○
山本正和君 非常に、これは
我が国の憲法というものから考えたら、この法案は自己矛盾しているんですよ。私は、本当からいえば、この法案は
我が国が戦争行為が行われると、行い得るというときにこの法案は作られるべきものだと思う、本来からいえば。だから、本来からいうならば、
政府・与党は、どうしてもこれやるんなら、堂々と憲法改正をして、きちっと、それから
国民に提案すべきだと私は思うんですよ。これは、ちょっともうそれ以上言うと差し障りあるから言いませんけれ
どもね。本来からいうと、それをどうしても
国民が分からないままに次から次になし崩し的に行くことに対する
国民の強い懸念があるんですよ。堂々と、
政府は今の情勢はこうです、こうですということをどんどん言えばいい。言わずに、だからこの非常
事態、
武力攻撃事態という問題についても、本当に
国民の間に実感があるかないかと、私、この前から何遍も言ったんですけれ
ども。
だから、例えばミサイル、
国民の間にある一番怖いと思っているのは、ミサイルが来ると怖い。その次は、拉致問題に示されるように、よその国がやってきて勝手に
日本の国に上がって、かわいい
自分たちの子供たちを連れていかれると、
国民を連れていかれると、こりゃかなわぬと。それからまたもう
一つ怖いのは、こっそりやってきて、武装集団、あちこちにやって、武力蜂起すると。ちょこちょこちょこやってくる、
テロに殺されると、これは怖いと思っていますよ。しかし、
我が国に対して武力でもって、戦艦を並べて、船団を並べて攻めてくるということは、
国民はほとんど考えていませんよ、現実、
日本国民の大
部分は。だから、
国民の不安に
対処するというならば、したがって、そういう大艦隊でもって
日本に上陸して沖縄戦のことをやるということは、想定している
国民はまずいないと思う。また、現実問題として
防衛庁がいろんな
検討をしても、そういう
我が国に対して、もうそれこそ何十隻という沖縄戦のような大変な艦隊がやってきて
我が国を占領するという
事態を、恐らく
防衛庁は考えていないと私は思う。
だから、
我が国を守るということはこういうことですということをはっきりと示して、それじゃその中で、例えば地下鉄でサリン事件があったと。同じように確かに爆弾を落とされたらどうするかと、
対処しましょうと。あるいは、ひょっとしたらおかしな者がやってきて
テロをやるかもしれぬ、それにはどう
対処しましょうと。こういうことを、本当に
国民が心配している
部分に対して
国民を
保護するための法案として出すんならば私よく分かるんですよ。しかし、本土上陸して決戦するまでも含めた法案だと言うから戦争を知らない子供たちが作った法案だと私は言うんです。やっぱり
国民に対してもっときちっと分かるようにしてほしいと思いますね。
だから、今例えば、今、恐らくミサイルについて
国民から質問があったら
防衛庁長官の今のような御答弁しかできないと私は思う。それが精一杯だと思う。しかし、本当からいえば、ミサイル攻撃来たら基地たたく以外ないんですよ、つぶすのは、あんなものは。だから、そんなこと含めて正直な話をやっぱりしていただきたいと、これが第一点です。
その次に、これもどうも机上プランのような気がするもんだから、住民避難の問題ですよ。
我が国もかつて戦争をした。私は当時、終戦当時、中国の東北におったですよ。東北の関東軍の中に巻き込まれておった。そのときに軍は何をしたかと。一切、当時百万人からおった
日本人ですよ、女、子供、年寄り、皆おる。若い者は全部兵隊に取られていく。女、子供、年寄りを全部ほったんですよ、
我が国の関東軍が、満州で。塗炭の苦しみに遭って、何十万という者が本当に苦しみに遭っている。戦争というのはそういうものなんですよね。
だから、住民を避難させるということは大切なことです。満州でももしあれ、住民の避難を
軍隊が整然とやっておれば、あるいはソ連ときちっと戦って、交渉をしているんですから、本当からいえばね。ソ連という国はあれはまたむちゃくちゃしたですよ。千島へ攻めるときでも、樺太でも、もう戦争終わっているのに片っ端から殺すんですよ、人間を、
日本人を。戦争というのはそんなものなんです。
だから、住民を避難すると、こう書いてある。そして、それには国の本部から知事なり市町村長なりと連絡取りながら云々とずっと書いてある。しかし、私は、そう言いますけれ
ども、この
法律がなくても過去の例がある。
我が国が領土として持っておった硫黄島、サイパン、ここは戦争の激戦の中に入った。サイパンでは住民まで全部死んだですよね。そして、硫黄島では住民は避難された。その避難の
計画なり、どういうふうにしてされたか、この法案を作るに当たって
検討されましたか、どうです。