○津村
分科員 民主党の津村
啓介と申します。本日は、
地域コミュニティーにおける人材育成を基調テーマとして質問をいたします。よろしくお願いいたします。
冒頭、私の問題意識を簡単に御紹介いたしまして、その後の御答弁の参考にしていただきたいと思いますが、私は、日本の未来像、将来ビジョンを描くに当たりまして、
地域における人と人とのつながり、いわゆる
地域コミュニティーの役割が必ずしも現在十分な評価を受けていない、むしろ過小評価されているのではな
いか、そう
考えております。
間もなく、二年後、二〇〇六年をピークといたしまして日本の人口の減少が始まるという推計もございます。そうした現代にありまして、日本
経済の活力を維持し、
地域の暮らしの安心、安全を守っていくためには、
地域コミュニティーの役割が従来にも増して重要になっていくものと
考えます。青少年犯罪の増加を思えば、治安の問題も避けて通ることはできません。
私は、八年余り日本銀行でマクロの
経済政策に携わってきました。市場、すなわちマーケットが完全に合理的であれば、国と個人との間に介在する各種の中間的な団体、組織は市場の効率性を阻害する要因になると
考えています。しかし、
地域を歩き、地方
経済の
実態をつぶさに見れば、マーケット原理が無条件に当てはまる例はむしろまれであり、
地域コミュニティーが
行政や市場の役割を補完している実例を数多く目の当たりにしているところでございます。
本日はこうした観点から、私がとりわけ重要視いたします農家や農協、JAを中心とした農村コミュニティー、消防団等の
地域の自主防災組織、あるいは学区単位の教育コミュニティーに焦点を当てまして、
地域コミュニティーにおける次世代の人材育成を底流的なテーマとしながら、
農林水産省、総務省、そして
文部科学省の各担当
大臣、副
大臣に以下の質問をいたします。
一つ目の質問でございますが、農村政策の将来ビジョンと来年度
予算における具体的な
取り組みについてでございます。
私の主張を端的に申し上げれば、農村の疲弊による日本の国力の低下を懸念する立場から、現在の場当たり的な農業振興のあり方を見直すべきであるというものです。農村の活性化、次世代への継承というときに、村における
生活環境や新たなライフスタイルの提案は決定的に重要なポイントになります。箱の整備ではなく人間にスポットを当てた政策、これが今何より求められているのではないでしょうか。
現在の農村は、農業のみを生業とする農家だけではなく、兼業農家や元農家、さらには非農家
住民などから成り立っている混成のコミュニティーであります。将来にわたる持続可能な発展を
考えれば、健全な農村コミュニティーを維持していくために、専業的な農家のみならず、兼業農家や非農家の知恵やアイデアを必要とすることを肝に銘じなければなりません。
多くの農村では、ほとんどすべての農家が用水路や農道の維持管理などの仕事にボランティアで参加をしています。都会では失われつつある共助、共存の精神が息づいております。こうした日本の農村のよき伝統が、農家の戸数減少や高齢化に伴って困難になってきている
現状を克服して
いかなければなりません。次世代の育成、若い力の発掘が求められています。
こうした主張は、実は私が身近に指導を受ける岡山の農業
関係者からも広く強く聞かれています。また、アカデミズムの観点からも、食料・農業・農村
審議会委員を務めていらっしゃいます東大農学部の生源寺教授らが、最近の日本
経済新聞への寄稿などで繰り返し唱えている主張でもあります。
来年度の農業農村整備関連の
政府予算は、八千三百四十五億四千二百万円となっており、前年度比五・〇%のマイナスと報道されておりますが、もちろん問題は
中身でありますけれども、
地域コミュニティーにおける
社会的役割の大きさに十分配慮した上で、農家、農協を含む農村政策のビジョンと来年度
予算における具体的な施策について、それぞれ整合的にお答えください。お願いいたします。