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2004-03-16 第159回国会 参議院 外交防衛委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任      榛葉賀津也君     大渕 絹子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 一太君     理 事                 佐藤 昭郎君                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 阿部 正俊君                 荒井 正吾君                 月原 茂皓君                 中島 啓雄君                 岩本  司君                 大渕 絹子君                 佐藤 道夫君                 田村 秀昭君                 若林 秀樹君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        内閣府副大臣   中島 眞人君        防衛庁長官   浜田 靖一君        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        嘉数 知賢君        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      成田 一郎君        内閣府政策統括        官        武田 宗高君        内閣府賞勲局長  勝野 堅介君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁長官官房        長        北原 巖男君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛施設庁長官  山中 昭栄君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省欧州局長  小松 一郎君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        外務省経済局長 佐々江賢一郎君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        文部科学省科学        技術学術政策        局原子力安全監  小田 公彦君        農林水産大臣官        房国際部長    小西 孝蔵君        経済産業省通商        政策局通商機構        部長       田中 伸男君        国土交通省航空        局次長      宿利 正史君        気象庁次長    柴田 耕介君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (外交基本方針に関する件)  (国の防衛基本方針に関する件) ○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国政府アメリカ合衆  国政府との間の条約の締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 山本一太

    委員長山本一太君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十五日、榛葉賀津也君委員を辞任され、その補欠として大渕絹子君が選任されました。     ─────────────
  3. 山本一太

  4. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山本一太

    委員長山本一太君) 外交防衛等に関する調査を議題といたします。  外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 舛添要一

    舛添要一君 おはようございます。自民党の舛添要一です。  両大臣の所信をお伺いしましたが、お触れになりました点、できるだけ多く今日は取り上げたいと思いますので、御答弁の方、時間限られておりますので簡潔にお願い申し上げたいと思います。  まず、テロ対策絡みの話ですけれども、皆さん御承知のように、スペインで大量の死傷者を出す鉄道テロがございました。まず、外務省、簡単で構いませんが、これ、テロリストバスク過激派なのかアルカイダなのか、いろんな諸説がありますけれども、最新の情報分析お願いいたします。
  7. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) お答え申し上げます。  十三日の午後、これはスペイン現地時間でございますが、本件関連をいたしましてモロッコ人三名、インド人二名の計五名がスペイン当局により逮捕されたと承知しております。ただ、このスペイン当局説明によりますと、これは実行犯としてではないという説明でございます。また、同日、十三日の夜でございますが、アルカイーダによるとされる犯行声明ビデオ発見されましたけれども、真の実行犯によるものかはいまだ不明であると、こういう説明だというふうに承知しております。  スペイン政府でございますが、本件について、ETAバスク祖国と自由、モロッコ過激派グループアルカイーダ関与等を含めて、あらゆる可能性を念頭に慎重に捜査をするとしておりまして、我が国としてもスペイン政府捜査を注意深く見守りたいと考えております。
  8. 舛添要一

    舛添要一君 バスク祖国と自由、ETA犯行であるという一つ根拠は、彼らがブルゴーニュから盗んだ、ブルゴーニュ革命軍とともに盗んだダイナマイトが使われている、これが非常に大きな根拠であります。一方、アルカイダなら自爆テロをやる、それから、この犯行声明を出しましたアブハフス・アルマスリ旅団というのは非常にいい加減な声明を出し続ける。だから個々の分析は非常に難しいと思いますけれども我が国政府としてもしっかりと分析をして、正しい真相の解明というのをよろしくお願いしたいと思います。  そこで、今私が申し上げた一部のアラブの過激派声明の中に日本の名前まで取りざたされているということで、非常に日本人、鉄道事故、同じようなことあるんじゃないかという恐怖もあると思いますが、まず警察の方、万全のテロ対策、こういう事件を受けてやっているのかどうなのか、お伺いしたいと思います。
  9. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) お答えいたします。  ただいま御質問にありましたスペインにおける鉄道爆破テロ事件でございますけれども、そのほかにも最近、ロシアにおける地下鉄爆破テロ事件でございますとか、それからフランスでは鉄道爆破予告事件というようなのが発生しておりまして、私どもといたしましても極めて重大な関心を持っているところでございます。今警察といたしましても、この背景、手法等につきまして、海外治安機関とも連携をいたしまして鋭意情報収集活動に努めているところでございます。  そのテロ対策についてのお尋ねでございますけれども、やはり国際テロ対策につきましては、テロリスト国内に入れない、それから国内に拠点を作らせない、それからテロを起こさせないための警戒警備と、これが重要だと思っております。そこで、入国管理局との連携によりまして水際対策をしっかり強化をするということ、それから国内外における情報収集強化いたしましてテロリスト発見、検挙に努めると。それから、警戒警備は、我が国重要施設それから米軍関連施設など総計約六百五十か所に対しまして恒常的に今警戒をしております。  御心配いただいております新幹線でありますとか地下鉄でありますとか、いわゆる公共交通機関でございますが、これは、この公共交通機関におけるテロ未然防止というのはその性質上なかなか難しい点が多々あるという点については御理解をいただけるかというふうに思います。  私どもといたしましては、まず鉄道事業者の方に対しまして自主警備強化をしっかりお願いをしておりまして、きめ細かな指導、助言も行っております。それから、警察官によるパトロール、これを強化をする。それから、鉄道関係のやっぱり重要施設等に対します警戒強化をするということを実施しております。  それから、自主警備関係では、鉄道事業者の方におきまして、駅構内とか車内だけでなくて、線路、敷地等に対する巡回を強化していただいております。それから、乗客の方の協力というのは非常に重要だと思います。不審物、特に不審物発見した場合の積極的な届出をお願いをするというようなことも重要でありまして、鉄道事業者の方において積極的にこれらの措置を講じていただいているところというふうに承知をしております。  ただし、我が国におきまして、現在、国際テロに関する具体的な情報はございません。しかし、そういった諸外国の状況はございます。また、性質上非常に難しい問題であるということもございます。繰り返しになりますが、国内外機関連携をいたしまして、水際対策それから情報収集、これを強化をするということと、それから鉄道事業者等関係機関の方はもとより、利用者である国民各位の御理解と御協力を得るということに努めまして、未然防止に万全を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
  10. 舛添要一

    舛添要一君 新幹線なんかの保線というのはかなりできると思いますけれども、マドリードのああいう通勤列車、これは東京でもたくさんあります。踏切ありますから非常に難しいので、地域住民との連携ということも警察は是非お考えいただきたいと思います。  防衛庁に一言お伺いしますけれども、北朝鮮の工作船事件以来、海からそういうのが入ってくる。今警察の方から入管ともしっかり連携取っているということがありましたけれども防衛庁としてもこういうことはちゃんとおやりいただけると思いますけれども、どうでしょうか。
  11. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 従来、どちらかといいますと不審船あるいは武装工作員等に対する対策のことが非常に強調されましたが、この種の事案につきまして、現在、我々も警察庁同様、現時点において具体的な情報を得ているということはございませんけれども、ただ、この種事案につきまして、鉄道関係につきましては非常に、対応上非常に難しいところもございますので、やはり個別具体的な状況を踏まえた上でどういう対策を取るかというのがポイントになろうかと思いまして、あらかじめここで一概にこういう形をしますということはなかなか申せないと思います。  ただ、一般論といたしまして、発生したテロが外部から武力攻撃と認められる、いわゆる、そしてまた一般警察力をもっては対応を十分できないというふうな場合、いわゆる治安出動によってテロリスト発見、あるいはそういうものを制圧、あるいは住民等避難誘導、あるいは重要施設警備等、そこから更に生じるであろう事案等に対する対応を、これを警察連携を取りつつ行うと。それから、まだそこに至らないような場合、すなわち一般警察力によって十分にまだ治安を維持はできている状態ではあるがという場合でございますが、この場合にあっても、そういう事案がいったん発生すれば、被害者のいわゆる救援、あるいは被害の拡大の防止とか、こういう点から災害派遣あるいは官庁間協力等によりましてそういう被害状況の、関係機関連携を取りつつ被害状況情報収集、あるいは負傷者の搬送、医療活動等を行う、そういう形での対応というものを取っていきたいと、こういうふうに考えております。
  12. 舛添要一

    舛添要一君 今国会有事法制の続きの国民保護法制を我々は審議して、これを成立させたいと思っていますけれども、その前提として、防衛庁警察外務省政府一体となってテロ対策に取り組んでいるんだという姿勢がないとなかなか国民理解は得られないと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  続いて、イラク情勢についてお話をしたいと思いますけれども自衛隊の諸君が大変頑張って現地で努力なさっている。我々としてもどういう支援を彼らに与えたらいいんだろうと。今、給水車で水を運んでいく、それから浄水した水を運んでいく、それから先般出発しました隊員の中に女性の隊員がいて看護業務に当たるというようなことがありますけれども現地からこういう支援が欲しいんだというような声が届いていれば、防衛庁、何か、余り報道されていないところでこんなものがありますよというようなことがありましたらお伝え願いたいんですが、いかがでしょうか。
  13. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 具体的にニーズというのは、それは山ほどあると申し上げてよろしいんだろうと思います。やはり雇用であり、そしてまた医療であり、あるいは給水であり、ニーズは本当に相当にあるというふうには掌握はしております。  ただ、私どもとして何ができるのか。法律上の権限もあれば、あるいは能力というものもございます。ニーズにすべておこたえすることは難しいのだけれども、例えて言えば、今回サマワの総合病院保育器も付いた、あるいは黄疸の治療の指導というものも行った。やはりできることから確実にやっていくということだと思います。  特に、雇用につきましては、今、瞬間風速的に百人以上の方々を雇用をしています。それは、宿営地の造成ということがございますので瞬間風速的にはできておりますが、雇用を常態化して行うということは、これは私どもでは不可能なことでございますので、外務省ともよく連携をしながら、できることを確実に着実にやっていくということが肝要かと存じます。
  14. 舛添要一

    舛添要一君 先般、イラクからアッバーディ通信大臣がお見えになりまして、これは外務大臣もお会いになったと思います。我々もイラク特での理事が、会でお会いしました。  それで、手元にございます資料、これはその通信大臣イラク通信大臣との議論のときに提示されたものですけれども交換局がこれだけ戦争で破壊をされているということであります。それで、もちろん水とか医療とかいろんなもう緊急に必要なものもございますけれども、やっぱり情報通信というのは非常に大切なインフラストラクチャーであると、これはだれもが認めるところであります。  それで、今、外務省として取りあえず十五億ドルの無償ということで水やその他を入れていますけれども、やっぱり通信というのは中長期じゃなくてかなり短期の課題じゃないかなという感じがしています。限られた予算の中で、また向こうの要求もいろんな大臣がいろんなことを言ってくると思いますから、その調整が非常に難しいと思いますけれども、なるべく耳を傾けて、どういう援助をするのかということで、たまたま通信大臣と話をしていましたので、今日ちょっとこの点を課題にしてみたいと思いますけれども外務大臣、これいかがお考えでしょうか。
  15. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アッバーディ大臣と私もお会いをしてお話を伺わせていただきました。大変に、今委員もおっしゃったような情報通信についての破壊の程度が大きくて、ニーズが非常に強いということについて私もきちんと認識をいたしました。  それで、私が申し上げたことは、これについてどのような日本として資金の協力が可能かということを検討をしてみたいということを申しました。それから、アンマンに今チームが、我が国チームが出て経協案件イラクと話し合っておりますけれども、そこに情報通信専門家がいますので、そこでイラク通信省と具体的などのようなことを我が国としてできるかということについて話を詰めてほしいということを言いました。  今それをやってくれているところでありまして、政府といたしましては、これはそういった協議も踏まえ、そしてイラクの中における優先順位ニーズ、それから他のドナーがこれについてどのように関与をしようとしているか、それから治安情勢、そういったことを踏まえて検討をし、どのような協力が可能かということを考えたいと思っています。
  16. 舛添要一

    舛添要一君 今大臣おっしゃったように、よくイラク政府と相談の上、プライオリティー、どの援助にどういう優先順位を付けるかということをしっかりこれ政府検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  続きまして、防衛庁にお伺いしますけれども、我々が今サマーワでどういう活動自衛隊がやっているのかということについては、テレビメディアを含めて、メディア情報によるしかない。先般、メディアとの協定ということを結ばれたと思いますけれども、そのことの意味。それから、外務省に比べるとやっぱり防衛庁というのはPRというか広報体制が非常に今まで慣れていなかったというか、不十分であった。これを少しずつ改善していかないといけないんで、メディアとの協定の中身というかこのエッセンス、どういう意味がここにあるのか。というのは、協定結んでメディア大本営発表しか伝えないというのも困るし、かといってメディアが勝手気ままに隊員の安全も考えなくてやるのも困るので、私が読んだ限りは非常にバランスの取れた協定だと思いますけれども長官、そのことの意味。  それから、今後とも、まだ自衛隊現地に滞在するわけですから、しっかりとした海外から世界に向けての情報発信体制、その体制が整備されつつあるのかどうなのか、お答え願いたいと思います。
  17. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この件につきましては先生からもいろいろと御指導をいただきました。  三月十一日に、御指摘のように申合せというものを私ども新聞協会並びに民放連の間で取り交わしたところでございます。細かい内容につきましてもしお求めがあれば官房長から説明を申し上げますが、私は、要はそこに書かれた基本原則というのが一番大事なんだろうと思っています。  つまり、第一に政府説明責任というものを負っている、政府説明責任を負っているんだということを書き、そして第二番目に、「憲法の認める表現の自由に属する報道の自由、報道のための取材の自由について、政府は最大限尊重する。」ということをうたった。そして三つ目に、自衛隊員報道関係者の安全を確保するということをきちんと書いたということでございます。ここは、御紹介いたしますと、「イラク人道復興支援活動現地活動する自衛隊員および報道関係者の生命および安全の確保について、派遣組織および被派遣者自己責任原則の下、可能な範囲で最大限配慮する。」ということでございます。そしてまた、自衛隊部隊の円滑な任務遂行ということでありまして、「現地自衛隊部隊の円滑な任務遂行に支障を与えないよう留意する。」ということ、このことについて政府報道機関の側で合意がなされたということは私は大きな意味を持つものだと思っておりまして、お互いにここの合意を尊重しながらやってまいりたいと思っております。  それから、防衛庁報道体制について改善をするようにというようなお話でございます。このことにつきましては、私ども極めて重要なことだと思っております。庁内の体制も見直しを今図っております。あわせまして、私は、自衛隊派遣について多くの国民皆様方の御理解が徐々に得られるようになったのは、やはり現場から生の報道といいますか、番匠一佐にいたしましても、あるいは佐藤一佐にいたしましても、実際にやっている人たちの姿というものを生で伝えるということは極めて重要なことだと思っております。  先生指摘のように、大本営発表をしてもならないし、しかしながら、マスコミが勝手にとは私は申しませんけれども、一部の部分をだけお伝えいただくということもそれはいかがなものかということで、正確な報道を迅速にということをこれからも心掛けてまいる所存であります。
  18. 舛添要一

    舛添要一君 現地情勢サマーワの方はかなり安定していると聞いています。それから、しかしまだバグダッド、これは非常に危険な状況がまだ続いている。  在外公館警備についてお伺いしたいんですけれども、本来的にはそこに政府あればその政府治安機関がやらないと、警備しないといけないんですけれども、今のようなイラクバグダッドのような状況だと、現実には自衛隊法に規定がございませんですから、自衛隊が守らないで現地のガードマンを雇い入れてやっているという、非常に私からすれば奇妙な関係になっていますけれども、これ何度もいろんな機会に、我が党のそういう会合でも私は申し上げていますけれども外務省防衛庁、この問題についてどういうような検討を進めているのか。  私の案は、これは国会の場で自衛隊法を変えて、我々が改正して、自衛隊本体業務の中にその国際協力業務を入れる。そして、こういう在外公館警備も今のようなイラク状態だったらやることができると書き換えれば済む話なので、それは国会の仕事でもございますけれども政府の方としてどういう、今段階でどういう見解か、どういう検討をしているのか、お答え願います。
  19. 北島信一

    政府参考人北島信一君) 検討の現状についてお答え申し上げたいと思います。  外務省といたしましては、イラクのような危険な国における在外公館警備在り方としては、自衛隊等による警備あるいは外務省自身による警備体制強化など、いろいろな選択肢を現在幅広く検討しているということでございます。  いずれの場合におきましても、接受国との関係武器使用在り方を含め警備任務内容をどのようなものとするか、またそのための要員をどうするか等について綿密な検討を行う必要がございまして、関係各省庁と引き続き協議していきたいというふうに考えております。  法令面でいかなる手当てが必要かにつきましては、警備を担当する組織警備任務内容等によって異なるわけでございますけれども現時点においては具体的に申し上げる段階にはないということでございます。
  20. 舛添要一

  21. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今外務省官房長からお答えをいただいたとおりでございますが、このことは、例の瀋陽の総領事館の事件もありまして、党内でも随分と議論をさせていただいたことであります。  私どもとしては、一つ必要性の問題もあろうかと思います。もう一つは、国際法的にこれをどう位置付けるのか、ウィーン条約との関係はどうなのか。で、その身分をどうするかによって、それは外務省設置法の世界になるのか、自衛隊法委員指摘のように自衛隊法の世界になるのか、国内法をどういうふうに位置付けるか、もう一つは憲法との関係をどう考えるか、それから能力的にどうなのかということがございます。  私は、消極的権限争いをするつもりは毛頭ございませんで、このことはきちんと真摯に議論をしていかなければいけないと思っておりますが、今申し述べましたような幾つもの課題というものをきちんとクリアをしていかねばならない。このことにおいて、政府の中でもあるいは議会の中においてもきちんと論点を整理をして、何を行うべきなのかということをクリアにしていく必要があるだろうというふうに思っております。
  22. 舛添要一

    舛添要一君 この問題は、是非、政府それから我々も一緒になって議論したいと思います。  続きまして、北朝鮮問題についてお伺いします。  外務大臣にお伺いしますけれども、先般、韓国で盧泰愚大統領弾劾が採決される。失礼、盧武鉉。失礼しました。元へ。盧武鉉大統領の弾劾が採決、国会でされると。それで、四月中旬に総選挙が行われますけれども、この韓国の新しい状況が次回の六者協議への展望をますます開けないようなものにしているんではないかと、果たして六月までに作業部会ちゃんと開けるのかどうなのか。韓国の今の事態を受けて、次回六者協議への展望についてお伺いしたいと思います。
  23. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 盧武鉉大統領の弾劾の議決の際には、韓国の外交通商部長官から私はお電話をいただいて、説明をしたいということでございました。そして、双方で合意を、確認をし合ったことは、このことによって日韓のその関係についての基本的な相互の政策、そして六者会談を含む北朝鮮への対応、これが何ら影響を受けることはないということでございます。  六者会談については、今後、今作業部会のタームス・オブ・レファレンスといいますか、何をやるかということについての議論外交チャネルで始まっていますけれども、韓国政府の考え方がこのことによって何ら影響を受けるということではないわけでございまして、韓国もこの問題についてはかなり主体的な、積極的に動いております。我々としては、日米韓の連携をきちんと行って、できるだけ早く作業部会が立ち上がるようなことをやっていきたいと思います。  中国ともこの話を日曜日に、私は、戴秉国副部長がいらしたときに話をしていますけれども、そういった外交チャネルでの話合いを積み重ねていって、早く開きたいということであります。
  24. 舛添要一

    舛添要一君 四月中旬の選挙、韓国での総選挙以降でないと進まないかなという危惧を私は抱いていますので、是非外務当局としても、関係諸国と緊密に連絡取りながら、この六者協議に向けての準備を怠りないように進めていただきたいと思います。  それから、拉致問題について、一部の報道では日朝の協議がもう始まるというような話がございますけれども、この日朝間の協議は今どういう段階にございますか。
  25. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 日朝間の協議でございますけれども先生御案内のとおり、先般、日朝のハイレベル協議を行いました。また、六者協議の際にも日朝で話合いを行ったわけでございますけれども、残念ながらその際は主張は平行線たどったということでございました。  ただ、話合いは続けようと、これは向こう側も非常にそのことについては前向きな姿勢を取っておったわけでございますけれども、具体的にこれからいつ会って、そして私どもとしてはそれは結果を出さなきゃいけないということで、そのことを求めながら、今引き続き先方への働き掛けを強めているというところでございまして、現在は向こうからのそうした我々からの働き掛けに対する答えが早く来ることを期待している状況でございます。
  26. 舛添要一

    舛添要一君 続きまして、FTAについて議論したいと思います。  先般、メキシコとFTAが結ばれましたけれども、これの内容について、農林水産省及び経済産業省、それぞれどう評価し、残された課題が何があるかということを簡潔にお述べ願いたいと思います。
  27. 小西孝蔵

    政府参考人小西孝藏君) メキシコとのFTA交渉の大筋合意につきましては、平成十四年十一月の交渉開始から一年四か月、政府一体となりまして精力的に交渉を続けた、そうした努力が結実したものでございまして、今後の両国のより一層の経済発展につながるというふうに期待をいたしているところでございます。  農林水産物の関税交渉に当たりましては、農林水産業の多面的な機能への配慮、あるいは我が国の食料安全保障の確保や、我が国の農林水産業における構造改革の努力に悪影響を与えないように十分配慮して交渉に取り組んできたところでございます。この結果、国内農業の健全な発展を図りながら、同時に消費者の食品の選択範囲の拡大を実現できるような、そうした合意に達することができたと考えております。  今後、本協定の締結の効果や影響に配慮しながら、留意しながら、我が国農業の競争力の強化を推進していくことが重要であると考えております。また、韓国、ASEAN諸国とのFTA交渉が本格化していくに当たりまして、今回のメキシコとの交渉の経験を生かしながら、我が国農林水産物の輸出拡大も視野に入れまして、農業における構造改革の円滑な推進に資するように、積極的かつ戦略的に取り組んでいきたいと考えております。
  28. 田中伸男

    政府参考人田中伸男君) 経済産業省といたしましても、農水省と同じように、今回のEPAの交渉が大筋合意されたということは大変大きなインパクトがあるものだというふうに思っております。  と申しますのは、やはりメキシコ、日本双方が違った経済構造をしているわけでございますので、例えば、日本は貯蓄の多い投資を出す国、彼らは投資を受け入れていく若い国、日本も高齢化をしておりますけれども非常にハイテク機器の輸出に強い、彼らはこれからそういう方に進んでいこう、日本はアジアの大国、彼らはNAFTAの中の中核国と、こういったいろいろなその双方の持つ補完関係をいかに強化していくか、使っていくか、それを貿易・投資関係を拡大することによって実現していくということが今回の日墨のEPAによって可能になるのではないかというふうに私ども考えております。  非常に多くな品目について実質的自由化交渉という意味で大変苦しい交渉をしてきたわけでございますけれども、この決断を今後のASEAN等とのFTA交渉に是非使ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。  やはり両国にとってこの交渉がウイン・ウイン、お互いにメリットのあるものでないと意味がございません。そういった意味で、私ども関係省庁及び関係各位と幅広い意見交換もしてまいりました。調整もしてまいりました。信頼関係を相互にも築いてまいりました。今後もこういった必要な情報をきちっと取っていって分析していくと、こういうことを通じてアジアとのFTAを進めていきたいと思います。  今後、アジアの各国は、メキシコと異なって、例えばフィリピンでありますと人の移動の問題、また貿易におきましても、我が国産業は各国のみならずASEAN全体の中で最適な答えを求めるような、そういったような理解があるわけでございますので、必ずしもメキシコと比べて楽観は許されないわけでございます。  他方、アジアは非常にメキシコ以上に実体経済の面で日本と結び付きが強いわけでございまして、今回メキシコで非常にレベルの高いFTAができ上がった、サービス、投資についてのネガティブリスト方式でございますとかビジネス環境整備とか、いろいろな優れた面がメキシコとのFTAでできましたので、こういった経験を使いながら、私ども政府一体となって意義のあるFTAを早期に実現していきたいと、かように考えている次第でございます。
  29. 舛添要一

    舛添要一君 今回、本当にうまくいったと思いますので、関係省庁、政府の御努力を多といたしたいと思います。  今、田中部長からありましたように、今度はアジアとの話になると人の問題が入ってきたりして、これ今度厚生労働省も入ってくる。そこで、やっぱり政府一体となってやる必要があるので、司令塔として外務省が全体の調整をやる必要があると思いますけれども外務省外務大臣、今後のFTAへの取組について一言よろしくお願いします。
  30. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは藤崎外務審議官が首席代表ということでやっております。外務省として、総合的な調整の役割を果たしながら、各省緊密に連携をしながらこれをまとめていきたいと思っています。
  31. 舛添要一

    舛添要一君 我が党としても、特命委員会を額賀政調会長の下に設けまして全力を挙げてバックアップしたいと思いますので、国益のために頑張ってFTA交渉を進めていただきたいと思います。  もう一つお伺いします。国連改革についてです。  先般の大臣の所信表明の中に、「安保理改革が実現する暁には、我が国は常任理事国として一層の責任を果たしていく考えです。」ということは、あります。つまり、これこのまま読むと、安保理改革の実現ということは我が国が常任理事国に、安保理の常任理事国になるということだと思いますけれども、そういう理解でよろしゅうございますか。
  32. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ということでございます。
  33. 舛添要一

    舛添要一君 最近、この安保理改革に対する熱意が十分ではないんではないかと、今の内閣は。先般の総裁選でもそういうことがテーマになりましたけれども、具体的になかなかこれはやっぱり数の問題を含めて、今までの経緯見ても難しい。  フルフレッジドという、日本語で何と言うか、完璧な拒否権まで持ったメンバーであるのか。とにかく、拒否権持たなくても、常任理事国に準じるような立場で入った方がいいのか。ちょうど、フル規格の新幹線、なかなかいけないから整備新幹線でいいのかという、こういう例えがいいかどうか分かりませんけれども、いろいろな選択肢あると思いますけれども、具体的な戦略をどういうふうに考えているのか。  私は、もうこの二、三年、それぐらいのめどで、つまり憲法改正とかこの国連常任理事国入りということで、一九四五年の日本が負けた戦後の体制を大きく変えるチャンスなんで、それは外交課題として全力を挙げて追求すべきだと思いますけれども、今の私のコメント、疑問点にお答えいただきたいと思います。
  34. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 大事なことでございまして、今懸命に取り組んでいて、もっともっとやらなければいけないこともあると思っています。  それで、余りこれが戦略ですと申し上げて手のうちをさらしてしまうというのもいかがかと思いますけれども、幾つかのことをやっています。  一つは、関係、いろんな国に対して日本がそういうことを考えているということをお話を直接して理解をしてもらったり、もう支持をすると言ってもらったりということが一つです。  それから、アナン事務総長がハイレベルのパネルというのを開いて国連の改革について話し合っていらっしゃる。日本としても有識者の懇談会、私も有識者懇談会を開いてそこで議論をしてもらっています。そして、アナン事務総長との間で、この有識者懇の結論といいますか報告の内容をハイレベルのパネルに反映をさせるために、できるだけ早くインプットとして教えてほしいということもアナン事務総長から言われているわけです。それで、そこでできるだけ取り込んでいただくということだと思います。それから、その次に、二〇〇五年に首脳レベルの改革の会議をしましょうということを言っているわけです。そこで、そのハイレベルのパネルの結果ももちろん反映されることになると思います。そういうところできちんと議論を各国にしていただく。  それで、その過程、それまでの過程にもっともっと、その国際社会の理解を深める活動ですとか、国内理解を深める活動とか、そういうことを同時並行的にやっていく必要があるだろうというふうに思っています。
  35. 舛添要一

    舛添要一君 最後に申し上げておきたいのは、国連安保理の常任理事国に日本の国家目標として入るんだということを大きく掲げますと、憲法改正の問題も自衛隊海外での国際任務の問題も全部連動して話ができるんで、そういう大きな旗を掲げないと、今のP5にしたってみんな核兵器持っている、プロジェクション能力持っている、国際社会での相当な活躍、そういうことが何にもできなくてあなたP5に入れるんですかということになりますから、是非これは大きな次の目標として掲げていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  36. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 自由民主党の月原です。続いて質問いたします。  防衛庁の方にお尋ねしますが、最近、予算で自衛隊の充足率という問題がまだ存在しておる。私は、かつての整備計画の途中であるとかあるいは募集難で優秀な人材を必ずしも採れない、その場合に充足率というものを掛けていく、こういう意義はあったと思うんですが、このように自衛隊の定員そのものがコンパクト化、スリム化されているとき、また仕事そのものが非常に多くなっている、そういう状態のときに、この充足率という考え方は必要なのか。国民からいえば、定員イコール一〇〇%やっておると、こう思っておるわけであります。だから、その点についてどういうふうに考えられておるか、そして今後どういうふうに取り扱っていくつもりか、そのことについてお尋ねしたいと思います。
  37. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、現状、十六年度予算で申しますと、充足率は陸上自衛隊で九一・二九%、海上自衛隊で九五・三二%、航空自衛隊九五・〇三%となっております。これは、過去、募集環境が悪化している場合には隊員を確保することができず実行上ロスが出るといったようなこと等からこうした措置が取られていたわけでございますが、他方、平成七年度に策定されました防衛計画の大綱の下、常備自衛官定数を十八万から十四万五千に陸上自衛隊は削減するということの中で、毎年充足率を引き上げるといったような措置も取っているところでございます。  今御指摘のありましたとおり、自衛隊が正に内外で活動する時代になったということが一つ、それから近年の好調な募集環境等もございますので、今後、自衛隊が多様な事態や各種の国際活動の任務にこれまで以上に迅速に、かつ実効的に対応していくために、今後、充足率の在り方についても十分に検討していく必要があるというふうに考えております。
  38. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 私も同じ考えでありまして、本来、欠員補充ぐらいの姿勢で臨むのが、もうそういう状態に来ているんじゃないかなと、こういうふうに思います。  次に、内閣の方にお尋ねしたいんですが、栄典制度の改革をされたことは高く評価するわけでありますが、この中に、「国際的な災害救助活動などに参加した者に対して、その事績を表彰するため、記章等を活用することについて検討する。」ということが平成十四年八月七日閣議決定のところで明らかにされております。そしてまた、それに、基となる懇談会報告にもあるわけでありますが、この検討はどのように進んでおるのか。そしてその対象は、この前、私も国会で、この委員会でお尋ねしましたが、代表的なものとして国際救助ということを言っておるんですが、海外派遣された、今、身の危険ということを前提にしてでも乗り越えていくんだということで派遣されておるこの自衛官の派遣、そういうものもその対象に私は当然なると思うんですが、そういうことも含めて、今、検討がどのように進んでおるか、御説明願いたいと思います。
  39. 勝野堅介

    政府参考人勝野堅介君) お答えいたします。  記章につきましては、ただいま先生の御質問にありましたように、平成十四年八月七日閣議決定の「栄典制度の改革について」、「国際的な災害救助活動などに参加した者に対して、その事績を表彰するため、記章等を活用することについて検討する。」とされているところでございます。  現在、私どもといたしましては、諸外国におきまして国際的な災害救助活動等への参加者に対しましてどのような形で栄典授与を実施されているかといった状況ですとか、あるいは各省におきまして国際的な災害救助活動等に従事した者に対しどのような表彰を行っているかといったところを調査するなど、鋭意検討を進めているところでございます。また、今、先生御質問にございました、どのような範囲の方々、どのような方々を、対象とする方につきましても今後鋭意検討を進めていきたいと考えているところでございます。
  40. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 鋭意検討は結構なんですが、十四年八月七日に閣議決定を見ておるわけでありますから、これは関心を持つ人は非常に多いわけでありますし、また、その効果たるや大なるものがあるだけに、鋭意検討ではなくて、いつまでやるかと、次の私は機会にお尋ねしたいと思いますので、検討をいつまでするのかということを、今お答えは難しいと思いますが、そういうつもりで検討しておいてください。よろしくお願いいたします。  さて、次に国の機関の国旗掲揚についてお尋ねしたいんです。  平成十一年八月十日に、野中官房長官発言要旨という中に、国の機関については開庁日及び祝日に庁舎における国旗の掲揚に努められるようお願いいたしますというもの、こういう発言があるわけでありますが、現在、私が一、二、地方の方に歩いていると、国旗が国のもので掲げられていないところがあるわけですね。そのことを踏まえて、今、今日は副大臣に、特にこういうことに関心があるし、また積極的に進められておる副大臣に、現状と、それから今後どういうふうに取り組んでいかれるのか、そういうことについて改めてお話し願いたいと思うんです。
  41. 成田一郎

    政府参考人成田一郎君) お答え申し上げます。  国旗及び国歌に関する法律成立の際、当時の野中官房長官が閣議の場で、国の機関については開庁日及び祝日に庁舎における国旗の掲揚に努められるようお願いいたしますという発言をされております。この発言内容につきましては、趣旨の徹底を図るため、発言要旨を各省庁に送付を行い、周知を図ってきているところでございます。  また、平成十三年十二月六日の副大臣会議の場におきまして、当時の安倍内閣官房副長官が各副大臣に対しまして国旗掲揚の徹底について重ねて依頼を行っているところでございます。
  42. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 どうぞ、副大臣
  43. 中島眞人

    ○副大臣中島眞人君) 合同庁舎等の調査がどのように進んでいるかというふうな質問も一緒にあったかと思いますので、現状を説明させていただきまして説明を加えていきたいと思います。  国旗については、平成十一年に国旗及び国歌に関する法律が成立したことに伴い、日章旗が我が国の国旗であることが成文法で明確に規定されたところでございます。国の機関においては、国旗を開庁日及び祝日に庁舎に掲揚することが望ましいものと考えており、内閣府としては、今後も、本法律成立時の内閣官房長官発言の趣旨を尊重して対応していただけるよう各省庁に働き掛けていくことにしたいと思っております。  今回先生指摘の地方合同庁舎等を含む国の機関における国旗の掲揚状況調査については、今後調査をいたす方向で積極的に検討してまいりたいと、このように思いますので、もうしばらくお待ちをいただきたいと思います。
  44. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 全体の調査ということを待ってお話しまたしたいと思いますけれども、現に私が二、三気が付いた点についてお話し申し上げると、防衛庁関係の私はところを最近訪れると、例えば自衛隊宮城地方連絡部、それから仙台防衛施設局、こういうものが仙台第三合同庁舎に入っておる。ところが、ここは全然国旗が揚がっておらぬわけですね。私はこれはどうなんだというふうに聞いたら、庁舎管理者の判断というものが大きいということなので、私は、今、中島大臣お話しのように積極的に、これは義務規定ではないけれども、民間の人でもちゃんとこのごろ旗を揚げてくれておるのに国のしかも合同庁舎、一遍行かれたらお分かりと思いますが、仙台のど真ん中に、堂々たる庁舎が国旗を揚げていないという事態は私はゆゆしい問題だと私は思ったわけであります。  そういうことで、副大臣に、それは私がたまたま見た一つの事例で、今後そういうことについて全体に調べられて、さらに、副大臣の時代にそれが徹底されるようにお願いしたいと思うわけであります。  そこで、国土交通省の方が見えておれば、この第三合同庁舎についてどういうふうに考えておるのか、お話しを願いたいと思います。
  45. 柴田耕介

    政府参考人柴田耕介君) 御質問の仙台市宮城野区五輪にございます仙台第三合同庁舎につきましては、仙台管区気象台が管理庁になってございます。同庁舎では、祝日におきましては国旗を掲揚しておりますが、趣旨が徹底しておらず、開庁日には掲揚していないという現状にございました。  今後は、国旗及び国歌に関する法律の趣旨に基づきまして、また政府の方針に従い、開庁日にも国旗を掲揚するよう指導してまいりたいというふうに考えております。
  46. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、次長から非常に強い決意を示されて、期待しております。  具体的に一つの例を挙げたわけですが、中島大臣が先ほどおっしゃったとおり、全国にこういうことがないように、少なくとも国の機関においては趣旨が徹底するようにお願いしたいと思います。  続いて、最近における我が国周辺の中国海洋調査船、これは東方紅二号というんですかね、の動向と、外務省がこれまでそれに対してどういうふうな姿勢でおるのかということについてお尋ねしたいと思います。
  47. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  委員今御指摘の東方紅二号、これは中国の海洋調査船でございますけれども、これが、本年に入りまして二月の十七日、二十九日、三月の二日から四日及び三月の七日に、我が国の排他的経済水域内において国連海洋法条約の手続を踏まない形で海洋調査活動を行っていることが確認された次第でございます。  本件につきましては、外務省として、防衛庁から連絡を受け、直ちにその都度中国側に対しまして、東京及び北京において、外交ルートを通じまして、この当該調査活動というのは我が国の事前同意を得ていないと、従って全く認められないということを伝え、直ちに中止し、そして公海上へ出ていくようにという申入れをしたわけでございます。その結果として、申入れの後、防衛庁等々と非常に緊密に連絡を取っておりますけれども、この東方紅二号は当該海域を出ていったということは確認はしております。  我が方といたしましては、こうした活動というのは基本的に一切国連海洋法条約上認められないことであって、当然、国連海洋法上の手続をきちんと踏んでやるようにということで強く中国側に引き続き働き掛けをしていきたいというふうに考えております。
  48. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 防衛白書を見ると、こういうことについて、通報と異なる中国の海洋船調査等による活動と、そういうことに対して、一昨年の九月あるいは昨年の六月、もうこれ年度が違うから昨年の六月ですが、日中外相会議並びに昨年、一昨年の十一月の海洋法に関する日中協定などにおいて、中国の海洋調査船の動きについて中国側の枠組み遵守を強く要求したと、こういうふうに書かれておるわけであります。これは当然のことですが、今年もこのような会議のときには強く言わなければならないと思います。    〔委員長退席、理事佐藤昭郎君着席〕  そこで、最近これが非常に多くなってきておるんですね。外務省の方からちょっと資料をいただくと、どうなんですか、平成十三年と、十六年、十五年が八件だったのが、これが、一年間でですね、ところが十六年になって今はや十一件と、こういうふうになっておるんですが、これについてはどういうふうに見ておるんですかね。
  49. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今委員指摘のとおり、正に今年に入りまして現在までで十一件、東シナ海以外の我が方の排他的経済水域においての活動が確認されておるわけでございまして、これは決してこの国連海洋法条約上の下で許されることではないということでございます。  我が方、最近におきましても、三月十四日でございますけれども川口大臣の方から、来日しておりました戴秉国副部長外交部の副部長に対しても、その機会をとらえて、この活動について、これは絶対にこの形では認められないんだということ、日本国内の厳しい雰囲気も伝えて、先方の強い指導を求めたわけでございます。  先方からも、国連海洋法条約の規定に基づいてそれは尊重したいという発言がございましたけれども、いずれにしましても、今後とも、中国側が国連海洋法条約の手続を踏まない海洋調査活動というもの、即時中止を求める、あるいは絶対にこうしたことが再発しないよう強く求めていきたいというふうに考えております。
  50. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 外務省としてそのことを強く、とにかく相手方に一つ一つそのたびに言わなければ既成事実というふうにして進んでくる。皆さん、外交官だから私より以上にそういう意識を持っておられると思いますので、よろしくお願いします。  さてそこで、自衛隊の飛行機が、哨戒機が見付けたと。じゃそのとき、ちょっと外へ外れておって、燃料がないものだから、ずっとまたこっちへ帰ってくる間に十分彼らはまた入って調査すると。要するに調査目的は、ちゃんと目的を達成しておるんじゃないかなと、こういうふうに私は思うわけでありますが。  それはさておいて、その哨戒機による調査船の、が継続した追跡というのはなかなか難しいとした場合、その場合には防衛庁としてはどのような対応を取っておるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
  51. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 防衛庁といたしましては、先生もう既に御案内のように、我が国周辺の海域におきまして、平素から艦艇を始めまして哨戒機P3C等によります警戒監視活動を重ねてきているところでございます。もう当然、そういう中で、中国の海洋調査船に関しても必要に応じ関心を持って見ておるところでございますが、所要の情報等を、先ほど薮中局長の方からございましたが、外務省あるいは海上保安庁に通報してきているというのがこれまでのところでございますが。    〔理事佐藤昭郎君退席、委員長着席〕  先生指摘のように、この燃料等のそういう問題についてどういう対応をするかということでございますが、この哨戒機によります警戒監視活動手法等の細部につきましてはちょっとお答えは差し控えさせていただきますが、その実施に当たりましては、例えば、一般的に申しますと、事前にいろんな向きからいろいろな情報が入ります。これらの情報等を基に、効率的な飛行を、計画を立て飛行を実施する、そしてまた、一機じゃなくして複数の、予備機等の複数の哨戒機を運用したりする、こういう形で、こういう航空機の燃料不足等によります警戒監視態勢の空白ないしは欠落、穴を空けるというようなことがないようにしておりまして、それによって様々な事態に対応できるような、そういう態勢を図っておるところでございます。
  52. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 ちょっとこれ質問には申し上げていなかったんですが、外務省の資料を見ると、排他的経済水域について、十六年、東シナ海以外で十五年、八、十六年、十一と、こうなっておるんですが、その中に、備考として、我が国領海内における違反事例は平成十二年以降確認されていなかったが、平成十五年及び十六年にはそれぞれ一件ずつ確認されておる、十六年既に一件確認されておると、こういう意味だと思うんですけれども。  この排他的経済水域内の違反と領海内における違反というのは、これは大きく意味が違うと思うんですね。先ほどのことと関連するんですが、領海内のことについてはこういう事件についてはどういうふうにしておるんですか。
  53. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に今委員指摘のとおり、十一件というのは排他的経済水域、一件今年に確認されましたのが領海内ということでございまして、これは当然領海内でのこういう活動というのは認められないということでございますので、非常に強く厳しく、同様に厳しくやっておりますけれども、その日のうちに先方に非常に厳しくこの申入れを行いまして、直ちに出ていくようにという措置を取ったわけでございます。
  54. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 これで質問を終わりますが、海洋調査船の件については、非常に最近増えてきておるということについて、十分、防衛庁あるいは海上保安庁とか、そういうところと連携して毅然たる姿勢を持ってもらいたいと、このように思います。  以上で質問を終わります。
  55. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  過日の両大臣の所信を伺いまして、主として、先ほども同僚委員からございましたが、スペインあるいはロシア、そしてまた中国、台湾等、外交姿勢、外交方針等を中心に伺いたいと思いますが、その前に、幾つかこの間、委員会あるいは他の委員会でも質疑したことにつきましてたださせていきますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  まず冒頭、イラクにおきますお二人の我が国外交官殺害事件につきましての、その後の事件解明について、日本政府の今の解明状況についてお伺いしたいと思います。  まず一つは、いわゆる体から検出されたという金属片、この破片、これ銃弾、特定、ほぼ特定していますが、どういう具体的な銃弾だったかということについて成分をこれは調べている、調査をしていると、こういうことだったと思いますが、この成分の結果、分析結果が出ているのかどうか、その内容につきまして伺いたいと思います。
  56. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 外交官、二人の外交官の方の御遺体から発見されました金属片、銃弾の一部と見られるものの金属成分の分析結果についてのお尋ねでございますけれども、鋭意鑑定を実施をしてきておりますところ、物理的な鑑定を優先をして行ってまいりました。かねて御答弁申し上げておりますとおり、口径七・六二ミリ、右回り四条の腔線を有するものが発見をされたということで、鑑定結果が出ているところでございます。  そこで、この金属成分でございますが、これも鋭意その後鑑定を行っておりましたところ、先般外務省の方からその二人の外交官が乗っておられました被害車両、これにつきまして任意提出をいただきました。この車両の中からも実は大変多数の金属片、中には銃弾の一部と思われるものも相当多数発見をされております。そこで、今現在、この車の中から押収をされました資料につきまして、物理的な鑑定と併せ、お尋ねの金属成分の鑑定につきましても鋭意行っているところでございまして、これらを総合いたしました上で、私どもとして、これは大変重大な事案でございますので、一定の経過、結果が出たときに、可能な範囲で是非これは公表してまいりたいというふうに考えているところでございます。今しばらく時間が掛かっているところでございます。
  57. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今のいわゆるランドクルーザー、車両についての答弁も含まれていたんですが、これは車両からは、あれですか、その銃弾そのものは既に抽出というか検出、捜査の対象として出てきているんですか、銃弾そのものが。金属片という言い方ですけれども
  58. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 現在、鋭意鑑定中でございますが、全体として金属片とこういう言い方をしておりますけれども、完全な形での銃弾が発見されたという報告は、まだ私は接しておりません。ただ、中には銃弾の一部と思われるものは含まれているということは間違いないものというふうに報告を聞いております。
  59. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今の答弁で、この成分の検査とそれから車両からの金属片、銃弾の一部ということで、総合的にということで、これは言葉の中でも慎重にというところから慎重にされると思うんですが、一般的に我が国の鑑識能力、鑑識技術からいって、今日までの時間がそんな長時間、金属片の成分が、銃弾を特定できないなんて私は考えられない。国内の様々な犯罪を見ても、もう即日的にこれは銃弾を特定して犯人の犯罪捜査について究明しているわけでありまして、今回の二人の亡くなったことについての事件の御遺族なり国内外に与える影響を含めまして、極めて率直に申しまして、努力をされているのに緩慢であるなんていう言い方は大変失礼かも分かりませんが、率直にこれは言わざるを得ませんよ、これは。  で、この車両の方のいろいろ調査をされて、いつごろまでに私ども国民あるいは国会内容について御説明いただけるんですか。それ、どういう見通しに立っておられますか。
  60. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 大変時間を要しているということで、御指摘ございました。  是非御理解をいただきたいのは、やはり物理的な鑑定というものが優先をされるべきである。これは銃の種類を特定をするということが一番の目的でございますが、金属成分から銃の種類を特定するというのは、これは一般的に難しいわけでございまして、物理的な鑑定をやることによって先ほど申し上げました七・六二ミリ右回り四条の腔線を有する銃であるということが分かったわけでございます。  それともう一つ、非破壊検査によって一定のどういう成分が含まれているということは、これはある程度分かります。しかし、例えばその金属成分の構成比率がどうであるかというようなことになりますと、これは最終的に破壊をして、例えば溶解をして、溶かしてこれを検査をするというようなことになるわけでございまして、そうしますと、その検査は言わば不可逆的といいますか、もう現物は元に戻ることはなくなるわけでございます。  そういった意味から、今回、車両が到着をいたしましたので、そこから出てきたいろんな金属片や銃弾の一部との、これは御遺体から出たものとの照合等もする必要もこれございます。そういう意味で、金属成分の厳密な鑑定というための溶解検査等についてはなかなかそのタイミングといいますか、いつやるのかということの判断というものが必要であったというような事情にあることを是非御理解をいただきたいなというふうに思います。  それから、鋭意、私ども、大変重大な事案でございますので、この捜査、鑑定に取り組んでおりまして、車両の検証の結果等を出すのにどのぐらい掛かるのかという御指摘でございますが、これまで得られた証拠資料等も踏まえまして、できるだけ総合的に整理をし、また分析を行った上で公表し得る内容につきましては公表したいと考えておりまして、おおむね四月の上旬までを目途に何とか出したいということで、今鋭意取り組んでいる状況でございます。
  61. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 急いでくださいよ、結果をね。  それから、現地に、現地からこの車両を皆さん方が直接持ってきたわけではありませんから、これはなかなか確定したことは言えないと思うんですけれども、この車両を今調査をされていて、その後、いわゆる事件があって以降、車両が様々な、人工的にも何かその後現場の状況をそのまんま、保存したまんま搬送されたというふうに理解をしているか、その後何か破壊されたり改造されているという様子は見受けられるのか、その一点だけちょっと現状をお伺いしたいと思います。
  62. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) あの車両につきましては、バグダッド日本大使館に搬入されて以来、私どもとしましてはできるだけ現状のまま日本に輸送していただきたいということで、外務省にもいろいろお願いをしてまいりました。最大限そういった配慮がなされた上で日本まで輸送されてきているものというふうに見ております。
  63. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございました。結構です。  次に、横浜市内の在日米軍四施設の返還問題で、二、三お尋ねをしたいと思います。防衛庁になるんではないかと思います。  昨年、横浜市内にあります深谷、そして上瀬谷、それから富岡、根岸と、住宅あるいは通信施設の返還というのが日米間で合意になったということで承って今日に至っていると思いますが、その後の状況について政府の方から御説明いただきたいと思います。
  64. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 今御指摘になりましたように、昨年の七月に、日米間の協議におきまして米側から、根岸の老朽化に伴う建て替え分を含めまして、在日米海軍の住宅、不足分を加えて合計八百戸程度の住宅とその支援施設の建設がなされますれば上瀬谷ほか三施設の、将来これが住宅用地としての利用計画がなくなるということで、また根岸につきましては移設先が確保できるというようなことから、これらの施設についての返還が考慮できるという考え方が示されまして、私ども、米側と協議をし、池子の住宅地区及び海軍補助施設の、これは横浜市域でございますが、そこに住宅等支援施設を建設するということで認識の一致を見たわけでございます。  私ども、その後、この協議内容関係自治体の方に御説明をし御理解をいただくべく努めてまいったわけですが、とりわけこの協議の対象となっております施設・区域が所在をする横浜市に対しまして、昨年の七月に、協議内容についての意見をいただきたい旨、文書でお願いをいたしました。その後、横浜市の方から九月と十月、二回にわたりまして本件内容あるいは国の取組等についての意見照会がございまして、十月と十二月にそれぞれ回答をいたしております。この間、昨年の暮れに、私が中田横浜市長にお会いをいたしまして、日米間の協議の内容、国の考え方等を御説明をし、御理解をいただきたいというお願いをしたわけでございます。  また、逗子市に対しましても、累次、日米間の協議内容等についての御説明をすべく努めてまいりました。昨年の十一月には長島市長が防衛施設庁にお越しになりまして、数十分にわたって面談をし、御意見を伺うと同時に私どもの方の考え方も御説明をした。現時点においてまだ地元の御理解をいただくに至っておりませんが、私どもとしては引き続き御理解をいただくべく努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  65. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ただいまの答弁、説明にもありましたとおり、私は、本来、まず遊休化したり必要なくなった施設というのは、まず返還、先にありきだというのが私は原則だと思いますし、この間、神奈川県や神奈川県内にあります市町村も、住宅建設オーケーですよと、いいですよということを言ってきているわけでなくて、これも恒久的なまた施設ということで、基本的には増設についてはこれは認めてきていない姿勢があったと思います。住宅建設を新たに認めるならばという四施設の返還というのは、こういう私は経緯や原則からいって問題であるということについて指摘をさせていただきたいというふうに思います。  その上で、この間、日米間でやり取りされてきましたけれども、これを切り離していくということは、今回の話合いの経過や、今後、日本政府として返還と住宅建設切り離すということについては、日本政府のこれからの方向として取っていく考えはあるのか、あるいはもう不可能なのか、住宅建設が認められなければ四施設の返還はないのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  66. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 日米間の認識の一致を見た内容につきましては先ほどお答えをしたとおりでございますが、一方において、在日米海軍の関東地区における家族住宅の不足の状況というのは極めて深刻なものがございまして、これはもう十年、二十年さかのぼったころから議論をしてまいっております。その間、千数百戸の不足を来しているという中で、在日米海軍として最も重要な課題一つだという認識を持っておりまして、私どもも海軍の駐留の円滑化といいましょうか、という観点から、できるだけ、財政事情等の兼ね合いもございますけれども、そういった米側の要請にこたえていく必要があるという要請がございます。  他方で、これはもう数十年にわたって神奈川県域における施設・区域の提供、かなりの面積に上っておりまして、これを少しでも返還を実現したいという地元の御要望も大変強いものがあるという中で、両者の要請をどう調和を図るかということで、海軍の側からいたしますと、これは上瀬谷あるいは深谷等において住宅を建設をするか、あるいは既に提供している他の施設・区域で建設をするか、さらには、それができない場合には新たに施設・区域を提供をして、そこで住宅の需要を満たすかというようないろんな選択肢があるわけでございますが、現実問題として、新たに施設・区域を提供して、そこで在日米海軍の住宅の需要を満たすということはかなり困難だと思います。  そういう中で、私どもいろいろ協議をした結果、池子地区において所要数の住宅が満たされれば、上瀬谷あるいは深谷等において住宅の建設計画を立てずに済むということで返還が可能になるということから考えますれば、両者を切り離して取り扱うということは私どもできないもの、そういう意味で横浜市からお尋ねがあった回答の中におきましても、一連の問題であって一括をして処理すべきものだというふうに申し上げているわけでございます。
  67. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 要は、日本政府としては、アメリカ政府に対して切り離す、切り離すということについてアメリカ側の方に働き掛けるという考えはないと、同時決着を図っていきたいと、こういうことですか、単刀直入に。
  68. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 種々議論をしてきて、先ほど来申し上げた認識の一致を見た点は、今御指摘になったような基本的な方向ということでございます。
  69. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この場合、度々私は地元、逗子あるいは横浜市、総体的には神奈川県ということですけれども、かつての逗子市域分についての池子住宅については最終的には当時の神奈川県知事がいろいろ仲介に入ったという経緯もあると思うんですが、この同時決着を図るという方針なら方針なりに、私はそのことを肯定するつもりは、今先ほど言った、分割できないか、分離できないのかという基本原則を持ちつつですが、努力がどうも余り私は見受けられないというのは一点指摘させていただきたいというふうに思います。  それから、角度を変えて、これは一般的な、全般的な答弁でいいんですけれども、この米軍基地が返還された場合の跡地利用に関して、政府として、国内外でこういうような実は跡地利用に関してうまくいったというか成功したということを、今後の教訓を生かしていく意味で、そういった点を把握をしていられますか。それらにつきましたら、具体的に明らかにしていただければ有り難いと思います。
  70. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 私どもが把握している限りで申し上げますと、昭和五十年以降でございますが、例えば昭和五十七年の三月に横浜の海浜住宅地区が返還をされ、それの跡地利用といたしまして商業施設及び住宅等としての利用がされておりますし、また、関東空軍施設整理統合計画というものがかつてございまして、昭和五十二年に立川飛行場が返還をされました。その跡地が国営公園、広域防災基地あるいは道路等として利用されているというふうな例を承知いたしております。
  71. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 関連して、内閣府で同様な質問、お答えいただけますか。
  72. 武田宗高

    政府参考人武田宗高君) 沖縄の米軍施設でございますけれども一つ大きな事業として例を挙げさせていただきますと、昭和五十二年から昭和六十二年までに返還されました牧港の米軍住宅地区、百九十二ヘクタールでございますけれども、これにつきましては、那覇の新都心ということで都市的な土地利用ということで、現在、事業は最終段階に入っておると思いますけれども、非常に、官公庁あるいはショッピングセンターあるいは住宅といった形で、場所的にも那覇の中心部から近いということもございまして、沖縄県の中南部都市圏の核の一つとして発展しつつあるという状況でございます。
  73. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私、今何でこういう跡地利用について指摘させていただくとすれば、今回、横浜市内の米軍四施設の問題もそうですし、沖縄もそうですし、神奈川県のこれまでもあったんですが、一つは、返還後というのは、いわゆる土地の取得をめぐりまして、有償三分割とか、財務省の、この自治体に、まあこれは国有地は国有地、国有地を返還する場合はこれ、方針がございます。幾ら自治体側がプランを出しても、なかなかここらがネックになって、なかなか跡地利用という絵をかいても大変、この取得をめぐりまして大変苦労をしているというのがございます。  今、日米関係でいいますと外務省、そして防衛施設庁、それから財務省とか、それから今様々な、この地域利用というのはいろんな様々なアイデアがあって、もちろん固有には地元住民なり自治体、常々常々この跡地利用に関しては地元自治体も中央省庁も省庁の域を越えて、いつもやっぱりそういう意味では議論をしながら、私は具体的な案作り、こういうことにずっともう十年、二十年、三十年掛かって、全国の米軍施設の返還というのは様々な課題を実ははらみながら今日に来ていまして、様々な私は教訓というのは持っているというふうに思いまして、先ほど、同時決着という方向があるならば、これまで何十年と積み上げた跡地利用とか返還のいろんな、良くも悪くも経験されているんですから、そういったことが生かされているんだろうかということについて、私は、今こういう段階に来て思っているからこそ一、二、いろんな、跡地利用のいろんな教訓についてお尋ねをさせていただきました。  基本的には私は、四施設は基本的にまず返還をすべきだというふうになっておりますが、政府があくまでも四施設の返還と米軍住宅をセットだと言うんだったら、政府自体がこの間の様々な歩みから見て、そのことを具体的に自治体や住民に、政府自身は省庁の枠を越えてこういうことをやっていきますということがなければ、決着、決着、決着と言ったって、また長期にずっと時間も掛かっていくことになっていくわけでありまして、あえてそのことを申し上げさせていただきました。  是非、地元自治体とか住民の意向はございますから、財務省との関係もそうでありますし、地元の関係、是非積み上げていただくようにお願い申し上げたいというふうに思います。  それから、ちょっと時間もなくなってくるんで、ちょっと外交方針について、劣化ウラン弾の関係ですが後ほど時間あればまたさせていただきますので、外交方針に入らさせていただきます。  まず、ロシアの大統領選挙、スペインの総選挙、同時期に行いました。外務大臣、お尋ねいたしますが、一部報道で、大臣、ロシアに訪ロ、いわゆる訪ねられるということが発表されております。これは事実でしょうか。行かれれば、いつ外務大臣行かれるのか、お尋ねしたいと思います。
  74. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは、今年の前半にもロシアに行きたいというふうに私としては考えておりまして、そのことは国会の初めの外交演説においてもその旨申し上げさせていただいたわけです。  具体的に、じゃいつかということですけれども、たまたまロシアの方で内閣が替わったり、そして選挙があって、プーチン大統領の就任式等がありまして、今のところ日程調整中でございますけれども、調整でき次第というふうに思っております。仮に国会の開会中であれば、そのときには御了解をいただいてということになると思います。
  75. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 一部報道で五月にも行かれるということが出ていますが、五月に決まったわけではないんですか。
  76. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 五月に決まったわけではございません。どちらかといえば、むしろ五月の初めというのは私どもにとってはいい都合、都合がいいんですけれども、プーチン大統領の就任式がございまして、日程の調整がそれほど容易ではない時期ではないかというふうに考えております。
  77. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 日本政府側の方の希望といいますか、可能ならば五月初旬に行きたいと。いわゆる日本でいう連休に行きたいということであると、こういうふうに受け止めます、それは相手側の方のいろんな日程次第だということで。  その上で、今回のプーチン大統領の再選について、外務大臣としてどうこのことを受け止め、評価をされますか。
  78. 川口順子

    国務大臣川口順子君) プーチンは非常に高い投票率の下で大変な多数の票を得て再選をされたわけであります。政府として、引き続きロシアとの関係については変わりがない、考え方については変わりがないわけでして、これは一月に、昨年の一月に総理が訪ロをなさったときに日ロ行動宣言ということを、日ロ共同宣言というものを作りました。それで、ごめんなさい、日ロ行動計画ですね、を作らせていただきました。  これは六つの柱から成っています。一つの大きな柱というのは平和条約ということです。これについては、今後、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結をするという従来の方針にのっとって交渉を進めていきたいというふうに思っておりますし、そのほかに、例えば国際舞台での協力ですとか経済の協力ですとか、防衛面、安全保障面での協力、あるいは文化の面の協力ということで六つの柱がありますので、それをきちんきちんと着実に進めていくということが大事だと思います。平和条約との関係でも、それをきちんと積み上げていくことによって日ロ間により肯定的な雰囲気を作って、その中で平和条約の交渉もやっていくということであるというふうに考えております。  先ほど、日本が、訪ロの時期につきまして私が申し上げた趣旨は、むしろこの就任式の時期がありますので、難しい時期であるという趣旨で申し上げたということであります。
  79. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 行かれることに関しては、国会日程いろいろありますけれども、私、別に、是非行っていただいて、いろいろ会談をしていただければというふうに、私はむしろそのことは是非積極的に日程調整していただいて行っていただければというふうに思います。そのこと自身まで私は否定するつもりはありません。  今後の日ロ間、今御意見といいますか考え方を伺いましたが、この大統領選挙そのものについて内外から、ヨーロッパ、欧米から非常に野党への選挙報道の、やはりこれはいわゆる大統領側に非常に偏った報道ではないかとか、選挙そのものについて非常にクレームが付けられている。そういうような報道を私は目にしているわけですが、このことに関しての大臣としての考えはいかがですか。
  80. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これはきちんとした手続にのっとってロシアで選挙を実施をなさったということでございますから、我が国としてロシアの選挙のやり方、在り方に何か今の時点で申し上げるという立場にはないと思っています。  それで、プーチン大統領がこれだけの多数の支持を得て当選をしたわけですから、ロシアが今手掛けている改革、様々な改革について、これにプーチン大統領が高い、強い指導力を発揮していただき、また平和条約あるいは日ロ間の問題についても強い指導力を発揮をしていただくということを我が国としては期待をしているわけでございます。
  81. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 アメリカのパウエル国務長官もこの選挙の野党報道への偏りということについて批判をしておりますよ。それから、アメリカの人権団体もこのロシアの大統領選挙については強い非難をしていますし、私は、何かそういうところに何か目をつぶっちゃっているような今外務大臣の、結果の、その投票率も、いわゆる宗教と政治、この分離なんですけれども、この宗教団体も何か投票率を上げるために何か発言をテレビでしているということも私は聞いている中で、ここはやっぱりおかしいということはおかしいと言うのがやっぱりこれは両国間、どの外交間、外交姿勢もあっていいわけでありまして、そのことと、また二国間の何か外交とか何かが損なわれるということになってはいけないわけで、やっぱり主張すべきことは主張する、おかしいことはおかしいと言うのが私は当たり前のことだと思いますけれども、そういうことには、今の私は、外務大臣、何か目をつぶって、正しくやられました、大勝しましたということのコメントではちょっと十分ではないと思いますが。
  82. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 報道に基づいて一国の政府が他国の政府の選挙について云々をするということではないと私は思っております。  今の段階でそういう報道があるということは承知をしていますけれども、ロシアの中央選挙管理委員会がそういった投票について何か問題があったということを指摘をしたということではないというふうに承知をいたしています。
  83. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 外務大臣ね、そういう御答弁じゃ困るんですよ、これはもう選挙前から、選挙中からずっと言われていることなんだから。やっぱりそれはきちんと見るべきですよ、見詰めるべきですよ。それに対してきちんと意思表示をすることだと思いますよ。そのことと、日ロ間とかなんかおかしくなるということはあり得ないと思いますよ。  何か、私たまたま、私は報道しか、ロシアへ行っていませんから分かりませんけれども一つ報道じゃないですよ、複数の様々な報道ですよ。おかしいじゃないですか、そんな言い方するのは。
  84. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ロシアであれアメリカであれフランスであれ、どこであれ、政府が相手の国の政府に対して何かを言うときに、報道に基づいてこれはおかしいということでは、そういうことはあってはならないと思うんですね。逆のことを考えればそれはお分かりいただけるというふうに思います。  それで、私は先ほど、プーチン大統領が改革を進めるということについては日本として強い期待を持っているということは申しました。ロシアが今いろいろな側面、経済についてもあるいはその他の面についても社会についても、いろいろなことでプーチン大統領が様々な改革を今まで既に進めてきて、今後、二期目に入って強い支持を得て、もっとそれを強力に進める基盤を得たわけです。  そういう意味で、我が国としては、プーチン大統領がロシアの国に関するいろいろなことについて改革を進めていくということについての期待を表明をしているということであります。
  85. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 一般論を聞いているんじゃないんです、私は。その冷戦崩壊後、ソ連邦、ソ連邦を崩壊してロシア、そして今プーチン再選に向けて、私は、野党やいろんな新興財閥、いろんな様々な、権力の様々な争いがある。そのことについても様々な文献から、私は様々な人からも聞いておりますし、いわゆる今度の選挙、全選挙中、非常にプーチン政権がマスコミを巧妙に使いながら、あるいは権力を利用しながら、そして当選をしていったということで、そのことを、私と同じようなことを外務大臣が私は言ってほしいとか言うべきだということを言っているわけじゃないんですが、少なくとも今のロシアそのものについて先ほど言ったような御答弁をしているということになると、本当の二国間というのはいかがなのかなというふうに私は危惧してならない、率直に思います。二国間はこういうような外交をやりますけれども、私どもの国はこういうような実はロシアに関しまして調査あるいは分析をしていますというのが日本外務省の私は在り方だというふうに思います。  次に、スペイン総選挙、このことについて敗北の、いわゆる政権党の敗北の原因、これはどういうふうに思われておりますか。
  86. 川口順子

    国務大臣川口順子君) スペインで、与党の民衆党が優勢であるということを言われている中で選挙で敗北をしたということになったわけであります。我々としても、これの結果これがどういうことを意味するか、あるいはなぜかということについては関心を持って分析をしています。  ただ、これは相手の国の選挙の敗北の結果の分析ですから入念に分析をしたいというふうに考えておりまして、今の時点でこれについて我が国政府として何か申し上げるという立場、あるいは言うことではないというふうに考えております。  幾つか報道で言われていることということで申し上げたいというふうに思いますけれども一つテロ関係であるわけですけれども、これについてのことでありますけれども一つは、最初の、事件後の最初の政府の反応が、ETAバスク祖国の自由の犯行と割に断定的にそれが出たということについての不信感があったのではないかということが一つ言われているわけです。それからもう一つは、投票率が高かったということとして、投票率が高かった結果、浮動票がかなり野党の方に投票をした、社会労働党に有利に働いたという可能性。それから、地方の自治制度について、アスナール政権は、自治の権限の移譲、これについてこれ以上はやらないということを言っていたということについての政策の批判、これがあったというようなことも報道されているわけでして、例えば今回の選挙で、カタルーニャ、バスクにおける民衆党の議席の減少がかなり大きかった。カタルーニャでは十二から六になり、バスクでは十から六になったということがあるわけであります。これらはすべて報道ベースの話でございまして、政府として今の時点でこれらがその原因でありますと言う立場にはない、分析をきちんとしていきたいと考えています。
  87. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私も報道という話をしましたし、先ほどロシアの問題でも報道の話を外務大臣もされています。スペインのことでも報道というふうに言っています。外務省には、ロシアにも大使館がありますし、スペインにも大使館があるじゃないですか。大使館からの情報分析とか情勢分析というのは、刻一刻かどうかは別にして、逐次送られてきているんじゃないですか。それがその現地における情報じゃないですか。それらに対して目を通して、それらに対して答弁をいただき判断をするというのが外務省の姿勢じゃないんですか。私と同じように報道報道と言っていたら、外務省って一体何なんだということになりますよ。  今度のスペインの総選挙はもう与党が大勝するということだったじゃないですか、選挙戦の前の予測で言えば。これが今も報道からと言われる。外務大臣お話どおり大変痛ましいと思います。約二百人にも及ぶ三駅に対する、三駅の列車爆破事件テロ、そして全体的にはイラクへの派兵問題というのが大きな争点になり、そしていわゆるETA犯行犯行ではないか、このことを、非常にある意味では安保理を巻き込んで、ETAだということを、それは、ある意味ではこの非難決議がされたと。これは報道というよりも、むしろスペイン大使館だって、こういうことを私は、日本大使館でさえ私はきちんと報告をされているんじゃないかと思いますね。  これから十分入念に調査をしなきゃならないなんということじゃ本当に心もとないわけであって、これも私はまだ報道しか知りませんから、ブッシュ大統領も、新しい首相になる、何という方でしたっけ、サパテロさんね、サパテロさんに電話で、おめでとうということで、これからもテロの脅威に対して一生懸命手を携えてやりましょうという、こういうメッセージを送っていますけれども、同じ日米で、いろいろ仲良しな日本にしてみては、そういう積極的なところもないし、非常に心もとないですね。いかがですか。
  88. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 我が国の立場ですけれども、これはスペインの新政権もテロ、これが最重要な課題一つであるという言い方をしていらっしゃると承知をしています。したがいまして、我が国としてもテロというのは二十一世紀において非常に大きな問題だと考えているわけで、問題意識はともにしているわけです。  スペイン日本の友好関係というのは変わらない。そういったその中でテロ対策についていかにその共通の立場を、強力な協力関係を作っていけるかということは今後政策として考えていくべき課題でありますし、今まで基本的にスペイン政府と持っていた関係、これが変わることではないというふうに考えております。
  89. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 先ほど在外公館の話をしましたが、それに関しては御答弁はなかったんですが、先般、天木さんという大使が出版されて、私はその後、出版されて以降お話ししたことはありませんけれども、ちょっとあれですね、こういうようなリアルタイムに在外公館の方は聞いていないと思いますが、やっぱり私は、スペインで総選挙をやるのはもうずっと分かっていることだし、プーチン大統領のこともあるし、これから台湾の総統選挙の見通し等についても聞きますが、何か余り尋ねても、そういうような答弁がずっと継続されるようだったら、本当に何かやり取りしていても質問するのが嫌になっちゃうほど、そんな思いがしてなりません。残念に思います。しかし、します。  日中問題ですが、これはあれですか、大臣、四月初旬ということで中国に外務大臣、行かれるというのはほぼ本決まりでしょうか、中国。
  90. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これも四月に行くという方向で今調整をしておりますけれども、最終的に今の段階で発表できる状況に、段階ではないということでございます。
  91. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 その後ろの職員の人に聞いてもあれなんですけれども、聞いて答弁されるのもいいんだけれども、御自身の話だから、御自身は行きますと、行きますと、今行く、今四月何日ごろに行きますということと、今相手側の要人とはこれこれこうして今調整をしていますというぐらい言っていいんじゃない。四月といったらもうすぐですよ。ほぼそういうことじゃないんですか。私、内外のいろんな方に聞くと、四月の早々に、国会日程もあるけれども、週末を使って行こうという準備をされているというんだから。
  92. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは今発表できる段階ではないと申し上げたわけです。  それはなぜかといいますと、幾つか理由がありまして、一つは、中国の政府と打ち合わせた、発表のタイミングについて打ち合わせた上で発表をしなければいけないというのが外交のルールであります。それからもう一つは、国会お話をする必要がある。それをきちんとした上でなければ私の口から今申し上げられない。そういう観点で発表する段階ではないということを申し上げたわけです。ただし、四月に行きたいと考えているということは申し上げたわけです。
  93. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 訪中した場合の大臣としての日本側のメッセージ、会談の内容と、どういう点がポイントだというふうに思っておりますか。
  94. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 幾つかのことを言いたいというふうに考えております。  一つは、二国間関係、これが非常に重要な関係であって、日本にとっては最も重要な二国間関係一つであるという位置付けであります。そういったメッセージについては、これは何度も何度も我が国として発する、分かっていることでも発し続けなければいけないというふうに思っています。そして、その重要な関係を持つ二国間として両国共通の利益、これを拡大していきましょうということもずっと中国との間で話をしています。  この共通の利益というのは様々なことがあると思います。経済関係もそうですし、それから安全保障の面でも北朝鮮の問題等もございます。また、ASEANとの関係においても、ASEANプラス3という場もございますけれども、そういった場で北東アジアの三国、三つの国がASEANとの関係で、ASEANを支持し発展をさせる方向で動いていかなければいけないということで共通の利益をいかに拡大をしていくかということであります。  それから、その共通の利益をどのようにして拡大をしていくのかということですけれども一つあるのは、これはハイレベルの人の交流であります。これは今年に入ってもう相当に頻繁に行われているわけでして、最近でもいろいろな方が行っていられるということです。外務省の逢沢副大臣も今年に入って二度の訪中をしているわけです。そういった人の交流。  それからさらに、経済関係について言いますと、中国と日本の経済関係は今非常に高いスピードで、速いスピードで深化が、あるいは相互依存が進んでいる状況にあります。貿易額でいっても、例えば昨年で輸出が四割ぐらい日本から中国への輸出が増えている、それから輸入も二割ぐらい増えている。全体として非常な伸びです。投資に至っては一・五倍増えているわけです。こういった経済関係を維持していくためにまたいろいろな環境作りといったことも必要であります。その側面も重要だというふうに思っております。  それから、幾つかの二国間の問題というのがあります。これは今この場で細かいことは申しませんけれども我が国として問題だと考えていることもその中には含まれている。そういうことについてもきちんとお話をする必要があるだろう。  それから、幾つかの今後未来、将来にわたって我が国と中国の関係強化をしていくためにどういうことをしたらいいだろうかという幾つかの点についての話合いということもあるだろうと思います。  そういったことを話し合い、先ほど申し上げた安全面、安全保障面、外交面という中には特に今大きい問題として北朝鮮の問題があるわけですけれども、そういったことも含めて話し合っていきたいというふうに考えています。
  95. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今、後段言われました拉致問題解決では、やっぱりこれは我が国は中国と、あるいは韓国と信頼協力関係がなければ私はなかなか解決ができないなというふうに思います。  そういった意味でも、この日中間というのは極めて重要だと思うんですが、ハイレベルという中でもごく本当のハイレベル、日本の小泉さんが、小泉総理大臣がなかなかトップとこれ会談というのが実現しないんですよね。これはなぜだかもうみんなだれでも分かっているわけですけれども、靖国神社参拝というのは、過日の全人代の後、温家宝首相もこれはやっぱり非常に具体的にこのことを指摘をしていますけれども、これはもう当然、多分、外務大臣も行けば話題になるというふうに、これはどういうふうに外務大臣として、この首脳トップ同士が会えないということについて極めて不正常な状況だと思いますが、外務大臣としては、小泉さん、もうやめてくださいよ、これじゃもう日中間というのはトップ同士がずっとあなたが総理大臣でいる限りずっと不正常な形ですよということで外務大臣、小泉総理大臣に言っておられるのか、いやいや、このままあなたの総理大臣として今の、四度目だろうと五度目だろうと靖国神社に参拝して、しかし私たちが頑張りますからというふうにお話をしているのかどうか、その辺について本当にお尋ねをしたいというふうに思います。  今、経済関係も、お話しになりましたとおり、これは日中間の経済というのは、今素材とか鉄鋼、非常に私は貿易関係というのは順調に来ておりまして、日中間の経済、貿易は非常に順調だというのにトップが会えないというのは、これは非常に経済界にとっても、これは本当に私は国民にとってもおかしい、異常な状況だと思いますが、このことに関して、残り時間の関係がありますので、靖国神社の参拝に対する中国側のメッセージ、そしてこのことがやっぱり日中間の今後のやっぱり大きな、大きなといいましょうか、中国も懐大きいですから、そのことをもってすべての日中間、何か経済、政治交流がおかしくなるということはありませんが、やっぱりトップ同士がこのことをもって会えないということについては私は問題だというふうに思いますので、先ほど申しましたが、もうしょっちゅう外務大臣、総理と会っているんでしょうから、この靖国神社の問題についてどういうようなお二人で話をされているんですか。
  96. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 齋藤委員がトップ同士が会えないというふうにおっしゃられましたけれども、それはそういうことではないわけですね。昨年でも小泉総理は三回会っていらっしゃいます。それから、先ほど、この週末に戴秉国副部長がいらした折にも総理に対して親書を持ってきているわけです。  我々としては、私、外務大臣の立場として、これは中国に対して総理がどのように考えられて靖国に行っていらっしゃるか、これは総理が自ら述べていらっしゃるわけですけれども、そういったことをきちんと中国に説明をしていくということが私の役割であろうと思っております。これについてはきちんと説明をしていき、そしてあえて一言申し上げれば、中国が靖国を日本に対してカードとして使う、そういうことをやらせるということがあってはいけないわけでして、きちんと説明をしていくということであると思っています。  総理と私がこの問題についてどういうお話をしているかということについては、これは二人の間の話でございますし、ここで申し上げることではないと思います。
  97. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そういうことなんですかね、委員長。そういうことなんですかね。二人の間というのは、それは二人のプライベートなことは聞かないですけれども、そんな、公式な話をしているんであって、それは困りますね。  全人代終わった後、この日中間の問題で靖国神社の問題についてこれは温家宝さんが様々な発言をしているんで。  いや別に、小泉さんが任命した外務大臣ですから、私はすべて、大臣も努力をされている点については評価をしますが、今日お伺いしている限り、ロシアの問題しかり、スペインの問題しかり、靖国神社の問題しかり、このままではというのが、思いながら、やっぱりこのイラクにおける、イラク戦争における武力行使に対する支持の問題も、ああ、これもやっぱりずっと同じような議論をしてきたなというふうに思っておりまして、残る時間、ちょっと防衛庁長官、劣化ウラン弾、このことを質疑して終わらさせていただきます。  再三、私以外も衆参でこの劣化ウラン弾の問題について、このいわゆる放射能被曝についてお尋ねさせていただきました。国際機関の見解を政府は、健康障害を引き起こすかどうかについては見解を定めていないんですけれども、やはり私は危惧になりますのは、当然のことながら現在の、今イラク国民の健康問題であり、これ現在、放射能、湾岸戦争時、あるいはこの今度のイラク戦争に対する劣化ウラン弾を使用しているというのはもう明らかになっているんですが、こういったイラク国民の健康問題であり、同時に、やっぱり今派遣している自衛隊隊員のこの放射能に被曝をするおそれはないんだろうかということについて、これは別な委員会でも指摘をさせていただきました。  この健康には、後段の、自衛隊隊員の方々へ、この劣化ウラン弾による放射能被曝についての健康は全く問題ないというふうに防衛庁長官として今も思っていられるのか、お尋ねいたしたい。
  98. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私も予算委員会等々いろんな委員会で答弁しながら、じゃ全く問題がないんだったら何でその検知器を持っていくの、何で線量計を持っていくのと、こういう議論になってくるのだろうなと、こう思っています。  今まで我々が知り得る限り、劣化ウランで人体に影響が出たという確証的なものに対する知見は得ていない。いろいろと報道は、それこそ報道はございますが、劣化ウランによって人体に影響が出たという科学的な立証がなされたということに関しての知見は有しておりません。  それで、例えばイギリスでこういう指摘があるではないかというようなお話もございますが、それは戦争中に劣化ウランが、これはイラクが劣化ウランを持っていたわけじゃありませんが、劣化ウラン弾がぶち当たった、そういうような戦車に乗っておったとか、あるいは劣化ウラン弾で破壊された戦車に、あるいは戦闘用車両に何かの必要があって乗ったとか、そういう場合には尿検査を受けた方がいいですよと、こういうようなことが言われておることは承知はいたしております。  ですから、我々自衛隊活動します場合に影響があるとは現在の知見でもって考えられません。しかしながら、じゃ全く一〇〇%安全、大丈夫なのかと、こう言われれば、世の中には万が一ということもないではないだろう。いずれにしても、部隊が、あるいは個人がそのような計測定器あるいは線量計を持っていって、通常自然界にないような状況があるとするならば、そこには近づかない、あるいは個人にそのような蓄積がある一定のレベルを超えたとするならば、それが感知し得るような、そういうような万全、念には念を入れてということなのだろうと思っています。  ですから、そういうものを持っていったから危険があるということを認めたわけではございません。現在のところ、繰り返しになりますが、そのような知見は有しておりません。しかしながら、我々は万能の神ではございませんので、そのような懸念に対しましても万全を期したいということでございます。
  99. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今も長官が触れられておりましたけれども、私の知り得る情報、その不足している部分もあるかも分かりませんが、このイギリスの国防省が、今もイギリスということを引用されましたが、劣化ウランは健康障害を引き起こす可能性があると認めまして、イラク派遣されているですね、これは、英軍兵士に対して劣化ウラン情報カードを配付をしていると、こういうことを聞いております。もう一つはイタリア軍。劣化ウラン弾の放射能じんの吸入を防ぐための防じんマスクを着用を義務付けているという、このことについて、両方の事実ですね、把握をされているのかどうか。そして、イギリスあるいはイタリアそれぞれの措置に対する評価、お尋ねしたいと思います。
  100. 石破茂

    国務大臣石破茂君) まず、先生指摘になったとおりであります。これ、イギリスのカードはホームページにも出ておるわけでございますけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、英国防省が被曝検査、これ尿中のウラン濃度の測定などでございますが、これを行おうとしているのは、まさしく劣化ウランが撃ち込まれた車両に乗っていた兵士あるいは修理等何かの必要があって劣化ウラン弾により破壊された車両に立ち入った兵士が対象となっておるわけでございます。  これに対しまして、私どもはそのような車両に乗るわけではありませんし、もちろん私ども戦争に行くわけではない、人道支援をメーンに行くわけですから、車両が、我々の自衛隊の車両が劣化ウランで破壊されるということも考えられないわけであります。ただ、英国国防省はそのように言っておるということはよく承知をしておるということでございます。  もう一点、イタリアの御指摘がございました。これはコソボでございますが、コソボに展開しましたイタリア兵士の白血病発病が一時問題にされました。これはアメリカ国防省の二〇〇三年三月のブリーフィングでございますが、イタリアにおける疫学的な研究の結果、軍人の白血病発生率は一般市民と同様であり、関連性が否定をされておるということでございます。そのように承知をいたしておりまして、劣化ウランと病気、白血病等々の間に科学的に因果関係が立証されたということは寡聞にして存じておりません。  しかしながら、先ほどお答え申し上げましたように、私どもは万能ではございません。全知全能の神ではございませんから、いずれにいたしましても、劣化ウランに対する注意というものは万般怠りなくやっていきたいということでございます。
  101. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 自衛隊隊員派遣期間について、私は別な委員会でも、特別委員会でもお尋ねをさせていただきました。これはまた、まだ分からないということでした。  この派遣期間はどの程度、改めて今たまたまこの劣化ウラン弾なり劣化ウランのことでお尋ねしましたけれども一般といいましょうか、今どういうふうに長官として考えられているのか。私は、この放射能被曝等のおそれと、こう、このことをまず念頭に置きますと、三か月では長過ぎる、むしろ短期に、もう少し短く私は今言った観点からだと対応すべきだというふうに思います。そのことについてお答えいただきたいと。  あとそれから、私もう持ち時間なくなりましたからそれをお答えいただくと終わるんですが、先ほど来私は前段外務大臣とずっとやり取りしてまいりましたけれども、私たち自身が、私が報道報道報道と言うのはこれは、これはある意味では、場合によれば私も在外公館にお尋ねして、質問することがあるかも分かりませんが、大臣側とか外務省側はこれ公館すべて把握をされているわけですから、そこからの様々な情報をこれ取捨選択していただいてお答えいただくというのが私は外務省の姿勢ではないかというふうに思います。非常に私は問題であるというふうに思いますので。  それから、いや、もう時間ないからいいです。それから、この今日の質問というのは私はもう前から言ってあるわけでありまして、どういう質問かというのは、もうどの委員会でも当たり前なことだと思うんですね、衆参別にしましても。常に様々な外国の問題については様々な情報をやはり私は入手していると思いますから、そのことについて主体的に外務省としてお答えいただく。また次も同じような答弁が繰り返されるようでしたら、私は、別に何かしようなんということを別にこれ申し上げるつもりはありませんが、極めて問題であるということを指摘をさしていただきまして、大変長くなって申し訳ありませんでしたけれども派遣期間についてお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  102. 山本一太

    委員長山本一太君) 時間来ておりますので、できるだけ簡潔にお願いします。
  103. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今委員から二か月では短いという御指摘が、失礼、三か月では長いということですよね、三か月では長い、じゃ二か月ではどうなんだろうというような御指摘です。  私は、これは劣化ウランと関連して論ずるべきものだとは思っておりません。劣化ウランについては、その個人の蓄積等々によって何か危険があれば分かるようにしておりますし、そのような場所には近づかないということにしておりますので、劣化ウランとの関連派遣の期間を定めようとは思っておりません。  これは、ただ二か月というふうな御指摘をいただきますと、それで本当にその現場の事情に慣れ、あるいはオランダとの連携もうまく取れ、そしてまた現地の方々との間に個人的な信頼関係、それは全員が全員がそうではありませんけれども、築かれということになりますと、二か月ということはどうなのかなという気は正直言っていたしております。  さはさりながら、今の三月でも向こうは日中四十度ぐらいにもなってまいります。隊員の疲労ということもございます。精神的面も肉体的面もございます。その辺り、本当に一番適切な派遣期間というものを、ローテーションもにらみながら、また委員の御指導もいただきながら決してまいりたいと考えております。
  104. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございました。
  105. 山本一太

    委員長山本一太君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時開会
  106. 山本一太

    委員長山本一太君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外交防衛等に関する調査を議題とし、外交基本方針及び国の防衛基本方針について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  107. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 それじゃ、私から午前に引き続いて両大臣に質問させていただきます。  いつも私言うことですけれども、私が尋ねるのは極めて基本的な、私が幾ら考えても分からない、そういう問題でございますので、どうか簡単明瞭にお二方の意見を述べていただければありがたいと、こう思っております。  そこで、最初に集団的自衛権の問題について、主として防衛庁長官にお尋ねいたしますけれども川口大臣外務大臣もまたこの問題については無関心ではおれないと、こう思いますので、御意見がありましたら、あるいはまたこちらの方から遠慮なく御指名させてもいただくと、こういうことになろうかと思います。どうかよろしくお願いいたします。  実は、一月十八日、私、あるテレビをぼんやりと見ておりましたらね、自民党の安倍幹事長が登場いたしまして、そして集団的自衛権についてはっきりと、これは合憲の線で考えていくべき問題であると、自分はもちろん合憲説であるということを言っておりました。おやおやと。彼はそれまでには内閣の副長官をしておって、事務的なことを取りまとめる役目をしておったわけであります。そのときは一切黙して語らず、そして野に下ったのか更に偉くなったのか、自民党の幹事長というポストに就いた途端にこういう発言をする、一体これは何だろうかと。世間も大騒ぎをするだろうと、こう思って、その後のマスコミを見て、扱いを見ておりましたら、ほとんど無視されている。これを取り上げた新聞もまずなかったんじゃないでしょうか。余り新聞も見ていませんからね、一杯、スポーツ紙も取り上げていると言われたら謝りますけれども、取り上げていない。  そして、それから一週間ぐらいして小泉総理がこの問題を取り上げて、記者から尋ねられたんだろうと思いますけれども政府の方針、集団自衛権の行使についての合憲か違憲か、これについて政府の方針を変更するつもりは全くないと、何か非常にトーンダウンしたような発言でありました。おやおやと。何か部下の者が、今まで部下、部下というのか、今でも部下でしょうけれども、その要職にある者がそういう発言をする。それを上に立つ者が何か本当に申し訳なさそうな顔をして取り消すと。これは花火の打ち上げかと、こう思ったわけですよ。  花火の打ち上げというのは御存じと思いますけれども、町の集まりなんかでだれかが物すごく花火をばんばん打ち上げると、まあ住民は拍手喝采、すばらしいすばらしいと。どうだということで、延々と花火の打ち上げが続くと。そして、町民、住民から感謝されると。ところが、最初の打ち上げの際に辺りの人たちが、何だうるさいな、今更花火なんか上げて何だ、もう夏も過ぎているぞと言ってだれも見ないですぐ帰っちゃうと。そうすると、どうしようもない、もうやめたということで途中でやめてしまうと。こういうふうに安倍幹事長、元副長官が打ち上げた花火について、責任者である総理が、まあしようがないかということで、声を潜めて、大したことはなかった、政府の方針に変わりはないということで様子を探っていたのかなと、そんな感じすらいたしたわけであります。  いずれにしても、それまで官房副長官という取りまとめ役におった方が野に下った途端にこういうこと発言をする。これを聞いている政治、政治家というよりはむしろ国民は、物の分かっている国民はそう一杯はいないと思いますけれども、何だ、この人は辞めた途端にこういうことを言い出したのか、花火の打ち上げだな、こんな者を相手にするなと、こう言ったのかもしれません。  そこで、石破長官に、まずもってこの安倍発言についての感想をお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。
  108. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 与党の幹事長が野に下ったのかどうか、これは私よく分かりませんが、感想と言われますと、そういうお考えもあるのかなという感想であります。つまり、私は政府の一員として今までの解釈に従うことがあるべき立場だと思っています。  そのことはまたお尋ねがあればお答えをいたしますが、集団的自衛権を認める場合に、解釈でできるという説と、いや、憲法を改正しなければいかぬのだと、こういう両説ございます。いや、もっとそれ以前に、憲法にかかわるお話でございますから、政府の方針は一貫をしておりますけれども、やはり国民的な議論が必要なことは間違いない。  で、集団的自衛権って何ですかということについて本当に正確な理解というものが国民の中にちゃんと醸成されているのだろうかということは私は極めて大事なことだと思っています。政府として今までの方針を変更するつもりもございませんし、私も閣僚の一員として政府の方針に従うということは全く変わっておりません。  ただ、集団的自衛権という議論だけが、言葉だけが躍っておって、幹事長は多分前後にいろんなお話をなさっておられるんだろうと思います。そのことだけ取り上げていろんな議論をするよりも、その前後に何をおっしゃり、集団的自衛権というのはどのようなものであり、それが憲法改正を伴うのか解釈の変更でいいのか、そういうような議論というものがなされることが、事憲法に関する極めて重大な問題でありますので、必要なことかなという感想は持っております。  政府の方針に変更はございません。
  109. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 分かりやすい話をしたいと思います。  今自衛隊イラク派遣されておると。自衛隊の隣にはオランダ軍が存在しておると。そういたしまして、仮に、仮定の話ですけれども、我が自衛隊テロ、ゲリラ、大規模な騒動に、グループに襲われる、そういう場合には、これは常識で考えましてもオランダ軍は直ちに我が自衛隊の救援に駆け付けてくるんだろうと。これはもう世界の常識と言ってもいい。  今度はその逆のケースを想定してみまして、オランダ軍が襲われたと。我が自衛隊はどうするのかと。集団自衛権の行使は憲法違反と、あれはもうオランダ軍に任せておけと言って高みの見物を決め込むのか。いやいや、そんなことを言っている暇はない、とにかく同じようにイラク派遣されてきているんだから彼らを救済すべきだと言って、オランダ軍がやられている現場に駆け付けてオランダ軍の救済に当たる。そのためには、押し寄せてきたテロ、ゲリラ軍と一騒動せねばならないと。  この問題について、石破長官、何か考えておられますか。
  110. 石破茂

    国務大臣石破茂君) イラク特措法第十七条に定められた武器使用の権限しか私どもは有しておりません。それに反する場合には武器の使用は行い得ないということは、法治国家である以上、当然のことだと考えております。  もう一つは、そういうような必要性が生じるような場面があるのだろうかということでございますが、これは本年オランダを訪問いたしまして、カンプ国防大臣とも随分と議論をしたことでございますが、基本的にどの国も自分の部隊は自分で守るということであります。国内でそういう議論がございますものですから、オランダでもオランダの記者からそういう質問も受けました。私はそういう議論があるのだけれどもねという話をしておりましたらば、カンプ大臣は決然と、それは当然のことではないか、自分の部隊は自分で守る、そういうものなのだということ。  そして、かてて加えて、私ども治安維持という任務を負っておりません。オランダは治安維持という任務を明確に負っております。治安維持を行うオランダの軍隊、そしてそれに見合った装備、それに見合った権限、見合った能力、見合った装備、これを有しておるオランダが本当にやられてしまって我が国に救援を求めるという事態が生ずるかといえば、それはカンプ大臣日本経済新聞のインタビューでも答えておられますけれども、そのようなことは起こらないし、そのようなことも期待していないということをはっきりおっしゃっておられます。  もう一つは、集団的自衛権との件で申し上げれば、オランダはそこにおいて自衛権を行使をしておるのだろうかということでございます。集団的自衛権の問題というのは、定義からいいましても、その自衛権をその国が行使しているかどうかという問題にもかかわってくることでございます。  いずれにいたしましても、私どもイラク特措法十七条に定められた武器使用の権限、これしか有しておらないということでございます。
  111. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 その法律にどういう規定があるかどうかと、そういう問題ではないんでありましてね。現実問題としてオランダに自衛隊派遣されておる、その場にしかしテロ、ゲリラが大挙して押し掛けてきたら一体どうなるのかと、こういう具体的な問題を提起して、同じような問題は、オランダが、すぐそばにいるオランダ軍が襲われたら我が自衛隊は一体どうするのか、そんなことは法律に書いていないから我々は救護に行かないとか、そんなことを言っている問題じゃないわけでしょう。  そして、そんな仮定の問題には答えられないというふうな何かニュアンスの答弁のようにも聞こえたんですけれども、仮定の問題を議論をするのがある意味では政治だと、こう言ってもいいわけなんですよね。起きたことについてああだこうだと議論をすることを好きな人は、今そういうことの好きな政治家はたくさんいますけれども、起きたことは起きたことで、これからどうすべきかということが政治の私、最大の課題だと思うんですよ。イラクで我が自衛隊がそういうことに襲われたとすれば一体どういうことになるのか。オランダが見るに見かねて助けに来た、あるいはオランダが襲われたら我が自衛隊はどういうふうな動きをするのか、現実問題として議論をする価値があるんじゃないか、それが政治家の務めでもあろうかと、こう思っているわけでありましてね。  何か聞いておりますと、法律に書いていないからやらない、いや、仮定の問題には答えないと、そんなふうにも聞こえてくるんですけれども、一人の政治家として、そういう場合に自衛隊は、我が自衛隊はどう行動すべきか、それは国民の前に明らかにする責務があなたにはあるんじゃないでしょうか。  ですから、国民の皆さん、特にイラクに赴いている自衛隊の方々の父兄の方々、御安心くださいませ、我々とすればもう最大限の努力を尽くす、オランダがまた救援に来ることもある、オランダの救援に行く場合もある、それが言わばイラクでの現状なんですよということはお答えできないんでしょうか。いかがでしょうか。
  112. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはもう先生十分御存じの上でお尋ねのことだと思いますけれども、我々の武器使用というのは言わば自己保存のための自然権的な権利という位置付けでございます。オランダがやられたとしたら救援に駆け付けますというのは、今申し上げました概念からは相当に外れるものでございます。  これは、そんなことが起こるのか、仮定の議論には答えられないとはけしからぬという御指摘でございますが、本当に現場において、ムサンナ県あるいはサマワにおいて責任を持って行動しているオランダ軍と、そして我々日本自衛隊というのは緊密に協議をして、何ができて何ができないかということはお互いによく承知をした上で行動をいたしております。それは国防大臣同士もそうです。現場の司令官同士もそうであります。何ができて何ができないか。できないことに頼って自分の部隊を律するというようなことはあり得ないことでございまして、そのようなことは起こらない、そしてまた、そのための権限も能力も装備もオランダは有しているということでございます。  ですから、先生指摘のように、オランダがやられたとして、日本自衛隊、救援に駆け付けるというようなことは、それはございません。
  113. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 石破長官は、一議員、一介の議員と言うと怒られますから、一議員であった当時は、集団的自衛権の合憲論に立って、これを行使は許容さるべきだと国会の質問などもしておった。それが入閣したら途端にその説を投げ捨てたのかどうか分かりませんけれども、入閣した以上は政府の方針に従うべきだと、こういうことで集団的自衛権違憲論の立場に立たれたと思うんですよ。  しかし、そういうことを形式的にこうだああだと言って割り切るような問題じゃないと思うんですよね。現地に行っている自衛隊員、それにいろんな手引書を渡す。こういう場合にはこうしなさい、こういう場合にはこうしなさい、しかしこれは集団的自衛権に反するからテロ、ゲリラがやってきてもオランダ軍を救済に行くようなことはしちゃいけませんよと。そんな手引なんて私、まず手引の体を成さないと、こう言ってもいいんじゃないかと、そんな感じすらするわけですよ。  いずれにしましても、最悪の場合を想定してその解決の手掛かりを与えておくのがこういう場合の指導者、政治家の務めでもあろうかと思うんです。そんなものないですよなんて鼻先でせせら笑っているのではもう政治家の資格なしということにもなりかねない。  それで、せっぱ詰まってどういうことになるか分からぬといえば、個別的自衛権の根拠は正当防衛からきているんです、刑法の正当防衛からね。夜道を歩いていたら強盗に襲われる、その場合にどうしたらいいのかと。強盗が金を出せと。刃物を突き付けて、金を出せ。仕方がない、金を出す。しかし、相手のすきを見て、たまたま持っていたこん棒か、あるいはゴルフのクラブでもいいんですけれども、それでもって相手をたたきのめすと。これは正当防衛。立派な正当防衛。許される。  しかし、刑法の理論を国家の行動に適用しようと。これ、だれが考えたか。五十年前に、私は知っておりますけれども、ある頭の鋭い法律家が考えて、それを政府見解が取り入れた。その際に、なぜか集団的自衛権の方は、ここまで行くと話が大げさになるからこれは今のところ見合わせておこうということで、集団的自衛権は合憲の枠内には取り込めないということで、延々と五十年来こういう説明が続いてきているわけです。  それは、しかし、その時代であったことなんで、今度は我々が考えてもいなかった、海外に進出する、そうしてほかの国々の軍隊と一緒になって治安維持に当たる、あるいは動乱の鎮圧にも当たる、その場合にどうすべきかと。正当防衛だから限界はここまで、集団的にみんなで防ぐというのは我が国は参加できないと、そういうことでいいんだろうかと私は非常に疑問を持っておるわけでありまして、だからといって、集団的自衛権、直ちに合憲、これを決めるのは最終的に国民が決めるわけですからね。政治家、一握りの政治家が決める、一人の首相が決める、そんな問題じゃないんであって、問題を国民にぶつけて国民に考えてもらうと。うん、やっぱり集団的自衛権が違憲だという考えは今はおかしいんじゃないかという説が多ければ、それはそれで国の方針が決まるわけですから、それをぶつけていくのが政治家の務めではないのかと。  ですから、長官大臣も、川口大臣、よろしいですか、大臣もやっぱりこういう大問題、例えばこれ、まあ法律的な解釈をどうするかとか、年金問題でいろいろ意見が出ているけれども一閣僚としてどう考えるか、そういうことはいろんな意見があってもいいと思うんですけれども、事、集団的自衛権をどうするかということになりましたら、やっぱり閣内であるいは与党の中で十二分に協議を遂げて、その結果を、国民の皆さん、今、政府・与党はこういうことを考えて集団的自衛権合憲論に踏み切ると、踏み切るべしというふうに考えておるがこれでよろしいでしょうかと問いを投げ掛けて、そしてそれを受け止めて、どうしよう、これはやっぱり政府の言っているとおりでいいんだ、いやいや、こんなものは違憲だから許されないと、決めるのは国民なんですね。  ですから、安倍幹事長、私、非常に不思議だと思ったのは、そういう疑問があったとすれば副長官のときに問題を閣内でまず議論をする、それから与党の有力者の間でも議論をする、そして方向を決めて、それを国民にぶつけると、そういうことをすべきであったのに、彼は一切それをしないで、ポストが変わったら当然のような顔をして、集団的自衛権、これは合憲だなというようなことを言い出す。こういう政治家、別に彼の悪口を言っているわけじゃないんですけれども、許されることなんだろうかと。  なぜそういうことを、皆さん方が閣内であるいは与党協議会でそこに問題を取り上げて、そして今、自衛隊派遣された自衛隊の命が懸かっておる問題だ、みんなで真剣に議論をしてそれを国民にぶつけて解決を求めようと、こういうことをしないのか。  こういう考えについて、両大臣、どう思われますか。
  114. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 繰り返しになったら恐縮なのですが、先生指摘の、集団的自衛権を認めなければ自衛隊の命が危ない、命が懸かっている問題だからということは、必ずしもそういうことにはならない。むしろ私どもは、それが、集団的自衛権を認めるという立場に立っておりません。  その上で、いつも申し上げますように、政府として、また法律でその定めを負っておる、九条によって定めを負っています、隊員の安全確保に配慮しなければならないという義務を負っております防衛庁長官として、その集団的自衛権は認められないという下でいろいろなことを考えておるわけでございます。したがいまして、それを認めなければ隊員の安全にかかわるという認識は私は持っておりません。  そして、集団的自衛権の問題というのは、某国が自衛権を行使をしておって、それで出てくるお話でございます。オランダにおいて先生が設定されたような状況はどういう状況なのかということも議論をする必要がまたあろうかというふうに思っております。  安倍幹事長が発言をされました背景につきましては、私も最近党の会合に出ておるわけではありませんのでよく存じませんが、自由民主党の中で集団的自衛権というものはかんかんがくがくの議論がなされ、あるいは衆参の憲法委員会においても相当の御議論がなされておるというふうには承知をいたしております。
  115. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、佐藤委員が集団的自衛権のことを例に取ってお話をしていらっしゃるわけですけれども、恐らくその委員の問題意識というのはもうちょっと広くて、憲法のその枠内で一体何ができるのか、何ができないのかということをもっと議論したらいいのではないかということではないかと推察をいたしています。  それで、政府の立場ですから政府として申し上げていることというのは、例えば集団的自衛権については先ほど石破長官がおっしゃったとおりということですけれども、より個人的に申し上げれば、これは政府の見解でも言っていることですけれども、憲法の範囲内で何ができて何ができないかという議論はもっともっと研究をしてもいい、議論をしてもいいということだと思います。  先ほど来、委員がおっしゃっていらっしゃるのは、政府としてこれをどうしてもっと議論しないのかということでありますけれども政府の見解という意味では表に出ているわけですから、表の世界で、要するに公の場で政府が今、こういうことがこうであるべきである、あるいはこうあるべきでないということを言うというのは私は適切ではないと思うんですね。ただ、もちろん政府閣僚であっても、あるいは党の立場であっても、与党の立場であっても野党の立場であっても、あるいは一国民であっても、あるいは一有識者ということで学者であったとしても、みんながもう少しこういう議論をしていくという、これは一つのいいきっかけであろうかというふうに思います。  ただ、政府の見解という意味でいえば、これは先ほど石破長官が申し上げたとおりということです。
  116. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 石破長官、先ほどから私言っておりますけれども、こんなことが起こるなんということはだれだって余り考えていないんですけれども、しかし万が一でも、本当の万が一ですけれどもね、起きたらこれは大変だと、そのときに備えて検討をし、そして対策を講じておく、これが政治家の務めなんですね。そんなことは起こるわけないだろうと、常識で考えてみろやと言っている人は町の常識家で結構なんですけれども、やっぱり政治家はそういうものではないと。  それで、私は、万が一でもそういうことを考えているのかいないのか、いないとすればやっぱりもう少し真剣に閣内で、与党内で議論をすべきでしょうと、こう言っているわけであります。またいずれ、この問題は改めて取り上げたいと思います。  川口大臣、答弁なるべく簡潔にお願いできればと思います。それと、なかなか分かりにくい御答弁であることも先ほど来いろいろ同僚議員も言っておりますけれども、そういうことも言いたくなります。  この問題はまた取り上げることにいたしまして、もう時間余りありませんけれども、いわゆる拉致問題、拉致拉致と言って大騒ぎになっておりますけれども、あれを取り上げて、これもお二方の御意見を拝聴できれば、特にこれは川口大臣の所管でありまするから、はっきりした御意見を承ればと思います。  私、あの報道あるいはまた関係者の意見を聞いておって大変不思議に思うのは、あの北朝鮮に残された家族、特に子供たちと言われるから小さな子供かと、こう思っておりましたら、ほとんど全員が二十歳を過ぎておるです。過ぎておるんですね、二十歳以上。一人ほど、子供の中で一人十何歳というのがおりましたけれども、それは言うまでもないことですけれども日本の成人年齢は二十歳、北朝鮮は十七歳で成人になると。成人になれば、これは子供扱いはもうできないわけですよ、法律上は立派な大人ですからね。ですから、結論的に言えば、北朝鮮で住もうが日本に帰ろうが、それは大人である彼らの判断で決まることで、親が帰っちゃったと、じゃ子供たちも連れてこなきゃかわいそうじゃないかと言っているのは、これはそういう基本的な法律を理解していない人たちなんですね。  なるほど、彼らはもう大人なんだと、大人は自由に判断して、自分は北朝鮮で生まれ育ったと、これは自分にとってはもう本当に何物にも代え難い土地だから、国だから自分はここにとどまると。これは大人と。当然のことなんですよね。しかし、中には、そんなことを言っても、自分を生んでくれた親たちが住んでいるその日本という国を何回か訪問して、本当に自分はここが幸せなのか、日本に帰った方がいいのか考えてみたいという子供たちだって、子供たちと言っちゃ怒られる、大人たちもいるんだろうと思うんですよね。  ですから、北朝鮮、なぜこういう発想がなかったのか不思議でしようがないんですけれども、拉致家族と言われる人たちの、特に今大人になっていますけれども、当時向こうで生まれ育ったような人たちにとっての自由往来ということを考える余地はなかったのかと。二年なら二年、期限を切って、どうか日本に帰っていらっしゃいと、そして日本に来たら、ああここが自分の親たちの生まれ育ったところかと、なるほどなかなかいいところだと、北朝鮮よりこっちの方がいいじゃないかと考えるのも自由ですし、自分が生まれ育ったのは、厳しいかもしらぬが、やはり北朝鮮の国なんだと、自分は向こうに帰って一生懸命国のため、彼らが国と言うのは北朝鮮、北朝鮮のために頑張りたいと。いずれにしろ、最終決断は、その拉致者たちの子供という大人が今考えること、これから考えることなんだろうと。  そういう意味で、北朝鮮とこの子供たちの自由往来を保証すると。それから、親たちも、こちらの親族も向こうに訪ねていく。もし向こうで結婚した相手がいれば、子供たちはその結婚の相手を伴って帰ってきて、どうです、日本という国は、すばらしいと思いますか、何だ、つまらぬ国だななんて奥さんや亭主が言うかもしれません。  いずれにしろ、もはや大人であるという前提に立って彼らの今後を彼らに決めさせると、そういうことで北朝鮮側と折衝をする、そういう考えはなぜ今までなかったのか。何か偉そうなやつが出てきてこうしろああしろと言うので、それで決まったと。その前に、その対象となっている人たちの自由な判断、その自由な判断を生じさせるためにどのような方法が必要か。  先ほどから言っている自由往来、北朝鮮と日本を何回も往復をして、やっぱり自分は北朝鮮で頑張ると、それはそれでいいだけの話ですからね。自分は親が生まれ育った日本という国に行って頑張ってみたいと、こう言うかもしれません。これできれいさっぱり拉致問題は解決するかと、こう思うんですけれども、なかなかそうは簡単にいかないようであります。  最後に、こういう発想について、外務大臣と、防衛庁長官は政治家としてのお考えで結構ですからね、お述べいただければと思います。
  117. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 委員がおっしゃったその自由な判断、それをしてもらうために正に日本に無条件で帰国をしてもらわなければいけないということを我々は言っているわけです。  それは、北朝鮮の国の社会の在り方、それを考えていただいたら、北朝鮮にその子供たち、まあ親に対して子供と言っている意味で子供たちという言葉を使っているわけですが、その人たちが自由な立場で自分の意見を言ってそこで決めることができるだろうかということがほとんどの日本人が考えていることであります。  政府としては、無条件に帰国、そして日本に住んでもらって、日本の国を見、理解をし、そしてどういう判断をするか、それは彼らの問題で最終的にはありますけれどもそういった状況に今ない、ですから日本に帰ってきて、無条件で帰ってきてもらう、そしていろいろ意見を、親と一緒に話をしてもらい、そして日本という国を十分に見極めてもらってという状況、これを作ることが大事だということを言っているわけです。あわせて、真相究明ということももちろん言っているわけです。
  118. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 外務大臣と全く同じ意見であります。
  119. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 最後に一言、簡単に。
  120. 山本一太

    委員長山本一太君) 三十秒ぐらいで。
  121. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私言っていることを全然外務大臣理解なさらないようで、今までと全く同じ考えで、北朝鮮で生まれ育った人たち、彼らがもう本当に何も知らない、大変な境遇にあえいでいる、だから日本で引き取ろうと、こういう発想でしょう。これはもう人間に対する心ある扱いとは言えません。立派な人間なんだと、まずそこから話は始まるわけで、しかし親が生まれ育った国、それが日本という国、それならちょっとあなた一度日本に行ってごらんになったらどうですかと。最終的な、どこに住むかを決めるのは、今や二十一世紀、国でも何でもない、そういう成人に達した人たちが決めることなんですからね。  一番大事なことがそこにあると思うんですけれども、どうもしようがない連中だ、日本という国を見せたら反省も考えも深まるんじゃないかと。どうもその発想自体がおかしいということをさっきから言葉を費やして言ったつもりですけれども、御理解いただけなくて大変困っております。  以上でございます。
  122. 高野博師

    ○高野博師君 最初に、スペインテロについて一つだけお伺いしたいと思います。  先日のテロによる事件でありますが、このテロが選挙情勢に影響をしたかどうかはよく分かりませんが、いずれにしても、政権が替わって社会労働党になると。サパテロ書記長が公約として国連主導のイラクの復興ということができなければイラクから撤兵すると、こういうことを言っておりましたが、もしイラクから撤兵することになれば、これは正にテロリストの要するにねらいというか、思うつぼというか、もしそういうことにならないかどうか。あるいは、イラクから撤兵したからテロがなくなるかと、そういうことは恐らくないんだろうと、こう思いますが、いずれにしても、テロに屈したということにならないかどうか、その辺はどう認識されているのか、外務大臣にお伺いいたします。
  123. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 新しい社会労働党の政権の今後の政策については、まだはっきり固まったという状況で表に出ているわけではありませんので、引き続き注目をしていきたいと思いますが、今、表に出ている範囲で出ていますのは、イラクについては、先ほど委員がおっしゃったように、六月三十日までに国連がきちんと入っている、三十日以降ですね、ということでなければ、関係国に話をした上で撤兵をするということを今言っているというふうに承知をしています。それからあわせて、テロに対する戦いというのがその最大の課題であるというようなことも言っていらっしゃるというふうに思います。  それで、テロに対する戦い、政策というのは一体どういった内容のものなのか。おっしゃるように、イラクから今ここで撤兵をするということは、私は一面、テロに対して付け入る更にすきを見せるということにつながっていくというふうに思います。スペインの政権としてその辺りをどのように整理をしてテロに対する戦いの色を鮮明に出していくのかということについて注目をしたいというふうに考えています。
  124. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、日中関係について何点かお伺いしたいと思います。  先月、神崎代表と中国に行ってまいりまして、胡錦濤主席、あるいは唐家セン国務委員、王家瑞中連部部長、たくさんの要人と会ってまいりました。いろんな中身のある意見交換をしてまいりましたが、台湾問題について幾つかお伺いしたいと思います。  台湾問題について中国政府が相当危機感を持っているということは間違いないと思います。先日も、昨日でしたか、戴秉国外交部副部長が来られてお会いしましたが、あの副部長が、次官がアメリカとドイツとフランスと日本とロシアと各国を訪問しまして、する予定の部分もありますが、目的は台湾問題での中国の立場について理解を求める、あるいは支持、協力を求めるということだろうと思いますが、アメリカのブッシュ大統領もフランスのシラク大統領もかなりこの台湾問題については踏み込んだ発言をしている。ドイツのシュレーダー首相も一つの中国の原則、あるいは台湾独立反対、あるいは住民投票も反対、直ちに中止すべきだと相当踏み込んだ発言をしております。ロシアについても、既に住民投票反対のステートメントを出しているということでありますが、日本政府も一歩踏み込んでシグナルを出してもらいたいと、こういう強い要望があると思いますが、我が方としては一つの中国という原則、平和的解決を希望しているということ、そして台湾海峡の緊張については憂慮していると、こういう立場かと思うんですが、陳水扁総統はまだ総統選挙で勝利すれば、もう独立の日程、スケジュールを作っているとも、こう言われている。今回の住民投票に続いて、二〇〇六年には憲法改正の住民投票をもう一度やる、そして二〇〇八年に独立を宣言すると。ちょうど二〇〇八年はオリンピックの年でありますので、世界じゅうが中国に注目をしているときに台湾海峡が緊張しました、するというようなことはちょっとあり得ない。という意味では、このシナリオは最も中国が恐れているシナリオだろうと思います。  もう一方で、香港は中国に返還をされた。しかし、五十年間一国二制度という約束であったんですが、しかし数年にしてもう中国に取り込まれてしまったと。香港にはかごの鳥の自由しかもうないという香港人の声もかなり強い。台湾は香港の二の舞を踏んではならないというような見方もあります。  そういう状況の中で、川口大臣は日中関係の良好な発展という視点からこの台湾の今の状況、台湾の動向についてどうとらえておられるか、御意見をお伺いしたいと思います。
  125. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 台湾についての我が政府の立場、見方ということについては、この前、日本として台湾に申し入れたということからお分かりいただけるかと思いますけれども、昨年の十二月の時点で、十二月の終わりですけれども、台湾に対して我が国の立場、台湾に対する立場というのは日中共同声明にあるとおりであるという、台湾の独立は支持しないということを明確に言っているわけです。二つの中国とか、一つの中国、一つの台湾ということについては、我が国はそれを認めないということを、それは我が国の立場ではないということを言っているわけでして、それが我が国の立場であります。  台湾海峡、そしてこの地域の平和と安定ということは、我が国にとって非常な関心が強い事柄であります。そういう観点からいって、中国と台湾が話合いによってこの問題を平和的に解決をするということが重要であるというふうに考えていまして、そのことは、この間、戴秉国副部長が来たときにも私言いましたし、その前からもいろいろな場で中国政府には伝えてきているわけであります。中国に対して武力を行使すべきではないということもはっきり日曜日に戴秉国副部長とお会いしたときに私は言っています。ということが我が国の立場、台湾の独立というのは支持をしないということを言っているわけです。
  126. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、その日中関係と日米関係についてお伺いしたいと思いますが、中国側の要人は、日中関係というのは今転換期にある、新しい日中関係を築くべきだと、そういう認識をしておりました。ちなみに、小泉総理が中国の発展というのは日本にとって脅威ではない、チャンスなんだという発言をされたことについては大変評価をしておりました。  先ほど、今朝の質疑の中でも日中貿易関係、貿易関係が一億、三千億ドルにも上っている、急激に経済関係も緊密になっていると。相互の依存関係も深まっていると。そういう中で、これは先方の要人の発言ですが、これからはアジアの中の日中関係あるいは世界の中の日中関係を、これを築いていこうじゃないかと、そして、もっと日中関係を戦略的に、長期的に、長期的な観点から見るべきではないかというような発言が何度もありました。  そこで、我が方は、この大臣の所信の中にもありますように、世界の中の日米関係ということを明確にうたっておりますが、この世界の中の日米関係と世界の中の日中関係、これはどういうふうにとらえるのか、矛盾はないのかということについてお伺いしたいと思います。
  127. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今おっしゃった点は、我が国の今後の外交を考えていく上で一つの基本的な視点といいますか、基本的な問題の問題意識であるというふうに私も思っております。  それで、日米関係について、世界の中の日米同盟ということをこれは言って、首脳会談で言っているわけですけれども、日中関係についても、我々はこれを最も重要な二国間関係一つであるというふうにとらえていますし、そして、中国との間で共通の利益を拡大していきましょうという話をしているわけです。それで、共通の利益の拡大という意味は、もちろん中国と日本の相互にとっての利益ということでありますが、この舞台は何も日中のそれぞれの国にとどまることなく、またアジアにとどまることなく、広く世界に舞台は広がっている、そういう場でその共通の利益を確保しましょう、拡大しましょうという考え方であるというふうに思います。  日中、日米というふうに考えましたときに、我が国の安全を守る、我が国の平和と繁栄を守るという意味で最も重要なのはアメリカであって、日米同盟である、これは私は疑問の余地がないところであると思います。そして、アジアにおいて日本とアメリカが一緒になって、協調して対応を様々なその課題にしていることがアジアの地域の平和と繁栄につながっていくということであると思います。その中で、中国に対してできるだけ、我が国に対してあるいはアジアに対して積極的な役割を果たしていくように働き掛けていくということであると思います。北朝鮮の問題については、中国は、正に日本とアメリカが一緒になって働き掛けて、そしてそういうことをしているということだと思います。  それから、アメリカと中国がいい関係にあるということは、またアジアの平和と繁栄のためにも重要であるという認識を持っています。基軸は日米同盟である、これは疑う余地がないということだと思います。
  128. 高野博師

    ○高野博師君 いずれ、どういう形か分かりませんが、中国とアメリカが何らかの形でぶつかるようなことがあったとき、例えば石油資源をめぐって相当熾烈な動きがこれからあるだろうと思うんですが、そういうことも含めて、日本がどっちかを選ばなくちゃいけないような状況になるとすれば、それは日本外交の失敗ではないかなというふうに思っておりまして、いずれの国とも、中国ともアメリカとも良好な友好関係を持っていくという視点で外交をやるべきではないかと私は思っております。  これについてはこれ以上質問いたしません。  防衛庁長官に所信に触れられた自衛隊の問題についてお伺いしたいと思いますが、所信の中で、存在する自衛隊から機能する自衛隊へと変化していると、自衛隊が、防衛庁が設置されて五十周年と、こういうことでありますが、この存在する自衛隊から機能する自衛隊と、これはどういう意味でしょうか。
  129. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは私が大臣になる前のことですが、働く自衛隊という言葉があったことがありまして、これからは働く自衛隊になろうと。じゃ、今まで働いていなかったのかと、こんなことになってしまう。それはおかしいねと。じゃ、何か代わる言葉はないのかね。それで存在する自衛隊から機能する自衛隊。じゃ、機能していなかったのと、こういうことになっちゃうわけで、結構これ難しい話なんですが、要は今までの自衛隊というものは、東西冷戦期にあって、いわゆる西側陣営と東側陣営が力のバランスによって、力のバランスを保つことによって少なくとも戦争のない状態というものが続いてきた。そして、日本並びにその周辺が力の空白となることによって不安定要因となることは避けなければいけない。その力の空白論に基づいた基盤的防衛力構想というものがずっとあったと理解をしております。  これから先、冷戦が終わってポスト冷戦という時代になって、私は所信表明でポスト九・一一ということを申し上げましたが、国対国というのがなくなったわけではありません。しかしながら、それがテロ集団であるとかあるいはテロリストであるとか、そういうようなアクター自体が非対称的になりましたねと。そしてまた、核兵器に核兵器、原子力潜水艦に原子力潜水艦、戦闘機に戦闘機、ミサイルにミサイルという、アクターの面においてもあるいは手段の面においても対称的というのが冷戦時代であったと。しかし、ポスト九・一一はそういうことではないだろうと。アクターにおいても手段においても非対称的になってきた。そうすると、力の空白論というものだけに依拠したような構想というものはもう一度検討する必要が、国の平和と独立、国民の生命、財産を守るためにあるのだろうというふうに私は今思っております。  今、機能していないわけではありません。むしろ言葉を足すとするならば、多様な事態にうまく対応できるようなそういう能力を持ちたいということで存在する自衛隊から機能する自衛隊というふうな言い方をさせていただいております。これは委員御案内のとおり、昨年末の閣議におきまして平成十六年中に新しい大綱を定むるというふうに決まっております。そこへ向けまして今庁内で議論を進めておるところであります。
  130. 高野博師

    ○高野博師君 そういうことであると、この抑止力が実効性を持つというのはどういう意味なのか。例えば存在する自衛隊と、存在するだけでも抑止力は持ち得るわけであります。しかし、機能する自衛隊という中でこの抑止力が実効性を持つという意味について、恐らく防衛庁長官の考えは、防衛力の本質は抑止だということをずっと一貫しておっしゃっておられる。私、ちょうど一年前にこの問題について一度議論させてもらいましたけれども、しかし、ここについては、抑止力が実効性を持てるかどうかというのはなかなか分からない部分があると思います。  例えば、よく分からないから抑止力を持つことは十分あるわけです。例えば中国がかつて言った、張り子のトラと。張り子のトラでも抑止力を持つことはある。北朝鮮が核兵器を持っているか持っていないかという、この持っているかどうか分からないという、要するにそういう情報も不足している、あるいは不明確な未知の部分もある、これ自身が抑止力を持つこともあるわけですね。そうすると怖くて手が出せない。正に抑止というのは相手を思いとどまらせるわけでありますから。  そうすると、その抑止力の実効性を日々確認していくと、日々検証していくことこそが国の独立と平和に責任を持ち得る政府に与えられた責務だと言っている部分については、私は若干理解できないのでありますが、この点についてはどう説明されますか。
  131. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはまた機会があれば委員議論をし、御教示をいただきたいと思うのですが、抑止力の本質って何なんだろうということは、もう一度分析をしてみないといかぬのだろうと思っております。抑止力にもいろんな抑止力があって、拒否的な抑止力というものもあれば、そうでないものもある。あるいは今委員が御指摘になったような張り子のトラだって抑止力になり得ることだってあるんだよということもございます。  私はまさしくその委員と同じ問題意識は持っておるのでありまして、実効性ある抑止力とは何なのだということについて、今年の十二月に大綱を決めますまでに、政府といたしまして実効性ある抑止力とは何なのだということについてきちんとした分析を行い、答えを出したい。かなり今の時点で無責任な答弁をするようなのですが、そのようにもう一度思っています。つまり、抑止力という漠然とした、相手にそれを思いとどまらせる力が抑止力なんだよということだけではなくて、もっと詳細な分析がこれには必要なんだろうというふうに思っています。  例えば今、委員が中国のお話をなさいました。じゃ、我々が今、平成十六年度予算においてお願いをしております弾道ミサイル防衛という構想、これはどうなんだということを考えてみたときに、これは立派な抑止力だと思っているのですね。これ自体に攻撃能力は何にもない。BMDには全く攻撃能力がない。それが当たってもほとんど被害はないし、そこまで、向こうまで飛ぶような能力もそもそも有していない。しかしながら、それを撃っても、相手方がそれを撃っても必ず撃ち落とされるということによって抑止力たり得るのだ、これは私は一つの新しい考え方なんだろうと思っています。  実効性ある抑止力とは何なのかということについて更に詳細な分析をいたしまして、私どもは相手を侵略しようという考え方は全く持っていない、ただ、抑止力というものをどのように確保するかということについて更に議論をいたしたいと思っております。
  132. 高野博師

    ○高野博師君 正に抑止力とは何かということについてもっと深く議論する必要があると思います。  私は、この文章を見て、抑止力が実効性を持つということではなくて、抑止がここがなかったと、抑止を超えて攻撃に至った場合に、正にそのときに防衛力が実効性を有すのかどうかということ、その部分について日々検証するということでないとこれはおかしいと思うんですね。  だから、正に防衛力の本質は、僕の考えは、正に防衛そのものだということなんです。テロリストに抑止力は利かないということだと思うんですね。ここは、また続きはこの次やりたいと思います。  それで、イラク自衛隊派遣しましたが、この自衛隊派遣する要件あるいは原則というものは私は明確に確立しておく必要があるんではないかと思うんです。例えば、PKOについてはPKO五原則という原則があります。しかし、イラクも含めて、これからもしイラクと同じような状況が世界的に起きたときにそれはどうするのかと、きちんとした原則が必要ではないかと思う。  例えば、ハイチでああいう大統領の亡命事件がありました。私は、アリスティド大統領が第一回目に亡命した後に一週間ほどいたことがありまして、ハイチという国は一八〇四年、ちょうど二百年前に独立をしました。中南米では最初に独立をしたんですが、いまだに最貧国にあると。独立が早過ぎたんではないかという意見もある。しかし、二百年の歴史の中で三十二回もクーデターが起きている。  これはちょっと余談でありますが、私は経済的な基盤というのがしっかりしないところでは民主主義というのは根付かない、定着しないと思っておりますが、それは別として、今回の事件でアメリカは千六百人の兵隊を派遣しました。フランスは八百人、カナダが四百五十人、チリも三百三十人、軍隊を派遣しております。正に人道上の問題があります。それから、国連決議も出ております。  こういう状況の中で、ではなぜ自衛隊をハイチに派遣しないのかと。ここのところはいかがでしょうか。
  133. 山本一太

    委員長山本一太君) どちらですか。外務大臣ですか。
  134. 高野博師

    ○高野博師君 どちらでもいいんですが、じゃ、防衛庁長官に。
  135. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、本当に委員おっしゃるように、ある意味原則というものを作らなきゃいかぬのだろうと思っています。何でハイチに出さないんだというお答えには全然なっていませんが、形式論理でお答えすれば、派遣する法律がないからだと、こういうことになってしまいますけれども。  どういう場合に派遣をするのか。それは、一つイラクになぜ派遣をしたのか。それは、国連の要請があり、そしてまた中東のエネルギー事情があり、そしてイラクの人々が日本を待ち望んでいるという事情があり、そしてまた日米安全保障の信頼、保障体制の信頼感を更に高める、いろんな理由がございました。  では、それをハイチに当てはめたらどうなるのというと、ぴったりそれが当てはまるというものではないのかもしれません。委員指摘のように、何を原則とするのか、どのような場合日本は動くのかということについて御議論をいただくということは私は非常に意味のあることだと思っております。  イラク派遣については相当の国民の御支持を得るに至っておりますけれども、そこについて、それが本当にその場になってみなければ分からないということだけでいいのかということにつきましては、私自身、問題意識を持っておるところでございます。
  136. 高野博師

    ○高野博師君 私は、自衛隊海外派遣する場合に、恒久法を作るかどうかは別にしまして、これはきちんとした原則を作るべきではないかと思います。  一つは、これは私の案でありますが、一つは国連決議に基づくと、これは絶対必要だろう。二つ目に、憲法の枠内、正に非戦闘地域という条件。そして三つ目は、我が国単独では派遣しないということも恐らく必要であろうと。四つ目に、それが重大な国益にかかわるのかどうか、これは正に国会の承認という視点でできると思います。それから五番目として、人道復興援助活動に限定すると。  この五つがあれば、この条件にきちんと合致すれば自衛隊派遣というのはあり得るのか。しかし、これに合ったからといって必ずしも派遣するわけではない、それは当然、高度の政治的判断が必要であろうと、こう思いますが、是非この原則についてきちんと政府部内でも議論をした上で確立をしてもらいたい。  法律、恒久法を作るにしても作らないにしても、PKOと同じような原則を作るべきだと思いますが、外務大臣にも御意見をお伺いしたいと思います。
  137. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今おっしゃったような、例えばその憲法の枠内だとか、国連の決議が、安保理の決議があるとか、国益にかなうとか、いろんな考え方はあると思います。  そういうその最低限の大枠といいますか、必ず守られなければならない大枠、それが何であるかという議論というのは、それは多分、暗々裏にはなされているということで既にあると思いますけれども、それを明確に言葉に書いてルールとするというのは、恐らく一般法を議論する場合にはそれがよりオープンな議論として行われるという感じがいたします。  イラク特措法、テロ特措法、すべて、その委員がおっしゃったようなことを前提に、あるいはそれを議論しながら、そのときそのときの課題に対して対応をしてきたということであって、必ずしもその基本原則があるということと実際にどのように決まったかということと矛盾をしていない。それが、顕在化しているか、あるいはそうでないかということの違いということかもしれません。その上で、必ず、じゃ派遣を、その条件にかなったら派遣するかといえば、それはそうではないというのも全くそのとおりだというふうに思っています。  そういうその暗々裏あるいは明示的に議論されている基本的な枠というのが何であるべきかということについての議論というのは、これはもう少し個別具体的に、あるいは一般的に、どちらでも、あるいは両方において議論をされていくべきことであって、まだまだ十分に議論がし尽くされていないのではないかというふうに私は思っています。
  138. 高野博師

    ○高野博師君 小泉さんがイラク自衛隊派遣するときに、日米同盟と国際協調ということを何度も何度も繰り返しおっしゃられました。  このハイチの場合でも、日米同盟と国際協調ということであれば当てはまるわけでありますが、しかし、先ほど言ったように、本当にそれが日本の国益、国益との関係でいうと、はるかにイラクに比べればハイチの場合低いということも言えると思いますし、私、この五つの今自分なりの原則を挙げましたが、特にやっぱり単独では派遣しないと、我が国は。これは、たしかドイツかどこかでもそういう原則があったと思いますが、これは非常に重要なポイントではないかと思いますが、この五点についてはもう国会では相当議論がされて中身は詰まっていると思いますが、最後に防衛庁長官長官の所感を伺いたいと思います。
  139. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生御存じのとおり、PKO参加五原則というのがあって、その後、宮澤四原則というのが出てきました。私は、今先生がお挙げになったものというのは全くどれも異存はございません。  ただ問題は、先ほど国会の承認と国益というものを委員が並べて、並べてといいますか、セットでおっしゃいました。私は、そこにおいて国会の承認というのをどのようにかませるのか、それと国益との判断をどうするのか、もう一つは恒久法というものの中に定められるかどうか、これはまだ分かりませんが、フレキシビリティーというものをどのようにして考えるべきなのかということがございます。  私は、野党のある方とあるテレビで対談、対談といいますか、討論会に出ましたときに、困っている人がいる、イラクで困っている人がいるから自衛隊を出すんだということを申し上げたらば、そしたらばアフリカでもアジアでもどこでも出すのかというふうに言われたことがございました。じゃ、世界じゅうの人、みんな助けられないんだったら意味がないじゃないかみたいなお話でしたけれども、必ずしもそうではない。全部を助けられなければ出す意味がないというのはそれは逆立ちした議論なんだろうと私は思っているのですね。  しかし、そこにおいて国益とは何なのかということをどのようにしてきちんと担保をし国民皆様方に御理解をいただくのかということと、フレキシビリティーというものについて更に議論をしていって、これから先、私どもが無原則に出すのではない、きちんとした考えの下に自衛隊派遣をするということを更にきちんとしたものにしていきたいと思っております。
  140. 高野博師

    ○高野博師君 国益の、重大な国益にかかわるかどうかはそこは国会承認と若干結び付けちゃったんですが、これは分けてもいいと思っています、国会承認は別に。そうすると、六つの、六つの原則ということになると思いますが、国益は何かということについては、この間の予算委員会で小泉総理にも質問したんですが、ほとんど関心を持たれていなくて、要するに国益についてもうほかの国ではきちんと明確に文書になっているという、先進国では。日本も、我が国も、日本にとっての国益は何かというのは、やっぱりこれもきちんと議論をした上で掲げておくというのは僕は必要ではないかと思うんですね。  そういうことも含めて、この自衛隊派遣というのは日本にとっては大変重大な重い決断をしたわけでありますが、今後そういう状況が起きたときにやっぱり必要だと、私は原則は必要だということでありますので、是非これは防衛庁外務省でも議論をして、是非中身を煮詰めて原則を作ってもらいたいなということをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  141. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。防衛庁長官及び、並びに外務大臣に質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、イラク問題であります。私は、このイラク自衛隊派遣の問題について、これは人道復興支援だけじゃないと、もう戦争に、占領に自衛隊協力するものだということを繰り返し小泉総理大臣とも論戦をしてまいりました。そこで、私、これまで追及してきたんですが、これまで私は、シミタールといういわゆる三日月という連合軍の機関紙を示して、実際にここで自衛隊が連合軍の司令部にも入っているということを指摘してきましたが、この点については何ら具体的な外務大臣防衛庁長官もお答えにならない。そしたら、今度また先週の金曜日に、金曜日のシミタール、また、最新号にまた再び自衛隊の問題が記事になっております。  日本の航空自衛隊、初の人道支援任務をイラクにおいて行う、これが最新号三月十二日のシミタール、三日月、連合軍機関紙でございます。この中で何と言っているかというと、航空自衛隊は、連合航空軍、つまり連合軍の航空部隊、この一部分として人道復興支援任務をやっているんだと。そのアメリカの空軍の司令官も、私はぞくぞく興奮するほど航空自衛隊が参加してくれたことにうれしい限りだというふうに談話まで載せている。こういうふうな、私、占領航空部隊の一員として航空自衛隊がやっているというのは、これは私は重大な問題だというふうに思います。  そこで、私はよくこの問題言うと人道復興支援だと言うけれども、私は人道復興支援の任務を持っているから占領軍じゃないということは成り立たないと思います。それはなぜかといえば、米英占領軍でも人道復興支援任務をやっておりますから当然だと思いますが、外務大臣はこれまでも、連合の一員ではあるけれども連合軍の一員ではないということを繰り返してまいりましたけれども、これだけ続々と問題が出てまいりますと、やはり私は、連合の一員であり、連合軍の一員であるということをもうそろそろお認めになった方がよろしいかと思いますが、外務大臣、いかがでございますか。
  142. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは何回か今まで申し上げたように、我が国は占領軍ではありませんし、このCPAの指令十七号、これに書いてありますように、ちょっと日本語の訳がないんですけれども、「all non-Iraqi military and civilian personnel assigned to,」というのが、失礼しました。ごめんなさい、そこじゃないんでして、「all forces employed by a Coalition State including attached civilians,」というところで読んでいるということが、我が国が国防省そして国務省と確認をしている、CPAとももちろん確認していますが、というところであって、これに全く変わりはない。おっしゃったように、連合軍の一員ではない、連合の一員である軍隊の、がここに入っているということであるわけです。したがって、日本自衛隊の指揮の下に動き、連合軍として動いているわけではない。  それで、シミター紙ですけれども、これについては、我々はかねて米国防省に確認をいたしました際に、これは報道資料としての分かりやすさ、これを出すために簡便な表現をするということは間々あることだと、そういう説明を受けていまして、そのような観点から記述をされたということであると思います。  我が国は占領軍ではない、自衛隊自衛隊の指揮の下に動いているということで、これはずっと今まで申し上げていたとおりであります。
  143. 小泉親司

    ○小泉親司君 国防総省も、分かりやすく占領軍であるということを示しているんだろうと思います。その意味で、私は、外務大臣の答弁が変わらないというのは、これは私がやっているんじゃなくて、連合軍が次々と出している機関紙で連合軍の一員だと言っているわけですから、それはそれに対して明確に否定、もしお否定なされるのであれば、それに対して明確に否定のことを全く言わないというのは、これは私は占領軍の一員以外の何物でもないと、この点を指摘して、次の質問に移ります。  次に、先ほど同僚委員も午前中に議論いたしましたが、池子弾薬庫の米軍住宅問題について質問をさせていただきます。  これはブッシュ大統領が、昨年十一月二十五日に、今在外、在日米軍基地の見直しなども進めているというふうなことを指摘して、明らかにされました。それに先立ちまして、昨年六月二十六日のアメリカの下院外交委員会アジア・太平洋小委員会でもアジアでの米軍体制議論されて、この中で、これちょっと読み方がなんですが、ラフラーというんでしょうか、米国務省特別代表が証言をいたしまして、この中で、我々は米軍が進めてきた将来の戦力構造の見直しについて日本のカウンターパートに詳しく説明していると、アメリカ政府が最終決定をする前に日本と密接な協議をしているんだということを証言されておられる。大分いろんなことが議論されておるやに見受けられます。  そこでお尋ねしますが、日本では現在、米軍基地の強化の一環として、逗子市などの反対を押し切りまして、池子弾薬地区に米軍住宅八百戸を建設する計画を進めておられます。そこでお聞きしますが、二〇〇〇年十一月八日に防衛庁は、米軍から、二十一世紀関東平野米海軍家族住宅建設計画、K21なる計画の説明を受けているそうでありますが、これはどういう計画なんですか。
  144. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 今委員が御指摘になりましたように、当時、神奈川県内におきまして米海軍の家族住宅が不足をしているということで、米側から家族住宅の建設要望がございまして、事務レベルの意見交換の過程で米側から家族住宅の建設についての考え方が示されたということは事実でございます。  ただ、これはあくまでも事務レベルの意見交換の過程で示された米側の一つのアイデアということでございまして、具体的内容についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  145. 小泉親司

    ○小泉親司君 先ほど防衛施設庁長官は、在日米軍は非常に住宅が不足しているんだということを大変強調されておりますが、神奈川県内にどれぐらいの米軍住宅を要求されているんですか。
  146. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これは午前中にもお答えをいたしましたが、ここ二十年来と申しましょうか、家族住宅の不足の状況を米側から説明を受けたりいたしておりまして、今日におきましてもなお、神奈川県内において千数百戸、家族住宅が不足をしているというふうに聞いております。
  147. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は二〇〇〇年七月、平成十二年七月の防衛施設庁の業務説明書というのを、文書を入手いたしました。これは注意というふうに書いてある文書でございますが、この中で、全国の米軍基地の現状についてつぶさに検討されておられる。これ、皆さんのお手元にありますが、三ページ目の目次の中でも、厚木、佐世保、沖縄、県道一〇四号線、横須賀海軍基地、米軍家族住宅、岩国、全国のものがこれによって様々な検討がなされているということが非常によく分かると思います。  この中で、右の方に、担当部署と書いてありますが、これ企画課とか取得一課とか対策二、三課と書いてありますが、これはちょうど平成十二年の、いわゆる二〇〇〇年のときの防衛施設庁の組織にはこういう組織がありました。現在はこれはありません。この点からもこの文書が大変正確な文書だということがお分かりになるというふうに思います。  これらのことで、私はこの防衛施設庁文書の中で、米側の要望する住宅建設計画というのがこの文書の中に書いてある。米側は、厚木基地関係で七百五十戸、横須賀基地関係で九百十五戸、合計千六百六十五戸、これは千数百戸と言うとちょっと正確じゃないと私は思いますが、合計千六百六十五戸の家族用住宅が不足しているとして、平成十五年度にこれ三百戸プラス七十戸、これに根岸が入りますから四百五戸プラス、さらに、平成十九年度までに残りのものを進めてほしいんだというこれが米側の要求だということが明記されておりますが、長官、具体的にこれ、こういう計画が提示されたということは間違いございませんね。
  148. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 今お尋ねの、お示しいただいた資料、これは私どもこういうたぐいのものを幹部の異動の際に作成をし、内部資料として使用をいたしたりしておりますけれども、平成十二年の七月ということでございまして、こういうたぐいの文書そのものは文書保存期間経過しておりまして現存をしておりませんので、私どもとして当時作成をしたものとこれが同一のものかどうかという確認はいたしかねます。  その上で、そういう前提で、お尋ねに対してのお答えでございますが、米側とは、先ほども申し上げましたように、年々に家族住宅の不足の状況等の議論をしてきておりまして、これは過去、横須賀あるいは厚木におきましても、二千戸オーダーだと思いますが、提供施設整備として住宅の建設をし、なおかつ、他方で米側においては家族の帯同基準が緩和をされたというような事情もございまして、ニーズはその都度都度新しく出てきているということで、どの時点をとらえてどれだけの住宅が不足をしているかというのはその時々の状況で異なるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、おしなべて千数百戸の家族住宅が不足をしているという状況には変化はございません。
  149. 小泉親司

    ○小泉親司君 大枠は大体お認めになられたようなことでございますが、私は、私たちが、この計画の中でどういうことが書いてあるかというと、つまり上瀬谷、深谷、これまで我々が遊休基地だと言ってきたところをもう二〇〇〇年の段階から米軍はこの住宅建設計画の中に含めていたんですよ。  それを、私たちが国会で質問すると、あなた方はそんなことはないというふうなことにずっとしてきた。我々が質問して、防衛庁長官、よろしいですか、防衛庁長官、寝てちゃ駄目ですよ。こういうことを私たちが質問したときに、こういう計画が、聞いても答えないというのは、防衛庁長官、私これは重大な問題だと思いますよ。実際、我々はこのことを追及してきたのに、何にも言ってないじゃないですか。  ところが、実際には、もう二〇〇〇年の十一月八日から具体的なこういう計画が進んでいるというのは、私は重大な問題だと思いますが、防衛庁長官、いかがでございますか。
  150. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これは先ほど来申し上げておりますように、米軍の家族住宅の不足の状況というものを踏まえまして、それをどういうふうに充足をするか、他方で、地元からいたしますと、施設・区域として提供しているところをできるだけ早期に返還をしてもらいたいという要望があるわけで、それとの調和を図りながら米側のニーズをいかにして満たすかというふうな議論をその時々の状況を踏まえましてやってきているわけでございます。  ただ、これまでいろんな場でお尋ねがあった際に、米側との議論の詳細については、相互の信頼関係等もございますので、お答えは差し控えるということで対応させてきていただいているということでございます。
  151. 小泉親司

    ○小泉親司君 この文書の中には、十五年度、いわゆる今年度の三月までの計画が書いてある。その中に、横須賀地区に三百戸、厚木地区に七十戸、つまり合計三百七十戸を建設する。さらに、根岸住宅の四百五戸分を足すとどうなるかというと、実際は七百七十五戸、つまり池子の追加建設の八百戸分に相当するのを今年度でやろうという計画になっている。あなたは、その場その場と、その場しのぎでやっているんだということを言っておられるけれども、実際にはこのあなた方が作成した計画に盛って具体的には進んでいるんですよ。  それと同時に、十九年度、つまり二〇〇七年度までには残りの八百六十戸を建設すると。今は、原子力空母の母港が取りざたされているのが二〇〇八年と言われておりますので、つまり二〇〇七年度、二〇〇八年の三月までにこの千六百六十五戸を全部やっちまおうというふうなことで私は進んでいるというのはゆゆしき問題だというふうに思います。  そこで、もう一つ重大な点がある。  この文書の中には、五十二ページ、一番最後を開いていただきたい。今後の処理方針ということを防衛施設庁がこの文書の中で言っている。  例えば、逗子市(池子等)関係、本住宅建設は大規模なものであり、地元調整の前提である環境保護との調和を図ることは事実上困難である、また、逗子市にとっては返還のメリットが少ないことから、新司令官、これはワイス司令官、在日米海軍の司令官の動向を踏まえ、池子での住宅建設計画が現実的でないことを説明し、池子住宅以外の場所での住宅建設へ方向転換を図ることとしていると。  つまり、二〇〇〇年には、池子の追加住宅建設はなかったんだということをあなた方の文書は明確に言っているんです。何でこんな追加建設を再び池子に持ってきたんだと。これは方向転換したものを更に方向転換した、これは明確だというふうに思いますが、なぜこれは池子へ追加建設をするという形での方向転換になったんですか。
  152. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) まず、前段の平成十五年度の関係でございますが、これは当時における米側のもくろみといいましょうか、米側の希望としてこういうことが示されていたという記述だと存じますが、現実の問題といたしましては、平成十五年度においては提供施設整備としてこのような家族住宅の建設はいたしておりません。  それから、逗子市の関係でございますが、この記述の括弧書きにもございますような環境保護との調和といった問題が当時この記述によれば認識をされていたということだと存じますが、この場合のその池子云々ということは、これはタイトルに「逗子市(池子等)関係」とございますように、この場合の池子というのはあくまでも逗子市域を念頭に置いた議論を展開しているというふうに理解をいたしております。
  153. 小泉親司

    ○小泉親司君 そんなでたらめなことじゃ駄目ですよ。あなた方は明確に、二〇〇〇年、このいわゆる業務説明書の中では、二〇〇〇年七月には池子は困難なんだと、事実上困難ばかりじゃなくて、返還のメリットも少ないからアメリカ軍の司令官に現実的でないことを説明しようじゃないかと、それで方向転換を図ると、あなた方が言っていたんですよ。これをどういうふうにあなた方は説明するんですか。  私は、こういうことを二〇〇〇年の段階で決めておきながら、それを追加建設はしないという逗子市と防衛施設庁との約束、これは国民的な私は約束だと思いますが、そういうものをほごにして追加建設を強行するというのは、私は絶対許されないことだというふうに思います。その点で、私はこの経緯を横浜市や逗子市にしっかりと防衛施設庁、説明するべきだと思います。同時に、この追加建設については撤回すべきだということを、どうですか防衛施設庁長官、最後に防衛庁長官にお聞きして、この問題終わります。防衛庁長官
  154. 山本一太

    委員長山本一太君) 事実関係山中長官
  155. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これは先ほど申し上げましたように、池子地区といいましても、逗子市との関係におきましては、先ほど委員指摘のような過去の経緯等がございます。したがいまして、私ども、逗子市域において追加建設をするというような考え方は現時点では持っておりません。
  156. 小泉親司

    ○小泉親司君 軍事では雄弁な防衛庁長官がこういう政治問題では雄弁にならないというのは問題だと思いますよ。私は、こういう点では自治体に対してこういう経緯を、こういう施設庁の文書があったということをちゃんと説明して、これは私は追加建設は撤回すべきだと。長官、最後にどうぞ。
  157. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 施設庁長官からお答えをいたしましたように、この資料、今残っておりませんので、これに基づきまして説明を求められましても私どもとしてはいかんともし難い。委員がどこからこれを入手されたか私の知るところではございませんが、私どもとしてはこれに基づいて御質問をいただきましてもお答えのしようがない。ただ、私どもといたしまして、逗子市あるいは横浜市あるいは神奈川県に対しましてきちんとした御説明はしたいということ。  もう一つ委員御懸念の、それでは、新しい航空母艦の母港化を目指してというようなことは私どもゆめさら毛頭考えたことはございませんので、そのような御懸念は御無用でございます。
  158. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、こういうふうな計画を内部でどんどんどんどん進めながら、国会で質問しても答えない、さらに、どんどんこういう形で自治体にもきちんとしたこういう問題についてはケア、説明しない、それでただただアメリカの言いままでこういう計画を進めるというのは言語道断だということを指摘して、次に原子力潜水艦の放射能漏れ対策について質問いたします。  これまで政府は、原潜の放射能漏れ対策として、原潜の寄港する横須賀基地、佐世保基地、沖縄のホワイトビーチにモニタリングポストを設置して、これを監視してまいりました。これは、御承知のとおり、原潜の放射能漏れ事故がありまして、その対策としてこれまで取ってきたものであります。  最近では、一昨年、平成十四年四月に防災計画が修正されて、これでは原子力艦、つまり原子力潜水艦及び原子力推進艦艇、こういうものの防災対策も取るべきだということが防災計画の中にきちんと明記された。そこで、これに基づいて防災訓練もやられていた、やられてきた。  そこでちょっと外務省に、外務大臣にお尋ねしますが、佐世保で、これは防災計画に基づく防災訓練が行われているんですが、これにはなぜか外務省が参加しておりません。なぜですか。
  159. 山本一太

    委員長山本一太君) これは質問通告してあるんだね。
  160. 小泉親司

    ○小泉親司君 してありますよ。  ちょっと時間を。済みません。
  161. 山本一太

    委員長山本一太君) ちょっと止めて下さい。    〔速記中止〕
  162. 山本一太

    委員長山本一太君) 速記を起こしてください。
  163. 川口順子

    国務大臣川口順子君) その件につきましては、外務省としてもいろいろお手伝いはしてまいりましたけれども、最終的には佐世保市にお任せをするということになったということでございます。
  164. 小泉親司

    ○小泉親司君 防災計画の中でも明らかになっているのは、原子力潜水艦の放射能漏れ事故が発生したときに一番主体になるのはまず外務省なんですよ。情報外務省に行く。外務省が原子力委員会とかいろんな関係公共団体に伝達することになっているんですよ。その外務省がなぜ参加していないのか。  これはあるところの新聞、一月三十日付けですが、市は外務省と、同省を通じ米海軍にも参加を呼び掛けた。外務省は、原子力艦の事故はあり得ないとする米海軍の考え方を踏まえ不参加を決定、米海軍への参加要請をしなかった。  よって、参加していないのはどこかというと、外務省と在日米海軍なんですよ。何でこういう防災計画、あなた方が有事だ有事だ、有事が重要だと言っておきながら、原子力潜水艦の放射能漏れ事故の災害対策などについてなぜ外務省と在日米海軍は参加しないんですか。私はこれはゆゆしき問題だと思いますよ。どうですか。
  165. 山本一太

    委員長山本一太君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  166. 山本一太

    委員長山本一太君) 速記再開。
  167. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これについて、基本的な考え方として、原子力潜水艦が事故を起こし得るかどうかということについての考え方に相違があったということであるわけでして、引き続きこの点に、その点について地元の佐世保市との考え方が違うということがまだ解消されていないということであって、この点についてはまだ引き続き話をしていくということであります。  もちろん、何か外務省が実際にアクションを取るようなことが、それは想定されていませんけれども、もしあったときには、もちろん外務省として米軍との間で何か調整をしていくということは考えられる、考えているということであります。
  168. 小泉親司

    ○小泉親司君 原子力艦の原子力災害という防災計画が修正になったんですよ、一昨年四月に。これ、外務大臣承知じゃないから、ちょっと簡単に言いますと、「外務省は、原子力艦の原子力災害に関する通報を受けた場合、官邸(内閣官房)、原子力安全委員会関係指定行政機関関係地方公共団体に連絡するものとする。」、つまり、外務省が中心になって原子力艦の災害対策をやるということになっているんです。ところが、この外務省が防災訓練に参加しないから、この具体的な段取りをどうやるかということが、これ事実上できないんです、佐世保では。こんな私はひどいことないと思いますよ。  もう一つだけ外務大臣にお尋ねいたします。  皆さんのお手元に資料をお配りしておりますが、これは原子力委員会で作成した佐世保基地のモニタリングポストであります。このモニタリングポストは、この今四か所が黒丸で設置されている。ところが、この黒丸で設置されているときには、実は佐世保で原子力潜水艦が停泊するときには、いわゆる沖泊まりといいまして沖に停泊していたわけですね。ところが、今、佐世保においては原子力潜水艦はどこに停泊しているかというと、左の括弧にくくりました赤崎というところの岸壁にわざわざ接岸して、原子力潜水艦が今停泊しております。この赤崎貯油所の裏側には民家もございまして、この佐世保市ではここにモニタリングポストを設置してほしいと言っている。  こういう計画が今進められておると思いますが、これは米軍にどうやって、いつ通報されて、今現状はどうなっているんですか。文部科学省、いかがですか。
  169. 小田公彦

    政府参考人(小田公彦君) お答え申し上げます。  まず、米国原子力艦の我が国への寄港に関しましては、政府としての取組といたしまして、文部科学省におきまして、海上保安庁それから地元の自治体、この場合には佐世保市でございますが、と協力いたしまして、厳重な放射線監視、放射能調査に取り組んでいるところでございます。  御指摘の点につきましては、我々はまず原子力潜水艦が入港した場合には、外務省からの情報を待ってですね、やっております……
  170. 小泉親司

    ○小泉親司君 時間がないんで、悪いけど私の質問だけ答えてください。いつ要請したんですか、米軍に。
  171. 小田公彦

    政府参考人(小田公彦君) はい。この点に、御指摘につきましては、佐世保港の赤崎岸壁への……
  172. 山本一太

    委員長山本一太君) 委員長の指示を仰ぐようにしてください、小泉親司君。  どうぞ、答えてください。
  173. 小田公彦

    政府参考人(小田公彦君) 御指摘の佐世保港の赤崎岸壁へのモニタリングポストの新設につきましては、一層の充実を図るという観点から、佐世保市からの要望も踏まえまして、文部科学省としての実現を図るということにいたしまして、モニタリングポストの設置をするために米軍の施設・区域の一部を使用する必要がありまして、そのため、提供国有財産の一時使用の承認手続ということで、平成十四年、一昨年の十二月に防衛施設庁の福岡防衛施設局に申請を行っているところでございます。  以上であります。
  174. 小泉親司

    ○小泉親司君 平成十三年の三月二日に、この原潜モニタリングのものが予算委員会、衆議院の予算委員会で取り上げられたんです。つまり、二〇〇〇年の、二〇〇一年の三月にもう取り上げられているんですよ、この問題は。さっき二〇〇二年だと文科省おっしゃったけれども、二〇〇〇年にもうやっているんです、国会では。そこのときに、防衛施設庁が答弁してきまして、今アメリカ軍に対して必死で働き掛けていると言っておりますが、もう既に三年以上がたっている。実際に、モニタリングポストというのはいわゆる放射能漏れ事故の監視をするものなんですよ。それを赤崎に設置をしようということを今、佐世保市などが働き掛けているのに、いつまでたってもこれができない。  私は、訓練も手抜きだけれども放射能漏れの監視も手抜きだと。これは正に、原潜の放射能漏れ事故の対策の正に形骸化だと、これ手抜き以外の何物でもないじゃないですか。一体、防衛施設庁、どうなっているんですか、これ。米軍に対してどのような働き掛けして、米軍は何と言っているんですか。
  175. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 先ほど文科省の方からのお答えございましたように、一昨年の十二月に福岡防衛施設局に対しまして提供国有財産の一時使用の承認の変更申請というものが出されております。これ、米軍の赤崎貯油所の北側のいわゆる赤崎岸壁におきまして、放射線量を計測をするというためのモニタリングポストの新設用地として施設の一部の共同使用をしたいという申請でございます。  それを受けまして私どもの方は、米側あるいは財務省等の関係機関、調整を行ってまいりました。米側といたしましては、補給艦等の米軍艦船の接岸等にかかわるということでこれまで調整に時間を要してきているところでございますが、私どもは、事の性質上、できるだけ早い時期に日米合同委員会におきまして承認されるべく手続を進めたいと考えております。
  176. 小泉親司

    ○小泉親司君 これは、二〇〇〇年三月二日の予算委員会の答弁と今の防衛施設庁長官、全く同じなんですよ。三年たっても同じ答弁しかできないんですか。いつまでにやるんですか。明確にしてください。
  177. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) これ、米側は米側なりに、今申し上げましたように、補給艦をじゃどういうふうに接岸するかでありますとか、ここはいろんなユーティリティー施設がございますので、それをどういうふうに設置するか等といった技術的な観点からの検討が必要でございまして、一定の期間掛かっているということでございますが、私ども、できるだけ速やかに合同委員会、手続が進みますように努力をしたい、あと数か月を要するというようなものではない、より早く手続を進めたいというふうに考えております。
  178. 小泉親司

    ○小泉親司君 原子力委員会の、これまで原子力関係の放射能漏れ事故の問題では日米の合意がありまして、これは施設庁長官もよく御存じだと思いますよ。  そこで何と言っているかというと、合衆国政府は、同潜水艦が放射能汚染をもたらす危険があるとは認められないことを確認するため、認められないことを確認するため、その近傍において日本政府がその希望する測定を行うことに同意していると言っているんですよ。つまり、アメリカは、自分はクロじゃないからということを証明するために日本政府がやるのはいつやっても結構ですよということを言っているんです、これはもう既に合意で。  何でそんなそれが三年も掛かるんですか。これがあなた方の有事体制なんですか。こんな、私は、国民を無視した有事体制は私、存在しないと思います。こんな有事体制は絶対もう認められないと。私はこの点を要求いたします。今年度ぐらいまでにできるんですか、その数か月というのは。どうですか。
  179. 山中昭栄

    政府参考人山中昭栄君) 先ほど申し上げたような事情で調整に時間を要しているということでございますが、今後の問題としては、数か月までは要しないというふうな見込みを今立てているところでございます。
  180. 小泉親司

    ○小泉親司君 まあ余りはっきりしませんが、私はこういうものはきちんとやるべきだと思いますが、外務大臣、最後に、これは外務省の主要な問題でございますから、もう原子力潜水艦は放射能漏れしないから大丈夫だと初めから言うんじゃなくて、その点、はっきりと外務大臣、お答え願いたいと思います。
  181. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ここで事務方から話を聞いてということでも皆様のお時間の無駄だと思いますので、いろいろな、どういう過去において経緯があったのか、事情があったのか、一度、帰ってからきちんと聞いてみたいと思います。
  182. 小泉親司

    ○小泉親司君 最後に、もう一つだけお尋ねをさせていただきます。  一つ有事法制法案について最後に御質問させていただきたい。  今回の有事法制法案の中には、武力攻撃事態等における特定公共施設の利用に関する法律案というのが提案されております。この九条では、米軍が有事の際に港湾や空港を使用することができる、もし地方自治体が自ら管理する港湾や空港の使用を拒否した場合に、総理大臣が当該所要の利用を確保すべきことを地方公共団体に指示を出すことができるというふうになっております。  そこで、お尋ねしますが、例えば神戸市では今、核兵器艦船を入港させないということから、神戸港に外国艦艇が入港する際に非核証明ということを義務付けておられる。こうなると、非核証明を出さないと米軍艦艇は入港できなくなりますし、今までずっと入港しておりません。その場合に、例えば非核証明を出さなくても入港できるような処置を総理大臣が指示をして取るということに今度の条文はなるというふうに思いますが、その点、外務大臣、いかがでございますか。
  183. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この御質問は、神戸市議会である神戸市会、これが核兵器の積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議を作ったということに関することであると思いますけれども、これまで国会で繰り返し御答弁をしてきていますけれども、地方公共団体がいわゆる非核証明書の提出を求めて、そしてその結果に基づいて港湾施設の使用について決定を行うということは、これは、外交関係の処理を行う国の決定に地方公共団体が関与し、あるいは制約をするということでありまして、港湾管理者の権能を逸脱するものである、そして地方公共団体の権能の行使としては許されないというふうに考えております。  我が国は、御案内のように、非核三原則ということを国の基本原則、基本政策として堅持をしているわけでして、国が外国軍艦に対して寄港の同意を与えるか否かについて決定をする際にはこの基本政策を堅持するという立場を踏まえて対処をしてきている、対処をしているわけです。ですから、いずれにしても、米軍の艦船について、これが、これは日米の安保条約等で港への出入りを認められているわけでして、日米安保条約及びその関連の取決め上、関連取決め上、いかなる核の持込みも事前協議の対象であるということです。核の持込みについて事前の協議が行われた場合には常にこれを拒否をするということでありますので、国の対応によって非核三原則を堅持するという立場、これは確保されているというふうに考えています。
  184. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、この九条で、その神戸市が非核証明の立場を取ってもそれを覆すというふうなことをやるという指示を出すということになるということですね。
  185. 川口順子

    国務大臣川口順子君) いや、今申し上げたのは、国の立場というのは非核三原則を堅持するという立場であるわけです。そして、仮に事前の協議が行われたという場合には、これは核の持込みについて常にこれを拒否するという所存であるということであって、国の対応によって非核三原則は守られていると、そういうことを申し上げたわけです。
  186. 小泉親司

    ○小泉親司君 委員長、最後に。
  187. 山本一太

    委員長山本一太君) はい。時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。
  188. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、非核三原則だというのであれば、私は、神戸の非核証明というのはこれを具体化するものですから、やはりそういう点で、やはり総理の権限でこういうものをつぶしてしまうというふうな条文は私は絶対に認められないと。といった有事法制法案については私はこれは絶対に認められないということを申し上げて、質問を終わります。
  189. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最初に、外務大臣にお伺いいたします。  去る二月二十五日の参議院イラク事態特別委員会でサマワの部族長を日本に招待するという外務省の計画についてお伺いしました。そのとき、経費等細かいことはまだ決まっていないというお話でしたが、その後、この計画はどう具体化しているのでしょうか。    〔委員長退席、理事佐藤昭郎君着席〕
  190. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これについては今引き続き検討中であると、そういう段階であります。
  191. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 あれから検討中ということはどういうことですか。お招きするということでしたら、前もって予算は幾ら掛かると、そして何名お招きするということはごく当然のことだと思いますが、あれからずっと検討中というのは何ですか。
  192. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  サマーワにおける部族長等、地元有力者の招聘の件でございますけれども、これは彼らに日本が行っております復興支援に対する理解を深めてもらうと、こういうことでその招聘を計画を立てているものであります。  他方、サマーワ周辺地域の部族関係者等につきましては、地域社会の状況をよく見て判断する必要があるということでございまして、先方と調整しつつ慎重にやる必要があるというふうに考えております。そのため、いましばらく時間が掛かる見通しでございますが、現在タイミングや人選については検討中という状況でございます。
  193. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 国土交通省、いらっしゃいますか。お願いします。  成田空港をお造りになるときに、当時の運輸省と空港公団は付近住民と何らかの約束をしたと認識しておりますが、具体的にどういうことを約束されたんですか。
  194. 宿利正史

    政府参考人宿利正史君) 今議員お尋ねの件に関しまして、一九七二年四月、昭和四十七年の四月でありますけれども、当時の運輸大臣、空港公団、千葉県と地元との間におきまして、成田空港に関して取決めがなされております。  その中で、新東京国際空港は純然たる民間空港であり、安保条約及びこれに基づく地位協定の存在にもかかわらず、これを軍事的に利用することは絶対に認めないという内容の取決めがなされております。
  195. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 陸上自衛隊イラク派遣するに際し、今年の一月十六日に成田空港を利用しておりますけれども、これについて防衛庁長官は、今お答えがありましたようなことを認識しておられたんですか。そして、認識しておられたとすれば、その約束をどのように理解されているんですか。    〔理事佐藤昭郎君退席、委員長着席〕
  196. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 認識はいたしております。成田空港の利用につきまして、そのような、今航空局次長からお話がありましたような取決めがなされたことは十分存じております。  他方、今回の陸上自衛隊の利用につきましては、全くこの取決めに反するものではございません。これは軍事的な利用には全く該当しないものでございまして、私として何ら問題があるものとは考えておりません。
  197. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先日、質問主意書で、「日米地位協定の考え方」増補版の公開をめぐっての外務省対応についてお伺いしました。これに対して二月十七日付けの政府答弁書では、増補版のもとになる文書は存在していたと考えられるが、その原本を保有しておらず、その理由も不明ということでありました。  しかし、同じ政府答弁書の中で、条約その他の国際条約の解釈に関する事務又は外務省が所管しており、外務省が保有している当該事務に係る文書は、同省の各課室において、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の第三十七条第二項に基づき設けられた同省の文書管理規程に従って適正に保管されていると説明されております。  適正に保管されていたはずの原本がなぜ行方不明なんですか。
  198. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 今のお尋ねでございますけれども、これは繰り返しになって恐縮でございますけれども、先般の照屋議員の質問主意書を受けまして我が方で文書を捜しましたところ、「日米地位協定の考え方」の増補版というものに該当すると思われるものについては、これの保有を確認をいたしたところでございます。  増補版という名前、そのことから推測をいたしますに、そのもととなった文書というのが存在していたということは考えられるわけでございますけれども、我々、外務省の中をすべて捜したわけでございますけれども、そのもととなると思われる文書は見付かりませんでしたので、これは現在、外務省としては保有をしていないということで、その経緯も分からないということをお答えした次第でございます。
  199. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、今引用いたしました行政機関の保有する情報の公開に関する法律の第三十七条第二項、これに違反することになりませんか。
  200. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) お尋ねの部分は外務省の文書管理規程のことを指しているところでございます。これにつきましては、適当な保存期間を設けた上でこれは廃棄をするということになっておりまして、そのことからして恐らく前のものについてはあったとは思われますけれども、何らかの理由によって廃棄がされたのではないかというふうに推測をしているところでございます。
  201. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 繰り返して恐縮でございますが、廃棄をされたのであれば廃棄したということをおっしゃればいいと思うんですけれども、そういう趣旨の答弁になっていないんですよね。分からないという趣旨ですから、分からないとなったら今の管理規程に反するんじゃないですか。
  202. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 今、私も、というふうに、推測しておりますというふうに申し上げたわけでございますけれども、私も必ずこれが何らかの規程に沿った形で廃棄されたということが、確信を持って申し上げられるということではないということでございます。  他方、先ほど申し上げましたように、この当該の規程につきましては、これはそれぞれの文書によりまして何年保管というようなふうに細かく決まっておりますので、物によって保存期間が違うということでございますけれども、この期間はそれぞれの文書が適切に保管されてきているというふうに考えております。
  203. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 この「日米地位協定の考え方」、これの増補版というのは実は新聞社なんかにももう既に渡っておりまして、あるんですよ。ですから、それが、外務省自体がこのような大事なものを、ほかの人たちが持っていて外務省が分からないということになると非常に厄介な問題だと思いますので、その辺はもう少し厳格にしていただきたいと思います。地位協定の問題で、非常に重大な問題ですから。  それから、日米地位協定の改定については、今全国の都道府県とか市町村議会などからいろいろと要請が強く出ているわけでございますが、外務省にこれまで全国の幾つの都道府県からこの地位協定の改定、あるいは市町村議会から地位協定の改定について要請が出されておりますか、教えてください。
  204. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 先般、同じような御質問をいただいたときに我々調べた経緯がございますが、今回そのようなちょっと御通告がなかったので今ちょっと手元に資料は持っておりませんけれども、後ほど委員の方に御説明をいたしたいと思います。
  205. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 川口外務大臣は去る十一日の本委員会での所信表明で、沖縄の基地問題について、「在日米軍にかかわる諸問題については、沖縄県民の方々の御負担を軽減すべく、引き続き、普天間飛行場の移設・返還を含むSACO最終報告の着実な実施に努めます。」と表明なさいました。また、石破防衛庁長官も同様に所信表明で、全国の在日米軍施設・区域の約七五%が集中している沖縄県民の御負担を軽減するため、SACO最終報告の着実な実施に向け、引き続き真剣に取り組むとおっしゃいました。  この種の政府の発言というのは、実は復帰のときからずっと続いているんですよ。ですから、我々として、沖縄の人たちとしては、一体、そういう言葉で言っている中身は一体何なのか、この三十年間一体どういう進展があったのか、復帰以来三十年間どういう進展があったのかということを絶えず問い返しているわけなんですが、一体、その沖縄県民の負担を軽減するとかSACOの最終報告の着実な実施によって基地の整理縮小につなげるということなんですが、具体的にどういうことを指しておられるんですか。まず、外務大臣からお願いします。
  206. 川口順子

    国務大臣川口順子君) より細かいことが必要でしたら北米局長から答弁をさせますけれども、非常に大まかに申し上げれば、例えばそのSACOの最終報告、これについては、土地の返還を始め進展が進んでいるということであると思います。それから、環境への取組ですとかPCBの返還ですとか幾つかのことに、あるいは立入りですとか、そういったことについて取組を運用の改善によって進めている、刑事手続というのもそうであるかと思います。
  207. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官お願いします。
  208. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今外務大臣からお答えがあったとおりでございまして、事情は、知事をお務めであった先生が一番よく御案内のことかと思います。土地の返還というのも着実に進展をいたしてまいりました。ただ、いろんな事情がありまして、期待された期間内にできておらないという事情もございます。これは、環境あるいは地元の御理解、そういうものにも配慮をしながら、SACOの最終報告の着実な実施というものに向けて私ども歩みを進めていかねばならぬと思っておるところでございます。
  209. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 政府はこれまで何度も何度も、地元住民の意向に配慮しながらという言葉を使っておられるわけですね。しかし現実に、今沖縄大学院大学を作ろうとして非常に期待を持たれているそのすぐ近く、三・五キロくらいの地域に都市型の訓練施設を作ろうとしているわけですよ。これには地元は猛烈に反対しているわけです。その反対を押し切ってなぜそういうのを作ろうとなさるんですか。
  210. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) これは都市型訓練施設というものではございませんで、陸軍の複合射撃訓練施設でございますけれども、現在、海兵隊がレンジ、キャンプ・ハンセンの中のレンジ16で行っております射撃場等が老朽化をいたしまして、安全性の問題等で問題があるということで、同じキャンプ・ハンセンの中のレンジ4にこれを新たに建設するということで、これにつきましては地元の方々の御反対があるということも我々承知しておりまして、米側に対しては引き続き、これは地位協定上にも書いてございますけれども、公共の安全に十分配慮をして、安全性に万全を期してもらいたいということをアメリカに要望しておりますし、これからも引き続き要請をしてまいりたいというふうに考えております。
  211. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 住民の安全に十分に配慮して、あるいは気を付けてとおっしゃっておられますが、事件、事故は絶えず発生しているわけですので、どうかその辺を真剣にお考えいただきたいと思います。  それから、防衛庁長官、先ほどの問題とちょっと関連しますが、下地島空港って御存じですか、どういう空港だとお考えですか。
  212. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 空港につきましてはよく存じております。どういう空港かということにつきましてどのようにお答えをしたらいいのか、ちょっと私としては今手持ちの資料がございませんが、空港の性質、そしてまたその位置付け等々につきましては一通り理解はいたしておるつもりでございます。
  213. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほどの質問と関連するわけですが、下地島空港を造るときに地元と覚書を交わしているという、そのことは御存じですか。
  214. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 覚書を交わしたということにつきましては存じております。中身についてちょっと詳細に今お答えするだけのものが手元にございません。恐縮です。
  215. 山本一太

    委員長山本一太君) 大田昌秀君、時間ですから、短くお願いいたします。
  216. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 軍事利用しないということで空港を造らせたわけですが、最近、御承知のようにアメリカのヘリコプターが地元の反対を押し切って強硬に着陸するというようなことで、みんな大変不安がっておりますので、どうかその辺、外務大臣にもお願いしますけれども、そういうことのないようにアメリカ側の方に強く申入れしていただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  217. 山本一太

    委員長山本一太君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  218. 山本一太

    委員長山本一太君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府アメリカ合衆政府との間の条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。川口外務大臣
  219. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府アメリカ合衆政府との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昭和四十七年に締結されたアメリカ合衆国との間の現行の租税条約に代わる新たな租税条約を締結するため、平成十三年以来交渉を行いました。その結果、平成十五年十一月六日にワシントンにおいて、我が方加藤特命全権大使と先方スノー財務長官との間でこの条約の署名が行われた次第であります。  この条約は、これまでに我が国が諸外国との間で締結してきた租税条約と同様に、OECD条約モデルを基本としつつも、日米両国の緊密な経済関係を反映して、積極的に投資交流の促進を図るために、経済的、人的交流等に伴って発生する国際的な二重課税を可能な限り回避するとともに、二重課税が発生する場合にはこれを排除することを目的として我が国アメリカ合衆国との間で課税権を調整するものであります。  この条約を現行条約と比較した場合における特色としては、投資所得に対する源泉地国における税率の上限を全体的に引き下げるとともに、一定の親子関係にある会社間の配当、一定の金融機関が受け取る利子及び使用料については免税とし、また、条約の特典の濫用を防止するための規定等を盛り込んでいることが挙げられます。この条約の締結により、我が国アメリカ合衆国との間の二重課税回避の制度が更に整備され、両国間の資本及び人的資源等の交流が一層促進されることが期待されます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  220. 山本一太

    委員長山本一太君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十八分散会