○滝
分科員 政府委員が御答弁をされたい、こういうことなものですから、そこのところは、私どもも、当然
政府委員であれば御
承知の上だと思って質問させていただいたんでございますけれども、それにこだわるわけじゃありませんから、その問題はさておいて、要するに、この問題は、二十六年の答申では、事業に伴う税金は経費として当然算入されるという大方針を厚生省の審議会ではお出しになっていながら、後々それを全く知らんぷりしてきたというのに実は問題がございます。
なぜ問題があるかといいますと、私は
国会図書館でこの間の事情を調べてまいりました。そうしますと、実に医師会の中でも二通りの流れがあるんですよね。
一つは、一点十円から幾らに上げるかというときに、なるべく単価を上げるべきだ、そういう主張の持ち主が医師会の中の
一つの勢力をなしていた。ところが、もう
一つの勢力は、診療報酬単価の引き上げをすると、公的な
医療機関がふえてきて民間の
医療機関が圧迫されるおそれがあるから、要するに、この問題は診療報酬の単価の引き上げじゃなくて専ら税金の非課税で闘おう、こういうグループに分かれてきたんですね。
したがって、今その流れの中でどういうことになってきたかというと、単価の問題で原価計算というようなものはできるだけ避けていこうと。要するに、
国民の
立場から見ますとつかみ金でもって診療単価の決定をしていこうじゃないかと。したがって、何が公租公課の中に入っているかどうかというのはうやむやにしながら、細かい
議論は避けて、むしろ税金の非課税でやっていった方が自分のところにとどまる所得が得だ、こういう御判断をされてきたように私は感じ取らせていただいております。
したがって、いつまでもそういうような流れの中でこの問題を扱うのはいかがだろうか、こう思いますので、私は、この問題は、もう少し厚生省として問題を整理して臨んでいただきたいと思うんです。
だから、結論的に申しますと、税制改正のたびに、そういう診療報酬の単価の問題を抜きにして、これだけ存続させるとか、いや、廃止するんだという
議論は、これはやはりやるべきじゃないという
立場から、実はしゃにむに不公正税制を是正せよという
議論には私は耳を傾けないことにしているんでございますけれども、厚生省はもう少しそこのところは誠実に
対応していただきたいということだけを御要望させていただいて、この問題は終わりたいと思います。
それから次に、これも細かい問題で、これは厚生
大臣にお聞きさせていただくわけでございますけれども、本題に入る前に、
一つ具体的に問題を申し上げたいと思うんです。
要するに、育児休業を申請いたしますと、厚生
年金は、本人はいわば
保険料を払わなくても済む、こういうことに
制度的に相なっているわけでございます。その条文は、厚生
年金保険法の八十一条の二という条文にあるんでございますけれども、この条文の立て方はどういうふうな立て方をしているかというと、専ら事業主はこういう場合には厚生
年金保険料を要するに徴収しなくてもいい、そういう単純な条文なんですね、条文としましては。要するに、育児休業
期間中の被保険者に係る
保険料については事業主は徴収しない、こういう条文になっているんです、法律の立て方は。
そこで条文上問題になりますのは、これは本題から離れるんですけれども、何が問題かというと、どうもよくわからないんです。法律と同じで、実にテクニックに満ちた表現になっているんです。何がテクニックに満ちているかというと、まず、だれの
保険料かということがわからないんです。「被保険者に係る
保険料」と言っているんですね。したがって、被保険者、要するに本人ですね、本人そのものの
保険料であれば被保険者が
負担する
保険料というふうに表現すべきなのに、「被保険者に係る
保険料」と書いてありますから、事業主の払う
保険料も入っているというふうに普通は読むんですね、事業主の
負担する
保険料も
保険料ですから。あえて「被保険者に係る
保険料」と言っているものですから、
負担すると言っていないものですから、事業主の
保険料も入るのかなと。
こうやって、よくこれを読んでいくと、最後に事業主は徴収しないと書いてあるから、自分の
保険料を徴収しないというばかなことはないなと思って、実は、そこでもってはたと考えて、
社会保険事務所がおつくりになった手引を取り寄せて私は見ました、これを。これは
社会保険協会が、要するに
社会保険事務所なんかの
協力を得て、これは恐らく厚生省が監修しているんだろうと思うんですけれども、大体、実際の
保険料を徴収する事務担当者はこういうのを見てやっているわけですよね。これを見ると初めてわかるんですよ。
要するに、事業主は一切免除されないんですよね。本人が育児休業をとって、本人は
保険料を
負担しないんですけれども、事業主は
負担し続けるんです。これを読むと、そう書いてあるんです。
それからもう
一つ出てまいりますのが、法律の立て方は、「事業主が、」というふうに言っているものですから、被保険者、本人ですね、本人はどこも出てこないんです、この条文に。ところが、そこになると、にわかにこの事務手続を見ますと、本人、被保険者本人は、育児休業の
保険料の免除を受けようとするときには、被保険者が申請書類をつくって、事業主を通じて
社会保険庁長官に提出するというので、法律には何にも被保険者のことは出てこないんですけれども、手引を見るとそうなっているんですよ。
そこで問題になりますのは、これから本題でございますけれども、要するに、そういう
状況の中でいろいろ事件が出てまいります。
どういう事件かというと、本人は事業主に対して、要するに人事当局に対して、育児休業をとりたいと言って申請します。そうすると、当然のことながら、厚生
年金でも何でも全部事業主がやってくれるわけですよ、いわば源泉徴収をやっているわけですから、本人は自分でもって申請書を出したりなんかしなくても、要するに、役所の
関係の手続は全部人事当局、給与支払い担当者がやってくれる、これがずうっと
社会保険料の
基本的な事務手続でございます。
したがって、本人は育児休業を申請しました、そうすると、人事・給与担当者はわかりましたと言っているわけです。給与担当者は、実はこういうのを見ていますから、わかりましたと言って、そのままになっているわけです。いずれ本人から申請書が出てくるだろうと思っているわけです、これをよく読んで手続しますと。
そのうち、本人はそんなことは知らずに、給与担当者の方に言うておけば、自動的に今までやってくれていますから、それでもって自分の方の申し出は終わっていると思っているわけです。片や、給与担当者の方は、出てこないからほっておくわけです。気のきいた給与担当者であれば、その一カ月後か二カ月後にわかると思いますよ、それは。ところが、実際の担当者は、厚生省のあるいは
社会保険庁の優秀なるスタッフと違いまして、余り優秀じゃないんですよ、普通の人なんです。
私の事務所でも、うちの事務所で何人かは厚生
年金に入れていますから、うちの担当に聞きました。知っているかと言ったら、知りませんと言うんです。そんなやかましいことを言うなら僕にこれを見てくれと、この手引を担当者からもらいまして、そんなややこしいことは知らぬ、何かあったらこれを見てくれと言うわけですよ、だから私がこれを持ってきたんですけれどもね。うちの事務所にこれがたまたま何冊かありました。これは
平成十年版です。これでやっているんです。
法律ではいきなり
年金の
取り扱いは事業主、給与担当者がやっているのに、ここだけは、この手続を見ると、要するに本人が申請書を出してと。こうなりますから、そこで事件が出てきますのは、本人は育児休業の申請をしてちゃんと
保険料も免除されると思っているのに、免除が進まない。ようよう調べてみると、担当者が要するに気がつかなかった。担当者は、当然のことながら、本人から出てくるまで何にも行動を起こす必要がないというふうに信じているわけです。そこで食い違いは何かというと、後でもって本人から何で
年金で払っちゃったのとなるわけです。そうすると、担当者は、何だ何だ、そんなこと知らないぜ、おまえさんが何か手続したんじゃないのかと言うと、そこから大事件になって、過去に振り込んだものがどうなっているかと。こうなるわけです。
そこで問題になるのは、今の法律の立て方、それから、この手引を見ると、普通の事務処理能力のある人たちがなかなか気がつかないような仕組みをつくっているわけです。そこでもって
基本的に、随分時間がたってから調べてみると、しまったと。こうなって、
社会保険事務所に申し出ても、おまえさん、もう時間切れだよ、そんなことにはなっていませんよと。こういう気の毒なことになるわけです。
そこで、私は、もともと法律の立て方が非常に不正確な立て方をしている、手続も錯誤を生じやすい手続をしているんですから、当然、この事務を請け負っている、中間事務を請け負っている事業主のそういう錯誤を、後から救済するような運用の仕方をしてもらいたいと思うのでございますけれども。
社会保険庁は頑として、とにかく事業主を、敵味方に分ければ、敵みたいなつもりでおるわけですね。そういう、僕は、敵味方に分けて、敵のような扱い方をするのはいかがだろうかと。別にごまかしているわけでも何でもない。人間がやることですからね。
年金局や
社会保険庁の優秀な組織、人間、手厚い中でやっている人間と違って、具体の給与担当者は一人か二人でやっているわけです。しょっちゅう交代する。その中で、錯誤というのは当然起こる。起こった錯誤は一切聞く耳を持たないというのはいかがだろうかと思いますので、ここは厚生
大臣に御配慮をお願いしたいというのが、この二番目の問題の趣旨でございますので、
大臣の御
見解を承らせていただきたいと思います。