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2004-04-01 第159回国会 参議院 経済産業委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任         小林  温君     上杉 光弘君  三月三十一日     辞任         補欠選任         上杉 光弘君     小林  温君      浜四津敏子君     渡辺 孝男君      松 あきら君     山口那津男君  四月一日     辞任         補欠選任         本田 良一君     伊藤 基隆君      藁科 滿治君     若林 秀樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 秀善君     理 事                 加納 時男君                 松田 岩夫君                 広野ただし君                 藤原 正司君     委 員                 泉  信也君                 小林  温君                 関谷 勝嗣君                 福島啓史郎君                 保坂 三蔵君                 伊藤 基隆君                 勝木 健司君                 直嶋 正行君                 平田 健二君                 若林 秀樹君                 藁科 滿治君                 山口那津男君                 渡辺 孝男君                 緒方 靖夫君                 西山登紀子君    国務大臣        経済産業大臣   中川 昭一君    副大臣        経済産業大臣  坂本 剛二君        経済産業大臣  泉  信也君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       竹本 直一君        経済産業大臣政        務官       江田 康幸君        経済産業大臣政        務官       菅  義偉君        国土交通大臣政        務官       佐藤 茂樹君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        総務省行政評価        局長       田村 政志君        経済産業大臣官        房審議官     塚本  修君        経済産業省産業        技術環境局長   小川  洋君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     佐々木彦君        国土交通大臣官        房技術審議官   門松  武君        国土交通省住宅        局長       松野  仁君    参考人        独立行政法人産        業技術総合研究        所理事長     吉川 弘之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○工業標準化法の一部を改正する法律案内閣提  出) ○独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改  正する法律案内閣提出) ○鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正  する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、松あきら君及び浜四津敏子君が委員辞任され、その補欠として山口那津男君及び渡辺孝男君が選任されました。     ─────────────
  3. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  工業標準化法の一部を改正する法律案独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会総務省行政評価局長田村政志君、経済産業大臣官房審議官塚本修君、経済産業省産業技術環境局長小川洋君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木彦君国土交通大臣官房技術審議官門松武君及び国土交通省住宅局長松野仁君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  工業標準化法の一部を改正する法律案独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、本日の委員会独立行政法人産業技術総合研究所理事長吉川弘之君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  7. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 工業標準化法の一部を改正する法律案独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取をいたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 加納時男

    加納時男君 おはようございます。加納時男でございます。  まず、工業標準化法の一部を改正する法律案につき伺いたいと思いますが、最初に大臣にお尋ねしたいと思います。  工業標準化法、いわゆるJIS法制定されたのは戦後間もない昭和二十四年でございました。この制度は、それ以降、まだ疲弊していた我が国産業合理化効率化を図り、品質の向上を図る上で大きな役割を果たし、その結果、国際競争力も強化されてきたものと私は認識しているところであります。その歴史を持つJIS法について、今回の改正はどのような趣旨でどのような改正を行うものであるのか、そのねらいについて、大きなねらいだけで結構でございますが、大臣に伺いたいと思います。
  9. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  今、加納委員からの御指摘でございますが、JIS法、それから、これに似たような法律としてJAS法というのがございますけれども、あのときは非常に品質が悪くて、ひょっとすると体が悪くなってしまうとかけがをするとか、そういうことに対して最低限基準を付けていこうと、作っていこうということでJIS法JAS法制定されていった経緯がございます、昭和二十四年、六年という時代でございますが。  世の中製造物責任法とか、あるいは消費者、あるいはユーザーの非常に、いわゆる目利きといいましょうか、厳しい品質に対する評価というものが高まってまいりましたので、その趣旨を踏まえて、これからは単に上からこれが最低基準だぞということではなくて、消費者の、ある意味ではリスクといいましょうか、消費者がきちっと判断をしたものに対して最低限法整備をしていこうということが時代要請ではないかというふうに思っております。したがいまして、任意規格でございます日本工業規格、いわゆるJIS制定と、それからJISへの適合評価して証明する制度JISマーク制度及び試験事業者認定制度、これはJNLA制度と、こういうものをより時代に合った形で充実をしていきたいということで、この法律改正というものをお願いをしているということでございます。
  10. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  続いて伺いたいと思いますが、平成十四年三月に公益法人に対する行政関与在り方改革実施計画というものが閣議決定されております。これを踏まえて、JIS法に基づくJISへの適合性評価して証明等を行う制度についての国の関与在り方を見直して登録制度へ移行するということでありますが、これはどのような検討をしてこのような改正に至ったのか、その経緯及び理由について概要を伺いたいと思います。
  11. 泉信也

    ○副大臣泉信也君) 委員指摘のように、十四年三月の閣議決定を受けまして、政府は、JISマーク表示制度及び試験事業者認定制度につきましては、十七年度までに登録機関による実施に移行するということに決めておるわけでございまして、昨年の六月には日本工業標準調査会において、登録機関による認証制度への移行、多様なニーズに対応するJISマーク表示制度対象商品を限定する制度を廃止するといった今回の法改正基本的な方向が示されたわけであります。  これらを踏まえまして、今回の法改正に取り組ませていただくわけでありますが、認証機関に関しましては行政の裁量の余地のない登録制度へ移行するということが一つ、また認証機関業務の規程や手数料もいわゆる届出制にするということにいたしたわけでございます。
  12. 加納時男

    加納時男君 今の御説明で大体分かりました。  そこで、伺いたいと思うんですけれども、法改正国民にもたらす影響という点を今度は伺ってみたいと思います。  今回の法改正によりまして、JISマーク表示制度については、その認証を行う主体を主務大臣又は主務大臣が指定する認定機関から、今お話があったように、主務大臣登録を受けた認証機関に移行することになるわけであります。それからまた、いわゆる事業者認定制度JNLA制度と言っておりますが、これは主務大臣認定を受けることができる制度から主務大臣登録を受けることの制度へと、つまり認定から登録というふうに大きく変わるということ、今御説明にもありました。  そうなると、質問でございますが、登録制度へ移行することによって事業者及び消費者にとってはどのようなメリットがあるのか、それからまた信頼性確保できるのか、この辺りを伺いたいと思います。
  13. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 事業者にとりましては、自己判断JISマーク、あるいはJIS適合表示の両方を選択をできる。そのことによって事業者間の円滑な取引や新たな取引先の開拓もできるだろうと。さらにまた、消費者にとっては、このJISマークが様々な商品にも表示されることになりますので、商品選択についての情報利便性が向上されるだろうというふうに思っております。さらに、民間のビジネスチャンス、これも今度の改正で広がる。さらに、透明性合理化性ですね合理化、こういうものも高まってくるというふうに思っています。  ただ、今委員が言われましたように、一番はいわゆる信頼性でありますから、このJISマークにとっては信頼性がその制度の根幹でありますので、このことについては厳しく対処していきたいというふうに思っております。  例えば、登録認証機関登録要件に合致しているかどうかというものを監視をする。さらに、消費者通報等に応じて報告徴収立入検査を適宜実施し、必要な措置を取らせる。さらにまた、このJISマーク表示を認められた製造業者、これに対しては国が報告徴収立入検査も行うと。そういう形で、しっかりと行われているかどうかという検査をする。これに違反をして、あるいは問題があった場合、表示の除去若しくは抹消命令鉱工業品の販売の停止命令も出すと、このことぐらいも考えておりますし、さらに、市場で流通するJISマーク製品については試買検査、これも引き続き行っていくと。こういうことをしっかり行って信頼性を引き続いて確保していきたいと、こう考えています。
  14. 加納時男

    加納時男君 信頼性確保について十分に配慮していきたいということでありますので、是非それをお言葉どおりやっていただくようにお願いいたしたいと思います。  少し細かい話になって恐縮なんですけれども、私、実は、自民党の中のガス分科会という政策分科会がありますが、そこの主査を務めておりますのでガスのことをちょっと例に取りますが、ガスストーブというのがあります。これはガス事業法では安全基準が、安全マーク基準があります。PSTGと言っているんですけれども、プロダクト・セーフティー・オブ・タウン・ガス・エクイプメント・アンド・アプライアンシスの略だと思うんですが、PSTGという制度があります。似たようなことは電気事業法電気用品の中でも、PSEと言っておりますが、そういったようなマーク安全マークがあります。これは実は消費者安全のための強行規定なんですね。このマーク表示をしなければならない。そうすると、JISとの関係をいろいろと考えてみたんですが、これはJISじゃなくて、それぞれの事業法に基づく安全確保のための、消費者安全のためのマークであると。  JISというのは、歴史的にずっと見ていきましても、粗悪品があってはいけない、製品品質をそろえていく、あるいは生産を効率化していく、そういうための規格をずっと作ってきたというのが経過だと思うんです。そうすると、こういう強行法規JISを一本化しろとは決して言いませんけれども、JISという基準考え方も、安全とか環境、これ消費者が今非常に望んでいることでありますが、安全とか環境に配慮した規格といった観点から、これに対して行われる見直しも進めていくべきではないかと思いますが、この辺はどのようにお考えでしょうか。
  15. 小川洋

    政府参考人小川洋君) 今、先生の方から御指摘いただきましたのは、いわゆる強行法規におきます強制的な技術基準、それに係ります特定マーク制度でございます。  このJISマークJIS規格JISでございますけれども、任意規格、それからその情報提供、あるいは先ほどの品質管理を向上させるといった目的の制度でございますけれども、最近、御指摘のように安全問題あるいは環境配慮の意識の高まりというのがございまして、安全性環境に配慮した製品、これに対する消費者ニーズは非常に高くなっております。そういう動きに対応して規格制定をしていきたいとまず考えてございますし、情報提供という意味では、そうしたことをJISマーク表示の中にも盛り込んでいきたいというふうに考えてございます。  JISマーク情報提供機能を充実させよというのは消費者の声でもございますので、今回の改正によりまして指定商品制が廃止されることを契機といたしまして、個別製品JISマークと併せて安全や環境配慮といいました特定の側面、例えばスラグなんかを原料にしましたエコセメントというのがございますが、そういったものはリサイクルというのがJISマークに付けられるとか、そういったことが考えられますし、より高いレベルの基準を示すグレードと、そういった規格を作りましてグレードに合わせた表示ができるようにすると。例えばシックハウスの原因となりますホルムアルデヒドの放散量程度グレードで分けて示すと、そういったことが考えられるわけですが、そういった形を通じましてJISを抜本的にそういったJISにしていきたい、整備をしていきたいというふうに考えてございます。  こうしたことによりまして、優れた製品差別化、それとともに消費者への的確な情報提供というのは従来よりも図られる、商品選択の幅が広がるというふうに考えてございます。
  16. 加納時男

    加納時男君 今の局長説明は非常に分かりやすかったと思いますね。  いずれにしましても、JISが長い歴史を経て新しい時代を迎えております。安全や環境に関する消費者への情報提供としての、そのツールとしてのJISの活用ということも今のお話のように今後進めていっていただきたいと思います。  この工業標準化法質問の最後に、最近起こった事件についての関係を伺いたいと思っております。  三月二十六日に六本木ヒルズ森タワーで起きた自動回転ドアによる死亡事故は本当に痛ましいことでございます。この一つの大きな事故の背景、その後ろには更にたくさんの事故に至らなかったけれどもそれに近いものがあり、その更に後ろには小さな兆候がたくさんあると、これをハインリッヒの法則と言っておりますが、そういうことから、こういう類似のことがあるのではないかというふうに懸念をしているところでありますが、今日の朝刊を見ますと、ほかのビルにおいて既にごく最近十六件も自動回転ドアによるトラブルが発生しているということも報告されておりまして、これは、これ自体大きな問題だと思っております。  今日はJISを議論している場でありますので、JISに絡むところで質問をさせていただきます。  まず、自動回転ドアJIS対象となっていますか、いませんか、伺います。
  17. 小川洋

    政府参考人小川洋君) お答え申し上げます。  六本木ヒルズ事故を起こしました自動回転ドアにつきましては、日本工業規格JIS制定されておりません。  JIS制定は、製品普及状況を踏まえながら、品質確保必要性等、総合的に勘案してこれまでやってきたところでございます。JISを含めまして、今回事故を起こしましたような自動回転ドアにつきましては安全基準が定められてないわけでございますが、こうした大型の自動回転ドアが比較的最近我が国に導入されたこともありまして、普及数が限られたと、そういったことなどによるものでございます。
  18. 加納時男

    加納時男君 今の回答じゃ、私は十分納得できないですね。普及率が低いと言うけれども、十分普及していますよ。急速に普及してきたから追い付かないと言うけれども、急速に普及してきたら急速にシステムを、チェックシステムなりあるいは消費者の保護を考えるべきだと思います。ちょっと厳しいことを言って悪いけれども、本当に本気で国民の目線から見たらば、急速に普及したから間に合わなかったというんじゃちょっと残念なんで。終わったことは終わったことですから。  今やらなきゃいけない、これからやらなきゃいけないことは、これは経済産業省だけの問題じゃないと思います。これは例えば、こういう施設ですから、例えば住宅というふうに、とらえ方、あるいはマンションととらえると国土交通省になるのか、建物ですから建築基準かと思います。  そこで、是非この問題は、ここで今までが何が悪かったということだけ言っているんじゃなくて、これからどうするかと、再びこういう事故を起こさないためにはどのようなことが必要なのか。これは実は経済産業省国土交通省もまたがると思いましたので、今日は国土交通省からも大臣政務官にもおいでいただいて、恐縮でございますがおいでいただいていますので、国土交通省から先に、国土交通省としてどうこの問題をとらえ、どう対処するのかという、今日は細かいことまではまだ決まって、いろんなこと調査中ですから決まっていないのは分かっていますが、覚悟を伺いたい。その上で、経済産業大臣に御覚悟のほどを一言伺いたいと思います。
  19. 佐藤茂樹

    大臣政務官佐藤茂樹君) 今も加納委員の御指摘のとおりでございますが、私も二人の子供がおりまして大変人ごととは思えない、そういう今回非常に痛ましい事故が発生しましたことは極めて遺憾でありまして、亡くなられた方の御冥福を心からお祈りをいたします。  その上で、国土交通省として今、当面取っている施策、またこれからの方向性につきまして簡潔に述べさせていただきたいと思うんですけれども、特に、今回のような不特定多数が常時利用する施設死亡事故が発生いたしましたことを国土交通省といたしましても大変重く受け止めておりまして、早速、二十六日の翌週の二十九日に二つのことをこの自動回転ドアを製造している主要メーカー要請をいたしました。  一つは、設置実態報告をしっかりとしてもらいたいということでございます。これが一つ要請でございます。もう一つは、当面の事故防止対策として、回転運転の休止をするか、あるいはもし使用する場合にもしっかりとそのそばに警備員を配置する、そういうことをしっかり要請をいたしまして、当面のガイドライン整備されるまでの事故防止対策の徹底を今図っているところでございます。  その上で、今後のことでございますが、今回のこの事故契機として、自動回転ドア事故防止対策検討するために、後ほど大臣もお述べになると思いますが、経済産業省と共同で学識経験者であるとかまた実務経験者等をしっかりと集まっていただいて検討会を設置して、当面、今一回目をもう四月の早い時期に早急に開催いたしまして、おおむね三か月程度設計者管理者が守るべきそういうガイドライン整備すること等を今しているところでございます。  そのガイドライン整備普及を急ぐことがまず重要であると考えておりますけれども、その検討会の結果次第では、委員質問の中で触れておられましたけれども、将来的な法改正も視野に入れたそういう検討をしてまいりたい、そのように考えております。
  20. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も小学生の子供がおりますので、回転ドア、大人が使ってもちょっと、かなり力が要るなという感じを私自身ふだんから持っておりましたけれども、そういう中で、センサーがうまく稼働していなかったとか、あるいはまた、いろいろとうまく作動しないようにやっていたということですから、私は一義的にこれは企業責任だろうというふうに思っております。  したがって、経済産業省としても国土交通省と一緒に対策を取っていかなければならないんですが、規制をすれば済むかという問題でもない。まず、企業としてきちっとやってもらいたいなと。今我々は、官から民へということを小泉内閣としてやっているわけでございますから、きちっとまず民間自己責任においてやってもらいたいなというふうに思いますけれども、しかし、そういう中で、犯罪犯罪といいましょうか、業務過失致死の疑いがありということでございますから、そこはきちっと、これは捜査当局捜査もきちっと踏まえた上で行政としても万全の対策を取っていかなければ、本当に気の毒なこういう事件事故が発生をしてしまったことを二度としないように行政としても最善の努力をしていかなければならないというふうに思っております。
  21. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  大臣並びに政務官からもお話がございました。この問題、子供、孫、そういう方を持っていらっしゃるお立場もあり、非常に身近な問題としてお考えだと思います。私も子供が四人、孫が八人おりますが、子供たちのやっぱり命というものは、自分の子であれお隣の子であれ、皆同じでございまして、一つ一つの命を大切にしていくということは政治家としての基本だと思っているところでございます。  もちろん、官から民へ、そして自分のことは自分で始末をするということは世の中基本であることは私もそのとおりだと思っておりますが、それに加えてとあえて言うんですね、加えて、やはり国民の命、安全を守るための官の役割は重要であるということも再度指摘させていただきたいと思っております。官より民へということにあって安全が阻害されてはならないということは、一つ重要な歯止めを掛けておかなければいけない。そういうことで、当面の対応策、続いて関係者によるガイドライン整備、次に必要に応じての法律改定といった今手順が示されましたが、その方向で結構だと思いますので、是非とも早急に立ち上がっていただきたいと思っております。  ありがとうございました。以上をもちまして、国土交通省政務官局長さん、結構でございます。ありがとうございました。  それでは、残った二つ法律について伺いたいと思います。  まず、産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案について、この独立行政法人産業総合研究所、産総研の概要と、これまでやってきた成果、独立行政法人化してから今年で、この四月でちょうど三年になると思いますが、成果についてポイントを伺いたいと思います。
  22. 小川洋

    政府参考人小川洋君) お答え申し上げます。  独立行政法人業技術総合研究所でございますが、旧工業技術院の研究所など十六の組織を統合いたしまして、平成十三年四月から設立をされました研究開発を行います公務員型の独立行政法人でございます。  その研究対象といたしましては、ライフサイエンス、情報通信など最先端の分野から、計量標準、地質調査、そういった知的基盤の分野まで幅広いものを含んでおりまして、常勤職員も三千二百名、うち研究職員が二千五百名を擁します我が国最大の公的研究機関でございます。  独立行政法人に移行して以来の成果ということでございますが、今申し上げましたように十三年度に独立行政法人に移行したわけでございますけれども、先ほど申し上げましたライフサイエンス、情報通信、それから材料、ナノテクと、そういった研究分野を中心に産業界とも積極的に連携を図りながら、将来の産業への発展が期待される技術シーズをいろいろ満たす研究に取り組んできたところでございます。  この結果、平成十四年度におきましては、研究論文数は独立行政法人に移行する前の十二年に比べまして、一・三倍の四千百十九件、受託研究件数は二十六倍の百三十一件、受託研究額は四十五倍の九億円に増加をし、また民間企業への技術移転に係ります特許実施契約件数は二倍の二百九十六件、これに伴います実施料収入が六倍の三・一億円というふうになってございます。
  23. 加納時男

    加納時男君 今いろいろ数字も挙げて、いかに成果が上がってきたのかというお話がありました。特許料収入が上がったこと、それから民間からの受託が増えたこと、これは私は率直に認めます。評価します。いいと思います。受託収入が、今の御説明ちょっとメモしましたけれども、発足前の四十六倍になったと。これを聞くと国民の方は四十六倍、すごいなと思います。  私、若干数字についてはこだわりがあるものですから、すぐに全体の中のウエートとこう考えますが、四十六倍に増えて九億円ですね。九億円自体は大きいか小さいかということであります。私は、増えたことは決してけち付けているんじゃないし、皆さん方の努力は認めていますが、九億円というのはこれは世間常識から見ると、この産総研の事業規模ってどのくらいなのか。補正予算が入ったりして増えることがありますが、それを除いて大体九百億円、補正で増えたときに千四、五百億円という、私の記憶です、違っていたら訂正してください。ざっくりいって一千億円と考えて、一千億円の規模のところで、物すごく増えてきた民間からの受託が九億円、これを大きいと考えるか、小さいと考えるか。私はまだまだ不満ですね。もっともっとウエートがあってしかるべきではないだろうか。それだけの魅力のあるものに、民間から仕事をもらえるようなそういう機関になってほしいという、これは希望でありますが。  そういうので、この九億円だから四十六倍に増えたのはちっとも違ってません。計算したって間違いなく四十六倍ですから、小川さんの言っているのにけち付けているんじゃ決してないんだけれども、増えたけれども、まだまだ全体の収支規模から見ると低いんではないかなと思います。それから、特許料収入、これも私、かつて一億円だったように記憶していましたから、今、その前から見ると、六倍とおっしゃったのでその前、多分五千万円ぐらいだったんですかね。それが六倍に増えて三億円。ですから、六倍に増えたこと、三億円である、これはもうおっしゃっているとおりで、正確だと思います。  私の言いたいのは、特許料三億円というのは十分だとお考えですかということであります。もう非常にいろんな方々がここに精鋭が集まってきて、特許をどんどん生んでいけば特許料収入はどんどん上がるはずなんで、短期間に増えたということは評価しますけれども、これで全体の収支規模から見て私は高いとは言えない。ちょっと辛口の言い方すると、努力は認めます、けれどもその努力の結果、現在いる地点の点数を付けると決して高い点ではないですねと、まだまだこれから、もっと言えば、やってもらう余地がたくさんありますねということを念押しをしたいわけです。  質問でございますが、全体の収支規模を約一千億円と見て、それから見て、特許料収入の三億円、それから受託収入の九億円というのは低いと、私はかなり低いと思いますけれども、その理由と、これをこれからもっともっと高くしてほしいんですが、そのための対策考え方があれば説明していただきたいと思います。
  24. 小川洋

    政府参考人小川洋君) お答え申し上げます。  特許の実施料収入、五千万が三億円強でございますが、それから民間企業からの受託収入、少ないという御指摘でございます。御理解賜りたいのは、産総研というのが、民間では取り組みにくい基礎的な研究や先端的な研究を行っているという事情があるということ、この点をまず御理解いただきたいと思います。  しかしながら、産総研は、こうした公的な役割を果たす一方で、産業界への研究成果の移転あるいは産官学連携の強化というものを、独立行政法人移行を契機に今までより一層積極的に取り組み始めたということでございます。その結果、先ほど申し上げたような、先生からごらんになりますとまだ小さいじゃないかという御指摘でありますけれども、その前から比べてみるとそのベクトルの方向は確実に増加する方向、また成果が上がりつつあるということでございます。  これからでございますが、産総研に与えられました役割というのがございますので、そこの期待される役割でありますところの研究開発をきちっとやっていくと。一方で、先ほど言いましたように、産官学連携あるいは成果の普及といったことを通じて、今回御審議いただいています非公務員型への移行と。これはいろんなメリットがございますので、そのメリットも生かしながら、今まで以上に民間企業との研究交流、人事交流を活発化いたしまして、特許実施料収入あるいは受託収入、受託研究の収入といった自己収入の増加に一層努めていきたいというふうに考えてございます。
  25. 加納時男

    加納時男君 今の御回答で結構だと思います。その方向で是非やっていただきたいと思います。逆に、今回提案されている非公務員型というのは、私は元々、もっと最初からやるべきだと思っていた一人でありますので、その方向で行くならば、この今日指摘した問題は解決の方向に向かうんじゃないか。ベクトルは小川さんの言っているのと私の申し上げているのと完全に合っていると思いますので、その方向で努力をしていただきたいと思います。  そこで、その非公務員型のことについて伺いたいと思います。これが今回のこの法律の一番のポイントだと思いますが、まず、公務員型の独立行政法人としてスタートして三年たつわけですが、これから今回、非公務員型の独立行政法人に移行するということでありますが、その理由についてまず伺いたいと思います。これは大臣、副大臣ですか。
  26. 泉信也

    ○副大臣泉信也君) 産総研に対して、数字の絶対値はともかく、努力に対する温かい評価をいただきましたことにまずお礼を申し上げたいと思います。  十三年度の設立以来、研究活動を通じまして、産業競争力の強化に取り組んできたところでございますが、しかし、産総研がその目的をもっと的確にスピーディーに果たしていきますためには、先生御承知のように、学界、産業界、そうしたところとの活発な研究交流を通じて、産総研自体の研究能力の向上が必要であるということが第一点。  そしてまた、産業界との積極的な人的交流や、成果を生み出した研究者自身の起業、業を起こすですね、起業等を通じた研究成果の効果的な普及、こうしたことが喫緊の課題であると私どもは認識しておるわけであります。  また、少し観点が違いますが、国立大学が今日から非公務員型の国立大学法人に移行をするわけでございまして、大学との連携、また一方では競争という観点からこれに対応していく、そのためには、非公務員型がこうした時代要請、そしてより活力を生む方法である、こうした考え方で非公務員型に今回移させていただきたいと考えておるところでございます。
  27. 加納時男

    加納時男君 今おっしゃったことは、全部ごもっともなんですね。今、泉副大臣がおっしゃった、他の研究所や企業との研究員の交流を活発にさせていきたいとか、それから、研究員が兼業する、あるいは業を起こす、アントレプレナーとして新しく創業する、こういったようなことをよりやりやすくする、それも非公務員型の方じゃないとできないだろうとおっしゃっている。それから、有能な人材を採用したいとか、人事も研究開発者としてふさわしい資格を持った人を採る。決まった問題をたくさん解いた人という画一的な採用で採ってきた人じゃなくて、弾力的に人の採用、それから処遇もできる。それから勤務時間もかなりこれフレキシブルにできるとか、いろんな面で考えると、この研究開発型の組織というのは実はかなり弾力性を持った方がいいんじゃないだろうかというのは、常識的に考えて妥当なところだと思います。  そうなると、今の御説明を伺っていると余計分からなくなってくるのは、急に昨日今日、国立大学の法人化だけは別として、昨日今日出てきた話じゃなくて、これは当初からこの産総研は非公務員型として出発すべきだったんじゃないのかなという気もするんです。まあ終わったことを言ってもしようがないけれども、これ、どうしても私、ずっと気になっていたことなんで、是非この場で伺いたいと思います。  まとめてみると、例えば新しい研究テーマの発掘、有能な人材の採用、処遇、配置、研究員の交流、そして技術移転、様々な観点から見て非公務員型が望ましかったのにもかかわらず、それをやらなかった理由は何でしょうか、伺いたいと思います。
  28. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) お答えいたします。  平成十三年の産総研の設立の時点におきましては、まず公務員型でスタートさせていただいたということの理由でございますが、一つは、計量法とかに基づく特定計量器の検定業務というのもここで行っておりますが、こういうものは国民生活、また社会経済の安定に深くかかわっている業務を行っております。また、十六の組織の統合をこれやらせていただいたわけでございまして、発足当初はその業務を万全に遂行するという必要がありましたこと。この二点等を総合、二点を含めまして総合的にこれを検討いたしまして、公務員型の独立行政法人としたものでございます。  先生御指摘のとおり、現在におきましては、産総研の発足後、更に産業の発展のために技術の果たす役割は非常に大きくなってきておりまして、私も研究機関に二十年ほど身を置いて研究を続けた人間でございますのでよくそれが分かりますが、この産総研にはこれから本当に民間との、産業界との活発な研究交流を通じてその研究能力を向上させていただきたいこと。また、産業界との人事交流も通じまして、研究成果の効果的な普及を強く、そういう普及が強く要望されている、そういう状況になってきております。そして、先ほどもありましたように、国立大学が四月から、この四月からこれ独立大学法人に移行いたしましたので、連携、大学との連携、競争の観点からこうした動きに対応していく必要が今あるわけでございます。  こうしたことから、産総研のこの業務全体を見据えまして、産総研がその目的を効率的に、効果的に達成していく上でどのような組織形態となることが最も適切かという観点から検討を行いまして、非公務員型で積極的な取組を更に推進をしていく所存でこのように判断したものでございます。  以上でございます。
  29. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  この問題は、後ろを振り向くような議論じゃなくて、これから類似のようなことが世の中でいろいろ起こってくるときに、大事を取ってまず堅めにスタートするということも大事だとは思いますけれども、余りにもそれにこだわりますと、大きな改革のテンポが非常に遅れることがよく世の中でありますので、その反省材料として私は伺っただけであります。別に、今の答弁に対して言葉をあげつらって何か言うつもりはありませんけれども、今、二十年の研究生活とおっしゃった、それは私もとても大切な貴重な経験をなさって政界へ出られたことに深く敬意を表しておりますが、私も四十年間企業でやってまいりましたので、その経験も生かしてこれからも一緒に政策を議論していきたいと思っています。  お話の中でちょっとだけ気になったのは、計量法の問題があるとか十六の組織の統合というのがあった。これはそれなりに分かるんですよ。計量法による検定関係の仕事もあるので、これは、例えばいきなり非公務員型にしちゃうと、争議なんかがあったときに公務が果たせなくなっちゃうから困ると、こういうことなんでしょうけれども、いろんな、争議であれ病気であれ担当者が具合が悪くなることはあります。そういうときに不可欠な仕事というのは、管理職が代行するとかいろんなことで補ってきているのが実態でありますから、これだけでは余り理由にならないのかなとも思います。  それからまた、十六組織の統合だから大変だと、これも分からないではないんですが、今回、いきなり非公務員型になります東京大学なんかの例を見ますと、これは数千人の教職員いるわけですね。学生も、学生はそんなに多くないんですけれども、教員とか職員がたくさんいる学校でありますが、それでも一挙に非公務員型に行くということで、三千人ぐらいの規模、二千五百人は研究員だから、大変だから公務員型でスタートしたというのは、理屈としては分からないではないんですけれども、やる気になったらやれたのかなという気もしますので、これからはひとつ改革をやるときには勇気を持ってやっていきたいということだけ申し上げまして、この質問は終わりたいと思います。  さて、最後のテーマでありますが、鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案について伺いたいと思います。  鉱山といいますと、私はどうしても、どこの国を参考にするか、カナダとかオーストラリアというのはすぐに頭に浮かぶわけです。実は、オーストラリアにも何度も参りまして、この地で様々な金属、石炭、いろんな鉱山を見たり、あるいはウラン鉱山も現地を視察したりしまして、関係者の話、鉱業の実態、それから鉱山保安、いろいろ関心がありましたので調べてきたことがございます。  その鉱山の多いオーストラリアにおいて、最近、西暦二〇〇〇年ですけれども、鉱山保安行政が改革されたというニュースをちょっと読みました。オーストラリアというのは、そういう意味では、日本に比べるとはるかに鉱山では経験が豊かな国だと思っていますので、我が国鉱山保安法を今回改正するわけでありますが、きっと何か参考になる事案があるんじゃないかと思いますが、どんなことが参考になっているのか、いないのか、伺いたいと思います。
  30. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木彦君) お答えいたします。  オーストラリアでは、一九九〇年代の後半に労働者の死亡災害が下げ止まりの状況にあったということで、連邦政府と州政府が一体となりまして改革を行い、二〇〇〇年に鉱山保安の改善のための国家戦略枠組みを採択をいたしております。この枠組みにおきまして、鉱業に関する政府事業者、労働者の役割責任を明確にすること、事業者にリスク評価を行わせ、安全管理システムを構築させることなどの方向性が示されております。  こうした方向で実際の法改正が行われておりますのがオーストラリアのクイーンズランド州であります。行政事業者に対し法規範を遵守させる体系から、鉱山におけるリスクを把握し、そのリスクを許容範囲内に管理させ、行政はこうした事業者が行うリスク管理を監督するという体系に変わっているところであります。また、ニューサウスウェールズ州におきましても同趣旨の改革が進められております。  私ども、今回の鉱山保安法改正におきましては、昨年の九月に鉱山保安法改正の担当課長をクイーンズランド州及びニューサウスウェールズ州などに派遣いたしまして現地調査も行いまして、こうしたオーストラリアの取組も参考にしたところでございます。
  31. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  非常にいい経験をオーストラリアでしてきたと思います。オーストラリアの災害、炭鉱災害とか鉱山災害というのはもう激減してきたんですけれども、それが止まっちゃったと。つまり、いま一歩の努力をしようということで生まれたのがこの自主保安、リスクマネジメントという名前の一種の事業者の自主保安を前面に出し、国の役割は、個別にチェックするんじゃなくて、その自主保安体制がシステムとしてワークしているかどうか、機能しているかどうかをチェックするといった考え方は一つの示唆を与えるものだろうと思っております。それを参考にされたということは、今伺ったところであります。  そこで大臣に、よろしいですか、一つ伺いたいと思います。  鉱山保安法制定されたのが昭和二十四年であります。当時はたくさんの鉱山で働く労働者がおられました。ところが現在ですと、例えば石炭の山というと、大手はたった一社だけになってしまいました。それから鉱山労働者の数をちょっと見ますと、昭和三十二年のときには五十万人もいたわけですが、今は一万五千人、ですから三十分の一ぐらいに全体が減ってきている。鉱山保安の規制の在り方についても時代に合ったものに変えていく必要があるだろうと思います。  今、クイーンズランドの例でも院長からお話がありましたが、様々な状況認識、日本の鉱山の構造変化といったことも踏まえ、また自主保安の考え方の導入といった国際的な潮流も踏まえ、今回の法律改正基本的な考え方について大臣からお話をいただきたいと思います。
  32. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、委員指摘のように、本当に鉱山、日本の場合、炭鉱が中心だったわけでございますけれども、本当にいろんな事故が、悲惨な事故が続発しておりました。それが最近は、企業努力あるいはまた行政のいろんな形でこういうものに対しての事故の発生が少なくなってきたわけでございますけれども、しかし、元々あってはいけないことだろうというふうに思っておりますので、引き続きやっていかなければならない。  今、保安院長の方から海外のお話がございましたが、ちょっと話がそれるかもしれませんけれども、例えば石炭とかそういう石油とか鉱山、一般的な鉱山で、結構海外で自然災害あるいはまた鉱山事故によってそれが供給に影響を与えているというような事象も発生しているやに聞いておりますので、これは日本は資源のない国として安定的に供給するためにも、事故をなくして、これは国の内外ともにでございますけれども、そういう形でやっていくためにこの法律が、一つ自己責任ということになりますけれども、きちっとした行政上のバックアップといいましょうか、そういうものがより新しい時代にふさわしい形で必要になってくるのではないかということでこの法律改正をお願いを申し上げているところでございます。
  33. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  今回の改正考え方については理解できるところだと思っております。  今のお話の中に若干関連するところもありますが、最近、鉱山事故ではないんですけれども、産業事故、これが連続して起こっているのは非常に残念なことだと思っていますが、これ、産業事故が相続いているのは偶然ではなく、何かその背景があるのではないかという指摘もありますが、原子力安全・保安院又は経済産業省基本的な認識及び今後の対応について伺いたいと思います。
  34. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木彦君) 昨年連続して発生しました重大事故は、安全が企業活動において最大限配慮されるべきものであることを考えますと、誠に遺憾でございます。  経済産業省といたしましては、関係業界に対し、産業事故防止のための注意喚起を行うとともに、昨年十二月に再発防止対策について中間取りまとめを行いまして、その内容を周知いたしたところでございます。  この中間取りまとめのポイントといたしましては、安全保安体制の確立には経営トップの役割が重要であること、また、人的要因による事故防止のためのマニュアルの改善や教育の充実が重要であること、あるいは設備、部品など劣化状況の把握と設備年齢に応じた検査体制が重要であること、さらに、業界内、産業界全体での事故事例の共有をすることが重要であるというようなことがポイントになっております。  また、本年一月には、主要業界の経営トップをメンバーといたしまして産業事故連絡会を開催いたしまして、業種を超えた事故情報共有体制を整備しているところでございます。さらに、総務省の消防庁及び厚生労働省とも連携いたしまして、三省庁共同で昨年十二月に関係団体に通知をいたしているところでございます。また、個別事故の原因調査を踏まえまして、同種の事故再発防止のために必要な当省所管法令の改正等の手続を行っているところでございます。
  35. 加納時男

    加納時男君 検討方向は分かりました。  よく、すべてのヒントは現場にあると、三現主義なんて言いますが、現場、現実、現物というので、私の尊敬する元経営者で今評論家をやっていらっしゃる牧野昇さんは、工場長をやっていたときに、毎朝必ず現場をずうっと歩くと、その中でいろんな話をしたり設備を見たりしているうちに、いろんなヒントが現場にある、仕事の改善のヒントも部下の悩みの表情も分かるんだよということを私に教えてくださいました。私も仕事をやっているときに、責任者をやったときには、必ず第一線をぐるぐる歩いたことが記憶に残っていますが、正に現場に行かなくなっている経営者があるいは現場育ちでない経営者が出てきたということも大事な問題かとも、大きな変化かとも思います。  また、日本の品質、安全を支えてきた、今、団塊の世代の方々がその中核にあったわけですが、その方々が今定年期を迎えつつあって、その後継者がなかなか育っていないとか、いろんな問題がこの背景にはあると思いますけれども、それに加えて、やはり人の在り方、仕事のやり方、組織の在り方といった面でこの産業事故をいかに再発を防止していくのか、ゼロとかなんとかというのは言葉はいいんですけれども、発生率を極限まで小さくしていくということが非常に冷静な物の言い方だと思いますけれども、そのための原因の分析と対策の樹立というのは、当然これはまず第一に企業がやるべきだと私は思っていますが、加えまして、安全行政の観点から、今、佐々木院長が述べられた方向で是非行政の方も力を入れていただきたいと思うところであります。  さて、また鉱山の話に一つ戻して、あと一つ質問して終わりたいと思いますけれども、私は基本的に今回の法改正方向はいいと思っています。自主保安、リスクマネジメントを企業責任を持ってやる、その体制をしっかりと監督していくというのは、方向としては企業行政との在り方としてもいい方向だと思っていますが、これができるのは実は、大企業はそういうPDCAは回せると思うんですが、今鉱山では残っているのに中小の鉱山が結構あるものですから、中小の鉱山でうまく実施できるだろうかちょっと懸念がありますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  36. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木彦君) 今回の改正案では、鉱業権者に対し、鉱山における保安上の危険を把握させ、これに基づく対策実施とその見直しを義務付けております。これは、鉱業権者がその鉱山におけます保安上の危険を最も熟知していることによるものでございます。このような危険の把握、対策の立案、実施と見直しを重ねていく方法についてはリスクマネジメントと呼ばれることがありますが、その具体的な手法については、必ずしも一つの手法に限られるものではなく、様々な手法があるものと考えております。  したがいまして、今回の改正によって必ずしも、例えば第三者の審査登録機関認証を取得するようなマネジメントシステムを導入することを義務付けるものではなく、どのような手法を採用するかは鉱業権者の判断にゆだねられるものでございます。こうしたことから中小鉱山の場合におきましても、自らの判断によりそれぞれの鉱山に見合ったリスクあるいはマネジメントを行うことが期待されるところでございます。  なお、現在、業界団体にも働き掛けておりまして、こうしたガイドラインの策定を行わせているところでございまして、国といたしましても業界団体に対して指導、助言をすることといたしております。
  37. 加納時男

    加納時男君 ありがとうございました。  業界団体としては日本鉱業協会というのもあるかと思いますが、こういった分野とのしっかりしたコラボレーションによって、中小企業の経営者も十分にこういったリスクマネジメントができるような、そういう条件整備をしていただきたいと思います。  私の質問は以上で終わります。ありがとうございました。
  38. 藤原正司

    ○藤原正司君 民主党の藤原でございます。  まず、工業標準化法改正について質問させていただきたいと思います。  これまでJISが果たしてきた役割、あるいは今後の見直しの、何といいますか、理由という点につきましては、先ほど加納委員の方から質問がありましたのでこれを踏まえて御質問したいと思うわけですが、このJISマークが、今回の改正によってJISマークの公的性格に影響を及ぼさないのかどうかということについてでございます。  今回、登録制度民間認証制度への移行、あるいは商品指定の廃止、これなどによってJISマーク表示制度が大きく変更されてくるわけでありますけれども、こういう中にあっても、ナショナル認証マークといいますか日の丸認証マークといいますか、こういうJIS表示制度が果たしてきた制度の性格というものはまず守れるのかどうかということ、さらに、これまで商品指定などで、例えば消費者の利益保護あるいは安全衛生の確保、公害、災害の防止等に著しい効果を認められるものということで指定してきたものが今度は消えていくということの中で、公益性とのそごが出てこないのかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  39. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 先ほどもお答え申し上げましたが、昭和二十年代に、私はどうしてもJISとJASとが一体として見てしまうんですけれども、本当に最低限の安全、つまりこれを使うとおなかを壊してしまう、要するに、JASでないものを食べるとおなかを壊してしまう、あるいはJISでないものを使うとけがをしてしまうみたいな、そういうところの本当の最低限のところを守っていきましょうよというところが多分、私も若干この問題勉強したことがございますので、JIS、JASのスタートだったんだろうと思います。  JASの話で恐縮でございますが、マカロニの直径は、何ミリ以下はマカロニと言うとか、スパゲッティは、何ミリ以下の穴の空いたものは何だとかということがJAS法に書いてあって、これが一体今の消費者にとってどういう意味があるんだろうかというところから、随分私はこのJAS法改正でちょっと闘ったことがございまして、そういう、もう戦後五十年たって、やっぱり消費者の、何というんでしょうか、品質に対するニーズというのは非常に高まってきているわけでありますから、万が一、何かを買ってけがをしたり、何か事故を起こしたりということは、もちろんあってはいけないんですけれども、もうそれよりももっと先のことを消費者あるいはユーザーは求めているのではないかというところに、その時代要請に合った形でやっていくためには、単にJIS法の公的な機関だけではなくて、もっと民間のスピード感ある、あるいは、もうより消費者サイドに近づいた、川下サイドに近づいた形でのニーズというものに対応できるようにしていくために認証を、何もJISだけではなくて、いろんな民間認証機関にもそういう認証の権限を与えるということは一つの大きな時代ニーズではないかと、こういうことでこの法案を御審議をいただいているということでございます。
  40. 藤原正司

    ○藤原正司君 そこで、多様化する消費者ニーズへの対応という点からお尋ねしたいんですが、日本工業標準調査会、ここが平成十五年の六月にレポートを出しておりまして、この中で、今後のJIS制度在り方に関して、地球環境保全、安全志向、高齢者・障害対応など、多様化する消費者ニーズへの対応として、消費者の価値観に応じた情報提供機能が期待されている、こういうふうにレポートとしてまとめているわけですけれども、今回の法改正というものはこういうニーズに対応し得るものなのかどうかということが一つ。  さらに、環境JISということに対する取組状況、あるいはさらに、今社会的に注目を大変浴びております企業の社会的責任、CSRに関する規格検討の動向も含めてお聞きをしたいと思います。
  41. 小川洋

    政府参考人小川洋君) お答え申し上げます。  まず、私どもは、近年、今御指摘のありましたレポート以降、取組を強化しているわけでございますけれども、御指摘のような地球環境保全や安全志向、高齢者・障害者対応といった分野でのJIS制定にまず力を入れてきております。  また、今回の制度改正JISマーク指定商品制というのを廃止させていただいておりますけれども、これを契機といたしまして、個別製品JISマークと併せまして、消費者の価値観の多様化に対応するということで、それにこたえるものでありますけれども、安全や環境配慮といった特定の側面と、あるいは高いレベルの基準を満たすことを示すグレードと、そういったものをJISマークと併せて付記できると、そういったJIS整備していこうということでございます。それによりまして、情報提供をより充実させてほしいといった消費者等の声にこたえていきたいというふうに考えているわけでございます。  それから、お尋ねの環境JISでございます。取組をこの分野でも強化してきておるわけでございまして、これまでも三R、リデュース、リユース、リサイクルと、こういった分野の推進に資します、役に立ちますエコセメント、あるいは有毒物質を吸収いたします光触媒の製品の空気浄化性能試験方法、そういったJISを策定をしてきたところでございます。  また、高齢者・障害者対応につきましても、高齢者にとりまして読みやすい文字の大きさでありますとか、高齢者が聞き取りやすい家電製品の報知音、お知らせですが、そういったもののJISを積極的に制定したところでございます。  それから、最後でございますが、企業の社会的責任についてのお尋ねでございます。二〇〇一年四月から国際標準化機構、ISOにおきまして国際規格化に関する議論が始まっております。今年の六月には国際規格検討を開始するかどうかの判断が行われる予定になってございます。これらを踏まえまして、現在、CSRというのはそもそも企業経営の根幹にかかわる重要な問題でございますので、我が国としても産業界等と連携をしながら今後とも適切に対応していきたいというふうに考えてございます。
  42. 藤原正司

    ○藤原正司君 次に、ちょっと先ほどの委員の御質問と重複するんですけれども、新しい制度になりますと、このJISというものをそれぞれの事業者がどう対応していくかという中で、例えば新JISマークというものを活用する、それから新JISマーク以外の製品認証マークを使う、新JNLA制度を活用した自己適合宣言というのを行う、新JNLA制度以外の試験所認定制度を活用した自己適合宣言を行う、様々な選択肢が増えると。これは、事業側といいますか会社側はそれでいいんでしょうけれども、今度は受け止める方として、かえって一体これは何なのという戸惑いですね、選択肢があるということは、受け止める方は一体それぞれがどういう関係があるのかという、逆に混乱を生じはしないのかということの懸念があるわけであります。  もう一つは、先ほどこれも委員が触れられましたように、製品安全四法との関係で、片っ方は強制法規的な対応で、こちらは選択制の問題ですから、必ずしもちょっと合いにくい部分があるかもしれませんが、逆に使うあるいは受け止める消費者の方から見れば、整理できないのかというふうな思いもあると思うんです。この点についてお考えをお聞きしたいと思います。
  43. 小川洋

    政府参考人小川洋君) 新制度におきましては、御指摘ありましたように、同じJISに基づきます製品規格適合性につきまして、JISマークによる表示でありますとか、自己適合宣言による表示など、その事業者判断で認められることになります。  しかしながら、私どもはこのように考えてございます。今回の改正によりまして、事業者というのは、自分が作っている、あるいは提供している商品がどういう特性を持っているか、販売者が消費者なのか、販売の相手が消費者なのか事業者なのか、そういった違いに応じて最も適した規格適合性の示す表示方法というものを選択するということが今回可能になりますので、むしろそういったことを通じまして、適切な名あて人、適切な表示の仕方ということで、混乱が起こらないようにかえってなるのではないかというふうに考えているわけでございます。  委員指摘のとおり、そういったことが定着するまで時間掛かるかもしれませんので、その制度趣旨とかそういったものにつきましては関係者に広くPRをしていって正確に理解していただく、それが早く定着していくような努力というのは当然併せてやらしていただきたいと思ってございます。  それから、指定商品制を廃止しておりますので、指定商品以外の商品につきましてはJISマークが今までは張れなかったわけでございますが、JISを基礎としたいろんなマークが御指摘のとおり登場してきたわけでございますが、消費者団体の方からはそういったマーク信頼性に対する懸念といった声も届いておりました。これに対しまして、むしろ、先ほど言いましたようなことで商品制を廃止することによりまして、市場で、あるいは消費者、ユーザー事業者がどういうニーズを持っているかということで、提供する側の判断登録認証機関認証を受けた上で新しくJISマークが張れるようになります。したがいまして、将来的にはこういった民間認証マークというのが、市場を通じて、消費者選択を通じながら整理統合が進んでいくんではないかというふうに考えております。  それから、強制規格任意規格JISとの関係でございますが、一言で申し上げますと、国際的な整合性を持った基準を作ると、その認証手続も国際的な基準にできるだけ沿ってやろうということで国際的な整合性の努力がなされている一方で、私どものこういう任意規格でありますJISにつきましても、強制規格、強制基準、いわゆる強制法規による技術基準も性能規定化といいますか機能基準といいますか、そういった形でなっておりますので、それを達成する中身としてのJISという役割があろうかと思いますので、そういったことを踏まえながら強制規格技術基準の中でJISができるだけ採用していただけるように今後とも御相談をし、働き掛けをしていきたいというふうに考えてございます。
  44. 藤原正司

    ○藤原正司君 JISマークといいますと、ちょうどテレビ時代に入ってからかと思いますけれども、結構何といいますか、販売戦略の一環としてJISマークという言葉が結構昭和三十年代に入ってから使われるようになって、まるで水戸黄門のマークの入った印籠のようなイメージがあって、JISって一体何かよく分からぬけれども、JISマークが付いておったらこの品物は安心できるんだと、こういうかなりのイメージを国民自身が持っていたと。ところが、今、JISって何と、余り使われていないといいますか、国民JISマークがあるから、ないからということを余り判断の尺度にしていなくなっているんではないか。  例えば、今企業なんかを訪問しますと、ISOの、あれ何というんでしょうかね、認証状というんですか、会社の扉開けて入るとばっと張ってあったり、応接室だとか社長室に、ISOの方は結構見るんですけれども、JISって最近余り有り難く思われていないというか、三つ葉葵が余り意味がないのかなという、若干そういう気がするわけでありまして、問題は、そういう、何というか、権威が高くなければせっかくいろんな見直しをやっていったとしてもちょっとこれ意味がなくなってしまうわけで、その辺り、今回の制度改定を踏まえまして、やっぱり一般消費者はもとより、この被認証対象者や企業、あるいは他省庁の規制当局に対して今回の改定というものをしっかりと理解をし、さらにそのために周知徹底をやっていく必要があるというふうに思うわけですけれども、この点についてお考えをお聞きしたい。
  45. 小川洋

    政府参考人小川洋君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおりでございます。マークというのは、そのマーケットの中できちっと評価されて信頼性も上がっていく、それでますますそのマーク事業者の間でも使われていくと、そういうことであろうかと思います。  それを心に、胸に持ちながら、今回の制度改正の内容につきまして、事業者、まずその制度改正の中身を固めていく上で、事業者消費者学識経験者で構成されます日本工業標準調査会といったところの審議会の場で検討を行いまして、その内容につきまして、検討結果、内容につきましてパブリックコメントを行いまして、その段階から広く関係者の意見を聴いてきたわけでございます。その結果も踏まえて制度改正の中身を固めてきたわけでございます。  また、これまでも全国のJISマーク認定工場、一万三千工場ございますが、そういった工場、各工場、複数回でございます、それから、関係団体も数百とございます、それから消費者団体もたくさんございますが、そういったところへ何回も説明会などを行いまして、制度改正趣旨、それから新しい時代のいろんな消費者事業者ニーズにこたえる、今後の産業の発展の基盤としての新しいJIS制度役割といったものにつきまして説明をし、理解を求めてきたところでございます。  今後、先ほど言いましたように、関係者が非常に多うございます、それから、信頼性を持って評価をされて使っていただくためにも、この多くの関係者の方々に新しい制度への移行とその活用につきましてお願いをしていく、そのための制度の内容について周知徹底を図っていきたいというふうに考えてございます。  具体的には、ホームページ、政府広報あるいは説明会、あらゆる機会、あらゆる手段、いろんなルート、いろんなレベルで制度改正のあるいは制度趣旨、今後のインフラとしてのJISマークJIS制度役割といったものを周知徹底あるいは普及させていきたいというふうに考えてございます。
  46. 藤原正司

    ○藤原正司君 そこで、今後我が国の海外経済戦略といいますか、そういう面にとって極めて重要な国際、いわゆる規格の標準化の問題についてお尋ねをしておきたいと思うわけですが、御承知のとおり、一九九五年にTBTの協定が発効いたしまして、WTO加盟国は国際規格に準拠するということが義務付けられてきたわけでございまして、ヨーロッパ、そしてアメリカ、そしてアジア諸国においてもこの国際規格を積極的に受け入れるという方向で来ているわけでございます。  こんな中で、当然、この国際規格というものが制定されますと瞬時に技術的に統一をされる。そうすると、統一された国際市場の中で、勝った場合は、その規格を持ち込んだ、勝った場合は非常に有利に働きますし、逆に国際規格の獲得競争に敗れますと、その製品技術はいかに優秀であったとしても国際市場から排除されてしまうと。その意味では、この国際規格をめぐる争いというのは先端技術分野においてもますます熾烈化をしているわけでございまして、こういう国際経済戦略の大きなツールとなるこの国際標準化という問題について、政府としてこれまでどういう取組をされてきたのかということ。  さらに、今後、分析評価を行うこのTBTやAPECにおける論議、さらに、ISOそれから電気関係のIECといった国際標準化機関の動向、今後の制度改定等も踏まえて、今後の戦略的な国際標準化活動の推進に向けて政府、その中でも中心的な大臣でございます中川大臣について、この役割と責務についてお考えをお聞きしたいというふうに思います。
  47. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今御指摘お話は非常に大事な話だと私自身も認識をしております。  まず、WTOの交渉の中で、TBT協定あるいはその他いろいろ、いろんなこれにかかわる問題があるわけでございますし、またFTAの中でも貿易円滑化とか基準認証の問題とかいろいろあるわけでございます。  何も日本は日本のスタンダードを押し付けるつもりはございませんけれども、それがきっと多国間、二国間において行く行くはハッピーになるでしょうという性善説といいましょうか、そういう意味で、是非、日本のTBTなりといった問題を理解をして採用してもらいたいということを鋭意努力をしていかなければならない。もっと言えば、これは日本の国益にもつながることでもございますので、今委員指摘のようなこの日本の技術標準というものに対して相手国が理解をしてもらう。過去においては、いろいろと日本のスタンダードがデファクトにならなかったという過去の幾つかの例もございますので、これは日本のためだけではございませんで、世界のためにもこういうことに対してもより一層、単にいいんだから使ってくれるのが当たり前だということではなくて、使ってもらうためにやっぱり汗をかかなければいけないということも、政府としては苦い経験を踏まえた上で努力をしていかなければいけないのではないかというふうに考えております。
  48. 藤原正司

    ○藤原正司君 広い意味では知財戦略の一環でありますし、我が国においても相当力を入れてやられているようですけれども、いずれにしましても、国際的に我が国規格というものが受け入れられていくというのは経済戦略にとって極めて重要な問題であるというふうに思っておりますし、今後とも是非頑張っていただきたいというふうに思います。  次に、産総研の関係についてお尋ねをしたいわけであります。  なぜ産総研が今回非公務員型かというお話は先ほどもされたようであります。いろいろ私はあったと。いろいろ、説明された理由以外の方が多い、いろんな理由があったというふうに思いますが、今回、その先鞭を着けて非公務員型を選択されたということは非常に私は評価をしているつもりでございます。  それは、十三年にスタートして、もう十三年の例えば評価委員会でもう非公務員型へ行けと言っているわけですから、そんなもう初年度から言っているなら最初から行けというような話もいろいろある。それは分かりますけれども、そこのところはまあいろいろあったんでしょうというふうに思います。  その上で、ちょっとお尋ねをしたいんですけれども、この中でも当初、やっぱり非公務員型で行きたいと。いわゆる選択肢の中に、計量の標準業務あるいは地質調査業務など、極めて公的な性格が強い、しかも国内外の要請が非常に高いと、こういう業務について支障を来しはしないのかというのが一つの理由になっていたわけですけれども、今回の非公務員型への移行によってこういう極めて公的性格の強い業務に影響はないというふうに理解してよろしいでしょうか。
  49. 小川洋

    政府参考人小川洋君) お答え申し上げます。  御指摘いただきました計量標準業務あるいは地質業務といったその業務の停滞が国民生活あるいは社会経済の安定に深くかかわると、そういったことで特定独立行政法人にスタートのときはなったわけでございますが、新しく十六の機関を統合いたしまして、その全体のマネジメントをやっていく中でいろんな整備、体制整備をしてきてございます。  具体的には、十三年四月の独立行政法人になってから以降、担当職員の事故や病気などの事態で当該業務に停滞が生じないように、その勤務経験がある人間をプールいたしまして、管理職を含めたサポート体制といったものを整備してございます。また、担当者以外でも業務を円滑に行えるようなマニュアルの整備、研修といったものをやってきてございます。それから、そういった業務は計画的に、年次計画をうまく作ってならしてやっていくと、そういった工夫もこの三年間の間やってきたわけです。それで体制を整えてきたということで御理解いただきたいと思います。  そういうことで、今回非公務員型に移行いたしましてからも適切な実施体制というものが確保できるということでございますので、着実にその業務実施できますように、今申し上げました体制、整備しました体制を活用いたしまして問題がないようにしていきたいというふうに考えてございます。
  50. 藤原正司

    ○藤原正司君 今の御答弁は、非公務員型に移行しても業務に支障が生じないように事前にこれまで準備をしてきた、組織の在り方、運営の在り方について準備をしてきたと、こういうふうに理解をしておきたいと思いますし、それはまた極めて公的性格が強いんだからといういろんな声に対しても、いや、だからそれは公務員でなければ駄目なんですよでは駄目なんだ。いや、公務員でなくてもできるんですよという一つの今後の立証になり得るものだというふうに思っているわけでございます。  さはさりながら、ここに働く人は国家公務員として労働契約をされたわけでございます。民間の場合、いろんな出向とか転籍とかいろんなシステムがあるわけで、出向の場合は籍を残したまま一時別の会社で働いてまた帰るというのがありますし、まあ転籍の場合はもう退職金まで清算してしまって完全に退職して再就職、こういう形になる。  今度の場合は、例えば共済年金などをそのまま継続されるようなのでどれにも該当しない、民間の中にちょっと該当しない部分があるわけですが、いずれにしても公務員で労働契約をされた方が非公務員になるということについては、これはいろんな時代要請とは別に、個々に働く人にとっては大変重要な問題ではないかというふうに思うわけでありますが、この点について、身分保障の問題あるいはそこに働く人の意見といいますか同意、理解というものをどのように得ながら進めていくのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  51. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) 産総研は今、非公務員型への移行に当たりまして、先生御指摘のとおり、これまで、地方も含めまして今まで二十九回の職員への説明会を合計二千六百名の方々が参加していただいております。それから、二回の研究組織の長による会議も開催いたしまして、さらにはメール等でもその質問にお答えして回答をホームページで全職員に通知をするということで、努力を最大限行っているところでございます。非公務員型に移行しました場合の身分保障等の労働条件につきましても、このような場を通じまして職員との意見交換等を行ってきております。  今後とも、この産総研におきましては、それこそ大事なことですが、まずは職員の皆様への説明に意を尽くすと、そして職員から提出されました意見も踏まえて、どうすれば個々の職員が働きやすい環境になっていくか、そのようなことも鋭意また検討、努力してまいるということで進めさせていただいているところでございます。
  52. 藤原正司

    ○藤原正司君 ということは、まだ法律は通ってないわけですけれども、少なくともそれに対する準備行為として、これまでのところは職場の中でスムーズに理解活動が進められているというふうに理解してよろしいですか。
  53. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) ええ、御指摘のとおりでございます。
  54. 藤原正司

    ○藤原正司君 次に、全体を所管される総務省の方にお聞きをしたいわけでございます。  非公務員型のいわゆる独法につきましては、一つは、この通則法第二条二項の中にこういうことを言っているわけでございます。「その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して、その役員及び職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められるものとして個別法で定めるもの」。それからさらに、平成十五年の八月の閣議決定、これは中期目標期間終了時における独法の組織・業務全般の見直しについてと。この中では、この特定独法について、その業務を国家公務員の身分を有しない者が行う場合にはどのような問題が生じるのかを具体的かつ明確にできない場合、当該法人を特定独法以外の独法とする。すなわち、公務員型で残ろうとする場合は、物の考え方としては非公務員型がベースであって、公務員型として今後独立行政法人が残ろうとする場合はきちっとその、何といいますか、挙証責任といいますか、それがなければもう駄目なんですよと、それがなければ非公務員型なんですよと、これほどきっちり言っているわけでございます。  こういう中で、まず質問したいのは、現在、経済産業省所管分だけではなく、他省庁所管分も含めて、いわゆる産総研のように独立行政法人である研究機関の数、そのうち公務員型、非公務員型の内訳、今後の非公務員型への移行予定、これについてお尋ねしたい。
  55. 田村政志

    政府参考人田村政志君) お答えいたします。  平成十六年四月一日現在で設立されている独立行政法人百五法人のうち、法人の主要な業務として研究業務を行っている法人は三十八法人でございます。そのうち役職員に国家公務員の身分を与える法人は三十法人、三十でございます。国家公務員の身分を与えない法人は八法人となっております。  また、今後、国家公務員の身分を与える法人から国家公務員の身分を与えない法人へと移行することが現在予定されている法人数は現段階ではございませんが、各独立行政法人は今後、中期目標期間終了時に組織・業務全般の見直しを行うこととされておりまして、その結果、国家公務員の身分を与えない法人へ移行する法人もあり得るものと考えております。
  56. 藤原正司

    ○藤原正司君 平成十一年にこの通常国会で中央省庁等改革関連法案、これを委員会で衆参とも審議している中に附帯決議がされているわけでして、この附帯決議の中でも、特定独法以外の独法といいますか、要は非公務員型独立行政法人化に向けて努力をすることという附帯意見が付いているわけでありますし、先ほどの閣議決定の内容を見てもベースは非公務員型なんですよ。どうしても、どうしても公務員型でなければやれないと、いや、そうじゃなく、非公務員型でやったらこんな問題が起きますよと、だから公務員型でやるというもの以外は、あるいはそれがきちっと立証されない限りは非公務員型なんですというのが基本的な流れなんです。  そのことに対して、今、先ほど言われました研究関係の独法三十八の中で非公務員型というのは二けたも行っていないと、こういう状況で、しかも今後の計画も今のところはないと、こういう状況でありますけれども、改めてこの方向と現在の進捗状況についてどういうふうに思っておられるのか、お考えを総務省にお聞きしたい。
  57. 田村政志

    政府参考人田村政志君) 独立行政法人の組織・業務について必要な見直しを行っていく上では、独立行政法人評価委員会によるまず評価が非常に重要だと考えております。  現在、例えば経済産業省独立行政法人評価委員会では、産業技術総合研究所について専門的な……
  58. 藤原正司

    ○藤原正司君 いいところはいいんですよ、悪いところの話をしているんです。
  59. 田村政志

    政府参考人田村政志君) そういう各府省の独立行政法人評価委員会でその業務内容について毎年度見直し、さらに中期目標期間において更にこれを抜本的に見直すということになっております。  さらに、私ども総務省の政策評価独立行政法人委員会におきましても、その状況を踏まえまして、業務の見直し、特に中期目標期間終了時には主要な事務事業の改廃について主務大臣に必要ならば勧告をすることができるということになっております。その勧告をする際の検討項目として、中期目標期間が終了する独立行政法人の事務事業の見直しについて検討を行う際に、各業務を国家公務員が担う必要性があるかどうかといった視点からも検討を行うということで、その検討の視点を明確にしておりますし、先ほど来、御指摘あります閣議決定方向にも沿いまして、今後適正に評価を行っていきたいというふうに考えております。
  60. 藤原正司

    ○藤原正司君 経済産業省の独法評価委員会、この文書というのは、私はけだし名文というんですか、ずばりと言っているなと思うんです。  すなわち、非公務員型に移行しても求められる公的な性格は変わりません、業務の公的性格と職員の公務員身分が必ずしも一致する必要はありません、期待される役割を果たす上で、いかに適切に業務実施し得る組織、体制を構築するかが求められている、公務員身分の適否はこうした観点から論じられるべきである、これは非常に私は名文だと。  要は、公的性格の業務はこの日本、広い日本の中で公務員だけがやっているわけじゃない、民間だってやっているんで、公的な性格のものを公務員でなければできないというのはこれはもう違うんですよということをずばりと、こう言っているわけです。  しかも、いろいろ見せていただきますと、省庁によっては相当その研究機関が多い。二けた以上あるもの。それは、それぞれ目的別に仕分ければそれは幾らでも分けられるでしょうけれども、なぜそれだけ分けなければならないのか。そのことによって研究が重複をしたり、あるいは管理部門が重複をしたり、そういう無駄みたいなものが出てきてはいないのかというようなことを十分検討していく必要がある。そして、その中に非公務員型の問題も当然入れて検討していく必要があるというふうに思うわけであります。  何度も言うように、それはこの独法の研究機関が民間のような研究機関になってくれと、イコールになれと言っているんじゃなくて、公的な性格を持ちながらもそれはできるんだということを言っているわけでして、そういう意味から見ても、私は、この経済産業省が今回産総研を非公務員型へと踏み出されたというのは、非常に何というか、先鞭を着ける、国全体のこういう研究機関の独法の在り方について先鞭を着ける意味で大変大きな意味があると思いますし、ここがうまくいくかどうかということも、これは大変、後々に大きな影響があるというふうに思いますし、これ先鞭を着けられた経済産業省責任者として、全体として今後どういう方向に、これは単に経済産業省だけではなくて、政府内においてどういう方向にこの流れを持っていこうとされるのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  61. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、委員から大変現時点でのお褒めをいただきましたが、これが最終的にお褒めをいただけるように努力をしていかなければいけないというふうに思っております。  小泉総理も言っておられますように、官から民へ、あるいは国から地方へという中でやっぱり、もちろん国がやらなければいけない仕事はあると思いますけれども、民間がやった方がよりスピード感を持って、緊張感を持ってやれる仕事というものは、どんどんどんどん民間あるいは民間と官とが協力をしてやっていくということが必要なんだろうというふうに思っております。  そういう意味で、今回のこの産総研の問題につきましても、それから、それ以外にも実はいろいろと今、省内でも検討をしておりますけれども、民がやった方が、あるいは民と協力をしてやった方がいいというふうに判断できるものについては、大いにその成果を上げるべく、これは目的達成をするために我々やっていきたいわけでございますから、その目的の達成のためにやれるべきところは大いにやっていきたいと思いますし、正に議院内閣制においてその辺をこの参議院あるいは国会でチェックをしていただければ有り難いなというふうに思っております。
  62. 藤原正司

    ○藤原正司君 次に、鉱山保安法関係でお尋ねをしたいと思うわけですが、一昨日も経済産業省の方にお聞きしますと、私自身も現場へ行ったことあるんですけれども、我が国の石炭の坑内掘りはもう釧路コールマイン、昔の太平洋炭鉱だったと思いますが、そこだけで、しかもそれは研修という名目で一時的にというか、暫定的に掘られていると。その意味では、かつての石炭王国の我が国がいよいよ最後来たのかなと、そういう寂しい思いもするわけでありますが、こういう中にあっても我が国の石炭消費というのは着実に増えておりますし、二〇一〇年の見通し見ても一九%ぐらいが一次エネルギーに占める石炭依存ということになっているようでありますけれども、まず、この我が国のエネルギー政策における石炭、石炭政策というものについて基本的なお考えをお聞きしたいと思います。
  63. 塚本修

    政府参考人塚本修君) お答えいたします。  昨年の十月に閣議決定していただきましたエネルギー基本計画にあるとおり、石炭は可採埋蔵量が二百年以上あり、先進国にも幅広く分布する等、他の化石エネルギーに比べ供給安定性が高く、経済性に優れております。二〇〇一年度の需給実績においては我が国の一次エネルギー供給の一九%を占め、エネルギー源の多様化、他のエネルギー調達上の交渉力確保の観点からも、今後とも重要なエネルギー源の一つであると認識しております。  しかしながら、他の化石燃料に比べ、燃焼時におきまして地球温暖化の原因となる二酸化炭素を多く排出するため、環境適合した石炭利用技術、いわゆるクリーンコールテクノロジーの開発普及を進めることにより環境負荷の抑制を図ることが重要な政策課題だと認識しております。
  64. 藤原正司

    ○藤原正司君 つまり、石炭はエネルギー源としては安い、しかもたくさん埋蔵量があると。しかも、割合産出国が世界に分散していて、かつ政情的にも比較的安定している。だから、安定的にエネルギー源を調達するという意味においては、石炭というのは誠に結構。しかし、石炭というのは、残念ながら燃焼によって炭酸ガスをたくさん出すと。ここが問題なんだと。  我が国のエネルギー政策というのは、そういう様々なエネルギー源の長所短所を組み合わせながら、トータルとしていかに安定供給とか環境保全に適合していくかと、こういうことだと思うんです。ということは、問題は、今言われたのは、そういう唯一石炭の持つ弱点である環境問題ですね。CO2問題というものを克服しながら、なお我が国の基幹エネルギーといいますか、として石炭というものは重視をしていくと、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  65. 塚本修

    政府参考人塚本修君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、まさしく石炭の、重要なエネルギーである石炭につきましては、環境適合する形での利用というのが極めて重要であろうかと思います。そういう意味で、クリーンコールテクノロジーの開発によってその環境負荷を軽減していくと、そういう形での環境適合した形の利用というのが大変重要であろうというふうに認識しております。
  66. 藤原正司

    ○藤原正司君 そこで問題は、この石炭の唯一の短所である環境、特にCO2問題に対してどういう対応をしていくかという中で、クリーンコールテクノロジーという言葉が出てきていると。  お聞きすると、資源エネルギー庁の石炭課長の下にも私的研究会というのが置かれて、クリーン・コール・サイクル研究会というのが置かれて、六月にもそういうレポートをまとめられるようでありますが、この唯一の弱点であるCO2対策環境負荷低減というこの観点から、例えば鉄鋼分野におきます次世代コークス炉あるいはCO2の固定化技術あるいは電力におけるIGCC、これは石炭ガス化複合発電というやり方ですが、こういうクリーンコールテクノロジーの研究開発というのが進められているわけですけれども、我が国としていわゆるCCTといいますか、CCTの取組状況というのは一体どういう状況にあるのかということと、このCCTによって今後どれだけCO2が削減できるのか、排出が削減できるのか、この点についてお考えをお聞きしたい、お伺いしたい。
  67. 塚本修

    政府参考人塚本修君) お答え申し上げます。  先生御質問のクリーンコールテクノロジーの開発普及の状況でございますけれども、IGCCの開発や先生御指摘の非常に省エネルギー効果の高い次世代エネルギーコークス炉の開発、それから二酸化炭素の固定化技術の開発等を現在推進しているところでございます。  特に、IGCCにつきましては、既存の石炭火力発電所と比べ約二割のCO2削減効果が見込まれ、平成十一年度から福島県いわき市の勿来発電所において実証研究が行われているところでございます。また、次世代コークス炉の開発につきましては、約二割の省エネルギー効果ということで、平成六年度から研究開発を実施しておりましたけれども、今年度で終了予定でございます。また、二酸化炭素固定化技術は海洋固定、それから地中の帯水層や石炭層への固定化技術開発に現在取り組んでいるところでございます。  先生御質問のこれらの取組も踏まえまして、どの程度のCO2の削減効果が将来見込めるかということでございます。これはなかなか見通しというのは、経済性の評価等ございますけれども、一定の仮定を置いて試算をしてみますと、電力及び鉄鋼部分にIGCC、それから先ほどの次世代コークス炉の開発、成果等を導入すると、そういうことで、二〇三〇年でございますけれども、最大で炭素換算で約四百万トンの二酸化炭素の排出量削減も可能ではないかというふうに見込んでおります。これは例えば二〇〇一年のエネルギー起源二酸化炭素排出量約三億七百万トンございますけれども、これの約一・三%に相当するようなレベルではないかと思っております。  以上でございます。
  68. 藤原正司

    ○藤原正司君 かなり大きい数字ですよね、うまくいけばという前提でしょうけれども。  我が国の石炭消費のうち、鉄鋼と電力が大体四〇%ずつ使っているということですから、ここのところでどれだけ削減を図ることができるか、これが非常に大きなポイントだというふうに思いますし、今後とも強力に推進をしていただければというふうに思うわけであります。  次に、この石炭の中で、先ほども太平洋炭鉱、今名前が変わって釧路コールマインですか、大臣の選挙区のちょっと外れの方にありますけれども、私もそこへ三年ほど前にお邪魔したことがあるわけでありますけれども、我が国の場合はもう残念ながら、我が国が坑内掘りで石炭を取ったとしても、これはもう海外炭との競争はまず不可能である、不可能というのは厳しいかも分かりませんが、大変難しいと。今、一般炭あるいは原料炭とも中国を始めとする東南アジアの需要が相当膨らんできて値段も上がってはいますけれども、やっぱり国内炭と海外炭では三倍ぐらいの開きが出てくる。こういう中で国内の石炭を掘って、これを産業に使うというのは経済的になかなか難しいものがある。  しかし、一方で、我が国のこの坑内掘りの技術でありますとか鉱山保安の技術、これはすばらしいものがあるわけでして、現在釧路のこのコールマインの中でも海外研修などを受け入れながら我が国の技術をいかに伝達をしていくかと、こういうことを今やられているわけですね。  で、この資料を見ますと、やっぱり世界の石炭需要を見ますとやっぱり東南アジアが非常に大きいわけでして、しかも今後東南アジアを中心として経済発展が進むとここで石炭消費が飛躍的に増えてくる。こういうことを考えますと、我が国のエネルギーの安全保障という面、あるいは我が国の技術的貢献と国際貢献という面から見ても、炭鉱開発あるいは技術的な付与といいますか、こういう点で我が国は相当力が発揮できるんではないか。  例えば、この前あった長崎のあれは池島炭鉱ですとか、釧路の炭鉱でも相当レベルの、技術レベルの高い人がたくさんおられるし設備もあると。そういうものを海外にどれだけ持っていって貢献できるかというのは極めて大事なことだというふうに思うわけでありますが、この点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  69. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) この場でも前にも申し上げましたが、二〇三〇年を目指して日本の総合エネルギーの一つの方針を出したいというふうに申し上げましたが、今委員指摘のように、資源としてあるものをコスト面あるいは環境面だけでもう全部切り捨ててしまうということは、私は果たしていかがなものかなというふうに思っております。ひょっとしたら技術革新が進んで、これが非常に環境に優しいとか、あるいは低コストで確保できるということに、言葉が適切じゃないかもしれませんけれども大化けする可能性もある、そこが正に人類の英知、技術革新だろうと思っております。  そういう意味で、今委員から私の旧選挙区の釧路の石炭のお話を取り上げていただきましたが、本当にこの石炭というのは世界的に見ても資源としては非常に量の多いものでございますから、これは単にコストベース、環境ベースだけでもう駄目だよということでばっさり切り捨ててしまっていいのかなと。もちろん環境面、コスト面には十分配慮しなければいけないということは大前提でございますけれども、しかし、だからといってもうさようならということにはいかない。正にそこに技術力、いろんなノウハウ、知的なエネルギーというものを投資をしてやっていく必要があるんだろうと思いますので、委員の御指摘の御趣旨は私も全く同感でございます。
  70. 藤原正司

    ○藤原正司君 私は北海道の炭鉱がどうのこうのということでなくて、経済的には大変厳しいんだけれども、その採炭技術とか保安技術というのはずば抜けて高いものがある、これを国際貢献という場で我が国が技術移転をしていく、その一つの場所がコールマインかもしれませんし、あるいは現地へ赴いての指導という問題もあるかもしれません。さらに、採鉱といいますか、そのための支援とか様々な技術とノウハウを持っている我が国がこれを海外へ展開していくこと、あるいは海外に貢献していくことによって、それは純粋な貢献という問題もあるし、我が国の石炭の安定確保という意味にも大変つながっていくと。そういう観点から我が国の石炭、石炭技術というのは見られていくべきではないかというふうに申し上げましたわけで、是非その技術が今後とも日本の中でも灯が消えることがないことを私は祈っておるところでございます。  以上で私の質問を終わらせていただきます。
  71. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分に再開することとし、休憩をいたします。    午前十一時四十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  72. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、本田良一君が委員辞任され、その補欠として伊藤基隆君が選任されました。     ─────────────
  73. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 休憩前に引き続き、工業標準化法の一部を改正する法律案独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  74. 広野ただし

    広野ただし君 民主党・新緑風会の広野ただしです。午前中に続きまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず、工業標準化法関係でありますけれども、戦後日本の工業発展、産業の発展、あるいは日本の経済全体の発展のためにこのJIS、あるいは工業標準化法の果たした役割というのは非常に大きなものがあると思います。貿易立国ということで、海外に出します場合も、従来日本は非常に品質の悪いものであったけれども、それを非常に立派なものにして、全世界に通ずるような現在の自動車産業あるいは電気機械産業あるいは機械産業というようなものをきちっと品質のすばらしいものに持ってきたということに、この標準化法の果たした役割というのは非常に大きいものがあるとは思うわけですが、今度改正をされて新しいJIS制度というか新しいJISマークというものが入ってくると、こういうことのようであります。  JISマークというのは、それなりに消費者も含めて国民の皆さんにも非常になじみの深いものに現在なっておると思うわけでありますけれども、新しいJISマークというのがまた何か制定をされて、ロゴマークというんですか、このJISを変えたものに何かいろんなものがくっ付くのかどうか分かりませんけれども、余り大変更になると、せっかく品質についての培ってきた国民の信頼というものを根底から崩すようなことにもなりかねないわけでありまして、そこはこのロゴマークにある意味では象徴的に表れるんではないかと、こう思うわけで、余り従来のものと関係ないような新しいJISマークと、ロゴマークということになると、これはやはり問題なんではないかと、こう思いますけれども、その点について伺いたいと思います。
  75. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 認証の主体が国から民間機関に移るわけでありますので、新しいJISマークを作ると、こういうことになっておりますけれども、今委員がおっしゃられましたように、五十年にわたって国民の皆さんに慣れ親しんで、そしてまた信頼感の象徴のようなものでありますから、そういうものを、継続性というものを大事にした形で新しいものと、こういうふうに考えておりますので、委員の言われるような方向になると思っています。
  76. 広野ただし

    広野ただし君 それでは、国民の皆さんがだれが見ても、ああ、これは従来のJIS一つの新しいものにはなったけれども、ちゃんと品質を保証する、信頼できるものだと思われるようなものにはちゃんとなるということでございますね。そのことを確認をまずさせていただきたいと思います。
  77. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) おっしゃるとおりであります。
  78. 広野ただし

    広野ただし君 続きまして、今度は、今までは代行機関ですか、が限られておったわけですが、今までは六つですか、認証機関が。それが今度登録制度ということになりますから、登録認証機関あるいは登録試験事業者というんですか、これがかなり出てくる、こういうことになろうかと思いますが、おおよそ、今まではこの指定機関、認証機関が幾つですか、六つですか、それと外国に四つと、こういうことだったようでありますが、それとまた登録試験事業者というのが、これどれくらいあったのか、九つぐらいあったんですか、よく、そこのところは正確ではありませんけれども、全体的におおよそ、登録してみないと分かりませんけれども、どれくらいの規模を想定あるいは予測しておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  79. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 新制度におけるこうした登録認証機関や試験事業者の候補者となり得べく人たちに説明をし、今、積極的に情報の提供を行っておるところでありますけれども、昨年の末の時点で登録認証機関、これは現在六でありますけれども、約五十ぐらい、そしてまた登録試験事業者、現在七十九でありますけれども、これがプラス四十ぐらいの事業者登録を希望している、そういうふうに理解をしております。  いずれにしろ、新制度の円滑な実施のためにこうした候補者の人たちにしっかりと説明をし、情報開示をしながら、この制度がスムーズにいくように努めていきたいと思っています。
  80. 広野ただし

    広野ただし君 そういう意味では、フリー、フェア、オープンというか、非常に広がって、互いにまた競い合いをしてJIS制度あるいはJNLAですか、そういうものの普及に寄与するということだと思いますが。  その中で特にメーカー、製造業者の検査部門、ここも非常にしっかりしているわけですけれども、そういうところもJIS認証機関登録をしてくると、こういうことになると、例えば、固有名詞を出して申し訳ありませんが、トヨタさんならトヨタさんの検査部門というところがもし登録をしてくるということになりますと、ある意味でトヨタ規格をやっていって、納入業者はそちらの方がまず何でも買ってもらえるわけですから、それはJIS制度と違った別の制度を設けるということだってあり得るわけで、かえってある意味ではJIS制度の根幹を揺るがすようなことにもなりかねないと思うわけですが、メーカーの登録ができるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  81. 泉信也

    ○副大臣泉信也君) 認証機関の公平性あるいは信頼性を損なうというのは、この仕組みの根幹を揺るがすわけでございますので、委員指摘の部分については法律上も担保をしておるところでございます。二十七条の第一項において、認証を受ける事業者が親会社であってはならない、あるいは登録認証機関の役員の過半数が認証を受ける事業者の役職員であってはならない、あるいは認証機関の代表権を持つ役員が認証を受ける事業者の役職員でないことが基準に具体的に書かれておるわけでございます。  したがって、今御指摘のありましたような製造業者の検査部門が自ら製造する部品、製品に係る認証を行う、あるいは子会社がその親会社の製品に関する認証機関になるということは、法的にも認められていない、公正性を保つ仕組みを担保しておるところでございます。
  82. 広野ただし

    広野ただし君 非常に幅広く自由化されて登録をするということではいいわけですが、例えばそういうところのOBなんかが辞めて会社を作る、そしてそういうところが陰に陽につながりながら、元いたメーカーとつながりながらやっていくということだってあるわけで、それがJIS制度に乗っかったことをやってくれればいいですけれども、それぞれ固有の企業さんの社内規格的なもの、あるいはそういうものをどんどん広げていかれると、これは本当にある意味で、JIS制度というものが国全体あるいは世界との連携を取ってやっていこうとするときに、それぞれの企業さんの社内規格的なものが幅を利かすというようなことになって誠におかしなことになるんではないかと、こう思いますんで、そこのところは厳正にやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  83. 泉信也

    ○副大臣泉信也君) 御指摘のとおりでございまして、二十八条では、登録を、三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければならない、こういう規定もございまして、万が一にもそういうあり得ないことが起きた場合には更新を認めないということで担保をしていきたいと思います。
  84. 広野ただし

    広野ただし君 それと、現在、世界的にグローバリゼーションといいますか、国境なりそういうものが低くなって垣根のない世界になってきている。ですから、工業規格、標準規格についてもISOということで国際規格というものが出てきて、それが例えばISOの9000番だとか14000番だと、こういうところになると環境ということで、今そういうISO9000番あるいは14000番を取ると企業イメージが良くなるということで盛んにそちらの方へたくさんの企業さんがその取得のために汗をかいておられるという状況にあるわけですが、一方でまた、日本固有のものといいますか、日本の伝統文化というか、これだけ近代工業社会になりますとやっぱり日本にとって自分たちがしっかり持っていなきゃいけないものというものはそれぞれ独自にあると思うんですね。  それがあの鯨尺ということで、これは計量法のときに永六輔さんが非常に主張された問題なんですけれども、近代工業化あるいは産業の近代化はいいけれども、日本の固有の文化、畳ですとかあるいは住宅ですとか庭、こういうようなものについての、庭造りとかいいますか、そういうものについてはしっかりとした日本従来の尺度というものがあるではないかと、こういうことなんですね。  ですから、そういう観点で、世界がグローバリゼーション化していく、ですから画一的な均一的なものというものを求めるのは一方で大きな、大事なことだと思うんですね。だけれども、固有な日本のものも持たなきゃいけない。この点はどういうふうに、大臣考えられますか。
  85. 泉信也

    ○副大臣泉信也君) グローバリゼーションが進む中で、日本固有の文化あるいは作品を守っていくということとは、ある意味では矛盾をするというところがないわけではございません。  しかし、このような状況の中でも、いわゆるTBT協定においては基準の国際整合化を一層進めていくということが求められておるわけでありまして、我が国としましてもJISの策定に当たっては、国際規格が存在する場合、国際規格との整合を図っていく、これは今、グローバリゼーションに対応する方法であります。しかし、一方でまた、その国の気象でありますとか地理的な要因等によって、基本的な技術上の問題等の理由によって、適当でない場合はその国の基準を用いてもいいということも併せて認められておるわけであります。  したがって、例えば住宅用のキッチンの設備、寸法というようなものにつきましては、例えば日本人の体格に合わせたものを国際規格に反映をさせておるということも具体的にあったわけでございまして、御指摘のような国際化ということを進めながら我が国の本来の文化を守るという努力は併せてやっていかなければならないと思っております。
  86. 広野ただし

    広野ただし君 大臣は特にJASのことでいろいろと考えられたということでございますんで、今、泉副大臣がおっしゃられた日本の独自のものも念頭に入れての標準制度ということについてどのように考えておられるか、伺います。
  87. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) このJIS、それからJASは、昭和二十年代、いわゆる粗悪品防止というところが多分この法律のスタートにあったんだろうと思います。ですから、先ほど申し上げたように、安全性の問題でありますとかいろいろあったんですけれども、しかし、この御時世にマカロニの穴が空いていて直径何ミリみたいな、これを法律まで決める必要があるのかなという素朴な疑問からJAS法改正に取り組んだわけでありますけれども、今求められているJIS法JAS法は、やっぱり高品質のものに対してのある意味では、何といいましょうか、ブランド作り、ブランドを国として認証していく。たくみの世界といいましょうか、これはもう日本の伝統技術、先端技術、伝統技術、伝統工芸というものなんですよということをある意味では日本として、まあ政府といいましょうか、JISの世界でお墨付きを付けて差し上げるということなんだろうと思います。  したがって、そこに、例えばWTO上のTBT協定でありますとかいろんな、どこの国でも、例えばフランスなんかでよく我々耳にするのは、ワインなんというのは十一月の第三木曜日にならないと新しいワインは売ってはいけませんよなんというワイン法、これは何なんだと言いたいところでありますけれども、これもやっぱりフランスの文化なんだろうと思いますから、そういうその技術、技能、そして文化、この辺をどういうふうに整合性を持っていくかということが今後世界の、一方では自由貿易という世界の中で、しかし、それぞれの国の歴史、文化をどういうふうに守っていくかというときに、これから非常にある意味では衝突が起きるのかもしれないと思いますけれども、しかし、日本には日本の良さ、たくみの世界、そして先端技術、こういうものを守っていくためにどういうふうにしていったらいいかという観点から、日本のいい製品、いい技術を守っていくというためにこういうものが、新しい形の認定機関制度改正も含めまして日本としても何がプラスになっていくのかということを十分、これは単に法技術的な問題だけではなくて、日本の良さというものを世界に分かってもらうというために大いに活用していきたいという趣旨も込めて、この法律というものを御審議いただきたいというふうに考えております。
  88. 広野ただし

    広野ただし君 今大臣おっしゃられたように、JISの運用に当たっても是非グローバリゼーションの観点と日本独自のものというものを、守るべきは守る、そして世界的な標準に合わせていくものは合わせていくという観点で運用いただきたいと、こう思います。  それと、ところで、政府が調達をするものについて、あるいは建築物、あるいはいろんな資材等々において、やはりJISマーク、あるいはJNLAですか、そういうものについての普及を図る意味でもしっかりと、調達コードといいますか、そういう要件にそういうものを入れていくということが非常に大切だと思いますが、国土交通省、どのように考えておられるか、お答えいただきます。
  89. 鶴保庸介

    大臣政務官鶴保庸介君) 委員指摘のとおり、国土交通省といたしましても積極的にJIS規格製品を採用しておるところでございまして、直轄工事におきましては、工事の請負契約におきまして工事材料の品質を中程度のものと規定し、JIS規格適合したもの又はこれと同等以上の品質を有するものを使用することとしておるところでございます。また、そのJIS規格製品を具体化するものとしまして、土木工事共通仕様書にJIS製品の記載を行っております。なお、JIS製品以外を使用する場合には品質試験を義務付けて評価を行うこととしており、JIS製品の使用を基本といたしております。
  90. 広野ただし

    広野ただし君 時々、この調達に当たって、設計者のいろんな嗜好といいますか趣味でいろんなことをやって、JIS制度に乗っかったものを調達すれば安く調達できるのに特別仕様のものを設計をしてみて、それで調達をするというようなことになりますと、これは思わぬ高いものになったりするわけで、そのところは厳重にひとつまたJIS制度普及にも、大いに考えてやっていただきたいと思います。  それと、厚生労働省に伺いますが、現在、医療ミスということが医療機関等でよく起こると。これは人間のやることですから、いろんな形で医療ミスというのは起こってくると思うわけです。だけれども、余りにも初歩的な、例えば近代工業社会あるいは自動車メーカーとかそういうところでやっていますと、何万点もある部品をきちっと合わせてすばらしい品質のものを出していくということになっているんですね。それが病院では、この薬とこの薬を間違った、また処方せんとこれとが間違ったという、いろんな初歩的なミスとも言うべきことが一杯起こっている。ですから、医療機関において、マニュアルというかあるいは作業工程の標準化というか、いろんなことを、JISの精神を入れたことをやっていけば医療ミスというのはかなり防げるんではないかと、こう思いますが、厚生労働省、お願いします。
  91. 竹本直一

    大臣政務官(竹本直一君) 先生御指摘のとおり、医療ミスというのは、大きい、深刻な問題でございますが、JISとかJASの精神を取り入れて、元々、その品質の均質化と、あるいはプロセスの効率化、それによる社会の信頼感の醸成と、こういったいい効果があるわけでございますので、そういった同じ精神でこの医療分野にも取り組んでみたいと思っておりますし、現実にいろいろ工夫をいたしております。  医療機関における標準化の問題ということでは、医療機関の施設や安全対策等の評価、それから、認定を行います第三者機関で日本医療機能評価機構というのがございますが、これによる標準化作業を行っておりますし、またISO9001による認定に代表されますような医療施設機能の標準化も行っております。  また、具体的な治療計画書の作成に当たりまして、クリティカルパスに代表されますような医療の過程の標準化、プロセスを標準化いたしまして、何日目に退院できるとか、こういったことまで具体的にスケジュールを明示しまして患者に安心感を抱かせると、このようなことをやっております。さらに、EBMと称しまして、科学的根拠に基づく医療でございますけれども、これによる治療方法の標準化、先ほど申し上げたと同じような考え方に基づいて標準化を図っております。それから、医療機器における品質の標準化、これも当然のことながらやっておるわけでございますが、ただ、対象が人体という千差万別であり、またその反応も千差万別であることを考えますと、JISを図るといってもなかなか難しい問題があるのも現実でございます。  そこで、厚生労働省といたしましては、昨年十二月に「厚生労働大臣医療事故対策緊急アピール」というものを公表いたしておりますが、この中において、外部機関による評価の受審をもっと促進するとか、あるいは今申し上げましたEBMの確立の推進と、こういったところを強く訴えておりまして、先生御指摘のとおりJISあるいはJASの精神をこの医療分野にも可能な限り取り入れていこうと、こういうことで努力をいたしておる次第でございます。
  92. 広野ただし

    広野ただし君 正に人間の命を扱うわけですから、そう簡単な話ではないと思っております。だけれども、市町村役場でも最近は、環境問題に絡んでISOの9000番とか14000番を入れるということをやっているわけですね。ですから、全部が全部そうしろということではないんで、初歩的なミスが、エラーが出ないようなことについては、効果があると思えば大いにそういうものを入れていただきたいと、こう思います。  それでは、産総研の方に移らしていただきたいと思います。どうぞ、国土交通省、それと厚生労働省、退席いただいて結構です。  この産総研関係でありますけれども、今日は四月の一日、年度替わりのときで、新しい、新入所者といいますか、そういう方々も入ってきておられて、大変そういう中で誠に申し訳なかったんですが、産総研の理事長さんにもお出ましをいただいております。  そういう中で、私は、産総研、元々国立研究機関を独立行政法人にし、非公務員型にするというところでありますが、ここのところで、国立研究機関はある意味で基礎研究というものに非常にウエートを置いてやってきていたということがあろうと思います。もちろん、経済産業省の中でありますから、経済の発展のためにいかに貢献をするかという観点もあったと思います。しかし、昨年もこの場にノーベル賞をいただいた小柴先生なんかにも来ていただいて、いろんな話を聞かしていただきましたが、やはり基礎研究の重要さ、特に創造性豊かなものをやっていくには特にその基礎的なことがしっかりと分かっていないと花開くものも花開かないと、こういうお話をやっぱりしておられるわけで、そういう中で、産総研における基礎研究の在り方ということについて吉川理事長にお伺いしたいと思います。
  93. 吉川弘之

    参考人吉川弘之君) 御質問の産業技術総合研究所におきます基礎研究のお話でございますけれども、産業技術総合研究所は、公的な研究機関として広く社会の人々の期待にこたえる、科学技術の研究の能力をもってこたえるという、そういう立場で研究を続けているわけです。  人々の期待と申しますのは、安全で安心できる豊かな国民生活を実現することであり、また新規産業の創出あるいは雇用の創出、国際競争力の強化といった様々な問題点があると理解しております。このようなことにこたえよということでありますけれども、特に産業の力を強くするということは当研究所として非常に重要な観点なのであります。  どういう産業がこれから出るべきなのか、考えますと、これは、ただ単に産業競争力が強くなればいいというだけではなくて、現在、地球的な、あるいは人類として受けております大変重大な問題、これは南北問題もありますし環境問題もありますし、さらには、様々な新しい、人類にとって問題になるようなことが起こっている。そういったものをどうやって解決するかということでありますが、これは人類としてやはり産業の力を付ける、特にその中で先進工業国としての日本は、産業の力を付けるということによって国際貢献しなければいけない、そういう立場にあるんだろうと思います。  さて、そう考えた場合、この産業というのは、従前のように従来の知識を使っていい製品を作るということだけではなく、新しい人類の課題に処すために、例えば環境問題というのを取ってみますと、これは全く今までの基礎知識では解けないような様々な問題が起こってきているわけでありまして、したがって、産業に貢献すると一口で言いますけれども、そのためには、従来にない新しい知識を創出するということを通じて新しい産業を起こす、新しい種類の産業技術を作るということが必要になると考えております。  したがって、伝統的な知識を使うというだけではなくて、新しい知識を作りながら、同時にそれを使って産業技術に貢献するということは、私どもはその非常に基礎的な、新しい知識を生み出す基礎的な研究と産業に役立つ研究を一緒にした、そういうのが一つのグループになって研究する、私どもそれを本格研究と、こう呼んでいるんですが、その本格研究を実現する、そういう研究所になりたい。そのためには、多様な仕事の種類が出てまいりますので、現在進行中の、現在考えております非公務員化というのも多様な職業を提供できる研究所となるためには非常に必要なことで、基礎研究というのがますます振興できるんではなかろうかと思っております。  現在、私どもの研究所にはノーベル賞候補者も何人かいるわけでございまして、基礎研究は決しておろそかにしないということを申し上げたいと思います。
  94. 広野ただし

    広野ただし君 正にノーベル賞なんかを取るような力量の方々がたくさんおられるというふうに私も聞いております。  そういう中で、業績評価というものは誠に難しくて、基礎研究をやっておられる人というものの評価というのは、ふだんは何しておられるのかなというような場合も、この知的活動というのは突然ひらめくわけですね、もういろいろと研究をずっとやっておられて、あるところ突然ひらめくと。  例えば、簡単な話はニュートンの力学、これはリンゴが落ちたところからひらめくということでありますから、それはもうふだん大変な苦労をしながら、あるところにそういうものがひらめくということでしょうけれども。それと、この間やはりノーベル賞を取られた田中耕一先生の場合も、あるたんぱく質の研究をしていながら何か失敗、試薬を混ぜるのを間違った、その中からまた大発明といいますか新しい発見が生まれてくるということですから、どこで線を引いたらいい、線というのはおかしいですが、ああ、これはすばらしい評価になってくるというのは、もう全く基礎研究の場合はなかなか分からないということが多々あろうかと思うんですね。  そういう中から、誠に創造性の高い研究が生まれてくると、発明、発見が生まれてくるということだろうと思いますので、この業績評価というものについてどのようにお考えか、再度吉川参考人に。
  95. 吉川弘之

    参考人吉川弘之君) 御指摘のように、基礎研究の評価というのは大変難しい面を持っておりますが、多くの基礎研究というのは、学会というのがございまして、そこに論文を出すというようなことで評価されるということになっております。したがいまして、大きな業績は、仮に十年というようなことで、十年掛かるというようなことが多々あるわけでありますけれども、そういう十年間の間でも基礎研究の成果というのは比較的評価する可能性がございます。  しかし、御指摘のように、毎年評価するといったようなことでは大変難しいんですけれども、私どもの産総研では毎年評価するということをやっております。そういったときに、私どもの評価に対する考え方は、駄目な者を罰するのではなく、むしろ評価というものを通じて本人に奮起させる、あるいは励ますというような形の評価というのを考えているわけです。したがって、仮に成果が出ないということがありましても、その人の努力が続けられているということが認められるならば、それは私たちも忍耐強く待つということになろうかと思います。  現在、評価というのは、研究の評価というのは過去に余り日本では行われていなかったんですけれども、そういった意味で、評価というのを私ども三年間産総研として実施した結果、大変、評価というものをすると研究者も元気が出るし、また私どもの研究、経営側の人間にとってもどういうふうな経営をすればいいかという大変重要な情報が得られるということで、この評価というのはますます伸ばすべきであり、そのやり方についてもきちっとした考え方を日本に定着させる責任があろうかと思っております。  基礎研究にも多々、いろんな種類がございますので、私たちとしては多様な軸、評価軸を準備しておりまして、論文で評価される場合もありますけれども、例えばそれが、ほかの研究者に対する協力をどれだけしたかとか、もちろん現実的なところでは特許を幾ら取ったかとか様々な評価軸を準備しておりまして、先ほど申し上げましたような多様な仕事が行われている産総研として、どのような仕事をしてもそれが正しくかつ益のあるものであれば正しい評価ができるようにと心掛けているつもりでございます。
  96. 広野ただし

    広野ただし君 ところで、今度公務員型が非公務員型になると。そこのところをずっと突き詰めていきますと一番何が違うんだろうかということになりますと、争議権の問題ですね。今まで公務員であれば団体交渉権とかそういうものはありますけれども争議権はない、こういうことでありますけれども、非公務員型になることによってもう争議権というものが出てくるわけです。  そういう中で、私は、やはり意思疎通がしっかりとして、あるいは研究環境というものがよく整って、また評価についての考え方なんかについても、実際一生懸命研究をしている人たち、その研究者は研究していることが楽しいんであって、争議をすることとかなんかということはおよそ余り関心がないはずなんですね。だけれども、余りにも理不尽なことが来れば必ずそれはそういうことになってしまうということだろうと思うんですね。  ですから、そういうことについて、産総研の業務運営のその根本といいますか、そういうことについてトップの御見解を伺いたいと思います。
  97. 吉川弘之

    参考人吉川弘之君) 私ども公的な機関でありまして、研究を続けるということと同時に計量基準等で産業一般にサービスをするというようなこともやっているわけで、争議によって支障、業務に支障が来すというようなことは絶対に起こしてはいけないというふうに決意している次第でございます。  同時に、今御指摘いただきましたように、経営側と研究者というのがどこまで意思疎通が図れるかと、このことが一番の根幹でありまして、御指摘のように研究者というのは評価されるとやはりうれしいわけでありますね。そういうことで私どももできるだけ現場の研究者とコンタクトする、できるだけ多い回数会って、そして研究所としての公的な性格という目的を共有するということを図ることを努力しております。  そして、現実に、私はしばしば若い研究者を含めて研究者陣と会っておりますし、昨年は一年間の間に二十四回ワークショップというのをやりまして、百人ぐらい集まるんですが、二十四回ワークショップをやりまして、この研究所の目的は一体何なのかというようなことを、その研究の分野を超えて議論するというようなことをしてまいりました。そういうことを通じて研究者たちも、自分の研究が一体何の役に立つのか、どういう使命を持っているのかということを十分認識するようにしておりますし、これと研究所が持っている使命とがどのように重なるかというようなことについて考えているわけです。  研究者は、御指摘のように、本当に研究に入ったときは自分の研究しか興味を持てませんけれども、しかし同時に、常に振り返りながら自分の研究の社会的意義を考える、そういう雰囲気を作っているわけでございまして、そういう中ですべての研究者、経営陣とともに一つの目的に進むという形で日々を送る。これが争議というようなものを回避する最高、最良の道ではないかというふうに考えている次第でございます。
  98. 広野ただし

    広野ただし君 ところで、大臣に伺いたいと思いますが、独立行政法人、これは民間考え方を大いに入れて効率、あるいは産業界、今の場合は産業界にも大いに貢献をする、そういう研究というものも大切だと。これはよく分かるんですが、効率というものを非常に突き詰めていきますと、少ない人間で大きな効果と、こんな話になるわけですけれども、私は、この研究の場合は、研究は人が命だと思うんですね。ですから、普通の独立行政法人に係る人員の削減とかそういうものについては私は、産総研の間接部門等については大いにスリム化とかそういうことはやっていかにゃいけないのかなと。しかし、研究の現場にいる人たちをスリム化をしていくということになると、この研究自身を細めるということになるんではないかということを危惧するわけでありますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
  99. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、御指名でございますので。  世界の先進国の中に世界を代表するいわゆる研究機関があるわけでありますけれども、例えばよく我々名前するのは、ドイツのマックス・プランク研究所でありますとか、それからイギリスの王立科学アカデミーみたいなところとか、アメリカにもNIH等々いろいろあるんだろうと思いますが、正に委員指摘のとおり、人だろうと思います。でも、人だけでは、昔と違って紙一枚でひらめきでもって何かとんでもないものができちゃうということでは限界があるんだろうと思います。  今、さっきニュートン、アイザック・ニュートンのお話がありましたけれども、評価をどういうふうにしていったらいいのかということなんだろうと思いますが、たまたま先日、私はアイザック・ニュートンとフラムスティードという人の天文学の葛藤をしている本を読んだんですけれども、これアイザック・ニュートンのことをぼろかすに書いてある本なんですけれども、非常に面白かったんですけれども。あるいは、電話を発明したのはエジソンなのかベルなのか、これは特許の話になってくるわけでありますが。  ですから、そういう意味で、どうやってすばらしい発明なり発見なりをして、それが世の中のために生かされていくためにどうやってその後、国なりあるいはその組織なり、理研みたいな組織も日本にはあるわけでございますけれども、後押しをしていくかということが重要なんだろうというふうに思います。  そういう意味で、国としての、非公務員型とはいえ国としてのある意味では公的な研究機関という役割、その役割を十分発揮をしていく。民間の研究機関、あるいはまた大学の研究機関、あるいはまたそれ以外の研究機関、それぞれやっぱり多少役割は違ってくるんだろうと思いますから、非公務員型の公的な研究機関ということになりますと、やっぱり長期かつ民間がなかなか出にくいところ、そして何らかの成果が生まれれば、それを、もちろん知的財産権をきちっと守りながらという前提ではありますけれども、民間に大いに使っていただくということで、ここの研究機関だけ、産総研なら産総研だけということ、御審議いただいているのはその産総研なんですけれども、もっとオールジャパンとして、ネットワークといいましょうか、いろんな研究機関がそれぞれ能力が発揮できるようにするためにどういうふうにしていくことが我々行政として、経済産業省として必要なのかということのある意味では一つの出発点なのかなというふうに思っておりまして、この産総研の問題を片付ければあとは日本の研究システムはおしまいということではなくて、これによって吉川先生のところでも頑張っていただくし、またほかのところでもいろいろお手伝いをさせていただいて、トータル、オールジャパンとして、知的財産立国として日本が何ができるかということを今後も我々緊張感を持ってやっていくことが大事なのではないかというふうに考えております。
  100. 広野ただし

    広野ただし君 ところで、非公務員型になることによって、ある意味で非常に、やはり民間になるということで失業保険を掛けることになるわけですね。公務員であれば失業の心配は、まあよっぽどの不祥事を起こせば別ですけれども、雇用保険は掛けない。今回は産総研の所員の人は雇用保険を掛けると。そこに、いや、自分たちはいつか場合によってはリストラを受けることがあるのかなというあらぬ心配をしなきゃいけないことになるんですね。ここが、研究評価だとかそういうものと絡んで、失業保険をなぜ掛けなきゃいけないのかと、ここのところを、大臣、どういうふうに思っておられますか。
  101. 泉信也

    ○副大臣泉信也君) これは、国家公務員の形から非公務員型に移行するということでございますので、当然この保険は適用されるべきもの、むしろ研究者の皆さん方を守るという意味からもこれは必要なことであると思っております。  ただ、今御指摘のように、そうした状況がいつ出てくるか分からない、研究する中で不安感を抱くというようなことは決して望ましいことではない。したがって、解雇などについては当然労働基準法等の規定の中で律せられるわけでありまして、研究の目的に応じてきちんと研究をされておる方々がその職場に対する不安を抱く、雇用に関しての不安を抱くというようなことは全くない、そうした仕組みにはなっていないということは申し上げておくべきことだと思っております。
  102. 広野ただし

    広野ただし君 ところが、全くないのになぜ掛けるのかということになるんですね。  ですから、ここに私は雇用保険法の問題点があるんではなかろうかと思うんですね。総ぐるみで掛けましょうということなんですが、自信ある、いや、私はこれだけの研究をやっている、ついては雇用保険掛けぬでもいいんじゃないかという人だっておられるかもしれないですね。だけれども掛けなきゃいけないと。ここのところが非常に、いや、いつか首を切られるんではないかという非常なやはり心配を及ぼすわけですね、法的には。ですから、そこのところをどう考えられるかということだと思うんですね。私はもう要らぬのじゃないかという、研究は人材が命なんですからね、という感じがするんですが、再度お願いしたいと思います。
  103. 泉信也

    ○副大臣泉信也君) きちんと研究をしていらっしゃる方、いわゆる就業規則に基づいて研究をしておられる方がそういう場面に出くわすことはない。逆に言いますと、研究成果が上がっていないという理由でもって研究の職場を追われるということはない。職場を替わることは当然ありますし、別の分野で御活躍をいただくということは想定されるわけです。  過去にも、判例によりますと、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認することができない場合には権利の濫用として無効になると、これは雇用者側の解雇権を厳しく制約をした判例が出ておりますので、一般的には雇用保険を掛けていただくということになりますけれども、先ほど申し上げましたように、こういう厳しい条件の中で研究を続けていただく、そうした方々が職場に対する安定感を欠くというようなことは法的にもできないということでございます。
  104. 広野ただし

    広野ただし君 それと、かつては公務員、工業技術院は公務員だったわけですね、そこの研究所は、ですから共済年金だったと思うんですね。で、独立行政法人、これはちょっと私もあれですが、どうなるんでしょうか、どなたか。
  105. 小川洋

    政府参考人小川洋君) 非公務員型に移行いたしましても共済の制度を適用されるということでございます。
  106. 広野ただし

    広野ただし君 普通の特殊法人ですとあれは厚生年金ですよね。ですから、ここのところは、非公務員となるけれども共済年金で継続をするということでよろしいんですね。じゃ、そういうふうに理解をさしていただきます。  それと、非公務員型になることによってまた幾つかの私はメリットもあるんだろうと思います。大学の、産官学ですか、の交流が良くなる、あるいは外国の人たちを呼びやすくなる、また、役職員に外国人も登用されるというようなこともあるんではないかと思いますが、そういう研究交流、人材交流という観点で、非公務員型のメリットといいますか、そのことを改めて伺いたいと思います。
  107. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) 先生御指摘のとおり、これはもう研究交流というのはこの非公務員型への移行によって大いに進むと、結論から言えば申せると思います。先生も御存じのように、産総研の方はライフサイエンスとか、そして情報通信、材料、ナノテクといった最先端の分野をその研究のテーマとしておりまして、産学官の連携で新たな将来のシーズを生み出していくと、こういうところでございます。私も長年研究に従事しておりましたので分かりますが、やはり海外からの交流とか大学との交流というのが、また分野ごとの交流というのが進まなければ、これは多大な成果を生むことはできないということが言えると思います。  それで、この非公務員型に移行しますことによりまして、今度国立大学法人化が四月から実施されますけれども、この国立大学法人との、また民間企業、それから研究機関、海外の大学、そういうところとの研究者の移動がスムーズに行われるものと期待されますので、今後この交流、研究交流というのは大いに進んで大いに成果が出ると私も大いに期待しております。  以上でございます。
  108. 広野ただし

    広野ただし君 その点は前向きに考えさせていただきたいと思います。  続きまして、鉱山保安法関係に移らせていただきたいと思います。  今日、午前中もありましたけれども、鉱山関係、かつて石炭産業、非常にいろんな意味で、鉱山保安のことは石炭産業を中心にして大きな役割を果たしてきたと思いますが、今度自主保安ということが原則になってくるということでありますが、これ、いざという場合の危機管理の観点から、大手の企業さんの場合はまだよく分かりますけれども、中小鉱山、ほとんどが中小鉱山に国内ではなっていると。鉱山、現在六百六十ぐらいですか、あるうち、五百人以上の鉱山は四鉱山のみ、ほとんどが中小鉱山と、こういうことのようでありますけれども、中小鉱山、本当にこの危機管理といいますか自主保安で、災害の起こらない、また事故の起こらない、そういうことになるのかどうか、この点について伺いたいと思います。
  109. 泉信也

    ○副大臣泉信也君) 今朝、朝午前中から議論がございましたように、鉱山における実態が石炭から石灰石等の分野に変わってきておる。そうした鉱山のありよう、そしてまた事故発生の原因がヒューマンエラーにかかわる部分が多くなってきておる。そういう中で、今回の法改正をお願いをしておるわけでございます。  御指摘のように、五十人未満の中小鉱山というのは約九割ぐらいを占めておりまして、そういうところが今回の改正法の中で十分に安全が保てるかという御指摘だと思うんです。しかし、平成十四年におきます災害の状況を見ますと、大鉱山が十七人、これはちょっと直接的なお答えにならない部分がございますが、中小鉱山で十五人、こういう事故発生の状況でございます。したがって、中小鉱山におきましても、十分自らの保安上の危険を把握して、これに基づいて対策を講じていく、これはもう当然のことでございます。  人手が少ない、そういうことがあるんではないか、そうしたことが心配されるわけでございますが、保安規程については、その申請から、改正法の施行後半年経過する時点まではこの保安規程の作成義務を猶予するという猶予期間を設けるなど、中小の鉱山にはそうした時間的な余裕を与えておる一方、業界団体に働き掛けまして、保安規程を作成する上でのガイドラインの策定というようなことを行っていただいているところでございまして、国としても業界団体等を指導し、また助言を与えて、小さいから安全が保てないというようなことがないようにきちんと対処したいと思っております。
  110. 広野ただし

    広野ただし君 それと、私は富山県の出身なんですけれども、神通川というところがありまして、そこは上流から鉱山の製錬に伴うカドミウムというのが流れてきてイタイイタイ病ということになりました。いまだにそれに苦しんでいる人たちもおります。そしてそれを、水田を、そこに、水田にカドミウムが堆積しているわけですから、全部新しい地面と取り替える、土と取り替えるということをやって、いまだにそれをやっております。  そういう中で、私も鉱山を見たことはありますが、製錬の過程で出てくるいろんな廃滓といいますかね、そういうものをダムのようなところにためておるんですね。そういうのがたくさんあるわけですけれども、そういう、まあ石炭でいえばボタ山ということになってくると思いますが、そこが休廃止した、休廃止鉱山になる、こういうようなことになりますと、特に鉱業権者がいなくなってしまうという場合ですとどう対策を取っていくのか。そういう、特に自治体にそれを全部おっかぶせるというようなことになりますと、これはとても対応ができないんじゃないかと思われるわけで、ここのところを、まず休廃止鉱山になった場合どうなるんだということと、地方にそういうことを押し付けるんではないでしょうね、まさか、いうことの二点について伺いたいと思います。
  111. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 委員おっしゃいますように、鉱業権者がいる場合は、これは法律に基づいてしっかり処置をしているわけでありますけれども、いない場合でありますが、国は地方公共団体に対して休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金、これを交付をいたしております。国が四分の三、地方が四分の一と、こういう形で鉱業権者がいない場合も地域の皆さんに迷惑を掛けないような処置を取らさせていただいています。
  112. 広野ただし

    広野ただし君 やはり、山が荒れる、休廃止鉱山が続出をする。実際、今、鉱山がずっと撤退をしていくことによってそういうことになる。そうして山が荒れてくる。また、そこに、場合によっては不心得者が、産廃業者等がどっと捨てに行くというようなことになってはもう大変なことになるわけで、まず山を守らなければ下流域はやっていけないわけで、この点はしっかりとやってもらわなきゃいけない、こう思いますので、大臣に再答弁をお願いしたいと思います。
  113. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これはやっぱり、カドミウム、私もルーツは富山でございますので、関係者の皆さんの御苦労というものは今でもよく聞いておりますので、これは国としてやれることは最大限これからも、長く時間の掛かる問題だろうと思っておりますので、取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。
  114. 広野ただし

    広野ただし君 そういう鉱山あるいは休廃止鉱山等における鉱害防止といいますか、外に絶対迷惑を掛けないように、自主保安は自主保安、しかしそれが、それをだれもやらなくなってしまった後のことも万全の対策が行われるように国はしっかりとやってもらわなきゃならない、またやっていくべきだと、こう思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  それと、今度の国の組織の方ですが、鉱山保安監督部等を産業保安監督部等に改組をする、言わば自主検査、自主保安ということに伴ってそういうことになっていくということでありますけれども、全体の産業の中の一部ということになりますと、鉱山関係のやっぱり何といいますか事故率というのは、製造業や土木建設業の倍ほどやっぱり事故率というのは多いんですね。ですから、そういうことを考えて、本当に手薄にはならないんでしょうねというふうなことを確認をさせていただきたいと思います。
  115. 泉信也

    ○副大臣泉信也君) 今回、いわゆる鉱山保安監督部という原子力安全・保安院の下の組織に鉱山保安等の組織を合体させるということで、産業保安監督部というのを設けさせてほしいということをお願いをしておるわけです。  これは、一部には大きな、先生おっしゃったような産業関係事故の方に気が取られて手薄になるのではないかという御心配だと思いますけれども、むしろ我々としては、お互いに専門的な知識を融合し合う、人的にもそこに余裕が出てくる場合があるということで、一層お互いの能力を高め、お互いに助け合って、保安院の直接の指示の下でより安全に努めていくという組織改正をお願いしておるところでございますので、そういう御懸念がないように更に一層努めてまいるつもりです。
  116. 広野ただし

    広野ただし君 私の田舎に北陸支局というのがあるんですね。経済産業部、経済産業局ですか、中部経済産業局の北陸支局というのがあります。ここは原子力とガス事業の保安のことをやっているんですね。そこのところに、これを、四十名弱です、三十数名しかいません。そこのところに鉱山保安の、あるいは産業保安というものをどういうふうに扱うようになるのか、ちょっと専門的になるから泉副大臣はどう、分かりませんが、しっかりとやっていただきたいと思います。
  117. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木彦君) 今回の法改正に伴いまして、新しい産業保安監督部の組織の在り方につきましては業務の適正な配分の見直し等も必要かと思いますが、我々、今後、鉱山保安の規制、あるいは電気、ガス、高圧ガス、火薬類等の規制、これを一体的にやっていく上で効率的な組織体制を見直そうと思っております。  今御指摘の北陸支局につきましては、従前、電気、ガスを扱ってきております。鉱山の方は北陸支局では扱ってきておりませんので、新しい産業保安監督部では、北陸の場合には、電気、ガスのための組織が原子力安全・保安院の私の下に付くという格好が望ましいと思っております。
  118. 広野ただし

    広野ただし君 鉱山保安法改正、自主保安が中心になりますが、万全の措置が行われるように要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  119. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  初めに、工業標準化法の一部改正案に関連いたしまして、東京港区の六本木ヒルズ森タワーで起きた自動回転ドアによる死亡事故について質問いたします。  今回の事故をめぐって、現行のJISあるいは建築基準法に回転ドアに関する明確な安全基準が定められていなかった。そのことに加えまして、経済産業省国土交通省が全国の回転ドアの設置状況や人身事故の発生状況についてまともに把握していなかった、そういう実態が明らかになってまいりました。  メーカーを所管する経済産業省行政責任は極めて重いと思うんですけれども、その点、大臣、最初にその点での所感、反省を伺いたいと思います。
  120. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 建築物の一部としてこの回転ドア、私は、私もよく最近は利用するといいましょうか、入るときにそこをくぐるわけでございまして、事例が過去余りなかったから云々ということは余り、少なくとも東京、大阪のような大都会においては回転ドアを利用している、特に都心部では多いだろうというふうに思っております。  先ほど申し上げたように、これは建築物の一部でございますから、建築物としては国土交通省ということになりますが、製造した、精密機械といっていいんでしょうか、建物に付随した機械でございますから、これについての所管は経済産業省ということになるわけでございますので、これらの過去の事故事例、あるいはまた何が今回いろいろと原因が起こったのかについても、政府一体としてきちっと対応、過去の起こったこと、今後の対応について精査をして、そして二度とこういうことが起こらないようにしていかなければならないというふうに思っております。  特に、お子さんのああいう事故ということで、誠にお気の毒なことでもございますし、小泉総理もいち早くお花を手向けに行かれたわけでございますから、事の重大性は政府としても重く受け止めているところでございます。
  121. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 自動ドア製造業者が加盟しております日本サッシ協会の幹部を呼んだと聞いておりますけれども、具体的にどのような再発防止を検討されているのか、お伺いします。
  122. 泉信也

    ○副大臣泉信也君) 今、大臣がお答え申し上げましたように、大変残念な事件であったと思いまして、二十九日に、委員御提示になりましたサッシ協会等関係団体を早速我が省においでいただきまして、情報の共有を関係者がきちっと図る、そしてまた、これからの問題にどう取り組むかということを関係者と相談をしたというのがまず初めでございまして、さらに国土交通省と一緒になって、この問題を学識経験者関係実務者等によってしっかりと議論をしていただこうと。早ければこの四月早々に、早ければというか、四月早々にでもその検討委員会を立ち上げるということでございます。  この検討委員会検討結果を踏まえまして、経済産業省として必要な手当てをやっていくということでございますので、この段階で法的な手当てをするとか、こういうことに改正をするとか、そういうことは申し上げられないということでございます。
  123. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 余り具体的でないということはよく分かりました。  私は、事件の後、現場に行って手を合わせ、また同時に現地の調査をしてまいりました。今回の事故の背景に何があるのかということを私自身もちょっと調べてみました。  回転ドア普及の状況を見ますと、国内では以前から導入されてきました。しかし、普及が本格化したのは、特に九八年の六月のエネルギーの使用の合理化に関する法律、いわゆる省エネ法の抜本改正以降からだというふうに、そのことが分かりました。この省エネ法改正法では、これまでの規制対象にされていなかったオフィス、ホテル、学校、病院、庁舎、研究所、デパートなどが新たに対象となりました。年間電力の六百万キロワット以上、燃料等の原油換算で千五百キロリットル以上使用する業務用ビルはエネルギーの大幅削減を求められるようになった。これを機にメーカー各社は競って回転ドアの製造を進めて、業務ビルなどでは採用が相次いでいる、それが現状です。その主な理由というのは、結局は回転ドアが観音開きとかあるいは両開きと比べて省エネ効果がある、冷暖房効率が高い、省エネに貢献する、そういうふうに言われているからです。  そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、これまで経済産業省では、省エネ法改正に伴って業務用ビルなどの業者、事業者回転ドアの採用を政策的に促した、そういう事実はありますか。  簡潔に言ってください。
  124. 小川洋

    政府参考人小川洋君) お答え申し上げます。  特段なかったんではないかと思います。ちょっと調べてみますけれども。
  125. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 非常に無責任ですね。なかったんじゃないかと言うんですか。  私、手元に一番直近のものを持っているんですけれども、それは昨年四月の再度の改正省エネ法の施行に向けて、今年、それを受けて、今年二月二十六日に経済産業省国土交通省、文部科学省、厚生労働省の四大臣が連名で発した告示文書があります。  この文書には、もちろん中川大臣の名もこの中にありますけれども、ここには、省エネ法に基づいて業務用ビルなどの事業者が提出を義務付けられている省エネ対策の中長期的な計画の作成に当たって、主務大臣がその参考にするように事業者側に示した中長期的な計画の作成のための指針、いわゆる省エネ設備のガイドラインが項目ごとに示されているわけです。  これを見ますと、大臣、これ御存じですか。御存じですよね。いや、いいです。それは後で聞きます。ここを見ますと、この中には、エネルギー消費設備等に関する事項に規定する目標及び措置の実現に関する設備等の具体例としては、次に掲げる設備等が有効であることから、中長期的な計画の作成における建設、検討対象として掲げるものであるということを前書きして、その中にずっと書かれている。「空気調和関係その他」、そこには「建物の気密化」、これがある、そして、「回転ドア等を使用し気密化すること」と書かれているわけですよね。  私も前の文書をずっと調べたけれども、繰り返しこういうものが出されているわけですよ。つまり、経済産業省としては、省エネのために回転ドアを促進するというそういう政策を取ってきたわけですよね。  大臣委員長、済みません、これちょっと大臣に示してよろしいでしょうか。許可をお願いいたします。
  126. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) はい、どうぞ。(緒方靖夫君資料手交)
  127. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そういう事実はあったことは間違いありませんよね、大臣自分が参加しているわけですから。忘れちゃいましたか。
  128. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本の経済産業大臣中川昭一ということであれば、私だと思います。
  129. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 では、そういう中身だということは御記憶ですか。いや、大臣。本人に聞いているんだから、駄目だ。
  130. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 率直に言って、このペーパーについては私は記憶にございません。
  131. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 無責任ですよ、これは。ひどい話じゃないですか、これは。こんなことはあり得ますかね。
  132. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 中川さん……
  133. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私、質問中です。
  134. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ちょっと待ってください。
  135. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私は存じてはおりませんけれども、この文書が私の名前で出している以上は私に責任があると思っております。
  136. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 責任があるんですよ。  それで、私、先ほど同僚議員の質問に対して、私は大変驚いた。一義的に企業責任だと大臣は答弁されたんですよね。しかし、同時に大臣は、この問題で安全性については経済産業省責任ですということを三月三十日の会見で述べられている。  すると、私は、政策的に省エネのために法律も作り、そのガイドラインとして実際に、実際にそういう回転ドア、自動式回転ドアを政策誘導してきたという経過があるわけですよ、そこに示されているように。ほかに文書は数々あります。そういう中で、私は、正にこういう経過がありながら、一義的に企業責任とだけ述べる大臣のその答弁というのは大変無責任だということをはっきり指摘したいと思います。やはり自分の手に当てて、省庁として、大臣としてどういう責任があるのかということについてきちっとわきまえる、それが大臣としての責任じゃありませんか。大臣
  137. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 一義的にメーカーにあるいはまた設置者に責任があるということと、私どもが責任逃れをしているということとは全く別問題でございまして、我々には行政としてのやるべきこと、責任というものがあるわけでございまして、それとメーカーとしての責任とがあるということであって、さてどっちなんだと、二つのうちどっちに責任があるかというような二者択一の問題ではないということは、はっきり私は御指摘しておきたいと思います。
  138. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 二者択一なんて言っているんじゃありません。私は、私は、メーカーに一義的な責任があると言われた。同時に、それと同じように行政の側にも責任があるということを指摘しているわけで、どっちが一義なんていうことを言っているんじゃありません。ですから、その点ではやはり大臣の、大臣のやはり責任をやはりしっかり認める、これが当然のことだと思いますよ。  大体、回転ドア安全基準が定められていない、これは既にマスコミで大きな問題になってきた。にもかかわらず、私が今指摘したように、省エネ対策という名においてその採用を政策的に誘導していた事実はあるわけですよ。大臣も自らの署名だということを認められた。ですから、そういう、そういう関係でいえば、私は政府責任はその点で二重三重にある、そのことを指摘したいと思うんです。  したがいまして、その文書の中にある回転ドアによる、使用による気密化、室内の気密化の促進、そうした内容については、先ほども言われました、大臣の答弁にもありました。また、私も実際見てきましたけれども、全部今、回転ドアというのは休止中ですよ。あるいは警備員が付いているという状況です。  ですから、少なくともこの告示のこの部分については撤回する、これが筋じゃありませんか。
  139. 泉信也

    ○副大臣泉信也君) 省エネの問題につきましては、我が国にとっては申すまでもなく大変大きな命題であります。したがって、回転ドアというようなものも、一つの気密性を保つ意味からも、かつて我々がそうした指導をしたことも事実であります。  しかし、この大型回転ドア、直径三メーターと言われるものが現在四百ぐらい国内にあるというふうに聞いておりますけれども、この一九九〇年の時代から普及してきて、万々が一にも利用者の命を奪うというようなところまで我々が至っていなかった点、今回の件がどこに原因があったかということを調べた上で我々は対処していきます。  したがって、直ちに、先ほどお示しになりました文書を取り消すということは考えておりません。
  140. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 実際に、実際に……
  141. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) よろしいですか。
  142. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いや、私の質問ですね。
  143. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ちょっと、それなら大臣
  144. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 実際に今、使用を休止するということを要請している。そして、しかも使用する場合には条件を付けている、それが現状ですよね。  すると、この告示というのは現状に合っていないわけですよ。ですから、少なくともその措置を取るべきじゃありませんかということを求めているわけです。
  145. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、泉副大臣からも御答弁申し上げたように、私はちょっと正式の報告書をまだ、調査報告書をいただいておりませんし、マスコミの範囲内の情報しかございませんが、本当にお子さんが、あるいはまたそれ以外にも何十件もこういう事故があった、そしてお亡くなりになった、本当にお気の毒だと思います。私も小学生の子供がおりますので本当にお気の毒だと思います。  で、その原因を調査することと、それから今回の場合には、聞くところによると、報道によると、テレビカメラの視界が何かこう死角があったとか、いろんなこと等がありますから、だから何かこの事件をもってすべて回転ドアは全部悪なんだということかどうかということも含めてこれから調査をしなければいけないので、物事そんな単純な問題じゃないんだろうと私は思います。
  146. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、そんな単純な話ししたんじゃないですよ。だって、そちらの方で措置として休止を決めているわけでしょう。今どこへ行ったって、アークヒルズへ行ったって六本木ヒルズへ行ったって、みんな中止ですよ。  ですから、そういう状況の下で、この問題についてそういう措置を取っている以上、これについても必要な措置があるでしょうということを問題提起しているわけです。そうですよね、当然のことじゃないですか。
  147. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 政府として調査をしておりますということです。
  148. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 調査は当然です。そして、同時に、やはり大臣、胸に手を当てて深く反省するところを示していただきたい、そう思います。大臣としてまだ報道以外に事情を聞いていない、報告を聞いていないということも大変驚きですけれども、この点についてしっかりやる必要がある、そしてまた、私自身は法整備を展望に入れて考える必要があるだろうということを述べて、次に移ります。  次は、産総研の一部改正の問題であります。  三年前に公務員型の特定独立行政法人に移行する際に、経済産業省は、計量標準の供給など、その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に必要かつ著しい支障を及ぼすと認められるもの、そのほか、産総研の目的、業務の性質などを総合的に勘案した結果、そういうふうに説明されていました。しかし、産総研の公的な位置付けや業務内容自体、現在一つも変わっていない、これが現状です。ならば、今回なぜ非公務員型に移行する必要があるのか。端的に、短くて結構です、お答えください。
  149. 小川洋

    政府参考人小川洋君) 委員指摘のとおり、十三年四月に産総研が独立行政法人として発足しましたときに、公務員型の独立行政法人になりました。
  150. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 簡潔でいいです。
  151. 小川洋

    政府参考人小川洋君) 背景としては先ほど御指摘のあったとおりでございますが、これは、先ほど言いましたように、十六もある個々の研究所が一つの組織になる、そういった新しく生まれた大組織をうまく事業をスタートさせるということ、それから国民生活に関連する業務もやっていたということでスタートさせていただいたわけでございますが、それから三年たちました。公的位置付けは先ほど来申し上げましたとおり変わっていないと思っておりますけれども、その産総研を取り巻く環境が大きく変わってございます。  第一に、技術に関する社会の期待は非常に高くなっておりまして、産総研の研究能力の向上と研究開発の効果的な普及というものが一層求められているわけでございます。それから、本日から非公務員型の国立大学法人になりました国立大学との連携、いい意味での競争、これへの対応というものも必要になってございます。そういったところから、産総研が国民から期待されている役割、そういった研究開発をより効果的に実施する、そのためにどういう組織がいいのかということを考えるというのが第一点でございます。  それからもう一点は、先ほど言いました知的基盤業務につきましては、三年間の間、十六の研究所を統合いたしまして組織的な対応能力も増えてきておりますので、そういう中で、業務の経験者あるいは管理職を含めたサポート体制を作りまして、業務の万全を期すということで判断をしたものでございます。
  152. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ですから、今話にあったように、公的位置付けとか業務内容は変わっていないわけですよね。そういう中で、結局、環境整備、国立大学等々のそういう変化、そのことが言われたと思うんですね。  私は、こういう問題というのは、結局、今日の午前中にも議論がありましたけれども、数からしても、また実際、省庁の研究所の中でも先駆け的に非公務員型へ移行するということになっていくわけで、その点で正に省庁の中での先行モデルにしようという、そういう考えなんじゃありませんか。
  153. 小川洋

    政府参考人小川洋君) お答え申し上げます。  産総研が与えられております目的、それからその業務国民から期待される中身、そういったものを効率的に果たしていく上でどういう組織形態がふさわしいかということから判断したものでございます。
  154. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 実際に、理事長、今おられないけれども、理事長は、産総研としては世界の流れを先取りして、ほかの組織のモデルとなることができるように先取りとして取り組みたいということを述べているわけですよね。  ですから、私は、そういうことを考えたときに、非常に大きな問題があるということを指摘せざるを得ません。非公務員型への移行によって、例えば民間では採算性が期待できない地質調査とかあるいは計量調査など、利益追求を最優先する民間企業では担えない公的な業務、これが困難になるとか、あるいはベンチャー産業の育成や産業化の研究が優先され、基礎的、基盤的、中期的研究、研究者の発意に基づく独創的な研究がないがしろにされるのではないか、そういう懸念が感じられるわけですね。  公的な研究機関として、民間ではできない将来の研究開発のシーズとなるような研究をしっかりやっていく、これが先ほどから言われているような期待であり、そしてまた期待される中身、そう思いますけれども、いかがでしょうか。
  155. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) 御指摘のとおり、民間での実施が困難な長期的な視点からの基礎的な研究というのは非常に大事でございます。産総研もその目的を持って取り組んでいっているわけでございますが、この産総研におけます目的といいますのは、産業技術の向上とその成果の普及を図って、これにより我が国の経済と産業の発展に資する、こういう目的と独立行政法人としての公的な性格は、産総研が非公務員型に変わってもこれは全く変わるものではございません。  したがいまして、こういう基礎的な研究も含めまして、その目的を達成するために必要な研究はこれまで同様に実施されて、公的研究機関としての役割を果たしていく、そのようになるものと考えております。
  156. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、公務員の身分の保障というのはやはり不可欠だと思うんですね。言葉ではそう言われるけれども、実際に、公務員身分の保障というのは、その研究や研究関連の業務の性格と一体だと思いますよ。ですから、やはり公務員のそういう性格をきちっと保持していくということが非常に大事だということを痛感するわけですね。  非公務員型になれば、任期付きの雇用の繰り返し、それによって雇用が不安定化する、あるいは産業化に向けたプロジェクトなどがどうしても短期的になっていく、そういうことになりますね。さらには、採用や兼業、再就職、共同研究の過程で企業との癒着が生じるとか、あるいは公的な機関としての中立性、公平性が確保されなくなる、そういう危険性が実際に生まれてくる、そのことを大変危惧するわけですけれども、そんなことはないというふうに断言できますか。
  157. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) これまで産総研では、非公務員型への移行を迎えるに当たりまして、先ほども述べましたけれども、合計二十九回にわたる職員の説明会を、これには二千六百名も参加されて、いただいております。これを実施しながら、移行について職員の理解を得る努力をこれまでも続けてまいりました。  今後とも、産総研におきまして、これまでの良好な労働関係、これを維持するために、職員への説明責任を意を尽くすとともに、また職員から提出された御意見をしっかりと踏まえて、個々の職員が働きやすい環境、また先ほど言われましたように基礎的研究が公的機関としてしっかりと取り組める、そういう環境を作るために努力をしてまいりますので、そのような御懸念はないように努めていくという所存でございます。
  158. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 だから、そのような懸念はあるんですよ。ないように努めるというのは、言われたけれども、ないとは、ないようにするとは断言できないわけですよね。それは当然だと思いますよ。正直であれば、やはりいろんな懸念、問題がある。しかも、職員の理解がどれだけ得られるのか、非常に大きな疑問だと思います。それは、やはり大きな、非公務員にしていくということが、やはり本来の課せられている性格からして非常に大きな矛盾と乖離を持っているからだと思うんですね。  その点で、例えば労働基準法では、期限を定めて雇用される研究者は最長五年の期限を何度でも更新できるとなっております。プロジェクト研究の場合、不安定な雇用形態のまま任期を更新している例も実際に報告されています。日本の場合、研究所や大学院を修了後、研究機関に採用されて育成されるケースが多いわけですけれども、それが柔軟な雇用形態ということで任期付き雇用を繰り返す、そういうことになっていったら一体どうなっていくのか。雇用あるいは研究が非常に不安定になる、これは非常にはっきりしているわけですね。  ですから、私は、この点で非常に大きな問題がある、そのことを指摘しておきたいと思います。  次に、鉱山保安法の一部改正案について質問いたします。  事業計画あるいは保安規程、これまでの許可制から届出制に変えられる、これが今回の法改正趣旨一つでありますけれども、しかし、ほかの法律では許可制になっているものがあります。例えば、鉱山関係で非常に縁の深い火薬類取締法などでは大臣の許可を受けなければならない、そうなっているわけですね。どうして届出制に変えるのか、その点についてお伺いします。
  159. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木彦君) 今回の法改正におきまして、今御指摘の例えば工事計画につきましては認可を従来しておりました。近年の状況では不認可とした例はございませんけれども、規制の緩和あるいは合理化の観点から認可制を届出に変更すると。  今御指摘の許可制のものについて申し上げれば、一部、火薬類等については一部は許可を取らせるというようなものもございますが、今回のいわゆる認可から届出にすることにつきましては、本来の鉱山の保安に関して事業者が自らのリスクアセスを行うことにより、国はこの事業者のリスクアセスに応じた対応をきちんと取っているかということを事後的にきちんと検査なり監査をするという体制に切り替えるという考え方から、こうした認可から届出ということで、事実上、規制の一定の効力というものは基本的に変わらないという運用も考えているわけでございます。
  160. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 しかし、例えば堆積場などの問題では、一般法で言えば産廃法の産業廃棄物の最終処分場に相当する、そういうことになるわけですけれども、この場合には都道府県知事の許可が必要なわけですよね。ですから、私は大変その点でも矛盾に満ちた問題であり、同時に届出制に切り替えていくということが非常に大きな問題があるということを指摘しておきたいと思います。  また、先ほど、中小の鉱山の問題で同僚議員から質問がありました。実際、従来、機械、器具、建設物、工作物その他の施設について、設置又は変更が完了したとき、及びその後一定期間を経過するごとに、鉱山の保安監督部長の検査を受けなければならなかった。それが事業者の自主検査によって行えることになる。それが今回の改正になるわけですね。中小の鉱山が自主的に行う、これが果たしてできるのかどうか。先ほど、人数の規模まで挙げられておりました。  例えば、具体的に聞きますけれども、堆積場、機関車軌道、人を運搬する巻上機などの検査は一体どうやって行えるのか。あるいは二つ目。中小鉱山では検査機器もなくて、とても自前ではできない。委託に頼らざるを得なくなる。そういう問題も起きます。資金も心配だ、委託先の現状はあるのか、そんなこともよく声を、こういうことを聞くわけですけれども、そういう問題について一体どう対処されるのか、お伺いいたします。
  161. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木彦君) 御指摘のとおり、今回の改正案では、使用前検査につきましても、これは事業者の自主保安として検査を行わせる、そしてその記録をきちんと保持をさせること、また定期的な検査につきましても、それぞれの実態に応じた定期検査を義務付けまして、それぞれの施設技術基準適合していることを義務付けることにいたしております。  基本的にこれらの考え方は、中小鉱山におきましても、一定の落成検査やあるいは一定の定期検査というものについて、その必要性に応じて自ら実施することは、規制の立場からすればこれは当然であるというふうに考えております。  今御指摘の、検査の機器等がそうした中小の鉱山で必ずしも、経済的な負担の問題があるというような御指摘がございましたけれども、こうした問題について、例えば業界におけるいろいろな協力ということを促していくとか、いろいろなこうした今後の法の運用に関しまして、今御指摘のような事実で、中小の鉱山においても過度な負担にならないような対応については我々もいろいろ考えてまいりたいと思っております。
  162. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 過度の不安にならないようにすると、結局保安がおろそかにされる、そういう大きな問題があると思います。こういう方向を取っていくと保安どころじゃなくなる、そのことを指摘しておきたいと思います。  もう一つ、保安統括者、保安管理者の要件としては、従来のような国家資格を必要とせずに、鉱山に常駐し、一定の経験を積めばできるようになるという、そういう方向になってくるわけですね。つまり、国家試験の問題です。  国家試験、資格制度の廃止、これは果たして第一線で働いている鉱山労働者からの希望、要望で出ているのかどうか、それが第一点、お伺いしたいと思います。そして同時に、私は、やはり鉱山保安、その水準を一定程度残していく、そのためには国家試験制度は残すべきだと考えますけれども、その点についていかがですか。
  163. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木彦君) 今回の法律改正に至ります経緯で、いろいろな審議の過程の中で、鉱山にかかわる労働組合の御意見もお聞きした上でこの法案を提出させていただいております。  第二点目の国家試験を維持すべきではないかということでございますけれども、鉱山における指揮命令系統につきましては、国が一律に定めるのではなくて、鉱業権者がそれぞれの鉱山において定めることが適当であるということから、鉱業権者の責任を分掌する立場にある係員の制度について、これも廃止をすることにいたしておりますが、なお、係員については作業の監督を行う者という立場も同時に有しております。  したがいまして、改正案におきましては、高圧ガス設備や電気設備の管理あるいは火薬類の取扱いに係ります作業等については、それぞれの作業区分に応じた作業管理者を置くことを義務付けております。  国家試験制度につきましては、一つは、鉱山における保安を確保する上で必要な知識や技能については各鉱山によって異なるものであると考えております。国家試験に合格しさえすれば十分であるとは言えないと考えております。また、鉱山におけるボイラーあるいは高圧ガスの製造施設などのうち係員を置かなければならない施設の規模は、多くの場合、高圧ガス保安法などで資格者を置くことが求められる施設の規模と同等である、あるいはさらに、人材の流動化の促進の観点からも、一般的な資格制度を鉱山において利用可能とすることが望ましいと考えます。そして、国家試験の受験者数も最近は約三千人と少なくなってきておりますことから、鉱山において格別別途の資格を設ける必要性や合理性は乏しくなってきております。  このため、今回の改正案では、鉱山特有の国家試験を廃止いたしまして、作業監督者の資格要件については一般法の資格を援用することとしたわけでございます。この結果、どのような指揮命令系統を持つかについては鉱業権者が自ら定めることとなりますため、責任体制が明確化し、各鉱山において自主的に保安の確保のための活動と組織を選択することが可能となると考えておりまして、鉱山の現場の実態に即した適切な保安の確保がなされるものと考えております。
  164. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その点が非常に大きな問題で、そちらでいろいろ調査された資料によっても、十三鉱山のうち試験を希望する、国家試験の存続を希望する、そういう鉱山が十一鉱山と多数を占め、なくしてほしいという声は一つもないわけですよね。  そういう中で、やはりなぜこういう方向を取っていくのか、非常に大きな問題であるということを指摘しておきたいと思います。  最後に、鉱害防止問題について質問いたします。簡潔にやります。  休止鉱山の附属製錬場の廃棄物が堆積されている堆積場とか、あるいは休止鉱山の廃抗水処理に伴って発生する中和殿物の処分場などは、現在鉱山保安法の下、国が監督しております。鉱山保安法が適用になるかどうかは……
  165. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 緒方委員、時間が来ていますから簡単に。
  166. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 はい、終わります。  鉱山権所有の問題だと思いますけれども、今回の法改正、また法改正後の政省令改正などで鉱害法規の適用、監督省庁が変更されることはないのかどうか、国がそうした休止鉱山を監督する、それを引き続き続けるのかどうか、それを確認したいと思います。
  167. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木彦君) 今回の法改正において、従来の法律とのそうした関係については全く変わりません。鉱害の防止については引き続きやってまいります。
  168. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  169. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  170. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、藁科滿治君が委員辞任され、その補欠として若林秀樹君が選任されました。     ─────────────
  171. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  172. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。  まず、産業技術総合研究所法の一部改正案についてです。  産業技術総合研究所の公務員身分の保障は、全体の奉仕者として職務に専念し、困難な基礎的、基盤的研究や中期的研究を推進し、公害や環境研究、採算が期待されない標準の供給や地質調査など、利潤追求を最優先とする民間企業では担えない研究、さらには国を代表して国際共同研究を行うとともに、産官学連携を公共的、中立的な立場から進めるために不可欠であり、非公務員化は断じて認めることはできません。  同研究所の非公務員化は、任期付き雇用などによる雇用の不安定化や産業化に向けたプロジェクトなどの短期的研究を優先する体制につながりかねず、また採用や兼業、共同研究に関して経営者や民間企業との癒着が生まれるなど、公的な機関としての中立性や公平性の確保が危ぶまれるからであります。  次に、鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案についてです。  改正案は、国などによる公的検査から事業者の自主検査への移行、事前規制型行政から事後チェック型行政への転換、保安管理機構の簡素化、国家資格試験の廃止など、安全・保安制度の抜本的転換、大幅な規制緩和を行うとしています。  しかし、今回の改正では、企業の安全対策への負担軽減、企業安全確保責任を果たさせる公的監視を弱めるなど、企業責任を免罪するだけで、鉱山の保安を確保し、国民の生命と安全を守るべき行政、国などの責任を放棄するものであり、認めることはできません。同時に、現下のリストラ・合理化で鉱山の保安体制が一層弱まる危険性があり、保安体制の強化充実こそ重要であることを強調するものです。  また、国の鉱山への立入検査も鉱務監督官以外の職員も検査可能とするインセンティブ制度の導入で検査間隔を緩めるなど、従来の保安管理体制がより一層後退する危険性があり、国民の不安にこたえるものになっていません。この間の企業の自主確認、自主検査の問題で国民の生命、財産に多大な支障が生まれる産業事故を見ても分かるように、国の関与が重要になっていることを強調しておきます。  なお、工業標準化法の一部改正案については、登録に当たっての基準にISO及びIECによる基準を採用し、従来の技術的水準が維持されることや、指定商品制の廃止もJISなどの表示を付した製品普及させる上で効果的であり、反対するものではありません。  以上、反対理由を述べ、討論を終わります。
  173. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、工業標準化法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  174. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  この際、藤原正司君から発言を求められておりますので、これを許します。藤原正司君。
  175. 藤原正司

    ○藤原正司君 私は、ただいま可決されました工業標準化法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     工業標準化法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 新JISマーク表示制度及び新JNLA制度への移行に当たっては、政府認証から民間第三者機関による認証への転換や指定商品制度の廃止など制度の根幹が変更されることとなることから、新制度への円滑な移行が図られるよう、企業消費者を初めとする制度利用者及び認証機関等に対して制度の十分な周知広報及び普及啓発に取り組むこと。  二 現在のJISマーク表示認定工場については、中小企業の占める割合が高いことから、新制度への移行においては事業者の負担の軽減に十分留意するとともに、新JISマーク表示制度については、消費者の利益保護の観点から、登録認証機関の質の確保マークの不正使用等の防止に向けて、国として適正・厳格に事後措置を実施するなど制度信頼性確保に努めること。  三 新JNLA制度については、民間における試験所認定との間の役割分担や相互補完性に配慮した運営に努めるとともに、重複検査の排除の観点から強制法規や公共調達等における制度の活用促進に努めること。  四 我が国の工業標準化に関しては、産業技術の発展・向上のための重要な政策手段として、環境保全や高齢者・障害者への配慮など多様な消費者ニーズ等に的確に対応した標準化を更に推進するとともに、日本発の技術の国際標準化を推進することにより我が国産業競争力の強化を図る観点から、国際標準提案の迅速化や研究開発、知的財産権取得と標準化との一体的推進など国際標準化活動に対する戦略的な取組を一層強化すること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  176. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいま藤原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  177. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 全会一致と認めます。よって、藤原君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣
  178. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、これらの法律案実施に努めてまいりたいと考えております。  ありがとうございました。
  179. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 次に、独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  180. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  この際、藤原正司君から発言を求められておりますので、これを許します。藤原正司君。
  181. 藤原正司

    ○藤原正司君 私は、ただいま可決されました独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読します。     独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 非公務員型の独立行政法人への移行に当たっては、これまで維持されてきた雇用の安定を含む良好な労働関係及び労働条件等に十分配慮すること。    また、産学官連携の推進の観点から、産業界、学界との研究交流の活発化や職員自らの起業の支援を一層促進し、人事制度面等において職員の士気を維持、向上させるような制度・組織の構築に努めること。  二 計量標準業務、地質調査業務等のいわゆる知的基盤業務等に関しては、信頼性と継続性の要求される公的性格の強い業務であることにかんがみ、業務の停滞により国民生活に影響を及ぼすことのないよう、今後ともその着実な実施確保を図ること。  三 独立行政法人業技術総合研究所の組織・業務の見直しに関しては、特に研究開発活動の特質を考慮した研究評価在り方について更に積極的な取組を行うとともに、平成十六年度末の中期目標期間の終了に向けて、政策目的の達成状況、業務効率化及び質の向上の達成状況等の厳格な業績評価を行い、組織・業務全般にわたる的確な見直しを実施すること。    また、平成十七年度からの次期中期目標の策定に当たっては、その見直し結果を反映した一層明確かつ具体的な目標設定に努めること。  四 独立行政法人の長及び役員の選任においては、いたずらに公務員の天下り先となることがないよう留意するとともに、自律的、自主的に運営を行うという独立行政法人制度趣旨を踏まえ、広く内外から適切な人材を起用するよう努めること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  182. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいま藤原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  183. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 多数と認めます。よって、藤原君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣
  184. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案実施に努めてまいりたいと考えております。  ありがとうございました。
  185. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 次に、鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  186. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  この際、藤原正司君から発言を求められておりますので、これを許します。藤原正司君。
  187. 藤原正司

    ○藤原正司君 私は、ただいま可決されました鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読します。     鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 自主保安の原則の明確化、適正な官民の役割分担等を基本とする新制度の導入に当たっては、事業者等に対する制度趣旨の周知徹底を図るとともに、監督部局における監督等の専門性の確保、類似の行政手法を採用している国、地域との情報交換、鉱山保安に関する知見の蓄積と事業者等との情報共有化による知見・ノウハウの有効活用に向けた体制整備に関し十全の取組を行うこと。  二 小規模鉱山に対しては、新制度の円滑な導入が図られるよう、自主保安の確保に向けた体制整備についてその実状を踏まえた十分な支援措置を講ずること。  三 鉱山保安行政とその他の産業保安行政の一体的実施のための行政組織の見直しに関しては、行政効率化の観点からその業務体制等について不断の見直しを行うこと。  四 鉱山から遠隔地にある附属製錬場及び休廃止鉱山の鉱害防止については、国と地方公共団体とが十分に協議をすること。特にこれら施設の廃棄物たい積場及び廃水処理に伴って発生する中和沈殿物の埋立場等については、地域住民への影響を十分配慮すること。  五 我が国のエネルギーセキュリティ確保や国際貢献の観点から、海外炭開発に対する支援、石炭採掘や鉱山保安などに係る技術移転等について、その取組の一層の推進を図ること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いします。
  188. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいま藤原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  189. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 多数と認めます。よって、藤原君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川経済産業大臣
  190. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案実施に努めてまいりたいと考えております。  ありがとうございました。
  191. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十六分散会