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2004-05-13 第159回国会 参議院 経済産業委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月十一日     辞任         補欠選任      小林  温君     月原 茂皓君      松 あきら君     荒木 清寛君  五月十二日     辞任         補欠選任      月原 茂皓君     小林  温君      荒木 清寛君     松 あきら君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 秀善君     理 事                 魚住 汎英君                 松田 岩夫君                 広野ただし君                 藤原 正司君     委 員                 小林  温君                 関谷 勝嗣君                 福島啓史郎君                 保坂 三蔵君                 山下 善彦君                 勝木 健司君                 平田 健二君                 浜四津敏子君                 松 あきら君                 西山登紀子君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    参考人        株式会社産業再        生機構代表取締        役社長      斉藤  惇君        石川中小企業        再生支援協議会        会長        財団法人石川県        産業創出支援機        構副理事長    斉藤  直君     ─────────────   本日の会議に付した案件経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (産業再生問題に関する件)     ─────────────
  2. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のうち、産業再生問題に関する件を議題といたします。  本日は、本件調査のため、株式会社産業再生機構代表取締役社長斉藤惇君及び石川中小企業再生支援協議会会長財団法人石川産業創出支援機構理事長斉藤直君の御出席をいただいております。  この際、参考人方々委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。  皆様には、御多忙のところ本委員会出席をいただき、誠にありがとうございます。本日は、皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人二十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席したままで結構でございます。  それでは、参考人皆様から御意見をお伺いいたします。  まず、斉藤惇参考人お願いをいたします。斉藤惇参考人
  3. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 斉藤でございます。  本日は、当委員会にお招きいただきまして、機会を与えていただきましたことに大変厚く御礼申し上げます。
  4. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) どうぞお座りください。
  5. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) はい。座ってお話しさせていただきます。  まず、お手元の資料を使いながら、機構取組と今後の課題につきまして簡単にお話しさせていただきたいと思います。  この一年間の取組状況実績ということで、我々のまず基本的な考え方から説明をさせていただきたいと存じます。  私ども産業再生機構が目指しますものは、個々の事業再生、あえて申しますと、企業ではなくて事業再生を実現するということが業務運営の基本であると理解しております。資料の一ページに沿って少し簡単にお話しさせていただきます。  事業再生が可能かどうかの判断は機構法及び定めております支援基準に基づきまして行いますけれども数値基準などいろいろな基準の中で最も厳しく、かつ私どもが最も重視しておりますのは、機構が買い取った債権出資の結果保有します資産を果たして三年以内に売却等をしなければならないというこの基準であります。この三年以内のエグジットという基準に従いまして再生可能性を判断するということは、必然的に市場の目から見た再生可能性でその事業を評価するということになります。三年後に本当にエグジット市場エグジットできるかどうかということがポイントであります。  機構に持ち込まれるような企業は、上場企業であっても市場利用者としての意識が薄いというのが多うございます。三年以内のエグジットを可能にするということは、そのような企業をマーケットに受け入れられるように作り替えるという作業であると理解しております。私どもは、事業再生プロフェッショナル集団といたしまして、市場への懸け橋となるようベストエフォートを続けているということでございます。  次に、民間補完ということから、資本効率性の徹底というお話をさせていただきたいと思います。  我が国企業の中にも、当然、資本効率性を徹底いたしまして、厳しい国際競争の中ですばらしい実績を上げておられる企業はたくさんあるということは認識しております。しかしながら、我が国企業の中でそうした企業比率、そういう資本効率性を徹底的に追求している企業比率というのは、残念ながら非常に少ない。資本効率性などほとんど考えたこともないというような企業も数多く存在すると言わざるを得ません。  御案内のとおり、世界は今やこの資本効率性を徹底的に追求する厳しい競争に入っていると、地球上では、結局、資本効率性競争をやっているということだと認識しております。我が国経済がそうした国際競争の中で伍していくためには、どうしてもその資本効率性という考え方企業経営に導入しなければならないと。  私ども産業再生機構はこの資本効率性を徹底的に追求した事業再生を行っておりまして、今や世界共通の言語であります資本効率性についての考え方我が国への導入に少しでもお役に立てればということであります。この意味では、我々の事業再生のやり方というのは、実は民業の最も根本理念に基づいた再生企画を打ち出していると言えると思います。  次に、官業民業調整ということについてお話しさせていただきたいと思います。  民間資本、資金が不足しているというような段階におきましては、官がこれを提供し経済発展させるということは合理的ではございますし、必要なことであろうと思っております。例えば、戦後、官業による民業補完我が国経済発展に貢献したという部分は少なくないというふうに認識しております。  しかしながら、民業が自律的に発展を遂げた段階に至ってもなお官業が同様の活動を続けているような場合には、その官業がよほど資本論理に基づいて動かない以上、かえって民業発展阻害要因になるということがあろうかと思います。  事業再生に関して申しますと、ある事業立ち上げですとかあるいは前向きに展開する局面になりますと、そういう場面では官業民業補完としてよく機能するということかと思います。ただ、後退ですとか撤退あるいは再生というような局面になりますと、官業資本論理では動くということは本質的にできませんので、両者調整が付かなくなっていると。で、迅速な解決が困難になるという傾向がございます。  私ども産業再生機構は、この官民両方の面を併せ持っている機関といたしまして、官業民業が協力し合って再生を進める枠を提示するということが役割であるというふうに考えております。  次に、実績について簡単に御報告いたします。  資料二ページにリストを作っておりますけれども支援決定は、御案内のとおり、これまで十三件できました。一つ一つ案件がユニークでありまして、思い入れがあります。  どうしても新聞、テレビでは、取引所一部上場企業であるとか会社の規模が大きいか小さいかというようなことが注目されがちでありますけれども、我々機構といたしましては、どんな案件でも同じように全力で取り組んでいるというのが実情であります。  地方案件というのは東京の新聞等々では注目度が低いわけですけれども、御案内のとおり、その地域方々にとっては非常に重要なことでありますし、また、地方交通機関ですとか百貨店等再生というのは全国共通の問題であるということかと思います。そういう点では、機構再生モデル提示という機能からしても、大変重要なことではないかというふうに思っております。  また一方では、数が少ないではないかという批判があるということも十分承知しておりますけれども、一方では、事業再生専門家は必ずしもそういうふうなことではなくて、非常にペースが速いなという言葉をいただいております。一年で十三件、一か月に一本という事業再生は、先ほど一ページの図にありましたように、最初持込みからデューデリジェンスを繰り返して、支援決定をやって、それから金融機関を全部回って債権放棄金融支援お願いして回って、買取り決定をやって、さらに事業再生計画するというのは大変なプロセスが掛かりまして、まあ十三件一年というのは速い方であるというふうに我々は思っております。  産業再生機構仕組みは、事業者金融機関案件持込みがあって初めて動くという、御案内のとおりの申請主義になっておりまして、また、再生機構役割というのはあくまでも民業補完であるというふうな認識を我々はしております。  したがいまして、我々といたしましては、持ち込まれた案件をしっかりした内容に仕上げるということに全力を尽くすということであります。  次に、事業再生産業再生に果たす役割はどうかということについてお話しさせていただきます。  事業再生に果たす役割でありますが、私ども産業再生機構、ただいま全員で百八十九名ぐらいのスタッフプロスタッフで百五十人ぐらいですが、これだけで日本じゅう再生案件を全部扱うというのは元々不可能であります。できるだけ多様な事業再生モデル提示するということが私ども産業再生機構役割だと理解しております。例えば、九州産交というバス会社再生に取り組みましたけれども、各地の自治体からいろんな情報を取りに今おいでになっております。  次に、事業再生専門家育成という点でありますけれども我が国における事業再生の問題といたしまして、専門家の不足が指摘されているところが多いと思います。再生の本格的なプロが十分育っていなかったということが今回の長期不況の大きな理由であると我々は認識しております。事業再生専門家育成するということも当然私ども産業再生機構役割であると考えておりまして、私どもは、これまで支援決定に至らなかった案件や現在進行中の案件を含めまして百件近い案件を取り組んできております。この間、機構の職員が経験を積んだということは言うまでもございませんけれども、同時に、機構からアウトソーシングを受けました弁護士、あるいは会計士コンサルタント等事業再生に関する専門家は膨大な数に上っておりまして、人材の育成という点でも、意味でも既にかなりの貢献ができたのではないかと思っております。また、銀行再生に絡んでおられる方々に多くの刺激や示唆を与えていると自負しております。  三番目に、事業再生市場創出拡大という点でありますが、我が国事業再生市場創出拡大することも私どもの重要な使命かと思います。市場創出拡大でございます。  幸い、今やすべてのメガバンク再生機能専門の子会社専門部署を有しておりまして、地方銀行におきましても企業支援部等組織を持つところが急速に増えてきております。あるいは、証券会社等銀行以外にも事業再生に力を入れるところが出てきておりまして、少し再生バブル的な状況かと思いますけれども機構の設立と活動がこうした動きを刺激しているのではないかというふうに大変うれしく思っております。  次に、産業再編に果たす役割についてお話しさせていただきます。  産業再編というと、国家による産業政策という観点から議論されることが多いかと思います。経済が一定の段階に達しますと、元々産業再編というのは民間ベースで自律的に起こるものではあるというふうに理解しております。そのためには、企業事業再生や買収が経済合理性に従って円滑に行われるメカニズム経済の中に仕組まれていなければならないというふうに思います。  産業再生機構は、我が国事業再生仕組みの中で抜け落ちております私的整理法的整理との良いところ取りをして両者の溝を埋める機能をしているというふうに自負しております。  この三ページでしょうか、カラーの図があると思います。参考にしていただければと思いますが。産業再生機構仕組みというのは、まず取引先に迷惑を掛けない、事業取引先に迷惑を掛けずに事業価値は維持するという私的整理長所と、債権者間、金融機関債権者間の調整を迅速に図るという法的再生長所両方を取り入れた仕組みであります。  この図は、右にありますように、債権者間の調整必要性が大きいものが下の方にあります。それから、左に書いてありますように、窮境のレベルが大きいという意味で下に書いてあります。下の薄いブルー色法的整理世界であります。そして、後ろのグリーン、一番上が私的整理の一番強いところでありますが、産業再生機構はこの真ん中を埋めているということであります。  産業再編促進するにはこうした事業再生メカニズムが必要であります。アメリカでは御案内のとおり、有名なチャプターイレブンとこれに関する運用の積み重ねがこの機能を果たしているというふうに理解しております。産業再生機構一つ促進剤となって、我が国事業再生に関する制度運用が整備されることを我々としては期待しております。  今後の課題について申し上げます。  上記の役割の遂行ということかと思います。以上申し上げました産業再生機構機能を発揮いたしまして、役割を果たすべく全力で愚直に努力を重ねていくことが私どもの最大の課題だと思っております。  持込み促進につきましては、昨年五月の機構発足から夏ごろまでの間は、私どもが様々なバックグラウンドを持つ人間を集めた組織であったということや、しばらくの間、法律があるだけで実際の作業基準、標準が全くないという状態から出発いたしましたので、試行錯誤をしていた点は否めません。この間、案件を持ち込まれました金融機関等方々にはそうした意味で御迷惑をお掛けした部分があったのではないかというふうに思います。  ただ、その後、具体的な案件も幾つか出まして、いろいろな作業の標準的な考え方も御説明できるようになりました。さらには、金子大臣の御尽力もいただきまして金融機関方々との意思疎通も十分図ることができて、発足当初の問題は一掃できたと考えております。その結果、冬から今年春にかけまして、案件持込み金融機関との共同作業とも順調になっていると御報告できると思います。今後とも、利用者であります金融機関事業者方々の御意見を十分踏まえまして、一方、守るべきところは頑固に守って努力を続けていきたいと思います。  一つ強調したいことは、我々は、法案の趣旨であると思いますが、決して銀行のあいまいな救済とか、あるいは窮境に陥った企業、失敗した企業の延命というようなことをやらないと、そういうことをやるつもりが全くないということで行動をしていきますので、先生方の御理解や御支援を今後とも賜りたいというふうに思っております。  最後になりますけれども機構がなくなった後への提言というようなことを申し上げて終わりにさせていただきたいと思います。  機構法に定められました買取りの期間というのは来年三月末までということでございます。案件持込みから買取り決定に要します時間を考えますと、新たな案件を持ち込んでいただけるのは多分秋ごろまでであろうかと思います。その後は産業再生機構事業再生の道具として使えなくなるということであります。先ほど申し上げました事業再生メカニズムにおきます私的再生法的再生の間をつなぐ役割というのは経済にとって不可欠だと思います。  再びこの三ページの図でありますが、日本法体制とか社会構造は、実はこの真ん中の薄いグリーンのところが欠けているわけであります。一番下にあります法的整理、これは取引先等営業債権が毀損いたします。いわゆる一般事業債権が毀損するという、いわゆる清算、破産、会社更生民事再生というのがあります。アメリカの場合は、御案内のように、ここのところがチャプターイレブンで守られているのでありますが、日本の場合はこれは守られていない。一方、上の方は、完全な私的再生であります自力再建から始まりまして、一時行われました単なる金利減免等々、そして私的整理ガイドラインができましたけれども、これもいろいろ十分でない点があります。  ここの埋め合わせているのが実は産業再生機構法でありまして、これは営業債権者への弁済による事業価値の維持を行っております。いわゆる金融債権しか相手にしないで処理をしている。そして、中立公平で迅速な債権者間の調整を行っている。準裁判所的な役割を我々はやっております。そういう債権者間の調整を図りつつ事業を立て直すという役割、これは実は、産業再生機構そのものが存在しなくなりますと、実はぽっかりここに穴が今後空いてまいります。  そういう意味で、この部分私的再生法的再生制度面あるいは運用面の改善によってカバーする必要があると私どもは思っておりまして、実際にこのすき間をつないだものとして、いろいろな制度運用につきまして建設的な提言が今後できていければと思っております。  以上、簡単でございますけれども、御報告させていただきます。  ありがとうございました。
  6. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ありがとうございました。  次に、斉藤直参考人お願いをいたします。斉藤直参考人
  7. 斉藤直

    参考人斉藤直君) 石川中小企業再生支援協議会斉藤でございます。本日はこのような発言機会をいただきまして、誠にありがとうございました。  私は、石川県の中小企業再生支援協議会会長でありますので、石川県における中小企業再生支援取組状況中心お話しすることになるわけでございますが、本日は、全国協議会を代表してお話をする立場でもあるものと認識をしているところでございます。そのため、大変僣越ではございますが、まず最初全国状況について御報告させていただきたいと思います。  御案内のとおり、中小企業再生支援協議会は、全国の各都道府県に設置されております。このように全国の各都道府県に設置されるようになりましたのは、我が国経済活力の回復のためには地域経済の立て直しが必要であり、その主要な担い手になっている中小企業再生が極めて重要な課題になっていること、また、中小企業が抱える課題はその地域の様々な地域性が反映されていること、こういったこと、国が中小企業の果たしている役割や特性を十分踏まえまして設置するものになったというふうに理解をしているところでございます。  この中小企業再生支援協議会でございますけれども、各都道府県中心商工会議所や県の中小企業支援センターなどに設置されておりまして、そこには、経営金融、会計、法務などの高度な専門性を兼ね備えた常駐専門家が配置されておりまして、そして、この専門家再生に関する相談を受け付け、それぞれの中小企業経営状況を分析し、それぞれのニーズに合った適切な対応策提示をしております。私どもはこれを一次対応と言っておりますが、多くの企業は、この相談、助言の段階で問題が解決するか、ないしは解決の方向を見いだしておるところでございます。  そしてさらに、これら相談案件のうち、再生計画策定支援を行うことが適切な案件につきましては、これを私どもは二次案件、二次対応と言っておりますけれども案件ごとに、常駐専門家が、弁護士公認会計士中小企業診断士等の外部の専門家と個別の支援チームを編成し、時にはメーンバンクを始めとした関係金融機関政府系金融機関の参加を得まして再生計画策定支援を行っているところでございます。  このような再生支援協議会の具体的な活動実績を申し上げますと、平成十六年の五月十日現在で、全国では三千五百八十五社から相談がありまして、そのうち三百十二社につきまして再生計画策定支援に取り組んでおります。また、既に百三十七社において再生計画策定完了しているところでございます。この結果、一万一千七百二十一名の雇用が確保されるとともに、地域経済にとって重要な産業や技術が確保されるなど、着実にその成果を上げているものと考えているところでございます。  今ほど再生計画完了というふうに申し上げましたが、これは単に計画書ができ上がったということだけではなくて、その計画に基づきまして金融機関支援もまとまっているということでございます。  さきに申し上げましたように、再生計画策定支援を行うに当たりましては、ほとんどの場合、メーンバンクを始めとした関係金融機関や、支援を前提としました政府系金融機関支援チームに参加していただいております。したがいまして、計画にはこれら金融機関意見も反映されまして、実現性の高い再生計画策定されたということになるのであります。そして、これらの金融機関中心とした関係者調整を行うということが、再生支援協議会の最も重要な役割一つになっているというところでございます。  このように、再生支援協議会活動それなり機能し、成果を上げているということにつきましては、そのスキーム及び特徴から要因を説明することができるのではないかというふうに考えておるところでございます。  まず、その一つでございますけれども再生支援協議会は、債権の買取りや出資などの直接的な支援ツールを持たず、自らが債権者債務者、そのどちらにも立たず、公正中立立場関係者間の調整を行うことでございます。特に、このことが、再生に当たりまして必要な金融機関支援を取り付ける上で、その効果を発揮をしているというふうに考えております。実際に全国での相談件数が増加しているとともに、金融機関からの持込み案件が増えているところでございます。  具体的な数字を申し上げますと、再生計画策定完了百三十七社のうち、金融機関からの持込み案件は八十八社で、全体の六割強というふうになっておるところでございます。また、従来は地方銀行中心でございましたけれども、最近では、信用金庫、信用組合といった地域の比較的小規模な金融機関からの持込みが増加しておりまして、地域金融機関との連携に広がりを見られるようになったところでございます。  再生支援協議会それなり機能をしているもう一つその要因といたしましては、しっかりとした秘密保持が行われているということを挙げることができると思っております。  中小企業の場合は、その事業基盤が弱いケースも多く、企業名を公表された場合、風評被害等によりまして、再生に当たっての事業継続に支障を来すおそれがございます。再生支援協議会では、このような不測の事態に陥らないよう、その根拠法である産業活力再生特別措置法におきまして、秘密保持義務を明記し、守秘義務を徹底することにしているところでございます。そして、このことが相談企業方々金融機関からの厚い信頼を得ておりまして、活動実績につながっているのではないかというふうに考えているところでございます。  さらに、再生支援協議会活動に対する国の施策の充実強化も挙げることができるというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、再生支援協議会に対するニーズの高まりに対応するために、大幅な予算増額を確保していただきました。また、金融検査マニュアルの中小企業融資編の改訂に際しましては、再生支援協議会策定支援をしました再生計画を、産業再生機構が関与しました計画と同様に再生可能性が高いものと扱うことにしていただいたこともございますし、さらには同様の再生計画に基づく債権放棄についての損金算入等の取扱いについても明確にしていただいたところでございます。  次に、再生の、実際の再生計画策定支援がどのように行われているのか、具体的にイメージしていただくために、全国再生計画策定完了案件の特徴について簡単に御報告をいたします。  企業再生に当たっての基本的な対応の仕方としましては、収益及びそれに基づくキャッシュフローの改善を行う事業面での再生と、主に負債の圧縮を中心としました財務面での再生という二つの柱がございます。  まず、事業面の再生でございますけれども再生計画策定に当たりまして、管理会計の手法の導入による選択と集中を図りつつ、事業価値を高めるための新たなビジネスモデル提示するなど、事業の抜本的な見直しを図るケースが多く見られます。いかに財務面をきれいに改善いたしましたとしましても、企業が存続していくためには、利益を生み出す核となる事業が必要であり、そのための本格的な手当てが必要でございます。  また、製造原価、販売管理費などの経費削減によりまして、収益性を高め、キャッシュフローを増加させることも行われております。そして、経費削減に当たりましては、地域経済への影響を考慮しまして、雇用確保には最大限配慮がなされているものも特徴でございます。  さらに、企業単独での再生が困難な場合には、これは数は決して多くはございませんけれども、採算部門の他社への営業譲渡、あるいは株式譲渡によりますMアンドA、会社分割など様々な手法を用いまして事業価値の存続を図っている事例もございます。  それから、もう一つの柱でございます財務面での再生でございますが、これは、資金繰り改善のための既往借入金のリスケジュールや新規融資、さらには遊休不動産の売却や私財の提供などが主なものになっております。このほか、借入金の株式化による債務圧縮及び資本の増強、金融機関による借入金の資本的劣後ローンへの転換による実質的な自己資本の増強、あるいは債務免除の実施など、これまた様々な手法によりまして負債の圧縮や資本の増強を図っているところでございます。  以上が、全国再生支援協議会の全体の取組状況でございます。  次に、石川県におきます中小企業再生支援に対する取組状況を御報告させていただきます。  私ども石川中小企業再生支援協議会は、昨年の二月に、県の外郭団体でございます財団法人石川産業創出支援機構に設置をされました。当機構は、新産業創出支援に加えまして、受注、販路の開拓、さらには中小企業経営改善についてもサポートを行う、いわゆる県内中小企業のワンストップウインドーとして位置付けられる機関でございます。当機構といたしましては、再生支援協議会の設置に伴いまして、機構内に再生支援室を設置し、更なる支援体制の強化を図ってきたところでございます。  当機構の理事長は県知事でございまして、正に県の施策と、県の施策を一本化し、県内中小企業再生に取り組んでいるところでございます。  本県の場合、実は平成十三年十二月から、国の再生支援協議会事業に先駆けまして、県単独で、商工会・商工会議所を窓口としました中小企業再生のための支援策でございます石川中小企業再生支援プログラムを創設し、再生の意欲と可能性のある中小企業再生支援を実施してきておりました。  これは、各商工会議所等に設置されております商工調停士や金融機関、保証協会などによる支援チームを編成しまして、企業経営改善に向けた対応策を検討し、実施していこうとするものでございます。また、実施に当たりましては、県におきましても、商工調停士の増員、保証協会とタイアップした保証制度、資金繰り支援のための制度融資の創設等によりまして、これを強力に推進していただいたものでございます。  しかしながら、実際の再生支援の現場では、規模の小さな商工会議所等では十分な対応が困難な場合があることに加えまして、本県の場合には、石川銀行経営破綻という事情から引受金融機関が見付からず、RCCに債権が譲渡された企業再生というのも大きな課題になっていたところでございます。  このような状況におきまして、国の制度であります再生支援協議会事業が実施されますことになったわけでございますが、私どもにとりましてはこれは願ったりかなったりの事業でございまして、本県におきましては、先行して実施しておりました県単独事業であります中小企業再生支援プログラムと屋上屋を重ねることなく、整合性を図りながら取り組むことにしたところでございます。  具体的に申し上げますと、国の制度であります再生支援協議会では、比較的規模の大きな案件、あるいは規模は小さくても複数の関係者との調整が必要など、いわゆる内容が複雑な案件、これを国の案件とします。そして、商工会議所等が窓口となります県の単独中小企業再生支援プログラムでは、比較的規模の小さい企業を対象とした身近な再生支援の窓口というふうに位置付けまして、県、商工会議所・商工会、そして中小企業再生支援協議会、これが、この三つが三位一体となりまして、全県的な再生支援体制の強化を図ってきたところでございます。実際の再生支援に当たりましては、これらの連携がかなり有効に機能しております。  よく、この再生支援協議会企業版の地域総合病院に例える場合がございます。そういう意味で、本県の場合は、県単独事業中小企業再生支援プログラムは、商工会・商工会議所が窓口であり、地域のプライマリーケアとしての身近な掛かり付けの診療所的な位置付けでございます。また、地域の総合病院であります再生支援協議会との連携も比較的スムースに行われているところでございます。  本県のこれまでの活動実績を申し上げますと、再生支援協議会におきましては、五月十日現在でございますけれども、六十社から相談を受け、七社が実際に再生計画策定完了しているところでございます。これに県の中小企業再生支援プログラムの実績を加えますと、相談企業は三百四社、再生のための支援を終えた企業は百七十四社に上っております。これによりまして、約千九百名余りの雇用が確保されたということになっているところでございます。  本県の場合、人口や経済指標等のすべてが大体全国の約一%という位置付けになっております。このことを考えますと、本県の実績というのはかなり大きいのではないかというふうに考えているところでございます。  さきに申し上げましたが、本県の再生案件の特徴は、石川銀行経営破綻によるRCCへの債権の譲渡の案件が多いことでございます。特に、再生支援協議会相談企業の、六十社ございますけれども、RCCに係る案件は全体の三分の一を上回る二十四社となっているところでございます。実際に再生計画策定完了している七案件のうち、RCCからの卒業を果たした案件も二社となっているところでございます。  一般に、金融機関は、いったんRCCに債権が譲渡されますと、RCC案件という事実のみで取引を敬遠をいたします。  しかし、再生支援協議会支援を受け、実現可能性の高い再生計画をまとめ上げ、政府系金融機関や地元の金融機関に融資債権を引き受けてもらえるように調整し、RCCからの卒業を実現しているところでございます。  現在でもRCC送りになった多くの企業が資金繰り等の面で厳しい経営を迫られておりまして、本県におきましては、RCC案件再生について、私ども再生支援協議会に対するニーズは極めて大きいものがあると考えているところでございます。  以上、良いところばかり申し述べましたが、課題が全くないわけではございません。今までの取組の中から、地域ならではの課題も浮き彫りになってまいりました。  それは、個別支援チームを編成するに当たっての外部の専門家の確保の問題でございます。実際に再生計画策定支援を行う場合に、業種や企業自身の特性に応じて極めて専門性の高い専門家が必要になるケースがあるわけでございますが、その確保が困難な場合があるわけでございます。  特に、本県の場合は温泉旅館業が主要な産業一つであり、その再生のためにはその業種に精通した専門家が必要になるケースがあるわけでございますけれども、そのような専門家の確保に苦慮しているのが現実でございます。いろいろなルートを探りながら確保しているというのが現実でございます。  また、建設業等のように、経済環境等の変化によりまして長期的に市場規模の縮小が予想され、供給過剰となっている産業におきましては、個々の企業再生支援することは他の企業事業機会を奪うことにもなりかねず、対応が極めて困難なものとなっております。  このため、本県では、このような建設業等構造的に供給過剰となっている産業企業に、福祉や環境といった今後成長が期待される分野への事業進出・転換、こういったことをしていただこうということで、昨年四月からこれまでの中小企業再生支援プログラムを拡充いたしまして、新たに中小企業再生事業転換支援プログラムを創設しているところでございます。そして、このプログラムを総合的に実施するセクションといたしまして、中小企業再生事業転換支援対策室を県の商工労働部内に設置し、県を挙げて横断的に支援をする体制を整えるなど、きめ細かく中小企業支援を行っているところでございます。  私ども石川県は、県の総力を挙げ、できるだけ多くの中小企業再生を実現したいと考えているところでございます。そのためにも、県の施策との連携という強みを十分に生かし、国、県、商工会・商工会議所、金融機関などが一体となりまして、中小企業再生へ積極果敢に取り組んでまいる所存でございます。今後とも、関係各方面の多くの皆様方の更なる御支援をいただきながら、できる限り多くの中小企業皆様方のお役に立てるよう日々努力をしていきたいと考えているところでございます。  以上で報告を終わらせていただきます。  本日は、発言機会をいただきまして、本当にありがとうございました。
  8. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の陳述は終了いたしました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 自由民主党の福島啓史郎であります。  今日はお二人の参考人、お忙しい中を貴重な御意見をいただきまして、大変ありがとうございます。  特に、日本経済、回復の基調が突破口が見えつつあるという状況でございますが、しかしそれは、いずれかといえば、大企業、製造業が中心でありまして、なかなか地方あるいは中小企業にはまだまだそこまで日が当たらない、そういう現状でございます。そのためにも、こうした産業再生機構を実際に運営しておられる斉藤社長、また中小企業再生支援協議会を実際に行っております斉藤会長、お二人のお話を実際にお伺いすることができまして、大変参考になりました。施策の中で反映させていきたいと思うわけでございます。  それで、まず斉藤社長にお伺いしたいわけでございますが、確かに再生機構がすべてを賄うものではないと。先ほど御説明ありましたように、モデルなり専門家なり、あるいは市場を作っていくことが中心だというふうに言われたわけでございますが、しかし、それにしましても私は、数としまして十三件という数は、少し当初期待していた数に比べて少ないんではないか。また業種、業種にしましても──じゃ、ちょっと座ってさせていただきます。業種にいたしましても、大きな企業といえば三井鉱山なり、あるいはカネボウというようなものにとどまっているという状況は、少し残念だと思うわけでございます。  特に十兆円の政保、これは昨年のこの法案の審議の際にも私は質問したわけでございますけれども、十兆円の枠というのがあるわけでございますけれども、それに比べて少し実績が低いというふうに思うわけでございますが、その点についてはいかがでしょうか。
  10. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 先ほども申しましたように、その十三件という数が多いか少ないかというのは、実際、我々自分たちでその何十件も百四十名のスタッフでやるという、もちろんこれは銀行さんや事業会社さんに大いに持ち込んでいただくべく今後とも努力をしていきたいというふうには思いますけれども、やはり物理的な限界はどうしてもあると。  ただ、先ほど申しましたように、我々実は、百件ぐらい実は中でやっているんですね。その中から出てまいりましたのが十三件で、まだ実は四、五十件手元にありまして、作業をしております。もう土、日つぶして、お正月休みも五月の連休もなしに出社して、実はフル稼働をやっておるんでございますが、一番大事なことは、やはり申請ベースになっておりますものですから、サイズ等も含めまして銀行さん、特に銀行さんの影響力は非常に大きいんですが、お持込みをいただければ、我々としては更なる努力をさせていただけるかと思います。余り数がないというのは、だんだん景気が良くなってきて整理できているのかなという気もいたしますけれども
  11. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それに加えまして、かつて、一時期に比べまして株価も上がっておりますんで、そういう意味でも、銀行サイドからの持込み件数が少し落ちているということかも分かりません。  それでちょっと、お答えいただける範囲で結構なんですが、先ほどの資料の中で、カネボウの件でございますが、カネボウは対象事業を二つに分けておりますですね。これはいろいろ新聞等でも出ておりましたけれども、要するに化粧品部門をどうするかということだったわけでございますね。化粧品部門を別会社に出して、それをこの再生機構がたしか四千億弱の支援をしておられるんじゃないかと思うわけでございます。  二〇〇四年の二月現在の有利子負債、これは有価証券報告書等から出ているものでございますが、これは約五千六百億弱だと思いますけれども、相当部分は化粧品部門に価値があるということで支援をされておられるわけでございますから、残りの部門の再生はどういうふうになるのか。これを二つに分けた理由と、それから、このカネボウの化粧品部門とその他の部門に分けた再生の見通しというのをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  12. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) まず、その二つに分けた理由は、よく言われますように、表現が余り良くないんですけれども、腐ったミカンと腐っていないミカンを一緒に置いておくと、だんだんだんだんその腐っていないミカンまで腐ってくるという問題です。これは、御案内のように、再生一つの手法といたしまして世界的に一つある方法でありまして、バッドカンパニー、グッドカンパニーに分けていくということですね。明らかにカネボウの場合は、一見しただけでも化粧品の部門は一応キャッシュフローもちゃんと生んでおりますし、十分事業として成り立っていきそうだと、これを早く切り出してほかの部門を再生した方が、再建した方が全体として救われるというふうに我々は判断いたしました。  残りの方は、今デューデリジェンスをずっと続けておりまして、何せ全国にいろいろ展開している、さらに海外にまで大きく展開している事業でありまして、実際の企業価値、事業価値を査定するのが大変実は時間が掛かりますし、人間的な努力も掛かります。我々、今は三、四十人そこではシフトしましてやっておりますが、今のところ、五月中旬を目途に残りの部分再生計画を終わろうということでスタートしておりますけれども、正直言いまして、ちょっと作業状況は若干遅れぎみでございます。ちょっと遅れてその状況を発表できるんではないかと、こういうふうに思っておりますけれども
  13. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 私は、このカネボウの手法を取れば、例えばこれは銀行からの持込みがなかったから対象にならなかったということだと思いますけれども、もうダイエーなんかも対象にし得るものだと思いますが、その点は正に持込みがなかったということなんでしょうか。
  14. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) そうですね。よく言われますように、キャッシュフローが一部分野で生まれているとか、技術があるとか、何らかの特徴があるものは一応金融機関が、貸しているお金もう戻ってきませんので、そこでもうはっきり認定して放棄する、金融支援をするということを踏めばかなり再生すると思います。  現実は、御案内のとおり、日本のこの追い貸し方式で、間接金融でずっと抱え込んできたと。これがいったん整理に入りますとメーン寄せして回収競争をやるというような現状で、そこからは再生という感覚は消えてしまうんですね、金融機関から。ですから、引き倒し競争みたいになっていくというようなことが起こっていたので、産業再生機構が入って再生をテーマにやっていこうと、そのためには銀行さんのある程度の放棄は必要ですよというやり方をやっておりまして、先生御指摘のとおり、個別名はともかくとして、かなり再生できるのになという気持ちのものはございます。
  15. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それで、斉藤社長が言われました要望等の中で、具体的な今のネックは何なのか。また、それをブレークスルーするものは何なのか。特に先ほど言われました、期限が切れるんで多分延長などを、延長ということを言われたんだろうと思いますけれども、延長を含めて、ネックとそのブレークスルーの方策についてちょっとお伺いしたいと思います。
  16. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 先生方の大変な御配慮を賜りまして、実はそれほど仕組み上、やりにくいとかこれができないというような問題は今ほとんど解決しております。DIPファイナンスも支援決定と同時にやっていいよというふうに改正していただきましたし、エクイティーの参加といいますか出資も許可していただいておりますので、ほとんど障害になることはもうないというふうに申し上げられると思います。  先ほどの話の中で、私ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、決して、延長してほしいという御要望を申し上げたというよりも、日本社会構造の中で、欧米にありながらここが欠けていて、そのために窮境に陥った事業あるいは金融状態が救えないという制度があると。欧米はそれをクリアしながら実は不況から脱出していっているのに対して、日本はそれを持ち合わせていなかったので、先生方の御努力再生機構法ができて、我々のような機構ができたと、これは大変すばらしいことだったと思います。  私どもとしては、私は特に個人的には、五年に切ってあるということは実にすばらしいことで、緊張感を持って、時限で切ってありますのでむしろ責任感を持ってやれると。そうすると、この買取りもだらだらではなくて、来年までだというのは、非常に私どもはそれを尊重して緊張感を持ってやっておりますので、これをただ延ばすということは別にあれしておりません。
  17. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 しかし、何らかの、多分五年で期限が来て、延長の御要望は特に考えておられないとすれば、そういった機能民間でやれるようにしなきゃいけないと思いますね。  それと同時に、長期的な課題、長期的といいましても、中短期、中期的に解決しなければならない破産法の見直しもあるわけでございますね。特に、先ほど言われましたチャプターイレブンアメリカのですね、連邦破産法の中で、要するに商事債権を分離して、それには優先的に弁済をするということを、そういう仕組みを私も破産法の検討の中で、改正の中で考えていかなきゃいけないと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  18. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 先生おっしゃるとおりでございます。  まさしく民間で本来こういうものはやるべきでありますが、民間でできづらくなっているということも事実でございまして、その一つは、法的整理に持っていった場合に一般商事債権者が痛むと。これは特に商業的なことをやっている日本の第三セクターは非常に今資本効率性が悪いとか言われるんですが、これを効率化しなきゃいけない、に当たってですけれども、一番、納入業者が現金払に変えてしまったり、商品を納めなくなったりするということによって引き倒されてしまうわけですね。ここを是非何か、そういう人たちは守られて、金融債権の放棄によって再生できるというような制度産業再生機構がなくなってもお作りいただければ、相当民間ベースでこういうものは進むんではないかというふうに思っております。
  19. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 最後に、斉藤社長にお聞きしたいわけでございますが、今、漁業、特に中小漁業でございますね、特に西日本の遠洋巻き網は、遠巻きは非常に、産業再生に今どうしよう、乗るのか乗らないのか、あるいは新しい別な漁業専門の再生機構を作るかというような議論もしているわけでございますが、当然のことながら、これは業種限定ないわけでございまして、お話があれば再生機構としても当然御相談には乗っていただけると思うんですが、漁業の場合、キャッシュフローはあるんですが、担保がないわけですね。漁船という担保しかないもんでございますから、それは減価していきますから。かつまた、その漁船がそろそろ代船建造、要するに耐用年数が切れておりまして、切れ掛かっておりまして、新しく新造船をしなきゃいけない。しかし、それには担保がないというような状況で、過去の負債を引きずっているということでございまして、そんな状況なんですが、再生機構に持ち込む、仮に持ち込まれたとすれば少し前向きに御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  20. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) まだ内容を詳しく存じ上げていませんのであれですが、今先生がおっしゃいました担保がないけれどもキャッシュフローがあるというのは、これは我々の考えは、日本のこの担保主義がむしろ問題であったというふうに見ておりまして、担保を、しかも正確にマーク・ツー・マーケットで見ないで、担保という位置付けであったと、で、キャッシュフローはむしろ切れていたと、ここが問題であったと思っておりますので、我々のやり方はキャッシュフローを高めてその債務を返していくという考え方ですから、拝見しないと分かりませんが、持込みがあれば当然検討させていただくことになると思います。
  21. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 その場合、要するに公的、例えば農林漁業金融公庫といったような公的金融機関も相当貸出し銀行になっておりますので、その点も踏まえた対応を是非お願いしたいと思います。  次に、斉藤会長にお聞きしたいわけでございますが、最近非常に努力されておられまして、特に石川県一%、私は山口県なんですが、山口県も大体一%と言われておりまして、努力している、同じように努力されておられますということを敬意を表したいと思いますが、最近、地域銀行の事例の中で、要するにそうやって企業再建をした方が一石三鳥だということで取り組んでおられます。私は、この協議会はやっぱり特に地銀との結び付き、連携を深めてやっていかないと、その協議会自体にはその再生機構のような資金貸出し機能はないわけでございますんで、それが特に重要だと思います。  私は一石三鳥と言いますのは、債務者区分が上がるし、また貸出しも増大できるし、またそういう過去の引当金が活用できるという一石三鳥だと思うんですが、そうした中で、特にデット・デット・スワップというのが地銀では認められます、今度検査規則でですね、中小金融機関の検査マニュアルでもって認められましたんで、その地銀との結び付きの強化につきまして、ちょっと御意見をお伺いしたいと思います。
  22. 斉藤直

    参考人斉藤直君) 御指摘のとおり、私どものいわゆる再生協議会事業は、いわゆる金融機関との連携が極めて大事でございます。先ほど申し上げましたけれども、効果が上がっているとすれば金融機関の協力が得られているということでございます。それを私どもは比較的、債権者それから債務者の中立な立場に立ってそして調整をしているという格好でございますので、御指摘の点はおっしゃるとおりでございますし、私どももこれからまた連携を更に密にしてやっていきたいと思います。  それから、金融機関の方も、金融庁の御指導もございまして、地域に生きる銀行ということで意欲が非常に高まっていますので、そういう点ではこれから更に密度を高めてやっていけるのではないかというふうに思っております。
  23. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それで、この新聞記事の中で、石川県の機械メーカーでムラオ・アンド・カンパニーというのが、先ほど御説明ありましたように石川銀行が破綻したことによりましてRCCに譲渡された。その結果、なかなか引受手が探していたところ見付からなくて、資金繰りが付かなくて自己破産になったということで出ているわけでございますが、そういうときこそ私は、他の地銀を見付けると同時に、やっぱり自分自身も言わば裁量ができる地域再生ファンドというのを設けておればこれも救えたんじゃないかと思うんですが、地域再生ファンドについてどんな取組状況か、お聞きしたいと思います。
  24. 斉藤直

    参考人斉藤直君) 地域再生ファンドも再建の手法としましては、多様化を図るという意味では大変有力な手段だというふうに私ども認識をしております。今ほど御指摘のありました事例につきましても、そういったファンドがあれば助かったかもしれないという思いもしないではないです。  ただ、なかなか、ファンドというのも創成はなかなか難しゅうございます。特に、ファンドが有効に機能するのはキャッシュフローができると、あると、取れるというのが前提でございますけれども、借入金がいわゆるそのキャッシュフローよりも非常に過多になっている、そういったときに有効に機能するんではないかというふうな思いもするわけでございまして、これから私どもとしましても、その地域中小企業再生ファンドにつきましての在り方について引き続き検討していきたいというふうに思っております。
  25. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 最後に、斉藤会長にお聞きしたいわけでございますけれども、先ほど課題として温泉旅館等の専門家の確保、また建設業を事業転換を図っていく。私は正に大賛成でございまして、建設業はもう要するに供給過剰だと思われるわけでございますんで、一割ないし二割、二割ぐらいだと思いますけれども供給過剰なわけでございまして、業種転換、福祉なり環境だと思いますね、特に。それからまた、私は、農業、地域によっては農業あるいは林業というところもあるかと思います。そういうものに転換していかなきゃいけない。そういう支援をする対策の室を作られたということでございますが、それらを実施していく上で政府に対する具体的な御要望等ですね、あるいはどういう政策が必要かということを、あればお聞かせいただきたいと思います。
  26. 斉藤直

    参考人斉藤直君) 私どもが、今御指摘のありますように、事業転換を促進することが極めて大事だというふうに思っています。それなり支援策というのを県でも実施をしていただいております。  具体的に言いますと、やはり未知の分野といいますか、今までになかった分野にも進出をするわけですから、そういった情報だとか知識だとか、そういったものを支援する対策ということで、これまた専門家の派遣というようなことで私ども対応しているんですけれども、県単では限りがございますので、そういった面でのいわゆる専門家派遣、そういったものが更に充実されるような施策を私どもは期待をしております。  それからもう一つは、再生支援ということに限りますと、これだけ私ども実績を上げているわけですけれども、やはり県内企業の中でも、私どもは二年半の期間を実施をしてきたわけですけれども、やはり持ち込まれたらすぐ倒産をするというふうな事例もあるわけでございます。そういう意味では、私どもの果たしている役割というのをもっともっとPRをする必要があるのではないかというふうに思っています。私どもも大いにPRをしたいと思いますし、そういう点で国のPRといいますか、協議会事業のPRを更に強化をしていただければというふうに思っております。
  27. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 ありがとうございました。
  28. 広野ただし

    広野ただし君 民主党・新緑風会の広野ただしです。  参考人お二方、本当にわざわざ国会までお出掛けいただきまして、本当にありがとうございます。座って質問させていただきます。  まず、再生機構斉藤社長にお聞きしたいんですが、昨年この法律を作りますときにもお出掛けいただきまして、決意のほどを述べていただきまして、本当にそのときにも私は、ああ、これは立派な社長になっていただいて再生がスタートすると。  元々私はちょっと疑問に思っていまして、政府が閻魔大王のような、これは塩川大臣がそうおっしゃっていたんですが、持ち込まれた案件でこちらは救ってこちらは倒すとか、そういうことを政府が役割を果たすということはちょっと行き過ぎではないのかというような思いをしたわけなんですが、いろんな案件を、この十三件ですか、ずっと調べさせていただきますと、主務大臣からの話ですとか事業所管大臣からの話というのはそんなに強く意見が掲げられていないわけなんでありますが、実態として、そういう政府からあるいは政治家等からいろんな話が圧力的にあるものなのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  29. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 大変、機構法先生方に御理解いただいておりまして、幸いというか何かおかしいんですが、そういう圧力とかそういうのはもう今のところほとんどございません。  御案内のように、我々自身がもうその辺の意識は非常に高い集団でありまして、むしろそういうことがあった場合には、もう我々自身が非常にネガティブな反応をするというような集団でございます。御案内のように、前も申しましたように、検事も出向して横に座っているというような状況、我々自らそういう組織を作ったわけでありまして、当然、十兆円の国の保証をいただいておりますので、主務大臣の監督に服すということは認識しておりますけれども、これは主務大臣が役員の選任権、解任権があるということでもう大体満たされているんではないかと、ここで働いているんではないかと我々は意識しております。  したがいまして、日ごろの作業につきまして先生方から何か特別な圧力があるとか、そういうことは受けておりません。
  30. 広野ただし

    広野ただし君 大体この十三件でどれくらいの効果があったかというのを私なりにちょっと計算をしてみたんですが、大体、詳細な金額は分からないんですが、一兆円未満のお金で大体数十社、百社まで、子会社関係も入れますと、そういうところがある意味では助かっていると、再生のスタートを切ったというふうに。で、雇用人口といいますか、社員の人をずっとあれしますと大体二万数千人というようなところになりましょうか、カネボウが非常に大きなウエートを占めるわけですけれども。そういう意味で、その人たちが路頭に迷うというようなことはなかったのかなと、こういうふうに考えておりますが、そこいらのある程度出してもいい数字がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  31. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 大まかな、ちょっと大まかな数字の感覚ですが、この十三件で大体企業が借りていたお金が六千億ぐらいだったんじゃないかと思います。そのうち、結局は、我々の作業の結果、金融機関には四千億近くの債権放棄といいますか金融支援をしていただいて、二千億ぐらいが金融機関の手元に債権としてまだ残って再生ができたということであります。  我々は、実際は融資としては三千億ぐらい、株、DESも入れた形ですが千億ぐらい、あと千億ぐらいは買取りというような形で、先生がおっしゃったとおり五千億ぐらい、それを市場でファンディングいたしまして、六か月の短期物でファンディングいたしまして、それを入れて再生したと。  効果といたしましては、もう先生御指摘のとおり、例えば九州産交辺りだけでも五千人ぐらいの従業員です。いろいろ従業員と直接話したりして、千人ぐらいの自主退職もありましたけれども、町の経済も守れたと思っておりますし、そういう効果は十分出てきているんではないかというふうに思います。これ、もしなかったら、ほとんどこれは法的整理に行っておりまして、金融機関の二千億も、残りの二千億も飛んでいたかもしれませんし、恐らく企業は破産状態かそれに近い状態になっていたんではないかと思っております。
  32. 広野ただし

    広野ただし君 それと、持ち込まれたらば全部救うのかというその点なんですが、先ほど、百社ぐらい手元にあって、今いろんな意味で再建できるかどうか検討をしておられるというふうにおっしゃいましたが、持ち込まれたもの全部を救うというものではないんでしょうね。
  33. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 先生がおっしゃるとおりでありまして、まず、持ち込まれたら対象として調査はさせていただくと。我々は、最初から申しますように、企業価値がちゃんと生まれるかどうか、三年後にちゃんとマーケットでだれかがそれではリファイナンスをやってくれるか、あるいは我々が持っています株をじゃ買い取ろうというふうにやっていただけるかどうか、そこをまず見極めます。  したがいまして、そこを頭に入れてやりますために、現在の資産評価はやはりしっかりしなきゃいかぬと。いい加減な資産評価をしてお金を入れて、三年後にエグジットできなければ結局国民負担になってしまうわけで、そこは、余りおびえてはいけませんけれども、当然そこは考えなきゃいけないということで、結果的にはかなりシビアな資産評価をするために、当初は銀行さんから、何でこんなことまでやるんだとか、産業再生機構はもうけるためにやるんじゃないかという御批判がありましたけれども、今日はその辺の御理解もいただきまして、持ち込んでみたけれども、例えば経営者がどうしても辞めたくないと、国のお金だけ入れてくれとか、そういうのは駄目ですよとか、事業としてもうとてもキャッシュフローを生まないなというようなのは実はお引き取り願っております。  したがいまして、持ち込んだものを全部ということはありませんが、我々は名前を公開したりは一切いたしませんので、現実的にはうまくいかなかったものが名前が出るとかいうこともございません。
  34. 広野ただし

    広野ただし君 新聞発表になっているのを見ますと、支援基準適合性というのがあって、生産性向上基準とか財務健全化基準とか清算価値との比較とか、あるいは先ほど言われたリファイナンスのものとか、労働組合との協議の状況とか、あるいは経営者の責任とか、いろいろと細部にわたって検討の上、再建計画等を作っておられるというふうに思いますので、その原則は是非今後とも守りながらやっていっていただきたいなと、こう思います。  ところで、最大の案件になっていますカネボウのことであります。  先ほど同僚委員からも話がありましたんですが、細部にわたって私は入るつもりはないんですが、新聞情報によると、関係会社等に、何といいますか、飛ばしとか、あるいは不正取引といいますか不透明な取引がある、利益操作もあったんじゃないかというようなこともあって、持ち込まれたときの、そして支援決定された三月の十日ですか、のころとちょっとまた違った要素が出てきているんではないかと、こう思うんですけれども、元々前提になっている会計帳簿等がおかしく、元々信頼できないものであると、こうなりますと、支援決定はしたけれどもやめたということはあり得るんですか。どういうことになるんでしょうか。
  35. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) まず、我々は我々独自の厳しい会計財務調査を行っております。今まで入っております会計事務所とは全く違う会計事務所を持ってまいりまして、それから我々の専門スタッフとチームを作りまして、いわゆるリスク調査、極論しますと、企業の解散価値に近いものまで査定する。もちろん普通の会計事務所というのはゴーイングコンサーンで継続企業として査定していきますけれども、我々はもっと厳しく、両方見る意味で、解散価値としてどのくらいあるかぐらいも頭に入れながら査定して、我々独自の厳しい査定をやってああいう評価をしております。  したがって、今言われております過去の数字がおかしかったんではないかと、これは彼らが自主的に、新しい社長たちが自主的に自分たちでやりたいと、総括する意味でということで、それはそれでおやりくださいと。我々はしかし、将来に向かってどうやって再生するか、それはしかし厳格な数字で、我々自身の数字でやっていきますので、どういうことになるのか、結果分かりませんけれども、それが何か出ておかしくなったからといって、事業がそれで傷むということであれば別ですけれども、我々の考えでは、ある程度のちゃんと再生計画をやれば再生していくんではないかと今のところは思っておりますので、余り直接関係はないんではないかと理解しておりますが。
  36. 広野ただし

    広野ただし君 それと、先ほどもちょっとおっしゃっておったんですが、二年間の間に、来年の三月までに買取りは終え、三年間更にということで五年間で暫定的なものになっていると。  これは大事なことで、やはり債権市場ですとか再生ファンドですとか、やっぱり民間活力でもって、あるいは格付会社ですとかコンサルタント会社とか、やはりダイナミックな民間活力を利用しての再生といいますか、再挑戦の道を開いていくことが、やっぱり年間一万何千件も倒産あることですから、全部これを政府でやろうということはまずおよそ無理な話で、やはり民間活力でやっていかなきゃいけないんじゃないかなと、こう思っておりますが、そこの点、再度またお話しいただければと思います。
  37. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) もう先生のおっしゃるとおりでありまして、我々のスタッフ、元々民間で九九・九%こういう仕事をしっかりやってきたプロであります。彼らのその辺の意識は非常に高くて、ただ日本の現状はこの前まで、先生方の御努力いただくまではなかなか情報の公開もないし、そういう銀行等の間接金融によって作られた中で、とても、これはほっていたら日本経済あるいは産業構造がとても転換できないということで、彼らは飛び込んできた連中であります。  したがって、もう先生おっしゃるとおり、我々はあくまでも民間への復帰のための突破口になるというだけでありまして、そのつもりで、もう五年後にはまた市場へ彼らは戻るというつもりで働いておりますので、もう重々認識させていただいていると思います。
  38. 広野ただし

    広野ただし君 どうもありがとうございました。  続きまして、石川県の斉藤直会長にお伺いしたいと思います。  私も出身が隣の富山県ですから、非常に石川県の状況もよく分かるんでありますが、特に石川銀行が倒産をし、RCC送りになった企業さん、そしてそのことについてまた大変力を注がれて、再生をしておられるということでありますけれども、特に今、石川県ではやっぱり観光産業に絡んで、加賀温泉郷ですね、片山津ですとか山代、山中、また和倉、粟津温泉等あるわけで、どうしてもホテル過剰といいますか、そういう中で畳まれるところが一杯あると思うんですね。  一方で、大きな案件になりましたけれども、足利銀行が栃木県でやはり苦境に陥って、そしてまた鬼怒川温泉郷というようなことで、これは再生機構にどうなるのか、今案件中のものであるんですけれども、やはり今、観光も温泉街も構造改革が非常に迫られていて大変な事態にはなっていると思うんですが、全体的に見られて、石川県でそういう温泉郷といいますか、ホテル関係の状況をどういうふうに見ておられるか、お答えいただきたいと思います。
  39. 斉藤直

    参考人斉藤直君) 先ほども申し上げましたけれども石川県はいわゆる観光産業というのは主要産業一つでございます。その中の大変大きいのが温泉旅館業でございます。  御指摘のありましたように、私どもは温泉旅館業は供給過剰型産業というふうに思っておりまして、倒産あるいは閉鎖をしている、そういった旅館も数多くございます。この再生というのが大きな課題だというふうに思っていますし、これは私だけでなくて地域金融機関あるいは政府系金融機関も同じ思いでございます。実際に、私どもに温泉旅館からも再生支援の御相談がございます。そういう意味では、積極的に私ども対応していきたいというふうに思っています。  ただ、一つだけ問題がありますのは、やはり石川県の温泉旅館の特徴ではございますけれども、大変規模が大きい。中小企業ではございますけれども規模が大きくて、借入金残高が大体五十億とかあるいは三十億とか、そういった旅館が結構あるわけでございます。一軒で千五百人くらいの収容能力がある旅館がございますし、ほかの県でいいますと、全体の旅館、温泉旅館二十四軒くらいでそんな規模というのもございますので、そういった規模が大きいというのが一つ課題になっております。
  40. 広野ただし

    広野ただし君 それで、支援協議会とこの再生機構との関係のようなことがやっぱりあるんだと思うんですね。先ほど、協議会はコンサルティング的なことあるいはあっせんとかということで、直接的なものにはならないということで、しかし、やはり大きなホテルでも中小のホテルでも、やはりどうしても根雪になっている部分ですね、借金が根雪になっている、だけれども固定的なお客さんがいて大変なしにせでやっていけるようなところは、私は、何といいますかね、普通の、世界で雄飛している企業さんのスタンダード、基準と、そういう地方のそういうものというのはちょっと違うんだろうと思うんですね。  だから、根っこに根雪部分があっても助けてやっていける、長いもう数十年の付き合いの中でやっているところが一杯あるわけで、そういうところまで一定の基準で倒していかれたんでは私はもうとんでもないことじゃないのかなと、こう思うんですが、お二方にその点お伺いしたいと思います。
  41. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) そうですね、我々も支援協議会とは情報を交換したりして、いろんなケースを、地方の事情に合ったようなことで我々でできることは前向きに取り組んでいきたいと思っておりまして、先生がおっしゃるように、一定のルールを引いておいて、それに達しないものは全部駄目だというような荒っぽい考え方は持っておりません。
  42. 斉藤直

    参考人斉藤直君) 私どもも、私どもに持ち込まれた案件の中で、産業再生機構に取り上げていただくのが適切な案件については、積極的にそちらの活用をしていただくように企業あるいは金融機関メーンバンクお話を申し上げたいというふうに思っております。
  43. 広野ただし

    広野ただし君 これで終わりますけれども、やはり世界に雄飛するような企業さんの再生地域あるいは中小企業再生というのはおのずと私は違うと思いますので、その点、温かい気持ちで、地域にとってまた中小企業にとっていい政策を実行していっていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  44. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 委員長、ちょっといいですか。
  45. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) はい、それじゃ斉藤惇参考人
  46. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 先ほど数字をちょっと申し上げまして、金額が六千億でそのうち四千億というのが、あの中にまだカネボウ入っておりませんので、放棄になるかどうかも分かりませんし、申し訳ございません、ちょっと念を押しておきます。よろしくお願いいたします。
  47. 松あきら

    ○松あきら君 本日は、斉藤惇社長、そして斉藤直会長、お忙しいところありがとうございます。  公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  まず、斉藤惇社長にお伺いをさせていただきます。  機構は、民間事業再生ビジネスではなかなか対処し切れない難しい案件などについて事業再生モデル提示することなど、事業再生マーケット全体の活性化を図ることも重要な役割としていると私は考えております。  斉藤社長も、本年四月三十日の日経新聞のインタビューで、個々の状況に応じた事業再生支援策を示し、銀行民間事業再生ファンドなどにヒントを与えることが機構の最大の存在意義だと、こういうふうに述べられていらっしゃいます。しかし、国民には、機構が具体的にどんな特色とあるいは独自性を持って民間にどんなヒントを与えられているのか、すなわち、ほかの事業再生ビジネスとの差別化が情報の機密性もあって余り明らかにならない、見えてこないんですね。  そこで、先ほど多様なモデル提示しているというお話もございましたけれども、ほかの民間再生ビジネスモデル機構モデルとは具体的にどこが違うのか、またその違いを出して役割を発揮する上でどのような努力をされているのか、まずお伺いをさせていただきます。
  48. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) もう先生がおっしゃるとおりの使命感を持ってやっているわけでありますが、やはり我々は中立性が非常に高くて、当事者でないために、間に入って例えば金融支援債権放棄銀行さんにお願いするということが比較的できやすい。当事者ですとこれはなかなか決着しない。  三井鉱山辺りで四十三ぐらいの銀行を回りました。一軒一軒回って、なぜ放棄額が正しいか、放棄していただかないと事業再生しないという理由を何回も何回も外交して回るわけであります。今度もし、もしですけれども、カネボウがそういう状況になれば百の銀行を回らなければなりません。そういう中立性と使っております論理の公明性、正しさが一応銀行さんに了解されている。当事者じゃないということが一つあります。  それから、先生が御指摘のように、公的な資金が絡んだものはやはり民間ではなかなかこれは解けない。私どもも、公的機関の協力義務が規定されておるために、これを、先生方のおかげですけれども、使わせていただいて、比較的うまく交渉できている。  例えば、九州産交バス辺りは、これはいわゆる資本論理だけでいけば、こんなもうからないもの、もう将来どうなるか分からないものはつぶせばいいじゃないかという論理はありました。私は現場に行き、県知事さんに会い、市長さんにお会いして、どのくらい県にとって大事な事業であるか、従業員の数、あるいは公共機関として。国も民都というお金を出しておりました。何としてでもこれは解かなきゃいけないと。これは民間の収益ベースの作業ではとても解けないと思います、時間が掛かり。  そういう機構ならでのあれがあったと思いますし、もう一つ言わせていただきますと、マツヤデンキという大阪の電器屋さんがありましたが、これは法的整理民事再生に先に行って、大阪の裁判所の御協力を得て、同時に我々は産業再生法を適用いたしたわけです。民事再生法を適用した段階においてほうっておきますと、先ほど申しますように、これは商事債権が傷むわけでありまして、これを、我々、再生機構法を追加したことによって、弁済でカバーするということによって、松下さんですとかソニーさんですとかシャープさんという納入業者が安心して商品を続けて納入なさったと。こういうことによって、引き倒されなくて再生できたという、こういうモデルというのは今まで日本にはありませんでした。こういうのをお見せできたというふうに思っております。
  49. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  大変な中で、民間とは正に違うというところで発揮されていらっしゃるんだと思います。
  50. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 松あきら君。
  51. 松あきら

    ○松あきら君 済みません。済みません。失礼いたしました。
  52. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) どうぞ。
  53. 松あきら

    ○松あきら君 はい。ちょっと続けて。  それで、今のことに関連しているんですけれども民間事業再生ビジネスではなかなか対処が困難である第三セクター、病院あるいは教育機関等について、機構の具体的な取組はあるのでしょうか。また、あるとしたらどのようなものか、またこれもお伺いを続けていたしたいと思います。
  54. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 今までの中では、病院が実は作業をやったことはあります。ただ、なかなか関係各省の了解等々難しくて、再生に至っておりません。病院を果たして収益ベースで見れるのか見れないのかという、当然こういうテーマもあります。  第三セクターですとか教育の機構問題は、我々も窓は開けておるんでございますが、やはり第三セクター、我々のところへおいでになる前に、やはり地方自治体とか、その辺で何か処置があるべきではないかと。いきなり、第三セクターでフェールしたから機構へ行って、もう一回国のお金を使ってというのもちょっとイージー過ぎるんではないかという感じは持っております。  ただ、門戸はあくまでも開いておりまして、本当にちゃんと再生できて、国民の負担にならないということが確証できれば、それはやっぱりやってもいいんではないかと思っております。
  55. 松あきら

    ○松あきら君 これまで機構支援決定を行ったすべての案件で言えることなんですけれども支援決定を行う前に事業者名が報道されているんですね。これはやはり当該事業者事業再生可能性に重大な影響を与えかねない、私は誠にこれは残念であるというふうに思うわけでございます。  今、いろいろなところで情報管理というのが問題になっておりますけれども機構の情報管理体制というものはどのようになっているのか、お伺いをさせていただきます。
  56. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) もう先生の御指摘のとおりでありまして、大変申し訳なく思っておりますけれども、非常に重要な問題であります。  この徹底については、相当内部教育を繰り返したり、外部者が相当絡みますので守秘義務契約をしっかり結んだり、御案内のとおり、産業再生機構法には秘密漏えいに対しては懲役刑が付いております、非常に特殊なあれだと思いますが。この辺もしっかり説明して、それから、官庁等々へ報告いたします書類にも実は相手側の名前がひそかに刷り込まれているような紙で伝達したりしておりますので、もしそれをコピー取って外へ出れば、すぐだれのところへ渡した紙が外へ出たかも分かるぐらい、そのくらいまでやっておりますけれども、残念ながら、先生御指摘のとおり、報道機関の力がすごいというのか、ちゃんと報道されてしまいます。  これはあってはいけないということで、今後とも引き締めて、注意していきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
  57. 松あきら

    ○松あきら君 やはり徹底した情報管理というのをどうぞよろしくお願いをいたします。  先ほど社長は、地方注目度が低いけれども地方にとって、非常に地方というものは重要であるというお話をしていただきました。やはり機構は、マクロの経済再生に大きな影響を与える大企業事業再生、これを手掛けるのはもちろんですけれども地方中小企業事業再生にも、私は、積極的に取り組むことを通じて地域再生にも寄与すべきであるというふうに考えているわけでございますけれども地域再生あるいは地域中小企業再生に対して機構はどのような貢献ができるというふうにお考えなのか、お聞かせを願います。
  58. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) もう機構支援対象は、もう先ほどからお話が出ていますように、大企業ですとか東京の企業に限定されるべきではありませんし、現に地方企業や中堅企業への支援決定を行っているところであります。現実に支援決定にまで至っていなくても、地方銀行からのかなり数多くの案件が持ち込まれているということでありまして、これに対しては真摯に現在取り組んでおります。  ちなみに、既に発表になりました十三件の内容を見ていただきましても、東京に本社のある会社は四件だけであります。残る九件は全部これ地方案件でございます。それから、銀行を見ましても、五つの地方銀行が持ち込んだ案件であります。したがって、むしろメガバンクよりも多いぐらいでありまして、十分我々は、中央、地方両方公平にやっていかなきゃいけないというふうに思っております。
  59. 松あきら

    ○松あきら君 是非、大事な点でございますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは次に、斉藤直会長にお伺いをさせていただきます。  今年四月十四日現在の中小企業再生協議会活動実績について、相談取扱案件を見ますと、斉藤会長石川県と私の地元の神奈川県なんですけれども、同じ五十六件になっているんですね。ところが、再生計画策定完了まで至った案件は、石川県は七件と全国で二番目に多いんですけれども、我が神奈川県は残念ながらゼロであるということなんです。もちろんその案件の中にはいろいろなケースもあるというふうには思っておりますけれども斉藤会長協議会でこのように打率がよろしいのはどのような点に配慮されてこのような好成績を上げていらっしゃるのか、是非それをお伺いさせていただきたいと思います。
  60. 斉藤直

    参考人斉藤直君) 私どもはこれまで、五月十日まで、六十件の相談件数がございます。そのうち、二次案件といいますか、そういったところまで行った件数が二十一件という格好になっております。そして、その後、計画策定ができた、計画完了まで行ったというのが七件ということでございます。  私どもは、先ほど申し上げましたように、中小企業再生ということに非常に意欲的に取り組んでおりまして、とにかく入口で議論するよりも、もう最初から再生の可能性があるということを踏まえまして、それを信じて二次対応をすぐやる、すぐやるというふうに、入口でやるよりもとにかく専門家を派遣して検討しようというふうな姿勢で臨んでいるというところがちょっと違うのかなというふうに思っております。
  61. 松あきら

    ○松あきら君 ああ、そうですか、すばらしいですね。入口でなく、やはりちゃんと専門家を派遣してきちっとする、そうするとこんな好成績になるという。ほかの県も是非こういったことを見習っていただきたいというふうに思います。  五月一日に発行されました経済産業ジャーナル五月号の中に、石川県商工労働部の方が中小企業再生協議会活動実績について書いておられるんです。それを読みますと、企業再生に当たっては地域経済にとって重要な課題である雇用の確保に最大限の配慮がなされております、雇用形態の見直しにより極力人員整理を行わない方法による工夫を行っておりますと述べられておりますけれども斉藤会長協議会ではどの程度の雇用が確保されて、またそのためには具体的にどのような工夫をされているのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  62. 斉藤直

    参考人斉藤直君) 石川県の協議会の取り扱った案件で、計画策定再生計画計画策定案件は七社でございまして、その従業員数は二百七十六人ということになっております。  それから、先ほども申し上げましたように、石川県全体でも再生支援プログラムというのを取り上げておりまして、それでいわゆる対応完了したもの、百七十四社がございますけれども、それによる雇用の場の確保、維持といいますか、そういうのでは、先ほど申し上げましたけれども、千九百二十三人ということになっております。全国の約一割程度というふうになるのかなというふうに思っているんですけれども。私どもも、できるだけいわゆるリストラをやらないで別な方法がないかと。特に石川県の場合、雇用の確保というのが非常な重要な課題でございますので、そういう点では、再生計画に当たりましても、その支援チームなりなんなりにもそのことを要請をしているというところでございます。
  63. 松あきら

    ○松あきら君 本当に大事な観点だと思います。リストラをすれば簡単です、ある意味では。けれども、なるべくそれをしないで再生をさせるということは非常に大事であるというふうに思います。  実は三問目に、そうした石川県の七件の再生策定完了案件についてどのような支援体制を組んで支援されていたのかお伺いしようと思ったんですけれども、今お伺いしまして、正にいろいろな専門家をきちんと確保して、そして支援体制を取って成功したというお話を伺いましたので、質問をしないでこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  64. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  産業再生機構斉藤惇代表取締役の方に、同じ名前なんで混同が起こらないようにお話をお聞きしたいと思いますが、本当に両参考人には、大変お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございます。とりわけ斉藤惇取締役には、実は二度目でございます、ここの委員会でお会いするのは。何か御縁があるのかなと思っているんですが、昨年の三月二十八日に、御就任いただく予定ということで参考人にお越しをいただきまして、私も率直に質問をさせていただいて、ちょうど一年ちょっと過ぎますね。大変な御苦労もおありだろうと思います。その続きで質問をさせていただくということで、大変こういう機会は珍しいんじゃないかなというふうに思っておりますので、率直な質問をさせていただきたいというふうに思います。  その二十八日のときに私は、それぞれ、斉藤惇さんもそれから高木さんも元ダイエーの御出身ということもあって、再生機構そのものの公正さがどのように保たれるのかという御質問をしたときに、斉藤さんは、案件を一個一個作っていくときのそのスタッフの中にはその出身の委員は多分入らないんじゃないかと思っているというようなことで、大変、非常に大事だと、その点は。  中立性、公明性ということについて、現在のこの再生機構が一年たってどのように担保されてきているのか、御説明をいただきたいと思います。
  65. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) まさしく先生おっしゃるとおり、その中立公正さだけが実は我々の力といいますか、まあ強制力を持っていない組織でありますので、金融機関債権放棄をしてくださいと言ったときに、先ほども申しましたように、当事者的なにおいが出ていれば絶対に受けられないわけでありまして、また、私的整理をやっておりますので、九〇から九五%以上の賛同が得ない限り我々の案は成立しないということでありますので、とりわけこの中立公正性というのに対しては今でも注意をしております。  当然、お約束しましたとおり、案件に入っておりますチームの中に、従来何らかのその銀行やあるいは事業会社と関係のある者は意図的に排除しておりますし、また御案内のとおり、産業再生委員会というところが最終決定をしていくわけでありますが、なかなか社会的にいろんな御活躍をなさっている先生方が多いんで、全部登録していただいておりまして、もしも案件に何らかの形の関係がある場合はその投票から出ていってもらうということまでやって中立性を保っております。もう先生方もそこは十分意識されて、自ら、私はここの監査役を、社外重役をやっておりますので参加しませんとか、こういうふうな形でちゃんとやっております。
  66. 西山登紀子

    西山登紀子君 大変、当委員会参考人質疑でお話をいただいたそのことをきちっと守っていらっしゃるということで少し安心をいたしましたわけでございますが。  そのときにもう一つ伺いましたのは、谷垣大臣が非常に、同じ私も京都の出身なんですけれども、ある意味で言えば非常に正直な方だとそのときも申し上げましたけれども、破綻懸念先でももうどんどん買っていくんだというふうなことをちょっと言われたこともありまして、それがモラルハザードを起こさないか大変心配だということで、参考人斉藤さんの方にそういうことはないのかというお伺いをいたしましたら、やはり国民の負担を考えるとすごく責任はその点はあるので、その点は非常に慎重にやっていきたいというふうに決意をされたと思います。  新聞報道なんですけれども、例えばカネボウというふうな、先ほども名前が出てまずいというお話がありましたけれども新聞の見出しなんかを見ると、「カネボウ、窮余の国頼み」みたいな、そういう見出しが出てまいりますと、これはどうなんだろうかなというふうな思いがいたしまして、モラルハザードが起きないようにどのように御努力されてこられたのかというふうなこともお伺いしたいなと思います。
  67. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) まず、先生御指摘のとおり、我々はもう国民のお金、政府保証のお金を使わせていただきながらこういう仕事をさせていただいているという意識をもう徹底的に社員に教育訓練しておりますが、現実に三年後に、三年以内にエグジットという形でもう皆さんの目に見える、これが失敗すれば我々がいかに甘い、ばかなことをしていたかということが見えるわけでありまして、もう我々、意識をちゃんと三年先以内のところに置きながら事業をやっている。  したがいまして、先ほど申しましたように、我々の査定は比較的厳しく出てまいります。従来の銀行さんの仲間内の査定に比べますと非常に厳しいし、事業再生ができるなという相当の自信、それからキャッシュフローがちゃんと生まれるという査定がない限り、我々はやりません。  そういう意味で、カネボウの場合も、非常にジャーナリスティックには騒がれたんですが、実は当人である我々は淡々としているつもりであります。例えばそれが津松菱的な、あるいは地方のそういうデパートさんの案件ともちっとも違わないという気持ちで粛々とやっておるということであります。当然、我々のこういう態度に対して金融機関などは、やはりもう少し話分かってくれよというような態度は当然あるわけでありますが、我々がそこを崩しますともう三年後に見えてしまいますので、そこの姿勢はしっかりしてやっているつもりであります。
  68. 西山登紀子

    西山登紀子君 この再生機構発足一年に当たっての評価というのを、いろんな評価がされていて、私たちは再生機構のときには反対をしました。やはり国民の血税を十兆円も使って、後、損失した場合に何にも国民が責任を負うべきものではないのにどうしてなんだというようなことで苦言を呈してまいりました。  斉藤惇社長のインタビューを少し見ましたら、月大体まあ一、二件のペースで決めてきたということでかなり民間ペースよりも速いスピードでやってきて、今年一杯は支援件数を増やしたいというお話でしたね。それで、かなり速いペースで、今は非常に厳しく厳格にやっていらっしゃるんだけれども、速いペースだと言われますと、それはなぜ速いのか、そこのところを教えていただきたいなと思いますが。
  69. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 速いペースというのは、決していい加減にして数を稼ぎたいという気持ちは毛頭ありません。むしろ、新聞に数が少ないとか小さいとか地方案件ばかりじゃないかとか言われたのに対して我々はもう必死で説明を繰り返して、むしろジャーナリストの方に理解を求めたいと、非常にそういう見方が間違うんだと、世の中を、そういうことを繰り返し申し上げながら闘ってきたつもりであります。  スピードを上げることができるようになるだろうと申し上げましたのは、先ほど申しましたように、去年の一年間のうち半分ぐらいはまだ支援のスタンダード、基準ですね、例えばディスカウント・キャッシュ・フローの計算をするときにどういうリスクレシオを与えるんだとか、どのくらいの金利で割り引くんだとか、そういう、何にも決まらないで、先生方の大変温かいあれで非常に幅広い法律を作っていただいたものですから、ぴちっとルールを作らなきゃいけないというプロセスがありました。去年のもう夏過ぎ、秋ごろまでにこれはできてまいりまして、外に対しても十分説明ができるようになりました。  例えば、経営者責任一つ取りましても、銀行さんは最初、全員、とにかくみんな、社長はどういうケースでも、先ほどお話があった地方の旅館の社長さんも上場会社の大社長も全員首を取るのか、あるいはその私財を提供させるのか、もうそういうのが全然分からないと。ほとんど、御案内のように中堅企業の社長さん方は担保を提供していらっしゃいます、私財の提供をなさっております。これをどうするのかとか、すべてそういうものは我々が今から決めていかなきゃならなかったわけです。  その辺を去年の三分の二ぐらい使っていろいろなケースをやりながら作り上げて、ルールがようやくできました。ここで相当、そういう意味で、時間が有効に使えるという意味でスピードアップという言葉を使ったんでありまして、決していい加減なことをやって三年後に先生方におしかりをいただくようなことをやるつもりは毛頭ございません。
  70. 西山登紀子

    西山登紀子君 今の御説明をいただいたわけですけれども、一方で、不良債権の処理を急ぐという銀行側の、何というんですか、要求が、あるいは政府側はもっと早くやれよということで不良債権処理二、三年ルールということになって、来年の三月末までに半分にしなさいというような至上命令のようなものがどんどんと迫っていくとなりますと、もっとやってくれよという形で機構の側にむしろ圧力が掛かるんじゃないかという、そのときにやっぱりそれに屈しないような、今御説明になった、非常に厳格にやっている、たとえ批判を受けても国民に損失を与えないために頑張りたいというそのお約束を是非貫いていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  71. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 先生がおっしゃるとおり、数は、やはり不良債権は早く処理すべきだと思いますので、圧力掛けようが何だろうが、数は来た方がいいんだろうと思います、本当にあるならば。ないならば別に来る必要はないと思いますが。ただ、我々は、何度も申しますが、数が来たからといって、その数をむしろ呼ぶために甘くするとか妥協するとかいうことは一切やりません。それはもう一つの我々の思想でありまして、もしそれくらいをだれかの圧力でやらされるぐらいなら、うちの来ている若いスタッフは全員恐らく辞表をたたき付けて辞めるだろうと思います。そのくらいの雰囲気でやっております。  したがって、先ほど先生方からも御質問がありましたが、例えば政治的圧力がないだろうかとかいう御質問がありましたけれども、そういう雰囲気が出ようものなら、うちの連中全員辞表を書いて辞めます。そのくらいのかなり清らかな気持ちといいますか志で仕事をしておりますので、そこは曲がらない、数は来たとしても曲がらないと。そういう妥協で数を呼ぶつもりはありません。
  72. 西山登紀子

    西山登紀子君 どうもありがとうございました。  引き続き、社長にお伺いしたいんですが、私も代表質問など、その案件のときに、国民の十兆円という税金を保証として使いながら支援をする対象は大企業に限られるんじゃないかという御質問をいたしました。今、決められた十三件の中の御説明はあったわけですが、百件近い御相談はあったということなんですが、全体を含めてその実態はどうなのか、お話しいただければと思います。
  73. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) もう先生御指摘のとおり、機構法の第二十二条第五項には、当該事業者企業規模を理由として不利益な取扱いをやってはいけないというふうにはっきり明言されておりまして、我々はこれを遵守するということであります。  したがって、十三件について少し詳しくそういう意味で分析させていただきますと、中小企業基本法第二条の第一項というところのルールをあえて我々のケースに適用して分析いたしますと、八神商事という商社、卸売業でございますね、これは、資本金九千九百万円、いわゆる一億円以下になっております。そういう意味で、これは卸売業の定義上の中小企業に該当するということでございましょうか。  それから、富士油業という北海道の油屋さんでございますが、これは従業員八十七名で、三百人以下でございます。これは鉱工業の業種としては、三百人以下というのは御案内のとおり中小企業に当たります。  それから、大阪でやりました駅前にあります大阪マルビルというホテルでございますが、これは従業員八十六人ということで、サービス業でございますが、の百人以下であれば中小企業であるという定義の中に入っております。以上三つのケースが中小企業基本法の定義に該当するということがまず言えます。  それから、機構支援は、この案件、十三件といっても、対象企業には子会社、これの子会社も含まれているために、実は数多くの中小企業の定義に該当するものを我々はハンドリングしているというふうに認識しております。  また現在、相談を受けております企業の中にも中小企業はかなり存在しておりまして、我々としては、当然でございますけれども企業規模を理由に不当な扱いをするということは一切やるつもりはありません。
  74. 西山登紀子

    西山登紀子君 ありがとうございます。  私たちも、何も大企業をつぶせとか、そういうことは一切考えておりませんで、社会のきちっとしたルールの中で、大企業としてはきちっとした社会的な責任を果たしていただきたいというルールを作ろうということで、国有化という考えも持っておりません。生産手段の社会化という考え方を将来持っておりまして、新しい綱領も作ったということなんですが。  最後に、斉藤直会長の方にお伺いしたいと思いますが、私も出身は京都でございまして、二〇〇〇年の十二月に京都の二信金が破綻をした後、大変な地域経済が今苦悩しております。そのときに初めて、京都の零細中小企業の皆さん、私も含めてですけれども、RCCというものの存在というものを初めて知らされました。  それまではどこにRCCがあるのかというのも知りませんでした。ここにあるんだよということで言われまして、訪ねていって、駅前にあったんですけれども、そういうことで、RCC送りという言葉を私たち、私もこの委員会で使いましたら、RCCの人が、RCC送りという言葉だけはやめてくれと、移譲という言葉を使ってくれないかというふうに頼まれましたものですから、私も、RCC送りということを使わないように言われましたので、RCC移譲というふうに言いますなんといって質問をしたようなことなんですが、今、会長がRCC送りと言われたので、石川県ではそんなふうにRCCもRCC送りという言葉をまだ使っていいというふうに言っているのかななんて今ふっと思ったんですけれどもね。  最初、そういうふうにみんな、何かRCC送りになるともうまるで駄目になっちゃう、屠殺場に送られるような気分になって。といいますのは、京都の場合、正常債権がかなりRCCに無理やりに送られたというそういう事情もありまして、すごくみんなが怒ったということがあります。そういう問題も取り上げて、RCCに本来行かなくても済むようなものをRCCに送り込んで、そして正常債権と言われる非常にうまみのあるものだけを、名前はあれですが、移していくというのはこれはおかしいぞという話をしたときに、RCCの卒業という言葉が出てまいりました。できるだけ卒業してもらいたい、あるいは八号保証というようなことも新たに作られました。随分それで助かった業者さんもいるわけですけれども石川県でもいろいろRCCも含めて救済をするということを一生懸命努力をなさっていらっしゃいますよね、今お聞きしますと。  ですから、質問というか、そういう同じく悩んでいる地域といたしまして、RCCも含めてどのような、もっと国への要望があればお聞かせいただきたいし、それからもう一つ、借換保証制度というものを京都の方で皆さんが苦労の中でお考えになって、実は去年の二月の十日から国の制度として発足を見ております。これは今年度も続けるということになっておりまして、今四十一万件で六兆円の保証額をずっと超えておりまして、これは小泉総理も続けてやりますということをおっしゃっているんですが、石川県も四千九百六件の申請で一千百二十九億円の保証をしているんですけれども、この借換保証制度も含めて、国への御要望があれば最後にお伺いしたいと思います。
  75. 斉藤直

    参考人斉藤直君) RCCも十四年の一月から、いわゆる健全金融機関からの不良債権の買取りとそれから企業再生機能の強化の促進を言われるようになったわけでございますね。ちょうど石川県の場合は、石川銀行の破綻のいわゆる債権の切り分けが進みまして、仕分が進みまして、RCCに債権が譲渡された企業がもう千件を上回る規模であったわけでございます。  したがいまして、私どもはRCCと、RCCも再生機能の強化をしたということで一生懸命取り組んでいただけるようになったんですけれども、なかなかやはり人員がいない、いらっしゃらないんですね。したがいまして、その案件が私どもの方に回ってくるというふうなことで、再生協議会とRCCがうまく連携を取りながら石川県の場合は再生を、中小企業再生支援をしている、そういう関係ができているのではないかというふうに思っています。  RCCさんが再生機能をおっしゃるのであれば、更にそういった面の充実を図っていただければ我々としては助かるなと、そういうふうに思っております。
  76. 西山登紀子

    西山登紀子君 借換えはどうですか。
  77. 斉藤直

    参考人斉藤直君) 借換保証制度につきましては、私どもの七件のうちに今の再生協議で借換保証制度を使ったという事例はございませんけれども全国では借換保証制度を使って再生完了したという案件が、資料によりますとたしか十何件、十三件この借換保証制度を使いまして再生を実現をしたという事例がございます。  私どもも、この制度も非常に再生の場合の大きな武器でございますので、引き続きこれも継続をしていただければというふうに思っております。
  78. 西山登紀子

    西山登紀子君 どうもありがとうございました。
  79. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げる次第であります。(拍手)  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会