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2004-06-03 第159回国会 参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月二日     辞任         補欠選任      有村 治子君     小林  温君      井上 哲士君     吉川 春子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         清水 達雄君     理 事                 田村 公平君                 常田 享詳君                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 若林 秀樹君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 大野つや子君                 小泉 顕雄君                 小林  温君                 後藤 博子君                 西銘順志郎君                 野上浩太郎君                 福島啓史郎君                 藤野 公孝君                 三浦 一水君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 池口 修次君                 岩本  司君                 神本美恵子君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 高橋 千秋君             ツルネン マルテイ君                 平野 達男君                 森本 晃司君                 山口那津男君                 吉岡 吉典君                 吉川 春子君                 大田 昌秀君                 山本 正和君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣     井上 喜一君    副大臣        総務副大臣    山口 俊一君        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣官房内閣審        議官       大石 利雄君        内閣官房内閣参        事官       戸谷 文聡君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁防衛局次        長        山内 千里君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        消防庁長官    林  省吾君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省欧州局長  小松 一郎君        外務省条約局長  林  景一君     ─────────────   本日の会議に付した案件武力攻撃事態等における国民保護のための措  置に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国軍隊  の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態における外国軍用品等海上輸送  の規制に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間に  おける後方支援、物品又は役務の相互の提供に  関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間  の協定を改正する協定締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約  の国際的な武力紛争犠牲者保護に関する追  加議定書議定書Ⅰ)の締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約  の非国際的な武力紛争犠牲者保護に関する  追加議定書議定書Ⅱ)の締結について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二日、有村治子君及び井上哲士君が委員を辞任され、その補欠として小林温君及び吉川春子君が選任されました。     ─────────────
  3. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案外九案件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 民主党ツルネンマルテイです。今日の民主党の持ち時間は百分です。そのうち最初の七十分、私は質問させていただきます。そして、残りの三十分を同僚委員岩本委員質問をすることになっています。  質問に入る前には、担当皆さんの本当に御苦労さまです、答弁の御苦労さまです。連日の答弁は本当に大変だと思っています。大臣仕事も簡単な仕事ではないと。昨日も、五時間、私たちはここに座っていて、私たち委員が交代で質問に立ちますけれども答弁はずっと最初から終わりまで座っていますから、本当に御苦労さまです。しかし、この今私たち案件になっている法案、七法案と三条約は本当に国民にとっても皆様にとっても大切なものですから、決してこの審議は無駄ではない、そしてまだまだ足りないと私たちも思っています。だから、今日も皆さんで力を合わせて頑張りたいと思っています。  私は、今日は質問したいことを大きく分ければ二つテーマがあります。最初テーマは、日本有事についてですね。もちろん、周辺事態対策も非常に大切ですし、そしてこの七法案にもそれも関連していますけれども、今日は特に日本有事について、最初のうちは井上大臣には質問させていただきます。そして、終わりの方では多国籍軍、特にそれに日本関係がこれからどうなっているか、そのことについては関係大臣には、担当大臣には質問させていただきます。  しかし私は、この有事法制そのものは、日本にとってもどの国にとっても本当に大切なものだと私も思っています。長い間日本にはそういうものはなかったんだから、やっとそれはできるようになっている。そして、私たち民主党賛成方向で、もちろん修正案も出しましたし、そしてそういう姿勢で今この審議を進めています。  しかし、私たち賛成と言っていても、もちろんこの法案には、法律案にはまだたくさんの問題が残っています。もちろん、私もこのわずかな時間ではその幾つかの問題を提起して質問させていただきます。そして、恐らく今までも私たち同僚委員たちの方からもちょっと似ているような質問もあったかと思いますけれども、やはり私は元外国人ですから、ちょっと違った角度から、同じ質問でも、同じ課題でもちょっと指摘したいと思っています。それは思うとおりにいくかどうか分かりませんけれども、そういう意味でもやってみたいと思っています。  私の最初質問は、この有事法制役割についてです。  私たちは、私たちは既に知っていることは、大きく分ければこれには二つ役割があるかと思います。一つは、有事が発生したときの対策、例えば避難避難とか被害を受けた国民をどのように助けるかとか、これはもちろん一つの大きな役割であります。それについてはたくさんのいろんな質問がここではもう行われています。ただし、もう一つ役割は、ひょっとしたら余りまだ審議されていない面もあります。それは、この有事防止の面ですね。未然防止という言葉も使っていますね。有事未然にあらかじめ防ぐことということですね。  ここでは決してふさわしい例じゃないかもしれませんけれども、例えば核兵器を保有している国は、自分たちは保有していることを正当化するためには核抑止力という言葉を使っていますね。私は核兵器には反対ですけれども、そういう意味一つの同じ役割はこの有事法制にもあるんじゃないかなと思います。つまり、それを抑止する抑止力ということですね。  しかし、具体的にはどういう、今までなかった法律ですから、これからはこの面のこの役割について、つまり攻撃されない環境を作ることにこの法律は施行された後はどのように役に立つか、そのことについて、まずちょっと井上大臣質問、お願いします。答弁をお願いします。
  5. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) このたび提案いたしております法律案は、武力攻撃があった事態あるいはそれが予測される事態対応する、対応しまして国民をいかに保護をしていくか、国民をいかに守るかという、それを主眼に置いた法律案でありますけれども、しかし、今御指摘になりましたように、そういう戦争が起こらない、そういう武力行使事態に至らないような状態にするということが、これはもう何よりも大切であることは言をまたないわけでございまして、そういう意味では、国際的な、戦争が起こらないそういう環境を作っていくということは大変大事なことだと思いますし、日本としても、外交面におきまして、あるいはその他の面におきましてそういうような努力をしていく。つまり、紛争が起こらない、武力行使が起こらない、結果として日本に対する武力攻撃がないような事態を作っていくと、これはもう大変大事なことだと思います。  これは、単に法律整備していくということだけではなしに、法律整備も必要です。今までなかったこういう面についての法律整備をしていくことは当然必要でありますけれども、その法律を作ることと並行しまして、今抑止のお話なんか出ましたけれども抑止の力を持っていく、あるいはそのために同盟国安全保障につきましてのしっかりした関係を作っていくことも必要でありましょうし、さらにその前には、私、最初に申し上げましたように、国際的にそういったことが起こらないような、これはどっちかといいますと外交ですね、外交努力というのも必要だと、そんなふうに思います。最もこれは基本でしょう。一番大事だと思います。
  6. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 私は、これをなぜ聞きましたかというと、ちょうど英字新聞のジャパン・タイムズの社説には、五月三十一日にはこれに対するコメントというか、ことがありました。ここは非常にこれをそういう面で抑止力の方がまだ十分審議されてないと、外国人たちの目でそういう指摘もありますということで、私たちは、各党とかあるいは政府ももちろんこれを認めていますし、今言われたように、その抑止力の面も私たちは分かっています。しかし、同じような意味で、一般国民の中でこれを見てない人たちも残念、残念というか、理解されてないんだからあるということです。  私は、たまたま今は自分の手に持っている一つの小さな本があるんですよ。この本が恐らくすべての国会議員の事務所に配付されていると、少なくとも私のところにこれは持ってこられるときはそういうふうに言われたんですね。受け取ったかどうか分かりませんけれども。この名前は「戦争のつくりかた」という本ですね。これの主な内容といえば、今の法律日本人に戦争の作り方を教えているということでありますね。私はこれには、今もさっき分かったように、私はその内容には賛成しません。しかし私は、これを指摘したいのは、かなり多くの市民団体がこの法律をそういう目で見ているときもあるんですね。  たまたま昨日は私たち同僚大田委員の方からもこのことについて、戦争ができる国になるおそれがあるという指摘野党の中でも反対の面でもそういうこともあるんですね。  私たちのところに、民主党支持者の中でも、この法律には厳しく反対している人も結構いるということは私たちも分かっています。民主党賛成方向に向いているということでは、非常にそれに抗議のメールも私にも毎日のように来ています。絶対これを廃案に追い込んでほしいという意味ですね。  私は、ここで、ちょっとこれは通告していないんですけれども、こういう一般市民の、あるいは野党の中でも一部もちろんそれはありますから、そういう声を私たちはやはり無視してはいけないと思うんですね。だから、彼らに対して、私たちは、もちろんここは審議されていますけれども、何らかの形で、そうじゃないよ、これで、どっちかというと、どっちかというと明らかに国を守るために、国民を守るための法律であるということを理解してもらうためには、何かそういう方法政府の方で考えているか、井上大臣の方から、ちょっとそこの、考え方だけでも結構ですから。
  7. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 日本の場合は、安全保障の問題をイデオロギーの問題としてとらえまして、有事に備えるというようなことは即これは戦争につながるんだと、こういうことで、そういったことを主張する方がおられる、これはよく承知をいたしております。  しかし、私が今回のこういった有事関連法案国会に出しておりますその趣旨を十分理解をしていただいていないと私は思うんでありまして、そういう意味におきまして、この内容につきましてのPR、これは法案提出までに、ここで度々お答えをしておりますように、知事会でありますとか、あるいは市長会とか、町村会あるいは関係の機関に、これまたホームページなどによりまして一般国民に公開はしているんでありますけれども、それが十分な形で理解をされていない、あるいは読まれていないと思うんですね。情報が達していないと思うんでありまして、こういった努力は、法案が仮に成立いたしました場合も、もっともっと理解を深めるための努力政府あるいは都道府県を通じましてしていかないといけない、そういうことだと思います。  さらには、訓練なんかも、国民保護のための訓練避難訓練なんかがございますけれども、そういった場合なんかにもこういった措置必要性につきまして十分に説明をしていかないといけないと、そんなことだと考えております。
  8. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 例えば、そのホームページはもちろん興味を持つ人は読めばかなりいろんなことが分かりますしね。防衛白書もありますけれども、昨日も何か答弁の中で、それは二万部ぐらいしか売れていないとか、だから、それは本当にもう限られた人しかそこから手に入れませんけれども。  例えば、こういう簡単な内容は、ちょっと違うように理解してもらうために、有事法制はこういうものです、漫画でもいいから、そういうことは後で、考え方ありますか。
  9. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは先生指摘のように、漫画みたいなものでなきゃいかぬだろうということで、政府といたしましては、国民保護のための法制ってなんだろう、という漫画を作りまして、これもまあ赤塚不二夫漫画みたいにぎゃぎゃぎゃと笑うようなものではございませんから、内容自体がシリアスなものでございますのでそんなにたくさん読んでいただけるかどうか分かりませんが、議論議論を重ねて、どうすれば分かりやすいだろうかという工夫はいたしております。多分先生のお部屋にもそういう漫画が届いておろうかと思います。お読みをいただいて、どうしても正確を期そうと思いますと文字が多くなってしまいます。かえって、分かりやすさに努める余り正確性が失われてもいけませんが、なるべく見て分かるようなものをやらなきゃいかぬだろうと。  もう一つは、講演みたいなもので、私、昨年の夏だったと思いますが、中学校に呼ばれまして、有事法制講演をしてくれと言われました。中学一年生から中学三年の子供たちであります。そこで、先生おっしゃるように、有事法制というのは、要は、仮に我が国侵略してきたような国があった場合にどうやって国民被害を最小限にするか、そしてどれだけ迅速に自衛隊が出られるかという法律なんですと。逆に言えば、有事法制がなければ、侵略があっても自衛隊はなかなか出られない、そしてまた国民もすぐに避難できないということになれば、それじゃ一丁やってみようかという国が出るだろう。しかしながら、侵略を加えても自衛隊はすぐに出てくる、国民は迅速に避難するということになれば、やったって意味がないじゃないか、そういうことも抑止力になるんですよというような話をしたら、ああ、そうなんですか、街頭で有事法制戦争参加法案だと言う人がいたから、僕そうかなと思っていたら、話を聞いたら違うんですねという答えが随分とありました。  これは、おっしゃいますように、私どもは、反対される側のお立場に立ってきちんと理解をしていただくような、そういう議論はしていかなきゃいかぬのだろうと思います。私ども戦争をするための法案ではなくて、どうやって国民犠牲を最小にするかということを考えたものであり、向こうが仮に万々が一にも攻めてきたときにどうするかということであって、こっちが攻めていくというものでは全くないんだという御理解をいただくための努力は、今後も政府全体としてしていかねばならぬことだと思っております。
  10. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 この質問はこのくらいにしたいと思いますけれども、私の提案でも、その漫画の、あるいはもっと分かりやすいもの、例えば学校までもう配布していってもいいんじゃないかなと思います。私たち母国フィンランドでは、やはり国の防衛に対して学校教育にもかなりそれは入っていますから、そうすると、やっぱり小さいときからこれは本当に、本当の意味はどこにあるかということを、そういうことも一つ方法じゃないかな。ただ、何万部じゃなくて、もう本当に子供たちの手にも入るように工夫してもいいんじゃないかな。これはもう質問しませんけれども。  次の質問に入らせていただきます。これも井上大臣にお願いします。  緊急事態基本法骨子ができましたね。骨子だけですね、まだこの法律の中に入っていない。その中と、あるいは有事一般にもこの緊急事態の定義がありますね。これは恐らく、その骨子だけではなくて、一般にも当てはめることできるんですね。  その中では、この有事事態を大きく分ければ三つの役割があると書いてありますね。一番は、我が国に対する外部からの武力攻撃、昨日もこれもよく出ましたよ。外国軍隊が攻めてくることとか、あるいはミサイルとか、飛行機によって空から爆弾落とすとか、こういう昔のような戦争一つ。そしてもう一つは、テロリストによる大規模攻撃ということ。三番目は、これは以前からもあった大規模自然災害に対する対策というのですね。  この中では、質問ですけれども、この自然災害を別として、一と二の、つまり大規模外部からの攻撃テロリストによる攻撃、どっちの方が今は可能性が高いか。これには昨日も答弁がありましたけれども、ちょっと先にそこから行きますから、繰り返しこれを、昨日は確かに防衛庁長官答弁したと思いますけれども井上大臣の方から、どっちの方が起こり、起こる可能性が高いと思いますか。
  11. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) あらゆる、何といいますか、事態対処するということを常に考えてその準備をしておく必要はありますけれども武力攻撃そのものテロということですね、テロ。  どちらかといいますと、今の時点ではやっぱりテロの方がどうも起こりやすい可能性が高いということだと思います。国際的な状況も見ましても、そういうような新しい状況があると思うんですよね。日本も決してそういう中で例外的な位置にいるわけではないと思います。テロにつきましては、もう今のところはやっぱり最重点を置きましてその対応を考えていかないといけないところだと思います。
  12. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 やはり私もそう思いますし、一般にもそう言われていることですね。  そうすると、このテロに対する防止というか対策が、あるいはそれは十分ではないと思います。私はどっちの対策の方が不十分かと聞いていますけれども、もしこれはまだ不十分と思っているんなら、例えばどういう意味では、私は思いますけれども、まず、それは不十分かどうか、このテロに対する対策というのはそれはもう十分であるかどうか。そして、もしなかったら、どういう点では私たちはこれはまだまだ足りないということ。ちょっと二つ質問入っていますけれども、その備えですね。
  13. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 政府といたしましては、これが不十分だというところは、それぞれのその時点においてはないと思うんですよね。その時点では考えられる最も有効な対策を考えていると思うんでありますけれども、今我が国として制度的に欠落しているというのはやっぱり法律整備の面だと思うんですね。  それは、このたび私どもが提案いたしましたけれども衆議院の方で民主党も参加していただきまして、特に民主党の方の御意見を入れまして、この緊急非常事態に対する関連修正をいたしました。こういうような修正ですね、テロが起こった場合にどう対処するのか、あるいはその場合にどういうような保護措置を取るのかということでありまして、これが一番今欠落している部分だと思いますので、これは法案が成立いたしますれば制度面対応ができると思うんです。  問題は、だから実際に、それではテロに対してどう対応するのかということですよね。制度面は一応整備されたと。それが現実にどうなのかということでありますが、今までの状況を見ますと、もう御承知だと思いますが、阪神・淡路の大震災がありまして、これ以降、こういった緊急非常事態に対する国の対応というのは大変整備されてきていると私は思います。  例えば、今ですね、緊急事態が起こりますと、官邸の方にまずは局長クラスの人間が集まってきて協議をする、あるいは場合によってそれを閣僚に上げていくようなその体制もありますし、テロ対策としてどういうことを今考えてやっているかといいますと、一つは、出入国関係強化ですね。それから、情報収集分析、あるいはハイジャックの防止でありますとか、あるいはNBCテロへの対処強化をしていくとか、あるいは国内の重要施設についての警備だとか、あるいはテロ資金対策を、取り締まっていくと、資金を取り締まっていくというようなことですね。  今やっておりますが、やっぱり私は基本でありますのは、やっぱり情報収集だと思うんですね。情報をきっちりと収集をして分析をして、その結果、的確な対処をしていくと。これが基本だと思うんでありまして、これはもうこれで十分だということはないわけでありまして、常に充実するような、そういう視点でもってそういう体制強化をしていく必要があるんだろうと、こんなふうに思います。  今の時点でここが欠陥だということは特に申し上げるところはないと思うんでありますけれども、常に本当に十分なんだろうかというような視点でもって対応していかないといけない、そういうことだと思います。
  14. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 私は、一つの大きな不十分な点が、欠陥があると思っています。それは今の答弁には入っていなかったんですけれども、いわゆるこのNBC攻撃、NBC攻撃というのはこの英語の頭文字でありますけれども、生物兵器、生物剤ですね、化学剤とか核兵器ですね。これは恐らく、もし、どういう形でテロが起こるか私たちはもう推定しかできませんけれども、こういうのが起こった場合は、その一つの例はサリンの事件であるんですね。  だから、こういういわゆるNBC攻撃が起こったときの備えというのは本当に私たちにあるかどうかということをですね、後でちょっとこれは私は訓練の方でもまだちょっと指摘したいと思いますけれども、これに対する備えに対して、例えばこれは湾岸戦争のとき、十年前ですか、例えばイスラエルはそのミサイルによって毒ガスが落とされる。そうすると、もうほとんどの国民にはガスマスクを用意したりとか、あるいはそれが起こったときは必ず窓を閉めたりとかということ。あるいはアメリカの方では多発テロの後に、ちょっと詳しく今は調べていないんですけれども、郵便で不審物な、粉のようなものが、いろんな送られてきたんですから、それに対してどうするかということとか。  それから、こういうNBC攻撃に対して今は政府は何か備えを考えているんですか、これをちょっと、はっきり通告しなかったんですけれども関連ですから。
  15. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) NBCにつきましては今、自衛隊でありますとかあるいは警察でそのための対策の組織というんですか、部隊を作りまして対処するようにしているんでありますけれども、まだ国民レベルにまでその対策が下りているという今状況ではないと思います。そういう点では、確かにこれ自衛隊もあるいは警察の方も、もっともっとやっぱりそういうNBC対策強化をしていく、その部隊を充実していくことはもちろんでありますけれども、更に加えまして、国民レベルにまでそういった面についての教育というんですか、さらにはその対策ですね、そういうことをやっていく必要はあるというふうに思いますが、ちょっとこれはやっぱり順序を踏んでいきません、一足飛びにいきませんので、そういう方向を目指して努力をしてまいりたいと、こんなふうに思います。
  16. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 備えの一つで、もちろん簡単ではないし、どういう規模で起きるかということも分からないんですけれども、やはりこれも私たちも真剣に考えなければならないと思います。  それに、ちょっと後で訓練のところで触れますけれども、その前には、四番目の質問では、私から見ればこういう、さっき私は紹介した、こういうのもその中の一つの例ですけれども一般国民の中では、こういう武力攻撃とかに対する、有事に対する危機感が非常に薄いと私は見ています、特に若い人たちの中では。もちろんこういう私たち法律審議は報道されているんですけれども、それも読んでいる人は少ないと思いますね。それで、仮に、ある程度は自然災害、地震とか台風とか、それに対する危機感が、心配があるんですけれども有事に対するのは非常に薄いんじゃないかなと思いますね。  例えば、そういうのが起きたとしても、自衛隊が何とかやってくれるでしょうし、あるいはアメリカの軍隊日本にいるんだから一緒に何かやってくれるでしょう、そういう考えが、政府が何かやってくれるでしょう、自分たちには特に関係ないというふうなものは、これは日本では、母国は、フィンランドは、私も、フィンランドは徴兵制度もあります。私は、日本に徴兵制度いいかどうか、それは別としては。私たちはもう少なくとも一年間そういう訓練を受けているんですから、そうすると、一般国民もやっぱり危機感が、どんなに恐ろしいものが起こり得るかということが分かっているんですね。これは、日本ではやっぱり別な方法で考えなければならないと思うんですけれども。  私のお聞きしたい質問は、こういう危機意識を高める必要があると私は思います。もし、そう、あるいは関心を持つように、このためには何か、どういう方法が一番効果的か、一番考えているか、お願いします。
  17. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 北欧の国なんかは、やはり自分を守るということ、あるいは自分の国を守るというのは、これはもうみんなで守るんだという意識がやっぱりあると思うんですよね。国も守るけれども自分たちは、自分たち自分たちの命、自分たちの町を守るんだというようなことで、全体としてみんなで守っていこうという、そういう意識が強いと思いますし、国の制度の面におきましてもそういったことを反映した制度になっているんだろうと、こんなふうに思うんですが。  御指摘のように、災害ですら、災害ですら、頭の中では分かっているんだけれども、なかなか災害に対する対処ができない。例えば津波なんかそうなんですね、分かっているんだけれどもできないというようなところがありまして。やっぱり日本人は、我が町、我が村は、あるいは自分自身はもちろんのこと、自分で守るんだというような意識をもっともっとやっぱり強めていく必要があるんだろうと思います。今までそういうことを余りやっていなかったものですから、なおさらそうだと思います。  そういった意味で、訓練なんかが必要だと思います。やっぱり実際の訓練を通しまして、こうやってやっぱり自分たちを守るんだ、自分の身をこうやって守るんだとか、自分の地域社会をどう守る、こう守るんだというようなことをしていかないとなかなか、そういったことを幾ら言いましてもなかなか理解されにくいんじゃないかと思います。  それと、先ほど言っておられました、やっぱり教育ですね。学校教育の中にそんなことを取り入れていく、学校教育を通して子供に教えていくというようなこととか、それから、私は、北欧なんかではシェルターなんかを造っております。これは核攻撃に対する防御なんでありますけれども日本なんかではそんなことは議論すらされていないような状況でありまして、ですから、今お話しになりましたような、NBCの攻撃だってあるんだということで、どうやってその対処をするんだというようなことをもう少し国民的なレベルで今のところはやっぱり議論できるような、そういった雰囲気を作っていく必要があるんじゃないかと、そんなふうに思います。
  18. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 その必要性が認められているということはある意味では安心というか、うれしいんですけれども、私は一つ方法としては、もちろん今言われたような教育とか、これももちろん大切ですけれども訓練のことはどうかなと思っています。つまり、今は防災訓練は地方自治体によって全国で秋に行われていますね。そして、学校でも何らかの形で防災訓練は行われていますね。それの中に、これは民主党国民保護法案の四十二条のところで、恐らく、新しい修正のとき加えられたことは、いわゆる防災訓練と有機的な連携を図って有事訓練も、避難訓練ももちろんそうですけれども、それも、いわゆる今まで行われた防災訓練の中に加えたら、割合に抵抗なしでやっぱりこの危機意識を高めることができるんじゃないかな、そのことに対してちょっとコメントをお願いしたいんですが。
  19. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) おっしゃるとおりだと思います。防災訓練と共通のところもありますが、防災と共通しない、例えばNBCなんかの被災の場合はそうだと思いますけれども、そういう場合もありますので、やはり訓練を通しましてそういった危機意識をきちっと正確に持つということだと思うんですよね。不必要にやっぱりあおる必要もないけれども、正当なやっぱり危機意識を持つということが必要でありますので、訓練というのは大変そういう意味では重要な役割を果たすものだというふうに考えます。
  20. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 それに関連してもう一つの例を出してみたいと思いますけれども、さっきから、NBC攻撃に備えて、そのための訓練がフィンランドでは学校ではなくて例えばボーイスカウトとかガールスカウトの中ではこれはかなり行われていますね。被害に遭った人たちを応急手当てをどうするかとか、もちろんけがのときの応急手当てもそうですけれども、そのときは、シェルターももちろんあります、そこに避難するということとか、あるいはそのときは何が、こういうそこまでの、NBC攻撃に対するガスマスクをみんなに用意するというのは日本はちょっと今の段階では無理かもしれませんけれども、そういう応急手当ての訓練も入れたらどうかなと考えていますけれども学校でも。
  21. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) おっしゃるとおりだと思います。  特にボーイスカウトは自分で守るすべを、すべというのは御理解いただけますか、すべという言葉は分かりますか、その方法ですね、そういうのを身に付けるというような訓練をやっておりまして、正にああいった訓練もいわゆる訓練の中に取り入れていくべきだと思いますし、恐らく防災訓練なんかもそういうふうな訓練やっておりますので、当然、有事といいますか、国民保護のための訓練につきましてもそのようなことを中に取り入れていったらいいと思います。
  22. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 是非そういうことも検討したらどうかなと思っています。  先日は与党の舛添委員の方からも、日本では有事に対する備えが例えばスイスに比べると本当に足りない、あるいはそれに備えるのは遅過ぎるということ、フィンランドにも比べると、多くのヨーロッパの国に比べるとそうですけれども、だから私は、やっぱりこれを教育の中に、あるいはそういう訓練の中に、あるいは今度は、避難のときは何を持っていくかという、そういう、今は防災訓練のときは地震に備えて三日間のものを用意するとか、何らかの形でこういうのをやっぱり私たち国民に指導する必要が、私も思っています。  そこで、ちょっと、少しとっぴなことを聞きます。  この訓練には、今までも防災訓練にはいろんな地方自治体でも自衛隊も今も参加していますし、私の住んでいる湯河原でも自衛隊のヘリとかを使っていますし、避難とか救援活動にはこれはかなりみんな慣れています。それをかなり画期的にやったのは、確かに三年前、四年前の二〇〇〇年の秋には、東京都では石原知事が銀座までは自衛隊の装甲車まで入れて、そしてこれはかなりマスコミにも載りましたね。そのときやっぱりそれを戸惑う人もいましたし、いや、新聞記事をちょっと繰り返して後で読んでみましたけれども、いや、ここまで自衛隊も参加しているんだから安心とか、意見が賛否論ありましたけれども、こういう、このくらい積極的に、装甲車を出すまでじゃなくても、まず自衛隊が、そのことに対しての、これは石破防衛長官の意見、コメントを聞きたいんですけれども、この二〇〇〇年の東京の訓練をどう思っていますか。
  23. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生指摘のように、ビッグレスキュー二〇〇〇、二〇〇〇年の九月三日だったと記憶をいたしております。新聞にはもうとにかく見出しに、銀座に装甲車と、こう出るわけですね。何事だ何事だという話になるわけでございます。確かに九六式装輪装甲車、あとは八二式指揮通信車を出しております。これは、大震災なんかがありますと瓦れきの山になることがあるだろう。そこに普通のタイヤの車で走れるかというと、まず走れない。そうなりますと、やはり装甲車の持っておりますタイヤはこれは特殊なタイヤでございますので、そういう瓦れきの中でも走行でき、けが人を救出しということが可能になるわけでございます。装甲車が出ますことは決して珍しいことではありません。装甲車を出しませんで犠牲者がどんどん増えるということの方がよっぽど好ましくないことでございます。  私ども先生の御指摘にもございましたが、訓練というのは、決まり切って、九月一日は防災の日です、何時に何をやって、何時に何をやって、何時に何をやって、シナリオどおりに終わりました、はい、良かったねというのではほとんど訓練にはならぬだろうと思っております。訓練というのはなるべく突然やった方がよろしい。抜き打ちでやらないと分かりません、どういう欠点があるのかというのは分かりません。  もう一つは、このビッグレスキュー二〇〇〇もそうでございますが、できるだけ大規模にやりませんと、ミニチュア版でやりますとどうしてもみんなうまくシナリオどおりにいってしまう。しかし、なるべく大規模にやりませんと、どういうところに実際には穴があるのか、欠点があるのか分かりません。そういう意味で、私はビッグレスキュー二〇〇〇というのは非常に大きな意味があっただろうというふうに考えております。  私ども、災害のときに持っております力を十分に発揮をして、国民犠牲ができるだけ少なくなるように、国民の、戦車、装甲車が出たんだ、だから駄目なんだというような意識をお持ちの方はもうほとんどいらっしゃらないと思いますが、しかし、そういうような理解により努めていくことが責務であると考えておる次第でございます。
  24. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 ありがとうございました。  それにさらに一つのことを、仮に、今までまだ行われていない、あるいはこれからは考えているか、もしやっていたら、それに対する考え方かコメントですね。今、この有事法制が成立すると、万が一何らかの有事が発生した場合は、当然この法律に従ってアメリカの日本にいる部隊と自衛隊の協力が必要になるんですね。合同でやる場面がたくさんありますね。しかし、その前には、既に今はアメリカの部隊が、アメリカの兵隊が夜の休暇では町に出まして問題も起こりますけれども訓練としては、そういう防災訓練にはアメリカは全然、今私の知っている範囲では参加していないんですね。しかし、実際には今度、もし万が一起こったとしたら一緒にやることになるんですね。その前には、訓練にも何らかの形で、これは私の、自分の提案ではないんです、質問ですよ。だから、もしそういうこともこれから考えられるんですか、あるいは計画にあるんですか。
  25. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 例えて申しますと、阪神・淡路大震災のときに米軍とどのように連携をするかという課題がございました。やはり、私どもとして、基本的に災害対処というのは自衛隊がやるものだというふうに考えておりますが、非常に大きな震災等々起こりましたときには、米軍のみならず世界じゅうからいろんな救援が出る。逆に考えれば、いろんな大震災がありましたときに我々自衛隊が救援に出る場合もございます。  その訓練をどのようにやるかというのは極めて考えにくいことではございますけれども、いわゆるそういうような大災害のときに、どのようにして米軍の救援というものが考えられるか、あるいは外国からの救援というものをどのように受け入れていくかということについてのシミュレーションというものは、国内法制も踏まえてやっておく必要はあるものだと考えております。
  26. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 私も、やはり今は、そういう訓練のときは、恐らくもしそういうふうなことを加えたら反発もたくさん出てくると思いますから、やっぱりこれは非常に慎重に考えなければならないということ。実際に起こったときは、それは今の例の同じように、どうしてもそのためにも協力体制ができている、法制でもできているということですね。  ここからは私は、今度はテーマを変えて、イラクの問題と、そしてこの国連の関係のことに移りたいと思っています。  まず一つは、これは防衛庁長官にお聞きしたいんですけれども、今度一つの一歩前進というのは、イラクで起こったのは、今月末では統治はイラク人の下に移譲することになるんですね。すると、そのときは自衛隊のサマーワでの立場も変わってくるんですね。今までの同じような形で当然そこへ残るということは、とにかくそれを新しく考えなければならないんですね。もしそこへ残った場合は、今は政府の方ではどういう法的な根拠で残ることがあり得るか、まずそこからちょっとお聞きしたいと思います。
  27. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 主権移譲に向けていろいろな議論がイラクの中でも行われ、国連でもいろいろな議論が行われていることはもう先生よく御案内のとおりでございます。  今のイラク特措法というものがどうなっていくだろうかということでございますが、主権移譲というものが行われる、そしてイラク人によるイラク人のための新しい政府が樹立をされ、統治権限の移譲というものが行われるということになる。そのことをもってしてイラク特措法に何か影響があるかというと、イラク特措法そのものの仕組みとしては、そのようなことが本当に望ましい形で行われた場合に効力が失われるというふうには、私ども政府としては考えておらないところでございます。  統治権限の移譲後におきまして自衛隊がイラクにおいて活動するに当たりましては、この特措法の範囲内で、イラクにおいて制定されております基本法の規定を十分踏まえました上で、適切な形でイラク政府の、暫定政府の同意を確認をして引き続き活動を行っていく。法的根拠としては、イラク特措法が引き続き有効のものと考えております。
  28. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 その暫定、イラク暫定政府との関係になると思いますけれども、逆に、これは外務大臣にも是非お願いしたいと思いますけれども答弁を。  仮に、それにはっきり向こうの方から、暫定政府からの支援要請、つまり人道と復興支援を今までのとおりサマーワでやってほしいという、そういう依頼が、要請があった場合は恐らくかなり前向きにできる。これに後でまだ新たな国連決議も関連してきますけれども、あった場合は今のようなことでいいんですか。あるいは、今度は要請がなかったときはどうするか。ちょうど今朝の新聞には、これも英字新聞でしたけれども、イギリスとアメリカのリーダーたちは、もし暫定政府が私たちは出ていけ、要らないと言ったら、私たちは出ていくという発言もジャパン・タイムズには大きく載っていましたけれども、これに二つ質問あるんですね。要請があった場合となかった場合の政府の反応はどうですか。お願いします、外務大臣
  29. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) まず申し上げたいのは、暫定政権については、これは今、どのような形で六月三十日以降作られていくか、どのような権限を持つか、それから、そういうことについては政治プロセスあるいは国連の決議で今議論中でございますので、はっきりしたことはその点については言えないわけですけれども。  自衛隊について言いますと、アラウィ、新しい首相となる方ですけれども、彼は、暫定政府の発足式典というのがあったそうでして、そのときに日本の大使館の人が出席をいたしましたら、日本によるこれまでの人道復興支援に感謝をするということをおっしゃって、今後の支援に対しても期待をしているということを言われたということだそうです。私自身、このアラウィ氏には、昨年の十月にマドリードでイラクの復興支援会合が開かれたときにお会いをいたしました。その時点で、アラウィ氏から私に対して、日本の支援、これに期待をしているというお話があったわけでございます。  ということで、今、サマーワにおいても、中学校のリハビリですとか給水ですとか医療の支援ですとか、様々なことを自衛隊はやっておりまして、サマーワの市民からも感謝をされているわけですけれども、もし人道復興支援についての支援があったら、なかったらという二つに分けての御質問ですけれども、そういう、今までの、もちろんきちんとした形でということではありませんが、気持ちとしては是非日本にも引き続き、いて、やってほしいということが伝わってくるように私は思っております。  それで、制度的な面で申しますと、先ほど申しましたように、安保理の決議ですとかそのときの多国籍軍の在り方ですとか、様々なその協議、調整が今行われているわけでございまして、はっきりしたことは言えないということです。したがいまして、さらに、多国籍軍自衛隊との関係についても、これについてきちんと何か確定的に申し上げることができるわけではないというのが今の状況であります。  いずれにいたしましても、その統治権限の移譲をスムーズに円滑にやっていくということのためにも、そしてイラクの復興をしていくということのためにも、日本というのは国際社会の責任ある一員ですから、自衛隊とそれから経済協力と車の両輪としてやっていくということを今までずっと申し上げてきているわけで、統治権限の移譲後においてもイラク特措法の範囲内で人道復興支援活動を中心とした活動を維持したいと考えておりまして、今そのための努力を行っているということでございます。
  30. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 今の答弁の中では、恐らく前向きに、イラク暫定政府自衛隊が引き続きそこで残ってほしいという方向は、そういうふうに少なくとも期待しているということ、出ていけということは今の段階では、今の答弁でもそういうことはない。  もちろん、これは今度はその形、全く、今までの形になるか、新しい形になるか、私は、それにもう一つ二つのことがかかわってくる。これから大きな決断、あるいはいろんなことが起こり得るというのは、今も触れましたように、この新たな国連決議の内容ですね、それを私たちも、まだ案の段階でありますから、それの中に、報道を読みますと、多国籍軍の任務には人道復興支援も含むことができたら、これも報道によりますね、日本政府の方も、そうすると多国籍軍の中に日本も入ることがあり得る、それを検討しているという言い方ですけれども、この決議の、私も詳しくそれを読んでないんですから、これに対してそういうのは今度は入る、入りそうですか、人道支援と復興支援も決議の中に。
  31. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えを申し上げます。  今、両大臣からも御答弁を差し上げましたけれども、新しい安保理決議につきましては、委員指摘のとおり、現在修正案というものが配られまして、修正案に基づいてP5を中心にして議論が行われているという状況でございます。  それから、安保理の今議長をしている人が昨日記者会見等、ぶら下がり等やっておりますが、その中でも、今回のイラクの暫定政府外務大臣に任命された方が明日にもニューヨークでブリーフをするというような話もございまして、正に立ち上がりましたイラクの暫定政府、つまりイラク、主権者でありますイラクとそれから安保理のメンバーの方が新たな安保理の決議についても議論をするというような状況になっているという形で、できるだけ、今回できます安保理決議の中にイラクの人々の意向というものがより十全な形で反映するというようなことに向かって努力が行われているという状況でございますので、そのような議論の中から、新たに作られることになるというふうに想定をされております多国籍軍というものの役割、それから多国籍軍と現在できましたイラクの暫定政府との関係はいかなるものであるべきなのかということについての議論が更になされていくものというふうに考えております。
  32. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 政府参考人にそれに関連してもう一つ質問、これははっきり通告していないんですけれども。  これは私は分かりませんから、今までの国連の決議の、多国籍軍に対する決議の中にはこういう例があるんですか、人道支援とか復興支援もその任務の一つになっているということ。
  33. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  いわゆる多国籍軍というふうに言われておりますものは、いわゆる湾岸戦争以来幾つかの多国籍軍がこれまで作られてきておるわけでございますが、その中でかなり明示的に今のような人道復興支援ということを任務として規定している例は、例えば以下のようなものがございます。  本年二月の二十九日に採択をされましたハイチの暫定多国籍軍の展開の承認に関する安保理決議、これはナンバーが一五二九でございますが、それから九九年九月の十五日に同じく採択をされました、これは東チモールでございますが、における多国籍軍の設立の承認に関する安保理決議、これは一二六四でございますが、それぞれの中におきまして人道復興支援という活動が多国籍軍の任務として明示的に書かれているということでございます。
  34. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 仮にこれからそういうふうに含まれるとしていても、昨日もあるいはその前にも、例えば野党の方から、これはそれでも日本法律あるいは憲法上の問題があるかどうか、やはりこれは慎重に検討しなければならない。今までは多国籍軍の中に日本はまだそういう形で入っていないんですから、これは昨日も指摘されたように、これは全く新しいことになるということですから、これは本当にそう簡単なことではないと私は思います。しかし、やはりそれをこの中でもいろんな意見を聞きながらやっぱり検討しなければならないと思います。  その中で、私は、次に関連していますけれども、今はまだそれを提案の段階でありますけれども、入れるようにかなり積極的に検討しているというふうに報道されていますから、日本は今、その決議が決まる前には国連あるいはアメリカの方にはそう入れるように働き掛けているんですか。あるいは、これからもうすぐ決まると思いますけれども、これは国連とアメリカに対して、アメリカの影響力もその決議がどういう形になるか非常に大きいんですから、そういう交渉というか働き掛けが日本の方からあるんですか。これ、外務大臣にお願いしたいんですけれども
  35. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 我が国は、国連決議、新しい国連決議にこういった要素が含まれるということが重要であろうと、これは人道復興支援とかそういうことだけに限らず、広くということはずっと働き掛けてきているということであります。  例えば、どういうことを言っているかといいますと、まず占領の終了とイラク暫定政府による統治権限の引受けについて明確に規定をしているということが大事だということを言っている。また、イラク国民努力及びその努力の支援のための国際社会の協力を改めて呼び掛けることが必要だということを言っています。さらに、国連が政治プロセスの支援において中心的役割を果たすべきであり、状況が許せば人道復興支援活動を更に促進すべきことを明確に規定をすることということも言っております。多国籍軍役割及び多国籍軍とイラク暫定政府との関係を明確化することというようなことを言ってきているわけでございます。  こういったことはイラクの今後を考えたときに重要な要素でありますから、我が国として、国際社会の一員として新しい決議はそういうことを含んでいるべきであるということを言ってきているということでございます。  それで、先ほども申し上げたかと思いますけれども我が国として、国際社会の責任ある一員としてイラクの人道復興支援に関与をしていく、それに参加をしていくということは大事なことであると思っております。思っておりますからこそ、今までそれをやってきているということであるわけです。したがいまして、今後も引き続きそういう形で我が国としてイラクの復興にかかわっていくということは重要なことだというふうに考えております。  そういったことが国連の決議上でどのように出てくるかということについては、これは今いろいろ議論がなされていて、そして検討が行われているという状況でございますので、何ら確定的なことを申し上げるということはできないですけれども我が国としては、イラクの復興の支援には携わっていくということが重要だということは、正にイラク特措法はそのために作ったわけでございますから、そのように思っているということです。
  36. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 今の答弁には私も理解できるところは多くあるんですよ。  その一つは、仮にその新しい決議の中には、多国籍軍には人道的な支援とか復興支援も含める、その働き掛けは日本のためだけではなくて、一般的にはどこでも、これからも、イラクと限らないで、多国籍軍はやはりただ治安を守るためだけではなくて、やっぱりそういうのは当然出てくると思いますから、日本は入るかどうかはこれからの検討ですけれども。例えば母国フィンランドあるいは北欧の国は国連待機部隊がありますね。その待機部隊の役割は、やっぱりフィンランドの場合も人道的な支援、ある程度は治安の維持にも参加していますけれども、かなり厳しくそれは入っているんですけれども、そうすると、もっと幅広く、直接治安維持に軍隊として入れなくても、もっと多くの国が多国籍軍に参加できるようになると思うんです。だから、そういう方向で働き掛けるのは、日本は入るかどうかはまた別なことです。  もう一つは、ここで私は、今は国連待機部隊の話をちょっと触れましたけれども、以前、私はここでこれを質問したことがあるんですよ。もし、日本は本当にここから、それは法律のことも整理することはできたら、多国籍軍にはそういう形で参加するようになったら、私は日本からそれに派遣するときは、やはりそのために訓練を、志願で入った人たち、待機部隊、いつでも自衛隊の中に、私はこれは民主党の提案とちょっと私の個人的な案が違うんですけれども自衛隊の中にはそういうのを入れて、そしてそこからいつでも派遣できるように、で、その訓練を受けてということ、その人たちはやっぱりその部隊に入ったときは志願として入るということ。  繰り返しになるんですけれども、こういう、自衛隊の中には国連待機部隊を将来的には考えていることを、防衛庁長官からのコメント、改めてお願いします。
  37. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 民主党の御主張と違う御主張をしておられますので、この辺、またいろいろと私どもの方でも整理をしてみなきゃいかぬことだと思いますが、前段として、私どもとしては、自衛隊とは別にそういうような組織を持つということの有用性についてはかなり疑問を持っております。自衛隊と別組織にしたから、じゃ、いいんだろうという話にはならぬのでありまして、そしてまた効率性の意味からも、自衛隊のほかに国連待機軍みたいなものを持つことが余り有用なことだとは考えておりません。  その上で、先生指摘の、では自衛隊の中に志願によるそういうものを作ったらどうであろうかと、こういう御主張でございます。  これには考え方がございまして、幾つか。一つは、自衛隊は全部志願制でございます。これがお国のフィンランドのように、すべて徴兵制であり、徴兵で任務を終えた人たちの中でまた厳しい選抜を行ってそのような待機の部隊を作っておる、しかしそれは国防大臣の指揮下の下に置かれるのだというのとは少しまたイメージが違ってくるのだろうと思っています。  先生がおっしゃいます志願制というのは、自分は国際任務にしか従事をしないのであると。つまり、防衛出動にも参加をしなければ、治安出動にも参加をしなければ、災害派遣にも参加をしない、しかし国際的な活動だけはしたいという意味で志願制というふうな御指摘があるのだとするならば、それはかなり組織として考えるのは難しいのではないかと思っております。同じ自衛官でありながら、防衛出動には参加をしない、治安出動にも参加をしない、国際活動だけやるんだというようなものが私どもの組織の中で持ち得るかというと、かなり難しいのかもしれないなと一つは思っています。  そうではなくて、防衛出動にも治安出動にも災害派遣にも行くよと、しかしながら、現在の部隊とは別に、ほかのこともやるけれどもメーンは国連のそういう活動に参加をする部隊というものが考えられるかというと、それは可能性としては私は考えられるんだろうと思っております。  現在は、PKOにしてもそうですし、今度のイラクでもそうですが、ローテーションで回しております。今度はここ、今度はここというようなことを想定をしながら、基本的には、PKOなんかはそうですけれども、ローテーションで回しております。それとは別に、海外活動専門の部隊を持つことが本当に能率的に見てどうなのだろうか。  そしてまた、その人たちが日ごろの訓練、つまり、いつ出るか分からない海外任務に備えて常時どのような訓練をすればいいのであろうかということ。あるいは、私ども今、防衛計画の大綱を策定に向けて政府部内で作業を行っておるところでございますが、自衛隊の海外派遣、海外活動というもののウエートをどれぐらい自衛隊の中で置いておくべきなのかという議論、そういうものを総合的に行うことになるのだろうと思っております。  昨日もどなたかの御質問にございましたが、今は付随的な任務ということになっております。本来的な任務ではない、付随的な任務ということになっております。これを本来的な任務に位置付けるべきだという御議論はございます。それはもう確かに傾聴に値をする議論だと思っていますが、じゃ本来的な任務に上げましたときに、それはいいことなのかもしれません。しかし、じゃ、そこにおいてどれぐらいの人員が投入されるべきなのか、どれぐらいの予算が割かれるべきなのか、そしてどのような装備を持つべきなのかということも併せまして、母国フィンランド等々の制度も併せて、日本としては何をすべきなのかという根本論から議論国会においても賜り、私ども政府の中でもやっていくべきことだというふうに考えております。
  38. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 私のさっきの質問というか自分の意見では民主党と違った、民主党の中でもこれはもちろん今はっきり、いろんな意見がありますよ、私が言っているような考え方もありますし、その方向性はまだ決まってない。その代わり、私たちは自由にそういう意見を提案することは民主党の中でも、決して民主党の考え方と矛盾しているということではないということ。  もう一つは、国連待機部隊、待機という意味ですね。それから、さっきのように、海外派遣だけにするか。フィンランドの場合はそれだけですね。あくまでも待機部隊ですから、いつでも行けるように、そのためにそれに備える訓練を常にやっているということですね。もちろん、基本訓練も持っています。  さっきの志願、自衛隊に入ったときはみんな希望して入りますけれども、入った時点では海外に派遣されるとは今まで余り考えてなかったんですね。だから、そういう意味で、この前にも聞きましたけれども、イラクに派遣するときは完全な志願ではなかったということですね。  それから、これは今、まだほかの質問ありますから、今日はこの問題はこのくらいにしておきますけれども、少し、この多国籍軍にはあと一つ質問では、私はあと五分しかありませんけれども、残りたいと思いますけれども、もし入るとしたら、さっきのような条件では、そうすると当然多国籍軍の指揮の下に置かれることになりますね、自衛隊も。今はそうじゃないんですね。そのときは、本当に最初の目的は人道支援と復興支援であっても、今度は命令が違ったところから入ってくるんだから、今度治安の維持にも参加してほしい、そういうふうになっているんじゃないかと。例えば、そういう反対の懸念の声もありますね、野党の方にも。このような懸念に対してはどう考えていますか。そういうのも、そのときは、これも仮定ですから、まだ入ってないんですからね。これも防衛庁長官
  39. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 指揮権の問題だと思いますが、御指摘のとおり、現在サマワにおいて活動を続けております我が方の自衛隊は、我が国独自の指揮の下に人道復興支援活動を行っているということでございます。そのような考え方が憲法及びイラク特措法ということに基づいて行っている当然の帰結というふうに考えております。  それから、いわゆる多国籍軍に仮に入った場合どうであろうかという御質問であろうと思いますが、多国籍軍そのものを、特に今具体的に議論をされております、イラクにおいて主権がイラクに移った後における多国籍軍を含めて外国軍隊というものはどういうものになるのかということについては議論が行われているということは先ほど御説明したとおりでございますし、具体的な安保理の決議、多国籍軍の任務、目的等々というものを考えて、もちろん個別具体的に我が国としてどうするのかという対応は決まるんだろうと思っておりますが、いずれにしても、外務大臣それから防衛庁長官から御答弁差し上げておりますように、我が国としまして、政府としましては、イラク特措法に基づいて、あくまでも憲法それからイラク特措法に基づいて参加をしていくというんで人道支援活動を行っていくという考えが基本でございますので、他国の、あるいは専ら他者の指揮権の下に入って活動するということは想定をしていないということでございます。
  40. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 通告した質問はまだありますけれども、あと一つだけで簡単に聞きたいと思いますから。  以前は、共産党の小泉委員の方から、かなり私もこれは真剣に考えなければならない問題、指摘されました。私たちの手元にもこういう、つまり、多国籍軍ホームページの中では、今既に自衛隊が、イラクにいる自衛隊が多国籍軍の、何というか、下に入っているという、その名前の国の、入っていますね。これは今は全く事実と違う、それは外務大臣答弁の中にもありますね。そうじゃないんですね。もしこれは本当だとしたら、こういうのは、もう世界じゅうにはこういうのは見られるんですね。それを直すようにというふうに、これは今の段階では違いますというふうに考えてないんですか。これは私の最後の質問です。
  41. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 御指摘ホームページにおいての表現ぶりということでございますが、累次御答弁を差し上げておりますように、米国防省等からこれは報道資料としての分かりやすさのゆえに簡便な表現をするということが間々あるのであるということで、我が国自衛隊があくまでも我が国の指揮の下に活動しているというアメリカ政府の見解には、当然のことながら変化はないという説明を受けているところでございます。
  42. ツルネンマルテイ

    ツルネンマルテイ君 終わりますけれども、やはり私は、これは読んでいる人はそう思わないんですから、やっぱりこれは一つは今の時点ではあくまでも間違っているということですから、でも時間になりましたから、同僚委員には、座を移ります。  ありがとうございました。
  43. 岩本司

    岩本司君 連日お疲れさまでございます。民主党・新緑風会の岩本司でございます。国民の皆様方に分かりやすい質問をさせていただきますので、分かりやすい御答弁、どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日は、避難住民の誘導、また武力攻撃災害への対応、また国民保護法制下におきます消防団の位置付けについてお伺いいたします。  今朝、追加で質問通告させていただきました防衛庁で検討されております地方防衛局、都道府県に地方防衛局を置こうと今検討されていらっしゃるようでございますけれども防衛庁長官にまずお伺いしますが、この地方防衛局、これ具体的に現段階、議論されている中でしょうけれども、現段階で分かっている範囲内で結構ですので、具体的に御説明をお願い申し上げます。
  44. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 一部報道にございましたような地方防衛局というようなものを設置するという方針を固めたという事実はございません。これは別にごまかして答弁しておるわけでもなくて、連日防衛庁内でいろんな議論をしておりますが、地方防衛局というような組織を作るという方針を決めたわけではありません。  他方、今全国にございます施設局ですね、施設行政を行っておりますが、施設局と、それから四十七都道府県にございます、一部複数あるところもございますが、の地方連絡部という地方にある私どもの組織を今後どのように活用していくか、どのように整理して、整理というのはスクラップという意味ではございませんが、合理的に機能させていくべきなのかという観点から、地方組織の在り方というものは議論をいたしておるところでございます。  これは、この後多分御質問があるのだろうと思いますが、地方自治体との調整等々、どのような形で行っていくか、今回の法律、今御審議をいただいておりますが、私どもが行動します際に、地方自治体との連携等々も含めまして、どのような地方組織の在り方が望ましいのかということは、大綱とも併せまして今鋭意議論を行っておるところでございます。
  45. 岩本司

    岩本司君 地方防衛局に関しては今のところそういう検討はないということでございますけれども、私はこれは必要ではないかと思うんですね。  現段階で、これ武力攻撃事態等対策本部を設置したときに、本部長が内閣総理大臣ですけれども、内閣総理大臣からまず、国家公安委員長、国土交通大臣、また総務大臣防衛庁長官にまず四か所に電話を、連絡をするわけですね。それからまたそれぞれずっと、下とか上とかないんですけれども、例えば総務大臣であれば都道府県知事、また都道府県知事から市町村長、それから消防、またあるいは消防団もあるでしょうけれども国民に伝わっていくと。これは私は有事のときにはこれ時間が掛かり過ぎるんじゃないかと思うんです。  これ、総理大臣が、本部長が指示をして国民に伝わるまで大体何分ぐらい、長官、掛かると思いますか。
  46. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 何分掛かるかというのは、大体何分という形で、例えば三十分とか二十分とか十分とか、確定的にこれぐらいですということを申し上げるのはなかなか難しいかなと思っております。少なくとも十分以内とかそういうようなことを考えながら、実際にいろいろなシミュレーションをやってみて、通信系統の整備も図っていくということになるだろうと思います。  他方、今、地方防衛局なるものを作る、つまり、地連は陸上自衛隊の方面総監部の下にございます、施設庁というものは防衛施設庁、施設局は防衛施設庁の下にあるわけで、やっていることが違うわけでございますね。それを、じゃ、統合した形で防衛局というものを仮に持った場合に、今先生指摘のような速く迅速に伝わるということにどれぐらい寄与をすることになるものであろうか。あるいは、対策本部というものを、今回の法案修正の中でいろいろ議論をされておることでございますが、その中において我々の組織がどうあるべきなのかということ。基本的な認識は一緒だと思うんです、どうやって迅速に伝えるかということですが、それに機能するものでなければ意味がないわけでございまして、そういう御指摘も踏まえながら地方の組織の改編というものを考えていきたいと思っているわけでございます。
  47. 岩本司

    岩本司君 十分以内、できればということなんですが、これ、本部長の総理から総務大臣、それから総務大臣、これ、総務大臣から都道府県知事、これ一か所で起こっても、同時に何か所かで有事が起こる場合もあるんですよね。  例えば、我が国は唯一の被爆国でございますけれども情報を先につかんでおけば、また指示を出しておけば、広島の中心の方々に避難していただき、防ぐこともできたし、しかしその後、我々も予測できなかったわけですけれども、米軍が先に落としますとか原爆を落としますとかいうふうなことはなかったわけですから。福岡ということもあります。しかし、今よくマスコミでも新聞でいろんな雑誌でも検証されておりますけれども、福岡に落とす予定が今度は長崎になったりとか、これは、もちろんそれが分かっていれば長崎の市民皆さんにも早く避難してくださいと言うこともできたわけですけれども、もちろん今はアメリカを非難しているわけじゃないんですよ。アメリカ合衆国とはもう親しく、今から永遠に仲良くやっていくべきと私は思っておりますので。  ただ、これで、総理が先に察知するとは限らないんですね、本部長が。もちろん国民皆さんからまた市町村長に、こういうことが起こりましたと、そこからまた県に行って、これ総務大臣に行って、総理に行って、またそこで検討して、じゃ総理からまた下りていくとなると時間が掛かり過ぎると。  またさらに、これ国民保護法案の第二章の第三節の六十四条では、これ、警察官等が避難住民を誘導するには、警察署長等はあらかじめ市町村長とこれ協議しなきゃいけないんですよ、協議。協議するだけでも、市町村長いないかもしれませんし、それはアポイント取っている時間もないですからね、一緒に住んでいるわけじゃないんですから。それから、避難住民の誘導が行われるように必要な措置を講じなければならないというには、これ協議までしていたら、長官、これ十分じゃ済みませんよ。  私、なぜ冒頭にこの地方防衛局という、これは僕はいいことだなと思って、すばらしいなと、長官なかなかやるなと思って質問したのに、検討していないとか言われたら、非常に困るわけですけれども。私は、そういうもうダイレクトに総理からこの地方防衛局、もう間全部外して、地方防衛局から国民にでも消防でも伝わるような、市町村長の、職員ですとか、町長や村長さん、市長がいない場合もあるわけですからね、そこにダイレクトに伝わるような、そういう地方防衛局、これは私は十分に検討する必要があると思いますけれども、いかがですか。
  48. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 済みません。なかなかやるなと思っていただいたのに、それに、御期待に沿えないような答弁をしておって申し訳のないことでございますが、ただ先生、今回も情報の伝達に、じゃ防衛庁が何かかかわるかといいますと、例えば警報の発令は、対策本部長から総務大臣先生が先ほどからおっしゃっておられるとおりでございます、それから、総務大臣、都道府県知事、市町村長と、こういうふうな流れで国民に伝わるわけでございまして、仮に地方防衛局というようなものを置いた場合に、じゃ警報の伝達等々に何かプラスになるかといいますと、今回の法案の枠組みの中ではそれが有用な役割を果たすということには必ずしもならないのだろうと思っております。  先ほど先生が御指摘になりましたように、例えば、広島の原爆などというものは空襲警報が解除になってからどんと落ちたというようなお話でございますし、それから福岡に落ちるはずだったものが長崎とか、そういうことはございます。いろいろございますが、やはり情報の伝達というものに対して防衛当局が何か積極的な役割を担う、もちろん役割は果たすべき範囲内で果たしますが、今回の法案の範囲内におきまして、国民避難誘導につきましては別の流れということになっておるわけでございます。  いずれにいたしましても、どうすれば早くできるかということについて更なる御指摘をいただければと思いますが、現在のところ、防衛施設局、失礼、防衛局というような固定した発想があるわけではありませんが、地方の任務というものが更に円滑にできるような方向議論は進めておるところでございます。
  49. 岩本司

    岩本司君 井上大臣にお伺いしたいんですけれども、同じ質問でございます。都道府県に地方防衛局を置いたらいいんじゃないかと。協議したり、いろいろありますけれども、どうお考えでしょうか。
  50. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 防衛庁も、これ発足半世紀が経過するわけでありまして、部隊そのものももちろんでありますけれども、今防衛庁長官からお話ありましたように、地連だとかあるいは施設局含めてどういう体制がいいのかというようなことをいろんな角度からこれ検討されていると思うんですね。  だけれども、私は今その答弁をお聞きしておりまして、まだ結論が出ていないという状況だと思うんですよね。確かに、組織といいますのは、いったんできますと、それはそれなりに大変、何といいますか、合理的な運用ができているわけですから、これを変えるというのはなかなか難しいところもあると思うんでありますが、しかし、問題意識としては常に、本当にこれが有効に作用するのか、機能するのかという、そこは各省庁とも常に持っているところでありまして、私はやっぱり防衛庁長官もそのような視点から、いろんな角度から検討しておられる、そういう具合に受け止めました。  委員の問題意識も大体同じじゃないかと思うんでありまして、もう委員はもう結論が出るんじゃないかということだと思うんでありますけれども、なかなか政府の責任ある立場としましては、すぐに結論を出して、あっ、これはしまったということでやり返すことは難しいわけですよね。ですから、その辺はある程度のやっぱり慎重さが必要でありますんで、そういった点を御理解をいただければ。  問題意識としては私は同じような方向を向いているんじゃないかと、そんなふうに理解をいたしております。
  51. 岩本司

    岩本司君 井上大臣、ありがとうございます、前向きな御答弁。  本当にこれは重要なことですから、この指示系統の途中でもういろんなところで協議したりしている暇ありませんし、市町村長が現場にいるとも限りませんし、ですからこれは本当にもうダイレクトで、こういう地方防衛局のようなものを設置して、総理からそこに電話して、もうその一本、一本電話したらもうすべて市町村に、市町村長がいない場合でも、助役さんでも担当者、そこに電話が行って、また市や市町村長の、職員の方々が住民の皆様方の避難保護に当たれるような、そういう意味で、もう早い、何というんですか、私はこの地方防衛局の、何というんですか、設置といいますか、もう早い段階で私は決断をしていただきたいというふうに思います。  次に、武力攻撃災害への対応、災害への対応についてお伺いしますけれども、これ普通の災害ではなくて武力攻撃災害ですから、普通の災害であれば弾が飛んでこないんです。そういう可能性ないんです、ほとんどですね。消防や消防団も現場に駆け付けて消火活動することができるんですが、この武力攻撃災害の場合は、弾が飛んでくる可能性もあるところに消防や消防団が消火に行くということは、これは現実的に私は難しいと思うんですが、それはまずここで明記されておりますが、何条ですかね、この第九十七条の第七項で、消防は、その施設及び人員を活用してと、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産を武力攻撃による火災から保護するとともに、武力攻撃災害を防除して、及び軽減しなければならないと書いてあるんですね、消防は。ここは消防はと書いていますけれども、消防団もこれ入っているんですか。
  52. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) お答えを申し上げます。  消防は、御指摘のように、御審議いただいております法第九十七条第七項におきまして、御指摘のような任務が与えられているわけでありますけれども、消防組織法という法律がございまして、その第一条におきましても国民の生命、身体及び財産を火災から保護し、災害を防除及び軽減することをもってその任務とするというふうに記されておりまして、同じ規定が本法にも置かれているわけであります。このように消防団員は、通常の火災や災害におきましても重要な役割を消防職員とともに担っているわけでありますけれども、本法におきましての武力攻撃事態等におきましても、地域の事情に精通したその特色を生かして常備消防との適切な役割の下に同様の任務を担うことになるものと考えております。
  53. 岩本司

    岩本司君 冒頭分かりやすい御答弁をお願いしますと申し上げたんですが、消防団員はこの武力攻撃災害時に現場に行って消火活動をするんですか、しないんですか。
  54. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 消防機関と位置付けられておりますので、消火活動、消防防災活動に従事することになります。
  55. 岩本司

    岩本司君 いや、これちょっと、その確かに、消防職員の方も銃は持ってないんですよ。これ、じゃお伺いしますけれども、そのときの警察、自衛隊との連携はどう消防庁長官はお考えですか。
  56. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 消防の使命は、先ほども申し上げましたように、失礼いたしました、国民の生命、身体、財産を守ると、そのために災害を防除また軽減することをもってその任務といたしております。  したがいまして、有事等の場合におきましては当然のことでありますけれども自衛隊あるいは警察等はそれぞれの任務に基づいて活動されることになりますが、消防はその範囲において、消防活動の範囲において活動することになるわけであります。  具体的に申し上げますと、御指摘ございましたような戦闘が行われている地域におきまして消防が活動するというような事態は想定はいたしておりませんけれども、そのような事態の下におきましても、消火活動あるいは防災活動、許される範囲で消防団あるいは消防機関が行うことになるものと考えております。
  57. 岩本司

    岩本司君 これ長官、全国の消防団員、また消防分団長の皆さんはこれ知らされていないですよ、これ。法律決まった後にこれ伝えるというのは私は少し問題があると思います。これはそういう状況で、私も現役の消防団員ですけれども、そういうときに消防団の方々は本当に、何というんですか、命を顧みずボランティア精神で入団されているんですよ。しかし、今も、これは後からちょっと補足しますけれども、若い方ですとか会社員で少しずつ入ったり、また辞めていかれる方もいらっしゃいますけれども、そういう、分団長はそういう危険なところに団員を行かせたくないと思いますよ。分団長は、ちょっとそれ待ってくれと、全国の消防団員の方これおっしゃるんじゃないんですか。これ全国に、平成十五年のデータで九十二万八千四百三十二名の消防団員の方いらっしゃいますけれども、この九十二万八千四百三十二名の方はそういうときは、じゃ前もって警察、じゃ自衛隊がどういう形で連動するのかとか、訓練を先にして、じゃ消防団員は例えば市町村の職員の方々と一緒に避難、住民の避難に当たりましょうですとか、そういう議論もこれちょっと必要かとは思うんですけれども。  それでは、ちょっと角度を変えまして、平成十六年度の予算、国民保護にかかわるですね、これで、我が党の修正案で、これは本当にもう皆様にもお礼申し上げたいんですが、消防団・自主防災組織資材、資機材整備、これ四億円から更に八億円増えたんですけれども、これに、この内容、何に使われるかというと、衛星携帯電話、あと携帯用無線機、またサイレンの装置、あとエンジンカッター等と、エンジンカッターなどと書いているんですけれども、このなどというのは何ですか。長官、お願いします。
  58. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 具体的に消防団員等が地域におきます住民の避難等を行います場合にいろいろな資機材が必要となることを想定して、そのような支援措置を設けているわけでありまして、今お触れになりましたようなものは全国どの地域においても共通的に必要になるものであろうということでそのような表現をいたしておりますが、地域におきましては、等という形で、また違った形で誘導に必要な、例えば地域における同報系の連絡網のようなものであるとか、あるいは携帯型の特別な情報の伝達手段に用いるようなものが出てくる場合もありますので、そのようなものも広く含めまして、目的に資するようなものであれば対象にして支援をしたい、こういう制度にいたしているわけでございます。
  59. 岩本司

    岩本司君 消防団員もそういう武力攻撃災害のところ、そのときに弾が飛んでくる中、消火活動をしろというのであれば、ここ、電話もそうですけれども、防弾チョッキですとかそういうのをまず第一に挙げるべきじゃないですか。どうですか、長官。
  60. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 消防団あるいは消防職員の任務は先ほども申し上げたとおりでありますが、先ほども申し上げましたように、戦闘行為が行われている中での消防団活動には限界があろうと思いまして、先ほどもそのような場合まで想定しているものではないと申し上げたところでありますが、具体的には、例えば戦闘行為が終結あるいは侵略行為が終息した後における火災現場における消火活動であるとか、あるいは被害の軽減のための活動に従事することになることを想定をいたしておりますので、戦闘行為の真ん中において必要となるような資機材までは想定をいたしていないところでございます。  消防職員また消防団員の皆さん方には、これまでも国民保護法の下における消防団等の任務についても御説明を申し上げてきておりますけれども、御指摘のような心配がないよう、しっかりとした消防団員の任務の範囲を御説明をし御理解をいただき、地域の安全と国民の安全を守るための活動に従事していただくようお願いしたいと思っております。  特に、御心配のような点がございますので、本法案におきましても、第二十二条等におきまして、この活動においては特に安全に配慮しなければならないような規定も置かれております。消防関係者の活動におきましても、十分にその点に配慮しながら活動していただくよう、私ども、地方団体の指導に当たりまして注意をしてまいりたいと考えております。
  61. 岩本司

    岩本司君 それでは、弾が飛んでくるようなところの火災には出動しないということですね、消防団は。お答えお願いします。
  62. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 戦闘行為の真ん中での活動には困難が伴います。十分注意、安全に注意をして活動していただくという観点から見ると、そのような状況下での活動は難しいものと考えております。
  63. 岩本司

    岩本司君 分かりやすい御答弁、よろしくお願いします。  冒頭、質問したら、これ消防団も出動するとおっしゃったじゃないですか。でも、今は消防団は出動しないということでしょう。はっきり言ってください、はっきりしてください、どっちか。
  64. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 本法が想定をいたしております有事あるいは緊急対処事態の下におきまして、国民の生命、身体、財産を守るための消防活動に従事するための出動はいたします。しかしながら、それは消防の活動の範囲にとどまるものでございまして、戦闘の最中に出動してまで活動することを想定しているものではないということを申し上げたわけであります。
  65. 岩本司

    岩本司君 そこは微妙なところだと思うんですけれども、安全だったらもちろん出動してもらうけれども、これはもう危ないと思ったら出動してもらわないと。でも、消火活動は、じゃ、消防団は分かりました。消防職員はどうですか。
  66. 林省吾

    政府参考人(林省吾君) 消防職員、消防団、市町村長の統括の下に同じような活動を同じような判断の下に行わせていただくことになると思います。
  67. 岩本司

    岩本司君 はい、分かりました。まあ、分かりましたというか、いろんな法律がこれ重なっていますから、これもう是非とも、冒頭申し上げたこの地方防衛局、この判断も、なかなか現場の判断難しいと思うんですね。  今は、火災が起こったときに、もちろん警察と協力し合って現場の人命救助やっていますよ。しかし、警察は、もう昨年だったですかね、防衛庁長官にも申し上げましたけれども、消防は火を消すことじゃないんですよ、一つ、第一の目的は人命救助ですから。先に、消防署が来る前に消防団が行っている場合、で、もう火が燃えているけれども、人がまだいるかもしれない、そういうときには消防団員は中に、火の中突っ込むんですから。で、それで救助すると。後から消防署が来たときは火を、消火活動に当たるわけですが、そのときに警察は交通整理といいますか、外で、何というんですか、ここからこの道路はストップして向こうに、こっちの車はこっちに入らないでくださいと誘導したり、車を誘導したりするんですけれども、ここで有事の場合、今度は弾が飛んでくる可能性が今の長官の話ではある、あるかもしれないみたいなことをにおわせているんで、日ごろそういう訓練が私は必要だと思うんです。またさらに、これ自衛隊員の皆様方とのこれ連携も必要だと思うんですけれども、これ防衛庁長官、御答弁お願いします。
  68. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それはおっしゃるとおりでございます。  警察、海上保安庁などの警察機関のみならず、消防とも連携、協力を図るということによりませんと、遺漏なき措置というものは難しいと考えております。私どもも、消防団あるいは消防職員の方々といろんな訓練をやっていかねばならない、これを着実に進めてまいりたいと思います。  それから、ついでにちょっと三十秒だけお願いします。  先ほど来、防衛局のことについて随分高い御評価をいただいて有り難いと思いますが、ただ、これ、防衛局というものがどういう役割を果たすか、先生がおっしゃいますような役割を果たすということになりますと、国民保護法制情報の伝達の部分の条文を相当に変えなければ、地方防衛局というものをぽんと作っただけでそういうものができるわけではございません。この情報の伝達の在り方等とも併せましてまた御議論させていただきたいと思っておりますが、防衛局だけできればアラジンの魔法のランプみたいに何でもできるというようなことだとは私ども考えておらないところでございます。
  69. 岩本司

    岩本司君 消防職員、また海上保安庁の職員、地方警察官、あと自衛官ですね、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊と。消防職員の方は増えているんですけれども、消防団員は平成六年から平成十五年、この間に五万一千三百五名少なくなっています。あと、陸上自衛隊も平成六年から平成十五年、これ人数推移のデータがあるんですけれども、四千百九十五名これ減っているんです。航空自衛隊、海上自衛隊、また警察官、海上保安庁の職員の方々は増えているんですけれども、この陸上自衛隊の方々、今からそういう有事のときに消防が消火活動するときに、やっぱり自衛隊員の皆様方も参加する場面というのが増えてくると思うんですね、増えてくると思うんですけれども、今から消火活動を陸上自衛隊自衛隊の方々も今から訓練していかなきゃいけないというふうに今おっしゃいましたけれども、これ、地方自治体の職員の方々とまた陸上自衛隊また消防職員の方々、これ、消火にも関係することですけれども避難関係しますけれども、これ、具体的にいつごろからそういうトータル的な訓練を始めますか。もう時間来ましたので、これ、最後の質問します。
  70. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これ、それぞれが役割の分担がございます。私どもがもちろん消火活動をメーンに行うわけではございません。武力攻撃事態ということになりますれば、私どもは敵の侵害排除というものを主に行うわけでございます。しかし、その支障がない範囲においていろんな活動をやらせていただく場合があります。  いつから訓練をするのかということでございますが、これ、それぞれの地域におきまして、状況が整い次第、まず図上演習というものをやる。その上において、今警察とあちらこちらでやっておるところでございますが、地方自治体とも協議をしながら、できるだけ地方の実情に沿った形で、国民保護協会みたいなものあちらこちらにできるわけでございます、そこの御議論も踏まえながら、準備の整ったところからやっていくということになろうかと思っております。具体的な状況はそれぞれの細分化していきませんと分からない部分がございますので、準備の整ったところからやっていくということになります。  そのときに考えなきゃいけないのは、先ほど来消防庁長官答弁をしておりますけれども、だれがどのような状況において何をやるのかということがそれぞれの頭に入っていなければいけません。そのことからきちんと始めてまいりたいと思っております。
  71. 岩本司

    岩本司君 終わります。
  72. 吉川春子

    吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  今なぜ国民保護法制が必要なのかということを御質問いたします。  政府は、何十万、何万か、その外国の部隊が日本に上陸してくる事態日本が戦場になる事態を予想している旨の答弁を昨日同僚議員、山本議員に行いました。  改めて確認しますが、そのような事態が実際に日本に起こり得るのでしょうか。
  73. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは私、予言者でもなく、占い師でもございませんので、絶対にそんなことがあるとかないとか、そのようなことは申し上げるわけにはまいりません。  ただ、これ昨年閣議決定、これ十二月のことでございますが、そこにおきましてこのように申し上げておるわけでございます。つまり、我が国をめぐります昨今の安全保障環境について、我が国に対する本格的な侵略事態生起の可能性は低下する、低下する一方において、大量破壊兵器等の拡散や国際テロの問題など、新たな脅威などへの対応我が国自身にとっても国際社会にとっても差し迫った課題となっていると、こういうことを申し上げております、閣議に、閣議決定において。  ですから、低下はいたしました。低下はしましたが、全くないとは考えておりません。それは、いろいろな可能性を考えて、そのときに、そんなことは考えておりませんでしたというようなことは政府としては無責任なのではないかというふうなことを申し上げたわけでございます。
  74. 吉川春子

    吉川春子君 まあ占いの世界でもってこういう体制を大規模に作られてはたまったものではありません。  日本は大量破壊兵器を隠し持っているわけでもないし、石油が埋蔵されているわけでもないんですよ。憲法九条で戦争放棄の国です。  しかも、着上陸侵攻というのは、相手にとっても相当の被害がもたらされるということ、犠牲があるということは、太平洋戦争末期の硫黄島の攻略を見ても明らかです。そういう犠牲を顧みずに日本に着上陸侵攻を仕掛ける国は一体どこなのか、どこだと政府は考えているのか、示してください。
  75. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 特定の脅威というものは我が国としては想定をいたしておりません。  ではどこなのかと言われて、この国、この国、この国というふうに挙げることが私ども政府の方針ではございませんし、どこを特定の脅威として考えているわけではないというのは従来から政府が申し上げておるところでございます。  他方、今先生がおっしゃいますように、石油があるわけでもない、そういうような国に対して多くの犠牲を払ってやると、やろうとする国があるのかという御質問でございます。そういうことに対して絶対にないとか、そういうようなことを私どもとしては申し上げるわけにはいかないということを言っている。しかし、特定の国を念頭に置いているわけではないということです。
  76. 吉川春子

    吉川春子君 何十万もの外国軍隊日本に海上から上陸するということになりますと、上陸用舟艇あるいは戦車を積み、また兵員を輸送する、そういう揚陸艦艇を持っているということが前提になりますけれども、そういう国は隣国にあるのかと私は聞きましたら、防衛庁の説明の方は、中国が揚陸艦艇を持っているというふうにおっしゃいました。その能力はどの程度のものですか。
  77. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 事実を申し上げれば、中国が保有しています揚陸艦艇のうち、ユーティン級というものがございます。満載排水量で四千八百トンでございます。これは八隻ございまして、一隻当たり兵員が二百五十名、戦車十両が輸送可能でございます。もう一方、四千百七十トンのユーカン級というものがございますが、これが七隻、これは一隻当たり兵員二百名、戦車十両を輸送可能というふうに聞いておるところでございます。  このほか、百トンから二千トン程度のものを合計九十隻程度保有している、これが公刊情報でございます。
  78. 吉川春子

    吉川春子君 今の御答弁ですと、揚陸艦艇の能力というのは、トータルでも三千百人、車両百五十両ということになります。この能力では、たとえ侵略の意思があっても、私はないと思いますが、何十万人の兵員を日本に送り込む、何万でもいいですけれども、何年も掛かるわけです。まさか泳いでくるわけでもないでしょうが。  日中関係は現在、経済でも政治でも民間交流でも非常に友好関係にあるわけで、協力関係にあるわけでございまして、そういうことは、侵略ということはもう全く考えられないと私は思うわけです。政府もそうですよね。
  79. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生、それは、すべてが船を使ってやってくるかといえば、そういうものでもございませんでしょう。いろいろな組合せがあるわけです。これだけの人数がこれだけだから全くないとか、そういうような判断をするべきものだと私は思っておりません。  御質問の中国に対しましては、私ども先ほど来お答えをしておりますように、どの国が特定の脅威だということを考えて申し上げておるわけではございません。先生がおっしゃいますように、友好協力関係というものは、今後も維持、継続をするべく努力をしていかねばならないものだと思っております。
  80. 吉川春子

    吉川春子君 いや、具体的には中国ぐらいしか名前が挙がらなかったので、近辺では、それでは中国はどうかということを具体的に聞きました。  第二次世界大戦の末期で、沖縄では地上戦になって民間人に多くの犠牲者を出しました。第二次世界大戦のときでさえ地上戦になったのは沖縄だけなんですね。二十世紀は戦争が違法化され、そして国連中心の平和のルールが確立されて、国際社会は曲がりなりにもその方向努力を行っているわけですよね。  現在、政府は、この地上戦の問題については、沖縄だけではなくて、全国土が、日本全体が着上陸侵攻を受ける可能性があるということを想定しているんですけれども、私はいかにもアナクロニズムだと、時代錯誤だと思います。そういうふうに思いませんか。
  81. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 思いません。  それはなぜかと申し上げますと、軍事力というものは、先生も御案内のことかと思いますが、構想してから実現をするまでに十年間を要するものでございます。十年間掛けてようやっとそういうような能力が整うわけでございまして、一方、人の意思とか国の意思とかグループの意思とか、そういうものは瞬時において変わり得る可能性というものは決して否定できるものだとは思っておりません。  日本全国どこにありましても、北海道から九州、沖縄まで、どの地域において何が起こっても、国の独立、国民の生命、財産、国の平和、これを守るのが政府の責務でございます。アナクロニズムだとは思いません。国のどこにそのようなことがありましても対応できるような体制を整えるということ、そしてまた、こんなところには来ないだろうと思うようなところに来るのではないのか、いかにもここには来そうだというところに来るというものも今までの歴史においては余りなかったことでございます。
  82. 吉川春子

    吉川春子君 驚くべき答弁ですね。日本全土が着上陸侵攻を受ける可能性がある、沖縄戦のようなことが展開される可能性がある、そういうことを私はアナクロニズムだと思ったんだけれども、そうじゃないと。これは防衛庁の長官の答弁ですが、順次この問題について具体的に聞いていきます。  政府国民保護法制整備本部は、QアンドAその二で、国民保護法案においてはあらゆる事態に的確に対処し得るように想定を、整備することが基本だと。そのために平時から考え得る幾つかの想定を置いて対応を検討してきたとして、具体的には、弾道ミサイル攻撃、航空機や船舶により地上部隊が上陸してくるような攻撃、今言ったことですね、それから航空機による攻撃、空襲、ゲリラや特殊部隊による攻撃の四つの類型を想定しています。  そこで、そうした能力、意思含めて、日本に対して侵略できる可能性のある国というのはどこなんですか。着上陸は除いてもいいですけれども、そのほかどこがそういう能力や意思を持っている、あるいは瞬時にしてそういう侵略の意思に変わり得る、こういう国があるんですか、どこですか。
  83. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、ミリタリーバランス等々ごらんになれば、どの国がどのようなものを持っておるかということは数値にして表れておるわけでございます。  それはすべての国が、もちろんすべての国が完全な透明性を持っているかどうかは別でございますが、どの国が、例えて言えば、その能力として申し上げれば、北朝鮮がノドンを二百基持っているというふうにお答えをしてまいりました。これは日本全体を射程に入れておるものでございます。中国もミサイルを持っておればロシアもミサイルは持っております。  それをすべて逐一言えというふうにおっしゃれば、それはすべて申し上げますけれども、それは能力として持っているということでございます。意図としてそのようなことがあるということを申し上げているわけではございません。  しかし、どこがそうなのかと言われて、私ども先ほどからお答えをしておりますように、特定の脅威というものを念頭に置いているということではないのでございます。しかしながら、そういうような能力自体持っていれば、能力自体というものは、これはもうジェーンでも何でもミリバラでも結構ですが、ごらんをいただければ、どの国がどれだけ何を持っているかということは世界の人が知り得るものでございます。
  84. 吉川春子

    吉川春子君 私は、ミリタリーバランスで防衛庁からも資料をいただきましたけれども防衛白書が私にとっては一番身近な資料でございます。  防衛白書をいろいろ読んでおりますと、例えばロシアにしても兵力は大幅削減、そしてまた極東においては地上兵力、海上兵力も三分の一になった、戦闘機も三分の一以下、爆撃機も三分の一と、こういうふうにソ連崩壊後大幅に軍事力は少なくなっていると。  あるいは中国にしても、内政の安定と団結、特に社会的安定を重視するとともに、外的には先進諸国との関係改善を図りつつ、周辺諸国との良好な関係を維持促進をしている。これ、防衛白書の表現ですからね、私ではありません。陸上戦力も、世界最大であるものの、総じて火力、機動力が不足しており、一九六〇年代の旧式装備が主体だと。  また、これはスクランブルの回数ですけれども防衛庁の資料によると、一九五九年は九百四十四回あったものが、二〇〇〇年になってからその六分の一、百五十一回というような数字も示されております。八割がロシア、民間機は二割というような資料もいただきました。  それで、さっき大臣がお触れになりました北朝鮮との関係について外務大臣に伺いますけれども、先月、小泉首相の訪朝の際に、日本と北朝鮮の敵対関係を友好関係に、対立関係を協力関係にする、その大きな契機にしたいとおっしゃいまして、また、日朝首脳会談では日朝平壌宣言を日朝関係の基礎として確認し、拉致問題、核・ミサイル問題などで一定の前進がありました。これは吉岡議員が本会議で質問したところです。  昨年九月の平壌宣言で、弾道ミサイル凍結、発射凍結を〇三年以降も延長していく意向を表明、防衛白書。以来、不審船はゼロになっている、これは吉岡議員への答弁。こうした外交努力の継続が両国、アジアの平和、日朝回復への道につながるのではないかと思いますが、外務大臣いかがお考えですか。
  85. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) おっしゃるように、我が国の平和と安全、そしてこの地域の平和と安全ということのために外交努力というのは重要であるというふうに考えております。外務省といたしまして、この外交努力は引き続き続けていきたいというふうに思っております。  それから同時に、もう一つ申し上げたいのは、我が国の平和と安全は外交努力のみによって達成されるということではないというふうに考えているということでして、政府としては三つの柱、これは外交努力、日米安保条約、そしてその適切なる、適正なレベルの防衛力という、その三つがやっぱり柱となっているというふうに考えております。
  86. 吉川春子

    吉川春子君 防衛白書によって近隣諸国の軍事力もかなり詳しく書いてありますけれども、私はその中で一番軍事大国は日本だというふうに思います。対潜哨戒機は八十機体制だそうですけれども、支援戦闘機、AWACS、空中給油機も導入するし、ミサイル防衛システムの研究もするし、いろいろこういうことを考えますと、やっぱりむしろ日本の軍備拡大の方が問題かなというふうに思うんですけれども、私は日本政府の行うべき努力というのは、憲法に沿って戦争のない世界を構築すること、そのための外交努力を行うことであって、時代錯誤の住民避難計画を全国的に作成するなどという、そういうことはやめるように強く求めます。  それで、具体的に住民避難計画の問題について伺っていきたいと思います。  昨年十一月に、政府は、法案提出三か月前から全国都道府県の担当者を集めて法案についての説明を行って、今後の五年間における国民保護関連事業の想定というそのスケジュールなどをいろいろ示しまして、そしてこの計画を作るというようなことを自治体の方に押し付けているのではないか。一体どういうことなのか、これは内閣府の特命担当大臣の方にお伺いしたいと思います。
  87. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) この国民保護法案におきましては、地方公共団体を国民保護措置の実施主体と位置付けまして、地方公共団体に国民保護計画を作っていただくことになるわけでございます。地方公共団体、都道府県、市町村、それぞれの役割がこの法案に規定されているわけでございますが、住民の避難というのはその中でも大きな柱でございます。  この住民の避難につきましても、この法案作成前に地方団体からの御意見をいただく中で様々な御意見があったわけでございますが、極力地方団体に権限を与えていただきたいと、そしてスムーズに住民の避難が行われるように地方側から国の対策本部にも意見が言えるようにしてもらいたいと、このような要請を受けて法案を作成したわけでございます。  今度の、このたび、この法案が通りますと、国民保護計画を都道府県、市町村、それぞれお作りいただくわけでございますが、その前に国において基本指針というものを策定することになります。この基本指針の中で、想定される武力攻撃の類型、先ほど四つの類型についてお話がございましたが、それぞれの類型ごとにどのような避難を行っていくのか、それについて基本指針の中に示しまして、その指針に従って地方公共団体には計画を作っていただくと、このような運びになるわけでございます。
  88. 吉川春子

    吉川春子君 私は、まず、いろいろ問題があると思いますけれども、問題にしたいのは、今、国会で、参議院で法案審議がしているわけじゃないですか。通ったわけじゃないんですよ。確かに法律の中にはそういう、国が基本計画を作り、あるいは地方自治体が作るということはありますけれども、それがまだこの国会、最終末の動向でどうなるか分からない。それなのにもかかわらず、去年の十一月の段階で、政府は全部の都道府県の担当者を集めて、そして、こういう計画を作ったらどうですか、五か年でこういうことになるんですよというようなことを行うということは、これは国会軽視ではありませんか。法律は通っていない前に、こういう法律に基づいてこういう計画を作るべきだというようなことをおっしゃるのは国会軽視じゃないんですか。  これは大臣、どういうふうにお考えですか。
  89. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 委員はどういう具合にお考えか知りませんけれども政府は常に国民に対して、を守っていく義務があるわけですね。簡単、単に評論的なことを言って済むわけにいかないんです。きちんと言うべきことは言いますけれども、守るべきは守らないといけないわけでありまして、そのために制度を作ったり、あるいは予算を編成したりしているわけであります。  一つの制度を作ります場合も、単に計画なら計画を作ればいいということじゃなしに、我々が考えている法案の概要を説明して、そういう中で計画というのはどういうような計画を作ったら本当にいいんだろうかということをヒアリングするなんというのは当たり前の話だと思いますよ。そんなこともしないで、勝手に計画を立てて、これで行くんだという、それは正に上意下達だと思いますよ。  きちんと、こういうのは、国は国のその役割があります、都道府県は都道府県の役割があります、市町村は市町村で処理すべきことがありますが、この避難、例えば避難なんかにつきましては、これ本当に市町村が責任を持ってやらないといけないことでありますから、現場の人がどう考えているのか、どういうことを大事だと思っているのか、意見があればどうぞ言ってくださいということを聞くのは当然のことだと思いますよ。それは政府の責任のある立場としては私はそういう、そのように考えております。
  90. 吉川春子

    吉川春子君 私は、立法府のメンバーとして行政府に申し上げます。  まず、行政府がやるべきことは、国会法律として決めたことをやるんですよ。チェック機能は国会にあるんであって、法律も決めないうちにそれは政府はやるということは、これは憲法違反なんですよ。法律が決まらないうちに法律に基づいた計画を策定するなんということを自治体に言うのは、これはこの有事法制議論を離れて、正にこれは行政府のおごりです。  国会は国権の最高機関で、立法府なんです。立法府が作った法律に基づいてどうやるかということと、法律も作らないうちに、その内容をあらかじめこういうふうに考えているからもうその作成を着手しなさいなどと言うことは、これは有事法制の考え以前の問題として、私は国権の最高機関のメンバーとして、チェックを受ける行政府に申し上げているわけですけれども、そういうことはやってはいけないんじゃないか。基本的な問題です、テーマ関係なしに。基本的な考えはどうですか、大臣
  91. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 正にそのために国会の御審議をお願いしているわけでございまして、これが間違っているということであれば修正をすることができるわけでございます。今までのこの議論の経過お聞きになっておりましても、こういった法案の中身がどれだけ国民皆さん方に届いているのかと、どういうことをしているんだというようなことを質問があるわけですよ。それを聞くというようなことは当然のことですよ。責任がある立場なんですよ。責任がない立場でいろんな評論をするのは自由であります。  だから、我々は立法府がこうだと決めればそれに従って行政をするということは当然のことなんですよ。だから、立法の措置として法案修正が行われるということであれば、それはそれに従うのは当然です。その法案の作成過程におきまして、いろんな人の意見を聞いたり都道府県の方の意見を聞くというのは当然のことだと私は思います。
  92. 吉川春子

    吉川春子君 委員長、これは内容が何かにかかわらず、国会は立法府なんです。国権の最高機関なんです。そこで決まったことを行政府が実施すると、今の憲法はそういうシステムになっているんですよ。それを国会がまだ法律も成立しない前からその内容に基づいて計画を作るというようなことはやってはならないことなんで、そこのその法律内容についてどういう法律を作るかということではないんですよ。私が言っているのは──ちょっと待ってください。  じゃ、具体的に示し──それは本当にその国会と内閣との関係をどう思うのかと、そこの基本的なことはどうですか。
  93. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 国会が制定され、承認をして成立をさせた法律に従って行政はやっていくんでありますが、立案をいたします場合には、いろんな方の御意見を聞くというのはこれまた当然だと思うんですよ。その意見も聞かないでやるなんて普通考えられないですよ。それが立法府のミスだとは全く考えておりません。
  94. 吉川春子

    吉川春子君 あのね、二つのことをごちゃ混ぜにしないでくださいよ。私は行政府と立法府の関係において言っているんであって、そのことをまず、大臣は間違っていますよ、考えが。憲法の立場に立ってやっていただきたいと、行政府と立法府の関係は。  で、国会、(「評論家だと言ったんだから、それは駄目だよ」と呼ぶ者あり)その発言は、じゃ取り消しますね。評論家だなんという発言は取り消しますね。
  95. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 政府は評論家のようなことはできませんと言っているわけですよ。いろんな人の意見を聞いてこういう制度としてはこれがもっともだと、国会に提案をして御審議をいただくのにはかくあるべしというものを作りまして提案をしているわけでありまして、それについて御審議をいただいているわけでございます。政府というのは責任ある立場で物を申し上げているということを言っているわけであります。(発言する者あり)
  96. 吉川春子

    吉川春子君 ちょっとそれ、整理してください。
  97. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 速記、止めてください。    〔速記中止〕
  98. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 速記を起こしてください。  議事録を精査して協議したいと思います。
  99. 吉川春子

    吉川春子君 じゃ、その発言を是非、国会を評論家のようなふうに言う言い方は是非撤回してください。そのことを強く求めます。  撤回しますか。国会は評論家じゃないですよ。
  100. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 私は、政府は評論家のようなことで行政はできないということを申し上げたわけでございます。
  101. 吉川春子

    吉川春子君 後、理事会の協議にゆだねます。  それで、実は、これはある県が作った今後五か年における国民保護関連事業の想定ということで、十六年、十七年、十八年、十九年、二十年までにわたって書いてありまして、そして、六月に国民保護法制成立ということから掲げて、十七年には保護計画を作ると、都道府県の保護計画を作ると。十八年には避難訓練をすると。そして十九年には兵器の開発というようなことまで書いてあるわけですね。そして、こういう内容は、この表自体は地方自治体が作ったものですけれども、ここに書かれていることは全部政府が十一月に自治体に示した内容に基づいて作っているわけですよ。  だから、私は、国会と内閣との関係を申し上げましたけれども法律が成立する前にもう既にこういうことを政府は示し、法案内容をどうするかというふうに意見聞いたって言うけれども、そうじゃないんですよ。法案はこういうふうに書かれていると、こういう計画を作るべきだという内容を示して、それに基づいて、まあA県と申しましょうか、ある県がこれを表に作っているわけですよ。こういうことを自治体が行っているということは、正に政府が非常に国会を軽視している、そこに原因があるんじゃないですか。  その点について、国会を軽視も甚だしいと思いますが、いかがですか。
  102. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) 地方団体側におきまして、今後この法案が通った後どういう作業を行っていったらいいのかと非常に担当者レベルでは御心配されている向きがあるわけでございます。そういうこともございまして、法案の要旨を策定いたしました昨年十一月の段階で、今後の予定として地方団体はどんなことをやらなければいけないのかというふうなことを事務的に、これは内閣官房ではないんでございますが、これから計画作りを指導していく関係省庁におきまして、地方団体側にこのような作業があるというのを示したという経緯はございます。  しかし、これはあくまでも計画そのものを作れと、こういうような指示ではないわけでございまして、このような法律が、国民保護法制はさきの通常国会で一年以内に法整備を図るという衆参両院の附帯決議もいただいたわけでございますから、一年以内に、円満に通った後にはこのようなことをやらなきゃいかぬという意味で、省庁側から地方団体に示したと、この点御理解いただきたいと思います。
  103. 吉川春子

    吉川春子君 法案の、内閣が作る法案の要旨ができた段階で、それを地方自治体に示して、細かく示してありますよ。そして、こういう計画を作れと押し付けているじゃありませんか。これは、国会軽視であるとともに、地方自治体に対する押し付けでもありますよ。  大臣、そういうような地方自治体に対する強制は許されるんですか。
  104. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) あくまでこの参考の資料として、今後どういうようなことを検討しないといけないんだろうかという、そういうものとして出したという今答弁をいたしたんでありますし、恐らくそういう趣旨で、法案全体をよりよく理解をしていただくために参考の資料として出したんだと、そんなふうに思います。
  105. 吉川春子

    吉川春子君 もしこの法律が通ったとして、そうすると、こういう計画を地方自治体、地方公共団体に押し付けるわけですか。昨日ですか、おとといですか、大臣は、言ってみれば機関委任事務のようなものだと、こういう発言も、答弁もされているわけですけれども、こういうものを作れと、いついつまでにこういう内容で作れ、こういうことを地方自治体に強制されるわけですか。
  106. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) もとより国が基本方針におきましてどういうような計画作りをしていくのかということをかなり詳細に記述をしないといけないと思っておりますが、そういうのに基づきまして、それぞれの県あるいは市町村はそれぞれの実態に合わせまして恐らく計画作りができると思うんでありまして、押し付けるとかというんじゃなしに、やっぱり原点は国民保護するんですね。県民を保護していく、市町村民を保護していく立場からどういうのが一番いいのかと、一番適切なのかという、そういう基本に立ちまして作ってくるわけでありまして、何か押し付けるだとかそういうような考え方は私はいかがかと思うんですよ。もっと素直に法律の制度のそれを御理解をいただきたいんですよ。
  107. 吉川春子

    吉川春子君 強制はしないと、こういうことですか、端的に。
  108. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) この計画は作らなくてはいけないことになっております。これは、市町村について言いますと、市町村民保護のための責任が市町村にあるわけでありまして、計画は作らないといけないと思いますが、こういうものじゃなくてはいけないという、何ていうか、判こで押したようなものですね、そういうものは私どもとして要請するつもりはないわけでありまして、それぞれの自治体に合ったような、それぞれの自治体の、その自治体の住民を守れるような、保護するために一番いい方法を作っていただきたいと、そんなふうに考えております。  これは、都道府県知事が計画を作ります場合に国に協議がございますし、市町村の場合は県に協議をすることになっておりますから、そのような調整が行われるものと考えております。
  109. 吉川春子

    吉川春子君 まあ法律で義務ではあるけれども、いろいろ中身についてまでいろいろ強制はしないと、押し付けるものではないと、こういう答弁と受け止めました。  時間がなくなりました。鳥取県で行われた国民保護フォーラムのシミュレーションを見ても、災害対策法の計画のときには十年も掛かったと、今回は十年というわけにはいかないと、もっと早く市町村の計画ができるようにしたいと、こういうような発言も出てきているわけでして、私はそこをちょっと強制なのか押し付けなのかということでこだわりました。  最後に、私は、こういう法案日本への侵略対処ではなくて、アメリカの戦争に協力するための戦時体制作りだと、我が党が繰り返し質問してまいりましたけれども、この法案は廃案にするほかないということを主張しまして、時間が参りましたので終わります。
  110. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 午後一時四十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ─────・─────    午後一時四十四分開会
  111. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案外九案件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  112. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。  前回に引き続いて質問しますけれども、今日の午前含めて、これまでの審議で若干感じたことを申し上げて質問に入りたいと思います。  一つは、今日午前も論議になりました、想定されるあらゆる事態に備えるという問題ですけれども、私はそれが政府の責任ある態度だというふうには思いません。政府の責任ある態度というのは、起こり得る事態、起こり得ない事態、また、どのような措置を取ればそれがどのような事態になるか、そういうことについての全面的な分析、洞察力を持って国民に示していくということが政府の取るべき責任ある態度だと思います。  そういう点でいえば、やはり今の時代がどういう時代なのかということの研究も必要であり、特に第二次世界大戦後の何よりも民族独立、主権が尊重される時代。私、外務省にいただいた資料で作りましたけれども、一九〇〇年のアジアの独立国は四か国、今三十六か国になっております。中東、アフリカの独立国、一九〇〇年は二か国ですね、それが今三十八か国になっている、そういう時代。  もし、侵略をやれば、アフガンに、アフガンじゃない、あのフセインのクウェート侵略のように直ちに撃破されてしまうというような時代。また、戦争が違法化され、犯罪化されている時代。こういう二十一世紀の今日の時点に、何があるべきことか、何はあり得ないかと、それを抜きに想定できるあらゆる事態に備えるといえば、論理的に言えば日米戦争にも備えなきゃならないということになると思いますね。  だから、私は、そういう点が示されていないで、何十万の軍隊が着上陸侵攻するというものに想定を、そういう想定に基づく訓練国民に提起するというようなことは、やはり本当の責任ある態度ではないというふうに思います。それが一つです。  もう一つは、具体的な想定がないというお話ですね。  例えば仮想敵国、どこがやって来るというのを、僕は、それは論議の過程では全部やられていると思います。私は、この前も引っ張り出しましたけれども、秋山さんの「日米の戦略対話が始まった」、これを読むと、新ガイドラインから防衛計画大綱から作成する過程で、アメリカ側は具体的なケースを提起して取り決めたいと言うけれども日本側はそれを避けて、別個に具体的なケースを研究して、決定文書ではそれを隠したという意味のことがこれに詳しく書かれておりますね。だから、こういうやり方は、やはり本当に国民の支持を得るものでなく、あってはならないやり方だというように思います。  これは答弁を求めないで、私、そういう態度は今後の論戦の中でも、今後の政策決定の場合にも生かしていただきたいということで、前回に続いての質問に入ります。  私、前回、いろいろな想定の中で、A国、A国との周辺事態、それが日本への武力侵攻にまで波及する事態について取り上げました。その続きですが、まず第一番目は、これ再確認をお願いしたい点ですけれども周辺事態法で初めて日本我が国防衛ということを離れての、後方地域支援という形ではあるがアメリカに、米軍に対する協力ということを打ち出しましたね。これは、安保条約に言う日米共同対処になるのか、そうでないのか。まず、長官、お答え願いたい。
  113. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、安全保障条約には、日本防衛というものとそれから極東有事というふうに両方が備えてあるわけでございます。五条、六条であります。  今先生周辺事態につきましての御指摘がございました。日本自体は後方支援ということで、決して周辺事態において武力を行使するというようなことにはなっておりません。しかしながら、これは一つの共同対処の類型の中には入るというふうに私自身は考えております。
  114. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本の領域外での日米の共同対処、これは私は安保条約の条文そのものでは取り決められていない新しい事態に入った、だから自衛隊法も改正しなければならないと、こういうことだったと思います。  次にお伺いしたいのは、周辺でのアメリカとA国との戦争、これがここ日本に波及した場合、この場合にはアメリカは、周辺でA国と戦い、日本に波及した事態を排除するために日本でも戦わなくちゃならないということになると思いますが、これはアメリカとしてみれば、それ一つ戦争になるのか全く違った二種類の戦争になるのか、お答え願います。
  115. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、二つ戦争といいますか、二つ対処をしておるという理解をいたしております。
  116. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、前者の日米共同対処という答弁はそうなると思いますが、アメリカが同じ相手国、同じ相手国と連続した戦いの中にある、それが二つ戦争だというふうに説明されるのは、やっぱりちょっとそうですというふうには言えないと思いますね。  同時に、私は、そういう事態こそガイドライン作成当時に日米が共同して確認したこと、つまり周辺であれ日本であれ、日米が共同対処するということだったと思います。  例えば、私、いろんな本、今度読んでみました。ガイドラインから当時のいろいろな人の書いたものを読んでみると、当時のことが、今のことがよく読めるという気がいたします。  例えば、このガイドラインの意味について防衛学校のある教授の一人は、日米安保の場をアジア太平洋の中に置き、その枠組みの中で日米の防衛協力の緊密化を図るものであったと、これが日米ガイドラインだと、こう書いておりますね。また、新ガイドラインは、日本が自国領土以外の有事日本への脅威であると初めて認め、米国との共同対処をすることを合意したことで画期的な意味を持つ重要なことだったと、こういうふうに書いておりますね。そして、この秋山さんの本によっても、その第一歩が周辺事態法だったと、大体そういう位置付けで書いておられますね。  大体そういうふうに取っていいですか、長官。
  117. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 例えて申しますと、先ほどの答弁補足をさせていただきますと、周辺事態におきます我が国措置と日米安全保障条約との関係ですが、これは法律にも書いてございますように、周辺事態法は一条にございますが、日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和と安全の確保に資するということになっております。その目的が先ほど申し上げたようなものでございまして、それはすなわち我が国の安全ということにも着目をしておるということでございます。  それが、秋山さんの本を私も何度か読ませていただきました。確かに、第一歩ということは、じゃその第二歩、第三歩はどうなるのだというような問題意識を先生あるいはお持ちなのかもしれません。しかしながら、我が国といたしましては憲法九条、我が国は自衛目的の行動というのは行うわけでございますけれども、それ以外のことは行わない。それは周辺事態法でもそうでございますし、あくまで安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和と安全の確保に資することを目的としておるわけであって、我が国と全く関係のないようなそういうような事態について、米軍との協力あるいは米国との協力、そういうものを企図して、企ててこのガイドラインが第一歩というようなやっぱりコンテクストで申し上げているものではないというふうに理解をいたしております。
  118. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 防衛庁長官としてはそういうふうに説明せざるを得ないと思います。しかし、重要なことは、安保の軸足をアジア太平洋に置いたということが私は新ガイドラインの意味、それからまた日米安保共同宣言の重要な意味だったと思います。  そして、前回の質問でも私は言いましたけれども、それの完成、仕上げる過程がこの数年間続けられてきたと。私、この間も言いましたが、防衛研究所が発表している防衛戦略研究会議の報告書では、その意味を安保条約の周辺安保化という言葉で書いており、さらに、それはもう過去のものになって今は周辺安保化の時代に入っていると。例えばイラクなどの問題点というのは、私は、日本の平和と安全ということとは直接関係のない、つまり、自衛隊が世界の安保にも責任を果たそうとするというふうに防衛庁からいえばなるでしょうけれども、そういう日本の平和と安全だけでなく、新ガイドライン段階ではやっぱり軸足をアジア太平洋に置いた安保体制に進んでいったということだと思っております。  予測事態関連して一、二お伺いします。  予測事態に取る米軍の行動というのは、どういう目的でどういう行動を取るか。私は、この事態というのは、米軍は、一方では周辺でA国との戦闘は続いている、同時に、予測事態にどう対応するかということを同時にやらなくちゃならないと思いますけれども、その関係含めて、どういう目的でどういう行動を米軍は予測事態段階では取ることになるのか、大筋で結構ですから。
  119. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) これは、武力行使には至らない武力攻撃を排除するために必要な準備のための行動を取るということでありまして、例えば、一つ日本国外から日本国内への、又は日本国内での人員や物資の輸送、二つとして施設及び区域内における人員の集結や物資の集積などが想定されているところでございます。
  120. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 防衛庁長官、お伺いします。  予測、日本では予測事態と言う、しかし一方、その時期はアメリカは周辺ではA国との戦いが続いている、その状況下での日本にとってのこの法案が言う予測事態になると思いますが、それはそうお認めになりますか。
  121. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それはいろんなケースがあるだろうと思っております。例えばAという国と、Aという国が、A、イギリスという意味ではなくて、Aという国がアメリカとやっておる、それが我が国にとっては周辺事態である。しかしながら、またBという国が日本に対して武力攻撃の意図を持ち、それが我が国にとって予測事態であるというような場合もございましょう。あるいは、Aという国が両方やっているという場合もございましょう。いろいろなケースは想定をされることでございますが、周辺事態が一方で起こっておる、他方、同じ時期に予測事態というものが進行し、生起し進行するということは、これは可能性としては理論上はあり得ることだと思っております。
  122. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうしますと、周辺事態、じゃないわ、予測事態、予測事態、まだ武力攻撃は発生していない段階、したがってその間は米軍は武力行使はしないというふうな論議すると何か物静かなる状況が頭に浮かんでくる状況もあるんですが、A国との周辺での戦争日本にとっての予測事態ということになる。この事態というのは、アメリカ軍は一方では戦争をやっているんだ、その戦争日本に波及する危険が出ている、そういう大変緊迫した状況だと思いますね。それをどうするかということで、この法律では、読むと、米軍は武力行使はしないとか、いろいろなことが全部準備段階だというように言われるんですが、米軍は日本を基地として周辺での戦争もやるケースが多いと思うんですけれども、その周辺事態用の米軍と予測事態用の米軍が二組に分かれて対応するのか。  さっき言いましたように、これもアメリカから見れば相手はみんなA国ですね。A国に対する周辺での戦い、それが日本に波及しそうな予測事態をどう回避するかのために取る行動、これはやっぱり二つに分かれて二つの指揮系統の下で行われることになるのか。米国から見れば僕は一つ事態だと思うんですが、それはどうなるんですか、長官。
  123. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生が、A国が両方行っておる、つまり周辺事態も起こしておれば我が国に対する武力攻撃の予測と取られるようなことも起こしておるということに仮定をしての御議論だと思います。  それは、指揮系統等々がどうなるのかというのは、それはその場合場合によってそれは異なるのだろうと思っております。しかしながら、そこにおいてアメリカがやります行動は、あくまで一つの行動というふうにパッケージとして行われるものではなくて、そこにおいて行われますものはあくまで二つの行動が行われているというふうに私は評価すべきものであるというふうに思っております。
  124. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それは理屈の上ではそういうふうに、また法律上は分けてもらわないと日本が困る、こういうことであって、アメリカ側はそういうふうに区別する必要はいささかもない事態だろうと思いますね。日本国のこの法律の手前、日本の憲法上の手前、そういうふうになる。  アメリカ側から見れば、そういうふうに分けなくちゃならない何か制約というのがあるんですか。
  125. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは制約があるかどうか、それは私ども、アメリカにとってどのような制約要因があるかどうか、それは存じ上げる立場にはございません。  しかしながら、別に、先生のお言葉をかりれば日本が困るからということではなくて、それは実態といたしましても、日本に対する武力攻撃、それに準備するための行動というものと、実際に周辺事態に、日本から評価をすれば周辺事態対応してアメリカが行っておる行動というのは、それは実態からいたし、見ましても別個のものというふうな評価が十分に可能であろうというふうに私は思っております。
  126. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それでは、今度は反対から見ましょう。  A国というと何かイギリスみたいになってちょっとあれだけれども、A国と言い出したから続けてA国といいますけれども、A国の側から見れば、これは区別ができるかどうか。これ、同じアメリカが周辺で戦って、日本でも予測段階のいろんなことを始めている。しかも、米軍というのは大体日本を基地にしているでしょう。自衛隊による後方地域支援も行われている。そういう状況の下で、相手から見れば、周辺の米国も日本の予測事態対応する米国も一つの相手としか見えないと思いますが、相手も二つに分けて見るでしょうか。
  127. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは先生、むしろ先生長年この問題にかかわってこられて随分と御議論をされたと承知をいたしております。  向こうがどう見るかということと我が国がどう行動するかというのはこれまた別の問題でございます。合衆国についても同様でございます。向こうからしてみれば、相手が、相手というか、自分のA国の立場に立ってみれば、それは、アメリカ合衆国というのは一つの国でございます。ですから、一つだという評価をそれは向こうはするのかもしれません。しかしながら、我が国の立場に立ってみました場合、そしてまた合衆国の立場に立ってみました場合、それは行っておる行動は、主体はアメリカ合衆国であったとしても、行動は別個のものであるし、実際上も別の活動をしておるということが十分にあり得るものだと。それは、向こうがどういう評価をするかということが問題なのではなくて、それがきちんと我が国の国内法上も整理をされた状態なのか、憲法に照らして、憲法に照らしてみた場合、それが合憲性を十分に持ち得るものであるかという評価が重要なのだと私は思います。
  128. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それもまた、私は憲法という制約のある日本の側の理屈であるというように思います。  その問題は争いません。次に行きます。  そこで、予測事態に米軍及び日本がどう対応するかという問題です。これはこの前もお伺いした点ですけれども、私は、端的に、この段階というのは日本への波及をどんなことがあっても阻止する、回避するというところに重点があるのか、そのようにも取れるし、しかし同時に、答弁をよく読み直してみますと、その段階は行動をしない、自衛隊も待機命令であって展開はしない、それから、武器などを提供しても、それは武力攻撃が発生しない限り使わないとか、いろいろなことを言われると、予測段階というのは回避、阻止に重点があるのではなく、次の武力攻撃発生に備える、準備というところに重点があるのか、よう分からないんです。どっちに重点がありますか。これは長官か大臣か、どちらか。
  129. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それはどちらに重心、重点を置いておるというものでもないと私は思っております。  それは、予測される事態というのは、先生おっしゃいますように、決して物静かな状態ではない、相当に緊迫をした状態であろうと思っております。そういうような緊迫した状態にあって、そういうことがもし不幸にして現実になった場合に、どのようにきちんとして対応するようにするか、迅速かつ的確に行動できるようにするかということを備えておくことによって、向こうが、相手側が、A国が、それでは、こういうことになればそれは自分の側の犠牲も増すし、そしてまた目的も達成できないしというような判断、そういうことにもなるのだというふうに思っております。  自暴自棄的な、先ほど冒頭に先生がおっしゃいましたように、それで、私ども、あらゆる事態に備えてというのは、それはすべて、もっともっと防衛力を拡大をし、どのようなことにも備えるためにもっともっと戦車を持つんだ、戦闘機を持つんだ、護衛艦も持つんだということを申し上げているわけではございません。基盤的防衛力構想というのはそういう考えに立っているものではございません。しかしながら、そういう全く合理性も全く無視して、自暴自棄的なこともあるかもしれませんが、理性を持った国であるとするならば、合理性を判断できる国であるとするならば、そのように日米の体制がきちんと整っていくということによって攻撃を思いとどまる、あるいは変更するというような、そういう抑止効果も私は併せ持つものだと思っております。
  130. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、どうもその回避ということについては余り強く感じられないですね、全体としてね。それはもうちょっとまた論議するとしましてね。  つまり、周辺での戦闘が日本にまで波及しかかっている、そのときにそれを阻止し、回避することこそ、特にアメリカにとっては最大の仕事になるんじゃないんですか、米軍については。だから、僕は、米軍から見れば、日本のこの対処法による行動を、米軍はその拘束は受けないはずですから、僕は、まだ日本に対する武力行使が発生はしてないと、その限りでいえば武力行使はできないわけですけれども、しかし周辺ではもう戦争が始まっている、武力行使が始まっていて、その戦争日本の周辺まで来た時点で、米軍は日本に近づくともう戦闘をやめて次の準備に備えるということになるかどうか、そこが私は不思議でどうにも分からないんですがね。周辺では戦争をやっている、日本へ来たら、アメリカだっていよいよ大変じゃないですか。ところが、そこへ来ると武力行使はやらない、これはどういうふうに説明なさいますか。それから、私が頭が悪くて分からないのかどうなのか、これも併せてお答え願います。
  131. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いろんな事態を考えてみましたときに、例えばAという国が周辺事態、そのまま放置をすれば我が国にも波及し得るような、それは例示でございますが、例えて言えばそういうようなことをやっておる、それで周辺事態法が動いていろんな後方支援をやっておるというような状況です。  それが予測事態になるということになればそれはまた別の事態ということになるわけですが、他方、それはそれ、しかしながら、Aという国がそれとは全く別に、それこそ別の行動として日本に対して攻撃を仕掛けようということを行っている場合に、それはもちろん合衆国としてはそういうような事態を避けるためにどうするかということに全力を挙げるのだろうというふうに考えております。もちろん、そういう意味でおいて申し上げれば、戦火の拡大、戦争の拡大、そしてそれが日本へ波及するということをいかにして防止をするかということについても、それは当然配意が行われると思います。  それはどういう状況においてそれが行われるのか、また周辺事態と予測事態との併存というのは、今、Aという国だけを対象にして議論をさせていただいておりますけれども、そこへまたBという国が登場したというような場合にはまた様相が全く異なってくるわけでございまして、アメリカの意図というのは、そのときにおいてどのようにして早くそういうような事態を終結をさせ、犠牲を最小にするかということにおいて行われるものだというふうに考えております。
  132. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 もうちょっと具体的に言いましょう。  予測事態自衛隊武力行使が発生していませんから、自衛隊防衛出動をまだ下令はされていない。したがって、自衛隊の自衛行動も武力行使もできない。これは日本法律によってよく分かるわけですね。しかし、米軍はそういう制約を持っていない国ですね。だから、日本への周辺事態の波及を本当に阻止しようと思えば、日本自衛隊はその段階では武力行使もできないけれども、米軍は武力行使によってでもその波及を阻止することができるわけであって、この法案の立場というのはそういうあらゆる手段を駆使して米軍に日本に波及することを阻止し回避してもらいたいという立場なのか、アメリカも自衛隊と歩調を合わせてその瞬間から武力行使はやらないでくれという立場なのか。具体的に言えばそういうことになるんです。
  133. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 何回か御答弁申し上げていると思いますが、この法律の対象となる米軍は武力攻撃を行っていないという米軍でございますので、あくまで我が国に対する攻撃に対する米軍も武力の反撃を行っていないというのが前提でございます。
  134. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そんなことを聞いているわけじゃないですよ。一つ事態ですよ。戦争が途中で中断するわけじゃないんですよ。だから、そういう答弁しかできないのならそれでいきましょう。  それでは、この前、これは外務省になりますか、米軍へのそのときのあれは安保条約、法的根拠は安保条約五条だという説明がありました。私、そのとき安保条約五条が条約上のよりどころだというのは初めて聞きました。そういう、今まで予測事態のようなときの米軍のよりどころになるのは安保条約の五条、日本武力攻撃が発生していない事態でもこの安保条約五条だという答弁は従来あったんですか。あったら、いつどういう形で教えられているか、私は初めてのものだろうと思いますけれども、簡単に教えてください。
  135. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 前回、私からそのような御答弁をさせていただきましたけれども、それ以前にそのような趣旨の答弁があったとは承知いたしておりません。
  136. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、初めての答弁として安保条約五条が武力攻撃が発生していない事態でも適用されるという答弁、これ外務省、それでいいんですか。  私は、もうぼろぼろになっちゃったけれども、一九六〇年七月に外務省が作った「新しい日米間の相互協力・安全保障条約」というのを、もうぼろぼろになった、希少価値があるだろうと思うパンフレットを持っていますけれども、これによりますと、五条というのは武力攻撃が発生した場合に対処をするものだということで、当時、予測事態にどうするかなどということは念頭にはなかったんだろうと思います。なかったんだろうと思うと、これは自衛隊法上も想定のなかった事態、そして安保条約上も想定のなかった事態ということになるんですが、これは北米局長でいいんですけれども、これどういうふうに説明する、説明しますか。
  137. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) これは前回も御説明を申し上げたと思いますけれども、日米安保条約に基づきまして、米国は武力攻撃が発生をいたしました場合に我が国防衛する義務を負っているわけでございます。したがいまして、このいわゆる対日防衛義務というものを円滑かつ効果的に実施をするというためには、実際に武力攻撃が発生をする前の段階においても、そのための準備の行動をするということは当然その安保条約の予想するところであろうということでございます。  ただ、そうは申しましても、準備行動というものは何でも勝手なことができるというわけではもちろんないわけでございまして、前回も申し上げましたように、これはあくまでも安保条約、そして地位協定の枠の中でそのような準備行動を行うということで、具体的には先ほど井上大臣が御答弁なさったというような行動が想定されるわけでございます。
  138. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 いや、勝手なことをやるかやらないかということは私は問題にしているわけじゃなくて、このぼろぼろパンフによれば、本条はこの条約の中核を成す条項であって武力攻撃が発生した場合のことを規定すると、ここにちゃんと書いてあるわけですよ。  それが武力攻撃が発生していない場合にこれがよりどころになるというのが、そうしか説明のしようがないからそうおっしゃるのかもしれませんけれども、そうだとすれば、やはり当時の想定になかった事態が起こっているからそういう解釈をするという説明なら、それはそれなりに分かります。しかし、何もなしに安保条約五条だと言われたら、これはいい加減な不十分な説明書を六十年前のこのパンフでは書いていたのかということになるわけでね。  だから、私は、安保条約が変わったといって防衛大学の諸君、書いているわけですよ、はっきり。今までの日本を領域を中心とする安保からアジア太平洋に場を移したんだと、安保条約。その場を移した安保の下でどう運用するか、これ条文どおり運用できないと。秋山さんは、かつて国会で、今の安保はもう安保条約の条文どおりに適用できませんと言って答えたことがあります。そういう説明なら分かりますけれども、今の説明では私は納得できません。  つまり、安保が変わって、それでこういう説明しかしようがありませんと、こうおっしゃれば、それ、それなりの説明だと思います。だけれども、これはもうそれ以上答弁がないかもしれませんが、石破さん、どう思いますか、あなたは実行組なんだから。
  139. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 六十年前ではなくて、私は昭和三十二年生まれでございますが、三十五年ということになりますれば四十四年前ということになろうかと思いますけれども、そこにおいて書かれてあることと現在やっておることが、それが矛盾を来しておるというふうには考えておりません。また、今先生が御引用になりました秋山氏の答弁、これは防衛局長当時かと思いますが、ストレートに今の安保条約では対応できない事態が生じたというふうな答弁をしたとはちょっと私、記憶をいたしておりません。  いずれにいたしましても、安全保障条約五条あるいは六条、これに対応できるようにいろいろな諸法制整備をしておるわけでございまして、決して想定をされなかったというものだとは考えておりません。  他方、昭和三十五年当時の日本の周辺の状況と今の状況というのは明らかに異なっておる部分もございます。それに、安全保障条約あるいは日本国憲法あるいは自衛隊法、これの基本に照らしまして、更にそれを広く運用できるような、そういう諸法制整備をしてきたということはあろうかと思います。  しかし、今の安保条約対応できない事態が生じたというふうには私は理解をしておらないところでございます。
  140. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 先生、こういう理解でよろしいんじゃないんでしょうか。昭和三十五年当時のその解説は、条約を極めて直截的に説明をしたと、解説をしたものでありまして、その中に必ずしも、今日で言う武力予想事態、予測事態、そこでの米軍の行動といいますか、あるいは日本の支援というものを必ずしも排除したものではないんじゃないかというふうに思うんですよね。  それと、武力予測事態を規定しましたのは、これは衆議院修正がありまして、やっぱり武力予測事態というのはあるじゃないかということで、武力攻撃事態が、これやった、そういう経緯もありますし、それからもう一つは、私は、どうも武力予測事態を設定したことで安保の軸足が移ったということには必ずしもならないんじゃないかというふうに私自身は思います。
  141. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 軸足が移ったというのはちゃんと防衛大学のお偉いさんが書いているわけですから。  それで、あと、時間がありましたから、最後の質問になろうかと思います。  前回もちょっと触れましたけれども政府答弁を求めなかったので、ここではっきりしてもらいたいと思うんですけれども武力攻撃事態になった、武力攻撃が発生した、こうなると安保条約の五条の発動、自衛権の行使と、こういう段階に入ります。  この前言った点というのは、その事態の日米共同対処、安保条約五条の発動の地理的範囲は、これは我が国の領域に限定されないで、周辺の公空、公海にも及ぶというのが繰り返しの政府答弁になっております。それは今も変わりないかどうか。  それから、その場合の周辺というのは、周辺事態法の言う周辺と重なることも当然あり得ると私は思います。したがって、そこで安保条約が発動された段階というのは、もう周辺事態も、日本から見れば周辺事態も、そして武力攻撃事態も区別のない事態として周辺の公海、公空を含む地域での日米共同対処日本自衛隊の行動の開始と、こういうことになると思うんですが、これは防衛庁長官ですか、どなたですか。防衛庁長官が一番詳しそうだから長官、お伺いしましょう。
  142. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、そういう事態になりますれば日本の自衛権の発動ということになります。それは、もう自衛権の範囲というのは、これも何度もお答えをしておることでございますが、我が国の領海、領域、領空にとどまるものではなく、公海まで及び得るものであるということでございます。我が国が自衛権を行使をする範囲というものがその地域まで及ぶということになりますので、その中から御理解をいただくべきものかと思っております。
  143. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 最後です。  私は、冒頭言いましたけれども日本に対する武力攻撃可能性というのは、四つの想定とか何十万、何万の軍隊が来るということは、これは頭の中でひねり出せば、日米戦争も含めていろいろな想定が成り立つと思いますけれども、そんなことじゃなくて、あり得る可能性は、今私が言いました周辺事態、それが英国であろうと米国であろうと、それを日本の基地から米軍がやる、自衛隊もそれに後方支援で参加する、その波及としてのそういう事態というのは大いに、大いにじゃない、あるかもしれないと思いますけれどもね。それが、何か日本に四つの事態が想定されるというふうな宣伝で、日本を守るためのという大キャンペーンの中で、演習までやりながら、こういう法案を成立させようというのは、国民に本当に真実を知らせる誠実な態度ではないということを申し上げて、終わります。
  144. 大田昌秀

    大田昌秀君 社民党の大田でございます。さぞかしお疲れだと思います。あとしばらくでございますので、御辛抱をお願いいたします。  私は、この種の有事法制を作るときは、その実効性とか、あらゆる面から戦前の、あるいは戦争中の有事法制というのがどういうのがあって、それを徹底的に検証して、果たして法律を作ってもそれが実効性があるかどうかということなどについて詳しく調べた上で、この種の法律を立案すべきではないかと思います。  そういった意味で、先日も若干触れましたけれども井上担当大臣にお伺いしますけれども、戦前、戦中、この種の戦争法制みたいなものは、あらましで結構でございますので、どの程度あって、とりわけ、今問題になっている法律と似たのを幾つか挙げていただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。
  145. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) なかなか詳細にこれわたる問題でありまして、そのうち何が主要なものかどうかという、そこの整理も、これもなかなか難しいとは思うんでありますけれども、申し上げたいと思います。  ただ、今のこの法律の考え方とかつての法律の考え方は全く違います。これはもう憲法が違いますから、国民基本的人権なんかについての考え方も全く違いますし、それから立法府の権限あるいは行政府の権限、これも違うわけでありまして、同じようには、戦前がこうだから今もこうだとかこうすべきだということはないわけであり、まず、歴史的な記録といいますか、我々が注意をして心にとどめておかないといけないような法律としてはどんなものがあるかというような、そういう趣旨で申し上げたいと思うのであります。  まず、全般的な法律でありましては、防空法、戦時災害保護法、戦時行政特例法、軍事特別措置法、戦時緊急措置法、官庁防空令、防空委員会令、戦時行政職権特例、防空総本部官制だとか、あるいは綜合計画局戦災復興部臨時設置制、それから戒厳令。  それから、国民の動員に関係するものとして申し上げますと、今申し上げました全般的なことに対して多少細かくなりますけれども、義勇兵役法、それから警防団令、防空監視隊令、船舶防空監視令、女子挺身隊勤労令、学徒動員令、国民勤労動員令、戦時教育令。  それから社会秩序の維持に関する範疇のものとしては、戦時犯罪処罰の特例とか戦時刑事特例法。  それから四番目、報道、啓発に関するものとしましては、言論、出版、集会、結社等臨時取締法、それから情報局官制。  それから五番目、経済統制に関するものといたしましては、国家総動員法、重要産業ノ統制ニ関スル法律、輸出入品等ニ関スル臨時措置ニ関スル法律、臨時資金調整法、国民徴用令、国民勤労救国協力令、労務調整令、賃金調整令、物資統制令、金属類回収令、会社経理統制令、銀行等資金運用令、臨時農地等管理令、重要産業団体令、企業許可令、価格等統制令、地代家賃統制令等々ですね、ことで、あとちょっと国民生活に関係するものとしましては、戦時保険臨時措置法、戦時災害国税減免法、戦時死亡傷害保険法、戦時特殊損害保険令等々がございます。  もう大変広範にわたっておりますし、時代の進化とともに、事態の進化とともにたくさんの法律が制定されてきたと、こういう経緯ございます。
  146. 大田昌秀

    大田昌秀君 大臣は、戦前の法制と今の法制とは全然違うという趣旨の御答弁がございました。  戦前、戦中のこの種の法令というのは三百以上あったと学者は唱えておりますが、問題は、今大臣がお読みになった主要な法案の名称から見ても国民生活と密接にかかわるわけですが、三百以上の法律を作って、果たして国民の生命、財産を守れたかというと、御承知のように無条件降伏したわけですね。ですから、その辺りの問題もよくよく御理解いただいて今回の法案について審議していただきたいと思いますが、私個人は戒厳令や徴兵制の施行というのに対しては絶対反対ですけれども、今回の法案にそれがないのはどういう理由からですか。
  147. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) この国民保護措置を考えます場合にも、まず武力攻撃に対してどういうような対処をするかということがございますが、それを前提としまして、国民保護のためにいかなる措置を取るのがよろしいかということを考えたわけでありまして、そういうことなしに、しかも憲法に規定しております基本的人権等の関係も、これは当然考慮しなきゃいけないところでありまして、そんなことを総合的に配慮いたしまして、今日のような法律案を作ったという次第でございます。
  148. 大田昌秀

    大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いいたします。  純軍事的な観点からして、軍事専門家のような長官でございますので、戒厳令とか徴兵制なしに外部からの攻撃に対して日本国民の生命、財産を守れるとお考えですか。
  149. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは戒厳令や徴兵制というものも設けなくても、国の独立と平和、国民の生命、財産、それを守ることを可能にするのが政府の責任であります。  そしてまた、それは可能なのかということでございますが、純軍事的に見た場合にそれは十分に可能なことだと思っております。それは戒厳令のようにいろいろな三権を集約をしてしまわなくても、それは十分できることでございますし、そしてまた世界の流れとして徴兵制よりも、志願制という言葉がいいのかどうか分かりませんが、一種のプロフェッショナル化した組織でなければこれからの事態には対応できないというのが世界の流れであるというふうに私は考えておるところでございます。
  150. 大田昌秀

    大田昌秀君 私自身は、今の長官の御答弁のとおりではとても守れないと考えます。  と申しますのは、日本が無条件降伏したときに一体兵力はどれだけ残っていたか、御存じですか。
  151. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 日本の降伏を無条件降伏と言うかどうかというのは、これはいろいろな議論があるところでございます、それはね。
  152. 大田昌秀

    大田昌秀君 日本軍と言ってもいいです。
  153. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 日本軍であれば、それはそういうような表現でも当てはまろうかと思います。  数については、私、済みません、正確な数字を持っておりませんが、陸軍においてはかなりの部隊というものが、国内の部隊というのが本土決戦用、これはかぎ括弧付きでございますけれども、それとして残っておった。ただ、海軍においては、ほとんどの船は喪失いたしておりましたし、航空機につきましても相当が失われておったというふうに記憶しております。
  154. 大田昌秀

    大田昌秀君 数字については若干のずれがありますけれども戦争を研究した人たちの説を紹介しますと、国内に四百三十四万人の軍隊がまだ残っていた、国外に三百五十五万人の軍隊が残っていた、それで無条件降伏したわけです、軍隊がですね。今自衛隊は二十五万足らずでしょう。そうすると、徴兵制をしかずに本当に有事対応できるとお考えですか。
  155. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、例えて申し上げれば、フランスも長年徴兵制を取っておった国でございますが、徴兵制を廃止をいたしました。徴兵制を取っておらない国というものも現在たくさんございます。  要は、軍事力というもの、防衛力と言ってもよろしいのですが、これは数の多寡のみをもって決まるものではございません。どれだけ早く情報を察知するかという能力であり、そしてまたどれだけ装備を近代化するかということであり、陸海空三つの組織をどのようにして統合的に運用するかということであり、諸外国との同盟関係をどのように築くかということでございます。その前に外交努力、平和に対する努力があることは言うまでもございませんが、数の、今自衛隊の数を先生指摘になりましたが、この数が少ないので日本防衛ができないかといえば、私は全くそのようには考えておらないところでございます。
  156. 大田昌秀

    大田昌秀君 もう一問、防衛庁長官にお願いします。自衛隊は毎年のように沖縄に行きまして沖縄戦の研究をしておりますが、その研究の成果といいますか、どのような教訓を得たとお考えでしょうか。
  157. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 恐縮ですが、さきの大戦における沖縄戦ということでよろしゅうございますか。これは教訓というものは多くございますが、これは私も昨年の国会で申し上げました、あるいは井上国務大臣から今国会で何度も答弁がなされておるところでございますが、どのようにして民間人という方を戦争に巻き込まないようにするかというのが私どもは本当に大きな教訓として学ばねばならないことだと思っております。それは、政府全体としてどうやって国民戦争に巻き込まないかという仕組み、これを私どもは本当に沖縄の悲惨な教訓から学ばなければいけない。  私は、先生が知事当時に多くの業績を残されましたが、平和の礎というものに参りますたびにそのことを思うものでございます。日本人であれ、そしてまたアメリカ人であれ、多くの方の名前があそこには刻んであるわけでございますけれども、どうすればそのような悲惨な犠牲を出さずに済むかということを私どもはきちんと学ばなければいけないことだと考えております。
  158. 大田昌秀

    大田昌秀君 今のお話は有り難いお話ですが、極めて冷静に戦争のことを振り返ってみますと、一杯問題があるわけです。せんだって長官にもお伺いしました。超法規的にならずに戦争がやれますかというお聞きしたわけです。なぜそういうことを聞いたかと申しますと、私自身戦場に出ていて、法律を守っていて戦争はできっこないというふうに身にしみて感じております。  このことは栗栖さんが、元統合幕僚会議議長の栗栖さんが、有事法制を早急に制定したとしても、事実は小説よりも奇なりではないが、想定しない事態は必ず起こるであろう。超法規的行動は不可との平和時の非難がかかる危機状況には通用しないことを政府国民も自覚すべきであるというふうに述べているわけですね。  また、沖縄出身の元陸上自衛隊第一混成団の桑江良逢団長は、法律を十分整備しても実際の有事になれば超法規的措置が必要になるとはっきりと言っております。そして、具体的には、沖縄戦を見れば分かると、そのことは。当時の法律では徴兵は二十歳以上、志願兵は十八歳以上でなければならなかった。しかし、沖縄戦では法律は無視され、十六歳だった私の弟も徴兵され戦死したと。日本陸軍の歴史で見ると、国民が住む国土が戦場となったのは沖縄戦が唯一だ。日本法律が適用される場所での戦争だ。有事法制を考える上で沖縄戦を研究することは重要だというふうに、これは自衛隊のOBが述べていることなんですね。  ですから、恐らく戦争に参加した方はどなたでも、超法規的にならずに戦争をやれるというふうには思わないと思います、恐らく。ですから、この辺りももっともっと真剣に議論していただきたいと思います。  つまり、具体的な例を申し上げますと、これは井上大臣御存じかどうか知りませんが、戦争中、沖縄には十二の男子中等学校がありました。それから九つの女学校がありましたが、このすべての学校の生徒たちが動員されました。その法的根拠を御存じですか。
  159. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) よく存じませんけれども、恐らく学徒挺身隊令とか、そういうような、これ勅令ですね、でこの動員をしたんじゃないかと思います。
  160. 大田昌秀

    大田昌秀君 実は、これは法的根拠はございません。ですから、超法規的というふうに申し上げているわけですが、実は義勇兵役法という、先ほど大臣がお読みになりました、これが実際に公布、施行されたのは六月、昭和二十年の六月の二十二日でございまして、そのときはもう既に沖縄、ちょうど沖縄戦の組織的な抵抗が終わった日がその日なんですね。ですから、それ以前には義勇兵役法みたいなものが沖縄に適用されるはずはないわけなんです。ですから、そういった意味で、超法規的に沖縄県下のすべての男子、男女中等学校の若い十代の子供たちが戦場に出されて、半分以上が戦死したわけです。  ですから、そういった意味で、国民の生命、財産を守ると言うのは極めて簡単ですが、物理的にこういう戦争の中身についても是非とも御理解していただきたいと思うわけなんです。  恐らく、防衛庁長官にお伺いしますと、現在の自衛隊というのは旧日本軍とは違うんだとおっしゃりたいと思います。また、前にたしかお聞きしたらそういうことをおっしゃっていたと思いますが、陸上自衛隊のいろんな方々が論文を発表しています。例えば、「陸戦研究」なんかというものに発表していますけれども、これは大変古い話で恐縮でございますが、一九八一年に関根という三等陸佐が論文を発表しておりまして、「死守命令の史的観察とその教訓」と題する論文でございますが、次のように述べております。  戦争の本質を考えると、勝つためには人権より指揮権が優先されるのは必然であり、個人の生命が集団、すなわち国家の生命の犠牲になることは致し方ない。しかし、将来可能性なきにしもあらずの国土戦において、隊員の無用の死、犠牲を避けつつ、旧日本軍と同様の強さを維持することが今後の我々自衛隊の現実的な大きな課題であろうということを述べていて、たしかこの論文は優秀論文として受けておられたと思うんですけれどもね。  そういうことで、一般的に国民の間に、自衛隊というものが本当にどこ、どの点で旧陸軍と違うとか、旧軍隊と違うのかということ、そういうことについて非常に疑問を持っているわけです。その答えは、簡単に言えば、平和憲法の下におけるというふうになるわけですけれども、実態として戦争というふうになれば、旧陸軍だろうが自衛隊だろうが、戦争というのは勝つためにやるわけですから、本質的に何ら変わることはないというふうに私は考えるわけです。  さて、次に入りますが、武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案の第三十四条で、「都道府県知事は、基本指針に基づき、国民保護に関する計画を作成しなければならない。」と規定しています。そして、同条の二項で、国民保護に関する計画に定める事項を具体的に七項目挙げておりますが、しかし、沖縄の現状を見ますと、恐らく、どなたが県知事になっても到底その計画は作れないと思います。  沖縄には四十の有人島があります。そして、資源が乏しくて、日常生活必需品の約七割を県外から入れております。面積は本土の〇・六%にすぎませんが、そこに百三十五万人の人口がいて、人口密度というのは世界でも有数の人口密度を持っていると言われております。そして、そういう状況の中で、沖縄本島の二〇%が米軍基地に取られているほか、巨大な自衛隊基地もあります。しかも、軍事基地は沖縄本島の中南部の一番便利なところにあって、金網で基地は囲っておって、地元の人々というのはその中に入っていけないようになっているわけですね。そして、在日米軍の専用施設の七五%が沖縄に集中しているだけでなくて、沖縄の二十九か所の港湾、港も米軍の管理下に置かれており、沖縄の陸地の四十倍と言われる、つまり沖縄の空域の四〇%が米軍の管理下に置かれているわけですね。  そうすると、平時の現在でさえ、日米地位協定によって米軍基地は治外法権的扱いを受けているところへ、今回のACSAの改定で米軍により大幅にその自由を認める、あるいは、となりますと、県内五十二の市町村のうち半分近くが基地を抱えているわけですから、そういう状況の中でどのようにして県民の生命、財産を守るという計画が作り得るのか。私は率直に申し上げて、本当にどなたが知事になっても今の状況で県民の生命、財産を守り得るとは考えられないわけですが、その点について防衛庁長官井上大臣のお考えを伺いたいと思います。
  161. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 国民保護計画をいかに作るかと、いかに実態に即して作るかと、こういう問題だと思うんです。  法律の中では、国が基本指針というのを作りまして、保護の計画の作り方につきまして、これはかなり詳細に解説をしようといたしております。そのために、関係者の意見も聴取も十分しないといけないと思うんでありますが、要は、それぞれの都道府県、自治体に即しました計画じゃなければならないということでありまして、都道府県あるいは市町村がそういった計画に沿って、計画ができるように、そういうようなよりどころとなる指針を作らないといけないと思っています。  確かに、沖縄県につきましては、今お話しになりましたような特殊性がございます。そういう特殊性がありましても、確かにほかの県に比べて計画を作るのは難しいかも分かりませんけれども、難しいにもかかわらずできるだけ、何といいますか、県民の保護に役立つような計画ができるように今国も努力してまいりたいと思いますし、また、そのような計画を立てていただくように、国としても支援できるところは支援をしていきたいと、こんなふうに考えております。
  162. 大田昌秀

    大田昌秀君 なぜ私が、県知事とかあるいは市町村長がそれぞれの役割を果たすのは至難の業、ほとんど不可能と言っていいかと申しますと、実は戦争が始まったときに、沖縄戦の場合は肝心の県知事が逃げちゃったわけですよ。本土に逃げ帰ったわけです。それから、県の一番重要な内政部長と財政部長も逃げて帰ってきたわけです。それどころか、徴兵令をしく責任者、そして防衛隊なんか動員する責任者の沖縄連隊区司令部というのがあって、そこの司令官というのがその責任を負わされているわけですが、この司令官も米軍が上陸する直前に逃げちゃったわけです。これが実態なんですね。  そういう状況の中で、法案を読んでみますと、私は、その法案を読みながら、法案を立案された方々は戦争の中身というのを本当に知っているかなということを考えざるを得ない。一度質問したこともあるわけなんですが。そういう実態を是非とも把握されて、本当に国民の生命、財産を守るというのがこの法律の趣旨だとおっしゃるのであれば、文字どおり守り得るかどうかということを物理的にもすべて勘案されて、例えば先ほど防衛庁長官は、地上軍が攻めてくることはなくて、例えば化学兵器とかミサイルとか、そういうことがあり得るとかいうことをおっしゃっておりましたが、沖縄のようなところで仮に地上軍が上陸しないとしても、ミサイル一発落とされてしまったら、今の軍事基地に一杯弾薬庫なんかありますから、どういうふうにして守ることが可能ですか。  これはもう本当に私などはもうその点でいつもいつも胸が痛くなるほど苦労しているわけでございますけれども、別に自分の苦労を申し上げたいわけじゃなくて、率直に冷静に客観状況を見て、どのようにすれば安全を確保できるかとすると、この法案の中身というのはいろいろと問題があると思います。  次に進みますが、例えば平時の今でさえ、外務省は常に地位協定の問題についても運用で十分に足りると言っておるわけなんですけれども、しかし地位協定の規制によって、先日沖縄代表、金武町の町民代表が恐らく訪問されたと思いますが、都市型訓練施設の問題も住民の合意を得ないままもう工事が着々と進んでいて、それからまたヘリコプターの基地も、政府にも知らせないで地元にも知らせないで米軍が勝手に造っている。それは地位協定第三条の管理権の下で何でもできるんだというような格好になっているわけですね。  平時においてさえもこういう状況の中で、有事になって、更に米軍に対してACSAを変えてより便宜を図るとしたら住民は一体どうすればいいんですか。外務大臣、お願いします。
  163. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) キャンプ・ハンセンでのレンジ4における都市型訓練施設の話ですとか、そういった問題について、これは今までお答えを申し上げているとおりでございます。  有事に際してはどうかということですけれども有事においてももちろん日米地位協定の下で米軍は行動するということでございまして、そういう状況になったときには調整メカニズムも早急に立ち上げると、その運用を早急に始めるということでございますから、何かその問題が、議論すべき問題がそこで残れば、そういった調整メカニズムを通して不断に調整をしていく中でそれは調整をしていくということになるだろうと思います。
  164. 大田昌秀

    大田昌秀君 細かく申し上げませんけれども、この法案をいろいろ見ておりますと、住民の側に損害を与えた場合には国が責任を持って補償するということを書いてございます。いろいろと書いてございますが、私は大変残念ながらこれを信用することはできません。  なぜかと申しますと、戦争中に嘉手納飛行場とか読谷飛行場とか那覇飛行場を地主から強制的に取り上げて、そしてその所有権を今もって返さないで裁判ざたになっている。戦後、復帰してもう三十年余り、戦後五十八年近く、五十八年もたっているにもかかわらずまだ補償されていないわけですね。  こういう状況で、幾ら文章に補償すると書いても現実には補償されていないという実態があるわけですが、どうお考えですか。
  165. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 土地の譲渡ですね、売買のことでありまして、要はやっぱりそういう、何といいますか、売ったとか売らないとか、金を払ったとか払わないということについて係争があるということはよく承知をいたしているんでありますが、どっちにしましても、具体的な証拠をもちましてその権利関係が確定するというのが必要であるというふうに思います。  したがいまして、恐らくこれは訴訟で確定しないとできないのか、あるいはそうではなしに、現に持っている、当事者が持っております証拠書類でもって確定できるのか、早急にそういう権利を確定をしまして、その権利関係、確定した権利関係に基づいてしかるべき適切な措置が取られなくてはならないというふうに思います。
  166. 大田昌秀

    大田昌秀君 私が申し上げたいことは、戦争になりますと、せんだっても申し上げたことですが、これは事実として申し上げるわけですが、戸籍類とかというのは、もし空襲が激しくなったら地下ごうに入りますから、地下ごうに戸籍類、戸籍簿とか市町村の戸籍簿なんか収めるわけですね。しかし、実際に敵が上陸してきて攻めてきたら、そんなのに構っておれないものですから、そこを、別の方に逃げちゃうわけですね。そうすると、逃げるときにはこの戸籍類というのは一番大事な機密書類として焼き払うわけです。焼き払っていくわけです。そうすると、今みたいに戦後もう半世紀以上たってもまだ解決しない問題が沖縄だけでもたくさんあるわけですよ。  そうすると、これを日本全国に広げて考えた場合に、本当にそういうことが可能かということは、もっともっと真剣に検証をされる必要があるというふうに思います。それだけは申し上げておきたいと思います。  それから、防衛庁長官にお伺いいたします。  停船検査等の海上規制活動は侵略行為をした相手国に対する経済制裁等を行ういわゆる海上封鎖の一環となるのでしょうか。海上封鎖では、海戦法規に関するロンドン宣言第二条で、封鎖を実効たらしめるために実力を用いる必要があるとあるように、実力、つまり軍事力を使うことになります。軍事力を使うということになると交戦権を行使するということになりかねませんが、だとすれば停船検査などは交戦権の行使というふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  167. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは累次答弁を申し上げておりますが、交戦権に基づくものではございません。そしてまた、あらゆるものに対して入港を止めてしまうというような海上封鎖とも全く性質を異にするものでございます。あくまで自衛権の行使に伴う措置でございまして、自衛権行使の三要件が掛かってまいります。したがいまして、先生指摘になりました海上封鎖とは全く違うものでございますし、ましてや交戦権の行使というものでもございません。しかしながら、我が国を守りますために必要最小限の措置として行うものでございます。
  168. 大田昌秀

    大田昌秀君 国民保護法制との関連で伺います。  緊急事態が発生した場合、本法、本法案第四十四条による警報が発令されますが、同第五十条によって放送事業者である指定公共機関は警報に係る内容を放送しなければならないとあります。このことは、指定公共機関に放送を指示し、指定し、強制するということですか。だとすれば、報道管制につながりませんか。戦争中に放送が統制されて、文字どおり軍の宣伝機関となったわけでございますが、そのような間違いを二度と繰り返さないためにも、放送というものは非常に自主的にその内容を判断、内容を自主的に判断して放送させるべきだと思いますが、その点について、井上大臣、いかがお考えですか。
  169. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) どうもこの放送関係につきましては、戦争中のことを皆さん思い出されまして、それを引き合いに出されていろいろと御意見を言われるわけでございます。しかし、この武力攻撃が起こる、あるいはそれが目前に迫っているような場合に国が警報を出すと。これはもう迅速にかつ的確に出さないといけないわけでありますし、一部の人だけがそれを知ってもいけませんので、日本国民全体が知らなくちゃいけないような場合には、日本国民全体に迅速にそういった情報が伝達するよう、伝達されるような措置を取らないといけないと思うんですね。もちろん放送事業者でありますから、独自に放送される場合もありますが、政府としてはやっぱり全国民に対して知らせるべき場合は知らせるような措置を取らないといけないわけでありまして、したがいまして、NHK、その他の民間の放送機関につきましても警報が、例えばですよ、警報が出ます場合にはそれを放送していただきたいと、こういうことでございます。  どのような形で報道されるかは、それは自主的にそういうことは放送局の方で放送され、編集された方針に基づいてされるんでありますが、私どもとしてはその警報の中身の事実は事実として報道願いたいということでございまして、それはある意味の放送の制限になるじゃないかと言われればそうかも分かりませんけれども、放送の中身までこういうふうに放送しろ、ああいうふうに放送しろという、そういう考えは全くありませんので、その報道をしていただきたい。その放送の計画につきましては、業務計画としてお作りをいただくということであります。  国としては、何か情報等提供することがあれば助言をいたしますけれども、特別の中身につきまして事細かく規制をする考えは全く持っておりません。
  170. 大田昌秀

    大田昌秀君 国民保護法案の第百二条五項では、武力攻撃事態等において、武力攻撃災害の発生又はその拡大を防止するため警察官や海上保安官が立入制限区域を指定することができるとなっていますが、立入制限区域の設定は警察官等の裁量で決まるのですか。その際、何らかの基準がありますか。同様に、同法案第百十四条で、警戒区域を設定する場合、市町村は警戒区域を設定し、警戒区域からの退去を命ずることができるとありますが、これも市町村の裁量でできるのですか。それとも、何らかの準拠すべき基準があるのでしょうか。
  171. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) この区域の設定ですね、立入制限区域等につきましては、専らこれは安全性に配慮をするということで、あるいは生活関連施設、これは発電所とか何かありますけれども、これについては、もう生活の、何といいますか、基本的に大切な、生活に大切な施設でありますから、それを守るといいますか、こういう必要性があるわけでありまして、そういうような視点からこういった一定の制限区域を設けるわけでございまして、権限があるものが、場合によりましては都道府県公安委員会でありますとかその他それぞれの役所の権限の範囲内におきましてそういった規制をするということでございます。
  172. 大田昌秀

    大田昌秀君 ありがとうございました。  終わります。
  173. 山本正和

    ○山本正和君 私からずっと質問さしていただいている内容をもう少し整理しますと、今度の法案は、外国から武力攻撃を受けると、外国若しくは、テロ集団は別にしましてね、それで、その武力攻撃を受けたときに、あるいは武力攻撃を受けるおそれのあるときに、我が国としてはこれを排除するということで緊急事態対処法ができたと。それに基づいてこの日本の国内で国民を守るときに、守るために必要な措置を講じようというのが今度の一連の法案の流れだと、こういうふうに思いますが、これでよろしいですか。
  174. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 基本的にそのように理解をしていただければよろしいかと思います。
  175. 山本正和

    ○山本正和君 ということなので、昨日は質問をしたのは、武力攻撃を受ける、我々が、したら今度は武力でこれを排除すると、こういう内容が含まれますからね、そこのところでもう一遍、これの元の法律審議のときに議論しただろうとは思うけれども、それをおさらいの意味で、復習の意味で確かめたということですから、決していきなり妙な質問をして困らせようという意味じゃありませんから。  憲法で示されたところの、要するに国権の発動たる戦争、国権の発動としての武力の威嚇若しくは武力の行使、これを行わないと、こういうふうに憲法で書いてあるやつを、しかしながら自衛のためのものは、これは国際、あるいは例の国際紛争を解決するための手段だからということで、自衛のためのものはこれは排除されないということで、武力でもって相手からの攻撃を排除する、こういう取組は妥当であると、こういう政府の解釈でずっと来たと思うんですね。  そこで、いいんですけれども、今度の法案には武力の攻撃に対して武力で排除すると、いわゆる武力を行使する、国権の発動たる武力を行使するということを前提にして、付随する法案なんですね。  ところが、憲法の方で、国権の発動というのは戦争ということがはっきりあるんですね。今度のやつは、戦争というんじゃなしに、使わずに、武力の行使ということでいこうとしているわけだから、そうすると、その憲法上のいわゆる国権の発動たる戦争というものと、国権の発動たる武力の行使とどう違うのかということをお聞きしたいということで質問をさしてもらったんですが、昨日いろいろと事前にお話をしたところ、政府のきちっとした見解を示したいということなので、内閣法制局長官のこれに対するきちっとしたひとつ考え方をまず聞いておきたいと思います。  委員長、よろしく。
  176. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 憲法九条でございますが、第一項で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と書いてございまして、文理上、「国権の発動たる」というのは「戦争」にだけ掛かっているんだという読み方が普通だろうと思います。  それで、なぜこのように規定されたかと申しますのは、まず「国権の発動たる戦争」の意味内容は、伝統的な国際法上の意味での戦争、すなわち、いわゆる戦前に確立された国際法上の手続を踏んで、国家間で宣戦でありますとかあるいは最後通牒を発するというような手続を踏んで行われる武力を用いた争いであると考えております。ただ、「国権の発動たる」という意味は国家の行為としてという意味でありまして、結局は「国権の発動たる戦争」とは、単に戦争というのと、その意味内容は国家の行為であるという意味において変わらないことになろうと思います。  一方、「武力の行使」でございますが、これは戦争よりも広い、言わば戦争も含む概念でございまして、伝統的な国際法上の手続を踏むことなく行われるものを含め、広く国家の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうものと考えてきているわけでございます。  それで、ただ、これ憲法でございますから、当然のことながら国家の行為を問題とするわけでございまして、「国権の発動たる」ということを付けると付けないとにかかわらず、そこは意味内容はそこは同じでございます。  それで、このように憲法九条が「国権の発動たる戦争」、それから「武力の行使」、これを書き分けている理由につきましては、この「国権の発動たる戦争」というのは、伝統的な国際法上の意味での戦争、一定の手続を踏んだ伝統的な意味戦争というふうに考えているところでございますが、いわゆる戦前の国際社会の実情において、宣戦布告などの手続を踏むことなく国家の間でいわゆる事実上の武力紛争が行われたことが多く見られたことを含めまして、踏まえまして、憲法九条は、いわゆる所定の手続を踏んで行われる言わば正規の紛争のほかに、広く武力の行使を禁ずることを明定しまして、我が国としていわゆる事実上の戦争をも行わないことを、その旨を明らかにしたものと一般に考えられているところでございます。
  177. 山本正和

    ○山本正和君 大体そういうことだろうと思いますが、私どもの世代は、法律については、やっぱり若いときいろいろな議論をした、又はその当時いろんな教えを受けたんですね。  その後、憲法についての解釈もいろいろと、時世時節とは言いませんけれども、大分変わってきております。いわゆる、例の国際紛争解決の手段としてというところがあるのでというので自衛権が認められている、あるいは自衛隊の自衛のための武力行使もやむを得ないんじゃないかというところまで来ているわけです、現在ね。  仮にそういう政府の解釈に従ったとして、そこで私が率直に申し上げておきますけれども、これは私が子供のときからずっといわゆる戦争世代で育ってきたわけですね。そして、最初に、一番しまいに近代史で習うのが日露戦争までは習うんですね。第二次、第一次世界大戦はちょっとその辺で薄くなるんだけれどもね。そうすると、日清、日露と、こういうような二つ戦争我が国はした。それによっていわゆる強国の仲間に入った、世界の強国の仲間に。軍隊の力も世界に負けぬようになってきた。我が大日本帝国日本はと、こういう教育を受けているんですね。ところが、中国で戦争した満州事変というのは、戦争と言わずに事変とこう言っている。それから、中国との戦争も初めの間、日支事変と呼んでいた。あるいは上海で起こった海戦隊の攻撃は上海事変とこう言った。そういうふうに、戦争という言葉が使えなかった。  そういうことも含めて、戦争が終わったときに、要するに、しかし我が国が武力を行使して外国と戦う、こういうことをすべて禁止しよう、そういう意味から「国権の発動たる戦争」、これは宣戦布告、さっき言われたように、宣戦の布告をしたり最後通牒を発したりして、やあやあと言って、遠からんことはとこうやってやるのがこれが戦争なんだと、一般的な概念。しかし、武力行使もこれは戦争なんですよね。  だから、しかしそういう、何というか、武力によって他の国と戦うという行為はしませんよと、いわゆる戦争ということはしませんよと。それ厳密に当てはめるために、わざわざ「国権の発動たる戦争」という言葉と武力による威嚇と武力行使という、三つわざわざ書いたんだと。だから、日本戦争をしない国なんですということを世界に宣言したと。これが、その当時私どもが受け止めた教え方なんですね。  そこで、昨日はちょっとそういう質問をしてみたんですけれども、それはなぜそういう質問をしたかといったら、武力の行使に伴って、今度、武力行使というのは、よその国から、ほかのところから我が国に対して武力攻撃があったと、これを排除するために武力行使をするんですと。これがこの法案があって、その法案に基づいて対処ができたというわけですから、したがって、武力行使我が国がすると国民にこれ宣言しているわけです、はっきりね、この前の法律が。それに伴って、今度いろいろやるわけですね。  となると、この武力行使を我々はしますよということの意味をはっきりと国民皆さんに説明することをしてもらわにゃいけない、政府として。しかし、どうも私が国民皆さんの間で聞いている印象は、また実は私ども議員の中でも時々議論しますよね、どうもそこまではっきり突き詰めた格好で来ているように思えないんですよ、私は。衆議院におけるあの議事録もちょっと斜め読みさしてもらったんですけれども、そこまでしっかり議論をしておったんだろうかとちょっと心配で仕方ないんですよ。  そこで、もう少し事態をはっきりさせるために、来たときに我々が、向こうが来たときにこれを排除する行為、排除する行為に必要なための今度の法案ですからね、だから、排除する行為はどういう行為を想定しているのか。これは、昨日、防衛庁長官にひとつ是非、分かりやすくお示ししたいと言っておったので、ひとつその辺教えてください。
  178. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 昨日の先生の御質問、アメリカとの関係も踏まえて答弁をするようにというふうな御下命であったかと思います。  正確を期しますために朗読調みたいな形になりますが、お許しをいただきたいと思います。  我が国に対する着上陸侵攻というものに対処するためにどうするかということからまず申し上げますと、自衛隊日本に対する着上陸侵攻を阻止し、排除するための作戦を主体的に、これ日本が主体的にということでございます、主体的に実施をし、米軍は主として自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。その際、米国は、侵攻の規模、態様、その他の要素に応じ、極力早期に兵力を来援させ、自衛隊の行う作戦を支援する。これが着上陸侵攻でございます。  次に、戦闘機でありますとか爆撃機でありますとかいろんなものがございますが、我が国に対する航空侵攻に対処するための作戦におきましては、自衛隊が防空のための作戦を主体的に実施するのに際し、米軍は自衛隊の行う作戦を支援するとともに、打撃力の使用を伴うような作戦を含め、自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。  着上陸侵攻と航空侵攻につきましては、このような関係に立っております。  そのほか、今回考えておりますのは、ゲリラ・コマンドーなどの新しいタイプのものでございます。不正規型とも申し上げておりますが、自衛隊はこれを極力早期に阻止し、排除するための作戦を主体的に実施いたします。その際、アメリカは、事態に応じ適切に支援を行う。  さらには、弾道ミサイルについて日米はどういうことになるのかということでございますが、弾道ミサイル攻撃対応するために、自衛隊及び米軍は密接に協力し、調整する。米軍は、日本に対し必要な情報を提供するとともに、必要に応じ打撃力を有する部隊の使用を考慮するということになっておるわけでございます。  したがいまして、これはすべて調整メカニズムにおいていろいろなことを取り決め、また運用を行うわけでございますが、着上陸侵攻、航空侵攻、ゲリラ・コマンドー、そしてまた弾道ミサイル、それらにつきまして、日本とアメリカはそのような関係に立っておるということでございます。  具体的に更に、何といいますか、ビジュアルに示せと、こう言われますと、それぞれにおいて違いますので、ちょっと今のことで包括的な御説明ということでお許しをいただければと存じます。
  179. 山本正和

    ○山本正和君 大分形が見えてきますけれども、今のお話でね。  そうすると、おおむねですよ、おおむね、今のお話をずっと総合していくと、国土に来るまでにできたら戦い、排除していきたいということがおおむねの流れだと思うんですね。だから、私はアメリカ軍が日本国土で白兵戦で戦うという事態はどうも想定してないような気がするんですよ。それは最悪の場合はそうなるかもしれぬですよ、それは、戦争ですからね。しかし、大体そういうことは想定せずにアメリカと日本との間の調整というか協議というか、これを行われるものと考えているんですけれども、どうですか、その辺は。
  180. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それはおっしゃるとおりだと思います。  実際に国土が戦場になるというようなことになりますれば、これはもちろん避難措置というのも迅速的確には行いますけれども、国土においてダメージがゼロということもなかなか想定しにくいわけでございまして、国土が戦場になるということを避けるためには、先生のお言葉をかりれば、水際で排除をするということが必要でございますし、日本と米軍はそのために共同対処するということになるわけでございます、武力攻撃事態ということで相なった場合にですね。  ただ、それが一番望ましいわけでございますし、アメリカが日本本土において白兵戦を行うというのは極めて考えにくいことではございますけれども、しかしながら、攻撃の態様、相手方の態様いかんによってはそういう可能性が全く排除されるというものではございません。日本国内が戦場になり、アメリカが自衛隊とともに白兵戦を行うというようなことはとにかく極力避けるべきことではございますが、可能性として全く排除していいとも思っておらないところでございます。
  181. 山本正和

    ○山本正和君 仮定の場合、あらゆる問題を想定しなきゃいけないという意味で言っているというふうに私は了解したいんですよね。だけれども、あくまでこれは水際における阻止というものを、武力による阻止というものを中心に据えているそういう構想でなくちゃいけないということは前提にして私、今お聞きしたんですけれどもね。  それでいいんですが、ちょっとそこでまた元へ戻りますけれども、さっき尋ね忘れたもので内閣法制局長官にお聞きしたいんだけれども、この憲法の戦争武力行使の問題について、政府の見解というのをこういう今のような形で説明したのは過去に例がありましたか。ちょっとそれだけ。
  182. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 戦争とは何か、それから武力の行使とは何かということを憲法の規定に沿ってお答えしたことは、平成十四年二月五日の、これ、衆議院金田誠一先生質問主意書に対する、二月五日は政府が出した答弁書の日付でございますが、そういう答弁書はございます。  ただ、後半の、なぜ「国権の発動たる戦争」と「武力の行使」とを書き分けたかにつきましては、私の記憶では、従来答弁はなかったのではないかと思います。
  183. 山本正和

    ○山本正和君 今、私がなぜこんなこと聞いたかといいますと、実は私ももうこれ参議院で随分長い間やっておったんだけれども、そこのところに余り気が付かなかったものですからね、もう言うだけでずっと来ていたものだから、やっぱりこの辺で一遍きちんとせにゃいかぬと思ったので、正式な政府の見解として今日はお尋ねしておいたと、こういうことですから、その辺は御記憶にとどめておいてください。  そこで、今の防衛庁長官のお話の下でいくんですけれども、いずれにしても、向こうが来た場合の対応をするというのが今度の法案なんだと。ところが、こういう法案を、私もちょっと昨日も申し上げたんですけれども外国でもいろいろとこういうことについては対応しているはずだと。  それで、ちょっと私も聞いたところによれば、ドイツの緊急事態法制というのがかなりきちっと精密にできておると。そして、我が国法制との比較と言ったらおかしいですけれども、もちろんドイツと日本は違いますから、ドイツはもう大陸国家ですから大陸の中にあるわけですし、我が方は海ですから違いはありますけれども、しかし、ドイツにおける緊急事態法制というものと、我が国が今度作ろうとしているこういう国民保護に関する法律ですね、との間の共通点なり違いなりがどういうところにあるか、この辺はちょっと教えていただきたいんですけれどもね。
  184. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) なかなか短時間のうちに比較を詳細にするというのは難しいんでありますが、大きく分けまして、ドイツのそういう緊急事態法といいますか、戦争を含めたその法律ですね、と日本との違いといいますのは、ドイツには徴兵制があるということですね。徴兵制です。徴兵制の下で国を守っていくということでございます。それが一つです。  二番目は、したがいまして、徴兵制ですから、やっぱり国民みんながこの国を守るんだというこの思想だと思います、志願じゃなしに徴兵ですから。そういったことで、この民間防衛というんですか、国民みんなが我が町、我が村を守るという、そういう義務を課せられるときがあるということですね、状況に応じてでありますけれども。そういう義務があると。  この二点が大変違っているところだと思います。
  185. 山本正和

    ○山本正和君 今の井上大臣の御答弁ですが、例えば土地を収用するとか、そういう国民の権利に対する取組方について、我が国との法制との今度の違いはどの辺かということも含めてひとつ。
  186. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) そこはどうもその法律の規定だけでは十分な理解ができないんでありますけれども、土地の収用、あるいは施設の収用につきましては、多少の違いはあるかも分かりませんけれども、余り大きくは日本の場合と変わっていないんじゃないのかなという、そういう感じを持っております。
  187. 山本正和

    ○山本正和君 土地収用や国民の権利に対する、ひとつこれは大変だけれどもこの土地をこうしてもらいますよ、あるいはみなさんこっちへ行ってくださいよというふうなことを言うその当事者が、ちょっと日本と向こう側と違うように思うんですよ。向こう側の方が地元に密着している人がそういう指揮をする。ところが、どうも我が国の方は、中央から発せられて、そして地方へ行って指揮されるように思うんだが、その辺の違いはどうですか。
  188. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) どうも土地の収用につきましては、どうもその所有者とか、日本の場合はこの所有者の原則的にですね、同意が必要。で、同意がなければ収用令書等でやれる場合がありますけれども、ドイツの場合は、一定の場合は全く許可なしにその使用が可能なようになっているようでございます。  それから、物資の方でありますが、これは、これは連邦政府でありますけれども、出動準備のために、連邦政府が出動準備をいたしますが、そのためにいろんなものを準備をする必要がありますが、これにつきまして、この給付といいますか、連邦に対する給付を請求ができるということでありまして、いろんな資材とか物を連邦が準備をするということですね。日本の場合はこれは、物資の収用につきましては、原則的に日本の場合は自衛隊でありますけれども、必要な場合には物資の収用なんかもできるような規定がございます。  総じて言いますと、ややドイツの方が、土地の使用にいたしましても、物資の収用といいますか使用につきましても、何かそういうことができやすいようになっているんじゃないかという感じを持ちますが、詳細にはまだ十分検討しておりませんのでお答えすることはできません。
  189. 山本正和

    ○山本正和君 これはなぜ私こんなことを聞くかといいますと、この法案をずっと見ておって、いわゆる地方自治体の首長なりあるいは地方自治体における警察あるいは消防その他のいろんな組織があるわけですよね。こういう一番その土地のことをよく知っている人たちが、そこでいろんな行動をするときに、それに対して物が言いやすいような条件を作ってもらうべきじゃないかという気がするもんでね。要するに、こんなこと言ったらおかしいんですけれども、例えば横須賀から今アメリカ飛行機飛びますよね、しかしもうちょっとそれを広げたいとかなんとか要請があったと。そのときにやっぱり直接かかわるのはその地元の人ですよね。その地元の人たちに対する意見は聞かずに、アメリカ軍からぱっと来たことをそのまま政府が聞いて、はい、これというふうな印象を与えはせぬかと、この法律を見て思うんで、そこを聞いているんですよ。  だから、それは最終的にはどうしても必要な場合になることあるかもしれませんよ。しかし、地元の意見や地元の事情というものを聞く余地というものがこの法案のどこにあるんだということでちょっと見てみたんだけれども、どうも認めにくいもんで。これはドイツの方はそれに対してはかなり地方に任せてあるというか、いろんなものの判断がね、そんな感じしたもんだから、それで聞いているわけですよ。しかし、我が国のこの法案についてもそういうことについては十分に考慮されていると、したがって運用の中では十分それは考慮されるべきものだと、こういうことを言えるんならば言っておいていただいた方が、国会における答弁ですから、後で役に立つだろうと思うから、その辺はいかがですか。
  190. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) このたび提案をいたしておりますその法律は、この土地とか施設につきましてのいわゆる一時的な使用についての規定でありまして、こういう武力攻撃事態等があるからといってその他の大きな権限を新たに付与していることはございません。  今、施設とか区域の提供の規定がありますけれども、それはあくまでそういう一般的な規定に基づいて行われるわけでございます。例えば、飛行場の拡張が必要だというような場合は、それはそういう土地の地域といいますか区域の利用を可とするような、可能とするような措置を取るわけでございます。それは、現に今ある規定に基づいてやるわけでありまして、この武力事態攻撃だけに限定いたしました規定といたしましては、一時的な使用の権限だけを規定をしているということでございます。
  191. 山本正和

    ○山本正和君 委員長、どうも皆いなくなったようですから、質問しにくいので、ひとつ質問を保留させていただいて、これで打ち切らせていただきます。
  192. 清水達雄

    委員長清水達雄君) という、野党が退席されたという状況でございまして、質問者の申出もございますので、本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時二十七分散会