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2004-03-25 第159回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十七日     辞任         補欠選任      鈴木  寛君     木俣 佳丈君  三月二十四日     辞任         補欠選任      山根 隆治君     岩本  司君  三月二十五日     辞任         補欠選任      岩本  司君     山根 隆治君      木俣 佳丈君     高橋 千秋君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷林 正昭君     理 事                 中川 義雄君                 西銘順志郎君                 榛葉賀津也君                 遠山 清彦君     委 員                 入澤  肇君                 後藤 博子君                 伊達 忠一君                 仲道 俊哉君                 西田 吉宏君                 三浦 一水君                 伊藤 基隆君                 岩本  司君                 高橋 千秋君                 山根 隆治君                 紙  智子君                 小泉 親司君                 大田 昌秀君                 中村 敦夫君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策))  茂木 敏充君    副大臣        内閣府副大臣   中島 眞人君        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        宮腰 光寛君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    事務局側        第一特別調査室        長        渋川 文隆君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      渡辺 文雄君        内閣府政策統括        官        武田 宗高君        内閣沖縄振興        局長       東  良信君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        防衛施設庁建設        部長       河野 孝義君        防衛施設庁業務        部長       土屋 龍司君        総務省統計局長  大林 千一君        外務大臣官房審        議官       西宮 伸一君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省欧州局長  小松 一郎君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        厚生労働大臣官        房審議官     新島 良夫君        厚生労働大臣官        房審議官     北井久美子君        国土交通大臣官        房審議官     鈴木 久泰君        国土交通省航空        局管制保安部長  岩崎 貞二君        国土交通省北海        道局長      藤本  保君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十六年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十六年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (内閣府所管内閣本府(沖縄関係経費)、北  方対策本部沖縄総合事務局)及び沖縄振興開  発金融公庫) ○沖縄及北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (派遣委員報告)  (沖縄及北方問題に関しての施策に関する件  )     ─────────────
  2. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) ただいまから沖縄及北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十七日、鈴木寛君が委員辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。  また、昨二十四日、山根隆治君が委員辞任され、その補欠として岩本司君が選任されました。     ─────────────
  3. 谷林正昭

  4. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 去る二十二日、予算委員会から、三月二十五日午前の半日間、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち内閣本府(沖縄関係経費)、北方対策本部沖縄総合事務局及び沖縄振興開発金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、審査を委嘱されました予算について茂木沖縄及び北方対策担当大臣から説明を求めます。茂木沖縄及び北方対策担当大臣
  6. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) おはようございます。  平成十六年度内閣沖縄関係予算及び北方対策本部予算について、その概要を御説明いたします。  初めに、沖縄関係予算について御説明いたします。  内閣府における沖縄関係平成十六年度予算総額は、二千九百三十四億八千万円、前年度当初予算額に対し九五・五%となっております。  このうち、基本的政策企画立案等経費予算額は、二百八十九億八千四百万円、前年度当初予算額に対し一〇四・八%となっており、沖縄自立型経済構築等を目指すための産業科学技術振興人材育成等を図るため、世界最高水準科学技術大学院大学沖縄県恩納村に設立する構想の事業化に必要な経費のほか、IT新事業創出体制強化事業沖縄産学官共同研究事業観光振興地域整備事業等経費を計上しております。  また、沖縄に関する特別行動委員会最終報告の着実な実施等関連して、普天間飛行場等駐留軍用地跡地利用推進経費及び沖縄北部特別振興対策事業費を計上するとともに、沖縄米軍基地所在市町村活性化特別事業等経費を計上しております。  次に、沖縄振興開発事業費等予算額は、二千六百四十四億九千六百万円、前年度当初予算額に対し九四・六%となっております。その大宗を占める公共事業予算については、全国的に抑制されたことにより減額となっておりますが、内容的には、新規事業として久米島町の儀間川総合開発事業、伊江村の国営かんがい排水事業等新規予算確保したところであります。  また、不発弾処理等の戦後処理経費赤土対策について必要な予算確保し、更に、都市排水循環利用調査について、前年度を大幅に上回る予算を計上しております。  続きまして、北方対策本部予算について御説明いたします。  内閣北方対策本部平成十六年度予算総額は、十億五千万円、前年度当初予算額に対して九七・五%となっております。  このうち、北方対策本部に係る経費は、一億八千九百万円、前年度当初予算額に対して九九・一%となっており、北方領土隣接地域で行う啓発事業への支援のための北方領土隣接地域振興啓発経費等を計上しております。  次に、独立行政法人北方領土問題対策協会に係る経費は、八億六千百万円、前年度当初予算額に対し九七・二%となっており、北方領土問題の解決促進のため、全国的な規模で行う啓発事業北方四島交流事業北方地域居住者に対する援護措置等を行うものであり、その主なものとして、中学校の社会科教師等対象北方領土問題に関する授業方法研究を行うための教育指導者研究会議の開催など、各種の事業に係る所要の予算を計上しております。  以上で平成十六年度内閣沖縄関係予算及び北方対策本部予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  7. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 おはようございます。  自由民主党の西銘順志郎でございます。大臣以下、皆さんには大変御苦労さまでございます。  先生方全会一致平成十四年度沖縄振興特別措置法を通していただきまして、そのおかげで我が沖縄県は着々と自立に向けて一歩一歩歩みを進めているというふうに思っておるところでございます。心から感謝を申し上げたいというふうに思います。  そういう視点から、今日は茂木大臣にいろんな質問をさせて、通告どおり質問をさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。  大臣に御就任以来、今回で六回沖縄県に行かれて、北部中部南部、あるいは宮古八重山という各圏域市町村長にお会いをしていただいた、まずその率直な感想からお聞かせをいただきたいというふうに思っています。
  9. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 昨年の九月二十二日に沖縄担当大臣を拝命いたしましてちょうど半年がたつところでありまして、委員指摘のように、これまでに六回沖縄を訪問させていただいております。特に今年に入りましてからは、直接それぞれの地域で様々な事業の先頭に立っていらっしゃる市町村の首長さん、関係皆さんとお会いしたい、こういうことから、北部南部、そして中部、また八重山宮古と、圏域市町村関係者皆さん懇談機会を持ちました。  そういった中で感じましたことは、沖縄、様々な地域的な特性を有していると。そういう中で、地域に合った地域づくりをやっていこう、特性を生かした地域づくりをやっていこうと、産業振興の問題、観光の問題を含め、本当に熱心に取り組んでいらっしゃるな、こういう強い感想を受けました。  また、例えば大学院大学予定地であったりとか普天間飛行場、様々な地域も直接視察をさせていただきました。そういった中で、インフラ整備の方は随分進んできたなと。しかしその一方で、まだ所得レベルが低い、そして失業率が高い、様々な御苦労を抱える中で地域振興に取り組んでいらっしゃると、そういう姿も見てまいりました。また、離島等を見ますと、まだそういう地域においてはインフラ整備等も大きな課題として残っているところがあると感じました。  また、基地を抱える市町村におかれましては、特段の御苦労が多いんだなと、担当大臣としてこの基地にかかわります県民地元皆さん負担の軽減に一生懸命取り組みたいと、そういう決意を新たにいたしました。
  10. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 大臣が各市町村回られていろんな市町村長さんから要望等を受けてきたというふうに私は思います。それで、やはりこれは避けて通れませんので、大臣、是非お聞きをしたいというのがございまして、やはり三位一体改革の中で、私どもの沖縄県もそうですが、この五十二市町村すべての市町村が、財政調整基金を取り崩したりあるいは福祉振興基金を崩したりということで、本年度予算を組むのに相当四苦八苦をしておられるようであります。ほとんどの市町村がそうだというふうに思います。  御案内のとおり、沖縄振興計画を作っていただいたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、やはり北部中部南部あるいは宮古八重山というこの圏域、このすべての市町村が本年度予算を組むのにも四苦八苦をしているような状況でありますから、私はこの沖縄振興計画目標が達成できるのかなと。私、達成できないんじゃないかというような思いがしてならないわけでありまして、単年度年度予算の積み重ねで沖縄振興計画を十年後に目標を達成するというようなことになろうかと思いますが、この辺のひとつ御感想をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  11. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 実は、先ほど申し上げました各圏域市町村代表皆さんとの懇談の中で必ず出ます要望、懸念が、今委員指摘三位一体改革に伴います地方財政基盤、この問題でありまして、この三位一体改革推進に伴いまして県内市町村財政が大きな影響を受けていると、そういうことを私もひしひしと感じました。また、そういった中で相当御苦労されながら予算を組まれていると、そういう姿につきましてもつぶさにお話を伺ってきたところであります。  そういう中にあって、沖縄振興計画をしっかり進めていかなきゃならない、三位一体改革の中でも沖縄特殊事情に十分配慮すると、そういう必要があると思っておりまして、今後とも各市町村のこの財政状況等々をしっかりフォローしながら振興計画推進に支障が出ないよう万全の支援をしてまいりたい、こんなふうに考えております。
  12. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 私は、もう振興計画がこういう三位一体改革が続けば来年度補助金がカットされる、あるいは地方交付税がカットされるというような話も聞いております。そういうことを非常に危惧をしているわけでございまして、大臣、強い決意でこの振興計画を何としても目標どおり達成するんだという決意をどうぞお聞かせいただきたいと思います。
  13. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 沖縄振興計画沖縄の今の正に課題であります、自立型経済を作っていく、このことからどうしても達成しなきゃならない計画だと思っております。そんな意味から、この振興計画の実現に向けまして万全の体制で臨んでいきたいと考えております。
  14. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 御案内のとおり、沖縄県は他の都道府県と比較をさせていただいても、高率補助特別措置がされているわけでございまして、私はこの特別、高率補助の一部でもカットされるようなことがあれば、これは本当に沖縄県の振興計画なんというのはもう絵にかいたもちにしかすぎないというふうに思うんです。ですから、この高率補助を何としても維持をしていかなければならないんですが、その高率補助を維持する方策とかそういうような方法があれば、大臣、どのようにお考えになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  15. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) この高率補助制度につきましては、沖縄の置かれた地理的、自然的特性や歴史的な特殊事情等を踏まえて、沖縄振興特別措置法に基づいて特別の、特別に高率国庫負担又は補助を行うこととした事業でありまして、三位一体改革動向にかかわらず引き続き維持されるべきものと考えております。  三位一体改革推進によりまして高率補助対象となっている補助事業が廃止される場合につきましては、沖縄振興計画推進に少なからず影響を与えるおそれがありますので、そういった動向も注視しながら、必要に応じて関係の省庁とも協議をしてまいりたいと考えております。
  16. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 是非頑張っていただいて、高率補助は維持していただきたいというふうに考えております。  それで、沖縄県の公共工事についてお尋ねをしたいというふうに思います。先ほど大臣がおっしゃっていただいた、我が沖縄県の県民所得というのは本土平均の七〇%、あるいは失業率は八%を超えるというような状況でございまして、この点についてはもうまだまだ改善されないというのが現状じゃないのかなというふうに思っています。  そういう中で、沖縄県の経済構造を見てみますと、県内総生産に占める建設業割合が、全国平均一一・三%に対して、沖縄県は一七・八%。また、県内産業に占める建設業就業者数割合、これが全国でありますと九・八%、我が沖縄県は一三・四%ということでございまして、もうこれはともに全国平均をはるかに上回っている。いかに建設業に依存をしているのかということは御理解いただけるというふうに思うわけであります。しかし、三年連続公共工事が削減される中で、だんだんだんだん建設業にかかわられる企業皆さん方も大変今、私は厳しい状況に置かれているというふうに思っております。  そういう中で、沖縄県が基地があるがゆえに防衛施設庁がいろんな工事をしていただけるという部分もあるわけでございます。そして、沖縄総合事務局もあるわけでございますが、その話を、ちょっと地元皆さんの話を聞くと、どうも本土の大手の企業皆さん割合が、持っていく割合が大きいんじゃないのかというような声も聞こえてくるのも事実であります。  そこで、是非、防衛施設庁あるいは内閣府にお聞きをしたいと思うんですが、県内建設業者受注機会増大、これは振興計画にもうたわれているわけでありますから、このような、どのような施策を講じておられるのかお聞かせをいただきたいと思います。
  17. 武田宗高

    政府参考人武田宗高君) それでは、まず総合事務局を所管しております内閣府の方から御説明をさせていただきます。  沖縄公共事業地元への発注状況でございますけれども、具体的に数字を申し上げますと、公共事業全体の約二割を占めますのが国の発注でございまして、この国の発注につきましては、地元発注比率が約五割でございます。他方、公共事業全体の約八割を県それから市町村発注工事が占めておりまして、これは約九割の比率地元発注が行われております。したがいまして、国、県及び市町村の行う公共事業全体で見ますと、全体として八割を超える約八一%程度のものが地元企業の方に発注されているという現状にございます。  大変、委員指摘のとおり、厳しい財政事情公共事業全国的に目減りをするという中で、地元業者受注が非常に難しくなってきているということで、政府といたしましては、沖縄振興計画にも定めておりますとおり、平成十四年十二月の沖縄政策協議会におきまして、産業雇用対策追加的実施の一環ということで、地元中小中堅企業受注機会増大を図るということで、具体的に四つの施策を打ち出しております。  まず、経常建設共同企業体活用を推奨するということで、そういったものにジョイントベンチャーの形で直轄工事への参入機会拡大を図るというのが一点でございます。それから二点目は、技術的難易度に応じて工事等級弾力化を図るという点でございます。それから三番目は、県内の例えば自治体等への発注工事という、そういう実績を持つ者についても同種工事として国の場合にも評価してあげましょうとか。それから四番目は、これは従来から取り組んでおりますが、分離分割発注に引き続き取り組むと。そういった一連の追加措置を決定したところでございます。  また、先般、地元の御要望も踏まえまして、沖縄総合事務局に対しましても、引き続き地元中小中堅企業受注機会拡大を図るべく重ねて指示を行っておるところでございます。
  18. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) 防衛施設庁では、沖縄において、自衛隊の施設整備工事米軍提供施設整備工事及びSACO関連工事等実施しており、これらのいずれの工事においても、従来から、官公需についての中小企業者受注確保に関する法律の趣旨も踏まえ、地域経済振興及び地元地方企業育成観点から、県内企業受注機会確保に努めているところでございます。  具体的には、本体工事附帯工事分離工区分けなどによる分離分割発注実施、また経常建設共同企業体有効活用、これはB級同士企業共同体を結成することによりA級等上にランクアップする等でございます。また、一般競争入札等の大規模工事への参加要件の緩和をしております。これは、特定建設工事共同企業体構成員格付点数を、標準的には千二百点となっておりますけれども、千点に緩和すること等でございます。  これらの措置を講じているところでございますが、この結果としまして、近年の県内企業受注率は、契約件数においておおむね八〇%以上、契約金額において六〇%程度となっているところでございます。  当庁としましては、今後も引き続き、地域経済振興及び地元中小企業育成観点から県内企業受注機会確保に努力してまいりたいと思っております。
  19. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 防衛施設庁、大変、沖縄県にあれだけの広大な米軍基地があるわけでございますから、それに関する建設工事関連工事、これできれば地元中心にしてやっていただきたいという要望をさせていただきたいというふうに思っております。  特に、内閣府、後でお聞きしますけれども、そういう、その関連工事を是非やっていただきたいという要望をさせていただくと同時に、今おっしゃっていただいたんですが、経営審点数を千点に下げるというような努力もしていただいていることは十分理解をいたしておりますが、これは沖縄県にだけやっているというような施策があるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  20. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) 今、ただいまも申し上げましたように、沖縄県内において実施する建設工事については、県内企業規模等を考慮し、工事分離分割発注中心にして県内企業受注機会増大を図っているところでございます。  また、大規模工事につきましても、工事の質の低下を招くおそれがないと認められる範囲で県内企業が参入できるよう、次のような特定建設工事共同企業体対象工事における代表者以外の構成員については、標準で千二百点以上という参加条件沖縄県以外では千百点以上に緩和しているところでありますけれども、沖縄県においては県内企業に配慮して千点以上に緩和しているところでございます。  この結果、建築一式工事においては参加資格を有する県内企業は一社から二十五社に、また土木一式工事においては参加資格を有する県内企業はありませんでしたが、八十七社に増えたところでございます。また、五億円以上の公募型指名競争入札につきましては、標準千百五十点以上という参加条件を、沖縄県に本店を有する者に対しては千五十点以上に緩和しております。この結果、建築一式工事においては参加資格を有する県内企業は一社から十一社に、また土木一式工事においては四社から十二社に増えたところでございます。  これらの効果につきましては、具体的な数字をもって申し上げることは困難な面もありますけれども、例えば、平成十四年度那覇防衛施設局発注しました特定建設工事共同企業体対象となった八件の工事のうち五件の工事について、県内企業者構成員として参加している企業体受注しているところでございます。  なお、当庁としては、せっかくの議員の御指摘もあり、これらの制度を利用し、少しずつではありますけれども、着実に実績を伸ばしていきたいと考えております。
  21. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 茂木大臣沖縄振興開発計画の中に地元中小企業受注機会増大を図るということでうたわれておるわけでございます。  これ、私、ちょっと調べてみたんですけれども、平成十五年度総合事務局発注公共事業発注でございますけれども、間違っていたら訂正をしてくださいね、統括官。三百九十億円のうち、地元企業が百七十億、本土企業二百二十億という割合になっていると、私のこれは調査なんですけれども。それでは余り地元優先とも言えないんじゃないのかなというような思いがするんですが、大臣でも統括官でもお答えをいただければ有り難いなと思います。
  22. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 数字につきましてはこの後統括官の方からお答え申し上げたいと思いますが、委員指摘のように、沖縄振興計画の中にも方針が明確に出されているわけでありまして、できる限り地元企業発注機会確保されるよう、引き続き積極的に努力をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。  ただ、私、大前提として、やはり公共事業に過度に依存した経済というものから自立型経済に移行していくと、こういうことが必要だと考えておりまして、情報通信産業であったり、それから観光、また地域特性を生かした農林水産業と、そしてそこで働けるような人材の育成、こういうことも同時に進めていかなきゃならないかなと、こういうふうに考えております。  それから、公共ということで考えますと、単に公共事業だけではなくて、例えば国がやっている事業でアウトソーシングできるものはないのかと、民間に。そういう視点も必要ではないかなと。こういうことを総合的に取り組むことが今後は重要な課題だと思っております。
  23. 武田宗高

    政府参考人武田宗高君) 数字につきましては委員指摘のとおりでございます。
  24. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 そのとおり。  是非、政策統括官、そういう意味で、沖縄地元企業受注できるような機会を是非図っていただくように要望をさせていただきたいというふうに思っています。  最後になりますけれども、茂木大臣大学院大学、これは世界最高水準大学院大学ということで、前の尾身大臣が、あるいは細田大臣が一生懸命頑張ってこられたわけでございまして、平成十九年の開学を目指されているということでございます。学長もシドニー・ブレナー米国ソーク研究所教授が初代学長ということになっているようでございまして、沖縄県民の期待も非常に高いものがございます。これができるからすぐどうのこうのということにはならないと思いますが、少なくとも五十年先、百年先にはそういう大学院大学に入っていって、沖縄からもノーベル賞を受賞するような人が出てくるというようなことが夢でございますから、是非その実現に向けて大臣決意をお聞かせいただいて、最後の質問にさせていただきたいと思います。
  25. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 沖縄から、五十年後と言わず、近々ノーベル賞学者が出てほしいなと、こういう思いを持っておりますが。  私も今年の一月にカリフォルニアでシドニー・ブレナー博士始め、この構想にかかわってこられました世界的に著名な学者の先生方とお会いしてまいりました。そして、委員指摘のように、ブレナー博士の方からこの沖縄大学院大学の初代の学長候補者と、こういうことで内諾を得た形でありまして、この構想にもブレナー博士の就任によりまして弾みが付いてくると、そんなことを期待しております。  委員も御案内のとおり、この沖縄科学技術大学院大学につきましては、我が国の科学技術の進歩の一翼を担って、我が国の大学の今後の在り方というかモデルになっていくものでもあると、また沖縄におきましても今後の沖縄振興の目玉になると、そういう大変な重要なプロジェクトでありまして、総理も今年の施政方針演説、そしてまた昨年の施政方針演説、二度にわたって具体的にこの構想のことを触れているわけでありまして、総理を先頭に、また内閣府も中心になりまして、文部科学省、更には財務省、関係省庁とも十分な協議をしながら、しっかりこの事業を進めてまいりたいと考えております。
  26. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 終わります。
  27. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  さきの予算委員会北方領土問題について、北方問題について質問をさせていただきましたので、今日は沖縄問題に絞りまして大臣並びに関係省庁に質問をしたいというふうに思います。  まず冒頭、大臣に通告をしていなくて大変申し訳ないんですが、昨日、沖縄県石垣市に七名の中国人が不法侵入をし、我が国に不法入国をし逮捕されるという事件が起こりました。一八八五年以降、我が国はずっとこの領土問題、尖閣諸島の問題は、地質調査を再三にわたって行いまして、清国とは全く関係のない日本古来の領土であるということを確かめてまいりましたが、近年、たった三十年前になりまして、突如この地域に石油があると分かるや否や各国が領土の所有を主張し始めたということですが、これはとんでもないことでありまして、この地域を担当する担当大臣として、この事件に対する御所見をまずお願いしたいと思います。
  28. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 尖閣諸島が我が国の固有の領土でありますことは、歴史的にも、また国際法上も疑いのないところだと、このように私は確信をいたしております。そういった中におきまして、昨日の不法占拠、不法上陸、こういった問題が起こったことは極めて遺憾だと、こんなふうに考えております。  政府といたしましても、昨日、外務事務次官が在京の中国大使に厳重に抗議をしたと、このような報告も受けております。現在、この七名の活動家、巡視船で那覇に入港予定と、こういうふうに聞いておりまして、我が国の関係法令に基づいて適正に対処すべきものだと、こんなふうに考えております。
  29. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 大臣は外交の専門家でもございますから釈迦に説法ですが、この尖閣諸島周辺にはとりわけここ数年、大変頻繁に中国が海洋調査船を送りまして海域を侵犯しているというような現実もございます。また、この七名のうちの犯人の一名は、二〇〇一年には何と靖国神社の狛犬に死ねという落書きをしている人間なんですね。これ、靖国問題とはまた別にして、我が国のこういった文化施設に、宗教施設にこのようなことをする人間が再三再四我が国を侮辱し、全くもってばかにしていると。党派を超えて私は、これは強くこの問題に対して対処しなければならないというふうに考えております。  さて、本題に入りますが、大臣、自らを政策新人類というふうにおっしゃいまして、「「政策新人類」が日本を変える」という御著書まで発刊されまして、私もこれを目を通させていただきましたが、外務大臣を歴任され、とりわけ中東問題に、外交問題に本当に熱心に御尽力され、またe—Japan戦略の中核を成している茂木大臣が今回沖縄北方担当大臣になられたということで、私正直、大変期待をしておりまして、とりわけ、この外交とITのちょうど接点にいるのが実は私は沖縄だというふうに思っておりまして、正に適任の大臣が任命されたなと。さぞ、どんなに気合の入った政策提言をされるかと思いまして、私、大臣のホームページを拝見させていただきましたら、沖縄問題については何も書いてございませんでした。恐らく、ホームページには書き切れないほどの熱い思いを持っていらっしゃるというふうに思うんですが、この沖縄のポテンシャル、私もっともっと評価されるべきだというふうに思っています。  日米安保は必要と言いながらも、その基地の重みのほとんどが沖縄にその御負担を強いている、このことは私、どうも耐えかねる問題でございまして、是非大臣に、この問題も含めまして、まず冒頭に、大臣の描く沖縄の在り方、そして十六年度予算の、大臣、この予算のポイントを是非御説明いただきたいと思います。
  30. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) なかなか私も、すべての問題について自分でグランドデザインを描くと、こういう形にいかない部分もあるんですが、沖縄、私先ほども答弁で申し上げましたように、この半年の中で六回ですから、月に一回訪問させていただきまして、それぞれの地域、もう自分の目で直接見たつもりであります。そこの中で、確かにポテンシャルの高い地域だなと、こんなふうに考えております。  その一つは、委員指摘のように、やはり地理、地域、地理的な優位性と、こういう問題でありまして、東京それからまたソウル、上海、マニラ、アジアの主要都市から千五百キロ圏内にあると、正にアジアの中心的な地理、地理的な優位性を持っていると。また、日本の本土と比べまして気候的な条件にも恵まれておりまして、私、様々な産業振興というのはこの地域で可能なのではないかなと、こんなふうに考えております。これまでの振興計画の中で、インフラ整備と、これは整ってきたわけでありますが、その一方でまだ県民所得は低いレベルにあって、そしてまた雇用情勢も大変厳しいと、こういう形でありますから、正に沖縄の地理的な優位性、そしてまた様々な優位性を生かした自立型の産業を築いていくと、そんなことが特に重要だと考えております。  そこの中にありまして、私も担当しております情報通信産業、近年では沖縄に様々なこのIT関連企業の進出も進んでおりまして、それに伴います雇用も六千人近く発生している、このような形でありますので、情報通信産業観光、また地域特性を生かした農林水産業を始め、沖縄産業振興をしっかり図っていくと。そしてまた、産業振興を図っていく上では、今、若年労働者の非常に失業率がほかの地域と比べても高いわけでありまして、そういった新しい産業に求められる人材の育成と、こういうことも極めて重要だと考えております。
  31. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 全く同感なんですが、ところが平成十六年度内閣沖縄予算総額が先ほど大臣から説明ありましたが、二千九百三十五億円と、平成六年まで伸びてきて平成七年で三千億円を突破いたしまして、ずっとこの三千万円台をキープしてまいりましたが、今年初めて三千億円台を割り込みました。そして、削減率が政府全体の三・五%に対しまして沖縄は三・九%、〇・四%も全体に比べると沖縄予算額の減少は多いわけでございまして、私はこれは、台風の復興であるとか、正に先ほど大臣おっしゃいました人材育成、そしてインフラ整備、IT産業、そして沖縄の独自性という観点からこの数字は私、少し首をひねらざるを得ないんですが、これについての、この問題について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  32. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まずもってそういう観点から沖縄予算をとらえていただいていることに対して感謝申し上げたいと思っております。  今年、残念ながら予算が落ち込んだ原因、一つにはやはり、公共事業全国的にマイナスと、こうなった部分もございます。また、沖縄特殊事情といたしまして、例えば沖縄高専の方の建設が一段落したと、こういう事情もありまして予算額減っている部分もございます。  ただ、今後、先ほど申し上げた、沖縄自立型経済を作っていくと、こういうことから、必要な事業につきましては十分な予算確保させていただいたんではないかな、こんなふうにも考えておりまして、まず大学院大学と、これにつきましては本年、十六年度から事業化と、こういう形でありまして、十五年度予算が十四億円に対しまして、十六年度につきましては二十九億円という形でお願いをいたしております。また、自立型経済の構築と、これに関連しまして、沖縄の産学官の共同研究事業、それから特別自由貿易地域振興事業観光振興地域整備事業等々の産業振興に資する事業予算も増額をいたしております。十五年度が十九億円に対して、十六年度は二十二億円という形であります。  それから、公共事業関連しまして、社会資本の整備抑制される部分はあるんですが、地元皆さんから特にニーズが高いと、要望の高い新規事業につきましてはしっかり予算の方を確保させていただいておりまして、例えば、久米島町の儀間川の総合開発事業、那覇市におきます那覇港、那覇港の廃棄物埋立て護岸事業、伊江村の国営かんがい排水事業などの予算確保させていただいたところであります。
  33. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 御丁寧にありがとうございます。  次に、防衛庁にお伺いするんですが、沖縄駐留米軍で働く日本人についてお伺いしたいと思います。  在日米軍で働く日本人が今二万五千人もいるわけでございますが、彼らの雇用体系、これはどうなっているんでしょうか。
  34. 土屋龍司

    政府参考人土屋龍司君) 駐留軍で働く労働者の雇用体系について御質問でございますが、地位協定の第十二条第四項には、その合衆国軍隊及び地位協定第十五条に定める諸機関の我が国における労務の需要は、日本国の当局の援助を得て充足されるというふうになっております。これを受けまして、日本政府は米側が必要とする者を駐留軍等労働者として雇用しまして、その労務を米側に提供するといういわゆる間接雇用の方式を取っております。
  35. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 契約は、労務提供契約は防衛施設庁と結ぶと、そして使用者は米軍で間接雇用をしているということですが、こういうふうに、日本同様に米軍基地で働いて、米軍基地のあるドイツ、韓国、こういったところも同じようにこのような雇用体系を取っているんですか。
  36. 土屋龍司

    政府参考人土屋龍司君) 諸外国の駐留米軍で働く労働者の雇用の形態ですけれども、今正確な資料を持っておらないんですけれども、それを、それぞれの国でいろんなやり方があるということで、直接に米軍が使用している国もあるというふうに承知いたしております。
  37. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 こういう間接雇用を取っているところないんですね。  この二万五千人の労働者、この実際の労務管理、これはどこがやっているんですか。
  38. 土屋龍司

    政府参考人土屋龍司君) 実際の労務管理という御質問ですけれども、実際に労働者を職場に置いて管理する、つまり監督して労働、どのような労働をするかという意味でございますれば、それは米軍がしております。しかしながら、日本、先ほど御説明しましたような間接雇用の方式というものを取っております関係上、福利厚生であるとか、それから採用であるとか解雇の手続につきましては、米軍と私どもの防衛施設庁の間で手続を調整しながらやっておるという状況でございます。
  39. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 では、職場の職場環境であるとか職場の状況というのは、防衛庁、これ責任持ってチェックできているんですか。
  40. 土屋龍司

    政府参考人土屋龍司君) 全国で、先生御指摘のように約二万五千人の労働者が働いておるわけでして、それから米軍の軍人というのも相当数、数万の数でおるわけですけれども、昔からこの間接雇用という方式を取っておりまして、それで法律的な雇用主、それから福利厚生であるということは私どもの方でやっておるんですが、現場における実際の使用というのは米軍がやってございます。  したがいまして、私どもとしましては、駐留軍労働者の現場におけるその労働の実態というのを把握するように努めておりますけれども、例えば防衛施設事務所がそれを担当しているわけでございますけれども、米軍が基本的には現場で管理するということから、把握するように努力しておりますけれども、それでは具体的な職場ですべて把握しているかということになりますと、なかなか手の行き届かないところもあるというのが現状でございます。
  41. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 雇用主は日本なんですね、そして働いている人間も日本人でありますから、これはきっちり主権を持って、この労働条件であるとか労働環境を把握する必要、私あると思います。これ、労働基準監督官もアメリカの立会いがないと自由に入れない、どういう環境で働いているかも分からないと。私は、日本は雇用主としてきっちりと主権を持っていく、こういうことがしっかりしないから横浜じん肺裁判で国が三億円も和解金払わなきゃいけないということが実際起こっているわけですから、茂木大臣、これ政治家としてこの問題をどうお考えでしょうか。
  42. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) この雇用体系の問題、それぞれの国によりまして事情が異なっておりますので、すべて何というか同じ基準という形にならないと思うんですが、諸外国の例等々も参考にしまして、より改善できる分野があったら改善していく必要があると、このように考えております。
  43. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 日米地位協定の問題はまた後日議論をしたいと思いますが、余りにも国によって格差、違いがあり過ぎるということで、是非、こういった働く日本人の環境の問題、そして基本的な労働の問題につきましても是非認識をしていただきたいと思いますが、この問題、最後に、もし不当解雇されても、もし、それで労働者が訴えますよね、それで裁判で不当だとされても、これすぐ職場復帰につながらないんですね。これは問題だと思われませんか。
  44. 土屋龍司

    政府参考人土屋龍司君) 解雇された場合の御質問でございますけれども、どのような場合に解雇が行われるのか、それから、といったことは、先ほど先生御指摘の労務提供契約といったものの中で、具体的なこういう義務違反があったら解雇しますよというふうな規定がございます。その手続につきましても、実際にその労働者を監督している米側から最初の発議があるわけでございますが、その後、日米間で調整を行いまして、それで私どもとしましてもその解雇というものが妥当であるかということを米側と協議しております。  そして、解雇ということになった場合で、それが訴訟になって、それでその解雇された者が裁判で勝った場合についての御質問でございますけれども、その場合には二つに分かれております。一つは、判決どおりに職場に復帰する場合でございます。もう一つの場合には、復帰できないという場合が先生御指摘のようにございます。  これは、在日米軍の施設及び区域内の軍規の維持の攪乱又は人命、財産の安全に重大な影響を及ぼす行為等の理由による解雇につきましては、裁判所が復職を命じたとしましても、地位協定の定めるところにより、米側がこれを望まない場合には復職がなされないということがございます。ただ、この場合にも、その労働者側は勝訴しているという前提での御質問でございますけれども、その場合には、身分が認められているということで、復職に代わる補償が行われるというふうになっております。
  45. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、最終的に日本の裁判所の決定するやはりその決定というものに服するというように、きちっと私はこの問題も、この問題はまた外交防衛委員会等で議論をしていきたいというふうに思います。  次に、振興計画の問題についてお伺いしたいんですが、平成十四年度から始まりました各種の振興計画観光振興計画であるとか情報通信産業振興計画であるとか農林水産業、そして職業安定と、様々な振興計画があるわけでございますが、三年がたちまして今年で事業を見直すということになろうかと思いますが、十七年度以降、この評価を、これをどういうふうにつなげていくのかというプラン・ドゥー・シーのところで、このシーのところの事業評価、政策評価というものをきっちりと私はやる必要があると思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  46. 武田宗高

    政府参考人武田宗高君) 沖縄振興特別措置法に基づきます四つの分野別計画観光振興計画、それから情報通信産業振興計画、農林水産業振興計画、職業安定計画の四つでございますが、これは平成十四年度から平成十六年度をその期間といたしております。したがいまして、平成十七年の三月で期限が終了するということでございます。  これらの分野別計画の評価あるいは分析の問題でございますが、まずは、これは沖縄県の方で策定をされる計画でございますので、沖縄県におきましてまずその効果等につきまして分析、評価を行うということになろうと思います。内閣府といたしましても、県に十分協力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  47. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次に、沖縄特別振興対策調整費についてお伺いしますが、平成八年の橋本政権下以降、ハード事業に五十億、ソフトに五十億と、計百億、毎年これ積み上げられてきているんですが、九年間で九百億というお金が予算措置をされて様々な省庁にまたがりましてこの予算が使われているわけですが、これ、平成十一年に一度この報告書が出ているだけなんですね、どのような実態がどうなっているかと。九百億円も使いながら報告書が一度だけというのは、私、様々な効率性や事業の見直し、そしてチェックの観点からもいかがかなと思うんですが、これはどうなっているんでしょうか。
  48. 武田宗高

    政府参考人武田宗高君) まず、いわゆる調整費と言っておりますけれども、沖縄に対する特別の予算措置として認められております非公共事業予算である沖縄特別振興対策調整費、これにつきましては、平成八年以降で十六年までで総額三百六十億円に達しております。また、公共事業分につきましては、沖縄特別振興対策特定開発事業費ということで十一年以降で合計三百億の予算が計上されておるところでございます。  この具体的な事業あるいは使途についてでございますけれども、これはまず沖縄県の方から要望が出てまいります。これを内閣府において取りまとめまして、関係省庁と所要の調整を綿密に行っておるところでございます。具体的な決定に際しましては、これらの調整を経まして、それを総理以外の全閣僚、それから沖縄県知事を構成員といたします、沖縄及北方対策担当大臣が主宰をいたします沖縄政策協議会、こちらに御説明をし、了解を得て事業実施するというシステムを取っておるところでございます。
  49. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 その沖縄政策協議会で、どんな具体的な、また建設的な議論がされているんでしょうか。
  50. 武田宗高

    政府参考人武田宗高君) 沖縄政策協議会でございますけれども、これは先ほど申しましたように、沖縄担当大臣が主宰をいたします、総理を除く全閣僚で構成をされておりまして、この特別措置として認められました予算の性格、あるいはその趣旨にかんがみまして、地域経済としての自立、あるいは雇用の確保、あるいは県民生活の向上と、そういった具体的な目的に資するということ、そういう沖縄に関する基本政策を立案するこの沖縄政策協議会の視点から見て妥当なものかどうかという点につきまして審議がなされ、ここで御了解をいただいていると、そういう形でございます。
  51. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この沖縄特別振興対策費ですが、調整費ですが、予算書を見てもすごく分かりづらいんですよね。他省庁に全部またがっているものですから、調べるのも大変なんですが、これ、平成八年の委員会でも、これ分かりにくいんじゃないかという指摘がされているんですが、これ一向に改善されていません。私、調べたんですが、本当に分かりにくいんです。  やはり、一目で見て、沖縄の方針をこれからどうするのであると、方針であるとか目的であるとか、そしてその年度ごとの効果や問題点がきちっとこの対策調整費、分かるように私はやっぱり改善していく必要があると思うんですが、これはどうですか。
  52. 武田宗高

    政府参考人武田宗高君) 委員指摘のとおり、この予算は調整費という性格でございまして予算の段階では目未定ということになります。あとの実際の使途といたしましては、先ほど申しましたように、県の要望を受けて関係省庁とも調整しながら個々の事業を詰めていくという形を取っておりますのであるいは御指摘のような御意見を賜ったのかなというふうに思います。  先ほど申しましたように、この仕組みの趣旨等を踏まえまして、より一層今後とも分かりやすい運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
  53. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 その総括をきっちりやらないと、私はこの予算が百億の予算でも二百億、三百億の効果を出すためには、私そこのところをきっちりやる必要があると思いますので、是非、これは平成八年以降の懸案でありますから、きっちりと検討していただきたいというふうに思います。  次に、特区構想についてお伺いするんですが、一次、二次の募集の時点では約十本この特区の申請が出ているんですが、結局認められましたのは英語教育特区だけということなんですが、茂木大臣、私この沖縄再生のかぎは、やはり官から民へ、そしていかに沖縄の独自性を出していくかと、国から沖縄に移していくということが大事だと思うんですが、我が党は、具体的に沖縄はもう一国二制度、一国二制度を導入するべきでないかとか具体的な提案をさせていただいているわけですが、これは私は、要は政治のリーダーシップだと思っています。  この沖縄に関する特区、更に推進していくという意気込みだと思いますが、結局は認められたのは一つだけと。これは、沖縄に限ってはもう少し大胆にこの特区を取り入れていく必要があると思いますが、大臣いかがでしょうか。
  54. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 特区の制度に関しましては、恐らく全国よりも少し沖縄の方が先取りをしていると、こういう部分もあるんだと、こんなふうに理解をしているわけでありまして、沖縄振興特別措置法におきまして特別地域制度が設けられておりまして、これは税制の特例措置、これを中心にするものでありまして、委員指摘の特区の方はどちらかといいますと規制緩和と、こちらを中心にするものでありまして、規制緩和につきましても、まだできる分野というのは私あるのではないかなと。税制の関連の特区、そしてまた、規制緩和の関連の特区、これが相まって沖縄の特徴ある地域の発展のために取り組めればと、こんなふうに思っておりまして、今後とも特区の問題につきましてはより積極的に取り組んでいく必要があると、このように考えております。
  55. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 大臣のおっしゃるとおりでございまして、沖縄振興特別措置法における沖縄独自の特区と、やはり構造改革特区とあるわけですが、私やはりこの構造改革特区の方も積極的に沖縄に取り入れていただきたい。  そのような中で、先日、稲嶺知事が経団連の常任理事会で、この沖縄の特区、いかに沖縄が税制や雇用支援そして通信費等で特別な措置をしているかという説明、アピールに行って企業誘致に行ったんですが、びっくりすることに、参加企業が余り沖縄のこの特区を承知されていなかったということが分かりまして、沖縄は先日の日経新聞にこのような新聞広告を沖縄県の予算で出しまして、これ大変頼もしいんですよね。「経済を動かす。日本を動かす。」、「沖縄は、日本を変える。」と。私こういった積極的なアプローチはもう、ダブリンの例なんかを利用いたしまして、知事や県が挙げてこれ必死になって特区問題に取り組んでいるんですよ。  私、こういった問題こそ内閣府が、予算付けであるとかアピールであるとか情報発信、積極的に支援するべきだと思うんですが、大臣どうでしょうか。
  56. 武田宗高

    政府参考人武田宗高君) 委員指摘のとおり、正に沖縄につきましては様々な特区制度等が認められておりまして、現在、沖縄県におきまして、そのPRを含めて企業誘致に非常に積極的に動いておられます。ちなみに、今御指摘になりました新聞広告、あるいは最近テレビ等でも放映されているかと思いますが、様々な取組はこの一環でございます。  なお、先ほど御指摘ございました特別調整費でもちまして国としてはこの県の取組を支援しておるというところでございます。
  57. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 最後に、茂木大臣にお伺いするんですが、九・一一のテロが起こりまして沖縄への観光が約二割減少したということでございまして、その直後、我々も、私は静岡県に住んでいるんですが、静岡の友人、知人に声を掛けまして何十名かで沖縄支援の旅行に行かせていただいたりもいたしました。  これから有事法制や様々、朝鮮半島有事等で沖縄が、風評被害を含めまして、常にこういった外交安全保障の有事に際して足腰が弱くなるというようなことでは困るわけでございまして、有事に強い沖縄、そして風評被害に耐える沖縄をまたしっかりとシステムとして作っていかなければならないというふうに考えております。  外交・防衛問題にも大変御関心の強い大臣のこの点につきましての御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  58. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 委員指摘のテロ対策、これは沖縄に限らず、我が国全体にとって今最も重要な課題であると、そんなふうに考えておりますし、特に沖縄の場合、観光客が多いと、こういうこともありまして、関係省庁とも連絡を取りながら万全を期してまいりたいと考えております。  おかげさまで沖縄観光の方、一時の落ち込みから昨年は五百万人を突破と、五百八万人の方に沖縄を訪れていただくと、こういう状況の改善あったわけでありますけれども、恐らく三つぐらいのことを私やっていかなくちゃいけないんじゃないかなと思っております。  一つは、委員指摘のように、観光、風評被害というのが出るわけでありまして、沖縄の現地の状況がどうなのかと、本当に沖縄皆さんは平穏な状態で暮らしていますよと、こういった状況であったりとか、そういうことを的確に観光客の皆さんというか、そういう思いを持っている国民の皆さんに知らせる、そういう的確といいますか非常に瞬時の情報の提供と、こういうことがまず一つ必要なんだと思っております。  それから二つ目は、有事に強い沖縄をつくると。有事に強い産業と言ったときに、どうしても、例えば観光にしても単に修学旅行だけに頼るのではなくて、もう少しエコツーリズムであったりとか、体験滞在型の観光であったりとか、またショッピングの魅力を増やしていくと、こういうことで観光客のすそ野を広げていくと、これが二つ目には必要ではないかなと思っております。  そして、三つ目には、観光産業そのものは重要でありますけれども、同時に、例えば先ほど来申し上げております情報通信であったりとか地域特性を生かした農林水産業と、こういう産業構造のすそ野を広げる、こういうことも同時に必要ではないかなと思っておりまして、そういったことに今後とも全力で取り組んでまいりたいと考えております。
  59. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。  終わります。
  60. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  茂木大臣、先ほども榛葉委員の方からございましたけれども、改めまして私の方からも、沖縄北方担当大臣御就任おめでとうございます。心からお祝いを申し上げたいと思います。  私も公明党の沖縄県本部顧問という立場で、また当委員会の理事という立場もございますので、なるべく毎月沖縄に参りまして、いろいろと現地の状況を見たり聞いたりをいたしまして、沖縄の様々な問題の解決のために努力をさせていただいております。  沖縄の問題は、特にこの安全保障面で日本全体の安全保障にかかわる問題であるというふうに思っておりますし、また北方領土の問題につきましても、やはりこの領土問題の解決並びに日ロ平和条約の締結という課題は日本外交の一つの悲願とも言える問題でもございますので、是非とも、外務大臣も経験された茂木大臣の御活躍を心から期待をするところでございます。  さて、私、今日は沖縄の問題、二点にわたって質問をさせていただきたいと思いますが、まず最初の質問は、那覇空港の拡張問題についてでございます。  これ最初、国土交通省に伺いますが、昨年の三月二十六日の当委員会で私は、那覇空港の処理能力が十年以内に限界に達するのではないかという前提で、国の調査結果あるいはこの方針について早期に結論を出すべきだという主張をさせていただきました。  先ほど、大臣観光客が五百万人を超えたというお話を今、たった今したばかりでありますけれども、実際にこの那覇空港、どんどんと利用客の数が伸びておりまして、実際に観光客で入域している数は五百万突破したと言われていますが、単純な利用者数、同じ人がリピーターで行ったことも含めてですけれども、これを含めますと一千万超えております。そういう観点から、是非とも国の方でしっかり対応していただきたいと思っておるわけです。  昨年、私、質問した際は、国交省の方から平成十五年度、つまり今年度から本格的な調査に入るということを御答弁いただきましたけれども、その進捗状況、お願いいたします。
  61. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、平成十四年の十二月の交通政策審議会航空分科会でございますが、そのときに答申をいただいておりまして、那覇空港については将来的に需給が逼迫する等の事態が予測されることから、既存ストックの有効活用方策とともに、中長期的な観点からの滑走路増設等を含めた抜本的な空港能力向上方策について総合的な調査を進める必要があるという答申をいただいたところでございます。それを受けまして、十五年度から、私どもと県とで連携をいたしまして調査を始めたところでございます。  具体的には、昨年、平成十五年の九月十六日に私どもと沖縄県から成る連絡調整会議を開催いたしました。調査の進め方をどうしていくかということを協議いたしました。一つは、既存ストックの有効活用方策全般を調査をしましょうと。それともう一つ、抜本的な空港能力向上方策のうち、航空利用特性等の基礎的な調査を行っていくと。それからその後、既存能力の空港の能力を見極めて抜本的な空港能力向上方策についても検討を行っていくと。こうした調査の手順を決めさせていただいたところでございます。その調査の方針、手順に従いまして、現在、私ども、県、それぞれで調査を進めているというふうな現状でございます。
  62. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 調査は続けられるということですが、沖縄のマスコミの論調なんかを見ていますと、もう大分前から調査ばかりやっているんですね。また新しい調査立ち上げて、いつ結論が出るのかというふうに思っている面もありますので、始めたことですからしっかりと早期に結論を出していただきたいと思いますが、大臣にも伺いますけれども、これ尾身大臣とあるいは細田大臣とも何度も議論させていただいたんですが、やっぱりこれから大学院大学沖縄作ると、それから私はここ数年ずっと沖縄に国連機関の誘致を、今日の午後も聞きますけれども、すべきだということを言っておりまして、沖縄を国際拠点化するということがやっぱり大事だというふうに、これは沖縄自立経済にも資する話だというふうに思っているわけです。  ところが、この前提条件の中に空港機能の拡充、これ間違いなく入っているわけですね。そして国際線、具体的に言いますと、飛行機の増便なんかも不可欠なんです。これ、尾身大臣なんか自分の体験を言っていまして、シンガポールから沖縄に行かなきゃいけないんだけれども、一回成田を経由して行ったから大変だったという話を言っているわけですが、私個人としては、早期にこの那覇空港の沖合展開あるいは平行滑走路の建設なんかを視野に入れた拡張計画を作るべきだと、政府としては方針出すべきだと思っていますが、大臣、一言お願いいたします。
  63. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 飛行機の乗り継ぎの仕方は私の方が若干うまいかなと思っておりますけれども。  国際交流拠点を沖縄で作っていくと、こういうことは大変私は重要だと考えております。  大学院大学沖縄で作ると。これは、一つのやはり要素というのは、沖縄がアジアの中心地にあると、こういう地理的な優位性というものがあるんだと思っております。そしてまた、この大学院大学の構想、正に世界最高水準の大学を作っていくと。授業は英語でやります。そして教授陣、それから学生も世界全体から、アジア全域から集まってもらうようなものにしたい。そうなりますと、それを受け入れる様々なインフラ整備、これは必要になると考えております。  航空需要につきまして、余り、何といいますかしっかりした積み上げをしないで、期待だけで何というか予想するのは決していいことではありませんけれども、この構想の推進によりまして実態面で航空需要が伸びる、プラスになる、こういうふうに持っていければと思っております。
  64. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣、是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。  ちょっと次の話題に移りますが、厚生労働省さん今日来ていただいていると思いますが、ちょっと時間ないので最初に数字を私の方で申し上げます。  大臣沖縄で今大きな問題になっている一つが、認可外保育園あるいは無認可保育園の問題なんです。  私、今手元に厚労省からもらった数字ありますけれども、ちょっとざっと言いますけれども、全国で認可保育所というのは二万二千三百五十五あるんです。認可外保育園は六千八百四十九あるんですね。そうすると、全体のこの施設、認可と認可外合わせた施設全体に対する認可外の割合が二三・四五%になるわけです。入所児童数を見ますと、大体二百万人強保育所に入っている児童がいるんですけれども、そのうち認可外、これは全国ですよ、認可外に入っている子供の割合というのは八・五二%になるわけですね。ですから、全国平均でいうと保育所に入っている子供の八・五二%が認可外なんです。  それを念頭に置いていただいて、沖縄県だけ限って見ますと、これは全然違うんですね。まず、沖縄県にある施設の数全体が八百九十三です。そのうち認可外は五百六十七ございますから、全体の六三%が認可外の施設になっているわけです。それから、入所児童数でいいますと、沖縄県全体で保育所に入っている子供の数が五万五千人なんですが、そのうち認可外に入っている人は五二%。つまり、今の数字で一番分かりやすいと思うんですが、全国の場合は、全国平均だと八・五%の子供しか認可外に入っていないんです。沖縄の場合は実に五二%の子供が認可外に入っているわけです。  それで、これは厚労省に最初聞きますよ。つまり、全国は一〇%以下の子供しか認可外で見ていない。ほとんどが認可保育園に入っているわけです。沖縄は五割以上の子供が逆に認可外に入っているんです。私、詳しく今日申し上げませんけれども、厚労委員会じゃありませんから。認可外というのは、やっぱりいろんな意味で、認可保育園と比べたら政府からの補助が少ないんです。  まず厚労省に聞きたいのは、何でこんなに全国平均沖縄、全然違うでしょう、八・五%と五二%、何でこんなに違うんですか。
  65. 北井久美子

    政府参考人北井久美子君) お答えを申し上げます。  沖縄県におきます認可保育所の整備の遅れについてでございますけれども、平成十五年十一月に発表されております沖縄県の資料にもございますけれども、私どもも同じ認識でございますが、一つの理由は、アメリカの施政権下におきまして公的保育所制度というのが十分進まない、アメリカにおきましては幼稚園制度が基本でございますので、その間は公的保育制度が進まなくて、保育所の本格的整備が昭和四十七年の本土復帰以降になったということが一つ理由として挙げられます。  それから、保育所整備は復帰直後に集中的に進められましたけれども、その後いったん減少しております。この点につきましては、保育所の整備に当たりまして、やはり市町村財政が脆弱であるということ、それから近年の少子化傾向を受けまして、しばらくの間、各市町村が認可保育所の整備を見合わせられたという事実もあるというようなことが主な理由かと考えております。
  66. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 それで、大臣にちょっと質問しますけれども、今厚労省から御答弁あったとおり、なぜ認可外保育園で多くの児童を見ているかというと、一つの大きな原因は、やはり戦後二十七年間、米国の統治下に置かれた間に、米国は幼稚園が主体ですから、幼稚園というのは大体午前中しか見ないんですけれども、そのせいで保育所の整備が日本のほかの地域と比べたら著しく遅れたということなんです。  それで、もうちょっとショックな話を数字で言いますね。認可保育所に入れない待機児童が沖縄では二千五十一人おるわけです。この待機児童数を入所児童数で割った待機率という数字があるんですね。これは七・八%です、七・八%。大臣、これは全国の四・六倍の数字なんです、待機児童率が。それで、更に潜在的に認可保育所に本当は入りたいなという人を入れると大体六千人と言われているんですが。  それはちょっとおきまして、何で沖縄でこの待機児童の問題が非常に大きい、それから認可外保育園に入っている子供たちの方が過半数を超えているという問題が起こっているかというと、ちょっと要因とか背景言いますと、まず出生率ですね。それが今、全国は一・三二で非常に問題だと言っているんですが、沖縄は、これはいい意味で逆行していまして、一・七六、全国一の出生率を維持していると。それから、そのおかげもありまして、県民人口の世代別で見ますと、ゼロ歳から五歳の人口は人口比で全国一位。ところが今度、問題のあるところでも全国一位があるんですね。離婚率が全国一位、沖縄県。それから母子家庭の割合が、母子家庭の世帯の割合が三・〇九%で全国一位。母子家庭が全国で一番割合的に多い。それから、もっとびっくりしたのが父子家庭、お父さんと子供だけの家庭の世帯の割合が、これは数字は〇・四二と低いんですが、全国で一位です、全国で一位。そして、大臣よく御存じのとおり、県民一人当たりの所得は全国平均の七〇%だと。  これらの統計数字から、指標から何が分かるかというと、子供はたくさん生まれていると、沖縄県。これはすばらしい。しかし、離婚率が一番で、母子家庭が全国で一番割合が多い、父子家庭も全国割合が一番多い、そして所得は全国でも非常に最下位のレベルにあると。ということは、所得低いですから、お子さんがいる母子家庭、父子家庭でもやっぱり親は働きに出なきゃいけないんですね。保育所へ預けなきゃいけないと。  ところが、認可保育園、つまり政府が一番お金を出して補助をしている認可保育園の数が一番少ないんです。それで、みんな認可外保育園に子供を預けざるを得ない。中には、認可外保育園の園長さんたちに話聞くと、やっぱり御家庭が貧しくて保育所の費用を払えないと。三年間未納のまま出所しちゃった、だけれども保育所の方ももうかわいそうでお金取るわけにいかないと。だけれども、認可保育園の方も経営的には非常に厳しくなると。こういう問題が実は大きくあるわけです。  そこで、こういう歴史的な、これは私が主張したいのは、何度も言って申し訳ありませんけれども、米国の占領統治が二十七年間続いたということが大きく影を落としているわけです。そういう意味において、やはりこの歴史的経緯それから沖縄の特殊な事情、少子化には貢献しているわけですからね、少子化止めるのに貢献しているわけですからね。そういったことも勘案していくと、やはり厚労省さん頑張っていただいて、全国一律で認可外保育園への支援とかやっているのは十分承知の上で申し上げるんですが、やはりこの沖縄の認可外保育園に対しては何らかの特別な措置を講じることを考えてもいいんではないかというふうに思いますが、沖縄担当する茂木大臣のお立場から御答弁いただきたいと思います。
  67. 中島眞人

    ○副大臣(中島眞人君) ただいまの御指摘数字の上では全くそのとおりだと、こんなふうに思います。  実は、私、二年前に厚生労働委員長として沖縄に訪問した経過がございました。失業率が非常に高かったんですけれども、非常に町の雰囲気というのは非常に明るい、どうしてなんだろうと。そんなことを素朴に聞きましたら、沖縄県民性、前知事さんもいらっしゃいますけれども、家族とか一族がお互いに助け合っていくという、そういう一つの風土がある、そういう中でちょっと内地とは違うような雰囲気が見られると、こういうふうな指摘がございました。  しかし、数の上では先生がおっしゃっているとおりでございまして、そういう点で、保育整備というものについては、厚生労働省が申し上げておったように、市町村財政脆弱等の中から遅れてきた経過もございますから、これらについてはもう一回原点に返りながら、やっぱり待機児童ゼロ、そして言うなれば本土並みぐらいのいわゆる数に持ち上げていく努力はしていかなければならないと、こんなふうに思いますけれども、沖縄県民皆さん方の持つ県民性というものも、ある面ではそういう良さを、悪さをそういう良さでカバーしておったと、そんな面もあったということを、厚労省の財政状況のだけではなくて、裏打ちにもあるという感じを私、実感として持ったものですから、大臣に失礼かと思いましたけれども、答弁をさせていただきました。
  68. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 じゃ次、大臣、答えてくださいね。  今、沖縄県民の雰囲気云々について、あるいは家族の伝統とかというのは私もそう思っております。そう思っておりますが、しかし一方で、さっき申し上げたとおり、母子家庭、父子家庭が全国で一番多いとか、もう実際に出てきていて、核家族化も特に都市部では進んでおりますので、一概に沖縄の気風や伝統だけでこの問題が解決されるというふうには言えないというふうに思っております。  最後のもう質問になりますけれども、大臣、これは衆議院の方でもこの議論、我が党の白保議員から聞かせていただきまして、それで茂木大臣もそのときに、厚生労働省に対して内閣府としても働き掛けていきたいと。坂口厚生労働大臣も、我が党ですが、沖縄に行きましてこの話を聞いております。それで、沖縄担当大臣とも相談、よく相談させていただきたいということをおっしゃっているわけですが、私、是非、沖縄県、内閣府、厚労省で、この子育て支援というか、保育園の支援の問題について、できればプロジェクトチームを作ってしっかり検討して方策を考えるぐらいやっていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  69. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 先ほど来の御指摘状況につきましては、私も早期の改善が必要だと、そんなふうに思っております。  委員の方から非常に分かりやすいデータを挙げて状況について御説明をいただきまして、その状況、出生率であったりとか、また待機児童の数であったり、いい面、悪い面、様々な問題点もあるわけでありまして、これを改善していかなきゃならないかなと。県の方も平成十四年からこの問題に対しまして新おきなわ子どもプランを策定して取り組んでいると。また、平成十六年から認可保育所の創設推進事業として県庁内に認可保育所の創設専任チームを設置して努力しているわけでありますけれども、恐らく県だけでやられてもなかなか難しいところもあるんだと私も承知をいたしております。  実は先日、坂口厚労大臣とも一度ゆっくり話をしたい、こういうことを申し上げているところでありまして、大臣そして両省庁、また県も含めて何らかの形でどういう方向でこの問題に取り組んでいくかと、こういうことを協議したいと思っております。
  70. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非お願いいたします。  終わります。
  71. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  二十分の時間でちょっと聞きたいことたくさんありますので、お答えの方はできるだけ簡潔によろしくお願いしておきます。  最初に、予算関連してお聞きしますけれども、今度の国土交通省北海道局の予算の中に北方領土隣接地域振興事業推進補助金というのが新規で盛り込まれています。注目しているわけですけれども、水産資源の増大対策事業などの産業振興と、それからそれに交流の推進を加えて、規模で一億円のこの補助が新設されたということなんですけれども、従来北方基金によって行われていた事業を一定程度こちらの方に回して、その分ほかの基金の事業を広げることができるなどのこれ改善というふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
  72. 藤本保

    政府参考人藤本保君) 北方領土隣接地域振興事業推進補助金についてでございますが、平成十五年度からの第五期の振興計画に基づきまして、この地域の安定振興に向けた諸施策推進が図られることとなっておるところでございますが、旧島民の高齢化でありますとか地域住民の減少、産業活動の停滞が一層進みまして、同地域の安定振興を図る上で大きな懸念となっているところでございます。このため、第五期計画期間中に、計画期間中におきまして、これまで以上に地域産業振興を強力に推進することが必要となっておるわけでございます。  こういった観点から、地域産業振興や交流推進に係る施策推進し、北方領土隣接地域の安定振興の充実を図ることを目的といたしまして、北方領土隣接地域振興事業推進補助金を創設することとしたものでございます。
  73. 紙智子

    ○紙智子君 それと内閣府の基金事業補助率を上げてほしいという要望がずっとあるわけですけれども、これにおこたえをしようというお気持ちはありますか。
  74. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) この補助率でありますが、現行が二分の一以内とされているわけでありますけれども、委員も御指摘のように、北方領土隣接地域一市二町に加えまして、この基金を管理しております北海道の方からも引上げの強い御要望をいただいているところであります。  現下の厳しい地方団体の財政事情等を踏まえまして、補助率三分の二以内への引上げを了解することとして、平成十六年度から適用してまいりたい、このように考えております。
  75. 紙智子

    ○紙智子君 本委員会でこの間いわゆる北特法の改正問題がずっと議論されてきたわけです。それで、法改正に至らないまでも、こういう形での措置というのは本当に少しでも役に立つものだというふうに私も思います。しかし、地方財政の今現状というのは三位一体改革などで本当に予算が組めないぐらい逼迫しているということもありまして、実は先日、根室の市の職員組合からも要請を受けたところなんですけれども、これらの措置についてもやっぱり今の状況の中では実は焼け石に水なんだよということもありまして、そこで委員長にお願いをしたいんですけれども、昨年議員立法で北特法の改正を図ろうという動きがあったんですけれども、結局それがそのまま飛んでしまった形になっているんです。それで、改めてこの隣接地域への特別の助成が確実に図られるように北特法の改正を目指していくことを委員会としても検討していただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  76. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 理事会において協議いたします。
  77. 紙智子

    ○紙智子君 次に、内閣北方関係予算関連してお聞きしたいと思いますが、元居住者の自由訪問について、現在は元島民、その配偶者及び子というふうになっているわけですけれども、高齢化してきています。それから、運動を引き継ぎ、発展させるということでも大変になってきているわけなんですけれども、その子供の配偶者、そしてその子供、つまり元島民にとっては孫に当たるわけですけれども、そこまで拡大してほしいという要望もまた出ているんですね。これはもっともな要望だというふうに思うんです。  それで、外務大臣が二月二十六日の衆議院の当委員会で、参加のその対象者の拡大について、翌日、日ロ局長会議がやるということで、そこで申し入れるんだということをおっしゃっておられて、その後どうだったのかと。欧州局長も参加されていると思うんで、お聞きしたいと思います。
  78. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 自由訪問でございますが、九九年に初めて実施されましたけれども、二〇〇〇年以降、毎年四回の訪問が行われておりまして、これまでの参加人数は延べ七百人を超えるなど着実に実績を上げてきております。  今委員から御指摘がございましたように、旧島民及びその家族による四島への最大限に簡易化された訪問を可能にするこの人道的な意義、それから事業の一層の拡充に関する旧島民の方々の御要望を踏まえまして、ロシア側に対しまして従来よりこの枠組みの改善を働き掛けてございます。その中には、通過点の開設の問題、増加、増設の問題、それから今御質問のございました訪問対象者の範囲の拡大でございます。  で、今の二月二十七日の、私もモスクワに参りまして日本担当の外務省の局長協議をいたしましたけれども、その際に、この通過点の更なる開設の問題、それから自由訪問の対象者の拡大についてロシア側に改めて申入れをいたしたところでございます。  ロシア側の反応でございますが、一連の四島訪問事業が平和条約交渉をめぐる良い雰囲気作りにも貢献しているということも確認をいたしまして、この日本側の提案についてはよく検討をしていきたいという対応でございました。  今後とも、対象者の拡大を含めまして、この枠組みの改善につきまして内閣府とも緊密に御相談をしつつ、旧島民の方々、千島連盟を始めとする関係者の御希望を可能な限り実現できるように外交努力を継続していきたいと考えております。
  79. 紙智子

    ○紙智子君 それから、訪問の定員枠が一回四十人のところを百人も申込みがあるというような状況だということなんですけれども、回数や人数の拡大について、これもロシア側に申し入れているのかということと、あわせて、私もこれまで何回か質問してきたんですけれども、墓参や訪問に使う船舶の改善ですね、できるだけやっぱり専用の船舶を確保する、していただきたいということで、その検討が進んでいるのかどうか。  そして、元島民の方はもうだんだん年を召されていて、やっぱり祖先を島に残しているという、そういう胸の痛みといいますか、もう九十ぐらいになっても無理に参加をしてくるということもありまして、やっぱり本当に年金生活で厳しい中でそうやって参加をされる方もいるということなんで、せめて体力を消耗しない形で島に降りられるような、そういう船を用意してやってもいいんじゃないかというふうに思うわけですけれども。これまでも、そのつど内閣府の方からは改善策を検討しますということでずっと、もう大分たったんですれども、実際今年はどういう改善策をやろうとしているのかということについて併せてお答え願います。
  80. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 訪問回数の拡大なども含めまして申入れをしております。
  81. 宮腰光寛

    大臣政務官(宮腰光寛君) 船舶の問題でございますが、私も三回これでビザなし交流に参加をしておりまして、老朽化あるいは階段の傾斜が強いといったようなことなど、十分理解をさせていただいております。高齢者には快適性、安全性が十分でないということも実感をいたしております。  ただ、使用船舶につきまして、例えば専用の船舶ということにつきましては、予算制約等の関係から、現時点では専用船舶を保有をするということについては困難であるというふうに考えておりますけれども、その利用船舶の改善方策につきましては今後ともしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。
  82. 紙智子

    ○紙智子君 できるだけ快適になるようにやっていただきたいと思います。  それから、今、日ロ経済協力の中で大きな課題になっているのがサハリンの原油、ガス開発なんですけれども、政府はこれらの経済協力を進めることが領土問題の解決につながると、そういう認識でおられるんですが、一方、この領土問題が後回しになるという懸念も出されています。決して経済協力に埋没させることがあってはならないというふうに思うんですが、実は昨日、これは北海道新聞、ちょっとコピーを取ったんですけれども、社説の中で、ロシア側に誤解がある、日ロ行動計画で日本は対ロ政策の優先順位を変えた、経済を重視して領土問題を後回しにしたと受け止めていると、ロシア側がですね、そういうことが書かれているんです。それで、外務省としてそのような誤解が大きくならないようにどう取り組んでいくつもりなのかということをお聞きしたいと思います。
  83. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 日ロ関係におきます最大の課題は、申すまでもなく四島の帰属の問題を解決いたしまして平和条約を締結するということだというふうに心得ております。この日ロ行動計画におきましても平和条約交渉はその重要な柱と位置付けられておりまして、また昨年の一月に両首脳が日ロ行動計画を採択いたします際に、この日ロ行動計画の採択に関する共同声明というものを発出しておりまして、その中でも両首脳が平和条約を可能な限り早期に締結するとの強い決意を確認をしているところでございます。  北海道新聞の社説は私も拝見をいたしましたけれども、昨年、例えば総理は、一月の訪ロの後、二度、サンクトペテルブルクそれからタイのAPECでプーチン大統領と首脳会談を行いまして、私もそれに同席をさせていただきましたけれども、総理はこのプーチン大統領との会談のときに、際に、この平和条約の締結の重要性、これが最重要の課題であると、これは非常に強調をなさっておられます。これに対して、例えばサンクトペテルブルクでは、プーチン大統領の方から、自分はこの問題を先延ばしにするとか、沼に埋めるとかいうつもりはないということをおっしゃったということでございまして、これは、その首脳レベルのみならず、外務大臣が昨年イワノフ外務大臣と会談をいたしましたときにも、私どもの事務レベルでロシア側と折衝いたしますときにも常に強調をしているところでございまして、そこのところに私は誤解はあってはならないし、ないのではないかというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、今後ともそのようなことのないように、あらゆる機会、接触の場でこの重要性を強調していきたいと思っております。  具体的には、本年前半にも川口外務大臣は訪ロして、ラブロフ新外務大臣との間でこの平和条約交渉を粘り強く行いたいと、こういうことを向こうにも伝えて、向こう側もこれはその方向で考えておる次第でございまして、その機会にも、今委員の御指摘を踏まえて進めていきたいというふうに考える次第でございます。
  84. 紙智子

    ○紙智子君 この新聞記事というのは、やっぱり取材もしてそういうことを感じて書いているということだと思いますので、そこはよろしくお願いしたいと思います。  それから、サハリン開発がその自然環境の破壊に非常にかかわってくることでもあって、対策が不十分であれば、今度、北海道の側の漁業とか大きな影響が、例えば油が漏れたりというようなことになれば大変な大きな影響を受ける問題にもなるわけです。  現在、事業主体のサハリン・エナジー社は環境対策を作ってこの油流出対応計画について策定作業を行っているというふうに聞いていますけれども、これらについて日本政府は十分研究をし、改善すべき点は改善させると、そういう態度で臨んでいるのかどうか。そして、広く公開の協議や意見を反映させるということのために、やっぱり日本語訳で公開するということなんかをやるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
  85. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) サハリン・プロジェクトでございますが、我が国にとりましてはエネルギー供給源を多角化するという観点から非常に大きなメリットを持っている、重要な意義を有すると、これは日ロ互恵のプロジェクトでございます。今御指摘がございましたように、民間企業が商業ベースで進めている案件ではございますが、政府といたしましても、そのプロジェクトの有します意義を踏まえまして、この進捗状況を見守り、可能な範囲で側面支援を行っていきたいと考えておる次第でございます。  環境面に配慮する必要でございますが、これは私どもとしても認識しておりまして、このプロジェクトの円滑な実施のために、環境についても十分配慮するように一貫してロシア側に求めてきておるところでございます。  具体的には、昨年一月の、先ほどの日ロ行動計画でございますけれども、ここにも「自然環境に配慮しつつ、サハリン1・2プロジェクトの進展並びに関連する生産物分与協定」云々と、こういった文言がございますし、それから、カシヤノフ首相が昨年十二月に参りましたときに発表いたしました共同声明におきましても、「双方は、同プロジェクトの更なる進展のために努力を傾注しつつ、環境に十分配慮する意向を確認した。」というような文言も含まれているわけでございます。  具体的な環境保全措置でございますが、これは基本的には事業主体が講じることになりますけれども、政府レベルにおきましても、例えば今委員の御指摘の中にもございました油流出でございますけれども、万が一にもあってはならないと思いますが、万が一にもこういうことが発生した場合に直ちに所要の対処を行えるよう体制を、これは私、外務省の本省それから在外公館、サハリンの領事、総領事館でございます、それから資源エネルギー庁とか海上保安庁など、それから内閣府など関係の省庁間で整備しておりまして、そういうような対応をしているところでございます。  今後とも、ロシア側への働き掛けなどを通じまして、引き続き環境の観点からもこの本プロジェクトが適切に実施されていると、いくというふうに努力をしてまいりたいと思っております。
  86. 紙智子

    ○紙智子君 NGOからも指摘もされている問題ですから、政府としても厳しく対応していただきたいというふうに思うんです。  それで、油流出事故への対応計画というのは政府レベルの協定が必要だというふうに思うわけですけれども、油防除の活動の指揮命令系統とか、それから責任とコスト分担、それからお互いの領域への乗り入れなどの権限、それから防除資材、機材の運搬や補給とか、やっぱり具体的にこの種の協定が存在していなければ、もしそうなったときには支障を来すというふうに思いますし、現在は両国は窓口が政府機関でいろいろ合同訓練や専門家の協議を確認しているということではあるんですけれども、やはり法的拘束力を持つ、そういう協定が必要だというふうに思うんですけれども、この点いかがでしょう。
  87. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 油流出事故、あってはならないことでございます。それで、先ほど申しましたように、万が一にもこうした事態になった場合の体制というのは関係省庁間で緊密に協議をいたしまして整備を進めているところでございますが、今、取決め、必要な、取決めの必要性というような御指摘も踏まえまして、今一層検討を十分進めたいと考えております。
  88. 紙智子

    ○紙智子君 ロシアとノルウェーの間でもそういうものがきちっとできているということでもありますので、あいまいにせずにというか、やっていただきたいと。  それから、あと漁業問題についてお聞きしたいんですけれども、昨年八月に私、根室に行きまして、漁業関係皆さんのところを回って要望を伺ったんですが、この地域の漁業は領土問題が未解決のために大変な御苦労をされているわけです。それで、国の責任からしても漁業の維持発展に努めるべきだと思うんですが、一つ、貝殻島の水域における民間協定による昆布ですね。これ、外務省は局長会議でこの間この問題を取り上げているわけですけれども、昨年の昆布漁についてはロシア側のせいで六月からの漁が半月遅れちゃったということがありました。非常に大きな影響を与えたわけですけれども、来年はこういうことがないだろうなということで非常に心配をされているわけです。  なぜ去年そういう事態になったのか、そのようなことがないように、この後どのように手を打っていくのかということについてお答え願います。
  89. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) 貝殻島昆布操業でございますけれども、委員の御指摘にございましたように、八一年に取り交わされました現在の民間取決めに基づいて操業が毎年行われているわけでございます。  昨年の操業の遅れでございますが、これは、私どももその遅れの事態に対して何度も申入れをいたしまして、ロシア側の説明は操業準備にかかわるロシア側の内部の手続の遅れによると、こういう非常に遺憾な事態であったわけでございます。  これにつきましては、昨年のその事態の発生以来、我が方よりロシア側に対して、こういうことが繰り返されることのないよう何度も強く申入れを行ってきているわけでございます。  それから、一番最近でございますが、二月の二十七日に行いました相手側の局長との協議でございますけれども、この局長協議におきましても、私どもより、現行の民間取決めに基づいて円滑な操業を確保することが日ロ双方にとって極めて有益であるし、これは必要であるということを強く申し入れた次第でございます。  これに対してロシア側より……
  90. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 答弁者、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
  91. 小松一郎

    政府参考人小松一郎君) はい。  本件操業は日ロ双方に利益があり、その操業の継続は是非とも確保していきたい、二十年以上にわたって実施されてきた操業に対して障害を作ることを考えているわけではないという発言がございました。引き続き円滑な操業が確保されるためにその努力を続けてまいりたいと考えております。
  92. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。  茂木大臣に、まず御就任をお祝い申し上げると同時に、問題が多過ぎるので本当に御苦労さまと申し上げたいと思います。  さて、通告してはございませんが、ごく基本的なことですので、大臣に、大臣沖縄の存在、沖縄問題というのをどう認識されておられるのか、ごく簡単で結構でございますので、お願いします。
  93. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 沖縄の問題、一言で言い尽くせない問題が私はあるなと、そんなふうに考えておりまして、私も小渕元総理にはいろいろ御指導をいただいてきた立場にもあります。沖縄県民皆さんの心を心としてしっかりと取り組んでいきたい、そういう言葉が私の胸の中に残っております。  戦争に伴います被害の問題、それからその後の米軍支配の問題、そういう歴史的な中で沖縄皆さんが被ってきた様々な、これは精神面も含めての御負担と、こういったものは本当に大きなものがあると、こんなふうに理解をしておりまして、私も、就任以来半年になるわけでありますが、できるだけそういう生の声を聞いて、できることを一つ一つ積み上げていこうと、こういう思いで誠心誠意この問題に取り組んでまいりたいと考えております。
  94. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほど大臣がお読みになりましたこの説明書、この中に、沖縄に関する特別行動委員会、SACO最終報告の着実な実施等についてという趣旨のことが、おっしゃっておりますけれども、前から私外務省にも申し上げているんですが、今政府が進めている普天間の代替施設というのは、SACOの最終報告とは中身が違うんですよ、全然ですね。それを、違うということをおっしゃらずにSACOの最終報告を着実に実行するということをおっしゃると、何かうそを言っているというふうに受け取られる、そういう心配があるわけです。  ですから、大臣は、SACOの最終報告を御自分でお読みになったか、それともスタッフからSACOの最終報告の中身はこういうことですよということを助言をいただいたか、そういうことはございますか。
  95. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) SACOの最終報告につきましては、外務大臣当時から私なりに読んでおります。今、一言一句暗記して、どの部分がどうなっているかと、これにつきましてはペーパーがあればお答えできますけれども。  そこの中で、何にしても一番大切なことというのは、この普天間の移設・返還と、これを一日も早く速やかに図っていくと、こういうことだと私は考えておりまして、代替施設につきましても、例えば事業主体がどこになるかと。私が就任しましたときに、その問題、県と国の間でも様々な協議があったわけでありまして、私なりに、どうにかして国の方でできることはないかと、こういうことで、防衛施設庁の方にもお願いして、代替施設の事業主体について防衛施設庁が引き受けると、こういう形も取ってもらいましたが。環境影響評価につきましても速やかに進めて、何にしてもこの事業が一日も早く実現できるように努力をしてまいりたいと考えております。
  96. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今のお話だとSACOの中身に触れてございませんけれども、滑走路の長さとか費用とか、それから埋立てとか、一切SACOの最終報告にはないわけですよ。そのSACOの最終報告にない埋立てをやるとか、滑走路の長さも千三百メートルがいつの間にか二千メートルになっていたりですね、こういうことを平気で最終報告のとおりとおっしゃると、これは問題含みですので、そこは是非御検討をいただきたいと思います。  それから、先ほど来、経済自立自立型経済、努力したい、経済の発展に努力したいという趣旨のお話がございましたが、これは事務当局からお願いしたいんですが、これ、復帰して三十二年たって、政府は随分沖縄にも力を入れてこられたわけなんですが、三十二年たって全国最下位の所得、全国平均の二倍の失業率というのが全く変わっていない。なぜだとお考えでしょうか。
  97. 武田宗高

    政府参考人武田宗高君) 平成十四年に、従来三十年間続いてまいりました沖縄振興開特別措置法が大幅に改正になりまして、沖縄、開発という字が取れまして、振興特別措置法と。  その中にもございますように、やはり沖縄については特殊性が非常に強く存在をしておる。具体的に言えば、非常に、島嶼であるとか、あるいは戦前戦中の歴史であるとか、あるいは基地の存在であると、そういった様々な面で、沖縄県、いろんな意味の特殊性あるいは負担、そういったものが常にあるわけでございまして、そういった面で、政府としましては、七兆円を超える沖縄振興開事業費を中心にその振興に努めてまいりましたけれども、今なおそういった意味で、特に経済パフォーマンスという意味で格差があると、この点を今後改善していく必要があるというふうに認識をいたしております。
  98. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これは具体的にお調べいただきたいわけですが、沖縄の五十二の市町村で、年間の所得、一人当たりの所得を比較検討していただきたいと。全く基地のない北大東島なんかが、あるいは南大東島が一番所得が多い。そのことは何を意味するかといいますと、私は、先ほど来皆さんが申し上げております沖縄自立型経済発展というのは、沖縄基地をなくしない限り不可能だと考えております。これは私の長年の体験からそう申し上げるわけですが、それについてもし疑問がおありでしたら、これまで軍事基地として使われていたのが民間に返されて活用されて後、軍事基地のときと、雇用の比較、所得の比較をやっていただきたい。そうすれば判然とすると思いますので、是非よろしくお願いいたします。次の機会にその資料をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  さて、内閣府の沖縄大学院大学関連経費として二十九億百万円が計上されておりますが、その内訳とでも申すか、ごくあらましで結構ですので、お願いいたします。
  99. 東良信

    政府参考人(東良信君) お答えいたします。  平成十六年度予算案では、先生今お話がありましたとおり、二十九億一千万円を計上してございます。  その内訳でございますが、一つは、この大学院大学の施設関係事業ということで、基本設計だとか造成設計等々の測量だとか、そういうものに掛かる費用という形での五十億強、それから、設計調査ということで環境調査等をやらなきゃいけません。そういうものの五億四千万円、それから現在やっております先行的研究事業費十五億七千万円弱をやっております。平成十五年度の倍額以上の二十九億一百万円、今、二十九億、ちょっと数字を間違ったと思いますけれども、二十九億一百万円でございますので、を計上しているということでございます。
  100. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 戦前の沖縄と戦後の沖縄を比較してみますと、一言で申しますと、一番違っている点は、戦前、沖縄には高等専門学校というのが一つもなかった。これは全国沖縄だけですが、戦後になってアメリカが琉球大学を作りまして、今は六つくらいの大学があるわけですが、今回この新大学院大学ができるとなると、これはもう沖縄の歴史で最高にいいことだと喜んでいるわけなんですが、ただ、ちょっと懸念されるのは、この新大学院大学というのは性格はどうなるんですか。国立ですか、何ですか。
  101. 東良信

    政府参考人(東良信君) 大学院大学の性格でございますが、現在は、基本的には私学でいけたら一番いいのかなというふうに思っておるところでございます。まだこれも検討をしないといけない問題だとは思っておりますけれども、そういう状況でございます。
  102. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 公設民営という形ですね。  そうしますと、八百億くらいの建設費が掛かると。これは国に出していただくとして、年間維持費が二百億くらい掛かると言われて、これ民営でやるというお考えのようですけれども、ボード・オブ・ガバナーズの五人の方の候補者が名前が挙がっておりますけれども、その中には沖縄、現地から一人も入っていないんですけれども、もちろんこの五人の方というのはノーベル賞クラスの方々だと思いますけれども、今の民営となった場合に年間二百億の維持費というのをこういう方々が調達できるというふうにお考えですか。
  103. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) ボード・オブ・ガバナーの候補者の方、五名の方に関しましては、これまで大学院大学の構想につきましても様々な助言とかいただいてきた方でありまして、そういった方を中心にしながら、今後の構想であったりとか、より具体化をしていきたいと。  ただ、ボード・オブ・ガバナーにつきまして、最終形態といいますか、最終的にこれは五人である必要というか、その制限があるわけじゃありませんので、場合によっては、例えば沖縄地元の方であったりとか経済界の方であったりとか、今後の運営上必要不可欠な方というのは追加していく必要も場合によってはあるかと思っております。
  104. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ありがとうございました。  終わります。
  105. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 泡瀬干潟埋立事業に関する件で質問したいと思います。  沖縄沖縄市の中城湾港にある泡瀬干潟について、内閣府はこれを埋め立ててリゾート開発をしようとしているわけですね。ところが、この泡瀬干潟は豊かな自然環境の残された干潟であり、海浜開発の進んだ沖縄県では大変に貴重な場所となっているということは、環境学者たちあるいは自然というものに非常にこだわっている人々の間では定説となっている場所でございます。私もここを見てきて、ほかの日本の干潟と違って、一律の生態系じゃなくて様々な性格を持った干潟が複合的にあるという大変珍しい場所ですね。  この泡瀬干潟で去年、新たにニライカナイゴウナと呼ばれる巻き貝が発見されました。内閣沖縄総合事務局の中城湾港泡瀬地区環境監視・検討委員会の資料や議事録によりますと、この巻き貝について、日本貝類学会会長の奥谷東京水産大学名誉教授は、恐らく新種であろう、大変に貴重な貝である、どのくらいの数量が存在するか分からないというふうな意見を述べておられます。  そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、この奥谷名誉教授の見解からすると、このニライカナイゴウナ、万全の保全策を講じるべき重要な種であると思われるわけですけれども、大臣もそういう認識でございますか。
  106. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 御指摘のニライカナイゴウナ、これ新称でありますが、これにつきましては、昨年の八月及び九月に中城湾で生息が確認された新種の可能性が高い貝でありまして、ソメワケグリガイなどの二枚貝に寄生した姿で発見をされたわけであります。これにつきまして、東京水産大学の委員指摘の奥谷教授の方も、二枚貝類への寄生生活をすることから生態学的な特異性を持っていると、このように評価をしているとお聞きをいたしております。  このニライカナイゴウナにつきましては、昨年十一月に開催されました第三回の環境監視委員会にオブザーバーとして参加いただいた貝類の専門家によりましてその重要性が指摘されているところでありまして、私としても、この専門家の評価に基づき適切な対応策を講じるべきものと、このように考えております。
  107. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 ニライカナイゴウナについて、事業者である内閣沖縄総合事務局は監視計画を策定しています。これによりますと、水質汚濁調査や生息状況調査を行うとなっています。この監視計画というのはニライカナイゴウナを保全するための措置なのかどうか、大臣にお答えいただきたいんですが。
  108. 東良信

    政府参考人(東良信君) 今先生のお尋ねの監視計画そのものが、いつの監視計画なのかちょっとよく分からない部分がございますけれども、総括的にお答えを申し上げますと、当初、環境アセスメント、平成十二年、やったときにも、監視計画を立てて、これは年に二回、全域を見て、今発見されているものも発見されていないものも含めてやろうという形でやっているものでございます。今度、ですから、そういう意味では、このニライカナイゴウナというものも含まれていると。今回、また新しくこのニライカナイゴウナにつきましては、新たな監視計画、当面一年間でございますけれども、月一回、どういう状態になっているのか、きちっと調べようという計画を立てているというところでございます。  それとともに、今先生がおっしゃった部分だろうと思いますけれども、工事における汚濁防止の徹底みたいなことをやるというようなことだとか、その生育状況をずっと監視をしていこうとか、それからいわゆるシミュレーションをしまして、どういう流れになっていくかとか、そういうものをやろうということで適切な措置をする。そのほかに、このニライカナイゴウナは津堅島の方にまだ生息地が結構あるということも分かっておりますので、中城湾全体のいわゆる保全計画等々も含めて計画を立てていこうということでこの対応策をしているということでございます。  若干たくさん言い過ぎたかも分かりませんけれども、全体のことはそういうことでございます。  以上でございます。
  109. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 これからの委員会とか監視計画というのはこのニライカナイゴウナの保全措置であるというふうには言い切っていないような、また言っているような中途半端なお答えのように聞こえますけれどもね。  ニライカナイゴウナの保全策というのは必要であると思うんですね。そのためには生息域での環境影響評価というのが絶対にこれ必須のことなんです。ニライカナイゴウナの生息域においてきちんと環境影響評価というのを追加実行するということが必要だと思いますが、いかがですか。
  110. 東良信

    政府参考人(東良信君) ただいま、先ほどちょっと申し上げましたけれども、やはり生育状況をきちっと監視をするとか、それからその生育環境に対するいろんな意味での水濁汚濁だとか、そういうものの影響調査だとか、そういうものはきちっとやっていかなきゃいけないというふうに考えておるところでございます。
  111. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 泡瀬干潟のところは既に環境影響評価というのをやっていますよね。しかし、これは新しい事態ができてきましたから、これに関するやっぱり環境影響評価を追加実施するというふうに受け取っていいんですね。
  112. 東良信

    政府参考人(東良信君) 何度も同じような答えで恐縮でございますけれども、環境調査、いわゆる、いわゆる一般で言われています手続にのっとった環境アセスという形では、今のところやるということではないということでございます。
  113. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 そうすると、このニライカナイゴウナの保全というものが担保されないんじゃないですか。
  114. 東良信

    政府参考人(東良信君) このニライカナイゴウナの保全策につきましては、先ほど大臣がちょっと御答弁をいたしましたけれども、監視委員会事業者が、事業者、いわゆる我々、それから沖縄県、埋立てでございますけれども、そこで設置しております各種の委員会がございます。そこの委員会の御指導を得て、こういう対策であれば大丈夫だということをいただいているというものでございますし、また新しい対策が出てくれば新たな対応策を環境当局であります知事の方に提出をいたしまして、そしてこれでいいかどうかということを聞いた上で動くという仕組みになっております。  そういう意味で、全く別のアセスメントをやるということではないということを御理解いただきたいと。しかし、一連のそういうアセスメントの世界の中の手続としてひとつやっておるというものでございます。
  115. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 今のお答えですと、泡瀬事業というのは、これ国の事業なんですよね。ですから、例えば沖縄県の検討委員会というものがありますけれども、これは沖縄県が設置しているものであって、そこの、まあ参考にするとかということじゃなくて、やはり国として主体的に種の問題について追加実施すべきだというのが私たちの意見なんですけれども。  是非とも、その方向で検討していただきたいと思います。
  116. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 貴重な意見として承ります。  大変重要な問題でありますので、必要な措置は取っていきたいと考えております。
  117. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 以上をもちまして、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち内閣本府(沖縄関係経費)、北方対策本部沖縄総合事務局及び沖縄振興開発金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後二時五十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後二時五十分開会
  119. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) ただいまから沖縄及北方問題に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、木俣佳丈君及び岩本司君が委員辞任され、その補欠として高橋千秋君及び山根隆治君が選任されました。     ─────────────
  120. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  沖縄及北方問題に関しての対策樹立に関する調査のため、本日の委員会外務大臣官房審議官西宮伸一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  122. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 沖縄及北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。西銘順志郎君。
  123. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 自由民主党の西銘順志郎でございます。  先般行われました委員派遣につきまして、その概要を御報告申し上げます。  平成十六年一月十三日から十五日までの三日間、沖縄振興開発及び基地問題等に関する実情調査のため、谷林委員長、榛葉理事、伊達委員渡辺委員、小泉委員及び私、西銘の六名が沖縄に派遣されました。  沖縄は、今年で本土復帰三十二年を迎え、新たな振興発展を図っていくために、平成十四年に制定された沖縄振興特別措置法に基づいて沖縄振興計画が策定され、活力ある民間主導の自立型経済の構築に向けて様々な施策推進されているところであります。  一方、沖縄には、我が国における米軍専用施設・区域の約七五%が集中しており、様々な問題が発生しております。  また、沖縄全国で有数の離島県であり、昨年九月には、最大瞬間風速七十四・一メートルという気象観測史上七番目を記録する台風十四号が宮古群島を襲い、県民生活に甚大な被害をもたらしたところであります。  今回の委員派遣におきましては、このような状況を踏まえ、新しい沖縄振興の在り方、米軍基地問題、離島が抱える問題を中心に、概況の説明の聴取や現地の実情視察を行い、あわせて、沖縄県、沖縄県経済団体会議代表及び宮古市町村長などからの意見や要望の把握に努めてまいりました。  以下、その調査の概要について、日程に沿って御報告申し上げます。  第一日目は、昨年八月に開業した沖縄都市モノレールの事業概況について説明を受けた後、那覇空港駅からおもろまち駅までモノレールを試乗し、車窓から那覇市内を展望しました。  次いで、恩納村に移動し、恩納村長から沖縄科学技術大学院大学について説明を受け、建設予定地を視察いたしました。同大学院大学は、来年度以降基本設計が決定されることになっており、地域振興観点から村民の期待も高いとのことでした。  その後、那覇市内に移動し、沖縄総合事務局那覇防衛施設局及び外務沖縄事務所から概況説明を受けました。  続いて、沖縄県経済団体会議から沖縄振興に対する要望などを聴取し、意見交換を行いました。その主な要望項目は、那覇空港の拡充整備普天間飛行場代替施設建設に係る県内企業の重点活用県内建設業者公共事業受注機会拡大などであります。また、沖縄観光の付加価値を高め観光収入を増加させる方策や、台湾、上海とのビジネス交流の在り方などについて意見交換を行いました。  次に、沖縄県庁を訪問いたしました。稲嶺県知事から、沖縄振興計画の円滑な促進を国の進める三位一体改革が妨げないよう配慮を求めるとの発言や、基地問題は沖縄地域だけではなく国民全体の問題であるとの発言がなされました。また、沖縄雇用対策企業立地の推進沖縄科学技術大学院大学の設置促進、米軍基地問題の解決促進など十一項目にわたる要望がなされました。その後、日米地位協定の見直し問題、東南アジアの中心としての沖縄の役割、観光の一層の振興などについて活発な意見交換を行いました。  第二日目は、開場が間近に迫る国立劇場おきなわを視察し、沖縄の伝統芸能である組踊の殿堂と位置付けられる同劇場の設備について説明を受けました。  その後、具志川市と勝連町にまたがる中城湾港新港地区に移動し、展望塔から同地区の全景を眺望しつつ、特別自由貿易地域企業立地状況について説明を受けました。県からは、賃貸工場の設置や買取り条件付きの借地権制度の導入など、同地域の活性化に向けた取組について説明が行われました。その後、同地域に入居しオリジナルTシャツなどの製造販売を行う手作り館工房海人株式会社、ゴルフクラブやシャフトの加工、組立てを行う株式会社MIYABIを視察しました。  次いで、昨年八月に開所した沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターを視察し、関係者から、民間企業や大学に研究室や実証研究に必要な機器を低価格で提供し、沖縄科学技術大学院大学の先行研究のための研究室も確保しているとの説明を受けました。  次に、宜野湾市へ移動し、在沖米軍海兵隊普天間飛行場に立ち入り、同基地司令官であるリチャード・W・ルーキング大佐と会見いたしました。同施設と在沖米軍海兵隊について説明を受けた後、施設を視察し意見交換を行いました。米軍から、基地から発生する環境問題への配慮、海兵隊の基地外での事件・事故防止のための対処策、地域社会への関与などについて説明がありました。しかし、周辺の民家は基地の中から見通せるほど隣接し、航空機が発着するたびにすさまじい騒音が発生しており、周辺住民の日々の不安を痛感いたしました。  その後、宮古島へ移動し、宮古市町村長から地域振興と台風被害の対策について要望を聴取し、伊良部架橋の現状や下地島空港の有効活用について意見交換を行いました。  第三日目は、沖縄宮古支庁から概況説明を聴取し、意見交換を行いました。  次いで、高速船で伊良部島に移動し、宮古群島が眼下に展望できる牧山展望台から伊良部架橋予定地を視察し、伊良部架橋整備の効果などについて説明を受けました。なお、県や宮古市町村会からは、宮古圏域の発展のため伊良部架橋の設置が必要であるとの要望がなされました。  その後、下地島へ移動し、国内で唯一民間ジェット機パイロットの訓練を行っている下地島空港の施設概要や訓練内容について説明を受けました。  次に、再び高速船で宮古島へ移動し、平良港湾の利用状況や今後の整備計画について説明を受け、観光リゾートとして今後の開発が期待されるトゥリバー地区を視察しました。  最後に、台風十四号の被害を受けた平良市中央公民館と沖縄電力風力発電施設を視察いたしました。中央公民館の屋根が完全に吹き飛ばされた様子や、風速約八十三メートルの風に耐えられるよう設計された風力発電設備のタワーの倒壊している状況を目の当たりにし、被害のすさまじさを実感しました。なお、宮古市町村会からは、電線地中化事業の促進が要請されました。  今回の委員派遣では、沖縄県、沖縄県経済団体会議及び宮古市町村会などから多岐にわたる意見や要望をいただき、また、新しい沖縄振興の在り方と基地問題について現地の実情視察を通じ認識を深めることができました。また、宮古島を始めとする離島を訪れ、離島が抱える問題を知るとともに、独特の文化や風土などの魅力に触れることができたことは非常に有意義でありました。  最後に、今回の委員派遣に際して多大な御協力をいただきました沖縄総合事務局を始め国の関係機関、沖縄県、宮古地域市町村沖縄県経済団体会議及び視察先の皆様に厚く御礼を申し上げます。  なお、委員派遣の文書による報告書につきましては、本日の会議録の末尾に掲載されますようお取り計らいをいただきたいと思います。  以上でございます。
  124. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  ただいまの報告につきまして、別途、詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  126. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 次に、沖縄及北方問題に関しての施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  127. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 引き続き質問をさせていただきたいというふうに思っております。ありがとうございます。朝から茂木大臣には大変御苦労をいただいておりますが、川口大臣も是非またよろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず、川口大臣にお聞きをしたいと思います。  昨日起こりました尖閣諸島の問題についてお伺いをいたします、通告してはおりませんでしたけれども。  中国人七人が尖閣諸島魚釣島に上陸し、沖縄県警に逮捕されたということでございますが、私は当然の措置だと思います。外務省はこの件でどのような措置を取られたのか、御説明をお願い申し上げます。
  128. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 本件につきましては、昨二十四日、午前十一時ごろだったかと思いますが、竹内事務次官が武大偉在京の中国大使を招致いたしまして、その上で、尖閣諸島が我が国固有の領土であるとの我が国の立場を明らかにいたしまして、本件について遺憾の意を表明し、厳重な抗議を行いました。  また、昨日夜、同じ武大偉在京大使が竹内事務次官を来訪した際にも、竹内次官より、我が国の領土において違法行為が行われれば法律に従って処理されることは法治国家として当然である、逮捕された七名については国内法令に従って処理すると、処理することとなる旨を説明した次第でございます。
  129. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 北京では日本大使館の前で中国の若い方々が国旗を燃やしたりしているようでございますが、私はああいうのを見ると本当に遺憾だなというような思いを強くするわけでございます。  尖閣諸島は明治二十八年一月に日本領土に編入された、そして歴史的にも国際法上からも我が国固有の領土である、領土であるということは疑いがありません。魚釣島の住所は石垣市登野城二千三百九十二番地であります。  外務省は、私は、今後とも法に基づいて毅然とした態度で主権国家としての決意を示すべきだと思うんですが、外務大臣、お願い申し上げます。
  130. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) おっしゃるように、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土でございます。ここについては全く疑う余地がないことでございます。我が国として、そういった事柄に基づいて、国内法にのっとって必要な手続を行っていくということであると考えております。
  131. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 是非毅然とした態度で臨んでいただきたいというふうに思います。  基地問題はやはり沖縄県が抱える重要な問題でございますので、これはどうしても聞かざるを得ません。  せんだっても出ていたんですが、昨日、お昼の報道で、米国政府が普天間基地宮古の、先ほども御報告申し上げました下地島に五年以内の移設を打診したというような報道があったようでございます。それから、これは今朝の朝日新聞でございますけれども、そこにもその下地島という名前が出てくるわけでございまして、まずその件についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  132. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) おっしゃったような普天間飛行場の代替施設につきまして、そのような打診、これを米国政府から受けているという事実はございません。
  133. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 確かに外務大臣も、これは前もそうなんですけれども、大臣も防衛庁長官も官房長官も、皆さん全部一様に否定をなさっているわけでございます。そういうことで理解はするんですが、これは先月の十三日のラムズフェルド国防長官の言葉を引用しながら、毎日新聞が普天間基地の今度は下地島じゃなくて嘉手納統合案というような報道がなされておるわけでございます。  これも川口大臣は明確に御否定をなさっておるわけでございますけれども、このように次から次へと、嘉手納に統合しなさい、あるいは、昨日今日でございますけれども、宮古の下地島の方が使いやすくて、もう便利で、すぐできるからいいんじゃないかみたいな報道がなされると、私はこれは県民も本当に疑心暗鬼に陥るんじゃないのかな。どこの言うことを信用すればいいのか、本当こんなにくるくるくるくる変わってくるというようなことがあっていいのかな、もしかしたら裏に何かあるんじゃないのかなというような思いをするわけでございまして、こういうところを本当に、日本政府としてはもう当然毅然とした態度でやっておられるとは思うんですが、再度、そういう普天間基地について、もう戸惑いのないように、ひとつ大臣の答弁をお願いを申し上げたいと思います。
  134. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) おっしゃったように、いろいろそういう報道が出ること自体が沖縄県民の方に対して心を惑わせるようなことになっていてはいけないというふうに私どもも思っております。  それで、先ほど申しましたように、嘉手納統合案あるいは下地島、それらを含めまして辺野古沖での代替施設の建設ということに代わる案、これについて米国から打診を受けているという事実というのはございません。
  135. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 もう大臣が明確に御答弁いただいたんで、この問題についてはこれ以上触れようとは思っておりません。しかしながら、県内にもいろんな意見があるということだけは私どもも申し上げておかなければならないというふうに思うのであります。  日米地位協定の問題についてどうしても触れたいというふうに思います。  私もこの沖縄北方問題の対策委員会でたびたび質問をさせていただいているわけでございますが、外務省の意見は、運用の改善でやりたい、それでも通らなければ地位協定の改正に行きたいというような話をなさっているわけでございまして、私どもはできれば沖縄県民の立場として一歩でも半歩でも前進をしていただきたいというふうに思うんですが、この件について、せんだって沖縄地元紙に、日米両政府が三月の十八、十九日の両日、都内で非公式協議を行い、殺人、強姦などの凶悪犯罪に限り取調べ時の米国政府関係者の立会いを認める方針で一致したという記事が掲載されました。  その件で、日米両政府は二十四日にワシントンで公式交渉を再開するとも言われております。それが事実であれば、私は、地位協定改定へ向けて半歩あるいは若しくは一歩前進と高い評価をしたいと思うんですが、この協議はなされたのかどうか、御答弁をお願い申し上げたいと思うんです。
  136. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 地位協定に関しまして刑事裁判手続、これにつきましては今、日米交渉を、現地時間で三月の二十四日と二十五日、正に今でございますけれども、ワシントンで行っております。  そして、これは昨年の夏に交渉が中断をいたしまして、それまで四回交渉がありましたけれども、昨年の夏に中断をいたしました。それで、十一月の時点でラムズフェルド国防長官が日本にいらっしゃいましたときに、これを早期に再開をして、早期に解決をしていきましょうというお話を私は国防長官との間でさせていただきました。そして、双方の事務方に対してこれについて努力をするようにという指示をそれぞれ出したということでございます。それを受けて、機会があるごとに実務担当者の間ではいろいろな交渉再開に向けて意見交換を行ってきたわけでございます。その結果、今回が、今回再開ということになったわけでございます。日米間の立場に歩み寄りは見られますけれども、最終的な合意に達しているということではございません。  これにつきましては、交渉を前進をさせるように、引き続きといいますか、現在最大限の努力を行っているということでございます。
  137. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 是非とも、そういう凶悪犯に限るということだけでも私はそれで半歩というふうな評価をしたんですが、できればすべての事案についてそういう取決めができれば一歩前進ということで評価をしたいというふうに思うんですが、是非そうなるように、また外務大臣の決断をお願いをしたいというふうに思うんであります。  その件に関しまして、茂木大臣、二十一日の産経新聞に、大変いい方向で協議が進んでおられる、進んでおるというふうに記者団に述べられておられますが、この件について、どこかそういう、そんないい協議という何か報告があったんでしょうか、御答弁をお願い申し上げます。
  138. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) この日米地位協定の下での刑事裁判手続の在り方につきましては、私が外務大臣当時からの懸案でありまして、昨年八月にワシントンを訪問したときも実際に交渉に当たっております。そして、沖縄担当の大臣となりましても、この問題につきましては関心を持ってフォローしておりますし、また外務省の方からも適時適切な交渉の概要についての報告も受けているところであります。  現在、ワシントンにおきまして、今、川口外務大臣の方から答弁ありましたように、鋭意今交渉が進められていると。相当な努力をしてもらっていると思っております。交渉の細部につきましては、正に外交交渉でありますから細部をつまびらかにすることはできませんけれども、そういった情報を総合して、私の感想としていい方向に協議が進んでいると、このように申し上げた次第であります。  この交渉が早期に妥結をいたしまして、委員も御指摘のように、沖縄県民皆さんの気持ちに少しでもこたえられるような結果につながりますことを期待いたしております。
  139. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 私どもも、今沖縄県と、その基地対策の担当課の皆さんと、この地位協定の改定について今一生懸命勉強会をさせていただいているところでございます。県から出た十一項目の改定要求があるわけでございますけれども、これはまた党内でも是非政調の下に小委員会でも作って、何とか一歩でも前進をさせたいというような思いで今沖縄県の出身の国会議員でそういう勉強会を作っていますから、是非大臣にも入っていただいて、強力に後押しをしていただければ大変有り難いなと思うんですが、いかがでしょうか。通告しておりません、済みません。
  140. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 県の方からお出しいただいております十一項目の御提案といいますか要望につきましては、一つ一つ、どこの部分が今できているのかと、またどこの部分がお考えに違いがあるのかと、そういうことも我々なりにしっかり勉強していきたい、こんなふうに思っておりますし、党内におきまして先生始め沖縄県選出の先生方、また関係の議員の皆さんで鋭意今この問題について検討していただいていると、こういうことも十分承知をいたしております。そういったことも十分参考にさせていただきながら、より良い形と、こういうことについて検討してまいりたいと思っております。
  141. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 通告しておりませんから、もうお許しをいただきたいと思うのでありますが、阿部副大臣、それから中島副大臣、今申し上げました、私ども是非この政調の下に、そういうその日米地位協定を改定するものを作りたいと思うんですが、ひとつ仲間として御発言をお願いを申し上げたい。お二人お願い申し上げます。
  142. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) 立場上もございまするけれども、よく勉強させていただきたいと思っています。
  143. 中島眞人

    ○副大臣(中島眞人君) 茂木大臣が申し上げましたとおり、この問題については一つの念願として取り組んでいく、その姿勢を茂木大臣の下で頑張ってまいりたいと思います。
  144. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 宮腰政務官どうですか。
  145. 宮腰光寛

    大臣政務官(宮腰光寛君) 同じくであります。中島副大臣と同じ気持ちであります。
  146. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 諸先輩方々のお力添えをいただきながら、一歩でも二歩でも前進させていきたいという決意で頑張って、私どもも頑張っていきたいというふうに思います。  また川口外務大臣にお聞きをさせていただきたいと思うのでありますけれども、去った三月十日に私どもの沖縄県選出の自民党国会議員団が、私は別日程がございまして参加できなかったんですが、川口大臣に、ボリビア共和国サンタクルス州コロニア・オキナワにかかわる道路の件で要請をさせていただいたと思っています。  このコロニア・オキナワというのは、一九五四年、当時の琉球政府がアメリカ合衆国、ボリビア共和国の協力をいただいて、第一次の移民を皮切りに一九六四年の十九次移民まで約三千三百人近い方々をそのボリビアに送り出しているわけであります。移民の皆さんは、原因不明のうるま病、もう高熱を出して亡くなる方が非常に多かったという話も聞きましたし、あるいは移住地を開拓しても大洪水、干ばつ等で本当に筆舌に尽くし難い、尽くし難い大変な御苦労をして、今日サンタクルス州はもちろんのこと、ボリビア共和国でも大変高い評価をいただいておるようになりました。  私も四年前にこのボリビアに訪問させていただいて、このオキナワ村、第一コロニア、第二コロニア、第三コロニアというふうに三つの集落があるんですが、そこを全部訪ねていく機会がございました。本当に大変道路が非常に悪い状況でございまして、私が行ったときは乾いていても凸凹するような、もうタイヤが取られるような状況の道路でございまして、私はこれは前に外務省の何かにお聞きをしたんですが、是非そういうことでODAが使えるのであればそういうところをひとつ是非優先的にやっていただけませんかというような話をしたこともあるわけでございます。  そういうことで、今日はそういう、本当に大雨でも降ると四輪駆動でも使わないとなかなかその第一コロニア、第二コロニア、第三コロニアまで行けないような道路の改修を、これボリビア政府が日本政府に行っているようでございますから、是非そういうこの三千人余の大変苦労をなさった方々が地球の裏側にいて日本の政府の援助を待っているというような状況を認識していただいて、これについてODAとかあるいは無償協力資金とかいうものを使っていただけるように御配慮いただけないかどうか、御答弁をお願い申し上げます。
  147. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) せんだって沖縄選出の先生方からの御要請もございまして、検討をさせていただいております。  ちょっと状況を簡単に申し上げますと、何年か前から御要請がございまして検討していた中でございますが、ただ何せ今先生が挙げられたルートは、確かにサンタクルスに一番直行のルートなのでございますが、それはそのとおりでございまして、道路は良くございません。ただ、大分前でございますが、別なルートで、ちょっと遠目ですけれども、二等辺三角じゃない、三角の二角の道路を整備してサンタクルスまでの輸送は可能な状況にさせていただいたような工事もございます。  それに加えまして、別途こちらの方の直行のところでやれるかどうかと、こういうことだと思いますけれども、そんなふうにお聞きしていますけれども、率直に申しまして結構な額になりまして、率直に申しまして今の私の感じですと、大体やっぱり四十数億になるんではないかと、こんな感じなんですね。一方で、ボリビアに全体に出しておりますODAの総予算といいますのが二十億から、年間すべてを含んで二十億から三十億弱ぐらいの規模でございますので、その辺のところを考えますとなかなか容易じゃないなというのが率直な感じでございます。  ただ、オキナワ村ということになったことでもございますので、何か、どういう形かちょっと分かりませんけれども、もう少し何か利便性の富んだ手法はないのかということについて、更に地元を含めまして、大使館を含めて検討させていただきたいと、こんなふうにも存じております。  ありがとうございました。
  148. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 もう阿部副大臣が私が次に質問しようと思った問題を全部お答えいただいて、なかなかなくなったんですが、本当にこれは地球の反対側に地図の上でオキナワ村というのが明記されるわけでありますから、またそこに千何百人ぐらいでしょうか、日系人、全体では三千人超えると思うんですが、そういう方々がおられますので、是非四十億掛かるというのであれば十年掛けてでも、どうしてでもやっていただければ大変有り難いと思っています。単年度でやれなんていうことはもう到底言えることじゃありませんので、できるだけコロニア・オキナワ村の村長さんの要望を聞いて、一度私は是非外務大臣かあるいは阿部副大臣がおられればちゃんと連れて要請もしたいというふうに思っております。  川口外務大臣、私どもの衆議院議員の皆さんが要請をされたときに、ボリビア政府から要請がないというようなお話を、答弁があったように私ども聞いておりますが、そういうことじゃございませんので、ちゃんとボリビア政府から要請も出ていますので、御検討をしていただいて、これらの本当に苦労をした皆さんに報いてあげていただきたいと思います。  決意を聞かせていただいて、私はあと十分ほど時間あるんですが、これで終わらせていただきたいと思います。
  149. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) この前、三月に阿部副大臣共々、沖縄県御出身の国会議員の方々からこのお話を伺わせていただきました。もしそのときに、ボリビア政府から要望がないというふうに申し上げたということであれば、これは私の申し上げ方が悪かったのでおわびをいたしますけれども、私が申し上げたのは、優先度が付いてきますので、そういう意味で、一位ですとかね、そういう意味で、これはボリビア政府が第一の案件として日本にやってほしいというようなことで要望が来ていないという趣旨で申し上げたんですけれども、もし誤解が及ぼしさせるようなことでしたら申し訳ないと思っていますが、いずれにしても、今、副大臣が言われたような状況でして、事務的に、ですからその四十数億一遍にということは本当に率直に言って、申し、難しいんです。それを何らかの形で沖縄御出身の方々の御便宜をお計らいするようなことで何か考えられないか、何か考えられないのといって、今検討をしてもらっております。
  150. 西銘順志郎

    西銘順志郎君 終わります。
  151. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は、民主党・新緑風会の伊藤基隆であります。冒頭、本委員会の所管であります北方問題、沖縄問題について質問いたします。  まず、北方領土問題に関して外務大臣の基本姿勢について所見を伺いたいと思います。  ロシアでは、去る三月十四日に大統領選挙が行われました。プーチン大統領が再選を果たしました。大統領選挙の結果は、プーチン大統領の得票率が七割を超えて、二位以下の他候補には大差を付ける圧勝と言うべきもので、今日のロシアは、一九九一年の旧ソビエト解体以来の政治混乱期を脱したのではないかという印象を持つものであります。  ロシアは、経済面においても、一九九五年辺りからインフレが鎮静化して、一九九九年からはGDPが安定してプラスに転じ、昨年が七・三%であり、今後五ないし六%の経済成長が予想されているようです。国家財政は黒字に転じて、対外債務の返済も順調に進んでいるように伝えられております。また、ロシアへの外国投資も着実に増加していることなどを考えると、石油輸出に依存しているとか、高騰した石油価格による実力以上の数字が出ているという弱い部分があったとしても、かつての超大国は経済が確実に、しかも急速に立ち直りつつある現状を見ることができると思います。  もはや、かつてのインフレでルーブル紙幣が紙と化したとか、パンや肉を求める人々の行列や、倒産した銀行の前で途方に暮れる人々の姿を映し出した一九九八年の金融危機を伝える衝撃のニュース映像は、今や名実ともに過去のものになったと、そのように言えると考えております。  このように、政治面でも経済面でも、また国際的な信用の面でも、過去の十数年にはなかった安定を取り戻しているロシアのプーチン政権に対し、日本がどのような日ロ関係を築き上げようとしているのか。今後、ロシアは再び極東地域への影響力を着実に高めようという方向に向かうのではないかと思うのでありますが、外務大臣はどのような認識をお持ちなのか、その基本姿勢をお伺いいたします。
  152. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 三月十四日の大統領選挙でプーチン大統領が七割以上の高い支持率をもって再選をされたということでございます。これの意味するところというのは、基本的に、プーチン大統領が今まで進めてきた政策が継続をするであろうということと、そして、非常に強力な基盤、これを持って継続をしていくであろうということだと思います。  日ロ関係につきましては、小泉総理が昨年、昨年ですね、昨年の一月に訪ロをなさった。そのときに、プーチン大統領との間で日ロ行動計画について署名をしていただいているわけでして、この日ロ行動計画が我が国としてロシアとの関係を考えていくときの基本的なベース、基本的なものに、ベースになるということであると思います。  この日ロ行動計画は六本の柱が立っているわけでして、それは、例えば国際舞台での協力、これは世界の中で日本とロシアがどのように協力をしていくかということ、そして平和条約の問題、これは北方四島について帰属の問題、これを決めて、そして平和条約を結びましょうということで、できるだけ早期に解決を図りたい、進めたいと思っていることでございます。あと、経済ですとか、安全保障、防衛ですとか、あるいは文化ですとか、様々な分野にわたって協力を進めていきましょうということが書かれているわけでして、これに基づいて今後日ロ関係を進めていきたいというふうに思っています。  それで、北方四島の問題につきましては、先ほど申しましたような考え方で、これはプーチン大統領も総理に対して、この問題を沼に埋めるつもりはないということをおっしゃっていらっしゃいますし、私が一昨年の秋にロシアに行きましてプーチン大統領に表敬をいたしましたときにも、これは過去の世代から引き継いだ問題であるけれども我々の世代で解決をしなければいけないということをおっしゃられて、解決への強い意思、これを明らかに述べられているというふうに思います。  これについては、私も今年の前半にもロシアに行って、新しい外務大臣であるラブロフ外務大臣との間でこの問題について話をしたいと思っております。  それから、極東の問題についてお話をなさいましたけれども、極東について、ロシアの中央政府から昨年かなり極東地域政府の高官が訪れたということがあったと思います。極東地域についてロシアは大きな関心を持っているということで、この関心がまた我が国の戦略的な重要性について、それについての関心を更に持っていくということにつながると思いますし、また、我が国への関心、我が国の重要性についての意識、認識が極東地域の開発についてロシアが積極的な政策を取っていくということにつながっていくというふうに思っています。  エネルギーの開発等々について今我が国はロシアと話をしているわけでございまして、このロシアとの関係が経済面でますます強まっていくということが、また、そういった肯定的な関係あるいは雰囲気の中で平和条約の問題を前に進めることの一つの大きな要素にもなっていくというふうに考えています。
  153. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 日本とロシアという関係は、日露戦争百年とか言われていますが、その怨念がまだ残っておるなどという認識も出ていますが、私はそういうことはないんじゃないかと。未来に向けて非常に可能性のあるというか、お互いが非常に重要な国として関係を持ち合うという要素が非常に強いんじゃないかと思っています。  今外務大臣がおっしゃったエネルギー問題、かつては、かつての日ロ関係ないしは日ソ関係というものにはなかったパイプライン、ガスのパイプラインという敷設の問題もありますし、石油が非常に不安定な状況の中での石油産油国としての強さというのもあります。この二国間の問題が日米関係とは別な意味での非常に重要な関係になるんじゃないかという期待といいますか、条件といいますか、そういうものがあるんじゃないかというふうに思っています。  北方領土問題については、現状における両国における問題の道筋というのは今外務大臣答弁で語られましたけれども、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすという一九九七年のクラスノヤルスク合意で二十世紀中の解決が期待されました。いまだに返還には至っておりません。クラスノヤルスク合意は橋本、エリツィンの日ロ両首脳の個人的信頼関係の上に成り立ったという側面が大きかったと思いますが、その後、残念ながらロシア側には実行力が伴わなかったと言えるのではないでしょうか。  この実行力が伴わなかったというところが問題であります。我が国の固有の領土の返還の問題であります。ロシア領をよこせという話じゃないんです。そのことについて、これだけの合意をしっかりと二十世紀内にといいながら、私たちの世代に今また解決しなきゃならないといいながら、実行力が伴わないというのは大問題であります。沖縄返還、大変厳しい状況の中でもそのことを日米両国の中で成し遂げたわけでありますから、そういうことがいまだに残っている、平和条約さえ結ばれていないというのは大問題であります。そのことは、先ほど午前の委嘱審査の討論の中で、経済問題を先行させているんではないかという報道があったとか、認識がロシアの中にあるというような話が出されまして、否定されましたが、私は経済問題と領土問題というのは政治問題、経済問題一体となった実行体制を作っていくということが重要だと思っています。  特に、大統領選挙で圧倒的な勝利を収めて政権基盤が強化されたプーチン政権、これは私は正に交渉相手として信頼に足る強力な政権であると。そうとすれば、日本側としてもより積極的な姿勢でエネルギー問題や経済開発の問題、投資の問題も含めて取り組んでいく必要があると思いますが、領土問題は、日ロ間の特に極東における関係を非常に重要な位置付けにして、より豊かな大切なものにしていく、大きなものに発展させていくという中での正に通らなければならない非常に重要な通過点でありますから、そういう意味でより積極的な姿勢で取り組む必要があると思いますし、その考えを今お聞かせいただいたというふうに思います。  あわせて、本委員会外務大臣の所信では、大臣自らが本年前半にもロシアを訪問するとの考え方を述べておりますので、このような情勢を踏まえて特に実行力が伴ってきたんではないかと、そういう政権基盤のことも将来の日ロ間のことも考えながらロシア外交に対する、具体的にどのように進められようとしているのか、小泉総理が行かれた、または表敬訪問、外務大臣がされた時点と違う状況の中での考え方がおありでしたら、是非お聞かせいただきたいというふうに思います。
  154. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 選挙で高い支持率で当選をされて、そしてプーチン大統領としてロシアの内部、国内政策としては改革を引き続き進められるというふうに思っています。そして、この国際関係、平和条約の問題についても強力なリーダーシップを発揮をしていただけると我々は期待をしているということでございます。  前にプーチン大統領に表敬をいたしましたときに、私は日ロ関係と日中関係の近さ、あるいは厚みというものを比較をさせていただきました。それで、例えば二国間の経済関係、貿易関係あるいは人の交流ということを取りましたときに、ロシアと日本の関係というのは、日中関係と比較をしまして何十分の一という大きさでしか人の交流あるいはその貿易もないという状況であるわけです。それで、その平和条約、それで日本とロシアの間には、先ほど委員もおっしゃられましたように潜在的な可能性としてはまだまだあるわけでございまして、この潜在的な可能性をどれぐらい顕在化していくかということが両国の政府にとっての課題であるわけですけれども、そのときに平和条約があるということが日本のビジネス界に与える影響、これは非常に大きなものがあると思います。  したがいまして、その平和条約を結ぶということが新たなる経済関係への更なる発展、日ロ関係が非常に近くなって更にいくということにとって重要だということをプーチン大統領に私は申し上げさせていただきました。そういうことをよく御理解をいただいていると思います。プーチン大統領のリーダーシップに期待をさせていただいているわけでございます。
  155. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 私は、昨年の八月末に参議院の公式訪問団としてポーランドを訪問しました。ポーランドに対する日本からの投資が低いと、あらゆる行き会った政治家が全部私たちに投資の拡大ということを言いました。そのときに、在ポーランドの大使が、小野大使でしたか、実はポーランド政府に対して投資を誘発する、拡大するための具体的な提言を行っているんですね。条件整備をしなければ駄目なんだということでの具体的な提言を行っていると。私は、その提言の内容は非常に具体的であって、実行可能であって、それに対して即座にこたえられる体制というものはあると思うんですが、ポーランド政府はなかなか重い腰を上げようとしていないように感じます。ただ投資の拡大をしてくれということを言うだけで。そのことを私も会談の中で言いました。大使からの提言についてもっと真正面から受け止めるべきではないかと、解決すべきじゃないかと。答えはあいまいな答えでありましたけれども。日本へ帰ってきてポーランド大使館との会合のときもそのことを言いましたが、はかばかしくありません。  私は、このポーランド日本大使館の大使の動向というのは非常に優れていると思います。モスクワの日本大使館もやはり外務省と一体でありますから、是非それ相応のとかいう以上の力を発揮すべきじゃないかということを感じております。大使館の重要性というのを、今まで何回も外国を訪問して大使と会いましたが、初めてポーランド大使からそういうものを感じましたので、感想として申し上げておきたいと思います。  次に、沖縄問題についての基本認識をお聞きいたします。  西銘先生も先ほど基地問題について触れました。沖縄のそこにある思いというものが、いつでも沖縄県人と話すと感じる、そのそれを今日もここで、この席で感じました。  沖縄は、すべての日本人が知っているように第二次大戦末期の四五年三月から我が国で唯一の地上戦の場となりました。島の地形さえも変わったと言われる九十日間の激しい戦闘で、文化遺産のほとんどが破壊され、二十万人もの人命が奪われています。日本守備軍は本土決戦を遅らせるために出血持久戦を採用したと。これに対する米軍の掃討作戦によって、非戦闘員である一般住民の犠牲は、軍人を上回る十二万人に達しております。すべての人が知っていることをあえて沖縄問題を言うときには言う必要があると私は思っておるわけであります。  戦後は日本本土分離されて二十七年間にわたってアメリカの施政権下に置かれました。この間、人権、民主主義、安全が脅かされる象徴的な出来事が頻発しています。今なお頻発しています。一九五五年には、六歳の少女が米兵に暴行、殺害され、当時の人々を震撼させております。また政治の場でも、一九五七年に選挙で当選した那覇市長が米民政府により市長の座を追われました。一九五九年にはジェット戦闘機が小学校に墜落して百三十八人が死傷するなど、基地の島で事故が相次ぎました。  私は、郵便局の労働組合、全逓信労働組合の出身でありますが、沖縄の全逓の亀甲という委員長がいます。亀甲委員長は、労働条件の向上を目指してストライキを指導して、全県の労働組合の先頭に立って闘って投獄をされています。民主主義国アメリカの、米民政権によって投獄をされているということも、私たちにとっては非常に重い過去の出来事としてずっと引きずってきております。沖縄の人々が様々な抑圧や苦しみを受け、理不尽な日々を送った時代としてだれもが記憶していかなきゃならないことだろうというふうに思います。  一九七二年に本土復帰をしましたが、沖縄への基地集中は変わっておりません。現在、在日米軍施設の七五%が沖縄に置かれ、米軍基地沖縄本島の面積の一九%を占めています。沖縄の経済問題の根幹はここにあるというのはだれもが持っている認識であろうというふうに思います。これが簡単に除去できない又は削減できないとするならば、これを補い得る日本政府の対応、中央政府の対応というものが、米軍はもとより、沖縄の、沖縄の経済・政治問題に対して力を入れていく必要があるんじゃないかというふうに思っています。  沖縄戦終結五十周年を記念して建設された平和の礎、礎という字をイシジというふうに沖縄では言うようでありますが、そこには、「沖縄の歴史と風土の中で培われた「平和のこころ」を広く内外にのべ伝え、世界の恒久平和を願」う。あれだけの激しい戦闘の中で犠牲を受けながら、その培われた平和の心を世界に伝えていこうという沖縄の心であります。今日では当たり前のように感じられている戦後日本の平和や繁栄が沖縄県民の痛みや苦しみの上に成り立っているという事実を忘れてはならないと思います。  このような沖縄の事情について、両大臣の基本的な認識をお聞かせ願います。  また、昨年十一月、米国政府は海外駐留米軍の再編問題について協議に着手する旨を表明しておりますが、沖縄県民にとって米軍基地の削減は悲願とも言えることであります。この再編問題と在沖米軍基地の削減についてどのように対応される所存か、外務大臣にはそのことを併せてお聞かせ願いたいと思います。
  156. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 沖縄は、さきの戦争で苛烈な地上戦を委員指摘のように経験をいたしまして、二十万人余りの方々が犠牲となったわけであります。そして、その後二十六年以上にわたりまして本土の施政権の外にあって、この間、本土との様々な格差が広がり、またこの間様々な残念な事件も発生しているわけであります。こうした歴史的経緯等を踏まえて、沖縄をめぐる諸課題の解決に向けて政府として施策を積極的に展開する必要があると、こんなふうに考えております。  先日お亡くなりになりました山中貞則初代沖縄開発庁長官、昭和四十七年五月十五日の沖縄復帰記念式典におきまして、当時、総理府の総務長官でありましたが、こんなふうにあいさつをされています。県民各位が心から復帰して良かったと喜んでいただける条件を整えるべく全力を尽くすことが、政府を始め沖縄を迎える国民全体の義務であり、せめてもの償いの道であると考えますと。こういった思いをしっかりと引き継いで施策に生かしていきたいと考えております。  また、それに先立ちます昭和四十六年十二月三十一日に公布されました沖縄振興開特別措置法、現在の沖縄振興特別措置法でありますが、この提案説明、提案理由説明の中で、沖縄が戦争で甚大な被害を被り、かつ、長期間米国の施政権下にあった事情に加え、本土から遠隔の地にあり、多数の離島から構成される等各種の不利な条件を担っていることに深く思いを致し、まずその基礎条件を整備することが喫緊の課題であり、進んでは、沖縄が我が国の東南アジアの玄関口であるという地理的条件と亜熱帯地方特有の気候風土を生かし、その豊かな労働力を活用して産業の均衡ある振興開発を図ることが必要であると考えますと。  こういった、アジアの玄関口であると、そしてまた独特の気候風土を生かして産業振興を図っていく、こういう視点をこれからも生かしてまいりたい、こんなふうに考えておりまして、沖縄振興に関しましては、復帰後、三次にわたる振興計画、これによりましてインフラ整備そのものは随分進んできた。しかし、まだ県民所得が低い、そしてまた、雇用の状態、非常に失業率も高い、こういうところであるわけでありまして、正に自立型の経済の構築に向けまして沖縄地域特性を生かした産業振興にも全力でこれからも取り組んでまいりたいと考えております。
  157. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 先ほど委員沖縄のその戦争以来の様々な事柄を語られましたけれども、そういったことが実際に沖縄に起こって、その結果として沖縄の県の方々が今の、そのことをもってといいますか、その結果として今その沖縄の方々が基地の存在等について大変に深い複雑な感じをお持ちでいらっしゃるということをおっしゃられたわけで、私もおっしゃられるとおりであると思います。  先ほど茂木大臣も触れられましたけれども、在日の米軍の施設・区域の七五%が沖縄にある、しかもそれほど面積的に広くない沖縄、山がちの、平地の少ない沖縄にあるということであります。日本全体として安全保障、日米安保条約によって日本の安全と保障が確保されているということは現実でありますし、またそれは日本にとって重要なことであるということですが、その負担沖縄県民の上に重くのし掛かっているということについて我々は十分に認識をし、それを踏まえて、いかに沖縄の方々の負担を軽くできるかということを常に発想し、常に行動していかなければいけないと私は思っております。  沖縄につきましては、私は復帰前の段階でちょうど中学校のときでしたけれども、沖縄の先生が私の行っていた中学校を訪れられて、そして沖縄状況についてのお話をなさいました。そのことを鮮明にいまだに覚えておりますし、それ以降、その沖縄の石垣市、石垣島、当時の石垣島にそれぞれがペンパルを持ちましょうということで、島袋君という方と私はしばらく文通をいたしておりましたけれども、そういった沖縄状況についての思いというのを私個人としてもかなり前から心の中にございます。  それで、先ほど米側のトランスフォーメーションということについてお触れになられましたけれども、この軍事体制の見直しにつきまして、これは我々として二つのことが大事だというふうに思っています。一つは、在日米軍が有している抑止力、これが効果的に維持をされるということであります。そして、それとともに、その沖縄を含む米軍の施設・区域が存在をする地元の御負担、これが十分に、これを十分に念頭に置いてこれを軽減をしていく努力をすべきであるということでございます。そういった二つの観点からこのトランスフォーメーションについての協議、これを行っていきたいと思っております。  沖縄につきましていろいろ、その地位協定の運用改善、これについても目に見える形で前に進めていかなければいけないというふうに思っています。いろいろ環境面につきましても、あるいは今話が正にワシントンで行われている刑事裁判手続につきましても、できるだけといいますか、目に見える形でこれを前に進めたいというのが外務省として今努力を重ねていることでございます。
  158. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 時間が参りましたので、最後に担当大臣茂木担当大臣の考え方をちょっとだけお聞かせいただきたいと思います。  国は振興開発特別措置法や振興特別措置法ということの計画を着実に実行してきたと思います。しかしながら、なお経済状況は非常に雇用の問題から含めてみんな悪いと。私は、今緊縮財政を組まざるを得ない状況にあるということも十分承知しておりますけれども、しかし、この沖縄の、特に高校生の就職率が非常に悪いということからも、将来のことを考えたときに、予算上、今審議中でありますが、予算上も特別の配慮を沖縄に行うべきではないかと、特別の措置をやるべきではないかというふうに思わざるを得ません。そのことについての大臣の所見を、短くで結構でございますからお聞かせいただきたいと思います。
  159. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 委員指摘のように、沖縄におきまして特に若年者の失業率が高いわけでありまして、三つぐらい原因があると思っておりますけれども、一つは人口の増加率が高い、そのために若年者が労働市場にどんどん入ってくると。二つ目は、そういった人たちが県内に就職したい、こういう意向が強い。そして三つ目に、それを受け入れる産業が十分に育っていないと、こういう問題がございまして、正に自立型の経済を作っていくということが一番重要でありまして、雇用吸収力のあります例えば観光であったりとかIT、こういう産業育成が必要だと、こんなふうに考えておりまして、現在御審議をいただいております平成十六年度予算案におきましても、そういった産業振興の問題、同時にそういった新しい産業で受け入れてもらえるようなスキルを身に付けるような人材育成事業を盛り込んでおりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  160. 伊藤基隆

    ○伊藤基隆君 終わります。ありがとうございました。
  161. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  私も、午前中に引き続きまして質疑をさせていただきます。  まず最初に、茂木大臣に再びお伺いをいたしたいと思いますけれども、委嘱審査の場でも西銘委員の方から質疑がございましたけれども、三位一体改革沖縄ということで質問したいと思っておりますけれども、いろんな批判が沖縄に限らず今地方からこの三位一体改革について出ているわけでありますけれども、もちろん沖縄の地方自治体の首脳も、今、国の財政が厳しいことであるということとか、あるいは改革が必要だということは原則論として理解をしているというふうに私も思っております。  しかし、沖縄の場合は、今もちょっとありましたけれども、多数の小さな離島を抱えていると、本島自体も離島と呼べる離島県であるということでございます。この離島県の大きな一つの特徴は、自主財源が決定的に乏しいということでございまして、しかも、この自主財源が少ないという弱点は容易に政策的に克服できるものではない。つまり、物理的、地理的なハンディによって本質的に規定されてしまっているということだというふうに私は思っております。  実は私、先日、沖縄県の中でも、日本の、沖縄県というより日本の最西南端の与那国島に行ってまいりました。ここは沖縄本島那覇から五百九キロ離れておりまして、実は台湾から百十一キロしか離れておりません。本当に遠いところなわけでありますけれども、そういう場所の離島でありまして、人口が千七百人程度、そして産業も当然少ないということでありますので、品物をある意味で輸入を島外からしなければいけないという状況になるわけです。これはなかなか東京に住んでおりますと分からないわけですね。田舎というのは大体物価は安いだろうというふうに東京の人は思いがちですけれども、離島は輸入をしておりますから、距離のコストが全部上乗せされますので、私もやっぱり見てみて驚くわけですけれども、自動販売機で売っている缶ジュースは百二十円どころか百五十円なんですね。そういう意味では物価も高いと。  それから、私、調べてみましたら、中央への財政依存率、これも非常に高うございます。与那国島、今申し上げましたけれども、与那国町では自主財源率が一四・二%、つまりその裏返しが中央への依存率ですから、八五・八%になります。ちなみに、沖縄県全体の市町村平均でも六九・二%の中央への財政依存率があるということであります。  今、三位一体改革でありますけれども、政府の公式見解では、官から民へ、それから国から地方へという考え方の下に三点のことを言っているわけです。一つは、地方は自らの創意工夫と責任で政策を決めましょうと。二点目が、地方が自由に使える財源を増やしましょうと言っているわけです。三点目が、地方が自立できるようにしようと。この三つの点は理念としては非常に立派なんですね。  ただ、問題は、先ほど申し上げたような状況にある離島にとっては、理念は立派なんだけれども、さあ実現しなさいと言われると非常に難しいということであるわけであります。しかも、これは日本全国の話ですが、今回の三位一体改革では国から地方への税源移譲が不十分であったと。額にいたしまして約四千五百億円にとどまっているわけです。それに対して、国庫負担補助金約一兆円の削減プラス地方交付税の実質的削減額を合わせますと二・九兆円削られているということになっておるわけでありまして、本土市町村の場合は市町村合併で幾つか克服することが、この自主財源の足りなさを、できるというふうに言われていますが、これは離島ですからね、ちっちゃな島同士、これは次の質問で聞きますから、大臣、答えなくていいですよ、離島同士が合併しても全然解決されないんですね。石垣島と与那国島、今協議会立ち上げて合併に向けて話し合っていますけれども、これ例えば本土だったら、隣り合っている自治体が合併してごみの最終処分場を、今までだったら各自治体で造りなさいよと言われていたのが、合併しますからどっちか造ればいいという話で済みますけれども、石垣島と与那国島は百二十六キロ離れていますから、ごみを持っていくわけにいかないんです。合併したとしても、やっぱり島一つずつにごみの処分場が必要ですねという話になるわけです。  で、あらあら、私ほかにも言いたいことありますが、申し上げましたけれども、つまりこういう本質的な物理的なハンディを背負っている離島、これどうするかと。三位一体改革の中でこれからも進んでいくわけですね。方向性は間違っていないと、私も与党の一員としてそう思いますが、しかし、現実に島に行って話聞いて、これはちょっと東京と同じ基準で話をしても、理解を得ようと努力しますといっても理解得られないんですね。  非常に難しい質問になってしまいましたが、沖縄担当の茂木大臣として、どういうふうにこの三位一体改革が進む中で、沖縄県、特に離島の振興というものを考えていかれるか、御答弁をお願いします。
  162. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 私、今年の一月以来、沖縄北部中部南部、それから八重山宮古市町村長さんとすべてお会いいたしました。与那国の町長さんとももちろんお会いをしております。そういった懇談の席でいろんな御要望とか御意見いただくんですが、そこの中で必ず出ますのがこの三位一体改革の問題でありまして、相当市町村にとりまして予算編成も厳しい、支障を来すような状況だと、こういう御意見やはりいただいておりまして、正にこの三位一体改革、この基本方向は方向としましても、これが県内市町村財政に大きな影響を与えていると、これは間違いないことだと考えております。  そして、市町村自立、また地域経済自立、こういうことを考えたときに、これは県内の格差の是正も含めてしっかりした沖縄振興計画を進めていく必要があると、そんなふうに考えておりまして、そのためにも沖縄特殊事情に十分配慮した形で改革は進めなきゃならない。そのために、沖縄振興三位一体改革ができる限り支障が出ないように、こういう観点を大切にしていきたいと思っております。
  163. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。  今大臣県内格差とおっしゃっていましたけれども、私もやはりこういう島を、まあ沖縄県に限らないんですが、回っておりまして感じたのは、やはり国会での議論が国と地方あるいは中央と地方という二つに分けていろいろ物を言っているんですけれども、ところが、やっぱり地方の中でまた差があると、格差があると。ここをどうするかということを、特に沖縄のように離島の多いところをしっかり考えていただきたいと。  尖閣諸島の事例じゃありませんけれども、離島の関係者で私が懇談した人の中には、遠山さん、今国がやっている政策というのはあたかももう離島に住んでいる方はみんな本土あるいは本島に移り住んでくださいと言わんばかりの政策だと。じゃ、与那国島の人たち、あるいはほかの島でもいいんですが、人口少ない、まあそれぐらいが沖縄本島に住んだって吸収できるでしょう、吸収できると思います。しかし、島が無人島化したらどうなるかということは私たちもう昨日分かっておるわけですね。  ですから、どうしても人口が少ない、産業が少ない、そういうところですから、政治家もなかなか、沖縄県に限りませんよ、離島に関心持てないというのはあるかもしれません。しかし、この離島に住んで頑張っている方がいるからこそ日本の国境は今の国境であるわけで、海洋資源にしても十分な確保ができるということがありますので、是非、内閣の中でも沖縄を担当している大臣だからこそ言えることもあると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、大臣、簡潔に、先ほど申し上げました離島同士の市町村合併ですね。  これも私、島に行きまして、例えば南大東島なんか今、那覇市と市町村合併しようかという話になっているんです。例えば分かりやすい例でいいますと、那覇市と南大東島が合併してしまうと、恐らく南大東島の人口からすると一人も市議会議員出せないんですね。そうすると、那覇市の一部に南大東島なっても、その島の事情を議会で代表する人一人も送れないと。単純な人口の計算でして、那覇市民で応援してくれる人がいれば一人ぐらい出れるかもしれませんけれども。例えばこんなことでも地元にとっては非常に大きな問題になっておりまして、なかなか市町村合併、前向きに考えられないぞという意見もあるんですね。  ですから、私は、やはり陸続きの自治体の市町村合併のガイドライン、基準をそのまま離島に当てはめるのはいかがなものかとちょっと思っているんですが、大臣いかがでしょうか。
  164. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 先ほど来離島に対します様々な御配慮といいますか思いを語っていただいておりまして、確かに離島、いろんな困難も抱えておりますけれども、その一方で、いいところもあると、自然環境に恵まれたりとかですね。与那国のあの町長さんにしましても、本当にやる気ありますよ、この町をどうしていくんだと。そういう熱い思いというのは、私は全国のどこの市長さんにも負けないぐらいなものを持っていらっしゃるんじゃないかなと。  そういう離島の持っている良さ、そしてまた問題点、こういうことは我々としてもつぶさにしっかりとらえておきたい。私が回れないところは中島副大臣、宮腰政務官にも細かく回ってもらおうと思っておりまして、この週末も宮腰政務官には少し、私が先日行けなかった、少し細かいといいますか、小さな離島まで回っていただくことにしております。  そういった中で、市町村合併の問題でありますけれども、相当やはり地理的に離れている、町と町がつながっていない、こういうことから地理的な制約があるのは確かであります。そしてまた、地続きであれば効率化できる部分が離島であるために効率化できない、こういう側面もあるんだと思います。  ただ、合併によって全くメリットがないかと、そう言いますと、そうでもなくて、やはり財政基盤の強化等におきましてメリットのある点も私はあるんではないかな、こんなふうに考えております。  もちろん、この市町村の合併の問題は、そこにお住まいの皆さんが自ら決定をし、そして自らが中心になってお進めになる、そういうことでありますが、それに伴います様々な相談につきましては内閣府としてもしっかり相談に乗っていきたいと、こう考えております。
  165. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ありがとうございます。是非、宮腰政務官、よろしくお願いいたします。  ちょっと時間の関係で、ちょっと地位協定のお話に移らさせていただきたいと思いますが、今日も朝からいろんな質問が出ておりますけれども、先ほどの外務大臣の御答弁によりますと、米国時間で二十四、二十五、つまり昨日と今日、交渉をしている最中であるという点、それから新聞で報道されておりました地位協定十七条の二、十七条に関しますこの二度目の運用改善についてはまだ正式合意に至っていないということでありますが。  それで、私、これ、質問というか要望にちょっとなりますけれども、これは昨年の七月の当委員会でも私言っているんですが、いつも、犯罪を犯した米兵の被疑者、特に凶悪犯罪ですね、この身柄を起訴前に日本の当局が拘束できないかと。米側は、アメリカ政府関係者が立会いであればいいかもしれないというようなニュアンスで今交渉しているんだというふうに理解をしておりますけれども。  いつも、報道でもそうなんですが、殺人と強盗というのが凶悪犯罪の例示でいつも出てくるんですね。昨年も私申し上げましたが、日本の警察庁の類別では凶悪犯罪というのは四つあるんです。殺人と強姦だけではなくて、強盗と放火も入っております。昨年の委員会では、海老原北米局長から、米兵が強盗や放火をこれまでに何件犯したかという数字出してもらいましたけれども、あるんですね、実際に。さらに、もっと言いますと、警察庁はこの四つの殺人、強姦、強盗、放火に加えて、略取誘拐、強制わいせつを加えて六つの犯罪を重要犯罪というカテゴリーにしているわけです。  私は、もし、まだ正式合意達成していないからいいんですよ、だけど、もし日米で交渉して、米兵で凶悪な犯罪、あるいはできれば、私が今申し上げたあと二つ、誘拐と強制わいせつ、この二つを加えた六つの犯罪についての被疑者については、やはり起訴前の身柄引渡しぐらいを要求しても、これは沖縄県の県民の感情としては当然ではないかというふうに思っておりますけれども、外務大臣、いかがですか。
  166. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 現在、二十四日、二十五と、アメリカで行われて、正に交渉が、いるさなかでございますので、ちょっと直接にそれとの関係で何か申し上げるということではございませんけれども、一般的な形で申し上げまして、これは好意的に配慮をする、好意的な、好意的考慮を行うといった犯罪類型、これはおっしゃった例示がなされているということでございますけれども。  政府の従来からの立場ですけれども、九五年の合同委員会の合意に、その他の特定の場合ということについて犯罪類型を明確化すべきであると、そういう立場を取っているわけでございまして、この点については刑事裁判手続に関する特別専門家会合の場で議論をしてきているということでございます。  それで、今行われている交渉、これについては、そのその他の特定の場合の議論を主要議題とするということではないわけでございますけれども、この今おっしゃった議論との関連、これを念頭に置きながら交渉には臨んできているわけでございます。
  167. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今回の交渉は法務省が入っていますから、恐らく法務省としては、米兵の被疑者だけに立会いを認めるということが、ほかの外国人犯罪者との関係もあって、非常に法的に難しい話になってきてしまいますから、余りこの今回の交渉の合意の対象にする犯罪の類型を増やしたくないという気持ちがあるのかなと。それは私、ある程度分かるんです。分かるんですけれども、ただ、これ日米地位協定で、しかも沖縄のことが、既に起こった事件とか事例を念頭にやっているわけですからね。ちょっとそこは配慮して、是非交渉していただきたいと思います。  最後に、これも外務大臣でいいと思うんですけれども、沖縄、地位協定の改定の話がよく出ております。政府としては、運用の改善でしっかり対応していこうというのが今の立場だというふうに思いますが、仮に、日米地位協定を見直して改定をしようと政府が決めた場合の手続は、どういう手続を想定されているのか、それを最後にお聞きしたいと思います。
  168. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 日米の地位協定の改定についての政府の立場は、よく今までも申し上げているとおりですので繰り返しませんけれども、したがいまして、運用の改善に努力をしているということでございますから、政府として、その地位協定の改定交渉の具体的な手続、これについて検討しているということではございませんけれども、一般的に申し上げれば、これは二十七条において、これについて書いてある、「いずれの政府も、この協定のいずれの条についてもその改正をいつでも要請することができる。その場合には、両政府は、適当な経路を通じて交渉するものとする。」というふうに書かれているということであります。  ただ、いずれにしても、先ほど申しましたように、政府の立場というのは、運用の改善をやっていく、それによって、その時々の問題に機敏に対応していくことが合理的であるというふうに考えているわけでございますので、今これについて具体的な手続の検討ということは行っていないということでございます。  それから、日米の間でもこの点についての認識というのは一致をしていることでありまして、先般、二〇〇二年の十二月にワシントンでいわゆる2プラス2を行ったときに、そこにおいて、閣僚は地位協定の効果的な運用が両国にとり重要であることを強調したというふうに両方で認識をしたということでございますので、運用の改善によってこの地位協定を、前の、運用を改善をしていくという考え方、これについてはアメリカも日本も認識を一にしているということでございます。
  169. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 終わります。
  170. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。私は、外務大臣沖縄北方大臣の所信に対して質問をさせていただきます。  私は、これまで泡瀬の干潟の問題、特別自由貿易地区の問題、名護の新基地の問題、いろいろとこれまでも取り上げてまいりましたが、今日は、今アメリカのブッシュ政権が世界的規模で進めております再編計画についてお尋ねしたい。その中で、特に普天間の新基地の問題、それから下地島の米軍の使用問題、この点について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  まず一つは、ブッシュ大統領は昨年の十一月二十五日に、世界規模の再編計画を進めているということを言っておられる。この中で、今回の計画はイラク戦争後の再編だと。特に、友好国や同盟国の完全な参加を促して今度の計画はやるんだということを言っておられます。  私、日本政府にこれ、外務省にお話聞きましたら、日本政府はこの方針に従いまして、一つは抑止力を維持すること、二つ目は地方公共団体の意向を考慮して対応するということ、この二つの方針で臨んでいるということを事前にお聞きしました。  そこで、私、まず三点についてまとめてお尋ねしたい。  一つは、まず、今度の再編計画に基づきまして、在日米軍基地、在沖米軍基地、こういうものの削減はあるのかと。  二つ目は、御承知のとおり、日米安保宣言で、アジアにおいては十万人の米軍体制を取るということが日米の安保宣言で合意されております。この十万人の兵力の体制の見直しと、こういうことはこの削減の中であるのかと。しかも、日本政府としてこういうことを要望しているのかと。  三つ目は、問題は日本政府の態度でありますが、例えば二〇〇四年の二月号の米海軍のプロシーディングという雑誌があるんですけれども、この雑誌の中で、米海兵隊の司令官のグレグソン司令官は沖縄の大変問題について触れておりまして、その中で、地方の自治体が国際貢献をやっている、沖縄の場合はやっているんだと。これ海兵隊が言っているわけですから私はそうは思っていないけれども、そういう国際貢献をやっているんだと。だから、地方の利益というものを大変重視しなくちゃいけないんだということを大変強調されております。  その意味で、沖縄のいわゆるSACOの合意、これに代わりまして更に一層の在沖米軍の削減というのはこの再編計画の中であるのか、そういう点については日本政府としてアメリカにしっかりと物を言っているのかどうか、この点についてお尋ねします。
  171. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 米軍体制の再編の問題について三つほど、三つといいますか四つでしょうか、お話がございました。  それで、これは冷戦終了後、世界をめぐる、世界における脅威、これがテロですとか大量破壊兵器ですとか、そういった形で、今までとは違ったより予測し難い脅威に変わってきているということがその背景にありまして、そういった脅威に対処し得るように適切な能力を最も適切な場所に配備をする、配置をするということが米軍の考え方、米国の考え方である、そういった考え方に基づいて軍事体制の見直しをやるということであると承知をしています。  それで、幾つかそれについて人数が、在沖米軍の人数が減るかとかお尋ねございましたけれども、これは今、米国は我が国を含めまして友好国、同盟国と緊密に話をしている、協議をしているということでございまして、日米間でも現在その話、協議は、お話はございますけれども、こういった、これは相手、米国もあることでございますし、今この具体的な内容について申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思いますし、また今何らかの形で見通しが付いているということでもないということでございます。  それで、我が国に対してのその基本的な考え方、これは先ほど委員が二つ、二点おっしゃられましたけれども、一つはその抑止力、これを効果的に維持するということであり、それとともに、沖縄を含む米軍施設・区域が所在する地元負担が十分に念頭に置かれるべきであるということでございます。  SACOの最終報告について、それに代わる何かを考えるのかどうかということですけれども、我が国として今SACOの最終報告実施をしていく、それによって沖縄県の御負担、これを減らしていくということが重要であるというふうに考えております。
  172. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、こういうふうな米軍が再編計画を進めているときに、日本政府としてはしっかりと物を言うべきだと思うんですよ。いわゆる在沖米軍のこの実態というのは、私は、先ほども自民党の委員の御発言を聞いていても、与野党一致して沖縄米軍基地は削減しなくちゃいけないと、みんなそう思っているわけですから、その点で私は日本政府としてしっかりとこういうときは物を言うと。特に、世界的な規模で今米軍が再編計画を進めているというのは非常に重要な絶好のチャンスだと思うんですね。  この点については私もいろんなこの研究ずっとしてきましたけれども、例えば米軍は、一回、七二年に関東平野、御承知の関東プランというのを進めまして、関東地区の米軍基地を大幅に削減したわけですね。これはもう御承知のとおりなんだけれども、私はそれに次ぐ再編が今度やってくるんじゃないかと思うんだけれども、そのときに物をしっかりと日本政府として言わないと、私はこういう削減の方向が取れないということを申し上げておきたいと思います。  そこで、幾つかお尋ねしますが、時間がないので大変簡潔にお答え願いたいんですが、グレグソンという、先ほど紹介しました米太平洋、米海兵隊の太平洋軍の司令官、このグレグソン司令官が、その海軍の、米海軍協会の雑誌で、いわゆる私がちょっと意訳、意訳というのは異なった訳じゃなくて意味を訳しますと、意訳しますと、まあ要するにお金がないんだと、米軍は。だから、なるべく自衛隊が管理した基地の中に米軍が入って共同使用をやるということが大変望ましいんだと。例えば、岩国で今やっている、キャンプ富士でやっている。お互いに米軍と自衛隊が一緒になって共同使用やって、飯を食い、訓練をし、戦闘能力を高めることは大変いいんだと。  つまり、共同使用化ということを非常に強調しておるわけですね。この点についての再編計画としては、そういう計画外務省は聞いておられるんですか。
  173. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 今、小泉委員がおっしゃいましたグレグソン米太平洋軍海兵隊司令官の記述につきましては我々も承知をいたしておりますけれども、このような個人的な記述につきまして我々特にコメントをする立場にはないというふうに考えております。ただ、今、三沢とか岩国の例もお引きになりましたけれども、このグレグソン司令官が言っております共同使用というものがどういうものであるのか、そもそもその定義というかですか、それもよく分からないということでございます。  もちろん今の三沢とか厚木の例は、いわゆる我々二四(b)と言っておりますけれども、地位協定の二条四項(b)に基づきまして、基本的には日本側のものを米軍が一時的に使用をするという形で米軍も使用しているというものでございますけれども、こういう形のものを言っているのか、あるいは全然違うものを言っておるのか、その辺も明らかではないわけでございまして、もちろん米軍の軍事体制の在り方、兵力構成につきましては日米間で非常に密接に協議を行っております。  これは、先ほど九六年の日米安保共同宣言をお引きになりましたけれども、この中でもこのような協議を行うということが明記されております。いろいろな協議は行っておりますけれども、このような共同使用というようなことについて具体的な提案を受けているということはございません。
  174. 小泉親司

    ○小泉親司君 もう一つお尋ねしたいのは、昨年の十二月三日、ワシントンの国際戦略研究センターで、フェイス政策担当の国防次官なんですが、この方が、在日米軍基地を含む海外基地の再編計画というのは、同盟国や友好国が自らの軍事力、戦略、軍事方針を現代的なものに変えるのを促進することにねらいがあるんだと言っておられます。つまり、再編計画というのは、単に米軍を削るというばかりじゃなくて同盟国の軍事力を増やすんだと、それを反映させていくんだと。  この点については昨年の六月二十六日の下院の国際委員会での証言でも、ラフルアー、国務省これは特使というのか、ちょっとあれは分かりませんが、その方がアジアの再編計画について聞かれておりまして、米軍の再編計画は日本の防衛計画に反映させる必要があるんだと言っている。  この点については、外務省もこういうやはり米軍の再編計画は日本の防衛計画に反映するということになるんでしょうか。
  175. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) これは、去年の十一月の二十五日の米国国防省高官によるブリーフィングというのがございまして、何点か挙げておりますけれども、その中で、同盟国及び協力国の役割拡大と協力関係の強化ということで、兵力構成の見直しは我々の同盟国や協力国とともに行うときのみ適切であると、米国が単独で実施可能ではないと、我々が見いだし、検証していく全世界的な防衛体制は同盟国がその役割を拡大することを助けることであり、新しい協力関係を築くことであるという原則を述べております。これは、同盟国、我が国は日本の同盟国でございますけれども、との協力関係を強化するという一般的な方向性を示したものであるというふうに我々は理解をいたしております。
  176. 小泉親司

    ○小泉親司君 先ほどの同僚委員質問でもありましたが、問題はやはり普天間を代替施設をどうするかと。例えば、名護の新基地という問題もあり、これができるまでに何とか移設しろというのもあり、もう名護はあきらめてどこかに移設したらどうだという意見もあり、これ様々出ていると。これ先ほど、質問してもまあお答えにならないでしょうから、その問題については我々もう一つ違う問題として質問させていただきますが、いろんな再編計画は進んでいるんだけれども、名護の新基地は具体的に今建設計画が進んでいる。  そこで私お尋ねしますが、昨年の十二月十九日の第二回代替施設協、この施設協で「普天間飛行場代替施設の建設に係る事業の進捗状況について」という文書が出されたと思います。  この文書の中には、まず前段に、十二月十一日に防衛施設庁の案というものがあるんです。この案というのはどういう中身になっているかというと、この元々進捗状況というのはどういうものかというと、新しい基地を建設するために海上と陸上に作業ヤードを造る。陸上の作業ヤードは三十一ヘクタール、つまり作業所を造るわけですね。海上のヤードは約三ヘクタールだと。この基地の中で、どういうことが書いてあるかというと、この中では大浦湾の中に海上ヤードと陸上ヤードを造るというのが十二月十一日の防衛施設庁の情報公開によって私どもが入手した文書の中には明確に明示をされておられます。  これは防衛施設庁、こういう文書が案として存在した、これはお認めになりますね。
  177. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) お答えいたします。  お尋ねの資料は、「(案)」と付されておりますように、第二回代替設備協議会の資料について防衛施設庁内部における検討の途上で作成された資料でございます。  同協議会において作成ヤードについてどのように説明するか検討していたところでありますが、点線部分の、点線等の部分を図示、図面上に表示することは、作業ヤードの場所等について陸域を含め今後検討することとしているにもかかわらず、あたかも作業ヤードの設置候補場所が図示した場所に限定されたものとの無用の誤解を与えるおそれがあることから、図示しない方が適切であると考え、これを修正し、第二回代替施設協議会の資料となったものであります。
  178. 小泉親司

    ○小泉親司君 外務大臣はこの代替施設協に参加されておられますが、この図面を見ておられますか。
  179. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 資料として配付されたものは見ております。
  180. 小泉親司

    ○小泉親司君 これは私インターネットで取った資料なんです。これは防衛施設庁の案の中の表示は一切ない。何でこういうことになるんですか。あなた方が実際に計画しているものの中にはちゃんと表示されているんですよ、大浦湾の中に。  あなたは何か誤解を与えると言ったけれども、これ自体見たって、どこからどこまでなんというのは正確には分からない。しかし、この区域だということは分かるんですよ。大浦湾の中に入れるということは分かる。しかし、代替施設協の中の文書には一切ないじゃないですか。こういうのを、何ですか、大臣にも知らせないで防衛施設庁やるんですか。大臣、これは私は代替施設協でこういう問題が議論されて、これで抜きなさいというんなら分かりますよ。つまり、代替施設協がこれはちょっと誤解を与えるから削りなさいというんなら分かるけれども、しかし全然大臣にも知らされないで実際にはこういう防衛施設庁計画が進んでいる。つまり大浦湾に表示された陸上ヤード、海上ヤードの建設が進んでいる。  これは私、大問題、重要な問題だと思うんですが、大臣いかがですか。
  181. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) 図示してある資料についてですけれども、それは会議の場では正式に言ったものではありませんで、会議の中では、作業ヤードについては既存陸域の利用のほか近傍海域に設置することが一般的に可能と考えておりますと。具体的な規模、設置法につきましては今後検討してまいりますが、仮に近傍海域に埋立てにより陸上ヤードを設置する場合の範囲は大浦湾西岸海域が考えられます。また、海底に捨て石等で設置する海上ヤードの設置につきましては、大浦湾の中域が考えられますということを口頭で説明したものでございます。
  182. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、こういう計画進めていて、大臣がそういうのを知らないというのは私は重要な問題だと思いますよ。実際に防衛施設庁ではこういうことをどんどんどんどん米軍と一緒になって進めちゃう。これは重大な問題だということを指摘しておきます。  もう一つだけ取り上げたいので質問させていただきますが、下地島空港の米軍使用問題。  二十一日に茂木長官は下地島空港に行かれた。私は後塵拝して二時間後に見させていただきましたが、そこで茂木大臣に私お尋ねしますが、この下地島は御承知のとおり米軍が三月二十日でしたか、失礼、三月二十日に使用している。これは在沖米軍のフィリピンでのバリカタン〇四という訓練にCH53輸送ヘリ四機、KC130の空中給油機、これが使用している。ところが、下地島空港というのは、沖縄復帰のときに屋良朝苗さん、当時の琉球政府の行政主席と、それから当時の総理府総務長官山中さん、この前お亡くなりになりました山中さん、それから運輸大臣の丹羽喬四郎さん、この合意がありまして、どういう合意かというと、運輸省としては同訓練飛行場を民間航空訓練及び民間航空以外の目的に使用させる意思はなく、また民間航空訓練及び民間航空以外の目的に使用させることを管理者である琉球政府に命令する法令上の権限を有しないということでどうかという屋良さんの回答がありまして、山中さんと丹羽さんの連名で屋良朝苗さんに、政府としては申入れの二項目については異存のないことを確認しますと、こういう取決めがあるんです。  そこで大臣、お尋ねしますが、もう時間がないので茂木大臣外務大臣にそれぞれお尋ねしますが、米軍の現在の使用はこの申入れ、いわゆる取決めについて反すると私は思いますが、まず茂木大臣から、続いて川口大臣、どうでしょうか。
  183. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) その前に、代替施設協議会の件でありますけれども、私も施設協議会の司会進行をやっておりまして、先ほど防衛施設庁の方から答弁ありましたような説明はしっかり受けておりますので、大臣が聞いていないと、そういうことはございません。大臣としてしっかり把握をしながら事業を進めていると、こういう形であります。  また、下地島空港の米軍の使用に関しましては、空港管理当局であります沖縄県と所要の調整を行ったものでありまして、民間機によります空港の利用への影響が最小限にとどめられると、こういう趣旨は体しているものだと思っております。
  184. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 外務省の立場をお話ししますと、米軍の航空機は地位協定の五条に基づきまして我が国の飛行場に出入りする権利を認められております。  ただ、実際の使用に当たりましては、米軍は民間機による空港の使用への影響が最小限にとどめられますように空港管理当局と所要の調整を行うということになっておりまして、御指摘のような事案につきましても、それぞれの空港の使用に当たり、このような調整が行われたというふうに承知をいたしております。
  185. 小泉親司

    ○小泉親司君 最後にちょっと一言だけ。
  186. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 時間が来ていますので、簡潔に。
  187. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、私は、この下地島空港の約束を地位協定の五条だからいけるんだというのは、私は後でしっかりやりますが、これは問題だというふうに思います。その意味で、こういう約束しっかり守って、私はこれは米軍使用はさせるべきじゃないということを申し上げて、委員長、済みません、これで終わります。
  188. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 大田でございます。  午前の質問で若干説明が必要なようですので、改めて質問させていただきます。  内閣府の沖縄大学院大学関連経費として二十九億百万円が計上されていますが、簡潔にその内容をお知らせください。
  189. 東良信

    政府参考人(東良信君) お答えいたします。  午前中の十六年度予算の委嘱審査の大田先生との質疑の中で、沖縄大学院大学関連経費に関する答弁につきまして数字等の若干の誤りがありましたので、訂正させて御説明させていただきたいというふうに思います。  沖縄新大学大学院関連経費全体では二十九億一百万円、このうち施設設計費、これが五億五百万円、それから環境調査等の設計調査費五億四千万円、それから先行的事業費十七億八百万円などとなっております。  以上でございます。
  190. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 昨年の十二月十九日に開かれた第二回代替施設建設協議会で、軍民共用空港の民間部分も含めて事業主体は防衛施設庁であるということになっておりますが、これは、防衛施設庁はどのような法的な根拠に基づいてこういうことになっているんですか。
  191. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) お答え申し上げます。  防衛施設庁は防衛庁設置法第四十二条におきまして、同法第五条第十九号に規定されている、米軍の使用に供する施設及び区域の決定、取得及び提供並びに米軍に提供した施設及び区域の使用条件の変更及び返還に関する事務を所掌することとされております。  同法第五条第十九号におきましては、施設及び区域の取得、提供に関することと規定されております関係で、施設及び区域の取得、提供そのものではなくても、これら事務を遂行する上で密接なかかわりのある事項もその所掌事務の範囲と考えておるところでございます。  お尋ねの民間区域でございますけれども、これは米軍の使用に供する施設及び区域そのものではございませんが、軍民共用空港として整備することが条件として求められているという経緯を踏まえれば、民間区域の整備なくしては、そもそも滑走路等区域及び米軍区域の整備ができなくなるわけでございますので、これを不可分一体のものとして処理することが必要不可欠と考えまして、民間区域の整備につきましては防衛庁設置法第五条第十九号に掲げる施設及び区域の取得、提供に関することとして当庁は所掌できると考えておるものでございます。
  192. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、建設が済んで後、その維持管理費というのは防衛施設庁負担しますか。
  193. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) 普天間代替施設の整備につきましては、これから環境影響評価の手続に入るわけでございます。
  194. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 端的にお答えください。
  195. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) 完成後の施設の取扱いにつきましては、これから関係機関と調整して取扱いを定めていくことになろうかと思います。  以上であります。
  196. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうすると、その維持費、維持管理費とか、予算面の解決も付かないまま工事を進めるわけですか。
  197. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 戸田施設部長、答弁は簡潔にお願いいたします。
  198. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) 軍民共用飛行場という形でこの普天間施設、代替施設の建設につきましては進めることで政府方針も決まっておりますし、基本計画という形でまとめられております。私どもはこういった方針にのっとってこの事業を進めてまいりたいと思っております。  以上です。
  199. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 大事なことですのでもう一遍確認させてください。  軍民共用ということで防衛施設庁が造るとおっしゃいますが、それじゃ、地方自治体に対して負担を付けるということはないわけですね。確認させてください。
  200. 戸田量弘

    政府参考人戸田量弘君) 代替施設のうちの民間専用部分の取扱いでございます。特に経費面についての取扱いでございますが、この取扱いも、今後関係機関との間で調整した上で取り進めていくことになろうかと思っております。
  201. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 国土交通省、いらっしゃいますか。──おいでになりませんか。通告したと思いますが。  それじゃ、茂木大臣にお伺いします。  先ほど同僚議員から、那覇軍港、失礼、那覇空港の沖合展開について質問がございまして、そのときに、需要がどれくらいあるかということも踏まえて考えなくちゃいけないというお話でした。  今の軍民共用の辺野古の空港というのは、民間の空港としての需要予測というのはできているんですか。
  202. 武田宗高

    政府参考人武田宗高君) 軍民共用空港の民間部分の需要につきましては、代替施設協議会の中で沖縄県の方から、日に六便、年間二十万人という数字が示されておるところでございます。
  203. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 年間二十万人というのは、政府がそれを容認しておられるんですか。  というのは、モノレール造るときに県からの要請で何回もやり替え、パーソントリップ調査を何度も何度もやり替えさせられたわけですが、それを容認されて工事を進めるというお考えですか。
  204. 武田宗高

    政府参考人武田宗高君) 代替施設建設協議会には国土交通大臣も御参加になっておられまして、県のそういった見通しについておおむね妥当なものという御発言があったと承知しております。
  205. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほど大臣、お二人の大臣外務大臣も含めてですが、心のこもった沖縄に対する思いをおっしゃっておられました。そのお言葉は非常に感謝するわけですが、実は正直申し上げて、沖縄が復帰して、先ほど引用された山中先生の言葉も含めて、これまで各大臣沖縄についていろいろといいことをおっしゃってこられたわけです。しかし、残念ながら、先ほど申し上げましたように、三十二年たって、今日依然として所得は全国最下位、失業率全国平均の二倍。それで、外務大臣も事あるごとに基地の整理、縮小をされるとおっしゃるわけですが、実はこの間の選挙で普天間を抱えている宜野湾市の市長選挙がありまして、その市長選挙で、五年以内に普天間を解決するということで公約をして当選した市長が出ているわけですね。この間の新聞報道によりますと、ラムズフェルドさんは恐らくそのことをよく知っていて、五年以内に問題を片付けようという、そういう報道がなされておるわけです。  大臣は、先ほどから、まだ決まっていないとか仮定の話は答えられないということをおっしゃるわけですが、なぜこの機会に日本政府は普天間を代替施設なしに返してほしいということを要求しないんですか。それこそが基地の削減につながるわけであって、普天間、今二千八百メートルですけれども、滑走路の長さが、SACOの最終報告では千三百メートルとなっている滑走路を二千メートルにして造ろうとしているわけですよ。そうすると、どうしてそれが基地の削減になるわけですか。ですから、その辺を是非しっかりと主権国家らしく言ってほしい。  私が先ほど外交防衛で北米局長に言葉の問題を申し上げましたね。シンパセティックという言葉について申し上げたのは、あれ前にも質問しましたが、同じ答えをされたわけですが。私が質問した意図は、もう少し外務省は、本当に沖縄の人々の気持ちを考えるのでしたら、本気になって取り組んでいただきたいと。我々は同情を買おうとしているわけじゃなくて、日本の平和と安全を守るために日米同盟が必要だと言うんだったら、平等にその責任と負担を負うべきですよ。そういうことをしない。これ、先ほど西銘さんが話があったボリビアの移民、あれは基地を造るために追い出された農家の地主たちが集団でボリビアに棄民される形で送られたわけですよ。そういうことを踏まえると、本気でもっとやっていただかないととても納得できません。  終わります。
  206. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 沖縄米軍基地に関することで質問したいと思います。  防衛施設庁は、米軍普天間基地の代替として新たな米軍航空基地沖縄県名護市辺野古の沖合に建設しようとしているわけですね。しかし、ここは天然記念物で国際的にも保護されているジュゴンの生息する自然豊かな海なんですね。環境については、政府は環境アセスを実施して影響の出ないように配慮すると言っています。しかし、実際には調査と称して環境アセス前に六十三か所にも及ぶ海上ボーリングを行おうとしているわけですね。これだけでももう広範囲な環境破壊が起きるということは確実になっています。  また、先ほどもほかの委員から質問ありましたように、最近になって基地建設に伴って隣接する大浦湾の海岸を約三十一ヘクタールも埋め立てるということが判明していますね。この大浦湾の海底というのは、石垣島の白保海岸、あそこにありますアオサンゴ群落にも匹敵するような大変規模の大きいユビエダハマサンゴというものの大群落が発見されている場所なんですね。大浦湾の埋立て工事がこのサンゴの大群落に大きな影響を及ぼすことは、これは疑いがないことなんです。  防衛施設庁にそこでお尋ねしますけれども、環境アセスを実施する際、大浦湾の埋立て工事対象とするのかどうかということでお聞きしたいんです。
  207. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) 現在、陸上ヤードにつきましては、陸上の利用により確保することを含め幅広く検討しているところであり、具体的な設置場所や設置方法についてはまだ決まっておりません。  代替施設建設に係る環境影響評価につきましては現在方法書を作成しているところでありますが、仮に仮設ヤードを埋立てにより設置することとした場合も含め、代替施設建設の環境影響評価を適切に実施していく考えでございます。
  208. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 確認しますけれども、基地を建設する、そこだけじゃなくて、そのために準備のための場所を埋立てするということはあるわけですから、そこのアセスも、環境アセスもやるというふうにお答えしたと思っていいですか。
  209. 河野孝義

    政府参考人河野孝義君) そのとおりでございます。
  210. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 その件に関してはちょっと安心しましたけれども、今度、外務大臣にお聞きしたいと思います。  現在、米軍は世界的な再編成を実施しようとしているわけですよね。この件に関する質問もたくさん出たようですけれども、沖縄にいる海兵隊というのも例外ではないと思いますね。あそこにあれだけたくさんの海兵隊がいて、そのための広い基地があったということは、基本的には冷戦構造という条件の中で配備された形ですから、当然、冷戦構造が崩れていけば戦略というものも変わっていくと。  いろんな形で米軍は世界戦略の大編成を変えようというふうにしていますけれども、ブッシュ政権になってからそれが非常に激しくなってきたわけですね。ですからいろいろな意見が出ている、下地島移転とか普天間の統合とか、アメリカの中でもいろんなアイデアが出ているという状況です。その中でも、海兵隊というのはもう本国に戻そう、あるいはグアム島へ移そうということも政府の中で出てきていると。いずれにしても何かが大きく変わろうとしていることは確かだと思うんですね。  現実的に、沖縄にいる今の海兵隊というのはアメリカの軍の戦略から見るとさして重要性がないと、むしろ横須賀なんかの方が現実的には戦略的な重要性があるというのが軍事専門家たちのおおよその見解なわけですよ。そうすれば、もし沖縄から海兵隊が日本の国外に再配置されるというような方向になれば、普天間基地など沖縄県内基地の面積にして七五%の返還ということが期待できるわけですしね。  しかし、どうも日本政府は海兵隊に出ていかないでくれと懇願しているような、そういう印象を受けるわけなんですが、これはなぜかよく分からないんですね。つまり、今までそうなっていたんだからとにかくずっと余り帰らないでいてくれというふうな戦略なき意向のように思えてしようがないんですね。  沖縄自立経済を進めると、これが一番重要だと言っているんです。そのためには早く基地依存から脱却しないと、これできないと思いますね。ですから、こういう時期こそ日本政府というのは積極的に米政府へ、日本国外、国外へ海兵隊を再配置してもらいたいという要求を出すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  211. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 沖縄から海兵隊がなくなっていいかどうかということを考えるときに重要なことは、我が国をめぐる国際環境において脅威が存在しなくなったのかどうかということを考えるということであるというふうに思います。  それで、その点を考えてみるということですけれども、確かにブッシュ大統領がこの軍事体制について見直すということを言っている背景には、冷戦が終わって、その後、その脅威の在り方に国際的に言えば変化がある、テロ、それから大量破壊兵器の不拡散といったことが重要な問題であって、それにどのように対応すればいいかという新しい課題があるということであると思います。  じゃ、その点についてアジアではどうかということにつきまして、これはアジア地域を見ると、冷戦を終了後、冷戦終了後も引き続いて非常に複雑で多様な要因を背景として、この地域には脅威が引き続きある。まあ地域紛争もあります。大量破壊兵器、ミサイルの脅威もあるわけでございまして、依然として不確実性、そして不透明性があるということであると思います。  それで、我が国が自らの自衛力を持って我が国を防衛をする、自衛をするということが、それだけであっては自分の、日本の安全が脅かされるようなあらゆる問題に対して対応ができないということである以上、日米安保体制を、これを堅持をして、それで米軍の前方展開、これを確保して抑止力に、その抑止力によって脅威に対処するということが必要である、これが日本の安全を確保するために必要であるというふうに我々は考えているということでございます。  それで、米軍沖縄に駐留をする海兵隊でありますけれども、これは高い機動力があり、高い即応性があるということでございます。そして、そういう意味で在日米軍の重要な一翼を担っているということであって、我が国と極東の平和と安全に寄与しているということであります。それで、もちろん先ほど来申し上げていますように、こういった体制を取ることの負担沖縄県、沖縄県民の方々の上に重くのし掛かっているということについては我々は十分に認識をしているわけです。  したがいまして、今度のそのトランスフォーメーションといいますか、軍事体制の見直し、これをするに当たって、これについて米国と協議をするときに、我が国の基本的な考え方として、一つは効果的な抑止力を維持をするということ、それとともに、沖縄県を含む地元、施設・区域の存在をする地方公共団体、この御負担を十分に踏まえていくということであるわけです。
  212. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 私はそういう質問をしているんじゃないんですよ。  脅威というのは、時代とともに、いろんな勢力関係の変化とともに変わっていくわけですよ。ですから、沖縄にあれだけ海兵隊がいるということが抑止力になるかどうかというのがアメリカ自体がもう問題にしているわけなんですよ。そういうことを考えないと、あそこに海兵隊がいれば何か役に立つというような考え方というのは余りにもアマチュアらしくてちょっと外務大臣としては見識に欠けるんじゃないかなと。もっと戦略とか戦術というのはプロフェッショナルなものなんですよ。効果のないものであれば、それはなくなるわけですよね。
  213. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 時間が来ておりますので簡潔にお願いいたします。
  214. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 正に今の御質問の点についてお答えを申し上げたということでございます。
  215. 中村敦夫

    ○中村敦夫君 もうやめます。
  216. 谷林正昭

    委員長谷林正昭君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会