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2004-05-27 第159回国会 参議院 外交防衛委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      岩本  司君     福山 哲郎君      榛葉賀津也君     木俣 佳丈君      渡辺 孝男君     高野 博師君  五月二十六日     辞任         補欠選任      木俣 佳丈君     榛葉賀津也君      福山 哲郎君     岩本  司君      若林 秀樹君     浅尾慶一郎君      山口那津男君     荒木 清寛君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 一太君     理 事                 佐藤 昭郎君                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 阿部 正俊君                 河本 英典君                 桜井  新君                 中島 啓雄君                 岩本  司君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 田村 秀昭君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  知念 良博君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        防衛施設庁建設        部長       河野 孝義君        金融庁総務企画        局参事官     細見  真君        総務省郵政行政        局長       清水 英雄君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        外務大臣官房審        議官       兒玉 和夫君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省条約局長  林  景一君        財務省国際局長  渡辺 博史君        国土交通省自動        車交通局技術安        全部長      中山 寛治君        国土交通省航空        局長       石川 裕己君    参考人        独立行政法人国        際協力機構副理        事長       畠中  篤君        国際協力銀行理        事        丹呉 圭一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国際原子力機関憲章第十四条の改正受諾につ  いて承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付  ) ○全権委員会議(千九百九十四年京都及び千九百  九十八年ミネアポリス)において改正された国  際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネー  ブ)を改正する文書全権委員会議(二千二年  マラケシュ)において採択された改正)及び全  権委員会議(千九百九十四年京都及び千九百九  十八年ミネアポリス)において改正された国際  電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ  )を改正する文書全権委員会議(二千二年マ  ラケシュ)において採択された改正)の締結に  ついて承認を求めるの件(内閣提出衆議院送  付) ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (小泉総理北朝鮮訪問に関する件)  (日本拉致問題に関する件)  (ODAに関する件)  (普天間飛行場代替施設に関する件)  (在日米軍軍人軍属等私有車両登録問  題に関する件)  (沖縄米軍基地問題に関する件)     ─────────────
  2. 山本一太

    委員長山本一太君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、渡辺孝男君が委員辞任され、その補欠として高野博師君が選任されました。  また、昨二十六日、山口那津男君及び若林秀樹君が委員辞任され、その補欠として荒木清寛君及び浅尾慶一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 山本一太

    委員長山本一太君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事高野博師君を指名いたします。     ─────────────
  5. 山本一太

    委員長山本一太君) 国際原子力機関憲章第十四条の改正受諾について承認を求めるの件及び全権委員会議(千九百九十四年京都及び千九百九十八年ミネアポリス)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書全権委員会議(二千二年マラケシュ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都及び千九百九十八年ミネアポリス)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書全権委員会議(二千二年マラケシュ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。川口外務大臣
  6. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ただいま議題となりました国際原子力機関憲章第十四条の改正受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この改正は、平成十一年十月にウィーンで開催された第四十三回国際原子力機関の総会において採択されたものであります。  この改正は、国際原子力機関の費用の予算見積りを二年ごとのものとすることを目的とするものであります。  我が国がこの改正受諾してその早期発効に寄与することは、同機関の一層効果的かつ効率的な事業の運営を通じて原子力平和的利用を促進し及び確保するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この改正受諾について御承認を求める次第であります。  次に、全権委員会議(千九百九十四年京都及び千九百九十八年ミネアポリス)において改正された国際電気通信連合憲章(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書全権委員会議(二千二年マラケシュ)において採択された改正)及び全権委員会議(千九百九十四年京都及び千九百九十八年ミネアポリス)において改正された国際電気通信連合条約(千九百九十二年ジュネーブ)を改正する文書全権委員会議(二千二年マラケシュ)において採択された改正)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  これらの改正文書は、平成十四年十月にマラケシュで開催された国際電気通信連合全権委員会議において採択されたものであります。  これらの改正文書は、国際電気通信連合活動効率性を高め、機動的な運営を確保することを目的とするものであります。  我が国がこれらの改正文書締結することは、電気通信の分野における国際協力を一層推進するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、これらの改正文書締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。  以上です。ありがとうございました。
  7. 山本一太

    委員長山本一太君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  8. 山本一太

  9. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  10. 山本一太

    委員長山本一太君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査のため、本日の委員会独立行政法人国際協力機構理事長畠中篤君及び国際協力銀行理事丹呉圭一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  12. 山本一太

    委員長山本一太君) 外交防衛等に関する調査議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いきなり水が入りましたが、質疑を続けたいというふうに思います。  民主党榛葉賀津也でございます。  本日私に与えられた時間は四十分でございますが、本日は三点に絞って質問をしたいというふうに思います。まず一点が、総理北朝鮮訪朝の問題、そしてもう一つが、先日羽田空港に不審者が侵入をした問題、そして三点目が、アルカイダ工作員日本潜伏事件に関する問題でございます。どれも重い問題でございまして、とりわけ後者の二点は国民保護法制にもかかわる問題でございます。明日、私は三十分、イラク特別委員会においての質疑時間をちょうだいしておりますので、もし質問がし切れない場合は明日に回したいということを御了承いただきたいというふうに思います。  まず冒頭、せっかく防衛庁長官も、私の通告には入ってないんですが、お見えですので、昨今イラク問題に関して感じたことを若干述べさせていただきたいというふうに思います。  同僚の若林委員シリアに参りまして、現地政治家、そしてとりわけシリアバース党最高幹部会談をし、また帰国後も断続的にヨルダン大使レバノン大使モロッコ大使、そして無論シリア大使、パレスチナの代表部、エジプトの関係者と、近隣アラブ諸国政府方々並びに政治家と連絡を取り合って情報収集に努めてまいったわけでございますが、我々野党はどうしても政局絡みで現場の状況を恣意的に我々も発言してしまうときがありまして、私はそれ是非気を付けなければならないと、自分自身中東に関与する人間として考えております。  正直、ここ数日私が感じているのは、思った以上に、アラブ社会そしてイラク方々アラブ地域に住む方々が驚くほど日本のことをよく知っていらっしゃるということでございまして、とりわけ、自衛隊と軍の差別というものは現地において付かないんじゃないかというような議論が間々この委員会でもありましたが、驚くほど、自衛隊というものがどういう組織であり他国の軍隊とは違うんだ、そしてイラクにおいて自衛隊人道支援をしてくれているということを、国民レベルにおいても、またバース党のマスコミなどもよく理解していることが分かりまして、正直、これは私にとりましても若干の驚きでございました。大変うれしく思ったわけでございますが。  他方、サマワでの自衛隊活動が極めて政治的なものであるという評価もされていることもまた事実でございまして、アブグレイブでのああいった事件を絡みますと、極めて心情的にアメリカだけではなくて日本に対する感情が変わってきていると、この国民の中にある心の変化に大分私は危惧をするわけでございまして、撤退というものは大変時期的には難しいことは重々承知なわけでございますが、やはりそういったものも中東政治をかんがみながら是非真剣に、オランダ等大分この議論に入っているようでございますが、日本外交含めまして、間違いのない判断を、英断をしていただきたいというふうに要望をしておきたいというふうに思います。  それでは、北朝鮮の問題の審議に入りたいと思いますが、五月の十四日、総理は自らの年金未納若しくは未加入問題と絡めまして、時同じくして、北朝鮮の再訪問発表されました。総理言葉をかりると、これは全く関係ないんだと、北朝鮮問題単品でタイミングを計って発表したんだという発表がございましたが、私から見ますと、どうも内政を外交にリンクさせる大変危うい状況ではないのかなというふうにも思えるわけでございますが、これ川口大臣にお伺いしたいと思います。外務省はこの十四日に北朝鮮訪朝を、北朝鮮訪問総理発表された、このことを外務大臣事前に御相談されていたんですか。
  14. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 五月十四日に発表をする前の段階から、これは政府は二月の段階で、政府はといいますか外務省は二月の段階から日朝交渉等一連準備北朝鮮との間で議論を、協議をしてきているわけで、そういったその一連北朝鮮とのやり取りの中で最終的に総理訪朝をなさるということを判断をなされた、この過程について、その十四日に発表するということも含めて、もちろん外務省は私の指示と了解の下にいろいろな交渉をやってきておりまして、私はその過程を知っておりますし、もちろん総理とも一体となってこれをやってきたということでございます。
  15. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 手短にお答え願いたいんですが、十四日に発表するということを大臣事前総理から御相談を受けていたということでよろしいわけでございますね。
  16. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 結構です。
  17. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 昨日の衆議院での外務委員会の様子を院内テレビ、また議事録で拝見をさせていただきましたが、我が党の前原委員との議論がとりわけ外務大臣とは大分かみ合っていらっしゃらないという印象を受けました。頭のいい御両名が話すとこういう会話になるのかなとも思いましたが、私は言葉の遊びはするつもりはございませんので、限られた時間ですので的確にお答えをいただきたいというふうに思います。  我々はこの拉致問題を考えますと、とにかく五人の家族の、五人の家族方々の完全の帰国、そして十名の方々安否、そして百名とも四百名とも言われている特定失踪者完全解決と、これを完全解決なくして我々は北朝鮮とのあらゆる交渉もあり得ないという立場に民主党は取っておりますが、今回の総理訪朝交渉結果を見ますと、正直愕然といたしました。  五人の御家族が帰られたことは大変うれしいわけでございまして、それに対する評価も、国民からの評価も数字として実際現れております。しかし、この特定失踪者を含めての完全解決北朝鮮との納得との合意北朝鮮との合意、これが必要だというようなことを総理はおっしゃっているわけでございますが、改めて端的に、外務省の、昨日の前原委員質問にもありましたが、拉致問題完全解決定義を手短に、端的にお答え願いたいと思います。
  18. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは従来から申し上げていますとおり、一つは五人の家族の方の帰国ということであります。それからもう一つは、拉致の、された安否の不明の人々、この安否の不明の人々については、もし今後拉致という認定があった場合にはその人たちについてもきちんとその調査ということはもう北朝鮮にも言ってありますけれども、そういう方々について真相究明がなされることということであるというふうに申し上げています。
  19. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それが大臣完全解決定義ですか。
  20. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そういうことだと考えています。
  21. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 十名の安否につきましても、白紙段階白紙の状態から本格的な再調査をするということですが、これがすなわち前回訪朝金正日はうそを言っていたということになると思うんですが、大臣の御認識はどうでしょうか。
  22. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 前回たちが聞いたことについては、その後いろいろな違う情報等をこちらとしては得ているわけでございます。それについて百五十項目等質問状も出していますけれども、いろいろな事情、例えば約束をめぐってあったなかった、そういった状況の中でそちらが進展をしなかったということは事実あったというふうに思います。  それで、今回総理が行かれて、これについて解決済みであるという向こう側の主張を総理がお話しになられて、白紙に戻して本格的に再調査をしようということで、金正日総書記がそのように発言をなさったということで、それが今後行われるということであります。
  23. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 会談の中でジェンキンスさんの帰国の問題について総理交渉されたときに、アイ・ギャランティーと、安全を保証するんだというような交渉をされた、若しくは提言をされたということを報道並びに関係者からお伺いをしましたが、外務省はその交渉される、その交渉をバックアップする体制として、現実問題、日米犯罪人引渡条約であるとか地位協定の問題であるとか、様々なクリアしなければならない問題があるんでしょうが、そういった様々な問題をクリアする担保、すなわちジェンキンスさんの日本帰国した際の安全をギャランティーをすると、その担保をどのように取っていらっしゃったんですか。
  24. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  今の委員の御指摘の中にあったアイ・ギャランティーというくだりでございますけれども、実際に総理は正に、ジェンキンスさんが大変いろんなことで心配をされておられるという感じがその場でも伝わってまいりました。そうした中で総理の方から、いや、ジェンキンスさんが日本へ来られると、御家族一緒に幸せに暮らせるよう日本政府としても一生懸命最善努力はしますよと、そういうことを言われたわけです。ですから、そういう意味では、何も法的にこれを保証するとかそういう種類のものでもちろんございませんでした。  今、もちろん、委員指摘のとおり、いろいろと法的な問題というのはございます。そうした中の問題というのは当然アメリカともいろいろと話をせねばいけませんけれども、アメリカの中にはアメリカシステムというのがあるということは我々重々承知しております。
  25. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 薮中局長の御努力には心から敬意を表したいというふうに思いますが、帰国され、仕事に復帰された曽我ひとみさんも、日本政府が本当にジェンキンスさんの身柄というもの、安全というものを保証してくれたならば夫は帰ってきたであろうというコメントを昨日も出しております。  加えて、帰国直後のこのアイ・ギャランティーというくだり政府発言と、昨日辺りから、皆さんが幸せになるように最善を尽くしますよというような定義で御答弁されていますが、極めてトーンが変わってきているということを大変残念に思うわけでございまして、つまりは、こういったジェンキンスさんの身柄をきちっと確保してあげる、安全を保証してあげる、その受皿を取ってから当然我が国総理が、最高責任者総理大臣北朝鮮に行くわけですから、その環境整備をして総理が行き、八名すべてを帰国させるというのが当然の交渉環境整備だと思うわけですが、全くもって私は納得できないわけでございますが、局長の御認識をお伺いしたいと思います。
  26. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に私申し上げましたように、ジェンキンスさん自身が非常に心配されておられると。実は、非常に情報を御自分で持っておられると。正にアメリカシステムですから、アメリカ軍人であった方ですから、当然のことながらアメリカシステムというのは非常によく知っているということ。それに加えて、毎日の情報、日々の情報日本での報道についても随分と御自分で詳しかったです。ですから、ある意味でそういうやり取り、随分親身の、親身になっての、総理自ら一時間も掛けて話をされて、そして自分としても一生懸命努力するからということでございました。  それで、今の御指摘事前にもっと何かできないのか。これは正に、アメリカといろいろと話をしておりますけれども、先ほども申し上げましたように、アメリカには当然アメリカの法的なシステムがあるということも我々は認識しなけりゃいけないと思います。
  27. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今、局長は御自身情報を持っていらっしゃるとおっしゃいましたが、北朝鮮は、我々のようにキヨスクやコンビニに行って新聞を買える状況ではないわけでございます。情報を持っているのではなくて、私は持たされていると。日本ではこういう報道をしていますよ、アメリカに引き渡されますよという情報を明らかに恣意的にジェンキンスさんに渡されているというふうに考えるのは当然でございまして、私は、ジェンキンスさんが持っているからよく状況を分かっているんだという局長の御判断は、極めて北朝鮮ペースにはまっている物の考え方ではないか。無論、局長はそのことを重々承知発言をされているとは思いますが、私はやはり残念でならないと思います。  第三国ジェンキンスさんと子供たち曽我ひとみさんに面会してはどうだという具体的な落としどころの提案が早速されました。この交渉が出るからには、無論、外務省内事前根回しなり下打合せなり、そして仮想される第三国が無論あったというふうに想像できます。第三国の具体的な準備というのは事前にどんなものがあったんですか。
  28. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に今回、日朝首脳会談に臨む日本側基本的考え方というのは、八名の方々、要するに五名の被害者家族、御家族全員、八名の方々日本への帰国でございました。そういう意味で、あらかじめ第三国での面会といったことについて選択肢を想定していたということではございませんでした。
  29. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 選択肢は想定していなかったということですか。それはちょっともう信じられないんですが、そのような状況総理北朝鮮に行って交渉をすること自体、正に我々からすると考えられないわけでございまして、昨日の前原委員指摘の中に、拉致全体の解決には、地村さん家族が帰ってこられて、とりわけ地村さん、蓮池さん、御家族手元に戻ったわけですから、非常に現地状況を話しやすくなったんじゃないかというふうな見解もされていましたが、私は、若干この点については前原委員と考えが異なっておりまして、正に今回の交渉そのものも、そして十人の安否の問題も、北朝鮮の手のひらで交渉ペースを握られているなという思いでございまして、正にこの五名プラス先に帰った地村さん、蓮池さんたちに自由に発言させないためにジェンキンスさんを手元に置き、そして北朝鮮の何らかの影響力のある第三国会話をさせ、その根回しとしてジェンキンスさんに様々な情報を与え、曽我ひとみさんに北京に来ないかというような提案をさせ、十人の安否、ましてや、十人の安否、加えて四百名とも言われている特定失踪者交渉も後延ばししているというふうに考えるのが当たり前のことだと思うんですが、局長はどのようにお考えですか。
  30. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 当然、いろいろの交渉に臨むに当たって、こういう非常に重大な問題でございますし、また体制、制度の違う国との話合いということで、今委員指摘のとおり、様々なことを当然想定しておかなきゃいけない。あるいは、我々が話をする際に念頭に置いておく必要は当然ございます。そういう意味では、正に委員のそういう準備をきちんと、あるいは心の準備をしておかなきゃいかぬということはそのとおりだと思います。  そうした上で臨んで、正に金正日委員長に対して小泉総理の方からはっきりと八人の帰国と、そして本人が、どうしてもジェンキンスさんについての話で、本人がどうしても不安に思っていて、したがって総理から直接その真意を問いただしていただいても結構だと。そして、総理からは、それじゃ、それでジェンキンスさんが帰ると言うならば当日に帰っていいなという、そこまで確認をされたわけでございます。  もちろん、今委員指摘のとおり、その背景にどういうのがあらかじめあってということで、それをそのまま信用できるかという話は、指摘としては我々も十分受け止めなきゃいけないと思いますけれども、そういう全体の判断の中で、しっかりとまずジェンキンスさんと当たってみようと。そして、そういう中でぎりぎりの話として、今回の第三国での面会というのがその状況の中ではやむを得ないのではないかと。そしてまた、曽我さんにその御意向を確認して、それでその実現を図ることを考えるかということになったわけでございます。
  31. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ジェンキンスさんの帰国の問題について、若干具体的な質問をしたいわけでございますが、外務省事前アメリカ政府と、司法取引等様々な方法もあると思いますが、このアメリカ政府とのジェンキンスさんの問題について、司法取引の可能性についての議論をされましたでしょうか。
  32. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) アメリカとの間での種々のやり取りというのはございますが、これは正に今後に与える影響ということもございますので、その内容については差し控えさせていただきたいと思います。
  33. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 承知いたしました。  川口大臣にお伺いします。  今回、二十五万トンの食糧と一千万ドルの医療支援、クオーツ人道支援ということで、外務省は支援を発表されましたが、昨日の前原委員質問に対しましても、これは決して拉致被害者を取り戻すためのバーターではないんだと、人道支援人道支援だというふうにおっしゃっております。この御認識に変わりはないんですね。
  34. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 変わりありません。
  35. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ただ、国際的にも国内的にも、どう見ても、これはバーターとしか思えないわけでございまして、大臣も昨日の前原委員質問に対して、バーターということでは全くない、それがそう見えるとおっしゃる方もいるかもしれませんが、我々はそのように考えていないというふうに御答弁されていますが、大事なのは、これは交渉事ですから、相手がいて、我々は人質を向こうに取られているわけでございます。そして、外務省がどのように考えるではなくて、北がこれをどのように考えているか、相手がどういうふうに考えているかということが大事でありまして、相手にとりましたら、正にこれは人質を帰した見返りとして人道支援が受けたんだというふうに思うのが当たり前だと思うんですが、そういうような常識的な考えは外務省にはないんでしょうか。
  36. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本政府は龍川においても既に人道支援をやっております。そういった状況でもありますし、それから国連機関からのアピールも出ているわけです。五十万トン不足だというのが去年の暮れでしたか、十一月でしたかに出ております。  そういったことを踏まえ、我が国政府として、今まで人道の支援については、それはいろいろな事情もありますけれども、総合的に判断をして支援をするということを言ってきているわけでございまして、そういった考え方を踏まえて人道支援を行いますということを言ったわけで、それはバーター、人質とのバーターとか、そういう発想は全くありませんで、拉致家族の方が帰ってくる、それはそれで当然のことである、我々は人道支援をしたということでございます。
  37. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 北朝鮮というハードネゴシエーターと議論をする、交渉をする態度と、私、到底思えません。二〇〇〇年からずっと支援を中止しての正に、正にこのタイミングで二十五万トンと一千万ドル、極めて大きい額を支援するといったことは今後の交渉に私は大きな影響を与えるというふうに思っております。  委員長衆議院でも提案があるんですが、私、参議院のこの委員会でも改めて、二〇〇〇年からやってこなかったものをなぜこの時期やるのかというこの明確な理由と政府の統一見解をきっちりとペーパーにして提出していただきたいということを要望したいと思いますが。
  38. 山本一太

    委員長山本一太君) 後日、理事会で協議させていただきます。
  39. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 総理発言の中に、平壌宣言を遵守している限り、経済制裁の措置を発動しないというふうな発言がございましたが、外務大臣北朝鮮が平壌宣言を遵守しているというふうにお考えですか。
  40. 川口順子

    国務大臣川口順子君) NPTを脱退をするという発言をした等々、北朝鮮については幾つかの動きがあって、国際社会としてそれについての議論もございますけれども、必ずしも、それはそういうことを行ったかどうかということについて、そもそも議論が一致していないということもございます。私は、今、金正日総書記がこれを守っていくということを総理に直接おっしゃったということがあるわけでして、それがこの地域での平和、安定につながっていくような動きになるように、それを動態的なコンテクストでとらえて、これを平和、安定につなげていくということであろうと思います。  個々のことについて、それが守ったのか守っていないのかということについてはいろいろな御議論はあるかもしれません。例えばNPT一つ取っても違う立場の意見があるわけでございまして、そういったことではなくて、今必要なことは、それを守って懸案をいろいろ解決をしていってという誠意ある行動を取ることが北朝鮮の利益であるということを北朝鮮が分かっているわけですから、それをそのとおり行動をしてもらう、平壌宣言を守り続けてもらうということに意味があると思います。
  41. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 平壌宣言を守っているんだと総理におっしゃったと。北朝鮮はずっとうそをつき通して、我々の国民拉致して現在の状況に至っている。交渉過程でもあらゆるうそをついている。しかし、ここに至って総理におっしゃった、それを信じるしかないと。そういうのを大臣、妄想というんですよ。  これは、私は、この経済制裁のカードというのは、国を挙げて超党派でこの問題にも取り組んでいますが、我々の持っている最大の、そして極めて有効なカード、そしてこれをいともあっさりとこのように切ってしまう、封印してしまうという総理交渉の方法について私は疑問を持たざるを得ないと同時に、我が国総理として大変残念に思います。  防衛庁長官にお伺いしますが、交渉の中で金正日は、ミサイルは日本を向いていませんよとおっしゃいました。これ信じますか。
  42. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 日本を射程に入れたノドンミサイルを保有をしているということは、これは私どもも国会答弁で申し上げているとおりであります。向いているとか向いていないとかいうことを何を指して言うのか、これは委員も技術的なこともお詳しいと思いますが、極めて難しい。ただ、向いていないと言われたことを信じるかと言われますと、これは確認のしようがない。そのように金正日総書記が言い、言ったという事実がそこにあるということであります。  それはもう照準をどこへ向けるか、それのセットがどのような形で行えるのか。これは北朝鮮だけに限った問題ではございません。ロシアが照準を外した、じゃ、そのことを信じるのかと言われて、やはりそこにそういうような言明があったということに私は意味を見いだすべきではないかというふうに考えております。
  43. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この議論はツー・ビー・コンティニューですから、後ほどもまた議論をしていきたいというふうに思いますが、一点、私の感じですが、お子さんたちが帰ってこられまして連日報道の目にさらされておりまして、当然報道の自由もあるわけですし、我々もあの五人のお子さんたちが元気にやっているのかな、大丈夫かなと、知りたい気持ちもあるわけでございますが、我々国を挙げて今あの家族をサポートしなければいけない。そして、家族にとって子供の存在というのは大変重いわけでございまして、あの子供たちが一刻も早く家族に、そして地域に、日本の社会になじんでいく、そのことをマスコミも含めて私はサポートする必要がある。そして、極めてプライバシーの中をえぐるような過剰な報道も見えるわけでございますが、我々も若干その点は留意しなければならないというふうに思います。このことを申しまして、次の質問に移りたいというふうに思いますが。  国家公安委員長質問をしたかったのですが、所管の委員会が違うということで出席にならないということで、大臣、長官に、国家公安委員長に、済みません、国家公安委員長質問する部分については明日させていただきたいというふうに思います。  順番を変えまして、羽田空港侵入事件について国交省並びに警察庁にお伺いをしたいんですが、ゴールデンウイーク直前の四月二十八日、羽田空港に男が強奪した車に乗って侵入をいたしました。いわゆる羽田侵入事件でございますが、私、正直背筋が凍る思いをいたしました。これは四月二十八日でございまして、大臣、四月二十八日どういう日だか御存じでしょうか。
  44. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ゴールデンウイークが正に始まろうとしているときです。
  45. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 さようでございます。ゴールデンウイーク、正に始まろうとしていた。しかし、私が背筋が凍ったのは、この日はサダム・フセインの誕生日でございまして、我々の中では中近東で必ずこの日にテロが起こるんじゃないかというふうな心配をしていたわけでございます。そして、心配をしている、そろそろ今日も終わるなと思っている夕方、羽田空港に不審者が突っ込んだというニュース速報が入ってまいりまして、私、正直、やられたと思ったんですが、幸か不幸かこの不審者は麻薬中毒の単独犯で、テロリストではなかったわけでございますが、全くもってこの羽田空港側、国土交通省と警察庁の対応に疑念を持たざるを得ない事件でございました。  時間がございませんので私の方からざっと事件の経緯をお話ししますが、夕方の十八時五十八分、容疑者の男が羽田空港内の貨物地域で女性の車を強奪いたしました。ところが、この女性が警察に通報したのが十三分後なんですね、十三分後。この貨物地域にいる空港職員が、女性が車を奪われた模様だというふうに空港事務所の安保防災課に連絡したよりも後にこの女性が通報しているわけでございます。そして、現場に駆け付けた防災課員が警備員に、警察へ通報した。そして、ところが、警備員は警視庁にこれを通報しなかったんですね。  容疑者が十九時二十五分、東京空港署前を通りまして国際ターミナルの方向に走行いたしまして、制止しようとした署員を無視してターミナル裏にあるフェンスを破りまして制限区域に侵入いたしました。このとき、容疑者に車をぶつけられた男性が交番に駆け込みまして、このとき初めて警察が事件を知るわけでございます。パトカー三台がこの男が突っ込んだ制限区域内に入ったのは、何とその十分後なんですね。そして、警視庁は事件を空港に連絡すらしていなかったということでございます。  十九時二十九分、この容疑者が二台目のリムジンバスをこの制限区域内で奪うわけでございますが、警備員からバスが事故を起こしたというふうに連絡が行っているんですが、空港側はこれは単なる事故だというふうに認識しているんですね。  更に三分たった十九時三十二分、バス会社から初めてバスが乗っ取られC滑走路に向かったと連絡が入りまして、空港側はここで初めて不審者の侵入に気が付くわけでございます。  十九時三十六分になりまして管制官が全航空機の運航を停止し、A、B、Cと三本ある滑走路を閉鎖したと。何とこの運転停止まで、制限区域に不審者が侵入してから十分以上、女性の車が強奪されてから四十分が経過しているんですね。  そして、この容疑者は三台目のパトロールカーを奪うんですが、そして、これ何とC滑走路を横断して海の方向に向かっているわけでございます。そして、そのC滑走路には正に時を同じくして航空機五機が着陸、そして、反対側のA滑走路には七機が離陸をしていたと。計十二機がこの事件が起こっている最中に離発着を繰り返していた。航空側と警察側の通報、連絡が全く取れていなかった。しかも、このエアポートという極めて重要な場所においてこのようなことが起こった。  この時期、我々党内においても有事法制の議論、どのようにして国民保護の問題を考えるかという議論をしていた真っ最中でございまして、しかもゴールデンウイークを前に、イスラム過激派のテロを警戒して、当時はフェーズEという最も厳戒体制に入っていたわけでございます。これはもう信じられないというよりももう漫画だと思うんですが、これは警察庁と国土交通省それぞれに反省点をまずお伺いしたいんですが。
  46. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) お答えいたします。  大変私どもとしましてもこの事案、重大な事件であるというふうに認識をしておりまして、反省すべきところは大いに反省をし、今後の教訓としたいというふうに思っております。  まず、この事件の一番の原因は、後ほど国土交通省からも御答弁があろうかと思いますけれども、問題の突破されたゲートが常設のゲートではなくて応急的に造られたな仮設ゲートで、非常に脆弱なところだった。それから、モニターカメラとか赤外センサーといったものの設置もなく、警備員の配置もなかったというところが一番の原因だったろうというふうに思います。  ただ、私どもとして反省すべきは、まず、幾つかありますけれども、一つは、そういった脆弱な部分が存在しているということにつきまして、空港の管理者側と情報を共有といいますか、警察自身としてそういった実態について実は十分承知をしていなかったということがございます。  それから二つ目に、委員の御質問の中にも御指摘ございましたとおり、フェンスを突破されたということを認知した後、空港管理者への通報が、これ、パトカーが場内に入るためには今、これ空港管理者の方の許可をいただかないと入れない、これは飛行機との事故の防止という観点でそのような運用になっておりまして、その許可を得るための、何といいますか、通報ということが初めて空港管理者への連絡ということになってしまい、結果的に通報が遅れたと、こういうことになっていたというふうに認識をしております。そういうことで、同時に、パトカーの制限区域内の立入りにも時間が掛かってしまったということになったということでございます。  これらの点については、今後、空港の安全あるいは航空機の安全な運航確保という上で大きな課題を残したということで、反省すべきだというふうに認識をしております。  国土交通省と今後緊密に、もう既に行っておりますけれども、会議等開催をし、連携をしておりまして、警備上の問題点、警戒重点に対する認識を共有をする、それから事態発生時における連絡通報体制をしっかり確立をする、それから対処の仕方、対処方策について計画を一緒に作っていくということ、それから実践的な訓練を行うということで、これは羽田に限らず、空港を管轄する全国の都道府県警察に対して、それぞれ空港管理者とこういった点について緊密な連携、協議をするように指示をしたところでございます。  こういった施策を通じまして、この種事案の再発防止の徹底に万全を期してまいりたいと考えております。
  47. 石川裕己

    政府参考人石川裕己君) 私どもとしても、空港のセキュリティーの強化が求められているときに四月二十八日のような事案が発生したことにつきまして、誠に遺憾でございまして、大変重く受け止めております。  それで、反省点というか、事案につきましては今警察の方からも御説明がございましたけれども、実は今回の事件の発生したところは仮設ゲートでございました。実は、羽田空港は基本的には国内線の空港でございますが、夜間のチャーター便でありますとか、昼間の金浦—羽田便というふうな国際線もございまして、一部国際線もございまして、その国際線の国際ターミナルの増設工事というのが行われる予定でございまして、そのために本来の第七ゲートというものを一時的に閉鎖する、その間の代替として設置された仮設ゲートというところが実は突破されてしまったところでございまして、これは、したがいまして、実はまだその時点では使用していない、連休後に使用する仮設ゲートであったためにモニターあるいはセンサー設置されておりませんでした。さらには、警備員も配置されていなかった、その時点では警備員も配置されていなかったということで、ある意味では警備上弱いところを生じさせてしまったということでございます。  それから、今お話がありましたように、警察との関係におきましても、情報が錯綜し、私ども、空港事務所あるいは空港、さらにはリムジンバス等々との間の情報の共有ということについても課題があったと認識しております。  対策につきましては、今警察の方からお話がありましたように、警察ともよく連携を取りながらやってまいりたいと思いますが、空港自体のフェンスあるいはゲートというふうな空港施設のそのものの強化ということについてもやっていきたいというふうに考えております。
  48. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今、警察庁からも答弁がありましたが、これ侵入者が職質を振り切って制限区域内に入ったんですね。そして、パトカーで追い掛けようとしたんですが、いわゆる守備範囲外なんで、空港側の許可を求めるには時間が掛かったというふうに答えていらっしゃいました。そして、空港側の先導車を待ったというんですね。テロリストかもしれない車両が制限区域突っ込んで、警察振り切って、空港内に入っているわけですよね。そこで警察が待って、先導車を待っているということは、私、現場考えたら、極めてあり得ない状況だと思うんです。  確かに、お役所的考えからいえば、これ、侵入があった場合、侵入前は警察が守りまして、侵入後は空港の警備員が担当するというルールにはなっていることは分かりますが、これが単なるこういった犯行、こういった容疑者ではなくて、火薬を積んだテロリストだったらどうなっていたのかと考えると、これ、縦割り的なお役所のルール作りではいいかもしれませんが、極めてこれは問題があるとしか言いようがない。  そして、先ほど国土交通省さんが、実は仮設でございましてというような答弁がありましたが、こういったウイークポイントをねらうのは、テロリスト、当たり前なんですよ、正面から入るわけないんですから。テロリスト、全部調べて、どこで工事やっているか、どこが警備が薄いかというところをねらうのが当たり前であって、工事やっていましたから警備員もいなかった、センサーもなかった、だからしようがなかったんですというような、それは全くもって本末転倒ですよ。ここで工事をやって仮設フェンスを作るんだったら、だからこそここを警備を厳重にしなきゃいけないんじゃないですか。  我々が国民保護法制をどうしようかという議論をやっているときに現場では一体何が起こっているかというと、私はもう考えられない状況でございまして、これは全くもって緊張感が欠けていると言うしか私はないと思いまして、是非猛省をしていただいて、現場の対応をきちっとしていただきたいということを強く要望すると同時に、この責任の所在も是非明確にしていただきたいというふうに思います。  最後に、デュモン容疑者の件やりたかったわけでございますが、私の持ち時間を既に超過してしまいました。  我が党も、この国民保護法制議論するに当たりまして、前原委員始め答弁者側に立つことがありまして、先輩から聞いたことは、答弁する側として一番むっとするのが、通告していないことを質問されるよりも通告したことを聞かないことが、何だというふうに思うことがあると同僚委員から御指導賜ったにもかかわらず、このデュモンの関係質問することができませんで、また総務省や財務省、金融庁等、今日お越しいただいて大変申し訳ありませんでしたが、必ずこの問題は、後日パワーアップいたしまして質問をさせていただきますので、御容赦いただきたいというふうに思います。  以上で同僚議員に質問を譲りたいと思います。
  49. 岩本司

    岩本司君 民主党岩本司でございます。国民の皆様方に分かりやすい質問をさせていただきますので、分かりやすい御答弁をよろしくお願いいたします。  北朝鮮拉致問題ですとかイラクの戦争の問題、こういう問題も大変重要でございますけれども、こういう問題に隠れてというのはおかしいですけれども、毎年毎年、年間に九千億円のODAを中心とする援助を海外にしているわけですけれども、これ毎年のことですから、ODAを中心に援助を日本政府からしております、特に本日は、タイ王国、フィリピン共和国、ブルガリア共和国、ブラジル連邦共和国、あとメキシコ合衆国、この五か国に約一千億円の援助をしているわけですけれども、この五か国に援助している事業についてお伺いいたします。  まず、タイ王国の首都高速道路、これ、ラムイントラからアトナロン、ラムイントラからアトナロン線の建設事業についてお伺いいたします。  国際協力銀行の円借款案件事後評価報告書、これ二〇〇三年に記載されていますこの事業ですけれども、バンコク地域の交通量の増大に対処するとともに交通混雑を緩和するために、これ約二百五十八億円の円借款供与によって二〇〇〇年の四月に完工された有料道路であります。しかし、この交通量の実績が計画値の四〇%、また主な原因はバンコクの都庁が、本件の事業と同時期に、高速道路並みの規格の六車線の、しかも無料の側道を建設しているんですね。日本が援助して有料の高速道路を造っているのと同時期に、バンコクの都庁が無料で六車線の道路を造っているんですよ、同時期に。これ、当然、これ採算も合いませんし、何でそういう、バンコクの都庁がそういう六車線の無料の道路を造っているって、これ情報さえ入っていなかったのかと。これ、税金ですからね、これ、二百五十八億円も。  私、九州の福岡の選出ですけれども、九州でさえ東九州自動車道といって、もう二十年も前から計画されているのに、今でもその道路できていないんですよ。国民の皆さんからしてみれば、海外に、しかもそんな道路、自分の国で造っている横に高速道路造るんだったら私たちの町に造ってくださいよと、これ言うの当然なんですよ。  これ、何でこういうことになったのか、御説明をお願いします。
  50. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) ただいま先生が御指摘になられました本件事業は、おっしゃられたとおり、バンコクの交通混雑緩和のため、それから高速道路の南北ネットワークを拡充しようとするものでございます。  政府としては、タイ政府からの要請を受けて、九一年の九月、それから九二年の十二月の二度にわたって円借款の供与を決定しております。その後、JBICの事後評価の結果として、先生御指摘になりましたけれども、円借款を用いてタイ高速道路交通公社が建設した高速道路は、これ二〇〇〇年四月完成、と重複する道路が九七年の二月に完成して、それはバンコク都庁によって建設されたもので、予想された、そのためもあって、事業効果が一部発現していないということが判明しております。  他方、私どもとしましては、その先方政府の開発計画の全体像という、その中で案件の位置付けとか類似の事案の実施予定の有無を含めて、様々な側面から調査を行って、先方政府と十分に協議を行って決定していくという所存でございます。  その具体的な事前調査のことについてはJBICの方からお願いいたします。
  51. 丹呉圭一

    参考人丹呉圭一君) このタイの高速道路につきましては、計画段階におきましては、バンコックの交通渋滞解消のためということで、その整備の必要性は十分認められたというふうに考えております。その後、幾つかの要件がございまして、一つは、バンコク首都圏の道路ネットワークの形成に遅れが生じたこと。それから二番目には、アジア通貨危機によりまして、バンコク首都圏の自動車の登録台数、こういったものの伸びが非常に低下してしまったこと。それからさらに、今御指摘ございましたように、タイ側の関係機関、これは道路建設等に関する関係機関でございますけれども、その調整が不十分で、無料の側道が建設されたということによりまして、御指摘のように、交通量の実績が計画値の四〇%にとどまっているというものでございます。  このタイ側の調整不足につきましては、事前にこういった事情を十分把握した上で、事業効果を阻害するような様々な要因、外部要因ですけれども、こういったものを緩和すべく十分な対応をタイ側に求めるべきであったという認識をしております。  こういった認識を踏まえまして、今後、事前調査、それから評価におきましては、こういった、そういった要因を排除するような、そういう対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  52. 岩本司

    岩本司君 これ、十分に調査したとかおっしゃっていますけれども、調査していたらこういうことになっていないんですよね。  先に、これ順序的に言うと、バンコクの都庁がこれ先に六車線の無料の側道を建設して、それでも足りないから、じゃ、日本が援助しましょうと、それが筋じゃないですかね。  どうですか、これ、大臣どう思います、これ、横で聞いていて。
  53. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 聞いておりまして、いろいろな情報の収集の過程で、これはもう少し細かく聞いてみないと分からないと、私もちょっと今話ししながら思っておりましたけれども、もう少し工夫ができたのかなという気がしないでもないところがございますが、これは先生がおっしゃるように、正に税金でありますから、今後、そういった無駄がないように十分に注意をしていくべき案件であるというふうに思いました。
  54. 岩本司

    岩本司君 当たり前ですよね、それ、本当に。日本のお金で、自殺者毎年三万人以上出ているんですから。これ今回の五か国に約一千億円ですよ、十年たったら一兆。我々も一生懸命言っていますけれども、皆様の御協力もあってODA予算一兆から九千億円になったとしても、九千億円でも、毎年三万人の方が自殺しているんですよ。三万人の方に三千万円ずつ渡したら、これ九千億円になるんですよ。個人に渡せと言っているんじゃないんですよ、会社、企業、もうどうしても倒産寸前のところに三千万ずつって、これ三万人どころか三十万、三百万人の国民が潤うわけですよ。  私が言いたいのは、国内がこういう状況なのにもう大盤振る舞いして、しかももう現地で道路をもう造っているのとそれ同時期に高速道路を造って、それはお金払って走るわけないじゃないですか、ただの道路が同時期に、新しいのができているわけですから。こんなことをして、もう少し大臣もこういうところにも、大臣は今拉致の問題ですとかイラクの問題、あれでしょうから、もう副大臣も補佐役といいますか、これも副大臣も納得すると思いますよ、これ、さっきうなずいていらっしゃいましたけれども。これ、だれが聞いたってそうですよ。副大臣支持している方も、これは、ああ、それはそうだなって絶対おっしゃいますよ、これ。  次に行きます。次ですね、フィリピン共和国に対しまする援助で、フィリピンの国鉄南線活性化事業についてお伺いいたします。  この事業は、フィリピン国鉄南線のサンペドロからレガスピ間、これは四百四十三キロメートル、この線路や橋の修復ですとか、あと車両の調達、車両ですね、その上の電車、その調達に安全性ですとか迅速性及び定時性を高めることを一応目的としているわけでありますけれども、この本事業においては、平成二年の五月から八年の八月まで、これ貸付完了九月ですけれども、この間に五十億三千六百六十五万円が貸し付けられているわけでありますけれども、これもひどいんですよね。この本事業は見込額に対しまして応札価格が大幅に上回ったことから、報告ですけれども、事業範囲を縮小せざるを得ない状況になったと。ですから、サンペドロからレガスピ間の四百四十三キロメートルから、今度はルセナからナガ間の二百四十五キロに縮小されているんです。また、施設では、信号機の設置、また駅の改修、線路内侵入者フェンス、これも削除して、また信号の設備改良、これ計画ではトークンレスシステムが十四セット、これが実績では未実績となっているんです。これ、車両は、計画では機関車の修復が五両があって、これはこれも未実績。  これ、結果的に、この当初の計画では旅客数を年間百万人から二百五十万に増加させる予定だったと、百万人から二百五十万。これは実績は、往復の本数はそのままで、乗客が五十四万人にとどまっているんですよね。計画では百万人から二百五十万人という、でも乗客五十四万人なんですよ。  これ、ちょっと簡潔に御説明いただきたいと思います。
  55. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) ただいま先生御指摘になりました案件でございますけれども、平成十一年の十一月に会計検査院から、運行本数、旅客数の増加が見られないといったことで、鉄道の輸送力が増強されていないと、援助の効果が十分に発現しないという指摘がございました。  私どもとしましては、他方、本事業実施の前後において走行時間の短縮とか、安全性の向上と、例えば、脱線件数は四十四件から六件という具体的な効果が認められておりまして、それはJBICの事後評価でも明らかになっております。  今、先生御指摘になりました会計検査院の指摘については、平成十二年の二月に日比経済協力政策協議において取り上げて、フィリピン政府に対して国鉄の抜本的な経営サービスの向上を求めますとともに、その本件のフォローアップ状況、今後の見通しについて説明を求めました。  そうしましたら、フィリピン政府からは、平成七年には台風で一部路線が崩壊するといったことで、自然災害といったことでやむを得ない事情があったけれども、一定の成果が上がっているということ、それから、内貨予算で、フィリピン側の独自の予算で整備をするということで、例えば自己資金でその後客車二十両の修復を行っているといった説明もございました。  で、最近の状況でございますが、フィリピン側の努力もあって、平成十二年から十四年の間には機関車それから客車の稼働率は向上したという報告に接しております。
  56. 岩本司

    岩本司君 私、質問は通告していますから、次質問しようとしていること、まとめてお答えになっているんでしょうけれども、通告するのやめようかなと思うぐらいなんですが。  改善されていると言いますけれども、円借款の案件事後評価報告書二〇〇二年では、この事業費について応札価格が大幅に上回り、その理由として予見し得ない事情があったと。その予見し得ない事情が台風とかそういうことですか。確認です。
  57. 丹呉圭一

    参考人丹呉圭一君) ここで述べております予見し得ない事情というのは幾つかございますが、一つは、八〇年代後半からのインフレが一つ、それから九〇年、湾岸戦争勃発によりまして建設資材の価格が高騰したということが二番目です。それから、これはアキノ政権直後ということもございまして、政権、政情不安といったものを反映しまして、契約の契約者の方が治安対策費用、こういったものを追加的に入れ込んだということが結果として応札価格がオーバーしたということであろうと思っています。
  58. 岩本司

    岩本司君 じゃ、これ元々サンペドロからレガスピ間の四百四十三キロメートルだったんですね、それが今度はその約半分のルセナ—ナガ間、二百四十五キロに縮小されているわけですけれども、これ今後また幾ら掛かるんですか。幾ら援助していくわけですか。お答えできる方、お願いします。
  59. 丹呉圭一

    参考人丹呉圭一君) 国鉄の活性化につきましては、フィリピン国鉄全体の話になります。したがいまして、現在フィリピン議会におきましては鉄道セクターの合理化法案の検討をしているところでございます。  こういったことの中でPNR、国鉄の経営改善に向けて維持管理費等の捻出といったものを今努力しているというところでございますので、取りあえず私どもこの動きを見守るというのが現在の状況でございます。
  60. 岩本司

    岩本司君 じゃ見守って、じゃまた要望があったら援助でお金を出すわけですか。
  61. 丹呉圭一

    参考人丹呉圭一君) 要請につきましてはまだ私ども受け取っておりませんが、取りあえずはフィリピン政府の改革への努力を見守った上で引き続きいろんな助言をしていきたいというふうに考えております。
  62. 岩本司

    岩本司君 フィリピン共和国に対しまして、以前ほかの同僚議員から質問あったと思いますけれども、ダムですか、ダム事業でたしか現地国民の皆様から反対の何というんですか日本政府に対する声が上がっていたとは思うんですけれども、ちょっとこれ通告していませんけれども、この件も併せてちょっと御答弁お願いします。
  63. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) 大変申し訳ございませんけれども、ちょっとその案件については手元に資料等ございませんので、ちょっとお答え申し上げようがございません。
  64. 岩本司

    岩本司君 結構です。  次に、ブルガリア共和国に対しまするソフィア市の浄水施設建設、これは無償資金協力で十一億一千七百万円を協力を日本政府国民の皆さんの血税でお支払をしているわけでございますけれども、これ結果的に、ソフィア市の市民の皆様は結果的に安全な水を利用できるようになったんですか。
  65. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) 我が国は、この案件でございますけれども、浄水場、ビストリッツァ浄水場の排水処理施設を建設する無償資金協力をしたわけでございます。この事業の援助効果はもう十分に発現していると思います。具体的には、この浄水場で処理されたきれいな水がブルガリアの各家庭に流す、届くわけですけれども、ここで、この評価で問題にされたのは、配水管の維持管理というのはこれは私どもの無償資金協力の支援の対象ではございませんで、これはブルガリアの、いずれにしても取組については現在調査中でございます。
  66. 岩本司

    岩本司君 もう一点ちょっとお伺いしたいんですけれども、これは現在EUの環境基軸の枠内で運営されているんですか。
  67. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) この浄水場とEUの先生御指摘の環境基準との関係につきましては、二〇〇一年の三月から四月に実施した私どもの在外公館評価というのがございますが、その中で同浄水場がEUの環境基準の枠内で運営されていることが確認されております。  それからもう一点、ブルガリア側によりますと、このビストリッツァ浄水場はEU基準を反映したブルガリア自身の関連法規と合致しているというふうに確認をしております。
  68. 岩本司

    岩本司君 国民の声として、確かにお役に立てるということは僕はすばらしいことだと思うんですけれども、今、日本景気悪いんですよ。また日本の国内も、私の地元の福岡県内でも水洗トイレじゃないところも一杯あるんですよ。私が申し上げたいのは、もう少し、それはもう縦割りですから、予算使い切りというこのシステムも変えなきゃいけないんで、この点を言ってもしようがないんですけれども、根本的に変えなきゃいけないですから。そういう現状が国内にもあるということを担当者の方にお伝えしておきたいと思います。  次、ブラジル連邦共和国に対しまする援助、これ二件なんですが、まず一点が、生産性品質向上プロジェクト。これは協力総額が九億一千万円なんですが、これはこの名のとおり、これブラジル、一九九五年から二〇〇〇年の間に、ブラジルのパラナ州クリチバ市においてブラジル品質・生産性センターパラナが自立しまして、生産性品質向上活動が行われるようにするために九億一千万円の援助を、協力をして、技術協力をしているわけですけれども、この外部の有識者フィードバック委員会は、これ日本側の投入はなされたものの、センターの所長またカウンターパートの人事異動が激しくて、技術の効率的移転、蓄積に困難が生じたとこれは報告しているんですけれども、この点についてどなたかお答えいただければと思います。どなたでも結構です。
  69. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) 確かに先生御指摘の問題点、つまりこの案件の立ち上げの段階において、先方側のカウンターパートの人材についての人事的な異動、出入りというのがあったという事実はございましたが、その後は全くそういうことではなくて、この案件については、カウンターパートの人材育成と技術移転ということは当初の目的が十分達成されると、されたというふうに我々は考えております。
  70. 岩本司

    岩本司君 ブラジル連邦共和国に対しまするもう一点ですけれども、産業廃棄物の処理技術協力、この事業についてお伺いしますが、会計検査院の平成十四年度決算検査報告に記載されていますけれども、これ産業廃棄物の分析及び焼却炉を利用した処理に関する技術をブラジル連邦共和国のサンパウロ州基礎衛生技術公社に移転すると。これJICAは、平成五年の八月から十二年八月まで七年間に専門家の派遣、また研修員の受入れ、また実験用の焼却プラント、これ調達価格が二億五千四百四十一万円、またガスクロマトグラフ質量分析装置、これ調達価格が八千五百四十万円ですけれども、この供与を実施しているんですね、これ。累計で十二億三千七百五十三万円なんですけれども、これ事業の目標ですが、技術者が産業廃棄物の焼却処理技術に関する研究ができるようになることと、また上位目標は、公社において産業廃棄物の焼却処理技術が確立されることとなっているんですが、これ技術協力の終了後には廃止しているんですね、これ。  先ほど申し上げましたガスクロマトグラフ質量分析装置というんですか、この分析装置というのは、この装置を稼働させるために必要な分析室を、何というんですか備えた施設、これが建設されずに、この装置ほったらかしにされて保管されていたと、倉庫に。これ何というんですかね、この点についてちょっと、何というんですか、御説明お願いします。
  71. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) 委員ただいま御指摘の事業についてでございますけれども、協力の開始時点における将来の需要予測という分析が具体性に乏しく十分でなかったという会計検査院の指摘は私どもとして真摯に受け止めておりますが、同時にサンパウロ州におきます、その当時もそうですけれども、特に九〇年代の初めでございますから、都市環境問題は間違いなく看過できない重大問題であったろうということはございまして、私どもとしてはこのブラジルからの正式要請がそういう背景で日本に届いたというふうに思っておりまして、この事業の必要性はあったと認識しております。現在、この実験プラントは協力が終了した後、稼働は先生御指摘のように停止しておりますが、この事業を通じてその分析、焼却に関する技術や知識は移転されたと私どもは思っております。  なお、分析装置については、ダイオキシンの正に分析ということが主目的でございますけれども、装置設置の前提となる建屋の建設については、今も現在ブラジル側に働き掛けているところでございますが、この点については誠に遺憾と考えております。
  72. 岩本司

    岩本司君 それは確かにダイオキシンの問題は重要だと思います、私も。  これ、でも日本はベトナムに次ぐダイオキシンの濃度は第二位なんですよ、世界で。ブラジルよりも日本の方がダイオキシンの濃度高いんですよ。ベトナムはアメリカ合衆国の戦争のときに枯れ葉剤をまいていますから、それでダイオキシンの濃度が高いんですけれども、その次に日本なんですから。  日本のダイオキシンのこと、どう思っているんですか。お願いします、答弁。日本のダイオキシンのことどう思っているんですか。世界で第二位ですよ。
  73. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) 私、専門的なそこの点について、日本状況についてつまびらかにはしてございませんが、しかしながら、日本が開発途上国に対して、例えば昨年、島サミットなんかにおいて、途上国の廃棄物処理と、特に焼却炉を導入するかどうかという議論をしましたときに、先生御指摘のように、日本で正に歴史があって、このダイオキシンの問題、焼却炉を導入することが今では問題があると。正にその、逆にダイオキシン問題を本当に克服するには、更に進化した焼却炉というんでしょうか、高度の技術が、それを入れなければもう焼却炉というのは使えないというようなことが現実問題としてあると。そういう状況で、途上国との関係でこの問題どういうふうにしたらいいかということは、正に我々として真剣に考えなきゃいけない課題だと思っております。
  74. 岩本司

    岩本司君 これ、ブラジル側がこの事業を本当に必要としていたのかどうか。これ、国際協力機構の方どなたか。はい、ありがとうございます、今日はどうも御出席いただいて。お願いします。
  75. 畠中篤

    参考人畠中篤君) このプロジェクトの必要性につきましては、先ほど外務省から説明がありましたように、事前調査ではそういう必要性があるということで産業廃棄物処理問題について要請が出たわけでございます。  本年三月に本件も兼ね、話をするために、本件だけではございませんけれども、JICAの理事がブラジルに参りまして、先方の関係者とも、責任者とも話をいたしました。そこでますます確認されておりますことは、今や産業廃棄物処理の問題というのはブラジルで大変大きな問題になっておりまして、特にこの土中に埋めて処理をするか焼却をするかということになりますけれども、現在起こっておりますことは、埋め立て用地が足りなくて、そのために産業廃棄物の野積みというのが大変多くなっておるということで、必要性につきましては基本的に大変必要度は高いということを再度確認してまいっております。  ただ、これまでやってまいりました技術協力の成果といいますかそういう点につきましては、技術移転あるいは知識の移転というものは終了いたしましたけれども、先ほど来御指摘いただきましたように、一部の機材が使えなくなったり使われていなかったりということがありますのは大変遺憾に思っております。  この点につきましては、ようやくブラジル側も予算の措置をいたしましたので、建屋も入札を今やっておる途中でございます。そういうことがそろいますと分析器は使われますし、私どもといたしましては、これまで育った技術者が今申し上げました大きなニーズの中でうまく活用されていくように、今後ともブラジル側とうまくその協議をしながら、我々の技術協力の成果を上げていくべく今後とも努力してまいるつもりでございます。
  76. 岩本司

    岩本司君 どうぞよろしくお願いします。  次に、最後に、もう時間がなくなりましたけれども、メキシコ合衆国に対しまする援助なんですが、メキシコ市の大気汚染対策関連事業についてお伺いします。  これ、総額約六百億円なんですよ。これは、メキシコの首都圏に供給する重油、ディーゼル油、これを脱硫するためのプラント建設なんですが、これプラントの建設と並行して、メキシコ政府が大気汚染対策がこれ重油等の脱硫から天然ガスの利用に転じたためと。これ、同時期に造っているときに向こうの政府は天然ガスと言っているのに、これ、これどうなんですか、これ。国際協力銀行のこの事後評価報告書によりますと、契約締結の約一年前の時点でこれ既にメキシコ側から重油の天然ガスへの代替計画が示されていたと、それにもかかわらず、これ六百億円も出しているんですよね。  ちょっと、簡潔にお願いします、もう時間来ましたので。
  77. 山本一太

    委員長山本一太君) ほぼ時間ですから、簡潔にお願いします。
  78. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) この先生の御指摘の案件でございますけれども、確かにこれは一九九〇年に契約を結んで作業を進めてきたわけですが、その後、首都圏の重油、ディーゼル油の低硫黄化によるいわゆる二酸化硫黄対策、SO2対策から、重油の使用を抑制して天然ガスの使用を促進するという方向に変更されたという事実はございます。それはメキシコ市のことでございますけれども、しかしながら、このプラントで生産される石油製品の相当量は今は首都圏外で着実に消費されておりまして、かつ首都圏外の需要にも、まあ限度はありますけれども、いずれにしてもそれなりの需要は確保されて使われ、役に立っているということがございます。  それからもう一点、大気汚染の改善という観点からは……
  79. 岩本司

    岩本司君 簡潔にお願いします。
  80. 兒玉和夫

    政府参考人兒玉和夫君) はい。製品の供給先を首都圏外にある程度変更、拡大したわけですけれども、より広域にSO2削減効果というのはやられているということでございます。
  81. 山本一太

    委員長山本一太君) 時間来ておりますので、簡潔にどうぞ。
  82. 岩本司

    岩本司君 委員長、ありがとうございます。  もう、この六件ですけれども、五か国に対するトータルがもう一千億円、約。もう無駄遣いはやめてください。大臣大臣、ちょっと聞いてください。もう本当無駄遣いやめてください。よろしくお願いします。  終わります。
  83. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。  最初に、普天間飛行場の返還問題に関連して一、二お伺いいたします。  防衛施設庁が辺野古の代替施設建設に向けてボーリング調査を行うための資材搬入で現地は非常に緊迫した状況になっております。反対運動も、九十一歳になるお年寄りを始めとして今強まっております。  そこで、お伺いしますが、この辺野古への代替施設建設はもう不変であり、これをどんなことがあろうと貫こうということなのか、検討の余地は残されているのかどうなのか。またボーリング調査は、これは反対運動があろうがなかろうがあくまで行うのかどうなのか。この点についてお伺いします。
  84. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) お答えいたします。  普天間飛行場代替施設に係る現地技術調査につきましては、地元関係者方々に対しては、現地技術調査の内容等につきまして、昨年一月に開催された第一回代替施設建設協議会の後に名護市議会議員や地元行政区等の方々説明したところでありまして、また昨年十一月から十二月ごろにかけて、地質及び海象調査に係る作業計画についても、名護市議会議員や地元行政区の方々等へ説明するなど、同調査の実施について御理解を得るべく努力を傾注しているところでございます。    〔委員長退席、理事佐藤昭郎君着席〕  現地技術調査につきましては、代替施設建設のために必要不可欠な護岸構造を検討するための調査でありますので、当庁としましては、住民の生活環境、及びジュゴンや藻場等の自然環境に十分配慮しながら、関係機関とも緊密に連携しつつ本調査を円滑に整々と実施してまいりたいと考えております。
  85. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そのボーリング調査というのは、実際は建設することを前提としてでなく、調査の結果、建設の方針を最終的に決めるということですか。結論だけでいいですから。
  86. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) ボーリング調査は、工事の実施に先立ちまして、必要となる設計に必要なデータを集めるためのものでございまして、必要不可欠のものと、事業を進めるに当たりましては必要不可欠のものと考えております。
  87. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、これは建設を進めるためのものだということですから、建設を進む方針は変わっていない、そういうことだというふうに取っていいんですか。はっきり言ってください。
  88. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) 私どもとすれば、市街地にあります普天間の早期移設・返還のために必要なことでございますので、調査は必要だということでございます。
  89. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 アメリカのラムズフェルド国防長官のお話というのが、日本でもNHK放送、あるいは沖縄現地の新聞等で報道されております。私が注目したものの一つは、上空から普天間の飛行場を見て、こんな市街地の真ん中に飛行場を置いておくことは危険だということを語ったという報道と、もう一つは、地域の人が望んでいないところに兵を送りたくないし、歓迎されるところに送りたいという発言であります。  私がお伺いしたのは、ラムズフェルド国防長官、アメリカ側からは、反対のあるところに建設はしない、したくないと。こういうふうにおっしゃっていても、日本側は、あくまでもう既定の方針としてこの辺野古の代替施設の建設を実行しようということかどうか。結論だけでいいですから。
  90. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 普天間飛行場の移設・返還につきましては、SACOの最終報告あるいは代替施設の基本計画等を踏まえまして、これまで米側と緊密に協議、協力を行ってきた経緯がございます。  この辺野古沖への代替施設建設に代わる案というようなものにつきまして、米側から打診を受けているという事実もございませんし、引き続き米側と協力しながら、先ほどもお話がありましたけれども、同飛行場が市街地にあるということもありまして、一日も早く周辺住民の方々の不安を解消したいという観点から、引き続き、平成十一年の閣議決定等に従いまして、また沖縄県等の地元公共団体とも十分協議を行いながら、施設の移設・返還の問題に全力で取り組んでいくというのが政府の立場でございます。
  91. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私どもは、代替施設なしに普天間の飛行場というのは撤退するということを望みますが、そのSACOの決定過程でも、例えば秋山元防衛局長がお書きになっている本を見ましても、いろいろな論議があって、日本側は嘉手納への移転を主張した、そういう時期があることも書かれておりますね。    〔理事佐藤昭郎君退席、委員長着席〕  今、盛んにアメリカ内部での議論として伝えられているのは、嘉手納統合案だとか、あるいは下地島移転だとか、いろいろな論議がありますけれども、アメリカ国内で、日本に何らかの形で伝わってきているかどうかは別として、様々な議論が行われていることは間違いないと思います。  専門家に言わせれば、もう辺野古沖への移設というのは、むしろアメリカはどうでもいいけれども、日本側がそれを動かしたくないというのが実際だと。背景にはいろいろな説明もありますけれども、そこまで、ここを論議に持ち込むとややこしくなりますから、持ち込みませんけれども、私はやっぱり、このアメリカの中でも、住民の反対するところへ行きたくないという議論、国防長官まで言っているという時期に、やはり住民の意向は尊重するという態度は取るべきじゃないかと思いますけれども、どうですか。
  92. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 先ほども、その沖縄県を始めといたします地元の方々と協議をしながら本件、移設・返還については進めていきたいというのが政府の立場であるということを申し上げましたけれども、詳しくは申し上げませんけれども、この話につきましては、いろいろと経緯がありました中で、例えば平成十一年には稲嶺知事によります移設先の候補地の表明、あるいは岸本名護市長による受入れの表明というふうなこともありまして、沖縄県知事、名護市長等の地元首長の参加も得た代替建設協議会を設置して、二年余りにわたりまして議論を行うというふうなこともしておりますので、我々といたしましても、また米側におきましても、地元の方々との協議ということを重視しているという点については、我々共通の認識を有しているというふうに考えております。
  93. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 この問題はここにとどめますけれども、地元という場合に、それは、市当局ということだけが地元でないように、住民の意向をも大いに尊重してもらいたいということだけを付け加えておきます。  朝鮮問題、総理訪朝に関連して幾つかお伺いします。  この問題についての私どもの立場は、昨日私、参議院の本会議でも述べさせていただきました。衆議院でも述べておりますので、そのことをここで繰り返そうとは思いません。マスコミでのいろいろな論議の中でもこの交渉をめぐる様々の問題点があったという指摘も行われております。いろいろあっただろうと思いますが、私は、結論として、平壌宣言を再確認して前へ進む方向が確認された以上、政府に、また外務省にはその合意に沿って前進方向に、挙げて、全力を挙げていただきたいと。まあ、どんな外交交渉であれ、後日その中にあったうまくいった点、うまくいかなかった点等々が総括されることは当然のことですから、これは内部でいろいろな研究が行われることもあり得ると思いますけれども、私は、基本的には歓迎を表明しましたし、前向きに再確認された方向での努力が今一番求められていると思っております。  私は、まずお伺いしたいのは、今度の再会談も第一回会談からの大きい流れの中で見ていく必要があるだろうと思っております。そういう点からいって、まず第一回の平壌宣言、首脳会談からこの間をどう見るか。先ほどの論議の中でNPTからの脱退等々の問題もありました。しかし、前向きに動いたものは何もなかったのかどうなのか。まあ拉致問題などは、完全に終わってはいませんけれども、前向きに前進があった事実だと思いますけれども、不審船問題等々もどうなっているか。その平壌宣言以降の一定の変化、これについてちょっとまとめて報告していただきたいと思います。
  94. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 二〇〇二年、今から二年前の九月の十七日に最初の日朝首脳会談が行われたわけですけれども、そのときに金正日国防委員長が、今までずっと否定してきた日本人の拉致の問題について、これを初めて認めた、そして遺憾なことであっておわびをするとした上で、再発防止を約束をしたわけでございます。そして、その後、十月の十五日に五名の拉致被害者の方が四半世紀ぶりで日本に戻られたということであります。その後、実は膠着状況が若干ありまして、御家族帰国あるいは安否不明の人、方々についてその真相究明をするということで膠着をしていたわけですけれども、今回、二回目の総理訪朝でこの御家族帰国について一部が実現をしたということであります。  それから、安否不明者については、改めて直ちに徹底的に白紙に戻って調査をするということを北朝鮮金正日総書記が言ったということがあります。  それで、先ほどおっしゃったその不審船、工作船、これについては、一回目の会談で今後このような問題は一切発生をさせないということを言われたわけですけれども、その後発生をしていない、発生をしたとは承知をしておりません。
  95. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、第一回目の会談で平壌宣言が発表された、これは非常に希望を持って受け取りまして、ここの委員会でもそのことに関連して意見述べたと思います。今振り返って考えると、少し甘い期待を持ち過ぎたかなと思うぐらいに強い期待を当時持ちました。しかし、それは今、中断、中断というか、膠着した時期を経てまた動き出すということになったわけですが、それはそれとして、一回目の会談というものは私は大変大きい意義を持っていたと思います。  それで、もう一年八か月もたちましたから、もしその合意に至るいろいろな努力というのが報告いただける時期に来ていると判断されれば、大体どのような経過を経て結ばれたか、それは今後を予測する上でも重要だと思うのでお伺いするわけです。  で、今日、毎日新聞によりますと、森前首相は、私のときからそういう話があったんだということをお書きになっています。小泉首相も、平壌での会談の後の会見だったと思いますけれども、一年近い予備交渉を経て開いたんだということでした。恐らく内部ではもちろんのこと、日朝の関係で、マスコミによれば数十回の予備会談が開かれたという報道もありました。それからまた、日米間でもいろいろな意見交換、協議も踏まえての協議だっただろうと思いますけれども、その間の事情というのをもし説明いただけるのなら、許せる範囲で教えていただきたいと思います。
  96. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  今の正に委員質問の点というのは、日朝間の交渉の経緯にかかわる事柄でございます。そしてまた、これが今後の日朝間の様々のこれからの話合いとも関係するものでございますので、具体的に詳細をお答えすることは困難ではございますけれども、正に今委員指摘のとおり、相当長い、その間に事前の打合せ、やはりなかなか今まで話もしてこなかった、そういう日本北朝鮮との関係でございますので、相当に長い期間が必要であったということでございますし、そして実際に、二〇〇二年の九月の小泉総理訪朝に先立って、様々の公式、非公式の協議という中では、外務大臣自身が七月にブルネイで白南淳北朝鮮の外相とも会談をされると。様々の中での事前の公式あるいは非公式の調整があったことはもう委員承知のとおりでございます。そうした中で、一定の前向きな反応が出てまいりました。  そこで、小泉総理が、正にこの局面を打開し諸懸案の解決を図るということで、首脳レベルでの直接の働き掛けが必要だと判断されて、二〇〇二年の九月、訪朝を決意されたものでございます。
  97. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 ともかく、私も強い期待を持ちましたし、国際的にも大変な反響があって、当時の新聞、私、今度改めてひっくり返して目を通してみましたけれども、日本外交初めての快挙だというような評価を含めての当時の国際的な期待が寄せられたわけですね。  ところが、その十月の初め、米朝会談があって、これで、日朝会談、米朝会談を踏まえて、朝鮮半島の情勢、大きく動くだろうと思ったら、意に反して、まあ核問題めぐって、拉致問題めぐって大変な状況になって、今大臣言葉をかりれば、膠着状態にもなってしまって、私は、なぜそうなったか今でも不思議で、答えがはっきりと出せないでおります。  これは、日本国内にも意見の一致が完全にはなかった状況アメリカもそうだったとか、いろんなことを考えてもみます。で、専門家の人に聞きに行くと、アメリカでネオコンの発言権が強くなってこうなったんだという説明をする学者もいるというようなことでしたけれども、これもまだ余りお話ししにくいかもしれませんけれども、若干いい方向に六者協議も向かい出したという時期ですから、お話しできることがありましたら、ちょっと教えていただきたいと思います。
  98. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃったように、一連のずうっと起こってきていることというのは、恐らく後の時代に歴史としてきちんと分析をされ、事実関係も解明をされていくということになるかと思いますけれども、一つ大きな要素として考えておかなければいけないのは、やはりほかの、例えば日本と韓国との交渉とか、日本アメリカ交渉といったことと違って、北朝鮮という国が世界の中でもまだ国際的に十分に開かれていない、そういった歴史をずうっと持ち、そのことから来る物事の対応の、問題の取り方、受け止め方、対応の仕方について、必ずしも我々として全部読み切れる部分でない、あるいは我々が考えないような反応があり得るということが一つあると思います。  その後、日朝関係も米朝関係も停滞をした時期というのは確かに委員がおっしゃるようにあったわけですけれども、今、その核問題については六者会談という枠組みで問題が前に進みつつありますし、繰り返しませんが、それについて金正日総書記が総理におっしゃったこともあるわけでありますし、また、日朝ということについてもいろいろな問題はありますけれども、日朝平壌宣言を再確認して、それで、それに基づいて進めていきましょうと、家族の一部の人ももう帰国になったと、再調査も行われるということでありまして、またいろいろなことはこれからもあるのかもしれませんけれども、それを日朝平壌宣言を再確認することによって前に進めていくことができるということであろうかと思います。
  99. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 核の問題で一つお伺いします。この一連交渉の中で北朝鮮は、核保有していることを、核兵器ですよ、核兵器の保有を認めたことがあるのかないのかという問題です。  というのは、例えば新聞報道を見ますと、これは二十六日、昨日ですか、朝日の記事ですけれども、山崎自民党の前副総裁が、北朝鮮の核は、日本じゃなくてアメリカを標的としていると語ったという記事が出ております。ということは、北朝鮮の高官が、核兵器は持っているけれども、日本へ向かっていないと、アメリカに向かっているんだというふうに認めたことになるわけで、ミサイルなら分かるけれども、核兵器というふうに言われるとそういうふうにも取れるわけですし、いろいろな論議が、その核兵器を認めたのか、認めてはいないが客観的に見て持っていることは間違いないと言えるという判断なのか、あるいはそれもまだ、持っているか持ってないか、確かなところはどうとも言えないということなのか。これは論議進めていく上で正確にしておいた方がいいと思いますので、北朝鮮が認めたことがあるかないかを中心に、どなたか。
  100. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 北朝鮮が核兵器を保有しているかどうか、今の委員の御指摘の、正に御質問の点でございますけれども、北朝鮮は、かねてより様々な場で言っていることは、核抑止力を持たざるを得なくなったと、核抑止力は持っているという発言が一番多うございます。これは基本的には、正に北朝鮮としては、アメリカの敵視政策、これがゆえに核抑止力を持たざるを得なくなったんだということで、そういう発言をすること、そういう考え方、あるいはその事実関係を述べている中での北朝鮮発言はそういうことでございます。  それで、国際社会として北朝鮮が実際に核兵器を持っているのかどうかという点でございますけれども、これは各国とも、我が国も様々の、あるいはアメリカ等と緊密な連絡をし、また情報交換もしてございます。現在のところで何か確定的な結論ということでいいますと、それはございません。もちろんアメリカの中でも様々公式にも言われていることとして、一九九〇年代の初めに相当のプルトニウムに関するプルトニウム型、寧辺の核開発活動でのことが指摘されておりまして、一定の推測はなされてございますけれども、そしてまた現在、もう一つ出てきております核の高濃縮ウランの問題でございますけれども、これもまたどういう状況にあるかということ、確定的なことは今まだはっきりとしていないというのが状況でございます。
  101. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 もう一つ、核に関連しては、核廃絶ということが協議の焦点になっているということですけれども、これこの前時間が足らなくて十分に私質問もできなかったことですけれども、それは核兵器をなくすこと、これは分かり切ったことですけれども、核兵器だけでなく原発も含めてすべてをなくすということであると私はあの発表文から見て思います。  そのうち核兵器をなくすという部分までは、大体において北朝鮮含めての一致ができているということであるというように私はいろいろな答弁を整理すると取れるんですが、そう取っていいでしょうか。
  102. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に六者協議でもそこのところが一つのポイントでございます。そして、我々日本が、そしてあるいはアメリカ、韓国等々が主張していますのは、すべての核開発プログラムと核開発計画というのを完全な形で廃棄すべきであるということでございます。そうした中で、北朝鮮側の方から今委員指摘のように、平和利用ということはNPT体制の下でも認められているんではないかという議論も行われていることも事実でございます。  そうした中で、我々は、今こういう核疑惑があると、この時点においてきっちりと完全な核廃棄をなすことがまずは大事であるということを強く主張しているところでございます。
  103. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 事前に通告していた質問残って申し訳ありませんけれども、時間が来ましたので終わります。
  104. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。時間が短いので御答弁は簡潔にお願いいたします。  まず、国土交通省にお伺いいたします。  前回のこの委員会でも伺いましたけれども、Yナンバーについて唯一長崎県の佐世保市だけで実行していると、車庫証明を出しているということですが、その実情について簡潔に御説明ください。
  105. 中山寛治

    政府参考人中山寛治君) 長崎県佐世保市におきまして、いわゆるYナンバー車の登録に際しましては、車庫が基地の内側にあるか外側にあるかを問わず車庫証明書の添付を必ず求めているところでございます。  その実態でございますけれども、佐世保市で現在Yナンバー車両登録されておりますのは、平成十五年度末現在で二千二百六十一台でございます。内側、基地の内側か外側か、その割合についてでございますけれども、これらのYナンバー車両が車庫証明を取った場所が基地の内側か外側か、これにつきましては登録書、申請書に添付されています車庫証明書のすべてを確認する必要がございます。すべてのYナンバー車について把握できておりませんけれども、最近三か月間の佐世保自動車検査登録事務所で登録をしましたYナンバー車両を抽出調査いたしました。車庫証明を取った場所の基地の内側と外側との割合はおおむね二対一ということになっております。
  106. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 佐世保市でできてよその府県でできないという理屈はないわけでございますので、今後、国土交通省は他の府県における車庫証明の問題についてどのように対応なさるのか。それから、外務省は同じ問題でアメリカ側に対してどういうふうな要請をなさるのか、簡潔にお願いします。
  107. 中山寛治

    政府参考人中山寛治君) いわゆるYナンバー車両についてでございますけれども、車庫証明が必要な地域、これにつきましては車庫証明書の提出が必要であるということでございまして、平成十年六月にこの旨地方運輸局等に対しまして通達をしております。しかしながら、在日米軍におきまして一定の準備期間が必要であるというふうにされておりますので、車庫証明書を要する取扱いを開始する日につきましては、本通達におきまして追って通知するということにしております。このため、米軍との協議がまとまり次第、国土交通省としましては地方運輸局等に対しまして通知をするということにしております。
  108. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) ただいま国土交通省から御答弁がありましたけれども、外務省といたしましても、現在のこの在日米軍人等の私有車両の登録にかかわる事態というのは、地位協定に照らしても不適切であるというふうに考えておりまして、米側との協議を進めてまいりたいというふうに考えております。
  109. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 協議を進めてまいりたいという、もう何度伺っているか知りませんけれども、どう対応なさるかと。協議を進めるということじゃなくて、どう対応、どう解決なさろうとしているんですか。
  110. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) これは前回も大田委員に御説明申し上げましたけれども、先ほどの国土交通省の御答弁にもありましたように、現在の取扱いというのが、長崎県内に使用の本拠を有する自動車にかかわるものを除きまして車庫証明を求めていないという事態にあるわけでございますので、これで地位協定どおりの扱いをするということになりますと、これまでの扱いを変えるということになるわけでございます。もちろん現在の事態は不適切であるというふうに考えておりますので、これは取扱いを変えなければならないわけでございますけれども、現在の時点を変えるという観点から、その円滑な実施につきましては米側の理解を得て米軍の内部でも周知措置が取られるということが不可欠であるという観点から、米側と鋭意協議を行ってきているということでございまして、引き続き米側にその是正を強く求めていきたいというふうに考えております。
  111. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほども似たような質問がございましたけれども、改めて確認したいと思います。  米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う那覇防衛施設局による名護市辺野古沖のボーリング調査についてですが、反対する地元住民の座込みが一月以上も続いております。調査海域の環境破壊を心配する地元の強い反対だけでなく、日本弁護士連合会も去る五月十四日、同調査の中止を求める会長声明を発表いたしました。その中で、この調査は環境影響評価手続を実施する前に評価の対象とすべき環境の現状を変更するものであり、環境への影響の程度の正確な予測、評価を不能にすると指摘して、環境影響評価法の趣旨をないがしろにするものだと指摘しています。  ボーリング調査はいったん白紙に戻して、地元住民との協議を改めて十分に行うべきではないでしょうか。防衛施設庁のお考えをお聞かせください。
  112. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) 今般実施しますボーリング調査は、代替施設の建設場所が非常に複雑な地形であることから、建設工事着手前に実施される代替施設の設計に先立ち、波浪の影響等を把握した上で護岸構造が適切であることを確認するため行う、技術的な検討に必要な地盤強度等に関するデータ収集を目的として実施するものでありまして、代替施設の埋立てや飛行場施設の工事そのものを調査するものではございません。  環境影響評価法におきましては、地盤強度等に関するデータの収集を目的としたボーリング機材を用い海底を削孔する今回の行為は対象としておらず、私どもとすれば問題ないと思っております。
  113. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 それでは、どうしてそういうことを地元住民に十分に納得できるように御説明しないんですか。お年寄りが座込みを続けて体調も非常に悪くなっているようですが、もし死ぬようなことがあったらどうなさいますか。
  114. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) お答えいたします。  地元の方々への説明につきましては、那覇防衛施設局において、名護市当局とも協力しつつ、調査の具体的な内容、環境配慮方策等を盛り込んだ作業計画につきまして名護市議会議員や地元行政区の方々説明してきているところであります。  今後とも、地元の方々への説明につきましては、那覇防衛施設局において、名護市当局ともよく相談しつつ、適切に対応したいと考えております。
  115. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 去る四月二十七日付けの琉球新報は、米国防兵たん庁のフーパー報道官が同紙の取材に答えて、在日米軍が保管していた使用済みのPCB廃棄物をすべて日本国外へ搬出したことを明らかにしたと報じています。外務省にお伺いしますが、その搬出総量は何トンなのか、御説明ください。  また、一昨年八月に、在日米軍が保管中あるいは使用しているPCBを含んだ電気機器は三千百十八トンに上り、沖縄にはその六七%に当たる二千百トンが集中していることが明らかになっています。そこで、沖縄からは一体何トン搬出されたのか、そしてあと何トン保管されているのか、御説明ください。
  116. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 在日米軍が管理しておりますPCBの含有物質につきましては、これが米国製のものであるか日本製のものであるかを問わず、すべて国外に搬出をするという方針を米国は取っております。  実際に、昨年の一月以降本年四月まで、四回にわたりまして我が国からの搬出が実施されております。米側によれば、これまで搬出されたPCB含有物質の総量は約千四百トンということでございます。他方、搬出されたPCB含有物質の国内の施設・区域ごとの内訳等の詳細につきましては承知をいたしておりません。また、現在、沖縄において在日米軍が管理しているPCB含有物資の総量についても承知をいたしておりません。  先ほど大田委員が三千百トンというお話をされましたけれども、これは二〇〇一年に調査が行われた時点では、その時点で使用中のものとそれから使用済みのものを合わせて約三千百十八トンということを米側は発表をいたしております。ただ、これはこの数字を発表いたしましたときにも御説明いたしましたけれども、この数字には、その時点で使用済みとなっていたPCB含有物質についてのみはこん包材の重量が含まれていたというような事情もありまして、単純に三千百十八から先ほど申し上げました千四百を引いた数が現在残っている数であるというような総量計算はできないという事情もございます。
  117. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 軍用地転用特別措置法の対象第一号となった沖縄県恩納村の米海兵隊恩納通信所の返還跡地がPCBなどの有害物質で汚染されていることが分かって、その汚泥土壌はドラム缶に詰めて航空自衛隊恩納分屯地に一時保管されております。その分量は、二年前はドラム缶七百本ほどと言われていたのですが、去る二月十日の衆議院予算委員会での質疑の中で千八百本に増えていることが明らかにされています。  保管量が増えた経緯と、その処分、処理を最終的にどのようになさるのか、そしていつまでに完了させるのか、防衛施設庁よりお答えください。
  118. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) 先生御指摘のとおり、旧米軍恩納通信所の土地から約百トンのPCB汚泥が出てまいりました。また、平成十四年二月でございますけれども、航空自衛隊の恩納分屯基地の旧汚水処理槽からも汚泥約二百トンが出てきたところでございます。現在、御指摘のように、全体で約三百トン、ドラム缶約千八百本を航空自衛隊恩納分屯基地内に設置した一時保管施設において保管しているところでございます。  これの処理でございますけれども、PCB等の含有汚泥につきましては、その処理技術がまだ確立されていないわけでございます。当庁としましては、保管している汚泥の早期処理を図る観点から、平成十一年度以来ずっと処理方法に係る調査を実施してきたところでございます。その結果、当該汚泥に対する技術的な適応性、費用、施設の規模等の容易さを総合的に検討しまして超臨界水酸化分解法による処理が適切と判断し、平成十四年度には同方法による実証試験、また処理施設の基本設計を実施したところでございます。  当庁としましては、これまでに得た実証試験の成果といたしまして、当該汚泥は安全かつ確実に処理できることは……
  119. 山本一太

    委員長山本一太君) 時間が来ておりますので、簡潔におまとめいただきたいと思います。
  120. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) はい。  確認されたわけでございますので、今後、空自恩納分屯基地内で処理施設を設置して早期に処理したいと考えておるところでございます。
  121. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 あと一問だけお願いします。  米海兵隊……
  122. 山本一太

    委員長山本一太君) あと一問だけ。短くお願いします、もう既に時間が来ております。
  123. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい。  恩納通信所の返還跡地の利用について以前伺ったところ、全体の面積の六十二ヘクタールのうち四・二ヘクタールで一割未満にとどまっているということでしたが、現状はどうなっておりますか。
  124. 山本一太

    委員長山本一太君) 簡潔に御答弁願います。
  125. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) 返還されました恩納通信所、約六十二ヘクタールございました。この跡地利用につきましては、私ども防衛施設庁が直接担当しているわけではございませんけれども、関係省庁におきましてその利用について適切な対応がなされるものと承知しております。  いずれにしましても、沖縄におきます基地の整理、統合、縮小のためには跡地の利用計画の立案といったことは大変重要と考えてございます。当庁におきましても、できるだけこの円滑な返還の推進という観点から協力をしていきたいと思っております。
  126. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  127. 山本一太

    委員長山本一太君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会