○西村智奈美君 民主党の西村智奈美です。
私は、ただいま
議題となりました二法案に関し、民主党・
無所属クラブを代表して質問をいたします。(
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さきの総
選挙で
当選して四カ月。初めて
国会で政策決定過程に係る議論に加わり、緊張感と興奮の毎日です。この間、改めて感じたのは、この国の東京一極集中は想像以上の凝集性を持っていたということであります。
地方分権とは、もともと地域にあった主権を地域に返す作業だと私は
思います。水平的な地方と国との関係を構築し、自主自立の町づくりを行う環境を整えることが、私の
議員としての大きな目標の
一つです。きょうも、そのような問題意識の下で質問をさせていただきます。(
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今回
提出された法案は、
平成十七年三月までに都道府県に
合併の申請をし、
平成十八年までに
合併を行う
市町村を対象とした現行の
合併特例法の一年延長と、現行
合併特例法後の五年間、さらなる
合併を促進するため所要の
措置を講ずる
合併特例新法の二本です。
各論に入る前に、総論的かつ基本的な質問から始めさせていただきます。
私は、この二本の法案を読めば読むほど首をかしげることばかりでしたが、行間から確実に伝わってくることが
一つだけありました。それは、何が何でも
合併を進めさせようという国の姿勢であります。しかし、そもそもなぜ
市町村合併を推進しなければならないのかという肝心かなめの理由が伝わってまいりません。総理はもちろん、政府のだれ一人として明確にその理由を述べていないからであります。
例えば、明治の大
合併は小学校の設置、管理のために三百から五百戸を最低
基準の目標とし、
昭和の大
合併は新制
中学校を整備するために人口を八千人以上にしようと決めて進められたといいます。しからば、今回の
合併推進に当たっては、いかなる目的のために、いかほどの人口規模を目標として進めるつもりなのでしょうか。
地方制度調査会は総理の諮問を受けて設置され、その答申の内容が今回の立法にも随分反映をされています。また、いわゆる小泉マニフェストでも、
市町村合併を促進すると高らかに掲げているではありませんか。
地方分権にかかわる大原則ですから、官房長官に質問をいたします。地方行財政の受け皿論はもう結構でございます。具体的にお答えください。(
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以下、法案の問題点について、具体的な質問に移ります。
まず、
合併特例債に関連して質問します。
私の地元、新潟県では、県内百一の
市町村のうち八十四
市町村が
合併に向けた取り組みを行っており、仮にすべての協議が成就すれば、
市町村数は三十五に集約をされることになります。その場合、合計して二十の
合併自治体に
合併特例債の発行が可能となり、限度額は最高で五千百六十億円と試算をされているそうです。これが全部発行されると、国の交付税
措置分は七割で、約三千六百億円。これは新潟県の分だけの数字です。しかも、地方の負担は三割で済むとはいえ、不要不急の公共事業に化けるケースも多々あり、その場合、地方はむだな建物のための債務の返済に苦しむことになります。
民主党は、現在の
合併特例債のように後年度負担が大きくなるような
措置を縮小するように主張してまいりました。新法では、政府も
合併特例債を廃止する方針を打ち出し、
合併特例債の問題点をようやく理解したのだというふうに
思いたいのですが、その割には、現行法の延長ということで、この
特例債の制度も一年間存続することになっております。
そこで、質問です。
総務大臣は、この
合併特例債の制度についてどのように総括をしていらっしゃるのでしょうか。また、現在、
合併協議会が設立されているすべての自治体で
合併が成立した場合、
合併特例債の発行可能枠は最大幾らになるのでしょうか。非常に大事な数字ですので、幾つかの仮定を置いても結構です。逃げずにお答えください。(
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次に、
市町村合併後、旧
議員の任期を最長二年延長する在任
特例についてお尋ねをいたします。
現行
合併特例法で
創設されたこの
規定に基づき、各地にマンモス議会が生まれ、
議員の保身や財政面での非効率など、さまざまな問題点が指摘をされています。にもかかわらず、この在任
特例の
規定が新法においても引き続き残っているのを知って、私は唖然といたしました。
新潟市では、
平成十七年三月の
合併で編入される
市町村の
議員全員が辞職をするという大英断を行い、住民から大喝采を浴びました。政府は、
議員の顔色ばかりうかがって、住民の気持ちを考えていないようですが、政府がわざわざ在任
特例などを用意しなくても、やればできるのです。在任
特例が残った理由を
総務大臣に伺います。
次は、
市町村合併の進め方というテーマに沿いながら、主に
合併特例新法について質問をいたします。
法案では、都道府県知事が構想に基づき、
市町村合併調整委員を任命し、あっせん、調停を行わせることができるとともに、
合併協議会の設置を勧告することができる、また、勧告を受けた
市町村長が
合併協議会を議会に諮った結果、議会が否決したときには、住民が六分の一以上の有権者の署名により、または
市町村長が住民投票を請求することができる、さらに、
合併推進に関して勧告ができるとしています。
合併を強制的に進めたいのだけれども、批判が怖くて、回りくどい
方法を考えたものだなというのが私の第一印象です。
そこで、
総務大臣に伺います。
合併新法は、国が県に対して
合併の旗振り役を押しつける側面が大変に強くなっていると
思いますが、
合併は
市町村が自主的に行うというこれまでの基本的な考え方を変更したのでしょうか。また、このことは、県と
市町村は対等、協力の関係で地方行政を担うとされる地方分権の理念に沿わないやり方だと
思いますが、いかがでしょうか。お答えください。
次に、より具体的に、都道府県知事の構想の前提となる
総務大臣の基本方針について質問します。
まず、この基本方針にはどのような内容を盛り込むのか。特に、
市町村の適正規模について、一万人という数字を示すことになるのでしょうか。
総務大臣に伺います。
また、基本方針の内容を
法律で
規定せず、事実上
総務大臣の裁量とした理由についても伺います。
さらに、基本方針に基づいて知事が構想を策定するということですが、その構想の内容などは知事それぞれの自由裁量にゆだねられるのかどうか、伺います。
今回の質問に当たって、私は、現在、
合併を選択しない、取り組みの動きがない
市町村の実情について少し調べてみました。その結果、浮かび上がってきた実像は、以下のとおりです。
住民意向調査や住民投票で
合併反対が多数となり、民意として
合併せずに単独で行くとの選択を行ったケース、
合併を志向するものの、
合併先をめぐって住民の意向が対立し協議に入れないケース、あるいは、さまざまな理由から希望する相手先の
市町村から断られたケース、議会と住民の意向が異なり協議に入れないケースなど、
市町村、住民とも何らかの取り組みや対応を経て、一定の結論に至っているという実像でございます。
このような状況の下で、新法の制度による
合併が進むのか否か、私は疑問に思っています。それとも、知事の構想や勧告に強制力を想定しているのでしょうか。
総務大臣の見解をお尋ねします。
地方自治法の
改正案を含めた今回の
合併三法について、私は、
市町村合併の全体像、将来像や、
合併の
基準が全く見えてこないという感想を持っています。それに関連して、
総務大臣に二点質問をいたします。
第一に、
合併後の基礎自治体の数として、幾つを目標にしているのでしょうか。与党は千自治体を目標としたそうですが、政府も同様に、千という数を目標としているのですか。
第二に、
合併新法の五年という期限が過ぎた後、
合併しないことを選択した人口一万未満の自治体はどうなるのでしょうか。基礎自治体のあり方として、規模が小さく、財政的にも厳しく、住民の負担が高くなる、あるいはサービスの提供に制約が生じても、住民が納得の上で単独の選択をした自治体を認めるのでしょうか。それとも逆に、ナショナルミニマムの水準維持のためには、このような団体の
存在は認めず、強制的な
合併や、第二十七次地方制度調査会の答申で言うところの
特例的団体の制度を五年後に
導入する可能性はあるのでしょうか。
合併推進は、新旧の
合併特例法によってのみ進められるのではありません。建前は自主的な
合併と言いながら、実際には、交付税の小規模団体に対する段階補正の見直しなどの
方法で、財政力の弱い
市町村に
合併を迫るという構図も最近は明らかになっています。
それだけではありません。税源移譲を中途半端なままに補助金の削減と交付税の削減を進める小泉
内閣の名ばかりの三位一体改革によって、わらにもすがる
思いで
合併特例債などのあめに飛びつかざるを得ない
情勢も見られ、これは、私は、間接的な強制
合併に等しいと
思います。(
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市町村にとって、今後の地方交付税と補助金及びそれに伴うはずの税源移譲の動向が
合併の進展を大きく左右します。その意味でも、いわゆる三位一体改革の将来像を明示すべきだと考えます。
総務大臣の見解を示してください。
私は、地方分権とは、市民が地域の政府をきちんとコントロールできる仕組みをつくることだと思っています。その点で、政府の
合併の進め方について一番危惧をされるのは、何のための
合併かを詰めないまま、住民を蚊帳の外に置いたまま、だれも全体像を描くことなく、なし崩し的に
合併論議が進められていることです。
冒頭述べましたように、本院の
議員となってまだ日が浅い私ですが、身にしみてわかったことは、東京の一極集中ぶりだけではございません。いわゆる小泉改革なるものの実像が、理念なきがゆえに具体的な内容も欠いているということです。(
拍手)もちろん、地方にいたときも薄々感じてはいましたが、今なお、はっきりといたしました。道路公団改革しかり、
年金改革しかり、郵貯改革しかり、三位一体改革しかり、そして、この
市町村合併への取り組みもまたしかりであります。自治の主役は住民であり、
合併を決める主役もまた住民であるという基本的な理念を忘れ去っているのではありませんか。(
拍手)
最後にこのことを申し上げ、小泉
内閣と与党に対して猛省を迫りつつ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(
拍手)
〔国務大臣福田康夫君
登壇〕