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2004-05-18 第159回国会 参議院 環境委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十三日     辞任         補欠選任      小泉 顕雄君     野間  赳君      小川 勝也君     福山 哲郎君      小林  元君     山本 孝史君      渡辺 孝男君     風間  昶君  五月十四日     辞任         補欠選任      山本 孝史君     小林  元君      風間  昶君     渡辺 孝男君  五月十七日     辞任         補欠選任      野間  赳君     小泉 顕雄君      福山 哲郎君     平野 達男君  五月十八日     辞任         補欠選任      山下 栄一君     山本 香苗君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 清君     理 事                 愛知 治郎君                 小泉 顕雄君                 清水嘉与子君             ツルネン マルテイ君     委 員                 大島 慶久君                 山東 昭子君                 真鍋 賢二君                 小林  元君                 平野 達男君                 加藤 修一君                 山本 香苗君                 渡辺 孝男君                 岩佐 恵美君                 田  英夫君                 高橋紀世子君    国務大臣        環境大臣     小池百合子君    副大臣        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        経済産業大臣政        務官       菅  義偉君        環境大臣政務官  砂田 圭佑君    事務局側        常任委員会専門        員        大場 敏彦君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      田口 義明君        外務大臣官房審        議官       兒玉 和夫君        厚生労働大臣官        房審議官     鶴田 康則君        経済産業大臣官        房審議官     市川 祐三君        環境大臣官房審        議官       竹本 和彦君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    南川 秀樹君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       滝澤秀次郎君        環境省環境管理        局長       西尾 哲茂君    参考人        独立行政法人国        民生活センター        理事       藤村  勝君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○大気汚染防止法の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 長谷川清

    委員長長谷川清君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日まで、小川勝也君が委員辞任され、その補欠として平野達男君が選任されました。     ─────────────
  3. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事小泉顕雄君を指名いたします。     ─────────────
  5. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  大気汚染防止法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣大臣官房審議官田口義明君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  大気汚染防止法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、独立行政法人国民生活センター理事藤村勝君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 大気汚染防止法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 愛知治郎

    愛知治郎君 おはようございます。自由民主党の愛知治郎でございます。  委員先生方皆さんも多分お疲れのところだと思いますけれども、あと、今国会で予定されている、ここの委員会質疑の予定されているのは数も少なくなってきましたが、しっかりと法案についての審議をさせていただきたいと、最後まで頑張ってやっていきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。  冒頭で恐縮なんですけれども、資料を配付していただけますでしょうか。もう配付してありますね。  これをちょっと見ていただきたいんですけれども、私、先日、ベトナム日越議員連盟の一員として視察に行ってまいりました。この国を見て、私自身もいろいろ考えさせられる、いろんなものを見させていただいて大変勉強になったんですが、またこれは個人的な感想ですけれども、過去の日本の、まあ何十年前か分からないですけれども、経済発展というか高度経済成長、その経済に関して皆さんが、その国自体経済発展を目指しているという点では、少なくとも昔の日本はこんな感じだったんじゃないかと思えるような国の状況でありました。  それで、この資料なんですけれども、一番最初のページ、これは、この見た場所というのはファーライ発電所という発電所なんですけれども、日本ODAで、円借款ですね、これで建てられたということを聞いていたんですが、二枚目、三枚目にありますけれども、これが写真ですと、この写真は当時時間がなかったんで、戻ってきてから、これは大使館の方、二見さんという方だったんですけれども、非常に協力をしてくださいまして、その後お願いをしたらすぐにメールでこれを送っていただきました。写真を撮りに行っていただいて、御協力をしていただいたという経緯で本日資料を配付させていただいたんですが。  これを見ても明らかでありますとおりに、この左側煙突から出ている、これは他国、具体的に申すのもなんですけれども、中国の北側の大国が造った発電所施設です。そして、この右側が日本ODAで造られた発電所施設ということで、これ、写真でもよく分かると思うんですけれども、現場を見ると明らかに、もう片方の日本発電所の方は稼働していないかのように見えるほどに煙が少ないと。多分、技術的に集じん装置、しっかりと働いていて、環境に対する影響も非常に軽微なものであるような状況になっているとは思うんですが、私としてはこれを見て、日本企業、本当に頑張っているな、日本経済援助でこういうことができるんだなと非常に誇らしく思いましたし、こういう技術が育ってきたし、こういうことをどんどん活用していかなくちゃいけないんだろうというふうに思って、非常にいい経験になったんですが。  さて、この資料のこともあるんですが、今回、この大気汚染防止法に関してですけれども、やはり今まで日本もこうやって経済発展を遂げる過程の中で、環境に対しての配慮というのが余りにも少なくて、いろいろ国としての取組としても苦労をしてきたというふうには思うんですが、こういった法律規制の中でしっかりと取り組んできた成果というか、その一環がこの写真だと思うんですが、しっかりとした技術が育ってきた、こういった規制に適合するような形で企業努力をしてきた結果だろうというふうに私自身は思うんですが。  一方で、今回の規制の強化という点に関してもそうですけれども、この規制に適合できない、付いてこれないところもございますし、また、なかなかそういう指示に従わないところもあるのかと思います。二つ、しっかりと適合して努力をしているところとそれに付いてこれないところ、あると思うんですが、一面として見れば、やはりこの基準にしっかりと合致しないところはしっかりと規制をして監視をしていく、これは一面で必要なことだと思います、これからも継続的にやっていかなくてはならないことだと思いますけれども。  もう一方で、こういった取組をしっかりとしているところ、この企業に対してやはりバックアップも必要であろうというふうには思うんですけれども、結果として、まず環境をしっかり良くしようと、環境を汚染するような活動をしないようにすることが目標となるわけですけれども、このような取組について、まず大きな方針としては環境経済の両立というのもございますので、環境大臣視点というか考え方をまず冒頭お伺いしたいと存じます。
  11. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 環境経済統合というのは、大変大きな私に与えられたテーマでございますが、これには日本国内だけでそれを統合すればいいというのではなくて、我が国のこれまでの様々な実績を重ねてまいりました技術、そしてまたシステムとしての制度海外でも展開をすることによって、海外においても環境経済統合を進めていくというのも一つ成果だと思います。成果というか、我々の大きな課題だと思います。  我が国におきましては、これまでも深刻な公害問題が一時期大変深刻に起こったわけでございますけれども、結果といたしまして、大気汚染防止法などの排出規制措置が講じられてまいりました。そして、工場事業場から排出されるばいじんそれから硫黄酸化物などについては数次にわたっての厳しい規制を行ってきたということでございまして、今このベトナム写真も拝見したわけでございますけれども、そういった日本でのこれまでの積み重ねが海外で展開されている一つの分かりやすい例を御紹介いただいたのではないかと思います。  また、これは工場の例でございますけれども、自動車排ガスの方、排出ガス規制大気汚染という点では同じでございまして、厳しい環境制約を乗り越えるということで、結果的に我が国産業国際競争力を付けることになってきた、それが更に高い技術の向上につながっていったというようなことで、こういった大気汚染の分野においても環境経済統合というのは好循環を進めることができるということがポイントだと思っております。  こういった国内における様々な蓄積を、また技術ノウハウ開発途上国への協力に生かしていくというのは、我が国に対しての、一つの責務ではないかと思っておりますし、また、実際に途上国環境問題に対応するために、このベトナム、今日はベトナムの例をお挙げいただきましたけれども、以前より、中国そしてインドネシアなどで環境センターを造ったり、それから専門家を派遣する、さらにはJICA、国際協力機構を通じた技術協力に積極的に取り組んできた、これらの実績がございます。こういった日本技術ノウハウ途上国における環境保全に生かせるというように、技術協力を引き続き積極的に行ってまいりたいと考えております。  それから、先日、中央環境審議会からも環境経済の好循環ビジョンについて答申がなされておりまして、その中で二〇二五年の将来像として、日本環境技術が世界の環境保全貢献をし、また環境ビジネスの市場が外国にも広がって、それが多くの雇用を生み出しているという理想の姿も描いていただいております。それぞれ関係府省とも連携いたしまして、今申し上げましたような将来像が実現されるように今後とも努力を重ねてまいりたいと考えております。  長くなって済みません。
  12. 愛知治郎

    愛知治郎君 いや、大変丁寧で、いろんな取組についてもお答えいただいたので逆に感謝申し上げたいというふうに思います。  私がベトナムに行ったときにはっきり思ったのが、残念なことでもあったんですが、ベトナムの方はまだまだ経済発展が優先で環境に対しての視点というのはほとんど持っておられないのが現実だったんですね。この発電所を見ても、まあ何となく違うなというふうには思っても、環境に対する関心度というのはまだまだ低いというのが現実ではありました。  しかしながら、そういった取組海外においても積極的にこういう環境視点普及をしていかなくてはいけないと思うんですが、ここでちょっと外務省にお伺いをしたいんですけれども、これはODAということだったんですけれども、果たしてこういう技術ODAに活用していくということをしっかりやっているのかどうか、ちょっとその点をお伺いしたいと思います。
  13. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) お答え申し上げます。  まずODAに関しましては、昨年の八月、先生御案内のとおり、政府開発援助大綱を改定をいたしました。その中で、我が国経済社会発展経済協力経験開発途上国開発に役立てるとともに、我が国が有する優れた技術知見人材及び制度を活用することを基本方針一つとしております。また、環境問題を含む地球的規模の問題は、国際社会が協調して対応すべき問題であるということで重点課題一つにしております。  いずれにしましても、政府全体としては、対外経済協力関係閣僚会議の下で外務省調整の中核として関係府省知見を活用しつつ、関係府省間の人事交流も含めた幅広い連携を強化しております。  具体例として一つ円借款でございますけれども、関係省庁からの知見を得て円借款供与対象とすべき案件、例えばこの電力案件もそういうことがあり得る、可能性はあり得るわけでございますけれども、途上国側との種々の調整を行っておりますが、特に日本タイド円借款日本での調達と、日本企業調達を絞るということでございますが、そういう制度としてSTEP本邦技術活用条件というのを導入しております。この制度の中で、案件形成の初段階から日本技術活用可能性について、特に経済産業省とは緊密に連携を取りつつ作業を行っております。  STEPの最近の案件としては、インドネシアラヘンドン地熱発電所拡張事業というものがございます。また、今年三月に開催されました日アラブ環境大臣級環境セミナーにおいて、これは環境大臣にも御出席いただきましたが、日本環境保全技術アラブ各国に紹介しておりますし、これは環境省が主催をされ外務省が協賛したもので、これも関係府省間での連携の一例でございます。
  14. 愛知治郎

    愛知治郎君 おっしゃっていることは本当によく分かるんですが、私がちょっと聞きたかったのは、もう少し端的に聞きたかったんですが。例えばこの煙突の例です、煙突というかこの写真の例ですけれども、左側のこの施設日本ODAで造ることができるのかどうかと。  というのは、規制をしっかりして、ODA基準ですね、基準があって、この程度までの環境配慮した技術を使っていないとできないんだということが明確であれば、その劣悪な技術で劣悪な施設を造ることはできないわけですよね。せめて、それだけはしっかりやらなくちゃいけない、これだけのいいものでないとできないんだよという基準があるのかないのか、その状況を教えてほしいということです。
  15. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) お答え申し上げます。  先生の正に御指摘の点でございますが、日本ODA技術協力、無償、それから円借款と三つのスキームがございますが、それぞれすべてについて適切な環境配慮ガイドラインがもう定められております。先生が御指摘の、じゃ、こういう大気汚染あるいは水質あるいは生態系への悪影響、あるいは社会影響ということで住民移転の、非自発的な住民移転と、そういうことが起こり得る場合にどういうふうに対応すべきかというようなことを含めてガイドラインがそれぞれ定められております。  具体的には、ですから、相手国政府案件要請してまいります。そうしますと、当該案件実施によりもたらされ得る今申しましたような環境社会配慮に関する情報をまず収集しまして、その過程環境影響が重大であると分類された案件については、まず相手国政府の例えば了解を得て、事業の概要、実施地域について情報公開をしまして、例えばNGOだとか、もちろん一般の人、あるいは関係機関から、そういうステークホルダーからの意見というものも求めるそういう期間も設定しまして、その上で問題がないということであれば前に動くと、そういうようなことで非常に厳格なガイドラインを定め、導入して、今実施を行っております。
  16. 愛知治郎

    愛知治郎君 分かりました。明確な客観的な基準があるともっと分かりやすいと思うんですが、多分現地の方はその環境問題に関して、私の実感としてみれば余り関心がなかったように思えるので。  ただ、日本企業だけは、これ以外にも例えば港湾とかいろんな施設造っているところあったんですが、そういうところでも日本企業は完璧にというか、しっかりとした日本国内基準に合わせたような形で取り組んでおるんですが、現地の方がどれだけ思っているかというのはちょっと把握しづらいところもございますので、できれば世界的な基準というか客観的な基準をしっかり設けていただければいいかなというふうには思うんですが、この点、環境外交という面でもございますし、やはり省庁間の連携、それから国際的な合意というか、そういったものをしっかりと構築していくべきだと思うんですけれども。  その前に、この点、こういう技術の点、一点だけ、時間がないので、別個の質問ですけれども、経済産業省にも技術を活用していくという点で質問したいと思いますので、よろしくお願いします。
  17. 市川祐三

    政府参考人市川祐三君) 日本環境あるいは省エネルギーに関する技術の世界的に非常にトップレベルにあるということにつきましては、世界的にもよく知られているところでございます。  地球温暖化問題とかあるいは酸性雨問題に代表されるような環境問題、国際的な環境問題の克服のためにこのような技術をいかに生かしていくかということが我が国にとって非常に大きな要請であると同時に、またこのような優れた環境技術を有する企業の活躍の場を用意するという意味においても大変重要な問題であるというふうに考えております。  我が省といたしましては、先ほど外務省の方から御説明がございましたように、ODA、特に円借款につきまして、外務財務及び経済産業省の三省の体制の一環といたしまして、環境配慮した円借款の推進ということについて心を砕いてきたわけでございます。  それに加えまして、言わば産業により近いサイドの経済協力といたしまして、技術協力といたしまして、一九九一年からグリーン・エイド・プランというものを我々推進してございます。アジアの七か国を主体といたしまして個別具体的に各国政府政策対話を行いまして、その制度構築、つまり技術などの普及を図る場合におきましても、その前提となる規制の在り方等々の制度がきちっとしていないと普及ができません。そういうような観点から、政策対話を通じまして制度構築を促すということをベースにいたしまして、その上に立って環境技術移転とかあるいは環境保全のためのルール整備などを行ってきたわけでございます。  一つ例を申し上げますと、タイでございますけれども、我が国公害防止制度としては非常に有効に働いているというふうに考えられております、またそのように認識されております公害防止管理者制度でございます。これをタイ側に紹介いたしましたところ、同様の制度是非ともタイにおいても導入したいということでございまして、一九九九年から人材育成等々を始めまして、ついに二〇〇四年の五月、今年でございますけれども、今月でございますけれども、最初の試験を行ったというようなところまで来ております。そのような形におきまして、制度面での普及、それに併せましての環境技術移転等々に、これまでやってきたということでございます。  今後のことにつきましても、地球温暖化問題を考えますと、やはりCDMとかJIなどのような形を通じまして、我が国省エネ技術などを海外において有効に活用していくということが温暖化対策のためにも非常に重要だというふうに考えております。  そのような観点から、温暖化対策の重要な一翼を担う我が省といたしましても、このCDMJIのプロジェクトの成立ということに向けて努力していきたいというふうに考えております。
  18. 愛知治郎

    愛知治郎君 時間がなくなりましたので、最後に一言だけ。  今、財務外務、経産というお話をされましたけれども、しっかりと環境省連携を取って、しっかりと情報交換をして、戦略的にこういった外交を進めていってほしいというふうに思いますので、よろしくお願いします。  大臣最後に一言お願いします。
  19. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 我が国国際貢献にもやっぱりメッセージというものをしっかりと組み入れて、なおかつ分かるようにしなければならないと考えておりますので、是非とも関係省庁としっかり連絡を取って、日本としてのメッセージが伝わるようにまたしていきたいと思っております。
  20. 愛知治郎

    愛知治郎君 終わります。     ─────────────
  21. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 委員異動について御報告いたします。  本日、山下栄一君が委員辞任され、その補欠として山本香苗さんが選任されました。     ─────────────
  22. 小林元

    小林元君 民主党・新緑風会の小林元でございます。  法案審議に入る前に、大臣一つだけお伺いしたいと思います。  先月末、約一週間にわたりまして大臣訪米をされまして、国連持続可能な開発委員会第十二回の会合CSDの十二ということに出席をされまして、政府代表として基調講演をされたわけでございますが、その際に、そのこともあれでございますけれども、各国環境大臣とお会いされた、あるいはワシントンにも赴いて、政府高官環境関係方々とお会いをされたということでございまして、やはり委嘱審査のときにも申し上げましたけれども、京都議定書の批准の問題、気候変動の問題というのは大変重要でございますし、当然、大臣からもお話をされたんではないか、要請なり意見交換、そういうものがあったんではないかというふうに推測をしているところでございますし、また大臣は、イラク問題といいますか、中東問題に大変造詣が深いということもございますので、当然のことながら、大変な状況の中でお会いしていると思いますので、その辺についても、時間がありませんが、簡潔に御報告をいただければ有り難いと思います。
  23. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) お許しをちょうだいいたしまして、ゴールデンウイークの前半のところで訪米をいたしてまいりました。  まず、ニューヨークで開催されましたCSD会合出席、その直前にワシントンの方におきまして、米国、これはホワイトハウス、それから国務省、さらには議員ですね、上下のそれぞれの議員方々とお目に掛かりました。また、ニューヨークでは、ロシア、そして欧州の関係者の皆様方と気候変動問題について幅広く意見交換を行わせていただきました。  アメリカに対しての京都議定書参加の呼び掛けは当然いたしておりまして、ドブリアンスキー国務次官との会談で、是非ともアメリカが京都議定書の批准をされることを希望する旨をはっきりとお伝えをいたしました。  ドブリアンスキーさんの方からは、アメリカは京都議定書についてのポジションは変わっていないけれども、炭素隔離、そして水素経済国際パートナーシップなどのイニシアティブを推進しているということから、日米間で気候変動問題への取組の進め方に関しては異なるところがあるけれども、目的は共通であると、協力していくことは可能であるという発言を伺ってまいったところでございます。  それから、議員ですけれども、共和、民主両党の上下両院議員、そして環境NGOの代表などとも会談をする機会がございまして、非常に私は興味を持ちましたのは、アメリカでは議会レベル、それから州レベルで気候変動問題への取組に進展が見られているということを体感、実感してきたところでございます。  それから、京都議定書の発効へのかぎを握っておりますロシアでございますけれども、この人とは初めての対面となりましたが、オソキナ天然資源省次官、この方との会談で、もちろん私から京都議定書の批准についてロシア側に要請をいたしました。オソキナ次官からは、現在、ロシア国内には議定書批准に反対する意見と賛成する意見と両方の意見があるとのお話も伺いました。その後もロシアの方、いろいろとEUとの間でのやり取りなどもございます。  これからも京都議定書の批准を働き掛ける日本としての立場で、各国、そしてまた様々な機会をとらえて京都議定書の批准に向けての流れを是非とも促進するように努力をしてまいりたいと考えております。
  24. 小林元

    小林元君 大変ありがとうございました。  これからも京都議定書の発効に向けまして、是非大臣も引き続き頑張っていただきたい、こういうふうにお願いをいたします。  そこで、今回の法案でございます。  大気汚染の問題でございますけれども、非常にこれは歴史的に、先ほどもいろいろベトナムの話がありましたけれども、日本でも大変な問題がずっとあったわけでございます。  一番最初というか、よく分かりませんけれども、私らが認識しているのはやはり銅山なんですね。茨城県には日立鉱山という銅山がございます。ここで私はつぶさに見ておりますけれども、やはり足尾の方は、有名な田中正造さんという方が国会でいろいろ論議をして、鉱毒事件、どちらかといえば水質汚濁といいますか、渡良瀬川に鉱石といか残滓、鉱滓類が流れ出して、水田始め、あるいは谷中村が滅亡するというような、そういう大変悲惨な状況があったわけでございますが、足尾も、製錬所、鉱山の方に行きますと、全山枯れ山といいますか、現在は大分植栽がされておりまして緑が増えておりますけれども。日立の方でも、やっぱり農作物の被害、森林の被害ということで、これは足尾銅山は明治二十二年のころでしょうか、そして日立の方は少し後れておりまして明治四十二年のころ、日清戦争の直後だろうと思いますが、そのころに大変な問題がございました。  日立では地元の市町村、市はありませんが、町村長さんとか村の有力者たちが一生懸命やって、皆さん御存じだろうと思いますが、新田次郎が「ある町の高い煙突」という、この本が出たのは昭和四十四年でございます。ちょうど光化学スモッグが発生をしました昭和四十五年の一年前でございまして、環境省が発足したのは、この間も申し上げましたが、その翌年というようなことでございまして、やはりそういう問題が契機になって環境省も発足したし、日本の公害対策あるいは環境問題というものが取り上げられるようになったんじゃないか。そういう意味で大気汚染問題というのは、水質汚濁の問題もございますが、大変重要な問題ではないか、そういうふうに思っております。  日立では、そういうことで、その当時、国としてもいろいろやったようでありますが、鉱毒予防調査会というのを発足させまして、明治四十二年ですね、そのとき言ったのは、亜硫酸ガスを濃度を低く下げてといいますか、希釈、拡散をすべしと。千分の一・五とか千分の三とかというような状況まで希釈、拡散をして出しなさいと。  それから、その当時は煙じんと、こう言ったそうですが、煙のちりですね、今ではばいじんといいますか、そういう言葉だろうと思いますが、そういうものも回収するようにというようなことで、結局、希釈、拡散するために試行錯誤で煙突をいろんな種類の、ムカデ煙突とか、あほう煙突、つまり役に立たなかった、高さが足りなくて十分活躍できなくて、そして最後は大正三年になりましたけれども、大正四年でしょうか、百五十五メーターの世界一の煙突というんでしょうか、そういうものを作って、やっと被害が少なくなったというような歴史がございます。  いずれにしましても、大気汚染の問題というのは古くて、しかも現在も続いて、光化学オキシダントによる注意報、警報というような状態がまだまだ続いているということは、これからも一生懸命取り組まなければいけないと。そういう意味で、今回の法案の提出ということになったんだろうと思います。  そこで、簡単で結構でございますが、今回の改正案、SPMあるいは光化学オキシダントに係る大気汚染の現況に対応して、VOCを規制をする、ここは規制が掛かってなかったわけでございますが、しかし光化学オキシダントといえばSOxとかNOxとかばいじんとか、そういうことで大気中では浮遊粒子状物質の構成物質ということになるわけでございますから、そういう意味で平成十三年には自動車のNOx・PM法が決まったわけでございますけれども、こういう中で相当削減はされてくるということになりますけれども、この全体像というのはどうも、今回このVOCに関してぽんとこう出てきたわけでございますが、その辺のことの、今回VOCをどうして取り上げるのかというようなことも含めてお話をいただければと思います。
  25. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 先生の御経験で御指摘いただきましたように、大気汚染防止法は基幹的な法律として硫黄酸化物の低減等につきましてはそれなりの成果を上げてきたと思っておりますが、今御指摘いただきましたように、近年の大気汚染状況におきまして、大都市を中心といたしまして浮遊粒子状物質の環境基準達成率が依然として低いという状況にございます。それから、光化学オキシダントにつきましても、多くの県で年間二百日を超える注意報の発令日数がここ数年度々記録されるなど、懸念がされる状況にございます。  今まで、もちろん自動車の排ガス規制の強化や工場事業場の対策ということを講じてきたところであるわけでございますが、やはり今の二点の浮遊粒子状物質、それから光化学オキシダントの改善ということを考えましたときには、今まで規制が行われてきませんでしたこの揮発性有機化合物についても是非、排出規制と抑制対策を講じなければならないというふうに思っています。  それから、光化学の原因、窒素酸化物とこの浮遊粒子、オキシダントと、こういうことでございまして、この揮発性有機物質と窒素酸化物の両者が影響して光化学オキシダントが起こりますので、今回はこのVOCについて抑制を講じます。  窒素酸化物につきましては、固定発生源につきましてはかねて厳しい規制を行ってきておりますし、また自動車につきましては、今後も二〇〇五年には世界で最も厳しい新長期規制を導入いたしますし、その後におきましても更に一層の規制強化ということを検討する、窒素酸化物につきましては自動車を中心に削減策を図る、その両者によりまして大気の改善を図りたいというふうに考えている次第でございます。
  26. 小林元

    小林元君 やはり先刻御承知だと思いますが、この測定結果、データを見ますと、一般局、自動車排ガス測定局、いろいろございますけれども、そういうSOx、NOxの割合とか、あるいは移動発生源からの粒子状物質の割合というのはかなり多いわけでございますから、やはりこの戦略的にどこをどう攻めるのかと。攻めるという言い方はまずいんでございますが、環境改善にどこをやればどうなるのかということは十分研究していると思いますが、今後とも対策のやる上で、検討する上で十分考慮をしていただきたい、こういうふうに思っております。  それから、実は前回もそうだったんでございますが、残念ながら、やはりいろいろな点で日本の公害対策、環境対策というのは進んでいるというふうに私自身も認識をしていたんですが、残念ながら、ここのところ、その認識がどうも危ういというような状況でございまして、これからますます頑張らなきゃいけないのかなというふうに思っております。  この今回のVOCの排出規制というのを見てみますと、アメリカは一九九〇年、イギリスも同じ年ですね。EUが一九九五年ぐらいから九九年にかけて、そしてドイツは二〇〇一年、ちょっと前でございます。それから、私ちょっとびっくりというのは大変台湾や韓国に失礼なんですが、台湾、韓国も九四年、九五年と、こういうことで先行しているんですよね。いまだ台湾や韓国に先行されたということはないと思っていたんですが、いささかがっかりしました。そしてまた、単位面積当たりの排出量も世界各国に比べますと大変多いというような現状でございますから、やはりこれはしっかりやってもらわなきゃいけない。そしてまた、これは地方団体も都府県の条例ということで、もう既に、早くは東京が一番早いようでございますが、一九七二年、つまり先ほどの光化学スモッグが発生をした、もうその次の次の年、二年後にはこれを始まっているんですよね。  いろいろ、地球温暖化対策でこうやったんだとか、いろんな理由はあると思いますが、そのような規制も、対策も考えるということだったんですが、どうも日本は後れ、そしてOECDから勧告までもらっちゃって、二〇〇二年ですか、二年前、そしてここへ出てきたと、こういうことでございますが、どうしてこういうことになっちゃったのか、その辺御説明をいただきたいと思います。
  27. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 今、先生から御指摘ございましたように、一九九〇年代に欧米の多くの国が制度化をいたしました。また、一部の自治体におきましても、工場事業場からの排出抑制ということをされてきたわけでございます。  この揮発性有機化合物でございますが、これは窒素酸化物と一緒になって反応いたしまして光化学を起こすということはかねてから知られていたわけでございまして、このため自動車の排ガス規制におきましては、窒素酸化物、それからHC、炭化水素というような形で規制も導入したわけでございますが、その後の我が国におきます規制の重点、これは窒素酸化物がそういう光化学オキシダントの原因物質であるとともに直接健康に有害ではないかということで、この窒素酸化物対策が非常に緊急を要することであるという認識の下に工場事業場、それから自動車、双方とも窒素酸化物の方に非常に重点を置いて施策が進められてきた。その結果、一方では、この揮発性有機化合物につきましての規制制度ということを導入してこなかったというのが今までの経過でございます。  もちろん、窒素酸化物対策につきまして、今後とも自動車を中心に懸命の規制強化、対策の強化を図りますが、これとともに、やはり大気環境の改善を図るために、今まで制度的対策を講じていなかった揮発性有機化合物につきましても、今般是非とも排出抑制に取り組みたいということで提案をさせていただいている次第でございます。
  28. 小林元

    小林元君 自動車NOx・PM法ですか、平成十三年に通ったわけでございますけれども、小池環境大臣からもお話が前にあったと思いますが、日本のこの自動車排ガス規制というんでしょうか、対策というんでしょうか、これは世界に冠たるものだということなんですよね。それはそれとして、小泉総理の例えば施政方針演説の中でもそういうことが胸を張って取り上げられました。  しかし、これは全体として、この大気汚染状況の全体から見れば、どうもそういう自動車製造の、何といいますか、技術というんでしょうか、トヨタが一兆円を超えたと、あるいは日産も復活してきた、三菱はちょっとダウン、あれですけれども、いずれにしましても日本の自動車産業がもう必死で頑張っていると、それだけ国際競争が激しいわけでございますでしょうが、そういう中で排ガス対策についても、アメリカの例えばNOxですと五分の一というような状況で、大変なものを開発して排ガス対策ができると。  しかし、そこにおんぶにだっこということで、そっちはそれで確かに環境経済の融合、その優等生だと思うんですよ。だけれども、別な方もいろいろありますということについてやっぱりきちんとやっていかないと、どうもバランスを失してしまうんじゃないかと。そういうことで、これから戦略的な見方、多角的な見方というもので対応をしていただきたいなというふうにお願いをしたいと思います。  それから、今回のVOCの排出規制につきましては、環境審議会でいろいろ検討されました。その環境審議会の答申を読みますといろいろなことが書いてございますが、しかし、大臣が先週趣旨説明をしたそのときには、大気汚染の現況にかんがみてこういう対策をしますよという御説明だったんですよね。残念ながら、何といいますか、こういう対策をやってどれぐらい削減できるのか、そしてまた環境というものをどういう状態に持っていけるのか。SPMがどうですとか、光化学オキシダントの例えば注意報がもう二百日、二百五十日というふうな状況の中で、これはどれぐらい削減できるのか、あるいは環境基準というものをどういうふうに達成できるのか。  その辺はどうも御説明がなかったんですけれども、やはりこれは環境審議会の答申を丸受けじゃなくて、政府政府として、環境省として、こういう目標の中でこれをやりますよというふうに私は胸を張って言ってもらいたかったということなんですが、改めて大臣からその辺の御説明をお願いしたいと思います。
  29. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今も御質問の中にありました中央環境審議会からの意見具申によりますと、揮発性有機化合物、VOCの排出量を三割程度削減いたしますと、SPM、浮遊粒子状物質、光化学オキシダントによります大気汚染が相当程度改善するというふうな評価をいただいているところでございます。  何というんですか、一番ある意味で効率のいいところが分かるわけで、三割程度の削減によって非常に高効率のものが結果が求められるということから、我が国全体の固定発生源から排出されますVOC、揮発性有機化合物の排出量を平成十二年度に比べて三割程度削減することが適当と、このように考えております。  その期限でございますけれども、自動車NOx・PM法の基本方針で定めております浮遊粒子状物質の環境基準のおおむね達成という目標を勘案いたしますと、平成二十二年度を目途として取組を進めてまいりたい。そして、環境基準が、達成率が約九三%に改善して、光化学オキシダントについては注意報発令レベルを超えない測定局の割合が全国で約九割まで改善されると。VOCの排出量を三割程度削減すると、今申し上げましたような効果が見込まれると考えておりますので、それらの目標、それから時期に目掛けて今回の法律を成立させていただきまして、そういう方向性、そして期限、タイムテーブルでもってしっかりと進めてまいりたいと考えております。
  30. 小林元

    小林元君 どうぞよろしくお願いいたします。  先ほども申し上げましたが、自動車NOx・PM法では、総量を削減する基本方針、こういうものが法律の中で決められているんですけれども、そういうものが出て、今、大臣が御説明になったような目標というものが示されているわけですよね。今回、VOCが浮遊粉じんの中で一〇%とか八%とか、そういうものが含まれていて、これを規制すると。ところが、十三年に出されました削減基本方針と同じだということなんですね。そのときに、その時点ではVOCの規制というものは考えていなかったわけですよ、三割削減ということは。そういうシミュレーションをやって、今回更にやってみたら大体三割削減すると効率がいいという大臣お話がありましたが、これをやるんですから、もっと前倒しするとか、もっといいデータが、データはちょっとシミュレーションの関係であれでしょうけれども、削減時点がもうちょっと早くなるのかなというような考えもできるんじゃないかと思います。その辺はどうなんでしょうか。
  31. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 今、御指摘の自動車NOx・PM法に基づきまして総量削減基本方針が作られまして、そこにその時点で考え得るいろいろなメニューを掲げました。それに基づきまして各県でそれを実際に積み上げまして、平成二十二年度におきまして窒素酸化物の環境基準のおおむね達成、それから粒子状物質につきまして相当量削減することによりおおむね達成を図っていこうという計画を作っております。ただしながら、これはその時点で確実に行います対策ないしは今後期待する対策につきまして、自治体内に最大限の効果を発揮してそこまでいこうというものでございます。  私どもとしては、その時点できちんと積み上げられている対策のほかにも、いろいろなあらゆる追加的対策を足していって、二十二年におきますおおむね達成を何としてでも実現するということが使命だと思っておりますので、本件、シミュレーションをしますといろいろなシミュレーションができると思いますが、この大気汚染防止法の改正によります措置は、今までの自治体で講じております措置を更に加速して、平成二十二年におきますおおむね達成を確実、かつその内容を改善の方向に押し上げる働きを持っているものだというふうに考えております。
  32. 小林元

    小林元君 いろいろ質問通告をしておりますが、時間がございません。ちょっとまとめてといいますか、お話をしたいと思います。  今回の法案では、いわゆる排出規制規制とそれから自主的な取組ということで、ベストミックスという言葉がどうも適切なのかどうかよく分かりませんけれども、いずれにしましても適切な組合せをしてしっかりやりなさいと、こういう、今まではどちらかというと法で規制、排出規制をするという形でやってきたわけでございます。  先ほど大臣から三割削減する、今局長からの御答弁もそうだったと思いますが、じゃこの辺について、この三割のうち排出規制ではどれぐらいで、自主的な取組ではどれぐらいを予定しているのか。自主的な取組だからそれはないよと、それはもう正に自主的に任せるんだということなのかどうか、その辺の目標、削減量の目標というものをどういうことでやるのか、それからベストミックスということで、それをどういうやり方でうまくいくのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  33. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 今のお尋ねのうち、この法律におきまして、三割削減を図るうち規制によってどのぐらいの削減を図るのか、他方、自主的取組によってどれだけの削減を図るのかというお尋ねでございますが、この法律の対象とする施設の規模でございますとか、それぞれの施設ごとの規制基準につきましては、これは非常にいろいろな種類のものがございます。その対策技術等につきましても精査していく必要がございますので、今後、中央環境審議会の場におきまして、そういう事業の実情に詳しい専門家の参画も得て精細な議論をしていきたいと思っております。  その際に、産業側で自主的な取組、どういうようなことができるんだろう、どのぐらいできるんだろうかということも議論をしていただきまして、その両者を勘案しながら一番効果が出るような方法で、その規制基準なり規模を決めていくということにいたしたいと思っております。  そういう意味におきまして、現在、そのどちらに何割、どちらに何割ということについて定まった考えが固まっているわけではございませんで、今後の中央環境審議会等におきます専門的な議論をしていかなきゃいけないと思っておりますが、その双方につきまして最大限の努力をしていただくと、そういうことで中身を詰めていきたいというふうに思っております。
  34. 小林元

    小林元君 もう時間ありませんので、御要望だけにさせていただきたいと思います。  やはり、これはいわゆる濃度規制というやり方になるのかどうか、その辺もお伺いをしようと思ったんですが、いずれにしましても、百五十万という放出量を削減しなきゃいかぬということだと思うんですよね。そういう意味で、これはやはり大変な、そういう対応、対策の設備とかいろんなことで大変だろうと思います。取組も大変なことになるんではないか。そしてまたVOCを使わないで、それにフロンではありませんが代替物質を開発するみたいなこともこれからやっていかなきゃいけないだろうし、企業も中小零細の企業もございますから、その辺について十分な支援を、実行に当たって支援をするような体制作りもしていかなければならないというふうに考えておりますので、適切な対応を要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  35. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  私は、大気汚染防止法の一部を改正する法律案に関連しまして質問をいたします。  公明党は、健康な空気を吸う権利、健康な環境で生活する権利が憲法第二十五条で保障された人間の生存権の必須の要素であるとの認識に立ち、アレルギー疾患や環境汚染による健康被害に悩まされることのないアレルギーフリー社会、健康環境日本を築くことを目指しております。健康な大気環境を実現することはそのための重要な課題でありまして、本法改正もその目的に資するものと考えております。  まず最初に、今回の法改正の目的である揮発性有機化合物、VOCと略しますけれども、この抑制に関して質問をいたします。  本法案でのVOCの定義と各国での定義との相違点について環境省にお伺いをします。
  36. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 私どもの本法案では、この揮発性有機化合物を大気中に排出された時点で気体である有機化合物というふうに包括的に定義をいたしております。  諸外国におきましては、こういうものを規制するという目的は同じなのだと思っておりますが、一つには、我が国とおおむね似たような考え方で、包括的に光化学反応性のあるものを対象となるVOCであると定義しているもの、これはアメリカ、カナダなどがございます。それからもう一つは、揮発性ということに着目いたしまして、有機化合物のうち一定の蒸気圧のあるものを対象となるVOCであると定義しているものがございまして、これはEUの各国でございます。それから、各国の中には韓国のように重要な特定の物質につきまして列記しているというやり方をしている国もございます。  いずれも目的は同じであると、いずれもこの揮発性有機化合物を的確にとらえて抑制を図ろうという目的だとは思っておりますが、私どもの考えといたしましては、この粒子状物質やオキシダントの原因物質を包括的にとらえることができます今の定義、そしてこういう定義におきましては、現在、水素炎検出器ということで比較的容易な方法で測ることもできますので、これがこういう包括的な定義をし、それを対象とすることが優れた方法ではないかと思って提案させていただいている次第でございます。
  37. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今回の法案では、ベストミックスという考え方が盛り込まれています。その経緯とねらいは何なのか、砂田大臣政務官にお伺いをいたします。
  38. 砂田圭佑

    大臣政務官(砂田圭佑君) お答えいたします。  ベストミックスの考え方は、環境基本計画に、政策のベストミックスの観点から各種の政策手段を適切に組み合わせて相乗的な効果を発揮させると定められているところでございます。中央環境審議会における審議においても、規制と自主的取組の長所、短所について様々な議論がなされた上で自主的取組を促進する必要性が強調され、ベストミックスという考え方が示されたところであります。  このことについては、本法案の第十七条の二において規定をしているところでございますが、そのねらいは、揮発性有機化合物の排出抑制に関する施策、その他の措置について排出規制事業者の自主的な取組とを適切に組み合わせることによって、より効果的な排出抑制を図るということであります。
  39. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、大臣に質問をしたいと思いますけれども、この揮発性有機化合物の排出抑制によってどの程度大気汚染が改善されると見込まれるのか、お伺いをいたします。
  40. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 揮発性有機化合物の排出削減については、我が国全体の固定発生源から排出されます排出量を平成十二年度と比べまして三割削減をするということが適当と考えております。  これは、浮遊粒子状物質について、揮発性有機化合物の排出量を三割程度削減した場合に、自動車NOx・PM法の対策地域におけます環境基準達成率が約九三%に改善するというふうに見込まれているわけでございます。光化学オキシダントにつきましても、揮発性有機化合物の排出量を三割程度削減した場合には、注意報発令レベルを超えない測定局の割合が全国で約九割まで改善するということで、極めて三割の効果というのが大きいということが言えるかと存じます。
  41. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 法規制を行う代表的な六種類の施設類型ごとにどの程度排出抑制を強化する目標なのか、現状と目標値について環境省にお伺いをしたいと思います。
  42. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 環境省の調査いたしましたところによりますれば、平成十二年度の固定発生源からの揮発性有機化合物の排出量は約百五十万トンでございますが、このうち代表的な六つの施設類型からの排出量のすべてを計算しますと、その六四%の約九十七万トンになっております。これらの施設からの排出を抑制するために施設ごとに排出基準を設定していくと、そういうことにより抑制していくわけですが、その基準値は、今後、中央環境審議会等におきましてそれぞれの事業の実態を熟知する者の参画を得ながら十分な検討を経て定めるというふうに考えております。  その際には、この排出規制と自主取組が相まって、平成二十二年度までに三割程度排出を削減するという目標が確保されるよう、実効性のある排出基準値である必要がございますし、かつBATということで適用可能な最良の技術の考え方、あるいは既に排出規制を行っている欧米諸国の基準、そういったものももちろん参考にいたしまして、現実的に排出抑制が可能であり、かつベストミックスの考え方にも沿うような適切なレベルというものにつきまして、中央環境審議会等で煮詰めて定めていきたいというふうに考えております。
  43. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 しっかりやっていただきたいと思いますが、法規制の対象となる施設を決める際に小規模な事業者への配慮というものがどのようになされるのか、加藤大臣にお伺いをいたします。
  44. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 今回の法案の基本的な考え方は、VOCの削減、排出抑制を図るために、法律に基づく規制事業者の自主的な取組を適切に組み合わせる、先ほどベストミックスという話がございましたけれども、そういったことによりまして効果的な排出抑制を進めていくというものでございます。  それで、法規制は必要最小限の基本的な考え方に基づいておりますから、一施設当たりのVOCの排出量が多い大規模な施設を対象としているわけでありますから、したがいまして、零細、小規模な事業者に規制を適用することは基本的には考えていないと。規制の対象施設とその規模を定める際には、関係する事業の実態を十分に把握をいたしまして検討する考え方を取っているところでございます。
  45. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、大臣にお伺いをいたしますけれども、法規制と自主的取組を選択したことにより期待どおりの効果が得られるのか否か、その御所見をお伺いしたいと思います。
  46. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今回の法改正で導入いたしますこの排出抑制対策、排出規制事業者の自主的取組とを適切に組み合わせる、いわゆるベストミックス手法ということになるわけでございますけれども、効果的に排出抑制を図っていきたい。そして、この自主的な取組については、ベンゼンなどの有害大気汚染物質の排出削減に用いられてまいりましたし、またその結果として、排出量や環境濃度が低減するという実績が表れてきております。  今回の揮発性有機化合物の排出抑制対策は、これまでの有害大気汚染物質対策で得られましたノウハウを生かしてまいりまして、自主的な取組を促進するという新しい考え方に立つものでございます。その効果のほどがもし十分でないという事態が生じた場合には、取組状況をレビューいたしまして、規制と自主的取組の組合せの仕方を見直すことといたしたいと考えております。
  47. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 自主的取組貢献度という面では、先ほど小林委員の方から御質問がありましたので、省略をさせていただきます。  次に、低VOC塗料や安価な処理施設開発など技術開発が大事となっておりますけれども、国としては具体的にどのような措置を講じるつもりか、加藤環境大臣にお伺いをいたします。
  48. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 御指摘のとおり、いわゆる低価格で小型のVOC処理装置の開発あるいは低VOC塗料等の開発が促進させていくというのは極めて重要な観点でございます。  具体的には、中小企業者向けの低価格で小型のVOC処理装置については、適正な技術であることを第三者に評価していただくと、そういったことによりまして普及促進を図る事業などを今進めている最中でございます。  これらの施策を今後とも推進してまいりたいと思ってございますし、また普及という観点を考えていった場合には、やはりグリーン調達で低VOC製品を位置付けたり、あるいはエコマークなどの環境ラベルを活用するという、そういう効果的な情報提供ということについてもやはり重要な視点であると思ってございます。  そういったことから、環境省では、環境省が出している出版物に関しましてはノンVOCのインクを用いると、そういうことをやっておりますし、個人的で恐縮でございますけれども、ノンVOCのインクを使った名刺を私個人としてはそういうことをやって、なるべくそういうことになるように心掛けようということで、一つの行動として表しているところでございます。
  49. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、光化学オキシダントに関連して質問をさせていただきます。  まず、光化学オキシダントによる健康被害の現状について、環境省にお伺いをいたします。
  50. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 光化学オキシダントにつきましては、実はここ数年は毎年二十数都道府県で年間二百日ほど注意報が発令されるということでございまして、昭和五十年代初期と同じようなレベルになっているのではないかということで懸念しているところでございます。  それで、その場合におきます被害の届出でございますが、平成十四年には二十三都道府県で百八十四日の注意報の発令がございまして、この光化学大気汚染によると思われる被害届出人数は千三百四十七人でございました。被害者の多くは小学生、中学生ということでございまして、野外での学校活動などのときに発生しているわけでございまして、症状といたしましては、涙が出るなどの目に刺激がくる、あるいはせきが出るなど、のどに対する症状を訴えられているものがそのほとんどでございます。
  51. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 光化学オキシダントが気管支ぜんそくとか杉花粉症の発症に関係があるのかどうか、まだ分かりませんけれども、気管支ぜんそくや杉花粉症と光化学オキシダントの因果関係に関しての最近の研究成果環境省にお伺いをしたいと思います。
  52. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 幾つかの因果関係につきまして幾つかのお尋ねがありましたので、整理をして申し上げますが、まず光化学オキシダントそれから浮遊粒子状物質への影響ということでございますが、これは基本的には気管支ぜんそくを含む呼吸器への健康影響等を評価するということで現在の環境基準が決められております。その後もいろいろな知見の収集を行っておるところでございますが、やはり現在の基準値を変更するような新たな知見があるというわけではなくて、まずは現在の基準を達成する努力を懸命にやるべきものであるというふうに思っております。  ただ、近年、粒子状物質の中でも粒径の小さい微粒子物質の健康影響が懸念されるということがございますので、このようなものにつきまして、一つはPM二・五といったようなものにつきましても調査、動物実験等をやっておりますし、それからまたナノ粒子という御指摘もございます。これにつきましても生体影響の解明等の努力をしております。  それから、お尋ねの杉花粉症等との関係でございますが、これはやはりディーゼル排気粒子と杉花粉症というようなことについての懸念がされております。これにつきましては、発症、増悪に関する健康リスク評価に必要な動物実験、疫学研究などを行っておりまして、動物実験において極めて高濃度なディーゼル排気ガスをモルモットに暴露した場合にはアレルギー症状を悪化させる等の実験結果が得られておりますが、人の疫学調査におきましては、その両者の関係についてはなお評価が分かれているのではないかと思っております。更に研究、究明を引き続きやっていく必要があります。  これらの物質の様々な健康影響のリスクにつきまして、引き続き最新の知見の収集を図ってまいらなきゃいけないというふうに痛感しておる次第でございます。
  53. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 浮遊粒子状物質、SPMについて質問は後でしようかなと思いましたけれども、通告しておりましたので、お答えいただきまして、ありがとうございます。  最後の質問となりますけれども、公害健康被害補償法に規定されました転地療養事業について質問をさせていただきます。  公害健康被害補償法で規定されている転地療養事業実績について、環境省にお伺いをいたします。
  54. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 転地療養事業実績でございますが、転地療養事業は、ぜんそく等の公害認定患者に対します公害保健福祉事業一つのメニューとして、同法が施行されました昭和四十九年より実施しておるところでございます。  具体的には、各年齢層に応じた考え方に基づきまして、十五歳未満と十五歳以上に分けまして、各自治体ごとに事業化してきたところでございます。これまで参加者が最も多かったのは昭和五十八年度でございまして、十五歳未満は指定地域四十一自治体のうち三十四自治体、人数で一万四千八百四十一名、それから十五歳以上のグループでは、十六自治体、四千三百二十四名の参加を得ております。その後、昭和六十三年の指定地域の解除によります影響、あるいは公害認定患者そのものの減少、あるいは患者様の高齢化等に伴いまして参加者は減少してきておりまして、平成十五年度で申し上げますと、参加者は、十五歳以上のグループで十四自治体、千四百七十名という実態でございます。
  55. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 東京都の十九区において過去三十年間、十五歳以上の公害認定患者に対してこの転地療養事業が行われなかったという報道がありましたけれども、それが事実かどうか、そしてまた、事実であればその理由について、環境省にお伺いをいたします。
  56. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 東京都の十九の区でございますが、におきまして、十五歳以上の区分の転地療養事業実施されなかったのは事実でございます。  公害保健福祉事業につきましては、この転地療養のみならず、水泳訓練等のリハビリテーション事業でありますとか、あるいは保健師による家庭訪問指導等に基づきます家庭療養指導事業でありますとか、様々なメニューの中から地域の実情に応じまして、効果的な実施を図るために各自治体ごとに適切な組合せを検討していただいて計画を立てて実施しているというふうに承知しております。  東京都の考え方といたしましては、従前より特に十五歳未満の転地療養事業に重点を置いて、その効果等の観点から優先的に重点を置いて実施されてきたんではないかと考えております。
  57. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 最後に、この転地療養事業の今後の展望について、小池環境大臣にお伺いをいたします。
  58. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 公害認定患者を対象といたしました公害保健福祉事業でございますが、その中の転地療養事業、認定患者の健康の回復を図るために、関係の自治体と連携をいたしまして引き続き実施をしてまいりたいと考えております。  また、昭和六十三年以降でございますが、認定患者以外を対象とした総合対策としての健康被害予防事業においても、この転地療養事業として十五歳未満のぜんそくのお子さんを対象としたぜんそくキャンプ事業、名前がいいのかどうか分かりませんけれども実施されておりまして、今後ともこの転地療養事業がより効率的に実施されるように気を付けてまいりたいと考えております。
  59. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 一言だけ。  公明党の方もアレルギー制圧十か年戦略を平成十三年四月十四日に提言しておりますけれども、その中でも転地療養の有効な活用ということを紹介しておりますので、環境省もこれに応じて取り組んでいただければ幸いです。  ありがとうございました。
  60. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 政府として、浮遊粒子状物質、いわゆるSPMの環境基準を二〇一〇年までにおおむね達成するという目標を掲げております。ところが、実態は二〇〇二年の一般大気測定局のSPM環境基準達成率、五二・六%であります。九九年の九〇・一%から四〇ポイント近く低下をしています。  SPMの原因となっている揮発性有機化合物、VOCは、固定発生源からの排出量が全体の九割を占めております。東京都など一部の自治体では、固定発生源からのVOCの排出を規制しているんですが、国は、事業者の自主的な努力にゆだねるべきなどという産業界の主張があり、抵抗があって、事業場などのVOC規制を先延ばしにしてきました。ところが、事業者の自主管理でどうなったかというと、VOCについてはわずか十一物質だけ、VOCの排出量全体の二%程度にしかすぎません。先ほどから各国のいろんな規制の実態が紹介されておりますけれども、欧米各国では九〇年代半ばまでに法律に基づく固定発生源対策を実施をしているという状況です。そういうところから見ると、私は、日本の対策は十年以上後れている、そう思います。  そこで伺いたいんですが、VOCの総排出量及び区分別の排出量、それはどのくらいでしょうか。
  61. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 気候変動枠組条約に基づきまして日本政府が報告しておりますその計数によりますと、平成十二年度の大気中への揮発性有機化合物の排出量は、固定発生源が約百十六万トン、移動発生源が約十九万トンでございまして、合計が約百八十五万トンというふうになっております。
  62. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 そのうち、溶剤使用百三十三・六万トンとか、移動発生源十八万トンとか、給油所十四・三万トンだとか、そう続くわけですけれども、日本のVOCの排出量というのは単位面積当たりで見ると世界最大です。特に日本は溶剤由来のものが多くて、塗料、印刷、接着剤、ゴムなど溶剤全体で排出量の六四%を占めています。溶剤系の排出量はEUの三・二倍、アメリカの七・五倍に達します。  特にVOC排出量の四三%と、最大のシェアを占める塗料関係、これは建築や土木の工事など、開放系での塗装による排出が四割を占めます。ところが、今回の改正案では排出口の濃度規制だけで、外部での塗装による排出の具体的な削減対策はありません。屋外の塗装などによる排出を減らすためには、塗料として使用されるVOCの量そのものを減らしていくことが重要です。アメリカや韓国では、塗料の使用量当たりのVOC排出量を制限する、そういう放出基準を設けています。EUでは溶剤使用量の制限を設けています。こういう措置によってこそ、初めてVOCの少ない製品への転換が促進されると思います。  塗料等の使用者は、排出者責任の立場から低VOC製品に切り替えるなどのVOC排出削減計画を立てること、また生産者は、拡大生産者責任の立場から製品へのVOCの含有量を減らす目標と計画を立てる、そしてそれらの実施状況を公表する、こういうことによって個別具体的な有効な対策を取るべきだと、そうしないとなかなか進まない、そう思うのですが、いかがでしょうか。
  63. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 先ほど来からの話が出ておりますように、ベストミックス手法により、効果的にVOCの排出抑制を図るものであるのが今回の法の趣旨でございますけれども、その達成期限については、自動車NOx・PM法基本方針に定めますいわゆる浮遊粒子状物質の環境基準のおおむね達成という目標を勘案いたしまして、平成二十二年度をめどとしているところでございますし、またVOCの排出削減については、我が国全体の固定発生源からの排出されるVOC排出量を平成十二年度と比べまして三割程度削減することが適当と考えているところで、先ほど大臣から発言をしたところでございますけれども、なお全体でその三割程度排出量を削減するという目標に照らしまして、いわゆる排出削減の取組が十分でない場合については取組状況をレビューすると。もちろん、これは中間的なレビューも含めてというふうに考えていただいてよろしいと思います。  そういった意味で、法律による規制と自主的な取組の組合せを見直して、これまで自主的取組にゆだねていました施設についても規制対象に追加すること、そういった対応も当然考えていかなければいけないなということを考えているところでございます。
  64. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 中央環境審議会の大気環境部会では、もう少し時間を掛けて検討するよう求めた業界側の委員の発言に対して、池上部会長が、VOC対策は緊急課題だと、まだ時間があるという形で推移するわけにはいかないと強調しておられます。つまり、自主的努力の効果を見てから検討するなどという悠長なことは許されないのではないかということだと思います。  大気環境全般のSPM対策の重要な柱、これはもちろんVOC排出の九割を占める固定発生源対策であります。ところが、幹線道路沿線の局地的な高濃度汚染、これはそれだけでは解決をしません。自動車排ガス測定局の達成率は一般大気測定局よりまだひどいんですね。九九年度の七六・二%から二〇〇二年度は三四・三%と半減しております。特に自動車NOx・PM法の対策地域の自排局では二四・七%、環境基準を満たしている測定局は四分の一以下です。  東京都を見てみると、自排局はSPM環境基準を達成している測定局は一つもありません。環状八号線に沿って夏になると環八雲というのが発生する。これは東京では大変大きな問題になっているわけですけれども、とにかく、このままでは幹線道路沿いの健康被害が更に拡大するということは明らかだと思います。こういう状況は放置できません。  環境省として幹線道路沿線の環境基準を達成させる私は重い責任を持っていると思います。西尾局長は十分御存じだと思います。現状打開策をどうされるおつもりでしょうか。
  65. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 先生指摘のように、大都市におきます幹線道路沿線におきます粒子状物質の環境基準達成状況は非常に厳しいものがございます。その沿線におきます粒子状物質の濃度に対する寄与というのはやはり移動発生源が過半を占めるわけでございますので、この移動発生源対策というのが大きな主軸でなければならないのは御指摘のとおりでございます。  そういう目から見ました場合には、まず移動発生源対策といたしましては、かねて三本柱の対策と申しておりますが、ディーゼル自動車につきまして平成十七年に世界で最も厳しい排ガス規制実施するという単体規制一つでございます。それから二番目は、大都市地域におきます自動車NOx・PM法に基づきまして、使用過程車につきましてより排出ガスの少ない車へ代替をしていただくなどの総合的対策を講じることにしております。三番目には、低公害車の普及促進を懸命にしておるわけでございます。  しかし、これらを着実に実施するとともに、更にあらゆる対策をやっていかなければならないと、こういうことでございまして、そのうちの一つは平成十七年に行います単体の自動車排ガス規制の後の更なる規制強化ということでございますが、これにつきましても、技術動向をしっかり評価して、十七年以降におきましても世界最高水準の単体規制実施していくよう検討を鋭意進めております。そのほかにもあらゆる追加的対策を考えていかなければならないと思います。  そういう目から見た場合におきましては、この今回の粒子状物質、失礼いたしました、揮発性有機化合物の抑制によりまして粒子状物質にも利いてくる、これは二次粒子というような経路を通じまして一〇%ぐらいの寄与度がございますから、あらゆる対策を講じるという面からは、この揮発性有機化合物をこの法律によりまして的確に抑制していく。そのほかにも考え得るあらゆる対策を今後も重ねていきまして、二〇一〇年におきます環境基準のおおむね達成に全力を注いでいかなければならないと、そのように認識しております。
  66. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 しっかりとした成果を上げていかないと、私は、もう環境省のかなえの軽重が問われる、そう思います。  そこで、具体的な問題なんですが、最近、鳥取大学農学部の島田教授が、犬の肺が長期にわたるSPMの汚染で侵されているという研究結果を発表したということが報道されています。  大都市の二十歳、随分長生きの犬ですが、この犬の肺を解剖して調べたところ、酸素の取り込みに障害となる肺胞拡張が見られ、肺組織にSPMが黒い点状に付着をしていたということです。島田教授は、鼻が車の排気口とほぼ同じ高さにあり、排出直後の排ガスにさらされる犬と、ベビーカーに乗った赤ちゃんなど人間の子供たちの環境は類似をしている、SPMによる人体への影響は大人より大きいと考えられる、そう指摘をしておられます。    〔委員長退席、理事ツルネンマルテイ君着席〕  この犬の話は前から出ているんですけれども、こういうきちんとした研究をして、こういう結果を指摘をされたというのは、私は初めて見たものですから、非常にこれは重要だというふうに思います。幹線道路の沿線あるいは周辺においてきちんと実態を調査をして、対策を取るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  67. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 専門家の方が犬の肺機能等につきまして研究を発表されたと、これは大気汚染問題の重大な大きな警鐘であるというふうに受け止めさせていただいております。  もとより、環境保全施策を進めるに当たって、影響を受けやすい子供や幼児の健康保護というのに十分に留意しなければならない、これは国際的にも共通の認識になっておるわけでございます。  今までも大気や水質の環境基準、そういうものを定めるときには、当然成人だけではなくて子供や幼児の特性を考慮しつつ、そういうものを疫学調査や動物試験等から安全率を見込んでいくというところに反映し、設定してきているところでございますし、既に設定されております粒子状物質を含む大気汚染物質についてもそのような考えではございますけれども、今後とも引き続きその健康影響に関する知見、あるいは、広く言えば生体影響といったような知見も参考になるところでございまして、そのようなものの知見の収集には努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  68. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 VOC汚染問題では、家庭用製品による居室内の環境汚染も重大だと思います。  一九九四年には防水スプレーによる死者が出て大きな問題になりました。厚生労働省は、毎年家庭用品に係る健康被害病院モニター報告、これを発表しています。家庭用品等の吸入事故件数はどうなっているでしょうか。
  69. 鶴田康則

    政府参考人(鶴田康則君) お答え申し上げたいと思います。  家庭用品に係ります健康被害病院モニター報告につきましては、健康被害防止の観点から、被害状況の現況の変化をモニターいたしまして迅速な対応に役立てるということを目的としておりまして、一つは、日常生活におきまして使用されている衣料品、装飾品等の身の回り品、それから、家庭用化学製品等の家庭用品等によります健康被害について、医師の診断を通じまして情報を収集しているところでございます。特に、今御指摘がありました吸入事故につきましては、平成八年度より財団法人日本中毒センターで収集した情報を提出いただき、掲載しております。  最近三年間の吸入事故等の報告件数を申し上げますと、平成十二年度は五百四十六件、平成十三年度は六百十五件、十四年度は六百八十一件でございます。  なお、当該報告件数には、一部医薬品など家庭用品ではないものも含まれております。  吸入事故の原因製品といたしましては、平成十四年度の報告状況から見ますと、殺虫剤、それから住宅及び家具用の洗浄剤、芳香・消臭・脱臭剤が上位を占めております。  今後とも、モニター制度の継続、充実を図るとともに、当該制度に得られました情報を安全対策に十分生かしてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  70. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 事故件数はもう年々、今言われたように増加をしているんですね。二年度の件数は、九六年度で見ると二・一倍になっているんですね。特に、殺虫剤類は五十八件から百七十一件へと三倍近くに急増して、四年連続で第一位を占めています。  国民生活センターの消費者相談に関する取りまとめでも、家庭用殺虫剤の相談件数、これは九二年から一年度の十年間で九百九十五件に上ります。中でも薫蒸剤については百二十三件と多くて、健康にかかわる危害情報、危険情報が相談件数の三分の一を占めるという高い割合を占めております。  国民生活センターは、薫蒸剤など一回で使い切るタイプの殺虫剤の室内残存量の検査をしました。検査結果の概要を簡単に説明してください。
  71. 藤村勝

    参考人藤村勝君) 平成十四年八月に、一回使い切りタイプの殺虫剤の室内残存量についてテストをいたしました。テスト対象銘柄といたしまして、六畳から十畳程度の部屋を対象とした一回使い切りの薫煙タイプ二銘柄、それから加熱蒸散タイプ二銘柄、それからエアゾールタイプ四銘柄、計八銘柄のテストをいたしました。そのテスト内容といたしましては、殺虫剤の殺虫成分の分析、それから量、それから室内で使用した場合の拡散性、残量性、これについて調べました。    〔理事ツルネンマルテイ君退席、委員長着席〕  そのテスト結果は、一回に散布される殺虫成分の量は、害虫に対して直接散布するスプレー式殺虫剤、これの一本分、一回で一本分をまき散らすと、その一本分というのは約三百ミリリットル相当でございます。そういうことが分かりました。  それからもう一つは、六畳の部屋の中の殺虫成分の広がり方を調べましたところ、薫煙タイプというのは比較的高い場所もひっくるめて広く満遍なく薬剤が散布されたんですが、エアゾールタイプでは薬剤の分布にむらがあって、床に高濃度の殺虫成分が付着すると、こういう可能性が分かりました。  それから、殺虫剤を散布した後の殺虫成分の残存については、十分換気した後でも殺虫成分の量が減少しないでカーテンあるいは壁紙、床板などに付着して残存すると、特に床板への付着が多かったと、こういう結果が出ました。  それで、今回使用されていた各殺虫成分の三十センチ四方の床板に残存した量がどのくらいかというようなことで調べましたところ、ほぼ体重五十キログラムの人のADI、ADIというのは一日摂取許容量でございますけれども、これに相当する量と同等であった。ということは、子供だとか乳幼児は、そういう場所にいると非常にその危害を受ける可能性があるということを申しております。  それから、この商品は衛生害虫、衛生害虫というのは病原体を媒介する害虫でございます。蚊とかハエとかそれからダニですが、この衛生害虫と、それから不快害虫、不快害虫というのはハチとかアリとか、余り病原体を媒介しないけれども見て不快感を覚えると、こういう区分がなされておりまして、衛生害虫用の薬剤については医薬品、それから不快害虫用の薬剤は雑品という扱い、商品としての扱いが違うというふうな規制になっております。  実態は、衛生害虫用であろうと不快害虫用であろうと、殺虫成分だとか、それから化学物質がその室内に広範囲にまき散らされるということにおいては余り差がないと、こういうことできちっとやっぱりそういうところを表示すべきだということでございます。  以上でございます。
  72. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今、お話がありましたように、床にかなり付着、残存すると。乳幼児が床をはい回る、床に残存した殺虫成分が手などに付着をしてそれをなめるということも十分あり得るわけですね。問題は、今国民生活センター指摘したように、そういう残存するものであるし、どこにどう残存するかということをはっきりさせた上で、使用者に分かりやすいそういう注意書きというか、そういうものをきちんとしていかなければいけないわけですね。  私は、経産省に消費者保護最優先の立場に立ってこれらの問題についてきちんと対応してほしいというふうに思うのですけれども、今日は政務官にお越しをいただいております。是非、そういう観点で取り組んでいただきたいと思います。
  73. 菅義偉

    大臣政務官(菅義偉君) 今、国民生活センターから答弁がありました。そうしたものを私どもは受けまして、使用後の殺虫成分の残量の程度や安全性などに関し、現在、調査、分析が進められております。  こうした検討結果を踏まえまして、消費者の立場に立って表示の在り方を前向きに検討していきたい、こう思っています。
  74. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 衣料用防虫剤、トイレ用防臭剤も大きな問題です。東京都消費生活センターのアンケート調査では、回答者の八一%が衣料用防虫剤を使用しているということです。うち、パラジクロロベンゼン製が約四〇%と一番多く使われています。パラジクロロベンゼンは発がん性も指摘をされています。PRTRの集計結果によると、総排出量の九九・六%と、ほとんどが家庭からの排出となっています。  経産省は、防虫剤の表示どおり、通常の使用であれば問題はない、そう説明しています。ところが、センターが二〇〇一年度に行った試験によりますと、衣料用の防虫剤、規定どおり使用したモデルケースでも、パラジクロロベンゼンの室内濃度は厚生労働省が定めている室内濃度指針値の四十六倍と、高濃度汚染になっていました。トイレ用防臭剤の場合は約百九十六倍と、恐るべき状態でした。しかも、五日間でも百八十倍とほとんど下がっていない。その影響で隣のキッチンでも二十九倍になっているとのことでした。商品に記載されている使用方法どおりに使っても、指針値の数十倍から百数十倍の室内高濃度汚染となっているわけです。  厚生労働省の調査でも、化学物質の吸入に関する相談の一割近くが用法どおり使用したのに被害が発生したと思われる事例だとのことです。これでは私は何のための室内濃度指針なのかと言わざるを得ないと思います。  経産省として、こういう問題についても都の消費者センターの調査、提言をきちんと受け止めて、実態を把握して、早急に対応策を取っていただきたい、そう思うのですが、いかがでしょうか。
  75. 菅義偉

    大臣政務官(菅義偉君) 衣料用防虫剤等につきましては、この関連業界間で表示の仕方を取り決める公正競争規約の見直しを平成十四年八月五日に行いまして、消費者が家庭で使用する際に過剰な揮発が起きないように、適切な表示内容といたしております。  さらに、この業界等も、技術開発の結果、効能を維持しながらも揮発の程度を従来の半分にまで減少させる対策を講じている、こういうことを行っておりまして、適切な使用に関する表示の見直しも行われていると、このように承知いたしております。
  76. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 殺虫剤、防虫剤、殺菌剤、防臭剤、芳香剤、日常生活品がもうありとあらゆるところに出回っているわけですね。家の中へ入ってあちこち歩いたら、相当な私どもはそういう化学物質にさらされるという状況になっているんです。ところが、表示について言うと、経産省、厚労省、農水省、公正取引委員会、たばこについては財務省、全部縦割りなんですね。そして、医薬品とそうでないものと違うとか、もう製品によってもまたばらばらなんですね。私、こういう状態じゃ駄目だと思うんですね。  そこで、経産省は、その中でも非常に製品を管理するということで重い地位を占めておられると思うんですね。積極的にやはり全体をまとめてきちんと見ていくというような観点からお仕事をしていただきたいと思うんですが、一言、決意をお願いしたいと思います。
  77. 菅義偉

    大臣政務官(菅義偉君) やはり消費者が一目で確認できるために必要な内容を一括で表示するというのは極めて大事なことであるというふうに私ども考えておりまして、適切な表示の在り方を引き続き検討し、その実施を行っていきたいと思っています。
  78. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 殺虫剤などに広く使われている有機燐化合物、これは従来言われている以上に複雑で多様な神経障害を引き起こす恐れがあるということが最近分かってきました。昨年九月には、盛岡地裁で、殺虫剤がまかれた後の調理室に入って有機燐中毒にかかった事件について、健康被害と殺虫剤の因果関係を認める判決が出されました。ビルや家庭で普通に使われている殺虫剤でも、健康被害や後遺症が残る、そういう危険性が改めて浮き彫りになっています。  これらの製品の影響というのは、消費者にじわじわと出てくるものです。中環審の大気部会でも、宮崎医科大学の名誉教授の常俊委員が、恐らく発がん性物質も含むと考えると、生体影響が表面化した段階では間に合わない、自主規制でどれだけの効果が期待できるか、いつまでに達成できるかということが明確にならない限り、生体影響を未然に防止するために早く対策を立てるべきと。当てにならない自主規制に任せるのではなくて、規制が必要と指摘をしておられます。  化学物質の吸入被害の相談が毎年増加し続けている事態を私は放置することができないと思います。殺虫剤や防虫剤など、ビルや一般家庭で使用される薬剤、スプレー製品などについて、有害物質を含む製品や使用の実態の情報収集をしっかりと行って被害実態を総合的に調査をして、政府として有害物質を管理する予防的、包括的な対策を推進すべきだというふうに思いますが、その点いかがでしょう。
  79. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 極めて重要な問題だと私どもも認識しております。  殺虫剤や塗料ですか、塗料等を含むエアゾール缶について言えば、収集運搬や破砕処理等の際の爆発事故、そういったものも生じておりますから、そういった発生を防止する、あるいは廃棄物処理の安全性を確保する、そういった観点から、現在、市町村や関係業界と拡大生産者責任、こういったことを含めて、処理体制の在り方について検討を行っているところでございます。  また、御指摘の有害な化学物質については、化学物質審査規制等の法律に基づきまして規制が行われておりますが、廃棄物処理の安全性を確保する観点から、必要に応じて廃棄物処理法に基づく適正処理困難物、こういうことについての指定することも含めまして、関係者の適切な役割分担の下で適正な処理体制、これ自体を構築させるように引き続き最大限努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  80. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 非常に積極的な答弁をいただいて、良かったと思います。  大臣最後に、私、この化学物質の問題を取り組んでいる中で、今、花粉症の方が一千三百万人おられるんですね。ちょっと、かつて考えられなかった事態で、原因が何にあるのかというのはまだ、それは杉花粉だとかいろいろあるんでしょうけれども、大気汚染との複合汚染だとかいうことが言われています。室内を見ても、これだけの化学物質が浮遊しているわけで、やはりこういう問題についてきちんと対応していかなければいけないというふうに思います。とりわけ、先ほど経産省にお話ししましたけれども、いろいろな問題が縦割りになっているんですね。人々の健康とか環境を考える、そこを軸にして、そしてやっぱり包括的に取り組んでいくということが非常に大事であります。  ですので、積極的に閣議の場でもこういう問題について発言をしていっていただきたい。本当に改善をするために御努力をいただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  81. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御指摘のとおりだと思います。大気環境の改善、一層進むように努力を重ねてまいりたいと考えております。
  82. 田英夫

    ○田英夫君 大気汚染という問題は言わば環境問題のイロハといいましょうか、基本だと私は思っているんですが、我が国の政治、行政の中で実は大気汚染の問題、あるいは環境問題全般と言ってもいいんですが、実際に取り上げられ始めたのは決して古いことではないと思います。それだけに、環境省の今皆さんの御努力は大変重いものがあると思っておりますが。  美濃部都政のときに、東京に青空をというキャッチフレーズで、私どもも応援団で胸に水色のバッジを付けて駆け回ったことが思い出されます。その結果、当時は、まず工場のこの煙突から出るばい煙の規制をするという、極めて今から思えば初歩的なことから始めたわけですけれども、もちろん、同時に水のこともありましたね。隅田川や多摩川に魚を帰そうというようなことも合い言葉になりました。わずか今から三十数年前のことであります。その結果、例えば水でいえば、先日テレビで多摩川にアユが帰ってきたという番組をやっておりましたが、私のようなのは誠に当時のことを思って感動をしながら見ておりました。  この大気汚染に限ってみても、同時にもう一つの問題は、日本だけでこの問題を進める、それだけでも、先ほどから同僚委員皆さんが御質問されているように、大変多くの問題があるし、現状は極めてまだ厳しいわけですけれども、同時に、日本だけでこれをやっていても本来の目的を達することができないという、そういう地球的な大きな問題でもあると思います。基本的には産業発展対環境の問題といいますか、そういう問題ですから、悪と闘うということに観念がなかなかなりにくい、そこにこの問題の非常に難しさがあるんでしょうけれども。  今からもう三十年以上前、中国に行きましたときに、化学工場を見せてくれた。そうしたら、ずっと過程があって、最後に池があって、そこでコイを飼っていました。我が工場の排水はかくのごとく浄化されているぞということを目で見えるようにしてありますと案内者が説明をしておりました。  その中国で、今、もちろん環境に関する関心は決して高いとは言い難い、一方、産業の発展ということについてはすさまじいものがありますね。実は来週、中国へ行くんですけれども、特に上海周辺などはニューヨーク、東京と比べても劣らない高層ビルが並んで、そして奥地に行くと今や世界の工場と言っていい状態になりつつあると思います。先進各国がこぞって安い労働力と大量の労働力を求めて中国に進む、進出していると、こういう状態の中で、他人事とは言えないような問題になっているんじゃないかと思いますね。  そこで、環境省の中でそうした国際的な連帯をどういうふうに具体的には分担をし担当して進めておられるのか、機構上の問題ですけれども、お答えいただけますか。
  83. 竹本和彦

    政府参考人(竹本和彦君) ただいま先生から御指摘がありましたとおり、地球規模の問題、大変国際的にも重要でございます。  環境省におきましては、地球環境局という部署がございまして、そこを中心に対応しております。また、国際交渉の場におきましても、大臣始め副大臣大臣政務官、そして地球環境担当の審議官、中心といたしまして、環境外交、また地球環境問題の問題に対応しているところでございます。
  84. 田英夫

    ○田英夫君 もちろん世界的に、京都議定書に象徴されるように、各国とも努力をし始めているところですけれども、アメリカの問題、これはもうある意味では人類の問題と言っていい、アメリカの一国主義的な姿勢から出てきている問題は非常に心配されますけれども、この点は先ほど大臣が既に答弁されましたので重ねて求めませんけれども、本当に、なぜああいう姿勢を取るのか、大変残念でありますが。  ヨーロッパの方は、これはさすがに古い伝統もある中でこの新しい問題に非常に積極的に取り組んでいますが、ドイツが統一されたときに、直後に訪ねましたら、旧共産圏というのはどうしてもやはりこの問題については関心が薄いというか、取組が浅かったと思います。旧東ドイツ側に行ってみましたら、原発は全部止めていました。つまり、非常に危険な状態、旧ソ連製の原発ですから非常に危険な、ドイツから見て非常に危険だというんで全部止めていました。それから、東側の、これは東ベルリンですけれども、泥炭で発電をしているという、非常に、何といいますか、泥炭ですから非常に燃焼効率も悪いわけですけれども、これも止めていました。そういうことで、社会主義圏と一緒になったところで一つヨーロッパは問題があったのが、今日ではその一部を拡大EUについに統合いたしました。  つい私は、国際問題に長いこと取り組んできたものですからそういう視点になってしまうんですけれども、この環境外交と言っていい問題、これは今機構上の取組は御説明いただきましたけれども、最後大臣から、この環境外交という視点からどういうふうにお考えになっているか、国際的に、アメリカへ行かれてそういう話をされたこと自体一つ外交でしょうけれども、これからの御決意を伺って、終わりにしたいと思います。
  85. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今、様々なお話ございました。米欧の取組の違いなども、これもやはり国境を接しているかいないかということで、水、大気、あとはチェルノブイリの問題もございました。そういったことで、欧州全体に広がりがあるのではないかと推察をするところでございます。  我が国環境外交といたしまして、先ほどもニューヨーク、ワシントンでの会議の模様などもお伝えをしたところでございますけれども、地球温暖化、大気汚染などの問題については、国内対策の推進強化は当然のことでございますけれども、基準や目標などの枠組み作りなどを始めとした国際的な政策の形成、実施に向けて、また国内的にも関係省庁との緊密な連携を基にいたしまして環境外交を更に進めてまいりたいと考えております。  具体的に、先ほどの京都議定書の批准を呼び掛けるということも一つでございますけれども、我が国中国、韓国を始めとしてアジア太平洋地域において、酸性雨のモニタリングネットワークを繰り広げたり、それから黄砂対策、さらには漂着ごみなどの問題も含みました北西太平洋地域海計画、NOWPAPでございますけれども、様々な国際的な環境外交を続けさせていただいていると思いますし、また今後、我が国としてもそちらの方面でもしっかりと貢献できるようにしてまいりたいと考えております。
  86. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  87. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。  いつも同じようなことになるのですけれども、この規制の強化、この法律でも大変厳しくなっておりますけれども、強化するだけでは本質的な大気汚染の根を断つことはできないのではないかといつも思っているんです。  大気をきれいにすると恩恵を得られるようなシステムを同時に導入すべきではないかなといつものように思うんですけれども、また、しつこいようですけれども一言いただきたいと思います。
  88. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) いつもおっしゃっていることは大変重要なことだと思います。やっぱりしっかり取り組んだ方々が報われるという形は必要な要素だと思っております。  環境省としても、対策を講じた事業者が恩恵を受けられるような仕組みを設けるということは、このVOCの排出抑制対策として重要な取組一つでありますし、またそのために、例えばVOCの含有量や使用量が少ない低VOC製品の開発普及を促す施策として、グリーン調達に低VOC製品を位置付けるであるとか、エコマークなどの環境ラベルを活用するなどといった形で消費者に効果的に情報提供を行う、それによりまして対策を講じた事業者が恩恵を受けられるというような方策、これも検討してまいりたいと考えております。
  89. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 おっしゃったとおりに、やはり何か環境にいいことをするといい恩恵が得られるということは、皆さんの中で普及したら、明るく環境の問題と取り組めるのではないかと思います。よろしくお願いします。  それから、このごろ、イラクの戦争がありますけれども、刑務所での非人道的な映像を見まして、イラクの戦争は更に非難の声が高まっています。イラクの中でイラク人がアメリカ人に非常にさげすまれたような暴行を受けているあの写真は本当に悲痛でございます。戦闘状況も泥沼化の一途をたどっております。人道的な問題もあるこの戦争は環境の面からも大きな問題があると考えているんです。世界の中の環境保全のリーダーとして、日本環境省は、イラクでの戦争行為によってどのような大気汚染や土壌汚染などが、どのような環境問題が発生しているか調査していただきたいと思うんですけれども、どうお考えでしょうか。
  90. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) イラクの状況は、報道を拝見している限りまだまだ環境の調査をするに足る状況には至っていないということが極めて残念なことだと思いますが、少なくとも、前回の湾岸戦争時におきましては、油田の大火災などが起こる、それによって油がアラビア湾の方に流出いたしまして、それによって海鳥の問題、これも後でいろいろと物議も醸し出したところではございますけれども、そのような状態には至っていないということかと思います。したがって、そのイラクの戦争によって起こる環境状況我が国にも環境の悪化をもたらすかということには今回は至っていないのかと思います。  収容所での非人道的な、極めてプライドの高いアラブ人に対して恥辱的な行為を行うというのは非常に私も残念に、また憤りも感じますが、と同時に、首をちょん切るというような行為を行っているのも、両方何とかしてくれという気持ちにならざるを得ないことも付け加えさせていただきたいと思います。
  91. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 今、大臣がおっしゃったように、本当にイラクでは痛ましいことが起きていると思うんですね。やはり戦争ほど環境に悪いあれはないと私は思うんですね。ですから、例えば今回のイラクへのアメリカの攻撃でも、残念ながら日本はある程度賛成してしまいました。私、思うんですが、環境省の立場からもそういう戦争に対しての強い憤りと反対を、また政府とは違う意味で考えていきたいと思うんですけれども、一言いただきたいと思います。
  92. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御意見として伺わせていただきます。
  93. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 そんなことで、本当に環境問題は大きなことですし、戦いのない国にするようにみんなで努力していかなければいけないと思います。
  94. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  大気汚染防止法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  95. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四分散会