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2004-05-19 第159回国会 参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十九日(水曜日)    午後三時十四分開会     ─────────────    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     森 ゆうこ君      谷  博之君     辻  泰弘君  四月十六日     辞任         補欠選任      池田 幹幸君     吉川 春子君  五月十九日     辞任         補欠選任      高野 博師君     渡辺 孝男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         清水 達雄君     理 事                 田村 公平君                 常田 享詳君                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 若林 秀樹君                 小泉 親司君     委 員                 有村 治子君                 大野つや子君                 小泉 顕雄君                 後藤 博子君                 田浦  直君                 中原  爽君                 西銘順志郎君                 野上浩太郎君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 池口 修次君                 岩本  司君                 神本美恵子君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 高橋 千秋君             ツルネン マルテイ君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君                 森本 晃司君                 渡辺 孝男君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君                 山本 正和君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        外務大臣政務官  荒井 正吾君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣法制局第二        部長       山本 庸幸君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        外務省経済協力        局長       古田  肇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保  支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関  する調査  (イラクにおける外務省職員殺害事件等に関す  る件)     ─────────────
  2. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月十五日、大塚耕平君及び谷博之君が委員辞任され、その補欠として森ゆうこ君及び辻泰弘君が選任されました。  また、四月十六日、池田幹幸君が委員辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。  また、本日、高野博師君が委員辞任され、その補欠として渡辺孝男君が選任されました。     ─────────────
  3. 清水達雄

    委員長清水達雄君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等並びに武力攻撃事態等への対処に関する調査のうち、イラクにおける外務省職員殺害事件等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 齋藤勁

    齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  本日のイラクにおける外務省職員殺害事件につきましては、この間、当特別委員会あるいは外交防衛委員会等で中心的に我が会派から質問してまいりました若林議員が中心的に質問をさせていただきます。その前段と申しましょうか、イラク、とりわけサマワを中心とする今の状況について、幾つかたださせていただきたいというふうに思います。  最初に、両大臣外務省あるいは防衛庁からでも結構なんですが、この近々一か月、約一か月で結構ですけれども政府が把握をしております範囲で結構です、銃撃戦回数市民外国軍隊死傷者数サマワにおけますオランダ軍陸自宿営地付近に落下した砲弾回数など、サマワがどのような情勢にあるのか、具体的に明らかにしていただきたいと思います。  どちらでもいいですけれども、分かっている方で。
  5. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。お答え申し上げます。  イラクで死亡した民間人等の数でございますけれども、これにつきましては公式な統計がございません。イラク・ボディー・カウントというNGOの集計がございまして、それにつきましては、若干幅がありますけれども、一万名程度が今まで亡くなっておられるということについての報告はございます。  サマワにおきましてどういう事件が起きているかということについては、手元に今資料を用意してお答え申し上げますけれどもオランダ軍宿営地におきまして迫撃砲砲弾がございまして、そのうち数発が宿営地に落ちた、しかし大きな死傷者はなかったということがございます。  また、同様の事件につきましては、自衛隊宿営地の近辺におきましても迫撃砲らしきものが落下したという事件がございました。  また、オランダ軍でございますけれども検問所におきまして、手りゅう弾が投げ込まれて、この事件の結果、一人死傷、一人負傷という事案も発生しております。
  6. 齋藤勁

    齋藤勁君 数値そのものについては後ほど詳しくお聞きいたしますが、私はなぜ、一番最初に聞かして、言いますと、我が自衛隊宿営地付近にも迫撃砲、そしてオランダ宿営地にも迫撃砲、そして最近のいわゆるサドル支持派グループ衝突武力衝突というのが非常に頻発に起こっているということについて、大変緊迫した状況であるということについてのお互いの共通認識に立つということであろうかという意味でたださせていただきました。  そこで、今日、理事会にも御説明いただきまして、委員皆さん方にも行っているんでしょうか、行っていないのかな、これは、行っていないんだ。今日付け防衛庁から、そして外務省から、外務省からイラク治安情勢、そして防衛庁からは自衛隊部隊活動状況についてということで一枚紙をいただきました。  報道もそうなんですが、このサマワ周辺の現況について、イラク治安当局との間で、このサドル支持派と思われる集団オランダ軍、断続的に衝突が生じましたというふうにある、衝突衝突というのはどういうことですか、これ。衝突が生じました。それから、今後テロ等可能性を否定することはできない、そうでしょうけれども武力、私は、衝突の前に武力衝突というのが、武力という言葉が、付く言葉が足りないんじゃないんですか。断続的に衝突デモ隊衝突じゃないわけであって、この武器を携行したグループ衝突をしている、武力衝突殺傷行為をしていることじゃないんですか。そういう意味であるということを具体的に記述し、お述べいただくことが正確な私たちに対する報告じゃないんですか。  そのことについてお尋ねいたします。
  7. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  これはオランダの国防省が発表しているわけでございますけれども、サマーワにおけるオランダ軍と、ムクタダサドル支持派と思われるイラク人との間の、まあ衝突という言葉を使っているわけでございますが、などにつきまして発表しております。  それによりますと、十四日の真夜中ごろでございますが、サマーワ市内におきましてイラク警察サドル支持派と見られる武力勢力から射撃を受け、オランダ軍イラク警察支援した。本件におきましてオランダ軍死傷者はないというのがまず第一件でございます。  それに続きまして、十五日の昼ごろでございますけれども市街地南側サドル支持者が集まった建物付近において、建物を取り囲んでいたイラク警察オランダ軍支援を要請し、その後、オランダ軍サドル支持者との間に撃ち合いが発生した。建物内には人数不明のサドル支持者がいたが、彼らはその後逃走し、イラク警察建物を押さえたと。オランダ軍死傷者はない。  また、十五日の夜でございますけれども、ルメイサにおいてオランダ軍パトロール部隊射撃を受け応戦したという報告を受けております。
  8. 齋藤勁

    齋藤勁君 堂道局長ね、防衛庁文書、今私が読み上げたのは。石破長官ね、石破長官、私が今読み上げた文章防衛庁報告書類です。正確に現状をお互い認識し合うということだと。現地状況、リアルタイムで私たち分かりませんから、口で、そして記述をしていただくということで私たちは聞くわけですから、正確に今私たち現地状況を認識し合うということが大切ですから、一つ一つ報告というのは、私は文章、文言というのはきちんとすべきじゃないかと思うんですけれども。  三の(一)の二段目のイラク治安当局との間で断続的に衝突が生じましたが、死傷者も出ているんですよね、武力衝突でしょう。武力衝突が生じて死傷者が発生したということで、そういうことじゃないんですか。
  9. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、先生武力衝突ということが何をもって武力衝突というのかということにもよりますが、現地で起こっておりますことは、治安を担当しますオランダ軍が、治安攪乱をしようとする者、治安を乱そうとする者に対しまして、イラク警察等々と共同して治安維持をする行為を行っているという評価をいたしております。  したがいまして、これが武力衝突というよりも、それは治安維持行為がその地において行われておる、私はそういう判断をいたしております。
  10. 齋藤勁

    齋藤勁君 何が違うんですか、じゃ。私が言っているのと何が違うのか。ちょっと、そのことによって何が問題というか、何を認識し合うんでしょうか。言っていることは、違いをすることが、何で私たち、今この国会の中で、違う、そういうことだと今長官おっしゃるけれども長官なりの考え方を、何を意味するんですか、ここで今そういうことを、違いを披瀝するということが。
  11. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 言い方が適切、十分ではなかったかもしれませんが、要は、武力衝突ということを先生が何をもって武力衝突というふうにおっしゃっておられるかということでございます。実際にそこで、私どもはここに書いておりますのは、断続的に衝突が生じましたというふうに書かせていただいております。武力衝突が生じましたというふうに書いておるわけではございません。別にこれは言葉の遊びをしても仕方がございませんが、そこにおいて行われていることは、治安維持をするという行為が行われている、すなわち、サドル師支持グループというものが、私、以前もお答えをしたことがあるかもしれませんが、サマワ市の市民支持を得、そしてそこにおいて一つ勢力を成し、それと衝突が起こっておるという評価をいたしておりません。それは、日本で言えば、それは警察が例えば、例えが必ずしも適切ではないかもしれませんが、治安攪乱をするような勢力というものが日本でもございます。そういうものに対して警察が対応する、そういうようなものと本質的に変わるものだとは思っておりません。
  12. 齋藤勁

    齋藤勁君 困ったものだなと思いますね。だって、一枚紙に、イラク治安当局の間で断続的に衝突が生じまして、この衝突というのが出会い頭で何か衝突をしたと、人と人が衝突したということじゃなくて、デモ行進衝突したわけではなくて、武器を携行した集団でしょう、集団武力衝突武器を持って撃ち合いをして死傷事件が起きたということを、そういうことでしょうということをお話しさせていただいているのに、どうも違うことを違うことを言って。  さて、内閣法制局、お見えでございますね。過日の報道幾つかの複数の報道で、内閣法制局がこのサマワにおけます今の状況福田康夫官房長官に四月に報告をしているということで、一つの様々な現状状況とかいろいろ意見交換をしたようでございます。  その中に、この記述によりますと、福田官房長官法制局解釈政府見解とすることを留保したというふうに書いてございますが、見出し的には、「サドル派 国に準ずる」、内閣法制局解釈、非戦闘地域と矛盾。防衛庁解釈を認めればサマワイラク復興支援特別措置法上の非戦闘地域でなくなる可能性もあるため、激しく反発をしている。内閣法制局報告したのは、米軍との衝突を繰り返しているイスラム教シーア派の対米強硬指導者サドル師支持派を国に準じる者との解釈。これは、今御答弁いただいています石破長官はこれまでの答弁で、自衛隊派遣先となる非戦闘地域については海外での武力行使を禁じた憲法九条を担保する規定と説明ということになり、そして、国又は国に準ずる者、組織的、計画的はずっと私たちもずっと繰り返し伺ってきましたが、このサドル派に対して組織的計画性は認定できるけれども国に準ずる者と認定するのは困難だというのが石破防衛庁長官防衛庁見解だということで、このことが見解の食い違いだと、こういう紹介記事でございます。  このことについての内容、経緯につきましてお尋ねさせていただきたいと思います。
  13. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) そのような報道があったことは私どもも承知しておりますけれども、しかし、内閣法制局がその報道にあるような見解を取りまとめて、前官房長官報告したという事実は一切ございません。  本件は、具体的な事態に対する法の当てはめの問題であります。しかし、当局イラク人道復興支援特別措置法運用に当たるものではございませんし、また、イラクにおける各種の状況を直接承知する立場にもございません。  そういう観点から、同法の運用に関する特定の事項につきまして、そういう御指摘のような報告を行うということはあり得ないわけであります。
  14. 齋藤勁

    齋藤勁君 そうすると部長、あれですか、この報道出てから局内内部で、何でこんな報道が出たんだろうかということについてはお調べ、調べたんですか。調べられたんですか。
  15. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 当局といたしましても、当局に確認することなくこういう事実に反する報道がされたということは誠に遺憾に思うところでございまして、現に昨日付けでその旨を文書にしたためまして、その報道を行った通信社に対して厳重に抗議を行ったところでございます。
  16. 齋藤勁

    齋藤勁君 昨日そうすると抗議して訂正を求めたということですけれども、それらに対するまだ回答はないわけですか、新聞社から。
  17. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 特段の反応はその後ございません。
  18. 齋藤勁

    齋藤勁君 今部長答弁ですと、一切根拠がないと、一切全く根拠がないと。内閣法制局官房長官とこういった、サマワにおけますサドル派についてのこういった武力衝突武力行使、いろいろ衝突状況があります、これらについていろいろ話し合ったという経緯もないんですか。見解は、結論的には別にしまして、話し合った経緯も全くないということですか。
  19. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 先ほども申しましたように、私どもは具体的なその事実を直接知る立場にございませんので、そういう観点からいっても、そういうことをお話し申し上げたという報告は、私どもの中いろいろ調べましても、そういうことは一切ないということでございます。
  20. 齋藤勁

    齋藤勁君 私は重大な誤報だと思いますよ、そうすると、複数出ていますから。これは報道各社から、なぜこういう報道が出たんだということについて私は回答を求めるべきだと思いますよ。相当な国民、私たち国会議員も見ているわけですから。そういう私は姿勢を取るべきだと思いますけれども。ただ出しましたということじゃ済まないんじゃないですか。
  21. 山本庸幸

    政府参考人山本庸幸君) 経緯を若干調べますと、ある通信社がその記事を書きまして、それを各新聞社に配信したということらしいので、要するに出どころはある通信社でございます。したがいまして、昨日そういうことを申し上げたばかりでございますので、しばらく様子を見たいというふうに思っております。
  22. 齋藤勁

    齋藤勁君 大変な私は現地における状況で、先ほど石破防衛庁長官答弁とお話聞いていますと、本当に私はイラクにおいて我が国自衛隊、私以上に長官、こういう話をすると、いや、齋藤以上に私の方が自衛隊の隊員の生命のことをよく思っていますよと言われるかも分かりませんが、先ほどのやり取りを聞いていると、本当に思っているのかどうかというふうに疑いますよ。衝突とか何かということについて、何でそういうことをこだわるのかどうかということを思います。  改めてそれじゃお尋ねいたします。サドル派というのは、民兵とかいろいろグループ、十万人だとか数万人とかいろいろありますが、外務省でも防衛庁でも結構ですが、イラクにおけますサドルグループというのはどういうふうに受け止めていますか、現状について。
  23. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 報道によりますと、サドル派支持派民兵と称する者が十万人規模でいるという報道については承知しておりますけれども、これにつきましては私どもは確認しておりません。現時点でいろいろな情報がございますけれども武力衝突を繰り返している人数はそういうような規模ではないという報告を得ております。もっと数が少ないということでございます。  また、民兵組織につきましては、イラクシーア派の南部でも数々の組織がございます。そういう意味で、そういう組織があるというのは事実でございますが、現在、私どもの得ている情報では、そういういわゆる民兵組織としてきちっとしたものに加えて、何人かのいわゆる犯罪者も含めた形でそれに加わっている勢力があるようだという話がございます。
  24. 齋藤勁

    齋藤勁君 率直に言うと、その程度なのかなという感じなんですね。サマワに派遣したころは、自衛隊が、先遣隊とか、随時、こういったサドル師肖像画とか何かというのは何かなかったという報告しています。たしかそういうことは全く兆候はなかったはずですよ。徐々に徐々に市内にはサドル師肖像画があふれ出してきて、あふれるという表現、見え出してきて、それがどんどん売れるようになってきたということがありながら、さらにまた、いろいろイラク内部での武力衝突がありながら、遂にまたこのサマワにおいてもということで、治安情勢悪化をしているわけですよ。これは政府説明にも、治安情勢は、治安状況悪化をしているということで書いてあります。もっと詳しく私はその点については報告をすべきだと思いますよ、きちんと分析をして。  それから、ちょっと時間がないので、時間が、たっぷりあるんですけれども、私たちの会は、先ほど冒頭申しましたように若林議員が今日は外交官殺害事件やりますが。大臣、ちょっと一つ、二つだけお伺いします。今のことはまた改めてやりますので。  大臣は、この間、イラクにおいて大量破壊兵器が存在するということについていろいろ同僚議員もやりました。そうしたら、注視をします、注視をしますというのが私もどうも頭にこびりついているんですけれどもアメリカのいろんな調査することについて注視をします、注視をしますというのがずっと外務大臣答弁なんです。今なお注視をするんですか。
  25. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは何回かもう既に申し上げておりますので、繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、そもそも、あったということは、これは事実としてあるわけですね、あった、使った。そして、それを、じゃどういうふうに、もし今ないとしたらばどういうことになったかというと、だれかが黙って破壊をしたか隠したか、あるいはどこかに存在するか、論理的に言うとそういうことであるというほかにはないわけでございまして、私が注視をするというふうに申し上げていますのは、引き続きまだ大量破壊兵器について捜査、捜索、この活動は行われているわけでございます。したがって、その状況について注視をするということを申し上げているということでございまして、元々なかったということではないわけで、これは国連調査団あるいは実際に使ったということからいっても、とにかくあったわけでございます。  そして、繰り返しませんけれどもイラクのサダム・フセイン大統領は、これがどういう状況で処理をしたかとか、国連調査団に従って回答するということをしないできたということですから、どこかにそれはまだあるか、破壊をされたとしたらその証拠があるか。最近の例で、サリン入りの爆弾が見付かったという報道もございまして、まだこれは米国もきちんと確認をしていないということのようでございますけれども、引き続き注視をしていくという姿勢には変わりがないということでございます。
  26. 齋藤勁

    齋藤勁君 私、この一問一答で終わります。  過日、アメリカパウエル国務長官がこの十六日、NBCテレビの番組で、二〇〇三年、自らが昨年の二月に国連安全保障理事会大量破壊兵器の脅威を説明した際に掲げた移動式生物兵器製造施設に関する情報が不正確で誤りだったということを公表していますよ。がっかりして後悔をしていると、パウエル長官。こういうことが、同盟国といいましょうか、いわゆる国々とも情報を共有しながら、イラクへの武力行使とか、今日まで大量破壊兵器があるのはあるということに付いていきながら、我が国外務大臣政府小泉内閣もずっと大量破壊兵器があるということだったんでしょう。  少なくとも、そういう今アメリカパウエル国務長官がやはり公表したということについて、これはやっぱり、私、あなた方はこの国会の中で、衆参でずっと一貫してこういう情報を基に国会を通じて国民説明してきたんですから、私は改めて、政府として間違っていましたとか、私たちの理解が不十分でしたとか、率直にやはり認めて発言すべきじゃないか、そういうふうに思いますが、いかがですか。
  27. 川口順子

    国務大臣川口順子君) パウエル長官報道テレビのインタビューでございましたでしょうか、今委員がおっしゃったようなことを言ったということは承知をしていますし、それは彼の発言国連における発言の全部ではなくて一部についてそういうことがあったということは残念だし、残念であったということを言ったということでして、私といたしましても米国情報機関のその部分についての調査が不完全だったということについては残念だと思っております。  ただ、そのことと、先ほど申しましたように日本政府として大量破壊兵器について判断したこと、これは独立したことであるというふうに考えております。すなわち、国連調査団がきちんと報告書で出しましたように、これは三十幾つについて疑惑があったわけでございます。VXガスとか炭疽菌とか、繰り返しませんが、そういうことをたくさん言っている。現に使った、そしてそれについてどこでどういうふうになったか、イラク側が処理をしたということについても十分にそのフォローができない、疑惑が残るということを、これは国連調査団が言っているということであります。  我々は、アメリカ調査機関がこれについてサリン、失礼しました、パウエル長官が言ったように一部完全でない部分があったということについては残念に思いますけれども、我々はアメリカ調査団報告アメリカだけを見てこれについて判断をしたわけではなくて、正に国連調査団がそういったことをイラクの発表したことについて疑惑を証明をし、疑惑を表していると言っているということをきちんと踏まえて判断をして物を言ってきたということでございます。間違っていたと今言うつもりはございません。引き続き調査をしているわけでございまして、それを注視をしていくということに変わりはないわけでございます。
  28. 齋藤勁

    齋藤勁君 終わります。
  29. 若林秀樹

    若林秀樹君 民主党の若林でございます。  本題に入る前に、ゴールデンウイーク期間中にシリアを訪問させていただきましたので、そこのちょっと感想も含めて、主にPKOについて伺いたいと思います。  榛葉賀津也議員とともに一週間、シリアだけを回ってきました。在京のシリアの大使からは、本当にシリアだけなのかと、ほかに行くんじゃないかという、不思議がられましたけれども、シリアというのはやっぱり中東問題を考える上で非常に重要な国でありますので、あえてシリアに絞って行ったところであります。  行く前と行った後でこれだけイメージの違う国はなかったんではないかと思うぐらいに、ある意味じゃやっぱりすばらしい、過去四千年の世界の文明の結節点というんでしょうかね、北はヨーロッパ、南はアフリカ、そしてシルクロードを通ってアジアに通じる場所でありますし、一方、現実を見ますと、下はイラク、こっちはイスラエルに接していまして、正に国際外交の現実をまざまざと見せ付けられたという、そんなイメージを持っています。  今日は、外務省関係はまたの機会にしますけれども、UNDOF、国連PKO兵力引き離し監視隊についてお伺いしたいなというふうに思っているところであります。  九六年に派遣されまして、もう第十七次が行っております。現地の司令官に話を伺いましたけれども、すごい評価が高い。四十五名の方が高い士気で今一生懸命頑張られている姿を見て、非常に私も感銘を覚えました。できればもっと業務を拡大してほしいんだと、あるいは監視業務ということで本来のPKFの本体業務の方にも入っていただきたいんだという、そんな期待の声もあったところでありますが、一方で、自衛隊法、ある意味じゃ三条でしょうか、我が国の本来業務という意味での専守防衛の我が国の体制等の在り方で、どこまでこれをやっていくかという非常に本質的な問題がやっぱりあるんではないかなというふうに思っております。  国連分担率、PKOの分担率も一緒だ、今は一緒だそうですけれども、二〇%も払っているんですね。PKOも二〇%。これ、ちょっと本題に外れるんですが、いつの間にか気が付いたらアメリカのガイドライン、上限が二二%に引き下げられておりまして、この間まで五%差があったのに、もうほとんどアメリカと同じぐらいの大量のお金を今払っているという状況は、ちょっと私はこれは問題、不公平だなという部分も感じますので、それは改めてというふうに思いますが。  一つ、やはりお金も出すんだったらその分に応じて人も出すという考え方もあるのかなというふうに思いますが、この国際社会の評価ということに対して、現時点でどういうふうに石破長官現状認識として、このPKOの業務のこれからの課題として、あるいは拡大として考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  30. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先般、若林委員が榛葉委員とともにUNDOF、私どもの部隊を御視察をいただきました。心から御礼を申し上げる次第であります。  国際任務はどうあるべきかということでございますが、今委員が御指摘をいただきましたように、私も副長官のときに視察に行ってまいりましたが、非常に評価が高い。それはもうお世辞でも何でもなく、要は責任感があって仕事が正確であるということについて評価が高いわけであります。したがって、UNDOFにおいてもほかにも業務をいろいろやってくれないかと、PKFが無理でもPKOの中でできる、例えば通信であるとか輸送であるとか、そういうものをやってくれないかというようなお話も承っております。  これはまだ正式に、私も司令官と話したときにそういう話が出、去年も佐藤政務官が行ったときにその話が出、まだ正式にお話があったわけではございませんし、そうなってからまたどうするかということを考えるのだろうというふうに考えておりますが、もう先生おっしゃいますように、お金を出しているんだったら人も出すべきではないか、あるいは更に司令部に要員を送るべきではないか、PKF本体業務をやるべきではないかと、いろんな御議論があるのだろうと思っております。  これを一般法とか恒久法とか申しておりますが、政府の中でいろいろと在り方を検討しておりますものの中でどのように位置付けていくのかということ。もう一つは、それを行います場合に我が国の国益というものをどのように考えるべきなのかということ。そして、私どもの装備は、専守防衛ということを考えてまいりました、今まで。このPKOが始まって十年でございます。そうしますと、装備そのものが外国の遠いところで長く活動するような、そういう装備品として整っているわけでは必ずしもございません。しかし、別部隊を持つべきだ、別組織を持つべきだという議論にも私どもは立っておりません。  そうしましたときに、どのような組織を持ち、どのような装備を持ち、そしてどのような人員を出すべきなのかということが、これはいわゆる一般法等々の議論の中で御議論をいただくべきことでしょうし、そしてもう一つは、PKOに出しますときに、スウェーデンでありますとか、そういう国が典型でございますけれども、そういうように今までどちらかというと中立政策的なものを取ってきた国がPKOに多く出しているということがございます。逆に言えばアメリカはほとんど出していないということがあるわけで、我が国の国際任務というのはいかにあるべきなのかという御議論も踏まえた上で、私どもとして、いずれにせよ責任感があって正確という御評価を有り難いことにいただいておるわけで、それがどうやって我が国の国益にプラスになり、そして世界の人々の平和と安全のために役に立つかということを本当に集中的に考えてみるべきときだと考えております。
  31. 若林秀樹

    若林秀樹君 ありがとうございます。  もう一つ認識を新たにしたのは、やっぱり後方支援活動に対する私自身の認識が誤っていたという意味では、ある部分前線にいる人よりはリスクが少なく、労力的にあるいは技術的に少なく済むんではないかと思ったら、大間違いだと。正にプロフェッショナリズムを本当に要求され、大変な仕事だったなというのが非常によく分かりました。ですから、それだけに、各国部隊と完全に絡んでいるものですから、逆に日本だけで引くに引けない部分も出ているんではないか。むしろ前線にいた方がそこだけ替わればいいという部分がありまして、ここが非常に難しいところだなという感じはしておるところでありまして。  もう一つは、来ている方が、前線に出ている方も予備役の人が結構多いんですよね。ですから、結局日本国連に対してこれだけお金掛かって、各国来ているのはみんな予備役で、そういう人の雇用を吸収している側面もないわけではないのかなという部分もありまして、非常に複雑な気持ちにもなりましたけれども。  いずれにせよ、PKOに出していて、それでお金が流れている。ただ、国連からのお金じゃ賄えないんで、また負担の追加のいろんな、人も出しているという意味での経費も掛かるんだなということも感じながら、改めて今後のあるべき姿、いずれイラクというところにもかかってくるのか分かりませんが、これはまあ今日は質問をしませんけれども我が国の国際協力のあるべき姿としてどうなのか。そこを、やっぱり大きなテーマではないかなというふうに思いますし、五原則の問題も、今言ったように、完全に日本だけの理由だけで動きにくくなっているぐらい密接に絡んで、それだけやっぱり評価が高い、それだけのやっぱり後方支援業務だなということを感じましたので、そのことを御報告させていただきたいと思います。  いずれにしましても、外務省そして防衛庁皆さん方に大変お世話になりまして、この場をかりまして本当に厚く御礼を申し上げたいと思いますし、また改めてシリアにおけるODAについては、私もそうですし、榛葉賀津也議員の方からもまた意見を述べさせていただきたいと思いますので、今日の本題に入らさせていただきたいと思います。  それでは、資料をちょっと配っていただけますでしょうか。    〔資料配付〕
  32. 若林秀樹

    若林秀樹君 川口外務大臣も鮮やかな勝負の赤の服を着てきたということで、私も勝負の、これはブルーなんですけれども、今日はまた外交官殺害事件に関して質問をさせていただきたいなというふうに思っているところであります。  まず、今回出されました報告書読まれたというふうに思いますけれども、上村臨代が調査に行かれて非常に御苦労もあったと思います。非常にこれまでの経緯をまとめて非常に丁寧な報告書だと思いますが、私から見ますと何一つ新しい事実はないですし、この報告者の意図というものは、犯人はテロリストなんだと、米軍誤射はないんだということを言いたいがために、そういう内容の中身ではないかなというふうに思いますけれども、その根本的な基本的な根拠、科学的な証拠等は一切ありませんので、いまだにこの報告書で何か分かったなということは私はないと思います。むしろ、これまで言ったことに対して、仮に事実でないとしたら、それを隠すために更に違う事実を言っているなということも私自身は非常にこのレポートを読んでいて感じますんで、ある意味じゃ自己矛盾に逆にこれによって陥っていると。むしろ、私は読んでいて、ああ、こういうこともおかしいなということが余計分かった私レポートではないかなと思いますので、その辺の矛盾についても後ほどお伺いしたいなと思います。  時計の針を少し前回の委員会に戻しますが、覚えていらっしゃる方もいると思うんですが、TBSの報道で両外交官の特集ということで、モスルにおられましたペトレイアス少将の発言で、実は彼らはティクリートじゃなくてモスルに来る予定だったという発言をされました。実はそのときにヘリコプターを用意して提供したんですけれども、彼らは運転する方法を選んだということで、今から考えると非常に悔やまれるということを述べておりました。  これをそのときに聞きましたら、いや、堂道局長は、これはティクリートで会議やったんでモスルじゃないというふうにおっしゃいまして、私はゴールデンウイーク前に手紙を文書で書きましたら返事が来ました。その返事の内容は、もう五か月前でうろ覚えのところがありますが確かにその日はヘリを用意することを提供した、モスルに来るように提供したと言っておりますんで、彼の記憶もそれはそれで正しいんではないかなと思いますし、具体的にどこに訪問するかの名前も挙げておりましたので、改めて外務大臣に、この二人は、当時、その日はティクリートじゃなくてモスルに行く予定だったのかどうか、お伺いしたいと思います。
  33. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今の御質問に直接にお答えする前に一言申し上げたいと思うんですけれども、この報告書、これは今までずっと申し上げてきましたように、私どもが分かっていることを、捜査に差し障りがない、また御家族の方にも御相談をしてお出しをしたというものでございます。  新しいことは何もないというふうにおっしゃられて、それはそういうことなのかもしれませんけれども、それは私どもとして今までもうずっと申し上げてきたように、事件が起こって以来分かっていてお出しできること、これはすぐに出すということでずっと今までお出しをしてきたということでございまして、もし新しいことがないということであれば正にそういうことであるというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。  バグダッドの状況をいろいろ御想像をいただければお分かりいただけると思いますけれども、なかなか大使館の行動範囲、その他制約がある中で、先ほどおっしゃっていただきましたけれども、上村臨代も大変に苦労をいたしていろいろ資料を集めたり、連絡をしたり、情報を取ったりということで、またCPAやイラク警察やあるいは病院等々の関係者の方々、地元の人も最大限に協力をしてくれたということの情報の集約でございます。  今の時点でもう推理小説を読み解くように全部結果が見えているということでないということは私たちも大変に残念でございますけれども現状がそういうことであるということでして、今後とも、また分かったことがあればその時点で、捜査に関係のない範囲であればそれはそのときそのときでお出しをしていきたいというふうに思っております。  それで、先ほどの御質問の、ティクリートに行ったのではないんではないかということでございますけれども、これはその方の御記憶をお信じになられるか、私どもの申し上げていることを信じていただけるかということに尽きてしまうと思いますけれども、これはティクリートに彼らは行ったということで間違いはないわけでございます。
  34. 若林秀樹

    若林秀樹君 それでは、少なくとも一〇一空挺師団からヘリのオファーはありましたでしょうか。お伺いしたいと思います。
  35. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  奥大使と井ノ上書記官でございますけれども、会議の直前までその主催者とメールのやり取りをしておりまして、そこで奥大使からも主催者からも、この二十九日にはティクリートの会合に出る、そのための宿舎も留保してほしいと、こういう確認をしているところであります。  このヘリのオファーがあったかということでございますけれども、この主催者側とのやり取りにおきまして、当初、会議出席に際して空路をオファーされていた可能性もあるというふうには思いますけれども、最終的に、奥大使ほか井ノ上書記官もでございますけれども、大使館の車で二十九日に赴くということを主催者側に連絡をしております。
  36. 若林秀樹

    若林秀樹君 可能性があるというのはよく分からないんですが、はっきりペトレイアスさんはオファーしたと言っているわけですから、はっきりと、そこは水掛け論になるかと思いますが、正直にそこは答えていただきたいというふうに思います。  当初は、私は想像するに、これはモスルに来る予定もあったんではないか。つまり、ティクリートの会議があったにせよ、その時間差があるからお互いにそれは正しいんだろうというふうに思いますけれども、ティクリートの会議の後にモスルへ行く予定だったんではないでしょうか。
  37. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 御指摘の点でございますけれども、モスルに行く予定はしていたと。すなわち、ティクリートの会合に出た後、三十日に、三十日以降、モスルに行く予定はしていたという事実がございます。  したがいまして、先ほどのペトロイヤス少将の御発言でございますけれども、これについても、そういうやり取りの中でそういうことがあったかもしれないというふうには思っておりますが、直前まで本人同士がやり取りをしていた部分もあるということでございまして、そこのところについては最終的には確認しておりません。  いずれにしても、このティクリートの会合の後、モスルに行くという予定はございました。
  38. 若林秀樹

    若林秀樹君 これも前回の発言と全く違います。前回はバグダッドに戻るということをはっきりおっしゃって、今はモスルへ行くんだということを言っているということ自体が、もうこれは意見がやっぱり違っているということでありますので、やっぱりその場限りでころころ発言をやっぱり変えないでいただきたいなというふうに思いますので。それはもし反論があるんだったら言っていただきたいと思いますけれども、それはおかしいですよ。  いずれにせよ、じゃ、お二人ともモスルへ行く予定だったんですか。
  39. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 再度申し上げます。  奥大使と井ノ上書記官でございますけれども、別行動を取っておりまして、取る予定でございました。奥大使の場合、先回お答えしたと思いますけれども、いったんバグダッドに戻って、そこからアンマンに出てシリアに行き、シリアから、シリアの国境からモスルに入るという予定でございました。他方、井ノ上書記官でございますけれども、ティクリートの後、エルビルなどを経てモスルに行く、こういう予定であったわけでございます。  モスルに行くと申し上げたのはそういうことで、奥大使の場合は直接モスルに行くということではございませんでしたが、いずれにしてもモスルに行くという予定でございました。
  40. 若林秀樹

    若林秀樹君 ここで新しい事実が出されましたけれども、少なくとも井ノ上書記官はバグダッドからモスルに行く予定だったということをはっきりここでお認めになったわけですから、これも前回はお二人ともバグダッドへ帰るという発言をされていましたので、ここで一つ矛盾がまた出てきたんではないかなと思います。  その上で、当日の動きを時系列に絵でまとめさせていただきまして、秘書が大作をいたしまして、指示をしたらこんなすばらしいものが出てきまして、これはすべてこの報告書にのっとって記載したものであります。  その上で、まず大臣にお伺いしたいんですが、当初はこのティクリートの会議に何時ぐらいに到着する予定で出張予定を打ち合わせされ、報告書にあったんでしょうか。出張報告書、出張予定表みたいなのがあるというふうに伺っておりましたけれども、その辺をまず伺いたいと思います。
  41. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) このティクリート、当日の、ティクリートに行くということでございますけれども、詳細な行動日程は作成されておりませんでしたけれども、午後、十時過ぎに大使館を出て、会議が開催されるティクリート宮殿に到着後、視察などを含む会議関係の日程に参加する予定であったと、こういうふうに承知をしております。
  42. 若林秀樹

    若林秀樹君 じゃ、時間は特定していないということではないかなというふうに思いますけれども外務省から発表された当日の議事次第では、十一時五十分から一時までが昼食会ですから、恐らく十時に出て、それに間に合わせるように行ったんではないかと考えるのが普通ではないかなと思います。  報告書にありますように、車ではバグダッドからティクリートまで百八十キロ、通常の運転で二時間前後の行程だというふうに、これは報告書に書いてあります。現実に事件現場等、この報告書に合わせますと、ティクリートの南三十キロで事件現場があった。さらに途中に寄ったバラドでありますけれども、そこから事件現場へ六十五キロあった。それを差し引きますと八十五キロであります。これは私も地図で確認したんですが、おおむねティクリートとバグダッドの中間地点でありまして、通常ですと二時間弱で行くというこの距離を、このバラドでは十二時十六分から二十一分、二時間強もたって半分の行程しか行っていないという事実がありますので、まず、ここはちょっとあり得ないという話ではないでしょうか。  そしてまた、この報告書によりますと、そこから現場まで六十五キロ。百キロから百四十キロで飛ばせば三十分から四十分で着いてしまう。途中まで、八十五キロのところまで二時間強掛かって、この現場まで六十五キロもまだあるのに三十分で着いちゃうというこれ自体がもう時間軸がもう全くめちゃくちゃでありますけれども、もしこれに対して合理的な御回答があればお知らせいただきたいと思います。
  43. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) この報告書にありますとおり、この両名は午前十一時十分ぐらいに、バグダッドの郊外の風景の写真が残っているわけでございますけれども、そこからのバラドまでの距離というのは御指摘のとおり八十五キロメートルでございます。すなわち、十時に出まして、十一時過ぎにはまだバグダッドの近辺にいたということでございますけれども、これについては、その間何があったのかということについては残念ながら何も分かっておりません。  それから、バラドでございますけれども、バラドに到着してからどのくらいたってこの写真を撮影したのかということについては明らかではないことから、バラドに到着した時間というのも分かっておりません。
  44. 若林秀樹

    若林秀樹君 いずれにせよ、ランチが始まるんで、二時間で着く距離ですから猛スピードで飛ばして、もうバラドでは十一時ぐらいには過ぎている時間ではないかなというふうに思います。何ゆえにバラドでのデジカメが十二時十六分で、途中は十一時過ぎという非常にあいまいなところで分が書いておりません。  これに何があるのか分かりませんけれども、これはデジカメに時間をセットしてあるんですね。ですから、それを見れば何時というのは分かるんですけれども、恐らく、これは推測で恐縮ですが、冬時間に一時間ありますんで、冬時間で戻してなければ、これ当然十二時十六分というのはこれ十一時十六分の間違いでありますので、この行程から考えればもう十分ここは十一時過ぎに通っていったんではないかと。余りにもそことの、後との時間の関係で私は遅らせているんではないかなというふうに思いますけれども。  その上でお伺いしたいと思いますが、十二時八分という奥大使の通話でありますけれども、この時間の長さはどのくらいありましたでしょうか。
  45. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  発信通話記録によりますと、二十九日の十二時八分にイラク大使館と最後の発信を行っておりますけれども、その通話時間は一分二十一秒となっております。
  46. 若林秀樹

    若林秀樹君 その上で、一回ちょっと戻りますが、これまでの答弁でもありましたけれども、上村臨時代理大使は出張者に対して定期的な連絡を取り合うという、ある意味での危機管理体制としてそういう作業を行っていたというふうにありますが、具体的にはどのように出張者に対して定時連絡、あるいは内容等を義務化されていたんでしょうか。
  47. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  大使館におきましては、職員が国外出張する際には出張者から大使館に対して連絡を入れるようにというふうに言っていたわけでございますけれども、必ずしも定時連絡ということになっていたわけではありません。出張中の業務の都合や打合せの必要があるたびに随時連絡が入るということになっておりました。多くの場合はこのような、通信事情につきましてはこの報告書に書いてあるとおりでございますけれども、このような劣悪な通信状況にあることから、多くの場合でございますが、目的地に到着後に出張者の方から大使館に対して連絡を行うというのが通例であったわけでございます。
  48. 若林秀樹

    若林秀樹君 定時連絡を今ごろになってしていないというのはおかしいんではないかなと思います。これまでもずっと定時連絡、定時連絡で十一時なり十二時なりということを言っているわけですね。堂道局長もいろんな場面でそういうことを言っておりまして、例えば、イラクの各地に出張しておりまして、このような出張の際には節目節目に大使館に連絡を取るようにしていましたというのは、これは堂道局長の話。レポートになると、いきなり、定時連絡はしていませんと、そういうシステムにはなっていませんということは、もう明らかにこれまたこれまで言っていることとやっぱり違いますので、やっぱりこういう危険な地域における定時連絡というのは、これは当然やるべきことですし、安否確認の必要性がないというような、責任逃れではないかなと私は思いますので、その辺について何か答弁があればお願いします。
  49. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 節目節目にということを申した、御答弁を申し上げたことはございますけれども、これを定時連絡だというふうに申し上げたことはないと思います。  この報告書にもございますとおり、衛星携帯電話を使って連絡をしていたわけでございますけれども、これにつきましてもなかなか、アンテナの向きとか技術上の問題があって簡単に通話ができる状況ではないということから、通常は大使館は受け手であったということがございます。  したがいまして、先ほども説明しましたとおり、節目節目というのは多くの場合、目的地に到着後に出張者の方から大使館に対して連絡を入れると、こういうふうにしていたわけであります。
  50. 若林秀樹

    若林秀樹君 節目節目が定時連絡ではないというのはやや詭弁なような気もしますけれども、これは節目節目に定期的に連絡を取るということですから、むしろやっぱりこういう危険な地域に行くのにそれをしていないこと自体が私は不思議でならないということであります。  その上で、先ほど十二時八分ということがありましたけれども、奥大使はその後、ヨルダンあるいはシリア、あるいはその後イギリスに帰られるということですが、当日はそのような大使館等と連絡を取り合っていたという通信記録は残っていませんでしょうか。
  51. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) この発信記録を調べたわけでございますけれども、奥大使が事件の当日、英国大使館と、あるいはほかの大使館も含めてでございますけれども、通話した記録は残されておりません。
  52. 若林秀樹

    若林秀樹君 その辺についてはまた改めて、日を変えて質問させていただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、この事実関係、当日を見ても、余りにもちょっと普通の常識ではやっぱり考えにくい時間、むしろ事件の発生時刻を非常に意図的に遅らせているのではないかなというふうに思います。  これでいいますと、いまだに事件は何時にあったかということを言われておりません、分かっておりませんけれども、一時半に通報があって、それから現場に駆け付けて病院に運んだということでいえば、どんなに早く見積もっても、これ二時半ですから、当初報道された二時前後、二時前には搬送されているという、大きないろんな様々な報道と明らかに違うということでありますので、この報告書から見ても、この発生当日の事実関係が非常にでたらめではないかなというふうに私は感じるところでありますので。  もう一方、デジカメの中で、井ノ上書記官所有のデジカメが完全にこの報告書から抜けているんですけれども、これについてはどうなさいましたでしょうか。
  53. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 井ノ上書記官のデジカメということでございますけれども、現場より回収された遺留品の中に井ノ上書記官所有のデジタルカメラは含まれておりません。
  54. 若林秀樹

    若林秀樹君 当初の報道では、井ノ上書記官にもデジカメで撮ったところがあるというようなところもありましたけれども、今は完全に否定されたということで、また改めてそれについては伺いたいというふうに思うところであります。  警察庁に来ていただいて、まだ質問していなかったんですが、当初の目的は、この前の鑑定結果につきまして、もう少し分かりやすく具体的に、例えば車のどの部分にどういう角度でというのを図入りでちょっと出していただけないかなという要望をしたんですが、そういうのをちょっと作って、分かりやすくもうちょっと説明していただくことは可能でしょうか。
  55. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 以前、当委員会に対しまして、私口頭でいろいろ車両の鑑定結果を御説明をいたしました。その内容につきまして図面で説明せよという御指摘だろうと思います。  委員会としてそのような御要求がある、要求があるということでありますならば、どのような形で公表できるか、これはしっかり検討してまいりたいというふうに思います。前向きに検討してまいりたいと思います。
  56. 若林秀樹

    若林秀樹君 今そういう答弁もございましたんで、また理事会等で協議して、もう少し分かりやすいような、あるいは詳細な資料を改めて出していただきたいなというふうに思っているところであります。  時間も過ぎていますんで先に進みたいと思いますが、二枚目の資料をちょっと開けていただきたいと思います。当日の事実関係も、これまた秘書がレポート、報告書から取り出してまとめていただいたんで、これにも幾つかの矛盾点があります。  川口大臣から何度となく、分からないことは分からないんだと、そういう状況下なんだというお話もありましたけれども、例えば通報があったのが一時半、じゃ、警察が現場に到着した時間が分からない、現場の警察から病院に到着した時間も分からないという、こういうことも分からないんだということを開き直って言っていらっしゃいますけれども、捜査協力を、捜査をお願いしている警察に聞けば、現場に何時に行ったかということなんかこんなの分かるに決まっているじゃないですか。何でそのようなことが分からないのか、何でそれを聞かないのか。  また、警察庁にお伺いしたいんですが、こういうことで、こういう情報警察庁は満足されているのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  57. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私は、決して開き直っているわけではなくて、本当に分からないので、分からないと素直に申し上げているわけでございます。分からないことは、本当に残念ながら、これは我々も残念ですけれども、分からない。警察に行って聞くべきことは聞いてきているわけで、それは報告書の五ページにその辺りは書いてございますけれども、例えば現場到着については正確な時間は特定されていないと。これは別に何ら情報を隠匿しているということではなくて、正にそういう状況、そういうお国柄、あるいはそういう地域といいますか、今状況イラクがあるということであるというふうに思っております。  残念ですけれども、これは決して隠してということではないということを、これは本当に御理解いただきたいと思っております。
  58. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 警察としまして、本件の捜査に必要な情報の入手につきましては、事件発生以降、外務省にいろいろお願いをしているところでございます。現地当局等から必要な情報や証拠資料、入手していただいたものにつきましては、適時適切に提供を受けているというふうに私ども理解をしております。  ただ、今外務大臣から御答弁ありましたように、現地の大変特異なといいますか、そういった状況現状から見まして、満足を、捜査当局として、私どもとして満足しているのかというお尋ねでございますけれども、そういった状況にあるということを私どもとしてもこれは十分理解し得るところでございまして、大変、そういった意味での十分なといいますか、通常の状態におけるような捜査に必要な情報提供というものは、これは実態から見て困難な状況にあるだろうというふうに理解をしているところでございます。  今後とも、外務省と連携をいたしまして、真相究明に資する情報の入手に努めてまいりたいと考えております。
  59. 若林秀樹

    若林秀樹君 もう、ちょっといい加減にしてくださいよ。これ、もうこういう質問をするのは本当に自分自身、今もう本当にやりたくないですよ。警察に聞けばいいじゃないですか。通報があった時間が分かって、警察が現場に行った時間さえも聞いていないんですか。聞いても向こうは分からないと言っているんですか。それで、病院へ着いた時間も分からないんですか。  こういうことというのはまず基本的に押さえなきゃいけないことであって、警察庁も基本的なことじゃないですか。聞けば分かるでしょう。それで分からないというんなら分からないでちゃんと答えて。聞いたのか聞いていないのか分からないようなそういう答弁というのはもうちょっとやめていただきたいと思います。
  60. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) これは、お答え申し上げます。  現場の警察には聞いております。聞いておりますけれども、確認できない、分からないという点でございます。これは、まあ日本における警察と、それと同じような形で現地警察があるわけではございませんで、この現場に駆け付けた場合も、ここにもありますように、旧式のピックアップトラックで駆け付けたという状況でございます。  委員のおっしゃるとおり、確認すべきところは確認すべきということで私ども調査しておりますけれども、ここに書いてあるのは、確認できていないということは確認できていないわけでございまして、私どもとしましては、聞いたけれども確認ができなかったと、こういうことでございます。
  61. 若林秀樹

    若林秀樹君 瀬川局長
  62. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 今外務省の方から御答弁あったような状況であるというふうに連絡を受けております。
  63. 若林秀樹

    若林秀樹君 警察庁としても基本的な事実関係は押さえなきゃいけないことでありまして、それは幾ら外務省にお願いしているとしたって、それは警察庁としてじゃそれ調べてくださいと言ったんですか、警備局長
  64. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 外務省事件発生直後から、いろいろ調べていただきたい事項等についてはいろいろお願いをしてございます。当然、その最初の発見時の状況なり警察で取られた措置の状況なりについても、これは私どもとしては是非調べて教えていただきたいということも要請事項の中にこれは当然入っております。そういったものについて外務省でいろいろ調べていただいた結果が今御答弁あったようなことだろうというふうに承知をしております。
  65. 若林秀樹

    若林秀樹君 本当に委員長にも申し上げたいんですけれども、こんな報告書、基本的な事実も分からないということが平気でこの国で通るとしたら、やっぱりおかしいですよ、これは。それで、やっぱりこれは御遺族の方に失礼です、そういうことでは。  その上で、ちょっともう一回、先に進みますけれども、今回のこの報告書の事実経過で一番決定的であったというふうに思うのは次のことであります。よく聞いていただきたいと思うんですが、米軍は地区長からの報告を受け、午後四時ごろイラク市民防衛隊を現場に派遣したということであります。つまり、一時半に通報を受けて、三時四十五分にその地区長から何か米軍に通報があって、四時に場所を特定して事件の発生を知り、そこに市民防衛隊を派遣したということですから、時間も場所も特定しているわけです。  その上で、後になって出てきた米軍からの発表のは、午後五時に買物途中で撃たれて亡くなったという根本的な誤りでありまして、つまり、四時にもう動いているわけですよね。場所も特定して、撃たれたということもあるわけですよ。それで、なおかつ五時に、後ですよ、その一時間後に、そして買物途中で撃たれたということ自体は、もう根本的なこの当日のこの事実関係がもうでたらめだということを私ははっきりとここで申し上げたいと思います。  瀬川局長、通報を受けて現場に行きました、事件は、通報、行って、現場に行った後ですなんということを報告するということはありますでしょうか。
  66. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 私ども承知している限り、その事件の発生の前後といいますか、そのときの時間について、これは必ずしも正確に把握そもそもできていないと、こういう全体的な状況であったということで、きちっきちっと何分にこういうことがあって何分にこういうことがあってということの特定が大変難しい状況だったんだろうというふうに理解をしております。
  67. 若林秀樹

    若林秀樹君 それはおかしいですよ。いずれにしましても、米軍報告を受けて事件を知り、場所を特定して行かしているわけですよ。その米軍が後になって五時に事件が発生したと言うのは、これは上層部へ何とかという、そんなの理由にならないです。もう根本的にどっちかが間違っている、どっちかがうそをついている、ひょっとしたら両方なのかもしれないですけれども、ここについて合理的な明確な答弁があったら言ってください。
  68. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) この時間付けにつきましては、私どもが行った調査でこういう時間付けをしているわけでございますが、一時半というのは警察への第一報であり、その後警察が動いているわけでございます。その後、米軍に三時四十五分に通報があって、今、イラク市民防衛隊が四時に出ていったと。それでその市民防衛隊は五時半ぐらいに帰還しているということであります。  それで、別途その米軍の中のプロセスでございますけれども、この現地米軍は、第四歩兵師団第二二九工兵大隊がその所管をしているわけでございますが、最初はこのイラク人市民防衛隊を派遣した。同時に、米軍におきましてはCPAへの連絡までに幾つかの過程を経ているわけでございまして、その過程で上層部への報告として五時ぐらいにこの話があったということがあったというふうに理解をしているわけです。
  69. 若林秀樹

    若林秀樹君 いい加減なこと言わないでくださいよ、もう。四時に報告を受けて、特定してそこに場所に連絡でやっているわけですから、その後に同じ米軍が五時にやっているということ自体が私はやっぱりこれ事実関係として根本的におかしいと思います。  その上で、次に伺いたいんですけれども、ちょっと複雑なんで周りの方もよく聞いておいてほしいんですが、五時半にこの派遣されたイラク市民防衛隊はオマハ駐屯地という米軍に帰ってきました。それも車を乗ってです。元々イラク警察はどうやってこれが可能なのか分からないんですけれども、血の海に、こう言うと失礼ですけれども、本当に血に染まった車を自走してイラク警察まで運んだという行為で、こんなことはあり得るんでしょうか。自走かどうかというのは、これはまた警察庁は自走できるかどうかというのは、ましてやこれ事件の中のやつ、自分で運転してイラク警察へ行ったなんということは、これ基本的には私はあり得ないと思います。  その上で、イラク市民防衛隊はオマハ駐屯地に帰ってきて報告をしました。そこで、被害車両もこの駐屯地まで自走して運転してきた、自走かどうか分かりませんけれども、持ってきたと。一部遺留品、車両登録書もそこにあったと。  地区長メモが渡されて、実は日本人は外交官であるということをこの五時半の時点でメモとして米国に渡しているんですが、これがうやむやになっていると。だれもこの時点では報告ではなっていませんから、なぜ米国がこの地区長メモを明らかにしなかったのか、これが一つ疑問が残ります。  さらに、さらに、報告として、地区長の元に依然として身分証明書があるということを言っているんですね、この報告書は、五時半に。つまり、五時半というのは、まだ事件報告、大使館にある前に、もう既に米国の元に地区長は身分証明書を持っているという報告があったにもかかわらず、その後この報告書では、上村臨代がさんざん身分の問い合わせをCPA、軍にやったにもかかわらず、ずっとその間何もない。もうあるということをこの米軍報告されているにもかかわらず、米軍は一切そのことを明らかにしなかったのか、調べようとしなかったのか、もう根本的におかしいと思います。  これについて何か合理的に説明があればお伺いしたいと思いますが。
  70. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) この点につきましては、この報告書の中にも書いてございますけれども、被害者が日本の外交官であるという情報が五時半ぐらいにあったということでございますが、この点につきましては後日になって明らかになったわけであります。この二十九日当日では、約一時間後に大使館が事件の第一報を受けまして、上村臨時代理大使がCPAに赴きまして、午後の十時半ぐらいまでCPAにいたわけでございますけれども、その時点でも入っていなかった、この情報は入っていなかったということであります。これにつきましては、どうしてそういうふうになったのかということにつきまして、米軍の中の情報伝達の問題とか、あるいは身元を確認する必要があるという判断で米軍が行った可能性があるということでございますけれども、明らかではないということでございます。  その間、何が米軍からもたらされたかと、CPAからもたらされたかということにつきましては報告書に別途記載しているとおりであります。
  71. 若林秀樹

    若林秀樹君 もう全然説明になっていません。本当に。  報告書として、地区長メモがあり、それは後になって分かったと。報告として、身分証明書が地区長のところにあると言っているにもかかわらず、それから身元判明がしたのはそれから数時間後ですから、こういうことが平気で行われているということ自体ややちょっと不思議に思いますし、非常にあり得ない話であります。  さらに、米軍が身元確認のために動き始めたのが、これを見ますと九時半であります。ようやくそれから数時間後に動き始めて十時半に回収した証明書を確認作業を開始した、十時半です。十一時に最終的な身元確認が行われる、十一時です。その後CPAから大使館に身元確認があったのは更にそれから二時間半後です。身元確認が行われて二時間半後に大使館にCPAから連絡あるなんということはこれあり得ないんじゃないですか、こんなもの。本当ひどいですよ、これは。
  72. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほどからこれは伺っていますと、合理的な説明を求めていらっしゃる。これは合理的な説明を我々も求めました。それで、こう申し上げるとまた開き直りとおっしゃられるかもしれませんが、合理的な説明を求めて分からないものは本当に分からなくて、どうして矛盾があるのか、これを説明を一番したいと思っているのは私たちであると思っております。  日本警察あるいは日本の今の社会、これをベースにしていろいろお考えになられれば、それはおかしなことばかり、説明ができないことばかりと言われるのはよく分かりますけれども、我々はそういった若林委員あるいはこの報告書をお読みになる方からこれもおかしいじゃないかと言われる、おっしゃられる、そういう疑問が出るということを知って、それを承知、それを予測して、それでも分かっていることを全部お出しをしようということでお出しをしてきているわけです。つじつまを勝手に作ろうと思えば、それは何か捏造することができたかもしれませんけれども、そういうことは一切やっておりません。我々が把握できたことのみをお書きをしているわけで、把握できなかったことをそれを書いているわけではないわけです。おかしいとおっしゃられるのは、これはもっともだと私は思います。私自身これを読んでいながらそういうふうに思ったことは幾つもあるわけです。  ただ、それだけしか今の現状で分からないというのが現実でございまして、そういう意味で我々はまだ引き続き努力をしなければいけないというふうに思っておりますし、また今後について、あればお出しをするということを先ほど申し上げたわけでございまして、事実は確かに一つしかなくて、それは合理的に説明されるべきものであるというふうに私は思います。それができないというのはおかしいということもよく分かります。  ただ、我々が今持っている情報でお出しをし、あるいは御説明できるというのは今お出しをしているものだけであるということで、捜査の都合上ということを除けば、ということである、矛盾があるというのは承知をしてこれをお出しをしております。
  73. 若林秀樹

    若林秀樹君 非常に難しい状況であるのは分かるんですけれども、やっぱり事実は事実として淡々にやっていけば矛盾はないんです。  これはどんな状況であり得ても、イラクであろうともそれは事実は事実であります。イラク日本とは違うとおっしゃいましたけれども、彼らもやっぱりちゃんとした国ですよ。それは捜査もやり、ちゃんとしたやっぱり社会としてやっぱり整った国ですから、そういう言い方をされてその責任にするというのは私はおかしいと思いますし、私は別に、事実を解明したいだけで、こうやって追っていると余りにもいい加減、余りにもおかしい、そのことを私は申し上げているわけでありまして、もしそういうふうに言うんであればすべて情報をオープンにしてください。すべて出してください。  私はシリアの大使館行って、シリアに、ヨルダン、シリアも行くということですから、何か聞きたいことがある、一応何かありませんかと言ったら、彼らはしゃべりませんでした。なぜかといえば、本省がしゃべるなと、私も組織の人間ですからと。何でそういうことを言うわけですか。私と外務省は同じ立場であるわけです。そういうことで言えば、やっぱり一緒に協力をしてこの真実解明のためにやっぱり一緒に努力するべきじゃないですか。ちょっとの情報でもあったらそれを真剣にやるべきですよ、もうしがみついてでも。そういうふうには全然感じません。  そういう意味では、私は今日もう時間がありませんからこれでやめますけれども、改めてこれについては質問なりいろいろ追及をさせていただきたいと思いますが、全く解明されていない、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
  74. 小泉親司

    小泉親司君 失礼いたしました。  幾つイラク情勢の問題について質問させていただきたいと思います。  まず初めに私がお尋ねしたいのは、外務大臣がこの前G8に行ってこられました。そのG8の会議の中で共同記者発表がございます。外務省の今日委員会に提出された資料の下でも、ワシントンで十四日、ワシントンで外相会合において云々かんぬんというパウエル国務長官発言が紹介されておりますが、私、共同記者発表の十四日の発表を全部読ませていただきました。これには、パウエル長官川口外務大臣も御一緒に共同記者会見をやっておられますが、そこでパウエル長官イラクの多国籍軍の活動について大変重大な発言をされておられます。この点について、ちょうど川口外務大臣がちょうど発言した後にすぐパウエル長官が多国籍軍の発言、の問題について発言をされておられますが、この点についてはどのような発言をされているのか、まず外務大臣、いかがでございますか。
  75. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ちょっと御質問の趣旨がよく分からないんですけれども、記者会見で私が質問に答えたのは、たしか二回ぐらいあったかと思いますけれどもパウエル長官が多国籍軍についてどのような説明をしたかということをお聞きになりたいということでございましょうか。
  76. 小泉親司

    小泉親司君 そうです。
  77. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私は記者会見で全部パウエル長官が言ったことについて記憶をしているわけではございませんけれども、これは七月一日以降の状況について、新しい暫定政府が政権を引き継ぐけれども、実際は連合軍に治安の提供を続けるように要請をする、そのような形となるだろうということを言われたということだと思います。それで、その大部分が米軍であるけれども、極めて有益な貢献をこの場にいる幾つかの国を含め多くの国々から受けると、そういったことをおっしゃられた、そのことをお聞きでいらっしゃるのか、あるいは別なことをお聞きなのか、ちょっと定かでありませんが。
  78. 小泉親司

    小泉親司君 パウエル長官川口外務大臣の後に質問を受けまして、これから六月三十日の政権移譲後の多国籍軍についてはアメリカの指揮下の下に置かれると、その指揮官はアメリカ人になるだろうと、そのような文脈において、新しいイラク政府はその権限の、主権の問題については幾つかを移譲しなければいけないだろうと、よってその権限、その主権の権限は多国籍軍の司令官にゆだねられるというふうな発言をされておりますが、その点は外務大臣、確認をできますか。
  79. 川口順子

    国務大臣川口順子君) パウエル長官がこれはおっしゃったこととしてですけれども、六月三十日に統治権限はイラクに、イラク暫定政府に移譲されるということを言われたと、そして、仮に暫定政府が求めれば連合軍は撤退をするけれども、現下の治安状況を踏まえ、新暫定政府が連合軍の残留を歓迎するであろうということについては全く疑念を持っていないということを言ったということです。それからさらに、その場合、残留する連合軍は多国籍軍の司令官の指揮下に残る必要があると、その司令官は今後とも米国人であることが想定をされているということを述べながら、このような仕組みを適切に運営をするということを確保するために、政治部門と、要するにイラクの暫定政府ですね、とそれから軍事部門との間の協議の枠組みを立ち上げていくということを言ったということであるということですけれども、これはパウエル長官の御意見としておっしゃったわけでして、いずれにしても、このイラクが六月の末の統治権限を移譲をした後どのような形になるかというのは正に今議論をしているという状況であるわけでございまして、パウエル長官がおっしゃったのはアメリカとしての考え方をおっしゃっているわけで、今の時点で確定的に決まっているということはございませんし、もちろんG8の外相会議でそれが何かが決まったということでもない。  これは、国連の安保理の決議を今安保理のメンバーの間で議論をし始めているというふうに承知をしていますので、そういったその安保理の決議を通じてこれが決まっていくということになるだろうというふうに思います。その過程で、当然のことながら、イラクの関係者の方々と十分に協議をしてこれが決まっていくということになるだろうと思います。
  80. 小泉親司

    小泉親司君 今、外務大臣の、この前、私のこの問題について同じ質問をいたしましたところ、外務大臣は、現在のいわゆるコアリションフォーシズ、これはいわゆる連合軍は国連決議一五一一の多国籍軍であるということをお述べになっていると思いますが、その点については、これは、現在もこれは多国籍軍であると、この点については、国連決議が新たな決議が出ようが出まいが、国連決議と、一五一一の基づく多国籍軍だという見解には変わりがないんですね。
  81. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 質問をきちんと理解したかどうかよく分かりませんけれども国連の決議、安保理決議の一五一一で多国籍軍ということが決められた、決議の内容に入っているということはそのとおりであります。
  82. 小泉親司

    小泉親司君 ということになりますと、多国籍軍がどうなるかということは、新しい決議の中でどういう形になるか、どういうステータスを持つかというのはあると思いますが、基本的には多国籍軍が引き継がれると。  この点で、私は、パウエル長官が、この多国籍軍の指揮権を引き続きアメリカが持つということを、私、何にも国連でも決まっていないものだというふうに思いますが、なぜ、これ、パウエル長官がこういうことを言うのか、その点について外務大臣としてはどういう評価をされているんですか。それは大変正しいことだと、そうすべきなんだというふうに理解をされているんですか。その点、お答えいただきたいと思います。
  83. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今後、七月一日以降のイラクにおける軍の在り方、あるいはその治安をどのように維持をしていくかという仕組みをどう作るかということについては、正にその国連の決議、新しい決議ですね、そこの中で決まっていく話であって、その過程で、これから今ブラヒミさんが大統領、首相等をどのように、どのような方になっていただくのがいいかということをイラクの関係者と協議をしていらっしゃいますけれども、その結果として選ばれた人たち、そういう人たちとも話をした上で決まっていくわけであります。  当然に、これはG8の外相会談の場、会議の場ですから、国連の場ではないわけでございまして、今の状況、五月の中旬という状況で今後の在り方についてそれぞれの国がそれぞれの考え方を述べていくということは、これは当然当たり前の話であるというふうに思います。今の時点でそれをパウエル長官がそのことを言われたことが、これが国連の安保理の決議の結果に反映されるかどうかというのは、正に今後を見なければ分からないことだということである、そのように思っています。
  84. 小泉親司

    小泉親司君 私、いいか悪いかなんて一言も言ってないので。問題は、多国籍軍のそうしたことについて、指揮権の問題についてパウエル長官発言したことはこれは間違いないわけで、そのことをどういうふうに外務省評価をしているのかと。  例えば、多国籍軍の問題につきますと、このパウエル長官の、私、発言は大変重大な点は、指揮権が、多国籍軍を、引き続きアメリカが持つというばかりじゃなくて、それによってイラクの主権が若干制限されることがあるんだよということまで言及されておられる。それは川口外務大臣が同席されたところで同じことを言っておられますから、同じことって、そこで言った場でありますからよく御承知のことだろうというふうに思いますが、これはイラク、例えばイラク基本法、イラクの憲法と言われるイラク基本法においては、イラク軍の移行期間においては多国籍軍のパートナーとして主たる約束を果たす。イラク政府は、行政府は、イラクにおける統合された司令部の下での多国籍軍の活動についての国際約束を締結する権限を有するというふうに書いてあるだけで、別にその主権を制限すると、イラクの主権を制限するというふうなことは何にも書かれていないわけで、そういう、やはりパウエル長官が、幾ら、それは国連の場かG8の共同記者会見の場かは別にしまして、多国籍軍の指揮権は引き続きアメリカが持つと言うと同時にイラクの主権も制限することがあると発言するのは、私は大変ゆゆしき問題だというふうに思いますが、外務大臣はそういうふうにはお考えにならないんですか。
  85. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 正に、その点というのは一つのこれからの争点であるというふうに思います。  主権がイラク人にきちんと渡る、このことについてはだれも疑いを持っていない、そういうふうになるということであります。問題は、そのイラクの人たちがその権利、それをどこまで今の治安状況に照らしてそれを自ら使うか、それを、逆を申し上げれば、治安の確保のために多国籍軍なり、という名前で呼ばれるということだろうと思いますけれども、外国の軍隊の力をどこまでかりるか、そういったことをどのように置くかと、どのように決めるかということに掛かってくるわけでございまして、それは、そのパウエル長官がおっしゃっていらっしゃるように、それで、このことについてだれも反対をする人はいないと思いますけれども、現在の時点で、七月一日以降、イラクの国軍とイラク警察のみでイラク治安を十分に維持することができるというふうには思っている人はほとんどいないということだろうと思います。  であるがゆえに多国籍軍であり、多国籍軍の、パウエル長官がおっしゃっているのは、米軍がそれを指揮するということではなくて、多国籍軍の指揮者が米国人であるということを言われているということだろうと思いますけれども、そういった正に今委員が御指摘の点というのがこれから六月三十日までの間に国際社会で、国連で、そしてイラクとの間で議論をされていくその点であるというふうに思います。
  86. 小泉親司

    小泉親司君 いや、私は、イラク国民の主権が疑いなくすべてが行くかと、これはなかなか難しい問題だと思いますが、特に僕は、パウエル長官自体が、多国籍軍がアメリカの指揮下に置かれることによってイラクの主権が制限をされる場合があるんだということを言ったというのは、私はちょっとアメリカ外務大臣、国務長官としては、私はいささか問題なんじゃないかなというふうに思います。  そこでもう一つ、ちょっと時間もないのでお尋ねいたしますが、先ほど議論になった問題ですが、防衛庁長官にお尋ねをいたします。  今、イラクの問題については、いわゆる戦闘地域、こういう問題がやはり全土にわたって広がっていると。特に、やはり先ほども議論がありましたが、サドル派との間での奮闘が、紛争がイラク全土で行われて、特にサマーワ周辺でもサドル派民兵組織オランダ軍との間での戦闘も行われたと。  そこで、私、幾つかお聞きしたいのは、戦闘地域か非戦闘地域かと、この問題を算定する、判断する上で、これまで防衛庁長官は、国及び国に準ずる者がどうかということが大変大事な要素なんだというふうに述べられてまいりましたが、そこでお尋ねしますが、サドル派ないしはその民兵組織、こうしたグループは国に準ずる者、これなんですか、どうなんですか。
  87. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 国又は国に準ずる者ではございません。
  88. 小泉親司

    小泉親司君 なぜそういうふうな御判断をされたんですか。
  89. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 組織性、計画性、継続性、国際性等々を総合的に勘案をいたしましたときに、これは、サドル派民兵組織というものは、そういうものに当たると私は思いません。  更に申し上げれば、これは法案審議のときに申し上げたのかもしれませんが、国又は国に準ずる者、者なんていうと訳分かりませんから組織といいましょうか、国に準ずる組織というものがやはり国又は国に準ずる組織というふうに並列して一つ評価を受けるということになりました場合には、やはりそれが組織的、計画的にあるいは国際紛争の一つの手段として行われるという、その主体たり得る要件を備えているというような評価になるのだろうと思っています。  そこで、現在行われているサドル派民兵というものがサマワならサマワで事務所に立てこもって、そこへイラク警察がそれを治安維持のために排除する、あるいはそこに突入するということをもってしてそれがそのような評価になるかといえば、私は全くそのようには考えておりません。
  90. 小泉親司

    小泉親司君 そうなりますと、例えば全土においてサドル派が様々な戦闘行為をやっていると、これはサマワでどうかと、これはいろいろあると思いますが、そのサドル派自体が組織的、計画的にイラク全土でそういう行為はしていないと、こういう判断を防衛庁としては下していると、こういうことなんですか。
  91. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、我々はイラク特措法に基づいて活動しておりますわけで、これは我々が実施区域というものは非戦闘地域の要件を満たさなければいけないということですから、そのほかの地域で何が起こっておるかということを要求をされている、判断を要求されているものではございません。  したがいまして、イラクのここでどうあそこでどうということをお問いになられても、これはもう判断をすることはできませんが、我々が実施区域としておりますところは、サドル派民兵が何をしておりましょうとも、何をしておりましょうといいますか、現状におきまして非戦闘地域の要件を崩すに至ったという判断はしておらないのであります。
  92. 小泉親司

    小泉親司君 いや、あなたはこれまでも国際性、計画性、組織性、継続性、その四つのうち一つでも欠けたら駄目なのかと、そうじゃないんだと。そんな議論をしても仕方がないわけでございまして、この四つのうちのたとえ二つでも満たす場合があっても、二つしか満たさない場合であっても、それは、これは国又は国に準ずる者による組織的、計画的なという評価ができないというものではないと私は思っておりますと。ということになると、首をかしげられていますが、これは十五年七月二十二日でございます。私、間違ったことは言いません。長官のようにうっかり払わないということもございませんので、明確にこの点については言っている。そういうことになると、現実問題として国際性、計画性、組織性、継続性、このうちのどれを満たしてないからあなたは今度の問題については国に準ずる者じゃないという判断をされているんですか。
  93. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いや、ですから、組織性、継続性、計画性、国際性というものに例えば数値があって、かくかくしかじかこういうことを満たせば、じゃ組織性は充足しました、かくかくしかじかこういうものを満たせば百点満点のうちの八十点になりまして計画性を充足しましたというようなものでは当然ございませんで、そういうものを総合的に勘案して、それがどういうような法的評価を受けますかということを申し上げておるわけでございます。  私、先ほど申し上げ掛けたのですが、例えば国又は国に準ずる組織というふうに申し上げましたときに、国というものを考えますれば、普通、領土があって統治機構があって、それに従う国民というものがあって、それがやはり国際紛争の主体たり得るのだということなのだろうと思っています。私自身はそのようにも考えますし、あわせて、それは別の言葉で申し上げれば国際性であり、組織性であり、計画性であり、継続性であり、いろんな形が考えられますが、それらを総合的に勘案をして、それがそのような評価になるかどうかという問題です。
  94. 小泉親司

    小泉親司君 いや、私が質問しているのは、あなたは四つの理由を挙げている。例えば、あなたはまた別のところで、国際的には国家として認められていないが国際紛争の主体となり得るもの、例えばタリバーンなんというのはやっぱりそういうものになるんだろうと思うんですと。しかし、それが宗教団体のちっちゃなものだったりした場合は、とても国又は国に準ずる者にはならないだろうと。つまり、国際性の基準についても言っている。  だから、私が言っているのは、この四つの基準のうち何が満たされていないということを理由にして、あなたはいわゆる国に準ずる者じゃないんだというふうに規定しているんですかとお聞きしているんです。
  95. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いや、ですから、それは総合的にと申し上げているのであって、四つのうちのA、B、Cを満たしてDを満たしていないからこれは駄目だとか、A、B、C、DのうちのA、Bを満たしているがC、Dを満たしていない、だから駄目だと、そういうことを申し上げているわけじゃなくて、総合的に勘案してというのはそういう意味であって、法的評価というのはそういうものです。
  96. 小泉親司

    小泉親司君 では、総合的に評価してと言うんだったら、何が欠けているというんですか。
  97. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いや、ですから、先ほどから申し上げている、何が欠けたからそれに該当しないとかいうものではない、総合的というのはそういうものだというふうにさっきからお答えしているのです。
  98. 小泉親司

    小泉親司君 私ね、もう本当にでたらめな話で、現実問題として、サドルが実際に国際性を有して反米闘争、これはもう明確にやっている。その組織性、継続性からしたって極めて組織的にやっているということは明確じゃないですか。それを、これは国に準ずる者じゃないんだということを理由にして戦闘行為じゃないと。これは私は大変おかしな議論なんじゃないかというふうに思います。  ちょっと簡潔に言ってください。私もあと五十五分まで五分しかないから。
  99. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それでは、逆に申し上げれば、何でサドル派が国に準ずるという評価になるのですかということになるのだろうと思います。  つまり、我々がイメージします場合の国というイメージははっきりしている。じゃ、国に準ずる者、つまり同じ法的評価を受けるということになりますと、じゃ、国というイメージはありますね。日本国というものがある、あるいは大韓民国というものがあり、ロシア共和国というものがある。じゃ、準ずる者、準ずる組織と言いましたときに、じゃ、組織性、計画性、国際性、継続性、しかしそれを総合的に勘案をして同じ準ずるという評価をしますためには、これがどう、これがどうというふうな数値化の問題ではない。それを総合的にどのように判断をするかという作業、これを行わなければこれはならないということだと思います。  それから、先生が今おっしゃいましたように、反米闘争をやっているから国際性を持つ、必ずしもそういうものだとは思っておりません。国際性を持つということは、それがそれなりに国際社会からある程度の認知を受ける、そういうものであって、それが国際的な何かの主張をしている、あるいはアメリカと対立をしている、そのことをもって国際性を充足するということには少なくともならないと思っています。
  100. 小泉親司

    小泉親司君 いや、私はね、私にそんなことを聞かれても私知りませんよ。元々この戦闘地域か非戦闘地域かなんていうのは、元々自衛隊海外派兵するためにあなた方がでっち上げた論理なんだから、そんなこと私知りません、聞かれても。あなたが実際に国際性、組織性、継続性、あなたが言ったんじゃないですか。だからあなたに私は聞いているんで、それが元々でたらめだから、でたらめじゃないようにあなた説明しなさいと私が言っているだけの話なんで、これを私に、じゃ、あなたはどこに国に準ずる者が、サドルがそうなんだというふうに判断されるんですかって私に聞かれたって分かりません、そんなのは。あなたが言ったんですから、元々あなたの論理上違うだろうというふうに私が具体的に提起している話で、それをあなたが説明すべき問題なんですよ。  これは私は大変でたらめだということを申し上げて、次の問題、またでたらめな話に行きますが、川口外務大臣、先ほども同僚議員からも議論がありましたが、パウエル長官が移動式の化学兵器の問題について発言をされた、これは大変不正確で間違いだった。  これは、五月十六日の米NBCテレビのミート・ザ・プレスという大変有名な人気のあるテレビの討論番組ですが、ここで、不正確で間違いだった、私は失望し残念に思っている、同時に、不幸なことに多くの情報は時間がたって正確ではないと判明したと、一部は意図的なミスリードだと、こういうことまでパウエル長官は言っておられます。  となりますと、この後、二月五日にこれ、二〇〇三年の二月五日、去年の二月五日にパウエル長官国連で言ったことの話を言っているんですが、二月六日の日に川口外務大臣はこのパウエル長官説明について何と言っているかというと、国際社会に対してきちんと説明しようと考えた米国の努力については高く評価をいたしますと持ち上げに持ち上げたわけですね。ところが、それが正に不正確で誤りだったと、一部は意図的なミスリードだったと。しかも、これは原口駐日大使も同じような国連の場で非常にこのパウエル発言を高く評価している。  私は、こういう点では日本外務省の責任も私はあると思いますが、この点であなた方は、このパウエル長官発言について、どういうことを聞いていて、どこが問題だとこれ思っているのか。私はこの点では、国連日本政府もこれを高く評価したことを反省すべきだということを付け加えて、答弁だけ求めたいと思います。
  101. 川口順子

    国務大臣川口順子君) あのパウエル長官発言ですけれども、これは一部、自動車、移動式トラック等についての御発言でもありまして、彼の二月の報告全部についての報告ではないということで、情報源が不正確であったり、誤っていたことが後になって判明したことは残念であるということを発言をしていると。私も、先ほど申しましたように、そういう部分があったということは残念に思います。  ただ、二月、我々が、これは先ほど別な委員に申しましたけれども大量破壊兵器について申し上げたこと、これは国連の査察団の報告が疑惑を表現をしているという表明をしているということでありまして、二月六日に私が出した談話で申し上げていること、二つ実は注意深くお読みいただきたいというふうに思っておりますけれどもパウエル長官発言について、これは、査察活動に対する非協力、大量破壊兵器の隠匿工作等、イラク大量破壊兵器を廃棄する真の意図が見受けられないことを示す情報、これを提示したことを評価をしたということでございます。何かが具体的にあったということ自体についての評価ということの言い方はいたしておりません。それからもう一つ、ここでそのときに申し上げましたのは、イラク大量破壊兵器に関する疑惑は更に深まったと考えるということを申し上げているわけです。  パウエル長官発言を受けて、要するに、大量、国連がそういう疑惑を提示しているわけですから、それがベースにあって、パウエル長官発言を聞いて疑惑が更に深まったということを申し上げているわけで、パウエル長官がそう言ったから大量破壊兵器はあるというふうに我々として申し上げたのではないということが、談話の中身をお読みいただくと、そういうふうに申し上げているわけです。
  102. 小泉親司

    小泉親司君 終わります。
  103. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。  先ほども似たような質問がございましたけれども、もう一度確認さしていただきたいと思います。  五月十六日の共同通信の記事によりますと、内閣法制局が先月、四月に、イラクで反米闘争を繰り返すイスラム教シーア派サドル師派は国に準じる者と解釈した見解を当時の福田官房長官報告していたとあります。前内閣官房長官内閣法制局からそのような報告を受け取ったというのは事実でございますか。
  104. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) お答えいたします。  今御指摘のような事実は全くございません。
  105. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今、さっきの防衛庁長官の御答弁と関連して、私も、この国に準ずる者という解釈について防衛庁長官のお考えになかなか納得できないところがございますので、いま一度確認さしてください。  昨年ですか、法制局の秋山内閣法制局長官国会での答弁で、国に準ずる者の組織の例としてこういうことをおっしゃっています。その見極めは、正に具体的な個別具体の事案の事実関係に即して判断されるべきものであると考えますが、当該行為の主体が一定の政治的な主張を有し、相応の組織や軍事的実力を有するものであって、その主体の意思に基づいてその破壊活動が行われているような場合には、その行為が国に準ずる組織によるものに当たるとされることがあるのではないかと考えられますと、そういうふうに言っているんですが、これは間違いですか。
  106. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは一面、間違いではございません。
  107. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官が過去のイラク特別委員会の方でこういうことをおっしゃっています。国又は国に準じる組織とは、一部省略しますが、「事柄の性質上確定的に申し上げることはなかなか難しいことでございますが、あえて申し上げるとするならば、フセイン政権の再興を目指し米英軍に抵抗活動を続けるフセイン政権の残党というものがあれば、これは該当することがあるというふうに考えております。」と、そういうふうにおっしゃっているわけですね。  そうしますと、先ほどサドル派というものが十万人規模組織だということが言われておりましたけれども、これは明らかに国に準ずる者というふうに考えられるわけですけれども、違うわけですか。
  108. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 違います。
  109. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 なぜ違うんですか。先ほどのフセイン政権の残党というものと似ているんじゃないでしょうか。
  110. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 似て非なるものなんていいますとまたおしかりをいただくかもしれませんが、要するに、これは法制局も昨年の七月十日に答弁をしていることでございますが、要するに国際的な紛争の当事者たり得る実力を有する組織体、要するに私どもが何でこういう概念を使っておるかといいますと、これは憲法九条に淵源があるわけであって、国際的な武力紛争を解決する手段としての武力による威嚇又は武力の行使はこれを行わないと、こういうことになっておるわけでございます。これはもう私どもは九条として確固として守っていかなければならないものであるということがございます。要はそこへ来るわけでございまして、そこで行われているものが国際的な武力紛争の当事者たり得るものなのかどうなのかということを考えましたときに、これは国というものは当然当事者たり得る、そして国に準ずる者とは何だろうか。  例えば、我々が考えてみましたときに、フセインの残党は盗賊とは違いますよ、野盗のたぐいとは違いますよというふうに申し上げてまいりましたのは、フセイン政権というものは確固として昨年まで存在をし、国を支配し、国民を持ち、統治機構を持っておって、それのかなりの部分が残っておって、お家再興というような形でもう一度国家としてこのような勢力というものを立ち上げようというふうに考えてみましたときに、これはやはり国に準ずる者、組織と言う、言い得ることが可能であろう。国際紛争の主体たり得ることは可能であろう。  他方、幾ら人数が多いとはいえ、それがそのような目的を有さず統治機構も有さず、単なる反乱分子というようなものであって、あちらで何か騒ぎ、こちらで何か騒ぎということであれば、これは国際紛争の主体たり得る国に準ずる組織ということは到底評価はされないということを申し上げておるのであります。
  111. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 去る五月十三日付け東京新聞は、フランスのNGO、ACTEDが日本外務省の無償資金協力約四千万円を受けて給水車両三十五台を借りて、ムサンナ州内の新ルメイサ浄水場からサマワ市内の住民への給水活動を開始し、その給水対象は、陸自の給水水準一人一日五リットルで換算すると約十二万人分に当たり、陸自のサマワでの給水能力一万六千人分の四倍に上ると報じています。  外務省にお伺いしますが、このACTEDに対して無償資金を援助したのは事実でございますか。
  112. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  御指摘のフランスのNGO、ACTEDに対しましては、ムサンナー県安全な水へのアクセス改善計画実施ということで、総額三十五万三千ドル、約三千九百万円の草の根・人間の安全保障無償資金協力を実施いたしております。
  113. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 サマワ市への陸自の派遣費用は、二〇〇三年度と二〇〇四年度で合わせて三百七十七億円となっています。まあ単純に比較することはできないと思いますけれども、今フランスのNGOに与えた資金で十二万人分、ところが自衛隊は三百七十七億円で一万六千人分を賄っているというふうに報じられているわけですが、この費用対効果について防衛庁長官、どのようにお考えでしょうか。
  114. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは先生、比較すること自体が無理なのでございまして、フランスのNGOがやっているのは、今も経済協力局長から答弁がございましたが、これは給水をやっているわけであって、浄水をやっているわけではございません。彼ら自身が水をきれいにするという行為をやっているわけではない。彼らがやっておるのは水を配るという行為をやっているわけですね。その水が一体どのような性質のものであるのか、それは私どもうかがい知るところではございません。  しかし、私どもがやっておりますのは、例えば幾らかというお尋ねをいただいて、ぎりぎり、この比較が正しいかどうかはいたしませんが、計算をしてみますと、大体二リットルのペットボトル当たり約三円というのが我々の計算でございます。  そうしましたときに、これは本当に我々が、隊員が飲んでみて、これは日本の水道の水よりおいしいかもしらぬというような水でありまして、そういうような本当に衛生的で、今まで川の水を飲んでいて体を壊してしまったお年寄りやあるいは子供さんや、たくさんいた。そういう人たちが本当に日本の水は安全だということになった場合に、二リットルのペットボトルが三円というのを高いとお感じになるか安いとお感じになるか。いずれにいたしましても、フランスのNGOという、給水しかやっていない、どんな水なのかも分からない、別にそれを非難するつもりはございませんが、それとの比較というのは難しい。  しかし、私は、これが費用対効果を外れて、自衛隊サマワに存在していることだけに意義があるというような、そういうようなお説にはとても賛同しかねるというものでございまして、私、この自衛隊活動というものは是非多くの方に御理解をいただきたいと思っているわけでございます。
  115. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最後の質問になりますが、ドイツのフィッシャー外相は、去る五月十一日にワシントンでパウエル米国長官と会談し、イラクのアブグレイブ刑務所で起こったイラク人捕虜に対する虐待問題について協議し、責任を持って釈明すべきだとして善処を求めたと報じられておりますが、外務大臣はそういうことについてはお考えになりませんか。それとも、アメリカ側の方から、同盟国としての日本に対して、こうこういうことですということで何らかの報知というのは受けられたでしょうか。
  116. 川口順子

    国務大臣川口順子君) あのアブグレイブの事件につきましては、本当にこれは遺憾な事件であるというふうに思っておりますし、そのような趣旨のことも米国に伝えております。  それで、アメリカ、これはこの間のG8の外相会談、会議のときにパウエル長官も言いましたし、それからブッシュ大統領に表敬をしたときもブッシュ大統領が、それぞれ先方からお話がありましたけれども、このことについては非常にアメリカにとって、ブッシュ大統領が使った言葉を使えばディスグレースであると、そういう問題である、このことについては徹底的に調査をして、そして再発防止策を取って、そしてしかるべく軍法会議等々で処罰をするということを言っていまして、アメリカの民主主義というのがこういった問題についてどのように対応するのか、これを世界に見せて、見てもらうということを言っているということでございまして、今日からたしか軍法会議も始まっているというふうに記憶をしておりますけれども米国自らが、ほかの国に言われるまでもなく、こういった問題について適切に対応をしようとしているということであると考えております。
  117. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  118. 山本正和

    山本正和君 防衛庁長官が前から言っておられると思うんですけれども、いわゆる戦闘状態になった場合には帰るんだと、それには参加しないんだと。要するに、あくまで特措法に基づいて復興支援、人道支援に行くのが自衛隊の任務であると、したがって戦闘の状況というものについては想定しないと、こういうことでいいですね、これは。
  119. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おっしゃるとおりでございますが、あえて申し上げますと、元々私ども武力行使に行くわけではございません。先生御指摘になりましたように、人道復興支援あるいは安全確保支援ということに行くわけでございます。  他方、私どもが実施区域としております地区は、現に戦闘が行われず、行われておらず、また活動を実施する期間において戦闘が行われることが予測されない地域と、こういうことになっておりますので、そういうこともいたしませんし、そういうことの行っておる地域ではやらないということでございます。
  120. 山本正和

    山本正和君 私はいずれにしてもこの法律にも反対した方ですが、現実に今行っている以上は効果的に活動していただきたいと思うんですね。  そういう意味で、ずっといろんな報道等を見ておりますと、今日の報告にもありますが、給水活動あるいは学校補修、道路整備、医療支援活動と大変いいことをやっているんですけれども、ところが、どうも私が思うのに、ああいう大変な戦争の後の住民というか市民の皆さんというのはいろんな要求があるわけですね。そこで私が思ったのは、学校へ行っていろいろの子供たち自衛隊の諸君がいろんな話をしているのを見て大変うれしく思うんですけれども、本当に。だけれども、学校に対して例えば学用品だとか子供たちが喜ぶような様々な、例えばサッカーのボールでもいいですよね。そんなようなものを含めた、本当に住民たちが喜ぶようなものの給付というものはやっているんだろうか、やっていないんだろうかと。  また、さらに私思うのは、停電、しょっちゅう停電で電気が来ないと言っている。サマワ市民もね。そうすると、我が国には太陽光発電というすばらしいやつがあるんですね。別に石油で来なくてもやれるような、そんなものを例えば学校の屋根に付けてやるとか、市役所でもいいですよね、公共の施設でもいい。そして、少しでも住民の生活が、自衛隊が来たことによって、自衛隊が一生懸命やっておることによって目に見えて良くなるという部分を自衛隊はやれるように私は思うんですよ、金さえあれば、予算さえあればね。  だから、そういうことも含めて、私は、自衛隊今おる以上は、本当にイラクの人たちが、ああ有り難いと、こう思えるような活動をもっと検討すべきだと思うんだけれども、今のような、今日の報告のような、この程度のままでとどめるのか、さらにはもっと市民活動のために経費も含めて取り組もうとしておられるのか、その辺はどうですか。
  121. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今、先生のおっしゃる御趣旨はそのとおりだと思っております。  サッカーボールは、実はサマワの子供たちに差し上げました。これはODA、外務省を通じて行っているものでございます。あるいは学用品、文房具等々は、これは全国からいろんな寄付をいただきまして、それを現地の子供たちに渡しておるわけでございます。先生おっしゃいますように、確かに目に見えた形でやることは必要だと思います。  ただこれが、我々自衛隊として、もう本当に自衛隊の予算で例えば太陽光発電システムを買ってそこへ据え付けるとか、あるいは簡単な浄水装置、あるいは浄化槽装置みたいなものを自衛隊の予算でやってできるかというと、必ずしもこのイラク特措法はそういうことを予定をしておるわけではございません。そういたしますと、これから先──ごめんなさい、先ほどちょっと言い方を間違えましたが、サッカーボールはこれからでございます。  で、そういうようなものをどういう形でやっていけば目に見えて、まさしくおっしゃるように自衛隊が来てよかったな、目に見えて良くなったなということになるか、これはよく配意をしていかねばなりませんし、外務省とも常に御相談をしておるところでございます。  他方、五月六日に、先生にもお話をしたと思いますが、自衛隊帰らないでくれというデモが参りました。やはり治安が悪くなった。迫撃砲が撃たれた。あるいは、サマワではございませんが、誘拐事案が発生をした。これで日本人が、自衛隊がいなくなるのは困る。そういうような迫撃砲を撃ったりする人間はサマワ市民全体にとっても敵なのだという意識を持っているサマワ市民というのは大勢いるわけでございます。  ですから、治安が良くなりさえすれば本当に自衛隊はもっともっといろんなことをやってくれる、その御期待にもきちんとこたえるようにしていかねばならないと考えております。
  122. 山本正和

    山本正和君 これは外務大臣の方にも大分、何というか、責任を持ってもらわなければいけないと思うんだけれども、いわゆる日本が様々な国に大変な援助をやっていますよね。その援助のことから思ったら、今自衛隊現地におると、その自衛隊に対してもっとお金を渡して、本当に住民の人たちが必要なものを自衛隊が直接やれると。私は、そのことが逆に自衛隊に対する安全対策ですよ、もう逆に言えば。そういうところに、だからもう、こんなことを言ったらおかしいが、防衛庁の予算なんて本当に少ないんだから、外務省からぼこっと回したらかなりやれるんですよ。これは総理大臣と一遍相談してもらって、もうちょっと、防衛庁があそこにおるために必要な経費、百億ぐらいぼんと出したらどうですか、本当の話が。百億ぐらい防衛庁が、いや自衛隊があそこで持ってですよ、それを住民のために使うと言ったら、これは本当に日本人を歓迎しますよ。  そんなことも含めてこれは考えてほしいけれども外務大臣、ひとつどうです、それは。
  123. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 隣で石破長官がすばらしいとおっしゃっていらっしゃいますけれども、今委員がおっしゃられたようないろいろなお考えについては、自衛隊サマワ活動し、あるいは日本政府としてODAを使ってイラクの復興支援をしていくということの中でどういうやり方をするのがいいか、いろいろな御意見をいただいております。  先ほど委員がおっしゃった太陽光発電、これも発展途上国で特に陽光の強いところではそれなりの価値はあるという考え方もありますが、私どもも、これはODAで電力、これを復旧していくことが大事だということで、変電施設ですとか発電所ですとか、そういったところの復旧をやっております。自衛隊活動とODAとは、これはイラク復興のための車の両輪ということで、ずっとサマーワには外務省の人間も数名派遣をいたしまして一緒に、一体となって努力をさせていただいているということでございます。  それで、であれば、ODAの予算を自衛隊に渡して何か、文房用具にせよあるいはサッカーボールにせよ、買ってイラクの人たちに上げることができるかということなんですけれども、ODAの制度、これはちょっと細かくなってしまいますけれども、なかなかいろいろな制約がございまして、簡単に言ってしまえば、そういうことをやる使い方ということは非常に難しい形でできている。例えば、入札をきちんとしまして、入札で、どういうものが幾らでどこが入札をしたかということをきちんとした上でそこがやるというようなことで、唯一それに一番近い形で、イラクの人たちに一番直接裨益しやすい形というのが、という制度が草の根ODA、草の根無償と言われるものでございまして、これはイラクの人たちに例えばコミュニティーの必要性、学校の必要性、そういうことを聞いて、責任を持ってそれを実行してくれる人たちを見付けて、お金を渡してやってもらうというような制度が多分一番近い制度だと思います。  ODAと自衛隊と一体となってやっていくという基本的な方針は、これは政府の方針として持っておりますので、引き続きどういうような形でやるのが一番イラクの人たちの復興に日本として役に立てるか、全体として役に立てるか、そうした中で自衛隊活動がより円滑なものになっていくようになるかという観点から引き続き考えていきたいというふうに思っております。
  124. 山本正和

    山本正和君 最後に、一つだけお願いしておきますが、今のような話をしていくと、やっぱり役所間の縄張争いでできなくなるんですよ。だから、そうじゃなしに、自衛隊にもう金をつかんで、つかみで、五十億でも百億でもつかみでぽんと渡して、本当に現地に役立つようにしなさいということを閣議決定をしなさい、閣議決定すれば。そうでしょう。そして、そんなのは何もODAの法律がどうだとかこうだとか、縄張がどうだこうだ言っておったら絶対できないですよ。しかも、目に見えてやれるといったら、現地におる者しかできないんだからね。  ひとつ、その辺は是非ひとつ閣議の中で強硬に主張してもらって、まず金よこせと、それをひとつ総理大臣に強く要請するように私からお願いしておいて、これで質問を終わります。
  125. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会