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2004-03-23 第159回国会 参議院 経済産業委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十二日     辞任         補欠選任         藁科 滿治君     谷  博之君      緒方 靖夫君     富樫 練三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 秀善君     理 事                 魚住 汎英君                 松田 岩夫君                 広野ただし君                 藤原 正司君     委 員                 泉  信也君                 関谷 勝嗣君                 福島啓史郎君                 保坂 三蔵君                 勝木 健司君                 谷  博之君                 直嶋 正行君                 平田 健二君                 本田 良一君                 浜四津敏子君                 松 あきら君                 富樫 練三君                 西山登紀子君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    参考人        全国商工会連合        会会長      清家  孝君        東京中小企業        再生支援協議会        支援業務責任者  藤原 敬三君        宇都宮商工会議        所会頭        栃木商工会議        所連合会会長        栃木中小企業        再生支援協議会        会長       簗  郁夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (地域経済及び中小企業問題に関する件)     ─────────────
  2. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、緒方靖夫君及び藁科滿治君が委員を辞任され、その補欠として富樫練三君及び谷博之君が選任されました。     ─────────────
  3. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のうち、地域経済及び中小企業問題に関する件の調査のため、本日の委員会全国商工会連合会会長清家孝君、東京中小企業再生支援協議会支援業務責任者藤原敬三君及び宇都宮商工会議所会頭栃木商工会議所連合会会長栃木中小企業再生支援協議会会長簗郁夫君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のうち、地域経済及び中小企業問題に関する件を議題といたします。  この際、参考人方々委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。  皆様には、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。本日は、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人二十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席したままで結構でございます。  それでは、参考人皆様から御意見をお伺いをいたします。  まず、清家参考人お願いをいたします。清家参考人
  6. 清家孝

    参考人清家孝君) 全国商工会連合会長清家でございます。大分県の商工会連合会長も務めております。  本日は発言の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。時間が限られておりますので、幾つかのポイントに絞って意見を述べさせていただきます。  本題に入ります前に、手短に私ども組織について説明をさせていただきます。  私ども商工会は、昭和三十五年に成立した商工会法に基づき、主として町村の地区に設立されました経済団体であります。全国で約二千八百の商工会が設立をされており、会員事業者数は約百三万、組織率は約六三%となっております。国、県等支援を受け、地域中小企業者経営相談金融あっせん税務指導を始め、町づくりやイベントを通じて町おこしなど幅広い事業に積極的に取り組んでいるところでございます。御参考までに、平成十四年度の全国商工会の約五千人の経営指導員等が行いました指導相談件数は約三百五十万件でございます。一年間で一人当たり約七百件の指導を行っていることになります。  前置きは以上でありますが、初めに、私ども中小企業を取り巻く景気動向につきまして意見を述べさせていただきます。  既に御承知のとおり、政府が発表いたしました昨年十月から十二月期に実質GDP年率換算でプラス六・四%という非常に高い実績を示しており、直近の月例経済報告でも、着実に景気回復をしているとの政府基調判断が示されております。しかし、これは先生方も御承知のとおり、一部の大手企業設備投資や輸出の好調さが景気回復牽引役となっているためであり、地域中小企業のほとんどは実感がないのが現実であります。  お手元に参考資料1として、私どもが毎月実施をしております小規模企業景気動向調査の過去四年間の推移をグラフにしてお配りをしております。これをごらんいただきますと、小規模企業全体の景況感は昨年一月を底として回復傾向にありますのが、まだまだ景況感が悪いといった回答、より黒い部分の方が、好転したと回答した白い部分よりも圧倒的に多いということがお分かりになると思います。  また、参考資料2として、全国経営指導員の生の声をまとめたのをお配りをしております。現場の声といたしまして改善例悪化例を二、三紹介させていただければと思いますが、悪い例が圧倒的に多く、地域景気はまだまだ良くないということがうかがわれると思います。  例えば、改善傾向を示すコメントとして、一ページ目の中段にあります埼玉県の東秩父村商工会では、自動車関連部品加工中心中国東南アジア向け需要の拡大で安定をしており堅調、といったものがありますが、ほとんどが悪化傾向コメントになっております。  例えば、次のページ中段の岐阜県柳津町商工会では、繊維製品中国製品に押され地元発注は極端に減少、建設、土木公共事業削減人員整理事業規模縮小傾向消費改善も見込めず、小売は売上げ減地域経済は大変厳しい状況と言っており、また、同じページの下段にあります福岡県の津屋崎商工会では、個人事業確定申告では所得税納付税額が若干増加傾向にあるが、原因は売上げ増加でなく、パート等人件費削減での利益捻出といった具合であります。また、鳥インフルエンザの騒動や、四月から導入をされます消費税総額表示など、今後消費が冷え込む懸念も多々あり、私ども中小企業は非常に大きな不安を抱えております。  国におかれましては、今後とも景気動向に一層注視していただきまして、適時的確な政策を打ち出していただき、一刻も早く景気回復の波が我々地域中小企業に及んでいくよう切に期待をしております。  なお、消費税総額表示制度導入についてでございますが、大企業等優越的地位の濫用がくれぐれも起きないよう公正取引委員会には厳しく監視を続けていただき、下請中小企業が被害を被ることのないよう御配慮お願いいたしたいと思います。  次に、金融問題について意見を申し述べます。  まず、民間金融機関中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしについてであります。  政府の強い指導もあって、一時の最悪の状態は脱したとの声も聞かれておりますが、民間金融機関収益重視経営姿勢が強まる中、融資姿勢は二極分化しつつあるのではないかと思われます。すなわち、優良な中小企業には金融機関融資に積極的でありますが、財務状況が悪い中小企業に対しては貸し渋り、貸しはがしは依然として問題となっております。  こういった中で、国民生活金融公庫を始めとする政府系中小企業金融機関は、中小企業にとって大変頼りになっているところであります。政府系中小企業金融機関整理統合等の議論は、現在凍結をされていると伺っておりますが、中小企業最後のよりどころとして是非とも維持存続をさせていただきたいと思います。  次に、融資の際の金融慣行についてであります。  我が国では長引く土地人的担保を重視する融資が行われておりました。このため、土地などの資産を持たない人が事業を始めたり事業を拡大しようとしてもなかなか融資を受けられないといった問題があります。また、個人保証を求められるため、一たび倒産をすると身ぐるみはがされてしまうということが多く見受けられます。今後は、経営者経営能力企業の技術や将来性に着目した融資をもっと積極的に導入していくべきであると思いますし、個人保証責任追及一定の歯止めを設けていただきたいと思います。  続きまして、資金繰り円滑化借換保証制度並びに売掛債権担保融資制度についてであります。  資金繰り円滑化借換保証制度につきましては、平成十五年二月に創設されましたが、一年間で保証実績は約三十六万件、金額で五兆三千八百億円と、極めて有効に活用されております。今後とも、同制度につきましては引き続き拡充お願いしたいと思います。  売掛債権担保融資制度につきましては、資金調達多様化という観点から大変有り難い制度であると考えております。当初は、売掛金を担保に提供することによって取引先から不安視されるなど、風評を警戒をし事業者が二の足を踏んでいるとのことはないか、あるいは債権譲渡禁止特約があるから実績が乏しいのではないか等々伺っておりました。しかしながら、国の御尽力により、債権譲渡禁止特約改善や、先般、売り掛け債権担保とする際の評価率の上限が一〇〇%に引き上げられるなど運用改善が図られており、高く評価をしております。今後も引き続き本制度に係る周知運動を更に強化し、特に相手方取引先が本制度を利用することについて余計な不安を持つことのないよう社会的認知度のアップを努めることが必要だと思います。  さらに、金融検査マニュアルについてでございます。  今般、中小企業融資編改訂版が公表されました。中小企業に対する特別の配慮や事例の拡充等により判断基準も明確に示されており、高く評価をしております。しかしながら、本マニュアルが有効に機能するかどうかはあくまでも現場検査官の裁量によるところが大きいと思われておりますので、今般の改正趣旨を十分踏まえていただき、検査官によって取扱いが異なることのないよう十分な指導徹底お願いをいたします。  次に、引き続きまして、商業製造業関係について意見を申し上げます。  まず商業分野につきましてですが、現在、行き過ぎた規制緩和により、都市周辺郊外に無秩序な大型店の出店が相次ぐ一方、旧来の中心市街地から閉店、撤退が行われる結果、町のにぎわいが失われるばかりか、商店街そのもの崩壊寸前状況にあります。地域、歴史、伝統、文化、自然などを町づくりの視点に置き、人を引き付ける魅力的な町の再生が急務であると考えております。平成十六年度には大店立地法の指針の見直しが予定をされていると聞いておりますので、本法を含めたいわゆる町づくり三法が十分機能するよう諸施策実施お願いをいたします。  製造業分野におきましては、現在、大手製造業等海外への生産拠点移転を進めるなど、地域中小企業を取り巻く環境は日増しに厳しさを増しております。こうした地域産業空洞化現象の行き着く先は、雇用の低下であり、地域社会崩壊、民力の低下にほかなりません。物作りの面からも地域が元気を取り戻せるよう、例えば国内のみならず海外にも通用する中小企業ブランドの確立をするためのジャパン・ブランド育成支援事業を始めとする諸施策の更なる強化拡充お願いいたします。  最後に、商工会が抱える課題について、要望を踏まえて意見を申し上げます。  冒頭に述べましたとおり、商工会は四十年以上の長年にわたり各種事業実施してまいりましたが、現在の最大の悩みは、長引く不況が影響し、倒産廃業等のために商工会会員数が年々減少しているところであります。特に、先ほど申し上げましたとおり、郊外大型店が次々に進出したことで全国中心市街地が衰退し、町が寂れたことも大きく影響しております。一方、経済社会が激変し、地域会員商工会に期待する役割が大きくなることに、商工会に求める内容も変化をしていることに対しまして、商工会自体がこうした変化に十分的確にこたえられない面もあることは否定できないと思います。  このため、私どもは、従来からの金融税務労務相談といった基礎的な支援事業実施に加えて、創業支援経営革新支援情報化支援事業などの分野に重点を移すとともに、組織を挙げて新しい時代に、要請するにこたえるべく努力を重ねているところでございますが、その基本が、商工会小規模事業者に対し質の高い指導を行うことであります。このためにも、経営指導員中小企業診断士などの資格を取得させ専門分野を持たせるなど、レベルアップを図ってまいります。特に、来年度からは、経営指導員資質向上を一層図るために、いつでもどこでも研修ができるようインターネットを活用した商工会ウエブ研修実施する予定にしております。  また、商工会組織全体の強化を図るため、全国各地において商工会合併広域連携に向け努力を行っているところであります。現在、全国の約四百の商工会において合併の検討を進めており、また約千の商工会広域連携取組を行っておりますが、今後の市町村合併に伴い、全国百十六市町村、約五百三十商工会飛び地となるおそれがあるため、現行法では合併できないという問題があります。このような隣接していない飛び地商工会同士合併できるよう商工会法改正お願いいたしているところでありますが、是非とも趣旨を御理解いただき、一刻も早い法改正お願いを申し上げます。  このほか、商工会が抱える大きな課題は財政問題であります。現在、国も県も町も財政難であり、商工会への補助金削減傾向にあります。商工会も真剣に自己財源強化を図るべく自助努力をしておりますが、一定の限界があることも御理解いただけると思います。国等財政難は十分承知しておりますが、小規模事業者への支援事業が後退することのないよう、国及び地方自治体に必要な予算の確保を図られますよう是非とも御指導お願いを申し上げます。  以上、るる申し上げましたが、やる気のある中小企業が生き残れるために、政府におかれましては、今後とも中小企業振興のための諸施策を一層拡充強化していただきますようお願いを申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  7. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ありがとうございました。  次に、藤原参考人お願いいたします。
  8. 藤原敬三

    参考人藤原敬三君) 東京中小企業再生支援協議会支援業務責任者藤原でございます。  それでは、中小企業再生支援協議会の現状について御説明させていただきます。  バブル崩壊以降、日本経済はデフレも進行し、疲弊しております。とりわけ、日本の九九%以上をも占める中小企業は大変厳しい状況に置かれております。日本経済の活力を回復させるためには、地域経済の立て直しが不可欠であります。そのためには、地域経済を担っている中小企業再生が極めて重要であります。このような役割を担って全国に設立されたのが中小企業再生支援協議会であると私は認識しております。  中小企業再生支援協議会は、全国商工会議所等認定機関支援の下、中小企業再生に関する経験の豊富な常駐専門家により運営されております。既に全国四十七都道府県に順次設置され、平成十六年三月十二日現在では、三千二百五十一社からの相談に応じている状況でございます。そのうち二百八十一社については再生計画策定支援に取り組んでおり、既に六十九社の再生計画が完了しているとのことであります。私が担当しております東京都では、四社の完了案件があり、さらに近日中、数件の完了案件が出る見込みであります。  ここで申し上げておきたいのは、再生計画策定完了とは、単に計画書が完成したというのではなく、その計画に基づく金融機関支援もまとまっているという点でございます。実は、この金融機関調整というのが中小企業再生支援協議会の重要な役割一つなのであります。  さてここで、中小企業再生支援協議会の特徴について三点御説明したいと思います。  まず一つ目は、中小企業再生支援協議会は、公正中立第三者機関であるという点でございます。すなわち、債権者債務者どちらの立場にも立たず、公正中立立場から様々なアドバイス提案を行うということであります。提案を受け入れるか否かの判断はあくまで当事者が行うということです。この点は、何か無責任で中小企業皆様方には冷たいと思われるかもしれませんが、現実には極めて好評を得ております。それは、中小企業再生支援協議会が親身になって徹底的に相談に乗り、様々な客観的アドバイス実施しているからにほかならないと感じております。現実全国相談件数が増加し続けているのが何よりの証明かと思います。  一方、公正中立立場という点は、金融機関サイドにとっても大きな安心感を与えているようであります。実際、再生計画策定作業というのは、企業金融機関再生支援協議会、そしてアドバイザーたちが一体となって進められるわけですから、透明感もあり、債務者債権者双方安心感を与えているようであります。  二つ目は、守秘義務という点でございます。  中小企業の場合、その事業基盤も弱いケースが多く、企業名が公表された場合、今後の事業存続に支障を来すというような事態となってしまうことを懸念している経営者が極めて多いというのが現実であります。その点、中小企業再生支援協議会の場合、再生計画がまとまり、金融機関支援取付けが完了した場合でも企業名が公表されないという点が経営者方々には大きな安心感につながっているようであります。  三つ目の点としては、中小企業診断士の存在、すなわち事業自体改善提案指導を行うという点でありましょう。金融機関としてはどうしても事業のことが分からないというのが現実であります。例えば、工場生産性を上げるためには具体的にどのようにすればよいのか等、このような問題を解決するのが中小企業診断士の役目でありましょう。  以上、要約すると、中小企業再生支援協議会は、企業にとっては、秘密保持が確保され、かつ公正中立立場から金融機関対応等に関するアドバイスがもらえ、さらに事業専門家から事業に関する様々な改善提案をしてもらえ、最終的には金融調整までしてくれるという機関であり、一方、金融機関側にとっては、公正中立立場から企業実態分析事業分析等実施、報告してもらえ、さらに企業再生に関する新しい手法等についてもアドバイスしてもらえ、最終的には複数金融機関調整までしてくれる機関であるということであります。  何かメリットばかり申し上げているようではありますが、企業側金融機関側双方からの相談が増加し続けているという現実は、そのあかし若しくはそのように期待されているというあかしでありましょう。  ここまで申し上げてまいりましたことを、東京都における三つ具体的実例に即して御説明させていただきます。  まず初めに、地場の土木工事業を営む中小企業の例であります。  この会社は、大手ゼネコン下請体質からの脱却を目指し、努力を重ねてきたわけでありますが、道半ばで大手ゼネコンが破綻し、自力再生が危ぶまれる事態となっていた企業であります。  再生計画の中では、利益率の低い下請から利益率の高い小口工事へのシフトを行うとともに、経費削減等徹底的なコストダウンを図ることで収益をアップさせることといたしました。この案件ポイントは、協議会取引金融機関を集め、協議会アドバイザー実施した企業分析結果と事業分析結果を報告し、さらに経営責任として私財提供等実施させることをも説明した上で金融支援を要請したという点であります。結果として、商工中金、中小公庫の政府系金融機関積極的支援表明呼び水となり、無事、新規資金調達を含めた金融支援が固まったという案件であります。  この案件に限らず、政府系金融機関中小企業再生に対する積極的取組によって無事再生に至った案件は多いと聞いております。  次に、金属加工を営む中小企業の例でございます。  このケースでは、社長が長年の自分のやり方に絶対の自信があり、メーンバンクからの指導にも耳を傾けず、結果としてなかなか収益が上がらず、じり貧状態であったという案件です。  協議会としては、何度も社長と話をし、やっとのことで中小企業診断士との面談セットにこぎ着けました。そして、診断士現場に何度も足を運び、工場の非効率部分の指摘をするにとどまらず、管理会計導入取引先別製品別採算分析等実施、徹底的に社長工場長とこの話合いを実施したことにより、社長も大きく目覚め、結果として大幅に収益改善が図られることとなったケースであります。要約すれば、事業面改善、すなわち自助努力という側面を金融機関に代わって協議会指導し、実現できたということであります。  なお、この案件に見られる管理会計導入という手法は、多くのケースで使われるものであり、全国完了案件の中でも半数近くがこの手法導入したというふうに聞いております。  最後は、やはり金属加工中小企業の例であります。  この案件は、本業はしっかりしてはいるが、過去の負担が大きく、早期債務超過の解消と過剰債務の圧縮を必要としているというケースであります。  これは、本年二月に改訂された中小企業編金融検査マニュアル別冊において初めて認められた資本的劣後ローン、いわゆるデット・デット・スワップ、DDSの第一号案件であります。経緯としては、協議会アドバイザーチーム再生計画を策定している過程で、商工中金より初めてのDDS対応を検討したいとの提案があり、協議会として実現に向け動いた次第です。  具体的には、アドバイザーである公認会計士分析による実質自己資本把握、同じくアドバイザーである中小企業診断士指導分析に基づく事業計画を踏まえ、DDSを織り込んだ計画を仕上げ、最終段階として、アドバイザーである弁護士より、合理的かつ実現可能性の高い計画であり、またDDSという支援相当性があり妥当であるとの意見もいただき、実現までこぎ着けたという案件であります。この結果、企業債務者区分も無事アップいたしました。  このDDSという手法は、企業の正確な資産価値把握と合理的かつ実現可能性の高い再生計画に基づき実施される必要があり、その意味では中小企業再生支援協議会の果たす役割は極めて大きいものと認識しております。中小企業再生を図る上での画期的ツールとして大きく期待されているDDSの第一号案件呼び水となって、多くの中小企業再生に活用され、結果として多くの企業再生が進むことを期待する次第であります。  なお、この第一号案件が新聞報道されて以降、早くも複数金融機関より当協議会あて打診が来ている状況です。  以上、東京都の協議会における具体的事例を御紹介させていただきましたが、ここで、実際に御相談に来られた企業に対して当協議会はどのような対応をしているのか、また再生計画完了までどのようなステップがあり、どれくらいの期間を要するのかという点について、最後に御紹介させていただきます。  まずは、初回面談時に税務申告書等の必要書類を御持参いただき、面談が始まるわけですが、最初に、東京中小企業再生支援協議会の仕組みをきちんと御説明いたします。その際に必ず申し上げる点が次の二点でございます。  一つは、東京中小企業再生支援協議会企業版の地域総合病院です。健康診断から外科手術まで、さらにはその後の経過観察まで対応しております。秘密は守りますという言葉です。この企業版の病院という表現が企業皆様方には御理解いただきやすいようであります。今後、全国商工会議所の中小企業相談所とともに、人間ドックのように、気軽に健康診断に来ていただけるところになればと願っております。  二つ目は、東京中小企業再生支援協議会は中立な立場第三者機関であり、債権者側、債務者側どちらの立場にも立たず、第三者として客観的な立場から様々なアドバイス提案を行いますが、判断するのは企業であり、銀行、すなわち当事者です。企業に対する責任、従業員に対する責任を負っているのはあなたであり、協議会にお任せというわけにはいきません。この言葉もほぼすべての企業方々に当然といった感じで受け入れられているようであります。  以上二点は必ず最初に申し上げております。  次に、相談から再生計画完了までの具体的ステップと完了までの期間ですが、まずは経営者との面談を行います。この段階では、相談企業における問題点、課題点を整理し、それぞれの企業ごとに対応を判断することとなります。相談企業の多くはちょっとしたアドバイス金融機関との調整のみで課題が解決するケースが多く、そういう意味でも、手前みそになりますが、これまで余り相談に行き場のなかった中小企業事業再生に当たっての本格的な相談の場として極めて有効に機能しているものと思っております。  そして、次に、必要に応じて再生計画策定支援の可能性を検討いたします。そして、メーンバンクへのヒアリングを実施した上で正式に再生計画策定支援を決定いたします。ここまでの段階で、残念ながら再生計画策定支援を断念せざるを得ないケースも出てまいります。理由は様々ですが、既に資金繰りが破綻状態となっているケースが多いと感じます。あと一年、いや、あと半年早く御相談に来ていただければと思うことがあります。  さて、再生計画策定支援に進むと、協議会専門家アドバイザーを選定し、アドバイザー会議をスタートさせることになります。ここから本格的にスタートするわけですが、ここからの一か月で企業の実態資産調査事業の実態調査、及び今後の見通し等についてアドバイザーが作業いたします。この実態調査結果を踏まえて、事業に関する自助努力の内容について経営者と協議し、企業として責任の持てる、すなわち実現可能性の高い事業計画の策定を行います。この事業計画金融機関にも理解しやすい形式に落とし込み、メーンバンクにも検討してもらい、具体的金融支援内容を協議することとなります。メーンバンクとの合意ができた後、協議会はその他の金融機関に対して計画に基づく支援要請を行う、すなわち金融調整実施することとなります。  以上、再生計画策定支援に進んでから完了までにおおよそ三、四か月というのが一般的です。むろん、取引金融機関が少ない等の様々な特殊事情がありますので、最短で二か月程度でまとまることもありますし、逆に事業改善計画の策定に時間が掛かり、さらに金融調整で時間が掛かり、完了まで一年を要するケースも当然あります。このような説明も、最初の御相談の時点で企業には行っており、一般的には四、五か月程度は掛かりますと申し上げております。  さて、いろいろと申し上げてまいりましたが、最後に少し違った側面から協議会について申し上げたいと思います。それは、中小企業再生は、取りも直さず地域金融機関再生にも直結し、ひいては地域経済の活力を取り戻すことにもつながるという点でございます。  現在、地域金融機関取引先企業再生に向け、様々な取組を開始されている段階ですが、再生は決して一人のプロによって実現できるものではありません。弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士ほか、多くの人たちの力をかり、企業金融機関が一体となって初めて実現できるものであります。したがって、今後さらに、中小企業再生支援協議会が果たす役割は極めて重要なものになると確信しております。  我々は、引き続き、企業からの相談には親身になって対応することを心掛け、企業にとってベストの再生プランを提案し、一社でも多くの中小企業再生と一人でも多くの雇用が守られるよう努めてまいることが中小企業再生支援協議会役割であると認識しております。  私ども東京中小企業再生支援協議会においては、東京商工会議所が全力を挙げてバックアップしていただいておりますが、全国協議会においても同じように地域を挙げてバックアップしていただいていると聞いております。今後とも、関係各方面の多くの皆様方の更なる御支援をいただきながら、できる限り多くの中小企業皆様方のお役に立てるよう日々努力してまいりたいと思います。  ありがとうございました。
  9. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ありがとうございました。  次に、簗参考人お願いいたします。
  10. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) 宇都宮商工会議所会頭の簗郁夫でございます。このたびは当委員会意見を述べる機会をいただき、誠にありがとうございます。  私は、併せまして栃木商工会議所連合会の会長栃木中小企業再生支援協議会会長も仰せ付かっております。したがいまして、本日は、栃木県の経済界としての立場から私の所見を述べさせていただきます。  内容は、大きく次の四項目でございます。第一は栃木経済の現状、第二は足利銀行の破綻、一時国有化に伴う現在までの影響、そして破綻の影響に対する今後の対策、最後栃木経済の活性化と持続的成長について、以上四点につきまして順次申し上げさせていただきたいと思います。  最初に、栃木県の規模と位置付けを御理解いただきたく、栃木県の経済の現状につきまして説明をさせていただきます。  栃木県の人口は、平成十五年十月現在で約二百一万人でございます。産業別の構成比は、一次産業が約二・一%、二次産業が約四〇・四%、三次産業が六一・四%、これはちょっと足して一〇〇を超えますが、これは県民経済計算からやっておりますので、ちょっと帰属利子等の控除分が入りますために変わる次第でございます。いずれにしろ、特徴的には比較的製造業の比重が高く、二次産業から近時、順次三次産業へとシフトする傾向がございます。  また、最近の主な経済指標について申し上げますと、製造製品出荷額、これは平成十四年度速報値でございますが、約七兆六千五百億でございまして、全国の十位に位置しております。それから農業産出高は、十四年度二千七百億で、全国の九位でございます。一人当たりの県民所得、これは十三年度しか出ておりませんが、三百十三万五千円で、全国で六位でございます。また、最近の有効求人倍率は、本年一月でございますけれども、一・一〇倍で、全国で四位となっております。デフレ経済の中でございますので、名目数値は減少してございますが、それぞれ全国での順位を一ランクずつ上げております。  しかしながら、一方、ミクロの指標を申し上げますと、平成十四年度の申告法人の赤字企業率は七八・一%に達しておりまして、全国でワーストフォー、これは民間調査でございますけれども、そういう結果が出ております。また、今いろいろマスコミで報道されております日光、那須、鬼怒川に代表される観光地につきましては、平成十四年度の入り込み客数、いわゆるおいでいただいた客数は総数で千八百八十九万人ございました。そのうち宿泊客数は七百三十四万人でございまして、かつてのピーク時に比較しまして七四%程度に落ち込んでおりますが、最近減少傾向に底打ち感が出ているという状況でございます。  総括的に申し上げますと、栃木県全体といたしましては、マクロ経済的には全国でも上位に位置するマーケットを有しておりますが、ミクロ的にはいまだ厳しい局面が見られるというところでございます。しかしながら、一部には明るい兆しが見えておりまして、本年度の県の法人事業税、法人県民税は当初予算を約百億円程度上回る見込みでございまして、また工場立地数も回復傾向にございますので、傾向的には景況は若干上向きぎみかと思われます。  このような中で、御承知のように、昨年十一月末、栃木県の基幹金融機関であります足利銀行が破綻処理され、特別危機管理として国有化されるに至ったところでございます。  次に、昨年十一月二十九日、足利銀行が特別危機管理銀行とされました時点から本日までの影響について述べたいと思いますが、足利銀行からの預金の流出、移動は現実的には発生しておりますが、問題とするほどでもございません。ただし、金融不安から県内各関係機関に設置された特別相談窓口の相談件数は、いろんな件数がありますのでそれがすべてというわけでございませんが、三月十八日現在で約千九百二十五件ございました。我々の商工会議所では二百件ほどでございました。  しかしながら、実際的には、昨年末の、年末、また本年この三月末の年度末においても、比較的金融的には平穏、安定的に推移しておりまして、三月決算もそのまま推移するんじゃないかと思っております。  その理由として考えられますことは、第一に、足利銀行自体が金融庁の業務適正化命令に従いまして従来の融資姿勢を継続したことにあります。加えて第二に、危機回避に万全を期した栃木県は、セーフティーネット融資資金枠を二度にわたりまして拡大を図りまして、合計六百億円が準備されました。加えて、各市町村でもこの対応にプラスして合計七百七十億円、市町村をプラスしまして七百七十億円の融資資金が準備され、市町村も補完する処置が取られたために、このような危機が回避されたものと思っております。また第三に、政府系の金融機関及び市中金融機関においても適正な処置が講じられたことによりまして、比較的安定的に推移したものと思われます。  その例として、栃木県信用保証協会の保証の推移を申し上げますと、保証件数は前年比で申し上げまして、十二月が一五四%、一月が一二七%、二月が一〇七%でございます。それから保証金額で申し上げますと、前年比で十二月は二九七%、約三〇〇ですね、それから一月が二〇〇%、二月は一四二%、順次鎮静化しておりますけれども、この中でセーフティーネット六号認定案件は七百九十億円に達しております。その七百九十億円のうち足利銀行扱いは四七・八%でございますので、足利銀行自らの努力も先ほど申し上げたように相当見られたというふうに言えると思います。これらのセーフティーネット機能が有効に働いた結果、倒産件数は毎月十件前後で推移しまして、破綻前とほぼ同水準を保っております。  以上申し上げましたように、比較的平穏に推移したことは、関係機関の的確な処置が講じられた結果と考えられまして、大変有り難く、感謝申し上げる次第でございます。  しかしながら、栃木経済の不安定化見込みの報道が全国に伝わりまして、いわゆる風評被害をもたらしているものは相当ございます。地元経済界の最も懸念しておりますことは企業間信用の収縮でございますが、足利銀行をメーン銀行というだけで信用が落ちて、手形・小切手の決済行を変更してくれとか、あるいは手形の決済期間を短縮してくれ、あるいは手形決済から現金決済への変更をしてくれとか、あるいは取引保証金を積み増してくれとか、あるいは売掛金残高の枠を少し縮めてくれとか、そういうような様々な取引先の債権確保の強化が行われているということを耳にしております。そのために、温泉地ホテル、旅館等も苦境に立たされているということも言えると思います。  以上が今までの影響でございますけれども、それに対する今後の対策でございます。  足利銀行の破綻、国有化による影響は、株式の毀損によるものと今後の不良債権処理によるものが今後考えられております。足利銀行破綻、国有化により株主責任が問われた結果、ほぼ無価値化した株式の金額を正確には把握できませんが、少なくとも増資分の七百二十七億円は既に毀損しております。また、足利銀行の平成十五年度中間期、九月期のディスクロージャー誌によりますと、要管理債権以下の金融再生法の開示債権総額は五千四百四十一億円に上っております。また、同誌によりますと、足利銀行の地域への貸出し比率は九〇・〇%でありまして、そのうち中小企業向け貸出金比率は八四・八%に達しております。  したがいまして、先ほどのような不良債権処理が足利銀行の健全化の過程で行われるわけでございますが、オフバランスのいかんによっては、栃木県を中心として群馬、茨城、埼玉、栃木県に隣接する地域での投資と消費に大きな影響が出る試練のときをこれから迎えるものと言わざるを得ません。我々経済界としても、影響を最小限に食い止めるには、一に企業再生でございますし、二にも企業再生であると考えております。  そのために、まず、先ほど藤原参考人からもお話がありましたように、栃木中小企業再生支援協議会の体制の拡充につきましては、中小企業庁の御支援の下に、本年一月には常駐専門家について従来の四名の体制から十名にしました。また、支援専門家も十三名から三十名への増員としまして、全体で約二・五倍の体制を整えました。本件につきましては、関係各位に深く感謝を申し上げる次第でございます。  既に足利銀行と栃木中小企業再生支援協議会との連携協議を定期化しておりまして、今後の案件数によっては、機動的に増員する予定であります。さらに、産業再生機構、整理回収機構との連携の枠組み作りも図っているところであります。また、企業再生ファンドの早期創設も検討中でございまして、四月には何らかの取りまとめができる予定でございます。  以上、るる申し上げましたが、それ以外でもできる限り私的整理のスキームを活用して企業再生に努め、地域経済への影響を最小限に食い止める所存でございます。  栃木県では、いわゆる三位一体改革によりまして厳しい財源の中にあるにもかかわらず、平成十六年度予算編成に当たりまして、県の財政調整基金を取り崩し、前年対比一〇五%の予算規模を確立いたしました。特に、県単独での需要創出や融資対策を図っております。さらに、雇用安定支援対策としまして、来月五日には学生や若者から中高年の離職者までを見据えまして総合的な就職支援を目指す「とちぎ就職支援センター」をスタートさせることになっております。また、地域再生提案として、栃木経済新生構想を提案し、地域金融の円滑化、中小企業再生地域産業の活性化、地域雇用の確保の重点施策を展開することとしております。  以上、現在実施いたしております取組の一端を御案内申し上げましたが、これらはあくまで栃木経済の下ぶれを起こさないように講ずる施策でございまして、これからの栃木県の発展を期すとは言えるものではありません。  そこで、最後になりますが、今後の取組につきまして考え方等を述べさせていただきたいと思います。  経済活性化、地域経済の活性化と持続的成長のためには、家計すなわち雇用と所得が伸び、内需産業が成長することが必要と考えております。次の世代の豊かさと幸福は、新しい商品やサービスの出現によってもたらされるものと言って過言でないと思います。新事業の展開や効率化を図る経営革新やベンチャー企業や第二創業など、ニュービジネスの企業起こしも欠かすことはできません。これをより積極化するために、産学官の連携・交流促進やニュービジネス育成ファンドの創設も考えなければならないと思っております。そのためにも、県内預金の四〇・八%、貸出金の四九・〇%を占める足利銀行が一日も早く再生を果たし、必要なリスク資金の貸手となることが期待されているところでございます。  現在、栃木県内、あるいは各県でも同様かもしれませんが、各地では中心市街地商業の地盤沈下、建設業の不振あるいは温泉地の集客低下等様々な課題を抱えておりますが、それらの解決策は、経営環境の急激な変化にどのように対応するかということであろうかと思っております。対応する課題は個々の命題によりまして異なりますが、いずれのケースであってもその解決のためには、一度相当完全にセットをし直して、根本的に出直す覚悟が求められているのが現状かと思います。  地域経済を基本的に支えているのは、御承知のとおりコミュニティービジネスや小規模、中小零細の土着企業群でございます。県内に豊富にある地域資源を有効活用した地域密着型ビジネスの推進や時代ニーズに対応した観光地作りが不可欠と考えます。是非小規模企業の経営支援を手厚く行う施策を必要と思いますので御検討いただきたいと思います。  一方では、地域経済を牽引していく地域産業資本家、主に中堅企業経営者でございますが、この役割も見逃せません。それぞれの企業が、各々社会的使命を自覚して自立した情報を発信できる企業となることが肝要であると思っております。各企業が産学官の水平ネットワークを組むことによって足腰の強い経済が生まれるものと思いますので、それらを結び付けるコーディネーターの存在が大切でございますので、この辺の施策も御検討いただければ大変有り難いと思っております。  足利銀行の破綻・国有化によりまして、旧来のもたれ合いの取引構造から脱皮し、市場原理と経済合理性を踏まえて、リスクテーキングで緊張感のある取引へと変化するであろうことが各企業、銀行とも認識されておりますので、今後の発展に期待しておる次第でございます。  以上、地域経済再生のための所見を申し上げましたが、足利銀行の一時国有化を足腰の強い地域経済を創造する絶好のチャンスとしてとらえて、改善に取り組む所存でございます。  本委員会出席させていただきましたことに対し、深く感謝を申し上げますとともに、地域経済の活性化のために御示唆賜りますようお願いを申し上げまして、私のつたない所見を終了させていただきます。  誠にありがとうございました。
  11. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の陳述は終了いたしました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 自由民主党の福島啓史郎であります。  本日は、お忙しい中、また今日はちょっと寒くて花冷えの中でございますが、貴重な御意見、大変ありがとうございました。  まず、順を追って清家参考人からお伺いしたいと思います。  最初に、最近の問題の一つとして、消費税総額表示の問題を清家会長言われたわけでございますが、具体的に地元などで混乱が起きている、あるいはスーパー等も優越的な地位の濫用が見られるというような事例があるかどうか、まずお聞きしたいと思います。
  13. 清家孝

    参考人清家孝君) 実は、まだ行われておりませんので分かりませんけれども、もう風評的には大体、大型店の方が小売店に向かって一応消費税分だけはまけていただけませんかというような意見が出ておるように聞いております。大変、これが波及しますと大変なことになりますので、是非公正取引委員会の方にお願いをして、公正な取引ができるような形を是非お願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  14. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 商工会等でもそういう事例等が出てくれば、我々の方も公取に申し入れまして厳正な対応をしていきたいというふうに思っております。  二番目に、同じく清家参考人にお聞きしたいわけでございますが、中小企業の活性化のために、先ほどJ—ブランドと言われたわけでございますが、それを裏打ちする私は技術開発が重要だと思います。特に、中小企業向けの産学官の連携によります地域資源を活用した技術開発を進めていかなきゃいけないと思いますが、その点について特に取り組んでおられるようなことがあればお聞きしたいと思います。
  15. 清家孝

    参考人清家孝君) ただいま御質問がありました件につきましては、産学官の今勉強会を既に行っております。大分大学を中心にしていろんな形のものを再生するような形を基本的に考えていこうということで、再生産業創造機構が一応主体になってこれを執り行っておって新しい企業を創出するということで、今、産学官の連携をもって一生懸命今頑張っておるというのが状況であります。まだ新しい問題は出ておりません。
  16. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 三番。続きまして、同じく清家参考人にお聞きしたいわけでございますが、商工会合併の問題を言われました。特に、足腰の強い、またきちんと指導力を持った商工会を作っていくためには、やっぱり合併等を進めていく、あるいは連携を進めていかなきゃいけないというふうにおっしゃったわけでございます。  今国会が、この商工会合併を可能にするような、合併を容易にする法律改正案が出ております。また同様に、商工会議所も同じような合併促進のための、容易にするための法律が出ているわけでございます。  私は、それぞれ違った特色、あるいは違った立地条件を持っておりますので、それぞれの合併を進めるということがまず第一義的には重要だと思います。しかし、将来はこの商工会とそれから商工会議所の合併ということも検討の課題とすべきではないかという意見もあるわけでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
  17. 清家孝

    参考人清家孝君) 商工会議所法と商工会法は既に違うわけでございます。一応、商工会議所にやっぱり商工会が吸収されるという形になりますと、零細企業指導そのものがなかなか十分な指導ができないという形で大変今困っておるのは、今、都市部の商工会議地域には民商が大変はびこっております。そういう形で恐らく今の問題としては難しい問題があるんではないかと。  恐らく、商工会議所と商工会合併をした場合はそういう問題が出てくるという形もありますので、我々としてはあくまで零細企業のために一生懸命指導をしていくということを一応考えておるのが現況でございます。
  18. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 次に、藤原参考人にお聞きしたいと思います。  非常に熱心に取り組んでおられることをお聞きしまして、非常に感心といいますか敬意を表しているわけでございます。  まずお聞きしたいのは、この中小企業再生支援協議会への持込みは企業側なのかあるいは金融機関なのか、どちらから持ち込まれているのかということをまずお聞きしたいと思います。
  19. 藤原敬三

    参考人藤原敬三君) 現状で言えば、東京都だけしかちょっとそのルート、私、正式に把握しておりませんが、東京都においては約半々、企業さんが直接御相談に来られる件数が半分、金融機関さんからの、持込みというより事前相談というんですかね、そういうのが半分と、そんな感じです。
  20. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 それで、トータルの件数、全国では三千件のうち二百六十件程度が再生計画が策定対象案件で、そのうち六十八企業が完了しているということが出ているわけでございます。また、東京都も、先ほどおっしゃいました三件にプラス三件また出てくるということでございます。  非常に取組は、この数をどう見るかということでございますが、着実に進んでいるといえば進んでいるわけでございますけれども、ただ、今、中小金融機関の例えば要管理債権、これは地銀ベースと、それから協同組織金融機関を合わせますと約七兆円あるわけでございますね、全国ベースで。というような数からいたしますと、私は、どうもこの数はまだまだ少ないんではないかと。潜在的にはどのぐらいの数が出てきそうだというふうに考えておられますか。東京都の場合で結構でございますけれども、お聞かせいただきたいと思います。
  21. 藤原敬三

    参考人藤原敬三君) 数という意味では正直言って把握しておりませんので、何社ぐらいというのは御回答難しいと思うんですけれども。  ただ、一つ言えますのは、地域金融機関さんの要管理債権、ここの問題ですが、今回、先ほど御説明させていただきましたけれども資本的劣後ローンDDSというのが新しくできました。これも、第一号もうスタートして、多分これが地域金融機関さんの要管理債権を大幅に減らしていくそのすばらしいツールになるんではないかと。この事例がどんどん広がっていくというふうに期待しておりますし、既に地域金融機関さんからこちらの協議会の方に、どうしたらいいんだろうと、どういうものだというヒアリングが結構来ております。
  22. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 その地域金融機関なんですが、地域金融機関もいろいろあるわけですが、要するに、地銀、第二地銀、それから協同組合、信金、信組ですね。今言いました四つのうちではどういう金融機関が、地域金融機関がこの再生協議会に関心を持って、今のDDSを始めとした新しい手法に関心を持っているわけですか。
  23. 藤原敬三

    参考人藤原敬三君) 特にどの業態というわけではなく、地銀さん、それから第二地銀さん、信用金庫さん、それから信用組合さんに至るまですべて御相談に来られております。
  24. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 ああ、そうですか。  それで、DDSも新しい手法で重要なツールだと思うわけでございますが、それと同時に、私が中小企業庁等からお聞きしたところによれば、この再生協議会の、再生支援協議会ではどちらかといえばリスケが中心だと、金融機関の繰延べが中心だというふうにお聞きしているわけでございますが、それと同時に、私は、これは東証の私的整理ガイドラインでも出ているわけでございますが、無税償却を進めるような、この中で無税償却が進めるような合意形成も、つまり債権放棄ですね、金融機関の、そういった合意形成も進めていかなければならないと思うわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
  25. 藤原敬三

    参考人藤原敬三君) 端的に債権放棄ということについて申し上げれば、債権放棄というのは企業再生するための道具の一つであるというふうに考えております。その企業を私的に再生していくために、どういう道具を使うのが一番いいんだろうかという個別企業さんの御相談に応じてその手術道具というんですか、これを選んでいくことになろうかと思います。  債権放棄が全く今までなされていないのかというと、実は、例えば一つの例で言えばRCCさんとかそれから再生ファンドとか、そういうところを経由して実質的に債権放棄がなされている。つまり、企業側にとっては同じ効果になるんですけれども、こういう形で、姿を変えてというのもなにかも分かりませんが、それぞれに合った形、金融機関さんとしても、この案件の場合はこのケースの方がいいなという、そういう中で実質的にはかなりの債権放棄が進んでいるというふうに理解しております。
  26. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 次に、簗参考人にお聞きしたいわけでございますが、大変な、足利銀行の破綻ということで御苦労されていると思うわけでございます。  まず、当面、今のところは金融庁の指導等も、従来どおりの貸付態度、対応をするというような指導もあって落ち着いているという御説明があったわけでございます。しかし、これからオフバランス化が進めば大きな影響が出てくるというふうに先ほどお話があったわけでございます。  そのオフバランス化によって、その影響の度合いでございますが、例えば、足利銀行取引企業の何割ぐらいが要するに激動、激震に見舞われると予想されておられるのか。その辺り、個人的なお考えで結構でございますけれども、お聞かせいただけたらと思います。
  27. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) 実は、私、国から選任された足利銀行の社外取締役でございますので、ちょっと内部的な関係もありますので、その問題はうかつな発言できませんので、申し訳ございませんが、お許しいただきたいと。
  28. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 はい、分かりました。  それで、私、はっきり言って相当な震度の影響が予想されるというふうにも考えるわけでございます。  それで、そのときの、簗参考人も言われたわけでございますが、一にも二にも企業再生だと言われたわけでございます。それで、その企業再生について、特によく言われております日光、那須、鬼怒川の温泉地。私も、先日会合がありまして、鬼怒川へ行ってきたわけでございますが、正直言いまして非常に寂れている。これは私は二つあると思うんですね。一つは、どれも似通っている。鬼怒川全体が似通っているということが一つと。それから二番目は、やっぱり十年間ぐらい投資をしていないわけですね。非常に老朽化が進んでいるということ。そういったことを私は感じたわけでございます。  それで、やっぱりこうした温泉地を再生させていくためには、例えば他の先進地のように個性化をしていかなきゃいけないと思うわけでございます。その個性化することによって差別化がし、またそのことによって宿泊代等の価格の上昇も期待できると。例えば湯布院なんか、ああいう価格帯でも十分お客さんが来るというようなことでございます。  そうした方向を目指すべきだと思うわけでございますが、その点についてはいかがでしょうか。
  29. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) 今、福島先生のおっしゃるとおりだろうと思います。  大分、かつてのリゾート法を含めてレジャーを大分推奨されましたので、それを当て込んで相当巨大な設備投資をしたということで、その後レジャーブームが去りまして、現在過剰設備が残って、しかも巨大なホテルほど今まで、囲み込みですね、自分のところで全部、宿泊から食事から全部やってしまおうというような形ですから、町全体として一体化がなくなっちゃっていると。  そういうような問題がありますので、これからやはり、あそこにあります自然あるいは山の景観とか、そういうものとマッチングするようにどう、個別企業を含めまして町全体を再生するかということでございますけれども、一体化した地域全体の再生というのは、これは銀行がやるべき問題ではないんで、銀行は今のいろんなスキーム、再生支援協議会にしても産業再生機構にしましてもRCCを使ってでも、個別企業の問題でございますから、それと地域の一体化をどうドッキングしていくかということがやっぱり大きな今テーマになってきておると思います。
  30. 福島啓史郎

    福島啓史郎君 時間が参りましたので、お三方に、こういう厳しい経済状況でございますが、やっぱり日本経済の底力、これは中小企業だと思っております。中小企業が活性化するように引き続き御支援、御努力願うことを最後お願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  31. 谷博之

    谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。今日は、三人の参考人皆様には大変貴重な御意見をいただきまして、冒頭厚くお礼申し上げたいと思います。そしてまた、私は実は地元が栃木県でございまして、そういう関係で、特に簗参考人中心に御質問、御意見を伺いたいと、このように考えております。  今、簗参考人からもいみじくもお話ございましたけれども、今日は足利銀行社外取締役というそういうお立場、それからまた、地元の最大の百貨店を形成されておられる福田屋百貨店の取締役会長というそういうお立場も含めて、できる限り御意見をお聞かせいただきたいと、このように考えているところです。  まず、今もお話ございましたように、昨年の十一月の二十九日に足利銀行が破綻をすると。それに関連をして、今日のこの委員会参考資料にも出ておりますけれども、十四ページに、経済産業省などが中小企業向けの融資の仕組みというものを用意をしまして、今日まで国としても、あるいは経済産業省としてもいろんな取組をされてきているということでありますけれども、問題は、融資先の選定の問題だというふうに思うんですね。  これは、特にいわゆる財務内容あるいは財務諸表、このことを中心融資先を選定をしていくということももちろんそれは大事なことですけれども、要は、その企業の経営方針とか、あるいはその企業のいわゆる、特に雇用をどのように守っているかとか、こういうところを含めた将来的な見通しを持ったそういうふうな企業が、やっぱり選定の中に十分入れていっていただかなきゃいかぬというふうに思っています。  これはそれぞれの参考人からもお話がございましたけれども、例えば清家参考人が、雇用の安定を前提にして、物づくり産業の活性化によって地域が元気を出さなきゃいけない、あるいはまた藤原参考人も、いわゆる企業の診断の際に企業の従業員に対する責任を強調されておりますし、簗参考人も、いわゆる来月から栃木就職支援センターの立ち上げとか、あるいは雇用の安定ということを触れておられますけれども、そういう意味からすると、そういうふうな融資の選定先の、選定の仕方の中に、この雇用の安定といいますか、雇用をどう条件を維持、確保していくかという、そういうところにやっぱり企業が視点を当てているという、こういうところもやっぱり将来展望を見ていく中で大きな要素としてとらまえていただきたいというふうに思うんですが、この辺についての特に簗参考人のお考え。  さらにまた、これは触れることはなかなか難しいかと思いますが、三月期を迎えて、足利銀行本体の、いわゆる行員を含めた、約二千八百人と言われておりますけれども、こういうふうな行員の皆さん方の、いわゆる今後の再建計画の中で、こういう方々の雇用はどうなっていくのか、このことについてできる限りのお考えをお示しいただきたいというふうに思っております。
  32. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) 細かい点はちょっと立場上御勘弁いただきますが、足利銀行がこれから不良債権を処理する場合に、再生をする企業とそれからオフバランスする企業とどういう視点で分けていくかという中には、単に財務の数字だけじゃない。財務につきましても、一応金融マニュアルの中に相当定性的なことも踏まえて債務者区分を設定しなさいということにもなっていますから、その範囲でもある程度定性的なものはありますが、さらに、実際、企業再生する対象企業とオフバランス対象にする企業との区分けについては定性的なことを相当加えて、特に経営者の経営意欲というようなことを中心にして一つやるのと、それから公共性と、企業の公共性ということを相当重視する。一つは、公共性の中には当然のことながら雇用も入ります。そのほか、企業としての特性もいろいろあると思いますので、その細かい基準はどうするかということは今議論中でございますけれども、十分そういうことを参考にしながらやっていくという体制で考えております。
  33. 谷博之

    谷博之君 足利銀行自体の行員の問題については今の段階では……
  34. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) まだ今の段階では細かく……
  35. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ちょっと、委員長の許可を受けて発言してください。
  36. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) はい。  まだ細かいスケジュールその他はこれからでございますので、急に何か突然やってハードクラッシュを起こすというようなことは考えておりません。
  37. 谷博之

    谷博之君 地元では若干そういうふうな、相当いろんなうわさ的なものは出ておりますが、是非そういう意味では、足利銀行の内部の行員のそういう待遇といいますか、その辺についてもしっかりそういう立場を尊重して対応していただきたいというふうに思っております。  それから、三人の参考人方々にちょっと同じ質問をさせていただきますけれども、先ほどもいろんな御意見の中に触れられておりましたけれども、どうしても中小企業の多くは大企業下請的な立場にあるということだと思います。したがって、こういうふうな日本経済の中で、例えば単価の切下げというものが起きると当然それは中小企業への跳ね返りが出てくる、したがって、それが例えば労働条件の切下げなどといったそういう形で迫られてくる場合があると思うんです。  こういうふうな悪循環をこれから、今までもそうですけれども、これから繰り返していきますと、当然、地域経済に対する影響というのは非常に大きくなってくると思います。職を失う方が増えたり、あるいは労働条件の切下げによって地域の購買力が落ちてくる等々によって非常に影響が出てくるというふうに思いますけれども、こういうふうなことに対して具体的に今この雇用問題を含めてどのように考えておられるか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  38. 清家孝

    参考人清家孝君) 大変難しい問題でありますけれども、まず、問題は景気回復が一番大前提になると思います。一つは、やはり下請企業が大変今苦境に立たせられておるというのが現況でございますので、これ景気回復しない以上は恐らくこの問題については解決をしないんじゃないかというふうな考え方を持っておりますし、また、今建設業におきましては大変公共事業が衰退しております。そういう面から、下請企業としてはほとんど職がないという状況が今行われておりますので、これについては、雇用問題、大変厳しい問題が置かれております。  それから、小売業問題につきましては、大変競争激化が激しく、大店法のやっぱり出店から大変厳しい状況に置かれておりますので、リストラにおいて何らかの形の経営の、やっぱり純益の確保をしていくという形を取っておりますので、雇用問題については今深刻な問題であるというふうに私はとらえております。  以上です。
  39. 藤原敬三

    参考人藤原敬三君) 労働条件の切下げあるいは人員削減、こういう点についてなんですが、私どもの方で再生計画を策定するのをお手伝いする場合、まず、人員削減というのはまず前提とは置きません。といいますのは、その前に、業界比較とか、この会社さんがどれだけ、例えばパーヘッドで考えたらいいと思うんですけれども、どれだけの売上げ、どれだけの利益というものを、業界の全体の平均と比較しまして、自助努力をどこまでするかということが、そこのチェックがまず前提になります。そこがやはり余りに効率が悪いということであれば、やはり売上げを増やせるのか、人を減らさなきゃいけないのか、こういうことを考えてまいります。  そして、かつ労働条件の問題ですけれども、やはり同業との比較の中で、平均年収がどうなのかとか、あくまでもこういう比較の中で計画に織り込んでいくと、企業にも努力していただくと、こういうふうなことを基本にしております。
  40. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) なかなか雇用の問題は、景気回復しないと回復しない問題で、難しい問題だと思いますけれども、最終的にはやっぱり地域の活性化のためには、地域企業はほとんど内需産業でございますので、この点は避けて通れない問題だろうと思います。  つまり、雇用が増え、所得が増えて、家計が潤うことによって初めて内需産業へいろんな波及が起きてくると。現在のところはそういう循環になっておりませんので、我々としても大変苦慮しておるところでございますけれども企業の方の自己防衛的な動きから言いますと、パート化とか、あるいはアウトソーシングもあるかもしれませんけれども、派遣社員であるとか、あるいは一括して委託してしまうとかですね、いろいろな、いわゆる正規の従業員は、正規社員は増やさないで、非正規社員という言葉は余り好きじゃないんですが、そういう人たちを多くしていくということで、何とかトータルの人件費を減らしていくというような対応をしていますので、必ずしも全部が全部雇用が減るわけじゃないですけれども、内容的に相当変わってきているということが、景気が良くなれば、それが正規社員が相当増えていくんじゃないかと思いますけれども、現在のところはそちらの方が非常に大きな影響をしているんじゃないかと、そんなふうに考えております。
  41. 谷博之

    谷博之君 先ほど、福島委員からの栃木県の鬼怒川温泉、川治、塩原温泉の温泉街の話が出ましたけれども、簗参考人にお伺いしますけれども、三月の十三日、宇都宮市で金子、いわゆる金子大臣が、産業再生担当大臣が、宇都宮市で政府のタウンミーティングを行いました。そこで、この温泉街のことにちょっと触れておりますけれども、いわゆる鬼怒川なり日光なりが、ホテル、旅館が一緒になって力を合わせてこの厳しい難局を乗り切ろうというふうな状況の中で、再生については難しいところもあるよというような、こういう発言をしているわけなんですね。ちょっとやっぱり水差すような、そういう発言がされたというふうなことが報道されておりますけれども。  そういう中で、先ほどもお話しございましたけれども、例えば私は、こういうふうな鬼怒川、川治といった温泉のところに、随分最近は中国、台湾、韓国等の外国からのいろんなそういう来訪者が来ております。そういうふうなところへの焦点を合わせたような、そういう新しいマーケティングとか商品開発というのがやっぱり必要なのかなというような気がしているんですが、そういうふうなことについての具体的な取組等されておられますでしょうか。
  42. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) 地元ではいろいろ努力しようという動きが出ておりますし、海外でのいろいろなそういう商談会といいますかね、香港辺りでやった商談会へミッション送ってPRするとか、いろいろもう既に始めていることは始めております。  ただし、それに対応するだけの、例えば言葉の問題ですね、そういう人たちが来たときの言葉の問題でそれだけ教育ができているかどうかとか、あるいはその人たちの嗜好に合うような料理であるとか、あるいはいろいろなサービスとかというものを提供できるだけの変革はまだできていないんじゃないかと私は思っております。  どちらかというと、今まで温泉地、団体客を中心にして経営していたところが、新しい動きというか、家族とか個人の客に対応するための設備改造とか、そういうことがまだできていないという段階でございますので、その両方を同時にやらなきゃいけないということを踏まえているわけですけれども、それにはやはりコストも掛かりますから、それだけの資金を本来なら導入しなきゃいけないんだけれども、なかなか各個別のホテル、旅館が対応し切れていないと。  だからといって、それじゃ、その温泉地を一体化して再生しようという今声が上がっているんですけれども、そのスキームと、今企業再生しようと言っている産業再生機構とか、あるいはRCCであり、あるいはこの協議会でありですね、はあくまで個別企業を対象としたスキームでございますので、一体化したスキームとドッキングする手はずにはなっていないというのが現状でございます。  どちらかというと、その一体化したものは行政が中心になって動いていると、あるいは温泉の旅館組合とかあるいは観光組合が、観光協会が一緒になって動いているというのが現状だろうと思います。
  43. 谷博之

    谷博之君 時間が来ましたので、最後に一点だけ要望させていただきますけれども中心市街地の活性化の問題についてもお触れになられましたけれども、これは何といっても地元がやっぱり積極的に具体的な案を出して取り組んでいくということが大事であって、それを国とか県等々が支援をするという、そういうふうな形になるんだと思いますね。  そういう中で、私、常々思っていますのは、例えば今非常に孤立化したような子育て家庭とか、あるいは独居老人の世帯がむしろ増えています。こういうふうないわゆる異世代の人たちが自由に交流できるような、そういうふうな中心市街地町づくりといいますかね、そういうようなものもやっぱり私はあってもいいんじゃないかというふうに思っています。  そういうふうなところの中にまたにぎわいが戻ってくるんであろうというふうに思っていますので、ここら辺も本当はお考えをお聞かせいただきたかったんですけれども是非そういうことを検討していただきたいということを要望させていただきまして、私の質問を終わりといたします。どうもありがとうございました。
  44. 松あきら

    ○松あきら君 本日は、お三人の参考人皆様、当委員会にお出ましをいただきまして、ありがとうございます。公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  先月に発表されました実質GDP成長率によりますと、十月から十二月の成長率は前期比プラス一・六%、年率換算プラス六・四%、四期連続のプラスとなっておりまして、経済全体は一応明るい回復の基調ということになっておりますけれども、先ほどからお話が出ておりますように、やはりこれは輸出に牽引をされた大企業中心としたもので、なかなか内需に依存した中小企業皆様方は引き続き厳しい状況にある、苦労なさっていらっしゃるという状況であるというふうに思っております。  しかし、中小企業庁もいろいろ考えておりまして、やる気と能力のある中小企業に対しては、金融対策、あるいは創業、新事業転換支援、また人材支援策、商店街支援等、様々な支援策、行っているわけなんですけれども、残念ながらそういったせっかくの諸々の支援策に対する情報が全国各地中小企業まで十分届いていない、伝わっていないという現実があるというふうに思います。その現場中小企業方々の悩みもまた反対に中小企業庁なり役所に届いていない、これもある。こういう問題があると私は認識をしておるところでございます。  その全国各地現場中小企業方々にそうした政策情報を伝えるのは、やはり全国商工会あるいは商工会議所の経営指導員、先ほど清家会長もレベルアップの問題があるというふうにおっしゃっておられましたけれども、また、中小企業診断士あるいは各種の支援機関が担っているというふうに思うわけでございますけれども、こういった方々の間で情報、政策情報の伝達、相互の連携が不十分であるためにこういった種々の問題が起きていると。  今後、現場との接点となるそうした経営指導員等方々への情報の流通あるいは相互連携が重要な課題だというふうに思いますけれども、これはお三方に伺いたいと思います。どうすればこうした連携がうまくいくと思われるのか、また要望でも結構でございますので、お聞かせいただきたいというふうに思います。
  45. 清家孝

    参考人清家孝君) 今お話がありましたように、大変この全国中小企業指導につきましては難しい問題があります。  一応、日々訪問指導をしておるのが現況でございます。先ほど説明したとおりに、一年間で三百五十万件もの指導を行っておるというのが現況でありますので、日々毎日努力をしながら、一応、中零細企業の声を、生の声を聞き、指導をしていくというのは我々の任務でありますので、できる限りやっていきたいと思いますけれども、限られた人員でありますのでなかなか手が届かないというのが現況でありますし、また、今大変ニーズが変化しておりますから、高度なニーズに対応できるような形で一応指導員の勉強をさせ、それに対応できるような形の体制を取っておるというのが現況でございます。
  46. 藤原敬三

    参考人藤原敬三君) 全国状況については、ちょっと申し訳ないんですけれども、私、よく理解していないんですけれども東京都の再生支援協議会東京商工会議所の中にございまして、そういう意味では、経営指導員方々にどのようにこういうものを徹底していったらいいんだろうかということで、今、商工会議所の中では、支部のいろんな集まりとかそういう中で、私どもがお邪魔していろいろ御説明をする、新しいことを御説明する、そういうものをまたそれぞれ支部に戻っていただいて指導員の方にお伝えいただくと。このようなことで地道にといいますか、今努力はしている次第でございます。  以上です。
  47. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) 商工会議所にも経営指導員という制度があるわけですけれども、それとともに小さい企業に関しましては、小規模企業振興委員という制度会議所の中にございまして、各地域から選んだ人たちを、特に先ほどちょっと土着企業と言いましたけれども、理髪屋さんとかいろいろそういうところの有力の方々委員お願いしまして、それでいろいろな会議所からの国の政策の情報を組合その他を含めて連絡してもらうということをやっております。定期的に会合しまして、お互いにこういう事例があったよという事例の交換とか情報交換をやり、各会議所ごとだけじゃなくて県内の、栃木県は九会議所があるんですけれども、九会議所の振興委員が一堂に会して研修と、それから自分たちの情報伝達の悩みも含めて情報交換すると、そのような形で相互交通を図るというようなことを一生懸命やっております。
  48. 松あきら

    ○松あきら君 やはり、絶対数が少ないということはあると思います。ある程度の人数がいないとやっぱり対応もなかなか難しいと。その中で、実はこの経営指導員の方が、申し訳ないんですけれども、これはちょっと調べましたら、能力的に少しどうかなと思われる方も結構いるという、全国的にですね、それも聞こえてまいりまして、やはりこうした経営指導員方々、全体で九千人ぐらいですか、いらっしゃる、中小企業診断士の資格を取っていただくと。その診断士というのは、結構これ試験も難しいというふうに伺っていますけれども、これも必要ではないかと私思うんですね。これが一点。  それから、あと、中小企業の経営面を支援する、例えば企業OB、今雇用という問題も出ておりますけれども、能力ある方々が定年等でお辞めになって、こうしたもったいない方々が一杯いらっしゃるわけで、こうした方々を少し多く、何というんですか、こういう方々も増強するということが大事だと思うんですけれども、また反面、じゃどういうOBの方がどういう企業とマッチングさせるかですね、これも大事だというふうに思っているんです。  この二点、やはりお三方にお答えをいただきたいと思います。
  49. 清家孝

    参考人清家孝君) ただいまお話がありました指導員の数、大変少ないわけなんで、大変今困っているのが状況なんです。今、診断士の問題につきましては毎年一応試験を受けさせて、現在百二十四名の診断士がおります。一応、できる限り、毎年この診断士の資格を取って皆さんの指導するような形を取っておるというのが現況でございます。  それから、有能な職員が今退職をされて、あとどういうふうな形で活用しておるかという問題でございますけれども、これにつきましては、有能な職員につきましては事務局長としてもう一遍、再度再雇用をして一応地域のために役に立つような形をやってもらうというのが我々の考え方で基本的にやっておりますし、また企業の方で欲しいという方がありましたら積極的にそれをあっせんをして、そして企業再生のために努力をするという形を取らせていただいておるというのが現況でございます。
  50. 藤原敬三

    参考人藤原敬三君) 経営指導員の不足、能力の不足という御指摘もございましたけれども、ちょっとその点については私の方で余り存じておりませんので恐縮です。  あと、マッチングのお話ですね。いろんな能力もあるんだけれども今定職に就いておられないとか、こういう方々については、実は私ども東京の方では、商工会議所の方で新しい取組としてそういう登録をたくさん今していただいている。で、私ども協議会なんかでも、相談に来られた中小企業方々でこういう部門が弱いなと、こういうところ不足しているなというところの御要望あれば、我々見て、そういうところで人を探してみたりとか、まだ具体的な実績にはつながっておりませんが、そういう動きは具体的にしております。
  51. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) 実際、中小企業診断士の資格を持った人は少ないということで、私ども会議所でも今のところ一人です、経営指導員の、資格を持っているのは。技術のレベルアップは、研修会等へ派遣したり、あるいは県レベルで各会議所一緒になって講習会やったりしておりますけれども、資格そのものは余り取っていないというのが現状だろうと思います。  ただ、そういう意味で、足らない部分をいろいろ補うためには、もちろん先ほどから出ている中小企業診断士の協会とか、いろんなところと一緒に協力してやるということもありますし、それから、県レベルですけれどもエキスパートバンクというのを持っていまして、ここへいろいろな各分野のエキスパートを登録していただいて、必要に応じて支援をしていただく。あるいは県に技術士会、これは相当技術として高度なレベルを持っておりますんで、各、どちらかというと、現職の人もいますけれども大手企業をリタイアした人がいろんな分野の技術士の資格で入っている、あるいは発明協会の人たちとか、そういうところとネットワークを作って現在のところは補うようにしている。  ただ、会議所自体の人材ということになると足らないということは、先生がおっしゃったとおりであると思います。
  52. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  さて、栃木の問題でございますけれども、足利銀行関係で、五十億近い資金を融資していた鬼怒川温泉の山の上にありましたスキー場のことでございますけれども、四年ほど前に倒産したということで、これは藤原町も資本参加していて第三セクターであったというふうに聞いております。地域のレジャー産業としても雇用にも役立っていたというふうに私も認識しております。しかし、今こういう倒産ということになって、今雨ざらしになっていると。一億とか二億とかで継承してくれるスポンサーを探すにも、手を挙げる人がいないという状況だというふうに思うんですね。  これがすべて土地民間なら本日の私も話題にしないんですけれども、やはりこれが実はゲレンデが国有林野でありまして、当然営業中は地代も入っていたということなんですけれども、今はもちろん地代も入らないという、こういう状況の中で、なかなか対応方法がないものなのかなという私も思いがしているんですけれども、この点について、またこういったケースについて、藤原参考人、簗参考人と、お二人に伺いたいというふうに思います。
  53. 藤原敬三

    参考人藤原敬三君) 今のお話、ちょっと不勉強で、具体的な内容等について、国有地のお話とか個別事情全く分かりませんので、恐縮でございますがちょっと御容赦いただければ。
  54. 松あきら

    ○松あきら君 分かりました。
  55. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) 多分、地元ですと鶏頂山スキー場という名前のスキー場が藤原町にありますんで、そこのことじゃないかと思いますけれども、具体的にどういう過程でどんなかというのは、新聞で一部は見ておりますけれども分からないんで、どう対応していいかというのは個別の問題になりますんで、今申し上げるだけの資料をちょっと持っていなくて大変申し訳ないんですが。  ただ、現実に第三セクター的にやってあちこちで焦げ付いているというか、非常に資金が停滞しているというのは相当あると思いますんで、民間企業再生だけじゃなくて、そういうものをどういうふうにやっていくかということは、相当考えていかなきゃいけない問題だろうというふうに認識しております。
  56. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。
  57. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  今日は、本当にお忙しいところ、三人の参考人の皆さんにはありがとうございます。  まず最初に清家参考人にお伺いをしたいと思いますが、お伺いをする前に、先ほど借換え保証制度の問題につきまして、借換え保証制度ですね、非常に有効に働いているので、これからも継続してほしいという御要望がございました。実は、当委員会でも何度も質疑も私もさせていただきましたし、また本会議で、一月の二十三日でございましたけれども、同じ思いを私も小泉総理に質問をさせていただきました。その御答弁が、「来年度も本制度を円滑に実施していく予定であります。」というふうに明確に答弁を総理からいただいておりますので、この点は御安心をしていただいていいんじゃないかと、私たちもまた引き続き頑張っていくことを申し上げて、質問をさせていただきたいと思うんです。  実は、私は今、地元は京都でございまして、京都といえば古都京都という大変麗しい名前と同時に、最近は鳥インフルエンザということで大変苦慮しております。そして、先ほど大分の商工会のお話がありましたが、この鳥インフルエンザの発生では同じように御苦労なさっている商工会はたくさんあると思うんですね。ですから、どのような実態でこの御要望があるのかということをまず最初にお伺いしたい。  この鶏卵、鶏肉というものを売っていらっしゃるお店を京都ではかしわ屋さんというふうに呼んでいるんですが、かしわ屋さんと言っても通じないと、何ですかと言われるようなことでございまして、特別の、もうそれしか売っていないというお店なんですが、なかなか補償だとかそういったものがございません。ということで、何とかしなくちゃいけないと思うんですが、皆さんの御意見を、御要望をお聞きしたいと思います。
  58. 清家孝

    参考人清家孝君) まず最初にお答えしますのは借換え保証の件ですけれども、一番最初できたときは大変、自分の売掛金を担保にして融資するということについては大変不安があったわけです。やっぱり風評被害がありまして、大変心配しておったんですけれども、大変好評を博して、今の段階では大変な金額は融資をしていただいておりますので、大変我々としては感謝をしておる次第であります。これも継続してやっていただければ、金融面では随分中小零細企業については楽をするんじゃないかなというふうな考え方を持っております。  済みません、借換え保証の問題ですけれども、借換え保証の問題は、実は……
  59. 西山登紀子

    西山登紀子君 それはいいんです。それは結構でございます。
  60. 清家孝

    参考人清家孝君) それでは……
  61. 西山登紀子

    西山登紀子君 鳥インフル。
  62. 清家孝

    参考人清家孝君) 鳥インフルエンザ問題につきましては、一応は大分県が一番最初に、京都よりも先に出たわけでございますけれども、これにつきましては、早期の一応届出が出ましたので、一応、ある程度風評被害が今出ておりますから、大変、鶏肉を売っておるお店については大変風評被害で売上げが減退をして大変困っておるというのが現況でございますけれども、何とか今、県を挙げていろんな支援策を取っておりますから、現況は元に戻っておるというのが状況のようになっております。
  63. 西山登紀子

    西山登紀子君 次に、簗参考人清家参考人のお二人に二問お伺いをいたします。  実は、来年度のこの予算で、商工会商工会議所などの補助金が大きく減額されますね。自治体向けの補助金も七十一・七億削減をしているわけですけれども、こういう影響についてどのようにお考えになるのかということが一点と、それから昨年の十二月、総合規制改革会議中小企業向けの官公需の発注比率の目標の見直しの検討が打ち出されたということなんですが、つまり、官公需の中小企業向けの発注を引き上げる必要はないという政策転換、むしろ下げていくということに影響が出てくるんじゃないかと思うんですけれども、こういった点につきまして、お二人の参考人の方からそれぞれに御意見をいただければと思います。  まず、清家参考人から。
  64. 清家孝

    参考人清家孝君) 今の公共事業の件については意見を述べさせていただきます。  大変、最近は公共事業は減退しております。そういう中で、中小企業におきましては大変業者の数も増えておりますんで、大変、一企業としての受注件数が大変激減をしておりますんで、大変今困っておりますんで、何とか公共事業の発注を出していただくように今お願いをしておるというのが現況でございます。
  65. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) 補助金の減額でございますけれども、人件費は大体、多少の減額があっても大きくはないんですが、事業費が相当削られますんで、今までの事業を、もちろん無駄なものは徹底的に見直さなきゃいけませんが、無駄をしてきたわけではございませんので、どう維持していくかと。自己財源をもってそれに充てればいいわけですけれども、先ほど来話にも出ておりますように、デフレで会員さんが減少しておりますんで、自己財源も厳しくなっているということでございますんで、中小企業あるいは零細企業に対する事業が十分行き届かなくなるんじゃないかという心配をしておるところでございます。  それと、公共事業と一言で言っていいのかどうか分かりませんけれども、地方になればなるほどまだ社会的なインフラが十分整備していないこともありますんで、できる限りその辺は御配慮いただきたいというのが希望でございます。
  66. 西山登紀子

    西山登紀子君 清家参考人の最初の質問のお答えをお願いをいたします。
  67. 清家孝

    参考人清家孝君) 補助金の問題ですけれども商工会そのものは補助金だけに頼っておるというのが現況でございます。現在の補助金平成十六年度の補助金の予算額は三十億円カットをされておりますので、大変、もうこれ以上カットをされますと、ぎりぎりの状況になっております。一応人件費がほとんどでありますので、事業費そのものがカットされてしまいますと事業が全く前に進まないという状況でございますので、一応今までの補助金としては、国が、補助金をもらった分だけ地方が補助金の半額を負担をして事業を推進をするという形になっておりますけれども、これだけ経済が落ち込んでしまいますと、地方の財源そのものの確保ができないということで、事業が前向きに進んでいないというのが状況なんで、できたら単独の補助金がもらえるような形のシステムが取っていただけたら、もう少し中零細企業の活性化にもつながっていくんじゃないかなというふうに考えております。
  68. 西山登紀子

    西山登紀子君 ありがとうございます。  次に、簗参考人にお伺いをしたいと思いますが、大変厳しい中で頑張っていらっしゃるということに心から敬意を表したいと思います。  これは、足利銀行の破綻の前にも宇都宮信金、栃木中央信金の破綻があって、そして足利に来たということで、これは本当に激震が走っただろうと思います。私も実は京都ですから、二信金の破綻以降非常な状態を体験してまいりまして、本当にそのお気持ちも御苦労も分かるかなというふうに思いますが、実は私も京都でいろいろ回ってみたときに、信金、信組の方々は、私たちには百年の歴史があると、戦前からだって頑張っていたんだと、何が自己資本比率なんだという、そういうすごくプライドというものを示していらっしゃって、こういうことで破綻に追い込まれるというのは本当に心外だというようなお気持ちもありました。  実は、この足利あるいは信金、信組の破綻というのは、単に栃木とか京都だけの問題ではなくて、今もう全国的に、これは小泉構造改革の下でですけれども、五十三の信金、信組などが破綻に追い込まれている。私たちはその大本の中で、やはり金融検査というところに大きな問題があるんじゃないかというふうに思っておりまして、本会議の質問のところで、私、足利銀行の問題取り上げまして、これは金融検査に非常に問題があったんじゃないかと、足利銀行が不良債権の処理に努力しているさなかに、金融庁の従来のやり方とは違う大手銀行並みの格段に厳しい検査によって破綻に追い込まれたのではないかと。こういう検査が蔓延するようなことがあれば、事は足利だけの問題でなく全国でこういう状況が起こって、中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしも一層深刻になる、破綻金融機関も更に生まれるということで問題提起をいたしました。ところが、総理の答弁は、この足利に対する金融検査というのは従来のやり方と異なる厳しい検査を行った事実はないと、事実はないというふうに否定をされました。  参考人にお伺いしたい。お立場もいろいろおありだというのは十分分かっておりますけれども、その辺の問題、いかがなものでしょうか。
  69. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) なかなか、厳しかったかどうかというのは我々部外者にはちょっとうかがい知れない、これから解決していかなきゃいけない問題の一つであろうかと思いますが、ただ、金融庁の検査と監査法人の監査の金額が非常に大きいんですね。両方とも、ある意味では公的な立場でやっておるわけですから、一応検査と監査は違うんだというふうにおっしゃっていますけれども、そんなに大きく出るものかどうかというのは、我々部外者として疑問に思っています。これからきちっとその点は精査していただかなきゃいけないと思っていますが、ただ、聞かされるのでは、従来の地元のいろいろ、不動産の鑑定士が鑑定したいろいろなものをそのまま取り上げてもらえなくて、いわゆる収益還元法というんですかね、そういう新しい方法、あるいはDCFとか、いろいろそういうものを、全部ではないんでしょうけれども相当やられたと聞いておりますから、そういう点では担保評価その他が相当食い違ったということは言えるんじゃないかと思うんですね。
  70. 西山登紀子

    西山登紀子君 これからもいろんな御苦労が待ち構えているというふうに思うんですけれども、国に対してあるいはこういう経済産業省に対しましての御要望があれば簗参考人にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  71. 簗郁夫

    参考人(簗郁夫君) 一応、地元の経済界としては、先ほど申し上げましたように、一にも企業再生、二にも企業再生、三にも企業再生という気持ちで、できる限り、雇用の問題を含めて、まあ雇用が火がつきますと所得そして消費と全部火がついて、地元の特に基盤となっている中小企業に大きな影響が出ますんで、それが出ないようにやりたいと思っておりますんで、それも先ほど来話がありますように、匿名性であるとか透明性の問題で再生支援協議会が一番私は使い勝手がいいんじゃないかと、自分も会長やっている立場もありましてそう思っておるんですが、それに対しましては、中小企業庁の方が、すぐに人員増強してこれから出てくるであろう案件に的確に対応するようにという指示をいただいておりますんで、今後更に案件は増えると思いますんで、そのときには引き続き予算の増額をお願いして、対応を過ちのないようにしていきたいと思っておりますんで、それの御支援をいただければ大変有り難いと、かように思っております。
  72. 西山登紀子

    西山登紀子君 どうもありがとうございました。
  73. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表し、厚く御礼を申し上げる次第であります。(拍手)  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午前十一時五十四分散会