早く決算を提出してもらって、一年遅れになるかもしれませんけれども、要するに予算を組む、一年遅れの予算を組む秋にきちっと審査ができるように、そういうようなところまで持っていかなきゃいけない、こう思っておりますし、その件に関しては総理も大変前向きな御答弁をいただいておりますので、うれしい限りでございます。  と同時に、私はこの決算、やはり責任を追及するといいますか、決算で間違いがあったら、これは今、会計検査院で御指摘になるようなものもあるかもしれませんが、我々国会レベルで、この予算が良かったか、予算の執行が適切だったか、そういうような国会レベルでの追及による責任の所在ですね、責任をどうこうするというと、これ、大変何か肩ひじ張って難しいようになるかもしれませんが。先ほど松井委員のお話聞いていて、スパウザの小田原の話にしましても、ああいうものをしっかり最後まで、どうするかまで見届けるような、そういう責任の取り方というのもあると思うので、私、これ内閣法制局等に質問するんですけれども、なかなかうまくいかないので、問題として簡単でないのは分かりますけれども、その辺まで踏み込みませんと、ただ単に予算に反映するということでは、だんだん形骸化していっちゃうんじゃないかという心配がございますので、その辺の御認識をよろしくお願いいたしたいと思っております。  それで、この決算責任の取り方、これ議論していきますと私の持ち時間全部なくなっちゃいますので、今日はそこまでの私なりの考え方を申し上げまして、この決算というのがいわゆる参議院改革といいますか国会改革といいますか、そういうものと関連しているということで、そっちの方にちょっと質問を振らせてもらいたいんですが。  最近、総理が大変、参議院改革といいますか国会改革といいますか、そういうことに大変前向きな新聞報道をお見受けしております。今年の一月二十日ぐらいだったですかね、自民党の憲法調査会長に、いわゆる首相公選制ですか、それと二院制、一院制の問題、その辺を御指示されたようなお話を、報道を新聞で見受けておりますし、さらには政府四演説ですか、国会の冒頭でなされます、あれを一緒にしたらいいじゃないか。あれは、総理、御存じかどうか分かりませんが、二年前に予算委員会のこういう席で私は総理に御提案したんですよ。そして、私は反発来ると思ったら、意外にもそのとおりだというお話がございまして、それで、その後も折に触れてそういうことを御提案されておりますのも、大変私はうれしく思っているんです、実は。ああいうことからまず国会改革というのを手掛けるというのも大きな一つの手だと思っております。  それはそれとして、この国会改革に対する総理の姿勢は分かるんですけれども、内閣公選制というのはさておいて、二院制、一院制をどうするかという問題は、やはりそういうものを改革しなきゃいかぬという場合のバックグラウンドといいますか、どういう認識があるからこういうものに手を付けなきゃいかぬかというものをはっきりお示しいただけないかなと。私は、まあ新聞だけなんですけれども、どうも小泉総理の報道に限っては、こういうことを検討せよと言うだけで、なぜだからというところが一つ欠けているような感じがするんです。民主党の菅代表は何か決定が長くなるというような、私は真意よく分かりませんが、そういうようなことを言っておられる。それはいい悪いは別としてですね。  やはり総理もそういう、どういう現状だからどう改革の検討に入るという、その現状認識というものをしっかりお示しいただいた方がこれからの議論に役立つと思うんですけれども、その辺、もし言われているんでしたら繰り返しで申し訳ないんですけれども、総理にひとつ御答弁をお願いします。
  256. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 参議院衆議院、二院制の中でよく言われることの一つにこういうことがありますね。例えば、衆議院参議院じゃなくて、上院と下院といたしましょうか。一院と二院とでもいいです。一院の意見と二院の意見が同じだったらば一院制でいいじゃないかと、無用じゃないかと。一院制の意見と二院制の意見が違ったら有害ではないのかという意見がよく言われます。  それと、先ほど触れましたように、今まで参議院の在り方について、参議院の議員の皆さん改革の必要性を感じていろいろ議論されてこられました。そういう中において、今回も参議院は、衆議院と同じことをやっていては意味がないから、やっぱり機能分担、役割分担しようということで、今日もこの決算重視の姿勢で、予算委員会の前に全閣僚出席の下に決算審議が行われている。  で、私ちょっと見たんですが、この平成十二年に「参議院の将来像に関する意見書」が議院で出ているんですね。その中に、「参議院の存在意義と役割」という中で、参議院は多様な意見を反映すると。また、参議院は抑制と均衡の機能を果たす、参議院は長期的展望に立った議論を行うと、これが総論。そういう中で、「改革の基本的方向」として、衆参両院の機能の分担で、今言った決算重視、決算審査の重視とか、あるいは国会同意人事を参議院の専権事項とするとか、あるいは参議院内閣総理大臣の指名を行わないとか、あるいは参議院議員の大臣への就任は自粛しようとか、いろいろ言っているわけです。こういう点については賛否両論があって、いまだにまとまっていないと。  先ほど言ったように、衆参の施政方針演説、全く衆議院参議院同じやるのに、開会式は参議院で一緒にやるのに、なぜ施政方針演説は一緒にできないのかと。私と岩本議員は同意見なんですけれども、これに対しても反対が強くて、いまだに実現していないでしょう。だから、意見はいろいろ出ているんです。これをどう実行に移すかというのは院の問題ですから、私は、これ、行政府の長として、余り言うとまた批判浴びますし、一院制というのは、先ほど言ったように、今後、都道府県とか、県とか市はみんな一院制ですから、何の不自由感じていないんです。衆議院落選した人が参議院へ行く。そうすると、何のために参議院があるのだということにもなりかねない。選挙制度の問題もあります。ということから、一院制というものも考えていいのではないか、検討してもいいのではないかということを申し上げているわけであります。  一院制ということは、これは参議院を廃止せよということじゃありません。衆議院参議院も廃止して、新国民議会みたいなものも、これは、憲法改正が議論されているんだから、これは憲法改正ないとできないと思いますので、その中で議論すればいいじゃないかということを申し上げているわけであります。
  257. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 総理おっしゃったとおり、何といいますか、同じ意見なら一院制でいいじゃないか、別々だったらあるのが弊害だと、正にそれが今の、両院の中に、それが起こっているというか、それを解決するために、そういう事態が起こらないようにするためにいろんな動きがあるのが結局存在感をなくしているというようなところに結び付くんじゃないかなというような感じがするんですね。  だから、そういうことを考えますと、本来は、機能が同じであればそういうことが起こっちゃうわけですね。だから、機能を変えなきゃいかぬ。本来だったら、変えれば両院の存在意義というのはあるというのも一つの見方だと思うんです。  そういう意味で、総理言われるとおり、いろんな見方があると思いますけれども、やはりこれ、総理は憲法調査会長に御指示されたというお話ですが、やはり国会議員の中で検討するのも、それは一つの結構なことだと思います。それは、一番中身知っていますから。ただ、国会議員が自分の身のことについて本当に最後まで客観的にできるかという問題が一つあるんだろうと思うんですね。  だから、そういうことで、もしこれからのそういう、今総理が言われたことを更に推し進めるとすれば、国会議員以外の人にそういうことを考えてもらうというような、そういう取組はできないか。公選制については、何か二年前に私的諮問機関を設けられたというふうに承知しておりますけれども、これからそういう両院の在り方というものについて、要するに、一般国民の一人一人が何で参議院があるのかみたいな疑問を持つものですから、そういう客観的な視点を入れたらいかがかと思うんですが、その点、御答弁をお願いいたします。
  258. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、衆議院参議院の在り方についてだれよりも一番知っているのが衆参の議員だと思うんです、この点に関しては。選挙制度もそうなんです。有識者の議論を聞いても、どんないい意見を聞いても、現実の衆議院議員、参議院議員に勝る識者はいないと思っています、現実の。だから、意見が出ても、いざ国会に出ると、結局、国会議員の意見を重視しなきゃならない。  そして、院の在り方、選挙制度について言うなら、与党だけでやっていいという問題でもないという共通の認識があるんじゃないでしょうか。ある程度与党も野党も共通の認識の下に、選挙制度においても議院の在り方についても考えようという今までのやっぱり慣例がありますから、いかに学者として、有識者としてこうあるべきだと議論を出しても、その理論と現実を一番よく知っている衆参両院議員の意見というものを一番重視せざるを得ない。そこに、単なる多数、少数、多数決じゃなくて、一つでもやっぱり反対がある、強硬だと。  この選挙制度一つ変えるについても、議院の消長に大きく影響してまいります。議院を、衆議院参議院一つにするにしても、これ大改革です。選挙制度まで全部変えなきゃならないという点がありますので、私はこの点については、有識者の議論にゆだねても、最終的にはやっぱり国会議員、衆参議員の意見に重きを置かざるを得ないという過去の経緯と現実の問題がありますから、この問題についての最も有識者は衆参両院の国会議員だと、やっぱりその方々意見を重視しなきゃならないなと私は思っております。
  259. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私は、その国会議員の検討が不必要だと言っているわけじゃございませんで、やっぱり一つの限界、何か国民から見ても何か限界を感じることがあるんじゃないかと。これはこれ以上議論しても、もっとこれから先、長く議論しなきゃいけない問題だと思いますが、以上でやめますが。  次に、ODAについて質問をさせていただきます。  ODAについてはいろいろと、昨年の平成十三年の決算でも警告決議の中に入っておりますし、それに対して、今度、財務大臣からの御報告で、取られた措置等の御報告がございますので、大変国民的にも関心のあることだと思うんですが、私なりの問題意識は、ODAに対して今、国民の声が、借金大国がなぜ施しといいますか、そういう援助をしなきゃいけないのかという気持ち、これが多くの人が持っているということと、それから何といいますか、何ということないODAに対する不正疑惑みたいなものが出てきていると。こういうことに対して、それが今、前言ったことと後、後ろ言ったことがお互いに関連しているかもしれませんけれども、そういうことがODAに対しての何か国民の不信といいますか、そういうものの芽生えにつながっているんじゃないか。  その辺をきっちりと払拭しなきゃいけないんじゃないかということだと思うんですが、私なりに解釈しますと、ODAというのは、どうも一般国民方々は、外国に施しを与えるといいますか、全部お金が向こうに行って、向こうが勝手に自分のところでやるという代物じゃないんですね、どうも。ODAを、先ほど川口大臣は契約リストはホームページで公表しているというお話ございました。  私、それは見なかったんですけれども、実は、国際協力銀行の年次報告書二〇〇三、これに契約の実績が載っているんですけれども、これを見ますと、いわゆる本体契約、コンサルタント契約、恐らくいわゆる日本で言う公共事業的なものだろうと思うんですけれども、そのうちの本体契約が、これ、私のところでそろばん入れたので末端は、端数はよく分かりませんが、大体三千三十三億円ぐらい。これが平成三年度の報告ですから、平成三年度、失礼しました、二〇〇三年ですから、この実績は二〇〇二年になると思うんですけれども、三千三十三億。このうち日本企業の受注額が八百二十三億なんですね。四分の一以上あるんです。ということは、日本の出した、ODA予算として出したお金が、これ相手の政府の懐を通ってくるかもしれませんけれども、日本の企業に戻ってきているんですね、そのまま。それから、コンサルタント契約に至っては、これは額は小さいんですけれども、たしか同じ年に四十二件あるうちの三十九件、これがもう日本の企業、ジョイントもございますけれども、日本の企業に絡んで入ってくると。  そういうような状況ですと、やっぱりこれは日本の一般予算と同じようにきちっと検査をしなきゃいけないと私は思うんですよ。そういうことによって透明性を増すということが必要だと思うんです。  それについて、平成十二年の決算報告では、会計検査院ODAについての現地調査には限界があるという報告を出している。これは私は日本の国内並みの調査ができないから限界、そういう限界だと思っているんですが、財務大臣のこの間のあれでは件数を増やすとか国を増やすとかということなんですが、まずこの点、余り時間ないんですけれども、会計検査院から、限界があるという限界は国内並みの検査ができないという、そういう限界がどうかということをまずちょっとお知らせください。
  260. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 会計検査院が行いますODAの検査は、まず我が国国内における外務省、それから国際協力機構、国際協力銀行等の援助実施機関について行うわけであります。これに対しましては、我が国の法律によって直接、検査権限が与えられております。現地、そのODAの資金によって作られた資財あるいはそういう設備、そういうものは現地が相手国にあるわけでございまして、そこには当然我々の検査権限が及ぶというふうにはなっていないわけであります。  そういった違いがありますということです。
  261. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ということは、やっぱり日本国内並みの検査ができないということだろうと思うんですが、それは何でなのかなと私は思うんですね。  これは何か、素人っぽい質問で申し訳ないんですけれども、そういう条約があるのか、全く信義上の問題なのか、その辺は外務省の御解釈だと思うんですが、そういう障害という根拠は何になるんですか。
  262. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) これは会計検査院の方からお答えいただく方が適切かと思いますけれども、会計検査院の検査権限が被援助国、要するに我が国の外には及ばないというふうに解されているということで、外について検査をすることには制約があるということをおっしゃっていらっしゃるということだと思います。  ただ、一つ申し上げたいと思いますのは、これは、ODA、これを透明性を持って実施をしていくということが非常に重要であると私どもも考えておりまして、毎年、会計検査院におかれて実際の対応といたしましては、相手国の了解を得た上で毎年十数か国の現地調査を実施をしているというふうに承知をしておりますし、私どもの在外公館もこれに全面的に協力をさせていただいているわけでございます。
  263. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 要は、先ほど申しましたように、それだけ日本の税金を使ってそれで日本に、企業にも戻ってくると、いわゆる日本会計検査院がやる仕事と同じような状況があるということなんですね。そういうものを、もしそうであれば外務省も協力してやっぱり向こうとの折衝に当たるべきだと私は思ってこういう質問をしたんです。ただ、時間が参りましたので、この点につきましては個別にまた引き続いて質問をさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  264. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようでありますので、本日の審査はこの程度といたします。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  265. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  266. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) この際、お諮りをいたします。  今後、省庁別に審査を行うに当たりまして、各省各庁及び政府関係機関から提出されております決算の概要説明及び決算検査の概要説明の聴取につきましては、議事の都合により、いずれもこれを省略し、本日の会議録の末尾に掲載したいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  267. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  268. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  平成十四年度決算外二件の審査のため、来る十五日午前十時に国際開発ジャーナル主幹荒木光彌君及び法政大学人間環境学部教授下村恭民君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  269. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会