○細川律夫君 ただいま
議題となりました
平成十四年度決算外二件につきまして、決算行政監視
委員会の
審査の
経過及び結果を御
報告申し上げます。
まず、決算等の概要について申し上げます。
一般会計決算額は、歳入八十七兆二千億円余、歳出八十三兆六千億円余であり、特別会計決算総額は、歳入三百九十九兆七千億円余、歳出三百七十三兆八千億円余であります。
国税収納金整理資金の収納済額は、五十三兆三千億円余であり、
政府関係機関決算総額は、収入五兆八千億円余、支出五兆九千億円余であります。
国有財産増減及び現在額総
計算書の年度末現在額は、百十兆九千億円余であり、
国有財産無償貸付状況総
計算書の年度末現在額は、一兆円余であります。
本
委員会におきましては、今
国会におきまして、谷垣財務大臣から概要
説明を聴取し、総括
質疑、分科会
審査、全般的
審査を行い、昨日締めくくり総括
質疑を行った後、
委員長から
議決案を提出いたしました。
以下、
議決案の
内容を申し上げます。
本院は、
平成十四年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査
報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに
改善を要するものが認められるのは遺憾である。
一 予算の執行
状況からみて、所期の
目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。
次の事項がその主なものであるが、
政府は、これらについて特に留意して適切な
措置を執り、その結果を次の常会に本院に
報告すべきである。
1 公債残高が著増するなど国の財政は極めて深刻な
状況であり、その健全化が急務となっている。
政府は、公債に依存した財政構造を改めるため、目標に沿って、基礎的財政収支の早期黒字化を図るべきである。
2 年金制度については、国民年金保険料の未納付率が約四割に達し、また、保険料が未納であった
国会議員が相次いで判明するなど制度に対する国民の不信感が一層増大している。ついては、社会保険庁における未納・未加入者に対する取組みの強化に加え、年金の一元化問題を含めた
社会保障制度全般の一体的見直しを行うべきである。
3 介護保険については、ゴールドプラン21による基盤整備が行われてきているところであるが、介護サービスが利用者の自立支援に資するものとなっているかなどの課題が指摘されている。
平成十二年の法
施行後五年目を目途とする介護保険の見直しに向けてサービス
内容の適正化及びサービスの質の向上などについて十分な
検討を行うべきである。
また、障害者福祉については障害者の地域生活支援の在り方等支援費制度の
趣旨を踏まえ円滑な
実施に努めるべきである。
4 雇用問題については特に若年者の雇用の拡大を図るとともに、
政府が一体となって若年者等に対する職業意識の啓発や学校における職業教育に対する取組みを推進すべきである。
5 六兆百億円の多額の資金が投入されたウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策については、
平成十二年七月に中間評価が出され、十四年度で終了している。中間評価においては効果が十分あがっていない点が指摘されているところであり、今後とも政策全般の評価の中で成果を検証し、その結果を今後の農業政策に反映すべきである。
また、牛海綿状脳症(BSE)発生に伴う米国産牛肉の輸入停止により、外食産業を始めとして経済的損失が増大している。食の安全・安心確保を大前提に、科学的根拠に基づいた検査体制の下で、安全な牛肉の安定供給体制の構築に努力すべきである。
6 地方分権の推進に当たっては、自主・自立の地域社会の早期実現が肝要である。
政府は、地方分権を推進するため、国から地方への税源移譲の促進と地方への自由度の拡大を図るための国庫補助負担金の廃止・縮減等を行い、地方交付税の所要額を確保し、真の地方分権を図るべきである。
また、義務教育費国庫負担制度については、義務教育に関する国の責任を明確にし、総額裁量制の
導入で、教
職員の給与が過度に削減されることのないよう配慮するとともに、義務教育における学校の設置・管理主体である市町村が自らの理念に基づいた独自の教育が可能となるよう、市町村への必要な権限委譲について
検討を進めるべきである。
7 近時、凶悪
犯罪の多発等を背景に国民の治安悪化への懸念が急速に高まっている。
政府は、スーパー防犯灯の整備等の
犯罪防止対策を積極的に推進するとともに、警察官の計画的増員及び適正配置等の体制整備並びに地域防犯力の向上を図るなど効果的な
犯罪対策に取り組むべきである。
また、都道府県警察の一部において、公金の不正流用の実態が明らかになったことは誠に遺憾である。こうした不祥事が再び発生することのないよう、警察
職員の倫理意識の向上及び会計経理の適正化等に万全の対策を講じることにより警察に対する信頼の回復に全力を挙げるべきである。
さらに、
政府は、交通事故死者数の大幅削減目標に向けて、車載監視カメラの普及等の交通安全対策に鋭意取り組むべきである。
8 北朝鮮による日本人拉致
事件については、二度の日朝首脳会談や六者協議等を行うも、安否不明者や
特定失踪者の消息解明などいまだ全面解決には至っていない。また、核・ミサイル問題についても疑惑は払拭されておらず、国際的な検証の下における完全な核廃棄を強く求めなければならない。
政府は、積極的に国際世論形成を図るとともに、北朝鮮近隣国・
関係国との緊密な連携の下、日本人拉致
事件及び核・ミサイル問題について早期解決のために最大限の努力をすべきである。
二 会計検査院が検査
報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の
措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三 決算のうち、前記以外の事項については
異議がない。
政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の
経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・
効率化を図るとともに、政策評価等の
実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。
以上が、
議決案の
内容であります。
これを
採決いたしましたところ、決算は多数をもって
議決案のとおり
議決すべきものと決しました。
次に、国有財産の各総
計算書は、いずれも
全会一致をもって是認すべきものと
議決いたしました。
以上、御
報告申し上げます。(
拍手)
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