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2004-03-30 第159回国会 参議院 外交防衛委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任         愛知 治郎君     桜井  新君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 一太君     理 事                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 阿部 正俊君                 荒井 正吾君                 河本 英典君                 桜井  新君                 月原 茂皓君                 中島 啓雄君                 矢野 哲朗君                 岩本  司君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 田村 秀昭君                 若林 秀樹君                 荒木 清寛君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        防衛庁長官   浜田 靖一君        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣府政策統括        官        武田 宗高君        警察庁長官官房        審議官      米村 敏朗君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        防衛庁防衛参事        官        安江 正宏君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        防衛施設庁建設        部長       河野 孝義君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務大臣官房外        務報道官     高島 肇久君        外務大臣官房審        議官       鶴岡 公二君        外務大臣官房領        事移住部長    鹿取 克章君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        外務省北米局長  海老原 紳君        国土交通大臣官        房審議官     鈴木 久泰君     ─────────────   本日の会議に付した案件在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務  する外務公務員給与に関する法律等の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (外務省改革に関する件)  (自衛隊の海外派遣に関する件)  (北朝鮮情勢に関する件)  (在外米軍の再編問題に関する件)  (在日米軍基地問題に関する件)  (日米地位協定上の刑事裁判手続に関する件)     ─────────────
  2. 山本一太

    委員長山本一太君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、愛知治郎君が委員を辞任され、その補欠として桜井新君が選任されました。     ─────────────
  3. 山本一太

    委員長山本一太君) 在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は既に終局しておりますので、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律等の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  4. 山本一太

    委員長山本一太君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  齋藤勁君から発言を求められておりますので、これを許します。齋藤君。
  5. 齋藤勁

    齋藤勁君 私は、ただいま可決されました在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合各派共同提案による附帯決議案提出いたします。  案文を朗読いたします。     在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   今日、我が国としても国際社会の責任ある一員として日本外交を主体的かつ積極的に行うとの立場から、在外公館警備を始めとする危機管理体制強化を急がねばならない。   一方、外務省は、グローバル化する今日の国際社会にあって、我が国国益を踏まえた能動的かつ戦略的な外交展開することを求められており、そのために機構改革を含む外務省改革を早期に実現しなければならない。   これらを踏まえ、政府は本法の施行に当たり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。  一、外務省は、平和構築のための国際社会取組に積極的に寄与できるよう、在外公館警備を始めとする危機管理体制強化全力で取り組むこと。  二、外務省においては、国民生命財産を守り、領土領海を守り、国益を守るために、本省在外公館との緊密な連携の下に、日本外交の適切かつ効果的な力強い展開を図り、不祥事の再発を防止し、信頼を回復するために、より一層の情報公開外交機能強化のための組織制度改革全力で取り組むこと。  三、我が国の深刻な財政事情並びに民間の厳しい諸情勢を厳粛に受け止め、在外公館に関わる予算の効率性透明性を高めるための具体的措置を講ずること。  四、現下の厳しい国内情況にかんがみ、在外職員在勤基本手当並びに諸手当についても、各任地における諸外国外交官及び日本企業駐在員給与制度及び水準参考としつつ、勤務条件・現地の生活環境物価水準為替相場などを総合的に勘案し、適切な水準内容となるよう努めること。  五、日本海呼称問題に関する誤った対応を二度と繰り返さないために、在外公館における訓令に対する履行履行状況本省への報告等の確実な実行を確保するとともに、在外公館における日本海呼称履行への取組を徹底すること。  六、在外公館においては、犯罪・テロ対策など在外邦人に対する安全対策について一層の機能強化を図ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  6. 山本一太

    委員長山本一太君) ただいま齋藤君から提出されました附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  7. 山本一太

    委員長山本一太君) 全会一致と認めます。よって、齋藤提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、川口外務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。川口外務大臣
  8. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ただいま在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律等の一部を改正する法律案を可決いただきまして、誠にありがとうございました。  法律案と同時に可決されました附帯決議については、これを厳粛に受け止めます。  在外公館警備を始めとする危機管理体制強化については、万全を期すよう努めてまいります。  外務省組織機構改革については、我が国国際社会でリーダーシップを発揮し得る戦略的かつ機動的な体制を構築するための改編を行っていく考えです。  在外公館勤務する外務公務員給与については、今後とも在勤手当内容及び水準が適切なものとなるよう努めてまいる所存です。  外務省としては、附帯決議の御趣旨をも踏まえて、今後とも種々の課題全力で取り組んでまいります。  誠にありがとうございました。
  9. 山本一太

    委員長山本一太君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  11. 山本一太

  12. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  13. 山本一太

    委員長山本一太君) 外交防衛等に関する調査議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 河本英典

    河本英典君 自民党の河本でございます。  今日は外務省に質問させていただきたいと思いますので、防衛庁防衛庁長官防衛庁はごゆっくりどうぞ。  川口外務大臣におかれましては、就任以来大変な問題、大きな問題抱えながら、特に国会内におきましては、通常から考えれば非常に外務省にかかわる案件、非常に多い国会の中、そしてまたその合間を縫って海外、そしてまた外国の要人を迎えられたり、大変御多忙の中、外交展開していただいていることにつきまして、敬意を表したいと思います。  それで、就任されたときのことを思い出すわけでありますけれども、一番の最大の課題といいますのは外務省改革ということでございました。既に党なりいろんなところでその改革案ということがいろいろ言われて、既に検討されておったわけでありますけれども、大臣、就任されてから御自身、案をまとめられて、それからその中で行動計画を策定されて、外務省改革ということを第一課題として取り組まれたわけでございます。  本来ですと、この激しくグローバルで流動する国際社会の中、またそうした中での外交ということだけでも大変でありますのに、就任される前からの国内においての不祥事等外務省にかかわる大変な問題があったということで、どちらかというと内向き仕事をしながら外交をされたということで、本当に御苦労だったというふうに思うわけであります。  そんな中で、この行動計画を策定されまして、過去二年間これは、今言われておりますのは組織機構改革一つの目立った行動のように思われておるわけでありますけれども、私は、組織というのは、組織の士気であるとか、それから目的を持ってしっかりやっていこうという、そうした組織の団結というものが緩んだ中での外務省改革であったわけでありますから、機構以上に大変なこともあったと思いますが、まず、その機構なり、取り組まれた中で、今まあ進行中であるわけでありますが、うまくいっている点、これは成果が具体的に現れてきたと思える点というふうに言ってもいいと思いますけれども、それからまたうまくいっていない点、これは更なる課題といいますか、当初思っていたのとちょっと違ったなというような点があるんじゃないかなというふうに思うわけでありますけれども、今後取り組んでいくべき課題ということを認識されておると思うわけでありますけれども、それについてひとつ大臣からお伺いしたいというふうに思います。
  15. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃっていただきましたように、外務省改革は非常に当初から大きな課題であり、そして、引き続き課題であり続けているというふうに思っております。この改革については、その過程で、国会からも、国会議員の方からもあるいは党の方々からも大変にお知恵をいろいろいただきまして、支持、支えていただきました。  それで、いろいろな制度を、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないか。うまくいきつつあるということも、まだうまくいっていないということも、両方合わせてやはり意識改革であるというふうに思います。意識改革についてはかなり変わってきている。ここで、じゃ、十分かというと、そうではないということなのかなと思っております。  それで、いろいろな、例えば省内の応募ですとか公募ですとか、ポストについての公募ですとか、民間方々の登用ですとか、あるいは機構領事部領事局にするとか、いろいろなことをやっておりますけれども、その成果があったかどうかというのは、私は、最終的には外務省がいい外交ができるようになっているかどうかということで評価をされるということだろうと思います。そういう意味で、それからまた、領事部分については、国民の方から外務省のやっている取組がいいという評価をいただけるようになるかどうか、特に外国外務省と接した方々評価ということであろうかと思います。  それで、そういう意味でいい方を若干申し上げさせていただきますと、領事部門についての評価という意味ではかなりいろいろなお褒めのお手紙をいただいております。例えば、新しく導入したシニアボランティア制度等につきましても、大変にいい試みであるということで評価をいただいたお手紙、もっと門戸を開いてシニアボランティアを増やしてほしいということもおっしゃられています。それから、領事部取組については、例えば年末年始の休みだというのに緊急の旅券を発給をしていただいて、役所だからあきらめていたんだけれども、そういうことをしていただいてありがとうというお手紙ですとか、顧客志向がかなり身に付いてきたかなというふうに思います。  それから、外交でいい成果を上げてきている、日本外交海外で見て存在感があるという形でいいますと、これは海外でいろいろな方に私がお会いしたときに、よその国の外務大臣があるいはよその国の外務省方々からそういう評価をいただいています。一番端的なその成果としては、この間別な場で申し上げましたけれども、例えば、今回延期になってしまいましたけれども、アラブの首脳国会議首脳会議の場に、どこかの特定の国をオブザーバーに呼んだということは今まで全くないんだけれども、今回は是非日本に来てほしいということを言っていただいたということが一つ挙げられると思います。  それから、四月の五日に、もう一つの例ですけれども、西バルカン平和定着経済発展閣僚会合ということを日本でいたします。これは、平和定着試みというのをずっと日本でやってきていますけれども、これについて、EUの議長国のアイルランドとの共催で、西バルカン、すなわちアルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチアといったような国々ですけれども、その閣僚を招請をして、切れ目ない平和定着から経済発展までということを日本会議をするということで、こういったことは非常に総合的、戦略的、創造的な外交取組ということが根付いてきている、それをやる人が非常に増えてきている、考えている職員が増えてきているということで評価をされることであろうかと思います。  また、透明性情報公開という観点からいいますと、タウンミーティングをこれで九回いたしまして、それぞれ出席なさった九割ぐらいの方から大変にいい試みであるという御評価をいただいておりますので、今後も引き続き続けていきたいと思います。  外務省改革というのは、私は不断にやっていかなければいけないと思っていまして、少しずつその芽が出てきているという実感をみんなでかみしめながら、引き続き、事態、情勢はどんどん変わっていきますので、それに対応する柔軟な組織、柔軟な発想を持ち続ける外務省でありたいというふうに思っております。
  16. 河本英典

    河本英典君 外務大臣、そのようにおっしゃっていただいて、うまくいっているという実感があるということは非常にいいことだというふうに思います。それが全職員もそのように感じていただきたいし、そういった評価されるということがまたやりがいにつながるわけでありますし、今までのマイナス分をプラスに転じていただくということが非常に大事であるというふうに思います。  幾つか例を挙げていただきましたけれども、そういったことも後ほどまたお話しさせていただきますけれども、広報という観点からも、こうした、こうした、あれしたというのも、何か自慢たらしく言うわけじゃなしに、着実にしているのだということがしみ渡り、伝わるような広報ということもしっかりやっていかにゃいかぬなと。今までは、外交ということは外のことだから余り分からなくていいんだというような物の考え方が根底にあったかというふうに思うわけでありますけれども、そうじゃなくて、もうこのごろは情報化社会でもありますし、よその国からも聞こえてきたり、日本から、日本国内のことが向こうに伝わったりする時代でありますから、もうその辺で、ひとつ考え方をこの際変えていただいて、そういったことで推し進めていただきたいなということをお願いするわけであります。  次に、さっきの話の中にあったわけでありますけれども、進めていく外交政策の中で評価されるべきものだという話があったわけでありますけれども、やはり総合的、中長期的、戦略的視点でこれからの外交政策をやっていかにゃいかぬということは当然のことでありますけれども、まさしくそれが求められておるわけであります。この間の機構改革の中で総合外交政策局在り方について何か少し、ちょっとほかの局より上位に位置付けるというような話を伺っておったわけでありますけれども、その総合外交政策局在り方強化ということについてどのようにお考えかということをお伺いしたいと思います。
  17. 阿部正俊

    ○副大臣阿部正俊君) 先ほど大臣からもお話ありましたように、総合的、戦略的な外交展開ということで、そう一朝一夕にできないものだとは思いますけれども、機構的にもしっかりしたものを作ろうということで願いを込めて総合外交政策局を作ったということでございまして、位置付けとしてはやはり外務省全体の言わば筆頭局といいましょうか、というふうな位置付けにするという考え方でございます。  具体的には、やはりお役所というのはうっかりしますと局単位に分かれてしまう傾向がありますので、その弊害を取り除くというふうな趣旨で、はっきりそういう意味での総合的な政策展開する。局ごとの施策、実施局はそれぞれありましても、全体の戦略はそこで練りましょうということで、戦略的、総合的外交一つ機構として作り上げたというふうに御理解をいただきたいと思っております。先ほど言いましたように、一朝一夕になかなかいかないことでございますけれども、そういう意欲を持って取り組んでいきたいと思っています。  なお、あえて申し上げますと、それの局の筆頭課でもあります総務課ですけれども、これの仕事の体系も、言わば決まった補佐、係長、何とかということを、決まった形だけではなくて、ユニット制とでもいいましょうか、というふうな事務処理型のスタイルではなくて、問題解決型で、それが時々刻々に変化する中での一つの重要なポイントに絞って対策をやっていくんだというふうな体制でやっていきたいなと、こんなふうに思っておりますし、そのための審議官クラスも一名増員するとかいうことで、局を横断的に、あるいは場合によっては内閣全体を見渡しながら総合戦略的な外交政策をやるようにしていきたいと、そんなつもりで機構改革をした次第でございます。
  18. 河本英典

    河本英典君 私が聞いておりましたところによりますと、元々総合外交政策局というのはそういうことを最初からしようということでできたというふうに聞いておるわけでありまして、ここでわざわざまた筆頭局にしてやらにゃいかぬというところにまた大きな意味があると思うんですけれども、今ちょっとおっしゃいましたように、省内だけじゃなしに、内閣との連絡、直結の、これは外交というのは本当に大事なことでありますので、そこの役割というのは非常に重要だということで、言うのは簡単でありますけれども、これはなかなかお役所仕事の中でやっていただくのは大変だと思いますけれども、そういった風土に是非とも作っていただきたいなということをお願い申し上げたい。せっかくの機構改革でありますから、そのことをお願いしておきたいと思います。  次に、情報収集ということで少しお伺いしたいんですけれども、今テロとか危機管理事案に対応して、新たな国際情勢の動きを見通してやらにゃいかぬということで、また効果的な外交を行うためにも情報収集は必要であるということで、情報収集情報収集と、言葉では簡単でありますけれども、これはやはりふだんから情報収集問題意識を持って、どういう外交をしていくのか、それから今でいえばテロとか危機管理ということ、非常に大事な問題になっておるわけでありますから、いざ、おかしなことになれば邦人保護というような問題も起こるわけでありますから、事前にやはり物事を組み立てるという意味情報というのは非常に大事であります。これは有形無形、それから大きい小さいいろいろあるでしょうけれども、この辺をひとつ、やっていくについて、外務省でいえば世界の中での情報収集というのの最前線はこれは在外公館であるわけでありますから、ひとつよくこれ考えていかないかぬというふうに思うわけであります。  先日も、この委員会で、タイの、何かよその国の軍事関係駐在外交官軍関係からの情報が非常に正確だったという話がちょっと出ておりましたけれども、本当にこれはありきたりの、在外公館であなたが情報担当ですよというようなレベルじゃなしに、全員が、そしてまたその担当分野、そしてまた政治なり、だけじゃなしに経済、文化の面、そしてまた軍事と言ったら日本の場合いろいろ、いろんな意味があるかもしれませんけれども、軍事的な意味での情報収集も総合的にこれは集めて、集めるだけじゃなしにどのように集約して分析するかということが大事になるわけでありますけれども。  こうしたことを考えますと、現在、これからのその情報収集分析体制において、在外公館情報、どのようにこれからの外交政策に生かしていくかということ、また、今回の外務省機構改革によって外務省情報収集能力というのはどのように高まるんであろうかなということを、これは難しい質問かもしれませんけれども、お聞きしたいと思います。
  19. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 情報収集とそれの活用の重要性というのは、外交をやる立場の人間にとっては基本的なことであろうと思います。今回の機構改革あるいは外務省改革の中で、これも重要視をしていることの一つです。  先生がおっしゃられましたように、問題意識を持つ、問題意識をその本省と出先と共有をするということは私は非常に大事なポイントであると思っています。  それで、よく大使がここに戻ってきて、会議をしますときに私は言うことなんですけれども、外交政策本省で作るんではなくて、現地で作るんだということを申し上げているわけですけれども、その趣旨は、現地の人が問題意識を持って、ある意味では現地の方が早いわけですから、その問題意識本省にフィードバックをする、そして幅広く情報のネットワークを構築しておいて、そこから情報を集めるということが重要であるというふうに思っています。それで、その情報が、在外で集められた情報本省政策の企画立案に生かされるということは、これは日常ベースで行われております。  それから同時に、国際情報、現在でいえば国際情報局でございますけれども、そこにおいてもそういった情報がほかの情報と併せて整理をされていて、またその提供をされている、政策当局に提供をされているという関係がございます。この国際情報、今で言うと局ですが、この集める情報、ここのある意味での政策当局からの独立性ということも重要だと私は思っております。  それで、機構改革においては、そういう意味で、専門性レベルを上げるという意味で国際情報局を国際情報統括官の下で専門性の高い組織に改編をしていくということがねらいでして、政策部門との連携を強化しながら、総合的、それから省内横断的に情報を集め、分析をしていくということの体制強化をするということでございます。  それで、細かい機構改革関係の、何を変えるかということはあえて触れませんけれども、そういったことを意識して、今後の課題としては、これは分析能力、これを更に強化をしていかなければいけないということだと思います。それから、どういう先から情報を入手をするか、この情報の入手先を更に広げていく、この二つが課題であると思っております。
  20. 河本英典

    河本英典君 是非とも、機構改革だけでなしに、機能的な面でそれを上げていただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。  それから、外交をやる外務省でありますけれども、いろいろ、予算案であるとか今大変な時期であることは間違いないわけでありますけれども、他の主要国と比較して日本外務省体制という、例えば在外公館の数であるとか、それから人員、これは、こんなことを言ったらちょっとこの時期に言うのはおかしいのかもしれませんけれども、しかしあるべき姿というものを、やはり例えば主要国と比べて極端に少ないであるとか、これから外交が必要ならばこそ、更にもっと充実、このレベルまで上げたいというような数字をしっかり私持っていただいて、これは中長期計画になると思いますけれども、外交を本当に高める意味で、とりあえずは外務省改革として機構改革なりしていただきましたけれども、もっとそうした意味の充実も頭の中に描いておいていただきたいなと。また、そのことも国会等で話が出るように、その種をまくと言ったらおかしいかもしれませんけれども、認識をしておいていただく必要があるんじゃないかなというふうに思うわけです。  私が聞いただけでも、在外公館の数というのは、日本は、我が国は百八十九でありますけれども、フランスが二百七十四、米国は二百五十八、英国は二百四十八、イタリアが二百三十四、ロシアが二百三十二、中国は二百二十三、ドイツが二百十三。  もう一度言いますけれども、我が国は百八十九ということで、在外公館の数が多けりゃいいという問題じゃないでしょうけれども、この数だけでも少ないわけであります。人員も当然少ないはずでありましょうから、増やせというのも今の時期に言うのはおかしいかもしれませんけれども、あるべき姿ということを描いて、これだけの外交をしたいと、そのためにこれだけ要るんだということも少しは考えておかないかぬなというふうに思うわけでございますので、あえて問題提起としてこの場でお話しさせていただくわけでございます。  どのように考えておられるかだけ、少しだけコメントをいただきたいと思います。
  21. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃられましたように、我が国外務省の人数、外交、出先の公館の数、これは世界の主要国に比べると本当に段違いに少ない状況にありまして、外交の足腰を強くしていくためには、質という点ももちろんありますが、これを強化充実をしていかないといけないと私は思っております。  公館の数について、委員がおっしゃられたとおりですけれども、例えばアジアというどっちかといえば日本の庭と考えてもいい地域においてすら、アメリカは三十九持っている。日本は三十四でして、アメリカよりもここでも少ないという状況です。イギリスと日本はアジアにおける公館数がほぼ同じという状況に今なっているわけでございます。アフリカに至っては、我が国の公館の数というのは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、そういう、失礼しました。アメリカ、イギリス、フランスなんかの半分以下、場合によっては三分の一というようなレベルの数でございます。  そういった中で、外務省の業務というのは、特に最近、近年もう急増しているわけでございまして、職員は本当に徹夜に近い状況、睡眠を削って仕事をしていて相当に疲弊をしてきております。人数が、定員は、日本は五千四百十四名であります。これに対しまして、海外というのはずっと多くて、例えばアメリカですと二万四百八十四、日本の四倍近くあります。フランスであっても九千二百十五、日本の倍近くあるわけでございます。英国、ドイツ、日本よりも五割方多い、そういう人数で仕事をしております。  いろいろ行財政厳しい折でございますけれども、やはり日本外交ということは我が国国益に直結をしていますので重要でございまして、是非、これについて、その定員の適正配置の推進も含めまして人員面での体制の充実をしてまいりたいと考えております。  よろしく御指導いただきますようお願いいたします。
  22. 河本英典

    河本英典君 それから、今外務省改革の進捗状況について具体的に伺ったところなんですけれども、この行動計画、この行動計画の中で主要な課題一つとして、国民との対話の促進と国民及び海外への情報発信の強化のための「広報・広聴体制の再構築」というのが挙げられておるわけでありますけれども、国の外交というものは、国民の理解があって、そして国民の支持を得て、そういう国民の声を後ろ盾にして初めて外国との交渉というのは真っ向から向き合って行えるものだと思っておりますし、また相手の国や、また広く外国国民日本考え方立場というものをよく理解してもらわにゃいかぬ。  だから、先ほども触れましたけれども、ふだんから、そしてまたいろんな場面を通じてその広報というのをやっていかにゃいかぬということでありますけれども、このことを先ほど申し上げたわけでありますけれども、報道官、来ていただいておりますので、ちょっと報道官からお伺いしたいわけでありますけれども、外務の専門家が報道官に、外務報道官に就任されたわけでありますけれども、この報道関係者に対する発信というのは、実際のところ効果的かどうか、タイミングよく行えているのかどうか。外務報道官のスポークスパーソンとしての役割を更に強化すべきというふうに考えておるわけでありますけれども、報道官にお伺いしたいと思います。
  23. 高島肇久

    政府参考人高島肇久君) お答え申し上げます。  御指摘のありましたように、私、長年テレビ報道に携わってまいりましたけれども、おととしの八月、川口外務大臣より、開かれた外務省を作る政策の一環として外務報道官に任命するという辞令をちょうだいいたしまして、以来、報道官としての任務を行っております。  私、自分自身が報道に携わっていた関係から、情報を自ら発信するときに、これを記者であったら、自分であったらどういうふうに原稿にし、また伝えるだろうかということを常に頭の片隅で考えております。  したがいまして、私から情報を伝えていく、記者の皆さんにとってタイミングが良く、しかも分かりやすく要点をきちんと把握した形での情報発信ということを心掛けておりまして、幸いなことに今までのところ記者の皆さんとの関係も比較的スムーズに進んでいるというふうに思っております。  これがなぜ可能になったかというと、一つは、外務省が外部の人間を外務報道官に採用するに当たって幾つかの組織内の改善を行ってくださいました。その一つが、各局各部に報道官との接点になる報道・広報戦略の担当官を任命していただきました。この方々を通じて、各局各部が報道機関に流す情報をどういうふうにしたらより分かりやすく、よりタイミングが良く、しかもこれぞ日本外交のねらいというものが素直に伝わるような、そういう情報をどうやって出すかということを常々話し合っておりまして、随分そうした意味では組織内に協力が得られるようになってきたと思います。  また、現在のところ、外務省は毎日、大臣、それから副大臣、次官、そして私、必ず一日に一回は公式の記者会見をやっておりますけれども、そうしたところでもより分かりやすくというのを皆様が心掛けてくださっている関係でかなり情報発信はうまくいっていると思いますけれども、より効果的な、そしてよりパンチの利いた情報発信ということを心掛けたいというふうに思っております。
  24. 河本英典

    河本英典君 先ほども言ったわけでありますけれども、本当に基本、最初はとにかく下手だったんですから、広報は。それが良くなって、さらに広報重要性ということを全省庁、全省内で全員が認識して、それを自分たち全体が広報官であるというつもりでやっていくために、またそれに協力するということで、表看板が外務報道官なんでしょうけれども、ひとつよろしくお願いしたいということで、質問を終わります。
  25. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 本日は外務大臣には質問をいたしませんので、次の高野先生は聞かれるそうですからそれまでお休みになって、どうぞ。専ら防衛庁長官にお尋ねさせていただきます。  私は、今日長官にお尋ねしますことは、私は三十六年間自衛官をやっておりましたので、そういう立場に立って、自衛官の立場に立って防衛のいろいろな問題についてお尋ねしたいと思っています。  まず、通告しているかどうかよく分かりませんけれども、長官、非常にもうお詳しいのでお答えになられると思いますんで、そこで考えられたお答えで結構ですので。  自衛隊を海外に派遣する場合というのはどういう場合かというのは何にも決まってないんですね。だから、私は、八〇%以上の国民が自衛隊が海外に派遣されるということに賛成をしているときに海外に派遣すべきだというふうに私自身は考えているんです。今回は、自衛隊を支援している人というのは大体国民の八〇%、八十数%だと思いますが、その半分の人たちは賛成してないんですね、反対しているんですね。民主党は反対しているんですよ。ですから、そういう状況で自らの国の軍隊というものを海外に派遣すべきではないと私は考えるんですが、長官はどういうふうにその点、そういう問題をお考えになって、なりますか。
  26. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 民主党が反対されておるということはよく承知をいたしております。党首が憲法違反であると御主張になっておられることもよく存じております。  ただ、これは、当初イラクに自衛隊を派遣をするということについて、国民のかなりの部分が否定的でした。ただ、昨今の世論調査を見ますと、NHK、朝日、毎日、読売、共同と、こうございますが、イラク派遣に賛成である、もちろん設問の仕方にもよりますが、賛成であるとお答えになる国民の方が反対だとお答えになる国民よりも多くなっているということはございます。  私はくだくだと繰り返して申し上げることはいたしませんが、やはりイラク国民にアンケートを取ってみましたときに、どの国に一番来てほしいか、イラク国民が一番来てほしい国というのは日本であると。そして、水が足りない、医療が不足している、あるいは学校が壊れている、そういうようなニーズがある。そして、あの地域の安定、そして日米の信頼、安全保障体制の信頼確保等々、どう考えましても、このイラクというものを日本は支援しなければいけないし、現状において支援できる組織は自衛隊のほかにないという、これは相当に論理的な話なのだろうと思っています。  国民の多くの方々賛成と言っていただけるようになったというのは、私はとても有り難いことだと思っていますし、これを更に広げるべく努力をしなきゃいけない。ただ、先生御主張のように、自衛隊を海外に出すことのみならず、自衛隊が任務を行います際に国民の広い支持と理解というものが必要不可欠でございますので、それを得られるように努力をするのが政治の務めだと私は承知をいたしております。
  27. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は、長官のおっしゃるとおりですけれども、私は政府の説明不足が非常に大きいと思っているんです。  例えば、私のところに、ある自衛官が、私は自衛隊に入ったときに、日本列島の日本の国を守るために入ったのに、どうして私はイラクに自衛官、自衛隊は行かなきゃいけないのかと。そういう質問は長官のところにはしていかないと思うんですけれども、そういうふうに思っている人がいるので、そういう人たちにこうこうこうだよということをきちっと納得できるような理屈というものを、理屈というか説明が欠如していたんじゃないかと、今回ですよ、今回のことで。  だんだん、私は、出すときに国民の大多数の賛成が必要なんだ。だんだん良くなるとかだんだん悪くなるとか、そういう話をしているんじゃなくて、出すときには国民の支持がないと、大多数の支持がないとまずいんではないかと私は思っているんで、それには今回の場合、政府の説明が非常に不足しているというふうに私は思うんですが。  長官は自分の所掌だから、足りないというのはおかしいと思っておられるかもしれないけれども、一般的に何のために行くのかよく分かっていないというのは、もうちょっと徹底させる必要があるということと、政府の説明がもっと懇切丁寧に、国民の理解を得られるような説明をしていないからで、自衛官は命とあればみんなどこへでも行くというのが筋ですから、そういうところがちょっと欠けて、欠如していたんじゃないかと私は思うんですが、そういうふうには思われませんか。
  28. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 当然、政府でこれで十分ということはないわけで、国民の御支持が、例えて言いますと、NHKの世論調査でいうと、イラク派遣賛成が、三月五日から三月七日の時点でございますが、賛成が五一、反対が四三。読売新聞の二月の二十一日から二月二十二日で見ますと、賛成が五八・四、反対が三七・六。朝日新聞の同じような時期、三月の半ばの調査でいえば、賛成が四二、反対が四一ということでございますから、今なお四割の国民が反対しておられるという事実から考えれば、これが更に高まるような努力はしていかなければいけないし、先生御指摘のように出すときにそうであるべきだったと言われれば、私はそちらの方が望ましかったと思っています。  ただ、これはもう先生の問題意識とも多分共通するんだろうと思っていますが、自衛官、失礼、当庁のOBの方で、例えば自衛隊に入ったときに外国に行くなんて思ってもいなかったと、隊員たちはみんなそう思っているぞみたいな御主張をされる方もありました。私は相当な違和感を持ってそれを聞いたのです。  それは、PKO法というものが以前からあり、海外に行くということは、それは国の方針として決まったことであり、そしてPKOとして何回も出しているわけですね。同時に、もっとさかのぼれば、昭和三十二年の国防の基本方針のトップに何と書いてあるかというと、四十七年も前の話ですが、国防の基本方針のトップには、「国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。」と、こう書いてあるわけでございます。先生御指摘のように、じゃ、その三項との関係はどうなるのかという議論は当然ございますが、国防の基本方針のトップに、「国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。」と、こう国防の基本方針にあります以上は、私は自衛隊を海外に派遣をするということが、隊員がゆめさら思っていないとか、あるいは憲法違反であるとか、そういうような御主張は当たらないのではないかと認識をしております。  私は、そういうようなことを、先生御指摘のようにもっともっと国民に分かりやすく広く説明するべきということは、政府として心得なければならないことでございます。そのことはよく認識をしつつ、あわせて、あえて申し上げれば、なぜこのように支持が高まってきたかということを考えたときに、やはりイラクで活動している自衛官の姿が生で国民に伝わってきたと。イラク国民がどれだけ喜び、どれだけ期待し、そして自衛隊がどれだけ真摯に対応しているかということがお茶の間にじかに伝わってきたということも支持が広がっている理由だというふうに考えております。
  29. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 もう一度長官に、自衛官が、私は日本列島を守るために入ってきたので、どうしてイラクに行かなきゃいけないのかという質問に対してはどのようにお答えになりますか。説得のある。
  30. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、まず国防の基本方針というものがある。やっぱりそこは根底だと思っています。そして、国連の決議というものがある。日本は国連の主要な加盟国としてそれにこたえる義務があると私は思っています。いいときだけ国連を使い、要請されたときにこたえないということは、私はその場の御都合主義ではないかと思っています。それが二つ目。そして、三つ目は、本当にイラク国民に、水であり、学校の修復であり、そして医療でありというニーズが存在をしている。そして、イラク国民がそれをだれに行ってほしいかといえば、日本に行ってほしいという高い期待とニーズがあるということでございます。  そして、あの地域は、日本はほとんど一〇〇%石油を輸入に頼っており、イラクを含む中東地域にその九割を頼っているのであって、あの地域が不安定になるということは、そのまま今日の豊かな国民生活を支えておる石油の安定供給ということが脅かされることになるのであって、あの地域の安定は日本国益である。  そしてもう一つは、確かにイラクに出さなくても日米安全保障体制というものが即座に揺らぐとは思っていません。しかし、合衆国がこの厳しい状況の中でイラクに自由と民主主義を基調とする政府を打ち立てようということで大変な困難に遭遇をしているときに、日本は、もちろん武力を行使するわけではない、治安の維持に当たるわけではないけれども、やはりコアリッションの一員としてそれに加わるということは日米の信頼関係の強化につながるだろうと。日米安全保障体制というのは一片の条約で成り立っているものではなくて、お互いが民主主義国である以上、向こうが困窮の状況にあるときに何もしないということが私は信頼体制強化につながるとは思っていない。  そういうようなニーズがあって、今のイラクにおいてそれが行える組織が、ほかにあれば結構ですが、現状からいって自己完結性を持ち、そして権限、能力、装備からいって危険を回避できる力を持っている自衛隊をおいてほかにそのニーズを満たし得る組織がないので自衛隊が行くのだ、私はそのように申し上げております。
  31. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 そういう御説明も納得のいくお話だと思うんですが、私は、自衛官にいたときに、研究開発で、主力戦闘機は、これはアメリカから買わなきゃいけないけれども、アメリカの第一線機を買わなきゃいけないけれども、中等練習機というのは自国で開発するということで、それは自分のところで開発しない限り、私は本当の防衛力にならないという信念を持っておりましたので、中等練習機の開発に携わったんですが、そのときに私はエンジンをフランスから買いたかった。それで、アメリカのペンタゴンに行って、私はこうこうこういう理由でフランスのこのエンジンがいいと思うと、買いたいと思うということを言いましたら、向こうの私のカウンターパートが何と言ったか、ああそう、それじゃ太平洋をフランスに守ってもらえよと。私は一言も返事、ああそうか、唖然として、そういうことなんだなと。だから、今、日本が本当に行かなきゃいけない理由はアメリカから言われたからなんですよね。  それはなぜかというと、日本は自分の国を自分で守る決意もないし、そういう体制にもないと。アメリカに守ってもらっていると。じゃ、守ってもらっている人が行けと言ったら行かざるを得ないというのが私は現実の、だからそれに対して、やれアメリカの言うのはけしからぬとかなんとかという人は日本が中立国だと思っているからですよ。中立国では全然ありませんということをもっと国民に分かるように説明する必要があるんではないかと。現実の問題だから。  それは政治が解決する問題だということになるかもしれないけれども、それは政治というのは国民とともにあるわけですから、それに分かるようにしないといけないんじゃないかなと私は思っております。長官はどういうふうに思いますか。
  32. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生はすべて御存じで、そして御理解なさった上でおっしゃっておられるのだと思います。  アメリカに言われたからという言い方をするか、それとも、私が先ほど申し上げましたような日米の信頼関係を更に強固なものにするか、その言い方はいろいろなのだろうと思っています。  アメリカ合衆国が、湾岸戦争のときは出しなさいということ、いいですよ、それぞれ兵を出しなさいとかお金を出しなさいとか具体的なオーダーがあった。しかし、アフガンにしても今度のイラクにしても、考え方はコアリッションというものに変わっているのだということも我々は認識をしなければいけないのではないかと思っています。つまり、この指止まれ方式と申しますか、参加したければどうぞと、しなければしないでよろしいという、私はそういう変化があるのだということも認識をしなければいけないのだと思っています。したがって、言われたからとか、そういうこととは少し違う状況が生じているのではないだろうか。  そして、対米従属ということ、言葉、あるいはアメリカの言いなりという言葉で表すのか、それとも信頼強化という意味で言うのか、同じことでも言葉の表現によって随分違うだろうと。  私は、思っていますのは、一部の論調にありますように、対米従属とか忠犬ポチ公とかそういうような議論がございますが、私はそうだとは思っていない。実際に、日本を防衛するということを現実でもって考えたときに、本当に日本は同盟を離れて独力で守ることができるか、あるいはアメリカ以外のパートナーをめっけることができるかといえば、それは極めて困難な選択ではないかという認識は持っております。
  33. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 分かりました。  まず、これから申し上げることが私の最も申し上げたいことなんですが、そういうことで自衛隊を出す、派遣するということになったときに私は政権政党が非常に怠慢だと思うのは、自衛隊の位置付けを明確にして、軍隊なのか何かがはっきりしないわけですよね、よその人はそうかなと思っているだけで。それで、明確にして行かないと国際社会の中では日本は変な国だというふうになってしまって、かえって出さない方がいい結果になってしまうんですね。いろいろな武器使用の問題とか、PKOでも大分そういうのがあるんですが、オランダ軍がやられたときには助けられないとか、そういうようなことはきちっとしてから出さないと、これは政権政党がやれることですからね。やらないというのは怠慢だと私は思うんですね。  やれないんだったら出すなと思うんですが、私が自民党を最も信用しないのはその点なんです。それでみんないい加減に、なし崩し的に出していくと。そういうことはいつまでも、一時的にはいいかもしれないけれども、そんな五十年も六十年もやる話じゃないと。そこのところをきちっとできないんだったらもう政権から離脱する必要がある、やれないんならと私強く思っているんですが、ちょっと厳しいことを申し上げて大変申し訳ありませんが、そういうところをきちっとしないと何しているんだか分からなくなるわけですよ。と思うんですが、長官はこれからそういうのを直していただける人だと私は信じておりますので申し上げたわけですが、いかが御所見をお持ちか。
  34. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 今年で防衛庁・自衛隊ができて五十年です。今先生御指摘のような議論は、本当はもっと早くにきちんと行われるべき議論ではなかったかと私は個人的に思っています。すなわち、自衛隊って軍なのかどうなのかというお話は、ネーミングのお話ではなくて、軍とは何であり警察とは何であり、その相違は何なのかという根源から議論をしないと本当は駄目なお話であって、名前だけ、じゃ自衛隊を自衛軍に変えればそれでお話は解決なのかといえば、そんなものではないだろうということでございます。  それはかつて先生からも御教示をいただいたお話ではございますが、軍にとって必要なもの、必要な名誉あるいは必要な規律、そういうようなものについてどうなのか、あるいはポジリスト・ネガリスト形式というものをどのように考えるべきなのか、そういうような問題が実はたくさんございまして、それが単なるネーミングのお話で片付くことだとは私は思っておりません。そういう場合に、では、警察との関係、海上保安庁との関係、そういうようなものもきちんと議論をしていかねばならないだろうと思っております。  なお、先生御指摘の、イラクに出した自衛隊がオランダを守れないというのはおかしいではないかという御議論があることはよく承知をいたしております。ただ、実際にイラクの地においてそういうニーズが発生するかといえば、それはまず発生しないと考えておりますし、同時に、自分を守る、自己を守るという点において私は権限も装備もそして能力も決して他国に遜色があるものだとは思っておりません。イラクに自衛隊を出すことについて、自分も守れない、自衛隊の手足を縛って出すようなものだという御指摘は、私は正鵠を射ていないのではないかというふうに認識をいたしております。  いずれにいたしましても、先生御指摘のようなお話は本当にきちんと向き合っていかなければいけないものであって、本質を糊塗するような議論ということがあるとすれば、それはあってはいけないことだと自戒をいたしております。ただ、そういうような議論がこれから先政治の場において、政府と申しますよりも政治の場において、与党、野党の中においてきちんとなされていくことが国民の御理解を深めることになるのであり、私は、自衛隊の在り方を議論しますときに本当に多くの国民が議論の本質というものを御理解をいただき、賛成にせよ反対にせよ、その上で御議論をいただき成案を得るべきものではないかと認識をしています。
  35. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 私は、長官、自衛隊は警察の予備だと思っているんです。法制的にもそうだし、全然軍ではない。ですから、警察の予備なら予備としてそれで行くんだと。それをさもどっちか分からないような、いい加減な、なし崩し的なやり方というのが良くないと。今現在は、私は自衛隊は軍隊ではなくて警察の予備だ、警察の予備軍。だから警察予備隊と言ったんですよね。それから何にも変わっていない。  だから、我が国は軍隊を持っていない国だということでいいんならいいと、警察の予備ですよということで国民にきちっと説明する必要があるんじゃないかということを申し上げているんです。
  36. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 警察予備隊があり、警察予備隊令があって、それから保安庁法になって自衛隊法になっていくという経緯はそのとおりでございます。  しからば、警察の予備、単なる警察の予備としての性格しか持っていないかといえば、防衛出動の権限というか規定があり、そしてまた防衛出動時の権限というものは付与されておる。それは警察という組織が絶対にやってはいけないことであって、私は、本当に単なる警察の予備なのかといえば、そうではないと思います。  しかしながら、警察の予備的な性格というものをなお残している。しかし、時代が変わって、これは本当に先生に御教示をいただきたいことなのですが、例えば軍事力の警察的な活用という、逆にそういう側面というのも生まれているわけであって、別にそれを奇貨として用いようとかそんなことを申し上げているのではないのですが、軍と警察との在り方というものはきちんと議論をもう一度しなければいけないことだろう。そして、じゃ、アメリカではどうなっておるか、フランスのジャンダルムリーというのはどのような組織であるか。軍と警察との在り方というのは、それはきちんと議論をされるべき問題だと認識をしております。  ただ、私は、今の自衛隊というものが警察の予備的なものであって、全くそういうような役割しか果たしていないにもかかわらず海外に出たり防衛出動したりすることはどうなのかという御議論は、私は必ずしもそうだとは思っておりません。
  37. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 その件についてはまた質疑することといたしまして、若干、自衛官の処遇についてお尋ねいたします。  その前に、今の北朝鮮のノドンとかテポドンというのが日本の千五百から三千ぐらいで日本の射程に入っている、これに対するディフェンスというのはどのようにお考えなんですか。
  38. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 当然、外交的、平和的に、六者協議もございますが、やっていかねばならぬということはまずございます。にもかかわらず、ありとあらゆる外交的な努力にもかかわらずそのような状況になったらどうするのかということになれば、それは打撃力は、ガイドラインの際にも議論をしたことでございますが、打撃力は合衆国が負うのであるということが一つ。  もう一つは、やはりどのようにして被害を極小化するかということ。それは、今回、国民保護法制を御議論いただければと思っておるわけでございます。政府としては法案をお願いしておるわけでございますが、仮にそうなったときにどのようにして被害を極小化、できればゼロにするかということもあろうかと思います。  ディフェンスという意味でいえば、今MDを持っているわけではございませんので、それを撃ち落とすという能力を持っているわけではございません。我々として、いわゆる法的な議論は別といたしまして、仮に北朝鮮といたしますと、それをたたく能力というのは米国にゆだねておるという形でございますから、そういたしますと、我々としてはいかに正確に情報を把握をし、アメリカの抑止力というものがきちんと働き、そして万々々が一のときにはどのようにして被害を極小化するかということを考えていかねばならないと思っています。
  39. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 調達の不祥事があってから、防衛庁の装備品の取得について一般競争原理を導入するということでやっておられるようですが、私はとんでもない話だと。自衛隊の装備品を一般競争入札するってどういうことなのかと。  そんな、一般的に聞こえのいいようなことを言っているけれども、そういうことを実際にできない。石けんやたわし買うわけじゃないんだから。できないことを、どうしてそういうことをやって、防衛産業の基盤を育成することがどうしてできるんですかということを長官にお尋ねしたいと思います。
  40. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、すべて一般競争入札でやっておるわけではございません。先生御指摘のように、たわしや石けんを買うわけではございませんし、防衛装備品の特性、特質というものもございます。それは、物に応じてその調達のやり方というものを変えるわけでございまして、一般競争入札に見合わないもの、そぐわないものを、そこまで一般競争入札にしておるわけではないことは先生御案内のとおりでございます。
  41. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 武器輸出三原則を見直した方が私はいいと思っているんですが、かつてC1輸送機とかPS1の救難機は通産大臣が武器でないと答えておられるんですね。ですから、今開発中のCXとかUS1A改を国連に売ったらどうかと思うんですが、売るというか国連に買ってもらう、国連主義なんだから、国連主義と言っておられるから。いかがですか。
  42. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) かつて、河本通産大臣であったかと思いますが、先生御指摘のように、US1あるいはC1、これは所管の経済産業省、失礼、通商産業省として、通商産業大臣としてそういうものではないと御発言になったことは承知をいたしております。  そうなった場合に、国連かどうかは別にいたしまして、それが例えばその救難、救難機としてといいますか、飛行艇としてUS1というのは大変優れた能力を持っているものであって、もし他国から、あるいは国連からそれを買いたいということがありました場合に、それは私は検討すべきことではないかと思っております。  つまり、また物が変わっておりますから、その時々の評価は必要ですし、判断は必要でございます。ですから、言い切るわけではございませんが、かつて通産大臣がC1あるいはUS1、これは武器ではないというふうにお答えになった。それを前提にして申し上げました場合に、あるいはCXあるいはPS1改というものをどうするかという議論は、議論としてあり得ることだと思っております。ただ、その場合に耐空証明をどう取るか、そういうような技術的な問題はございますけれども、過去からの脈絡で申し上げればそういうことも言えようかと思っております。  もちろん、新しいものでございますから、そのときそのときの判断が必要なわけでございまして、私が今防衛庁長官としてそういうことを是ということを申し上げる立場にないことは当然でございます。
  43. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 時間がございませんので、最後に自衛官の叙勲制度について、余りにもひどいので、自衛官は人間じゃないと思っているのか、犬か猫ぐらいに思っているのかどうか分かりませんが、統幕議長がもらう勲章というのは沖縄の海兵隊の副司令官と同じなんですね。だから、統幕議長は何するかといったら沖縄の海兵隊と調整をすると、そういうことになってしまうわけですね。ですから、ちょっとこの叙勲なんかもひどいんじゃないかと。防衛庁から少し賞勲局に文句言ってもらいたいなと。私は、これじゃ、何か米軍はみんな勲一等なんですね、米軍の在日米軍司令官とかそういう人は。それで、統幕議長というのは一番自衛官の中で偉いという、高位の人が在日米軍副司令官、海兵隊の少将と一緒なんですね。やっぱり、どういうことなのか、アメリカの下で働けと言っているのか、どういうことなのか御説明いただいて、少し自衛官についても人間らしい取扱いをされるように強く希望して、お答えだけいただいて、質問を終わりといたします。
  44. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) もちろん、我々は先生御指摘のように思っているわけではないことは先生御承知の上で御質問なさっておられるのだろうと思います。  私は、よく申し上げているのは、訓示でもあいさつでも申し上げているのは、事に臨んでは身の危険を顧みず身を挺して国民の負託にこたえるという宣誓をしている人たちが政治を信用しなくなったらばこれは大変なことだと、ある意味でシビリアンコントロールというのは成り立たなくなる、やはりそういうような宣誓をした人が信じられるような体制でなければ駄目だということは申し上げております。そういう意味から、先生の今の御質問は重く受け止めて考えなきゃいけないという問題意識を強く持っております。  併せまして申し上げれば、危険な業務に従事した人に対して、新しく勲章が授けられるようになりました。私は、ランクの問題ももちろん認識としては持っております。同時に、統幕議長あるいは各幕僚長というものが自衛官として本当に高位にあるということも存じております。と同時に、本当に危険な業務に従事をしている自衛官に対してこのような勲章が与えられるようになったということは、私は大きな進歩なのだと思っています。  同時に、栄典を議論いたしますときに、それでは紀律というものをどう考えるかということも併せて考えねばならない。これは、先生冒頭に御質問の自衛隊とは何なのかということにすべて帰着する議論だという認識を持っておる次第でございます。
  45. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 終わります。
  46. 高野博師

    ○高野博師君 外務大臣に最初に北朝鮮の問題についてお伺いいたします。    〔委員長退席、理事舛添要一君着席〕  今朝通告したばかりなので、準備されているかどうか分かりませんが、北朝鮮も竹島の切手を発行する予定だという情報がありますが、まあ北朝鮮は竹島の領有権を主張する意図はないと思われますが、なぜ北朝鮮までこの竹島の切手を発行しようとするのか。朝鮮切手社によると、将来の南北統一をにらんでのメッセージだと、こう言っているらしいんですが、特定船舶入港禁止法の措置等への牽制なのか、あるいはどういう意図を持ってやろうとしていると政府は見ておられるのか。国家主権の問題でもありますし、国家の尊厳にもかかわる問題だと思うんですが、どういう意図だと見ておられるのかということと、どうするのか、これについてお伺いしたいと思います。
  47. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この報道につきましては、私も昨日でしたか週末でしたか、それを見まして、昨日、事実関係はどうなのか、確認を把握するようにという指示を出しておりますけれども、今までの時点で何らかのことが確認できたという報告はまだ私はもらっていません、まだ確認できていないと思います。  それで、それが事実としてということで申し上げることになりますけれども、その場合に意図は何か。これは北朝鮮は非常に不透明な国でございますので、そういったことについては非常に分かりづらいというのが、正直にお答えをするということであればそういうことでありますけれども、先ほど先生がおっしゃった、韓国と北朝鮮は同一民族であるということに立って、その一体性を前提に将来に向けて何か主張しているという可能性も、これ全く私の個人的な推測でございます、そういうこともあり得るかと思いますけれども、いずれにしても実態についても確認をまだできておりませんし、したがって政府としてこういう分析をしていますということを申し上げるということはまだできない状況であります。  それから、それではどうするのかということですけれども、これもまだ、まず確認をするということがありませんと公的に何ら行動が取れないわけでして、その確認できたということがまずあって、その上でこれは、日本の竹島は歴史的にも国際的に、法上も我が国の固有の領土でありますから、その旨をきちんと主張をしていくということであると私は思っています。
  48. 高野博師

    ○高野博師君 確認できたときはもう発行されているんじゃないでしょうか。私は、何らかのメッセージを、抗議のメッセージをきちんと出しておくべきだと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。  台湾情勢についてお伺いいたします。  選挙の結果について、この間の総統選挙の結果について、再集計をするのか、再選挙になるのか、いろんな声もあって、野党側の声もあって若干混乱をしているのでありますが、アメリカが二十六日に陳水扁総統の再選に祝意を表したということは、選挙結果を認めたと、陳水扁の勝利を認めたという意味になるんではないかと思うんですが、そういう既成事実を今の段階で作っていいのかという私は疑問があるんですが。  米国は陳水扁を歓迎しているのかどうか分かりませんが、我が国はそれではどうするのか、何らかの声明を出すのか、出さないのか。一つの中国という原則に立てば、それは中国の国内問題だということであれば何にも意思表示をしないということになるのか。あるいは、これまでの日台関係を考えたときに何らかのメッセージを出すのか、それはどういうふうにお考えなんでしょうか。    〔理事舛添要一君退席、委員長着席〕  ちなみに、中国は、もし台湾がこの混乱が続いて社会的な動揺が続く場合には、そして台湾同胞の生命と財産が危うくなるなら我々は座視できないと、こういうことも言っておりまして、座視できないということはどういうことなのか明らかではありませんが、いずれにしても、この選挙に対して日本政府はどうしようとしているんでしょうか。
  49. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  今委員が御指摘のとおり、正に台湾の選挙でございますけれども、陳水扁総統が非常に僅差で再選されたと。そして、現在はそれについての、当初無効の訴えがあり、現在双方において事態収拾に向けて、陳水扁、連戦両陣営間での協議が続けられているというのが現状だというふうに私どもは承知しております。したがって、日本政府といたしましては、台湾における選挙後の状況について、両陣営及びその支持者が冷静を保ち、民主的なプロセスに基づいて問題を解決するということを期待しておる次第でございます。  また、委員御指摘のとおり、台湾をめぐる問題につきましては、政府といたしまして、両岸の当事者の間で話合いを通じて平和的に解決されるということ、そのための対話が早期に再開されることを強く希望しておりますので、台湾における事態が、事態収拾された後、そういう意味での、早期平和に向けての、平和的解決に向けての対話が再開されることを強く希望しております。  いずれにしましても、台湾に関する政府立場というのは、日中共同声明にあるとおりでございまして、二つの中国、あるいは一つの中国、一つの台湾との立場は取らない、そして台湾独立も支持しないということでございまして、我が国として、台湾との関係を日中共同声明に基づいて非政府間の実務関係として今後とも維持していきたいというふうに考えております。
  50. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、防衛庁長官に、在日米軍の基地の問題について若干お伺いしたいと思います。  アメリカがテロ等の新しい脅威に対応するために世界戦略を見直していると、そして世界的な規模でトランスフォーメーションというか、再編を検討中だと言われておりますが、ワシントン・ポスト紙が報じるところによれば、東アジアに十万人の軍隊がいる中で、韓国と日本合わせて一万五千人、これを削減する方向だと、具体的には同盟国と詰めるという、細部については詰めるという、こういうことになっておりますが。一万五千人の削減、これに対応してグアムの空軍基地を増強するとか、あるいはオーストラリアに訓練の準備基地を設けるとか、シンガポールやタイと軍事関係強化するとかということが言われておりますが、一方では、沖縄の基地を削減してグアムに移転した場合には、日本周辺で有事があった場合には現地到着は沖縄よりも二時間ぐらい遅れると、こう言われている。という意味では、即応力の低下が問題になるということも言われておりますが、沖縄の在日米軍基地というのはアジアとそして今や中東もにらんで非常に重要な拠点になっていると、こういうことでありますが、現状はどうなっているのかということ。さらに、アメリカは普天間飛行場の名護移転の見直しを求めていると、これも言われておりますが、事実関係はどうなっているのか。  この基地削減、アメリカが基地削減をするということに対しては、日本はどう、日本政府はどう対応するのかについてお伺いしたいと思います。
  51. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生御指摘のワシントン・ポストですか、のその報道自体は承知をいたしております。実際にそれでは数字が示されてアメリカと我々の間において具体的な議論が行われているという状況にはございません。それは、国防長官防衛庁長官同士におきましてもそうですし、各レベルにおきましても、そのような具体的な方針あるいは人数あるいはスケジュールというものが議論をされておるという状況にはございません。それは沖縄におきましても、沖縄の問題につきましても同様でございます。  トランスフォーメーションの中で、これだけ、冷戦が終わって、ポスト冷戦になって、ヨーロッパの状況が変わり、中東の状況が変わっている、そして戦争のやり方というものが全く変わっている、そういうような状況を踏まえてトランスフォーメーションというのはあるのであって、我々はその合理性というものもきちんと議論をし、大切なことは、沖縄の負担を軽減をするということと、この地域における抑止力というものをきちんと確保をする。問題はその抑止力の中身なのだと私は思っています。  私どもといたしましては、それがきちんと両立をする、そして、現在、SACO合意の着実な実施ということに努めておるというのが現状でございます。
  52. 高野博師

    ○高野博師君 まあ米側からそういう話があった場合には、今、長官おっしゃられたように、沖縄の負担が軽くなるような方向で是非とも前向きに検討していただきたいと思います。  それでは、所沢市の米軍空軍基地について若干お伺いしたいと思います。これは防衛施設庁かと思うんですが。  所沢市、私住んでおるんでありますが、この空軍基地、空軍の、あっ、通信基地です、通信基地の周辺は新しい住宅地になっておりまして、交通渋滞が大変激しい。それで、環境汚染も、これもまたかなり深刻化していると。そういう中で、今この基地を云々というよりも、東西の連絡道路を作れないかということが地元からも強い要望がありまして、私も三年、この問題についてはもうかれこれ九年ぐらい関心を持っているんですが、三年前に当委員会で取り上げたときに、当時の河野外務大臣は前向きにこれは取り組みますという返事をしていただきました。  あの通信基地、この間、ちなみに防衛庁長官も防衛医科大学の卒業式に来られてとうとうと訓示を述べられましたけれども、あの医科大学は、元々あそこは通信基地だったんですね。返還をされて、あの広大な土地を返還されたんですが、今、ハイテク化の中で本当にあんな広大な土地が必要なのかという、私そもそも疑問を持っているんですが。  昨年度は防衛施設庁が五百万の調査費を付けている。今年もまた、今年度というか来年度ですか、四月からの五百万の調査費、一体何を調査しているのか、この東西横断道路の建設については一体どうなっているのか、その去年の五百万を使って調査した中身は何なのか、是非お伺いしたいと思います。
  53. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) 米空軍所沢通信施設におけます東西連絡道路の整備のための一部用地の返還につきましては、同施設が所沢市街地を東西に二分している状況にあり、市民生活に影響を与えるということでございまして、累次の機会にわたりまして埼玉県あるいは所沢市の方から返還の要請がなされているところでございます。また、先ほど先生から御発言ございましたけれども、本委員会におきましても再三先生から御指摘をちょうだいしているところでございます。当庁といたしまして、米側に対しまして、東西連絡道路の建設に向けての対応につきまして事務的な調整を進めさせていただいておるところでございます。  このような中、当庁としましては、平成十五年度におきまして、地元所沢市等と調整を行うための基礎資料を得ることを目的としまして、所沢通信施設におけます現況平面図の作成、現有建物等の現況調査、通行車両が通信施設に与える影響調査を実施しているところでございます。また、平成十六年度におきましても、先ほど先生から御指摘ございましたけれども、地下埋設物調査等、所要の調査を十五年度に引き続き実施することとしております。  今年度の調査でございます。現在、最終的な精査、確認を行っているところでございますけれども、現況平面図の作成につきましては、要望されております直線の東西連絡道路の両側二百メートル幅を調査範囲といたしまして、その範囲内に所在する建物等の現況平面図を作成し、また地元より御要望のある幅十六メートルの東西連絡道路に係る現地測量を行ったところでございます。また、現有建物等の現況調査につきましては、現況平面図の作成に係る東西連絡道路の両側二百メーター幅に所在する建物及び工作物の現況調査を実施し、平面図、立面図を作成したところでございます。  さらに、東西連絡道路が整備された場合の通行車両が通信施設に与える影響調査につきましては、当該道路を通行する車両から発せられます電波により所沢通信施設の通信に影響を与える可能性について、また、所沢通信施設のアンテナから送信された電波が当該道路を通行する大型車両等に反射することによる通信への影響の可能性について調査を行ったところであります。その調査結果としましては、米側からの調査結果の連絡をいただいておりますが、所沢通信施設のアンテナへの重大な影響は示していないが、複数の大型車両等の通行によってはその任務遂行に悪影響を及ぼす可能性があるというような回答をちょうだいしているところでございます。  当庁といたしましては、先生の御指摘や地元の御要請と米軍の通信施設の所要とをどのように両立させるのか腐心しているところでありますけれども、いずれにしましても、今後、これら調査結果を踏まえつつ、どのような工夫をすれば地元の御要望に沿うことができるのか等々につきまして、米側、所沢市等と調整を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  54. 高野博師

    ○高野博師君 是非これは前向きに取り組んでもらいたいと思います。  でも、一向に進展しないということで住民の不安もかなり高まっているという現状にあります。あの通信基地、まあ大型車両が通ったときに何らかの影響があるということもありますが、大型車両なんてほとんどあそこを通らない、住宅街ですから。そういう個人の車両しかほとんどあの辺は通っていないんじゃないかと思うんですが、通信基地そのものがもう、私はあそこをしょっちゅう通るんですが、人間見たことないんですね、ほとんどだれもいない。防衛というかテロ対策なんかできちんとできているのかどうかよく分かりませんが、きちんとこの対応してもらいたい、本当に必要があるのかと。  例えば、新座市の大和田通信基地、あそこも膨大な土地が空いていまして、これは地元の要望を受けて防衛施設庁一生懸命やってくれまして、運動公園として使えるということになりましたが、元々日本の土地を向こうに貸して、今度は貸してくれというときに相当のお願いをしなくちゃいけないと。一体これはどうなっているのかなと思うんですが、これは運動公園として使える、市民に開放できるということになりましたんで、これは評価したいと思いますが、あそこの大和田通信基地についても今まであったアンテナがなくなっているんですね。これはハイテク化されているんでもう必要なくなったということなんですが、アンテナがなくなったらあの土地も要らないんじゃないかと思うんですが、これはまた別の機会に取り上げたいと思いますが、そういうことも含めて、米軍の基地のこの削減、縮小の中で、国内的にも本当にこの基地はこれだけの土地が必要かどうかということもきちんと精査をした上で是非対応していただきたいと思います。長官、何か御意見ございましたら。
  55. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 在日米軍基地というものがありますためには、よほど住民の方々の御理解というものがなければそれは駄目なんだと思っています。  先生の御指摘、かねてから承っておりまして、当庁の方、今、施設部長から御説明を申し上げたとおりでございますが、今般、十五年度の調査結果が出ますので、十六年も引き続き調査を行いますが、十五年の調査結果は出るわけですから、全く調査がなかったという話にはならないわけで、この調査結果を踏まえて、先生が御指摘のようなことがどうなのか、相手のある話ですから私ども確たることは申し上げられないけれども、きちんとした説明を聴取し、私どもも聴き、地元の方々の御理解を得るということを最大の眼目として、いつまで引っ張っているんだというような御指摘をいただかないように私としてもよく督励をしてまいりたいと思っております。
  56. 高野博師

    ○高野博師君 終わります。
  57. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。  最初に、米軍再編成問題についてごく簡単に確認をさせていただいて、次に進みたいと思います。  今も議論になりましたけれども、ブッシュ大統領が昨年十一月二十五日ですか、行った米軍の再編成問題の声明以降、日本でもマスコミでもここの委員会でも、いろいろな角度から論議されてきました。  私、今日、まず二点確認しておきたいんですけれども、一つは、これまでの論議の中で一切協議がないという趣旨の答弁が、もうこの問題について日米間では一切話題になったこともないのかとも取れるようなニュアンスの答弁もありました。今の防衛庁長官の答弁だと、いわゆる数字を挙げての協議の段階には入っていないということでしたから、そういう意味の協議ではないけれども、いろいろの情報交換とか、あるいは話題にはなっているということなのか、今どうなっているのかということを一つは知りたいことと、それから二つ目は、沖縄の米海兵隊普天間飛行場の返還問題ですけれども、これは日本政府はSACOの決定を重視するという答弁がありましたけれども、その立場というのは、例えば嘉手納空軍基地への統合というような形で代替施設なくてもいいというようなこと、具体的に言えば名護市の辺野古沖の代替施設などなくてもいいんだというようなものも、これはやっぱりこのSACOの決定と違うので、これには賛成しないという立場なのかどうなのか。その二つだけ、事実関係の確認だけお願いしておきたいと思います。
  58. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) まず、米側との安全保障問題についての協議でございますけれども、これは、今、吉岡委員がおっしゃいましたように、十一月にブッシュ大統領の声明にもありましたような米側の考え方に基づきまして、日米の外務・防衛当局間におきまして、様々なレベルでの協議におきまして緊密に協議をいたしております。先ほど防衛庁長官からもちょっと御答弁がございましたけれども、そういう段階ではありますけれども、協議の具体的な内容ということになりますと、これは米側との関係もございまして、申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。  それから、普天間飛行場の移設・返還につきましては、さっきお述べになりましたような嘉手納飛行場への統合案とか代替施設なしでの返還といったものが報道はされておるのは承知しておりますけれども、辺野古沖における代替施設建設に代わる案につきまして米側から打診を受けているという事実は一切ございません。したがいまして、政府といたしましては、平成十一年の閣議決定、あるいは平成十四年の基本計画に従って普天間飛行場の移設・返還に取り組んでいくという、この方針には何ら変更はございません。
  59. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 これ自体、いろいろ聞きたいこともありますけれども、今日は、これは今の説明にとどめて、先ほど採決されました在外公館の活動に関連して、一、二、私の要望を含めて質問していきたいと思います。  私は、在外公館の活動の中でも、またその前提としての外務省の活動をより有効に進めていくためにも、もう少し外交史に関する知識を強めてもらう必要があるじゃないかと思います。  質問取りに来られるお方、私、十数年付き合いしてきましたけれども、例えば朝鮮の三・一独立運動について何も分からなくて、それは何ですかという質問を受けたことも、これは数年前ですけれども、ありました。また、今年は日露戦争百年ということで日露戦争百年に関連する質問をしても、ほとんど知識がなくてというようなこともありました。若い人が来られますからある意味では当然とも思いますけれども、やっぱり外務省の人はプロですから、やっぱり外交史の知識も持ってもらわなくちゃならないと思います。  特に私、在外公館のいろいろお世話になったりレクも聞いたりする中で感じたことの一つは、やっぱり在外公館があるその国と日本との関係について、最低こういうことは知っておいてもらいたいなということが案外知られていない場面にも幾つかぶつかりました。  それで、私が今日提案していきたいと思うのは、日本とどこの国との関係であれ、その二国間の歴史的な関係を、大使館にあるいは領事館に行く人だけの努力に任せないで、長い外務省の蓄積があるし、日本にはいろいろな研究成果もあるわけですから、二国間についてのいろいろな研究の到達点が外務省の蓄積された財産となって、新しく行く人はそれを参考にすれば基本的には分かる、その上で個々の人の努力も行われるというようなことが好ましいじゃないかというふうに私は思っております。  抽象的に言っただけではよく分からないでしょうから、一つの事実ですが、私、一九九六年と去年、二〇〇三年と二回トルコに参りました。トルコは、もうバスのガイドさんに至るまで、我々は明治の時代から親日国家だということが強調される国です。私は二回行っていろいろ会談しましたけれども、二回とも向こうからは親日国家だという強調が行われました。  私は、一面、有り難いことだと思いますけれども、しかしトルコに行くに当たって、一体日本とトルコはどういう関係にあったんだろうかということで、少し読んでみました。これは駐日大使が、ウムット・アルクさんという人の書いた「トルコと日本」という本ですけれども、この本を読んでみましたら、トルコ政府の公文書の背景説明に、オスマン政府外交関係の樹立に当たって日本政府の治外法権の特権と免除の要求に驚いている、トルコ政府は国際法に基づいて両国関係を樹立すべきであるとの回答を送ったが、この反対提案に対しては何ら成果はなかったと、そういうふうに公文書の中に記録されていると。  つまり、日本が治外法権を要求したということで、この本を作るに当たって引用された内藤智秀という人の日本トルコ交渉史という本をよく読んでみると、こういう本ですが、そうすると、日本とトルコはともに帝政ロシアと対峙するという点での共通性があったと。それから、アジアの西の果てと、東の果てと西の果てでともに欧米から治外法権を強制されて、それを撤廃する条約改正運動を行っているという共通性があったと。その二国が大いに連帯感もあって外交関係を結ぼうという努力が、この内藤さんという人の書かれた本によると、明治八年から始まったけれども、それが実を結んだのは四十九年後のことであったと。なぜそうなったかというと、同じ治外法権撤廃の運動をやっている国でありながら、日本がトルコに治外法権の要求をしたのでそうなったんだということが書かれてありまして、私はこれちょっと前に何かの機会に触れたことがありますけれども、びっくりしまして、それでトルコへ行きました。  トルコへ行ったら、にもかかわらずそのようなことを触れる人は全然いない。そういう過去は忘れて親日だということで国がまとまっているのかなと思っていましたけれども、しかし親日親日と言われると、そういう事実を現職の大使が著書で書いている、全く無視しておくわけにはいかないと私は思いまして、そういうふうに言っていただくのは有り難いけれども、私は日本が、治外法権撤廃を求めている国同士でありながら、治外法権を求めたことは大変遺憾な歴史を持っているなと感じておりますと、今後の日本とトルコの関係は本当に対等な友好関係にしたいと思いますという発言をしましたら、向こうの人は物すごく喜びまして、私は、トルコ側からはそれが言えないんだと、それ日本側から言ってもらったことに感動するという発言がありました。やっぱりこだわってはいるんだな、内心はと思いまして、やっぱりそういうことが知識になっているか否か。  後でイスタンブールの領事館の人が私どもにレクしてくれました、過去の。そのレクというのは、明治二十三年のトルコの艦船が遭難した事件の救援運動から始まる日本とトルコの関係の美談の話だけで、そのような話はありませんでした。僕はたまたま外交文書をずっと読んでいて、明治八年の外交文書集の中にトルコと日本との関係を作るための研究をやれということがあったのをちょっと頭の中にあったものですから、日本とトルコの関係を明治二十三年から話し始めるのではこれはどうかなとも思いましたけれどもね。  いずれにせよ、日本側が一々あらゆる場でそういうことを釈明するとか、あるいは謝るなどということを私言うわけじゃありませんけれども、しかし、そういう知識が日本の側にあるかないかということは、これはやはり向こうと本当に心の触れ合う関係を作る上でやはりいい面を持つなと思いました。  それで、去年も行きました。去年行ったときにもまた相変わらずだあっと並び、親日発言がありましたので、大体似たようなことを私ちょっと簡潔に言いました。去年は大使館の人が大いに関心を持ってくれまして、それで私に後から説明聞きたいということで、ちょうど私この本の関係部分の膨大なコピーを持って行っていたので大使館に差し上げて帰りました。その結果がどうなったかは分かりませんけれども。外交関係について、大使館の、去年行ったときにもそういう過去の治外法権云々ということはどなたも御存じないようでありました。  私、今の大使館の人に、最初言いましたようにあれこれ言うわけじゃありませんけれども、やっぱり日本と諸外国との関係の歴史の中に我々が念頭に置かなくちゃいかぬどういうことがあるかということは、やっぱり組織的に外務省として出掛けていく人の最初から知識としていけるような体制というものが考えられないものかどうかというのが私の問題提起の一つです。大臣、どうでしょうか。
  60. 阿部正俊

    ○副大臣阿部正俊君) 今、吉岡先生のお話を聞いていまして、正に外交のプロとしての外務省職員在り方というのを改めて教え、御指摘いただいたのかなというふうに思います。私自身もある意味じゃ余りなじんでこなかった世界でありますので、自身としては内心じくじたるものもないわけではございませんけれども、今の話をちゃんと受け止めて、外交のプロとしての外務省職員在り方というのを考えていくべきだと、こんなふうに思っております。  特に、先生今御指摘にありましたような、必ずしもいわゆる外交辞令的なことだけではなくて、言わばプラスもマイナスも両面含めた歴史的な経緯ということについてしっかり把握した上での活動ということを考えていかなきゃいかぬなと改めて思った次第でございます。  外務省としては、制度としては、まず新任者、省員に対しましてはかなり広範な国際関係史とか外交史とか広範な研修をまずやっております。また、Ⅰ種とか専門職職員につきましては二年ないし三年の在外研修という形でもやっておりますし、また同時に常に外交のプロとしての心掛けた上での、自分で勉強するつもりがなきゃどうにもなりませんものですから、外務省行動規範というものを平成十四年の八月に策定させていただきまして、幾つかのポイントがございますけれども、その中に、特に、信頼される外務省員として常に国益考えて歴史的視点と世界的視野に立って外交を行う、そのための能力を不断に磨く努力をするようにしましょうというようなことも書いております。  あと、それぞれの在外勤務された方の著書も実はかなり出ておりまして、毎年二十冊ないし三十冊前後の在外勤務の方のその得た体験記、あるいは勤務内で得た歴史観、あるいは歴史の中身、あるいは後輩に伝えたいこと等々についていろいろの著書が出版されておるのも現実でございますので、それらを後輩がよく学びながら、生かしながら次の外交につなげていくという不断の努力をしていくことが大事ではないかなと、こんなふうに思っておりますし、正に外交というのは、そのときだけの場面だけじゃなくて、長いつながりの中での国の在り方という関係を作ろう、作っていくかということにつながりますので、その辺については高い見識を持った対応をするのが本来であろうというふうなことを追い続けていくようにしたいと、こんなふうに思っております。
  61. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 もう一つの私の体験ですけれども、たしか二〇〇一年だったと思いますけれども、ポルトガルに行きました、議長さんと一緒に。そのときにちょうど国連主催の人種差別撤回に関する国際会議が南アフリカ共和国で行われているときでした。私は、実はその点に関心持って少し本を読んだことがあったので、ポルトガルというのは奴隷売買を最初に始めた国で、それを歴史的にどう総括しているだろうかということを関心を持って、実はトルコへ行ってなかなか参考になる話が聞けるだろうと思って行きました。  それで、大使館の人が、そのことを聞いたら、──いや、トルコじゃない、ポルトガルです。ポルトガルの奴隷政策はイギリスと違って人道的、進歩的奴隷政策だと、そういうふうに総括していますという話で、いや、奴隷政策にも進歩的、人道的なものがあるのかなと思って全くびっくり仰天しました。直接聞いて、向こうの人も大体それに似たことを言う人がおりましたから、大使館の人が言っているのはいい加減なことじゃないと思いましたけれどもね。  私は、実はポルトガル商人が日本でも奴隷売買やったんですね。特に、いろんな本で今は紹介されていますけれども、豊臣秀吉の朝鮮侵略戦争の際、日本に連れて帰ってきた捕虜、それからまたそのときに日本から人買いが朝鮮に行って大量の朝鮮人を買い付けて日本に帰ったと。その状況は当時の従軍僧が日記に書いて、これは大分県のお寺にその現物があるんです、その日記の。それを読むと、日本から行った人買い商人の人を買ってくるときの状況はすごいものですね。縄でみんな首でくくって、それでむちで打ちながら、後ろからたたきながらみんな連れて帰ったという状況が書いてありますが、それをポルトガルの奴隷商人が来て買い取って中東から南アメリカに至るまで売っていったと、日本人の商人も売り飛ばしたと。もう豊臣秀吉がかんかん怒ってキリシタン禁止の原因の一部になったんだなどという指摘をする人もあるわけですけれども。  だから、奴隷売買の問題というのは日本と朝鮮にかかわる大変深刻な問題であると同時に、ポルトガルと日本との関係でもどういうことを考えているかただしたかったんですけれども、これも大使館にだれも知っている人がなかったのでここまでは話できなくて、そのときにも僕は膨大なコピー持って行っていましたのでみんな大使館に置いて帰りました。どうなっているか知りませんけれどもね。  それは、私が感じたのは、歴史であると同時に……
  62. 山本一太

    委員長山本一太君) 時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめいただければと思います。
  63. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 はい。  今の、今の問題、その人種差別会議では数百年前の奴隷政策を人道に対する罪だという宣言まで発表した。やっぱり今の問題に対する敏感さともかかわる問題だと思いましてね、そういう点も歴史の知識と今の問題に対する敏感さも強めていただきたいなと思いました。  そういうことをこういう在勤法が通った機会に申し上げて、一層の努力をお願いしたいと思いました。一言で結構ですから。
  64. 山本一太

    委員長山本一太君) 簡潔にお願いいたします。
  65. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、吉岡先生のおっしゃられたことのその趣旨をきちんと外務省の省員一人一人が心に留めて、歴史的そして世界史的な視野から自国の問題あるいは二国間の問題について知識を深めていくということの重要性、これをきちんと伝えていきたいと思います。
  66. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 終わります。
  67. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党・護憲連合の大田でございます。よろしくお願いいたします。  十分しかありませんので、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。  去る三月二十九日付けの共同通信によりますと、「日本国内で罪を犯した米兵容疑者の刑事裁判手続きに関する日米両政府の協議で、日本の警察が取り調べを行う際の米政府関係者の同席について、原則的に「容疑者側」の立場ではなく「捜査側」からの立ち会いという名目をつけて認めることで基本合意したことが二十八日、分かった。」と報じています。  この合意は事実ですか。
  68. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 地位協定の下における刑事裁判手続につきましての日米交渉が先般、三月の二十四日、二十五日、ワシントンで行われたわけでございまして、これは昨年の夏から四回行われた交渉、そして中断をしたという交渉について、それを早期に再開をするということが必要だ、早期に解決をすることが必要だということで、昨年の十一月、ラムズフェルド国防長官と私と話をした、そういったことを踏まえて進めてきたものでございます。  その後、機会あるごとに日米の実務当事者、関係者の間での意見交換を行ってまいりまして、二十四日、二十五日の交渉になっているわけですけれども、今回の二十四日、二十五日の交渉では充実したものになりまして、幾つかの点で重要な進展を見ることができました。  一方で、更に両国間で調整が必要な点、これも残されておりまして、日米双方で早期の解決を目指しまして、引き続き緊密に調整を続けていくということになっております。この点につきまして、今米側と協議中の事項でございますので、内容等につきましては今の時点で申し上げることについては控えさせていただきたいと思います。
  69. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 協議では話が付かなかったということですか。
  70. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まだ引き続き調整をする事項が残っているということです。
  71. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほどの事実関係はいかがですか。この共同通信の報道は間違っているということですか。
  72. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど申し上げましたように、これは今米国と協議中の事項でございますので、申し訳ありませんけれども、その具体的な内容について申し上げるということについては、今の時点では控えさせていただきたいと思っています。
  73. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 在沖米海兵隊普天間飛行場の代替施設の軍民共用の建設についてでございますけれども、政府はその事業主体を防衛施設庁とするとしております。軍民共用ということでございますので、民間空港を防衛施設庁が所管するようなケースは、空港整備法等でいう空港の分類ではどうなっているか、国土交通省からお願いいたします。
  74. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 普天間代替飛行場の設置、管理につきましては、米軍普天間基地の移設に伴い、防衛施設庁において整備がなされるものでありますので、空港整備法上の空港と位置付け、同法により整備することは考えておりません。  国土交通省といたしましては、これまでと同様に、民間空港の整備に知見を有する立場から必要な協力、助言を行ってまいる所存でございます。
  75. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、防衛庁とまだ十分に調整が進んでいないということですか。
  76. 鈴木久泰

    政府参考人鈴木久泰君) 政府部内で調整を行った結果、防衛施設庁の方で建設されるということなので、空港整備法の方の位置付けはしないということでございます。
  77. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ああ、そうなっていますか。  先日の沖縄北方問題特別委員会で、軍民共用空港の事業主体を防衛施設庁とした法的根拠についてお伺いしましたところ、防衛施設庁は、防衛庁設置法第五条第十九号で定めているとおり、米軍の使用に供する施設及び区域の決定、取得及び提供等に関することであると説明されました。  そこで、内閣法制局に見解をお伺いしましたところ、内閣法制局の担当者は、それは法解釈というよりも法の運用にかかわるものであり、所管官庁の見解を更にただしてもらうしかないという趣旨のお話がございましたので、改めて防衛施設庁にお伺いします。  その同法第五条、十九条の最後のくだりにある「関すること。」に本件が該当するのかどうか、分かりやすく簡潔に御説明をお願いします。
  78. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) お答え申し上げます。  普天間飛行場代替施設の民間区域の事業主体の取扱いでございますけれども、これは内閣府を中心に調整を進めてきたところでございます。昨年十二月三日に稲嶺沖縄県知事が茂木沖縄担当大臣に対しまして、民間区域も含め、国が事業主体となってもらいたいという要請がございました。これを重く受け止めまして、普天間飛行場の移設、返還を迅速に進めるために、環境影響評価の手続に早期に入ることが重要であるとの観点も踏まえ、国が事業主体となる方向で内閣府を中心に調整作業を行ったところでございます。  政府部内におきます調整の結果、民間区域は米軍の使用に供する施設及び区域そのものではないわけでございますけれども、軍民共用空港として整備することが条件として求められていたという経緯を踏まえますと、民間区域の整備なくしてはそもそも滑走路等区域及び米軍区域の整備ができなくなるわけでございます。このことから、民間区域についても防衛施設庁が併せて事業主体となり、民間区域も含め代替施設全体を不可分一体的なものとして整備することとしたところでございます。  以上であります。
  79. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、防衛施設庁に伺いますが、軍民共用空港の土地の造成費とか、それから作業ヤードの建設費とか、そういうものもすべて防衛施設庁が担当するということですか。
  80. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) 代替施設の建設経費等の在り方でございます。  SACO最終報告に盛り込まれました措置を的確かつ迅速に実施するため、経費面を含めまして政府全体として十分かつ適切な措置を講ずるという閣議決定がなされております。これを踏まえまして、沖縄県を始めとする地方公共団体とも緊密に調整を進めて、政府内部でも十分な検討を行った上で措置を取ってまいりたいと考えておるところでございます。
  81. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 負担するということはまだ決まっていないということですか。
  82. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) 代替施設につきましては、第九回の代替施設建設協議会におきまして、これは平成十四年七月でございますが、建設費については約三千三百億円、ただし、これはいわゆる上物工事であります建物や滑走路等は含んでいないところでございますが、こういった経費の取扱いでございますけれども、これにつきましては、今後、関係省庁、関係機関の間で検討していくこととしているところでございます。
  83. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 維持管理費は防衛施設庁が負担しますか。
  84. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) 同じ第九回協議会におきまして、この維持費については〇・八億円、年間でございますが、と推計しておるところでございます。この維持費の取扱いにつきましても、今後、関係機関と調整の上、取りまとめてまいりたいと考えておるところでございます。
  85. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほど同僚議員の御質問に対して防衛庁長官は、トランスフォーメーションに関して、情勢の変化に応じていろいろ考えるけれども、二つの点が重要だとおっしゃって、一つは地元の要望にこたえて基地を削減するということ、もう一つは抑止力の問題だということをおっしゃったわけですね。  そうしますと、一般的に考えますと、基地の削減をしていくということになると、抑止力というものは弱まってくるというふうに考えられるわけなんですが、それをどのように基地を削減し、抑止力を維持し、高めるということになると、どのような手法を講じるお考えですか。
  86. 山本一太

    委員長山本一太君) 簡潔にお願いいたします。
  87. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、抑止力というのは相対的なものですから、いかなるものに対して我々が懸念を有し、それに対して何をどのように持つかということであります。  これはもう先生に私が申し上げることではございませんけれども、やはりその量と質、そして何を懸念としてとらえるかということが相対的に決まってくるものだというふうに考えておりまして、抑止力を保持するということと県民の御負担を減らすということ、これを両々相まってやっていかねばならないと考えております。
  88. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  89. 山本一太

    委員長山本一太君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    正午散会