運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-02-06 第159回国会 参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年二月六日(金曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  二月五日     辞任         補欠選任      月原 茂皓君     中原  爽君      山本 香苗君     千葉 国男君      宮本 岳志君     小林美恵子君  二月六日     辞任         補欠選任      小林美恵子君     池田 幹幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         清水 達雄君     理 事                 田村 公平君                 常田 享詳君                 舛添 要一君                 山内 俊夫君                 齋藤  勁君                 若林 秀樹君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 有村 治子君                 大野つや子君                 小泉 顕雄君                 田浦  直君                 西銘順志郎君                 野上浩太郎君                 福島啓史郎君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 池口 修次君                 岩本  司君                 神本美恵子君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 高橋 千秋君             ツルネン マルテイ君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 森 ゆうこ君                 荒木 清寛君                 千葉 国男君                 遠山 清彦君                 池田 幹幸君                 小林美恵子君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君                 山本 正和君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        防衛庁長官   浜田 靖一君        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣府政策統括        官        武田 宗高君        内閣沖縄振興        局長       東  良信君        警察庁刑事局長  栗本 英雄君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛庁人事教育        局長       小林 誠一君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省総合外交        政策局軍備管理        ・科学審議官   天野 之弥君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     石川  薫君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        環境省自然環境        局長       小野寺 浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保  支援活動実施に関する特別措置法第六条第一  項の規定に基づき、自衛隊部隊等による人道  復興支援活動及び安全確保支援活動の各活動の  実施に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議  院送付)     ─────────────
  2. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、宮本岳志君、山本香苗君及び月原茂皓君が委員辞任され、その補欠として小林美恵子君、千葉国男君及び中原爽君が選任されました。     ─────────────
  3. 清水達雄

    委員長清水達雄君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法第六条第一項の規定に基づき、自衛隊部隊等による人道復興支援活動及び安全確保支援活動の各活動実施に関し承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  今から百五十年前、日本である川柳がはやったというふうに言われています。「泰平の眠りを覚ます蒸気船たった四はいで夜も眠れず」と。当時、鎖国政策をしいていた江戸幕府伊豆半島最南端の下田港にペリー提督が黒船四隻とともにやってまいりまして、日本を開き、また日米講和条約を結びまして、今年がちょうど百五十年の節目の年でございます。  加えて、日本がトルコを始めとするイスラム諸国や、また当時ロシアにいたユダヤ人たちからも大きな信頼を得る原点となったあの日露戦争から今年が百年の節目の年でございます。  また、一九五四年に自衛隊ができまして、今年が五十年のまた節目の年でございまして、この大きな日本外交安全保障歴史節目の年に我が国自衛隊イラク派遣されると。政府は大変重い決断をされたなという思いで一杯でございます。  私は、基本的に自衛隊イラク派遣には反対でございます。が、同時に、その政治決定によって派遣を余儀なくされ、また現地活動される自衛官お一人お一人に心からの感謝と敬意を表したいというふうに思います。  先日、元総理の中曽根さんのお言葉を耳にするチャンスがございまして、考え方は私と全く同じというわけでは無論ないわけでございますけれども中曽根先生言葉で大変重いなと思ったのが、政治家に大切なのはイデオロギーではないと、歴史観であるというお言葉でございました。  今、我々一人一人がそれぞれの歴史観そして価値観をきっちりと持ちながら、他の文化や他の国や、違う歴史を持った国や民族の方々歴史観価値観をきっちりと理解するという努力をすることが、私は極めて大事なんだろうというふうに思っております。  よくこのイラクの問題を語るときに、中東中東と、若しくは中近東という言葉が再三出てまいります。しかし、この中東という言葉中近東という言葉、そして我々が住んでいるこの日本極東ファーイーストといいますが、これはすべてヨーロッパを基準にして中近東中東、そして極東という言葉の定義であります。我々は、様々な議論をするときに、いろいろな政治の流れ、歴史の流れがそういう背景にあるということを認識しながら、私はこのイラクの問題もきっちりと議論をしなければならないんだろうというふうに思います。  今年は西暦二〇〇四年でございます。これは無論キリスト教物差しでございます。キリスト教が始まってから二千四年、イエス・キリストが誕生してから二千四年という物差しであります。我が国平成十六年、若しくは皇紀という暦も日本文化にはございます。二千六百六十四年でございます。イスラム教を信じるイラクでは今年は千四百二十五年目の年でございますし、人類で最古の暦を持っているユダヤ教では五千七百六十五年のお正月を昨年の秋に迎えたところでございます。  我々は、様々な文化や様々な歴史観を持っている様々な国の人たちと、今国境を越えてお付き合いをし、またその地に自衛隊派遣をし日本主義主張をしているということをきっちりと、まず私自身押さえなければいけないと思います。  そのような中、防衛庁長官イラク派遣されている自衛隊現地部族に羊を十頭贈られました。そして、様々なアプローチがあり相手の文化理解をする、その評価は私はしたいと思いますが、実は、この羊をめぐりまして現地であらぬやっかみであるとか誤解が生じている。こういう大変難しいことがたくさんあるんですね。この現地自衛官が接している大変難しいこういった壁というもの、これを長官はどのように御認識ですか。
  5. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 羊につきましては、羊をほふるというもの、そして非常に高いものであるので何とかそういうのが行き渡らない方に召し上がっていただきたいという一種の、これはもう委員にお教えいただきたいんですが、喜捨という言葉を使うのが正しいのかどうか知りませんが、これはそういうものを差し上げる幸せを我々は与えられたのだという思いで羊を差し上げたというふうに承知をいたしております。これはもう上げるんだから感謝してねということではなくて、それを差し上げる幸せを与えられているのだという思いでいかないとこれはもうえらいことになる。  ただ、私はもう何度か答弁申し上げたと思いますが、どうやって不公平感を抱かせないようにするのだということには常に留意するように申しております。そうしますと、それではありとあらゆる部族の方にすべて不公平感がいかないように羊を差し上げるにはどうすればよかったのかということは随分と現地でも考え考え抜いてやったことだと報告を受けております。ただ、やってみますと、委員指摘のように、やったはいいんだけれども、またいろいろな御不満、御不平、じゃ、これをとらえてどのようにするのかということは毎日毎日考えていかねばならないことだと思う。すべての人が満足するということは世の中にはあり得ないのだけれども、どうすればそれが最小になるのかということについて、あるいは現地のことに通暁しておられる委員からこうすればよかったのではないかというような御示唆をいただければまた有り難いことだと思っております。間違っても、これは我々が上げるので有り難く思ってくださいというような気持ちは持ってはならないということは徹底をいたしておるつもりでございます。
  6. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 現地日本は、そしてひいては自衛隊は実は非常に期待をされている。期待され過ぎているということが現実なんだろうというふうに思います。自衛隊が来れば、日本が来れば、雇用もすぐ増えて、学校にもすぐ行けて、病院も復興して、我々の生活はバラ色になるのだと。あたかもドラえもんが来るかのような発想で、今非常に過度な期待現地である。  中東専門家アジ研酒井啓子先生もおっしゃるように、過剰な期待に沿えずに、それが逆に反発に変わる可能性が非常に怖いと言う専門家も多くいらっしゃるわけでございます。あのサダム・フセインでさえも、湾岸戦争の後、三か月でこの地域を復興したではないか。そして、羊をこの部族にやれば、うちにはどうしてないんだという反発が生まれる。非常に難しい問題があると思います。  我々が今回の問題で一番ミスカリキュレートした問題、それはイラクアフガニスタンとは違うんだという発想であります。なぜか。アフガニスタンにはさしたる産業はないけれどもイラクには石油があるんだ、だからイラク復興して日本が、そして連合軍がその最初の後押しをしてあげれば、後は自家発電的にきっちりとイラクは再生するんですよと、お金もあるんですよという議論があった。ところが、現実はなかなかそうはいかない。石油産業も復活をしていない。  このような中で、日本のこれからのイラクに対する復興支援精製所であるとか石油現場であるとか発電所であるとか、こういった分野に対しても日本協力をしていくのですか。
  7. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 幾つかの重点分野ということを考えております。電力等は国の経済協力をするという中で基盤整備ということも考えておりますし、それから過去やった、日本が作った発電所変電所がありますから、そこのリハビリプロジェクト考えております。広くイラク全体の産業基盤のどこの部分について我が国がその能力を持っているか。  それから、ほかの国がある部分については我が国よりもより多くの能力を持っているということがあるわけですから、これは当面十五億ドル無償の世界で、今考えていることについては特定の保健、水、医療、それから電力教育といったような分野考えていますけれども産業基盤については、これは五十億ドルを上限にということで二〇〇七年までの期間で考えておりますので、今後どういう分野でしていくかということについては様々な需要、さっき言ったような我が国産業能力等々を勘案して決まっていくことになると思います。
  8. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 十五億ドルの件についてはまた後ほど触れますが、今大臣がおっしゃった点は、正に政権移譲、新しいイラクの受皿ができないと、これはきちっとできない問題でありまして、今大臣のおっしゃったのは当分先の日本の長期的な計画になろうというふうに思います。今、直近では恐らくそこまではできないんではないかというのが現場現実だというふうに思っています。  今回、サマーワで水の浄水、そして給水活動をするということですが、今サマワでどれだけの方々が実際に水を必要とされているんでしょうか。
  9. 石破茂

    国務大臣石破茂君) サマワ人口についてはいろんな説がありますが、イラク計画省の最新の資料では十六万とされております。これが正確なデータがあるわけではありませんで、水道普及率について大体の推定の数字でございますが、水道普及率は四〇から四五%であると。そうしますと、浄水需要というものは九万人ぐらいの方々浄水需要がある。私は、テレビに映るのがすべて真実だとは思いません。すべてが真実だとは思いませんが、きれいな水を欲しいといって言っている人がたくさんいるということは、私は事実だと思っております。需要は九万人程度というふうに予測をいたしております。
  10. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 衆議院では人口が十二万人と長官おっしゃった。いろんなデータがあるから変わるんでしょうけれども、当時は五万人の方が困っていると言っていた、現在九万人、分かりました。  じゃ、実際自衛隊が行ってどれだけの方に給水できるんですか。
  11. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これもどれぐらい使うかによるわけでございますけれども、仮にお一人当たり必要なきれいな水を一日四・五リットルというふうに仮定をいたします、これかなり使うという感じなのですけれどもね。そのように考えますと、私ども一日当たり七十トン、これはもう幾つ浄水セットがあるわけですが、それをトータルいたしまして一日七十トンの浄水、つまりウイルス等も除去できるというレベルでございますが、七十トンの浄水能力を持っております。で、先ほどの数字を当てはめてみますと、一日当たり約一・六万人の方々にきれいな水を提供できる能力があると考えております。
  12. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 九万人必要な中の一・六万人に授与すると。今、七十トンとおっしゃいましたが、これは一体、大体何基くらいのこういった設備を今考えていらっしゃるんでしょうか。
  13. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 四セット、四基というふうに考えております。
  14. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 このワンセット、二十四時間フル稼働すると大体七十トンの水が供給できる施設で、四基でずっと稼働するわけではないですから、一日何時間かローテーションしてやるんでしょう。それで七十トンと。この水を実際自衛隊方々も飲まれるというふうに理解はしておりますが。  では、これに掛かるコスト、一体どれくらいの経費が長官、掛かるんでしょうか。
  15. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これもいろんな仮定を置きますので、幾らですというふうに正確な数字が場合場合によって異なりますが、あえて、フィルター、これ濁度が相当悪いのですね、非常に濁っている、じゃ、その濁りを除去するのには相当のフィルターを使わねばならない。いろんなケースがございますが、現地のユーフラテス川というもので考えてみました場合に、フィルター交換部品費ですとか燃料代でありますとか、すべて我が国で調達をして持っていくというふうに考えましたときに、一日当たり七十トンを浄水をいたしますのには十二万円という計算をいたしておるところでございます。
  16. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 あるNGOの試算によりますと、大体年間自衛隊が、人件費も入れてでしょうが、使うコストが大体三百数十億じゃないかと、三百数十億というふうな数字が出ております。同じものをNGOがやると、年間数千万から一億で約十万人が供給できるというふうに言っております。  これは、無論、様々なデータがあるんでしょうが、私は、九万人必要の中の一・六万人、それが無駄だとは言いません。しかし、余りにもこの問題に従事するにはその費用対効果というのは大きな問題があるのではないかなというふうに考えております。  雇用の問題に入りたいと思いますが、自衛隊サマワ自衛隊サマワに行かれまして、具体的に実際何人の現地人雇用が潤うんですか。
  17. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ちょっとその前にお答えをすれば、委員さっきNGO数字をおっしゃいました。これは私もこの数字は聞いております。  で、実際どのようなレベル浄水ができるのか。それは、私、テレビで拝見しただけですが、一人でやっているんだというお話でしたね、一人で。いや、私はテレビで見たものです。ですから、このことについていろんな数字があって、いろんな情報があって、それがどのようなレベルの水が供給できるのかという問題もございます。  私は、委員がそれはもう無意味だとは言わないと、こうおっしゃっていただいたのでありますけれども、これはペットボトルにいたしますと大体三円ぐらいかねということになるわけですね。これが私は、非常に高いお金を、国民の税金を使って、非常に高いお金NGOなんかがやればもっと安くできるのに高いお金をやっているよという評価は、私は必ずしも当たらないのではないかと思っておりますが、そのことについては、またこれと比べてどうなんだという御指摘があれば、是非承らせていただきたいと思います。  雇用はどれぐらいなのかという御指摘ですが、これは何人ということを今申し上げることはできません。  それは、今、宿営地の造成をいたしておるわけでございますけれども、そこで何名ほど雇用ができるか。あるいは、警備に、イラク人警察というのもございますが、これにどれぐらいの方にお願いができるのか。さらに、宿営地が動くようになりましたときに、答弁で申し上げましたのは、場内の清掃でありますとか、あるいは備品の整備といいますか、食器をきれいにしていただくとか、そういうようなことは考えております。  それが向こうの方々にこれならやろうという仕事であるかどうかという問題もございますが、そのようなことは考えておりますけれども、数百人単位での雇用ができるようなことは考えておりません。  それはもう委員もおっしゃるとおり、私どもドラえもんでもなければ魔法のランプを持っているわけでもございませんで、やはり現地方々雇用と同時に安全性への配慮ということもやっていかねばならないと思っております。したがいまして、数百人単位雇用自衛隊で創出できるというような考えは持っておりません。
  18. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 持っていないと。  外務大臣にお伺いします。  今現在、イラク日本のどんなNGO活動されているんでしょうか。
  19. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 基本的には、ジャパン・プラットフォームの傘下にある二つの、ピースウィンズと、あとはJENが入っています。それからもう一つ、それとは別個にJVCが入っているというふうに承知をしています。
  20. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そこでは何名くらいが働いていらっしゃるんですか。
  21. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そこで働いている人の数ですけれども、ちょっとお待ちください。ピースウィンズとJEN両方合わせて大体六百四十人ぐらい、これは現地イラクの人ですけれども、六百四十人の現地の人を現地スタッフとして雇用をしているというふうに承知をしています。
  22. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 現実問題として、日本NGOの旗の下、六百四十名の雇用を創出し、具体的な様々な、医療活動であるとか給水活動であるとかインフラ整備であるとか子供に対する支援医療であるとか、様々な活動ができているわけでございます。  また、現在、イラクにおいては、NGO調整委員会、NCCIの下で約百十二の団体が活動して、その中で六十名から七十名の本国、外国人スタッフと二千人以上のイラク人スタッフが一緒に雇用を受けながら活動ができている、復興支援ができているというのが現状であります。  国連もほとんど撤退しているというような報道もありますが、現実は十数名がそこで活動をしていて、約四千五百人のイラク人職員雇用しながらイラク復興支援活動をやっているんですね。  私は、自己完結的に自衛隊でなければできないんだと長官はおっしゃいますが、そんなことは決してない。様々な国際機関NGOが現にこのようなことをやっている。そして、このネットワークをきっちりと進めていくこと、そしてそれを外務省が、川口大臣がきっちりと後押しすることが日本外交の在り方である。  サマワも大事であります。サマワの一万六千人にお水を差し上げることも大事でしょう。しかし、余りにもその効果は局地的で、システマチックになっていない。日本が本来やるべき外交は、本来やるべきイラク復興という問題は、私はそういった局地的な、局部的なものでないと。これは正に自衛隊派遣のためのサマワへの派遣というように思えてもこれは仕方ないと思うんですね。  大臣、今正に日本がやらなければならない問題は、イラク人というのは自分イラク人だというアイデンティティーがないんですね、非常に薄い。第一次世界大戦が終わって、一方的にサイクスピコ条約国境が作られて、そこにいる様々な、クルドであるとかシーアであるとかスンニであるとか、トルクメン人であるとかアッシリア人であるとか、様々の自分たちアイデンティティーを持っていた人間が、強引にイラク人だという型に、イラク国民だという型に押し込まれていった。そしてフセインの圧政が終わって、崩壊をして、今正に自分たちアイデンティティーを探している。  そういった新しいイラクというアイデンティティー日本がどういうふうにそれを作るのにお手伝いができるのか。また今、選挙の問題もありますが、その選挙にどのように日本が関与していくのか。非常に大きな問題が日本外交外務大臣に私は今その政治決断が求められているというふうに思うわけでございます。  川口大臣大臣に基本的な質問をしたいと思うんですが、イラク人アメリカに今感謝しているんでしょうか。
  23. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラク人アメリカに対しては非常に複雑な感情を持っているというふうに思っていますけれども、かつて、ちょっと私今ここにデータを持っていませんが、かつて私が見ました世論調査、それでいいますと、アメリカ軍に早く立ち去ってほしいかという質問に対しては、いてほしい、一年及び一年を超える期間いる、いてほしいと言っているそのイラク人が、もしかしたら記憶間違っているかもしれませんが、数字でいうと五〇%を超えていたというふうに思っています。ですから、それから考えますと、個人的な様々な感情は別として、今、イラク復興のためにアメリカがそこに滞在をして復興活動をやっているということの重要性については認識をしているのではないかと思います。  それから、ちょっと、先ほどNGO雇用の数についてお尋ねがありましたけれども、雇っているのは基本的にそのイラクの人であって、日本は今退避勧告を出していますので、今の時点で日本NGOが大勢入ってイラク活動しているという状況には、これはもう委員はよく御存じのとおり、なっていませんし、しばらく難しいということであると思います。  それから、六百四十人と申し上げましたのは、延べの人数でございます。
  24. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今、イラク人にこのイラクフセインの圧政から解放したのはだれだと言われると、これはブッシュじゃないんだと、神が解放したんだと言うんですね。そういった考えが今、どんどんどんどん時間がたつごとに浸透していく。ましてや、あのサダム・フセインでさえも湾岸戦争以降三か月で復興したんですから、時がたてばたつほど、CPA、そしてアメリカに対する不信や不満が高まっていく。  大臣は、このイラク復興に対して、イラクの民主化というものを進めるお考えですか。
  25. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクの民主化というのは、イラク人が何よりも望んでいるということだと思います。民主化といったときに、その持つ意味、これは様々あるかもしれませんけれども、民主的な統治機構を持った国ということで民意を反映する形でイラク政治が行われるということは、非常に基本的に重要なことだと考えております。
  26. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 十五億ドルの無償資金援助を外務省は決めました。そして、ただ、これをインプリメントするためには、正にその受皿、イラクの主権移譲がしっかりと行われなければいけない。しかし、今、六月に主権移譲されるこの時期がどうも先送りされる可能性が高くなってきたというような情報もあるわけでございます。  シスターニ師が直接選挙をやるべきだというふうに訴えていますが、そして、そのシスターニさんを支持するサマワの宗教指導者もそれに呼応して宗教、直接選挙を支持し、他方、自衛隊をしっかりと守りなさいというファトワも出している。  川口大臣は、このイラクの直接選挙を支持されますか。
  27. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクがその基本法に基づいて、今後決まる基本法に基づいて選挙を行って、六月末までにイラク人の手にイラクのその政権を渡すということは、これは昨年の十一月に合意されたことで、このスケジュールに沿って物事が進んでいくということは日本として重要でありますし、そのようになるようにできるだけの貢献をしていきたいと思っています。  それで、今御指摘になられたように、選挙の方法をめぐって、直接選挙か間接選挙かということで一つの大きな争点に今なっているわけでして、シーア派の指導者のシスターニ師は当然、六〇%ということで多いわけですから、直接選挙ということを言っているということも委員がおっしゃったとおりであります。それで、具体的に今、国連が調査団を送って技術的にどのような方法が可能であるかということを調査をするということになっているわけです。  幾つかの基準に基づいてどのような選挙法がいいかということを考えるべきであるというふうに思います。  それは、一つは、選挙のスケジュール、十一月に合意されたスケジュール、これを、これにのっとった形で行われるということが一つあると思います。それから、もう一つ考えなければいけないことは、いかなる制度であれ、実効的に、要するに実行できる制度、可能な制度であるということが必要であると思います。それは、例えば、イラクにおいては選挙法がないとか、そういった法的な問題もありますし、それから地域によってばらつきがある治安の状況を考えて、その上でできるという方法であることも必要だと思います。それから、もちろん基本的なこととして、三番目に民意、これが反映される制度であるということがあると思います。  そういった基本的な条件を置いて国連の調査団がどのような制度が可能であるかということについての報告を作ることになると思いますので、それを踏まえてどういう制度がいいかということを考えていきたいと思いますが、選挙の方法は直接選挙か間接選挙か、その二つしかないわけではなくて、その間にいろいろな技術的な選択肢があるというふうに私は考えておりますので、その辺りについて、国連がどのような報告を、調査をし、可能性を見いだすかということで、今国連の役割に大きな期待があると思いますし、私も国連がこの分野でいい仕事をしてくれるということを期待をしているわけです。
  28. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この選挙の方法に関しましては様々な政治的思惑がありますね。シーア派を外そうという考えと、シーア派が、自分たちがきっちりと民意が反映できる、正に大臣おっしゃいました、そういった形にしたいという声もあります。  では大臣、今、このスケジュールの問題は現地も、スケジュールにはそうこだわるべきではないではないかと、きっちりとした、むしろ大臣のおっしゃった二番目と三番目がきっちりと担保できる選挙制度をやるべきではないか、そのために時期を多少ずらしてもこれはきっちりとした選挙をやるべきではないかという声もあるわけですが、もし大臣のおっしゃった二番と三番がきっちり担保できるのならば、大臣はやはり直接選挙でもいいというお考えですか。
  29. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私は、今の時点でスケジュールを遅らせることを前提に物事を考えるべきではないというふうに考えています。先ほど申し上げた三つの要素というのは今非常に重要なことであって、その三つが満たされるように考えていく、それを追求するということが今やるべきことだと思っています。
  30. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次ですね、メソポタミアの湿原回復の問題についてお伺いしたいんですけれども外務大臣は今年の初めイランに行かれました。大変お疲れさまでございました。  エプティカール環境庁長官とお話をされまして、そこでイラクのメソポタミアの湿原回復事業に日本が取り組むんだというお話をされましたが、この意義について少しお話をいただきたいと思います。
  31. 川口順子

    国務大臣川口順子君) エプテカール副大統領兼環境大臣は私が京都議定書を環境大臣としてやって以来の友人でもありまして、その昔からメソポタミアの湿原問題については副大統領と話をいたしております。  それで、その意義なんですけれども、メソポタミア湿原というのの重要性、これは生物的に見ても、ペリカンですとかハイイロオオカミですとか、いろいろな哺乳類、爬虫類、様々な種がそこに生息をしているというところであります。  それで、ここについては、一つの大きな問題は、基本的に四国の面積に匹敵をするところで昔あったところが今非常に縮んでしまっておりまして、その九割以上が消失をされたということにされています。それは、主として旧フセイン政権時代の大規模な排水事業等がございまして、そういったことの結果として起こってきまして、塩害、生態系の悪影響、そこに住んでいる住民が生活基盤を失った。強制移住措置もフセイン政権は行いまして、今十万人ぐらいしか人口がいないということになっています。  それで、UNEPがかつて調査を、最近も会議等をやっておりますが、いたしまして、幾つかの課題ということで言っておりますけれども、一部の土地が塩化、砂漠化している。それから、これは、チグリス・ユーフラテス川の流域による水管理の調整が必要であって、それから、おっしゃったようにイランとも国境を接してイランにもありますので、イランとの、両イラン・イラクの調整が必要だということ、それから、水問題は中東地域においてはもう歴史的に大変に大きな問題であるわけですけれどもイラク国内の上水やかんがい用水との調整が必要である、それから湿原に住んでいる人たちの社会的ないろいろな調整が必要だ、利害関係もありますということです。  それで、UNEPがやることが必要であるわけですけれども国際機関が、今イラク外国人が入っている状況にはなっていないということがもう一つの問題であります。  どれぐらいの費用が掛かるかということについて言いますと、これは大規模な土木工事が必要である可能性があります。ダムですとか河川、水路、そうして現状では費用算定は難しいということでありますけれども、引き続き、環境省におかれて正確な情報収集もやっていらっしゃいますし、UNEPあるいはほかの国々とも協調をしながらこの問題をやっていくことが、対応していくことが必要だと思っています。
  32. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今、予算の話まで出ましたが、これ具体的にその手法、ノウハウといいますかね、どういうふうにしてこの湿原を回復するのか。イランまで行って環境庁長官とお約束をされたんですから、やはり具体的なこの方向性というのが大臣の頭の中であるんだろうと思いますが、これ一体どのようにこの湿原を回復するおつもりか、この実現の可能性ですね、大臣はどのように御認識かと。  今四国ほどの面積と言いましたが、確かにアシが生えてその湿原そのものは四国ほどの面積かもしれませんが、その背景にある面積は莫大なんですよね。イランからシリアからヨルダン、トルコまで、もう広大な範囲にわたってこの湿原の問題は実はあるわけでございまして、私、大臣がこのお話をされたときに、一体どういう方法で大臣がこの問題に取り組まれるのか大変興味を感じまして、改めてこのノウハウと可能性について大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
  33. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 御指摘のように、方法論的には大変に難しい問題だと思っております。  私は環境大臣のときに自然の再生ということを言いまして、釧路の湿原で、このメソポタミア湿原に比べれば本当に小さなところですけれども、国土交通省や農水省と御相談をしながらプロジェクトに取り組み始めたという経験を持っております。埼玉県のくぬぎ山についても同じようなことを考え、環境省が直接手掛けたことではありませんが、香川県の豊島でも同じような取組があるわけです。  それで、方法論的には本当に確立されたものはありませんし、非常に難しいというふうに思います。自然をいじることによって更に問題が出てくるということもあるわけでして、方法論を国際社会でみんなで知恵を出して考え、その方法が適切かどうかということのアセスを行い、そういった形でできるところから進めていくということで、非常に長時間、長時間といいますか、長期間掛かるプロジェクトであり、国際社会の知恵が結集されることが必要であり、治安がその地域において良くなっているということも必要であると思います。  ただ、この地域の重要性に着目をして取り組む、そのために少しずつみんなが努力をしていくということが大変に重要であると思っています。
  34. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今、大臣から釧路の湿原の話がありました。釧路の湿原でさえもこれなかなか回復できてないのが現状なんですよね。  これ、このメソポタミアの湿原を回復しようというこのアイデアは、一体どなたがこの問題、最初に考え始めたんですか。
  35. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これはもう大勢の人が言っていることですから、だれが一番最初に考えたかということについては私はよく分かりません。私自身、個人の問題意識としては、元々、先ほど申し上げたイランの副大統領と私が環境大臣当時にお話をしたということから始まっております。
  36. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 先ほど、イラクでかんがい設備や、また上流でダムができてこの湿原がなくなっていったというお話がありました。  ただ、真相は、全くこれは原因ですら実は科学的に明らかになっていないんですね。環境の変化かもしれないと言う人もいる。また、大地そのものが塩化してきているんでないかという話もある。あたかもサダム・フセインの政策によってこの湿原が消滅していったかのような論調もありますし、それが正しいかもしれないし、ですけれども、科学的には全く実はこれ明らかになっていないのが現状で、ほとんど、先ほどUNEPの話がありましたが、文献すら実は余りないのが現実なんですね。  非常にこの大きな問題を大臣が手を挙げられて、ましてやお隣のイランに行ってこの問題を、日本が湿原回復しますと言い、また、総理もリカービ氏にアプローチをされ、是非これに取り組みますという発言をされる。私は、大分これ大ぶろしきを広げ過ぎているんじゃないかなという思いが実はいたしております。  また、このメソポタミアの湿原というのは、昔、反政府のゲリラの隠れ家だったんですね。この湿原からゲリラが来てテロ行為やって、また湿原に帰っていく。正にゲリラの巣だったんですよ。ここに日本がまた関与をして湿原を取り戻しますよと。日本は一体、またゲリラの増殖に関与するのかと、手助けするのかという声も実は上がっているんですけれども大臣はこういった指摘に対してどのように御答弁されますか。
  37. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これについては、今委員がおっしゃったゲリラの隠れ家であったがゆえに、サダム・フセインはそこを乾燥化させたとか、いろいろな見方があるわけです。  それで、それが起こった原因は何であれ、我々としては、自然をそこに戻すということが重要であるということが基本的に大事な視点であると思っています。それから、そこにすんでいた生態系、いた生態系及び人間の暮らし、そこを戻していくということであると思います。  おっしゃったように、先ほど方法論としては難しいということを申しましたけれども、文献も少ないです。UNEP等が幾つかの研究をして、何で消失をしたかとか、そういうことをやり、ラウンドテーブルの会議も開いている。これは我が国として非常に関心を持ってこれに貢献をしていくことが大事だと思っていますけれども日本のみでこれをやるということは、私は不可能であると思っていますし、そういうことを申し上げているわけでは全くありません。イランに対しても、日本がこれをやりますということを言ったわけではありません。  日本がそういった国際社会の協力を得ながらやっていきましょうということであって、これは世界を挙げての、国際社会を挙げての取組、日本がそこでイニシアチブを取り、必要なことをやっていくということであるということだと思います。
  38. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 先ほど、日本が過度に期待をされている、日本が来れば何でもできるという誤解がアラブ諸国の中にある、ムスリムの中にあるという話をいたしましたが、私は、まずできることからきっちりとやっていく、そういう国の形の見せ方というものも大事なんだろうというふうに思います。  長官に、サマーワの借地権の交渉、借地の交渉の問題についてお伺いしたいんですけれども、今、自衛隊がキャンプを張るこの土地の借地権の交渉はどこまで進んでいらっしゃいますか。
  39. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 借地権という権利そのものをどう考えるかって話もあるんだろうと思います。イスラム法において借地権というものをどう考えるか、あるいは地権者が何人いるのかというようなこともございます。ですから、日本の国内における土地賃貸借というイメージで考えると、少しそごが出ることがあるのかもしれないなとは私はいつも思っているのですが。  現在どうなっているかと言われますと、適切な候補地を選定し、地権者との調整を進め、使用するために必要な調整を行っておる。つまり、今テレビでごらんのようにいろいろと造成はしているわけでございますが、じゃ、そこにお話が全部付いたのかといえば、そういうわけではございませんのです。宿営地予定地を一か所に選定をいたしまして、土地の地権者の方々に対して、まず利用について、使わせていただきますよということにつきましての御了解はいただきました。そして、じゃ、その使用に要するお金というものについて、今調整を行っておるところでございます。  いずれにしても、私どもといたしましては適切な支払をする必要はある。この適切というのをどのように考えるかというお話だと思っております。これは、先ほど委員が御指摘になりました公平性の問題もあります。あわせて、土地を使っておるのは日本だけではございません。ほかの国との整合性というものも考えていかねばなりません。したがいまして適正という言葉を使わせていただきました。
  40. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今使用に対する許可は得ているというふうにおっしゃいましたが、この交渉は自衛官の方がやっていらっしゃるわけですね。この許可は一体だれが、長官先ほど、だれが一体土地を持っているかも分からないという現状もありますというお答えをしながら、許可は取ってありますと。だれから許可取っているんですか。
  41. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは所有権者でございます。所有権者というものがおりまして、ごめんなさい、だれが持っているか分からないというふうに委員がお取りになるような答弁をしたとしたら、それはお許しください。土地の所有者ははっきりいたしております。こういうような土地の所有者から使用についての許可を得ておるということでございます。
  42. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この土地の所有者というのも、あの社会ではいろんな人間がおりまして、イラクというのは基本的に農耕社会であります。これは私、先日学者の先生から教えていただいたんですけれども、農耕社会でありながら、イラクにあるチグリス川、ユーフラテス川、そしてサマーワはこのユーフラテス川のこちら側にあるんですね。すなわち、何を意味するかというと、サマーワというのは農耕民族ではなくて放牧の民族であると、そして土地に対する観念が非常に様々であると。正にあの土地は部族みんなが持っているんだという観念があって、そしてオスマン・トルコ帝国時代になって徴税をしなければならない便宜上、土地の所有者一名の名前を記載していったというふうに言っているわけです。  ですから、正に登記書に載っている人物と、実際に土地を持っている人物と、その畑や土地を使用している人物と、またその土地を管理している人間と、四種類あるというんですね。これ、一体だれと交渉しているかによってとんでもない紛争が起こりかねないですし、これ交渉できるわけないんですよね。ですから、相手が五十万ドル要請したり、こっちが七千ドルですか、こんなもう差が出ているわけでございます。  この問題を、大臣、これ一番大事な問題なんですよね、イスラム社会は契約の社会ですから。コーランにもきっちりと書いてあるんです。土地を売買し、賃借する場合はしっかりと契約書を結びなさい、そして二名の男性の立会人を置きなさいとコーランに書いてある。この問題をないがしろにして、ましてや自衛隊がこの現地活動するなんというのは私あり得ないと思うんですけれども、この問題は長官、どのように解決されようと考えておりますか。
  43. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 全く委員と同じ問題意識を私持っていまして、そうに違いないと、そういうようなところであって、簡単な話ではこれはないと。  ただ、私が報告を受けておりますのは、これ幸いなことにと言うべきでしょうか、この土地の所有、一応所有というふうに申します。というのは、土漠地帯でございますので、そこで当然農耕が行われているわけではありません。じゃ、そこで、その遊牧行為がそこで行われているか、そこに羊が移動するような、あるいは遊牧というような行為が営まれているかというと、必ずしもそうではない。利用権というような、日本的に言えば利用権というような概念がそこに生じているかといえばそうではない。  いずれにいたしましても、そこの所有については、一つの部族というものが甲乙丙丁という所有者を有しているというふうに聞いております。現地でどのような概念であるのか、部族間において問題はないのか、おれは所有権者であるがこいつはその利用権者であるとか、そのような問題が発生しないかということについては、これはもう細心の注意を払うように申してございます。  おっしゃるように、委員から今いろいろな御指摘を受けました。その点についてもきちんと、現地において不公平感が生じたり、あるいはそれが混乱のもとにならないようにきちんとやっていかねばならないということは徹底して指示をしておるところでございます。
  44. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 細心の注意を払うとおっしゃいますが、これは中東専門家も、行っても頭悩ませている問題が、自衛官がですよ、それはイラクのガイドブックを昨日も配ったと言いましたが、これは幾ら行っても、現地でこの調整をやるなんていうのは私は不可能に近い。ましてや、これによって貧富の格差が起き、また先ほど言ったあいつには払ってなぜおれには払わないんだ、羊十頭でもけんかになるんですから。これはまた大きな問題をサマーワで起こし、そしてその誤解を自衛隊現実問題与えているという現象になるかと思うんですけれども、これは実際できるんですか、長官
  45. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、現地にムサンナ県というのがあって、ムサンナ県知事という、最近よくテレビに出てきますが、そのムサンナ県知事というのがいる。現地の治安であるとか行政であるとかいうのは重層的に行われているものだというふうに理解をいたしております。知事がおり、部族がおり、宗教指導者がおりということですが、やはりそれは、自衛隊が行ってA部族とB部族とC部族との調整をどのようにやるかということは、どんなに頭を悩ませたってそれはもうこれがパーフェクトな解決だということにはならないと思います。それはやはり現地方々のお知恵なりお力なりをかりることになる、それはそういうことになると思っています。
  46. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 分かりました。  次に、川口大臣にお伺いしたいというふうに思います。  このイラク復興、そして自衛隊派遣と並行して、今回二回に分けましてパレスチナ緊急無償支援協力、約一千五百万ドルですか、を決めました。これはあれですか、今まで日本外交がずっとやってきたアラブ諸国との関係に少しひびが入りかねない自衛隊イラク派兵という問題をし、それに対するバランス外交でパレスチナに援助をしようという政治的な配慮、これも当然あると思うんですけれども、どうですか。
  47. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃったように、千五百万ドルの援助をするということを決定しました。委員もよく御案内のように、我が国はパレスチナに対してはもうずっと長い間支援をしてきています。一国ということで取れば日本のパレスチナに対する支援というのは一、二を争う金額であるわけです。  それはなぜかというと、中東地域の平和と安定、繁栄というのが我が国にも非常に関係があるということでやっているわけでして、今回もそういったパレスチナでいろいろな問題が起こっている、人道上の問題もあるということについて国連が統一アピールを出したのでそれにこたえたという側面。それからもう一つ、中東問題というのはイラクの問題だけではない、むしろ中東和平問題というのはその基本にある問題と言っても過言ではないぐらいだと思いますけれども、そういった問題に対する我が国の取組の延長線上にあるということでございます。
  48. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この自衛隊派兵と、派遣と並行してこのパレスチナ復興支援、これは是非、日本中東外交がまた札束外交かという誤解を与えないように、きっちりとメッセージを行わなければならないと思うんですね。  これは、パレスチナ問題というのは正に横断的な問題でありながら、実はずっとパレスチナ人というのはアラブの中で政治的な道具として悪い意味で利用されてきた、おもちゃにされてきた、厄介者扱いされてきた。都合のいいときだけアラブはパレスチナを政治的カードに使ってきて、正にパレスチナ人がずっと犠牲者になっていると。無論イスラエルとの問題も大きい。  しかし、それと同時に、アラブ諸国全体が横断的にこの問題をどう考えるかという問題がこのパレスチナ和平には大変重要な問題だと私自身は理解をしているんですが、実はイラク国内にも多くのパレスチナ人が住んでおりまして、サダム政権下では彼たちは対イスラエルのシンボルとして非常に優遇されて、年間借地料が二ドルだとか数ドルでそこの土地を借り生活をして、サダム・フセインに守られていて、反イスラエルのシンボルとして生活をしていた。  ところが、サダム・フセイン政権が崩壊をして、イラク人からパレスチナ人が正に、あいつたちだけいい思いをしてやがってという反動が今すべてパレスチナ人に行って、パレスチナ人が約八百人もテント生活をし、難民生活をイラクのバグダッドで強いられているという現状があります。  私は正に、大臣がこういった全体を見たバランス外交をやるんであれば、確かにパレスチナへの難民の支援も大事です。これは日本がずっとやってまいりました。しかし、こういうときこそ、川口大臣ずっとロードマップでこの問題に力を注がれてこられましたから、是非、イラクのパレスチナ難民、テント生活をしているんですよ。こういったところに日本支援をしたという問題は、大変に大きなアラブ諸国、そしてパレスチナに対する私はアピールになるんではないかと、それが日本外交の本来ある姿ではないかというふうに思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  49. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 中東問題について非常に詳しくていらっしゃる榛葉先生から、非常に今貴重なお話を伺わせていただいたと思います。考えてみたいと思います。
  50. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私が今日質問させて、言いたいのは一点なんです。イラク復興防衛庁自衛隊も必要かもしれない。彼らはきちっと任務を遂行されると私は信じています。しかし、その任務がリスクに比べて余りにも局地的で、そして様々な問題をはらみ過ぎている。  従来の自衛隊派遣という問題は、PKOもそうでした、外務省現地の大使館の専門員やNGOやJICAや様々な国際機関が一緒になってその環境を作って、その一翼も平和貢献として自衛隊が担おうというのが日本外交でした。ところが、今回はイラクでは全くその受皿が整っていない。外交官も亡くなった、そして現地の情報も外務省ルートで余り伝わってこない、現地外交官がいるのかどうかも分からない、どういう状況かも分からない。こういう状況で自衛隊派遣するのは極めてリスクがあるし、防衛庁長官が常におっしゃる、自衛隊はテロの撲滅や治安維持に行くのではない、人道復興支援に行くのである。そうですよね。私はこれが、外務大臣、そもそも間違っていると思っているんです。  人道復興支援には、軍といった関与、若しくは軍に近い組織の関与をなるべく外して行くのが今の人道復興支援の流れであり、それをアピールし、主張をし、体を張って外交によってこのイラク復興していくんだ、人道復興支援をしていくんだという主張をされるのが私は外務大臣のお務めだと思っています。常に総理のおっしゃるとおり、総理のおっしゃるとおりというまくら言葉で答弁をされますが、私はそうであってはいけないと思っています。防衛庁長官はこうおっしゃいますが、総理はこうおっしゃいますが、私はこの日本外交をつかさどる大臣としてこういうアプローチでイラク復興支援をしたいと思っています。  日本はずっと、四度にわたる中東戦争も、湾岸もレバノンも、そしてあのイラン・イラク戦争もオイルショックも、ずっとアラブとは、アメリカと違う外交手法によって、違う歴史や哲学によってこの問題をすり抜けてまいりました。だからこそ、イスラエルからもアラブからも信用される国になったんです。しかし今、日本外交のやろうとしているのは、今まで外交官や、いわゆるアラビストの外交官、そして日本の先人が本当に苦労されて築いてきたこの日本・アラブの外交を根底から崩しかねない手法を取ろうとしていると私は思っています。  大臣日本・アラブ外交、そしてこの人道復興支援の本来、在り方、これについてどのようにお考えですか。
  51. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、榛葉先生が言われたような状況に早くイラクがなって、そういった活動ができるようにするということが重要だと思っています。  それまでの期間、我が国としてイラク復興に、イラク人が非常に望んでいる復興にいかに貢献をするかということが今の我々の課題であって、そのために日本政府としては自衛隊が行くと、そこで人道復興支援をすることがふさわしいというふうに考えているわけです。私は、その意味において、総理、防衛庁長官と全く同じ意見を持って進めている。  NGOが自由に入り活動でき、援助関係者が入りということであれば、またその段階として違う考え方で進めることができると思いますけれども、ほかの国では起こらない、国連の代表の人たちイラクで襲撃をされる、赤十字の人が襲撃をされる、そういうほかの国ではない状況があるという国が今イラクであると思います。
  52. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 外務省が私はイニシアチブを持ってやってほしいのは、政府の様々な機関、国際機関、そして日本だけではない様々なNGO現実日本NGOが既に現地人スタッフを使ってでも何でも活動しきっちりと復興支援活動をやっている、私はそれがすべてだとは言わない、自衛隊の役割も一翼はあるでしょう。しかし、外務省としてこのコラボレーションをどうやって作っていくか、それを積極的に前面に出していく、そのイニシアチブが、そのメッセージが我々国民に、そして委員会に伝わってこないから、私は是非外務省にイニシアチブを取っていただきたい。  そして、今、自衛隊派遣ありきのこのイラク復興から、正に長年の蓄積と誇りを持った、アメリカにはない日本・アラブ外交の哲学と気概を持って外務省がきっちりとその政治の方向性を示すときが今来ているということを強く主張いたしまして、同僚議員に質問を替わりたいと思います。
  53. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  まず、私が通告しておりました質問をする前に、昨日、同僚委員の齋藤勁委員からありました劣化ウラン弾について、補充の御答弁を石破防衛庁長官からお願い申し上げます。
  54. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 昨日、齋藤委員から、持ってまいる測定器あるいは線量計がどのような性能を持っているか明らかにせよというお話でございました。  理事会のお許しをいただきまして、余り実物をごらんになる機会がございませんでしょうので、これがその微量ガンマ線測定器というものであります。(資料を示す)これは五台持ってまいります。部隊がこれを持っていくわけでございます。動かしたりはいたしませんが、これを部隊が持ってまいりまして、いわゆるガイガーカウンターと言われるものがこれでございます。これによりまして、その地域にガンマ線というものが自然界の値以上のものが存在をしているということになればこれが反応をするということに相なります。それで、我々が活動します地域がそのようなものが存在していないか、自然界に存在していないようなものがないかどうかということがこれは分かります。  他方、これもまた、別に本邦初演とは言いませんが、これはそれぞれの隊員が、これこういうふうに着ける形になっておりますけれども、これを常に活動しますときに装着をいたします。(資料を示す)これは、蓄積量がある一定のレベルに達してまいりますと、これは人体がというわけではありません、この機械がという意味でございます。そういうような値になりますと当然反応をするということになっておりまして、その地域におきましても、またその個人におきましても、自然界に存在しないようなものの影響を受けるかどうかということが分かるようになっておるということでございます。  したがいまして、これを部隊に、そしてこれを参ります隊員それぞれに携行させるということでございます。
  55. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございました。  劣化ウラン弾の影響につきましては様々な御議論があったわけですけれども、私は一つ、素人なんですけれども、今の御説明でもちょっと安心できないなというのがあります。それは、劣化ウラン弾の問題というのは重金属なんですね。そのウラン弾が破裂した後にできる粉じん、これは正に死の灰、死の灰でして、それを微量であっても人体が吸い込めば、その後の五年、十年後に起こる健康被害ということが非常に問題だということで、その粉じんという点からしますと、計測して出てきた時点ではもう遅いのではないかという懸念が私はあるんですけれども、その点について質問通告しておりませんでしたけれども、答えられる範囲でお願いします。
  56. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おっしゃるとおりでありまして、劣化ウランそのものについてはどうなのかということは確たる、人体に影響があるという確たるデータは出ておりません。私どもは把握しておりません。むしろ、それが委員指摘のように、重金属を吸い込むことによってどうなんだいということであります。  重金属ですから当然地表に落ちておるわけでございますが、砂あらしなんぞが吹くことによって、これは強烈な砂あらしですので、それに混じって砂じんの中にそれがあるであろうということは予測しております。そうしますと、砂あらしが舞いますときは当然放射能性ダストというものがそれに混じるということは全くないということは申せませんので、これはもう防じんマスクというものを着用することになります。そういうような有害物質が、放射能ダストがそういう砂あらしに混じって人体に摂取することがないようにということも私ども考えております。  かつまた、昨日も御指摘がありましたが、そんなことを言ったってだねと、そのときは元気だけれども、五年たったら、十年たったらどうなのかねということがございましょう。これはもう隊員、毎年毎年定期健診を受けておるところでございまして、万が一にもそのようなことがないように、仮に仮に仮に万々々が一そういうことがあったとしてもきちんと対応ができるようにということも併せて考えておるところでございます。
  57. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 戦争にいい戦争も悪い戦争もないと思うんですけれども、武器にいい武器も悪い武器も基本的にはないんだと思いますが、特にこの劣化ウラン弾の使用について、非常に最悪なものだと思いますし、アメリカ軍がこれを使用したということについて我々はもっと批判的な立場を取るべきじゃないかと思います。  次の問題に移りたいと思いますが、まず国会審議の在り方について長官に伺いたいんですが、今回のイラク派遣については、これまで自衛隊が行ってきた任務、海外任務の中で最も危険な任務であります。  派遣される自衛官の心情、そして安全という様々な面を考えても、国民的な合意の下で送り出すべきであったというふうに考えますが、このイラク特措法の法案審議についてはさきの通常国会で参議院において強行採決をし、そして今回、この事後国会承認については衆議院において強行採決をした。  法案採決から自衛隊派遣まで半年以上掛かっているわけですけれども、そういうことを見ますと、前回の通常国会でわざわざ強行採決をして押し通すことはなかったんじゃないかと思います。今回の承認案件は事後承認ですので、急いで採決する必要はないと思います。  国民の疑問にきちんと答えられるように十分な審議をすべきと思いますが、長官の御意見を伺います。
  58. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 一点、法案が成立してから時間が掛かったではないか、基本計画を作り、実施要項を作り、派遣命令を出すまで時間が掛かったではないかという御指摘であります。  あの法案は委員とも議論をさせていただきましたし、強行採決の場面も私もありありと覚えておるわけでございますが、あれは出せるという法案だったんですね。自衛隊を出せますと。しかしながら、出すかどうかは私は、もう出せるとなったらすぐ行けるような、委員が御指摘になったように安全なところじゃないわけです、必ずしも。危険が伴う地域において出すからには、それはやはりそれなりの準備も必要だろう、もちろん派遣命令に基づいて訓練をするというわけではございませんよ。しかし、現地の情勢というものもきちんと把握をし、そしてまたそのことに特化をしたわけではありませんけれども、仮に自衛隊が行くとしたらどのようなことが考えられるのだろうかということも詳細に詳細にいろんな議論をするのに時間は私は掛かっていると思います。すぐ出せるという状況ではないというのは、私は防衛庁長官としてそのように思っております。  なお、国会審議の在り方についてどうなのかと言われれば、行政として物事を申し上げる立場にはございません。例えば、今日も相当のお時間をお取りいただいて、今も榛葉委員からいろんな御指摘を賜りました。委員から与党、野党問わず御指摘をいただいて、それをきちんと生かしていくというのが我々の立場なのであろうというふうに思っておるところでございます。  なお、事後承認だから時間が掛かってもいいではないかという御指摘ですが、やはりこれは、いわゆる国会の関与の在り方とも絡むことでございますけれども、やはり濃密な議論の上に速やかに御承認をいただくべきものだと私は考えております。
  59. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 先ほど川口大臣の御答弁にありました、なぜ自衛隊を送らなければいけないのか、なぜNGOでは駄目なのか。自衛隊が、早くNGO等が関与できるような形に、イラク復興に貢献しなければいけない、自衛隊じゃなければできないんだと。早くと言いながら、その一方で今のような状況があるわけです。いささか矛盾していると思わざるを得ませんが。  次の問題に移らせていただきますが、昨日も指摘がありました、情報管理に問題点があるのではないかということで、今回の派遣に向けた準備過程における各種の報道、そして国会における審議においては、政府部内の情報の管理が徹底されてないという状況が露呈いたしました。一方で、マスコミに対しては、情報を、取材活動に制約を加えていると、隊員の安全のためと言いながら。非常に矛盾しているんじゃないかと。政府部内での情報の管理がきちんとされていないまま、隊員の安全のために取材活動に制約を加えるということについて、非常に矛盾しておりますが、隊員の安全ということであれば、自らも襟を正して情報管理を徹底すべきであると考えますが、いま一度御答弁をいただきたいと思います。
  60. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おっしゃるとおりだと思います。ただ、報道規制をしながら、私がおっしゃるとおりだと思いますと言いましたのは、後段の、もっと襟を正せと。  一般的に、いろいろな行政の調整を行う際にファクシミリというものを使うことがあるというふうに、昨日、舛添議員にも答弁をいたしました。これ、なかなかすべて相対でということは難しいのですけれども、やはり可能な限り相対で議論ができるような体制というものにしなきゃいかぬだろうと。ファクシミリで送りますときには、先般のものが真贋は判定できないということはもう何度も繰り返して申し上げておるとおりでございまして、先般のものについて申し上げているわけではありません。しかし、一般論として、それではどのような形で相対で議論ができるのかという体制はよく考えていかなきゃいかぬと思っています。そうしますと、外務省防衛庁は全く同じ建物にでもしなきゃいかぬかねみたいなことになっちまいまして、これもなかなか非現実的なことである。しかし、ファクスにしても電話にしても、本当にもっともっと慎重であるべきだということはそのとおりである。ですから、委員の御指摘のとおりですというふうに申し上げ、襟を正すべき点も当然だと思っています。  しかし、前段の、報道自粛のお願いというものについてはどうなのかと言われますと、これもずっと答弁申し上げているところでございますが、報道の、安全にかかわりますことに関しましては何とかそれをお控えいただけませんでしょうかというお願いを撤回をするというつもりはございません。報道機関におきましてもルールは作らなきゃいかぬという思いでいらっしゃいます。ですから、昨日、官房長から答弁を申し上げたかと思いますけれども、報道と我々との間でルールを作り、ルールに基づいて公正な報道、もちろん積極的な報道というのもそうです、そして都合の悪いことは包み隠さない報道ということもそうです。安全なことに関し、安全に関することに関しては報道をしない。しないといいますか、こちらの方から出さない。仮にお知りになったとしても出さないでいただきたい。これはやはり私どもとして守っていくべきことではないかと考えております。
  61. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今日の新聞でも、地雷の問題等も含めて防衛庁の隠ぺい体質がとかね、ああいうふうな書かれ方をするというのは非常に私はまずいと思うんですね。  要するに、現場が混乱しているんじゃないか。現場というのはイラクじゃなくて、この霞が関がですね、混乱している状況では、外務省なんですか、防衛庁なんですか、そういう状況で本当に隊員の安全が守れるのかということを言いたいんです。その辺のところをきちんと整理していただいて、隊員の安全ということであれば対応していただきたいと思いますが、川口大臣、いかがですか。済みません、防衛庁長官
  62. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 地雷のお話につきましては、これは今日、新聞、私も拝見しました。隠ぺい体質とかですね、二日も遅れたというような報道も読みました。  これは、なぜこういうことになるかといいますと、それは、爆破を処理をいたしましたのはオランダであります。それを処理したのがオランダであります以上は、オランダにおいてどのように取り扱われておるか、オランダに対して、これを公表してよいかということは、それは聞かなければならない、これは当たり前のことでございます。  私は、そのような地雷らしきものというものが発見されたという報道というか報告を受けまして、これはきちんと公表しなければだめだと、当然のことであると、隊員の安全にかかわることである。したがって、オランダの出してもいいというようなオーケーが出たとするならば、これは速やかに公表せよというふうに申し上げておるところでございます。  今後も、どうしても、何というんでしょうか、それでも、そのようにいたしましても隠ぺい体質と書かれますのは、これはやはりそういうような先入観といいますか、それを防衛庁に対して持っておられる方はまだいらっしゃるのだなということでございますから、それを払拭するように今後とも努力をしていかねばならないと思っております。
  63. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 とにかく、私どもはというか、私も今回のイラクへの自衛隊派遣については基本的に反対の立場です。しかし、正に今、陸自本隊がブーツ・オン・ザ・グラウンドということです。そのときに、その隊員の安全を確保する、しっかりやっていただく、そういう体制を整えるという責任を果たしていただくことということを求めるのは同じ気持ちですので、非常に今回の混乱ぶりということについてきちんとしていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。  それで、今、先ほど榛葉委員の方からもいろいろ、イラク自衛隊が行う活動内容、そして日本人道復興支援の在り方についてお話がありましたけれども、要は、印象として言うのはいけないんですけれども、やっぱりバランスが悪いなということだと思うんです。自衛隊活動内容が非常に何か不自然な感じを与える。取って付けたように、やっぱり軍隊を送ったように見える。その不自然さを払拭しなければいけないと思うんですが、むしろゼネコンを引き連れて自衛官が護衛する方が効率的なのではないかとか、またその現地雇用改善に対する期待に対して自衛隊以外の、自衛隊活動以外の活動を含めた包括的なパッケージを示すべきではないか、そういう様々な意見があるわけですけれども、そもそも派遣ありきと、米国の政策に寄った追従的な派遣ありきの中で拙速に進められたものという印象を持たざるを得ません。より効果的な支援策を自ら検証すべきではないかと思いますが、イラク国民が真に必要としている医療、社会インフラの整備を行えるような、民間も含めた総合的な支援体制を早急に考えるべきではないかと考えますが、外務大臣、そして石破長官にお聞きします。
  64. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラク復興のために国際社会の様々な国が様々な形といいます、というのは、NGO人たちあるいは民間の人たちも含めて、貢献をできるようなときに早くイラクを持っていくということが今大事であるというふうに考えています。  それで、どういうニーズがイラクにあるかということについては把握をしています。国際機関、国連、世銀、そういったところが把握をしていますし、大体どれぐらいの金額ということも出ています。それに加えて、我が国幾つかの調査団、あるいはイラク国内でのその地域の方々との接触、それからCPA、市評議会といったようなところとの接触を通じて、どういうところにニーズがあるかということもきちんと把握をいたしております。  そういった中で、我が国としては、日本として比較的それを実施することがほかの国よりもよくできる、要するに比較優位がある、そういった分野として、水ですとか保健、医療、そして教育電力といった分野を選んでやっているということでございます。無償資金十五億ドルということを当面の支援ということで決めました。そして、可能な限りこれをできるだけ早くやっていくということで考えておりまして、既に一億二千万ドルの実施を決定をいたしております。  それで、こういったことをやりながら、そしてまた、この間お願いをした補正予算には、NGO支援のための二十億円というのも入っております。様々な、民間企業や政府や地方公共団体、NGO、いろいろなところの支援を得ながら、主として民間企業とNGO支援を得ながら、日本全体としてイラク復興に取り組んでいきたいというふうに考えています。
  65. 石破茂

    国務大臣石破茂君) バランスが悪いというふうにおっしゃいました。それはいろんな見方があるだろうと思いますが、自衛隊が給水・浄水活動をするということで本当に喜ぶ人はいるわけですよね。今、水が、本当にきれいな水が欲しくて、ユーフラテス川の濁った水を飲むよりはきれいな水を飲みたいという人、そしてきれいな水を飲ませて赤ちゃんを死なせたくないと思っている人は確かにいるわけですよ。  やはり私は、自衛隊がやることというのは、バランスからいえばそれはいろんな見方があるでしょう。しかし、私はそれは本当に意味のあることだと思っています。サマーワ市総合病院にしても、あるいは母子病院にしても、それはぱっと見てぱっと直せるなんて簡単なものじゃございませんが、テロの危険から身を守りながらそういうような一人一人の市民のニーズにこたえることができる自衛隊活動、それは私は意味のある活動だと信じています。  それに対して、それはもう、それじゃ局地的じゃないの、一部の人だけが喜ぶだけじゃないのと、それはそうかもしれない。しかし、それで治安が安定をしてくれば、それこそ委員がおっしゃいますようにゼネコンが行くとか、それでもっと大々的にいろんなことをやるとか、そういうことはあるんだろうと思う。しかし、今の取っ掛かりとして日本は何ができるのかということを考えたときに、それができるのは自衛隊でしょう、一番ニーズがあるのはそのような民生的なことでしょうというふうに私は判断をしておるところでございます。
  66. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 こういう御説明は何度もいろいろな場所でお聞きしているわけですけれども、もっとその工程が見えるように、このような状態になったら、民間も含めてもうチームができている、そういう状況になったらすぐにもう出せるんだと、こういうチームをということを明示した方がいいんじゃないか、そのことによってバランスを取るべきではないかと申し上げているんです。いかがですか。
  67. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは基本的におっしゃるとおりだと私は思いますよ。委員がおっしゃるようなことを私も政府の中では言っているのです。  ただ、それは、例えば新潟県に公共事業をこのようにやるのだということであれば、これは日本の国の中の話でございますから、例えば柏崎にこれをやるとか、あるいは佐渡島にこれをやるとか長岡にこれをやるとか、いろんなものは示せるでしょう。ただ、相手は外国であり、そしてまた今いろんな政治的なプロセスが発展をしているところであり、いろいろな国際機関が関与するのでありということで、日本だけでこのようなことが、次にはこれができます、次にはこれができます、次にはこれができますというような、そういうようなプロセスがきちんと明示できる段階にあるかといえば、それは必ずしもそうではないということでございます。  私も、そういうようなことが一つ一つ明らかになり次第、要するにだんだんとこれはこうなっていくのだよというものを市民なり国民なりに見せていくということが期待感と実現値のギャップというものを埋めていく上において必要なことである。しかし、それが国内においてぱぱぱっとできるような話ではなくて、やっぱり外国の地であり、いろんな機関が絡むのであり、そして国民の税金を使うからにはその手続というものは公平でなければならないということがございます。例えば森建設が行きたいと言ったって、それじゃ森建設やってくれというような、そんな簡単な話には相なりませんで、そこにおいてはいろいろな手続が並行するわけであって、これが今度いつはこうなる、いつはこうなりいつはこうなるということがきちんと今の時点で示せないもどかしさというのはその辺りに起因をしておるのですけれども、いずれにしても期待値と実現値の乖離を最小限にするために政府としてはできる限りのことはやっていく、その問題意識は私も強く持っておるところでございます。
  68. 川口順子

    国務大臣川口順子君) さっきお答えをしたと思いますけれども、同じことになりますが、自衛隊活動は今正に自衛隊でなければできないわけです。そして、日本NGOの人が、日本人がほとんど行って、まだ行けていないという状況をお考えになられても、今の時点で日本の民間企業やNGOが大勢行って活動できるということでないということは明らかであって、自衛隊しかできないということです。  いずれ、イラクが、政権がイラク人の手に渡り、そういったことが可能になるということになると、イラク復興は更に加速度を持って進むことになるだろうというふうに思います。
  69. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今の状態じゃなく、バランスを取るために先の工程表も具体的に示せということを申し上げましたが、同じ問題意識を長官持ってくださるということで、是非そのようにお願いいたします。  そこでなんですが、じゃ一体、いろいろな話がありましたが、どのような条件を満たせば自衛隊は任務を完了することができるのでしょうか。このことについては、小泉総理は、任務の終了時期について、現地政治・治安情勢を考慮しつつ、イラク人による国家再建の進捗状況を、進展状況を総合的に踏まえて判断と答弁されていますが、具体的な例示はできないのでしょうか。  例えば、サマーワでのイラク人雇用考えますと、自衛隊の行う医療、給水、公共施設の復旧整備が軌道に乗ればサマーワにおける自衛隊の任務は終了することになると考えますが、そこでイラクでの任務は終了となるんでしょうか、それとも新たな任務を課すのでしょうか。
  70. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 例えば浄水、給水ということになれば、それのニーズがなくなりましたと、ほかに恒久的な水道設備ができて自衛隊がやらなくたってもうきれいな水が飲めますよということになれば、それはそれで一つのニーズは消えたということになりますでしょう。あるいは、病院がきちんと修復をされてもういいですよということになれば、もうよろしいんでしょう。  そしてまた、要は、自衛隊でなければならないということは、もう一つは、自衛隊が持つ権限、能力、装備をもってして危険を回避できるということですから、全く周りが平穏になって自衛隊でなくてもできるということになれば、それはもうよろしいということになります。  ですから、ニーズの面とそして安全の面と両方で自衛隊でなければならないということが解消したときには、それは撤退ということはあるのだと思います。それは法の目的というものが達成をされたということに逆に言えばなるのかもしれませんが、自衛隊でなければならないのだという状況が解消されてくれば、それはそういうことはあり得るのだろう。  具体的に、これがこうなったら撤退だというようなことは、それは治安の状況とニーズの状況の両方の相関関係によるものでございますので、これは確定的なお答えをするのは難しいかと思います。
  71. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 難しいのはよく分かるんですが、プロジェクトというかタスクフォースというか、そういうものには必ず期限があると思うんですね。  特に私問題だと思っているのは、今この戦争の大義がそのものが揺らいでいる中、しかもイラク特措法という本当に綱渡りのような危うい法律で派遣される、されている自衛隊、こういうことを考えますと、やっぱり出口というものをきちんと示しておく必要があるんじゃないか。それができないのは、日本、主体的に判断した、主体的に判断したというふうによく総理はおっしゃいますけれども日本としての主体性な戦略、そういうイラク特措、イラク復興支援に関するビジョン、そういうものが欠けているから出口が見えてこないんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  72. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これ、将来的なことについて、こうあれこれ申し上げては失礼なのかもしれませんが、イラク日本の一・二倍広いわけでございますよね。どなたかが御指摘になっていましたが、サマーワの人だけが困っているわけじゃないぞ、それは確かにそうなのだと思います。じゃ、そのサマーワは良くなったけれども、じゃ、ほかの町はどうなのというようなこともございますでしょう。  確かに先生おっしゃいますように、いつまでもだらだらだらとやっているということはいかぬのだと思います。プロジェクトには終期というものがあるのだと思います。ただ、これが本当に例えば、別に新潟県でも鳥取県でも何でもいいのですけれども、この県において例えば上水道を建設をするとか、例えばこの県においてその医療レベルを何%まで上げるとか、そういうようなものがきちんとあって、それに向けてやっていくのだということであれば、それは終期というものを明示をすることもできますでしょう。しかし、このイラクにおいて、ある意味限りない人々のニーズ、そしてまたある意味予測が不可能な治安の状況というものがある。しかし他方で、我々が望んでいるのは、もう外国が撤退をしてイラク人によってイラクが運営される日が一日も早く来てほしいということであって、例えば石油を使って本当にお金が経済が回るようになる、その時期はいつなんだろうかということであります。  ですから、私は、やはり撤退する時期は早ければ早い方がいい。それは、イラク人によって本当に国が動いていくようになるときがどこなんだというその時期であり、そして、やはり復興というものと治安というのは本当に表裏みたいなところがあって、「イラク便り」は委員もお読みになったことだと思いますけれども、せっかく電気を通しても次の日にはその電線持っていかれちゃったというようなことで、治安が悪い限りいつまでたっても社会インフラは良くならない、こういう問題もございます。  いずれにしても、だらだらといつまでもやってもいいものではないという意識は持っておるところでございます。
  73. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 きちんと出口を決めておかないと、本当に四年、八年、もっともっとということになるんじゃないかと。しかも、イラク特措法という危うい法律ですね、という問題点を重ねて指摘しておきたいと思いますが。  そのイラク特措法の基本的な問題点、それはもう長官が一番よく御存じだと思うんです。年が同じというか学年が一緒というか、鳥取と新潟で余り関係ありませんが、同じ、もうもはや戦後ではないと言われた時代の生まれでございますからよく分かるんです。そして、長官の今までの言動を見てまいりますと、本当にこのイラク特措法で自衛隊イラクへ行っていただくということを一番申し訳ないと思っていらっしゃるのは、多分石破防衛庁長官だと思うんですよ。  いろんな不安がありますね、隊員の任務遂行について。昨日もいろいろお答えになっていらっしゃいました。過失、故意、これについてはまあいいだろうと、正当防衛についてはいいわけですよね。ちょっと私がよく分からなかったせいなのかどうか分かりませんが、前にありました過剰防衛について整理しなきゃいけないとおっしゃっていたわけなんですが、いかがなんでしょうか。「ROEに従ってやったとするならば、それは罪に問わないのだという構成をきちんとしないといけないのだろう」と昨年答えていらっしゃるわけですが、その辺の構成はもうきちんとできているんですよね。
  74. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 舛添委員にお答えをいたしましたが、あえてお尋ねでございますので、これは法律用語でございますから、きちんきちんと整理しないと議論が混乱をいたしますのであえて申し上げますが、過剰防衛というのは、急迫不正の侵害から自己又は他人の権利を防衛するためやむを得ずにする行為ではあるが、相当性の限度を超えるため正当防衛とはならない。犯罪が成立をいたします場合には構成要件に該当し、違法、有責の評価を受けねばならないわけでございますけれども、構成要件には該当する、しかし違法性は阻却をされない、しかしその情状によって刑を減軽又は免除できるというものが過剰防衛という概念でございます。  例えば、相手が、何というんでしょうね、ナイフで切り掛かってきたということで、それじゃ、どんとそれを相手を殺しちゃったという場合にはそれはどうなのと。これはあくまで例え、教科書なんかに載ってくる例えでございますよ。そういうような過剰防衛をしちゃった場合にはこれはどうなるんですかねと、それは違法性を阻却をしない場合がありますねと、こういうようなお話になってくるわけでございます。  正当防衛とそれから緊急避難というものを危害許容要件としておるというのもこの法律の構成で、御案内のとおりですが、要は、そのような過剰防衛にならないようにきちんとそれは訓練をしていかねばならないのだということでございます。この程度の危険に対してこの程度の反撃なのだということは、これもまたその場において遅滞なくそして正確に状況が把握できるかどうか、それはもう訓練のたまものでございます。  ですから、頭で覚えただけでは駄目で、法律の条文が暗記できてぺらぺらしゃべれるだけでは駄目なのであって、そのときに本当に瞬時に遅滞なく正確な判断というものができるということを、そしてまた武器の使用というのは基本的に現場に指揮官がありますときには指揮官の命令によって行いますので、その辺りはまさしくプロなんです。きちんきちんと全員に把握をさせておるところでございます。(「分かるわけないじゃない」と呼ぶ者あり)
  75. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 実はこの過失行為、正当防衛、過剰防衛、その際にそれぞれ、実際今行っている、現地に行っている隊員が何かそういうことを起こしてしまったときにどう処遇されるのだろうかと。物すごい精神的な負担だと思うんですね。これが解決されていないということが度々指摘されているわけなんです。  それで、整理してほしい、文書で、表ででもいいですけれども整理してほしいという実は御要望も申し上げたんですけれども、それはなかなか難しいだろうと。その今の訓練じゃないですけれども、その個別事例を積み重ねて一つ一つケース・バイ・ケースで検証しなければ答えは出せないのじゃないだろうかと、今の日本の法体系の中では。代わりに答弁してもしようがないんですけれどもね。  そういう、やはり払拭されないこういう問題、明快じゃないですよね。今、そんなこと、もうそんな説明じゃ分かるわけないじゃろうという声もありましたけれども、そういう危ういところを渡っていくような法律の下で出される。もう既に現地にいるわけです。そういう自衛官に対して、私たちがきちんとその政治家としての責任が本当に果たせて送り出したのだろうかという点について、私はいまだに納得できておりません。
  76. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは両方の議論がございまして、片一方は、じゃ正当防衛、緊急避難でなきゃ武器の使用ができないのか、そんなことでいいのか、向こうが撃たなきゃ撃てないのかみたいな議論が最初のころはございました。  武器の使用というのは、例えば構えるだけでも、空に向かって空砲を撃つだけでもこれは武器の使用です。そしてまた、相手が撃たなければ撃てないのかといえば、それは決してそんなことはない。急迫性というものを感じれば、それは反撃行為に出てもよいことがあるのだ、これは最高裁の判例を引いて御説明を申し上げました。ですから、大丈夫なのかと。緊急避難と正当防衛、危害許容要件として武器の使用ということを考えて、それで本当に身が守れるのかといえば、これは守れます。その権限において他国と遜色ございませんということは答弁を申し上げました。  一方で、それじゃそんなことになったら自分は罪に問われちゃうのということでございますけれども、ですからROEというものに従って行動をしている限りは、それは、基本的にはそれは罪には問われないのだということになります。そして、現場に上官あるときはその命に従うということにもなっておりまして、先生おっしゃいますように、現場自衛官が過度な精神的な負担を負わないように、迷いが生じないようにということには幾重にも配慮をしておるところでございます。
  77. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まだまだ質問したいことはたくさんあったんですけれども、時間になりましたので同僚委員に替わりたいと思います。  本当に今回のイラクへの自衛隊派遣、私は正しい選択だと思っておりません。しかし、現実として、私は、現実、追認するという意味ではなく、現実、今もう既にイラクにいるわけですね。私は正しい選択を日本がしたとは思っていませんが、仮にそうであったとしても、今回のイラクへの自衛隊派遣が大きなマイナスとなって残らないように、我々は最善の努力をすべきだということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
  78. 池口修次

    ○池口修次君 民主党・新緑風会の池口修次でございます。引き続いて質問をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。  まず冒頭、今回のイラク派遣と、この審議過程における私の基本認識を少しお話しさせていただきまして、その上で質問をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、私は、今回のイラク派遣は、現に戦闘が続いている国、これは法律上の戦闘地域とかいうのはちょっと別にして、イラクにおいて私は戦闘が続いているというふうに思っております。その中で自衛隊活動するという点でいえば、従来の枠を超える、日本にとっては大きな変換点であるというふうに考えております。そして、その変換が、私は不正常な状況の中で決定がされ、そして今承認がされようとしているというふうに思っておりまして、それについて私は大変大きな危機感を持っております。  なぜ不正常なのかという理由は、一つは、やっぱり戦争の大義というのが不明確であるというふうに私は考えております。二点目に、憲法との関係が私は今でもあいまいであるというふうに思っております。そして三点目が、これは立法府で解決できる話であるんですが、説明が不十分であり、国会の議論が尽くされていない。この三点において、私は現在が不正常な状態で決定がされようとしているというふうに考えておる理由でございます。  この点について後ほどの質問で何点かお願いをしたいというふうに思いますが、ただ、今、森委員からもお話がありましたように、既に自衛隊員の方々長官の命令に従ってイラク派遣をされております。この点については、私は無事に任務を終えて帰ってきてほしいという気持ちであることは変わりないということをまず述べておきたいというふうに思います。  で、質問でございますが、まず一点目、通告をしておりませんが、昨日の同僚の若林議員の質問の中で、外交官殺害事件の車両を早期に日本に輸送をして原因を追及、究明をすべきだという質問をしまして、そのときは総理を含めて真相を究明するという答えで、時期的な問題はなかったんですが、本日朝の報道ですと、外務省の内部で少し前向きな検討がされたというような報道を聞いております。この点についてまずお聞きをしたいというふうに思います。
  79. 川口順子

    国務大臣川口順子君) バグダッドの日本大使館に今車があるわけでございますけれども、これについて、我が国の警察による検証作業を行うために、これを今月中にも日本に移送をしたいというふうに考えております。何分にも、御案内のようにバグダッドの大使館については、細かいことはいろいろ申し上げられませんけれども、テロの脅威等ございまして活動に非常に制約があるという中ではございますけれども、そういうことをしたいというふうに思っております。
  80. 池口修次

    ○池口修次君 結論は是非そういう形でやってほしいというふうに思いますが、ただ、昨日若林議員の質問で急遽そういうことになったということだと、何となく本当に仕事をしているのかなという感想を持っているというのをちょっとお伝えをしておきたいというふうに思います。  で、当初の通告をしました質問に入らせていただきたいというふうに思います。  まず、今回のイラク派遣の目的について、これは読めば分かるとか、もう既にいろいろ言っているということかもしれませんけれども、あえて防衛庁長官に、何で今回イラク派遣が行われるかという目的をお聞きしたいというふうに思っております。
  81. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、総理あるいは外務大臣から何度もお答えがありましたので、繰り返すことを避けますが、委員、国防の基本方針というのを御存じだと思います、日本国の国防の基本方針。これは昭和三十二年五月二十日閣議決定というものでございまして、私が生まれた年なのでございますけれども、それからずっとこの国防の基本方針というのは変わらず続いているわけですね。委員は御案内ですが、知らないという方が時々いらっしゃいますので。  この国防の基本方針の第一項に何と書いてあるか、「国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。」、これが我が国の国防基本方針の一番最初に出てくるものでございます。  やはり国連が決議をしたと、それはもう軍事のみにかかわりません。もちろん民生、軍事以外もございますが、国連がとにかく加盟国に対してイラク復興に力をかせというふうに要請をしておるわけであって、やはりそれに我が国の国防の基本方針、すなわち国連の活動を支持しというのが国防の基本方針のトップですから、我々の。そうしますと、やはりこれにこたえるということは必要なのだというふうに思っています。  それから、最新のデータでは九〇・八なのかもしれませんが、石油の九割を中東に依存しているという国は世界じゅうどこにもないわけでありまして、ヨーロッパの国はなべて二〇%ぐらいでございましょう。アメリカもそれよりはもう少し高いかな。韓国が七割ぐらいではなかったかと思います。  我々の生活というのは、例えば農業にしたって、石油の安定供給なしに農業が成り立つかと言えば絶対に成り立たない。石油の安定供給なしに水産業が成り立つかと言えばそれは絶対に成り立たない。やはり国民の安定、生活の安定を支えているのが石油であり、その安定供給ということが必要なことであり、石油が戦略物資として本当にフルに使われ、私、石油ショック体験世代でございますが、石油の値段が乱高下するということは本当に我が国国民生活に大きな影響を与えるものであり、中東地域の安定のために我が国は何かなさねばならぬということがあるだろうと思います。  それから、榛葉委員の御指摘にもございましたが、日本アメリカでもなくヨーロッパでもないと。それはいろんな方の御努力によって日本は違うよねという感情を持っていただいている、その人たち日本来てほしいよねというのがあって、そこはほかの国にはできない支援というのが日本にはあるのではないかと私は思います。やはり、水が欲しい、学校に行きたい、お医者さんに行きたいということを日本が大好きだという人たちが待っているのだとするならば、それにはこたえるべきなのではないか。  そして、しかしながら、イラク国民サマワの市民には歓迎されているが、テロリストには歓迎されていない。そんなにイラクに民主的な政府ができることを歓迎しない勢力というものがいる。それが襲撃というものを考えているし、サマワにおいてもそういうのが全く否定ができる状況にない以上は、やはりそれから身を守る能力を持った組織、これは日本国においては自衛隊しかないのではないかと。したがって、自衛隊が行くという結論に私はなるのだと思っています。ほかにも派遣をする理由はございますが、私自身はそのように考えております。  最後に申し上げれば、先ほど森委員も対米追随というお話をなさいました。私は、信頼を高めることが追随になるとは思っていません。ドイツやフランスのように、我々はNATOという機構の中に入っているわけでもございません。もちろん、核兵器を保有するという選択もいたしません。やはり、何かあったときに日本を守るよと言っているのはアメリカ合衆国一か国だけであって、そのアメリカ合衆国が多くの犠牲を払いながら、イラクで民主主義国家を作ろう、早くイラク人政府を作ろうと努力をしているときに、それは日本に関係ないから知らないよということで、私は、条約の実効性というのは紙が担保をしているとは思っていないのです。条約の実効性というのは、もちろん日本アメリカとともに戦うわけでもありません。治安維持活動をやるわけでもございません。しかし、この苦しいイラクにおいて日本が来てくれたねということは、私は、信頼性の向上には必ず寄与すると思っています。
  82. 池口修次

    ○池口修次君 今言われたイラク復興に貢献をするんだとか、やっぱり国民の生活の安定のためにやっぱりエネルギーというのは国益のためだというようなふうにとらえて、最後のところの対米追随なのかどうかというところは一〇〇%私は同意したとは言えないんですが、それ以外は私はほとんどやっぱり必要なことだというふうに思っております。  それと、この件について総理は、テロに屈しない、若しくは金だけでなく汗を流す国際貢献が必要だという発言をしてきておりまして、これについても私は当然なことであるというふうに思っております。  ただ、じゃ、だから自衛隊がどこへ行ってもいいんだということには私はならないと、日本の法整備上そうはならないというふうに思っていますが、この点については防衛庁長官はどう考えているのか、お聞きしたいと思います。
  83. 石破茂

    国務大臣石破茂君) どこに行ってもいいことにはなりませんです。  例えば、九・一一の後、テロ特措法というものを作りました。あのときに、じゃ、周辺事態法で行けばいいんじゃないのという人がいましたが、そういう話にはならぬでしょうと。どんどんどんどん周辺で広げていったらば、世界じゅう日本の周辺になってしまって、日本海あるいは東シナ海、じゃインド洋、インド洋でよきゃ地中海とかいって、それはどんどんどんどん広がるでしょうよと。そういうような話は駄目だから、テロ特措法という法律を作った。  今回の場合も、イラク特措法という法律、もちろん反対なさった党もございますが、法律を作り、そしてどこでやるかという地域を定めまして、そこは非戦闘地域なのだと。それは、イラクをここは戦闘地域です、はい非戦闘地域というふうに分けるという作業をするわけではなくて、自衛隊活動をする地域は非戦闘地域の要件を満たしてなければいけませんよということになっておるわけでございまして、これはもうどこでもかしこでも行くということにはならない。決してそのようなことにならないように法律を定め、そしてまた実施区域というような概念を設けていると私は承知をいたしております。
  84. 池口修次

    ○池口修次君 具体的にイラク特措法の中身について少し確認をさせていただきたいというふうに思っております。  イラク特措法の二条に基本原則がいろいろ書かれております。その三項が、対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われないことが認められる次に掲げる地域において実施するものとするというふうに書かれておりまして、この中身について相当今まで議論を実はしてきたというふうに思っております。  まず、官房長官に確認をしておきたいんですが、この文章の意味するところは何なのかということと、なぜこの文章がこの法律に規定をされたというか、書かれたかという意味を、防衛庁長官考えを確認をしたいというふうに思っております。
  85. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 官房長官ですね。
  86. 池口修次

    ○池口修次君 防衛庁長官に、まず。
  87. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 繰り返しになったら申し訳ありません。  日本の一・二倍もありますイラクを、はい、ここは戦闘地域ですから駄目です、はい、ここは非戦闘地域だからいいですという作業はいたしません。求められておりますのは、自衛隊活動する地域は非戦闘地域でなければならないということでございます。  これは、このイラク特措法に、行う活動は武力による威嚇、武力の行使であってはならないという条文も書いてございまして、だったらそれでいいじゃないのと。自衛隊は武力による威嚇も武力の行使もしないんだから、それだけでいいじゃないかという御指摘も理屈の上からはあるだろうと思うんです。  だけれども、そうではなくて、何でわざわざこのような規定を設けたのかといえば、我が国が憲法九条の禁ずる武力の行使をしたという評価を受けないように、他国による武力の行使との一体化の問題を生じないことを制度的に担保する仕組みの一環として設けられた法的な概念という、何だか寿限無寿限無みたいなことを言っておりますが、要は、憲法九条が禁じます武力の行使というような評価を受けてはならない。そして、それ自体は武力の行使には当たらないけれども、他国とともに行うことによって、それは全体で見れば武力の行使なのだというような評価を受けることもあってはならない。それを一体化の理論というふうに申しますけれども、そういうことを避けますために作りました法的な概念でございます。  ですから、自衛隊活動は、武力による威嚇、武力の行使であってはならないということをまず書き、そしてまた、非戦闘地域で行わなければならないと書き、近傍でそのようなことがあった場合にはという規定を設けて、幾重にも自衛隊が武力の行使、武力による威嚇、憲法九条によって禁ぜられた国際紛争を解決する手段としての武力の行使、武力の威嚇は行わないということを制度的に法的に担保したものでございます。
  88. 池口修次

    ○池口修次君 そうしますと、今のなかなか分かりにくいんですが、憲法上担保しなきゃいけないことがいろいろありますよと。で、その一つが、私は、戦闘地域に行けば、自衛隊は、自衛隊の人が戦闘に参加するようなことはあり得ないんですが、戦闘地域というのはいつ攻めてくるか分からないですよね。  そうすると、巻き込まれる可能性があるので、結果として戦闘に巻き込まれて憲法に抵触することを避けるために非戦闘地域に行くんだという文章が私は書かれているというふうに思って、それに基づいて、やっぱり非戦闘地域がどこで、戦闘地域がどこだという地理的な概念をこの項目で定めなさいというふうに私は解釈をしているんですが、全くそれは、何か今のですとよく分からないんですね。地理的な概念なのか、違うのか、そこの点をちょっと確認させていただきます。
  89. 石破茂

    国務大臣石破茂君) こうするとまた何というか、聞いている人にはよく分からない議論になってしまう。これはどう説明したら分かりやすいのかなと思うんですが……
  90. 池口修次

    ○池口修次君 地理的な概念なのかどうかということが……
  91. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 地理的な概念ではございません。
  92. 池口修次

    ○池口修次君 違うのか、入れてないか。
  93. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは法的な概念でありまして、地理的な概念ではございませんが、しかしながら、実施区域というものを定めます以上は、これはやはり地理的な定めを行います。ですから、自衛隊がやります、活動を行います地域というのを指定いたしますね。それはやはり地理的な概念です。その地理的な概念というのは、すべからく間違いなく非戦闘地域の要件を満たさねばならないということでございます。
  94. 池口修次

    ○池口修次君 そうしますと、今のお答えは、法律上は地理的な、この法律は地理的な概念を決めていないんだけれども活動は地理的な概念で私たちが決めますよということですか。
  95. 石破茂

    国務大臣石破茂君) まず、非戦闘地域というのは法的な概念でございます。また、実施要項におきまして活動する区域を定めてございますので、これは地理的な概念、つまり法的な要請に基づきまして法的な概念を地理的な概念に、何と言ったらいいんでしょうね、化体させたと言ったらいいのか、移し替えたと言ったらいいのか、そういうものだと思います。
  96. 池口修次

    ○池口修次君 そうしますと、今の私の解釈は、地理的な概念は実施要項で決めればいいということで私は聞こえたんです。  そうすると、実施要項というのは、これはだれが決めるんですか。地理的な概念を、実施要項で地理的な概念を決めますよと、法律上は、これは法的概念で地理的な概念じゃないんだけれども実施要項で決めますよという答弁をされたんですよね。
  97. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは防衛庁長官が定めるものでございますが、当然のことですけれども、法律の規定に則して作るわけでございます。  ですから、法律は抽象的、失礼、法的な概念であるけれども、それを逸脱して防衛庁長官が勝手に自分で判断して、どう見たってそうではないところを実施区域に定めちゃったというようなことがあるのではないかという仮にお尋ねであるとするならば、それはその法の要請に基づいて、その法の要請に従って定むるのでありまして、逆ということは起こらないと考えます。
  98. 池口修次

    ○池口修次君 そうすると、いろいろ申しましたが、地理的な概念は防衛庁長官、私が決めるものだという答弁ですね。だれからも指図されるものではないと。だって、実施要項というのは防衛庁長官が決めるんでしょう。それで、地理的概念は実施要項で決めますという答弁をしたんですよね。だから、あなたが、地理的な概念は全部私に任されているんですということですよね。
  99. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 任されていると、こう言われますと、おまえみたいなやつに任せていいのかとか、そういう話かもしれませんですが、これは、繰り返して申しますが、そこに恣意は入るものではございません。自分が勝手に、ここならよかろう、あそこならよかろうということではなくて、法によって要請されたものをいかに具現化するかという作業を私が行うという意味で御理解をいただきたいと思います。  そして、それを定むるに当たりましては、そこがなぜ非戦闘地域であるかということについて、これももう延々と呪文みたいなことは申しませんけれども、例の国際性、組織性、計画性、継続性とかなんとか、いろんなものがございますが、そこは何ゆえ非戦闘地域であるのかということは、もちろん縦横斜め、前後左右、いろいろな判断に基づいて行うものでございます。
  100. 池口修次

    ○池口修次君 私は、石破長官の判断が危ないんで任せないと言っているつもりはないんですよ。だから、責任を持って判断はされるというふうに確信はしているんですが、ただ、立法府には決める権限はないんですねということを言っているんです。  そうすると、非戦闘地域かどうかというのは、これはやっぱり憲法上からいうと大事なことなんですよ。大事なことが行政府長官一人に、実施要項で決めるという答弁をされているんですよ。本当にそれでいいのかというのを内閣の法制局長官、ちょっとここ大事なところなんで、本当にそれでいいのかどうかというのをちょっとお答えください。
  101. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 法律で仕組みを決めまして、その実施につきまして行政機関に判断を基本的にはゆだねるという制度は、決して憲法上おかしくないものでございます。
  102. 池口修次

    ○池口修次君 本当にそうなのかというのは、ちょっと追及はあえてやめます。  この点について官房長官にお聞きをしたいんですが、今までずっと戦闘地域、非戦闘地域という議論を、衆議院から始まって、去年の六月からですか、やっております。この非戦闘地域の概念の質問について、福田官房長官は、例えば六月二十六日の答弁ですと、この活動地域をこれから決めるわけです、そのときに、非戦闘地域であることには間違いないことでありますけれども、その中でも安全性に問題のないような地域は選ばないと、問題のあるような地域は選ばないという答弁なり、六月二十七日には、イラクの国内における非戦闘地域はどうなのかと、これらについて様々な情報を集約した上で設定をすると、政府を挙げて安全なる地域というものを精査した上で、官房長官の責任でと、何か云々言っているんですが、この答弁は明らかに地理的概念を想定をしながら答弁をしているというふうにしか私には思えないんですが、あえて承認に賛成したのか賛成されなかったのかちょっと分かりませんけれども、本当に良識のある官房長官だというふうに信じておりますので、本当にこのときはどういうことで、地理的概念じゃないと思ってこの答弁をしたのか、この点をお聞きしたいと思います。
  103. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 私の答弁、ちょっと今手元にないんで分からないんですけれども、先ほど来防衛庁長官が答弁しておりますように、これはもう明らかに憲法上の規定として、そういう地域でなければ憲法に抵触するというような地域ではしないということなんです。ですから、ある地域が、実施要項でもある地域が決まりましたと、地域がありますと、そこでもって活動するかしないか、これは非戦闘地域でなければできないわけでありますので、それはそういうふうに思って実施要項に決めたけれども、将来的に実行が何か月か先とか半年先とかいうようなときにその地域がどうなったかということは、それはそれでまたよく検証しなければいけないということがあるわけですね。  ですから、先ほど来の答弁がございましたように、これはあくまでも憲法上の規定の概念である、その地域で活動しようと思う、そうしたらば、その地域が憲法に抵触しないかどうかという点を確認していると、こういうふうな意味でございます。
  104. 池口修次

    ○池口修次君 憲法に抵触しちゃいかぬのは当然なんですよね。だから、じゃ、そのために書いただけで、そうすると余りこれは、自衛隊が行ったところが非戦闘地域であればいいということでしかないんだよということですと、そうするとこれは、自衛隊にここが非戦闘地域だというような決める能力はないですよね。相手が攻めてくりゃすぐ戦闘地域になっちゃう。  そういう意味で言えば、私はやっぱり、今の憲法なりこのいろいろな法律をやっぱり整合性を取るためには、私はこれはこのイラク特措法においても地理的な概念であるものが入ったんだなというふうに、まあこれは勝手に解釈したのかもしれませんね。ただ、勝手に解釈した人は、多分国民のほとんどの人は勝手に解釈していると、その方向で。地理的概念であるというふうに解釈しているというふうに思って、例外はあえて言えば、私は、石破長官と、今、福田長官もそう言われましたからそうかなというふうに思いますが、私は決してそうではないと。  元々やっぱりこの法律を作ったときには、六月ですから、多分イラク戦争が早期に終わって、その非戦闘地域が当然生じるはずだと。特に南部の方は非戦闘地域になると。それであれば、日本は貢献、やっぱり国際貢献はこれは当然しなきゃいけませんから、やっぱり憲法上においても許されるなということで判断、これは私は間違った判断というふうには私は言いません。  ただ、状況が非常に厳しくなって、南部も必ずしも非戦闘、地理的な概念で非戦闘地域と言えなくなったと。ただちょっと、だからといってやめるわけにはいかぬなということで、私は、明らかにこの非戦闘地域の議論は、石破長官はいろいろやっていますと必ずしもそうではないですね、前からそういう憲法との担保の問題をいろいろ言っていらっしゃいます。ただ、小泉総理を始め福田官房長官も、私は、当初は地理的な概念を頭に描きながら答えていたというふうに私は理解をしていますが、最近は、福田官房長官も余りこの件は答弁は実はされていないんですよね。だから、これは石破長官にお任せなんです。  だから、そこのところは私は変わってきているというふうに思いますし、あえて答弁は求めませんけれども、私は、やっぱり自衛隊の海外派遣を無制限にしないと。憲法が変われば別ですけれども、無制限にしないためには、やっぱり地理的な概念に対する担保を石破長官に任せるんではなくて、やっぱり法律上私は議論をしてちゃんと担保すべきだというふうに思っておりまして、お答えをいただくともう時間がなくなっちゃうんですが、できるだけ短めにお答えをいただきたいと思います。
  105. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 実施要項について防衛庁長官が決めるということでございますが、その前に基本計画を定めます。これは内閣総理大臣が決める、閣議決定をすると、こういうもので、その中に地域を指定するということがございます。  実施当たりましては、その要項等につきましてはその範囲においてやるということでございますから、全く防衛庁長官だけで決めるわけではない、事務的に決めるわけではないということはお分かりいただけると思います。
  106. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今、官房長官からお答えがあったとおりであります。要はどういう法律を作るかということだと思います。それは、おまえらが強行採決したのではないかと言われればそうでございますということになるのかもしれませんが、どういう仕組みで、どういう仕組みで地理的な概念を定むるのか。しかし、その地理的な概念というのは、常に憲法の要請というものから私どもは導き出してきておるわけでございまして、そこにおいて二つの、つまりどういうふうに定めるのかということと、それと国会の関与というものがどうあるべきなのかという議論は、恐らくまだ政府の中で方針も何も決まっておりませんけれども、よく政治で御議論があります恒久法、いわゆる恒久法の中でどうあるべきか、また政府の中でも議論がなされることでございましょうし、また与野党いろんな御議論を承って方向が定まっていくのかなと思っております。
  107. 池口修次

    ○池口修次君 今、石破長官が強行採決したからどうこうというような発言をされましたけれども、私は全然そんなことは思っておりません。これは強行採決したから与党の責任だとか政府の責任なんだと全く思っていないんですよ。その地理的概念は、私は立法府がある程度決めないと大変なことになりますよと。それで、答弁の中で、地理的概念は実施要項で決めますよという答弁をされたから、そうすると、これは立法府は全く関与できないとは言えませんけれども、ほとんど関与できない中でしか決めないんですよということでいいのかどうかということを言っているわけで、余り変な、強行採決したな、されたなとか、そういう議論にすり替えられると、私は何のために質問しているのかというふうに思っておりますので、是非そこは本当に、今日の国対の打合せの中でも誠実な審議をしますよという打合せをしているわけですから、余り変に取らないでいただきたいというふうに思います。  あと八分ぐらいしかないんで、もう一つお聞かせいただきたいんですけれども、現在自衛隊の方が行っていらっしゃるんですが、自衛隊の方が行ったこと、若しくは活動に対して現地の人々はどのように思っているのか、若しくはとらえているのかというのを外務大臣にお聞きしたいと思います。
  108. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 地元といろいろ今まで接触をしている中で、地元の社会として自衛隊を歓迎をするということと、自衛隊を地元で守っていかなければいけないというふうに思ってくださるというふうに取っております。
  109. 池口修次

    ○池口修次君 今の大臣の答弁でもありましたし、総理大臣も、この現地日本歓迎のムードを紹介するときに、現地の人の発言として、自衛隊員の皆さんを我々が守るんだという発言をとらえて自衛隊歓迎というふうな意味でいろいろなところで紹介をしております。  ただ、私は、本当にそんな単純に、自衛隊を守るという発言を、いや、自衛隊の人に来てもらえば我々が命を張って守りますよというようなふうにとらえていいのかどうかということについて実は疑問を持っております。  時間の関係もありますので私の方から言えるだけ言っちゃいますと、先ほど前段で榛葉議員の方から宿営地の賃貸料の話ありました。報道によると、オランダ軍が払っている賃貸料に対して日本軍に要求がされた賃貸料は相当に、百倍ぐらいの金額がなされたというふうに言っております。  もしこれが事実であるというふうにとらえた場合には、これは必ずしも私の意見ということよりも専門家の意見ですけれども、前段の自衛隊を我々が守るという背景にはこの賃貸料を含めた金額が入っているんですよ、百倍なんだけれども我々が守るということの守る料金を考えればこれは妥当な金額であるというふうに言っている専門家も実はいるんです。  ということを含めて、自衛隊は我々が守るということを本当にそう単純にとらえていいのかどうかという疑問に対してちょっと御答弁をいただきたいというふうに思います。外務大臣だと思います。
  110. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 百万ドルかどうかということについて、私は確認する立場にはございませんのでそれについては触れませんが、基本的に、地元の社会で、それは様々な考え方があるということは事実であり認識をしなければいけないと思います。  幾つかのことを、例えば日本イラクの社会の間では大変に価値の貨幣が、価値が、貨幣の価値が違いますから、そういったことも考えなければいけないということだと思います。それから、先ほど別な委員の方の御質問で出ていましたバランス、あるグループの人たちだけにフェーバーが行くということであってはならない。それから、更にそれを広げて言いますと、イラクの中にいろいろな地域があります。サマーワだけ日本が非常によくやっているということであってもいけない。そういったバランス感覚ということは私は重要だと思っております。
  111. 池口修次

    ○池口修次君 時間がなくなりましたので、ちょっと最後に一点だけお聞きをしたいというふうに思います。  現在、イラクには、様々な日本人の方々イラクに行っていらっしゃるというふうに思います。例えば、今回行った自衛隊方々とか外務省の職員の方々NGO方々、そしてマスコミを含む、マスコミを含むというかマスコミの方々、いろんな方が行っていらっしゃいますが、その人たちは決して安全なところに行っているわけじゃないですから、いろいろなけがとか事故に遭われるとか、若しくは最悪のケースも想定がされますが、それぞれの方々に対して保護というか対応はどういう形でなっているのかということを、これは防衛庁長官外務大臣が、両方にかかわるかと思いますが、それぞれの方々に対してどういう対応を考えているのかということをお聞きしたい、して、最後の質問にさせていただきたいというふうに思います。
  112. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクに今、邦人がいると、これは自衛隊関係者も含めてかなりいるということであります。  それで、何か起こったときにどうするか。これは、まず治安については、これは安保理決議に基づいて、英、米、そしてオランダといったような各国の軍隊がその担当任務を行っている。その一環として、攻撃については予防をする、あるいは排除をするということが考えられるわけでございます。そして、それに加えて、もし日本人が自衛隊の、これは後で防衛庁長官からお話があると思いますが、管理下にあれば、自衛隊が武器の使用を含めて安全確保を図り得るということであります。  それで、万一攻撃を受けてけが人、あるいは不幸にして亡くなる方というのが出た場合に、これは一義的に外国人の安全に責任を持つというのはその国の警察であるわけですけれども、その制度が今イラクでは非常に未整備な状況にあるということでございます。そういうことがあって、したがって我が国外務省の職員、イラクにいる職員、サマーワ、バグダッドに若干名いますけれども、その人間ができる邦人の保護については制約があります。これは非常に制約があるということを申し上げないといけないと思います。それで、そういう不幸な事件があった場合には、その被害者の状況とか、あるいはその現地の情勢を見ながら、必要であればCPAですとか、それから関連の諸機関に支援を要請をするというふうに考えております。  これは、イラクは退避勧告という危険情報を出しております。邦人がそういったことに巻き込まれないように退避勧告を出しているわけでございまして、今速やかに邦人がこの地域から退避をすることを求めているわけです。それにもかかわらず滞在をされるという場合には自己責任の原則に基づくというふうに考えておりますけれども外務省としてもちろん関連の情報の提供、そして安全確保に関して可能な限りの配慮を行っていきたいと思います。
  113. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今の外務大臣からお答えがあったとおりでございますが、より具体的に申し上げれば、退避勧告は出ているわけでございますけれども、にもかかわらず行っておるということですね。自衛隊に同行して取材をしておられるマスコミの方、あるいは人道復興支援活動のために自衛官に同行するNGOの職員の方、こういう方であれば、十七条、イラク特措法十七条に申しますがところの自己の管理の下に入った人ということになります。これが全く関係ないところで何かあったという場合には、それはイラクにおいて治安を担当しておる当局が一義的に負うものでございまして、私どもとしてはイラク特措法十七条の要件を満たした方は、それは結果として武器の使用も含めて十七条に基づく行動を取ることになるということだと思っています。
  114. 池口修次

    ○池口修次君 最後にしますが、今の言葉の中で退避勧告が出ているんだからというような、そういう意味で使ったんではないというふうに思いますが、私からのお願いは、退避勧告が出ているといっても、ただ興味本位で行っている人は絶対にいないわけで、これについては退避勧告が出ているというところで余り線を引くんではなくて、万全の対応をお願いをしまして、今日は終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  115. 岩本司

    ○岩本司君 民主党・新緑風会の岩本司でございます。  国民の皆様方に分かりやすい質問をさせていただきますので、分かりやすい御答弁、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、川口外務大臣と福田官房長官にお伺いしますが、対イラク武力行使支持に至るまでの経緯についてお伺いします。この支持に至るまでの経緯でございますけれども、二〇〇三年三月二十日のイラク戦争の直前の経緯でございます。  二〇〇二年の十一月ですね、戦争が始まるちょうど四か月前の十一月の時点までは確かにイラクは積極的に安保理決議に応じなかったと、私はこれは事実であろうかというふうに認識いたしております。しかし、問題なのはその後ですね。戦争の直前のこの四か月の間にイラクの対応が急速に変わってきたというふうに私は考えております。  私ども民主党もちょうど戦争が始まる三月二十日のちょうど三週間ほど前ですか、二月の二十一日から二十七日までイラクに視察、調査に行ってまいりました。もちろん私ども民主党は公平に、イラクだけではなくてアメリカにも、合衆国にも同時期に視察、調査に行っております。  私はイラクの担当だったものですからイラクに行ってきたわけでありますけれども、ハンマーディー国民議会議長、またサーディー大統領顧問、アミン国家監視局長官にもお会いしました。このとき現地で、もう一年になろうかとしますが、現地でお亡くなりになりました井ノ上一等書記官にも本当に、今名前出すだけで僕涙がちょっと出てきているんですけれども、お世話になりました。  井ノ上書記官の志も継いで質問をさせていただきますけれども、私ども現場に行った後に、総理特使で当時の外務大臣の茂木前外務大臣が私どもが行った後にイラクに行かれております。その茂木当時の外務大臣からどのような帰国された報告があったのか。川口外務大臣、また福田官房長官にお伺いします。
  116. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃったような時期に当時の外務大臣の茂木副大臣が、三月の二日でございましたけれどもイラクに行きまして、アジズ副首相、実質的にはナンバーワン、サダム・フセインに次いでの行政部門でのナンバーワンと言っていいと思いますが、と二時間にわたり話をいたしました。そのときの報告については、私はバグダッドからの要するに国際電話で報告を受けておりますし、それからその帰国を副大臣がなさってからも話を聞いております。その概要でございますけれども、総理の親書を携さえていかれてお渡しになったということであります。  それで、イラクが大量破壊兵器問題について国際社会の思い考え方、これを真摯に受け止めて平和的に解決をするために査察に協力をするようにということが大きなメッセージであったわけですけれども、よりもう少し詳しく申し上げますと、議論は完全な平行線ということでもなかったけれどもほとんど平行線であった。一つは、三月七日の査察団、これは国連の査察団の報告が三月七日になされることになっていたわけですが、その報告が今後の推移を決める上で重要な意味を持つということと、査察の協力ぶりについてイラクとUNMOVICの間に認識の差があって、イラクはその差を埋める努力をしなければいけないという点については先方も理解を示したということでございました。その辺は認識が一致をしたということですけれども、他方で、イラクが三月七日までに今までの対応と本質的に異なる積極的な行動、対応をするためには政治的な決断が必要だということを言ったわけですが、それについては必ずしもというか、それについては理解が得られなかったということであります。  それから、そのときにイラクが一生懸命やろうとしていたことというのは、国際社会が分かれているではないかということを一生懸命に言おうとしていたということでありますけれども、当時、その忙しい中で行政部門の実質ナンバーワンである副首相が二時間、茂木副大臣と時間を使って話をしたということについては、イラクがやはり我が国との関係、これについて非常に関心を持ち、重要であるというふうに考えていたということの表れだと思います。  以上です。
  117. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま外務大臣から答弁しましたとおりで、内容的には同じ内容のものを報告を受けております。報告を受けましても、茂木外務大臣が総理の親書を持っていったわけですね。それで、親書を渡しまして、そして今のようなやり取りがあったということでありますけれども、帰国を三月六日にしまして、直ちに報告を受けております。また、同じ報告は茂木副大臣から総理にも同じ日に行っております。
  118. 岩本司

    ○岩本司君 井ノ上一等書記官は現地で、私が九州の出身でございまして、井ノ上一等書記官も同じ九州だということで本当に、何というんですか、イラクの地で同じ同郷ということでこの問題を一緒に取り組ませていただいたわけでありますし、私どもが会ったイラクの幹部の方々にも同席をされて、それ以外でも夜は夜で遅くまで議論もさせていただいたわけでありますけれども。  私どもには、イラクの幹部の方々は、もうお金もないし破壊兵器なんか、また核なんかとんでもない、そういうことないんだと訴えていらっしゃいました。またそこで、我々が今保有している武器は国際法上認められているミサイルであって、しかもそのミサイルも廃棄に掛かっていると。しかし、これを全部廃棄しても構わないと。しかし、日本アメリカに対してもう攻撃しないと先に確約を取ってくれ、そうであればもう全部廃棄してもいいというようなことをおっしゃっておりました。そんな金もないと、武器を持つ。  また、日本は国内不景気で、年間三万人以上の方が自ら命を絶たれておりますけれども、この戦争が始まる前の一年間でも医療器具や薬がなくて子供たちが、八万人の方が、八万人の子供たちが亡くなっている。その前の年は五万人。平均五万人ぐらいの子供たちが毎年毎年亡くなっている、そういう現状の中で、そういう武器とか、そういう次元じゃないと、経済制裁も受けているので。  私は、確かに、先ほど冒頭申し上げましたけれども、十一月、四か月前の戦争が始まる十一月の時点まではそういう積極的に国連に協力しなかったと思いますけれども、それ以降は、緊迫している中、もうこの時点ではホールドアップしている、国と国じゃなくて人と人の次元に置き換えますと、ホールドアップしている人間に対して銃を撃ったと、しかもそれを支持したというように考えてもおかしくないんじゃないかというふうに思うわけであります。また、当時の大統領は、フセイン前大統領はマスコミを通じてブッシュ大統領とテレビ討論していいと、どっちが本当かもう世界の人に見てもらいたいとまで言っていたわけです、それにも応じなかったということなんですけれども。  その茂木副大臣の御報告と私ども現場で聞いた話とちょっとずれがあると。私は一人の政治家として、自分は、井ノ上一等書記官の命もそうですけれども、もう一万人近いイラク国民の皆様が亡くなっているわけですが、戦争を止められたんじゃないかと、私が。止められなかった、それは責任を感じております。  当時、戦争前に現地に行ったときも、毎日結婚式を若者がされているんですね、びっくりしまして、そういうもう緊迫している中でも。そういう若者や子供たちやお年寄りの方や一万人近い方々が亡くなっていると。もちろん、各国の兵隊の方も亡くなっているわけでございますけれども。  私は、この報告が正しい報告だったのかどうかというのはちょっと疑問に感じるわけでございますけれども、武器持っていなかったと、もう持っていないということを、茂木副大臣が持っていないとイラク政府側から言われたという、そういう報告がありませんでしたですか。イラクが持っていないという、こういうふうに訴えていたと。
  119. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 大量破壊兵器を持っていないというせりふは、イラクは当時みんなに言っていたわけです。茂木副大臣にも言いましたし、それから私自身も代理大使、東京の、とお話を、同じ話をしましたけれども、聞いています。  元々そういうせりふをずっとイラクは言っていたわけでして、それを、その確認を取るために査察をさせなさい、査察の条件はこうですということが国連の査察団との間で話し、決議で決まっていて、それをイラクがやらせなかった。先ほど委員が十一月以降は積極的に協力をしたというふうにおっしゃられていますけれども、国際社会はそういう認識、これはドイツもフランスも含めて、ブリックスも含めてそういう認識では全くなかった。  それで、したがって三月七日の報告書ということがどう書かれるかということが重要であると、かということが重要であるということを茂木副大臣イラク側におっしゃり、それを、その影響を与えることができるのはイラクである、そのために政治的な決断が必要だということを言ったわけですけれども、それについては理解が得られなかったと、そういうことであるわけです。
  120. 岩本司

    ○岩本司君 いまだに大量破壊兵器が見付かっていないわけでありますけれども現地でIAEAの査察官、日本からも二名派遣されておりまして、そういう方々とも井ノ上一等書記官と一緒に同席させて議論させていただいたんですけれども。フランスやドイツというふうにおっしゃいましたけれども、そのときは核の査察をもっと延長すべきではないかと、また、人数を増やすべきではないかというふうに、これはもう世界的にもそういう情報が流れていたとは思うんですけれども現場方々もカーナビがない、またアラビア語も分からない、その中で、例えばこの今の東京から北海道まで地図もないところで査察に行ってくれと上から指示が来て、着くわけがないと、時間が掛かるというようなことも現場の方もおっしゃっておりました。  そういう現状の中でこういう決断政府がしたわけでございますけれども、ちょっと時間がもう足りないものですから、ちょっと次に移らせていただきますけれども。  今回、自衛隊の先遣隊の隊員の皆様を決めるときに、やっぱり先遣隊ですから、やっぱり現地に詳しい方々防衛庁にも本当にいらっしゃるというふうに聞いております。  アラビストといいますか、アラビアに詳しい方は先遣隊に入っていらっしゃいましたでしょうか。長官、お願いします。
  121. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 本当の意味でアラブに精通したアラビストということであれば、それは含まれておりません。
  122. 岩本司

    ○岩本司君 アラビストと言われている番匠幸一郎陸上自衛隊名寄駐屯地司令、名前がもう挙がっていたと思うんですけれども、すごく現場にも詳しいというかアラビスト、三本の指に入ると言われるような方なんですけれども、もう地域の、名寄の市長までもう現地の活躍を期待したいと、国に対して現地の治安をしっかり確認した上で派遣してほしいと。それでまた、そういう隊員の皆さんからもそういう声が上がっていたらしいんですけれども、その点いかがでございますか、長官
  123. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 番匠幸一郎一等陸佐は、私も個人的に長い付き合いでございますけれども、彼はアラビストではございません。合衆国の大学にも出ておりますし、また商社にも勤めたこともある人間ですが、どちらかというと戦略家というような感じ。ストラテジストと言った方がよろしいんでしょうか。だから、これは隊長が何もアラビストでなくてはならないというわけではない。彼の場合には本当に冷静沈着云々という、そう新聞に書かれたのは決して誇張だと私は思いませんが、そういうような判断をもって指揮官として任じたものでございます。  アラビアのいろいろな語学あるいは風俗、習慣等々に熟達するのがもちろん望ましいわけでございますが、我が国としてあの地域に長期間滞在したということもございません。衆議院でもお答えをいたしましたが、ゴラン高原に出しておるというのが、いわゆるあの地域に出しておる一つの例でございますけれども、これはもうなかなか委員が御指摘のようなアラビストをすぐに養成するということも困難でございますが、さればこそ、外務省方々のお力もおかりをして、相互に相補完し合いながらこの任務を達成していきたいと思っておるところでございます。
  124. 岩本司

    ○岩本司君 番匠司令ですけれども、行かれる前に、そういう派遣、先遣隊に入る入らない、その前に、マスコミの皆さんとの対応というか、機会が多過ぎて、現地でマスコミの皆さんとの対応をどんどんやられたら困るから外されたんじゃないかという、そういう話もあるわけでございますけれども、本隊には入られていると、先遣隊には入っていないけれども、その後はメンバーとして入られているというふうに聞いておりますけれども、その点はいかがでございますか。
  125. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 外されたとか外したとか、そのようなことはございません。  先般、旭川におきまして私が隊旗を授与をいたしておりますけれども、この全隊を統括をいたしますのは番匠一等陸佐でございます。
  126. 岩本司

    ○岩本司君 イラク国内の現状の認識についてちょっとお伺いしますけれども、一月の十九日に先遣隊がイラクに到着しているわけですね。その十九日にイラク人五人を地元の警察が拘束しているわけです、もうテロリストじゃないかということでですね。二十四日の日、五日後の二十四日の日に、オランダ軍のMP二人、ミリタリーポリス二人と先遣隊員の二人が現地の警察本部、ムサンナ州警察本部に行っております。そのときに、二十二日付けのコピーファクスを持って先遣隊員二人が現場に、しかも五日後に行っているわけですね。  まさか現地で、現地のジャーナリストや新聞記者さんから東京に送られた情報で、それを一回東京からまたコピーファクス持って現地に行ったというので、現地に送られてきた情報というか、何というんですか、現場からの情報じゃなくて東京からの指示といいますか、そういう情報で動いているという、まさかこういうことはありませんでしょうね。
  127. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 現場のことは現場が一番よく知ってはおります。したがって、東京で最初に知って、こんなことがあるが確かめてこいというようなことがあるわけではございません。  ただ、東京で非常に関心が高くて、このことについて更に調べる要があるというようなことがありました場合には、これは調べてくれというようなことを申し入れることはございます。また、現地で行える報道と同じだけのスペースを取って東京で報道がされるかというと、現地ではべた記事のものが東京ではわっと出ることも、これは可能性としてはないではございません。  いずれにしても、安全性というものを確かめる点において、東京と現地と連絡を密にしながらやっておるわけでございます。
  128. 岩本司

    ○岩本司君 現場のことは現場とおっしゃっていますけれども、指揮する最高責任者の長官現場イラクに今まで行ったことありますか。
  129. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私は、イランは行ったことがございますが、イラクに行ったことはございません。
  130. 岩本司

    ○岩本司君 イラクで今こういう問題が起こっている中、最高責任者の御本人が現場に行っていなくて、想像でされているのかどうか分かりませんけれども、本当に疑問に思うわけでありますけれども。  このときに、二名の先遣隊員と二名のオランダ軍MPの方が行ったときに、英語も話せなくて困って、その警察署で、近くにいた日本人のジャーナリストにオランダ軍が通訳を頼んで、そういう方はもう銃ももちろんないですよ、そういう方が仲介して交渉をやっているわけですね、現に。  そのときに、しかも自衛隊員の方々はトランシーバーを持っていなかったと。オランダ軍から、何でトランシーバー、命綱と言われるトランシーバーがないんだと指摘されているわけでございますけれども、トランシーバーは整備されているんですか、命綱は、現地で。長官、お願いします。
  131. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 個々具体的な事情につきましては確認をいたさせますけれども、もちろん連絡というものが取れるということは当然のことでございますので、私はトランシーバーは必要な数が隊員に行き渡っておると承知をいたしております。  今委員がおっしゃった、おまえはトランシーバーを持っていないのかという状況がどういう下で起こり、そこに我々何名の者がおり、トランシーバーを保有せず、オランダ軍と、そのオランダ軍の方とそのような会話が交わされたか、これはちょっと確認をさせていただきたいと存じます。
  132. 岩本司

    ○岩本司君 トランシーバーが現地にあるというようなことをおっしゃっていますから安心はしましたけれども。オランダ軍の方も、頭数あると、トランシーバーがあるとおっしゃいましたから。オランダ軍の方が何でトランシーバーがないのかと言われたら、基地にありますということはおっしゃったんですけれども、じゃ、隊員の方が持っていなかったと。命綱ですからね、これはもう本当に重要な問題だと思います。  これは、ジャーナリストの方が、確認するとおっしゃいましたけれども、もうビデオで全部先遣隊の行動を映したのを、ビデオで何かあるらしいので、近いうちに、国内、どこのテレビ局か分かりませんけれども放映されると思いますけれども。  次に、自衛隊員の方々、大使館員の方が、これ現地で死傷者が絶対に出ないと言い切れますか。長官、お願いします。
  133. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 自衛隊員ですか。
  134. 岩本司

    ○岩本司君 自衛隊員と、大使館員もそうですけれども
  135. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 出ないように可能な限りの策は講じております。世の中に絶対ということはないと私は思います。
  136. 岩本司

    ○岩本司君 絶対ということはないわけですから。では、死傷者が出る可能性があるので、政治はもしものことがあった場合の対応もやはりしなければいけないと思うわけでありますが。これは、なぜこういうことを申し上げるかというと、先ほども申し上げましたが、奥大使や、やっぱり井ノ上一等書記官の死を本当に無駄にはできないという思いで申し上げているわけでありますけれども。  アメリカ、イギリス、スペイン、こういう国々は、死傷者が出た場合、戦死とみなされているわけですか、それとも事故死とみなされているわけですか。長官、お願いします。それぞれの国で。
  137. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、どういう状況で亡くなったか、それによります。そしてまた、我々の場合でもそうでございますが、それが公務によるものであったのかどうであったのか、それが、合衆国におきましてもスペインにおきましてもイギリスにおきましても、それぞれの状況によって取扱いが違うと思います。  ですから、委員が、こうこうしかじか、こういう状況でこうなったとしたらどうなのだという御指摘があるとすればそれは紹介はいたしますが、この場合には戦死だ、この場合は事故死だというふうなことは、これは通常はそれぞれの国も明らかにしないものだと承知をしております。
  138. 岩本司

    ○岩本司君 各国が、現場に行かれている隊員の方々がお亡くなりになったときに、それぞれの国が戦死という、何といいますか、戦死か事故死の今話なんですけれども、戦死というようなことで認識をされているんであれば当然現地は戦場であると。  ですから、各国の取扱い、どなたかお分かりになる方いらっしゃいますですか。
  139. 川口順子

    国務大臣川口順子君) アメリカの発表の仕方ですけれども、敵対行為で亡くなったか、非戦闘事由で亡くなったかというふうに分けて発表しているということです。それから、イギリスについては、敵対行為、その他の原因で亡くなる、敵対行為で亡くなっているか、あるいはその他の原因というふうに分類をしているということであります。ほかの国について、例えばスペイン辺りですと、事故、戦死の区別は特に行っていない。韓国については、死者が出ると作戦中の死亡との扱いになる。これはもう国によって様々であると、その国の制度によって様々であるということかと思います。
  140. 岩本司

    ○岩本司君 私自身、現場に視察に行くときも、行く前に自分で、もしものことがあっちゃいけないということで、保険に特別に入ったり飛行機の中で家族に対するメッセージ等も書いて視察でも行くわけですね。  こういう状況の中、隊員の皆様も御家族に対してのメッセージや、当然私は、無事に帰ってくるよとは当然おっしゃると思いますけれども、メッセージも残されたり、私が言わんとしていることは、国民の皆様の中で自衛隊を支持している方々の、自衛隊を支持している方々の半数以上がこのイラク派遣に対して反対をされているわけですね。そういう状況の中、国のために行くと言える、イラクに行ってくるんだと、そういう覚悟が、国のためにと、本当にできるのかどうか、そういう国内の、日本国内の現状がそういう状況であるかどうかと本当に疑問を感じるわけであります。  日本ではなくてイラクで、しかも国民が感謝で送り出しているのか、全員が。アメリカから、ブッシュ大統領から総理が言われて、総理から言われて現地に行くと、しかもイラクにと。こういう自衛隊員の皆様の心の中にも迷いの中での現地派遣だろうかというふうに思いますので、私は、隊員の皆様が事故死、もう万が一のことがあった場合に事故死なのか、これ、戦死なのかと。いや、これは、それはもう諸外国は戦死、戦場に行くと認識している国もあるわけですから、軍隊を送っていると。ですから、その辺のことを自衛隊員の皆様方の処遇についてもっと私は議論する必要があるんではないかというふうに思うわけであります。  次に、イラク現地における自衛隊の皆さんの活動の環境についてお伺いしたいんですが、アメリカ兵がもう既に二十名以上自殺をされたというふうに聞いております。これはもう想像を絶する現場だと思うんですけれども、福利厚生施設といいますか、娯楽施設といいますか、それが必要ではないかというようなことが現場で出ているらしいんですね。その点についてちょっと御説明いただきたいと思います。長官
  141. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほどの委員のお話の中で、自衛隊に賛成している国民の半数以上がこの派遣に反対しているというのは、どの数字に基づいておっしゃったのか、私よく分かりません。私が認識をしておりますのは、自衛隊に賛成しようが反対しようが、国民方々で賛否を問うたときに、派遣に反対だと言われる方に比べまして、もちろん最初は反対の方が非常に多かったわけですが、賛成だという方の比率が増えてきて、同数あるいは賛成の方が多いというふうに認識をいたしております。これが増えるように努力はしていきたい、これは政府の責任だと思います。  それから、私どもは間違っても戦死という概念は使いません、これは。戦争に行くわけではございませんので、戦死という概念を使うことはいたしません。これは、PKOでありあるいはテロ特であり、海外におけるいろいろな任務、戦争を行うわけではないけれども、PKOのように国連の任務であったり、そういうような海外における任務とどのような整合があるかということで処遇を決めてまいるものでございます。  娯楽施設についてどうかということでございますが、それは、ああいうような地域、文化の違う地域で、そして危険というものは決してなしとしない地域で過酷な任務を行うわけでございます。サマワの町に出てお買物ができるかといえば、そのようなことが日常許されるわけではない。そうしますと、宿営地の中におきまして、そのような教養あるいは体力錬成あるいは御家族との会話、それはメールも、あるいは画像も含みますが、そういうもので隊員の精神、肉体状況というものを保っていきたいと思います。  また、自殺についてお話がございましたが、アメリカが行っております任務と自衛隊の行っている任務は当然異なりますので、アメリカ数字がそのまま当てはまるとは思いませんが、しかしながら、これについて精神的外傷みたいなものを受けて後々発症するといった例も海外では報告を受けております。メンタルヘルスケアにつきましても、これはきちんと配意をすべきというふうに措置をしておるところでございます。
  142. 岩本司

    ○岩本司君 自衛隊員の皆様方が現地で、地域の、イラクの住民の方々と一緒に、例えば当然そういう施設を造るという方向性で進んでいくんであれば、地域の方も一緒に参加できるような、そういう考えはいかがでございますか。
  143. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ないわけではありません。ないわけではありませんが、私が申しておりますのは、常々中で申しておりますのは、余りに地元の人と一緒に、例えばサッカーをしよう、あるいは、カラオケがあるかどうか知りませんけれども、そういうのをやろうとか、それは配慮は大切なことです。しかしながら、まず足下をきちんと固めて、それから徐々に徐々にということだと思っています。サマワ方々がすべて善意で、そしてまた市民の方々、宗教指導者の方々がみんなで守ろうといっても、そうではないのだという人がいないという保証はございません。私どもは、やはり派遣される自衛官、そして御家族のこともきちんと考えて対応すべきものと思います。
  144. 岩本司

    ○岩本司君 次に、イラクはもとより、アラブ諸国に対して、政府として誤解のないような広報活動をされているのかどうか。これ、川口外務大臣にお伺いします。
  145. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今先生がおっしゃったポイントは非常に重要なポイントでございまして、政府としても今まで様々な取組を行っております。幾つかの例を申し上げますと、例えば小泉総理がアル・ジャジーラに出られ、私もアル・アラビアに出演をいたしております。それから、いろいろ特使が行かれる折に説明をする、私自身もイラン、ア首連回りましたけれども、ということもやっておりますし、アラビア語のパンフレットも作っております。  たくさんのプログラムを持っておりまして、例えばその一番近い時点ですと、レバノンのフューチャーTVというテレビを、TVチーム招聘というプログラムがありまして、それで日本に今月の中旬に招くことになっております。あとは、アラビア語の放送に資料を提供するとか、在外の公館でアラビア語のホームページを持っていて、そこで説明をするとか、大使が各地で講演会をやったり、そういうことをするとか、あるいはそういった、防衛庁もリーフレットを作っていらっしゃいますし、様々なプレス、新聞記者への対応、テレビ、資料、文書、パンフレット、講演、もういろんな分野でやっております。
  146. 岩本司

    ○岩本司君 総理や大臣テレビに出るのもそれは必要かも分かりませんけれども現地自衛隊員の皆さんがこういう活動をしていると、武力行使じゃないということをもっとアラブ諸国の方々に発信するべきであるというふうに申し上げておきます。  それと、イランとの関係でございますけれども川口大臣、イランにも足を運ばれておりますけれども、イランで日本政府に対して、イランまたアフガニスタンの間のこのドガルーン—ヘラート間の道路工事の要請はありませんでしたですか。
  147. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、ドガルーン—ヘラート間の道路工事、これはイラン政府支援により現在行っていて、九〇%が第一次舗装済みであるというふうに聞いております。昨年末完成の予定でしたけれども、ちょっと遅れてるということです。
  148. 岩本司

    ○岩本司君 時間が来ましたので、終わります。  ありがとうございました。
  149. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  150. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、小林美恵子君が委員辞任され、その補欠として池田幹幸君が選任されました。     ─────────────
  151. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 休憩前に引き続き、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法第六条第一項の規定に基づき、自衛隊部隊等による人道復興支援活動及び安全確保支援活動の各活動実施に関し承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  152. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。  自衛隊の海外での活動ですから、そのすべてが日本の国際信用にかかわる問題をはらんでおります。そういう点で、私は最近、これは週刊誌の記事ですけれども、皆さんどのようにこれお答えになるのか。  要するに、日本が札束で陣地構築をやっていると。もちろん、ごらんになっていると思いますが、自民党の防衛族幹部の話というようなのを引用しながら、これによれば、サマーワ地域に巨額のお金をばらまき、自衛隊宿営地周辺に札束のブロックを積み上げる態勢を考えていると、こういうことが書かれております。  そして、金額まで挙げてここで金が投じられているということですが、一体、実際にこの陣地構築に投入される、ないしはされた予算額、額はどれだけになるかということと、このような札束をばらまいてボディーガードまで雇って防衛態勢を整えていると、こういうことが国際的な話題になれば日本は何をやっているかということにもなりかねないと思います。お答えを願います。
  153. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答えを申し上げます。  先生のサマーワ宿営地施設全体の設営に係ります予算の状況がどうなっておるかと、こういうお話でございますが、陸上自衛隊の部隊の宿営地の設営に要する経費ということでは、十二月十九日の日に閣議決定いただきました予備費におきまして、土地を使用するための経費、あるいは取付け道路の設置工事、土地整地工事等に要します経費、それから宿営地設営に必要となる資材等の取得に要する経費等々を含みまして、ただ、このうち、土地使用の経費につきましては、現在、地権者との調整を継続中でございますので、これはちょっとお答えを差し控えさせていただきますが、この経費を除いた部分で約六十億弱と、こういうことでございます。
  154. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 新聞、報道が取り上げている問題について……
  155. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 吉岡吉典君。
  156. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 いや、今、質問した。今、予算額だけお答えがあったわけで。
  157. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 報道の数字は私も拝見はいたしておりますけれども、このような金額をこのような目的で使うということはございません。
  158. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、この地域に、この額は別としまして、投入された額というのはどれぐらいになっていますか、宿舎、宿営地以外も含めれば、何らかの形で。
  159. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) 済みません。現在、宿営地以外のものでございますか。ちょっと、現在、ちょっと手持ちで持っておりませんので、ちょっと、また時間いただいて、恐縮でございますが。
  160. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 去年の暮れに、ボディーガード役を買って出るということでイラクから首相官邸にまでやってきて、首相と会談したという話も出ていますが、これ、具体的にここまで言っていなかったんですけれども、官房長官、こういう事実はあったかなかったか。お分かりになったら。
  161. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 御質問の点について、私、分かりかねます。
  162. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 こういう話が、私はあえてここで取り上げましたのは、日本の国内での報道だけでなく、国際的にも情報として流されているからであります。  アメリカ・テキサス州に本部を置き、ワシントンを拠点として世界にネットワークを組んでいる民間情報会社で、企業、政府、個人向けに地政学的分析と予測を提供しているストラートフォーという会社が、今年の一月二十六日、次のような分析と報告を流しております。これは特殊な情報でなく、インターネットでも取れる情報です。  次のように書いております。  日本政府は、サマーワ周辺の地域部族に対して、日本の軍隊の安全を確保するため総額百億円を支払ったという、極めて重要なニュースが流れている。日本政府は、これを日本の兵士が撃たれないことを保証するための、単純な賄賂とだけは見ておらず、イラク石油利権への日本の主張を生き返らせることに向けての第一のステップとしての投資だと見ていると、こう情報を流しているわけです。  この情報は、さっきも言いましたように、企業、政府、個人向けの情報として提供されているわけでして、日本の一つの週刊誌での報道よりもはるかに大きい国際的な影響も持つと思います。どのようにこの報道についてお考えになるか、お答え願います。
  163. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いろんな報道というのはあるもんだなというのは今感じているんですけれども、そういう報道はお信じにならないようにしていただきたいと思います。
  164. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私が信じない、信じるというだけで済む問題ならいいんですけれども、国際的に情報として提供されているわけですね。  それで、私は、こういう報道が流されるということは、この週刊誌の方では、予算では取れないので官房機密費、外務省機密費等から出たということも書いていますけれども、出所は別としまして、日本外交というのは戦前はこういうことをやったんですね。戦前の外交は、もう外交といったら買収が付き物で、私、前にどっかの委員会で言ったことがありますけれども外交文書をひっくり返して読んでみると、だれそれを買収せよ、金を幾ら送る、金は使って買収成功したというふうなやり取りが一杯外交文書には載っている。世界じゅうどこもやるのか、日本だけが特にそういうことがたけていたのか知りません。ですから、外国から、もし事実だとすると、外国から後日暴露されることもあるわけですね。ですから、きちっとしてもらいたいと思って私は言ったわけです。  例えば、一九〇五年、韓国保護条約締結のために伊藤博文行ったときに、当時の金で三百万円持ってソウルに乗り込んだと当時の韓国側の文献で出ております。当時の三百万円というのは、日銀の換算方法で教えてもらったところによると二千八百十倍ぐらいに、八十四億三千万円になるそうです。八十四億円を持って買収しながら乗り込んだと。当時の韓国の本では、にわか成金が生まれたというのを名前まで挙げて書いておりますね。それは保護条約の調印者の名前まで挙げてそういうのが現れたと。こういうことは、事実があった場合には必ず後日出てくる。そして、一般的に買収は公文書でも残っていたわけですね。  私は、戦後こういうことがあってはならないと思っていたけれども日本の新聞に防衛族幹部の談話まで引用しながら出てくる、しかも似たような情報が外国の情報研究所から提供されているということになると、官房長官、信じないでくださいということだけで済まないわけなんですね。だから、もう一度答弁願います。
  165. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 先生、昔の話を例を挙げてなされましたけれども、戦後、特に最近のことを申し上げれば、私はそういうようなことが行われるような体制ではなくなってしまっているというか、その方がいいんですよ、もちろん、その方が。そういう体制になっておりますので、そういう御懸念は一切なさらぬでよろしいというふうに思います。  それで、今報道のことを引用されましたけれども、私はこの場でそういうことはないということを申し上げます。
  166. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 リンカーンの言葉で、少数の者を長期にだますこともできる、多数の者を短期間だますこともできる、多数の者を長期間だますことはできないという言葉があって、私は大変好きな言葉なんですけれどもね。だから、事実があれば必ず明らかになるわけで、私は、このようなことが報道された問題が日本の国際信用に影響を与えないように、再度いろいろな御研究なりをお願いして、次に進みます。私は、証拠があって言っておるわけじゃなくて、日本の国際信用にかかわるから申し上げたわけでございます。  私、いずれたくさん質問したい問題がありますけれども、今日は、これまで余り論議されてこなかった裁判権の問題、日本派遣された自衛隊員の地位に関する問題を中心にして質問をしていきたいと思います。  派遣される自衛隊員というのは、受入れ国側から見れば外国軍隊になるわけですね。派遣される自衛隊員は外国軍隊として見られることになるわけです。これまでの論議で、その自衛隊員が攻撃をされて危険にさらされる心配はないかということが論議されてきました。私は、同時に、日本自衛隊の海外への駐留というのは短期に終わりそうにない、長期になることが予想され、マスコミでは十年説まで報道されているわけですね。  そうすると、避けたいことではあるが、避け難くいろいろな事故とかいろいろな犯罪というものも起こり得る。その場合に裁判権はどうなるのかという問題、私はテーマにしたいと思います。  その前に私は、まず事実関係として、カンボジアに派遣された自衛隊員による事故、犯罪というのはどういう実情だったか、どう処理されたかということも含めて報告お願いします。
  167. 小林誠一

    政府参考人小林誠一君) お答えいたします。  国連カンボジア暫定機構、UNTACに派遣されました自衛隊員が交通事故を起こし、これは被害者の方が死亡した事件は、三名の方が亡くなり、事故件数といたしましては三件でございます。  これらの事故につきましては、事故を起こしました隊員からの事情聴取を基に、事故を起こした原因、責任の程度等の事実認定を行い、さらにUNTACの事故調査委員会の調査結果をも参考といたしまして、当該事実関係に基づいて関係者の処分を行ったところでございます。  当該事故の概要及び当該事故に関係した隊員に対します個別の処分について申し上げますと、第一次カンボジア派遣施設大隊の隊員が運転していた特大型トラックが道路に飛び出してこられた現地の男性運転されるバイクと衝突し同男性が死亡した交通事故に関しまして、当該隊員を注意処分としております。  また、第一次カンボジア派遣施設大隊の隊員が運転しておりました四輪駆動ワゴン車が現地女性運転の自転車と衝突いたしまして同女性が死亡した交通事故に関しまして、当該隊員を減給一月十五分の一にしております。  また、三件目でございますけれども、第二次カンボジア派遣施設大隊の隊員が運転しておりました特大型トラックが対向車線をはみ出して現地の方の運転の大型トラックと衝突いたしまして一名が亡くなり数名が負傷しました交通事故につきまして、当該隊員を減給一月五分の一にそれぞれしたところでございます。  以上でございます。
  168. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、その事故に対する今の処置が非常に公正なものだったか、若干問題が残っているか、それは私分かりません。分かりませんけれども、私はそういう場合に若干心配が残るのは、被害者の家族等がこの処理、つまり三人の死亡事件が出ているのに対して注意と減俸だけということで終わっていることに不満あるいは何らかの感情を持たれないかどうかという若干の心配がいたします。しかし、これは心配程度でございます。  私がここでいろいろ問題に取り上げたいのは、我が国は戦後、米軍の占領によって数多くの事故、犯罪によって大きな被害を受けた国であります。そしてまた、その裁判をめぐっていろいろな屈辱を体験してきた国であります。日本自衛隊員が海外で事故を起こしたとき、もちろんその自衛隊員が不当な処分を受けるようなことはなく、公正で公平な処分を受けるべき、あるいは刑事罰があればそういうものも受けるべきであると思いますし、しかし同時に、我々は戦後の体験からして、相手国に対して我々日本が戦後米軍犯罪で味わったような苦痛あるいは屈辱を与えるようなことがないようにしなければならないというのが、私が今日これを、この問題を取り上げる理由でございます。  戦後、米軍犯罪どれぐらいあったのか、ちょっと凶悪犯の項目含めてちょっと件数を報告してください。
  169. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) お答えを申し上げます。  全国におきます米軍人による刑法犯の検挙状況でございますけれども、今、吉岡先生、戦後とおっしゃいましたけれども、統計といたしましては沖縄復帰後の昭和四十八年からの数字しかございませんので、これで御紹介をさせていただきたいと思いますけれども、昭和四十八年から平成十五年までの延べでございますけれども、刑法犯、総数で件数が六千八百三十八、人員が六千五百十三、今凶悪犯というお話がございましたけれども、凶悪犯、これは殺人、強盗、放火、強姦でございますけれども、凶悪犯が件数が六百七十九、人員が八百七十三でございます。あと内訳も……
  170. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 いや、結構です。
  171. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) よろしいですか。
  172. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今報告がありましたように、昭和四十八年以降でも六千数百件の米軍の犯罪事件が起こっており、それから強盗、強姦等々の凶悪犯も多数起きていることが明らかにされました。  私は、その事件自体が日本国民にとって大変なものですけれども、裁判権をめぐって受けた屈辱、これが他国にまたそれを及ぼすようなことがない、日本が今度は相手に屈辱を与えるようなことになってはならないと思いますが、この点についてどうお考えになるか、福田官房長官、お答え願いましょうか。いや、外務大臣でもどなたでも結構ですよ。
  173. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、イラク復興支援活動に当たって、イラク派遣をされる自衛隊員が規律をきっちり守って事件や事故を起こさないようにする、これが非常に重要であると私は思います。  それで、仮に万が一、派遣をされました自衛隊員によって事故、事件が起こされた場合に、これは個別具体的なケースに即して事実関係を調査をして、その上で対応するということになるわけですけれどもイラクについてはCPA命令十七号によりまして、そしてクウェートについては政府間の交換公文によって、自衛隊員はイラク及びクウェートの裁判、刑事裁判管轄権からそれぞれ免除をされることになっているわけです。  いずれにいたしましても、事件、事故の発生していない現時点において具体的なことを申し上げるということは困難ですけれども、これは個別のケースにおける対応をするにつきましては、相手国の国民の感情あるいは日本とその国の関係、いろいろなことを適切に配慮をしていくということは大事なことだと思っています。
  174. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今報告がありましたイラク、クウェートにおける捜査権、裁判権がどうなるかという問題は、ちょっと具体的にそれぞれお伺いしていきますけれども、捜査権とか裁判権というのは、やはり国の主権の非常に重要な部分だと私は思います。軍隊が来ることによって、その主権の重要な要素である捜査権とか裁判権を免除にするという事態が起こること自体がこれは好ましいことではない。  だから私は、一般論として言えば、外国軍隊が他国に駐留するようなことのない世界が必要だと思いますし、また私は、自衛隊派遣することに賛成し、それを前提としてこの問題を取り上げてはいるわけではないということ、以下述べるようなことからも、やはり反対だなという感じを強くせざるを得ないということを前提としての質問だということも最初に述べておきたいと思います。  まず、イラクでは派遣される自衛隊員の地位というのはどうなのか。特に捜査権、裁判権、これ今外務大臣述べられましたけれども、もうちょっと詳しくその捜査権、それから裁判権、それからあるいは逮捕、拘束、これがどうなるのかという点、説明してください。
  175. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  今般のイラク特措法に基づきまして、イラクあるいはクウェート等に派遣されます自衛隊員の特権免除につきましては、今委員指摘のとおり、それぞれの枠組みでもってこれを担保するということを行ってきているわけでございます。それで、イラクにつきましては、先ほど外務大臣よりお答えしましたように、CPAが出しております指令に基づきまして、我が国自衛隊についても刑事裁判権からの免除というものが規定をされておるところでございます。
  176. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 いや、私は、それはもう大臣で分かりましたから、その捜査はどう、捜査権、逮捕、拘留、身柄拘束等々の具体的なことを。
  177. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) ただいまの、いわゆる逮捕等からの免除についても、これは同様の規定によって担保されておりますので、免除をされているということでございます。
  178. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 CPA命令十七号によりますと、私は、大きく言って三つのことが述べられていて、私は、その関係ちょっと分かりにくいのでこれは教えていただきたいんですが、二条の二項、二条二項ですか、ここではイラク及びCPAの規則、命令、覚書、通達を尊重しなければならない、守らなければならないとも訳せなくはないんですけれども、それからイラク法、それからCPAの法律、それから二番目に、これは二条四項で派遣国の法律のみに従い云々と書かれている。そして、二条の五項では、今度は派遣国の、派遣国において刑罰のないイラクにおける違反行為については、CPAがイラク法による行為の処罰にゆだねるように要請すると、こういうふうになっているんで、その関係はどういうことなのか、ちょっと分かりにくいのでまず解釈として教えてください。
  179. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  今御指摘のセクション2のそれぞれの項目でございますが、まず冒頭部分で2の2でございますけれども、失礼、セクション2の(2)でございますが、シャル・リスペクト・イラキ・ローズというふうにございまして、これは当然にただいまから委員指摘のとおり、外国の下に言わば外国の軍隊が入っているという状況におきます仕切りを決めているわけでございますけれども、そもそもの考え方としまして、そこの地域において適用されている法律、今回の場合にはイラクの法律に相当いたしますが、それについてはすべてのものはこれを尊重しなくてはいけないということでございます。すなわち、例えば日本の国内である場合には日本の法律というものをそれを尊重しなくちゃいけないという、言わば当然のことが書いてあるということでございます。  次の四項がただいま私の方から御説明をさせていただきました、では具体的に逮捕、取締り等々も含めて裁判権からはどこに従うのかということを規定している部分でございまして、それはそれぞれの派遣国にあるということが書いてあるわけでございます。  で、三番目の最後の5というのは、いわゆる派遣国とそれからイラクの法律の間にすき間が理論的にはあり得るわけでございますが、そのすき間の部分についてはこのような考え方でもって整理をしなさいという、言わば理論的な可能性についてこれを対応を書いたものというふうに理解をいたしております。
  180. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうだとすると、こういうふうに取って構いませんか。つまり、犯罪等を起こした場合に、その問題についての捜査権あるいは裁判権、逮捕、拘禁等に関して言えば、それは専ら日本の法律、日本の国の権限においてやると、こういうことになると取っていいでしょうか。
  181. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 御指摘のとおりでございます。
  182. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、今の取決めというのは、今の地位協定の前の行政協定の最初の米軍に与えた特権と大体同じことになりますね。民事であれ刑事であれ、すべてを日本の権限の中に取り込んで、したがって日本の隊員が犯罪を起こしても逮捕されることも拘禁されることもないと、こういうことになるわけですね。
  183. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 基本的な御趣旨はそのとおりだと思います。  ただ、日米のいわゆる行政協定との絡みについては、ただいま私の方から詳細についてお答えする立場にはないと思います。
  184. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 分かりました。  いずれにせよ、私は、そういうことになると、これはイラク国民から見れば、日本自衛隊員がやってきて、何をやっても一切手が出せないという状態について、それをどういう感情で見るかという問題が残るではないかと思います。  クウェートについてはどうなりますか。これももうちょっと詳しく中身を報告してください。
  185. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  クウェートにつきましては、今般、クウェートと我が国の間で取決めを結ばさしていただきまして、基本的にはウィーン条約にございます外交の、技術職員、事務職員と同等程度の特権・免除というものを享受するという取決めについて合意に至ったところでございます。
  186. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 その結果、どうなるんですか。刑事裁判権、行政裁判権、公務中の事件についての民事裁判権、これらがどうなる、それから公務外の民事裁判権、こう分けてそれぞれ。
  187. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  刑事につきましては、これは免除をされております。民事等々につきましては、これは公務か公務でないかという仕分になっておりまして、公務中につきましては日本の裁判権、それから公務外につきましては、この場合にはクウェートということになりますが、裁判権に従うというのが大きな仕切りでございます。
  188. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 クウェートの場合は、イラクは公務外の民事裁判権も免除にさせていたのと違いがありますけれども、これは大きく言えば今の日米地位協定に近いもの、私は正確に言えば近くない点があると思いますけれども、それに近いものだと思います。  そうすると、大体、自衛隊員がクウェートあるいはイラクでいろいろな、避けたいものではあるが事故とか犯罪を起こしたときに、大体在日米軍が日本で取扱い受けたと同じ形になるだろうと思います。  私は、日本から派遣した自衛隊員だから罪が軽くなればなるほどいいというわけにはいかない問題があると思います。それは国際関係ですから、やはり日本が他国の主権を侵害する、こういうことになってはならないと思います。  不幸にして自衛隊により次のような事故や犯罪が起きた場合、捜査権、裁判権はどこに属するか、容疑者は身柄を拘束されることになるのか拘束されないままになるのかを三つのケースで答えてもらいたいと思います。  一つは、航空機の墜落事故によって民家が焼けてしまうとか、あるいは死傷者が出た場合、こういうケースです。これは日本でもありました。米軍はパラシュートで脱出したけれども、飛行機の墜落によって民家が焼却され、お母さんと子供二人がやけどを負って亡くなったという痛ましい事件がありました。こういう場合の捜査権、裁判権、それから事故を起こした人の、軍人の身柄の拘束の問題です。  二番目には、公務中の隊員が公務だとは言えない殺傷事件を、殺害事件を起こした場合です。これは、具体的に言えば、ジェラード事件のような場合ですね。これは演習場での出来事ですから公務中ではあるけれども、公務中だからといって人を殺していいということにはならない事件ですが、この場合に、こういう場合が、仮に不幸起きた場合、クウェートとかあるいはイラクではどういうふうな捜査、裁判になるのか。  それからその次は、公務外ですね、公務外の婦女暴行事件。これはまあ公務としての婦女暴行事件なんかないから、これはもう公務外には決まっているわけですが、これは沖縄で九五年の三米兵による少女暴行事件等々、たくさんこの種の事件は日本国内でも起こっている問題です。  こういう事件を、遺憾ではあるが、もし生じた場合には、この捜査権、裁判権、身柄はどういうふうに扱われるか、それ、三つについて説明してください、クウェートとイラクでですよ。
  189. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  今委員から具体的に御指摘のございました三つのケースでございますが、それについてお答えする前に、もう一度、イラク及びクウェートにおける裁判権の仕切りについて御説明をいたしたいと思います。  先ほど御説明いたしましたように、イラクの場合にあっても、クウェートの場合でありましても、いずれにおきましても、自衛隊員が、公務遂行中であるかどうかを問わず、刑事裁判権からは免除されているというのがまず基本でございます。すなわち、先ほど御指摘のございましたようないろいろな事犯と、事例というものが生じました場合には、基本的に我が国の刑事裁判権に服するということでございます。  したがいまして、ただいま御例示のございましたいずれのケースにつきましても、刑事裁判権という点に着目をいたすれば、いかなる場合も、イラクないしはクウェートの裁判権に従うことはないということでございます。
  190. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 公務外の、公務外のも。特に、身柄。
  191. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) これは、公務か公務外か問わないところでございます。
  192. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 要するに、沖縄で起きた婦女暴行事件のような事件の場合の裁判権、捜査権、それから身柄がどうなるかという点です、私がお伺いしているのは。
  193. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) いわゆる刑事裁判権は基本的に日本側の裁判権に従うということでございまして、それは公務遂行中かいかんかを問わないということでございます。
  194. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、大体自衛隊員は、海外で不幸、事件、事故、犯罪が起きたとしても、まず派遣先の国によって裁かれる、あるいは捜査されるということはないということです。  私は、今、防衛庁長官にも外務大臣にも官房長官にも考えてもらいたいんですけれども、私が挙げた三つの事件を想定して、今言いましたね。  その第一の問題は、あれは一九七七年だったかな、正確に覚えておりません、横浜市緑区で米軍機が墜落して、お母さんと子供二人がやけどして、とうとう亡くなったという事件です。当時、日本じゅうを騒がせた大事件です。この事件は、日本は捜査も事故調査も行いませんでした。そして、日本じゅうの怒りが広がった事件です。  それから、もう古い人は知らないかも、若い人は知らないでしょうけれども、僕ら、ジェラード事件といったら日本における米軍犯罪の最もひどい例だとして記憶に新しい。一九五七年、群馬県相馬ケ原の米軍演習場で薬きょう拾いに来た農婦を呼び寄せてそして撃ち殺したと、こういう事件であります。これも日本じゅうが怒りに沸き返った事件です。  それから、三番目に挙げた婦女暴行事件、一九九五年、沖縄の大きい怒りに広がったあの少女暴行事件ですね。大田先生おられるから、私らよりよく御存じの事件ですね。そのときに、怒りの問題は、その事件、被害そのものもありますけれども、しかし、日本人が本当にそのときに怒りに燃えた問題のもう一つは、やっぱり捜査権、裁判権、あるいは身柄を引き渡さないと、こういう問題でした。  私は、自衛隊員を厳しくやればいいということではありませんけれども、しかし、日本が国じゅう挙げて怒りに燃え、そしてこういうことがないようにということの運動が戦後続いているわけです。捜査権、裁判権、そして地位協定を改定せよ、根本的には米軍基地をなくせという要求になっているわけですね。それが今度は日本がそういうことを、相手に求める側になっちゃった。これでいいのか。その答えは、私は、なかなか難しいかもしれません。どういうのが最もふさわしい在り方かということはなかなか難しいかもしれませんけれども、しかし、戦後我々が味わった苦痛と屈辱、他国に与えていいんでしょうか。防衛庁長官、あなたの指揮にかかわる問題です。
  195. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほど先生が飛行機の墜落事故あるいはジェラード事件等々いろいろ例示なさいました。国外犯の規定というものは、何度か御説明を申し上げましたが、例えば殺人のような場合に、これはもう国外犯規定にそのまま掛かるわけでございます。これは日本国内においてしかるべく処罰されるということに相なるわけでございます。  もちろん、私も全部の事件を存じ上げておるわけではございません。しかし、現地において自衛官が、イスラム教のお話もいたしました、イスラム文明を尊重しなければいけないというお話もいたしました。参ります隊員は、間違ってもそのようなことが起きないように、現場において現地の宗教にも習慣にも民族自体に対しても尊敬の念を持って接するということは徹底をいたしてございます。したがいまして、そのような事件は起きないというふうに私は考えておりますが、もし起きました場合、不幸にして起きました場合には、国外犯規定がございますものはそのような取扱いになるわけでございます。  万が一、対応措置を実施する隊員がイラク又はクウェートにおいて国外犯規定がございます刑事犯罪を犯した疑いがあります場合には、現地派遣をしております警務官が刑事訴訟法の、刑事訴訟法等の日本の法令に基づき必要な捜査を行い、検察官に事件を送致するということになるわけでございます。何をやったって構わぬというようなことは全くございません。そして、そのようなことが起こらないようにというふうに厳正に規律は保つということにしております。それは、そのようなものでなければ派遣はいたしません。仮に国外犯規定に該当するような場合には、今申し述べたような措置を取ることになります。
  196. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そこで、お伺いしたかったのは、それじゃ日本でどういうふうに裁くことになるかという問題です。今長官もおっしゃいました、この国外犯規定のあるものについてはということです。  国外犯規定のないものは処分のしようがないわけです。ですから、例えば、現地の法律に従えば犯罪を構成するものであっても、日本国内で行えば日本国内の法律によって裁かれる、そういう事件であっても、たまたま外国で起こった事件が日本の法律の国外犯規定になければ起訴もできない。これはまあ法治主義にのっとれば当然のことだと思います。そういうことなんです。  そこで、日本の法律、これは自衛隊が海外に出掛けることなどは想定していない法律であります。戦後、日本国憲法の下で、また自衛隊法の趣旨によっても、自衛隊を海外に派遣することはないと言い切った長い時代が続いてきたわけですから、日本の刑法にもその日本自衛隊が海外でいろいろな犯罪を起こす可能性を想定した国外犯規定というものは実際には私はほとんどないと思います。  そこで、具体的に、例えばこういう場合の国外犯規定はあるのか、どうなるのか、含めて一、二お伺いします。  部隊行動基準の適用を誤った武器使用によって人を殺傷した場合、航空機事故で人を殺傷した場合に適用される国外犯規定はありますか。
  197. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ちょっと設定が、ちょっと具体的によくイメージできなくてごめんなさい。前者のお話は過って人を殺傷してということであって、過ってということであればこれは過失ということになりますから、当然ないということに相なります。それは、今の委員質問にストレートにお答えをして、過ってということをそのまま過失というふうに申し上げるとするならば、これは国外犯規定ということには相なりません。  それから、飛行機をおっことしたときにというお話でございますが、これも、そういうような罪名、私、ごめんなさい、正確な罪名今記憶をいたしておりませんが、これも、故意に飛行機を墜落させたというような場合でない限りにおきましてはこれもそのような適用はないものと解しております。
  198. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そのとおりだと思います。  ですから、これで明らかになることは、派遣国でも裁く権利はないと。しかし、それじゃ、それは日本のみがその裁判権は持っているといっても、その日本の裁判は国外犯規定がないために、飛行機が墜落して人を殺傷してもこれ裁判にもならないわけですよね。ですから、これ過失ですよ、わざと墜落して死のうという者はないでしょうからね。だから、私はそう思いますよ。そういうことになっていると、これは故意にやったことではないにしろ、人を殺傷しても処罰されないという問題になるわけですね。  もう一つお伺いします。  刑法では国外犯規定においていろいろのものを決めているわけですが、親告罪の場合には、これは例えば強姦罪なんというのは親告罪になっているわけですね。そうすると、これ、在日米軍の犯罪では物すごくたくさんあるわけですよね。それが殺人ともつながる事件としてあるわけです。私、日本自衛隊員諸君、このようなことを一件もない記録を作ってもらいたい。と言うと、派遣を認めたようなことになりますけれども、そういう意味で言うわけではありません。そういう意味で言うわけではないんですが、そういうこともしかし法理論の問題としては考えておかなくちゃいけない。  そうすると、これも結局どうなりますか。これは取り上げようがないと、告発されない限り、個人による。
  199. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 御指摘のとおりになると思います。
  200. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 もう一つ別の問題です。  個人が損害賠償を要求する訴訟を日本国内に向けて行った場合には、これは日本は受け入れますか。
  201. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは相互保証の問題とも絡むお話かと存じますが、そういうものを、つまり現地におきまして日本の行為によりまして、それが公務か公務でないか別にいたしまして、これはまた国賠法の議論はまた別でございますが、損害を被った場合に被害者が日本において訴訟提起をするというのはあり得ることだと思います、あり得る。
  202. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それじゃ、それはそういうふうにお認めになったということを確認しておきます。  いずれにせよ、今一連の答弁でも明らかになりましたように、日本自衛隊が海外で事故、犯罪を仮に起こしても刑事罰は問われないです。相手国で問われないだけでなく、日本国内でも問われない場合が非常に多くあると。だから、日本で厳正な裁判をやれば相手国に免除させてもそれは世界に通るという理屈も成り立たない法的な状態だと私は思います、国外犯規定整備されていない状況ではですね。  私は、それで構わない、今のCPA十七号だから構わない、あるいはクウェートとも合意ができたから構わないと、研究に値する問題もないとお考えになるかどうかお伺いします。
  203. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはあるいは外務省からお答えいただくのが適切なのかもしれませんが、一つは、先生先ほど来御指摘は、私も随分議論をしておるところではございますが、国外犯というものをそもそもどのように考えるかということにもなろうと思います。  我が国の国内の刑法におきましても、基本的に過失というのは罰しないのだという世界でございます。もちろん罰するものもございますが、基本的に過失はこれを罰しないというような構成に日本国の刑法体系はなっておるはずでございます。それと国外犯というものをどのように考えるべきかということが一点。  それからもう一つは、じゃ、何をしてもいいのかねということでございますが、これは先生もよく御案内のとおり、自衛隊法第四十六条というものがございます。例えば、隊員たるにふさわしくない行為のあった場合ですとか、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合でありますとか、その他この法律若しくは、この法律というのは自衛隊法のことでございますが、若しくは自衛隊員倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反をした場合には懲戒処分を行うことといたしております。すなわち免職、降任、停職、減給又は戒告の処分をするということになっております。  やはり私ども、先ほど申し上げましたように、現地において本当に現地の人権を重んじ、そしてまた宗教に敬意を払い、民族に敬意を払いということは徹底いたしておりますが、仮にそういうことに反するようなことがありました場合には、私どもは私どもとして自衛隊法第四十六条というものを持っております。厳正に事に臨むのは当然のことでございます。
  204. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それは行政罰ですよね。  もう一つお伺いしておきたいのは、カタールとは地位協定交渉がまとまらなかったという報道がございます。これはどうなっているんですか。
  205. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 現在、政府の方で考えておりますイラク特措法に基づきます自衛隊派遣という中におきまして、カタールあるいはそれ以外等々を含めまして、今のクウェート以外のところの国とそのようないわゆる地位協定を結ぶような必要性があるというふうには考えておりません。
  206. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 必要性があるとは考えていないということじゃなくて、私、外務省に聞きましたよ、交渉まとまっていないと。まだ交渉中だから、どういうわけで駄目になったかということも理由も言えないというふうに説明聞きましたからね。局長、今の話はないよね。  まあそれで時間つぶすことはやめましょう。いずれにせよ、私らが聞いたところでも報道でも、カタールとはクウェートのようなわけにいかなかったということだと。まあ人数も少ないからという問題もあるかもしれませんけれどもね。  いずれにせよ、私は結論として、やはり今のやり取りで明らかになったことは、これは戦後、日本国民が、沖縄の場合には全県挙げて運動してきた、やっぱりこの地位協定を改め、こういう事件が起きないようにせよというのみならず、具体的には捜査権、裁判権、逮捕、拘束、その権利を日本人に与えよという、日本に与えよという運動をやってきていたその日本が、それと全く同じものを他国に求めてきたと、私どもが今度は裁判権をよこせという運動の対象になりかねない取決めを結んだということだと思います。私が最初に言いましたように、日本人が味わった苦痛、屈辱は他国に与えてはならないといったのが、そのとおりの形になっているということを私は重大な事件と考えざるを得ません。  これ、こうなると、今沖縄で広がっている地位協定を変えろという運動だって、アメリカに向かってはそれを言うと、相手に向かって、こっちに向かってはそういう権利を獲得したままといったら、これは世界から見て、日本は何考えているかということになって、今の米軍犯罪による日本人の権利を守る運動自身にも私は影響を及ぼす事件だと思います。  そういうことがなぜ起こるか。つまり、日本も外国に軍隊を駐留させることによって、その外国軍隊の地位になって、そういう問題が起こると。だから、私はこれは、最初に言いました一般的に世界じゅうどこでも外国軍隊のいない世界が早く必要であるし、同時に、日本自衛隊を、今国内の、この国内世論を二分した状況の下で派兵する、派遣するということを取りやめるべきだと私は思います。  私、さっき、ペリー来航百五十年という話があったので、つい思い出しました。百五十年前に日本は治外法権を求められ、明治政府の最大の課題は治外法権をなくす条約改正運動でした。そのとき日本は、アジアに向かっては治外法権を要求した。朝鮮に押し付けた日朝の条約、江華島条約とも言われる、和親条約ともいう、この条約もそういうものでした。  私、夕べ、トルコ議連の会合に出ました。日本とトルコとの関係を私ちょっと調べたことがあります。  そうしましたら、明治八年から日本とトルコとの外交関係を作ろうという交渉が始まった。それは、ずっとやっていて四十九年後にやっとまとまった。なぜかといったら、トルコに対しても日本は治外法権を求めた。トルコの外交文書の中には、びっくりしたと、日本もトルコもともに西欧から治外法権を求められて苦しみ、条約改正運動を行っている国であった、その日本がトルコに治外法権を求めてきたと、びっくりしたという文書が残っております、トルコの外交文書に。  昔も、日本が受けた被害をほかの国には押し付けることをやった。だから今度は、この裁判権の問題だけはこういうものにならないように、ならないようにするためには、結論的には自衛隊派遣をやめることしかないかもしれませんけれども、私は他国から味わった苦痛をほかの国に押し付ける国になりたくない。  そういうことを最後、官房長官、私が言っていること、なっちゃいないかどうか、どうお考えになるか、御答弁求めます。
  207. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 先生のおっしゃることはもっともなことございますので、よくその辺は頭に入れて、今後適切なる対処してまいりたいというように思っております。
  208. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 じゃ、終わります。それで、こちらに移ります。
  209. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。引き続き御質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、私は自衛隊イラクで行います安全確保支援活動についてお尋ねしたいと思います。  小泉総理は、自民党の小泉総理は、戦争に行くんじゃないんだと、人道復興支援だと繰り返し言っておられます。石破防衛庁長官も、治安維持を後方で支援する仕事をする、つまり安全確保支援活動をやるというふうに述べられております。  今度、今承認案件として出されているこの承認案件というのを見ますと、この中身というのはわずか四行しか書いてないんですね。四行の承認案件なんです。その中身の中で、後ろを見ますと別表というのが書いてあります。この中で、「人道復興支援活動」と「安全確保支援活動」と、こう書かれておりますが、それじゃお尋ねいたしますけれども安全確保支援活動として自衛隊実施できる活動をするその国というのは、この承認案件によりますと何カ国の国で自衛隊はこの安全確保支援活動を行うことができるんですか。外務大臣でも防衛庁長官でも結構ですので、お答え願いたいと思います。
  210. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 国会の承認の対象としておりますのは、先生、四行とおっしゃいましたが、そこの項目を、そこの事項を御承認いただきたいということで出しておりますのはそのとおりでございます。  国につきましては、安全確保支援活動も、人道復興支援活動実施します国と同様、具体的にはイラク、クウェート、我が国の領域からイラク及びクウェートに至る地域に所在する経由地、人員の乗降地等となる国と、これらの国の間の移動に際して通過する国、イラク、クウェートを除いたイラク国境を接する国とペルシャ湾の沿岸国、さらにこれらの国の相互間や、これらの国とイラク、クウェートとの間の移動と連絡に際して通過する国としております。  じゃ、一体何か国になるんだねと、こういうお尋ねでございますが、我が国からイラク、クウェートに至るまでに経由地、人員の乗降地をどれだけ取るか、移動等をいかなる経路とするかなどによってこれは変わりますので、何かこうはぐらかしたようなお答えになってお怒りを買うのかもしれませんが、これはもうどこを経由するかで変わりますので、どこでその積卸しをするかでも変わりますので、これは確定的に理論的に何か国でございますということを申し上げることができないというわけでございます。  なお、御参考までに申し上げますと、イラク国境を接する国というのは五か国でございます、クウェートを除きますが。そしてペルシャ湾の沿岸国、イラク、クウェートは除きますけれども、これは六か国でございます。
  211. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、法理論上は全世界の国で活動できると、法理論上ですよ、そういうことになりますね。
  212. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 法理論上というのが正しいのか解釈上というのが正しいのか言葉に迷うところでございますが、しかしながら、しかしながら、じゃこれによって世界じゅうどこでもよろしいのかということには、それは当然ならないわけでございます。ならないというか、そこへ行くということは考えられないということでございます。
  213. 小泉親司

    小泉親司君 私がお怒りする前にちゃんと答えていただきたいんですが。  私がお聞きしているのは、法理論上は全世界の国々で活動できることになりますねと。今防衛庁長官が言っておられること、私推測して物申しているので、あなたは特定できないとおっしゃったから。特定できないということは、例えばフィリピン、日本からフィリピン、インド、イラクと行けば、これはそういう国々であると。逆回りをすれば、これは法理論上、おっしゃることは分かりますよ、しかし逆回りをすれば、例えばイギリス、フランス、中東という線も考えられるわけですから、その意味では法理論上は全世界になりますねと。そのことを単純にお聞きしているんですよ。
  214. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは先生、法理論上という言葉がいいのか解釈上というのがいいのか、理屈の上からいえばそうなるということで、それが、裏読みすればそういう言い方だってできるだろうと言われればそういうことになりましょう。ただ、それじゃぐるっと逆を回って、逆を回って、あるいはもうどこを行こうが何しようがそれは恣意的にできるのだ、けしからぬというお怒りを買うとすれば、そのようなことはあり得ないということでございます。
  215. 小泉親司

    小泉親司君 私は怒っておりませんのでね、どうだと聞いておる、聞いているだけの話でございますから。  じゃそこでお尋ねしますが、じゃ、例えば日本からフィリピンに行く、フィリピンからインドに行く、インドでもいいですし、大変軍事にお詳しい防衛庁長官防衛庁長官が軍事に詳しくないと困るんだけれども、ディエゴガルシアに行く、ディエゴガルシアからインド、インド洋を渡って中東に行くと。例えばこういうルートを取ろうとすると、例えばフィリピンでやる安全確保支援活動というのは何なんですか、ディエゴガルシアでやる安全確保支援活動というのは何なんですか。
  216. 石破茂

    国務大臣石破茂君) フィリピン若しくはディエゴガルシアにおきまして安全確保活動を行うことは想定をいたしておりません。
  217. 小泉親司

    小泉親司君 想定していないのに、何でじゃ安全確保支援活動ができるというふうになっているんですか、承認案件の中で。おかしいじゃないですか。
  218. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いや、それは、フィリピンやディエゴガルシアで安全確保活動をやるから書いたのだろうということにはならないわけでありまして、それは、これを実施をします地域を、実施区域を定めましたときに、そこへ参りますまでには人、物を積卸しもやるでしょうということであります。ですから、人員の乗降地ということも書きました、そして途中へ寄って補給の必要もございますから経由地ということも書きました。それが、そこででは安全確保支援活動をやるのだ、だから書いたのだということにはならないということを申し上げておるわけでございます。
  219. 小泉親司

    小泉親司君 私は、今質問している中身は、私はこれは、安全確保支援活動なんというのはフィリピンやディエゴガルシアやインドでできるわけがないんじゃないかと思うんですよ。実際にこのイラク特別措置法の第三条定義による安全確保支援活動の中には、確かに人道復興支援活動安全確保支援活動が書かれております。人道復興支援には地域的限定はございません。しかし、安全確保支援活動にはイラク国内で行ういわゆる国連加盟国の安全確保活動に対して支援を行うということが書かれてあるだけで、ほかの国ではできないんですよ。そうでしょう。それなのに、何で承認案件の中ではこれができるというふうな仕組みになっているんですか。
  220. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 安全確保支援活動の対象となる国はイラク国内でございます。  ですから、ちょっと委員のおっしゃることを私は取り違えているのかもしれませんが、私と恐らく認識は変わらないのだろうと思いますけれども、人員の乗降地やあるいは経由地におきまして、安全確保支援活動を行うということはございません。そのようなことはないということを申し上げております。  それが、想定していないと申し上げたのが正確でないとすれば、委員がおっしゃいますように、それはイラクの国内において行うのだということでございます。
  221. 小泉親司

    小泉親司君 ですから、私が言っていることと同じことを言っておられるのは、安全確保支援活動というのはイラク国内でしかできないんですよ。それが何で承認案件の中で書かれているのか。私は非常に、この問題については今後やはりきちんと見解を述べられていただきたいと思います。  それで、次に行きますが、それで今、米軍は、例えば安全確保活動、これ何と言うのかよく分かりませんけれども安全確保支援活動自衛隊活動を言っておられるから、米英占領軍のやっているのは安定及び安全を確保する活動と、回復する活動と言っておられるので、通称、安全確保活動と私申し上げますが、安全確保活動として今やっておられるのは、例えば米英占領軍の言葉でいきますと、砂漠のサソリ作戦とかガラガラヘビ作戦とかアイアンハンマー作戦とか、大変おどろおどろしい作戦をやっておられる。  こういうふうな具体的な作戦をいろいろ見ますと、例えば最近の鉄のハンマー作戦というのは、実はアメリカの民間の安全保障団体がホームページを開設しておりまして、そのホームページの中でそれぞれの作戦をどういうことをやっているかと大変詳しく論述しているんですね。  その中で、例えば鉄のハンマー作戦、アイアンハンマー作戦などについては、空爆を含む本格的な戦闘作戦だということを言っている。実際、これらの軍事作戦の内容について、政府はどういう認識を、この作戦がどういう内容の作戦だという認識を持っておられるんですか。
  222. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ごめんなさい。ちょっと先ほどの私の言い方が悪かったので、訂正というか、もう一度確認をさせていただきます。  この法案におきまして、安全確保支援活動についてでございますが、イラク国、安全確保支援活動とは何なのかということを定義付けまして、イラクの国内における安全及び安定を回復するために貢献することを国際連合加盟国に対して要請する国連安保理決議第千四百八十三号又はこれに関連する政令で定める国際連合の総会若しくは安全保障理事会の決議に基づき、国際連合加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動支援するために我が国実施する措置と、こういうことになっておりますので、法律上そのような定義で位置付けられておる。委員指摘のとおりでございます。  砂漠の、ごめんなさい、ガラガラヘビ作戦であるとかアイアンハンマーであるとか、そういうものをどのように位置付けるかということは、やはりイラク国内におきますテロというものを掃討し、そしてまた治安というものを確保するために行っておる活動というふうに理解をいたしております。
  223. 小泉親司

    小泉親司君 私、本会議でも指摘をしたんですが、この今占領軍がやっている武装勢力の掃討という作戦について、アメリカの人権擁護団体でありますヒューマン・ライツ・ウオッチが報告書を出しておりまして、大変この作戦というのはひどいと。  特に、米軍が、イラク人の家屋少なくとも四軒を軍事的必要性もないのにゲリラ容疑者の家族を制裁するためというだけの理由で破壊したとか、例えば一万人以上の人々を大変不当な理由で不当拘束をしている。こういうふうな実態があり、これは明白な戦争犯罪に関する、戦争、戦時国際法のジュネーブ条約に違反するんだという書簡を一月十二日付けでラムズフェルド・アメリカ国防長官に送ったというような指摘がありますが、政府は、この団体が指摘しているような米英占領軍の軍事作戦の実態をどのように把握しておられるのか。こういう事実、指摘された事実は政府として確認されておられるんですか。外務大臣、いかがでございますか。
  224. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 米英は国連の決議にのっとって占領国として必要な行動を取っているというふうに承知をいたしております。米軍等の行動は、国連憲章それから国際法にのっとっていると考えています。  ヒューマン・ライツ・ウオッチという団体がアメリカにあって、独自の調査を行って米軍等に勧告を行っているということについては承知をいたしています。  いろいろな見方があるのかもしれませんけれども政府としては、この米軍についてはこれは国連の安保理の決議の下で治安確保という困難な仕事に取り組んでいるというふうに考えています。
  225. 小泉親司

    小泉親司君 ちょっと近くへ行った方がいいので、ちょっと移らさせていただきます。  私、今外務大臣言われましたけれども、米英占領軍が国連決議に沿っているかどうかというのはこれはいろいろ議論がありますが、私、沿っていたとしても、この決議の中では、これはジュネーブ条約、戦時国際法は遵守しなけりゃいけないということを明記しているでしょう。それは外務大臣もお認めになるでしょう、外務大臣。だから、そういう戦時国際法違反の事件が、米英占領軍、自衛隊支援を行う安全確保活動の中に、安全確保活動の中に含まれているということになったら、私は重大な問題だと思うんですよ。  その点で今の米英占領軍のこうした軍事作戦、こういう問題について、アメリカ国防省やCPA、そういったところに外務省は確認されておられるんですか。これは、今のちょっと御答弁では、私は、外務大臣は知っておられながら、ちょっとそこはぼやかしているんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  226. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 米国は国際法にのっとって行動をしているというふうに考えております。一つ一つについて米国にそのことを確認をするということは考えておりません。
  227. 小泉親司

    小泉親司君 戦時国際、ジュネーブ条約は遵守しなけりゃいけないということは御確認されるんですか。
  228. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ジュネーブ条約は国際法の一部でございます。
  229. 小泉親司

    小泉親司君 ちょっとそれはひどいですよ、答えてくださいよ、そういうの、そのくらいは。それは外務大臣だってそういう認識なんですか。じゃ、占領軍がやることについてはジュネーブ条約に違反しようが何しようが構わないとおっしゃるんですか。そんな私ひどい理屈はないと思いますよ。それを自衛隊支援されるんですか。ちょっとそれ、はっきりしてくださいよ、それちょっと。駄目です、これは。  ちょっと委員長、速記止めてください。時間もったいない、済みません。委員長、ちょっと速記止めてください。
  230. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど、ジュネーブ条約も国際法の一部であるというふうに申し上げましたけれども、当然に、先ほど申し上げたように、米国はジュネーブ、国際法に従ってやっているわけですから、丁寧に申し上げればジュネーブ条約にものっとって行動をしているということでございます。
  231. 小泉親司

    小泉親司君 いや、のっとっているというのは分かっているんですが、問題は、それがのっとっているかどうかという指摘があるのでそれをきちんと調べるべきだと私は言っているんですよ。それを、アメリカとイギリスがやることは全部国際法に沿っているから何の心配もないんだと、これは私は成り立つ議論じゃないと思います。  そこで、長官にお尋ねしますが、私はこういうふうな国際法に違反した米英占領軍の安全確保活動、こういうものは私は支援すべきじゃないというふうに思いますが、その点、私たちは自衛隊イラク派遣するのは反対で、当然のこととして行くべきではないと思いますが、こういう活動支援することはあってはならないと。どうですか。
  232. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そのようには考えておりません。
  233. 小泉親司

    小泉親司君 私、それはもう本当に米英占領軍のやるような国際法違反にも自衛隊がくみすることになると、この点で私は大変重大な問題じゃないかというふうに思います。  次に私お尋ねしたいのは、先ほど同僚委員からお話がありました宿営地の問題でございます。長官、よろしゅうございますか。
  234. 石破茂

    国務大臣石破茂君) はい、どうぞ。
  235. 小泉親司

    小泉親司君 この宿営地の問題については、先ほど防衛庁長官はいろいろとお話しになりました。  私、ここに一月二十五日付けの現地からの報道を持ってまいりましたが、先ほど同僚委員指摘したように、大変借地料の交渉をめぐってこの宿営地建設問題が大変難航しておると。よろしいですか、防衛庁長官防衛庁は、二十四日に、イラク南部サマワ派遣される陸上自衛隊本隊の宿営地について、借地料をめぐる地権者との交渉が合意に達しなくても建設に着手する方針を固めたと。  今、宿営地の状況を見ると、先ほどもお話がありましたが、地権者は自衛隊が土地を使うことは認めているが、一ドルが一万円に相当するという金銭感覚の中で、年一億八千万円という法外な借地料を要求している、この言い値を受け入れればオランダ軍など他国の宿営地も値上げ要求が突き付けられるおそれもあり、陸自は大幅な値下げを求めている、さらに、フセイン政権崩壊後に土地の所有権が各部族に戻ったばかりで地権者は必ずしも特定しておらず、一部の部族自分たちも地権者だと名乗り出るなど行き違いも生じている、調整は難航しそうなため、政府は地権者や借地料の確定は後回しにして宿営地の建設を優先させることにしたと、こういう報道がありますが、この点、防衛庁長官、どういうふうな現状なんですか。
  236. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほど来お答えをいたしておりますが、これは、きちんと話が付いて、じゃ一年幾らとか、じゃ一月幾らとか、そういうようなお話が完璧にでき上がって現状に至っているということではございません。これは、向こう様が高い値段をおっしゃり、私どもが値切るという行為を今行っておって、それでどうなのだということになりますと、これは微に入り細にわたってここで申し上げることが交渉、交渉といいますか、お話がなされている最中にこうこうこうですよというようなことを申し上げることが適切だとも思っておりません。しかしながら、土地を使うということにつきましては了解を得たということでございますので、現在、宿営地の建設に向けましていろいろな作業に入っておるところでございます。  なお、先ほどの答弁で、イラク安全確保活動をどこで行うのだということですが、海外において行うことは想定されない、イラク国外において行うことは想定されないというふうに申し上げました。しかしながら、それは想定されないのであって、やることを完全に否定をしたというものではないのは条文の読み方、先ほど申し上げたとおりの条文の読み方でございます。ここに書いてあります安全確保支援活動というのは、それはイラクの国内においてしかやってはいけないということを述べたものではない、そういうことで先ほど条文を読ませていただきました。  したがいまして、想定はされないけれども否定をされるというものでも決してないということでございます。
  237. 小泉親司

    小泉親司君 あなた、さっきの話と全然違うじゃないですか。そんなでたらめなことを言っちゃ駄目ですよ。僕は、だからフィリピンでやるのか、何をやるんだと言っているのに、あなた答えないじゃないですか。それなのに、あなた、全然そういう、駄目ですよ、そういうごまかしの答弁に終始していちゃ。それは衆議院のときに大問題になったんだから、そこは私は、誠実にあなた答えなくちゃ駄目ですよ。そんな、さっき僕が質問しているときにあなた、そこで秘書官と二人でその打合せしているんじゃ駄目ですよ、そんなのは、いい加減な審議じゃ、私は。  ところで、今のお話をちょっと詰めますと、実は、私どもが入手いたしましたいわゆる防衛庁外務省がやり取りをした文書、この中で、「宿営地の建設」というのがあるんですね。同じこれは構成ですから、先遣隊と。ですから、文書の構成が同じになっていますから、その中で何て書いてあるかちょっと御紹介しますと、「宿営地の建設「今後の推移によって変更の可能性あり」」。「用地の取得」と書いてあるのが外務省によってだろうと思いますが直されまして「用地の確保」となっているんですね。取得じゃなくて確保と。防衛庁長官が今おっしゃったのとほぼ同じですよ。取得はしていなくても確保したらやっちゃうんだということを言っているんですが、宿営地の候補地の所有者はいずれも自衛隊の使用を快諾、ムサンナー県評議会、サマーワ市評議会は、いずれも自衛隊が同地に宿営して活動することについて次回の会議に付議する予定であり、評議会議長によれば問題なく了承される見込み。「現地の調整状況を要確認」と。「(2)宿営地の建設」。「用地取得後、」と書いてあるのを「用地確保後、」と直してあるんですね。「速やかに宿営地の建設に着手。」、「地元業者を使って整地を実施し、二月末を目途に建設が完了する見込み。」と、こう書いてあるんですね。ということは、これは用地の取得ができなくても確保したらどんどんどんどん建設を進めちゃうということと取れるんですが、そうなんですか。それとも、ここの中で言っておるように、市議会、市評議会、サマーワ市評議会に了解を得ないとこれはできないという仕組みになっているんですか。  これは外務省防衛庁のやり取りの文書ですから、お答えください。
  238. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生、これは何度もお答え、同じお答えをしておりますが、私ども、この文書の存否も確認できる状況にございません。したがいまして、この文書にこうだからという御指摘をいただきましても、私どもとしてはこの文書に基づいてお答えをするということ自体できかねるところでございます。  それを前提におきまして申し上げますと、取得ということが、つまり、取得でなくても、これ仮に例えば借ります、つまりそこを買ってしまいますということは取得になるわけですよね、所有権移転みたいな話でございますが。取得ということは元々余り考えてはおりません。そこから土地を買っちゃうということは、未来永劫使うわけでもございませんし、実際あの地において土地が取得できるかどうかというのは、これまたいろいろと議論のあるところでございます。したがいまして、元々取得ということは考えておりません。  ただ、そこが使うにおいて本当に賃借という言葉も正しいかどうか分かりません。そこを使う権原、ケンバラの方でございますが、権原を取得しなくても宿営地の造成というものには掛かれる。つまり、宿営地は造成してもらっていいよと、ここの土地は使ってもらっていいよということが所有者の方から意思としてお示しをいただくということで現在に至っておるものと私は考えております。
  239. 小泉親司

    小泉親司君 そうするとですね、この、あれですか、用地の確保についてはサマワ市評議会の議決を得なくてもこれやれると、こういうことなんですか。そのこともお尋ね、お答えください。
  240. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この紙はさておきまして、サマワ評議会というものが、別に自衛隊の土地に限らず、何かを、オランダでもそうですしイギリスでもそうかもしれません、何かを行うときにそれが決定権を要する、その議決等々をもって了解を得なければ、そういうような海外の組織が、そういう法的行為というのでしょうか、事実行為も含むのかもしれません、これを行うことは成し得ないというふうには理解をいたしておらないところでございます。
  241. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、今、市評議会は事実上解散状態にあると。ということは、それが議決されないとなかなか宿営地は建設できないと、こういうことになるわけですね。  そこで、私──今そう言っておっしゃっているでしょう。そこで、えっ、否定されたの、どっち。はっきり言ってくださいよ、それ。
  242. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そうではないというふうに申し上げました。近くまで寄っていただいた理由がよく分かりました。ごめんなさい。
  243. 小泉親司

    小泉親司君 先遣隊の報告によると、さっきの同僚委員のお話でも、なかなかいろんな難しい問題が生じていると、これは防衛庁長官もお認めになっているんだろうと思います。ところが、先遣隊報告だと非常に明るい見通しばっかりで、「宿営地の建設 自衛隊宿営地については、地権者等との調整を経て、順調に建設できる見通し。」ということが「まとめ」の中で述べられている。これは何ですか。そういう認識だということなんですか。これちょっと話が全然違うじゃないですか。現実、えっ、今度は先遣隊、あなたの公式な報告ですよ。あなた自身がやっている報告ですから、よく理解してやってください。順調に建設できる見通しなんですか。
  244. 石破茂

    国務大臣石破茂君) さようでございます。
  245. 小泉親司

    小泉親司君 どこが順調なんですか。
  246. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは土地を使いますよということについて、地権者の方々がどうぞ使ってくれという快諾を与えられた。それは幾ら幾らとか、そういうことはまあ、今まとまっていなくても、どうぞ使ってくれよということで今順調に進んでいるということを申し上げておるわけでございます。
  247. 小泉親司

    小泉親司君 しかし、借地権の問題、借地料の問題、これだけもめていると。  特に私、いろんな情報出てきて、例えばオランダ軍が宿営している問題についても、ある報道である人は、このオランダ軍の宿営地の建設について、つまり自分は元々この宿営地について、ちょっと、ほかの国のことですからちょっと正確にいきますと、言わばライフルを突き付けられたような形でやられたんだと。自衛隊派兵、サマワ宿営地賃貸料をめぐって地主がオランダ軍に抗議、地主の名前はフセインさんと。そのフセインさんという人が、八月初旬にオランダ軍司令官と交渉したが合意できなかったと。オランダ軍将校は、十一日のサマワ市裁判所での協議で年間七千ドル、約七十七万円の賃貸料を提示。自動小銃を突き付け、金を受け取って契約に署名しろと迫ったという、という告発もあるんですね。  つまり、こういう問題というのは、もう借地料の問題をめぐっては、さっき同僚委員もいろいろ話をされましたように、私もいろいろな情報を持っていますけれども現実問題として大変難しいこれは問題があると。その点では、私はこんな先遣隊の報告で、単に順調で明るい、もう本当に建設できる見通しであるような現状には私はないというふうに思います。  その意味で、私はこういう点では、こういう宿営地の建設問題でも、私、今度の自衛隊の派兵は大変問題があるということを指摘をさせていただきたいと思います。  次に、時間がないので、武器使用の問題、お尋ねいたします。  武器使用の問題については、私、PKOで海外派兵されるときに、御承知のとおり、これが武力行使に当たらないようにしなければならないと、こういう問題が非常に大きな問題になったことは防衛庁長官もよく御存じのことだというふうに思います。  これは、当時の宮澤総理大臣が言われているのは、例えば九二年六月十一日、PKOの中で、PKOの特別委員会の中で、平和維持活動に従事している者が先方から攻撃を受けましたときにどの程度に武器を使用し得るかということでございますけれども、本来、国連の考え方は排除し得るという考え方がございますけれども我が国の場合には、しかしそれが一歩誤りますと武力行使と疑われる心配がある。したがって、武器の使用というものは自分の正当防衛以外にはなされてならないということをこの法案の中に明記しているんだと。  続いて宮澤さんは、武力の行使にわたりませんようにわざわざ国連の標準コードよりも極めて厳しく武器の使用を認める場合を限っておるわけでございますと、こういうふうにも言っておられる。  さらに、この問題を受けまして、長官の先輩であります宮下防衛庁長官、創平防衛庁長官は、非常に限定的に法律では規定されておりますと。実際に、実際の自衛官が行動するに際しては、いかに身に危険があろうともまず説得するとか、相手を直ちに殺傷するんじゃなくて、威嚇的な射撃をするとか、そういう余裕があれば、そういうことを通じてなるべく相手に被害を与えないでその場が切り抜けられれば一番よろしいわけですから、そういうことを書いてございますと。これは、武器使用を更に抑制的にしようという趣旨にあるものでありますと。まあ言わば、この点が非常に抑制的なんだということを強調されておる。  そこで、防衛庁長官は、武器の使用基準が今度のROE、部隊行動基準に含まれているとこの前答弁されておられますが、このROEというのは、宮澤さんが言っておられる、ないしは一連のこの間の政府の答弁で言っておられるいわゆる武器使用基準、これとは変わるんですか、それとも変わっていないんですか。どういう点が、変わっているとすればどういう点が変わっているんですか。
  248. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 我々が行いますのはPKOではございません。どちらが安全でどちらが危険かと、こう言われますと、やはりピースが訪れておって、それをキーピングするという行為と今回のは違うのだというふうに思っております。  確かに国連SOPと、日本がPKOの際に、当時のことです、それはPKO法、一番最初のときの議論でございますから、そのときとは相当の離隔があったということだろうと思いますし、そこにおける宮澤総理も宮下大臣もそういう認識で御答弁になっておられる。その後PKO法で武器使用に対する権限を改正したのも委員御案内のとおりでございます。  武器使用基準といいますのは、部隊行動基準と申し上げてもよろしいが、それはそれぞれのPKOにおいて、それもまたそれぞれ異なります。そしてまた、各国も、これ一つのROEですよということで、すべてのミッションでそれを使うわけではなくて、それぞれの場面場面、行います地域地域によってそれを変えるということも当然あるわけでございます。全く一緒なのかと言われれば、それは違うというふうに申し上げておきます。  しかしながら、じゃ、どこがどう変わったんだ、言ってみせろと、こういうふうに言われますと、これはこのように変わりまして現在はこうでございますと言うと、その裏をかけば何でもできるのかということになります関係上、申し上げられないということでございます。
  249. 小泉親司

    小泉親司君 新聞では、「自衛隊、警告せず射撃も」という指摘がありまして、例えば、今までの武器使用基準では、警告を与え、銃を構えた後、威嚇射撃を行う、相手の足下に威嚇射撃をするなどして、次に、足など致命傷を与えない部位に危害射撃を行うと、一連の手順が書いてあると。  ところが、今度の部隊行動基準の中には、これとは、全く手順を必要としない例外的な危害射撃が含まれていると。例えば、事態が急迫して手順のいとまがないときについては警告せずに射撃もできるというふうに書いてあるというふうな指摘がございますが、この点は防衛庁長官はお認めになりますか。
  250. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そこの報道は存じません。という報道があったことは承知をいたしておりますが、そのことに基づきまして私は物を申し上げるのは適切ではないと思っております。  それは要は、そのようなことを決めたとか決めないとか、そういうお話ではございませんで、そのようなことを明らかにすることが適切だとも私思いません。要は、これ何度か答弁申し上げたことがあるかもしれませんが、急迫性というものをどのように判断するかということでございます。  これは、委員も、戦後の最高裁になりましてから急迫か否かということにつきまして争われた裁判例、そしてまた最高裁判所の判例等すべて御案内の上で質問なさっておられることだと思いますが、例えて言うと、よく、向こうが撃たなきゃ撃てないのかいと、こういうようなことを言われますよね。向こうが撃ってからじゃ遅いじゃないの、それは確かにそういう場合もございましょうよ。しかしながら、その急迫性というのは、必ずしも向こうが撃つということを必要とするものではない。昭和二十三年の判決だったと思いますが。  例えば、これを懐に入れたということについてどうなんだいと。これ、すべて類型的にだからどうだということを言えるわけではございませんが、要は、急迫不正のというのの急迫をどのように考えるかという問題であると私は認識をしております。
  251. 小泉親司

    小泉親司君 防衛庁長官は、最新に出ましたサピオの中で対談をやっておられます。この中で防衛庁長官は何と言っているかというと、私は、俗説に言う、向こうが撃たなきゃ撃てないというのはうそだと、必ず警告射撃しなければならない、これもうそ、必ず急所を外して撃たなければならない、それもうそ、そのことをよく理解して、かなめは急迫性の判断をどう行うか、それしか道がないという判断をどう行うか、それは何度もケースを重ね、訓練を積んで、体で覚えるしかないと思っていると、こういうふうに述べられております。  今言っていることとほぼ同じことなんですが、私、まずお聞きしたいんですが、向こうが撃たなきゃ撃てないというのはうそだというのは今おっしゃったからいいんですが、必ず警告しなければならない、これもうそ、必ず急所を外して撃たなければならない、それもうそ、こういうことなんですか。それがROEの中に含まれているんですか。
  252. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それはROEの問題ではございません。要は、うそと言ったのは、それはそういう表現を私も使ったかもしれません。では、必ず、必ずそうなのかいと。つまり、どんなに急迫であって、それしか自分の身を守る手段がないということが迫ったときに、いや待て、警告をしてからだと、いや待て、急所は必ず外さねばならないのだというぎりぎりの局面を考えたときにすべてそうなのだろうかといえば、それは違う場合はあるということです。  それしか身を守る手段がないということに限って申し上げるわけですけれども、警告射撃を行ういとまもない、あるいは急所を外すといういとまもないという場合ですね、これはぷりんす号シージャック事件というのを御案内のことかと思います。そういうぎりぎりの判断のときに、必ず警告射撃を行い、必ず急所を外しということにはならない。それは急迫性の判断の問題だが、しかしそういうことにならないように常に情報の把握をやっておかなければならないということは当然のことです。  しかしながら、本当にこれはもう委員もよく、その辺どう、もしそうではないのだということであれば御指摘をいただきたいのですけれども、本当にそれしか身を守る手段がないというときにどうなのだということを考えるのであって、逆に、いつも警告射撃なしでいいとかいつも急所を外さなくていいと、そのような原則と例外をひっくり返しておるようなことを言っておるわけではございません。
  253. 小泉親司

    小泉親司君 あのね、長官が言っておられることは、今言っておられることは、私は、急迫性、急迫性と言っておられるけれども、急迫性というものがそれじゃROEの中に含まれているのかというと、そこのところというのは私は非常に重要な問題だと思うんですよ。  何でかというと、防衛庁長官は、この間もずっと言われているのは、つまり、ROEというものに含まれている手順に沿っているものであればそれは完全に違法性が阻却されるんだと、いわゆる罪に問われないんだと。ということは、ROEに急迫不正の、失礼、急迫であると、急迫性であるというふうなものはこういうものだと、例えばこういうものだ、ないしは急迫性というのはこういう点が重要なんだというふうに書いていないとこれはできないわけでしょう。  そこはお認めになるんですか。その中身というのは、例えば急迫性というのはどういうものだとかと、具体的な問題は別にして、急迫性という問題はROEの中に、今おっしゃっている、含まれないとおっしゃっているとそんなことは成り立たないじゃないですか。どうですか、長官
  254. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 恐らく委員はよく分かった上でお聞きになっていらっしゃると思うのですけれども、ROEの中身を申し上げることはできません。それは、こういう場合にはこうだということを言えばどうなるかというのは、その裏をかけばという、もう何度も申し上げることでございます。  ただ、一般的に申し上げまして、かくかくしかじかこういうことを行いなさいと。例えば、これは前の国会のときにも答弁申し上げたかもしれません、法律を作りますときに。例えば、にこにこと笑って、自爆テロのような場合ですよ、にこにこと笑って近づいてくる、しかしながらそれは自爆テロでありましたというような場合にどうしましょうと。それはやはりきちんと考えておかなければいけないでしょうね、そのようなことは想定できませんというような話ではいけませんねということは委員にもお答えをしたことがあったかもしれません。中身を申し上げることはできませんが、その場合にどうなんだという手順というものは、それは定めることが、ROEというものの内容の中にはごく一般論として含まれることだと思っております。  しかしながら、世の中何が起こるか分かりませんで、何が起こるか分からないのがテロでございますから、とてもではないが想定外のことが起こらないという保証はどこにもない。その場合の急迫性というものをどう考えるかという、これは純粋に法律論の問題として申し上げておるわけでございます。急迫というものをどのように考えるかということを私は一般論として申し述べたものでございまして、基本的に中身は申し上げられませんが、ROEに従って行動するということでございます。  しかしながら、それのみをもってしてすべての違法性阻却のよすがにしているということではない。ROEというのは、委員御案内のとおり、どうやって負担を軽減するかということもございますね。どうやって、つまりこれに従って、指揮官は指揮官用のROEがあり、そしてまた下士官は、そしてまた一般の士はROEがあり、それぞれあるわけでございます。それに従ってやることによって負担を軽減する、そしてまた責任を軽減するということはございます。しかし、それですべて網羅できるかといえば、そうではない場合はあるというのは、これは一般的な法律、刑法理論の問題でございます。
  255. 小泉親司

    小泉親司君 私は、先ほど防衛庁長官が午前中の質疑で同僚委員の答弁に対して、私も少し発言をいたしましたけれども、その言っている意味というのは、例えば長官はこう言っているんですよ。急迫性の問題に関連を、それについて言っているわけじゃありませんけれどもね、関連して、例えば瞬時にどういう判断ができるか、これは実際試しているということができませんものですから、本当に事例を重ね重ね、瞬時の判断ができるような能力を向上させる、これ以外になかろうと思っているところでございます。先ほども同じことを言った。ということは、自衛隊が殺し、殺し合わないことを積み重ねていかないと実際に急迫性の判断なんかできないじゃないかということなんですよ。いや、そういうことなんです。  いいですか。例えば、それじゃお聞きしますが、自衛隊の急迫性の判断、これ自衛隊が、隊員が自分はこれは急迫性があったというふうに判断したと、しかしそれは、これが本当に急迫性があったかという点を判断されるのは、どこが判断されるわけですか。だれが判断されるわけですか。
  256. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは最終的には司法の判断によって行われることになります。  それはですね、先生、訓練の積み重ねだということは、ROEなんか作ったってそんなもの無視するんじゃないのとおっしゃるのは、それはその論理……
  257. 小泉親司

    小泉親司君 そんなことは言っていない。
  258. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いや、そんなことは言っていない、ああそうですか。それもやっておかなければ何が起こるか分かりませんということなのでございます。  基本的に、ROEに従うということになるわけでございますが、それは現地がいかに、サマワが治安が安定しているとはいいましても、それはテロリストって何こそやってくるか分からない人たちです。そういう人たちから身を守るためにROEというものをきちんと定める。そしてまた、本当に想像もできないことが起こったときにも、いかにして身を守るかということは、それは頭の中でやっていたのでは駄目で、瞬時に反応ができるということは、これは訓練を積まなければできないということを申し上げておるわけでございます。  だれがその急迫性を判断するのだということでございますが、それはその行った行為がどうであったかということを最終的に判断をするのは、それが違法性阻却になるかどうかというのは司法において行われるものでございます。
  259. 小泉親司

    小泉親司君 私、この問題について、例えばNHKで「陸上自衛隊イラク派遣 ある部隊の4か月」というドキュメンタリーがあったわけですね。  この中で、陸上幕僚監部法務課の法規班長さん、お名前はあれですが、知っていますけれども、法規班長さん、この方がいろいろと御説明しているわけですよ。そこで防衛庁長官も答弁されているような、いわゆる誤想防衛、こういう問題についても大変隊員の方が質問して、誤想防衛のときはどうなるんだと。誤想防衛というとちょっとそのイメージがよくお分かりにならないので、誤って想うと。どういうことかというと、例えば私的に言うと、生け垣があったと。そこにある者が棒を持って立っていたと。それが自衛隊員の方が、これはひょっとするとテロかもしれないといって自分で撃ったと。しかし、撃ったけれどもそこには武器がなかったと。しかも、それは果たしてその人が本当に武器を持っていたのかどうなのかが分からないと。しかし、いわゆるそういう誤って想って撃ったと、こういう問題についてはどうなるんだというふうなことを言っていた。  そこの中で、質問者が、それは誤想防衛だと、ああ、回答者が誤想防衛だと。それはいわゆる、ドキュメンタリーの中ではいわゆるROEを説明したと、勉強会ですな、そこの中で、じゃそれを裁くのはどこの法律なんだと、これは日本の裁判所で裁きますと法規班長さんは言っておられる。  こういうふうな点で、ということになると、こういうものはROE、つまり誤想防衛みたいな、に対してどう対処するかと、こういう問題については、これはあれなんですか、ROEとは全く別の次元の問題と、こういうふうに長官は御理解されるんですか。
  260. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ROEに何を定めているかは申し上げられないというのは何度も申し上げて恐縮です。そういうことです。  誤想防衛というのは、例えば今おっしゃった例もありましょうし、がさごそと音がするので、きっと敵に違いないと思って撃ったらば違っておって一般人であったとか、そういうことも誤想防衛でございますわな。それは、結局のところは法律的に申し上げれば故意犯ということになるわけですね。ところが、誤ってそれを考えたということをどのように判断するかということになるわけでございます。そうすると、いずれにいたしましても、これは国内の裁判所、先ほど吉岡委員との議論でもございましたが、それは国内の裁判所においてどう判断するかということになってまいります。  それとROEとどうなのだということですが、とにかく武器を使用する場合、それは何も撃つということに限りません。それは、構えるのも武器の使用でございますし威嚇射撃をするのも武器の使用でございます。こういう場合にこのようにして武器を使用すべしということは常にあることでございます。そして、現場に指揮官あるときはというのは、これはPKO法の改正のときで行いました。議論をしたことでございます。つまり、いかなる場合におきましても、武器の使用、構えることであれ警告射撃を行うことであれ、それは一つの手順に基づいて行うものでございまして、全く個人が自分考えに基づいて好きなように武器を使用してよいということにならないのは当然でございます。
  261. 小泉親司

    小泉親司君 あなたはサピオの中ではもう一つ言っておられるのは、例えば、質問者が、万一、オランダやイギリスの連絡将校等が自衛隊宿営地の近くで襲撃を受けたといった場合はと。石破長官、直ちに武器を使用できる要件を満たしている状況か否かは別として、まず退避するためのできるだけの支援は行う。その中には、例えば割って入る。つまり、物理的に間に入ることによって相手の襲撃の意図をくじくようなこともあるだろうと、こう言われている。  こういうことも、何ですか、自衛隊はおやりになるんですか。安全確保支援活動としておやりになるんですか。
  262. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 例えば、オランダ軍が、先生、恐らく昨日、日本経済新聞だったと思いますが、カンプ・オランダの国防大臣がインタビューにかなり詳しく答えておりました。ごらんいただいたことだろうと思います。  オランダ軍がやられたときに、じゃ日本はどうするのということでございます。それは、基本的にどの国も自分の軍は自分で守る。オランダは日本が助けに来ないということをどう思いますかと問われて、カンプ氏は、自分の国の軍隊は自分で守るのさ、当たり前だよということを答えている。しかしながら、それは、日本がオランダの加勢を必要としているときには、それは行くことなしとしないというような、正確な表現ではございませんが、であったと思います。  じゃ、オランダ軍がやられていて日本は何もしなくていいのかという御指摘を受けることがあります。オランダに行きまして、日本人の方だったと思いますけれども、オランダは日本がやられたら助けに行くんですが、日本はオランダがやられたら助けない、これはおかしいと思いませんかというような質問をされる方があります。  私は、日本は、武器の使用というのは基本的に、基本的にと申しますか、自己保存だということを申し上げております。自分を守るためにということでしか武器は使えないのだということ。そして、法十七条によりまして、管理の下に入るということでなければ、それはそういうことはあり得ないのだということであります。したがいまして、オランダがやられているから駆け付けていってそれを助けるというようなことはいたしません。  しかし、仮にそういうような状況が生じたとするならば、我々は十七条の条件が充足されません限りは武器の使用というものはできません。したがいまして、どうやって安全なところに避難をさせるかという行為であり、そのときに武器の使用はできませんので、物品、例えば車でありますとかあるいはそのほかの物品を中に入れることによって相手の射撃というものを遮断するという行為、それは行うことがあるということを申し上げておるわけでございます。  それはROEの世界なのかと言われれば、これはこういう場合には日本は武器を使用できる、つまり正当防衛、緊急避難というものを危害許容要件とし、十七条によって武器使用ができるということでございます。ですから、武器を使うときは、先ほど申し上げましたようにすべてROEというものに従うのだということになるわけでございますが、オランダの場合にはどうなのかと言われれば、それは即座にそのままROEの世界かと言われれば、それは一つのバリエーションの世界なんだろうと思っています。十七条というものが直接想定をしている世界ではございません。
  263. 小泉親司

    小泉親司君 バリエーションの世界ということは、そういうこともあり得るということなんでしょう。違うんですか。全然違うということなんですか。
  264. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いや、そういうことを申し上げておるわけではございません。それは、バリエーションという言葉が先生と私でとらえ方が違ったら申し訳ないのですけれども、つまり、オランダがやられている、近くでやられているといたしましょう。その場合に、じゃ日本としてどうするんだということでございます。それは、自己を守るということになれば管理の下に入った者ということにならなければなりませんから、それはそういうことにならない。我々として武器を使用するということにはならない。  しかしながら、そのオランダが本当に安全に避難できるようにということを武器を使用せずに行うということは、これは法が禁止することではないでありましょう。そして、そのときに何をやるのだということになれば、武器の使用ではないけれども、例えば車を中に入れるでありますとか、武器の使用に至らないで相手の攻撃から攻撃を受けている者を離隔するということを行うのは当然あることでございます。
  265. 小泉親司

    小泉親司君 私、このROEの問題というのは、先ほども言いましたように急迫性の問題、いわゆる警告射撃をしなくても撃てると、これは長官がサピオの中でも繰り返し言っている。しかも、これは急所を外して撃たなくてもいいんだ、つまり急所を撃ってもいいんだと、こういうこともおっしゃる。こういうふうなことがROEでは含まれているのかといえば分からない、含まれているかどうかはお答えしないと。急迫性の問題についてもお答えしないと。これでは、我々としては、一体武器使用がどういう形でこのイラクの派兵の中でやられるのか、全然これは分からないんですよ。だから、そこのところを私は明確にするべきだというふうに思います。  その意味では、我々は、こういうふうな今までの武力行使に至らない武器使用の基準を、私は、超えることをやるというのは初めに認めておられるから、この点については、私は非常にこの武器使用の問題については重要だと。ちょっと引き続きやりますから、この点はまた改めてやらせていただきたいと思います。  それからもう一つ、ちょっと時間もないのでお尋ねしたいんですが、外務大臣、指揮権の問題について、私、本会議で質問いたしましたが、米英占領軍の指揮権の問題。  この問題について私どもは、CPAとの合意書の問題、それからCPAの司令部に問い合わせをいたしまして、CPA側から、自衛隊が占領軍の指揮下に入るというようなことを指摘をしましたが、本会議の答弁の中で総理大臣が、CPA、国防総省、そういうやつとの間で確認をしたかのような答弁をされましたが、実際は、具体的にはどういうふうになっているんですか。
  266. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 本会議は私出ておりませんでしたけれども、そこで総理がおっしゃられたように、これは日本政府として米国の国防省、国務省に確認をいたしております。
  267. 小泉親司

    小泉親司君 どのような確認をしたんですか。で、回答はどうだったんですか。文書なんですか。
  268. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 十七号、CPAの命令十七号のセクション一に連合の要員という言葉があります。コアリションパーソネルというふうに書いてありますが、その定義として幾つかのものが列挙されているわけです。それで、その中に一つ、連合国により展開されるすべての部隊、英語で言いますとオール・フォーシズ・エンプロイド・バイ・ア・コアリション・ステートというのがあります。そこに該当するということを我が方よりCPAに確認をしています。また、英米にも確認をしているということであります。  したがって、我が国は、連合軍の、連合の司令部の指揮下には置かれない、連合軍には該当しない、我が国自衛隊我が国の指揮下において行動していく、そういうことでございます。
  269. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、CPA命令十七号だけについて確認した、こういうことなんですね。
  270. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 十七号の中で、我が国において、我々は連合の司令部の指揮下には置かれないということを国防省、国務省に確認をいたしております。
  271. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、ちょっと細かな話になりますが、ちょっと確認の意味でお聞きしたいんですが、確かにコアリションパーソネルとなっていて、そこにいわゆる連合軍及びオール・フォーシズ・バイ・何とかと書いてありますけれども、つまり、それを外務省としてはどっちに属するということを、どっちかに属するということを確認した、こういうことなんですね。
  272. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ちょっと、どっちに属するとおっしゃったことの意味がよく分かりませんでしたけれども、いずれにしても、我々は、その定義のうち、連合国によって、要するに日本は連合の一部ですから、連合国により展開されるすべての部隊、そこに日本は入る、ほかのところには該当しないんだということを確認をしているわけです。
  273. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、私が昨日指摘いたしましたけれども連合軍のいわゆるCJTF7、第七合同統合機動軍、この機動部隊のコアリションフォーシズ、つまり連合軍という中に日本ということが明記されていますが、それは何ですか、全然ホームページは変わっておりませんが、それには何で属していないということが言えるんですか。
  274. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 我々自衛隊は、国防省、国務省に確認をしたとおり、我が国の指揮下において行動をするということであって、そこの御指摘のホームページ、そこに書かれているそれは正確ではないと、そういうことになるわけです。
  275. 小泉親司

    小泉親司君 私、そんなでたらめな話ないと思いますよ。コアリションフォースという中にちゃんと日本というのが明記されているし、それは占領軍のホームページの中を外務大臣見れば明確にお分かりだと思います。  私、二分しかないので、申し訳ない、あと──後でいい。もう一つの問題だけお尋ねさせていただきますと、劣化ウラン弾の問題。  先ほど同僚委員からもお話がありましたが、私、劣化ウラン弾の問題は、米兵の被害という問題、それから自衛隊の被害という問題、こういう問題も非常に重要な問題だとは思いますが、一番大きな問題はイラク国民の被害が非常に強いと、子供さんたちが大変ひどい被害に遭っていると。  私、今日準備していないですが、非常にもう本当に悲惨な写真をたくさんいただいております。これは、二〇〇三年の十月の、中でも放射能国際会議、放射能兵器国際会議というのがドイツで開かれまして、お子さんたちの被害についてイラクのバスラのお医者さんが報告をしている。  こういうふうな問題というのは、私は、この劣化ウラン弾の被害の問題として、是非これについては私は具体的に日本政府が調査をしっかり行うこと、劣化ウラン弾の使用を禁止すること、こうした点での医療援助を十分に行ってほしいこと、この点を私要求して、また引き続き、私もこれは今まで五つのテーマやってきましたが、まだ時間が足りません。何か今日午前中には早目に打ち切るようなお話がございますが、私たちは質疑打切りには反対でございますので、当然徹底した審議を重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
  276. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 午前中に続きましてお願いいたします。  まず最初に、外務大臣にお伺いしたいわけでございますが、今朝のニュースによりますと、去る五日、アメリカのテネットCIA長官イラク問題と関連して、戦争前には多くの見方があり、差し迫った脅威があるとは言ったことはないとか、あるいはフセイン大統領が大量破壊兵器を使用すると言ったことはないという趣旨のことを発言しております。  そこで、改めてお伺いしたいのは、政府は対イラク戦争の大義について、これまでの国会審議を通じて多くの疑義が提起された現在も考え方を変えられるおつもりはございませんか。その点、お聞かせください。
  277. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、おっしゃったテネットの、テネットCIA長官ですけれどもイラクのミサイルを含む大量破壊兵器、運搬手段、核兵器開発計画、生物兵器、化学兵器に関して、イラクの軍事行動前までに得られていた情報に基づく判断と、今判断、今の時点で判明している事項を比較して説明をしたというふうに承知をしていまして、その上でテネット長官は、イラク監視グループの活動は八五%も終わったとは言えず、捜索は困難であるが継続されなければならないというようなことをおっしゃったというふうに私は聞いております。  それで、我が国として国会で今まで御説明を申し上げているイラクに対する武力行使の正当性についてでございますけれども、この判断については今変わっていないわけでございまして、これは決議の一四四一において、安保理はイラクが決議六八七を含む関連の諸決議の義務の重大な違反を継続的に犯しているということを決定をしているわけです。そして、イラクに対して履行の最後の機会を与えた、与えるということをやったわけでございます。  それで、査察団が安保理に報告を何回かしていますけれども、そこにおいても明らかなとおり、決議一四四一で履行を求められている武装解除の義務がイラクによって完全に履行をされていない、そのことから更なる重大な違反が生じていると言わざるを得なかったということであります。  したがって、その一四四一の下でいわゆる湾岸戦争の停戦条件、これを定めている決議六八七の重大な違反が当時も継続的に生じていたということから、この決議に基づくいわゆる湾岸戦争の停戦の基礎が失われて、決議六八七に基づく武力行使が正当化をされたというふうに考えております。
  278. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今、長々と御説明がありましたけれども、その御説明の中にも私自身まだ疑問に思っている点がございます。それはいずれまたお伺いしたいと思いますが。  御承知のように、アメリカとイギリスにおきまして、この大義の問題をめぐっては独立した調査機関を設けるということが報道されておりますけれども、我が方の政府においては、これまでいろんな疑義が提起されたわけですが、アメリカやイギリスと同じように独立の調査機関みたいなのを設けて、我が政府がどのような情報に基づいてアメリカ支援に最初に乗り出したかという、そこを調査させるお気持ちはございませんか。
  279. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは私が一人で決めることではなくて、政府全体の判断であると思いますけれども、今、我々がこの判断に至った過程について、これを見直さなければいけない、そういう必要性があると私は考えておりません。  これは、イラクが大量破壊兵器を武装解除をするという義務に継続的に違反をしていたということは、英米の情報のみならず、国連査察団自体の情報に基づいて我々は判断をしているわけでございまして、その判断が間違っていたというふうに私としては考えておりませんし、恐らく政府としても考えないというふうに私は思います。
  280. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 御承知のように、ブッシュ大統領も、間違っていたとは決しておっしゃらないわけですね。にもかかわらず、独立の調査機関を設けて、果たして正しかったかどうかということを今調査をしているところですから、今のようなお答えではなくて、もう少し、これだけ多くの疑義が提起されたわけですから、何らかの形で、客観的に合理性とかその判断の間違いがなかったかどうかということについて調査させていただきたいと思います。  それからまた、外務大臣にいま一つお伺いしたいのは、日米間では同盟関係を結んでいて、情報の交換というのが非常に緊密な形でなされているとこれまで伺っておりますけれども、さきに拘束されたフセイン前大統領が今どうなっているかと、現在。それについての何らかの情報はお持ちでしょうか。
  281. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 現在、フセイン大統領は米軍の、米国の管理下にあると承知しております。この拘束場所については明らかにしてないというふうに承知をしております。
  282. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 フセインの圧政から解放されて喜ぶはずのイラクの人々が米軍に抵抗し続けている理由はなぜだとお考えですか。外務大臣にお伺いします。  英国の民間調査機関とオックスフォード大学による最近の調査によりますと、イラク国民の七九%が米軍、占領軍を信用していないという、そういう報道がございますけれども、そういった点についてどのようにお考えでしょうか。
  283. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私が持っておりますのはギャラップの世論調査の結果でございますけれども、これによりますと、例えば米軍に、そうですね、米軍撤退によりイラクは無政府状態になると思っている人が八五%、米英軍の即時撤退を求める人が二六%であるのに対して、長期の駐留を求めているのが七二%。そういったことでして、イラク国民の大多数は米軍が引き続き駐留をしているということを求めているというふうに私は思っています。さらに、米軍に対する攻撃に、米軍に対する攻撃に反対であるという人たちが六四%。みんな、大半の人がそう思っているということだと思います。  私は、イラク人たちフセインに対してどう思っていたか、これは私の口から特に申し上げるまでもなく、テレビの報道や様々な情報からこれはかなり明らかだろうと思います。もちろん、イラクにおいてフセインを非常に支持していた人もいるわけですけれども、大半の、六〇%を占めるシーアの人たちも含め、クルドの人たちも含め、フセイン大統領の圧制にあえいでいたということが言えると思います。
  284. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 関連して伺いますが、国連加盟国の百九十三の国のうち、アメリカに同調しているのは三十八か国しかありませんが、それはどうしてだとお考えですか。
  285. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 同調しているのが三十八か国のみかどうか、これはよく分からないと思います。同調して、連合という形ではっきり意思表示をしているという国はおっしゃったような三十八ということだと思いますけれども、例えば近隣のアラブの諸国の人たちについて言っても、自分たちは国の名前を挙げてもらっては、もらわない方がいいけれどもという人もたくさん、国もあるわけでございまして、全体としての数、アメリカの行動を支持している国が三十八か国だけかどうかということはよく分からない、確認は必ずしもできないと思います。  それで、やはり今、世界でのやっぱり共通の脅威が何かということについての認識を共通にしている国々、それは大量破壊兵器がテロリストの手に渡るとか、民主的な統治を行っていない国がそれを持つとか、大量破壊兵器が拡散をするとか、そういったことが冷戦終結後の世界、二十一世紀の世界に大きな脅威となっていくという認識をみんな、かなり多くの人たちが持っている。それを共有している人たちは、やはり今度のイラクの問題について、大量破壊兵器に関する私が申し上げたような懸念、それを共有し、英米に対して支持をしているというふうに思います。
  286. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いいたします。  長官は、午前の民主党議員に対する御答弁で日米同盟の重要性についておっしゃって、日本を救うといいますか、そういうことを条約で約束しているのはアメリカだけだという趣旨のことをおっしゃったわけですね。受け取りようによっては、そういう御発言は国連を若干ないがしろにするような受け取り方も出てくる懸念がございますけれども、その国連を作ったフランクリン・ルーズベルト大統領が言った言葉がございまして、ここ数年、世界で起きている不幸な出来事の根本的な原因は武力行使と武力による威嚇にあるというふうに言っております。また、一九六一年、ケネディ大統領は、もはや戦争には理性的な選択として訴える力を持たないし、それに取って代わり得るのは唯一国連の発展のみであると、もし国連を死なせ、その活力を弱め、その力をそぐようなことになれば、我々は自分たちの未来を見放すことになるということをおっしゃっているわけですね。ですから、そこのところをもう少し誤解のないように御説明いただけますか。
  287. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 国連を軽視したつもりは全くございません。  私は、午前の委員の御質問でも国防の基本方針というのを引きました。昭和三十二年、もう四十七年も前のものでございますが、私は、それが四十七年を経た今も変わらずにあるというのはそれなりに大したことだと実は思っているのです。それのトップには、「国際連合の活動を支持し、」というふうに出てくる。これが我が国の国防の基本方針であります。  その次には、「愛国心を高揚し、」と、こう来るわけでありますが、それで、そこの第四項めだったと思いますけれども、日米安全保障条約に触れてございます。すなわち、国防の基本方針の中には、日米安全保障条約の位置付けといたしまして、国連軍というのが本当に機能するようになるまでは、やはり日米安全保障条約というものによって我が国の独立と平和、これを維持するということなのだということも、これは我が国として四十七年前から不変の方針であるというふうに考えております。  これは国防基本法という法律があるわけではございません。安全保障基本法を作るべきだという御議論もございますが、国防に関しまして、安全保障に関しましては、いまだ基本法というものは存しておりませんけれども、国防の基本方針において、国際連合の在り方、そして日米安全保障条約の位置付け、そこに記されておるとおりだと理解をいたしております。
  288. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先日、総理にも伺ったわけですが、いま一つ防衛庁長官にもお伺いしたいのは、長官御自身は軍事力でもってテロを撲滅できるとお考えでしょうか。
  289. 石破茂

    国務大臣石破茂君) とても難しい御質問だと思います。これは一番、何というんでしょう、簡単なといいますか、無難なお答えは、軍事力だけでもって解決できるとは思わないというのが一番無難なお答えなんだろうと思います。それは結局のところ、まだだれも、テロって何なんだということについて、本当にすべての国が共有できる概念というものが確立をしているわけではございません。  テロとは何かということ。もちろん私どもはテロというものと戦わねばならない。勝たねばならない。基本的にテロというのは、私自身の考え方でございますけれども、それはやはり恐怖を連鎖させることによってその国の体制に変化を与え、自分たちの影響を、影響力を行使するということなんだろうと思っていますし、恐らく民主主義とか自由とかいうものの全くの反対概念としてテロというのがあるのだろうと思っています。ですから、それは軍事力だけで解決できるものではございません。  しかしながら、じゃ、みんなが豊かになればテロはなくなるのかといえば、それは必ずしもそうではなくて、豊かな国でもテロは起こるということはございます。私は軍事力だけで解決できるとは思いません。では、豊かになったらみんながテロ、みんながテロから解放されるかというと、決してそうではない。いろんなものが複合的にテロの解決のためには必要なのだろうという認識は持っております。
  290. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今の質問は大変難しい質問でございますけれども、客観的に物をよく見ておられる、早大、早稲田大学の教授をしておられる寺島実郎さんの言葉を引用させてください。  「テロリストというウィルスを排除することも重要だが、個々のウィルスを撃破する戦いを進めても、ウィルスが発生・伝播されるメカニズムを変えないかぎり、問題は解決しない」。「大局的正義にそぐわないイラク戦争を支持し、対米協調だけを外交基軸とする本音を国際協調と言い換えてきた帰結が真摯に現場を支えた外交官の犠牲をもたらした。」。つまり、「国家が道を誤る時、皺寄せを受けるのは、常に最前線に立たされる人達である。」ということを申しておるわけでございます。  つまり、私がここで申し上げたいことは、そのような見方も、日本の知的階層の中に懸念があるということを申し上げたいわけでございます。  それから次に、同じく防衛庁長官にお願いしたいんですが、せんだって、九割の石油中東地域から入れているというお話がございました。恐らくそれは、だからこそ日米同盟を強化して、そのシーレーンをきちっと守ってもらうのはアメリカ側の方だからというその御配慮があると思うんですけれども、この九割という実に多くの石油を一つの地域から入れるということは、安全保障問題を考えるときに随分問題だと思うんですけれども。  これは外務省にお聞きした方がよろしいんですかね、外務省は、その今の石油の入れる、石油が入ってくるソースをもっと選択の幅を広げて安全保障問題をそのような形で確保したいという、そういう意味でこれまで努力されたことはございますでしょうか。
  291. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは、エネルギーを所管をしているのが経済産業省ですから、私からお答えすることが適切かどうかよく分かりませんけれども我が国は、一九七三年の石油危機、第一次石油危機に際して、そのとき、ちょっと何%か数字忘れましたが、非常に高い中東依存を持っていたことから、それ以降、ソースの供給先を分ける、依存度を減らすということを政策のかなり大きな柱にしてまいりました。それで、かなり一時的には下がったということもありました。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  そのソースを分散をするという意味では、国産の原油、これを確保する。それから他地域、例えばこれは今サハリンとか、いろいろな形でやっております、インドネシア、一時期はメキシコということもやりましたけれども、そういったほかから、供給先を分散をする。それから、我が国としてエネルギーを使うことを、省エネをやっていくということも非常に大事で、これも行いました。そういったことの技術開発をするということも重要で、これも行いました。それから、石油政策、今かなり石油製品は市場で手に入るようになってきておりますので、そういった輸入の自由化も含め、貿易政策も行いました。いろいろな政策を取って、そういうことを進めてきたということでございます。  これ以降ちょっと私がお答えするのは適していないと思いますけれども、そういった安全保障上の観点から、エネルギーの供給が一か所に寄っていくということをできるだけ下げるべきであるということについては、引き続き日本政府としてその方向で今考えていていただいていると思っておりますし、外務省としてもそういった方向は正しい方向であるというふうに思います。
  292. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これも先日総理にもお伺いしたことでございますけれども小泉総理も外務大臣も、これまでお聞きのとおり、日米同盟が極めて重要で、今後ともそれを維持強化する必要があるという趣旨の発言をなさっておられます。私も、軍事同盟的な形の同盟ではなくて、平和友好条約的な形のものを結んでいくということは極めて重要だと認識しておりますが、今回の自衛隊イラク派遣も、日米同盟を大事にすることが我が国の国益にかなうという観点からなされているという趣旨の発言もございました。  しかし、私は、自衛隊の国外派遣は、単に憲法や日米安保条約、国連憲章に違反するだけでなく、戦後日本歴史を根底から覆す暴挙だというふうに考えております。したがって、自衛隊イラク派兵によって逆に失うのが大き過ぎるのではないかと。それで、そういうことになると、逆に国益に反するという懸念を持っておるわけでございますが、外務大臣自衛隊イラク派遣することが国益にかなうとお考えのようですが、総理と全く同じ見解をお持ちなのか。それとも、外務大臣御自身の国益とは具体的にどういうことを指しているんでしょうか。
  293. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私がお聞きする限り、総理のおっしゃっていることに私が考えていることはかなり近いというふうに思っております。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  我が国は本当に小さな島国であって、資源の海外依存度が非常に高く、この国が資源を海外から買って、外にそれを輸出をし、国内でそれを豊かな生活をするために使いといったことをやっていけるということは、世界が平和であるということに依存をしているわけです。我が国が平和であって繁栄をしているということは、正にこれはよく総理も口にしていらっしゃるせりふです、言葉ですけれども世界の平和と安定の中にあると思います。  それで、そういう国であれば、世界が平和で安定をしていない状況になるということは非常に好ましくないことでありまして、それを我が国としては、その状況を直していくために、平和にしていくために、よその国が何かをやって我が国はそのフリーライドをして成果だけを享受するという立場にはないということで、そうしてはいけないということだと思います。  中東地域というのは、我が国にとって非常に重要な関係を持っている地域だと思います。世界において、今、この地域はテロとの関係で非常に脆弱になり掛かっている地域でして、仮にイラク復興をうまくすることができなくて、イラクが破綻国家といいますか、今後テロの巣になっていくようなことがあれば、これは我が国としても、我が国の自らの安全という観点からも大変にゆゆしき問題であるというふうに思っています。  それから、先ほど先生がおっしゃったエネルギーとの関係でも高い依存率を持っている。それから、我が国だけではなくて、イラク世界第二位の保有国で埋蔵量を持っている国ですから、その国が不安定になってしまうということは世界全部のエネルギーの需給にも影響を与えることであって、影響が非常に大きいわけですね。それから、中東和平という観点から見ても、中東和平は中東の安定の一番根幹にある問題と言ってもいいと思いますけれども、それに対して、イラクが今後うまく円滑に復興を遂げていけるかどうかということは大きな影響を与えるということだと思います。  そういった観点から考えたときに、我が国にとって中東が平和であって安定をしている状況になっていくということは本当に大変バイタルな影響を持つことであって、そのことを確保するために日本が貢献をしていくということは重要を超えて日本の責任だと私は思っておりますけれども、だと思っています。そういう意味で、私が今申し上げたことということは、総理のおっしゃっていることに非常に近いと思います。  我が国は、そうやってイラク復興していって、今後、そのイラク中東の安定的な国として更に復興していくことを望んでいるわけでして、歴史的に、ひところバグダッドには六千人の日本人が住んでいたという近い関係を持っている国であって、そのイラクと将来も引き続きいい関係を持っていけるような、そういう観点からも外交をやっていきたいと考えております。
  294. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほども申し上げたように、私自身、平和、日米の平和友好条約的なものでは、平和友好関係というのは極めて大事だと認識しておりますが、なぜあえてこういう質問をしたかと申しますと、客観的に見て、過去数十年間、半世紀以上も我が国は膨大な基地施設を米軍に提供しているだけじゃなくて、財政的にも日米同盟関係を維持する上できちっと責任を果たしているんじゃないかという気がするわけなんですね。  例えば思いやり予算一つ取ってみても、二〇〇三年度の思いやり予算は、二千四百六十億円思いやり予算だけであるわけなんですね。これ、駐留費で考えますと、前にもちょっと申し上げたと思いますが、四万七千人、五万人足らずの米兵を日本に駐留してもらうために、実は沖縄の百三十五万の人口を養う予算よりもはるかに大きいわけですよね。外務省からこれ取り寄せた資料でございますけれども、一九七八年からの思いやり予算は総額は四兆二千三百九億円、四兆二千三百九億円、駐留経費負担総額は十一兆七千八十二億円というふうになっているわけですね。  そうしますと、私は、客観的に見て、日米同盟というその責任をきちっとこれで果たしているんじゃないかと。これ以上、じゃどこまでいくと日米関係というのがもっともっと有利になるというふうに、天井知らずになるおそれがあるんじゃないかと思うんですが、その辺はどうお考えでしょうか。
  295. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今の委員のお考えというのは、イラクに対して日本支援をする、それは日米同盟だから、があるから、そのためにやっている、したがってイラク支援は日米同盟を維持するための費用であるというふうにお考えになっていらっしゃるのではないかというふうに推察をさせていただきました。  我々はイラクへの支援を日米同盟を維持するために必要なことであるという考え方をしているわけではないということを先ほど申し上げたわけです。当然、日米というのは世界の中のGNP一位、二位の国ですから、様々な世界の起こっていることに対して協力して、協調して取り組む必要があるということであります。それはまた同時に、世界の中の日米同盟というふうに言っていますけれども、共通な価値観、例えば自由とか民主主義とか市場経済とか、そういったものを共有している国の二つの国の在り方として当然のことであるということだと思います。  それから、振り返って考えてみれば、日米安保条約も、正に狭い意味での安全保障だけではなくて、その考え方の基礎として経済協力とかそういうことをうたっているわけでございまして、またその考え方、これは考え方の上でですけれども、のっとっているということであろうと思います。  ですから、先ほどもおっしゃった数字、ちょっと私手元に今数字を持っていませんので、もし外務省がお出ししたんならそういう数字であるというふうに思いますけれども、それは米軍が日本にあって日米安保条約の目的を達成するための行動を取るときに我が国として行っていることであって、その金額は私は適切であるというふうに思っています。もちろん、厳しい財政下に我が国はあるわけですから、米軍に対しては必要な節約等をいろいろお願いをしている状況にはありますけれども、基本的には正しい適切な我が国としての在り方、適切な額であろうというふうに思っています。
  296. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 日米安保条約の問題について申しますと随分長くなりますのでやめますけれども、一言だけ申し上げたいことは、日米安保条約を締結してこれまで戦後半世紀以上も沖縄の人たちが過重な負担を掛けられて犠牲になっているということは、どうぞお忘れなく。  それから、昨年の十月二十三日にスペインのマドリードで開かれたイラク復興支援国会議で、日本政府は無償で十五億ドル、一千六百五十億円、有償で三十五億ドル、三千八百五十億円、計五十億ドル、すなわち五千五百億円の拠出を表明されました。それでは、拠出金の財源をどうお考えになるんですか。  また、この間の国会審議で、無償支援金のうち、二〇〇三年度補正予算で一千百八十八億円を措置し、そのうち五百五十九億円を、川口外務大臣の御答弁では、イラク統治評議会の各省庁に渡して各プロジェクトに使ってもらうとのことでありました。これ間違いないかどうか、間違っていたらお許しいただきたいわけですが。それが事実であれば、イラク統治評議会はCPAが占領行政を行う上での諮問機関的性格の組織であって、それはCPAの下請機関にすぎません。したがって、統治評議会の各省庁に渡すということは、つまりCPAの資金提供になる懸念がありますが、その辺、どうお考えですか。  一九八〇年十月七日の政府答弁書で占領行政に対する我が国考え方が示されておりますが、それによりますと、憲法第九条第二項で禁じている交戦権には、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政も含む、したがって、占領行政への参画は憲法に違反するとの見解が明らかにされております。  イラク占領当局、CPAへの資金提供となるような行為は占領行政への対応に係るこの政府見解に反すると考えられますが、その点、どういうふうにお考えでしょうか。
  297. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 幾つかの御質問がありましたので間違えずに申し上げないといけないと思っておりますが、まず最初にお尋ねの財源をどう考えるかということでございますけれども、十五億ドルということを当面無償で供与をするということを言ったわけです。その十五億ドルのうち、今補正予算の御審議を、つい昨日でしたかしら、最近いただいておりますけれども、今も引き続き御審議をいただいているわけですが、それの経済協力費として十五億ドルうちの十・八億ドル相当の千百八十八億円、これを補正予算でお願いをいたしています。  それで、残りが四・二億ドルあるわけでございますけれども、これ相当の四百七十八億円は、一つは平成十五年度の予算、今年度の予算でございますが、この予算から。それから、残りについては平成十六年度の当初予算、今後御審議をいただく当初予算で手当てをするというふうに考えております。そのうち、十五年度の既定予算で考えている分が一・三億ドル相当の百五十九億円、そして十六年度の当初予算で考えるのが二・九億ドル相当の三百十九億円ということでございます。  それから、どこに出すかということでございますけれどもイラク政府の、これは統治評議会の下に各省庁があります。その各省庁、例えば電力省とか、それから保健省とか、そういうことを想定していますけれども、それだけではなくて、例えば地方公共団体ですとか学校ですとか、それから病院ですとか、そういった公共性、中立性の高い組織であって、この予算を執行する能力がある団体、ある組織ですね、そういう団体を対象として想定をしているということであります。統治評議会そのものに供与をするということは考えていないということです。  それで、実際に、例えばイラクの直接支援五百五十九億円、これについていいますと、先ほど申しましたように、電力省も想定されていますし、地方公共事業省とか、あるいは、そうですね、日本NGOに対するものも含まれているということでございます。そういう能力のあるところということで、一応それぞれの積算について想定をしていますけれども、中央の省庁だけではないということを申し上げておきたいと思います。  それからその次に、統治評議会、失礼しました、各省庁に供与することは、これはCPAに供与をするのと同じであるという趣旨のお話があったかと思いますけれども、これについて、CPAに対して我が国がODAを供与するということは考えていない、政策論として考えていないと、そういうことでございます。
  298. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ODAを供与するんじゃなくて、今のこの審議の過程なり予算を、そのお金をCPAにやるというのは全くないわけですね。
  299. 川口順子

    国務大臣川口順子君) CPAにODAを供与することは考えていないと申しましたのは、今正にその申し上げた千百八十八億円は経済協力予算であります。それから、基本的にCPAは石油開発基金とかそういう形で行政経費については賄うというふうにされているわけでして、この千百八十八億円の中にはイラクへの直接の支援、二国間の支援ですね、それに加えて国際機関に出すものもありますし、それからイラク復興信託基金に出すというものも含まれています。
  300. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 つい先日、防衛庁長官はアーミテージ国務副長官とお会いされて基地問題についてもお話しされたようですが、お差し支えなければ、どういう内容のお話をされたのか、お聞かせいただけますか。
  301. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、パウエル国務長官にしてもラムズフェルド長官にしても、あるいはウォルフォウィッツ副長官にしても、だれでもそうですが、米側要人と会いますときは、基地の七五%が集中をしているということでございますこの沖縄の負担の軽減ということは、日本政府としてもこれは真剣に取り組んでいる課題であるということは、これはもう本当に、先生御指摘のように、事あるごとに私の方からも、もちろん外務大臣の方からも提起をしておることでございます。
  302. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 つい先日、米軍は沖縄に駐留している米海兵隊三千人をイラク派遣すると報じられておりますが、一方では、今回イラク派遣される三千人は、その任務を終えた後、沖縄に戻ってくるのではなくてアメリカ本国へ帰るという報道もありますし、またそれを打ち消す報道もあるわけなんですが、外務省はその点について何か正確な情報をお持ちでしょうか。
  303. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラク派遣をされる在沖米軍部隊、これについては事前に話を聞いておりますが、それに関連して、今回の派遣が行われている期間において米軍の運用上の必要な手当てを行うことにより抑止力が低下することはないが、これはあくまで一時的な措置として可能となるものであり、米軍の運用の最適な在り方とは言えない、米軍の最も円滑かつ効果的な運用を確保するためには派遣される部隊も本来沖縄に駐留する必要があるという説明を受けているわけでございます。  米軍の運用、部隊の運用について、細かいことについて我々が申し上げる立場にないということでございますが、派遣を、沖縄から派遣をされる人たちがその後、その部隊自体が沖縄に直接戻るのか、あるいはほかのところに行くのか、それは運用上の問題でございますので、こちらから申し上げるという立場にはないというふうに思います。  いずれにしても、その考え方としては、申し上げたような、本来、米軍の最も円滑かつ効果的な運用を確保するためには派遣される部隊も本来沖縄に駐留する必要があるということでして、アジア太平洋地域には依然として不安定性、不透明性があるわけですから、我が国としては、今後とも、その米軍のプレゼンスを確保して、我が国及びアジア太平洋地域の平和と安全、これを確保していくことが重要であるというふうに考えています。
  304. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官外務大臣も、沖縄の基地の削減については絶えずアメリカ側にも要求しているとおっしゃっておりますけれども、実は、SACOの返還も遅々として進んでおりませんが、ちょうど今、同僚議員の東門美津子議員、衆議院議員が女性議員たちと八名ほどでワシントンを訪問しておりまして、アメリカの議会とか国務省とか国防総省の担当者と話をしているわけですが、アメリカの議会を訪問したときに、ハワイ選出のニール・アバクロンビー下院議員というのがおりますけれども、この方が、地位協定の問題にしても基地の削減の問題にしても、これはワシントンだけの問題ではなくて日本政府との問題であると。しかし、日本政府が余りにも消極的過ぎるからなかなかこの問題の解決には至らないんだという趣旨の発言をしているということがつい最近の地元の新聞に報道されておりますが、その点についてどうお考えですか。
  305. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そのアメリカの上院議員の方が……
  306. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 下院議員です、下院議員。
  307. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 下院、下院議員ですか、失礼しました。  下院議員の方が何をおっしゃったかということはちょっと直接には私確認をいたしておりませんので、それについて直接のコメントということは控えさせていただきたいと思いますけれども政府としては、沖縄県民の方々の御負担、これが、基地が七五%、基地の七五%が沖縄にあるということで御負担がおありになるわけでございまして、これにつきましては認識をもちろん持っております。そしてこれは、普天間飛行場の移設・返還も含めまして、沖縄のSACO最終報告の着実な実施をしていきたいと、そのために最大限の努力をしたいというふうに考えております。
  308. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 なぜこういうことを申し上げるかといいますと、防衛庁長官外務大臣も、基地の削減に熱心に取り組んでおられると言っておられるわけですが、在沖海兵隊が三千人もイラク戦争に派遣されて、それで本国へ帰るというその情報があるわけですから、ある意味で海兵隊の削減というのは沖縄がもう絶えず言い続けてきてお願いしてきたところですから、絶好のチャンスとして、そのままもう補充部隊を沖縄に派遣してもらうのではなくて、SACOの基地の削減ということをおっしゃるのであれば是非それを積極的に働き掛けていただきたいし、それから、基地の削減とおっしゃるけれども、実際に今政府がやろうとしているのは、SACOの最終報告の内容と全く違う巨大な基地を辺野古に造ろうとしているわけですよね。それがどうして基地の削減になるのか、私なんかにはもう全く考えられないんですよ。しかもその辺野古に造ろうとする基地は、政府は正確に発表しておりませんけれども、一兆五千億も掛かると言われているわけなんですね。今、年金問題なんかで二兆七千億、政府が補助金を二分の一にすると掛かるということで、財源をどこから持ってくるかということでいろいろ議論されているわけなんですが。  私なんかから考えますと、そういう巨大な基地を造る必然性があるのかと。あるとすればどういう脅威があって、なぜそういう基地を造らぬといけないのかということをもう少し親切に被害を受けるところの地域の住民に説明すべきだと思うんですね。先日から私が、殺される側の立場に立つ議論が非常に少ないということを申し上げたのは、実はそういうことなんですね。ですから、基地の削減をすると、政府に、アメリカ政府に機会あるごとに訴えているとおっしゃるのであれば、その辺の問題をもう少し、なぜそういう基地を造るのか、新たに、ということを含めて御説明いただかないとなかなか、地元の人々は苦しんでいるわけなんですから、そこは是非よろしくお願いしたいと思います。  さてそこで、普天間代替施設の軍民共用空港についてちょっと伺いますが、民間部分の事業主体について政府は防衛施設庁とするとなったようですが、そうなると、一体どのような空港、空港の性格はどうなるんでしょうかね。つまり、まず、建設は建設費等も含めて国が全責任を持つのかどうか、でき上がったら空港の種別は第一種空港になるのか第二種空港になるのか、あるいは第三種、あるいは共用飛行場というふうになるのか。その辺の問題について是非お知らせください。
  309. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) 普天間飛行場代替施設の完成後の管理運営についてのお尋ねでございます。  私ども、今後関係機関とるる調整しながらその取扱いについてまとめてまいりたいと思っておりますけれども、米軍に提供する部分につきましては、米軍が管理することになろうかと思っております。
  310. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 予算は政府が責任持つと言っておられるようですが、どういう形の予算になるんですか。SACOの予算になるんですか、それとも一般予算から出るんですか。
  311. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) 現在、普天間飛行場代替施設の取扱いにつきまして、十五年度予算においても代替施設建設のための経費が計上されておるところでございます。この予算につきましてはSACO予算で対応しておるところでございます。
  312. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 もう時間がないので簡単に行きますが、環境省にお願いしたいと思います。  沖縄本島北部の米軍北部訓練場の返還はどうなっているのか。これ、外務大臣ですか。もし外務大臣で差し支えなければ、米軍の北部訓練場の返還がその後どうなっているのか。担当者で結構でございますから。
  313. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) 北部訓練場の返還の状況でございますけれども、御案内のように、約四千ヘクタールに近い返還につきましてSACOの中で取り決められておるところでございます。これにつきましては、既設のヘリコプターの着陸帯を返還されない部分に移設することが条件となっております。現在、この移設に向けまして、どのような場所に移設するのが環境に対して最も優しいのかといったような点から今検討を進めているところでございます。  具体的な返還そのものにつきましては、まだこの北部訓練場につきましては実現されてないところでございます。
  314. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 この質問は、ちょっとこの審議の事項から外れて申し訳ございませんが、大事な点だと思いますので環境省にちょっとお伺いしたいと思いますが、昨年十月、環境省は世界自然遺産の推薦地域を北海道の知床と決定されましたけれども、候補地として挙げられていた琉球諸島は今回の推薦では外されてしまいました。  なぜ外されたかといいますと、琉球諸島の目玉である本島北部の山原地域に存在する米軍北部訓練場のためだと報じられています。つまり、米軍の訓練場があっては、そこは日本の国内法は適用外でありますので、保護措置を取ろうにも取りようがない、その点が障害となっているというふうに言われております。  そこで、まず環境省から、琉球諸島が推薦から外された経緯、その理由を御説明いただきたいと思います。
  315. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) 昨年設置いたしました学識経験者による検討会において、全国的な見地から詳細な検討をいたしまして、知床、小笠原諸島、琉球諸島の三地域が世界自然遺産の候補地として選定されました。この三地域のうち、推薦条件が整った知床について、本年の一月、先月末ですけれども、ユネスコ世界遺産センターに推薦書を提出したところであります。  世界自然遺産は、世界的に見て貴重な自然であること、それからその自然が将来にわたって守られることが必要条件であります。奄美から沖縄にかけましての琉球諸島は、自然としての生態系の価値については世界的に貴重なものであると認識しております。  今後、関係省庁、沖縄県等との連携の下に、保護区の設定、拡充を急ぎ、条件が整い次第推薦手続を進めたいと思っております。
  316. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 それでは、確認させてください。除外されていないということですか。つまり、条件というのは、今の米軍の訓練場があったら、そういうところでも含められるということですか。
  317. 小野寺浩

    政府参考人(小野寺浩君) 奄美から沖縄にかけては、山原地域ももちろんでありますけれども、恐らく、制度的な対応をすると国立公園とか国定公園、鳥獣保護区のかなり厳しいものを指定するということになると思います。  その場合、奄美も海岸部だけが国定公園になって、鳥獣保護区なんかは極めて小さい面積しかありませんし、沖縄についても海岸部だけが今国定公園になっているわけです。そういう意味では、山原の問題の地域も含めて、もうちょっと大きな面積が保護地域で指定されるということが遺産条約の前提条件になろうかと思います。
  318. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これは外務大臣にお伺いしたいと思います。  在沖米キャンプ・ハンセンの一角に米陸軍の特殊部隊、グリーンベレーの都市型戦闘訓練施設を建設する計画について、政府の対応は一体どうなさるおつもりですか。お伺いしたいと思います。  それから、その前に、その付近に、あれは内閣府ですか、そこが計画しております新沖縄大学院大学の建設が予定されていて、随分みんな心配しております。その大学の院のすぐ近くに実弾射撃をする演習場ができるということで、地元住民も大変心配しておりますが、その辺はどうお考えでしょうか。
  319. 川口順子

    国務大臣川口順子君) キャンプ・ハンセンの訓練施設でございますけれども、米軍が、施設・区域の管理権の行使の一環として、施設・区域内に米国予算により建設を予定をしているものでございます。それで、日米地位協定上、米軍は、施設・区域における作業に際しまして公共の安全に妥当な考慮を払う義務を負っているということです。  今回、米陸軍がこの訓練施設の建設を計画するに当たって、安全、騒音、環境問題等、地元の方々の御懸念に一定の配慮をした上で、現在、キャンプ・ハンセン内に設置されている射撃用建物等の損耗による建て替えの機会に、キャンプ・ハンセンとキャンプ・シュワブ内で分散実施している訓練を効率的、効果的に実施するため集約することとしたというふうに理解をいたしております。  外務省といたしましては、沖縄県、金武町等がこの訓練施設の建設に反対をしていらっしゃるということを承知をいたしております。政府として、米国に対して引き続き安全等への配慮、これを求めていきたいと考えております。  それから、おっしゃった新沖縄大学院大学との関係でございますけれども、この訓練場の建設予定地は、キャンプ・ハンセンの金武町伊芸区域内のレンジ4でありまして、おっしゃった大学院大学の建設予定地は恩納村、恩納村域であることから、その建設に影響を与えるというふうには考えていないわけでございます。
  320. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 関連して、今の質問で新大学院大学はどこにできるか、内閣府の方から答弁をお願いできますか。
  321. 東良信

    政府参考人(東良信君) お答えをいたします。  大学院大学の予定地でございますが、これは沖縄県の恩納村の地域に決定をしているということで、予定をしているということでございます。
  322. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 恩納村のどこでございますか。恩納村といっても広うございますので。
  323. 東良信

    政府参考人(東良信君) 失礼いたしました。  恩納村の南部の方でございます。恩納村の南部で北谷町の方に近い方でございます。
  324. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 イラク戦争なんかで今非常に沖縄の人々が心配しているのは、ベトナム戦争や朝鮮戦争のときもそうでしたが、基地が所在する市町村では戦争が始まると米軍の犯罪が急激に増えてくるわけで、その点で今非常に心配しておるわけです。  それで、最近、昨年一年間の犯罪件数について沖縄県警が先月発表しておりますが、ここ数年の軍人軍属またその家族の犯罪検挙数とその件数、犯罪内容の最近の傾向について警察庁から御説明いただけますか。
  325. 栗本英雄

    政府参考人(栗本英雄君) お尋ねの、昨年におきます沖縄県におきます米軍構成員等による刑法犯の検挙状況でございますが、検挙件数で見ますと百十二件、検挙人員で百三十三人となっております。傾向といたしましては、平成七年、八年はいったん減少したわけでございますが、平成十一年以降若干増加傾向にあるところでございます。
  326. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 若干増加傾向とおっしゃるけれども、地元の新聞によると急激に増大しているとありますが、その件数を教えてください。
  327. 栗本英雄

    政府参考人(栗本英雄君) 十一年以降、平成十一年が四十八の検挙件数でございます。十二年が五十三件、十三年が七十件、十四年が八十一件、十五年が百十二件といったところでございます。
  328. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 このように、基地を抱えている地域は戦争ともなるとどうしても犯罪の件数が増えてきますので、その辺の問題についても、政府は、痛みを受ける人の側の立場に立ってあらゆる問題について検討していただけたらと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  329. 山本正和

    山本正和君 昨日もちょっと申し上げたんですが、今度のこの政府の決定されようとしてる事柄は、実は長い間、戦後、自民党が政権政党としてずっと取り組んでこられた、そして我が国の国是といいましょうか、いろいろあったことに対して重大な変更じゃないかと、こういう問い掛けがされていると私は思うんですね。  そこで、一つ、まず、これ外務大臣の方にお聞きするのが順番なんですけれども、先にこの当事者である、自衛隊の最高責任者である長官に、要するに今までの我が国の取ってきた自衛隊の任務、責任、さらには、対外的に自衛隊というものに対して日本が示しているいわゆる国際世論ですね、その中において、今度は今までのことから一歩踏み出す、今までの流れではない一歩を踏み出すんだと、こういうふうにお考えになっているのかいないのか、今までと一緒なのかどうなのか、そこのところをひとつ責任者としてお聞きしたいと思います。
  330. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、今日何度か使っておりますが、昭和三十二年の我が国の国防の基本方針の考え方に沿ったものだと思っています。そして、憲法の考え方にも沿ったものであると私は思います。ですから、何か決定的に角を曲がったとか、全く新しい局面に踏み出したのだという考え方を私自身は持っておりません。  PKOの場合には国連が行う活動でございました。これもPKO法という法律を作りました。インド洋において活動しております自衛隊の部隊でございますけれども、これは国連決議に基づいて活動しているがところの米英その他の軍に対しまして後方支援をするというものでございました。  で、今回は国連の要請に基づいて自衛隊を出すという形を取っております。それが何が違うかと申しますと、やはり国連の要請に基づいてというスタイルは取っておりますが、なお危険がゼロになったとは言えないイラクという国の陸上に派遣するという意味において、そこは違うのだろうと思っています。しかしながら、戦争に行くわけではないということも、武器の使用権限も、そして行います人道支援ということも、あるいは安全確保支援ということも、従来の概念とは変わるものではございません。一点変わるとすれば、それは、なお危険がゼロとは言えない国の陸上において人道支援を中心に行うというこの前段の部分において、私は異なりがあるのだろう思う。  しかし、これは、私、当選一回のころだったか二回のころだったか、PKOの議論のときに、じゃ、何で自衛隊が行くんだという話をしたことがあります。ピースキーピングなんだろと、ピースなんだろと、じゃ、何で自衛隊が行くのという議論をしたことがございます。しかし、そこにおいても、もちろん停戦の合意があり、我が国の受入れの同意はあるのだけれども、一〇〇%安全だとは言い切れないから自衛隊が行くんじゃないのという議論でございました。  そうすると、これも、それでは危険というものがどう変わったのかということになれば、これは量的変化は来したのかもしれませんが、それが戦闘行為であってはならないということは、憲法の要請するところを遵守するという意味において、これも変わらないものだと思っています。
  331. 山本正和

    山本正和君 要するに、そうすると、長官の認識は従来の我が国の方針の中での行動であると、こういうふうに理解していいわけですね。  ところが、そうなると、今度は国民の間からいろいろ質問が出るのに分かりやすく答えてほしいと思うんだけれども、今度の自衛隊の行動は派兵ではない、派遣だと、こう言っておられるんですね。そこは間違いないですね。派兵、どっちかはっきりしてくださいね。
  332. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 武力行使の目的を持って海外に自衛隊を出すのを派兵というふうに考えております。今回は武力行使の目的を当然持っておりません。したがって、派遣であります。
  333. 山本正和

    山本正和君 そうすると、ここは、今度は防衛庁に、防衛庁長官じゃなしに外務大臣に聞きたいんだけれども我が国が過去において軍隊を外へ出した例がたくさんあります、戦争はしていないけれどもね。一つがシベリア出兵。これは派遣なのか派兵なのか、どっちですか。外務省
  334. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そのときにどういう言葉で言われたかということについてちょっと私はつまびらかにいたしておりませんけれども、シベリア出兵とか、そういう言い方もしていたかというふうに思います。
  335. 山本正和

    山本正和君 これは岸元総理が憲法の議論やあるいは日米安保条約の議論の中で度々言っておられる。その中に、軍隊を出動させると、海外に出すと、いわゆる派兵というと。しかし、その後、政府がいろいろなことを解釈していって、法制局長官がPKOのときに先ほど長官が言われたような話をしたんですよ。私どもはその議論をずっとやってきているわけだから、昔から。  そうすると、そうは言うけれども、今度行く自衛隊の装備、武器、これは今までとはもう比べ物にならないんですよね。今までのような、こんなと言ったらおかしいが、いわゆる正当防衛的な武器というよりも更にもっと強力な武器を持っていかざるを得ない、今度は。これはブーツをグラウンドに置けというアメリカの要請そのものにこたえているというふうに国民は思うんですよ。違いますか。軍靴を大地に踏み締めてくれと、こう言われた、それにこたえたものだと、こういうふうにアメリカは思っている。アメリカは思っていないと思いますか。長官、どうですか。
  336. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ブーツ・オン・ザ・グラウンドという言葉は、多分、ショー・ザ・フラッグという話がありまして、ショー・ザ・フラッグからブーツ・オン・ザ・グラウンドへというようにアーミテージが言ったとか言わないとか言われておりますが、私はそのままの言葉が使われたという記憶がないんです。少なくとも私はアーミテージ氏に会ったときにブーツ・オン・ザ・グラウンドと、こう言われたこともありませんし、サウザンズブーツと言われたこともございませんのです。ただ、これが言われたと言われているということなのだと思います。それと、それと何を持っていくのだということは、これは直接の関係がある議論だとは思っておりません。
  337. 山本正和

    山本正和君 これはどういうふうにそうしたら読みますか、あなたは、海外派兵ということについて。これは質問主意書に対する政府の答弁の中に書いてあるので、いわゆる派兵とは、一般的に言えば、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することである。武力行使の目的を持ってと書いてある。したがって、今度は武力行使の目的がないから派兵じゃありませんと、こういうのが長官の解釈なんですよね。  ところが、この武力行使の目的を持って武装した部隊というものに今度の自衛隊は入っているかいないか。攻めてきたときに戦える。武力行使ですよ、これは。それを付与しているんです、今度は明らかに。かなり強力な武器を持っていっておるわけですよ。戦車ともいえるようなものを持っていっておるわけです。これは武力行使が伴わないんなら持っていく必要ないんですよ。そうでしょう。武力行使があるからそれが必要なんですよ。いざというときにその可能性がある。だから、場合によっては武力行使をしますよという意図を持っていないとはどうしても言えないんです、現在の装備から。  また、事実、私は、もしそういうものを持っていかずに行くのなら危なくて困りますから、私が父親なら絶対反対しますよ。自衛隊辞めちまえと言う。たとえお国のためといってもそんな無防備なばかなことがあるかと、こう私言いますよ。これはやっぱり何ぼ言っても、攻めてくるかもしれぬ、弾を撃ち込まれるかもしれぬ、迫撃砲でほうり込まれるかもしれぬ、肉弾攻撃来るかもしれぬ、そのことを想定して自衛隊で行っているんでしょう。違いますか。
  338. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そこで行いますのは武器の使用でございます。武力の行使ではございません。
  339. 山本正和

    山本正和君 私が言ったようなことを想定しているのか想定していないかと聞いている。
  340. 石破茂

    国務大臣石破茂君) その場合に、あくまで自己保存のために緊急避難、正当防衛を危害許容要件として武器を使用する、自分の生命、身体を守るという目的で武器を使用するということは、それはございます。  しかしながら、武力を行使する、更に申し上げれば、憲法によって禁じられているがところの国際紛争を解決する手段としての武力の行使、武力の威嚇、これを行うことはございません。
  341. 山本正和

    山本正和君 自衛隊が今度行くについて、武力攻撃があると、それに対しては武力でもって反撃するという事態を想定しているのか、想定していないかと聞いているんです。そこだけはっきり答えてください。
  342. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 武器の使用というのは想定がございます。さればこそ権限を与えております。それを先生が武力による反撃というふうに表現をなさるとするならば、それは私どもは武力による反撃ではなくて、自分の生命、身体を守る自己保存としての武器の使用というふうに考えております。それを武力の行使による反撃とは評価をいたしません。
  343. 山本正和

    山本正和君 極めてこれは、国際常識からいったら恐らくどこの国からもこれは武力の行使とは言いませんよと言わぬですよね。何、今兵器を使うと言ったのかな、兵器は使うけれども武力の行使じゃないと。そういう議論じゃない。やっぱり私は、今度は違うんですということを政府は堂々と言うべきなんですよ。言わずしてどうして自衛隊をやれるんですか。自衛隊は戦ってもいいんです、場合によっては。それだけのものじゃなかったら行けないんですよ。  私は、私どもが最後の兵役だから言いますよ、私どもは二十五で死ぬと思った、みんな。お国のために死ぬと思ったんですよ。それでなかったら兵隊なんかできるものじゃないんだよ。それを、自衛隊に対して、いや、あなたたちが行くのは武力の行使じゃないんだから、正当防衛なんだから、こんなこと言われて、そんな構えで、司令官がそういう司令官で、本気になって戦えますか。自分の身を守れますか。外国でもそういう判断しませんよ。  だから、アメリカははっきり、日本自衛隊は一歩踏み出してくれたと、こう言っていますよ、アメリカは全部、どこの新聞でも書いていますよ。だから、そこはやっぱり遠慮せずに、攻めてきたときには戦いますよと、こうあんたが言わんかったらどうするんですか、一体、兵隊さんは。
  344. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これも、もちろん先生がそういうような経験に基づいておっしゃっておられることには、私ども本当によく耳を傾けなければいけないと思っております。  ただ、午前中の答弁で申し上げた、舛添委員に対する答弁、失礼、昨日かな、申し上げましたが、自分を守るための権限については他国と比べて遜色ないということを申し上げました。つまり、自分の身を守るということについての武器使用権限は、それはほかの国と比べて遜色あるものでもないし、使える武器というものも、例えば装輪装甲車にしてもそうですが、今までとは違うものを持っていっております。  しかしながら、相手が攻めてきた、反撃して戦えということについては、私ども考えておりません。それはその自分を守るというものから一歩踏み出したものであり、それはやはり憲法の評価として、それは武力の行使というふうに考えられるようなことは、それは厳に慎まねばならない。もし委員がおっしゃいますように反撃して戦えということになりますと、これは憲法九条との関係からいいましても、おまえがそう言わなければ自衛隊はとても安心しては行けないよということは、恐らくこれは、私はそれは言えないのだと思います。  それは、それが憲法九条に触れないのだということが、こうこうこういうふうに考えれば触れないのだよというふうにまた委員から御教示があればお教えをいただきたいと思いますけれども、そこのところはきちんと整理をいたしませんと、私として反撃して戦えというようなことは到底申し上げることはできない。自分を守るための権限も、自分を守るための装備も、それは他国と遜色はないということを申し上げておきます。
  345. 山本正和

    山本正和君 平和憲法下で成長された長官ですから、憲法を大事にして、今のお話、よく分かりますよ。  しかし、仮に、自衛隊人道援助の目的でもって行くんだ、この目的で行ったんだ、行くんだと、行っている自衛隊が、そこの自衛隊の駐屯地に武装集団が仮に攻撃してきた場合、正当防衛だと、身の安全だけで、行けというのは逃げるんですよ、場合によってはね。しかし、来たときにはこれは武力を排除しなければいけない。それは戦いですよ。集団で来た場合ですよ、個人の奇行のテロじゃない。集団の場合も予測して今度の自衛隊、私は行っていると思うんです。そうでなかったら、あんな武器要りませんよ。  だから、そこは正直に言わぬといかぬですよ、正直に国民の前で。やっぱり一歩踏み越えたんです、国民の皆さん、覚悟してくださいと。それを何かごまかして、ごまかして、いや、憲法九条の精神は持っていくんです、だから正当防衛しかやらないんですと。そんなことでは、これは、私は指揮官として、私がもし長官だったら絶対に私は認めぬですよ、これは、出動を。させません。怖くて自分の部下をそんなことやらさぬですよ。それが軍隊というものですよ。最高司令官がきちんとした腹決めんかったら、それは軍隊じゃないんですよ。そこのところを聞いているんですよ。
  346. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 仮に宿営地に大挙して攻めてきたというような場合を考えますと、これはやはり近づくなという形での警告を行い、そして威嚇射撃を行い、ということになるでありましょう。にもかかわらず、それが大挙して押し寄せてきたということになると、これは、それが国又は国に準ずる組織か何かとかいいますと、またすごい議論になりますので、ここは場合分けが必要だと思うのですけれども。いずれにしても、相手が国又は国に準ずる組織であろうが、そうでない、単なる盗賊団であろうが、それは武器の使用はできるということになるわけでございます。  しかしながら、先制攻撃をしたりとか、あるいは逃走している者に対してそれを掃討するとか、掃討するというのは追い払うというふうの掃討でございますが、そういう行為まではできない。しかしながら、警告にもかかわらず我に向かって攻めてくるというようなことがありました場合には、それは武器の使用は行うのだということでございます。そこにおいては、私は、おまえは、何というんでしょうか、先生がおっしゃいましたが、そこまで私どもできるのですけれども、例えば先手を打って、先手を打って、こちらに対して急迫不正ということが評価もされないのに向こうはたたくべきであるとか、あるいは逃走しようとしているのもそれも掃討すべきである、せん滅するまでやるべきであるとかいうようなことであるとするならば、それは我々の自衛隊が行うところではないということでございます。
  347. 山本正和

    山本正和君 向こうが攻めてくると、明らかにいろんな、迫撃砲だとか鉄砲を持ってどんどん攻めてくる、それを排除するということは戦いなんですよ。向こうを撃ち殺さぬことにはやっぱり撃ってくるんですよ、それは。排除するという言葉ではできないんですよ、戦いなんです。だから、攻めてきたら身の安全のために戦うんだよと、それは認めているよとはっきり言わなきゃいけないんです。そこは、いや、戦わないんですと、正当防衛なんですとばっかり言っているから、そんなことでいいのかと何度もこう言っている。だから、攻めてきたら戦うんですね、はっきりと、それだけ答えてください。
  348. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 言葉の使い方です。それは戦いという言葉自衛隊法の中にあるわけではございません。戦闘という言葉がございますけれども、戦いということは何なのかということがあります。正確に申し上げれば、緊急避難、正当防衛を危害許容要件として刑法三十五条に言うがところの正当行為として武器の使用をなし得るということでございます。  それを先生がそれを戦いと言うんだと言えば、それはそうと言えるかもしれません。ただ私どもは、それを戦いと言おうが言うまいが、それは法的にいえば刑法三十五条の正当行為として、正当防衛、緊急避難を危害許容要件として認められる武器の使用ということになるわけでございます。
  349. 山本正和

    山本正和君 それは定義はいいんですよ。問題は、自衛隊が基地を造って、そこでいわゆる目的である人道援助や復興協力しようとしていると。そこへ武装集団がもし攻めてきたら、排除するためにはこちらは武器を使ってもう相手を撃ち殺さないと仕方ないですよ、攻めてきたら。それはいいんでしょうと言っている。だから堂々と、いや、そんなことをやってきたら排除しますよと、こう言えばいいんですよ。どうしてそれをはっきり言えないの。
  350. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 撃ち殺せばいいんだと言われて、そうですということに相ならないのでございます。それはなぜかといいますと、先ほど来くどく申し上げて恐縮でございますが、正当防衛におきましても緊急避難におきましても、それは法益の均衡ということがございます。こちらの方に対して危害を加えている度合いをはるかに超えて防衛するということは認められるものではございません。したがいまして、それで攻めてきたら撃ち殺せばいいんだと言われて、そうでございますと言えないのはそういう理由でございます。
  351. 山本正和

    山本正和君 もう水掛け論になると嫌ですけれどもね。  私は、正当防衛というのは、裁判所でいろいろ争うときに、掛かってきたと、刀で掛かってきたと、こちらが振り払うときに、その刀で切っちゃう場合、あるいは刀だけを外す場合、いろいろありますよ、正当防衛といっても。だけどそんな、軍隊に対して攻撃が来るというのは、そんな簡単な日常で言う正当防衛と違うんですよ。明らかにこれは戦闘なんですよ。その戦闘行為をしてはいけないというふうな言い方をしたらおかしいよと。攻めてきたら個人における正当防衛と一緒で戦うんですよと。当たり前の話なんです、これ。なぜそういう当たり前な話を言えないのかと。なぜ言ったらいけないんですか、それを。  いいですか。自衛隊の最高司令官が、もしも向こう側がそういう非道なことで攻めてきたら戦うんだと、それをはっきりなぜ言えないの。どうして言えない。言えない理由ないですよ、何も。
  352. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、このイラク特別措置法はそういう構成になっております。それは法律そのものがおかしいんであると、それは憲法の考え方も変えるべきである、そしてそういうことも認めるべきであるという御議論は立法論としてはございましょう。しかしながら、私といたしまして、先ほど来、使います権限も使います武器も他国に比べて遜色がないと申し上げておりますのは、それはそれで自衛官たちが他国の軍隊の隊員が自分の身を守るのと同様の行為ができることを申し上げておるわけでございます。  それを戦というふうにおとらえになるかおとらえにならないかは、それは委員の表現の問題でございますけれども、それはもう何というんですかね、個人の正当防衛とは違うんだと、相手が来たら撃ち殺していいんだということは、私はそれは、表現としてはそれは分からないではございません。しかし、私は国務大臣として、この法律を所管、所管いたしますといいますか関係いたします国務大臣として、そういうときはもう撃ち殺していいんだというようなことは、これは大きく法の趣旨を超えるものでございます。それは国務大臣としてそのようなことは申し上げるわけにまいりません。
  353. 山本正和

    山本正和君 それじゃ、まあひとつ最高責任者の総理にこのことは聞くことにしましょうね。  ただ、私が申し上げておきたいことは、あくまで今度行った自衛隊は戦わないんですよと、要するに向こうが攻めてきたら正当行為として排除することはやりますよというふうなことを言っておったら、攻める方は非常に攻めやすいんですよね。もう絶好の攻撃目標になる。私がもしテロリストだったら、必ずねらいますよ、ねらってみせる。しかし、攻めていったらばんとやられるかもしれぬと思ったら、向こうもなかなかやりにくいんですよ。その辺のことは、自衛隊の最高責任者として言うべきところはちゃんと言ってもらわぬと私は困ると思う。ちょっと、これだけまず言っておきますね。  それから、次に政府見解についての判断をいろいろとお聞きしたいんですけれども、前、岸総理大臣が言っておられたことについては、これをどういうふうに解釈するのか、ちょっとこれは外交に関することだから、外務大臣から御説明いただけますか。
  354. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 岸総理が何についておっしゃっていたことか、ちょっと事前に通告いただいてないものですから、よく分かりかねます。
  355. 山本正和

    山本正和君 それじゃ、通告がしっかり行ってなかったかもしれぬので言いますが、昭和三十二年の三月二十七日、岸総理の答弁ですが、海外派兵の問題につきましては、私は日本の現行憲法の解釈上もこれは認められないものであるという解釈に立っておりますと、したがってどこの国からどういう話がありましても、日本として海外派兵の義務を持つということは私はいたさないということをはっきり申し上げますと、これが第一回の答弁。  それからさらに、今度は岸信介総理が三十三年十月に更にはっきり答弁しているのは、自衛のために我々が持っておる防衛の力というものはあくまでも祖国の防衛のため、自衛のための力でありまして、これを海外に派兵というような形、形において用いるということは絶対に許されないことであると思いますと。派兵という言葉があるんですよ、派兵という形ですよ。集団自衛の問題は、御承知のとおり国連憲章等においても明らかになっておるように、やはり独立国である以上、個別的自衛、集団的自衛の権利が私はあるのだと思いますと、しかしながらそれがあったからといって直ちに外国派兵が可能になり、それは憲法に違反しないというような結論にはならないのでありまして、あくまで自衛のため、日本の国を守るための我々の力は、海外に派兵するというようなことは憲法上許されないと考えておりますと、こう言って岸さんが答弁した。  さらに、六〇年安保、六〇年のときは外務大臣はまだ学生だったかどうか知りませんけれども、私どもはわあわあやった方ですよ。わあわあやった、そのときのぎりぎりの段階でも岸総理は、平和憲法を守るんですと、ずうっと言い続けられたんです。それでもあれだけ国民からむちゃくちゃに言われたんだ、岸を殺せまで言われたんです。その岸さんが、日本の国をあの戦争の体験の中からずうっとやってきて、過ちなからしめんとしてずっとやってこられたんだ。岸さんだけじゃないですよ、歴代の総理が皆そう言ってこられた。  それからいったら、重装備を持った自衛隊が海外に行くんですよね。これ派遣だと言っている。だけれども、いわゆるこの岸総理が言っておられること、あるいはそれ以前からずっと歴代の政府が言ってきていること、それは変更しているのかしていないのか。これは、外国から聞かれた場合、外務大臣は、いや変更していませんと、こうはっきりどの国に対してもおっしゃることができるのかどうか、そこのところを聞きたい。
  356. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど防衛庁長官もおっしゃっていらっしゃいましたけれども、いわゆる海外派兵、これは一般的に言えば、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領域に派遣することであると定義付けて説明をされているわけでして、このような海外派兵は一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されないというふうに考えております。  そういう意味では変更はないということですが、これに対してイラク派遣される自衛隊、これは戦争に行くわけではない、戦闘行為に参加をしたり占領を行うということではないということであります。イラク特措法に基づく自衛隊活動というのは、非戦闘地域の要件を満たす区域において人道復興支援、これを中心とした活動を行うものであって、それが武力行使の目的を持ってするいわゆる海外派兵に当たるものではないということは当然であると思います。したがって、その従来の政府の見解とは整合性が取れているということで、それが変更されたということではないわけです。
  357. 山本正和

    山本正和君 要するに、従来の自民党あるいは政府の見解ですね、海外派兵はいたしませんと、そういう基本姿勢は何ら変わっていないと、こういうことをもうはっきりと政府の方針として外務大臣から今言っていただいたということで受け止めてよろしいね。  官房長官がお見えになったから、政府、今度は政府の代表の立場で、要するに海外派兵はしないんだというこの日本国の政府の方針は微動だにしない、こういうことをじゃ内閣を代表して官房長官からお答えいただけますか。
  358. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今までの議論がどういうようなことだったかちょっと私分かりませんけれども、海外に自衛隊派遣する、そのことについて、いわゆる戦略、侵略的な目的を持って派遣をするということであれば、それはそれで憲法の問題といったようなことで非常に難しいことになるんだろうと思います。  しかしながら、今回のことについて申し上げれば、これは要するに人道復興支援をするという、そういう目的を持った国際平和協力活動というのがございますけれども、そういった、性格としてはそういった性格のものだということでもって、そういう概念の上にこの法律を作って派遣をするということを決定したわけでございますので、今までいろいろの議論あったのは、これは承知いたしておりますけれども、これはあくまでも海外派兵という、そういうような趣旨のものでなかったかというふうに思います。  ある目的を持って主力部隊を海外に出して、そして行動をすると、それは戦争ということでなくとも、海外にある目的を持って主力部隊を派遣するということはこれは海外派兵になると、これは許せないと。こういうのは、これは岸内閣総理大臣の発言でございます。  このある目的ということなんでありますけれども、ここに言っているある目的というのは、これはやはり侵略を目的とするというか、軍事行動としての派遣であると、こういうように私は読んでおるところでございまして、そういう目的ではないんだということを御理解いただかなければいけない。そういう上で、ここもう私から申し上げるまでもないんですけれども湾岸戦争以来、いろいろな議論ございまして、やはり我が国としても人的な貢献をするべきではないかと、国際貢献すべきでないかというような議論が高まりまして、国際平和協力法という法律もできたわけであります。そういうような法律に基づいて今までいろいろな経験を積んでまいりました。そして、その経験を生かして今回もイラクに対して人道、それから復興支援をしていこうということを決定したわけでございまして、その限りにおいて、今回の自衛隊派遣というものは許されるべきものであるというように考えておるところでございます。
  359. 山本正和

    山本正和君 これはやっぱり、官房長官じゃなしに、総理にあしたまたもう一遍念押しで聞いておきたいと思いますけれどもね。  ただ、これは外務大臣に先ほど言われたし、今官房長官も言われたんだけれども、参議院で、本院で、自衛隊を作ったときに決議を上げているんですね。それには派兵とか派遣とかいう言葉は使ってないんです。全会一致の決議がある。参議院の決議ですよ。「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、茲に更めて確認する。 右決議する。」。これは参議院の決議なんです。  今度の自衛隊の出て行くやつは、じゃ、これは出動じゃないんですね。外務大臣、どうですか。いや、外務大臣ですよ、これは。これ、外交の問題だから、やっぱりこれ、外国に了解を得にゃいかぬからね、外務大臣、はい。
  360. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 自衛隊の問題ですので、私からお答え申し上げます。  武力の行使を目的として外国に出るものではございません。したがいまして、これは憲法によって禁ぜられたことを行うわけではない。今回で申し上げれば、人道復興支援をメーンにして、安全確保支援をその支障のない範囲において行うものでございますから、これは武力の行使を目的とするものではございません。  で、ほかにそういうことができる組織があれば、それはそれで結構なのでございますけれども、そういう組織もございません。そういたしますと、私ども自衛隊が出るということになります。武力の行使を目的としない海外に対する、海外における自衛隊活動ということは、私はこの参議院の御決議に反するものだとは考えておりません。
  361. 山本正和

    山本正和君 あのね、いろいろとおっしゃるけれども、「海外出動はこれを行わない」、こういう表現なんです、参議院の方は。派兵でもなければ派遣でもないんです。「海外出動はこれを行わない」と、これは院で決議したんです。時の内閣も、院の決議を重く受け止めますと、こう言っているんですよ。  だから、私、正直言って、これもし小学校や中学校や高等学校の子供に、こういう院の決議がありますけれども、今度の自衛隊行くのは出動じゃありませんと、一体子供にどう言って教えるだろうか。そうすると、日本の国の政府というのは、出動という文字の言葉は出て動くと書いてあるけれども自衛隊が出て動くことは、あれは出動じゃないんだなと、こう読めという話になる。  私は、だから、本来から、この問題を真剣になって取り上げる当事者は、これは長官ですよ、自分の部下が動くわけですから。長官が最高責任者ですよ。三軍の長だ、今はね。最高責任者は総理かもしれないですよ。しかし、当面の指揮官の、責任者は長官ですよ。自分の部下を動かすのに、国民の前で恥ずかしくないようにしてくださいと言うのがあなたの責任なんですよ。だから、本当からいえば、国会でこういう決議がありますと、この決議に対して、時代がこういうふうに変わってきたから、この決議にかかわらず自衛隊を出しますということについて了解を取ってほしいと、総理大臣にそうやってやってくださいと言うのがあなたの一つの責任なんですよ。  ところが、今のように、文字をいろいろ使って、これは派兵と派遣の違い言ったのは法制局長官ですわ、先ほど長官から言われたけれどもね、官房長官も言われたけれども、そのことは私もよく知っていますよ。しかし、同時に、院の決議である、自衛隊を作ったときにですよ、自衛隊をどうするかということを含めてみんなで議論したんです。全会一致ですよ、これは。その決議というものがあったら、その決議が時代にふさわしくなくなったら、こういう決議についてはかくかくしかじかですとこれは言わなきゃいけない。それは行政の責任者の当然やるべき任務なんですよ。  それをごまかしてやろうとするから余計問題が起こってくるんだ。ごまかすという言葉を使ったらまたこれ語弊があるかもしれぬけれども、ごまかしているように取られてしまう。しらぬけれども、ずっと言葉だけでごまかしていって、最後は既成事実を作ってしまってちょんと。そうすると昔の陸軍と一緒になってくるんですよ。  だから、ひとつそこのところでやっぱり、この出動という言葉が、「海外出動はこれを行わないこと」、このとき十分議論したんだ。院でこれを作るについて、各位、与野党全部議論した。議論の議事録もありますよ、何なら。要するに、自衛隊は外行かぬということになると念を押しているんですよ、その当時言っている、答えているんですよね、このときには。  それと違うんです、今度は。違うことを、今度は違う事態になりましたよということをはっきり政府は言わなきゃいけない。言って、国会の了解を取らなきゃいけない。自民党の皆さんの中でこれ本当にきちっと議論して、これは出動と言ったけれども、事態が違うからこれはということに、皆分かっているか。分かっていない人が多いですよ、与党でも。  だから、そこのところはやっぱり政府として、本当に私が心配するのは、私どもの孫みたいなこの若い青年が死ぬかもしれないんですよ。昨日も総理は、じっと、もうこらえられない気持ちでおられたですよ。それぐらい大変なんだ。大変なことならば、ちゃんと国民に説明をして、全体の了解を取ってやらなきゃいけないんだ。  アメリカと話をして、それは僕はあしたまた総理に言いたいけれども、確かにアメリカという国は大切ですよ。私も大好きですよ。私は、戦争負けてこっち帰ってきてアメリカ映画見て、こんなすばらしい国があるかとぐらい思ったですよ。大事ですよ、アメリカは。だけれども、その大事なアメリカであっても、我々は言うべきことは言わなきゃいけない。日本の国にはこういう憲法があります、こういう院の決議がありますと。だから、あなたは兵隊出してくれと言うけれども、こういうものがあって難しいんですとはっきり言わなきゃいけない。  しかし、それならば改めて国民の合意を得るために全部かけましょうと。今までのいろんな総理の答弁、院の決議があるけれども、こういう状況ですから皆さんどうですかということを相談しますよと。そこから法案を作ればいいんですよ。ところが、そういうのをやらずに法案が来ちゃったから。法案が先に来ちゃった。  だから、出動しているんですよ。出動です、これ明らかに。もう出動しているんです。出て行っちゃったんだ。海の上ならまだいいですよ。ほかの陸地へちゃんと上がっちゃっている。これはやっぱり長官、その海外出動を行わないことをここに改めて確認するということに対して政府は何らかのやっぱり見解を表明すべきと思いますけれども、これについては、そうしたら正式な見解をこれはあしたぐらいまでに、この院の決議に対する政府見解、院の決議と今度自衛隊を海外に出すことについてのその違いについての整合性を求める私からの、今、今日要請いたしますから、明日までにこの院の決議に対する今回の行動についての政府の正式な見解をひとついただきたいと思いますが、いかがですか。
  362. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、政府の見解というのを私が申し上げる立場にはございません。  ただ、院の御決議というものに対して政府が見解を述べる。確かに、ここで院の御決議をいただきまして政府が見解を述べております。これを見ますと、昭和二十九年に決議がございまして、二十九年六月二日でございましょうか、木村篤太郎国務大臣がそれに対して所信という形で申し述べております。これは、院の決議、御決議に対して時の政府が所信を述べておるわけでございまして、私どもとして、さて今見解を述べろというものは、院に対する政府の態度としてはいかがなものかなと、こういうふうには思っております。  きちんと議論はしなきゃいかぬじゃないかというおしかりは、私はそれはそれとしてあるのだと思います。ただ、これはPKOのときからずっとある議論であって、私は冒頭先生の御質問に対して、PKO、テロ特、今回と何が変わったのかと言われれば、基本的には変わっていないというふうに申し上げました。変わったとすれば、陸に上がるという点が変わるのではないかということが変わるのだと申しましたが、質的には変わらないということを申し上げてまいりました。  したがいまして、PKO法のときに政府として当然このことに対する見解は、私ちょっと手元に議事録を持っておりませんが、申し上げたと思います。現在、見解を出すといたしましても、そのときと変わらぬものになるということは、私今申し上げられることでございまして、変わるとすれば、それはまた冒頭私が質的には変わらないよというふうに御答弁申し上げましたこととそごを来すことになるのかなと思っております。
  363. 山本正和

    山本正和君 長官の立場からいえば政府見解という形にはならぬでしょうから、今の御答弁で、お話で、私もそれ以上無理なことを言うつもりはありませんよ。  しかし、PKOのときにも随分議論したんですよね。それで、その中でどうしたらいいんだと。ぎりぎり、しかし、政府としてはここまではということであのとき収まったのが、これはやっぱり派遣なんです、派兵じゃありませんと、その証拠に武器はこのとおり、こんなものしか持ちませんよと宮澤さんも言った。  ただ、今度は武器はそれはもっと問題にならないぐらい大きなものを持つわけですね。しかも、その気分も違う。明らかにこのPKOのときと今度は部隊の対応が違うんですよ。その違うことを一緒だと言ったらやっぱり具合が悪いので、違うことをしますよということを国民の前にはっきり言って、それで国民理解を受けるというのが政府の取るべき態度だと私は思うんですよ。PKOのときに了解してありますから今度は大丈夫ですと、改めてこれについては変わっていませんということではおかしいと思う。PKOのときよりも明らかに今度は違うんですよと、国民の皆さんに分かってくださいよと言うのが政府の態度と違うんですか。
  364. 石破茂

    国務大臣石破茂君) PKOのときに、私ここは委員と、随分年は下でございますが、同じ六十一年から国会に出ております。PKOのときにいろんな御議論があり委員がいろいろなことも御指摘になっておられたことも存じております。  時の総理、宮澤総理がこの参議院の二十九年の決議を引かれまして、私どもは海外において武力を行使してはならないということをずっと守ってまいりましたし、参議院の御決議の言われることもそういうことを戒められたのであろうと、あろうと。これは有権的には当院のお決めになること、つまり参議院でございますが、有権的には当院のお決めになられることでございますけれども、私どもはそういうふうに考えてまいったところでございます。これが当時の宮澤総理の答弁であり、これが政府考えで、今もこれは変わっていないということであります。  それで、その後、ルワンダだったと思いますが、機関銃が一丁か二丁かというお話がございました。一丁しか持っていけないというときに、じゃそれが壊れたらどうするのというような議論もしたような覚えがございます。二丁は駄目だが一丁ならいいとかいう、今から思えばややプリミティブなというのか、そういう議論がありました。  今回は、確かに装輪装甲車であるとか対戦車弾であるとか、物はすごいではないかということでございます。あくまで理論的に申し上げるとしますならば、それは、これは持っていっていい、これは持っていってはいけないということに何かきちんとした境があるかというものではございません。しかしながら、任務が治安維持ではない、あくまで人道支援であり、そしてまた安全確保支援活動であると。そして、行くのがサマーワであるということから考えて、しかしながら予想される危険も多岐にわたるのであって、自分を守るための必要なものというもの、効果的であり、なおかつ必要であり、そしてまた過度の威圧感を与えない。任務を行うに当たって必要であり、効果的であり、過度の威圧感を与えないということから今回のものになっておるわけでございます。これも、物が何だかすごくなったので逸脱したのではないかというような御指摘は当たらないものだというふうに政府としては考えております。
  365. 山本正和

    山本正和君 どうもかみ合わぬと言ったらおかしいけれども、何か心配しておられて、これは憲法違反をおまえやるのかといって言われたらかなわぬからといって心配しておられるような気がするんですけれどもね、私は。  一番大切なことは、一番大切なことは、自衛隊が今行っているわけです、既に。また更にたくさんの者が行こうとしているんです。その人たちがどんな気持ちを持って向こうへ、現地におれるかということです。私はそこの方が心配なんですよ。  だから、今度は国民の皆さん、PKOとは違いますと、あのときとは。かなり命の危険もあるんですと、そのときは武器を使わざるを得ませんよと、そこまで皆さん分かってくださいよとはっきり私は国民に言うべきだと思う。そこを、いや、PKOと一緒なんですよと、正当防衛なんですと、その範囲は超えないんですよということばかり言っておったら、国民が逆におかしくなって不信感持ちますよ。自衛隊の諸君がどんな気持ちになりますか、逆にまた。私はそれを心配している。  だから、冒頭にお尋ねしたのは、今度は今までとは違いますねと、それを私は言うべきだと思う。それを、今までと一緒ですよと言うから余計みんなが混乱するんですよ。今までと一緒じゃないでしょう。どうですか、そこのところは。
  366. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 憲法の範囲内で行うという点では今までと変わりません。しかしながら、活動の内容が異なりますので、違う法律を国会においてお認めをいただいたのであり、そしてまた持っていく装備品も違うのです。しかしながら、憲法の範囲内において行うということについては何らの変わりもございません。で、隊員たちは、それはPKOとは違うなということは、持っていく装備品からしてもそうでございましょう。やる訓練にしてもそうでございましょう。それは当然、ピースキーピングという国連が行う活動と国連の要請に基づいてではあるけれども我が国が主体的に行う活動とは違うのだ、行くところも違うのだ、そのことは隊員もよく存じております。  私は、PKOのときからずっと言ってきたのですけれども、安全であったら自衛隊が行く必要ないでしょうがということなんです。安全、安全、安全という、何か旅行会社のマネジャーみたいなことを言っていてもいかぬのでありまして、それは、危ないからこそ自衛隊なんですということはPKOのときから言ってきたことのはずなのです。それは私、当時の渡辺美智雄先生から聞いたことがありますけれども、それは、だから自衛隊が行くんだろうということはおっしゃっておられました。それはやはり安全、全くの安全ではない、だからこそ危険を避ける能力を持ち装備を持ち権限を持った自衛隊が行くのであるということはPKOも今も変わるものではございませんです。  しかしながら、それが、今回の場合にはそれがさらに、主要な戦闘は終わっていると、そしてサマワは比較的治安は安定している、しかしながらテロリストというものの存在は決して排除できるものではない。であればこそ、自衛隊がそれにふさわしい権限、装備、能力を持っていくのだということでございます。  先生おっしゃるように、国民が不安に思うよ、行く自衛隊の身にもなってごらんということでございますけれども、私は、これも三遍目の答弁になって恐縮です、自分の身を守るための権限は、これは他国と比べて遜色ないかどうかということは私が最後まで気にしてきた点でございました。それで遜色がある、よく国会でも御指摘がありました、国際標準に比べて自衛隊の基準は厳し過ぎるんではないのという御指摘もありました。それは、私、他国のROEについてこれ申し上げるのは適切ではございませんが、これは他国と比べて遜色ない、権限、能力、装備において遜色ないということで、そして実際に赴く自衛官たちが、もちろん責任は、安全確保の義務は私が負うのですから、自衛官がいいと言ったから彼らの責任なんということは間違っても言いません。しかし、行く人たちがこの権限で、この能力で、この訓練で、この装備で、彼らは他国のPKOの部隊ともいろんな仕事を一緒にいたします、いろんな防衛交流もいたします、そこにおいて大丈夫だということですね。それで出しております。  これ以上の御議論になりますと、先生がおっしゃいますような戦えとか、敵が攻めてきたときには撃ち殺していいんだ、表現が正しくなければごめんなさい、とか、あるいは、それはもう逃げていって、一時期は逃げてもまた勢力を増やしてくるじゃないかと、それはやっぱりきちんとたたかなきゃだめなんだというようなお話になりますと、これはまさしく憲法論ということになるのだろうと思っています。  私どもは、今の憲法の範囲内で自分の身を守るということについて必要な権限、能力、装備、それを与える、あくまで憲法の中でこの活動は行うということでやってまいりました。もしこれを更に広げるということであれば、それはまさしく憲法調査会なりの御議論であろうと思います。  私どもは、現在存在しております日本政府として何が今できるかということ、何をなすべきかということ、考えた上でこれを法律としてお願いをし、法律は成立をし、今回御承認をお願いをしているものでございます。
  367. 山本正和

    山本正和君 いろいろと丁寧に説明してもらいますが、要は、今のお話を聞いていくと、自衛隊はやっぱり戦ったらいけないんですよ。憲法で禁ずる武力行使はしないという気持ちでずっといかなきゃいけないよと、こう言っておられるんですね。そうでしょう。だから、しかしそうは言っても、私は、実際の話、戦争というものはどんな場所でも何が起こるか分からない。シベリア出兵の教訓をちょっと調べてもらったら分かりますけれども、どんな悲惨な状況になるか分からない、現地がいろいろ混乱すると。  そのときに、やっぱり戦いを想定していないと言うんならば、撤退する以外方法ないんですよ、そうでしょう。撤退するという言葉について防衛庁長官は今までに何遍も言っておられる。もし戦闘状態になるならば、イラクが、戦闘状態になる地域にはおらぬのですよと、そういうふうに何遍も答弁しておられる。非戦闘地域に自衛隊は行って人道援助と復興援助するんですよと、こう言っておられる。戦闘地域へは行かないと言っている。だから、戦闘地域になったら撤退すると、これが大前提になきゃいけない、今のお話は、いいですか。敵と戦うものじゃないんですと言うんなら、戦わないで安全復興するには撤退以外ないんですよ。  じゃ、その撤退の最後の判断をするのはだれがするんですか、撤退するという。その状況、現地の状況の中で、これは撤退せざるを得ないと判断するのはだれがするんですか。
  368. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、実施区域を変更するという点において申し上げれば、それは防衛庁長官でございます。  この法律に基づいて、派遣そのものをやめるとか、あるいは法律そのものをやめるということになれば、これは内閣全体で行うものでございます。
  369. 山本正和

    山本正和君 そうすると、例えば今度行っている地域で何か事故が起こったと、事件が起こったと、かなり激しい状況になってきたと、騒乱状況になってきたというときに、それを例えば今度は北の方のバグダッドでもどこでもいいから移動をするというふうなことは防衛庁長官の命令でやれるわけですか。
  370. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、この地域から撤退する、ごめんなさい、引くということは現場指揮官でございますし、実施区域の変更という意味で申し上げれば防衛庁長官です。
  371. 山本正和

    山本正和君 それから、仮に全土がもう一遍不安定な状況になったというときに、これを撤退を決めるのは総理大臣ですね、そうすると。それでいいですね。
  372. 石破茂

    国務大臣石破茂君) さようでございます。
  373. 山本正和

    山本正和君 そこで、私はちょっと調べてみたんですよ。正直言って、今の五十代、六十代の人も含めて、四十代もそうだと思うけれども日本の近現代史というのは、中学校、高等学校では余りみんな勉強してないんですよ、近現代史を。シベリア出兵というのはどんなことかと聞いたら、ほとんどの人が分からない。私も実は余りよく知らなかったんだけれども、今度この問題が出たものだから調べてみました。大変困難な状況だったですよね。  第一次大戦で連合軍というのと同盟国というのがあった。その戦いを行った。日本もそれに最後は参戦したんですよね。それで、終わってからシベリア出兵、日本しているんです。そのときに随分いろんな経過があるんですよ。しかし、結局我が国が一番ひどい目に遭って、ほかの国はみんなどんどんどんどんもうシベリアから逃げていっていなくなる。日本の、この我が日本の軍隊だけが最後まで残ってひどい目に遭った。四年間おったんですよ。私の父親も実はシベリア出兵組なんだ。全身凍傷で帰ってきて、瀋陽の病院でずっとそのまましとったら死んだと言われた。立ち直りましたけれどもね。  あんなシベリア出兵で、じゃ、日本の兵隊はどれくらい死んだか調べてみたら、一千何名死んでおるんですよね、シベリア出兵で。  これは戦争に行ったのと違うんですよ、ところが。要するに、救援に行っている。ロシアと戦争したんじゃないんです、あれは。それから、日本の居留民を保護するという名目もやった。あるいは、チェコの人たちが大変な目に遭うから、それを連合国でみんな助けようということになった。これは明らかに戦闘に行ったんじゃないんですよ。ところが戦争になっちゃった。なったら、よその国はうまいことだあっと行ったけれども日本だけは残された。それでひどい目に遭ったんですよ。四年間もひどい目に遭った。行くときもいろいろな経過があった。  私が言いたいのは、今イラク復興ということを、人道支援ということを名目にして行っていますよ。しかし、国際、国連に入っている、加入している国もみんながやっぱりそれはイラク復興をしたいし、人道支援したいと思うんですよ。しかし、今行っているのはアメリカを中心とする同盟軍ですよね。そこへ日本も今度は堂々と入っていくわけだ。国連全部が行っているんじゃないんですよね。その中で、じゃ、日本自衛隊が、の皆さんが行くときに、しかしこれは絶対に戦争しちゃいけないんだよと、攻めてきても日本国憲法に基づいて武力行使せずに帰ってくるんだよと、こう言われて行くわけだ。  私は、だから、今度の問題ぐらい、行った、行ったはいいけれども、撤退するというのは大変なんですよ、軍隊というのは。入っていくよりは帰る方が難しい。それで、入っていったらほとんど戦死するのが、まあこんなん言ったらおかしいけれども、かなり激しくなってくる。死者が出れば余計みんなは燃えるんですよ、逆にね。私、非常に恐ろしく思っている。  だから、ここまで来たんなら仕方ないけれども、私が言いたいのは、法律で作ったように、もしも危険な戦闘状態になったら直ちに撤退すると。これは政府としてきちっと言ってほしいんだけれども、まあ今日は総理がいないから、総理に言ってもらう代わりに、自衛隊の最高責任者として、そういう事態があったら私としては何としても自衛隊をこっちへ帰したいと、それぐらいの気持ちはちょっと今表明できませんか。
  374. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それ、先生御指摘のシベリア出兵というのは私も随分勉強はしてみました。今回の件で、随分前から、これ、シベリア出兵と一緒じゃないかと言う方がいらっしゃいましたので、私は学校で歴史を専攻したわけではございませんので、シベリア出兵についてきちんと勉強したのは去年の後半のことでございます。それ、あのときにソ連に社会主義政権ができて、それの拡大を恐れたイギリス、フランス、アメリカがみたいな話でございました。で、日本が出たが、みんな引いちゃって、日本だけ残ってしまって、大変なことになったというのは先生が御指摘のとおりでございます。  やはり今回は、国連の要請に基づいて出ておるわけでございますし、人道支援ということをやるわけでございまして、シベリアに何らかの権益を得ようとしたとか、そのようなものとは全く違うのだということは先生もよく御認識のとおりでございます。  戦闘行為は行ってはならないと。この法律の中にも、近傍において戦闘が行われるようになれば、それは中断し、避難し、指示を待つ、これは防衛庁長官の指示を待つということになってございます。  そしてまた、安全が保たれないということになれば、それはやはり自衛隊能力、権限、装備をもってして安全が保たれないということになれば、それは下がらなければいかぬでしょう。海と違いまして、それはもういきなりどこでも逃げられるというものではございません。陸の場合には、逃げられるといっても、場所も、そして逃げるスピードも、それは限りがございます。それが海とは違うところでございます。  そういたしますと、自衛隊の安全を守るということも、そしてまた法の趣旨を守るということからいたしましても、いずれにせよ、その判断は正確かつ速やかでなければならないものだというふうに考えております。  しかしながら、何かあったらすぐ引くということを申し上げておるわけではなくて、それは、そのときに起こっておるいろんなことを総合的に、法の趣旨にも照らし判断をすることになるだろうというふうに思っております。
  375. 山本正和

    山本正和君 時間が来たので、終わります。
  376. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時三分散会