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2004-05-18 第159回国会 参議院 外交防衛委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十三日     辞任         補欠選任      加治屋義人君     荒井 正吾君      野上浩太郎君     月原 茂皓君      岩本  司君     佐藤 雄平君      若林 秀樹君     大脇 雅子君  五月十四日     辞任         補欠選任      大脇 雅子君     若林 秀樹君      佐藤 雄平君     岩本  司君  五月十八日     辞任         補欠選任      荒木 清寛君     草川 昭三君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 一太君     理 事                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 阿部 正俊君                 荒井 正吾君                 河本 英典君                 桜井  新君                 中島 啓雄君                 矢野 哲朗君                 岩本  司君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 田村 秀昭君                 若林 秀樹君                 草川 昭三君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        法務大臣政務官  中野  清君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  知念 良博君        防衛施設庁建設        部長       河野 孝義君        総務大臣官房審        議官       小室 裕一君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        外務大臣官房審        議官       西宮 伸一君        外務大臣官房審        議官       門司健次郎君        外務大臣官房文        化交流部長    近藤 誠一君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     石川  薫君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省条約局長  林  景一君        財務大臣官房審        議官       石井 道遠君        財務大臣官房審        議官       大前  忠君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        スポーツ・青少        年総括官     高杉 重夫君        文化庁文化財部        長        木曽  功君        厚生労働省健康        局長       田中 慶司君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○刑事に関する共助に関する日本国アメリカ合  衆国との間の条約締結について承認を求める  の件(内閣提出衆議院送付) ○無形文化遺産保護に関する条約締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○たばこ規制に関する世界保健機関枠組条約の  締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 山本一太

    委員長山本一太君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十三日、野上浩太郎君及び加治屋義人君が委員辞任され、その補欠として月原茂皓君及び荒井正吾君が選任されました。     ─────────────
  3. 山本一太

  4. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山本一太

    委員長山本一太君) 刑事に関する共助に関する日本国アメリカ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件、無形文化遺産保護に関する条約締結について承認を求めるの件及びたばこ規制に関する世界保健機関枠組条約締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  三件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  いろいろなことがございますが、粛々と三条約審議をさせていただきたいというふうに思いますが、若干参議院らしくマニアックな話から入りたいと思うんですが、たばこ起源というもの、まず最初にこのたばこ規制枠組条約について審議をしたいんですが、たばこ起源は何と今から千四百年前だそうでございまして、七世紀の末に南米のボリビアが起源だということで、当時のマヤ文明の神殿のレリーフにはたばこを吸う神様の像が彫り込まれているということが文献であるんですが、このマヤ族では生命に命を与える太陽を崇拝して、火と煙を神聖なものとして崇拝していたということらしいんですね。この香りの良い葉たばこには精霊が宿っていて、その精霊と交霊、霊と交わると書くんですが、交霊するために神の前でたばこを吸ったというんですね。それかどうか知りませんが、私の親友もよく神社の裏で学生当時たばこを吸っていましたが、それはマヤ文明とは関係ないと思うんですが。  このたばこは宗教上の儀式だけではなくて、何と病気の治療には欠かせないものだったというようなことなんですが、またこれもまた禁煙推進議連方々が聞いたらひっくり返りそうなことなんですが、この世の中、現在、欧米が大変幅を利かせているわけでございますが、歴史的には中近東や南米から様々な文明をとりわけヨーロッパは拝借をしているわけでございますが、正にこのたばこもそうでございまして、西洋にたばこが広がったのは何と一四九二年、コロンブスがインド諸島のサンサルバドルを発見したときに先住民からたばこを贈られたのが起源だそうでございまして、それから百年後にポルトガルから日本が、長崎の平戸というところに初めてたばこが来たということが大体一六〇〇年ごろだということが分かりましたが、こんな歴史を持つたばこなんですが、現在ではこのたばこを愛する人もいれば大変に嫌悪感を持っていらっしゃる方もいるというわけでございまして、私はこのWTOの健康推進の、健康増進観点からこの条約には賛成しているわけでございますが、原文を読みますと、シュドとかシャルという言葉が修正によってメイとかクドという言葉に替わっているということで、これがこの条約の落としどころというか、各省庁間の関係にも象徴されるようなことかなというふうに思うんですが、この問題は税収面での財務省、それから健康増進法観点からの厚労省、無論たばこ農家観点からの農水省であるとか、地方財源観点からの総務省であるとか、卸や小売業経済産業省、そして子供たちへの教育の観点からの文科省と、様々な省庁に絡んだ大変重要な問題であるにもかかわらず、どうもこの愛煙家嫌煙家というような構図に、だけがクローズアップされるように感じられるんですが、私、若干それで本当にいいのかなという単純な疑問があるわけでございますが、冒頭川口大臣川口大臣たばこを吸われないというふうに聞いていますが、日本がこの喫煙に対してどういう国になるべきだと川口大臣はお考えでしょうか。
  7. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 冒頭たばこ歴史について大変に勉強をさせていただいて、大変に面白く、興味深く伺わせていただいて、かつ発見をしましたのは、たばこ歴史というのが大部分の人類にとってはそれほど古いものではなかったということが意外でもあったわけでございます。  それで、日本たばことの関連でどういうふうな国になるべきかということは、実は正直言って今まで考えて、私自身はたばこを吸いませんので考えてみたことがないんですけれども、たばこ嗜好製品嗜好品でありますから、やはりどうしてもたばこを吸いたいと思う人は他の迷惑にならない範囲においてやはりその趣味を楽しむことができてしかるべきであろうというふうに私は思います。ですから、そういう意味で今行われている分煙といったようなこと、これは適切な方向ではないかというふうに思っています。どこでその公共の利益あるいはその福祉なり、そういったこととの線を引くかということが非常に難しい、判断が難しいところだというふうに思いますけれども、今の日本の状況、個人的な趣味でいえばもう少し前に進んでもいいのかなという感じがございます。
  8. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 昨日の質問取りのときに、厚生労働省健康増進立場からこの世の中からたばこを最終的にはなくした方がいいと思うんですかという質問も若干担当の方にしましたら、いや、そうは思っておりませんというような回答がありました。他方たばこ業界の話を聞きますと、現在は財務省たばこ業界との議論にとどまっていると。厚生労働省とはどういう接点があるんですかといいますと、というふうに業界の方に聞いたら、いや、敵対視されていますという答えが返ってきたんですが、私、実はこれはおかしいと思っていまして、たばこ産業界厚生労働省もきっちりとこのたばことどういうふうに、たばこ行政をどういうふうにお互いが考えていくんだと、たばこ業界バーサス厚生労働省という枠組みだけではなくて、きちっとこの問題を正面から両者が議論するようなことが大変重要だと、有用だというふうに思っているんですね。厚生労働省たばこ産業とどういうふうな会話していますかというふうに聞きましたら、いや財務省さんを通じて会話していますというような答弁返ってまいりまして、これ実質、直接話を多分されてないというふうに思うんですが、厚生労働省にこの点について、たばこ業界とどのような議論をされているのか、お答えいただきたいと思います。
  9. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 先生御質問たばこ業界との関係ということでございますけれども、たばこ業界を所管しているのはたばこ事業法に基づく規制ということになるんだと思いますけれども、これは財務省が所管しているということでございまして、厚生労働省国民健康増進担当する省庁として、科学的な知見に基づきまして必要なたばこ対策実施しているということでございます。例えば昨年たばこ警告表示、これを改正いたしましたけれども、そのときには財務省に対しまして科学的知見を提供するなど、こうした施策実施に当たっては関係省庁とも十分連携しているところでございまして、今後とも、こういう連携を図りながらたばこ対策を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  10. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私はたばこ業界とどういう議論をされていますかというふうに聞いているんですから、たばこ業界とどういう議論されているんですか。私の時間三十五分しかないんで、是非的確にお答えいただきたいと思います。
  11. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) たばこ業界と直接の対応というのはしておりません。財務省を経由して対応をさせていただいているということでございます。
  12. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 やはり、健康増進立場からこの条約締結をされる、そして厚生労働省国民の健康をどう増進するかという議論からこの話をしている。しからば、当然、財務省経由ではなくて、私は、きっちりと正面からたばこ業界とこのたばこ行政の在り方について私は議論する必要は極めて有用だというふうに考えていますが、厚生労働省さんは今後そのような覚悟はあるでしょうか。
  13. 田中慶司

    政府参考人田中慶司君) 非常に役所的な答弁になって恐縮なんですけれども、業を所管しているのが財務省でございますので、基本的には財務省を経由して対応というのをさせていただきたいと思いますけれども、情報交換というようなことに関しましては、もし機会がありましたらそのようなことも配慮させていただけたらというふうに思っております。
  14. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 外務大臣、今の答弁聞いて、確かに所管が財務省だからという話ですが、どう考えますか。
  15. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 役所ベースの話になってしまうとそういう形になるのかもしれませんけれども、やはりたばこの害が何かというようなことを考える場合にも、研究を共通、共同でやるとか、いろいろな取組が必要であるというふうに思います。  今、一つ業界一つの省で見るという制度自体が、一つ会社が非常に多角化をしていろいろなものを作っている、いろいろなことをやっているという時代ですから、もう少し自由であってもいいというふうに私は思います。
  16. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 衆議院加藤委員議論の中にもあったんですが、現在、葉たばこ産業農家が約二万七千人強いらっしゃって、その売上げが百九十三億円と。JTとその関連会社の社員が三万九千人、売上げが約五兆円弱。その卸にかかわる業者総数が約六百社以上で、売上げが四兆百八十七億円と。小売店が三十万店舗ありまして、この売上げ数字は出ないということですが、中央地方行政合わせまして税収が約二兆三千億円、地方だけで見ますと約一兆数千億円が地方財源として入ってくるんですが、他方たばこの害で費やされている医療費が五兆円を上回るというような数字もあるわけでございまして、様々な問題がこの数字だけ見ても分かってくると思うんですが、喫煙者の一〇%が未成年であるというようなデータもあるようでございますが、ここで外務省にお伺いしたいんですが、この条約の第十六条に未成年喫煙に関するアプローチがあるわけでございますが、私は、さきの児童に関する権利条約じゃないんですが、この国が非常にポルノであるとか飲酒であるとか喫煙であるとか、年齢制限があるものに対する大人の責任規制というのが極めて甘いというふうに常々考えておりますが、青少年保護観点から喫煙に関してどこがイニシアチブを持ってどのような規制をしているのか。これ、外務省にお伺いしたいんですが、どうなんでしょうか。
  17. 石川薫

    政府参考人石川薫君) お答え申し上げます。  委員御指摘の未成年喫煙禁止でございますけれども、法的には既に未成年喫煙禁止法におきまして、未成年喫煙禁止し、また、たばこ販売する者に対し年齢の確認その他必要な措置を講ずることを義務付けております。これによって未成年者へのたばこ製品販売禁止を義務付ける条約第十六条一の規定の国内法上の履行は確保されているという法的な点をまず御報告させていただきます。  次に、未成年者喫煙防止対策として、関係省庁において、近年、次のような措置が講じられておると承知しておりまして、それを二点御報告させていただきます。  その一は、関係小売業界に対する「未成年者喫煙防止対策取組について(要請)」。これは、平成十四年二月十八日付けで、警察庁厚生労働省及び財務省担当局長名の通知が出されております。その二は、財務省におきましては、自動販売機での販売を行おうとする者に対し、その自動販売機を十分に管理監督を行うとの許可条件の付与を行っております。  なお、ただいまの関係省庁の点について付言させていただきますと、我が国は、たばこ規制に関する国内における調整のための仕組みとして関係省庁連絡会議を設置する予定でございます。これは、条約第十六条に規定する未成年者喫煙防止措置についても、この会議におきまして、警察庁財務省厚生労働省を始めとする関係省庁の密接な連携を確保しながらその実施に努めていきたいと、かように考えております。
  18. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 様々なことをやっているようですが、やはり大事なのは、先ほどの厚生労働省さんの話じゃないですが、国民を健康にすることが目的、それがゴールであるならば、そのために、縦割りでなくて、やはり厚生労働省業界がきっちりと目的達成のために議論していく、これは当然のことでありますし、この児童の問題も、様々な対処をやっているということではなくて、実際にどれだけ子供喫煙が減っているかというと、全くこれ減っていないんですよね。約三千万人の喫煙人口のうち一〇%、何と三百万人もの未成年がこの喫煙をしている実態というのは実はずっと変わっていないんですよ。これはある種、私、行政政策の失敗だと思うんですね。  これ、財務省にお伺いしたいんですが、この十六条でたばこ自動販売機未成年によって利用されないことを確保するということをうたっているんですが、その国内措置として、今全国にある六十万台の自動販売機平成十八年度中にICチップを利用した成人識別機能付自動販売機というのを付けると言うんですが、これ、実際、取組に際しましてどこが負担をして、これ、一体コストはどれぐらい掛かるんでしょうか。
  19. 大前忠

    政府参考人大前忠君) 今の御質問でございますけれども、今、業界、つまり、日本たばこ協会全国たばこ販売協同組合連合会、そして日本自動販売機工業会におきまして、成人識別機能付自動販売機導入に向けて取組を進めております。本年の五月から種子島で第二次の導入検証を開始したと承知しております。  現時点では最終の仕様が未決定でございまして、お尋ね全国展開時の負担額を特定して申し上げることは困難でございますが、少なくとも、成人識別装置本体及びシステムの開発費用成人識別装置搭載費用などが業界による負担となるものと承知しておりまして、あえて申し上げますと、約六十二万台のたばこ自動販売機を切り替えるためには、少なくても数十億円、場合によっては百億円単位の費用が掛かることもあると思っております。
  20. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 正に国策としてどうやって未成年喫煙を防ごうか、防ぐのかという問題、そしてこのたばこ行政が、冒頭言いましたように、様々な省庁でまたがっている問題であるにもかかわらず、私、若干、この未成年喫煙対策に係るこの成人識別機能付自動販売機ですか、これを業界だけに負担を強いるというのはいささかたばこ行政全体を考えた場合どうかというふうに感じるわけですが、これ、財務省、どうなんでしょうか。
  21. 大前忠

    政府参考人大前忠君) 販売方法といたしまして、店頭での手売りの販売のほかに、現状自動販売機による販売を認める形になっているわけでございますけれども、その自動販売機による販売を行ってもなお未成年者喫煙対策に十分資するための施策を講じる、これはやはり、その業者においてそのための手当てを行っていただくというのが筋であると思っておりまして、私ども、そういうような考え観点から取組を進めているところでございます。
  22. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 現在、三十万店ある小売のほとんどがお年寄りであったりというような方々が店番をしているというような現状もあり、また自動販売機が貴重な収入源になっているというような現状もありますので、私はこれ、ある種、子供喫煙率を減らすという政策面からすれば政治責任が大だというふうに思います。確かに、販売をする側の責任ということは私も重々理解できるわけでございますが、これを政策としてどのように協力をしながら未成年喫煙を減らしていくかという努力を、我々政治並びに行政側ももう少し知恵を絞る、そしてその業界に対しても協力していくというような姿勢が私は必要なんじゃないかというふうに感じますが。  引き続いて財務省にお伺いしますが、まず、増税の話になると必ず出るのがたばこ、酒でございまして、何と、何かマイルドセブンという銘柄があるようですが、これを例にすると約六三%が税金ということで税金を吸っているようなものなんですが、税率が適正かどうかという議論はまた別にして、国民の目から見ますと、たばこ税ペナルティー税たばこを吸うんだから税金払って当然だよというようなペナルティー税のような感覚があるんですが、こういう税の発想というものはいかがなものなんでしょうか。国民に分かるように御説明いただきたいと思います。
  23. 石井道遠

    政府参考人石井道遠君) 今、たばこ税性格についてのお尋ねでございます。  先生おっしゃる、いわゆるペナルティー税というものは、喫煙を反社会的な行為ととらえてその消費を抑制するために課税するという考え方を指すものだと理解いたしますけれども、我が国におけるたばこ税、これは長い歴史がございますが、たばこ税はそのような立場は取っておりません。  たばこに対する課税というものの基本的な考え方でございますけれども、たばこが特殊な嗜好品としての性格を持つと、酒共々でございますけれども、すなわち、たばこ生活必需品ではないと、これに税負担を求めても言わば消費の基礎的な部分に対する課税とならないということ。それから、これは財政当局立場からしますと、嗜好性が強いために税負担による価格変化に対して消費変化が比較的小さいということから、財政物資として課税することで収入を安定的に得られるということから従来いわゆる財政物資とされまして、その生産とか消費に国が関与するとともに、他の一般物品に対して高い税率をお願いしているという考え方でございます。
  24. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございました。  私も、たばこを吸う方々は絶対に嫌煙家若しくはこれは他人にも害を及ぼすことでございますから、決して他人の迷惑にこれは絶対なっちゃいけないということを担保しながらも、やはり、たばこを自らの選択として嗜好品として愛用される方もこれきっちりと吸える場所も担保していくというような、冒頭大臣にも全体的なことを聞いたわけですが、考えが必要かなというふうに思っております。  次に、日米刑事共助条約についてお伺いしたいんですが、テロ、組織犯罪サイバー犯罪などの国境を越える犯罪に対処するためには、国益を担保した上で役所縦割り権限争いではない迅速な対応が必要だということはもうこれは言うまでもないわけでございますが、その意味中央当局制度が設けられた本条約は私は評価をしたいというふうに思いますが、他方欧州を見ますと、一九五九年の欧州刑事共助条約の段階で既に原則として司法省間の対応になっているということなんですが、この共助の一層の迅速化効率化という観点から、国内法の国際捜査共助法をこれ改正して、原則として外交ルートから中央当局、司法当局ルートに転換することも考える意義があるのかなという感じもするんですが、これ法務省と外務省、それぞれどのような御見解なんでしょうか。
  25. 中野清

    大臣政務官(中野清君) 法務大臣政務官の中野でございますが、榛葉委員の御質問にお答えしたいと思います。  榛葉委員御指摘のとおり、外交ルートによらず法務大臣中央当局として常に直接共助の要請を受理する法制の採用も、おっしゃるとおり、共助の一層の迅速化効率化観点からは考えないわけではございません。  しかしながら、外国に捜査を依頼し、あるいは外国から捜査を依頼される場合に国際関係上いわゆる相互主義が保証されることが必要ということは御承知のとおりでありまして、他方が与える一定の待遇についてはこれと同等の待遇を与え、相互に相手側から受ける待遇が均衡している必要がございます。そして、このような外交的な側面を有する相互主義の保証につきまして法務大臣がいわゆる独占的に判断するのが適当かという問題があると私どもは考えておるわけでございまして、他方条約締結される場合には相互に同様の義務を負うことになりますので相互主義の判断は不要となりますので、法務当局といたしましては、中央当局ルートは相互主義の判断が不要となる条約に基づく場合に限定するのが相当ではないかというふうに考えておるわけでございますので、よろしくお願いします。
  26. 門司健次郎

    政府参考人門司健次郎君) 今法務省の方からも答弁ございましたが、刑事分野の共助に関する国際的なやり取りは、外交上の配慮もありまして従来は各国の外交当局を経由して行われるというのが通例でございました。他方、近年は、各国が刑事共助に関する二国間条約締結し、相互に適用される手続を整備した上で、条約上の制度として各国の捜査当局を中央当局として指定し、外交当局を経由せずに中央当局間で直接やり取りを行うということが国際社会における潮流というものにもなりつつあると認識しております。  私どもとしましても、この日米刑事共助条約締結の後、正に今申し上げました潮流に乗っていく形で同種の二国間条約締結に積極的に取り組んでいきたいと考えておりまして、御指摘のような、条約の有無を問わずすべての国について共助のルートを外交ルートではなくて捜査当局ルートとすることは、今は考えておりません。
  27. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次に、双罰性についても同様の観点からお伺いしたいんですが、捜査共助の分野では国際的に緩和される傾向にあると。本条約でもアメリカとの関係では双罰性を要件としないということなんですが、国際捜査共助法上は双罰要件を維持しているんですが、法律上も双罰性をこれは若干緩和したらどうかという指摘なんですが、例えば人権擁護の観点からは、要件を廃止しないまでも、強制処分、こういった場合は要件とするというような緩和措置が必要じゃないかと思うんですが、この点について法務省はどのような御見解なんでしょうか。
  28. 中野清

    大臣政務官(中野清君) 今、榛葉委員御指摘のとおり、条約の存在にかかわらず双罰性を要件としない法制を採用している国というのは例えばアメリカとかフランスとかカナダとか多くございまして、双罰性を絶対的な要件としないことが国際的な潮流になっているということは委員が御指摘のとおりでございます。  しかし、例えばイタリアとかタイのように、すべての国がおよそ条約の存在を問わず双罰性を要件としないという国がないわけではございませんで、そういう意味で申し上げますと、どのような場合に共助実施するとかどのような場合に共助を拒否するかについては、その捜査共助の必要性、法制度の相違、国民感情等を踏まえながら個別に取り決めていく必要がございまして、条約で定めることによりまして双罰性の要件を緩和するのがむしろ妥当であると私ども考えておるわけでございます。  したがいまして、今委員御指摘のような意味もございますけれども、条約の有無にかかわらずすべての場合に双罰性を問わずに共助実施すべきということはちょっと、現状ではちょっとまだ無理じゃないかということを考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  29. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 分かりました。  国際犯罪に関して私、若干データを調べてみたんですが、実際には、正式な刑事共助という形よりも、ICPO、インターポールですね、これを使って要請したり要請されたりする方が実は圧倒的に多いことが数字として出てまいりまして、例えば平成十四年を見ますと、日本への要請では、インターポールルートですと八百二十七件、うちアメリカが三十五件と。これ、外交ルートですと十九件しかなくて、アメリカはゼロなんですね。日本からの要請を見ましても、インターポールルートを見ますと八百七十一件、うちアメリカが七十三件。外交ルートはどうかというと十五件で、うちアメリカが四件しかないということなんですが、今回はアメリカとの条約に当たって、その理由を、捜査共助の実績はアメリカと数が突出しているということなんですが、確かに累計で見るとアメリカが突出しているんですが、単年度ごとに見ると、果たして本当にアメリカが突出しているかどうかというのは、私は、現場の観点からは少しクエスチョンマークが付くんじゃないかと。むしろ私が感じるのは、実際の犯罪現場ではむしろアジアの方が多いというように感じるんですが、これは警察庁はどのように数字を把握されていますか。
  30. 知念良博

    政府参考人知念良博君) 平成十五年中の来日外国人犯罪の検挙人員を国別に見ますと、中国人、韓国人、フィリピン人の順に多くなっております。これらの国で全体の約六割を占めておりまして、こうした来日外国人犯罪の捜査においては、関係者の事情聴取、被疑者の人定事項や過去の犯歴の有無の確認など、当該国の捜査協力が必要となることが少なくありません。  また十五年中、先生先ほど十四年でございましたが、十五年中のICPOルートを通じて捜査協力を要請した件数で御報告申し上げますと、フィリピン、中国、韓国の順に多くなっております。これらの国々で全体の約五割を占めております。  警察では、従来からこれらアジア諸国を始めとする各国捜査機関とICPOルートや外交ルートを通じて緊密に連携を図ってきたところでありますが、今後も引き続き各国との捜査協力を推進してまいる所存であります。
  31. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 外務大臣、今警察庁が御答弁いただいたように、私、このアメリカとの共助条約は評価したいと思いますし、賛成なんですが、やはり、むしろ重要なのは、ASEANのアジア諸国、プラス中国、韓国だというふうに今も明らかに数字から出ているわけでございまして、やはりこのASEANプラス3の枠組みの中できちっと刑事条約刑事共助条約を作っていく必要性があろうかと思うんですが、外務省はこの点どのようにお考えなんでしょうか。
  32. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど門司審議官からもお話ししましたように、日米の刑事共助条約ができたので、この後各国と二国間の条約締結に積極的に進んでいきたいという考えを持っております。  それで、おっしゃった、ASEAN、中国、韓国というふうに言われましたけれども、ASEANということをおっしゃっているのは、多分そのASEANとのそれぞれのメンバーとの間の二国間ではなくて、多国間ということをおっしゃっていらっしゃるんだろうと思いますけれども、そのASEAN十か国の中を見ても、刑事制度、司法制度がかなり国によって違うという現実がございます。ということでございますので、今マルチという形で条約を結んでいくということは大変に難しい部分が残っていくと思います。  ただ、おっしゃるように、刑事共助をやっていく必要性、何らかの形でお互いにそれをやっていく必要性というのはあるということでございますので、どういったような捜査共助をやっていくのが一番現実的なのかという観点からASEANとの関係については考えていくということでして、今条約締結するということがその目的のために最も適切であるというふうには考えていないということであります。  もうおのずと、いずれにしてもその必要性の中で、一度に全部の国とやることはできませんので、プライオリティーを付けて、ニーズを測ってやっていく必要があるというふうに思います。中国とか韓国とか、ほかに犯罪が多いという国もあるわけでございまして、ASEANとは今はまだそういう意味ではプライオリティーが高いということは必ずしも言えないというふうに考えています。
  33. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私、この問題を考えていくときに、正にWTOとFTAの関係と同じで、マルチで対応するのかバイで対応していくのかというような問題もあるんですが、やはりもう少し現場のニーズを反映した取組考えていく必要もあるのかなというふうに思っていまして、是非、現場を預かる法務省や警察庁とも、是非御意見をちょうだいしながらこの問題をきちっと考えていただきたいというふうに思っていまして、先日の福岡市の一家四人殺人事件、殺害事件のように、新聞を見ると、中国当局の異例な協力によって捜査が解決に急速に向かったというような新聞記事もあるわけで、言わばこういった事件的きっかけから是非制度を見直していくというような取組も必要かなというふうに感じているところでございます。  とりわけ、参議院の四月二十二日の法務委員会においても、野沢法務大臣が、この問題大変前向きに積極的に取り組んでいきたいと、韓国などのアジア諸国というような単語も出しながら、この問題を考えていきたいといった大変前向きな御答弁もされていますので、是非現場を預かる各省庁とも連携を取りながら、外務省には御尽力いただきたいというふうに思います。  最後に、残された時間でこの無形文化遺産条約無形文化遺産保護条約についてお伺いをしたいと思うんですが、改めて私ユネスコ憲章の前文を読ませていただいて、やはりきちっとお互いの文化を理解しながら世界平和のために努力しなければいけない、お互いの文化をきちっと守らなければいけないというような、やはり理念、哲学がこの前文に入っていまして、改めて背筋の伸びる思いがしたわけでございますが、若干気になる点がございますので、二点ほどこの問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  まず一点が言葉の点でございますが、これ、ヨーロッパ始めアメリカ、カナダ、この条約に対してまあ棄権をしているわけでございますが、その理由の中の一つに、気になったのが、少数民族の言語保護観点からこれが政治に利用されるのではないかという理由で、実際はこの言語が無形文化遺産には含まれないというような議論があったやに聞いておりますが、日本のアイヌの言葉を見ましても、大変この少数民族の言葉という問題はそのユネスコの理念から見ると十分に私は無形文化財の保護に値する貴重な人類の文化ではないかというふうにも感じるわけでございますが、この点についてどのような議論が現場でなされたのか、また日本としてどんなアプローチをされたのか、教えていただきたいと思います。
  34. 近藤誠一

    政府参考人近藤誠一君) お答え申し上げます。  榛葉委員御指摘のとおり、この条約には直接言語を対象とした規定はございません。その主な理由としましては、ユネスコにおきましては既にほかの場において幾つかの言語に対する取組がなされております。そういったことを踏まえまして、言語そのものよりもその言語を媒体とした無形文化遺産というものを対象にすべきであるという意見がこの交渉の過程において大勢を占めたわけでございます。その結果、言語そのものはこの条約の対象になっておりませんが、条約第二条第二項にございますように、「無形文化遺産の伝達手段としての言語」といったことが含まれております。ユネスコでは、例えば二〇〇一年、総会で採択されました文化多様性に関する世界宣言というものにおきまして言語というものの保護ということをうたっております。  それから、我が国対応でございますが、我が国は言語の保護というのを重要な課題と考えております。そういう観点から、ユネスコにおきましては、信託基金を通じまして、消滅の危機に瀕する世界の言語といったものを保護する措置を取っておりまして、具体的な成果物としましては世界の言語地図というものもできております。
  35. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私の時間が超過いたしてしまいましたのでこれで質問を終わりたいと思いますが、この条約では、宗教的な色彩のあるものも無形文化遺産保護の対象になるということが担保されておりますので、是非、この条約を通じまして、今問題となっているイスラムもそうですが、お互いの文化を理解し合えるような努力を日本としてしていただきたいということを要望いたしまして、質問を同僚委員に譲りたいと思います。
  36. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 防衛庁長官、わざわざ、今日御出席だと思ったので御質問しようと思ったんですが、わざわざ来られて済みませんでした。せっかく来られましたので、二、三質問させていただいて、お帰りになっていただきたいと思います。  明治二十三年の十二月の六日に時の内閣総理大臣である山県有朋内閣総理大臣が第一帝国議会における最初の施政方針演説の中で次のように述べております。難しい言葉なので今の言葉にして申し上げますと、国家独立自衛の道は第一に主権線を守ることであり、第二に利益線を防護することであると。主権線とは何かというと、自分の国の領土だと。利益線というのがその時代を担う政治家の役割で、今でいうとイラクとかそういうことになると思うんですが、一時は朝鮮半島であったこともあるし、いろいろな利益になる、国家の利益になるところで軍隊を派遣するということだと思うんですが、その利益線についてはすぐれてその時代を担う政治家の役割というべきであると、こういうふうに述べております。  それで、例えば日本が負けてアメリカが占領したときでも、朝鮮戦争が起こったときには主権線を、領土を守るために自衛隊の前身である警察予備隊を創設したことによって主権線を守るということがいかに重要であるかということを物語っているというふうに思います。  それで、私は何を言いたいためにこれを言ったかというと、今イラクに自衛隊が派遣されておりますけれども、これは主権線ではないんですね、利益線なんです。そうすると、これはすぐれてその時代を担う政治家の役割になるわけですね。そうすると、このイラクにいつまでも行っているわけにもいかない。どういう条件が整ったときにイラクからの自衛隊の派遣をやめるのかと、やめるのかというか、撤退をするか、引き揚げてくるか。第一陣が順番で、交代で第一陣が帰ってきて非常に家族も喜んでおるというふうに聞いておりますけれども、そういう利益線を考える場合の政治家の役割ということですので、防衛庁長官はいつごろイラクからの自衛隊の派遣を中止しているのかということについて、ちょっとお伺いしたい。どういう条件が整ったときにそういうふうにするのかと。
  37. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは必ずしも私がお答えすることが適切かどうか分かりませんが、今回イラクに自衛隊を派遣をしますときには四つ観点があるだろうということを私はあちらこちらで申し上げました。一つは、まさしく先生御指摘になったように、利益線という観点ではございませんが、石油資源をすべて海外に依存している我が国、そしてその八割をイラクを含む中東地域に依存をしておる。オイルショックの後もエネルギー全体に対する石油の依存度は減りましたが、しかし中東地域に対する依存度は逆に高まっているわけで、イラクを含む中東地域が不安定になるということは我が国の国益という観点からこれは決して看過できないことであるということが一つございました。  そのほかには日米安全保障体制の信頼性の向上ということもございました。イラクに出したのは日米安全保障条約に基づいて出しているものではもちろんございませんし、我が国は人道復興支援を中心にして行っておりますので、武力行使をするものではございませんが、日米安全保障体制というのは何も一片の紙で成り立っているものではなくて、お互い民主主義国家である以上、この信頼性向上ということは必要であろう、ほかにも国連の要請ですとかイラク人のニーズですとか、そういうことがございました。  そういう意味合いにおきまして、一番望ましいのはイラクにおいてイラク人によるイラク人のための政府が樹立をされ、イラクの民生が向上し、イラクが新生国家として再生をしていく、そういうのが見極められる状況になり、そして自衛隊でなくても今行っております人道支援あるいは安全確保支援がきちんと行われる、そういう状況になれば、これは当然イラクに自衛隊をいつまでも置いておく必要はないわけでございます。  先般、シベリア出兵の御議論もございましたけれども、そういうことで出しておるわけでは全くございませんで、もちろん吉岡先生、そういう観点から御質問なさったとは理解をしておるわけではございませんけれども、私はやっぱりそういうような最も望ましい状況というものに近づく、つまり自衛隊がいなくても十分できるということになれば、それはなるたけ早期にイラクの派遣というものが終わるべきである、そういうことが一日も早く実現するようにと思っております。  ほかの観点で法律の要件を満たさなくなるということになれば、それは法治国家、法律に基づいて派遣をしております以上、その場合も法の要件を満たさなくなれば、それは法に定められたとおりの対応を行うということになろうかと存じます。
  38. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 今防衛庁長官のおっしゃったことは、普通の民間人でも行っても安全な治安が回復されるまでと、こういう意図というふうに理解してよろしいですか。
  39. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それはイラクの人々によってという場合もございましょう。あるいはNGOでありますとか、我が国国民であって自衛官ではない人たちという場合もございましょう。要は、自衛隊の自己完結性でありますとか自衛隊が持っております自己防護能力でありますとか、そういうものを必要としなくてもイラク国民が水、私どものことについて申し上げれば水であるとか、あるいは学校の補修であるとか、医療であるとか、そういうニーズがきちんと満たされるという状況が現出されれば自衛隊をイラクに置いておく必要は全くないものと考えております。
  40. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は今日は防衛庁長官に是非、この質問をいたしました背景というか真意は、軍というのはいつでも出しやすいですけれども、引くときは非常に引きにくいと。軍を引き揚げるというのは非常に難しい。歴史的にもそうなんで、その点をよく理解されていることが必要なんじゃないかということで申し上げたのであります。  今は私は、イラクに自衛隊を派遣したのは、日米安保条約でアメリカによって日本が守られている、その国から依頼されれば断れない、そういうことだと私は思っているんですが、表向きそんなことは言えないと、防衛庁長官としては言えないと思いますが、できるだけ早く、昔、西部戦線に異状があったときに帝国陸軍の大本営は、西部戦線に一個師団を出せという要求があったときに、天皇陛下の赤子をそんな聞いたこともないようなところに出せるかと言って断ったんですね。それで海軍だけが行ったという歴史がございますけれども、特に自衛隊というのは日本の領土を守るために応募して来ているものですから、中にはどうしてそういうふうなところへ行かなきゃいけないかという疑問もわいてくるわけで、できるだけ早い時期に引き揚げられる必要があるんじゃないかと。というのも、今の自衛隊を派遣されているいろんな条件というのが行っている隊員にとって十分ではないわけですから、できるだけそういう条件を整えられてから出すべきではないだろうかと私は思っているわけです。  それでは、防衛庁長官にイラクの派遣する自衛官のそういうことについて、もう一度御意見をいただいて、長官、お帰りになって結構です。
  41. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先ほどの、陸軍は出さないが海軍を出したというお話をなさいました。たしか地中海に駆逐艦を数隻送っただけではなかったかと思っております。しかし、あそこにおいて、地中海に駆逐艦を数隻送ったということによって日本の信頼というものは高まったという見方もこれはございます。そこは全く今と事情は違いますけれども、どういう場合に出し、どういう場合に出さないかということは、国際協調の観点からも国益の観点からも本当に慎重に議論をせられるべきものというふうにお教えいただいたように存じます。  じゃ、イラクにおいてどうなのかということでございますが、先生御指摘の、条件が十分に整っておらないという御議論があることは承知をいたしております。  では、それは一体何なのだろうかと。つまり、武器使用権限が十分ではないということなのか、それとも、やっている活動はもっと広範に、つまり治安維持も現在は行っておるわけではございません、法律上そのように書いてあるわけでもございません。では、やっておる任務がもっと広いものであるべきなのか、あるいは武器使用の権限が不足をしているのか、その武器使用の権限は自分を守るための武器使用権限においてなのか、それとも違う概念なのか、そこを私は整理をする必要があるのだろうと思っております。  私どもといたしましては、これも何度か答弁させていただいたことでございますが、自分を守るという点について申し上げれば、それは、権限においても、能力におきましても、装備におきましても、あるいはROEの完備にいたしましても、私は相当程度に、少なくとも自分を守るという点において諸外国の軍隊と遜色のあるものを与えて出したとは全く思っておりません。  それ以外のものについてはどうなのかといえば、これはもう憲法上のいろんな御議論もございます。そして、当然のことでございますが、国会において御審議をいただきまして成立をいたしました法律、それに基づいて出しておるわけでございまして、我が国といたしましては、人的な復興支援、そして必要に応じて安全確保支援、少なくとも武力を行使をしない、いかにしてイラク人の方々のニーズにこたえるかということに着目をしてやっております今の行動が、私は非常に有益なものだというふうに現在でも思っておるところでございます。  ただ、今後ともいろんな御議論を国会において賜りまして、本来どうあるべきなのかということについて、本来という言葉は不適切かもしれません、更にどうあるべきなのかということについては御教示を賜るべきことだというふうに考えております。
  42. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 もう一点、平時における防衛産業の在り方と有事における防衛産業の在り方について、長官はどのようなお考え方を持っておられるのか、ちょっとお聞かせください。
  43. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、一つはエキスパンドの能力をどれほど考えるかということだろうと思っております。つまり、平時において有しております能力が、それでは有事になったときにどれほど急に伸びるのかということの能力というものはやはり検証しておかなければ、これは机上の空論に終わりかねないだろうと思います。  他方、最近の紛争あるいは戦争の様子を考えましたときに、そのように長期にわたって兵器というものを作るというほど長いような戦闘というものがこれから先あり得るのだろうか。いずれにしても、そのような事態に巻き込まれる、あるいは生起するということは政治の失敗でございますから、そういうことがあってはならないわけですが、そういうことにならないために一体どれだけの、先生のお言葉をかりれば、有事の産業の在り方というものを想定をするかということはきちんと見積もる必要があるであろうと思っております。  そこにおいて、近代戦の様相に適応した装備とは何であり、そのエキスパンドとはどのようなものなのかということをきちんと認識をしておかなければ、それは抑止力にも何にもなりません。それはほかのものと違って、兵器というのは、もう先生からもお教え賜ったことでございますが、構想してから運用するまで十年掛かるわけでございまして、何かあったといって、突然装備がそろうものでもございません。外国にお願いしたからすぐに入ってくるかといえば、そういうことが簡単に可能なことだとも当然考えておりません。そのことは、防衛力の在り方あるいは大綱の議論において、今の時代における、現代における兵器産業の在り方とはいかにあるべきものなのか、それは、諸外国の趨勢も踏まえながら、決して市場原理だけにゆだねるものでもございませんが、しかし、欧州における大統合、アメリカにおける大統合、ロシアの軍事産業の在り方、その辺りも踏まえまして、きちんとした分析が必要なものだと認識をいたしております。
  44. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 防衛庁長官、お帰りになって結構です。どうもありがとうございました。  それでは、残りの時間、外務大臣お尋ねさせていただきます。  まず、中国大陸のことを中華人民共和国というふうに呼んでいますけれども、世界の人たちは、英語で言うとピープルス・リパブリック・オブ・チャイナって呼んでいるんですね、シナって呼んでいるんですね。  どうして日本だけが、中華思想というのは中国の思想であって、自分が中心だっていうことなんですね。何で我が国まで中華人民共和国って呼ぶんですか。呼び方っていうのは、自分の国で自由に呼べると僕は思うんですね。  それで、外務省は、中華人民共和国って向こうが言っていることをそのまま呼んでいるというのは、人の名前もそうですけれども、こっちが金日成と言ったら、向こうはキム何とか何とかと言う。そんなことは向こうで呼べばいいんで、こっちはこっちの呼び方があるんじゃないかと思うんですが、人の呼び方も含めて、何で中華人民共和国と呼ぶのか。これは正式に外務省がそういうふうに呼んでいるのか、まずそれをお聞きして、もし呼んでいるとしたら、どうしてなのか、大臣お尋ねさせていただきます。
  45. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) お尋ねの中国の正式名称でございますけれども、我が国は中華人民共和国としております。  一般……
  46. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 いや、その理由を聞いているんだ。それは分かっているんだから。
  47. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) はい。  一般的に諸外国、特に国交のある諸外国の名称につきましては、できるだけ正式な名称、失礼いたしました、正確な名称を使うということでございまして、中国の場合、中華人民共和国と漢字でございますけれども、そのまま使っておるということでございます。  人名につきましては、これは発音の問題がございまして、漢字はそのまま、略字の問題はさておくといたしますとそのまま使っておりますけれども、相互主義もございまして、お互いに自分の国の発音で発音しているということでございます。したがいまして、中国の国家主席は日本では胡錦濤さんと申し上げているわけでございます。中国語では違う言い方でございます。
  48. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 今の説明ですけれども、中華人民共和国って呼んでいるのは、日本がそういうふうに呼ぶようにしているということですけれども、そうしたら、どうして南シナ海っていうのを呼ばないで南中華人民共和国の海って呼ばないんですか。  呼び方というのは非常に重要なんですよね、国の姿勢を示しているんだから。人の名と一緒ですよ。名は体を表すってね、非常に重要だから聞いているんで、今までそんなこと聞いたことないってあなたさっき言っておられたけれども、聞いたことないっていうのは、言わない方がおかしいんで、何で南シナ海って言って、何で南中華人民共和国の海って言わないんですかという質問に答えてください。
  49. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) お尋ねの南シナ海、東シナ海につきましては、例えば東海という表現も使っております。慣例に従って東シナ海という言い方を使っている場合が多いように存じます。  東中華人民共和国海と呼ばない理由については、私必ずしも承知しておりませんが、形容詞をどういうふうに使うのかという問題ではなかろうかというふうに感じます。
  50. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 いろんな国際会議で、ASEANの会議だとかに私も出たことありますけれども、中華人民共和国なんていうの書いてないですよ。みんなチャイナって書いてありますよ。そこにシナの人が座っている。  シナって呼んじゃ、これは元々チャイナっていうわけですから、シナって呼んでいいじゃないかと。ただ、シナって呼ぶと、何か日本では、昔、戦争したこともあるからかどうか知らないけれども、何かそういう呼び方しない方がいいんじゃないかというふうに思うかもしれないけれども、ピープルス・リパブリック・オブ・チャイナというのは正式な名前なんじゃないですか。これを訳したらどうして中華人民共和国になるんですか。そこのところを教えてくださいよ。  これ、ピープルス・リパブリック・オブ・チャイナというのが正式な名前でしょう。外務省から聞いたんだからね、これ、正式な名前ですと。これを訳すると、どうして中華人民共和国になるんですか。シナ人民共和国じゃないの、訳したら。チャイナというのは中華なの。これは中華思想だから中華と言っているだけの話で、チャイナというのはシナの、日本というのと一緒じゃないですか。
  51. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 我が国が中国の正式名称を日本語で書いた場合に中華人民共和国と書いておりますのは、ピープルズ・リパブリック・オブ・チャイナを訳したわけではございませんで、中国語で中華人民共和国と書いてあるのを、なるべくそのまんま使っているということでございます。  国名につきましては、国際礼譲の観点もございまして、できるだけ先方の使っている名称に近い訳ないし表記ということに心掛けているということでございまして、中華思想云々ということでそのように訳しているわけではございませんで、中国が中華人民共和国というのが正式の名称だと申しておることにかんがみまして我々も表記を中華人民共和国というふうにしておるわけでございまして、チャイナの部分を中華と訳しているわけではなくて、中華人民共和国というのをそのまま中華人民共和国というふうに使っている次第でございます。
  52. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 外務省考え方が僕はおかしいと思うんですが、向こうが呼んでいるのをこっちが呼ぶんじゃなくて、こっちが向こうを呼ぶんですよ。どういう名前で呼ぼうがこっちの勝手なんですよ。だから国なんだから。だから、向こうが言っているとおりやっていたら、みんな向こうの属国になっちゃうじゃないですか。こっちはシナ人民共和国って呼べばいいんですよ、だってシナなんだから。それを何で中華なんですか。  中華というのは真ん中にいるという意味ですよ。わざわざよその国、真ん中にいると言うことないんじゃないですか。その呼び方からしておかしいと、だから外交もみんなおかしいと。全部謝罪外交をしていると。謝罪外交して得るところは何もないですよ。謝って、お金出して、友好関係なんて保てるわけないですよ。  だから、現に中国は、シナは、僕から言えばシナよ、シナが、反日教育をしているんですよね、今現在。それは知っているでしょう。では、反日教育をしている国とどうして友好なんか結べるんですか。冗談じゃないと言って、言って、その担当の人言わなきゃ駄目だよ。そういうのを言うためにそういう担当の人がいるんだから。何しろ事を荒立てないで、その場しのぎをしようという外交だったらこれは別ですよ。  ちょっと、外務大臣ちょっとお答えください。僕はもう、事務の人と話すのは余り好きじゃないんだ。
  53. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国名というのは、それぞれの国が自分の思いを持って呼んでいる、使っている国名であるというふうに思います。アメリカ合衆国、それから例えばドイツ連邦共和国、みんなそれぞれの組織あるいは思い、歴史、そういったものを付けて呼んでいる。    〔委員長退席、理事舛添要一君着席〕  先ほど審議官が、西宮議官が申しましたように、その相手の国が自分、自ら付けている名前、それにできるだけ、それぞれの国語の制約はありますけれども、近い範囲で名前を付けるということは国際的な礼譲としてみんながやっていることであるというふうに考えています。  大韓民国、韓国ですけれども、これも我が国は、大韓民国というのが正式な名前であり、韓国は、ハングルで書いてはありますけれども大韓民国であるということです。中国、これは正に漢字を一緒に使っている国ですから、中華人民共和国、我が国としてはそのように使っている。  その名前に特定の意味を感じるあるいは感じない、これは様々な考え方があるだろうと思います。先生のようにお感じになる方ももちろんいらっしゃると思いますし、そうでないところもあると思います。ただ、これは国際礼譲の観点として、我が国は、その国が使っている名前にできるだけ近い名前、漢字の場合にはその名前、それを使うということでやってきているということであります。これは、本質的に我が国がその名前を呼ぶことが、その呼び方が我が国の外交姿勢を規定するものでも何でもないということだと考えております。
  54. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 外務大臣のようなお考えだと、それは争いは起きないし、交渉事もうまくいかないんじゃないかと私は思うんですが、現にアメリカは中国のことをピープルス・リパブリック・オブ・チャイナと呼んでいるんですね。アメリカはちゃんと呼んでいるんじゃない、チャイナって。世の中の人もみんなそういって呼んでいますよ。世の中というのは日本世の中じゃないですよ。ここに一杯書かれた世界の国々はみんなチャイナって呼んでいる。しかも、経済協力会議とかそういう国際会議にはチャイナという名札が付いている。だから、正しい、一番正しい呼び方なんじゃないですか。日本もそれに倣ったらいいんじゃないですか。もし外務大臣のようなお考えを持っておられるんだったら世の中の人がみんな呼んでいるようにお呼びになればいいんで、どうして、中華人民共和国って呼んでいるのは日本だけですよ、よその国は呼んでいないんですよ、そんなこと。
  55. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 何で我が国、漢字の国である我が国が英語を日本語に訳して中国を呼ばなければいけないのか、これまた別な考え方を持たれる方もいらっしゃると思うんですね。いろいろな考え方があると思います。我が国は漢字の国であって、漢字を使って自分の国を呼んでいるということであれば、我が国として最も自然なのが、その国の名前を漢字で書いて、そのとおり、読み方はもちろん日本語読みで読んでいますけれども、そのように読むということであるかというふうに思います。  国名の読み方についてはいろいろなお感じはおありになるでしょう。ただ、その国と我が国との関係ということは、別にそれに影響されるものでもなければ規定されるものでもない、実態は実態として別に存在をするということだと思います。    〔理事舛添要一君退席、委員長着席〕
  56. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 外務省の御見解はよく分かりましたけれども、私は納得できません。したがいまして、質問もこれで終わらしていただきます。     ─────────────
  57. 山本一太

    委員長山本一太君) 委員異動について御報告いたします。  本日、荒木清寛君が委員辞任され、その補欠として草川昭三君が選任されました。     ─────────────
  58. 小泉親司

    ○小泉親司君 日米共助条約及び無形文化財の保護条約、それからたばこ規制の枠組み条約の三条約について質問させていただきますが、私どもはこの三つの条約についてはすべて賛成でございます。ですが、日米刑事共助条約の問題について一問だけお尋ねをさせていただきたいと思います。  今回の条約は、今、日本が国際捜査共助法という法律がある枠組みの中で、新たにアメリカと、現段階では、だけの共助条約を定めるというものでありますが、私、この国際共助、捜査共助に当たっては、やっぱりそれぞれの国が様々な法律上の違いがあると。例えばアメリカの場合は、例えばですが、テロ犯罪などで、私もこの間調べている状況では、大変、国内体制で愛国者法、パトリオット法などといって大変強いテロ対策法などを取っておりまして、具体的には予防拘禁なども含むような対策も含まれているというようなことも聞いておりますが、そうした法律上の違いがあるわけであります。  そこで、今度の条約では、外交ルートばかりじゃなくて、日米のそれぞれの中央当局、日本では法務大臣、法務省、アメリカでは司法省というような、当局間での捜査共助の在り方ができるというような条約だというふうなことでありますが、そうした刑事犯罪の捜査において、問題は日本の主権を侵害するようなことが起こらないのかというのが大変私たちは危惧するところでありますが、その点で、そうした捜査の共助に当たって主権侵害が起こらないという保証を今度の条約の中ではどういうところに求めているのか、まずこの点をお尋ねをさせていただきたいと思います。
  59. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 主権が侵害をされることにならないのかということについてですけれども、日米刑事共助条約の九条二というのがござますけれども、これの文章を読みますと、「被請求国は、証言、供述又は物件の取得に係る共助の請求に示された特定の者が当該共助実施の間立ち会うことを可能とするよう、」、次ですが、「最善の努力を払う。」、最善の努力を払うというふうに規定をしているわけです。それから、その十条三というのが次にございまして、ここも同じようなことなんですが、「被請求国は、人、物件又は場所の見分に係る共助の請求に示された特定の者が当該共助実施の間立ち会うことを可能とするよう最善の努力を払う。」、最善の努力を払うというふうに規定をしているわけでございます。それで、「共助の請求に示された特定の者」という言葉が両方に出てきますけれども、これには請求国の捜査官が含まれて、含まれ得るわけです。  ただ、今二つ規定を御紹介をしましたけれども、条約上は被請求国はその捜査官の立会いに対して最善の努力を払うという義務を負っているにすぎないわけでして、すなわち、その被請求国は請求国の要請に応じ、請求国の捜査員等を供述の聴取や実況見分の場に必ず立ち会わせるという義務を負っているわけではないということであります。  それから、我が国としまして、仮にその条約九条二、先ほど読み上げた条約九条、御紹介をした九条二又は十条三、これに基づく米国の捜査官の立会いの要請が米国からあった場合に、いかなる犯罪に係る共助案件であるかということを問わず、当該捜査官の立会いの対応が公権力の行使に当たるようなものであれば、これを認めるということはないわけでございます。  したがって、以上申し上げましたような理由で、条約の九条及び十条を実施することによって我が国の主権が侵害をされるということはないということでございます。
  60. 小泉親司

    ○小泉親司君 次に、イラクで今大変大問題になっておりますイラク占領下でのアブグレイブ刑務所での虐待事件、私は拷問事件だというふうに理解しておりますけれども、この事件について少しお尋ねをさせていただきたいと思います。  今回の事件が起きましたときは大変衝撃的でありましたけれども、この問題では次から次へと新しい事実が発覚してまいりました。私はこの事件は本当にジュネーブ条約違反だと。しかも、この中で行われている実態は、アメリカがイラク国民全体を事実上虐待していると言っても過言ではない、大変イラク国民に対する屈辱的な行為だというふうに私は考えております。  そこで、この問題について外務大臣は既に質問をお受けになっておりまして、外務大臣が答弁されているのは、アメリカという国は元々国際法をよく遵守する国だということを認識を表明する一方で、今度の問題については、一般論としてジュネーブ条約の違反の可能性があるというふうに答弁されております。その後、事態は、私は、ブッシュ大統領やラムズフェルド長官がこの問題について謝罪をする、謝罪をするばかりでなくて、さらに、様々なアメリカの議会での調査などでも新しい写真などが公開されて、新しい事実が明確になってきた。その上で、私は、この問題については外務大臣として一般論では済まない、そういう性格のものだというふうに私は思います。  その意味で、外務大臣として、単に一般論という問題じゃなくて、この問題については明確なジュネーブ条約違反であるというふうに私は思いますが、外務大臣のその後の御認識はいかがなのか、この点をまずお尋ねします。
  61. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アブグレイブの刑務所の件につきましては、先週の金曜日にG8の外相会談がワシントンで開かれまして、その折にも、その折に外務大臣がブッシュ大統領に表敬をする機会があったんですけれども、その場で、ブッシュ大統領からも、これについては徹底的に調査をし、問題があればそれを処罰しということを行うと。じゅうたんの下にごみを掃きためるというようなことはやらないというようなお話がありました。パウエル長官からもこれについて同じような話がございました。  そういう意味で、米国は今この問題について引き続き調査をちゃんと行い、処罰をし、そして再発防止策を講ずるという、そういうことをきちんとやっていると思います。これぞアメリカの民主主義であるということを世界に示すという意気込みでやっているということでございました。  先ほど、この前申し上げたジュネーブ条約違反の可能性がある、だけれども、その確定的なことは言えないということについての立場、これは今も引き続き変わっておりません。いろいろな報道等からいえばその可能性がある、一般論としてですね、ということは言えるかもしれませんが、我々としてはこの事実関係について自ら調査をしているわけではない、報道あるいはそういったことで、情報で承知をしているということでございまして、自ら確定的にこうであるとかないとかいうことを言う立場にないわけでございます。  したがって、一般論としてジュネーブ条約、このような種類の問題はジュネーブ条約に違反を、条約違反であるという可能性はあると思いますけれども、確定的に申し上げるということはできないというのが、引き続き同じ立場で我々が、私が考えていることです。
  62. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、先ほども申し上げましたけれども、この問題というのは、単にあれはアメリカがやったことだ、アメリカの兵隊がやったことだということでは済まない。なぜ済まないかといえば、当然、これは占領中に起こったことであること、その占領中において、日本は少なくとも、いろいろな議論がありますが、少なくとも有志連合の一員であること、それから、今度のアメリカとの日米共同作戦において、いわゆるジュネーブ条約を始め、追加議定書の批准を国会に求めていること、一体どういうものがこのジュネーブ条約違反になるのかというのは、私はこの点では焦眉の問題だと思います。  ですから、私はその意味で、日本政府自体がこの問題についてしっかりとした態度を取ること、その意味では、私は、幾ら占領下で起こった問題でもこれは明確なジュネーブ条約違反じゃないか、これもやはりしっかりと私はアメリカに物を言うべきなんじゃないかというふうに思いますが、一体この点についてアメリカは何と言っておるんですか。ブッシュ大統領とお話しになったというふうなことですが、何て言っておるんですか。パウエル長官はこの点については何と言っているんですか。ジュネーブ条約には何ら違反をしない、これは一アメリカ兵がやったことだということで済まそうということじゃないんでしょうか。
  63. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど言いましたように、この問題についてはアメリカが今、その問題の原因とか何が起こったのかとか、そういった点についてきちんと調査をしている、これはアメリカ政府もやっていますし、議会の公聴会等でもこれは行われているわけでございます。米国として事実関係をきちんと把握をする、そして処罰をする、再発防止をする、そういう中で、ジュネーブ条約との関係についても明らかにされるということだろうと私は考えております。  我が国として、先ほど言いましたように、そういった事実関係を自分の知っている事実として精査をするという立場にないわけでございますから、米国の政府の行っている調査、これを引き続き注視をしていきたいと考えています。
  64. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、これ、五月十三日にアメリカの上院の軍事委員会でヒアリングが行われたそのやり取りがありますけれども、このやり取りの中である議員が、リード議員が、アメリカの海兵隊が監獄で裸にされて頭に袋をかぶせられると、四十五分間しゃがまされると、これは、これは議事録の中にないことですが、例えば人間ピラミッドのようなことをやらされると、こういうふうな取調べはジュネーブ条約違反なのかという質問をしたと。それについて、これは、リードさんというのはたしか統合参謀本部議長か副議長かの方だと思いますけれども、その人が何と答えるかというと、それはジュネーブ条約違反だと。それは上官の命令に従ったか従わないかということを問わないのかということについては、そうだ、そのとおりだというふうに、軍の最高幹部もそういうことを議会で証言している。  その点で私は、日本外務大臣として、それは一般論としてその可能性が高いというような話じゃなくて、もう明確にこのジュネーブ条約違反の容疑が掛かった重要な問題だというところを、やはりアメリカ政府に対してしっかりとした態度を私は示すべきだというふうに思いますが、もう一度この点について、私は外務大臣お尋ねをしたいと思います。  と同時に、私、あした、あしたか今日か、ちょっと時差がありますから分かりませんが、少なくとも十九日、今日の夜ぐらいから始まるんですか、軍法会議が行われて、訴追される軍人が既に決まっておりますけれども、この人たちを訴追する罪について規定していると思いますが、その罪は、具体的にどういうふうな罪で提起を、いわゆる訴追されておられるんですか。そのことを併せてお答えいただきたいと思います。
  65. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 最後の点については条約局長から答弁をしてもらうことにいたしますけれども、その前に二つの違う御質問があると思います。米国に何を言ったのかということと、そのジュネーブ条約違反についてどう考えるかと。  ジュネーブ条約違反についての我が国考え方は、これは正に米国が政府として最終的に判断をするということであって、議会の中で、証言の中で幾つかのコメントは出ているということであるかと思いますけれども、我が国立場としては、これはきちんとその調査が全面的に行われるということを見守っていくということであると思います。そういった一般論として言えば、疑いがあるということはそのように申し上げているとおりであります。  それから、米国政府には、これも前にどこか別な場で申しましたけれども、この問題については、遺憾の意というのは既に表明をしているわけでございます。  第三点については条約局長からお答えをします。
  66. 林景一

    政府参考人(林景一君) 先ほど小泉先生お聞きになった議会の証言につきましては、あの答弁、やり取り自体が、私は一般論としてのやり取りだったというふうに理解しております。そこはこの具体的なケースについてどうかという当てはめをされたものではないということだというふうに承知しております。  それから、その具体的な訴因、軍法会議における訴因でございますけれども、これ、ちょっと私、済みません、突然のお尋ねでございまして、網羅的に今資料を用意しておりませんが、私のおぼろげな記憶で申し上げますと、暴行とか、あるいは任務懈怠といったようなことが訴因の中に入っておったというふうに記憶しております。
  67. 小泉親司

    ○小泉親司君 この罪を見ますと、ある人は七つの罪に問われ、ある人は三つの罪に問われていますけれども、実際に、収容者への虐待の共謀罪を始めとして、虐待問題についてが極めて明確にされていると。この点で私は、この一般論では済まされない、ジュネーブ条約違反だということで、この軍法会議では明確にこの点が明らかにされているんじゃないかというふうに思います。その意味で、日本政府として、この点を明確にアメリカ政府に言うべきだというふうに思います。  私は、同時に、どうもアメリカでは、今、この虐待が国防総省の当然の方針なんじゃないか、だったんじゃないかと、つまり組織的に行われていたんだということが大変指摘をされている。この問題を暴露したニューヨーカーという雑誌の最新号でも、国防総省が武装勢力の情報収集を理由に物理的な威圧や性的な屈辱を与えてもよいとする極秘作戦を実施していたということを伝えております。やはりこういう情報がある以上、やはり私たちは、当然このジュネーブ条約違反が明確であると同時に、政府が組織的に、計画的にこの事件を起こした可能性があるんじゃないかと。私は、こういう問題についても日本政府としてアメリカ政府にきっぱりと物を言うべきだというふうに思います。  ちょっと時間がないので先に進みますが、私、この点でこれまで、国際刑事裁判所条約がありますが、この条約はアメリカも日本も批准をしておりません。ここには戦争犯罪ということが明記されておりますが、この戦争犯罪の罪では、戦争犯罪では、ジュネーブ条約違反という、ジュネーブ条約もその対象として含まれており、と思いますが、こういったアブグレイブの刑務所での一連の事件は、この国際刑事裁判所法上も戦争犯罪に問われる可能性があるんじゃないかというふうに思いますが、条約局長、この点いかがでございますか。
  68. 林景一

    政府参考人(林景一君) お答えいたします。  先ほど来、大臣がおっしゃっておりますとおり、この事案そのものについては正にアメリカ自身が司法のプロセスを追求しておるというところでございます。  そういう場合に、これは、国際刑事裁判所、ICCにつきましては、このそもそも第一条のところに基本原則として書いてございますけれども、いわゆる補完性の原則というのを打ち立てております。これは、その国際刑事裁判所自体、非常に画期的な国際裁判所でございますけれども、これと、いわゆる今の国際社会の仕組みであります国家単位で成り立っておるというところの基本とのその調和といいますか、そういうこととの関係におきまして、国内における管轄というものをまず優先する、それを補完する、コンプリメントと、英語でコンプリメンタリーと言いますけれども、そういう補完する立場としてそのICCが管轄を行使するということになっております。  したがいまして、ある特定事案についてその管轄権を有する国、このイラクの案件につきましては米国が今管轄権を行使しておる状況であろうというふうに思いますが、そういう立場にある国が捜査し訴追するという場合には、ICCは管轄権を行使しないということになっております。
  69. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、この占領下でのアブグレイブ刑務所での虐待、拷問事件というのは、これはもう決して看過できない問題で、この点でのやはり真相究明がしっかりとやられると同時に、日本政府としても、このジュネーブ条約違反の問題についても明確な態度でアメリカ政府に迫っていく必要があるんじゃないかと思います。  これは引き続き私もその他の委員会でもやらせていただきますが、今日、わざわざ防衛庁長官がお越しいただいておりますので、弾道ミサイル防衛の問題について、二つの点だけお尋ねをさせていただきたいと思います。  一つは、御承知のとおり、日本海にアメリカのミサイル護衛艦、いわゆるイージス艦が配備をするということの計画が進められているということは周知のとおりであると思いますが、この点については、弾道ミサイル防衛だということをアメリカのイングランド海軍長官も明確にしている。  その点で、私お尋ねしたいのは、そうなりますと今度は、聞くところによりますと、今度配備されるものは、実際にSF3ミサイルは配備をされて、搭載はしていないけれども、事実上レーダー艦としての機能を持つということで、いわゆる情報収集を中心とするものだというふうに聞いておりますが、そうなりますと、このイージス艦といわゆる防衛庁のこれから配備されるイージス艦の情報の共有、日米間でこの弾道ミサイルの情報を共有すると、こういう問題については必然的に日米の取決めないしは日米の、何といいますか運用基準といいますか、そういうものをこれから作る、こういう意向は防衛庁長官としてはあられるのか、この点お尋ねいたします。
  70. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 今度、日本海にアメリカが持ってくると言われております、イングランド長官がおっしゃっておられますようなイージス艦の役割の詳細につきまして私から申し上げる立場にはないと思っております。  それでは、今後、十六年度予算においてBMDをお認めいただいたわけでございますが、それと合衆国とがどのようにして連接をし連携をしやっていくことになるのかということについては、まだ具体的にこのような形で運用するということが固まったわけではございません。当然、情報の共有というものは、それは一般的な情報であります以上は、それを共有することを何ら妨げるものだとは考えておりません。  そしてまた、以前の委員会で御説明したことがあるかもしれませんが、日本のBMDシステムというものは一応我が国の中で自己完結的に運用ができると、こういう構想には基づいておるものでございます。それを踏まえました上で、米国とどのようにして運用について認識あるいは情報を共有をしていくかということは今後の議論であるというふうに認識をいたしておるところでございます。
  71. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、自己完結、自己完結と言いますが、元々この弾道ミサイル防衛システムは、日本もやっているけれども、事実上アメリカが極めて先進的に進めているものでありますし、実際ほとんど買うものなんというのは、イージス艦だってスタンドミサイルだってPAC3だって、ほとんどについてはアメリカの兵器ですから、それは自己完結だ、自己完結だと言っても、事実上日米間で共有、情報を共有するというシステムをこれ作らざるを得ないことは、私は必然なんじゃないかというふうに思いますが、そういう点を防衛庁長官としては言えるわけでしょう。
  72. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、システムとしてどうなのだという話でございまして、先生御指摘のように、確かにSM3にいたしましても、あるいはイージスシステムにいたしましても、あるいはパトリオットにいたしましても米国の技術でございます。  ただ、もう一つ議論をしなければいけないのは、一時代前といいますか、四、五年前ぐらいだったと思います。早期警戒衛星がなくてこのシステムは運用可能かというお話がございました。情報衛星では、撃たれました弾道ミサイルがどこに落ちるか、これは分かりません。早期警戒衛星、つまり静止軌道に乗っておりますところの静止衛星からの情報がなければどこに落ちるか分からない。したがって、自己完結ということはあり得ないという議論でございましたが、今般、私どもが構想しておりますBMDというのは、その静止衛星からの情報というものがなくても日本の主体的な運用が可能である、こういうような構想に基づいておるわけでございます。  したがいまして、先ほど自己完結というふうに申し上げましたのは、運用が日本として自己完結的に行える、しかしながら米国からの情報、あるいはその、情報ですね、それを使い、より効果的に抑止が利くというようなシステム、それは当然あり得ることだろうということで自己完結というふうに申し上げました。
  73. 小泉親司

    ○小泉親司君 私もう一つだけお尋ねをさせていただきますが、昨年の十二月の官房長官談話で、弾道ミサイルの迎撃については防衛出動により対応することが基本としながらも、弾道ミサイルの特性にかんがみ、適切に対応し得るよう、法的措置を含む所要の措置を具体的に検討と言っておりますが、防衛出動が基本なんだけれども、弾道ミサイルの必要にかんがみ適切に対処するために法的措置を取ると、こういうことは実は防衛出動の前からもう既にそれをやりますよということになると、これは非常に重大な問題だというふうに私はこれ思いますが、これは官房長官談話なんで本来は官房長官に聞く話ですが、防衛庁長官が御専門ですから、その点はどういう法的措置を取ろうというふうなお考えなのか、この点だけお尋ねをさせていただきたいと思います。
  74. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 結局、マッハ十で落ちてくるものの、あるいは発射地点にもよりますが、発射されてから到達まで十分以内というようなものに対して、どのようにして適切に対処するかということでございます。そのための法的枠組みとは何だろうかということでございまして、基本的には防衛出動ということになるという考え方もございます。しかし、防衛出動下令に当たっては、先生御高承のとおり、そういうふうな手続というものが必要でございまして、そうなりますと、その十分以内にマッハ十で落ちてくるというものに対して適切に本当に対処が可能なのか、適切に対処するためには法的な枠組みというものをきちんと法治国家として整えるべきではないのかということでございます。  その場合に、防衛出動という考え方がある、あるいは領空侵犯という考え方がある。ミサイルが飛んでくる行為というものをどのように評価をするか、そしてまた迎撃するという行為をどのようにしてとらえるか、それを法的にどう構成するかという問題でございます。領空侵犯、八十四条を使いましたときに、それは航空機ということになっておりますんで、じゃミサイルはそれかねという話にもなるでありましょう。あるいは、それがどのような意思を持って飛んでくるのか、あるいは衛星の失敗、打ち上げの失敗であるというようなこともございましょう。どうやって国民の生命、財産、国の独立と平和、これを法的にきちんと整備をし、裏打ちをした上で運用するかという問題でございまして、どういうような法的な整備が適切かということを検討し議論をしておるということでございます。
  75. 小泉親司

    ○小泉親司君 終わりますが、いずれにしても僕は、この問題は集団的自衛権の行使に踏み込む危険を内包しているので、私はこの点については、ミサイル防衛については直ちに中止しろということを要求して、質問を終わります。
  76. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。  私は時間が大変短いので、御答弁は是非簡潔にお願いしたいと思います。  まず最初に法務省にお伺いいたします。  参議院の調査室の資料によりますと、一九九四年から二〇〇三年までに米国から我が国に対する捜査共助の要請件数は七十九件、逆に我が国から米国に対する捜査共助要請は四十三件となっています。それら日米双方の捜査共助の対象となる犯罪の主な内訳はどうなっているか教えてください。
  77. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) お答えいたします。  日米間の捜査共助の実績につきまして、一件の要請が複数の罪名にまたがったり、米国法の犯罪我が国の罪種のいずれに分類すべきか等の問題もありますことなどから、罪種別の件数の統計は作成しておりませんので、件数の内訳については申し上げることはできません。  しかし、ここ数年の傾向として、一般刑法犯であれば主として殺人罪及び詐欺罪関係事犯の要請が受託及び嘱託とも多いように見受けられ、特別刑法犯であれば主として薬物関係事犯の要請が受託及び嘱託とも多いように見受けられます。
  78. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 共助対象となる犯罪の増減の傾向はどうなっておりますか。
  79. 樋渡利秋

    政府参考人樋渡利秋君) 失礼いたしました。  年度によって変わっておりますので一概に増減を言うわけには、申し上げられませんが、先ほど申し上げましたように、ここ数年の傾向、ここ数年の傾向としては一般刑法犯であれば主として殺人罪及び詐欺罪関係事犯が中心であるというふうになっております。
  80. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 三月十一日付けの共同通信の記事によりますと、昨年一年間に全国の警察が摘発した在日外国人の犯罪は四万六百十五件で、前年より一六・九%増えています。これを国籍別に見ますと、先ほどもお話がありましたが、中国人が件数でも人数でも過去最多を更新したとのことです。しかし、過去十年間で我が国から中国への捜査共助の要請件数は十一件にすぎません。  そこで、警察庁にお伺いしますけれども、国内での中国人による犯罪は中国に対して捜査共助を要請する内容のものではないということなのか、それとも中国は捜査共助の要請の条件が整っていないということなのか、その辺の事情について簡潔に御説明ください。
  81. 知念良博

    政府参考人知念良博君) 我が国における来日外国人による犯罪は、年々増加の傾向にあります。昨年の検挙人員のうち、約四五%を中国人が占めております。  こうした中、中国当局に対し、外交ルートやICPOルートを通じ、関係者の事情聴取、被疑者の人定事項や過去の犯歴の有無の確認などの捜査協力要請を必要とする事案も多数に上っております。中国は、我が国から捜査協力を要請する件数が最も多い国の一つとなっています。警察としましては、今後とも中国との間で外交ルート、ICPOルートを通じ、積極的に捜査協力を推進してまいる所存であります。
  82. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ちょっと、そうしますと、今の、私が提起しました過去十年間で中国への捜査共助の要請件数は十一件というのは間違いですか。つまり、共同通信の記事が間違いだということですか。
  83. 知念良博

    政府参考人知念良博君) 警察の承知している範囲で御説明申し上げますが、昨年中警察が中国に対して捜査共助要請を行ったものは、昨年中でございますが、外交ルートによるものが一件、ICPOルートによるものが百三十六件と承知しております。
  84. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 無形文化財、無形文化遺産保護条約について外務省にお伺いいたします。  本条約の第二条で無形文化遺産を定義していますが、その中にある文化的空間というのはどういう意味でございますか。
  85. 近藤誠一

    政府参考人近藤誠一君) お答えいたします。  本条約の政府間交渉に先立ちまして、用語に関する専門家レベルの会合というのが開かれました。そこにおきまして、この文化的空間の定義といたしまして、人々が社会的慣習やアイデアを実演、共有し、又は交換する物理的又は象徴的空間というふうに定義をされております。したがいまして、これを基に条約ができたというふうに理解をしております。  具体的には、例えばモロッコにございますジャマエルフナ広場というのがございます。これは、音楽、芸術、文学、舞踊等の多岐にわたる活動が行われ、一種の文化の交差点としての場所を提供していると、そういったものがこの文化的空間に入るというふうに考えております。  我が国で申しますれば、風俗、慣習の一つである登拝行事、山に登って礼拝をするという、そういう行事が特に指定をされている場合には、その山がここにある文化的空間に該当するというふうに考えております。
  86. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 文部科学省にお伺いいたします。  我が国が今後世界文化遺産のリストにどういう文化財を推薦なさるおつもりですか。国の重要文化、失礼しました、国の重要無形文化財である琉球舞踊の保存振興策の一つとして、最近沖縄には国立の組踊劇場が完成しましたが、琉球舞踊について世界文化遺産の候補に入れるお考えはございませんでしょうか。
  87. 木曽功

    政府参考人木曽功君) お答えいたします。  本条約発効後に設置されます無形文化遺産のための政府間委員会におきまして具体的な選考基準が定められることになっております。我が国としては何を提案していくかにつきましては、この委員会での選定基準を踏まえて決定されるということになるわけでございますが、具体的には、例えば国の文化財保護法に指定されております重要無形文化財あるいは重要無形民俗文化財の中から選ぶことが考えられます。  いずれにいたしましても、専門的な判断が必要になることでございますので、文化庁の文化審議会における専門的な検討を踏まえて適切に対応していきたいと思っております。
  88. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 文部科学省にお伺いします。  今年度から実施される学習指導要領で喫煙防止教育を小学校六年生で指導することになっているようですが、小学校段階から喫煙防止教育を行うという事情について簡潔に御説明いただけますか。
  89. 高杉重夫

    政府参考人高杉重夫君) 喫煙防止に関する指導につきましてお答えをいたします。  喫煙につきましては、肺がんの原因の一つとなるほか、心筋梗塞とか脳卒中、そういうものの危険性を高めるというような健康に大きな影響を与えるものだと考えております。特に、未成年喫煙というものは、成人の場合に比べまして健康に対する影響やたばこに対する依存度というものがより強まると考えられております。このため、これは従来からでございますけれども、私ども、未成年の段階から喫煙をしないという態度を育てるということが重要であると思っておりまして、子供の発達段階を踏まえつつ、小学校段階から体系的に、体系的、計画的に喫煙防止に関する指導を行っているということでございます。  具体的に申しますと、小学校三、四年、ここでは、いわゆる中学年でございますけれども、ここでは毎日を健康に過ごすというために、食事、運動、休養、睡眠と、いわゆる基本的な生活習慣を身に付けるということを中心に指導しておりまして、こうした内容を前提といたしまして五年生、六年生におきまして望ましい生活習慣の確立、これが生活習慣病の予防に必要であるという、この関連におきまして六年生において喫煙の健康を、喫煙が健康を損なう原因となることということを理解をさせるという指導を従来から行っておるところでございます。
  90. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先日、十一日の本委員会で、在日米軍の軍人軍属とその家族の私有車両、いわゆるYナンバー車が車庫証明もなしに登録している問題について事実を確認いたしました。これに対して、国交省の中山自動車交通局技術安全部長は、事実であり、このような取扱いは不適切であると答弁され、遺憾の意を表明されました。この問題は、六年前の一九九八年五月以来、国会で取り上げられてきた問題であり、一体外務省はこれまでこの問題に対してどのような対応をしてこられたのですか。米兵の車庫証明なしの自動車登録は明らかに違法行為であり、直ちに解決すべきだと思いますが、外務大臣はどう対応なさるおつもりですか。
  91. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この件については、これはこのような状況があるということは、日米地位協定に照らしても不適切であるというふうに考えています。これについて、今までいろいろな努力を行っておりますが、今後とも関係法令の適切な適用が早急に確保されるように、引き続き米側との間で協議を行っていきたいというふうに思っています。
  92. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 六年前に問題になって、いろいろ対策を取っておられると言うんですが、どういう対策を取っておられるんですか。
  93. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、現在のこの不適切な状況を改善するということで米側との間で協議を鋭意行ってきております。  具体的に申し上げますと、平成十年の六月以降、米側との間で日米合同委員会、それから平成十四年四月の三日、それから今年の五月十三日に日米合同委員会合意の見直しに関する特別分科委員会、その他日米間の様々な場を通じまして協議を行ってまいりました。また、日米合同委員会合意の見直しに関する特別分科委員会の日米の議長の間で、平成十五年の十一月以降、本件に関し幾つかの書簡の交換が行われてきているところでございまして、これらの協議を通じまして問題の解決を図っておりますし、今後とも鋭意協議を進めてまいりたいというふうに考えております。
  94. 山本一太

    委員長山本一太君) 時間ですので、短くお願いいたします。
  95. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい。  協議を進めるとか書簡の交換とかといってやっているんですが、なぜ解決しないんですか。簡潔にお答えください。どうして解決しないんですか、違法な行為が。
  96. 山本一太

    委員長山本一太君) 簡潔に御答弁お願いします。
  97. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 協議は、先ほども申し上げましたように、鋭意行っておりますが、協議の内容につきましては、先方との関係もあり、答弁をここでは差し控えさせていただきたいと思います。
  98. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  99. 山本一太

    委員長山本一太君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、刑事に関する共助に関する日本国アメリカ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  100. 山本一太

    委員長山本一太君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、無形文化遺産保護に関する条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  101. 山本一太

    委員長山本一太君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、たばこ規制に関する世界保健機関枠組条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  102. 山本一太

    委員長山本一太君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会