○生方
委員 民主党の生方でございます。
私は、ことしの正月、大変穏やかな正月だったですけれども、非常に気が重く過ごしました。それは、一つには
イラクへの
自衛隊の
派遣ということがございまして、
自衛隊の皆さん方があの寒い旭川のもとで訓練をしているのを見たり、あの寒い地から一気に暑い
イラクに向かう、命がけの仕事をしなければいけない、これから
日本の外交、
防衛はどうなっていくんだろうかというようなことに思いをはせまして、なかなか心安らかに正月を過ごすことができませんでした。
今回の
イラクへの
自衛隊の
派遣というのは、ただ単に
自衛隊を
派遣するということだけじゃなくて、やはり
日本の
防衛外交政策の根本を変えるような重要な事柄だというふうに私は思っております。
各種世論調査を見て総理も御存じでございましょうが、最初は、
イラクへの
自衛隊の
派遣について、
国民の皆さん方は反対の
意見が大変多かった。それが、最近になって五分五分あるいは、客観的に申しますが、若干賛成の方が多いというように世論が変わってきたのは事実でございます。
しかしながら、一点変わらないのは、総理の
国民に対する説明が十分であるか不十分であるか、こういう
質問に対しては、押しなべて
国民の七割から八割が不十分であるというふうに答えております。
実際に
自衛隊の皆さんが出ていくわけでございますから、それについて反対ということを正面から言いづらいことは事実でございますが、私たちは、外交、安保の根本を変えるのであるということを総理がきちんと
国民に説明する、その上で、それが正しいのかどうか、それでいいのかどうかという、
国民が
判断をしなければいけないような、この問題は重要な問題だというふうに思っております。一言で言えば、
国民の信を問わなければいけないような重要な問題だというふうに私は
考えております。
戦後、
日本がつくり上げてまいりました平和外交の原則、それから専守
防衛に徹するという
防衛の原則、それから武器輸出をしないという原則、こうした原則を総理がこれから先変えていこうというのであれば、本当にはっきりと、変えていくんだということを説明し、これこれこういう理由だから変えなければいけないんだ、
国民の皆さん、納得してほしいということをしっかりと言うべきだと思うんですね。
きのうの論議、きょうの論議を聞いていても、総理からそうした言葉は聞かれません。本当に総理が外交、
防衛の方針を転換するのか、転換しないまま微調整でこのままいくのか。だから
国民の皆さんは、これから先、
日本がどこへ向かっていくのかわからないので不安を持っているんですね。総理は、総理
大臣としてこれだけの重要な決断をするんですから、もっと
国民にしっかりと、外交
防衛政策を転換するのかしないのかということをはっきりとさせなければいけないというふうに私は
考えております。
日本の平和外交というのは、憲法の前文、総理も引用されましたが、憲法の前文や九条に明記されているように、国際紛争を解決する手段として武力をもってしないということを明記いたしております。これは、第二次大戦の悲惨な経験を通して、
我が国は、武力で国際貢献をするのではなくて平和的な手段によって国際貢献をしようという決意のもとに、平和外交をこの戦後五十数年間続けてきたわけでございます。
そのかわりと言ってはなんですが、
日本はきちんと経済的な援助はいたすということで、一兆円近い、最近は減っておりますが、一兆円近いODAを世界の国々に供与してきたわけでございます。私も世界にいろいろ旅をいたしますが、このODAについては非常に高く評価されていることは、総理も御
承知のとおりでございます。
一方、
自衛隊は、専守
防衛に徹しておりまして、海外に
自衛隊を
派遣しない、国権の発動たる武力行使はしないという原則のもとに、
自衛隊は一人も殺さない、一人も殺されないということを続けてまいりました。九二年からは国連の枠組みのもとにPKO
活動を行ってまいりましたが、これは国連のもとであって、国権の発動たる武力行使にはもちろん当たりません。こうした
日本の専守
防衛に徹するという専守
防衛の
防衛方針も、各国から高く評価をされてまいりました。
しかるに、今回の
イラクへの
派遣は、こうして築き上げてまいりました
日本の外交、平和の根本とも言える原則を簡単に踏みにじろうとしていると言わざるを得ません。
戦闘地域である
イラクへ
自衛隊を
派遣すれば、
戦闘行為が行われる危険性は極めて高い。
戦闘地域、非
戦闘地域というそもそもできない区分をして、
戦闘行為は行わないと言っても、現実に
戦闘行為に巻き込まれる危険性はかなり高いと言わざるを得ません。
外国の地で
戦闘行為を行えば、専守
防衛という原則を大きく踏みにじることになります。
米国は、国際紛争を解決する手段として、残念ながら、
イラクに対して武力
攻撃をいたしました。それを支持するということは、
日本の平和外交の基本である、武力で国際紛争を解決しないという原則にも大きく反することになるのではないですか。
また、国連の安保
理事会の決定を経ていない今回の行為は国際法に準拠していないということであって、米国の行動をただただ支持するということはこれまで
日本が行ってきた国連
中心の外交という原則をも踏みにじることになると私は
考えております。
国民は、総理が
日本をどこへ持っていこうとしているのか、外交、
防衛の基本を変えてしまって本当に
日本の平和、世界の平和は守られるのか、大きな懸念を持っております。
イラクへの
派遣はこれほど重い問題です。実際に外交、安保の基本を変えるのですから、それでいいのかどうか。私は、選挙、昨年やったばかりでございますが、この問題でもやはり
国民の皆さん方に信を問うべきだ、それほど重要な問題だと
考えますが、総理の御所見はいかがでございましょうか。